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1999-09-08 第145回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年九月八日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員長異動  八月十三日久世公堯君委員長辞任につき、その  補欠として鎌田要人君を議院において委員長に  選任した。     ─────────────    委員異動  八月十三日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     佐々木知子君  九月七日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     本岡 昭次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 鹿熊 安正君                 中原  爽君                 佐藤 泰介君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君     委 員                 岩城 光英君                 久世 公堯君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 平田 耕一君                 水島  裕君                 浅尾慶一郎君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 佐藤 雄平君                 本岡 昭次君                 益田 洋介君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 大脇 雅子君                 福島 瑞穂君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    事務局側        事務総長     堀川 久士君        常任委員会専門        員        島原  勉君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     藤田 教稔君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     濱井 一夫君    国立国会図書館側        館長       戸張 正雄君    説明員        内閣官房内閣参        事官室内閣参事        官        内田 俊一君        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       中村  薫君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        人事院総裁    中島 忠能君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        宮内庁次長    森  幸男君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        大蔵大臣官房総        務審議官     原口 恒和君        大蔵省主計局次        長        津田 廣喜君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        会計検査院事務        総局次長     深田 烝治君        会計検査院事務        総局第一局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小川 光吉君    参考人        国民金融公庫総        裁        尾崎  護君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   八木橋惇夫君        首都高速道路公        団理事      古木 守靖君        日本銀行総裁   速水  優君        日本開発銀行総        裁        小粥 正巳君        日本輸出入銀行        総裁       保田  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百四十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(内  閣提出)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会開会いたします。  議事に先立ちまして、一言あいさつを申し上げます。  去る八月十三日の本会議におきまして、本委員会委員長選任をされました鎌田要人でございます。  甚だ微力ではございますが、皆様方の御協力を賜りまして円滑な議事運営を心がけてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  この際、前委員長久世公堯君から発言を求められておりますので、これを許します。久世公堯君
  3. 久世公堯

    久世公堯君 お許しをいただきまして、一言あいさつを申し上げます。  委員長在任中、大過なくその職責を果たすことができましたことは、ひとえに皆様方の御支援と御協力のたまものであると深く感謝を申し上げます。  今後は一委員として本委員会充実審議に微力を尽くしてまいりたいと存じますので、引き続きよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  まことに簡単でございますが、一言御礼を申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 委員異動について御報告いたします。  去る八月十三日、有馬朗人君が委員辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。  また、昨七日、小川勝也君が委員辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。     ─────────────
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、皇室費国会会計検査院内閣総理府本府、大蔵省総務庁沖縄開発庁国民金融公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。     ─────────────
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  8. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  9. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  本日、私の質疑の前半の方は、何とか今、国の決算の一連の作業というのを少しでも早く、スピーディーにやることができないだろうかという視点で幾つか御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、会計検査院にお伺いをしたいと思っております。  会計検査院は、国家財政使用状況について非常に緻密な検査を行われている、そしてまたその結果を報告等を通じて国民に公表される、あるいは該当の省庁改善を求められるという非常に有意義な行動をとられております。また、こういう形で大部の報告をまとめられている。この検査全体には、大体どれぐらいの日数をかけていらっしゃるんでしょうか。
  11. 深田烝治

    説明員深田烝治君) お答え申し上げます。  平成年度時の実地検査におきます全体の延べの人日数は四万五千百余人日でございます。
  12. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 日にちにして何日ぐらいになりますか。期間としては何日間かけてやられたことになりますか。
  13. 深田烝治

    説明員深田烝治君) 日数把握しておりませんけれども、十年次の実地検査でございますと、一月の中旬から九月の中旬までを実地検査期間としております。
  14. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 約八カ月以上、そして四万五千人日という大変な稼働をかけて検査されている。これは大変な作業だというふうに思います。  私は、この報告書をこの間つぶさにずっと読ませていただきましたけれども、その中でちょっと一点あれっと思ったのは、この検査、建設省だとか通産省だとかいろいろな役所が入っているのは当然のことなんですけれども、商法で規定されている株式会社、いわゆる民間企業あるいは物によってはもう既に株式市場に上場しているような企業というのが入っているわけです。主なところではJR各社ですとかあるいは日本たばこですとか、そういう会社が入っている。こういう会社にかかわる検査、今全体で四万五千人日の時間をかけて検査されているということでしたけれども、こういう株式会社に関してはどれぐらいの稼働をかけて検査されているんでしょうか。
  15. 深田烝治

    説明員深田烝治君) お答え申し上げます。  国または国の出資法人出資しております株式会社に対します実地検査人日数は、平成十年次で四千四百余人日でございます。
  16. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 四千四百人日ということですから、全体が四万五千人日ですから、一割弱の人手を株式会社検査にかけておられるんだなということが今わかったと思うんです。  ちょっとここで、私は若干疑問を投げかけさせていただきたいんですけれども株式会社というのは会計検査院検査に入らなくても、当然役所会計検査院検査に入らなければあとは自分の中での実地検査しかないわけですけれども株式会社の場合は、当然決算を出すに当たっては監査役検査が入るあるいは公認会計士による検査も入る。あるいは最終的に納税をしなきゃいけませんから、税務署調査、これは受ける場合、受けない場合もありますけれども、当然税務署調査を受ける可能性がある。あるいは最終的にはお金使用状況その他について株主総会株主から言ってみれば質疑を受けて、それに対してきっちり答えていかなきゃいけない。あるいは余りルーズなことをやっていますと株主代表訴訟とかそういう形で株主によって訴えられる可能性まである。  これだけいろいろなチェックがかかっている株式会社に対して、会計検査院も全体、非常に今決算を短くしていこうという中で相当な日数がかかっているあるいは相当な手間がかかっている。約一割の手間をかけながらあえて株式会社にまで検査に入らなければいけない理由というのがちょっとよくわからないんですけれども、その辺を教えていただけますでしょうか。
  17. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) お答えいたします。  ただいま委員質問の国から直接または間接に出資を受けている会社に対する本院の検査関係でございますが、監査役監査あるいは公認会計士監査税務調査、こういったものと私どもの行います会計実地検査とはその根拠や目的あるいは対象、それからさらには検査観点方法ども異なっているところでございまして、一概にほかの監査等が行われているということをもって私ども検査の必要がないというようには私どもとしては考えていないところでございます。  私ども検査の結果、毎年、不経済、非効率な事態を指摘しているところでございまして、その改善を促したり、あるいは会社の経理の適正化経営効率化などに寄与している部分があるのではないかと考えております。  もちろん、このような会社に対する検査に当たりましては、これまでも公認会計士監査役などによる監査の結果などは十分に勘案いたしまして、私どもとしての検査の重点をそういった監査状況などを勘案しながら決めるなどいたしまして、こういった状況の変化に即応して効率的な検査を行うように努めてきているところでございます。  今後ともこれらの企業の実際の監査などの状況に対応いたしました会計検査方法についてさらに検討してまいりたい、このように考えております。
  18. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 よくわかりました。  当然、国が出資をしているわけですから、国の出資しているお金が有効に使われるという観点から、私も何も検査をしなくていいというふうには思っておりません。ただ、その検査対象とかそういうものが必ず有効になるような取り組みをしていただきたいなというふうに思っています。  例えば、この中を読みますと、JR九州に対して五千八百八十万円の指摘額というのが出ております。日本テレコムという会社から委託を受けた光ファイバーの敷設工事見積もりが甘かった、五千八百八十万円ほど高く見積もっているというような意味ですね。ところが、このJR九州というのは売上高一千七百億円に達します。また、日本たばこに対しては約一億円の指摘です。日本たばこの全体の売り上げというのは二兆六千億でございます。  私は、額が少なければ見逃してもいいとか、そういう立場には決して立ちませんけれども、本当に有効なのかどうか。例えば今のJR九州の場合ですと、日本テレコムに高い請求をしてしまっているわけですね。もしそれがだめなんであれば、会計検査院指摘するまでもなく、これはもう民間同士の取引なわけですから、当然日本テレコムはもっと見積もりを安くしてくれるところへ移っていく。民間企業株式会社というのは、そういう実際の先ほど申し上げた数々のチェック機能に加えて、市場そのものに厳しく監視をされていて、先ほどおっしゃった不経済や非効率というものがあれば、これは必ず商品やサービスの価格に反映をされて市場そのものから厳しいペナルティーを受けるんじゃないか、そういう意味からかなり自浄作用が働く余地があるんじゃないかというふうに私は思っています。  また、会計検査院検査が来られるとなれば、民間企業株式会社の方でもその受け入れ態勢をつくったり、かなり大変だと思います。検査院の方はJR、JTの事業に必ずしも精通されているわけではないですから、一から御説明をして、受ける側も相当これは大変なんじゃないかと私は想像しております。  ですから、検査を何もしなくてもいいとは申しませんけれども、もし形式的な検査であればこれはぜひ見直していただきたいですし、今全体の検査にかけておられる約一割がこの株式会社に回っているということですから、少しでもその分の検査省庁検査に回していただいて、できる限り省庁検査内容の一層の充実とまた検査全体の早期化に努めるべきではないかという考えを述べさせていただいておきます。  あともう一つ、やはり決算早期化ということについてもう少しお伺いをしていきたいんですけれども、当然決算というのは出るんであれば早く出た方がいい。当然内容は正確でなければいけませんけれども、早く出た方がいい。しかし、過去にさかのぼって、昭和四十年ぐらいまでさかのぼってみましたけれども、国の決算がまとまって会計検査院提出されるのは大体十月ごろということになっています。  本来、各年度年度決算というのは何のために行われるのかといいますと、その年のお金の使われ方の問題点というものを摘出してそれを次年度以降の改善に役立てるというのが決算をやる一番大きな意味ではないかと私は考えているんですけれども、それがその次年度の半ばも過ぎた十月の取りまとめということでは、やはりこれは国として機動力のある有効なお金の使い方を続けていくに当たってはちょっと遅過ぎるんじゃないかという気がしているんです。  また民間企業の話をしてあれですけれども民間企業では、三月三十一日で締めた決算というものを通常の場合は五月の下旬には決算発表という形で発表して、さらに六月の下旬には株主総会という形で株主皆さんに諮って承諾を得て決算を固めてしまうというスケジュールをこなしているわけです。  当然、民間企業はその収支規模からいけば国家財政に比べたらもう本当に小さい規模になるわけですけれども、しかしその一方で、国の財政というのは、規模は大きいですけれども、言ってみれば単純に歳入歳出の足し算と引き算と言うと大蔵大臣に怒られるかもしれませんけれども、割と比較的単純な計算なんじゃないか。  一方で、民間企業決算業務というのは、まずバランスシートをつくる。ですから、単に歳入歳出だけではなくて資産の状況把握しなければいけない。あるいは各種引当金計算をしなきゃいけない。あるいは、一つお金の使われ方が、これが損益に当たるのか設備投資に当たるのかというような分計もしなきゃいけない。あるいは減価償却費計算もしなきゃいけない。あるいは、最終的には税金を納めるために普通の財務会計とは別の税務会計という形で税金計算もしなきゃいけない。あるいは、海外に上場している企業であれば、例えば米国であれば米国会計基準に基づいた全然日本とは計算のやり方の違うまた決算というのも別建てでつくっておかなきゃいけないということで、国家財政にはない相当複雑な計算をやっている。その上で五月の下旬には決算をまとめておられる。そういう面があると思うんです。  また、民間は年間に決算を一回だけ出しているだけではなくて、普通の企業ですと必ず半期に一回決算を出されます。あるいは、最近ですと四半期に決算を出している企業が相当多くなってきています。また、内部管理用ということで月次決算も出している。  こういう作業をやっている民間企業が五月に出してこれる決算が、もう単純な疑問として、なぜ国の場合、規模が大きいとはいえ十月までかかるのか、ちょっとその辺の理由、お考えについて大蔵省にお伺いしたいと思います。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は決算委員会でしばしば御指摘のある問題でございますし、また御指摘意味も十分明快でございますので、私から最初のところをちょっとお答えさせていただきたいと思います。  民間決算と国の決算とが違っていて、国が時間がかかっているということの一番大きな理由は、やはり出納整理期間の問題ではないかと思っております。  民間決算でございますと、その期内の現金収支が未了である、そういう債権債務につきましては、これはもう未収または未払いとして次の会計年度に遠慮なく繰り越して整理する決算ができますが、国の場合は、御承知のように現金出納、支払いがいわゆる発生主義になっておりまして、その年度に属するような出納をしております。したがいまして、三月三十一日に年度が終わりましても、その現金収支を確定するための期間が必要でございまして、五月三十一日まで二月をかけまして収入支出現金出納を完了いたします。この二月というものがまず最初の問題でございます。  その二月過ぎました後、それを整理いたしましていわゆる出納簿の締め切りをいたしますのは七月三十一日、これで整理が完了いたします。そこからそれを書類にいたしまして会計検査院提出いたしますが、大体三千ページぐらいの書類のようでございます。会計検査院には十一月末までに提出するということになっておりますが、そこは勉強のしどころがございまして、今は十月の初旬にはお送りするように努力をいたしております。ここで二月ぐらいの勉強ができておるということかと思います。  財政法によりますと、「内閣は、会計検査院検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会提出するのを常例とする。」となっておりまして、過去の結果を見ますと、ほとんど昭和年中国会召集日が十二月でございますので、したがいまして、その国会召集の日、すなわち十二月の何日かに国会提出をいたしておりますし、平成元年、正確には六十三年でございますか、からは一月になりましたので、大体一月の二十何日、開会の日に国会提出。したがいまして、法令的にはきちんとやっておりますが、この中でそういう出納整理期間の制度は変えるわけにいかないと思いますから、その四カ月の間でどれだけの勉強をするかということになっておりまして、今のところ二月ぐらいの勉強はしておるということを申し上げることができるかと思います。
  20. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 大蔵省としてもいろいろお取り組みいただいているということはよくわかりました。  また、我々決算委員会としても、少しでも早く審議を進める努力もひとつ必要なのかな。私はきのう地元におりまして、あした決算委員会です、平成年度決算審議しますと言うと、もう地元経営者皆さんからは非常に失笑を浴びて恥ずかしい思いをしました。もう少し民間並みの早さを決算委員会としても目指していくべきではないかというふうに思っています。  また民間企業では、先ほどちょっと申し上げましたけれども月次決算というのも非常に重要なんです。月次状況に応じて年度途中でも、例えば営業にハッパをかけるとか、あるいは費用の節減を厳しくするとか、そういうアクションをとりながら最終的につくった目標を目指していく、あるいはその目標をさらに上げていくというようなことを頑張っているわけです。  あの有名な京セラなんかでは、もう翌月の一日には前月の決算がそれぞれの部門単位できっちりとまとまっていることで有名です。京セラはそれに応じてそれぞれポストが上がったり下がったりというのが毎月起こっているなんという話を聞きます。  先ほどの出納整理期間の話を聞くとちょっともう難しいのかなと思うんですけれども国家財政では年度途中の予算の執行状況というのをどういうふうに把握されているのか。例えば月次ベースでの把握を行われているのか。今、本日は九月の上旬ですけれども、本日段階でどの辺の状況まで把握されているのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。事務方の方で結構です。
  21. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 国の執行状況でございますが、一応月次ベースでは粗いものではありますけれども把握をしております。例えば歳出で申しますと、これは総額だけでございますけれども、各所管の月次ベースでの報告を受けております、今おっしゃったような民間企業のような細かいところまでは実はないわけでございますが。  今の段階では六月分まで取りまとめを行っておりまして、毎月の分につきましては「国庫歳入歳出状況」という名前で、それから四半期ごとの分につきましては「予算使用の状況」という表題で、これは官報に掲載するとともにインターネットでも見られるようにしております。官報は、六月分は八月三十日に掲載しております。
  22. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 済みません、不勉強で官報を見ておりませんでしたが、途中での把握には努めておられるということがわかりました。  では、もう少し踏み込んでいきますと、例えば個人の生活においても、買い物をする場合、セーターを一万円で買おうと思ったら一万円の予算を立てるんですけれども、当然、実際にはなるべく安いものを探す、あるいは店を回っていると全然別なものが見つかったりして、予算より安くなることが多々あると思うんですね。一万円で買おうと思っていたら九千円で済んじゃったというようなことがあると思うんですけれども国家財政でも当然そういうことがあるだろうと思います。ある区間の道路の工事に十億円予定をしていたけれども、実際に業者に最終的に発注をしてみたら九億円で済んだ、こういうことが実際にたくさん発生していると思うんです。  これは素朴な疑問として、そういう場合の余った一億円というお金はどういう形で処理をされているのか。例えば建設省なら建設省が、建設省の判断で別の施策に流用されているのかどうか。例えば、流用する場合でも、道路建設で余ったお金をその沿線のほかの部分のガードレールの補修に回すということであればある一定の範囲で理解ができるんですけれども、それをまた全然別のところの橋に回しちゃうというと、何のためにそもそも国会で予算を審議したのかなという疑問も出てくるのではないかと思うんです。  そういう途中での余剰金が発生した場合の流用の範囲とかあるいはルールといったものが、現在存在しているんでしょうか。
  23. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 余ったお金という概念で言いますと、年度が全部終わってしまってから余ったお金と、先生が今おっしゃったように年度の途中で浮いてくるお金と両方あると思います。  今のお尋ねは多分後者の方だと思いますので、そちらについてお答えいたしますと、確かに一番基本となりますのは、国会の予算に対する統制と実行上の機動性を確保するという、その折り合いをどうつけるかということにあるわけであります。  それで、やり方としては一つは流用というものがございます。これは国会で議決をいただく項目というのは「項」という段階のものなんですけれども、この目的の範囲内で大蔵大臣の承認を得てこれを行うことができることになっておりまして、これを流用と申します。  それから、もっと上の段階の方でありますのは、これは移用と申しまして、これはあらかじめ国会の議決を経た場合に限って例外的に認められるということになっております。  先ほど御指摘の道路予算のようなものにつきましては、「目」よりももっと小さなもっと下のレベルのものだと思いますので、例えば入札の結果、予算で予定したよりも少ない経費で済んだという場合には、ある程度まとまった段階大蔵省に協議がありまして、ほかの道路予算の方に使って進度をアップすることができるというような取り扱いになっております。
  24. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 私は、前に勤めておりました会社で支社の経理課長という仕事を二年ほどやったことがあるんですけれども、支社といっても年間売り上げ一兆円、費用九千億ぐらいの規模だったわけですけれども、そのときにシステムを組みまして、各部署の年度途中の予算の使用状況というものをリアルタイムで把握すると非常に有効だったんです。  例えば余ったお金というのは常に経理部で名寄せをしておいて、そして新たにこういうことをやりたいんだというようなプロジェクトが出てきたときはそのお金を流してあげるということで、非常に有効であったというふうに私は思っております。  国家財政においても、こういう年度途中で余ったお金というのを一たん大蔵省で総括して把握をして、それを省庁をまたがってまた再度機動的に運用できるようにすれば、年度途中で建設国債を発行して補正予算を組まなくてもいいんじゃないか、あるいはその余ったお金をその省が年度末までずっと持っていってしまって、最後は慌てて予算を無理に消化するなんというようなことも起こらなくなるんじゃないか。当然、これは予算の国会承認との関連という大きな壁があるとは思うんですけれども、その辺に対する大蔵省のお考えはいかがでしょうか。
  25. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 先ほど申しましたように、国会で予算の御審議をいただくということは、政府が使う予算を国会がいわば民主的にコントロールするという、いわゆる財政民主主義という観点から行われているものだと思います。  したがって、例えば大蔵省に各省庁で余った分を一括してプールして自由に使えるようにするということにつきましては、国会の議決の範囲を相当狭めることになってまいりますので、そういうのが果たして望ましいのかどうか、これは国会でぜひ御議論をお願いしたいと思います。
  26. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 御指摘のとおりだと思います。  ただ、ある程度国会審議をしてルールを設けて、例えば何%以内なら政府の方で流用可能というような、ある程度政府の裁量に任せてはどうかなと個人的には思っています。国家財政にある程度の機動性を持たせてあげるということも重要だと思っています。そして流用した結果については、今度は逆に決算段階できっちりと我々で詰めるということをすれば、決算審議の価値というのも一層高まるんじゃないかなという考えを述べさせておいていただきます。  それと、もう一つ伺いをしたいんですけれども、当然国の決算業務をスピーディーに行っていくためには、やはり決算業務のOA化ですとかネットワーク化といったものが非常に重要になってくると思っております。現状で、国の歳入歳出の業務というのがどの程度OA化されているのか、ネットワーク化されているのか、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 現在、国におきましては大蔵省が中心となりまして、俗称アダムスと申しておりますが、官庁会計事務データ通信システムというのを開発して、各省庁と共同で機械化を推進しております。  これはかなり前から進めておるところでございますが、平成十二年度までの見込みで、全体で九百四十三官署に端末の導入を図る予定にしております。全官署の数が今のところ二千三百二十二と考えておりますので、十二年度末で大体四割ぐらいの進捗になろうかと思います。そのほかの役所でも電算処理はしておるわけですけれども最初スタートのシステムが異なっていたとかということで、将来的にはそこを統一するようにお願いしなければいけないわけでございます。  今後も機械化は逐次進めてまいりますし、できるだけ早く全省庁に行き渡るようにしたいと思っておりますが、相当これは予算もかかることでございますので、今の財政事情ともやはり相談をせざるを得ない面がございます。
  28. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 まだ二千三百二十二のうち九百四十三ということですから、まだまだネットワーク化、OA化というのは進んでいないんだなというのがわかりました。  また、恐らく役所間の独自につくっている会計システムなんというものもなかなかまだ連結されていないんだろうと思います。その辺をうまく連結して、財政をつかさどる大蔵省としてネットワーク上でそれぞれの予算の使用状況というのを把握する。これは今、民間企業、大企業ではもう当たり前のように行われている話ですけれども、そういう作業をぜひ進めていただいて、これは国の予算を使っても、非常に有効な施策になると思いますのでやっていただきたい。そうすることによって、予算の執行状況をスピーディーに把握する。  恐らく、今だとまだ大蔵省あたりだと電卓をたたかれている方も多いんじゃないかと思いますけれども、そういう業務ではなくて、できるだけクリエーティブな業務に取り組んでいただきたい。そのためにも歳入歳出業務のOA化、ネットワーク化というのを大蔵省としても、取り組んでいただきたいと思いますし、我々国会議員としても、その予算という面では頑張って応援をしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。  さて、ちょっと観点を変えまして、最近話題になっております公共体の財政におけるバランスシートの作成ということについてお伺いをしたいと思います。  東京都でも石原知事が今バランスシート作成ということで取り組まれておりますし、ほかの自治体でも、宮城県なんかではもう既にバランスシートというものをつくってみている、そういう動きが出てきているように思います。  国家財政においても、バランスシートを作成すると、当然、単に歳入歳出の動きではなくて、国がどれだけ資産を持っているのか、あるいは負債がどれくらいなのかというのを正確に把握できる。今どうしても借金の額だけひとり歩きして大変だ大変だという話になるわけですけれども、それに見合う資産があれば別に借金が多少多くたって構わないわけですから、国民がその辺の国家財政状況というのを正確に把握して、もし正しい姿であれば安心ができるということも言えると思います。また、退職給与引当金といったまだ今の段階では財政の中に組み込まれていないような将来的な支出なんというものも把握ができるという意味で、意味が大きいんじゃないか。  また、宮城県のケースでは報告をされていますけれども、例えば介護なら介護のような、民間でもやっているサービスと政府や自治体がやっているサービスを実際に資産の使い方も含めて比較して、どっちが効率的なのかと。そうすると、政府の方はこういうところのコストをカットしないといけないんだなという議論になったり、あるいはこれだけ民間の方が効率的にやっているのであれば、政府の仕事はやめてこれはもう民間にお任せしましょうという、そういう判断基準も明確に、定量的に数字で判断ができるんじゃないかというふうに思っています。  この間の通常国会では何回かこの質問が出ていて、大蔵省としても相当前向きな答弁をされていると私は思っていますけれども、今後国家財政のバランスシートの作成について具体的にどういうふうに取り組んでいかれるのか。また、当然その作成に当たってはいろいろ障害が大きいと思うんですけれども、具体的にどういう障害があって、それをどうクリアしていこうと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題も国会でしばしば問題として御提起があるところでございます。つまり、国の会計というものは、一部の事業会計に例外はございますけれども、利益を上げるという目的を持っておりませんために、あるいはそういうことがございますものですから、とかくコストベネフィットということにルースになりがちでございます。  というのは、ベネフィットというものを定義するのは難しいことはありましょうけれども、しかし一つの目的を達するのに幾らかかる、こっちはもう少し安くいくというようなことは事業会計でなくたってあるはずでありますが、利益を追求していないがためにそういうことについて非常に鈍感になりやすい。及び大変に悪いことは、納税者の金を使っておりますから金利がつかないという、これはまたもっと悪いことでございまして、そういうことが背景にあるからそれにかまけていてはいけない。そういう中でも、やはりはっきりコストベネフィットが分けられるものは事業会計でなくてもできるだけ接近すべきではないかということは、私ども自身が行政をやる立場からもみずから省みるべきことであるというふうに思っております。  それから、今、委員の言われますように、バランスシートをつくることによって国の資産というものがもう少し正確につかめないか。もちろん、資産といいましても道路とか河川とかいうものは売れませんので、普通の意味での売却できる資産とは違うかもしれません。しかし、それだってどのぐらいあるのかということを知っておくことは意味があることだと思います。  したがいまして、コストベネフィットが言えない性格を持っている会計であるからバランスシートというようなものとは無縁であるという議論は、もう私はなかなか通じないだろう。完全に民間企業のようにはいきませんでも、それに接近した形で類似のものをやっぱりつくれるではないか。現に特別会計のあるものはやっておるわけでございますから、そういうことは努力をしなければならないというのが国会の御指摘をまつまでもなく行政そのものの務めではないかというふうに私は考えております。
  30. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 力強いお取り組みの方針、ありがとうございました。アウトプット、いいものが出てくるというのを期待したいと思います。  さて、今年度も新聞なんかでは補正予算をそろそろ編成されるんじゃないかなんという話が取りざたをされておりますけれども、第二次補正ですね。補正予算が組まれるときに最近いつも批判が出るのは、道路とか河川だとか、そういった従来型、土木型の公共投資が多くて、情報通信や医療、福祉といった二十一世紀型の予算が少ないという指摘が新聞なんかではよく行われます。  私は、決して従来型の公共投資が悪いという立場には立っておりません。逆に必要であると考えています。しかし一方で、総理もおっしゃっている科学技術立国ということを考える今、補正予算を組むに当たっては、情報通信ですとかバイオテクノロジー、ナノテクノロジーといった分野をなるべく補正予算の中でも充実させていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。  何でそういった部分に余りお金が回せないのかというのをいろいろ勉強してみますと、補正予算というのは当然建設国債によって賄われる。これは財政法四条あるいは予算総則で建設国債の発行対象の範囲というのが非常に狭く限定をされている。  具体的に言えば、要するに建設国債が使える先というのは基本的には国の資産を形成して、なおかつその資産から長期的に受益が期待できる、そういうものに限られる。これは当然ですね、借金をするわけですから。後々の我々の孫子の世代がその借金を返すときに納得ができるものじゃないといけないですから当然そういう考え方に立つのはいいと思うんですけれども、一方で消費的な支出というのは建設国債の対象にはなっていないということで、どうしても二十一世紀の産業を育成するに当たっては消費的な支出が非常に重要な部分があるんですね。例えば、ソフトの開発費ですとか、通信を使いこなす実験をやるときですと通信料金の負担ですとか、あるいはデータベースの構築費とか、そういった部分の補助というのが非常に重要になってくるんですが、今の建設国債の考え方では十分な対処ができない。  コンピューターとか情報機器とか医療機器というものは、建物を建てるときと一緒であれば何とか建設国債の対象範囲内に入っているようですけれども、この今の状況ではなかなか補正予算において有効な二十一世紀型のプロジェクトの支援というのができないと思うんですけれども、その辺、今後見直される予定はあるんでしょうか。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、行政をいたしていきますときに非常に悩む問題でございます。  もう御存じのように、国が債務を負うというときに償還を六十年と定めておりますのは、恐らくこれは償却資産のライフを考えているんだと思います。そして、それは通った時代が長くございましたが、このごろのようにソフトとかいう話になりますと、これはもうディプリーシアブルアセッツではない、しかし非常に資本的な投資である、消費的な投資ではない、それにもかかわらずこれは償却資産にはならないという、そういうときに、その片っ方が建設国債の対象になり片っ方はならないということはいかにもおかしいものですから、世耕委員の言われますように、その償却資産と一緒になって一体になってやるものはまあいいでしょうというような、実は大変怪しげなことを、そう言っちゃなんでございますけれども、やってまいっております。  他方で、この建設国債、特例公債というものをなくしてしまうということは、債務をなるべく節減していこうということからいいますと、なくしてしまったらいいというわけにもまいらないということがありまして、そこのところは議論をしながら結論が見出せないでおる。  今といたしましては、できるだけディプリーシアブルなものでなくても、しかし投資的なものは長期の国債の対象になっても差し支えないではないかというようなところへどの程度具体的にその都度その都度で線を引いていくかということが現実の答えにならざるを得ないのかなという、いろいろ迷ってはおります。
  32. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 ありがとうございました。  今、内閣の内政審議室の取りまとめでは、国家予算の中で情報化に対する予算の比率というのが、アメリカでは一・六%、日本では〇・八%にしかすぎないという、比率にしてアメリカの半分と。これから日本は、情報通信や科学技術の分野でアメリカに追いつけ追い越せでやっていくんですが、この数字を見る限りではまた差が開いちゃうのじゃないかと心配になるんですけれども、その辺、予算の考え方というものをもう少しほかの部分でも見直しながら、なるべくそういったものに国の支援が回るように頑張っていただきたいなと思っております。  あと、きょう沖縄開発庁質問させていただく時間がなくなってきておりますので、今沖縄は状況的に厳しいという中でいろんな新しい取り組みをされていますけれども、私はその中で特に注目しておりますのが、海洋深層水を活用した産業を起こそうという取り組みなんですけれども、この現在の状況と、その中で沖縄開発庁がどういう今まで役割を果たされてきたかについて、もう時間もありませんので簡単に御説明をいただければと思います。
  33. 玉城一夫

    説明員(玉城一夫君) お答えを申し上げます。  海洋深層水につきましては、沖縄県ではこれまでもいろいろな調査研究が行われておりまして、深層水の取水の設備を設けまして、その利用する取り組みがなされてきております。  具体的に申し上げますと、沖縄県海洋深層水開発協同組合が平成七年に設立をされまして、平成九年からその活用に取り組んでおります。また、平成十年からは、久米島の方に深層水の取水設備が建設されております。  当庁といたしましても、沖縄県の振興開発を担当する立場から、海洋深層水を利用するための取り組みを一層推進していくことが重要であると認識しておりまして、来年度の予算におきまして、ちょうど経済新生特別枠でもございますので、その中で海洋深層水の利用技術等に関する総合的研究事業をただいま要望しているところでございます。
  34. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 この海洋深層水の活用というのは、これから日本の水産業その他も含めて非常に重要なものになると思いますので、沖縄での成果をできるだけ全国にも展開していただいて、ほかにも海洋深層水をくみ取れるところ、和歌山県でもございます、高知なんかも一生懸命やっておられますので、その辺をぜひやっていただきたいなと思います。  また、きょうは国立国会図書館長にお見えいただいておりますので、最後に一つだけ。  私は、日本の情報化を進めるに当たって、図書館の電子化というのは非常に重要なポイントになってくると考えております。  そういう中で、現在、けいはんな学研都市の方に国立国会図書館の関西館の建設というのが進められていて、それが非常に電子的な機能も備えられているという状況なんですけれども、その準備状況について最後にお伺いしたいと思います。
  35. 戸張正雄

    ○国立国会図書館長(戸張正雄君) お答えいたします。  私ども書類に書きますときは関西館に必ず「(仮称)」をつけますけれども、きょうはちょっと省略させていただきます。  関西館の現在準備状況でございますが、必ずしも今お尋ねの電子化の点にまでは進んではおりませんが、現在、工事として掘削工事を始めておりまして、来年の一月までに大体掘削工事を終わりまして、あと建物をつくり設備をつくって平成十四年三月までには竣工させたいということで今進めております。  特に資料につきましては、東京本館の書庫が大体十四年三月ごろにはほぼいっぱいになりますので、これらを含めて関西館に新しい機能を持たせるべく、東京から資料を移したり新しい資料を購入したりということで現在その計画を進めているところでございますが、この中でも、国立国会図書館が主として目的としております国会議員の職務の遂行に資するという目的を阻害しない範囲で資料を移動しなければならないと考えております。  また、ここのところが最後の先生の御質問関係するかと思いますが、東京本館と関西館が一体として機能いたしますためには、両方にある資料が的確にシステム上把握されなければなりません。そういったコンピューターシステムを完備する必要がありますので、現在、電子図書館基盤システムという名称でもってこのシステムを完成すべく、大変な人手と大変な費用をかけながらやっているところでございます。  大体、準備状況というのはそんなところでございます。
  36. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 図書館の電子化、特に国会図書館の情報の電子化というのは、今東京に集中している情報を過疎のエリアからでもきっちりと見ることができる、日本の均一的な発展のために非常に重要だと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  37. 水島裕

    ○水島裕君 一昨日でしたか、テレビのニュースを見ておりましたら、産業の活性化をする法案のお集まりがあって、大蔵大臣もいらっしゃいましたけれども、そこで小渕総理が、日本経済の再生にはこれからは中小企業対策と先端技術開発、この二つが大切だというふうにおっしゃっておりまして、私も全くそのとおりじゃないかと思います。  先端技術開発と申しますと、情報通信産業とともにバイオが非常に大切じゃないかということで、きょうはどちらかというとそれを中心にしていろいろのお話をしたいと思います。  ライフサイエンス、これは日本語では生命科学と申しますが、それとバイオテクノロジー、これを全部同義語として、同じものとしてお話ししたいと思います。  こういうバイオ関係の先端技術というのは、日本再生のためにも非常に大切であるとともに、この予算も今、平成八年、九年の決算をやっているわけでございますけれども平成八年から科学技術基本法によって一年に三兆円の研究費を中心とした支出をしておりまして、最初のうちはバイオ関係はその三分の一くらいだったと思いますけれども、現在は五〇%に近くなってきておりまして、おまけに今度、ミレニアムプロジェクトということでヒトゲノムを中心として研究をしていこう、事業をしていこうというのに少なくとも一千億円は出していただくということですので、日本の予算、決算としても非常に大切な分野でございますので、この点をお話ししたいんです。  実は、欧米と比較しますと、日本はいろんな問題点を今まだ抱えているわけです。そういう問題点を解決したり、あるいは大蔵省としてもぜひ認識していただいて、よくわかっていただいて予算をつけたり削るところは削るというふうにしていただかないと、ただお金だけつけてこういうことがうまくいくかというとそうでもございませんので、そういうお話をしたいと思います。  宮澤大蔵大臣には多分御答弁していただかなくてもいいようになっているのかもしれませんけれども、聞いていただいて、これはこうだと思うことがあったらぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。  それで、どういうところが問題点かと申しますと、これは総括質疑のところでも申し上げましたけれども、まず第一は、どうしても画期的な、根幹的な発明、発見が日本はないんですね。これはほかの自然科学の分野でもどうしてもそうで、自動車にしろエレクトロニクスにしろ、CDなんかはかなり日本がやっていてもやはりフィリップスと一緒ということもありまして、本当に日本が始めたものというのがないので、それはぜひ足腰を鍛えてやっていかなくちゃいけないというのが第一。  それから第二は、ある程度の発明、発見ができて、それを事業に、産業につなげていくところはベンチャーが主として外国ではやっているところですね。それが日本では機能を発揮していない、いいベンチャーがないということ。  それから第三番目は、バイオとなりますと、それの出口はかなりの大きな部分が臨床研究なんですね。人に使っていいかどうかがわかって認可されて使う、その臨床研究が日本一つもうまくいっていないという、この大きな三つがあります。  それから、もう一つ別な観点から見ますと、若者の研究者で非常に優秀なのが出てきておりまして、今研究費のスタイルも変わってきておりまして、非常にいい研究をしてこれからこういうことをやるというと、一人で何千万円も自分の給料も含めて研究費がもらえるシステムがもう科技庁ではあるのでございます。そういうのに通っても、研究する場所がない、上の方にボスがいて意地悪でうまくいかない、そういうことが一つ。それから、研究者は結構そろっているんですけれども、特にきょうお話ししたいんですけれども、研究を支えてくれる人がいない、そのための予算がないということがもう一つ。それから、これもきょうお話ししたいと思いますけれども、研究費の使いやすさというものが、これは文部省なんかの御努力で非常に使いやすくなってきたんですけれども、まだまだのところがある。  そんなところでございますので、繰り返しになりますけれども、こういうことを余り知らないで予算をつけても結局はうまくいかない、これは日本国としても大変な損害になってしまうというようなことがございます。  私は、実際、現場でもいろいろやってまいりましたし、今でも学会等いろいろお世話しているので、自分の知識のほかに情報も入りますので、いろいろ申し上げたいと思います。  まず、ライフサイエンス関係の予算でございます。従来も従来型の研究費でやってきたんですけれども、今度ミレニアムプロジェクト、新幹線型で大事な研究だけはずっとやろうということで予算をつけていただくということですけれども、今予算がつきますと来年の四月あるいは六月からいろいろそれがスタートするんです。  実はそのゲノムプロジェクトのうちで、ちょっとこれは専門的になりますけれども、スニップといいまして、ある遺伝子が一カ所変わっているとそれが容易にわかる技術ができまして、それと、ある人が病気になりやすいとか、こういう病気を持っているとか、あるいはこういう薬に効くとか、副作用が出るということがわかるようになってきた。ことしの初めからアメリカはばあっとそれを始めているわけなんです。  日本も御存じの五省庁の会でそれはやろうということになって、今度の予算でトータル今の一千億近くが計上されているわけですけれども、それが通っても来年の四月ぐらいからになってしまうわけです。ところが、アメリカは今ばあっと始めて、こういうことがわかるとみんな特許をとるわけなんです。  今度、日本がしばらくたっておくれて始めても、みんなその特許をとられているということになったのではしようがないので、先ほど補正予算の話が出まして、なかなかそういう補正予算はそういう単なる研究には出ないということもあるかもしれませんけれども、やはり箱物も必要ですし、それから先ほど大臣も御答弁なさった箱物に付随しているものも早くそろえなくてはいけないし、また結構そういう意味のある遺伝子を見つけて、役に立つたんぱくとか、これは抗体なんかで処理していいたんぱくを見つけるとすごく売れるわけです。  ですから、投資にも本当はなるのでございますので、ここは半年おくれると日本としても、オーバーに言うと本当にひどい目になってしまいますので、自民党もライフサイエンス推進議連というのをつくりまして、何とかそれをバックアップしていこうという体制でございますので、ぜひ大蔵省の方もこの辺をわかっていただいて、そういうスピードとの関係もございますので、各省庁から適切な予算請求が来ればぜひ対応していただきたいというのが第一の御質問でございます。  全体を通じて大臣、何か共感するところがございましたら、ひとつお答えしていただきたいと思います。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問を通じましていろいろ御教示を得たいと思ってノートをとっておりますが、そういう先進国、殊にアメリカでございますが、の間に大きな変化が起こっておって、我が国がこういう経済情勢であることもありますけれども、いろんな事情でなかなかついていけずに、しかし先覚の方々はいろいろ何とか日本もという、そういうお考えをどれだけ国がお助けできるかという問題だろうと思います。  先ほどおっしゃいました関係省庁、かなりそういう意識を持った人はおられて、そして対応しようとする動きはいろいろございますけれども、予算という制度がかなり古い制度でございますから、なかなかうまくそれにマッチしていけないということはきっといろいろにあるだろうと思います。  ただ、二十一世紀を展望いたしますと、このところ、恐らくいろんな意味で勝負の分かれ目になるんだろうというような感じは素人なりに感じておりますものですから、国としてできることはできるだけやらなければならない。実はミレニアムのプロジェクトというようなものを設定いたしまして、総理大臣の枠で処理をしていこうかと考えておりますのも、いろいろ意味合いはあるのでございますが、在来の枠に置いておきますと、どうしても今までの継続ということにどうしてもなりやすいので、別の枠にしてしまいますと今までと切れますので、それで新しいアイデアが出やすい。  正直申しますと、行政的にはそこは非常に微妙なところでございますけれども、新しいものを取り上げるのにはどうしてもそういう方法が有効なものでございますから、今度もああやって二千五百億円というような公共、非公共で別々に枠をとっております。公共の方は、こういう景気でございますからなるべく効果の早いプロジェクトをという気持ちがございまして、これもこっちへ別にしましたが、非公共の方は、それもそうですが、今までの新しいものからもっと新しいものへ早く移らなきゃいけないというときに、今までと一遍切りました新しい場をつくった方が新しいものが出やすいということもございまして、そういう場を今度設けておるわけでございます。  なるべく御経験の立場から行政に対して、できるだけ行政が将来に向かって役に立てるようなそういう問題の御示唆をいろいろ賜れば幸いだと思っております。
  39. 水島裕

    ○水島裕君 ありがとうございました。  今のお答えで、従来型ではきっとうまくいかないだろうからここで特別な枠をつくってというのは全くそのとおりでございます。ですから、今度のヒトゲノムも含めましたミレニアムプロジェクトは、私どものところでも、先ほど申しましたような新幹線型ということで、従来のはそのまま走っていただいて、そのほかに今の特別枠で新幹線でやっていこう。ただ、今新幹線で東京駅をスタートしてももしかするともう間に合わないかもしれないという段階でございまして、これが例えば予算が通っていろいろ設備して、あと半年、場合によっては一年してから新幹線が出たのでは幾ら速く走ってももうとても追いつかないかなというところでございます。  それからもう一つ、私も最初のうちから関与させていただければよかったんですけれども、途中からいろいろ五省庁の相談に応じてきましたけれども、やはりどうしても常識的で学者的な案ができているわけでございます。ですから、ゲノムプロジェクトでいろいろなことはわかっても、それでできたものが例えば、どこかで申し上げましたが、アルツハイマーに明らかにたんぱくが、ゲノムプロジェクトでできても、それを日本で今つくったり、それに対するいろいろ、プロセッシングと言っておりますけれども、そういうことがなかなかできないんです。そういう技術も今外国に頼んでいるというところでございますので、今のゲノムプロジェクト、プラス実用化の幾つかの技術を何としてでもこの新幹線に乗っけてやっていかないといけないということで、何を申し上げているのか少しわかりにくいかとも思いますけれども、今の五省庁の案だけでは明らかに不十分であるということは確かだと思います。  それでは、次に移らせていただきます。  こういうゲノムとか、あるいは再生医学と言いまして、体がきかなくなったところをもとから再生して治す。そのために非常に有効な発見が去年の暮れにありまして、ヒトの胎児の細胞を発見しまして、それは幾らでも培養できるし、いろいろなことに使えて、しかもその細胞がどんな臓器の細胞にもなるということがわかったわけでございます。ですから、マスコミ的には万能細胞と言っております。  ちょっと具体例を申し上げますと、万能細胞あるいはES細胞というふうに言いますけれども、それはうまく培養して、ある塩、コショウみたいなことをうまくやりますと、心臓の細胞にもなるし膵臓にもなるし腎臓にもなるという細胞なんです。差し当たり何に使えるかというと、今がんの治療の後なんかに骨髄移植をやっているわけでございます。ほかの人から三百ccも骨髄液をとってきて治療した患者さんに植えるんですけれども、三百ccとるのも大変ですし、またいろいろ副作用もあったりなんかするというので、これは近い将来、今の万能細胞をうまく分けて骨髄細胞のかわりに使える。つまり一ccもとればそれで骨髄移植ができる。これはもう本当に数年のうちにそういうふうになると思いますので、そういうことも今度のプロジェクトに入っているわけでございます。  そういうことをやりますと、細胞をうまく分ける機械が必要で、将来は一つ立派なのがあればそれでたくさんできるということで、コストの面でも合うと思いますけれども、差し当たりは、大きな機械というのは五千万から一億円ぐらいの機械で、セルソーターといって私どもも使っているわけですけれども、それがあちこちにあるし、今度の予算でも当然そういうものがたくさん買われると思います。  現実はどうかと申しますと、その機械を完全にマスターして、なおかつ細胞を分けるときに、ちょっと専門的ですけれども、九九%ぐらい純度のいい細胞をとらなくちゃいけない。それにはその機械を完全にわかって、もちろんほかの仕事もしていただくわけですけれども、その機械にへばりついている人がいなくちゃいけないんです。一般的に研究費でこういうものをとりますと、その機械の予算はつくんですけれども、それをマネージする、動かす人の予算はなかなかつかないということで、どこどこと申し上げるとその大学が怒られてしまうから名前は言いませんけれども、ある大学ではこの機械が今四つ入っているんですけれども、三つは全く動いていないというような状態でございます。  ですから、最終的に申し上げたいことは、関係省庁からセルソーター、今の機械がぜひ必要だからといって出すときに、それをマネージする、動かす人も一緒に予算が必要だというときに、機械は認めるけれどもトータルの人件費はトータルで別に出てくるんだと思いますけれども、そういうのはぐあい悪いとかということになりますと、機械の費用を出していないのと同じことになって、現に今すごいそういうむだがあるわけでございますので、こういうことを大蔵省質問してもしようがないのかもしれませんけれども、そういうことの実情をひとつわかっていただきたいということでございます。  何か御答弁があれば、よろしくどうぞお願いいたします。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 詳しいことを存じ上げないままに申し上げますけれども、そういう際に、つまり人というものを、財政当局のこれは何十年の一つの思い込みなんですが、いろいろな意味での投資は一遍で済む。しかし、極端な言い方をしますと、人は一遍しますともうその仕事がなくなってもずっと続く。そういう問題がありますものですから、設備投資の方には比較的寛容なんですが、人についてかなり厳しいことを申すというのは別にそういうわけがあってのことで、したがって、そういうことであれば臨時にその人を置けるような、そういう物の考え方をお互いにしていけないか。いや、臨時では人が来ないという問題はあるかもしれないけれども、しかしそうばかりでもないでございましょうから、何かそういう展開がないものでしょうかと思います。
  41. 水島裕

    ○水島裕君 まさにそのことなのでございます。今私どもがいただく大型研究費も、三年とか五年とかそういうのが多いわけですね。確かに五年というのも決して長くはないかもしれませんけれども、それでもやはり五年間、例えばどこどこ大学の助教授とほとんど同じ待遇で来てもらうということでしたらこれは絶対来る人がいるんです。私も今まで聖マリアンナ医大の仕事をしておりますけれども、聖マリアンナ医大ではいろいろな研究費とか、自前で立派な研究所を建てまして、それでそこに設備も入れまして、それでテーマがあればいろいろディスカッションもするという環境を備えまして、それで教授五名、助教授五名ぐらいのスタッフということになると、本当にいい人が来てくれたわけです。  ですから、それ以来、私立大学のそういう研究センターとしてはもう本当の、余り一、二とか言ってもいけないかもしれませんが、それだけの業績が上げられたわけなのでございます。今、国からもそういうふうにかなり大型のものが来ますので、確かに五年というのはちょっとひっかかるところはありますけれども、それでも五年間はそういう人たち並みに扱うということであれば必ず来るわけでございます。  ところが、今現在はどうかというと、後で大蔵省の方からも、御答弁を事務当局の方からもいただけることになっているかもしれませんけれども、国立と私立でも違いますけれども、今はやはり正職員並みに、これは割合そういう委員会で言うときは本音が出ないのかもしれませんけれども、集まる方としましては、第一はやっぱり資格なんです。例えば東京大学の教授として迎えるということになったら、もうそれだけでも、お金は余りなくても、ではもうぜひ研究いたしましょうというので、名前をつけるということが一つ。それからやはり給料。給料は、いる人並みの給料が出ればいい。それからもう一つは資格、資格と申しますか、健康保険もつくし、中でそれなりの発言権がある。  ですから一番いいのは、その五年間だけ定員を増していただいて、その人件費は研究事業費の方から払うということならば一番いいんですけれども、それがもしできないとすれば、その五年間だけは定員内の教授になるたけ準じて、例えば定員外教授という名前でもよくて、給料もそのぐらいつけて、何とか病気になったときは保障ができるように、健康保険並みのことができるようにする、そういうことができればいいわけでございますし、それには今大臣がおっしゃったようないろいろ工夫はあると思います。  それから、ついでに申し上げますと、普通の定員の人たちももう七年とか十年で有期にするとよろしいんですね。いいと思って雇っちゃったけれども、どう考えもこの人は役に立たないし、余りいろいろなことも知らないし、患者にも評判悪いしとかというのが出てくるので、そのときに、一回雇っちゃうとなかなか首にできないものですから、そちらはひとつ有期にすることを今後検討していただく。  それから、今みたいに、これは国のミレニアムプロジェクトで、これだけは日本のためにやろうという研究でございますから、そのときに来る研究者は、よその大学をやめて来るとかどこかのメーカーをやめて来るとか、そのぐらいの人じゃないとこの研究は日本のためにできないわけですから、そのときに、いやいや臨時雇いで、せいぜいつけても非常勤講師ですとかというのでは、それならよその大学をやめて幾ら日本のために研究して日本のためにしたくても来ないという状態なので、きょうはぜひ何とか、こういう問題点があったらそういう意気込みでひとついろいろ考えてみようということでも結構ですから、御答弁いただきたいと思います。
  42. 太田誠一

    国務大臣(太田誠一君) 今のお話は人事制度の問題になってまいります。任期つき任用制度については本格的に次の省庁再編以後やっていこうと思っておりますし、またその際に、今おっしゃったようなお考えといいますか、確実にある期間なんだけれども扱いは立派な扱いをするというのは大いに参考になる話でございますので、考えてまいりたいと思います。
  43. 水島裕

    ○水島裕君 もう私は三十五年間、そのぐらいこういうことばっかりやってきた人間でございますから、必ず公平に、いろいろなことがわかっておりますので、何かありましたらぜひお呼びくだされば意見を申したいと思います。  ですから結論は、任期制の研究員ということで、今例えばこれは五年のプロジェクトだったら任期制の研究員として人は来てもらうんですけれども、その人は今までいる人以上にできるぐらいの人じゃなくちゃいけないので、せめて今までの人と肩書、給与、資格ということで近いということ。これは最初は人事院とかそういうことかと思ってきょうお出ししましたら、これはそれぞれの雇う例えば文部省とか厚生省とか、そういうところのいろいろ問題もあるというので、またできればそのときでももう一度御質問したいと思いますけれども、太田先生の今のことをひとつぜひ実行していただきたいと思います。そうすれば日本の研究はばっと進むと思いまして、これが日本の再生に役立つのではないか、そういうふうに思います。  それでは、次に移りまして、一見小さなことのように見えますけれども、結構現場としては非常に大きなことでぜひ改善していただきたい問題が二つございます。  一つは、委託研究費の越年使用をやりやすくするというのが一つでございます。  委託研究費というのはどういうことかと申しますと、国から来る研究費、いろいろございますけれども、そのほかに、ある研究所、ある大学の講座が非常に実力があるのでこういう研究をぜひしてくれということをよそからお金を出して頼まれるというのが、出す方は委託研究費、もらう方は受託研究費でございますが、それも大学の使命に合うことがもう大部分でありまして、そのまた多くは国のためにもなることでございます。なおかついいことには、そういうお金税金じゃないわけなんです。よその企業とかから来るのが大部分でございますから税金ではない。ですから、ぜひそれはうまく活用するのがすべて、どこから考えてもいいことでございますけれども、これが非常に使いにくい。だんだん使いやすくなってきて、平成年度でしたか、そういう予算科目を統合しまして、謝金、旅費、研究費を自由に変えてもいいという決まりができましたけれども一つ問題は越年なんです。  やはり、この研究というのは、道路工事、もちろん道路工事や建設も大変立派な何かあるのかもしれませんけれども、でもやろうと思えば大体できるわけですけれども、研究はやはりやろうと思っても、対象となる患者さんがいなかったり、本当によくわかる人が病気になっちゃったり、あるいは一回やってしくじったから方向をすっかり変えないと、そのまましゃにむにやっていったらただ損するだけですから、そういうことがありますので、三月ぐらいまでに終わるつもりでやっても終わらないことが非常に多いわけですね。そういうときに、今は原則としてその研究費は次の年に持ち越しできない、委託研究費は持ち越しできないのであります。  そういう制度はあることはあるんですけれども、それが実際に機能をほとんどしていないだろうと思いますのは、大した金額でもないかもしれませんけれども平成年度、受託研究費の実績は五百億で、そのうち臨床研究が八十億なんです。私、現場にいる者としては、そのうちかなりのものは越年したいのでございますけれども、実際に越年したのはどうかと申しますと、四件で一億円、五百億のうち越年したのはたった一億円なのであります。  ですから、どうもその手続が面倒、手続があることはあるんですけれども、実際に手続が面倒であるので、後で私なりの解決策は提案させていただきますけれども、例えば弘前大学でそういうものを越年したいときに、書類をたくさんつくって仙台の財務局まで行かないとうまくいかないという話も聞いたんですけれども、そういうことも含めて手続がやはり面倒くさくて簡素化することができないかどうか、まず御答弁いただきたいと思います。
  44. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 予算の越年使用とおっしゃったわけですが、予算の世界では繰り越しと申しております。ちょっと最初に制度的なことをお話しさせていただきたいと思います。  この繰越制度というのは、もともと予算に会計年度独立の原則というのがございまして、要するに会計をまたがって余り自由に使えるということは、これまた国会審議権との関係等でいろいろ面倒なことがございますものですから、繰り越しは例外的に認められるという位置づけになっているわけでございます。それで、大蔵省あるいは大蔵大臣といたしましては、繰り越されました予算の財源の調達といったような点から申しまして、やはり一定のその繰り越しの必要性とか繰り越しになった理由とか、そういったものについては審査をさせていただく必要が一般的にはあるんだろうと考えております。  それで、今、先生がおっしゃいました予算は多分、産学連携等研究費というものだと思いますが、これについては平成年度からさっきおっしゃいましたように科目を統合してかなり使いやすいものになっていると思われます。  それで、繰り越しにつきましても、今の費目につきましては、最初に予算を国会提出申し上げますときに繰越明許費というものの対象にいたしまして、最初から理由さえちゃんとしていれば繰り越すことができるという科目になっているわけでございます。ですから、一般の予算よりは繰り越し使用のしやすい予算になっていると思います。  そうはいいましても、いろいろなお話もあると思いますので、繰り越しの手続の簡素化ということについては前からずっと意を用いておりまして、例えば申請の書類に書く事項をできるだけ簡単にするとか、あるいは手続もなるべく簡単にするとか、そういう努力はしてきているつもりでございます。  それから、先ほど弘前大学のことを例にお挙げになりましたけれども、もともとこういう繰り越しの権限というのは大蔵大臣のところにしていただかなきゃいけないわけですけれども、東京に一々来ていただくのも非常に失礼だということもございまして、国の大蔵省のブロック機関であります財務局の方で手続をさせていただくことになっているわけでございます。  国のブロック機関は大蔵省に限らずあちこちにいっぱいあるわけでございますけれども、そうしたブロック機関との折衝や連絡が必要な業務というものにつきましては、大なり小なりそこまで出張していただくということは時にあるわけでございます。特に、本件の場合は、会計制度独立の原則という会計制度を担当している者にとっては大変重要な原則の例外になるものでございますから、やはり一応の手続は踏ませていただく必要があるのではないかと考えております。  今のような繰り越しの手続というのは年に一回のことでございますし、それもまとめてやっていただくことでもあります。さらに研究費について言えば、恐らく研究者の先生方にわざわざ出てきていただくのではなくて事務の担当者がまとめて持ってこられるのだと思いますけれども、できるだけ簡単な手続にしたいとは思いますが、全くなくするというわけにもいかないということはひとつ御理解を賜りたいと思います。
  45. 水島裕

    ○水島裕君 もちろん理解できないわけじゃないけれども、これは非常に大きな問題で、解決しようと思えば、また大臣なんかが公平な立場で聞いていただければこれはわかることだと思いますけれども、ともかく実際に五百億円のうち一億円しかそういうことがない、臨床研究の方は八十億でゼロなんです。ですから、いかに実際問題としてこういうことができにくくできているかということであります。  私は医学部のことしか余りわかりませんけれども、国立大学、東京大学でも弘前大学でも一度そういうところへいらっしゃるとわかるんですけれども、医学部というところは医者とか研究者が物すごくたくさんいるんです。事務の方の人数は少ししかいない。ですから、我々が用があるときは事務の人を呼びつけるというよりはこちらから事務局まで行って、一生懸命ひとつよろしくお願いします、ひとつよろしくお願いしますと言って、どこかまで行ってくれというようなことじゃなくて、非常に簡単なことでもやってもらっているというのが実情ですから、そんな事務の人に仙台まで行ってくれなんて行くわけがないじゃないかと思います。  それで、これは大した額じゃないと言えば額じゃないんですけれども、実際にこれで困っている人が相当いて、それからやはり問題のあることはない方がいいので、これは大蔵省の今答弁いただいた方の名前はちょっとわかりませんけれども、どういうことになっているかと申しますと、二月か三月ぐらいになると結構大きな予算の場合は五十万とか百万ぐらい残るわけです、研究が失敗しちゃったとか。そうするとどうするかというと、それを返すというのもあれですから、それでもう何だかわけがわからなくいろんなものを買ってしまう。それが一番やられていることですけれども、そうじゃない場合は、もうどうしてもやはり次の年に研究しなくちゃいけないということで、次の年に買うからというので、これは私が知っているところじゃないということで、業者にお金を先に払っておく。それで、来年ちゃんと残った研究はやりますから、そのときにその必要なものをいただきますと、とにかく決して好ましい形でこれは処理されていないわけです。  それで、私は提案するので、これはぜひきょうじゃなくて後で、実際のところをよく知って検討していただきたいんですけれども一つは、やはりこれは税金じゃないわけです、このお金は。いろいろな企業が研究費を出してするわけですから、国の財政に入れないで、これは私どもの中でも委任経理金というのは国の財政に入れないでやっているわけでございますけれども、国のそういう財政に入れないでやったらどうかというのが一つ。  それから、少なくとも弘前から仙台まで行ったりとか、そういうことがないように便利な制度にしていただく。もうそれは絶対いけません。そういうことをしていただく。  それからもう一つは、これは非常にこの研究が今、日本で必要となったということで、ミレニアムプロジェクトなんかでお金をつけて、そういうときにはもうれっきとした人のところに研究費が行くわけです。信頼して研究を依頼しているわけですので、その研究者を信じて、三月で残ったときは、これだけ残りましたから来年使いますというその報告だけしておいて、あと今申請書類を出しているような、今はとにかく三月までに承認してもらわないと次の年に使えない。そういうことは、半年おくれでもあるいは研究がおくれたときでもきちっと整理をして公開できるように紙に残しておくということ。  その三つぐらいがありますけれども、とにかく今のままでは本当にぐあいが悪いし、これは学術審議会なんか、私どもの仲間もたくさんおりますので、結構こういう意見は出ているんです。ですから、やはり自分のところでできた力で企業とかそういうところから研究費をもらって、それで研究をして国のためにもなるということは、こういうことがやりやすいようにインセンティブをつけなくちゃいけないというのは学術審議会でも非常に言っていることでございますので、それが使いにくいというのではぐあいが悪いので、ぜひ検討していただきたい。大臣もお答えは結構ですけれども、こちらの言っていることも十分御理解はしていただけると思いますけれども、よろしゅうございますね。  それから、次に移りまして、それとやや似ていることがございます。  最初、バイオの研究の手口が臨床研究だと申し上げまして、臨床研究はどういうことかと言いますと、ある薬なら薬をある大学病院に頼んで、八例なら八例、本当に効果があるか、副作用に問題がないかということを試してもらうわけです。一例二十万円とか五十万円とかということで、その辺は文部省、厚生省、いろいろ話し合って大体うまくいっているんですけれども、問題は国立大学病院及びその国立病院にそういう企業が依頼するときにお金を先に納めているんですね。ですから、例えば仮に一例、ちょっと高いかもしれませんけれども五十万円としまして、八例やってもらうときは四百万円なら四百万円をまず払う。ところが、今御存じのように治験が非常にやりにくい、進まないということで、そのうち一例とか二例しかできないという例が非常に多いわけです。そうするとどうなっているかというと、そのまま大学に行ったきりになって、メーカーは三百万円なら三百万円損害しているというのが現実なんです。  ですから結論は、よく相談して、少なくとも大部分の例については後で納める。臨床試験がちゃんとできて、そのデータを出したら研究費を払うというぐらいにしないと、これからは産学官協同で研究を進めていこう、日本のために進めていこうといいながら、国の方がもうとにかく偉いんだ、国は絶対損をしないと。これは何でかというふうに聞きますと、国が取りはぐれたら困るということらしいんですね、最初お金をもらっておかないと。  私は、先ほど申しましたようにもう三十年も三十五年もこういう仕事をやっておりますので、その間に臨床研究を頼んだ会社がつぶれてお金が払えなかったということなんかは一度もないんです。逆に、国の機関がお金を取って研究もしないで返さなかったということは、これはもう無限ぐらいにある。こんなことで、産学官協同とかいっていてもなかなかうまくいかないんじゃないかということでございます。  これは大蔵省に言うことかと思っていたら、文部省、厚生省は何と言っているかと申しますと、厚生省の方は、健医発第九四七号で今の受託研究費、これは臨床試験も受託研究費ですから、「受託研究の取り扱いについて」九四七で、十六ページの六条に「納付された経費は依頼者に返還しないこと、」となっている。一度取ったらもう返すなと言っている。本当にひどい。約束を破ってもお金を返すなと。  それから、文部省の方は、「これを返還しないものとする。ただし、真にやむを得ない理由により受託研究を中止し、又は延期をする場合において、甲が必要と認めるときは、」全額か一部を返してもいいと。これもちょっと幾つか聞いてみましたら、こういう例は全くないそうです。  ですから、泣き寝入りというほどじゃないんですけれども、国の機関がやらなくてもお金は返してもらっていないということでございますので、少しみみっちい質問かもしれませんけれども、このことについてどうお考えでございましょうか。
  46. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 我々は、時々は現場にも行ってお話を伺うことがございますが、なかなか時間的な制約もございまして、通常はそれぞれ担当している役所からいろいろお話を聞いて実態を把握するということが多いわけでございます。今、先生がおっしゃったように、研究費を受け取ったけれども契約をしないとか返さなかったというような事実は実は存じなかったわけでございます。  臨床試験の経費を前納するのか後納するのかというふうな今の話につきましては、これはやはり基本的にはそれぞれの仕事をやっております役所の問題だと思っております。多分、前納になっている趣旨というのは今おっしゃったように後で損をしないようにということなのかもしれませんけれども、私どもが絶対そうしてほしいと指導しているわけではございませんものですから、問題がもしありますれば今お話のあったことは伝えますけれども、基本的にはそれぞれの役所でやはり解決していただくべきことではなかろうかというふうに考えます。
  47. 水島裕

    ○水島裕君 先ほどの例も今の例も何もこれだけのために質問をしているというよりは、やはり現場のことを大蔵省、これは文部省も厚生省も同じですけれども、わかっていただいて、今みたいな情報が全く来ていないというのもなかなか私どもから見ると信じられないことでございますので、そういうことをぜひわかっていただくことにもう少し労を払っていただいて、随分優秀な方がたくさん大蔵省にもいらっしゃると聞いておりますけれども、どうも話してみるとそれほどでもないような気もしないでもないんです。  ぜひそういうことをよくわかっていただいてそれから決めていただかないと、やはり一番最初に申しましたように、公費なんかを出せばうまくいくということで考えていただく、紙の上でそういうことをやっていただいてもなかなかうまくいかないんじゃないか。本当にこれは日本のために申し上げていることなのでございます。  それでは、始まるのが早かったのでなるたけ早く終わった方がよいと思いますので、あと一問と、まとめをさせていただきます。  次は総務庁の方へ簡単に御質問したいと思いますけれども、先ほどの情報通信の進歩ということでコンピューターなんか非常に進歩したわけですね。そういうことで今総務庁の方でも、申請とか届け出、いろんな手続を判こを押したりなんかしないで、コンピューターでやると印鑑も使わないで済むという方向で検討されているそうですけれども、やはりそれもなるたけ広いところの情報を得られてやっていただきたい。  というのは、その例として、私は臨床をずっとやってきましたので、今どうなっているかと申しますと、臨床家というのはやたらいろんな書類を書くわけですね。診断書を書いたり、それから検査を出したり処方せんを書いたり、それから今は証明書を出すのが非常に多い。そういうときに、だんだんと今コンピューターになっているわけです。例えば処方せんも、院外処方が進められておりますので、医薬分業が進められておりますので、患者さんに渡すということになりますと、後の控えもあるとかいろんなことでコンピューターでほとんどやっているわけでございます。  ところが、今の医師法、医療法ですかでは、外に出すときはそれぞれの人の判を押さなくちゃいけないということになっておりますけれども、印影と言いますけれども、コンピューターで印は押せるようになっていて、しかも判こを押すのは何が目的かというと、やはり偽造の変なものができないということが問題ですけれども、それも自分のパスワードで自分しか押せないような、あるいはその病院のものとはっきりわかるような処方せんを出すことは技術的に可能になっているわけでございます。だけれども、法律の方が、あるいは規則の方が追いつかない。  これは当たり前のことでございまして、いろいろなものが進歩して、その進歩に応じていろいろ法律とか決まりを見直していくわけですが、ぜひ今のそういうことも検討していただいて、もうこれは能率の上でも、今のように偽造のものができないということでもその電子印、コンピューター印は使った方がいいと思いますので、今、全体的にどういうふうに進んでいるかということと同時に、あるいは医療の方も検討なさっているかと同時に、今のコンピューター印、将来そういうことも含めてぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  48. 瀧上信光

    説明員(瀧上信光君) お答えいたします。  政府におきましては、社会の情報化の進展に対応しました行政情報化の推進ということで、閣議決定によりまして行政情報化推進基本計画というものを決めておりまして、この中で申請者の負担軽減、あるいはただいま御指摘のありましたような事務の効率化、そういったようなことを推進する観点から、フロッピーディスクによる申請等、可能なものから順次電子化を進めてきているところでございます。そして、オンラインネットワークを利用しました電子文書による手続につきましては、紙文書の場合の印鑑の押印にかわる本人確認や文書の信頼性の確保方策といったものが必要でありますが、こういったため総務庁では現在、学識経験者等によって構成します研究会におきまして、ネットワーク上におきます本人確認、文書の改ざん防止等の諸課題の解決方策の検討を今進めているところでございます。  子細に具体的な今後の取り組みとしましては、研究会でのこのような検討成果なども踏まえまして、そしてまた、ことし七月の産業構造転換・雇用対策本部で決定されました雇用創出・産業競争力強化のための規制改革におきまして、平成十一年度内に行政機関が一体となって手続の電子化を推進するための基本的な枠組みを策定し、これを受けて省庁別の具体的なアクションプランを策定するということとしているところでございまして、こういったものに沿いまして手続の電子化というのを一層推進してまいりたいと考えております。
  49. 水島裕

    ○水島裕君 ありがとうございました。  医療に関係したところでは厚生省の方でも検討しておりますので、総務庁としても全体もそういうふうにやっているんだからということでぜひ応援していただきたい。  一つのものに、どこか判こを押したりなんかすると、一人の患者で本当に三十秒から一分ぐらい違ってしまうこともあるんです、今の規則どおりにやろうと思うために。そうすると、例えば六十人来ると、そういうことで一時間余計に使ってしまうということで、これも先ほどから申しているように、やはり現場の、しかも日本全体の損得のことも考えて、規則を変えられるところはどんどん変えていっていただきたいということを申し上げたいと思います。  それでは、これで質問は終わりですけれども、最後に。  確かに、先ほどの五省庁というところから案が出てきましても、私どもの仲間も入ってやっていることですのでおおむねいい意見が出てくるのでございますけれども大蔵省に申し上げるよりか各省庁に申し上げることかもしれませんが、そういう委員の中に、やはり余り大学の偉い先生とかというんじゃなくて、実際に発明、発見したり、企業化をしたり、例えばソニーでCDをつくって世界じゅうに広めたとか、ダイオードをつくった、あるいはコンピューターにしましても、そういうエレクトロニクスの分野ですと、実際にそういう産業とか医療に貢献した経験を持っている人を委員としてもう少し呼んでいただきたい。これは、意外と学問から産業への間の橋渡しというところはノウハウが結構ございまして、ただ大学で物を教えているような人には、そう言っては失礼ですけれども、なかなか無理なところがございます。そういう人たちだけが集まっていろいろディスカッションしますと、先ほどのゲノムプロジェクトも割合とアカデミックな何か頭のところだけできちゃってということになりますので、その辺はぜひ御検討願いたいということを申し上げて終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  50. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  51. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 私は、内閣官房の中にあります外政審議室が所管しております従軍慰安婦問題について、きょうは質問をいたします。  去る七月十四日、野中官房長官も御存じのように、台湾の旧日本軍元従軍慰安婦九人が、東京地裁に対して日本政府に謝罪と一人一千万の賠償を求める提訴を行いました。この訴訟を支援する台湾慰安婦関係資料の調査と研究プロジェクト指揮者である朱徳蘭氏は、今回の訴訟について次のように述べています。   日本政府が引き起こした戦争によって慰安婦となってしまった彼女たちの人生は破壊されてしまい、人間としての尊厳も失われてしまった。このような強者の弱者に対する、男性の女性に対する原始的、野蛮な虐待行為は全人類より戒められるべきである。今日の我々は、歴史的証拠とその被害者の供述を得た。我々は、日本政府に対して控訴を行い、元慰安婦及び全世界に対する謝罪と損害賠償の支払いを要求する。   我々のこのような行為が日本政府に相手にされない、若しくは原告の敗訴に終わった場合、我々は国際法廷への控訴を行う と訴えています。  二十世紀も残り一年有余で終わろうとしています。人生の終えんを目前に、今勇気を奮い起こして過去の告発に踏み切った台湾の被害女性に対して、政府や私たち国会議員に今求められていることは、このお訴えに対して誠実にこたえていくことでなければならないと思います。  この台湾からの慰安婦訴訟を日本政府はどのように受けとめますか。まず、野中官房長官にお聞きいたします。
  53. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) お尋ねの訴訟につきましては、八月九日、裁判所から訴状の送達を受けまして、第一回口頭弁論期日が十一月の二日に指定をされたと伺っておるところでございます。  今、委員から御指摘がございました台湾の旧日本軍元従軍慰安婦九名の方々の訴訟についてでございますが、我が国政府といたしましては、委員御承知のとおりに、平成五年八月四日の内閣官房長官談話のとおり「慰安所は、当時の軍当局の要請により設置されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。」ということでございまして、この事実をもって私どもとしても今日までアジア女性基金を中心として、何とかしてこういう方々の長い苦痛に報いたいと努力をしてきたところでございます。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 この台湾の今回の裁判の基礎資料はこういう膨大なものです。「台湾慰安婦調査研究資料集」ということでありまして、今、官房長官から政府が調査した結果に基づくお話がありましたが、この膨大な一九九九年七月に出された資料、私もこれをずっと読んで研究いたしました。  要するに、日本統治時代の台湾における台湾総督府が国策会社として設立した台湾拓殖株式会社が、第二次世界大戦遂行に当たって慰安婦を日本軍の軍需必需品として扱い、慰安所の建設、慰安婦の募集、慰安婦の管理及びそれに関する作業工程と資金調達、出入国の申請、営業管理に至るまで、すべてにおいてこの台湾拓殖株式会社は軍部、政府、企業の高度な共同作業として進めていた事実が明らかにされております。この資料で明らかなんです。この台湾拓殖株式会社の監督者は台湾総督府と日本政府の拓務省ですから、拓務大臣により一九三九年、昭和十四年に帝国議会に台湾拓殖株式会社の業務概要が説明資料として提出されているという事実もこの中に出ております。  外政審議室はいろいろと調査をされておりますが、台湾において慰安婦を軍需必需品として日本政府と共同作業を行ってきたとされている台湾拓殖株式会社についての調査を行いましたか。ぜひ調査を行って、朱徳蘭氏の調査事実を確認すべきであります。  この「「従軍慰安婦」関係資料集成」、これは女性のためのアジア平和国民基金が外政審議室の調査、政府の調査を資料集にしておるんです。立派な仕事をしております。これは評価します。これが六集までありまして十万円なんです。私は自分の金を出して買いまして、それを全部調べてみましたけれども、残念ながら台湾拓殖株式会社のいわゆる従軍慰安婦にかかわる資料はありません。  このように、至るところにまだたくさん残されているんですね。ぜひとも、この台湾拓殖株式会社が一体何をやったのかという問題を政府の手によって調査してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  55. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 今、本岡委員指摘の台湾拓殖株式会社が慰安所を建設したとする資料が台湾において発見されたとの報道は、私どもとしても承知をいたしております。  政府といたしましては、いわゆる従軍慰安婦問題につきまして、その取り組みの一環としてこれまでも新しい情報に接しました場合には十分な関心を払って、さらに資料の収集に努力してきたつもりでございます。本件につきましても、その資料の入手について努力をしてまいりたいと考えております。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 こうした日本政府の行った行為に対しての謝罪と賠償を求める旧日本軍元従軍慰安婦被害女性らによる訴訟は、一九九〇年の韓国女性による告発以来今日まで韓国、オランダ、フィリピン、中国の各被害者によって既に十件が提起されております。訴訟に加わった元慰安婦被害者は七十八名、そして被害賠償請求総額は約十八億円になる。十八億円なんです。我々、今何かというと何兆円というようなことがすぐ言葉に出ますけれども、金額的に見ればこういうことなんであります。今回新しく提起された台湾からの訴訟は、日本政府と国会が法的責任を明らかにして一日も早い立法による解決を求めての提起と私はとらえております。  女性のためのアジア平和国民基金、今、官房長官も述べられましたこの女性のためのアジア平和国民基金が、台湾の元従軍慰安婦被害者の人たちに対して一九九七年五月、九八年二月に続いてことしの三月三十日に三度目の償い金を受け取ってくださいという広告を、この広告はこういう広告なんですが、広告を台湾全域に出したんです。(資料を示す)受け取ってくださいというようなものを。今回の広告には、小渕恵三首相のいわゆるおわびの手紙もそこに掲載されてあるんです。しかし、おわびの手紙そのものがまた被害者の怒りを買うんです。  どういうことかというと、手紙には「わが国としては、道義的な責任を痛感しつつ、おわびと反省の気持ちを踏まえ、」と、こう結ばれておるんです。しかし、その被害者の皆さんの気持ちは、日本政府が負うべきは道義的責任だけではないだろうということなんです。過去において女性を暴行し、傷つけた、これは明らかに犯罪ではないのか。だから、その犯罪に対する法的賠償責任というものを日本政府が痛感しないで道義的責任だけで片づけられたのではたまらぬという気持ちが、やっぱり訴訟に駆り立てていくということになっているんです。  ここのところを官房長官はいかがお考えでしょうか。
  57. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 御指摘のこのたびの台湾の方々の訴訟につきましては、他の訴訟と同じように法律に基づいて適正に対処してまいりたいと基本的に考えておるわけでございます。  委員が御指摘になりましたいわゆる従軍慰安婦問題につきましては、政府はこの問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識のもとに、これまでもおわびと反省の気持ちをさまざまな機会に表明してきたところでございます。また、台湾を含む関係国・地域の元慰安婦の方々に対する償いの事業も既に行ってきたところでございまして、この目的として設立されましたアジア女性基金にさらに最大限の努力協力をしていきたいと考えておるところでございます。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、私がお尋ねしたのは、この道義的責任というレベルでの議論が多くの訴訟に駆り立てていっているんだということで、官房長官もやはり道義的責任でしかないというふうにお考えなのか。それとも、やはり法的な責任、いわゆる賠償責任というんですか、従軍慰安婦に駆り立てて、そこで集団的強姦、性的奴隷というふうな状況に追い込んだことが道義的責任で済ませられるようなことなのかどうなのか。ここのところを私たちが明確にしない限りこの問題は解決しないと思うのですが、その点について官房長官の率直なお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  59. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 現実を承知しない私が、当時の問題について具体的なみずからの感想を申し上げるべき立場にないわけでございますけれども、少なくとも委員御承知のように、一九九三年八月四日に政府は旧日本軍の関与を認めまして、従軍慰安婦の募集や活動が強制的であった、さらに被害女性の名誉と人間の尊厳を深く傷つけ心にいやしがたい傷を負わせたことを反省しおわびするという当時の河野官房長官の談話を行いまして、政府は従来とりました施策を改めまして、御承知のように先ほど来申し上げておりますアジア女性基金を創設することによりまして、当時の軍の関与のもと多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識のもとに、おわびと反省の気持ちをアジア女性基金で対応してきたわけでございます。  今日まで、この対応によりましてそれぞれ台湾を初めとする地域の関係された女性の方々がこれを受け取っていただいておる、また受け取りを拒否していらっしゃる方もございます。また、そうすることを国としてやめてもらいたいというお考えの国もあるわけでございますけれども、政府といたしましては、この平成五年八月の河野官房長官談話からスタートをいたしました従軍慰安婦問題についての処理を今後も誠実に繰り返し続けていきたいと考えておるところでございます。
  60. 本岡昭次

    本岡昭次君 官房長官として、道義的責任か、そうであるのかないのかというところに踏み込んでいくことをちょっと逃げておられるようで、ここでまた押し問答しても肝心な質問ができませんから、またそれは別の機会に譲ることにします。  私は、道義的責任というレベルでこの問題を解決しようとする限りいつまでもこれは続いていく、官房長官が二十世紀に起こったことは二十世紀できちっと片をつけようじゃないかということであるならば、私たち自身がそこに一歩踏み込まなければ問題は解決できないということを強く申し上げて、この問題はまた次の機会に議論をしたいと思います。というのは、きょうは決算委員会でございますから、金目の問題に入らぬといかぬと思いますので、それでは質問を変えていきます。  そこで、今、女性のためのアジア平和国民基金の事業が韓国、台湾、フィリピンを中心としてうまく進展しているのかどうかという問題なんです。  私が九年前に予算委員会質問をしたときは、政府は、いや、そんなことは国はかかわっておりません、民間の方がそういう慰安婦を連れ歩いてそういう慰安所をつくったということは聞き及んでおりますがということで完全に逃げたんです。最初そこからスタートしたんですから。そうでないだろうと言って私が資料を集めてきて詰めて、海部総理がそれではもう一遍調査してみましょうということで、一九九一年、九二年と調査をして、先ほどおっしゃる当時の河野洋平官房長官がやはり日本の軍隊が関与したということをそこで初めて明らかにして一歩前へ行ったんです。僕はそのときは高く評価したんです。  しかし、問題はそれから先が悪かったわけなんです。何が悪かったかというと、国が関与したけれども、国の責任で処理できないから国民から募金をして、その集めた募金で償い金として慰安婦の皆さんにお渡ししましょう、こういう政策を打ち出したことが、今度は、せっかくそういう国の責任を認め、国の関与を認め、事実をある程度明らかにして、日本の政府として総理のおわびの手紙まで出してというところへいったにもかかわらず、被害者の方が受け取らない、あるいは各国の被害者の皆さんを応援しているNGO等が拒否をして裁判に訴えてくるというふうなことになっておりまして、まことに私にしてもこれは不幸なことだと思うんです。その根源は何かというと、先ほど言った道義的責任を我々が乗り越えることができるのかどうかということにかかっているんです。  それで、国民基金がいろいろその後やってきました。一九九五年に政府は運営経費として補助金四億八千百四十八万円を計上しました。国民基金にです。  このお金は、今も毎年四億八千万円台のお金を国民基金を運営するために支出いたしております。そして、今度は、慰安婦の皆さんにお渡しする償いのお金は国民から集めたお金で渡すというんです。それで、国民から集めたお金は五億を切っておるんです。  簡単に言えば、この四億八千百四十八万円という補助金を出すならば、四億八千万、そのお金を慰安婦の皆さんに渡せば国のお金が渡ったことになるんですよ、渡す方法を法律できちっと決めて。ところが、そういうごまかしをやってしまったんです。国民基金という財団法人を運営するための補助金は国から出す、慰安婦の皆さんに渡す分は国民の基金だと。こういうことをやったものですから、うまくいかなくなってしまった。せっかく総理大臣のおわびの手紙も、恥ずかしいことに受け取らないというふうなことをされるような状況になってきているんです。  そこで、政府はさらにこういうことをやりました。一九九六年七月から、一般会計の外務省予算から十年間で七億円規模財政支出を国民基金関係事業拠出金として行って、元慰安婦に対して、韓国、台湾の人には三百万円、フィリピンには百二十万円を償い金と同時支給する医療・福祉支援事業ということで、その実施を始めたんです。また、これは外務省を通して国の予算を一般会計から渡すんです。  ところが、それは皆さん方に対する償いのお金ということじゃなくて、医療・福祉支援事業というふうな回りくどいことをして、年がいっておられるからお医者さんに行くこともあるでしょう、助けましょう、年がいっておられて住む家がなかったらお困りだろうから、家を建ててください、また家を修理するお金が要ったら渡しましょうというふうなことで渡したんです。  私はそのときも、七億円も出すのなら、なぜそのお金を従軍慰安婦の皆さんにお渡ししないのかと言ったんですが、渡さない、同じ国から金が出ているのに。こういう間違いをやった。  そして、現在どうか。韓国、フィリピン、台湾、調査によって約三百人の方が特定された。そして、この三百人に対して償い金と医療・福祉支援事業を進めてきて四年経過しました。平成十一年の三月三十一日、やっと三百人のうちの百十七人の被害者が償い金と医療・福祉支援を受け取られたようでありますが、半数以上の方はこの受け取りを拒否されている。そして、さらにその上に、韓国では一九九八年四月、国民基金の支援を受けた七人を除いて、韓国政府自身が償い金と同額の日本円に直すと二百万円のいわゆる政府支援金を元慰安婦の方に支給し、日本政府に誠意ある謝罪と責任ある措置を求めて国民基金に事業中止を要求したんです。  だから、それ以上、韓国に対してできなくなってしまったんです。償い金の支給をしてもらっては困る、国民基金のその事業は中止してもらいたいということがあってできなくなった。そしてまた、その後、先ほど言った外務省が出してきていた医療・福祉支援事業のお金も、韓国政府に対して、これを何とか使ってもらいたい、そしてこれは個々人に渡すというよりも、施設をつくって、そこをその人たちが使えるようにしてくださいということで、韓国の赤十字を通してそういうことを依頼していった。しかし最近、韓国の赤十字もそういうことはできませんといって拒否の返事が返ってきた。こういうふうにして八方ふさがりになっておるんです、国民基金のその方の仕事も。にもかかわらず、官房長官はまだこれを続けるとおっしゃる。  そして、同じように台湾でも、一九九七年五月に、償い金と医療・福祉支援事業を拒否されている元慰安婦、被害者の方々に、台湾当局が毎月六万円の生活支援金と、償い金同額を貸付金として皆にお渡しした。日本政府と話し合って、そのお金がきちっと道義的なお金じゃなくて、これはやはり国に法的責任があるという立場でお金が出てきたら後で返してくださいという貸付金という名目で台湾の人にみんなざっと渡したんです。だから、台湾の方はそれをもらったからもうそれでいいと。それで困って、先ほど言ったように、何とか受け取ってくださいと広告を出したんです。私は、こんなのは日本の恥の上塗りだと思うんです。  また、フィリピンでも一部の慰安婦の方は、フィリピンが一番たくさん受け取っておられるようですが、日本国民の善意の償い金は受け取りますと、ありがたくいただきますと。しかし、あくまで日本政府の公式謝罪と補償を要求するために総理のおわびの手紙は受け取りませんと言ってそれを拒否している、それで裁判に訴えている、こういうこと。  そして、フィリピンの人権委員会というのが国会の中にあるんですが、そこが日本に対してきちっとした国の法的な補償をやってもらいたいというふうな決議を国会の中で上げるという状況に今動いてきているんです。  官房長官、今私が時間をかけて申し上げましたけれども、これは事実なんです。私はこんなところでうそは言えませんから。私は私なりにきちっと調査をした上でやって、だから明らかに国民基金の仕事は行き詰まってしまっているんです。できなくなってしまっているんです。にもかかわらず補助金を、毎年四億八千万近い金をずっと出し続けるのですかという問題が一つあるんです。行き詰まったら、やはりその行き詰まりを打開して、問題が解決する新しい政策を提示するということでなかったらこれはどうにもならぬじゃないですか。  例えはよくありませんが、水を飲みたくない馬に飲め飲めと言っても飲みたくないものは飲まぬという例えがあるように、よかれと官房長官がおっしゃったように、精いっぱい日本としてやれることはここまでですと言って出したけれども、やっぱり受け取れない、受け取らないということで膠着状態をいつまで続けるんだと。事態はだんだんと悪くなるばかりなんです。  だから、この国民基金の問題解決のやり方というのはこのあたりで一遍総括をして、改めてその被害者の皆さん関係国と、どうしたらこの問題が解決できるのかということを真摯にやっぱり話し合うというところから始めなければ、日本がよかれとやっても受け取る側の人が受け取れないという場合は、これは話し合いにならぬでしょう。やはりどうすれば受け取っていただけるのか、どうすればこのお金を受け取られるのかという受け取る相手側の気持ち、相手側の考え方、条件、そういうものと、私たちならここまでできますというものが話し合う。補償といったらみんなそうでしょう、漁業補償にしたって農業補償にしたって一方的にこっちから突きつけるものじゃないんです。だから、そういうふうなことをやらないでやったからこういう問題が起こったんだから、もう一度ここは出直すべきだ。私は官房長官は物すごい勇気のある方だと思っているけれども、やっぱりこういうことにきちっと出直す勇気が要ると思う。  官房長官、今すぐとは言いません。やはりお互いによく考えてみなきゃいかぬことがあると思う。私も十年間近くこのことをほとんど私費でやってきたんです、あれはばかじゃないかなと言われながらも。だけど、これは日本の正義です。アジアと日本、これからの二十一世紀、長いおつき合いをせないかぬのに、この問題もよう解決せんとやれたものじゃない。  だから、一度これを見直すために考える、話し合う、一遍踏みとどまられたらどうですか。がむしゃらにどっどっとできもしないことを、その中で御苦労いただいた原文兵衛元議長、理事長がお亡くなりになりましたけれども、随分苦しまれたと思います。私も二度三度会いましたけれども本岡君、苦しいんだといつもおっしゃっていました。これしかないからこれをやるんだと、理解してくれと。だけど、ここまで来ればもう考え直すときではないか。  官房長官、一遍考え直そう、話し合おうということになりませんか。もうぎょうさん言うているのに、私はまだたくさん質問せないかぬことがありますので、ひとつ一言だけこの辺で。
  61. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員はもう十分承知でございますので、長い経過を申し上げる気持ちはありません。  ただ、今御指摘のように、アジア女性基金の理事長として長年困難なお仕事にトップに立って御苦労を賜りました原文兵衛前参議院議長が御逝去されました。生前中の御苦労を心から私ども感謝し、原文兵衛理事長が私にも幾たびかいろんな御苦労のさまざまをお話し賜りました。  既に、百三十数名にわたる方々がこの基金を受け取っていただき、また中には感謝のお手紙も寄せていただいて、喜んでおられる方もあるわけでございます。そういう経過も踏まえながら、基本的には、委員には申しわけありませんが、今後ともアジア女性基金の事業を忠実に私どもとしてもやってまいり、それが日本国民と日本政府の本問題に対する真摯な気持ちであることを関係各国やあるいは関係者の皆さんに理解が得られるように、最大限の努力を傾けてまいりたいと考えておる次第であります。  特に、韓国政府あるいは台湾等におきましても政府としてのお考えもあるようでございますので、十分そういう気持ちをも聞きながら、今後一方において、今申し上げましたように、この基金が国民の良識と政府としての真摯な態度として理解がいただけるようにしながら、現実的な対応について十分考えてまいらなければならないと存じております。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 その国民基金に対する償い金をことしも予算は四億何ぼか出されたようですが、しかし実際に集まったのは二百何十万とかいうことが新聞に出ておりましたが、事実はそういうことなんです。だから、実態はどんどんと変わってしまっているということを知っていただかなければならぬと思います。  それでは、別の角度から問題を出してみます。  先ほど言ったように、国民基金に対する外務省の医療・福祉支援事業というものが、外務省予算のどういうところから出ているのかというのを調べるのに随分困ったんです。そうすると、名前はこういうことになっている。国連女性関連拠出金という名目で出ているんですね。これが国民基金に対して、女性のためのアジア平和国民基金に出されておるんです。この拠出金について、私はもう我慢ならぬことがありますので、質問します。  平成年度の拠出金額は当初予算一億四千五百五十万円出して、さらに二月の段階の補正予算のときに四億八千九百六十九万円出しました。平成年度、一億九千十八万円、平成年度、八千六十八万円、平成十一年度、一億六千五百六十八万円、四年間で合計十億七千百七十三万円の拠出金額、これは外務省が国民基金に出したんです。国民基金が使ったんじゃないんです。  それで、国民基金はその拠出金を医療・福祉支援事業の予算として計上するんです。そして、国民基金が四年間で十億七千百七十三万円拠出されたお金で現在まで、八年度に使ったのが三千八百十二万円、九年度で一億六千六百六十一万円、十年度で一億三千四百十二万円、三年間の合計で三億三千八百八十六万円しか使っていないんです。ところが、十億という金が使っても使わなくても外務省から行くんです。これは結構な仕組みになっておるんです。  それで、私は、先ほど言ったように平成九年一月三十日の予算委員会平成八年の補正予算を審議したときに、国連女性関連拠出金四億八千九百六十九万円を補正計上しているが、これは必要ないのではないかと言ったんです。何のために補正するのかというのは、先ほど言いましたように、当初予算として一億四千五百五十万円出ているんです。それを使い切って足らないなら補正しなさいと。ところが使い切っていない。今言ったように八年度は三千八百十二万円しか使っていないんです。一億四千五百五十万円で十分事足りるのに何で四億八千九百六十九万円も補正したのか。それほど日本財政は豊かだったんでしょうか。会計は潤沢だったんでしょうか。  それで、その理由を尋ねたんです、なぜかと。こういう理由を挙げておる。外務省は、十年間という期間の前倒しと、初年度の集中実施の必要があるのでこれだけのお金が要るんだ、初年度に集中すると言うんです。外務大臣もまた、池田外務大臣が、四億八千九百六十九万円の補正がなければ初年度の医療・福祉支援事業に支障が出るからと言って私の意見を退けたんです。  結果はどうですか。支障が出る出ぬどころじゃない、全然使われていないじゃないですか。前倒しをする必要がある、集中して実施する必要があるといって国会で、ここに会議録を持っていますが、答弁を外務省はしたんです。一体これはどういうことになっておるんですか。  しかも、この国民基金の資産を見ると、預金残高五億五千七百十六万円、流動資産七億八千五百七万円、正味財産八億二千四百十五万円を保有しておるんです。これは、国民基金として償い金で集めたお金五億弱使えなかった分が残っておるのと、あとは外務省経由で拠出金として使いもせぬのにどんどんと出している、ことしも出している。そんなずさんなことが許されるんですか。  私は、当時のその答弁に立った人たちに言いたいんです。一体何が前倒しですか、集中実施ですか。国会審議を本当に愚弄するんですよ、こんなものは。本当に許すことができない。金額は少額です、何兆円とかいうお金ではない。だけれども、これは仕組みの問題なり国会で答弁をするときのそのあり方の問題です。何でもいい、そのときごまかして、もう言ってしまえば後は知らぬ。ところが、私みたいな者がおって、その後追及しておる人間がおるということを知っておいてもらわなければ困る。実施計画の裏づけのない無責任な拠出金の大盤振る舞い、これをやった総理府と外務省に私は責任をとってもらいたいと思う。ここでの発言のです。  一遍ここでそのことの答弁をしてみてください。前倒し、何の前倒しをした、集中実施、何の集中実施をした、何で金だけをどんどんとそこへ送り込むんだと。
  63. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 当時の委員会での先生の御質問、外務省側の御答弁申し上げた内容は先生が今おっしゃったとおりでございますが、あの時点で集中実施、前倒しと申し上げましたのは、これは先生も御承知と思いますが、事業発足当初、今もそうでございますが、対象になる総数は約三百名という想定で事業を始めたわけでございます。  最初は十年という事業計画を、対象の方々がお年寄りということもあってこれは五年ぐらいの期間でやらなくちゃいかぬということで、そういう前倒しを当時想定し、そしてその集中実施というのは、もしこの三百人の方が事業開始と同時に申請をされ、支払いと申しますか、こういう支給を要請されてきた場合にはこれだけの金が要る、そういうことの手当てをしておかないとこの女性のための基金の事業発足に当たって事業の基盤が確固たるものにならない、こういう考えでこういう予算を要求させていただき、ちょうだいしたわけでございまして、前回もそういう趣旨を御答弁申し上げたと理解しております。
  64. 本岡昭次

    本岡昭次君 そんなことを聞いているんじゃない。その結果どうなったんですかと言っているのに、前倒しされていない、集中実施もされていない。金が余り返っているのに、その後毎年同じように拠出金を一億、一億と出し続けている。何を根拠にそういうものを出し続けているんですか、国民の税金を。
  65. 阿南惟茂

    説明員(阿南惟茂君) 先ほど先生が御指摘になりました全体、外務省から出ている十億七千百七十二万円、そして使われたのが約三億三千九百万円、残りが五億六千七百万円という状況でございます。これは、当初平成年度、補正も含めまして六億三千五百万円をいただきました。それは、今申し上げましたように三百名の方が集中的に申請してこられた場合の備えということで、事業を円滑に遂行するための当初の措置でございました。  それ以降の平成九年、十年、十一年は、先ほど先生も額をおっしゃいましたが、九年、一億九千万円とか、次の年は八千万円強とかというふうに実際の支出に見合わせて予算を要求させていただいておりまして、それはそういう支出に見合った額になっております。十一年は、オランダでの事業に八千五百万円程度の予算要求をさせていただいたということでございます。  今、五億六千七百万円が残っているという事実は確かにございますが、これは当初の考えで、今でもまだ未払いの方々が基金として事業をやっていく上で集中的に申請を出された場合にはそれに速やかにおこたえしなくちゃいかぬ、そのための財政的な手当てはしておかなくちゃいかぬ、そういう考えが継続しておりまして、それでこういう予算をお願いし執行している、こういうことでございます。
  66. 本岡昭次

    本岡昭次君 それは、計画はしばしば計画どおりいかないことがあると思います。だけれども、現に先ほど言ったように韓国にしても台湾にしてもこの問題についていろんな障害が起こってうまく前へ進まないという実態が今起こっている。しかし、お金だけはどんどんと出していくという、こういうある意味で非常にずさんなやり方を外務省、外政審議室、国民基金という関係の中でやっている。  もし、そういうお金を出せるのなら、そのお金を直接日本国の法的責任というものを明らかにした上で法律に基づいてきちっと出せば、もうそれで一遍に解決する問題なんです。それを難しく難しくやって、そして今のように外務省が全然責任の持てないことに対して、補助金とかこういう拠出金という金で言われたら言われたなりに出してくる。予算を要求したとおりできたのかできなかったのかという精査を恐らくしていないでしょう。この仕組みそのものが問題であるし、もう事実、全体として行き詰まっているということを私はこの会計からも見ることができる、こう言っているんです。  官房長官、どうですか。そういう面からもちょっと見直すということについて心を動かしていただいてもいいんじゃないですか。
  67. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) この問題につきましては、委員御承知のとおりに平成七年八月に、三党連立の中で合意をいたしまして閣議了解をいたしまして決定した経過があるわけでございますので、この経過に至るまでには旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦なるものの実態についてさまざまな議論を重ね、そしてそういう中からそれぞれ関係各国の状況をも踏まえながら、当時としてはアジア女性基金としてやっていくことが一番この人たちの人格形成の上に傷つけないことだというように考えて実施をされたものだと思うわけでございます。  それだけに、経過のありますもので、しかも原理事長はお亡くなりになりましたけれども、この基金は厳然として残って、関係者も努力をいただいておるところでございますので、せっかくこの事業をなお円滑に進め、関係各国並びに関係者のより理解が得られるようにいたしてまいらなければならないと思います。  ただ、委員が御指摘のように、現実にこれを拒否しておられる方々も、あるいは訴訟を提起しておられる方々も、現存することもまた事実でございます。その事実のあることを十分私ども踏まえて、基金の皆さんともよく実態を協議していきたいと考えておるところでございます。
  68. 本岡昭次

    本岡昭次君 私がいま一つ大きな問題だと思うのは、日本国内だけでなくて国際的にこの問題が議論になり、特に国連の人権委員会あるいはILO、こうしたところにその議論がどんどんと進んでいるということなんです。私も国連の人権小委員会に四回ばかり参りましたけれども、この問題は、だんだんと議論が下火になっていくかと思うと、そうではないんです。だんだんと深く広く広がっていくんですね。  ことしの八月二日から二十八日にかけて開かれた国連人権促進保護小委員会五十一会期においても、組織的強姦、性奴隷制及び奴隷類似慣行の決議というふうなものが行われたんです。何か非常に難しい決議ですが、簡単に言えば慰安婦問題決議案ということであるようであります。  それで、この国連人権小委員会委員は二十五人おります。その二十五人のうち、この決議案を提案したのがアメリカ、イギリス、中国、韓国、ベルギー、ノルウェー、メキシコ、ブラジル、コロンビアなど、委員十五人で共同提案されているんです。アメリカ、イギリス、中国、韓国、こういうところを含めて。そしてこれが可決されております。  この中に、従軍慰安婦問題について主なものを拾い出してみますと、次のようなものがあるんです。  一項目めに、慰安婦問題について国際法上日本に法的責任があるとした昨年のマクドゥーガル特別報告官の報告書を評価する、日本に法的責任があるというふうに言っているんです。それから四項に、軍隊の全行為に対して、国家に賠償責任の義務があることを規定したハーグ条約を再確認すること。それから十三項に、慰安婦問題など戦時下における組織的暴力問題で、国家と個人の責任は平和条約によって消滅しないことを確認するというのがあるんです。十五項に、今回の決議案の原則を次期五十六会期人権委員会で承認するよう勧告する。来年の一月の人権委員会でしょう。それから、人権小委員会五十二会期、来年の夏ですね、慰安婦問題の検討をすることを決定する。また来年の夏もやりますと、こうなんです。毎年毎年やるんです。私もこの夏の人権小委員会に四回行ってきましたけれども、ずっとやっている。それで、日本の代表がそこで責められている。  野中官房長官にお聞きしますけれども、今ここにも出ておりますが、元慰安婦の個人補償問題に対する見解が、今おっしゃるように道義的ということは超えられないんだ、国民基金によって解決するしか方法がないんだとおっしゃっているその根拠の中に、戦後の二国間条約によってすべて解決済みというふうに政府は見解を出している。日韓基本条約の問題とか、基本的にはサンフランシスコ平和条約もありますけれども、そういう二国間による条約によって解決しているんだという立場に立っている。しかし、国連人権小委員会の決議は、先ほど言ったように、平和条約があっても国際法で認められた国家の損害賠償責任は存続するというふうに、ここでそういう立場を明記してこれからも議論をしていくというのです。だから、政府の見解というのは国際的にはだんだんと孤立していく、それで厳しい国際法上の批判にさらされていくということになる。残念ながら私はそう見ます。  そこで、政府は、やはりこうした国際社会の意見にも謙虚に耳を傾けて、これに従って国の法的責任を認めることから、すなわち道義的責任を越えていくということですね、この慰安婦問題の解決を図るべきだと私は考えるんですが、官房長官は頑としてそういうお考えはないとの先ほどの答弁で、まことに残念であります。  だけれども、私は申し上げておきます。そのことを抜きにして解決もないし、やがて私たちはそういうことをやらざるを得なくなると思います。それはもう時代の流れだと思います。  それではお聞きしますけれども、台湾の慰安婦問題はどのような平和条約によって解決済みになったと言うんでしょうか、はっきりお聞かせください。台湾と日本はどういう関係に今あるんですか。
  69. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員が御指摘になりましたように、いわゆる従軍慰安婦問題も含めまして、さきの大戦に係ります賠償並びに財産請求権の問題につきましては、先ほどお触れになりましたように、我が国といたしましてはサンフランシスコ平和条約あるいは二国間の平和条約、その他関連する条約等に従いまして誠実に対応してきたところでありまして、これらの条約等の当事国との間では解決済みであるとの立場をとってきておるわけで、この立場には変わりないわけでございます。  我が国と台湾との間の財産請求権問題につきましては、我が国と台湾の施政当局との間の特別取り決めにより処理することとなっておったのでありますが、この取り決めが結ばれないまま日中国交正常化が実現をいたしました結果、台湾の施政当局との間で今申し上げたような処理を行うことができなくなってきたわけでございます。  したがいまして、従軍慰安婦問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように台湾の方を含めて、先ほど委員からその広告等について厳しい御指摘がございましたけれども、台湾につきましてもアジア女性基金で一九九七年五月以来、事業内容等について新聞広告等を掲載して事業を開始しておるところでございます。  政府といたしましては、この問題に対して、我が国国民と我が国政府の真摯な気持ちのあらわれでありますアジア女性基金を通じた取り組みに引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思うわけでございます。頑固な説明に終始して委員の御期待にこたえられるほどの答弁ができないのはまことに申しわけなく存じますが、現実の問題としてアジア女性基金が現存いたしておるわけで、それぞれ関係者の皆さんは、亡き原前参議院議長を中心にいたしまして真摯な努力を傾けていただいておるわけでございます。  実際に御努力いただいております皆さん方とも、今後委員が御指摘になったような問題等の意見交換は、十分私どももこの時点に立ってやらせていただかなくてはならない問題の重要なことだと考えております。
  70. 本岡昭次

    本岡昭次君 河野官房長官が一歩大きく踏み込まれた。さらに野中官房長官がと期待をしておったんですが、残念です。  そこで、これだけはひとつはっきり答えていただきたいと思います。  二国間条約で解決しているから日本の国の法的責任はもうないんだ、賠償責任もないんだというその問題と、一方、外務省の条約局長等は従軍慰安婦の皆さんの個人の請求権というふうなものは、例えば韓国の方であれば日韓請求権協定が結ばれていても残されているんだ、個人の請求権は放棄されていないということも一方でおっしゃっています。  そこで、私は思うんですが、日本の戦後補償、わけてもこの従軍慰安婦問題、自分が長く取り組んできただけに、官房長官、この問題の解決が被害者の自然死、お亡くなりになるというその時効にかけて、問題を解決しようとしたけれども皆亡くなられてしまったというふうな状況のところ、それで一つの問題の解決だというふうなことにしてはならぬと思うんです。このまま行ったらそうなるでしょう。戦争という国家の行為によってもたらされたこの重大な人権侵害に対して、戦争を遂行した国の政府、アジアに対しては日本が、はっきり正義の立場に立って自国の不正義を率直に認めて謝罪し、可能な限りの補償をすることは、私は国際社会における条理であると思います。  そこで、それでは政府や国会が、元慰安婦被害者の損害補償請求問題を解決するための新たな立法措置があればどうなるのかということです。私は、かつてそのための議員立法を参議院に、廃案になりましたけれども提出したことがございます。しかし、そこで大きな問題になったのは、その種の法律は条約違反、憲法違反になるのではないかということで法制局がたじろぐんです。私はそれはおかしいと思う。おかしいと思っても、法制局がきちっとやらなければ議員が議員立法を出せないという仕組みの中で、これは大変なことなんです。  そこで、これだけははっきりさせていただきたいんですが、国会議員が、今何ぼ野中官房長官に申し上げても、いやもう動かれへんのだ、変えられないんだとおっしゃる。そうすると、変える方法は、議員立法を提出して、そしてそれを法律にして、外務省が今どんどん出しているお金をそこへ入れて出せば新たな税金をそこへ投入する必要はない、今でもどんどんお金が出ているんですから。あとは出し方の問題だと私は思うんです。それは法律がないから出せない。その人たちに、道義的という言葉を超えて、法的責任というものをうたって被害者の皆さんに渡す、被害者の皆さんが納得して受け取っていただくという内容を持った法律をつくって、法律を通してお金を出す以外にないと私は思うんです。それは我々議員でできるわけです。議員立法としてやれるわけです。  ところが、その議員立法をつくることになると、それは条約違反であるとか憲法に違反するとかいう論議が出てくるんですが、官房長官、そういうことになるんですか。
  71. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど来申し上げておりますとおりに、過ぐる大戦の賠償並びに財産及び請求権の問題につきましては、従来から申し上げておるとおりに、サンフランシスコ平和条約や二国間の平和条約、さらにはその他に関連する条約等に従いまして誠実に対応をしてきたところでございます。これらの条約等の当事国としての間では解決済みであるわけでございます。  これらの条約等を踏まえた上で、いわゆる従軍慰安婦問題につきまして、新たな立法を含めどのような措置をとるかは、これら条約等が規定している問題ではないと考えられるところでございます。  また、そのような措置をとることが憲法上の問題を生じせしめることはないと考える次第であります。
  72. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうしますと、我々議員がこの従軍慰安婦問題を解決する一つの方途として、謝罪と一定の金額を被害者の皆さんに補償するという内容を盛り込んだ議員立法を出し、そしてそれが成立するというそのこと自身には問題ないというふうに今おっしゃったわけで、これは非常に私にとって朗報であります。  というのは、アメリカも戦時中、日系アメリカ人が日系であることをもって強制収容されたんですね、たくさん。それで、財産を奪われ、いろんな人権上の大きな侵害を受けた。それで、戦争が終わって、この人権侵害をされたことに対して謝罪と賠償をせよということを裁判で訴えた。しかし、最高裁判所では、だめだ、それは認められないといって退けられた。そこで、今度はアメリカの議会が動き始めて七年間かかって議員立法をつくって、そして市民自由法というまことにいい法律の名前なんですが、そういう法律をつくって、そんな難しい賠償がどうのこうのじゃなくて、市民自由法をつくって、そして一人当たり二万ドルと大統領の署名入りのおわびの手紙、そこには道義的というようなことは書いていない、あなたの人権を侵害したことを申しわけなく思うと、こういう意味です。  そういうことで、私の親戚も一人その対象者がいて二万ドルをもらって、このお金はアメリカの人のお金だからこのお金はアメリカへ行って使うと言って、夫婦で旅行してアメリカで使って帰ってきました。  やはりそういうのを見て、アメリカでも七年間もかかって議員立法をつくってやらにゃいかぬほどの難しい問題だという認識を私は持っておるんですね。だから、やはり今のような政府のかたくなな態度を破っていくためには、これは国会議員の良識においてやる以外にはないんじゃないかというふうに私は思っておるようなわけであります。  これからそういうことで大いに頑張っていきたいと思いますので、どうか官房長官、ひとつ支援をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  73. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 本岡委員に続きまして質問をさせていただきます。  私の質問の角度は、午前中の世耕委員質問と若干重なる部分もございますけれども、公会計の議論がいろいろさまざまになされておるわけでございます。その中で、公会計にバランスシートを導入するとか、あるいは午前中大蔵大臣も発言されましたけれども、公会計の現金主義というものを発生主義に変えていくといったようなさまざまな議論が行われているところは、もういろいろと言われておるところ、まさにそのとおりだと思いますが、改めまして、きょうは決算委員会の場でございますので、公会計の変更の議論がどの程度大蔵省の内部でも行われているのかということを伺わせていただきたいと思いますし、また、それを使って会計検査を行われる会計検査院として、私としては恐らくバランスシートがあった方が今までの資産の積み上げの連続性といったようなことがわかるんではないか、そんなふうに思いますので、会計検査院としてどういうふうに考えておられるかということを伺いたいと思います。  まず大蔵大臣に、午前中世耕委員の方からもお話がありましたけれども、また行政としても考えられるというような御答弁だったように思いますが、具体的にどのように大蔵省の中で考えておられるか、その点、簡単で結構でございますが、お答えいただければと思います。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前にも浅尾委員からもこのお話、お尋ねがあったと思いますが、大変に明確に大蔵省は今こう考えてこうしたいと申し上げるまでには行っていないのですが、公会計ではありながらいかにも、ある種の特別会計はそれとして、コストベネフィットといいますとベネフィットというのは何だと、企業と違いますので定義が難しい。しかし、事と次第によってはコストベネフィットの関係が全く一般会計の仕事の中に存在していないということではないじゃないか。一つのことを達するのに、よりコストリーな道とそうでない道はあり得るわけでありますから、したがって、そういう分析が成り立たないということも言えないではないか。  それから、殊に納税者のいわば税金を使わせてもらって仕事をするんですから、金利というものがありませんので、そこも一つ立場がイージーになりやすいということも本当ではなかろうか。あるいはまた、毎年国が仕事をいたしますが、その結果として、国富と申すと、またちょっと定義をしないままお許しいただきたいんですが、いわゆる国富のような考え方、国としての財産といったようなものを全くつかめていないのか、そうして片方で、国は債務を負うがその債務に対して国の資産というもの、それは全部処分できるとは思わないが、しかし資産がないという話もないではないかといったような問題、そういう問題がいろいろに私ども省内でも議論されております。  そして、国会の御質疑の中でバランスシートのようなものを考えるべきじゃないかということがしばしば御指摘を受けているものですから、それはアメリカでもいろいろなことをやっておる、検討しておるらしいのだから、ともかくどういうことが可能であるのか一遍先入観を持たずに素直にやってみたら、考えてみたらどうだ、現にある種の事業会計ではやれているんだからと。  まとまらないんですが、そういったようなことをとつおいつ省内で議論いたしておりまして、国会における、殊に決算委員会におけるそういう点の御指摘については大変に私ども心をむなしくして傾聴させていただきたい、そういったようなところでございます。
  75. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) お答えいたします。  近年、国の財政状況が非常に厳しくなってまいりますに伴いまして、国民の財政状況に関する関心も高まってまいりました。その過程におきまして、現在の会計制度や決算がわかりにくいというような意見があるのも事実でございます。  また、国の財政状況の理解に資するためにバランスシートを作成するなどしまして複式簿記の会計方式を導入することにしたらどうかというような議論が多々なされていることも、私ども会計検査院としても承知しているところでございます。  この点につきましては、先ほど大蔵大臣からも御答弁がございましたけれども財政当局におかれましても鋭意調査研究を行っておられると承っております。  私どもといたしましては、こういった国の会計制度、決算制度につきましていろいろな創意工夫がなされることによりまして国の財政状況が国民にとって把握しやすくなる、理解しやすくなるということは非常に結構なことだと思っておりますので、財政当局におかれましていろいろ御検討なさっておられることなどを見守りながら対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  76. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろいろなところで複式簿記の議論はされておるのかなと思いますし、また、午前中もお話がありましたように、現金主義の会計ではなくて発生主義考えていくといったようなことも少し考えていかなければいけないのかなというふうに思っておる次第でございます。  そこで、もう既に複式簿記を試験的にと言ったらいいのかもしれませんが、導入しております自治体が幾つかございます。私の地元の神奈川県でも、例えば藤沢市は導入しましたし、横浜市や横須賀市、あるいは神奈川県そのものも導入を検討しておるということでございます。導入したからすべてが解決するという問題でもない、私はそういうふうに思っておりますが、導入することによって今までわかってこなかったようなことがいろいろわかってくるんではないかな、こんなふうに考えておる次第でございます。  そこで、これは大蔵大臣に御答弁いただくのがいいのかどうかわかりませんけれども、今の現状そしてコストベネフィットアナリシス、大変率直にお答えいただいたところでございます。  国のやることですから試験的にというのもなかなか難しいのかもしれませんが、例えばいろいろな民間団体がもう既に試験的に、国の勝手格付じゃなくて、勝手バランスシート作成といったらいいのかどうかわかりませんが、大蔵省OBの方がつくられた民間のシンクタンクが先般国のバランスシートをつくられたというようなことも発表されておりますけれども大蔵省の中で試験的につくられるようなことは考えられるかどうかということだけ、研究中であるということなのかもしれませんが、ちょっとその点だけお答えいただければと思います。  すぐに導入するのが難しいとなれば、試験的にやってみるということが考え方として可能かどうかということをお答えいただければと思います。
  77. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたけれども、とにかく虚心にアメリカあたりでどういうことをやっているのかを学びたい。そういうことは既にやっております。  それから、事業会計の中でできるものがあるではないかということも、これも認識しておりますから、どうも他方で相変わらず大福帳だと言われることには甚だじくじたるものがあるだろうと思いますので、そこのところで何かできることをやってみたいなというようなことは、一種の試行錯誤といたしまして私はないわけじゃないんだろうと思います。
  78. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 きょうは太田総務庁長官にもお越しいただいておるわけでございまして、私の記憶が正しければ、多分総務庁長官は、恐らく考え方としては公会計に複式簿記を導入することに賛成の御意見なのではないかなというふうに思います。特に、総務庁長官のお立場から行政監察ということを考えた場合にも、やはりいろいろな物差しが複数ある方が行政監察の手段としてもいいのではないか。大福帳というふうに今お答えいただきましたけれども、大福帳式の一つ決算がある、それとは別に複式簿記があった方が、税金効率的に使われているかどうか、しかも時系列に沿ってわかっていくんではないかな、こんなふうに思います。  質問は、総務庁長官としての御所見と、あるいはそれよりさらに広がって閣僚として政治家としてどういうふうに考えておられるか、二点、後段の方ももしお答えいただければというふうに思います。
  79. 太田誠一

    国務大臣(太田誠一君) 今の行政監察の観点から申し上げれば、比較的企業活動に近い事務事業を監察する場合には、例えば五月の国立大学附属病院の監察を把握分析するためには財務諸表の作成方をきちんとやるべきであるという指摘をいたしましたし、また厚生年金の監察では、当庁がみずから行った減価償却費の試算に基づいて施設の運営の見直しを指摘したところでございます。  もちろん、行政監察の観点からいえば、ちゃんとどうなっているのかということを掌握するためには複式簿記でやっていただくことがありがたいわけでございます。  しかし、余計なことを申し上げるわけでございますが、例えば今度財投機関が財投機関債を出して自分のリスクでもって、自分の責任でもって資金調達をするようになりますと、今度は財投機関について格付の問題が当然起きてくるわけでございます。格付の問題が起きてくるということは、すなわちその財投機関については自分の財務内容を開示しなければいけない。今、委員がおっしゃっていることは、ディスクロージャーということと、あるいは情報の開示ということと関係するわけでありまして、企業がみずから資金を調達しようとすれば必ず自分の財務内容がどうかということを示さなければいけない。  そのことから、複式簿記のように自分の現状について正しく人に知ってもらわなくちゃいかぬ、不特定多数の人に知ってもらわなくちゃいかぬという問題が起きてくるわけでございまして、その延長線上でいえば、あらゆるものは、それは例えば国債発行をするのならば同様のことが起きてくるわけでございまして、近い将来の課題としてはおっしゃることは十分にあると思います。  また、今度省庁改革が行われますと、二〇〇一年の一月一日以降については、今度は政策評価ということを新生の総務省がすることになるわけでございますが、政策評価についてはまさに独立行政法人ももちろん対象になりますけれども、一般の政策も評価の対象になりますので、そのときにはそういう複式簿記の観点というものは不可避であるというふうに考えております。
  80. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、今の複式簿記の話を具体的な例に沿って御質問させていただきたいと思うんです。  複式簿記が導入されていないからというわけでもないのかもしれませんが、国の財政の中には、要するに赤字あるいは建設公債によらない歳入として特別会計と一般会計との間の借金の資金の出入り、いわゆる隠れ借金というものがあります。これはもう申すまでもありませんけれども、なぜ隠れ借金というのかというと、いろんな理由があるんでしょうけれども一つは私は、バランスシートという形で載ってくればこれは隠れじゃなくて本当の借金になる。ただし、特例法その他で繰り入れ、繰り戻しという形にすると、当該年度においては当然国会の場に出てきますけれども、その間についてはなかなか明らかになってこないから隠れ借金というふうに言われるのかなというふうにも考えております。  一つその例としまして、自賠責保険というのがたしか平成七年と八年ですかに一般会計の方に余剰資金を繰り入れて、そしてこれを平成十何年かにかけて返済をしていくというふうに出ておったと思いますけれども、この隠れ借金の、例えば自賠責保険を例とさせていただきますと、これは複式簿記の観点からも御質問させていただきたいと思っておりますが、バランスシートという形になっていけば、国がどういう形の借金を負っているのかより明らかになるんではないか。もちろん、今明らかになっていないというわけではありませんけれども、常に残高が今これだけありますよということが、毎年毎年自賠責会計にはこれだけあります、あるいは厚生年金の会計にはこれだけありますとか、地方交付税特別会計にはこれだけありますということが明らかになってくるんではないかなと思います。  そういう観点からもし御所見がございますれば、大蔵大臣にお答えいただきたいと思います。あるいは事務当局でも結構です。
  81. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 御指摘の点につきましては、いろいろな性質の特例措置が含まれております。今、先生幾つか名前を挙げられましたけれども、これにつきましては相当前から一体どういう項目があって、金額が幾らかということは毎年プレスにも発表していることでございます。したがって、別に隠したりしていることはないわけでございまして、我々としてはこういうものがありますということはむしろ積極的に開示をしているつもりでございます。  従来、いろんなやったことにつきましての返済などの処理につきましては、財政事情も見ながらいろいろ努力をしているところでございまして、例えば平成十一年度、今年度で申しますと、従来やっておりました厚生年金の国庫負担金の繰り入れ特例をやめるといったようなことも現にしておりますし、そういった過去の経緯等も踏まえましてこれからも適切に対処していきたいということでございます。  具体的に名前を挙げられました自賠責特会の件でございますが、これは平成年度と七年度の二回にわたりまして合計一兆一千二百億円を特会から一般会計に繰り入れをいたしました。これは将来は繰り戻しをする必要があるわけでございまして、過去においても二度、平成年度の補正予算と平成年度の補正予算におきまして合計二千三百五十二億円の繰り戻しをしております。  これからどうするかということにつきましては、確固たることは申し上げられませんけれども、一般会計の財政事情、それから自賠責特会の運営、そういったものを見ながら考えていきたいと思います。  したがって、複式簿記なりバランスシートとの関係でおっしゃいましたけれども、もちろんそういうことをすればその部分も組み込まれるでありましょうが、今まででも全く国民との関係で言えば明確になっているということは申し上げられると思います。
  82. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今まででも明確というのは、繰り入れる年あるいは繰り戻す年にはもちろん発表するということでしょうけれども、間の年には出てこないということなんではないかなと。先ほど総務庁長官が言われましたように、ディスクロージャーを進めるという観点からすれば、複式簿記を導入されればその間の年もそういったようなものが残っているということがわかるということが言えるのではないかなというふうに思って質問をさせていただいた次第でございます。  時間の関係で次に移らせていただきたいと思います。  さて、複式簿記の話から若干それますけれども、複式簿記を入れる、あるいは先ほどコストベネフィットアナリシスという言葉を使っていただきましたが、その観点というのはいかに税金というものを効率的に使っていくかということと関連するのかなというふうに思いますが、予算を執行するに当たりまして、事業評価という考え方がもちろんあるのかなというふうに思います。国の借金も大変ふえておるということはもう巷間言われているとおりでございますが、その中で優先順位をつけるに当たって、もちろん国民生活からの要請というのが一つ当然あるわけでございましょうけれども、例えば景気刺激といったようなことを考えた場合には、景気に対する乗数効果といったようなことも当然考えていかなければいけないのかなと。景気刺激ということが一つの目的であるとするならば、国民からの要請ということはもちろん必要であるとしても、限られた予算の中でやるとするならば乗数効果の高いものからやっていくということが必要なのかなというふうに考えております。  そこで、予算編成をされるに当たって、いかに乗数効果というか事業評価といったようなものを考えに取り入れて行っておられるのか。特に、今申し上げましたように、すべては国民からの要請ということになるんでしょうが、それが同じであるとするならば、国民からの要請というのは非常に数量化しにくいものだと思いますから、だとするならば、より数量化しやすい景気回復という目的に基づいてやるならば、数量化しやすい乗数効果といったようなものを考えて予算編成をされるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  83. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大変難しいお尋ねですので、御満足のいくようにお答えができないと思いますけれども国会でしばしば、政府が提出いたしました予算について御審議がありますときに、一番わかりやすい例は、減税と公共事業とどっちが景気回復に資するであろうか、あるいはもう少し面倒に言えばどっちが乗数効果が大きいだろうか、こういう御議論はしょっちゅうございます。  そうして、何と申しますか、私どもが経験したことでは、我が国の経済が興隆する初めの時代には確かに公共投資というのは非常に乗数効果が大きかったということぐらいは申し上げられるわけでございますけれども、だんだん経済が大きくなってまいりますとその辺も十分、第一、乗数効果が幾つかということすら議論が一緒になりませんので、政府としては大きな意味で、この際二兆円の金がある、これを減税に使うか公共事業に使うかといったようなそういう大変大まかな判断はそれはもう当然いたすわけですけれども、効果がこのぐらいである、乗数がこのぐらいであるというような議論は、そもそも乗数理論そのものを十分には定義づけられませんので、何もやっていないかとおっしゃればそれは一生懸命やっておりますとは申し上げますものの、片方の乗数効果が幾つで片方の乗数効果がこうこうでございます、したがってといったようなことは、なかなか現実にはいたしがたいことだというのが正直な現状であろうと思います。
  84. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 恐らくそういうことなんだろうと思います。  そこで一点、ちょっとこれは事前のレクの中ではお話ししていない話なんですが、例えばニュージーランドという、大変日本と比べれば人口が四十分の一ぐらいの小さな国でございますけれども、この国においては、政府の事業を行うに当たりまして、一番わかりやすい例でいいますと、A地点とB地点との間で道路を結ぶとすれば、その道路をつくるときに起きるような、投資が幾らかかって、それに対してそれに伴う交通量がふえることによる経済効果がどうかといったようなことをいろいろ考えておるというようなことだそうであります。  そこで、それをすぐ日本でやれということではないんですけれども、そういったような何といいますか客観的な物差しを、もちろん省内では一応検討されるというようなお答えだったと思いますけれども、客観的な物差しを、これは立法府としてつくるべきなのかもしれませんが、行政府としても、あるいはそれが世間一般にもわかるような形で出てきた方が予算あるいは税収が少なくなっているときの説明としてはしやすいんではないかなというふうに私は思う次第でございます。  これは事前に通告していないものでございますから、もしお答えいただけるのであれば事務当局でも結構でございますが、そういったようなものを客観的につくってそれを世間にも発表する予定があるかどうか、お答えいただければと思います。
  85. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 政府の予算編成に当たりましても、できるだけ国会、国民にわかりやすい資料なり根拠をお示しするということは大変大事なことだと思っておりますものですから、例えば公共事業の予算編成に当たりましては、最近でございますけれども、事業の採択に当たって費用効果分析というのを一部導入しておりますし、これからできるだけ全体の公共事業にこれを広げていって、なおかつそれをできるだけ世の中に公表したいということで今進めております。  ただ、コストベネフィットアナリシスのやり方というものについては、これはいろんな手法がありますので、一義的なものを全体に確立するというのは現実には相当難しい問題であります。したがって、完全に一つの基準をつくれば自動的に結果が出てくるというものにはならないと思いますけれども、できるだけわかりやすくお示しするという趣旨でいろいろな工夫をしてみたいというふうに考えております。
  86. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私もぜひそれをやっていただきたいと思います。そこで一番大事なのは、すぐできないというか、それがなかなかAかBかと切るのは難しいというお答えはそのとおりだと思いますが、考え方を公表するということが大事なんじゃないか、こういう考え方でこう決めましたというその考え方を公表することが大事なのではないかなということを申し述べさせていただいて、次の質問に時間の関係で移らさせていただきたいと思います。  今の質問とちょっと関連しますが、会計検査院に伺わさせていただきたいのは、もし財政当局がこういう考え方で、コストベネフィットアナリシスでこういう公共事業をやりましたということを発表して予算を執行したということになった場合に、それを、実際にそうなったかどうかということをまた検査していただくことによって、その考え方そのものもよりよいものに変えていくことができるんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひそういう方向で検査をもし公表するようになられたらやっていただきたいと思いますが、それについてもし御意見等ございましたらいただきたいと思います。
  87. 疋田周朗

    会計検査院長疋田周朗君) 私ども検査対象機関に対しまして行っております検査に当たりましては、いろいろな観点から多角的に検査を行ってきているところでございます。  法令どおりに適正に会計経理が行われているかということはもちろん基本でございますけれども、事務事業が経済的、効率的に実施されているか、それからさらには多額の資金を投入して実施されたいろいろな施設や設備などが有効に利活用されているかどうかという有効性の観点からの検査、いろいろな観点からの検査を行っておりますが、これらの検査の中で従来必ずしも十分な検査が行われていなかった領域といたしましては、最後に申し上げました有効性の検査、これをもっともっと充実させていく必要があるということで、鋭意そういった有効性の検査の手法などを開発していくということに努力しているわけでございます。  この点は日本に限りませんで、世界各国の先進国の会計検査院でも共通の認識を持っておりまして、実は昨日から先進諸国九カ国の中堅実務者に日本に集まっていただきまして、業績評価、有効性の検査に関するフォーラムを来週にかけて開いているところでございます。  いずれにいたしましても、政府におかれましても今後政策評価を充実させておいきになるという方向が決まっておりますので、先ほど委員おっしゃいましたように、ある程度そういった尺度が決まっておりました場合には私どもも業績評価を行いやすくなるということで非常に結構なことではないかと考えておりまして、私ども会計検査院といたしましても、そういった有効性の検査をますます充実させていくよう引き続き努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  88. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので、終わります。
  89. 山本保

    ○山本保君 私、ちょっと十分間だけ時間をいただきまして、今まで余り議論されていなかったそうですから、ちょっと細かい話かもしれませんが、総理府の所掌事務にございます世論調査につきましてお聞きしたいと思います。  時間が短いものですからはしょってお聞きいたしますけれども平成八年、九年度ですと約三億八百万円ずつということでございます。それ以後少し一割ほどカットされているようでございますが、ここに持ってきましたようなこういう冊子を出されて、(資料を示す)非常によく我々も使わせていただいておるわけでございます。この進め方、プロセスについて少しお聞きしたいと思います。  総理府設置法には細かい規定はないようでございまして、いろいろ役所の方に来ていただきましてお聞きしたのでございますけれども一つ官房長官にお聞きしたいのは、これは各省庁でさまざまに調査をやっているわけですね。例えば、これは社会意識というようなものですが、あと河川、食料というようなのがございます。担当している各省庁がやる調査以外に総理府でこういう調査をしている目的ということについてお聞きしたいと思います。
  90. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 総理府が実施をいたしております世論調査は、国民の意識をできる限り客観的に把握をするものでございまして、これを適切に国政の上へ反映をいたしますための基礎資料となる重要な調査であると認識をして行っておるところでございます。  今後も、国民の意識を適切に政策へと反映させるために、より正確にかつ迅速な調査を実施できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 山本保

    ○山本保君 官房長官、セロンと言われました。私もセロンと言う方が言いやすいんですけれども、何か現場ではヨロンと言っておるようでございますね。  そこで、今のお話でございます。もう少しそれについて、各省庁もやっているわけですから、総理府で改めてそれにダブるようなことをしなくてもいいんではないかなというふうにまず一つ思うわけです。  それで、時間もありますのでちょっと先に進みますが、お聞きしますと、各省庁でいろいろ調査をすると、その年度に実施している施策なり予算なりと非常に絡んできて、国民の意識を調査という名をかりて動かすようなことになるのではないかということがないように、今、官房長官がおっしゃったとおり、より客観的な調査とするために総理府で行っているのだというような御説明を聞いたわけなんですけれども、長官、どうでしょうか、そういう考え方でよろしいんでしょうか。
  92. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) おっしゃるとおりでございます。
  93. 山本保

    ○山本保君 ただ、そうなりますと、やはり総理府で行ったとしても、それは役所がやっている、官がやっていることでありますので、そんなに程度の差はないのではないかという気もするわけです。  しかも、問題はこの手続でございまして、各省などで行う場合には、当然関連の審議会の意見を聞いたり、そのための有識者に集まっていただくようなことをやっておるようでございますけれども、総理府の場合はなかなかこれができない。実際には各省庁の担当者に集まっていただいてその内容を決めるということになりがちだと思うわけです。  ですから、もし今のようなお答えであれば、きちんと調査項目を決めたり、実施方法または分析の中身についても、まず総理府としてもきちんと学識経験者などの意見を聞いたり、または国会報告するような形をとって、より客観的な情報である、または直接国民から聞いたのである、各省庁とは違うんだということをはっきりさせなくちゃならないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。
  94. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 世論調査調査主題につきましては、社会経済情勢の動向とか政府の主要施策との関連、あるいは各省庁の要望等を総合的に勘案して選定をさせていただいておるところでございます。したがいまして、世論調査の結果を効率的に行政に反映させるという観点から、総理府におきまして行政内部で行っておるわけでございます。  この際、内閣の重要な施策に関しましては、調査を機動的に行うことを本意といたしておりまして、従来より、これを主題といたしまして、例えば少子化や男女共同参画社会、公的年金制度などに関する調査を実施してきているところでございます。  委員も今御指摘ございましたように、重要施策につきまして、今後とも客観的に、かつ機動的、効果的に実施するように努めてまいりたいと考えております。
  95. 山本保

    ○山本保君 ぜひ、今までも場合によっては意見を聞くようなこともしておられるようでありますので、なるべくそういうのをふやすような形で、今おっしゃったとおりに進めていただきたいと思います。  そこで、もう一つ別の観点から考えますと、何か総理府とかお役所がやりますと公平無私で客観的だという感覚、これは確かに一面あるわけですが、今特に小渕総理も進められていますように、私ども政治家も、政治が主導する形で官を動かす、官僚を動かすというこういう大きな流れの中で、役所がやっているので公平無私である、こういう一つの視点のほかに、例えば総理もいろんな形で新しいビジョンとか経済計画などを出される、これについて即応した形で必要な統計調査、またもしくは意識調査をするということが今まで以上に必要ではないかと思うわけなんです。ところが、そういうことはどうもやられていない。  そこで、具体的にお聞きしますけれども、今度の中央省庁の改革に伴いまして、この辺について、例えば内閣内閣広報官というものができる、一方、これまでの仕事は内閣府の広報室の仕事として行われる、こういうふうに立て分けられたということでありますけれども、この内閣広報官の仕事がもしくはそういうことなのかなという気もするんですけれども、私が申し上げた政策に直結するような意識調査というようなことについての必要性、もしくはどういう態度でこれからそれを進められるのか、官房長官にお聞きしたいのでございます。
  96. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) おっしゃいましたように、内閣の重要施策につきましてこれからも敏速かつ効率的、かつ客観的に行ってまいりたい、それが内閣の重要施策の上に生かされるようにしていきたい、このように思っておる次第でございます。
  97. 山本保

    ○山本保君 内閣広報室のこれまでの世論調査を見ますと、なかなかそういうぐあいにはなっていない。まさにそういうものを捨象した形で、これはもう公平、客観のものなんだ、こういう形が多いと思うんです。これはごらんになればすぐおわかりになります。価値的な評価は避けておりまして、極めて客観的な分析をしているんです。ですから、これはこれとして必要ですけれども、ぜひ政治家として内閣を引っ張っていく、行政を引っ張っていくという、この辺についての仕事をやっていただきたいというふうに思って申し上げました。  もう一つだけ。  また細かい話でございますけれども、実はこの調査は実際には民間に委託しておられる。ところが、その委託している会社といいますか機関というのは二社であって、これはもうずっと変わっていない。お聞きしますと、一万例ぐらいの調査を直接自分でやれるような実績のある会社でやるというようなことで決めておられるようでありまして、こうなりますと、なかなか新しいものは出てこない。やはり新規参入といいますか競争が起こりませんと、今特に問題があるということで申し上げているわけではありませんけれども、こういう部門におきましてもきちんとそういうことは進めるべきではないかと思うんです。  そうしますと、何かその辺で、例えばもう少し分析と集計を分けて、小さなシンクタンクなども最近あるわけですから、そういうところにやらせるような方法とか、何か工夫が必要ではないかと思うわけでありますけれども、この辺の条件を緩和していくようなことを考えられていないのか、お聞きします。
  98. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 私は、総理府におきまして調査をいたす上で民間機関に委託をしておるということは承知いたしておりましたけれども、今、委員が御指摘になりましたような実態があることは承知をいたしておりません。  御指摘をも踏まえまして、十分検討させていただきたいと存じます。
  99. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。では、よろしくお願いします。  かわります。
  100. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、御苦労さまでございます。  昨日午後、東京外国為替市場が反落いたしました。三時に法人企業統計が発表になりまして、その中で特に注目されたのは、四月から六月期の設備投資が前年の同期比一三・四%も減少しているということである。このことから円売り、ドル高が急速に進みまして、午後四時には一ドル百十一円までつけた。終わり値では前日比一円以上下がったところで終わっているわけです。  やはりこの円売りとドル買いを余儀なくされる、特に外国の投資家が、という現状で、円高が一時休止するんじゃないか、そういうふうな見方も市場では広がっているようでございますが、この点について、もちろん詳しい相場についての発言というのは総裁のお立場でできないと思いますが、どういうふうな印象をお持ちか、お話し願えますか。
  101. 速水優

    参考人(速水優君) 円相場の水準につきましては、私の立場から余りコメントすることは控えたいと思うんですが、今の水準というのは年初の水準でもございますし、その後かなり動きがありましたけれども、市場の方は、比較的自動的に二十四時間グローバルに動いている市場でございますので、行き過ぎれば戻るということが起こって繰り返されている。一般的には関係国の経済のファンダメンタルズを反映して動いていると考えていいと思っております。  特に、最近の動きとして目立ちますのは、日本の経常収支はずっと黒字なんですが、海外からの日本買いの買いというのが年初来六兆を超えるような買いになっております。そういうものが円を強くし、株を支えているということは確かに言えると思いますし、出ていく方は比較的穏やかに出ていっているということかというふうに思っております。
  102. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀が公定歩合を〇・五%に定めてから本日でちょうど四年がたつわけでございます。九五年の九月八日でございました。  それで、ゼロ金利政策というのは、確かに、株価を押し上げてみたり、あるいは企業の収益、特に金融機関、鉄鋼、ゼネコン、それから総合商社といったところの景気浮揚策につながって、異例な政策でございますが、それなりの効果が上がってきている一方で、構造改革のおくれを来すといった逆の副作用というのも伴っているわけでございまして、この辺のバランスをとりながら、四年間、総裁は〇・五%という金利を続けてこられました。  ところが、私どもの身辺に一番影響があるのは家計への影響でございまして、一%金利が下がると一世帯で一年間二万四千円の減収になるんだということです。このこともやはり相当、国民の皆さんは二万四千円程度ということで余りお騒ぎにならないけれども、非常に私は政治の問題としては深刻な問題であるということ、総裁はこのことをよく御承知の上でいらっしゃると思いますが、一方で金融機関は、例えば利ざやといいますか、低金利政策が始まりましてから過去三年間で八千億程度の利ざやを稼いだと。  一方で機関投資家、生命保険や何かがそうですけれども、これは逆ざやを食らっているわけでございまして、これも約三年間で、生保大手七社でございますが、一兆三千億円程度の逆ざやがある。いい面もあるし悪い面もある。あしたは四月—六月期のGDPが発表になるわけでございますが、時を同じくしてあした政策決定会合をお持ちになられる。この辺のところも検討される予定でしょうか。
  103. 速水優

    参考人(速水優君) お答えいたします。  公定歩合は御指摘のように平成七年九月八日に〇・五%に引き下げましてからちょうど四年間据え置いてきておるわけでございますが、公定歩合の位置づけというものは時代とともにかなり変遷しておりまして、過去の動きと単純に比較することは余り意味がないというふうに考えております。  現にこの一年をとってみましても、金融市場の調節方針を変えるという形で二度にわたりまして昨年の九月にコールレート・オーバーナイト物を〇・二五%に引き下げ、ことしの二月十二日にさらに〇%近くまで下げていったというようなことをいたしておるわけでございまして、公定歩合というものの性格が少し昔よりも変わってきたということが一つ。  それからもう一つの御指摘の、預金者が四年間よく我慢してくれているではないか、それに反して金融機関の方が稼いでいるんじゃないかというような御質問につきましては、確かに年金生活者等、金利であるいは年金で過ごしておられる方々には大変苦しい時期であったと思っておりますし、我慢していただいておるわけでございますが、やはり何と申しましても景気を浮上させていかない限り所得もふえていかないわけで、家計の中で雇用所得というのが比率が高いわけでございますので、企業がよくなり所得がふえていくというふうに持っていかない限り、これは確かに預金の金利その他が低くて困っておられることはわかりますけれども、そういう方向に持っていくべく潤沢な資金供給を今いたしておる次第でございます。金融機関としても特別大きな利ざやを稼いでいるということは感じておりませんし、通常の業務を続けていっているというふうに理解してよかろうかと思っております。  超低金利にはそれなりの副作用もございますけれども、今言われました預金者の、預金金利で食べている人たちの苦労というのは大事なものでございます。私どもも十分頭に入れまして政策を考えてまいりたいというふうに思っております。
  104. 益田洋介

    ○益田洋介君 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。  クリントン大統領は株高を保っている、一方で小渕内閣財政の大量出動によって経済を小康状態に保っているという構図でございますが、問題はこの政府債務が急増していることで、今年度末までの国債の残高見込みというのは三百二十七兆円だとまで言われている。そして、二〇〇〇年には利払いと償還費を合わせて約二十兆円になる、こういうふうな現状です。  ですから、一部には財政出動イコール国債の発行、この国債はやっぱり日銀が引き受けるべきじゃないかという意見も再発しております。この点について総裁の御意見をお伺いして終わりにいたします。
  105. 速水優

    参考人(速水優君) 御指摘のように、政府の国債発行額あるいは債務が他国に比較して比率が高いということは御指摘のとおりでございますし、これは将来に、次の世代に余り大きな債務を残していくというのは私自身としても好ましくないことだなというふうに感じております。  しかし、それを使って景気をよくしていくということが今行われておるわけでございまして、ただ、そのために日本銀行が国債を引き受けたり買ったりすることによって資金を供給するということにつきましては、私どもはこれまでと同様全く態度は変わっておりません。そういうことはいたすべきでないというふうに思っております。  中央銀行が一たん国債の引き受けを始めてしまいますと、財政支出の拡大と通貨の増発に歯どめがきかなくなってきます。国債自体の信頼を失うだけでなくて、将来に悪性のインフレを招くおそれもございます。そうなってまいりますと、日本銀行はもとよりのこと、日本全体の政策運営や円という通貨に対する信認も失われていくことになろうかと思います。こういうことは、我が国を含む主要国の歴史から得られる重要な教訓でございます。したがいまして、新規に国債を引き受けるという考えは全く持っておりません。  また、買い切りオペというようなことをやったらいいではないかと。私どもは月四千億ぐらい今買っておりますけれども、これをふやせばいいじゃないかということでございますが、これも一度ふやし始めますと結局切りがなくて、引き受けと同じ問題を起こしかねないと思っております。中央銀行としては国債の円滑な消化や価格支持を目的としたオペは行うべきでないというふうに考えております。
  106. 益田洋介

    ○益田洋介君 日銀総裁、ありがとうございました。  次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  昨日大蔵省が発表しました景気予測調査の結果によりますと、景況判断指数、いわゆるBSIと言われるものが大企業でマイナス四・一になっている。要するに、マイナスの幅が縮小して結果的に三期連続で現状判断が改善したんだとされておりますが、この点について大蔵大臣、どういう御意見をお持ちでしょうか。
  107. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはりリストラの効果でありますとか不要設備の廃棄であるとか在庫の縮小であるとか、人員の合理化もあるかもしれません、といったようなものを長く続けてまいりました結果として、多少採算が好転し始めているということ、並びに一般的に景気動向も最悪を過ぎたという、両方のことからああいう見通しが出てまいったのではないかと思っております。
  108. 益田洋介

    ○益田洋介君 それから、問題になっています政府の偶発債務、これは国債や借入金に限らないわけでございまして、例えば政府保証をつけている政府系の金融機関の債権や借入金につけた保証、これも九八年度末で残高は五十二兆円にも上っている。そこを見てもここを見ても非常に日本経済というのは大変な状態になっている。そして、これは国鉄の長期債務と同じように、もしその回収が不可能になってしまったならば焦げついて、結局国民の債務ということで国の一般会計で計上せざるを得ない、こういうふうな状況で、政府としてのジャパン・プレミアムが上昇しているという非常に悪い状態が続いています。これは特に国際投資家が非常に慎重になってきているということだと思います。  九月二日付のアメリカの新聞ヘラルド・トリビューンでは、日本の政府債の債務のふえ方というのを見ると、タンザニアのような発展途上国と同じじゃないか、こんな言い方までされているんです。この点、いかがですか。
  109. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日本経済の、今は不況ではございますけれども、少なくともポテンシャリティーはタンザニアと違いますので、余り気にしておりません。
  110. 益田洋介

    ○益田洋介君 お言葉のとおりになることを望んでおります。  本年度末までEUの議長国を務めていますフィンランドのニーニスト大蔵大臣は、日本のあるメディアに対して記者会見の席上で、EUの加盟国、例えばドイツなんかは非常に歳出カットに努めていて経済が上向きになってきている、懸念されていたイタリアでも、財政赤字は依然続いているわけですが、EU内での安定協定で定めた上限を超えるような心配はなくなってきた、全体として欧州の財政収支均衡に向けた軌道に乗っているというように考えていると。  非常に興味がありますのは、EUの中でもフィンランドは経済の好調が目立つわけでございますが、その原因としてニーニスト大蔵大臣は、財政収支改善のためには時代のニーズに合った技術・研究開発を国全体で進めていくことが必要で、フィンランドの場合はそれの実効があって貢献したんだと言っています。  これは言いかえれば、例えば我が国でも、何回かこれは大蔵大臣とも議論させていただきましたが、マルチメディア、つまり情報通信産業の育成だとかそういうことにやはり国も総力を挙げてするべきじゃないか。これは雇用の創出にもなりますし、やはり国全体の財政の再建のためにもこうした考え方が必要じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  111. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 経済の不況、財政の非常な悪化等々、何年かここで苦しんできておりますが、考えようによっては、こういう苦しみがないと、日本は戦後五十年続けてきたことをそのままやっていれば二十一世紀にもちゃんとやっていけるというふうに国民が思ったかもしれない。幸か不幸かこういう非常な苦しい目に遭いまして、これではいかぬなということから、今おっしゃいましたような新しい技術、あるいはテクノロジー、情報等々に国民のみんなの目が向くようになった。  これが、ちょっと調子がよかったら、うかうかしてこういうことにならなかったかもしれないなぐらい私は思いますので、まことにピンチではありますけれども、これはそういう形で将来に向かって生かしていかなければならないし、いくことはできるだろうという意味で、御指摘に賛成であります。
  112. 益田洋介

    ○益田洋介君 次に、来年度の税制改正についてでございますが、これも以前に大臣と議論させていただいた記憶がございますが、特に、税制というのは包括的に見直さなきゃいけないんだという御意見を拝聴したことがあります。  一番目立つのは、前にも申し上げましたが、相続税の最高税率が日本の場合は七〇%にもなる。ほかの先進国に比べて突出しているわけでございまして、アメリカは五五%、フランスとイギリスはそれぞれ四〇%、ドイツに至っては三〇%、こういうことで、相続ができないでいらっしゃる方がちょっとふえ過ぎているのじゃないか。特に、中小企業の事業が継承できないでいる。相続税を払えない。  物納にしましても、今度、非常に申しわけないんですが、大蔵省が今全国各地で国有財産の整理をしようとしている土地を見てみますと、形が悪かったり歯抜けであったりというようなものばかりなんですね。だから物納ということも、やっぱりそういう意味からすると、余り将来的に日本の国土計画、都市計画という観点からしても好ましくないんじゃないかと思うんです。  この税制改正の中で、相続税の最高税率、これは大蔵省が検討しているのは十数人しか該当する人はいないと言っているけれども、やっぱり五〇%前後のところまで下げるべきじゃないか、そういうふうに思いますが、課税ベースが拡大するということは仕方のないことかもしれませんけれども、大臣、いかがでしょうか。
  113. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は、先ごろ所得税、法人税の大改正をお認めいただきましたときに、所得課税の税率、最高税率を大きく下げましたので、そのときにバランスの問題として相続税の最高税率はこれではおかしいなということは、国会でも御指摘がありましたし、私どももそう思っておりましたし、今もそう思っておるわけでございます。したがって、その部分に関する限りは比較的私どもの間にも異論が少ないわけでございますけれども、ただ、おっしゃいますように、その部分だけを直して済むというわけでは恐らくございませんで、現に今、中小企業の継承の問題についてもおっしゃっていらっしゃるわけでございます。  中小企業の承継税制の問題は、かつてはすぐれて土地課税が非常に高かったということでございましたが、今となっては八〇%の二〇%ですから結局一六%の税率課税になってしまっている。かなりこの点は問題が急でございましたから整理されてきておって、むしろ中小企業の、つまり非上場でございますから、株をどういうふうに評価するかということが、これが承継が可能か、相続が可能かどうかという致命的な問題になりつつありまして、むしろその方の問題が大きいのではないかと思っていますが、いずれにいたしましても、最高税率を改めただけでこの問題は済むわけではない。  相続税全体に、あるいは控除の問題とか贈与税の問題とか今まで触っておりません問題がたくさんございますものですから、そうかといってそれを今全部改めるわけにもいきそうもありませんし、したがいまして、この問題は総理大臣もその必要性を強く述べておられますので何かしなければならないのですが、どの程度に、いわば中間的な改正をいつの段階でやればいいかということが、正直のところ税制調査会の専門家もいろいろ迷っておられまして、私自身も迷っておるところでございます。  ですから、問題としては、税率が高過ぎる分、これはどうかしなきゃならないなという入り方は非常に簡単に問題に入れるんですが、それから後の展開に十分見通しを持ってでありませんとその幅、タイミングについて決心がちょっといたしかねるという、今一生懸命そこのところを考えておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  114. 益田洋介

    ○益田洋介君 財投計画について御意見を伺いたかったんですが、若干時間が不足しますので次回に回させていただきます。  首都高速道路公団はお見えですか。  七月六日、午前七時五分ごろ、目黒区青葉台三、首都高の三号線、渋谷線と言われていますが、ポールが損傷したというか折れて、十六メートル下の国道二四六、玉川通りと言われているところに落下したというんだから恐ろしい話ですよね。これは設置してから半年後だと。耐用年数は二十年以上だと言われている。何でこういうことが起こったのか。  玉川通りを走っていた乗用車のボンネットのところにこれは直下した。幸いにして、この運転手さん、二十八歳の会社員の方は、けがはしなかったわけですけれども、とても生きている心地はしなかった、今生きているのが不思議なくらいだと本人が言っている。こんなことが東京のど真ん中で起こったらぐあいが悪いでしょう。  これはもし死傷者が出たりなんかしたらどういうつもりでいたんですか。これは管理体制が全くなっていないということなんです。ちょっと説明してください、どういう考え方でいるのか。
  115. 古木守靖

    参考人(古木守靖君) このたびの標識柱の落下事故につきましては、被害を受けられた方のみならず、首都高速を御利用いただいているお客様あるいは沿道の皆様方並びに社会に対しても多くの方々に御迷惑をおかけしまして、まことに申しわけなく思っております。  標識柱の落下の原因でございますが、落下した標識柱の材質あるいは外形寸法等は所定のものでございましたけれども、標識柱の板の厚さが公団の指定いたしました八・一ミリという厚さに対しまして六・六ミリしかなくて、薄いものであったということが判明しております。このような板厚の不足によりまして、これが主原因となって、車の振動等の繰り返しによって早い時期に破損したものと考えております。
  116. 益田洋介

    ○益田洋介君 早い時期に破損したといったって、耐用年数が二十年以上のものが設置してたったの六カ月で落ちる、これはおかしいじゃないか。そんな説明を聞いているんじゃないんだよ。  大体、鋼管の肉厚は、ポールの高さが四・八メートル以上の場合には八・一ミリ必要なんだ。それが四・八メートル以下のポールの場合は六・六ミリでいいという規格がある。その四・八メートル以下の規格を用いているわけじゃないか。こんなのは単純なミスじゃないですよ。もっときちんと説明して、それからだれが責任をとるのか、公団の中でよく検討して当委員会報告してもらいたい。  今、この事故の報告書はできているの。これは事故というより人為的なものだ。業務上過失致傷だよ。警視庁はもう恐らく調べていると思うけれどもね。だから、公団も当然のことながら当委員会に、今までの調査結果の報告、これを出してもらいたい。いつ出せるか。
  117. 古木守靖

    参考人(古木守靖君) ただいま御説明いたしました原因等、あるいは今後の対策、品質管理に関します改善策等を現在私ども検討しておりますので、特に外部の先生方の事故調査委員会でも検討いただいておりますので、これらを踏まえて御報告をさせていただきたいと思います。
  118. 益田洋介

    ○益田洋介君 いつできるの。
  119. 古木守靖

    参考人(古木守靖君) 現在の技術的な検討を今月中に終わりまして、全体の検討をその後させていただきたいと思っております。
  120. 益田洋介

    ○益田洋介君 多分これは金属疲労だったんだ。僕はそう思うよ。だから早く分析した方がいいよ。そんなに時間のかかることじゃない。  あるいは鋼管の、要するに製造中にマンガンや何かの不純物が入ってくることもあるんです。これは安全率をどのぐらいで考えているの、八・一ミリ、六・六ミリそれぞれ。僕は、仮にこの六・六ミリが、これは背の低い方の四・八メートル以下のポールの場合だけれども、使われたとしても、そのぐらいの安全率は見ているはずなんだ。だから、製造過程でどこかおかしいところがあったように思う。納入業者が悪いとかなんとかじゃないよ、これは。  製造過程で公団はこれをチェックしているの。それから検収しているの。材料納入時に検査しているの。
  121. 古木守靖

    参考人(古木守靖君) 標識柱の材料等についてでございますが、現在まで私ども、このような大量に採用する部材につきましては、品質の確保と検査効率化という観点から、従来一括して製造元の能力を検査する型式検査という方法を採用しておりました。したがいまして、標識柱の現場受け入れに際しましては外観あるいは外形寸法についてのみ検査をしておりまして、板厚についての現地での測定はしておりませんで、結果として板厚不足を発見できなかったことでございます。  これらについての改善につきましては、先ほど申しましたように、現在検討しているところでございます。
  122. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは首都高だけじゃなくて、阪神も同じような問題を起こしている。三件、ことしになってから重大な災害が起きている。全部これは管理責任の怠慢なんです。それから、体制ができていないんです。今、製造過程をチェックしたかと言ったら、答えていないじゃないか。その辺も含めて報告書を出してください。  きょうは時間がないから、これで終わりにいたします。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  公益法人をめぐる問題について質問させていただきます。  政府はこの間、公益法人に対する指導監督の適正化を図るため、全閣僚を構成員とする関係閣僚会議の開催や公益法人設立許可指導監督基準の閣議決定を行い、その事業内容や財務状況、天下りや営利企業への出資等に対する基準を定めてまいりました。そして、これらの基準に適合しない法人に対しては所管官庁が原則として三年以内に本基準に適合するよう指導することが明記されました。今月末がこの期限になるわけですけれども、公益法人をめぐっては補助金の誤った使い方、政官財の癒着の温床としてその批判が絶えない、そういう事態がありました。私も、本委員会で何度となくこうした問題を指摘し、是正を求めてまいりました。  そこで、この問題の責任者であります官房長官にお伺いしたい。  閣議決定された指導監督基準の適合期限まであと三週間余りとなっておりますけれども、現在の到達・進捗状況をどれだけ把握されているのか、その点をお伺いいたします。
  124. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 御指摘いただきました公益法人の指導監督は、法人を所管する各省庁が行うこととされておるわけでございまして、各省庁におきましては、指導監督基準に定められました期限内に各法人において適切な措置がとられるよう、指導監督に目下努めておるところでございます。  政府におきましても、公益法人の実態を把握するために、毎年十月一日現在で公益法人概況調査を行っております。本年も同様のスケジュールで行うことといたしておりまして、この調査結果によりまして指導監督基準への適合状況が明らかになるものと考えております。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 各省庁が期限内に行う、これは決められたことですけれども、それが行われていることを把握されているのかということをお伺いしているんです。
  126. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 御指摘のとおりでございます。
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 把握されているわけですか。
  128. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) そうでございます。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 把握されているとは到底思えないんですけれども、それではあと三週間ありますので、その時点でどういう把握をされているのかきちっと見ていきたいと思います。  私は、このことをなぜ質問するのかといいますと、やはり所管官庁の指導監督のあり方にさまざまな問題があるということをいろんな形で痛感するからなんです。私は、きょうここで農水省の構造改善局をめぐる問題、これを取り上げてみたいと思います。  農水省では、構造改善事業などをめぐって職員と特定業者との癒着疑惑が浮上して、ことし一月に内部調査を実施した結果、担当課長補佐ら五名を口頭注意していたことが七月に明らかになりました。調査は、市町村に特定のコンサルタント業者をあっせんする見返りに業者から便宜供与を受けていたこと、関係公益法人に独占的に発注させ、丸投げさせていたことなどの疑惑について行われました。しかし、ことし二月の農水省の中間報告では不正の証拠は得られなかったとして、民間業者と飲食していた課長補佐らを口頭で注意する、それだけにとどめた、そういうことです。  ところが、私たちの党の独自の調査でも、この飲食が九六年十二月の職員倫理規程の制定以降であったということが判明するなど、関係職員の免職・減給処分、さらには贈収賄事件に発展しかねない、そういう問題を含んでいるということが今明らかになりつつあると思います。  そこで確認したいわけですけれども、農水省は一連の疑惑問題について今後調査を継続する、そういう姿勢があるのかどうか、それをお尋ねいたします。
  130. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 農業構造改善事業に関する調査委員会の件でございますけれども、農業構造改善事業に関しまして近年提起をされた事業の執行等に係る問題につきまして網羅的に調査を行いました。御指摘がございましたように、二月十九日に中間報告を出しまして、現段階でなすべき改善措置が取りまとめられたところでございます。  なお、調査委員会は当分の間存続させまして、新たな事態が発生した場合には必要に応じ即座に対応する体制をとっているわけでございます。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今回の癒着疑惑の重大な問題点一つというのは、所管の公益法人が国の補助金、いわば公金を食い物にした疑いがある、このことだと思うんです。  疑惑の舞台となった公益法人は、今言われた中間報告によると、全国農業構造改善協会、日本農村情報システム協会、農林漁業体験協会、ふるさと情報センターの四団体なわけですけれども、過去五年間だけ見ても計五十億円を上回る額の補助金交付を受けているわけです。今回の疑惑はまさにこの莫大な補助金が不正に利用されたのではないかという問題です。  そこで、ふるさと情報センターについて具体的にお聞きいたします。  過去五年間に情報センターが市町村から独占的に受注したコンサルタント業務の契約金額と、そのうち情報センターが民間業者やほかの公益法人に再委託した額の合計は幾らになりますか。
  132. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 財団法人ふるさと情報センターは、コンサルタント業務を平成年度から実施いたしております。最近五カ年の受託総額でありますけれども、四十一億八千二百万円、それから、今先生再委託という言葉をお使いになりましたが、正確には一部請負発注ということでございます。これは額は二十七億七千五百万円となっております。  なお、近年、コンサル業務の手続の見直しに伴いまして受託額は減少しつつありますし、それに占める一部請負発注総額の割合も減少傾向にございます。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 契約金額全体の七〇%近くをほかの民間業者やあるいは公益法人に一部入れるかどうかは別として再委託している。いわば丸投げをしている。そして、その差額の、十四億円になりますけれども、それだけのお金をピンはねしている、そういうことになるわけです。これは驚くべき実態だと思うんです。  この丸投げ行為については、情報センターの担当部長も私たちの「しんぶん赤旗」の取材に対して事実だと全面的に認めております。これ自体大変重大なことなんですけれども、問題なのはこのピンはねした公金の行方です。  農水省の内部調査ではこの使途について徹底調査しましたか。
  134. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 今、先生、単純に受託といいますかその総額と一部請負発注の額の差額をおっしゃられましたけれども、その中には、当然のことながらふるさと情報センター自身がやっております連絡調整等のコンサルタント業務執行、あるいは検討委員会の運営、報告書の印刷、基礎データの入力、インターネットを活用した情報発信などなどがあるわけでございます。こういった関係費につきましては、それぞれ私ども公益法人の原則にのっとりましてきちんとチェックをしているところでございます。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 きちんと管理されていると言われましたけれども、到底そういうことにならないんです。単純計算しても十四億円の差額がある。さまざまな形で管理費等と言われても、管理費にそんなにお金がかかるわけがない。これも内部の人がはっきり認めているわけです。ですから、適正に使われていると今局長は言われたけれども、これは到底信じられない、そういう事態だと思います。  今、局長も言われたことからわかるんだけれども、ふるさと情報センターの会計処理のずさんさ、これもまさに驚くべきものがあると私は思うんです。手元にふるさと情報センターの平成十年三月三十日付の「第四回理事会資料」というのがあります。この中に、「平成年度決算会計実地検査の措置状況について」、そういう報告があります。ちょっと長くなりますけれども、これを読み上げます。   平成九年九月四日に、ふるさと情報センターの平成七及び八年度事業に対する会計実地検査が行われた。その際、センターが市町村等から受託して実施している山村等活性化ビジョン策定委託事業及び山村等地域情報受発信方策策定委託事業に係る平成年度決算において、一億四千七百十万円の収支差額が生じ、これを次年度に繰り越していることについて、「当該両事業は、平成年度の国の補助事業の一環に位置付けられているものであるので、次年度繰越しは認められず、補助金相当額を関係市町村を通じて国へ自主返還すべきが正規の会計処理である」旨の指摘を受けた。 こういう指摘がふるさと情報センターの理事会の記録にあるわけですけれども、こうしたことが事実なのかどうか、その点を確認したいと思います。
  136. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 事業費の一部返還の事実はございました。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 会計検査院にお伺いいたします。  これによると会計検査院がそういう指摘をしたということが言われているわけですけれども会計検査院として、今この資料にあるとおり、情報センターに対して補助金相当額の返還を促した事実はあるんでしょうか。
  138. 増田裕夫

    説明員(増田裕夫君) 会計検査院といたしましては、ふるさと情報センターにつきまして平成九年九月に会計実地検査を行いました。その際、センターの財務諸表を調査いたしましたが、その過程で、市町村から受託している二つの事業において収支差益が生じ、次年度に繰り越している事態を確認いたしました。この二つの事業はいずれも市町村が事業主体となって行う国庫補助事業を受託したものでございましたので、このような経理には疑問があり、収支差益については市町村に返還するなどの措置をとるべき旨、検査の現場において調査官から意見を申し述べたところでございます。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほどのふるさと情報センターの資料には「会検への対応とその結果」という項目があります。そこにどう書かれているかというと、「センターは、前記の会計実施検査に伴う指摘に対して、農林水産本省とも協議し、」「返還措置をとる場合に生ずる今後のセンターの事業推進への著しい支障発生の懸念等について数次に亘り説明し、返還措置の回避について特段の配慮を求めてきた」、こういうくだりがあります。情報センターは農水省本省と協議して、そして返還措置の回避について特段の配慮を求めてきた、こういう事柄が書かれておりますけれども、私はこれはまさに公益法人の所管のその担当の部局として、また農水省としてあるまじき行為だと思いますけれども、こんなことを行ったんですか、本当に。
  140. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) まず申し上げたいんですが、この繰り越しという扱い、つまり処理の仕方について必ずしも適切でないという御指摘を受けたわけでございます。  センターの方は、こういう形で事業が実施できなかったものを翌年に実施をすれば、それでセンターとしての業務の役割は達成できるのではないかというふうに考えておられたようでございまして、その結果、私どもにそういうセンター側の事情を御説明、御報告があったわけでございます。  私どもはこの報告を受けまして、平成年度に実施をできなかった事業費分につきましては、公益法人の経理の透明化を図る観点から発注者に返還することが適切であるというふうに判断をいたしまして、そのように指導いたしました。  具体的には、センターは補助事業の対象者ではないので、ふるさと情報センターがまず八年度に実施をできなかった事業費分を当該市町村の御理解のもとに返還をいたしまして、さらに市町村からこの返還額に含まれる国庫補助金相当額を関係都道府県を通じまして国庫に返還をしていただいたところでございます。返還は既に平成十一年四月に全該当市町村から終わっているところでございます。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 農水省として返還すべきだということを主張されたと。そういうことを言われているけれども、この資料を見ると、農水本省と協議し、そしてこの事態が余りにも著しい支障発生の懸念があるので、数次にわたりこのことを説明し、そして会計検査院に対してこういう事態を避けたいと、そういうことを述べてきたと。  これを見ると、これはふるさと情報センターの資料ですけれども、農水省とセンターが一緒になっていかにこの返還を回避するかということを進めたということが読み取れるんですね。今、局長言われたように、結果としてこのお金は返された。幾ら返しましたか。
  142. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 返還対象になりました額は一億三千万円でございます。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど関係市町村の理解を得ながら返還したと、そう言われましたけれども、私はこの問題でも、市町村にとっては大変な問題だったと思うんです。期間も相当かかったと思います。そして市町村からもさまざまなクレームがついた、そういう事態だったと思いますけれども、返還にどのぐらいかかったのか、期間、それからまた市町村からどんな意見が上げられたのか、そのことについて述べていただきたい。
  144. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 会計検査院から御指摘を受けたのが平成九年九月、そして私どもが返すべきであるということで説明をいたしましたのが平成十年二月、平成十年八月に手続を開始いたしまして、十一年四月に完了したということでございます。  もちろん、二百以上にわたる市町村でございますので、そのそれぞれの方々が既に議会の議決を経て自分たちの分の支出を決めておりますから、それにつきましてまたもう一度各市町村にお願いをして、ふるさと情報センターの行った処理が必ずしも適切でないので国庫に補助金を返還すべきであるということをお願いしてやっていただいたという点につきましては、私どもは非常に遺憾でありますし、心苦しい思いをしております。市町村には多大な御迷惑をおかけいたしました。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど局長は、この問題は処理の仕方の問題だと、そう言われたけれども、私はそういう考え方に甘さというか、センターも非常に甘い、ずさんさがあるけれども、同時にそういう問題のとらえ方をするところに農水省構造改善局のずさんさ、甘さがある、そう言わざるを得ない、そのように思います。  私つくづく思うんですけれども、こういう問題について、非常に重大な事実ですけれども、こういう問題をなぜこれまで明らかにしなかったんですか。私きょうここで、国会質問しなければこれは公表する予定はなかったんですか。
  146. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 明らかにと申しますか、このメンバーのたくさんにわたる市町村や関係の都道府県には当然お話をして御理解を得るように努めておりますし、また国ベースでいきましても間に地方農政局がございますから、地方農政局を通じまして関係課長の会議を持ったりしておりますので、特段その事実を隠していたというふうなことではなく、必要な人には必要な情報をお渡しし御理解をいただいたというふうに私は思っておりますが。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国会に対して報告するのかどうかという問題です。  この問題については、私たちの「しんぶん赤旗」が情報センターの担当部長にいろいろ話を聞きました。彼はこういうふうに述べているんです。通常は会計検査院調査は文書による指導がなされ、その後公表されるけれども、この調査の場合は農水省地域振興課が責任を持って処置するということで内部処理され、文書は残らず公表もされなかったと。公表されていないんですよ。もちろん関係の市町村には言わざるを得ない。当たり前です、これは。また、国の機関にも言わざるを得ない。しかし肝心なことは、こうしたことが行われた。農水省としては余り言いたくない、オープンにしたくないことだろうと思います。しかし、公正な、そして透明性を求める行政というのは、やはりこういう問題について進んで明らかにする、それが当たり前だと思うんです。  ですから、それならば、私は先ほど中間報告のことについてお聞きしましたけれども、この問題についてのてんまつ、こういう経過で、こういう形で一億三千万のお金を返還いたしましたということについて報告していただきたい。そのことを約束できますね。
  148. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 重ねて申し上げますけれども、このふるさと情報センターの会員は市町村と都道府県でございます。市町村の数は平成年度末で二千百十四の市町村がございます。四十七の都道府県も入っております。そして、そういった公益法人の中での理事会その他を通じて事情は明らかになっております。  国会で御報告をすべきことは、会計検査院のルールに定められております報告すべきこと、あるいは行政の内部できちんと明らかにすること、その他もろもろあると思いますけれども、本件につきましては、私ども会計検査院の御指導に基づきまして適正かつ誠実に処理をしたと考えておりますので、私の方から進んで国会にこのてんまつを御報告するべき案件かどうかという点については、多少何といいましょうか、そのような案件ではないのではないかなというふうに思っている次第でございます。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、この事案というのは、このことも含めてあなた方が今中間報告され、そしてまたその体制を解いていない、そういう問題を対象としている事態というのは、これから贈収賄を含めて事件に発展する、そういう可能性を含めたものだと思います、はっきり言って。私はそう思っております。  ですから、局長の認識は非常に甘いと私は思うんですね。こういうことについては報告すべき必要はないと思われると言われたと思いますけれども、私は率直に言ってそれでいいのかと、そういうふうに思います。  ですから、この問題についてはすぐに結論を出す、ここでどうこうということを別としても、やはり今後この問題について、返還はこの四月に終わっていると言われましたけれども、そういうものとしてきちっと報告する、何が起こったのかということについて明らかにする、このことはやはり構造改善局の透明性、そういうことにかけてきちっとやっていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんです。  そもそも情報センターが当たり前のようにやっているコンサルタント業務、これ自体にもう一つ大きな問題があると思うんです。私はこの間、農水省の中間報告に登場する四つの公益法人の登記簿を調べてみましたけれども、情報センター以外の公益法人の登記簿には事業目的としてコンサルタント活動、これが一応明記されている。しかし、情報センターの登記簿にはその記載が全くないわけです。寄附行為にも明記がない。それでいてどうしてコンサルタント業務ができるんですか。
  150. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) このセンターの事業が寄附行為に順次出ております。その寄附行為第四条一号から五号までの事業と、「その他本センターの目的を達成するために必要な事業」という第六号の規定がございます。このセンターの目的を達成するために必要なコンサルタント業務であるというふうに私どもは判断をいたしております。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに、その他の規定、それに基づいているというわけですね。これは非常におかしなことですよ。  ふるさと情報センターの活動の資金の半分以上、それがコンサル業務から来ている。そのコンサル業務についてはっきりとした寄附行為も、登記簿にもその目的がない。それでいて、どうしてこれができるのか問うと、その他の条項でやっているということになる。構造改善局はまさにこういう公益法人を監督する、そういう立場にあるわけですね。それがこういうことを認めて成り立つんですか。  これは、民法七十一条にある、登記簿や寄附行為に定められていない、その目的以外の事業を行った場合は、設立許可の取り消しの対象となると書かれていますよね。どうしてこんないいかげんなことをやるんですか。
  152. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) センターの業務につきまして私先ほど御説明申し上げましたけれども、当然のことながら、この手の例えば山間地域の活性化ビジョンの策定というふうなことになりますと、この事業が始まった当時は非常にノウハウの蓄積もなかったわけでございます。そこで、そのノウハウを持っているところ、ある程度の蓄積があるところ、さらにはそうした研究員を登録しているところ、これがやはりコンサルタント業務を引き受けるのが通常であるというふうに私は考えますし、そういう点からいって、センターの附帯する業務というところで読むのも必ずしもおかしくないと思っております。  ただ、今先生から御指摘がございましたので、多くの方々がおかしいというふうに考えるようでありますれば、それはセンターの会員とも相談してみなければいけませんけれども、より一層このセンターの業務内容を明らかにするという点で是正することはやぶさかではございません。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長がそういう態度だったらどうしようもないですよ。必ずしもおかしくない、本当にそう思っているんですか。
  154. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 現にやっております業務、メーンの業務、そしてそれに伴うコンサルタント業務、そういう点から考えますと、このセンターの能力や過去の経験、蓄積からいって、以上五号でしょうか、五号までの業務に附帯する業務として必ずしもおかしくはないというふうに考えておりますけれども、それは多くの方々の見方でございますし、またある面でいえば、この際こういったことをはっきりさせる、明確に規定するということが必要であれば、センターの公益法人としての役割がそこまで及ぶんだということを明示するのも一つのやり方であろうというふうに考えます。
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長の認識をはっきり問いたいんだけれども、必ずしもおかしくない、そのおかしくない理由というのは、これまでこうやってやってきたから、こういう現状があるからおかしくない、またその能力がある、ノウハウがあるからおかしくないと言っているんだけれども、しかし寄附行為にも登記簿にも目的がない。これは民法七十一条にはっきり反するのじゃありませんか。そうしたら、だれが見てもおかしい。ちょっとあいまいなことも言われたけれども、私ははっきり言って、民法の規定からしても、ふるさと情報センターがコンサル業務をやるということについては根拠がない、そう思います。  監督する所管省庁局長が、そういう必ずしもおかしくない、そんな程度の認識でいいんですか。責任を持てますか。
  156. 渡辺好明

    説明員渡辺好明君) 重ねて恐縮でありますけれども、センターの事業として一号から五号までに出ている事業があるわけでございます。これを円滑にするためにはだれかがまとめ役、調整役をやり、そして市町村や市町村の協議会の方々が目的を達成するようにしなければいけないわけです。  市町村の側に、あるいは市町村の協議会の側にそういったノウハウが蓄積をされていなければ、それを助けるための組織としての財団法人ふるさと情報センターがそれをやることは、このセンターの業務である一号から五号までの業務に加えまして、六号の「その他本センターの目的を達成するために必要な事業」として読めるのではないかということで、当初から、平成年度からこの事業をやっておりますのは私どもはそういう点でおかしくはないというふうに思っておりますが、重ねて恐縮でありますけれども、これだけ事業が定着をしてくれば、メーンの事業として一号から五号に並ぶような形で列挙をするのも一つ考え方ではないかというふうに思います。
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長がその程度の認識で指導監督されているとしたら、確かに指導監督される側もずさんになるのが当たり前だ、率直に言ってそう思いました。  時間がないと思います。官房長官にお伺いしますけれども、今お聞きのとおりですけれども、業務内容といい、会計経理のずさんさといい、そして局長が今述べたような形で、監督している側が現状はこうだから目的にないそういう業務を認める、そういう重大ななれ合いがあるということは明白だと思います。閣議決定で定めた基準適合の期限をあと三週間で迎えるわけですけれども、こうした監督官庁の指導怠慢に対して官房長官として厳しく臨んでいただきたい、このことを要望したいと思いますけれども、いかがですか。
  158. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) ただいま御指摘がございました問題点の是正も含めまして、各公益法人において一層適切な業務運営が行われるように努力してまいりたいと考えております。
  159. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、公益法人の問題についてはやるべきことがたくさんあると思います。その点で構造改善局の問題をきょう取り上げましたけれども、この問題は徹底して活動を改めていただきたいと思いますし、またそのほかの問題についても今後追及していきたいと思います。  次に、私は、八月二十日に統合が発表されました三つの銀行、第一勧銀、富士、興銀三行の統合問題、これにかかわって、特に消費者とか中小業者など国民にとってどんな影響をもたらすのか、この問題について質問したいと思います。  三行の発表では、六千人規模のリストラを行う、このことが言われております。現在の三行が消滅するため、従業員は全員解雇されて退職金を受け取り、新銀行に再雇用される形で採用する方向で調整に入る、こうしたことがマスコミで報道されておりますけれども、こうした一時全員解雇、こういうことについては事実なんですか。
  160. 乾文男

    説明員(乾文男君) 今お尋ねの三行統合に関しまして、統合時に全行員を一たん解雇した上で再雇用するという報道を私どもも承知しておりますけれども、三行に聞きますと、報道されたようなことが決定された事実はないと聞いております。  三行は、この統合に関しまして統合準備委員会の小委員会というのをテーマごとに設けまして、そうした問題につきましても今後三行間で協議検討していくものというふうに聞いておるところでございます。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 決めた事実はない、白紙ということかもしれませんけれども、ということは、一時全員解雇ということもあり得る、そういうふうにごらんになっているんですか。
  162. 乾文男

    説明員(乾文男君) あり得るかどうか、ちょっと私は銀行のことでございますので判断がつかないわけでございますけれども、今申しましたように、この雇用関係の問題に限らず、あらゆるテーマについて三行の統合準備委員会で検討していくというふうに聞いておるところでございます。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、この点で労使間がよく話し合って、またきちっとした規則や手続にのっとって、働く者の雇用継続と労働条件が引き下げられない、そういう方向でいくということを要望しておきたいと思います。  この三行の合意には、店舗をさらに百五十店程度削減する、そういうことも含まれております。店舗の削減というのは、地方はもちろんですけれども、都心においてもやはり利用者にとってサービスの低下をもたらす、このことは自明のことだと思うんです。こういう統廃合の問題、例えば麹町には三行が一緒に並んでいる、こういうところはともかくとして、やはりなくされては困る、そういうところというのは東京でもかなりあるわけです。そういうところに対して、私は、支店の統廃合についてはよく検討して行う、金融監督庁としてもこの点よく利便者の立場から検討する、このことは当然だと思いますけれども、この点、いかがですか。
  164. 乾文男

    説明員(乾文男君) 金融機関は、金融分野における競争激化や金融システムの改革の中で、収益性を高めて経営の健全性を確保して、もって預金者の信頼を確保するためにいろいろな業務の再構築、合理化をやっているところでございますが、今の三行の発表を見ますと、重複店舗を基本的に統廃合の対象として、持ち株会社設立後五年を目途に百五十店舗程度の削減を行いますと書いてございます。あわせて、お客様の利便性向上の観点から、内外の店舗網等営業チャネルの整備充実を図ってまいりますとしておるところでございます。  それは銀行は当然顧客に迷惑をかけないようにやると考えていると思いますけれども、私ども行政庁の立場から申しますと、支店等の廃止に当たりましては当局の認可が必要でございまして、当庁といたしましては、法令の審査基準にのっとりまして、当該支店の顧客に著しい影響を及ぼさないものであるかどうかという観点から適切に審査してまいりたいというふうに考えております。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われたように、銀行法の施行規則にあるそういうことにのっとって慎重にやっていただきたい、このことも要望しておきたいと思います。  もう一つ、店舗を削減すると同時に、幾つかの銀行のディスクロージャー誌に掲載されているわけですけれども、支店の中の法人取扱窓口、これが年々削減されてきたわけですけれども、将来的にもこれからかなり削減される、そういうことはわかるわけです。これでは中小企業の窓口が遠くなる、こういう事態にもなってくるわけです。実際に既にこういう声が上がっておりますけれども、私はこの問題と貸し渋り、これを短絡させるつもりはありませんけれども、しかし中小企業の窓口が遠くなる、このことは確かなんですね。  今回のこうした法人窓口の減少化、そしてまたこの三行の統合によってそれが加速される、そうしたことは私が今説明した事態に追い打ちをかけていく、そういうことにもなっていくと私は思うんですけれども、そういうことにならないような対応をきちっとしていただきたいと思います。
  166. 乾文男

    説明員(乾文男君) 店舗の機能別の問題につきましても、先ほど申し上げましたような経営効率化観点から、金融機関は最近従来のような個人、法人すべてを取り扱ういわゆるフルバンキング型の店舗を見直しまして、法人取引に集約化するとか個人取引に特化するというふうにその地域の特性に応じた店舗の再構築を行っているというふうに承知をしております。  そうした機能の変更につきましては、支店から出張所に形式的になる場合を除きまして、私ども特にそれを制限する法令の規定はないわけでございますけれども、そうした機能別の再編の過程におきましても、金融機関におきましては当然顧客利便やサービスについて配慮しているものと承知をしております。  私ども、一般的に金融機関とそうした問題を議論しておりまして、聞いておりますところでは、例えば法人取扱店を集約いたしましたら、法人取引に精通した人員の配置等によりまして……
  167. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔にお願いします。
  168. 乾文男

    説明員(乾文男君) はい。取引先の中小企業のニーズ等に迅速にこたえることができるようになるというメリットもあるのかなというふうに考えているところでございます。
  169. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう一つ、振込手数料の新設、引き上げ問題、これがあるんです。例えばこの十三日から富士銀行は、窓口でこれまで同一支店内の振り込みはゼロから四百二十円になる、他行には八百四十円になる、こういう事態になるわけです。これは非常に大きな国民的な負担になると思うんです。  最後に、私、宮澤大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今述べましたように、手数料の大幅引き上げ、この問題。これは百万円を一年間預けて今の利息でたった九百六十円にしかならないんです。三万円以上一回他行に振り込むと八百四十円、ほとんど利息分が消えてしまう、そういう大幅な設定ですよ。こういう問題がある。それからまた支店の統廃合がある。あるいは法人窓口の減少化がある。  私は、今回の統合がお客様への最高のサービス、そういうことをうたい文句にしながら、実際にはサービスを切り下げることになるんじゃないか、そういうことを痛感するわけですけれども、大臣として、また政治家として、こういう問題に対して、国民のサービス、利便性が低下されるという問題についてどのような対策をとられるのか、答弁願いたいと思います。
  170. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は今銀行行政を担当しておりませんけれども、率直な感じは緒方委員の言われましたのと大分異なっておりまして、こうやって銀行があちこちに特化をしていく、世界的な競争が激しくなる、顧客を無視しては銀行業務というのは成り立ちませんので、むしろ顧客にとってはかえって便利な状況になる、全体はそういう傾向になると思います。
  171. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 時間ですので終わります。
  172. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保庸介でございます。  本日、ちょっと時間をいただきまして危機管理そのものについて幾つかの質問をさせていただきたいと思うんです。  私は、災害の方の委員会もしております。また、与党二〇〇〇年問題プロジェクトチームという、いわゆるY2K問題についてのプロジェクトチームの一員でもあるわけですが、その中で幾つか感じたことは、非常に危機の意識というか危機管理というか、そういうものが脆弱なのではないか。それはかなり以前から言われておる。八〇年代に危機管理という言葉が登場して以来、国の組織、行政機構の組織そのものもいろいろ国会の議論の中で何度となく議論されてきたことであろうと思うんです。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  まず二〇〇〇年問題の切り口の話からさせていただきたいと思うんですが、例えばアメリカなどでは、会計検査院が総額八十七億ドル、日本円にしますと約一兆四百四十億円というようなかなりの高額のものを二〇〇〇年問題についての対策費として計上しておる。それも、議会に提出し、決算委員会のようなもので承認を得ておるということなんでございますが、これは我が国の場合は、こういう二〇〇〇年問題についての、具体的な問題で結構でございますから、どういう試算をされておるか、現状をちょっとお話をいただけたらと思います。
  173. 中村薫

    説明員(中村薫君) 二〇〇〇年問題につきましては、その対応を誤れば国民生活や企業活動に支障を生じ、高度情報通信社会の構築に向けた信任を揺るがしかねない重大な問題と認識しております。政府といたしましては、小渕総理のもとで内閣官房を中心とし、危機管理の面も考慮して、官民を挙げた取り組みを強力に行っているところでございます。  かかる観点から、七月三十日には、総理が本部長を務める高度情報通信社会推進本部において危機管理の強化対策を決定し、年末年始の危機管理体制の強化等を図ることといたしました。その中におきまして、内閣官房副長官を議長として内閣危機管理監を副議長とするコンピュータ西暦二千年問題総合対策会議を設立し、年末年始には、重大な事件の発生のいかんにかかわらず、この対策会議を中心として官邸の危機管理センターにおいて所要の体制を確立し、万一の問題が発生した場合においても備えるとともに、内外の情報の集約、公表等を行ってまいることとしております。政府といたしましては、このような危機管理体制の強化を通じて、国民の皆様が安心して二〇〇〇年を迎えることができるよう全力を尽くしてまいりたいと思います。  また、予算面につきましては、まず平成十一年度及び平成年度第三次補正予算の合計でございますけれども平成年度の予算と比較して倍となる百九十三億円を計上しておるところでございます。これらの対策の内訳といたしましては、政府特殊法人等の保有するコンピューターシステムの改修や模擬テスト等において用いる百二億円、さらに中小企業等に対する民間支援措置として八十四億円を計上しておるところでございます。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕
  174. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 対策費も非常に少額で、二〇〇〇年問題云々のことについてまたここで話をするわけにはいきませんが、そのことよりも、私、今回言いたいのはその体制です。  もう一度お伺いをいたします。先ほど、官房副長官を議長として内閣危機管理監を副議長ですか云々かんぬん、また首相直属の危機管理体制をどうという話ですね。新聞等で見る限りでは、首相直属の諮問機関というのは幾つも出てきております。一体どこがこの二〇〇〇年問題についての統一意思決定機関といいますか、そういう前面に立って、先頭に立ってやっていくところなんでしょうか。
  175. 中村薫

    説明員(中村薫君) 今回の二〇〇〇年問題についての危機管理体制でございますが、顧問会議等は、あくまで意見を聞き、その情報を集めるものでございます。あくまで危機管理としての対応といたしましては、内閣官房副長官を議長として内閣危機管理監を副議長とするコンピュータ西暦二千年問題総合対策会議を設立して、ここで事に当たることになると思います。  さらに、年末年始におきましては、重大な事態の発生のいかんにかかわらず、対策会議を中心として、官邸の危機管理センターで情報を集約して、さらに公表等一体となった体制をとるということでございます。
  176. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 まだいま一つよくわからないんです。年末になると官邸の危機管理センターが情報収集をして、その情報収集の処理もしくはその収集した情報をもとに措置するのは二千年問題総合対策会議というようなこととして理解をさせていただいていいんですか。
  177. 中村薫

    説明員(中村薫君) おっしゃるとおりでございます。
  178. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしますと、その危機管理といいますか、事ほどさように今の話を聞いてもちょっとよくわかりにくい。私は、プロジェクトチームと言いましたけれども、二〇〇〇年問題についてはやや興味を持ち、専門的にといいますか、その方向で勉強させていただいている者の一人であります。その中でも一体どこが最終的なイニシアチブをとっていくんだろうかということが私などでもちょっと首を傾げたくなるときが時々あるんですね。  といいますのは、これは総務庁が出しておられる行政機構図なんですが、危機管理という言葉が機構図の中に二つあるんです、総理府とそれから内閣官房。内閣官房には内閣安全保障危機管理室というのがあります。そしてまた、総理府本府には安全保障危機管理室というのがあります。有事の際、有事といいますか危機管理という概念に当てはまるようなとき、これまた機構上の問題で恐縮なんですけれども、一体そのどちらがこれまたイニシアチブをとっていくのか、一体この二つの危機管理室というのはどういう関係になっておるのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。
  179. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 先生御指摘のとおり、内閣官房に内閣安全保障危機管理室、また総理府の内閣総理大臣官房に安全保障危機管理室という組織がございます。  これは組織としては二つになっておりますが、構成員は実は全部ダブっております。私は内閣安全保障危機管理室長であると同時に、総理府の方の安全保障危機管理室長を兼ねておるわけでございます。室員もまた同様でございます。  そこで、法律論を申しますと若干の違いがあるわけでございますが、今申し上げましたように、メンバーは基本的に同一の者が危機管理あるいはまた安全保障の問題について対処するということでございます。
  180. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そうしましたら、手短に、危機管理室そのものの所管になるのはどのような手続を経たときですか。
  181. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 危機管理と申しますのは非常に幅の広い事項でございます。したがいまして、今特定のことをこれと申し上げるのはなかなか難しいわけでございますが、例を挙げて申しますならば大災害、例えば大地震のようなものがあると思います。これにつきましては、災害対策基本法という法律がございまして、そちらの方で災害対策本部をつくる、それは非常災害対策本部であったり緊急災害対策本部であったり、大きさによって異なるわけでございますが、そういう基本的なスキームはできておるわけでございます。  しかしながら、それらを立ち上げるまでの間というのは、やはりどうしても内閣として内閣総理大臣のリーダーシップを補佐する機構が必要でございます。いわば私ども内閣安全保障危機管理室は、そういう意味で、何か例えば大地震があったというような場合につきまして直ちに対応する、そして内閣総理大臣を補佐する、そしてある段階になりますと、災害対策基本法の非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部というような通常の法律で定められました組織の方に対処を移していく。いわば事が起こったときの緊急対処ということが私どもの主たる危機管理の仕事でございます。
  182. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほどの行政機構の本、総務庁が出しておられる本の中に、その所掌事務の一覧があります。  安全保障危機管理室の対象、所掌といいますか事務、ちょっとはしょりますが、「主として国の安全に係る事項及び国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処に関するもの。」というものも入っておる。これは総理府の方ですかね。  おそれの段階危機管理室が動くものであると私は理解しておったんですが、今の御説明を聞いておると、何か事が起こったときのために、事が起こってから立ち上げのために、災害対策であれば対策本部を立ち上げるために、それまでの間にやる仕事であるというようなお話でありましたけれども、その辺はちょっと確認しておきたいんですが。
  183. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 大変多岐にわたるということを申し上げたわけでございますが、例えば地震のことを申し上げましたので、地震の場合に、あらかじめおそれというものはなかなかわかりにくいわけでございますので、起きたときというお話を申し上げました。  ただ、それ以外のことでも、例えば台風災害のようなものは必ずしもその被害が起きてから私どもが対処するというわけではございません。ある程度予想がつくものについては対処するということでございますし、また、それ以外のものにつきましても、被害の程度というのは実はある程度時間がたたないとわからないものでございます。したがって、その被害の程度がわかってから内閣としての対応をしたのでは遅い。そういう意味で、何か起これば直ちに対応できる体制をとる。結果として被害が少なくて、重大な先生御指摘のような条項に該当しない場合には、それはそれで私どもはその段階で仕事は終わる、こういうことになろうかと思います。
  184. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 地震にしたって、これから起きるかどうかわからないという場合であったとしても、起きたときにどういう対処をするかのマニュアルづくり、あるいはどこでどんな規模の災害が起きたときはこうするんだということの最低限のシナリオみたいなものはあるんだろうと思うんですが、起きてからというその答弁、どうしてもちょっといただけないんですけれども
  185. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) まことにごもっともな御指摘でございまして、当然起きたときにその都度その都度慌ててやるということはあり得ないわけでございまして、先生御指摘のとおり、そういう場合どうするかという我々としてのマニュアルづくり、また関係省庁も巻き込んだ、それぞれの省庁がどういうふうな対応をとったらいいかというマニュアルづくりというのは、これは実は平時の任務として現在やっておるところでございます。
  186. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 その答えをいただきたかったわけでありまして、平時でも危機管理というものは動いていらっしゃると。  それで、危機管理室が所掌事務とされておられる、先ほどの一番最初質問にもう一回戻るわけですけれども、平時からいろいろと対象事務を限定しながら動いておられるわけですが、例えば二〇〇〇年問題、Y2K問題については私もよく存じておるわけですが、危機管理室の所掌事務にはなっておらぬということなんですね。所掌にするかしないかのメルクマールというのは、根拠法も含めてどんなふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  187. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 二〇〇〇年問題につきましては、先ほど内政室の方からもお答えがございましたが、まさにある程度予測のできる危機であろうと思います。したがって、そのような危機を起こさないということが一番よろしいわけでございまして、これまで内政審議室を事務局といたしまして、先ほど先生御指摘のような小渕総理直属の顧問会議等でいろいろな検討をしていただいたところでございます。  それで、現段階では、あと四カ月を切ったわけでございますが、そういう段階になりまして、私どもは二〇〇〇年問題の対策、古川副長官を議長といたします対策チームの中に私どもも組み込まれておるわけでございます。副議長は内閣危機管理監でございますが、構成員の中には私を含め私どもの室員が入っております。  実は、本日ただいまもその情報収集のための訓練をやっておったところでございますが、この年末から年始にかけまして、あるいはまたそれ以外のときも、必要であれば内政室と協力しながら、当危機管理室も総力を挙げて、何か起こったときにはどう対処するかということで体制を組んでまいっているところでございます。
  188. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 だから、二〇〇〇年問題は何が起こるかわからない、その可能性が低いのか高いのか、これは意見の分かれるところだろうと思いますが、要するに、その危機管理ということの概念は、起こる蓋然性が高いか高くないかということでメルクマールを分けているのかというあたりなんですよ。  私が聞きたいのは、最悪のシナリオを考えるのが危機管理だというのは当然のことだろうと思うんですが、その辺、どうもいま一つ行政の機構上も今の御答弁を聞いてもよくわからない。これが私の率直な実感ですが、もう一度ちょっと、いわゆる危機管理室としての所管をするためのメルクマールというか、そしてそれをどういうふうに決めて、何を根拠法にして、首相が言うから、総理大臣が言うからそうなんだということならばそれでも結構ですから、ちょっとお答えをいただきたいんです。
  189. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) 先生御指摘のとおり、二〇〇〇年で何が起こるかということは必ずしも今はっきりとわかっておるわけではないわけでございます。  先ほども申し上げましたように、これまでいかに問題なく二〇〇〇年一月一日あるいは一月四日を迎えるかということで対策を政府としてはとってきたわけでございます。しかしながら、まさにわからないわけでございますので、先ほど先生御指摘内閣官房組織令あるいは総理府本府組織令にありますところの、国民の生命、身体または財産に重大な被害が生ずるおそれがある緊急事態への対処として、私どももこの体制を現在組んでおるというところでございます。
  190. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 委員皆さんも多分聞かれていて何を言っているのかよくわからないだろうなと僕も思うんですが、非常に苦しい答弁をされているのはよくわかるんです。  ただ、私が二〇〇〇年問題をやっておりまして、二〇〇〇年問題は一応こういう説明を受けてきました。危機管理室の対象として所掌にならないのは、物理的な事故、天から飛行機が降ってくるとか落ちてくるとか、大火事が起きてしまうとか、そういう物理的な事故を一応は想定しておる。したがって二〇〇〇年問題はその想定がないので対象事務から外されているんだと。今のところ内閣もしくは総理府の内政審議室で対応しておるという説明で私は一応納得をしておったんです。  そのことをお答えいただけるかなというふうに思ったんですが、ただ、それを考えてみますと、いわゆる二〇〇〇年問題が起きるか起きないかということ、それから危機管理室でやることとやらないことということはどうでもいいんです。要するに、どういうメルクマール、どういうときには機械的に危機管理室がこれは対応しますよ、あるいはメルクマールはここが出していますよというようなものがないと、いざ物事が起こったときには非常に混乱するおそれがある。これはもう私などが申すまでもなく当たり前のことであります。  海外では、アメリカなどでは二〇〇〇年問題についてはもう御存じのとおりFEMAなんという統一的な意思決定機関があります。日本の国全体を見回してみたときに、組織上それから対応上の問題としてやはり十分に議論を尽くしておく必要があるということだけは申し上げておきたいんですが、最後もう一度その辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  191. 伊藤康成

    説明員(伊藤康成君) まさに法文上、先ほど御答弁申し上げましたように、重大な被害が生じた場合、あるいはそのおそれがある場合というのが私どもの所掌事務でございます。  当然のことながら、自然災害等はそういうおそれがあるということがいわば自明でございます。それに対しまして二〇〇〇年問題は、これまであくまでそれによって何らかの被害を発生させないということで、内政審議室所管としていろいろ政府として作業をしてまいりました。それにもかかわらず何か起こるかもしれないということで、その段階になりますと私ども危機管理室でいろいろな情報の集約をし、そしてまた内閣全体としての対応に誤りなきを期すための補佐をさせていただくということでございます。もちろん、二〇〇〇年問題という中で起こる事象と申しますのは、その事象そのものが国民の生命、身体、財産といったようなものに重大な影響がなければそれは問題ないわけでございますが、原因は何であれ、そういう被害が起こるおそれがある場合については私どもも対応する、こういうことでございます。
  192. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 何か最後もよくわかったようなわからないようなというのが正直な感想でありますが、時間も来ましたので終わらせていただきます。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  赤字財政について少々御質問させていただきたいのですが、この問題につきましては随分議論をされておりますし、私もたびたび質問させていただきまして、話題としてはちょっと陳腐かもしれませんが、問題は決して解決していないというふうに思っているわけでございます。いろいろ大蔵省の中期財政試算等を見ますと、私が心配性過ぎるのかわかりませんが、大変心配な気持ちが残っているわけでございますし、議員連盟の中で財政赤字を憂える会というようなところに入っていろいろ勉強もさせていただいている身でございます。  私は、この件につきまして大蔵大臣には昨年の十二月の行財政改革・税制等に関する特別委員会並びにことしの四月六日の決算委員会全般的質疑の中でもいろいろ質問をさせていただきましたが、どうもその両方とも最後に時間切れみたいなところがございまして、消化不足が、私自身でございますが消化不足がございますので、その点を今回ちょっとお聞かせ願いたいなと、こういうふうに思っている次第でございます。  昨年十二月のときに、私はまだ国会議員になって半年もたっておりませんでしたけれども、いわゆる国の財政再建といいますか大変な財政状態にあるということはたびたび申されておりながら、なかなかそれに対する対応ができていなかった。ところが、今回の財政再建については、法律までつくって取り組もうという意気込みがあったということは、それだけ大変な事態に差し迫ったのではないのかなというような認識を持っておるという御質問をさせていただいた折に、たしか大蔵大臣は、これ全部読み上げるわけでもないんですが、そのときの議事録を読ませていただきますと、「平成八年の総選挙のときに、やはり二十一世紀は大変だ、」、この後省略させていただきますけれども、「子供はなかなか生まれないし、本当に大変だということを、それは実は二〇一〇年とか一五年の話なのですが、」「きょうの話のように言ってしまったために国民全体が身構えてしまった、」、このような御答弁をいただいておるわけでございます。これから見ますと、そのときは、今はそれほど大変でないというような御認識なのかなというふうに私は受け取ったわけでございます。  これは経済の専門家でございます大臣のことですから、それぞれお考えがあってのことだと思いますし、さらにはこの財政赤字について、いわゆる赤字を文字どおり我々の同胞の子孫に残すのであって、外国人に残すわけではない、子孫は国債をもらったらそれは迷惑ではないだろうというようなお話でございました。  確かに私もそうだと思います。財政が破綻してこれが借金のカタに国にとられるというような事態になったら大変なわけですが、それは国民の皆さん方が持っているわけでございますからその点の心配はないかと思いますけれども財政がもし破綻してこれがチャラになったとすれば相当大変な問題になるんじゃないか、国内問題としても相当大変な問題になるんじゃないのかなというような、こんな認識を持っているわけです。  今一部では景気が少し方向が変わってきたというようなお話もございますが、依然としてまだ赤字財政体質というのはあると思います。大臣、再度申しわけございませんが、この辺の御認識についてちょっとお話しいただけたらと思います。
  194. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 岩本委員は長く行政を御担当でいらっしゃいましたから、この問題につきまして何度も御質問があるのは当然だと思いますし、また、そういう御関心を持っていただけることが大蔵大臣としては大変にありがたいことだと思う点におきましては、当初からこの問題をお取り上げになられましたときから私としては同じ気持ちでお伺いをいたしておるわけでございます。  橋本内閣のときに行財政改革ということを大きく打ち出されて、私もあの当時、総理大臣の前歴のある者は参加をしてほしいということで参加をいたしました。それは、その前に行われました衆議院選挙において、やや日本経済が好転しつつあるという何となく認識があって、もうやがて少子化になり大変なことになる、人口も減っていくからここで財政をきちっとしておかないといかぬという問題意識で選挙は戦われましたし、消費税を増徴するということもある程度は仕方がないかというような雰囲気であった。したがいまして、その線で財政再建の議論がなされ、立法もなされまして、結果として幾つかの長期計画というものは将来に向かって削減をされた。これははっきりした一つの成果でありましたし、また年金等々につきましても結論を出さなければならないという雰囲気もそこで固まっていた。  そこまでのところに間違いはないわけでございますけれども、実際問題としては、その年、翌年から、非常に経済は、これは消費税の問題もあったかと思いますし、医療負担もありましたでしょうし、またやがて東南アジアの経済と。不幸にして財政再建というものは、立法までお願いをしましたが先の時期に延ばさざるを得なくなった。  橋本内閣が退陣をいたしましたときに小渕内閣が一番最初考えましたことは、財政再建ということはせっかく緒につこうとしていたが、これだけ景気が悪くなると二兎を追う者は一兎を得ることもできないだろうということを国会で申し上げざるを得なかった。ここで認識の大転換が行われて、以来、二兎を追う者は一兎を得ずということで、ともかくこの一年余り、まあ幾らか経済が好転し始めたかなというのがきょうの時点と思っております。  したがって、基本的に財政はますます悪くなって、この再建を必ずしなければならないという命題はいよいよ深刻になっていますが、しかし、それに手をつけるにしては今の我が国の経済の回復ぶりはまだまだである。残念ながら、確実に二%とかそこらの成長の軌道に入ったということになりませんと財政再建というものを手がけるわけにはいかないというのが私はきょうの状況だと思っております。  したがって、岩本委員の言われますように、心配な問題はなくなったのではなくて、いよいよ実は心配の度合いを加えている。この不況の間に債務はふえておりますから、度合いはふえておる。恐らく明日あたり我が国の第二・四半期の成長が出るわけでございますが、どのように出ましてももうこれで安心だなというわけにはまだまいらないのではないか。もう一押ししておかなければ安心できないということではなかろうかと思うにつきましては、恐らく来年度予算あたりで、あるいはもし補正がございますかしれませんが、全体として、もう財政からのてこ入れは要らないということには恐らくなりかねる、恐らくなるまいと思わざるを得ませんから、問題はなお深刻になり続け、しかしうまくいけばその問題に着手する日がやがて少しでも早く到来するだろうという、認識としてはどうもそういうふうに申し上げざるを得ない。遅ければ遅いほど問題は難しくなることは確かでございますけれども、そうかといって経済力が回復しないうちにこれに着手することはまた問題をもとへ戻しますので、多少悪くなるのは知りながら、まず経済力をきちんと固めることの方が先決ではないかというふうに私としては考えておるわけでございます。  しかし、この問題について再度お尋ねがあって、委員会の関心を高めていただきますことは、大蔵大臣としては大変にありがたいことだというふうに考えておるものでございます。
  195. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  大臣は政治家でございますし、国をつかさどられた経験もございますお人でございますから、心のうちを察する以外ないのではないかなと思いますが、今のお話でわかりますのは、やはり今は景気だと。確かに大事でございますけれども、決して景気だから何でもありということではいけない。景気のために財源のことを考えずにやるということはこれはもってのほかであると私は思っております。そういう景気に対する対策も必要かもしれないけれども、財源を厳しく見直していくということでなければいけないのじゃないのかな、そういう意識は常に並行してやっていただかないといけないのじゃないかなというような気持ちを持っているわけでございます。  それで、今、大臣が長々とお話しいただきましたので、実は私は大臣は割と楽観的に見ておられるのじゃないかなというような誤解もしておったわけですけれども、そうした場合に、じゃいつ明るい方向に行くのか、そういう時期もお話を、大臣なりのお考えを聞こうかなというようなことも準備いたしたんですけれども、今のお話の中でこれ以上お話ししても大臣は同じようなお答えじゃないかと思いまして、それは取りやめます。  ここでちょっと方向を変えまして、実は私、非常に関心があるといいますか、この財政問題、大臣は大蔵省の一番上の方でございますが、いつもずっと大蔵大臣でおられたわけでございませんし、実際に大蔵省事務当局は常に財政問題についてずっとお考えになってきたんじゃないのかな。また、そういう財政運営を大蔵省がきちっとやって、各省もそれに基づいていろんな予算要求をし、査定を受けてきたのが今までの経緯じゃないのかな。私も役人の経験がございますけれども大蔵省のそういう運営に対して信頼をしてきた、従ってきたつもりでございますが、その大蔵省の主体といいますか、そういうことで財政改革法ができたんだと思うんですが、それが今の時点となって、凍結とはいいますが見るも無残になったような感じでございます。そのことについて、大臣には大変失礼なんですけれども、事務当局である大蔵省、事務当局でその辺の思いをちょっとお聞かせ願えたらなと思うんですが、よろしくお願いします。
  196. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 政府の財政運営というのは、当然のことでございますけれども最終的には閣議で意思決定をするわけでございます。それに基づきまして必要な法律、予算を国会提出して、国会の議決を経た上でこれを実施しているということでございます。したがって、何か財政当局が世の中を引き回しているようなことはあり得ないわけでございます。現在でも、事務当局の方は大蔵大臣と一体となって大臣あるいは政府の財政運営を補佐しているわけでございまして、事務当局だけが何か別の考えを持っているということは決してございません。大臣もおっしゃったように、今はともかく景気回復に向けて全力を尽くしているところでございます。  なお、この累次の景気対策の結果、財政事情が非常に悪化をするということはこれは事実でございますので、将来的に財政構造改革というものは必ずどこかで実現しなければいけない課題であるというふうに考えておりますが、時期としてはやはり我が国の経済が回復軌道に乗った段階において根本的な視点から考えることではなかろうかというふうに思っております。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大体予想したとおりの答弁だったような気がいたしますが、先ほど申しましたように、やはりしっかりした大蔵省財政運営あっての日本の国である、当然それは大臣との仲、政治とのつながりがあろうかと思いますが、政治だけで予算が動くということでもないんであろう、しっかりした財政全般の見通しの中でやるということが大事だろう、その辺の信頼をぜひともこれからも維持できるよう大蔵省に頑張っていただきたいと思う次第でございます。  そういうことで、いろいろお話は伺いましたが、私の気持ちはまだどこまで聞いたかよくわからないんですが、皆さんのお話はどうも政治家としてのお話であって、私は政治家の資格がないのかもしれませんが、余りはっきりしない点がございまして、それは、もう少し数字的に何かないとなかなかわかりづらいということがあるんです。  こういうことをできるかどうかわかりませんが、大蔵省、中期財政試算を出されております。これはホームページでとったんですが、要するに名目成長率が一・七五%と三・五%の二つのケースで平成十五年までの財政状況の試算をされていると思うんです。それが今手元にございますけれども平成十五年度にしましても、予算の伸びをゼロにいたしましても大体二十九兆円ですか、ことし三十一兆円の赤字が二十九兆それから三十兆ぐらいの規模になっている。この先、四年、五年先でもそういう状況なんです。名目三・五%がどのぐらいかわかりませんが、これは今の時代ではかなりの高率だと思うんですけれども、これでさえそういう状況なわけでございますから、これをもう少し伸ばした計算といいますか、十年先、十五年先というものがもしできるのであれば、どの辺でプライマリーバランスといいますか、その辺の、ゼロの値が来るとか、その辺の数値がわからないかなと思うのでございますけれども、もしわかりましたらお知らせを願いたいと思います。
  198. 津田廣喜

    説明員津田廣喜君) 中期財政試算は、今、先生おっしゃいましたように、大きく言うと二ケースに分けてお示ししておりますが、平成十五年度までの公債の新規発行額というのは、いろんなケースをとりましてもそんなに多くは違わないということになっておりまして、これは財政事情の厳しさをあらわしているわけでございます。  それで、今御質問のプライマリーバランスの点でございますが、なかなか世の中にはわかりにくい概念だと思いますけれども一言で言いますと、税収などの現世代の負担をもって一般歳出とか地方交付税といった現世代の受益を賄えるという水準がプライマリーバランスでございます。仮にこれが達成されても財政に問題がなくなるというものではありませんけれども財政赤字を減らしていく際の一里塚としての意味を持っている指標であろうかと思います。  ただ、これから経済がどういうふうに動いていくか、それに伴って税収がどうなるかというようなことは、先ほどの中期試算はあくまで機械的なものでありますので、実際に生き物である経済の動きはまたそれとは別なものになる可能性もかなりあるわけでございまして、この数字だけをもとにして議論することはなかなか現実には難しいわけでございます。  プライマリーバランスの達成できる時期ということにつきましても、結局政府の政策というのは、動くに任せるだけではなく、これからの財政改革を考えますと、やはりある時点で歳入歳出両面にわたるいわば抜本的な考え方の変更を必要としているわけでございますので、そういったものの結果によっても大きく違ってくると思われます。  したがって、プライマリーバランスの時期をこの段階でお示しすることは大変難しいわけでございますが、今年度において相当大きなアンバランスが生じていることから見ますと、これを達成するだけでも容易なことではないというふうに考えております。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 この中期財政試算の話をしますと、いつもこれは仮定だというふうなお話なんですが、こういう仮定をされて、これが今一番可能性のある仮定だから大蔵省はこういうことを試算しているんじゃないかと私は思いますが、これを見て、これではいけないということで政治の方とかがいろいろと操作をするということでないのかなというような感じがするわけでございます。  だから、いろんな問題があって出せないというならそれはやむを得ないんですが、単純に例えばこういうものがこうなんだということを示した方が今の財政赤字を乗り切るのでも、情報公開法が通っておりますし、今の日本人というのは、いわゆる知った上で皆で協力していこうというような気分の方が大きいんじゃないか。だから、変に隠し立てするよりも、これだけ大変なんだということを知らしめて、それで一緒に努力するという、そちらの方向が必要なのではないのかなと思っております。  時間がなくなりました。また再度時間を見つけてこの延長戦ができましたらさせていただきますが、今回はこれでやめさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  200. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  きょうはまず官房報償費、官房機密費についてお聞きいたします。  一九九六年度十五億一千六百四万円、一九九七年度十五億千八百九十五万円、一九九八年度十六億二千四百五万円と言われておりますが、まず、会計検査院は官房機密費、官房報償費に対してどのような調査を一年間で何日、何時間行っていらっしゃるのでしょうか。
  201. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  内閣官房報償費の検査に当たりましては、計算証明書類として検査院提出されております支出決議書あるいは取扱責任者の請求書あるいは領収書等につきまして書面検査をまず行いまして、また実際の実地検査の際に取扱責任者の手元に保管されております支払い相手先の領収証書等の証拠書類の提示を受けまして、支出目的等について適正に使用されたかという心証が得られるまで検査をしているところでございます。  実際の検査に要した人員日数でございますが、毎年総理府本府の会計実地検査におきましては六名程度の班編成で三日間ほど検査を行っておりまして、この中で官房報償費についても検査を行っているところでございます。
  202. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 内閣全体の会計に関してやるわけですから、ちょっとこれは答えにくいかもしれませんが、具体的にこの官房機密費についてどれくらい時間を年間かけているかはわかりますか。
  203. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 具体的に要した人員日数はちょっとはかりかねるのでございますが、今申し上げましたように六名程度で三日間、十八人日でございますが、そのうちで必要に応じて官房報償費に当たるということでございます。
  204. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 官房報償費については簡易証明を認めておられますが、その理由はなぜですか。
  205. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 報償費につきまして簡易証明を認めております理由といたしましては、その費目の性質上、例えば情報提供した協力者名が外部に知れた場合、協力者に不利益が及ぶ場合があることとか、それから相手方の任意の協力によりまして行われております情報収集活動に現在及び将来にわたって支障を来す結果となるというようなことから、情報提供者の領収書等につきましては、多数の者の手を介して行われる一般的な計算証明の方法によらないで、取扱責任者の手元に領収書等を保管させまして、実地検査の際に厳正に検査をするということになってございます。
  206. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 会計検査院がいわゆるこの報償費以外に簡易証明を認めているのはどういうものがありますか。
  207. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 内閣報償費のほかには、例えば警察庁の報償費であるとか、それから外務省あるいは大蔵省等々、正確な数字ではございませんが、十省庁程度について認めております。
  208. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 報償費についてだけなぜ簡易証明なのかというふうに思うんですが、領収書を会計検査院は全部あらかじめ送ってもらって、例えばゆっくりそれを精査することはできますか。それとも、内閣の方に三日間六人で行った段階で領収書を現実に見る、それのみにとどまりますか。前者ですか、後者ですか。
  209. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 端的にお答え申し上げますと、後者でございます。
  210. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この報償費以外について、領収書を送ってもらわない、現場に行かないと見れないということはほかにありますか。
  211. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。  その点につきましては報償費のみだと考えております。
  212. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 きょう私がこの質問をしようと思ったのは、なぜ報償費についてだけ極めて特別な扱いをするのかということがよくわからないからです。  普通、会計検査院は、領収書など手元にあれば、疑問があればあいている時間にちょっとこれは調べようと思って調べることができるわけですが、なぜか報償費だけは会計検査院の人たちは自分の手元に置いておくことができず、一年間のうち三日間だけ六人で内閣に行ったときにしかその領収書が見れないわけです。もう少し突っ込んで調べたい、これはどういうことだろうとゆっくり精査をしたい、そうすると何か気がつかなかったいろんなことが見えてくるのじゃないかということが、報償費についてのみできないんですね。そうしますと、時間もエネルギーも限られておりますし、ゆっくり見たいという、再度調査ということは非常に難しいというふうに思います。  この点について、領収書の扱い、送ってもらってあらかじめ見るということ、書類を全部送ってもらう、なぜ報償費だけ他の会計検査と違うのか、それについて答えてください。
  213. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 報償費につきまして領収書をとることができないというわけでございませんで、先ほど申し上げましたような理由で、支払い相手先の不利益というようなこともございまして相手方の手元に保管させておくということでございまして、そういう意味で通常の計算証明と若干異なってはおりますが、私といたしましては、必要の際には十分に説明を徴したり関係書類の提示を求めたりいたしまして、十分な厳正な検査ができておると考えております。
  214. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、質問にちょっとずれて答えていらっしゃるので、もう一度聞きます。  領収書がもらえる場合ともらえない場合があるということについて質問しているのではありません。他のものについては会計検査院の方に書類を送ってもらって、それを例えばいろんなときに精査をすることが可能なのに、なぜ報償費だけ会計検査院が極めて限られた日数、行くときにのみしか見れないのか、これについて答えてください。
  215. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 限られたときだけといいますよりも、先ほど御説明申し上げましたように、経費の性格ということで相手方に領収書を手元に保管させておくということでございます。
  216. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 違うんです。相手方に領収書が保管されているかどうかではないんです。先ほどおっしゃったとおり、報償費だけ会計検査院は行かないと見れないわけですね。それはなぜか。報償費だけなぜほかの会計検査と違う方法をとっていらっしゃるのか、答えてください。
  217. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 繰り返しで大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたような理由で相手方に保管させておくということでございまして、検査に当たりましては、ちょっと報償費の性格と違いますが、あらかじめ必ずしも入手しなくても実地検査の際に十分検査できておると考えております。
  218. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ほかの決算については送ってもらうわけですよね。それがなぜ送ってもらわないで相手の手元に保管するのかということについて、食い下がるようで済みませんが、明確な答弁がないと思います。  では、次にお聞きします。  この官房機密費の項目を挙げてください。
  219. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 恐縮でございますが、項目と申されますと、具体的な内容ということでございますか。
  220. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 はい。
  221. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 私ども検査上知り得ました情報につきましては、会計検査の立場から、私の方から明らかにするということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  222. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それでは、内閣の方、項目を挙げてください。
  223. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) お答え申し上げます。  平成十一年度で申し上げますと、予算額としては十六億二千四百万円を計上してございます。その内訳という意味で申し上げますれば、内閣官房の一般行政経費として十三億九千三百万円、内閣情報調査室に必要な経費として二億三千百万円を計上しているところでございます。
  224. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 前者の項目について挙げてください。
  225. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 報償費の性格上、これのさらに内訳というものは区分をいたしておりません。
  226. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 地方自治体では、情報公開条例ができる以前から細かくこれを、だれと飲み食いしたというところは別としても、少なくとも食料費として幾ら、慶弔費として幾ら、その他の交際費として幾ら、交通費として幾らという大体大枠の項目は挙げていた自治体が多いわけですが、十三億、これは税金、血税なわけです。その項目も挙げていただけないのでしょうか。例えば慶弔費、食料費という項目でもだめでしょうか。済みません、項目を挙げてください。  これはやはり国会としては知る必要があると思いますので、ただ漠然と経費十三億と言われても、会計検査院も明らかにしてくださらない、内閣も明らかにしてくださらないということであれば、知ることができません。個別のケースでこの領収書は何かということをきょうお聞きしているのではありません、項目を挙げてくれと。お願いします。
  227. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 今、先生は交際費の例をお挙げになって、交際費で分けているしというようなことだったかと思ってございますけれども、交際費と報償費とは性格がまず異なると思っておりまして、交際費につきましては、儀礼的、社交的な意味で部外者に対し、性格としては一方的それから贈与的な性質を持ってお出しをする経費だというふうに整理をされてございます。  それに対しまして、一方、報償費でございますけれども、性格をまず申し上げますと、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、状況に応じて最も適当と考えられる方法により機動的に使用する経費、かつ、例えばということでいつも申し上げておりますのは、広く内政、外交の円滑な推進を図る上において、功労、協力及び努力のあった者に対し、その労苦に報い、そのために最も望ましいと思われる場合において支出をしているということでございまして、まさに態様が千差万別、そのときそのときに応じて機動的にお出しをすることが報償費の目的。そういう性格の違いがございますので、今、予算上いずれにしろ細目の区分はしていないということでございます。
  228. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 では、内閣が明らかにくださらないということなので、会計検査院にちょっと話を戻します。  会計検査院は、例えば一年間のうち三日間六人で行ったうち、何時間かそれはわかりませんが、やっとそこで領収書が見られるわけです。そのときに、多分非常に大部だと思うんですが、項目というのはないんですか。  次のようにお聞きします。日付ごとにファイルがあるのか、それとも項目ごとにファイルがあるのか、前者か後者か、答えてください。
  229. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 繰り返しで大変恐縮でございますが、私ども検査の過程で知り得ました情報につきましては、検査の相手方の方で公表できないというものにつきまして私の方から公表申し上げますと、検査の信頼関係といいましょうか、ということもございまして、私の方から公表することは御容赦を願いたいと思います。
  230. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国民との信頼関係はどうなるのでしょうか。私自身は、一つ一つの領収書についてこれは何かということを当然ですがきょうここでお聞きしているわけではありません。項目も挙げていただけないと、結局十三億が、十三億プラスアルファですね、全部挙げれば十六億ぐらい、どう使われているのか一切わからないんです。  それは、逆に言うと会計検査院を信用してくれということでしょうか。でも、その中身すら明らかにしていただけないのであれば、会計検査院を信用してくれと言われても、会計検査院は何のためにあるのかといえば、相手方のためにあるのではなく国民のためにあるのだというふうに思います。再度お聞きします。項目ぐらい明らかにしてください。
  231. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 繰り返しで本当に恐縮でございますが、先ほど申し上げましたような理由で私どもの方から公表ということは差し控えさせていただきたいのと、それから基本的に会計検査の立場からいいますと、こうした問題につきましては第一義的には関係省庁といいましょうか、当局の方から公表していただくものというふうに、公表する必要があるとすればでございますが、公表していただくべきものと考えております。
  232. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 では公表していただくということで、内閣、項目だけ挙げてください。項目だけで結構です。
  233. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 先ほど来申し上げておりますように、報償費については項目の細分はいたしておりません。
  234. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 細分していらっしゃらないのであれば、具体的に今までどういうこと、例えばこういうことに使ったということを言っていただきたいと思います。
  235. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 先ほども申し上げましたけれども内閣の報償費は、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、状況に応じて最も適当と考えられる方法により機動的に使用する経費となってございます。  例えば、広く内政、外交の円滑な推進を図る上において功労、協力及び努力のあった者などに対し、その労苦に報い、さらにそのような寄与を奨励することが望ましいと思われる場合において支出をいたしております。
  236. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 では、例えば国会議員に対して支出することはありますか。
  237. 内田俊一

    説明員(内田俊一君) 内閣の報償費は、先ほど申し上げたような方法により機動的に使用する経費でございまして、一般的にその支出目的にかなうと考えられる場合に使用いたしております。  個々の事案については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  238. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 さまざまな、例えばメモ書きがあるとか、雑誌やいろんなものに出ておりますが、例えば自民党の外交対策費、いわゆるこれはおせんべつです。野党対策費、夏季・年末経費、これはもち代だと言われておりますが、そういうことに使われているという記事もあります。  ですから、むしろそうではないのだという答弁を私としてはお聞きしたいというふうに思っております。お願いいたします。
  239. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど来政府委員から繰り返し答弁をいたしておりますように、内閣の報償費は、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、その状況に応じ最も適当と考えられる方法により機動的に使用する経費でございます。一般的にその支出目的にかなうと考えられる場合に使用するものでございます。  委員が今御指摘ありました自民党の外交対策費とかそういうことは、公党に対して議員の質問とはいえまことに私は失礼だと思うわけでございまして、村山内閣のときに、時の五十嵐官房長官も野坂官房長官もそのようなことはしておられないことを私は承知いたしております。
  240. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 会計検査院にまたお聞きをいたします。  支出決議書に領収書も何も証拠書類がついていない場合、会計検査院は何をもって内閣官房の主張を正しい、正当であるというふうに考えられるのでしょうか。
  241. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) 報償費の性格ということから、領収書がとれない場合があるということは承知しているところでございますが、その場合でありましても報償費の支出の目的であるとか、いつだれがだれに対して払ったかということにつきましては、十分な説明を受けまして適正であったかどうかという判断をしておるところでございます。
  242. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ちょっとアバウトで済みませんが、戦後五十年間、問題点会計検査院指摘したことはありますか。
  243. 関本匡邦

    説明員(関本匡邦君) ございません。
  244. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 これは希望なんですが、私たちにとってやっぱりわからないものなので、情報公開法もできました、私は地方で交際費などが明らかになっていったのと同じようなことが国会でも起きるだろう、裁判もいずれ起きるだろうというふうには思っております。  そういう意味では、国民の信頼をかち得るために、細かい点は無理だとしても、少しずつ項目から明らかにする、全面的開示は無理としても、ここまでは開示できる、ここまではちょっとまだ今の段階では言えない、そういう工夫は国民との信頼関係の中で、情報公開法をつくられた太田誠一さんもいらっしゃいますけれども、そういう意味ではこれからそれを望まれるだろうと申し上げたいと思います。今後もまた質問をしたいと思いますので、ぜひお願いします。  では次に、苫小牧東部開発、苫東の件についてお聞きします。  苫小牧東部開発、いわゆる苫東開発が破綻して、旧苫東開発を整理し新会社が発足をいたしました。その際、苫東開発の新会社に国から産業投資特別会計から北東公庫へ二百二十二億円出資がされました。  大蔵省はこのような出資が妥当であると何に基づいて判断をされたのでしょうか。
  245. 中川雅治

    説明員(中川雅治君) 苫東新会社への産業投資特別会計からの出資につきましては、昨年十二月二十五日の閣議了解でございます「「苫小牧東部開発」及び「むつ小川原開発」の両プロジェクトの取扱いについて」におきまして、新会社については「新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提に、産業投資特別会計からの出資を受けて、北海道東北開発公庫が出資を行う。」こととされたわけでございます。  この閣議了解における「新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提」という点につきましては、当局として北海道開発庁を初めとする関係省庁が真剣に対応している状況を総合的に評価したものでございます。  現在、この閣議了解のもとで、北海道開発庁を初め、関係省庁等において七月末に設立されました苫東新会社の事業の円滑な推進が図られるよう新たな推進体制を組んで今対応しているところでございます。そうした状況を踏まえて出資を決定いたしたわけでございます。
  246. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 苫東における各種プロジェクト案というのがありますが、このプロジェクトは確定的なものですか。
  247. 原口恒和

    説明員(原口恒和君) 御指摘は北海道開発庁がまとめました「苫小牧東部地域における各種プロジェクトについて」というものだと思いますが、これは今後の進め方につきまして北海道開発庁を中心に北海道庁、北東公庫等を交えて検討されたものというふうに承知しております。今後この事業計画に示された各種のプロジェクトについては関係者あるいは各プロジェクトの事業主体を交えて検討が進められていくものというふうに認識をしております。
  248. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この各種プロジェクトはほとんどがまだ未確定で、例えば千百五十ヘクタールあるうちの四百ヘクタール、三分の一強を占めるものとしてITER、イーターと呼ばれる国際熱核融合実験炉のプロジェクトがあります。ところが、これと同じプロジェクトにむつの方も手を挙げております。参議院財政・金融委員会日本政策投資銀行法案に関する参考人質疑でも、むつ小川原開発株式会社の社長が、ITERは青森県が県を挙げて推進し、経団連も一生懸命バックアップしているので何としても実現したいと答えております。このほかに茨城県東海村も手を挙げております。  つまり、同じプロジェクトに三者が手を挙げておりまして、果たして苫東にこのプロジェクトが来るのかどうか。もちろんITERそのものの問題点もあるわけですが、なぜ計画がはっきり確定していない、決まっていないのにお金を出すことができるのでしょうか。
  249. 原口恒和

    説明員(原口恒和君) おっしゃったように、各プロジェクト個別につきましては政府あるいは関係者間で完全に決定を見たものではないものが含まれるといいますか、そういうものについて開発庁が取りまとめて、たたき台といいますか、一つの案として提示しているということは御指摘のとおりです。  ただ、苫東新会社をつくりました背景としては、先ほど理財局長からも説明のありました閣議了解のもとで、まさにいろんな問題を抱えております開発でございますが、一方で我が国に残された貴重な未利用地である、これをできるだけ有効にしていきたいという中で、借入金に依存しない新しい形の推進体制をつくり、また収支につきましても必要経費を経常収入で賄うという格好で、従来と違った新しい体制にしております。そういう中で関係者が努力をすることによって、今後そういう開発の推進あるいは事業の採算性も確保されていくというふうに判断をされたと聞いております。
  250. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 プロジェクトに三者が手を挙げていますから、果たして苫東にこの大型プロジェクトが来るかどうかわからないわけです。例えば、人間であれば借金がとてもふえた場合には自己破産という形をとります。今までお金をつぎ込んでうまくいかなかった、新会社発足のときにもたくさん税金を使う、結局来なかったという場合には、そのお金の使い道に関して厳しい批判が出ると思います。  つまり、一番懸念するのは、決まってないのになぜお金を出すのか。銀行が融資をする場合も、そのプロジェクトが成功するかどうかをはっきり見てお金を貸すわけですが、これは貸すのではなくてお金をつぎ込むわけですね。三者が手を挙げていて、結局来なかったらどうなるんですか。
  251. 原口恒和

    説明員(原口恒和君) 先ほど申し上げましたように、今後の事業計画というのはこういうプロジェクトが必ず張りつく、そういうがちっとしたもの、もちろんそういうことが全部可能であればそれにこしたことはないわけでございましょうが、今の状況ではまだ必ずしも関係者間の調整がついていない、そういう中で北海道開発庁を中心とした長期的な事業計画というものが一つの前提になっておるわけです。一つのプロジェクトが仮にだめであっても、またそれはほかのものをいろいろ探していくとかいろんな努力をする必要があると思います。  ただ、従来と違いますのは、従来は借入金に依存しておりますから、分譲ができないとどんどん利子がかさんで、またそれが収支を悪化させるという悪循環を生んだわけでございますが、今回はそれに依存しない体制、従来の債務についても一応の処理をしてそういう体制を構築する、それから経常的な経費については経常的な埠頭収入等で賄う、そういう一応の財務の健全性を確保しながら長期的に開発の推進を図っていく、そういう体制に衣がえをしているということについては御理解いただきたいと思います。
  252. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 では、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。  ITERが建設されることになれば、その費用は十兆円とも言われております。また、多額の財政投融資が支出されることになるんですが、事業計画の実現性だけでなくて、ITERのような事業の成否も含めて、政府資金、財政投融資などを支出する側がきちっとチェックを入れられなければ、幾ら財政投融資があっても足りないのではないかと思います。  このような財政投融資の支出の仕方についてチェックする機関なりシステムをつくっていかなければ、要するにむつと苫東は閣議決定をしてその後うまくいかなくて途中で中止あるいは方向転換ができなかった、ある意味で失敗例かもしれないと私は思うんですが、大蔵大臣はこの点について、チェックする機関なりシステムが必要ではないか、あるいは決まっていないのにお金をこういうふうに出すことについていかがお考えでしょうか。
  253. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 苫東につきましてもむつにつきましても、大変長い間の歴史がありました。遺憾ながら、我が国の経済情勢がこうなったこともありまして再編を余儀なくされましたが、そのときに、北海道あるいはむつ小川原、殊に北海道の場合そうでございましたが、北海道庁もおられて、両方ともやはり将来のことを考えると、この際もう一遍トライアゲーンしたいという地元の熱意も強い。  そして、我々は二つの地域を考えますと、地域の問題でもあるが、これから日本の将来にとって、あれだけの大きな面積が残されて港があるというところはもう再び見ることができませんから、もう一遍それでは地域の要望にこたえてみよう、こういうのが存続に対して政府が支援をする決心をした基本的な理由であります。  そのときに、今、福島委員の言われました、一つプロジェクトをおっしゃいましたが、北海道庁が中心になりまして幾つかの複数の、十に近いプロジェクトをいろいろに選んできまして、これがどれが実際できるか、相手のあることでございますからわかりません。そのうちの一つを今仰せになりましたが、そういうものについて努力をして、そしてそういうプロジェクトを将来乗せていけば、国のためにもなる、地域のためにもなる。政府委員が申しましたように、苫東の埠頭収入が確定しておりますから、従来のようにそのために借金をして利子がふえるということはない、そういう体制で再出発をいたします。  要は、それだけの金を苫東のために、あるいはむつ小川原のために出すことが地域のためになり、また国の将来のためになるかどうかという事の判断でございますが、それはそうなるだろうというふうに政府としては判断をし決定いたしました。
  254. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 時間ですので、以上です。  ありがとうございました。
  255. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もないようですから、皇室費国会会計検査院内閣総理府本府、大蔵省総務庁沖縄開発庁国民金融公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会