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1999-09-30 第145回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年九月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月二十九日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     広中和歌子君      内藤 正光君     江田 五月君      大脇 雅子君     大渕 絹子君      谷本  巍君     福島 瑞穂君      鶴保 庸介君     入澤  肇君  九月三十日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     緒方 靖夫君      畑野 君枝君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 鹿熊 安正君                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 久世 公堯君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 江田 五月君                 小川 勝也君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 広中和歌子君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 小泉 親司君                 大渕 絹子君                 入澤  肇君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        内閣官房内閣安        全保障・危機管        理室長      伊藤 康成君        防衛庁参事官   小林 誠一君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  藤崎 一郎君        外務省経済協力        局長       飯村  豊君        大蔵大臣官房総        務審議官     原口 恒和君        大蔵省主計局次        長        津田 廣喜君        会計検査院事務        総局次長     深田 烝治君        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成八年度一般会計歳入歳出決算平成八年度  特別会計歳入歳出決算平成八年度国税収納金  整理資金受払計算書平成八年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成八年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成九年度一般会計歳入歳出決算平成九年度  特別会計歳入歳出決算平成九年度国税収納金  整理資金受払計算書平成九年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成九年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、小川敏夫君、内藤正光君、鶴保庸介君、大脇雅子君及び谷本巍君が委員辞任され、その補欠として広中和歌子君、江田五月君、入澤肇君、大渕絹子君及び福島瑞穂君が選任されました。  また、本日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 おはようございます。自由民主党佐藤昭郎でございます。  きょうは、質疑に入ります前に、トルコ西部大震災、そして台湾大震災についてちょっと触れさせていただきたいと思います。  トルコ西部地震は、八月十七日に発震いたしまして、一万五千七百五十六人の方が亡くなられた、これは外務省の方から自由民主党国際災害支援対策チームとしてお聞きしたんですけれども、そして被災総額が九十億ドルから百三十億ドル、トルコのGNPが二千億ドルですから、五%近い本当に大きな震災でした。台湾大震災は九月二十一日に起きまして、これも現在二千百八名の方が亡くなられていると、本当に大きな被害が起きたわけでございます。亡くなられた方々、そして被災者方々には心から哀悼の意をささげますとともに、お見舞い申し上げたいと思います。  きょうは、外務省外務大臣初め幹部の方、そして防衛庁お見えでございますが、国際緊急援助隊あるいは資金協力における対応、仮設住宅の輸送、そういったところにつきまして、外務省防衛庁関係行政当局、そして日本のNGO、民間方々、大変な支援をなさっていただいております。  きのう伺いますと、民間の義援金の額はトルコに対しまして今十八億六千万ということで、これは世界第一位だそうです。小渕総理も十万円のポケットマネーをお出しになったということを聞きましたけれども、非常に質量ともに両国に対して最大の支援をなさっていただいておる。外務省防衛庁につきましても、これからいろいろまたこれは続くわけでございますので、今後ともひとつ頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。  さて、きょうは最初外務省に対しまして質疑を行いたいんですけれども、ODAにひとつ絞って私は質問させていただきたいと思います。  このODA大変予算が大きいわけでございます。平成十一年度のODA予算ネットベースでいいますと、政府全体で一兆五千三百三十六億という大変な支援をしているわけでございますが、現在我が国の財政が未曾有の危機にある状況の中で、端的に言ってODAというのはなぜ必要なんだという点について、大臣の方からひとつ簡潔に国民に対して御説明していただければ大変ありがたいと思います。
  8. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は海外に資源と市場を依存する国でありますが、その我が国繁栄確保するためには、我が国経済グローバル化とともに国際社会全体の平和と安定ということが不可欠であります。ODAは、開発途上国の安定と発展のための自助努力を通じて国際社会の平和と安定に重要な役割を果たすとともに、我が国国益の増進に資する、こういうふうに考えているわけでございます。  また、今なお多数の人々が飢餓と貧困に苦しんでおります。環境、人口、エイズ等地球規模の問題が山積している中で、ODAを通じてこれらの問題に取り組んでいくことは我が国の重要な責務である、こういうふうに考えております。国際社会においても情けは人のためならず、まさに我が国国益のためにやっている、こういうことでございます。
  9. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大臣から最後に大変大事なポイントをおっしゃっていただいたわけでございます。  今おっしゃられた必要性について私なりに少し整理させていただきますと、人道的なものがまず第一でございましょう。そして、次は地球益といいますか、環境問題、食糧問題、人口問題、そういうのもございますが、やっぱりそれと並行してといいますか、そのベースにしっかりと意識していかなければいけないのが、我が国自身の安全と繁栄確保にとって非常に重要な意味がある。今、情けは人のためならずとおっしゃったわけでございますが、そういった点。それから、我が国経済的利益にもこれは資するんだという、ある意味では国益確保という視点ODAベースとしてやはりどうしても、特に二国間援助においてはベースとして非常に大事じゃないかと思っております。  自由民主党対外経済協力委員会の方も、「二十一世紀に向けた戦略的な経済協力の実現を」ということで先般提言をさせていただいたわけでございます。その中にも四つほど挙げておりますけれども、ポイント戦略的視点を持って顔の見える援助国益をしっかり確保していくべきだということが非常に出ている提言をさせていただいたわけでございます。  そういった視点を持ちながら、内部の詳しい点について少し伺っていきたいわけでございますが、まず最初に、今のODAを推進していくための一つの方策として近年非常に取り上げられてきたのが事後評価経済協力ODAを行って終わった後、それらのODAがどのような効果なり効率的に行われたかということを評価する、これが非常に重視されてきたわけでございますが、ODA事後評価するシステムを構築した経緯、あるいは外務省そしてJICA、またきょうの外務省の担当ではございませんけれども、OECFというのがありまして、この三つの機関が行っておるわけでございますが、外務省そしてJICA事後評価予算体制、こういったものは一体どれぐらいなものを今なされてきたか、そこら辺をお答えいただきたいと思います。
  10. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 御指摘ODA事後評価についてでございますが、我が国ODAが効果的、効率的に実施されたか否かを検証することによりまして、その結果を将来の援助政策の策定に役立てる、ODAの質の向上を図るとともにODAの実態につき国民に明らかにするとの観点から実施することとしたものであります。  外務省では八一年から、JICAでは八二年からこの評価活動を行っております。外務省では九〇年に評価を専門に担当する評価室を設置いたしましたけれども、当時は四名の体制で約一億一千万円の予算評価活動を行っておりました。現在は七名の体制で約三億円の予算により活動をしております。JICAにつきましては、九〇年には七人の体制で約五億四千万円の予算により活動を行っておりましたが、現在は十一名の人員及び約九億円の予算により評価活動を行っております。
  11. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大臣から答えていただきましたけれども、この事後評価は大事だということで力を入れていただいている。そしてまた、先ほど申しましたけれども、OECFの方でもやはりなさっている。私もこれは大事だと、そのことについては大変評価するわけでございます。  経済協力評価報告書、これは外務省、そしてJICA、またOECFも含まれて出しておられるものをさっと読ませていただいたわけでございます。  ただ、このときに私は感じたんですけれども、現在、外務省さんが、例えば一九九七年度百五十四プロジェクトJICAさんが百十四プロジェクトOECFさんが三十プロジェクト、計二百九十八といいますか、三百近いプロジェクトについて逐一事後評価をされている。外務省さんの方は半数近くが現地の大使館がなさっているということを伺ったわけでございますが、これを読んでいまして、外務省さんがなさる事後評価JICAがなさる事後評価役割分担といいますか、外務省がやはりもう少し基本的なところをしっかり評価していただく重要性があるんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。  少し具体的に申し上げますと、御案内のようにODA大綱というのがございます。これは平成四年六月三十日に閣議決定されたわけでございますが、ODAをするときの四原則、これに合致しているかどうか、これが一つ基準であるということで今我が国ODAは行われているわけでございます。四原則を申し上げますと、一つ環境開発の両立、二番目が軍事的用途及び国際紛争助長への使用回避、三番目が軍事支出大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払うこと、四が民主化の促進、こういう基準があるわけでございますが、これを、ずっとなさってこられたODAにおいてこの状況がどうであったかをしっかり検証するというのは、僕はやはり外務省でなければできないだろうと思うわけでございます。  この点で、いろんな国があるわけでございますが、きょうはたまたま防衛庁長官もおいででございますので、防衛庁関係の深い、軍事的な点で申しますと中国というのがございます。これは、過去二十年間で我が国が二兆円近いODAをやってきて、最近では二年間で三千九百億ですか、一年間に約二千億というODAを行っているところでございます。  防衛白書を読ませていただいたんですけれども、中国軍事力防衛白書でも触れておられますけれども、中国国防費というのは、八九年以来十一年連続で対前年比一〇%以上、そして九八年度は一五%の伸びである、しかも国防支出の内容がどうもまだ中に入っていないのが相当部分あるのではないかという記述がされております。さらに、我が国固有の領土であります尖閣諸島、あるいは日本排他的経済水域での中国海洋調査船のたび重なる出動等、いろいろな問題を抱えておるということはこの防衛白書でもうたわれておるわけでございます。  それから、これはけさの読売新聞にたまたま載っていたんですけれども、建国五十周年を記念して読売新聞とギャラップが日中でそれぞれの国民の意識を世論調査しております。お読みになったかもしれませんけれども。  ここで衝撃的だったのは、やっぱりそうだったのかなと思ったわけですが、この二十年間で二兆円を超す日本ODA中国ではこれを知らないという方が七五%、四分の三なんですね。これは日本ODA状況中国政府国民に知らせていないという点もあるかと思うんですけれども、まさにこれは政府中国政府に対する申し入れ条項になろうかと思うわけでございます。こういう中国のことを一つとりました。  それからもう一つODA原則国益という点を少し、四原則から少し外れるわけでございますが、大きな意味での国益という点で申しますと、例えばさまざまな国際機関における選挙というのがございます。今度ユネスコ事務局長に松浦氏が立候補されて、選挙が十月十八日になされるということでございますけれども、これ以外にも国際的な日本のプレゼンテーションを高めるいろんな活動外交政策としても大事になるわけでございます。  ここと照らして、日本ODAというのはどうあるべきだというところを、個別のプロジェクトについてのいろいろな評価あるいは国別評価あたりよりむしろ外務省さんが少し積極的に関与していき、またODA白書等でその状況をしっかり認識されて、それらの国々に対してメッセージを送る必要があるかと思うんですけれども、このODA事後評価についての現在のあり方、そして外務省JICA役割分担、そこら辺について伺いたいと思います。
  12. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 外務省我が国外交政策国益にかかわる重要な政策ODA大綱に沿ってODAを実施しているわけであります。また、各被援助国重点課題分野等を明確にする国別援助計画を順次策定して公表すべく作業中でございます。現在、毎年公表している年次報告においてはODA大綱運用状況について具体的に記述しておりますほか、ODA白書においても各被援助国ごと当該国経済社会状況我が国との二国間関係ODA大綱観点も含めたODAの実績とあり方について記述をしているところでございます。今後とも、年次報告ODA白書その他の媒体を通じてODA実施状況についての情報公開を充実強化していく考えでございます。  今、委員から、中国を例に挙げられまして、ODAを供与することについての否定的とも思われる点を幾つか列挙されましたが、それと同時に、やはり中国は改革・開放政策を進めている、それを支援することが日本にとっても利益になるとか、あるいは中国という大国を国際社会に建設的に関与させていくようにしていくことが世界にとっていいことだとか、そういう面もあるわけでございます。全体的なことを考えてやってまいります。  それから、ユネスコ事務局長選挙との絡みで申されましたが、確かに国際社会選挙には公職選挙法というのがないわけでありますから利益を供与して云々ということもあるわけでありますが、それは大きな意味でいろいろその二国間関係を見てまいります。見てまいりますが、それを余りに露骨にやることがまた逆に国際社会全体からのいろいろな評価というのもございます。そういったことも全体を考慮しながら、日本国益というのを考えながらやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  13. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 余り露骨にやるとという話がありましたけれども、もう少し露骨の方がいいんじゃないかと私は思うんです。  大臣ODA白書の中身も御存じで触れられましたけれども、私もODA白書を読ませていただいたのですけれども、やっぱり今僕が申し上げました中国状況なんか、軍事的な問題、それから四分の三の人がその二兆円に及ぶODAを知らないという事実だけでもきちんと記述していかないと、中国の方も見ると思うんです、ODA白書を、政府の方も。ああ日本は働きかけているということで十年ずっときておられる、中国にはこういうことがあるから働きかけてこられるというこの事実で、ある意味では安心してまた協力が始まるということよりも、やはり四分の三が知らないんだということは問題だからこれからはきちんとやっていくというようなことをしっかり記述されることが大事だと思われますので、ひとつよろしくお願いしたいと思うんです。
  14. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今の委員の御指摘は大変重要なことだと思います。そして、私たちといたしましても、中国に対してもあるいはほかの国に対しても、日本タックスペイヤーがこういう援助をしていることをその被援助国国民が知っている、感謝している、そういうことを日本タックスペイヤーが感謝してもらっているのならさらにしましょう、そういう評価につながっていきますよということは、口を酸っぱくしてまでは言っていないかもしれませんが、何度も私自身中国も含めていろいろな国に申し上げているところでありますが、今の委員の御指摘もありますので、これからさらにそういう面もやっていきたい、こう思います。
  15. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、ちょっと私冒頭伺って、これは経済局長さんから伺えるかもしれませんけれども、事後評価の今のあり方について伺えたらと思います。
  16. 飯村豊

    説明員飯村豊君) ただいま先生指摘のとおり、現在、事後評価、これは外務省JICAOECF協力し、またそれぞれがやっておりますが、基本的には個別のプロジェクト事後評価が中心になっております。  先生の御提起のあった外務省は基本的なところの評価をしたらどうかという点でございますが、国際社会では政策評価というような言葉を使っているようでございますけれども、これは私ども今後の課題としてさらに充実を図っていきたいというふうに考えております。さらに、全体的な政策評価的な面は、先ほど大臣の方から申し上げましたように、ODA白書あるいは年次報告、これらの点でなるべく詳細に記述しているところであります。
  17. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 私もそれぞれの機関の御努力はこれは高く評価するものであって、これまで国会でもいろんなことをやらなきゃいかぬと申し上げてきた。自民党の、我が党の協力委員会提言でも、しっかりやれ、半分以上やれというような提言も書いたので、少し私の個人的な意見になるかもしれないんですけれども。  ただ問題は、非常に限られた人員予算の中で今ODAというのはやっていかなきゃいけない。冒頭、大臣の方からODAの理念を伺ったんですけれども、ODA現場では、このODAというのは、日本は軍事的な力がない、したがって外交の道具としてはODAがある意味では唯一のツールだという話がありますが、相手国援助国に行ってみますと、ODAというのはある意味では戦場です。いろんなドナーカントリーが来て、あるいは国際機関が来て、いいプロジェクト、いい地域、いい実施機関といかに結びついて、自分たちODAがいかに評価を上げるかというような戦場で、すさまじい、ある意味では援助合戦といいますか、いわゆる生々しい現場であるのも間違いないところなんです。  ですから、限られた予算の中でそこを勝ち抜いていく、日本ODAというのは一兆五千億になって、日本にとってこれが非常に大事な状況の中で、ODAというのをどうやって展開していったらいいかというときに、その人員、コストを有効に使っていかなきゃいけない。事後評価についても、先ほど申しました三百近くのプロジェクトを今までのとおりに外務省さんが現地に行っていろんなことをなさる、本国から行ってなさっていく、それからJICAもなさるというのを少しやはり改革していく時期に来ているんじゃないかと思うんです。二国間援助というのはどれが効率的だったかというのは非常に難しいと思うんです。  私もこの評価報告書をずっと読ませていただいたんですけれども、毎年これは指摘されておられるんですけれども、問題点だったところを九十項目指摘されたものを分類されたものがあるんです。  大きいのは、「外部阻害要因」、いろんな地震とか金融危機とか、そういうどうにもならなかった原因でうまくいかなかった、それが一四%。四二%は「先方政府実施機関体制等により生じた問題点」。これは外務省さんや援助機関が一生懸命なさっても、向こう側原因があったという問題。それから最後が、四四%が「機材維持管理体制により生じた問題点」とあるんですけれども、この機材維持管理体制なんかを見ましても、結局は、例えば有償資金協力ですと相手国コントラクターが多いわけですが、そういうコントラクター機材調達のおくれにより事業がおくれたというような感じで、個別プロジェクトに生じた問題点というのはまさに、これがすべてうまくいったところは、じゃODAは要らないということなんですね。ですから、非効率的であったと指摘された問題点が多いからといって、そのODAプロジェクトというのは失敗だったとは限らない。本当の広い意味での分析が必要になってくる。  そういう状況の中での事後評価ということを特にバイラテラルの援助の場合は認識しながら、限界もしっかり国民に伝えていく必要があると思うんです。結局、最終的には相手国政府実施機関の責任においてなされるのがODAなんですということをやっぱり言わないと、何か事後評価をしっかりやって、第三者を入れてやっていけば援助というのはうまくいくというふうに思うのは若干傲慢ではないか、こんなふうに思うわけです。  私の事後評価あり方の意見としては、もう少し現地の大使館、現場に権限をゆだねて、それでもいいんじゃないか。今、外務省さんは、半分近くのプロジェクトについては現地の大使館に評価をゆだねておられますけれども、私はそこをしっかりやっていけば事後評価というのは大体いいんじゃないかなと。それで、本省にやっていただきたいのは、それを統括する現地の指揮官たる大使の勤務評定といいますか、評価をしっかりやっていただくことがある意味ではプロジェクトがうまくいくことになるんじゃないかと、私の個人的な意見でございます。  それから、何といいましてもこの事後評価というのは終わってしまったものを評価するわけですから、大事なのはやっぱり計画と実施中のプロジェクトですね。どうやってこれからやっていくか、ここら辺に重点を置いていく、これは大事だと思いますので、そこら辺の評価あり方についてもひとつよろしく検討いただきたいと思うんです。  さて、今のに関連しまして、計画それから実施していく将来の方向についての取り組みといいますと、国別の援助方針、援助計画というのをどう組み立てていくかというのが大事になってくるかと思うんです。  今度のいろんな特殊法人の組織再編等で、JICAの方もカントリーアプローチとセクターアプローチとうまく組み合わさったような組織再編をなさったわけでございますが、そしてJICAの方でも国別の援助方針、援助計画というのを組み立てられていくというのがいただいた資料の中に書かれておりました。これはODAで非常に大事なポイントですね。  これは力を入れていかなきゃいけないというのはいろんな提言でも言われておりますけれども、ここら辺、外務省さん、まさに外交政策のコアだと思うんです。そことJICAさんがなさる援助計画、国別援助基本方針あたりの役割分担というのはどういうふうに考えておられますか。
  18. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国別援助計画につきましては、政府全体としての一体性、一貫性を持って、効果的、効率的に援助を実施するために鋭意作業を進めているところでございますが、その策定に当たりましては、実施機関民間の有識者、専門家の有する専門的な知見を活用することが不可欠であります。  したがって、その策定自体は政府として進めるべきものでありますが、その策定作業においてはJICAを含む実施機関とも十分相談をしていく、こういうことでございます。
  19. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 国別の実施方針、実施計画というのは、口で言うのは簡単ですけれども、これはやるときは大変だと思います。  今度発表されますODA白書の原案を見せていただきますと、九九年度中に今出されておられます援助方針というのをさらにブレークダウンした国別の援助方針を十カ国程度つくられるというのが載っておりました。  JICA外務省さんの役割分担というのも僕は非常に大事だと思うんです。これはいずれまた与党の委員会等に援助計画というのが具体的に詰まります段階で御相談があるというふうに聞いておりますけれども、二国間援助における援助計画をつくるには、もう御案内でしょうけれども、エネルギー、スタッフ、コストがかかる並大抵なものじゃないということを認識して頑張っていただきたいなと思います。  私の知っておる事例などでは、ある意味でいいかげんと言っては大げさですけれども不完全な援助計画を下手な陣容で行ってつくられますと、かえってそれが日本のバイラテラルの二国間援助を縛ってしまう。逆に言うと非常に自縄自縛的な援助計画の事例があることは事実でございますので、先ほど申したように、相手国政府の中の、周りでは援助競争、援助合戦をしている中で、日本国益を出しながらどれだけ日本ODAがどの分野、どのセクターをとっていけるか、非常に流動的でありかついろんな要素を組み合わせていかなきゃいけない。  だから、今後五年間、十年間なりの援助計画をつくるといっても、口で言うのは簡単ですけれども、非常に私は人員なりコストの点でも大変な作業だと思うんです。これからここに積極的になさるということで私はそれを評価するわけですが、体制なり予算なり、どのように考えておられるのか。
  20. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 委員指摘のとおり、国別援助計画は先般発表いたしました中期政策に基づいて約五年ほどの期間を念頭に置いてつくっていくものでございまして、ことしじゅうに十前後の国について計画を公表したい。そのプロセスにおきましては、実施機関関係省庁あるいは国際機関等々と御連絡をとりながらつくってまいりたいと思っております。  体制でございますが、体制につきましては、JICAは今年度の機構改革で地域四部体制ということでこの一月に発足いたしますけれども、そういった形で地域的なあるいは国別の援助計画をしっかりと実施できる体制をつくっていきたいというふうに考えております。  外務省につきましては、これも委員御承知のとおり、現在スキーム別といいますか事業形態別、無償資金とか有償資金協力とかというのに基づいて課が編成されておりまして、国別、地域別につきましては政策課、調査計画課というところでやっておりますが、ここら辺を何とか、地域別、国別の体制を強化するために現在、来年度に向けて検討を進めているところでございます。
  21. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ひとつ本当に頑張っていただいて、ある意味では外務省さん以外のいろんな機関関係省庁の総力を挙げて、さすがに日本援助プログラムはいいなとドナーのカントリーの会議等でも評価されるような立派なものをひとつつくっていただきたいというふうに思っております。  次に、これは一般的な今後の援助あり方として今大事な時期に来て、ODA政策も曲がり角に来ているということで、今度の中央省庁再編でも外務省さんは外務省さんなりのODAあり方についてのいろんな方針を出されております。  私もいろんな委員会でその方針を少し伺っているわけですけれども、いろんな報告書なり懇談会の提言で気がついたのが、外務省援助政策を一元化するんだ、そして各省がばらばらに要求しているODAというのをできれば一本化した方が日本ODAというのはうまくいくのではないか、こういう意見が目につきますし、今度の中央省庁再編の基本の中でもこれがうたわれたわけでございます。ベースとしてこれはいいかもしれないんですが、実行していくときに非常に注意深くここはやっていただきたいなと私は思うんです。  冒頭申したように、一兆五千億のODAというのを日本国益をかけて、相手国の国々の中で、援助競争という熾烈な中でいいものをつくり上げていくためには、日本外務省さん以外の関係省庁の力も総力を挙げてこれをつくっていかないと、なかなかいいODAはできないんじゃないかと僕は思います。  私も自民党の対外経済協力委員会で、縦割り問題に関連していろんな省庁から、外務省さんをもちろん含めてですが、ヒアリングの場に出ておりました。それぞれの省庁が今ODA予算要求をなさって展開している政策、これは金額的にも大した分野ではございませんが、なかなかいい成果を上げておられます。警察庁から伺ったのは、たしか警察庁が要求しているODAを使って世界各国の警察官の横の連携をうまくとられて、ペルーの大使館の事件でも非常に役に立ったとか。  それから、私はイリゲーションエンジニアですけれども、フィリピン・ジャパン・イリゲーション・エンジニアズ・アソシエーションという団体の元のチェアマンでした。あそこに岩本先生がおられますけれども、私の前のチェアマンだったんです。フィリピンのいろんなイリゲーションのプロジェクトを推進していく中で、相手国とその実施機関との横の連携ができてくるわけですね。こういった、ある意味ではセクター同士を横につないでいく、それがまたODAを僕は非常に力強いものにし、さきの援助合戦の中でもいい成果が出ていくんじゃないか。それをしっかり外務省さんとしては束ねていただく、これが大事だと思うんです。  今までODAでいろんな問題が出てきたというのは、外務省が一元的にやっていなかったから出たんじゃなくて、外務省さんというのはとにかくODAに対しては、本省それから現地の大使館、公館を含めて、圧倒的に一元的な体制になっているわけです。それで今までやってこられていろんな問題が出てきたのを、どうやってこれを解決していいODAにしていくか。ここはやはり外務省さんとしても知恵を絞って、このODAというのをしっかりしたいいものにしていくんだという観点から今度のこのいろんな組織の見直しに取り組んでいただきたい、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  22. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ODAの一元化につきましては、中央省庁等改革基本法及び新たな外務省設置法におきまして、外務省ODAに関する政府部内の一連の調整事務を担うことになったわけでございます。  外務省といたしましては、関係省庁との協力関係の一層の緊密化を図りまして、効率的、効果的なODA推進に向けてはっきりと改善が見られるように努めてまいりたいと考えているわけでございます。従来より地方公共団体からODAに対する積極的な参加を得ているところでございますが、各省庁、地方公共団体、そして国民参加型の援助の推進の観点から、今後さらにNGOや地方公共団体との連携協力も進めていきたい、こう思っているわけであります。  委員から最初、一元化につきまして、基本的にはそうかもしれないけれども慎重に進めるように、こういうお話がありましたが、慎重に進めます。慎重に進めますが、基本的にはやっぱり一元化が必要だということをぜひ御理解いただきたい。  そしてまた、委員から御指摘があった、外務省に一元化すれば今まであった問題がみんななくなるかと、そんなことはないことはよくわかっております。つまり、いろいろなことで問題が起こっているわけでありますから、ますます各省庁のお力をかりなければいけない点もあると思っております。ただ、国の戦略として援助をする場合に、全体としての一元化、調整機能を外務省が強く持つということは必要だということを申し上げているわけで、各省庁の力は今まで以上におかりしたい、こういうふうに思っております。
  23. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 一元化と並行して、連携というのもひとつよろしくお願いします。連携というのは、情報を共有して役割分担して事に当たるということでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、JICAにおける機構改革についてちょっと伺いたいんですが、今般、十一年度から新しい組織ができまして、カントリーベース体制を整えようということで、地域別、国別の課がずっとできました。今までのセクターアプローチと並行して出てきたわけなんですけれども、私は、二国間援助の場合、いろんな報告書を読ませていただいても、セクターアプローチの記述になると非常にある意味では生き生きとした表現、要するにグリップしているなと。当然だと思います、具体的なプロジェクトは現にあるわけですから。  このセクターアプローチというのは、バイラテラルの援助の場合、僕は非常に大事だと思うんです。今般やや影が薄くなって、セクター別というのはカントリーベースの陰に隠れたような感じがするわけですけれども、そこら辺のセクターのやはり強化というのは僕は大事だと思うんです。そこら辺について、JICAの今後の実施体制、そういった面について伺いたいと思うんです。
  24. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 委員指摘のとおり、セクター別のアプローチ、これは大変に重要であることは言をまたないと考えます。  御承知のとおり、三つのアプローチがあるわけでございます。一つはセクター別アプローチ、それから二番目には円借款、無償資金協力それから技術協力、こういったスキーム別のアプローチ、それから三番目に国別、地域別のアプローチというのがございます。そのセクター別のアプローチというのは大変に日本は今まできちっとやってきたということでございまして、やはり私ども弱点がございますれば地域別、国別のアプローチに弱点があったと、これは率直に認めざるを得ないんじゃないかと思われます。  したがいまして、昨今来いろいろ政府部内あるいは党等から御指摘をいただきまして、やはりこの際、セクター別あるいはスキーム別のアプローチの従来の業績を踏まえて国別、地域別のアプローチを強めていったらどうかということがございますので、今回、先ほど申し上げましたJICAにおける機構改革では、従来の機能は維持しながらも地域別、国別アプローチを強化する体制をとっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  25. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 外務省さんに最後に、このODAについての情報技術の活用についてちょっとお願いしたいと思うんです。  五月二十六日付の毎日新聞に「海を越え在宅勤務」という記事が出ていました。後でコピーを差し上げますけれども。  これはワールドバンク、世銀の日本人の上級建設技官の川畑安弘さんという方が載っておられまして、従来ワシントンで勤務されていたんですけれども、今回日本で世銀の職員として御自宅でパソコンとインターネットを使ってお仕事をされると。七件の高速道路のプロジェクト、これは中国やカザフスタン等に持っておられるんですけれども、そこの総括マネジャー、タスクマネジャーをなさっているんです。ラップトップのパソコンを使って世銀本部のデータベースと連絡し合いながら、文書、伝票、それから日誌、そういうものを全部電子化して同じ仕事を日本でやるということで大変コスト的にもまた人員的にも非常に画期的な動きで、世銀はこれを徐々に取り入れていこうという動きがあるんです。  我が国ODA体制も、各大使館で頑張っておられますけれども、あるいは現地JICAOECFの事務所等がありますけれども、こういった情報技術を大いに取り入れていくと今の限られた人間の中でかなりの効率を上げていけるんじゃないか、僕はこう思いますが、いかがですか。
  26. 飯村豊

    説明員飯村豊君) これも委員指摘のとおりでございまして、私どもできる限り新しい技術を導入して事業の効率化を図っていきたいというふうに考えております。  JICAにおきましては幾つかのシステムが導入されておりまして、例示させていただきますと、こういった個別のプロジェクト案件の登録管理を行うプロジェクト管理システムあるいは事業団全体の事業の実施状況を管理する事業実績管理システム、あるいは国別情報を集めましたシステム等々、これまでシステムを強化しているところでございます。  それから、外務省におきましても評価案件のシステムあるいは国別調査実績のシステム等々を構築しておりまして、これからこれをさらに強化していかなくてはならないというふうに考えております。
  27. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 予算的にもなかなか大変ですけれども、しっかり応援させていただくということで、頑張っていただきたいと思います。  外務省、ありがとうございました。外務大臣、ありがとうございました。  防衛庁長官、お待たせしました。一問だけ防衛庁に伺いたいんです。  例の、例のといいますか、調達本部の問題がございまして、いろいろな改革をなされているのが今度の防衛白書を見てもわかったわけでございます。この防衛庁の調達、私はびっくりしたんですけれども、実に調達総額の八五、六%、一兆一千二百七十七億という金額が随契で調達されていたというところにやはり大きな問題があったのではないかということで、ここら辺いろいろな改革に取り組まれているということを今伺っておりますけれども、この今の契約のあり方、そして改革の方向について教えていただきたいと思います。
  28. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 防衛装備品につきましては、企業が特別の設備を必要とする、したがって非常に多額の投資が必要だ、また特別の技術を必要とするということで、製造業者がどうしても特定、限定されるといううらみがございます。そういう経過から、長年随意契約が多くなってきたというのが一つの特性であったと思います。  今、委員から御指摘の今般の調達問題に関しても、御指摘のように、この随意契約による企業の選定過程や決定過程が外部から見て非常に不透明で、契約企業に対する審査能力、体制が十分整備されていなかったんじゃないか、こういうような御指摘もなされ、そのことも私たちは反省しなければいけない材料だと思っております。  防衛庁としては、これらの問題点を解決して再びこのような事案を起こさないようにするために、ことしの四月二日に「調達改革の具体的措置」を取りまとめまして、例えば護衛艦など複数企業が製造能力を有する場合は随意契約を全部やめて競争契約に移すと、それから随意契約を行う場合であっても複数の企業から提案等を聴取するなどしてできるだけ競争力を高めるような措置をとっていきたい、こういうこととしたわけであります。また、企業側からの提出資料の信頼性を確保するために、防衛庁の調査の受け入れ義務やあるいは関係資料、データの長期保存義務等を企業に契約で担保させる。それから、不適切な資料の提出をした場合にはこれも契約で違約金の支払い義務を課す、こういうような厳正な措置を講じたところであります。  一方、防衛庁職員の教育や研修ということも大変大事でございますから、これについても充実させる予算確保することにいたしました。  防衛庁としては、企業側の工数の過大申告等を発見できるように企業契約の工数をマクロ的にチェックする体制を整えているところであります。  こういう観点から、必要な訓令等の改正も行いまして、目下調達改革施策を全力で推進している、こういうことでございます。
  29. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今、長官からいろんな改革が述べられたので、ひとつ一生懸命やっていただきたい。  それから、これは回答は結構ですけれども、先ほども外務省のところで申し上げたんですが、情報技術がすごく進歩しまして、調達事務でもCALS、コンピューター・エーデッド・ロジスティック・サポート、これは各公共事業官庁でも取り入れつつある。こういったものを取り入れることでかなりの透明性、効率性が図られるんじゃないかと思います。それもひとつよろしく推進していただきたいと思います。  最後に検査院の方に伺います。外務省関係防衛庁関係があるので、時間がございませんので一括ということでひとつお願いしたいんです。  外務省関係で会計検査院はODAの検査をずっと行っておられますが、私も八、九、十年度の会計検査報告書を読ませていただいたんですけれども、やはり現地に行って一つ一つプロジェクトを確認しながら、先ほどちょっと冒頭申し上げましたように、ほとんどが相手国政府あるいは実施機関の責に帰す理由によってこれがうまくいかなかったと、うまくいかなかったものも結論づけられたわけです。  そういうふうに一つ一つプロジェクトに行かないと全体的な姿が見えてこないんだということはわかるんですけれども、やはりあり方として一つ一つプロジェクトを検査されるのは、全体としての外務省なりJICAなりOECFの機能調査といいますか、機能検査といいますか、こういう調達手続のあり方はここはおかしいんじゃないかという全体を指摘する材料としてお使いになるのはいいんだと思うんですけれども、そういった指摘をしておられる年もありますけれども、そういったことを含めて、ODA検査というのは結局は相手国政府に責任がある。そして、プロジェクト自身の建設、実施についてはそちらに責任があるわけでございますので、国内の実地検査と違うアプローチがやはり要ると思うんですが、そこら辺をどういうふうに取り組まれ、また今後取り組んでいかれようとしているのか、これは外務省関係です。  それから、防衛庁関係につきましては、長官から話がございましたし、私も申し上げたんですけれども、随意契約が八五、六%、しかも金額が一兆一千二百七十七億、これだけのことが随意契約でずっとなさっておられたものに対しまして、一般の国内の他の事業機関から見ますと、えっというような話で、百万円以下のものに対しても細かな書類を整理し、検査院の御納得を得られなければ認められないというのが実態だということに比べると、随意契約の場合、この点についての検査院の検査というのはやっぱりもう少し改善すべき点があったんじゃないかと思うんです。  それで、こういった問題をとらえて今後どういう対応をとられようとしているのか伺いたいと思います、あわせて恐縮ですが。
  30. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  ODAの方の関係でございますが、ODAの検査につきましては、先生御案内のとおり、外務省それからJICAOECFというところに対して検査しているわけでございます。国内におきまして、こうした援助実施機関に対しまして書面検査あるいは実地検査というようなものを行っておるところでございますが、こうした検査の活動の一環といたしまして、先生今お触れになりましたように、現地の実態を正確に把握するということで必要に応じて海外に赴いて実態を見ているということでございまして、相手国協力が得られた範囲で調査しておるわけでございます。  あくまでも私ども検査の対象は我が国援助実施機関でございまして、そういう意味現地調査もいたしました結果、効果が十分に発現していないといったような点につきましては、検査報告に記載しますと同時に、日本側の援助実施機関が効果を十分に発現するために必要な留意点といいましょうか、改善点ということを所見という格好で提起しているところでございます。  また、一昨年になりますが、OECFで実施しております開発金融借款という問題につきまして三年間ほど調査いたしまして、三カ国、四事業でOECFにおいて相手国内で行われている事業の実態把握が不十分ということで指摘をしたところでございます。  このように援助体制評価という観点からも検査を実施しているところでございますが、今先生お触れになりましたように、今後もいろんな方面の御意見あるいは資料等を参考に幅広い観点から前向きにODAの検査に取り組んでまいりたいと考えております。
  31. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  防衛庁の調達につきましては、確かに委員指摘のとおり、非常に随意契約が多いということはもちろんでございます。これは先ほど防衛庁長官が御答弁されましたとおり、種々の事情からそうなっているとは思いますけれども、私どももやはり最近におきましては相当市販品等も使えるのではないかということからの検査に重点を置きまして、これまでもそういった指摘もしているところでございます。  ところで、会計検査院といたしましては、防衛庁はその予算規模等にかんがみまして、従来から重要な検査対象の一つと位置づけております。そして、厳正に検査に取り組んできているところでございます。これまでに正面装備を含めましてさまざまな予算執行上の問題点指摘し、当局に改善を求めてきたということでございます。  しかしながら、今回の過大請求事案を未然に発見できなかったということについては謙虚に反省しまして、検査の方法や内容について再検討したところでございます。具体的には、昨年十二月に原価検査を担当する専門班を設置し、また企業会計や原価計算に精通した人材を育成するため調査官を専門学校に派遣するなどの研修を強化したこと、また企業監査の専門家でございます公認会計士三名を特別調査職として五月から採用しております。その他必要に応じまして会社等から原価に係る資料を収集し、これを分析、検討するなどしまして検査マニュアルを作成しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも防衛庁の検査につきましてはさらに充実を図っていく所存でございます。
  32. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 終わります。
  33. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子であります。  まず第一に、東ティモール問題についてお尋ねしたいと思います。  多国籍軍がディリに行きまして一応の落ちつきを取り戻したという報道ぶりのようでございます。この間、我が国もおおむね適切な対応という、そういう状況ではないかと私も考えております。御苦労なさいました文民警察官の方々も無事帰国されまして、今はどうやら、多国籍軍に対する資金的な支援をどうするのか、この問題に注目が集まっているような状況でございます。  オーストラリア軍が中心になることによりまして、インドネシア等々アジア諸国の国民感情を考えると、日本が資金援助をすることによりましてアジア各国の参加が可能になる、こういう状態ではないかと思いますが、とかく日本の場合は、お金の問題になりますとツーリトル・ツーレートというんでしょうか、その批判がつきまとうわけでございます。今回はツーリトルということはもうあり得ないと、外務大臣のさまざまな御発言を伺っていますと、実質的に十分な援助というふうにおっしゃっていらっしゃるようでございます。  きょうの日経新聞でございますが、「政府、一億ドル超拠出へ」という、こんな記事が流れております。  今ちょうど組閣の時期でもありまして神経を使われるのかもわかりませんが、日本政府としてはどのような方針で対処されるか、お伺いしたいと思います。
  34. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、開発途上国の多国籍軍への参加に資することを意図して多国籍軍に対して実質的な財政支援を行うこととしておりまして、具体的な貢献額につきましては、多国籍軍の全体像を把握すべく情報収集に努める等、できる限り早期におおむねの数字を示すべく最善の努力をしているところでございます。極めて近い将来、示せると思います。  アナン事務総長からも、日本が多国籍軍への参加に資することを意図して財政支援を行うということに対して大変な感謝の意が私にじかに表されましたし、それから、ダウナー外相から電話があったときにも、私に対してそれに感謝するとともに、できるだけ早く出してねと。  私がアナン事務総長にもダウナー外相にも申し上げたのは、多国籍軍の全体像を早く国連の方で出してください、こういうことを言ってきたわけでありますが、おおむねの数字もつかめたようでありますので、それほど時間はかからない、こういうふうに思っております。
  35. 川橋幸子

    川橋幸子君 大臣がかわられるというような、大変残念でございますけれども、新聞報道でございますが、むしろ高村大臣の口から最後の締めくくりをやっていただいて、御苦労された大臣が言っていただいていいようなことではなかったかなと私はちらっと思いますけれども、極めて早く新大臣の口からでもお伺いすることになるのでしょうか。事情は理解いたしました。大変お疲れさまでございました。  さて、今回の東ティモール問題をめぐりまして、同じアジア地域の、私どもアジアに住んでいる人間たちの同胞への支援ということでございましょうか、人的貢献が非常に大きく主張されたように感じるわけでございます。特に、自自公の与党の政権協議がございましたこと等がありまして、PKFの凍結解除と参加五原則をどうするのかということが国民の間でも関心事になっていたと思います。  本日の新聞報道によりますと、政策で大筋合意されたと、PKF凍結解除というそういう方向が示されているわけでございますけれども、参加五原則については、野呂田長官は、九月二十二日、朝日によりますと、参加五原則はこのまま堅持するんだと、こういう御発言がございましたし、また公明党神崎代表の方も五原則は堅持というような意向の記事を見ておったところでございます。これに対しまして自由党の小沢党首の方は、新法をというようなお声があったわけでございます。  そこで、PKFの凍結解除と参加五原則の問題、これも組閣があるというこの時点でございますので、おっしゃりにくいことはあるかもしれませんけれども、これからの与党政権、どのように運営されていかれるのか、継続性という意味からもお答えいただければありがたいと思います。
  36. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いわゆるPKFでありますが、本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力につきましては、国会はもとより国民各位の御理解をいただきつつ積極的に進めていきたいと考えております。  これは、政府とすれば、PKFの本体業務を含めてPKO法を国会に提案して、そしてそのときに、まだ国会全体としてこの部分は凍結をして通した、こういう経緯でありますので、政府はもうある意味ではその検討は終わっているし、憲法上の問題も全くPKF本体業務についてはない、こういうことでございます。  五原則の問題は、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格でありますので、五原則を変更することは現時点では政府としては考えておりません。  ただ、PKF凍結解除をしても、では今の東ティモールの民兵とドンパチやるような状況の多国籍軍に参加して出ていけるかということになれば、それは出ていけないわけでありますので、そういうところでいろいろ問題を提起している人はいるということは承知しておりますが、現時点では政府として五原則を変更することは考えていない、こういうことでございます。  とりあえずそれだけお答えをしておきます。
  37. 川橋幸子

    川橋幸子君 野呂田長官、いかがでしょうか。
  38. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 外務大臣が答弁されたことと同じ見解でございます。
  39. 川橋幸子

    川橋幸子君 政府としては五原則堅持、ただし現時点においてはというお話でございました。  この問題については次期国会で大きな問題になるかと思いますし、私も政府が現時点の判断で五原則堅持を言っていただけることは大変有意義なことだと思っております。臨時国会の中での議論に十分に国民の意を酌み取れるような議論が行われますことを、どなたにお願いするというか、こういう状態でございますので、私は要望しているということを申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  さて、人的貢献の中では、多国籍軍への後方支援が必要ではないか、こういう論がございまして、これも自自公の政策の大筋合意の中では、どうやら後方支援への法整備ということがきょうの新聞のかなり大きな記事になっているわけでございますけれども、この問題と次の問題とあわせて一遍にお聞きしたいと思います。  今回、東ティモールへの自衛隊の派遣というのは考えられないことだったということかと思いますけれども、議論の中では、自衛隊法百条の六ですか、自衛隊活動の援用ということで人的貢献が考えられるのではないか、現実認識として、今回は適当でないにしても、理論上はこういうことがあってもよいのではないか、あるいは現実としてもその人的貢献、自衛隊法百条の六を活用すべきではないかというような議論が見られたところでございますが、それぞれについてどのようにお考えになられるか、お伺いしたいと思います。
  40. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今の御質問に対しまして、まず一般論で申し上げますと、憲法上多国籍軍にいかなる後方支援をなし得るか、こういう問題については、個々の具体的なケースにおいて、武力の行使と一体化しないかどうかの観点から判断されるべきものであると考えております。仮に一体化しないということであっても、実際に多国籍軍に対していかなる後方支援を行うかについては、憲法解釈上の問題に加えまして、諸般の事情を総合的に勘案した上で慎重に判断すべきものと考える、こういうことがこれまで政府が一貫して答弁してきたところであります。  今御指摘の東ティモールに展開している多国籍軍に対する輸送等の自衛隊の後方支援につきましては、この多国籍軍は国連の統括のもとに行われる国連平和維持活動ではないということで、現行法上は困難である、こういうふうに考えております。  さらに、国際緊急援助隊としての自衛隊を派遣することについての御質問でございますが、国際緊急援助隊法に基づく自衛隊の派遣については、これは自然災害及びガス爆発等の人為災害を対象として行われる、こういうことでございまして、同法に基づいて東ティモールへ自衛隊を派遣することはできないのではないか、こういうふうに私どもは判断しているところでございます。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕
  41. 川橋幸子

    川橋幸子君 いずれにしましても、私は現時点の政府見解というものを堅持されることがアジア諸国に対する日本のメッセージとしては非常に強いものがあるだろうと思っております。次期国会マターということになるかと思いますが、個人的には、日本がなすべき外交、アジア地域において日本がアピールすべきプレゼンスというものは安全、平和ということを強く訴えたいと思っておりまして、それが個人的な意見であることを申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。  今後、このティモールの問題というのはかなり時間がかかるのではないかと思いますが、今は多国籍軍への資金面の支援、それと人的貢献の問題を主に伺いましたけれども、もっと大きな問題といたしましては、民生、医療面を含む、それこそこの面でも人的及び資金面の支援というものが必要とされるのではないかと思います。  この点について、もう既に緒方さんがいらっしゃる難民高等弁務官事務所への二百万ドルの支援をいち早く言われたことは大変効果的だったと思いますが、今後も含めましてどのような方針で臨まれようとしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  42. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 東ティモールにおきましては、現在まず必要なのは現地情勢の安定と避難民の置かれた状況の改善でございます。現在展開しつつある多国籍軍が効果的に活動を行って、一日も早く情勢が安定し、避難民の状況が改善することを期待しているわけでございます。  我が国といたしましても、東ティモール情勢の安定のために可能な限りの支援を行っていく考えであります。  まず、多国籍軍に対しましては我が国から人員を派遣することは現行法上できないということは防衛庁長官が述べられたとおりでありますが、開発途上国の多国籍軍への参加に資することを意図して実質的な財政支援をしていく考えでありまして、先ほど申し上げたように、極めて近い時期に具体的な貢献額を示すことができると考えております。  御指摘の人道支援でありますが、緒方さんのところだけに二百万ドルと申し上げたのではなくて、UNHCRに百万ドル、それからWFPに百万ドル、合計二百万ドルの支援を決定したほか、今般我が国から派遣した東チモール人道支援調査団の報告及び近日中に発出されることが見込まれる国連人道機関によるアピールを踏まえて、さらなる人道支援の実施を積極的に検討していきたいと考えております。さらに、中長期的には東ティモールの復興開発のため十分な支援を行っていく考えでございます。  西ティモールに人を出したらどうかとかいろいろ考えたんですが、西ティモールの方もかなり治安が悪いような状況で、今いろいろ検討をしているところでございます。治安がよくなれば、その上でいろんな人的貢献も考えられるだろう、こういうふうに思っております。
  43. 川橋幸子

    川橋幸子君 人的貢献といいますとすぐにPKFの解除等々のお話がありますけれども、我が国外交姿勢として従来強調してまいりました人道的なそういう援助というものを引き続きしっかりとやっていただきたいというのが私の要望であります。  さて、高村外務大臣は国連総会の演説を済まされてお帰りになったばかりであります。私は新聞報道でしか知らないわけでございますけれども、新聞の書きぶりは、常任理事国入りを改めて強調なさったという点と国連改革を強く訴えられた、この二点が大変強調されて報道されているわけでございますが、大臣の口から国連総会でお訴えになったことをじかにお伺いさせていただきたいと思います。  これは報道ぶりでございますけれども、国連に対してかなり辛口の演説と記者の耳には聞こえたということのようでございますが、東ティモールの問題等々を抱えている今の時期に常任理事国入りを強調なさるということは、日本が常任理事国となって何をするか、中身の問題にもかかわってくるかと思います。大臣のお口から伺いたいと思います。
  44. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今世紀最後の総会でありますミレニアム総会を明年に控えまして、二十一世紀に国際社会が直面する諸問題に国連がより効果的に対処するには改革を通じた国連の機能強化が必要であります。この観点から安全保障理事会を現在の国際情勢を反映した形で改革することを通じてその機能を強化する必要があり、我が国は安保理改革が実現する中で常任理事国として一層の責任を果たしたいと考えているわけでございます。また、国連の健全な財政基盤の確立のための改革や開発分野の改革も必要であります。  第五十四回国連総会一般討論演説において私はこのような考えを改めて述べるとともに、すべての加盟国が、自国の狭い利益のみにとらわれず、国際社会全体の共通の利益を追求するべきことを訴えたわけでございます。  今後ともこのような考えのもとで、各国と協力しつつ改革の推進に努力していく考えでございます。  今の五つの常任理事国というのは、五十年前に国連ができたときの国際情勢に基づいて選ばれてなっているわけでありますが、今の国際情勢を反映した形で常任理事国もあるいは安保理の構成も考える必要があるということを極めて控え目に述べさせてきていただいたわけでございます。
  45. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変控え目な御答弁でいらっしゃいまして、何かもっと強い御意思がおありだったのかなという感じだったのでございますが、これを伺っていますとかなり時間がかかりますので、次の質問に移らせていただきます。  台湾地震の問題は、東ティモールの記事がかすんでしまうほど、このところ日本国民の目をテレビの前にくぎづけにしたところでございました。日本政府も素早い対応をなさいまして、大変台湾からは感謝されているということでございます。私も素早い対応を評価させていただきたいと思います。  関係者の方々の御苦労に敬意を表する、あるいは現状を伺うということはちょっと時間の関係で飛ばしまして、また自衛隊派遣問題に絡めて質問させていただきたいと思います。  早い段階で自衛隊の派遣を見送られまして、そして最大規模の緊急援助隊の派遣を決定されたということは、日中の関係あるいは日台の関係、あるいは中台の関係から見まして当然であったと思います。  そこで、自衛隊の派遣、特に緊急援助隊の中での派遣、先ほども伺ったところでございますが、ティモールはこの件に当たらなかったとして、台湾の場合は災害という点では要件は当たるわけでございますね。九八年十一月、ホンジュラスのハリケーンで自衛隊を派遣されたわけでございますが、今回は政治的な問題があるから見送る、こういう意味合いが強かったのか、それとも、自衛隊の派遣が必要な災害被害というものがある程度限定されたものであって、今回の台湾はそれに、その災害という点で当たらなかったということなのか、お伺いしたいと思います。
  46. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 結論から申しますと、台湾政府から、通常は外務省を通じて私どもに要請が来るんですが、そういう要請が参っておらないということでございます。  しかし、私どもとしてはいつでも対応できるような準備だけは怠りなくやっている、こういう現状でございます。
  47. 川橋幸子

    川橋幸子君 外務大臣からも一言。
  48. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) むしろ、政治的理由、政治的背景を検討するまでもなく、今度の場合は自衛隊を送る必要がなかったと判断をしたわけであります。  防衛庁長官からお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、自衛隊はいわゆるレスキュー機能というのを持っておりませんので、国際緊急援助隊としてレスキュー機能を持っているものを送った、こういうことでございます。
  49. 川橋幸子

    川橋幸子君 そういうお答えぶりだろうと私も思っておりましたけれども、もしそういうことであるとすれば、そもそも緊急援助隊の中に自衛隊の派遣を含める必要というのは余りないのではないか。むしろ、PKFの問題が解決すればそこでしっかりと方針が決まることかなと思いますが、いずれにいたしましても、これから臨時国会の中で多数で時間を少なく押し切られることなく十分御審議をお願いしたいということでございます。  さて、この台湾地震の問題について、一つ外交上の問題としては中台の緊張が緩む可能性が出たのではないかという、こういう報道ぶりもあるわけでございます。ということになりますと、かつての台湾海峡での緊張を思い出すわけでございます。  李登輝さんの選挙のときに非常に緊張が高まるといいますか高まった、あれがアジア地域の緊張につながる、だから日米ガイドラインに沿う周辺事態法が必要だというふうに話が行ったような感が私はあるのでございます。そもそも中国台湾は、同胞の血は水よりも濃いというんでしょうか、国家対国家ではなくて人対人になるとそういう緊張というのは考えられなかったのではないか、このように見ることもできるわけでございます。  ちょっと関連いたしますけれども、北朝鮮の今回のテポドンというのでしょうか、弾道ミサイルというのでしょうか、その発射凍結というものも、この夏日本はその第二号が来るのではないか等々、さまざま一喜一憂し過ぎるほどの議論があったような感じがいたしますが、やっぱり経済援助を引き出すために有利に導いていくテクニックだったのではないか、このようなことも考えられるわけでございます。  北東アジアに緊張がないとは申しません。あるいは中台の間の一国論と二国論の間の緊張がないとは申しませんが、私どもはその地域の緊張というのが日本の安全にどの程度影響するのかというのをもっとクールに考えるべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 中台のことからちょっと触れますと、今回の不幸な震災に当たりましては、中国台湾の人々がともに協力してこれを克服していこうとする機運も一部に見られます。ただ一方で、海峡両岸の当事者間における政治対話の再開については、現時点で何らかの具体的な動きがあるとは認識していないということであります。いずれにいたしましても、我が国としては台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望しております。  北朝鮮のミサイル発射の意図でありますが、いろんな考え、いろんな見方があるわけであります。対米交渉を有利に進めるための戦術だとか、国威の発揚だとか、ミサイル輸出による外貨獲得だとか、自国の安全保障の強化等の見方がなされておりますけれども、北朝鮮につきましては、その体制が不透明であり、確たることは、断定的なことは申し上げられないわけでございます。ただ、北朝鮮のミサイル発射の意図がどのようなものであるにしても、北朝鮮が弾道ミサイルの発射、開発等を進めることは、大量破壊兵器及びその運搬手段の不拡散及び我が国を含む北東アジアの平和と安定の観点からも懸念すべきことである、こういうふうに考えております。  クールに見る必要があると、こうおっしゃいましたが、もちろん我々は常にクールに見ているつもりでございます。
  51. 川橋幸子

    川橋幸子君 クールに見ていただけるということでございまして、次はキルギスの拉致事件について伺わせていただきます。  今のこの時期でございますので、本当に四人の人質の方やその御家族の方々の御心配、それから日本人だけではなくて現地の通訳の方とか兵士の方々の安全については本当に心から祈りたいというその気持ちでいっぱいでございます。また、事態は動いておりますので、そうしつこく伺うべきでないということをわきまえながらも、この機会でございますので、二問ばかり伺わせていただきたいと思います。  JICAの事態の見通し、対応に極めて甘さがあったのではないかと、そういう指摘がございます。そもそも、最も危険な地域というんでしょうか、タジキスタンで、去年、国連の職員でありました秋野さんが射殺されるという事件があった。そういう地域であったところに、今回はさまざまな危機を予知させるような事態があった、それから現地の方にその知らせが入ったけれども、大丈夫だろうということで四人の方々は出かけてしまわれた。非常にそれぞれ残念なことだったということかとは思います。  この事態に至ってあれが悪かったこれが悪かったということをあげつらうつもりは全然ないのでございますけれども、やはりこうした危機管理というんでしょうか、危機の予知というのを鋭くキャッチするというこの気持ちは必要なんじゃないかと思います。  そういう意味で対応に甘さがあったのではないかという各種報道、私自身もそのように思いますけれども、どのように御認識でしょうか、外務省に伺います。
  52. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) キルギスにおきましては、従来、事件発生の数週間前までは誘拐事件等の報告もなく、かかる危険があるとは認識されておりませんでした。しかしながら、今回の事件については、事件発生一、二週間前から国境周辺地域で不穏な兆候も見られたため関係者間で警戒を強めておりました。事件発生直前に情勢が急激に悪化したため撤退準備を進めていたやさきに今回の事件が起きたものであり、まことに残念であると考えております。  政府といたしましては、今次事件の発生後直ちにJICAへ対して、現在実施している経済協力案件に関し安全対策を再検討するよう指示したほか、JICAにおきましても、在外公館やJICA事務所のない国における安全情報収集能力の強化やJICA本部における安全情報分析能力の強化等の対策を講じていくこととしております。  政府といたしましても、今次事件の教訓を踏まえ、現在、経済協力における安全対策に万全を期すべく引き続き一層の努力をしてまいります。甘さがあったのではないかと言われれば、事件が起こったのでありますから、甘さがあったということについては甘受せざるを得ない、こう思っております。
  53. 川橋幸子

    川橋幸子君 真摯な御答弁、これからの対策に万全を期していただきたいと思います。  ところで、この地域の日本外交が非常に進みましたのは、橋本総理のころのユーラシア外交、シルクロード外交、ここを夢とロマンの外交というように国民の方が受け取るような、そういう印象の外交の始まりだったと思うのでございます。  しかし、八九年にベルリンの壁が崩壊して以降のさまざまな民族紛争、あるいは宗教を絡めた紛争というものを考えますと、特にアジア地域というのは民主化するとイスラム化するというのでしょうか、イスラムについて私どもはもっと深い知識と認識を持つべきではないかと思います。そういう点について日本は非常に手薄だったのではないかという感じがいたしますけれども、この地域におけるそういう問題をしっかり認識した上での外交を進める上には、いまちょっとここを見直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  54. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 外務省の中でというか、日本全体においてイスラムに対する研究が足りないのではないかということであれば、私はそれはもっともっと研究をする必要がある、こういうふうに思っております。  ただ、イスラムに対する研究がきっちりできるまでこの地域に出ていかないというのは、泳げるようになってからプールに入れというのと私はある種似たようなことで、危険についてはそれは十分に対処していかなければいけませんけれども、やはりこの地域でイスラムであればすべて過激派で、過激派であればすべて人さらいをする、そんなことではないはずなのでありまして、イスラムと民主主義というのは決して両立しないわけでもないと私は思っております。そういう意味でやはり日本は、この地域の方たちが経済改革をし民主化を進めるということについては、お手伝いをしていく必要というのはこの事件にもかかわらず依然としてあるだろう、私はこう思っております。  キルギスのアカエフ大統領という方は、まだソ連時代からあの地域の指導者であって、そのころからルックイーストと、ロシア語でおっしゃったんでしょうが、ルックイーストというようなことを言っておられた方で、そして現実に独立して大統領になってからまさに日本と非常に協力をして、あの地域では民主化も、そして経済改革も一番進めてきた国であると私は認識をしているわけであります。  アカエフ大統領に私が直接会ったときに、何であなたはルックイーストとこう言ったんですかということを聞いたことがあります。そうしたら、いや欧米の援助というのはパンがないとパンをくれるけれども食べちゃったらそれでおしまいだ、日本援助というのは未来に対する援助だ、開発に対する援助だ、私はそれを非常にありがたいと思っているから、それを当初から言い続けているんだと。こういうことを聞いて、私なりにうれしいなと、こう思った経験もあります。  こういう不幸な事件があって、これは何としてでも無事解決しなければいけない話でありますが、だからといってすべてがわかるまでこの地域から日本の存在がなくなるということではないだろうと思っております。
  55. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主化はイスラム化を促すと言うとちょっと言葉足らずでございまして、パレスチナの問題にしろ中東にしろ、日本はイスラムの方々とおつき合いをしながら平和ということを考えてきた国でございます。政府もそうしてきたことは私も存じておるつもりですが、最近のイスラムというのはやっぱりテロと結びつく急進運動が非常に強い、あるいはさまざまな国の中では、軍事政権の国の中ではそれに対する弾圧も強いという、そういう危険をはらんだ部分が大きいことだけはぜひこれからもよく踏まえていただければありがたいと思います。  よく御存じの大臣にこんなことは釈迦に説法でございまして、言うまでもないことでございますが、お願いしたいと思います。  大部分時間を使ってしまいまして、ODA政策についてこれから残り時間を使わせていただきたいと思います。質問切れになってしまうと残念でございますので、質問の順番を逆にいたしまして、私自身の関心事の一番最後の人口分野の協力について、その質問から伺わせていただきたいと思います。  議員になりましてから人口分野の国際協力については、私なりに何とか議員として誠意のある行動ができないかということでずっとやってきたつもりでございます。これは国連人口基金が昨日でしたか、もうちょっと前でしたでしょうか発表したばかりの「世界人口六十億」というものでございます。今世紀になりまして、特に今世紀の後半になってから急激に人口が伸びてきている、人口爆発というようなそういう事態になっておりまして、それが食糧の問題なりあるいは環境の問題なりエネルギーの問題なり、地球環境の安全というものに大きな影響を及ぼすようになってきているわけでございます。  ところで、この人口についてのODAといいますのは、日本ODAの中では非常に海外から高く評価されている。顔が見えないとか感謝されないとか、そういう非難が当たらない。金額の面でも、それから国際的なNGO、人口に関するNGOがございますが、それの日本の支部はJOICFPと言いまして、福田赳夫先生が大変熱心になさったり、今は加藤シヅエさんがそれを引き継がれてやっていらっしゃる。そういう専門NGOの活動があるということで、ハードだけではない、お金だけではない、人的貢献を伴って、しかもプロフェッショナルな貢献を伴ったいい実績を上げているんじゃないかと私は思います。たまたま私がそれにかかわらせていただいているからといって手前みそにといいますか、そういうふうな言い方ととられますと、むしろ相手のJOICFPの方にも大変お気の毒ですし、関係者の方々にも申しわけないと思いますが、やはりこの部分はしっかりと認識していただきたいと思うのでございます。  さて、今回、ODAの中期政策におきましては、量よりも質ということで余り金額表示しないというお話が出ているわけでございますけれども、この部分についてはむしろ量的目標というのをずっと確保すべきではないかというふうに私は考えております。九四年のカイロ人口開発会議におきましてGII、グローバル・イシュー・イニシアチブを、当時たしか河野外務大臣でいらしたと思いますが、出されて、翌九五年の北京会議ではWIDイニシアチブ、ウイメン・イン・ディベロプメントを発表されて、そして来年はニューヨークでミレニアムの総会があるわけで、女性の会議もあるわけでございます。そうしたときに、しっかりと人口分野については新しい構想を打ち出していただきたいというのが私の希望でございます。  このあたりで、ちょっと前置きが長くなりましたが、御答弁いただきたいと思います。
  56. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 人口分野は、我が国ODAにおいて重点分野として積極的に取り組んできているわけでございます。本年八月発表したODA中期政策におきましても重点課題一つに位置づけられており、この分野において最大限の成果を出せるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。  現在のGIIの枠組みが終了する二〇〇一年以降どのようなアプローチをとるかについてでございますが、今後GIIの評価を行いつつ検討してまいりたいと思います。その際は、委員の知見も十分活用させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  57. 川橋幸子

    川橋幸子君 ぜひこの後も外務大臣OBといたしまして御協力いただければありがたいと私も思います。  PRついでに、せっかくのNGOの活動ですので、残った時間紹介させていただくといたしますと、人口問題を解決するのはかつてはお医者さんの仕事、公衆衛生であったり、あるいは家族計画といいましてもお医者さん方の仕事というふうに位置づけられておったわけでございますが、カイロ会議以降、むしろこれは女性のエンパワーメントを図って女性の自己決定をしっかりしてもらうことが、マクロ目標を立てるよりもそれぞれの国の中で調和のとれた解決ができるのではないか、こういう発想になっておるわけでございます。女性問題を解決することが人口問題の解決にとっては非常に大きなことと言われているわけでございます。  さて、このJOICFPというところが国会議員を対象にアンケート調査をしたわけでございます。ちょっと皆様にも聞いていただきたいし、お座りの方々にも聞いていただきたいのでございますが、国会議員の理解度はどの程度かといいますと、調査結果は、国内の少子高齢化には大変関心が強いけれども、途上国の問題については理解が低いと。特に、女性の問題に絡むという意味ではよくわからないという回答が高かったそうでございます。  このごろ、リプロダクティブヘルス・ライツという、ちょっと舌をかみそうな言葉でございますけれども、日本語に訳してもなかなか訳すのが難しい、性と生殖に関する健康と権利ととりあえずは訳しておりますが、言ってみれば自分の人生は自分で決める、女性が自分の人生を自分で決めるという自己決定の原則がリプロダクティブヘルス・ライツのわかりやすい説明になるかと思います。  ちょっともう質問じゃなくて演説になって恐縮なのでございますけれども、ぜひ男性の御理解を賜りたいと思います。  それから、七月でしたでしょうか、世界人口デーというのがありまして、ことしは国際高齢者年ですか、それの一環でこの人口問題を取り上げましたときに、「国会議員のための人口ファイル」というものも、わかりやすいものを出版されております。議員の先生方の机の上にも配付されているかと思いますので、NGOにかわりまして皆様方にお訴えさせていただいて、ちょうど時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  58. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  59. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  60. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。四十五分間の質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、有事法制につきまして若干の質問をさせていただきたいと思います。我が党といたしましては、このことを特に緊急事態法制という言い方をしておるわけでございますけれども、内容及び考え方は共通しておると思います。  私ども民主党は、六月に安全保障基本問題調査会でこのことに触れさせていただきました。時を同じくして自由民主党さんの方の危機管プロジェクトチームでもこの問題を取り上げておるようでございますし、連合の六月の中央委員会でもこのことに初めて触れている、そんな流れもございますし、ことしは日米のガイドライン法案も成立、通過をいたしました。  また、九月十日には、野呂田長官が防衛庁の幹部の皆さんに、日本が直接武力攻撃を受けた場合の自衛隊の防衛出動に必要な法令上の特例措置について考え方をまとめるようにと指示をされたという新聞報道もございます。また、七月の参議院の予算委員会では、小渕総理大臣もこのことについて若干の答弁をされておられる。そんなことを踏まえまして御質問をさせていただきたいと思います。  そんな中で、今まさに自自公の三党の連立協議の最中でございます。明日にも内閣の改造があるや、そんな話も出ておりますが、その三党の中でも、いわゆる有事法制について立法化を進めるべきではないか、そんな議論が出たようにも承知しております。  単刀直入にまず長官にお伺いをしたいと思いますが、防衛庁としていわゆる有事法制について立法化の準備をしておりますでしょうか。
  61. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 九月十日、私が、防衛庁に設置されております重要事態対応会議においてなした有事法制に関する指示は、今委員からもお話しございましたように、各党からいろいろなこの問題に対する御議論や構想が出されておりますので、今後、国会においていろいろな議論が出てくることが予想されますので、そういった議論に対応する準備をきちっとしておくべきだ、そういうことを指示したわけでありまして、今直ちに防衛庁国会に法律を提出するということで立案をせいというような趣旨で申し上げたわけではございません。また、私が内部で指示をしてからちょうど二週間後の二十八日、自自公三党間の合意がございましたが、それと私の指示は連動したものでは全くございません。  御案内のとおり、現在の有事法制の研究は、問題の整理を目的として、立法の準備ではないということで二十二年前から検討を進めているわけでございますから、防衛庁としてはそれを引き続き検討してきたところでございますけれども、防衛庁としては、研究にとどまらずその結果に基づいて法制が整備されることが望ましいということで、私もこの国会で何度かそういう考え方を申し上げてきたところでございますし、有事法制をめぐる今後の各政党間の動向を注目しながら慎重に対処してまいりたい、こう思っております。
  62. 小川勝也

    小川勝也君 九月十一日の新聞記事には、御丁寧にも、これは立法化の準備ではないということを特に書き添えてありましたので、今の長官の御答弁のとおりであろうと思います。ましてや、今三党で御議論をされておられるということでございますので、それがまとまり次第新しい内閣で、そういうふうになるとすれば作業に着手するのであろうというふうに思います。  長官から指示がありまして、防衛庁方々、さまざまな準備をされておられると思います。現時点で、ここまではこんな内容がまとまりましたとか、こんな準備ができましたということがあれば教えていただきたいと思います。
  63. 守屋武昌

    説明員(守屋武昌君) お答えいたします。  ただいま大臣から御答弁がありましたとおり、九月十日の重要事態対応会議におきます大臣の指示は、今後国会においてさまざまな議論が出てくることが予想されることから、防衛庁としてそういう議論にきっちり対応できるようにしておいてほしいという指示でございまして、概要等をまとめて御報告するといった段階のものではないということで御理解いただきたいと思います。
  64. 小川勝也

    小川勝也君 有事法制の研究をするにもいろいろな条件とか情報があると思います。五十二年から、いわゆる昭和五十年代も、苦しい環境の中で防衛庁がさまざまな準備、研究、検討をされてきたと伺っております。冒頭私が申し上げましたように、機運といいますか環境は大分変わってきたと思います。昭和五十年代のいわゆる研究と比較をいたしまして、今般、長官から御指示のあったその研究といいますか準備、大分内容が変わってくるであろうと思います。その条件面でも結構でございます、環境面でも結構でございます、五十年代の研究と今回の研究と、こんなふうに変わったというところがあれば教えていただきたいと思います。
  65. 守屋武昌

    説明員(守屋武昌君) 昭和五十年代の研究は現在の憲法の枠内で検討を始めたものでございまして、そういう大きな枠につきましては基本的に大きな変化はないものと考えておりますけれども、私どもが有事法制研究の報告、公表をいたしましてから、この第一分類、第二分類におきまして、特に第二分類でございますが、これは各省庁の法令に私どもの特例措置が必要だという観点から研究したものでございますから、その後の各省庁の法令の改廃という状況がございまして、これを必ずしも私ども全部追跡しているというわけではございませんので、そこら辺のところを各省庁の法令の改廃等の状況も踏まえつつ研究を進めていく必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。
  66. 小川勝也

    小川勝也君 実は、これは私ごとでございますけれども、麻生幾さんという方がお書きになりました「宣戦布告」というものを非常に興味深く読ませていただいたと同時に考えさせられました。これは書店でもたくさんの部数が売れたというふうに聞いております。  内容は、某国の船が日本海側に着いて、迫力のある武器をもって我々の国の国民を殺傷して、それを治安出動から防衛出動した自衛隊が追いかけるという内容でございました。もちろん読み物でございますけれども、考えさせられる点がたくさんありまして、その中で著者の言わんとしていることは、日本という国はこれだけのお金を投じて国を守るという施策を打って、たくさんの自衛隊員がこの国土を守っているということになっているのにもかかわらず、もし万が一のときには法律上さまざまな制約を受けてまことに脆弱である、こういったことを示唆しているのだと思います。  有事法制というふうに一口に言いますと、当然のことながら世界には核保有国もあるわけでございますし、いわゆる大陸間弾道弾などというものもございまして、さまざまなことを想定する、これは大変多岐にわたってくると思います。  それはちょっと横に置きまして、今、例えばその本にあるような、私たちの国に不法にあるいは武器を持って入国をして、その人たちが意図を持って我々の国の人たちを殺傷する、あるいはその準備をしているという段階において、我が国としてどういうことがとり得るのか。そんなことを考えたときに、この有事法制の整備というものも本当に多くの国民の方の理解を持って御議論をさせていただけると思いますし、御準備もしていただけるんではないかなというふうに思います。  有事法制の中で、少し限定をいたしまして、今私が申し上げたように海を通ってゲリラ的な人たち我が国を脅かすような状態になったときに、我が国の自衛隊が私たちの生命や財産を守ってくれるんだという前提で、自衛隊が活動するためにどんなことが少なくとも整備をされなければいけないのか、現段階で把握をされておられることを教えていただきたいと思います。
  67. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 平時におきますテロ対策につきましては、委員御承知のとおり第一義的には警察機関の任務でございます。警察機関では対処することが不可能か、あるいは著しく困難な場合には治安出動等により自衛隊が対処する、また武力攻撃に及ぶ場合には防衛出動という法律体系になっているわけでございます。  防衛庁としては重要事態対応会議というのを設けまして、今委員が触れられたような核開発の問題から、ミサイルの問題、不審船の問題、あるいはNBC、生物化学兵器、と同時に御指摘のテロやコマンドのゲリラ等の問題についても、もう既にことしに入って十八回、重要事態対応会議を開きまして、それぞれの項目につきまして何度も問題点の摘発と対処の仕方について議論をし、怠りなく準備しているという状況でございます。  その中で、今の武装工作員等の侵入事案に関しては、治安出動時に準用される、これは警察官職務執行法が適用されるわけでありますが、これでは十分な対応ができないという事態もしばしば起こることも予想されます。そういった場合における法的手当て等につきましては引き続き検討する必要がある。私どもは重要事態対応会議でもそういった面につき分析、検討を加えている。また、各省庁間の連携についてもさらに緊密にする必要がある。こういう点で検討を行い、万全を期してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  68. 小川勝也

    小川勝也君 我が国に住む人たち日本国民が安心して暮らしていくために自衛隊というものが存在をしていると思いますし、まさかのときにも安心をということまではいきませんけれども、きちっとその役割を果たしてくれるんだというふうなそんな国になることが望ましいと思いますし、そのために必要な法整備は私は急いでやってもいいものだというふうに思います。  しかしながら、いろいろな考え方の人たちがいますし、有事法制といいますと戦争準備とイコールにとらえるような感覚の方もいらっしゃると思います。私は、憲法九条を持つ国にふさわしい専守防衛あるいは非核、そして民主主義国家であり平和国家である日本にふさわしい、そんな法制度に我が国はする必要があると思います。諸外国にもたくさんのそういった緊急事態法制があると思いますけれども、我が国にふさわしい法体系、法整備というのは必ずあると思います。  長官、この点につきまして御感想いかがでしょうか。
  69. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 端的に申し上げますと、仮にある国が日本に上陸してきたと仮定しまして、そうなれば防衛出動して交戦ということになりかねないわけですが、そういう場合で仮に海岸に陣地をつくろうというふうに仮定した場合でも、港湾区域なら運輸省、漁港区域なら農林水産省、その他の海岸ならば建設省の各大臣の認可が必要であります。また、指揮所が必要となった場合は都道府県知事の基準法による許可が必要だということで、実態から見ればそれぞれ三週間以上かかっておるわけですから、そういうようなことでは国がなくなってしまうという懸念もあるわけです。そういうことは、人によっては一たん戦争になればそれは超法規でやったらいいじゃないかという議論をされる方もおりますけれども、法治国家として超法規でやるということはこれはやっぱり正しいあり方じゃありません。超法規でやらざるを得ないようなことを予想されるならば、私は日ごろきちっと法律を整備しておいた方がいい、こういうふうにまず思っております。  昭和五十三年に私どもが有事法制の研究として発表した「防衛庁における有事法制の研究について」、そこで明らかにしているところでありますが、有事の際の自衛隊の任務遂行に関連する法制上の諸問題については、あくまでも憲法の範囲内で行う、こういうふうに明記しておりまして、今後もこのことは大変大事なことであると思っております。  国会でも質問が出たと思いましたが、旧憲法下の戒厳令とか徴兵制度のようなものも考えられるんじゃないかという御質問もあったように記憶しますが、そのようなことは全く対象にしていないし考えていない、こういうことであります。  いずれにしましても、この有事法制に関する法制化の問題は、総理も私もたびたび申し上げてきたところでありますが、高度の政治判断にかかわる問題でありますので、有事法制の研究は憲法の範囲内で行ってきているし、これからもそうあらなければいけない、こういうふうに考えております。
  70. 小川勝也

    小川勝也君 憲法の枠内でというのは至極当然の御答弁だと思いますけれども、私はこの有事法制をこれからいつの時点かで準備をして、国会で論議をする日が来るであろうというふうに思います。そのときにまず大事なことは、我が国は民主主義国家でありますので、国がこういう場合にはこういうことが必要なんだという形で国民に押しつけるのではなくて、国民に本当に理解を求めていくような議論の盛り上げ方、これが必要だというふうに思います。私の立場から申し上げさせていただきたいと思います。  さて、十一月にも臨時国会が召集されるやに伺っておりますけれども、この臨時国会に有事法制的なものが提出される可能性はあるのかどうなのか、お答えにくいかもしれませんけれども、一応念のためお伺いをさせていただきたいと思います。
  71. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほども御答弁したところでありますが、私は、有事法制につきましては今まで二十二年間ひたすら勉強してきたわけでありまして、いろいろな形での結論が出ていると思います。そこで、これは先ほど来申し上げているような考え方から、研究にとどまらず、法制化することが望ましいとこの国会でも私は何十遍もそういう答弁をしてきたところでございます。  しかし、国の防衛というものは国民協力と理解なしにはこれは全うすることができないということは大鉄則でございます。また、現実に法制化を図るためには高度の政治判断が必要でありまして、国会における御理解、十分な御審議をしなけりゃいかぬ、あるいは国民世論の動向も踏まえて適切に対処していかなきゃいかぬ、こういうことでありまして、私の口から、今度の臨時国会に出すのかということを聞かれると、私としてはそのつもりは今のところない、こういうふうにお答えしておきたいと思います。
  72. 小川勝也

    小川勝也君 長官に御答弁いただきましたように、逃げずに国民に向かって正面から正々堂々と議論をしていただくような、そんなプロセスを経て有事法制ができるように望んでおります。  次の問題に移らせていただきます。  兵器の輸入価格についてという項目が立っておりますが、これは非常にわかりにくいかと思いますけれども、端的に言いますと、アメリカ合衆国を中心に、我が国の装備、兵器の中で輸入をしているものがあります。その中で、私なりに把握をいたしますと、商社経由で購入するもの、これはかつてはいろんな事件になったことも記憶に新しいことだと思います。それからもう一点はFMSと呼ばれるフォーリン・ミリタリー・セールスという仕組みを使って輸入されるもの、そしてもう一つは有名な言葉でありますライセンス生産、こういうものがあると思います。  巷間、私がちょっと耳にしたうわさ話がございます。どういううわさかといいますと、日本で購入している価格はアメリカ合衆国すなわち米軍が購入する価格の数倍に及ぶものがあるんだ、あるいは日本が買う場合にはある金額だけれども、日本以外の別の国が買うときには日本よりももっともっと安い価格で購入をしていると。  これはいわゆるところのうわさ話かもしれません。そのお話に興味を持ちまして、兵器の輸入というのがどういうふうに行われているのかな、そんな中でこの三つの輸入に係る仕組み、システムについてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、私が指摘をした三つの方法以外にもあるかもしれませんけれども、商社経由、そしてFMS、ライセンス生産、それぞれの方法のメリット、デメリットについて簡単にお伺いをしたいと思います。
  73. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 先生指摘のとおり、国内におきまして開発を行っていない装備品につきましては、米国の製造企業からライセンスを取得して国産する御指摘のライセンス生産、それと米国から輸入する場合、おっしゃるように一般輸入と通称申しておりますが、多くは商社を通じて行うもの、そして米国政府から調達をいたしますいわゆるFMS、確かにこの三つの分野があろうかと存じます。  ライセンス国産する場合の特徴といたしましては、維持、補給は国産でございますので容易であろうと存じます。また、防衛生産や技術基盤の維持にも資するという長所があろうかと思いますけれども、いかんせん国内、自衛隊だけの調達になりますので、生産量が少ないということで一般にコストが割高になるという傾向がございます。  他方、商社を通じまして装備品等の完成品を輸入する場合でございますけれども、確かに大量生産等のメリットから一般的には価格が割安であろうか、そういう長所があろうかと存じますけれども、一方で、ライセンス国産の裏側でありますけれども、逆に維持、補給面で米国事情に左右されるといった面もあるのではないかというふうに思っております。  FMSについては、これら長所、短所、輸入一般の問題に加えまして、一般輸入では入手できない、要するに米国政府からしか調達できないような秘物件等の貴重な装備品が入手できるという長所はございますけれども、支払いでございますとか履行期限等に対し米国政府の定めた調達条件に従わなければならないという点は短所ではないかというふうに思っております。  したがいまして、防衛庁といたしましては、個々の装備品等の調達に当たりましては、それぞれの長所、短所を十分に勘案した上で最も適切と思うものを選択する、こういうことにいたしているところでございます。
  74. 小川勝也

    小川勝也君 価格差が出るということをお認めになられました。  私の方にはF15という航空機の資料があるんですけれども、おおむねで結構でございますが、それぞれの輸入の仕方によるコストの違い、価格差というのはどのぐらいと把握しておられるのか、教えていただきたいと思います。
  75. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 御指摘のF15は日本ではライセンス国産でございます。日本のメーカーがライセンスを導入してつくっておりますので、輸入によるF15の価格というのは私どもは持っておりません。したがいまして、調達価格で申し上げますと、平成七年に五機契約をいたしておりますが、FAC価格、いわゆる初度部品を除いた機体価格で約九十八億円、他方、平成八年度は四機購入いたしておりますが、同様の単価で約百八億円となっております。  米国の調達価格がどの程度かというのは必ずしも明らかではございませんが、いわゆるこういう分野で権威のあるとされておりますジェーン年鑑によりますと、FAC単価で約四十一億円ということだというふうに聞いております。
  76. 小川勝也

    小川勝也君 今の比較はいわゆるライセンス生産と米軍の調達価格だと思いますが、これをFMS方式で購入したことはありますか。
  77. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) ございます。
  78. 小川勝也

    小川勝也君 年度が違って比較しにくいかとも思いますけれども、参考のお値段を教えていただけると。
  79. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 大分古うございますが、昭和五十三年に四十六億三千七百万円ということで購入いたしております。
  80. 小川勝也

    小川勝也君 ちょっと余りにも年代が違って比較にならないと思いますけれども、私が今回質問をさせていただきたかったのは、そのFMSによって購入する場合、先ほど御答弁にもありましたように、アメリカの定めに従って云々というお答えがございました。どちらかというと売り手市場になっているのではないか、そんな懸念がありますものですから、この場で確かめたいというふうに思いました。  かつて日本からFMSによってアメリカ合衆国、米軍に買いに行った場合には、売ってやるんだというふうな形で価格やさまざまなサービスの場面でもいわゆる米軍側、売り手側の希望どおりに事が進んだ時代があったやに聞いています。最近のことがよくわかりませんけれども、その実態につきまして、過去、現在、知っていることがあればお答えをいただきたいと思います。
  81. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 先生指摘のとおり、また先ほどお答え申し上げましたとおり、FMSはアメリカの一種の武器援助政策の中から生まれているものでございまして、その条件につきましては、それを受け入れなければ私どもは買えないわけでございますので、そういう点では通常の取引とは違う側面があることは事実であろうと存じます。  ただ、他方で、米軍が有償で提供いたしますこのFMSの装備品につきましては、米軍及び購入国の別を問わずに米軍の補給システムが一元的に適用され運用されておりますので、基本的な価格は米軍と同等の価格が基礎になるわけでございます。  ただ、それを我が国に持ってくる場合には、開発分担金でございますとか、当然のことながら輸送費、FMSの管理費等諸コストが上乗せになりますので、相応の金額が上積みされる、こういうことになろうかと思います。
  82. 小川勝也

    小川勝也君 私も若干この勉強をさせていただきましたので、例えば今おっしゃっていただきましたように、それぞれの方法にメリットとデメリットがあると思います。ライセンス生産にすれば補給その他維持管理は楽になるかと思いますけれども、コストが非常に高い。それから、御答弁にもありましたとおり、技術を維持する、開発するということに関しましては、ライセンス生産ということで国内の産業分野、その技術分野が維持されているということで非常に大事なことだと思いますが、例えばFMSの場合、こんなことも聞いたことがあります。  例えば、アメリカ、米軍が使う場合には標準装備されているものを、日本向けにその装備を整えるということになると外さなきゃいけない部品が出てくる。例えばECMとかECCM、これは電子妨害に関する装置、これが例に挙げられておりますが、逆にわざと外してその価格まで上乗せされているような場面もあるというふうに聞いております。  何が言いたいかといいますと、先ほどの御説明にありました、さまざまなシステムがあって、それぞれに長所と短所があって、その場面、場合に応じて物に応じて工夫をしてさまざまな買い方、輸入の仕方を工夫していると。その御答弁はそのまま受けさせていただきますが、買う原資というものはやはり国民の安全を守るということから支払っております税金でございますので、少しでも安く調達する努力を日々していただく必要があるのではないかな、そんな観点から質問をさせていただきました。  過去から現在、そして未来に向かっていくと思いますが、少しでも安くいい兵器を購入するんだ、そんな気構えの中でどんな工夫があるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  83. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 先生指摘のFMSでも米軍の仕様と私どもで仕様が違う場合がございまして、そういう場合には当然のことながらその相違に基づく価格交渉をいたすわけでございまして、それはそれなりの努力をさせていただいているつもりでございます。  また、必ずしもFMSだけではない、複数の供給先が可能だと思うような場合には、その複数の供給先から見積もりを徴取するなどしてなるべく競争性を高めたいというふうに措置を行っているところでございます。  また、FMSに関しましては、開発分担金の免除を要請いたしましたり、あるいは先ほど申し上げましたFMSの管理費の減額等を要請し続けてきておりまして、おかげさまでこのFMSの管理費につきましては、本年六月以降の契約から、従来三%でございましたものを二・五%に減額するなどの努力の成果があらわれているところではないかというふうに思っているところでございます。  今後とも、あらゆる機会をとらえまして米側にFMS関連経費のさらなる低減の要請などを行ってまいりたいと思っております。
  84. 小川勝也

    小川勝也君 ちょっと参考までにお伺いするんですけれども、これは機密の事項が多いと思いますけれども、例えば米軍の調達価格であるとか第三国が米国から購入する場合の価格、これはなかなかわかりにくいものだと思いますけれども、こういうものはわかるものなんでしょうか。ちなみにちょっとお伺いをしたいと思います。
  85. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 私ども、装備品を概算要求あるいは契約する際には、適正な価格で調達いたしたいというふうに思うのは当然でございまして、そのため諸外国の防衛装備品の調達価格につきましても極力情報収集を行っていることは事実でございます。  ただ、必ずしも十分な資料が公刊資料等では得られないわけでございまして、主として主要な装備品につきましては、米国の議会報告書でございますとかあるいはそのホームページ、それからジェーン年鑑等により把握しているものがあるわけでございます。  他方、欧州の国、英、仏、独等におきましては契約価格を基本的には開示いたしておりません。また、米国そのものにおいても、トータルの価格は開示されておりますけれども、その対象となります仕様等は明らかではございません。したがいまして、その調達価格がどの程度詳しく正確に把握できるかという点になりますとかなり困難な面があることは事実でございます。  ただ、いずれにいたしましても私ども、できる限り安価で適正な価格で調達いたしたいということで、各種資料の収集あるいはその情報収集等に今後も努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  86. 小川勝也

    小川勝也君 御答弁の趣旨で引き続き御努力をいただきたいと思います。  次に、ODAの分野の質問に移らせていただきたいと思います。  ODAにつきましては、本院の特別委員会でも熱心に議論されておりますし、きょうの午前中の質問にもたくさんの先生方が質問されておられました。少しかみ砕いた質問をさせていただきたいと思います。  小渕総理は、就任以来ODAの使われ方についていろいろと腐心をしておられますし、本年八月十日には中期政策も発表されました。ODAが適切に使われているかどうかということを考えたときに、これは私の主観でございますけれども、適切にというのが幾つかの分野ごとに分けられるのではないかなというふうに思います。  これを申し上げますと、一番目に、政策的に適切なものかどうか。二番目に、環境破壊などの問題点を含んではいないか。三番目に、これはいろんな形でうわさ話を初めとしていろんな情報があるわけでございますけれども、ODA受け入れ国側の不正な資金の流れがあるのではないか。四番目に、日本の商社、ゼネコン等、業者等の受注の仕方に問題点がある場合がある。さらに五番目には、借款という形で貸したお金が戻ってこないという場合。こういう問題点が幾つかあると思いますけれども、わかりやすく評価した場合にこんな点が考えられるのではないかなというふうに思います。  これからも、今までもいろいろな形でODAが適切に処理されるように御努力をされておられると思いますけれども、外務省として、これは私が分けさせていただきました分野でございますけれども、この分野はおおむね問題点はなくなった、あるいはこれから先問題点を解決する場面はこの分野だと、何らかのお答えをいただきたいと思います。
  87. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 今、委員指摘の五つのポイントに沿いまして私どもの考え方を申し上げさせていただきたいと思います。  まず、政策的に適切かどうか、こういう基準を御指摘になられました。当然、私どもODAプロジェクトを実施する際には、中期政策、さらに今後、今つくっております国別援助計画に基づきまして、相手国の要請を受けて個々のプロジェクトを選択していくわけでございますけれども、その選択もしくは執行が適切であったかどうか、これがODA評価の面であると思います。  ODA政策面での評価につきましては、従来、私ども外務省JICA、それからOECF等の評価は、どちらかといいますと個別のプロジェクト評価する事後評価に偏ってきた嫌いは確かにございます。したがいまして、私どもとしては、個々のプロジェクト評価を超えた政策的な評価も今後強化していきたいというふうに考えておりまして、この面で評価システムの改善策を現在検討中でございます。  少し立ち入って申し上げますと、DACに評価原則というのがございまして、五つの基準を設けて評価を行うよう各国に勧告をしておりますけれども、その五項目のうち妥当性というテーマがございまして、その中では特に被援助国側の援助政策あるいは開発政策や優先度と合致していたかどうかチェックする、こういう項目がございます。  あと五点、よろしゅうございますか。  それから二番目は環境の分野でございますけれども、環境の分野につきましては、事業主体でございます途上国政府に対して、私ども、政策対話を通じて環境配慮が適切に行われるよう働きかけております。さらに、プロジェクトの実施に当たりましては、例えば開発調査につきましては、JICAにおきまして環境配慮ガイドラインというものをつくりまして環境配慮を行っております。  また、円借款につきましては、相手国政府が、環境配慮のためのOECFガイドライン、これに基づいて計画の準備段階で環境配慮を検討するよう要請しておりまして、融資の審査においても十分な環境配慮が行われているかどうか、私ども確認を行っているわけでございます。問題がある場合は、相手国が必要な措置をとるようにミッション等を派遣いたしまして積極的な働きかけを行っております。  それから三番目でございますが、受け入れ側の資金の流れに不正がないかどうかという点でございます。  この点につきましては幾つかの段階がございますけれども、資金を実際に支払う段階におきましては、必要な証拠書類を徴取することによって資金の使途を確認した上で供与している次第でございます。それから、調達の段階におきましては、資金協力の対象となっている資機材、役務の調達が私どもが定める調達方法にのっとって適正な手続のもとで行われているかどうかチェックするために、調達手続の各段階、事前審査とか入札結果評価とかいろいろございますが、その段階で事前の同意を求めることにしております。  もう一点ございまして、我が国資金協力の対象となっている事業に関連して贈賄等不正が行われることのないように、個別のプロジェクトを結びますときには交換公文において資金の適正使用条項、さらには附属文書で反汚職条項を置いて不正防止のための必要な措置を規定しているところでございます。さらには国内法で、委員御承知のとおり、この二月からは不正競争防止法が改正されまして外国公務員等に対する贈賄行為が処罰されるということになっております。  それから、日本業者の受注の仕方に問題がないかということにつきましては、時間の関係がございますから簡単に申し上げさせていただきますと、一般競争入札ということを原則やっておりまして、その入札の各段階でチェックをしているところでございますけれども、こういったものも透明性とかあるいは効率性を図れるよう一層努力をしたいというふうに考えております。  最後に、円借款の返済の問題でございますけれども、これは円借款の供与に際して、政府部内の協議の過程で借入国のマクロ経済状況あるいは公共投資計画等を調査した上で、借入国にとって返済が過度な負担とならないように配慮しているつもりでございます。返済状況はおおむね順調でございますが、一部の返済困難に直面した国については、パリ・クラブやその他の国際的な枠組みのもとで債務繰り延べ等の措置をとっているところでございます。
  88. 小川勝也

    小川勝也君 いろいろな分野でいろいろな取り組みをされているのがよくわかりました。しかしながら、おおむね政策的な部分に限って言いますと、自身でやった事業に対しての評価ということになると非常に甘くなってしまうというようなことを聞いたことがございます。  九月二十日の新聞を見たのでありますけれども、そんな折に、大蔵省がODA事業の事前・中間評価制度を導入するんだというふうな記事を見ました。内容がどんなものであるのか、大蔵省の方に来ていただいて、簡潔に教えていただきたいと思います。
  89. 津田廣喜

    説明員(津田廣喜君) 新聞のことについて私どもがとやかくコメントする立場にはありませんけれども、今外務省からお話がありましたように、ODA事業の政策評価は既にプロジェクトの終了後に事後評価が行われているということでございます。効率的でかつ透明なODAの実施体制の確立ということが大事だと思っておりまして、このために具体的にどういう評価システムのあり方がそもそも適当なのかというような根本論もしなければいけませんし、あるいは具体的にどういう工夫がそもそも可能なのか、そういったところからまず議論をしなければいけないと思っておりまして、現在、外務省などの関係当局といろいろな検討をしているところであります。  したがって、きょうの段階で具体的なことを申し上げるのは困難ですけれども、引き続きこの評価システムの改善に向けて努力をしたいというふうに考えております。
  90. 小川勝也

    小川勝也君 時間がなくなりましたが、ODA事業というのは、いろんな先生方からもお話がありましたとおり、外交カードとしても非常に重要なものでありますし、これもまたしつこいようでありますけれども、国民の納めた税金という部分がたくさん占めております。本当に役に立つお金であれば納得をするということであろうと思いますので、あらゆる段階でその内容について検討や検査がチェックできるような体制が望ましいと思いますし、その評価というものは、内部も当然必要でありますけれども、やっぱり外部からの評価、チェックがどうしても必要になると思います。  会計検査院の方も頑張っておられると思いますが、大蔵省の方でそういう検討もされておられるということであれば頑張っていただきたいと思いますし、外務省の方も引き続き有効に使われますように御努力をいただきたいと思います。  質問を終わります。
  91. 益田洋介

    ○益田洋介君 外務大臣、国連総会からお帰りのすぐで大変お疲れのところ御苦労さまでございます。  その同じ国連総会に出席していた北朝鮮の白南淳外務大臣が総会での演説後、記者会見をいたしまして声明文を手交いたしました。その中で外相はこういうことを言っています。五年にわたって続いてきた経済的難関が最も困難な山を越え、回復の転換期に入ってきている。かえって試練を通じて私どもは強くなったと。これは結構なことだと思うんです。しかし一方では、依然として拘留中の大量の政治犯について、あるいは日本からの拉致疑惑については一切コメントしなかった。  一方で、対日関係については、アメリカのVOA放送、ボイス・オブ・アメリカのインタビューに答えて次のように言っている。日本との関係改善問題はすべて日本側の態度にかかっている。我々としては日本との関係改善をしなくても生きていける。日本は朝鮮人民に与えた罪を謝罪するだけではなく、それに相当する補償を必ずしなければならない。こういう発言をしております。  これについて、外務大臣はどういうふうにお考えですか。
  92. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国といたしましては、北朝鮮側より国際社会の懸念や日朝間の諸懸案につき建設的な対応を得て日朝間の関係改善を図っていきたいと考えているわけでございます。  過去の問題は日朝国交正常化交渉において話し合うべきものと認識しておりますが、関係改善を図っていく中で国交正常化交渉の再開が可能になる状況ができるように期待をしているところでございます。
  93. 益田洋介

    ○益田洋介君 アメリカとの関係が進展を見せてきて、さまざまな形での経済制裁の緩和であるとか、そうした状況に自信を得て、むしろ対日関係については圧力としてこの対米関係の進展を使おうとしているような意図がうかがわれますが、外務大臣はどのようにお考えですか。
  94. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日米韓の協調体制、揺るぎのないものでありますし、そうであるからこそ北朝鮮が米朝交渉におきまして若干柔軟とも思える姿勢を示してきていると。それはそれで大変結構なことであると歓迎をしているところでございます。
  95. 益田洋介

    ○益田洋介君 きのう、二十九日の平壌放送によりますと、朝鮮労働党の機関紙であります「労働新聞」でさまざまのコメントが発表されております。まず第一に、北朝鮮のミサイル再発射凍結表明は韓国側の太陽政策によってもたらされたとの洪淳瑛韓国外交通商大臣の発言は正しくないと、強く反発する論評を掲載しております。さらに同紙の中で、ミサイル発射問題は我が方、北朝鮮の国家の自主権の問題であり、したがって我が方は必要に応じていつでもミサイルを発射し得るであろうと改めて表明をしております。  この点についてはどのように考えますか。
  96. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二十五日に白南淳北朝鮮外相が、国連総会の場で、米朝協議が続いている間はミサイル発射を停止するであろうとの立場を表明した直後、今まさに委員が御指摘になったように報じられたわけでありますが、今般、白南淳北朝鮮外相みずからが国連総会の場で立場を表明した。そのような立場に変更があったとは考えたくない。考えたくないんですが、そういうことも報じられておりますので、いずれにせよ今後の米朝協議等において北朝鮮のミサイル発射の凍結が明らかになることを強く期待しているというのが私の立場でございます。
  97. 益田洋介

    ○益田洋介君 ちょっと物の考え方が世界的な今の外交常識から考えて甘いような、こういう言い方は失礼かもしれませんが、そういう印象を受けてならないわけです。相当やはり警戒心を持って対応していかなきゃいけない、外交をしていかなきゃいけない、そういう国であると私は北朝鮮を考えております。  二十七日、定例の記者会見を行って、野中官房長官が対北朝鮮制裁についての緩和について前向きの発言をいたしました。アメリカと協調姿勢をとろうというお考えが背景にあったのかもしれません。一方で二十八日、自由民主党外交関係・国防関係合同会議を党本部で開いて、そして結論として制裁解除は現在行われるべきでないという方針で一致した。特に、赤城国防部会長は発射しない自体は当たり前、これは再発射のことですけれども、当たり前で、もっとより前向きな対応がなければ解除すべきでないというふうに強く主張しております。  同じ自民党の中でもこういうふうに意見が分かれているわけですが、外務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  98. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二十四日及び二十五日、北朝鮮は米朝協議が続いている間はミサイルの発射を行わない旨発表したわけでありますが、今御指摘ありましたように、野中官房長官は二十七日の記者会見において、この発表を歓迎するとともに、我が国が昨年の八月のミサイル発射を踏まえてとった措置について、いかなる対応をするかにつきましては今回の発表を踏まえてよく検討を進めていかなければならないと考えておりますと説明をされたわけでございます。  御指摘の二十八日の自民党の部会におきましては、当省からは我が国がとった措置について現時点では直ちに解除することは考えていない旨説明しましたが、これは具体的にどのように対応しているか検討していく考えでありまして、現時点で直ちに解除することは考えていないという立場を説明したものであり、両方の発言は全く矛盾しないものだと、こう考えております。  日米韓で協調して北朝鮮に対応していこうと。協調してやっていくんだけれども、日米韓が全く同じ政策をとる必要はない、こういうことは日米韓お互いに確認をし合っているわけであります。ただ、そういう中で包括的統合されたアプローチ、統合されたというのはまさに日米韓が同じ方向でやっていこう、こういう話になっているわけであります。そして、アメリカがまず北朝鮮側との話の中でいい感触を得て、そしてそういう中で制裁の一部緩和ということをした、そのことによってさらに北朝鮮側が米朝関係が続いている間は発射をしないよ、こういうことを言っているわけであります。  確かに米朝関係、交渉が続いている間はというのがどの程度のことを指すのかということ等ももっとよく検討しなきゃなりませんし、米朝協議というのはこれからも進んでいくわけでありますから、その中の進展、どういうふうに進むかということをよく見きわめたい。それが進んでいくのに日本だけがいつまでも日本は都合があるから一切知らないよというわけにはいかないだろうと。だから、そういう中でアメリカがまず北朝鮮に対する制裁の一部を緩和した、北朝鮮がちょっと前向きに動いた、さらにもう少し米朝の中で動いてくれないかな、そういうことを期待していると、その上で日本もいろいろ検討していかなければならないことがあるでしょうと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  99. 益田洋介

    ○益田洋介君 さまざまにアメリカと日本を取り囲んで問題を提起しているこの再発射に関する発言、こういうことを声明する国、この問題自体は外務大臣どのようにお考えなんですか。
  100. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮の声明とか北朝鮮の放送だけをそのまま真に受けてやっていたら、それは私なんか名指しでやられている人間でありますから腹が立ってということもありますが、それはレトリックとしてそういうことを使うことをそのまま正面からやり合っていて本当にいいのかなということもあるわけであります。  北朝鮮という国を国際社会の中にどう取り込んでいくかということも必要な観点でありますから、相手がこういうふうに言ったからそれに対してこうでなければいけないと、必ずしもそういうことではなくて、やはり対話と抑止、このバランス、日本としてのバランスをきっちり考えながら進めていきたい、こう考えているわけでございます。
  101. 益田洋介

    ○益田洋介君 大変外務大臣のお考えはリーニエントで、寛容のように私は聞こえます。今、単に報道とか、これはアメリカでも報道されていることですが、だけを頼りにして判断してはいけない、それもわかります。今の外務大臣の寛容さというのは、御自分独自の情報をお持ちだからだということなんでしょうか。そのように理解してよろしいですか。
  102. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私独自の情報というのをどの程度期待して言っておられるのかよくわかりませんが、私も外務大臣という職にありますから、独自の情報を全然持っていないわけではありませんが、独自の特別の情報があるから初めてそうというのではなくて、やはりまさに国際的に北朝鮮というのはだれがどう見ても孤立しているんです。孤立している国の言葉が激烈になるというのは歴史の中でいつもあることで、それに対して同じように対応していっていいのかどうかと。  私は、今まで二十年の政治生活の中で割とタカ派だと言われたことの方が多いんですが、寛容だということを言っていただいてまことにありがたい、こう思っておりますが、やはり大きな目で日米韓協調して、協調しながらも、先ほど申し上げたように全く同じ政策をとる必要はないわけでありますから、日本日本の独自の国益に基づいて対話と抑止のバランスをとりながらやっていくことが必要であると、こういうふうに思っております。
  103. 益田洋介

    ○益田洋介君 非常に論理的でわかりやすいんですが、外務大臣、なぜ北朝鮮という国は世界の中で孤立してしまったんですか。どのようにお考えですか。その孤立した原因、背景というものを取り除いてあげなければ孤立から免れない、抜け出せない、そういうふうな物の考え方になるんじゃないですか。
  104. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員のおっしゃる意味はわかるような気もしますし、はっきりわからないのではっきり教えていただいた方がもっといいかと思いますが、いずれにしても、国際社会の中に北朝鮮が入ってくるように日本とすればいろいろ考えることもありますが、できるだけ北朝鮮が建設的な対応を示すときにはそれにこたえていくという態度が我が国として必要なことだと、こういうふうに思っているということを申し上げているわけでございます。
  105. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に、二十八日、韓国の国防省が国会に提出した資料の中で北朝鮮に関する表記がございますので御紹介します。  北朝鮮は、九五年から五年間でロシアやカザフスタンなど七カ国から総額約一億五百六十三万ドル、邦貨にしまして百十億円相当の武器を輸入したことが判明した。また、北朝鮮は九一年から九八年まで中東や東南アジア各国にスカッドミサイルや高射砲など約八億ドルの武器を輸出したことも判明した。さらには、北朝鮮は経済情勢の悪化で在外公館要員を引き揚げている一方で、アフリカや中東など十二カ国への軍事要員は大量に増加させている。  この点についてどういうふうにお考えですか。
  106. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 先生が今おっしゃいました韓国国防省の報告に関する報道は私どもも承知しておりますが、この報告自体は不公表のものでございまして、韓国は、北朝鮮情勢につきましてはほかの国に比較すれば相当いろいろ情報も有し、深い判断をしていると思いますけれども、いずれにいたしましても、北朝鮮の極めて閉鎖的な特異な体制の中で、武器の輸出とか購入とかについて私どもはそれほど正確な情報を持っていないのが現状でございます。
  107. 益田洋介

    ○益田洋介君 具体的な数字について韓国国防省が発表した内容は確認できないと思いますが、あらかたの数字はお持ちですか。
  108. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 日韓ではいろいろなレベルで安保対話というようなことも行っておりますし、当然、両国の関心は北朝鮮の軍事力というようなこともございますので、いろいろな機会にそういうことも話はしておりますが、具体的詳細な数字を私どもが持っているというわけではございません。
  109. 益田洋介

    ○益田洋介君 全く数字を掌握していないんですか、武器の輸出と輸入、それから軍事要員の増員について。何かお持ちでしょう。そういうことを掌握しようとしていないんですか、外務省は。
  110. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 今申し上げましたように、韓国とのそういう情報交換等で、例えばこの国防省の報告のもとになったような情報を聞いたりはしておりますが、日本独自としてそういう今先生がおっしゃったような数字を、確かなものを持っているということではございません。
  111. 益田洋介

    ○益田洋介君 具体的な数字をここで述べてくださいとお願いしているんじゃないんですよ。我が国としてちゃんとした調査をして、数字はつかんでいらっしゃるんですね。これだけミサイルを撃ち込まれて、また再発射をするとおどかされている相手国ですよ。何の調査もしていないというんじゃまずいわけでしょう。しているんですね、数字を持っているんですね。
  112. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 調査ということがどういうことか、内容は私必ずしも明確でございませんが、先ほど来申し上げておりますように、北朝鮮の軍事力評価ということはいろいろな関係国ともやっておりますし、その限りでそういう情報というものは持っておりますが、日本が調査をして、どの国にどれだけ武器を出し、どこからどれだけ買っているかということについて、正確な数字は少なくとも外務省は有しておりませんということを申し上げているわけでございます。
  113. 益田洋介

    ○益田洋介君 調査と私が使った一言にそれだけ拘泥して意味がわからないと言うんだったらば、情報収集の努力をしていますかというふうな質問に変えます、それじゃ。
  114. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 先ほど来申し上げておりますように、北朝鮮の軍事情勢、その軍事力評価というようなことについて関係国と意見交換をしておりますし、そういう限りでの情報収集は当然行っております。
  115. 益田洋介

    ○益田洋介君 次に、防衛庁長官に伺います。  十一年度予算で調達する予定だった次期初等練習機についてですが、これは、昨年の秋から暮れにかけてさまざまな富士重工の不祥事が発覚して、具体的に言いますとある自民党の衆議院議員に対する贈賄容疑で、予定していた予算の計上は防衛庁長官の御判断で取り下げた、そういう経緯がありましたが、十二年度の概算要求で改めてこれを要求してきている。  まず、一つお伺いしたいのは、去年発覚した落札に至る過程で、当初富士重工が示していた入札価格が競合会社の出現、これは具体的に言うとスイスのピラタス社で、機種はPC7マークⅡと富士重工のT7が競合した、そういうふうな変遷があって富士重工は最終的に半値近くまで見積価格を落とした。それで、結局、落札価格は三百七十五億円。こういうものは半値になるんですか。バナナのたたき売りをやっているわけじゃないんですから、非常に不自然だ。当時この価格決定の不透明さが問われたんです。  まず最初に、長官、この落札に至る過程、さまざまな変遷、競合会社があらわれたりして価格を半額にした、こうした流れについて事実関係を調査しましたか。
  116. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) まず、事実関係につきまして私の方から御説明申し上げたいと思います。  昨年、新初等練習機の調達に当たりまして、まず五月の段階で、その航空機を取り扱う国内メーカー、それから商社、約六十社でございますけれども、これを幅広く対象といたしまして事前説明会のための案内をしたところでございます。さらにその上で、これは五月十二日でございますが、事前の会社説明会を実施いたしまして、先ほどの六十社のうち約三十社の国内メーカー及び商社が参加したわけでございます。さらに五月十五日に、提案意思を有しました六社に対しまして提案要求書を通知いたしたわけでございます。  この提案要求書に対しまして、六月十五日に二社から、丸紅、これはピラタス社と提携しているわけでございますが、丸紅と富士重から会社の提案書が提出されたということでございまして、この提案書が提出された段階で初めて機体価格というものが示されてきたわけでございます。  その中で、機体価格につきましては、富士重工につきましては二・四億円、それからピラタス社の方が三・一億円、こういう機体価格でございましたし、それからさらに要求性能等を調査いたしまして、価格面、性能面、そういうものを総合評価いたしまして、私どもとしては富士重工が提案したT3改、これが適切だろう、こういうふうに判断し、概算要求をしたわけでございます。  その後、富士重につきましては、初等練習機とは異なります海上自衛隊の救難飛行艇US1A改の開発に関連いたしまして会長等が法令違反容疑に問われるということになりましたので、富士重工に対します制裁措置ということの中で検討いたしました結果、ぎりぎり十一年度に調達する必要があるのかどうかということを調査いたしました結果、これをもう一年後ろ倒しでもパイロットの養成等に支障を及ぼすことがなかろうという判断で、十一年度予算への計上を見送ったわけでございます。  なお、先生のお話の中で、何か当初もっと高い価格が示されておって、それがこの機種選定手続の中で変更されたかのようなお話がございましたが、事実関係は先ほど申し上げたところでございます。よくこの国会でも何度も御説明申し上げておりましたが、中期防を策定する過程の中で、中期防全体の総額を計算する一つの前提としてその時点で一つの価格があった。この価格とは異なる価格でございますが、それはございますが、中期防での価格というのは機種選定とは関係のない価格でございます。
  117. 益田洋介

    ○益田洋介君 御丁寧に長々と答弁していただいたけれども、僕が聞いたのはT7だけなんです。ほかの機種については一切聞いていないんだ。だからT7に関してのみ価格の推移、そしてその間にどういう事柄が起きたのか、その報告書を出してください。  いや、もういい、時間がないから。いいですよ。
  118. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 機種選定手続で提案がございましたのは、先ほど申しましたようにT7、T3改でございますけれども、これについての機体価格が二・四億円、それからPC7マークⅡ、ピラタス社、これが三・一億円、これが提案会社から提案された価格でございます。これ以外の価格はこの機種選定において提案されておりません。
  119. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは中島代議士が逮捕されて、同氏に対する贈賄容疑で富士重工の会長まで逮捕されている。それぐらいの疑惑ですよ。だから、当然これは司直の手にゆだねられたわけだから事実は明らかになってくると思うけれども、防衛庁長官防衛庁としても独自の調査をすべきだと思いますよ。何でこうなったのか、調査していただけますか。
  120. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 内容は今防衛局長から説明したとおりでありますが、報告すべきことがあるかどうか、ちょっと検討してみたいと思います。
  121. 益田洋介

    ○益田洋介君 昨年の十二月十五日、長官は記者会見されました。その中で、結局、制裁措置を富士重工に対してとることにした、一年間の取引停止を含めた制裁措置をとると。今回、十二年度の予算を使っての入札がいつ行われるのかわかりませんけれども、取引停止期間中でも入札は可能だというふうに考えているんですか。そういうことでいいんですか。一年間の取引停止だけだって僕は非常に甘過ぎる処分だと思うんだけれども、取引の停止期間中に入札に応じさせるんですか。
  122. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) この制裁期間中、私どもは富士重工を相手にそういうことをやるつもりは毛頭ございません。また、これからの入札方式につきましても、新しく総合評価落札方式というものを導入してきちっとした体制でやりたい、こう考えております。
  123. 益田洋介

    ○益田洋介君 ぜひともお願いしたいと思います。  次に、防衛庁の一連の不祥事の後を受けて、「防衛調達制度改革実現のための具体策について」、平成十一年三月三十日、防衛調達制度調査検討会のリポートが出ている。作文をつくるのが非常にお上手ですね、実質されているかどうかわからぬけれども。例えば、「教育の充実強化等」、「監査担当官の巡回・派遣制度の整備」、「企業側のコスト低減に向けたインセンティブ向上のための施策等」、こういう英語が出てくるんだけれども、四ページにはこういうこともある。「外部から見て不透明となりやすい随意契約を極力減らす必要がある。」。しかし、「随意契約にならざるを得ないものについては、」「防衛庁の原価計算方式等の妥当性の検討が必要である。」と。  このリポートに沿って、具体的にはどういうふうな今作業の進捗状態になっているのか、簡単でいいですから教えてください。
  124. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 当庁としては、平成十一年度に行う計画から、今お話しのありました調達改革の具体的措置に盛り込んだ施策を確実に実施してまいりたい、こういうふうに考えております。  契約に制度調査の受け入れや企業が不適切な資料を提出した場合の違約金の創設などを盛り込むことを決定しました。また、供給ソースの多様化の追求など、競争原理の強化策を推進する上で必要な関係訓令の改正や通達の発出を七月一日までに全部実施いたしました。さらに、日本航空電子工業に係る過払い事案の処理とあわせて、過払い事案処理に関する統一的かつ明確な基準であります過払い事案処理要領を本年九月に策定し、実施したところであります。また、調達実施本部の廃止、原価計算部門の内部部局への吸収、原価計算部門と分離して契約本部を設置する等の機構改革のほか、部外有識者を活用した第三者による監視体制を確立するための防衛調達適正化会議を発展的に解消し、防衛調達審査会を設置するなど、平成十二年度予算概算要求に盛り込んで措置したところであります。
  125. 益田洋介

    ○益田洋介君 また、NECによる過大請求の事件ですが、これは事実関係がほぼつまびらかに現在なっておるわけですが、いまだにその被害総額、過大請求の全額が幾らになるのか算出しておらない、そのように聞いています。これはいつまでに総額を算出するおつもりなのか。  それからもう一つは、次々に過去の請求分にさかのぼって五年間の消滅時効が適用されるようになってくる。そうすると、これは国が請求権を行使できなくなるおそれが出てくる。ゆゆしき問題です。いつまでに計算できるんですか。
  126. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) NECにつきましては、他の案件と比較いたしましても膨大な件数でございまして、私ども鋭意その過払い額の算定に努力いたしているところでございますが、なお時間が少し必要かなというふうに思っております。ただ、国会等で大臣の方からお答え申し上げておりますように、年内には何とかめどをつけたいというふうに思っているところでございます。  なお、先生指摘のどの程度の期間さかのぼってという、あるいは時効の問題でございますけれども、本件は、民法の七百二十四条によりますと、不法行為によります損害賠償請求権の時効期間の起算点は、「被害者又ハ其法定代理人カ損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」とされておりますので、現在、防衛庁としては損害額を最終的に把握するに至っておりません。したがいまして、いまだ時効は進行していないというふうに考えておりまして、したがって時効による返還請求金額が減少するようなことはないというふうに私どもは解釈をいたしております。
  127. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に、会計検査院に伺いたいと思います。  検査院、見えていますか。  この一連の防衛庁関連企業の過大請求事件、これはもうずっと以前から常態化してきた。そうしたことを可能にしてきた背景には、やはり検査院の検査体制の甘さがあったんじゃないかと私には思われてならない。ずっと看過してきたんだ。それで膨大な量になっているから、金額がつかめないと言っているんだよ、防衛庁は。そこまで放置してあった。これは会計検査院の責任以外の何物でもないでしょう、違いますか。
  128. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、防衛庁は、その予算規模等にかんがみまして従来から重要な検査対象の一つと位置づけまして厳正に検査に取り組んできたところでございます。そして、これまでに正面装備費等を含めましてさまざまな予算執行上の問題点指摘し、当局に改善を求めてきたところであります。  しかしながら、過大請求事案を未然に本院として発見できなかったということにつきましては、謙虚に反省しております。その上で、防衛装備品の調達契約に対する検査のあり方を総合的に検討し、より効果的な検査の実施を図る方策を立てたところであります。  具体的には、昨年十二月に、原価検査のための専従班を設置しまして、また原価計算等の専門知識に精通した調査官を育成するため、外部へ研修に出したり、あるいは企業監査の専門家であります公認会計士を特別調査職として採用したりなどしながら、検査の充実強化に努めているところでございます。
  129. 益田洋介

    ○益田洋介君 改善計画を当委員会に提出してください、検査の充実を図るために。ほかの省庁はいいですよ、とりあえず防衛庁に関して。よろしいですか、当委員会に提出してくださいと言っているんです。
  130. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) その方向で検討していきます。
  131. 益田洋介

    ○益田洋介君 それから、現在勾留中の調達実施本部の副本部長上野憲一被告から検査院のOBが天下り先まで紹介された、あっせんを受けていた、こういう事件も発覚している。  その後、こうした検査院のOBの天下り先、防衛産業やそれに関連した団体への天下りが引き続き行われているかどうか。どういうふうな手だてを打ったのか、また、今後このOBの取り扱いについてはどういうふうにしていこうとお考えですか、検査院。
  132. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。  私ども会計検査院職員は、他の多くの省庁と同じように一般職の国家公務員でございます。したがいまして、その再就職に関しましても国家公務員法あるいは人事院規則などの法令の適用を受けておりまして、その法令の範囲内で元職員の再就職については取り扱ってきたところでございます。  現在、私どもといたしましては、本年四月から導入されました地方公共団体におきます外部監査人制度への本院OBのかかわり方の検討や、またさきの国会で成立いたしました国家公務員法等の改正により導入されます再任用制度につきまして、本院においてどのように運用していくのか、その具体策などに関する検討をも行っているところでございます。また、中央省庁等改革の推進に関する方針に基づきます人材バンクの導入につきましても、その推進連絡会議の審議状況等を踏まえながら、再就職のあり方についても引き続き鋭意検討を行っていくところでございます。
  133. 益田洋介

    ○益田洋介君 上野被告に天下り先をあっせんしてもらった検査院のOBと、長年にわたってこうした過剰請求を発見できなかったということについての因果関係を調べてみましたか。
  134. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) 今御質問の件につきましては、私ども特に関係がないんではないか、そういうふうに思っております。
  135. 益田洋介

    ○益田洋介君 関係がないんだと思っているって、そんなことじゃないですよ。では、何でこういうふうな上野被告から天下り先を紹介されなければいけなかったんですか。今おっしゃったような、法律に基づいて公務員の一般会社への転職というのは行われていいはずじゃないですか。何の因果関係があるかも調べていない、そういうことですか。
  136. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間ですから、簡潔に答弁してください。
  137. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) 当時の事情につきましては、さきの国会でも御答弁申し上げましたとおりでございまして、特にこの件と今回の防衛庁の事件とは直接関係がないのではないか、そのように思っております。
  138. 益田洋介

    ○益田洋介君 もう終わりますけれども、関係がないと思っています、そんなことじゃ済まされないんだよ。それでは調査してくださいよ、今からでもいいから。思っていますじゃないんだよ。きちっとした結論をそれで教えてください、当委員会に。報告してください。よろしいですか。
  139. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) 今の件につきましては、今も御説明申し上げましたとおりでございまして、さきの国会におきましても、特に直接関係がないという御答弁を申し上げておりまして、その答弁の域は超えないというふうに思っております。
  140. 益田洋介

    ○益田洋介君 終わります。     ─────────────
  141. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、畑野君枝君が委員辞任され、その補欠として小泉親司君が選任されました。     ─────────────
  142. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、沖縄返還時の財務取り決めの問題について質問いたします。  これまで政府は、沖縄返還に伴う核撤去などの日本の負担額について、総額を沖縄返還協定に記されている三億二千万ドル、当時の為替レートで一千五十二億円だと公表してまいりました。このことについては、九七年十二月の本委員会で私も質問いたしましたし、当時の高野北米局長が答弁しております。  また、その内訳について外務省は、合衆国軍隊により継承する資産の価値に一億七千五百万ドル、同軍隊が沖縄返還後に負担する労務費に七千五百万ドル、核撤去などの費用に七千万ドルであること、また積算根拠は積み上げた額ではなく政治判断に基づくものだと回答しております。  公表されてきたように、核撤去費のために七千万ドルが充てられている、そういうことが日本政府として間違いないかどうか、こうしたことについてアメリカが実際に核撤去のために七千万ドルを使ったのかどうか、その点については確認したことがありますか。
  143. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 今、委員から三億二千万ドルの内訳というお話がございましたが、本件につきましては四十七年の外務委員会におきまして福田外務大臣が答弁しておりますように、資産の移転と労務費については一応のめどとして積算の根拠がありましたが、高度の政治的判断として総額を三億二千万ドルと決定したものですという御答弁をしております。
  144. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私が尋ねたのは、核撤去費用のための七千万ドルという項目がアメリカでそのとおり使われたのかと尋ねているんです。
  145. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 今お答えいたしましたように、総額といたしまして高度の政治的判断として三億二千万ドルということで決定したというふうに御答弁しているということでございます。
  146. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私が述べたこの内訳というのは外務省の見解ですよ。外務省が私に答弁した内容ですよ。それは間違いないでしょう。  大体、総額だけ述べるということもおかしい。この点については確信を持って言えない、アメリカにも尋ねたことがない、だからその程度の話しかできないんだろうと思います。  なぜ私がこうした問題を提起しているのかというと、政府の説明を覆す重大な事態が最近アメリカで機密指定解除された一連の外交文書から明らかになったからですよ。  その内容は、沖縄返還に日米政府が合意した佐藤・ニクソン日米首脳会談の直前、一九六九年十一月、当時の福田赳夫大蔵大臣が米財務当局に、沖縄米軍施設の移転費用などを日本側が負担すること、このことを基本的に約束して、沖縄協定締結までに日米財務当局間で秘密の覚書を取り交わしていた、そういう内容です。  ここに二十数ページにわたる英文があります。私これを全部読みました。これによると、核撤去費用は何と五百万ドルとなっているんですね。七千万ドルじゃない。アメリカは五百万ドルそのために使ったと述べている。あなたは言われなかったけれども、かつて私に外務省が答弁したように、七千万ドルと答弁することはまさに、架空の話なんですよ。そもそも積算についても、今あなたが言われたように、高度の政治判断で根拠がないんです。だから、当時の佐藤首相も、事柄の性格から内容を明らかにできない、そう言っているわけです。  これを見てさらに重大なのは、この秘密覚書から、日本は、沖縄返還協定に記載された三億二千万ドルの負担額とは別に、沖縄ではない日本本土の在日米軍基地の改善費用等々として一億九千万ドル、日本円に直して六百八十四億円を秘密裏に米側に支払っていた、このことも書かれているんですよ。  秘密覚書は、協定に明記され公表された三億二千万ドル以外に、円ドル交換に伴う外貨の預け入れが一億千二百万ドル、沖縄と日本本土の基地改造費が六千五百万ドル、労務管理費として一千万ドルなど明記されています。  ですからこの文書、これはアメリカの公文書ですよ、機密にされてきたけれども。この文書の内容が事実だとすると、現代史の一部がまさに書きかえられる。そしてまた、国会政府が答弁してきた沖縄返還に伴う積算の問題、費用の問題、これも書きかえになる。さらに言えば、政府国会に対してこんな秘密協定を結びながら虚偽を述べてきた、虚偽の報告を述べてきた、そういうことにならざるを得ないわけですよ。  こういう重大な問題、これはこの間新聞や雑誌でも報道されてきました。公表以外に一億九千万ドル余分にアメリカ側に支払っている。そうした問題について外務省は調査されましたか。
  147. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 今、先生文書を御指摘いただきましたけれども、私どもとしてはそういう文書は承知しておりませんで、内容についてのコメントは差し控えさせていただきます。
  148. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私はこれまでたびたびアメリカの公開文書を使って質問してまいりました。そのたびごとに外務省はそういうことを言う。しかしこの問題については、日本政府の財政負担にかかわる、そういう問題を含む重要な問題ですよ。ですからこれについて、読まない、この資料は入手しない、そしてそれについてはコメントしない、そういうことで済みますか。  外務大臣、今お聞きのとおりですよ。こういうことがある。これは歴史上の重大な問題でしょう。こういうことに対して外務省は、今局長はそういうことを調べないと、そう言われた。私は、これは本当におかしいと思う。入手して検討する、そして代がかわっているから、このことについて事実は一体どうだったのか、そのことについてしっかりとアメリカに問い合わせるとか、そうした少なくともみずからの努力で事実を解明する、究明する、そういう努力をされるべきじゃありませんか。  大臣にお尋ねいたします。
  149. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その文書については現に知りませんが、仮にそういうものがあったとしてもそれは米側の内部文書でありまして、我が国政府としてコメントする立場にあるものではございません。  沖縄返還協定を御審議いただいた国会においても、我が国政府が責任を持って何度も説明いたしましたように、我が国政府は、沖縄返還協定第七条に規定されているとおり、総額三億二千万ドルを米国政府に支払うことといたしました。沖縄返還協定と別に我が国政府から米国政府に対して支払いを約束したものはございません。
  150. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 外務大臣がその程度のことしか言われない、非常に情けないと思います。政治家としての話でもない、私はそういうふうに思います。  これまでも、沖縄返還交渉の財務取り決め、これは七〇年六月から始まった、国会でもそう説明されていた。しかし、こういう文書から見ると、返還合意に先立って日本側が金銭面で米側に大きく譲歩していた、そのことが裏づけられるわけです。この秘密覚書には、基地の移転費用やそのほかの返還に関する費用として、さっき言ったように二億ドル、実際には一億九千万ドルでしたけれども、それを五年間にわたって日本側が物品や役務等々で支払う、それが定められている。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  そして、六九年一月十九、二十日に開かれた首脳会談直前にこのことが合意されて、十一月十二日に福田大蔵大臣が米側に口頭で同意を指示し、十二月二日付で当時大蔵省の財務官だった柏木雄介氏とケネディ米財務長官の特別補佐官だったジューリック氏が互いに頭文字でサインしているんですよ。数ページ連続してサインしていますよ、ちゃんとYKと読める。そして、柏木氏がこのメモのイニシャルは当時自分が使っていたものだとはっきり認めているわけです。  別の文書によると、これは最終的には支払われた、日本政府はアメリカに支払ったと認めているんです。  大臣、これでもほっておいていいんですか。
  151. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、政府は、沖縄返還協定第七条に規定されたとおりでございますが、総額三億二千万ドルを米国政府に支払うということで、この沖縄返還協定とは別に我が国政府から米国政府に対して支払いを約束したというのはございません。
  152. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 実際に協議に参加した米陸軍の作成した文書によると、翻訳したものですけれども、日本政府はこの極めて異常な合意に極めて鋭敏になっていた。というのは、沖縄をドルで買い取ったと言われかねないからであったと。なぜこういう秘密合意をつくったかということを動機までちゃんと説明しているんですよ。書いてある、そのように。事態を知っていた当時の大蔵省の官僚は、秘密が漏えいしたときの危険からこの合意に抵抗したんですよ。外務官僚も同様で、地位協定二十四条違反だと抵抗した。ところが、愛知外務大臣が部下の反対を抑えてみずからの責任でパートナーのロジャーズ国務長官に了解を伝えた。こうした異常な事態もリアルに書かれている。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕  今、大臣局長がここで答弁したこととこの文書に書かれていること、どっちが歴史の真実かと考えたときに、私はここに真実があるだろう、この文書の中にこそ真実があるだろう、そのように思わざるを得ない。ですから、今情けない答弁が繰り返されておりますけれども、私は、この問題は非常に重大な問題である、そういうように思いますよ。沖縄返還交渉については、核問題と自由出撃問題、これが二つ前面に出ていた。財務の取り決めについてはほとんど沖縄国会以来議論されたことがなかった。しかし、私は、この問題というのは実は非常に今日につながる重大な問題があると思うんですよ。  ニクソン政権がこのお金の問題を非常に重視して、沖縄返還交渉のチームをつくったときに財務長官も加えて、そして日本からいかにお金を取るか、日本の負担をいかに大きくするか、そういう目標を立てたわけですよ。額まで、目標額まで書いてある、アメリカの文書には。そして、実際に核撤去のための七千万ドル、これは五百万ドルだった。そして明記されていなかったボイス・オブ・アメリカの移転費用等々に多額のお金が使われている、そういう実態があるわけですよ。  私は、この問題、この一年間にわたって外務省と大蔵省にずっと聞いてきた。ずっと返事がなかった、だからこういう質問になるわけだけれども、大蔵省にお聞きしたい。一体これだけの金、どこから捻出されたのか、そのことについて調べる必要があるんじゃありませんか。
  153. 原口恒和

    説明員(原口恒和君) 先ほど外務省の方から御答弁ありましたように、七一年六月の沖縄返還協定及び関係附属文書に定められたものが日米間で取り交わされた取り決めであるというふうに承知しております。
  154. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 まさにこれは虚構にしがみついていると私は言わざるを得ないと思います。重大な問題ですよ。  大体、三億二千万ドルと言われている額、それに加えて一億九千万ドル実際に払われた。アメリカは日本政府から受け取ったと言っている。じゃ、日本政府はどこから出したのか、こういう問題になるでしょう。もう既に決算も終わり、決算も承認されている。しかし、さかのぼってこの問題はきちっと調べる必要があると私は思います。  そして今、外務大臣からも大変情けない答弁しかいただけなかった。私は大蔵省の方にお願いしたいけれども、宮澤大蔵大臣にここであったことをきちっと報告して、このことについてどう対処するかということについてきちっとしていただきたい。私はこの問題については引き続き議論し、一体何が真実かを追及したいと思います。  というのは、この秘密覚書で合意された基地従業員の社会保障費の一部負担、これは実は七八年からの思いやり予算に取り入れられているわけですよ。そういう歴史をつくってきたわけです、沖縄協定は。ですから今日に結びついている。この予算の原形がまさに今日の思いやり予算、中小企業対策費よりもずっと多い思いやり予算につながっているわけです。  ですから、私は、この問題について今大臣からちゃんとしたお答えをいただけなかった。そこで、委員長にお願いしたい。ここは決算委員会です。過去のことであるけれども、しかしこのお金は一体どうなったのか、このことについてはやはり当委員会としてきちっとした形で対処していただきたい。私もそのためにこの委員会の一員として頑張りたいと思いますけれども、委員長にそのことをお願いしたいと思います。
  155. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 委員長としましては、理事会でよく相談しまして善処したいと思います。  以上。
  156. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 ありがとうございます。  それでは、次の問題に移ります。NLPの問題です。  野呂田防衛庁長官は、今月一日、硫黄島の視察の際に、アメリカ軍の夜間発着訓練、NLPについてこう述べられています。  厚木基地周辺の騒音をさらに減らすため、厚木基地での夜間発着訓練を限りなくゼロにしたい。ただ、硫黄島は東京から千二百キロメートル以上離れており、この訓練を硫黄島ですべて行うことは即応態勢などの面でアメリカ軍が反対していると述べて、さらに東京から近い三宅島でもこの訓練ができるよう根気よくお願いしていきたい、こう述べられました。この発言、こういう趣旨だったということについては既に防衛庁も確認しているところです。  このような防衛庁長官の発言に怒った三宅島の村民の代表、超党派の村会議員の皆様が防衛庁に対して直ちにNLP基地反対の抗議行動を行った、このことは長官もよく御存じだと思います。  三宅島では、この十三年間、NLP反対の村長が当選し、村議会の大多数も反対している、そういう状況が続いております。NLP基地化は、農業、漁業の暮らし、さらに野生動物の生態、豊かな自然を守ることと絶対に両立しないわけです。米本土では、人家のまばらなところでも、さらに野生動物の生態に影響を与える、そういう危険性のあるところでもNLPは絶対にやらない。とすると、三宅の村民はアメリカの野生動物以下の扱いということにならざるを得ない。  三宅の村民の願いを受け入れて、私はこういうところの基地化、NLP基地化を中止すべきだ、そういうように思うわけですけれども、長官、いかがですか。
  157. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員もお話しされたとおり、現在のNLPは厚木飛行場で行われてきたわけですけれども、周辺は市街化しており、人口が稠密で深刻な騒音問題を生じております。私どもは、まず第一にこの状態を解消してあげることが一番大事だと考えております。  そこで、硫黄島に大部分のものを移転させようということで常に頑張っているわけであります。しかし、それだけでは処理できない場合もありますから、昭和六十年二月十九日に、当時の中曽根総理が予算委員会で三宅島にもお願いしたいという発言をされて、それ以降、政府としては三宅島と根気よく折衝をしてきたという経緯があります。  今でも実は一週間交代で職員を常時三名三宅島に派遣をして広報活動や何かをやっているということでございまして、私どもは何も了解を得られないのにしゃにむにそこに持っていくなんという気は一つもございません。長い間いろいろ接触をしてきた経過も顧みて、もし協力してもらえるのならばそういうこともあり得るという意味で発言したということであります。
  158. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 長官、三宅にも人が住んでいるんです。そして、村議会また村民挙げてNLP基地は困る、そう言っているわけです、お願いされないと言っているわけです。ですから、私はその願いをやはりきちっと受けとめていただきたい、そう思います。  ことし五月に行われた日米首脳会談で、クリントン大統領はNLP問題について日米首脳会談としては異例とも言える具体的な言及を行っております。防衛問題ではNLP問題が話し合われ、硫黄島は遠い、国防総省からも相談したいと言っている、この旨を述べたということです。これは外務省がそのとおりと言っておりますけれども、これを受けて、米国防総省から改めて三宅島のNLP基地化を求める要求が来ているのかどうか、お尋ねいたします。
  159. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) アメリカから改めて三宅島に基地を設けてくれという要求は私どもは承っておりません。  外務省がもしあれば。
  160. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 どうぞ、外務省
  161. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 今、委員が御指摘のとおり、アメリカは硫黄島は遠過ぎるという意向は常々持っておるのは事実でございます。五月の日米首脳会談において本件が提起されたのもそのとおりでございますけれども、その後に何かアメリカから要請が来ているということではございませんが、もともとアメリカはそういう考えを持っているということは今改めて申し伝えたいと思います。
  162. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 神奈川県の綾瀬市が平成十一年度の厚木基地に関する要望書、これを出しておりますけれども、それに対する横浜防衛施設局長の九月十三日付の回答書、これによりますと、防衛施設庁は厚木基地周辺での爆音被害の軽減のため、立地条件が適している三宅島に代替訓練場を設置するのが適当とした上で、「現在、関係機関と鋭意調整を図っている」、このような答弁が書かれておりますけれども、これがあります。  私は三宅の皆さんにお聞きしました。三宅村の廣瀬村長は、九月二十日の村議会で、関係機関との調整とは何を指すのか理解できない、防衛庁のみならず、横浜防衛施設局などからも何ら働きかけがない、もちろん私どもからも接触していない、現地との調整を進めているような誤解を与えるものとして私としては納得できない事柄だと、このように答弁しております。明確な話です。  それならば、「現在、関係機関と鋭意調整を図っている」という、その関係機関とはどこですか。
  163. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 今、先生指摘の横浜局から綾瀬市への回答の「関係機関」の御指摘でございますが、私ども、局の方から聞いているところでは、特段具体的にどの機関という意味ではなくて、一般的に関係機関という意味でそこに言っているので、特段具体的な機関意味しているわけではないというふうに聞いております。
  164. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 「鋭意調整を図っている」、「鋭意」と書いてあるわけでしょう。具体的にやっていないのに何でこんなことを書くんですか。だから誤解を与えるわけですよ。  ならば、これは綾瀬市に対する文書ですから、綾瀬市に対してちゃんと取り消す措置をとってください、いいですね。
  165. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 綾瀬市に対して、その努力の部分といいますか、かねてから防衛施設庁、横浜局も含めまして三宅にお願いしたいということで広報活動等をやってきているわけですから、御指摘のように、私どもの理解では局の方は特段の具体的な機関意味する形でやっているものではないので、ましてや村当局と調整しているという意味合いではございませんので、それを取り消すということではなくて、正確に局の意味するところを伝えることが大事かなというふうに思います。
  166. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それでは、綾瀬市と、非常に被害感を持っている三宅の当局に対してきちっとあなた方の方からその真意を伝えるということを約束していただいたと思いますが、よろしいですね。
  167. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) その点は局の方にお伝えしたいと思います。
  168. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 このNLP問題というのは、ガイドライン関連法の成立を契機にして、在日米軍による実施は三宅あるいは厚木などにとどまらない、そういう事態になっております。  その規模はどうなっているか。防衛施設庁が提出した資料によると、全国でNLPを実施している箇所は硫黄島、厚木、横田、三沢、岩国の五つあります。これらの九七年、九八年の訓練回数の合計、それぞれ何回になりますか。
  169. 宝槻吉昭

    説明員宝槻吉昭君) 年の合計でございますね。九七年が合計いたしまして二千八百回、それから九八年でございますけれども三千六百八十回でございます。
  170. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 わずかこの二年の間に九百回もふえていることになりますね。しかも、これ以外に通常の夜間訓練の一環という形でNLPの回数に入れない、そういう計算の仕方をしているわけで、厚木なんかはそうですよね。そうすると実際には相当ふえていることになると思います。  岩国基地では、九四年から中止されていた訓練が九八年に入って再開されて、一挙にゼロから七百六十回も数えている。九三年からはほとんど硫黄島で行われていたけれども、九八年一月の訓練では厚木のほか横田、岩国で実施され、そのやり方もひどい。私も何度も防衛庁に行きましたけれども、通告が開始日当日という異常さ、そういうこともありました。岩国基地の場合は、これまで滞空三機以内が常識になっていたけれども、今回はその倍の六機が絶えず上空を旋回している。もう騒音も大変なわけですよ。まさに過去に例のない濃密で激しい訓練になっているわけです。驚くべきことですよ。  さきのクリントン大統領の発言、これはNLPを、三宅島はもとよりガイドラインに沿った方向で全国的に展開していくことを念頭に置いたものではないか、そう思わざるを得ない。アメリカの戦略のもとで、日本の周辺事態のために出撃基地化が進行していることは明らかだと思います。  それだけに、私はこの問題の最後に長官にお尋ねしたい。三宅島のNLPの基地化はやはり断じて認められないと思いますけれども、長官、その点いかがですか。再度答弁を。
  171. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは常時三名を三宅島に派遣いたしまして、いろいろ広報や折衝をしているわけでございますが、私どもが直接行って個別に会って把握している状況では、反対もありますが賛成もあります。中間派もおります。ですから、島じゅうがこぞって反対しているというふうに私どもは受け取っておりません。  私は、先ほど言うように、まず人口稠密な厚木のような市内の中にあるものは限りなく早くゼロにしたい、硫黄島に多くの荷重を課したい、しかしそれだけでは解決しない要素もありますから、三宅島にも根気よく了解をとって、できるものならばそちらでもやってみたい、こういうふうに考えているということを申し上げております。
  172. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 長官、やっぱり今の発言、重大ですよ。三宅島には賛成する人もいる。それはいるでしょう。だけれども、大多数が反対だと言っているんですよ。村議会でもそうだ。三宅島の自民党あるいは自民党系の皆さんも反対している。それが島全体のコンセンサスをつくっているわけですよ。ですから、今の長官の認識、はしなくも言葉に漏れた、賛成もいると。探せば賛成もいますよ、当然。しかし、そういうことで三宅島にNLP基地を持ってこられてはかなわない。私はそのことを重ねて述べておきたいと思います。  もう一つ私がお聞きしたい問題、それはガイドライン関連法施行後に各自治体で一番大きな問題になっている港湾管理の問題です。  政府は、七月に第九条の解説案を発表いたしました。その後、全国知事会を初めとして説明を行われていますけれども、地方自治体からは大変大きな懸念の声が上がっている。例えば、全国基地協議会会長の横須賀市長は、基地等所在の地方公共団体は事態によってより多くの協力要請が危惧されており、周辺住民の理解と協力を得るために苦慮していると。市長の苦慮、自治体の長の苦慮、これは大変なことだと思います。  この解説案によると、周辺事態においても通常と同様に、港湾施設の使用に当たっては地方公共団体の長、港湾管理者の許可を得るという点は当然であると思いますけれども、その点について確認しておきたいと思います。
  173. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 港湾の使用に関しましては、周辺事態安全確保法第九条第一項が関連してくると思います。御承知のとおり、第九条第一項では、「地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」というふうに書いてあるわけでございます。したがいまして、特に通常と異なるわけではございませんで、各地方公共団体の長が持っておられます権限、その範囲で許可あるいはその他のことをお願いする、こういうことになろうかと存じます。
  174. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 各地で問題になっている典型例として、山口県の岩国港について取り上げたいと思います。  ここは、米軍岩国基地を抱えて、米軍物資を運ぶ民間チャーター船や、あるいはMSC、米軍事海上輸送軍団所属の貨物船の入港が相次いでいるところです。山口県港湾施設管理条例は、爆発物その他の危険物を積載した船舶は知事の許可なく岸壁等に係留してはならないとしており、同県はこの条例に基づいて入港のたびに危険物の有無を確かめる積み荷リストの提出を求めてまいりました。  ところが、それまで積み荷リストの提出に応じていた米軍が、昨年七月以降積み荷リストの提出を拒否するようになり、地位協定に基づく入港だとして、これまで六回リスト提出拒否のまま岩国港入港を強行しております。山口県は、こうした米軍の態度について、条例に従わない入港は県民財産を守る観点から問題があるとして、引き続き条例に従った入港を求めていく、そのように述べております。  条例を守る、そういう点からいってこの米軍の態度には問題があるんじゃありませんか。
  175. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 米軍の港湾施設の利用についてのお尋ねでございますが、御案内のように、一般国際法上、駐留を認められました外国軍隊には一般的に接受国の法令の適用はございません。他方、外国軍隊は接受国の国内法令を尊重するという義務は負っておりまして、在日米軍についても同様でございます。米軍は、今申し上げましたように、港湾施設を使用するに当たって積み荷の内容についての通報が法律的に義務づけられるわけではございませんが、同時に法令尊重という観点から公共の安全に妥当な考慮を払うということとしております。  私どもとして、在日米軍に対して引き続き公共の安全に万全を期するように申し入れておりますし、また今後とも申し入れてまいりたいというふうに存じます。
  176. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 従来、米軍はリストをちゃんと提出していたわけで、それをある時期から、昨年七月からしなくなったわけです。そこには、今局長も言われたと思いますけれども、やはり条例を尊重するという点で問題がある、そういう意味のことを言われたと思います。  確かに、全国知事会での第二回説明会で、山口県はいろいろ苦労しているのでいろいろ発言が出るわけですけれども、外務省に確認したら、日米地位協定そのものと港湾管理条例そのものとを単純に比較してどちらが上とか下とかいうことは言えないが、岸壁接岸使用については地位協定五条に基づく入港に該当し、その部分については地位協定が優先されて、県条例に基づく手続を米軍側が行わないということで拒否できない、そのように述べたというんです、ここに述べた口上も活字になったのがありますけれども。  すると、岸壁使用については条例より地位協定が優先する、岸壁以外の野積みのような場合に施設を利用する際は条例が適用される、そういう趣旨で答えたというふうに解せるわけです。外務省の説明でした。係官の説明はそうだというんです。とすると、非常におかしな話になるのではないかと思うんです。こういうことが外務省の公式の見解ですか。
  177. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 今御説明申し上げました担当官の説明どおりでございまして、日米地位協定五条に基づきまして米軍船舶は我が国の港への出入りの権利が認められておりまして、我が国としては、かかる米軍の権利が円滑に行使されるように確保する条約上の義務を負っているわけでございます。  この義務ということに関しまして、日米地位協定五条一におきましては我が国の港への出入りの権利、また同条の二項におきましては施設・区域と我が国の港との間の移動の権利が明示されております。したがって、一般論として述べれば、地位協定五条は米軍の人員及び物資が我が国の港を経て施設・区域との間を移動するための一連の活動、これを支障なく行う権利を認めたものと考えております。  それから、先ほど私の申し上げました点について、あるいは言葉足らずだったので御理解いただけなかったのではないかと思いますが、私が申し上げましたのは、米軍は国内法令の適用はないわけでございまして、積み荷の内容について通報が義務づけられているわけではございません。  他方、米国としても、国内法令を遵守して公共の安全に妥当な考慮を払うこととしておりますので、我が国といたしまして、引き続き公共の安全に万全を期すように申し入れていくということを申し上げたつもりでございます。
  178. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 二つあります、重大問題。今の答弁は非常に重大です。  岸壁は地位協定が優先する。陸揚げしたその後、野積みのところでは、つまり岸壁以外のところでは条例が適用される、それが外務省の公式の見解と言われた。信じがたい話です。  いいですか、岸壁も野積み場も、岸壁以外の施設も港湾管理者の管理する港湾施設、その点では変わりないでしょう。その点が第一点。  それともう一点。昨年七月までリストの提出をしてきた。それなのにそれを提出しなくなった。拒否して入港した回数が六回もある。明らかに大きな変更なわけです。それに対して問題ないのかと私は問うた。それに対していかにもアメリカを弁護するような言い方をされた。それ自体非常に重大です。  いかがですか。もう一回答えてください。
  179. 藤崎一郎

    説明員(藤崎一郎君) 荷揚げ、野積みにつきまして、これは地位協定とは別かという御質問でございますが、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、また担当官の方からも御説明したはずでございますが、米軍船舶による港湾施設の使用は第五条に基づく権利の行使に当たるかは、個別具体の事例に即して判断されるべきではございますが、一般論として述べれば、日米地位協定五条は、米軍の人員及び物資が我が国の港を経て施設・区域との間を移動するための一連の活動を支障なく行う権利を認めたものでございます。そういう意味で、御指摘のような活動がかかる権利の一環として認められ得るものでございます。したがいまして、今御質問の点につきましては、第五条の範囲の問題というふうに理解いたします。  それから、第二点につきましては先ほど申し上げましたとおりでございまして、私どもは引き続き在日米軍に対して公共の安全に万全を期するよう申し入れてまいりたいというふうに思っております。
  180. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間が参っておりますので。
  181. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 最後です。非常に重要な問題です。  私は最後に申し上げたいんだけれども、この問題については十四の都道県知事が集まっている渉外知事会でも大問題になって、地位協定を変更してほしい、地位協定の中に条例を尊重するということを入れてほしいということまで出ているわけです。神奈川県の岡崎知事もそう述べている。これほど重大な問題について外務省がそうやっていとも簡単に片づける、これは非常に重大だ、このことを指摘して質問を終わります。
  182. 入澤肇

    入澤肇君 私は、装備品の調達につきまして会計検査院が幾つかの指摘をしておりますので、それに関連いたしましてまず御質問申し上げたいと思います。  いわゆる装備品の調達をめぐる環境につきましても、冷戦構造が崩壊し、従来から言われてきました全方位外交が現実のものとなった。その結果といたしまして、従来日米だけで軍事訓練をやっていたのが、日米あるいは日ロ、日韓にも共同訓練が行われるようになりました。さらに、技術開発も大変な進歩であります。インターネットに見られますように、軍事技術として開発されたものが日常的な平和産業にも、あるいは日常的な生活にも応用が進んでおります。  こういう状況の中で、私は自衛隊の装備品の調達についても基本的な考え方が変わってきているんじゃないかと思うんです。  ただ、装備品につきましては、アメリカ合衆国のみで生産されているもの、それから我が国でも生産されているけれども供給体制が不十分であるというもの、さらには今申しましたように日米、日ロ、日韓、あるいは最終的には日中等の共同訓練が行われるようになるかもしれませんけれども、調達先を多様化するということが必要になってくる事態があるかもしれません。しかし、基本的な戦略を展開する必要性からアメリカに依存せざるを得ないものもあると思います。  このような環境条件の変化と調達装備品の生産供給状況を見ますと、装備品の調達につきまして防衛庁としてはどのような考え方を持っているかにつきましてまずお聞きしたいと思います。
  183. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 防衛庁としましては、我が国では国産されておらない、そして米国から装備品を買っている、こういう場合は我が国の安全保障上必要なものでありますから、FMSなどによって調達しているところであります。  例えば、我が国で調達している装備品等で米国だけで生産されているものとしては、早期警戒管制機あるいはイージスシステムあるいは輸送用エアクッション艇、対戦車ミサイルTOWなどはそういうふうにアメリカから買っているわけであります。アメリカから買う比重が高かったというのは、結局は日米安保体制の効果的運用の観点とか、あるいは一般的に米国の中に技術力の高い企業が多く存在しているというような事情もありまして、アメリカに対する依存度が高かったという状況だと思います。  しかし、これからは御指摘のとおり性能や価格等を総合的に判断しましてアメリカ以外からも買わなければいけない、そうする方が妥当だなということで調達先を米国以外からも選定しております。ここ数年間においては、一般輸入のうち五%ないし一五%をアメリカ以外の国、例えばイギリスやカナダ等、約十カ国から調達しているというのが現状でございます。  これからもアメリカからの輸入は大変重要性には変わりないわけでありますけれども、さらに御指摘の調達先の多様化の視点も踏まえまして、米国以外の国も含めた調達可能先の中から性能や価格等を総合的に判断して購入してまいりたい、こういうふうに考えております。
  184. 入澤肇

    入澤肇君 今お述べになりました調達先の多様化というのは、会計検査院の指摘にもいろいろと不当事項が言われておりますけれども、そういうものを改善するためにも私は必要不可欠なことではないかというふうに考えております。  そこで、装備品調達に係る価格の問題につきまして幾つか御質問したいと思っております。  多くの装備品が市場価格の形成がないということから、調達本部では製造原価を材料費、労務費等の構成要素ごとに積み上げる方式で原価計算をまずしている。さらに、これにより計算された価格をもとに予定価格を決定し契約をする方式をとっていると言っております。  契約の相手方である製造請負会社に基礎的資料の提出などを求めることができる原価監査条項を付した中途確定条項つき契約等により実際の製造原価を確認することとしているこの方式と、もう一つは、原価監査条項を付さない一般確定契約というのがあるというふうにも言われております。これについては、通常、会社に対して原価監査を行っていないとも言われております。  この中途確定条項つき契約等により調達している装備品、それから一般確定契約により調達している装備品、その具体的な例を教えていただきたいと思います。
  185. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) 中途確定条項つきの契約につきましては、製造等の期間が長期にわたるために、所要の工数でございますとか経費率等がその製造期間に相当な変動が予想される場合がございます。したがいまして、契約前に原価の長期的な先の内容を的確に把握することが困難である場合に適用されるわけでございます。航空機でございますとか艦船など契約期間の長い主要装備品等で調達を開始して比較的時間を経ていないものについてこれを適用するのが一般的でございます。  他方、一般確定契約は、通信機器でございますとか一般の需品類などの各種資料から原価を大体把握しやすい装備品等のほか、戦車や艦船など上に述べました契約期間の長い主要装備品等でも、既に長年にわたって調達を実施いたしまして原価の実績等が大体長期間にわたっても十分に得られるというものについてはこれを適用いたしているところでございます。
  186. 入澤肇

    入澤肇君 今のような実態にあると思うんですけれども、私は寡占的あるいは独占的な生産システムのもとで、やはり装備品について重要なものにつきましては原価計算を報告することを義務づけるような装備品調達についての特別立法が必要じゃないかというふうに思っております。さらに、報告書に基づいて原価計算が妥当かどうかということを第三者に客観的に評価してもらう、そういうシステムを導入するべきじゃないかと思います。その二つの仕組みをつくった上で、調達本部は調達契約を継続するという方式を確立すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  187. 及川耕造

    説明員(及川耕造君) おっしゃるとおり、随意契約におきます監査つき契約につきましては、契約条項の中に契約相手方に実際にかかった原価の計算書等関連資料の提出を契約で義務づけております。この妥当性を調本等において原価監査を行うことによって最終的に確認し、そして契約価格の決定を行う、こういう仕組みになっております。  一つ御理解を賜りたいと存じますのは、監査つきの契約は今申し上げましたようなかなり煩瑣な手続、そして膨大な資料を要求いたすことになりますので、企業側においては相当のコスト負担になるわけでございます。また、原価がきちっとしていればその値段は支払われますので、その結果みずから合理化努力によって価格を下げるというインセンティブがやや少ない嫌いがございます。  それに対しまして一般確定契約の方は、価格を決めてしまえばあとは企業の合理化努力によって得た分はそれはそれなりに企業の利益になるわけでございますので、合理化に対するインセンティブはむしろ監査つき契約よりは働きやすいという側面がございまして、その辺、両々にらみ合わせながら私どもとしては契約を行っている、こういう状況でございます。  それからもう一つ、お尋ねのございました第三者による検査、チェックでございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、防衛庁といたしましては、今般の不祥事案の反省を踏まえまして、調達機構におきますチェック機能を強化しなければならないと考えております。調本を解体し、契約部門と原価計算部門を分離することにいたしているわけでございますけれども、あわせて本年四月から部外有識者から成る第三者による監視体制を開始させておりまして、その中で原価計算のサンプリングチェックを実施するなど、より適正な原価計算の算定方式の確立に努めているところでございます。  したがいまして、御提案の点も参考にしつつ、さらに調達の透明性、公正性の向上を図ってまいりたいというふうに思っております。
  188. 入澤肇

    入澤肇君 ぜひ透明性、公平性の確保のために、第三者による調達価格の決定につきまして、外に見える仕組みをつくった方がいいんじゃないかと私は思うんです。政府が買い上げている農産物価格なども、きちんとした審議会なり価格算定委員会なりをつくって第三者が外に対して物を言えるような仕組みを用意しておりますけれども、私は、金額が膨大になる装備品の調達につきましてこそ、そういうふうな外に見える形の委員会あるいは審議会的なものが必要なんじゃないかというふうに考えております。これはぜひ検討していただきたいと思います。  それから、この会計検査院の指摘の中で、アメリカとの物資調達で、前払いで払い過ぎていて、なかなか物品が納入されない事例があるということが指摘されております。これはどういう事情なのか。米国の武器輸出管理法というのがあって、それがネックになるというふうなことも若干指摘されておりますけれども、実態はどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  189. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) もう委員御存じのとおり、FMSの問題でありますけれども、契約価格は米国の見積もりである、それから納期は目標である、支払いは前払い金を原則とする、こういうふうに世界共通にこれは確定しておりまして、購入国はFMSを受けるためにはこの条件を受諾することによって初めて必要な援助を受けられる、こういう前提となっておりまして、契約自由の原則に基づく一般的な国内契約とは本質的に異なっているということをひとつ御理解いただきたいと思います。  今の三つの原則の中で前払い金を原則としているということから、今御指摘のように前払い等の問題が起こってくるわけでございますが、FMSは、米国政府が武器輸出管理法の関係国内法に基づき武器輸出適格国に対して装備品等を有償で提供する、今申し上げたように調達条件は米国政府がその政策目標に従って定める、購入国はこの条件を受諾することが必要な援助を受けられる条件である、こういうことになっておりまして、これは他の購入国も全く同じ条件でやっております。したがって、FMS調達を行うに際しては、御指摘のような方式、大変いい提案でありますけれども、なかなかとることは不可能に近い、こういう状況でございます。
  190. 入澤肇

    入澤肇君 武器を輸出して外貨を稼いでいるわけですね。一方的に、そういうふうに恩恵付与的に守ってやるんだということで武器を輸出するんでなくて、むしろ貿易収支の上からも武器輸出は貿易上の非常なメリットになっているわけであります。そういうように武器をめぐる状況が変わっているわけでございますから、アメリカの言っている原則をそのまま受け入れるんじゃなくて、我が国における例えば公共事業の代金の支払い、前払い金は四割だと、完成度に応じて追加的に支出していく、そういう方式がこの装備品の調達についても適切じゃないかと思うんですが、重ねていかがでしょうか。
  191. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私もこれは余りにも一方的で片務契約なものですから、この間、アメリカの国防長官のコーエンさんがおいでになったとき、この件についてかなり時間をとって、今委員から御提案あったようなことについて話し合って、コーエンさんもその点については真剣に聞いていったと。ぜひひとつ検討してもらいたいということを申し上げたところであります。
  192. 入澤肇

    入澤肇君 もう一つ、これは要望でございますけれども、各地に行きまして自衛隊の施設を見てみますと、公務員の他の施設、宿舎等と比べて自衛隊員の宿舎というのは非常に劣悪であります。この間、週刊誌にも載っていましたけれども、横田のアメリカ軍の住環境、これは我々の生活状態よりもいい。思いやり予算、これと比べても極めて格差がある。こういう状況でありますので、これは士気にも関係しますから、自衛隊員の宿舎を計画的に改善していくように要望しておきたいと思います。考え方を聞かせてください。
  193. 小林誠一

    説明員(小林誠一君) 今、先生指摘いただきましたけれども、自衛隊の施設につきましては、国内としましては建設省等の面積基準あるいは公務員宿舎法令によって整備しているところでございます。一方、在日米軍の施設につきましては、米国防総省の建設基準によりまして整備しているところでございます。これらの基準というものがございまして、これはいずれにしましても日米の生活様式あるいは文化等に基づいて設定されているものでございまして、面積等には差異がございます。そういった意味で、自衛隊と米軍の施設に相違があるのは御指摘のとおりでございます。  自衛隊の隊舎につきましては、一部には昭和二十年以前に建設された隊舎をいまだ使用しているものもございますが、平成三年度から新しい隊舎基準というものをつくりまして、一人当たりの専有面積の拡大あるいは個人のプライバシーを重視した準個室化及び冷房化の実施等を制定したところでございまして、これに基づきまして前中期防から隊舎の増設、老朽隊舎の建てかえ及び既設隊舎の改修等を推進し、その改善に努めているところでございます。また、あわせて食堂とか厨房あるいは浴場といった隊舎に関係する生活関連施設に重点を置いた施設整備を推進しているところでございます。  この結果、整備状況につきまして申し上げますと、隊舎の整備状況は、平成十一年度の予算の完成時の整備率は約八四%程度でございまして、十二年度の概算要求を認めていただきますと約九三%に向上させることができると思います。  また、宿舎、これは公務員宿舎でございますけれども、これにつきまして申し上げますと、自衛隊が現在保有しております宿舎のうち、木造宿舎やコンクリートブロック宿舎が約四千二百戸ほどございます。これらの中には、老朽化により居住環境が悪化し、また建設当時は面積として適当な広さだったものが、その後のいろいろな社会情勢の変化によりまして現在では比較的狭隘となっておるものが多うございます。  こうした状況を踏まえまして、隊員の方々の居住環境の整備の改善を図るため、こういった公務員宿舎の建てかえを推進することといたしておりまして、本年度の概算要求におきましては、木造宿舎あるいはコンクリートブロック宿舎等、約三百戸の建てかえ等を計上しているところでございます。  いずれにしましても、先生がおっしゃられましたように、隊舎等の生活関連施設の整備というのは隊員の士気にかかわりますことでございますので、今後ともその整備に努めてまいりたいと思っております。
  194. 入澤肇

    入澤肇君 時間がなくなりましたので、最後外務大臣に一言お伺いしたいんですけれども、平成八年度、九年度の決算でございますから、私、外務大臣は大変な御努力をなさって精力的に我が国国益のために頑張ってこられたと思うのです。最後に日韓漁業交渉を締結されていますけれども、まだ最終的な実行に至っていない。日中漁業交渉もしかりであります。  私調べてみましたら、大変な回数の実務者協議を行っているんですね。要するに、これは具体論じゃありませんから一般論で聞きますけれども、外交政策評価は一般的にどういう評価の仕組みがなされているのか。  それから、このような具体的な日韓漁業交渉あるいは日中漁業交渉、こういうふうなものについての成果の反省を外務省あるいは水産庁とか何か内部だけで行っても私は十分じゃないんじゃないかという気がしているんです。やはり外交の範囲が広がる中で、多くの専門家を活用することが必要だと。直観力、戦略的な思考あるいは決断力、こういう人たちを、プロの職業外交官の中に育っているとは思うんですけれども、私は必ずしも十分じゃないと、むしろ民間からこういう人たちを活用しながら、このような具体的な、しかも期限が決められている外交交渉には必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  195. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員がおっしゃることはよくわかることでありまして、そういう方向で努力していきたい、こういうふうに思います。  例えばODAなんかの評価で、極めてある意味で技術的に評価ができるようなことについてはもう第三者の評価などを入れているわけでありますし、それから大きな政策判断というのはまさに国会でいろいろ評価を受けるわけでありますが、その中間にまたいろいろなことがあるわけで、それは専門的な第三者の評価をどういう形で受けていくかということも考えてまいりたいと思っております。
  196. 入澤肇

    入澤肇君 終わります。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  最後でございますが、きょうは朝から各方面にわたる問題、特にODAにつきましても、その目的あるいは意義等哲学的な御議論もございました。あるいはその評価等もございましたが、私もODAに関連しまして二、三質問させていただきたい、こう思っているところでございます。私の場合は、そういう哲学的なものでなく、具体的な一つの事業といいますか手法といいますか、そういうものについて質問させていただきたいと思っております。  質問に当たりまして、まず私がこういう質問をするその背景について御説明した方が御理解いただけるんじゃないかなと思って、少々蛇足的な面はございますが御説明させていただきます。  私は、国会議員になる前に地方行政に携わっていた時期がございますが、そのときに、今、各県等で県立大学の改組問題等どこでもたくさんございます。私がおりましたところでも御多分に漏れず、そういう検討がなされなければいけない、地域の活性化のために新しい教育機関をつくらなきゃいかぬということでいろいろ検討いたした時期がございます。その中でやはり新しい取り組みといいますと、その一つとして、地方の国際化ということが大きく取り上げられるということがわかりまして、そういうことをぜひ新しい大学に取り入れることができないかなというようなことを考えたことがございます。  それを取り入れるには、具体的に考えられますのは、外国人の留学生を受け入れる、外国人の留学生に学位を取って帰ってもらうというようなことが必要ではないのかな、こんな思いがあったわけでございます。  それで、留学生といいますと、これは私の偏見かもしれませんが、やはりどうしても中央の有名大学といいますかそういうところに寄りがちでございますので、地方の大学というのはそういう面からはなかなか難しい面がございますけれども、よくよく見てまいりますと、やはり地方はどちらかというと一次産業、環境も含めてそういうものに非常に強い面がございます。  そうしますと、地方の大学に留学してもらう人方はどういう人かというと、やはり発展途上国といいますか一次産業を主体にしている国々の方ではないのかな、こんな思いがいたしまして、そういう方々にぜひ来てもらえるような仕組みが必要ではないのかなと。ところが、御存じのとおり、そういうところの学生の方々というのは経済的に非常に恵まれていない。したがってなかなか来れない。そこで、ODAの研修員受け入れといいますか、そういう枠を使ってこういうものが実現できないのかなというような思いで一度内々いろいろお伺いしたことがあったんですが、なかなかそれが具体的でない。私の勘ぐりかもしれませんが、やはり日本の国の外務省、文部省の縦割り行政の壁が厚いのかなというような気もいたしたわけです。  そういうことで、ぜひこういうことはこれからも進めてもらいたいと思いまして、そういう推進のための質問をしようと思ったんですが、発言通告を出した後で資料をいただきましたら、実は平成十一年から外務省経済協力事業の中で取り上げておられるということがわかりまして、それならそれでと思ったんですが、機会を与えていただきましたのでその辺につきましてもう少し詳しくお話を伺いたい、こういう思いで質問をさせていただいているわけでございます。  したがいまして、まず十一年度から始まったばかりのその事業は、何か長期研修員の受け入れ制度を少し改正してやる、あるいは新しい留学生の支援事業で受け入れるというような二つの事業があるように伺っておりますが、どういうふうな仕組みの事業で、どういうような分野で実施される御予定なのか、お伺いをさせていただきます。
  198. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 今、先生の御質問の点でございますけれども、まさに平成十一年度予算におきまして新たに二つの制度を認めていただきました。  一つは、長期研修員制度ということでJICAが実施している制度でございまして、とりあえず初年度一・二億円で三十人程度を年度末までに受け入れる予定にしております。この制度は、従来JICAの研修員は受け入れ期間が上限が一年ということでございましたけれども、これを延長いたしまして二年間研修してもらう、最終的には学位、特に修士号を取っていただくということを認めていただきました。とりあえず対象国は途上国一般を想定しておりまして、平成十一年度にはベトナムやラオスや中国、ケニア等々の国々を予定しております。  それから、もう一方の留学生支援無償、これも今年度で認めていただいた予算でございまして、二・五億円で今年度中に四十人程度を受け入れることを予定しております。  したがいまして、従来国費で留学しておりましたのは文部省留学生でございましたけれども、二つ新たに、特にODA予算を使って留学をしていただく制度になったということでございます。  それで、後者の方につきましては、当面はアジアにおける体制移行国、具体的には中央アジアとかあるいはインドシナ三カ国を予定しておりまして、対象国の官民の幅広い層の皆さんに来ていただくことを予定しております。受け入れ期間は二年から四年間、これは修士のみならず学士、博士課程の方々も予定しております。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 分野は。
  200. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 分野につきましては、長期研修員の方はとりあえず法制度整備、市場経済支援などの知的支援分野あるいは地球温暖化防止だとか環境保護とかエイズ対策とか、こういった長期的なフォローアップ、共同研究が必要な分野を想定しております。  それから、留学生支援無償の方は、あらかじめ分野は限定することなく各国の策定する人材育成計画におけます重点分野を踏まえて決めていきたいというふうに考えております。
  201. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 補足的にちょっとお伺いします。  今、対象国は幅広くということでございますけれども、留学生支援の方はちょっと聞き取れなくてどういうところかよくわからなかったんですけれども、要するに、考えればどちらも無償援助になると思うんです。今、無償援助対象国というのは限られていると思うんですが、そういうところに限られるということはあるんですか、ないんですか。
  202. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 留学生支援無償は無償援助の対象国ということになりますけれども、長期研修員の方は、これは技術協力の一環で行いますのでもう少し幅広く対象国を選定できると思います。  もう少し具体的に申しますれば、各国の一人当たりの国民所得がもう少し高いところもねらっていけるというふうに考えております。
  203. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それで、そういうこともやっていただけるということはよくわかったわけですが、こういう制度があるということが実はなかなかわからないといいますか、私の実力の限度かもしれませんけれども、非常にわかりづらい。先ほど言いましたように、通告した後いただいた資料の中を見たらやっていたんだというようなことがわかった。これは私の不勉強かもしれませんけれども。  こんなことを言っては失礼かもしれませんけれども、外務省方々、国内官庁と違って国内の地域の人たちとの、国内との情報の疎通といいますか、そういう面がちょっと何か弱いんじゃないのかな、自分自身を棚に上げて言うのはなんなんですが、そういうふうな気がいたすんです。ここでこういうことをやられるということはわかりました。  あと、これは地方のレベルでいろいろ検討するという段階に入るんだろうと思うんですが、そうした場合には、地方の人間がどのようなアプローチといいますか、どのようなルートを通っていったら問題解決といいますか、こういうことに突き当たるのか、その辺をちょっとひとつ教えていただきたいと思います。
  204. 飯村豊

    説明員飯村豊君) 確かに、もし広報分野の面で足らざるところがあればそこら辺は改めて積極的にやっていきたいと思いますが、今年度既に始めておりまして、これはもし御希望の大学等があればぜひやっていただけたらと思っているんですが、現在、JICAにおきまして全国各大学と意見交換、情報収集をやっております。  各大学で留学生受け入れの希望のあるところは、開発途上国における人材育成に資する留学コースを整備し、かつ長期研修員あるいは留学生受け入れの意向があるのかどうか、あるいは得意な分野があるのかどうか、その他の受け入れ状況がどうなっているのか、そこら辺をJICAの方にお知らせいただきまして、今私の手元にあります資料によりますと、大体全国の大学で二十ぐらいの大学から受け入れの希望がJICAの方に寄せられておりますけれども、こういったものを私ども、途上国の方に持ってまいりまして、こういうコースがありますよということを示して、向こうとマッチングをやりたいというふうに考えております。  もし御希望の大学があれば、ぜひそちらの方からJICAに御連絡いただく、あわせ外務省の方にも御連絡いただいて結構かと思います。
  205. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういうお話も伺っております。ただ、残念なのは、本当かうそか、聞いただけの話ですけれども、全部の大学でやっているわけじゃなくて、私が今問題にしておりますのは地方の大学といいますか、そういうレベルなんですけれども、そういうところまではなかなか情報が行き渡っていないやにも伺いますので、その辺お見落としのなきようにひとつお願いいたしたいと思います。  それで、こういうことがもし具体化しますと、申し上げるまでもなく、いわゆる地方にとっても非常に活性化になる、日本国内の活性化になる。それは、一つは地方の国際化という面で非常に貢献する。地方の人間も国際化とは何か、援助とは何かということが十分わかってくるのじゃないか。先ほどのどなたかの質問で、大臣国民参加型の援助というようなこと、そういう認識が必要だというようなことを言われた。そういう面にも合致するように思うわけでございますし、またさらには、発展途上国の留学生が学位を取って帰りますと、やはり愛校精神も生まれますでしょうし、そこから新しい外交関係といいますか、外交まで行かないでしょうけれども、いろいろな関係が起こると思います。一石何鳥かの大変いい事業じゃないかと思うわけでございます。  外務省あるいはJICAにしましても、これからどんどんお広げになるというようなお話でございますので、ぜひともこれは地方のいろんな物の考え方、実態などもお聞きいただいて進めていただきたいと思うんです。  大臣最後にひとつその辺の今後について、内閣改造がかまびすしいんですが、大臣外交問題については大変な御専門でございますから、これからもずっと見守っていただけると思いまして、その辺で御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  206. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 政府はことし八月に政府開発援助に関する中期政策を発表したところでございますけれども、その中でも人材育成を重点課題一つとして位置づけているわけでございます。開発途上国から我が国への留学の積極的な推進は、人材育成の観点だけでなくて、我が国相手国との相互理解増進及び我が国の知的分野における国際貢献の進展に直接資するとの観点で、国際戦略上重要な意義を有しております。  外務省は、このような観点から、ODAを通じて積極的に留学生受け入れ支援を行っていく考えでありまして、先ほど御質問にあった留学生無償資金協力JICAの長期研修員についても拡充、または在外公館における各種の情報提供の一層の充実を図るべく来年度の予算要求を行っているわけでございます。  国際化時代だとか地方の時代だとかよく言われますけれども、地方の国際化というのも非常に大切なことだと思います。そういう中で、留学生をODAを使って地方にふやしていくということも大変大切なことだと思いますので、委員の御意見も聞きながら、私が外務大臣である限りではなくて、ずっと続けて外務省がそうやるように私としても働きかけていきたい、こう思っております。
  207. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
  208. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会