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1999-08-06 第145回国会 参議院 外交・防衛委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月六日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  八月五日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     岸  宏一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 大野つや子君                 岸  宏一君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 木俣 佳丈君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        登 誠一郎君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁人事教育        局長       新貝 正勝君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○自衛隊法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 自衛隊法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  きょうは自衛隊法等の一部改正ということで審議いただいているわけでございますが、これは一般職公務員について既に成立しておるという状況の中で自衛隊法の方も今国会でということで、もう会期末が迫っておりまして、私の方も与党であり、審議促進のために質問時間を極めて短縮しております。個別の問題は、与党でいろいろ法案の際に詰めておりますので、基本的な点だけこの法案について防衛庁長官に一、二質問させていただいて、あと残りの時間で当面の問題を一、二お願いしたい、こう思っているわけです。  そこで、防衛庁長官。今回のこの自衛隊法等の一部改正、いわゆる高齢長寿社会の中で公務員定年制も延びるという中で、健康でやる気のある人は再任用して国家社会のために尽くしてもらおうというその精神と、あと一つは適正な形で再就職が確保されるというようなこと、この二面があるわけでございます。  これまで自衛隊員も含めて防衛庁職員特別職公務員ということで一般職とは違った規定になっていた、これが今回一般職に準じてやるということになったわけですが、どうしても一般職公務員勤務形態と大多数の自衛官というものの勤務形態、その職務性格、また定年とか、そういうような面でも大幅に違うわけでして、そこで全く一律な法律を適用するということはやや不適切な面もあるわけでございます。  そこで、防衛庁長官にお伺いしたいのは、防衛庁長官自体はこの特別職公務員の中での特に自衛官性格というものをどのように認識されておるのか。通常の国ですと軍隊である、軍人であるということなんですが、我が国の場合はそうじゃないと。じゃ一般公務員かというと、そうでもないと。その中間的な形ということで、あらゆる面で若干宙ぶらりんな形になっておるわけですが、これが第一点。そういう特性を踏まえて、今回の法改正ではどのような点を配慮しておるのか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。
  5. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 自衛官文民軍人か、あるいはその中間的なものかというのが第一問であると思いますが、普通文民と申しますのは、国の武力組織に職業上の地位を有しない者と解釈されていると思います。自衛隊憲法で認められる範囲内にあるものとはいいながら、一つの国の武力組織であります以上、自衛官はその地位にある限り文民には当たらないのではないかと認識しております。  また、自衛隊国内法必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの憲法上の制約を課せられており、このような制約がない諸外国軍隊とは異なるものと考えられます。このような自衛隊構成員たる自衛官通常の観念で考えられる軍人とは異なるのではないか、こういうふうに認識しております。  しかしながら、一般に国際的な関係においては軍隊あるいは軍官に適用される国際法自衛隊に適用される場合もありまして、一般的に言えば、国際法上あるいは自衛隊軍隊として取り扱われ、自衛官についても軍人として取り扱われるものもあると考えます。  今回の再就職見直しは、私どもとしては、先般の防衛調達に関する不祥事を契機としながらも、国家公務員をめぐる再就職制度改革等の趨勢も踏まえながら行ったものであります。  私としては、適正な再就職手続を経させることによりまして、不正が生ずる余地がないようなチェックをすることで行政責任を果たすとともに、このような手続を経て再就職させることで、多くの隊員の再就職に対する御批判も現実にはございます、中にはいわれなき批判もあるということもありますので、そういう批判を払拭するためにこういう改革を行う必要があると考えた次第でございます。  今度の見直しによりまして、一般職と基本的に同様な制度となるわけでございますが、他方任期制自衛官についてはすべて承認対象外としておりまして、自衛隊特殊性を踏まえたものとなっております。  今後、具体的な再就職承認基準を策定するに当たりましては、若年定年制自衛官が例えば専門的な知識とか能力等を生かして再就職する場合には、その他の隊員とは異なる承認の仕組みを設けるなど、自衛隊員職務任用形態特殊性等について配慮してまいりたいと考えております。  大変大事なことは、自衛隊組織の基盤は人でありまして、士気が高く、資質のすぐれた隊員を保持し、隊員誇りを持って任務に邁進し得るよう努めていくことが何よりも肝要であります。今後とも、このような考え方のもとで自衛隊人事施策について適切な対応に努めてまいりたいと考えておるところであります。
  6. 依田智治

    依田智治君 再任用のような面は、やはり戦闘集団というような面から余り年をとってからの再任用というのも難しい。しかし、知識技能、いろんな教育とか技術開発とかそういう面では大いに活用できるという面がありますから、私はこれはもうできるだけ積極的に活用する。そういう面では、戦闘集団特性から短期任用というのはできないことになっているんですが、私は、将来的には特性のある人を教育とか技術短期にも任用できるということも重要じゃないのかなという感じがしますが、これはきょうは触れません。  そこで、防衛庁長官。一線の自衛官、またOBが一番心配しているのは、二十何万のうちの大多数の自衛官というのは企業等とほとんど関係ない職務についておる。今までは、職務と密接な関係にある企業等に行く場合、役員として行く場合に限って承認対象になっていたのが、今回、防衛庁防衛施設庁関係ある者はすべて、また一佐以上はすべていかなる地位に行くのも対象ということになるものですから、国会報告もまた義務づけられて、しかも氏名とかその他、そうなると一佐だれだれというようなことで、他の役所は行き先もいっぱいあるし結構一般的なんですが、自衛隊だけは一佐以上百何人とか毎回報告があると、いかにも企業と癒着しているような印象、そのために企業の方で採用を控えるというようなことになったら、これは国のために本当に命を的に仕事をして、それでしかもその知識技能というものを国に生かそうという自衛官が、将来のことが心配で仕事に身が入らないということでは、これは非常に困ると思うんです。  そんな点で、特に承認基準の策定、さらに氏名の公表のあり方というようなものも全く関係ない一佐の人をずらずらと報告しても意味がないと思うんですが、そのあたりのところはどのように考えておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  7. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 自衛官につきましては、精強性を維持するために、今御指摘のありましたように若年定年制あるいは任期制採用いたしております。そのために早期退職を余儀なくされていることがございます。防衛に関する専門的知識能力経験を有する者がまた多いというふうな特性をこの自衛隊組織は有しているところでございます。このことは、防衛庁といたしましても今回の制度改正におきまして重視したところでございます。  具体的には、任期制自衛官につきましては、先生おっしゃるように、在職中はほとんどの者が企業との関係を持たないということでございますので、そういった関係を持たない一般の部隊に勤務していることに加えまして、任期制自衛官在職期間が短いあるいは離職前における本人の地位及び職務等から見ましても、企業への影響力を不正に使用して再就職する事態は想定しがたいということから、再就職については承認対象外というふうにいたしているところでございます。  また、再就職の具体的な承認基準についてでございますが、自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会報告におきまして、早期退職者専門的知識能力経験を生かして再就職をする場合、あるいは専ら教育研究業務に従事していた者が民間の同種の業務につく場合、さらには若年定年制自衛官のように、任用離職について特別の事情のある隊員の再就職について、これらに相当する事情があると認められる場合、また企業から隊員専門的知識能力等に着目して第三者たる自衛隊離職者就職審査会に対し採用の要請がある場合におきましては、当該再就職が再就職者専門的知識等を理由とするものであり、影響力を不正に行使した再就職には当たらないと判断されるため、基準の一部を緩和することが適当というふうにされております。  具体的な承認基準については、この提言も踏まえまして今後自衛官任用形態特殊性、その知識経験等の活用につきまして配慮しつつ策定してまいりたいと考えているところでございます。  なお、先生今、一佐以上は全部報告になるではないかと、こういうことでございます。この点につきましては自衛隊員の再就職透明性を確保するため、長官による承認状況につきまして国会報告することといたしております。その対象は、確かに一佐以上の自衛官及び行政職(一)十級相当以上の事務官とすることを考えております。  これは、国家公務員一般職の例に倣いまして行っているところでございますが、多くの人数を占める二佐以下の大半の者についてはこういった国会報告というものはないというふうに考えているところでございます。
  8. 依田智治

    依田智治君 防衛庁でつくった就職についての懇談会等でも、自衛官の場合には特殊性も踏まえ、外国等のよりよい制度の導入も含めて今後しっかり検討してくれということにもなっておりますし、当委員会でも後ほど附帯決議を、そういう面からもしっかりとした制度を確立してくれということでやる予定でございますので、そのような点も踏まえて、今後とも検討していただければありがたいと思うわけでございます。  以上で、この法案については終わります。  残りの時間で二点だけお伺いします。  防衛庁長官新聞等を読みますと、防衛庁長官空中給油機は見送ると発言しておるというようなのが新聞に出ております。私は、実は十数年前ですが防衛庁に来たときに、就任して間もなく、新田原基地で、帰ってきたF4戦闘機が雲で降りられないというので福岡へ行こうとすると燃料切れでベールアウトして飛行機が海の中に二機落ちた。当時二機でもう百億円以上です。空中給油機で給油すれば幾らでも上空で待機できる。それから情報収集等のAWACS、運用その他でも極めて必要で、これは決して攻撃のためでなく、専守防衛という面からも極めて重要なんで、前々中期防研究するということになっている、次に検討すると。そして今回の中期防は来年いよいよ最終で、これは検討し、結論を得て対処するということで、わざわざ中期防をつくってもらって、それをまた見送るというようなことだとこれは大変問題があると思うんですが、そのあたりはどんな感じになっているのか、その点を一言。
  9. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私は、空中給油機について概算要求を断念したとか見送るとかいったようなことを発言したことは一度もございません。むしろ空中給油機は非常に騒音対策にも寄与します、一々油を入れるために帰ってくる必要もないわけですから。それにエネルギーの節約にもなりますし、演習の効率化も図られるなど、CAPが伸びるということもありますけれども、そういう利点が大変ありますから、私どもとしてはぜひ空中給油機は実現しなければいけない、こういうふうに考えております。  今、委員がおっしゃったとおり、前々の中期防では研究を進めるということでありましたが、この前の中期防では検討を進めるというふうに変わりまして、今回の中期防では検討し、結論を得て対処するということになっておりますから、私どもはこの趣旨は厳密な意味で尊重していかなければいけない、こういうふうに考えております。
  10. 依田智治

    依田智治君 ぜひひとつ検討をお願いしたいと思います。  あと若干しか時間がありませんので、最後に。  私が今一番いろいろな面で心配しているのはテポドン二号です。北朝鮮がまた八月三十一日、去年のあれも踏まえて出るんじゃないかという報道がなされておる。今準備状況はどうかと聞こう思っておりましたが、外務大臣はきょうは別な方でとられておるということでございまして、アジア局長に来ていただきました。  まず、何としても撃たせないということが大変重要なんで、我が国として今どんな手を打っているのか、それからもし万が一があればこれは送金停止も含むあらゆる手段を講じなきゃいかぬという問題もあると思うんですが、残り時間あと二、三分しかありませんが、このあたりをまとめて御報告いただければありがたいと思います。
  11. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) テポドンの再発射可能性が言われているわけでございますが、今の私ども外交努力焦点はまさに再発射を阻止するということに集中をしております。  先般シンガポールで開催されましたARFの際にも我が国も強く働きかけて議長声明にこのことが盛り込まれたわけでございまして、またその際に日米韓三カ国外相協議を行って、北朝鮮の再発射朝鮮半島及び広い地域の平和と安定に悪影響を与え、北朝鮮にとり深刻な否定的結果をもたらすであろうということに意見の一致が見られまして、北朝鮮に対しては、再発射をすれば否定的な結果を北朝鮮にももたらす、他方、そういうことがなければ、日米韓との間に前向きな関係を構築することが可能なんだという二つのメッセージを発出したところでございます。  こういうことでございますが、今現在ジュネーブで米中南北の四者会合が行われておりまして、これに先立って米朝協議が行われました。ここでもアメリカはほぼ再発射阻止の一点に絞って北朝鮮と話をしております。  先生、万一再発射された場合どうするかというお尋ねでございましたが、シンガポール高村大臣が、そのような場合には物、金、人の動きにつき何らかの規制を検討することもあり得るということを述べられた経緯がございまして、現段階では具体的にどうかということを申し上げられる段階でございませんけれども、いずれにいたしましても、昨年の教訓というものをきちんと踏まえまして、政府としては再発射を阻止するという努力を今最大限やっておりますが、万一撃たれた場合には誤りなきようしっかりと対応するということを心がけております。
  12. 依田智治

    依田智治君 万が一という場合には、かくかくの措置をとるぞということも再発射させないための大変有力な手段だと思いますから、我々はけさも党の部会等でも真剣な議論をしてきたんですが、外務省等しっかりとこれについては腹を据えて対応してもらわなければいけませんし、また防衛庁情報の入手その他でよろしくお願いしたいと思っています。  以上で終わります。
  13. 齋藤勁

    齋藤勁君 おはようございます。  今回の自衛隊法等の一部を改正する法律案、我が党といたしましては賛成でございますが、賛成するに当たりまして一、二点お尋ねさせていただきたいと思います。  この法改正に至る背景といたしまして、改正説明の中でも触れられておりましたけれども、昨年の調達本部に絡みます背任事件等がベースにあるわけでありまして、これは総理並びに長官から繰り返し国民に向けましての陳謝、おわびもあったところでございます。一方、司法の段階でも個々の事件については引き続き解明をし、また調達本部あり方についても今後のあるべき姿を模索されているというふうに思います。  私は、今ここで事件を振り返るということではなくて、このことが我が国民の生命、財産を守る第一線にかかわる防衛庁職員、とりわけ自衛官、その方たち士気への影響ということについて思い返しますと、大変はかり知れない大きなことが横たわっているんではないかというふうに思います。  そこで、この事件が発足して以来今日まで、いわゆる一般自衛官の方たち第一線国土防衛に当たる人たちに対して、事件を中心にした問題についてどのような話し合いと申しましょうか、防衛庁としてどういうかかわり合いを持ってきたのか、お尋ねさせていただきたいというふうに思います。
  14. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員から御指摘ありましたとおり、先般の防衛調達に係る一連不祥事は、防衛庁自衛隊に対する国民信頼を大きく失墜させ、さらには第一線自衛官士気にも大きな影響を与えたところでありまして、極めて遺憾なことであり、改めて私から国民おわびをしたいと思っております。  これらの不祥事に対する深い反省を踏まえまして、国民信頼を一刻も早く回復したい、そして隊員が自信と誇りを持って旺盛な士気、気概を持って勤務に精励できるようにしたい、そういう環境をつくることが私ども責任であるということで、私も全国の隊員に向かって何回か直接そのことを訴えた次第でございます。  防衛庁としても、各種改革見直しに今後も精力的に取り組んでまいりたいと思いますが、調達改革基本方向に示された事項につきましては、現時点では一〇〇%これを実現し、今その履行をしているというところでございます。
  15. 齋藤勁

    齋藤勁君 自衛隊という組織上下関係で、指揮命令で動く、そういった組織でございますから、一般自衛官人たちが上官に対して何か物を申すというのは、かつての軍隊とは違うとはいえ、なかなか難しいのかなと一般的には推測されます。  ちなみに、こういった事件が起きて以来、一般自衛官の中から防衛庁指導部に対しまして、何か意見あるいは要望等、そういった指摘というのは目に見えた形であったんでしょうか。
  16. 守屋武昌

    政府委員守屋武昌君) ただいま大臣から御答弁がありましたように、昨年の防衛調達に係る一連不祥事を厳粛に受けとめまして、防衛庁では種々の改革を行うために防衛調達改革本部を昨年十月に設置しまして、調達制度改革調達機構等改革及び自衛隊員の再就職あり方見直しの三つの施策を内容とする調達改革具体的措置を取りまとめたところでございます。  まず、この改革本部をつくるに当たりまして、防衛庁長官本部長を務められましたけれども、政務次官、事務次官、統幕議長陸海空幕僚長官房長局長などが構成員となっておりまして、ここで自衛官意見を酌み取るという体制をつくったわけでございます。  それから、具体的にどんな意見が出てきたかということについて申し上げますと、検討調整過程につきましては、自衛官サイドから、調達制度改革につきましては現場で防衛力整備の面に支障を来すことのないようにという観点から関係各機関の連携を強化しまして迅速な予算執行及び円滑な調達に努めてほしい、こういう要望がなされました。  それから、自衛隊員の再就職あり方見直しというものが大きな焦点になったわけでございますが、これは先ほどから答弁いたしておりますように、自衛隊精強性を維持する観点から若年定年制任期制という他の国家公務員にはない特殊な任用制度をとっておりまして、再就職の問題は自衛官にとっては大変大きな関心事でございます。この観点から、再就職あり方を見直すに当たりましては一般隊員士気や再就職に与える影響について十分考慮してほしいという意見が上げられてまいりまして、これを踏まえて我々は作業を進めてきたところでございます。
  17. 齋藤勁

    齋藤勁君 今回の事件でそうした取り組みをしていただいたということは御説明していただいたわけですが、日ごろそういった第一線自衛官人たち意見要望を酌み取るシステムというのを、今回の事件があったからということではなくて、常設をして、いや常設をしなくてもいつも風通しのいいものになっているんだと。これはあえて言えば、シビリアンコントロールの観点だと。  そして、第一線緊張感を持って携わっている隊員人たちと、こういった事件があると非常にきしみが生じてまいりますので、日ごろのそういったある意味では風通しのいい部分というのはいつもきちんとしておくべきではないかというふうに思うんです。今回、事件があったからということではなくて、日ごろの取り組みというのが必要だと私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  18. 守屋武昌

    政府委員守屋武昌君) 先生御承知のとおり、防衛庁においては、政策的な観点からはいわゆる背広組で構成される内部部局が、それから軍事的な専門的な観点からは主として自衛官で構成される陸海空幕僚監部、それから統合幕僚会議が、それぞれの立場で長官を補佐するという役割分担をとっております。  こういう防衛庁自衛隊組織を有効に機能させるためには、ユニホームとシビリアンとの間で相互に自由な意見交換が行われまして、十分な意思疎通が図られることが極めて大事であるということは私どもよく認識しているところでございます。  かかる認識に立ちまして、防衛庁の庁内におきましては、庁議とか参事官会議などの各種の定例的な会議の場を持っているところでございます。そのほかにも、私ども内局には官房防衛人教、装備、経理と各所掌を分けた局がございまして、そのもとに各課長がおるわけでございますが、これに相応する各幕僚監部、統合幕僚会議の部長、課長の組織がございますので、その局長レベル、課長レベルの担当が、対応する各幕の担当レベルの部長、課長クラスと週単位、月単位でより細部の問題について緊密な意見交換を行っているということでございます。  それから、防衛庁長官あるいは防衛政務次官におかれましては、部隊の実情を把握するために、国会の合間を縫って精力的に部隊視察に出かけておられまして、現場の隊員意見聴取に努めているところでございます。  先般も、日曜日でございましたけれども大臣は江田島まで行かれまして、将来の海上自衛隊の幹部職員がどのようにして錬成されるかというところを視察に行ってまいってきたところでございます。
  19. 齋藤勁

    齋藤勁君 このことに関連いたしましての質問はひとまず終えますが、いずれにしましても、今回の背任事件等防衛庁に対する国民信頼を著しく失ったというふうに私は言わざるを得ません。そしてまた、こうやって法改正に至るということは、一般自衛官の再就職あり方、再任用あり方等を含めて、ある意味では防衛庁全体のこれからの方向を見直すという、そういったスタートになった原因であろうと思います。ぜひこれからも真剣な取り組みをお願い申し上げたいと思います。  第二点目でございますけれども、いわゆるガイドライン法案が成立をされ、五月二十八日に公布をされています。まず第一点目に、施行日は三月以内と、こううたわれたわけでございますが、三月といいますと八月になるんですけれども、施行日についてはいつを考えられておりますか。
  20. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) この周辺事態法の政令の施行日でございますが、法律は平成十一年五月二十八日に公布されました。法律の附則第一項において、今、委員からお話がありましたように、「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」こととされております。このため、同法に定める期限であります八月二十七日までの間に施行しなければいけません。現在、施行に必要な事務を考えながら、施行期日及びそのための政令の閣議決定の期日を検討しているところでありますが、二十七日の少し前に施行する方針で今進めております。
  21. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、施行に向けて、この間全国の都道府県を対象にいろいろ説明会をされているというふうに思います。  また、米軍基地を抱えます都道府県で構成しますいわゆる渉外関係知事会、この会議も先月の二十九日に定期総会を都内で開いて、この新ガイドラインに基づきます自治体協力ということについて検討し、さまざまな点で政府に対しても質問をし、政府が答えられているというふうに聞いております。  さらに、この二十九日の総会後、この渉外知事会等が国へ七十七項目にわたる質問を出されたと、わずかな内容でございますが、新聞でも報道されているわけでございます。この渉外知事会の質問書、どのような質問の内容であったのか、それについてお尋ねさせていただきます。
  22. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 去る七月六日でございますが、周辺事態安全確保法の第九条に関しまして解説というものを(案)という形でございますが、全国の各地方公共団体にお配りしたところでございます。  その七月六日以降、それぞれ各地方公共団体の、いろいろな団体がございます、例えば市町村レベルでございますと基地協議会ですとか、また今御指摘の渉外知事会あるいは全国知事会の国際化問題委員会というような席がございました。そういったところでお時間をいただきまして私出かけてまいりまして、解説書の中身等を御説明してまいっているところでございますし、そのほか事務レベルでもいろいろとそういう場を設けていただいているところでございます。引き続き今後とも各市町村なりあるいは県なりから御要望があれば、そういう場を設けていきたいというふうに思っている次第でございます。  そこで、二十九日には渉外知事会で御説明したわけでございますが、このときは既に七月六日からかなり時間がたっておったということもございまして、主としてこの解説案についての内容の確認というようなことが多かったというふうに私は承知しております。  この席では、私から御説明するというよりは、あらかじめその御用意されていた質問について私の方でお答えするというような形をとらせていただきました。その上で、今御指摘の七十七項目という非常に数の多いものでございますが、質問書と申しますか、こういったことについて御説明いただきたいという文書はいただいたところでございます。  ただ、その中身でございますが、これは相手方のあることでございますので、個々に御説明するのは控えさせていただきますが、主として私どもが解説の中で書いたことの確認と申しますか、そういった中身になっております。中にはかなり細かい手続等に関することもございますので、今後政府部内、関係各省ともよく相談した上で回答をいたしたいというふうに思っている次第でございます。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 先ほど施行日の話を伺いましたけれども、それまでに回答すると、こういうような準備をされているんでしょうか。
  24. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) ただいま申し上げましたように、大変多岐にわたっておること、それから各省庁にわたるもの等ございますので、若干今まだ具体的にどの時点というところまでの整理はできておらないところでございますが、一つの目標として施行日というのがあることは確かだと思います。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 質問項目が七十七項目というのは、今時間の関係もあり、そしてまた渉外知事会の意向もあって、内容については触れないということですが、この間、この七十七項目の質問書を明らかにしてほしいということを政府あるいは渉外知事会へ私は要請をいたしました。  しかるに、政府の方は渉外知事会の事務局の同意を得てというようなことで、何か煮え切らないままに、この質問書の内容が私どもに提示をされないということで至っています。  質問書を公開しないということの結論が必ずしも出ているわけではございませんから、今の段階でこれ以上のクレームをつけるつもりはございませんが、少なくとも行政に、各都道府県にあっても、私は県民の立場に立ったあり方ということで、このことを政府に対して申し入れをしたわけでありますし、政府の方も国民の生命や財産を守ろうということで新ガイドライン法、自治体との協力ということですから、こういった内容については、積極的に質問書の内容そして検討状況について情報公開をしていくという姿勢がなければ問題ではないかということについて一点申し上げさせていただきたいというふうに思います。  次に、衆議院の安保委員会でしょうか、大変にぎやかに尖閣諸島に行こうか行くまいかということでいろいろ議論をされているようでございます。私は、本委員会で、委員長、尖閣諸島へ行きましょうということを言うわけではございませんが、尖閣諸島の問題につきまして、我が国の固有の領土であるということを私自身も認識をしていますし、政府もそうだというふうに思います。  そこで、この尖閣諸島でございますが、改めて我が国の領土であるという根拠、長文であれば、はしょっていただくというのは大変失礼な言い方でありますが、我が国の領土であるという根拠は、こういう根拠で尖閣諸島は我が国の領土なんだということの説明、そして中華人民共和国、いわゆる中国がこれは中国の領土なんだということをどういうことで主張しているのか、このことについてお尋ねさせていただきます。
  26. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 事実関係についてかいつまんで申し上げます。  我が国は、国際法上、先占と呼ばれる行為によって尖閣諸島の領有権を取得いたしました。国際法上、先占による領土の取得のためには一般的には三つ要件がございまして、第一に取得せんとする土地が無主の土地であること、第二に国家が領有意思を持ってこれを行うこと、さらに第三、実効的な占有が行われること、この三つの要件が満たされなければならないとされておりますが、尖閣諸島の場合につきましては、まず第一に、尖閣諸島が無人島であり、かついかなる国の支配下にもなかったことが、明治十八年以降再三にわたる当時の調査により明らかにされているところでございます。  また、第二の要件につきましては、明治二十八年一月十四日の閣議において尖閣諸島を我が国の領土として沖縄県に編入することが決定されております。すなわち、国家が領有意思を持って行ったということでございます。  第三の要件につきましては、明治二十八年の閣議決定後、政府より土地の借用許可を受けた民間人がこの許可に基づいて現地で事業を営んできた事実があるほか、国ないし沖縄県の係官もしばしば実地調査等のため現地に赴く等しておりまして、自来、尖閣諸島につき実効的な占有が行われてきたことは明らかでございます。  以上、先占によって領有権を取得した、その先占に必要な三つの要件、これは今申し上げたような形で十分に満たされているということ、これが根拠でございます。
  27. 齋藤勁

    齋藤勁君 もう一つ我が国と中国。
  28. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 中国の主張は、私どもこれは根拠がないと言っておりますので、別にしっかりした説明を私から申し上げる立場にございませんが、歴史的にうちのものだったと言われますと、向こうの方が歴史が古い国というようなことがございますのと、一つのポイントは、向こうはこれは日清戦争の後の馬関条約で割譲された台湾及び澎湖諸島の一部だという、したがって向こうの主張では台湾が中国のものになっているわけで、その観点からは、明らかに中国に属するものである。  他方、我が方は、この尖閣諸島というものは南西諸島の一部であるという主張を一貫してしておりますので、これはサンフランシスコ条約の経緯それからアメリカとの関係の経緯からいっても事実として明らかなことでございます。  そういうことで、中国には中国の、いろいろ歴史の資料等を持ち出して中国が先に占有していたんだというような主張をしていることは私ども承知しております。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 私、中国側の主張というのをそれなりに調べさせていただいた範囲で言いますと、中国外交部は一九七〇年十二月の人民日報で、中国の不可分の一部であるということの声明を出しています。七八年に訪日したトウ小平、当時の副総理が、この問題は棚上げしても構わないということで、次の世代、我々はもっと知恵があろうということで、中国側は、自分たちの領土であるけれども、そういう意味では棚上げしてもいいということを言い、そして九二年には中国領であると明記した領海接続水域法を制定している。  九二年に、中国領であると明記した領海接続水域法を制定しているというのは御承知ですね。
  30. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 存じております。
  31. 齋藤勁

    齋藤勁君 我が国と中国の間には領土問題についていわゆる課題があるということは我が国としては認識をしない、あるいは中国側も、日本と領土問題があるというのは認識をしない、双方とも領土問題で課題があるという認識をしない、すれ違いのままという、そういう状況なんでしょうか、この尖閣諸島の問題というのは。
  32. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 両方ですれ違いという先生の御指摘は、第三者の目から見るとそういう状況かもしれませんが、まさに我が国の立場からすれば、先ほど申し上げましたような明確な根拠を持って尖閣の領有権を主張しているわけでございますので、中国との間に領有権をめぐる問題はないというのがはっきりした立場でございます。  また、先生が言及されましたトウ小平さんの、これをどう処理するかということについての政治的な判断ということだと思いますが、これについて中国はこの問題で日中が争うのは好ましくないという判断を述べられたと思いますが、その点は私どもも結構なことだと思っております。  ただ、これをもって日本が尖閣の領有権問題を棚上げしたということではございません。これははっきりしております。
  33. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、ここ最近と申しましょうか近年という言い方でしょうか、中国の海洋調査船の往来が激しいということで、これは報道等、あるいは当然我が国の警戒監視のそういった中で把握をされ、また防衛庁のみならず海上保安庁も巡視船でこれらの航行について把握されているというふうに思います。  この海洋調査船ですけれども、既に資料で何月何日どういう船がということについては承知をしておりますので、では海洋調査船は何を調査していたのか、これはどういうふうに把握されておりますか。
  34. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) この海洋調査船が我が国の排他的経済水域に入って調査活動を行っている、そういう場合には海上保安庁の方で何をやっているのかということを聞くわけでございますが、すべての船が同じような回答をしたかどうかは存じませんけれども、まさに海洋の調査をしているとか資源の調査をしているというような回答を得ているケースがございます。
  35. 齋藤勁

    齋藤勁君 実際、そこで何をしてきたかということについてなかなか回答がないと。そうしたら、この船そのものはどういう海洋調査をする能力を持っている船であるか、装備、設備をしている船であるかということについては、当然我が国として把握されているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  36. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 海洋調査船も奮闘四号とかいろいろなタイプがございますので、私ども逐一、外務省としてどの船がどういう機能を持っているかということは存じませんが、大体において船の大きさと大体どういう性格のものかということは存じております。一つ一つの船について詳細は、今現在私は正確な情報を持ち合わせておりません。
  37. 齋藤勁

    齋藤勁君 それは外務省ではなくて、他の省庁でも同じですか。海洋調査船の排水量が何トンであるとか、船の規格と申しますか、どういう能力を持った海洋調査船かどうかというのはどこのポジションでもわからないんですか。
  38. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 海洋調査船の実態につきまして私どもも関心を持ち、私どもの例えばP3C等で警戒監視をするとか、そういうことで状況を把握しております。  そういうものに基づきまして、この海洋調査船の内容あるいは船としてのタイプ、そういったものも確認をしているわけでございますが、今、先生おっしゃいましたように、どうしても概括的なものはいろいろな資料から把握しているわけでございますけれども、それのさらに細かい内容につきましてはなかなか限度があるということでございます。
  39. 齋藤勁

    齋藤勁君 つい先日、総理そして外務大臣も中国へ行かれたときに、この海洋調査船の排他的経済水域内への航行問題で抗議をしていますね。抗議を、話をしているわけですから、例えば海洋調査船について双方の外務大臣が、あなたの海洋調査船は何をしていたんだ、どういう設備をしているんですかというところまでのやりとりは、外務大臣同士じゃないかもわからないですけれども、たくさんの話を双方は言っているんだから。この海洋調査船というのは、どういうことをやっていたのかということは日中関係であったら普通に話をしても別に不自然ではないと思うんですけれども、抗議をしたから聞けないのか、そういうような関係は全くないのか、何か不自然なような気がするんですが、いかがでしょうか。
  40. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 小渕総理が訪中された際には、今、先生おっしゃいましたような首脳レベルでもまた外相レベルでもこの問題を取り上げて、日中間の海を対立の場としちゃいけないということを総理外務大臣も言われました。  そして、調査船の問題等々について問題を提起されたわけでございますが、このレベルで逐一海洋調査船の実態を聞かれることはいたしませんでしたけれども、私どものレベルで、先ほど申し上げましたように、どういう調査をやっているんだというようなことはやっているわけでございますが、基本的にこれは、申し上げるまでもなく、中国は排他的経済水域の境界線が引かれていない現状では何も自分たちはおかしなことをしていないというのが基本的な立場でございます。  さはさりながら、最近、私ども注目して見ておりますが、海洋調査船の活動は暫時とまっている、すなわち我が方の経済水域の中に入ってきていないというふうに承知しております。
  41. 齋藤勁

    齋藤勁君 今答弁されたようなことを中国の唐外相が、中国側としてはEEZ領海の線ははっきりしているんだということで言う必要はないという言い分でしょうけれども、一方で日中協議に関しては必要な協議を行うということは大切だと、そういったことになっていますね、両国間で。  お互い、入ったか入らないかということはこっちに置いておいても、ある意味ではそうすると中国が科学的な調査をしているということで、そういったレベルでの話というのは日中協議の俎上にのらないんですか。科学的な部分でこういう海洋調査をしていますと、そういったような話はないんですか。
  42. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 中国側から見て境界は決まっているのであろうという御発言でございましたが、日中間では境界が画定していないということは双方の認識でございまして、海洋法協議をやるというのは、早くこの境界線の画定をやろうと。これは漁業協定の問題等々、いろいろな問題にかかわる根幹の問題でございますので、境界線を早く引き、日中の排他的経済水域の範囲をきちんと決めよう、そういう協議を行うわけでございます。  ただ、それはそういう場で、今、先生おっしゃったような問題を取り上げて、どういう調査をやっているんだということを聞くことは、そういう可能性が排除されているわけではもちろんございません。
  43. 齋藤勁

    齋藤勁君 いずれにしましても、日本側でいいますと、日本の同意を得ていないということで両国首脳並びに外務省の審議官も中国外務省に抗議をしているわけです。  そこで私の手元にございますが、六月二十日付の朝日新聞で、「中国調査船対策を検討」ということで、「尖閣諸島付近水域 主張定着を政府懸念」、中国側の主張定着を政府懸念ということで、それぞれの抗議をずっと続けているけれども、抗議した後も中国船の調査活動は続いている。日本政府は、これ以上見過ごすと中国の主張を認めることとなると判断、内閣外政審議室が中心となって外務省、海上保安庁、防衛庁、資源エネルギー庁などと対応策の協議に入ったということが報じられています。  そして、これは先月ですけれども、小渕首相の訪中の際に遺憾の意を江沢民国家主席に伝えた、これは遺憾の意を伝えたということは伺っております。引き続き排他的経済水域内で科学的海洋調査を規制する法律の整備というのが一つ。それから、海域での海上自衛隊の哨戒機によるパトロールの強化というのが二つ目、というのが浮かんでいるというのが報じられております。  質問させていただきますけれども、この抗議後も続いているということで、中国の主張を認めることになると判断して内閣外政審議室が中心となって関係省庁と対応策の協議に入ったということは事実なのかどうか。そして、排他的経済水域内で科学的海洋調査を規制する法律の整備を行うということについて検討に入ったのか、検討を考えているのか、お尋ねさせていただきます。
  44. 登誠一郎

    政府委員(登誠一郎君) 我が国の排他的経済水域における外国船の海洋調査活動でございますけれども、外政審議室におきましては、我が国の現行の国内法、例えば鉱物資源については鉱業法がございます。さらには、水産動植物については漁業主権法という法律がございますけれども、こういう法律が適用できるのかどうかというような点を中心に整理、検討を行っているというところでございまして、先生の方で御指摘になりました、報道にあるような調査を規制する新たな法律の制定を検討しているというような事実はございません。  二番目の質問で、もししていないんだったらどうしてしていないのかということでございますけれども我が国は、海洋の科学的調査につきましては、これは人類全体の利益に寄与するものであるということから、できる限り自由なものとするということが望ましいという観点をとっておりまして、これは多くの先進国が同様の立場でございます。したがいまして、国連海洋法条約締結のときにも、海洋の科学的調査を包括的に規制するための特段の法令というものは設けなかったというのが事実でございます。そして、現時点におきましても海洋の科学的調査を規制する法律ということは、したがって検討は行っておりません。  ただし、何もないということではございませんで、今回のように外国の船舶が我が国の排他的経済水域の中において海洋の科学的調査を行わんとしているときには、我が国の事前の同意を得ねばならないというような国内的な手続、いわゆるガイドラインというのを関係省庁で相談して設けておりまして、これは各国とも基本的には承知しているというふうに我々は理解しております。  したがって、そういうような事前の要請を得た上で、しかるべく審査をした上で適当と認めた場合にはそれに同意を与えるというのが現在の我が国の立場でございます。
  45. 齋藤勁

    齋藤勁君 今回の調査、検討に排他的経済水域内での科学的海洋調査を行うことについて、あるいは中国側に対してどう対応するかということで関係省庁の協議。もう一つ柱として、尖閣諸島の領有権問題というのが出てきたのが一九六八年のECAFE、国連アジア極東経済委員会の沿岸鉱物資源共同調査団がこの周辺の大陸棚に豊富な天然ガスや石油埋蔵の可能性が大きいという報告があり、我が国も、総理府が六九年と七四年の二回調査を行ったところ可能性が有力視されるということで、にわかに尖閣諸島の存在がクローズアップされて、台湾あるいは中国が海底資源の開発とも絡んでいろいろ領有権を主張してきたというのが経過ではないかというふうに思います。  そうすると、我が国として、尖閣諸島が固有の領土である、それならば天然ガスや石油埋蔵の可能性が大きいということで、ECAFEあるいは我が国自身も可能性が大きいという調査をしているならば、少なくとも二十年、三十年継続した我が国取り組みがあれば違った展開になってきたのではないかというふうに思いますが、この間、いろいろ調べさせていただきますと、通産省、資源エネルギー庁は、六九年、七四年の総理府調査あるいは国連の方の調査を含めて、どうも継続した取り組みをしていないというふうに見受けられるんですが、それらについてはいかがでしょうか。
  46. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 先生おっしゃいましたように、中国がこの領有権を表立って主張し始めたのは一九七〇年、先ほどおっしゃいました、まさにECAFEの調査の後なんでございます。それ以降はいろいろ古い資料等が出てまいりましたが、我々はそういう動機であるということを考えております。  他方、私も、なぜその後ずっと継続していなかったかということについては必ずしもつまびらかにしておりませんが、先生御案内のように、あの後、日韓大陸棚開発ということがずっとございました。結果は出なかったわけでございます。  そういうようないろんな実際上の理由、そしてそこから東シナ海は続いておりますので、その辺は技術的な判断もあったかと思いますが、おっしゃるように、調査とかそういうものが継続されていないということは事実でございます。
  47. 齋藤勁

    齋藤勁君 今回の領有権問題にそういった伏線があるとしたら、これは我が国自身がむしろ主体的に継続して取り組んでこなかった点、もう一つ我が国側の取り組みとして反省する点があるのではないかということで、内閣外政審議室が中心となるかどうかはお任せしなければなりませんが、政府として関係省庁、とりわけ資源の観点から、これまでの経過そして現状、今後の方向ということでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  再度そのことについてお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
  48. 登誠一郎

    政府委員(登誠一郎君) この海洋調査の問題は、日本自身としても大変関心のある問題でございますし、特に日本の排他的経済水域内で行われるということについては、これは適切な対処をしていくということが当然でございますので、先ほど御説明申し上げましたように、ガイドラインというものがございますので、それを各国にも遵守していただくということを徹底したいと思いますと同時に、必要に応じて関係省庁の間で検討を続けていきたいというふうに思っております。
  49. 齋藤勁

    齋藤勁君 ありがとうございました。
  50. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最初に、自衛隊法等の一部を改正する法律案について二、三お伺いいたします。  調達実施本部の背任事件とか、あるいは元防衛政務次官の贈収賄事件、その他さまざまな不祥事件が相次いで起こったんですが、防衛庁あるいは自衛隊員に対する国民信頼が失われたわけですが、この改正によってその信頼は回復できるとお思いでしょうか。
  51. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 国家公務員の再就職に関しましては、一般職国家公務員についての規制が各方面でいろいろな議論がなされました。そのことを踏まえるとともに、我が方でも、防衛調達に関する不祥事を契機に、自衛隊員の再就職についてもいろいろな問題が提起されたわけでございますが、こういう動きを受けまして、さらに国会での御議論や部外有識者から成る自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会の提言も踏まえまして、我々はこれまで一般職国家公務員に比べて厳格さを欠くのではないか等の御指摘もあった自衛隊員の再就職手続について見直すことにして、この改正案を国会に提出させていただいたところであります。  今後、具体的な承認基準の作成を含めてできるだけ速やかに対応するとともに、調達機構の改革調達制度改革に取り組んでまいり、国民各位の信頼を早急に回復したいと考えております。私どもは、今度の一連改革によってかなり国民信頼回復につながる措置ができるものと考えておるところであります。
  52. 高野博師

    ○高野博師君 私は何回も指摘をしているんですが、調達本部不祥事自衛隊員の再就職とは関係ない、次元の違う話だと言ってきたんですが、どうもそこのところがクリアになっていないと思うんです。  そこで一つお伺いしますが、再就職に当たって、再就職承認についての具体的基準ですが、これは、承認の判断基準総理府令で決めることになるということですが、具体的に基準についての考え方をお持ちなんでしょうか。
  53. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 基準の問題でございますけれども、基本的な考え方としましては、一般職の例を参考にいたしまして、本人が所属している機関と企業との間の年間契約総額が当該企業の年間総売上額に占める割合、いわゆる企業防衛庁への依存度でございますが、これが一定の水準以下であること、本人がかかわった契約額が企業の年間総売上額に占める割合または契約額そのものが一定の水準以下であること、再就職先での地位防衛庁との契約の折衝等を行う地位でないことといったような基準を満たしまして、かつ公務の公正性の確保に支障が生じない場合において再就職承認することが適当というふうにされているところでございます。  したがいまして、こういった基本的考え方を踏まえつつ、自衛官任用制度等の特殊性に配慮しながら、具体的な基準につきましては今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  54. 高野博師

    ○高野博師君 その一定水準という考え方は、だれがどうやって決めるんでしょうか。というのは、企業の規模によっては水準は変わる可能性があるわけで、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  55. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 具体的なこういった承認基準でございますけれども、先ほど申し上げましたように、「自衛隊員の再就職の在り方に関する報告」を我々は受けましたけれども、その提言を踏まえて、一般職国家公務員の例を参考にして行うというふうに考えております。  一般職国家公務員では、人事院の方からある程度の基準等が示されておりますので、それを参考にしつつ、今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  56. 高野博師

    ○高野博師君 それでは長官にお伺いします。  情報収集衛星の国産化、あるいはTMDの共同研究、こういうプロジェクトについては膨大な予算を伴うわけですが、これらにかかわる民間企業に対して天下りする数が相当ふえるんではないかと思うんですが、この点についてはどういう認識をされていますか。
  57. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員から御指摘があったように、TMDの日米共同研究情報収集衛星に関連する企業に天下りがふえるんじゃないかという御指摘でございますが、これらの事業についてはまだ担当企業が決まっているわけではございません。したがって、特定の企業というのはだれかということが全くわからないわけですから、自衛隊員の再就職が増加しているという事実は今は全くないと思います。  私どもは、装備品の調達等のための契約企業の選定に当たっては、去る四月に取りまとめました「調達改革具体的措置」に従いまして、適正な競争性を確保しながら透明性、公平性を確保していこう、こういうことで企業との癒着の批判を招かぬように今真摯な対応をしてまいる覚悟であります。  そういうことで、今回の多くの隊員の再就職に対する批判を払拭することが今度の改正法の基本的な考え方でありまして、ぜひこれを成立させていただいて、隊員の再就職について今後適切に対応してまいりたい、こう考えているところであります。
  58. 高野博師

    ○高野博師君 企業によってはもう既に活発な動きをしているという情報もありますし、ぜひその透明性あるいは公正性というのを守っていただきたいと思っております。  それでは、北朝鮮の問題についてお伺いいたします。  先ほど局長からもお話があったように、ミサイルの再発射阻止に全力で外交努力をしているということで、二つのメッセージを北朝鮮に送っていると。一つは否定的なメッセージ。これはASEANの議長声明で、北朝鮮のミサイル問題は地域の安定にとって深刻な結果をもたらし得るものだというようなことで、これはインドあるいはEU、中国、ロシアも加わった形で声明を出したわけですが、これも抑止の効果はある程度期待できるのではないか。  もう一つは、日米韓の外相が共同声明の中で、先ほど言われたような否定的な影響をもたらすだろうと、こういうメッセージも送っている。それから、コーエン国防長官の来日の際にも、日米韓の連携を確認していると。そしてまた、日韓両国で捜索救難の共同訓練も初めて行われたと。これも北朝鮮に対する牽制になっているのではないか。  しかし、こういうメッセージが果たして伝わっているのかどうか。どういうふうに受けとめられているのか。北朝鮮側の前向きな、あるいは建設的な対応というのは一向に見られないわけで、ミサイルの実験は国家の自主権に属するという主張を繰り返しているのみでありますが、この点について、この抑止の効果はどういうふうに上がっていると見ているのか。それとも、逆にむしろ北朝鮮を追い詰めているのではないか、あるいは挑発とか脅威と受けとめられてはいないか。むしろ、再発射の方向に向かわせているのではないか、そういう感じもするんですが、その辺の認識はどうでしょうか。
  59. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 確かに先生指摘のように両面あるわけでございますが、北朝鮮側のいろいろな報道等では反発している様子が顕著に出ているわけでございます。  ただ、今回、シンガポールでARFとか日米韓外相等からメッセージを出した、この我が方の働きかけに対する北朝鮮の反応というのは、まさに現在ジュネーブでやっております、四カ国会合の枠外でやっている米朝協議、ここで北朝鮮が内々の会談においてどういう対応を示すかという、これは非常にクルーシャルな問題だということで注目しております。  先ほども若干述べさせていただきましたように、アメリカ側はともかくこのメッセージをかんで含めるように、撃った場合の拒否的な、否定的な効果、またこれを抑制すればどういう利益が得られるかということを詳細に説明し、北朝鮮側は、我々の仄聞しているところではそれに直ちに反発しているということではないようでございますが、必ずしも明確な反応が出ているとはまだ聞いておりません。  米朝協議は一応四者会合の前段ということで行われましたが、また会うかもしれないというように聞いております、ジュネーブで。したがって、引き続き注目しているところでございます。
  60. 高野博師

    ○高野博師君 この北朝鮮のミサイル問題というのは我が国危機管能力が問われているのではないか。したがって、現実的な対応、準備は進めておく必要があると思いますが、冷静な対応も求められているのではないかと思うのです。  そこで、万一北朝鮮がミサイルを再発射した場合にどういう措置をとるのか。KEDOの支援の再凍結とか、あるいは国際法上のいろんな根拠をもとに議論されていますが、政府の考え方を確認しておきたいと思うんですが、送金停止とかあるいは貿易規制などの経済制裁について、日本単独でも経済制裁を発動することはあり得るんでしょうか。
  61. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) ミサイルが発射された場合、日本がどう対応するかということについては、シンガポール高村大臣が物、金、人の動きにつき何らかの規制を検討することもあり得るということを申されたわけでございますが、現時点で具体的なただいまお尋ねのような経済制裁措置というようなことを申し上げられる段階ではないというふうに考えております。  ただ、再発射が本当に具体的になってきた場合には、相当具体性を持った警告を発する必要があるということは同時に考えております。
  62. 高野博師

    ○高野博師君 単独で経済制裁を発動すべきだという議論もあるという情報がありますが、経済制裁の場合には制裁をして効果がなければ意味がないので、これを単独でやった場合に、例えば送金停止ということについて実効性に問題があるのではないか。あるいは国連決議あるいは主要国の協調行動、これが前提になるのではないか。我が国国家意思を示すことが重要だというような議論があるとは聞いていますが、これは感情的にすぎないのではないかなという感じもいたします。  そこでもう一つ、ミサイルが万一日本の領土、領海に着弾した、あるいは領空を侵犯した場合に、何らかの報復措置をとるようなことも検討しているのかどうか。日米安保体制の枠の中で具体的な軍事的行動をとるようなこと、これも日米間である程度話をしているんだろうと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  63. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 現在、今外務省からお話ございましたように、私どもとしてはミサイルの発射を抑止するために最大限の努力をしているという状況でございます。  もちろん、そういう中でいろいろな事態にどう対応したらいいのかということにつきましては、例えば防衛庁長官のもとの重要事態対応会議等におきましていろいろなケースについて検討をしているわけでございますけれども、今その内容につきまして具体的にこの場合はこうだとかというのは、こういう状況でもございますので差し控えさせていただきたい、こう思います。
  64. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、中国問題について伺います。  去る二日に中国がICBMの東風31号、これの発射実験を行ったと。その目的あるいは影響等について長官はどのように認識されているでしょうか。
  65. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、先生お話ございましたように、中国が新型の長距離地対地ミサイルの発射実験を行ったということでございます。  これにつきまして、現段階で細かい内容について申し上げるのはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、現在、中国は軍事力の量から質への転換を図って軍事力の近代化を進めている状況にあると私どもは認識しておりまして、このミサイルの開発を含めまして引き続きその動向に注目をしていく必要があるだろう、こういうふうに考えている次第でございます。  今回のミサイルの発射実験につきましても、そういった流れの中での行為であろう、こういうふうに思っております。
  66. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカは新たな脅威とは見ないという冷静な対応をしているということですが、しかし本音は穏やかではないと思います。今回のミサイルが固体燃料を使っているとか移動性が高いとか、あるいは射程距離が八千キロということであると、アメリカにとっても相当の脅威になることは間違いないと思います。  そこで、その目的は何だったのかということについて、対外的に見ればこれは台湾に対する威嚇あるいは米国に対する牽制というところにあるんではないか。国内的には、コソボ紛争での中国大使館の誤爆事件あるいは中台問題等での国内的な不満、これを和らげる、あるいは国威発揚をねらうというような意図があったんではないかと思うんですが、この中国のミサイル発射について、これを北朝鮮との関係で言うとどういう影響があると見ているんでしょうか。
  67. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 中国の今般のミサイル実験、これは先生今列挙されましたようないろんな動機があるかと思いますが、北朝鮮の今私どもが直面しているテポドンの再発射ということとは大分次元の違う問題だと思っております。  北朝鮮テポドン発射を何とか阻止しようと外交努力日米韓協調して行っている、またARFでもそれに対する強い懸念が出されているというような状況で、中国にも北朝鮮に再発射をしないように働きかけてほしいということを私どもも申し入れ、中国もそういうことをやってみましょうということを言っているわけでございますが、そういう中で中国自身がミサイルの発射実験を行ったということはいかにもぐあいの悪いことでございますので、北朝鮮にどういう影響を与えるか、中国が撃ったからうちもやっていいんだというふうにすぐ思うかどうか、その辺は私ども明確にはわかりませんけれども、いずれにしてもいい影響がないことは間違いないと思っております。
  68. 高野博師

    ○高野博師君 北朝鮮と中国では次元が違う。しかし、言っている主張、論理は同じでありまして、領土保全あるいは国家主権に属する問題だということで、これは北朝鮮にむしろ力を与えるんではないかなと。北朝鮮が再発射をしないように小渕総理からも中国に要請をしているわけですが、その論拠を失っているんだ、そういう意味では非常に重大な影響を与えるのではないかと私は思います。  日本政府も、中国は中国国内で実験を行ったから国際法上違反ではないということを言っていますけれども、ODA大綱の原則等を踏まえてもっと強く中国に対して懸念を表明してもいいんではないかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  69. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 中国国内でミサイルの実験をやったという法的側面はございますが、この持つ意味という点で日本政府が懸念しているということは、私どもから中国側に間違いなく伝えております。
  70. 高野博師

    ○高野博師君 先ほど防衛庁の方から、中国が量から質への転換を図っているのではないかという指摘なんですが、そこで、中国は先般も中性子爆弾の開発も行っているというようなこと、あるいは小型戦術核兵器、これを独自に開発しているというようなことも言っている。中国の核戦略が変更したのではないか。特に中国は一貫して核の先制不使用ということを原則に挙げてきたのですが、これを変更したのではないか、あるいはしつつあるのではないか、そういうことも言われていますが、この点はどう見ていますか。
  71. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 中国の核保有の目的につきましては、これまでいろいろな説明がなされているわけでございますけれども、私どもが見ているところでは、中国は、先ほど申し上げました近代化というような観点からこういう面も含めてその努力を傾注している、こういうふうに考えているところでございます。その基本的な考え方について何か変換があったというよりもむしろその近代化を進めている、そういうふうに私どもは見ているところでございます。
  72. 高野博師

    ○高野博師君 ところで、韓国が現在保有しているミサイルというのはアメリカ製で射程距離百八十キロでピョンヤンまで届かない。これはいざというときはアメリカが防衛してくれるということになっている。  しかし、最近韓国が射程五百キロのミサイルを独自に開発することを決めた、これに対してアメリカはこれを認めた、こういうことが言われています。これは、ある意味で韓国の米国離れ、あるいは自主防衛路線に傾きつつあることを意味しているのではないかと思われます。  そこで、中国、北朝鮮のミサイル開発に加えて、韓国も独自にミサイル開発をするということになると、東アジアというのはいわゆる軍拡競争に入るのではないか、軍事バランスが崩れるのではないか、そういうことが懸念されるわけです。特に、朝鮮半島あるいは台湾海峡、こういう問題を中心に緊張が高まっていくおそれが十分あるのではないか。我が国は、TMDの共同開発、あるいは有事法制の整備急務とか、情報収集衛星の保有とか、こういうことに対して説得力が出てくる一面もあるわけですが、しかし全体的に見ると、東アジアは非常にこれから懸念される軍事状況になるのではないかと私は思うんですが、長官はどう認識されていますか。
  73. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 韓国は、今、委員指摘されたような希望を表明したということは私どもも報道等で承知しておりますが、このアジア地域でこういうふうにミサイルがだんだん拡散していくということは、私どもとしてはこの地域の平和と安全を守るために大変な一つの懸念材料である、こういうふうに思っておる次第でございます。この点につきましては、北朝鮮に対応するためにも、また韓国に対するためにも、日米間で緊密に話し合いをしながらこれに対処していくことが何より大事だと。こういう点については、ついせんだって来日されたコーエン・アメリカ国防長官ともそのことを再確認した次第でございます。  私どもとしては、いろんな外交努力あるいは安全保障防衛交流対話の中で、こういうミサイル問題がだんだんと拡散していくようなことについて極力それを抑制するような努力をさらに続けなければいけない、こういうふうに認識しております。
  74. 高野博師

    ○高野博師君 東アジアが不安定化していくというような状況の中で、我が国の平和戦略というのが一向に見えない。こういうときにこそ、予防外交なり信頼醸成措置というか、そういうことに努力すべきではないかと思うんですが、その点は外務省はいかがでしょうか。
  75. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) こういういろいろな各国の動きの中で、我が国の平和努力というものが目に見える形で成果を上げているかどうかは別といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、ARF等の場でアジアの安全保障、ちなみにこのARFでも予防外交ということを、今後その概念をきちっと定義づけようというところから始まって、日本もシンガポールとともに共同議長国になってこの問題をやろうということをやっておりますし、信頼醸成措置についても議論をしております。日本政府として、そういう外交努力を行っているところでございます。
  76. 高野博師

    ○高野博師君 最後に、普天間飛行場の返還問題について。政府は年内決着という動きをしているという情報もありますが、これはなぜ年内なのか。これはクリントン大統領が任期にあるうちにと。来年は予備選挙も始まる。あるいは沖縄県議選が来年になるとある、那覇の市長選挙もある、あるいは衆議院選挙もあると。そういう中でどういう見通しを持っておられるのか。  沖縄の市民団体の中には、サミットを圧力にした基地建設は許さないというような意見も、動きもあると聞いておりますが、その点について長官の認識を聞いて終わります。
  77. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 私どもは、この普天間問題につきましては、そこに住んでおられる方々が一日も早く、その他いろんな事故も発生しますから普天間飛行場を移転してくれというその切なる御要請にこたえてこれを進めているわけですから、一日も早くこれを実現することが住民に対する最大の私どもの責務であるというふうに考えているわけです。  先般、コーエン国防長官が来られて、サミットまでにはこれを解決したいというアメリカの希望を述べられましたが、私は普天間基地の移転とサミットは何ら関係もない、そういうことを言われては困るということを申し上げたわけでございます。  年内移転というようなことを、決着するというようなことを決めたという事実は全くございません。そういう報道は私どもとしては関知しないところでございますけれども、ただ、趣旨からいいまして、早く移転してくださいという住民の声にこたえることが私どもの任務である以上、できればひとつ一日も早く決着したい。  今、稲嶺知事が一生懸命プロジェクトチームをつくって真摯な検討をしていただいておりますから、できるだけその検討が早く出て、私どももそれが納得できればぜひ一緒にこの問題を促進したい、こう考えておる次第でございます。
  78. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  79. 小泉親司

    ○小泉親司君 今回の自衛隊法等改正案は、昨年八月の防衛庁背任事件を発端にしたものであります。私は、その点でまず初めに、防衛庁背任事件にかかわる諸問題について質問をさせていただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、この事件は昨年八月に発覚してからもう既に一年が経過している。問題は、この事件は日本電気、いわゆるNECグループが組織的に防衛調達に当たって水増し請求を不正に行っていた、そういう事件なわけであります。ところが、東通の事件でもまだ決着が見られていない、しかもNEC本体の水増し請求の実態についてはまだ何ら解明がされていない。この前も当委員会で取り上げられましたけれども防衛庁長官に至っては、宇宙開発事業団と比べると五十年かかると。五十年かかったら当委員会の人は全くいなくなっちゃうという、ひどいようなことも発言されておるわけで、私は、こういう問題は非常に重大だと。  その点で、一体このNEC本体の調査がどういうふうに進んでいるのか、NECグループの水増し請求はいつからどのような形でどのような手口で、しかも二重帳簿システムというのはどういうもので、一体どの辺まで調査が進展しているのか、私は防衛庁長官責任を持って当委員会にも中間的報告をすべき問題であると。いつ聞いても、東京の府中とか横浜の事業場とかの三つを云々かんぬんやって、たくさんの人間を防衛庁は動員して調査している。これでは、一年たって、国民に大不祥事を起こしたと言っておきながら、何らやみの中。ここに私は、重大な問題があると思います。  防衛庁長官、今のNECグループの調査の中間的な状況ぐらい当委員会にきちんと報告すべきだというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  80. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 最初にお断りしておきますが、私は五十年かかるなんて言ったわけじゃありません。委員会で、宇宙開発事業団が半年ぐらいで結論を出したのだから、防衛庁もそのぐらいの迅速性でやるべきだという御指摘をいただいておりましたが、宇宙開発事業団は五十数件の案件に対してかかったわけでありますから、それに比べますと私どもは七千件もあるわけですから、この宇宙開発事業団のやったことに比べれば五十年かかると言っただけの話でありまして、私は年内にこれを決着したい、こう思っております。
  81. 小泉親司

    ○小泉親司君 年内ということはまだ半年近くあるわけですが、中間的な報告はするというお気持ちはないんですか。
  82. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これは、物によってはすぐ刑事訴訟になったりする内容を多く持っておりますから、途中で余り確信を持てないことを公表をすることは、非常に私どもは問題があると思っております。私どもは、常に法務省ときちっと連絡をとりながらこの問題を進めておりまして、現在は、従来から言っているとおり、幾つかの事業所において二重帳簿が存在したことをきちっと確かめたと。その問題について今深く掘り下げるためにあらゆる限りの能力のある者を動員し、外部の力もかりながらこれをやっていると。  ただ、この事件はあくまで、今あります原価計算とか契約のことがよくわかる者は、平常自衛隊業務をやっていくために不可欠な、必要な者でありますところにこの問題が多発したわけですから、そっちに膨大な人間を割くことは非常に制約があるということもお察しいただきまして、だから私どもも外部の力も導入しながら何とか年内に決着をしたい、中間的にあいまいなものを発表してかえって物議を醸すことは必ずしも誠意あるこたえ方じゃないんじゃないかというふうに、私は思っておるわけです。
  83. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、今回の改正案の問題でも、それから今調本の廃止とかが法案で決まりまして、私どもから言えば組織いじりをして、この問題を未解明なまま決着するというのは非常に問題であるというふうに思います。今防衛庁がやっている調査も、そういう意味では過去五年間にわたっての調査を今しているわけでしょう。ところが、実際に先ほど法務省と調査をして裁判で云々かんぬんというふうに長官おっしゃいましたけれども、実質、本体も含めてNECグループの東通や日本航空電子などのいわゆる水増し請求というのは何年ごろからやられていたんですか。
  84. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) NECの言によりますれば、昭和四十年代の後半というふうに聞いております。
  85. 小泉親司

    ○小泉親司君 昭和四十年代の後半と装備局長が言いましたように、裁判でも、これは東通事件でありますけれども、永元被告は何と言っているかといいますと、昭和四十六、七年ごろから既に水増し請求というシステムが恒常的にあったんだと言っているわけです。ということは、約二十七、八年近くにわたって水増し請求がずっと続いてきたということなんです、この問題は。  だから、この二十七、八年にわたる水増し請求事件というのが全体として解明されないと実質的に、国損額、国の損害額を算定する云々という問題じゃなくて、このシステム自体がどういうふうな経路を通じてつくられてきたかということを解明しないと、防衛調達の改善と防衛庁は言っておられますけれども、そういうものにつながらないと私は思います。  単に請求額云々の話じゃないと私は思いますが、その点、長官はどういうふうに認識をされておられるんですか。
  86. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 私どもとしては、まず国損が出ているわけでございますので、それの返還ということを第一に考える中で、まさに今先生がおっしゃいましたように、どのようなメカニズムでそれがなされてきたかというのが当然並行的に明らかにされていくわけでございますので、御指摘のように、水増しのメカニズムを解明し、そして計算をし、一刻も早く国損を取り返す、こういうこともやるべきではないかというふうに思っているところでございます。
  87. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、先ほど長官が言われた年内までに解明されると言っておられるのは、そういう約二十七、八年にわたるこの二重帳簿に基づく不正な水増し請求の全容を解明される、こういう報告をされるということなんですね、長官
  88. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 技術的なことでございますので申し上げますと、まず私どもが、先生先ほどお話ございましたように、過去五年にわたりまして、それが一つの帳簿のとり得る期限、限界でございますので、それを確定するべく現在作業をいたしているところでございます。その中でまさにどういう形で水増し等の操作がなされたかということの全容は解明されていくのではないかというふうに思っております。
  89. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、NEC本体は、先ほど昭和六十年代の後半とおっしゃったですね。
  90. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) NECからの報告では、昭和四十年代の後半からこのようなことがなされていたというふうに聞いております。
  91. 小泉親司

    ○小泉親司君 東通との損害賠償額をめぐる裁判では、防衛庁は東通事件は一九七一年ごろからと反訴状で言っておられます。ニコー電子は遅くとも一九八七年、日本工機は一九八三年、NECは昭和四十年代の後半とおっしゃれば一九七〇年代の初めというふうな理解をしているということ。今私、年号を検察の冒頭陳述に基づいて言っているんですが、そのことについては防衛庁も同様の認識だということなんですね。
  92. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 私どもも同様の認識でございます。
  93. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、今度の背任事件の裁判はこの調達問題の大変重要な問題を幾つか指摘していると思うんです。  例えば、七月二日の裁判で、永利被告、元NECの専務は、その最終弁論で何と言っているかというと、今度の東通やニコー電子の過大請求は、両社のみならず、防衛産業全体の共通の問題として長年にわたって伏在していた。NECにおいても過大請求が行われていた背景としては、防衛庁調達制度運用の特異性として、ゆがめられた原価・前例慣行主義及び超利契約の存在を挙げることができる。防衛庁側も問題の所在を認識しながら、調達価格の抑制と防衛産業の継続とのバランスを図ってきたんだと。  つまり、防衛庁もこういう事実を知っていたんだと。つまりゆがめられた原価主義、そういうものについて知っていたんだということを言っているのと同時に、防衛産業全体も共通の問題として長年にわたってあったんだというふうに証言されておられます。  この証言については防衛庁も確認をされておられますね。
  94. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 細かい点、先生おっしゃったとおりかどうかは今手元に資料がございませんので、すべてそのとおりかどうかはわかりませんけれども、その趣旨の発言をされたということは私どもも承知いたしております。
  95. 小泉親司

    ○小泉親司君 そういう点について、防衛庁長官、どういうふうにお考えですか。
  96. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 本質的に問題があると思いますことは、私どもとしては防衛の装備を企業に発注する際に、それにこたえるために企業は非常に多額の工場等の設備投資をしなければいけない、また多額の金がかかる、そして非常に秘密を厳守しなければいけないという制約がある。その結果、でき上がったものについては武器輸出三原則を遵守しながら、防衛庁以外には納入先がないというまことに宿命的な問題を抱えながらずっとやってきたわけでありまして、その問題をどうやったら乗り越えることができるかということは、私は防衛庁長官に就任して最大の問題として取り組んでいるわけでございます。  一つには、外国からもっと買ったらいいじゃないかということがありますが、ずっとこれまでは自主開発をして国内産業を養成するという要素も抱えながらやってきたので、大変この点については難しい課題でありますが、何とかしてこれを克服しなければいけないというのが私の今の心境でございます。
  97. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、宿命的であるがゆえに厳正な処理が必要であるというふうに思うんです。今度の問題でも、どうも全体として雰囲気が防衛庁の側に決着してしまったような対応で終始する。こういう問題は国会の規制などもきちんと受けながら、そういう意味では、先ほども言いましたように、できる限り早く今のNECの実態を報告する。年内にとかというのは非常に悠長な話で、今国会中にこういう問題については少なくとも中間的な報告をすべき性格の問題だと私は思うんです。  この前も、いわゆる防衛庁の文書隠匿事件の問題についても、中間報告を出す出すと言っておきながらなかなか出さないで終始してきたと、結局中間報告は行われましたけれども。今度の水増し請求の問題というのは、先ほども言いましたように、長期間にわたって大変根が深い、しかも防衛産業全体に広がっている可能性もあるという点では、特に東洋通信機の官公営業部長の永元被告は、水増ししているのはNECグループだけではない、業界各社は自分たちの水増しの発覚へ波及するのを恐れ、息を殺して裁判の様子を見詰めていると六月二日に言っているんです。その点についても防衛庁は知っているはずです、毎回毎回防衛庁職員が傍聴しているんですから。  こういう事実を知っておきながら、年内に報告するというのでは幾ら何でも遅過ぎると。まずその点、防衛庁長官、もっと早くやる必要があるんじゃないですか。
  98. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 前回、差益返還請求をしたのに対して、一つ企業は非常に不服であるということで今訴訟になっております。ですから、私どもは、外へ出すときはこれは大変慎重でなければ、必ず企業側は訴訟をもって対応してくるということも考えなきゃいかぬ。また、この間の調達汚職の問題でも、額賀前長官が非常に真摯に取り組んで中間報告をやったけれども、後から新しい事実が出てきて、長官としては非常に責任感じてああいうことになっていったということになっております。  だから情報は早く国会国民に公開したいということと同時に、一方においてやはりそういう問題が起こってくるということもぜひひとつ御理解いただきたいと思います。  私ども調達改革に盛られたすべてのことを今回四月一日をもって実行いたしました。先ほど委員の方から機構をいじって何か責任の所在をうやむやにしてしまったんじゃないかということも少し触れられたように思いますが、私どもはこれをすべて管理局に引き継いで、新しい管理局ですべてのことを今後責任を持ってやっていくのでありまして、機構いじりの結果、問題をあいまいにするなんという気は一つもございません。  防衛庁が抱える人数だけでは総動員しても大変時間がかかりますから、この間も佐藤委員に御指摘されましたが、非常に能力の高い公認会計士をこれから大量に導入しながら、年内に何とか国会報告できるところまで持っていきたいというのが私どもの今実態でございます。
  99. 小泉親司

    ○小泉親司君 いろんな細かい公認会計士の方がやっておられるような、額の算定の話を私はしているんじゃないんです。つまり、この手口が一体どういうものだったのか。例えば、NECというのはコンピューターの専門会社で水増し請求のソフトまで持っているんだ、コンピューターをたたけばすべて水増し請求ができるようにシステム化しているんだというような新聞報道もありました。  ところが、そういうものは我々には正確には全く知らされていないし、実際にそうだったのかどうなのかも全くわからない、本当にやみの中だ。それで、防衛庁がみずから認識をしながら、つまり知っていながらそれを調査しているという仕組みなわけですから、第三者的に全く事態がわからないという大変ひどい事態だというふうに私は思います。  その意味では、今度の問題というのは、裁判の問題ばかりじゃなくて、この水増し請求全体の、約二十数年にわたって行われてきた、長期間の大変深い水増し実態の報告については全容解明をすることがやはり防衛庁の最大の責務だと、防衛庁長官責任だと思います。伊藤さんが来られていますので、もう一つそちらに質問したいので、そのことだけ指摘をさせていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次の問題は、先ほども議論になりました周辺事態法の自治体協力にかかわる解説書案の問題について幾つかお聞きをさせていただきます。  今度の解説書案の中で、私は二つの点をまず質問させていただきます。一つは今自治体側が政府説明を受けて、港湾の問題について、特に港湾の使用の問題について、今度の解説書案の中では、港湾使用の要請をするときには港湾法及び条例に基づいて政府がそれを受けてもらうことを期待するんだということが書いてある。自治体側は、これは当然自治体の港湾条例を尊重すべきことを明記すべきなんだということを繰り返し要求されておられます。首をかしげられておられますけれども、私は直接渉外関係の知事会にお聞きしました。そのことも要請書の中にちゃんとそう書いてあります、明記すべきだと。そういうふうに私はすべきだと思います。  今の政府の方針というのは、この説明会かどこか正確には場所はわかりませんが、岩国市から山口県の港湾管理条例の問題が指摘された。実際に、山口県の港湾条例があって、米軍が岩国港に入るときには、危険物を積載している場合には入港できないという管理条例があるために、米軍は九八年の四月まで山口県の港湾管理条例によって積み荷リストをこれまで提出していた。ところが、九八年七月から積み荷のリストを提出しないで入港し始めた。よって、当然山口県側は、これはおかしいじゃないか、港湾条例を遵守すべきじゃないかというふうに言った。ところが米軍側は、これは地位協定五条で入港しているものであって、港湾条例ではないんだということで入っていると。実際、米軍側は五条で入るんだと。政府の側は、五条で入るときもあるし港湾条例で入るときもあるからわからないんだというのでは、ちょっと幾ら何でもその二者択一では自治体は納得できないということを言っておられると思うんです。  私は、この問題では、この解説書案の中でも繰り返し法令及び条例に基づいて対処ということを言っている以上、港湾条例を尊重するということを当然明記すべきなんじゃないですか。
  100. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) まず、解説書でございますが、港湾につきまして、例えばその港湾の「施設の使用に際しての許可(港湾法第三十四条において準用される第十二条に基づき、地方公共団体の条例で定められる)」、それは許可の中身でございますが、「について協力を求めること等が想定される。」ということで明記をしておるわけでございまして、決してその条例というものを排除するということを言っているわけではないわけでございます。  委員指摘の、条例を守るということを明記しろというのは、実は私は直接には聞いておらないわけでございますが、そもそも法律そのものが基本計画及び法令に従ってということでございますので、当然に条例が入るということでございます。  ただ、御指摘の岩国の件でございますが、これは実は私は詳細を承知しておりませんが、地位協定の解釈とそれから条例の解釈との整合の問題であろうと思います。地位協定に関しましては、私ではなくて外務省の方が主として承知をしているというか主管しておりますので、その関係についての御答弁はちょっと私からは差し控えさせていただきたいと存じます。
  101. 小泉親司

    ○小泉親司君 この問題は、条例が入るという問題じゃないんです。  例えば、渉外知事会の、伊藤さんは要望書を読んでおられないのかなと疑問に思うんですけれども、七月二十九日の要望書の中には、「米軍の艦船及び航空機(米軍に徴用された民間船舶及び民間航空機を含む。)が、地方公共団体の管理する港湾、空港を使用する場合は、地方公共団体が定めるそれぞれの管理条例の趣旨を十分尊重する旨を明記すること。」ということを要望されているんです。  つまり、これを周辺事態法にも適用すると言っておられる。政府の見解は、五条もあるし管理条例もある、こういうことになる。例えば岩国の場合は、米軍は何と言っているかといいますと、これは岩国基地のキーフ報道部長という方が何とおっしゃっているかというと、地位協定における入港が軍の方針なんだ、だから米軍は地位協定で入るんだと言っているわけですから、これでは幾ら条例を尊重するといったって、おかしいじゃないですか。  では、港湾条例でも入るし地位協定でも入るんだと言っていたら、米軍は地位協定で入ると言っているんだから、全然これは規制が働かない。つまり、条例に従うということにはならないということをみずから解説書案が言っているということになりますよ。
  102. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) ただいまの御質問は必ずしもこの周辺事態安全確保法第九条に関する議論ではないんだろうと私は思います。地位協定と条例との整合性という問題でございますので、一般的に、まさに委員指摘のように、周辺事態安全確保法に基づかない現在行われております入港でも同様の議論になっておるわけでございます。周辺事態安全確保法九条は、あくまで現行の法体系のもとでの運用でございますので、平時とこの確保法に想定されるような周辺事態とで扱いを異にするものではないわけでございます。  繰り返しになりますが、ただいまの委員の御指摘は、基本的に地位協定第五条とそれからそれぞれの条例の決め方、その整合性の問題でありまして、個々の適否につきましては、私は今ここで申し上げるだけの所掌もしておらないということでございます。
  103. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、この解説書案の中には港湾条例を尊重するということは明記しないということでございますね。
  104. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 周辺事態安全確保法の第九条第一項に基づきまして、国の関係行政機関から地方公共団体の長にお願いしますのは、必ずしも米軍の行動だけではございません。自衛隊の艦船が入港する場合、あるいはそのほかの場合もあろうかと存じます。したがいまして、一般論から申し上げれば、当然のことながら、法令の規定に従いということでございますから、条例も含まれることは当然でございます。  ただ、先ほど来御議論のように、条例というものも、当然、法律あるいは条約等との整合性というものが必要なわけでございますので、その関係についての御議論は、これは周辺事態安全確保法とは別の議論としてあり得るということでございます。
  105. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、自衛隊の話をしているんじゃなくて、米軍の話をしているわけで、そんなことはよくわかっている話なんです。米軍が入る場合の話をしているわけで、自衛隊地位協定五条で入ってくるわけがないでしょう。自衛隊地位協定五条で入るんですか。そんなことはあり得ないでしょう。そういう議論をしているんじゃないんですよ。だから、そういうことを言うから自治体は、ごまかしていると言っているわけです。  米軍が入る場合に五条で入るのか港湾条例で入るのか、二者択一じゃ困るんだと。港湾条例があるのだから、当然港湾条例で入るべしということを明記してくれということを言っているわけで、私は、この自治体の点はやはりきちんと明記すべきだというふうに思います。  もう一つ、時間がありませんのでお聞きしたいのは、情報公開の問題であります。  米軍のオペレーションがわかってしまう場合は、これは自治体の長に要請したときに、その自治体の長にこれを差し控えていただくということをお願いする場合があると解説書案に書いてありますね。それじゃ、その自治体の長の方がもし公表してしまったら、それは罰せられるんですか、罰せられないんですか。
  106. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 確かに、米軍のオペレーションによっては、一時的に公表を差し控えることをお願いすることがあり得るということは書いてございます。  その趣旨は、必ずしもその米軍の作戦が云々ということではございませんで、その要請の中身次第によっては、例えば輸送経路等が明らかになることによって治安上の問題等が生ずるおそれがあるというようなことの場合にお願いをするという趣旨でございます。したがいまして、極めて一般的なお願いをしようとするものでございます。  なお、それに従わなかったら罰則があるのかということでございますが、御承知のとおり、周辺事態安全確保法には罰則の規定はないわけでございます。
  107. 小泉親司

    ○小泉親司君 周辺事態法には罰則はございません。ところが、さっき輸送の計画とおっしゃった。これは有事法じゃありません、平時法でありますけれども、御承知のとおり刑特法というのがございます。  地位協定六条に基づく刑特法、この刑事特別法の第六条においては、合衆国軍隊の機密を犯す罪は十年以下の懲役に処するということになっているんです。その中に何が入っているかというと、「軍事輸送の計画の内容又はその実施の状況」というのは機密の罪に当たる項目の一つに入っているんですよ。ということは、自治体の長がこれをどこかに漏らした、こういう場合にはこの刑特法の規定が当然適用されることになってしまう。つまり、罰せられてしまう。これは、そういうことになるんじゃないですか。
  108. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 周辺事態安全確保法の所掌でございますので、その観点から御答弁申し上げているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、周辺事態安全確保法ではそのような罰則はないということでございます。  また、ここで書いておりますのは、あくまでそういう一般的な治安の問題等の安全確保ということを念頭に置いているものでございます。合衆国軍隊の秘密というものがどういうものか実は私はここで承知しておりませんが、仮にその刑特法に触れる行為があるとすれば、それはそれで別の議論としてあり得ると思いますが、我々がそのような趣旨で地方公共団体に公表を差し控えるようお願いするということをこの解説書で言っているものではございません。
  109. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間が来ましたのでまとめますが、私は周辺事態法で罰せられると言っておりません。ところが、刑特法では罰せられてしまうわけだから、こういうひどい状態というのはやめるべきで、今度の問題についても、それぞれの自治体は情報公開条例に基づいてちゃんと公表すべきだということを要求しているわけです。どうもその問題についていろんな議論をすると、政府説明というのはどういう説明かというと、周辺事態というのは有事じゃないのでと裏手にとられますけれども、私は有事だと思いますが、有事ではないからそういうことは云々かんぬんと言わないんだというような説明をされておるというふうにも聞いております。  周辺事態というのはまさに有事で、米軍の有事に対する日本の軍事支援計画ですからまさに戦争計画なわけで、そういうでたらめな説明をして、今度の問題で自治体と民間を米軍の計画に動員するというのは大変重大な問題だということを私は指摘しておきたいと思います。その点で、自治体の要求はきちんと尊重して対応すべきだということもあわせて指摘して、質問を終わります。
  110. 田英夫

    ○田英夫君 最初に、これは質問通告をしておりませんけれども、きのう海上自衛隊と韓国海軍の共同訓練が行われたという夜のテレビのニュースを幾つか見ましたけれども、各局みんなこれをかなり大きく報道している。救難訓練ということで火災を生じた船を救出すると。  私は、いろんな思いを持ってこれを見ていたんですが、一つは新ガイドラインができて動きが始まったなという思いがあります。同時に、あるテレビ局がそのニュースを伝える中で言っていることでかなり驚いたことなんですが、日本では海上自衛隊の自衛艦に取材陣が乗って、事実、アングルから見ると日本側の船に乗ってカメラマンが写しているということなんですが、韓国のテレビは全くこのことを報道していないと、そういうことを伝えておりました。  これは外交関係になってくるかもしれませんけれども、海上自衛隊を所管される防衛庁の幹部の皆さんもぜひお考えいただきたい。このことのために当然韓国海軍と綿密な打ち合わせをされながら、しかも韓国に入港してそこから出てきて訓練しているようですが、事はそう簡単ではない。韓国の民衆の側は、日本の海上自衛隊の船が韓国の港へ入ってきてそして共同訓練をするということに対して必ずしもまだ歓迎をしていない、こういう状況の中で新ガイドラインが発足をして動き出している。  金大中さんが大統領になってから日韓関係というのはさらに好転していることは事実でしょう、日本の文化も受け入れ始めている。にもかかわらず、やはり韓国の若い人たちは過去のことを清算したとは思っていないという一つの事実がある。これは質問ではありませんから、それだけのことを申し上げておきたいと思うんです。  質問に入りますけれども、最近、有事立法ということがしきりに言われ、事実、先ほどから話題になっている周辺事態安全確保法というのも、ある意味での有事立法の一部がここででき上がっている、こう思います。  過去に、実は有事立法ということが随分長いことこの国会でも議論をされてきました。一つは三矢研究というのが社会党の人によって暴露されて、これは制服組がつくられたまさに有事立法研究朝鮮半島で有事が起きたということを想定して、それに向かってどういうことをやるべきかということを考えたわけですが、驚くべきことに、この有事立法、八十七件の法律案を二週間で国会で可決成立させるという部分があります。そういう場合には一挙にやってしまおうと、これは制服の考えたことですけれども、その後、実は福田内閣の一九七八年から政府としても有事立法研究をやると公にして防衛庁を中心に、今は伊藤さんのところが中心かもしれませんが、七八年から始まってもう二十一年たつわけですが、その間にこの研究は当然進んでいると思わざるを得ない。  その研究をするときに、当初から言われたのは、防衛庁関係法律、これを整備する、これが第一分類だと。第二分類は防衛庁以外の他の省庁の法律、これは既存の法律ですね、それを整備すると。第三分類というのが、そのために新たに法律をつくると。こういうことで、私どもも一番注目してきたのは第三分類としてどういうものができるかということであったと思います。  しかし、政府はこの第三分類について全く説明をされていない。我々の方はできたならそれを公表すべきだと言ってきたわけですが、羽田内閣のときですが、熊谷官房長官が第三分類は既にでき上がっている、しかし今発表するといろいろパニックが起こるおそれがあるから言わないと、こういうことを発言しておられる記録があります。  今改めて、第三分類ができ上がっているのかいないのか、内容を発表することができるのかできないのか、お答えいただきたいと思います。
  111. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員が御指摘のとおり、有事法制の研究のうち、この第三分類につきましては所管官庁が明確でないということであります。この第三分類については、政府全体としてしたがって取り組むべき性格のものである、個々の具体的検討事項の担当省庁をどこにするかなど今後の取り扱いにつきましては、今そこにおりました内閣安全保障危機管理室長責任者となって調整を行っているところでございます。  防衛庁としても所要の研究成果が速やかに得られるよう協力を行っているところでございますが、現在、直ちに研究結果を公表するような段階にはないと考えております。さっき申したとおり、個々の具体的検討事項の担当省庁をどこにするかなど今後の取り扱いについて種々の調整を行っているところでありまして、その調整作業を経て問題点の整理を行っていくものと考えております。
  112. 田英夫

    ○田英夫君 内閣安全保障危機管理室長、先ほどまでおられましたが、きょうはあえて私は質問をしないことにしたんです。  といいますのは、今言われたように、まとめ役であることは承知しておりますけれども、実際には先ほど申し上げた周辺事態安全確保法という形で、全体の一部かもしれませんけれども、既に有事立法はつくられ始めているというふうに思っておりますが、防衛庁長官はどう考えられますか。
  113. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 内閣の中でも有事法制については極めて冷静に考えている人が多いのでございまして、私ども、有事法制に着手しているという事実は全くございません。  なお、第三分類につきまして、二十一、二年もたって何にもまとまらないというのはおかしいんじゃないかということで、私も少し前に室長を呼んで聞いたのでございますが、中身につきましては、例えば有事における住民の保護とか避難、また誘導を適切に行う措置はどうすればいいかとか、あるいは有事における民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置はどうすればいいかとか、そういう程度の話でありまして、大変たまげるような問題については全く考えていないということがわかりましたことだけをつけ加えておきたいと思います。
  114. 田英夫

    ○田英夫君 私どもも、有事法制というのはいろんなものがあって、実はびっくりするような恐ろしいものだけが有事法制だとは思っていないんです。それだけに私は逆に恐ろしいと思っているんです。  例えば、今この参議院で審議中の住民基本台帳法案ですね、これなどもそういう意味でいうと有事法制の一つになり得る、こう思って非常に重大視しているわけです。もちろん、我々は反対しております。というのは、有事になったときに、これは実はガイドラインが発動すると現実のものになってくると思いますが、例えば防衛庁にいた、きょうまさに議題になっているこの自衛隊法の一部を改正する法律案もかかわりますけれども自衛隊をやめた方、そしてやめたけれども特別な技術を持っている、あるいはフォークリフトを運転する技術を持っている一般の、例えば運輸関係の会社に勤めている人あるいはいた人、そういう人が、住民基本台帳法ができてすべての国民がコンピューターでリストアップされると、そういう特殊技能を持った人、つまり有事のときに仕事をしてもらう特殊技能を持った人をピックアップすることは容易になるんじゃないだろうか、こう思うんです。そういう意味で考えると、有事立法というのは実に幅が広いことになる。  それはそれとして、最近いわゆる不審船の問題などがあってから領域警備ということを法制化すべきではないかという議論がありますけれども、そのお考えはありますか。
  115. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 平時における不法行為等への対処につきましては、もう委員がよく御理解いただいておりますとおり、これは警察機関の任務でありまして、自衛隊は、警察機関では対処できない、あるいは著しく困難と認められる場合に出ていくわけでありまして、したがって私どもとしては海上保安庁に情報をもたらしたりあるいは協力していくということで今進めているわけであります。  いずれにしましても、この間、官房長官のもとで現行法制の枠組みをきちっと守った上でこういう問題について適切に対処していこう、こういうことが決まりまして、それぞれ各省庁がなすべき仕事については整理されたつもりでおりまして、私どもはその方向に従ってこれらの問題に疎漏のないように対処していきたい、こう思っておる次第でございます。
  116. 田英夫

    ○田英夫君 領域警備ということも、それが法制化されてくる、領域警備という名で自衛隊が動くことが容易になってくるという事態は、私はここで繰り返して申し上げてきましたけれども、領域、特に領海の場合に、海上自衛隊ではなくて海上保安庁が警察として第一義的にかかわっていくことが国際的な常識でもあり、国際的な国境警備隊を含めての配慮だということを申し上げてきたんで、今の長官の御答弁はその意味の配慮はにじみ出ていると受け取っております。これをぜひ守っていただきたい。  それから、例の不審船が三月二十三、二十四日にあったときに、海上自衛隊の交戦規則というものができているということが報道されておりますけれども、これは事実でしょうか。
  117. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 御指摘のような報道がございました。そして、海上警備行動を発令いたしました際には、これはもう何度も種々の委員会でも申し上げてきたところでございますけれども、あのような形で自衛隊が武器使用を含むいろいろな行動をとります場合に、それぞれの事態に即したところの武器使用の標準等を定めるというのは、ある意味でこれは当然のことでございます。  もちろん、それを私どもは交戦規則という名前では呼んではおりませんのでありまして、これは累次御説明しましたように、措置標準という形で大臣からの命令の中であわせて指示したところであります。
  118. 田英夫

    ○田英夫君 ああいう事態が起きていることは事実でありますから、しかも自衛隊法八十二条を発動して海上警備行動ということになったこともこれも現実であります。当時、私は海上保安庁の人と話をしていて、海上保安庁ならあのときどうするんだ、こういうことを仮定の話として、もし船が停船したら、そこから先の段取りというのはマニュアルがあるのかないのか、そして、実際にどうやったら一番いいのかと。これは今、言葉は交戦規則とかそういうことでなくても、そういう段取りを決めたマニュアルが共通にありませんと、非常に暴走してしまうおそれがある。  海上保安庁の現在担当している人たちの配慮は、当然あのような状態で、もしあそこで停船をしたら、逃げまくった後ですよ、まず催涙弾を撃ち込む、これが一番安全ではないでしょうかという話がありました。これも一つの方法かもしれません。つまり、いきなり軽武装で中へ乗り込んでいくというようなことは非常に危険ですということも言っているわけです。  ですから、私は交戦規則というような形ではなくて、海上自衛隊が出ることは私は好ましいと思いませんけれども、そういうことをきちんとガラス張りにして持っている必要があるんじゃないかということを申し上げておきたいんですが、いかがでしょうか。
  119. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) これも先ほどちょっと大臣がお触れになりましたけれども政府としての今回の事案の教訓、反省の取りまとめの中で、やはり海保と自衛隊との間のその初動段階からの緊密な連携が非常に大事だということが指摘されておりまして、同時にそういった観点から、自衛隊と海保の間で共通のマニュアルをつくるということもうたわれております。今そういう方向で私どもは作業をしております。  ただ、先生、ガラス張りと言われましたけれども、具体的な対応の手のうちにかかわることをつまびらかにするというところは、またちょっと別途の問題もあろうかと思います。
  120. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  121. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 自由党の田村でございます。  私は、個人的に今回の自衛隊法等の一部を改正する法律案について、四十四条、四十五条、四十六条の改正については何ら問題はないと考えておりますが、六十二条の改正自衛官の再就職の道を大幅に制限することになると予想しますので、この再就職の問題については、防衛庁としては今後どのような運用をされるかに非常に問題があると考えています。  まずこの法律案は、背任事件の調本の職員の起こした事件を、産業界と全く無関係なざんごうを掘ったり戦車で訓練したり、艦隊勤務をやっているような制服自衛官対象を拡大して、この問題を自衛官の不正防止に観点をすりかえることで事件の本質から国民の目をそらそうとする防衛庁内局の意図があるのではないか。とんでもない話だと私は思っておりますが、長官いかがお考えですか。
  122. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 御指摘につきましては私どもも理解できる部分もあるわけでありますが、今回の再就職手続見直しは、確かに先般の防衛調達に関する不祥事を契機としながらも、国家公務員をめぐる再就職制度改革などの趨勢も踏まえて行わなければいけないという大きな前提があると私どもは考えております。  その際に、自衛官とか事務官等のそれぞれについて、その職務あるいは任用形態特殊性を踏まえた適正な再就職手続を経させることによりまして、不正が生じる余地がないようチェックすることで任用行政責任を果たしていきたい。こういう手続を経て就職させることで、今までは多くの隊員の再就職についていろいろ批判があることも事実であります、時にはいわれなき批判と思われるものも多いわけでありますが、こういう手続をきちっととることによりまして、これからは胸を張って再就職ができるということになろうかと思いまして、こういう基本的な考え方に立って、私どもはこの法案を提出している次第でございます。ぜひひとつ法案趣旨を御理解いただきたいと考えております。
  123. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私が防衛庁自衛隊で一番心配していることは、自衛隊という組織は、有事のときに、異常事態のときに国民の生命、財産を守る組織であります。したがいまして、次元の違うところで訓練をやっている。それを、一般公務員並みということを非常に最近言われ続けてきている。それを、防衛庁の内局というのは軍事の特性をよくわかった人がいるはずなんだから、その人たちがこれは全然違う次元で訓練をしている人たちなんだということを頑張らないといけない。それを一般公務員並みということになりますと、全部そういうふうに一般公務員並みということで問題を処理していると実際に役立つ自衛隊にはならないわけです、そうやっていると。そこのところを私は最も心配している。  一般社会では事故なんか起こしちゃいけないんですよ、絶対に。ところが、激しい訓練をすれば事故は起こるんですよ。必ず起こる。だから、それを最小限にするために指揮官がいる。今は事故を起こしちゃいけないと言うから安易な訓練しかやらない。だから有事のときに役立たない、こういうことになるわけです。  ですから、これを続けていくと有事のときに役立つような戦闘集団ではなくなるということだけを長官は肝に銘じていただきたいと私は思うんです。そこのところが違うから、成熟した民主主義ではそういう次元の違った人たちに対して、それを包含するような社会構造をつくっている。ところが、今はみんな一緒にしているんですね。だから、有事のときには役立たない。だからおもちゃの兵隊しかできない。これを五十年も六十年も七十年もやっていたら必ずそうなるということを私は非常に心配している。  国民が最も期待するのは、有事のときに、異常事態のときに自分たちの生命、財産、国を守ってくれる、それがこういう組織を持つ唯一の、そのときに守れなかったら何にもならないわけですよ。テポドンが飛んできたときに何ができるのか。何もできなかったら防衛庁要らないじゃないかということになるんじゃないですか。そういうことを申し上げているわけです。  それで、時間がありませんので、時間さえ過ぎればいいと思っておられるかもしれないけれども、基本的に自衛官というのは再就職しない方がいいと私は思っているんです。再就職しないでもよその国と同じように軍人恩給とかそういうもので生活できるように保障してやるというのが国としての施策なんです。  これをやると国会報告になりますから、二五%以上防衛依存度のある企業というのは二十数社しかない。これは嫌がりますから、自衛官は行かなくなりますよ。行けなくなります。これははっきりしている。ですから、どういうふうに再就職をさせようとしているのか、あるいはそういう再就職をしなくてもいいような施策というものを講じようとされているのか、どっちなのかお尋ねしたいと思います。
  124. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 今、先生の方から自衛隊員につきましてはその特性を有しておるんだということをおっしゃられました。まさにそのとおりでございまして、一般隊員というものはふだん訓練にいそしんで、励んでおるわけでございまして、一般企業と何ら契約関係を行うとかそういうことはほとんどないわけでございます。そういう意味で、そういう規制をする必要がないんじゃないかということも一応わかるわけでございますけれども、世の中の趨勢といいますか、それから先般の背任事件等を踏まえまして、他方でやはり自衛官だけ特別に規制から外すというふうなことも問題があるのではなかろうか。  そこで、我々としてはその自衛隊特殊性を考えつつ、それに対応していきたいというふうに思っているところでございます。例えば、任期制自衛隊員につきましては、これはもう承認から外す。それから、若年定年制の方々につきましては早期退職を余儀なくされております。したがいまして、その再就職ということを十分考えなければいけませんので、防衛に関する専門的知識能力経験を有する者が多いわけでございますので、そういった観点を考慮しながらその承認に当たっては基準をつくっていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、最後に、再就職についてどういう努力をしておるかということでございますが、これにつきましては、再就職する前にいろんな教育を施すとか、それから各自衛隊におきましては、再就職のためのセンターを設けまして再就職ができるように格段の努力を行っておる、そういう状況でございます。
  125. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 基本的には、今言われたようなことは何にも根本的に解決したことになっていないんですよ。結局二、三年たったらそんなことは風化しちゃって、ただ自衛官が再就職できないような状況が生み出されるだけの話だと、今までの防衛庁のあれを見ていてもそういうことしか言えない。  実際問題として、これで調達改革できるんですか。私は絶対できないと思う。問題をすりかえちゃっているから、それで世の中におもねている。そういうことでどうして調達改革なんかできるんですか。今の予算制度が続く限り、調達改革はできないと私は思っている。装備局長、できるの。
  126. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 調達をめぐる背任事件に関しまして、その背景となった問題点は幾つかあるわけでございますけれども調達システムの透明性が十分担保されていなかったこととか、それから調達実施本部内の原価計算部門と契約部門の相互牽制が機能しなかった、あるいは内局の調達業務に対するチェック機能も十分働かなかったという点を私ども強く反省いたしたわけでございます。  それらの問題点を解決すべく、本年の四月に、供給ソースの多様化の追求など市場原理強化のための施策でございますとか、調達実施本部の解体、あるいは原価計算部門の内局への吸収、さらには第三者による監視体制といった施策を盛り込みました改革具体的措置を取りまとめたわけでございまして、先生御案内のとおり、その実施に取り組んでいるところでございます。私どもといたしましては、これを遂行することによりまして改革の実は上げられるのではないかというふうに思っているところでございます。
  127. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、今のお答えでは調達改革は実施できないというふうに思っています。というのは、今おっしゃったようなことをやっても、結局防衛の装備品をつくる会社がなくなるか、外国から全部物を買ってくるかになってしまう。  例えば、これは質問通告していないけれども、仕様書なんかは今ただで書かせているんでしょう。あれはちゃんと経費を払わなきゃだめですよ、会社は働いているんだから。今防衛庁、困るんじゃないですか。書けますか、防衛庁で書けないでしょう、仕様書を。
  128. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 仕様書自体は当然のことながら防衛庁の方で書くものでございますので、それぞれの担当部門が要求性能等に従って書かなければなりません。  ただ、先生おっしゃいますように、極めて高度なかつ先端的な技術等を必要とする場合には、それに関しますメーカー等の知恵をかりるということはございますけれども、あくまで責任を持って書くのは防衛庁の方だと思います。
  129. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 これは質問通告していないから余り突っ込んで聞きたくありませんけれども防衛庁長官がこの前から言っておられるように、もっと人数をふやさないと書けないと言っているんです。  これは、形の上は防衛庁が書いたことになっているけれども防衛庁は書いていないじゃないですか、会社に全部書かせているんじゃないですか。私はそういうふうに聞いています。それはもう書いてくる、その会社が受注するから向こうは書いてくるんで、そうじゃないのに書いてくる人が世の中にいたらお目にかかりたい。そんなことは絶対にない。そういうのは調達改革とは言わないんですよ。そういうものをきちっとすることを調達改革と言うのであって、相手に押しつけてやったって、これは国の基本として民間に防衛装備を開発、設計、製造させるという国の大方針があるからやっているんで、それに基づくちゃんとしたシステムが防衛庁側になければそんなものはできない。だから、防衛産業でこれから防衛をやる人なんていなくなりますよ。だれもいない。そんなものを好んでやる人なんていたら大変なことですよ。  基本的なもっと根本的な予算制度も含めて、一般公務員と違うんだから、そこのところに視点を当ててきちっとやらないと、私はこの問題というのは、先ほど同僚議員が言っていたけれども、二十年も三十年もやっていたじゃないかと、そういうことしかできないんだから、今の状況では。だから、根本的に変えないとだめですよ。だから、憲法を変えていかなきゃだめですよ、基本的に。憲法を変えなかったら、憲法自衛隊の位置づけはどこにも明確にされていない。憲法は軍備を持たないことになっているんだから。そこのところに突き当たるということだけを申し上げたい。  自衛官は二十五万いるそうですけれども、そういうのにかかわっている人は陸海空で三百人ぐらい、その人たちは厳正に審査すべきだ。しかし、何にも関係のない、調達とは全く無縁の艦隊勤務をしたり飛行機を操縦したりざんごうを掘っている人に、何でそういうものを振って、それで調達改革ができるなんてとんでもない話だと私は申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  130. 山崎力

    ○山崎力君 質問通告とちょっと順番が違って恐縮ですが、同僚議員からもありましたけれども一つ北朝鮮テポドン発射問題です。先ほど外務省サイドからの答弁がありましたけれども、私はその点について防衛庁の方の認識を伺いたいということです。  と申しますのは、外交問題、それは外務省の所管ですけれども、要するに今度のテポドン発射した後、我が国としてどうこうというのは外務省ということなんですが、それがどういう状態にあるのか。北朝鮮側は今どういうふうな対応をとろうとしているのか。もちろん内面の方は難しいんでしょうけれども、いわゆる情報として彼らが今テポドンに対してどういう態勢をとっているのかということに関しては、むしろ軍事情報という意味でいえば防衛庁の方が専門だろうというふうに思うわけですけれども、その辺のところの御認識はいかがでしょうか。
  131. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 御指摘北朝鮮のミサイルの動向につきましては、私ども日米韓三カ国で大変密接な連携をとりながら、細心の注意を払って継続的に情報の収集や分析に努めているところであります。  御案内のとおり、北朝鮮は既にノドンの開発や配備を完了している可能性が高いと見られますが、引き続きミサイルの長射程化という問題に大変力を入れているということは間違いありません。北朝鮮がこうしたミサイル開発を継続する場合には、その過程で何度か発射試験等をしようという可能性は否定できないと考えております。  このような北朝鮮のミサイル関連活動につきましては、防衛庁としてもいろいろな情報を得ているところであります。発射台がどうなったか、燃料がどうなっているかというようなことがあろうかと思いますけれども、今ここで私どもはそういったことを具体的に申し上げることはひとつ差し控えたいと思いますが、ただ、いろいろロケットの燃焼実験やミサイル発射基地の工事を行っている等の報道があることは私どももよく承知しているところであります。  しかし、この間もコーエン国防長官も同じ見解でありましたが、現時点においていろいろな情報を総合しますと、北朝鮮のミサイルの発射が差し迫っている状況にあるとは判断していないという点では共通の認識でございました。  今後とも重大な関心を持って、北朝鮮のミサイル関連の活動について細心の注意を払って対処してまいりたいと思っております。
  132. 山崎力

    ○山崎力君 これは今の御答弁の中にもありましたけれども、わかっていてもなかなかこういう場で公表できないということはあろうかと思います。  そういった意味で、私の希望といいますか、問題点の指摘だけさせていただきたいのは、いろいろな情報を総合するといっても、現時点で我が国に大きく関連するのは偵察衛星の写真の問題であろうと思います。もちろん、発射の時を探知するという問題もありますけれども、これはこれから将来にわたっての我々の大きな課題になる。  ところが、この問題というのは裏を返せば、技術的に見てアメリカの現在の技術というのが何倍も優秀であるというのは容易に想像がつくわけでございます。言葉を変えれば、ある程度のお金を出してもアメリカの最高の衛星写真を入手することができれば、偵察衛星に関しては我々は持つ必要がないというふうにも言えるわけです、コスト的に見て。  ただ、さはさりながら、それでは我々が本当に必要だという時期に必要だと思える精度のものをアメリカがよこしてくれるのか。情報の世界においてはある程度ギブ・アンド・テークというのは世界各国共通である、よって独自の情報収集能力を我々も持たなければならない。こういう観点からの偵察衛星を持つべきであるという議論との問題が、これから真剣に我々は、膨大な額ですから、せにゃならぬ状況にあるということは御理解願えると思う。  そのときに、私が今の時点で御指摘申し上げたいのは、その点についてアメリカは我々の望んでいる、そういう偵察衛星の資料を提供しているかどうか、この問題に関して。そしてもう一点は、そのことによって当然のことながら発射が差し迫っているか、差し迫ってないかということは想像つくわけで、今その点についての現状についての御見解を伺ったわけですが、もし仮に近い将来、そういったことがあり得べしというような情報が正確にもたらされるかどうかということが、これは極めて試金石的に見られるというふうに私は思っておるのですが、その辺についての御見解はいかがでしょうか。
  133. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 日米の間では、そういう情報の提供等については非常に緊密な連絡がとれているということだけを申し上げたいと思います。  なお、この間コーエン国防長官がおいでになった際には、今までは領域内に弾頭部が落ちた場合だけは落下地点等について日本に情報をくれるというお話でありましたが、これからはそれをうんと拡大いたしまして、遠くへ飛んだ場合であってもわかる限りは必ず日本にも連絡するというように、非常に連絡の範囲が拡大したということも申し上げておきたいと思います。  私どもは専守防衛であるがために、やはり敏速に正しい情報を把握して対処するということが不可欠なものであると思っております。したがいまして、情報収集衛星につきましても、ぜひこれを自力開発を目途に平成十四年までに完成したい、こう思っております。  その最大の理由は、専守防衛であるがゆえに正確な情報を早く把握することが必要だ、こういうことで、まず独自の情報を独立国家として得る必要がある。全部他国に頼っておるような状態では、これはとてもだめだと。それから、一つ情報があってもそれが全部正しいかどうかわかりませんから、情報を得ることの多様化をする必要がある。こういうような点から、ぜひひとつこれは確保したいと思っております。  なお、情報収集衛星につきましては、正直に言って自主開発の場合に非常に難しい部分があります。そういうことは本当に正確なものをつくっていこうと思えば大変時間がかかる可能性もありますので、今アメリカとの間で折衝を重ねておりますが、そういう問題について私が協力を要請したのに対して、コーエンさんはイエスイエスと、こう二回言っておったということを申し上げておきたいと思います。
  134. 山崎力

    ○山崎力君 続いてもう一つは、韓国海軍との共同訓練の問題をお伺いしたいと思います。  今回の訓練の意義というものは、いろいろ言われておるわけですが、常識的に見てこれが悪い方向のものではない、日韓関係にいい方向のものを与えるということは否定できないことだろうと思っております。そこで、お伺いしたいのは、今までこういった経過のある二国間関係ですからやむを得ないところもあったんですが、今の時点で共同訓練を行ったのはどういうことなのか。逆に言えば、今までしてこなかったのはどういう理由であったのか。そして、今般こういうふうな問題というのは、アメリカとは日米安保条約があるけれども、ほかの国とは集団的自衛権の問題があって、余り積極的でないといいますかむしろ控えていた、たまに遠洋航海で行ったところで儀礼的に訓練らしきものを米国以外とではやっていたというのが実態だと思うんですが、その辺の問題はどのようになっておりますでしょうか。
  135. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 韓国と防衛庁防衛交流につきましては、九四年以降首脳会談を毎年実施してまいりました。また、防衛当局者間の定期的な協議の開催もやってきましたし、各レベルの訪問とか留学生の交換なんかもやってきました。  海上自衛隊と韓国との間では、九四年以降艦艇が相互に両国を訪問するとか、あるいは昨年の十月には韓国で行われた国際観艦式に海上自衛隊の艦艇も出席させております。今回のような共同演習が行われるようになったということは、昨年の九月、それから本年一月、私が日韓防衛首脳会談に出席させていただきまして、捜索救難に関する海上共同訓練の実施に向けて両国の国防長官で話し合って、この合意が成立しまして、今回の訓練の実施に至ったというのが直接の契機でございます。  申すまでもなく、この訓練はあくまで民間の船舶の海難事故を想定した共同捜索救難訓練でありまして、私どもとしては、このことによって相互理解が進み、信頼が醸成されることを大変意味のあるものと考えております。
  136. 山崎力

    ○山崎力君 今、若干答弁漏れと言うとおかしいんですが、集団的自衛権でどこまでそういった訓練が可能なのか、アメリカ以外とですね。その辺については、いかがでしょうか。
  137. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今申し上げましたとおり、あくまでも民間の船舶の海難事故を想定した共同捜索救難訓練でありまして、特定の国とかまたは特定の地域を共同して防衛するような訓練では全くございません。だから、集団的自衛権の行使とは何ら関係を有しないものとの観点に立って私どもは整々として行っている次第です。
  138. 山崎力

    ○山崎力君 御存じの方も多いと思いますけれども、かつてリムパックで多国間の共同訓練を行ったときに、日本側の自衛隊、もちろん海上自衛隊が参加したわけですが、アメリカと一緒の訓練はできるということで、敵味方に分かれて仮想してやるわけですが、アメリカと組んでやることはできるけれども、ほかの例えばオーストラリアであるとかカナダであるとか、そういったところの国と一緒にグループになることはできなかった、遠慮したと。そこのところで言われたのが、この集団的自衛権に反する行為になる可能性があるということだというふうに言われていたわけです。  その辺の検討というのは、今後なさるといいますか、今回の日韓間のやつはそういったことだから問題ない、これまでもその程度のことはやっていたんだけれども、これは韓国に限らずロシアとか中国とかとやっても構わないわけで、その辺の感覚というのはどのようにお持ちでしょうか。
  139. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、先生お話しございましたように、憲法でいわゆる集団的自衛権の行使ということが認められておりませんから、自衛隊はそれを前提とした訓練を行うということは行わないということでございます。  したがいまして、今回の日韓の共同訓練も、そういう集団的自衛権を前提とした訓練ではなくて、先ほど大臣から御説明したような内容でございます。先生も御記憶のように、実は昨年もロシアとの間でこういった海難の共同訓練をしておりまして、それも同じような考え方でやっているわけでございます。
  140. 山崎力

    ○山崎力君 いろいろ法的な問題、特殊な日本の集団的自衛権の否定という問題がございますが、こういった共同訓練というのは国際慣行上、親善行為として行われている部分があって、それは私は集団的自衛権の問題とは切り離してやれる問題だろうと思っておりますので、韓国、ロシア、プラスアルファでどんどんそういったことはやっていただきたいとは思っております。  時間もなくなってきたので、本来の質問が余りできなくなったということでちょっと言いっ放しになるかもしれません。先ほど田村議員からもありましたけれども、今回の改正の問題でいえば非常に内局的な問題、それで人数的に非常に限られた問題がいわゆる制服組、多数の方に、直接そういったものと関係ないところに広がったのではないかという、言葉をかえると非常に使いにくいんですけれども、非常にわかりやすく言えば内部告発的な質問もあったわけでございます。  一番問題なのは、その辺の問題解決もそれはそのとおりなんですが、隊員士気、今回の改正あるいはもちろんこの間の不祥事士気が落ちたということは当然考えられるわけですけれども、それをいかに回復していくかと同時に、今回その結果としてこういう形になってしまった、しかも制服のある層からは、内局のとばっちりを受けてえらい面倒くさいことになったというような感想も漏れ聞くような状況なんですが、そういった制服組の士気の低下をいかに防いでいくか。これは、もちろん再就職活動についても今まで以上のアフターフォローが当然必要になってくると思うんですが、その辺についての防衛庁の御見解はいかがでございましょうか。
  141. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 先生指摘のように、我が国防衛にとりましては、隊員士気というものが重要であることは十分認識しておるところでございます。  それで、今回の改正に当たりましてもそういった点を考慮しまして、任期制自衛官につきましては再就職に関し長官承認対象外というふうにいたしました。また、必要ならば就職援護制度による支援を受けつつ、心置きなく再就職先を探すことができるような施策を講じていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。また、任期制自衛官とは別に、若年定年制自衛官につきましては、その多くは防衛産業以外の企業に再就職しておるところでございますが、さはさりながら、防衛産業にもかなりの者がやはり再就職しているところでございます。  したがいまして、手続対象となる隊員はそんなには多くないというふうには考えますけれども承認対象となる者につきましても、防衛庁と密接な関係にある企業に再就職する場合には、適正な審査を経て長官承認を受けることとするということで、批判、疑いを受けることなく堂々と胸を張って再就職できることになり、その第二の人生を考える上でも望ましいというふうに今回の法改正に当たりましては考えたところでございます。  我々としましては、これらの点につきまして隊員への理解、周知に努めるとともに、若年定年制任期制自衛官の再就職を支援するための諸施策につきまして、今後さらなる充実を図っていきたいというふうに思っております。また、そのことが一般隊員士気を低下させることにならないことになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  142. 山崎力

    ○山崎力君 時間ですので、最後は言いっ放しになるかと思いますが、お聞き願いたいと思うんです。  いわゆる任期制の方はともかくとして、若年定年制。これは体力勝負の部分が軍隊というのは絶対必要な部分で、それで与えられた階級というものがそこのところの仕事の内容を決める部分であるということも重々承知はしているんですが、だんだん戦争の態様が変わってきまして、現場でもちろん汗をかく人たちはこれはこれでもう絶対必要なんですが、今まで以上にハイテク機材を駆使して後方で、それこそ今まででしたらとても軍人にはなれないような人が青白き蛍光灯、ブラウン管あるいはディスプレーを見てキーボードをたたくというので優秀な軍人、そういう意味での軍人がこれから出てくる時代だろうと私は認識しております。  そういった人たちの特殊技能をどうやって生かしていくか、あるいはその人たちをどうやって確保するか、あるいはそういった人たちが再就職するときに、いわゆる現場サイドの人にない特殊技能をどう生かした形で再就職の方に持っていくか、今までになかった課題がこれから出てくるだろうと私は思っております。  そういった意味での新時代に対応する人事管理、教育制度、そういったものをもう一回、これを機会に御検討なさるということを期待申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  143. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私も最初に同じような問題を取り上げさせていただきたいと思います。  何しろ、けさほど、この附帯決議案なるものを初めて見まして、それでこの若年定年制の問題と、思いつきでありますから質問通告をするいとまもありませんでした。  実は、自衛隊員と対照される職業には警察官があろうかと思います。これも若いころ猛訓練をする、若いころは体力勝負と言ってもいい。しかし、比較的年配になってきましたら大体が交番勤務なんかに回るわけでありまして、地域社会信頼を得て仕事をしていく。しかし、これだって夜間勤務、夜間パトロールと大変体力の要る仕事でもあるわけですから、しかし若いころ鍛えていたからそういう夜間パトロールもできつつ、地域住民の信頼を得て仕事をしていく、こういうわけであります。  それから、中にはもう一介の一刑事で頑張ると、生涯一刑事ということで昇進は一切考えないで、まさしく職業、プロ意識に徹して、どこの警察にもそういう人がいますけれども、殺しのプロだ、盗みのプロだと言いまして事件現場に夜の夜中であろうともぱっと駆けつける。やっぱり若いころ鍛えている体力があるからできるんでしょうけれども、そうして事件を解決して住民との信頼関係を保っていく、こういう仕事が警察では十分に評価されているわけであります。  自衛隊若年定年制というのは何だと、これを考えてみますると、古い発想から来ているんですね、戦争は若い者がやるものだと。吹雪の中、砂漠の中を鉄砲を担いで行進していって、三日三晩飲まず食わずで頑張って、敵と遭遇すれば戦争をする、これは若い者の仕事だ、年寄りにはとてもできないと、こういうことから若年定年制ということが何ら反省も加えられずにずっと来ていたんだろうと思うんです。  しかし、今の話にも出ましたけれども、これからの戦争はもう全然タイプが変わっているんだろうと思うんです。シミュレーション戦争、コンピューター戦争と言ってもいいし、体力を使う人は使う、若い世代はその方面で頑張る、それから比較的四十、五十になったような年配の人は、その持ち味を生かしてその持ち場、持ち場で頑張る。幾らでもそういう仕事があるんだろうと思うんです。今日四十、五十、あるいは六十の人を老人扱いしたらみんな怒るでしょう。何を考えているんだ、我々年をとってもまだ若いやつらには負けぬと、こういう時代ですから、そういう時代に合わせた定年制というのを考えていかれてはどうだろうか、こう思うわけであります。  とっさの質問でございますので、野呂田長官、とっさの回答で結構なんでありますけれども、どうです、この若年定年制見直しということを野呂田案とでもしまして提案してみられたらどうでしょうか。長官、これが実現したら、長官の名前、野呂田という名前が、いいか悪いか知りませんけれども自衛隊史の上にさん然と輝くんじゃないでしょうか。  真剣に考えて、皆さんの意見も徴集して、若年定年制は、もうこういう時代だから見直そうということを考えられたらいかがでしょうか。直接お答え願います。
  144. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 昔、褒め褒めとられる徴兵検査という言葉がありましたが、今の佐藤委員のお話を聞いておりますと、私も何となくそのお気持ちがわかります。  定年制というものはもう少し必要に応じて延ばしてもいいんじゃないかと思いますが、一方において、さっき委員もおっしゃったとおり、体力的にきつい業務に従事する者がいないとこれは防衛になりませんので、そういう者も必要とする以上は若年定年制というものをしかざるを得ない面もあるということで、御意見を十分しんしゃくしながら対処していきたい、こう思っております。
  145. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 実は、私の提案を真剣に考えておられないんじゃないでしょうか。  若い人は若い人なりに現場で頑張る、それから年配者はそれなりにまた持ち味を生かしてそれぞれのポストポストで自衛隊のために頑張っていく、そういうことを考えられたらどうかと、こういうことでありまするから、真剣に少し取り上げて考えてみてください。  次の問題に移ります。  NECの問題でありますけれども、実はこの前、当委員会での質疑の中で長官が、「とにかくよく先生が引用されます宇宙事業団の過払い事件が五カ月程度で終わったということでありますが、」と、こういう発言がほかにも出てきています。  これは私、大変意外でありまして、私、こんなことを引用したことは一回もないんですよ。なぜ私の名前がここで出てきたのか。  これは何か、宇宙開発事業団は五カ月かかったと、よってもってNECは七千件か何かもあるものだから五十年もかかるんだという、何か弁解の種として利用されているのかと。私、大変心外なものですから、私、これをいつどの場で発言しているんでしょうか、こんなことを。
  146. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ちょっと私も今具体的にいつどこでと言われるとわかりませんが、よく調べてひとつお答えしたいと思います。
  147. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私、絶対にこんな発言はしておりませんから、速やかに訂正してください。これ、大臣の発言というのは大変重く世間は受けとめますからね。ああ、佐藤議員はこんな発言をしているのかと皆さんが思われたら私大変迷惑です。  それからもう一つ、これはこの前もちょっと指摘したんですけれども、これも野呂田発言なんですけれども、「防衛庁にそういう計算もできない、中身のチェックもできないなんという、できる職員がいないなんというのはこれは暴言でありまして、」と長官はおっしゃっておる。私の発言をとらえて暴言と言う、これは容易ならざるお言葉であろうかと思います。  これは私、前回も釈明しましたけれども、これは長官の三月九日の当委員会での発言をとらえて私は言っているわけで、あの際も引用しているはずでありまして、「私どもの方に原価計算とか工数をやれる者がいないものですから少し時間がかかっている」と。  この発言をとらえて、何だこれ、原価計算もできないのか、工数計算もできないのか、そんなものなのかと。そんな人たちなら何年かかってもしようがないのかというようなことを私たしか言いましたけれども、これをもし暴言とするならば、申しわけありませんけれども、これは長官の暴言なんです、私の暴言じゃありません。これも訂正していただきたいと思います。私が何か議会で暴言を吐いたというふうに国民から思われたら、私、立つ瀬がございません。
  148. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これは本当じゃないかと思うんですが、七月二十七日の外交防衛委員会で、委員の方から、原価計算もできない、工数計算もできない防衛庁職員で国の防衛ができるのか、無責任としか言いようがないという御発言がありましたから、私はそれに誠心誠意答えたものであります。
  149. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私の言っていることを聞いておられないんですか。  私の言ったことは、三月九日付の長官の発言を引用して言ったんだと。ですから、これが暴言だと言うには、長官が暴言を吐いているんですよ、私じゃございませんよ。そういうことを私は言っているんです。
  150. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 詳細に検討した上で、私の発言に不穏当なところがあれば謝りたいと思っております。
  151. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 では、次に進みます。  NECの水増し請求問題が十一月に発覚して、今日までもう数カ月かかっておる。何とか年末までにはと、こういうお話でありますけれども、年末、大丈夫でございましょうか。
  152. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほど来お答えしているとおり、年末までに仕上げたいと思っております。  今、NECの問題を検討するために専門家のチームを設置いたしまして、原価計算部門の課長クラスなど十五名がメンバーとして参加するとともに、原価計算第一課長をヘッドに、ベテランの課長補佐クラスを初め常時約三十名体制でこの問題に取り組んでおりまして、十五名のほかに三十名でありますから四十五人、その他十名ほど増員して作業に当たらせており、また原価計算部門の隊員も約二十名、調査作業に従事させております。  合わせて約百名のメンバーで今、昼夜を分かたず頑張らせておりまして、これに外部の公認会計士のコンサルティングを受けることにして、年内に何とか解決したい、こういうことであります。
  153. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 犯罪というものは、水増し請求は詐欺ですから、犯罪というものは犯罪をやった者が一番よくわかっているわけです。調べるまでもなく、大体のことはもうわかっているわけです。  これはNECが自首してきたと言ってもいい、十一月五日です。そして、十一月六日に防衛庁がその詳細を発表したところ、それはそのとおりである、反省している、それから防衛庁の調査には全面的に協力する、こういう談話までNECは発表している。  これは、だれが考えましても、最初に、しかも二重帳簿までつくってやっていたというんですから、二重帳簿と本来の帳簿とを照合すれば、こんなものはコンピューター計算で恐らく三日か一週間もあればできることなんです。  ですから、とりあえずNECに対して、自分たちがやったというその犯罪を調べててんまつ書を提出しろと。期間はいついつ、一カ月なら一カ月と、こういうふうに言明しまして、そのときまでに持ってくるでしょう。  それについて、防衛庁が原価計算や工数はできないと言うならしようがないから、外部の公認会計士にでもお願いしましてこれを点検させて、大体これでいいですよとかあるいはもう少し追加してこの点を調べた方がいいんじゃないでしょうかと、こういう示唆を受けて調査を進めると。宇宙開発事業団はどうもそういうやり方をしたみたいですけれども。  率直に申し上げまして、帳簿の見方もよく知らない、原価計算もできない、そういう人たちが何十人集まったって、調査はなかなか進まないでしょう。どうしてNECにまずもってやらそうとしなかったんですか。おかしいとしか思えないんですけれども
  154. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) NECは、二重帳簿の存在は認めたんですが、どの部分でどのくらいの水増しがあるか等の詳細については認めているわけじゃありません。  この種の事件は、現在でも既に差益の返還を求めているところと訴訟が起こっているわけですから、私どもとしては、宇宙開発事業団方式で仮にNECがこうだと言って持ってきても、それをうのみにして、後で裁判になった場合に全くでたらめだったということになれば、これはまた国会国民に対して申しわけないということで、結局は全体について防衛庁責任を持って調査しないと、うのみにして受けるということはできない。  ですから、宇宙開発事業団方式をとっても結局は二重手間になりますから、私どもとしてはみずからこの実態を究明したいということで今やっている次第でございます。
  155. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 またお言葉ですけれども、うのみにしろなんということは私一言も言っておりませんよ。  まず、基礎資料はNECから提出させなさいと。それに基づいて、専門家にでもその資料を見させまして、これがいいのか悪いのか緻密に検査をしなさいと、こういうことを言っているわけで、基礎資料から何から防衛庁がやっておると、大変おかしいじゃないかということを言っているだけですよ。  それから、最終的に意見がもし食い違えばそれは裁判に持ち込まれていく、これは当然ですから、裁判をする権利というのは国民の権利ですから、それは何も防衛庁責任問題にまで波及するなんてことはあり得ませんよ。そんなことはおつきの者に聞けばすぐわかるでしょう。裁判が起きて、それはそれで仕方がないことですよと。それだけの話なんですよ。ちょっとおかしいと思います。  いずれにしろ、年内に結論を出すということでありますから、その結果を心待ちにしております。私、若いころから、よく言えば大変粘り強い、悪く言えばしつこい、こう言われたタイプですから、なかなかこの問題はあきらめませんから、どうかそういうおつもりで対応してください。お願いいたします。  それから最後に、NECからの政治献金の問題にちょっと触れさせていただきます。  これは前にこの委員会長官にお尋ねしましたら、ここに議事録もありますけれども、「その道の権威者である佐藤委員からそういう申し入れがあったということは党の幹部にも申し入れておきたいと思います。」、要するにNECからの政治献金はもうきっぱりやめなさいと私がこう言ったことに対するお答えが、党の幹部に申し伝えますと、こういう返事になっております。  もうこれから半年近くたっておるんですから、党の幹部に申し入れてその結果がどうなっているのか、それをちょっと披瀝していただきたいと思います。
  156. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ひとつお断り申し上げておきたいと思いますが、これはあくまでも献金を行う企業と献金を受ける政治団体との関係でありまして、私が余りとやかく言えるような話じゃないと思いますが、その答弁にありますとおり、党に申し入れないのかということも言われましたから、党の三役に申し入れたということを申し上げたわけであります。  その後どうなったかについては、ついせんだって経理を預かっている事務局に伺いましたら、ことしはまだ献金を受けていないと、これから先はどうかと言ったらわからないという話であったということを申し上げておきます。
  157. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そういたしますと、これから先も自民党とすれば受け入れる可能性は持っておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  158. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) それは私の口からはそんなことを言える立場にないわけでありまして、だれか総裁か何かでなけりゃお答えできないと思いますので、ぜひひとつ。
  159. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 防衛庁長官であり自民党の有力党員のお立場を聞いておるわけですよ。防衛庁絡みで水増し請求事件があった、それについて私は何も言える立場にないと、そんなことが言えるんでしょうか。むしろ長官の方から党に対して、もうやめてくれと強く申し入れる、それは当たり前のことじゃないでしょうか。私はそう思います。
  160. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ぜひやめてくれということは申し入れたということは先ほど申し上げたとおりであります。それ以上、私がやめさせる権限がないということを申し上げているわけであります。
  161. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に。  権限の問題じゃなくして、これはモラルの問題だと言ってもいいと思うんですよ。そういうふうに受けとめてください。そんな小役人のような、権限があるとかないとか、そんなことを私は聞いているわけじゃないんですからね。政治家のモラルの問題だと、こういうふうに受けとめてください。  これは、後ほどまたお尋ねいたします。
  162. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) よく承っておきます。
  163. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  自衛隊法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  164. 河本英典

    委員長河本英典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、田村君から発言を求められておりますので、これを許します。田村秀昭君。
  165. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、ただいま可決されました自衛隊法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     自衛隊法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、適切な審査を経た上で自衛隊員の再就職を促進することが我が国防衛力の健全な人的基盤の確保に資する等との基本的認識に立ち、次の事項について、検討の上善処すべきである。  一 再就職承認に関する本法の運用に当たっては、大多数の自衛官は、企業等と直接関係のない防衛関係職務に任じているという実態及びその職務任用形態特殊性等を踏まえ、自衛官が自信と誇りを持って職務に精励し、安んじて再就職できるよう特段の配慮を行うこと。    また、再就職支援のための施策以外の施策についても適切な組織の設置等も含め、検討すること。  二 再就職承認についての具体的基準を定めるに当たっては、公務の公正性確保に遺漏なきを期すとともに、特に、若年での定年退職を余儀なくされる自衛官の再就職の必要性、任務の特性等を十分に踏まえること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  166. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいま田村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  167. 河本英典

    委員長河本英典君) 多数と認めます。よって、田村君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、野呂田防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。野呂田防衛庁長官
  168. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして十分配慮し、努力してまいりたいと存じます。
  169. 河本英典

    委員長河本英典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  171. 河本英典

    委員長河本英典君) 速記を起こしてください。  それでは、休憩いたします。    午後零時十七分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕