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1999-06-29 第145回国会 参議院 外交・防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月二十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      山崎  力君     高橋紀世子君  六月十日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君  六月十一日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     木俣 佳丈君  六月二十九日     辞任         補欠選任      田  英夫君     渕上 貞雄君      高橋紀世子君     山崎  力君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 大野つや子君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 木俣 佳丈君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 渕上 貞雄君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (防衛庁長官)  野呂田芳成君    政府委員        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        外務大臣官房審        議官       小松 一郎君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省条約局長  東郷 和彦君        海上保安庁長官  楠木 行雄君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○軽水炉プロジェクト実施のための資金供与に  関する日本国政府朝鮮半島エネルギー開発機  構との間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の  規定の実施に関する日本国政府国際原子力機  関との間の協定追加議定書締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一  号)の締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○航空業務に関する日本国政府イスラエル国政  府との間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九日、山崎力君が委員辞任され、その補欠として高橋紀世子君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 軽水炉プロジェクト実施のための資金供与に関する日本国政府朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 森山裕

    森山裕君 おはようございます。自民党の森山裕でございます。  KEDOとの協定関連してお尋ねをさせていただきたいと思います。  KEDOとの協定の問題というのは大変複雑な問題を含んでいるなというふうに思います。また、地元に帰って皆さんといろんな話をいたしますと、国民皆さんにもなかなか理解をしにくい面があるというふうにも思います。  一つ問題があると思いますのは、八月三十一日にKEDO理事会の決議に署名をすることになっておりましたけれども、その日にミサイルの問題が起こりまして、以来、署名がずっと延び延びになってきていたわけでありますが、ここに来てまた次のミサイル発射があるのではないかといういろんな報道があります。昨日は米海軍ミサイル追撃艦横須賀入港をしているという報道もありますし、そういう意味を含めても、非常に複雑な気持ちでこの議論をしなければならないことをある意味では悲しく思うところでありますが、少し順を追って北朝鮮我が国との接触について聞いてまいりたいと思います。  まず第一点は、報道によりますと、昨年の十二月、ニューヨークで非公式の課長級会談が行われたのではないかという報道がありますし、またことしの三月には局長級接触をしたのではないかという報道がありますが、そういう事実があったのでしょうか。また、あったとすれば、その会談内容はどういうものだったのでしょうか、その点をまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
  5. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国政府は、北朝鮮が国際的な懸念日朝間の懸案に建設的な対応を示すのであれば、対話を通じ関係改善を図る用意があるということをこれまでしばしば小渕総理も私も国会等で述べてきているところでございます。種々の機会をとらえて北朝鮮との間で非公式な接触を行って諸問題について北朝鮮側の前向きな対応を求めてきているわけであります。  このような非公式な接触水面下のものでありまして、北朝鮮との関係もあるので、個別具体的には御説明することは適切でないと考えておりますが、要するに、私たちが公に申し上げているようなことをこの水面下会合においてもより具体的に相手方に伝えている、こういうふうに御理解をいただきたいと、こう思います。
  6. 森山裕

    森山裕君 局長級接触もあったということでしょうか。
  7. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いろいろなレベルでの接触を行っているということで御理解をいただきたいと思います。
  8. 森山裕

    森山裕君 それともう一点、それに関連をして伺っておきたいことがあります。  政府は、五月下旬に北朝鮮訪問をされたペリー政策調整官小渕総理口頭メッセージを託されたのではないかというふうに思いますが、それに関連して、ペリー政策調整官が平壌からの帰途、ソウルに立ち寄られてソウル外交筋にお話しになった内容が、一昨日ですか、ニュースとして伝わっているところでありますけれども、その内容を聞きますと、なかなか日本の思いというのが北朝鮮に伝わっていないな、余りにも考え方に違いがあるなということを思うんです。  報道によりますと、例えば食糧支援などについても、くれるというからもらってやっているという高姿勢に終始したという報道がありますし、また、軽水炉建設支援についても、こちらが頼んだものではない、そちらから建設を持ちかけながら建設がおくれているのはどういうことかというむしろ批判的な発言があったというニュースでありますが、このことについて外務省確認をしておられるんでしょうか。全く確認をしておられないんでしょうか。
  9. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 詳しくは政府委員から申し述べさせたいと思いますが、KEDOの話については、北朝鮮は前々から、自分たちはもともとの黒鉛によるものを続けてもいいんだよと、頼まれたからそうなんだよということを表向きは言っているわけであります。  ただ、現実問題とすれば、このKEDOの進行については真剣に対応をしているというふうに私たちは受けとめていると。食糧支援についても、日本食糧支援だけでなくて韓国食糧支援等について、表向きといいますか国内向けにはいろいろ今おっしゃったようなことを言っているというふうに認識はしております。  それから、小渕総理ペリー調整官に託したことについては、北朝鮮側から前向きな反応は得られなかったと。ただし、直接それを聞いた人は、これは金正日総書記に伝える、そういうことを言ったというふうに聞いております。
  10. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) KEDO軽水炉プロジェクトに対する北朝鮮側発言につきましては、大臣が既に御答弁になられましたが、具体的にはことしの一月二十日、北朝鮮外務省報道官が今、先生がおっしゃったような内容のことを言ったということは私どもも承知をしております。
  11. 森山裕

    森山裕君 今のような事実経過を踏まえますと、KEDOとの協定締結というのはどうしても承認をしなきゃいけないことだなというのはよく理解しながらも、国民皆さんにどう理解をしてもらうかという、まさにアカウンタビリティー、説明責任というのが問われている問題だなというふうに思います。  そのことをしっかりやっておかないと、国民考え方と実際やろうとすることの落差が余りにも大きいのではないかということを実は心配いたしますが、そのことについて外務省はどんなふうにお考えになっておられるんでしょうか。国民認識との落差というのを感じておられますか、どうなんですか。
  12. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) この点について国民の皆様の理解を得るということは極めて大切なことであると同時に、大変難しいことでもあると。  それで、昨年の十月二十一日でありますが、KEDO再開ということを政府として決めたときに、ほとんどのマスコミが社説あるいは論説等でやむを得ないけれども釈然としないとか、あるいは釈然としないけれどもやむを得ないとか、そういうような書き方をしたわけです。  これは、頭で冷静に考えれば、これは、ミサイルがけしからぬからといって、あるいはこういう支援に対して感謝しないからといって核開発を野放しにしていいわけはないということで、核開発を防ぐ最も有効で効果的な枠組みでありますから、KEDO枠組みは壊してはいけないということになるわけでありますが、それにしても十億ドルというお金を出すのにいろいろなところで国際社会懸念、二国間の問題でも拉致問題等いろいろなことをしているところに何で出すんだという、釈然としないという気持ち日本国民みんな持っている。  気持ちとしてそういうのを持っていることをなくすというのはなかなか難しいけれども、少なくとも理性的には必要なんだということを理解していただくように最大限の努力をしていかなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。  十月二十一日にKEDOへの協力再開を決めるに当たっては、約一カ月ぐらい前から、私としては記者会見等でそういうことを言ったりなんかして、ある意味マスコミ論説委員等には御理解いただけたと思うんですが、ただ、それがとても国民皆さん釈然とするまでは現時点でもいっていない。もっと言えば、そういうことは必要だと考えて一生懸命やっている私自身が釈然としているかどうかという話もある、気持ちとしてはですよ、気持ちとしてはある問題だと。そうであるからこそ余計必要性はきっちり説明をしていかなければいけない、こう考えております。
  13. 森山裕

    森山裕君 次に移ります。  前回の本委員会での質疑の中でも取り上げさせていただきましたけれども、ペリー調整官報告書についてでありますが、最終報告の時期というものがかなりずれ込んできているのではないかというふうに思います。  また、最近の報道によりますと、六月九日、ペリー調整官アメリカ軍事関係の二十名ぐらいの議員に対しましてその内容説明されたようでありますが、その中には核兵器の凍結、ミサイル開発輸出の停止とともに、日本人行方不明事案、すなわち拉致疑惑解決等報告書に取り上げるということのようであります。その見返りとして日米北朝鮮関係改善経済制裁の解除などに道を開くという、いわゆる包括的アプローチが中心となるであろうということのようでありますが、外務省としてはこの報告書内容についてはどの程度把握をしておられるのか、まず伺いたいと思います。  次に、報告書提出時期についてでありますが、先日、カーター元大統領が記者会見をされて、ペリー調整官から七月初までに北朝鮮指導者ワシントン訪問を要請した旨の報告があったということを明らかにしておられますけれども、このことと関連をいたしますと、この報告書提出時期というのはその後になるのかなというふうにも思ったりいたしますけれども、外務省としてはどう考えておられるんでしょうか。
  14. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米国のペリー北朝鮮政策調整官でありますが、実現可能な対北朝鮮政策の選択肢として、核やミサイル問題等安全保障問題、それから拉致問題等人道問題を含む包括的で、そして日米韓三カ国が協調によって統合されたアプローチ検討中であるというふうに承知をしておりますし、このような内容我が国の立場を十分踏まえたものでありますので、我が国政府はこれを支持しているわけであります。  ペリー調整官がいつ政策見直しを完了するのかとの点については、アメリカ側においてもこれは未定である、こういうふうに承知をしております。これは、五月下旬に訪朝した際に北朝鮮側政策見直し方向性を示した、それに対する北朝鮮側対応も見ながら検討を進めている、こういうことであるというふうに承知しております。
  15. 森山裕

    森山裕君 そうしますと、やはり北朝鮮指導者ワシントン訪問されるかどうかというのが一つの見きわめだということでしょうか。
  16. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) そういうことも一つの要素ではあるかとも思いますが、広く北朝鮮側反応がどうであるかということを見きわめつつ、最終的なものを決定し、それを発表していくというふうに承知をしております。
  17. 森山裕

    森山裕君 次に、今月、ケルンで開催をされたG8に関連をして伺ってまいります。  六月二十日のG8首脳コミュニケでは、「我々は、北朝鮮による行動のような最近のミサイル発射実験及びミサイル拡散動向を深く憂慮している。我々は、この問題に対処するための個別及び共同の追加的手段検討することを約束する」とともに、ミサイル輸出管理制度の目的に対する公約を再確認するという形で北朝鮮問題について触れています。  また、六月十日のG8の外相会合では、「我々は、合意された枠組み及びKEDOを引き続き支持し、その作業に対するより広範な国際的支持を促す。我々は、北朝鮮ミサイル実験及びミサイル技術輸出懸念し、北朝鮮に対し、不安定化を招く行動を避けるよう期待する。我々は、北朝鮮に対し、安全保障及び人道上の問題について建設的に行動するよう要請する。」としております。  かなり突っ込んだ取り上げをしておられるなというふうに思うんですけれども、ここで伺いたいのは、北朝鮮に対する認識というのはどんなものなんでしょうか。日本とは少しほかの国は違うのかなという気がするんですけれども、どういう認識なのでしょうか。
  18. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 基本的にはそんなに変わらない、やはり国際的な懸念がいろいろある国であると。それは、安全保障上の問題にしても人道上の問題にしてもいろいろある国であるということについては変わらない、こう思っております。  ただ、それは例えば拉致の問題にすれば日本は直接の被害者でありますから、そういったことについては直接の被害者とそうでないところとは若干その感じ方の深さについて違う。あるいは、ミサイルの問題にしても、直接日本列島を飛び越えられた国とそうでない国ではそれは違うということはあるかもしれませんが、それがけしからぬことであるということ等、一般的な受けとめ方に大きな差があるというふうには考えていないわけであります。  それは、韓国だとか日本だとか非常に地理的に近い国は、地理的に近いというだけでなくて、いろいろなことから北朝鮮との特別ないろいろないきさつがある国と、そうでなくて一般的に見ている国とではその認識の深さといったものには違いがありますが、認識方向性といったものにその違いがあるとは考えておりません。
  19. 森山裕

    森山裕君 不審船の問題、特に拉致の問題というのは当事国でないとその問題というのはなかなか理解しにくい面もあると思うんですけれども、しかし、国家としてはやはり一番大事な基本的な問題ですよね。この不審船の問題と拉致の問題についてのG8の理解度というのは、どういうふうに理解をすればいいんでしょうか。
  20. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) G8の外相会議では、不審船の問題にしても拉致の問題にしても私の方から取り上げて、そしてそれにこたえて人道上の問題ということでG8外相会議コミュニケにも書いてもらったということでありますから、二国間の問題ではありますけれども、これは人道上の問題として国際的な問題であると、そういう趣旨でG8全体のコミュニケに書いてもらった、こういうことであります。  それは、直接の被害者である我々ほど深く感じないにしても、これは大変国際的な大きな人道上の問題である、そういう認識はしていただいた、していただいたからこそコミュニケにきっちり取り上げてもらった、こういうふうに考えております。
  21. 森山裕

    森山裕君 人道上の問題に関しては後ほど伺いたいと思いますので、次に入ります。  テポドン二号というんでしょうか、次のミサイルの打ち上げがあるのではないかという報道がありますが、小渕総理はG8の首脳会談において、北朝鮮ミサイル発射については再発射が行われないようG8各国に強い警告を発することが重要であり、ミサイル開発輸出を含むミサイル活動全般の中止を求めていく必要があると発言をされたと伺っております。また、今月の二十三日、二十四日、二日間の日程で開催をされました米朝会談の席上でも、カートマン特使は再発射実験の自粛を求めたのではないかというふうな報道もあります。  このミサイルの再発射ということについて、今外務省はどういう認識でおられるんでしょうか。
  22. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮ミサイルの再発射について、政府としては、北朝鮮ミサイル関係動向について関係諸国間で密接な連絡を取りつつ、細心の注意を払って継続的に情報の収集、分析に努めておりますけれども、現時点情報を総合したところ、北朝鮮ミサイル発射が近々に差し迫っているとは判断しておりません。  いずれにしても、政府として北朝鮮ミサイル発射には重大な関心を持っておりまして、今後とも北朝鮮ミサイル関連活動を注視していく考えであります。
  23. 森山裕

    森山裕君 先ほども触れましたけれども、米海軍ミサイル追跡艦オブザベーション・アイランドという船が横須賀入港しておりますし、また同じようなミサイル追跡艦が佐世保にも入港していると。米海軍が二隻しか持っていない追跡艦が二隻とも日本入港をしているという事実を非常に大きく取り上げているようでありますが、本当に近々このような再発射というようなことはないというふうに認識をしてよろしいですか。
  24. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 近々再発射するというふうには現時点で判断しておりません。
  25. 森山裕

    森山裕君 わかりました。  それでは次に、拉致問題について伺ってまいりたいと思います。  外務大臣平成九年の警察白書での報告については、全く警察白書のとおりの認識だというふうに思ってよろしいでしょうか。
  26. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私個人がどう考えるかということよりも、捜査当局が証拠に基づいてこうだと判断している、極めて疑惑の濃いものがこれだけだと、こう判断していることは、政府の一員としてそういうふうに受けとめさせていただいている、こういうことでございます。
  27. 森山裕

    森山裕君 私の地元の鹿児島でも、昭和五十三年八月十二日に、結婚を前提に交際をしておりました市川修一さんと増元るみ子さんの二人が吹上浜というところにドライブに行って、そのまま消息が不明になっております。この事件平成九年度の警察白書では、やはり拉致事件の疑いが強いという判断がなされております。  御両親を初め、兄弟の皆さんやあるいはまた学校の同窓会等を含めて、多くの県民がこのことには大変強い関心を持っておりますし、一日も早くお二人の消息確認ができることを願っております。また、それぞれの地方議会もこの問題には大変強い関心を持っておりまして、外務省に対しての意見書提出等、地方自治体に許される範囲内での努力を続けているところであります。  六月十日のG8の外相会合総括文書において、「我々は、北朝鮮に対し、安全保障及び人道上の問題について建設的に行動するよう要請する。」という形では取り上げていただいてはおりますけれども、人道上の問題というような表現ではなくて、もっとはっきりした具体的な表現ができなかったのかなというふうに思うんですけれども、このことについて外務大臣の見解をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  28. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) G8の外相会合で私が拉致問題という言葉で取り上げて、それにこたえて、拉致問題というのはまさに人道上の問題でありまして、それから北朝鮮が抱えている人道上の問題というのは拉致問題だけではない。日本については拉致問題ですが、国際的に見れば韓国離散家族の問題等々あるわけで、それを大きく安全保障といっても安全保障の中にもいろいろあるわけですけれども、安全保障上の問題と拉致問題としてG8という国際社会の中で取り上げてもらったということで、これに拉致問題が含まれるということはもう当然のことでありますから、御理解をいただきたいと思っております。
  29. 森山裕

    森山裕君 それでは次に移ります。KEDOの本協定署名に関しまして、伺ってまいります。  本協定署名等に関する四月二十七日の閣議決定におきまして、政府としても輸銀の「債権償還確保につき万全の措置を講ずるものとする。」というふうになっておりますが、「万全の措置」とは具体的にはどういう措置意味するのでしょうか。また、予算上の措置も含まれているかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本輸出入銀行がKEDOに対して行う貸し付けは、原則として北朝鮮からKEDOへの軽水炉建設費用返済を原資として償還されることになるわけであります。  また、北朝鮮KEDOとの国際約束におきまして、KEDOに対して費用返済を法的に約束しているわけであります。さらに、この協定の第五条におきまして、KEDO輸銀への返済を確実にする旨、我が国政府に対し約束をしているわけであります。これらの点にかんがみまして、輸銀KEDOに対する債権は償還されるものと考えているわけであります。  ただ、万一北朝鮮からKEDOへの軽水炉費用返済が遅滞する等の理由によってKEDOから輸銀への返済が滞る場合には、この協定署名の際の閣議決定を踏まえ、政府としてもその状況に応じ、いかなる対応をとるべきかを判断することになりますけれども、必要があれば北朝鮮への督促や今、委員が御指摘になった予算上の措置等の方策を検討の上、適切な措置を講じていきたいと考えているわけでございます。
  31. 森山裕

    森山裕君 KEDO負担額というのは総額で四十六億ドルになるようでありますが、今決まっておりますのは、我が国の十億ドルと韓国の三十二億ドルですか、になるようでありますけれども、あとの不足分についてはこれは今後どうなっていくのですか。
  32. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、委員が御指摘になったように、日韓両国からの資金供与の額を合計しても経費見積もりの総額には達しないわけでありますが、昨年十月のKEDO理事会決議におきまして、我が国が行う千百六十五億円の資金供与は現行の経費見積もりのもとにおける最大限の貢献であるとされました。そして、不足額については米国を中心とした理事会メンバーが資金調達に努力するということとされているわけであります。  本協定上、日本輸出入銀行がKEDOに対し千百六十五億円を超える額の貸し付けを行うことは想定されていないわけであります。
  33. 森山裕

    森山裕君 我が国の負担は十億ドルを超えることはないというふうに確認ができるということですね。
  34. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 協定上はそういうことでございます。
  35. 森山裕

    森山裕君 あと二点伺っておきたいと思います。  まず第一点目は、韓国KEDOの資金拠出協定署名というのは今どういう状況にあるのかということをまずお聞かせいただきたいと思います。その次に、軽水炉の問題というのはやはり安全面での取り組みというものが本当に大事なんだろうなと思いますけれども、政府としてはこの軽水炉の安全面での取り組みについてはどのような対応をしていかれるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 韓国KEDOとの間で我が国の資金拠出協定と類似の国際約束について交渉を行ってきておりまして、現在その署名に向けて最終調整中である、こういうふうに承知しております。近々署名されるものと考えております。  それから、KEDO北朝鮮との間で締結している国際約束において供与される軽水炉の安全性でありますが、これが十分確保されるよう、建設から運転、保守に至る各段階で国際的な安全基準にのっとり種々の必要な措置が講じられることとなっております。我が国政府としても、安全確保には万全を期すとの観点からKEDO支援していく考えでございます。
  37. 森山裕

    森山裕君 終わります。
  38. 佐々木知子

    佐々木知子君 同僚議員に関連して、いわゆるKEDO協定について幾つか御質問させていただきたいと存じます。  まず、KEDOの位置づけなんですけれども、協定前文に「日本国政府が、北東アジア地域の安全保障及び安定に直接関連するプロジェクトの成功を確保するために、プロジェクトにおいてその全体の計画の下で意味のある財政的役割を果たす意図を有することを確認し、」とございますが、これを北朝鮮に対する単なる支援という形ではなく、この前文にありますように、日本安全保障体制の一環であると考える立場に立てばこれは必要なコストであり、非常に片腹痛い思いはありますものの、賛成せざるを得ないというふうに考えております。  ミサイルは既に開発されてしまったものでございますし、ノドンで既に日本は射程距離に入っており、テポドンでは米国領内にまで入るというふうに言われております。今さらKEDOをやめたと言ってもミサイル開発は抑止できず、かえって向こうに名目を与えて開発を加速させるだけになろうかというふうに考えるわけです。  その大前提に立った上で質問したいわけですけれども、まず十億ドルという多額な資金を、もしかしたらこれは返ってこないかもわからない資金であるというふうに考えているわけですけれども、今、同僚議員からも指摘ございましたけれども、国民は、拉致された上に食糧支援もし、何らの感謝もされずにはたまたミサイルを撃ち込まれて、核開発をやめさせるのと引きかえに十億ドルを拠出する、こんな踏んだりけったりの話はないではないかと。納税者である国民は非常にこれを怒っているというのがもう事実でございまして、私も気持ち的にはよくわかる。  納税者である国民に対して政府は、三流雑誌からしか入ってこないような情報ではなく、これは安全保障体制の一環で必要なコストであるということを知らしむべき努力は非常にしないといけないのではないか。これは今世上かしましい通信傍受法についても言えることですけれども、それをさらにお願いして、その質問については一応答えが出たものとして次に進ませていただきます。  現在、再び銃撃戦などによりまして北朝鮮の危機演出が続いているわけですが、これまでのところ、米韓は宥和政策ということで一致しております。もちろん日本外務省は御存じかと思いますが、この五月にクリントン大統領が金正日に親書を送りまして、議会がどのように反対しても九四年の枠組み合意を大統領特権発令で維持する旨約束していたことが韓国外交関係者の暴露によって判明し、話題になっております。  日本も自国の安全保障体制の一環として主体的にかかわるためには、両国に対して私たち日本国民日本国の立場をより明確にすべきではないかというふうに考えております。  例えば、米韓の主張するいわゆる包括的アプローチのメニューの中に日本は国交交渉までを視野に置くのかといったことについてどのようにお考えかということについて、お聞かせ願いたいと存じます。
  39. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 韓国は、確固たる安保体制を敷きつつ、北朝鮮との間で和解と協力を積極的に進める包容政策と呼ばれる政策をとっておりまして、また米国は、ペリー北朝鮮政策調整官のもと、核やミサイルなどの安全保障問題及び拉致問題などの人道問題を含む包括的でかつ日米韓の協調により統合されたアプローチ検討中であります。  これらは、いずれも安全保障面における北朝鮮をめぐる諸問題には断固たる対応を行う、こうしているわけでありまして、そのような意味におきまして、今、委員が御指摘になったように、単純に宥和政策と決めつけることは私は適当ではないのではないか、こう考えております。  我が国の対北朝鮮政策も、対話と抑止を基本といたしまして、安全保障に対する備えを確固たるものとしつつ、北朝鮮ミサイル問題等の国際的な懸念拉致問題を初めとする日朝間の諸懸案に建設的な対応を示すのであれば、対話を通じて関係改善を図るというものでありまして、こうした我が国の立場は米韓両国の政策とおおむね軌を一にするものであると考えておりますし、これまでの米韓との頻繁な協議の中で十分に説明をしてきているわけでございます。  この結果、ペリー調整官アプローチ我が国の立場を十分に踏まえたものとなっております。政府としてはこうした基本的な立場に立ってミサイル拉致等の問題について北朝鮮側の前向きな対応を得て日朝国交正常化交渉の再開への道筋をつけたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  40. 佐々木知子

    佐々木知子君 何をどう言いましても、日本ミサイルの射程距離に入っているということで既に危機にさらされているわけですが、折しも期待の非常に高かった村山訪朝が延期となりましたが、日本が独自の外交能力によって日朝交渉を正常化させる見込みについては外務省はどのようにお考えでしょうか。
  41. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国はこれまでも、北朝鮮が国際的な懸念日朝間の懸案に建設的な対応を示すのであれば対話を通じて関係改善を図る用意があることを繰り返し明らかにしてきているわけでございます。個別具体的なことは申し上げられませんが、政府としては種々の機会をとらえて北朝鮮との間で非公式な接触を行ってきており、このような機会も活用しつつ北朝鮮側の前向きな対応を得ていきたい、こう考えているわけでございます。  日朝交渉を正常化させる、そういう道筋をつけたい、こう思っていますが、鳴かぬなら鳴かせてみしょうというのも外交でありますけれども、鳴くまで待とうというのも外交でありまして、ただ手をこまねいて待っているというわけじゃなくて、その両方をうまく組み合わせつついい方向でやっていきたい。余り何が何でも相手がどういう対応をしていても国交正常化だということにこだわりますと、それは日本の原則をすべて捨ててすべてに呼応していくということにもなりかねないし、では手をこまねいていていいのかといえばそうでもない。そういう間のバランスをとりつつやっていきたい、努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 佐々木知子

    佐々木知子君 確かに、大臣がおっしゃいますように、平和的解決をするかどうかというのは向こうの意思次第というところがございますので、幾らこちらが平和的解決を望んでも向こうにその意思がなければどうにもならないということは、それはある意味では達観をしていかないといけないというふうに考えております。  ある意味では、日本は経済的にもましてや軍事的にも、米国との間にガイドラインも成立いたしましたし、これははるかに優位に立った大国でございまして、何も北朝鮮一国に振り回される態度をとる、見せるということは非常に私は残念なことになるというふうに思いますので、悠然と構えるという姿勢というのが多分これから非常に大事なんだろうというふうに思っております。  ただ、やはり日本はキャッシュディスペンサーではない、米朝の枠組み合意に乗せられてただ金を払えばいい、口は差し挟まないということでは非常に困る。やはり独自の外交能力は持っているべき、立場、スタンスは持っているべきであるというのは当たり前のことでして、今さら言ってもしようがないわけですが、金倉里の核施設開発疑惑の際に、日本もやはり一当事者として、これだけ金も払っているわけですから、査察に加えてもらうべく私は交渉すべきではなかったかというふうに思っております。  これからも、こういう同種の査察問題が再浮上することもあろうかと思いますが、その場合にはどうされるおつもりなのか、その決意についてお伺いしたいと存じます。
  43. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 秘密核施設の疑惑を含めてでありますが、北朝鮮をめぐる諸問題は我が国の安全にかかわる重要な問題であります。我が国としては当然のことながら我が国独自としても積極的な役割を果たしていきたい、こう考えているわけであります。  委員もおわかりのように、相手のあることでありますから、今回の金倉里の施設の訪問のように我が国の思いどおりにはならないことがあるということはこれは客観的事実としてあるわけであります。そのような場合であっても我が国としては米韓両国と緊密に連携して、金倉里の施設のように我が国が直接関与していなくとも我が国関心考えが十分反映されるよう最大限努力していく考えでありますし、できれば直接関与した方がいいに決まっているわけでありますから、そういう姿勢でできれば直接関与する、それができない場合にも我が国考えといったものはきっちり反映するようにしていくということであります。  我が国も参加しなければ金倉里の査察をしてはいけないということをアメリカに対して言うわけにはいかないわけでありますから、それでできなくなるというふうなことは、そういうことはできないわけでありますが、我が国としてもできるだけ関与していくようにいろいろな面で努力していきたい、こういうふうに思っております。
  44. 佐々木知子

    佐々木知子君 ちょっと話は変わりますけれども、最近台湾の李登輝総統が「台湾の主張」という御著書をPHP研究所から発行されまして、話題を呼んでおります。私も早速一読いたしましたが、非常に感銘を受けました。  李登輝総統というのは、私が申すまでもなくアジアを代表するすぐれた政治家でございます。時代を画してきた政治家でございます。私も非常に個人的にも尊敬をしております。彼は非常に親日家でございまして、日本の京都帝国大学で教育も受けている、日本日本人以上にこよなく愛している知識人だというふうに考えているわけですけれども、随分いい指摘がございました。  中に「北朝鮮問題についての対応」というちょっと辛口の記述がございました。これは百七十七ページから九ページでございますが、その中に、北朝鮮ミサイル発射、地下核処理施設といった行為に走ることを決意した意図したのはどの辺にあるのか、これを見きわめることが非常に重要だという指摘がございましたが、これについて外務省は本当はどうだというふうに考えておられるのでしょうか。
  45. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 李登輝総統に指摘されるまでもなく、北朝鮮の意図を的確に分析することは極めて重要であると考えております。  これまでも米韓を初めとする関係国と意見交換をしながら必要な情報の収集に努めてまいりました。他方で、北朝鮮は極めて不透明な体制をとっておりまして、行為の意図についても断定はできないということはあるわけであります。  御指摘ミサイル発射や地下核施設疑惑につきましても、安全保障上の対応、米国等との交渉を有利にするための戦術、国威発揚、経済的利益の獲得などさまざまな説明が試みられておりますが、率直に申し上げて北朝鮮側の真意がどこにあるのか断定することは困難であります。  それぞれそれなりの理由があるわけでありますが、それはどの程度どれが一番大きな理由だとかなかなか難しいわけでありますが、我が国政府としては今後とも関係国との意見交換等を通じまた北朝鮮の意図を探っていきたい、こう考えております。
  46. 佐々木知子

    佐々木知子君 韓国とか朝鮮半島問題の識者に私が伺ったところでは、アメリカをターゲットにしてミサイルを撃ち込んだのはもう明らかであるというふうな見解でございました。  アメリカは、九四年に米朝枠組み合意ができたにもかかわらず、議会が非常に強硬に反対していることもございまして、軽水炉搬入がおくれております。重油供与も非常におくれているというようなことで、かなり北朝鮮が意図したようにははかどっていないということで、早くちゃんとやれよという意思表示で撃ち込んだことは明らかであるというふうに言っておられましたが、そういうふうなお考えではないということでしょうか。
  47. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、私が幾つか申し上げた中に、米国等との交渉を有利にするための戦術というのも申し上げましたが、そういうことは当然あり得ることだと思っています。  ただ、それではそれがただ一つの理由で国威発揚がなかったかとか、あるいは経済的利益の獲得、これはよそに売っている、そういうことがないかといえば、そういうことはなくて、いろいろな目的が複合している中で、どのことが一番大きいかということもあります。  専門家と言われる方でもいろいろな説を述べる方もおられます。中には、開発できたから実験しただけだという説を述べて、開発したら実験するのは当たり前でありますから、そうだと言う人もいるわけでありますが、いずれもそれなりの理由があるんだろう、こういうふうに考えております。その理由の比重等をなかなか断定することは難しい、こういうことを申し上げているわけであります。
  48. 佐々木知子

    佐々木知子君 複合的な理由だというふうに考えておられるということでわかりました。  李登輝総統の著書の中に、北朝鮮の問題はアジア全体にかかわる問題だという指摘がございます。ASEANその他アジア諸国をめぐる集団安全保障の議論と、日本はどちらかというとそういう集団安全保障というのはなく、従来、対米とか対中とかいったふうに二国間、特に対大国外交というふうな位置づけで考えているというイメージがどうも強いんですけれども、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  49. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 例えばASEAN地域フォーラム等、多国間の枠組みにおいて信頼醸成が推進されることは、地域の安定、安全保障環境を向上させ、ひいては北朝鮮問題にも肯定的な影響を与え得ると我々は考えておりますし、そういう努力もしております。また、このような場において北朝鮮問題が議論されること自体が本件に対する域内各国の認識の共有を促すという効果も期待されていると思います。  同時に、北朝鮮をめぐって四者会合、米朝協議、南北協議といった対話のチャンネルが存在すること及び地域の安全保障に果たす米国、中国、韓国等の役割にかんがみれば、我が国として北朝鮮問題に対処するに当たり、これらの国との連携が重要であることもまた当然だ、こういうふうに思っております。  このように多国間の枠組みと二国間外交による対処は、ともに相まって我が国の対北朝鮮政策の重要な構成要素をなしており、両者をともに推進することが必要であると考えているわけであります。どちらかだけやればいいというものではない、こういうふうに思っております。
  50. 佐々木知子

    佐々木知子君 同様に、今、世界にとって必要なのは北朝鮮の内部で何が起こっているのかを正確に把握することであり、そのためにしっかりした情報を収集することが不可欠という、いわば当たり前の指摘がなされているわけでございます。日本が米国経由ということとは別途に、正確な情報を独自に得るということは非常に重要なことだと思うんですが、それについて外務省はいかにお考えでしょうか。
  51. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) おっしゃるとおりだと思います。政府としても北朝鮮情勢を正確に把握すること、それも独自の情報によって、独自の情報だけに頼るという必要は必ずしもないんですが、独自の情報も持ちながら正確に把握するということが極めて重要であるというふうに考えているわけでございます。  こういった観点を踏まえまして、我が国としては、現在行っているさまざまな情報収集活動を一層強化することに加えて、情報収集衛星を導入するなど、現在政府部内で鋭意作業中でございます。  これは北朝鮮だけじゃなくて、外交全般について情報機能を重視するということは非常に大切だと思っておりまして、例えば外務省の中に国際情報局というのがありますけれども、そういったところについては私としてもこれからどんどん強化していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  52. 佐々木知子

    佐々木知子君 日本はスパイ罪がないという世界でも非常に珍しい国でして、情報はどんどん持っていかれる分についてはなかなか防止はできないというか、防止する体制にないんですけれども、情報を得るというのが非常に下手なというイメージがとてもありますので、特に外務省情報が中枢になるはずですので、しっかりと情報収集して適切な対処を迅速的確にやっていただきたいというふうに心より祈念しております。  また、李登輝総統の、北朝鮮に対して拉致事件を解決すればアジアにおける位置づけがよくなるから、解決を進めるようひそかに勧告したアジアの政治家も存在するのに、日本はこうした水面下の動きを把握できないでいるという非常に辛口の指摘がございましたが、外務省の方ではこうした事実は把握しておられるのでしょうか。
  53. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 正直申し上げて、具体的事実は把握しておりませんが、内容については極めて常識的なことだと思うので、そういうことは、聞けばそういうことを言ってくれている人はあり得べきことだろうな、こういうふうには思います。  私もこれを読みまして、このアジアの政治家とは李登輝総統御自身なんだろうかなと。そうだとすると、台湾は北朝鮮にそういうルートを持っているんだろうか、あるいは違う人なんだろうかなどと考えているわけでありますが、はっきり申し上げて、その具体的情報自身は持っておりませんでした。
  54. 佐々木知子

    佐々木知子君 ちょっとこれは別ルートからですけれども、恐らくタイの政治家だろうという意見がございました。タイは米を通じて北朝鮮とつながりがございまして、タイというのは、周知のようにアジアで唯一どこからも占領されないまま独立国で来た国で、非常に外交手腕がある国だと。そしてまた親日家でもあるということで、そうだろうというふうにも聞いておりますが、それは一つの私が得た情報にすぎません。  これは最後の質問になりますけれども、私の認識では、これまで米韓は宥和政策で一致してきたというふうに考えております。クリントン大統領は非常に宥和政策のままで来ておりまして、韓国は今のうちに宥和政策を推進させていきたいというふうに考えているようですけれども、周知のように、来年米国大統領選がございます。当然、それを控えましてクリントン政権はこのままレイムダック化するおそれもございます。議会は非常に宥和政策に反発しております。そしてまた、コソボをめぐる処理で自信を深めたという経緯もございます。  そして今度ブッシュになるかどうかわかりません。またゴアになるかどうかもわかりませんけれども、新大統領は恐らくクリントン大統領のままの宥和政策はとらないであろうというふうに見込まれます。そうなりますと日本は、強硬策をとろうという米国、そして韓国は強硬策をとれば地上戦になるかもわからない、それはできるだけ避けたいと考えるのは当たり前ですから、恐らく太陽政策をそのまま推進させるであろう。  そうなりますと日本は、米国と韓国の政策が違うということでその板挟みになって、どちらをとるかというふうな選択も迫られるのではないかというふうに考えるわけですけれども、これについて外務省はどのようにお考えかということを聞きたいと思います。  現在、米朝でいろいろ行われておりますのは、基本的にミサイル輸出の協議でございまして、アメリカが神経を使っているのは、ミサイルが中東や南西アジアに売られる可能性があるからでございまして、これは直接には日本関係のないことでございますが、こういう分裂が深刻化すれば、テポドンの再発射や危機再燃も大いに見込まれるわけでして、日本にとっては非常に重要な危機ということになります。それについてどうお考えかということをお聞きしたいと思います。
  55. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日米韓三国それぞれ国内事情がありますので、全く同一の北朝鮮政策をとっているわけではないわけであります。  また、必ずしも全く同一の北朝鮮政策をとる必要もない、こういうふうに思っていますが、日米韓三国は、この地域における同盟国また友好国として、北朝鮮をめぐる問題について本質的な利害は共有している、こう考えております。日米韓三カ国が緊密に連携して対処することは、対北朝鮮政策の効果的な遂行ということから極めて重要だと日本政府考えておりますし、米韓も考えているわけでございます。  このような立場に立って日米韓三カ国はこれまでも個別具体的な事項への立場の相違を緊密な協議を通じて調整してきているわけでありまして、必ずしも、米韓の立場が正面から相反するというか衝突してそのはざまに立たされるというような場合が今後想定されているわけではないと思います。  仮に、立場の相違が生じたとしても、本質的な利害は共有する同盟国または友好国としてこれまでと同様に立場の調整を行っていくことは可能であると、そういうことをしていきたい、こういうふうに考えております。
  56. 佐々木知子

    佐々木知子君 ちょっと早目ですけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。
  57. 河本英典

    委員長河本英典君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  58. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、高橋紀世子君及び田英夫君が委員辞任され、その補欠として山崎力君及び渕上貞雄君が選任されました。     ─────────────
  59. 河本英典

    委員長河本英典君) 休憩前に引き続き、軽水炉プロジェクト実施のための資金供与に関する日本国政府朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  60. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。  午前中に続きまして、KEDO関連の質問をさせていただきたいと思っておりますが、質問の方も、他党の方ではございますが、同僚議員の方からも大分出たこともございまして、私は多岐にわたってばらばらと質問をさせていただきたいと思っております。  まず、外務省がお出しになった資料の中でも、KEDO枠組みを守るということが対北朝鮮政策にとっては最も有効な手段であるというふうに繰り返し、下線も引かれながら書いておるわけでございますけれども、最も有効な最良の手段ということは、ほかにも手段があるんだけれども、いろいろな中から考えて最も有効だというのがその意味だと私はとっておりますが、このあたり、例えばどんな方法があって、その中でどれが一番有効だというふうにお考えになっているのか、大臣から伺いたいと思います。
  61. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私たちが申し上げているのは、最も現実的、最も効果的、こういうことを申し上げて、現実的という意味ではほかになかなか見つからないのではないかと私は思っております。理屈の上ではいろいろあるんだろうと思うんです。観念的にいえばいろいろあるだろうと思いますが、現実問題からいうととてもこれにかわるような、どっちが最も効果的かなと比較するようなのはなかなか見つからない、こういうふうに思っております。
  62. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうではないと思うんですが、国民の血税を使うわけでございます。もちろん融資といえども、その利子は一般会計の方から補てんされるというふうに聞いております。融資の仕方についても質問はありますが、それは後に回したいと思います。  KEDO枠組みはジュネーブ合意で完成したというふうに言っていいと思うんですが、一九九四年から、今九九年でございますので、ざっと五年間、通年でいうと六年たっておりながら、昨年の八月三十一日のあのミサイルらしきものの発射ということがあったわけでございます。ですから、もし本当にこれが最も現実的かつ効果的な枠組みということであるならば、このようなことはやはり起こらなかったと思います。  午前中の御質疑の中でも、認識の方向は北朝鮮我が国も同じ方向なんだと、ただその認識の深さに違いがあるという御答弁があったというふうに記憶しておりますけれども、もし違ったら訂正していただきたいんですが、最も現実的かつ効果的な枠組みではないように思えてならないんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  63. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) こういう方がより現実的だよとか、こういう方がより有効だよとか効果的だよとかということがあったらぜひ教えていただきたいと思うんです。外務省としても検討したいと思います。  観念的にはいろいろあるかもしれませんが、やはり北朝鮮核開発を阻止するために最も現実的で最も有効だと私たちは思っているわけですから、もしそうでないと委員がお考えであればぜひ教えていただきたい、私たちはいろんな考えを参考にするのにやぶさかじゃありませんから、ぜひ参考にさせていただきたいと思います。
  64. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 我が党の案になるかどうかわかりませんが、現実的な効果的な、これを超えるかどうかわかりませんが、これは政策の判断でございますので、そういった政策のミックスしたものをぜひ御提案したいと思っておりますので、またよろしくお願い申し上げます。  もう一度伺いたいんですが、例えば食糧援助、またはエネルギーが足りないならばアメリカのように重油の援助等々いろいろあると思うんですね。もちろん、この黒鉛炉というのがどうも燃料棒を制御しながら取りやすくて、そしてそこからプルトニウム等々の将来的に核兵器になるものが取りやすいからこれを軽水炉の方に移していくんだということだと思うんですが、エネルギーということであれば、なぜそういった重油とかをそのまま提供する──米国の場合はどうも法律でたしか禁止をされておるんですか。これはココムかなんかに引っかかるんですか。  これは、また詳しく伺いたいんですが、米国の場合にはKEDOに対しての拠出はできないというふうに聞いておりますし、だから重油なんだというふうなことを伺っておりますけれども、だったら日本も、アメリカが五十万トンならこちらは百万トンだぐらいの、そういう考え方もあるんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  65. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) このKEDOという考え方の別のオプションとしていろいろあり得るという先生の御指摘でございました。エネルギーの供給ということであれば重油というようなやり方もあるのだろうということでございましたが、現実は、一九九四年当時、北朝鮮は既に五メガワットの黒鉛減速炉を持っておりまして、そして五十メガワットと二百メガワットの黒鉛減速炉を建設中であったわけでございます。  そして、それが核兵器製造につながるプルトニウムを容易に抽出しやすい型の原子炉であるということから、それをやめさせるかわりにということで軽水炉の供給という経緯がございますので、そこは北朝鮮側もそれを希望したということで、そういう合意になったということが一つ。  それから、今、先生おっしゃいました、アメリカKEDOには支出をしないという、これは細かい点かもしれませんが、KEDOの事業というのは軽水炉二基をつくってやるということと、それができる九年から十年までの間、毎年重油を五十万トン供給するという二本立てになっておりまして、アメリカは経緯的に五十万トンの重油の方の経費を受け持つ、こういうことになっております。
  66. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、そういうことではなくて、米国は北朝鮮にというか、旧東側諸国のある一定の地域に対して直接的に原子力の技術とか資金というのを供与できないということがまだあるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  67. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 先ほど御説明いたしましたように、軽水炉の建設そのものではなくて、重油の方を主として米国が受け持っておるわけでございますが、その理由として軽水炉供給に参加できないということがあるというふうには承知しておりません。
  68. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 それじゃ、米国は法律上もできるということですね。政府として原子力技術や資金を軽水炉開発に対して北朝鮮に供与できるということでよろしゅうございますか。
  69. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 先生の御指摘になっている国内法と申しますのは、米国が外国に対して原子力等の平和利用に関する原子炉それから技術等を供与いたします場合には、その保障措置でございますとか一定のいろいろな規制に関しまして定めたその国と米国政府との間の国際的な取り決めが必要である、そういう法律のことをおっしゃっているのではないかと思います。  現在、そういう取り決めはないわけでございますので、米国が直接そういった協力をするということは、今御指摘のございましたように国内法との関係でできないという制約があろうかと思いますけれども、この事業自体は、KEDOという国際機関をつくりましてそこが実施をするということになっておりますので、多分御指摘の点はそういうことを念頭に置かれた御質問ではないかと考えた次第でございます。
  70. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ちょっと細かい話で済みません。米国はKEDOに対して重油以外の、今の軽水炉開発に対しての資金協力、技術協力ということはできるんですか。
  71. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) これは軽水炉本体建設のどの部分のどの部品というようなことについては、今、小松審議官の方から御説明したようなことがあるかもしれませんが、軽水炉にアメリカが金を出せるかどうかということに絞ってお答えいたしますと、これは、私ども従来から、米国は重油を負担するだけじゃなく軽水炉の方も主として日韓に任せるだけでなくてアメリカもぜひ資金協力をせよということを言っておりまして、そういう議論の中で、アメリカは国内法があってそれはできないんだというようなことは一切今までの議論で出てきておりません。
  72. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 では、アメリカは軽水炉に対する技術支援や資金の協力、軽水炉開発についての資金協力はできるということで、できるのにしないというふうに考えればいいわけですね。
  73. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) できるできないという認識ではそういうことでよろしいと思います。  ただ、議会との関係もあって、重油で十分負担をしているんだから、軽水炉の方は主として韓国日本でやってくれと、こういうことでございます。
  74. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございました。  そうすると、資金の分担の話でございますけれども、韓国が軽水炉の七割ぐらいで、そしてまた午前中の質疑でもありましたように、日本国は十億ドル。その他の国々も拠出するわけですが、この負担比率の協議はもう終わったわけでございますね。
  75. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) これは韓国が七割、日本が十億ドル相当の円ということで、それは終わっているわけでございます。
  76. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 この負担割合については、もちろん聞けば適切であるというふうにお答えにはなると思うんですが、そうお思いでしょうか、大臣
  77. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) もちろん適切でございます。
  78. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私は、本当にそのぐらいでいいのかなと。アメリカはどのぐらい、重油の五十万トンでございますから、どのくらいでしたか。
  79. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 約五千万ドルから六千万ドルということを聞いております。
  80. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これを何年間でございますか。
  81. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 一応計画では建設が最初の第一期目が九年後、そして一年置いて第二期目が十年目にできるということで、アメリカの重油供給は第一期ができるまでということでございます。ただもう既に、今まで助走期間でやっておりますが、これからで言えば一応予定どおり進んで九年間さらにやるということでございます。
  82. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうすると、約四億五千万ドルということでよろしゅうございますか、大体。
  83. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) ごく大ざっぱに概算するとそういう程度の額になると私どもも考えております。
  84. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 日本は十億ドルぽっきりでございますか。KEDOの軽水炉開発については十億ドルですね。その他の支援も含めると大体どのぐらいを目算されていますか、二十年間で。
  85. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 日本の資金的な協力、その負担というのは、輸銀が出しますのは、これは融資でございますから返ってくる。この仕組みの中で特徴的なのは、北朝鮮に対しては無利子で貸すということで、その利子の分を日本政府が負担するというその部分があるわけでございます。それは利子率にもよりますが、相当な額になるわけで、そこが実質的には日本の負担、もちろん融資をするという面もございますけれども、その両方合わせた貢献ということで考えていただいてよろしいかと思います。
  86. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうすると、大体金利をどのぐらいと考えて、返済期間も含めてどのぐらいの金額になるのでしょうか。ちょっとお答えいただけますか。
  87. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) これは、金利を二%とか三%という前提で少し具体的に申し上げますと、あえて現在の金利水準でKEDOへの貸し付けが毎年均等に行われるとした場合、我が国からの資金供与がすべて返済されるまでに総額でおよそ三百二十億円の利子補給を行うことになる。これは現在の金利水準がずっと続く、そして毎年均等に資金供与するという前提で、三百二十億円の利子補給という額が一応推計で出ております。
  88. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大体の概要でどのぐらい国民に負担をしていただいて、そしてまた恐らくは元本についても、返ってくればいいのでございますが、現在の北朝鮮の経済状況からしてもなかなかこれは返せるようなお金ではないかもしれませんね。そのあたりも含めて、十億ドルプラス、それだけ出ていくわけだと思いますので、国民の血税を使うということをぜひ御認識いただきたいと思っております。  午前中も御質疑がございましたけれども、テポドン再発射または大型の発射台を計画しているんだというような話がございますが、これは事実でございましょうか。
  89. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現時点における情報を総合すれば、政府として北朝鮮によるミサイルの再発射が差し迫っているとは判断しておりません。  北朝鮮によるミサイル発射は、我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定に深刻な影響を与え、我が国を含む関係諸国北朝鮮との関係に重要な影響を及ぼすこととなるわけであります。そして、そのことは北朝鮮にとっても決して利益にならないものと考えているわけで、我が国政府としてはそのような事態を回避すべく、米韓と連携しつつ北朝鮮ミサイル発射の防止のため、最大限の努力を行っていく考えであります。
  90. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今、外務大臣は、どことどこあたりに発射台が建設されようとしているのかということについてどういう御認識でございましょうか。地域でいうと何カ所で、どことどこというのがもしわかれば。
  91. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、私から正確に申し上げることはできませんが、それだけでなくて、必ずしもその情報日本みずからとった情報だけでもないわけでありますし、正確に申し上げることを、今手元に資料があったとしても適当かどうかちょっと考えさせていただきたい、こういうふうに思います。
  92. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 例えば政府の見解として、北朝鮮ミサイル発射には、ミサイル発射台に搭載した段階で抗議、二番目にミサイルの燃料注入段階で国民に公表という方針で対処するというふうに、これは六月十七日の産経新聞に載っておりますが、これはそのようでよろしゅうございますか。
  93. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 総合的に判断して発射が差し迫っていると判断した場合に日米韓で連携をしてやめるように強い警告を与えるということについては、政府は公式に発表しているところでございますが、まさに公式に申し上げられることは今申し上げたことでございます。
  94. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 先ほども、どなたか委員からもお話があったかと思いますけれども、米国のSDIにしろ、今までの戦略として、情報を先に流して、こちらの対応はもう万全なんだと、あなた方が何をやっているか全部わかっているんだと、そしてまたそれに対して対応ができるんだよというのを示していく。そしてまた、北朝鮮にテポドンのみならずノドンでもこれだけ配備されていたとしても、こちらは例えば米国の艦隊やそしてまた日本の自衛隊のミサイルとしてこれだけのものを用意しているんだというのを示しながら話し合いを進めていくというのが手段だと思うのでございます。  もう一度伺いたいんですが、大型の発射台というのを今つくっているんだ、またはつくってしまったのかわかりませんが、それはどういう形でわかるわけでございますか。
  95. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、委員がおっしゃった、アメリカは持っている情報をすべて相手に突きつけて、これだけ知っているよ、やめなさいと言っているとはとても私は思っておりません。  日本にすべての情報が来ているかどうかは別として、日本の中から漏れたと思われることについて非常に強い抗議を受けたこともかつてありましたし、あるいは、しばらく情報を提供したくないとまで言われたこともかつて、いつの段階だかは申し上げませんが、かつてあったと承知をしておりますし、私は、例えばアメリカの新聞で報道されたことが全部アメリカ政府が意図して流したものだとは思っておりませんし、アメリカの中で流れたことでもアメリカ政府中枢は非常な不快感を持っているということも中にはあるだろう、こういうふうに思っております。
  96. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私の質問は、どのようにして日本国としてはミサイル発射段階というのを察知するのかということなんです。
  97. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) どのようにして察知するかということについても、いろいろありますけれども、ああ、こうやって察知されるんだなと北朝鮮側にわかるということは余りいいことじゃありませんし、それはともかく、我々はある程度わかると思っています。ある程度わかったときには、日米韓協調してそれに対して警告を与えます。  警告を与えるときには、それなりの、もし発射された場合の不利益も具体的に示すことになるだろうと思います。どのくらい具体的になるかは別として、なるだろうと思います。とりあえず今申し上げることはそのくらいだということでございます。
  98. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 せっかく国会の場所でございますので、もう少し具体的に御答弁いただければというふうに思うわけでございます。  例えば、テポドンクラスのミサイル発射台の状況が、大体どのぐらいあって、ノドンクラスのものがどのぐらいあって、そしてまた恐らく地下に隠れて配置されているようなものが大体どのぐらいあるかというのは言うことはできないわけですか。現在わかっている範囲で結構ですから。
  99. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 具体的に申し上げることはちょっとできないと。  ただし、ノドンについてはもう実戦配備されているわけで、かなりあるであろうというふうに思っていますし、ノドンは多くは移動式のものでありますから、これは数を数えようと思っても、ここにあったものが次の場所に移っているということもありますし、正確に数えられませんが、かなりの数のものが実戦配備されているだろう、こういうふうに思っております。
  100. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 かなりというのは、十以上ですか十以下ですか。
  101. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 実戦配備されていてかなりと言った場合、十以下ということはないんではないかと思います。
  102. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 わかりました。  いずれにしましても、私は今認識させていただきましたのは、米国と衛星等々を通じてしっかりした情報日本国も持っている、プラスアルファ、日本国としても独自の情報を得ながらしっかりした情報の解析ができる状況にあるということで認識していてよろしゅうございますか。
  103. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) しっかりした情報の解析というのをどのくらいを考えておられるかわかりませんが、テポドンクラスのものが発射される前には相当の確率を持って認識できる、こういうふうに思っております。
  104. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そこで、ことしの五月二十八日、外務大臣が、衆議院の本会議の御説明の中で、テポドンが再発射された場合の対応について我が党議員に対して、協定実施に関して調整を行う必要が生じたときには協定第七条によりKEDOと協議することになっていると述べ、資金供与中止もあり得るとの考えを示唆したというふうに書いておりますが、それはそのとおりでよろしゅうございますか。
  105. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) KEDOにつきましては、北朝鮮核兵器開発を封ずる上で最も現実的かつ効果的な枠組みであると認識しているわけでありますから、政府としてはこれを維持していく考えに変わりのないことは繰り返し申し上げているとおりであります。  他方、今、委員がおっしゃった、万一発射が行われた場合はKEDOへの協力に対する国民理解というのは大変得にくいわけでありますから、政府として実際上KEDOへの協力が難しくなることはあり得る、こう認識をしているわけであります。  そして、実際に発射されたらどうかということについて、一般論として協定上何が可能かについて申し上げれば、我が国からの資金供与実施が困難となるような場合の対応については、この協定第七条に基づき我が国政府KEDOとの間で協議を行うことになる、こういうことでございます。
  106. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 昨年八月三十一日に発射されたものは結局何だったんでしょうか。人工衛星なのか、それともミサイルなのか、どっちでございますか。
  107. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ミサイルとして開発されたものであることは間違いないわけですが、その上に人工衛星がついていたと北朝鮮側は主張をしておりますが、日本の防衛庁のいろいろな解析によればそういうことはなかったのではないかというのが現時点での、現時点というか、政府の見解でございます。
  108. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そういうことというのは、人工衛星が頭についていたことはないということですか。
  109. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ないというのが防衛庁で調査した結果であると認識しております。
  110. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうしますと、同じような形で、同じような警告というんでしょうか、日本国に対して打ち上げますよというような事前の通告もなく同じものが打ち上げられた場合には、これはKEDOは全くストップということでよろしゅうございますか。
  111. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 何度も答えているところでありますが、KEDO枠組みを壊すということは決していいことではないと考えているわけでありますが、スムーズに協力することは非常に難しくなるという認識政府は持っている、こういうことでございます。
  112. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 同日、六月十七日の産経新聞によっても、ちょっと話があっちこっちに行きますが、ミサイル発射北朝鮮は利益にならないことを十分理解していると思うと北朝鮮に自制を促したというふうに書いてあるんですが、それが何でわかるんですか。こういうふうに思っている、十分理解していると思うというふうにあるんですが、なぜ野中官房長官はそういうことがわかると思われますか。
  113. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 野中官房長官が正確には、どういう言葉を使ってどういうふうに言われたか私は前後の関係もわからないのでその言葉はよくわかりませんが、日米韓から、まさに発射した場合にどういう利益があるか不利益があるかというようなことは公式、非公式にいろいろなルートからいろいろ伝わっていると思いますから、そういう認識はあると思うと、こう野中長官が言ったのではないかと、これも思いますが、私は正確にはそこのところはわかりません。
  114. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうすると、外務大臣または外務省皆さんの中で、北朝鮮ミサイル発射をしたら利益にならないというようなことを漏らしたことを聞いたことがおありでしょうか、委員の方も含めて。
  115. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮側がそういうことを言ったということは承知しておりません。  ただ、日米韓あるいはいろいろなところからそれは利益にならないということは伝わって、北朝鮮側はいろいろそれで計算をしているだろうと、我々と同じそろばんを持っているかどうかはよくわかりませんので最終的にどういう計算の結果が出ているかよくわかりませんが、我々はそういうことを伝えようとしておりますし、いろいろなルートでいろいろ伝えてもいるわけでございます。
  116. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今、言われた中に本当にそのとおりのことがあるのでございますが、つまり国益にかなうかどうかという判断をするアイデアですね、思想が一緒かどうかということを私も伺いたかったということなんですが、これが大分違う。死なばもろともというのか、国民一丸となって死んでもいいんじゃないかというように洗脳されている国民ではないのかなというふうに若干思ったりするんです。  それに対して、日本というのは極めていろいろに考える人がいて、そういう中で、最近の民主主義という考え方なんでしょうか、または自由主義、またはバランスのとれた考え方というのか、そういうものが支配していて、非常に冷静に考えているようなところがあるんですね。ですから、そのアイデアの発生する一番のもとの原理原則というのか主義、思想が違えばおのずと違う考え方になるのは当たり前で、はらわたが煮えくり返るというような言葉を関係の方から伺ったこともございますけれども、本当にそうではないのかなと。  九四年のジュネーブ合意というものがクリントンさんを中心にして、米政府が米朝合意ということでできたわけですが、結局その六年間はテポドン一発で粉々になってしまったような思いが私はしておりまして、ソフト政策、つまり同じような土俵で話せばわかるよとやっていたのが実はそうではなかったということがポイントではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  117. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 話せばわかるよといってやっていたのがそうではなかった、それから話せばわかるかわからないかというのも、これもまたオール・オア・ナッシングじゃないわけで、どの程度話してどの程度わかるかということもいろいろあるわけで、決してその米朝合意をしたアメリカでも、北朝鮮が話せば非常にわかる国民だと、こう思っていた国だとは思っていなかっただろうと思うんです。  思ったよりもさらにわからなかったとか、それはいろいろあるだろうと思いますが、我々はいろいろ話してもなかなかわかってもらえない国だなという前提のもとに、それでもわかってもらおうという努力をいろいろしている、こういうことでございます。
  118. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大変御努力されていることには敬意を表しますし、本当に感謝申し上げます。  ちょっとおもしろい話でございますが、先ほどのKEDOへの拠出金、十億ドルでございますけれども、これは輸銀から無利子で、有利子ですがその利子分を一般会計で補てんしますので無利子のローンになると、こういった制度は輸銀はもともと持っておりましたでしょうか。
  119. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 輸銀が行います借款はKEDOに対して行われるということで、KEDOからは利子も輸銀に対して支払われるわけでございまして、無利子で行うという借款を輸銀の制度としては持っていないというふうに承知しております。
  120. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうすると、特別なローンの組み方をなぜ輸銀がするんでしょうか。
  121. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 輸銀は通常の貸し付けをして、そしてそれを日本政府KEDOに対して利子補給する、こういうことです。
  122. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 その制度は若干なりわかっておりますけれども、結果を見ますと、無利子で貸しているわけですね。普通、輸銀のお金というのはODAには入りませんので、この方式でやりますと、グラントエレメントという観点からすれば無利子のアンタイドローンということになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  123. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これは、輸銀の制度として特殊なことをやるのではなくて、日本政府が特殊な対応をすると。その利子の分をKEDOに補給するという意味で、日本政府が特殊な対応をする、こういうことでございます。
  124. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もちろんそれはよくわかるんですが、ではそうするとローンの名前は何ローンになりますか。
  125. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 輸銀の行うアンタイドローンであると承知しております。
  126. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いずれにしても、結果から見れば輸銀が無利子で貸与していることにほかならないと思うんですね、形としてずっとこっちが利子を補給するわけでございますから。しかも、これはODAカウントはできないんですね、今の状況だと。もちろん、さっきから外務大臣が言われていることはわかります。もちろん輸銀は普通の貸し付けをしているよというふうに言うんですが、だけれども変な話なんですね。  同じ国の出すものが、例えばこれが別の、米輸銀KEDOに対してお金を貸与した、その利子分はこちらで埋めましょうという話だったら何となくわかりやすいんですが、なぜ輸銀をそこで使いながらイレギュラーな方式で、ほかに国は、輸銀がアンタイドローンを出しながら利子を補てんするというのはありますか。
  127. 小松一郎

    政府委員(小松一郎君) 外国の例について今網羅的に承知してございませんけれども、輸銀が、今おっしゃった政府の利子補給という形で借款を供与するということは初めてであると承知しております。
  128. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ふだんであれば、これはもう完全に日本国政府のカウントとしてはODAのカウントにしなきゃいけないものだと私は思います。ただ、今回はできない。できない理由は国交がないからということで認識しておりますが、いかがでしょうか。
  129. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 日本政府が利子を補給する、補てんするというやり方は、国際機関に対する贈与という格好になります。国際機関等への贈与でございますから、予算的にはそれはODAというふうに、先生はそれは性質上ODAになるんじゃないかとおっしゃいましたけれども、我々としてはODAのカウントはしておりません。  そして、なぜしないかといえば、先生おっしゃったような、政策として北朝鮮に対しては国交正常化が実現する以前にはODAを供与しないという政策があるからでございます。
  130. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 国交回復がどんな条件でということも伺いたいと思いましたが、時間がありませんので、それは飛ばします。つまり、国交が回復すると資金はどのように出ていったらいいのか。そしてまた、今とはまた別のやり方を考えていらっしゃいますか、拠出の仕方を。利子の補給の仕方とか含めて、全く同じ方法でそこから九年も、十年も考えていらっしゃいますか。
  131. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 輸銀が十億ドルというお金をKEDOに貸し付けて、その後で国交が、そんなに早くとんとんというのはなかなか大変だと思いますが、回復した場合に、もう既に一つの形ができていて、輸銀KEDOにお金を貸し付けた、そしてKEDOは利息を輸銀に対して払うという形ができているわけです。そういう中で、国はKEDOに対してその利子分を出すという形ができているわけですから、そこで国交が回復しても同じ形で進んでいく、一たん約束がされたことはそのまま進んでいくだろう、こういうふうに思っています。
  132. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 わかりました。  もう一つ、イレギュラーなことがありまして、たしか海部内閣のときだと思いましたが、一九九二年に閣議決定されたODAの原則ですね、軍事四原則。これによれば、②軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避、③として軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払うこと、④として民主化の促進、市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払うこととあるんです。これ全部抵触しまして、実際、インドとパキスタンに対してもストップをかけた。また、中国に対しても天安門事件後いろいろなことをしたと思っております。もちろんこれはODAじゃないからODAの援助大綱と同列で話をするのはちょっとおかしいと言われればさようでございますが、日本外交方針がちょっとぶれているんじゃないかな、これと照らし合わせてもというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  133. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) どの点をぶれているとおっしゃっているのか私ちょっとよくわからないのですが、天安門事件でとめておいてまた復活したのがぶれているとおっしゃっているのか、それとも、このODA大綱を持ちながら、ODAではないとはいえ何かいろいろODAの問題とひっかかるような国に結果としてKEDOに拠出して支援することがぶれている、そういうことであれば、これは基本的に日本安全保障北朝鮮核開発阻止というまさに安全保障の問題として出しているというのが本質でありますから、北朝鮮支援するという面は、現実に十億ドルというお金が出るということで、そういう面がないとは言いませんけれども、それが本質的なものじゃなくて、むしろ北朝鮮核開発を阻止するということを本質として我が国は出すわけでありますから、それは目的が違うというふうに御理解をいただきたい、こう思うんです。  例えば、軍事支出がべらぼうに大きい国に援助をして結果としてそういうことを奨励するようになるのは困るというようなことがODA大綱の趣旨ですが、これはまさに北朝鮮核開発を阻止するという方向の資金の拠出だということで、ODA大綱の考え方ともそういう意味では大きな意味で矛盾しないというふうに考えていただければありがたいと思います。
  134. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そういう考え方もあるかもしれませんが、そうじゃない考え方も私はあるように思えてなりません。  いずれにしましても、恐らくはあしたの本会議でもって可決をすればお金が出ていくわけでございますが、例えば、アメリカの議会が大統領に対して重油供給の費用の三条件を突きつけておりまして、大統領もそれを保証しておるようでございます。これは、五月十八日ぐらいの文書だと思いますが、①として九一年の朝鮮半島非核化共同宣言の実行のための米朝協議の実施、②地下核施設疑惑解消のための米朝合意、③として北朝鮮の弾道ミサイル輸出と脅威削減のための重大な進展の三項目を大統領が議会に対して保証をしたと言われております。  日本政府は議会に対して何を保証していただけるんでしょうか。
  135. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 審議の過程で議会からいろいろの要求があって、そういう中で、私正確にどういう状況でどういうふうにしたか今存じません。  議会に対して保証というのかどうか、私正確にわかりませんが、そういうような決意を述べたということで、これは日本でも、この問題から離れて、一般的に附帯決議みたいなものがあって、それに対して誠実にそれを守っていきますと政府側が述べるということはよくあるわけで、それとどういうふうにどう違うのかよくわかりませんが、アメリカの場合と日本の場合と全く同じように考えることが妥当かどうかということもちょっと今即答できないので、私が何かを保証するという立場かどうかわかりませんが、私もできるだけ誠実にお答えをして、そういう御質問の中でいろいろあれば考えていきたいと思っています。
  136. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一度伺いたいんですが、やはり国民の血税を使うものでございますし、もちろん実質的なそういった不安の解消ということと同時に精神的な不安の解消ということの両方を解消していただくためにも、これこれというのはともかくとして、こういう方向のことについては私は責任を持ってやるんだということを、ぜひこの場で言っていただければ大変幸いです。
  137. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ですから、北朝鮮がテポドンの再発射をしないように米韓と協力して最大限の努力をしてまいります。
  138. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 情熱はよく伝わりました。ありがたいと思っております。  ただ、具体的に例えば査察参加の意向ということで、これは三月の時点の御答弁の中で、小渕総理が言われて、その後すぐに官房長官が、査察への参加を強く言って北朝鮮を刺激し、せっかく米朝間で合意された疑惑施設への訪問に影響を与えてはならないと指摘しというふうに言って、すぐ次の日翻ってというか、御説明を加えていらっしゃいます。  これをちょっと考てみておかしいと思いますのは、日本国が脅威にさらされる、もちろん韓国もさようでございますけれども、かなり多額の資金を日本国が出すのにもかかわらず、査察もしない、同行もしない。いや、これはしないのか、米国の方が先ほどのお話だと情報が漏れるからというような思いの中でしなくていいよと言っているのかわかりませんが、しかし、一次情報というのは、何でもそうでございますが、国としては絶対に必要なことだと思うんです。  改めて伺いますが、査察は現在どのような状況で、これからいろいろ危ないと思われるところへは査察をされない意向でしょうか。
  139. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 総理がおっしゃったことと野中長官が言ったことは、それはどちらも考慮しなきゃいけないことで、その二つが必ずしも矛盾することであるとは考えていないわけであります。日本政府として、日本みずからも査察に加わった方がいいか、加わらない方がいいかといったら、文句なく加わった方がいいに決まっているわけであります。ですから、そういうことは、加わりたいという意向は常に示しておくことが必要で、総理はそういう立場からおっしゃったんだろうと、こう思っています。  一方で現実的な話として、まさにそれまでも査察させる、させないでぎりぎりの交渉のうちにまとまった中で、さらに日本が査察するということ一つが加わることによって余計難しくなるということも考慮しなければいけないという意味で野中官房長官が言ったと、こう思いますが、それも当然現実的には考慮しなければいけない話で、その二つが頭から矛盾するということではないと思っております。  いずれにしても、一番いいのは日本も査察に加わるということが一番いい。そして、どうしても現実的に日本が査察に加わるということが難しいということであれば、例えばアメリカならアメリカがやったにしても、その結果が日本に一次情報と同様にきっちり知らされて、そしてそのことによって事実が日本にとってもきっちり解明されるという状況が確保されるということが最低限必要だと、こういうふうに考えております。それについては、先日の米側の金倉里の視察については確保されていると、こういうふうに考えております、最低限のことは。  そして、日本が入ればそれは秘密が漏れるからとアメリカ考えたなどということはありません。これはそういうことではないわけで、むしろ北朝鮮側の意向ということであります。
  140. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いろいろな御説明がありました。金倉里の視察に参加するということですか。金倉里の視察を米国がした、その情報についてはきちっと押さえているという、そういうことですか。
  141. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その情報については日本側もきっちり説明を受けております。
  142. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いろいろな理由はあるんでしょうけれども、例えばKEDO再開についても、まさに大臣に対してオルブライト国務長官が極めて熱心に何とかこれを再開しないと、特に日本がそこで言ってもらわないとということで米国に渡米されたときに言われて、それをもってまたいろいろな情報を得て御判断をされて、国民的には合意はとれてなかったような雰囲気でございましたが、かなり早めに御決断をされたというふうに私は記憶しておりますけれども、その条件というのではおかしいかもしれませんが、現場を見せてくれよと言うことは当然なければならないというふうに思います。  きょう、お配りした資料で衛星の写真を御用意いたしましたが、これは週刊ポストとかにも載った、またザ・スクープの中でも御紹介したもののコピーでございます。大変見にくいものになってしまいましたが、今、金倉里の話が出ましたが、その他ここにかなり細かく書いてございますが、危険な地域としてはどのあたりが危険な地域というふうに考えられるわけですか。例えばミサイルについての地下基地というか、そういう意味ではいかがでしょうか。
  143. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 核疑惑施設というようなことでいろいろ報道もございますし、今、先生ミサイルの地下施設がこの地図上どこにあるか答えろという御質問でございます。  疑惑核施設というのもいろいろな情報がございますが、もし北朝鮮が別途核兵器開発につながるような施設を持ってやっているとすれば、これはKEDOの大前提に反するわけで、これは非常に深刻なことでございますので、きちっと抑える必要が将来にわたってあると思いますが、それについても現在のところ、きちっとここが間違いないと、金倉里も非常に疑惑が強いということでまず最初の訪問地点に選んだわけでございますが、御案内のように結果が公表されましたが、そういうものは現在のところはなかったということになっておりますし、ほかのところについてもそういう確証があるわけではございません。  地下に隠れたミサイル基地がどこにあるか、ちょっと私もこの地図でお示しすることはできないのでございますが、御理解いただきたいと思います。
  144. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 この地図の中、これはちょっと狭い範囲でございますので、この中でということではないんですが、これは新聞報道でも防衛庁が、長官いらっしゃっておりますが、一月三日のときにも報告をまとめて発表されておると思うんです。金倉里のみならず亀城の起爆実験場、これはこの二枚目にもございます。それから泰川、こちらの方が大規模な地下施設があるのではないかと言われたり、または核の施設が集中しているとも言われております。それから支下里とか、幾つかあると思います。新聞でも出ておるわけでございまして、出していいところは出してもいいんじゃないかと思うんですが、だめでしょうか、大臣
  145. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) どこまでは出せるか、きっちり検討いたします。
  146. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございます。  どの辺にテポドン級の地下発射施設があって、ノドンにおいては例えば、もちろん移動式が多いというお話がありましたのでなかなか難しいとは思いますけれども、考えてみれば日本が怖いのは、テポドンもそうでございますが、ノドンの方で十分に届くというふうに思いますね。ですから、ノドンというのはどういうものであるかという政府の公式な見解といったものを国民に示していただければ、もう少し違った雰囲気というのが出るのではないかなというふうに思います。  ガイドラインの審議のときもさようでございましたが、私もアメリカにいたときにハイチへの侵攻、これで記憶にありますのが、夜中に決めましてもう朝には出撃しました。朝のワシントン・ポストには、何面だったか忘れましたが、地図つきで侵攻の模様がチャートで出ました。こういうのを情報で出しますと非常にわかりやすいし、なぜそれをするのかとか非常に明快な解説があります。  もちろん、それとこれとは別の問題でございますけれども、しかし今、外務大臣言っていただきましたように、出せるものは出していきながら、本当に危ないのだよ、このままいくと本当にだめなんだから、それで実はこれこれこういう準備を始めておりますから皆さん理解くださいと、できればテレビに向かってもう少し具体的にいろいろ御説明いただければもう少し違う世論というものが出てくるのじゃないか。こういうのをグローバルスタンダードと言っていいのかどうかわかりませんけれども、貢献の仕方も違ってくるのかな、こんなことを考えるわけでございます。  重ねてでございますが、我が国においては拉致の問題です。これは中東のレバノンでは解決しながら、日本でなぜ解決しないか。佐藤委員から昨年御質問があったと伺っておりますけれども、こういうこともできない、そしてまた情報も明らかにされないという中では、非常に不満と不信が募るばかりという感じがございます。新聞にすっぱ抜かれるという形ではなくて、前向きな御答弁とまたは解説をテレビまたは新聞等々でしていただければということをお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  147. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最初に、KEDOとの資金拠出協定について二、三お伺いいたします。  政府がつくったペーパーには、KEDO北朝鮮核開発を阻止する最も現実的かつ効果的な枠組みであって、KEDOを維持することは我が国自身の安全保障上極めて重要だと、そういう意義づけをして、そして北東アジアの平和と安定にも資するということだと思います。そこで政府としては、北朝鮮に対しては対話と抑止の対応をしていく方針を維持する、そういう観点からもKEDOへの協力を行っていくということで、私も同様の理解をしております。  ただ、若干問題点が幾つかあるのではないかなと思うんですが、例えば昨年八月のミサイル発射事件後、KEDO支援の凍結等の対抗措置をとった。しかし、それ以後これまでに北側の何らかの建設的な対応があったのかというと、何にもないのではないか。また、米朝の枠組み合意でありながら、アメリカの年間五十万トンの重油の供給というのは、我が国の十分意味のある貢献をするというこの十億ドルの支援と比較しても、果たして米側のそれは十分なのかどうか。それから、プロジェクトの総工費が四十六億ドルで、これに対して韓国が七〇%の三十二億ドル、日本の十億ドルと合わせて残りの四億ドル、この負担はだれがするのか見通しが立っているのかどうか。それから、軽水炉のプロジェクトで日本からの調達はどの程度になるのか。そもそも北朝鮮側に元本の返済能力があるのかどうか。こういう問題点があると思うんですが、これについては一つ一つお伺いしません。  先ほど同僚議員の質問もありましたが、今後の北朝鮮側対応いかんにかかわらず実施するという方向には基本的には変わりないんだろうと思うんですが、万一ミサイルの再発射があった場合には、協定の第七条に基づいて協力の凍結ということもあり得るという先ほどの答弁だと私理解していますが、スムーズにいかないこともあり得るということ、これは念のために確認したいと思うんです。
  148. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 理屈の上で考えますと、北朝鮮ミサイル発射というけしからぬことをやったから核開発が野放しになっていいなんというはずはないんで、テポドンを発射したからこのKEDO凍結と果たして結びつくのかどうかという疑問はあるわけでありますし、核開発はあくまで阻止しなければいけないからこの枠組み自体は私は維持していかなければいけないと、基本的にそう思っているわけであります。  そうでありましても、このミサイルというものに対する国民感情というのは非常に強いわけで、現実問題としてそれが非常に困難になるということは十分考えられ得ることでありますから、私たち北朝鮮に対してはもちろんでありますが、そういうことになったらKEDOに対する協力は非常に難しくなるんだということをアメリカ韓国に対しても前々からきっちり伝えて、だからこそ一緒になってミサイル発射を阻止してもらわなければ困るんだと、これを強く言っているところでございます。  そして、韓国アメリカもそれをよく理解してくれて、一緒にミサイル発射を阻止しよう、本来的にリンクするものであるかどうかは別にして、現実問題として、日本対応とすればミサイル発射KEDOの問題というのはリンクせざるを得なくなるかもしれない、そういうおそれがある、そういうことを韓国アメリカにも伝え、北朝鮮にはもちろんでありますが、そしてそういう中で北朝鮮ミサイル発射を阻止しようと一生懸命やっているところでございます。
  149. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、北朝鮮が再びミサイル発射実験を準備中ということが言われているんですが、先ほどの外務大臣の御答弁の中で、差し迫っているとは思わない、あるいは総合的に判断して近々発射するとは判断されない、こういう発言でしたが、総合的と言えるほどの情報を持っているんでしょうか。これは防衛庁にもお伺いします。
  150. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 総合的と言える情報を持っているかと言われて、これこれこれだけの情報があるから総合的ですと言えないところが非常に残念でありますが、私たちは総合的に判断してそういう判断をしているわけでございます。
  151. 高野博師

    ○高野博師君 防衛庁長官にお伺いしますが、アメリカも相当の情報を持っていると思われますけれども、日米韓情報交換というのは行われていると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  152. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 北朝鮮ミサイル関連動向につきましては、防衛庁としましても、昨年八月の弾道ミサイル発射以来、アメリカ韓国関係諸国間で密接に連絡をとりながら、細心の注意を払って継続的に情報の収集、分析に努めているところでございます。  北朝鮮は、御承知のとおり、既に先ほどもお話が出ましたが、ノドンの開発は完了しており、その配備を行っている可能性が高いというのは日米韓共通の認識でございますけれども、昨年の弾道ミサイル発射に見られますように、引き続きミサイルの長射程化を着実に進めているというのもまた日米韓共通の認識でございます。北朝鮮がこういったミサイル開発を継続する場合には、その過程において発射試験等を行う可能性も一般論としては否定できない、こういうふうに考えられるところでございます。  このような北朝鮮ミサイル関連活動につきましては防衛庁としても種々の情報を得ているところでありますけれども、個別の情報内容について言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。いずれにしましても、今外務大臣からお答えのとおり、防衛庁としては、現時点における情報をやはり総合的に勘案しますと、北朝鮮ミサイル発射が差し迫っていると判断するまでには至っておりません。  いずれにしましても、防衛庁としては、北朝鮮ミサイル発射には重大な関心を持っているところでありまして、今後とも北朝鮮ミサイル関連活動につきましては細心の注意を払ってまいりたいと考えているところでございます。
  153. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカ側は、北朝鮮が再発射をした場合には対抗措置をとるという警告を発しているんですが、この対抗措置の中身については米国と意見交換はしているんでしょうか。
  154. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 当然のことながらしております。これからもしていくつもりでございます。  そして、テポドンの再発射が差し迫っているという具体的な情報がつかめたら、日米韓三カ国で情報を交換しつつ、それぞれがしかるべき措置をとることを警告したいと、こういうふうに考えております。
  155. 高野博師

    ○高野博師君 そうしますと、その対抗措置内容によっては、その措置をとった場合には我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすというような事態も考えられるんでしょうか。いわゆる周辺事態というようなことも考えられるんでしょうか。
  156. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その措置自体が直ちに周辺事態に結びつくというような、そういう措置をとるということでは一般的にないと考えていただいて結構です。
  157. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、例えば経済的な措置とかというような理解でいいんでしょうか。要するに、軍事的な対抗措置というかそういうものではないという理解でいいんでしょうか。
  158. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現時点で具体的な措置について、アメリカ自体がアメリカ措置については言っておりませんし、日本が軍事的措置をとるなどということはちょっと委員もお考えにならないだろうと、こういうふうに思っております。
  159. 高野博師

    ○高野博師君 日本ではなくて、アメリカのことを聞いているんですが。  それで、まだ発射が差し迫った状況にはないということなんですが、しかし、日本としても何らかの警告をきちんと発してもいいのではないかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  160. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 警告といってもいろいろあると思うんですが、ごく抽象的な大きな意味での警告というのは、ペリー調整官北朝鮮に行ったときに日本韓国の支持を受けたその見直しについて説明したところは大きな抽象的な意味の警告でもあるわけでありますが、日米韓ではまさに差し迫ったという情報をつかんだときに警告をしようということになっているということだけ申し上げておきたい、こういうふうに思います。
  161. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、北京では米朝の高官の協議がなされて、その中で北朝鮮側ミサイル輸出については保証があれば中止できる、しかし開発、実験というのは国家主権に属することだと、こういう主張を繰り返したという報道がされているんですが、今回のミサイル実験の準備というのは当然のことながら北朝鮮側の何らかの意図あるいはメッセージがあると思われるんですが、そこは政府はどう読んでおられるのか、防衛庁長官外務大臣にお伺いいたします。
  162. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮ミサイル開発や配備等の問題に対して前向きな対応を示していないわけでありますが、この問題についても米韓等と緊密に連絡しながら、対話と抑止のバランスをとりつつ粘り強く対話をしていくことが重要だと考えております。  今、そういう体制を示していることの意図、昨年の八月三十一日に発射したことの意図、本質的に違うのか違わないのかよくわかりませんが、午前中も他の委員からの御質問にお答えしたところでありますが、どのことが最も大きなことかということについてはなかなか断定しにくいわけでありますが、国威の発揚だとか、あるいは対アメリカあるいは場合によっては対韓、対日、そういった交渉上有利に運ぼうという意図があってのことだとか、あるいはまさに安全保障上そのもののことだとか、あるいは他の国に売って経済的利益を上げるとか、いろんな意図が考えられるわけで、それぞれがそれなりの理由があると思っていますが、どれが最も大きくてどれは違うというようなことを断定的に申し上げられる段階ではない、こう思っています。
  163. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 外務大臣の御答弁に特につけ加えることもございませんが、北朝鮮の意図というのはいろんな憶測があると思うんですけれども、我々としては日米韓の協議を充実させながら間違いのない対応をしていく必要があると考えております。
  164. 高野博師

    ○高野博師君 おっしゃられたとおりだと思うんですが、北朝鮮一流のいわゆる瀬戸際外交とか、あるいは恫喝というのはきつ過ぎますけれども、おどかしに近い意図があるのかどうか。いずれにしても、いろんな要素を含んでいることは間違いない。そこの判断は難しいと思いますけれども、読み間違えてはならないのではないかと思うんです。  そこで、今、大臣と長官からもお話がありましたように、日米韓で緊密な連絡協力関係の中でミサイル発射を阻止するということなんですが、韓国は中国やロシアにも働きかけているという情報があります。日本としても中国、ロシアに再発射を阻止するような何らかの働きかけをしてもいいのではないかと思うんですが、そこは大臣はどうお考えでしょうか。
  165. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日米韓が中心になりますけれども、少しでも効果がありそうなことはすべてやりたいと思っていますから、従来からロシアにも中国にも私自身も働きかけておりますし、またこういう状況でもさらに働きかけ続けていきたい、こう思っております。  私は、ロシアにしても中国にしても、北朝鮮側にそれなりの働きかけはしていただいているものと考えております。
  166. 高野博師

    ○高野博師君 六月二十六日付の産経新聞の記事に、ペリー調整官が五月に訪朝した、そのときに小渕総理のメッセージを口頭で伝えた、これに対してかなり冷たい反応だったという報道だったんですが、この新聞によりますと、ソウル外交筋、これはペリー調整官が寄ったときにそういう情報が漏れたのかと思うんですが、拉致問題等についてはもう全面的な拒否を示したと言われていると。  この辺の関係で、政府はこのペリー調整官から詳しいその辺の報告情報は得ているんでしょうか。
  167. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私が承知している限りでは、まさにペリー調整官から小渕総理のメッセージを伝えてもらった、それに対して北朝鮮側は前向きな反応は示さなかったと。ただ、そのときに、金正日総書記に伝えると、こう相手側の担当官は言ったと、そういうことを承知しております。
  168. 高野博師

    ○高野博師君 同じ新聞の記事、報道によりますと、KEDOによる軽水炉の建設とかあるいは食糧支援等についても、くれるというからもらってやると、そういう対応だと。軽水炉の建設については、こちらから頼んだものではない、そちらから建設を持ちかけながら建設がおくれているのはどういうことかと非難したと。こういうことを言っていると、こういう報道なんですが、これが本当だとするとこれは重大なことではないかなと。  こういう姿勢というのは、かつての我が国からの五十万トン食糧援助のときにも北朝鮮側の高官から同様の発言があったと、インタビュー等でも金容淳とかいう書記が答えているわけですが、十分考えられるなと。  そこで、きちんとその辺の真相は確認しておく必要があるんではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  169. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国KEDO軽水炉プロジェクト支援に対する北朝鮮発言につきましては、これは我が国だけではないわけで、KEDO全体についてのことでありますが、過去にも類似の発言がなされていると承知しております。  こういった発言にもかかわらず、北朝鮮は米朝間の合意された枠組みの一環としての軽水炉プロジェクトの早期推進を重視しておりまして、我が国KEDO協定について大きな関心を持って真剣に受けとめていると考えております。  言葉が気に食わぬということを言い出したらもう北朝鮮と全然話ができなくなりますから、その言葉は言葉として、相手がどのくらいこのことを真剣にやると考えているかということを見ながら対応していきたい、こう思っています。
  170. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、村山訪朝団の訪問延期について二、三お伺いいたします。  対話の糸口、国交正常化、再開のきっかけをつかむという意味でも、政府はかなり期待感を持っていたのではないかと思うんです。前回の委員会でも取り上げましたけれども、訪朝団に対して北側が何らかの援助等を要求していた、あるいは期待していた、そういう背景に問題があったかと思うんですが、この訪問の手続の点で問題がなかったのかどうか。つまり、相手側の連絡調整、そういう機関は外交ルートではなかった、アジア太平洋平和委員会を通じて行っていたと。我が国の食糧援助の際にもこの委員会が窓口になっていたという前例があるんですが、そのために不透明な部分が多かったと。これは前回指摘したんですが、その教訓が今回生かされていなかったんではないかなと。  要するに、このアジア太平洋平和委員会を通じてやった、そもそも招待状も来てなかった、こういうことで、これだけの大型訪朝団、しかも元総理が団長で行くということに対して、政府というか外務省は適切なアドバイスをしなかったんでしょうか。
  171. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 政府としては、北朝鮮に対しまして、緊張緩和をしていくための対話と不測の事故を防ぐための抑止の双方をバランスよくとることにより対応していくことが適切であると考えております。  村山訪朝団につきましては、しばらく様子を見ることになったと、こういうふうに承知しておりますが、訪朝団と北朝鮮側の間での調整が継続し、その結果として訪朝が実現することにより日朝間の対話の契機となることを期待していることには変わりはないわけであります。  どういうルートで村山元総理がやっていたかということについては、それは村山元総理あるいはその訪朝団に参加される方たちの政治的判断においてやっておられたことと承知しております。それとは別に、政府みずからとしても、水面下で会ったときにこういう訪朝団について話し合ったことがありますが、それは決して言われているようなルートではないと、政府みずからがやったのはですよ。村山元総理がどういうルートでやっていたかということは、私としては正確に承知をしておりません。
  172. 高野博師

    ○高野博師君 招待状は受け取っていなかったという、そういう事実は御存じでしょうか。
  173. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) それは報道で見ました。
  174. 高野博師

    ○高野博師君 北朝鮮との関係について外務大臣が今何度もおっしゃいましたように、抑止と対話という方針をとっているわけですが、対話のチャンネルも行き詰まっている。ミサイルの再発射というような報道もあって、抑止というのも余り効果を上げていないんではないか。対話と抑止というのが行き詰まっているように見えるんですが、その辺はどういう認識でしょうか。
  175. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現実に北朝鮮のような国が存在している中で、いろんな評価はあり得ると思いますが、私たちは対話と抑止、そのバランスをきっちりとって今後も北朝鮮と対話をしていくというその原則を崩さずにその中でできるだけ対話を進めていきたい、こう考えているわけであります。  余り行き詰まった行き詰まったと言って、ともかく何でもいいからお土産をどんと渡してそして何か打開するということは、私は長い目でかえって日朝関係のためにもよくないし、北朝鮮自体のためにも余りいいことではない、こういうふうに考えております。
  176. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、小渕総理が七月八日からですか、訪中する、外務大臣も同行されるということですが、昨年の江沢民の来日の場合には若干後味の悪いものが残った。そういうことからも、二国間関係の改善とかあるいは友好関係の強化という観点から小渕総理の訪中は非常に重要だと思うんです。  その首脳会談の中では、歴史認識の問題とかコソボ問題あるいはWTO加盟問題等、重要なテーマについて意見交換をされるんだと思いますが、北朝鮮問題については、中国と北朝鮮関係が進展しつつあるということも考慮すると、中国側の考え方を引き出し、あるいは中国の北朝鮮に対する影響力等もある程度期待できるんではないかと思うんですが、この辺の見通しとか認識はいかがでしょうか。  先般の北朝鮮側のトップレベルの中国訪問の際には、北朝鮮が中国の改革・開放路線に理解を示したというようなことも言われていますし、中国は、南北朝鮮の対立というのは勝負はついている、だから将来の統一に向けて一定の影響力を残しておきたいということから北朝鮮との関係を維持しておきたいという、そういうねらいがあるとも言われているんですが、この点で中国側はどういうふうに考えているのか等も含めて小渕総理の訪中の際にいろんな意見交換をされると思うんですが、その辺について大臣はどういう認識をされていますか。
  177. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 総理訪中の際には、昨年の江沢民主席訪日を通じ日中関係が新たな段階に入ったことを踏まえて、日中友好協力の新世紀へのかけ橋となるような訪問にしたい、こう考えております。  北朝鮮の問題につきましては、日中間では、朝鮮半島の平和と安定を維持することがアジア太平洋地域の平和と安定にとり極めて重要であるということでは一致をしているわけであります。  総理訪中時の首脳会談で取り上げる内容については、現段階ではまだ決まっていないわけでありますが、今申し上げたような認識を踏まえて、両国首脳間で、二国間の協力に限らず、来世紀の世界の平和と発展のため国際的な課題について広く意見交換が行われることとなると考えております。  ちなみに、江沢民主席訪日時の共同プレス発表の朝鮮半島部分だけちょっと読んでみますと、「両国は、朝鮮半島の平和と安定を維持することは、アジア太平洋地域の平和と安定にとり極めて重要であると認識し、関係各方面がこのために積極的な努力を払うことを支持する。」と、こうなっておりまして、この共同プレス発表にあったことのフォローアップということも今度の訪中の中の大きな目的になっておりますので、こういったことも取り上げられ両国の議題になることあり得べしと、そういうことがあるのではなかろうかと私としては考えております。
  178. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  179. 立木洋

    ○立木洋君 一九九四年に北朝鮮核開発疑惑が大きな問題になってから六年近くがたってきたわけですけれども、こうした中でKEDO枠組みが発足して、一応今後の方向についてもそれを確実に守るという実行をしながら問題を解決していく、そういう一定の見通しは一応できてきている。  しかし、この六年間を振り返ってみると、私は外交上極めて重要な節々があったと。そのときにどういう態度をとるかということが極めて、こういう表現が適切かどうかはわからないけれども、どういう態度をとることが本当によかったのかということをもう一度考えてみる必要があるんではないかというふうに考えられるほど重要な経過があったと思うんです。  一九九四年でしたか、の春に、いわゆる査察の協定なんかにはもうこれ以上実施できないというふうな問題になって、それからNPTからの脱退の問題が問題になり、制裁問題が問題になり、外務省から柳井さんがアメリカに飛んでいき、いろいろなことが起こりました。それで、大変な状態になったときに、六月十五日にカーター元大統領が北朝鮮訪問したと。それで、北朝鮮の首脳と話し合いをし、そしてそれが帰国してから発表されるかと思ったら、北朝鮮で全世界にテレビ放送したと。アメリカは制裁をやりませんというふうなことまで述べて、そしてそのかわりあなた方も核計画の解消について努めるべきであるというふうな話し合いが進められたと。外交というものがどういう意味を持つかということを深刻に考えさせられる状況というのが起こってきた。  その後、この問題に関してアメリカ北朝鮮との間での話し合いが行われましたけれども、単純に進むという状況ではなかった。KEDO枠組みができてからもいろいろな問題が起こりましたし、それで結局去年の十月になっていわゆるKEDO理事会で決定されて、そして今度のことしの五月三日に日本としては調印し、今回議会にかかっておるという状況だと思うんです。  この問題の中で私たち考えれば、あのカーター元大統領がアメリカに帰ってから、もしだれもこの時期に北朝鮮と話そうとしなかったなら今ごろどんな事態になっていたかしれないと。その外交に直接当たったカーターさん自身としては本当に深刻な思いだっただろうと私は思ってその記者会見発言を聞きました。同時に、北朝鮮への制裁の計画は戦争につながる極めて深刻な事態であったということをも私のいまだに記憶に残っている彼の言葉の一こまであります。  そういうことが単純に進んだわけではない。極めて真剣な努力があり、粘り強いいわゆる交渉の結果ということが繰り返し繰り返し行われてきてこの六年間の経過を振り返ってきたときに、今、外務大臣としてその任務を負われている高村さんとしては、こういう長い経過の中で行われてきた外交というものの中から一体どういうふうなことをお感じになっておられるのか。今後、KEDOを忠実に守っていくということを進めていくためには一体何を大切だというふうにお考えになっているのか。  六年前はまだ外務大臣ではなかったですけれども、しかしその後の経過の中で一番いろいろと考えられた大臣ですから、その中での酌み取ってきた教訓等の問題についてまず最初にお尋ねしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  180. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 九三年三月の北朝鮮による核不拡散条約、NPTからの脱退表明を受けて、国連及び米朝間において種々のやりとりが行われた結果、九四年六月には国連安保理において北朝鮮制裁決議につき非公式の協議が行われるに至り、国際社会北朝鮮の緊張が高まったわけであります。  こういった状況の中で、米国と北朝鮮は、今、委員がおっしゃったように、カーター元大統領の訪朝を得て、粘り強い交渉の結果、同年十月、合意された枠組み署名に至り、この結果、当面の危機的な状況が回避された、こういうことでございます。  仮に合意された枠組みがなければ、例えば北朝鮮がIAEAの査察を拒否しつつ核兵器の製造に利用可能な純度のプルトニウムを蓄積する等、事態は極めて深刻になっていたと思われます。現実に戦争になっていたということもあり得るわけで、戦争になっていたか、戦争になっていなければ拒否して原爆をたくさん持っている、こういう状況、どっちにしても余りいい状況ではないということだと思います。  それで、米朝間の合意された枠組み及びKEDOは、このような事情を総合的に判断した結果のぎりぎりの決断として生まれたものでありまして、我が国としても、合意された枠組み及びKEDOは、北朝鮮核開発を封ずる上で最も現実的かつ効果的な枠組みとして、この枠組みを壊すという選択肢というのは本来的にないのではないか、私はそう考えているわけであります。
  181. 立木洋

    ○立木洋君 私たちも、核兵器を地球から一掃していくというふうな目標も掲げて主張し続けてきているわけです。  だから、核保有国の核を廃絶すると同時に、いかなる国であろうとも、新しい核兵器を開発する、そういうふうなことについても私たちは絶対にそれを認めない、そうすべきではないという立場をとってきているわけですから、北朝鮮で新しい核開発をするということについては我々も絶対賛成できない。そういう中でのいわゆる平和的な話し合いによってそういう枠組みがつくられてきた。  だから、今までのお話にもありましたけれども、今後これが順調に単純に十年間進んでいくかどうかということは、ほかの委員も疑問を申されましたけれども、必ず順調にいくとは限らない状態もあり得るだろう。しかし、その場合に我々が力を尽くすべきは、まず平和的な話し合いによって努力をする、その粘り強い努力の中で道を見出していくというふうなこれまでの経てきた歩みを忘れてはならないんではないかというふうに私は特に強く感じているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  182. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員と同じように感ずるところがあるわけであります。そういうところもありますが、やはりそれと同時に抑止の方もきっちりしていかなきゃいかぬだろうな、こういうふうに思って……
  183. 立木洋

    ○立木洋君 それは後でまた聞きますよ、お隣に専門がおいでになるから。
  184. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 具体的なことはこちらですが、抽象的に、対話と抑止のバランスというのは常に必要だと私は考えております。
  185. 立木洋

    ○立木洋君 私は、今までのことの中で、いろいろと正確な情報日本外務省がどれほど得ているんだろうかというふうな問題についての疑問といいますか質問がいろいろな角度から出されておりました。  私は、一番今の時期で考えるべきは、話し合いをして、お互いに大体相手の気持ちがわかり合っている間での外交というのは比較的やりやすいんですよ。しかし、相手の気持ちがよくわからない、情報も十分にない、しかもなおかつ一般的な常識では理解されがたい考え方を持っている相手国だとなると、これは外交は難しいんです。一回や二回では決していい結論が出てくるなんというようなことは考えられない。それだけに粘り強い努力というのが外交上必要になってくると思うんです。  その上で一番問題になるのは、日本が今得る外交の正常なルートというのは、第三国を経てというのがほとんどです。アメリカにしても中国にしても、あるいは韓国にしてもそうです。日本が直接、いわゆる国の代表として、北朝鮮の国の代表と正式にひざを交えて、こちらの忌憚のない考え方も述べ、相手の考え方も徹底して述べてもらい、何が本音なのかということを理解することができていないということは、外交上にとって極めて大きなマイナスなんです。  私は、今度KEDOの問題についてこれだけの資金を提供するという協定が調印されるという状況にあるわけですし、国自身が正式な交渉のルートを持つというのと、それから元総理であった政党の代表の方々が交流を持つということについては、意味合いが違うだろうと思うんですね。  国として正式な交渉のルートを持つための努力を、前に一回お聞きしたときに、水面下でさまざまな努力をしておりますというふうなお話がありました。三月の下旬にアジア局長がフィリピンで前の日朝交渉大使と非公式の会談をされたというのもその一つかもしれません。それがどういう内容かということは、私が聞いたってお答えにならないだろうから言いません。  しかし、さまざまなことがあるけれども、私は、正式な交渉のルートをつくるために今あらゆる努力をすべきだ、本心を知るべきだ、何なのかと。こちらの判断ミスで大変な事態になった場合に、日本国民に対する責任というのは大変なことになるだろうと。本当に徹底して相手の本心を理解するということに外交の基本を置く、そのための努力をあらゆる形でやる、このことが私は極めて今重要な時期になってきているんじゃないかと思うんです。  KEDO枠組みを捨て去るべきではない、今後とも続けていく努力をしなければならないというのが基本だというふうに今おっしゃいましたけれども、そうであるならばあるだけに、今、国としての正式な交渉のルートをどういう形で確立するかというのは、私は全力を挙げて努力をする必要があるんじゃないかと考えているんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
  186. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 基本的には、その点については委員と同様に考えております。  日本政府とすれば、小渕総理も私も機会あるごとに国会等で、北朝鮮側国際社会懸念あるいは日朝間の諸問題について建設的な対応をとるのであれば、話し合いを通じて関係正常化をする用意があると、こういうことを言っているわけでありますし、そういったことをまた水面下の話し合い等でも粘り強く伝えているわけであります。  ただ、その関係がない。だから、お互いに何を考えているかわからないという状態は早く脱したいという気持ちは一方で強くあるわけですが、それを脱するためには何かお土産がまずなきゃできないというような、我々の原則をすべて壊してまでそういう関係を早く急ぐのがいいかどうかと言われれば、そうではないだろうというのが私たち考えで、原則は原則として踏まえた上で、そしてそういう中で、できるだけお互いが何を考えているかわかるような、そういったお互いの対話ができるようなルートをつくりたい。それこそ粘り強くと、皆様にもここで私何回も粘り強くと言って粘り強く聞いていただいて大変ありがたいことだと思いますが、そういう努力をしていきたい、こう考えております。
  187. 立木洋

    ○立木洋君 ですから、私は、カーターさんが特別のお土産を持っていったとは思わぬのですよ。しかし、これは繰り返し何回も話し合う中で相手との信頼関係が、一つの言葉でも積み重ねていくことによって、一つの問題、どんな小さい問題でも話し合いで一つ解決できた、その積み重ねがある中に外交の信頼というのが生まれてくるだろうと思うんです。  これは私は、一朝一夕にいわゆる北朝鮮日本を信頼してくれるなんというような、日本政府の今のあり方を、全部信頼してくれるなんというような単純なものであるというふうに考えて申し上げているわけではありません。  ですから、妥協して、何かお土産を持っていけばというふうな考え方は毛頭持つべきではなくて、正々堂々とした外交のあり方を踏まえて、どのようにして外交上の信頼を確立していくのかという本当の粘り強い努力というものが私は必要ではないかというふうに考えているので申し上げさせていただいたわけです。  その点で、本会議での御答弁で小渕総理が述べられておりましたけれども、先ほどもちらっと大臣も述べられたけれども、相手が建設的な、積極的な対応をしてくれば我々は応じる用意があると。そうしたら、相手は積極的な対応を向こうからしてくる状況にあるんだろうか。ないです、私に言わせれば。今の時点で、日本が黙っていて、そして向こうから積極的にいいことを、日本側にとっても望ましいことを、つまり建設的な提案を積極的に向こう側から提起してくるというふうな状況は、今のところ私はあるだろうとは思わないんです。  そうすると、向こうから積極的な提案がない限りこちらは対応しないということになれば、いわゆる芸のないまま時間を過ごすという結果になるんじゃないか。こちらから何らかの問題を提起していく。何をやるかということは、私がここで言うよりも大臣なんかに考えていただくのが、国としてのあり方として考えることは私は最も大切なことだろうと思うんです。だから、そういう意味での消極性ではなくて、積極的にどう今こちらが動くか、日本政府としてどういう動き方をするかということを私は考えていただきたいということを改めてつけ加えたいわけです。  それで、今私がもう一つ心配になることは、北朝鮮のいろいろな報道等も見ていますけれども、結局、前々からの経過といえば、拉致問題があります。それからああいう不審船の問題もあり、ミサイルの問題もあります。  こういう問題が起こってきている中で、どういう問題の提起をしていくかということはなかなか難しいだろうと思うんです。しかし、どういう形で問題を提起するかという問題についてもう一つ考えたいことは、向こうがいわゆる軍事的な問題を持ち出してくると。軍事的な、対立的な状況が生まれてきたのに対して、こちら側が軍事的にまた対立していくというふうな状況で軍事的な対立の悪循環が続いていくならば、問題の解決の方向には私は行かないだろうと思います。そうではない方法を今考えるべきではないだろうか。  この問題については、もう大臣承知のように、いわゆる攻撃的な兵器に対して防御的な兵器が対応するという形で、米ソの間でいわゆる軍拡の悪循環が長い間続いたということを私たちは経験しております。ですから、防衛的な手段だから結構だということにならない。相手の攻撃的な武器に対して防御的な武器だということであっても、それが軍拡の悪循環になる。双方に軍事的な対立を刺激していくという結果になっておるということはこれまでの歴史で明確にされているわけですから。こういうことにならないように避けていくということが外交上より重要な重みを持ってくる私は内容だろうというふうに考えるんですが、野呂田防衛庁長官の御発言は後にいただくことにしますから、そういう考え方についてまず大臣のお考えをお聞きしておきたい。
  188. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほどまで委員と基本的に同じ考え方だと申し上げましたが、今のはちょっと違うわけでありまして、攻撃的兵器と防御的兵器、悪循環と、こうおっしゃいますが、これは鶏と卵の関係ではなくて、どっちが先かはっきりしているわけです。  明らかに、攻撃用兵器があるからこそ防御用兵器をつくらざるを得ないというので、これは決して鶏と卵でどっちが先かわからないという問題じゃありませんから、やはり攻撃用兵器をつくった方から考えていただかないといけないのではないか。  確かに、盾とやりの理論といってお互いが攻撃用兵器を持ち合っている中では、片方が防御用兵器をつくって相手の方だけが無になっちゃって、それでさらにと、こういう話はあり得るかもしれませんが、日本自体は攻撃用兵器なんか持っていないわけでありますから、相手が攻撃用兵器をつくったときには防御用兵器をつくるというのは、私は主権国家として当たり前のことだと。それをあたかも何か鶏と卵でどっちが先かわからないかのような議論をするのは、それは私は間違っている、こういうふうに思います。
  189. 立木洋

    ○立木洋君 鶏が先か卵が先かという問題じゃないんですよ。武器が開発された時期をいつからにするのか。大臣、わかりますか。いつからにしてそういうことをおっしゃるのか。人類の、武器を製造してきた歴史というのは長い時代があるんです、それぞれの国において。それをいつからに決めるのか。これは、お互いの言い合いで、結局は結論が出ない議論なんですよ。  さまざまな問題について攻撃的な武器に対する防衛的な武器がある、兵器がある。だから、悪循環を繰り返していけば、これは軍拡の悪循環になりかねない。だから、そういう道を進むのではなくて、その道とは違う外交上の努力がより重要になってくるという考え方を強調したわけなんです。鶏が先か卵が先か、向こう側が悪くてこちら側は悪くないんだ、防衛しているんだというふうな考え方に立てば、これは相手が聞かないでしょう。私は、相手の味方をする意味で言っているんじゃないんです。兵器の悪循環ということに陥らない形で、平和的な、話し合いによる外交的な手段で問題を解決するということが極めて重要だということを指摘したかったわけです。今、一致しないのならばそれは残念で仕方がありませんけれども、もう一度お考えいただきたいと思うんです。  それで、防衛庁長官にお尋ねします。  去年の暮れ、十二月の安全保障会議で、弾道ミサイルの防衛構想で日米共同技術研究の開発を確認されました。それで九億六千万円の研究費を今年度の予算に盛り込んでおります。これを、詳しく述べていただくのにはもう時間がないんです。目的と見通しと、それから予算を、概算で結構です、端的にお答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  190. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 十二月二十五日の安全保障会議の了承を得まして、平成十一年度から海上配備型上層システムを対象とした日米共同研究に着手するということを決定しましたが、まずその目的は、北朝鮮などといった特定の国や地域を対象としてこういう研究をするわけではないということが第一点でございます。  それから、十一年度については、今お話ありましたように九億六千万円を計上しておりますが、これは要撃ミサイルのシステム設計、それから赤外線シーカーの試作を行うものでございます。  これからどういうような研究がなされ、予算が幾らぐらいかかるかということにつきましては、まだ具体的な日米間の担当部分が決まっておりませんので、これから調整する必要がございます。確たることは申し上げられませんが、防衛庁の見積もりでは、日本側の負担は、五年から六年で約二百億から三百億円程度必要だろうと考えられます。  しかし、共同研究には着手しましたけれども、これはあくまでも研究であって、開発段階への移行とか、あるいは配備段階への移行につきましては、全く別途な判断をするというのが政府の統一見解でございます。  以上がこの問題に対するお答えでございます。
  191. 立木洋

    ○立木洋君 ここに三月十八日の朝雲を持ってきているんです。河尻審議官がこの内容について述べております。これはアメリカではTMDの四つのプログラムのうちの一つで、それを日本側が共同開発すると。それの部門なんかも示しております。だから、それについては私はもうここで詳しくは申し上げません。  ここで言われている重要な点を言いますと、「軽量大気圏外迎撃体を新規開発し、これをスタンダードミサイルに搭載することにより、高い高度での弾道ミサイル要撃能力を確保しようとするものです。」というふうに河尻さんが述べております。これは間違いないだろうと思うんです。そうしますと、ここで言うのは「新規開発し」となっているわけですよ。  それで、アメリカの国防総省が議会に提出した東アジアの戦略ミサイル防衛配置に関する議会への報告書の中では、長距離弾道ミサイルの戦域ミサイル防衛システムについては設計、開発段階にあるというふうに書かれてあります。研究段階じゃないんです。設計、開発の段階なんです。それで、ここにもう河尻さんも新規に開発しというふうに既に述べられているわけです。結局、問題は、ここにあるのは軽量大気圏外迎撃体というふうなことになると、宇宙空間での兵器ではないんでしょうか。宇宙空間で活動する兵器ではないんでしょうか。
  192. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) これはもう先生御存じのところでございますけれども、BMD、これにつきましてアメリカでTMDということで四つのものを研究しておられるわけですが、それは大別すると上層で迎撃をしようとするものと下層で迎撃しようとするもの、この大別がございます。それから、そのベースを海上に置くものと地上に置くものと、こういうことで四種類、こういうことでございます。  私どもが、今、大臣から御説明しましたようなことで、十一年度からアメリカとの共同技術研究に着手することにしておりますNTWDというのは、海上にベースを置く上層システムということでございます。上層がどの程度かというのは、これはいろいろ実際これからの研究にかかってくると思いますが、今念頭に置かれていますのは、地上百数十キロ超のところで対応するようなものを念頭に置いて研究しようということでございます。  したがいまして、宇宙というのがどの範囲だと、これはいろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、通常言われています百キロから上というふうなことからいいますと、このシステムはそれを超えるところで対応を予定するものである、こういうことは言えると思います。
  193. 立木洋

    ○立木洋君 結局、軽量大気圏外迎撃体を新規開発して敵のミサイルを迎撃する技術研究をすると。今、百キロ以上と言われましたけれども、あるいは百三十キロだとか百五十キロだとか、いろいろ言われています。これはいわゆる大気圏外になるわけですね。そこまでいわゆるスタンダードミサイルを打ち上げて、そしてその前にある機体を突き放して、そしてそれが宇宙空間において相手の物体にぶつかって爆破させてというふうな役割を果たす。だから、これは完全に宇宙空間における兵器なんです。これはもう防衛庁が出している資料を見ても全部宇宙空間。だから、軽量大気圏外の迎撃体というふうに名称からして明白に違っている。  この問題に関し、私今までの資料を持ってきたんです。これまでのやっている内容を見ますと、例えば昭和四十四年に宇宙開発事業団法が設定されたとき、宇宙空間における物体の打ち上げは平和目的に限りと書いてあります。それから、宇宙三条約の審議を行ったときも、これは昭和五十八年です。このときも宇宙空間に発する物体は、これは平和目的に限ると。その平和目的に限るということは何かという点についてもこれは明確に指摘をしております。  この点について言えるのは、平和目的に限るということは、これははっきりと非軍事である、こういうことを明確にしておりますことをつけ加えて報告する次第ですということが決議の本文を読み上げた当時の提案者によって明記されております。非軍事という解釈も大体私はそのとおりだと思います。これは木内国務大臣、昭和四十四年当時の科学技術庁長官が述べられた言葉です。  六十年のときの予算委員会でやられた審議の中でも、平和目的に限るということはこれまで国会で非軍事を意味すると議論されてきたとおりでございまして、このことを踏まえて慎重に対処しなければならないと考えているところでありますと、これは加藤防衛庁長官です。ですから、非軍事ということを目的にしているわけです。  宇宙空間において宇宙兵器が飛ばされて、これが相手の物体を迎撃して破壊するということは、これはもう明確に軍事的な目的ですね。これは国会の決議で繰り返しなされ、政府が答弁してきていることと全く外れたことをおやりになろうとしているんですが、これはそういう国会決議とどうして両立できるんでしょうか、野呂田さん。
  194. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) まず最初にお断りしておきたいと思うんですが、このBMDは我々が他の国に対して攻撃するものでは全くございません。相手が弾道ミサイルで攻撃をしてきた場合に、これをひたすら迎え撃って我が国の国土に累を及ぼすことを防ごうという、ただ専守防衛の防衛的なシステムでございまして、他国を攻撃するようなシステムには全くなっていないということでございます。  もし、こういうものもなければ、ただひたすら日本が外国から弾道ミサイルの攻撃を受けて、国民の生命、財産を喪失しなければいけないということになるわけですから、私どもはせめて向こうが攻撃した場合にこれを迎え撃って国民の生命と財産を守ろうということでありまして、地域の平和と安定に悪影響を与えるものだとは全く考えていないわけでございます。  御指摘のように、当時の国会における論議の中で、科学技術庁長官から平和利用等が非軍事を意味する旨の見解が表明されたことは承知しております。  他方、昨年十二月二十五日の官房長官談話にもありますとおり、政府としては、近年弾道ミサイル拡散している状況にあるところ、BMDシステムが我が国の生命、財産を守るための純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段であることを考えますと、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、本件国会決議の趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念に沿ったものでありまして、このことにつきましては国民各位の御理解をいただけるものと考えておるところであります。
  195. 立木洋

    ○立木洋君 野中官房長官が述べておられることを私も知っております。だが、ここでおっしゃっているのは、純粋に防御的な他に代替手段のない唯一の手段と。そうしたら、防御的な手段であればいわゆる宇宙で宇宙兵器を使って相手の武器を迎撃していいというふうなことを、前の国会決議のいわゆる平和目的に限りいかなる意味でも宇宙空間においては軍事的には使用されないと、相手を迎撃するというのはこれは軍事ですよ、その国会決議となぜ両立できるんですか。  ここに、一九八三年に安倍さんが外務大臣のときだったですか、安倍国務大臣となっておりますけれども、ここでおっしゃっているのは、「宇宙時代とも言える時代に入ろうとしておると思います。科学技術がこれからも発展していく中で宇宙の利用あるいは開発といったものが今後ともいろいろな形で進んでいくと思いますが、先ほども答弁しましたが、そういう中で大事なことは、宇宙の利用というのが平和の目的に利用されるということでなければならない、こういうふうに思いますし、軍備の競争の場にいたずらにこれが供されるということは避けなければならぬのじゃないか、」と、はっきり言っているんです。  相手が攻撃的な兵器であって、こちらが防御的な兵器だから構わないんだ、防御の手段だからという論理は通らないんです。今まで国会の場で政府が答弁してきたのは通らない。軍備の拡大、競争に提供するようなことはやってはならない、宇宙での軍備競争がこれからも拡大していくようなことは避けなければならないと、繰り返し安倍大臣はそう述べているんです。  あくまで平和的な利用というものに限る、だから自衛隊はこれを利用してはならないんだということさえ、先ほどの加藤防衛庁長官発言でも述べている。これはどのように言おうと、防御的だから結構だということにはならないんですよ、どうですか。
  196. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 委員の御説に従えば、日本が雨あられのようにミサイル攻撃を受けて国民の生命も財産も守れないときに、なおかつ相手が攻撃しても手をこまねいて何の手段も講じないということこそが私は独立国家として大変な問題であって……
  197. 立木洋

    ○立木洋君 もう時間がなくなるから。
  198. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ちょっと聞いてください。むしろ、そういうことで、そういう無法な攻撃に対して迎撃して海上で落とすことが日本の平和を守る大きな理由じゃないでしょうか。  私どもは、そういう議論を十分した上で官房長官談話を出してこのことを決めたわけであります。
  199. 立木洋

    ○立木洋君 済みません。これを最後に終わります。  質問しても野呂田防衛庁長官は同じ答弁をなさるでしょうから、質問ではありません。私の意見だけ述べさせていただきます。  だから、私は、外交的な持つ意味合いというのが今ほど重要なことになっている時期はないということを私は前段として強調したわけです。そのことを踏まえた上で言っているんです。だから、この問題については、軍備の競争にならない道をたどるということが外交としてきわめなければならないより一層重要なものだと。  それは防衛庁長官ですから防衛ということを第一義的に考えるでしょうけれども、国民や国土の安全、そういうものを考えた場合に、どういう態度をとるかということは、もう一度高い次元に立って、この日本の平和の問題、国民の生命の問題ということを考える視点でこの問題を考えていただきたい。武器を増強していくということのみが問題の解決の道にはならないんだということだけは述べておきたいと思います。答弁は要りません。次の機会にまたやります。  終わります。
  200. 山崎力

    山崎力君 今度のKEDOに関する問題ですけれども、いろいろ同僚議員からの質問で政府考え方というのは伺ってまいりましたが、そこのところでのどうしても踏み越えなければならない問題というのは、本来の目的である北朝鮮核開発をこれで阻止できるんだと、唯一の方法なんだということが本当なんだろうかと。もしこれで、KEDO協力をしつつ、隠れて北朝鮮核開発をやめていないということであるならば、このお金というものは、非常にむだ金どころではない、逆効果のお金になるんではないかと。この疑問を国民に対してどのように説明していくかということだろうと私は思っております。  そういった点で、当然アメリカ側もそのスタンスを持っておって、先ほどの金倉里の施設への訪問なのか検証なのか、その辺は別としまして、やったわけですが、そこで私が思い出すのは、いわゆる米ソ冷戦時代の核制限交渉、そういった中での問題は、目標あるいはそういった数字、そういったものの内容はそれぞれ簡単に決まるけれども、それが本当に守られているかどうかという検証部門をどうするかということでかなり時間をかけたというふうに聞いております。  そういった観点から、今回の金倉里への米国の訪問というんでしょうか査察というんでしょうか、その点についてアメリカは一応疑惑はなかったというふうに結論だけは伝わっておりますけれども、それを裏づける内容といいますか、そういったものはどの程度日本政府としてアメリカ側から説明を受けているのか。  それで、そのことが、日本政府としてもあそこの施設に関しては米国の言うとおり疑惑はないと現時点で結論づけるのに、判断するのに適当な十分な情報提供を受けているのかどうか、その点について、まずお伺いしたいと思います。
  201. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米国は、六月二十五日でありますが、同国の技術専門家チームによる金倉里の施設への訪問の最終結果を発表したところであります。  それによりますと、この施設の大部分はむき出しの岩のままのトンネルであること、この場所にかつて機材が据えつけられたことを示す証拠はなかった、それから現在の地下施設の規模と形状であれば原子炉や再処理施設の設置には適していないということが判明したと。結果として、米国政府現時点においてこの施設は合意された枠組みに違反するものではないという結論に達したということでございます。  しかし、同時に、この施設が巨大な地下施設であるため、大がかりな改修作業によって将来そのような施設の建設に資することとなる可能性はあるとしておりまして、二〇〇〇年五月に次回の訪問を行うこととしております。  我が国政府は、今回の米国の技術専門家チームの現地訪問に当たっては、事前及び事後にこのチームの長を務めた担当者から直接説明を受けており、今回公表された最終結果についても特段の疑問はない、こういうふうに考えております。
  202. 山崎力

    山崎力君 そういうふうな結論は受けるとして、それであれば国民の、一般の人の理解をより得るために具体的なデータをアメリカ側が提供したのかどうか。例えば、トンネルの延長はどのくらいあったのか、あるいはトンネルの大きさはどの程度であったのか、直線だったのか平たんだったのか、そういった形状の大まかな数字、別にメジャーではかれというわけではないんですが、そういったことが数字として出てこない。極めて漠然としているんです。そういった説明は受けているんでしょうか。
  203. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 先ほど大臣が御答弁された内容は公表された中身でございますが、私どもはアメリカ側関係者からいささか詳しい説明を受けております。今、先生がおっしゃいましたようながらんとした空間であったというようなものがどの程度の大きさであったというようなことについては説明を受けております。
  204. 山崎力

    山崎力君 その数字は発表しないようにという米国からの説明はあったんでしょうか。
  205. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 当然の前提として、米側が調査の結果、分析の結果を公表した部分が公表できる部分だという理解でございます。
  206. 山崎力

    山崎力君 ということは、日本国政府の立場はわかるんですが、アメリカにとっても、あれだけ納税者意識の強い国民性、議会でありますので、その辺のところ、数字が出てこないで納得する国民性だとは思えないんです。  もし今後、アメリカ地元アメリカで発表してから日本にそういう数字を出してもいい、こういうことなのか。それとも、この数字自体がある意味を持って、具体的に言えば、そんな数字のものであればとてもじゃないが、この米国からの報告は納得できないという反発を恐れているんじゃないかという勘ぐりもしたくなるようなこともあるわけなんですが、その辺はいかがでしょうか。
  207. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 私どもが、いささかより詳しいと申し上げましたが、公表内容よりは詳しい説明を受けている。そういう点から判断して、まさに公表された部分はそれの要約であって、この長さがどのくらいというような数字は確かにございますが、そういうものが別にゆがめられて全体の判断になっているというようなことでは一切ないわけでございますので、私どもは公表部分ということで十分この調査結果というものは説得力を持っているというふうに考えております。
  208. 山崎力

    山崎力君 説得力を持っているというのはちょっとおかしいのであって、そういう数字をもとに、こういう空間、空洞であるならば現時点の判断としてアメリカの判断は信頼できる、結論は信頼できるということはわかるんですけれども、その数字は教わったと、数字は教わったけれども一応約束で言えないと、そこまではいいんです。  ただ、そこから飛んで、公表されたことだけでアメリカの結論が妥当だというのはとても言えない。要するに、言えない数字を我々が判断して、こういう数字のものであるならばアメリカのこの結論は妥当であろうなという説明ならわかるんですけれども、その論理構成が私にはいささかわかりかねるんですが、いかがでしょうか。
  209. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 繰り返しになるかもしれませんが、金倉里の地下施設の大きな空間としてこういう大きさの、何フィートのというのがあるわけでございますが、そういう大きな空間、これは先ほど大臣が御答弁になられましたように、再処理施設とか核施設には適さないものであるというような判断、実態からそういう判断が導き出されたということについて、もちろん私どもが非常に正確な技術的な判断ができる立場にはございませんけれども、それは決して公表された部分の結論がその実態と食い違っているとか故意に少し違う判断が出てきているというようなことではない。  私どもはいささか詳しい内容を見て、公表部分の判断というのは自然に受け入れることができるということを申し上げたわけでございます。
  210. 山崎力

    山崎力君 私も専門家でないので何とも言えないんですけれども、どれだけの空間があれば核施設のものができるのかということは、これは皆さん方、外務省の役人といいますか、専門家でもなかなか難しい。それこそ日本のそういった部門の、科技庁におられるかどうかわかりませんが、そういった方たちの点検を受けて、こういったものであれば我々の知り得る知識からいってこの空間が核施設に転換することは無理であろうと、日本なりに結論づけなければ言えない問題じゃないかなというのが私の感想なんです。  そういったことの点検をなさった上で、アメリカの言うことが妥当である、信用できるというような報道、発表その他、まだ私どもは受けていないものですから、その辺が非常にあいまいもことしたままで、要するにアメリカが調べてアメリカが安心なんだから日本も信頼してください、こういうことでいいんだろうか。  少なくともお金を出す我々が、国家として、アメリカと共同して、北朝鮮核開発に資するものでないということを自分の国として判断する、国民にそういったものを納得させるデータとしては私は不十分じゃないかなという気がぬぐえないんですが、大臣、率直にどうお考えでしょうか。
  211. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) ちょっと余計な口出しかもしれませんが、アメリカの専門家が出した報告書を見ますと、現在の大きさ、地下区域の形状という条件では、施設はプルトニウム生産のための原子炉、特に北朝鮮寧辺でつくったタイプの黒鉛減速炉の据えつけには不適当である、黒鉛減速炉の据えつけの寧辺の大きさというのはわかるわけでございますから、それから見て相当小さなもので不適当であるというふうな報告がなされているということが一つの参考になろうかと思います。
  212. 山崎力

    山崎力君 それではもう一点。北側は、この施設をどういう目的のために建設した、要するにつくった動機についてはアメリカ説明しているんでしょうか。
  213. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 北朝鮮アメリカに動機を説明しているかというお尋ねでございます。  これは、実際どういうやりとりがあったかはもちろんわかりませんが、アメリカ側も、このサイズでは黒鉛減速炉をつくるとか再処理施設をつくるとかというには十分大きくない、しかしかなり大がかりなものである、これはどういう意図でつくったのかなというような問題意識を持っているということで、私どもが実際どういう説明があったかないかを申し上げる立場にございませんが、若干その点についてはどういう目的なのかなという感じは残っているというふうに聞いております。
  214. 山崎力

    山崎力君 そういったことであれば、アメリカ側も普通のときのあれと違って物すごく奥歯に物の挟まったような発表の仕方をしているというふうに受けとめているわけです。  余りあからさまにすると、外交の駆け引きその他、実際上行くところまで行きかねない相手国の状況から見て、かなり抑えたトーンで発表して、今のところは矛をおさめておきましょう、これ以上はちょっとぎりぎりやるあれではない、別の面でということであって、疑惑疑惑のまま残しつつ現時点においては一たんは振りかざした刀をさやにおさめておきましょうという程度のものではないのかなというふうに思っているわけです。  それが、飛ぶようですが、韓国側は表現を嫌っているようですけれども、一連の太陽政策の行き詰まりかというふうな情勢の中で、果たしてこれがうまくいくんだろうか。特に我が国として、日本の納税者からしてみれば、要するに金を出せ、その金の使い方について、使うか使わないかについてはアメリカのやることを信用しろというふうにしかこの問題に関しては私は受け取れないんですよ。これは極めて、北側に対するメッセージというだけでなくて、日米韓のこういった措置に関しても非常に不幸なことだと私は思っている。  日本としてもこの問題について金は出す、確かにその目的というのは共通の目的だけれども、それが達成されるのか達成されないのか、検証に関してはもう少し代表として、受け入れない韓国日本政府の代表の面も含めてアメリカの人たちがそこへ検証に行っているんだという姿勢がいま一つ見えてこないんですね、今回に関して。  そこのところが日本側の遠慮があってはいけないわけですし、当然の疑問だと思うんです。そうじゃないんなら、何のためにこんな大規模なものをつくったんだと。もちろん全部見せてもらっているわけじゃないんでしょうけれども、直径が例えば五メートルのいわゆる通路といいますかトンネルが一キロ、二キロあるのと、直径が三十メートルも五十メートルもあるようなのが十キロも二十キロも何十キロも続いているのでは、これは性格が同じトンネルでも地下施設が違うわけです。そういった点を考えますと、本当にかなり大きいといってもどの程度なんだろうと。計算してはじいてもかなりの不安感がそこにある。小さい方でとれば安心だけれども、大きな方でとれば不安だ。こういったことがどうしても、これからほかのところも出てくるかもしれませんが、不安感がぬぐい切れない。  一言で言えば、アメリカが問題先延ばしのために現時点でこういう発表をした、そしてそのところをつつかれないために結論だけこういうふうに、恐らく日本韓国に対して同様以上に、アメリカ内部のごく一部の人以外にはアメリカ国民にも発表しない、そういう検証だったんじゃないのかなという気が私はしているんです。  発表されたばかりですから、アメリカ国内の反応がまだどういうようなものか十分把握していないとは思いますけれども、その辺について何か情報がありましたら、この際、教えていただきたいと思います。
  215. 阿南惟茂

    政府委員阿南惟茂君) 先生、疑惑疑惑として残したままというふうにおっしゃいましたが、私、先ほどお答えした、これは何のためにこんなものをつくったかという疑問があったということは事実でございますけれども、疑惑という意味では、いわゆる秘密核施設疑惑という意味ではこの施設は合意されたことに違反するものではないという結論を明確に出しているわけでございまして、先ほど私、ちょっと御説明するのが不十分だったかもしれませんが、そしてまた私からこういうことを申し上げるのは適当かどうかわかりませんが、アメリカは恐らくこの公表ぶりについては北朝鮮側と打ち合わせをしているんだと思っております。  したがって、調査の内容、私どもが少し詳しく聞いておりますのが全部出せないというのは、先生がおっしゃったように、その部分を隠しているとか先延ばしというよりは若干、しかも来年五月にもう一回こういうことをやるということにもなっておりますので、相手あってのことという事情も当然あるというふうに考えております。
  216. 山崎力

    山崎力君 防衛庁の方で何か特段つけ加えること、この金倉里についてございますでしょうか。
  217. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 本件は、米側は国務省、それから我が方は外務省を中心にいろいろ意見交換をされているわけですが、私どもとして、今回の米側の発表ぶりと違う意見を国防省筋と申しましょうか、私どものカウンターパートから聞いているということはございません。
  218. 山崎力

    山崎力君 ちょっと別の視点からいくんですが、いわゆるミサイル開発の問題になって、同僚議員からもいろいろな角度から質問がありましたけれども、今度の問題からいけば、核疑惑というのはこれは国際上の約束事であるわけですが、ミサイル開発については、これは主権の問題ということで、特段我々の開発する権利を阻止するものは法的にはないんだというのが北側の公式見解、ある意味では当然の見解だろうと思うわけです。  ただ、そういったときに、先ほどの関連でいえば、国民感情という言葉もありましたけれども、黙って人の頭上をミサイル撃ちをやっておいて、そんな信用できない不作法な国にお金をKEDOを通じてやることはいかがなものかと当然なるわけで、これは国民感情としてはそのとおりですが、国際法上といいますか、外に出た、相手のある場合にそれを言うのはなかなか難しい。やるとすれば自国の判断で、日本国政府は、国際的なそういったことはともかくとして、自国民のそういった感情をもとにして、拠出する、しないは日本国政府の判断なんだから、そこの判断は勝手にさせてもらいます、こういったことで物事は動いていくと思うんです。  一番私が危惧するのが、次回も黙って撃ってくれればその議論が通じると思うんですが、要するに予告して我が国は何月何日前後に人工衛星を打ち上げると。より詳しく言えば、その一段目は日本海のこのあたりの水域に落ちるおそれがある、二段目のロケットは太平洋のこのあたりに落ちる可能性がある、よって危険水域を公表する、こんなことをやって撃たれた場合、果たして日本国政府はどういう対応をとるんだという疑問が出てくるんですが、その辺いかがでしょうか。
  219. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現時点における情報を総合すれば、政府として北朝鮮によるミサイルの再発射が差し迫っているとは判断していないことはもう既にお答えしたとおりであります。  北朝鮮によるミサイルの再発射は、我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定に深刻な影響を与え、我が国を含む関係諸国北朝鮮との関係に重大な影響を及ぼすことになるわけであります。そして、そのことは北朝鮮にとっても少なくとも我々の考え方からいえば決して利益にならないと思っておりますし、我が国政府は、そのような事態を回避すべく米韓と連携しつつ、北朝鮮ミサイル発射の抑止のため最大限の努力を行っていく考えであります。  事前通報あるいは人工衛星搭載の有無を含め、いかなる対応発射であるにしても、北朝鮮ミサイル発射我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定にとって極めて懸念すべき事態であることは何ら変わりはないわけでありまして、何ら変わりはないということは日本だけの考え方ではありませんで、米韓も同じ考えであります。これは確認をしております。  その意味で、発射対応によって我が国対応に本質的な相違が生ずることはない、こういうふうに理解していただいて結構でございます。
  220. 山崎力

    山崎力君 そこが一番ポイントだろうと思うんですが、逆に言えば、今の言葉を返せば、我が国は米韓両国と協力して、北側の人工衛星発射という、世界各国がやっている技術開発を阻止しよう、こういうおどかしをかけているとも受け取れるわけです。  ここが非常に悩ましいところでして、その辺本当に今のスタンスでいいんですか、もう少し何か知恵がないんでしょうかというのが私の偽らざる現時点での気持ちであるわけです。  それじゃどこか、例えば中国が人工衛星を打ち上げたときに、たまたま日本領空上を通ったと。中国の打ち上げは何も文句を言わぬで北のだけ文句を言うのかというようなことも起こりかねないわけで、それが素直に受けとめられない国だから北というのは非常に難しい国だろうと思うのですが、その辺のところをもう一度再確認させていただいて私の質問を終わりたいんです。  要するに、そういったことであっても、現下の国際情勢その他から見て、我が国としては、たとえ事前通告があり、明確に人工衛星の打ち上げだと、現実に人工衛星を打ち上げてみればわかるわけですから、そういったものであってもスタンスは変えないというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  221. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮ミサイル発射我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定にとって極めて憂慮すべきであるということは、これは人工衛星であっても同じであると。人工衛星であっても同じであるというよりも、たまたま人工衛星が一番先にくっついていても同じである、こういうことでありまして、事前通報や人工衛星搭載の有無を含めて、それの対応が変わってくることはない、こういうことであります。ちなみに、例えばイスラエルが人工衛星を打ち上げるような場合に、必ずしも友好的でない国の方角に向かって打ち上げてはいないというふうに承知をしております。  北朝鮮にとっては、今、日本と国交もないという状況の中で、またいろんな問題がある中で、日本列島を飛び越えるような形で、完全に軌道を回っている上で上空を通ったという場合と違うわけでありますから、そういうことは同じように考えていいのではないか、こういうふうに思っております。
  222. 山崎力

    山崎力君 終わります。
  223. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最初に、北朝鮮をめぐって少しく気になる一般的な問題をお尋ねしたいと思います。  最初は、数カ月前ですか、もっとなりますか、発生した工作船の問題であります。  海上保安庁にお尋ねいたしますけれども、あの事件後、警備の面あるいは訓練の面でどれだけの努力がなされてきたのか、もう二度とああいうことは絶対に起こさない、逃すようなことはあり得ないということが断言できるのかどうか、そういう角度でお伺いしたいと思います。  あのときは、まさしく大騒ぎをして、見事な捕り物劇を演じて、見事にまた逃したと。余りに見事過ぎるものだから、あれは自作自演ではないかという皮肉な評論家まであらわれたわけであります。考えてみると、あれはたかだか漁船に毛の生えたような船が二隻だけでありまして、別に軍艦が来たわけでも何でもない。それを大騒ぎをして追いかけて、結局は逃がした。一体、海の警察、海上保安庁はどうなっているのか、これはだれだってそう考えるわけであります。  しかし、弁解するところによると、何しろ逃げ足が速いと。しかし、そんなことは最初からわかっていることですから、それに対する対応は日ごろどうしていたんだと。  それから、乗り込んだりとめたりするとそれがまた大変危険だといいますけれども、少なくとも海上警備、陸の警察も同じですけれども、自衛隊も同じだと思うんですけれども、そういう仕事をやっている人は危険だということは口が裂けても言わないことなんですよ。それを承知でそういう仕事をやっておるわけですから。嫌ならばそれを即座にやめればよろしいわけですからね。そういうことは言いわけにも何にもならない。しかし、いずれにしろ逃したことは間違いないわけですから、先ほども言いましたけれども、二度とあってはならないと。  その後、大変努力を重ねてもう二度と起こさないという絶対の自信を持つような警備体制を備えたと思うんですけれども、予算を含めまして、どれだけの努力が積み重なってきたのかどうか、少し具体的に説明していただければと思います。
  224. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 先生、御承知かと思いますが、六月四日に「能登半島沖不審船事案における教訓・反省事項について」ということで、内閣全体での取りまとめがなされました。そこにございますように、不審船への対応は警察機関たる海上保安庁がまず第一に行うことが基本である。海上保安庁のみでは対処できない場合には自衛隊と連携して事案に対処するということになっております。  それで、こういった内閣の取りまとめを踏まえまして、まず一番の問題は、やはり情報の収集を早くして、そしてこれを内閣全体で共有化することである。それから監視体制を強化することである。それから予算とか、先生お話がございましたが、巡視船艇の速さとか防護能力とか、そういう能力の強化の問題である。それから防衛庁との連携強化の問題である。これについては共同対処マニュアルなどをつくって訓練もしていくといったことを行いまして、不審船対策に最大限の努力をするということが決まりました。我々はこれを着実に実行していきたいと思っております。  既にそういった面でさまざまな訓練も開始をしております。あと、そういったことを積み上げていって、防衛庁との間の共同訓練といったところにつなげていきたいと考えております。  それで、そのほかにも今、日本海側ではいろいろ密漁とか密航とか、あるいは麻薬等の、覚せい剤等のそういった海上警備の問題もございますので、全体的にそういう海上警備、こういったものを強化する方向でやってまいりたいと思っております。  こういう不審船につきましての内閣の取りまとめに掲げられた事項につきましては、既に一部を実施しているところでございますが、その他のものについても関係省庁とも連絡をとりつつ早急に検討し、おっしゃるような対応に万全を期してまいりたいと考えております。
  225. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 六月四日の報告書なるもの、私もさらっと斜め読みいたしましたけれども、率直な疑問、皮肉を言うわけではありませんけれども、あの程度のことはなぜ今まで実施できなかったのか。  何か十八回も逃がしておるということをこの前言っておられましたけれども、一回でも二回でも逃せばすぐあのぐらいの対応策は出てきまして、今後は絶対逃さないというぐらいの決意を持って臨むのが当たり前だと思うんですけれども、あれだけの大騒ぎにならないとあの程度の対応策も生まれてこないのかどうか、大変皮肉な質問で申しわけありませんけれども、いかがなんでしょうか。
  226. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 私どもは、公海上にあらわれましたならば、これは基本的には追い払うものだと思っておりますし、この間のように領海深く入ってまいりました場合には、これは捜査と申しますか、逮捕といいますか、そういった点での対応をしてまいりたいと考えております。  十八回というのはそういう全体的なものも含めての話でございますし、ほかのものもあるわけでございます。今後、こういった点につきましては万全を期してまいりたいと考えております。
  227. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 こいねがわくはあれを最後にしてもらいたいということを願っておきます。  それから、同じような問題、防衛庁にもちょっとお尋ねしておきたいわけであります。先ほども言いましたけれども、たかだか民間の漁船に毛の生えたような船が二隻、それを軍艦という言い方は大変失礼ですけれども、軍隊ではないというらしいですから、しかし例えて言えば軍艦まで出動して逃がしてしまう、こんなことは世界の海軍史上にまず例がないんじゃないかと思いたくなるくらいであります。  しかし、ああいうことを軍隊が逃したとすれば、まさしくこれの司令官は即座に罷免でありまして、下手をしたら軍法会議にかけられて銃殺刑にもなりかねないような、それだけ軍の重さというのはあるわけですけれども、日本の場合は軍隊ではないんですから大変幸せなことで、だれ一人として責任をとった者はいないというようなわけでありますけれども、二度とああいうことのないように、海上自衛隊は海上自衛隊できちっと対応策を進めてもらいたいと思いますけれども、御決意だけ承っておきます。
  228. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) もうこれは委員が一番御承知のとおりでございますが、私どもが要請を受けて海上警備行動をとる場合でも、警察官職務執行法の準用でやるわけですから、ある程度武器を使って艦船に損傷を与えることはできますが、人体に危険を及ぼすということは正当防衛か緊急避難等の場合でなきゃだめだというふうになっておるものですから、すぐそばにいたわけですから追突すればそれでも沈むんですが、これは人が死んでしまうということで、まず警職法に反するということになります。  あるいは機関砲を持っているわけですから、一発撃てば沈められるわけですが、相手の人に危害を与えることになりますからそれもできなかったということであります。こういうことで、この警察官職務執行法で海上自衛隊がああいう場合に対処する法制度のあり方についてもう少し検討する必要がないかという大きな問題があります。  それから、この間も、仮にとまりましたら私どもこれに立ち入ることも無理をすれば可能だったんですが、立ち入っても自衛隊には行政警察権しかないものですから、司法警察権がないものですから、捕まえるということはなかなか法律上の限界があるといった問題もございました。そこで、私どもはこの六月四日の反省のもとで、防衛庁として何ができるか。これは法律をいじるとしても急速にはできないわけですから、現行法の範囲内でできることはどういうことかということで真剣に検討しているわけです。  まず、海上保安庁と初動段階から迅速緊密な情報交換をやって連携を強化しようという問題、それから艦艇や航空機の能力を強化して、例えば護衛艦へ十二・七ミリ程度の機関銃を装備する。こういうことだと、かじを壊して船をとめることはできても人には危害を与えないことになるだろう。あるいはP3C等に静止画像伝送装置をつくっていこう。あるいは立入検査用の装備を、高速ボートとかあるいは防弾救命胴衣のようなものを整備しよう。それから、人に危害を与えずに不審船を停船させる新たな捕捉手段の研究をやって、そういう道具を整備しよう。あるいはマニュアルを作成して立入検査等に関する訓練の実施をしようと。  いずれにしましても、今後この種の事案が再発した場合には、万全を期して遺漏なきようにしたいというのが私どもの考え方であります。
  229. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これまた皮肉を申すようで恐縮でございますけれども、全く予想もしなかった新しい事態が目の前に起きたと、それでその対応をどうしようか今一生懸命考えておるというならわからぬでもない。この法律、この法律に欠陥があったとか、こういうやり方があったけれども、考えられるけれどもそれは無理だとか、そういうことならわかるんですけれどもね。  かねがねこういうことは予想されたことですから、海上自衛隊としてもこういう事態になったらどう対応すべきか。そのために訓練だってあるわけであって、毎日暇なんでしょう、そういうことを訓練するために海上自衛隊、いろいろ頑張っておるんじゃないでしょうか。参謀は参謀でいろんな案を立ててそれをやってみるとか、そういうことが一切行われてこなかったとしか思えないんだけれども、簡単でいいですけれども、これからどうなさるか、その決意ぐらいはお聞かせください。
  230. 野呂田芳成

    国務大臣野呂田芳成君) 先生の御指摘を戒めとして、今後二度とこういう不手際が起こらないようにしたいと思っております。
  231. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 次に、日本人妻の問題ですけれども、これも一昨年ですか、昨年にかけて二回にわたって大騒ぎをして帰国、二回、ほぼ十数名が帰国してそれでおしまいということになっておるようであります。  北朝鮮側の発表か何かによりますれば、帰国した日本人妻に対して大変失礼な振る舞いがあったので、以後希望者がいなくなったんだというようなことを言っているようでありますけれども、これはとても信用できないことで、肉親が肉親に会いたいというのはそんなことは礼儀の問題でも何でもない、自然の発露だろうと思うんですけれども、一体どうして北朝鮮日本人妻の帰国の問題がなくなったのか不思議で仕方がない。  しかし、いずれにしろもはや二十一世紀でありまするから、国が許可して帰すとか、そういうことではもうないんだろうと思うんです。肉親に会う、会いたいという人はもう自由に往来する、これは当たり前のことではないか。こちらからもまた肉親が出かけていって向こうの自分の肉親に会ってくる、そういう時代なんですね。  拉致問題ですと北朝鮮はさすがそういう事実があったということは絶対認めないでしょう。そんなことを認めたら国は崩壊するしかないわけですからね、絶対認めない。しかし、日本人妻の問題は、これはいることははっきり認めておるわけですから、その中に帰りたいという人が半分ぐらいは当然いるわけでしょう。帰るというのは一時的な帰国のことですけれども、ちょっと帰りたいとか。そういうことは機会あるごとに取り上げて、会談でも機会あるごとにそういう申し入れをする、大変大事なことだろうと思うんです。  この今回のKEDOに対する資金提供も私はこういうことを条件にすべきだったのではないかと思うんですよ。あそこにいる我々の同胞が国にちょっと帰りたいと言っておる、それぐらい帰させるようなアメリカ韓国も配慮してやってくれと。韓国韓国でまた分散家族の問題を抱えているようですけれども、それは韓国の問題であって、我々が国民の税金を一千億以上も出す、そういう場合にそれぐらいの条件をつけるのは私は当たり前じゃないかと思うんです。  今後の日本人妻の帰国の問題も含めてどういうふうにお考えなのか、ちょっと大臣の御見解を承れればと思います。
  232. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮在住の日本人配偶者の故郷訪問につきましては、昨年六月に朝鮮赤十字会スポークスマンが、まさに今、委員が御指摘になった日本側の対応を理由として日本人配偶者が第三回故郷訪問の申請を取り消した旨発表して以降、実施されていないという状況であります。  日朝関係は、その後も北朝鮮によるミサイル発射などで良好な状況にないわけでありまして、我が国政府としては、第三回以降の故郷訪問についても人道的見地からこれを実施することを希望しておりまして、まさにこういうことも含めて北朝鮮側建設的な対応を期待しているということを申し上げているわけであります。これまでも非公式接触等を通じて我が方のこのような考え方を先方に伝達しておりますが、前向きの協力を得られていない状況であります。
  233. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今回のKEDOに対する資金提供について、ある意味では最大の責任を持っているのはアメリカだろうと思いますけれども、アメリカ政府はこの日本人妻の一時帰国の問題についてどういう見解を示しておるんでしょうか。それを承れればと思います。
  234. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本人妻の問題は日朝間で一応、いろいろ難癖つけられたりなんかしていますけれども、一応話が進んで二回までできた、そういうことで日朝間である程度、今こういうぐあいに全く全体の動きがないわけでありますが、むしろ幾つか絞るとすれば、拉致の問題ということをアメリカに対しても提起しておりますが、日米間でこの日本人妻の問題については今まで話したということはないわけでございます。
  235. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 その拉致の問題は北朝鮮が事実を認めませんから、これは幾ら取り上げてみてものれんに腕押しということで終始するんだろうと思うんです。  アメリカは殊のほか人道ということを高々とにしきの御旗を掲げる国ですから、そのためにユーゴの空爆までやっているぐらいでありまするから、こういう問題につきましては殊のほか神経を高ぶらせてそうだそうだと言うに違いないと思うんです。今、日朝間のパイプがあればまた別ですけれども、それがないから我々もこうして苦労しているわけでありまして、あらゆる機会をつかまえて日本人妻の人道的配慮から帰国を実現させてほしいとアメリカにもきちっと申し入れて、アメリカから北朝鮮に申し入れをしてもらうと。先ほども言いましたけれども、それを資金提供の条件にするぐらいの価値のある問題だろうと思うんです。  肉親がもう何十年も隔てられて会えない。何だ、そんなことは大したことじゃないじゃないかと言う人もいるかもしれませんけれども、ごくごく自然なそういう肉親の、そのことはまさしく人道そのものだと言ってもいいわけでありまして、どうして今回その問題が日米間であるいは米朝間で取り上げられなかったのか不思議で仕方がないんですけれども、そんな大した問題ではないというふうに政府はお考えなのかどうなのか。  これからの取り組みも含めて、もう少しはっきりした御意見をお聞かせ願えればと思うんです。
  236. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 決して大した問題でないと考えているわけではありません。ですから、今、委員がおっしゃったことも一つ検討課題として考えてみたいと、こういうふうに思います。  ただ、拉致の問題はどうせできないからと、非常に難しいということはそのとおりでありますけれども、私たちは、やはり日本人の命の問題でありますから、この問題につきましては、難しいか難しくないかはともかく、あらゆる形でこのことを最大のこととして、人道問題としては最大の問題として拉致の問題を取り上げていきたいと思っております。
  237. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これからの政府の御努力につきまして大いに期待しておきたいと思います。  それから次は、中国と北朝鮮のかかわり、関係についてであります。先ほどもちょっと質問で出ていたように思いますけれども、北朝鮮が暴発するおそれが多分にあるというふうに評論家その他の方々が言っておりまして、どういうきっかけか知りませんけれども南に侵攻してくる、それに伴って難民がまた我が国にも押し寄せてくる、北朝鮮が暴発したら大変なことになる、こう言われております。  そこで我々が考えるには、今現在地球上で北朝鮮に一番影響力を持っているのは中国ではないか、こう思うわけであります。中国が北朝鮮に陰に陽に、暴発なんかするな、したらもう我々は絶対おまえらを支援しないぞ、むしろアメリカ側に立っておまえらをたたきのめすぞというぐらいのことを中国が北朝鮮にきちっと言えば、北朝鮮の暴発なんか考えられないのではないかという気もするわけであります。  こういう議論を実は中国のさる情報関係者のしかるべき地位におる者、男ですけれども、非公式な話し合いの際にちょっと私が言いましたら、今中国と北朝鮮は大変冷え切っているんだ、むしろ日本北朝鮮との関係と同じぐらいに冷え切っておる、そんなことを北朝鮮に言ったって聞く連中ではない、手合いではないという言葉を使いましたか、いずれにしろ中国も大変困っておると。そして、もし一たん事あって国境を越えて大量の難民が我が国土に入ってきたらこれまたえらいことだ、北朝鮮の暴発だけは何としても食いとめたいというふうにも考えておるが、手だてがなくて実は大変困っているんだ、こういうことを言っておりました。  この話の真偽は私わかりませんけれども、外務省とすれば、北朝鮮と中国との関係、特に中国の北朝鮮に対する影響力、圧力というものについてどういうふうに評価しておるのか。中国カードを北朝鮮問題で使えるのかどうなのか、その辺もまたちょっと御意見をお聞かせ願えればと思います。
  238. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員情報関係者から聞いたという対日本と同じぐらい対中関係が冷え込んでいるとは思いません。とは思いませんが、私が中国の複数の高官と話したときも、それぞれそんなに中国は影響力ないんだよということは口をそろえて言います。私はそれはある程度本当なんだろうと、こう考えております。  ただ、チュチェ思想、主体思想ということで非常に独自の道を歩んでいる国でありますから、どこの国も影響力ない中で、中国はみずからが影響力ないないと言いながらも全くないというわけではないと思いますので、私は、中国の方たちに会う機会を見ては北朝鮮にしかるべき影響力を行使してくれということは申し上げているところでございます。
  239. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これはまた中国のことですから、実はあるのにかかわらずないないと言って、また日本から資金提供を受けようかとでも考えているのかというふうにこちらも考えざるを得ないような雲行きなんですけれども、しかし、いずれにしろ中国カードが利用できないということは私はないと思うんです。  日本と中国が北朝鮮問題でもう少し腹を割った話し合いをしまして、共同の歩調をそろえて北朝鮮問題に対処するというふうなことは考えられないものなのかどうなのか。場合によったら北朝鮮問題について日中の共同声明を出すとか、そういうことで北朝鮮の暴発を食いとめるとか、あるいは今のところアメリカが大手を振ってまかり通っているようですけれども、アメリカに少しく対抗する意味でも日本と中国が一体となって事に当たるということは考えられないものだろうか、私はこう思っておるわけですけれども、いかがでしょうか、こういう考えは。
  240. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 中国はある意味北朝鮮に対して非常にいろいろな感情があると思いますが、そういう感情を持ちながらも一方で独自性は尊重せざるを得ない、こういう感じを持っている点もあるわけであります。  ただ、北朝鮮をどうするということではなくて、江沢民国家主席が日本に来られたときの共同プレス発表の中にも、正確な言葉はちょっと今忘れましたが、朝鮮半島の安定は極めて重要なことであり、そういったことについて両国で一緒にやっていく、こういうことが入っております。今正確な言葉が参りました。「両国は、朝鮮半島の平和と安定を維持することは、アジア太平洋地域の平和と安定にとり極めて重要であると認識し、関係各方面がこのために積極的な努力を払うことを支持する。」、これが共同プレス発表の中にあります。  そして、今度の小渕総理の訪中は、これだけではありませんが、要するに共同プレス発表のフォローアップという意味も含まれていると考えておりますので、このことにつきましても、北朝鮮の問題についても当然両首脳間で何らかの話し合いはされるだろう、私はそういうふうに思っております。
  241. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後になりますけれども、本来のKEDOに対する資金提供の問題で、先ほども議論されておりましたけれども、北朝鮮が近々ミサイルを飛ばす。前回のやつは射程距離が千五百キロ、今回のやつは七千キロだというふうに報道されております。こういう事態になったらば、資金の援助を停止するとかKEDOから引き揚げるとか、そういうことは条件とされていないのかどうか。  それからもう一つ核開発北朝鮮が進めていることが仮に明らかになったといたしますれば、それを条件といたしましてこれを停止する、引き揚げるということは可能なのかどうなのか。今のミサイルを含めまして、いかがなんでしょうか。
  242. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 核開発の問題は目的に対しての直接の話でありますから、単なる感情というよりも論理的に即結びつく話であります。  ただ、そういう中で、別のところで核開発が進められていることが時間的にどのくらいのことがあって、そしてそういうことを見つけた場合に今後それをやめるという約束が取りつけられるかどうかというようなことともいろいろ関連して、いろんな条件のもとで各国で相談していかなければいけない話だ、こういうふうに思っております。  テポドン二号が再発射された場合に直ちにKEDO枠組みを壊すということが私は適当だとは思いませんが、非常に協力というのは難しくなる、こういうことをアメリカに対しても韓国に対しても言い続けておりまして、そしてそれだからこそアメリカ韓国も一緒になってテポドン再発射について抑止することを日本とともにやってほしい、こういうことを申しているわけでございます。  いざ発射するということになると、かなりの確率で私たちはそれを察知できると思っておりますから、もし発射すればこういうことになるんだよという、そういったいろいろなことを含めた警告を与えるということで日米韓では一応の合意ができている、こういうことでございます。
  243. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に。昔から金を出す者は口を出す、これは当然のことなんです。口を出せないのは政治家に対する政治献金だけなので、あれも実際はどうかわかりませんけれども、口を出していないことになっていますけれども、いずれにしろ、金を出す以上はその金の使い道について責任を持つということは当然のことですから、遠慮なく条件をつけて、条件に反したら引き揚げるというぐらいの気構えは持ってこれからのKEDOの運営について考えていってもらいたい、こう思います。  国民感情でなかなか納得できないことが最近いろいろと起きているようでありますから、これは本席をかりてお願いしておきまして、質問を終わります。
  244. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  軽水炉プロジェクト実施のための資金供与に関する日本国政府朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  245. 河本英典

    委員長河本英典君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  247. 河本英典

    委員長河本英典君) 次に、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件、民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  248. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府国際原子力機関との間の協定追加議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  国際原子力機関が平成九年に保障措置制度の強化及び改善のためモデル追加議定書を採択したことを受け、政府は、この追加議定書締結するため、国際原子力機関と数次にわたり交渉を行い、平成十年十二月四日にウィーンで、我が方池田在ウィーン国際機関日本政府代表部大使と先方エルバラダイ事務局長との間でこの追加議定書署名を行った次第でございます。  この追加議定書は、保障措置制度の実効性を強化し及びその効率を改善するため、国際原子力機関に提供する情報の拡充、国際原子力機関に対する補完的なアクセスの提供等について規定するものであります。  この追加議定書締結は、核兵器の不拡散体制の強化に関する国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この追加議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成九年六月にジュネーブで開催された国際労働機関の総会において採択されたものであります。  この条約は、民間職業仲介事業所の運営を認め及びそのサービスを利用する労働者を保護するために必要な枠組みについて定めたものであります。  我が国がこの条約締結することは、民間職業仲介事業所が国際的な基準に従って運営されることを確保するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  最後に、航空業務に関する日本国政府イスラエル国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、イスラエル国との間で航空協定締結するため、イスラエル国政府と交渉を行いました結果、平成十一年四月二十三日に東京において、先方ベンヤアコブ駐日大使との間でこの協定署名を行った次第であります。  この協定は、我が国とイスラエル国との間の定期航空業務を開設すること等を目的としており、それらのための権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、我が国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定締結によって我が国とイスラエル国との間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することとなることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  249. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会