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1999-07-05 第145回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      清水嘉与子君     真鍋 賢二君      直嶋 正行君     木俣 佳丈君  五月十八日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     清水嘉与子君  五月二十日     辞任         補欠選任      清水嘉与子君     真鍋 賢二君  五月二十一日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     清水嘉与子君  五月二十八日     辞任         補欠選任      鶴保 庸介君     泉  信也君  五月三十一日     辞任         補欠選任      泉  信也君     鶴保 庸介君  六月八日     辞任         補欠選任      佐藤 昭郎君     陣内 孝雄君  六月九日     辞任         補欠選任      陣内 孝雄君     佐藤 昭郎君  七月二日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     櫻井  充君      川橋 幸子君     和田 洋子君      渡辺 孝男君     加藤 修一君      鶴保 庸介君     泉  信也君  七月五日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     内藤 正光君      和田 洋子君     川橋 幸子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         久世 公堯君     理 事                 鹿熊 安正君                 鎌田 要人君                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 佐藤 雄平君                 櫻井  充君                 内藤 正光君                 和田 洋子君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 山本  保君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君                 泉  信也君    国務大臣        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       有馬 朗人君        郵政大臣     野田 聖子君    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        科学技術庁長官        官房長      興  直孝君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        文化庁次長    近藤 信司君        郵政大臣官房長        事務代理     鍋倉 真一君        郵政省郵務局長  濱田 弘二君        郵政省貯金局長  松井  浩君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省住宅局長  那珂  正君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 久世公堯

    委員長久世公堯君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十七日、直嶋正行君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。  また、去る二日、渡辺孝男君、鶴保庸介君、浅尾慶一郎君及び川橋幸子君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君、泉信也君、櫻井充君及び和田洋子君が選出されました。     ─────────────
  3. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、文部省郵政省及び科学技術庁決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 久世公堯

    委員長久世公堯君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 久世公堯

    委員長久世公堯君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 岩城光英

    岩城光英君 自由民主党の岩城光英でございます。  初めに郵政省、次に文部省の順で質問をさせていただきます。  まず、郵便事業についてでありますが、郵便事業は景気の低迷や、さらに民間宅配業者との競争の激化を受け、経営状況が悪化しているようであります。ちなみに、平成年度は千二百十八億円の利益でしたけれども、八年度は九百四十三億円、九年度は百九十八億円と減益傾向が続いておりまして、平成年度は戦後初めて収入が前年を下回る事態となりまして、さらに十年度以降も損失を生じることが見込まれておるようです。  こうした状況の中、例えば配達時間帯の指定サービスとかモーニング10、これの全国展開など新たなサービス開拓等に取り組んでいらっしゃる努力は評価するわけでありますけれども郵便事業財政改善に向けまして今後どのように取り組まれるおつもりか、まずお伺いをいたします。
  8. 濱田弘二

    政府委員濱田弘二君) 郵便事業財政状況でございますが、ただいま岩城先生指摘のように厳しい状況にあります。特に平成年度の下半期、金融機関の破綻が相次いだころからマイナス基調に転じておるわけでございます。  こうした中、こうした難局を私どもみずからの力で乗り切るということで、現在郵便事業全体の定員純減ということを続けておるわけですが、この中でも営業職員につきましては充実を図るといった形の体制の強化を一方で図ります中で、郵便事業関係者トータルパワーを結集して増収に向けての取り組みということで積極的な営業活動をやっておるわけでございます。ただいま先生からゆうパック郵便小包でございますけれども、午前、午後、夜間という配達時間帯指定サービスについて御紹介賜りましたけれども、これらのサービス改善を次々にやっておるところでございます。  こうした中で、おかげさまでモーニング10、そしてまた冊子小包、チルドゆうパックにつきましては前年度を大幅に上回るような取扱物数にまでなってきておるところでございます。そしてまた、平成十一年度四月、五月の立ち上がり期でございますけれどもおかげさまで対前年度で五・七%増という好調なスタートを切らせていただいておるところでございます。  こうした増収面努力とあわせまして、一方で情報化の推進、経営スピード化中心といたしまして経営基礎体力を強化していく、こういう中で経費削減経費効率的使用にも現在精力的に取り組んでおるところでございます。例えば、その中でも定員削減、非常に私ども郵便事業固定費が大きなウエートを占めておるわけですが、この中の人件費につきまして、新郵便番号制、七けたでございますが、国民利用者皆様の記載の御協力を賜りまして、非常にいい形でもって普及を推進させていただいております。こういう中で、人の削減、こういうものも平成年度、十年度だけで四千人を超える削減をもう既にさせていただいたところでございます。  それから、あと一つだけ例を挙げさせていただきたいと思いますが、今まで私どもやってこなかったわけでございますが、地域区分局等区分事務中心といたしまして、本務者、正規の職員でございますが、がやっておる仕事を非常勤職員に置きかえる、そういう形でもって要員の削減定員削減をやっていくということで、本年度から三年計画で三千二百四十名の削減を現在進めておるわけでございます。  こういうような増収面、そして経費削減の両面から、もちろん良質な郵便サービス維持、提供が前提となるわけでございますが、私どもとしては引き続き努力をすることによって損益改善を図ってまいりまして、できるだけの努力をする中で郵便事業財政の健全な維持努力してまいりたいと思っておるところでございますので、引き続きよろしく御指導のほどを賜ればと存じます。
  9. 岩城光英

    岩城光英君 大分前の新聞になりますが、「二〇〇一年度にも値上げの公算」と、こういった記事もあったわけでありますが、この辺のお見通しはいかがでしょうか。
  10. 濱田弘二

    政府委員濱田弘二君) ただいま申し上げましたけれども増収面、それから経費削減面から懸命な努力をいたしております。本年度あるいは来年度といった形の値上げは全然考えておりません。
  11. 岩城光英

    岩城光英君 次に、大臣にお伺いをいたします。  現在審議が進められております中央省庁等改革基本法、これによりますと、法の施行から五年を経ていわゆる郵政公社に移行することとなっております。その際には、予算決算企業会計原則に基づいて処理するとともに、経営目標業績評価結果を含めた経営情報公開を徹底するよう求められております。  こうしたことから、郵政事業情報開示あり方と今後の検討スケジュールについて所感をお示しいただきたいと存じます。
  12. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 郵政省ではこれまでも郵政事業に対する国民皆様方の理解を深めていただきますよう経営情報公開には努めてまいりました。  具体的に申し上げると、例えば郵政事業損益計算書とか貸借対照表、または郵便種類別収支等のインターネットへの掲載をしております。また、郵便貯金保険それぞれのディスクロージャー冊子も発行しているところです。  この結果、例えば今申し上げたうちの郵貯とか簡保情報開示につきましては、民間金融機関と比べても遜色のないものとなっているところでございます。  今、先生指摘郵政事業実施部門につきましては、昨年六月に成立しております中央省庁等基本法におきまして、郵政事業庁を経てその二年後に国営の新たな公社に移行することとされているところであります。  基本法では、この国営公社経営あり方については、独立採算制もと、自律的かつ弾力的な経営を可能とする一方で、今おっしゃった財務、業務、そして組織状況、さらには経営目標業績評価の結果等の経営内容に関する情報公開を徹底することが求められているところであります。  これからの郵政事業経営情報開示あり方については、新たな公社の具体的な制度設計を進めていくことになるわけですが、これは近々スタートすることになっていますが、その中でしっかり検討させていただくことになりますが、今申し上げたとおり、基本法の趣旨にのっとりましてこれらの経営情報の一層の公開に取り組んでいく所存でございます。
  13. 岩城光英

    岩城光英君 引き続き大臣にお伺いをいたします。  今お話がありましたとおり、郵政事業庁を経て新たな国営公社に移行することとなるわけでありますけれども、気がかりな点は、総務省郵政公社、この相互関係をどのように保っていくか。もっと具体的に申し上げますと、事業計画部門と実務を担当する部分が十分に意思疎通が図れるかどうかということにあろうと思っております。  言うまでもなく、全国津々浦々の郵便局は住民に最も身近な国の機関としてさまざまな取り組みをなされております。こうした郵便局事業をさらに地域に根差したものとするためにも、大臣はこの総務省郵政公社との相互関係のあるべき姿についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
  14. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) この国営の新たな公社の具体的な制度というのは、今申し上げました基本法に規定されております方針に従って今後決定していくことになるわけですけれども、その方針として、まず、独立採算制もと、自律的かつ弾力的な経営を可能とすること、そして主務大臣による監督を法令で定めるものに限定すること、このように定められております。  こういう方針もとで、郵政事業再編を行うに当たりましては、今先生指摘のとおり、全国二万四千七百の郵便局、まさに国民共有のインフラ、身近な国の機関である郵便局が、これまでどおり国民生活に不可欠な郵政事業サービス全国あまねく公平に提供するとともに、利用者の立場に立った、利用者利益を向上させる、そういう国営事業としての役割を一層果たせるような体制としていきたいと思っています。  具体的には、今先生指摘のとおり、郵政事業に係る企画立案とか管理を行うのが総務省の本省となり、そして郵政事業に係る実施を担うのがこれからの郵政公社ということになるわけですが、この関係につきましては、緊密な連携、つまり常に一体としてその関係確保しつつ、そしてそれぞれが役割をきちっと果たすことによって郵政事業が全体として国民利益に一層資する体制となるように検討してまいります。
  15. 岩城光英

    岩城光英君 あらゆる組織に言えることですけれども、現場の実態をよく把握した上での企画立案、これが非常に大切だと思いますので、どうぞ御留意をいただきたいと思います。  次の質問に移ります。  二〇〇一年から郵便貯金についても全額自主運用が始まるわけでありますけれども郵便貯金簡易保険資金は、その性格からしましてより地方に還元される、こういったことが本来の姿であろうと思っております。しかも、今回の省庁再編によりまして、郵政省自治省と一緒になって総務省、こういう形になるわけでありますので、総合的な施策展開が期待されるわけであります。  この地方への資金還元について、今後の自主運用の中でどのようにお考えか、お伺いいたします。
  16. 松井浩

    政府委員松井浩君) お答え申し上げます。  郵便貯金簡易保険資金地方への資金運用についてどのように考えているかという御質問でございますが、現在、簡保資金は完全に郵政大臣自主運用ということになっているわけでございますが、地方公共団体への貸し付け、それから市場を通じた地方債への運用を既に行っております。また、郵便貯金資金、これは現状でございますが、一つ資金運用部への預託あるいは財政投融資計画を通じて地方公共団体貸し付けられております。そのほかに、一部のお金が郵貯自主運用資金として金融自由化対策資金という名称自主運用されているわけでございますが、それも市場におきまして地方債への運用を行っております。  今後、財投改革、そして郵便貯金全額自主運用という新たな体制になったときの考え方につきましては、郵政大臣が主宰いたします郵貯簡保資金運用研究会が開催されていまして、そこで検討いただいているところでありますが、先般取りまとめられました中間報告の中でも、引き続き地方公共団体貸し付け地方債への運用を含めて公的分野への資金供給は重要であるという指摘を得ております。  郵政省といたしましては、このような御意見とかあるいはこれまでの長年の自主運用の実績、経験を踏まえまして、引き続き財投債地方公共団体貸し付けなどへの運用を通じて公的分野への長期資金を供給していきたいというふうに思っておりますし、また、日本版ビッグバンの進展によって拡大いたします証券・金融市場で国債、地方債等長期債中心有利運用を行っていく、こういうことによりまして長期安定的な資金運用を行うことを基本としております。  御指摘地方公共団体への運用につきましては、預金者加入者利益確保、それから事業健全経営確保、こういった観点にも十分配意しつつ検討を進めてまいりたいと思っておりますが、具体的な制度設計ということになりますと、地方債制度を所管しておられます自治省、それから財投制度を所管しておられます大蔵省、これらの役所とも十分に連絡調整を行って適切に対処してまいりたいと考えております。
  17. 岩城光英

    岩城光英君 ありがとうございました。  それでは、文部省の方に質問をさせていただきます。  まず、文部省委嘱等事業経費についてでありますが、平成年度会計検査院決算検査報告におきまして委嘱等事業経理が不正に行われていたことが指摘されました。四つの県において約四千八百万円の不正な支出でございます。また、翌九年度におきましては二十二の府県におきまして二億九千万円を超える不正経理指摘されております。  この問題につきまして、文部省としてのこれまでの対応についてお伺いいたします。
  18. 小野元之

    政府委員小野元之君) 文部省におきましては、各種の教育事業を各都道府県教育委員会委嘱をして、例えば新しい専門的な研修について研究いただく、あるいはスクールカウンセラー配置等についてのいろんな研修というふうな形で研究をいただく事業があるわけでございます。これがこの委嘱等事業でございますけれども、この事業につきまして、御指摘ございましたように、架空の旅費やあるいは謝金等支出関係書類を作成して支出するようなことがございまして、不正に経理していたことが判明したわけでございます。  会計検査院から、平成年度四県、それから平成年度報告におきましても二十二府県指摘を受けたところでございまして、文部省といたしましては大変遺憾に存じておるところでございます。  この二十六府県に対しまして、現段階におきましては確定した返還金額について返還を求めたところでございますけれども文部省といたしましては、まず一つ、こういった委嘱等事業経費適正執行につきまして会計課長通知を発しまして、こういったことがないようきちんと指導したいと思っております。  それからなお、関係課長会議等を通じまして、厳正な予算執行について指導を行ってきておるところでございます。  さらに、こういった委嘱等事業につきまして、文部省に対して書類を提出いただくことになっておるわけでございますけれども、その後、書類内容を少し詳しくお出しいただくようにいたしまして、こういった経理処理状況がきちんと把握できるようにしたいという改善措置もとったところでございます。  さらに、平成十一年度以降、適宜、この委嘱等事業実施につきましては、その実施状況やあるいは経理状況等について実地調査等も行いたいと思っております。  こういったことが多くの県で発生したことを私ども大変申しわけないと思っておりまして、こういった事態が二度と生じないように適切に対応したいというふうに考えているところでございます。
  19. 岩城光英

    岩城光英君 適切な対応をぜひともよろしくお願いしたいと存じます。  さて、次代を担う子供たち教育の問題、これは我が国にとりまして大きな課題だと思っております。子供たちの痛ましい事件が引き続いて起こっている現状を大変憂えているわけであります。  実は、私は平成二年にいわき市というところの市長に就任いたしましたが、市長に就任して最初に抱えた難問題が、その数年前にいわき市で起きましたいじめによる中学生の自殺事件、これによりまして市が訴えられておりまして、それを何とか和解にこぎつけることができましたが、その体験を通してさまざまなことを学ばせていただきました。  私は、町づくり人づくりからというスローガンのもと、いろんな施策を進めてまいりましたけれども、とりわけ子供たちにはどんな誘惑にも負けないたくましい心と丈夫な体を持った大人に育ってほしい、人間に育ってほしい、こういうねらいのもとに、例えば大自然の中での集団活動、こういった事業も行いました。  事業名称をわんぱく森の探検隊というふうに名づけまして、小学校五年生から中学三年までの子供たち五十六人ですが、八泊九日の予定で山の中でテントの中で寝泊まりする、そして七人ずつ八つの班に分けて集団的な行動をさせる、こういう取り組み平成三年から行ってきております。もちろんボーイスカウトあるいはガールスカウトの指導者皆様方の御支援もいただきました。こうした中で、それぞれの成果が上がっているわけであります。  例えば、参加した子供たち感想文が上がってきておりますけれども、幾つか紹介をさせていただきます。  小学五年の男子生徒です。  一度も家のことを思い出さずにぼくが無事に九日間キャンプできたのも友だちがたくさんいたからだと思います。つらいこともたくさんありました。ジュースもおかしもない毎日。自然とのたたかい。矢大臣山へ登ったこと。歩いても、歩いても、なかなか頂上につかずヘトヘトになっても、それでもみんなで「がんばろう。」とかけ声をかけながら登りました。友だちがたくさんいることのすばらしさを知ることができました。  中学二年の女の子です。  私は、「わんぱく森」に行ったことは、とてもよかったと思っています。それは、今までのだらけた生活がなおったからです。それに、友達もふえたし、電気・水・ガスの使いすぎも気を付けるようになったし、自分では、がまん強さも身についたと思います。それに自然の中の生活で今まですべての生活が、便利だったことが、あらためて実感させられました。反対にいままでの私たちは、便利さをもとめ、自然をこわしていたことに気がつき反省させられました。これからは、自然を大事にして生活の中で捨てようとしたものをリサイクルしたりして、自然を守ることに一歩近づいていきたいと思っています。あと、きびしい生活の中で、たすけ合った友達を大切にしていこうと思います。 こういった数多くの感想文が父兄からも寄せられているわけであります。  そういった体験から、このたび生涯学習審議会で去る六月九日に答申がなされました「生活体験・自然体験が日本の子供の心をはぐくむ」、この内容を読ませていただきましてとても心強く思ったわけでありますけれども大臣としましてはどのようにこういった体験活動等にこれからお取り組みになられるおつもりか、お示しをいただきたいと存じます。
  20. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私は、体験学習が極めて重要だと思っております。  先月、生涯学習審議会で取りまとめました答申においては、自然体験などが豊富な子供ほど正義感、道徳観があると。これは大変不思議な相関だと思うのですが、そういうことがあります。それからまた、家事を手伝う子供ほど正義感がある。その正義感というのは、具体的に申しますとお年寄りが立っていたら席を譲って座っていただくとか、そういうふうに具体的な行動にあらわれてくる、こういうふうな調査がございます。  そこで、文部省としても、こういう傾向を何としてでもいい方向に使いたいと思いまして、自然体験を促進していきたいと思っております。  それから、異年齢のお友だち地域の人々とのかかわりの中でさまざまな体験の機会を意図的、計画的に提供していくことによりまして、子供たちに生きる力をはぐくんでいくことが重要であると指摘されております。  私も、先ほども申し上げましたように、日本の次代を担っていく子供たちを健やかに、健全に育成していくためには、子供たちの体験活動の機会の充実を図るべきだと考えております。そして、そこで心の教育を推進していくことが極めて重要であると考えております。  具体的に今いろいろ考えているのでございますが、文部省におきましては、二〇〇二年度の完全学校週五日制の実施に向けまして、地域で子供を育てる環境を整備し、親と子供たちの活動を振興する体制を整備することを目指しました全国どもプラン緊急三カ年戦略を策定いたしまして、関係省庁の御協力を得ながら緊急かつ計画的に施策を推進しているところでございます。  その全国どもプランにおいてどういうことを具体的にするのかといいますと、まず一つは、衛星通信によりまして毎週学校休業の土曜日などに全国子供たちの心にスポーツ選手や科学者などが直接語りかけるプログラムを提供する子供放送局を設置する。二番目に、全国の親や子供たちにさまざまな体験活動や家庭教育支援に関する情報提供を地域ごとに行う子どもセンターの全国展開。三番目に、先ほど申し上げた各省庁と連携して子供たちの豊かな体験活動を推進する。例えば、建設省、環境庁と連携いたしまして子どもの水辺再発見プロジェクト、あるいは農林水産省と提携いたしまして子ども長期自然体験村の設置、あぜ道とせせらぎづくりのプロジェクト、そしてまた通商産業省、中小企業庁と連携いたしまして子供の商業活動体験、子どもインターンシップ、あるいは環境庁と協力いたしまして子どもパークレンジャー事業などというふうな新規施策を進めることといたしております。  こういうふうにいたしまして、子供たちがより豊かな自然体験を身につけるよう、今後とも積極的に取り組んでいく所存でございます。
  21. 岩城光英

    岩城光英君 さまざまなプランをお考えのようでありますが、こうした体験学習に大事なことは、地域の人材を活用することだと思います。  私は、市民講師活用事業、サブタイトルで「市民が学校にやってきた」、こういう事業を行いまして、小学校、中学校にさまざまな知識、技能を有する人材、地域のおじいちゃん、おばあちゃんとかに学校に来ていただいて、直接触れ合いながら昔の遊びとか自分の仕事を通して得たこと、そういったものを子供たちに話してもらう機会をつくりました。  こういうふうな取り組みも必要かと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 各学校が地域との連携協力のもとにそれぞれの地域の特色を生かした教育活動を展開するということは大変重要なことだと思います。現在でも、地域の中のさまざまな特技を持った方々を学校にお迎えする、それは授業中の時間のこともございますし、それから学校が終わった後の放課後でのさまざまな学校活動の場合もございますけれども、そういうことが幾つかの学校では行われております。  しかし、今後、ただいま大臣からもお話がございましたが、完全学校週五日制ということの中で改めて学校と地域との連携というものを見直し、それを強化する中で学校教育活動を展開していくべきだということで、今私ども取り組んでいるところでございます。  具体的には、このたびの新しい学習指導要領には、小学校の場合でいいますと平均いたしまして週三こま、中学校の場合ですと平均いたしまして週二こまほど各学校の創意工夫によって教育内容を御決定いただいて、そして各学校の創意工夫を生かしたさまざまな教育活動を展開する、総合的な学習の時間と言っておりますが、その時間が設けられます。  こういう時間こそまさに地域の特色を生かした活動が期待されるわけでございまして、その際には、先生がただいま紹介されました地域のいろいろな人材を学校等に迎えまして直接子供たちにさまざまな地域のことを語っていただく、そうしたことが地域地域でいろいろに展開されることを私ども大いに望んでいるところでございます。三年後に新しい完全学校週五日制が始まりますので、それに向けて全国的にそうした取り組みを促していきたい、こんなふうに思っております。
  23. 岩城光英

    岩城光英君 今の総合的な学習の時間に関連するわけでありますけれども、先ほど町づくり人づくりから、こう申し上げました。ふるさとを愛し、ふるさとに誇りを持つことがその地域を発展させる原動力になるのではないか、こんなふうに思っております。そういった人材を育成することが大事ですし、そのためにはその地域に伝わる歴史、伝統、文化、そういったものを正しく理解する教育が必要ではないか、こんなふうに思っております。私は、それをふるさと教育、こう言って、いろいろな取り組みをしてまいりました。  そういう意味で、ただいまの総合的な学習の時間をふるさと教育に生かしてほしい、こんなふうに考えております。もちろんこの中身につきましては、各学校で内容を決めますので、文部省指導するわけにはいかないかと思いますけれども、こういった取り組みにつきまして大臣は個人的にどうお考えか、お伺いできればと思います。
  24. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のとおり、ふるさと教育は極めて大切だと思っております。委員は大変その点で御経験豊かでおありになられますので、また御指導賜りたいと思っておりますが、総合的な学習の時間は、地域や学校の実態等に応じて各学校が創意工夫を十分発揮して、地域や学校の特色に応じた課題などについての教育活動を展開するものでございます。そこでは、国際理解であるとか情報であるとか、さまざまなものが入ってくるかと思いますが、その中の一つに、やはり郷土を愛するというふうなことの教育が必要だと思っております。  したがいまして、各学校におきましては、社会科や生活科はもちろん、この時間を活用いたしまして、子供たち地域の様子や地域の人々が働いている様子、郷土の歴史や地域の自然環境を調べるなど、体験的な活動を通じまして郷土を理解し、郷土に対する愛着をはぐくむことが期待されております。その上で初めて、国を愛する、そして人類を愛するというふうに発展していくのだと思っております。
  25. 岩城光英

    岩城光英君 十三時三十七分までというメモが届いておりますので、最後の質問にさせていただきたいと存じますが、群育ということについて大臣の所感をお示しいただければと思います。  実は、私どもが子供のころは、学校から帰りますとその地域に餓鬼大将がいて、またたくさんの子供たちがいたものですから、山に登っていろんな遊びをしたり、また田んぼとか畑の中を駆けめぐって歩き回ったり、そうした中で社会の一員としての序列のあり方とか協調関係とか、そして自分の果たす役割とか、そういったものを自然に学ぶことができたものと思っております。  ところが、今は兄弟の数も少ないですし、地域に戻っても子供たちの数が少ないということで、そういった遊びがなかなか見られなくなってきております。それだけに、集団活動、グループの中でさまざまなことを学んでいく、こういうことは極めて大事かなと思っております。  日本の教育の中で、これまで知育、徳育、体育と三つの目標が挙げられていたように思われますけれども、それにプラス、今の時代だからこそ、群育というものを大きな目標の一つに挙げて取り組んでいくことが必要ではないか、こんなふうに私は常々考えておりますが、どうか大臣のお考えもお示しいただければと思います。
  26. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 大変同感でございます。やはり異年齢による教育活動は今おっしゃられましたように重要なことでございまして、下級生が上級生に対して尊敬の念を持ったりあこがれの念を持つ、あるいは上級生が下級生に対して激励や思いやりの心情を育てていく、こういうふうにして豊かな人間性をはぐくむとともに、子供たちに社会規律や集団生活における生き方を育成する上で極めて重要な意義を有するものであると考えております。  そこで、文部省といたしましても、各学校における活動を大いに期待しているわけでありますが、各学校において、例えばクラブ活動あるいは児童会の活動、学校行事の中でスポーツや文化活動など、異学年による教育活動が活発に行われるようにしてまいりたいと考えております。特に、新しい学習指導要領では、先ほど申し上げました総合的な学習の時間が新設されます。そこで異年齢集団による学習など、多様な学習活動が積極的に取り入れられることとされております。  このようなことが一層実行されまして、先生指摘の異年齢間のお互いの切磋琢磨ということがさらに適切に実施されていくことを望んでいる次第でございます。
  27. 岩城光英

    岩城光英君 ありがとうございました。  時間になりましたので、質問を終わります。
  28. 水島裕

    ○水島裕君 自民党の水島でございます。  ここに書いてございます質問を出したときに比べて、きょう与えられた時間が約半分でございますので、とても最後までは行かないと思いますが、トピックになっていること、あるいは決算関係のあることを中心にいろいろお尋ねしていきたいと思います。  最近、政府が非常にバイオ産業あるいはライフサイエンスということに力を入れるということで、報道もいろいろございまして、例えば日経新聞の七月一日には、「バイオ産業育成へ二兆円」とございます。具体的にどういうことが考えられているかと申しますと、恐らく科学技術会議あるいは井村委員会の報告が間もなく出ると思いますが、ゲノムと同時に大きな柱として、ちょっと難しいですけれども、発生、分化、再生ということをライフサイエンスとして取り上げていこうということになるのではないかと思います。  国会の委員会ですから余り専門的になることは避けたいと思いますけれども、その中でも非常に注目されているものがES細胞、これは新聞によりますと、万能細胞なんて書いてありますけれども、これはどういうものかと申しますと、受精卵からある程度分裂したものであって、その状態でほぼ無限にふやす、しかもいろんな機能を持つ細胞に分化もできるということでございます。ですから、わかりやすく言ってしまいますと、将来輸血というものもすべてこういう培養で、人の血液を使わなくて済むようになるかもしれませんし、あるいは極端に申しますと、心臓を人間の体の外でつくってそれを移植するということで、今のような移植の問題点も全くなくなるという可能性も秘めた技術でございます。私は、ぜひこういうものを中心としたバイオを日本でやっていくべきではないかと思います。  これは、去年の暮れに、たしか「サイエンス」だと思いましたけれども、人のES細胞が初めてつくられたという報告があるぐらい極めて最近のことで、ここ数カ月間あるいは政府としても対応なさっているものだと思います。  質問は、もちろんこれは倫理的なことが大切でございますけれども、そういうことを踏まえた上で、ぜひこれは推進していかなくてはいけないと思っておりますが、その辺の御意見からまずお聞きしたいと思います。
  29. 池田要

    政府委員(池田要君) 先生の御指摘のとおりに、バイオの技術を含みますライフサイエンスにつきましては、この成果は、保健医療でございますとか環境、農業と幅広い分野に、産業という面でも応用可能でございますし、我が国におきましても重点的に推進すべき研究開発分野であると認識しております。  先生から、ただいま胚性幹細胞、ES細胞について御指摘がございましたけれども、これは昨年の暮れでございましたが、人につきましてもそれが発見されまして、これが取り出されるという事態になりました。これは神経ですとか筋肉などあらゆる細胞に分化する能力を持つ細胞で、これの研究につきましては、将来的には試験管の中でその分化を誘導することによりまして、移植用の細胞ですとか臓器、こうしたものをつくることも可能になるわけでございますし、移植によらないようなみずからの細胞を用いる再生医療、こういった道を開くことにもつながるわけでございますし、非常に重要な問題と考えております。  ただ一方で、こうした近年の命に関します科学技術が急速に発展してまいりますと、人の命を操作するということにつながりますこと、それから人の組織研究に使用するということになりますと、科学技術と人間社会との接点におきまして新たに尊厳ですとか倫理に関します問題が生じてまいります。こうしたことに十分配慮して研究を進めることが重要だと考えてございます。  この点につきましては、現在、科学技術会議におきまして、これは一昨年でございますけれども生命倫理委員会を発足させておりまして、ここにおきましても人の胚性幹細胞等、クローン問題等も含まれてございますけれども、そういう問題につきまして、生命倫理の観点から検討いただいているところでございます。  これらの結果を踏まえまして、御指摘のように、研究に支障のない体制づくりといったことで整備を進めてまいりたいと考えております。
  30. 水島裕

    ○水島裕君 倫理問題は、出口の方は比較的簡単でございまして、人間とか人間の脳をつくらないということをはっきり決めればよろしいと思うのですが、むしろ入り口、どういうところからES細胞をとってくるか、そういうところを至急詰めていただければいいのじゃないかと思います。  それから、今のお答えに一つ追加しますと、遺伝子は自分のものを使えるわけです。ですから、例えば私なら私の、自分の心臓を試験管の中でつくることができるということであります。  私が申し上げたいのは、ゲノムでは日本はアメリカなどに比べてすごくおくれをとってしまったんですけれども、ES細胞もそれとほとんど同じぐらいの価値がある。ES細胞に関しましてはこれからでありますし、また日本も結構技術を持っているわけでございます。それから倫理的にもきちっとしているという点で、これは本当に数カ月もたもたしているだけで国際的にすごくおくれてしまう。私はおくれてしまうという言葉は余り好きじゃなくて、日本が一番先に行くというぐらいの気持ちでやっていただけたらと思います。  結局、そういう研究を進めていく上では、もちろん企業もできるんですけれども、現在のところ、大学の研究所あるいは国立の研究所が率先して行う方が国との連係プレーもうまくいくので、これは文部省、分担がございますので、学術国際局長と高等教育局長、両方にお尋ねすることになりますが、そういうものを国立研究所あるいは大学でこれから推し進めていくという点で、私もいろいろとみんなと話し合ったり調べてみたんです。  例えば、名前を申して恐縮ですけれども、東大の医科研にはゲノムあるいはポストゲノム、ちょっと言い忘れましたが、このポストゲノム、シークエンスがわかった後の機能というのを調べるのはこれから非常に大切でございますけれども、これも今のES細胞が非常に重要な働きをするわけです。  そういうことができる医科研あたりをひとつ中心にして、今、日本型NIHを何とかつくろうということもありますけれども、これはあるいは大臣にお伺いした方がいいのかもしれませんけれども、東大の医科研はもう東大なんというのはやめてしまいまして、日本型のNIHにすると。あそこは結構スペースもありますし、今申しましたゲノム、ポストゲノム、それからこういう発生の専門家もおりますし、いろんな点でいいので、そのぐらいやらないと日本はこれからライフサイエンスの場で世界の一、二を争うというふうになれないのじゃないかと思います。  そのことについて、御意見を局長あるいは大臣からお願いいたします。
  31. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 御専門の先生からの御質問で恐縮でございますが、お話がありましたように、ゲノムの問題の研究の深化もさることながら、おっしゃいますように、日本の研究者でもポストゲノムということでさらに先を見据えた研究に今取り組んでいる研究者もたくさんいらっしゃるわけでございます。  そういう意味で、ES細胞あるいはポストゲノムも含めたこれからのバイオサイエンスのあり方につきましては私どもも相当支援に力を入れているところでございまして、一つには、その拠点となるような、ある程度研究者が集積した研究施設、研究所をどう強化しバックアップしていくかというのがございます。  その一環で、東大の医科研もさることながら、それだけではございませんで、幾つか拠点となるような研究機関もあるわけでございます。それらへの御支援のほかに、私ども、各地に国公私を通じまして大学関係者が、まさに基礎研究はまだまだきわめなきゃいけない問題があるわけでございますので、そういう基礎研究の御支援のために科研費等を活用しながら御支援をしているところでございますし、今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。
  32. 水島裕

    ○水島裕君 いつものように余り各地とかということをおっしゃいますと非常に散漫になってしまいましてうまくいかないので、やはり重点的にやられるのがいいと思います。  その場合、確かに関西の大学が非常にこういう領域では先んじて優秀な仕事もやっておりますので、あるいは関西に一つぐらいということはぜひ考えていいのではないかと思います。  それから、こういう研究は産学協同でやるということが非常に大切なわけでございます。そうしますと、現状では私学の大学が非常にやりやすいということもありますので、高等教育局長、いらっしゃっていたらお答え願いたいのでございます。  私も一、二調べましたら、都内の私立医科大学で非常にこういうゲノムとかいうことをやっていて、あとES細胞、そういうことも一生懸命やって、聞きましたら文部省のフロンティア推進事業なんかにもアプライするということでございますので、ひとつフロンティア推進事業ばかりではなく、もっと科技庁とかほかの予算もつけて、私学でぜひやろうという実力のあるところを応援していくのが差し当たり手っ取り早い行き方ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  33. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 私立大学における研究基盤を機能強化することは極めて大事であるというふうに文部省としても考えておりまして、社会的要請の強い先端的な学術研究や民間企業等との共同研究実施する研究拠点における施設、装置、設備の一体的な整備を推進する、そういう観点に立ちまして、ハイテク・リサーチ・センター整備事業や学術フロンティア推進事業という補助制度を設けておるところでございますし、また私立大学等経常費補助金におきましても特別補助の充実を図っているところでございます。  これらの事業を活用して、ゲノムやあるいはES細胞等を含むバイオ技術の研究について支援を行っておるところでございますが、私立大学から具体的な研究プロジェクトへの申請があれば、専門家の委員会での審査を踏まえて文部省としては適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  34. 水島裕

    ○水島裕君 科学技術関係研究費、あるいは今度の追加とかいろいろございますので、適切な場所に、しかもちゃんとやれるところにぜひ配分するように希望をいたしておきます。  これは文部大臣にお伺いしたいんですけれども、今のこととも多少関係あるんですけれども、こういうことは今後アジアを一つのユニットとして考えなくてはいけない、アジアでやはり一緒にやっていって、また果実を共有しなくちゃいけない。  私どもが一番関係しておることですと、臨床研究というのがございます。これは例えばヨーロッパではどうしているかというと、ヨーロッパの各国から患者さんをそれぞれ何人かずつ持ち寄ってというか患者さんに試験に参加してもらいまして、ヨーロッパ全体で試験をして、その試験の結果は各国で認知する、あるいは医薬品の場合でしたらEUの各国が一斉に承認するという形をとって、これが科学技術の公開、推進それから認可という点では非常に役に立っているわけでございます。  アジアでそういうことをやるときは、ぜひ日本も一緒に入って兄貴分としてやっていかなくてはいけないと思いますので、そのことについてまず大臣、お考えがございましたら。
  35. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御指摘のとおり、臨床研究に限らずすべての分野でアジア地区の協力ということは絶対大切だと思っております。東南アジア諸国と日本が一緒にすべての研究を共同してやっていくというふうなことは今後大いに促進をしていかなければならないと思っております。そういう意味で、アジア諸国との学術交流を積極的に推進いたしまして密接な協力関係を構築するということが、繰り返しになりますけれども、我が国として果たすべき重要な役割と思っております。  具体的に文部省におきましては、日本学術振興会におけるアジア諸国との各種学術交流事業等を推進しているところでございます。学術に関する研究発表及び討論等を行う場の提供ということも考えておりまして、こういうふうなものは科学研究費の補助金、研究成果公開促進費とか国立大学等の実施する国際シンポジウムの助成であるとか、日本学術振興会の国際研究集会事業等の諸施策の充実にも努めております。そういう意味で、研究自体及びそれを発表する方法等々につきまして、アジア諸国、特に東南アジア諸国と交流していくことを大いに促進いたしたいと思っておりますし、実行しているところでございます。
  36. 水島裕

    ○水島裕君 今のに関連しまして、担当の局長がいらっしゃいましたら、今でも結構ですし後でも御連絡いただきたいのですけれども、実は私の関係している医学の学会でも、来年度から一つのセッション、一つの討論する会場はもう最初から最後まで全部英語でやって、それで東南アジアの方にも参加してもらってやっていこうと思うんですけれども、そうしますと多少はその費用がかかるわけです。  学会というのは大臣も御存じのように大変貧乏でございますので、そういうのを何か文部省あるいは外務省からの助成で、ある程度また定着すればいいかもしれませんけれども、定着するまで何か助成措置をしていただくと今の大臣の趣旨に沿ったことが学会レベルでもできるということになりますので、今お答えいただくか、あるいは後日よろしくお願いいたしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  37. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 国内での学術研究成果の御討論、御議論のための国際会議への助成というのはいろんなパイプがございまして、例えば御承知の科研費でもその一部として研究成果の公開発表という費目がございますし、さらには学術振興会からの援助でございますとかいろいろございます。  国内での会議は必ずしも日本語でやらねばならないということはないわけでございますし、現に、別に国際研究集会に限らず国内の大学の授業の一部でも英語で行って留学生等外からの方に便宜を図っているという例もあるわけでございます。  いずれにしましても、国内での学会関係について、先生の御所属といいますと多分日本医学会になるんだと思いますが、日本医学会でそういう御予定があれば事務的にいろいろ御相談して対応させていただきたいと思います。
  38. 水島裕

    ○水島裕君 では、また後で詳しくお尋ねしたいと思いますが、そこで問題になってきますのが英語力でございます。  私も国会のお休みをいただきまして先週、招待講演を頼まれましたのでパリに行って講演いたしましたけれども、講演をして普通に質問に答えるぐらいは余り問題はないのでございますけれども、本当にやり合おうとしますと、これは先進国の中で、もちろん私も含めて日本は極度に英語力が低いのでございます。  ですから、そういうときと、それから今言っているようにアジアの兄貴分としていろいろな会議をやったり、いろいろの共同研究をやったりするときに、相当流暢な英語ができないととてもやっていけない、物すごいハンディになるということでございます。もちろん、今の若者は私どもの年代から比べればうまいことはうまいんですけれども、それでもやはりぐあいが悪いということでございます。  ですから、これはひとつ、みんなができる必要はないんですけれども、将来、学問あるいは商売でもとにかく外国とやり合おうという人のためにすばらしい何か英語のコース、例えばICUに行きますと、全部英語でやっていますので、あそこを出た人は本当に英語ができるんです。ですから、私は国立大学の五分の一ぐらいの授業は全部英語でやるとか、ある会社は三分の一ぐらいをやるとか、あるいは国立の研究所の部門は三分の一ぐらいは英語でやるとか、私ども研究所も外国からたくさん人が来ますとやむを得ずある研究室は全部英語でやっておりますけれども、そういうことをしないととても太刀打ちできないと思いますので、その辺、大臣も痛切に感じられているのではないかと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  39. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 二十年ほど前のころ、私の研究室は全部英語でやりました。ところが、最近日本の国力が強くなったためにかえって日本語は強くなりました。こういう問題もございます。  しかしながら、脳の研究などというのではほとんど英語だろうと思います。事実、理化学研究所の脳研究センターというのがありますけれども、そこでは伊藤正男先生のグループは完全に英語でやっておられます、けんかまで英語でやっておる。というわけで、かなり今若者は英語がうまくなってきたと思います。  しかし、それでも御指摘のとおり、英語の教育が十分だと思っておりませんので、文部省といたしましても大変努力をいたしております。  教科書も実践的な会話ができるような能力の育成に配慮したものになるように努めておりますし、指導の場面でも外国青年を活用いたしております。語学指導等を行う外国青年招致事業、JETプログラムと言っておりますが、これを推進いたしまして、英語を母国語とする先生たちによる英語の授業を展開しております。現在、約五千百人が全国の中高等学校で指導に当たってくれております。また、英語担当教員のための研修等の充実も大いに図っているところでございます。  こういうふうに大変努力はしておりますが、まだまだ完全とは申し上げられないところが残念でございます。  平成十四年度から順次実施されます新しい学習指導要領におきましては、中高等学校における外国語を必須科目とするとともに、相手の意向を理解したり自分の考えを伝えたりするための実践的なコミュニケーション能力の育成を一層重要視して先般改訂を行ったところでございます。  また、小学校におきましては、先ほど岩城先生に関したときにお話を申し上げましたけれども、新設されます総合的な学習の時間の中で国際理解教育の一環として、子供たち、児童が外国語会話等を行ったりすることができるように改訂しているところでございます。ただし、ここでは文法は教えないようにしてほしいということは言っております。今後とも、外国語教育を大いに充実するための施策を一層推進いたしたいと思っております。  ただし、先生のおっしゃられたことも極めて重要なことでございまして、すべての人が十分な会話能力を持たないまでも、やはりそういう場が与えられるような人々に対しては大いに教育を進めなきゃならない、こういうことをどうやっていったらいいか、これはまだこれから検討していかなきゃならぬことだと思っております。
  40. 水島裕

    ○水島裕君 決算に関することが後回しになって恐縮でございますけれども、もう一つだけ全然別なテーマでお伺いしたいのは、私も実は作曲とか映画をつくったりとかという文化活動は大変好きでございますし、有馬大臣も私どもが言うんじゃなくて文化人が言う俳人でいらっしゃいますので御理解が深いと思いますけれども、昨年の三月に、ここにありますけれども、文化立国の実現を目指しました文化振興マスタープランというのがあって、これは文化庁、もちろん文部省でございますけれども、一生懸命おやりになっていることは承知しておりますけれども、今後こういうことを一生懸命取り組まれるかどうかということをお尋ねしたいと思います。  と申しますのは、いろいろ立法する、あるいは政策をする上で、文化というのは関係ないようでありまして私は極めて大事な要素ではないかと思います。やはり私は、文化があれば、いい意味でのセンス、あるいは美しいものは美しいとみんなが認めるコモンセンスもありますので、本当におかしなことにはならない。例えば、バブルになったりとか、あるいはエコノミックアニマルと日本が言われたりとか、そういうことも私はないんじゃないかと思いますので、決して軽んじていいことではないわけでございます。  去年でしたか、英国のブレア首相も、文化によりどころを持たない政策と一時的なものの政策というのは必ずだめになってしまうというようなことも言っておりましたし、先ほどのライフサイエンスとかそういうのとは全然違うようでございますけれども、文化政策を強く進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  41. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まことに同感でございます。ただ、学術というふうなものも実は文化の一つだと私は思っておりますけれども、今おっしゃられました文化はもうちょっと狭くお考えかもしれません。  文化振興マスタープランにおきましては、文化立国の実現に向けまして関係省庁、地方公共団体などの連携協力体制を確立いたしまして、文化行政を総合的に推進するよう取り組むべきことが指摘されております。これに基づきまして、文化庁では、外務省、通産省、建設省等と連絡協議の場を設けるとともに、地方公共団体とは地域文化シンポジウムを開催いたしまして、意見交換を行うなど、連携協力の充実強化を進めているところでございます。  今後とも、関係各方面との連携を一層進めまして、文化振興政策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。文化を大いに推進すべきだと私は考えております。
  42. 水島裕

    ○水島裕君 大平内閣のときからそういう動きがあるわけでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、残るわずかな時間でございますが、幾つか決算関係あることでございます。  一つは、私、一番最初の総括質疑のときに申し上げましたけれども研究費の評価というのは非常に大切である。会計検査院は今四つの観点から、つまり正確性、合規性、それから経済性、効率性ばかりではなくて、果たしてそういう研究をやるのがよかったかどうか、有効にできているかどうかということでございます。  この間の局長の御答弁でも、きちっとやっているということは主として一、二に関してだと思いますけれども、これからは、ともかく結果主義というと少しドライ過ぎますけれども、本当に役に立つ仕事、研究ができなければしようがないわけでございますので、もっともっと有効性とか効率性という点を評価の対象にしていただきたいと思いますけれども、その辺いかがでございましょうか。
  43. 工藤智規

    政府委員(工藤智規君) 科研費補助金につきまして会計検査院から御指摘いただいたことにつきましては、先生も御心配いただいて、私ども御答弁申し上げているとおりでございます。今、加えて経済性、効率性とか有効性の観点からもっと注意せよというお話でございます。  私どもも重く受けとめているわけでございますが、一言申し上げさせていただきますと、科研費補助金は大変御申請、応募が多い中で、新規の採択率が約四分の一でございます。必ずしも御希望に沿えない方の方が多いわけでございますし、実際に採択された方々への研究費の配分につきましても御申請の金額の約七割という充足率でございまして、研究者の方々には節約の上にも節約をお願いしながら研究の充実をお願いしているところなのでございます。  そういう中で、研究成果報告書の提出がおくれているということが問題なのでございますけれども、私ども、必ずしもこれが研究成果の公開の唯一の手段ではなくて、御案内のとおり、論文の投稿でございますとか学会等での研究発表等の場も研究者は先んじて行っているのが普通でございますので、余り目くじらを立ててもということで従来はおったのでございますけれども、せっかく公金をお使いしての科研費補助金でございますので、求められている研究成果報告書をもとにしたより広いパブリケーションについては、検査院からの御指摘以来関係者に注意喚起をいたしまして、今後さらに適正を期してまいりたいと存じておるところでございます。
  44. 水島裕

    ○水島裕君 時間の関係で、あともう一つ指摘だけにしておきたいと思います。  私の持ち場というか関係のところでもう一つむだと思われるようなことがありますのは、これも最初の総括質疑のときに申し上げたように、研究費が人件費に非常に使いにくいということも恐らく関係してか、国立大学のキャンパス内に情報ネットワーク、いわゆる学内LANをつくっているわけです。これが人手がいないために、端末が全く機能していないというのが合計して五億円あるそうでございますので、ひとつこれも適切に、人を出すなら出して、こういうふうにせっかくつくったけれども全く働いていないものがあるということはぜひ防ぐようにしていただきたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  45. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。  本来ならば、これは五月に実は質問通告をしておりまして、ようやっと七月になって質問できたなと。しかしながら、この通告の中から幾つかもう既に質問する前に大臣から答弁をいただいたり、また文部省からいろいろ発表をいただいておりまして、本当にありがとうございます。  以下、質問させていただきますけれども、その一つに、子供とお年寄りのコミュニティー、確かに私はこれは大事であろう。たまたま福島県の熱塩加納村というところに私は先般の選挙のとき行きました、岩城さんと一緒なんですけれども。その中で、特別養護老人ホーム、そこにまた老健施設があるんです。そこの近くに実は幼稚園がありまして、行ったらちょうどその幼稚園の子供たちが遊びに来ているんです。そして、お年寄りと子供さんたちが遊んでいる風景を見て、やっぱりこれからの二十一世紀の新しい施設というものは、こういうふうなものを合築することがイコール教育と同時にまた健康政策、老人対策にもなるのかなと思いながら、そんなことを質問しようかと思ったら、そういうふうなコミュニティーは大事であるとこの間新聞に出ておりまして、本当に同感しております。  そういうふうな中で、私は文教政策、あえて子育てというか、中心子供たちに対する一つ教育でありますけれども、いろんな日本の政府の政策の中でやっぱり最も大事な政策であろうと思います。  それはなぜかと申しますと、教育政策というのは人づくりでありますから、これはなかなか目に見えてこない。さらにまた短期間にあらわれてこない。五十年後百年後ということであらわれてくるわけでありますので、そのときの時代的背景をいろいろ考えると、本当に教育はこれでよかったのかなというようなある意味では回顧があるときもあるであろう、そんなことを思います。  そういう中で、日本の戦後を振り返ってみますと、確かに五十二年たった中で日本は立派な経済成長を遂げて豊かな生活を送れるようになった。戦後教育の最も特徴というのは、ある意味では一元化教育、アベレージ教育というか平均的な水準の底上げというか、そういう意味での教育であったのかなと。それと同時に、やっぱり戦後の日本が他国に例を見ない立派な経済大国になった大きな背景としては、これはもう技術革新、イノベーション、ある意味では技術の進歩であろう。  しかしながら、そういうふうなことを踏まえて今日のいろんな社会問題を見てみると、この間たまたま、これは産経新聞で青少年研究所の中高生の意識調査、多分大臣はよくこれを見ていただいていると思いますけれども、その中で、日本と中国とアメリカの中学生に将来に対してこの国に希望があるかという問いをしたところが、中国とアメリカは六〇%以上の中学生、高校生があると言っています。日本の中学生、高校生は残念ながらあると言ったのは二〇%から四〇%。この辺のギャップ、またさらに、この問いの中で、日本の中高生が将来どういうふうな生活をしていきたいかというと、趣味をエンジョイしたいと、もう一つ、その日その日を楽しく暮らしたいと。まさに日本の現状をあらわしているのかなと思うと本当に憂慮したいような気がいたします。  そういうふうな中で、戦後教育一つの功績は功績として認めながらも、次の時代を担う子供たちがいわゆる世界観、国家観、それから道徳、倫理観、どんな倫理観を持ちながら、国家観を持ちながら子供を育てていくのか、この辺の基本的な所見を文部大臣の方からお伺いしたいと思います。
  46. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私は、戦後五十年の教育というのは、今先生指摘になられましたように、非常にいいものを持っていたとも思います。平均の力を伸ばしたということではやはり日本の現在の力を生み出してきたと思っております。  しかし、やはり御指摘のように、子供たちが夢を持たなくなったということを大変おそれております。しかしながら、これは大人の問題であると私は認識いたしております。我々大人が将来に対して希望を持たないというふうなことがあるのではないか。そういう意味で、私は常に、理科の教育などをしながら学生諸君、生徒諸君に夢を持てということを言っている次第でございますが、これはまず社会全体が将来に対して明るい夢を持つようになっていかなければ、子供たちだけに教えようとしても無理だと思っておりますので、この辺、我々努力をさせていただきたいと思っております。  そしてまた、戦後においてはやはり量的な拡充を非常に進めてまいりました。そして、知識を一方的に教え込むという教育に陥りがちであったということを私ども反省をしていることでございまして、みずから学び、みずから考える、さらには正義感や公平性、責任感といった豊かな人間性をはぐくむ教育がいささかおろそかになっていたことがあったかと思っておりまして、これを何とか直していきたいと思っております。  また一方で、平等性は大変重要なことでございます。公平である、平等であることは重要でございますが、少し平等性を重要視し過ぎてきたことによりまして、一人一人の多様な個性、能力というふうなものの伸長が少し十分でなかったかと考えております。  この戦後五十年のさまざまな経験を反省いたしまして、現在文部省といたしましては、教育改革プログラムというものを進めております。  まず第一に、子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくむ心の教育を充実するとともに、国や郷土の伝統文化や歴史を尊重し、我が国や世界が直面している課題と国際貢献の大切さについて深い理解を持つ日本人になるよう育成していきたい。  それから、行き過ぎた平等主義はこれを直し、子供たちがその個性に応じた多様な選択ができる学校制度を実現してまいりたいと考えております。  三番目に、教育地方分権を進めるとともに、それぞれの学校が主体性を持って運営するというふうにいたしたいと思っております。  そして、国際社会の中で競争力を維持いたし、活力あふれる社会を実現するための大学改革と教育振興を一層進めてまいりたいと思っております。  しかし、先生の御指摘のとおり、ともかく若い人たちが、子供たちが未来に向かって希望を持てるような社会にしていかなければならないと思っております。
  47. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 戦後のまさに教育の特徴というのが、私も今質問し、また大臣のおっしゃったとおりであろうと。  その中で、知育の面は確かに立派なところがありましたけれども、やっぱり教育の中では知育、徳育、体育といろいろあると思うんです。たまたまこの間、中坊公平さんの話を聞く中で、これからの教育一つの理念というか、これはむしろ徳育、体育、知育の順じゃないだろうかと、そんな話も実は聞かれました。  確かに私は、戦後のいわゆる経済立国、いわゆる大量生産と大量消費、これは側面的には、非常にいいものをつくっており、それはまたある意味では物質文化と精神文化に対比されてくるのかなと。物質文化がはびこってしまって精神文化がある意味ではおろそかになった。そういうふうな中で、私はやっぱりこの徳育というのがうんと大事であろう。  しかし、この徳育というのは、これも学校教育の中では限界があるし、かといって家庭の中でも限界があるし、また社会の中でもある意味では限界がある。そういうふうな中で、やっぱり教育地域、あえて申し上げますと地域社会、これが本当に一体化しないとこの徳育というのはできていかないのかな、そんなことを思うところであります。  その徳育を中心考えるとき、あえて申し上げますと、残念ながら、今の東京というか、地域社会というものがある地域ではなかなか見出すことができないところがある。逆に、これは地方に行くと、まだまだ伝統文化、地域社会の中で、子供は何もある親だけの子供じゃない、地域の子供である、そんなことで、いろいろいい意味で監視の目が届いているというところが見えます。  そういうふうな中で、私は、地域社会をどうやって大都会、大都市部の中でつくっていくのか、こんなところの所見をお伺いしたい。
  48. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 先生の御指摘のとおりでございまして、徳育の重要性ということを我々も非常に強く考えている次第でございます。  徳育教育というのは、これも先生指摘のように学校だけに任すわけにはいかない。というか、学校では絶対やらなきゃいけませんが、それだけでは足りない。どうしても地域社会、そして御両親の力をかりなければならない。そういうことで、三者が一体になって、三位一体になって今後進めていかなければならないことであると思っております。  各学校では今どういうことを考えているかと申しますと、先ほどもお話がございましたように、体験活動等を通じまして子供たちが真に一人一人の内面に倫理観を培うような道徳教育を充実していきたい、実施していきたいと思っております。そしてまた、児童生徒がみずからの課題として社会的なルールなどの重要性を理解できる道徳教育を進めていきたい。これは学校でやることであろうかと思っています。  それからまた、徳育というのは幼児期から積極的に育成していくことが重要でございますので、幼児期の子供たちに、人としてしてはいけないことや善悪の判断、基本的なしつけなどについて、学校でも幼稚園でもあるいは保育園でも家庭でも繰り返し指導いたしまして徹底を図っていく、道徳教育を推進していかなければならないと思っております。  こういうふうに学校での努力はもちろんいたしますけれども、同時に家庭そして地域社会のお力添えを賜らなければならないと思っております。  地域社会の重要性、地域社会をどうやって育てていくか、これはまた非常に重要な問題でございまして、特に東京のような巨大都市で地域社会が崩壊してしまっていると、これをどうやって再建していくか。  これは私どももいろいろ考えあぐねている面がございますけれども一つは、学校がその地域社会の中心役割を演じながら、周辺の地域社会の御協力を得て地域社会と学校の協力ということを図ってまいりたいと思っております。  具体的には、例えば博物館とか図書館とか青少年教育施設など、地域のさまざまな教育施設を利用していく、それからまた、各学校が地域社会のすぐれた人々をお呼びして子供たち教育に当たっていただく、こういうふうなことを今いろいろ考えているところでございます。  文部省といたしましても、学校、家庭、地域が一体になって徳育教育、さらにまた、進んださまざまな面での教育を一緒にしていただくべく努力をしているところでございます。
  49. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 私は、地域社会がしっかりしたものであるという前提の中で、やっぱり神社、仏閣、それからお祭りというのがあると思うんです。なぜ地方にあるかというと、私なんかもう農村社会に生まれていますから、豊作だと言ってはお祭りをした、また田植えのときもお祭りをした。それで、結の制度というか、それぞれお互いに助け合う制度がまだ残っている中で一つ地域社会ができている。そういうふうな意味合いから申しますと、私は、まだまだ地方によきものがある、地域社会があるので、ぜひこの辺は文部省としても、今のうち、なくならないうちにいい意味で活用してもらいたい。  私は国土・環境委員を実はやらせてもらっておりまして、常々いろんな事業の話になるんです。特に公共事業等の話になると、都市と地方の感覚的なものというのは物すごい乖離があって、ある意味では困るところがあるんです。  私はそれはなぜかなと思いましたら、やっぱりこういうことだと思うんです。要するに、昔、農家の次三男が東京に出たんです。そして町をつくったんです。経済活動の大きな原動力になったんです。その人たちが東京で活躍して、そして田舎におじいちゃん、おばあちゃんがいて、孫ができたと。かつては孫がおじいちゃん、おばあちゃんの顔を見にお盆と正月は田舎に行ったんです。そうすると、その地域社会におのずと親しんで、地方のいいものを会得して、さらにはまた都市の人が地方を理解した、これがあったんです。  これが、もう三世の時代になってくると、おじいちゃんやおばあちゃんが田舎にいないということでなかなか行かなくなってしまって、都市と地方の大きな感覚的な乖離が出てくる。ある意味ではそれがかつてのウルグアイ・ラウンドのときのミニマムで、都市部の人は政党を問わずみんな賛成だけれども、農村部の人はみんな反対だと。都市と地方の何か変な意味での競争原理ができるようなことを考えると、次の時代というのは、本当に都市と地方をいかにお互いに理解させていくかというふうなことがうんと大事なことであろう。それがまさに私は教育の中にも、小さな子供のうちから理解せしめておく必要があるのではなかろうか。  そういうふうな意味で、子供たちの外国とのいわゆるホームステイもよろしいんですけれども、やっぱり日本の中で都市と地方子供たちがお互いにホームステイしながらお互いの地域を理解して、次の二十一世紀に対する未来を求めていく、そんなことを考えてみたいなと。  文部省にも、そんなことを大臣に頭の中に入れていただいて、これは多岐にわたる問題であるということの理解から、ぜひお進めいただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 全く同感でございます。  現に文部省といたしましては、長期休暇村というふうなものを農林水産省と協力をして今計画しているところでございます。二週間か三週間ぐらい子供たちを農村に行かせまして、それこそ手でドジョウを捕まえる、フナっこをとるというふうな生活をさせたいと思っております。こういうことで、地方の各農村地区の方たちも大変御協力をしてくださいまして、ことしから全部で五十カ所推進をいたします。これはもっと大幅に進めてまいりたいと思っております。  子供たちが農業というものを理解する、自然を手づかみをするというふうなことは日本の将来にとって非常に重要なことだと私は思っております。そのことによって、先ほど申し上げましたように、間接的にせよ、あるいは直接なのかもしれませんが、正義感、道徳観が自然に養われるというふうな、そういうおもしろいデータがございますので、いきなり道徳、倫理と、こういう難しいことを言わずに、直接子供たちが自然に触れる、農業に触れるというふうなことをぜひ進めてまいりたいと思っております。
  51. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今の文部大臣の答弁のとおりだと思います。できれば長期間、これは短期間では子供は遊びに行ったと思われてその意味がなさなくなってしまいますので、極力長期間、しかも農繁期のときに行っていただくことが相互の理解になるのかなと、そんな思いをいたしておるところでございます。  次に移らせていただきますけれども、これは少子化、高齢化、この記事もすごい記事なんです。  これも御承知とは思うんですけれども、若い夫婦が昼食をとるためにコインロッカーに子供を入れて飯を食ってきたという話がこの間載っていました。これだけで驚いたら、もっと恐ろしいことに、何でコインロッカーに入れたか、コインロッカーの中に空気穴があったから大丈夫だと思ったと。さらにまた恐ろしい話があり、この間若い夫婦にどうして子供さんをつくらないのと言ったら、一生懸命お金をかけて育てても子供が親を面倒見るかどうか確証がないからと。これは親も親だし、また最近のいろんな事実を見るにつけて、子供も子供だなと思います。また、今一億二千万人の人口が、一・三九の出生率でありますから、五十年後、七十年後にはこれはいずれ七千万とか八千万になって、しかも、年齢構成が一人が二人とか一人が三人というふうな時代がいずれ来るのかなと。  そんなことを思うと、本当に少子化対策、いろいろ文部省でやっていると思うんですけれども、減税なんかもこれも確かに効果はある。また、これは所管は違うかもわかりませんけれども、保育所の預かり方、託児所みたいなのもやっていく。これも女性が働くにつけて働きやすい場をつくるということで私は非常に大事だと思う。  しかしながら、基本的には、さっきのロッカーの話とか、子供に面倒を見てもらうもらわないというこんな話になると、もう本当に仕方なくというふうなことになってしまうんです。  そういうふうな意味から、私は子供を育てる喜びを教える、このことがうんと大事であろう。子供の成長、五歳のときの子供、十歳のときの子供、十五歳のときの子供、またお嫁に行く、お嫁をもらうときの子供の成長を見ながら、それに喜びを感ずるような一つ教育をしなきゃいけないであろう。教えるのか覚えるのかわかりませんけれども、要するに教えるというよりもそういうふうな子供に育てなきゃいけないであろうと思うわけでありますけれども、その件について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  52. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 大変重要な点を御指摘くださいましてありがとうございました。  まず、家庭や子育てに若い人たちが夢を持つ、希望を実現していくための環境を整備することがやはり必要だと思っております。そういう意味で、特に子供たち教育を預かる文部省といたしましても、最も重要な課題の一つであると認識いたしております。  こういうことのために、文部省といたしましては、これまでも安心して子供を産み育てることができるよう、ゆとりある学校教育の推進や学校外活動の充実、子育て減税、先ほど先生も御指摘になっておられましたが、そういう子育て減税などによる経済的負担の軽減を図るとともに、親が安心して子供を育てることに取り組めるよう、幼児期や小中学校の子供たちを持つすべての親を対象に家庭教育手帳、ノートを配布したところでございます。家庭教育の支援にも努めてきております。  私ども実はそこまで立ち入っていいかどうか心配をいたしました。お父さん、お母さんに、子供を育てるときにはこういうことを気をつけてくださいと。さすがにロッカーまでは思いつきませんでしたけれども、正しいことは正しいと教えてください、褒めてくださいと、そういういろんなことを書いたノートでございます。いろんな参考になることが心理学者等の御尽力でつくられたわけでありますが、これを配る際に、国が、文部省がそこまで家庭に立ち入るべきかということを私は非常に気にいたしましたけれども、やはり一方でロッカー事件のようなことがございますので、思い切って配ることにいたしたところでございます。  そして、御質問の件でございますが、若い世代のうちから子育ての大事さを学ぶということが重要だと思っておりまして、平成十一年度には、新たに学校教育においては中高等学校の保育等体験を地域ぐるみで取り組む体制を確立いたしまして、乳幼児たちとの交流や触れ合いの実践活動を促進するための研究を行うとともに、社会教育におきましては、子育ての意義や楽しさを啓発するリーフレットを作成いたしまして、成人式の機会を活用して、これから親となる若い男女に配布することといたしております。  こういう努力文部省としてもいたしているところでございますが、政府におきましては、去る五月二十八日に少子化対策推進関係閣僚会議を開催いたしまして、政府一体となって家庭や子育てに夢を持てる環境の整備を進めることといたしたところでございます。  文部省といたしましても、この関係閣僚会議や中央教育審議会の少子化と教育に関する小委員会での議論等を踏まえまして、今後とも、親の意識の啓発に努め、安心して子供を産み育てることができるような教育環境の整備に努めてまいりたいと思いますし、何といっても、子供を持つ喜びというふうなものを教育していきたいと思っております。
  53. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 先ほどの質問の子供と高齢者のコミュニティーという、あれは六月の頭だったですか、ちょっと新聞に出ていたんですけれども、これは具体的にはどういうふうなことを文部省としてはお考えになっているのか。
  54. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 具体的にはまた政府委員よりお答え申し上げることになろうかと思いますけれども、まず、高齢社会を迎える中で、学校教育において福祉や社会保障制度について正しい理解を深め、望ましい態度の育成を図るということが重要であると考えております。  こういうことのため、児童生徒の発育段階に応じまして、社会科、家庭科、道徳などを中心に、学校教育の中で福祉の重要性や思いやりの心、高齢者に対する敬愛の念を育てることなどについて指導しているところでございます。  新しい学習指導要領におきましては、学校教育のさまざまな活動においてこうした教育の充実を図っているところでございますが、特に高齢者との交流の機会など、体験的な活動を通して高齢者を大切にする教育を充実するようにいたしているところでございます。具体的には、新たに導入されました総合的な学習の時間を利用いたしまして、福祉の課題などについてそれぞれの地域の特色を生かした学習活動を行うように促してまいっておる次第でございます。  また、先ほど先生指摘になられましたように、高齢者の施設のすぐそばに小学校を置くとか、そういうことも幾つか試みが行われておりまして、東京都の中にも、品川でございますか、小学校と高齢者に対する施設が一緒になっているところがあると思っております。  こういうふうなことで、高齢者と子供たちが触れ合う機会が今非常に少なくなっておりますので、積極的に触れ合う機会をつくり出していきたいと思っております。
  55. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 次に、環境教育でございますが、何回かほかの委員会でも環境教育についての御答弁をいただいたんですけれども、なかなか納得のいかないというか、軽く答弁をいただいたなというような感じなんです。  これまたある意味では人の心に通ずる教育の一環であろう。いわゆる物を大事にする、生物を大事にする、これはもう当然のことながら人間社会を大事にすることに通ずる教育になるわけだと私自身は思っておりますけれども、そういうふうな中で、道徳の教育と同時に、環境教育の重要性、これを文部省としてどういうふうに進めていくのか。カリキュラムに環境教育という課程をつくるまではなかなか大変だと思いますけれども、しかしながら、道徳の一環の中、ある意味では児童生徒の今度は自由な時間、いわゆるフリータイムのカリキュラムみたいなものをつくるというふうなことでありますので、そういうふうな中で環境教育、道徳教育を進めていただきたい。  その件についてお伺いをしたいと思います。
  56. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生から御指摘がございました環境教育は、私ども大変重要なものと考えております。  教育課程の仕組みの上から申しますと、心の面では道徳教育の点、それから教科、つまり環境というものに対する知的理解という点では社会科とか理科といった授業で行われております。  具体的に申しますと、例えば小学校の道徳の指導要領には、「身近な自然に親しみ、動植物に優しい心で接する。」、あるいは「自然のすばらしさや不思議さを知り、自然や動植物を大切にする。」といったことを明示して、道徳教育でしっかりやってくださいということを言う。一方で、小中高等学校を通じまして、先ほど申しましたように、社会科とか理科の授業で知的教育として行うということでございます。  そこで、それぞれの各学校にこれはお願いしているわけでございますけれども、そうした内容を示しながら、これらを一体的に、ただ知識として環境について知ればいいということではない、よりよい環境をつくり出していくという実践に結びついた環境教育ということ。これは各学校の指導あり方の問題として私どもお願いをしているわけでございますが、このたび、先ほど先生もちょっとお触れになりましたが、総合的な学習の時間というものができました。  これは教科、道徳、特別活動を合わせた形でそれぞれの学校で教育内容を工夫していただく時間でございますけれども、そこにおきまして、例えば環境教育といったものを例示として示しまして、どのような形で行うかは各学校にゆだねるわけでございますけれども、教科横断的な総合的な取り組みを行うという点で、この総合的な学習の時間というのは一番ふさわしい時間なのではないか、こんなふうに思っております。  先ほどもお答えをいたしましたが、小学校で週にならしまして三こま、中学校で週にならしまして二こまでございますけれども、小学校、中学校の数年間に及びまして系統的にこれが行われれば大変な成果が上がる時間になろうかと思いますので、こういったものの取り組みを我々としては促進していきたい、こんなふうに今考えているところでございます。
  57. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今これだけ情報通信の時代で、子供たちの耳には、まさに親よりも人よりもテレビとかそのほかからいろんな情報がいっぱい入ってくる。かつて子供の情報源というのはもうほとんど全部がお父さんでありお母さんであったと思うんですけれども、今の子供たちはほとんどがある意味ではテレビ、漫画、またファミコン、そんなことかなと思うんです。  それで、この間、もう既に郵政省で放送時間の変更等の行政が、行政というか倫理委員会での、自主的に各社がまとめた話かなとは思っておりますけれども。今、多岐にわたる情報源の中で、子供たちへの影響というのは学校現場よりもある意味ではそういうのはマスコミの方がある。  NHKの「天うらら」が放送されているときに、子供たちにアンケートをとったら、男の子は何になりたいかといったら大工さんになりたいと言う。非常にこれもいいことだとある意味では思います。女の子は食べ物屋さんになりたいと。いかにマスコミの影響が大きいか。  学校教育、家庭教育、また社会教育でも、幾ら口を酸っぱく言っても、一つの映像を見ながら子供たちはそっちの方がすばらしい社会だと思って行ってしまうというのが昨今の子供たちの現況であろうかなと思います。  そういうふうな中で、文部省として、これは郵政省か放送人の皆さんというか、申しわけないけれどもこれは単なる視聴率だけの問題ではないところもきちんと考えてもらいながら、最大の影響力のあるマスコミでありますから、この辺に対しての二人三脚というか、こんなこともぜひお考えいただきたいと思います。  その件について大臣の方からお願いします。
  58. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私もテレビの影響というのは極めて重要だと思っております。いい面と悪い面がございます。語学教育であるとかあるいは社会教育、理科教育などにおきましては大変いい面が発揮されております。  一方、見せたくないような映像が流れていることに対しまして、私は昔からこれは放送関係の方たちにお願いをしているところでございます。ある委員会の委員長などをいたしまして、そこでも強く意見を述べた次第でございますが、しかしながら、やっと第三者的な機関をおつくりになって、放送に関係する方たちが自己規制をするという雰囲気が出てまいりましたことを大変喜んでいる次第でございます。  これは詳しくは生涯学習局長よりお返事を申し上げます。
  59. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 民放連、NHK、それから郵政省におきまして、子供たち、青少年に向けました、特にテレビを中心としました番組等についてのいろんな改善を図ろうということで検討を続けてきたわけでございます。  最近でございますけれども、今、大臣から御紹介申し上げましたように、保護者等からのいろんな苦情とか意見などについてそれを取り扱う第三者機関を設けて、そこで放送関係の方にいろんな意見を言い、そこでの処理状況などを公表していこうというような機関を設けることとか、それから午後五時から九時までの間は青少年向けの番組ということで流すようにしよう、暴力的なあるいは性的な非常に強いようなものについては流さないようにしようというような基準づくりが大体進んでまいりまして、その細部は今後まだ詰めるようになってございますけれども、そういうような形での検討が進んでおるわけでございます。  私どもといたしましては、教育関係者の意見なども聞きながら、郵政省等に対しまして速やかに、特に保護者からのいろんな要望等が必ず放送関係者にも伝わるように、そういうシステムについて具体的に動かしていただくように再三お願いしてまいったわけでございますので、一歩前進かというふうに思っておるわけでございますが、今後とも、それが有効な形で生かされていきますように、PTA等の協力を得ながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  60. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 本当に放送というのはいい面も悪い面も出ると思うんです。  福島県にラジオ福島というラジオの放送会社がありまして、そこで福島県の昔話を森和美さんという人が語り部でやっているんですけれども、本当にこの話を聞いていると、子供も我々も納得するような語り部なんです。だから私は、そういうことをも含めて、いい意味で放送、マスコミを活用していただきたい。またそれと同時に、これは道徳教育につながる話だと思いますが、日本の昔話とか民話とか、場合によっては童謡とか童歌とか、こんなことも包括的にきちっとしていかないと、なかなか単体では道徳教育は達成できないというような気持ちでありますので、そういうふうな中での総合的な教育、社会も家庭も学校も本当に一丸となってこの子供たちを二十一世紀に送ってあげなきゃいけないというような雰囲気を醸し出すような一つ文部省のかたい決意というか、方針を遂行していただきたい。  最後に、その決意を大臣の方からお伺いしたいと思います。
  61. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 文部省といたしましては、さまざまな面で日本の教育をよくするという努力をさせていただきたいと思っております。映像もそうでありますが、道徳の教育、倫理観の教育、そして平均学力を何としてもすぐれたものにしていく、こういうふうなことが重要であると思います。  そういう点で、今後もさらに一層の努力をさせていただきたいと思っております。
  62. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ありがとうございました。
  63. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私も、同僚の佐藤議員に続きまして、文部大臣に、そしてまた科学技術庁の長官というお立場の先生に御質問をさせていただきます。  まずもって、いろいろな御答弁の中で少子高齢化のことが言われておりますが、私も九月になりますと四人目の子供を持つ親として、本当に子供を持つ喜びというのか、そしてまた育てる喜びというのを感じながらおりまして、なぜここまで日本人が、我々の世代がそういうふうになってしまったのかなということを、ちょっとわからないような気持ちを持ちながら生活している住民の一人でございます。  その住民の立場をもちまして、きょうは、まず初めに文部省関係の御質問を、そして次は宇宙開発についての御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、きょうお話にあったものから、ちょっと質問通告していないものもございますが、恐縮でございますがお答えいただきたいんです。  やはり夢を持たなくなった、そしてまた道徳、倫理観というものも欠如している。これを急速に回復しようと思ってもこれはできないというのが大臣の御答弁であったわけでございますが、翻って考えまして、一番国のもとというか、この一つに、みんなで焦点を絞ってこの国とは何だと考えたときに、やはり国旗とか国歌というのはその象徴、つまりシンボルですね、象徴の最たるものだと私は思います。  私も米国で生活をさせていただいた経験もありますので、米国の特に市民権を得るときに、永住権を得るときに国歌が歌えないとこれは永住権はもらえないということでございます。そのようなものが国歌であって、そしてまた国旗を冒涜した場合には罪に服せられる、こういうものが国旗であると私は思っております。  しかるに、最近にわかに議論になってきました国旗・国歌の法案でございますけれども、最近の文部省の学習指導要領等々を見ましても、ちょっと今資料が見当たりませんが、とにかく国旗・国歌に対して、絶対的にこれを強要するとは言いませんけれども、現在の君が代・日の丸に対しての敬意を払うように教育をするんだというふうに平成元年から変わったと記憶しております。  そしてまた、今回法制化の日の丸・君が代、特にこの「君」については象徴天皇であるという明快なお言葉が総理から返ってきて、政府統一見解であるということになっておるわけでございますが、そうしますと、一番大事であるところの倫理の、または国家の一番の大もとの、これが日本だよという君が代・日の丸を拙速に決めてしまうようなことになりはしないか、非常に危惧をするわけでございます。  私も天皇陛下は好きでございますし、国体の護持ということはやはり私も最優先のことだとは思っておりますけれども、そのことと、この君が代をそのまま法制化して国歌とするということは、これは私は別物である、国民的議論がされていないというふうに思うわけでございます。  そしてまた、これが法制化された場合、仮定の議論をされることは難しいかと思いますけれども、ぜひ辻村局長にも、地元の先輩でございます、最後のお仕事でございますので、法制化された場合にどのように御指導をされるのか、伺いたいと思っております。
  64. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず、それに先立ちまして、四人お子様をお持ちになることを大変尊敬を申し上げます。皆さんがそういうふうな気持ちになっていただくとありがたいんです。  さて、お答えを申し上げます。  国会において今回の法律をきちっと御議論賜りまして、そこで御判断を賜りたいと思っております。  そしてまた、法制化された場合にどういうふうに変わるのかという御質問であったかと思いますけれども、法制化以前から、既に先ほど御指摘のように、文部省といたしましては、学習指導要領に基づいて学校における国旗や国歌の指導をやってきたものでございまして、この取り扱いは変えないと考えております。  日の丸・君が代が長年の慣行によってそれぞれ国旗・国歌として国民の間に広く定着していることを踏まえまして法制化の趣旨ということを考えてみますと、二十一世紀を迎えることを一つの契機といたしまして、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるという認識で今回法制化をお願いしている次第でございます。  繰り返しになりますが、国会において十分の御審議を賜って御判断を賜りたいと思っております。
  65. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 今回の法制化の趣旨につきましては、大臣から今お答えがございましたとおり、慣行、慣習として定着してきている国旗・国歌というものを成文法をもってその根拠を明確にする、そういう趣旨だというふうに理解をいたしております。  各学校ではどんな形で指導を行っていただいているかということを申しますと、学校教育法に基づきまして、学習指導要領というもので各学校の教育内容はいかにあるべきかということが定められております。具体的には、国旗・国歌につきましては社会科においてその意義等が指導されることになっておりますし、それから音楽の時間で小学校の一年生から指導が行われるようになっております。また、入学式、卒業式、これは特別活動の中の一つでございますけれども、そこで国旗を掲揚し、国歌を指導するものとするという形で、社会科、音楽、特別活動で国旗・国歌については指導してくださいということが明確になっているわけでございます。  それに基づいて各学校においては指導が行われているわけですが、今回の法制化は、日の丸・君が代が国旗・国歌であるということの根拠を、これまでの慣行あるいは慣習法と言われておるものから成文法としてその根拠を変えるものでございまして、国旗・国歌についての扱いを云々するものではございません。それは学校教育法、学習指導要領の体系で書かれているわけでございます。  これにつきまして、私どもは従来とその扱いを変える必要はないのではないか、従来どおり学習指導要領に基づきまして、先ほど申しましたような時間等におきまして子供たちに適切な指導を各学校でお願いしたい、そんなふうに思っておりまして、国旗・国歌法に伴いまして、新しい学習指導要領においてこれを変える、あるいは指導要領に基づきましての学校における指導の扱いを変えるという必要はないのではないか。ただ、根拠が非常に明確になる、それは一つの大変大きな意義があることであるというふうに思っております。
  66. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 先ほど大臣は二十一世紀を迎えるに当たってということでございますが、これは野中官房長官の言葉とちょっと違うのかなと。要するに、直接的には世羅高校の痛ましい事件にあったということを答弁されております。  もちろん私も、二十一世紀を迎えるに当たって、過去の忌まわしいというか本当に残念なというか、侵略戦争というか戦争ですね、これを払拭しながら新しい新生日本をつくるに当たって法制化することは賛成でございますが、しかし、拙速にというのはおかしいと私は思いますし、そしてまた今申しましたように、官房長官は新聞にありますように校長自殺が動機というふうに言っているわけでございます。  となると、その文脈からしますと、要するにこれからはもう少し強く指導をしますよと。もしそうでないならば官房長官は違うコンテクストの中でこの発言されたことになりますよね。いかがでしょうか。
  67. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 私どもが理解をいたしておりますのは、日の丸・君が代が国旗・国歌である、これは慣習として国民に広く定着をしている、慣習法あるいは法的確信として揺るぎないものである、したがってそれは国旗・国歌であるという理解を前提にして国旗・国歌の指導をしているわけでございますが、その前提のところで、慣習法として定着をしている、あるいは法的確信として国民に広く定着をしているという、そこに理解のずれがございまして、そうでないという強い主張をされる人たちがいる。そこに、そうしたことを起因といたしまして、日の丸・君が代が国旗・国歌である、ないといった議論が学校等において行われる。そういう疑義を完全になくす、そういう意味で法制化というのは意義があるということを官房長官はおっしゃられたのではないか、こんなふうに考えております。
  68. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一度お願いします。というのは、簡単に言いますとどういうことでございますか。
  69. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 日の丸・君が代が国旗・国歌であるということは国民の間に定着をしている。それは、慣習法としてあるいは慣行として定着をしてきている。それゆえに、国旗・国歌の指導ということはすなわち日の丸・君が代の指導ということで私どもも扱ってきているわけでございますけれども、日の丸・君が代が国旗・国歌である、その根拠として慣行として定着をしている、あるいは法的確信として国民に広く定着をしている、それに対して疑義を挟む人たちがいる。それであるならば、国権の最高機関である国会という場で成文法としてその根拠を明確にする、それは大変意義のあることではないか、こういう趣旨であろうということでございます。
  70. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私は、官房長官の校長自殺が動機であるという発言に対して、先ほどの大臣のお話と違うじゃないですかということを言ったんです。だから、もし官房長官がそうやって政府の代表として言われたのならば、それは意味がもちろんあるわけでございまして、直接的には、つまり第一義的にこれが原因ということであれば、一義的なやり方としては、今度はもう少し強制的というのか、もう少し深い理解を求めるというのか、今以上に、何というんでしょうか、言葉を間違うとあれでございますが、強い口調で各学校に言うんだという決意を示したものだと思いますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  71. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 先ほど、二十一世紀を迎えることを一つの契機としてと申し上げたつもりでおりました。一つの契機といたしまして、成文法にその根拠を明確に規定していきたい、こういう気持ちでございますが、御指摘のとおりに、一つの契機というのは世羅高校の校長先生の御不幸な自殺にあったことはつけ加えさせていただきたいと思います。  それからまた、成文化したときにどこに違いがあるかということでございますが、先ほど辻村局長よりお返事申し上げましたように、今までのように多少疑義があるところがあったのが今度はっきりするだろう、そういうことで、今までの疑義に基づくいろいろな議論がこれでぬぐい取られるということを私どもは願っているわけでございますが、しかし子供たちの内心にまで立ち入って無理やりに歌わす、こういうことは憲法にも許されないことでございますから、内心まで立ち入って強制することはないと思います。  しかし、今までどおり学習指導要領に基づきまして国歌・国旗に対する教育は行っていきたい、そしてそれに基づいて世界のさまざまな国々の国歌及び国旗に対する尊敬の念も育てていくべきだと考えております。
  72. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ちょっとはっきりしないんですが、つまり今までの疑義ですね、法制化すると疑念が晴れると。本当にそうでしょうか。もちろん君が代を歌うしかありませんので、私も嫌いではありません、どちらかというと好きです。ただ、私は君が代の「君」というのは天皇だと思ってはいない世代の一人でございます。そういう中で、「さざれ石」というのも知っておりますし、「こけのむすまで」というのも科学的根拠があると思いますし、わかるのでございます。  ただ、やはり先ほども申しましたように、自殺を契機にしてということは、やっぱりもう少し強い口調で言うということは間違いないと思うんです。そうですよね、間違いないと思うんですよ。だから、そういった場合に、法制化すると疑いが晴れるというんじゃなくて、疑いを晴らしてから法制化するというのが物の順序でございまして、そんなことは大先生に言うのもちょっとはばかられますけれども、また局長に言うのもはばかられますが、やはり良識ある手順というものをもう少し踏んでいただけないかなというふうに思います。  どこをどう見ても、これは政局をというのがやっぱり与党の思いであることは間違いないと私は思います。ですから、多分先生は腹の中で違うことを思われながら御答弁をされると思いますが、しかしそういった政治的な道具にしてはならないものでございます。  国民みんなが喜んで、ああ今度はこういう歌が国歌なんだな、ああすばらしいな、すてきだな、歌いたいなと。安室奈美恵や宇多田ヒカルとかああいうのは爆発的にヒットして、君が代が疑惑で余りヒットしないというのはやっぱりこれは問題があると思いますね。  ですから、やはりそのようにもう一段、もちろん国会の審議にもう入るわけでございますが、今後も指導の上でぜひ御考慮をいただいて、たとえ法制化されたとしても、それで疑念が晴れたなんという思いでがんと押さえつけるようなことはなさらないようにぜひお願いしたいと思いますが、まずその点だけお願いします。
  73. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) たびたび申し上げておりますように、法制化されても強制するということは考えておりません。  ただ、教育の上で、指導要領に基づいてきちっと社会科で教えたり音楽で教えるということ、それから卒業式及び入学式等々で儀式においてきちっと指導していくということは続けさせていただきますが、それにも増して、教育を通じて国旗・国歌の持っている意味、それをきちっと教えるべく努力をさせていただきたいと思っております。
  74. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 済みません、通告のない質問をしまして。  またちょっと通告のない質問でございますが、認識をまず伺いたいんですが、明治維新があってもう抜群に日本という国が伸びた。そしてまた、戦後のあの復興の中からもいきなり世界一の経済大国になった。この要因はやはり教育にあり、人にありということは恐らく大臣も共通した認識だと思います。驚くことに、三百年前の江戸の中期ぐらいには、読み書きそろばんは全国民の九割ができたというふうに言われておりまして、これがまさに爆発する、つまり成長の爆発力の大もとだと思います。  そのときに役割を果たした機関としては、武士は侍の藩校等々ございましたが、やはり町中の寺子屋だったというふうに私は信じて疑わないわけでございますが、いかがでございましょうか。
  75. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) そのとおりであります。寺子屋が一万五千校ぐらいあったと言われています。一つ一つが五十人ぐらい教えたといたしますと、一万五千掛ける五十というのは相当な数になるわけですね。仮に三十人でも大きなものになります。明治以前でありますから、日本の国民の総人口というのは三千万人ぐらいでしょうか、その中で寺子屋がこれだけ活躍していたということはすばらしいことだったと思います。  そして、特に申し上げておきたいことは、そろばんがあったということであります。読み書きを教えるということは外国の教会等々でも行っておりました。聖書が読めるようにする、あるいはコーランが読めるようにする、これは大いにあったのですが、そろばんがあったということはまさに日本の独創であります。日本人は独創性がないなんてよく言われますけれども、私は断固として反対している。教育におけるそろばんがあったということは、まさに日本の教育の独創性であったと思っております。
  76. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 自信を持ってこれからも使わせていただきたいと思いますが、今の教育の面で、では寺子屋とは何だろうかなと考えるわけでございます。  もちろん、公教育がまず原点でございまして、初等教育ですか、義務教育の部分がそれに当たるとは思いますけれども、実は私も実際にいろんな子供を教えていた経験もありまして、助教諭の免許を持って高校で教えていたこともございます、数学でございますが。その経験からして、そしてまたこの間もテレビでやっておりましたけれども、学校と塾とどっちが楽しいというと塾なんですね。文部省の方には本当に申しわけないと思いながら言うわけでございますが、でもこれが事実のようでございます。  そうすると、この間、学校と塾の連携ということで大臣が言われましたように、受験目的以外が条件であるが要は連携をもっと強めたいんだということを言われたんですが、私はこれは全然現状を御案内じゃないんだなと。受験以外の目的の塾なんというのは極めて少ないのでございます。  これは、私も顧問をしておる例えば空手道とかこういうのも塾に入るのかもしれませんけれども、やはり比率からいうと今は学習塾が主流でございまして、学習塾とは何ぞやといえば受験目的まさにそのものでございます。そこで生徒はいわゆるコミュニケーション、学校でできなかったコミュニケーションを図ったり、教わる喜びなんかも、プラスアルファかそちらが主なのかわかりませんが得ているわけでございます。  改めてちょっと伺いたいのは、受験目的以外が条件というのはどういうことでございましょうか。
  77. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 一つは、明らかに小学校、中学校でけいこごとというのがありますね、そろばん塾であるとかあるいは絵を習うとか。これは私は大いに推進していいと思うんです。私は嫌でしようがありませんでしたけれども、習字を習いに行くとか、こういうことはあってよろしいと思います。  それからまた、学校だけではどうしても腑に落ちないという場合があり得ると思うんです。私は先生方にお願いをしております。ゆっくりと勉強していきたいという子供にはゆっくりとした指導をしてほしいということは申しておりますけれども、しかしそれも時間の上から限界があると思います。もうちょっと教えれば十分理解をしていく、特に分数の割り算などということでございますが、こういうことについて塾が大いに活躍してくださることは私は反対ではございません。  それから、高等学校あるいは中学校でごく短い期間に集中的に例えば受験の勉強をするというのはこれも決して悪いことではないと思っていますけれども、毎日十時までやっているなんということは私は大反対。夜、お帰りになるとおわかりだと思いますが、十時ごろ私は散歩に行きます。そうすると、たくさんの子供がぞろぞろどこかからかばんを抱えて帰ってくる。これはよくないと思うんです。ある短い期間に集中的にやるということは私は悪いと思わない。  それからまた、浪人という言葉が許されるかどうかわかりませんけれども、高校を卒業したけれどもうまいところへ行けなかった、入れなかった、こういう人々が一つの学校として塾のようなところで時間をきちっと決めて勉強する、これも悪いことだと思っておりません。  ただ、大学に行くために小学校から、夜六時、七時ならまだいいけれども、十時という時間まで無理やり勉強していくことは私は非常に健康ではないと思っております。やはり限界、限度がある。その限度の中で理想的な教育を施す、その上での協力をすることは私はやぶさかではないわけであります。
  78. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございました。  これは週刊朝日の記事でございますけれども、「算数落ちこぼれ」ということで、大臣もそろばんそろばんというのでそろばんが好きなようでございますが、私はそろばんをはじくのが下手な方でございましたが、二〇〇二年度からは要するに筆算で三けた掛ける二けた以上の掛け算は小学校から姿を消すということのようです。  ここに書いてあるとおりで、私もそう思いますが、例えば三けた掛ける三けたの計算問題を解くということをとってみても、実際は三けた掛ける二けたではできないような作業がいろいろあるわけでございます。ですから、三けた掛ける二けたができればあとは自力でできるというのは大人の身勝手な幻想にすぎない。まさに反復練習の中で少しずつ教わっていきながら、三けた掛ける二けた、そしてまた三けた掛ける三けた、三けた掛ける四けたというふうに反復練習してできるようになるんだというふうに書いてあります。  私は、ここの中にもあるんですが、日本の教育で大事なことというのは暗算とかこういったものの能力で、実は科学技術の原子核物理学もそうだと思いますが、やっぱり暗算力とかこういったものが構想力になっていく。将棋の先の先まで読んでいくようなものなんだと思うんです。  という中で、いわゆるゆとりの教育ですか、ちょっと私はゆとりの教育というのは余りわからない方でございまして、本当に子供にゆとりを持たせていいのかなと思ってしまうというか、思っておる親でございます。ゆとりを持たせないということは、ぎゅうぎゅうに押し詰めてやるということではないと私は思っておりまして、やはり我慢するところは我慢させながら、どうしても時間を使って教えなきゃいけない基礎体力というか基礎学力のところはむしろ時間を使って教えなきゃいけない。  例えば小学校六年間の授業時間数の変化でも、私が教わったころは三千九百四十一時間だったというふうに言われる。二〇〇二年度から実施されるのでは二千九百四十一時間、千時間違うんです。だから四分の一が減るということなんです。  こういった中で塾に通って、ちょっと例えで言いますとサービス残業なんです。文部大臣が何を言おうと、今二極化しているんです。つまり、いい大学、いい高校、いい中学、いい小学校に入りたいときにはやはり勉強しなきゃだめだと。つまり、学校側は手を緩めません。ですから、修学の時間がない分、やはり塾へ行ってその部分で要は残業しなければならない。しかし、それを認めないということは、言ってみると子供に対するサービス残業増加みたいな隠れたものになってしまうわけなんです。  ですから、私が本当に思いますのは、つまり教えるべくして教えなきゃいけないところはきちっとやっぱり学校で教えていく。それで、さっき言われましたように、プラスアルファでどうしてもこれはもう一歩、二歩先んじてファストエデュケーションというのか、もっと先んじてこれをやりたいんだというようなことであったりとかは塾でプラスアルファでやってもらうんだという体制に、これは従来のやり方ですね、戻さなきゃいけないのが、実はどんどんその幹のところを細くして隠れた枝のところをふやしていく。  先ほどから申しますように、塾のあり方というのは大変私は大事だと思っておりますし、寺子屋に当たるのは今は塾であると思っておりますけれども、いずれにしてもこんなような状況になっているわけなんです。  だから、もう少し塾にしても容赦をしていただくのか、つまり残業だよ、残業してもらっているんだよというふうに、そういうふうな認識をいただくのか、それとも授業時間をもう一回延ばしてこっちで頑張ってもらうんだよ、塾の方は先生が今言われたように、そのプラスアルファなんだよ、そうするのか、二つに一つしかないと私は思うのでございます。いかがでしょうか。
  79. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 非常に重要なポイントを御質問になっておられると思います。中教審といたしましても、あるいは文部省教育プランを立てる際にもいろいろ悩んだところを御指摘になられました。  まず第一にお答えいたしたいと思いますことは、基礎、基本は絶対きちっと教えるということが最初の条件でございます。と同時に、その基礎、基本で教わったことを身につけて十分使うことができる、そしてそこで自分で問題を探し自分で解決していくような力に育てていく、このことを望んでいるわけであります。学校で習った量は今より少なくなりますけれども、それでも十分基礎、基本を勉強して身につけていればいいと思いますので、その身につけさせるためには自分で復習するという必要がございますので、我々はゆとり教育ということを主張しているわけであります。  それからまた、今でも随分教えていると思うのですけれども、大学に来て経済学部に行く学生諸君の実力を見ますと、二次方程式すら解けないなんというのがいるわけです。今くらい教えていたらば十分そういうことに対しては力があるはずだと思うのにもかかわらず、そうではない。これはやはり教え過ぎているということがあるんだと思うのです。  ですけれども先生の御指摘のように二けたと三けたの掛け算とか、こういうふうなものは反復していく必要がある。日本人が強いのは九九であります。これは九、九、八十一というふうに短く言えることが、ヨーロッパやアメリカの言葉による九九の勉強よりはるかに記憶に向いているわけです。こういう日本のよさということは今後も大いに教育で使っていかなければならないと思います。  繰り返しますけれども、最小限の基礎、基本は十分教えた上で応用力を養成していきたい、こういうことで学校の役割を演じさせていただきたいと思っております。それから、平均水準を上げるということは、やはり保つということが重要でございますので、これはやはり学校できちっとやっていかなければならないと思っております。  もう一つどもが大変苦慮いたしましたことは、小学校ですと約七割の子供がわかると言います。中学校になりますと五割の子供たちがわかると言います。高等学校に行くと三割の子供たちしかわかると言ってくれません。こういう問題。それから、残念ながら十万人を超えた不登校の子供たち、こういう問題に対してどういう解決策を持ち込むか。  これは、やはり学校が楽しいところである、教わることは楽しい、勉強することは楽しいんだというふうな気持ちを養成していくことが私たちにとって最も大切なことでございまして、その辺に対してまず努力をいたしていきたいと思っております。学校が十分楽しい場所として機能するようになれば、不登校はおのずから減るでありましょうし、いじめもおのずから減っていく、こういうふうなことをまず実現したいと思っております。
  80. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 不登校のお話が出ましたので、次のちょうどつながりがよく質問ができます。ありがとうございます。  不登校が今十万人を超えたということでございまして、本当に大変悲しい、寂しい状況でございます。学校に行きたくないということでございます。  文部省の方でもいろいろな施策をされて、スクールカウンセラー活用調査研究委託とか、または心の教室相談員活用調査研究委託等々あるわけでございます。大変すばらしい制度だということで、特にスクールカウンセラー活用調査研究委託の方から心の教室相談員の方が出てきて、より広範に学校を網羅していただいておるというふうに伺って、私も豊橋または東三河の現場の教員からも大変いい制度でありがたいという声を伺っておる次第でございまして、本当に感謝申し上げます。  ところで、平成十一年度でもスクールカウンセラー活用調査研究委託は三十四億円の予算措置がされておるわけでございまして、全国に千五百五十四校が実施されておるわけでございます。  私の住んでおります豊橋市でも、小学校が五十二校、そしてまた中学校が二十数校ありまして、そのうち一校だけがこの調査の対象になっているというふうに伺っておるんですが、この千五百校というのはどういう行政単位でどのような配分をされているのか、そしてまたどのような効果を上げているのか、御説明いただけますでしょうか。
  81. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 千五百五十四校、これは各都道府県当たり三十校、それから政令指定都市について十二校、これをトータルいたしますと千五百五十四校、こうなっているところでございます。  それから、成果でございますが、これは今先生からも御紹介がございましたが、私どもも全体として大変高い評価を関係教育委員会等から聞いております。  具体的に申しますと、一つは、まず先生がこのスクールカウンセラーの助言を受けるということで、これまで個人的にいろいろカウンセリングについての勉強をされている先生方も努力をされているわけでございますけれども、やはりこの道の専門家であるスクールカウンセラーから直接アドバイスを受けるということによって、児童生徒に対する対応というものが自信を持って行えるということが一つあります。  それからもう一つ、保護者でございますけれども、やはり保護者も、子供たちが学校に行かない、あるいは非行等に走るといったことにつきましては大変不安と動揺を覚えているわけでございます。そのときにどのように子供に接するかという点についてスクールカウンセラーから保護者が相談を受けることによって、これまでと違った、より適切な対応を自分の子供に対してできるということが二つ目でございます。  それから三つ目といたしまして、スクールカウンセラーがいるということで、児童相談所等の学校外との連携というものもこれまでよりもより適切な連携ができるようになっているといったこと等々、そのほかにもございますけれども、全体として高い評価を得ているというふうに考えております。
  82. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そしてまた、先ほど申し上げましたような心の教室相談員活用調査研究委託、平成十年五月に文部省から提案されまして、それに基づいて、これはたしか各校一人ぐらいOBの先生をということでございました。  先ほどのスクールカウンセラーの方は臨床心理士ということで、全国に五千人しかいないからもう少しふやそうよということで出てきたということで、ちょっとあちこち行ってあれですが、前者のスクールカウンセラーについては、二年たつと引き揚げてしまうということがこれは大変残念だというのが現場の声らしいです。それに伴って出てきた心の教室相談員の方は、より学校の近くの方なものですからよくわかっていらっしゃる、そしてまたOBの先生ということで生徒も扱いなれているというんですか、またこれも好評を博している。好評を博するということは逆にそれだけ多いということで残念ではございますが、大変父兄の方にも喜ばれているということであります。  これからの方針でございますけれども、アメリカなんかでは、これは統計のとり方でございますが、例えば州によっては二百人に一人とかいう単位でカウンセラーを配置している。  これは、初めは本当に残念だと私は思いました。カウンセラーにしか相談できないのかな、隣のおばさんや、もっと友達や、友達のお父さんお母さんとか、自分の親でなくても相談する人がいないのは、日本は寂しくなったのかな、こんなふうに思ったんです。これはまた考え方を変えますと、介護も同じなんですね。身内が介護した方が床ずれが多いなんという非常に残念なあれと同じで、身内じゃない方が相談しやすいなんということもあるのかな。そういう中で、すべての子供がスクールカウンセラーに相談できる機会を設けるようにという答申が出ましたので、どのようなスピードでこれを予算化していくのか、ぜひそのあたりの方針を伺えればと思います。
  83. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) これからの具体的なスケジュールをなかなか確定できませんのは、養成の問題が一つございます。大学院を出るという形でこのスクールカウンセラーという方々は養成されますので、その養成のキャパシティーの問題が一つあるということでございます。  ただ、学校からのニーズは大変高いものがございますので、私どもとしては、これまでの成果を見ますと大変高い成果を上げておりますので、広めていきたいという気持ちは持っておりますが、その養成、採用の問題等々をこれから検討していきたい、こういう状況でございます。
  84. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一度。要請が今でもかなりあるんじゃないですか。だから、要は要請を今集めている最中だと。要請がかなりあればまたそれは倍増、そしてまた三倍増ということでよろしゅうございますか。
  85. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 養成はあります。  私の養成という意味は、育てるという、大学院で育成するトレーニングの方です。そちらの方との連携、調整をするということが非常に重要でございます。
  86. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 カウンセラーの養成ということですか。
  87. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) そうです。必要性は十分あるわけです。その点でございます。
  88. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 では、もう一度質問を戻しまして、要するに、学校からの要請というのはかなりありますですね。だから、それに基づいて人数をもっとふやそうというプランの中でやっていらっしゃるわけですね。もう一度。
  89. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) そういうことでございます。拡充をしていきたい、しかし一方で供給の問題が一つありますということでございます。
  90. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 あと、人に対して相談をかけていくというのは一つだと思いますし、そしてまた、現場でカウンセリングをしている方なんかにも伺うと、例えばもう少しEメールを多用したらどうかと。最近のモバイルツールは非常に進化していまして、私も今持っておりますが、この電話の操作だけでEメールも送れる。二百五十文字で四円ですか、それぐらいで送れちゃうわけなんです。  ですから、考えていきますと、文字でしか送れないというのは非常に残念なことだと思うんですが、しかし、現状考えた場合、そしてまた、十万人の方が本当に不安の中にあって、非常に寂しい思いで毎日暮らしているということを考えた場合に、もう少し例えばそういった格安のモバイルツールみたいなものを、これ郵政大臣いらっしゃるのであれでございますが、小学校にコンピューターをどんと置くんじゃなくて、児童に、児童でも例えばある学年になったらもう差し上げちゃうとか、そういうのも私は考えていいんじゃないか。ビル・ゲイツが言うように、将来恐らくはこういったハードはただになります、もう近くただになると私は思っております。要はソフトがお金がかかるということで、上げるというより貸与するということだと思うんですが、もう少し世の中の流れに合わせて、もっとそれを先んじるような対応というのをお考えでしょうか。
  91. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 直接それにお答えすることにならないかもしれませんが、先ほどのカウンセラーとか心の相談員以外に、ホットラインというのを、お父さん、お母さんに対して子育てホットライン、それから子供たち先生や両親に聞けないような場合に電話を通じて相談をすることができるようなホットラインを二十四時間体制全国的に展開をしております。ですから、先生の御質問の一部は多分そこで電話機を通じて通信をするということで話し合いができるようになっていると思います。  しかし、もっと広範にというお考えでありますので、これはまた検討させていただきたいと思います。
  92. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 既に時間が超過をいたしておりますから。
  93. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 時間でございますので、最後に宇宙開発について質問を用意させていただいたのですが、ぜひ日本の貢献として、ケネディがやったように、これからやっぱり二十一世紀、宇宙で仲良くしようということをぜひもう少し予算を使って、軍事予算が少ないわけですから、その分使っていただきますように心からお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  94. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保です。  きょうは、実は何週間か前に通告をしたわけですが、ちょっと多過ぎましたので直前にいろいろ調整させていただきました。文部大臣、よろしくお願いします。  余り時間がないので問題にすぐ入りますが、いわゆる文教施設の改築計画について最初お聞きしようと思っておりました。特に義務教育学校の建物についてということで御用意をしていただいたと思いますが、残念ですけれどもこれはちょっと次回ということにさせていただきまして、一つだけこれに関してお聞きします。  今、国立大学の医学部に医療短期大学部という三年制で看護でありますとかパラメディカルのものを、たしかこれがつくられたのがまだ十年ほど前じゃなかったかなと思うんです。何か非常に方針がどんどん変わるなという気もするんですが、これを四年制の医学部の中に入れていくという計画が進められているというふうに聞いておりますが、これは現状どのようなぐあいに進展しているのか、教えていただきたいと思います。
  95. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 具体的なところはまた高等教育局長よりお返事申し上げますけれども、なぜこういう方針をとっているかについて申し上げたいと思います。  近年、医療が非常に高度化してまいりましたし、また高齢化が大変進展をしてまいりました。そういう状況もとで、医師と看護婦等の医療技術者がそれぞれの専門性を発揮して密接に連携し合ってチーム医療やチームケアを推進することが必要になってまいりました。こういうことをより一層推進いたしますためには、専門的な知識、技術とともに豊かな人間性や的確な判断力を有する資質の高い看護婦等の医療技術者を大学において養成することが極めて重要であるという認識がございます。  文部省といたしましては、こういう認識のもとに、国立大学の医療技術短期大学部の四年生大学への組織転換について、国の行財政事情等を勘案しながら引き続き積極的に対応してきているところでございます。  具体的な状況につきましては高等教育局長よりお返事申し上げたいと思います。
  96. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 大臣が答弁いたしましたような事柄を踏まえて、平成四年に看護婦等の人材確保法が制定されております。それを踏まえまして、平成年度から順次、医学部保健学科等に医療技術短期大学部の転換を図っておるわけでございます。平成年度には医療技術短期大学は二十三大学にございましたが、これまでにそのうち八大学を改組、転換し、さらに本年十月には二大学を改組、転換することといたしておりますので、残るは十三大学となっているところでございます。
  97. 山本保

    ○山本保君 その背景、またねらいなどはよくわかりました。  今、局長からお話がありましたように、そうしますと、予算上のことだと思うんですが、毎年二大学ずつしか進んでいかないと、あと十五あるわけですから七、八年まだかかる。看護婦さんの養成課程を三年制から四年制にするとか、さっき大臣がおっしゃられたとおりの理由なわけですから、なぜそのような大事なことにこんな八年もあとかけなくちゃいけないんだ、全体で十年もかかる、それはおかしいんじゃないか。  早速、こういうふうな予算を、すぐまた次の方へ今度回せばいいわけですから、うまく調整をして進められないかと思いますが、どうですか。
  98. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私の判断を申し上げますと、お金の問題ということが一つあります。  それからもう一つ、より深刻な問題は教員の人材です。要するに、今でもかなり無理をして先生たちを探しているわけでありまして、急速にこれが発展するのに対応した教員が十分いるかということが一つ大きな問題であるかと思っております。ですから、いい先生を早く育てなければならないと思っております。
  99. 山本保

    ○山本保君 理由はわかりますが、私も内情をよく知っておりまして、聞きますと、大臣、そういうふうになりますと、連続でやるものですから、最初の方に大学に入った人がまた今度こっちへ来てとか、そんなことになってしまうわけですよ。野田大臣おられますが、大臣の地元の大学の話を今念頭に入れてしておるわけでございます。よろしくお願いします。  次に、ちょっと話を変えますが、障害者のバリアフリーについて、私の友人の盲学校の先生からお願いがありまして、盲学校の図書館に点字図書がなかなか新しいものが入ってこない。地域の公立図書館などでは幾つかのところにそういうものがあるんだけれども、なかなか生徒の皆さんにそういうところへ行っていただくというのは大変である、何とか盲学校の点字図書についてもっと推進していただけないかというお話があったんですけれども、この辺についてはいかがでございましょうか。
  100. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) この点は私ども大変重要な問題ということでいろいろ関係方面とも研究をいたしておるところでございますが、一般的に新刊図書の点字本をつくりますには、新刊が出てから点字化されるまで二、三カ月かかる、それが常につきまとう大変難しい問題でございます。点字にいたしますのは、ボランティアの方々にお願いする、あるいは点字図書関係のネットワークを活用してこれに対応するということでございますが、この月数を何とか短くできないか、そのためにはボランティアあるいはネットワークの体制をより充実するということであろうかと思いますので、私どもこの点は大変重要な問題といたしまして承って、これからいろいろな研究をさせていただきたい、こう思っております。
  101. 山本保

    ○山本保君 辻村局長、私、そういうことで文部省の方からいろいろお聞きしましたら、例えば学校図書館図書標準というのがあって、そして盲学校についても、数字は学校の規模から言いますと一般学校と比べてまず遜色ないと言ってはなにかもしれませんが、きちんと標準数があるなと思ったんです。  ただ、気になりましたのは二点ありまして、一つは蔵書冊数ということでやっておりますけれども、これは盲人の子供さんたちが使える、学生さんたちが使えるそういう本なのかどうなのかちょっとお聞きしたんですが、はっきりしない。合わせた冊数を言っているんであって、いわば点字図書についてというふうにはどうも決めていないんだという印象がありました。  それから二番目には、今やパソコン、コンピューターのソフトでそのまますぐにデータベースから本が出てくる、点字が出てくる、こういう時代になっているわけですから、蔵書冊数で標準を決めるというのはちょっと時代おくれじゃないかという気もするんですが、いかがでございますか。
  102. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) まず一つは、図書館の蔵書、これは当然子供たちが使えるものでございます。ただ、盲学校には完全に失明をした方のほかに弱視と申しましょうか、そういう方々もいます。そこで、蔵書冊数の内訳としては、点字図書のみならず普通の図書も入れております。ただ、実際は半分半分ぐらいで点字図書は整備されているわけでございますけれども、こうした内容のものがより各学校の実情にふさわしいものになっていくということが課題であろうと思います。  それからもう一つ、今御紹介ありましたとおり、確かに盲学校点字情報ネットワークというものがございまして、ある図書が点字化されますと、それとアクセスして複製するということは非常に容易になりました。このシステムは全校に行き渡っているわけでございます。私が先ほど申しましたのは、最初のところの点字化するという、そこが一つの課題であるということを申しました。  それからもう一つ、今のような情報化が進展する中で、学校図書館の図書標準の示し方、これはこれからの情報化の進展に合わせましていろいろ研究していかなければいけないだろうというふうには思います。
  103. 山本保

    ○山本保君 この辺は早くやっていただきたいと思っているわけです。施設の間では割と自由にできる、また盲学校なども当然それに入ると思うんですけれども、一般の図書館なんかではそれがうまくアクセスできないというお話も伺っているんです。この辺は法律的な問題があるんじゃないかと思いますが、これについてどのように対応されますか。
  104. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) この点字情報ネットワークは平成年度から運用をいたしておりますが、そこでは全国の盲学校のほかに、点字図書館等一般の図書館とも結んでおります。  いろいろな情報処理の上での課題はそれぞれあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、この情報ネットワークのより活性化という観点でこの充実を図ってまいりたい、基本的にこのシステムは十分機能いたしておりますので、その充実を図っていきたい、こんなふうに思っております。
  105. 山本保

    ○山本保君 それでは、次に聴覚障害の方を聞こうと思いますが、一つだけ局長に確認で。  これは録音テープなどについても同じような考え方でよろしいでしょうね。
  106. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) これまで普通の文字の図書、それから点字図書について触れてまいったわけでございますけれども、盲学校の子供たちに対して録音図書というものを活用していくということ、これはこれからの大きな課題だと思います。  今でも既に整備をされておりますけれども、普通の文字図書と点字図書に比べますと量的にも少ないというのが現状でございますので、これはこれからもっともっと活用していくべきテーマではないか、こんなふうに思っております。
  107. 山本保

    ○山本保君 そこで、今度は聴覚障害の方のためにということで、著作権法との絡みで文化庁にお聞きしたいわけです。  実は先日、委員長また委員の皆さん等の御了解といいますか応援をいただきまして、決算委員会に、中途難聴者という方が初めて国会見学に、国会始まって以来だそうですが、代表の方が来られました。  私ども、目の見えない方とかいろいろおられるわけですが、途中から耳が聞こえなくなってしまった、一見しますと普通の方と同じで、お話もされますので、逆にそのためのいろんな差別やハンディキャップが大きいというふうに初めて知ったわけです。  そこで、その団体の方からも実は内々私どもに請願の相談がございまして、ビデオテープに字幕をつけると。これが点字の場合は法律上もきちんとだれが点字をつくってもいいというふうに許されているようですけれども、ビデオテープについてはそれがないんだということで大変困っているというお話があるわけです。  この辺について、今後どういう形で進めていかれるのかお聞きしたいんです。
  108. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) お答えをいたします。  視聴覚障害者の方々と著作権との関係でございますが、障害者の方々への配慮の観点と、もう一方では著作者の権利を適切に保護していくという観点との二つの間のバランスをどう図っていくか、こういう問題であろうかと思っております。  今、委員指摘の聴覚障害者の関係でございますが、例えば、字幕ビデオ作成に係る簡便な許諾システムの確立によりまして、円滑な字幕ビデオの提供を増進するために、文化庁といたしましても、関係の権利者団体等の協力を求めまして、社会福祉法人であります聴力障害者情報文化センターを窓口といたしまして、放送局制作番組でありますとか劇場用映画、アニメーション映画に関する権利処理ルールの形成の推進に努めてきたわけでございまして、着実にその整備は進んできたのではなかろうか、こういうふうに考えております。  さらに今後、こういった最近の技術の発達に伴いまして、障害者の方々が著作物をさらに適切、公正に利用することができるように、実は先般もそういった障害者の方々と私ども著作権課の職員と話し合いの場を設けたわけでございますが、さらに著作権審議会におきましても、そういった関係者の方々の御意見を十分に聞きながら著作権法におきますこういった障害者の関係の問題につきまして十分検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  109. 山本保

    ○山本保君 私も初めて知ったんですが、点字の本とかいうものについては、どんな形であれ、だれがつくってもよろしいという制度だそうですね。それもびっくりしたわけですけれども、確かにこれは障害を持った方の福祉ということを前面に打ち立てられた制度だというふうに思います。  そういう制度があるのであれば、このこと自体がまた一つ問題があるのかもしれませんけれども、それはおきまして、現状がそうなっているとすれば、では聴覚障害の方に関しても同じような制度があってこれはおかしくないんじゃないかと思うんです。  確かに、例えばビデオ作品などで下に字が出てくるそういう作品があったとして、一般の健常者の方もそれを見ることができるからということからきっといろんな形で制限されているんじゃないかと思うんですが、しかし、どうなんでしょうか。外国語の映画などであれば当然そういうことが言えますけれども、聴覚障害がないといいますか、健常者でありますと、言っていること以外の資料だとか何かが、データが出てくるのであれば別ですが、話の、しかもそれも要約されたような内容が出てくる字幕を見るというようなことはないと思うわけです。  ですから、これは同じように考えて、もっとここの制限を緩める、もちろんつくられた方の権利ということがありますので、おっしゃったとおり、単純にいくものではない。しかし片方で、点字というのはまさに障害者の側に立って運用されているではないか、というか法律がもうあるじゃないか。こういうことからいきますと、もっと積極的に取り組んでいいのではないかと思うんですが、次長、どうでしょうか。
  110. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) お答えいたします。  点字の場合とまたやや状況が違うかと思いますけれども、例えば字幕を入れるに当たりまして、当然音声内容の要約でありますとか省略ということが通常行われるわけでございまして、著作者のいわゆる翻案権が働くということが一点ございます。また、著作者の人格的権利であります同一性保持権が働く、こういう可能性もあるわけでございまして、そういった場合に、著作者の了解を一切とらなくてもよい、そういう制度改正ということがなかなか権利者側の理解も得にくいということは一点ございます。  また、例えばビデオテープの性質から見まして、聴覚障害者用という特定の用途を超えまして一般に出回る、こういう可能性もあるわけでありますし、実は国際条約という観点から見ましても、まだまだそういう規定がなくて国際的なコンセンサスが得られていない、こういったような現状でございます。  したがいまして、現在の時点におきましては、そういう字幕入りのビデオを作成するに当たりましての権利処理が簡便かつ円滑に行われるような仕組みを準備していくということが大切であろうと考えまして、今、関係団体に御協力をいただきながら鋭意進めているわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった障害者の関係の方々、この間も御意見を承りましたけれども、引き続き承りながら、さらに著作権審議会におきましてもそういった関係者の方々の御意見を承りながら十分検討してまいりたい、このように考えております。
  111. 山本保

    ○山本保君 次へ行きたいんですが、その審議会の日程というか、これからの目途はどういうふうになっておりますか。
  112. 近藤信司

    政府委員(近藤信司君) これはまた著作権審議会の方でお決めになるわけでございますが、できるだけ早い時期に、一度そういった特に聴覚障害者の関係の方々から著作権審議会におきますヒアリングの場をぜひ設けてみたいと思っております。
  113. 山本保

    ○山本保君 そこで、今度は郵政大臣にお聞きしたいんです。  これの関連でございまして、まさにこういうふうに流れてきますと、おわかりのように、一番大事なのはテレビ放送じゃないかと思うんです。テレビ放送でももっとこういう障害を持った方のための放送があっていいのではないかというふうに思うわけでございます。  時間がないので、そちらからいただいた資料ですと、例えばNHKで字幕放送というのは全体の一二・九%である、手話放送に至っては二・八%である、そういうデータをいただいたわけでございます。これはもっと広げていく必要があると思います。  また、もう一つ一緒に伺いますけれども、こういう方に対するNHKの受信料というのは当然お安くしていいのではないかと思うんですけれども、この辺はどういう制度になっておりますか。
  114. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  字幕放送の現状につきまして、先生指摘のとおりまだ割合は低いわけでございますが、現在、とにかく字幕放送可能なものにつきましては、将来目標をつくりまして、NHK、民放ともに字幕放送をより充実させる、番組をふやすという方向にあります。  ただ、我が国の場合にはアルファベットだけではございません、漢字、平仮名、たくさん使いますので、どうしても字幕放送というのは技術的に難しいところがございます。そこで、これを自動的に字幕放送ができるようにということで、技術革新の面でいろいろ支援策を講じておるところでございます。今後、この技術革新の成果がどんどん字幕放送の番組充実に反映するように努力してまいりたいと存じます。  それから、今の先生の御指摘の点につきまして、受信料の免除でございますけれども、一般的には受信料を払っていただくことになっておりますけれども、これは放送協会の受信料免除基準によりまして半額の免除ということで、視覚、聴覚障害者の方には受信料半額免除という制度もございます。  こういうことで、一定の配慮と申しますか、字幕放送番組も含めまして番組を御利用いただけるようにという措置がとられておるわけでございます。  以上でございます。
  115. 山本保

    ○山本保君 後の方から行きますと、たかだか一〇%程度しか放送がないのに半額、五〇%を取るというのは大臣、どうですか、ちょっとこれはいただき過ぎじゃないか。もうこの辺は一〇%でいいというよりも、一〇%であればいただかなくたっていいんじゃないかというふうに思うわけですけれども大臣、どうですか。
  116. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今、品川局長の方から郵政省取り組みについてお話がありましたけれども、さらに法律面におきましても、平成年度には放送法を改正しまして、そして字幕放送を事業者の方たちがより簡便にできるようにということで、そのための免許を不要としておりますし、さらには字幕放送等の努力義務化ということもあわせて図っています。  さらに、平成九年十一月には、字幕放送の普及目標というのを策定、公表しておりまして、これについては二〇〇七年までに字幕付与可能な放送番組のすべてに字幕を付与することということになっています。  つまり、先ほど局長が申し上げたように、日本語というのは字幕に変換させる際には大変な苦労がありまして、そのための研究開発にもやはり人材または費用もかかってくるわけでございます。  そういうこともありますので、どうか御理解いただきまして、なるべく早くそういう皆様方のニーズにかなうよう、字幕放送が普及できるように御理解いただきたいと思っているところでございます。
  117. 山本保

    ○山本保君 ちょっとそれはなかなか、理解したと言いたいんですが、ちょっとおかしいですね。それはそういうことができてからお金をいただけばよろしいわけで、こんなことでつぶれるようなNHKでもありませんし、もっと先に、そういう障害者のために使いやすいようにし、そのことがよりニーズを増すわけですから、早く研究開発をしなくちゃいかぬということにもなるんじゃないでしょうか。  もう一つ、これは質問というよりも、その研究開発ですけれども、今局長のお話にもありましたように、何かすぐに全部を正確に言葉にしようというような研究だと思うんです。それはそれでできればいいですよ。しかしながら、私たちが外国映画を見るときだって、決してそのしゃべっているとおりじゃない字幕でちゃんと満足するわけですね。つまり、要約筆記というやり方があるわけで、これは正確性とかについては劣るかもしれないけれども、それはその旨をきちんと了解していただいて。  どうしてこういうことを言うかというと、今やっておられるのは台本のあるようなものだけなんですよ。ところが、テレビというもののメディアの一番大事な特徴は即時性であり臨場性なんです。即時性、臨場性のものについてはほとんど字幕がないわけです。だから、ここをやるためには、数秒おくれようが、きちんと内容について要約筆記をする、こういう団体もありますので、私はぜひこのことについて取り組んでいただきたいと思いますが、大臣どうですか、この辺について。
  118. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) お答えする前に、事前に先生の方からは要約筆記についての資料をいただいておりまして、ありがとうございました。  今、郵政省で取り組んでいることは、ちょっと御紹介させていただくならば、例えば原稿を自動的に要約し映像を同期させる、シンクロさせる技術開発、これは平成年度から五カ年計画でやっておりますし、NHKにおいても音声認識による字幕の自動制作技術の研究開発を実施しております。  私とすれば、こういう研究開発が一日も早く実を結んで、皆様方に喜んでもらえるよう期待をしているところなんですが、先生指摘の要約筆記、まさに先生おっしゃったように、一〇〇%すべてを正確に伝えるわけではない、ある部分アバウトになるということでございますが、テレビの場合は一般視聴者が当然見ているわけでございまして、そういう人たちというのは特にニュースにおいての情報の正確さに対して大変敏感でございます。ですから、要約筆記を導入するに当たっても、そういうことがあってもいいんじゃないか、国民の中に聴覚障害者の方もいらっしゃるんだから、そういう人たちのためにもそういうことをやってもいいんじゃないかという調和がまずは必要になってくるんではないかと思っています。  ですから、今後は事業者とまた視聴者全般のそういう障害者に対する配慮、特に今おっしゃった要約筆記等のそういう共通理解の形成というのがとても大事になってくるのではないかと思っています。  いずれにしましても、さまざまな形で郵政省としても努力をしてまいりたいと思います。
  119. 山本保

    ○山本保君 積極的なお答えをいただいたと思いますので、よろしくお願いします。  もう一つ。実は先般、NTTが電話の発信者の電話番号が出てくるサービスをやるときに、大臣もよく知っている共通の友人が一生懸命反対しまして、これについての勉強をしたということがありして、それできょうそれをお聞きしようと思っておりましたら、金曜日ですか、朝日新聞に、突然、自分のところへかかってきた電話データが、勝手に顧客のデータなどが出てしまうということ自体大変な問題だと思うんですが、それよりもっと大きな、NTTがその情報を金で出したと。もしくは、新聞によると、これははっきりしないんだけれども、ドコモという会社も出しているのではないかというおそれがあると。  まだつい最近ですよ、NTTの職員が収賄で捕まった。そして、見ましたら、六月二十五日付で「お客様情報管理の今後の対策について」というのを全国にNTTは出して、もうこんなことがないようにしようと。それを受けて郵政省もこうなったんだよと言った瞬間にこんなものが出てきた。  これは郵政省としてはどう思われますか、大変ばかにされた話じゃないかという気もするんですが、いかがですか。
  120. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生の御指摘、まず最初に、五月十日にNTTの職員がインターネットを介して各種情報を販売していた者からの依頼に応じてNTTの電話加入者の個人情報を漏えいし、これに対する謝礼を受け取っていたとしてNTT法十八条違反の疑いで逮捕されております。  もう一つは、先日、七月二日のことですけれども、NTT及びNTTドコモの顧客情報が複数の社員の関与で大量に流出したとの報道があったところでございます。  郵政省は、まず五月の事件に対しましては、NTTに電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの趣旨の徹底について要請いたしましたし、また関係団体に対しても、各事業者がこのガイドラインを踏まえ個人情報の適正な管理に一層努めるよう要請し、今後の再発防止等について報告を受けたところです。  NTTからは、さらにこの五月の事件の後、また一層厳しく取り組んでいくというようなお返事をいただいたところでございます。  七月の報道の件ですけれども、今事実を調査中ですけれども、もし事実であるとするならば大変遺憾なことである。そこで、これにつきましては、報道されたその日のうちにNTTとNTTドコモに対しまして早急な事実関係の調査を求めておりますし、今後、事実関係を確認した上で、さらに再発防止策の策定並びに確実な実施が行われるように郵政省としては指導してまいりたいと考えております。
  121. 山本保

    ○山本保君 ちょっと細かいことなので局長さんにお聞きしたいんですが、もし今回の報道が事実だとした場合、NTTの社員にはどんなような罰則といいますか、どういう罪になるのか。もし仮に、これも仮ですから違うかもしれませんが、今お話もありましたので、NTTドコモという会社の社員がこういうことを行っていたとしたらどういう罪になるのか、少し整理して教えていただけますか。
  122. 天野定功

    政府委員(天野定功君) NTTの社員の場合とNTT移動通信網、ドコモとはちょっと違ってまいります。  まず、NTTの社員の場合につきまして、私ども、事実調査中ですから事実のことはまだ承知しておりませんが、仮にこれが事実だとして、それによって金品の受領があるとすれば、前の五月十日の事件と同じように収賄罪の疑いが出てくるのではないかというふうに思っております。  しかし、NTTドコモにつきましては、収賄については全く同じというわけになりません。NTTの社員につきましてはみなし公務員の規定があるのでこの規定が働くわけでありますけれども、NTTドコモにつきましては特別にそのような法律の規定がございませんので、そういう規定が働くことは今のところ考えられません。
  123. 山本保

    ○山本保君 今のお話で大臣にお聞きしたいんですが、つまり、一般の方の感覚で聞きますと、まず他人の電話番号を使ってそれにかかわる、どんなものが流されたのかそれはわかりませんけれども、しかしそれを知る立場にある者が流すと。それが、NTTにしても、公務員だからといっても、お金を取らない限りこれは罰にならないんですね、今のお話を聞きますと。そんなことを出すこと自体これは大変な問題じゃないかと思うんだけれども、それは罪ではないと。お金を取っておれば収賄だと。ドコモに関して言えば、それは教えること自体全く何も問題ないんだと、こういうことなんですね。  これは一般の方が聞いてえっと思うんじゃないかと思うんですけれども大臣どうですか。
  124. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 確かに先生指摘のとおりで、私もそういうことに対していささか最初疑問を感じたところでございます。  これから私たちも情報通信の高度化に向けて、いい社会づくりのためにさまざまなそういう情報通信の高度化がある中で、当然その影の部分も出てくるわけでございまして、今日までは先生御承知のとおりガイドラインを通じて事業者みずからが責任を持ってやっていただくということで取り組んできているところでございます。当面は、やはり事業者の皆様方にさらにガイドラインについて徹底し遵守していただくということをお願いするわけでございますが、今後、広く一般にやはり個人情報に関しましては、電気通信のみならずさまざまな観点から御議論をいただいておりますので、また今後のいろいろな意味での検討課題になってくるのではないかと思っているところでございます。
  125. 山本保

    ○山本保君 まだ時間があるので、今、大臣の方からもガイドラインというのが出てきた。ガイドラインを見ますと、例えばその情報、さっきの電話番号の通知について言えば、どういうことで利用しますよというようなことを相手にちゃんと了解をとるんだとか、またそれを知り得た目的以外には使っちゃいけないとかというのがありましたね。この場合の、今回のものについても同じようなガイドラインなのかなという気がするんですけれども、どんなガイドラインなのか、ちょっと簡単に教えていただきたい。  もう一つは、そのガイドラインというのは守られなかったときに郵政省は一体どういう態度をとるのか。何か罰則があるのか、または厳しく指導するのか、公表するのか、その辺はどうなっておりますか。
  126. 天野定功

    政府委員(天野定功君) このガイドラインについてのお尋ねでございますけれども電気通信事業分野における個人情報保護に関する一つのガイドラインといいますものは、過去平成三年に一度定めておりました。そのときは、個人情報保護の収集だとか保存の原則といったものを定めておったんですが、その後のいろんな社会の進展に応じまして、そしてまたヨーロッパ、特にEUが個人情報保護につきまして非常に詳細な取り扱いを定めておりますので、そういった外国の動きなども加味しまして、昨年の十二月に旧ガイドラインを改定しまして、新しいガイドラインを郵政省告示という形で国民に広くお示ししたところです。  今度の新しいガイドラインは、旧ガイドラインの個人情報の収集の原則や個人情報の利用、提供など、原則的なことは同じでございますが、さらに幾つか細かいことを書いておるんです。  具体的に申しますと、個人情報の適正な管理、電気通信事業者に対しまして情報の保有の管理に関する規定を精緻に決めたことだとか、あるいは個人情報の開示だとか訂正等についての手続的なことを定めるとか、さらに責任の明確化、電気通信事業者の個人情報管理者の内部的な規程を設けるなど、そういった責任の明確化。さらにまた、特に特徴がありますのは、各種電気通信絡みの情報の取り扱いを定めましたいわゆる通信履歴、ログとも言っておりますが、こういったものの扱いに関する規定、それから利用明細に関する規定、発信者個人情報に関する規定、位置情報に関する規定など、かなり細かい、前の旧ガイドラインになかったいろんなサービスの扱いを決めたことでございます。
  127. 山本保

    ○山本保君 郵政省指導については。
  128. 天野定功

    政府委員(天野定功君) そして次に、このようなガイドラインに反するような場合にどうなるのか。これはあくまでもガイドラインでございまして、直接これに違反したから罰則どうのこうのという話ではございませんが、私ども事業者を所管している立場からは、その違反に対しましては行政指導をしていくということになろうかと思います。
  129. 山本保

    ○山本保君 その行政指導の仕方についてもう少し詳しくと思ったんですが、もう時間がありませんので、最後に大臣にちょっとお願いしたいんです。  先ほど申し上げたように、このように情報が勝手に出ること自体に、当然知り得べき立場の人がいて、そしてそれはある意味で公務員、みなし公務員であったり、またはそうでなくともプロフェッションとして当然それを守るべきであるのにそれが出る。しかし、それに対して罰則もない。個人情報全般を保護するような法律、今のガイドラインは全くそれに対する罰則規定もないわけです。  そんなことで私どもは、手前みそですが、今回の通信傍受法の改正といいますか修正を相当やらせていただいて、これを大至急つくるべきである、こう言っておるわけですが、大臣、この辺について御所感をお願いしたいんです。
  130. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 最近、技術の革新で本当にこの情報通信のサービスが多様化し、ある意味で大変便利になってくる傍ら、先ほど申し上げたけれども、やはりいろいろな問題点が出てくる中で、特に最近ではプライバシーの侵害ということがトラブルの一つになっています。  先生指摘のとおりですけれども、このプライバシーの保護というのは、健全な情報通信社会をつくっていくためにはこれからも大変重要になってくるということで、郵政省としては法制度の整備について検討していく必要があると認識しているところであります。  ただし、電気通信の世界だけではないということで、政府一体となって検討していくべきことであり、既に、高度情報通信社会推進本部では個人情報保護検討部会で積極的に貢献していきたいと思っておりますし、国会の中におきましても、各党でそういう協議の場を持っていただけるということを聞いておりますので、私たちも積極的にかかわってまいりたいと思っています。
  131. 山本保

    ○山本保君 しっかりやってください。     ─────────────
  132. 久世公堯

    委員長久世公堯君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  133. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  報道によりますと、この春、福岡県の前原市内の小学校で、運動会の準備作業中、国旗掲揚ポールが折れて五年生の男児が死亡するという事故が起こっています。安全であるべき学校で子供が死亡するというのは本当に痛ましいことです。そこできょうは、人命尊重最優先の立場から、学校環境の安全対策等について質問いたします。  初めに、日本体育・学校健康センターの災害共済給付の対象となった学校管理下の災害の発生件数はどれくらいになるのか、負傷、疾病等、障害並びに死亡の最近のそれぞれの件数を明らかにしていただきたいと思います。
  134. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。  今、先生指摘のとおり、学校の管理下におきまして事故や災害が発生いたしました場合には、日本体育・学校健康センターにおいて災害共済給付を行うという仕組みになっております。それによりますと、平成年度の給付実績は、死亡見舞金につきましては百四十五件、障害見舞金につきましては七百六十九件というふうになっておりまして、これらはいずれも近年は減少傾向にあるという状況でございます。  また、負傷、疾病についてでございますが、これに対する医療費給付の発生件数は、平成年度で約百十四万件でございます。このうち九五%が負傷で、五%が疾病でございます。発生件数全体としては、近年はほぼ横ばいで推移しておるというふうに承知をしております。
  135. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 理由や原因がいろいろあるとしても、膨大な数の災害が死亡事故も含めて発生しているということは重大視しなければならないと思います。  そこで、質問なのですが、昨年、埼玉県浦和市内の小学校で、三年生の男児が誤作動でおりてきた防火用シャッターに挟まれて死亡するという痛ましい事故がありました。亡くなった児童の母親は、浦和地裁への意見書の中で次のように述べておられます。  八時十分、突然おりてきた防火シャッターにランドセルを背負ったまま挟まれ、とうとい命を失ってしまいました。学校は安全なところだと思って安心して送り出したのに、なぜこんな目に遭わなければならないのでしょうかと。子を持つ親ならだれでもこのお母さんの口惜しさがわかると思います。  管理責任をめぐって現在係争中ですが、文部省はこの死亡事故以前、防火用シャッターの誤作動とそれによる事故の発生について、どの程度認識していたのでしょうか。
  136. 小野元之

    政府委員小野元之君) 通常、防火シャッター等の煙を感知する装置が、湿気であるとかじんかい等によって誤作動が時々あるということは知られているところでございます。ただ、当然これは施設設備の管理者が随時適切に点検するということが望まれるところでございます。  お話がございました埼玉県浦和の事故でございますけれども、本当にこの事故のために亡くなられたことに対しては極めて遺憾なことでございまして、心から御冥福をお祈りしたいと思っております。  なお、この防火シャッターにつきまして、当該シャッターが過去に誤作動を起こしていたということは、教育委員会等があらかじめ把握していたということも私どもは聞いていないところでございます。
  137. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 埼玉県教育委員会が事故の後調査を実施したところ、死亡事故のあった昨年四月一日から十六日の間だけでも小中学校で十一件、県立高校で十八件の防火シャッターの誤作動が発生しています。答弁のとおり、実際誤作動は日常的に起こるわけです。  また、昨年十月に作成された防火シャッター閉鎖作動時の危害防止に関するガイドラインを読んでみましたが、これによりますと、特に防火シャッターの閉鎖作動時における事故例は小学校に多いとあるので、メーカーの日本シヤッター工業会とそれから建設省に問い合わせてみました。  日本シヤッター工業会の方は、データをとっていないのでわからないけれども、各メーカーでその都度立ち会って対処しているということでした。また建設省は、小学校については、昨年の浦和の死亡事故以前にも、昭和五十七年に板橋、昭和六十一年に鹿児島、中学校については平成元年に埼玉県でそれぞれ誤作動による事故が発生していることが昨年のマニュアル作成に当たって報告されたというふうにおっしゃっていました。  誤作動があるし、そのために浦和市内のこの死亡事故以前から事故はあったということです。このことが軽視されてきたことは問題だと思うんですが、どうですか。
  138. 小野元之

    政府委員小野元之君) 文部省といたしましては、児童生徒が安全に勉学できる施設設備を維持していくということが必要だと思っております。かねてから、学校施設の安全管理につきましては、都道府県教育委員会を通じまして指導してきたところでございますけれども、こういった事故により、本当にとうとい命が失われたということは大変残念な事態だというふうに思っております。  文部省といたしましては、この事故が起こったこともございまして、「防火シャッター閉鎖作動時の危害防止について」ということで、平成十年十月十三日に、文教施設部とそれから体育局両方の連名で各都道府県教育委員会等に通知を出しているわけでございます。  いずれにいたしましても、こういったような事故が二度と起こらないように安全管理に努力していかなければいけないというふうに思っているところでございます。
  139. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 二百二十キログラムの重量を持つ防火シャッターが誤作動で降下し始めたら、たとえ人が挟まっていてもとまらない。そのために本来安全のための施設、それが逆に命取りになるという事態を重大視するべきだと思うんですけれども、どう認識されていますか。
  140. 小野元之

    政府委員小野元之君) 御指摘のとおりでございます。もちろん、学校施設において火災が発生しました場合に、一層の被害の拡大を防ぐという意味で防火シャッターが建築基準法において義務づけられておるわけでございますけれども、こういった学校施設を火災から守るということも重要なことでございますけれども、御指摘ございましたように、子供たちの命を守るということはもっと大事なことだと思っているところでございます。  文部省といたしましては、今後、防火シャッターの安全性の向上を図るために、例えば障害物の感知装置を設置するなどの措置をとっていくといったことを各教育委員会等に働きかけていく必要があるというふうに思っているところでございます。
  141. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 文部省が昨年十月十三日に、「防火シャッター閉鎖作動時の危害防止について」という通知を出しているのは存じているんですけれども、現場でどういうことが起こっているか知っていただきたいと思うんです。  浦和市の教育委員会では、今後、非火災作動によりシャッターが降下した場合の対策について各学校で児童生徒の発達段階に即した対策を考えるとして、原則的には、一番目として、教職員が現場に立ち児童生徒に防火シャッターに近づかないように指導すること、二つ目に、防火シャッター降下防止のための机やいす等を素早く近くの教室から持ってきてセットすること、三つ目に、校内放送、こういう措置をとることとしています。  この二つ目に注意をしてほしいと思うんですけれども、防火シャッター降下防止のために机やいす等をセットするというんですね。実際、死亡事故があった小学校のシャッターの両側には机が二個置いてありました。おりてきたら机でとめるということです。また、中にはあらかじめ棒を立てて、つまり突っかい棒ですね、シャッターがおりてこないようにしている学校もあります。もうおりてこないようにしてしまっているんです。ここには、二百二十キログラムの重量を持つ防火シャッターが一たん降下してきたらたとえ人が挟まっていてもとまらない、このことに対するやむにやまれぬ対応があるように思うわけです。  ところが、大変奇妙なことにといいますか、重大だと思いましたのは、私どもが、今答弁なさったように障害物、具体的には人がいてそれに接触したら一たん停止する防火シャッター、こういうものにかえたらどうかということを素朴に言いますと、それがあたかも建築基準法上認められていないか、まだ業界で開発中のように思っている教育委員会関係者、教育施設に直接かかわる関係者が多いんです。  重要な問題なので建設省に伺いたいのですが、昨年十月に作成された防火シャッター閉鎖作動時の危害防止に関するガイドラインにおいて紹介されている障害物感知装置を備えた防火シャッターの建築基準法上の取り扱いはどのようになっていますか。
  142. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 昨年、私どもで各特定行政庁に通知させていただきました防火シャッター閉鎖作動時の危害防止に関するガイドラインにおきまして示されました障害物感知装置でございますけれども、これは今、先生いろいろ御指摘なさったとおりでございます。  本来、火災時において煙や火災の拡大を防いで避難の安全性を確保するためにきちっと閉まるという防火シャッターが、誤作動によって御指摘のような事故につながってしまったというようなことは大変遺憾な事態だと思います。  そこで、先生指摘になりましたように、昨年私どもは、消防庁や学識経験者あるいは文部省とも一緒にこのことの対策を講じまして、今御指摘いただきましたようなガイドラインというものが一応結論として出ましたので、これを通知したわけでございます。  お尋ねの建築基準法上の扱いでございますけれども、建築基準法上は当該防火シャッターが火災時に確実に閉鎖されるということが条件でありまして、それに障害物感知装置が加われば運用上は具体的にはかえって望ましいわけでございまして、決してそれが建築基準法に違反しているというようなものでは全くありません。
  143. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 浦和市の事故を契機に建築基準法上の取り扱いがそのようになったということですか。
  144. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 建築基準法上の取り扱いについては、前から同じような考え方でございましたけれども、より明確にそのような、防火シャッターの工業会等の技術開発等の進展も踏まえて、こういうものならいいんじゃないかという具体的な例示をしたわけでございます。  繰り返して申し上げますが、建築基準法上の取り扱いは、従前からそういうものが違反であるとは言っておりません。
  145. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ということは、従前から、防火シャッターであっても途中で停止するのもよいということだったんですか。
  146. 那珂正

    政府委員(那珂正君) 障害物感知装置のようなものが取りつけられることは建築基準法違反であるというふうには言っておりません。
  147. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 その辺は現場やまた私ども説明を受けたときの認識と随分違うので、後で詳しく話を聞きたいと思います。  建設省が昨年十月十二日付で出した防火シャッター閉鎖作動時の危害防止に関するガイドライン通知の中で、確かに障害物感知装置を備えた防火シャッターが建築基準法施行令違反ではないことが明記されているのですけれども、このことが実際現場では周知徹底されていないんです。  周知徹底のためにどうするかということだけ今回質問しますが、公共施設のバイブル、業界ではこう言っているんですけれども、建築工事共通仕様書における取り扱いが問題になると思うのですが、この取り扱いはどのようになっていますか。
  148. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) お答えを申し上げます。  先生指摘の建築工事共通仕様書でございますが、これは御案内のとおり、官庁施設等についての一般的な仕様を定めるものでございます。これにつきましては、先ほど先生指摘のガイドラインが平成十年十月でございますが、これ以前に平成九年版を定めております。  ただ、私どもといたしましては、危害防止機構を備えた防火シャッターの据えつけにつきましては、現在の共通仕様書にはそういう時間の関係がございまして入っておりませんけれども、特記事項として特記仕様書に明記をするということで各地方建設局を指導しているところでございます。特記仕様書に明記するということになりますと、設計上必要と思われる事項をその特記仕様書できちっと書くわけでございまして、設計の質の確保にもなる、こういうことでございます。  現在、新しい特記仕様書にはもちろんそういうことが書いてあるわけでございますが、では、なぜ共通仕様書に書かないのか、こういう御指摘があろうと思いますが、現在使っております平成九年版のものを改訂する場合に、これからその作業に取りかかるわけでございますけれども、防火シャッターの据えつけについて共通仕様書にはっきり位置づけていくというふうにしたいと思っております。
  149. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 文部省は、昨年十月十三日付で「防火シャッター閉鎖作動時の危害防止について」という通知を出しています。危害防止機構を備えた防火シャッターについての取り扱いがこの通知の中で非常におざなりに過ぎると私は思うんです。通知では、防火シャッターの周知徹底並びに自主的点検と定期点検、これとあわせて次のように言っているわけです。  注意喚起装置の設置や危害防止機構を備えた防火シャッターの据付けも有効であるとされており、学校施設の改築、改修時等において、必要に応じて実施検討することが望ましいこと。 としているだけです。これは回りくどい言い方で、「学校施設の改築、改修時等において、必要に応じて実施検討することが望ましい」。非常にまどろっこしいんですけれども、例えば障害物感知装置は人に接触すると一たん停止して、人がいなくなるとまた降下する、こういう方式なんですけれども、既設の防火シャッターにも簡単に設置できます。工事費込みで二十万ないし三十万円で済むんです。改築や改修時に取りかえるだけではなく、既設のものにもできるということです。  現場では、二百二十キログラムの防火シャッターの降下を途中で停止させるために机やいすのセットまで実施しようとしたり、あるいは突っかい棒までしているわけですから、建築基準法等建築工事共通仕様書上の取り扱いともかかわって、新築、改築、改修時の対応が期待されることからも、公平を期すために既設のものも含め危害防止機構を備えた防火シャッターにしていくべきではないでしょうか。
  150. 小野元之

    政府委員小野元之君) 御指摘の十月十三日の通知でございますが、これは防火シャッター閉鎖作動時の危害防止について幅広く注意を喚起したものでございます。  御指摘ございましたように、三番目のところで、注意喚起装置の設置や危害防止機構を備えた防火シャッターの据えつけも有効だということを言っているわけでございます。  いずれにいたしましても、事故の発生を防ぐという観点から、防火シャッター自体の危険性を十分児童生徒に認識させておく、それから作動中はシャッターの下を絶対にくぐらない、そういった基本的なことを一で示しておるわけでございます。  また二におきましては、この維持管理等についての注意点を指摘しておるわけでございまして、文部省といたしましては、御指摘ございますこの三点目の「望ましい」というのは少し緩いのではないかということでございますけれども、感知装置あるいは音声による警報装置、さまざまなものが有効でございますので、こういったものを今後とも各教育委員会に対して設置あるいは取りつけ等について指導していきたいというふうに考えているところでございます。
  151. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 児童生徒の生命の安全にかかわることですから、やはり公平を期す必要があるんだと思うんです。  「小学校安全指導の手引」でも、学校安全というものが安全教育と同時に安全管理、つまり外部環境の安全とか安全に関して必要な条件整備を不可欠のものとすることが繰り返し強調されています。学校は児童の教育の場として最も安全でなければならないとも言っています。たった一回だけの通知では不十分だと思います。死亡事故を繰り返さないためにも、この際、防火シャッターの誤作動の実態や事故例、対応策等を調査する必要があると思うんです。これは、通知がどのように実践されているか、先ほどの浦和市の教育委員会その他なども含めてですが、その調査にもなると思います。  また、ポールによる死亡事故もあった折ですから、この際、学校施設設備の総合的な安全点検を実施する必要があると思うんですけれども、どうですか。
  152. 小野元之

    政府委員小野元之君) 先ほど十月十三日の通知のことも申し上げましたけれども文部省といたしましては、この通知を出すとともに、学校保健、学校安全の研究協議会でございますとか、あるいは公立文教施設の技術担当者の連絡会議等で指導することも行ってきたところでございます。  いずれにいたしましても、こういった事故が再び起きることのないよう最善の努力を尽くさなければいけないというふうに考えておりますけれども、御指摘ございました防火シャッターについて、最初にも申し上げましたように、時々誤動作するということも把握されておりますので、文部省といたしましては、この通知をもとに、それぞれの施設について計画的に定期点検等を行ってもらうよう各県に働きかけをしてまいりたいと思っております。  さらに、この通知の効果といいますか、貴重な人命が失われたということもございますので、この通知を受けて、こういったことに対して各県の教育委員会がどのように対応しているかということにつきましては調査を実施いたしまして、さらに安全管理を徹底するよう努力したいというふうに考えているところでございます。
  153. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 防火シャッターの調査について、よろしくお願いします。あわせて、この際、総合的な安全点検もよろしくお願いしたいと思います。  次に、学校校舎等の耐震補強、大規模改修、改築等について質問いたします。  まず、地震防災緊急五カ年計画の進捗状況はどうなっていますか。
  154. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 御指摘の地震防災緊急事業五カ年計画平成年度から十二年度までの予定で進めているところでございますが、平成八、九、十、三年間の最終の実績が二千八百四十九校となっておりまして、これは当初計画していたもののうち、耐震診断を行った結果補強が必要でなくなったという学校を除きますと、およそ八三%程度の平成年度までの計画実施状況となっているところでございます。
  155. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 平成年度までで八三%ということで、まだ一七%残っているということですが、平成十一年度、十二年度分がこれからやらなければならない分として加わってくるわけです。随分おくれているというふうに思うんですけれども、おくれている理由、二〇〇〇年度平成十二年度に完遂する見通しと手だてについてどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  156. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 八三%ということでございますので、当初五年間で各市町村がともかくやりたいということで御計画いただいたものからすればかなり私ども実態としては市町村の取り組みは進んできていただいていると思っているところでございますけれども、何分かなりまだ、十一年度、十二年度で四千戸以上計画があるということで、今後各市町村とも大変であろうということは私ども認識しているところでございます。  平成年度までで八割程度という状況を見てみますと、地方自治体の財政事情がかなり悪くなってきているというようなこともございまして、繰り延べできるものは繰り延べするということ。それからもう一つは、実際に耐震計画をやろうという際に、従来から統合計画あるいはもう少し抜本的に改築計画等も含めて見直してはどうかというようなその後の整備計画等、こういったところがございまして、二割弱程度が計画達成できていないということじゃないだろうかと思っているところでございます。  平成十一年度の予定事業といたしましては、平成十一年度予算に六百三億円、それから平成年度の第三次補正予算が、ほとんど十一年度中に工事が完成するということになろうかと思いますが、これが三百七十二億円ということで、九百七十五億円を今年度補助金として見込んでおりますので、これらにつきましては昨年度までに比べますとかなり進捗をするんではないだろうかと思っているところでございます。  今後とも、市町村の事業計画に支障のないよう文部省としては予算面でできる限りの支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
  157. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は地元の方からいろいろ見て物事を考えるものですから、末端の実態がよくわかるんです。この事業をやるのに大体三年がかりで一つやるんですね。最初は耐震診断、それから耐震設計、実際の工事、こういうふうに三年がかりでやったりしていますから、なかなかそう計画どおり進まないというのが実態になっているんです。住民の避難所にもなる公共性の極めて高い事業ですから、緊急の計画をつくらせておきながら完遂できなかったということがないようにぜひ力を尽くしていただきたいと思います。  私がなぜ地震防災緊急五カ年計画の完遂を強調するかといいますと、この五カ年計画にのらないすそ野が非常に大きいからなんです。つまり、緊急度の高いものから緊急五カ年計画にのせたとはいっても、同じ程度のものがほかにもたくさんあるわけなんです。  例えば、埼玉県に草加市という町があります。私の町のすぐ隣なんですが、ここでは緊急五カ年計画に小学校六校、中学校三校、合わせて九校のせて県段階で集約されています。ところが、同じ一九六〇年代に建てられて耐震改修の緊急度の高いものはほかにもあるわけなんです。ですから、市段階では小中合わせて十五校の五カ年計画にしているんです。わかりますか。こういう実態があるわけです。  文部省はこういうすそ野の大きさをきちんと認識しておりますか。
  158. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 個々の建物の老朽あるいは程度というようなものにつきまして、私どもすべて一つ一つ掌握しておるわけじゃございませんが、一応この地震防災緊急事業五カ年計画の対象となります事業は、昭和五十六年の新耐震基準以前の建物であるということにしているわけでございます。  それからまた、昭和四十年代から五十年代にかけまして、特に先生指摘のような埼玉県あるいは千葉県、神奈川県等首都圏や近畿圏を中心といたします人口急増地帯、あるいは全国的にも第二次ベビーブームというような形で相当校舎を建てておりますので、今後、三十年を経過するような建物が数年間以内に相当数ふえてくるというような状況については承知いたしております。  いずれにいたしましても、個々の建物の耐力度、あるいは補強が必要か否かというような耐震診断、こういったものにつきましては日常的に各市町村それぞれ、建物の単なる経年数だけではなくて、一応経年数を中心といたしながら、立地条件その他も含めまして個別に点検いたしまして、限られた財政の枠、市町村の中もあるわけでございますので、中長期的な計画を立てていただくということが大事だろうと思っておりまして、緊急五カ年計画にのらない事業等につきましても、それらを含めまして、私どもは今後中長期的な観点から必要な財政的な支援に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  159. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 地震防災緊急五カ年計画に計上されているのは、今おっしゃった昭和五十六年、つまり新しい耐震基準が設定されたときです。それ以前の建物のたった七分の一なんです。ですからすそ野は七倍あるということです。それから、建築後二十年以上たった建物の五分の一にすぎないわけです。つまりすそ野は五倍あるということなんです。膨大なすそ野があるということをぜひ直視していただきたいと思います。  そこで、提案なんですが、今、中長期的な計画ということをおっしゃいましたけれども、その前に、地震防災のための第二次五カ年計画検討が必要ではないかと思うんですけれども、それは考えていませんか。
  160. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 先ほども申し上げましたように、現行の地震防災緊急事業五カ年計画平成十一年度、十二年度とあと二年残しているわけでございまして、この二年間の実施状況を見た上で研究していくという課題になろうかと思っております。
  161. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 地震防災対策特別措置法でも第二次五カ年計画を策定することは可能であり、この法律策定に深くかかわった原田昇左右元建設大臣も、その著書「日本を地震から守る 新しい地震防災対策」の中で、「地域防災計画が長期の目標も含んだ基本的枠組みであるとすると、その万全な実施を担保するためには、次の五箇年計画を引き続き作成していくことは、地域防災上大変重要なこと」と述べておられます。  文部省としても、地域住民の避難所になるわけですから、緊急五カ年計画の五倍、七倍のすそ野があるわけですから、ぜひ次も計画的に進めていくという計画検討していただきたいと思います。  次に、提案をするんですが、具体的に考えていただくために、私が直接見聞きしてきたことをお話ししたいと思います。  教育現場では、学校校舎の老朽化を前にして、耐震補強か、耐震補強と大規模改修の組み合わせか、建てかえかのいずれかの判断が迫られるわけですが、これは担当者もそう認めておられましたが、率直に言って行き当たりばったりの感を否めません。  例えば、鉄筋コンクリート校舎の耐震補強の場合、相当大がかりなものになりますから、外壁や内壁、床などの大規模改修とあわせてやる場合があります。見た目には確かに大変よくなるんですけれども、表現が悪いのですが、これはいわば高齢者につえを持たせる状態だと伺いました。つまり耐震補強と大規模改修によって建物の寿命が必ずしも延びるわけではない、支えることになるんだということです。耐力度調査でコンクリートの劣化がひどい場合、お豆腐に補強工事をやってもお豆腐はつぶれてしまう、こういう表現をしている方もおられました。  文部省もこういう認識がおありですよね。
  162. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) コンクリートの建物自体がどの程度使用にたえ得るかということでございますけれども、一般的には補助の取り扱い上五十年間ということを考えているわけでございまして、その間に個々の建物の状況によって劣化の度合いというのは変わってまいります。  したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ途中段階で一定の大規模改造あるいは耐震補強工事をやることによって、おっしゃるとおり安全性を増していくということがまず基本的な役割だろうと思っております。その上で、残りの二十年ぐらいの間で計画的に新たな建物への改築をやっていく、そういうゆとりの期間ではないかと感じております。
  163. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 もう一つの例なんですけれども、私は築後三十年以上もたったピロティー校舎というのを見てきたんです。耐震補強と大規模改修を実際にやったところと、これからやろうとするところを見てきたんですけれども、一種の高床式校舎なんです。一階部分には足しかありませんし、北側には廊下もありません。耐震性が弱いということで一階部分が補強されて新たに壁面がつくられました。二階、三階の北側壁面が補強されて、窓はもとの三分の一よりも少なくなった上に、壁を厚くしたためにそれでなくても狭い教室がさらに狭くなってしまって、四十人学級ですと机を横に二個一組で四列並べますと、私実際にやってみましたけれども、机間巡視、机の間に入って個別指導をすることですが、これができないのです。  子供たちや教職員、保護者にも大変不評のこの工事、二億円かけてやっています。今年度同じような工事をもう一校やろうとしているのですが、遠からず改築、建てかえが必要との認識もありながら、多額の予算でしかも教育環境の悪化を招くようなこうした工事をするということは決して好ましいとは思えないんですけれども、どのように考えますか。
  164. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) コンクリートの建物、やがて建てかえが必要だというのはそのとおりだろうと思います。いつまでもそのままもたせるというわけではございませんけれども、しかしながら、すべての建物がそうでございますけれども、メンテナンスをきちっとしていくということによって保存状態をよくし、それをできるだけ快適な状況で長く使っていくということは必要なことでございまして、大規模改造事業というのはそういう観点から行われているわけでございます。  耐震補強につきましても、大規模改造工事と一緒に行われることもございますが、耐震補強自体で壁面が若干厚くなるということはないわけではございませんけれども、工法によっては全くそういうこともないという工法もございますし、通常学校建物の壁、厚さ二十センチ前後でございますけれども、どんなに厚くなっても十センチぐらいのところで済むというようなことでございますので、これ自体は安全性あるいは利便性を確保するという観点から私どもは必要な適切な工事であろうと思っているわけでございます。  なお、近年におきましては、教室の面積も含めまして補助対象面積それ自体を、子供たちの体格あるいは多様な学習スタイルに応じたオープンスペース等の場所を確保するというような観点から、補助対象基準面積も拡大するというような努力も行っているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  165. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 今の例は和光市というところの学校の例なんですけれども、六千名からの地域住民、保護者からのぜひ建てかえをという請願が上げられまして、市議会でも全会一致で採択されたという経緯もあったんですね。それでもこういうことに、子供たちは工事中のプレハブ校舎の方がよっぽどよかった、そういうふうに言っているほどの悪評の耐震補強でした。こういうのもあるということです。  ほかにも、耐震診断をしたら危険だというのでプレハブ校舎をつくって当面の対応を余儀なくされたり、そうなると困るからということで耐震診断をしなかったり、本当にいろいろなんです。  そこで提案をしたいのですが、児童生徒数が減少している今日にふさわしく、計画的な学校校舎等施設の老朽化対策、つまり当面策との組み合わせも含めて学校改築計画をつくっていったらよいのではないでしょうか。そうでないと、今やっている当面策が浪費になるのか、それとも全体計画の中で本当に必要なのかわからないわけです。  さきに紹介した草加市では、長い間の議論を経て地震防災緊急五カ年計画を契機に、市独自の五カ年計画をつくっています。市町村単位にやろうと思えばできることです。文部省が本腰を入れないと、これから五年、十年、十五年、二十年と長いスパンで見たときに本当に大変なことになると私は思っているんです。行き当たりばったりというのは教育の場にふさわしくないことだと思うんです。  文部大臣計画的な学校校舎施設の改築、それに取り組む意欲はおありではありませんか。
  166. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) いずれにいたしましても、学校が安全であるということが第一であります。これはもう絶対その方向に進んでいきたいと思います。  それからまた、計画的にこれからどうやっていくかということでございますけれども、厳しい財政ということもあります。そういう範囲でできるだけの努力はいたしているつもりでありますし、今後もいたしたいと思っております。     ─────────────
  167. 久世公堯

    委員長久世公堯君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、和田洋子君が委員辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。     ─────────────
  168. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず、文部省委嘱等事業に関する検査院の指摘についてお聞きしたいと思います。  これは先ほど自民党の岩城委員質問されたことなんですが、文部省実施している委託事業委嘱事業とはどのような事業なのか教えてください。
  169. 小野元之

    政府委員小野元之君) 今回、不正が発覚いたしました委嘱事業でございますけれども、この委嘱事業と申しますのは、文部省で各種の教育関係事業教育委員会委嘱することがございます。中身といたしましては、例えば専門的、技術的な指導者に対する養成講座を各県の教育委員会にお願いするとか、あるいはスクールカウンセラー配置等につきましての調査研究を行う、あるいは道徳等について実践的な教育活動をどう行ったらいいかといったようなことを委嘱するとか、学校現場や教育委員会に対してそういった取り組みをしていただくことによりまして、文部省としては文教行政にその結果を反映させるというような目的でこの委嘱事業を行っているところでございます。
  170. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 経理の仕組みについて教えてください。
  171. 小野元之

    政府委員小野元之君) これは具体的に文部省委嘱する事業でございますけれども、この委嘱事業に対して、県の教育委員会等がその会議を開くための講師の謝金でございますとかあるいは会議費を使うとか、そういった形で県からこの経費を使ったということが出てくるわけでございまして、それらに要する経費を国として支出をしているものでございます。
  172. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 一九九六年度以降の実績額、それから一九九六年度及び一九九七年度の検査報告会計検査院から指摘を受けた点について説明をお願いします。
  173. 小野元之

    政府委員小野元之君) 会計検査院から指摘を受けましたのは、平成年度決算検査報告書において四件、それから平成年度報告において二十二件が指摘を受けたものでございます。  この具体的内容といたしましては、指摘総額が平成年度につきましては約四千八百四十六万円、それから平成年度につきましては約二億九千九百六十万円ということで不正経理指摘を受けたところでございます。
  174. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 お手元に、「会計検査院指摘による文部省委嘱事業及び同委託事業不正経理状況」という一覧表があると思います。  ちょっと数字の確認なんですが、不正支出額は合計して三億四千八百六万円になると思うんですが、先ほど二億幾らとおっしゃって、ちょっと金額がずれているんですが、その点についてちょっと説明していただけますか。
  175. 小野元之

    政府委員小野元之君) 不正支出額と私ども報告申し上げましたのは、指摘を受けた金額でございまして、先生からお示しのこの資料は、具体的な不正支出額とそれを別途経理した額をそれぞれ金額で出していただいているものでございます。したがいまして、この不正支出額と別途経理額の間には、例えば源泉徴収等で引かれている部分がございますので、若干の金額の違いがあろうかと思います。
  176. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この表を見ますと、ほとんどの、ほとんどといいますか半数の都道府県で同じような不正経理がされている。例えば神奈川県の場合は五千四百六万円というような不正支出額になっております。  大臣にお聞きしたいんですが、このような不正経理が行われていたということは、全国的な事態ではないのか。官官接待や不正経理、さまざまなところで、非常に国民の関心を呼ぶ大変問題になっているんですが、特にこれは教育委員会がこういうふうにやっていた、法令違反の会計処理が恒常的に行われていたと。年度がわたっておりますので、これは特に重大だと思います。  この点につきまして、つまり国から委嘱を受けた事業経費を多数の都道府県教育委員会が不正に経理をしていたということについて、どのように大臣はお考えなのか、お願いします。
  177. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) いずれにしても、このような事態が生じたということは極めて遺憾だと思います。  全国的に不正経理事態が生じていたことにつきましては、指摘を受けた府県教育委員会等におきまして国費を厳正に執行すべきとの意識が希薄であったこと、また府県内における内部牽制機能が十分でなかったことがその原因であるかと考えております。  いずれにいたしましても、こういう事態はあってはならないことでございますので、今後、このような事態が生ずることのないよう関係会議等を通じて厳正な予算の執行について指導し、再発防止に努めてまいりたいと思っております。
  178. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 素朴な疑問なんですが、このように多額の不正支出が行われて不正経理が行われていることについて、文部省としてはチェックができなかったのでしょうか。
  179. 小野元之

    政府委員小野元之君) これらのこういった指摘を受けるような事態が多くの県であったということは、私ども深く反省をしておるところでございます。  ただ、これらの事業につきましては、この不正経理の結論でございますが、例えば専門家の研修のための会議を開くといった場合に、そのときに使用すべき金額を会議に直接関係のないほかの食事代に使ったとか、あるいはほかの会議費に使ったとか、あるいは非常勤の職員人件費に使ったとか、さまざまな形がとられておるわけでございます。  この点については、私どもといたしましては、今回の検査院の指摘を受けまして、検査を受けていないのも十県あるわけでございますけれども、そういったところに対しましても同じようなことがないかどうか非常に厳しく調べておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういったことが二度と生じないようにいろんな施策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
  180. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 使途は、タクシー代あるいは会食費等職員の夜食代というふうな形で使途があるわけですね。  今のでちょっとわからないのは、なぜ今まで文部省はチェックをできなかったのか。これを受けて、どうすればこのような不正経理が起きない、あるいは文部省はチェックをできるというふうに考えているのか、それについて教えてください。
  181. 小野元之

    政府委員小野元之君) こういったことが各県でかなりあったということを私ども深く反省しておるわけでございますけれども一つには、こういった金額の予算の示達が若干時期的におくれまして、それで県としてはこういう費目に使ってもいいということで例えば会議費とか食事代等に使った。しかし実際の事業としては、お金が後から来たときには文部省からはその費目は認められなかったというようなことがあったわけでございまして、これは示達がおくれているということも原因の一つではなかろうかと思っておりまして、こういったこともなくしていく努力をしなければいけないと思っております。  いずれにいたしましても、大臣からも御答弁申し上げましたように、各県の担当者の方々が国費を厳正に執行すべきだという気持ちを強く持っていただかなければいけないと思いますし、それから、それらの費目が例えば会議費が少し残ったのでそれを物品の購入に充てたといったようなこともあるわけでございまして、公費を厳正に使うという意識がやっぱり少し足りない部分があると思います。一人の人だけではなくて、何人かの人がきちんとそのことに目を通すような内部のシステムも必要だと思います。  そういったことを重ねることで、こういったことが再度起きないよう万全の努力をしたいというふうに思っておるところでございます。
  182. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しつこくて済みませんが、これは例えば慶弔費なども入っております。なぜ文部省の委託・委嘱事業で慶弔費が支出されるのかというふうに思うんです。ですから、質問を繰り返させていただきますが、なぜ文部省はチェックできなかったのか、精神論ではなくどうすればこれからチェックが可能なのかという点について端的にお答えください。
  183. 小野元之

    政府委員小野元之君) これらの経費、この委嘱事業が慶弔費に使えることは全くございません。したがって、これは恐らく県教委の方である程度残余が生じたものをほかに流用したということしか言えないわけでございます。  先ほども御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、これらの示達の経費につきまして、それらを具体的にどう使ったのか、詳しい内容支出の内訳も、例えば現在は諸謝金と委員等旅費と教職員研修費、この三つの項目だけなわけでございますけれども、これに加えまして、具体的にどういう支出をしたのかということも今回から記載していただくことにいたしました。その使途が明らかになるように、文部省としても目を光らせていきたいというふうに考えているところでございます。
  184. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 次に、郵政省における調達問題、特に郵便車両のガソリン購入等についてお聞きいたします。  郵便事業損益を見ますと、一九九四年の郵便料金の値上げにより、一九九七年度までは黒字が続いておりました。しかし、一九九八年度は赤字に転じ、一九九九年度は七百四十二億円の赤字が見込まれております。  一方、郵便料金については、一九九七年六月の郵政審議会答申の郵便局ビジョン二〇一〇の中で、二〇〇五年度までの料金据え置きがうたわれております。ですから、国民はやはり料金を据え置きしてほしい、そのための健全財政ということを大変期待していると思います。  このような激しい状況の中で、国民へのサービスを提供する郵便事業は、より経済的で効率的な事業運営が求められていると思いますが、新型郵便区分機の問題を初めさまざまな問題が出てきております。  そのうちの一つ、総合資材サービス株式会社、郵便局のガソリン購入の問題に絞ってきょうはお伺いいたします。  総合資材サービスというのはどういう会社なのか。設立年月日、それから歴代の社長はどういう人なのか、役員の肩書きと氏名、役員のうち郵政省元幹部の方の最終ポストと氏名を教えてください。
  185. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) お答えいたします。  総合資材サービス株式会社の概要でございますが、設立年月日が平成二年九月二十五日でございます。資本金が五千万円ということで、現在、役員、従業員合わせて百十四名でございます。代表取締役が小宮と申しまして、元東京簡易保険事務センターの所長でございます。  それから業務の内容でございますけれども、ガソリン、軽油あるいはその他の燃料類の仕事、あるいは車両の保守の関係の仕事等をやっております。  以上でございます。
  186. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 歴代の社長と、それから例えば従業員に対して郵政省OBの占める割合、それを教えてください。
  187. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) ちょっと歴代の社長を私きょう手元に持っておりませんので、恐縮でございます、後で別途お届けいたしたいと思います。  それから、百十四名のうちのたしか八十数名が郵政の関係の元従業員ということでございます。
  188. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 こちらが事前にレクチャーしていただいた資料では、代表取締役は元東京簡易保険事務センター所長、取締役二人はそれぞれ元福島中央郵便局長になっておりますし、監査役の方も元東京北部小包郵便局長。  平成十一年五月十二日読売新聞、「郵政職員の天下り先企業 郵便車ガソリン独占受注」という記事では、歴代社長には元仙台地方貯金局長などなど、「郵政官僚OBが相次いで就任、社員の大半を郵便局退職者で占めている。」というふうに書かれております。  それで、総合資材サービス株式会社はガソリン、軽油等の燃料類の売買を主な業務にしていると聞きますが、同社はガソリンスタンドを保有していますか。その状況を明らかにしてください。
  189. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) ガソリンスタンドは持っておりません。
  190. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 全国郵便局で使用されているバイク、軽自動車等の車両台数と、一九九六年、一九九七年度のガソリン等の購入額を教えてください。
  191. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) 車両の関係でございますけれども、自動二輪車いわゆるバイクでございますが十一万三千台、それから軽四の関係が一万六千台弱ございます。
  192. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 これも事前にレクチャーでいただいた資料をきょうお配りすることを頼んでいるのですが、「ガソリン一括購入事務の新旧イメージ図」。  ガソリンの購入については、配付した郵政省作成の資料にあるように、従来は各郵便局が地元の各給油店と契約をしてきておりました。一九九二年二月から地方郵政局ごとに一括して購入する方式に順次変更して、一九九七年十月までに全国で行われるようになったと聞いております。つまり、一括購入後は間に購入会社、この総合資材サービスが入って、各給油店と契約交渉、支払いをする、こういう形になっております。  そこで、郵政局単位での一括購入に変更した理由、そして一括購入変更後に行われた入札回数と各入札の応札者数及び落札者名を明らかにしてください。
  193. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) 従来は、郵便局で使用するガソリンの購入につきましては各郵便局が個別に給油店と契約をいたしておりましたけれども郵便局の負担軽減、それから事務の効率化を図るために、ガソリン購入事務を各郵政局ごとに集約して外部委託、いわゆるアウトソーシングしたものでございまして、全体として経費の効率的な使用になっている、その実績は上がっているというふうに私どもは思っております。  入札の回数というのは私ちょっと手元に持ってまいりませんでしたけれども、応札というか、実際に応札をした者は今まではこの総合資材サービス株式会社一社でございます。
  194. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 過去十七回行われた一般競争入札では総合資材サービス株式会社のみ参加をして落札している。一度落札契約するとその後三年度にわたり自動継続であると。一社しか、つまりたくさん郵政省OBがいて、歴代社長も郵政省の方であるこの総合資材サービス株式会社しか応札がないと。  このことについては、なぜこうなるんでしょうか。
  195. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) 私どもは無理な要求とは従来思っておらなかったわけですが、実はガソリンの購入契約に当たりましては、確実かつ安定的にガソリンの供給が受けられますように入札参加者には給油場所証明書というものの提出を求めております。この条件は、信頼性がある会社で、ある程度の事務能力のある会社であれば困難ではないというふうに考えておりましたけれども先生指摘のとおり、実際には一社応札が続いているという現実を考えますと、あるいは多くの給油場所証明書を確保しなければならないということが他の応札者があらわれない一つの要因にはなっているのかなというふうに今考えているところでございます。
  196. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 つまり、業者が郵便局の使いたいスタンドすべてと契約を結んでいなければ入札に参加できないと。例えば、私が入札したい、応札したいと思っても、すべての郵便局がどこのスタンドと契約を結んでいるかを全部調査して、そして私自身がそこと契約を結んでいなければ応札そのものができないわけです。だから、そういうことは普通の一般企業では難しいと思うのです。  そこで、総務庁にお伺いいたします。  今お聞きになったように、郵便車両のガソリン購入について、従来は各郵便局で個別に給油店と契約していたものを一括方式にしたと。しかし応札、入札に応じたのは郵政省OB会社である総合資材サービス一社であると。総務庁がこれまで推奨してこられた事務の効率化を求めての外部委託というものが、結局、入札、契約の実際では一社しかそもそもないと。全く競争力を欠く事態を招いていると思われますが、この点についての総務庁の所見をお伺いいたします。
  197. 東田親司

    政府委員(東田親司君) お答え申し上げます。  まず、郵政資材の調達業務に対しまして、現在、施設整備、資材調達を中心といたしまして郵政事業に関する行政監察を実施し、取りまとめ中でございます。  その中で、一般的に申し上げますと、物品の調達全般にわたりまして、契約の方式でありますとか特別の仕様のあり方、それから品質検査等につきまして調査の項目としているところでございます。監察の取りまとめにつきましては、できるだけ早急に取りまとめいたしまして、改善を図る必要がある事項につきましては改善方勧告いたしたいと思っております。  ただいま先生指摘の本件の問題でございますけれども、私どもの調査項目といたしまして、契約の方式は原則一般競争入札であるという考え方のもとに調査を進めておりますので、一般競争入札の実効が上がっていない実態が見られた場合には、私ども是正方を指摘いたしたいというふうに考えております。
  198. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 八年もの長い間、一般競争入札にもかかわらず総合資材サービスの一社しか応札がないと。こういうことについて郵政省は疑問に感じられることはなかったのでしょうか。応札条件に郵政省OB会社以外の参加を阻害する要素はなかったのかどうか、点検、分析がこれまで行われたのかどうか、これから透明性や入札契約の競争性を高めるためにどのような方策を考えておられるのか、大臣の御所見をお願いいたします。
  199. 鍋倉真一

    政府委員(鍋倉真一君) 今まで調査というものは私どもは具体的なことはやっておりません。  ただ、先ほど私ちょっと御答弁申し上げましたように、実際に一社の応札が続いているという現実を考えますと、この給油場所証明書というものを確保しなければならないという条件が果たして今のままでいいのかどうかということは考えなければいけないなというふうに思っているところでございます。
  200. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 冒頭、福島先生の方から郵便料金を値上げしないで一生懸命頑張ってほしいというお話がございました。実際、今のところ景気の影響もございまして、いろいろ厳しい状況であることも御理解いただいていると思います。その中で、郵政省としても、まずは多種多様なサービス展開することで多くの皆様方に御利用いただくということとあわせて、やはり効率化とか節減、そういうことに今両方取り組んでいる中で、その一つの形が外部委託、アウトソーシングということを利用させていただいたわけでございます。  ですから、まず初めに、外部委託自体は、経済効果が先ほど鍋倉さんの方からありましたように実際ありまして、年間四千万円ほど経費を浮かせていただいているということで、それはそれできちっと効果は上げてきたということを御理解いただきたいと同時に、先ほどありましたように、ハードルが高くて、本来一般競争入札で広く公募しているんだけれども、その条件が厳しいということで結果として一社しか応札できなかったということがあったわけでございます。  それに関して、逆にそれで郵政省がマイナスになったわけじゃなくて、むしろそれであっても経費節減はできてきたという実態があったということも御理解いただいた上で、今後はそういう疑念、せっかく入札制度があって一般競争だと言っている割にはそれができていないじゃないかという、そういう疑念を抱かれないように競争性を高めなきゃいけないなということで今検討しているところです。  実は、今そのハードルの高さというのは、恐らく郵政局単位でやっているから数県にまたがらなきゃいけない、広範囲にそういうことをきちっと確保しなきゃいけないということが一つ問題ではないかということが今回いろいろ検討した結果出てきましたので、これからは順次契約を府県単位ということでハードルを下げて、それで競争を促進していき透明性を高めていく、そういうふうに取り組んでいきたいと思っています。
  201. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 入札を都道府県単位にしても、それぞれのガソリンスタンドと契約をしているところでなければ購入会社になれないということであれば、ハードルの高さは私は変わらないというふうに考えております。とにかく八年間、十七回行われた一般競争入札で応札したのが郵政省OBの会社しかなかったということを踏まえて、もっと違う展開、今後検討をお願いいたします。  済みません。時間になりましたので、もう少し聞きたいのですが、以上で終わります。
  202. 泉信也

    泉信也君 文部省教育行政に懸命に取り組んでいただいておりますことにまず敬意を表したいと思います。  先ごろの教科書検定の結果につきましても、これまでよりまた一段といい教科書をつくろうという成果を出していただいたと思っております。しかし、たしかこれは小学校六年生の社会科だと思いますが、国旗・国歌の部分でなお君が代については全く触れられていない教科書がパスしておるというような事態を見まして、さらなる御努力をいただきたいとまず申し上げておきたいと思います。  きょうは、いろんなことをお尋ねしたいんですが、時間がございませんので、日教組との関係についてまずお尋ねをいたします。日教組が今年度の運動方針を決めた中で、平成年度までの考え方と幾つか違うところがございます。その中で、きょうは一つだけ、国旗・国歌についてお尋ねをいたします。  今、国会でこの国旗・国歌の問題の議論が始まりましたが、それに相呼応するというか、逆の呼応をしたのではないかと思いますが、平成年度方針にはなかった日教組の国旗・国歌に対する運動方針が、この十一年度では、日の丸・君が代のいかなる強制にも反対し、国旗・国歌としての法制化を許さない取り組みを進める、こういう方針が示されております。  このことに対して、文部省はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  203. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 今回の定期大会で決定されました日教組の平成十一年度の運動方針は、平成年度以降の運動方針基本的に踏襲したものであると考えております。しかし、運動方針や大会宣言等に今御指摘のように国旗・国歌の法制化に反対等の内容が盛り込まれたということも承知いたしております。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  私といたしましては、これにより日教組の平成年度以降のこれまでの路線が基本的に変わるものではないと受けとめておりますが、今後の具体的な行動を見きわめていく必要があると考えております。
  204. 泉信也

    泉信也君 一たん運動方針からおろしたものを再度掲げるということにはそれなりの日教組の思いが込められておるというふうに私は思うわけであります。  そこで、今議論をされております国旗・国歌の話の中で、文部省がお答えになりました事柄を見ますと、指導要領にのっとってどういう指導教育の現場でしていくか、こういう問いかけに対しまして、児童生徒の内心に立ち入ることはできない、こういうお答えをしていただいておるようです。しかし、それは従来と恐らく同じ見解を文部省はお答えになったのではないか。  国旗・国歌というものが法律で決められた後も、教育の現場では全く変わらないような指導をなさっていかれるおつもりでしょうか。
  205. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) たびたびお答え申し上げておりますように、指導要領に基づきましてきちっと国旗・国歌についての教育を行い、また各式典におきましてはきちっと国旗を掲げ、国歌を歌うよう指導してまいります。
  206. 泉信也

    泉信也君 このところ毎年、入学式、卒業式でどれだけ国旗が掲げられた、あるいは国歌が斉唱されたかという報告をいただいております。しかし、実態は文部省から報告をいただくような高い率ではないのではないか。  大阪府の中学校の先生がある書物に書かれました実態を読んでみますと、お子さまランチに日の丸を立てて、国旗を掲げた、こういうこともあるんだということが書いてございました。  また、これは産経新聞に載った大阪府での市民団体の実態調査ですと、国旗の掲揚はわずか六校、それから全員が国歌斉唱はわずか四校であった、こういう報告が新聞に出ておりましたが、文部省の調査結果と余りにも乖離があるのではないか。  このことについては文部省はどういう理解をしておられますでしょうか。
  207. 小野元之

    政府委員小野元之君) 文部省が昨年実施した調査でございますけれども、例えば大阪府の公立高校の実施率、国旗掲揚は九一・七%、国歌斉唱は四三・一%というふうになってございます。  これに対して、先生指摘のようなことがあるということは私どもも承知はいたしておりますけれども、私どもとしては教育委員会に対してお尋ねをして、教育委員会が学校からの報告を上げてまいります。それらを集計いたしまして何%ということを私どもは見ておるところでございます。
  208. 泉信也

    泉信也君 数字が恐らく実態とは相当かけ離れておるのではないか。生徒あるいは教職員の反対するところは目に見えないようなところに掲げて、それでも国旗を掲げたというふうな報告がなされておるのではないかというふうに私は思うわけです。ぜひこれからもう少し細目にわたってお調べをいただければ幸いだと思います。  それから、今回の国旗・国歌の法案が通りました後のことでございますけれども、入学式、卒業式、そういうところだけで終わるのか、始業式とか終業式あるいは創立記念日、もっと国旗の掲揚、国歌の斉唱というような機会をふやす、そういう指導をなさるお考えがありますか。
  209. 小野元之

    政府委員小野元之君) 今回の国旗・国歌法、御審議をお願いしているところでございますけれども基本的には従来学習指導要領で卒業式、入学式等の学校行事で国旗を掲揚し、国歌を斉唱することをお願いするということについて、この法案をお認めいただきました時点で今までの方針と変わるというものではないわけでございます。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕  ただし、今回の法案がお認めいただきますれば、さらにより国旗・国歌の根拠が成文法として明確になるわけでございますので、文部省といたしましては、各教育委員会、学校に対して適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  210. 泉信也

    泉信也君 先ほど、文部省の国会での御答弁、児童の心に立ち入るものではないか、それに指導の限界があるというようなことをお答えになったということを引用させていただきましたけれども、私はこれは日本人であるかどうか、日本人のアイデンティティーを問われるような事柄だというふうに思っております。  ですから、小学校低学年の子供たちに繰り返し繰り返し教えていくということが非常に重要なことだというふうに思うわけです。日本の国旗・国歌に例えば卒業式では起立をしない、歌わないというような子供たちが、本当に世界の国旗・国歌に対して尊敬の念を抱くのかどうか甚だ疑問であるわけです。  今回の法制化というのは、世界に通用するような子供たちを育てよう、そういう大人にしていこうという思いがこもっておるわけでありますから、ぜひ小学校であるいは中学校でのこの問題への取り組み方についてはこれまで以上に腰を据えて取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  もう一つ、今度は全然別の話でございますが、高校野球というのは日本人の心の中に大変いろんな思いを今日まで残してまいりました。夏の大会が既に始まりまして、夏の風物詩として国民の中に定着をしておるわけです。  実は、春の大会で優勝をいたしました沖縄尚学高校のユニホーム、この学校のユニホームの右そでに「文武両道」という言葉があらわされておったわけです。ところが、二回戦目に、高校野球連盟がその刺しゅうはいかがなものかという話をなさったということを承知いたしておりますが、この高野連の指導について文部省はどのようにお考えでございますか。
  211. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) まず最初に、沖縄尚学高校が優勝されたことは、私は大変うれしかった。それで、早速、下手でありますけれども大きく字を書いてお祝いを贈ったところでございます。小渕総理もまた色紙を贈られました。  今の御質問に対してのお答えでございますけれども、高等学校野球連盟に事実関係を確認いたしましたところ、高野連としてはユニホームに入れる文字に関する規定は定められていないということでございました。しかしながら、高校野球関係者の共通な認識といたしまして、ユニホームには学校名、校章、地名といった試合に最小限必要なもののみを入れるべきであるという認識があるということであります。高野連ではこれまでも必要に応じて指摘したと聞いております。  御指摘の件につきましては、沖縄尚学高校が春の選抜大会の出場に当たってユニホームを新調した際に、学校及び野球部のモットーである「文武両道」の縫い取りを入れたことについて、高野連が学校関係者に従来の考え方を示したところ、学校側より、次回大会以降縫い取りを外す旨の報告があったとのことでございます。  しかしながら、一方では校訓などについてはユニホームに入れても差し支えないのではないかとの御指摘もあることから、高野連といたしましては、そのあり方について今後検討していきたいとのことでございまして、私及び文部省といたしましては、その検討を見守ってまいりたいと考えております。
  212. 泉信也

    泉信也君 大臣、丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。事実もお答えのとおりだと私も承知をいたしております。  沖縄尚学高校は、そのユニホームを記念品として出場した選手にそれぞれお渡しをしておる、そしてこの春の大会からはその縫い込みをやめたユニホームを着用して出場しておられるということなんです。  しかし、規則がない、決まっていない、そのことをだれが責任を持って尚学高校にそんな注意をしたのか、甚だ越権ではないかと私は思うんです。しかも、この言葉が文武両道という、これはその学校のモットーなんですね。釈迦に説法ですけれども、武というのは戈をおさめる、最もある意味では知育、徳育、体育、そういうことを兼ね備えた生徒を育てようという言葉なのに、それに何らかのクレームをつけるというのはいかにもやり過ぎだと、私はそういうふうに思うわけです。  この右側につけたマークは、あと岩見沢、高田、静岡、長崎、そういう高校もマークをつけて出場しておったというんです。もう夏の大会が始まっているのにまだ決めていないというのは実にふざけておると私は思います。そのマークが反社会的であるとかあるいは公序良俗に反するとか、あるいは野球大会の雰囲気を壊すというようなものであればそれはやむを得ません。しかし、こういう指導を高野連はすべきではない、むしろ、それをやるんだったら、野球留学だとかなんとか言われておることの方をもっと厳しく対応すべきだと私は思っております。  以上申し述べまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
  213. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  いつもながらのしんがりでございます。あと十五分ほど、ひとつよろしくおつき合いのほどお願いを申し上げます。  きょう、午後からでございますが、いろいろな方々の教育に対する思い、教育論がいろいろ交わされたわけでございまして、私も非常に勉強をさせていただきました。きょうの議論を聞いておりますと、大変活発ではございますが、ある意味では非常に議論がかみ合っていたというような印象もなきにしもにあらずで、お互い確認をし合っているのかなというような思いにもなったわけでございます。  それと同時に、前からいろいろお聞きしているものがかなりの部分を占めていた。にもかかわらず、教育の現場というのはそれほど進歩していないというか、インプルーブされていないというのも現実であるかなというような思いをしたわけでございます。それは、私なども反省しなくちゃいけないのでしょうが、一つは、教育と言いながら社会に押しつぶされている面があるのではないかというような感を抱いたわけでございます。  私は教育論を述べるほどの見識はございませんので、印象だけでございますが、教育そのものというのは、やはり次世代に対して自分と同じかあるいはそれ以上の人格を育てることでありますから、生半可な覚悟ではできるものではない。自分と同じだけの、自分が生きてきただけの同じもの、同じだけの努力をしなくちゃいけないというような感を持っているわけでございます。  きょうは教育についての質問、先ほどからたくさん出ておりますので私の出番ではございませんので、教育とある意味ではちょっと共通した点もございますが、中山間地域の活性化、日本の国土の一つであります中山間地域の活性化と教育という面からひとつ質問をさせていただきたい、こう思う次第でございます。  先ほど岩城先生等から、ふるさと学級ですか、自然とのかかわり合いについての御質問が出ました。それは教育という観点からかと思いますが、私はどちらかというと、日本の国土の一つである中山間地域という観点から質問をさせていただきたいと思っている次第でございます。  中山間地域というのは、これはここにおられる方も、一時期はほとんどわからなかったのですが、最近ちょっとわかるようになったかなと。私も代表質問で中山間地域という言葉を使いましたが、答弁がございましたので、大分一般的になったかなと思うんですが、これはある意味では条件不利地といいますか、生活の面あるいは産業の面での条件不利地。中山間地そのものは統計上の分類で、分類によれば日本全国の七割が中山間地に含まれているとかそういうようなことがございますが、そういうことでなく、条件不利地。これは余計なことかもしれませんが、ヨーロッパなんかでLFA、レス・フェーバード・エリア、こっちの方がよほどわかりやすいような感じがするんですが、そんなふうに呼ばれている地域についてでございますが、御存じのとおり大変過疎化が進んでいる地域でございます。  そんな中で、日本の中にはいろんな方がおられますから、今の日本の経済効率主義からいえばそれは当然消滅してもいいではないかというような議論もあろうかと思います。それはそれで一つの議論かと思いますが、昔のような状況でほうっておけば自然に返るというようなことであればいいわけでございますけれども、今はほうっておいても昔のような深山幽谷に戻るというようなそんな状況ではない。  ということは、これは機械化といいますか、非常に動力を使えるようになった今の近代社会の一つの宿命といいますか、その影響だろうと思うんですが、御存じのとおり、いろんな開発行為が簡単にできるわけでございます。ゴルフ場の開発、あるいは開発でなくてもごみ処理場。これは、私など地方におりまして、最近、山地がどんどん買い手がつく、買いに来る人が多い。それをよく調べると、何か将来ごみ処理場にする意図があるんだというようなことを聞くわけでございます。  それはそれ、一つ考え方であろうと思いますが、この中山間地域、これは住んでいる人の問題ばかりでなくて、この中山間地域が荒れますと、中山間地域役割というのは、私が申し上げるまでもなく、森林が酸素を供給するとか水資源の源であるとか、あるいは洪水を防ぐとか、あるいは都会の人がレクリエーションの場として活用するとか、ある意味ではそこに住んでいる人のためというよりも川下の人、人がたくさん住んでいる川下の人のために健全な整備をしなくちゃいけないという地域であろうと私は思っているわけです。  そのためには、やはり日本の社会の一部として、コミュニティーとしての管理が果たされなければいけない。したがって、日本国民全体の問題としてとらえられなければいけないということで、十二月の代表質問、あるいは先般、食料・農業・農村基本法の代表質問でも総理にお伺いしまして、総理も非常に前向きに、やはり全体的な問題だという御答弁をいただいたわけですが、まずその辺について、大臣、この中山間地域、いわゆる条件不利地というものについて、日本の国土の一部としての位置づけでもございますが、これは教育の場、文部大臣という立場でなくても結構ですが、まず御認識をお聞かせ願いたいと思います。
  214. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 中山間地域というのは極めて大切なところだと思っております。  一般に耕作条件が不利なことから、高齢化比率が高く過疎化が進行しているというところが一つ問題であると聞いております。  一方、先ほど申しましたように、この中山間地域は自然に恵まれた我が国のふるさとと言えるような地域でございまして、農業面における役割だけではなく、国土・自然環境の保全、水資源の涵養、それから景観のよさというふうなことを通じまして人々の生活を豊かにするということに大変役に立っておると思います。  私自身の関心はもう一つございまして、二酸化炭素を非常によく吸ってくれるところの一つでございます。地球温暖化において、それを防ぐ上で非常に役に立っていると思います。  そういうふうなことから見ますと、安らぎのある生活確保していく上で極めて重要な役割を演じていると私は認識しているわけでございます。そういう意味で、私といたしましては、このような中山間地域の活性化のための取り組みを一層進めていくことが国として大切であると考えております。  そこで、文部省に参ります。  教育面から考えてみましても、農村が持つ豊かな自然を子供たちに体験活動を生かして教えていかなければならないと私は思っているわけでございまして、それこそ、こういう中山間地域の体験を通じまして生きる力の養成に非常に役に立つと思っております。  そこで、具体的に実行すべしということで農村などにお願いいたしまして、農林水産省と協力させていただきまして、子供たちの自然体験活動を促す子ども長期自然体験村をやるというそういう事業を農林水産省とも連携しつつ推進しているところでございます。そういうものの中に幾つかはこの中山間地が入ってきていると思っております。
  215. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。実は二番目に質問を用意したものを今、大臣にお答えいただきました。  先ほどの岩城委員にもございましたので、大体御答弁はそうだろうと予想させていただきましたが、あえて言わせていただきますれば、いわゆる子供の教育のための教材としてこれをお使いになるのも結構ですけれども、中山間地域そのものが非常に大事だということの認識も教育していただきたい、こんなふうに思う次第でございます。  今のお話を聞きまして、大臣のそういうお考え教育を進めていただければ大変いいなというふうに思っておるわけでございますけれども、今の大臣の御答弁といいますかお取り組みというのは、私なりに解釈させていただきますと、いわゆる都会も含めた子供たちに対して中山間地といいますか、そういう自然のよさを教える。それは、子供たちが教わって将来の日本の国のためには大変いいことであると思うんですが、一方で、先ほど言いましたように非常に過疎化が進んでいるわけでございまして、その過疎化を教育の面からも何らかの格好で抑えられないか。  先ほど申しましたように、いろんな面からの取り組みが中山間地に大事でありますから、教育の面からも取り組みがぜひ大事であると私は思うんですが、そういうことについての質問の前に、まず、この中山間地といいますか過疎地域といいますか、こういう地域で、今の教育現場といいますか、教育実態というのは相当ひどいことになっているんじゃないのか。中山間地というあいまいな定義で申しわけないんですが、そういうところの教育環境の実態、廃校がどんなぐあいなのか、あるいは一クラス学級はどうなのか、どんな傾向にあるのか、その辺を局長、どなたでも結構ですが、御説明願いたいと思います。
  216. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 文部省で把握しております、例えば今御指摘ございました一学年一クラスしかない学校がどれぐらいあるかということでございますけれども、小学校でいいますと六学級以下、中学校で申しますと三学級以下の学校ということでお答えをさせていただきますと、公立の小学校につきましては、本校と分校それぞれ一つずつ勘定いたしまして七千九百三十六校が六学級以下の学校でございます。公立の中学校は千五百八十六校となってございまして、これは小学校で申しますと全体の二万四千校のうちの三分の一、三三%ほどでございます。また、中学校で申し上げますと一万校のうちの一五%ほどが全国にあるわけでございます。  このうち中山間地にどれぐらいあるかということにつきまして、統計上の概念でございますので必ずしも私どもそういう観点では把握はいたしておりませんが、文部省の今までの事業実施上、過疎地域あるいは振興山村、離島、僻地、こういったいわゆる中山間地と重複するであろうと思われる学校について見ますと、このうち小学校では六六%、五千二百校が該当する。それから、中学校につきましては全体の八四、五%、一千三百校ぐらいがこれらの地域に存在するという状況でございますので、大変教育条件としては厳しいということになろうかと思っております。  また、廃校につきまして、平成年度、ほぼ一年間で百九十一校が廃校になったという報告を受けております。もちろんこの中には、東京都や大阪府等都市部で児童生徒が急激に減少するという学校、例えば東京、大阪では全体十七校中十六校が都市部の子供たちということでございます。  抽出で申しわけございませんが、全体の数字全部を整理してきておりません。例えば北海道と愛媛県、熊本について見ますと、過疎地等にある学校は、これらの三道県五十一校中四十四校がこれらの地域における廃校ということで、全体の八五%以上を占めているということで、これらの地域におきます過疎状況というのは大変厳しくなっているということは御指摘のとおりかと存じます。
  217. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 御丁寧にありがとうございました。  今のお話で大体そういう傾向が続いているというふうに理解していいと思うんです。  そこで、見方を変えますと、中山間地域というのは今のお話のとおり、学級も非常に少なくなっているということは児童、学童の数も少なくなっているんじゃないかなというような感じもいたします。そういう意味では、今三十人学級等非常に求められておるわけですから、自然にできたそういう環境になっているんじゃないかなと思いますし、さらには、自然環境も非常に恵まれている。都会の騒音に荒らされない、影響されないで勉強できる。さらに、先般、質問にも出ましたが、今、地域社会とのつながりが非常にない。こういうところにあってはまさに地域社会とのつながりが非常にあるんだと思うんです。そういうところを逆に教育のいい環境として育てるといいますか、PRするといいますか、そういう御努力が必要ではないのか。  それと同時に、これはこういうことを言っていいかどうかわかりませんが、やはり教員の配置にしても、どうしても中山間地というと、山奥といいますと、やっぱりちょっと行って頑張ってこいというような認識があるんじゃないかと思うんですが、その辺は、むしろ教育環境がよいということで、意欲のある教員をどんどんそういうところに配置していただくことが日本の均衡ある発展につながるというような気がするんですが、大臣の御所見をお聞きして、私の質問を終わります。
  218. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 私も先生に大変近い考えを持っております。しかし、なかなか現実に非常に小人数になったときにどうするかという問題がございます。  まず、学校施設の整備につきましては、補助率のかさ上げ措置等を行っておりまして、少し有利になるように努力をさせていただいております。また、中山間地域の活性化を図るというために、学校だけではなくて社会教育施設や社会福祉施設などほかの公共施設との複合化を進める、こういうふうなこと。そして連携を図るというようなことを行うことによって活性化をしていくことができるかと考えているわけでございます。  これまでも関係省庁と連携を図っているところでございます。特に、厚生省及び農林水産省とは近年定期的に連絡協議会を行っているところでございまして、今後とも、中山間地域の活性化を図るため、関係省庁とも連携しつつ、おっしゃるように自然環境のよさを生かした魅力的な学校施設の整備について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  219. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 委員長、一言だけ済みません。  大臣のお答えに大変感謝いたしますが、もっと発想を転換して、いい環境だということをPRするといいますか、そちら側の発想の転換をぜひしていただきたい、こう思っておる次第でございます。  以上で終わります。
  220. 久世公堯

    委員長久世公堯君) 他に御発言もないようですから、文部省郵政省科学技術庁決算の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会