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1999-04-05 第145回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         立木  洋君     理 事                 佐藤 泰三君                 橋本 聖子君                 松崎 俊久君                 福本 潤一君     委 員                 海老原義彦君                 鎌田 要人君                 中川 義雄君                 森田 次夫君                 山内 俊夫君                 笹野 貞子君                 内藤 正光君                 小泉 親司君                 照屋 寛徳君                 田村 秀昭君                 堂本 暁子君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (沖縄開発庁長        官)       野中 広務君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣審議官    安達 俊雄君        内閣官房内閣安        全保障危機管        理室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障・        危機管理室長   伊藤 康成君        総務庁長官官房        審議官      大坪 正彦君        防衛施設庁施設        部長       宝槻 吉昭君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省条約局長  東郷 和彦君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        資源エネルギー        庁石油部長    今井 康夫君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君        海上保安庁長官  楠木 行雄君    事務局側        第一特別調査室        長        加藤 一宇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (平成十一年度沖縄及び北方問題に関しての施  策に関する件)     ─────────────
  2. 立木洋

    委員長立木洋君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のうち、平成十一年度沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 橋本聖子

    橋本聖子君 こんにちは。自民党の橋本聖子でございます。お忙しい中、大臣に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、昨日、沖縄尚学高校が甲子園で沖縄に初の優勝旗をもたらしまして、本当に私自身委員会のメンバーの一人として大変うれしくニュースを見させていただきました。沖縄開発庁長官初め沖縄県民皆様にお喜びを申し上げます。おめでとうございました。  それでは、質問に入らせていただきます。  二月にロシアイワノフ外相訪日された際話し合われました平和条約交渉について、まず最初外務大臣お尋ねをしたいと思います。  日ロ双方の案を踏まえての話し合いであったということなんですけれども、報道によりますと、この交渉は結果的には実りのあるものではなかったというふうに聞いております。これは、特にロシア側自国案、すなわち平和条約締結と領土問題の解決とを切り離した案に固執してしまったという点で問題のようですが、我が国との妥協点を見出して二〇〇〇年までに平和条約締結するという見通しはありますでしょうか。  また、先週一日と二日には国境画定委員会共同経済活動委員会の両委員会が行われまして、首相外交最高顧問でもあります橋本龍太郎首相ロシアエリツィン大統領からロシアへのお招きをいただいているということも報道されましたけれども、この協議につきまして外務省、また外務大臣はどのように感じられましたでしょうか、お答えをお願いいたします。
  4. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は、本年二月に訪日されたイワノフ外務大臣平和条約交渉を行いまして、首脳会談で達成された日ロ間の一連の合意及び宣言に従って精力的な作業を継続していくことを確認するとともに、日ロ双方の案を踏まえて極めて率直な話し合いを行ったわけでございます。  一日及び二日には平和条約締結問題日ロ合同委員会次官級分科会が行われまして、国境画定委員会及び共同経済活動委員会が開催されました。この協議では、先般の私とイワノフ大臣話し合いを踏まえて、日ロ双方の提案について双方事務レベルが引き続き精力的な話し合いを行ったと承知しております。また、交渉をさらに進めるために、私の訪ロを五月末に実施する方向で調整を進めることで一致したわけであります。東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くすというのが日ロ首脳間の合意でありまして、私は文字どおり双方全力を尽くすときであるというふうに考えております。  そういう中で、今委員がおっしゃられたエリツィン大統領からの橋本総理への招待でありますが、必ずしも易しくない問題を解決しようと思って一生懸命やっているときに、エリツィン大統領橋本総理というまさに非常に気心の合ったお二人が会っていただいて環境整備をしていただくというのは大変結構なことである、こういうふうに感じております。
  5. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  次に、報道でもエリツィン大統領健康状態というのが思わしくないというふうなことをお聞きしているんですけれども、心臓病に加えて最近は胃潰瘍を患われたということで、テレビに映っている姿も足がもつれたりですとか心配な場面が映し出されているところもありました。  この夏ごろ訪日を予定されているということでしたけれども健康上の理由から訪日できない場合もあり得るのではないか、政府としてはこの点につきましてどのようなお考えをお持ちになっていますでしょうか。もし訪日されなかった場合につきまして、お願いいたします。
  6. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) エリツィン大統領でありますが、先月十八日に退院して以降、三十日には年次教書演説を行うなど現在精力的に執務を遂行していると承知しております。  今委員が、テレビに映った顔は必ずしも元気でない、こうおっしゃいましたけれども、それは病後でありますからある程度やむを得ないのかな、こう思っております。  大統領訪日については、大統領自身も二月に訪日したイワノフ外相を通じて訪日を待ち遠しく思っているとの意向を伝達してきております。また、先般の次官級分科会においてはロシア側より、今月末を目途に調整することとなった私の訪ロ時までに大統領訪日の具体的な時期を決められるようにしたいという考えが示されておりますし、政府としては引き続き外交ルートを通じて調整を進めていく考えであります。  政府といたしましては、エリツィン大統領早期訪日していただき、平和条約交渉を含め日ロ関係全般をさらに進展させるために首脳レベルで大所高所の議論を行っていただきたいと考えているわけであります。とりあえず、もし訪日されなかったらどうしようなどということは考えないで、訪日していただきたいということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  7. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。無理な質問をいたしまして申しわけありません。  ロシア内政についてお伺いしたいんですけれども、隣国のロシア内政というのは我が国には大変影響するところが大きく、気になるところなんです。最近ではエリツィン大統領プリマコフ首相との間で主導権争い権力闘争が激化しているというニュースも流れておりまして、大統領周辺の汚職問題が取りざたされていることもあり、IMFからの融資が得られないような場合にはロシア経済破産状態になってしまうのではないかということが言われております。  ロシア内政が不安定な状況にありますと領土問題の解決も難しいでしょうし、ロシアが安定するためには政府として何か考えておられることがありますでしょうか。最近のロシア要人訪日、例えばマスリュコフ第一副首相等訪日の結果からでも何らかの前向きな材料、そういうものがありましたら教えていただきたいと思います。
  8. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ロシア政治情勢につきましては、他国の内政問題でありますから政府として立ち入ったコメントを行うことは適当でないと考えておりますが、いずれにいたしましても情勢の推移については注意深く見守っていく必要がある、こういうふうに考えております。  ロシア内政状況は日々変化があると思われますが、日ロ間では東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約締結するよう全力を尽くすとの確固たる決意があり、今は与えられた状況のもとでまさに文字どおり全力を尽くすべき時期であると考えております。  我が方といたしましては、私自身も含めまして粘り強く交渉を進めているところでございます。政府としては、ハイレベルの政治対話を維持しながら東京宣言及びモスクワ宣言に基づき平和条約締結して、両国間の関係を完全に正常化するよう引き続き全力を尽くしていく考えであります。  マスリュコフ第一副首相ロシアとしても改革努力を続けるということを言っておられましたし、日本としてもロシア改革努力を続けることは近くに位置している日本の利益にもつながることである、こういうふうに考えておりますので、その改革努力は引き続き支援をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  9. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、旧島民自由往来についてお聞きしたいと思います。  北方領土の旧島民自由往来というのは、この問題の大きなかぎとなりますけれども、また多くの人々の夢でもあります。昨年の十一月に小渕総理ロシアを訪れた際に合意を果たしたこの問題につきまして、一向に進展がないのではないかというふうにも言われております。  期待をしている多くの方たちのためにも、ぜひ実現に向けての努力をお願いしたいと思っておりますが、ロシア側国内法上に難しい問題があってなかなか進展をしないということなんですけれども、日本側としてできる限りのことをぜひ検討していただきたいと思うんですが、この点につきましてお聞かせいただきたいと思います。
  10. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 旧島民の旧居住地への自由訪問につきましては、昨年十一月の日ロ首脳会談において、小渕総理より人道的観点から旧島民及びその家族が四島を自由に訪問できるよう措置をとってほしい旨働きかけたのに対し、エリツィン大統領より同意を得たものでございます。  この自由訪問の具体的な仕組み等の詳細につきましては、今述べました日ロ首脳会談の結果を踏まえましてロシア側と精力的に調整を進めているところでございます。既に本件に関する日本側の案をロシア側に提示していましたが、一日に行われた次官級協議におきまして、その実施手続に関するロシア側考え方の表明がありました。  日ロ双方の案をもとに協議が行われた結果、一定前進があった、こういうふうに思っております。ロシア国内でこれから調整しなきゃならないということなので、その中身はちょっと申し上げられないのですが、一定前進があったということでございます。  本件は、北方領土問題の解決に向けた環境整備という側面も有しているわけでありますから、本件早期実現に向けまして引き続き努力してまいりたいと思います。
  11. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  先ほどの問題とも関連があるんですけれども、北方四島ビザなし交流というのが平成四年より始まりまして、この訪問人員受け入れ人員は合わせて五千四百人にも達しているということなんですが、訪問とそして受け入れのそれぞれの人員を教えていただきたい。もう一つは、今後の計画なんですけれども、十一年度の交流計画の中で最重点を置いた場所はどの点にあるかということも御説明していただければと思います。
  12. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 私の方から、訪問観点につきましてちょっと御説明させていただきます。  ビザなし交流平成四年度から昨年度の七年間で、訪問が二千六百九十三人、それから受け入れは二千六百八十八人、合計五千三百八十一人の方が交流に参加されております。  先生が今言われました十一年の計画につきましては、これまでロシア側といろいろ打ち合わせをしてきておりまして大体固まってきているところでございますが、最重点と申しますか特徴的なことをお話し申し上げますと、昨年この事業に使います船が大型化されたということを受けまして、一回当たりの訪問団員を二十人ぐらい増員しようというふうに思っております。  それから、昨年、国後色丹で実施しました日本語講師の派遣につきましては、いろいろ向こうでも要望が強いものですから、これら二島に加えまして択捉島でも実施したいというふうに考えております。  さらに、新たに教育関係者を団体で国後島に派遣するといったようなことも考えておりまして、一般的な交流に加えまして専門分野における交流も実施しまして、相互理解をさらに深めたいというふうに考えております。
  13. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  続きまして、四島住民への医療協力についてお伺いしたいと思います。  最初にも触れましたけれども、二月にイワノフ・ロシア外相訪日された際の会談の中で、医療協力についてのお話が出たということなんです。その中で、昨年拡大されました緊急人道支援枠組みのもとで、四島におきまして不測事故により四島住民に重大な障害等が発生して、それが生命にかかわるような場合には、四島住民を速やかに北海道等受け入れ、そして治療できるようにすることが望ましいというお考え合意を得ているということなんですけれども、人を助けるということは、隣人だけではなくて大変必要なことであると思うんです。  この体制の確立を心待ちにしている方も大変多いんですが、外務大臣お尋ねいたしますけれども、この案を実現するために具体的にどのような考えをお持ちで、どのように進めていかれるか、お聞きしたいと思います。
  14. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北方四島住民に対する我が国緊急人道支援は、従来、一九九四年の北海道東方沖地震の被害に対するものとして特別の枠組みを設けて実施してきたところでございますが、昨年九月、この枠組みを九四年の地震に関連するものに限らない一般的な緊急人道支援に拡大する口上書の交換が日ロ間で行われたわけでございます。  本年二月に私がイワノフ外相会談した際、この枠組みのもとで昨年行われた患者の受け入れが高く評価されているとの認識で一致するとともに、四島において不測事故による四島住民に重大な障害等が発生し、それが生命にかかわるような場合には、この枠組みのもとで当該四島住民北海道受け入れ、治療できるようにすることが望ましいとの考えで一致したところでございます。  このような緊急時における医療協力の具体的な実施方法等については、さらに双方で検討を進めていく考えでございます。
  15. 橋本聖子

    橋本聖子君 一日も早い実現をぜひよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、発電所設置等についてお尋ねをいたしたいと思います。  日本側が約束した択捉島色丹島でのディーゼル発電所設置、もう一つ国後島の古釜布での宿泊施設を兼ねた集会所設置というのがありましたけれども、現在の作業進行状況といいますか、また今後の施設活動等についてお伺いしたいと思います。
  16. 西村六善

    政府委員西村六善君) ディーゼル発電所設置につきましては、色丹島択捉島の二カ所で計画をしているわけでございます。色丹島におきましては、今年の五月から十月までの約半年間で設置を完成させたいというふうに計画を進めているところでございます。それから択捉島につきましては、同じくことしでございますけれども、ことしの夏から十月ぐらいまでの三カ月ぐらいの間で完成をさせたいという段取りで準備を進めているところでございます。  国後島に集会所宿泊施設を兼ねた施設を建設する問題につきましては、これまた今年の秋でございますけれども、九月から十月ぐらいまでの二カ月間に工事を完成させるべく準備を進めているところでございます。
  17. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  続きまして、この北方四島の交流事業拡充のおかげで日ロ両方島民理解が深まっているということは、長い間の関係者皆さんの御尽力のたまものと思って感謝しております。  今後は、同時に日本ロシア両国国民相互理解へ発展していくということが一番必要であると思いますけれども、この件につきまして、政策として外務省の方で考えていらっしゃることがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  18. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今委員が御指摘されたとおり、日ロ関係のさらなる進展のためには両国国民の幅広い交流を通じた相互理解の促進及び信頼関係強化が必要でございます。その観点から、これまで議員交流技術支援報道関係者招聘、対先進国招聘等枠組みを通じて各界各層交流活発化が図られてきております。  さらに、昨年十一月の日ロ首脳会談におきましては日ロ青年交流センターを設立することで一致し、先月、私は同センター設置するための枠組み協定に署名したところでございます。右センターが設立された際には、当面千人規模の交流事業を実施することとなっております。  政府といたしましては、今後ともさまざまの分野における協力関係強化を図りつつ人的交流の拡大に努めていきたい、こういうふうに思っております。
  19. 橋本聖子

    橋本聖子君 よろしくお願いいたします。  北方関係墓地調査について最後にお伺いしたいと思います。  北方領土墓地調査平成九年度から実施されてまいりまして、計画では十一年度で終了というふうになっております。今年度は択捉島のみの調査を行うということになっているとお聞きしているんですけれども、その点についてお願いいたします。
  20. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) 墓地調査でございますが、九年度は元島民方々からの聞き取り調査をいたしました。その結果に基づきまして、昨年、それからことしも予定しているわけですが、二年間で現地調査をやろうというふうに考えております。  先生、今年度は択捉島のみかというお話でございますが、実は昨年度、国後、歯舞、色丹をやったわけでございます。国後のうち二カ所につきましては、実は向こうの方で外国人は入れないというような地区にどうも墓地があったようでございまして、昨年度は実施できませんでした。したがいまして、今年度におきましては択捉に加えまして国後の二カ所合わせたところを調査したいということで今ロシア側にいろいろお願いをしている、こういう状況でございます。
  21. 橋本聖子

    橋本聖子君 既に調査を終えております八カ所の墓地についてなんですけれども、今後は墓参りが可能になるでしょうか。自由にとは言わなくても、ぜひそうしていただきたいというふうに思うんです。旧島民方々もどんどん年齢を重ねるといいますか年をとっていかれますし、自由に行くことができなくなりますので、やはり一日も早く自由に墓参ができるように配慮していただきたいと思うんです。実現させてあげたいという気持ちがあるんだという話もお聞きしておりますけれども、御努力総務庁長官に強くお願いしたいんですが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 大坪正彦

    政府委員大坪正彦君) ちょっと事実関係だけ御説明させていただきますが、昨年八カ所を調査確認できたわけでございますが、実はその八カ所のうち二カ所につきましては昨年夏、早速墓参をできるようにして元島民方々は行っております。  したがいまして、残りがあと六カ所ということになるわけでございますが、実は昨年六カ所を調査しましたところそのうちの二カ所は同じ場所だった、まあ聞き取りが不十分だったのかなということでございますが、実際は同じ箇所だったということで、残りは五カ所ということに今なっております。  したがいまして、私どもといたしまして、先生が言われたような元島民気持ちも十分わかるものでございますから、十一年以降、できるだけ早いところでその五カ所についても墓参ができるように努力していきたいというふうに思っております。
  23. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 総務庁といたしましては、すべての未確認墓地確認を行えるように全力を尽くすとともに、早期墓参ができるように全力を尽くしたいと思っております。
  24. 橋本聖子

    橋本聖子君 ぜひよろしくお願いいたします。  日ごろはどちらかというと忘れがちなことかもしれませんけれども、同じ日本の領土に住みながら歴史上の事情で不便を強いられている方たちがいっぱいおります。私自身北海道生まれの一人として、このような不自由な思いから一日も早く解放していただくために皆さん協力して努力していきたいというふうに思っておりますので、関係大臣また関係者皆様にも改めて北方領土問題の早期解決をよろしくお願いしたいと思います。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  25. 松崎俊久

    松崎俊久君 最初に、本土復帰以来の喜びに沸いております昨日の沖縄尚学の優勝に対し、県民に心からのお祝いの言葉を贈りたいと思います。  本土復帰以来、沖縄振興開発に中心的な役割を果たしております沖縄開発庁は、中央官庁再編によって廃止されることが決まっておりますが、その後内閣府に設置されます沖縄対策担当部局権限ないしは機能あるいは組織というようなものがいまだに不明確、明らかにはなっておりません。これに対して県民は、一体沖縄に対する援助の枠あるいは援助のシステムが今までどおりあるいはそれ以上に維持されるかどうかということに大変不安を持っているわけであります。  現地の琉球新報の一月十一日の記事に、連合の会長らの要請に対し太田総務庁長官が述べられた言葉が載っております。沖縄担当大臣首相に準ずる権限を付与される、したがって各省庁に対する指示権なども当然付与される、現行の開発庁よりも権限強化され、沖縄の問題についてむしろ現行よりもやりやすいというようなことを述べられたと書いてあります。自来三カ月以上経過しておりますが、この内容に間違いはございませんでしょうか。
  26. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 一月十一日であったと思いますけれども、ちょっと私の記憶が定かでありません。稲嶺知事及びたしかそのとき連合の代表の方も御一緒されたかと思いますけれどもお会いをいたしまして、省庁再編の結果どうなるかということを大変心配しておられましたので、それは御心配には及びません、担当大臣という新しい今回の中央省庁改革の柱ともいうべき立場の大臣をつくって、そして責任を持って内閣全体の調整もされることになるでしょうということをお話し申し上げました。指示という言葉とかあるいは総理大臣に準ずるというか、総理大臣にかわってというふうに申し上げたように思うのでございますが、気持ちとしてはおっしゃるとおりであります。
  27. 松崎俊久

    松崎俊久君 歴代の開発庁長官は、基地問題が出てまいりますと、所管外の問題だというふうにえてして大体避けられてきた傾向が見受けられます。  今度の新しく内閣府に置かれます沖縄対策担当大臣はより一層の強い権限を付与され、あるいは機能が担当部局に与えられるとすれば、米軍基地問題を含む調整権限をこの中に含むかどうかという問題について、総務庁長官に。
  28. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 内閣府の沖縄対策担当部局沖縄振興を強力に推進する立場から内閣府に位置づけられておりまして、米軍基地問題につきましては、内閣府の沖縄対策担当部局のみならず、外務省、防衛庁等関係省庁と緊密に連携して対応していくことが肝要であるというふうに考えております。  ですから、権限を切り取るようにしてそこにあるわけではなくて、強い調整権限を持っておりますので、外務省、防衛庁に対してもその調整の対象とすることができるということであります。
  29. 松崎俊久

    松崎俊久君 次に、開発庁長官にお尋ねいたします。  二〇〇二年三月で沖縄の三次振計は切れることになります。だんだんその日が迫ってまいりますと、この沖縄に対する従来の援助の枠というものに対して民間をも含めて県庁の中には大きな心配の声が出ておりますが、三次振計の後の体制について既に開発庁はどんな沖縄援助計画、新しく全く別な形で進められようとしているのかどうか、それについてお尋ねしたいと思います。
  30. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 今御指摘ございました三次振計が残すところ三年となったわけでございまして、今後の沖縄振興開発をどのように進めていくかを検討することが今日の重大な課題となっておるところでございます。  沖縄開発庁といたしましても、これまで沖縄振興開発計画に基づきまして実施されてきました諸施策、事業全体について広く総点検を行いまして、庁内に沖縄振興開発検討推進会議を設置いたしましてその取り組みをちょうど始めたところでございます。  今後、全庁を挙げて総点検を行いまして、その結果に基づきまして沖縄振興開発について、関係省庁協力もいただきながら、総合的な観点から新たに検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 松崎俊久

    松崎俊久君 沖縄は多くのハンディを背負っております。単に、地上戦が唯一戦われた云々というだけではなく、距離という問題が沖縄を著しく不利にしております。例えば、国会への陳情、政府官庁への陳情にしても、あるいは学生が進学するにしても、沖縄と本土の間の航空運賃というものは貧しい沖縄県民の上には我々の想像以上に大きな重荷となっております。  最近、開発庁を初めとする政府の御努力によってかなりの航空運賃の合理化、値下げが行われたとはいえ、いまだに沖縄県民にとっては大きな負担となっております。沖縄の発展を阻んでいる最大のハンディはこれだというふうに私は感じております。  この問題に対して今後開発庁としては、より一層の航空運賃の引き下げを各航空会社に対してする、ないしは補助を与えられる、そういうような内容についてどのような考えをお持ちになっているか、お伺いいたします。
  32. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) お説のように、非常に距離的に遠い沖縄でございますので、それぞれ御指摘のように、就学、本土往来、就職あるいはふるさとへ帰郷する問題等について、航空運賃がそれぞれ皆さん方の過重な負担になっておることは十分承知をしておるところでございます。  前橋本内閣のときに、沖縄振興開発の上においてぜひ配慮をするべきであると考えられまして、航空運賃の低減について政府みずから財政支出を行い、あるいは揮発油税等につきましても十分な配慮を行い、一方において、離島航路を持っておる沖縄でございますので、そういった地域への航空運賃低減にも配慮をされて今日に至ってまいり、おかげさまで沖縄における観光客も大変ふえてきた、そして昨年は四百万人を突破するような状況になってきた次第でございます。  今後、新しい稲嶺知事の登場によりましてさらにこの航空運賃等の引き下げについての御要求も強く出されておるところでございまして、政策協議会におきまして協議をいたしまして、可能な限り早くこれが実施されますようになお一層の配慮をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 松崎俊久

    松崎俊久君 ぜひ航空運賃については御努力をお願いしたいと思います。  次に、文部省に御質問いたします。  今回、本年四月からの予算に国立高専の設立の問題に対しての調査費がつけられているようでありますが、今この時期になぜ国立高専だけが教育問題の中で取り上げられたのか、ちょっと理解に苦しみます。これは沖縄県の要求もあったのかもしれませんが、短大が四年制大学化していく状況の中で、しかも国立の琉球大学に工学部があるわけですし、なぜ今国立高専だけが取り上げられるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  34. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 沖縄県に国立高等専門学校を設置することにつきましては、産業振興の見地から、高等専門学校は四年制の大学と異なりまして高等学校段階からいわば短期大学に至る五年間の一貫教育であるわけでございますが、そういう五年間の一貫教育を通じて実践的技術者を養成するというところに強い特色があるわけでございます。  そういう特色を踏まえて、産業教育、産業振興、そのための実践的技術者を養成することが必要である、そういう県あるいは地元産業界等からの強い要請があるわけでございます。その要請を踏まえまして、平成十一年度予算においては高等専門学校の創設準備調査経費を計上したところでございます。
  35. 松崎俊久

    松崎俊久君 平成九年十一月二十一日の復帰二十五周年式典におきまして、橋本首相が当時の県の主要なテーマでありました沖縄の国際都市の問題ないしは国際化の問題を意識されて発言された内容にもありますが、この国際化と申します点において、例えばいろいろな分野、産業などを中心にして国際化の方向はかなり出てきていると考えられますけれども、一番おくれているのは私は教育分野の問題だと思います。  と申しますのは、沖縄という地理的な位置は日本から遠く東南アジアの中に突出したとりでという地理的な位置を持っているわけでありますから、常に東南アジアの中にある日本のとりでとしての役割、それは何も軍事的な意味ではありません、要するに東南アジアへの平和的な交流、貢献の基地という意味において沖縄考える必要があるだろうと思います。  そういう意味で、国立の琉球大学が果たさなければならない役割というものはいまだ十分に果たされているとは言いがたいと思うんです。確かに東南アジアの留学生は他県の大学よりは余計に来ています。近いですから来ていますが、このような中途半端なものではなくて、私はこの際、大きく琉球大学全体を沖縄の国際化の視点の中でとらえ直してほしいと思っているわけです。  そういう意味でお尋ねしますが、例えば県立の看護大学がスタートして、かなりの人員の養成を開始いたしました。最も古い看護の養成大学として、東大と並んで琉球大学には保健学科が昔からありました。あれだけ小さい県の中に二つの大学が併存して、お互い競い合っているというのも私はかなりのむだがあるというふうに考えるわけです。しかも、やらなければならないことが欠如している。  それはこういう点であります。沖縄は御存じのように、健康長寿のイメージを持つ代表する県でもあります。と同時に、東南アジアの中に突出している関係上、東南アジアの感染症の問題と絶えず触れ合っている場所でもあります。そういう意味で、アメリカのように、この際、琉球大学の中に公衆衛生学部というような大きな、いわゆる大学院を中心とする施設として、東南アジアで今いろいろ問題になっている健康の問題などにも貢献できるように、少なくとも半数の学生は東南アジアの学生で埋めるというくらいの大胆な決意を持って、日本の国内にはないものをぜひともあそこに持っていく。これはフリーゾーンなどをつくるよりもっと重要な役割を長い将来にわたって果たすだろうと思います。  この看護の問題、並びに公衆衛生学部をぜひとも沖縄にという私の現在の考え方に、文部省としてのコメントをいただきたいと思います。
  36. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 御指摘いただきましたように、琉球大学医学部保健学科におきましては看護婦、臨床検査技師等の医療技術者の養成をいたしておりまして、資質の高い看護婦等の要請がますます高まっている中で、地域社会に対する貢献ということを果たしてきておるわけでございます。この期待には今後とも引き続きこたえていく必要があるというふうに考えておるところでございます。琉球大学におきましては、地域の保健衛生上の課題に対応し、より高度な専門性を有する人材を育成する観点から、専攻の再編成を含めて教育体制をどういう形で充実していくのかということについて、現在大学自体が検討を進めておるわけでございます。  文部省といたしましては、今後琉球大学における検討状況というものを十分踏まえて、所要の対応をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、公衆衛生学の果たす役割ということの重要性につきましては十分思いをいたしておるところでございます。
  37. 松崎俊久

    松崎俊久君 ありがとうございます。  私が今申し上げたのは、単に保健というだけじゃなくて、理学、農学、工学などの他学部にまたがっての医学を中心とした意味の総合的な公衆衛生対策を、東南アジアにプレゼントするためにも、あるいは日本においてそういう人材を養成するためにも必要だということを申し上げたので、誤解なきようにお願いいたします。  次に、農水省に質問いたします。  沖縄の政治家はえてしてサトウキビ問題に触れることを大変嫌がります。サトウキビに対する膨大な補助の問題に対して触れることは、選挙に不利と考える政治家が多いために、ほとんどこの問題に対しては触れられておりません。  私は、サトウキビというものが主幹作物である間は沖縄農業の発展はないと信じております。この主幹作物であった沖縄のサトウキビの現在までの補助の経過、並びに補助の現状についてお尋ねいたします。
  38. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) お尋ねの、サトウキビのこれまでの生産振興対策を中心に現状をお話し申し上げたいと思います。  御承知のとおり、サトウキビは沖縄の農業において重要な地位を占めておりますのは申し上げるまでもございませんが、この間のいわゆる振興方策を若干具体的に申し上げますと、本土復帰から昭和五十年代におきましては大体省力化を中心といたしまして、ややテクニカルタームで申しわけございませんが、中型ハーベスターを導入するということと、優良種苗の増殖、配布というものに中心を置いてまいりました。  それから、昭和六十年代以降は、さらに省力化、それから労働の軽労化を図るというところから、乗用小型ハーベスター、それからオートプランター等々機械の開発、実用化が進みますとともに、この間、品質取引ということが行われることによりまして、糖度が高い品種の育成に力を入れて、そういう品種の育成、普及が進められてきたわけでございます。  それから、現在に至りましては、サトウキビの収穫作業の合理化を図るという観点から、トラッシュ分離システムの開発ということ、それから優良種苗の迅速な増殖ということで、お耳に達していると思いますが、最近では側枝苗あるいは組織培養苗というようなものの開発に取り組んでおるところでございます。  現状では、大きく分けて幾つかの対応のポイントがあるわけでございますが、一つは、農業生産基盤の整備ということで畑かんあるいは圃場整備、それから農道の整備ということでございます。それから二点目が、かなり労働時間が多いものでございますので、農作業の受委託組織を育成するということでございます。三点目が、先ほどお話をしましたように、機械化の作業体系を確立するということで進んでおります。四番目が、新品種の普及促進、そういう新しい品種の種苗を大量に増殖をしまして配布をする。  こういう四点が中心になっておりまして、こういうものに対して私どもとしては支援をしてきたということになっております。
  39. 松崎俊久

    松崎俊久君 時間がほとんどありませんので、最後の質問をします。  サトウキビ農業に長く依存することなく、段階的にほかの作物への転換を強力に農水省は指導すべきであろうと思います。サトウキビの問題は本土の米とは本質的に違う問題でありまして、米の防衛は食糧戦略の上から必要でありますが、私はサトウキビというものはそういう位置を持っていないと考えますし、花卉栽培、野菜、果物等への転換をぜひとも強力に指導していただきたいというふうに思います。  酪農の問題もそのときにぜひとも強化していただきたい。というのは、沖縄の子供たちに全部生乳の、現在粉乳が学校給食で支給されているわけでありますが、これを生乳にするためにはどうしても沖縄の乳牛を確保しなければなりません。ところが、肉牛の場合も乳牛の場合も子牛の約五〇%が暑さのために死んでしまうという現状がありますし、熊本や鹿児島でさえも夏の暑さの場合乳牛が参ってしまうという状況があります。南方における乳牛の確保というのを、国民栄養の視点からも、サトウキビ以上の比重で遮熱対策に強力な農業補助をぜひとも考えていただきたいと思いますが、担当の部局のお答えをいただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  40. 石原葵

    政府委員(石原葵君) お答えをいたします。  まず、サトウキビ以外の花卉、熱帯果樹、こういうものの振興を図ってはどうかという御指摘が最初にございました。この点は先生御指摘のとおりでございまして、我々もこれまで花卉、熱帯果樹、それから野菜、草地畜産、こういうものに力を入れてきたところでございます。  今後とも基盤整備、それから集出荷施設の整備等を進めまして、こういうサトウキビにかわる作物の振興に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  41. 本田浩次

    政府委員(本田浩次君) 酪農における遮熱対策でございますけれども、特に乳牛では夏季の大変な暑さによりまして、そのストレスによって乳量、乳脂率の低下でありますとか受胎率の低下などが見られるのは御指摘のとおりでございます。このために、私どもでは乳牛に関しまして大変暑いときの代謝調節機構の解明でありますとか、これに基づく飼料給与の方法、それから簡便な畜舎内の通風、それから牛の体表面の散水でありますとか畜舎構造の改善など、生産低下防止技術の開発を行っているところでございます。  このような暑さのストレスによります生産性の低下を防ぐためには、これまでの試験研究での成果なども踏まえまして、畜舎の通気性の改善、スプリンクラーや換気扇の設置、飼料給与の改善などの飼養管理面からの対策が極めて重要であると考えております。  こうしたことを踏まえまして、私どもとしては従来から各種施策を講じてきているところでございますけれども、今後とも万般の対策を講じて対策に遺漏のないように努めていきたいと考えているところでございます。
  42. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  先ほど橋本委員、また松崎委員からもありましたけれども、昨日沖縄の高校が初めて優勝したということがありましたので、沖縄担当の大臣として、また開発庁長官として、最初に官房長官みずから沖縄の優勝した高校生、また県民に激励の言葉を一言いただけたらと思います。
  43. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 昨日の高校選抜野球大会におきまして沖縄尚学高校が見事に優勝をいたしまして、沖縄県としては初めての優勝旗を沖縄にもたらすことができました。これにかかわって今日まで努力をされました選手、監督、さらに学校長を初めとする学校関係皆さんの一歩一歩築かれてまいりました優勝への足取りを思いながら、今回のこの晴れの優勝を私どもお互いに沖縄を愛する者として喜びを共有できたことを大変感激に存じておる次第であります。  また、本日もそれぞれ御質問委員各位からこの優勝に対して厚い祝福をいただきましたことを沖縄開発庁長官としてもうれしく存じておるわけでございます。  思えば、たしか昭和三十三年であったと思いますけれども、夏の大会に首里高校がいまだ米軍の占領下にある中でパスポートを持って甲子園に出場したことを思い起こし、あるいは昭和三十八年に初めて首里高校が一回戦を勝ち抜いたことを思い起こしたり、また平成二年に準決勝に沖縄水産高校が勝ち残ったけれども優勝を果たし得なかった、こういう思い思いを節々に振り返りながら、今回の尚学高校の優勝をひとしお喜びますとともに、心から祝福をいたし、これを契機に沖縄振興開発が一層進んでいくことを私どもとしても期待しておる次第でございます。  当委員会におきましても、一層沖縄振興開発のために御協力、御推進を賜りますことをお願い申し上げ、優勝に至る祝福を心から厚くお礼を申し上げる次第であります。
  44. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄の心を心として、さまざまな基地等ハンディを持っている沖縄に対し激励の言葉、ありがとうございました。  沖縄では、現地の方によりますと、甲子園優勝と沖縄出身の総理が出られるか、どちらが先かというぐらい大きな一件であったようでございます。  政治の絡みの話で、若干現状、日本全体の中で大きな問題がたくさん頻出しているというところで、最初に北朝鮮の工作船の問題を聞かせていただければと思います。  経緯、経過はもう要りませんので、日本政府はこの一件から総括として何を学んで、またその対策はどう考えておられるか、これを野中長官、また高村外相に。
  45. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) このたびの能登半島沖の北朝鮮によります不審船事犯につきましては、海上保安庁によります威嚇射撃を含みます対応や海上におきます警備行動を発令いたしまして海上自衛隊によります追尾等を行ったところでございますが、この船の停船や立入検査に至ることができなかったことをまことに残念に思うわけでございます。  しかしながら、このような措置は、我が国としての安全の確保に対する国家としての強い意思を明示することができた、重要な意義を持っておると考えておるところでございます。  今回のような事犯はいつ再発するかもわからないものでございます。これに対しましては、今後とも政府が一丸となりまして対応することが重要であると認識をいたしまして、一連のこのたびの活動におきます行動や情報等についてもう一度さかのぼって一つ一つ点検をいたしまして、その中にどのような問題点があったのかどうかを謙虚に整理することといたしておりまして、それをもちまして今後の我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。  現在、私どもとして検討を要すると考えて検討をしております項目は、一つには関係省庁間の情報連絡や協力のあり方、二つ目には海上保安庁の対応能力の整備の問題、三番目には海上警備行動の迅速かつ適切な命令の伝達、四番目には実際の対応に当たりましての運用上の問題点、五番目には適切な武器使用のあり方、六番目には各国との連携のあり方、最後になりますが七番目には、国民各位に対する広報等のあり方を問題点といたしまして、ただいま一つずつ点検をし、そして問題点の整理に当たっておるところでございます。
  46. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今般の事案を受けまして、情報活動の重要性が改めて強く認識されたわけでございます。特に、外務省としての立場からは、関係諸国との連絡、連携、協調の重要性につき再度認識を強くしたところでございます。  今回の事案発生以来、アメリカ、ロシア、韓国、さらには中国といった国々に対して我が国の対応を説明し、一部関係国とは緊密に協力を行ってまいりました。  具体的には、米国との間では、種々のレベルで密接な情報交換等さまざまな協力が行われ、また本件不審船の追跡のために数機の偵察機を出動させる等の協力が行われました。また、ロシアからは、当該船舶を追跡するため警備艇二隻を派遣するといった協力を受けたわけでございます。  こういったことからも明らかなように、このような事案が発生した場合、関係国と迅速かつ緊密に連絡をとり合い、必要に応じて緊密な連携、協力を行うことは極めて重要であるというふうに考えております。今後ともより一層スムーズな連携、協力ができるよう努めたいと思います。  さらに、このような事案が再び発生しないように、今後とも日米安保体制、特にその抑止力の信頼性、実効性の維持向上に努力していくとともに、これを基礎としつつ不断の外交努力を進めていくことが重要であると考えております。
  47. 福本潤一

    ○福本潤一君 今、長官から各省庁間の情報の連携というものの大事さを言っていただきましたけれども、最初二隻だと、次に潜航艇を入れると四隻だと、次には七隻だとか、またさらには、例えばジャーナリストの方の書かれたものによりますと、もう二月の末にはこういう不審船が海上にいるということがわかっていたとか、さまざまな情報がある意味ではすっぱ抜きのような形で出てきている。  こういうようなことが出てきますと、今現在ガイドライン等も特別委員会で、衆議院から参議院に来る段階でございますけれども、さまざまな情報がある中で、七隻とかそういうような話以前に、二月末段階で既に知っていたということになると、またこの様相が若干変わってくるんじゃないかと思いますので、この点の真偽をお伺いしておきたいと思います。
  48. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) このたびの不審船問題につきましては、それぞれさまざまな情報が交差しておるわけでございます。また、一部昨日の新聞等におきましても、能登半島沖における北朝鮮の工作船は七隻であったなどという報道が行われ、それがあたかも航空自衛隊のレーダーサイトがとらえておったといったようなことまでが報道をされておるわけでございます。少なくとも政府が公式に発表いたしましたのは、二十三日の午前六時二十五分あるいは九時二十五分当時、不審船と思われるものが発見されたというのが第一次的公式発表でございまして、これ以外に私どもは公式な情報を発表しておらないのでございます。  我が国の安全、そして国民生命、財産を守るために不断の努力を海上自衛隊あるいは防衛庁あるいは警察がそれぞれ行っておることは事実でございますけれども、このたびの北朝鮮における不審船の行動につきましては、政府として公式に発表しておるのは二隻でございまして、さまざまな報道が行われておることはまことに残念に思う次第でございます。また、これによって国民の不安が増幅し、あるいはこれによって予期する以上に外国にさまざまな不信感を与え、あるいはまたこれが国交を正常化していく上で妨げになることを私は危惧しておるのでございます。  我々は公式な発表を行う際に、つい踏み込んで電波による問題とかを発表する向きがあるわけでございますけれども、こういうことはふだんの活動の範疇に入るわけでございますし、先ほど外務大臣からお話がありましたように、日米間の安保体制上における協力関係もまた不断の努力の上に蓄積をされておるものでございますので、これを発表するということは国家の安全にかかわる問題になりますし、また相手国に対して我が国の対応をそのままさらけ出すことにもなるわけでございますので厳に慎んでいかなくてはならないと思います。報道のあり方についても、国民に要らざる不安感を与える報道というのは慎んでいただかなくてはならないと今回の事件を振り返りながら考えておる次第でございます。
  49. 福本潤一

    ○福本潤一君 報道、情報の関係も含めて七点長官から言っていただいた上で、なおかつ現実に公式発表というものに対する位置づけを言っていただきました。  と同時に、北朝鮮、北がある意味ではもう臨戦態勢にあるんじゃないかというような形の現状認識、例えばテポドンもありました、こういう形での領海内での問題もありました。また同時に、衛星放送という情報、二月末からすさまじい状況で電波が飛び交っていたというような話もあります。  こういう北朝鮮の現状をどういうふうに認識されておるのかというのを外務大臣に聞いておきたいと思います。
  50. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員が臨戦態勢という言葉をどういう意味で使われたのか必ずしも定かでないわけでありますが、北朝鮮が経済よりも軍事に対して資源を集中して投入しているということはそれは事実だろうと思うんです。  ただ、近々に戦端を開くとかそういった意図があるというふうには承知をしておりません。北朝鮮の内情を軽々にこうだと断定できない不透明な点があるわけでありますが、私たちとしては、一般に言われるような臨戦態勢、臨戦態勢という意味もかなり広くいろいろ使えますからどういうあれかはともかくとして、近々に戦端が開かれる、そういったことはないだろう、こういうふうには考えております。
  51. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう形での公式な見解を述べていただき、ありがとうございました。  と同時に、長官、村山元総理に、今度は超党派で北朝鮮へ行くような形でお会いしてお話しされたということでございますが、どういう役割を期待しておられるのかお伺いしておきたいと思います。
  52. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 村山元内閣総理大臣から、朝鮮総連を通じて訪朝をされるような招請があったとお伺いいたしました。またその後、今回のような非常に異常な事態もございましたので、こういう事態に即してどのようにするべきだという御相談もございました。  私も、九〇年、金丸・田辺訪朝団に同行いたしまして以来、随分北朝鮮の問題とはかかわってまいりまして、あの近くて遠い国がこれから二十一世紀にも同じ状態で近くて遠い国として残していくことが、非常に今後の日本と北朝鮮との関係において、あるいは朝鮮半島全体の関係において不幸なことであると考えて処してまいったわけでございますけれども、こういうときにこそ村山元総理が訪朝をしていただくというのは重要な意義があると考えておるところでございまして、村山元総理もまたその強い決意を示されておるわけでございます。  だがしかし、いやしくも内閣総理大臣を経験され、そして戦後五十年という節目にみずから内閣総理大臣として臨まれた村山元総理が、総理大臣のときに解決をしたかったけれどもそれをなし得ることができなかったと。この北朝鮮と我が国との国交樹立について多くの懸案事項や前提条件があるけれども、両国政府間同士で正常な国交樹立の土俵にのることができるようにいささかでも役に立つことができればという熱い思いを持っていらっしゃるわけでございまして、それぞれ各党にもお誘いをしておられるように聞いておる次第でございます。いやしくも私は、内閣総理大臣を経験された村山元総理が重大な決意を持って訪朝を決断されるとするならば、また北朝鮮の首脳もみずから村山元総理にお会いをして、そして忌憚のない話し合いができることを期待しておる次第でございます。
  53. 福本潤一

    ○福本潤一君 終わります。
  54. 小泉親司

    ○小泉親司君 領土問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  一九九三年の東京宣言では、領土問題について「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」ということが合意されました。  それからこの一、二年、幾つかの動きがございまして、御承知のとおり、九七年のクラスノヤルスクの首脳会談では、東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を結ぶよう全力を挙げることが合意されたとされております。さらに、昨年四月の川奈会談では、日本側から領土問題についての幾つかの提案が行われたと伝えられております。昨年十一月の小渕・エリツィン首脳会談では、平和条約締結に関する交渉を加速すること、国境画定委員会設置することなどが合意されたと伝えられております。  これらの一連の動きを見ますと、何か領土問題が非常に進展を見ているような印象ではありますが、最近ロシアイワノフ外相が、先ほども審議がありましたが、ことし二月二十一日の高村大臣との会談で、二〇〇〇年までの締結を目指すことで合意しているとされる平和条約には領土問題の解決策は盛り込まず友好条約を締結したいと提案してきたとか、いろんな発言があります。  これまでの会談において合意されたことがロシア側により否定をされたり、交渉が一体進んでいるのか後退しているのか、どうも非常にわかりにくい。領土問題について何が議論されてどのような到達点が築かれているのか、この間の会談において合意された事項、領土問題や平和条約の問題に関して両国政府間で何が一致して何が不一致だったのか、その点について具体的にお聞かせをいただきたいと思います。  まず初めに質問したいのは、報道によりますと、昨年四月の川奈の会談では日本側が、択捉と得撫の間に国境線を引くことを平和条約合意すること、それから別途、政府間で合意するまでの当分の間、四島を現状のままとし、四島のロシアの施政権を合法と認めるということが提案されたという報道がありますが、この点は事実でございましょうか。
  55. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 報道があることは事実だと思いますけれども、その内容が事実かどうかということについては、これにつきましてはまさに二つの国の国民感情が本当に激突するところの問題で、その領土交渉の途中の過程で片方が出したものを表に出すということが必ずしもいい結果を生まないというのが両国政府の判断で、これは表に出さないことになっております。ですから、内容がこうだった、ああだったというのはある意味で書き得記事みたいな話で、表へ出さないわけでありますから、それが事実だとか、いやそれはここが違うよとかいうことは政府としては言わない、こういうことになっているんです。まことに申しわけありませんが、その事情は御理解をいただきたい、こう思います。
  56. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、例えば川奈会談では北方四島での日本の主権をロシア確認するかわりに日本ロシアの施政権を認めるということも提案されたというふうに伝えられておりますけれども、この点も否定も肯定もされないということでございますか。
  57. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今申し上げたとおりでございます。
  58. 小泉親司

    ○小泉親司君 どうも非常に中身が不明確なわけでありますけれども、それじゃ昨年十一月の小渕・エリツィン日ロ首脳会談によるモスクワ宣言では、つまり日ロ首脳会談の中に川奈会談についてというのがありまして、ロシア側からの回答が伝えられたことにかんがみて云々かんぬんということが書かれております。外務省の欧亜局ロシア課からいただいた資料によりますと、ロシア側から、川奈提案を注意深く検討した結果、これに対する回答として対案の提示があったというふうに書いてあります。ということは、中身はお話できないということですから、少なくとも川奈提案と違う対案がロシア側から示された、こういうふうには理解してよろしいんですね。
  59. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その時点でどういうブリーフを行ったかちょっと私覚えておりませんが、日本側が川奈提案というのをして、そしてそれに対する対案をロシア側が出してきた、今二つの案がテーブルの上にのっている、こういうふうに考えていただいて結構でございます。
  60. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、対案でありますから、先ほどもお話ししましたが、ことしの大臣イワノフ外相との間でロシア側は、二〇〇〇年までの締結を目指すことで合意しているとされる平和条約には領土問題の解決は盛り込まず友好条約を締結したいというふうに提案したと報道されておりますが、その点は日本政府としては不一致なんですか、それともこの点は対案ではない、つまり一致しているものなんでしょうか。
  61. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) まさに領土交渉の内容に入る話で、そういうことは日本政府ロシア政府も正式に申し上げていないはずでありますし、内容が、当たっているとか当たっていないとか、当たらずといえども遠からずとか遠からずといえども当たらずとか、そういうことも一切言及できないということを御理解いただきたい。  ともかく、首脳間で二つの案が今テーブルにのっていて、そういった中身についてお互いの考えを聞いた、そしてエリツィン大統領が今度訪日されたときにロシア側提案については小渕総理からお答えすることになるだろう、こういうふうに考えておりますが、内容にわたることは、まことに申しわけありませんが、ここで申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
  62. 小泉親司

    ○小泉親司君 非常に内容的にはかみ合わない話なんですが、このイワノフさんの報道されている発言だけを見ますと、私、領土問題としては非常に重要なことなんだと思うんですよ。つまり、外務大臣は二つの領土問題の問題がテーブルにのっておるとおっしゃっておりますけれども、イワノフさんの発言は、二〇〇〇年までの交渉の中には領土問題はテーブルにのせないと言っておられるわけですから、その点は領土問題にのっているということなのか、のっていないということなのか。  イワノフさんの発言は、先ほど言いましたように、二〇〇〇年に締結する平和条約には領土問題の解決策は盛り込まない、友好条約で処理する、こういうことでございますから、先ほど外務大臣が二つの案がテーブルにのっておると言っておられますけれども、イワノフさんは二つはのっていないとおっしゃっているんですが、その点はどうも不一致のようでありますが、いかがでございますか。
  63. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 領土問題というのはテーブルにのっていることは間違いないわけでありまして、イワノフ外相も領土問題はテーブルにのっていないなどということをどこにおいても言ったことはないというふうに私は承知をしております。領土問題の解決に向けて、両方がこういった話を加速していこうということでは私とイワノフ外相との間で一致しているところでございます。
  64. 小泉親司

    ○小泉親司君 もう一つお聞きしますが、日ロ首脳会談では国境画定委員会設置するということが合意されたわけです。そうすると、どこかで線を引くということが合意されているだけなのか、それとも日本側からの川奈提案では、報道によりますと、国境線を択捉と得撫の間で引くという提案がされておるということが伝えられております。  つまり、質問したい問題は、国境線を引くということが決まっているのか、それとも日本側からは幾つかの国境線の案を出して、その点で一致するところについては画定作業をやるということなのか、どうもそこら辺があいまいなんですが、その点はいかがですか。
  65. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 両方の首脳間で帰属の問題を解決して二〇〇〇年までに平和条約締結するというのは東京宣言にあるわけでありまして、その東京宣言を正面からロシア側が否定したということはないというふうに私は承知をしております。今委員の御質問にお答えすることはどうしても領土交渉の内容に入ってしまうので、これはお互いにある一定の段階に来るまでは表に出さないでという了解がありますので、まことに申しわけありませんが、お許しをいただきたいと思います。
  66. 小泉親司

    ○小泉親司君 外務大臣、もう一つ形式的な問題ですから、お答えをいただきたいんですが、日本側は、つまり国境線画定については四島に限っているのか、全千島まで含めて考えておられるのか、どちらなんですか。
  67. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府は全千島を返せと言ったことはないわけでございます。
  68. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、この川奈会談日本側が提案したことが非公式であって、回答されたのも非公式、実際かみ合っているのか、それとも前進しているのか、後退しているのか、どうもその辺が非常にあいまいです。外交交渉というけれども、これまでは幾つかの問題については公表されてきた経過があるわけで、その点ではどうも国際的な密室の協議みたいなことで、非常に不明朗なことだというふうに思います。  やはり私は、日本側の提案がどういうものであったのか、ロシア側の回答がどういうものであったのか、国会で領土問題を審議する当委員会がそういう問題について幾つか発表できる範囲できちんと理解した上で進めないことには、全体としては日ロ政府の中でのどうも密室的な協議で進むような、大変問題があると思いますので、その点でどういうふうな状況政府は公表しようと考えられておるんですか。
  69. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これはある程度両方の政府がこういうことでやろうと。これは現実の問題として、両国国民の意識そのものがかなり離れているわけでありますから、両国政府間で何らかの決着を見たときに、両国ともそれぞれの国民理解していただくという作業は当然必要になってくるわけでありますから、その途中で一つ一つ出ると、とてもとてもこの種の問題は難しいだろうと私は思いますし、それは一般的に外交的なある種の常識に反することなのではないか。議会の側ができるだけ表に出せというのも、これもまた常識的なことだと私は思います。私たちは、要するにこの問題を解決するために有害でない範囲内でできるだけの情報は提供していきたいと思っておりますが、現時点で交渉の内容に触れられないことはぜひ御理解いただきたい、こう思います。
  70. 小泉親司

    ○小泉親司君 日ロ間の領土問題の根本は、やはり第二次世界大戦後の戦後処理で、ソ連のスターリンが領土不拡大という国際的な原則に反して日本の歴史的な領土である千島列島を併合した、この点に非常に重大な問題があるというふうに私どもは思います。ですから、この領土問題では根本的な誤りを正すということを基本に据えるべきだというふうに思うんです。ところが、どうも政府のこれまでのやり方を見ていますと、エリツィンさんとの個人的な大変仲のいい関係を強調したり、経済援助ですとか経済支援だとか、そういうロシア側の歓心を買うといったような状況が見られるんじゃないかというふうに私は思います。  そこで、私がお聞きしたいのは、政府はこれまでのソ連政府ロシア政府との交渉で、領土問題についてはスターリンの戦後処理が誤りだったんだ、これをやはりきっぱりと正すべきなんだという点を一度でも日本政府として主張されたことがあるのか、ソ連政府も含めてロシア側もこういう点は認めたことがあるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  71. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府とすれば、サンフランシスコ平和条約、これは当時の日本状況では国際社会に入っていくためにやむを得ず締結せざるを得なかった、そういうものでありますが、日本政府の意思としてした以上は、それには従わなければいけない、こういうふうに思っているわけであります。その上で、少なくとも今北方四島と言われているこの島は日本固有の領土でありますし、いわゆるサンフランシスコ平和条約に言われるところの千島列島には入っていない、こういう観点から、法と正義に基づいて私たちの主張をしているわけであります。  そして、そういった話の中には当然のことながら領土不拡大原則ということもバックグラウンドにあって、ロシアがヤルタ協定とか何だとかそういうことを言う場合には、そんなのは関係ないことですよ、日本としては知らないことですよ、しかもその前提に領土不拡大の原則があるではありませんか、そういったことはきっちり主張してきているところでございます。
  72. 小泉親司

    ○小泉親司君 私がお聞きしているのは、スターリンの誤りについて一度でもきっぱりと言ったことがあるのかとお聞きしているので、その点はやはり最後にきちんと答えていただきたいと思います。  領土交渉の対象を四島に限定することは何の根拠もないわけで、当然一八七五年の樺太千島交換条約で既に日本の領土が全千島及び歯舞、色丹であるということは明白なことでありますので、そういう立場できっぱりと領土交渉をしていく必要があるということを強く申し上げて、その一点だけ最後にお答えいただいて質問を終わります。
  73. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本とすれば、北方四島、四つの島、固有の領土の回復ということで、これが法と正義に合ったことだ、こう主張をしているわけであります。  日本政府はかつてからスターリンという人を評価したことはありませんので、今からわざわざ何かそれが問題だったと言う必要はないんだろうと思います。かつて評価した方たちはやっぱり問題であったと言う必要があるのかな、こう思っております。
  74. 小泉親司

    ○小泉親司君 終わります。
  75. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 きょうは、先ほどから多くの委員先生方から昨日の選抜大会での沖縄尚学の初優勝を祝っていただいて、県選出の国会議員として感謝を申し上げたいというふうに思っております。きょうは傍聴席に県の東京事務所の所長もおいででございます。随分喜んでおるようでございまして、感謝を伝えに来たのかと思っております。  選抜大会が始まりまして、行進曲がキロロの「長い間」という歌でございました。キロロのデビュー曲でありますが、最近のキロロの歌は「未来へ」、こういう歌でございます。「長い間」から「未来へ」だからきっと優勝するだろうと私念じておりましたら、実現ができて本当にうれしく思っております。  昨日は深夜未明まで祝杯を上げておりましたが、きょうは官房長官も大変喜んでおられまして、私は、野中さんが官房長官のときでよかったな、その前の梶山さんが官房長官だと相手が水戸でございましたので、これはえらいことになりよったなというふうに思っておりました。  官房長官、既にお目にとまったかもしれませんが、これが初優勝を報じた沖縄タイムスの記事でございます。タイムスだけ紹介すると不公平になりますので、琉球新報もこのように報じておりまして、もう裏表、新聞みんな野球の報道ですね。どういうわけか外務省沖縄大使までコメントを発表しておりまして、これは沖縄の戦後史の私は一大快挙ではないかなというふうに思っております。  ちょうど今ごろ紫紺の優勝旗が飛行機で沖縄に渡っている途中だと思いますが、先ほど官房長官からお祝いのメッセージをいただきましたが、やっぱりここまで来ると、官房長官、大変詳細に沖縄の高校球児の歴史にも触れてメッセージをいただいたわけでありますが、長い間、文字どおり基地の重圧に苦しんできた、あるいは日本の外交、安全保障政策の犠牲に苦しんできた県民が平和な未来をつくっていくという上で、そのお祝いの言葉と同時に、沖縄のスポーツ振興、人材育成のために、この際ビッグなプレゼントをするというぐらいのお気持ちで、ぜひもう一度長官の所信をちょうだいしたいなと思います。
  76. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 改めて沖縄尚学高校沖縄県初めての春の選抜優勝を心からお祝い申し上げる次第であります。  実は私は、エースである比嘉投手が捻挫をいたしまして、決勝戦がどうなるのか非常に心を痛めておりました。そうしましたら、照屋委員と同じ照屋投手が出まして、初めに二点入れられてこれはどうなるのかと思っておりましたけれども、常に笑顔を絶やさないで堂々とやってくれて、ついに打線も非常に見事な展開をして七点を入れ、照屋投手が見事に活躍をした姿を見て、私も感動の涙を流しておったところでございます。  今後これをばねにして、沖縄振興開発あるいはスポーツ振興について、照屋委員の御指摘を踏まえながら、稲嶺知事に今後政策協議会にも出ていただきますし、私も近く国会のお許しをいただければ沖縄を開発庁長官として訪問いたしたいと存じておりますので、まずはよく知事のお考えをお伺いしながら御一緒に、今度の壮挙がより沖縄の活力を生むために大きなイベントとなり、あるいはエネルギーとなっていくように努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
  77. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 せっかくきょうは玉城局長もおいででございますので、沖縄出身の局長として、この沖縄尚学の初優勝について局長もメッセージをお願いします。
  78. 玉城一夫

    政府委員(玉城一夫君) 先ほど大臣からお祝いがありましたように、私も地元の出身として本当にきのうの試合、喜んで見ておりました。ちょうど私が高校二年のときに首里高校が初めて甲子園に出まして、以来四十年余、初めて紫紺の大優勝旗が沖縄に渡るということで感慨胸に迫るものがございます。本当にありがとうございました。
  79. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、今さまざまな沖縄振興開発のための諸事業が力強く展開をされておるわけでありますが、私はかねてから、これら沖縄振興開発のための諸事業をなるだけ県内の企業、業者に優先発注する、そのことが中小零細の建設関連業者の育成にもなるし、また文字どおり沖縄経済振興、活性化にもつながるのではないか、こういう考え方を持っておるわけであります。  開発庁にお伺いいたしますが、この振興開発のための諸事業と地元業者への優先発注、現状はどうなっているのか、また各省庁の直轄事業の発注のあり方についてもぜひ開発庁として地元業者優先の働きかけをすべきだと考えておりますが、いかがでございますでしょうか。
  80. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 御指摘の公共事業の地元への発注機会が増大をいたしますことは、沖縄の地域経済にとりまして極めて重要なことと考えておるところでございます。沖縄開発庁といたしまして、工事内容に応じて分離・分割発注や混合入札を活用することによりまして、可能な限り地元業者の受注機会が確保されるように努めているところでございます。  私も沖縄開発庁長官に就任いたしました際に開発庁の諸君に申し上げましたことは、今、委員御指摘のように、地元の発注機会が得られるような努力をすること、もう一つは、いやしくも政治家がこれにかかわるようなことに役所が手を染めることの一切ないように十分配慮をすることということをきつく申し上げた次第でございまして、今後十分そういう機会を得ていきたいと思っております。  また、現在の厳しい経済情勢を踏まえまして、景気回復に全力を尽くすという点から、去る三月二十三日、平成十一年度の上半期におきます公共事業等の事業施行等について閣議決定を行って早期発注に努めることにいたしております。  また、地元への発注機会が増大をすることは、地域経済にとって先ほど申し上げましたようにまことに重要なことでございますので、沖縄開発庁はもちろんでございますけれども、各発注機関におきましてもそれぞれの立場で適正に施行をされますよう、私としても各機関に地元企業の発注機会の確保に努められるように協力をお願いいたしておるところでございます。  現在、平成九年の実績を見てみますと、県内発注は割合において七七・八%でありまして、金額におきましては五〇・九%、県外業者は割合におきまして二二・二%、金額は四九・一%でございまして、平成七年、八年、九年と徐々にその実績が改善されてきておるところでございます。  今後も一層努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
  81. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 沖縄の優勝は本当におめでとうございますと照屋さんの方へ向かって申し上げなきゃいけないかなと思っておりました。  私は、北方領土の問題について、きょうは特に自然環境の保全について質問をさせていただきたいと思います。  今、世界で、環境とピースメーキング、つまり国際紛争の解決のために極めて有効なきっかけあるいは有効な手段というふうに環境が見られております。環境による平和の構築あるいは信頼醸成の実現が国際政治の中で注目されておりますけれども、北方領土がそのターゲットとして注目されています。国内的にも北海道の自然保護協会が、自然環境の総合的な調査の実施とそれから保全対策に関する要望書を総理大臣外務大臣北海道開発庁長官、農水省などにも提出しています。  そこで、きょう、外務大臣にまず伺いたいのですけれども、日ロ協議の中でこうした、日ロが共同しての自然環境の総合的な調査あるいは保全対策についての議論がなされたかどうか。それから、日本が積極的にこの点については提案していくべきなのではないかということを外務大臣に伺いとうございます。  それから、総務庁長官に、ビザなし交流の面ですけれども、生態系の保全のために専門家が継続的に行けるような段取りをとっていただきたい。  この三点をまず質問させていただきます。
  82. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北方四島における共同経済活動についてでございますけれども、昨年十一月の小渕総理訪ロの際に両首脳がその設置合意した次官級の共同経済活動委員会におきまして、北方四島において双方の法的立場を害することなくいかなる共同経済活動を実施し得るかについて検討することとなったわけでございます。そして、先般の次官級分科会においては共同経済活動委員会の第二回会合が行われました。その結果、双方は、北方四島周辺水域における操業枠組み協定のもとでの新たな形態の協力を行う可能性を模索するため、漁業分野の専門家の参加も得て、審議官級の作業グループを早期に立ち上げることで一致しました。  具体的な協力の内容について今後さらに協議していくこととなりますが、その際には、御指摘の北方四島の自然環境の保全という観点も十分考慮に入れつつ協議を進めていく考えでございます。  現在まで環境ということに絞って討議がなされたことは申しわけないんですがないわけでありますが、きょうの委員の御指摘も基礎といたしまして、これから日本側としても積極的に環境ということも視野に入れて協議を進めていく考えでございます。
  83. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) ビザなし交流の中で、既に野鳥の専門家四人が色丹島択捉島訪問したわけでありますけれども、これは訪問計画の内容や四島側の要望を踏まえながら個別に訪問の是非を判断するということになっております。これは交流が目的でございますので、自然環境保護の運動を主たる目的とするということはあれでございますけれども、御提案は大変結構なことでございますので、趣旨も念頭に置きながら交流を充実させてまいりたいと思います。
  84. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 地球環境議員連盟というのがございますが、私、日本の総裁をしておりますけれども、一九九〇年からこの問題、国際的に、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの議員とともに、ぜひとも保護地区を設定すべきではないかという議論、ワシントンの会議でも採択いたしましたし、一方で、私が副会長をしておりますIUCN、世界自然保護連合の中でも、北方領土の自然、今のところは非常に貴重な、鳥類だけではなくてあらゆる意味での自然がまだ保全されている。これが、最初に漁業がスタートすることで乱獲とかそういうことでたちまち壊されてしまうということは、世界の自然環境に大きな影響があります。  ですから、日本国の中での今までの開発優先という形での反省が多くありまして、私は開発にも漁業にも反対するものではございませんけれども、きちっと保全するものは保全する、そしてその一方で開発というふうにしないと、たちまち日本の漁業のように先細りになっていってしまうという現実がありますので、ここのところは開発と保全の両方のバランスをとることを日本の方からぜひともやっていただきたいというふうに思っております。これはお願いでございます。  次に、日本企業が出資しています、日本輸出入銀行なんかも一億一千六百万ドルの融資を行っているサハリン2の原油開発のプロジェクトについて伺いたいと思います。  一番心配しているのはナホトカ号が起こしたような事故なんです。例えば原油を積むタンカーはここでは二重底が義務づけられていないということなんですが、この危険性について運輸省に伺いたいと思います。
  85. 谷野龍一郎

    政府委員谷野龍一郎君) お答えいたします。  先生御指摘のナホトカ号、それからダイヤモンドグレース号という大きな船が最近事故を起こしておりますが、近年日本の周辺で起こっておりますこうした油流出事故を教訓といたしまして、我が国は、老齢タンカーに対する旗国検査の徹底とかあるいはポートステートコントロールの強化等の措置を国際的な場で働きかけをしてきたところです。  御指摘の現存油タンカーに対するダブルハル化の問題につきましても、現在、世界の海運界が国際合意に基づいて計画的に推進をしようとしているところでありますが、こうした事故にかんがみまして、私どもとしましては、期限を待たずに前倒しで現存油タンカーのダブルハル化を促進できるように国際的な働きかけをしたところでございます。  したがいまして、サハリン沖の原油開発プロジェクトにおいても、関係者方々は当然こうした海洋汚染防止の重要性というのを御存じだと思いますので、ダブルハルタンカーの率先利用を考えていただきたいと思っておりますし、我々としても働きかけをしていくつもりです。
  86. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 働きかけということでも、実際に事故が起こった場合には、北方四島だけではなくて、北海道からもしかしたら本州にまで影響が及ぶと思います。  通産省にも伺いたいんですけれども、ここに、サハリン・エナジー・インベストメント・カンパニーという会社のようですけれども、それのオイルスピル・コンティンジェンシープランというのがございます。それに対してアメリカなどのNGOから、これが大変不十分なものであるという指摘が来ています。  例えば、現地で対応するのに日本がこれに協力するような状況にない。実際に船が出る、初動はシンガポールとかイギリスを想定されている。これでは何日もかかってしまう。ナホトカのときもそうでしたけれども、日本はすぐに出られない。私も、ODAでシンガポールにいろいろな機材を日本が供与したことは知っておりますけれども、それを待たなければできないというのは、これはこういったサハリンに限らず日本国内でまた事故が起きても大変なことになる。ましてや、サハリンで起きたら大変。それから、実際に事故が起きたときの流出量の過小評価、あるいは実際に氷結、七カ月ぐらい氷結するそうですが、そうすると、氷の下を流れて北海道の方に来てしまう。そういったことに対しての対応は何ら書いていないというようなことで、野生生物に関してはもちろんのことです。  そういった大変不十分なことがあるんですが、これは通産省と運輸省と両方にお答えいただきたいと思います。
  87. 今井康夫

    政府委員(今井康夫君) 先生御指摘のことでございますが、タンカーについてダブルハルの船を使うということにつきましては、私どもも運輸省とよく相談いたしまして、今はまだダブルハル化は移行期ではございますけれども、原油を買い付ける日本の企業に対してそういうタンカーを使うようにということで働きかけていきたいと思っております。  また、御指摘の緊急時対策でございますけれども、我が方、通産省としても、運輸省を中心として本件について対応をしてきておりますし、また、サハリン1、2、先生の今の御指摘につきましてはまた改めて私どもも検討させていただきます。サハリン1、二つのプロジェクトございますけれども、両プロジェクトが合同になりまして、現在油漏れ対策について共同でオイルフェンスでございますとか、油の回収剤を搭載した対策船を、サハリンの北にありますノグリキという市でございますけれども、そこに待機をさせて万一のことに備えているところでございますし、また、人員の訓練も共同で行うなど対応をとっていると思いますが、なお引き続き先生の御指摘についてはしっかり勉強したいと思います。
  88. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。  先生おっしゃいますように、ここは安全だというような海域はまずないと。やはり、事故が起きるかもしれないということで対応をしていかなければならないと思っております。  ナホトカ号の事故等の教訓を踏まえまして、政府全体としても、防災基本計画を見直したり、国家的緊急時計画を全面的に改定するということで、それぞれの機関の責任とか連携の強化を図っておるところでございますし、先生おっしゃいました具体的なプロジェクトにつきましては、我々海上保安庁の本庁のみならず、現地の第一管区海上保安本部も非常に重大な関心を持って今見ているところでございます。  海上保安庁といたしましては、平成九年度の補正予算から始まりまして、今度の十一年度予算におきまして、外洋においても対応可能な大型油回収装置の整備を初めといたしまして、ねばねばとした高粘度の油にも対応できる油回収装置と、大規模油流出事故に対応すべく必要な防除資機材の整備を進めているところでございます。  それから、これは運輸省の港湾局でございますが、平成十年度から新たな大型しゅんせつ兼油回収船の整備の着手が行われているところでございまして、こういったことに加えて、いろいろ地域の実情に合わせた運用を強化していくということで対応してまいりたいと思っております。  幸いこのナホトカ号の事故にかんがみまして、昨年、海洋汚染防災法が改正されまして、地方団体等への通報など非常に私どもと連携体制が強化をされましたので、そういったものを使いまして、こういったものについて今後とも的確な対応を図ってまいりたいと考えております。  それから、先生さっきおっしゃった冬の流氷の下を来るんじゃないか、これは私たちも今流氷センターなんかいろんな関係機関と海域の状況などやっておりますが、なかなか難しい問題であり、いろいろ検討しなければいけない、そういうふうに考えております。
  89. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 問題は、実際に緊急に出るところがまだ日本では整備されてないわけですね。いつ事故が起こるかわからない。シンガポールからだったら本当に初動におくれてしまう。  それからもう一つは、防災法が改正されたとおっしゃいましたけれども、野生生物、特に北方四島は非常に今や世界の宝庫のようなところです。そういったものをきちっと守るための事前の調査とか、それからどういう形で野生生物を保全するか。それは、その油が北海道まで来たら今度はもう利尻のところとか、ずっとあっちの方まで入ってくるわけですから、そういった北海道の沿岸地区まで含めて、やっぱり日本はアメリカなんかに比べたら本当におくれていると思います。  去年、私はサンフランシスコに一週間ほど行って見てきましたけれども、余りの雲泥の差、それはもう比較できない。日本がゼロだとしたら、向こうはバルディーズ号なんかがあったものですからきちっとやっている。これはやはり日本は島国なんですから、そこのところはやらないと、とてもではないけれども、私は何か事故があってからでは遅過ぎると思う。  きょうは官房長官も外務大臣総務庁長官皆様いらっしゃるので、事故が起こったときにナホトカの教訓が遅い、いつ事故が起こるかわかりませんので、北方四島の自然並びに北海道、もしかしたらもっと本州まで来るかもしれません、にもかかわらず緊急態勢、これは内閣でとることになっていながらそのための、初動に出すための船も何も日本のどこにも今整備されてないんです。シンガポールからしか出ない。こういう状態では一体何日かかるんですか。三日ぐらいかかります、シンガポールから。それでは初動でおくれて油がずっと日本の沿岸まで流れてくる可能性はあるし、氷の下だったらもっと悪い状況になるということで、ある種盲点のようなところだと思っております。ちょうど日本領ではないところで日本が操業しているという意味では大変危険がございますので、通産省、運輸省それから内閣にもぜひともこの点、緊急に対応をしておいていただきたいというお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  90. 立木洋

    委員長立木洋君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会