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1999-04-13 第145回国会 参議院 外交・防衛委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十三日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     立木  洋君  三月二十九日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     岩井 國臣君      森山  裕君     加納 時男君  三月三十日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     佐々木知子君      加納 時男君     山下 善彦君  三月三十一日     辞任         補欠選任      鈴木 正孝君     大野つや子君      山下 善彦君     森山  裕君  四月十三日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 大野つや子君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 小川 敏夫君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君    政府委員        外務大臣官房審        議官       小松 一郎君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省経済局長  大島正太郎君        外務省条約局長  東郷 和彦君        特許庁長官    伊佐山建志君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○標章国際登録に関するマドリッド協定の千九  百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択さ  れた議定書締結について承認を求めるの件(  内閣提出) ○国際通貨基金協定の第四次改正受諾について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付)     ─────────────
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十六日、吉川春子君が委員辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。  また、去る三月三十一日、鈴木正孝君が委員辞任され、その補欠として大野つや子君が選任されました。  また、本日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 立木洋

    立木洋君 このマドリッド協定議定書については、出願者手続簡素化に資するという点からもちろん賛成であります。そういう点から若干の点をお尋ねしておきたいと思います。  我が国としては、標章審査については従来から慎重に行ってきましたし、また安定的な権利の確保という点で我が国経済活動を支える上でも資するものであったというふうに考えております。  そこで、この議定書加入について、我が国が従来行ってきた審査制度、つまり審査官による慎重でかつ厳格な審査の実施が引き続き維持されていくのかどうか、充実させることが可能なのかどうか、そういう点についての変化がないかどうかをまず最初に明確にしておいていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  5. 伊佐山建志

    政府委員伊佐山建志君) 委員指摘のとおり、私どもといたしましても、ぜひこの議定書に参加することによりまして出願人利便性を高めるというようなことをお願いできればと思っておりまして、入った結果、手続が大幅に変わるということは基本的にないと思っております。  御承知のとおり、これまで審査手続におきましては、識別性、それから他人の権利との抵触関係、それから公益性という、この三つの観点から問題があるかないかということをチェックしてまいりました。  今度の議定書に参加するに当たりまして国内法手続改正も必要でございまして、それを今、国会でお願いしているところでございますが、その改正商標法におきましても、マドリッド協定議定書による日本への出願、これは国内出願と同じに扱うということを明記させていただいておりますので、基本的に従前と違うようなことにはならないというふうに考えております。
  6. 立木洋

    立木洋君 従前どおり慎重かつ厳格に審査を行っていくということを確認しておきたいと思います。  それで、今度の議定書加入によって現行と変わる点というのは、審査期間といいますか、これまでは一年だったのが十八カ月間にすることもできるというふうになっているわけですが、十八カ月以内に拒絶の通報をしない場合にはその標章保護しなければならないということになるわけですね。とすると、議定書加入の前提として、出願については少なくとも十八カ月間以内に審査が十分にできるということが求められると思うんです。  そういう十八カ月間で審査が慎重かつ厳格にできるかどうかという点、今までは若干かかっておったというふうな状況もありましたが、その点の根拠についてお述べいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  7. 伊佐山建志

    政府委員伊佐山建志君) 御指摘のとおり、かつてはかなり時間をかけた形での審査が行われておりました。それを、私ども法制度を運用する立場といたしましても出願する側のインタレストというものを十分に考慮しなきゃいけないということもございまして、これまでに、国会におきまして法改正をお願いするというようなことを通じまして制度改正を何度かやっていただいております。  特に、平成八年度に法律改正をしていただきまして、従前は一出願区分制という制度でございましたけれども、それを多区分制にしていただくというような制度改正、あるいは権利を付与した後に異議を申し出ることができるような制度にしていただくということによりまして、今までですと、権利の付与以前に問題を提起できた、したがって権利関係が必ずしも安定的であるかどうかというのがどうしても危ぶまれるような状況に置かれる、そういうケースがあったわけでございますが、これをなくしていただいたということもございまして、かつては年間十数万件出願されておりましたが、今ですと十一万件ぐらいに減るというような、そういう制度改正による制度運用面での改善というのが実現いたしております。  それに加えまして、私ども審査官の数でありますとか、あるいはOBを活用するといったようなことによりまして、かつては二十カ月を超える実態でございましたが、現在では十六カ月ぐらいに短縮されると。したがいまして、ことしの年末ぐらいまでには相当程度改善された状況になっているだろうということもございますので、我々、入った暁にそういう制約があっても十分こなしていけるというふうに考えております。
  8. 立木洋

    立木洋君 おたくの方から資料をいただいているわけですけれども出願された日からいわゆる最初拒絶理由通知発送日までの期間FA期間というふうに言われていますけれども、去年平成十年四月というのによりますと、FA期間が大体二十・六三カ月というぐらいになっていましたね。  確かに一年間近くの間に大幅に改善されてきたというデータはこれを見てわかるわけですが、これも一つ平均的な期間ですね。だから、若干時間がかかるものもあるでしょうし、さらに短くできるのもあるでしょうけれども、やはり全体的に十八カ月以内にすべてのいわゆる拒否の内容について当人に通告しなければならないということになる点に努力をしていただかないと、これは平均ですから、若干問題が残るのかなという気がしたもので、お尋ねしたわけです。  先ほども申されたように、この審査制度を維持して、さらに充実していくと。なおかつ、この議定書内容に基づいて十八カ月以内にすべての拒絶理由について相手に通告することが可能だというふうなことを守っていく、そういう保証措置を適切にとることが非常に大切ではないかというふうに考えるんです。  その点で、この問題を審査官や職員の負担増にひたすら願って進めていくというふうなことにならないように、やはり必要な場合には審査官増員等も考えて適切な措置をとっていくことが必要だというふうに考えるんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  9. 伊佐山建志

    政府委員伊佐山建志君) 委員が御指摘のとおり、私どもの役所を含めまして全体の定員管理というのは大変厳しいものがございますが、幸いにいたしまして、関係方面の御理解を得て、例えば商標審査官につきましてもここのところ毎年三名ほどふやしていただいております。十年ほど前と比べますと二十数名ふえるというような状況になっておりまして、我々は我々なりの与えられた条件の中で最善の努力をすることによって必要な人間をできるだけ確保するようにすると。  ただ、それで本当に将来とも大丈夫かということについては、我々も対応策を考えなきゃいけないということで、御案内のとおり、これまでもペーパーレス化とか、それからOBの方でまだ働く意欲のある方、こういうベテランの商標審査をやっていたような方々を採用させていただいて調査員という形で残っていただきまして、それでこういう業務にも当たっていただくというようなこと、これも最近始めておりまして、そういう形でもって万遺漏なき形でやっていきたい、こんなふうに考えております。
  10. 立木洋

    立木洋君 マドリッド協定議定書を通じて今度初めて参加するわけです。ですから、そういう国際的な取り決めを十分守っていけるように、これまでも年々増員してきたということは承知しているわけですが、その点十分に配慮して進めていくようにしていただきたいということだけを最後に要望申し上げておきたいと思います。  もうちょっと時間があるので、一言だけ高村外務大臣にお尋ねさせていただきたいと思うんです。これは全然問題は別なんですが、北朝鮮との関係なんですけれども、四月七日でしたか、外務大臣毎日新聞のインタビューを受けておられました。それを読んでちょっと確かめておきたいというふうに思ったので、お聞きします。  今、日本北朝鮮との関係というのは特に昨年来重大な状況になっているということが当委員会でもいろいろ議論されました。五年前に北朝鮮核疑惑が問題になったときに非常に危険な状態まで行きましたけれどもカーター米元大統領が北朝鮮を訪問して平和的な話し合いで新しい枠組みがつくられて、それによって問題が危機的な状況に発展するということなく一定の見通しが確立できたというふうな事態があったと思うんです。  しかし、その後もミサイルの問題や不審船問題等々いろいろあって、この問題を解決していく上ではやはり軍事的な対立の強化ではなくて、いわゆるそういう軍事的な対立の悪循環を防いで、そして国際的な道理を踏まえた形で平和的な打開を推し進めていくということが大切ではないだろうかというふうに考えているわけです。  そこで、今、日本北朝鮮との関係について言えば、いわゆる正常な交渉ルートというのはないわけですし、アメリカの場合にはこういう点では一定ルートがありまして交渉が行われているというふうに承知しているわけですが、そのときに外務大臣の先ほど言った毎日新聞での発言を見せていただきますと、「建設的な対応には応えるし、非建設的対応には毅然たる態度を取る。工作船の問題があったからといって、対話窓口を閉ざすということではない。」というふうに述べておられます。  それで、北朝鮮の政権が現在の国際社会のルールにおいて、我々と共通の認識、共通の常識を持っていないという点については私たちもよくわかります。そういう意味では話し合いをするにしても難しさは確かにあるだろうと思いますけれども日本側は国際的な道理を尽くした外交的な手段をとることがやはり重要ではないだろうかということを考えるわけです。  そういう北朝鮮との話し合いの場をどういうふうに持っていくのかという点で、これまでどういう努力をなさっておいでになったのか、現状はどうなのか、それからこれからの対話窓口を切り開いていく上でどういう努力をし、その展望はどのようにお持ちになっておられるのか、この点だけをお聞きしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、委員から御紹介していただいたように、日本政府とすれば対話と抑止、どちらも大切であると。そして、建設的な対応についてはこたえていくし、非建設的な対応については毅然とした態度をとると。  これだけ言うと全く受け身みたいに見えますが、やはり対話の方についてはいろいろ対話をするべく日本政府としても水面下での努力は行っております。そして、水面下政府レベルで会ったこともありますし、それからこれからもそういうことはしていくつもりでございます。  そして、政府レベルでなくても、いわゆる議員外交等についても、私たちは現時点でお互いに全く、私たち北朝鮮に抗議しようと思っても抗議する手段も全然なくはありませんが、ないような状態は決して好ましくない、相手が何を考えているかもよくわからない状態は決して好ましくないということでありますから、そういった政府だけでなくいろいろな幅の広い接触、そういうことについても日本政府としては今歓迎をしているところでございます。
  12. 立木洋

    立木洋君 結構です。
  13. 山崎力

    山崎力君 それでは一、二質問させていただきます。  今回の標章国際登録に関するマドリッド協定でございますけれども国民レベルでいけばこの問題で一番関心があるのがイミテーションといいますか、似たような物をつくってそれを販売するという模倣被害というんでしょうか、そういったものだろうと思うんです。  そういう一種の商標権保護というような観点から、この辺のところで今回の議定書というものがどういう関係あるいは意義を有しているのかという点をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 近年、途上国を中心といたしまして我が国企業商標等を不当に使用した模倣品が多く製造され、世界各国で流通しており、我が国企業が多大な被害を受けているわけでございます。  それらの国における模倣品に対し商標権等権利行使を行うためには、当該国において権利を取得していることが極めて重要であります。本議定書締結によって、我が国における商標出願または登録に基づいて他の締約国において迅速確実かつ低廉に商標権を取得することが可能となり、我が国企業商標権保護が国際的に促進されることになるわけでございます。  なお、現在本議定書締約国は三十七カ国で、そのうち我が国企業模倣被害の多いアジア諸国における締約国は中国のみでありますが、今般我が国が本議定書締結して他のアジア諸国にも締結を働きかけることにより締約国がふえれば、アジアにおける我が国企業商標権保護を促進する上で極めて有意義だと思っているところでございます。
  15. 山崎力

    山崎力君 わかりました。これと関連して、質問通告はしていないんですが、これの上の段階の問題として特許制度があると思うんです。ここのところで極めて我が国において難しい問題、これは委員会はこちらの方じゃないところなんですけれども、国際的な関係ということで若干気にしているところは、アメリカ制度と我々の制度と大きく違っている。  というのは、我々といいますか、ヨーロッパはたしか我々に近いと思ったんですが、要するに特許申請をしてから我々の場合は二十年保護と、いつオーケーが出るかわからないわけですね。ところが、アメリカの場合はそのオーケーが出てからたしか十七年と、この期間が違う。それから、我々の方は、特許申請が出されてある程度の時間を置けばどんな特許申請が出されているかということが公表される、どんな特許申請が今出ているかわかると。ところが、アメリカの場合はオーケーが出て初めてこういう特許が認められたということになっていて、これは非常に国際的に制度が違うという意味で難しい問題だろうと思うんです。  これは専門のところでいろいろなされるとして、そういったことが今外交上の問題となっているのかなっていないのかという点だけ、事実関係だけわかれば教えていただきたいと思います。
  16. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 一般的な形で御説明させていただきますと、先生御指摘のとおり、アメリカ特許制度日本あるいはほかの国との基本的な違いがございまして、例えばアメリカ側の場合には最初につくった人がという場合と、申請した場合と分かれています。  そういうことで違いがございますので、お互いに相談して、むしろ私どもとしてはアメリカ側にどちらかといえば国際的により広く受け入れられているような日本がとっているような制度に変えてほしいというようなことはいろんな機会を通じて申し入れております。
  17. 山崎力

    山崎力君 ヨーロッパの場合は日本制度的に似ていると考えてよろしいわけですね。
  18. 大島正太郎

    政府委員大島正太郎君) 基本的にはそういうふうに理解しております。
  19. 山崎力

    山崎力君 時間をちょっと残しておりますが、これで質問を終わらせていただきます。
  20. 河本英典

    委員長河本英典君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  標章国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  21. 河本英典

    委員長河本英典君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 河本英典

    委員長河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  23. 河本英典

    委員長河本英典君) 次に、国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件及びアフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高村外務大臣
  24. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいま議題となりました国際通貨基金協定の第四次改正受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成九年九月に国際通貨基金総務会承認されたものであります。  この改正は、特別引き出し権配分額国際通貨基金加盟国間で衡平なものとするために特別引き出し権特別配分を行うことを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、国際通貨基金における我が国国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、アフリカ開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十年五月にアフリカ開発銀行総務会承認されたものであります。  この改正は、アフリカ開発銀行加盟国出資比率総務会議決要件等を変更することを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、アフリカ諸国に対する経済協力に一層貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  25. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会