○渡辺秀央君 今まで各同僚の皆さんからいろんな角度から今回の
法案について、あるいはまたそれにまつわる諸問題についての
質疑がございました。いつものことながら、同じ角度から、あるいはまた同じ問題点というのもいかがかという感じもいたしまして、私はきょうは少し角度を変えて、後ほど
質疑をさせていただきます。
この
原子力問題というのは、今も水野議員からの話もありましたが、これはこれでいいということはなかなか出てこない、あるいはまたこれで絶対に安全だという、
科学技術庁長官は科学者であられるけれども、科学の
世界で絶対なんということは一体あるのか。あり得るはずがないわけでありまして、我々が生活している日常、世の中で絶対という世の中はない。同じようなことだと思うんです。そういう意味では、より絶対安心に近いところにどう
努力していくかということであろうと思うんです。
かつまた、限られた
資源、
我が国の乏しい、ほとんど海外に依存している
資源の
関係から
考えれば、しかも工業立国、しかも
世界最高の生活レベルを維持するというようなことを
考えれば、これはもう
電力ということを抜きにしては
考えられない。
火力発電があるじゃないか、水力発電があるじゃないか、まさにこれこそ公害やあるいはまた国土保全の上からいっても問題点が出てくる等々の問題で、結局はより絶対安全性を目指しながら
原子力発電ということに我々は帰結したということだったと思うんです。なお、将来もっとすばらしい
エネルギーが
開発されるかもわかりません。しかし、現状においてはそういうことかなと。
そういう意味では、私は、
人間の生活、幸福と不幸というのはまさに背中合わせ、あるいはまた平和と緊張というのも背中合わせ、安全と危険ということも背中合わせかもわからぬのです。そういうことを踏まえながら、この
原子力エネルギー政策というものを
考えていかざるを得ないと思うんです。
そんな角度からいろいろな同僚議員の
質疑をずっとお聞かせいただいて大変参考になりましたし、また
日本の科学
技術庁といえども、どうももう一つ歯切れのいい回答が出てこないという面も事実あった。これはいたし方のないことなのかもわかりません。しかし、この中間施設の問題は、これも現状において今日の
経済活動と
国民の生活レベルを維持していく上においてはやむを得ざるとりあえずの
措置だ、こういうことであろうと思うんです。
そういう
観点からこの問題は、私は与党の
立場で、しかも
原子力発電あるいは核
エネルギー政策というのを
推進してきた一人として余りこういうことを国会の場で質問してはどうかという感じも今まではあったんです。しかし、いろいろな角度から
考えてみると、一度やはり私は、
国民の前に今の段階でどうであるかということを
政府に明らかにしておいてもらう必要があるだろうということで、
原子力発電所におけるセキュリティーの問題について、きょうは
中心に少し質問をしてみたいと思うのであります。久しぶりに時間を三十分いただいたものですから、油断して余計なことをしゃべってしまいました。
我が国の
年間発電電力量に占める
原子力発電の割合というのは、御存じのとおり三五%、三分の一以上に及んでいる。私が国政の場に参りました二十数年前を
考えると、まさに昔日の感であります。現在、
我が国の
原子力発電所は五十一基にもなっている。認可出力は約四千五百万キロワット。米国は別として
世界ではフランスと肩を並べるほどの規模になってきている。しかし、幸いなことにいまだ、三十一名の死者や二百三名の被曝者を出したソ連のチェルノブイリ発電や米国のスリーマイル原発のような事故は全くない。大変
努力をしている。あるいはまた、真剣な日常作業をやっているということだと思うんです。
最近では、しかし、さはいうものの、「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故、あるいは動燃東海
事業所のアスファルト固化処理施設の火災事故などが続いていますけれども、幸い人的被害はなかった。
我が国の安全管理は十二分とは言えないにしても、ある
程度うまくいっていることではないのかと言えると思うんです。その点からすると、
我が国の
原子力発電所の安全性は
確保されていると言っていいと私は思います。
問題は、冒頭申し上げたように、
原子力発電、ましてや昨今の国際情勢やいろんなことを
考えると、あるいはまた
日本人はこれまで平和や安全というのを空気のような錯覚をしておりますから、そういうときに、危険というのはあるいは危機というのは突然起こることでありますから、私はそういう意味で、阪神・淡路大震災や地下鉄サリンなど、そういった問題と同時に昨今の北朝鮮の弾道ミサイル・テポドン、あるいはまたまさに私の郷土である新潟の沖に、ここには先ほども同僚議員の話が出ましたが、東洋一、
世界最高の
原子力発電所もある。そういうところに北朝鮮の不審船が領海を侵犯してくるというようなこともこれありで、
危機管理対策として内閣官房の内閣安全
保障・
危機管理室が
中心となってことしの四月に、ここに私は手元にも持っておりますが、
危機管理マニュアルを作成した。
原子力災害についてもそのことが入っている。
そういう問題について、施設のテロ対策などはアメリカではある調査機関のアンケート調査によると、米国人の四分の三以上がテロリストは米国の都市に対して
核兵器または生物化学兵器を使用する可能性があると信じているんです、世論調査で。
そこで、
原子力発電所のテロ対策について、まずその前にちょっとお聞きしたいんですけれども、皆さんの中に「宣戦布告」という昨年ベストセラーになった本をお読みになった人はいますか。もしおられたらちょっと手を挙げてみてください。──結構です。
日本海から北朝鮮の兵隊が漂着して原発に侵入を試みたために警察や海上保安庁など
関係省庁が押しつけ合いながら自衛隊を派遣しようかという議論が行われたり、どうするかというので
政府全体が大パニックになったという模様を描いている。ただの小説とは思えないようなリアルなものだと思うんです。
折しも最近、先ほど言ったような問題が
日本海に起こっている。
日本海には福井の敦賀原発、新潟の柏崎刈羽原発というようなものが点在している。しかし、この「宣戦布告」に見られたように、いざこういう事態が起こった場合、警察が対応するのか自衛隊の派遣を要請するのか、
危機管理体制がどうなっているのかはっきりしていないような気がするんです。はっきりしていればいいですよ。今度はこの官邸のマニュアルにしっかりできたということならそれで結構。本当にこういう事態を想像したときに、省庁間の責任の押しつけ合いを行って対応がおくれたということがないように、省庁間の役割を、きちんと迅速に適切に対処するようなシステムを整備しておく必要が、もうこの段階においては非常に喫緊の課題だと言わなきゃならない。
そこで、ちょっと細かいですけれども、そういう
観点から具体的に聞きたい。余り想定していろんなことを言うと、地元住民やあるいは立地市町村の住民が不安を持ってはいけないということは十分に私は自分で
考えながら質問をする、むしろそれだからこそはっきり答弁をしてほしいと思うんです。
資源エネルギー庁に伺いますが、一般的に言う事故の、こういった「宣戦布告」ではない、そんなことはあってはいけないことですが、
原子力発電所でこういったテロ行為が行われたときの警備体制がどうなっているか。警察が常時パトロールをしているということもよくわかっていますが、現状は
原子力発電所に対するどういう警備をやっているか。
原子力発電所は
電力会社が警備をやっている、これも民間警備会社に頼んでいるというようなことで間に合うのかどうなのかということです、要するにテロ活動があった場合に。ここにも核物質防護に対する若干の施設、
設備、こういうものが、いろんなカメラなんかが用意されてあるのもわかっていますけれども、どうもそれはまさに通常のことではないのかという感じがします。
今現状どういうふうになっておりますか。その実態について、一言でいいですよ。