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1999-07-27 第145回国会 参議院 外交・防衛委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     佐々木知子君      森山  裕君     上野 公成君  七月二十三日     辞任         補欠選任      上野 公成君     森山  裕君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 大野つや子君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 木俣 佳丈君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    政府委員        内閣官房内閣情        報調査室長    杉田 和博君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁人事教育        局長       新貝 正勝君        防衛庁経理局長  首藤 新悟君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、阿南一成君が委員辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 おはようございます。  私、通告していた順序を変えまして、情報本部強化の方を先にやらせていただいて、その後、師団の再編成その他について御質問をさせていただこうと思っております。  防衛庁長官、今回、統幕会議の六十一名増員、この資料等によりますと主として情報分析要員情報本部体制強化要員に向けるということのようでございます。防衛のような組織にとって、情報、特にこれからは衛星情報収集分析というのは非常に重要な要素を占めてくると思っているんですが、今回の増員も含めまして、防衛庁として情報本部体制強化という問題を現時点でどのように考えているのか。これで終わるわけじゃないと思うんです。まだ相当力を入れていく必要があるんじゃないかと思っておりますが、この点についてまず御報告願いたいと思います。
  5. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ただいま御指摘のとおり、防衛庁としても情報収集あるいはその分析体制強化は極めて重要な問題であると考えております。  従来からこういう各種情報機能強化に努めてきたところでございますが、特に大事な任務を持っておる情報本部につきましては、その役割を十分に発揮できるように平成九年一月の設立後も鋭意その体制整備に努めてきたわけでございますけれども平成十一年においては五十三名の自衛官増員したいと、こう考えております。  さっき六十一人とありましたが、情本の方が五十三名で統幕の方が八人ということでございまして、この五十三名につきましては、特に画像情報支援システム等機材導入に伴う運用体制整備のための要員とか、あるいは情報分析体制充実を図るための要員とか、あるいは情報保全体制充実を図るための要員とかというようなことを考えております。平成十一年度における情報本部運用必要最小限度増員を行おうとするものでございます。  防衛庁としましては、これからも各種情報収集手段整備やあるいは能力の高い情報専門家確保等によりまして、情報本部運用体制強化してまいりたいと、こう考えております。
  6. 依田智治

    依田智治君 今度導入する衛星というのは分解能一メートルというように聞いておりますが、それをいかに読み取るかということが極めて重要で、そのためには本当に相当専門的に習熟する必要があるというように聞いておりますので、今後ともこの体制強化に努めていただきたいと思います。  これに関連して、きょうは内閣情報調査室長に来ていただいておりますが、内閣として情報収集を、これから四機ですか、入れるということになってきて、ここでどういう体制でやるのか。  これは自前で運用し、これを国家安全保障を含めて多角的に活用していくということになれば大変な問題だと思うわけですが、この体制情報分析要員の獲得も含め、内閣としては現在どんな準備状況なのか。それとまた、増員の要請というような問題。今、防衛庁からも御報告がありましたが、恐らく防衛庁情報本部経験というものも相当生かして、また今後それを活用してタイアップしていかなきゃならぬと思うんですが、このあたりについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  7. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 政府が打ち上げようとしております衛星運用という点につきましては、現時点中央中央センター、さらにまたそれをバックアップするサブセンター、そして今回打ち上げる衛星周回衛星で、特に南北に回りますので南と北に二つ受信局、こういう体制運用する予定であります。  特に、委員が御指摘になりましたとおり、衛星を打ち上げて情報をとる、それをいかに解析、判読をするかというのがまさに最重要であります。そこで、こういった要員相当程度早く確保して、そして相当の機関で徹底した訓練を行う必要があるというふうに考えております。  ただ画像を見たのでは何もわからないわけでありまして、その前提として軍事技術、軍事的な知識、さらにまた土木建築的な知識、さまざまな知識が必要であります。そういう知識前提にして衛星からおりてくる情報を読み取るということが何よりも必要でありますので、平成十二年度から増員の要求をいたしておりますけれども、認められ次第要員確保して、直ちに教養訓練に当たりたい。そして、衛星が打ち上がった時点ではその日から有効に活用できるようにいたしたいと考えております。  もとより、今、防衛庁長官がお話しになられましたとおり、防衛庁においても情報収集体制というものが相当程度計画的に強化をされます。したがいまして、今度打ち上げる衛星は、安全保障さらにまた危機管理、このための衛星でありますから、十二分に防衛庁、特に情報本部のそうした動きと連携をとりながら進めてまいりたい、かように考えております。
  8. 依田智治

    依田智治君 今、できるだけ早く増員等を要求し確保して訓練をし、導入される時点ではしっかり体制を整えたいというので、大体おおよそどのくらいの規模体制というものを考えているんですか。  それから、訓練というものはどういうことを、内閣独自に訓練するのか、防衛庁情報本部等にお預けして情報分析要員の養成をするとか、まだそのあたりの具体的なことは決まっていないんじゃないかと思うんですが、ざっと現時点でどんな構想を持っているのか。
  9. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 体制最終決定というのはまだしておりません、検討中であります。しかしながら、大体大きく申しますと、当初二百名程度かなというふうに私ども見積もっておりましたけれども、今申し上げましたとおり、いろいろな設計をしてまいりましておりてくる情報の量というもの等を考えますと、それがもう少し膨れるのかな、大体三百人前後になるのではないかと私ども現時点では試算をしております。これからよく詰めまして、むだなところを省き、必要最小限度要員がどうなるか検討してまいる、こういうことであります。  それから、教養訓練でありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、要員確保されますと最低限度のまず初歩的な知識、こういうものの教養訓練をやります。それから、さらに段階的に中程度、さらにまた最終的には場合によっては外国に要員を派遣してそこで実地の訓練をするということも考えております。  もとよりその過程においては、我が国内では一番やはり高い知見を持っております防衛庁情報本部、こういうところにも御協力をいただいて教養訓練等にも大いに資していただきたい、かように考えておるところでございます。
  10. 依田智治

    依田智治君 いずれにしても、試算でも二千億とか相当な金をかけての取り組みでございますし、国家安全保障も含め危機管理的にも相当な力を発揮していただく必要があると思いますので、ひとつ真剣な取り組みを、また防衛庁の方としてもその内閣取り組みに対する重要な一員としてしっかりとタイアップして力を入れてやっていただくようにお願いしておく次第でございます。それでは室長、結構でございます。  そこで、師団の再編成等に基づく定員の削減の関係をお伺いします。  今回の自衛官並び即応予備自衛官定数改正というのは、新防衛計画大綱ができて中期防ができて、ことしは中期防の四年目、来年が最終年度ということになるわけでございますが、この間第四師団改編等に始まって防衛庁としては新たな即応予備自衛官制度導入というようなことで取り組みをしてきているわけでございますが、現在までのこの計画に基づく進捗状況の概要、これを御報告いただければありがたいと思います。
  11. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 中期防におきましては、自衛隊の五個の師団につきまして、これは装備近代化も配慮しなければいけませんが、この五個の師団について改編を実施しまして、そのうち二個の師団については旅団改編することとしております。また、改編した師団及び旅団を構成する一部の部隊については、即応予備自衛官を主体として編成することとしております。  現在まで、平成年度に第四師団、御案内のとおり福岡でございますが、平成年度には第六師団、これは山形の神町でありますが、それから十三師団、広島の海田市でありますが、この十三師団改編を実施しております。このうち第十三師団につきましては旅団改編したところであります。また、これらの改編に合わせまして逐次即応予備自衛官導入しておりまして、現在第四師団に千三百七十人、それから第六師団に千四百六十五人、それから第十三旅団に五百四十四人、計三千三百七十九人が法律上員数化されているところであります。
  12. 依田智治

    依田智治君 旅団化とかさらにそれに伴う即応予備自衛官導入、特に即応予備自衛官というのは、後ほど質問しますが、年に三十日は少なくとも訓練せねばいかぬということもあって、非常に要員確保というのは、ただ頭数だけを、本当にやる気のある優秀な隊員の確保というのは大変だと思います。それからまた、師団旅団化ということになれば削減すると。人事配置等も今まである程度師団の周辺でやっていたのを相当広域に人事配置しなきゃならぬようなことも出てくるんじゃないかと思いますが、このあたり要員確保等はスムーズにいっているのかどうか、そのあたりを御報告願いたいと思います。
  13. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 即応予備自衛官の員数の充足につきましては、その任期が三年間ということでありますから、三カ年度にわたりまして計画的に充足してきております。  平成年度末におきましては合計二千四十八人の確保計画し、そのための採用活動に努めた結果、同年度末現在で計画どおり合計二千四十八人の現員を確保したところであります。これまでのところ、師団改編等に当たりまして、隊務運営即応予備自衛官勢力確保に支障を来すような問題は発生しておりません。  防衛庁としては、今後とも中期防に基づく部隊改編が整々と実施し得るよう、即応予備自衛官の問題を含めて万全を期してまいりたいと思っております。
  14. 依田智治

    依田智治君 即応予備自衛官については、今要員計画どおり確保されているということでございます。私は、この制度で重要なのは、防衛庁自衛隊経験者といっても離れているわけですから、いざというときには正規の自衛官にまじって仕事をするということですから、訓練日数確保される、相当立派な訓練確保されるということが重要なわけです。  御承知のように、現在の通常の予備自衛官というのは、規定上は一年を通じて二十日を超えない期間訓練するということになっているわけです、建前は。しかし、現在、自衛官をやめてすぐなった人は一年に一日の訓練、それからそれ以外の人は五日間の訓練ということでやっているわけです。その五日間といっても、一たん仕事についた人に年に五日間出てきていただくというのは結構難しいようで、それぞれの地方は苦労している。手当を多少増額したといっても、三十日間訓練ということは、私は容易ならぬことだろうと思っているんです。  第四師団あたり即応予備自衛官を採用して一年以上たっているわけですので、その間の訓練実績等も出ていると思いますが、企業なり即応予備自衛官になった方々の御協力も得てそういう訓練計画どおりいっているのかどうか。一カ月休みにして訓練するといっても無理なので、恐らくある程度適当なところへ参加してもらっているんだと思いますが、どんなぐあいに計画を立ててどんな訓練をし、現在実績的にどんなぐあいになっているのか、このあたりを御報告願いたいと思います。
  15. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 即応予備自衛官招集訓練につきましては、中隊などが基本的な戦術行動を最小限実施できる練度を達成するといった観点から考えております。今おっしゃいましたように、年間三十日の訓練を実施することとしておりますが、この三十日間の訓練招集というのは確かになかなか大変でございます。  部隊の方としましては、なるべく訓練招集ができやすいような形で訓練をしたいというふうに考えておりまして、年間前期招集訓練、それから後期招集訓練というふうな二つの形態に分け、さらにそれでも来れないというときには補備訓練というふうな形を行っております。この場合におきましても、三十日の訓練招集期間を八回または十二回に分割しまして、より来やすい形をとることによってやっております。複数の各回につきましても、複数の日程を設けまして、それが選択できるというふうな形にいたしまして訓練参加者訓練を円滑に実施できるように努めているところでございます。  平成年度招集訓練実績についてでございますが、第四師団でございますが、年度当初から一年間在職しました即応予備自衛官は七百名でございますけれども、ほぼ全員が三十日の訓練に従事したところであります。そういった意味ではおおむね順調に推移したものと認識しておるところでございます。なお、平成十一年度におきましては、第四師団、それから新たに第六師団、第十三旅団におきまして招集訓練を現在実施しているところでございます。
  16. 依田智治

    依田智治君 今の話ですと、前期後期に分けたり、八回から十二回に分割したり、その中でもメニューをいろいろ変えたりして何とか三十日出ていただいているということで、第四師団の例では実績確保しているということです。ただ、いざというときは師団の中に入って一緒に行動するわけなので、全員招集訓練師団と一体になった訓練というものもこの中には含まれているんですか。ただばらばらと個人技量だけを磨いているというのでは意味がないと思うので、そこらあたりのところまではまだ行っていませんか。
  17. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 訓練内容につきましては、当初は個人訓練ということで、最低限の基本的な戦術行動能力確保するということで精神教育あるいは小銃の射撃訓練、それから各特技の訓練というものから始めまして、これを大体十六日程度実施することにしております。後、三十日のうち残りの十四日、この分でもって中隊以下の各級部隊普通科部隊でいいますと班の訓練、それからその上の小隊の訓練、それで最終的に中隊訓練、こういうふうな形でやるようにいたしております。
  18. 依田智治

    依田智治君 わかりました。  今、年に何回も分けて訓練にちょこちょこ出てきてもらうと、それぞれ仕事を持ってやっている人ですから。私の友人にガードマン会社の社長をしているのがいて、即応予備自衛官相当出していると。それで、彼なんかは相当理解があって、もう当然だというような感じを持っていますが、出していただく企業主に、年間通じて五十一万何千何がしかの金を企業には出しておりますが、この企業主理解を得るための施策というか、何か企業主だけの横断的な会をつくって時々招集し、集まってもらって理解を得るとか何かやっておるのか。  そのあたり広報対策というか、これを御報告いただければありがたいと思います。
  19. 新貝正勝

    政府委員新貝正勝君) 企業との関係でございますけれども先生おっしゃるように、企業からの協力ということが一番不可欠でございます。即応予備自衛官個人の問題もございますが、個人の意思、努力というものに加えまして、企業の方としては、不在時の業務調整あるいは休暇取得への配慮などの面で、そういった雇用企業からする理解協力が不可欠でございます。したがいまして、防衛庁といたしましては、先ほど先生指摘のような、即応予備自衛官雇用企業給付金等を支給しておるところでございますが、このほかに即応予備自衛官制度についての理解協力を得るということで、出版物を初めいろんな広報を行っております。  先生指摘のような、企業に対する広報をどういうふうに行っているかということでございますが、これは各方面隊で各企業に対する広報を行っております。これまでに、企業の約三万六千数百社に対してこの制度内容といいますか、そういうことにつきまして御理解を得るために説明会等を開いてきておるところであります。  なお、経済団体あるいは業界団体に対しましても、防衛庁の方からいろんな資料を提供し、あるいは説明会に行くというような形でこれまで努力をしてまいっているところでございます。
  20. 依田智治

    依田智治君 今後とも企業主協力というのは大変重要だと思いますから、引き続き努力をお願いしたいと思います。  最後防衛庁長官、以前から研究していただいていますが、この即応予備自衛官一般予備自衛官から引き上げる例が多いと思うんですが、そうすると一般予備自衛官というものはまた補充しなきゃいかぬと。そうなってくると、私は、やる気があって本当に国のためにひとつ任につきましょうという人を、一般人からも予備自衛官を募集する制度というのを採用したらどうかなと、防衛庁検討課題だと言っていましたが、最近検討が進んでいるのかどうか、最後にお伺いして終わりたいと思います。
  21. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 自衛官の未経験者である一般国民予備自衛官に採用することの可否等については、いろいろな御意見があると思います。  まず、一般国民自衛官経験者との相違等を踏まえて検討してみる、それから一方においては、国民の合意に関する意識の一層の向上という観点からも十分に検討してみる必要がある。この両点から私どもも、国民や国会の御理解が得られるならば、ぜひ一般国民予備自衛官に採用するという点について少し具体的に検討してみたい、こう思っております。
  22. 依田智治

    依田智治君 離島などへ行って青年などといろいろ話をしていますと、私を予備自衛官にしていただけませんかなんて志願する人もいるんですね。私は、密航とか平時の警戒なんかにもいろいろ協力いただくというような意味においても非常に重要だなと思っていますので、これは引き続き検討をお願いしたいと思います。  終わります。
  23. 柳田稔

    柳田稔君 おはようございます。  今、依田先生の方から訓練について一般的な御質問がありましたけれども、私は一つだけ聞きたいと思うんです。  最近、テレビや新聞を見ていますと、ゲリラに対する訓練が行われているという報道がよくされておるのが目につくのでありますけれども、このゲリラ対策訓練、実態は今どのようになっているんでしょうか。
  24. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 陸上自衛隊におきましては、我が国に対する着上陸侵攻が生じた場合の対処等について、その任務を適切に遂行するために、市街地戦闘訓練を含め種々状況を想定した訓練を実施していることは事実でございます。  市街地戦闘訓練関係で申し上げますと、陸上自衛隊第一師団隷下の第三二普通科連隊、これは市ケ谷でありますが、市ケ谷では、平成年度より市ケ谷駐屯地において、市街地での戦闘行動についての検討を行うため、駐屯地内の隊舎等を用いて訓練を行ってきたところであります。  報道にある訓練は、本年六月二十七日に同駐屯地において、このような訓練の成果を踏まえまして、敵の小規模部隊市街地に侵入したとの想定のもと、一般的な部隊練度向上を目的に中隊規模で、参加人員約二百人程度でありますが、実施したものであります。  そうした訓練を行うことについて、特定の国とかあるいは特定の軍隊を念頭にしているわけではございませんけれども陸上自衛隊としては、その任務を適切に遂行するため、種々状況を想定した訓練を実施したものであります。
  25. 柳田稔

    柳田稔君 その訓練は過去から大分やられているとは思うんですけれども、最近とみにその訓練を、強くといいますか頻繁にというか、訓練内容も厳しい内容になっているとか、そういった変化があるんですか。
  26. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) これまで委員からもテロリストやなんかの問題についてのいろいろな有益な御指摘をいただきましたので、私どももその重要性を考えまして、だんだんとそういうことに即応できるような訓練もいたさなきゃいかぬな、こう思っているところであります。
  27. 柳田稔

    柳田稔君 私は、大変必要なことだと思っておりますので質問させてもらっているんです。今、長官おっしゃいましたように、市街地戦闘訓練、それに対してはある特定の国とか想定していないという答弁でありましたけれども、今の日本を取り巻く状況を見たときに、特定の国を考えざるを得ないという気がしているんです。  最近、韓国での会談とか、きのうまでシンガポールで行われた会談、いろいろ内容を見ておりましても、ほとんどは北朝鮮のミサイル実験、向こうに言わせれば宇宙衛星実験だと言うかもしれませんが、それに対する決意も相当強いし、そして会談内容もそれにウエートを置いた会談が多いということも考えますと、やはり特定の地域の、名前は言わない方がいいのかもしれませんが、相当逼迫してきているなという気がしているんです、私自身としては。  先日来、日米新ガイドラインに基づく審議がございましたけれども、あのときも私は、ゲリラについては相当な覚悟を持って防衛庁も臨まなきゃならないということも申し上げました。とすると、そうのんびりしている状況ではないのではないかなと。いろんな緊急事態のレベルがありますけれども相当逼迫した状況まで来ているのではないかと私は思わざるを得ないという気がしているんです。  そうしたときに、今、長官に答弁していただきましたけれども、今の状況相当厳しく認識されてそれなりの訓練をされていると思うんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  28. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今、委員から御指摘いただいたように、我が国を取り巻く内外の諸情勢というのは大変厳しいものがありますし、私どもは、そういった変化を踏まえまして、それに対応できるような総合的な訓練をやってまいりたい。  そういう事態が発生したときは、適切に対応できるような練度の高い訓練を実施する必要があるという前提で実施しているものであります。
  29. 柳田稔

    柳田稔君 先ほど二百人規模とおっしゃいましたよね、長官。それでどれぐらいの対応ができるのかということもあるのであります。そして、訓練をしていただいてそういった非常事態に備える、重要なことだと思うんです。  ちょっと角度を変えて質問させてもらいますが、不幸にして日本の領土の中でそういったゲリラの行動が起きたと。この二百人規模でどれぐらいの対処ができるものなんでしょうか、向こうの規模にもよるんでしょうけれども。つまり、一カ所のゲリラ戦に対応する能力を持ったのか、それとも同時期に二十カ所で起きても対応できるぐらいの部隊を今訓練しているのか、その辺はどうなんでしょうか。ちょっと細かくなりますけれども
  30. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) 先ほど大臣から申し上げました市ケ谷で実施しましたものは中隊規模、約二百名が参加して行った訓練でございます。従来からこの種の問題意識は持ち続けておりますが、実は余りこういうものを実施する本格的な訓練施設といったようなものもないということで市ケ谷の隊舎を使ってやったと。そのキャパシティーの関係もあって二百人規模というのが現状では実施できる訓練として行ったものであります。  今後、先ほど大臣が申し上げましたように、国際情勢の変化等を踏まえましていろいろ可能なあらゆる事態に我々は対応の準備をしなければなりませんので、さらにこういった、こういったという意味は具体的に何人規模でどこを使ってということではございませんが、こういった種類の実戦的な訓練を、この間の部分は市ケ谷の東部方面隊でございましたが、さらにほかの方面隊でも実施をしていかなければならないだろうと思っております。  したがって、とりあえず二百人規模で行ったというのは中隊という一つの部隊の基本的な単位として動いた、そういう訓練でございます。さらに今後どのような規模でやっていくかというのは、また大臣の御指導もいただきながらさらに検討をした上で充実させていく必要があるだろうと思っております。
  31. 柳田稔

    柳田稔君 私は、個人的にはもっとふやしていくべきではないのかなという考えを持っています。  そして、今度また別の角度なんですが、実際そういうゲリラ活動が行われたときに一番最初に対応するところは、防衛庁ではなくて警察なんだと思うんです。その警察と防衛庁の連絡、連携といいますか、何か行われておるんですか。
  32. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) もう先生御承知のとおり、先般のいわゆる不審船事案の教訓、反省事項の一環といたしまして、海上保安庁との間では非常に実戦的なマニュアルづくり等の検討を行っております。それにあわせまして、内閣安全保障危機管理室の方でも音頭をとっていただいて、警察庁との間でもさらに実戦的な形の対応の詰めというのを今事務的には進めておるところでございます。
  33. 柳田稔

    柳田稔君 早急にすべきだと私は思うんです。というのは、ミサイル実験が八月にもと言われていますから、とすると今月中にはほぼ警察との連携はでき上がりましたと、八月にいかなる場合が起きようとも対応できますという状況まではつくり上げておく必要があるのかな、そう思います。できるだけ早く綿密な連携をとりながら計画を立てていく必要があるのかなと思いますので、努力をしていただきたい、そう思うんです。  それと、訓練もある程度進んだ、そして警察とも連携ができた、そしてあるかないかわかりませんが、不幸にして市街地でそういうゲリラ活動が起きたと想定したときに、果たしてその訓練された自衛隊員の皆様は、その実戦の場所で対応できるのかなという疑問があるんですよ。  というのは、首都圏のある地域でそういった活動が行われた、警察からこれはゲリラだ、だから自衛隊に出動をお願いする。自衛隊はそれにこたえて、じゃその訓練を積んだ隊員をそこに派遣するといったときに、果たしてその自衛隊員がその地域まで行って実際の作戦が行い得るのかなという疑問点があるんです。よくマスコミにも報道されていますけれども、信号が赤に変われば自衛隊員であろうととまらざるを得ないという新聞記事がありますよね、実はそういった法整備のことなんです。  また、そういう危険なことですから住民の避難を命令しないといけません。これをするのは地方自治体であるかもしれませんが、一番よく状況を把握しているのは自衛隊ですから、自衛隊が発しないといけないというのもあるでしょう。もうこれは一秒を争うことですから、官邸に連絡して官邸で何か会議を行って、その結果を聞いて住民に知らせますなんという悠長なことはできないですね。  そうすると、緊急性も要する住民の避難、退去をどうするのか、そして作戦をするとするとそこの私有地を使うしかないです。退去させて、そこの私有地を使って行動せざるを得ない。そういった法整備はどうなんですか、今の状況は。
  34. 柳澤協二

    政府委員(柳澤協二君) まず、その事務的な検討状況のラインで御説明申し上げますと、私どもとしては、まずは現行法制の枠組みのもとでどのように関係機関との協力の実を上げるかという方向で検討させていただいております。  現行法で申し上げますと、こういういわゆる武装ゲリラといったようなケースにおきましては、状況により防衛出動が下令され、あるいはもう少し形態の違うケースでは治安出動という形で自衛隊の出動が命じられるケースがあるだろうと思っておりますが、そういう枠組みのもとでできるだけ関係機関との協力をスムーズに行うための事務的な詰めを今やらせていただいております。  他方で、先生今御指摘の法的な側面の問題につきましては、いわゆる有事法制の研究ということで従来から研究を進めさせていただいておりまして、その中ではいわゆる第三分類の中で、先生今お挙げになった住民の避難、誘導といったような点も挙げられております。そういったところも、私どもとしてもさらに研究を深めていく必要があるだろうと思っております。
  35. 柳田稔

    柳田稔君 長官にお伺いしたいんですけれども、八月のミサイル実験というのは、一つの大きな区切りという言葉はよくありませんけれども、やはり一つの大きな問題ですね、これは。  行われるか行われないかわかりませんけれども、北朝鮮側は実験すると言っているわけですから、それは時期は明確ではないかもしれませんが、我々としては八月ということを念頭に置かざるを得ないとすると、そんなに時間ないですね。国民の方はまあどっちかというと平和ぼけが進んでいると言ったらまたお小言いただくかもわかりませんが、自衛隊はそうであってはならないんだろうと思うので、相当の危機感を持って相当なスピードでやっていかなきゃならないときではないのかな、私はそう思うんです。  長官、どうですか。要するに、私は北朝鮮の八月のミサイル実験というのは非常に危機感を持っているんです。防衛庁全体として、その辺の意識はどうなんでしょうか。
  36. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 北朝鮮のミサイル発射につきましては、私どもは、目下関係諸国間で密接な連絡をとりながら、細心の注意を払って継続的に情報の収集や分析を行っている次第でございます。  はっきり言いましてかなりの情報、正確な情報を持っていると思いますが、その中身について申し上げるわけにはいきませんが、そういう情報を総合的に判断いたしまして、ミサイルの発射が現段階で差し迫っているというふうに判断するまでには至っていない、こういうふうに思っております。  発射された場合の自衛隊の対応につきましては、一般論として申し上げれば、防衛庁としては、早期警戒情報を含む関連情報の公表に努める、落下状況とか被害の発生状況等を迅速に確認する、それからミサイル発射の個別具体的な状況に応じて適切な対処を行ってまいりたい。  いずれにしましても、防衛庁としては、頻繁に北朝鮮問題への対応、特にミサイルが発射された場合の対応につきましては重要事態対応会議を開きまして議論を詰めているところでありまして、そういう成果として適切な対応ができるように努力してまいりたい、こう思っている次第でございます。  なおまた、あすアメリカの国防長官コーエンさんがおいでになりまして、ミサイル問題等を中心にして日米防衛首脳会談が持たれることになっておりますので、アメリカとの緊密な連絡、あるいは韓国との連絡も、春、三月に行った際にこのあたりに重点を置いて連絡体制整備を図ってまいりましたので、ぜひひとつ日米韓の連絡を緊密にしながらこれに対処してまいりたい、こう思っている次第でございます。  お聞きになっている範囲を出る話でありますが、私どもとしては、今まで弾頭が我が国の領海を越えてどこに落ちたかはこれまでの日米間の話し合いで日本には知らさないということになっていたんですが、今度、太平洋軍司令官とコーエン国防長官が私の要請に基づいて協議をしていただきまして、弾頭弾が落ちた先まで掌握できたらきちっと連絡するというようなことも話し合いでまとまりました。  あした、またそれは改めて正式に確認したいと思っておりますが、先般はどこに落ちたかはアメリカは報告する義務がなかったんですが、今度はそれをやってくれるというようなことにもなってきておりまして、私どもとしては可能な限り緊迫感を持って間違いのない対処をしてまいりたい、こう思っております。
  37. 柳田稔

    柳田稔君 去年の八月でした、ミサイルが飛んできたのは。あのときに日本の自衛隊は、あれはミサイルだとはっきりおっしゃいました、長官もこの場所で。ところが、アメリカはあれは衛星だと言いました。あのときは衛星だと言ったんですよ、アメリカは。ところが、一年もたっていないうちにアメリカもミサイルに対して相当な警戒感を出してきました。これは何を意味するかというのは、我々は推測しかできないわけです。長官はいろんなところから情報を持っていますね、情報を持っていろんな判断をされると思うんです。  私は、北朝鮮がテポドン、その次、三段ロケットを撃つ準備をしているだろう。この実験が成功すれば、アメリカ本土も攻撃の射程圏内になる。それはアメリカにとっては非常に困る。日本に落ちようが落ちまいがアメリカはちょっとかゆい程度かもしれませんが、本土に落ちればこれは一大事ですからね、アメリカにとっては。としたら、アメリカは相当強硬な姿勢に出ざるを得ないだろう、出てくるだろう。ゲリラを養成している施設をたたくといって事前通告もなしに攻撃したこともありましたね、アメリカは。それはアメリカの国防方針にのっとって攻撃したわけですから、これはアメリカの方針だと。日本政府はそれに対して何も言いませんでした。  とすると、アメリカにとってミサイルが飛んでこられたら困るわけですから、先制攻撃しないとも限りません、アメリカは。それは、ないとは多分日本の防衛庁は言えないと思うんですよ、アメリカの国防方針ですから、そこに書いてあるわけですから。  あしたコーエンさんと会うそうですけれども、アメリカの行動と日本の行動と相当緊密に連絡をとり合わなければならなくなるという感じを僕個人は持っているんですよ。要するに、アメリカの国防も場合によっては日本が縛る可能性もあるわけです。先制攻撃はしてくれるなと、もしかしたら長官がおっしゃるかもしれません。そうすると、アメリカは縛られるわけでしょう、アメリカは多分、そんなのは嫌だ、おれたちはおれたちの国防方針にのっとってやるとおっしゃるだろうとは思うんです。そんな相当緊迫した状況に今来ているのではないかなと私は個人的には思うんですよ、一年もたたないうちにこれほどアメリカが方針を変えてきたんですから。  私は、もっと防衛庁は危機意識を持ってそれなりの準備を進めながら対処できるようにしていただきたいなと。長官は先ほど、情報はたくさん持っています、確かな情報を持っています、でも皆様には言えないとおっしゃったんですから、我々にはわかるすべがないわけですよ。わかっている防衛庁がもっと進めるべきかなという気がしていますので、やっていただきたい、私はそう思います。  それで、八月のミサイル実験と関連しているかどうかわからないんですが、北朝鮮の代表団が中国に行きましたね。私、何でこの時期に行くのかなと。そして、今度は何か中国の偉い人が北朝鮮を訪れるという話をしていますけれども、一体この意図はどこにあるのかなといって、私個人は非常に気がかりなんですよ。  これはもう日本に近い国のことですから、それについて、防衛庁、何か考えがあれば教えていただきたいんです。
  38. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 中国と北朝鮮との間では、九二年に中韓国交樹立を行いまして、それから九四年に金日成北朝鮮国家主席が亡くなられて、全般的に軍事交流というのは大変低調になっていたと考えております。  しかしながら、今御指摘のとおり、最近は軍高官の相互訪問が継続して見られるようになりました。さらに、本年六月には金永南最高人民会議常任委員委員長が首脳レベルとしては約八年ぶりに訪中したということであります。また、中国では一昨年十二月以降開催されている米国、韓国、北朝鮮及び中国による四者会合に参加しておりますが、中国は他国に対する内政干渉はできないとしつつも、朝鮮半島の平和と安定のために努力していると考えられます。  そのことは、本年七月の小渕総理訪中時にも中国側から述べられているところでありまして、七月の訪中時には、御案内のとおり、日本側より北朝鮮のミサイル再発射抑止について中国の協力を得たい旨述べたところであります。  中国側より、中国は朝鮮半島の平和と安定のため努力している、今後もできることはやるよう努力する、どの関係者も朝鮮半島の平和と安定に逆行するようなことはすべきじゃない、こういうふうに朱鎔基総理は明白に言っておりますし、また李鵬全人代常務委員長は、機会があれば日本の心配の気持ちを北朝鮮に伝えたい、こういうふうに明言されていることもありまして、私どもは、中国、北朝鮮との関係には注意を払いながら、中国が今申し上げたようなことで北朝鮮とのつき合いを濃密にしながらミサイル再発射抑止等について力をかしてくれることも期待したいと思っておる次第でございます。
  39. 柳田稔

    柳田稔君 時間になりましたからやめますけれども相当防衛庁情報を集めていらっしゃると思いますので、ちゃんとした対応といいますか、しっかりしたことをやっておいてもらいたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  40. 高野博師

    ○高野博師君 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正について二、三お伺いいたします。  今回の改正というか機能の強化について、具体的にどこがどのように強化され、合理化されるのか、予算面ではどうなるのか、簡単にお伺いいたします。
  41. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 今回の改正案は、陸上自衛官の定数を千六百四人削減するとともに、統合幕僚会議に所属する自衛官の定数を六十一人増員する、防衛庁設置法八条に定める自衛官の定数を二十六万七千二百八十人から二十六万五千七百三十七人に削減するというわけであります。同時に、自衛隊法七十五条の二に定める即応予備自衛官の員数を三千三百七十九人から四千三百七十二人に増員するというものであります。  これらの改正によりまして、陸上自衛隊第七師団、これは千歳でありますが、第七師団への即応予備自衛官導入や北部方面隊における後方支援体制の効率化などを図り、自衛業務の合理化、効率化を行いつつ、機動的な運用に必要な機能の充実を図る。それから、統合幕僚会議事務局における日米防衛協力関連業務等への対応の強化情報本部における情報収集分析体制強化を図ろうとするものであります。  定数削減の具体的な内容はちょっと時間がかかりますから省略しますけれども、大体そういう趣旨でございます。
  42. 高野博師

    ○高野博師君 数の問題ではなくて、中身の問題ではないかと思うんです。情報本部は毎年増員になっているんですが、この情報本部に関して一つお伺いしたいんですが、大量破壊兵器、これに関しての情報というのは、これに対応する体制というのは防衛庁内にできているのかどうか、これについてお伺いします。  というのは、最近アメリカの、これは特別委員会、超党派の委員会ですが、この報告書によると、北朝鮮は一つか二つ核兵器をつくるぐらいのプルトニウムを持っているのではないか、それから核計画を続けているんではないか。また、中国については、サウジアラビアとかパキスタンにミサイルを供与しているとか、核弾道ミサイル技術もパキスタンに供与している。ロシアの場合には、核物質が九二年以降七回にわたって盗難されている、そういう情報があって、これは国際テロ組織とかあるいはいずれかの核開発を行っている国に流れているんではないかと。  そこで、防衛庁として、この大量破壊兵器の拡散問題、これを専門的に扱う部署があるのかどうか、お伺いいたします。
  43. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 防衛庁としては、核兵器や化学兵器などの大量破壊兵器を保有するための研究は行っておりません。他方、国の安全保障とか軍備管理・軍縮への国際協力に必要な情報の収集、分析の一環として、情報本部など防衛庁の各種情報組織においては、諸外国における核兵器や化学兵器などの大量破壊兵器の開発、保有状況等についての情報収集を行っております。  また、化学兵器に対する防護の研究に関しては、陸上自衛隊化学学校、これは大宮市にありますが、化学防御等に関する教育訓練を行い、あるいは化学科部隊運用に関する研究、化学防御機材の研究開発等を行っております。また、技術研究本部においても、防護マスクとか防護衣等の化学防護装備の研究開発を実施しているのが現状でございます。
  44. 高野博師

    ○高野博師君 核兵器とかあるいは化学生物兵器、これは条約上は禁止されているわけですが、現実問題として国際テロ組織とか、あるいは国際約束を無視する国家もあり得るわけで、通常兵器のみではなくて大量破壊兵器についても、もっと総合的にあるいは専門的にこれに対応できるような組織的な対応というか、それが必要ではないかと私は思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
  45. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 最近の情報では、北朝鮮には生物兵器とか化学兵器を扱うような工場が八個以上実在するというような情報もあります。  私どもは、ある意味では核兵器も大変重大な脅威でありますけれども、生物兵器や化学兵器というものを調査しますと、大変慄然たるもので、大変な脅威であると思いますので、それに対応できるための体制をやはり強化する必要があると。私どもも重要事態対応会議でそういうことを今真剣に議論しているところであります。
  46. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、北朝鮮の問題についてお伺いいたします。  ミサイルの再発射について、新たな動きに関する情報をお持ちかどうか、お伺いいたします。
  47. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 前にも申しているところでありますが、北朝鮮は既にノドンの開発を完了しており、その配備を行っているという点では日米韓の共有の認識であります。そして、引き続きミサイルの長射程化を着実に進めていることも事実であります。また、北朝鮮がこうしたミサイル開発を継続する場合には、その過程において必ず発射試験等を行う可能性も否定できないと考えられます。  このような北朝鮮のミサイル関連活動については、防衛庁としても種々情報を得ているところでありますけれども、ロケットの燃焼実験やミサイル発射基地の工事を行っているなど、報道ではいろいろなことが報道されていることも承知しているところであります。しかしながら、防衛庁としては、現時点における情報を総合的に分析しまして、現在、北朝鮮のミサイル発射が差し迫っていると判断するまでには至っておりません。  今後とも、北朝鮮のミサイル関連の活動については細心の注意を払って対処してまいりたい、こう思っております。
  48. 高野博師

    ○高野博師君 八月十五日は解放記念日、それから八月三十一日はテポドン発射の一周年、九月九日は建国記念日だと。こういう日の前後に発射する可能性があるという情報もあるんですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
  49. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 特にそういう記念すべき日にそういう行動をとるというのは北朝鮮の一つのやり方でございますので、私どももそういう日については、特にその前後については大きく注意して対処しなきゃいかぬ、こう思っております。
  50. 高野博師

    ○高野博師君 韓国の国防大臣が、北朝鮮が中国国境付近にミサイル発射基地と見られる工事を行っていることを確認したという発言をしているんですが、この関連情報はお持ちでしょうか。
  51. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 趙成台国防部長官が、今月の初めに、北朝鮮が中国との国境に近い場所で地下坑道を建設しているという発言が伝えられたことは、私どもも承知しております。  防衛庁としては、この北朝鮮のミサイル関連動向につきましては、種々情報を収集し、これを継続的に分析、評価を行っているところでございますけれども、何しろ委員よく御案内のとおり、同国は大変閉鎖的な体制をとっていることに加えまして、秘密裏に進めている行動であるということもありまして、御指摘のような個別の施設の状況について今確たることを申し上げる状況にはないわけでございます。  いずれにしましても、北朝鮮のミサイル関連動向につきましては、引き続き細心の注意を払ってまいりたいと思っております。
  52. 高野博師

    ○高野博師君 ベオグラードの中国大使館の誤爆事件の後に、中国が北朝鮮にミサイル関連部品を供与したという、これはワシントンタイムズ紙の報道に対して、オルブライト国務長官が懸念を表明して徹底的に調査すると、そう述べたという報道がされています。  先般、小渕総理が中国を訪問したときも、北朝鮮のミサイル再発射問題について中国側、中国首脳の協力を要請したばかりでありますが、一方テポドンミサイルというのは中国型のミサイルだ、構造的にも全く同じだとも言われております。中国と北朝鮮というのはもともと緊密な関係にあって、最近は中国側の開放・改革政策の進展もあって両国関係が疎遠になっていると言われていますが、軍事面については相当協力関係が進んでいるんではないかと思われるんですが、長官はどのような認識をされておりますか。
  53. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先ほども申したところでありますが、一九九二年の中韓国交樹立とそれから一九九四年の金日成主席の死後、全般的に軍事交流は低調になっていたものと考えられますが、現在の中国と北朝鮮の間の軍事的な関係の詳細につきましては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっていることに加え、中国側からもその内容が具体的に公表されているわけではないので、確たることを申し上げることは大変困難でございます。  ただし、北朝鮮が開発中とされているテポドン二号につきましては、新型のブースターを第一段目に使う、ノドンを第二段目に使用するというそういうミサイルであろうと思います。射程は約三千五百キロから六千キロと言われておりまして、防衛庁としてはこのテポドン二号の第一段目のブースターが中国の弾道ミサイルの第一段目に類似しているとの報道があったことは承知しておりますが、この第一段目のブースターの形状などの詳細につきましては現時点では確定的なことは申し上げられないところであります。  いずれにしましても、中朝間の軍事的な関係については今後とも十分な注目をしていく必要があると考えております。
  54. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、中台関係について一つ二つお伺いいたします。  中台関係がある意味で特殊な国と国との関係だという李登輝総統の発言があって中台関係が緊張したのでありますが、シンガポールでオルブライト長官と唐家セン外相の会談で米中関係は修復するということで一致したということもありますので、緊張関係はどうなるのかな、一応は緩和する方向にあるのかなと思うんですが、こういう中台関係が緊張したというようなときに中国とか台湾、あるいは在日米軍の軍事的な動向に関する情報というのは何かお持ちなんでしょうか、あるいは何もなかったんでしょうか。
  55. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 李登輝総統の発言に対して中国側が武力行使の可能性についても言及した旨報じられておりまして、防衛庁としても台湾海峡の情勢に関心を持っておりますが、現在のところ中台間における武力行使につながるような軍事的な動きがあるとの情報や、あるいは台湾海峡の情勢に関連して在日米軍に特別の動きがあるとの情報には接しておりません。防衛庁としても中国等の動向については引き続き注目していく必要があると考えております。  また、我が国の台湾に関する基本的な立場は、かねがね申し上げておりますとおり、日中共同声明において述べられておりますとおり、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国の立場を十分理解し尊重するというものでありまして、この立場を堅持しているわけであります。  我が国としては、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望している次第であります。  また、本件の話し合いによる平和的な解決を阻害するような言動は双方において慎まれることを心から希望している次第であります。
  56. 高野博師

    ○高野博師君 これから聞こうと思ったことをみんな答えられたのでこの辺でやめますが、香港の新聞で、南京、広州あるいは済南の三戦区の部隊が移動を開始したというような報道もされたようでありますし、今回のこういう中台関係の緊張の場合には米軍、米側から我が方、防衛庁に対して何らかの働きかけあるいは打診みたいなものはあったんでしょうか。
  57. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) そういう問題も含めて、あすコーエン国防長官と話し合ってみたいと思っております。
  58. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  59. 小泉親司

    ○小泉親司君 防衛二法案に関連いたしまして、空中給油機の導入問題について質問いたします。  最近の報道を見ますと、来年度の概算要求で空中給油機を導入したいというようなアドバルーンが、防衛庁が上げているのかどうかわかりませんが、上がっておる。この問題については防衛庁長官も、今国会の予算委員会でこの問題について御答弁をされておられまして、主に空中給油機の運用のあり方とか費用対効果とか、そういうものを検討して、今鋭意検討しておるんだとか、例えば空中待機態勢というんですか、いわゆるCAPという態勢のために空中給油機が大変有用であるとか、そういうような答弁をされておられます。  私は、この問題というのは単にそういう問題にとどまらないで、大変重要な問題、特に日本の政府が説明してきた防衛政策の大変転換にかかわる問題があるんじゃないかというふうに考えております。  特に空中給油機をめぐっては、皆さん周知のように、ファントムの導入のときに空中給油装置が外され、F15のときにも空中給油装置は存置されたままでありましたけれども、当時の田中角栄首相が空中給油機は導入しないということを国会で再三言明するというようなことが行われました。  この問題は、特に政府の専守防衛政策、私どもはこの専守防衛政策は自衛隊の増強の口実にされてきたというふうに考えておりますが、政府が説明してきた専守防衛、つまり他国に脅威を与えないという見地からもこの空中給油機の導入というのは非常に重要な問題だというふうに考えております。  その点で、防衛庁長官は今度の概算要求での判断をするというふうにマスコミでは巷間伝えられておりますけれども、これまで説明してきた政府防衛政策の大きな転換になるんだと、こういう点での認識は長官はお持ちなんでしょうかどうか、まずその点をお聞きしたいというふうに思います。
  60. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) まず、お答え申し上げておきたいと思いますが、この空中給油機は、もう御案内のとおり、大変長い歴史を持っておりまして、十五年間にわたってこれを検討しているわけであります。  前の前の中期防衛力整備計画では「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する研究を推進する。」ということになっておりました。それから、この前の平成年度から七年度までの中期防では「引き続き、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行う。」と。前は「研究を推進する。」、その次は「検討を行う。」、そしてこのたびの中期防では「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処する。」、こういうふうに十五年間にわたって研究が進んで、こういうふうに時代の流れに沿って変遷してきているということでありまして、私どもはこの中期防の間に検討を得て、結論を出して対処するということが任務として課せられているということを御理解いただきたいと思います。  それで、結論から申し上げますと、私どもは空中給油機について今度の予算要求で要求するということは全く決めておりません。今、そのことの取り扱いについて庁内で真剣な討議をやり、あるいは官邸との打ち合わせもしなければいけない、あるいはそうなってくると安全保障会議の問題も起こってくるかもしらぬというようなことも含めて、報道になされているように予算要求を決めたなんということは全く考えておりません。  それで、先生の航空機の足を伸ばすことで出動可能な範囲を拡大するのじゃないかというふうなことでありますが、私どもは大変大事なことは、むしろ平時の訓練におきましては今の飛行機だと訓練をするときに油が切れて始終基地に帰ってこなきゃいかぬ、その騒音が大変苦情の対象になる。それから、行ったり帰ったりして空中待機の時間が短ければ、行ったり帰ったりの間にエネルギーが非常に損をする。そういうことで結果的には効率的な演習が阻害されるということでありますから、戦争なんというのは起こることは全く今想像されないことですから、私どもは大きくいえば演習の効率化、そういうことでこれをぜひ導入したい、こう思っているわけであります。  一般的には、今おっしゃったように、戦闘機による空中警戒待機、CAPの必要性が高まっている。それはなぜかというと、近年における航空機のステルス化や、これはレーダーによる探知が困難な状況を言うのでありますが、搭載ミサイルの長距離化といった航空軍事技術の進歩に伴いまして……
  61. 小泉親司

    ○小泉親司君 済みませんが、もうちょっと短く。
  62. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) はい。そういうことであるために、我が方の戦闘機がレーダー目標を発見してそれから飛び立っていたのじゃ全く間に合わない、それじゃ専守防衛でも全く用をなさないということになりますので、空中待機、CAPの時間を長くしたいということもあります。
  63. 小泉親司

    ○小泉親司君 私の質問に答えておられないで、それで長々と五分以上も御発言されると質問する時間が非常に制限されてまいります。私はまず一つは、概算要求を決めたなんということを言っておりません、アドバルーンを上げていると言っております。  それから、長官が十五年検討されてきたというのは、それだけ大変重要な問題なんですね。だから、そういうふうに認識をされておられるのかというふうにお聞きしたんですが、その答弁では私は納得いかない。  例えば、私もこの間、この空中給油機がどういうふうな運用構想で各国が取り上げているのかいろいろ調べました。特に、いわゆる日米ガイドラインで一緒にやっておる米軍はどういうふうに考えているかという点については、米軍の空中給油機の運用で米空軍の教本を調べましたら、米軍は、この空中給油機というのをなぜ導入する必要があるのかという点ではやっぱり戦力投入なんだと。足が長いものを持つということ、その結果、例えば戦場に足の短い戦闘機を投入しても、空中給油の能力があれば、それでもって機動性がうんと増して戦力に投入することができるんだと、こういうふうな見解が大勢であります。  つまり、CAPという態勢も、もちろん長官が言われましたように、米空軍の運用の中にも入っております。しかし主たる目的は、足の長い航空機をつくることによって戦力投入するんだと。この点は、日本の航空専門家の方も「軍事研究」という中で書いておられますが、「空中給油というミッションは、本来は長距離の侵攻攻撃や部隊移動のために編み出されたもので、攻撃活動的な性格が強い。これを防空用に転用するのは、決して経済的ではなく、かつ困難なことというのが普通の見方」なんだというふうに言っております。  ですから、CAPの運用の必要性からという防衛庁の主張は、私はこの空中給油機の一断面をとらえていることは間違いないけれども、主たる目的はやはり足の長い航空機を持たせる。この点では、先ほど私は長官に認識をお聞きしましたが、やはり他国に脅威を与えるそういう性格の航空機の導入であって、この点についてそういう認識を持ってきちんと対処すべきだと思いますが、もう一度、長くされますとこの質問で終わってしまいますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  64. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 言うまでもありませんが、我が国はもう専守防衛しかないのでありまして、他国を攻撃する武器をつくるなんということあるいは使うなんということは全く考えておりません。我が国は他国を攻撃することを目的とした装備体系を保有しておりません。空中給油機能を保有しても、他国に対して有効な航空攻撃を行うことがしたがって可能となるわけでもない。こういう事情をひとつ御理解いただきたいと思います。
  65. 小泉親司

    ○小泉親司君 空中給油機能は、例えばF15が今持っておりまして、今度F2も持つ。それぞれ空中給油機能を持つ。それに空中給油機を導入したら、必然的に長距離の攻撃や長距離の爆撃が可能になるわけですから、この点についての検討というのをないがしろにして、これは他国に脅威を与えないんだというのは非常に私は重大な問題だと思います。  時間がなくなったので、もう一点だけお聞きします。防衛庁は、先ほども言いましたように、CAPという滞空時間の延伸なんだということを最大の理由にされておりますけれども、例えば日米ガイドラインで日米では警戒待機ということを取り決めておりますね。私もこの問題については予算委員会で取り上げましたが、今度の周辺事態法の中でも、発進準備中の航空機には給油はしない、整備もしないというふうになっているけれども、発進して、つまり、いわゆる公海上の上空に設定される後方地域支援で例えば自衛隊が空中給油機を持った場合に、米軍に対しての支援としての空中給油、こういうものは当然周辺事態法の中ではこれは認められることになってしまうわけなんですが、その点は防衛庁はどういうふうに考えられておるんでしょうか。
  66. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) まず最初に、諸外国の例を引いてCAP云々というお話がございましたけれども、そもそも装備体系というか、それが違うということは先ほど大臣から御説明したとおりでございますので、そこはよく御理解いただきたいと思います。私どもは専守防衛というか、要するに待ち受けの姿勢でございますので、そのためにはそのときの技術水準に対応した防空能力というのがぜひ必要でございます。それをまずお願い申し上げたいと思います。  それから、あとガイドラインの関連法との関係でございますけれども、基本的にはまだ空中給油機能というのを私ども持つということを決めてございませんので、これをこの段階で申し上げるのはいかがかと思います。  それからもう一つ、いずれにしましても、周辺事態安全確保法の中で備考のところに記載してございますように、要するに戦闘行動、発進準備中のそういうものに対する給油というのはあり得ないということはそれはそのまま生きている、こう思います。
  67. 小泉親司

    ○小泉親司君 だから、私がお聞きしているのは発進準備中の中に入るんですか入らないんですかとお聞きしているんですよ。つまり、発進準備中の航空機には給油はしない、これは周辺事態法にあります。しかし、後方地域支援ではそういうことを行っても構わないんですかとお聞きしているんです。これは想定の問題とか、導入するしないの問題ばかりじゃなくて、そういうことが可能なのかということを聞いているんです。
  68. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) ですから、そのところはまさに今給油機能というのを持っていないわけですから、それを前提としての御議論というのはいかがかと思いますけれども、一方、周辺事態安全確保法の備考でああいうふうな記載がございますから、戦闘行動、発進中の航空機に対する給油は行わないということは、そのとおりそれは生きているということだろう、こう思います。
  69. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっと、防衛局長ごまかさないで。発進準備中に入るのか入らないのか、それをお聞きしているんです。
  70. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 発進準備中というふうに今おっしゃいますけれども、どういうものを先生、こういうものだから、それがどうなのかとおっしゃっていただかないと、そこは一般的に発進準備中かどうかと言われても……
  71. 小泉親司

    ○小泉親司君 ですから、発進準備中は給油しないと。米軍が飛んでいって攻撃して、後方地域に帰ってくると、そのときに給油はしていいんですか悪いんですかということをお聞きしているんです。
  72. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 発進準備中だという状況であれば、それはまさにこの備考のとおり給油は行わないというのがこの法制度でございます。
  73. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間になりました。大変長い答弁をされましたので、質問が十分やれませんでした。やはり、防衛庁長官もお話しになっているように、十五年の長きにわたって、この問題については大変国民的にも議論のある問題でありますし、政府が説明してきた専守防衛政策にもとる、他国へ脅威を与えるものになるという点で、私は、先ほど防衛庁長官が閣議や安全保障会議や官邸やと言っておられるように、それだけ大変重要な政治的な問題を含んでいるというふうに思います。  中国に行っても、当然皆さん、他国に脅威を与えないと総理も言っておるわけで、足の長い戦闘機を持つことになる、給油機の導入が。そういう結果になるという点では、私どもは、これまでの政府の説明からしても今年度導入はやめるべきだし、今後の導入も一切容認できないということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  74. 田英夫

    ○田英夫君 期せずして、私も空中給油機の問題を取り上げようと思っております。  私がこのことを取り上げようと思ったのは、例のコソボの事件、ユーゴに対するNATO軍の爆撃ということに関連をしまして、中国大使館が米軍によって爆撃をされた。私、七月の初めに北京に行ってきましたけれども、中国は公式に、誤爆ではない、意図的な爆撃であるということを表明しておりますが、関係者の話をそのときに聞きますと、あの爆撃はアメリカ軍のステルス戦闘爆撃機がアメリカ本土から空中給油を受けながらユーゴまで飛んできて爆撃をして、また本土に空中給油を受けながら帰った、こういうふうに中国側は言っております。  今や空中給油ということは実戦の中で使われて、しかも今お話がありましたように足が長いということで、アメリカ大陸からユーゴまで往復してくるということがもちろんそれは可能でしょう、何回給油したかわかりませんけれども。  こういう問題が現実にある中で、一方で日本が空中給油機を持つかもしれないと、小泉委員はアドバルーンと言われましたが、そういう声が上がってきている。これは黙っているわけにはいかないという気持ちを持っているわけです。  それで、この空中給油機の問題というのは、今、十五年研究してきたと防衛庁長官が言われましたけれども、そんなものじゃないんですね。もう一九六〇年代の後半からこの問題は国会で議論が始まっております。実は、国会図書館で調べてもらいましたが、古いことは別にして、一九八三年からの資料で六十一回議論が行われた。ということは、恐らく六〇年代から考えるともう八十回ぐらいいろんな方がやっておられます。  そういう議論の上で、私の持ち時間は短いですから質問というよりも意見を言っておきますが、要するにF4ファントム導入のときにこの問題は取り上げられた。それで、F4の場合は、一つは空中給油装置がついている、F4ファントムの場合はいわゆる支援戦闘機的機能、つまり爆撃機能が非常に強いので、これはベトナム戦争の北爆の主力爆撃機ですから、私も北側でそれを目撃しておりますのでよくわかります。  そういう機能を持った飛行機に空中給油を行ったら大変な攻撃的な兵器になるじゃないかということで、当時の議論の中で田中総理、あるいは佐藤内閣の時代もそうですが、これはいかぬ、専守防衛という精神から空中給油装置は外すべきだ、爆撃装置は外すべきだ、こういうことで爆撃の照準装置を外すと、で初めは空中給油装置は外さなかった。それで、当時の防衛局長が、それは地上における二点給油、つまり地上給油装置と空中給油装置を地上で両方使うことによって給油の時間が節約できると言って、八分が四分になるというような議論をしていますね。結局それはうそだった。増原防衛庁長官が公式に謝罪をされたという事件も起きています。  そういう過程の中で、F4ファントムの場合は足を長くすれば攻撃性がますます強くなる。ところが、F15を導入するときに、これは福田総理が、国防会議を数回開いて慎重に審議した結果、この飛行機は要撃戦闘機という能力が中心であるから攻撃的なことにはならないということで、空中給油装置もそのままにしておく、爆撃装置もそのままにしておく、こういう決定を下したということを明言されて、F15はしたがってそのまま現在に至っていると。そこに空中給油機を導入するということになると、どういうことになってくるのかという心配があります。  ところが、F15だけならまだ要撃能力中心の戦闘機だということが言えるかもしれないけれども、F2という形になってくると、これはまさに支援戦闘機ですから、このF2の問題と空中給油機を結びつけるとかつてのF4ファントム導入のときの議論と同じことが起こってくるんじゃないか、こう思いますが、この点はいかがですか。
  75. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、田先生からお話ございましたように、本件については大変長い議論が積み重ねられてきているところでございます。  それで、F4の場合に空中給油装置を外したわけですけれども、このときの一つの議論は、当時の軍事技術の水準を前提にいたしますと、このF4の持っている対地攻撃能力というのがかなり高いものであり、またそういったものを非常に重視して採用した国も多いというような、そういうふうな航空機と評価されたわけでございます。  また、私どもとしては、このF4が使われる時代には、先ほど申しましたようなCAPみたいなそういった運用もまず必要になってこないだろうというようなことから空中給油装置を外したわけでございます。  それからF15については、今、先生からお話があったようなことでございますが、ではF2はどうなのかということでございます。F2につきましては、まさにこれは申すまでもなく、支援戦闘任務のみならず要撃戦闘任務にもつくというようなことでございまして、そういうことからいいますと、このF2が実際に運用される時代を考えますと、軍事技術から考えてCAPというような運用が当然必要になってくるだろうと、こういうこともあり、このF2、FSXでございますが、これの開発導入を決めたときの安保会議でもこういった給油装置も具備したものとして御了承いただいている、こういう内容でございます。  また、さらに若干つけ加えさせていただきますと、確かにF2は支援戦闘機でございますけれども、支援戦闘機としてどういう能力を持っているのかということを見ていただきますと、それは例えばほかの対地攻撃機でございますと、地形の状況に応じて低空で縫って入っていけるようなそういった航法装置を持っているとか、いろいろございます。ところが、このF2についてはそういったものもございません。  したがいまして、そういうものを評価していただきますと、仮にF2について空中給油ということが行われても、それをもって他国に対して脅威なり攻撃なり、そういったものを与えるということにはならないんではないか、こういうふうに私は思っております。
  76. 田英夫

    ○田英夫君 もう時間がなくなりましたが、この問題はとても十分とか十五分で議論できる問題ではないのであります。  田中元総理は、予算委員会の答弁の中ではっきりと、空中給油装置は外す、空中給油機は持たない、空中給油の訓練は行わない、この三つを明言しておられるわけですね。もし、それを変えるということになれば、福田総理がF15導入のときにいわゆる安全保障会議で慎重に審議を何回もやったということからしても、政府の基本方針を根本から変えるということになるわけですから、国会にまず報告していただく。これは国会で議論をしてきたのと違ったことをやろうというわけですから。その前提として、当然安全保障会議で十分な議論をして、それを発表し、国会にも説明をしていただくということがなければならないと思っていることを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  77. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官に御答弁をお願いしたいと思います。  行革特の審議でも私が強く述べました防衛庁を国防省にする件でございますが、なぜ国防省にしないといけないのかという内容でございますが、防衛庁は御承知のように総理府の外局でございますので、省令を発する権限がありません。したがって、隊員に対する表彰とか自衛隊の礼式、自衛官の制服、採用、承認、すべて総理府に御説明をして了解を受けなければならないようになっております。  すなわち、これはどういうことを言っているかというと、軍事の特性を知らない一般の公務員によって自衛隊がコントロールをされている、したがって政治が軍事をコントロールしているのではないと。ですから、一般社会の一般公務員の考え方によって防衛庁自衛隊の行動が律せられることになります。  そうするとどういうことが起きるかというと、異常事態のときに国民の生命、財産を守る集団というのは、一般社会とは全く次元を異にする倫理、考え方が要求されるわけです。一般の社会では、トンネルから何か落ちてきても、事故は絶対に起きてはならない。しかし自衛隊は、激しい訓練をしないと異常事態のときに役に立たないわけですから、事故は起こしてはならないけれども、それが最も優先される価値観ではないわけです。  そういうことで、この五十年間一般の公務員並み、公務員並みということを防衛庁が言い続けるたびに激しい訓練ができなくなっているわけです。例えば航空機は、民間航空機が飛んでも、戦闘機は事故を起こしちゃいけないから飛ばない、そういう状況が今起きている。したがって、テポドンが飛んできても、不審船が来ても、それを長官の指示どおりに停船させて臨検をすることができない。有事のときに役立たない軍隊、自衛隊というんですか軍隊というのかわかりませんが、戦闘集団を育成している。  特に内局は、軍事の特性をよく理解した人が内局にいるわけですから、内局の長官の補佐をしている人たちはこの一般社会の通念では軍事は育たないということを強く言わなきゃならないところを、一般公務員並み、一般公務員並みということでこの五十年間来ているわけです。  したがって、現在の自衛隊は外から見ていて、自分が中にいたときはそう思いませんでしたけれども、全く役に立たないというふうに私は思っているんですが、長官はどのようにその点をお考えになっているか。特に、一般の公務員並みというのが一番よくないというのが私の国防省にしなければならない最大の理由であります。
  78. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 自衛隊員につきましては、特別職ではございますけれども、同じ国家公務員であるということから基本的には一般職との均衡も考慮しなければいけない、そういう人事制度を設けているわけであります。  しかしながら、自衛隊としての職務の特殊性にも十分配慮されておりまして、これまで職務の特殊性を考慮した俸給、これは自衛官俸給表等でございます。それから手当も、航空手当とか乗組手当とか落下傘隊員手当等の諸手当も設けております。それから、自衛官の若年定年制に対応した若年定年退職者給付金制度も設けるなどして、一般の公務員とは全く違った体系を講じてきているところであります。  委員が申されるとおり、自衛隊の組織の基盤は人であります。この隊員の士気が高く、資質のすぐれた隊員を保持しなければいけないし、また隊員が誇りを持って任務に邁進し得るように努めていくことが私どもの最大の務めであると思っております。これからも、そういう考え方のもとで自衛隊の人事政策につきましては適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
  79. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 長官のお答えですが、私は、何回も申し上げますが、異常事態が起きたときに役立つ集団というのは、一般の公務員の考え方とは全く違った訓練をしないといけないということだけを強く申し上げて、一般公務員並みということは、精強な武装集団を育成することができないのではないかということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  80. 山崎力

    ○山崎力君 先ほど同僚議員からもありましたけれども、今回の設置法改正で人数がどうなるかということは出ておりましたけれども、具体的に、予算的にはどの程度の節約効果が今回の改正で期待されているんでしょうか。
  81. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) このたびの改正で、陸上自衛隊については第七師団改編等を行うことによりまして自衛官の定数を千六百四人削減することとしておりますが、これによりまして陸上自衛隊自衛官約七百三十人の実員が削減されることとなります。一方、統合幕僚会議事務局及び情報本部自衛官六十一名を増員することにしております。この増減員による予算面での節減効果は、人件費、糧食費で年間二十億円、平成十二年度平年化ベースで二十億円と見積もられるところであります。  なお、平成十一年度予算では、第七師団改編等を行う時期を平成十二年三月下旬としているため、人件・糧食費の節減効果は約三千万円でございます。
  82. 山崎力

    ○山崎力君 こういった中で年々やっているわけですけれども、現中期防、要するにコンパクト化、効率化、合理化をするよということで始まって三年がたったと思うんですけれども、当初の計画どおりの予算の節約あるいは装備の更新、近代化というものは現時点において順調になされていると考えてよろしいんでしょうか。
  83. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 結論から申し上げますと、私は順調になされているというふうに考えております。  現在の中期防では、基幹部隊、主要装備等について、合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに装備の更新や近代化を進めているわけでありますが、進捗状況でいえば、平成年度からこれまでの間に、陸自については、一個師団旅団改編するとともに自衛官定数を七千百人削減し、即応予備自衛官を三千四百人導入しました。海上自衛隊についても、二個護衛隊を廃止するとともに護衛艦数を五そう削減しました。  平成十一年度末までに、これから陸自について、さらに自衛官数を千六百人削減、即応自衛官を約九百九十人導入する。それから海自につきましても、二個ある掃海群を一個に集約する。空自についても、十二個の警戒群を警戒隊に改編する。そういうことをやろうと思っております。  また、装備の更新、近代化につきましても、陸自については高機動車や多用途ヘリコプターの導入、海自につきましてはミサイル艇の導入、空自については早期警戒管制機の導入等を行うほか、情報機能の向上を行いたい。  予算の節約について申し上げますと、正面装備にかかる予算額は、前中期防においては五年間の平均が約八千七百億円であったのに対し、今回の中期防で平均で八千二百億円と節減されております。特に最近は、十年度、十一年度と二年連続して対前年度マイナスとなっております。  しかし、このような新大綱に基づく防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を着実に推進しているわけでありますけれども装備力等については欠陥が生じないように十分配慮して行っているところであります。
  84. 山崎力

    ○山崎力君 この問題というのは、世界的な冷戦以降、緊張緩和の中でということもありましたけれども、将来の少子化を踏まえたという意見もあり、あるいはいわゆる法律上の定数と現実の定数のギャップ、乖離を整えるという意味もあったと。むしろ、その方が実際的な防衛計画の中でふさわしいんだというような意見を聞いておったわけであります。  そういった中で、着々とやられているということは御同慶の至りですけれども、問題は、これだけ近代兵器がいろいろなところで段違いの威力を発揮し始めている。これはコソボでも証明されている。完全に、昔の海軍の言葉で言えばアウトレンジされて、こっちから撃つ弾は全部届いて当たるけれども、向こうの撃つ弾は手前に落ちて、こちらは無傷でいられる、こういう戦闘がこれからの戦争の一つの要件になってくるのかなという気がしておるわけです。  そういった中で、果たして個々具体的な装備近代化というものが、かなりそれにはお金がかかる部分があり、しかも、なおかつ日本の防衛整備というのは、言葉をかえれば、国産化に固執する余り、極めてハイコストの兵器を装備せざるを得ない。結局、質はある程度確保されても量の面で非常に弱い。今回の削減でますますそれがひどくなるのではないかという危惧が一方であるわけです。  そういった中で、具体的に、特に近代戦において重要である機動力の確保の面において、果たして、西欧並み、ヨーロッパ諸国並みとは言いませんけれども、日本にふさわしい装備が出てきているんだろうかという点、非常に私は危惧の念を持っておりますが、そういった流れについてどのようにお考えでしょうか。
  85. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) いろいろお考えいただいて大変感謝にたえませんが、御指摘の機動力につきましては、十一年度改編予定の第七師団については、我が国唯一の機甲師団として既に装甲車等の十分な機動力を保有しているところであります。  また、一般論として申し上げましても、師団改編に当たっては、悪路においても高い機動性能を有する高機動車や、これは十人乗りでありますが、そのほか人員や物資を輸送し得る多用途ヘリコプター等を新たに導入しているところでありまして、実数が削減されても多様な任務に的確に対応し得るような陸自全体としての機動力の充実に十分配慮しているところであります。  その他、装備の更新、近代化に当たっても、自動化や整備性の向上を図ることにより、より少ない人員で運用し得るよう配慮しているところであります。  軍事技術の趨勢に対応するとともに定員の削減を図っていきたいと思いまして、例えば火砲の代替として多連装ロケットシステムを導入するとか、あるいは地対空誘導弾の改良ホークを近代化されたものに改善するとか、定員は減っても装備面では欠陥のないように配慮してまいりたいと思っております。
  86. 山崎力

    ○山崎力君 ちょっと細々となると専門的になるかもしれませんけれども、今、第七師団のことをおっしゃいましたけれども、これは特殊な師団でございまして、ほかの師団と比べ物にならないほど近代化された師団で、むしろほかの旅団化されたところも含めて、どのような機動力を持たせるか、あるいは遠距離の攻撃力というか移動力を持たせるかということが特に陸上自衛隊では課題になっている部分でございます。  そういった点で、ある意味では一つのショーウインドーとしての第七師団は結構なんですけれども、それは集中運用という考え方ですが、ほかの師団旅団のところの火力、機動力に関してはやはり相当程度考慮しなければならない実情にあると思います。  そういった点でいえば、海上あるいは航空でも、正面装備は確かに世界一流だけれども、そこのところのバックアップシステムが果たしてどの程度なのか、その辺の吟味というものが余りなされてきていない。計画をやるとその計画実施をとにかくやらなきゃいかぬということで、アフターフォローをどうするかという点を、もう三年たったわけですから、その辺の実績を踏まえた、削減だけではやはり乗り切れない、機械だけでは乗り切れない部分があるのじゃないかという気がしております。  蛇足でつけ加えれば、変なと言いますと非常に言葉があれですけれども、この雇用情勢の悪化の中でいろいろな施策をとるよりも、定員削減しないで自衛隊が全部それを抱え込んだ方がよっぽど雇用対策になるのじゃないかという考え方も成り立つわけでございますので、その辺を考慮して、時間ですからもうやめますけれども、今後の防衛大綱、防衛方針の遺憾なきをお願いしておきたいと思います。
  87. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からは、NECの水増し請求問題を取り上げたいと思います。  昨年は防衛庁は大変でありました。水増し請求をめぐる不祥事ということで幾つかの納品の会社が処罰される、訴追されると。それから、防衛庁側からも元調達本部長、副本部長等が司直の手によって起訴されるということもありました。その際、マスコミなどは、網にかかったのはいずれも群小の小さな会社だ、巨悪はNECだ、NECの水増し請求額はあんなものではない、なぜあれがきちっと処断されないのかおかしいということも言っておりました。  そこで、本年の三月四日、防衛庁長官の所信表明の中でこの水増し問題に触れておりますが、なぜかNECが取り上げられていない。私は三月九日に当委員会で、なぜNECの問題が取り上げられていないのかということをただしました。そのときの長官の答弁は、ここにも議事録がありますけれども、NEC等については全力投球で頑張っておると。しかし、遺憾ながら私どもの方、これは防衛庁ですけれども、原価計算とか工数計算とかをやれる者がいない、少しく時間がかかっていると。何か帳簿を読める者もいない、そんな防衛庁に国の防衛を任せておいていいのかという気もいたすのです。これは基本的な事柄ですから、大変悲しい思い、不安な思いもいたしたわけであります。  いずれにしろ、この答弁があったのは三月でありますから、それからもう四カ月余りたっておる。いかな帳簿を読めない者であっても、三人寄れば文殊の知恵で、お互い頑張ろう、頑張ろうということで頑張り合って、不眠不休で頑張って、もう調査が終わっていると思いますので、一体どういう結果になったのか、そのことをちょっと教えてください。
  88. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 日本電気につきましては、現在、府中、横浜、相模原、玉川、我孫子……
  89. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 なるべく簡単にお願いします。
  90. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 三田、福島等の調査をやりましたが、特別調査の結果、府中と横浜に二重帳簿の存在を確認して、過大請求の操作が行われているということが大体確認できました。  本当の原価元帳の信憑性を確認し、過払い額の算定のためのデータ収集作業を行っているわけですが、五月十日に府中事業場から回収し、六月二十一日から横浜事業場、七月十五日から相模原事業場……
  91. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 申しわけないけれども、そういう細かいことは結構です。
  92. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) それで、これだけはちょっとお聞きいただきたいのですが……
  93. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 結論的にいつまで行われ、いつ調査結果が出るのか、その辺だけで結構です。
  94. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) それを今から申し上げたいと思うんですが、とにかくよく先生が引用されます宇宙事業団の過払い事件が五カ月程度で終わったということでありますが、これは五十九件でありまして五カ月なんです。私どもの方は七千件以上ありまして、宇宙事業団の例でいけば約五十年かかるという膨大なデータであります。ですから、私どもは外部の専門家を頼らなければもうこれは消化できないということで外部の力もかりて今作業を進めておりまして、今、何月何日にこれができるというふうにはなかなか申し上げられない、こういう状況でございます。
  95. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これは防衛庁が昨年十一月六日に、NECについてこれは二重帳簿までつくって水増し請求をしていると。それは期間にして五年間にもわたっているという発表をしたわけですよ。それにつきましては、NEC側も翌日記者会見を開いて、防衛庁の発表のとおりである、まことに申しわけない、防衛庁と十分に協議して返納すべきものは返納する、誠心誠意解決に努力したいと、こういうことをNEC側も言っておるわけでございます。  五十年かかるとか冗談言っちゃいけませんよ。たった五年間だけのことなんですよ。これはだれだってすぐ思いつくのは、工数計算もできない、原価計算もできない、しかも国民の税金をだまし取ったその犯人が幾らだまし取ったかということを調べるのにまた国民の税金を使うのかと、忙しい防衛庁の職員がそんなこともやるのかとだれだって疑問に思うでしょう。  これはNEC側とよく話し合いまして、公認会計士を何人か雇って、これは客観的に公正な人たちですから、至急調べてほしいと。プロがこれに取り組めばもうあっという間に一カ月ぐらい不眠不休で頑張れば結論は出るんであろうと思いますよ。  ちょっと聞いておいてくださいよ。しかも、これ全貌を解明するのも大事でしょうけれども、とりあえず全体としてはこういうことであるということで対応を考えていく。五十年かかって本当にやるおつもりなんですか。そんなことは国民とても期待していない。国民はあの問題はどうなったかということを一刻も早く知りたい。中間的な発表だってできるわけですからね。  何かもう率直に申し上げますと、やる気がないのではないかとしか思えない。いずれにしろ、去年の十一月からもう一年近くもなろうかというんです。こんなことが、計算ができない、何もわかっていない、それで一体防衛庁が国の防衛、安全を賄っているんでしょうか。無責任としか言いようがないんです。  なぜ、私が今言ったように公認会計士事務所と連絡をとって、厳正、公平、中立的な立場ですからね、よくやってほしい、期間を切ってお願いすればいいわけですから。その結果に基づいて一応のことは言えるわけですから。公認会計士が、工数計算もできない、原価計算もできない防衛庁の職員よりははるかに立派であることは間違いありませんから、なぜそういうことを考えようとしなかったのか不思議で仕方がないんです。いかがでしょうか。
  96. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) お断りしておきますが、防衛庁にそういう計算もできない、中身のチェックもできないなんという、できる職員がいないなんというのはこれは暴言でありまして、私どもにもしっかりした者がいるんです。ただ、日本電気だけでも七千件もあって、これをいいかげんな調査で過大請求だといってやれば、これは訴訟になれば私どもが負けるに決まっているわけですから。  ただ、よく委員が言われるように、宇宙事業団は五カ月で終わったんじゃないかと言うんですが、五十九件しかない。こっちは七千件ですから、この宇宙事業団がよくやったという例によっても五十年もかかるということなんであって、五十年かけるという意味じゃありません。私どもは何とか年内にこの問題を落ちつけようと思って、公認会計士等のお力もかりて今やっている。  しかし、何日にそれができるかと言われても、これは相手の対応もあるし、なかなか向こうだって隠したがるのを無理して抑え込んで今やっているわけですから、これは間違えばすぐ訴訟になって、私どもは今度は逆に裁判で負けてしまうということもありますから、先生はそちらの大権威者なんでございますから、どうぞ私どもの苦衷もお知りいただいて、ひとついろいろ御教示を賜りたい、こう思っております。
  97. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 暴言だとおっしゃいましたけれども、議事録にはっきり「私どもの方に原価計算とか工数をやれる者がいないものですから少し時間がかかっている」、これはあなたが言っていることですよ。何をおっしゃるんですか。  それから、相手がなかなか協力してくれない、こういうことですけれども、NECははっきりと防衛庁の行う調査には全面的に協力するということを記者の前で言っておるでしょう。今さら調査を妨害するも何もないはずです。  そういうことをきちっと守らせて、むしろ主としてNECに主体性を持たせて、おまえらがだまし取った金の計算だからおまえらがまずやれということで、期限を切って彼らにやらせればいいんですよ。何も工数計算も何もできないような防衛庁がやる必要もないようなくらいのことでありまするから、おかしくてしようがないんです。私は、思わず笑い出しそうな気もしているわけでありますけれどもね。  そこで、法務省にお尋ねいたしますけれども、去年の十一月現在の新聞報道等によりますると、東京地検はこの問題に重大な関心を持ってNECの副社長から事情を聴取しておる、それからNECの会社幹部十数名から事情を聴取したと。これは犯罪の捜査として行われたことは間違いないと思うんですけれども、一体この事件の捜査はどういうことになったのか、それをちょっと説明してください。
  98. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 先生お尋ねのような報道がなされていることは我々も承知しているところでございますが、検察当局が何らかの事項について捜査をしているか、あるいは捜査をどういう形でやっているかということは、捜査機関の活動の内容にかかわることでございますので私からお答えすべき性格のものではないと考えております。あくまで一般論として申し上げれば、検察は、常に法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処するというふうに御理解いただきたいと思います。
  99. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私も一般論として申し上げますけれども、これにつきましては容疑者であるNEC側が、我々は二重帳簿をつくって水増し請求をしたことを認めておるわけであります。そして、当時、東京地検も捜査をしている。国民が重大な関心を持っておることにつきましてはせめて結末ぐらいは、捜査をしたが我々の能力は足りない、防衛庁と同じように工数、原価計算もできないような始末なので遺憾ながら捜査は不十分なままに終わってしまったとか、あるいは容疑事実は着々と固まりつつあるとか、それぐらいのことは、やっぱりこれだけのことですから。  しかも、これは人権、容疑者の名誉とかいろいろ言われますけれども、これは容疑者側がはっきりと我々は二重帳簿をつくっていたんだということを世間に公表しておるわけですから、今さら名誉も何もあったものではない。そのことも踏まえて、差し支えない限りできちっと結論ぐらいは言うべきじゃないでしょうか。  それが今や情報公開のこういう時代の検察のあり方なんでして、昔の検察とは違いますから。野村サッチー事件なんかのときもいろいろと言っておるようでありまするから、あれよりはこっちの方がよっぽど大事件であることは間違いない。どうなんでしょうか。
  100. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 再度のお尋ねでございますが、検察がいかなる捜査を行っているか、あるいはどのような捜査結果であったかということにつきましては、いずれも具体的な事件の捜査にかかわることでございますので、私からは答弁をいたしかねるというところでございます。
  101. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 時間でございます。  なお、次回も何か防衛庁の法案の関係で審議が行われるというので、これは私はとても納得しておりませんから次回にもう一度取り上げたいと思いますので、なるべくなら御研究していただきまして、きちっとしたお答えをいただきたいと思います。
  102. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  103. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、今回の法案が日米ガイドライン関連法の推進を図るものだからであります。  法案には統合幕僚会議の定数の増員計画されており、これは、周辺事態での相互協力計画の策定等のためとされております。相互協力計画は、アメリカの戦争に、自衛隊ばかりでなく、自治体や民間を動員する計画であり、その推進は、日本を戦争に巻き込むものであり、絶対に許せません。また、情報本部増員は、日米軍事協力での情報機能の補完・強化であります。  第二の理由は、今回の法案が日米ガイドラインが要請する自衛隊の兵たん支援部門を強化するものだからです。  今回の法案では、陸上自衛隊の定数削減が強調されていますが、これは実際の定員に数合わせしたものであり、第七師団への即応予備自衛官の員数が増加されているように、定数削減の名に値するものではありません。その一方で、今回の法案は、北部方面隊、第七師団改編し、戦車部隊即応予備自衛官を主体とする部隊を立ち上げる一方、北部方面隊直轄部隊の後方支援や師団の衛生・輸送・補給隊、武器大隊を後方支援部隊として集約・統合するなど、兵たん支援の強化を図っています。これは、全国のモデルケースとして、全国に先駆けて改編を進めるもので、周辺事態で米軍への後方支援に見合う新たな態勢の整備であり、容認できるものではありません。  以上で反対の討論を終わります。
  104. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 河本英典

    委員長河本英典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会