○川端
委員 ありがとうございました。私は、
失業率が高いけれども、実は大したことないんだ、マインドに影響するからということは言うべきでなくて、大変である、大変であるからこそ、かくかくしかじかの手をきちっととるから大丈夫なんだと言うのが基本だというふうに思いますし、大臣もその御趣旨でお答えいただいたので、安心をいたしました。
数年前までは、間もなく二十一世紀が来るというと、二十一世紀という新世紀はバラ色みたいなイメージとして語られたはずなのが、目前にして、二十一世紀と言われても、先の見えない真っ暗のという言葉に何かなってしまった今の
日本という感じがいたします。
時代の、
経済だけではなくて
社会も含め全部が非常に大きな転換期であるということをよく言われます。きのう頑張ったからきょうがある、頑張ってよかったなと。しかし、きょう、きのうと同じやり方で頑張っても、きょうと同じあしたが来ない、何とかしなければいけない、こういうことで、改革というふうにだれもが言うということであります。
ことしは
日本はうさぎ年なんですね。ベトナムも、ね、うし、とらという十二支の国なんですけれども、ベトナムはうさぎ年でないんですね、しようもない話ですけれども。ベトナムは、ことしはねこ年なんです。もともとは、中国から十二支というのが渡っていったときに、絵文字というか絵で渡っていった。それで、ベトナムはネーティブにウサギはいない国だったようでありまして、だから見てもわからなかったので、多分猫ではないかということで、以来ずっとねこ年を祝うというか、している。それを何にも不思議なくやっているわけです。動物園はトラから猫に引き継ぎ式をしているというのをテレビで見ました。
たまたま正月にその番組を見たんですけれども、我々が改革をしなければいけないと言うときに、今までやってきたことは当たり前で正しいというか、それが普通だと思い込んでいるということがよそから見たら違うということ、これがグローバルスタンダードと言われたことだろう。十二支は文化だと思いますから、別にベトナムの人が猫だと言っているのをウサギが正しいとかいう論争をする必要はなくて、そのままでいいんだと思うんですが、我々は、
自分の周りにいっぱい猫を飼っていて、ウサギにしなければならないということを突きつけられている。そして、これは妖怪変化であればできるんでしょうけれども、普通でいえばできないことだけれども、我々
日本が今直面している改革というのは猫をウサギに変えるに等しいぐらい難しい、厳しいことを言われているんだろうな、私は正月にそんな思いをいたしました。
そういう中で、現実に本
委員会のベースであります労働問題を
考えても、
労働者という立場、勤労者という立場から周りを見ても、その環境は大激変をしてきている。
経済、企業の環境というのも当然変わってきている。今ですと、そんなに大きくない会社のいわゆる中堅ワーカーの人が海外に行っていろいろ
仕事をするなんて、十年ぐらい前まで
考えもしなかったことが当たり前みたいになってきている。工場で働いている人でさえどんどん海外に行かなければいけないというふうな変化だけではなくて、当然今起こっているような雇用不安も含め、企業の成長も含め、大変な激変の中にいる。と同時に、勤労者自体の意識も随分多様化してきているということが起こってきています。
そういう激変があるからこそ、最近、いわゆる
労働者の憲法とも言われる労働基準法の大
改正、あるいは男女雇用
機会均等法の
改正、労働安全衛生法の
改正が相次いで行われてきた。そして今、職安法それから
派遣法の
改正というものが俎上に上がっている。やはりこれは、そういう勤労者、
労働者を取り巻く環境がどんどん変化していく中で、そういう時代背景に対応してこういうものが当然出てきたんだろうというふうに思うわけです。
変化が起きる、改革をしていく、大激変が起こるというときに、気をつけなければいけないことが当然あるわけです。それで、私は関西ですから、四年前に阪神・淡路大震災がありました。一瞬にして今までの生活と全く違う
状況が起こったという
意味では、自然災害でありますが、大激変が起こったわけです。こういうものが起こったときに現象的にどうなるのかといえば、一番たくさん亡くなったのは六十五歳以上のお年寄りなんです。そして、あの最中、大混乱のさなかに一番難儀をし苦労をしたのは、お年寄りと同時に、やはり体にハンディのある人、病人、子供。そして、復興しつつあるとはいえ、いまだに心の傷を引きずっているのが子供。震災直前の生活にどうしても戻れなくて途方に暮れているのは中小零細企業、商店の人
たち。結局、瞬時にしてああいう大激変が起こると弱い順にやられるということなんです。強い順に立ち直れるということを如実に示しているんだと思うんです。
そうしたときに、勤労者を取り巻く環境、時代がどんどん変わっていく中でこういう法
改正をするときに、一つ間違うと、弱い、強いという表現はしたくないですけれども、やはり
経済の論理、企業の論理というものが優先してしまいがちになるのではないか。やはり会社が生き残るためには、
日本の
経済がちゃんとするためには、より安くより使いやすい人を使うようにしよう、それしか会社は生き残れない。会社は生き残っても
失業者は路頭に迷うというのは、これは会社の論理なんです。ですから、時代の流れでそういう変革をしていくという中でやらなければいけないことというのは、当
委員会、そして
労働省の大変大きな
役割ではないのかなというふうに思うんです。
初め出たときはそんなに話題にならなかったんですが、さすがだなというか、九五年に発表されたのが、日経連の労務政策指針。一九九五年五月、日経連は「新時代の
日本的経営——挑戦すべき方向とその具体策」と題した今後の労務政策指針を発表した。これからの雇用をいわゆる長期蓄積
能力活用型と高度専門
能力活用型と雇用柔軟型、こういう三つの部分に分けてやるべきだ。長期蓄積
能力活用型というのは、企業経営の中心的な部分を担う社員、いわゆる基幹社員、総合職についてはこれまでの終身雇用を前提とした期間の定めのない雇用とする。高度専門
能力活用型は、専門
能力を持った研究者やセールスのプロなどを想定、期間を限定した契約を結び、業績に応じた年俸制などで処遇する。一定期間のプロジェクトだけに限定した専門職の活用がねらい。雇用柔軟型は、パートや
派遣、契約社員、臨時工である。ということで、「その最大の真意は終身雇用を前提とした正社員を極力減らし、パートや
派遣といった「安上がりの労働力」の勧めだったといっていい。」とこの著者は言っているわけです。
ということで、いわゆるいろいろな流れの中で、企業がちゃんとしていくためにという流れでいうと、こういうことは当然出てくるわけですね。そこの発想は、よしあしは別にして、やはり一番便利で安い人を適当に臨機応変に使っていけるというのが一番楽だ、楽だというかありがたいし、それが企業の生き残りだというのは当然出てくる論理なんです。
ですから、そういう流れは時代にマッチさせるためには必要だけれどもというところで、実は、勤労者、
労働者にとって本当にそういう時代の中で守られるのかという視点が一番大事ではないかと思うんですけれども、一連の労働法制の大
改正が相次いでいるわけですけれども、
労働大臣として、そういう視点も含めての基本的な法
改正に臨むお立場というのか方針というのを前段にお聞かせをいただきたいと思います。