運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-09-09 第145回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年九月九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月八日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 鹿熊 安正君                 佐藤 泰介君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 久世 公堯君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 松村 龍二君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 佐藤 雄平君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  関谷 勝嗣君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    説明員        警察庁長官官房        審議官      瀬川 勝久君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        国土庁長官官房        長        木下 博夫君        国土庁計画・調        整局長      小林 勇造君        国土庁土地局長  小林 新一君        国土庁防災局長  生田 長人君        外務省アジア局        長事務代理    河野 雅治君        外務省経済協力        局長       飯村  豊君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        通商産業省生活        産業局長     横川  浩君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        気象庁長官    瀧川 雄壯君        建設大臣官房長  小川 忠男君        建設省建設経済        局長       風岡 典之君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  竹村公太郎君        建設省道路局長  大石 久和君        建設省住宅局長  那珂  正君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君    参考人        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君        日本道路公団理        事        村瀬 興一君        日本道路公団理        事        筒居 博司君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成八年度一般会計歳入歳出決算平成八年度  特別会計歳入歳出決算平成八年度国税収納金  整理資金受払計算書平成八年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成八年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成九年度一般会計歳入歳出決算平成九年度  特別会計歳入歳出決算平成九年度国税収納金  整理資金受払計算書平成九年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成九年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省並び国土庁及び住宅金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 松村龍二

    松村龍二君 おはようございます。  私は自由民主党の松村でございます。先輩、同僚のお許しをいただきまして、本日、建設省国土庁等決算について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。大変伝統ある決算委員会におきまして、この第一委員会室におきまして質問をさせていただきますことを大変光栄に存ずる次第でございます。  まず、我が国では、台風梅雨等集中豪雨等に襲われやすいといった気象条件に加えまして、国土の大部分が急峻な地形で占められているため、降った雨が一気に流出して重大な災害が頻発いたしております。  特に最近は、エルニーニョ現象二酸化炭素の増加による地球温暖化気象の大きな変動をもたらしているように私ども素人にも感ずるわけでございます。このような異常気象により、集中豪雨などによる洪水土砂災害被害がより一層深刻なものとなっていることは想像にかたくありません。  その一方で、我が国土地利用状況を見ますと、主要都市洪水はんらんによって形成された沖積平野、扇状地に発達しているところが多く、これらは潜在的に災害の危険な地域に位置しております。  日本がもともと急峻な山地、八割の山地をもって成り立っておる国であるところから、このような風土が何万年もかかって形成されて、地勢が形成されてくるということは、必然的にこのような災害を伴ってきた。だからこそ今の日本があるというふうにも割り切って言えるわけですけれども、そのような状況にあるわけです。  それに加えまして、最近では、今まで危険であるということで住まなかった低地や湿地であったところ、あるいは山地丘陵地を切り開いて、がけに近接したところでいろいろな開発が進み、住宅などが数多く建っております。  また、都市では、地下鉄地下街地下室などの地下空間利用が進んでおりますが、このような施設浸水し、新たな都市型の災害が発生したことは記憶に新しいところであります。  ことしも日本列島各地災害が発生いたしましてとうとい人命が失われております。ここに、犠牲者に対しまして深く哀悼の意を表したいと思います。  まず本年、振り返ってみますと、広島沿岸部集中豪雨をもたらしました六月末梅雨前線豪雨では、広島市、呉市を中心に三百二十五件の土砂災害が発生いたしました。それによって二十四名の死者を含む大きな被害がもたらされたのであります。  この災害では、近年まれに見る集中豪雨に加えて、山すそまで開発の進んだ宅地という条件が重なり、これらが同時多発的な災害を発生させる原因ともなったと考えられます。単に水害土砂被害のみならず、奥地に切ってあった木々が流れて、これが家屋を押しつぶすといった状況が特に顕著であったわけであります。  この豪雨は同時に福岡県にも大きな被害をもたらしました。福岡市を流れる御笠川から流れ出した洪水などはJR博多駅付近に向かって流れ出し、特にビルホテル、店舗などが集中する博多駅周辺では一メートルほどの水深となりました。御笠川流域では二千棟を超える家屋等床上床下浸水被害が出ました。このような被害の中で、地下鉄博多駅構内を初め、駅地下街ホテルビル地下テナントなどで浸水被害が発生いたしまして、特に地下飲食店では逃げおくれた従業員が亡くなるなどの痛ましい事故が発生いたしたのであります。  また、七月には関東地方北部から東京にかけて強い雷雲が発生いたしまして、この豪雨東京におきましても新宿区で一名の方が自宅地下室で亡くなられております。先ほど述べましたように、このような地下空間への浸水は新たな都市型水害と言っても過言ではありません。  さらに、ことしの夏は多数の熱帯低気圧が日本に上陸ないし接近いたしまして、全国各地豪雨による人的被害住宅への被害が出ております。  例えば、私の地元福井県におきましても、八月十四日から十五日の豪雨によりまして三方町、隣の美浜町等でのり面崩壊や二級河川はす川での洪水によりまして、百八十二棟の床上床下浸水などの被害が出ています。福井県では昨年も台風七号などにより大きな被害を受けているにもかかわらず、ことしもこのような大きな被害が発生しているのであります。昨年も本当に一時間十センチ。  私も小さいころ大変な災害がありまして、庭の先にコップを置いてどしゃ降りの雨を受けたことがありますが、一時間に水がコップいっぱいになるということはもう大変なしのつく雨というようなことでありますけれども、最近は毎たびそのような雨が降る。しかも、一定の狭い地域どしゃ降りがありまして、その周りでは全くからっとしておる。その集中的に降ったところでは、もうおばあさんも生まれてからこの方何十年来経験したことがないというようなその町に集中的な災害が来る、こういうような特徴があるわけであります。  そこで、まずお伺いいたしますが、このような近年の気象は異常なのかどうなのか、気象庁見解をお伺いしたいと思います。
  8. 瀧川雄壯

    説明員瀧川雄壯君) 先生今お尋ねの昨年及びことしの豪雨でございますけれども、昨年八月末の栃木県の大雨では那須町で時間雨量九十ミリメートル、またことし六月末の広島県の大雨では呉市で時間雨量七十三・五ミリを記録しております。これらの地点といたしましては、過去に観測したことのないような大雨でございました。  しかしながら、このような記録日本全体で見ますと年間に何回か発生しております。統計的に見てみますと、気象庁全国約千三百カ所に、アメダスと呼んでおりますけれども地域観測網を展開してございます。その記録で調べてみますと、アメダス整備後二十年たっておりますけれども、この二十年間で時間雨量八十ミリメートル以上の記録は平均いたしますと年に十五回程度観測されてございます。その観測頻度は年々変化しておりますけれども、昨年は八十ミリ以上の雨が三十五回降ってございまして、この二十年間で見ますと一九八八年と並びまして最も大きな記録になってございます。しかしながら、たくさん雨の降る回数は、年によって違いますけれども、近年特にふえるという傾向はございません。  なお、今申し上げましたのは一時間の雨量でございますけれども、一カ月まとめた月降水量で見ますと、昨年栃木における八月の大雨那須町で一カ月に千三百八十五ミリ降っておりまして、これは平年の五倍近い量でございまして、月単位としましては異常多雨と考えられます。また、広島県におきますことしの六月の大雨につきましても、呉市で月の降水量が五百二十ミリメートルと、平年の二倍近い量を観測しております。これは三十年間で最も多い値となっておりまして、この地点につきましても月単位で見ました場合には異常多雨と、そういうふうに考えられます。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 統計的にとらえますとそのような御説明だと思いますが、私どもテレビ等を見ておりますと、地球が温暖化しておって海水が蒸発してそれで湿った厚い雲が日本へ来て雨が降る、したがって地球温暖化とかそういう現象でこういうことになっておるんじゃないかというふうに結びつけやすいわけですけれども、その辺は科学的にどうなのか、もう一度気象庁にお伺いします。
  10. 瀧川雄壯

    説明員瀧川雄壯君) お答えいたします。  地球温暖化大雨関係でございますけれども、これは確かにここ百年の統計をとってみますと、地球全体としては〇・六度全世界的には気温が上がってございます。これによりまして確かに気象にさまざまな影響はあろうかと思いますけれども、科学的には現在のところそれがどのような影響大雨に与えているかというところにつきましてはまだ解明されておりませんで、多くの研究者が研究しているところでございます。  以上でございます。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 このような状況でございますが、治水というのは昔から日本におきまして大変重要に位置づけられておって、絶えざる対応をしてきたわけでございます。話題になっている隣の国あたりでは、ちょっと雨が降るとすぐ洪水になって農産物に対して影響があるというようなことでありますけれども、その辺日本は一生懸命やってきているなということを実感するわけでございますが、洪水による被害を少なくするために、治水施設整備を進めるとともに、迅速な情報提供避難誘導等ソフト対策を充実するなど総合的な治水対策を進めていく必要があると考えます。  これに対します建設省見解を伺います。
  12. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、我が国地形気象条件から災害の大変多い国でございまして、洪水による被害を最小限に食いとめるためには、河川改修ダム建設等治水施設整備を行うとともに、洪水関連情報の開示と伝達や水害に強い土地利用等ソフト対策の充実が重要であると認識しております。  建設省においては、出水時における洪水予報の実施、これは百六十五河川指定して実施しております。浸水区域避難地避難路を示した洪水危険地図、いわゆる洪水ハザードマップの作成は既に五十七市町村で公表し、今後も百五十市町村で予定をしてございます。また、堤防が破堤した場合の洪水はんらんシミュレーション公表等も五十八水系で実施しております。その他、避難誘導に有用な情報提供に努めるとともに、水害に強い土地利用のあり方については建設省関係部局が連携して検討しているところでございます。  今後ともこのようにハード、ソフト合わせた総合的な治水対策を実施することにより、水害に強い国土整備を進めてまいる所存でございます。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 次に、国土庁にお伺いするわけですが、近年、集中豪雨による土砂災害被害各地で発生しておりますが、公共土木施設農地等自然災害により激甚な被害を受けた場合には、地方公共団体災害復旧事業を円滑に行うことができるよう国の支援が不可欠であります。  ところで、近年の全国的な激甚災害、いわゆる本激の指定状況を見ますと、農地等関係指定はありますが、公共土木施設関係指定はほとんどないのであります。この基準が、その市町村のあるいは県の税収以上の被害が起きるとかいろいろ基準がありまして、昔のような経済規模の小さい時代の日本と違いまして経済規模も大きくなってきておるということからか、本激の指定状況公共土木施設関係についてはほとんどないわけであります。このような状況を放置しておりますことは、災害による地方財政負担を緩和するとの激甚法の趣旨からして問題であり、激甚災害指定基準見直しを行うべきであると考えますが、いかがですか。
  14. 生田長人

    説明員生田長人君) お答えを申し上げます。  松村委員の御指摘のとおり、近年、公共土木施設関係の本激の指定はほとんどないというのが実情でございます。  この原因でございますが、もとより公共土木施設防災機能が高まっているということに加えまして、指定基準として用いております地方公共団体標準税収入被害額に比べて大変増加したということによりまして指定基準が相対的に厳しくなってきているということが大きいというふうに考えております。  このため、私どもでは、現在、公共土木施設関係指定基準につきまして、過去の災害における激甚災害指定状況とかあるいは国、地方公共団体財政負担実情、こういったことにつきまして関係省庁とともに調査をしておりまして、見直しに向けての検討を行っているところでございます。
  15. 松村龍二

    松村龍二君 実際に災害が起きますと、激甚災害指定を受ける、受けないということがもう本当にその地域にとっては死活の問題でございますので、よろしく御検討いただきたいと思います。  さて次に、関連があるわけですが、地球温暖化対策について質問をいたします。  平成九年十二月に京都気候変動枠組み条約第三回締約国会議、いわゆるCOP3が開催されまして、京都議定書が採択されました。この議定書の中で、我が国には二酸化炭素等温暖化ガス排出量を二〇〇八年から二〇一二年において一九九〇年に比べて六%削減するという厳しい目標が設定されたわけであります。  この京都会議議長国として、温暖化対策に関する我が国の責任は非常に重要であると認識しております。温暖化ガス大宗を占める二酸化炭素排出削減に積極的に取り組んでいくべきであると考えておるわけであります。  我が国二酸化炭素排出量の二割はいわゆる運輸部門で、このうち九割近くは自動車からの排出でありまして、近ごろでは自動車関係諸税グリーン化ども新聞等に報道されて、概算要求において運輸省の案の中にも入っているように承知しております。  この地球温暖化対策にとって一番大きな問題は、運輸部門を除けば、産業部門発電部分かと思います。御承知のとおり、原子力発電によりまして火力発電所等二酸化炭素を防ぐというようなことが重要な課題であります。現在、日本におきましては電力量は三千二百億キロワット・パーアワー。二〇一〇年には、各自皆さんパソコンもやりますし、テレビも三台欲しい、各部屋にエアコン、こういうふうに需要が高まるわけでありまして、三千二百億キロワットが二〇一〇年には四千八百億キロワット・パーアワーを使うであろうと。  そうすると、現在、四千五百万キロワットの原子力設備を七千万キロワットに伸ばさなければならない。そうしますと、大体十五基から二十基の原子力発電所がさらにつくられなければならないといった計算もあるわけでありまして、この地球温暖化対策におきまして原子力発電の重要さを痛感するわけでございます。  私も地元福井県でありまして、原子力発電が十五基ありまして、関西の電力の半分を供給しておるということでやっておるわけでございます。本日は建設省国土庁の担当の日でありますので、これにつきましてはさらに言及することは避けたいと思います。  そこで、建設省に伺いますが、今後自動車交通に関して温暖化対策を進めていくに当たりまして、道路行政においても、例えば交通渋滞を緩和し、円滑な道路交通を実現していくといった取り組みを行うことが重要であると考えますが、道路行政としての地球温暖化対策取り組み方針をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 大石久和

    説明員大石久和君) お答え申し上げます。  地球温暖化対策につきましては、先生指摘のとおり、温室効果ガス大宗を占める二酸化炭素排出量削減を進めることが重要でございます。このため、COP3に臨むに当たりまして、政府としては二〇一〇年時点で一九九〇年比で運輸部門は一七%の伸びに抑え、民生部門伸びゼロ、産業部門はマイナス七%に削減するという目標を立てているところでございます。  このうち運輸部門につきましては、自動車からの排出量が約九割を占めることから、道路行政におきましても地球温暖化対策を最重要課題として取り組み自動車からの排出ガス削減することが重要であると認識しております。そのためには、自動車走行に伴って排出される二酸化炭素につきましては、走行速度が向上するにつれて排出量が減少するという傾向にありますことから、交通渋滞の解消により走行速度を向上させるということが重要であると考えております。  このため、建設省といたしましては、円滑な道路交通確保のためのバイパス、環状道路等道路ネットワーク整備推進により、渋滞を解消して走行速度を向上させ二酸化炭素排出量削減していくこととしており、これが最も基本的かつ根幹的な取り組みであると考えております。これにより、二〇一〇年時点年間約一千万トン、これは炭素量の換算でございますが、の削減を見込んでおるところでございますし、運輸部門における対策の中で最も大きな効果を持つものであると認識いたしております。  また、道路ネットワーク整備は、二酸化炭素排出削減のみならず、走行時間の短縮等による国民経済的な効果や効率的な国土利用など多様な効果をもたらすものであると考えております。これらの施策によりまして、自動車交通による国民生活利便性維持向上を図りながら、地球温暖化対策効果的な推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、自動車関係諸税のいわゆるグリーン化につきましては、道路整備への影響二酸化窒素やSPM、浮遊粒子状物質など沿道環境への影響及びこれらの税の基本的な考え方との整合等を含め、幅広い観点から慎重に議論されるべき課題と考えております。
  17. 松村龍二

    松村龍二君 一見、建設行政CO2素人には関係ないような感じがしますが、円滑に走る、アイドリングをしないとか、高速で走るというふうなことがいかにCO2対策になるかといったこともよく今わかったわけでございます。  ところで、運輸省のただいまお話の出ました自動車関係諸税グリーン化への取り組み、これによって地球温暖化へ資そうと、こういうことかと思いますが、運輸省としてこれについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 羽生次郎

    説明員羽生次郎君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、運輸部門でのCO2削減というのは非常に重要なことでございまして、特に昨今、日本の景気の低迷で、日本全体のCO2というのは、消費は低迷しておりますが、その中で交通部門につきましては九五年、九六年、九七年とふえておりまして、その相対的なシェアは一九%、二〇%、二一%と逆にふえているところでございます。したがいまして、交通分野におけるCO2対策はまさに焦眉のものだと考えております。  そういった観点から立ちますと、一番重要なのは先生指摘のとおりこの自動車対策でございまして、建設省がお話しになりましたように、確かに混雑緩和というのも大変重要な政策であると我々も認識しております。  また同時に、自動車自身燃費を向上させるというのも大変重要なことでございまして、これにつきましては、運輸省と通産省とで省エネ法に基づきまして、二〇一〇年に現在の一番省エネが進んだ車よりもさらに二割燃費のよい基準で車が走らねばならぬという、そういう決め方をしたわけでございますが、ただ、これは基準を決めたことでございまして、具体的には消費者が車を選択していただかないとやはり進まないわけでございます。そして、消費者省エネの非常に進んだ車を選択していただくためには、やはりインセンティブをつけていただかなければならないと考えております。  そういった意味からいたしますと、現在の自動車税、軽自動車税、自動車重量税の自動車の保有に係る税につきまして、燃費のよいものについては若干軽減を、燃費の悪いものについては若干高くと、こういうような税制をとることによりまして省エネ型の自動車を普及させる必要があると考えております。私どもの積算でございますと、二〇一〇年にこの現在の省エネ基準を満たすようなことを可能にするためには、二〇〇九年末までに数千万台の自家用自動車が現在の省エネ基準を満たすものに変わっていなければならないと考えております。  そういったことから考えますと、このいわゆる税のグリーン化というものは非常に重要であるし、また、これなくしてはこの達成ができないのではないかと考えております。ただ、燃費という基準を税の体系に持ち込むということは大変新しい考えでございますから、そしていろいろ問題点を指摘される向きもございますので、そういった方々の御理解を得ながらこの自動車関係税制のグリーン化を進めてまいりたいと、かように考えております。
  19. 松村龍二

    松村龍二君 どうもありがとうございました。  次に、中央省庁等改革についてお尋ねします。  中央省庁等改革については、この前の通常国会は百六十本ぐらいの法律を通したということで、我ながらよく働いたなと、こういうことでございますが、その中でも中央省庁等再編成法あるいは地方分権の総括的な法案等が画期的な法案でございました。  改革の眼目は、現行の省庁を行政目的別に大ぐくり再編成し、二十一世紀に向けた新たな行政システムを整備することにあると理解しておりますが、肝心なのは、形式的な省庁の編成ではなく、行政の運営のあり方、仕事の進め方をどのように改革するかという点にあることを十分に認識して、政府には今後の取り組みを進めていただきたいと思います。  例えば国土交通省であります。建設省運輸省が合体する、あるいは国土庁等が合体するということで、巨大官庁であるという批判が多くなされたわけであります。しかし、先ほども話が出ておりますように、道路の上を自動車が走っておる、それが高速道路で港湾につながるとかいうことになりますと、運輸と建設というのはもう切っても切れない関係にあるわけでありまして、そのような観点から、巨大になるから問題だということではなくて、もともと大ぐくりすることで行政のありようを変えていこうというのが改革の出発点だということでありますから、大変意義のあることではないかと思います。  国土交通省の設置の意義は、極めて厳しい我が国国土条件に着目し、関係省庁を統合して国土の適正な整備、管理を担う責任官庁を設置することにあるのはもちろんですが、同時に、全国八カ所に設置される地方出先機関、これは地方整備局という名称になると伺っておりますが、ここに本省の権限を大幅に委任し、地方が主体的に国土整備、管理に責任を持つ体制を整備するという点にあります。これにより、地域の特性を背景とした河川、道路、住宅、公園、下水道などの社会資本の整備、管理を地域地域の意思と責任に基づき一体的に進めることができるようになるものと大きく期待するものであります。  これはまさに行政の仕事の進め方を大きく変革しようとするものでありまして、この行政改革の目的を実現あらしめるためには、地方整備局の円滑な運営を確保することが重要な課題であります。そのためにはどうしても地方整備局の組織、体制の整備をきちんと手当てすることが必要となるのではないでしょうか。  中央をスリムにする、それがそっくり地方へ行って地方分権という考えもありますが、この国土交通省の場合には、地方整備局を全国八カ所に設置いたしまして、これを効率的に動かすことによりまして、北海道の国土交通、九州の国土交通、近畿の国土交通、関東の国土交通、それぞれぴったり合った対応をしようということであります。そのためにはそれぞれの地方整備局が充実しておる必要があるわけであります。行政のスリム化は当然必要であると思いますが、本省内部部局のスリム化に努める一方で、必要な地方の組織、定員は充実させるというようにめり張りをつけることが必要であります。  このような課題についてどのように検討しておられるのか、建設大臣にお伺いします。
  20. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生指摘のように、るるいろいろ御意見があります、また、その中には巨大化ということに対する批判等々もあるんですけれども国土交通省という行政改革がなし得る、それが成功することができるかどうかというのは、私も一にこの地方整備局がスムーズに運営をされるということにあると思うわけでございます。したがいまして、中央省庁のスリム化に並行して、私は、総務庁にも総理府にもお願いをいたしておるわけでございますが、とにもかくにもこの地方整備局の構成人員については十分なものを張りつけてほしいということを今の時点でもお願いしておるところでございます。  そして、地方建設局で今日まで行ってこなかったいわゆる都市行政であるとか住宅行政、あるいは土地収用、あるいは不動産とかそういう業行政、それから補助金等に関する事務も本省から地方整備局に大幅に委任することになるわけでございまして、この組織及び体制の整備が不可欠でございますので、整備に全力を注入してこれを成功させていきたいと思います。  この地方整備局が成功すれば、私は、国土交通省のすべてがうまく進んでいくのではないかな、そのように今から予測をいたしておるところでございます。
  21. 松村龍二

    松村龍二君 どうもありがとうございます。  次に、国土交通省の発足に伴いまして解決すべき課題の一つとして、硬直的な事業別シェアの解消があります。公共事業のシェアは固定化しておりまして、真に必要な分野に投資が行われていないのではないかという批判は随分前から言われていることであります。  私どもの地元でも、道路の問題、こことここにトンネルができれば、あと一つ、本当に住民のために便利になり、地域が振興し、産業も活性化するなというような道路もまだたくさんあるわけであります。道路も大事であります。河川の問題は先ほど話が出たとおりであります。あるいは、この大雨の降る時代、ダムも決して軽く見ることのできない話であります。トンネルの問題とか港湾の問題がございます。  それぞれに重要でありますが、やはり国土交通省としてしっかりした大局的な視点で巨大な公共事業費を真に国民のニーズに合うように対応する必要があると思います。  そこで、私は北陸の福井県でありますけれども、現在、整備新幹線をどのようにするかといったことが連日地元で大変な、オーバーヒートな話題になっておるわけであります。新幹線が、御承知のとおり、東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線とできてきたわけであります。それから、枝線でスーパー特急が走る秋田とか山形とかそういうようなところ、また北海道に延ばしたい、九州の鹿児島まで延ばしたいというようなことが話題になっておるわけでありますが、日本列島の一番太い土手っ腹でありますこの中部地方をぐるっと日本海に回る北陸新幹線というのが今できておりません。北陸新幹線の一部、長野新幹線をオリンピックまでに間に合わせようということで急遽完成させまして、長野まで大変今便利になって地域が発展しつつあるわけでありますが、やはり自然な流れといたしまして、均衡ある国土の発展ということからしますと、北陸新幹線、日本列島の一番太いところをぐるっと回る、日本海に全然走っていない新幹線を通すというようなことが重要なことではないか。また、東海大地震が言われるわけですが、代替路線といたしましても大変に重要な意味を持っておるかというふうに思うわけであります。  私、直ちに今、わずか三百億足らず、四百億に満たない新幹線の公共事業費を向けるようにということを申し上げるわけではありませんけれども、将来国土交通省ができたときは公共事業シェアを抜本的に見直す絶好の機会でありまして、国土交通省の総枠の中で真に必要な事業を配分していくべきと考えるわけでありますが、建設大臣見解をぜひお伺いします。
  22. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) きょう九日でございまして、また偶然でございますが、運輸大臣が海外へ出張されておりまして、私、運輸大臣の代理もいたしておりますので本来でございますとそちら向きの答弁をしたいのでございますが、きょうは建設と国土の審議でございまして、来ております大部分建設省でございますから、今の先生の趣旨の方に答えるとちょっと建設省に帰りづらい今立場ではございます。  ですから、それはそれといたしまして、先生指摘のように、公共事業の配分のやり方でございますが、これは建設省の今までの配分の状況をずっと見ましてもるる変化しておるわけでございまして、平成十二年度の要求ベースでいきますと、急傾斜地対策、これが七%増であるとか、あるいは市街地整備が四〇%増というように大きく変化をしてきておるところでございます。  それで、中身を見てみますと、道路というのはやっぱり陳情といいましょうか地方の方々の要求の一番大きなものでございまして、道路事業を例にとってみましても、最近では広域的な連携あるいは高利用させる高規格幹線道路などに重点化をしておりまして、沿道の環境の対策とかあるいは電線類の地中化、あるいは今話題になっておりますが、スマートウエーの実現に向けての取り組みなどが注目をされておるところでございます。やはり公共事業の配分方法というのも、時代の動き、国民のニーズに即した重点的な社会資本の整備を進めていくということを考えていかなければならない、そのように認識をいたしておるところでございます。
  23. 松村龍二

    松村龍二君 次に、建設産業についてお伺いします。  日本経済が長期間にわたり低迷して、産業競争力の強化が焦眉の急となっている現在、建設産業はその経営環境が極めて厳しくなっており、大きな構造変化に直面しています。今後も社会資本整備の必要性は高いものの、厳しい財政事情等から公共投資の大幅な伸びは期待できず、民間の建設投資についても厳しいことから、建設投資の見通しについては全体として弱含みで推移すると言われておりまして、大きな需要増は望めません。  せっかく建設省が予算をつけようとしても、地方自治体がかなり裏負担をする力を欠いてきておるといったことも地元へ帰りますとよく耳にするわけであります。そうしますと、建設も公共投資も行えないというような傾向が出てきておるということであります。  これに対しまして、平成十一年三月末の建設業許可業者数は五十八万業者を上回る状況となっておりまして、建設投資のピークの平成四年三月末に比べても一二%、一割以上増加しておるわけであります。公共事業の元請となった建設業者数も増加し続け、平成七年に七万三千五百四十二業者であったのが、一万業者増加いたしまして、平成十年には八万四千三百五十三業者となっております。  このように、建設市場は明らかに供給過剰な状況にありまして、建設業者の経営状況は非常に厳しく、建設業者の倒産も近年極めて高い水準にありまして、平成十年は五千六百六十八件と、一部上場企業などの大型倒産も発生いたしております。  我が国経済におきまして、建設産業はGDPの約一五%程度、地方では本当に大きな雇用の柱になっておるわけでありますが、雇用の約一割を占め、住宅・社会資本整備の担い手として重要な役割を担っており、今後の建設産業のあり方は国民、市場の大きな関心事で、我が国の経済社会に大きなインパクトを有していると考えられます。このため、個々の企業が競争力を高め、その競争を通じて収益力を高めていくことによりまして、二十一世紀の経済社会のニーズにこたえられる創造力と活力を有する建設産業に脱皮していくことが強く求められると言ってもいいかと思います。  この建設産業の再生のために個々の企業が何をするべきかは、基本的に各企業が自己責任と自助努力により考えるべきことですが、個々の企業が競争力を高めていく前提条件として、行政においては市場環境、すなわち技術と経営にすぐれた企業が成長する環境を整備することが必要ではないでしょうか。  これらを踏まえ、建設省におきましては本年七月一日に建設産業再生プログラムを取りまとめたと聞いておりますが、今後の施策の実施スケジュールについてお伺いします。
  24. 風岡典之

    説明員(風岡典之君) お答えいたします。  建設業を取り巻く状況は、現在非常に厳しいものがあります。建設省におきましては、御指摘のように、ことしの七月一日でございますけれども、建設産業再生プログラムというものを取りまとめ、公表したところであります。  このプログラムにおきましては、建設産業の再生を図っていくためには、今先生指摘いただきましたように、個々の企業が自己責任あるいは自助努力によって競争力を高めていく、そして活力を有する産業になるように企業戦略の方向を定めることが重要であると、こういった指摘がありました。また、行政に対しては、各企業が多様な選択ができるような環境整備を行うことが必要であると、こういった指摘がなされております。  これを受けまして、私どもとしては、今後の具体的な取り組みについてでございますけれども、まず、企業が多様な組織形態を選択できるような環境整備としまして、建設業におきます経営事項審査において、例えばグループ評価の実施について検討を行うというようなことのほか、情報開示によって競争力のある企業を評価できるような方策としまして、例えば国際会計基準の導入の問題とかあるいは建設工事の原価計算基準の策定、こういったものを行うとともに、公共事業における競争性、透明性を向上するために、ジョイントベンチャー制度のあり方の検討とかあるいは不良不適格業者の排除、こういう問題について検討を進めていくことが必要であると考えておりまして、これらにつきましては年内を目途に施策の具体化ということで現在検討を進めているところであります。
  25. 松村龍二

    松村龍二君 また、建設業界を取り巻く環境は極めて厳しいものとなっておる中でも、一番しわ寄せを受け、とりわけ苦しんでいるのがこれまで地域の経済社会を支えてきた中小建設業者であります。建設投資が低迷し市場規模が縮小する中で、中小建設業者はあすが見えない状況に陥っております。  昨年来の金融システムの大きな変革の中で、金融機関が貸出資産の圧縮に動き、各産業を通じて中小企業に対する貸し渋りが行われましたが、特に建設業者の場合、請負産業の宿命として運転資金の円滑な確保が不可欠であるにもかかわらず、製造業など他の産業と比べて不動産や設備を有しないのが通常であり、担保力、信用力が弱く、真っ先に金融機関の貸し渋りに遭い、資金調達に困難を来すということもあったのであります。  中小建設業者は地域住宅、社会資本整備の担い手であり、また、一たび災害が発生したときは現場にはせ参じるのは地域の中小建設業者なのであります。雪国であれば、道路の除雪に活躍するのはやはり地域の中小建設業者をおいてほかにありません。そして、こうした活動を通じて地域の経済、雇用を支えているのであります。  このように、地域の中小建設業者は大手建設業者だけではなし得ない大きな役割を果たしており、中小建設業者の経営が傾いたり倒産いたしますと、地域経済に悪影響を与え、また災害復旧等地元業者が必要なときに機動的に対応できないなどの障害が生じかねないと危惧するものであります。  銀行等に資本を注入して、銀行がちゃんと貸してくれればいいのではないかというようなことであっても、銀行は、ゼネコン等に対しては実質上の免除をするというようなことはやっても、中小建設業者に対してはよく内情を知っておって、これ以上貸してはつぶれると思うと貸さないといったような事情から、金融機関に資本を入れてもその恩恵が及ばないといったことも聞くわけであります。  全国五十八万の建設業者の九九%以上は中小建設業者であります。地域を支え、我が国経済を支える中小建設業者をこれ以上苦境に追い込むことがあってはなりません。  そこで、地域の経済を支える地元の中小建設業者が安心して仕事に取り組めるようにどのような対策を講じていられるのか、建設大臣にお伺いします。
  26. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生指摘のとおりでございまして、この中小建設業者に対する対策ということが私は建設業のすべてであろうと思っておるわけでございまして、先ほど御指摘がございました中の一つでございますが、本当に災害が起こったときに現地で直ちに行動をとってくれるのが地元の中小建設業者であるということも十分に私たちも認識をしておるわけでございます。ましてや、地域の経済、雇用というものを支えておるわけでございますから、この中小建設業者の振興、育成というものが一番重要であると思っております。  そのために、公共工事の発注に当たりましては、中小建設業者の受注機会の確保を図るということでるる努力はいたしておるわけでございます。毎年定めております中小企業者に関する国等の契約の方針というものを決めまして、中小企業向けの契約目標を設定いたしております。あるいはまた、ランク別の発注の実施及び発注標準の適切な設置というようなことも行っておるわけでございまして、先生も御了解いただいておりますように、一般土木及び建築におきましては今まではAからEまでの五段階でございましたが、それを四段階にしてその事業に入りやすいように変えたりもいたしておりまして、いわゆる食い上がりといいましょうか、下位のランクの業者が上位のランクの工事への参入ができるようにいたしております。あるいはまた、経常ジョイントベンチャー制度の活用というようなことをも講じておるわけでございます。  こういうようなことを建設省も力いっぱい支援しておるわけでございますが、もう一つ正直言いましてこの効果が出ていないと思っておりまして、なお努力をいたしたいと思っておるわけでございます。  また、中小建設業者への資金供給の円滑化というのが重要なことでございまして、下請セーフティーネット事業を実施するとともに、中小建設業者の経営革新への取り組み支援ということで、この七月から中小企業経営革新支援法などの中小企業向けの施策の活用を図っていく、こういうことの努力をいたしておりますが、もう一つまた違った角度から中小建設業者の振興、育成ということ、これだけで終わるのではなくして、今後ともまた努力していきたいと考えております。
  27. 松村龍二

    松村龍二君 前内閣が六つの構造改革を掲げまして、財政構造改革ということできゅっと締めて、そのときに地元の県庁等は一生懸命事業を絞って、その後、補正予算でどんと予算がふえますと絞った仕事にだけ予算をふやすというようなことで、前は広くいろいろ事業があったのが集中化されて、集中化するということはいいことの部分がありますけれども、非常に昨今混乱している感じを受けますので、ひとつよろしくお願いします。  最後に国土庁にお伺いしますが、昭和四十五年に最初の過疎法が制定されまして以来、消防署の問題とかその他地域の問題に少し手厚い手当てをするということで、大変な意義ある法律としてこれまで三次にわたりまして過疎立法が議員立法として制定されまして、過疎対策は現在まで三十年にわたって実施されてきたわけであります。  しかしながら、引き続く人口の減少・高齢化の進行、基幹産業である農林水産業の衰退、社会資本整備の立ちおくれなど、過疎地域はいまだ厳しい現状にあります。一方で、情報通信の発達や国民の自然志向など、大きく時代潮流が変化している状況もあります。  テレビのコマーシャルを見ておりましても、砂漠の真ん中に社長を連れた自動車が走ってきて、社長に、ここが会社の予定地ですと、何もないじゃないかと言ったら、インターネットがありますと、こういうコマーシャルがありますけれども、このようなことで、地域のまた役割もふえてきている部分があろうと思います。  こういうことを踏まえるわけでありますが、来年三月末で期限を迎える現行過疎地域活性化特別措置法の失効後も法律に基づく新たな過疎対策を確立する必要があると考えますが、国土庁長官としての対応をお伺いします。
  28. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この三次にわたります過疎立法でございますが、自由民主党ではことしの七月に基本方向を取りまとめられたわけでございます。また、国土庁におきましても、過疎対策のあり方について学識経験者に御議論をしていただきまして、ことしの六月に次のように議論がまとめられたわけでございます。  安全、安心な暮らしの確保という考え方に加えて、多様で美しく風格ある国づくりへの寄与、国民が新しい生活様式を実現できる場としての役割、また長寿高齢化社会の先駆けとしての役割など、二十一世紀における全国的視野に立った過疎地域の新しい価値、意義を認め、過疎地域がそれぞれの個性を発揮して自立することができるよう支援することが重要というようなまとめをしていただいたところでございます。  こういうような基本的な議論、内容を十分に踏まえまして、引き続き国土庁として過疎対策推進できるよう関係の予算についての概算要求も行ったところでございますが、立法をどういうようにするかというのは、これは今までもそうでございましたが、いわゆる議員立法としての検討の動きを国土庁としては見守っていきたいと思っておるところでございます。  この過疎対策は私もずっと関連をしてきておるわけでございますが、これはなかなか難しいところがあるわけでございまして、過疎地の進展、発展というのは、雇用の場がそこにいろいろな形でできますとまた大きく前進させていくことができると思うわけでございますが、そこをどのように新しい方策を打ち出していくかというようなこともなお考えていかなければならないのではないかなと、そのように思っております。
  29. 松村龍二

    松村龍二君 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  30. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 自由民主党の佐藤昭郎でございます。松村先生に引き続きまして、国土庁そして建設省平成八年度、九年度の決算、そしてその関連する事項をこれから審議してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  通告書では建設省国土庁という順番になっているんですが、時間をとります建設省は少し後ということで、国土庁建設省ということでよろしゅうございますか。よろしくお願いしたいと思います。  まず、国土庁でございますが、平成八年、九年もそうでございますが、計画についての経費というのがやはり相当な額に上っていると。二十一世紀の国土のグランドデザインというのがございまして、これはいわゆる五全総ですか、四全総に引き続きます五全総という取り扱いになっているんですが、これもやはり毎年約十二億から十五億ぐらいのお金、十年に大体一回ぐらいの計画立案でございますから百四、五十億、計画・調整局の任務の相当部分はこのグランドデザインの作成というのに使われるわけでございます。  このグランドデザイン、これは平成十年の三月、九年度の末に閣議決定されたのですけれども、このときはかなりいろいろ取り上げられまして、多重国土軸による国土の創造とか、多自然居住空間とか、いろいろマスコミ等にも取り上げられましたけれども、やっぱり一年半たってみますと、さほど今のところ、そのフォローというのか、あれが余り国民の目に見える形になっていないのではないかと思います。  私は、計画そのものは非常にすばらしいもので、時々地方に参りますと、県や市町村の計画担当者がこのグランドデザインをベースにいろんなことをなさっているのはわかるんですが、もう少し国民の方に、これだけの期間と経費とお金をかけた、人手をかけたわけでございますから、フォローアップすることもあろうかと思いますが、この点について国土庁の現在の推進方策等について伺いたいと思います。
  31. 小林勇造

    説明員小林勇造君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、二十一世紀の国土のグランドデザインが策定された昨年三月以降、国土庁におきましては、この計画の効果的かつ着実な推進のために以下のようなことをやっております。  まず第一点は、全国でシンポジウムを開催したり、あるいはマスメディアを通じた普及、広報を図っておるということが第一点でございます。それから第二点が、地方公共団体に対してこの計画に関するアンケート調査を実施している。それから第三点目は、関係二十二省庁から成る二十一世紀の国土のグランドデザイン推進連絡会議を設置して、政府全体としてこの計画を推進する取り組みの仕組みをつくってございます。それから第四点目が、地域のブロック計画等の各種地域計画の策定をしております。それから第五点目が、地域戦略プランの推進、こういうことをやっておるということで、計画の推進のための取り組みを精力的に実施しております。  また、本年一月以降、国土審議会において計画の効果的な推進方策に関する調査、審議を開始し、計画に掲げる四つの戦略、御指摘のございましたような多自然居住地域の創造等四つの戦略の具体的な推進方策として、二十一世紀の国土のグランドデザイン戦略推進指針を本年六月に策定しております。  今後でございますが、今後は、引き続き国土審議会等の意見を踏まえつつ、関係省庁一体となった緊密な連携のもと、二十一世紀の国土のグランドデザインを一層効果的に推進していくということを予定しております。  以上でございます。
  32. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 次に、地籍調査について伺いたいと思います。  この地籍調査は、一般的になじみのない言葉であり、あるいは業務であるかと思いますけれども、非常に大事な業務でございます。御案内のように、不動産登記の基礎資料なり土地利用計画の策定、公共事業の実施等に当たってはこれは非常に大事な資料でございまして、これに基づいて比較的早くまたコストも安く社会資本の整備ができるという大変大事な、土地の戸籍とも言っていい調査でございますが、これが西欧ではもう約一〇〇%終わっているというお話でございますが、我が国では非常におくれている。  現状はどのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  33. 小林新一

    説明員小林新一君) お答えいたします。  地籍調査は、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査するとともに、境界、面積についての測量を行い、その結果を地図及び簿冊に取りまとめるものであります。先生指摘のように、いわば土地に関する戸籍の調査ともいうべきものでありまして、非常に重要な調査であるというふうに認識しております。その重要性にかんがみまして、現在、第四次国土調査事業十カ年計画に基づきまして調査の推進を図っております。  しかしながら、本調査の実施に当たりましては、一筆ごとの土地の位置や境界の確認に多くの時間と労力を要するなどの要因によりまして、第四次計画が終了する本年度末におきましても全国の調査対象面積に対しまして四三%の進捗率、このうち特に都市部にありましては、筆数が多く権利関係がふくそうしているなどの要因も加わりまして一七%の進捗率にとどまる見込みであります。  調査の積極的な推進に努めることが極めて重要であると考えております。
  34. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今ほど局長さんの方からお話がございましたが、その意気込みは大変貴重で頑張っていただきたいと思うんですが、私はやはり容易ならないことだと思う。今まで一年で一%しか進んでいない。  ここに地籍調査の、先ほどの十カ年計画が発表されたときの新聞記事がございましておもしろいことが書いてあるんですけれども国土調査に関する懇談会の座長を務められた中村英夫座長のお話なんですけれども、コンピューターのない十九世紀にナポレオンは五十年で地質調査をやった、抜本的な促進策を打ち出さないなら座長を引き受けない、こういう御発言をなさったようでございます。  これは本当に長官にお尋ねしたい、また長官の御決意をここでお願いしたいんですけれども、太閤検地に比すべき平成の検地というべき大事業でございます。平成八年、九年もそうでございますが、十一年でも予算は百三十億ぐらいしかなかなか伸びていない。ここら辺、大事な仕事でございますので、計画どおり進むようにひとつ御決意のほどを長官の方からお願いします。
  35. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 現行の第四次国土調査事業十カ年計画が御指摘のように本年度をもって終了するわけでございますが、平成十二年度においては、新たな調査促進方策の導入というようなことも図りまして、第五次国土調査事業十カ年計画の策定を行いまして、地籍調査の緊急かつ計画的な推進に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  まだ四十数%、そして都市においては一七%というような大変なおくれがあるわけでございます。特に都市部におきましては、今答弁がありましたように、なかなかいろいろな権利関係が交錯しておるようでございますが、そういうようなこともある程度、強力に打ち破っていって、もっとこの率を上げていくということをやっていかなければならないと思っておりますので、鋭意、一生懸命努力をいたしたいと思っております。
  36. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よろしくお願いします。  それから、国土庁の方に最後でございますが、先ほど松村先生は地方整備局ということで省庁再編後の二十一世紀の地方の部局の行政について御質問をなさったわけですが、私は、二十一世紀における土地と水資源の行政について、ひとつこれはしっかり心にとめていただきたいという意味で、今、大臣の方にお尋ねしたいんです。  御案内のように、現在、国土庁の土地局、それから水資源は水資源部というところで、各省庁にまたがります土地と水の行政のある意味では総合調整、取りまとめをなさっているわけでございます。  水について申し上げますと、もともとは建設省治水、そして利水が、通産、工業用水、厚生、水道用水、農水、農業用水と、こういうふうに利水の三省と言われておるわけでございますが、そのほかいろんな関連する政府機関を総合調整する場として、まず、経済企画庁にたしか昭和四十年代の前半だったと思いますけれども水資源局ができまして、それが国土庁ができたときに国土庁に移っていった。ここで各省にまたがります水の行政を総合調整してきたという歴史がございます。現在もしていられます。それから、土地についてもやはり同じようなことが言えると思うんです。  これが今度、二〇〇〇年の一月からは国土交通省ということで、同じ大臣の中に、同じ大臣というのは、例えば治水を担当されます河川局を所管されます大臣のもとに入っていく、こういうことになるわけでございます。  歴史的な経緯を見ますと、例えば水の管理について見ますと、やはり河川管理の公平性、中立性、そういう点から現在も例えば河川管理者自身が利水開発、ダムをつくって水資源を開発するというのは河川法の特例で例外的に認められるというような、そういった一応整理がされているわけでございます。  そういった中で、これは縦割りの弊害という言葉でいろいろ取り上げられておりますけれども、やはり縦割りを総合調整していく機能がしっかりあれば私はそれはしっかりした行政が可能だと思いますし、むしろこれが一つの省庁に集中したときの弊害の方も防いでいかなきゃいけない。二十一世紀の土地そして水の行政を所管していく上では非常に大事なポイントだと思います。  そういった意味で、国土交通省におかれましても、これは国土庁長官にお尋ねするというよりも、そういった精神を、現在、各省庁の設置法に伴います政省令の規定等が行われておりまして大事な時期でございますので、そういった総合的な調整機能をしっかり引き続き持っていただけるようによろしく御指導願いたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  37. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 今までの土地また水資源の行政の省庁間の調整を国土庁が進めてきたところでございますが、国土交通省になりますと、仮称ではございますが、土地・水資源局というのが置かれるわけでございまして、そこにおきましては、地価対策を初めとする土地に関する総合的かつ基本的な政策の企画立案、推進、次に水資源開発基本計画を初めとする水の需給に関する総合的かつ基本的な政策の企画立案、推進というような、多くの省庁との横断的な調整を必要とする業務を担当するとなっておるところでございます。  これによりまして、省庁再編後もまず、都市あるいは農地あるいは自然公園、また河川、水道、農業水利といった個別の行政を担当する部局との連携を十分とりつつ、引き続きバランスのとれた行政を総合的に進めていくことができると思っておりますが、先生指摘のようなことを十分に頭に置いて進めていくようにまた指導をしていきたいと思っております。
  38. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ありがとうございます。  非常に大事な点でございますので、その所信といいますか、二十一世紀の土地・水資源行政の推進、またよろしくお願いしたいと思います。  次に、建設省の方に伺いたいと思います。  まず、災害関係でございますが、先ほど松村先生の方からもお話が出ましたけれども、私も去る九月三日に新潟県の新井郷川流域、福島潟関連の放水路の災害復旧工事の現状をちょっと見てまいりました。これは、平成十年八月四日に八・四水害ということで大変な被害が出たわけでございますが、それを復旧しようという事業でございます。  これは大臣の方にも直接伺いたいと思うんですけれども、私、現地に参りまして、新しい制度に基づきます事業が非常に地元に喜ばれて進んでいる。これは河川災害復旧等関連緊急事業、略して復緊と言っておるわけでございますが、これが非常に、今までなかなか進まなかった福島潟放水路の工事を、この事業を取り込むことによりまして、平成十四年でございましたか、完成のめどが、これは予算の獲得次第でございますが、そこを大臣にお願いしたいんですが、めどが見えてきたということでございます。  先ほども気象庁のお話がございまして、日本の降雨形態が、例えば月間雨量で大分ふえてきている。私は、東南アジア型の降雨形態になりつつあるのではないかと心配しておるわけでございますが、非常に局所的な豪雨が多くなってきている。こういうときにこういった事業というのは非常に大事になろうかと私は思いますが、ここら辺、この事業、そして平成十二年でも傾斜地等についての制度要求をされていると思うんですが、この推進の方についてお考えを伺わせていただきたいと思います。
  39. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) まず、復緊事業、河川災害復旧等関連緊急事業というものでございますが、これは私は本当に画期的な制度ができたと思っておるわけでございまして、平成十年に新潟県の新井郷川等を初めとする全国的な河川災害が多発いたしまして、当時の制度でございますと、上流、下流のバランスの制約から再度災害防止のための十分な改良復旧というのができなかったわけでございます。上流だけを完全に整備しますと、それがどっと一度に下流に流れて今度下流でまた災害があるというようなことで、当初から原状復旧というような形で行っておったものでございますから、災害が起きたところでまた再度災害が起こる、一体どういうその後の処理をしておったのかというような声をよく聞いたわけでございます。そういうようなことからこの復緊事業というのができまして、重点的に予算を張りつけて上下同時に改良をするというようなことでございまして、平成十一年に創設された制度、先生の御指摘のとおりでございます。  本制度によりまして、現在、福島潟放水路を初め十一河川においておおむね四年間で上下流のバランスのとれた抜本的な対策を実施するべく努力をしておるわけでございます。福島潟がああいうような災害といいましょうか、に遭いましたときに私も現地を視察したわけでございますが、この復緊事業ができておりますればああいうようなことは本当に起こっていなかったと思うわけでございまして、ちょっと遅きに失したことはございますが、今そういうようなことで鋭意対処しておるわけでございます。  本年度発生しました災害におきましても、約十カ所の河川で本制度の採択要望がありまして、概算要求にも盛り込んでいるところでございまして、十二年度の復緊事業は事業費が約五百三十五億円でございまして、概算要求は国費といたしまして三百億円を要求しているところでございます。
  40. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大変いい制度で、現地でも喜ばれておるわけでございますが、ここで一つ問題があるわけでございます。  きのうも岩本議員からお話がございましたけれども、財政が非常に厳しい中でこういう公共事業についてもニーズが非常に大きい。どうしてもやっていかなきゃいけない。ここをどうしていくか。現地でも、復緊事業でスムーズに進むのはいいんだけれども、その分ほかの事業の予算がしわ寄せを受けるのではないかという懸念があったわけでございます。  そこで、決算委員会としては、必要な事業をどうやってこの厳しい財政の中で実行していくかという点がポイントになろうかと思います。公共事業のコストの縮減というのも、これは三カ年計画で一割という縮減計画を持ちながら今頑張っておられます。よりよいものをより安くということでございます。  一方では、先ほど松村先生の方から中小建設企業のお話がございました。現在、全国で五十七万社、六百六十二万人の雇用を持つ建設業、ここもコスト削減あるいは経済が安定成長に行った場合については公共事業がずっと下がっていく、そういった点で非常な努力をしておられるわけです。これからどう生き延びていくか、大変な努力をしておられます。  こういう状況の中で、必要な公共工事をどうやってしっかり実施していくか、大変難しい問題だと思います。PFIというのが最近非常に取り上げられておりますが、これは別の機会に譲るといたしまして、現場でコストを削減しながらよりよいものをつくっていく、その方策というのは現在どういうふうに取り組んでおられるのだろうかとか、私はこういったことを中心にひとつ質問をさせていただきたいと思います。  平成八年、九年の会計検査院の決算報告書、会計検査院の決算の概略を読ませていただいたんですけれども、残念ながらやはり相変わらずといいますか、これは補助事業でございますから建設省さんの直轄ではないわけでございますが、八年度、九年度、工事の設計が適切でないもの四事業、工事費の積算が過大三事業、工事の施工が設計と相違しているもの二事業、これは平成八年でございますが、残念ながら九年もまた同じようなものがあり、そしてまたほかの省庁のいろんな公共事業あるいはそのほかの補助事業でも指摘されているわけでございます。  こういう状況の中で、特に最近のトピックスといたしましては、例の山陽新幹線のトンネルの上部のコンクリートが剥離して落ちてきたというような指摘が新聞紙上でもございました。これは一九八〇年代の前半ごろに一度取り上げられまして、また阪神大震災のときにも手抜き工事ということで大騒ぎになりまして、こういうことは高度経済成長期の一つの負の遺産といいますか、その当時のことが今あらわれてきたわけで、それ以来、発注者側もまた建設業者側も非常に気をつけて、こういった今の状況というのは随分改善されてきていると思います。  先ほどの指摘も補助事業中心でございますが、やはり直轄事業で、特に国民の公共工事に対する安心感といいますか、不安感というのを除去する点で、最近直轄工事においてコンクリート構造物の品質管理、施工管理等についてどういう工夫をされているか、伺いたいと思います。
  41. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  コンクリート構造物の品質管理でございますが、基本的にはまず受注者の責任を明確にするというふうな観点から、契約当初におきまして使用材料の品質でございますとか、あるいはコンクリートの打設方法等、これをきっちりと明示するというふうなことをやっております。また、受注者におきましていろんな試験ですとか所定の品質管理を徹底するように求めております。  また、一方、発注者側の立場といたしましても、基本はやはり現場におきます施工状況を把握するというふうなことだろうと思います。そういうふうな観点から、鉄筋の配筋状況等々を写真で検査する、場合によっては現場でのコンクリート強度等の検査を行うというふうなことをやっております。  ただ、そうはいいながら、現実にいろんな問題が最近発生いたしております。そういうふうな観点から、私ども建設省運輸省、それから農林水産省、三省でコンクリート構造物の耐久性についての検討委員会というふうなものを設けまして、いろんな角度から念のため精査し、検討しようというふうなことにしております。たまたまでございますが、昨日第一回目の三省の検討委員会をやらせていただきました。  また、いろんな観点から品質に関しますマネジメントシステムといいますか、ISO9000、これについては平成十二年度から具体的に導入するというふうなことを念頭に置いて現在検討を進めております。また、環境のマネジメントシステムでございますISO14000というふうなことについても前向きに検討に着手したばかりでございます。  また、ISOシリーズを駆使して万全の体制を構築するというためには、いずれにいたしましても情報基盤といいますか、情報の電子化というふうなことが大前提になろうかと思います。こういうふうなことから、CALSにつきましても新しい体制を構築するための前提条件といたしまして、全力を挙げて取り組んでいるわけでございます。一つだけの方策で万全を期すというわけにはなかなかいかない問題でございますので、いろんな角度から総力を挙げて取り組みたいと思っております。
  42. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今、官房長の方からコンクリートの品質管理以外にももっと幅広く発注者側としての取り組みについてお話がありました。私、非常にこれは大事な取り組みだと思います。よりよい公共工事をより安く実施していく、そしてそれも行政改革で人を減らしながらですから、本当にこういうことができるんだろうかということで、難しいんじゃないだろうかなと私は思っておったわけでございますけれども、今、官房長から御説明がございましたように、二十一世紀を迎えるに当たって今までと違う展開が出てきて、これをうまく活用すれば可能じゃないだろうか、こういう確信を今持ちつつあるわけでございます。  官房長の方からお話しございましたけれども、ISOシリーズ、品質の国際規格を新たに建設業界の中に入れて、そしてそれで不適格、不良業者というのがある意味では排除されていく、こういうシステムができ上がっていくんじゃないだろうか。  それから、情報技術、これもすばらしい発達でございまして、これをうまく取り入れれば相当のコスト縮減をしながらいい公共工事がやっていけるんではないかという感じがいたします。例えば平成八年、九年の会計検査の指摘を見ましても、意外と設計と施工の現場が合わない。これは多分図面の取り間違え、写し間違え、こういったものに基づく施工不良。それから、ロックボルトの施工が不適切ということで平成八年、九年も指摘がありまして、これはある意味では手抜き工事ですね。そういったものも情報技術の発達で、現場のデジタル写真を随時監督員あるいは事務所の方まで送っていってネットワークでこれを共有するようなことができれば防げるんではないか。これが、先ほどお話しありました建設の方でやっておりますCALS、コンピューター・エーデッド・ロジスティック・サポートというのか、いろいろな頭文字の適用がございますけれども、やはり伝票、図面、仕様書といったものを全部電子化しまして、それを発注者側と受注者側で共有していく、こういうシステムが建設工事のコストダウンにつながっていくんじゃないか、こういうことで、ひとつ大いに進めていただきたいと思います。  これと関連しまして、全体のプロジェクトマネジメントといいますか、これも今建設省は取り組んでおられるというふうに伺います。今のような環境のマネジメントシステム、これはISO14000ですけれども、品質がISO9000、こういう品質や環境のマネジメントに加えていろんなコスト、スケジュール、リスク等を取り入れましたプロジェクトマネジメント、これは多分発注者側もそれから受注者側にも導入していいものをつくっていこうというシステムだと思うんです。これが電子情報技術の発達で本当に具体的になってきたわけですが、ここら辺もし建設省の方で情報が何かございましたら、プロジェクトマネジメントのこれからの展開方向。  そして、今我々は直轄事業のことで話しているんですけれども全国には三千の地方公共団体市町村があるわけでして、ここでこういった事務能力といいますか技術能力といいますか、そういうものがないところもいろんな工事をやっぱり発注していかざるを得ない。ここの品質管理、コストダウンというのがキーポイントになろうかと思いますが、そこら辺の地方公共団体の指導という点ももしありましたら教えていただきたい。
  43. 小川忠男

    説明員小川忠男君) 今の御質問は非常に重要な点があろうかと思います。  私ども建設省の立場は、まず直轄事業というふうなものの施工の過程を通じていろんな意味での新しい試みというものを試し確立していくというふうなのが一つございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、いろんな点について今努力させていただいております。  それからもう一つは、やはり日本全体の公共事業を考えますと、直轄はできても公共団体ではその力がない、能力がない、ノウハウがない、これは現実問題としてございます。したがいまして、いろいろ地方建設局あるいは公共団体との連絡組織を通じまして、私どもがつくり上げたノウハウというふうなものをできるだけ応援し、公共団体に浸透させていくというふうな点がこれからますます大きなテーマになってくると思っております。  ただ、いずれにいたしましても、プロジェクトマネジメント等々、ここ数年でございますが、いろんな分野で私ども努力させていただいております。  また機会がございましたら、いろいろと御報告させていただきたいと思います。
  44. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 次に、土地収用制度の積極的な活用について伺いたいと思うんです。  公共工事をより安く、よりいいものをつくっていく、それには工期というのが非常に大事になってくるわけですが、我が家の近辺でも随所に用地買収がうまくいかないために本当に効果がなかなか発現できない。多分あれは物すごいコストの増加につながるし、また国民に対する利便の早期発現という点から見ても大問題だと思うんです。  土地収用制度の重要性については建設省さんも認識されておられて、平成十一年の建設白書でも、これは以前より増してこの制度の活用を図りたいということが書かれております。私は、公共工事の効率的、効果的な施工でこれは非常に大事な制度だと思いますので、事業認定大臣としての立場あるいは企業者としての建設省の立場、両方あろうかと思うんですけれども、この制度の活用についての意見を伺いたいと思います。
  45. 風岡典之

    説明員(風岡典之君) お答えいたします。  公共用地の円滑な取得、また事業の早期実施のためには土地収用制度の積極的な活用というのは、私どもとしても非常に大切なことであるというように思っております。  建設省におきましては、これまで、土地収用制度を積極的に活用するという方針のもとに、数次にわたりまして通達等で種々の取り組みというものも行ってきたところであります。  具体的には、若干古くなりますけれども、昭和六十三年時点では、事業認定に当たっての手続保留制度の活用というようなこととか、あるいは事業認定の審査資料をできるだけ簡素化するとか、あるいは収用委員会の委員も一部の委員によって審査をできるような手続、そういう意味の手続の迅速化、こういった措置について通達を流しております。また、平成元年度には、直轄事業についてでありますけれども、例えば用地取得の割合が八〇%を超える、あるいは用地ぐいを打ってから三年経過する、いずれか早い時期が到達した時点で収用の手続に乗せる、こういったことをルール化して、これは今先生指摘の企業者としての立場でございますけれども、そういった立場からの建設大臣から地建局長等にも指導したところであります。また、平成四年には、事業認定の申請の審査期間、これをできるだけ短縮していくということで、これも主要な企業者あてに通知をしたところであります。  この結果、建設大臣が行います事業認定の件数というのは、それ以前は年間で百件程度でありましたけれども、それ以降、百五十件とかあるいは二百件とかということで、ある程度ふえてきているということであります。  私どもとしましては、今申し上げました通達の趣旨をこれからも徹底することなどによりまして、収用制度の積極的な活用、早期の事業の実施、こういったことについて努力をしていきたいと思います。
  46. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大事な制度でございますので、ひとつよろしく活用の方、お願いしたいと思います。  次に、公共工事をより安く、より効率的に効果的にという点から見ますと、新しい技術をしっかり活用していくということがやはり大事になってくるかと思うんですが、その点でリサイクルの問題と、ほかにもう一つほど伺いたいと思うんです。  この九月六日に北海道で国際シンポジウムがございまして、バイオリサイクルとコンポスティングの国際会議日本でこの種の会議は初めてだと伺うわけでございますが、いろいろな、主として生物系の廃棄物、人や家畜に基づく排せつ物、これをどうやってうまく活用していくか、リサイクルしていくかという国際シンポジウムで、三十カ国から四百名ほどの人が集まったシンポジウムに私は出席したわけですが、我が国の場合、欧米に比べますと、リサイクルそしてコンポスト、こういった取り組みがおくれているというのは否めない事実でございます。  建設省さんが所管されます廃棄物、これは建設白書にも載っておるわけですが、この中でもいわゆる生物系廃棄物、これは建設省さんの場合、下水の汚泥あるいは建設用の木材、こういったものの利用になるわけでございますが、なかなかこのリサイクルの率が余り上がっていないんです。上がっていなかったといいますか、徐々に上がりつつあるというのを私は建設白書で見てびっくりしたんです。  建設リサイクル推進計画97というのを平成九年に策定されまして、平成七年現在、例えば下水道汚泥のリサイクル率一四%。これは最終処分場に行くものが残りということになりますね、焼却とか埋め立てとか。それ以外でうまくリサイクルするのが一四から十二年には六〇に上げる。発生木材は四〇から九〇に上げる。これは大変な目標だと思うんですが、ここら辺の取り組みがこのとおりうまくいっているのか、あるいはこれから取り組まれる方針といいますか、そういった点について伺えればお願いしたいと思います。
  47. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 建設廃棄物は全産業廃棄物の排出量の二割になっておりまして、最終処分量の四割を占めるというようなこと、そしてリサイクル率は平成七年度で五八%。平成二年が四二%ですからかなり進んでいることは進んでいると思います。  建設省では、平成十二年度の建設廃棄物全体のリサイクルの目標率を八〇%といたしまして、工事の計画・設計段階からの取り組みの徹底を図るなど、必要な施策を進めているところでございます。特にリサイクルのおくれております建築解体廃棄物でございますが、これは分別で分けて解体することなど、リサイクルの促進について、今後これをもっときちっと進めていくためには法制度化もやらなければならないと思っておるわけでございますが、そういうようなことでなお進めていきたいと思っております。  それから、御指摘のございました下水の汚泥の有効利用の促進でございますが、これは肥料などのいわゆるコンポスト化施設等の有効利用施設整備とか、あるいは技術開発推進しているところでございます。  下水汚泥の発生率のうちの四五%に当たる八十三万トンが平成九年度におきましては有効利用されているというようなことが現状でございますが、建築廃棄物などは特に法律で縛るということも考えて、なお進めていきたいと思っております。
  48. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大事な部分だと思います。  また、例えば生物系廃棄物のリサイクルの場合、いろいろな分野にまたがる、また地域もまたがる。有効利用のためには、建設省さんの下水の汚泥に例えば家畜の排せつ物をまぜると窒素分が上がっていいコンポストができるとか、いろんな分野間の連携。そしてまた地域も、都市部の廃棄物を農村部である意味では農地還元なんかをしていくという幅広い取り組みが必要だと思いますので、こういった連携の方もひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、もう一つ、公共事業のコストという点から見まして、下げる新技術としてちょっと注目して推進していただきたいというのがGISです。この技術でございます。ジオグラフィカル・インフォメーション・システム、私も自分の車にカーナビをつけてもう数年になるんですけれども、DVDのディスク一枚に全国の電話番号が全部入っているし、全国の地図が全部入っている。トラック一杯分の資料を車に積んで走っているようなものと同じでございまして、これで改めてこの方面の技術がいかに便利になるか再確認したんですけれども、これはやっぱりいろんな意味で、公共事業を実施していくときの効率化、効果的な実施につながっていくのではないかと思います。  例えば、もう御案内だと思いますけれども、各省が持っております地図情報、森林の情報、農地の情報、これは農水省の場合ですが、建設省さんはいろいろ国土地理院を中心に膨大な地図情報を持っておられる。これをデジタル化しまして、GISの場合は情報の仕様をうまく決めますと統合してデータベースにつくっていける、そういった今までやろうと思っても手間がかかってなかなかできなかったことが現実になってきた、現に取り組まれております。  それから、国民へのサービスも、いろんな地図情報を住民にわかりやすく提供している市町村もあるわけでございまして、ここをうまく活用しますと、いろんな意味で公共事業の工期、コスト、そして市民生活、国民の生活がうんと改善されていくと思うんですが、建設省さんは国土地理院を中心に取り組んでおられます。現状と将来、これを進めていくというひとつ意欲をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  49. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  政府部内では関係省庁二十三ございますが、GIS関係の連絡会議を構成いたしております。私どももその主たるメンバーとしていろいろ努力しているというふうなことでございますが、平成十一年三月に連絡会議国土空間データ基盤標準及び整備計画というのが決められました。建設省では、これに基づきまして、国土地理院を中心といたしまして、基礎的あるいは基盤的な地図の電子化でございますとか、あるいは道路、河川分野におきますいろんな地図の図面について電子化を推進しているわけでございます。  ただ、問題の一つは、個別分野でいろいろ努力はいたしておりますが、それをどう体系的に活用するのかというふうなところにつきましては、率直に申し上げまして、いまだしというのが素朴な実感でございます。  したがいまして、平成十二年度からでございますが、関係省庁あるいは民間と協力いたしまして、幾つかのモデル地域を決めまして、いろんな立場の主体がいろんな情報を電子化しているわけでございますから、御質問にもございましたように、それらのデータを共有化するとか、あるいはそれらを活用して何が可能になるのかというふうなことについて、高度利用の実験といいますか、例えば環境分野においてどういう活用が可能なのかということをいろんな分野で少しシミュレートして、活用の仕方を体系化しようというふうなことを現実に即して少しきちっとやってみようという段階に来つつあるという状況でございます。
  50. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 次に、河川局の方に伺いたいと思うんですが、今度の建設白書でも、河川地域関係、これは地域河川関係の再構築ということで、地域住民の方々と河川あるいは河川の水流、こういったものをいろいろ親しみやすくしていく、関係を再構築していくというのを出されておられますが、私はこの観点でひとつこの点は推進したらどうかと思っておるんですが、地域用水という一つ概念がございます。これは主として農業用排水路を活用して、農業生産ばかりでなくて、景観なり地域の住民の方の潤いの場としてそれを親しんでいただく、あるいは防火や消雪用水として使っていくというこういう広い概念の、地域のための用水という概念でございます。  これは背景としては、江戸や明治とまでいかなくても、高度成長時期以前までは実は農村地域あるいは都市近郷の農業用水を利用している地域では幅広く見られた利用形態でございますけれども、水利施設を近代化していき、そして慣行水利権を例えば許可水利権に変えていく過程で水利権の場でも少し抜け落ちていきましたし、施設の面も効率第一ということで、こういった利用がややおざなりにされてきたということがあります。  現在、どういう状況かと申しますと、さきの国会で食料・農業・農村基本法、新しい農業基本法が通りまして、そこでも農業の持つ多面的機能、生産性以外の国土や環境の保全、そういった機能を重視すべきだという意見が法律に定まりまして、こういった形で農業や農村というものも積極的に参画していこうという理念が打ち出されて、一つの手段といいますか、たくさん手段があるんですが、一つがこの地域用水という概念でございます。  この地域用水、具体的には、今農業用水の場合、全国で農家の自治的団体であります土地改良区が中心になってこれを管理しているわけでございますが、この改良区も、例えば非かんがい期にその水路に水を通しまして、それが市民や住民のためになるなら、その管理は手間がかかるけれども引き受けようという意欲のある改良区も出てきておりますし、現にこういった利用をしているところもございます。部分的にはこの概念は実現化しているわけでございますが、もう少し幅広く実現できればというふうに考えておりますが、この点、いかがでしょうか。
  51. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  農村部または都市のいかんにかかわらず、国民生活におきまして水が果たす多様な役割、つまり飲み水や農業用水、工業用水、経済産業活動以外の多様な機能に急速に関心が高まっておると認識しております。  建設省といたしましても、これらの多様な水の需要にこたえるべく、例えば消流雪用水の確保だとか、地域の潤いと触れ合いのある水辺空間の創出などに取り組んでまいりました。さらに、それらの水利用についても弾力的な措置をとるなどして対応してきたところでございます。  ただし、新しい多様な水の利用につきましては、河川に流れる水量の量的な制約やその流域におきます多岐にわたる水利用者との調整などの制約もありまして、すべての要望におこたえすることは困難な場合もありますが、流域の方々の要望に可能な限りこたえることができるよう、関係省庁地方公共団体などとも幅広く連携しながら、今後とも積極的に取り組んでいく所存でございます。
  52. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後でございますが、先ほども松村先生からも地球温暖化のお話がございました。私も今月九州に参りまして、環有明海・八代海の発展のためのシンポジウムというのが熊本の八代の方でございまして、これにちょっと出させていただいたんです。  地球温暖化によるいろんな現象の中でも、例えば海面の上昇、これは全世界平均で五十ないし百年で十四センチ、所によっては四十七センチというような今最も新しい情報が出ておる、そういった現象でございます。  これによります有明海、八代海あたりの海岸地域の堤防については心配だという研究なり発表がなされております。これは、日本技術士会の熊本地区というNGO組織が独自に研究されまして発表された。僕は大変な取り組みだと思うんです。この海岸堤防というのは、地盤沈下や後背地の排水不良、そして前面の干潟のヘドロの堆積でいずれ直さなきゃいけない。これは二十一世紀に向けて直していかなきゃいけないんですけれども、そのときに海面上昇による要素を加味して、オランダは国土の三分の二が海面下ということですばらしい海岸堤防をつくっておられるが、多目的海岸堤防といったものに思い切ってつくりかえていく。そして、有明海地域の全体の交通ネットワークもつくり、もう一つ、荒尾と大牟田の沖に国際ハブ空港もつくったらどうかというような壮大なビジョンをお持ちの考えを発表されました。  こういったことを見るにつけても、こういった中長期的な課題について、建設省さんは海岸を所管する四省庁の一つでございますけれども、海岸堤防の海面上昇を考慮に入れた設計などは少し視野に入れておられるのかどうか、少し長期的な話でございますから、よろしくお願いしたいと思います。
  53. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 御指摘のありました地球温暖化に伴う海水面の上昇につきましては、一九九五年、世界の専門家を集めた国連の気候変動に関する政府間パネルの予測によりますと、二一〇〇年では、低目高目の幅はありますが、中位の予想では五十センチ程度海水面が上昇すると言われております。  これに基づきまして、土木学会がいわゆるゼロメートル地帯に存在する人口、資産等を試算しております。海水面が五十センチ上昇すると、現状と比較して満潮時でゼロメートル地帯の面積が八百六十平方キロから千四百十平方キロへ増加いたします。そこに住む人々も、人口で約二百万人から約二百九十万人へ増加し、資産でも五十四兆円から七十七兆円へ増加すると言われております。  さらに、海水面が上昇いたしますと海岸の水深が深くなります。深くなりますと、実は波の高さが高くなる現象がございます。ですから、この海水面の上昇の影響というのは、海面の上昇量の五十センチのみではなくて、波浪が高くなるという現象を伴います。  我が国は、御承知のように四方を海に囲まれておりますし、そして主要な都市や中枢機能はすべて海岸に集中しております。この地球温暖化による海水面上昇は、国土保全上極めて重要な課題と認識しております。  今後とも、私どもは、関係省庁と連携をとりながら、潮位または波の高さの変化等について十分に監視し、長期的な視点に立った対策関係省庁と協力して検討していきたいと考えております。
  54. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ありがとうございました。  こういった問題に取り組んでおられるNGO組織等の皆さんも大変力づけられた今の御回答ではなかったかと思います。  少し時間を余しましたけれども、これで終わらせていただきます。
  55. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  56. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まず、きょうは国土庁建設省の担当なわけなんですけれども、緊急事態ですので、東ティモール問題に先にちょっと触れたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  私は、民主党東ティモール監視団の一員として世界の議員と一緒に東ティモールの住民投票の監視に参加をいたしました。そして、この戒厳令が出ている事態について多くの人たちと今憂えているところでございます。  けさの読売新聞を拝見いたしましたら、オークランドで開かれておりますアジア太平洋経済協力会議、APECの中で、高村外務大臣のこのことについてのインタビュー記事が載っておりました。「インドネシア政府が治安維持の責任を果たすことが重要で、果たさなかったらどうなるかを議論する段階ではない」と質問には直接答えずに、平和維持活動で直接的な維持活動は行えない日本の苦しい立場をうかがわせたという記事がここに載ってございます。  私は、きのう実はNGO、この選挙監視あるいはさまざまなボランティアで東ティモールに入っていた人たちの報告会を開き、その中で現状をさまざまに聞いてまいりました。  まずは、九八・六%という高い投票率で、独立支持というのが七八・五%でしたから、これはもう国連も世界じゅうの国々がこの独立を支持する、しかもハビビ大統領もアリ・アラタス外務大臣もインドネシア政府そのものが独立ということを認めるというふうな状況にあるだろうと思います。  しかし、その後、この住民投票の結果の出た後が大変な状況になっているということで、私はけさのこの新聞を見て、高村外務大臣の発言、こんな段階は実は一週間前のことではないかというふうに思っているんです。やっぱりこの段階では、人の命を救うか救わないか、見殺しにするかしないか、その問題だというふうに私自身は考えておりまして、この状況を現在外務省はどのようにとらえているのかからお伺いしたいと思います。
  58. 河野雅治

    説明員(河野雅治君) お答えいたします。  先生の今おっしゃったとおりだと思っております。我々も民意は明らかに九月四日の結果で示されたと思っておりますが、その後の状況を見ますと、現地で銃撃とか放火とかいろんな事件が頻発しておって、まさに情勢は緊迫していると見ております。それで、その状況は遺憾だと思っておりまして、非常にまた懸念をしているということでございます。  そういった状況でございますから、きょうも緊急に、これはオークランドの話でございますけれども、今御指摘の外相会議を開いて協議を進めておりますし、あるいはたった今ごろだと思いますけれども、国連安保理のミッションがジャカルタでハビビ大統領と協議をしているという状況でございます。  この治安維持の問題の一義的な責任はインドネシア政府にある、まさにそう思っておりまして、我々も引き続き働きかけを強めていきたい、こう考えている次第でございます。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まずは治安の責任はインドネシアにございます。そしてそのことは国連でも決めた合意の中身でございます。しかし、この治安の責任を全く果たしていないというのが世界が認めるところなわけなんです。  けさの読売新聞の非常にわかりやすい漫画ですので、建設大臣もぜひごらんいただきたいと思いますけれども、「カネを出すならクチも出せ」、このように漫画で表現されているわけなんです。  つまり、現在私たちはインドネシアに対して皆さんの血税、平成七年度では八百四十億円、平成八年度では一千五十二億円、そして平成九年度、およそ六百一億円というふうに、もう大体の数なんですが、このような私たちの税金をODAとして、政府開発援助として贈っているわけなんですけれども、私たちも考えております四原則、軍事支出あるいは武器の輸出入、民主化、基本的人権の保障、人の命を基本的には守るという状況について、全く好ましくない状況にあったらばODAは凍結できるという条件になっているわけなんです。  私たちは、もう本当にこれだけのお金を出しているということであれば、今インドネシアに迫ることができるのは、人の命を奪うというこの状況を一刻も早くやめさせる、それは圧力をかけるということになりますけれども、私たちの今できることというのは口を出すこと、それはODAを一時凍結することだというふうに考えますけれども、外務省はどのようにお考えでしょうか。
  60. 飯村豊

    説明員(飯村豊君) お答え申し上げます。  ただいま河野の方からも申し上げましたけれども、私ども、インドネシア政府が東ティモールにおける治安回復に向けて一層の努力を図るよう累次求めているところでございます。  他方、ODAにつきましては、私ども従来より相手国、インドネシア国民の経済的なあるいは社会的な向上を目的として実施しておりまして、インドネシアに対する我が国の経済協力というのは、インドネシア全体の安定、繁栄に引き続き重要な役割を果たしていると考えている次第でございます。  東ティモールにつきましては、現在行われている国連とインドネシア政府の話し合いの行方も含めまして、今後引き続き注視、注目していきたいと考えておりまして、現在のインドネシアに対するODA政策をこの時点で変更することは考えておりません。
  61. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は一番最初に、命を救うのか、あるいは見殺しにしてしまうのか、そういう緊急事態で、戒厳令はインドネシアの国軍が掌握していて、電話線を切られて、あの中で虐殺が行われて、非常にティモール人が不安に陥れられているというこの状況のときに何をするかというのが問題だというので、ずっと停止してほしいというふうに言っているわけではないんです。  この状態を何とかするために、今、日本は人的貢献はできない、きのうも言っているわけですから、それはもう望まれていません。ですから、インドネシアに対して、今の方向性を変えるのか、あるいは国際的な介入をきちんと受けるのか、どちらかだというふうに思いますけれども、それができないのであれば、それを迫るためにも、私たちは今このODAを一時やめてでもそれをやってほしい、そのことをしてほしいというふうに言っているわけなんです。永劫ずっととめろというふうに言っているわけではありません。ぜひそのことを要請しておきたいというふうに思っております。
  62. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 要請ですね。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 はい。よろしいです。  それでは続きまして、建設省にお伺いをしたいと思いますが、吉野川可動堰の計画について伺います。  さきの徳島市の六月議会で住民投票条例が可決されまして、公共事業に対する住民投票ということで全国初のケースとなって、地方分権、住民主権がどこまで保障されるのか、全国から注目されているだろうというふうに思います。  この中で、建設省は対話路線に転じたとも言われます。その代表は、市民参加のあり方に関する懇談会の設置の呼びかけであります。この懇談会は、合意形成を行うに当たって必要となるルールづくりを進めるために、建設省徳島工事事務所が案を提案しているものです。ともかくも合意形成の必要性を認めて具体的な提案をしたこと自体は評価したいと思いますけれども推進反対派の三団体が正当な理由で不参加ないし保留をしている事実を私は重視すべきだと思います。主要な論点は、合意形成のルールができるまで事業を進めないのか、それとも懇談会での議論の結論が出るまで事業を進めないのかという問題、また住民投票条例に対する評価もあるというふうに思います。  吉野川可動堰の事業推進の前提となる合意形成のそのやり方を決めるための懇談会を開くのであれば、事業の推進について棚上げにするのは、大臣、当然のことだというふうに私は思うんです。懇談会に参加を表明した推進派は、可動堰の棚上げを前提としないとか、審議委員会の結論を尊重するとか、住民投票の結果に左右されないというふうに参加の条件をしたと聞いておりますけれども、これでは反対、見直しの立場でなくても、何のために懇談会を設置してその目的を達しようとしているのかを私は疑います。  建設省見解なんですが、殊にこの懇談会について、可動堰事業の継続を前提としたものではないということを確認したいと思いますが、大臣、いかがですか。
  64. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この懇談会でございますが、まず、とにかく建設省はいろいろな公共事業をいたしておりますけれども、特にこの第十堰事業は住民の生命、財産を災害から守るという、これは国家としての、すなわち建設省としての使命があるわけでございまして、公共事業を進めるに当たっては地域住民の意思を尊重するということが重要であることは言うまでもないわけでございます。ですから、この二つの基本的な考え方を踏まえてすべてを対処していかなければならない。  そして、最近は特に、アカウンタビリティーといいましょうか、住民の方々にすべてをオープンに公開し、了解を得て進めていくということなのでございまして、この第十堰の問題につきまして私もいろいろな考え方を述べさせていただいてきたわけでございますけれども、そのアカウンタビリティーをもっと進めていこうということで、市民参加のあり方に関する懇談会の設置を呼びかけているところであるわけでございまして、そういう国の姿勢、建設省の姿勢というものをぜひ御理解していただきたいと私は思っておるわけでございます。  住民投票条例、これも先生指摘のように、半年先にどういうふうにそれを行うかということになっておりまして、住民投票条例というのは成立をしたわけでございますが、この住民投票条例が半年先にどのように運営されるのか、そのことはまたその時点になってみないとわからないわけでございますけれども、とにもかくにも住民の方々の認識を反映する手段としての住民投票条例であるということでございまして、そのことを事業実施の参考の一つにするということは間違いないわけでございます。  ただ、先生の御指摘のように、凍結というものを前提にしなければ住民の方々がその懇談会に参加をしないというようなことを先般も伺ったりしましたが、そのことは私は理解ができないことでございます。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 すぱっと答えていらっしゃらないんですよ、大臣。  とにかく懇談会というのは、ルールをつくるまで前提としてはいろんなことをやっちゃいけないということなので、そのことをぜひ大臣すぱっと答えてください。
  66. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) ですから、これ、懇談会の結論が出るまでこの事業を進めていかないということはありません。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 建設省は来年度予算としてことし並みの四億円程度の概算要求をしたと報道されておりますが、その調査費というこの内容、地元での合意形成を重視するのであれば合意形成ができた段階で予算要求をすべきだというふうに思います。  この概算要求の性格、内容はどのようなものでしょうか。
  68. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  現段階におきましては、平成十二年度における吉野川第十堰改築事業として、環境影響評価に関する調査、検討の継続の費用、そして種々の堰の構造の代替案の技術的な検討の着手、そして一般の方々への情報の開示と提供を進めるという内容になっております。  平成十二年度はその必要額を計上していくこととしておりますが、現在第十堰に関する対話の進め方について議論が進行中であることから、その必要額は来年春の平成十二年度、それぞれの各河川の個別予算配分時に確定していくこととなっております。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、合意形成の材料を提供するものになるだろうとか技術的なとかいろいろなこともおっしゃっていますけれども、とてもとても今年度この四億円を消化したとは思えないんです。この消化は本当にできたんでしょうか。殊にこの借金大国で長引く不況で自治体の財政危機といった言葉が象徴する現状でありますから、予算要求は本当にこんなふうにできないだろうというふうに思いますし、ちゃんとこれは消化されているんですか、そして同じような額を上げているんですか、そのことをお伺いしたいと思います。何に使われたのかもちょっと。
  70. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 私どもの現在、今年度行っている環境の継続的な調査、そしてこれからの事業の進め方に対するさまざまな検討、これらの検討は今年度きちんとそれを実施して、過去も実施してきましたし、今年度もそれを実施していくという段階になっております。もちろん、その内容につきましては、調査の結果等につきましては、先ほど申しましたように、流域の方々にその結果を情報開示、提供していくという、過去もそうしてきましたし、これからもそうやっていくという内容になってございます。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のも答えていらっしゃらないんですけれども。つまり四億円も何と何と何に使って、それと同じような概算要求をまた出しているということなので、それは使われたのかどうなのかということなんです。どうやら消化ができないので、どこかの外国まで行って何かそういう物を買って帰ってきたとか、そんなうわさを聞いてしまったものですから、四億円をきちんと使ったかどうなのか、それが必要でまた新たに概算要求がされているのかどうなのか、そのことについてお答えになっていらっしゃいませんが、いかがですか。
  72. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 予算が消化できないからそのような、今先生の御指摘のようなことで予算を消化しているということは全く承知しておりません。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おっしゃっていない。使っていないのかについてお伺いしたんですけれども
  74. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 私ども、ただいま先生が御質問になったようなお話は聞いておりませんし、私ども先生から事前にそのような確認がなかったので地元には問い合わせてはございません。現時点で私の知る限り、そのようなことは承知しておらないということでございます。
  75. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 では、そのことはまた後ほどお伺いするということにしたいと思います。  とにかく、この住民投票について尊重されるという大臣の先ほどのお話でございましたので、ぜひそのことが尊重されるような形で懇談会が進められていくようにお願いをしたいというふうに思っております。  続いて、シックハウスについてお話を伺います。  最近、シックハウス症候群の相談がふえてきておりますが、特にシックハウス症候群の中でシロアリ防除剤による健康被害が深刻でございます。国民生活センターの調査によりますと、九四年度以降ふえ始めて、ここ三年間は急増しております。昨年度の化学製品PLセンターへの相談件数で見ますと、シロアリ防除剤に関する相談は、建材、防虫剤・殺虫剤に次いで第三位という多さでございます。  シロアリ防除剤の多くは、農薬と同じ有効成分を含む神経毒性のある有機燐剤で、単位面積当たりでは農薬で使用される場合の数十倍の濃度で、有効成分は数百倍のものが大量に床下に散布されるということです。  また、まかれた薬剤は蒸発して床下に充満して、さらには室内の空気を汚染すると。一たん薬剤によって住宅が汚染されますと、床下の土を取り除いて木材を削ってももとには戻らないという状況でございます。隣の家のシロアリ防除によっても深刻な健康被害が発生するということで、まいてからでは遅過ぎるということです。新聞が読みづらくなる、下痢、倦怠感、吐き気、嘔吐、目まい、頭痛、動悸、冷え、口内炎、手足の知覚異常、そしてふらつきなどいろんな健康被害があるわけで、そんな訴えがあるわけなんですけれども原因がわからないまま病院から病院へと転々とする方たちがおります。  そこで、建設省は、建築基準法などで防腐、防蟻措置を義務づけて、あるいは推奨しているんですけれども、シロアリ防除剤による健康被害の実態は把握しておりますでしょうか。
  76. 那珂正

    説明員(那珂正君) お答えいたします。  シロアリ防除剤の健康被害の実態ということでございますが、私どもが今承知しておる範囲内で申し上げますと、ただいま先生が例示されました国民生活センターに寄せられた苦情のうち、これは一九八五年から十一年間の合計で九十一件あって、こういうものにつきまして今先生が御紹介されたような症例が多く見られたというようなこととか、あるいは住宅専門の住宅部品PLセンター、五年ほど前に設立されましたけれども、ここで、一九九六年度から九八年度、三カ年の数値でございますが、三件、三件、五件という苦情が出てきております。  この十一件のうち、シロアリ防除処理と具体の症例等の因果関係が明らかなものについて調べますと、隣家の施工に起因するものとか、あるいは既存の住宅のメンテナンスの一環として行われるシロアリ防除処理の際に、あるいは自分の新築住宅への入居時にそういう症例が見られるというようなことがございます。そのような点を整理させていただいております。
  77. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ただいまのお答えも、実態を把握しているかどうかということでしたから簡単に答えていただければよかったんです。把握しているかどうかです。
  78. 那珂正

    説明員(那珂正君) 健康被害の調査統計としては今申し上げたようなことを承知しております。
  79. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 していないんです。実態を把握していないんですよ。  シロアリ防除というのは、乳幼児とか病人が生活している環境で大量の殺虫剤を床下に散布するのは非常に危険性があるんです。でも何の規制もできていないんです。農薬の場合には農薬登録時に毒性試験の結果を提出することになっておりますけれども、農薬よりも身近なところで散布されているんです。このシロアリ防除剤はより厳しい毒性評価と規制が必要だと思いますけれども建設省はどうお考えでしょうか。
  80. 那珂正

    説明員(那珂正君) 現在、一般に使用されておりますシロアリ防除剤の中の化学物質につきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法と申しておりますが、この法律の適用を受けて、厚生大臣及び通商産業大臣によりその毒性、分解性、蓄積性などについて審査されることになっております。その結果といたしまして、DDTやあるいはクロルデンなどの化学物質はとうにその使用が禁止されているところでございます。  シロアリ防除剤の処理施工につきましては、今申し上げました化審法を遵守して、かつ専門の防除業者による適切な施工方法に基づいた使用においては特に顕著な被害は生じないというふうに考えております。
  81. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 根本的にどのぐらいの健康被害があるか実態を把握しておりませんから、現在の化審法の中で厚生省と通産省が主にそこについての責任を持っているというようなことにも聞こえてくるんですけれども、実は建設省は社団法人日本しろあり対策協会を通してシロアリ防除業界を指導しているというふうに聞いておりますが、このしろあり対策協会にはシロアリ防除業者の三分の一ぐらいしか加入していないというふうに聞いております。これでは指導できないんじゃないでしょうか。
  82. 那珂正

    説明員(那珂正君) 社団法人日本しろあり対策協会の会員数、加入率は、先生がおっしゃったようにといいますか、それ以上実際は低いというふうに、四分の一程度だというふうに認識しております。  しかし、同協会では、先ほど申し上げましたように、適正な薬剤を使うことと同時に適正な施工が必要だという観点から、薬剤につきまして化審法で規制されているもの以外につきましても、協会内の自主的な認定でございますが、一定の灰色だと思われるものについては自主的に規制をした上で認定しております。  また、その適切な施工、塗布作業につきましてもきちっとしなければいけないということで、これも協会独自の制度でございますが、しろあり防除施工士制度というものを定めて、これは会員以外の人も対象にそういう施工士を認めて、その普及を図っているということでございます。
  83. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 会員以外の方に渡せるというルートがあるのであれば、調査をしようと思えば調査がきちんとできる、ある程度のところはできるだろうと思いますので、そういうことに関してきちんとしていただきたいと思いますし、今のお話を伺ってもやはり限界があると私は思いますが、法的規制が必要なのではないでしょうか。
  84. 那珂正

    説明員(那珂正君) 再三申し上げますように、確かに適正な薬剤の選定、その使用方法について、個々の現場できちっと施工されるということが健康被害を防ぐという観点から必要だと思います。そういう意味では、今申し上げましたようなしろあり対策協会等を通じ、また各県、各公共団体を通じて、こういうシロアリ防除の適正な施工のあり方について一層普及、PR活動を国としても続けなければいけないというふうには思います。  もちろん、その基本において、使用する薬剤等については、さっき申し上げましたように、例えば疑わしいというようなものがあるとすれば、これは私どもで気がつけば、通産大臣あるいは厚生大臣に積極的に働きかけて化審法の適切な運用を要請していきたい、こういうふうに思っております。
  85. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 冒頭申し上げましたように、シロアリ防除剤による被害に関する相談が本当にふえています。一たん化学物質過敏症になりますと一生涯いろんなことに、簡単なことに、もう車にも乗れない、バスにも乗れない、公共施設のどこにも行けない、そういう状況になっている人たちが非常に多いんです。  つまり、これは規制がないためにどの公的機関も十分な対応がとれていないということです。汚染空気の測定をしてくれるところもありません。被害者は行政機関でたらい回しにされたあげくに住宅メーカーや防除剤の業者や薬剤メーカーと直接交渉をしなくてはならなくて、最終的には泣き寝入りするというケースが非常に多いということをぜひ踏まえていただきたいというふうに思っております。  時間が来ました。一言お願いをして終わりたいと思います。  岡山県の苫田ダムなんですけれども、熱心に活動している方から詳細なデータもいただいて、要求もしたのですけれども、きょう質問はできませんでした。後ほど資料の請求をしていきたいというふうに思っておりますし、会合も開いていって詰めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  終わります。
  86. 小川勝也

    小川勝也君 岡崎委員に続き、質問をしたいと思います。  今、最後に岡崎委員が触れられたのが苫田ダムの話でございました。質問の最初の方には四国の吉野川の問題がありました。私は、国土・環境委員会の理事として、建設大臣国土庁長官あるいは政府委員の方々ともいろいろな観点から建設、国土に関する質問をさせていただきました。委員会から外れるということで、きょうは最後の論戦かなとも思いましたので、決算委員会というのは予算に対する決算でありますけれども、きょうは少し政策評価的な観点から踏み込んで、河川、海岸、広く河川行政について意見の交換をしてみたいと思います。  ダムの問題は、最近になってもさまざまな議論があり、あるいは大きく意見が食い違う両者が話し合いを持つなどという場面もしばしば見られます。全国各地にダムがあり、そのダムの効果によって飲料水や工業や農業用水、あるいは防災上の観点からも大きな役割を果たしている、あるいは役割を果たしてきたダムがたくさんあることは承知しております。そんな中、今、岡崎委員からも指摘がありましたように、全国各地でさまざまな意見の対立が起こっている。大きく時代が変化したのもその要因の一つであろう、そんな観点から質問してみたいと思います。  これは私見でありますけれども、ダムを建設するということに関して、日本全国の中で、例えば防災的な見地から一番効果の高いところ、あるいは火急を要するところからダムが建設をされてきた。多目的ダムに換算をいたしますと、ダムを着工する、あるいは建設をするということになりますと膨大なるお金が必要になってまいります。そのお金を投資する額とその効果との投資効率の問題、そのことで言いますと、優先順位の高いところから建設をされてきた。ですから、ダムというのは、最初から順番に一から百までつくるとしますと、一、二、三、四、五、九十五、九十六と行くに従って投資効率がどんどん悪くなっていく流れになっていくであろう、そんなことが容易に想像がつくのであります。  しかるに、現在活躍中のダムの中にはいわゆる投資効果が高いところが多いけれども、今これから着工しよう、建設しようとするところにはその効果、効率性が薄いものも含まれている、そんなことも考えられるわけであります。あるいは防災効果の面からもいろいろな指摘があります。  これは私が仄聞した話でございますけれども、アメリカ合衆国ではダムの建設を全面的に見直し始めた、あるいは見直したという情報もございます。あるいは、最近はダムを建設しようとしても、先ほど御指摘があったように、地元住民の方からちょっと待ってくれとか、反対集会を開くであるとか、そのことによってどんどん当初の計画がずれ込んでいって、その間の調査費であるとか、その計画が実施できない間の投資もばかにならない額になってくる。建設省もそのことに気づいたのかどうかわかりませんけれども、今まで計画をしてきた中で、いや、このダムはやっぱりやめます、あるいは見直しますとか延期しますとかいう、そういう政治的な判断もちらほら見かけるようになった。  そういうさまざまな大きな時代の変化に即応する形での要因を踏まえ、これからダムを建設する、あるいは計画をしていくという中で、おのずから、二十一世紀型と申しましょうか、考え方やその実施の仕方というのが変わってくるでありましょう。  そんなことで、今までの歴史的な経過、そして私が今四点のことを申し上げましたけれども、その点を踏まえて、これは感想でも構いません、これからのダム行政、ダムをどういうふうに我々の生活に生かしていけるのか、そんな観点から御高説をお伺いしたいと思います。
  87. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 最後の御高説という言葉で、とても私は小川委員にお答えすることはできないと思いますが、ただ私は年齢はずっと上でございますから、それだけの立場でいわゆる自分の一般的な考えを述べさせていただきたいと思います。  確かに、小川委員のおっしゃるとおりでございまして、ダムの建設を取り巻くいわゆる国民の認識の仕方、それから、当初であるならば確かにダムをつくるための緊急度、必要度というものは高いものでございましたから、どうしても国主導で進めていくことができたと思うわけでございますが、今やそういうようなことで、自然環境も変わってまいりましたし、いわゆる住民の声といいましょうか、その公開性、また協力等々がなければ何事も進めていくことはできないわけでございますから、そういう中にあってダム等事業審議委員会やダム事業の総点検などでございまして、事業評価システムが導入されて中止すべき事業は中止する、また休止するものは休止するというようなことで今進めておるわけでございます。  ですから、そういう点が、委員指摘のように、かつてでございましたら、ダムを計画して途中で中止するなんということになりますと、その最初のプランニングした人物が逆に何ということをというふうに言われるものでございますから、なかなかそういうこともできなかったわけでございますが、現在においてはそういうようなことは時代の変遷、またダムそのものを取り巻く環境が違ってきたわけですから、もう必要がないとかあるいは縮小すべきであるとかいうようなことであるならば、それはそういうようなことで中止するということができるような時代になってきたと思うわけでございます。  ですから、これから地元の方々の声としてそれが上がってきて、そこでダム建設ということになりますと、おのずから、そういう公開制のもとですから、今までるる出てきておりますような現地の上流の方々とのあつれきといいましょうか、そういうものは起こってこないのではないかな、必ずや必要な治水、利水上のためのダムというのが今後はつくられてくる、砂防ダムなんというのは私は今後ますます必要になってくるのではないかな、そんなことを思っております。
  88. 小川勝也

    小川勝也君 ダム建設といいますと、私も地方の生まれでございますが、そのせつな的な経済波及効果というのもばかにならないものだと思います。一朝一夕にできませんし、ダムに関しては設計に係る方々あるいは工事の監督の方々、実際に多くの人々の力によって建設されます。その建設現場に近い里といいますか町の経済波及効果はばかになりません。  しかしながら、大きなスパンで考えたときに、そのダムが果たす農業や工業に対する波及効果も、先ほど申し上げたように優先順位の高いところからでございますので、最近はどんどん減ってきている、そんなこともダム建設を取り巻く事情の変化の一因にもなっていると思います。  そしてもう一つは、大臣も触れられましたように、ダムを建設するという効果のほかにリスクもあるんだということが大きく認識される時代になったということが大きな変化の一つに挙げられるでありましょう。  後で触れますけれども地球という私たちのふるさとができてから大きな年月を経過しておりますが、その地球というものに我々が建造物を建てて自然の営みを変化させてきた歴史というのはまだ少しの歴史だと思います。そのことがいいことか悪いことかという議論をしていますと何時間あっても足りないわけでございますけれども、国民や住民、地球に生きている人たちの中でそのことに対する不安とか心配というのが最近特に起こってきたのも大きな原因だと思います。  決算委員会でございますので経済的な観点から御質問したいと思います。お答えは一般論で構いません。  先ほども調査費あるいは計上された四億円の話題が出ておりました。計画をしてから、これは決算委員会でも何回質問してもわからなかったんですけれども、調査費という予算項目で、それがうまく実施に移るまで何年も何年も予算を積み上げてくるという例が多々見られます。全国で計画をしていて、いわゆる工事が始まるまでの間、さまざまな事業で調査費調査費で次の年に向かっていく事業がたくさんあると思います。その調査費を中心としたダムの計画が実施に移されるまでの予算の支出、このことを政治的にあるいは決算的立場からどのように評価しておられるのか。そしてもう一つは、途中まで調査費であるとかさまざまな観点で予算を執行しておきながら、やっぱりやめましたというときのリスク、これも非常に大きなものがあると思います。  私は、先ほどの大臣のお話を聞いておりまして、途中でやめるということは非常に大変だと思います。しかしながら、時代に合わないなと思いながらもさまざまなメンツからその工事を進めたときよりも数倍すばらしい決断だと、政策評価的にあるいは決算委員会の立場からしても、中止をして損してしまったお金はこれはある意味で仕方のないお金だと思いますし、すばらしい決断だと思います。  そんなことも付記をさせてもらいながら、特にダム建設に係る計画から実施までの期間と評価の問題、中止をしたときのリスクの問題、一般論で構いませんのでお答えをいただきたいと思います。
  89. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  ダム事業は、面的にその土地の方々の財産を買収させていただくということで大変時間がかかります。そのために調査等で長年月かかるという御批判があるということは十分私ども事業者としては承知しております。  このような観点から、建設省では、ダム事業のダム事業審議委員会をきっかけとしまして、公共事業の再評価実施要領に基づきまして各地方建設局ごとに、さまざまな分野の方々ですが、学識経験者から成る事業評価監視委員会を設置いたしまして、事業が採択された以降五年経過した事業で未着工の事業、そして十年経過した後でも継続中の事業等についてはその事業の評価を審議していただくという評価システムを確立いたしております。  この中で、長年月経過している事業について、将来発生するダムの効用を評価いたしまして、事業の継続または中止をフランクに議論していただいているところでございます。継続の評価をされたダム事業について、治水上、利水上の必要性のある事業と判断して私どもは着実に進めてまいる所存でございますが、一方、中止したダム事業もございます。これは事業実施のための、この事業をこれからどうやって進めていくかというための準備調査であり計画立案検討のための調査でありましたので、この調査結果に基づいて中止を含めて事業の進め方を判断したということでございまして、妥当な調査の支出だと考えております。
  90. 小川勝也

    小川勝也君 これはあくまでも私見でございますけれども、例えばどこどこにダムをつくろうとしたときに、まずは調査費というのを計上いたします。しかしながら、用地買収が難航したり反対運動に遭ったりして機運が若干陰ってきたといたします。そのときにまた予算を計上していくわけでございますけれども、前年度より少ない予算組みになったときには、なんだあのダムはできないんじゃないかとか、やっぱりあのダムは必要性がないんだなというふうな、そういう風評を恐れて、前年度並みかあるいはそれ以上の予算要求をしたいものなんじゃないかなというふうな感想を持っています。  私が訴えたい点は、今、局長からもお話があったところでございます。やるつもりになって途中まで支出をしていたんだけれども、その事業がなくなったということになりますと、単純に評価をいたしまして、やるつもりで支出していたお金がやらなくなったんだからこれは損じゃないか、こういう指摘は確かにあると思います。  しかしながら、勇気を持って、あるいは審議会の意見を聞いたり、そのほか学識経験者の方々にしっかり耳を傾けて決断をされて何らかの計画を中止にしたというときは、私たちはそこまでに投資をした、あるいは予算計上したものがむだになったのではないかということは言わないつもりであります。ダム建設に関しても非常に厳しい、今帰られました岡崎先生も同じ御意見だと思いますが、時代が大きく移り変わってまいりますので、どうぞ、そういう勇気ある決断をされるとしたときには我々の厳しい意見というものはないということで、勇気を持って御決断をいただければありがたいと思います。  ダムから出発いたしましたので、次は川に関して質問したいと思います。  上流から川は流れてまいります。よくこんな意見があります。昔、川は曲がりくねって流れていたので、洪水予測とかこのぐらいの雨が降ったときにこのような流量が自分たちが住むところに流れてくるという計算ができたというその地域の長老がいる、こんな話がありました。  しかしながら、河川改修の歴史というのは、川の長さをどんどん短くするものであり、あるいはその中にはいわゆるコンクリートという材料がたくさん使われてきた歴史でもあると思います。これは、諸外国なんかでも自然に近い形の河川を残した方がさまざまな意味でメリットがある、あるいは一度改修をして真っすぐにした河川を今度はまた蛇行した形に戻すような事業も諸外国でなされているというふうな意見も聞いております。  この直線化をしてきた河川あるいはコンクリートを多用してきた工法、その場あるいはそのときにメリットがあるからやったのは当然でありますけれども、その直線化に対する反省、コンクリートの護岸ということに対する反省がもしございましたら、率直な形で御答弁をいただきたいと思います。
  91. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  戦後、焼け野原になった日本国は各地台風等の大洪水の大きなダメージを受けまして、国民じゅうが国土を早急に安全な土地にしてくれるようという要望のもとに、私ども河川行政は早くそして効率のよい治水事業を展開してまいりました。  戦後、国力の弱いときには、私どもは最も効率のよい、用地費の少ない、耐久性のある、そして洪水が早く海へ出るようなということで、直線的にコンクリートで川を整備していくというのが河川改修の大きなポイント、特徴だったかと、御指摘のとおりだと考えております。  しかし、戦後五十年になり世界第二のGDPになりまして、今後の河川改修のあり方は過去の効率だけを求めるのではなくて、人々と川との触れ合い、そして人々が魚類や植物と川で出会ってもらうというような観点からも河川改修を進めていきたいと考えております。
  92. 小川勝也

    小川勝也君 率直な御答弁、うれしく思います。  なかなか資金に恵まれない中で、洪水を少しでも減らしたいというその思いから現在までの工法が確立したこと、これは、大きく評価できるかどうかは別としまして、当然のことだと思います。  局長から御答弁がありましたように、二十一世紀を目前にして、今こういう世の中、そして日本に我々は暮らしていて、河川をめぐる考え方や工法の選択というのも今までとは違う別な観点から選択肢があってもいいのではないか、そのように伺うことができました。  そんな中で、河川を管理する、あるいは洪水が起こらないようにするというその効果を満たしながらもさまざまなニーズを満足させるということを考えたときに、コンクリートばかりではなくて、自然な形で河川を生かし、なおかつその河川効果を維持する、そんなことが求められている時代だとも思います。そんな中で、コンクリートにかわる、例えば自然石を利用した河川の改修工事であるとか、あるいは河川敷に植栽を施して、その植栽の効果をも治水に利用していくなどという話も聞いたことがございます。  そんな観点から、二十一世紀型の河川改修建設省としてどんなことを考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  93. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 河川整備の第一の目標は、予測できない大きな洪水から地域の人々の生命、財産を守るということがございます。これらを確保した上で、先ほど申しましたように、この川が貴重な環境空間であるということを認識した上で、堤防の勾配を緩くしたり、少し工費的には割高になりますが、自然石を用いて護岸をつくり、そのすき間にウナギやドジョウが入れるように工夫したり、河畔林、川のそばに残されている林をそのまま残して洪水防御のために人為的に利用していく。さまざまな自然環境とマッチした、そして安全な国土づくりの河川改修に向かって進んでまいる所存でございます。
  94. 小川勝也

    小川勝也君 ありがとうございました。  先ほど局長から御答弁がありましたように、国民が親しめるようなと、こんなお話もありました。  母なる川という言葉がございます。私の生まれ育った近くには天塩川という河川が流れておりまして、これも地域にとっては母なる川でございます。特に、高校を卒業しましてから東京に暮らしておりますと、なかなか河川に出会わないんです。二十三区内で行ったり来たりしていますと、荒川とか多摩川に行かないと川に出会わない。後から気づくのですけれども、自分は田舎者だし、やっぱり何かそういうのがないとだめなんだなというふうな気がいたしております。そして、北海道に帰りまして、自動車であるいは電車に乗りましてでも、鉄橋を渡ったり橋を渡ったりして川を見ると何かうれしくなっちゃう、そんな自分に気づいております。  あるいは、よく四国の四万十川などに川を見るために旅行に行くなどという人がいます。あるいは、最近はカヌーとかシーカヤックというんでしょうか、わざと川に出かけていって川に舟を浮かべてレジャーをするなどという人もふえております。  人々、特に我々農耕民族の血を引いている者としては、河川があるところに集落をつくってきたという先人のことを考えてみますと、水、水辺、川、そして我々が生きていくということ、非常に密接な関係があるんじゃないかなというふうに思っております。特に、我々はともかくといたしまして、子供のときになるべくそういう親水的な経験ができた方がいいんではないかというふうに、これは科学的な論拠を持って言っているわけじゃありませんけれども、人が水に親しむ、そんな川があればいいなというふうに思っております。  先ほどちょっと触れられましたけれども、人々が親しめるような河川づくり、このことに関しましてはどんな抱負を持っておられるでしょうか。
  95. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 河川は人々が自然を体験する貴重な公共空間であると認識しております。この河川におきまして、特に子供たちの教育の場として、子供たちが五感を使ってすべてのものを自然を体験していく空間としては非常に貴重な空間だと認識しておりまして、私ども建設省のみならず、文部省、環境庁が合同して子どもの水辺再発見プロジェクトというプロジェクトを設定しまして、川の中で子供たちがどう自然を学んでいくかという各省連絡したプロジェクトを組んで、これからそれに邁進していくことになってございます。  着手したばかりでございますので具体的な御報告はまだまだでございますが、これからそのような方向で進んでいきたいと考えております。
  96. 小川勝也

    小川勝也君 私たちはよく、むだな公共事業はやめろ、こういうことを声を大にして叫んでおります。特に、今でも私が確信を持っておりますのは長崎県諫早湾の干拓事業、これはいわゆる私たちの考えるむだな事業ではないかなというふうに考えております。しかしながら、今、局長に御答弁をいただいたような趣旨で、少し割高になっても、あるいは直接いわゆる洪水防止に関係ないけれども子供たちに触れてもらいたいがために予算を計上したい、そういうことであれば大きな拍手をもって応援をさせていただきたいと思っております。  そして、これは手前みそになりますけれども、参議院では委員会の改編を行いまして、従来建設委員会というのがあって、今は国土・環境委員会でございます。建設行政と環境行政を一つの委員会で論議するということ、最初はどんなふうになるのかなといろいろな心配をされている方もおられたかと思います。大臣のやりくりも大変だろうなとか、いろいろな話もありましたけれども、私はその国土・環境委員会が誕生したときから委員をさせていただいて、建設行政と環境、あるいはダムづくりと環境、そして今話題になっております河川行政と環境、さまざまな観点から議論をさせていただいて非常によかったと思っております。そして、多数の事業官庁がある中で、建設省は環境とか自然とかを配慮する上ではある程度進んでいる官庁だというふうに評価をさせていただいております。  そんな観点からも、なるべく客観的な判断をして、いろんな方々の意見を聞いて、むだな事業はきっぱりと、あるいは堂々と勇気を持ってやめていく、しかしながら、新たな国づくりの中で必要な事業に関しては堂々とそれを要求し、実施をしていく、そんな建設省であってほしいと思いますし、特に河川をめぐる中では、局長にも御努力をいただいて、より二十一世紀型の建設省であり河川行政であってほしいと思っております。  ただいまの親水事業あるいは親水河川というふうな観点で言いますと、これからも私は機会あるごとに訴えをさせていただきたいと思いますし、応援をしていきたいと思います。  そして、国土・環境委員会の中でもさまざまな観点からいろんなやりとりをさせていただきました。そんな中で、環境分野でありますダイオキシンの話を質問させていただいたときに、当時の河川局長に、河川をダイオキシンが通過をして河川がダイオキシンの通路になっている、このことに注目をし、少し調べた方がいいのではないかという質問をさせていただいたのを覚えております。当時は尾田河川局長でございました。  最近のニュースの中で、建設省河川のダイオキシン調査をやることにしたという記事を見かけました。このことについて御説明をいただいておりませんのでわかりませんので、現在どんな計画で実施をしようとしておられるのか、その効果はどのような点を求めているのか、お答えをいただきたいと思います。
  97. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 私ども河川管理者は、全国百九の水系で水質調査を実施してまいりましたが、御指摘のダイオキシン等については過去の私どもの調査がなされておらなかったという実態でございます。  環境庁と私ども相談をいたしまして、いわゆる河川管理者である建設省と環境を所管する環境庁で完全に連携して調査しようということで、建設大臣所管の河川については建設省、その他の県所管の河川については環境庁という両省の連携が成立しまして、それを前提として平成十二年度予算の概算要求に盛り込んでおります。  今後、私どもはこの予算がきちんと確保されるよう環境庁ともども相談し合って進めてまいりたいと考えております。
  98. 小川勝也

    小川勝也君 次に、海岸の方に移るわけでございますけれども、今のダイオキシンの話でありますけれども河川を流れるダイオキシン、これは実態調査をしたわけではありませんけれども、私はおおむね農地から流出したダイオキシンであろうというふうに考えております。そして、水とか河川とかあるいは海洋も含めて、さまざまな形で自然がその役割を果たしていただいている浄化作用というものがあります。  先ほどの話にも通ずるわけでございますけれども、かつて河川というのはその川底あるいは川岸からたくさんの植物が生えておりました。その植物をめぐって、さまざまな観点から水が、あるいはそこを流れる物質が浄化されてきた。それがコンクリート三面張りの河川ではその浄化能力が落ちている、こんな話もあります。  そうしますと、上の方から考えて、話は前後しますが、漁業者にとって森林はかけがえのないものだという、そんな話もあります。山に生えている木、その木から落ちてくる落ち葉、それが腐葉土となって、海を浄化したり栄養を与えたり魚のえさになったり、あるいはプランクトンを育てたりする大事な物質が山から河川を通って海に流れ込む。私たちはその森林というのを少しずつ傷つけてきた歴史を持っています。そして、その川に流れ込むであろう土であるとか水、それをダムがせきとめてきた。そして、その中間であります河川の形も大きく変えてきてしまった。海岸もその影響を多分に受けている。そのことが大きくわかってきたのであります。  さきの百四十五国会で海岸法の改正が行われました。そのときも質問の中で触れさせていただきました。海岸というのはいろんな観点から非常に大事な意味を持っていますし、そして今お話がありました環境という面からも非常に大事なものであります。それで、とりあえずは海岸の持つ一番の役割でございますけれども、海岸線が我々の国というのをつくっているわけでありまして、その海岸線を削られるということは我が国を狭めているということにもなります。  海岸侵食をどのように把握しておられるのか、改めて状況をちょっとお伺いしたいと思いますし、そしてそれに関連をいたしまして、海岸法の改正を行ったわけでありますけれども、海岸法改正によって海岸に関して今後どのような手を加えていくというふうなおつもりなのか。ざっと二点お伺いをしたいと思います。
  99. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 海岸侵食につきまして御説明させていただきます。  いわゆる海岸の侵食は、砂浜に供給される砂の量と流出していく砂の量のバランスでございます。そのバランスが崩れる理由としましては、砂利の採取などによる河川からの土砂の供給の減少や、海岸部または山地のがけの崩壊防止等による土砂供給の減少、そして海岸部における構造物の設置等による土砂移動の遮断等々、さまざまな原因が複合的な原因になってございます。  侵食量でございますが、最近の十五カ年、昭和五十三年から平成四年までは年平均侵食量が百六十ヘクタールでございました。また、明治から昭和にかけての七十年間での年平均の侵食量は七十二ヘクタールでございます。昔に比べると二倍ぐらい速いスピードで海岸侵食の傾向があるという事実がございます。  さて、海岸法改正に当たってそのような海岸をどのような政策整備していくのかという御質問でございますが、従来は海岸の防護を主目的とした整備でございましたが、この海岸法改正にかんがみて、今後は、防護と環境、利用との調和のとれた海岸の形成を目指して、将来の世代に引き継ぐような海岸管理を進めてまいりたいと考えてございます。
  100. 小川勝也

    小川勝也君 海岸にいわゆる環境の観点を盛り込んでいくというのが海岸法改正の大きな趣旨であったと思いますし、その議論が参議院においては国土・環境委員会で行われたということを非常にうれしく思っております。  海岸を取り上げてみますと、さまざまなことがわかってまいりました。それは、先ほど話を申し上げましたダイオキシンが農地から河川を通って海岸に来る、そして海洋汚染の原因になっているということ。これもさまざまな工夫をすればダイオキシン量を減らすことが可能だという研究がなされております。このことも委員会で申し上げましたので、今後、研究課題としてお取り組みいただけるものだと思っております。  もう一つは、いわゆる漁業をめぐる観点から、漁場をつくるあるいは産卵場所をつくっていくということに非常に密接に関係していくということであります。私は、人工リーフという考え方を質問させていただき、私なりに研究した成果を報告させていただきました。  かつては海岸が侵食されないようにいわゆる縦型の壁をコンクリートでつくるというものでありました。それから離岸堤という工法がございます。人工リーフというのは、海岸のある地点に、その効果的な距離は専門的な方に御判断をいただくとして、ある構造物を下に沈めるというものであります。波の効果を弱め静穏域をつくり、そこで効果的にいわゆる微生物に活躍をしてもらうというやり方であり、その構造物にはいつの間にか昆布であるとかさまざまな海藻類が付着をし、そこにお魚が卵を産んでその付近の漁師さんが大喜びするという話でございました。ただし、従来の工法に比べて人工リーフというのは少し割高になってしまうんだ、こういうお話でございました。  海岸法改正の後、さまざまな施策の準備をしておられると思いますので、その人工リーフを含めた工法とコスト、現在時点でどのような評価をされているのかお伺いをしたいと思います。
  101. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) ただいま具体的な海岸保全の工法について御質問がございましたので、具体的に御説明させていただきます。  人工リーフは波の力をそこで弱め砂浜を守るということで非常に効果があるわけでございますが、従来は一山、一つのこぶの人工リーフでございましたが、その後の私どもの研究によってタンデム型の人工リーフ、タンデムと申しますとこれは英語でございましてこぶが二つという意味でございます。ラクダのこぶが二つある。そのような二つのこぶの人工リーフにしますと、そのこぶとこぶの間が生態系の生息域になり、なおかつ結果的に断面が小さくなりコスト縮減にも通ずるということが判明してまいりました。  具体的な事例を一つだけ御紹介させていただきましたが、私ども、このような海岸の防護と環境保全、そしてコスト縮減、さまざまないろいろな方面からの条件をどうやってクリアしていくかということの合間を厳しくねらってこれから事業を進めていきたいと考えております。
  102. 小川勝也

    小川勝也君 単純に言ってしまうと、公共事業とかさまざまな事業は最も効率的でコストが安い方法でやっていただきたいというのが我々の考え方でございますし、私の考えでもございますけれども、特に環境に配慮をするということになりますと、また別の評価をさせていただかなきゃいけないと思います。環境に配慮をするから少しコストが高くなってしまうんだといったときには、先ほど申し上げたその限りではないと思いますので、さまざまな観点から効果の上がる方法を研究をし、選択をしていただければと思います。  そして、海岸域に関しては、いわゆる港湾を今まで所掌しておりました運輸省との連携という問題が大事な問題となってくるでありましょうが、今度の中央省庁の再編でめでたく同じ役所の中に港湾を所掌する運輸省建設省が入ることになります。そうしますと、今までのようにここからここまでは建設省だ、ここは運輸省だということで、縄張り争いであるとかメンツ争いであるとか事業の重複であるとか、そういうことはだんだんなくなっていくものだと思っておりますので、その辺の連携をうまくやっていただいて、より少ない予算で最も効果的な手法を御選択いただくということが使命づけられておりますので、その辺の御配慮もしっかりお願いをしたいと思います。  もう一つ、今お話にありました環境の問題、これは環境庁が環境省になるわけでございます。そして、私が欲張りなのかどうかわかりませんけれども、海岸線を守るという効果から、日本全国全部海岸で覆われているわけでございますけれども、どこの漁協でも漁村でも魚が減ってしまっている、こんなことも大きな課題となっています。もしその二こぶの工法でうまいこと魚がふえれば一挙両得でございますので、水産庁との連携も必要になってくると思います。  今度運輸省と同じ省になるということと、そしてなおかつ環境庁、水産庁との連携もとっていただきたい、このことに対するお答えをいただきたいと思います。
  103. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 御承知のように、海岸に関しましては建設、運輸、農水省いわゆる水産庁が共同で管理をしてまいりましたが、海岸法改正によりまして海岸保全基本方針という方針を国として立てることになりました。これは、建設、運輸、農水が共同で策定いたします。この策定した方針に基づき、都道府県が個別の地域の意見を反映して今度は海岸保全基本計画を策定していきます。上位計画そして地域の計画とブレークダウンする方式に改正されたわけでございます。  さて、建設、運輸、農水省が中心となる海岸保全基本方針の策定におきまして、私どもこのたび、環境庁、国土庁、文部省の協力も得て、今後の海岸のあり方検討委員会を発足させ、このあり方について研究会をスタートしたところでございます。環境庁、国土庁、文部省の方々が海岸行政に今まで参加していなかったということもあり、勉強会的なところからスタートするかと思いますが、私ども、従来の事業省庁または管理省庁以外にもこのような他省庁の方々を入れた幅広い検討会を持ってこれからの海岸行政に当たっていきたいと思っております。  山間部から河川、海岸を通じた総合的な土砂管理対策関係省庁と協力して実施してまいりたいと考えております。
  104. 小川勝也

    小川勝也君 他省庁との連携も非常に大事なことでございます。よろしくお願いをしたいと思います。  最初、私、海岸法の改正のときに河川局が担当ですと言われて、ああそうかというふうに思ったわけでございますが、実はこれはうまくできているわけでございます。先ほど私が申し上げたダム、そして河川、海岸、これは一本につながっておりまして、これはすべて日本でいいますと竹村局長の所管でございます。そして、私が申し上げておりますように、海洋の環境ということ、あるいは海洋の植物、こんなことも無関係ではありません。あるいは、漁業者にとって森林が友達である、そんな延長線で考えますと、森林も当然無関係ではありません。ダム、河川、海岸、そして海洋環境、そして森林、この大きくくくった中で河川行政というのを考えていただきたいな、これは御要望だけ申し上げておきます。  そこで、次に移らせていただきますが、住宅金融公庫の方に来ていただきましたので、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。  何を隠そう私も住宅金融公庫でお金を借りて中古のマンションを購入させていただいておりまして、大変お世話になっております。そんな中で、今御案内のように景気が大変悪いわけでございます。それで、ステップ償還なんというのもありました。あるいは、このぐらいの返済だと給料も毎年上がっていくし、大丈夫だなと思っていたりした人もいます。  ところが、今、ボーナスカットなどというのは当たり前の時代でございますし、何よりも一番大変なのは職がなくなってしまった方だと思います。そして、貸した金は返せ、払わないやつは家を取り上げるぞ、こんなこともあろうかと思いますが、実は政府のお金が入っておりますのでそうは簡単にいかないと思います。貸したお金が御本人、その借りた方と相談をしてなるべくうまい形で全額返ってくればいいわけでございますので、その辺いろんな工夫をされておられると思います。失業率が高くなって、その失業したお父さんの子供が例えば私立高校に行っている場合学校をかわったなどという例もあります。大変な状況でございます。今話しましたように、何とか借りた方の都合と貸し手の話し合いによって御本人の返済計画が柔軟に変わるような、そんな住宅金融公庫政策であってほしいと思います。  詳しいことはわかりませんので、現在どんな形でその方策を進めておられるのか、お話を簡潔にお伺いしたいと思います。
  105. 望月薫雄

    参考人(望月薫雄君) お答えいたします。  先生お話しのように、昨今の厳しい経済事情、これが私ども住宅金融の立場から見ていましても非常にストレートに実は姿をあらわしておりまして、まことに残念なことでございますが、いうところの延滞債権というのが非常にふえてまいっております。参考までにちょっと数字を一言申し上げさせていただきますと、平成十年度は件数で二万二千九百五件、金額にしまして三千三百七十二億円、こういうかなり大きな金になっております。参考までにこの三千三百億何がしが私どもの公庫の融資残高全体に占めます割合は〇・四七%という状況になっております。  この数字自体を見ると、ほかの金融機関に比べてまだまだおとなしいかなという実感を持っておりますが、そういったレベルの話ではなくて、経年で見ますると八年、九年、十年と着実に増嵩の一途をたどっているという状況でございます。  私ども、こういったある意味では深刻な、特に私ども公庫の融資を御利用いただいて持ち家をお持ちいただいた方には本当に深刻な状態というものが幾つか出てまいっている中で、可能な限り御融資申し上げた方々が家を手放さなくて何とかそこに住み続けていただける方法はないかということで、制度的に許されるぎりぎりのところを今頑張らせていただいているというのが現状でございます。  ちょっと事務的ですけれども、昨年の十月に公庫の融資について閣議決定いただいたり、あるいは十一月に経済対策を打たれたりという中でございます。その中でもいわゆる延滞債務者、ローン破綻者と言っていいんでしょうか、こういった方に対する配慮をしっかりやるようにという強い御決定をいただいている中でございまして、私ども公庫も、昨年度、今年度と公庫の最重点的に取り組むべき課題の一つとしてこのローン返済対策といいましょうか、延滞の方々に対する御相談というものをしっかりやろうということで取り組ませていただいております。  具体的には、私ども支店を持っておりますが、各支店に相談対策本部をつくらせていただく、あるいはまた、何分にも私どもの事務は金融機関に委託申し上げていますものですから金融機関の御理解、御協力をいただかないことにはできないということでございまして、この方も格別の御理解をいただきながら、それぞれの金融機関の窓口でもしっかりと債務者と御相談、対応していただくということでやらせていただいております。  しかし、これは一言で言いますと、多額のローンをさせていただいている住宅ローンでございますので、やはり御本人に必ず御来店いただく、相談いただくというのが大前提でございまして、そういった中で私どもは一人一人の事情を親身に取り組ませていただく、こういう状況でございます。  端的に言いますと、事務的になって恐縮でございますけれども平成五年度、六年度に行いましたいわゆるゆとり償還、ちょっと強烈なゆとり償還制度を導入したことがありますが、これが六年目を迎えて大変苦しいとか、さらに加えて企業倒産、リストラ等々で非常にまた収入が激減されている方々、しかし今は苦しいけれども、いろんな事情で二、三年待っていただくと何とか乗り越えられるという方々も大変多うございまして、そういった方々に対して本当に親身の相談をする、こういったことでやらせていただいております。事務的には償還期間を延長するとか、ただ延長するだけではこれはまたいろいろと問題もありますが、ゆとり償還については十年間償還期間を延長するということをやっていますが、特にリストラ、企業倒産等で非常に苦しい方々に対しては、昨年の十二月からでございますが、新しい特例制度も入れていただきましたものですから、正直なところ、そういった方々に対して本当に個別に御相談の上でもって対応する、こういうことでやらせていただいております。  ただ、本当に大勢の方々でございますので、どうにもならない、めどが立たないという方もございます。そういった方々、あるいはまた残念なことですけれども、なかなか御相談にも来ていただけないとか連絡もとれない、こういう方も結構数いらっしゃいまして、こういったケースにつきましては、私どもやっぱり公的金融機関の立場でございますので、しかるべき段階で保証協会の代位弁済を求めるとかというふうな格好で次のステップに行くと。  いずれにしましても、公庫の手にあるときあるいは保証協会の手に渡ってからでもできるだけできることは努めさせていただこうということで、繰り返しになりますけれども、公庫、金融機関ともども昨年度、今年度の最重点に取り組ませていただいているということだけ申し上げさせていただきます。
  106. 小川勝也

    小川勝也君 まことに理にかなった御答弁をいただきうれしく思います。  当然、国として持ち家政策推進しておりますし、この世知辛い御時世の中で家というのは精神的に物すごく大きな位置を占めていると思います。仕事もなくなって家もとられてしまいますと、何か生きる希望もなくなってしまうように思います。そんな中でも、やはり貸したお金はぎりぎりのところで返してもらわないといけない。悪質な方に対してはまた別な対応をしていただくとして、なるべく個別の利用者の意見をお酌み取りいただいて、温かい御判断をいただくしかないかと思います。引き続き御努力をお願いしたいと思います。  次に、地震対策質問をさせていただきます。  阪神大震災以後さまざまな議論がこの国会でも行われました。つい最近もトルコで大地震がありました。地震あるいは天災は忘れたころにやってくるなんというのは先人の知恵であります。巷間言われておりますのは、特に防災訓練などで、阪神大震災の記憶が新しいときには企業も個人も関心が高く、参加の意欲が高かったんだけれども、もう四年たってしまうと何か少し冷めてきたかな、こんな話もあります。  地震対策というのはそれではいけないわけでございまして、いつ起こるかわからないから地震対策なのであり、そしてまた決算委員会的に言いますと、地震対策というのがどのぐらいうまくいったのかというのはこれは地震が起きてみないとわからないわけで、なかなか検証しにくいわけでありますけれども、そんなことで、地震対策に関してどのぐらいうまくいっているのかというのをひもとく質問を少しさせていただきたいと思います。  阪神大震災以後、政府も国会も国民も地震が本当に怖いものであるということを再認識いたしました。そして、備えあれば憂いなしということでさまざまな備えをしなきゃいけないということを思いました。担当する国土庁といたしましても、さまざまな地震対策の予算要求をしてさまざまな施策を数年間にわたって行ってきたかと思います。  今まで、そのときに計画を立ててこの点とこの点とこの点はうまく充実をさせていけた、しかしながらこの分野はまだ足りない、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  107. 生田長人

    説明員生田長人君) お答えを申し上げます。  私ども、阪神・淡路大震災で大変さまざまな教訓を学んだわけでございますが、それ以降今までできる限りのことをしてまいりました。  まず、私どもが最初に申し上げなきゃいけませんのは、政府あるいは地方公共団体が初動の態勢を一刻も早く整えることでございまして、この点につきましては阪神・淡路の大きな教訓だというふうに思っております。  その点につきましては、御承知のとおり、緊急参集体制であるとか、例えば内閣における総理の職務代行の順位であるとか、あらゆることをやってまいっておりまして、私ども国土庁でも当直制度をしいていざというときに対応ができるようにしているわけでございます。  そのほか、発災時点における情報の収集というのが大変大事でございまして、阪神の場合に発災をした後どの程度の被害であったのかということはなかなか把握できなかったということがございますので、できるだけ早い時点における情報収集、これが非常に大切でございます。そのために必要な防災の無線網であるとか、あるいは国土庁におきましては地震防災情報システム、私どもDISと言っておりますけれども、地震が起きましたときにその場所と震度がわかれば大体の被害の推測ができる、三十分程度でそういうことができるような仕組みというものを備えたりしてございます。  初動の段階においてはそういうことをやってまいりましたが、なお残っております課題としては、今後の一番大きなものはやはり耐震町づくりといいましょうか、トルコの地震の場合にも建物がもろくも崩れているわけでございまして、この点についても今後やっぱり努力をしていかなきゃいかぬと思っております。  御承知のとおり、平成七年に地震防災対策特別措置法というのができておりまして、こういった施設の強化、耐震化であるとか、そういうことにつきましても現在鋭意やっておりますので、この点が今後進めていかなきゃならない一番大きな部分だと思っております。  そのほかに、実際に発災いたしますと関係機関が共同して、特に自衛隊の参加等も得て強力な応急対策をやらなきゃいけないということでございますけれども、この点につきましても私ども関係機関ともども広域的かつ実践的な連携を図るような仕組みというものを現在つくりつつあるわけでございます。  最後に、どうしても最後は住民の方々が自分で身を守るという部分が非常に大切でございますので、その点に関しましては先ほど委員おっしゃられました訓練をできるだけ実動的なものに、それからあり得べきことを想定していろんな対応をしていくということが非常に大切でございまして、この点につきましてはまだ大きな課題として残っているというぐあいに認識してございます。
  108. 小川勝也

    小川勝也君 さっきも申し上げましたが、訓練に参加する人が減ってきたというのはちょっと寂しいことだなと思います。具体的にどんな効果的な手法があるかといっても思いつかないんですけれども、やっぱり訓練というのは非常に重要なことだなと思うんです。  今、これからの課題だとおっしゃられましたが、その訓練、このことに対してもっと何か積極的な施策はないのでしょうか、訓練にもっと積極的に参加してもらうように。
  109. 生田長人

    説明員生田長人君) お答え申し上げます。  私ども、防災訓練につきましては防災訓練大綱というのを毎年つくっているわけでございますけれども、その中でも特に住民の参加ということに大変重点を置いているわけでございます。  ことしも各地で訓練をやらせていただいておるわけでございますけれども、各自治体におきましても一番重点を置いていただきたいことは、自主防災組織や防災ボランティアの参加促進の手だてをいろんな形でつくっていただいております。これは実際に地方公共団体が呼びかけて出してこないとなかなか難しいものでございまして、国が単に出てくれと言うだけではとてもできませんので、そういう点で各地方公共団体に対しまして充実、促進みたいなものをお願いしているということであります。  そのほか、ことしは特に災害弱者の避難訓練に重点を置いて、高齢者の方であるとか身体障害者の方であるとか乳幼児の方であるとか、こういう方々を実際に参加させるという形で、いかに避難させるかということに重点を置いてさせていただいている。あるいは帰宅困難者というのが実際には例えば東京においては出るわけでございまして、今回もその実際的な訓練をさせていただいたわけでございまして、東京から千葉、神奈川、埼玉、こういったところに送り届けるということに一般市民の方々の参加を得ていろんな工夫を凝らしているところでございますが、今後とも努力していきたいというふうに考えております。
  110. 小川勝也

    小川勝也君 やはりこの訓練とか備えというのが非常に大事だと思いますし、ボランティアの方とかNGOの方々と万一の備えについて連絡をとるなどというのも非常に大事な観点だと思います。  最後に、大臣に……
  111. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間が一分しかありませんから。
  112. 小川勝也

    小川勝也君 はい。国土交通省というのができます。巨大官庁などという批判もありますけれども、こんなところがメリットなんだというのを大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  113. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) それは何といいましても、地方整備局というのができまして、いわゆる国を挙げて中央省庁再編、そして地方分権推進ということでございますから、その両面に沿った動きがこの国土交通省で一番重要なことではないかな、そのように認識しております。
  114. 小川勝也

    小川勝也君 終わります。
  115. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  平成八年度、九年度の決算関連して質問をさせていただきたいと思います。  まず、午前中にも佐藤昭郎委員の方から関連質問がありましたが、コンクリートの劣化に関係して質問をさせていただきたいと思います。  近年、一九七〇年代を中心に建設されました新幹線あるいは道路高架橋あるいはまた集合住宅などにコンクリートの劣化現象が認められております。それらのコンクリートの劣化の原因としまして、千葉工業大学の小林一輔教授は、コンクリートの原料に塩分の多い海砂が使用されたことで劣化が促進された、あるいはアルカリ骨材反応により劣化が促進された、あるいは不法加水などの施工不良により劣化が促進されたなどを指摘しているわけであります。  建設省としましては、一九七〇年代を中心に建設された道路の高架橋とか集合住宅などのコンクリート建造物に今日認められるコンクリート劣化の原因に対しましてどのような見解を持っておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  116. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  基本的には今先生指摘になったのと同じような見解といいますか考えを持っております。  御指摘のように、一九七〇年代のコンクリート構造物において劣化が見られるわけでございますが、やはり主な原因は塩分に起因する鉄筋の腐食、それからもう一つは高いアルカリ成分のもとで骨材が膨張するいわゆるアルカリ骨材反応というんでしょうか、この二つが基本的な要因であろうかというふうに考えております。  こういうふうなことを受けまして、対策でございますが、一九八四年でございますが、道路橋につきまして塩害対策指針を定め、さらには八六年でございますが、コンクリートの塩分の総量規制、さらにはアルカリ骨材の暫定対策というふうな形で基準を決めさせていただきました。  その前後を比べますと、基本的には今指摘されておりますコンクリートの劣化現象というのはやはりこの基準が策定される以前につくられたコンクリート構造物に集中しておりまして、一応基準が功を奏しているというのが現状ではないだろうかというふうな理解をしております。
  117. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の山陽新幹線の高架橋の検査等を見ますと、海砂が使用されたためかよくわかりませんけれども、塩分の問題がありまして、現在の土木の建設基準から見ますとサンプルを採取したところでは九割方塩分濃度が高いということがあります。一九八六年に新基準がつくられたということでありますけれども、やはり国民は、それ以降につくられた集合住宅に関しましても問題があるんではないか、劣化が近々起こってしまうんではないか、そういう心配をしているのではないか、そのように思うわけであります。  そこで、まず通産省の方にお聞きしたいんですけれども、コンクリート含有の塩分に関係するものの一つと言われている海砂の使用について質問したいと思います。  建設骨材として使用されている海砂は平成八年度、平成九年度、どのくらいの量があるのか、この中でコンクリート骨材として使用された海砂というのはどの程度の量なのか、お聞きしたいと思います。
  118. 横川浩

    説明員(横川浩君) 通産省でございます。お答えいたします。  海砂の供給量は、通産省の調査によりますと、平成八年度におきまして八千百万トン、平成九年度は七千二百万トンでございます。この間の骨材等の供給量の総合計が八年度で八億六千二百万トン、九年度で八億二千万トンでございますので、このうち海砂がいずれも九%を占めている、こういう現状でございます。
  119. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この海砂がコンクリート用に使われたというのはどの程度か、把握されているでしょうか。
  120. 横川浩

    説明員(横川浩君) お答えいたします。  私どもの調査におきましては、総合計といたしまして申し上げましたような骨材等の供給、需要の量を把握いたしておりますのと、またその総合計の中でのコンクリート用のウエート、例えば平成九年度におきましては八億二千万トンの総合計の中でコンクリート用が五億三千六百万トンを占めているという全体の数字は把握をいたしておりますが、この中での海砂の割合というのは把握をいたしておりません。
  121. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり国民は、自分が住んでいるマンションがあったとしまして、それが一応基準にのっとって建設されているだろうというふうに考えるわけでありますけれども、これがどういう原料で、コンクリートの原料に海砂が使用されているのかどうかわからない、もし使用されているとすると基準に合わないものが使用されたのではないかな、そういう不安も起こるわけであります。  そういう意味では、通産省としましても、コンクリートにどのぐらい海砂が使用されているのかやはり調べるべきではないかな、また調べておくべきではないかなと、そのように私は考えるわけであります。  次に、建設省の方にお伺いします。  建設省としましては、平成八年度、九年度、建設省所管の公共工事で使用されたコンクリート骨材として海砂の量を把握しているのかどうか、調査しているのかどうか、その点に関してお聞きしたいと思います。
  122. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  私どもの所管事業では、原材料の産出形態、例えば海砂であるのかないのかというふうな種別ごとの調査、把握は現段階では行っておりません。ただ、海砂を使う場合にはこういう基準で、こういう検査でという体制をとっております。
  123. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これはもう一度通産省の方にお伺いしたいんですけれども、海砂は今後もどれくらい使用されていくのか、これまでの推計からしますとどの程度になるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  124. 横川浩

    説明員(横川浩君) 将来の推移につきまして特に計画や見通しといったものはございませんけれども、骨材等の供給量に占めます海砂の割合が、先ほど八年度、九年度について申し上げましたように、近年ずっと一割前後で推移をいたしてきておりますので、今後一定の割合を占めますものの、これが著しくふえていくというようなことは考えにくいものと考えております。
  125. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、建設大臣の方にこれはお伺いしたいんですけれども、海砂が道路用あるいはコンクリート用、建設骨材として今後も一〇%程度使用されていくとすると、建設省としても、コンクリート用として使用される海砂の量、その場合のコンクリートの含有塩分量、あるいはまたそのコンクリートがどのような用途に用いられていくか等の基礎データとしてやはり調査、把握しておくべきではないかな、そのように私は考えるわけでありますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。建設省の方は余り把握していないということでありましたので。
  126. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 生コンはJISで総塩化物の量が規制されておるようでございまして、海砂をコンクリートに使用する場合には事前に洗浄を行い、塩分の濃度が規制値を下回るように対処をしているというふうに伺っております。  また、コンクリート構造物の検査診断技術は、いわゆる社会資本の老朽化が進む中、重要な技術開発建設省は認識をいたしておりまして、当該研究は来年度より三カ年で実施する予定でございますが、その一部については、そういうようなことで緊急性もございますので、前倒しをして本年度より着手をしていると伺っております。  具体的な技術開発といたしましては、民間等と協力いたしまして、コンクリート構造物の健全度診断をするための操作性のよい非破壊検査機器の開発、あるいは劣化進行予測手法の確立、あるいは審査支援を行うための審査診断データベースの構築等を行う予定と伺っております。
  127. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 大臣、建設省が今後検討している既存コンクリート構造物の高度診断技術の開発、来年度の予算にも計上されるようでありますけれども、その点については今お述べいただきましたけれども日本において分譲マンションがどんどん増加していくということで、建築後三十年を経過するマンションも二〇一〇年には約九十三万戸、二〇二〇年には約二百十五万戸になる、そのように予想されているわけでありまして、今後建てかえとか維持修繕工事が必要になってくると思います。  そういう場合に、自分の住んでいるマンションがきちんとした診断をされて、建てかえすべきなのか、あるいは修繕すべきなのか、早目にわかれば修繕して長持ちできるということになると思いますので、この技術開発にやはり一生懸命取り組んでいただきたいなというふうに思うわけであります。  それにしても、やはり海砂がどのように使用されているのか、それもきちんと把握しておいて、業者を信用するわけでありますけれども、中には規格外のものを使用するということもなきにしもあらずではないかなというふうに思いますので、その点もきちんとチェックしていただきたい、そのように思うわけであります。  次の質問でありますけれども、鉄筋コンクリートビルの剪断破壊についてお伺いしたいと思います。  これは建設省の方にお伺いしますが、工学院大学の広澤雅也教授らによる阪神・淡路大震災の被害調査では、一九七一年あるいは一九八一年に耐震性を考慮した建築基準法施行令が改正されたわけでありますけれども、それ以降に建てられた集合住宅、校舎などの鉄筋コンクリートの柱とはりの接合部に剪断破壊が認められたということでありまして、今後の問題点として指摘されているわけであります。  建設省としまして、この剪断破壊の実態、阪神・淡路大震災のときの被害状況、実態を調査、把握しているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  128. 那珂正

    説明員(那珂正君) お答えいたします。  阪神大震災直後に建設省内におきまして建築震災調査委員会を設置いたしまして、被害状況原因等の究明を精力的に実施したところでございます。  その報告書の中で、ただいま先生指摘のコンクリート建築物の柱、はりの接合部の剪断破壊につきましては、鉄筋コンクリート建築物の被害の一つの形態としてはそういう被害があったということはよく報告されておりますけれども、阪神大震災によって倒壊したなどの大変大きな被害を受けた事例においては、柱、はり接合部に生じた剪断破壊が原因して倒壊したものは報告されておりません。  むしろ、柱の部分に、特に一階はピロティーといって駐車場なんかに使っているような部分なんですが、そういうピロティー部分の柱が剪断破壊したことによって倒壊したという事例が、御指摘の一九八一年の新耐震基準以降に建築されたものについてもそういう事例が一部ありまして、それは速やかにその部分、柱の剪断破壊が生じないような基準の改正を既にとってきたところでございます。
  129. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど紹介しました工学院大学の広澤雅也教授は、阪神・淡路大震災以降に建てられた関東地方の学校の校舎の耐震診断をしておりまして、その調査した中では、建物の三分の一に柱、はりの接合部の破壊が生じやすいことがわかったと、そのような報告もしているわけであります。校舎がそういう意味では危険度もあるというようなお話でありまして、この柱とはりの接合部の強化対策というのがやはり必要なのではないか。  聞くところによりますと、柱梁接合部の強度に関する基準がまだ不明確だというようなお話もあったんですが、今後、建設省としましては、この柱とはりの接合部の強度をきちんと確保するような対策をどのように対応していくのか。この点に関しまして大臣の方にお伺いしたいと思います。
  130. 那珂正

    説明員(那珂正君) 先生指摘のとおり、確かに鉄筋コンクリート建築物の柱、はり接合部の強度の基準は、広澤先生も御指摘になっておりますが、定められておりません。しかし、これはちょっと時間がかかると思いますけれども、建築の構造力学のいわば思想に当たる部分でございまして、簡単に申し上げますと、現行の建築基準では、震度七程度の大きな地震が来ても、一部建物に損傷はあっても人命被害はないように、崩壊とか倒壊はしないようにと、ここをぎりぎりの、必要最小限の一律の基準として担保しようという基準の思想になっております。  もちろん中程度、震度五弱程度の中程度の地震の場合にはどこも損傷しないということになりますけれども、阪神大震災のようなああいう大きな地震が来た場合でもびくともしない、どこも傷つかないというようなことにするためには、やはり相当コストをかけなければいけない。やはり経済的な状況等を考えますと、どこか壊れたとしても、しかし人命には影響のないように、危害が及ばないように、崩壊、倒壊等の大きな被害はないようにしたいというのが基本の思想でございます。  そこから、先ほど申し上げましたように柱のようなところで剪断破壊が生じますと、建物が崩壊したり倒壊したりしてしまう。しかし、接合部は少々傷んでも建物全体として崩壊するようなことはない。そういうようなことから、どちらかというと、接合部の強度よりも柱の強度を強くしているというのが建築基準の力学的思想でございます。  したがいまして、広澤先生のような御意見もございますけれども全国一律に無補償でこの基準を規制するという建築基準の考え方からいたしまして、接合部のところだけの強度を増すというような考えを今とるわけにはいかない、こういうふうに思います。
  131. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 時間がなくなってしまいました。  ちょっと大臣の方に、東北地方、特に山形県で今高速道路で問題になっております東北中央自動車道の山形—福島間、私は米沢市に住んでいるんですけれども、高速道路をつくるためにはそこにトンネルをつくらなきゃいけないんですね。そのトンネルが一番時間的に大きくかかってしまうので、今の山形県の計画では、二〇〇七年までどうも完全にできないんではないかという心配がありまして、何とか早目にトンネルをつくっていただいて、それができれば道路が通るというめどがつくので、その点に関してちょっと展望をお聞きしたいと思います。
  132. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の御趣旨は十分に理解して指示を出しますが、どういう流れになりますか、ちょっと事務的に。
  133. 大石久和

    説明員大石久和君) 御説明申し上げます。  東北中央自動車道米沢—福島間、特に栗子トンネルの今後の進捗見通しということでございます。  米沢—福島間は御承知のとおり二十八キロメートル、平成十年十二月に施行命令を出させていただきまして、道路公団において事業に着手いたしたところでございますが、この栗子トンネル、山形、福島県境の総延長約九キロぐらいでございますが、の工事工程が全体の工程を支配するであろうというように見ております。  したがいまして、本トンネルの施工方法を決める等のための土質調査等を早急に行ってまいりたいというように考えてございます。その後、路線測量、それから地元協議等を行いまして、早期に用地買収に入るとともに工事に着手いたしたいと考えてございますが、トンネルが長大であるため、このトンネル工法の検討を進めるための委員会を設置する必要があるのではないかと考えてございまして、本年度にも工法のための委員会を設置し、近い将来工事の着手に入ることによりましてできるだけ早期の供用を目指す、そういう努力をしてまいりたいと考えております。
  134. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 よろしくお願いします。
  135. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。建設関係は初めてでございますので、よろしくお願いします。  それで、最近、私のところにも実は愛知県から、東海環状道路というのがあって、これの建設がおくれているんではないかという話が来たものですから、私はもともと福祉が専門でした。それをお聞きしていまして、福祉というのはどうしても問題が起こってから慌てて対症療法をするとか、または予算をとるときでも、こういうことになってはいけませんよというわけで恐ろしいことを言いましておどかして一生懸命予算をとる、こうやっていたわけですが、建設関係、初めて話を聞きますと、いやそういう渋滞解消というような問題もあるけれども、もっと大きく日本の産業構造をどうするのかとか、日本国土をどういうふうに変えていくのかという、非常に夢のある話をしているんだなということがわかりまして、私はそういう点ではなかなか楽しい仕事だなというふうに思ったわけであります。  そこで、大臣も余り詳しく御存じないと思いますけれども、環状道路というのが今方針なんだそうです。東海環状にしましても、東名の豊田から始まって今度の国際博覧会の瀬戸、それから中央高速の土岐とか美濃関、東海北陸高速、それから大垣で名神、そして東名阪の四日市、これは一つの例ですけれども、今までの放射状に、東京なら東京一極集中で、そこにどうやって物を持ってくるか、人を持ってくるか、こういう交通システムから、地域全体を、東京は中心に置いておいて、しかし多様で非常に個性豊かな町をつなごうと。こういう考え方はなかなかおもしろいというふうに思うわけです。  こういう環状道路というようなことがどういう形で今方針を立てられているのか。ここから先は一般論でお聞きしたいわけですけれども道路行政で環状道路というのはどういうふうに位置づけられているのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  136. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 名古屋のことはまた後ほど報告させていただきますが、おっしゃいますように、環状道路を高規格道で進めていくというやり方をしておるわけでございまして、そうすれば、例えば都心から周辺三十キロのところとかあるいは百キロのところとかというふうに外環状道路というものをつくっていきますれば、東京都内に入らなくても中核都市に移行することができるわけでございまして、これを大きく進めているところでございます。  そういう中にありまして、東海環状自動車道の環状道路の整備でございますが、これはたびたびいろいろな方々から御陳情もいただいておるわけでございまして、名古屋圏におきましては、都市圏の環状道路として、先生指摘の東海環状自動車道、それから名古屋環状二号線の整備推進しているところでございます。なお、これは愛知県の豊田市から三重県の四日市市の百五、六十キロでございますが、平成十二年以降の残事業が約一兆三千億円ございます。  そういうようなことで、努力目標といたしまして平成十六年度に東部の区間、七十三キロの暫定二車線の供用ということに向かって今努力をしているところでございます。
  137. 山本保

    山本保君 十六年とおっしゃいましたけれども、ぜひここは早く、というのは二〇〇五年に愛知瀬戸で万国博覧会、国際博覧会が開かれます。当然これについて、環境保護でありますとか、こういうことは非常に重要な視点でございますから、それを中心にしながら行わなくてはなりませんけれども、しかしそのためのベースになるような施策、お金の投入というのがおくれますと、何のためにやったのかということになります。ぜひ進めていただきたいと思っておるんです。  そこで、少し細かい話になるんですが、こういうものの財源というのをどう考えていくのか、なかなか国だけでは難しいとなったときに、有料道路化ということがあるそうであります。私どもは、有料道路といいますとすぐ料金のことしか頭にこなかったんですけれども、いろいろ御説明を聞き、考えてみますと、確かにこれは財投なりお金を借りてくる場合に、それを返済する、その返済する担保といいますか、それが有料道路の料金ということになるわけです。  ですから、当然利用する側からいけば、今までの積んできた国のお金を使うという意味はもちろんですけれども、将来それを利用する側から直接いただいておくということですからいいことだと思うんですが、お聞きしましたら、これまでこういう整備のときには、その何十年後にお金を返す、その間必要なお金がある、これに対してそのコストとして、お金を借りるわけですからそのときのいわゆる金利、これを今までは何か六%ということを基本にして、いろいろ返済計画なりもしものときの計画が立っていたそうであります。  そうしますと、その全体の額から予算の中の一遍に使えるお金というのは低くなってくるわけでして、これは現状の金利、それから今後の経済成長等の長期計画、一方で経企庁長官や総理大臣も言われているわけですから、そういうものを考えますと、六%というのはちょっと現実に合わないんじゃないか。これを例えば三%ぐらいにすれば、実際に使うお金は同じでもその金利分が安くなりますから、実際に早くそれを投資できる、こういうことになるようであります。この辺についてはいかがでございましょうか。
  138. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 御指摘のとおりでございまして、この東海環状自動車道の美濃関から豊田東の間におきましては、有料道路事業化を平成十二年度概算要求をしたところでございます。ただ、利用しやすい適切な料金設定を行うということが必要でございます。  そういう中にありまして、採算性を確保しつつ重点的な整備を行うためには、国費の助成の充実、償還期間の延長等の所要の措置を講ずることが必要でございまして、山本先生指摘のように、公的助成の拡充といたしまして、大都市圏の環状道路に係る利子補給金の資金コストを三%に低減いたして十二年度概算要求をしておりますし、償還期限も四十年から五十年に延長いたしまして、適正な料金でなければ、いかに環状道路の整備を早めるといいましても、有料にいたしますとそれが使われないということになりますれば混雑の緩和ということも求めることはできませんので、そのように三%、あるいは四十年を五十年に償還期限を延長するというようなことで十二年度の概算要求をしたところでございます。
  139. 山本保

    山本保君 私もこれを初めて勉強しまして、そういう仕組みがわかってきました。なかなか利用者側には今のような全体の構造というのが見えにくいところがあります。ぜひ、もう少しその辺は広報をしっかりされまして、すぐに有料道路はお金が高い、こういう話の次元というのはわかりやすいんですけれども、全体でどれだけのお金が要り、そしてそれを国が幾らつぎ込む、各県はどれだけ出す、そしてそのほかに、どれだけまず借金をしておいてそれを返すというふうな流れ、この辺をよく利用者の方に教えていただきたいなと思っております。特に中部圏は今まで大分おくれておったのですけれども、今回こういう話が先に来たと。全国で三つしかないうちの一つだそうでございますので、ぜひ進展をしていただきたいと思っております。  そこで、次の問題でございますけれども、これとも関連するわけですが、特に有料道路、高速道路といいますと日本道路公団が担当されるというふうに聞いております。特殊法人につきましては、平成九年の閣議決定でその整理合理化についてというのがあります。これを見ましたところ、日本道路公団につきましても、その執行体制の効率化でありますとか、まだのようですけれども財投機関債の発行とか、競争入札の導入による透明性の確保というような具体的な改革事項が指摘されております。  これについて、もう二年近くになったわけでありますけれども、この改革はどのように進んでいるのか、お答えいただきます。
  140. 村瀬興一

    参考人(村瀬興一君) お答えいたします。  今、先生おっしゃいましたように、私ども平成九年の十二月に閣議決定されました整理合理化事項につきまして、現在まで順次その具体化を図ってきたところでございます。  まず、私ども自身の改革でございますけれども、執行体制の効率化を図るということのために、平成十年度までに東北、北陸、中国及び九州地区におきまして建設局と管理局を統合して支社化を図るというようなこともやってきております。それから、東京地区におきましては建設局を二つを一つに統合するというようなことをやっております。また、今年度につきましては関西地区を支社化したところでございます。また、これは本社でございますけれども平成十年度に本社組織を再編し、部と課を削減することによりまして組織のスリム化を図っているというようなことをやってきております。  それから、コストの縮減ということにも取り組んできておりまして、新技術、新工法を積極的に開発あるいは導入いたしまして、平成十年度の成果といたしまして、工事関係では六・六%、管理関係では五・九%の縮減を達成したところでございます。  それから、これまで随意契約によって行っておりました維持管理業務への競争性の導入といったことについても取り組んでおりまして、平成九年度から料金収受業務、維持修繕業務、保全点検業務等について逐次競争入札を導入したところでございます。今年度につきましては、交通管理業務、道路敷地等管理業務及び有料道路駐車場業務につきまして競争入札を導入するということにいたしております。  それから、お客様の利便の向上を図りつつ高速道路の活用をするというようなことから、お客様の負担の軽減を図ることを目的といたします新事業につきまして、百四十二通常国会におきまして高速自動車国道法等の一部が改正されたわけでございますが、これによりまして、民間施設と高速道路との連結及びインターチェンジ周辺の利用可能地の活用といったことが可能となっておりますので、そういったことにも取り組んでいきたいというふうに考えております。  私ども自身の改革としては以上でございます。
  141. 山本保

    山本保君 今おっしゃいました最後にありましたように、実はここで評判の悪いと言っては申しわけないんですけれども、財団法人道路施設協会、これについても、それを二つに分けるというようなことも報告を受けております。  時間がないのでこれ以上お聞きしませんけれども、今おっしゃったようなことについては、普通の会社であれば当然もう言われるまでもなく進めているはずのことが、いろんな問題があり、閣議決定されるまで進まなかったということ自体が私は問題だと思います。今努力されているということでありますので、この辺は引き続ききちんとやっていただきたいなと御注文申し上げます。  それから、最後にもう一つお聞きします。  午前中の松村委員の方からもお話が出たことを少し詳しく聞いてみたいんですが、集中豪雨によりまして本年度福岡とか東京でお亡くなりになる方も出たということで、地下水害、これに対する対応でございます。  建設省国土庁とか運輸、消防庁と一緒になってその対応策を出したということで読ませていただきました。時間があればゆっくり御説明いただくところですが、ありませんので、まず、私の感想を申し上げますと、各省庁がやはり四つがばらばらになっておって、特に、河川がどうなったときにその管理者から水防管理者とか、どうもこの通知自体も効果的な対応というよりは何か役所の分担をもう一回明確にした程度の意味しかないのではないかという気もしないでもないんです。  この辺について、建設省は中心で取りまとめを図ったということでありますので、中心でどのようにこれを引っ張っていかれるつもりなのか、このことに関してお聞きしたいんです。
  142. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) このことは、先生指摘のように、昨年十一月より国土庁運輸省、自治省消防庁の関係省庁地下空間洪水対策研究会というのを設置、検討したところでございまして、これは日ごろからの地下空間洪水に対する危険性を周知するとともに、洪水時においての洪水情報を的確かつ迅速に伝達し、地下空間における避難体制を確立すると。  福岡の事件も、どう言いましょうか、日ごろからその危険性というものを周知徹底しておればよかったというような感じも受けたわけでございますが、そういうようなことで連携を密にしていきたいと思っておるわけでございます。  住宅局長の方から報告をさせますけれども、地上数十センチ以上に冠水したときにはどうするというようなことも細かく決めておりますので、ちょっと急ぎそれを報告させていただきたいと思います。
  143. 山本保

    山本保君 簡単にお願いします。
  144. 那珂正

    説明員(那珂正君) お答えいたします。  大臣から今お答え申し上げましたように、関係各省といろいろ協議しながら、いろんな角度から対策をまとめているわけでございます。  建築物の地下室という視点で申し上げますと、やはり通常予想しない地上数十センチにもわたる冠水したような状況での事故だったわけでございまして、こういう大変異常な事態を想定して一般の建築の基準をここのレベルまで上げて規制するというのはなかなか現実的ではないだろうと思います。  また、先ほどの対策研究会でも話題になりましたけれども、異常な事態について迅速に状況をPRする、連絡するということは必要なんですが、その前提として、日ごろから、そういう地下室であってもたまにこういう危険なことがあるんだということをやはり周知徹底する啓発活動が必要だと。その点は確かに私どもとしても今までほとんどやってこなかったというのが実態でございます。  このたびも、特に建築物防災週間というのを定めてあるんですが、その中でも、いつもは火災とか地震だけなんですが、今回はこのような洪水対策についても地下室の危険性というものを一般の方々、とりわけ地下室の所有者の方々に徹底してもらうような、そういう活動を始めたところでございます。
  145. 山本保

    山本保君 いただきました資料を見ますと、昨年一年間でも実は大変な数のそういう事件が起こっていた、しかし幸いにも死者が出なかったということでその対策がおくれたのではないかなと。今回犠牲者が出られたことで、局長の方からも今まで少し軽視していたのではないかというお話が今あったわけでありまして、こういうことを繰り返さないためにもっときちんとしていただきたいんです。  そこで、もう一つだけ具体的に、地下街とか地下鉄の場合は日本開発銀行ですか、の融資があるということですが、今一般の住宅でも地下というのは結構宣伝していますし、あるわけです。こういう場合、今規制はできないとなれば、例えば住宅金融公庫などで、そのためのいろんな設備をすることに融資をするというようなことは考えられていいんじゃないかと思うんですが、時間がありませんけれども、いかがですか。簡単に答えてください。
  146. 那珂正

    説明員(那珂正君) 先生おっしゃるような対応を地域ごとに公共団体の指導や計画に従ってやる場合には、住宅金融公庫の融資金額を一定額割り増しするという一般的な制度がございます。こういうものを活用して対策がとれるように道を開いていきたいと思います。
  147. 山本保

    山本保君 わかりました。ありがとうございました。  終わります。
  148. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  水源地域でもある中山間地の下排水対策について質問したいと思います。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  私は、この問題を考えるに当たって、埼玉県の西北部地域、秩父地方といいますが、この地方の各自治体からいろいろ伺ってまいりました。そうしましたところ、下排水処理問題の前に水問題が実はあるんだということを強調されたんです。中山間地域の水需要に応じた安定した水利権を確保したいということでした。  この問題は国とか県などマクロのレベルで考える必要があると思いますので、私も最新の水資源白書とかあるいはウォータープラン21とか急いで目を通したんですけれども全国的にはウォータープラン二〇〇〇をつくった時点と比べると水の需給関係のバランスというのは改善されてきている、こういう評価がされていますが、私の地元である埼玉県が属する関東臨海部地域、ここの水というのは決して安定して供給されない状況にあります。  埼玉県の実情を言いますと、これは平成九年度の実績なんですが、総取水量三十四・六三立方メートル毎秒の三分の一近くが地下水で、深刻な地盤沈下問題が起こっています。今年度の水利権取得量は二十四・〇五三立方メートル毎秒ですが、その六割が暫定水利権です。この水利権全体を来年度の目標では三十五・七六〇にする計画になっています。  マクロの問題を地域の問題として見るとどうなるかというと、例えば小鹿野町というところでは、一日当たりの水需要が五千九十六立方メートルなのに対して、安定水利権二千四百三十立方メートル、暫定水利権二千六百六十六立方メートルです。吉田町というところでは、安定水利権が二千百九十二立方メートルで、少なくとも五百立方メートルふやしたいという強い要望を持っておられます。  これらの地域でも住民生活というのは、都市と同じように水洗トイレも普及していますし、炊事洗濯、おふろ、洗車、これらに水は不可欠です。加えて、この地域は別荘利用者とか観光客が多いわけです。水源地域ゆえに使った水はきれいに返したい、こういう要望も大変強いんです。  こうした切実な状況があるということを御理解いただいていると思うのですが、どうでしょうか。
  149. 木下博夫

    説明員(木下博夫君) いろいろ多岐にわたって御質問がございました。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕  お話は、ポイントを私なりに整理させていただくと、私たちが担当しておりますのは、国のレベルで関係省庁とも協議しあるいは地元とも御相談して、先生のお言葉を使わせていただければいわばマクロ的な水資源開発というものを担当しております。ただ、その積み上げの前提として、それぞれの地域において御紹介のあったようなこともありますし、当然、生活様式あるいは産業構造が変わる中では、お話しになるようなことも十分かねてよりそれぞれの水系におきまして水需給関係を検討する際には念頭に置いて改定をしてきたと承知しております。
  150. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 自治体にはそれぞれ固有の内部事情がありまして、特に山間部の自治体というのは財政力が小さいんですね。小鹿野町などは小森川ダム建設計画、現在この計画は休止中ですが、これに乗ると当時二十億円必要と言われていたんです。また、吉田町の場合も、負担金の問題ともう一つ需要見込みの問題で、合角ダム、これに乗れなかったんです。ダム建設に協力したり汚水をきれいにして返したい、こういうふうに思っているような水源地域でも、財政力が小さい、弱い自治体はいつまでも安定した水利権が確保できないのか、どうもここが腑に落ちないのですが、これは厚生省に質問いたします。
  151. 西本至

    説明員(西本至君) 水道事業は基本的には受益者負担の原則に基づいて運営されるところでございますが、御指摘のようなダム等の水源開発というのは、個々の市町村にとりまして負担が非常に困難な多額の投資を伴う場合がございます。厚生省におきましては、そのような意味から、昭和四十二年より、水道水源開発施設整備費に対する国庫補助制度というものを設けまして、財政的な支援を行ってきているところでございます。  この制度に基づきまして、地方公共団体がダム等により水道用水を確保する場合には、ダムの負担金あるいは関連する導水施設等の整備に係る経費につきまして、事業の条件に応じて二分の一もしくは三分の一の補助率による国庫補助を行ってきているところであります。
  152. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 ダムの負担金の二分の一ないし三分の一の国庫補助ということで、一定の努力をなさっているというのは私も知ったんですけれども、それでもなお負担ができない小さい財政力の自治体もあるということで、ぜひ大臣にお願いしたいので、今度は大臣に伺いたいんです。  やっぱり水の問題というのは、広域的なものも含めて地域的な需給調整の問題に帰着をしていくのかなというふうに思うんです。つまり、過大な水利権を持っているところはないのかとか、あるいは水利権の転用はできないのかとか、そういうことを含めた需給調整、広域的なものも含めて。つまり、私は、国や県などのマクロの需給計画というのは地域ごとの実情を踏まえた需給調整に生かされてこそ意味があるのだというふうに思うんですけれども、この点も含めて大臣の水の需給問題に対する基本見解を伺いたいと思います。
  153. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 現在のところも、流れといたしますと水資源開発基本計画というのがございまして、これは指定水系の地域全体の水の需給にかかわる、位で言えば一番上の計画になるわけでございますが、これがございまして、この計画を策定するに当たりましても、地域の水需給の実情を十分に調査した上で関係道府県の意見も聞いて決定をしていると。  ただ、先生指摘のように、非常に財政力の小さなところがそれに参加することはできないというようなお話でございまして、そういうようなところはやはり何か救っていく方策というのは考えていかなければならないと思っておりますので、また研究をさせていただきたいと思います。
  154. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 具体的にお聞きしたいんですけれども、水資源開発基本計画、フルプランの小森川ダム建設計画の休止は、このダムによって水利権を得ようとしていた自治体、例えば両神村、吉田町などにとっては痛手ではなかったかと思うんです。休止とした判断の根拠はどのようなものなのでしょうか。これは建設省に伺います。
  155. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  小森川ダムは、平成二年より事業主体である埼玉県により実施計画調査が行われていましたが、この調査の結果、ダム計画予定地に大規模な地すべりが存在することが判明し、その地すべり対策に大幅な工事費の増加が予想されるということが判明しました。  そのため埼玉県としては、小森川ダム以外の他の対策による方が治水上、利水上、経済的に有利となる可能性が出てきたということで、平成十年度よりこの事業を休止し、代替案の検討のため、平成十二年度も引き続き休止する方針であると聞いております。
  156. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私も、不要不急で財政を圧迫し環境を破壊する公共事業というのは見直しが必要であるし、ダム建設問題もその例外ではないというふうに基本的には思っているんですが、だからといってダムは全部だめということでもないというふうに思うんです。つまり、本当に必要なのかどうか、本当にそれがベストなのかどうか、下からの点検とか住民意思を踏まえた検討が必要になっているんだというふうに思います。  そのためにも、水利権の問題と同様、ダム建設問題についても情報公開が不可欠ではないかと思うんです。小森川ダム建設休止に関する情報公開は十分行われているんでしょうか。
  157. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  小森川ダムの調査または休止するに当たりまして、埼玉県はダムの建設場所であります両神村及び地権者に事前に説明を行い御理解をいただいており、さらに概算要求時点に休止理由も含めて記者発表をいたし、情報開示、情報公開に努めているところでございます。
  158. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 埼玉県の状況を話していただいたんですが、水資源白書によりましても、水の有効利用のために水利権の再編合理化の検討を進めることも重要だとして、取水実態や水利権に関する情報を十分公開するなどの検討が望まれるということが言われています。また、水資源情報を国民にわかりやすく提供するべきだとも言っています。  私は、この間、秩父地方を歩きまして、現代版水争いといいますか、そういうものが隠然とした形であるというふうに思ったのですが、こういうのは大変不幸なことなので、政府がみずから水資源白書で言っているように、ぜひ情報公開を進めて、住民合意で全員が天からの水を享受できるようにしていきたいというふうに思うので、よろしくお願いいたします。  次に、下排水処理問題について質問いたします。  下排水処理のために公共下水道や農業集落排水事業、あるいは合併浄化槽の推進などが行われていると思うんですけれども、中山間地方では財政力の問題とかあるいは発生源で汚水をきれいにするという意義、こういうことから厚生省が進める合併浄化槽の補助事業に大変期待が寄せられています。  そこで、初めに伺いたいのは、縦割り行政がもたらす問題なんです。  厚生省が一方で合併浄化槽を推進しているのに、建築基準法上はコストの面からより安くつく単独浄化槽が容認されるという、こういう矛盾が起こっているわけです。整合性を持たせる必要があると思うんですけれども建設省はどのような手だてを講じていますか。
  159. 那珂正

    説明員(那珂正君) おっしゃるとおり、建築基準法では実は家庭雑排水の排出規制はしておりません。便所の排出基準は構造基準はあるわけですけれども、一般家庭雑排水の排出基準というのはないわけです。しかし、実際問題、お話のように単独浄化槽がこの二十年ぐらいの間に大変普及してきまして、いわゆる便所の水洗化というのが進んできたわけでございます。その単独浄化槽の水質基準というものは建築基準法の中で一定の水質基準を設けて規制しておりますが、合併浄化槽にしなければならないということは確かに規制しておりません。  建前としてはそういうことでございますが、実際問題、合併浄化槽の方が排出する数値は大変いいわけでございまして、単独浄化槽の水質に比べて非常にいいというようなことから、業界も、また国といたしましても関係省庁が協力して、この合併浄化槽の設置推進ということについていろいろと推進しているところでございます。  今お尋ねの厚生省の補助事業につきましても、全額補助ではございませんので、その増嵩部分について、裏といいますか、残りの部分について住宅金融公庫からの割り増し融資というようなことも行っているところでございます。
  160. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 住民から見ますと、厚生省が一方で一生懸命合併浄化槽を推進しているのに建設省の方はいやそうでなくてもいいんだと、そういう建前で、結局、建て売り住宅などで単独浄化槽が設置されてしまうわけです。行政は何をやっているんだ、ここが縦割り行政のいいかげんさだと、本当に信用をなくするわけなんです。厚生省は合併浄化槽の推進をしているんですから、やっぱり整合性のある建築行政を進めるような方策をぜひとっていただきたいと思います。これは要望といたします。  縦割り行政の問題でもう一点は、各自治体から強調されたのは、公共下水道の処理あるいは農業集落排水事業による処理というのは公的責任によって実際の排水処理基準がレベルがよく保たれるわけです。そういう意味では、合併浄化槽というのは個々に任されますからそこが不安定で、ぜひとも公的責任もある実際の排水処理のレベルアップをと、そういうことが言われました。つまり、合併処理浄化槽の維持管理、この問題にもっと本腰を入れるべきだと思うんですが、どうでしょうか。これは厚生省。
  161. 西本至

    説明員(西本至君) 合併処理浄化槽につきましては、その整備が重要であることはもちろんでございますが、御指摘のように、適正な維持管理が非常に重要な問題であるという認識は私どもも持っております。このために、市町村は一括して浄化槽の保守点検や清掃といった維持管理が適正に行われるよう調整するための維持管理組織というものの設置を指導してまいっておりまして、現在、合併処理浄化槽の整備事業を行っております市町村の約一割に当たる二百二十八市町村におきまして維持管理組織が設立されているところでございます。  今後とも、引き続き適正な維持管理の確保について努力してまいりたいと考えております。
  162. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 埼玉県が国に対する重点要望の中で、合併浄化槽の財政措置の拡充とあわせて維持管理に対する公的助成措置を挙げています。合併浄化槽の実際の処理基準をレベルアップするという意味ではこういうことも必要なのかなというふうに私も思いますので、私の方からもこれは要望といたします。  最後の質問なんですが、合併浄化槽を推進するために各自治体が補助事業を実施している場合、厚生省も国庫補助の対象としていると思うんですけれども、水源地域でもある山間地に固有の問題があります。緑豊かで水がきれいで空気もきれいだからこそこの地域は別荘地にもなるわけです。それから観光地でもあります。この別荘地の別荘にも合併浄化槽を推進していくために当然補助対象としてよいと考えるのですが、この点どのように考えるか。  また、観光地であるところから、民宿や旅館などの零細な事業所があります。零細であるので汚水処理のコストまで負担し切れず、この部分がどうも成り行き任せになっていて問題であるという指摘を各自治体から受けました。こういうところにも合併浄化槽を推進するために補助制度が必要ではないかと私は思うんですが、自治体もそのように指摘していました。必要ではないでしょうか、厚生省。
  163. 西本至

    説明員(西本至君) 合併処理浄化槽の整備に係る国庫補助事業は、生活環境の保全を目的といたしまして住民の生活排水処理に必要な範囲につきまして市町村が補助する合併処理浄化槽を対象に行っているところであります。  したがいまして、お尋ねの別荘、民宿あるいは旅館等につきましては、その規模あるいは居住形態などの条件が一様でございませんので一概には答えられないところでございますけれども、この補助制度の趣旨そのものに照らしまして個々に判断をしていくべきものであると考えているところでございます。
  164. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 別荘などでは水道料金も一年間払っているわけですから、自治体がもし別荘にも補助を適用すれば、厚生省の方としてもそれに乗る。例えば、今地域では厚生省が進めている特定地域生活排水処理事業、中でも生活排水重点地域、この事業に大変関心が寄せられていまして、これでぜひやっていこうという機運があるんです。ところが、民宿とか旅館が除外されてしまうというのはどうも面的整備を進める上でふぐあいといいますか、当然こういうところにも自治体が援助をしていくということはあり得るわけで、その場合は国としても補助対象として考えるということですか。
  165. 西本至

    説明員(西本至君) 繰り返しになって恐縮でございますが、いろいろな形態がございますので、一応やはり個々にその内容を検討させていただきます。また補助の制度、趣旨そのものについては我々も十分それは行き渡るように努力をしてまいりたいということでございます。
  166. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 終わります。
  167. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  私は、新住宅市街地開発事業にかかわって質問をいたします。  このパネル写真は、二〇〇五年に開かれます日本国際博覧会の会場の予定地の部分です。(図表掲示)この黄色いところが博覧会なんですけれども、この会場予定地の赤いところがいわゆる新住事業で、この用地の造成は博覧会協会ではなく新住事業として行われます。ニュータウン事業として、山を削り谷を埋め立てて約百四十ヘクタールの土地造成を行い、中層、高層の住宅、十五階建て程度を最高では考えられていますが、その団地をつくる前に一時博覧会協会に貸し出して環境をテーマとする万博を行うというのが従来の計画です。  したがいまして、この土地造成、新住事業というのは万博の会場計画と大変影響があるわけです。この海上の森と言われる里山を壊してビルを建てましても、そこに住む人がいるのかという住宅需要の問題、地元の財政負担の重さなどたくさんの問題がある事業ですが、きょう私は、その土地造成事業の所管であります建設大臣に、この新住事業と新アセス法にかかわって伺いたいと思います。  まず、八月三十一日に愛知県から建設省に出されましたこの事業の環境影響評価書でありますけれども、新しい環境影響評価法が施行されてから、建設省として新住事業を対象とするのは初めての案件であると伺っておりますが、新アセス法の趣旨を踏まえて建設大臣の評価に当たっての御決意を伺いたいと思います。
  168. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この新住宅市街地開発事業でございますが、今までの流れは、これは規模が大変大きく、周辺地区の環境に与える影響の程度が非常に大きいということで、従来より、これは昭和五十九年八月の「環境影響評価の実施について」の閣議決定及び昭和六十年六月の都市局長通達の「都市計画における環境影響評価の実施について」により環境影響評価を実施してきたところでございまして、今回の事業につきましては、新住事業としては初めて、御指摘のように環境影響評価法に基づき建設省の意見を求めるため評価書の送付を受けたものでございますが、その審査については環境庁の意見も踏まえ、従来と同様に環境保全の観点から適切な対応がなされるよう意見を述べる考えでおります。
  169. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 新アセス法ができてからこういう事業は新住事業では初めてということで、厳密な態度で臨んでいただくというのは当然だと思うんです。  ところが、この評価書に至る経過の中には、非常に重大な問題があるというふうに思われます。それが、きょうここに持ってきましたこれです。(図表掲示)これはオオタカなんですけれども、種の保存法で国内希少種とされて、環境庁のレッドデータブックでも危急種に指定されているのがこのオオタカなんですけれども、この事業の環境影響評価の準備書、これが公告縦覧をされたのが本年の二月二十四日、その後、五月に実はこの万博の区域にオオタカの営巣が発見をされました。準備書の段階で、私どもはこれは調査の不備ということもあるかなとは思いますけれども、存在が発見されていませんでした。ですから、建設省に出す評価書の作成に当たっては追加調査というのが必要だと思うんです。  建設大臣もこのオオタカの保護ということでは大変いろいろなところで御発言があり、昨年も国土・環境委員会で、マニュアルをお読みになって、これに従って、そして猛禽類に詳しい専門家の御指導、助言を仰ぎながらやっていきたい、こういうふうにお答えになっているんですけれども、今回出されました評価書については、マニュアルにある二営巣期の調査とか、そういうのができていないんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
  170. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) もうその写真を見ただけで先生の御意見に流される感じがするわけでございますが、私の立場といたしまして、今後、評価書に対する意見を取りまとめる中で、環境庁長官の意見も踏まえ、私も政治家とし、また、一日本人として正しい判断を行いたいと思っております。
  171. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当に大臣として真摯な御意見だと思うんですが、この経過を大臣が御存じなのかどうか。  実は、愛知県ではこのオオタカの営巣が発見されてからオオタカ調査検討会というのが設置されたんです。今二回開かれていますが、今後どう調査するか議論をされている最中なんです。ですから、この評価書にはついてはおりません。  それから、八月二十六日にこの評価書に直接かかわる愛知県の都市計画地方審議会の環境影響評価専門部会というのが開かれたんです。ここでは専門委員の皆さんからも、オオタカ検討会の検討結果を待ってから評価書を出すべきだ、あるいはほかにも御意見があって、現状ではこれは評価書を出すという段階ではないという御意見が複数ありました。ところが、この委員会は一方的に会議が終了されて、委員の中には引き続きこれは続けて委員会をやるべきだと、こういう文書での申し入れなんかもあったんですが、この修正したとされる評価書そのものは委員の皆さんには回覧することもなく八月三十一日に送付されました。  先ほど大臣もおっしゃったんですけれども、きちんととおっしゃるんですが、例えば「猛禽類保護の進め方」のマニュアルでは、専門家の意見もよく聞く、これが基本だと。私も環境庁長官と論戦したときにはそうおっしゃいました。ところが、専門家の意見を取り入れたオオタカ保護策がないわけです。  こういうものが新アセス法の精神に基づく評価書の名に値するのかどうか、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  172. 山本正堯

    説明員山本堯君) お答えさせていただきます。  今、先生指摘のように、八月二十六日に開催されました県の都市計画審議会の環境影響評価専門部会におきまして審議が行われたわけでございますが、その際に、一部専門委員の方々から、評価書の修正の意見でありますとかあるいは評価書の送付に対するまだ時期尚早でないかといったような意見が出されたということも事実のようでございます。  最終的には、そういう部会でいろいろ御議論のあった後、評価書を送る手続について専門部会の同意を得たというふうに私どもは聞いておるところでございます。  また、専門部会が終わりました後に、いろいろ御意見があったものにつきまして各専門委員に修正文を送付し、最終的に評価書を修正した上で八月三十一日に建設省に評価書が送付されたというふうに聞いておるところでございます。  オオタカにつきましては、大変重要な問題でございますので、今、先生指摘の「猛禽類保護の進め方」といったような環境庁の文献でありますとか各国の調査事例でありますとか研究文献、あるいは専門家のいろいろな方々の御意見等によりまして、営巣に直接的に影響を及ぼすと考えられる区域には当該新住事業区域は含まれないというようなことで都市計画決定権者が判断したというふうに聞いております。  なお、先ほど先生がおっしゃいましたように、県の方でオオタカ調査検討会が続けて開かれておるということでございまして、今後さらにそこで調査及び保護対策の検討を続けるというふうに聞いておるところでございます。
  173. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 オオタカだけじゃないんです。きょう私はここに準備書の方を持ってきたんですけれども、この準備書に絶滅のおそれのある希少植物クサナギオゴケというのがある。コケと間違えられるので写真を持ってきたんですけれども、こういうものでございます。(図表掲示)ここの真ん中の葉っぱです。ここがクサナギオゴケ。これは四十年ほど前に日本で初めて瀬戸で発見されたんです。ところが、これは評価書には載っておりません。あるいは日本の国蝶オオムラサキ、万博協会なんかは現認しているんですが、これも抜けているというずさんなものなんです。  そういうずさんな評価書を出して、その評価書は準備書と一緒なものですから、最初にお見せしましたこのパネル、前の状況と同じなんです。ところが、きょう、万博の方は会場を変更するんです。今までも言われていて、正式に変更の発表。それは、オオタカが営巣したものですから、今まではあっちとこっちにいるということでこの中にはいないということだったのが、ここにオオタカが発見されたものですから、この辺は開発しないということなんです。そういうのをこっちから見ますと、この辺は開発しないということなんです。そういうことで変更になるんです。  ところが、博覧会というのは六カ月の開催です。六カ月開催するのに、オオタカの営巣があるからということで変更するんですが、同じ場所で恒久的な施設で鉄筋コンクリートのビルを建てるという事業は変更しない。これはどういうことでしょうか。そういう評価書自体が何か私は非常におかしいのじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  174. 山本正堯

    説明員山本堯君) 一つは、愛知万博の関係につきましては、計画内容の見直しを今検討されておる、こういうことでございますが、今先生お示しのとおり、万博会場は新住事業に比べまして非常に広い範囲でそこを会場にしようということでございましたので、開催期間中に過度な環境負荷を周辺に及ぼさないようにということで、利用密度の低減を図るように会場計画を見直すというふうな方向で検討しておるというふうに聞いておるわけでございます。  私ども、新住事業につきましても、今回送付されました環境影響評価書におきましては、二月に作成されました準備書から、今の御指摘のようなオオタカの関係でありますとか、あるいは地下水の関係でありますとか注目種の追加でありますとか、そういう点につきましていろいろ変更、追加をさせていただいて評価をしたものが送られてきている、こういうことでございます。  そういう点で、オオタカ保護に関する例えば記述の点につきましても、この評価書に対する意見を取りまとめる中で、私どもは環境庁長官の意見を聞く、それを踏まえて私ども建設大臣として意見を申し上げる、こういう格好になっておりますものですから、環境庁長官の意見も十分踏まえまして、そういう保護対策、環境保全に対する配慮が十分になされているかどうかということについて慎重に検討していきたいというふうに思っておるところでございます。
  175. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が建設省さんにこの問題を言っているのは、この評価書を建設省さんが受け取られたからなんです。今おっしゃいました、後で追加のというのがあるんですけれども、例えばこのオオタカに関する記述で言いますと、この評価書にシミュレーションというんですか、調査したのが載っているんです。  ところが、今度オオタカの営巣木というのは、例えば九八年の営巣期高利用、よくえさをとりにオオタカが来たというのがすっぽり抜けているんです。そこが実は道路が交差するところです。(図表掲示)ここで言いますと、ここの地域なんです。ここがすっぽり抜けているんです。だけれども、万博はここが高営巣地になるだろう、あるいは営巣中心域でないにしても潜在的な営巣域、これは学術的な用語だそうですけれども、そこでこれを外すわけです。  ところが、建設省に届いたこの評価書の表を見ていただくと、すっぽりそこが抜けている。そこに対して、今後調査の結果があればその調査を尊重して工事をするという言葉を入れただけで、なぜこれが影響評価書になるのか。専門家による科学的な知見は全く入っていない。さっき建設省がお答えになったように、事業者が、知事が推測、類推して工事がオオタカに影響がないと判断をしたというんですから、私はもう本当に驚くべき中身だということを大臣に本当に申し上げたいんです。  それと私、公開の問題でもお伺いしたいんですけれども、オオタカの巣は準備書の段階ではありませんでした。しかし、準備書の段階でもいろんな意見が出たんです。ところがその準備書に対する意見や事業者の見解は公表されていない。それから、建設省に送ったとされる修正をした評価書、これをオオタカ検討委員会の方とかあるいはいろんな自然保護団体の方が、どう直ったのか閲覧したい、こういうふうに言ったんですけれども、それは公開しないんだと愛知県さんはおっしゃるそうなんです。新アセス法に対する参議院では附帯決議がつきまして、「環境影響評価のそれぞれの段階に係る情報の公開に努めること。」とあるんですけれども、こういう問題ではどういう御指導があったんでしょうか。
  176. 山本正堯

    説明員山本堯君) 評価書につきまして県が公表するかどうかということについて、今現在検討中であるというふうに私ども聞いておるところでございます。  そういう決定権者の見解の公表につきましては、一義的には都市計画決定権者の愛知県さんが判断されるべき問題であるというふうに考えておりますが、ただ、私ども建設省といたしましても、環境影響評価法の精神、あるいは今先生お触れになりました法律のときの附帯決議、大変私どもも踏まえまして、環境影響評価の各段階に係る情報公開を行うために、県と密接に連携をいたしまして適切な対応が図られるように努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  私どもといたしましても、先週、私どもの方に非常に膨大な評価書でございますが、送付をされたばかりでございます。そういうようなことを踏まえまして、情報公開の取り扱い基準に照らしまして、公開することが妥当か妥当な内容であるかどうかといったような点について、また県とも十分対応を協議しながら、私ども方針を早急に出していきたいというふうに考えておるところでございます。
  177. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今度の評価書というのは、愛知県が勝手に判断をし、専門家の意見も聞かずに出されたので、本来受け取れるものではないというふうに私は考えます。そもそもこのニュータウン事業で海上の森を壊して、オオタカ保護ができないことは明らかでありまして、県知事は年度内に事業を進展させる目標だと強調されておりますが、もし事業の期限から逆算するような姿勢なら、新アセス法を踏みつけにするとのそしりを免れないので、厳正に手続を進めていただきたい。  私は、このような莫大な財政負担だけ残して自然を破壊する事業をきっぱりと中止し、海上の森での万博も中止することを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  178. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。  先般、玄倉川で起こりました痛ましい事故につきましては、最初に犠牲者の方の御冥福を心からお祈りするものであります。  私は、この降雨とダム放水、それから増水による危険性というものは予測できたのではなかったか。県の管理責任はやはり問われるべきではないか。救助のおくれがあったのではないか。そして、国の河川敷の管理に関する指導というものはもう少しきめ細かく行われていなければならなかったのではないかというふうに考えるわけであります。ただ単に、住民への警告をしたというだけで犠牲者の自己責任ということを云々するのは余りにも人命の尊重に欠ける考え方ではないかと思われます。  なぜこういう事故が起きてしまい、なぜ救助できなかったかということについて、まず建設省に管理責任の側面からお考えをお尋ねしたいと思います。
  179. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  御指摘の痛ましい惨事でございますが、神奈川県企業庁所管の発電用の玄倉取水口の約五・五キロ下流には三保ダムという大きなダムがございまして、その三保ダムの上流地点でこの事故が起きたわけでございます。  さて、御指摘の上流の玄倉取水口と三保ダムの五・五キロの間には警報看板九カ所、注意看板三カ所、サイレン七カ所を設置しております。また、神奈川県の報告によれば、実際の操作に当たっては、ゲートを操作する以前に、具体的に申しますと、八月十三日午後三時から午後四時二十分まで足柄発電管理事務所職員二名による第一回目の巡視のときに拡声器により警告を行った。そして、午後七時十五分から午後十時までに行った同職員による第二回目の巡視のときにも警告を行った。午後七時四十五分から午後八時二十分までサイレンによる警告を行った。さらに、翌十四日午前六時十五分から六時二十五分まで再びサイレンによる警告を行ったと。  これらの警告によりまして、第一回目の巡視時に確認された五十三張りのテントのキャンパーのうち、五十張りは避難し、一グループ三張りのみが残りました。なお、このグループの中の三名の方は警告に従って避難していただいておるというような状況下であったと報告を受けております。
  180. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 警告を何回かなされたということはテレビなど新聞報道でもわかっているんですが、その三張りのテントが残ったのにかかわらずなぜ救助がなされなかったかということについて、警察庁と防衛庁にお尋ねいたします。
  181. 瀬川勝久

    説明員(瀬川勝久君) お答えいたします。  警察による警告の状況等でございますけれども、八月十三日の午後八時六分ごろ、ダムを管理する神奈川県企業庁の足柄発電管理事務所から所轄の松田警察署に対しまして、大雨のため放水の必要があることから玄倉川流域の安全確認を行っていたところ、立ち退き警告に従わないキャンパーがいるので説得に協力してほしい旨要請がなされたため、警察官を出動させたわけであります。  出動いたしました警察官は、同事務所職員とともに玄倉川流域のキャンパーの避難状況を点検いたしまして、同日の午後十時四十五分ごろに問題の中州の付近に到着したわけでありますが、その時点ではキャンパー十八人の方が避難せずに中州にとどまっていたという状況であります。そこで、この十八人の方に対しまして警察官は約十分間にわたり再三立ち退くように警告をしたわけでありますが、前にも来たことがあるから大丈夫だというようなことを主張されて警告に従わず、そのまま中州にとどまったという状況でございます。  なお、この時点におきましては、危険が急迫している状況とは認められなかったことから、強制的に立ち退かせることもできないというふうに判断をいたしまして、見張りを置くなど油断をしないようにという注意をいたしまして現場を立ち去ったということでございます。
  182. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 自衛隊の対応について申し上げますと、自衛隊は、天候が非常に悪うございましたので、万一の災害派遣要請に備える形で要員を駐屯地の中に確保しながらいろいろ情報収集をするという対応をとっておりましたけれども、具体的に神奈川県知事の方から人命救助活動のための災害派遣要請がございましたのが八月十四日の十七時でございました。  これを受けまして、一番近傍にございます部隊が、これは県は静岡県でございますが、駒門の第一特科連隊でございまして、ここから十七時五十分に部隊が出まして、現場に約一時間後に到着して救助活動を始めたという対応をとったわけでございます。
  183. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 確かに、その署員の方が明け方に行かれたときには水かさはさほどではなかったんですが、大ゲートの開放が六時三十五分、それから急激に増水をしているわけであります。危険の急迫には至らなかったという判断に私はやはり甘さがあるのではないかということが一つ考えられます。  私は、河川敷への立ち入りとか利用については、今さまざまな規制論が出ておりますけれども、自然に親しむという利用者の安全確保と環境保護を考えますと、例えばアメリカのパークレンジャーなどのように、ともかく自然の中でそうした人たちの安全と行動を教育し、かつ指導する、そういうシステムが必要ではないかというふうに思われますが、今回の教訓について、河川管理の中でどのように生かしていかれるのか、建設省、警察庁、防衛庁にお尋ねしたいと思います。
  184. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) それでは、河川管理者の現在での考え方を御紹介させていただきます。  河川は、水と緑豊かな貴重な環境空間でございまして、自然から離れて生活している都会人の人々が自然を体験する場としても大切な公共空間と認識しております。私どもは、広く人々に利用していただきたいと考えているところでございます。  一方、自然としての河川は、洪水の発生など、人々の予知を超えた、また我々の制御し得ない面を持ち合わせており、国民一人一人がそのことを認識して責任を持って利用していただくことが重要なことだとも考えております。  私ども河川管理者といたしましては、河川利用の規制を一方的に強化するというよりは、河川に関する広範囲な知識等適切な情報の提供を国民に行う必要があると考えているところでございまして、このような観点から、今後、河川や危機管理等の学識経験者やアウトドア指導者等により構成する研究会を発足させて今後の方針を検討したいと考えております。
  185. 瀬川勝久

    説明員(瀬川勝久君) 事故当日の状況をちょっと御説明させていただきたいと思いますが、十四日の午前八時半ごろ一一〇番通報が入りまして、問題の十八人の方が中州に取り残されているということがわかったわけであります。直ちに現場に警察官が急行いたしまして懸命の救助活動を実施いたしました。しかしながら、御案内のとおりだと思いますが、状況は岸から中州まで七、八十メートルある、しかも流れが極めて速いというようなことで、救助に当たった者自身が危険にさらされるというような状態でありました。ダムの放流の一時停止もお願いをしたわけでありますが、貯水能力等の問題もあって大変作業が難航する、そういう状況で、十一時三十八分ごろ十八人の方が激流に流されるということになったわけであります。その後、懸命な救出活動、県警機動隊も加わりまして、また消防の方、自衛隊の方とも協力をしまして実施いたしまして五人を救出したわけでありますが、八月二十九日までに残る十三人の方を大変残念ながら遺体で収容するということになったわけであります。  今後の教訓事項等ということでありますけれども、今回、神奈川県警察といたしましては、事前の警告あるいは懸命の救助活動など、なし得る最大限の措置を講じたものと考えておりますが、今後は、こういった事案にかんがみまして、関係する機関と連携をして広報活動等をさらに強化してまいりたい、また、こういった水難事故用の装備資機材についてさらに研究開発等に努めてまいりたい、このように考えております。
  186. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 私ども自衛隊の災害対応は、基本的には、災害なり事故なりが発生をいたしまして、それから地元自治体の要請をいただいて出るというのが基本的な手順になっております。特に、自衛隊の能力といたしましては、人数の面あるいは機動力の面で自衛隊の特徴というものがございますので、それを一番より有効に生かしていただくようなポイント、タイミングで投入するということが非常に大事であると思っております。  そのためには、私ども、当然日ごろから関係の自治体といろいろな連絡をとり合っております。今回も、災害派遣要請をいただく前から県の方とはいろいろコンタクトをとっていたわけでありますけれども、さらに、平時からのといいましょうか、いろいろ起こり得る災害の対応パターンに関してさらにいろいろ緻密なスタディーを関係の自治体あるいは警察、消防と日ごろから行っていくということが一番重要ではないかと考えております。
  187. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 警察庁の方としては、十分だということについて、私はやはりもう少し深刻に受けとめていただきたいと人命救助の観点から思いますし、防衛庁も自衛隊のレスキューの機能ということに対してやはりもう少し敏感に役割を考えていただきたいと思います。  大臣は、今回の事故についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  188. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 確かに、いろいろの経過をるる伺っておるわけでございますが、警察等々もたびたび警告を発して避難するようにということであったわけですけれども、何度となくそこへ来られていたようでございまして、やはりそこに水に対する、洪水といいましょうか、そういうもののいわゆる予知を超えた恐ろしさというものがなかったんだろうと思うわけでございまして、そういうようなことで、水の恐ろしさというものもふだんからやはり教育はすべきであろうと思っております。  片や、建設省でも進めておりますが、学校教育の一環として美しい河川整備を行ってそこで学校の教育もしていただく、河川の楽校と銘打ってそういうようなことも進めておるわけですから、そういう水の、自然の安らぎ、美しさと反する洪水というようなときには大変な水の恐ろしさということを子供のときからまた教えておくというようなこともやっていかなければならないんではないかなと、そういうふうに思っております。
  189. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この教訓が十分生かされることを祈るわけであります。  さて、二点だけ徳山ダムの建設についてお尋ねをいたします。  多目的ダム、最高のロックフィルダムとして徳山ダムの建設が進められているということで、七月の新聞報道では、水資源公団が岐阜県に対して未買収地の強制収用手続の開始を申し立てたということですが、その進捗状況及びダム建設に必要な未買収地の状況はどのようになっているでしょうか。
  190. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  本年七月五日に水資源開発公団は、岐阜県知事に対して、収用手続の保留をしていた土地の一部について土地収用法第三十四条に基づきましてその手続の保留を解除し、収用手続を開始する申し立てを行いました。これを受けて岐阜県知事が収用手続の開始を七月二十一日に告示しております。また、第二次分の同様の申し立てを七月二十七日に行い、これを受けた収用手続開始の告示が八月十日に行われております。現在、第一次分の区域について、物件調書作成のための立入調査等を開始したところでございます。  なお、二番目の、現在の用地の進捗状況でございますが、現時点におきまして移転対象であります家屋四百六十六戸は既にすべて移転済みでございます。また、水没地における用地の取得率も約九八%に上っております。  以上でございます。
  191. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この徳山ダムの未買収地の強制収用手続は慎重に行われることを望みます。  現在、日本弁護士連合会が一九九九年の七月十五日に「ダム等建設事業の適正な見直しを求める意見書」というのを出しております。  それによりますと、利水の水量その他必要性について、ダムの建設事業審議委員会というのが果たして検討をしたのかと、議事録にはその証拠がない。または、治水見直しについても、過去の洪水の実測流量とか河床の年報等、検討の証拠はないとい指摘しておるんですが、そういう検討はこのいわゆるダム審で行われたのでしょうか。
  192. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 私ども、ダム事業につきましては、特に大規模そして環境または地域に与える影響が大きいということで、主要なダムにつきましてダム事業審議委員会というのを御承知のように開催してございます。  そのダム事業審議委員会の構成者は、大学の経済、社会、工学の各分野の先生方、そして新聞社、マスコミの方々、そして……
  193. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 いや、ダム審はわかっておりますから、その検討がなされているのかどうかということです。
  194. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) はい。これらのダム事業審議委員会につきましては、先生指摘のような内容についてすべて検討しております。治水、利水、環境につきまして検討しておりまして、その経過もその段階その段階で外部に公表してございます。
  195. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは、その検討をした議事録はございますか。
  196. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 個別のどの方がどのような発言をしたかというところまでの議事録はどうなのか、今は情報を持っておりませんが、少なくとも報告書はすべて公表してございます。
  197. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうした議事録に載っていないというので、じゃ、その利水、治水の件について検討された議事録を後でお届けいただきたいと思います。  それから、第二点はクマタカの保護についてです。  水資源公団が設置した徳山ダムワシタカ類研究会の委員四名のうち三名が辞任をされた。その経過と、今後それに対してどう対応されるのかということについてお尋ねします。
  198. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) お答えいたします。  徳山ダム周辺の猛禽類の生息状況につきましては、徳山ダムワシタカ類研究会の指導、助言を得ながら、平成八年五月から平成十年まで三カ年間調査を実施し、事業にかかわる区域のつがいの生息域を把握してきたところでございます。この三カ年の調査の終了後もモニタリング調査を継続して実施しているところでございます。  このように、猛禽類の保全対策の検討のための十分な調査を重ねてきたわけでございますが、ワシタカ類研究会の日本野鳥の会岐阜県支部の三名の委員の方が、ダム関連工事を全面的に中断し、イヌワシ、クマタカについて自然状態での再調査を実施すること等を求めた意見書を本年七月二十三日に水資源開発公団徳山ダム建設所に持参され、さらに八月三日には辞職届を提出されました。  そのため、水資源開発公団は、猛禽類調査結果について専門的、客観的立場からの検討を加え、適切な形での情報公開を行うため財団法人日本自然保護協会に全資料を提供し、これを猛禽類の保護に活用していただくとともに、幅広い立場の方々に判断材料を提供できればと考えております。  このような取り組みも含め、関係する方々、多方面の機関と連携をとりつつ、事業の実施に当たって猛禽類の保全に適切に配慮していくよう今後とも水資源開発公団を指導してまいりたいと考えております。
  199. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 資料を手渡されたということですが、やはり自然保護協会の解析には一定程度の期間が必要だと思いますし、フェアに考えれば工事を中止してきちっと調査をしていただきたいというふうに思います。  時間がなくなりましたが、少し住宅金融公庫にお尋ねをいたしたいと思います。  住宅金融公庫の融資制度につきましては、不況下でリストラ等に起因するローンの返済の破綻事情というものが随分新聞紙上に言われております。ゆとり償還という制度が採用されましたけれども、このゆとり償還制度というのは利息を軽くするわけではなくて先にずっと元金などの返済を延ばしていくわけですから、かえって利息がかさむ。この救済策というのは問題点を先送りしているのではないか、当初の返済の方が最終的にはその利用者には負担が軽いのではないかということで、ゆとりを奪うゆとり償還というようなことが言われております。  この制度というのは今後続けられるのでしょうか。廃止をするという新聞報道もございますが、公庫の御見解を伺います。
  200. 望月薫雄

    参考人(望月薫雄君) 先生指摘のように、私ども公庫ではゆとり償還制度という融資制度を持っておるところでございます。とりわけ平成五年度、六年度、これについてはまたさらなる特別なゆとり償還制度、ちょっとくどくなるかもしれませんけれども、返済期間を例えば二十五年なら二十五年という格好で御融資申し上げながら、当初五年間は、極端に言えば、ゆとり償還は五十年なんですけれども七十五年の返済期間ということで計算して、それで当初五年間の月々の返済額をはじいていただく、こういったメニューも準備させていただいた経過がございます。こういったことで、今度ユーザーである国民の皆さん方からすると当初の負担が軽いなということである意味では歓迎をされ、大分幅広く御利用いただきました。  現在、ゆとり償還、特に特別なゆとり償還だけ見ましても六十三万件近い融資残を持っております。六十三万件数でございます。こういった方々については、平成十年度から六年目に入る、あるいは十一年度に六年目に入るという方々が当然多く出てまいるわけでございまして、その方々は六年目からそれまでの返済額が一・七、八倍になるというのが平均的に見たときの姿でございます。  こういったこと等が、ある意味で今日のように経済環境がすっかり変わり、特に一人一人の所得の伸び、当初御期待なさっていたのとはまるでさま変わりしたような、ボーナスにしても給与にしても、あるいはリストラ等々、いろいろな環境の中でかなり厳しい状況になっているということを考えあわせますと、率直に言って私どもはこの制度についてかなりやっぱり問題があるという認識を持っております。  また同時に、御利用いただく国民の皆様方のお立場でも、この制度は、率直に言いまして当初は楽かもしれませんが返済総額がふえる、こういったことでは自分の家計設計からしても問題であるという御認識が非常に広がっておりまして、平成十年度の中の利用状況を見ましても、かつてと比べまして激減している。言うまでもなく私ども金融公庫の立場からも、御融資申し上げるときに個別相談をできるだけ濃密にしまして、ゆとりを御利用なさろうという方に対してはこういうものであるということを御説明しながら融資決定させていただいているというようなこと等々の背景がございますが、いずれにしましても、この制度については、今日のような経済環境あるいは今後を展望した中ではもうある意味では今までのような状態では適切性を欠くんじゃないかと、こういうことを率直に言って感じております。
  201. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 五年後は景気も回復して給料も地価も上がっているので大丈夫だということで、このゆとり償還制度でかなり住宅需要の先食いをした。それのツケが今回ってきたというようなことも言われておりますし、いわゆる住宅版PKOだったんですけれども、しかし、それが今厳しい状況の中でいわゆる破綻予備軍が増大しているということは十分に留意されるべきだと思います。  私の友人の弁護士が、こうしたローンの返済で自殺をする人は三十年間なかったけれども、ここのところ一件、二件とそういう事例があるということを言っています。ということは、住宅ローンを締結する場合には団体生命保険とかそういったものに加入するわけですね。そうすると、妻子のために最後に残すものは、自分の命でその住宅を守るんだというケースが決して少なくない。したがって、いわゆる経済的な理由で破綻をする場合には、そうした状況というものが裏にあるのではないかというような分析をしておりました。  確かに、そこは十分調査はなされておりませんし、統計は出ておりませんけれども、こうした問題に対して赤字国債だとかあるいは大企業のいわゆる不良債権の免除とかというシステムがない一般の庶民に対する過酷なバブルの影響というものについて、十分御理解の御施策をお願いしたいと思うわけであります。  建設大臣、最後に御意見をお願いいたします。
  202. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生指摘のそういうこともあるのではないかと思うわけでございまして、もっといろいろな温かい政策を打ち出すように努力をしたいと思います。
  203. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 終わります。
  204. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 きのうに引き続きまして決算委員会質問をさせていただきたいと思います。  高速道路の料金制度についてのお話であります。与えられた時間が二十分と短いものですから、早速質問そのものに入っていきます。  道路料金といいますと、私どもの地元の話をして恐縮なんですが、道路料金はどうなっておるんだ、不合理だ、高過ぎるんじゃないかという声が非常に多いわけです。と申しますのも、地元の高速道路、あれは一般高速道路というんですか、一般有料道路という区分なんだそうですが、これがありまして、一キロ単位の料金にしますと九十三円、料金プール制の全国のいわゆる高速道路、法的な分け方で言うところの高速道路というあたりは一キロ当たり二十四・六円。甚だ三倍以上のお金の差額があるわけです。一般有料道路とそれから高速道路、いわゆる一般国民が思っている高速道路には二つ区分があって、それだけ格差があるということから、地元の国民としての感情としては非常に不合理じゃないかというような意見があるわけです。  そこで、まずこのことについてちょっとお伺いをしておきたいんですが、料金の差が甚だしいわけでありますが、このことの合理性は何か、そしてまたこれに対して是正の余地はないのかというあたりをちょっと先にお伺いしておきたいと思います。
  205. 大石久和

    説明員大石久和君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、有料道路には、一般の国民の方々に映る現象として見ますと、道路整備手法として、一般有料道路、それから高速自動車国道、首都、阪神等の都市高速道路、それから公社等でおつくりの公社の有料道路がございます。分類的にはこれは一般有料道路に属するものでございますが、大まかに申し上げまして、全体としてプールいたしております道路網と個々の路線ごとに償還をとらなければならない道路というものに分かれているものでございます。  一般有料道路につきましては、それぞれの道路の建設管理に要する費用を一定の料金徴収期間に賄っていくという償還主義、それからその道路を使わなくて代替道路等を通られた場合に比較して著しい利益の限度を超えない、通常受ける利益の限度を超えない額とする便益主義という考え方のもとに料金が決定されております。  これに対しまして、高速自動車国道の場合でございますと、道路を使うという意味で申しますと、全国的なネットワークを形成し、同質のサービスを受けられる高速自動車国道の料金につきましては、全体の道路網を一体として収支を合算する計画、計算のもとに、原則として利用距離に応じた全国画一の料金制度が設定されているということでございます。
  206. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 是正の余地はないのかというあたりはまた後でお伺いしたいと思います。  先ほど言われましたとおり、高速道路の方でいいますと、料金プール制があって全国均一の値段である、長期的に建設費用その他のコストを返していく計画であるというふうにおっしゃいましたが、御存じのとおり、道路公団などが国などから借り入れているのは、年々その借金はふえておる、約二十兆円以上にもなる。年々の金利負担年間でいいますと約一兆円以上になっておる。また、平成二十年ごろにすべての借入金を返済する計画だというふうなことも仄聞いたしました。  このことについて、道路公団がきょうはお見えでいらっしゃいますから、返済計画といいますか、どういう試算をしてこの返済をしていくのか、本当に手短で結構ですからお話をお伺いしておいて、それを前段にこれからの議論をさせていただきたいと思います。
  207. 筒居博司

    参考人筒居博司君) 道路の償還につきましては、料金をいただきながら道路の償還を進めていく、いわゆる償還期間の中で料金収入とそれから道路をつくるのに要した経費、それにその後ずっとかかる金利負担、それからその都度その都度かかる管理費、これらをプラス・マイナスいたしまして、償還期間内に収入、支出がちょうどプラス・マイナス・ゼロになるように計算してやっておるものでございます。
  208. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほどちょっと私言い間違えました。平成二十年ごろと言いましたけれども、実は資料を読み間違えまして、平成五十四年です。だからあと何十年もの間、平成五十四年をめどにすべての借入金を返済する計画だというふうに仄聞しております。平成二十年ごろまでは借金がずっとふえ続けて、そこから平成五十四年までは借金を返し続ける計算だというふうに聞いております。そこで、この計画を聞いた普通の一般国民は、そんな計画は実際にできるのかと、第二の国鉄になるのじゃないかという危惧を恐らく持っていらっしゃる。  翻って地元の高速道路を見てみますと、夜間などではほとんど車一台も走っていないなんというような状態があって、少しでも採算がとれるようにするための努力の一つとして、例えば夜間の料金を割り引いてでも通行量をふやしてより収益の上がるような工夫が必要なのではないか、そう思うわけであります。  そこで、夜間料金の引き下げもしくは季節ごとの料金設定といったような料金の弾力化ということについて焦点を絞ってちょっとお話をお伺いしたいんですが、現行の料金体系から、時間帯ごとあるいは季節によって料金を引き下げるというような考え方について建設省はどういう考え方を持っていらっしゃるか、これからどんなふうな取り組みをされるか、できないのであればなぜできないか、その辺についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  209. 大石久和

    説明員大石久和君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問は、高速自動車国道を例にとりますと、これはネットワーク全体として料金をいただいておりますという観点からお答え申し上げますと、まず、高速自動車国道を有効に利用するという観点から料金を弾力的に考えるべきではないかという御指摘は大変重要な御指摘であるというように考えます。  ただ、御指摘のような時間別の料金設定等、弾力的に料金を設定した場合に、これが減収となった場合に他の区間からの収入補てんというようなことになるわけでございまして、これにつきましては慎重に考えなければならないと考えてございます。ただ、一般有料道路それぞれの路線ごとに償還をとりますケースでございますと、これはそれぞれの路線ごとの最大収入といったような考え方から夜間料金について弾力的に行っている例もございます。  こういった違いが一般有料道路とネットワークものの高速自動車国道あるいは首都、阪神の高速道路のようなものと若干違うのかなというように考えておるところでございます。  現在、ETCといいますようなノンストップ自動料金収受システム、これはかなり弾力的に料金設定を行うことが機械的あるいは電子的に可能なものでございますが、こういったものの普及状況も勘案しながら総合的に研究してまいりたいと考えているところでございます。
  210. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 もちろん採算の点で採算が合わなくなったら、それはもうやるべき話ではないわけであります。  ただ、私はこの決算委員会でなぜわざわざこの設問をしたかといいますと、できないならできないで、こういう研究、こういう精査をした上で、例えば通行量の調査をしてみましたら、何割分だけ通行料金を下げれば幾ら幾らの減収になってしまいますというような説明、あるいは通行料金の引き下げに伴う事務費用の増加、これが国庫にこれだけの負担を出しますというような試算なりなんなり、そういう国民に対する説明がないと、委員の皆さんの地元へ帰ってもあると思うんですが、オンピーク、オンタイムというんですか、季節ごとに渋滞になったり、夜間はがらがらなのに、これは本当にもったいないなというようなことを感じられると思うんです。冒頭に聞きました道路公団の借り入れの計画が平成五十四年度までに返済するという計画をされておられました。それに類するような話だと思うんです。  つまり、こういうことをなぜ現状ではやらないのか、やれない理由は何なのか、その辺について具体的に調査はこんなふうに進んでおりますということがあればお話をいただきたいんです。
  211. 筒居博司

    参考人筒居博司君) 料金値下げにつきましては、それほどこれまで行った事例は多くないんですが、二、三のデータの比較的とれている例を見ますと、確かに料金割引を行いますと交通量はふえるんですが、その交通量が増加する分が割引分を補うほどの増加には至っていないという、いずれもそういう結果が出ておりまして、そういうことで、一番基本的な問題は全体としての採算性がどうなるかということでございます。  あと、先生指摘のとおり、料金システムをきめ細かく弾力的に設定しようといたしますと、例えば機器の記憶容量の増大でありますとか、それからソフトウエアの改良でございますとか、これはやる範囲とかやり方によって大分コストは変わってまいりますけれども、数十億から百億円以上のコストが見込まれるという計算もありまして、いずれにいたしましても採算がとれるかどうかということが一番大きな問題ではないかと思っております。
  212. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 今おっしゃられたことには前段、後段、二つあると思います。  まず前段には、通行料金を引き下げればその分だけ通行量はふえる。だけれども、総合的に計算してみるとやっぱり減収になっておるという話でした。  ただ、これは一律に時間ごとに分けるとか季節ごとに分けるとかということではないわけでしょう。だから、例えば六百円のものを五百円にしたら、それはその時点で減収になるという計算は当然のことなのかもしれません。使っていない時間帯、例えば深夜でありますとか早朝でありますとか、こういう余り使われていない時間帯に料金を下げるということの結論、下げてみるということに対する調査というものは進んでいらっしゃるんでしょうか。その辺をまず聞いておきたかったわけであります。  それから後段、時間ごとあるいは季節ごとの料金を設定すればかなり事務費用がかさむであろうというお話でありましたが、それについての試算といいますか、事務費用がかさむと言われても、一体何がどうかさむのかこれは説明が全くないわけでありまして、その辺についてもちょっと具体的にお話をいただけないとまたあれなんですが、いかがでしょうか。
  213. 筒居博司

    参考人筒居博司君) まず前半の問題でございますが、先生が例としてお示しになったのが、夜間の割引はどうだ、こういうお話でございまして、夜間の例としては、東海地方の、これは高速道路じゃなくて一般有料道路でございますが、夜間の割引を行った事例がございます。この事例を見ますと、二割強料金を引き下げておりますが、交通量は七、八%の増がございまして、収入の方は一六、七%総収入としては減少している、こういう事例が出ております。  それからコストの方ですが、これは先ほど申し上げましたように、やり方によって大分変わってきますし、ETCの問題でありますとか、これからの技術的な進歩の度合いによっても変わってくると思いますが、一つは機器の例えば記憶容量を相当ふやさないといけないということと、それからソフトウエアを内容によってきめ細かく設定し直さないといけない、こういう経費が一番大きな問題かと思います。
  214. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 東海地方の話は非常によくわかりました。ただ、これは調査研究だと思います。いわゆる料金弾性値といいますか、採算がとれるあたりの値段と、二割下げれば減収になったけれども、じゃ一割だったらどうなのかとか、その辺の調査研究もぜひ進めていただきたいというふうに思うわけであります。  ただ、高速道路の採算性という面だけではなくして、日本の道路料金というのはヨーロッパの三倍ぐらいの高さになっておるという指摘があるわけです。物価の高さそのものにも反映されてしまうというわけです。そういう収支採算性をずっと考えていらっしゃる日本道路公団ではありますが、決算を見ておりますと、九八年度決算の収支率は五九%、前年よりも二ポイントほど上がっておるというふうな指摘もされておるわけですから、その辺の調査研究についての取り組みを前向きに検討いただけるかどうか、その辺もちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  215. 筒居博司

    参考人筒居博司君) 先生おっしゃるとおり、社会全体として施設を有効利用するという観点からもおっしゃることは本当によくわかることでございます。それから、ETCなどこれからの技術開発によってそのやり方もおのずとまたいろいろな道が開けてくると思います。したがいまして、問題は先ほど申し上げましたようにいろいろありますけれども、おっしゃるとおり今後十分検討を進めさせていただきたいと思います。
  216. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ぜひそうしていただきたい。  運輸一般の話ではありますが、民間の会社では当然こんなことはやっておるわけです。新幹線の朝トクきっぷなんというのもこの間出てきました。同一に論じることはできないにしても、調査研究の結果こういうことで収支がとれるのではないかというあたりがあれば、ぜひその前向きな検討をするべきであろうと私は思うんです。  先ほど局長の方からも言われたETCの話、事務費用がかさむからという話で、ETCがこれから救世主になるのではないかというようなお話でありましたけれども、時間もありませんから、最後にそのETCについてちょっとお伺いをしておきたいんです。  私が問題意識として持っておりますのは、いろいろお話を聞いておりますと、ETCという仕組みができればすぐ料金の弾力化につながるというふうな言い方といいますか、そういう期待を持っておるという気持ちはわかるんですが、果たしてそこまでになるのかどうか非常に危惧を持っておるんです。  ETCというのは、大体ヨーロッパ主導で、一九八七年度ぐらいにノルウェーで導入されたものだというふうに聞いております。まだまだ導入された欧米の諸国でも非常に問題が多い。単一の規格ではないというあたりもありまして、非常に問題が多いということも指摘されております。  大臣、その辺について、これからの建設省としてのETCへの取り組み、それから見通しなども含めて、私なりの危惧を言わせていただいたわけですが、御説明いただけたらと思います。
  217. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 私は、先般、ポルトガルへちょっと寄せていただいたんですが、そこでバスに乗りまして、それにつけられておりますETCの経験を初めてしてまいりました。  これは、料金所の渋滞の解消とそれに伴います環境の改善、あるいはキャッシュレス化によります利便性の向上、管理費の節減、多様な料金設定の導入、ここが先生指摘のところに関係してくるわけでございますが、そういうことも可能になってくるということでございまして、今年度末より千葉地区を中心といたします首都圏の日本道路公団及び首都高速道路公団の主要な料金所五十四カ所でサービスを開始いたしまして、平成十二年度には首都圏でのサービス拡大を含め、東名・名神高速道路、東北自動車道、山陽自動車道、阪神高速道路等、全国で約四百カ所の料金所にサービスを拡大する予定になっております。  それで、このETCの効果の発現には、いわゆる道路に設置いたします機材の整備、そしてまた車の方に載せます車載器の早期な普及というものが必要でございまして、十二年度概算要求において車載器の普及促進策を要求したところでございます。  ですから、こういうようなことで、渋滞の解消それから環境の改善、そしてまた御指摘の料金の多種多様といいましょうか、いろいろないわゆる割引料金などもこれで考えていくこともできるんだろうと思うわけでございまして、鋭意進めていきたいと思っております。
  218. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
  219. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  昨日、きょうと六時間の長丁場、御答弁の方はきのう、きょうとおかわりになったようですが、委員長を初めとする委員の皆様方は大変御苦労さまでございます。私、最後の質問者でございますので、ひとつ最後までおつき合いを願いたいと思っております。  本日は国土庁長官もお見えになっておりますので、私は、国土の一部でございます中山間地域についてひとつ質問をさせていただきたいと思っているわけでございます。  個人的なことでございますが、私は大体今までの経歴も農業関係で地方の方をずっと回ってきた面がございまして、そういう国土の中の一部の中山間地域のこれからの行く末について大変心配といいますか、思いがあるわけでございますので、その辺はぜひお酌み取りいただきたいと思っております。  中山間地域と申し上げましたが、言葉としても概念としても大変わかりにくいかと思います。たまたまといいますか、国土庁のいわゆる「二十一世紀の国土のグランドデザイン」、新しい全国総合開発計画で多自然居住地域という定義をつくっておられますので、大体これと同じ地域かなというふうに思いますが、言うなれば、生活条件不利地あるいは経済条件の不利地であるというふうに考えていただければいいんじゃないかなと思っております。  その条件不利地が、御存じのとおり、今大変な過疎化が進んでいるわけでございます。これは私なりに分析させていただければ、やはり今のといいますか、戦後日本の社会がいわゆる経済効率主義でずっと続いてきたわけでございますから、条件が不利であるところは取り残されるというのはごく当たり前なわけでございます。  しかし、一方でそれは国土の一部ということでもあるわけでございまして、と同時に、多自然居住地域というふうに御定義いただいた。御定義をいただいたということは大変意義があるとは思っておりますが、そういう地域は多自然、いわゆる自然に恵まれた居住地域であるということは今までもこれからも変わりないわけでございますので、そういう定義をされたということだけに私は意義を認めているわけでございまして、それがさらに発展していただかないと困るなというふうな思いでございます。  それと同時に、この中山間地域といいますか条件不利地は、国土資源の宝庫であります川上といいますか、いわゆる水源涵養とかあるいは酸素の供給とかいろいろ言われておるそういう人間が生活していく基本的な資源の供給地であるわけでございまして、その地域が健全に保全されないと、それは川下であります多数の人が住んでおります都市住民に対しての影響が大きい。したがって、この問題は単にその地域に住む人だけの問題ではない、全国民的な問題であると私は認識しております。  そういう意味で何回かさきにも総理大臣等にも御質問させていただきました。これは単に一省庁の問題ではない、全省庁が挙げてやらなきゃいけない問題であるというふうなことを申し述べまして、総理からも前向きな御答弁をいただきましたし、先日もこの決算委員会で文部省所管の際に、この中山間地域が健全に活性化を果たすにはやはり教育環境が大事であるということも申し上げまして、具体的な施策はいただけませんでしたけれども大臣の御同意を得たわけでございます。  そういう点でこれからいろんな省に対しまして質問をしてまいりたいと思いますが、本日は、国土を守るといいますか、国土の最高責任者でございます国土庁長官がお見えになっておりますので、この地域をどういうふうにお考えか、どのようにしていかれるおつもりなのか、その辺をまずお聞きしたいと思っております。
  220. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この中山間地域をどういうふうに理解しておるかという御質問もございましたが、私の選挙区、今は小選挙区制になりまして松山市だけですけれども、その以前の中選挙区のときは三市三郡でございまして、いわゆる中山間地域もたくさんございますので、それはそれなりに理解をしているつもりでございます。  したがいまして、条件不利の地域であるということでもございましょう。そういうようなことで人口の減少、高齢化等によりまして地域社会の活力が低下してきている地域も見られる。そしてまた、この中山間地域というのは、先生の御専門でもございましょうが、やっぱり今の農業の状態、戦後から見てまいりますと、当初は本当に第一次産業というものに就業者がたくさんいたわけでございますし、またその第一次産業が国から求められた時代であったわけでございますが、農業も大変経営が難しくなってきたというような地域にもなっておるわけでございます。  しかし、国土あるいはまた環境の保全、水源の涵養とか、あるいはその地域独特の文化の継承、そういうような多面的な機能の維持向上ということを図る上から、これらの地域を振興し活性化を図るということは極めて重要な政策課題であると認識をいたしておるわけでございます。  ですから、農業の要求度が下がったものでございますから、私たちの地域においては第二次産業の縫製工場みたいなものを町村長が無理をして誘致したりもしております。いわゆる中山間地域もそういう第二次産業的なものがあるならばそこに雇用の場というものができますから、これもまた活性化できるのではないかなと思っておりますが、そういうことを私もお手伝いもしましたが、なかなかこれも難しい状態ではございます。  しかし、いずれにいたしましても、これからこういう地方公共団体の自主的なあるいは主体的な取り組みというのを支援しつつ、この過疎山村地域等の振興対策を通じて都市と農山村の連携、交流の促進などを中心にして積極的に進めていきたい、そのように思っております。
  221. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣の積極的な御答弁をいただきました。大変結構だと思いますが、大臣も今のお話でよく存じ上げていると、中山間地域がどのような状況かということで、そういう面では大変意を強くしているわけでございます。  この中山間地域というのをしっかり守っていかなければいけないと大体の人がそうおっしゃるんですが、大臣も難しいとおっしゃいましたけれども、そういう言っていることと現実のスタイルというのが全く離れているのが本当のところじゃないかなというような感じがいたします。いい例かどうかわかりませんが、例えば農業なんかも、農業は大事だ大事だと全国民が皆さんそうおっしゃると思いますけれども、今の農業の現状を見ましたら、いい方向に向かっているとはだれも見えないわけでございます。  そういう基本的なものをどうするかということは、やはりこの際しっかり考えなけりゃいけないのじゃないか。その点はひとつ今まで進んできた経済効率主義といいますか市場経済というんですか、そういうものもいいんでしょうけれども、そうでないものの判断をしっかりと入れなけりゃいけない、その辺にあるのではないかというふうに思っております。  こう言って、では何をしたらいいかというと、私自身、問題意識としてしかないのでありますが、大臣が今おっしゃった御決意を了といたしまして、これからよろしくお願いいたしまして、大臣の御決意についての質問はそれでお受けいたします。  もう一つ、このグランドデザインの中で中山間地域を確かに定義していただいている。これは大事な多自然居住地域としてこういうものをしっかりと確立しなきゃいけない、こういうふうに言っておられて、それには生活環境もナショナルミニマムの確保とか、あるいは教育環境についてもここで触れておられます。さらには、地域医療についてはプライマリーケアの確保、あるいは先ほど大臣も言われました交流の問題、さらには地域の特性を見つけてそこで積極的な産業活動をしろと。大変結構なことで、私もこれには全然異存はないんです。  先ほどちょっと触れましたように、では現実はどうかといえば、高齢化がどんどん進んで、過疎が進んでいるわけでございます。国土庁としてこういうグランドデザインをお書きになったのであれば、これをどう具体化していくか、その辺の手順、先ほど佐藤委員の方はグランドデザイン全体の御質問をされておりましたが、私は全体は結構でございますから、特に現実との乖離のひどいと思われる、大きいと思われる中山間地域の新しい国土づくりにおけるこれからの取り組みについてお答えを願いたいと思っております。
  222. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生の今の御質問にお答えする前に、本当にこの問題は難しい問題だと思うわけでございまして、過疎法の延長を今やっておりますが、あの過疎法の延長であるとか、特別措置法、例えば離島振興法あるいは小笠原だとか奄美の特別措置法などもとにかく五年間ずつ延長もしたわけでございます。  そういういわゆる特別措置法あるいは半島振興の問題とかそういうようなのは、先生指摘されておりますように、うたい文句は非常に美しいものが書かれておるわけでございます。ですから、先生は「二十一世紀の国土のグランドデザイン」においてどういうことを実際にやるのだというようにおっしゃられたわけでございますが、それがすぱっと答えができたときには本当にバラ色の地域ができるのでございますが、正直申し上げまして、なかなかこの中山間地域の位置づけの地域をどのようにやっていくかというのは非常に難しいところでございます。  何といいましても、自然を中心にした居住地域の創造という言葉にありますが、そういうようなことで、私はやっぱり観光的な振興、そして農業を中心とした生活基盤を営む方々がまたそこにお住まいになっていただくことができる、それ以外に、先ほど言いましたように、第二次産業的なものを持ってこようとしてもなかなか持ってこられないものですから、言葉が言っておるとおり、多自然居住地域の創造というような意味で御理解をしていただくということ以外にはちょっと私も説明のしようがないわけでございまして、計画・調整局長が今手を挙げておりましたから、彼は十分に自信を持って答弁するんだろうと思いますが、それを聞いていただいても先生絶対御理解できない内容だろうと思います。  これは私は、もうあらゆる特別措置法というのをやっておるものの、解決が本当に難しいなと思っておるわけでございます。計画・調整局長の話を聞いてやってください。
  223. 小林勇造

    説明員小林勇造君) 若干補足させていただきます。  先ほどから御議論が出ています昨年三月に閣議決定されました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」において、中小都市と中山間地域等を含む農山漁村等を対象として多自然居住地域の創造を進めていくということが一つの戦略になってございます。  この多自然居住地域の創造は、豊かな自然に恵まれた地域を二十一世紀の国土のフロンティアとして位置づけて、都市的サービスとゆとりある居住環境をあわせて享受できる、こういう自立的な圏域を創造することを目指しております。  そして、具体策でございますが、本年の六月に関係省庁から成る「二十一世紀の国土のグランドデザイン」推進連絡会議において戦略推進指針を実は策定してございます。  この戦略推進指針は、地域が取り組むべき施策として四つの戦略、全体でございますが二百ぐらいのメニュー、それから国の支援策として五百ぐらいの施策をお示ししまして、今後この戦略指針に示された考え方を踏まえて効果的な推進に努めていきたい。  具体的に少し申しますと、例えばこういう問題を検討する体制をつくったらどうかというようなことで、圏域全体の地域づくりを進めるための組織体制の整備や人材開発・育成、こういうものに着手しようとか、あるいは住民の地域づくりへの参加の促進を図るための方策を検討しましょうとか、ゆとりある居住環境と圏域ニーズに応じた都市的サービスの確保をするためのさまざまな交通、情報通信基盤の整備、中心市街地等の活性化の問題、あるいは地域特性を生かした暮らしの条件整備ということで医療、福祉、教育、こういうもののサービス水準を充実させるというような具体的な施策について戦略指針でお示ししたところでございます。
  224. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございます。  この問題は、先ほども申しましたけれども、何も国土庁に全部お任せするつもりはございませんし、これは官だけがやる問題でもない、日本国土の一部でございますから、みんながお互いに考えなきゃいけない。国土の一部であるということで見捨てないようにしなくてはいけない。見捨てることが、単にその地域だけのことではなくて日本国土の全体の資源の問題につながる、そういう認識を持っていただきたいなと思ってきょう質問いたしました。大臣から大体そのような意をお受けしたと思っておりますので、これからもいろんなところでまた再度いろいろ質問させていただきます。よろしくお願いいたします。  時間がちょっとありますので、もう一つ国土という関連で、国土庁とは関係ないかもしれませんが、きょうも洪水の問題とか災害の問題とかいろんな問題が出ておりますが、私、これ思いつき的な質問で大変申しわけないんですけれども、いわゆる公共事業を進めていきますと、自然環境も当然変わっていくでしょうし、国土環境も結局手をつけて開発行為をしていくわけですからいろいろ変わるのではないかなと。それによって、その変わったための対策については先般いろいろ御質問がありましたけれども、私は一つ気になっておりますのは、公共事業をやることによってコンクリート構造物がふえたり舗装がふえる、そのことによって流出係数が変わったり洪水の出方が変わるということがあるのではないのか。  ところが、公共事業をやっているのは、縦割り行政かどうかわかりませんが、道路部門、都市開発部門、いろんな部門があると思うんですけれども、それぞれの部門が開発行為をやることによってそういう流出の状況を変えるということに加担をしているのではないのか。それが、一つのものについては皆さんそれぞれ各部門で検討はされているのかもしれませんけれども、全体として大きくその地域の流出状況とかそういうものを変えているのではないのかなというような心配をちょっと持つのであります。そういうものは本来先取りしてやれば洪水が防げるわけですから、その点の御検討というものを、一番公共事業を持っておられます建設省の方からぜひその辺の対応をどうされているのかお聞きしたいと思っております。
  225. 小川忠男

    説明員小川忠男君) お答えいたします。  率直に申し上げまして、非常に難しい問題を御指摘されたと思います。公共事業をやる場合に、予期したとおりに副次的な結果が出ることもございますし、あるいは予期しなかった影響が、マイナス面が出るというふうなことも経験上多々ございます。  ただ、できる限り正確にいろんな可能性、プラス面、マイナス面を予期した上であらかじめ手だてをするというのが基本だとは思いますが、そうはいってもやはりいろんなマイナス面が現実に出るというふうなことはあり得るわけでございまして、そういうふうな場合には、最近霞が関でも割合一般化してまいりましたけれども、局を超えて、あるいは省庁を超えて事業間の調整あるいは協力というふうなことがかなり定着してまいりました。  今の御指摘を踏まえまして、ありきたりな言葉でございますが、できる限り縦割りを超えて事業間の計画的な調整、あるいは事業調整そのものというふうなことで対応させていただければというふうに思います。
  226. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 念のためにお断りしますが、私はマイナスが出るということを申し上げているんではなくて、変わるんではないかなということですので、公共事業はマイナスかどうかということはまたこれは別の議論だと思いますので、その辺はきょうは私はさわらないつもりでおります。  ただ、そういう変化について今のお話で前向きに取り組んでいただけるということで、感謝をいたしまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  227. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もないようですから、建設省並び国土庁及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会