運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-06-01 第145回国会 参議院 経済・産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月一日(火曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      山下 善彦君     陣内 孝雄君  五月二十八日     辞任         補欠選任      久野 恒一君     武見 敬三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         須藤良太郎君     理 事                 成瀬 守重君                 畑   恵君                 簗瀬  進君                 山下 芳生君                 梶原 敬義君     委 員                 加納 時男君                 小山 孝雄君                 末広まきこ君                 中曽根弘文君                 長谷川 清君                 平田 健二君                 福山 哲郎君                 前川 忠夫君                 海野 義孝君                 加藤 修一君                 西山登紀子君                 渡辺 秀央君                 水野 誠一君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    参考人        全国原子力発電        所所在市町村協        議会副会長    村上 達也君        東京大学大学院        工学系研究科教        授        近藤 駿介君        明治大学理工学        部講師      市川富士夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山下善彦君及び久野恒一君が委員辞任され、陣内孝雄君及び武見敬三君が選任されました。     ─────────────
  3. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、参考人として、全国原子力発電所所在市町村協議会会長村上達也君、東京大学大学院工学系研究科教授近藤駿介君及び明治大学理工学部講師市川富士夫君に御出席いただいております。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず参考人皆様から、村上参考人近藤参考人市川参考人の順にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、村上参考人からお願いいたします。村上参考人
  4. 村上達也

    参考人村上達也君) 私は、茨城東海村の村長をしています村上と申します。  本日は、原子炉等規制法に関する法律改正の本委員会審議の場で原子力立地自治体の一人の長として発言機会をいただき、感謝申し上げます。  なお、本日は、全国原子力発電所所在市町村協議会、約して全原協と申しますが、の副会長の肩書きで招かれておりますが、これからの発言は必ずしも全原協の総意としてのものではなく、東海村長たる村上達也としてのものと御理解いただきたいと思います。このことをまずもってお断りしておきます。  また、このような場になりますと、経験がございませんのでかなり力が入りましてしょっぱいことを申し上げますが、真意のほどを御推察いただきたいとお願い申し上げます。  御承知のとおり、東海村は単なる原子力発電所の所在地ではございませんで、日本原子力平和利用研究開発の拠点として昭和三十一年に日本原子力研究所が建てられて以来、多くの原子力関連研究開発機関立地、集積しております。今日では、日本原子力研究所核燃料サイクル開発機構日本原子力発電、そして核燃料製造加工の三社を初め、原子力安全協定を締結している十三の事業所を抱えるに至っております。さらには、行政区は那珂町でありますが、東海村域と隣接した場所核融合研究所立地しております。  このように東海村は、日本原子力センターとして日本原子力発展に貢献してきたことを自負し、また誇りとしているものでありますが、しかし一方では、それぞれの事業者が異なった業務態様にあること、そのため自治体としましては複雑多岐にわたる行政対応が求められており、ストレスも結構あります。この点が原子力発電所だけの他の市町村とは大いに違うところでございまして、全原協の副会長としてよりは東海村長立場での発言と断るゆえんでございます。  本日、私がここに呼び出しを受けた理由としましては、使用済み核燃料中間貯蔵施設のための規定整備参考人、特に中間貯蔵施設を受け入れる立場自治体としてどう考えるか、そのための参考人ということでありますが、初めに、本題に入る前に私の立場をはっきりさせておきたいと思います。それは、受け入れる立場にはない、反対に持ち出してくれと要求している立場にあるということであります。  全国原子力発電所所在市町村協議会は、一貫して、将来的な貯蔵保管の全体像を明確にし、発電所からの他地域への搬出を要求しておりますが、東海村も同じ立場にあります。加えて東海村は、後で詳しく述べますが、膨大な高レベル、低レベル放射性廃棄物を村内に抱え、その問題処理に苦慮しております。本件については、明確に搬出要求立場に立ってお話ししたいと思います。しかし、私の発言使用済み核燃料貯蔵問題の解決に、また今後の原子力政策発展参考になれば幸いと存じます。  本日は、御下問の使用済み核燃料中間貯蔵問題にお答えするのはもちろんでございますが、この機会を利用させてもらい、東海村が抱えておる放射性廃棄物現状を報告し、本院における放射性廃棄物問題の御理解と今後の解決の御努力をお願いしたいと思います。  使用済み燃料中間貯蔵問題と放射性廃棄物処理問題は、我が国原子力産業解決せねばならない緊急の課題であり、現に最前線で直面している自治体として、また真の原子力平和利用発展を願う者として、国と事業者による真剣な解決を求めるのが私の立場でございます。  それでは、私の主張に入ります。  第一点は、中間貯蔵施設国民的合意形成の視点から取り組んでいただきたいということであります。  放射性廃棄物処理問題も同じでございますが、この使用済み核燃料中間貯蔵施設問題は、国民的合意形成がかぎであることはだれしも異存のないところでありましょう。私は、原子力への国民の不安と不信が高まり逆風下にある今日の状況のもとでは、国民的合意形成の成否が原子力の将来を占う最大のポイントであり、そしてこの中間貯蔵施設問題の解決こそは、困難はあるがそれだからこそ国民的合意形成をなし遂げるための絶好の課題であり、チャンスであると思うのであります。それだけに、目先にとらわれ功を急ぐようであってはならないと思います。政府事業者も真っ正面から取り組んでもらいたいと思っております。  また、安易にこれまでの原子力立地点に依存しその地域負荷を高めるのではなく、広く全国立地点を探り、議論の輪を広げるべきと思っております。  原子力立地自治体電力生産地では、国民的合意形成の成果が見えないことに、まくら言葉かスローガンではないかと内心じりじりしています。原子力立地自治体が思っておる国民的合意形成とは、生産地消費地過疎地、大都会の区別なく、ひとしく国民負担を分担するということでございます。  昨年の九月中旬、ある電力会社から非公式に東海村に中間貯蔵施設をつくらせてもらえないかとの打診がございました。理由は、ある県の発電所内での保管能力が限界に来た、そこの県知事からは外部に搬出しろと言われている、サイト内でも貯蔵能力をふやせないとのことでした。私は言下に断ったことは言うまでもございません。相手も、村長の言うことはもっともだ、よくわかったので社長に伝えますとのことでございました。  私はこれで一件落着と思っておりましたら、さらに十一月初旬に、電力会社から再び東海村に五千トンの中間貯蔵施設をつくらせてくれと具体的に規模も明らかにして打診がございました。ここでも、私の意思は既に社長に伝わっているはずとお断りしたところであります。  東海村と茨城県は原子力の発祥の地で、これまでも多くの原子力施設を受け入れ、確かに原子力にはよそと比べ理解のある地域でございます。しかし、困るとすぐに東海村というのでは国民的合意形成原子力の未来もあるのでしょうか、ちょっと心配になります。  原子力事業に対する不信は、このような原子力機関関係者場当たり的御都合主義政策一貫性の欠如にもよるのではないでしょうか。このような態度は国民的合意形成を阻害する最たるものと私は考えております。一考を促したいと思います。  第二点は、この一貫性について述べます。  原子力政策一貫性の保持をぜひお願いしたいと思います。  平成八年、福島、新潟、福井の三県知事は、使用済み燃料取り扱いに対する不透明さが立地地域では懸念や不信感を生んでいるとして、将来的な貯蔵保管のあり方を含め使用済み燃料貯蔵問題の全体像を明確にせよと提言しております。それを受けて今次国会での原子炉等規制法改正審議されていると思うのでありますが、今後の運用に当たっての参考までに地元自治体の考えを述べておきます。  全国原子力発電所は、使用済み燃料青森六ケ所村に搬出し、そこで再処理を行うことを前提に成り立っていますが、青森の再処理工場運転開始時期のたびたびの延期、そしてこの原子炉等規制法改正審議の最中、過日の二〇〇五年への五度目の延期発表は、発電所所在市町村には大きな失望を持って迎えられたはずでございます。  青森県の地元との関係には私たちが知らない事情がいろいろあるでありましょうが、当初決定した計画がスムーズに進行せず、かくも大幅におくれるのはなぜでありましょうか。地元との合意内容がその場しのぎであいまいだったのか、計画自体がずさんだったのかは知りませんが、とても政策一貫性が見てとれません。まして、先ほどの五千トンの中間貯蔵施設東海村にとの発想は、青森がうまくいかないからであったとしたら、政策一貫性を欠くそしりは免れないでありましょう。  使用済み核燃料問題と同じことが高レベル放射性廃棄物処分問題でも起こっております。  東海村は、再処理工場で発生する高レベル放射性廃棄物の一時保管は認めるが、あくまでも一時保管であり、中間ないし最終処分場を設置し村外搬出することを条件として動燃の再処理工場を受け入れたわけであります。しかし、高レベル放射性廃棄物処分問題は緒についたばかりで、いまだに確たる見通しが立っていないように思います。今後、再処理工場運転にも影を落としてこないか懸念しているところでございます。  計画を一たんお立てになったならば、国と事業者責任を持って実現のために誠心誠意努力してもらいたい。それでこそ立地自治体信頼が得られると思っております。  三点は、中間貯蔵施設立地点選定消費地を含めて考えていただきたいと思います。  日本エネルギー確保COP3、そして国民的合意形成と言いつつ、どうして原子力立地過疎地をターゲットにするのか、私はかねがね疑問に思っておりました。理想論だ、現実論で行こうとの声が聞こえますが、しかしここまで日本原子力発電が普及し、現在において、まして行き詰まってきたとしたならば、新たな地平を開くため発想を変えるときではないでしょうか。原子力発電所をとは申しませんが、せめて使用済み燃料中間貯蔵施設消費地大都市部でもできるはずと思っております。例外を設けずに選定してはと思っております。  原子力発電所サイト内でありますが、過去三十二年の実績で貯蔵施設安全性は実証されており、その技術的蓄積もされていると総合エネルギー調査会原子力部会中間報告でも言っております。私もそのとおりだと思っております。また、使用済み燃料輸送面でも、大都会、大消費地には港湾設備が完備しているわけでありますので、臨海立地日本原子力発電所を考えますと、輸送面でも問題はないのではないかと思っております。  原子力に限らず、一般産業廃棄物処分場山間地や離島の過疎地立地の思想で進められていますが、地元の一致した反対に遭い進展を見ていないと思います。私は当然のような気がいたします。  過疎地住民の心には高度成長の時代に地域社会を破壊されたとの思いがあるでありましょうから、そこに都市部で生み出された不要なもの、産廃物の捨て場にされるのではプライドが許さないのが住民の心だと思っております。自治体の長としましては地域振興のための金は欲しいわけでありますが、しかし過疎地住民からすれば、地域振興の金を出すと言われても、それはべっ視であり差別であるとの思いが残っており、受け入れることにはなっていないのではないかと思っております。中間貯蔵施設の設置を考える場合も、この住民感情を頭に置いてお考えいただきたいと思います。  そして、立地点選定推進に当たって必要なことは、地域住民が安心して共存できる制度的保障をすること、そのためには法整備保障措置安全性確保に関するハード、ソフト両面の基準の整備、何よりも防災面を含め国の一元的責任を明確にすることにあると思っております。  四番目は、放射性廃棄物処分対策の一層の推進をお願いしたいと思います。  使用済み核燃料中間貯蔵問題は、目先発電所運転確保の側面からのみではなく、核燃料サイクル、再処理観点、そして核燃料サイクル政策推進と不即不離の関係にある放射性廃棄物処理問題と一体として検討をしていただきたいと思います。  そこで、参考までに東海村の放射性廃棄物現状について紹介しておきます。  高レベル放射性廃棄物は再処理に伴って発生するものが大部分でありますが、旧動燃核燃料サイクル開発機構には、昭和五十二年、再処理業務を開始して以来現在に至るすべての高レベル廃棄物が構内に保管管理されております。  その数量は、放射性廃液貯蔵能力八百七十立方メートルに対し既に四百五十三立方メートル、廃液からガラス固化体にしたものが貯蔵能力四百二十本に対し六十二本が保管されております。ガラス固化体には保管余力があるように見えますが、安全性に問題のある廃液をすべてガラス固化しますと固化体本数は五百二十五本となり、保管能力を超えることになります。さらには、プールに保管中の使用済み燃料が九十六トン、電力との役務契約で未搬入分が八十トンありますので、これらを再処理すれば約百七十六立方メートルの廃液が出ます。これが前述の数字に加わってまいります。現在、日本一の高レベル放射性廃棄物保管しているのは、政府が進めております六ケ所村ではなく、実は再処理運転のための一時保管場所にすぎない東海村ということをお伝えしておきたいと思います。  高レベル放射性廃棄物ばかりではございませんで、低レベル放射性廃棄物保管量東海村は日本一であります。現在、東海村の村内の事業所保管されている低レベル放射性固体廃棄物ドラム缶換算で三十三万本を数えております。これは日本全国の約三〇%近くを占めております。日本原子力研究所にはRI協会の分を含め十二万一千本、サイクル機構には十三万二千本、日本原電には五万本、燃料加工三社には二万二千本、その他で七千本の内訳であります。  問題は、原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物日本原燃が青森県内事業化埋設処理を行っていますが、発電所以外のものについてはいまだ何の手当てもなく、これまた白紙状態にあるということであります。低レベル放射性廃棄物東海村の事業所で毎日発生して増加しておりますが、各事業所では数回に及ぶ放射性固体廃棄物保管庫の増設を行い対応してきておりますが、ここに来て動きがとれないような状態になってきていると言っても過言ではございません。  放射性廃棄物に関しては、面積わずか三十六平方キロメートルの東海村にいかに過重な負担を強いてきているか御理解を賜りたいと思っております。どうか善処願いたいと思います。  バックエンド対策を先送りしてきた国の責任は重いと思いますが、ここに近藤先生がおりますが、最近ピッチを上げて検討してきているということでございますので、さらにピッチを上げていただきたいということを切にお願いしたいと思います。  終わりに、このように国会という場で意見を述べる機会をいただき、心から御礼申し上げます。何か不満のみを言っているとお聞きとめかもしれませんが、今後の原子力政策推進に幾らかでもお役に立てばということで、原子力自治体の実情を極めて率直に申し上げました。  何とぞ御賢察、御理解を賜りたくお願い申し上げ、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  5. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) どうも大変ありがとうございました。  次に、近藤参考人にお願いいたします。近藤参考人
  6. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 御紹介いただきました近藤でございます。  私は、総合エネルギー調査会原子力部会会長ということの御紹介がございましたが、きょうは東京大学近藤一個人として発言をさせていただければと思います。  私の発言の要旨は、お手元のメモに三枚のものにしてとじてございますが、ポイントは三つです。一つは内外エネルギー情勢課題、そして二番目が原子力開発利用課題ということで、三番目として御審議にかかわる関連事項について若干の所感を申し述べさせていただく、そういうことで意見を申し述べさせていただければと思います。  まず最初に、内外エネルギー情勢でございますが、世界エネルギー供給石油換算で約百五億トンということで、この構成を見ますと依然として化石燃料中心供給構造で、しかも中東依存度が高くて不安定要因を内在しているというふうに評価できると思います。  需要でございますが、しかるべき権威筋の推定によりますと、二〇二〇年には現在の一・五倍にまで伸びるということでありまして、もしこの増分の大部分化石燃料によって充当され続けるといたしますと、温室効果顕在化が進行すると予想されているところでございます。先ほど御紹介の、先年京都で開かれましたCOP3で我が国を含む先進各国が二〇一〇年の温室効果ガス放出量の削減ということをお約束したのも、またそのことを理解の上であるというふうに理解しておりますが、いろいろ伺ってみますと、なかなか各国ともこの達成方策に関しては現在なお模索中ということで、今後相当の努力が必要ではないかというふうに認識しておるところでございます。  さて一方、我が国でございますが、一次エネルギー供給石油換算五・八億トン、その輸入依存度が八二%ということ、しかも石油依存度五六%で、その原油の大部分、八〇%以上を中東に依存しておるということで、この数字石油危機以前並みの高水準ということで、かくも脆弱なる供給構造を持っているということになろうかと思います。一方の電力でございますが、この供給量は約九千億キロワットアワーで、原子力が三分の一、天然ガスが四分の一、石油五分の一、石炭六分の一、こういう感じでございます。これは御承知のとおりでございます。  それで、我が国エネルギー政策は、現在、適切な経済成長を維持しつつエネルギー安定供給確保環境保全確保を実現していくために、省エネルギー、それから原子力発電並びに新エネルギー利用積極的推進を図るとするものでございまして、各国政策を伺いましても、基本的にはこの三本柱ということについてはおよそ変わるところがないというふうに思っております。  問題は、この政策推進に当たりましては、明らかにリサイクル等による資源利用率向上、そして原子力、新エネルギー重要性に関する認識を国民各位が深めていただくこと、そしてまた企業家が高効率環境負荷の小さいエネルギー技術を商品化して市場価値体系の変革をリードしていく、そういう気概を持った活動をしていただくことが重要というふうに考えておるところでございます。  二番目は、原子力開発利用でございます。  この中での原子力でございますが、原子力は、御承知のとおり、発電費資源価格依存性が低くて、温室効果ガス排出率が小さく、高速増殖炉など燃料の高効率利用技術が実現いたしますと世界核燃料資源規模化石燃料資源の六十倍以上、それから、放射性物質環境に出すわけでございますが、それが自然放射線源による環境放射線レベルを有意に変えないように管理が可能である、それから、核不拡散観点から核物質あるいは核物質取り扱い施設等国際原子力機関保障措置のもとに管理する必要がございます、これまた特徴かと思いますが、そういう特徴を有し、現在既に世界発電量の一七%を分担しているというところでございます。  ただし、現今、世界的には化石燃料価格が非常に低くなってきているということ、それから火力発電技術が著しく進歩しているということ、こういうことで原子力より火力の方が経済的に優位な地域が生じていること、さらに規制緩和によりまして、地球温暖化対策政府の仕事、民間は変動する需要をめぐる競争に勝つべく小回りのきく電源を優先する、そういうふうに考える電気事業者世界各地で多くなってきておりまして、原子力発電の新設はこうした状況に至っていない地域に限定される傾向にあることもまた御高承のとおりでございます。  こうした状況を踏まえて、我が国原子力開発利用活動はいかにあるべきかということになるわけでございますが、およそ経営においては短期中期、長期の課題を適切に混合してこれを進めていくことが重要とされているところ、原子力開発利用に係る短期的活動は、短期的活動定義自体既存資産有効活用ということになるわけでございますが、既存資産というべき軽水炉発電技術を最大限有効に使う観点から、第一には細心の注意を払って運転安全性信頼性維持向上を目指して改良、改善を推進していく、第二には新規発電所立地を促進しつつ、使用済み燃料中間貯蔵能力整備充実、そして、先ほど御紹介がありましたが、既に発生している高レベル放射性廃棄物管理体制充実整備をしていく、そして、国際原子力安全及び核不拡散体制維持向上への貢献をしていく、こういうことが現在の原子力発電設備の健全な運営の観点から重要な課題というふうに考えるところでございます。  中期的活動は、これはおよそ予測される市場並びに資源環境条件の変化のもとでも、引き続き原子力競争力を維持できるように代替技術等計画的に市場へ参入させるということの観点からなされるべき活動理解しております。この観点で第一に重要なのは、合理的な設備取りかえ計画を実施可能にすべく合理的な原子炉廃止措置技術の確立あるいは規制緩和条件下でも競争力のある新型軽水炉技術を準備することでございましょうし、第二としては、資源環境問題の不確かさに備えて、資源の有効利用が可能な使用済み燃料の再処理とそれに基づく軽水炉によるプルトニウム利用、いわゆるプルサーマルでございますが、これを計画的に推進していくということも重要だと考えておるところでございます。  一方、長期的活動は、およそ将来において市場構造を変えるような革新的な新技術を将来世代の選択肢として準備するというのが総論でございます。原子力に関して申し上げますと、燃料効率利用を実現する高速増殖炉技術や加速器利用原子力エネルギー生産あるいは廃棄物管理技術、原子炉による水素生産技術あるいは核融合炉技術等を、現在より格段に進歩した、恐らく進歩するでありましょう太陽エネルギー技術にもまさるものとすることを目標にして研究開発を進めていくことだというふうに考えております。  こういう観点からいたしますと、この委員会で御審議保障措置の強化・効率化のための規定の整備及び使用済み燃料中間貯蔵のための規制整備から成る原子炉等規制法の一部改正は喫緊の課題として重要と認識しておりますし、特に使用済み燃料原子炉施設外中間貯蔵を可能にする制度の整備は、既に一九八七年来の原子力長期計画使用済み燃料の一時貯蔵あるべしとされているところでありますので、妥当なものと考えるところでございます。また、その改正内容は、現在既に原子炉施設等で使用済み燃料が安全に貯蔵されているところ、同水準の安全確保を意図しているところでありますので、適切と考えるところでございます。  最後に、関連して幾つかの、やや思いつきに類することに近いものもございますが、日ごろ考えていることを申し述べさせていただきます。  第一には、すべてのエネルギー技術には人々の健康と環境に影響をもたらす観点がございます。国民エネルギー選択の議論には、こうしたリスクに関する情報も適切に提供されるべきではないかと考えているところでございます。また、およそ環境基準とか安全基準というのはこういうデータに基づいて制定されるわけでございます。既に確立していると考えられる例えば放射線安全規制につきましても、現在は低レベルの放射線もその線量に比例した確率で影響が生ずるという仮定のもとに基準が決まっているわけでございます。これに関しても、例えばこれが過度に保守的であるという学説がございまして、学界で論争がなお続いているというかむしろ最近盛んになっているということからいたしましても、すべからくこうしたデータの不確かさを踏まえた一種の便益追求に係るリスク管理という観点での選択というふうに理解できるところであります。したがって、こうした選択はある種の政策選択でございますので、こうした選択の過程についても国民理解を得て選択がなされるべきというふうに考えているところでございます。  第二といたしましては、こうしたデータでもし原子力は他のエネルギーに比して格段に安全というデータが出たといたしましても、恐らく私の経験では原子力に対する人々の不安は消えない可能性が高いというふうに思っております。人々が不安を解消できるかどうかは、恐らく、あるいは確かにと思っていますが、原子力関係者信頼するに足る存在であるかどうかということに依存しているのではないかというふうに思っております。  従来、ややもすれば技術優先の発想で、安全であれば受け入れられるとか、それから事故、故障が起きるから不安が増す、そういう仮説に基づいて対話がなされてきた節がございますが、私は基本は信頼醸成にあるというふうに考えておりまして、そういう観点から信頼醸成を目指した設置者あるいは関係者のあり方を考究、実践していくべきではないかと考えているところでございます。  三番目としては、規制改革と申しましょうか規制緩和と申しましょうか、競争促進型の規制改革の進行をしてございますが、これの場合に、やはりいわゆる分配の公平性は公共政策でと言われているところ、ここのところ、例えば非化石エネルギーは安全保障それから資源環境問題の点で公益があるとすれば、その公益を税、補助金等である種の内部化するという操作をして市場の公正な競争条件整備していくということがあって初めて電力事業者競争に参加できる、あるいはまた当然のことながら太陽エネルギーの信奉者もまた十分な活躍ができる、そういうふうに考えられるところ、そうした環境条件市場条件整備ということについても競争の促進と規制緩和とあわせてお考えいただくべきことというふうに考えているところでございます。  最後に、今般、省庁再編、行政改革に係っていろいろな原子力関係の組織も変化しようとしているというふうに認識しておりますが、考えてみますと原子力行政も数十年を経ておりますので、今はそういう意味では新しい時代の原子力行政のあり方について検討する好機ではないかと。今、東海村の村上村長からもるる原子力行政に係る課題を御指摘いただいたと認識しておりますが、そういったことも踏まえまして、原子力委員会原子力安全委員会の位置づけ、例えば同じ内閣府に置かれる総合科学技術会議との関係とか、あるいは教育科学省の放射線審議会との関係とか、あるいはこうした委員会原子力行政やら原子力安全行政を所管する行政庁との関係、あるいはよく言われます規制行政独立の原則というものにかかわって責任行政主体のあり方、こうしたものについておよそ先ほど申し述べました信頼醸成の観点から国会においても熱心な議論をお願いしたいと考えているところでございます。  以上、僣越なことを申し上げましたが、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
  7. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) どうもありがとうございました。  次に、市川参考人にお願いいたします。市川参考人
  8. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 市川と申します。  最初に私の立場をちょっと申し上げておきたいと思います。  私は、日本原子力研究所に三十数年勤務いたしまして、主として化学部門の研究者として再処理、廃棄物等の基礎研究に携わってきております。現在は大学の講師をしておりますが、その傍ら、核燃料サイクルのダウンストリーム、つまり再処理、廃棄物等の問題に関心を持ちましていろいろ発言もさせていただいている、そういう立場でございます。  まず、少しさかのぼった話からさせていただきたいと思うわけですけれども、日本原子力政策の基本といいますのは、長期計画等によりますと次の四つであるというふうに書かれてあります。一つは原子力平和利用国家としての原子力政策の展開、二番目は整合性のある軽水炉原子力発電体系の確立、三番目が将来を展望した核燃料リサイクルの着実な展開、四番目に原子力科学技術の多様な展開と基礎的な研究の強化、こういうふうに言われております。  この中の一番、これが一番基本になっているわけなんでしょうけれども、具体的には原子力基本法という法律があるわけでありまして、そこで原子力平和利用に限定するということがうたわれているわけです。さらに、それに付随しまして、これは平和利用を保障するための、担保するためのものというふうに理解していますけれども、いわゆる自主、民主、公開の原則、こういうものが基本法にうたわれているわけであります。そういう意味では、あらゆる原子力問題というのはこの観点から検討をすべきことであろうというふうに思うわけです。  次に、二、三を飛ばしまして、四番目の問題です。これは具体的には核融合であるとか舶用炉あるいは放射線利用等々いろいろな面で研究開発推進していくべきであるということで、これは当然のことであるというふうに思います。  そうしますと、現実的に大きな問題となっている政策課題は二番と三番ということになります。  二番というのは、これは実は日本原子力開発の当初のころからのいきさつを見ればわかるわけでありますけれども、日本原子力開発というのは非常にアメリカの軍事利用から平和利用に転換するという政策の影響を受けて始められたわけであります。そういう意味で、日米原子力協定というものが早くから結ばれ、だんだんその内容もエスカレートと言ってはおかしいですけれども、規模の大きなものに変わってきている。日本原子力の長期計画も、それにあわせてというのはおかしいかもしれませんけれども、矛盾しないような形で進められてきた、こういうふうに考えております。  結局、アメリカが日本に対して低濃縮ウランを供給するというのが日米原子力政策の基本でありますが、その低濃縮ウランを燃料とする軽水炉という型の原子炉日本でつくらざるを得ない状況にあったわけです。一時的には、現在東海村で解体が決まりましたコールダーホール型という原子炉をイギリスから購入するという事態もありましたけれども、基本的にはやはり主としてアメリカからの低濃縮ウラン供給を利用して軽水炉をつくる、こういうことに現在なっているわけであります。  このような方針が出てきた段階ではやはりいろいろな議論がありまして、特に当時の日本学術会議などに関連していた科学者等の間で、日本平和利用限定と言いながらアメリカの核戦略と非常に強く結びつくような形で開発が進められていくことについては疑問の声が出されていた、またそれに関連して、自主の原則というのはどうなっているのかということもいろいろと議論されてきたわけです。  その後、実際に軽水炉が各地につくられるようになりまして、その過程ではいろいろな時期がありましたけれども、軽水炉をめぐるさまざまなトラブルが一時発生した時期がありました。そのことによって、軽水炉というものが果たして安全なものなのかどうかということについて国民不信が強く根づいたということが言えるかと思います。これは、私も原子力で飯を食った人間でありますので、大変残念なことでありまして、その後の原子力の進展に関しましても非常に大きな影響を国民の間にもたらしたというふうに考えております。  今申しましたような事情から、軽水炉というものの運転によって大量の使用済み燃料が発生して今日に至っているというわけであります。  ところが一方、三の将来を展望した核燃料リサイクルという問題に関連して言えば、これは早く言えば、再処理をして回収したプルトニウムを高速増殖炉で燃焼するという利用の仕方を推進するということであります。しかしながら今日、高速増殖炉につきましては御承知のようにさまざまな技術的困難あるいは経済的な問題に見舞われまして、世界高速増殖炉を今まで開発してきた国々もほとんど断念の状態になっているわけであります。  また、高速炉でプルトニウムを利用するためには再処理が前提になりますけれども、この再処理技術そのものも御承知のように東海村の再処理工場がさまざまなトラブルを起こしてほとんど動いてこなかった、ほとんどというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、当初の予定に比べれば非常に効率の悪い運転しかできなかったということ。さらに、六ケ所村の再処理施設の建設、運転も大幅におくれつつあるということ。そして、海外に再処理委託をしていたわけですけれども、これも契約量はもう既に達成しておりますので、現状ではこれ以上はできないというようなことでありまして、現在では再処理をやる見通しというのは全くないということになっているわけです。  昨日、東海村の再処理工場について原子力安全委員会からのゴーサインのようなものが出されたわけでありますけれども、さらに地元との対話等でこれがどうなるのか私にはわかりません。  そのような状況で、一方では二の政策によって大量の使用済み燃料が蓄積され、しかしそれの行き先がないという矛盾、その矛盾の解決の方法として今ここに中間貯蔵施設をつくろうという話が出てきているというふうに理解するわけです。この問題につきましては、中間貯蔵施設安全性につきましては、ちょっと時間がなさそうですので、御質問でもあればまたお話をしたいと思います。  次に、それでは、その再処理が非常に困難に直面している原因について若干私の考えを申し述べたいと思います。  現在主流になっております再処理の方法というのは、名前はピューレックス法という方法でありますけれども、その開発の段階を四つに今から振り返れば分けて議論することが最近よく行われます。  第一期というのは、そもそもこの方法は核兵器用のプルトニウムを抽出するために開発された方法でありまして、その時期を第一期と言っております。  続いて、この方法を今度は発電用のガス冷却炉つまりコールダーホールのようなもの、この燃料の再処理に適用する、若干の手直しがありましたけれども、これにもこの方法は成功しているわけであります。これが第二期であります。  ところが、現在ですけれども、これを第三期といたしますならば、発電用の軽水炉の使用済み燃料の再処理ということになります。しかしこれは、御承知のようになかなかうまくいかなかった。フランス、イギリス等では日本の再処理まで引き受ける事態がありますけれども、これについてはまた後で申し上げます。  そして第四期、高速増殖炉使用済み燃料の再処理をする段階ということになるわけです。しかし、これは現在の方法ではまず不可能ということは一般的に言われていることであります。  このような問題が起きている原因を技術的に見るならば、これはその右側に書きました燃焼度という一つの問題があります。燃焼度といいますのは、早く言えば、原子炉の中に入れた燃料がどのくらいのエネルギーを出して使われたか、こういうようなものであります。この値が大きければ大きいほど使用済み燃料の発熱量は大きくなりますし、放射線量もふえているということになります。さらに、その燃料に含まれるプルトニウムの量も多くなりますし、そのほかのさまざまな放射性物質の量もふえるわけであります。したがって、燃料棒の組成というものが非常に複雑になるということになります。  それに関連しまして、現在、プルサーマルというものが計画されておりますが、このプルサーマルの燃料を再処理するということも、東海村の再処理工場あるいは現在六ケ所村に建設されつつある再処理工場ではできないというのが大方の意見であります。したがって、プルサーマルが仮に行われても、それはその場限りのものということになろうかと思います。  これについても時間があればお話ししますが、また後で御質問があれば補足をいたします。  一方、日本の再処理開発を少し歴史的に見ますと、一九五七年、古い話ですが、原子力委員会が「核燃料に対する考え方」という文書を発表いたしました。ここでは、再処理技術は未確立であり、経済性は不明であって、日本ではやるとすれば原子燃料公社が実施すべきであろうという見解が出されております。これは極めて妥当な見解であると私は思います。  これを受けまして、一九六〇年に再処理専門部会におきまして、一日三百五十キログラムの燃料処理するパイロットプラント、この程度のものをまずつくることが勧告されたわけであります。ところが、その翌年、一九六一年に、再処理技術海外調査団というものが派遣されまして海外で調査をしたわけでありますが、その報告書の中で、海外では再処理は実用化されているのでパイロットプラントは不要であり、技術導入により実用規模の工場を建設すべしということが書かれていたわけであります。これによりまして、動燃の再処理工場がパイロットプラントではなくて実用化工場として建設されることに変更になりました。  さらに一九六四年、原子力委員会は、再処理技術は外国で確立しているので日本研究開発をする必要はないというような、明確にそう言ったわけではありませんけれども、そういうお考えで、当時、日本原子力研究所では小規模の再処理試験施設を設けて再処理の基礎的研究をやろうとしていたわけであります。これが一応施設はできました。ところが、今言いましたような理由から、その試運転の予算を凍結するという、余り例のないことが行われたわけであります。  それにつきましては研究者の間でもいろいろ議論がありまして、結局、原研にあります小さな研究炉の燃料だけを再処理して、キロではありません、二百グラムのプルトニウムを抽出し、そしてあとは動燃の再処理工場運転訓練に供するということで、ほんの数年でこれも解体の方向になったわけであります。  その後、原研におきましては再処理、特に湿式再処理と申しますか、ピューレックスのような再処理法の基礎研究につきましては長期にわたり途絶える時期が発生したということであります。  つまり、私がここで言いたいのは、まず日本の再処理技術というものが非常に根の薄いものとして今日に来ているということであります。  さて、次にもう一つ、今のことについてつけ加えますと、調査団が外国に行って再処理工場が実用化されているというふうに報告をしたわけですが、再処理の歴史を振り返ってみますと、調査団派遣の当時に操業されていた再処理工場は、原爆用のプルトニウムの製造及び原子力潜水艦の燃料の再処理をする施設だけでありました。つまり、発電用の原子炉燃料の再処理施設は一つも操業はしていなかったわけであります。  したがって、この調査団は、先ほどの第一期、第二期でいけば、第一期の状況をごらんになりまして第三期の軽水炉の再処理も実用化されているというようにお考えになって報告をつくられたというわけであります。これは当時の事情としてやむを得なかったことであろうと思いますけれども、今日の再処理の混乱の原因というものがこのように非常に根深いものであるということを申し上げたかったわけであります。  以上のように、再処理の今後の展望というのは非常に困難に直面しておりまして、高速増殖炉については言うまでもないことでありますけれども、三番の再処理・プルトニウム利用という政策についてはこの機会に十分再検討をなさる方がよろしいのではなかろうかというふうに思います。中間貯蔵施設というものも、結局はその問題とかかわりがあるわけでありまして、中間とはいうものの期限が切れておりませんので、この見通しがない限りは半永久貯蔵所になってしまう可能性も十分にあるというふうに思います。  以上、発言を終わります。
  9. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、御発言の際は、私の指名を受けてから御発言くださるようお願いいたします。また、委員の質疑の時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 畑恵

    ○畑恵君 おはようございます。自由民主党の畑恵でございます。  まず、参考人としておいでいただきましたお三人の先生方、早朝からお運びいただきました上に大変貴重な、この場でしかなかなか伺えない率直なお話を聞かせていただきまして本当にありがとうございました。  実は、用意してきた質問と、きょうお話をこの場で伺って少し方向性を変えなければいけないなというか、ぜひ変えさせていただきたいという思いも今起きていますので、ちょっと脱線するところですとか、あと、せっかく機会ですので、ごく一般の国民というのはこれぐらいある意味で素朴というか稚拙かもしれない、そういうレベルであるというところを御認識いただいて私の質問、お許しいただきたいと思います。  まず、通常、私どもが一般の国民として原子力ということを見聞きするというのは、事故などが起きて報道されるという、圧倒的にそういう場に限られてしまっております。本日のように、エネルギー政策全般の中での原子力の位置づけ、貢献度、必要性ということをなかなか伺う機会がない。  まず近藤先生にぜひ伺いたいのですけれども、先ほどのお話の中にCOP3のお話もありましたが、むしろ原子力発電がなかったらどういう事態になってしまうのか。原子力を使わないデメリットということを簡単にポイントを指摘していただいて、原子力の必要性、そして、そうしたメリット、デメリットあると思うんですけれども、はかりにかけた上で、我が国の今後のエネルギー政策上どのような原子力の比率配分というのが必要になってくるのか、教えていただけますでしょうか。
  11. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 日本エネルギー政策そのものを解説せよというような御質問と承りまして、大変難しいのでございますが、原子力発電がなかりせばということについては総合エネルギー調査会でもそういうような観点から報告書を取りまとめていまして、ぜひお読みいただければと思います。  基本的には、現在我々が日本エネルギー供給構造、我々はベストミックスと思っているわけでありますが、この構造の中でもし仮に突然原子力がなくなったらということを考えるのはやや非現実的でありますが、そういう仮定をいたしますとさまざまな問題が考えられる。例えば、今考えるに、輸入依存度がもっとふえるに違いない。つまり、我々の供給システムはもっと不安定になるかもしれない。それから環境問題に関していえば、もちろん太陽エネルギーを使えばいいかもしれないけれども、もし使えないとすれば、炭酸ガスの放出がふえて国際約束は果たせないかもしれない。しかし、どうしても太陽を使ってこれを果たそうとすれば、今度はエネルギー価格全般が上がって、経済成長観点で望ましくないことが起こるかもしれない。先ほど申し上げましたエネルギー政策の目標、環境保全、それから適切な経済成長、こういう観点でさまざまなそごを来すということがポイントでございまして、それが問題点でございます。  さて、それで、いかほどであれば適切かというのはなかなか難しいのですが、現状が結局さまざまな皆様努力の結果としてある意味でベストになっているという、優等生的答えで大変申しわけないんですが、私はそういうふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、二〇一〇年の国際約束を果たすということを考えますと、総合エネルギー調査会需給部会等でも検討されましたように、もちろん現今ちょっと経済情勢があれですから、そこで想定されたほどの経済成長はないといたしますと、若干は全体として縮めてもいいのかなと思いつつも、しかしある程度の原子力発電所の増設、当然のことながら最大限の省エネルギーをするという前提でございますが、その上でもなおある程度の原子力発電所の増設があることがベストミックスという観点から望まれるかなというふうに考えているところでございます。
  12. 畑恵

    ○畑恵君 大局からのお話で、短い時間でお答えいただくのは大変恐縮だったんですけれども、本当にありがとうございました。  以上のようなことで、必要性というのは今非常に痛感しておるんですけれども、それを踏まえても素人としてちょっと合点がいかないというか疑問に思ってしまうのは、先生方のような専門家の方々が知恵を絞って計画を綿密に立てていらっしゃるはずなのに、例えば先ほど村上参考人の方からお話があった六ケ所村の再処理工場の五度にもわたる計画延期であるとか、そして今回中間貯蔵施設を設置するということも、先生の御発言の中にもたしか原子力長期計画の中にその必要性というのは盛り込まれておったと。なのに、なぜ今になって制度整備をこの審議会で審議しなければいけないのか。  最初から、もしかすると延びてしまうかもしれないということを見越して計画を立てた方が、途中から計画が延びました、変わりましたというとかえって非常に不安感をやはり国民に与えてしまう、御地元東海村の方もそうだと思うんですけれども、与えてしまうので、もう少し余裕を持った計画というのは立てられないのかなと、これは非常に素人考えなのかもしれないんですけれども、ここはいかがなんでございましょうか。
  13. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) おっしゃるとおり、政策一貫性というのは大変美しい姿ではあるわけでございますが、御承知のように、政策というのは当然のことながら将来についての選択でございまして、将来の選択には必ず我々が今確定し得ない問題があるわけです。したがって、計画はむしろ変更されるために立てることがあるというのが計画論の教科書に書いてあるわけでございます。  ですから、そこのところ、私はむしろ大事な問題は、三十年間計画が一定するということはほとんどこの世ではあり得ないわけでありまして、計画というのは本来そういう性質を持っているものであるということを正しく国民に伝えることが第一。  第二は、計画はそういう意味で変更されるわけですが、変更の手続、これをいかなる理由で、どういう環境認識が変化した、市場条件が変化した、例えばオイルショックのとき、我々、現在、石油がこんな値段になることは皆さん多分予測していなかったわけですね。そのとき立てた計画というのは、ありとあらゆるエネルギー技術を最大限開発して入れようということで、皆さんどっとエネルギー研究開発を行ったわけです。しかし今日は、むしろその結果としてと言うべきか、これだけ大変低い石油価格をエンジョイしているわけです。こういうふうに世の中は変わっちゃうわけですから、そのとき潮力発電も使おうと思っていたのに、やっぱり使わなくて済んだということで喜ぶべきである。  しかし、大事なことは、そういうふうに環境条件が変化したということでもって政策変更がなされた、なされる、なす、その決定に至る過程において、国民との対話を通じてなるほどと理解がいただけるようなそういう意思決定、政策決定のプロセスが透明であり、説明がきちんとされるということにむしろ重点を置いて、計画が変わったからけしからぬと言うよりは、計画を変えることに私も賛成するという環境をつくっていくことが政策当事者に対して要求されていることではないかというふうに私は考えております。
  14. 畑恵

    ○畑恵君 確かに、結局アカウンタビリティーという問題になってくるんだと思います。非常に貴重な意見で、これは私どもの責任でございますので努力をさらに一層重ねてまいりたいと思います。  ただ、どうしても国民性と申しましょうか、なかなか腹を割って話し合おうという、これは民族的な文化の違いなのかもしれないんですけれども、例えば安全保障の問題でも難しいなというのを実感しておるんです。  決して原子力のみにかかわらず、エネルギー政策全般に何かしらのリスクというのは必ずつきもので、さまざまなプロジェクトすべてにリスクはつきものです。ですから、リスクマネジメントをするというのはいろいろなプロジェクトの基本であるにもかかわらず、日本というのは、通常欧米型のリスクマネジメント、グローバルスタンダードのリスクマネジメントといえば、発生をする確率のプロバビリティーと、発生した場合の事態の影響度というシリアスネスというのを掛け合わせて状況を分析、判断すると思うんですけれども、日本の場合は、シリアスネスを語った途端にもうプロバビリティーは飛び越して最大に目盛りが振り切れてしまって、余りにもセンセーショナルで、パニックが起きるから何も話さないと。リスクは話さないで、もう結局ふたをしてしまってなかなか、例えば原子力発電所の問題にしましても、さまざまな安全保障のシミュレーションということをすることすらもできないという状況になって、私はその状況が一番危険だと反対に思っておるんです。  そうしたある意味で日本ならではのメンタリティーの中での原子力のリスクマネジメントのあり方ということについて御所見があれば、ぜひ近藤先生と市川先生にも、そうした客観的な、本当に国民に資するリスクマネジメントというのは原子力はどうあるべきかということについて伺えますでしょうか。
  15. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) リスクマネジメントという言葉が、もちろん横文字であることが証明しているように、なかなか国民皆様の日常の会話に出てこないものであります。しかし最近、規制緩和の中でそういう言葉がだんだんにマスコミ等にも登場するようになってきておりまして、またいわゆる自己責任というような言葉も出てまいりました。  そういう責任をみずからとるような社会環境整備されてきますと、恐らくそれぞれに皆様がみずからリスクを勘定して行動するということになるのかなというふうに思っております。私は、そういう社会環境を踏まえつつ、原子力の問題につきましても、先ほど、すべてのエネルギー技術にはある種健康と環境に影響を与えるということを申し上げて、そういうデータを開示しつつエネルギー選択について議論を深めていったらということを申し上げたわけであります。  まさにそういう観点で、積極的に学界もまたそうした情報を提供していくということがあってしかるべきと、私はたまたまそういうインターナショナルなリスクマネジメントの学会もやっていまして、そういう国際会議を来年には大阪でやろうと思っていまして、そういうことを通じて、そういうものが世の中にあって、皆様の日常生活に非常に深く関係しているんだということをお伝えしながらやっていきたい。原子力についても、当然のことながらそういう考え方を大いにお使いいただくように宣伝をしているところでございます。
  16. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) ただいまのお話は、やはり基本的には私は、原子力あるいは原子力施設者側に対する国民不信感といいますか、これが基礎にあって、そういう今おっしゃるような対話の困難さとかお互いの意思の疎通が難しくなるというような問題が生じてきているのではないかというふうに考えております。
  17. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  今の市川先生のお話を伺うと、多くは語られなかったですけれども、やはり信頼醸成というか、もっとお互いにきちんと説明をし合ったり質問をし合ったりという、その状況をつくっていかなければいけないと思うんです。  次は、村上参考人にぜひ伺いたいと思います。  先日、私どもも視察で第二発電所の方にお邪魔いたしまして、大変明るくてそして清潔な町並み、みんな恐らく一様に感銘を受けたと思います。ただ、きょう非常に率直なお言葉をいただきまして、いろいろな御苦労がある中でこうした町づくりをしているんだなと、改めて皆様方が支えてくださっているエネルギー政策に大変感謝をいたしますとともに、私どもはちゃんと今の村上参考人の声にこたえるべき政策を何かしなければいけないと思います。  私は、この仕事に入る前に実はフランスのパリに住んでおりましたのですけれども、パリからハイウエーに乗りますと、もう十分、十五分でセーヌ川沿いに非常に大きな原子力発電所がございます。こういうところにあっていいものなんだなと、大分不穏当な発言かもしれないですけれども、正直な感想としてそういう思いがいたしまして、そういうものなんだと、ある意味で認識を新たにして、これが正しいあり方なんじゃないのかなと思っておりました。反対に、自分の国、翻ってうちの国がなぜこうじゃないのかなというふうに思っておりました。  きょう、村上参考人からそういうお話を伺って、なぜ過疎地にと、大都会にあっていいじゃないかと私自身も本当にそれはそう思いますし、そういう形でコンセンサス形成をしていかなければ、どんなに安全だ安全だと言っていても、それは説得力がいま一つ欠けているというふうに御指摘をいただきましても返す言葉がないことだと思いました。もう既にお話しいただいておりますけれども、なおもう一声そうした努力に対してもう少し具体的に、ここをこうしてくれというようなことですとかがもしございましたら、お話をいただきたいと思います。  あと、そういう厳しい状況の中でも、例えば「もんじゅ」等の事故が相次ぎましたときに、恐らく地元の方々からいろいろなお声があったと思います。そういうときに、行政の長として、地方自治をまとめる責任者としてどのような御説明を地元の方々にして御納得をいただいているのか、御苦労のほども含めてお話を伺えれば幸いだと思います。
  18. 村上達也

    参考人村上達也君) 第一番目の、都会地でも原子力発電所はできるんじゃないかということでございますが、東海村もあそこに三万三千七百人の住民がおりまして、極めて近接したところにあの発電所があるということがあります。基本的には日本の今の原子力発電所立地方針とは合っていないはずであります。国がそういう政策をとっていないはずであります。  ただ、現実に三万三千七百人、すぐにもう隣接して住宅がある。それと、東海村は、ひたちなか市、水戸市それから日立市と、茨城県で一番人口が集中しているところにあるということでありまして、これは日本の中では特異な立地だろうと思っております。  しかしながら、どうもその点では日本政府事業者も非常に憶病でありまして、なかなか都会地という発想は出てこない。それは、人口が多いのだからその人口を相手にしなきゃいかぬということになると現実的ではないということなんだろうと思いますが、私は果たしてそうかなという気がいたします。今でもしております。非常にその点では不満にも思っております。  それと、まして中間貯蔵施設という、今まで三十数年間サイト内であれだけ貯蔵してきておりまして何ら事故も起きていないし、もちろん臨界に達するなんということは考えられないというか、科学的に、物理的には、理論的にはあるのかもしれませんが、それがなっていないというものでありますし、それさえも考え方がどうも逃げているんじゃないかという気がしてなりません。  そこは、国民的合意形成とかコンセンサスをとるというならば、一歩進んで今回はお考えいただけないかというのが私の考えの第一点であります。  それから、事故時といいますか、私どもでは、大きな事故としましては九年三月の動燃における事故がございました。今、旧動燃の方で再処理工場の再開に向けて大変努力しております。私は、その努力を評価しております。  私どもは、やはり住民の生命と生活を守るというのが自治体立場であります。したがって、どこにその基点を置くかといいますと、原子力事業者がいかに懸命に、今まで自分たちが起こした事故、それから不信感を起こしたということに対していかに反省し努力しているかという姿勢を見せてくださいよと、それをもって私は住民とお話をしたい、住民行政というものをしたいと。根本にそれがなければやはりとても前に進めないという気がしております。  以上です。
  19. 畑恵

    ○畑恵君 非常に貴重な御意見でありますし、また御叱正をいただいてありがとうございます。十分に生かしてまいりたいと思います。  時間も迫ってまいりましたので、各三人の先生方にそれぞれお答えいただきたいと思うんですけれども、今いろいろな御質問に答えていただいて、結局はよくお互いに連絡を取り合って説明をして信頼関係を醸成してということに尽きると思うんです。そういう中で、もしもの事態への対策の実効性を高めるためということで考えられていますけれども、オフサイトセンター構想というのが原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会の報告書に先日出ておりましたけれども、国と地方自治体事業者、三者がそれぞれに一堂に会して対策本部をつくるオフサイトセンター構想。  今お話を伺っていると、決して緊急事態になったときだけではなくて、通常のときにもこうした緊密に連携をとれるような体制、目に見える形での体制というのが強化されなければいけないということをきょう痛感したんですけれども、このいわゆるオフサイトセンター構想、そしてプラスアルファということについて御所見がございましたらばぜひお話を伺いたいと思いますので、村上参考人からお話よろしゅうございましょうか。
  20. 村上達也

    参考人村上達也君) 私どもの全国原子力発電所所在市町村協議会、全原協と申しますが、これはかねがね原子力防災につきましては国の一元的責任でということで要求しております。それと、原子力災害特別措置法の制定をということで要求しておりまして、やはり原子力の事故が起きたとなるととても地方自治体の手に負える事故ではないということが原点にございます。  私も、ぜひ原子力災害特別法、石油コンビナート等災害防止法というのがございますが、そのように、類似したものをつくっていただきたいと思っておりますが、オフサイトセンターということで、原子力安全委員会でしたか、そちらの方で今検討なさっているということにつきましては大変心強く思っていますので、ぜひ実現させていただきたいということをお願いしたいと思います。
  21. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) お話しのオフサイトセンターでございますが、原子力安全委員会原子力防災対策専門部会で今お話しの地方自治体の方から防災対策の強化について長らくさまざまな御提言をいただいたところです。  私はその委員でもありますので議論に参加させていただいた立場で申し上げるわけですが、しかし一方で、災害対策基本法が防災対策は地方自治体、つまり当該地域のさまざまな情勢について最も精通しているあるいは行政権限を持っておる地方自治体が所管すべしとなっているところと、それから、おっしゃるように高度の専門的判断を必要とするところをどうその調和をとるかというところでさまざまな議論があったところです。そうした事態が発生した場合に国、地方自治体、専門家が集まる、そういう場所をまず考えるということがある意味では非常に重要じゃないか、権限争議は置いておいて、そういうところで情報交換をして情報を共有して危機管理に当たるということは非常に重要ではないか、そういう発想でこの案が出てきて、たしか報告書の中に取り込まれたと思います。  それが地方自治体の方々が常々希望されているところとぴったり合っているとは思いませんが、恐らく、そういう意味で国も前へ出ていくと、地方自治体の方もそういうものの意義を評価していただけると、そういう意味で私は大いなる一歩というふうに考えているところでございます。
  22. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) オフサイトセンターの具体的な構想については、どのように運用されるかあるいは運営されていくかということが非常に重要なのではないかというふうに思います。  一つは、施設者側からあるいは国の側からの情報の公開というものがどの程度住民側に伝えられるのか。あるいは、住民側のいろいろな対応というのは、ただ科学的にこれがどうということだけで決まるものではありませんので、それぞれの生活環境からいろいろな意見が出てくるということになりますので、その辺のところを十分に配慮した運営がされなければ押しつけになりかねないというふうに懸念しております。
  23. 畑恵

    ○畑恵君 時間が参りました。大変貴重なお話をどうもありがとうございました。
  24. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。  お三名の参考人皆様には、きょうは朝早くからお越しをいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。次回の委員会でもこの改正案について質疑を行います。また、率直な御意見をお聞かせいただき、今後の原子力政策参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  先日、私も東海村に行かせていただきました。そして、東海第二発電所を視察させていただきまして、日本原子力政策の歴史的な経緯、それから現場で働かれている方々、そして東海村の村民の皆さんの御苦労等を拝見させていただきました。その中で、約三万人人口がいらっしゃると。先ほど三万三千七百人とおっしゃいました。そのうちの約一万人の方が原子力発電所関係に従事をされている、お仕事をされているように当日の御案内でも伺いました。  先ほど村上村長が、過疎地住民に不要なもの、産廃物の捨て場にされるのはプライドが許さないというようなお話がありました。さらには、東海村では低レベル放射性廃棄物、高レベル放射性廃棄物も含めて今、日本一保管をしているんだということがありました。ただ、その裏返しで村上村長は、原子力政策については東海村というのは理解がかなり深いところだということも言及をされました。  そういった意味で、現在、中間貯蔵施設に対して、先ほどの三万三千七百人の村民の皆さん、そして一万人の働かれている皆さん等が今どういうふうな思いでいらっしゃるのか、例えばそういう統計をとられているような例があるのかも含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  25. 村上達也

    参考人村上達也君) 東海村におきます放射性廃棄物現状というものにつきましては、今までは余りはっきりしておりませんでした。一昨年から県の方で把握し始めたということがございますが、現実的には統計はあったわけでありますが、それが村民の方に知れてきたというのは私は一昨年あたりからだろうと思っております。それは新聞報道で出てまいりました。  いずれにしましても、東海村におけるということで限定して言っておりますが、基本的には、放射性廃棄物についての対策、方針、そういうものは私は今まで国になかったのではないかと思っております。一応の管理基準はございましたが、それにしましても、動燃のピット問題や、そういうことも一昨年ございましたが、あのようなことがありまして、基本的にはあのあたりから問題がはっきりしてきたということは言えますが、そういうことでの政策不在ということはあったかと思います。  使用済み燃料につきましても、しばらくはサイト内に貯蔵しておける。それは青森の方での再処理工場をつくるということがありましたので、あるいは低レベル放射性廃棄物につきましても青森日本原燃の方に持っていって埋設処分するということが方針としてはあったということで、そのあたりで何とかなるということだったのではないかと思っております。  現在、私どもは、五千トンの中間貯蔵施設東海村へというのは、これはオープンにする話ではないというふうに今まで思っておりましたし、村民の方には言っておりません。役場の原子力対策課には言っておりますが、これまたはっきりとした申し出ではありませんので、非公式な話でございますので、私の段階で、それと県とも協議しましたが、県も拒否しているということはあります。  以上です。
  26. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこで、新聞等で出てきて、住民の皆さんから何らかの形で村長の方に申し出なり何らかの反応というのは別に今のところはないわけですね。
  27. 村上達也

    参考人村上達也君) 全くないというわけではありませんが、やはり一番の最大の東海村における課題の一つだなと。その廃棄物処理、処分問題というのはあります。
  28. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこで、私自身は、今回の中間貯蔵については、毎年毎年九百トンの使用済み燃料がふえていく、また青森六ケ所村がフル稼働しても約八百トンの処理しかできなくて、それも二〇〇五年からになってしまった等々の考えで、中間貯蔵についてはある意味でいうと今回は否定できないかなという立場でいるのはいるのですが、先ほど村上村長が、発電所から持ち出してくれと要求をしている立場できょうはお話をしたいというふうに、本当に大変率直な御意見をいただきました。しかし、私が視察をさせていただいた東海第二発電所の方では、乾式キャスクによる使用済み燃料貯蔵設備が新たに増強が予定をされている。私ども委員会の方でもその増強される予定の敷地を拝見させていただきました。  そういった持ち出してくれと要求をしている立場の中で、これは中間貯蔵施設ではないんですが、新たに乾式キャスクによる貯蔵設備の増強をしなければいけないその難しいお立場、先ほどストレスもあるというふうにおっしゃいましたが、そこら辺のところについて村長としてはどのような御意見をお持ちなんでしょうか。
  29. 村上達也

    参考人村上達也君) 東海の第二発電所における使用済み燃料貯蔵ということにつきましては、今のところプール貯蔵でやっております。それで今度、ドライキャスク方式によってそれも増強、要すれば貯蔵能力をアップする、リラッキングと言っていますが、それについては我々の方としましては理解しておりますし、村としても認めております。  さらに、自分のところの発電所で発生したものにつきましては、それは操業の必要上、それについては我々としては拒否する立場にはありません。ただし、さらによその分まで我が方で受け入れろと言われると、それは違うでしょうと。  それと、発電所のものまで保管していますのは、あくまでも最終的には六ケ所村の方に搬出するという約束の中で保管をしているということはどこの発電所も同じだと私は思っていますし、東海村も同じであります。
  30. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこで、先ほど、過去三十二年の実績で貯蔵施設安全性は実証されておるというお話が村上参考人からもあったわけですが、その中で、貯蔵安全性と、また、今回の中間貯蔵も含めて安全性について先ほど市川参考人が、意見があるのだが時間がないのでというお話がありましたので、中間貯蔵施設安全性、また、今お話がありました、サイトの中でとにかくとりあえず自分のところで出したものについては貯蔵しているんだ、再処理に向けてという安全性について市川参考人に御意見をお伺いしたいと思います。
  31. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 今までのお話で、いわゆるサイト貯蔵については十分な実績があるから中間貯蔵も安全である、こういうことが言われておりますが、確かに使用済み燃料をプールなりなんなりに入れて貯蔵をしているという状態では現在までは余り大きな問題は起きていないわけであります。ただ、今後これが中間貯蔵に移るときに何が違うかといいますと、私は二つの問題が違うというふうに思います。  一つは、貯蔵すべき燃料が今までのものに比べて、先ほど言いました燃焼度というものが大きくなる燃料が次々と出てくるわけです。これは、国の方針としまして高燃焼度化という方針が打ち出されておりますので、必ずそういうことになります。そうしますと、燃料棒の原子炉内での損傷といいますか、損傷と言うほどひどくなくとも内部にいろいろな変化が起こった状態のものが多く排出されるということが予想されますので、これが従来と同じような状況を保てるのかどうかということは慎重に検討されるべきであろうというふうに思います。  いま一つは、今回の中間貯蔵の問題で中間報告というのが昨年出されておりますが、これを拝見しますと、そこに出てくる幾つかの事故といいますかそれの事例の多くは、燃料棒をおっことした、落下ということなんです。落下というのは、移動させるときに落下が起こるわけでありまして、その落下の可能性のある移動ということが中間貯蔵に移るときに非常にふえるということなのであります。  つまり、これは重いものであるし近寄れないものでありますからクレーンで遠隔操作でやるわけですが、そのとき何かのはずみでおっことすということ。まずは、今までのサイト貯蔵から中間貯蔵へ移すときに、輸送車に載せ、そして専用船に載せ、そして向こうに着いたらまた専用船からおろし輸送車に載せ、そして貯蔵場に行ったらまたその輸送車からおろす。何回もそういうつり上げてはおろす、つり上げてはおろすということが起こるわけでありまして、そのときの事故の発生確率というものがやはり今までに比べればふえるという問題は認識しておくべきではなかろうかというふうに思います。
  32. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、市川参考人が先ほど最後のところで、再処理の今後の展望は極めて困難であり、高速増殖炉現状とあわせ考えるならば、再処理・プルトニウム利用の方針は再検討すべきときが来ていると。そうすると市川参考人は、例えばアメリカのようなワンススルー方式とか、もしくは中間貯蔵はやむを得ないけれども、技術革新等を見ながら新たな再処理の方法等を考えていくべきだというような、そういったことをおっしゃられているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 私は、中間貯蔵安全性の問題とかそういうことだけで物を申しているわけではありませんで、そもそもこの問題が出てきた根元というのが、先ほど言いましたように、原子炉がたくさんどんどんつくられて動いていくということと、そこから出てくるものの持っていき場所が極めて見通しが少なくなってきているという、この二つの矛盾をしわ寄せする形で中間貯蔵のようなことをやるのでは、後追い政策といいますか、その場しのぎを次々と繰り返していくことの一つではないか、そういうふうに思っているわけなんです。  したがって、方針を変えるなら変えるともっとはっきりと、先ほど言いました三番の再処理・プルトニウム利用というやり方をもう一回ここで見直すから、その見直す期間についてやはり何らかのそういう対策を立てる必要があると、こういうふうにおっしゃればまた話は変わってくるんじゃなかろうかというふうに私は思っているわけです。その辺が非常にあいまいなまま、ただいっぱいになるから中間貯蔵だというのは国民が納得できないことではなかろうかというふうに思います。
  34. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その中で、近藤先生は、基本は信頼醸成にあって、これを目指した新たな対話等を含めて政策を考えなければいけないというふうにおっしゃられていまして、この件についてはちょっとお三人の方全員に、皆さんにお伺いをしたいんです。  この法案の根本的な問題になりますが、ではこの中間貯蔵施設を本当に引き受けてくれる自治体がこれから新しく出てくるのだろうか。先ほど村上参考人もおっしゃられましたように、うちは今のところはその話は基本的にはこれまでやってきたんだというお話もありましたように、この間の巻町での住民投票で原発建設がノーとなった。また、原発ではありませんが、徳島の可動堰の問題についてもいろんな形での住民運動等が起こっている。  確かに、原子力発電所をある自治体だけに任せて、それに対する負荷をほかの自治体も共有しないというのは、ある意味でいうと、僕は日本国民責任として必要だというふうには思っておりますが、現実問題としてこの中間貯蔵施設を引き受けてくれる自治体が出てくるのかどうかという現実性。それは、例の「もんじゅ」の事故なども含めて原発事故に対する不信感が高まっているということも相まって、先ほど言われた、逆に貯蔵施設安全性ということが余り表に出てこない、ネガティブな情報だけが前へ出てきて、その不信感の中でこういう中間貯蔵をつくるという話が出てきたときに、現実問題として自治体が出てくるのかどうか。また、それに対してどういうふうに今お考えをいただいているか、三人の参考人の方にお伺いをしたいというふうに思います。
  35. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) はっきり申し上げまして、非常に困難ではなかろうかというふうに思うんです。  というのは、もう一つ難問があるわけです。これは、再処理した後の高レベル廃棄物、いわゆるガラス固化体と現在なっておりますけれども、こういうものの最終処分場をどこかに求めなければならないというのが非常に今急がれている状況にあるわけです。これも、そういうものを果たして受け入れるところがあるかといいますと、ちょっと考えられない状況にあると思います。  そこに加えて、もう一つこの中間貯蔵という名の高レベル廃棄物の、プルトニウムの鉱山をつくるのかとよく言われるわけですけれども、そういうものを引き受けるというのは、ただ単にお金で何か施設をつくるからとかいうような、そういうことだけでは済まない問題でありまして、私は非常に難しいというふうに率直にお答えします。
  36. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 難しい設問をされるなと思ったんですけれども、つまり我々は常に難しい問題しか扱わないわけでありまして、難しいからここで御審議していただいているんだと思っているわけでありますが、もちろんおっしゃられましたように、「もんじゅ」その他の事故をめぐりまして国民皆様原子力関係者に対する不信感というのは非常に高まったということを痛切に感じています。  また、このことは、総合エネルギー調査会もまた報告書を取りまとめるに当たって、単に書面で御意見をいただくのみならず、全国各地で意見を交換する会を開かせていただきまして、その席でさまざまな御意見をちょうだいしたところでございますが、その折にも大変厳しい御批判を賜ったというふうに理解しております。あわせて、しかしそこでは先ほど最初に申し上げました日本が置かれているエネルギー事情に対する深い御理解を示される方もいらっしゃるという状況でございます。  したがって、我々原子力関係者は、先ほど村長がおっしゃられましたように、私はそれを信頼醸成と申し上げたわけでありますが、つまり過去のことについて懸命に反省をし、そして信頼回復のために精いっぱいの努力をしているというところを御理解いただく努力をするというプロセスを経て、さらに加えてこうした中間貯蔵施設の持つエネルギー政策上の意義について御理解を賜るべく努力をいたしまして、必ずなし遂げるべしという決意を持って各自治体の方々とお話をしていくということが大切ということで、その中で全国多々ある自治体の中には正しく御理解いただいてお引き受けいただけるところが必ずやあるに違いないと確信をしているところでございます。
  37. 村上達也

    参考人村上達也君) 原子力発電所サイト内には現実には貯蔵しているわけです。御承知のとおり、七千トンを貯蔵しているということであります。ただ、そこの原子力所在市町村県知事は何と言っているかといいますと、新潟、福島、福井の知事さん方は、やはり持ち出せと言っています。これ以上サイト内にふやすんじゃないよと。それは当然ながら、原子力発電所は、六ケ所村の方で再処理する話だったんじゃないか、そちらの方へ持ち出すんじゃないかということで、これが私も発端じゃないのかなという感じはしております。  私も、この三県知事が申しておりますように、要すれば使用済み燃料取り扱いに対する不透明さが立地地域では懸念や不信感を生んでいる、将来的な貯蔵保管のあり方を含め、使用済み燃料貯蔵問題の全体像を明確にせよと言っているわけです。これが今まで欠けていたということでございまして、これからチャレンジしていく、取り組んでいくということでいきますと、サイト貯蔵中間貯蔵というのは全くまた性格が変わってくる。要すれば、日本全体のエネルギー政策の根幹をなすものが中間貯蔵施設問題だと思っているんです。  だから、それはやはり政策をきっちり立てていく。しかも、それは今までの原子力発電所を受け入れている市町村とか県とかというのは、もうおれたちはやってきたという考え方があるんです。だから、それについて一挙に国民的合意形成に持っていくというなら、私は、東京都内に持ち込む、東京湾に持ってくれば、物理的な条件は別にして、使用済み燃料保管というものはこのようなものだ、全く恐ろしさはないんだというようなことで一遍に解き放たれるんじゃないのかなと私は心底思っております。
  38. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 なるほど、東京湾に持ってきて、一気に国民の合意形成をして、そこで今まで御苦労されていた自治体の御苦労も国民みんなにわかってもらってと、確かに本当にそういう気がします。だけれども、それが現実的かどうかよくわかりませんが。(「京都もいいよ」と呼ぶ者あり)京都も、福井がありますので。  と言っているうちに、あっという間に時間が流れて、時間が来てしまいました。もう少しお伺いしたいこともあったのですが、また今後もこの委員会で質疑を続けますし、これからも原子力政策についてお力添えを心よりお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  きょうは三人の参考人の方々、大変御多忙の中、本委員会にお越しくださいまして大変ありがとうございます。  私は、まず最初に村上参考人にお伺いしたいと思います。  本日の東京新聞の朝刊でございますけれども、「旧動燃東海処理工場 「安全性に問題なし」」と。原子力安全委員会が再開支持の見解を出しておりますけれども、「同機構は茨城県など地元理解を操業再開の前提としており、まだ時間がかかる可能性もある。」、このような記事がございますけれども、村長さんといたしましては、再開に至るまでにどういう条件というか、そういった面をお考えでしょうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  40. 村上達也

    参考人村上達也君) 東海村におきましては、核燃料サイクル開発機構の再処理工場、きょうの話題にも関係いたしますが、この再開問題というのがただいま非常に焦眉の問題になっておりまして、昨日の原子力安全委員会の方での再処理工場の施設の安全性につきましての結論、これはサイクル機構が今まで大体一年半にわたりまして設備の改善措置を施してきたものに対しての評価でございまして、それは安全性に対する大きな保証ということと思っております。再開に向けての私は前進というふうに思っております。  しかしながら、茨城県も同じでございますが、東海村といたしましては、一昨年の三月における世間を震撼させたといいますか、大きな事故が起こった後でありますし、原子力安全委員会の結論は、それはもちろん当然我々として大きくというか、当然我々としては尊重する。尊重するというのはおかしいですね、権威ある機関でありますので。  しかし、それを踏まえて、我々としましては、あの事故の後の再開ということでありますので、やはりサイクル機構が言っておるとおり、地元理解ということを一番重要なことと考えておりますし、東海村といたしましても、サイクル機構側に対して地元住民に対しての回を重ねての説明という努力を求めると同時に、原子力安全委員会の結論、それから東海村の議会の原子力特別委員会の方でも検討しております、その結論、それと茨城県の方で原子力安全委員会あるいは原子力審議会というのがありますが、それを開催して結論を出していくということでありますし、そういうもろもろを材料としましてやはり住民理解を得ていこうというプロセスを経ていきたいと思っております。  以上です。
  41. 加藤修一

    ○加藤修一君 きょうの村上参考人の御提示のレジュメの四ページ目、「なによりも防災面を含め国の一元的責任を明確にすることと思います。」という表現をされておりますけれども、こういう要望、国の一元的責任、いわゆる原子力防災体制についての背景、その背景についてはどのように、もう少しできれば具体的にお示しいただければと思います。
  42. 村上達也

    参考人村上達也君) これは、全原協がかねがね原子力防災につきましても国の一元的責任ということを申しておりますが、原子力の安全規制につきましては国が一元的に責任を負っているということはあります。しかしながら、防災につきましては、災害対策基本法に基づいて地方自治体責任を負っているというのが現状でございます。  一方、石油コンビナートにつきましては、昭和五十年に石油コンビナート等災害防止法ということで、法令でかなり防災組織体制については規定しております。しかしながら、原子力事業所に関しましては、極端なことをいいますと銀行や百貨店と同じようなものとして、消防計画書を策定して自衛消防の組織に関することというような程度しか現実にはございません。  そのような法の整備で果たしていいのかということと、もう一つは原子力災害の特殊性ということで全原協が何回も申しておりますが、原子力災害につきましては高度な専門的知識と技術的習熟が必要だということ、原子力災害は極めて広範囲になるのではないか、それからパニックに対する対応もできないというようなことで、やはり国の方で防災に対しての一元的な責任をということを我々としてもいまだに思っておりますし、ただいま近藤先生の方からもお話もありましたが、今後オフサイトセンターをということで我々としては期待しておるということでございます。  以上です。
  43. 加藤修一

    ○加藤修一君 全く私もそのように思います。  それでは、次に近藤参考人にお伺いしたいんですけれども、先日いただいたレジュメの三ページ目になるんですけれども、原子力開発利用短期中期、長期、その計画に基づいての活動なんですけれども、私少し頭が整理できませんので、確認の意味も込めてちょっとお聞きしたいんです。  「長期計画に基づく活動は、市場構造を変える可能性のある様々な新技術の研究開発を目指すもので、現在よりはるかに進歩した太陽エネルギー技術等が出現しても、これに勝る原子力技術を選択肢として提示できるよう準備することを目指して、」と。目指してに係るさまざまなやり方があるわけですが、そういったことを中心課題としていくという記述がございますけれども、これについてもう少し具体的にわかりやすいように説明いただけたらと思います。
  44. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 大変回りくどい表現になって、そのレジュメはドラフトでお渡ししたので、それをお配りしていただけるとは思っていなかったものですから失礼いたしました。  要すれば、先ほど畑委員からも御質問がありましたが、未来について我々が確定しているかのごとく振る舞いをするのは甚だ不遜と。特に技術者が、この技術は必ず将来物になるに違いないとみずから確信をするのはいいんですけれども、それを政策の場までおろしてしまってというか、それのみの道で行動するというのは大変リスキーでありまして、しかも当然のことながら技術の世界は常に競争、切磋琢磨してあした新しい技術が起こる、生まれるかもしれない、そういう状況にあるわけです。  ですから、特に長期的には恐らく、およそ世人の見るところ、炭酸ガス問題、地球温暖化問題を考えるに、非化石エネルギー、その代表選手としては原子力とそれから太陽と言われているわけです。太陽にはさまざまなものが含まれますが、その中で、そうするとそれがいかなる姿で登場するかについて、当然のことながら太陽の技術も精いっぱい進歩させて非常に使いやすい太陽エネルギーを考えることが必要でありましょうし、一方、原子力関係者は非常に使いやすい原子力エネルギーを考えることが当然。そういうふうにして競争的に研究開発活動がなされてこそトータルとして国民のためになる、あるいは世界の人類のためになる技術が生まれてくるに違いないという、そういう思いを込めまして、原子力関係者がすべからく、将来すごい太陽エネルギーが出るかもしれないと思いつつ、それにも負けないすぐれた高速増殖炉を開発していく、そういう心構えを持ってやるのが本来的に長期計画、長期的な観点からなされる研究開発活動ではないか、そういうある種の自戒の念と申しましょうか、それを込めての心構えを示したものでございます。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 未来について確定していないものを確定したかのように言うのは技術者として不遜だということについてはよくわかります。  先生がお書きになっています「エネルゲイア」という本、紹介いただいたものですから私もちょっと中身を読ませていただいたんですけれども、「第Ⅲ部 エネルギーをめぐる文化と技術」というところがございまして、「安定性の必要性と限度」、総論的な話になりますが、その中でこういう文言がございます。   エネルギー供給システムの安定性を確保するには、これを構成する各技術要素を安全性信頼性経済性、環境適合性に厳しい基準を課して開発利用するのみならず、システムの構成についても、構成要素が不安定化したり、システム外乱が加わっても安定であり続けるよう、頑健に設計する必要がある。   しかしながら、エネルギーシステムは、安定性に関する簡明な指導原理が普遍的には理解されていない複雑な非線形性を有し、しかも外部入力等に不確実さが存在するから、線形システムの安定条件をもとにした近似的な非線形システム設計則、あるいは経験的に成功した規則を利用して設計していくしかない。ベストミックス論などのあいまいな議論の発生する所以もここにある。 と、このように書いてございます。  私もベストミックス論というのはいろいろあちこちで聞くわけですけれども、なかなかこの点についても頭の中が整理されないんです。さまざまな数量的な指標をもとにして供給されるシステムについて、それぞれ比較考量してやっていく、そういった中で最終的にあるべきエネルギー供給の姿ということを出していくのがベストミックスなんでしょうけれども、その辺がちょっとわかりづらいなという感じがしております。  それで、さらに百八十五ページの方になりますけれども、   わが国は、三種の神器以来、ベストミックスが好きである。しかし、単なる組み合せはそれが主観的に美しいものであっても、未来へ立ち向かうのにベストであるという保証は何もない。制約条件の変化によって変化する個別技術のリスクを冷厳に評価し、未来に存する不確実性を見据えつつ、未来におけるリスクを最小にする観点から、不確実性に応じて可制御性をなるべく広く確保する意志こそ、 人間の意志だと思いますけれども、技術者の意志かもしれませんが、  エネルギー開発利用政策に求められていると考えるものである。 というふうにございます。  こういったベストミックス論というんですか、そういったものについてどういうふうに考えればいいか、その辺についての御見解をお示しいただければと思います。
  46. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 冷や汗が出る思いであります。若げの至りで一生懸命書いた文章でございますが、そこでまさに論じたかったことは、ベストミックスという言葉が本来大変難しいものであるということ、本来それが意図するところ、つまり国民にとってベストであるということを本当に説明し、これを促進していくのは大変難しいことであるよということをるる難しい言葉を使って説明したつもりでございまして、その意味で私自身がそこに答えを持っているということでもないわけであります。  やはり先ほど申しましたように、例えば一つの例は、我々は一九七〇年代に今日これだけの低い石油価格になっているということを想像できなかったということ一つとっても、将来を予見するのはなかなか難しい。しかし、その場合に、急にそのシステムを全部変えなければならなくなるということは、その変換に係るコストが大変大きいものになるということを考えますと、そういうことのさまざまな不確実性を踏まえつつ、そのとき最善の決定というか組み合わせを追求していく以外ないということなんです。  申し上げたかったのは、ですから、ベストミックスは何かと言われれば、私は、持てる情報を総合してさまざまな利害関係者がそれぞれの立場から情報を提供して、それぞれの立場から我々自分たちの役割が適切に果たせて、トータルとして国民の福祉が将来も維持できるであろうと考える、そういうコンセンサス、ディリバレーションというか、熟慮の結果のコンセンサスがベストミックスであって、それぞれの方が勝手にこれはベストミックスと言っちゃいかぬと、そういうものではないかということをそこで申し上げたかったわけでございます。
  47. 加藤修一

    ○加藤修一君 それはなかなか数量的に確定して出すというのは難しい話だと思いますけれども、セカンドベストとかベターミックスとか、そういった面を含めて今後きちっと検討していく課題ではないかなというふうに思います。  それで、時間もないんですけれども、ちょっと総論的な話になって恐縮なんですが、先生は総論的な話から入ってございますので、長期エネルギー政策を考える、「長期エネルギー政策を意味あるものにするうえで大切なことは、コストが」云々という話がございました。  「第一に、」という形で先生はお書きになっているんですけれども、「第一に、枯渇性資源の利用に税をかけ、これによって非枯渇性資源の開発を進めることは、この資源をノーブルユースへ温存する環境をつくっていくのみならず、非枯渇性資源への移行を容易にするために効果的である。」と、私もそう思います、「特に枯渇性資源の使用に伴う環境負荷の増大が明らかになっている現在、放出規制、あるいは環境負荷発生税の創設は、このように二重の意味で重要性をもっている。」と。  この環境負荷発生税の創設ということについては、今もそのようなお考えをお持ちなのか。これが具体的に議論になったケースは委員会であるのかどうか、その辺のことについてちょっとお聞きしたいと思います。
  48. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 環境負荷税、まず第一には、そういうようなある種の時間的な広がりの中における市場の公正性の確保ということに関して私は非常に重要なことというふうに考えております。  それから、そうしたことについて国内で議論がなされたかどうかについてでございますが、環境庁の中央環境審議会等の場では炭素税の問題が、御承知のように京都大学経済研究所長の佐和先生がいろんな書物にお書きになっておられますが、ある種のそういうものが非常に重要であるということをるる御指摘でございまして、そのことをめぐって御議論がなされたというふうに理解しております。また、総合エネルギー調査会の席でもそういう話題は出たことはございますが、それが部会の主流の意見としてまとまるには至っていないんですけれども、そういうことについていかなる政策的配慮があるべきかと。ひっきょう、このようにして原子力問題を国民的な観点から議論をしつつ、一歩あるいは半歩であるとも前に進めようとしていること自体が、そういうある種の手当てをしているということになるわけでございます。  ですから、そういうことを含めつつ、そういう方向性を持った議論はなされていると思いますけれども、直接にそういうことが議論されたのは環境庁の環境部会であるというふうに記憶しています。そのほかの場では議論されたということはちょっと記憶にございません。
  49. 加藤修一

    ○加藤修一君 最後になりますけれども、同じく近藤参考人のきょうのレジュメの三枚目でございますけれども、「国民エネルギー源選択論議には、こうしたリスクに関する情報も提供されるべき」だと。これはもう私も全くそのとおりだと思います。脚注の方に、原子力天然ガスと石炭ということで、それぞれのリスクの値が書いてございますけれども、先生がお書きになった本で「原子力安全性」、これもちょっと目を通しました。  「核燃料サイクル安全性」ということで先生はリスクについて触れられておりまして、「燃料入手のリスク」あるいは「燃料輸送のリスク」あるいは「再処理施設のリスク」ということを展開されながら、さまざまな研究事例の中からリスクをそれぞれ表にして紹介されてございます。  例えば原子力については、死亡については職業人、公衆。それから傷病、その中についても職業人と公衆に分けて、職業人というのは従業者だと思うんです。こういう形でかなり細かい、きょう先生が御提示されたよりは細かいということなんですけれども、そういう形で私はもう少しブレークダウンした形で公開、公表すべきだと思うんです。死亡だけということになればちょっと偏った形になるのかなという判断を私はしております。  あとお二人の参考人の方につきましては、リスクに関する情報について、こういう形で提示されることについてはどのように御感想をお持ちかということをお聞きして、終わりたいと思います。  まず近藤参考人からよろしくお願いします。
  50. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 恐れ入りますが、時間が過ぎていますので、手短に皆様お願いいたします。
  51. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 実はそのようなデータをつくるのは大変難しい作業でございますが、しかし国際的にもそういう客観情報をなるべく多く整理することが重要ということで、ヨーロッパあるいはアメリカでも作業をなされているところ、我が国でも進めることを私は切望しているところでございます。
  52. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) リスクに関するそういう情報というものをデータベースとして蓄積していくということは、非常に重要なことだと私も思っております。
  53. 村上達也

    参考人村上達也君) 私はちょっとその立場ではないという感じがいたします。失礼します。
  54. 加藤修一

    ○加藤修一君 私はいいです。
  55. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。きょうは、参考人の皆さんには本当にお忙しいところありがとうございます。  二十一世紀の日本エネルギー政策といいますか原子力政策をめぐって、ありようをめぐって非常に重要な審議を続けておりますけれども、きょうは御専門の立場からあるいは現場の立場から貴重な御意見をいただきまして、勉強させていただいているところでございます。時間の制約から皆さんに御質問できないことが非常に残念ですが、お許しをいただきたいと思います。  市川参考人にお伺いしたいわけですけれども、とりわけ先生は原研で三十数年お仕事をしてこられて、核燃料リサイクルのかなめ中のかなめと私思いますのは、再処理技術、これがどうなのかということだと思いますが、その再処理の問題にかかわってこられた御専門の立場からぜひ私はお伺いをしたいと思っております。  先ほど先生は、再処理の今後の展望は極めて困難である、高速増殖炉現状とあわせ考えるならば、再処理・プルトニウム利用の方針は再検討すべきときが来ていると言われたわけです。それで、三ページのところで「また、プルサーマルの再処理東海六ケ所村の施設ではむづかしい」というふうに断言をされているわけですけれども、ここのところ、先ほどもう少し時間があればとおっしゃられましたので御説明を加えていただければと思います。
  56. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) まずプルサーマルの再処理の問題ですけれども、実は旧動燃のアスファルト固化施設の事故が起こる前は、動燃におきましてプルサーマルの再処理研究開発というものを一つの目玉にしたい、そういう意向があったわけです。ということは、現状でプルサーマルの再処理というものは非常に困難であるからそういう問題が出てくるわけです。  私が先ほど再処理の見通しが非常に困難と言いましたのは、技術的に現在のいわゆるピューレックス法というものについて、先ほどは省略しましたけれども、燃焼度が高いものを処理する段階でいろいろ問題が起きてくる。一つは、燃料棒を溶かして処理するわけですけれども、燃焼度が高いものについては溶けにくいものが中にできてきてしまいまして、それがいろいろ工程の中でトラブルを起こす。それからいま一つは、燃焼度が高くなると放射線が非常に強くなるわけなんです。したがいまして、処理の過程でいろいろな薬品に対して放射線が作用して薬品の変質を起こす、そういうことが知られているわけです。  中には、これはよく安全審査などで問題になるわけですけれども、その変質したものの中に爆発性のものができたり、レッドオイルというふうに俗に申しておりますけれども、そういうことも報告されておりまして、いろいろそのようなトラブルが今後起こる可能性があるということを私は言っているわけであります。今のは二つしか例を申し上げませんでしたけれども、その種の問題が起こる可能性がある。  それではどうしたらいいかということがあるわけですけれども、再処理というのは、現状ではピューレックス法というのが主流でありますけれども、それだけではないわけですね。アメリカなどではもうありとあらゆる方法をシラミつぶしに検討しておりまして、その中で比較的経済的にも安く上がるし、その当時の燃焼度のものを処理するのにはこれが一番いいということでピューレックス法が選ばれてきているわけです。しかし、現在のこのような新しい燃料処理するに当たっては、もっと安全な再処理方法というものを開発する必要があるんじゃないかというふうに私は思っているわけです。現にそのようなアイデアを出して論文を書かれている方もいらっしゃるわけであります。  ところが、これは軽水炉についても原子炉についても、もっと安全な原子炉はできないのかという議論があります。それで、それについて例えばこういう安全炉とか、いろいろそういう発想もあって研究される方もあるわけですけれども、残念ながら、そういう研究開発に対して国としての支援というものが全くないわけです。もちろん多少の予算は出ますけれども、いい仕事でもそれをさらに実用化に結びつけていくような予算的あるいは人員的な裏づけというものはないんです。  というのは、もう現在の軽水炉なりピューレックス法なりが早く言えば実証済みという言葉がよく使われるわけですけれども、実用化しているものだからというのが背景にあります。これではやはりいつまでも同じことを繰り返していることになるわけでして、より新しい原子力の芽というものを私はこの際重視していかなきゃいけないんじゃなかろうか。そのためには、どんどん使用済み燃料が出てきて困るような状況を一時ストップさせても構わないんではなかろうか。もちろん全部原発をいきなりとめたら大変でしょうけれども、ある程度やはりスローダウンした状態でも新しい芽の方に援助を回すべきではなかろうか、こういうふうに私は日ごろ思っているわけであります。
  57. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほども中間貯蔵施設安全性の問題について市川参考人に御質問があったわけですけれども、私も加えて、当委員会の先日の議論の中で、使用済み核燃料というのは核燃料資源だと、言葉をかえれば夢のリサイクル資源であって非常に安全なんだというようなことで、先ほど来東京湾でもいいんじゃないかというようなお話もあったわけです。先生は先ほど、これは期限がない、もう半永久の貯蔵になってしまうんじゃないかというようなお話がありましたけれども、その場合の中間貯蔵施設というものはどんな危険性をはらんでいるのか。例えば海外で再処理されてガラス固化体で戻ってきたもの、このガラス固化体のものと、今サイト外に貯蔵されようとしているこの中間貯蔵施設、こういったものの危険性についてどのようにお考えでしょうか。
  58. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 中間貯蔵安全性については先ほども触れたわけでありますけれども、これとガラス固化体貯蔵安全性と比較すると、ちょっとまたこれは比較が難しいわけですけれども、中に入っているものの違いを一つ申し上げますならば、ガラス固化体というのはプルトニウムなどを除いたものであります。しかしながら、中間貯蔵に今しようとしている使用済み燃料というのは、一切合財入ったものがそのまま貯蔵されるということになるわけであります。  ただ問題は、中間貯蔵の場合は、使用済み燃料そのままで、別に溶かしたり焼いたりするわけじゃないので、周りの入れ物さえしっかりしていれば外への漏出というものはある程度防げるわけです。ガラス固化体の場合は、長期貯蔵をしたときにこれが地下水に触れて中身が溶け出すということを前提にした安全を考えているわけです。そのときに、その地下水の中に何がどれだけ流れ出て、人の生活圏にどれだけそれが入ってくるから危険か危険でないかと、こういう議論をするわけです。  それに対しまして、中間貯蔵の場合、そのような議論も恐らくないのではなかろうか。サイト貯蔵でやっているのと同じだから安全だと、そういう考え方でおやりになっているのであれば、それが本当に中間である限りは問題ないかもしれませんけれども、長期にわたるような事態になったときに問題が生じてくるのだというふうに私は思います。  もう一つ何かあったように思ったんですが。
  59. 西山登紀子

    西山登紀子君 それで、この貯蔵施設なんですけれども、衆議院の議論の中では、この貯蔵施設というのは倉庫なんだ、安全な倉庫なんだというような御議論もあったわけですけれども、しかし私は大変危険なものじゃないかというふうに思っております。  この中間貯蔵施設の運用が今度は民間企業に任されるというようなことになるわけですが、市川参考人にお伺いいたしますけれども、この責任のあり方、それから民間企業に任せるということについての是非、この点はどうでしょうか、御意見をお伺いしたいと思います。
  60. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 民間企業に任せる問題につきましては、原子力の初期の段階におきまして、核燃料を取り扱う施設はやはり国の直接の息のかかったところでやるべきであろうということで、当時の特殊法人でありますが原子燃料公社というものがつくられ、主としてそこで扱うということになって、それが今日の動燃につながっているわけであります。  したがいまして、核不拡散問題ということが一番それの中心になるわけですけれども、そういうことを考慮いたしましても、さらにまたその安全性に対する責任というようなことを考慮いたしましても、私は民間企業にこれを任せるということはいささかおかしいのではなかろうかというふうに考えております。
  61. 西山登紀子

    西山登紀子君 市川参考人に最後の御質問をしたいわけですけれども、今回、追加議定書によって、核物質を扱わない一般の製造業も査察の対象になる、あるいはそういう可能性も出てくるということは非常に重大な問題だと思っておりますが、この先生の資料のところで御説明がなかったと思いますが、核不拡散対策の問題点についての御見解をお述べいただきたいと思います。
  62. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 資料だけつけておいて何も申し上げなくて、申しわけありませんでした。  これは今回の法改正の眼目のもう一つの保障措置問題ということがありましたので、それについて、私は専門ではありませんが原子力に長い間かかわってきた者として何か一言言いたいと思ってこういうものをつけておいたわけです。  簡単に申し上げますけれども、これは皆さんもうとうに御承知のことでありますが、さまざまなこういう規制がかかっているわけであります。日本原子力政策というのは言うまでもなく先ほど申しました平和利用限定でありますが、その一方で、自分のところで平和利用限定だと言っておきながら、こういうさまざまな二国間規制とかIAEAとの関係とかいうものが出てきて核不拡散対策をとらなきゃならないという問題は、やはり原子力開発というものの持っている宿命というか矛盾というか、そういうもののあらわれではなかろうかというふうに私は思うんです。  早く言えば、核兵器というものをどこの国でも持ったりつくったりしないということに国際的な   合意がなされていれば、このような核不拡散云々というような面倒くさいことは起こらなくて済むわけであります。それにもかかわらず、こういうことをやらなきゃならないということは、一方では大きな政治の問題としてそういう国際的な合意の必要ということがあるわけですけれども、いま一方、私がここで言いたかったのは、かえってこういう核不拡散対策をとることによっていろいろな弊害を生ずるということを皆さんにも御承知いただきたかったので、ここに書いたわけです。  何が弊害かといいますと、まず一つは、保障措置問題というのは確かに企業にとっては嫌な問題であろうと思いますし、企業機密とかいろいろそういう問題とのかかわりがあると思うんですけれども、それとは別に、この核不拡散対策の一つの柱として核物質防護という問題がございます。これは早く言えば、保障措置の方は結局物を管理する思想であります。  一方、核物質防護というのは人を管理する思想と言っていいかと思うんです。基本的にこの思想というのは、核兵器を製造するアメリカなどの施設において従来とられてきたそういう体制を平和利用の中に持ち込むということになっているわけであります。したがって、核不拡散のために公開の一部が制限をされるとか、あるいはこれは私の職場で昔あった話ですけれども、極めて基本的な人権を侵害されるような思想調査であるとかそういうようなことが行われることがありました。  さらに、この核物質防護に関連しまして、今回、保障措置等のこういう査察の前の計量管理を民間で行う可能性があるわけですけれども、現在も民間で一部行っております。その機関であるところの、ある核物質関連の機関から出された出版物にこういうことが書いてあります。  核兵器をある国でつくるかつくらないかという問題について、四つのケースがあり得るというんです。一つは、その国が公然と核兵器をつくろうという意思で動くということです。二番目には、国がこっそりと核兵器をつくろうとして動くということです。三番目には、国以外の者あるいは団体が公然とそういうことを試みる。四番目には、国以外の個人または団体がこっそりとそういうことを企てる。この四つのケースがあるというんです。  第一のケースは、これは言うまでもなく現在の核兵器保有国であります。第二のケースは、今いろいろ取りざたされているイラクであるとか北朝鮮の問題が当てはまるのかと思います。第三のケースは何かと言えば、公然と国以外のものがやるということは、当時考えられていましたのはいわゆる核ジャックと言われるものでありまして、暴力をもって核物質を奪取する。第四のケースは泥棒であります。こっそりと核兵器を持ち出す。  こういうようなことがあるわけですけれども、この場合、国がやるのはこれはちょっと問題外としまして、大事なことは、核物質防護とかいろいろそういうことによって規制がなされた結果、国民の目に原子力施設状況というものが明確にならない、つまりスクリーンがかかってしまう、隠されてしまう部分が出てくる。こういうことがかえって国がこっそりとやることに対する防護にならなくなる、そういうことを指摘していたわけであります。私はそれを読んでなるほどと思ったわけであります。  核不拡散のためにやったものがかえってその国の核拡散国民の目にわからなくするというようなことが起こっては困るということをここでは強調したかったわけであります。
  63. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に、村上参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど京都はどうかというふうなお話がありましたが、私も京都から選出されておりまして、京都は丹後の方に久美浜がございます。久美浜原発は立地反対の闘い、住民運動が非常に長年行われておりまして、そこでは、金はいっとき、放射能は末代まで、こういう大きな看板が立って住民運動が年々盛んになっているところでございます。  東海村の方に私も視察に行かせていただきましたけれども、皆さんのストレスがあるという御発言も、大変なものだなと案じているわけです。先ほどのお話の中で、この中間処理施設の問題は放射性廃棄物処分問題と一体として検討してもらいたいという村長さんの御発言がございましたけれども、外に持ち出してくれとおっしゃるその一番の理由というのは、この中間処理施設が期限が切られないと最終処分場になってしまうんじゃないかと、そういうふうな御不信からでしょうか。その辺なぜ、外に持ち出してくれと強力におっしゃっていらっしゃる理由ですね。
  64. 村上達也

    参考人村上達也君) 私が呼ばれた文書の中に、中間貯蔵施設を受け入れる立場自治体の長としてという文言がありましたので、それではないですよと。私どもとしましては、放射性廃棄物をもう既にたくさん持っておりますし、中間貯蔵といいますか使用済み燃料貯蔵も、先ほど申しましたが、第二原子力発電所の方でキャスクをふやすということで、それについてもリラッキングももう既に承認していますよということであります。持ち出せというよりは、私どもの方としましては、中間貯蔵問題とその再処理問題、それはすべて一体でありますし、再処理から発生する高レベル放射性廃棄物、これも一体であります。そのようなものを、中間貯蔵問題のみではなくて、高レベル放射性廃棄物それから低レベル廃棄物も含めまして総合的に検討していただきたい。  東海村は、先ほど申しましたように、高レベルも低レベルも私は今のところ日本一であると思っているということでございますので、このような現状理解した上で、総合的な対策を早く立てていただきたいということであります。  以上です。
  65. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 社会民主党の梶原です。  先生方、どうも御苦労さまです。私は十五分の持ち時間でありますので、先生方に一つずつ質問をさせていただきたいと思います。  近藤参考人。核燃料リサイクルの見通しです、六ケ所村がおくれまして二〇〇五年から操業ということ、しかし操業をやっても年間処理能力は八百トン、今九百トン使用済み燃料は出ている、それが二〇一〇年には千四百トンの見通しだと。一体どういうようにバランスをとっていくのか、政府もはっきりしないんです。これは、第二の処理施設をつくるとかつくらぬとかそこらの見通しもはっきりしないまま、今の議論を我々がこの法律でやっている。出るのとリサイクルのバランスは一体どう考えておられるのか、それが一点であります。  それから、村上参考人。お話を聞いておりますと、米軍の基地を七五%抱えている沖縄の皆さんと核の廃棄物を抱えている東海村と非常によく議論が似た展開をされるわけで、少し認識を新たにいたしたところでありますが、私どももこの前、東海村の第二発電所を見せていただきました。今度つくろうとしている乾式キャスクの敷地も見ました。大体二十五メーターの五十メーター、プールの大きさぐらいで二百六十トンの貯蔵能力を持てるということで、敷地のくい打ちをやっているところを見ました。そのときに、乾式キャスクの耐用年数というか安全性というのは百年、二百年行くのかと言ったら、四十年ぐらいだというのを現地で聞きましてちょっと不安を持ったんですが、この点はいかに考えておられるか。  それから、第二点は、同じく村上参考人。「「ある県の発電所内での保管能力が限界にきた。そこの県知事からは外部に搬出しろと言われている、サイト内でも貯蔵能力を増やせないから、東海村に五千トンの中間貯蔵施設を造らせてくれ」との話がありました。」と。どこのだれから話があったかぜひ聞かせていただきたいし、政府の方もこういうようなことは全然言わないまま、状況がこうなっているというのを言わないまま、ましてや東海村にこんな話が出たなんという話は我々は知らないまま今議論をしているんですが、率直に教えていただきたいと思います。  それから市川参考人ですが、私は素人なんですが、要するに、よく政府や皆さんから説明があるのは、使用済み核燃料というのは資源だ、再処理してまた使えるから資源中間貯蔵するんだと、そして安全であるということを非常に強調しているんです。それなら、自分の出した発電所内で、サイトという表現をすると、その中で、そんなに大きな土地を使うわけじゃないんですから、二百六十トンで五十メータープール一つぐらいですから、使用済み燃料のリサイクルが見通しがつくまではもう少しそれぞれの発電所責任を持って保管した方がいい、すべきだ、このように私は常々感じているんですが、その点はいかがでしょうか。  以上、三人にお尋ねします。
  66. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 核燃料サイクルの見通しとそれからそのバランスというキーワードで御質問があったと理解しておりますが、使用済み燃料だけについてのバランスからいいますと、御承知のように再処理工場規模それから発生量からいたしますと、御質問が例えば中間貯蔵の必要量ということであれば、五千トンとか一万二千トンを十年、二十年のうちに整備しなきゃならないということになっているかと思います。  ただ、私、先ほども既に申し上げたわけでございますが、我々、未来の超長期にわたってある確定的なシナリオを決めるのが果たして合理的な意思決定かということを常に考えるわけでございまして、退路が断たれてはいけないわけでありますけれども、常に退路も考えつつ、そのとき集まる情報を最大限に利用して、きょうはここまで、あしたはあそこまでというふうにして段階的に計画を立て、それを随時見直していく、ある期間を置いて見直していきつつ前進していくというのがこれは基本的な計画論であろうと思います。  そういう意味で、現在ただいまは、先ほど申し上げましたように、再処理についてはまずある一定規模の商業的な再処理工場をつくってこれを動かし、これが期待する性能が出るとすれば次の段階で第二工場をつくっていくということ。そういう段階的な決定のポイントが非常に明確に定められていて、そこでちゃんと議論が行われるということについて、そのときまでに皆さんがいろんなことを考えておくと、そういうような手続が明白であることをもって合意が得られるような社会ができないものかなというふうに常々考えているところでございます。
  67. 村上達也

    参考人村上達也君) 乾式キャスクの耐用年数四十年ということでございますが、私自身詳しく存じ上げていないところがございます。しかし、原子力発電所自体につきましては、十三カ月サイクルでの定期点検ということがやられておりますし、当然プールそれから保管燃料といいますか使用済み燃料につきましても点検をされているということで、四十年そのまま行くのかどうかというふうには私は理解しておりません。しかしながら、かつて旧動燃の方での保管のずさんさ、廃棄物の方のずさんさというのもございました。そういう点では保障措置の方を国の責任できっちりやってもらいたいとは思っておりますが、そういうふうに考えております。  それから、ある県のある知事がという話でございますが、私は基本的には中間貯蔵施設というものがこれからの日本において必要だろうと思っております。これは、一つは原子力発電所所在地、あるいは東海村みたいないろんな原子力施設の集積しているそういうものだけに原子力のそういう新しい施設をまたつけ加えるということではなくて、全国的な観点から国民のコンセンサスを得てやっていただきたいというのが念願でございますので、この全体の場で具体的な名前を出すのが適切かどうか、ちょっと私も初めてなので判断に苦慮しますので、推測なりあるいはまた別途ということでお答えしたいと思います。  よろしくお願いします。
  68. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) まず言葉の問題ですけれども、リサイクル資源、今回の中間貯蔵施設がなぜ使用済み燃料中間貯蔵と言わないでリサイクル資源貯蔵とかというようなことを言うのか、いささか疑問があります。  こういうことは最近よくあるのでありまして、核燃料サイクル機構に現在あります、動燃時代からあるんですけれども、リサイクル機器試験施設というのがあります。聞いただけでは何のことだかさっぱりわかりません。一体動燃で何をリサイクルしようとしているのか。これはよく聞いてみると、高速増殖炉用の燃料の再処理をするための試験施設だということになるわけです。こういうわけのわからぬ言葉を使っていかにもよさそうな印象を与えようというのはもうおやめになったらどうかと思うんです。そういうことをやっているので本当に国民信頼というものが得られなくなるんじゃないかと私は思います。  さて、資源であるかどうかということですけれども、プルトニウムが確かに資源となり得るものであるということは私は否定しません。しかし、それが資源であるためには、安全な利用の方法が明確になって初めてこれは資源であって、さもなければただのごみなのであります。  そういう点から考えて、そういう見通しが現在ないわけでありまして、何回も申しますけれども、そういうものを外に持ち出してどこかへ期限も定めずに置くということではなく、これは今御質問の先生の御意見と私は同感でありますけれども、やはりそこから出たものはその施設内に増設するなりなんなりして、しかも安全対策を十分にとって地元の納得のいく方法で保管する、これしかないんではないか。それができないということであれば、その原子炉はもう運転をやめるなり、あるいは出力を下げて運転するなり、そういう方法をとらざるを得なくなるというふうに思います。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 近藤参考人、見通しが立たなくても段階段階でやればいいじゃないかというのは、それはそういうお考えの方もおると思いますが、中間貯蔵施設をどこかに求める場合に、地域住民がそんなことで、はい、いいですよと言うかどうか、これはちょっとなかなか難しいんではないかという感じを持ちました。  今、福島もいろいろあるでしょうけれども、広大な敷地をやっぱり持っています。地域にお願いをしてその敷地内に何とか貯蔵させてくれと貯蔵設備をつくるのと外に求めるのと今の時点でどっちがいいのか、どっちが可能性があるのか、率直にお聞かせ願いたいと思います。
  70. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 余り時間がないようですから簡単に申し上げますと、私はまず、段階的というのは、つまり将来のことを現在と全く同じ制度で決めるということは甚だ難しいことになるのではないかということを申し上げただけでございます。  それから、今の後の質問に関しましては、今現在どちらに求めるのが可能性があるかという御質問は、今まさに全国の方々がこれはサイトから出してくれという、これは私はこれ自体本当に論理的正当性があるかどうかについては疑問なしとしないわけでありますが、そういう御要望をいただいていることは事実。したがって、それに対して代替手段として敷地外貯蔵という制度を用意することは極めて重要。  これは国際的にむしろ常識でありまして、そういうものがあるのが常識でありますから、そういうものがこれまでできなかったことがむしろおかしくて、そういう業をなしたいとする者がいるときにそれができるようにするということはむしろ常識論として制度を整備されるべきだというふうに考えております。  私は個人的な希望としましては、せっかく発電所が動いているところ、そこで出る廃棄物も、これはほかの一般産業もまた同じだと思いますけれども、産業の活動の中で出てくるさまざまなウエーストについてはその場で処理するなり保存するなりということは一般的に行われている。そういう一般社会の通念からすれば、発電所の中で発生するその使用済み燃料だけをある量以上貯蔵することはいかぬというのはやや無理だ、理論的には無理、ただし感情論としては非常によく理解できる、そういう立場でございます。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょっと時間がなくなったですね。  ありがとうございます。
  72. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 大変御苦労さまでございます。  大分長時間になりましたし、それからまた同僚議員から、それぞれお三人の参考人の皆さんからのお話で、大体いいところ、中身の質問は出尽くしているような感じもしますが、私、少しちょっと感じも述べまして、実は十五分しか時間がありません、後で一言ずつだけお願いをいたします。  この機会でありますので、何でこういうことの原子力エネルギー関係において、国会でもあるいは立地市町村でもあるいは科学者の方も、とりわけ市川参考人のように三十年間もお勤めになられた方が不安めいたお話もなさるようなことで、どうもちょっと基本的にやっぱりこれは安全でないからということが前提のような感じがしまして、しかし実際には安全なんですね。今まで多少の事故はあったと。  これはこの間もこの委員会で質疑をしたんですけれども、世の中で絶対なんということは、我々住んでいる社会、世の中であるわけないんで、しかし特に安全と危険というのは裏腹かもわかりません。あるいはまた、それこそいつどういう事故が起こらんということの不安というのは、原子力発電あるいは原子力エネルギー関係に限ってあったことではないのであって、これがとりわけ事故がかつてソ連にあるいはまたアメリカに起こったときの規模がちょっと大き過ぎて、これがますます日本の不安感を助長してきたということだろうと思うんです。  先ほど来リスクの問題とかいろいろな観点のお話もございましたが、私は自分自身も政治家として過去のことを反省してみて、一番の責任の所在は、一つは政府が国策として進めているわけですから、これはやっぱり政府責任において国民に自信を持ってもらう、あるいは信頼をしてもらう、このことが一番だと思うんです。だから、今度の三法交付金をこの中間施設の立地市町村に出すときに、それは広報費が入っておるみたいな話をします。広報費というのは国が持つものであって、という感じをこの間も申し上げたところです。  同時に、もう一つは、事業者、それを下請というか、国の国策に従ってやっていく事業者が、これまたやはり国と同じ責任と一つの自信、あるいは地域における信頼、こういうものを助長してやっていかないと、これはなかなかうまくいきません。例えば、どんなに安心感の持てる技術開発ができたにしても、これはとても、人間ですから、不安だと言えばそれまでです。  そういう意味では、政府責任事業者責任と、もう一つは、近藤参考人あるいはまた市川参考人におかれても、そこに技術的に関与した人たちあるいは科学者、あるいは私は、実はもう十年ぐらい前になりますか、ある電気事業者社長とある雑誌で対談をしたときに、一番大事なことは、そこで働いている人たちがいかに安全かということを立証することだ、これ以外の立証の仕方はない、何でそれをやらないんですかと言ったことがあるので、今でもその感がします。  市川参考人も三十年もお勤めになられて研究をやられて、そしてしかも現場も見られて、安全性に対する絶対的な方向でいかに努力しているか御存じの中でいろいろな御懸念を申されてきていると思うんです。そういう意味では、これらのいわゆる組み合わせをこの際本当に本格的に考えていかなきゃいかぬ。どうもみんな三方一両損じゃないが、三方一両ずつ逃げに入っているような原子力政策の感じがいたします。  そういう意味で、我々政治家も含めてでございます、大体その選挙区から出ている政治家がその政策について触れないで例えば選挙をやっているみたいな情けない現象もあるわけなので、そういうことであってはならぬということを私は感じとして申し上げておきたいのでございます。  そこで、ちょっと幾つか質問はあるんです。例えば市川参考人には、アメリカの核戦略との関係があるというようなお話ですが、どういう戦略かちょっと聞きたかったんですけれども、時間もありませんのでこれはよしといたします。  私は、原子力政策のそういう意味における一元化ということについて、今までいろいろ携わってこられたお三人の参考人におかれて、具体的には科学技術庁と通産省です、そういうことについては一体このままでいいのかなと。行革の段階でもございます。そういうことはひとつどんなふうにお考えになっておられるかということであります。  それから、中間施設の問題については、さっき同僚議員から質問がありましたから私はもうあえて申しませんが、村上参考人は大変なお難儀で、私も実はかつての選挙区、刈羽柏崎でございまして、そこで十八年間衆議院議員をやらせていただきましたので、もうよくよくわかっているんです。ですが、私は村上参考人にお願いしたいのは、これはマイナスメリットということはおっしゃらなかったが、地域としてはこういう助成措置でこういうプラス面も地域住民にとってあるということがあったらぜひ、精神的な不安感、心配とかそういうこともあるかもわかりませんが、先ほど申し上げたような電源三法その他の問題もこれあり、あるいはまた地域の人たちが科学というものに目覚めるかもわかりませんし、科学研究心が旺盛になってくるかもわかりません。そういったいろんなことのメリットがないのかなという感じがいたします。  私は、刈羽柏崎で科学技術大学というのを実は電源立地交付金で開設していただきました。そういうようなこともこれありで、プラス面ももしお感じの点があったらお聞かせをいただきたい。マイナス面は、不安ということと、そういったことで非常によくわかりますので。もしなければもうこれはしようがない、為政、行政者として仕方のないことですけれども。  そんな感じで、近藤参考人におかれて、今までこの政策に携わってこられて、一元化の問題についていかがお考えになられるか等々、ちょっと一言ずつで、時間を超過するといけませんので、よろしくお願いします。
  73. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 先ほど私の話の中で、核戦略とのかかわりと言いましたので……
  74. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 いいです、今はもう時間がないので。
  75. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) それでは、先ほどおっしゃいました安全か安心かというような問題がありますので、そのことをちょっと触れたいと思います。  安心というのは、国民が安心しているということは信頼しているということにつながるわけでありまして、信頼のもとは何かといえば、事故とかトラブルとかそういうものが余りないということが基盤になっているわけです。したがって、現在皆さんが不安に思われる背景には、やはり再処理の場合でも軽水炉の場合でもいろいろなトラブルが過去にたくさんあったということが事実としてございます。それを、いろいろ安全委員会なども努力しておられるわけですけれども、残念ながら今までのショックといいますか、そういうものが非常に国民の中に根強く定着しているがために、ちょっとやそっとのことでは信頼を取り戻すことができないという状況を御理解いただくべきだと思うんです。  安全委員会の白書を最近読みましたけれども、安全委員会の基本的な立場として、国民立場に立って、行政庁から独立して、そして科学技術的判断に立ってというようなことを安全委員会はみずからの基本として述べております。これは非常にそのとおりであるわけですけれども、果たして現実にそういうふうに今後動けるのかどうか。今回の再処理工場の再開に安全委員会がゴーサインを今の段階で出したということについては、ちょっと私はその三つの立場に照らしていかがなものかというふうに感じざるを得ません。
  76. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 一つは、政府、それから事業者、そして学界、この三者がそれぞれ自信を持って国民に説明に当たれという御趣旨、御示唆でございます。これは大変重要なことだと理解します。  我々、大学でも学生側に理工系が人気ないので、有馬先生には、出前講義でもしてこい、高校、中学へ行ってこいと言われているわけでありまして、そういう意味で、私どもとしましては、求められればいついかなる場所でも、いつは大変ですが、どこでも行って私どもの考えを申し述べさせていただきたいと思っているところでございます。  それから、行政一元化の問題は、行政の仕組みについて私は専門家でないからわかりませんが、要すれば、大事なことは、国民から見て行政責任の主体が明確であること、そこでなされている議論が国民から見えて透明性がある、この二つが肝要かと思います。そういう観点で、今次行政改革、省庁再編の中で原子力行政のあり方が、当然のことながらこれ、原子力のみということにならない、さまざまな他の政策行政マターとの関係もございます中で、しかしながら、なお原子力行政がある一つの責任体系の中で、責任ある行政主体でなされているということが見えるような、そういう制度にしていただければいいなというふうに考えているところでございます。
  77. 村上達也

    参考人村上達也君) 中間貯蔵施設につきましては、なぜ私がこの場で持ち出しということを言ったかといいますと、新潟、福島、福井の方で、原子力サイト外に早く持ち出せということを非常に強くおっしゃっているということでございまして、私どもの東海村としましては、使用済み燃料を早く持ち出せということは確かに一度も言っておりません。  そのような気持ちはございませんし、本来であれば、先ほど近藤先生がおっしゃられたように、あれだけの敷地があるとするならばサイト内に保管するというのがベストだと私は思っております。ただ、それも、もう少し国民的な視野からということでいきますと中間貯蔵という考え方もあるだろうと、そのように考えております。  ただ、よその県あるいはよその市町村では、この前の敦賀の市長もおっしゃっていますが、早く持ち出してくれという話ばかりしか私ども聞けないということで、それじゃそれは私どもの方で、東海村の方で受け取るのかと、そういうことにはなるまいねという話をちょっとしたかった。ベストは、私は、サイト内ということの考え方も並行して考えるべきだろうと思っております。  それと、東海村は地域イメージとしてあるいはメリットはなかったのかといいますと、四十数年の間にこれは大きなメリットはあります。したがって、その点につきましての理解というものは東海村には一般的にあります。そのようなことも申し上げるべきかとは思いましたが、一応時間もないということで、切実な問題として提起したわけでございます。  以上です。
  78. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 これで終わりますが、私はやっぱりしっかりした信頼関係だろうと思うんです。大変恐縮ですけれども、プルサーマルの問題を抱えて柏崎というところで県会議員選挙をやりまして、真っ正面からそれを取り上げた県会議員がトップ当選、自民党公認が二人ともトップ当選をしているわけです。しかし、プルサーマルの反対運動のときには署名が過半数を超えているんです。  ですから、それは何を意味するかといえば、選挙の戦術じゃなくて、全く心配ない、安全だ、これが将来どうなんだということを指導者が確たる考えで、近藤先生などはそういうことに対しての学者としての良識とか、あるいはまたリスクというようなこととかいろいろおありで、次の世代まで、そこまで責任持てないというのもわかります。しかし、そこは我々政治家あるいは行政の側としては、国策として推進している以上は、そこをやっぱり信頼理解、そしてとにかく安全ということに細心の注意を払ってやっていくということ以外に今の日本エネルギー政策解決はないということで、これからも我々は国会立場からいろんな意味で監視をしながら、かつまたいろんな助言もいただきながらこの政策推進していかなきゃならぬと思っております。  どうもきょうは大変ありがとうございました。
  79. 水野誠一

    ○水野誠一君 最終バッターといいますか、アンカーでございまして、今までかなり各委員からいろいろ御質問がありまして、ほとんどこの中間貯蔵の問題についてはいろいろ出尽くした感がございます。  ともかく、私は、その核燃料サイクルの全体像、これは設計図としてはあるんだけれども、それが本当に機能していくのか、あるいはそれが予定どおり本当にその能力を実現することができるのかという問題。これはよくトイレのないマンションというような言われ方もするんですが、ともかく設計図ではトイレがついているんだけれども、本当に下水管がそこに結ばれ、そしてまた処理能力のあるシステムがそこに伴っているのかということを考えたときに、一抹の不安を感じざるを得ない、これは事実だと思います。  この安全論議というのは、飛行機というものが安全かどうかというような議論にも確かに似ておりまして、これは九九・九%安全なんだけど、一つ間違えば事故が起き得る、こういう議論もまた非常に重要ではないか。ですから、先ほどから参考人がおっしゃっているように、本当の理解というのは、もしかすればこういうことも起き得るというリスクの面も明らかにしながら、でも九九・九%を一〇〇%にするためにはどうしたらいいかというところの議論をこれからやはり続けていかないと、理論的に一〇〇%という話だけではなかなか納得、説得できない話ではないか、かように思います。  今まで、そういった意味での核燃料サイクルの問題、あるいはその廃棄物処理の問題ということ、これを我々はかなりエネルギーをかけて論ずればよかったわけでありますが、実は原子炉ができて三十年経過をしてきたという中で、事実東海村での日本原子力発電東海発電所が昨年の三月に廃炉になったということでございます。我々素人は廃炉といっても、ああそれは閉めればいいんだということで実は簡単に考えがちなんですが、実際問題、いろいろなその後の処置をしながら安全性を持って解体作業に入るためには十五年かかるというような数字もございますし、またそこから出てくる廃棄物、特に放射性廃棄物というもののうち、二万八千トンぐらいの処分方法、これはまだ決まっていないというようなお話もあるわけであります。また、その地中処分、これをするには三百年から四百年寝かせなければいけないそうですが、こういった経費もまた膨大な経費がかかる、こういう問題。これがこの東海発電所だけではなくて、日本でも三十年を超えるものが幾つかこれから出てくる。先日の新聞でも、敦賀原発の一号機がもう既に三十年たったということで、二〇一〇年をめどに停止というような記事もございました。  ところが、最近、電力各社から機器の補修や点検を適切に行えば六十年程度運転を続けても安全性に問題ないという報告書が通産省・資源エネルギー庁に提出されたというような話もあります。この敦賀原発でも三十年超えているんだけれども、即座にストップをしないであと十年間、言ってみれば四十年運転をするというようなことになるわけであります。  そこで、私がそれぞれ皆様のお立場から伺いたいのは、こういったこれから出てくる廃炉問題、これをどういうふうに我々はとらえていったらいいのか、そして安全性ということからいって、当初の安全性のめどであった三十年というものをこういった形でいたずらに延ばすということについての不安はないのか、こういう視点からお三方にそれぞれお答えをいただければと思います。
  80. 市川富士夫

    参考人市川富士夫君) 廃炉はこれから続々と出てくるわけでありまして、それが現在は三十年とか四十年で廃炉にするわけですけれども、六十年もつのかどうかという問題があります。  原子炉というのは、やはり原子炉の中の材料部分について、いろいろ放射線あるいは中性子などによる劣化といいますか、そういうものがあるわけでありまして、その辺の見きわめといいますか、本当に六十年たっても使えるものなのかどうか。最近は何かほとんどもう中身を入れかえてしまうような、そういう対策もとるようでありますけれども、結局、廃炉というのをそういう形でやるとすれば、立地困難のために現在の寿命を延ばす、そういう一つの手段として今六十年問題というのも出てきているのではないかというふうに思います。  そういう意味では、その廃炉について本当に安全性が確認できるような方法が確立されることなしには簡単に手をつけるべきではないというふうに思います。
  81. 近藤駿介

    参考人近藤駿介君) 廃炉の問題につきましては、廃炉以前に今お話のポイントは寿命をどう考えるかということかと思います。これにつきましては、原子力安全委員会に通産省から高経年化対策ということで御報告を申し上げて、要すれば今、市川先生がおっしゃられたように、問題は原子炉の構成要素が時間とともにその性質を変えていくところ、それが全体として安全性に変化を与えるか否かということが検討されるべきなわけでありますが、主として放射線に係る構造物の劣化、それからさまざまな構造物が振動による疲労でもって劣化する、こういうことについて検討をする、そしてその結果として、もともとこういう設計をするときには、ある裕度をとって、安全余裕をとって設計しているわけでございますが、逆にその設計裕度がトータルの安全性を担保しているわけでありますから、劣化によって裕度が減るところ、それが減ったといたしましてもなお本来達成されるべき安全性を維持できるかということについてるる検討する、そういうことをしましょう、その方針について安全委員会に御報告し、お認めいただいた。それに従って各発電所がそれぞれのプラントを個別に点検いたしまして、その寿命延伸についてもこういう対策をとるところ、これまで延ばせるかなということを御報告されていると、そういう状況にあるということです。  しかし、ポイントは、大事なことは、先ほど計画の話にございまして、私もここでもまた同じことを申し上げておりまして、段階的に必ずチェックをする。例えば、通産省では定期安全レビューという制度を設けておりますが、これでもって十年ごとに各発電所からそのプラントの劣化、あえて言えば劣化状態について詳しく報告をいただいて、そのまま使うのか、あるいは今おっしゃられたようにそれを交換して直すのか、そういうことも含めて今後さらに十年間ちゃんと運転できるかなということを、あるいはもっと進んでいえば、最新のプラントと同じような安全性が担保できて運転できるのかなということについて、みずからの評価を通産省に提出いただき、それを専門家が評価する、そういう制度でこれを運用するということになっているところでございます。  これも、六十年というのも別に決まった数字ではなくて、そういう観点からすると、おおよそ相場観として六十年ぐらいは大丈夫かなということを仮に、仮という表現は悪いですが、そういう一般論として申し上げているというふうに御理解いただければと思います。
  82. 村上達也

    参考人村上達也君) 第一点の廃炉の問題ですが、我々としましては、数値的には全体で二万トンとかあるいは三万トンとかいう話がされて、まだ確定しておりませんが、政令値を超えるものとしては三千トンぐらいは出てくるよということでございます。しかし、いずれにしましても、その基準というものはまだ確定していないということでありますが、やはりそこから発生する放射性廃棄物処理、処分問題というものが先ほど申しましたものにまた加わってくるということで、これもきっちりやっていただきたいという関心を持って見ております。  もう一つは、廃炉については財政上の問題がございます。  運転停止によりましていわゆる償却資産税がストップするとか、それから電源三法の方の交付金の算定から外されるとかいうことがあるということで、これはちょっと考え直してくださいよと。廃炉の、最後に消えるまでは十五年もかかるということで、どのあたりまでそれでは課税させていただけるかどうかというのはこれからの検討課題でありますが、財政的にはやはりそういうものを今まで抱えてきたもので、またこれがということでありますので、つくるときばかりじゃなくて、消えるときにもちゃんと面倒を見てもらいたいというのが地方自治体の考えであります。  それから、六十年、今先生がおっしゃられたようなことでございますが、今まで二十五年あるいは三十年と言っていたものを今度は六十年と言われて、当然ながらその立地市町村として気持ちいいはずはございません。六十年の根拠というものにつきましては、十分な説明をお願いしたいと思っております。  以上です。
  83. 水野誠一

    ○水野誠一君 もう時間がございませんので質問はいたしませんが、先ほど近藤参考人がおっしゃっている発電所安全性というものを各発電所が調査をして報告をするということなんですが、私はこれは公的、客観的な調査と検査ということをしてぜひ安全度というものを確認をしていただくということがやはり必要じゃないかなと。本当にこれから大型地震等々もあり得るわけでありますし、万が一でもそういったことが起きたときに、古い、もう三十年たっている発電所の中には、これで大丈夫なのかと、大型事故につながらないかという不安があるものも随分あると思いますので、ぜひその辺も、皆さん、委員としてもぜひそういう御発言もまたしていただきたいなと思っております。  終わります。
  84. 須藤良太郎

    委員長須藤良太郎君) 以上をもちまして参考人に対する質疑を終わります。  この際、参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会