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1999-04-14 第145回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十四日(水曜日)     午前九時三十三分開議   出席委員    委員長 岩田 順介君    理事 荒井 広幸君 理事 能勢 和子君    理事 森  英介君 理事 柳本 卓治君    理事 石橋 大吉君 理事 川端 達夫君    理事 前田  正君 理事 青山  丘君       石川 要三君    稲垣 実男君       大石 秀政君    岸田 文雄君       小林 興起君    坂本 剛二君       白川 勝彦君    菅  義偉君       戸井田 徹君    長勢 甚遠君       桧田  仁君    藤波 孝生君       吉川 貴盛君    渡辺 博道君       城島 正光君    中桐 伸五君       松本 惟子君    漆原 良夫君       河上 覃雄君    桝屋 敬悟君       佐々木洋平君    大森  猛君       寺前  巖君    畠山健治郎君       土屋 品子君  出席国務大臣         労働大臣    甘利  明君  出席政府委員         労働大臣官房政         策調査部長   坂本 哲也君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省女性局長 藤井 龍子君  委員外出席者         労働委員会専門         員       渡辺 貞好君 委員の異動 四月十四日         辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     吉川 貴盛君   大村 秀章君     渡辺 博道君   棚橋 泰文君     大石 秀政君   河上 覃雄君     漆原 良夫君   岩浅 嘉仁君     佐々木洋平君 同日         辞任         補欠選任   大石 秀政君     棚橋 泰文君   吉川 貴盛君     岸田 文雄君   渡辺 博道君     菅  義偉君   漆原 良夫君     桝屋 敬悟君   佐々木洋平君     岩浅 嘉仁君 同日         辞任         補欠選任   岸田 文雄君     井奥 貞雄君   菅  義偉君     桧田  仁君   桝屋 敬悟君     河上 覃雄君 同日         辞任         補欠選任   桧田  仁君     戸井田 徹君 同日         辞任         補欠選任   戸井田 徹君     大村 秀章君 三月二十五日  就職難を解決し、学生生活を守る緊急措置に関する請願大森猛紹介)(第一五八七号)  労働者派遣事業対象業務拡大反対労働者派遣法抜本的改正に関する請願大森猛紹介)(第一六二八号)  同(寺前巖紹介)(第一六二九号) 四月一日  労働者派遣事業対象業務拡大反対労働者派遣法抜本的改正に関する請願児玉健次紹介)(第一八一五号) 同月七日  労働者派遣事業対象業務拡大反対労働者派遣法抜本的改正に関する請願大森猛紹介)(第二一三九号)  同(木島日出夫紹介)(第二一四〇号)  同(児玉健次紹介)(第二一四一号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二一四二号)  同(佐々木陸海紹介)(第二一四三号)  同(寺前巖紹介)(第二一四四号)  同(中林よし子紹介)(第二一四五号)  同(春名直章紹介)(第二一四六号)  同(古堅実吉紹介)(第二一四七号)  同(松本善明紹介)(第二一四八号)  同(矢島恒夫紹介)(第二一四九号)  同(吉井英勝紹介)(第二一五〇号) 同月十四日  労働者派遣事業対象業務拡大反対労働者派遣法抜本的改正に関する請願大森猛紹介)(第二四六二号)  同(寺前巖紹介)(第二四六三号)  同(大森猛紹介)(第二五五三号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案内閣提出第七一号)     午前九時三十三分開議      ————◇—————
  2. 岩田順介

    岩田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山丘君。
  3. 青山丘

    青山(丘)委員 当労働委員会で私はどうも与党側で初めて質問させていただくような気がしますが、少しばかり時間をいただいて安全衛生法質疑に入りたいと思います。  当労働委員会関係して働いておられる方も含めて、すべての働く人々が衛生的に安全で活躍し続けることができることは、我が国経済社会の活力を維持していく上でも非常に重要なことでございまして、安全で健康に働いていただくためにそういう社会をつくっていくというのは国家の重要な責務であります。  そのための措置が規定されている労働安全衛生法は非常に重要な法律でございますが、とりわけ、働く人々が安全で健康に活動、活躍し続けていく、そのための環境をさらに整えていくという意味では、本法案の改正案というのは非常に意義深い、重要な議論になると思います。特に、今回は、深夜業に従事する労働者の健康を確保していく、この措置をとっていくことによって深夜業に従事する人々が健康をきちっと確保できていくようにということでありますから、その意味で、今回の法改正議論に入る段階で、まず、深夜業に従事する労働者就業実態というものを労働省はどのように把握しておられるか、お尋ねしたいと思います。
  4. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、深夜業に従事する方々就業実態でございますが、まず深夜業に従事する労働者の数、私ども平成九年に実施しました労働者健康状況調査報告等から推計いたしますと、何らかの形で常時深夜業に従事する方が、男性で約五百三十万人、女性で約百四十万人の合計六百七十万人と推定いたしております。  また、昨年、専門家方々等にお願いいたしまして深夜業の就業環境健康管理等の在り方に関する研究会報告をまとめていただきましたが、それで見ますと、業種別に深夜業の存在を見ますと、製造業事業場割合では二九・九%、運輸交通業が二七・六%、それから保健衛生業で一四・四%と多様な業種存在をいたしておるわけでございます。  また、勤務形態別で見ますと、最も多いのが深夜交代制勤務、こういう形で深夜業に従事する方が七四・二%ございます。それから常夜勤務労働者の方が一三・四%、また所定外労働が深夜まで及ぶというタイプの深夜に働く方が一二・四%でございます。  雇用形態別に見ますと、常用労働者の方が深夜に従事する割合が圧倒的に高くて、七四・二%でございます。パートタイム労働者の方は五・二%と比較的少なくなっております。  そのような実態にございます。
  5. 青山丘

    青山(丘)委員 六百七十万といえば大変な数でして、たしか連合が七百五十万、それに比べて遜色のない、もちろんオーバーラップしている人たちが多くありますが、相当な数の人たちが深夜業に従事しておられる。  この法律改正はそういう意味でも非常に意味があるんですが、提案理由説明の中に、「最近における労働者健康状況につきましては、産業構造変化高齢化進展等労働者を取り巻く環境変化する中で、脳・心臓疾患につながる所見を初めとして何らかの所見を有する労働者が四割を占める」、全体の四割を占めるという状況にあって、労働者の健康に対する不安が高まってきておる。  これは、深夜業に従事する人々だけではなくて、幅広い労働者立場で健康に対する不安が高まってきておるということもこの法律改正の背景の一つにあって、とりわけ深夜業に働く人々はそのことが健康に及ぼす影響が大きいであろうということから今回法律改正に入ってきておるんだろうと私は見ておりますが、実際に現在深夜業に従事しておられる人々健康状態労働省はどのように見ておられるでしょうか。
  6. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 同じ調査結果によりますが、昨年十一月に研究会の方でアンケート調査結果等をまとめていただいておりますが、それによりますと、深夜業に従事する労働者健康状況を深夜に働かない方と比較いたしますと、深夜に働かない方の健康診断における有所見率が三八・三%でございます。これに対しまして、深夜業従事者の有所見率は三〇・九%と低くなっております。このことは、事業場規模別に見ましてもすべての規模でそうした傾向が出ております。  こうしたことは、事業主が働く方々を深夜業に配置させる上で、健康というものを非常に重視して配置をしていく、あるいは健康診断の結果に基づいて有所見者に対しましては配置転換等就業上の措置を講じている、そういったことがうかがわれるんではないかと思っております。  ただ、同調査におきまして、同時に、深夜業に従事する方々の健康上の問題点として、半数近い四九%の深夜業従事者疲労が蓄積される、あるいは四五・九%の方が睡眠が十分とれないといったような回答もいたしておりまして、やはり健康管理上の問題点というものは非常に存在しているんではないか、こう認識いたしております。
  7. 青山丘

    青山(丘)委員 今回の法律改正で、深夜業に従事する労働者について、自発的に健康診断を受けたものについて法定健康診断を受けたことと同様に医師意見を聞くという措置がその対象となっておるようですが、今回の法改正を検討するに当たって、深夜業が労働者の健康に及ぼす影響、今、疲労が蓄積する、睡眠障害が出てきておるというようなお話があったと思います。常識的に考えて、一日の働くサイクルが深夜業の方は全く逆転するわけですから、何らかの健康に及ぼす影響が出てくるんであろう、だれでも考えられることなんですけれども、問題は、その深夜業が労働者の健康に及ぼす影響一つあります。  それからもう一つは、今回の法改正によって、自発的な健康診断法定健康診断と同様に見て医師意見を聞いていく、そういう方向に仕組みが改まってきた、そのことに対する関係というものを労働省としてはどういうふうに理解しておられるのか。深夜業そのものは健康に相当な影響を与える、これはだれが考えてもそうでしょう。問題は、自発的な健康診断を今回の健康確保のための制度の中に取り入れてきたこととどのような関係があるのかということについて聞かせていただきたいと思います。
  8. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先ほど申し上げました研究会を通じまして、深夜業の実態、健康への影響等検討を進めてきたところでございますが、その研究会中間報告におきましても、深夜業と健康の関係につきましては明確な結論を導くにはまだ十分でないけれども、深夜業が自然の体内リズムに反して働くということから健康への影響を及ぼす可能性がある、そういうことから、労務管理健康管理について非常に慎重な対応が必要である、こういうことも指摘されておるわけでございます。  ただ、深夜業の健康影響問題につきましては、年齢等個人差、それから労働時間の長さ、深夜勤務回数等作業条件違い等もございまして、一律に対策を講じがたい面もあるわけでございます。  こうしたことを踏まえまして、自分自身の健康に不安を感じる方が、事業主が行う定期健康診断の時期を待つことなく、みずからの判断で健康診断を受診いたしまして何らかの異常が発見された場合に、事業主の方は定期健診の場合と同様配置転換等を含めた就業上の措置を講ずるかどうか考えるきっかけとしていく、そういった仕組みを深夜業従事者健康確保観点から導入させていただきたいということで御提案をさせていただいているわけでございます。そうしたことが有効に、効果的に活用されていけば、深夜業従事者健康確保のために大変効果的な機能をするんではないかと考えておるところでございます。
  9. 青山丘

    青山(丘)委員 我々もよく、これは冗談ですけれども深夜業をやるんですが、私も実は若いころ、ずっと深夜起きていて日中になると寝てばかりいたような、毎日のサイクルが逆転しておったころがありまして、そのころ二十日間ぐらい深夜ずっとやっていますとだんだん身の動きが緩慢になりまして、それで、医者に診てもらったわけじゃないんですけれども、これは体にはよくないなという経験を実際にしたことが十代後半のころありました。階段を上るにもかなりゆっくり上っているし、どうも思考が、もともと正常でない人間が、緩慢になってくる。身の動きも極めて緩慢になってくる。これはかなり健康に負担をかけているんだなということを若い時代に私は実感をいたしました。  そこで、深夜業に従事する労働者にとって、法定の年二回の健康診断、それに加えて、例えば、私もその経験が一度ありましたが、どうも最近体の調子がよくない、心配で親戚の病院へ行って健康診断人間ドックを受けたことがありました。問題は、法定のものと自分で受けた人間ドック、これが自発的による健康診断ということになっていくのではないかと私は思うんですが、一つは、第二回目の法定健康診断と自発的な健康診断人間ドック検査項目がきちっと定まってなくて、私の場合、推測するに法定健康診断よりは多い項目で自発的な健康診断をしたような気がするんですが、そのあたりの兼ね合いというもの、つまりどのような項目について自発的な健康診断を考えておられるのか、自発的な健康診断内容について労働省はどのような考えで定めていこうとしておられるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
  10. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的な健康診断を受ける場合の健康診断内容でございますが、自発的に受けるケースでございますのでその内容本人の意思にゆだねられる部分が多いわけでございますが、少なくともどういった項目を求めていくかという点につきましては、今後医師方等を含めた専門家の方による委員会を設置いたしまして、深夜業に従事する労働者の方の健康診断あり方全体も含めまして御検討いただきまして、その御意見を聞いた上で関係審議会に諮って最終的に決定をいたしたいと考えておるところでございます。
  11. 青山丘

    青山(丘)委員 そのあたりは少し詰めていただく必要があると思いますね。実際に深夜業に従事している人たちの、自分でこういう不安がある。随分いろいろな細かい項目に分かれておりまして、法定健康診断の場合ですと一律的ですけれども、実際に自発的に健康診断を受けるという場合は、何らかの自己の医学的な、これを知見というんでしょうね、お医者さんが診られる立場ではなくて、本人が一番詳しく知っているというケースがありますから、そういう意味で、この対象となる項目については相当幅広く見ていかないといけないのではないかと思いますので、一言このあたり私から触れて、後で答弁がいただければと私は思います。  実は、提案理由説明の中で、深夜業については、公益上、生産技術上の必要性に加え、国民ニーズ多様化国際化への対応等観点から現在広く行われているものですが、人間の有する一日単位のリズムに反して働くというその特性から健康への影響を及ぼす可能性がある、こういう指摘がなされていることを踏まえて、深夜業に従事する労働者健康管理を充実させる必要があるという意味は、私は、今申し上げたようなことで相当幅広い、女性でも女性特有なあるいは男性でも男性特有な、そしてまた最近は過労死の問題も深刻な問題として出てきておりますから、このあたりは、検討される項目、それから医師意見を聞いて行政の立場で幅広く対応していただけるようなことを考えていただく必要があるのではないか。  これは、前段は局長さんにお答えいただけるかどうか、後段は、すなわち深夜業に従事する労働者健康管理はその就業環境の全体の整備を進めていく必要がある、そういう総合的な取り組みが必要であると私は思うんですが、この点は労働大臣、いかがでしょうか。この二点。
  12. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的な健康診断の際の健康診断項目内容につきましては、この自発的健康診断を通じましての事業主の適切な就業上の措置、そういったものが機能するようにという先生の御期待十分念頭に置きまして、先ほど申し上げましたように、専門医師方等にお集まり願って具体的なあり方について詰めてまいりますが、その際には、私ども、今までの深夜働く方々の健康上の問題、また実態等についても十分情報を提供しながら、その実態に即した健康診断内容等について御議論いただき、御結論をいただくように努めてまいりたいと存じております。
  13. 甘利明

    甘利国務大臣 まず労働者健康管理が一番大事でありますが、この問題も含めて総合的に深夜業に従事する方の環境整備をどう進めていくか、これは御指摘のとおりでございます。過度の深夜業を抑制して健康で安全な職場をちゃんとつくっていく、前回の労働基準法改正の際の附帯決議もございました。これを踏まえまして、職場によっていろいろ実態が異なりますので、業種等によって異なりますから、それぞれ職場実態を一番よく知っている労使で自主的に話し合っていただいてまずガイドラインをつくっていただくということが大事だと思いますし、これを我が省としても支援をしていくということといたしておりまして、その後に総合的ガイドラインというんでしょうか、そういうものができ上がるのではないかというふうに思っております。
  14. 青山丘

    青山(丘)委員 業種ごとガイドラインをつくっていただくことがやはり必要かなと私も思います。それから、先ほどちょっと触れました人間ドックについては、恐らくまた後からほかの委員からもう少し詰まった話が出てくるかもしれません。  実は、今回の法改正のもう一つ大きな柱は、化学物質管理の問題。  近年、化学物質は、産業の発展、それから国民生活の豊かさのために相当重要な役割を果たしてきておりまして、そのことに対する評価は高まってきておるところでありますが、そういう一面と同時に、もう一つ管理が誤っておりますと、その化学物質を取り扱う事業者労働者有害性を大きく持ってくる。これは、社会にとって非常に必要であり有用であるけれども、片方、化学物質というのは、ひとつ取り扱いを間違えると大変な労働災害に結びついていく、こういう側面も持っておるわけでして、化学物質による労働者健康障害防止、こういう観点からどのような措置が今とられているのか、お話しいただきたいと思います。
  15. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、我が国産業界で使われている化学物質、年々新しいものも加わりまして約五万種類と言われております。こうした化学物質による労働者の方の健康障害防止するためには、その有害性を把握いたしまして、それに基づき適切な管理などの措置を講ずることが重要であるというふうに考えております。  こうした観点から、まず、化学物質有害性を把握するために、私ども、新規の化学物質製造あるいは輸入する事業者につきましては、がん原性に係る有害性調査、こういうものを義務づけております。また、国自体におきましても、既存の化学物質がん原性の試験などを実施いたしますとともに、こういう有害性調査の適切な実施に資することを目的とした日本バイオアッセイ研究センターといった施設もつくりまして、こうした調査に役立てているところでございます。  こうした有害性調査を行いますとともに、化学物質についての管理上の措置についても規制をしていくことが当然必要なものがございます。そうした観点から、特に労働者健康障害を発生させたり、あるいはそのおそれが強くあるという化学物質につきましては、物によりましては製造等を禁止したり、あるいは製造について許可制にいたしております。また、その他の物質につきましても、そうしたおそれの強いものにつきましては、健康障害防止するために管理上の措置を義務づけておるところでございます。  また、化学物質につきまして、一定のものにつきましては、有害性等表示を義務づけて適切な管理が行われるように措置をいたしておるわけでございます。  そうした一連の措置を活用いたしまして、今までのところ化学物質による健康障害防止に努めてきているところでございます。
  16. 青山丘

    青山(丘)委員 実は私は三十三分から始めていますので三分に終わればよろしいんですが、少し急ぎます。  化学物質による業務上の疾病の傾向、増加しているのか減少しておるのか、この辺はどうでしょうか。  それから、労働災害が起きたときに、化学物質による発生原因というものをどのように受けとめておられますか。  それから、化学物質等有害性に関する情報が不十分であったことによって災害が発生した、事業所内において化学物質管理の方法が確立していないことによる災害が発生している、こういうことが考えられますが、化学物質譲渡提供者がその有害性情報を通知する仕組みを定めて、そして事業者が通知された情報をも参考にして労働者健康障害防止していく、そういう措置を講ずることを進めていく必要があります。しかし、化学物質有害性という専門的なものでありますので、その仕組みを実効あるものとしていくためには情報がきちっと伝わっていく必要がある。化学物質譲渡、提供する側が化学物質有害性についての正しい、そしてきちっとした情報、つまり豊富過ぎないで少な過ぎない情報をきちっと通知していく必要があるのではないか。  ただ、そのときに、その情報を受けとめていく事業者及び労働者、実はそれは中小企業者が多くあったときに、果たしてその情報が正しく受けとめられて、管理されて、そして労働者に伝わっていくのかというと、そこがなかなか難しいのではないかと私は思いますので、政府としては、それを中小企業者に対して支援をしていくということが必要であろうと私は思います。  労働者健康障害防止、こういう観点から、今回の法改正目的を実現していくために、支援措置実施という意味で、労働大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  17. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 前半の化学物質による労働災害発生状況等につきまして、お答えをさせていただきたいと存じます。  化学物質による労働災害は、休業四日以上の被災者は毎年三百人から四百人を数えておりまして、残念ながら横ばい状態が続いております。こうした災害特徴を見ますと、有害性表示等規制対象となっていない化学物質原因となっているものが四分の一ございます。これも、事業者労働者有害性情報が適切に伝達されていれば防げたんではないかと思われるものも非常に多いわけでございます。  そうした特徴がございますので、今回提案させていただいています、有害性情報譲渡、提供する者に義務づけ、それに基づいて事業主が適切に管理を行えるような指針を示していく仕組みは、こういった労働災害防止に十分効果的に機能するんではないかという期待を持っておるところでございます。
  18. 甘利明

    甘利国務大臣 この法改正が実効をしっかり上げるために、特に中小企業を中心にどう支援をしていくか、非常に大事なことであります。例えば人材育成の研修を行うとか、あるいは国が有害性情報をしっかり管理してインターネットを通じて流すとか、各種施策を講じていきたいと思います。
  19. 青山丘

    青山(丘)委員 質問を終わります。
  20. 岩田順介

    岩田委員長 次に、川端達夫君。
  21. 川端達夫

    川端委員 大臣、よろしくお願いします。  四月から改正男女雇用機会均等法が施行されました。また、昨年の改正で、労働基準法の一種の規制緩和という中で、女子の深夜業もこの四月から解禁をされたという部分で大きな変化がありました。就業形態多様化、それから働く人のいろいろなニーズ雇用への対応変化等々で、労働市場における一種の規制緩和というのは、これからの時代、ある意味で必要に応じた部分で動いてきているんだろうというふうには認識をしています。  ただ一方で、そういう部分は、どちらかといえばやはり産業界というか業界という部分でのニーズというのがややもすれば主になりがちである、気をつけないと。そういう意味では、働く人の側が守られるというルールは厳格、適正でなければならない、こういうふうに基本的には思っております。そういう部分で、いわゆるいろいろな規制は緩和されるけれども守られるところは厳格に守られるということがあって初めて、労使といいますか経営側、働く側ともに活力ある社会を支えるということになっていくんだろうというふうに認識しているわけですが、そういう中で、やはり働く人の側の健康管理というのは一番もとの大事なことであろう。  そういう意味で、今回の労安法の改正というのはいろいろな意味時代にマッチした部分で前進を見るものだということは一応一定の評価をしたいと思うんですが、幾つかちょっと気になるところがあるので、確認を含めて質問をさせていただきたいと思います。  私自身も民間の製造業で、もう三十年ぐらい前の話ですからあれですが、十数年勤務しておりましたし、数カ月ぐらいは三交代の勤務もいたしました。研究開発ではいわゆる特殊健康診断対象者でありまして、いろいろな薬物を使ったということでの健康診断も受けてまいりました。物によっては、三十年ぐらい前にはそういう部分の認識というのは低くて、今からいうとかなり危険であったんだなというふうな薬物を手でじかに触れて、終わってからPCBで洗っていたみたいな恐ろしいことをやっていたということもありますけれども、そういう部分でこの労安法の果たしている役割は大変大きいと思うんです。  そこで、まずお伺いしたいのは、深夜業に関しては、特定の業務ということで年二回の健康診断というのが義務づけられています。深夜業というのは、深夜業を週一回または月四回という部分で、必ずしも三交代とか交代勤務だけではなくて、私の場合も、残業等々で徹夜で実験するとかいうのが何回かありますと深夜業の対象ですよということで健康診断受けなさいというふうに、私がいたところはかなり厳格に管理をしていたと思うんですが、実態として、年二回の定期健康診断事業者に義務づけられている部分実施状況というのを、労働省としては実効がどの程度上がっているのかということに関して現行でどういうふうに認識されているのか、まずお伺いしたいと思います。
  22. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労働安全衛生法上、定期健康診断、特に深夜業の従事者につきましては年二回の健康診断を義務づけておるわけでございますが、例えば、私ども定期監督の実施労働基準監督官が行いますが、その結果で見ますと、平成九年、年二回行うべき定期健康診断等についての違反件数が約三%発見されております。定期監督は大体十五万件くらい行いますので、約四千を超える違反件数が発見されている状況にございます。
  23. 川端達夫

    川端委員 三%が高いか低いかという議論はあると思うんですけれども、やはりこういうものは基本的に一〇〇%でなければならないものだというふうに思っておりますので、なおの実効を上げていただきたいと思うんですが、そういう中で、新たに自発的な健康診断というのを今回加えようということでございます。  これは今までいろいろな議論の経過はあるんですが、整理をして、なぜ今回自発的というものを加えようとしたのかということですね。それから、現在自発的な健康診断というのを受けている人というふうな実情がもしわかるようであれば教えていただきたいのと、現在事業所等で三回以上健康診断を行っているところがあれば、どういう背景で三回やっておられるのかというふうな、要するに、自発的なことを含めて、今の定期二回部分に加えてやるというのはどういう背景と必要性を認識してやっておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  24. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、自発的な健康診断というものにつきましても、今までの定期健康診断と同様、その結果を受けて事業主労働時間短縮、配置転換等就業上の措置を講ずるかどうかの検討につなげていくという仕組みを導入するべく提案させていただいていますのは、深夜業が非常に多種多様な形で、また非常に広範な産業の中で行われておるわけでございます。また、その結果、健康との関連につきましても、年齢やそれぞれの作業内容によって非常に多様な形であらわれてくるわけでございまして、一律的な画一的な対策ではなかなか対応しがたい。したがいまして、定期健康診断のほかに、それをまつことなく、労働者の方が健康の不安を感じれば自発的に健康診断を受診していただいて、その結果を事業主の方へ出す、それが事業主配置転換等就業上の措置を講ずるためのいわばきっかけになっていく、こういう仕組みによって健康管理上の対策をより充実させていこうという形にさせていただいたわけでございます。  また、現実に自発的に健康診断を受けている方々状況でございますが、これを統計的に把握したデータは今手元にございませんが、私どもが把握している健康診断から出てきます有所見率等が年々高まる傾向にあること等から、やはり、自発的にでも健康をチェックして、いろいろ生活習慣病等々の防止につなげていきたいというニーズは相当あるのではないかというふうに認識をいたしておるところでございます。  また、年三回以上の健康診断実施している事業場の状況でございますが、昨年、研究会の方を通じましてアンケート調査をした結果を見ますと、三回以上健康診断実施している事業場、数は少ないのでございます、一・四%ほどの事業場がございます。その理由については言及されていませんので確かなことはあれでございますが、深夜業の方がかえって通常の働き方をしている方よりも有所見率が低いというようなことからうかがわれますように、事業主の中には、深夜業の部分配置するからには健康の問題を十分チェックした上で配置していこうという姿勢があらわれている、そういったものがうかがわれるのではないかと推測をいたしておるところでございます。
  25. 川端達夫

    川端委員 ありがとうございました。今お答えいただいた中で、大ざっぱに言えば、要するに深夜業をやる際、それからやっているところで働いている人が健康の不安を覚えたというときに、今まで定期的に受けている部分の回数というか中身も含めてより充実した健診を受けたい、あるいは受けさせたいというふうな背景でこういうことが出てきたんだという御答弁だったと思いますし、私もそのとおりだというふうに思います。  そういう観点で、健康不安を覚え、より充実した診断を受けたいということで問題になってくるのが、検査項目のことになるのではないかというふうに思います。  そこで、健康診断項目についてお尋ねをしたいのですが、現在は二回とも同じ項目で行われている。自主的な部分じゃなくて、今の二回行われる部分が同じ項目で行われている。これに関して、二回目というか、もう一つ部分に関しては項目をより充実させた方がいいのではないかという議論があると思うんですけれども、この点については今どういうふうにお考えでしょうか。
  26. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 年二回の、深夜業従事者等に対して事業主に義務づけています健康診断項目につきましては、一回目、さらに二回目はまた別の形でという御意見も確かにあろうかと存じます。ただ、今までのところ、私ども、最近の有所見率、とりわけ循環器系の発症につながりかねない部分の有所見率が多いこと等を考慮いたしまして、そうした健康診断項目を追加する等の改正を行ってきておりますが、一回目、二回目というようなことで内容を違えていくというようなことについてどういうふうに工夫できるのか、そういったことについては今後の課題ではないかと思っております。  いずれにいたしましても、自発的に健康診断を受ける方々健康診断のありよう等についても、専門方々等といろいろ御意見を伺いながら詰めていかなければならないと考えておりますので、そうした中で、広範な角度から御議論を願っていく、こういうことで臨んでまいりたいと思っております。
  27. 川端達夫

    川端委員 二回やるという部分で、一種の定点観測的にきちっとするという部分は意義があると思います。ただ、その検査項目をより充実するということ自体も私は非常に意義があることだというふうに思います。  それで、平成十年十一月の労働省の深夜業の就業環境健康管理等の在り方に関する研究会中間報告につけられた専門家による調査報告資料である深夜業の就業環境健康管理等の在り方に関する研究会中間報告を読ませていただいたのですが、かなり専門的なことで、医学に全く専門的でない者としてはなかなか難しいなというふうに思ったのですが、やはり深夜業の部分での心血管系疾患それから血中脂質への影響があるのではないかというふうな指摘もされています。  だから、そういうふうなこの中間報告での部分を、深夜業で二回やるというときに、同じものを二回やって経過で変化するかどうかという定点観測的なもの以外に、深夜業だから特別に二回やるというときに、一回は定期健康診断、一般の健康診断ですからみんながやる、深夜業の人はもう一回やりなさいという部分のときには、定点的に同じものをやるという意味もあるけれども、加えて深夜業特有のものをやるべきではないのか。これは、自発的健康診断じゃなくて既存の部分でということで、例えば心電図なんかも、通常の心電図ですけれども、まあホルターで二十四時間見たらどうだとかいうふうないろいろな提言も出ておりました。  こういう部分を含めて、一口に深夜業の職場といっても、それこそ徹夜で実験、私が経験したような部分でも、三交代できちっと深夜業をするという勤務もあれば、残業が深夜まで及んで何回かそういうのを繰り返すというふうなこともあります。あるいは夜だけかなり多くなってしまうという部分もある。  特に、今回は、女性が入ってきた、それから高齢者も非常にふえてきているという部分で、例えば海外派遣労働者健康診断というのがありますね。  この部分だと、かなり弾力的に、事業者労働者を海外に六カ月以上派遣しようとするとき及び海外に六カ月以上派遣した労働者を国内業務につかせるときは、当該労働者に対し医師による健康診断を行わなければならないというので、一定の要件を満たせば健診項目を省略することができると。派遣する場合に、定期健康診断の診断項目に加えて医師が必要と認める次の項目ということで、これは向こうでの特定のウイルス疾患とかそういうものを念頭に置いているんだと思うのです。あるいは伝染病等ですね、帰ってきたときは。という部分は、基本的に、海外に行く人に関しては、普通の定期健康診断以外に、海外に行くということで健康を損なうおそれがある、あるいは損なっているおそれがあるというので、行く前か帰ってからのときにこういうふうなものをしなさいというふうにしているわけですね。  であるならば、深夜業に関しては二回やれというのであれば、一回は普通のをやりなさい、もう一回は、深夜業にかかわって医師がある部分で必要と認めるものというのが、それなりにリストが追加されてもしかるべきだと私は思うのですよ、構成としていえば。  そういうことを含めて、特に循環器系の部分それから消化器系等々での有所見率も高いという部分も含めまして、選択的なメニューがあっていいのではないかというのが、ここまでの話は定期健康診断でもそうではないか。加えて、自発的にみずからが不安を覚えてより充実したものを受けたいというのであれば、それはメニューとしては幾つか、全然関係ないと思われるものは別かもしれませんが、ある種の選択メニュー的なものがそろえられていてしかるべきだと思います。  そういう意味で、例えば胃カメラとか胃透視とかMRIとかCTとか脳波とか、いろいろなことがこのごろ言われております。そういう部分で、二回目の定期健康診断自発的健康診断検査項目についてはそういうふうな工夫がされるべきだと思います。  先ほど来の御答弁で、いろいろな専門のお医者さんの意見も聞いて云々という御答弁がありましたので、そういう方向だと思いますが、確認のためにもう一度、労働者ニーズに適切に対応するものとしてこの検査項目は検討し、そういう形にしていくべきだと思いますので、そのことに対して答弁をお願いします。
  28. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、最初御指摘のございました、二回の健康診断のうち、一回目全体的にやり、二回目は選択的になり内容を掘り下げた健診についてはどうか、こういう点でございますが、先生も御指摘ございました、昨年研究会の方でまとめていただきました深夜業と健康との関連につきましては、確かに深夜業従事者についての慎重な健康管理が必要であることは認めつつ、深夜業と健康影響との関係について、明らかな因果関係といいますか、どういう影響が出てくるかというところについてはまだ見きわめられない、こういう御指摘もございまして、そうしたことからいたしますと、二回目を違えるとしても、どういうふうに的を絞っていくのかなかなか難しい、もう少しいろいろな医学的な知見を収集させていただかないと、その辺について、私どもまだどういう方向に持っていくかということについて現段階でお答えを申し上げられる状況にはないんではないかと思っておるところでございます。ただ、そういった研究は私ども今後も引き続き努力してまいりたいと思っております。  それから、自発的健康診断につきまして、さらに、自発的に受けるということも踏まえて健康診断項目等について考えていくべきではないかという点でございますが、そうした点につきましては、そうしたことを念頭に置きつつ、今後、労使の現場に詳しい方が推薦する医師方等を含めた専門家による委員会を設置いたします。それで、深夜業に従事する労働者健康診断あり方を含めまして御検討をいただきまして、その御意見を聞いた上で関係審議会に諮り、その項目等の策定をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 川端達夫

    川端委員 ありがとうございました。  それで、深夜業に従事する労働者が自発的に実施する健康診断ということなんですが、この費用については助成という部分をしないといけないんではないかということです。  この費用助成についてお伺いしたいと思うんですが、助成の方法、対象項目、金額等々も含めて、それから予算措置含めてどうお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  30. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的な健康診断就業措置を講じていくための事業主措置と結びつけていくために、私ども、前の労働基準法改正の際にいただきました附帯決議の趣旨を受けまして、そうした支援するための助成制度について十二年度予算として要求をしていきたいと考えております。  その内容でございますが、先ほど、健康診断項目等の内容につきまして、今後労使の推薦する医師方等を含めた場で御検討願って最終的に詰めたいと申し上げましたが、そうしたことが詰まってまいりました段階で、そういう予算要求の具体的な内容、いわば助成措置の具体的な内容というものを詰めてまいりたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後法案を成立させていただきましたなら、急いでそうした作業に取りかかってまいりたいと存じております。
  31. 川端達夫

    川端委員 ありがとうございました。ぜひともによろしくお願いをしたいと思います。  次に、そういうふうにして健康診断を二回プラスアルファ受けるということで、いろいろな不安を覚えたときに、その結果に対してのフォローがきちっとされないと何の意味もないということであります。  それで、特に自発的に健康診断を受けた部分内容に関してのフォローアップについてお尋ねをしたいんですが、まず確認なんですが、今回の改正案の第六十六条の四で、「事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断」これが今言った健康診断です、「健康診断の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師意見を聴かなければならない。」と条文にあるわけですけれども、この「医師又は歯科医師」というときに、この部分労働者を取り巻くお医者さんで見当たるお医者さんを考えれば、事業者が選任した医師や小規模事業場の集団が選任した医師、地域産業保健センターの医師だけではなくて、自分が任意で自発的に健康診断を受けたお医者さんというのも含まれる、要するに、いわゆる医師または歯科医師というのは特に限定をしていない法文だというふうに思いますが、法文の解釈としてはそれでよろしいんでしょうか。
  32. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、法文の解釈から申し上げれば、健康診断の結果の提出を受けた事業主医師または歯科医師意見を聞かなければならないという医師または歯科医師については、法律上特に限定したものはございません。  ただ、私ども、今回の……
  33. 川端達夫

    川端委員 ただはいいから。まずは確認だけ。  だから、法文としては医師または歯科医師意見を聞きなさい、こういうふうになっているわけですね。ところが、私が申し上げたように、そのときに、全然関係ないお医者さんというのは余り想定せずに、一般論的に言っても、いわゆる事業所における産業医または指定した産業医あるいは地域産業保健センターのお医者さん、それから自分健康診断を受けたお医者さんというぐらいが一番周りにおられるお医者さんなのかなというふうに思うわけです。  そのときに、平成八年十月一日の公示で、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針というものが出ている。ここで、「就業上の措置の決定・実施の手順と留意事項」の中の(2)に「健康診断の結果についての医師等からの意見の聴取」ということで、イとして「意見を聴く医師等」「事業者は、産業医の選任義務のある事業場においては、産業医が労働者個人ごとの健康状態や作業内容、作業環境についてより詳細に把握しうる立場にあることから、産業医から意見を聴くことが適当である。」と書いてあるんですね。  これは、まだ改正してないわけですから、今までの定期健康診断というのは産業医のもとに受けるわけですから産業医に聞くことが適当だというのはわかるんですけれども、この部分と今回の部分、この指針は、今回追加して任意に自発的に受ける部分医師というものとの関連をどう考えておられるのかをお伺いしたい。これは、今まで二回しかない部分に言っていた話に追加する部分には関係がないと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、自発的に健康診断を受けてその診断結果を事業主に提出して、事業主配置転換等就業措置を講ずるべきかどうかの検討に入りますので、そうした健康診断をされた医師意見というのは大変重みを持つことになるわけでございます。  ただ、事業主の方が、労働時間の短縮あるいは作業の転換あるいは深夜業の回数の減少といったいろいろな就業上の措置の中からどういうふうに具体的な措置を選ぶかに当たりましては、その労働者の方の健康状況はもとより、そのほかに、労働時間の実情、作業内容実態、作業が及ぼすいわば健康面への負荷等々について一番熟知している医師が最終的に事業主に適切なアドバイスをしていくことが一番望ましいわけでございまして、そうした観点からいたしますと、産業医等が選任されている場合におきましては、産業医が一番適任であろうというふうに考えておるわけでございます。  自発的な健康診断そのものを実施した医師事業主意見を聞く場合の相手になることもあり得ると思いますが、そうした場合には、少なくとも作業の実情等々について十分な情報提供がされていることが望ましいということに相なろうかと存じております。
  35. 川端達夫

    川端委員 今の部分で、自発的健康診断実施した医師意見を排除するものではないということはよろしいですね。意見を聞くことはよろしいですね。うなずいておられるので、いいという理解をいたします。  今おっしゃった部分はわからないではないんですが、実はこの指針の後段は、産業医の選任義務のない事業場においては、労働者健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見を聞くことが適当であろうというふうになっておりまして、要するに、今言われたいろいろな労働環境とかわかっているということはそうなんですが、熟知している、隅から隅まで知っているという、実態としてはそれはずれているわけですよね、現実に言えば。選任義務のないところでお医者さんといっても、いろいろな小さいところの職場を全部熟知しているということではないという意味では、私は、いろいろな医学の部分での専門性もあればという部分、幅広くという部分では、この指針自体はもう少し書きかえた方がいいというふうに思います。  これは、指針というものがそもそも何なのかということと、そこの中で、文章的に、意見を聞くことが適当であると書いてあるんですね。適当であるというのは強制かといえば、強制じゃないんでしょう。強制じゃないけれども、お上に適当であると言われたら、民間は強制だと思うんですよ。ですから、そういう部分で誤解を受けることもあるし、今回、自発的健康診断も追加した、そして、例えば通常の定期健康診断と違う項目で、その部分の非常に専門的なお医者さんの診断を受けてこういう所見が出たというときに、私は、常識では、体を一番よく知っている人の意見をまず聞くというのが優先されてもいいのではないかという気もします。  そういうときに、何か産業医から意見を聞くことが適当であるというお上からのお達しというのは、私は、誤解を招く部分でよくない。だから、ここの部分の指針も、今回これだけ改正されるのであれば、見直されるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  36. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先生からお話ございましたように、自発的健診を実施した医師の方の意見、これはまず、その事業主がどういう措置を講じていくべきかのきっかけをつくる意味で大変重みを持ちますし、その方が判断したことというのは、尊重されて受けとめていかれることに相なろうかと思います。  ただ、実際にその職場の中でどのような労務管理上の措置を講ずるかにつきましては、現在、労働安全衛生法上も、産業医はそういう実態に照らして、事業主労働者の方の健康管理上の問題について勧告ができる権限を持ち、またその勧告については事業主は尊重しなければならないというような法律上の枠組みになっている。そういうことを踏まえれば、基本的には、産業医が選任されているケースについては産業医が一番望ましいということは、これは確かではないかと思っております。  ただ、自発的健診を実施した医師の方が一番よく知っているんだからということでその方の意見を聞くケースも当然あろうかと思いますので、そういう場合には、作業の実態等について事業主が十分医師の方に情報を提供した上で意見を聞くような仕組みにしていく必要性はあろうかと思います。  その辺については十分念頭に置いて、この指針をこれからどういうふうに見直ししていくのかは検討させていただきたいと存じます。
  37. 川端達夫

    川端委員 時間が参りましたので終わります。  どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
  38. 岩田順介

    岩田委員長 次に、松本惟子さん。
  39. 松本惟子

    松本(惟)委員 松本でございます。  初めに、一言申し上げさせていただきますが、去る二月の労働関係の基本施策に関する質疑におきまして、私は、大阪で起きました部落差別につながる採用調査事件を取り上げさせていただきました。その際、大臣から、経済団体等への何らかの要請を行う旨の御答弁をいただきました。四月一日付で、労働大臣から、経済・業種別百七団体に対しまして、公正な採用選考システムの確立と就職差別につながるような身元調査を行わないようにすることといった内容の文書が出されました。早速取り組んでいただきましたことに対して、お礼を申し上げさせていただきます。  この問題につきましては、また機会を得まして当委員会議論させていただきたいと思っておりますので、この点につきましては、岩田委員長によろしくお願いをしておきたいと思っております。  それでは、質問に入らせていただきますが、まず、深夜業についてでございます。  昨年の労働基準法の一部を改正する法律案に対して、当委員会附帯決議をしました。次のようになっております。  深夜業が家庭生活や健康等に与える影響を考慮し、将来における総合的なガイドラインの策定に資するため、主要業種ごとに労使による自主的ガイドラインが適切に設けられるよう、労使が参考とすべき事項を明らかにしつつ実態調査や労使の話し合いの場等を設置する。そして、必要な援助を行うこととして、深夜業の実効ある抑制策について検討するということが附帯決議で確認をされております。  そこで、質問の第一は、この附帯決議にある自主的なガイドラインの策定のための労使の話し合いの場の設定というのは、いつごろから行われるのでしょうか。先ほどから御答弁いろいろありましたけれども、私は時期について伺いたいと思います。そして、いつごろをめどにしているのか。いつごろから行われて、いつごろをめどにして方向が出されるのかということをまず初めに聞かせていただきたいと思います。
  40. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました労使によります深夜業につきましての就業環境整備等の自主的なガイドラインの策定につきましては、本年度予算の中に、そうした労使の方々がテーブルに着き、実態等を調べて一つガイドラインを策定するためのいろいろな事業を応援していくための予算を計上させていただいたところでございます。  現在、そうした予算の仕組み等を労使の方に説明し、労使の方がそういったテーブルに着いていただくよう、調整を進めておるところでございます。そうした結果、関係労使の話し合いが進んでいる分野もございますので、六月ごろから、話し合いのついた業種で順次こうした自主的ガイドラインの策定に向けてのスタートが切れるのではないかというふうに考えております。  私ども、こうした自主的ガイドラインの策定に向けて、実態等を踏まえる必要があることから二年度にわたる事業になるかというふうに想定をいたしております。もちろん、個々の業種でそうした労使の話し合いが順調に進んで早くできるものがあれば早目に設定されるわけでございますが、長いケースで二年度にわたることも想定をいたしておるところでございます。
  41. 松本惟子

    松本(惟)委員 ありがとうございました。  それでは次に、その業種について具体的にお伺いしたいと思います。どんな業種をお考えになっていらっしゃるのか。
  42. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、私ども、予算の面では六業種ほど、深夜業にかかわるいわばある程度将来の検討につながるパターンをつくれるような業種ということを想定して、予算等を用意しております。  ただ現実に、労使の方々の自主的ガイドラインの策定に向けてのいわば足並みがそろわないといけないわけでございますが、現在、製造業等を中心に、深夜業を実施している幾つかの業種で、関係労使でこの支援仕組みを活用しようという動きが出ております。  今、その結果を私ども待って、最終的に、先ほど申し上げましたように六月あたりからのスタートが切れるようにその調整を急いでいるところでございます。
  43. 松本惟子

    松本(惟)委員 差し支えなければ、その六業種というのを挙げていただけますか。
  44. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 予算上想定しておる六業種といいますのは、特にこの業種でなくてはいけないというものではございませんで、例えば交代制のところ、あるいは常時深夜働くパターンが多い業種等、ある程度、将来における総合的なガイドラインの検討を開始するに当たって自主的ガイドラインというものが重要な資料になってくるようなことを想定した業種ということで想定をいたしております。  現実には、労使の足並みがそろって、こうした自主的ガイドラインの策定作業に入れる業種というものはまた若干違ってくるのではないかと思っております。
  45. 松本惟子

    松本(惟)委員 それでは次に、深夜業については、職場では業種別に多様な形態をとっていると思われます。業種別の自主的なガイドラインを策定することは必要であると思いますけれども、具体的にはどのようなものを考えているのかということでございます。  例えば、昨年の十一月に、労働省から深夜業の就業環境健康管理等の在り方に関する研究会、先ほどからその研究会中間報告のお話が出ておりました。その中で、過度の深夜業を抑制し、健康確保社会生活の維持等を図るために考慮すべき事項として、就業環境健康管理、家庭生活、社会生活等でそれぞれ幾つもの項目がございますけれども、こうしたことが問題になるのかどうか、伺わせていただきたいと思います。
  46. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 昨年十一月にまとめていただきましたこの研究会中間報告も、私ども、こうした労使の自主的なガイドラインづくりが始まった場合に参考にしていただくことも想定してそうした研究会の活動をお願いいたしましたので、そこで深夜業の問題として、就業環境健康管理あるいは社会生活、家庭生活等々の関連で考慮すべき事項が示されておるわけでございますので、労使の方にテーブルに着いていただいた段階ではそういった情報を提供して、そういった項目について労使の意見交換をしていただくような運びにしたいと考えておるところでございます。
  47. 松本惟子

    松本(惟)委員 施策を講ずる場合に実態調査は大変重要だと思いますが、その実態調査につきまして、いつごろから着手をされるのかという御予定があれば聞かせてください。
  48. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労使の方が自主的なガイドラインを作成するに当たりまして、まず自分業種の深夜業に関する実態調査しようという場合には、そうした実態調査についても支援できる仕組みの予算措置になっておるわけでございますが、これがいつごろから実施されるか、具体的にどういう形にするかという点につきましては、自主的ガイドラインをつくるためのテーブルに着いていただける業種が確定し、労使の方が自分たちの各職場の深夜業の実態について既にどの程度把握されているか、これからどの程度調べなくてはいけないのか、その辺の御議論が進んだところで時期等が確定してくるかと思いますので、現段階ですべての業種一律にどの辺の時期ということはなかなか申し上げにくいと存じております。  ただ、自主的なガイドラインをつくるその前提としての実態調査でございますので、先ほど申し上げましたスケジュールの中で、いわば具体的な議論が進む前段階でこの実態調査が行われることは間違いないと存じております。
  49. 松本惟子

    松本(惟)委員 ありがとうございました。先ほど、二年というスパンの中で御努力をなさるということでございまして、その前段で調査をということでしたので、期待をしたいと思います。  それから次ですけれども、附帯決議には、深夜業が家庭生活や健康等に与える影響を考慮し、将来における総合的なガイドラインの策定に資するため、主要業種ごとに労使による自主的なガイドライン、つまり総合的なガイドラインを策定をするというその前提のもとに、自主的なガイドラインが適切に設けられるように、労使が参考とすべき事項を明らかにするというふうに書かれてございます。  実態調査を行うにつきましては、健康のことはもとよりでございますけれども、家庭生活への影響についても調査をする必要があると私は考えております。と申しますのは、これまでのいわば一般の深夜業の基準というのは、適用除外で女子が既についていたところは別にいたしまして、男子労働者を中心にして策定をされたというふうに考えております。したがって、今度は女性もそこに入っていくわけでございますし、近年、家庭責任は男女両性がともに負うという方向での施策が推進されている折から、特段にこの点についての留意が私は必要と考えております。  そのことについて調査を行う際にこういったところを視点に据えていく必要があると思いますけれども、どのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。
  50. 甘利明

    甘利国務大臣 お話しのように、まず自主的なガイドラインをつくっていただく。これは、職場状況を一番よく知っているのは当事者労使でありますから、労使で話し合ってやっていただく。その際に、業種別にいろいろと濃淡の部分があると思います。その中で男女の問題も当然あると思いますから、いろいろなことを自主的ガイドラインをつくられるときに勘案をしてやっていただけると思います。その後に総合的なガイドラインをどうするかということに進んでいく。ですから、個別の業種ごとガイドラインのときに労使の間から当然そういう話も出てくるものと理解をしております。
  51. 松本惟子

    松本(惟)委員 ありがとうございました。労使の間から自主的に出ることが最も望ましいと思いますけれども、ぜひとも労働省サイドから、この事業の成功に向けまして、作成支援事業ですか、この作成に向けましての示唆をよろしくお願いしておきたいと思います。  次の質問でございます。次は、総合的なガイドラインについて伺いたいと思います。  これにつきましても、いつごろをめどにお考えかということ。当面は業種別ガイドラインを策定するといたしましても、総合的なガイドラインが数年先ということでは話にならないというふうに考えております。労働省の事業計画によりますと、業種ごとの労使によるガイドライン作成事業は二年程度でということを御答弁をいただきました。となりますと、最短でも三年先というふうになるのではという心配をいたしております。三年も四年もかかるということではないでしょうねということを伺いたいのですが、いかがでしょうか。
  52. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 附帯決議におきましても、総合的なガイドラインを将来つくっていくのに資するためにまず自主的ガイドラインをつくっていかなければならない、そういった趣旨であろうかと存じております。  私ども、できるだけ自主的な業種別ガイドライン支援を急ぎましてそうした作業を進めてまいりたいと思いますが、将来における総合的なガイドラインの策定につきましては、自主的な業種別ガイドラインがまずでき上がり、それらを踏まえつつ総合的にはどうしていくかという検討をどうしてもせざるを得ないわけでございますので、こうした自主的ガイドラインの策定、普及状況を踏まえつつ検討を開始していく、こういうことにならざるを得ないと思っております。  ただ、先生御指摘のように、自主的ガイドラインの策定作業をまず急がなくてはならないという点は御指摘のとおりでございますので、労使との調整はしっかりと急いでまいりたいと存じます。
  53. 松本惟子

    松本(惟)委員 できれば心づもりを伺いたいと思ったのですけれども、きょうの段階ではそれを明確に出していただくことはできないと思っています。  私は、新しい課題がいろいろあるとは思いますけれども、既に例えば適用除外として女性労働者が深夜にたくさん携わっている業種もあったわけですし、それから、これまでは男性中心だったところにいよいよ女性が入っていく、こういったことになりますので、従来の施策だけでは足りない部分があるのではないのかなと思いますが、後ほどそのことについては少し、女性労働者と深夜の労働ということで伺うといたしまして、最後に確認をさせていただきたいのです。  昨年の労働基準法改正審議におきまして、深夜業の家庭生活や健康に与える影響を考慮して、将来において総合的ガイドラインを設定することが確認をされております。これらは今回の健康確保措置と十分に関連づけられるべきだというふうに私は思いますけれども、その点についていかがでしょうか。これは確認でございます。
  54. 甘利明

    甘利国務大臣 深夜業に従事する労働者就業環境整備のための業種別の自主的なガイドラインの策定に当たりましては、職場実態を熟知をした関係労使が、当該業種における職場の実情に即して、過度の深夜業を抑制をし、就業環境整備を図る上で必要と考える事項をその内容に盛り込んでいただくためのものと考えております。その際、今回の措置や、仮眠、睡眠場所の整備に係るものを含めて、健康確保措置に十分配慮いただいたものとなるよう情報提供に努めてまいりたいと考えております。  なお、将来における総合的ガイドラインにつきましては、業種別の自主的ガイドラインの策定、普及の状況を踏まえつつ検討を開始してまいりたいというふうに考えております。
  55. 松本惟子

    松本(惟)委員 ただいまの確認につきましては、後日に他の委員からもまだ議論をさせていただくことになるかと思います。  次に、女性労働者の深夜業について伺いたいと思います。  四月の一日から改正労働基準法が施行されまして、女性労働者も深夜に従事することになりました。これに先立って、労働省は、昨年の三月、深夜業に従事する女性労働者就業環境等の整備に関する指針を策定をされております。これによりますと、一つは「通勤及び業務の遂行の際における安全の確保」、二つ目には「子の養育又は家族の介護等の事情に関する配慮」、三つ目には「仮眠室、休養室等の整備」、それから四つ目には「健康診断等」について、それぞれ事業主が講ずるべき措置を規定をしています。  そこで、質問でございますが、この指針なるものについて、これは企業にとっては環境整備の基本となるものというふうに認識をしております。例えば自動車産業とか家庭電器産業とか交通産業等では、防犯対策あるいは仮眠室の整備等が行われていると新聞で紹介をされております。労働省としても企業の取り組み状況については注目なさっているというふうに思いますけれども、どのように把握をなさっているのか、伺いたいと思います。
  56. 藤井龍子

    ○藤井(龍)政府委員 御案内のとおり、本年四月から、女性男性と同様に深夜業に従事することが可能になったわけでございます。それにあわせて、先生おっしゃいましたとおり、今年の四月一日適用ということで、事業主が講ずべき措置についての指針を定め、事業主に対する周知に努めてまいったところでございます。  この四月一日施行でございますので、まだ二週間ほどしかたっていないという状況で、私どもとして実態についてつまびらかに把握をしておるとはちょっとお答えしかねるところもあるかとは存じますが、全国の女性少年室の具体的な報告等を通じて把握しております状況を申し上げますと、これまで男性社員がほとんどでございました自動車産業、鉄鋼産業、印刷業あるいは電力産業など大手製造業、鉄道、バスなどの運輸業などで女性の深夜交代制勤務配置する、あるいはそのために女性をかなり多く採用されるというように、女性の職域の拡大の動きが見られるというところでございます。  これに伴いまして、これらの企業におかれましては、送迎バスの運行、防犯灯の設置など防犯面での安全対策、それから、従来は整備されておりませんでした女性専用の仮眠室、休養室、更衣室、トイレの設置など、指針あるいは安全衛生規則に沿った施設の整備等が行われますとともに、女性が働きやすいような形での作業ラインの改善あるいは工夫といったような必要な就業環境整備が行われているというふうに承知しているところでございます。  労働省といたしましては、このような企業の取り組みにつきましては、引き続き十分に実態を把握してまいりたいと思います。
  57. 松本惟子

    松本(惟)委員 ありがとうございました。指針は三月に出されて、ことしの四月一日施行に向けて一年間準備期間を置かれたわけでありまして、その周知徹底に努められたということの中からのお話を伺いました。労働省としても、法施行後、指針に掲げられている事項について、企業の取り組み状況問題点を今後とも把握に努めていただきたいというふうにお願いをいたします。  次の質問ですけれども、女性就業環境指針の中の通勤等の安全確保と、新たに女性労働者に深夜業をさせようとする場合に、子の養育等についての事情を聞くことというのは従来なかった措置であるというふうに思います。それ以外の措置は安全衛生規則等にもともとあった措置ですよね。  ことしの四月から深夜業が女性労働者へも適用されることとなりましたが、それに伴って、安全衛生法なり安全衛生規則についても見直していく必要があるのではないかと私は思いますが、この点についてどうでしょうか。  例えば安全衛生規則第六百十六条には仮眠施設について触れており、一項は、事業者は適当な睡眠または仮眠の場所を男性用、女性用に区別して設ける、二項には、前項の場所には、寝具、蚊帳その他必要な用品を備え、かつ、疾病感染を予防する措置を講ずるというふうにございます。伝染病等を予防する等のために設けたものと思われますけれども、例示的とはいえ、二十一世紀に対して対応するものとは言えないと思うのです。そういった点からも見直していく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、安全衛生規則で定めております仮眠施設等の基準についての見直しのお尋ねでございますが、女性の方が深夜業の分野にも進出される、そういう中で、こうしたものの遵守を一層徹底させていかなければならないと存じております。  ただ、この安全衛生規則の六百十六条でございますが、仮眠施設の基準、これはすべての事業者に対しまして、いわば罰則をもって必要不可欠の水準としてその遵守を義務づけておるものでございます。したがいまして、先生御指摘ございましたように、二十一世紀に対応するものとして、より望ましい、快適な水準の仮眠施設等が整備されていくことは、これは望ましいことはもちろんでございますが、罰則を伴う最低労働条件に関する規定をもってそれを強制していくということは、これは直ちには適当ではないんではないかと考えております。  したがいまして、例えば、労使に策定していただく自主的ガイドラインの中でこの仮眠施設等についての望ましい水準のモデル等が設定される、そういう形で整備が促進されていくことが望ましいんではないかというふうに思っております。  今後、そうした労使の動きとか、さらには関係事業場での実態等を見ながら、具体的な問題が明らかになっていくことになれば、そういう情報を集めまして必要な検討をしてまいりたいと考えております。
  59. 松本惟子

    松本(惟)委員 手順を踏んで、自主的ガイドラインそして総合的ガイドラインの検討の中で必要があればというふうに受けとめさせていただきますが、おっしゃいましたように、罰則がついているからそう簡単にはという御趣旨かと思いますけれども、時代変化に伴って古くて必要なくなっているものがあるとすれば、それは変えていく、そして新しく必要とされるものがあるとすれば大胆に取り入れていくという考え方がやはりあってしかるべきだというふうに私は思いますので、その点も申し添えさせていただきたいと思います。  次の質問ですけれども、昨年の十一月、労働省から、例の中間報告ですね、長いですから省略いたしますが、研究会中間報告が出されました。その中で、深夜勤務の問題点として、前の委員も述べておられましたけれども、半数近くの労働者が、疲労が蓄積される、睡眠が十分にとれない。健康管理が難しいということが改めて指摘をされているというふうに読み取らせていただきます。  この中で、会社に希望する就業関係整備等に関する措置というところでは、この問いに対しましては、賃上げ、それから仮眠時間、休憩時間の増加、勤務表作成に当たっての希望の反映、それから深夜勤務等の要員増が必要であるというふうに労働者は答えております。  また、就業環境に関する措置としては、第一に仮眠施設、休憩施設の整備が挙げられ、このほかに、夜間でも利用できる食事施設の整備、夜間でも利用できるシャワー施設の整備等が必要というふうに答えております。深夜業の就業環境整備として、仮眠時間や休憩時間を増加させることについても、仮眠施設、休憩施設についても適切な整備が必要というふうに考えています。  こうしたことにつきまして労働省としては今実態をどのように把握をしているのか、この中間報告以外にございましたら、伺わせていただきたいと思います。
  60. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 仮眠施設等につきまして安全衛生規則の履行状況を私ども労働基準監督官が調べておるわけでございます。もちろん、その結果、これから深夜業に働く方々が、快適な環境で、あるいは仮眠や休憩時間を十分にとれる施設として何が望ましいかということとまたちょっと違うかもしれませんが、そちらの方の数字で申し上げますと、年間十九万事業場を監督する中で報告されている仮眠施設での違反件数というのは一件、休養室等で八十件ということで、現在の安全衛生規則でのその履行というものはかなり図られているんではないかと。  ただ、今後、女性の保護規定の解消等を踏まえながら、望ましい仮眠施設、休憩施設というものをどう考えていくかというようなことにつきましては、私ども、例えば業種別の自主的なガイドラインの策定に当たっていただく労使の方にそういった点の御議論をお願いし、ガイドラインの中にそういった事項も盛り込んでいただくことを期待しているわけでございますので、そういった労使の話し合いの成果を見守りながら、私ども次の対応というものを検討をさせていただきたいと思っております。
  61. 松本惟子

    松本(惟)委員 調査の中での違反例、つまり罰則つきの法違反というのは件数がわずかなようでございますけれども、さらに実態を今後とも把握をしていただきたいというふうに思います。  それで、快適な職場環境の形成のための措置に関する指針というのが平成四年にこれは告示されております。この指針についても、職場環境は、作業環境のみならず、労働者が利用する施設整備状況等を含む概念であり、快適な職場環境とは、作業環境を快適に維持管理することだけでなくて、労働者疲労を回復するための施設それから設備、そういったものの設置や整備等を言っているものであるというふうに理解をしております。  そうであれば、この中にいわゆる仮眠施設とか休憩施設とかの整備を盛り込むことはできるのではないかと私は思っています。特に、小さな規模の事業所に働く労働者のことも考えますとであります。  次の質問ですけれども、深夜業の就業環境健康管理等の在り方に関する研究会報告の中で、「当面取り組むべき対策」として、「労働者が自発的に受診した健康診断の結果に基づく就業上の措置及び保健指導等の促進」、二つ目には「労使による自主的ガイドラインの設定の推進」、それから三つ目には「深夜業の実態把握の実施」というのがあります。「深夜業については、」「女性保護規定が解消されるという事情をも考慮し、今後もその実態を把握することが必要」というふうに書かれています。今申し上げたところが私が言いたいところなんですけれども、この提起に対して労働省としては具体的に検討されているのかどうか。  もう一度申し上げます。「深夜業については、」「女性保護規定が解消されるという事情をも考慮し、今後もその実態を把握することが必要」、このように提起をされておりますが、具体的には検討しているのかどうかということを聞かせていただきたいと思います。
  62. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 深夜業の実態に関しては、御指摘いただきました研究会も、アンケート調査実施するなどして今までもその実情の把握に努めてまいったわけでございます。そこで出てまいりましたのは、やはり業種ごと多様性、多岐にわたる形態の深夜業が行われているということでございますので、今後、そうした事情を踏まえて、労使関係者による自主的な取り組みをお願いして、ガイドラインの策定等を行っていただくことを支援していこうと。  その策定に当たりましては、女性の保護規定が解消され、深夜業をする分野等がふえてくることもあり得る、そういった実情を踏まえまして、深夜業の実態把握が適正に行われるよう必要な予算措置も講じておりますので、関係労使に対してそうした情報提供、働きかけというものを行ってまいりたいと考えております。
  63. 松本惟子

    松本(惟)委員 先ほど、自主的ガイドラインにつきましては業種ごとに労使で話し合っていくということでございましたけれども、例えば、今まで女性労働者就業を禁止をされておりました交通産業を例にとってみますと、運転業務女性がそこに乗って仕事に従事するとなりまして、単身の場合はいいんですけれども、妊娠をして健康で出産までこぎつけられるかどうか。男性の場合には、そういった問題の配慮は病気その他の場合を除いてはないと思いますけれども、女性の場合には、妊娠初期の切迫流産とかさまざまな問題がございます。  そういったときの措置をきちんとやらないと、例えばどういった措置が考えられるかというと、地上勤務にスムーズにその期間だけでもかえられるとか、そんなような措置をとらないと、これは表に出ないで、どうしても子供が欲しいと考えている夫婦の場合は、この職場では働けないから自己都合でやめていくというふうな事例が出てくると思うんですね。これは今までなかった例かもしれません。普通の製造業の現場でもこのことはよく聞きます。  したがって、新たなそういったいわゆる振動を伴う乗務という場合の措置、これは自主的ガイドラインの中で最初に決められるかと思いますけれども、女性労働者がみずからの責任として職場を去ることがないように、働きたい人が働けるようにということも含めまして、私はこの点について今のお答えに対して申し上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしておきたい。  それから、次の質問でございますが、女性就業環境指針を別に設けて行政指導をしているのは、女性保護規定が解消されるという事情を考慮したものと理解をしております。先ほどの御答弁では、いつとは言えないようですけれども、業種別実態調査がなされるようになっております。  しかし、私は、この点について、一番事情がよくわかって把握ができる労働省女性局が、もっと申し上げれば、将来、男女平等ということが実現したら女性局というのは要らなくなるかもしれません。これは一種のアファーマティブアクションという措置だと思いますけれども、しかし、まだまだ女性局は必要だというふうに思っております。その女性局が独自に女性労働者の深夜の実情についての調査をする必要があるのではないか。  例えば、別の担当部局がこのことを深夜労働一般について総合的にやるとしても、そこへ提言ができる女性局の独自の仕事というのがあってもいいのではないかというふうに私は思っております。そういう点から、深夜の実情についての独自の調査をすることが必要かというふうに考えているわけであります。  男女機会均等法改正の国会における審議の際に、私は、労働省に深夜業の実情についてどの程度把握をされているのか質問をいたしました。つまり、男女雇用機会均等法を改正するために女子保護規定の撤廃というからには、ちゃんと調査をされて、大丈夫だ、仮に心配な点があればその点の措置を講じて解禁をするというふうな、そういうことが必要ということを考えまして、実情把握についての質問をいたしました。政府委員の答弁は、関係団体等からヒアリング等を通じて実態把握をしたということでございました。後日、資料が私の部屋に届けられまして拝見をいたしましたところ、その内容は、女性の深夜労働実態を十分に把握するには至っていないというふうに私は認識をいたしました。  何が問題かきちんと調査をすることは施策を講じる上で私は前提として不可欠だというふうに思っているわけでございます。解禁をされて、これから今まで女性就業していなかったところに就業の拡大が行われることは歓迎すべきことですけれども、既にもう女性労働者がかつてから深夜に従事をしている職種が幾つかございますから、そういったことも勘案をしながら、実態把握というのは施策を講ずる前提として不可欠であるということを考えて、そのような質問をさせていただいたわけです。  ぜひ女性労働者の深夜業の実情につきまして実態調査を行ってほしいと思いますけれども、労働大臣にその点の御見解を伺わせていただきたいと思います。
  64. 甘利明

    甘利国務大臣 深夜業の解禁に際しましては、その当時、深夜業が許されていた事業場の実態、これは訪問もいたしましたし、業界団体からの聴取もいたしまして、私どもとしては実態の把握に努めたつもりであります、まだそれでも足りないという御指摘は今いただいたわけでありますが。  今後とも、同様のヒアリングであるとか職場訪問、これは女性少年室が中心になりまして積極的に行って、実態をしっかりと把握していくというつもりでございます。
  65. 松本惟子

    松本(惟)委員 もう既に終わったことでございますので、認識を異にいたす面もございますけれども、大臣の御答弁を素直に前向きに受けとめさせていただきますので、御努力を今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、確認的に再度大臣にお伺いをいたします。  深夜業に従事をする労働者の健康の確保の措置を強めるために、適当な睡眠及び仮眠の場所の確保を初めとする各種措置の強化が必要でございます。特に、女性保護規定解消に伴って女性の深夜業も拡大すると考えられます。その実態把握や関連規則の見直しをすべきと考えますが、いかがでしょうか。  それから、先ほどの御答弁の中で、女性局が独自に調査をしてもいいのではないか、それを提言として基準局に提示していくという形での取り組みも必要ではないかと私は申し上げましたけれども、その点についての御答弁をいただけなかったかと思いますので、そうであればよろしくお願いしたいと思います。
  66. 甘利明

    甘利国務大臣 深夜業に従事をする女性労働者に関しましては、深夜業に従事をする女性労働者就業環境等の整備に関する指針を示しまして、労働安全衛生規則に基づく仮眠室の設置等についても事業者への周知及び指導を図っておるところであります。今後、深夜業に従事をする労働者健康確保観点から、深夜業に係る女性保護規定の解消も踏まえ、職場環境実態を把握し、必要な場合に適切な措置を講ずるよう努めることとしたいと考えております。  後段の件については、先生のお話を十分に勘案していきたいと思います。
  67. 松本惟子

    松本(惟)委員 ありがとうございました。  実は、安全衛生に関するILO諸条約につきまして幾つか質問を用意したわけですけれども、時間がもう迫っておりまして半端になりますので、次回の折にILO関連につきまして質問をさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
  68. 岩田順介

    岩田委員長 次に、城島正光君。
  69. 城島正光

    ○城島委員 ちょっと自民党の出席が非常によくないので残念でありますので、できるだけ時間内に多くの御出席を私の方からもお願いしたいなというふうに思います。そういう前提で質問をさせていただきます。  私の方からは、小規模事業場格差問題、制度の今ある格差問題についてまず最初に何点か御質問をさせていただきたいと思いますが、特に五十人未満の小規模事業場の問題というのは、過去からこういった分野においての継続した主要な課題であるというふうに認識をしておるわけでありまして、中央労働基準審議会の建議においても、一九九六年とことしの二回、継続的に検討することを求めているわけであります。  このことは、統計から見ても、五十人未満の適用労働者数、これは平成八年度のデータを見ても約六〇%、五七・三%に達するわけでありますし、事業場の比率でいうと九六・七%という大変な比率になるわけでありまして、まさしくこの五十人未満の小規模事業場の問題への対応策ということが充実されることなしには、基本的には我が国労働安全法の本質的な改正はないと言っても過言ではないのではないかというふうに思っているわけであります。  そういった観点も含めて、小規模事業場の現在ある五十人未満というところの格差問題ということが、今回も実は働く側から見ると最大の関心事であったわけでありますが、残念ながら今回、明確にこの改正案に、重要案件であるにもかかわらず小規模事業場の問題というのが含まれていないというふうに言わざるを得ないわけであります。  今申し上げましたように、我が国の実情からすると、本来この問題こそ中心的な課題ではないかというふうに思うわけでありますが、この点についての御認識をまず承りたいというふうに思います。     〔委員長退席、石橋委員長代理着席〕
  70. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 小規模事業場で働く方々労働災害防止健康確保対策について、極めて重要な課題であることは私どもも全く同様の認識をさせていただいておるところでございます。  災害発生状況等もそうした小規模事業場への対策の重要性を裏づけておるわけでございますが、ただ、中小企業の置かれた状況等、いろいろな議論の中で、先生御指摘のように、産業医の選任義務等の要件が五十人未満の事業場については外されておる、その他いろいろな意味の要件の違いがあることも事実でございます。  こうした点につきましては、平成八年に労働安全衛生法改正させていただきましたが、それに先立つ中央労働基準審議会の建議の段階でも、そうした点について御議論ありましたが、結論を得るに至らず、引き続き検討することとなっておったところでございます。  今回この改正法案を御提案させていただくに際しまして、やはり中央労働基準審議会の方から労働大臣に対します建議が行われまして、その中で、改めて産業医の選任対象事業場の範囲等につきまして、これらの事業の推移などを考慮しながら、平成八年の改正労働安全衛生法が施行後五年で検討を加えることとされておりますので、そうしたことに向けて総合的な見地から検討していくことが適当であるというふうにされておるところでございます。  私ども、こうした指摘を十分受けとめまして、今後、労使を含めた関係者をメンバーとする委員会を設置いたしまして、先生御指摘ございました小規模事業場におけるそうした問題につきまして、例えば総合的な健康確保対策をどうするか、こういうことも含めまして、そのあり方について検討を進めていくことにいたしたいと考えております。
  71. 城島正光

    ○城島委員 小規模事業場の災害状況について、それでは具体的にもう少しお尋ねしたいわけでありますが、小規模事業場の労働災害というのが依然として多発をしているというふうにとらえております。審議会の中においても、死亡災害の九割以上、死傷災害の八割以上が小規模事業場で発生をしている、また度数率で見ますと、小規模事業場が大企業のおよそ十倍であるというデータも提示されているわけであります。  こうした観点に立っても、いかに小規模事業場においての労働災害というのが多いかということを示しているわけでありますが、小規模事業場における重大災害あるいは死亡災害、傷病災害といったことについて、さらに詳しい現状のデータがあれば、まずこの点について御説明をいただきたいというふうに思います。
  72. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 重大災害についてのデータはございますが、まず死亡災害について御説明申し上げれば、三十人未満の小規模事業場ということでとりますと、平成九年、死亡災害全体で二千七十八人でございましたが、三十人未満の小規模事業場が六五%に当たる千三百四十二人というふうに、非常に死亡災害の発生率も高い状況にございます。  また、同じ平成九年の労働災害動向調査から、いわゆる度数率、百万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者数をあらわす度数率を見ましても、三十人から五十人未満の事業場で見ますと三・八一でございまして、千人以上の事業場の〇・四五に比較いたしますと約八・五倍と非常に高い状況になっております。  こうした災害の発生状況から見ましても、御指摘ございました重大災害、同時に多数の方が災害に遭うケースもやはり中小企業の場合多いのではないかというふうに推測をいたしております。  こうした状況を踏まえまして、労働災害防止対策の上で小規模事業場対策は大変大きな課題であると認識をいたしておりますし、そうした認識のもとに、引き続き私ども対策を推進してまいりたいと考えております。
  73. 城島正光

    ○城島委員 そういう中で労働省としては、今おっしゃいましたけれども、具体的に小規模事業場対策をどのように進められているのか、安全衛生の改善に向けた施策についてお尋ねします。  なお、特殊法人としての中央労働災害防止協会があるわけでありますが、ここにおいても、小規模事業場の安全衛生の改善に向けてどのような取り組みが行われているのか、あるいは成果が上がっているのかをあわせてお尋ねしたいと思います。
  74. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 中小規模の事業場に対します労働災害防止対策、先ほど来申し上げていますように、大変重要な課題でございまして、昨年度新たに設定いたしました第九次の労働災害防止計画におきましても重点課題ということで取り上げまして、その計画に基づきまして、中小規模の事業場を集団でとらえて、共同での労働災害防止活動、あるいは中小規模の事業場に対します安全衛生診断等の推進を行ってきているところでございます。  こうした中小規模集団安全衛生活動、これを促進する事業の実績を見ますと、平成七年から開始しておりますが、例えば平成七年二百七十九の集団、さらに平成八年が五百九十二の集団、平成九年度八百五十三集団とらえて安全衛生活動の促進を促してきております。中災防がこの事業に当たっておりますが、そうした実績を上げて展開をいたしている最中でございます。  また、私ども、個別の事業場に対しましても、職場環境改善のために資金を長期かつ低利な形で貸し付けていく労働安全衛生融資等も用意いたしまして、そうした資金面の配慮を行っておるところでございます。  中小規模事業場におきましても、労働災害そのものは全体としては減ってはおるわけでございますが、なおこうした対策を積極的に展開してとらえていかないと、先生御指摘のような、発生状況を初めとする中小規模と大きい企業との格差の問題というのは埋まっていかないわけでございますので、私どもこうした事業をさらに積極的に活用して、労働災害防止対策を展開させていただきたいと思っております。
  75. 城島正光

    ○城島委員 五十人未満の小規模事業場に対しては、当面の措置として、通常の管理体制とは別に、労働安全衛生委員会設置にかえて従業員からの意見聴取義務、安全衛生管理者にかえて推進者、それから産業医の選任義務にかえてその努力義務というような規定になっているわけですね。  率直に感じますのは、こういったことがきちっと行われているのかどうかというのが、疑わしいと言ってはあれですけれども、甚だ心もとないわけであります。例えば従業員からの意見聴取義務があるわけでありますけれども、こういった小規模事業場のいわゆる別制度になっているのは、実効性が一体どれぐらいあるのか、あるいは成果が上がっているのかどうかといったことについての労働省の認識、さらには、どういうふうに把握されているのか、それを、もしデータがあれば教えていただきたいと思います。
  76. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、五十人未満の小規模事業場につきましては、安全管理体制、五十人以上のところと異なって、比較的要件の緩和された、安全衛生推進者等の設置を義務づける、あるいは産業医につきましては選任の努力義務とする等の措置安全衛生法上とられておるわけでございますが、例えば安全衛生推進者の選任状況について見ますと、労働安全衛生基本調査で見ますと、十人以上五十人未満の事業場でこうした安全衛生推進者等を選任している事業場の割合は六二%になっております。やはりまだそうした選任をされていないケースというのはあるというふうに私ども認識をいたしておりますし、また、産業医の選任状況等については、先ほど来申し上げております、昨年まとめていただいた深夜業に関する研究会中間報告では、これは深夜業が行われている事業場に限ってでございますので一般的な形に敷衍することは難しいかもしれませんが、そうしたところで見ましても、五十人未満の事業場では産業医等を選任している事業場がたしか半分程度であったかと記憶しておりますので、そうした状況から、この中小規模事業場の安全あるいは健康確保に向けての体制確立というものは、なお今後の検討課題として私ども中央労働基準審議会等の場で引き続き御議論を願っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  77. 城島正光

    ○城島委員 これから大きな課題があるという認識だというふうに受けとめました。  もう一つ、地域の産業保健センターについてちょっとお伺いしたいわけでありますが、これは、小規模事業場対策をめぐって、昭和六十三年だったと思いますが、労働安全衛生法改正の論議の中からスタートしてきたことだと思います。当初はヨーロッパをモデルに小規模事業場の産業医の選任を代替するものとして構想がされたというふうに聞いておりますけれども、ちょっと調べてみますと、現実的にそこまで行き得ていない、相談センター的な機能であって、もちろんまだスタートして間もないということもあるんでしょうけれども、利用が進んでいないんじゃないかというふうに思います。  確かに、全国的には各監督署単位に三百強ですか、設置が済んでいるようでありますけれども、登録状況などから見ますと、対象労働者の一%程度ぐらいかなという感じでありまして、この辺はまさにこれからさらに充実していかなければいかぬということだと思うのでありますけれども、当初モデルになった欧州あたりでは、特にドイツだと思いますけれども、小規模事業場内に小規模事業場向けに産業医機能を持つ産業医センターというのが設置されているわけでありますし、こういった点においても抜本的な改善が強く求められる部分ではないかというふうに思っておりますが、さらに改善に向けての具体的な施策がどういう点にあるのか、お尋ねをしたいと思います。     〔石橋委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございました地域産業保健センターでございますが、平成九年度をもって全国の労働基準監督署単位に整備を終了いたしたところでございます。この地域産業保健センターが、先ほど来御指摘ございます小規模事業場に対する産業保健等のサービスを行っていくものとして、私どもその活発な活動を期待しておるところでございます。  確かに、現在の活動状況を見ますと、活発な活動を行っているセンターがある一方で、新設のセンターについて必ずしも活動実績が上がっていない、こういう状況もあるわけでございます。小規模事業場について産業医等の選任が困難な事情もなおある中で、この地域産業保健センターがより一層活性化していく必要性は高いわけでございますので、私ども、中央労働基準審議会のことし一月の建議でも指摘されたとおり、この地域産業保健センター事業における総合的な健康確保対策について検討の場を設けて、その活性化、活発化のための検討をしてまいりたいと考えております。
  79. 城島正光

    ○城島委員 一九九六年の労使を含めた研究委員会報告のまとめの中では、産業医等の選任義務というのをいわゆる三十人以上に拡大するという方向が一たん示されたわけでありますけれども、いろいろな状況、すなわち産業医に対する人数的なものもあるようでありますけれども、いろいろ課題があるにせよ、この方向については変更はないというふうに見ていいんでしょうか。
  80. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 産業医の選任義務の範囲を今後どうしていくかということは、審議会におきましても引き続き検討課題として、これは審議会の場でも労使一致して検討課題であることを認識しておるところでございます。  そうしたことを受けまして、ことしの一月に出されました建議の中でも、そうしたことを含めて小規模事業場における健康確保対策のあり方について検討の場を設けていこう、こういうふうにされているところでございますので、先生御指摘のような点についてもそうした場で今後議論をされていくものというふうに考えております。
  81. 城島正光

    ○城島委員 いずれにせよ、この小規模事業場の課題というのは我が国の安全衛生上の最大の課題であるわけでありますし、これからさらに改善をしていかなければいかぬ部分が山積をしているということだと思います。ここの改善なくしては我が国労働安全衛生の前進はないというふうに言っても過言ではない部分であると思います。  そういう点で、大臣に御質問したいわけでありますが、労働安全衛生にかかわる問題として、今申し上げましたように、五十人未満の小規模事業場で労働災害が、先ほど局長もおっしゃいましたけれども、最も多発をしているわけでありまして、その具体的な対策を確立することが急務であるというふうに思われます。安全衛生委員会、安全あるいは衛生管理者、あるいは産業医といった職場の安全衛生を確保する基本的な制度が五十人のところで区切られておりまして、いわゆる適用除外となっているというこの制度上の格差問題というのは、冒頭質問させていただきましたように、今回の改正の検討事項と、最大のものであったはずでありますけれども、なっていないわけでありまして、この問題については総合的な見地から早急に検討すべきであるというふうに強く私は思っているわけでありますが、この点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  82. 甘利明

    甘利国務大臣 小規模事業場における労働安全衛生、この大規模事業場との格差の問題については、労働省としても非常に重要な案件の一つととらえております。  五十人で切られている話、先ほど先生から御指摘がありましたように、例えば産業医であれば絶対数の問題との絡みもあるかもしれないという御指摘もあると思いますし、それ以前に中小企業と大企業との体力の格差ということがあると思います。ですから、中小企業が自主的にできる部分と、物理的にどうしてもできない部分を行政がどうカバーしてそれにかわるシステムをつくっていくかという問題、両々相まって非常に重要な課題だと思います。  制度上の格差については、平成八年の中央労働基準審議会の建議において引き続き検討することとされており、また本年一月の中央労働基準審議会の建議においても、検討の場を別途設けて引き続き検討することが適当である旨指摘をされているわけであります。  そこで、労働省といたしましては、これを踏まえまして、今後労使を含めた関係者をメンバーとする委員会を設置して、小規模事業場における総合的な健康確保方策について検討を進めていくこととしておりまして、その検討結果を踏まえて、小規模事業場において職場環境の改善が図られるよう必要な対策を講じていくというふうに考えております。
  83. 城島正光

    ○城島委員 ぜひ早急に、しかも目標、めどをきちんと立てて、当初ありました平成十三年あたりをきちっと目途にしながら総合的な実のある検討をしていただきたい、強く要請をしておきたいと思います。  次に、ダイオキシン関連について御質問をさせていただきたいと思うわけであります。  大阪の豊能郡能勢町の例のごみ処理センターにかかわる問題でありますけれども、今回、少し新たな事態に進みつつあるんではないかというふうにとらえております。  まず冒頭に、政府としてのダイオキシン対策についてお伺いしたいわけでありますが、今回の政府の対策、政策の中で、職場対策というのは一体どういうふうに扱われるのか。さらには、職場の対策の立案というものに対して労働者意見が反映される、あるいは聞かれているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  84. 甘利明

    甘利国務大臣 ことしの二月二十四日にダイオキシン対策関係閣僚会議が設置をされまして、私もメンバーとして参加をしているところであります。この問題、非常に重要な問題でありますし、内閣を挙げて取り組みを強化しなきゃならない課題である、そういう認識のもとに、三月三十日にダイオキシン対策推進基本指針が策定をされまして、関係各省、各般の施策を強力に推進をするということになったわけでありまして、その指針は八項目が明示をされております。  一つは、TDI、いわゆる耐容一日摂取量、これを見直すということであります。二点目は、ダイオキシン類の排出削減対策等の推進。三点目が、ダイオキシン類に関する検査体制の改善。四点目が、健康及び環境への影響実態把握。五点目に、調査研究及び技術開発の推進。六点目に、廃棄物処理及びリサイクル対策の推進。七点目に、国民への的確な情報提供と情報公開。そして八点目に、国際貢献ということになっているわけであります。  この指針において、職場対策につきましては、労働者の暴露防止を図るために、労働衛生管理体制の整備並びに作業環境の測定、作業環境の改善それから適切な保護具の使用等の対策を推進する。それから、労働省労働者健康状況及び労働環境実態を把握するというふうにされているところであります。  もちろん、現場作業に従事する労働者からの意見聴取といいますか、それをきちっと把握するということは当然のことであります。
  85. 城島正光

    ○城島委員 今大臣おっしゃったように、このダイオキシン問題というのは、今や国民の最大の関心事の一つになっているんだと思います。  そういう中で、特にダイオキシン汚染の対象というんですか、可能性のある職場で働いている人あるいは働いたことのある人にとっては、これは家族も含めて大変な心配があるというふうに思います。  そういうことについて、労働省においてはダイオキシンによる労働者への影響について実態をどういうふうに今把握されているのか。さらには、どのような対策をとられているのか、あるいはとろうとされているのか。さらには、ダイオキシンの被害に遭う可能性のある職場で働く労働者というのはどれぐらい現在いらっしゃるというふうにとらえられているのかをお尋ねしたいと思います。
  86. 甘利明

    甘利国務大臣 ごみの焼却施設で働く労働者がその危険に接触をするわけでありますが、平成九年度に実施をしましたごみ焼却施設におけるダイオキシン類の研究の結果を踏まえまして、翌年の七月に作業環境の測定、呼吸用保護具の使用等の暴露防止対策について都道府県の労働基準局長に指示をしたところであります。  それから、平成十年度に実施をしました豊能郡美化センターダイオキシン問題に係る調査研究の結果によりまして、御承知のとおり一部の労働者で血中ダイオキシン類濃度がかなり高いということが判明をいたしました。これらの労働者につきましては、引き続き健康状況実態把握、フォローをしていくことといたしております。  そして、十一年三月に開催をされましたダイオキシン対策関係閣僚会議において策定をされましたダイオキシン対策推進基本指針、先ほどのお話でありますが、これを踏まえまして、全国のごみ焼却施設等に対しまして呼吸用保護具の使用等の暴露防止対策の徹底を要請した。つまり、平成十年の七月に基準局長を通じて指示を出しましたが、これをさらに徹底させたということでございます。  それから、ダイオキシン汚染の可能性のある職場で働く労働者の数はどうであるかという御質問でありますが、平成八年の事業所・企業統計調査報告によりますと、一般廃棄物処理業の従業員数は十九万八千百四人、産業廃棄物処理業の従業員者数は五万七千八十人、そして、その他の廃棄物処理業の従業員数は千十人であります。ただし、これらのすべての労働者が焼却灰を取り扱う作業に従事するとは限りませんので、この内数ということになろうかと思います。
  87. 城島正光

    ○城島委員 わかりました。いろいろ通達等も出ているわけでありますが、ぜひ実効が上がるようにさらに御努力をいただきたいというふうに思います。  今大臣が触れられました豊能郡の美化センターの調査結果というのが、勤労者にとっても国民にとってもまた一つ大きく衝撃を与えたわけであります。労働省の今回の調査結果によりますと、血中濃度に関する最高の値は八百六ピコグラムということであったようでありますが、この数値が健康に与える影響についてはいろいろな評価があるようであります。今回の結果だけでありますけれども、この最高の値で八百六ピコグラムから見て、健康への影響というのは、労働省としてはどういうふうな判断をされているんでしょうか。  また、焼却場では、御承知のようにダイオキシン以外にも重金属を含めた有害物質に汚染される可能性があるわけなので、その辺のダイオキシンとの複合汚染を懸念する専門家もいるわけでありまして、そういった点についての労働省の御見解を承りたいというふうに思います。
  88. 甘利明

    甘利国務大臣 豊能郡の美化センターに従事する労働者の血中ダイオキシン濃度が高い、一部の労働者はかなり高いという結果が出ました。私どもは、専門的な知識を有する方々に、この数値についてどういう評価をするかということ、それから諸外国の知見もあわせて、全部調査をしております。諸外国で実際に健康影響を引き起こした事例における血中濃度よりは、あらゆるその事例よりも最高値も低いということが判明しております。  ただ、今回の調査で、現段階においてダイオキシン類を明らかな原因とする健康影響の発生というのも認められないわけではありますけれども、しかしながら、ダイオキシン類の人体への影響というのはまだ必ずしも十分に解明をされておらないところでありますから、今回のダイオキシン類濃度が高いと確認をされた労働者については引き続き健康状態のフォローをずっとしていきたいというふうに思っておりますし、他の施設の労働者の暴露状態の把握も努めていくことといたしております。  それから、重金属等の有害物質の複合汚染の話でありますが、ごみ焼却施設での重金属等による健康影響につきましては、今後、情報収集をするとともに、専門家意見を聞きながら調査等の必要性を含めて検討していきたいというふうに考えております。
  89. 城島正光

    ○城島委員 確かに今、ダイオキシンの人体に与える影響というのは明確にいろいろはっきりわかっている点ばかりではないというのはわかります。それにしても、一般的に申し上げて、このダイオキシン対策というのが、先進国といってはあれですけれども、欧米に比べて対策がおくれていたということは否めない事実だというふうに思うわけであります。  そういうことも含めて、今回の豊能郡の美化センターのごみ処理場での検査の結果に基づいて、私自身は、全国の同じような関連する事業場で同じような調査を少なくとも緊急的にやる必要があるのではないかというふうに思いますが、その予定はございますでしょうか。
  90. 甘利明

    甘利国務大臣 この問題に関しましては、厚生省と環境庁と労働省と連携をとって取り組むことにいたしておりまして、排出量が高いところから優先順位をつけて、厚生それから環境調査をいたします。その調査結果に基づいて、労働省としては、今回の豊能郡美化センターの労働者に対して行ったような調査を同じようにしていきたいというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、今般、さらに全国のごみ焼却施設に対しまして環境改善の指示を出したわけでありますが、今後とも労働省挙げてこの問題に取り組んでいくということでございます。
  91. 城島正光

    ○城島委員 厚生省と連携する中でということでありますので、この辺について不安を持っている勤労者はいっぱいいるわけでありますから、至急そういったことに対する対応もぜひお願いをしたいと思います。  それから、制度上の問題についてちょっと御指摘をしたいわけであります。  ダイオキシン類というものについては、職場での直接的な被災あるいは長期的な健康対策を進めるために労働安全衛生法に基づく制度上の措置を考える必要があるというふうに実は思っているわけでありますが、こういったダイオキシンみたいなタイプというのは、今、規制対象外になっているんですね。しかし今これだけの状況の中で、これを対象化学物質として取り扱う必要があるというふうに思うわけでありますが、これについての御見解。  それから、健康管理手帳等の発行等を含めて、先ほどちょっとありましたけれども、継続したフォローが必要ではないかというふうに思いますので、あわせてその辺について質問をさせていただきます。
  92. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、ダイオキシン類をいわば新しいタイプの規制対象化学物質として安全衛生法の中で何らかの措置を体系づけていく点でございますが、ダイオキシン類につきまして、労働大臣からも申し上げましたとおり、ごみ焼却施設等におきます作業環境を測定し一定以下の濃度に抑えていくこと、また呼吸用保護具の使用等暴露防止対策を講じていくこと等の通達を発しまして、現在も緊急にその徹底について要請活動を展開しているわけでございます。  ただ、それらを安全衛生法の現在の体系の中で規制していくということになりますと、このダイオキシン類が本来、他の化学物質と違いまして、意図的に製造されるものではない、また生産工程で使われていくものでもない、そういった特殊なものでございますから、どういう形で法体系の中で規制していくかということは、現在なかなか難しいわけでございます。  今後、先ほど大臣から申し上げましたように、いろいろな形でこのダイオキシン類と健康の問題というものの調査が進んでまいりますので、そうしたところから出る知見等を踏まえながら考えさせていただきたいと思っております。  健康管理手帳の問題について御指摘ございましたが、安全衛生法に定める健康管理手帳、現在、がんとかその他の重度の健康障害のおそれのある業務につきまして一定の要件に該当する場合にそうした制度を設けておるわけでございますが、この健康管理手帳の交付対象になるためには、その業務におけるがん等の発生が疫学的に見て一般人と相当明らかに有意の差がありまして、現行法令上健康診断も義務づけられている、そういう要件の場合に健康管理手帳のことが発動されておるわけでございます。  今回のダイオキシンの問題について見ますと、豊能郡の美化センターで一部の労働者の方について高い血中濃度が判定されたわけでございますが、諸外国の事例等々を見る中で、直ちに健康に影響を与えるレベルにはない、現段階において、それを明らかな原因とする健康影響も見られないというようなことでございます。  私ども、こうした方について引き続き健康状況のフォローアップを行い、他の施設におきましても同様の調査を行ってまいります。そうした中からいろいろな知見が収集されていくかと思いますし、また、そういうものをぜひ収集し、今後の対策に生かしてまいりたいと思っておりますので、そうした中で、こうした御指摘のような問題についても検討をさせていただきたいと思っております。
  93. 城島正光

    ○城島委員 ぜひよろしく検討をお願いしたいと思います。  このダイオキシン関連、最後の質問でありますが、これは要望も含めてでありますが、三月二十六日、この作業者の方が監督署に対して労災の申請をされたわけであります。少なくともダイオキシンの有害性というのは明らかになっているわけでありますので、今回の被災者の方の労災申請についてはぜひ積極的な対応をお願いしたいと思うわけでありますが、御見解を承りたいというふうに思います。
  94. 甘利明

    甘利国務大臣 今回、豊能郡美化センターに勤務しておられた労働者お二人の方から労災請求が行われました。  この件につきましては、一般の労災請求事案と同様に、まず所轄の監督署におきまして、被災労働者の作業内容とか有害物の暴露状況、あるいは発症の経過等について的確に調査を行いまして、業務上か否かの判断を行うことになります。  なお、業務との因果関係につきましては、ダイオキシン類でありますから特に高度な専門的な知識が必要であるというふうに考えられますので、本省におきまして専門家に依頼するなどして検討するということも考えております。
  95. 城島正光

    ○城島委員 ぜひ前向きな方法で検討をお願いしたいと思います。  時間がほとんどなくなりましたので、マネジメントシステムについて一点御質問をさせていただきたいと思います。  今回のポイントの一つとしてありますこのマネジメントシステムについてでありますけれども、これはISOの14000を参考にして作成されているということでありまして、その内容は労使を含む専門委員会で検討されているということであります。したがって、その内容特徴点について、さらに、いつどういった形で公布されるのかということを御質問させていただきます。
  96. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在策定を予定しております労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針でございます。これは、労働安全衛生のいわば管理の手法を、総合的な角度から目標を立て、計画を立て、それを実施して、常にその状況を評価しながら改善していく、そういうものを連続的に行う手法としてシステム化を目指すための一つの方向づけになるものでございます。  これによりまして、私ども、各事業場の安全衛生管理体制というものがかなり飛躍的に充実すると同時に、高齢化等によって技能者がリタイアしていく中でも安全衛生に関するノウハウというものが承継されていく、そういう基盤ができるものと考えております。  現在この指針につきましていろいろ詰めておりますが、私ども、年度内のできるだけ早い時期に労働大臣の告示として公表いたしまして、周知活動に入っていきたいと考えておるところでございます。
  97. 城島正光

    ○城島委員 この問題については、特に行政についてのお願いは、各産業とか、特に中小企業への普及をぜひ図っていただきたいなというふうに思いますので、その辺については要望しておきたいと思います。  なお、これも要望でありますけれども、この新しいマネジメントシステムに関する国際基準というのが、これはまだ未確立であるわけでありますが、その間隙を縫って、これまたと言った方がいいのでありますが、イギリスのマネジメント規格BS8800がかなり進出をしてきているわけであります。  私は、ISOそのものも、大体イギリスやヨーロッパの、ある面でいうと国際的なルールづくりの見事な戦略だと思うわけでありまして、これに日本の企業がみんな従わざるを得ないような状況になってきているわけですね。したがって、ほかの分野でもそうでありますが、特に安全衛生を含めたのはまだ国際基準が未確立であることもありますので、しかもこの英国の規格は、日本の労働安全衛生基準とは異なってトップダウンの色彩が極めて強いということもあって、これがもし事実上の国際規格となるとすると、私の判断からしても問題は大きいなというふうに思っているわけであります。  そういう点も含めて、ぜひ我が国のこの規格を国際的に十分アピールしていただきたい、できればそれが国際基準になるような方向で、ILOなどで適切な国際規格になるような働きかけをぜひ積極的に行っていただきたいという要望をして、私の質問を終わらせていただきます。
  98. 岩田順介

    岩田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  99. 岩田順介

    岩田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中桐伸五君。
  100. 中桐伸五

    ○中桐委員 私は十六日にもやらせていただきますが、きょうは、化学物質の危険有害性等表示制度に関して質問をしたいと思います。  化学物質等安全データシート、ちょっと長いので略してデータシートと言いますが、このデータシートの問題について、まず最初に、この実効性についてお伺いをしたいと思います。  これは、欧米では相当早くから導入されてきておりますが、例えばアメリカなどでは、一九七〇年代に入りまして知る権利というのが非常に大きなテーマになりまして、その問題を解決するために、職場でも、もちろん地域でも知る権利というものが健康上に有害な物質等についての分野においても取り上げられてきているんです。  そういった流れの中で、我が国においても職場の中でこのデータシートの活用というのが始まったということなんですが、問題は、アメリカでも、データシートができてもこれが有効に活用されるものになっているかどうか。つまり、わかりやすくて、しかも緊急事態が発生したときにも必要な場所にそれが置いてあって、そして作業者が見てもちゃんと適切な処置がとれるかどうかというふうなところが実は問題になっておりまして、これを調べた研究者もおります。要するに、アメリカの場合も、制度は非常に立派なんだけれども、なかなかアクセスがうまくいっていないという報告があります。  そこで、お聞きしますが、このデータシートを本当に導入してからこれがどういうふうに活用されておるか、そのわかりやすさのことも含めて、実効性の問題を、労働省の方から、今日まで積み重ねた行政の中での経験をお知らせください。
  101. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回提案させていただいておりますデータシートの制度でございますが、これは、製造者あるいは輸入した者から譲渡、提供される事業者に交付されることが義務づけられるわけでございますが、その事業者はこのデータシートを労働者の方にいわば必ず見せる、こういうことを義務づけまして、同時に、それに基づく安全管理措置も行わせていく、こういうことの軸になるデータシートでございますので、先生御指摘のように、それが実際に職場で実効性を持つ形で活用されなければならないことは御指摘のとおりでございます。  私ども、かねてから、労働衛生教育、これの重要性等を事業主にも呼びかけておるわけでございますが、そうした中で、新たに設けられますこのデータシートにつきましても、労働者に周知させる際に、事業主がそうした労働衛生教育の場を通じて内容をわかりやすく解説する、こういったことを十分指導していく必要があるんだろうというふうに思っております。  また、このMSDSを労働者に周知する際、アメリカ等では有害な化学物質か否かを示すマーク等が非常に活用されているようでございますが、そうしたことも参考にしつつ、わかりやすい形で有害な化学物質であることを労働者に知らせ、データシート等に留意するような形をつくっていかなければならないというふうに思っております。  このデータシートが制度化させていただいていけば、私ども、全国の労働基準監督官が監督等に及ぶ際に、そうした点に留意しながらデータシートが本当に実効性を持つような形になるように指導していく、こういうことに心がけて対応をしていくことにしなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  102. 中桐伸五

    ○中桐委員 このデータシートの対象物質であります。その対象物質、幾つかに分類されると思うんですが、先ほどのマーク、ラベル、こういうものはもう既に導入されておりますか、容器等に対して。こういうマークを張りつけていますか。  というのは、日本の労働者の場合、非常に均質な情報処理能力を持っていると思います。しかし、最近は外国人労働者もふえてきたりしておりますし、化学物質ですから、においや刺激があればこれは危険なものかもしれないというふうになりますが、においもなく刺激もないというもので有害なものももちろんたくさんあるわけで、そういう場合、こういうわかりやすいラベルというのが必要だと思うんですが、これは一体、職場では現状ではどうなっておりますでしょうか。
  103. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今先生お示しいただきましたラベルでございますが、目下私ども、中央労働災害防止協会等でも、こういったラベルの普及をしていこうということで取り組みを始めているところでございます。こうしたわかりやすいマークの使用というものを一層普及させていかなければならないと思っていますので、ぜひこういったものの普及にも今回のMSDSの制度化とあわせまして力を入れていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  104. 中桐伸五

    ○中桐委員 もう数年前になると思いますが、今までJISマークというのがあったんですよ。これとよく似たどくろマークだとか、可燃性の場合にこういう炎のマークだとか、そういうのがあったんですが、どうもそれを使わないようにしたという情報が入ったんですね。これは正確にはちょっと忘れましたけれども。  ですから、これはやはり、地域の情報公開、有害性表示というもので統一的なもの、いわゆる職場だけじゃなくて必要だと思うんですよ。JISマークが今どうなっているかわかりませんが、これは、労働省だけがつくるんじゃなくて、例えば外国では商品にも張ったりなんかしていますよね、ちょっと問題のあるものについては。ですから、そういう点をしっかりと統一的なものの中で対処してもらわないと、労働省のマークとそのほかのマークが食い違うようなことでは困りますから、そこはぜひ検討してもらいたいというふうに思います。  その次に問題なのは、平成九年三月に、化学物質有害性調査あり方に関する検討会の報告書なるものが出ておりますね、この調査室の資料に入っておりますが。そこに報告されている内容の中で非常に重要なのは、毎年五百から六百種類の新規化学物質職場に導入されるという状況がある、その上に、現在、労働現場で五万種類以上に上っている化学物質があって、しかしその有害性の知見が得られたものは全体の一割以下だというふうに書いてある。  有害性調査というのは、労働省に全部やれといったって、工場でいろいろな化学物質の反応でつくられていくものを行政が全部把握するなどというのはとてもこれは不可能な相談ですから、そういうことでもって有害性の問題をチェックしようというふうなことはもともと最初からむだな抵抗だと思うから、そういうことよりも、もちろんきちんとした有害性の問題が起こった場合の処理だとか、それから、一番わかっているのはそれをつくったところですから、あらかじめ、つくったところが自主的に、良心的に、企業秘密が守れるぎりぎりの範囲内で、健康に有害、あるいは災害を起こす、火災を起こしたりするような危険のあるものとか、そういった有害性について、やはりこれはつくったところ、つまり発生した最初のそのものをつくったところがきちんと対処するところからスタートしなければ、これは不可能だと思うんですよね。  そういう場合、果たして、今のような五万種類あってその一割以下だという状況の中で、一体これはどういうふうに将来されていこうとしているのか、それについてお聞きしたいと思います。
  105. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 データシートの義務づけの対象になる化学物質につきましては、毎年新規の化学物質が五百件を超えて生まれてくるような状況の中でございますが、私ども、この制度の対象になる化学物質につきまして、産業衛生学会、またアメリカにおける同様の学会等がいろいろ勧告するもの等々を注意しながら、そういうもので得られた知見に基づいて、当面、今考えている状況の中でも一千物質くらいにはなるんではないか、こう考えているわけでございます。  したがいまして、そうした物質につきまして、その後いろいろな知見がさらに加わっていく、こういうことも当然考えられるわけでございまして、製造者につきましては、その後新たな知見等が加わってデータシートの内容を変更していかなくてはいけない、こういうときには、今度の改正法案におきましても、速やかに相手方に通知するようにいたしておるわけでございますので、こういうことが迅速に行われるように指導を徹底しなくてはいけないというふうに思っております。  こういうことを裏づけるためにも、また国として標準的なデータシートをみずから作成を行いまして、随時新しい知見を加えて見直しを行うことによりまして、製造者が、そういう動向にも注意しながら、データシートの内容の変更をしなくてはいけないような場合に速やかに対応できるような体制といいますか仕組み整備を行っていきたい、こんなふうに思っております。
  106. 中桐伸五

    ○中桐委員 有害物質であるかどうかというのがなかなかわかりにくい。有害なのか、それとも害が低いのか、それも非常にわかりにくいと思うんです。それから、有害というのは、人体にとって健康障害を起こすという有害性というものもあるし、それから取り扱っているときに可燃性で火災の原因になるというものもある。いわゆる危険という問題もある。  ですから、そういうことを考えると、化学物質というのは大変多様な性質を持っているから、学会がこうだああだと言うもので対応するのでは余り適切ではないと私は思う。もちろんそれはそれで重要でありますけれども、むしろ、そういう化学物質製造するところにきちんと良識を持って的確な情報を提供しなさいということをやっていかない限り、私は抜本的な対策にはならないと思うんですが、どうですか。
  107. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、有害性につきましていろいろ知見が確立していない段階から、このデータシートを的確に運用していくためには、私ども、いろいろな学会等の知見に留意しながら情報の収集に当たることはもちろんでございますが、化学物質製造者あるいは輸入者自身がそうした点について十分留意しながら化学物質の性質等々を判定、評価し、それらを事業者に提供する等の場合に、このデータシートの記載に万全を期すような協力をぜひとも得ていかなくてはいけないわけでございますので、それは先生御指摘のような点を十分念頭に置いて、こういう製造者との連携なりまた指導というものは当然強めていきたいというふうに思っております。
  108. 中桐伸五

    ○中桐委員 そうなりますと、千物質とかというふうなことを書かれていますね。今リストアップされている有害な百十七物質以外にも約千物質というような形になっているようですが、そういう千というのが何か意味があるのですか。
  109. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 これは、現在既に規制されているもの、また、諸外国の状況等を見て、我が国において実施する場合として想定していろいろな知見を集約した結果として、一千物質ぐらいになるのではないかという予測をいたしておるところでございます。
  110. 中桐伸五

    ○中桐委員 ですから、先ほどから私の要望は、有害なものという形で千という数字が出ているというふうなことで対処するのではなくて、それはそれで規制物質だとかいろいろなものを通して存在するのは当然必要なのですが、それ以外にきちんと仕組みをつくるところから考えてもらいたい。そういう仕組みを考えてほしいということを要望しておきたいと思います。  それから、そういうふうにいわゆる事業主製造するところに、きちんとやってくださいよという基本的なフォーマットを示し、基本的な情報の基本項目を示して、あとは事業主の良心にゆだねるという仕組みをとらないと、これはとてもじゃないができないと私は思いますから、その場合に、その情報が非常に虚偽のものである、何か事故が起こって虚偽の報告内容があったというふうなことは十分予想できるわけです。そういう形の場合に、多くの企業は良心的にデータシートをつくるでしょうけれども、やはりそういうふうに自主的に任せているといろいろな問題が起こる。  そのときに、事前の規制が非常に難しいということで、事後規制としてこのデータシートに対するペナルティーというものを考えないといけないのではないかというふうに思うのですが、その点について、労働大臣、いかがでしょう。
  111. 甘利明

    甘利国務大臣 まず、虚偽のMSDSが交付されないようにするためにどうするかというところからお話をさせていただきますと、標準的なMSDSを順次作成してこれを広く公開をする、そうしますと、交付をされたMSDSの内容との比較が容易にできる、そこで疑義があるないの判断を容易にできるようにする。  それから、二点目といたしましては、MSDSの交付を受けた者が、MSDSの内容に疑義があるということが確認された場合に、その対処をどうするか相談をする窓口を設置するということ等が大事だと思います。  さらに、虚偽の交付をした事業者に対してペナルティーをというお話でありますが、まず正しい内容のMSDSを交付し直すように指導を行っていく。それから、再三指導しても応じないという、いわゆる悪質な譲渡提供者があった場合についてどうするかという御質問でありますけれども、再三再四指導を行っても従わない場合には、場合によっては当該物の商品名であるとか製造者名とかいうことの情報を付して関係事業者に対して注意喚起を行う、つまり公表をするということも考えております。
  112. 中桐伸五

    ○中桐委員 それはぜひそういう方向でやっていただきたいと思います。非常に重大な健康障害とかそういったものが起こったときの問題は公表だけでは済まない問題もあると思いますので、やはりこれは自主的なコントロールというものをベースにしなければいけないということですから、ペナルティーはペナルティーでしっかりシステムをつくってもらいたい、そういうふうに思います。  それで、次に行きますが、このデータシートに基づく情報がすべての作業者に提供されるということは理想だと思うのですが、その関連する作業者の中に輸送業者、これはILOの化学物質の使用に関する条約についても、国連の危険物の輸送に関する勧告というのが別に書かれているように、輸送というところがエアポケットになるということがあるのだろうと思うのですね、ILOの化学物質の使用の条約にもそういうことが書かれてあるということは。  そこで、今、日本の場合、輸送業者及びそれに従事する労働者、例えば有害物質をタンクのついた車、トラックで輸送する、その労働者が、例えば事故に遭って有害物質が漏れた、そういうふうな状況で被害をこうむる、あるいは火災を起こすというようなことだってある。そういう場合、現行ではどうなるでしょうか。その輸送労働者はこのデータシートを提供されているのですか。
  113. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 この提案申し上げている改正法案の中では、化学物質の運送を行う業者等は化学物質譲渡、提供先には当たらないわけでございまして、制度上このデータシートの交付される方の側には当たらないということになるわけでございます。  ただ、現在、化学物質の運送を行う業者につきましては、もし輸送時に緊急事態等があった場合に、そういう緊急時の対応等を記載したいわゆるイエローカードと呼ばれるもので日本化学工業協会が対策等を実施しておりまして、運輸省がそれの普及を今図っている、こういう状況がございます。私ども、そういうものと連携を深めまして、イエローカードとして、いわば事故時における措置、連絡通報事項等を明記した書面の普及に努めていきたいというふうに思っております。  また、制度上譲渡、提供先ではないことから、先生御指摘のような懸念が出るわけでございますが、イエローカード、これは緊急時でございますが、そういったものを交付する際には、あわせまして、新しく制度化されるMSDSシートも事実上一緒に交付されるような指導というものも同時に日本化学工業協会等と連携をとって広めていきたいというふうに思っております。
  114. 中桐伸五

    ○中桐委員 わかりました。それはぜひ連携をとって、情報ができるだけ共通の必要最低限のものを含むものにしてもらいたいというふうに思います。  次に、国際的にこのデータシートの活用を促進する重要なきっかけになっていると思いますが、ILOの化学物質の使用に関する条約、第百七十号という条約がありますが、勧告もそれに関連してありますけれども、この条約の批准は今日本はどういう状況になっておりますでしょうか。それから、国際的に批准の状況はどうなっているでしょうか。
  115. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘の百七十号ILO条約でございますが、まず国際的な批准の状況でございますが、この条約を批准している国は、平成九年末現在で七カ国でございます。  我が国におきましての検討状況でございますが、今回提案させていただいている労働安全衛生法改正案も、本条約のいわば趣旨に沿って、こういったデータシートの制度化というようなことを提案させていただいているわけでございます。  ただ、本条約の中では、安全に関する情報資料、それからいわゆるラベル等の表示のない化学物質を使用してはならないという、直接的なそういう禁止を求めている条文もございまして、我が国の国内法制との関係では、そういう規定が直接今我が国では存在していないわけでございますので、そういった点、条約を批准するに当たって問題がなしとしないわけでございまして、引き続き検討を要する点が現在残っておる、こういう状況でございます。
  116. 中桐伸五

    ○中桐委員 その説明内容、ラベルを張ることが問題じゃなくて、ラベルをつけなければ使用してはいけないというようなことが問題だ、抵触するという意味ですか。
  117. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 安全に関する情報資料、それから標章と呼ばれていますがラベルだろうと思いますが、そういうものがない物質は一切使ってはならないという形で規制している、そういうことを求めている内容の条文がございますので、それと国内法制との整合性が一つ検討すべき課題として残る、こういうことでございます。
  118. 中桐伸五

    ○中桐委員 非常に重要なところだと思うのですが、一番最初に私が質問をしたのと関連があるのですが、ラベルというのは、一目見てどういうものなのか、そのラベルの意味が安全衛生教育などできちんと伝えられていないといけないということがありますけれども、しかし、どくろマークみたいなのは有毒だというマークというのは、これはいいものだとは思わないですね。そういうふうな、これはちょっと危険なのかなとか、あるいはこれはちょっと火災を起こしやすいのだなとか、そういう注意を喚起するというものについては、私は非常に重要だと思うのですね。  このデータシートは非常に重要なんですが、余り細かく書きますと、それが非常に難しくてというふうなこともあるわけです。ですから、これはもちろん必要最低限のものを理解するために必要な情報を書いてあるわけですから、これをどうこうという意味はありませんが、いろいろな方法で有害性というものを知らせる必要がある。そのときに、ラベルの意味というのは非常に大きいと私は思います。  したがって、その問題が一つ大きな問題になっているのだったら、今後検討課題としてしっかりと検討してください、重要だと私は思いますので。そのラベルの意味についてはおわかりいただけると思うのですが、ぜひお願いしたいと思います。  ちょっと時間がありませんので、次に、事業主製造したところから譲渡してどんどん情報が広がっていって、使うところに、作業者にこの情報が提供されるという、製造主からの情報の発信という点でいえば、このデータシートというのは非常に重要な意味を持つと思いますが、もう一つ、今度は働いている側からその情報にアクセスする、その仕組みもつくる必要があるのではないかと思います。  これは、私、アメリカの調査をかつてしたときに、例えばニューヨーク州では、労働者がどうも自分が使っている物質が何かわからないという状況で不安を持った場合、使用者にその情報公開を求める。この物質は一体人体にとってどういう影響があるものなのかとかいうふうなものを含めて、その情報提供を求める。それに対して七十二時間以内に文書で事業主はその情報を提供しなければいけない。もし情報を七十二時間以内に提供しなかった場合は、その労働者自分化学物質を使う作業を拒否してもいいという仕組みがあるというふうに、調べた結果わかったのですが、いろいろな州でアメリカの場合はできているようです、知る権利法という形で。そのような仕組みは、やはりつくっていく必要があると私は思いますが、いかがでしょう。
  119. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今お話のございましたアメリカの制度につきましては、私どもも、その運用がどういう実情で行われているか、また運用されている実態等につきましてもいろいろ調べなくてはならないと思いますが、私ども現段階で考えていますのは、今回提案させていただいている改正によりまして、いわゆるデータシートの制度化が義務づけられるわけでございまして、これによって、これを受けた事業主労働者に確実にその周知義務を果たす。また、安全衛生法上必要な場合に求められている労働衛生教育等によって、そうしたデータシートの理解というようなものについても教育を深めていく。いわばそういう情報を提供すべき人が確実に情報を提供するという体制を確実につくり上げていく。この仕組みをまずしっかりと固めていきたい。  アメリカのように本人の権利から出発させるか、まず情報が確実に、提供すべき人が提供する形をしっかりつくりたい、後者の方で私どもまずはしっかりとやってみたいと思っておりますので、御指摘の点についてはさらに勉強させていただきたいと思います。
  120. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間がありませんので、もう一回、次回のときにやりますが、私は両方要ると思うのですよ。これはどちらが先だということではなく要ると思うのですが、その点については、ちょっと時間がありませんので、これ以上の質疑はきょうは避けます。  最後に、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、今まで質問いたしましたが、化学物質による労働者健康障害というものを防止するために、有害性が高いものについては特別の管理対象となる物質措置しているけれども、その数は我が国では現在百十七と聞いている。対象物質をさらに拡大するなど労働者の安全確保の措置が必要であると思うけれどもどうでしょうかということなんですが、どうでしょうか。
  121. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、労働衛生関係の法令によりまして、百十七の化学物質について、作業環境中の有害要因を取り除くための設備の改善等の作業環境管理、特別な健康診断実施などの健康管理等規制が行われているところでございます。  このような化学物質につきましては、本年一月の中央労働基準審議会の建議におきまして、「今後、必要に応じ適宜対象物質規制内容について法令上の見直しを行いつつ、引き続き適切な管理を義務付けることが必要である。」と指摘されているところでございます。この指摘の趣旨を踏まえまして、労働省では、専門家意見を聞きつつ、有害な化学物質に係る行政措置あり方を含めまして、規制対象物質の追加などについて積極的に対応してまいりたいと考えております。
  122. 中桐伸五

    ○中桐委員 では、質問を終わります。
  123. 岩田順介

    岩田委員長 次に、漆原良夫君。
  124. 漆原良夫

    漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。私は当委員会で質問させていただくのが初めてでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は新潟県の燕市というところで生まれましたが、この燕市というのは洋食器の町でございまして、町全体が中小企業、零細企業また家内工業という集合体でございまして、各工場というのは全部、プレス部門だとか彫金部門また研磨部門、そういう部門別の洋食器製造にかかわる一工程部分を分業して担当している、そういうふうな町でございます。昭和三十五年に私はこの燕の中学校を卒業したわけでございますが、私の仲間はほとんど自分の家業である洋食器の仕事に従事いたしました。  当時はまだ労働者の安全とか衛生に対する観念が低い時代でございましたので、私の友達の何人かは、プレスで指をつぶしてしまったり、あるいは研磨の粉じんを吸って胸を悪くしたりしたわけでございました。また、道路だとか川にメッキの廃液であります青い液体が流れているということを、私は今でも記憶しております。  ただし、これは昭和三十五年当時の燕市の話でございまして、現在の燕市ではないということを、生まれ育った町の名誉のために言っておかなければなりません。  このような経緯があって、私は常々、国は、すべての労働者が、その企業規模の大小にかかわらず、平等に産業保健サービスの恩恵に浴することのできる体制の推進に努力をすべきである、こう考えております。そして、この考えは、憲法第二十五条第二項の「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という思想、憲法の考え方に合致するものだと私は思っておりますが、まず、この点に関する大臣の御感想をお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、石橋委員長代理着席〕
  125. 甘利明

    甘利国務大臣 労働安全衛生に関しましては、大企業も中小企業も、そこで働く労働者に対して、あるいは地域に対してひとしく責務を負うわけでありますが、大企業に比べまして中小企業は体力とか資金力に格差がありますから、それを行政がカバーをして、大企業の労働環境水準と同じようなものをカバーしてやるという責務があると思います。  労働省といたしましても、中小零細事業者がみずからなし得ない部分について各種施策でしっかりと補完をしていく、そして、大企業と極力等しい労働環境整備をしていきたいというふうに思っております。
  126. 漆原良夫

    漆原委員 大臣のそのお考えをまずお聞きして、大変うれしく思っております。  その意味で、今回の改正法案で、いわゆる五十人未満の小規模事業場対策が含まれておらない、先送りされたということについては、私は大変残念に思っているところでございます。  そこで、以下、小規模事業場問題について若干のお尋ねをしますが、まず第一に、この小規模事業場で働く労働者の数、そして、これが全労働者に占める割合について、お知らせいただきたいと思います。
  127. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 平成八年の事業所統計調査で見てまいりますと、企業規模五十人未満の小規模事業場に働く労働者の方は約二千九百万人でございます。それで、全体の五千百万人に占める割合は約五七%になっております。
  128. 漆原良夫

    漆原委員 それでは次に、小規模事業場における労働災害の発生状況と、それが全労働災害に占める割合について、死亡災害と負傷災害に分けてお尋ねしたいと思います。
  129. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 平成九年の労働災害の発生状況を見てまいりますと、死亡災害について、これは三十人未満の小規模事業場という集計になりますが、千三百四十二人亡くなられておりまして、全体で二千七十八人に対します割合が六五%を占めております。  また、休業四日以上の死傷災害でございますが、これにつきましては、統計上、事務組合加入事業場を三十人未満として扱いますと、約十万人の方が休業四日以上の死傷災害を三十人未満で受けておりまして、全体の十五万七千人に対する割合はやはり六四%を占めております。
  130. 漆原良夫

    漆原委員 そのうち、特に建築関係では小規模事業場で働く労働者が非常に多いというふうに私は考えておるんですが、全建築労働者に占める割合というのはどのようになっているでしょうか。
  131. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 建設業に限りまして、労働者数三十人未満の規模の事業場での、例えば休業四日以上の死傷災害を見ますと、平成九年では建設業全体の死傷災害の八二・九%を占めておりまして、全産業での小規模の占める割合よりも高くなっております。  また、死亡災害につきましても、建設業全体の死亡災害の七七・九%を三十人未満の建設業が占めておりまして、この点も先ほどと同様でございます。
  132. 漆原良夫

    漆原委員 大変率が高い、パーセンテージが高いということを今お聞きしたわけでございますけれども、建設関係の小規模事業場で働く労働者に死傷事故が非常に多い、これについては労働省の方は、なぜそうなんだという、その原因についてはどのようにお考えでございましょうか。
  133. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 建設業の小規模事業者について見ますと、下請事業者として建設工事の現場に入りまして、他の下請事業者と混在して危険な作業を行う場合が多い、このことが非常に大きいかと思います。これに加えまして、安全管理のノウハウを十分有していないこと、あるいは安全衛生教育を実施できる人材を確保しにくい、こういったことの理由から安全管理活動の実施状況が低調である、こういうことが大きい原因かと存じております。
  134. 漆原良夫

    漆原委員 今回、そういう仕事の関係労働者の方と話し合ってみたんですが、こんなことを言っておりました。  建築関係でも元請、下請、孫請といった重層的な労働関係になっているんだ。それで、例えば足場などの安全対策費については、元請段階ではきちっと発注者からもらっているんだけれども、それが、下請、孫請になってくると見積もりの中からカットされたり削減されたりして、十分な安全対策をとれなくなってしまう。そこである意味では安くしたり手を抜いたりせざるを得ない状態になっているのが非常に事故の多い原因なんだ、何とかこの辺を改善してほしいという話があったんです。  労働省、この点についてはどのように御認識をされているでしょうか。
  135. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 建設業につきましては、建設業全体でも全産業の四割近い労働災害の発生率を占めておりますので、私ども、労働災害防止という観点からは、建設業がいわば最重点対象業種でございます。労働災害防止のために、建設業に対してはとりわけ重点的に指導を重ねてきているところでございます。  とりわけその中で、重層下請関係の中で発生する労働災害につきましては、元方の事業者が建設現場の安全管理に真剣に取り組んでいただきたい。それで、下請事業者が適切な安全対策を講じることができるように、元請事業者としてやるべきことをやっていただきたいということで、平成七年に元方事業者による建設現場安全管理指針という通達を出しまして、それを元方事業者等に徹底を図っているところでございます。  その中では、下請事業者に示す見積もり条件に労働災害防止に関する事項を明示させる、それから労働災害防止に係る責任の範囲を明確にすること、また請負契約の中で労働災害防止対策の実施者それからそれに要する経費の負担者を明確にすること等々、費用の負担関係も指針の中で、元方事業者にやるべきことをやっていただくよう示しておりまして、こうしたことの徹底を通じまして、今先生御指摘のあったような、請負代金の中から安全経費までカットしていくような事態が出ないように、私ども指導の徹底に努めておるところでございます。
  136. 漆原良夫

    漆原委員 確かに、その指導内容がそのとおり実施されておれば孫請の労働者にとっては大変ありがたいことなんですが、きちっとした安全対策に関する費用を要求すると、むしろ仕事をくれない、結局その部分が多くなってしまうわけですから。どの工務店に仕事をやろうが自由なわけですから、余り厳しいことを言うと、じゃ、おまえのところはいいや、こっちの方に仕事を回すからというふうに言われる。下に行けば行くほど弱い立場にある人は厳しい条件でものまざるを得ないという、こんな現実があるようなんですね。  ですから、本当に末端の労働者に光を当ててもらいたいという強い要望があるのですが、今おっしゃった指導の徹底、そのほかに何かないのかな。直接現場の労働者から声を聞いて対策を講ずるとか、そういう積極的に労働省が、上から下の方に指導するというやり方ではなくて、下の方からこんな声があるのだけれども、これをどうしなさいというふうな、下の声を聞いて上の方にアドバイスしていくようなシステムがあれば一番いいがなというふうな気もしておるのですが、この辺はいかがでしょうか。
  137. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先生から、建設業のそうした実情、安全経費等、大変下請の方等々御苦労される実情についてお話があったわけでございますが、そうした実情の中で我々の今までの指導が一層効果を上げていくためには、やはり元方事業者の方あるいは個々の店舗に来られる所長さんとか、そういう方に労働災害防止といったことに対して十分その重大さを認識してもらうようなことも大変必要だろうと思っています。  そうしたことで、例えば昨年度から、そうした元方事業者の店舗の新任所長さんの研修とかいったことを含めまして、中小総合工事業者のいわば下請業者に対する指導力の向上を促すための事業等を展開したり、そういったことを建設業の労働災害防止協会に委託して実施してきております。  こうした意識の面の啓発も含めまして、先生の御指摘のような実情の中で労働災害防止というものが実を上げていくように、引き続き私ども力を入れてまいりたいと思っております。
  138. 漆原良夫

    漆原委員 私申し上げたように現場の、上からじゃなくて下からの、変な話、下から声を聞いて労働省で対処していくというふうな体制がとれれば一番いいがなと思っているのですが、この点に関して、労働省としては具体的に実態調査をするような動きをとってもらえないだろうかな、こう思っているのですが、いかがでしょうか。
  139. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 建設業の労働災害防止協会、ここを通じて下請の方々の声を聞くような形をつくる、そういう努力もいたしておりますし、また昨年度からは、実際に現場で労働災害防止のために少人数のグループで仕事をする人たちをまとめている職長さん、こういった方についても、日ごろの労働災害防止のために御尽力いただいている、その辺の御苦労ぶりを顕彰しようじゃないかということで、全国で百名近いそういう職長さん方、これは末端の実際の現場で労働災害防止のために何人かの職人さんをまとめて働いている方でございますが、そういう方も労働大臣が顕彰をするという事業を初めて実施いたしました。  そういう人たちにつきましては、顕彰した後、いわばネットワーク化ということで、そういう人たちが常時連絡をとり合ったり私どもに意見を言っていただける仕組みをあわせてやっておりますので、そういう場を通じて、御指摘の下からの声を十分聞いて労働災害防止の対策に反映させていく、そういう形につながるように、私どもこれからも十分意を尽くしてまいりたいと思っております。
  140. 漆原良夫

    漆原委員 大変細かくお答えいただいて、大変うれしく思っております。どうぞ、今の趣旨で、労働省としては未組織の少数の労働者の皆さんの意見がきちっと労働大臣の耳に聞こえるような体制をぜひとっていただきたい、これをお願いしておきたいと思います。  それでは、先ほどお尋ねしましたが、全労働者のうち小規模事業場で働く労働者の占める割合が高い、さらに労働災害も死傷事故を含めて非常に高い、こう考えますと、私は、労働者安全衛生法に関する最大の課題というのはやはり小規模事業場対策ではなかろうか、こう思っております。  審議会はこの点に関して、小規模事業場における総合的な健康確保方策について検討の場を別途設けることが適当である、こうしております。さらにまた、産業医の選任対象事業場の範囲等については、平成八年改正労働安全衛生法の施行五年後見直しに向けて引き続き総合的な見地から検討することが適当である、こういうふうに建議をしているわけでございますが、労働大臣はこの建議を受けてどのように対処していくおつもりか、お聞きしたいと思います。
  141. 甘利明

    甘利国務大臣 冒頭も一部お答えをさせていただきましたが、小規模事業場の労働者労働安全、健康確保対策については、労働省としては非常に重要な課題であるというふうに考えております。  いわゆる産業医等の選任対象事業場の範囲等の件につきまして、平成八年の中央労働基準審議会の建議及び本年一月の同建議におきましても、検討の場を別途設けて引き続き検討することが適当であるということを指摘をいただいております。労働省といたしましては、これを踏まえまして今後、労使を含めた関係者をメンバーとする会議を開催いたしまして、小規模事業場における総合的な健康確保方策についての検討を進めていくことといたしております。  いずれにいたしましても、中小零細事業場におきましては、したくてもできないこともあるでしょうし、働く側からしてみると、大企業と全くイコールフッティングでやってほしいという要望は当然でありますし、そこに行政がどうかんでいくかというのが課題だと思いますので、こうした検討会を通じて必要な対応を図っていきたいというふうに思っております。
  142. 漆原良夫

    漆原委員 検討会、委員会をつくるということをお聞きしました。問題は十三年までにやるということなんですが、十三年にきちっと結論を出して改正手続をする。変な話だけれども、委員会に全部任せてしまうということではなくて、労働省の意向として、十三年までに結論を出すというふうな決意のもとで委員会に臨む、委員会設置に臨むというふうなお考えはあるのかないのか、いかがでしょうか。
  143. 甘利明

    甘利国務大臣 平成八年のときに、五年後にということになっておりますので、各方面からいろいろとお話を伺うことになると思いますが、できるだけ具体的な方向性が出せるように最大努力をしていきたいと思います。
  144. 漆原良夫

    漆原委員 わかりました。  産業医についてお尋ねしたいんですが、現行法では、法第十三条で五十人以上の事業場には産業医の選任が法的に義務づけられている。しかし、五十人未満の事業場には、一定の医師、保健婦等に労働者健康管理等の全部または一部を行わせるよう努力しなければならない、いわゆる努力目標で、法的義務でない。こういう法律構成になっております。  私は、労働者が最も多いし、また労働災害が最もたくさん発生している小規模事業場こそ労働者のために産業医の選任を法的義務にすべきじゃなかったのか、こういうふうに思うんですね。現実はそうじゃなくて逆になっておるわけなんですが、圧倒的多数の割合を占める労働者、圧倒的多数の労災発生率を占める小規模事業場、なぜここの産業医の選任を法的義務にしなかったのか、理由をお聞きしたい。
  145. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 働く方々職場での健康管理というものを専門的な知識に基づいて行うために産業医の選任という措置を行っておるわけでございますが、現在、産業医の供給、そういった状況を考えますと、膨大な数の中小規模の事業場にまでそれをいわば義務事項にいたした場合に追いつかない、こういう現実があることと、中小企業の置かれた状況等を考慮いたしまして、現在まで五十人未満の事業場については産業医の選任を努力義務といたしてきているところでございます。  ただ、先生御指摘のように、そうした中小規模の事業場で働く方々産業保健のサービスが受けられない、こういうことは問題でありますし、そうしたことについてしかるべく対応していくことは当然でございますので、私ども、そうした努力義務とされている中で、全国の労働基準監督署単位に三百四十カ所ほどの地域産業保健センターを整備いたしまして、ここが中小規模事業場の相談に応じて産業保健のサービスを提供していく、あるいはそういう中小規模事業主が共同で産業医を選任する場合の助成制度等を展開してきておりまして、そういう形で小規模事業場の方につきましても、とにかく何らかの形で産業保健のサービスが受けられる形にしていこうということで現在努力をしているところでございます。
  146. 漆原良夫

    漆原委員 今申された産業医の共同選任事業の問題、それから地域産業保健センターの制度、これについては後ほどまた詳しくお尋ねするとして、残念ながら法律が努力目標ということで法的義務にしなかった、そういうことで、私はその実効性について非常に疑問を持っておるわけです。お金がかかることですから、努力目標にすれば事業者としてはほとんどやらない、みずからやろうとしないということになるんじゃないかな、訓示規定というか精神的な規定だけであって何も実効性がないんじゃないかなという疑問を持っておるんですが、実際に小規模事業者の何割がこの法律の予想している努力目標を達成しているのか、お尋ねしたいと思います。
  147. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 中小規模事業場全体につきまして、どの程度の割合の事業場が努力義務という中で産業医を選任しているかについて全体をカバーした数字は今ないわけでございますが、昨年実施いたしまして十一月にまとめました深夜業の実態に関するアンケート調査、これによりまして、五十人未満の規模の事業場において産業医を選任しているかどうかを聞きました数字がございます。  それによりますと、五十人未満の事業場では選任しているところが三四・九%となっておるわけでございます。これで全体を判断するにはやや問題があるかと思いますが、こういう数字から推測いたしますと、半分をかなり下回っている状況にあることは事実かと存じております。
  148. 漆原良夫

    漆原委員 全体の統計をとっていらっしゃらないということだから、当然労働者全体の何割がこの目的達成の恩恵に浴しているかということもおわかりにならないはずだから聞きませんけれども、聞くところによりますと、ドイツとかフランスでは産業医の選任は小規模事業場にも義務づけられているというふうに聞いておるんですが、労働省として、どんな形態をドイツ、フランスがとっているか、これは御調査されたことがありますか。もし調査されていればその形態を教えてもらいたいと思います。
  149. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 諸外国のあれを見ますと、イギリス、アメリカではこうした法的な産業医の選任義務は設けられていないんですが、フランス、ドイツでは、御指摘のとおり、小規模の事業場も含めまして、使用者が産業医を選任して、あるいは共同の産業医を利用して産業保健体制を整備することが義務づけられている、そういった制度の内容については私ども把握いたしております。
  150. 漆原良夫

    漆原委員 フランスの例でございますけれども、フランスでは、単独で労働医を雇う資力のない小規模零細企業においても、地域または業種ごとに企業共同労働医療機関を設置するか、これに加入することが義務づけられている。こんなふうに小規模事業場にも設置が義務づけられているということが書いてあります。  それから、ドイツなんかでも、労働者一人当たりについて年間何時間産業医を選任しなくてはならないかということで、一人当たりを決めて総労働者数で決めていくというふうなシステムをとっておるようですね。したがって、ドイツなんかでも、小規模の事業場でもきちっと産業医の選任が確保されている。  これは北海道大学法学部の教授の保原さんという人が「産業医制度の研究」というところで書いておりますので、参考にしていただければ結構だと思いますが、日本でもやれるんじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  151. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘ございました、フランスの場合、小規模事業場については複数の企業で共同して設置する労働医療機関に加入すること等が義務づけられ、ドイツでも、小さい事業場になれば一人当たりということでの産業保健のサービスをする時間を決めておりますけれども、やはり何らかの形で産業医を活用していく、そういうことが義務づけられているわけでございます。  実は、そうした小規模事業場のことも考えまして、私ども、こうした複数の企業が共同でそういった産業保健のサービスを受ける、そういうことにつながる仕組みとして各労働基準監督署単位に地域産業保健センターを整備してきたわけでございます。  平成九年にようやく全国の整備が完了したところでございますが、そこが中小規模事業場に広く産業保健のサービスを提供するまでまだ体制がいっていない。活発なところは活発に行われていますが、やや低調なところはまだ低調だということで、改善すべき、またその機能を高める努力というものも今後まだ残っている大きな課題であることは私ども認識しておりますので、そういうものをさらに充実させることを通じて、少なくとも産業保健のサービスがこういう諸外国に比べて中小企業へのサービスの面で格差が出ないようなことに向けての努力というものをしてまいりたいと思っております。     〔石橋委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 漆原良夫

    漆原委員 産業医共同選任事業についてお尋ねしたいと思います。  平成九年からこの事業が実施されておりまして、この利用状況、十年度では、事業場数が千三百四十四、こう聞いております。この千三百四十四というのは、全小規模事業場に対して占める割合はどのくらいの割合なのか。そして、小規模事業場で働く労働者に対して割合はどのくらい占めているのか、質問したいと思います。
  153. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 産業医を共同で選任していただくための事業を平成九年に開始いたしまして、平成九年では五百四十六事業場がそれを活用して共同で選任し、十年度にはさらに千三百四十四の事業場がそれを活用して共同で産業医の選任に当たったわけでございます。ただ、五十人未満の事業所の数ということになりますと、事業所センサスで見た限りでも四百万を恐らく超えるわけでございまして、それに対する千三百四十四という割合でございますので、本当にわずかな比率になってしまうわけでございます。
  154. 漆原良夫

    漆原委員 千三百四十四は地域別なのか職種別なのか、これはわかりますか。それからもう一つ、都道府県別で、例えば東京に偏在しているとか大阪が多いとか、そういうふうな全体の普及の度合いはわかりますか。
  155. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今お尋ねの点について、統計的に分析すれば出る数字でございますが、今は手元にないので概括的にお答えさせていただきたいと思いますが、この千三百四十四事業場というのは、産業保健のサービスを受ける関係から、ある程度地域的にまとまっている事業者が共同で選任するケースが多いというふうに承知いたしております。また、都道府県別等のばらつきでございますが、ほぼ全国満遍なく大体利用事業場が出ている、こういうふうに承知いたしております。
  156. 漆原良夫

    漆原委員 四百万くらいある、そのうち千三百四十四というふうに先ほどお尋ねしたわけですが、非常に利用度が低い。これは非常にいい制度であるのですね。労働者にとっては非常にいい制度だし、また国家から三年間の助成も受けられるという非常にいい制度だと思うのですね。このいい制度が、なぜもっと爆発的な普及ではなくて、この程度の普及にとどまっているのか。その理由は労働省はどう判断されていますか。
  157. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 小規模事業場において、そこで働く従業員の方に、健康管理等を含めた産業保健のサービスを提供して健康管理をしっかりやっていこうということについて、小規模事業主の方にも、私どももう少し理解を得ていかなくてはいけないのではなかろうか。そういう意識の周知を、また啓発を進めた中で、そうすればもう少し利用が伸びてくるのかなというふうに受けとめておるところでございます。
  158. 漆原良夫

    漆原委員 これは、ぜひとも強力に普及させてもらいたい、こう思っております。労働省としても取り組むとおっしゃっていますけれども、具体的にどんなふうに取り組んでいくのか。自然に任せていたのでは余り伸びない。もっと労働省は本腰を入れてこの事業の普及に取り組むべきではないかと思うのですが、具体的な取り組み方法でお考えのものがあったら、教えていただきたい。
  159. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 確かに、共同選任事業場事業主の方に産業保健というものについて、その重要性を意識していただくことがまず大事なわけでございますが、まだ創設後間もないということでございますので、制度のそういった面の周知を私ども一生懸命やってまいりたいと思っております。  あわせまして、今まで小規模事業場の産業保健の関係につきましては、産業医の選任に関する努力義務、それから地域産業保健センターの整備、それから共同選任の助成、こういったことを軸にして進めてきたわけでございますが、さらにこういったものを効果的に進めたり、あるいは新たな知恵というものがあるかどうか、総合的な健康確保対策について検討の場を設けて、小規模事業場のそうしたものの施策のあり方について検討することにいたしておりますので、そういう場でいろいろ効果的な知恵を議論していただいて、私どもその成果を具体的な施策に生かしてまいりたいと思っております。
  160. 漆原良夫

    漆原委員 それでは、具体的な助成の内容ですけれども、どんなふうなことを助成をしているのか。それから、十年度の助成額は幾らになっているのか。それから、大体お医者さんとの契約料について助成していると思うのですが、お医者さんの契約料というのは一カ月当たり幾らなのか。わかったら教えてください。
  161. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘の点にぴたりとはまるかどうかあれでございますが、まず産業医の方の契約料金でございますが、これは東京都の医師会で、五十人未満の事業場について予定している単価が月四万円でございます。私ども、平成十年度は約九千万の助成の予算を予定いたしましてこの助成を実施しておるわけでございますが、一集団当たり大体三・七事業場が共同で選任するということになりますので、そういう場合の単価といたしまして、恐らく四万円に対する何倍か、こういうことで決まってくるのだろうと思っております。
  162. 漆原良夫

    漆原委員 一部を助成していただくということは一部事業主が払うわけですから、不況の中、この費用負担というのがかかるということだけでもって事業主はしり込みをしてしまう心配があります。  私は、いっそのこと、これはもう国が全額負担したらどうかというふうにも考えておるのですが、国が全額これを負担した場合に幾らになるのか。労働省は試算をされたことがありますでしょうか。もしあれば金額を教えてもらいたい。
  163. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 ただいま、平成十年度に千三百四十四の事業場に対して九千万の助成で共同選任を進めたわけでございますが、もしこれらの事業場の分を全額国が支給すればという前提で計算いたしまして、先ほどの月当たりの契約料金は四万円が単価であり、また三・七事業場ぐらいを大体かけ持ちするというか共同で見ているということを前提にいたして計算いたしますと、現在の九千万の約七・二倍に当たる六億五千万になるわけでございます。
  164. 漆原良夫

    漆原委員 六億五千万。ありがとうございました。  私は、地域ごとに事業者をまとめて共同の産業医を選任することをもう法的に義務づけてしまおう。義務づけて、これに加入した場合には国が全額を負担する。しかし、この義務を履行しない事業主に対しては、逆に全額事業主に負担させるというぐあいに国が積極的に誘導していかないと、事業主の自由に任せておいたのでは、なかなか共同選任事業の実効性が確保できないのではないかなというふうな気がするのですね。思い切って国が全部負担するというふうな政策の大転換をすることはできないものでしょうか。
  165. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今千三百四十四事業場について全額支給するとすれば六億五千万というふうにお答え申し上げましたが、これを仮に五十人未満の事業場、約四百四十万あると推計されますが、これについてそうした産業医の契約料を国が負担していくとなりますと、約二千九百億円の費用になるわけでございます。  私ども、現在地域産業保健センターが全体二十四億の事業規模で展開しております。これらについては、さらにその機能を高めるべく努力しなくてはいけませんが、そういったことを考えますと、二千九百億円というのは膨大なことになるわけでございまして、やはり地域産業保健センターについてさらに機能を高め中小規模の事業場に対してもう少し広く産業保健のサービスを提供できるような道、それから、ある程度共同でもやれるところにつきましては共同で産業医の方を選任していただく、ある意味では自主的努力と助成制度が相まった形で機能していく、そういう両面から中小規模の事業場に対する産業保健のサービス提供というものを当面は考えていきたいというふうに思っております。
  166. 漆原良夫

    漆原委員 私も、地域産業保健センターをもっともっと充実していかなければならないし、これが充実したら大変いいものになるな、こう考えております。  そこで、センターについてお尋ねしたいのですが、このセンターは産業医を選任する義務のない小規模事業場に働く労働者に対する産業保健サービスを充実させるということを目的として整備されたものでありますが、全国で今三百四十七カ所に整備されている。予算は一体どのくらいになっておるのか、全体の予算と、一センター大体どのぐらいの予算になっているのか、おわかりであれば教えてもらいたいと思います。
  167. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 全体では先ほど申し上げましたように二十四億円の規模で事業展開をいたしております。それが三百四十余の地域産業保健センターございますので、平均いたしますと、一事業場当たりの活動費が大体数百万単位になろうかと存じております。
  168. 漆原良夫

    漆原委員 予算の内訳なのですが、もちろんお医者さんに対する契約料も入っていると思うのですが、そのほか職員の費用だとか入っているのかどうか。それから、一センター当たりどのくらいの職員がいるのか、この辺どうでしょうか。
  169. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 地域の産業保健センターにつきましては、地域の医師会等々に委託して巡回相談活動等を展開していただく仕組みでございます。その巡回相談活動等に要する費用がいわば活動費として予算措置をされている、こういう状況でございます。
  170. 漆原良夫

    漆原委員 全国のセンターの活動状況を調べてみたのですが、健康相談実施数が一センター当たり平均三十七・八回、月三回ぐらい。それから、健康相談を利用した人数は一センター当たり平均八十九・三人、月七人くらい。こう考えてみますと、月三回やって月七人が相談するということになりますと、一回当たり二人ぐらいの人しか相談に来ていないとなります。  また、これは東京都の医師産業保健委員会のアンケートに基づくものでございますけれども、東京都では小規模事業場の数が五十六万カ所ある。東京都の全産業に占める割合は実に九六・八%である。都内十八カ所のセンターの状況を調べてみたわけでございますが、登録事業所の数は、五十六万事業所のうちわずか三百五十六事業所しか登録していない。また、センターに加入していないところも二カ所もある。それから、事業所から問い合わせがあったかどうか、最高で十八件、一件も問い合わせがないセンターも四カ所もある。  こうなってきますと、本当に産業保健センターを設立した当初の目的とほど遠い現状であると思うのですね。これについて労働省はどんなふうなお考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  171. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 地域産業保健センターについては、平成九年度まで全国展開をするべく順次整備をしてきて、完了したばかりのところでございます。そうしたところで、新しいところほどまだ活動が定着していないという面があることは先生御指摘のとおりでございまして、私ども、そうした点についてもう少し地域に密着してその機能を高めていくように努力をしなければならないというふうに思っております。  また、東京都の医師会、これも東京の地域産業保健センター等の業務をお願いしておりますが、そこでの集計結果についても先生御指摘ございました。こうした都市部につきまして、中小の事業場の数が多いだけになかなか全体に回りかねないという状況があることも事実でございます。  私ども、前年度からこうした小規模事業場の集積度の高い都市部を中心に予算額を増額いたしまして、活動費等の手当てをふやしまして、例えば休日、夜間も含めまして健康相談の窓口を開催するとか、そういったことをお願いをしてきておるわけでございます。  こうしたことを今後とも工夫を重ねまして、地域産業保健センターが地域の中小規模事業場に産業保健のサービスをさらに拡大して実施していけるように努力をしなければならない、大きな課題であるというふうに受けとめておりますので、今後ともそうした課題の解決に向けて工夫を重ねてまいりたいと思っております。
  172. 漆原良夫

    漆原委員 平成九年からとおっしゃいましたが、地域産業保健センターはまことにいい制度だと思うのですね。自分のお金は要らない。さっきの産業医共同選任事業では事業主が一部負担しますが、産業保健センターについては全部国で持ってくれるというわけで事業主の負担がないわけですから、私は事業主にとっても労働者にとってもまことにすばらしい制度だと思っておるわけなのですが、それにしても、この数を見ますと、何でこんなに普及しないのだろうか、期間が足りなかったというだけのことなのかな、何かほかに原因があるのかなという心配があるのですね。  こういう制度はぱあっと広がってもいいのではないかと思うのですが、労働省のあるいは宣伝不足なのかなと思ったりもしているのですが、これに対しては、これがこんな少なくしか利用されていない、東京都なんかこの数を見たら本当に情けなくなるような数ですよね、何でこんな少ないのかな、この原因はどう思っていらっしゃいますか。
  173. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 地域産業保健センターの活動状況でございますが、全体平均しますと先生御指摘になりましたように低調ではないかという数字が出てくることを私どもも否定できないというふうに思っております。  ただ、これらの地域産業保健センターが相談を受けたり巡回して産業保健のサービスを提供したりする場合に、やはり産業保健のサービスをみずから雇用している従業員に受けさせようという意識のある事業場が中心になってしまう、そういうことでございますので、やはり産業保健、健康管理というものについて事業主の方を含めた意識の啓発というものも大切であろう。  それからもう一つは、平均するとそういう数字になりますが、非常に活発に動いていただいているセンターがあることも事実でございます。ただ、必ずしもそうでないセンターも一方であるわけでございまして、私どもうまく活発に機能しているセンター等の実例等も他に紹介していく、あるいは活動が低調であるところの問題点等も調査し把握しながら、そういったものを改善していくための工夫というものをしていかなければいけない、そういうことのために、小規模事業場の健康確保対策全体を議論する中でそういうことも検討してもらう、そういう検討の場を設けることについてもやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  174. 漆原良夫

    漆原委員 今、伊藤局長は大変いいことをおっしゃって、私もそう思う。これは事業者の意識の問題が大きいんだということをおっしゃいましたが、私もそう思うのですね。  なぜこんなことをぐだぐだ僕は聞いたかというと、現行法上では、小規模事業者産業医の選任というのは法的義務じゃないんだ、努力目標になっているんだ、ここが僕は一番最大の原因じゃないだろうかと思うのですね。努力目標になっている、その努力目標の上に乗っかった産業医共同選任事業だとか、あるいは地域産業保健センターという構想を労働省はお考えになったわけなのですが、そのもともと根本のところが法的義務じゃなくて努力目標なわけですね。だから、ある意味では根本がぐらついているわけですから、事業主がやろうという気持ちにならない。法的拘束力が働かない。そういう意味では、これは幾らいい構想で、共同選任事業だとか、あるいは地域産業保健センターをつくったとしても、基礎が揺らいでいるのでは、これは砂上の楼閣になる危険性がありはしないかな、私はこういう危惧を持っているのですね。  したがって、私は、この産業医の選任義務というのは、努力目標ではなくてきちっとした法的義務に格上げすべきだ、小規模事業者においてもきちっと法的義務に格上げすべきではないのか。その場合の負担は場合によっては国が全部面倒見てもいいじゃないか。その上で地域産業保健センターをうまく活用していく、こういうふうな制度であれば、多分皆さん入ってくるんじゃないのかな。  先ほど申しましたフランスの例は、まさにその例ではないかと思うのですね。法的義務にして、地域だとか業種を限って、その業種ごとに企業共同労働医療機関を設置したり、あるいはそれに加入するという制度をつくっているわけですから、私は、やはり法的義務にした上で、それと地域産業保健センターをプラスしていく、こういう方向が日本の産業医をすべからく中小零細にまで普及させる最も効果的な方法だし、そうすべきではないかという感想を持っているのですが、いかがでしょうか。
  175. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 産業医の選任の義務づけの範囲についての御提言でございます。この点につきましては、先ほど労働大臣からも答弁申し上げましたとおり、平成八年に労働安全衛生法改正をさせていただいた際に、いわば将来の課題ということにされておりまして、その五年後の制度検討という中でまたこの問題についても結論を目指していく、こういうことにされている課題でございますので、私ども、それを受けまして、この問題についてしばしば建議を行っていただいております中央労働基準審議会の中で、そういうことも含めて、小規模事業場の健康管理対策のあり方というものについて議論をしていただく、そのために必要な検討の場も設けていきたいというふうに思っております。  そうした議論と並行いたしまして、私ども、地域産業保健センター、また産業医の共同選任の推進事業、こういったものがより効果的に機能するように、いろいろな問題点の把握、それに基づく改善の検討等を早急に進めて、先生御指摘のような問題点に幾らかでもこたえられるような努力をさせてただきたいと思っております。
  176. 漆原良夫

    漆原委員 今局長がおっしゃった話なのですが、小規模事業者に対する産業医をどうするかという問題は、従来は五十人を三十人にまで下げようじゃないかとか、そういう観点でたしか検討されていたと思うのですが、今私が申し上げたのはもっと抜本的な話でありまして、法的に選任を義務づけるんだ、そして地域産業保健センターとドッキングさせていくんだ、こういう話を申し上げたのですが、今後審議会の方で検討していくとおっしゃった、それはいいのだけれども、私の申し上げた点も含めて検討していくというふうに理解してよろしいのですか。いかがですか。
  177. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 先生の御提案につきまして、今想像させていただくと、いわば地域産業保健センター等を利用することも含めて産業医を選任したというような、いわば個々の事業場が産業医を直接選任するという形だけじゃなくて、所定の産業保健サービスを提供すべきところをきちっと事業主が利用する、そういうことも含めて産業医制度という形で制度化していくことまで含めての御提言かと存じます。  そうなりますと、今までの五十人を何人にするかというようなレベルだけの議論ではなくて、さらに産業保健のサービスの提供のあり方全体の議論も含んでおられるのではないかというふうに推測させていただいております。そうした問題提起につきましても、先ほど大臣が答弁申し上げた中でありましたように、検討の場を設けてそうした問題について検討していくということでございますので、そういう検討の場にはそういう問題提起も紹介申し上げて、御議論をお願いするように運んでいきたいというふうに思っております。
  178. 漆原良夫

    漆原委員 それは大変ありがたいことだと思っております。  時間が少しになりましたので、労災防止指導員について少しお尋ねしたいと思います。審議会の建議で、「労災防止指導員の一層の活用を図ること。」こういうふうな建議があるわけでございますが、労働省はこの指摘をどのように受けとめて、どう対処をされていこうとしているのか、今後の見通し、方針をお聞きしたいと思います。
  179. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労災防止指導員制度は、中小規模の事業場の安全管理や衛生管理の向上を図るために、その地域のこうした方面について知識やノウハウも持ち、信望のある方について、労働大臣が任命して活動をお願いしている制度でございます。  とにかく、先ほど申し上げましたように、四百四十万というような小規模事業場がある中で安全管理、衛生管理というものの向上を図っていくわけでございますので、ぜひこうした労災防止指導員の方も都道府県の労働基準局あるいは監督署の活動と相まって機能していただくことを私どもも大変期待をしていきたいと存じておりますので、この労災防止指導員の制度がより実効あるものとなるように、その運用方法についてさらなる整備を図る余地があれば、私ども検討してまいりたいと思っております。
  180. 漆原良夫

    漆原委員 この労災防止指導員については、地域とか地方に大きな隔たりがあるようだというふうに聞いておるのですが、活動の実態については労働省はきちっと把握されているのかどうか。それから、例えば定期的な検討会なんかを持って統一的な指針のもとで活動しているのかどうか。場合によっては、熱意のある人だけがやっていて、熱意のない人は余りやっていないんじゃないかとかいうふうな話も聞いております。  もう一点、一遍に質問して申しわけありませんが、最後に、大臣訓令という格好ではなくて、きちっとこれを労働安全衛生法の中に根拠を位置づけて、さらに任務も位置づけておけば、法的地位を高めておけば、実際その指導員が各企業に行っても、何といいますか、聞く人の気持ちが、法的な位置づけのある人から言われる場合とはっきりしない人から言われた場合では大分違うのじゃないか。そういう意味で、きちっと労働安全衛生法上に根拠規定、任務規定を位置づけた方がいいんじゃないかな、こう思うのです。  三つばかり質問しましたが、まとめてお答えいただければ結構です。
  181. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 労災防止指導員の方の活動につきましては、各地域地域の労働基準局あるいは監督署におきまして連携をとらせていただいておるわけでございますが、それぞれの地域ごとに、安全あるいは衛生管理の何を、どの業種を、どういう分野を対象に入れてやっていくかというような力点の置きどころが違いますので、統一的な活動方針というものはなかなかつくりがたいこともございます。そうした中で、できるだけ労災防止指導員の方との連携を深めていきたいとは思っております。とにかく、今活動状況問題点等も収集に努めてまいりたいと思います。  それから、この労災防止指導員の制度を労働安全衛生法等の中で法律的な根拠を持った形へ考えたらどうかということでございますが、これはなかなか難しい課題も正直ございます。  各事業場には安全あるいは衛生の管理者等々の選任を義務づけ、それらの方々についても一定のいわば要件等も定めておるわけでございますが、この労災防止指導員について、もし、法律的な裏づけをして、そういう体制を持つ事業場へ指導する方ということになりますと、地域での安全あるいは衛生についての、どういう経験なり能力なり、そういったものを改めて要件化しなくちゃいかぬ。そうなりますと、現在その地域でそういう方面についてのいわば人望があるというような形でお願いしている形がどう変わっていくのか。  そういうことも含めて、全体の各企業の安全等の管理者の要件、それを指導する労災防止指導員の要件というようなものを制度的に整合性をとっていくということになりますと、法制的にもかなり検討すべき課題が多いわけでございまして、私ども、労災防止指導員の日常活動が第一線の機関と十分連携をとった形で実効上がるようにしていくためにどうすればいいか、こういうことについてまず検討に入ってみたいと思っております。
  182. 漆原良夫

    漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  183. 岩田順介

  184. 桝屋敬悟

    桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  引き続き、労働安全衛生法改正案につきまして質疑をさせていただきます。昼も過ぎまして、大変お疲れでございますが、よろしくお願いを申し上げます。  大臣におかれましては、お久しぶりでございます。大臣、私の地元、中国地方の労災病院に最近お行きになったようでありまして、私との審議を心にとめていただいたのかどうか、労災、脊損の関係の方も見ていただいたということを大変喜んだ声が私どもの耳にも入ってきております。現場を見ていただくということは何よりでございまして、私どもからも感謝申し上げたいと思います。  事前にお声をかけていただければ、私も一緒に参ったわけでありますが、おまえは連れていきたくないというふうに思われるかもしれませんが、まずは御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  さて、安全衛生法内容に入る前に二点ほど議論をしたいわけでありますが、最初の一点は、緊急経済対策の総点検の話であります。  新聞報道等で見させていただいておりますが、小渕総理から、既に策定をされております緊急経済対策、日本経済を一両年のうちに回復軌道に乗せる、こういううたい文句で始まりました緊急経済対策、このフォローアップをやろうという指示が各閣僚に飛んだという話を伺っております。  現在の状況は、二月の完全失業率四・六%、三百十三万人を超える失業者がいらっしゃるわけでありまして、大臣におかれても、本当に日夜頭を痛めておられるだろうというふうに思うわけであります。  小渕総理が指示をされました緊急経済対策のフォローアップでございますが、もちろんこの緊急経済対策には雇用活性化総合プラン等もあるわけでありまして、労働大臣としては、どのようにお受けとめになって、どんな方向でフォローアップされるのか、大臣の認識を最初に聞かせていただきたいと思います。
  185. 甘利明

    甘利国務大臣 御指摘をいただきましたとおり、九日の閣議におきまして、総理から全閣僚に対して、フォローアップをせよ、そして問題があれば克服をしていこう、そして我が国経済の再生を果たしたいという指示と決意がありました。  その際に、雇用の創出、安定関係施策のきめ細かな運用を含む実施状況等を明らかにといった点、こういう点についても、私の担当、きちっとフォローアップをするようにという指示であったわけであります。  私ども雇用活性化総合プランで百万人の雇用の創出、安定。その後に、雇用対策会議の席上で、今度は創出、つくり出すのに限って、これは一両年でありますが、七十七万という数字が内政審を中心に取りまとめられ、各関係省から、この数字を目標に最大の努力をしていくという表明があったわけであります。  私どもの雇用活性化総合プランの中には、例えば中小労確法の改正があります。新規に事業を起こすあるいは分社化をした場合の従業員の賃金助成をしていく、これによって五万人以上の新たな雇用を確保するというようなことがありますし、あるいは、中高年労働者に重点を置いた再就職の支援、ホワイトカラー離転職者向けの訓練の拡大、あるいは経済団体と連携をした労働力需給の情報のミスマッチの解消等が盛り込まれているわけであります。  このかなりの部分が一月からスタートをさせているわけでありまして、まだ期間が短いのでありますけれども、この状況を検証しているところであります。例えば労確法の改正による施策につきましては、一、二月で相談件数が二万件くらいありました。具体的な計画を提出してきているところもかなりの数に上がっておりまして、五万人の新規雇用の確保には対象件数が二万件くらい必要なんじゃないかということも想定しておりますから、この立ち上がりでいくとかなり期待できるのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、近々フォローアップの成果を具体的に持ち寄る会議があると思いますので、そこに向けて具体的な検証をしていきたいというふうに思っております。
  186. 桝屋敬悟

    桝屋委員 大臣におかれては、本当に今の状況大変厳しい中でお取り組みをされている。その御苦労は理解できるのでありますが、私は、新聞を見たとき、総理が緊急経済対策をフォローアップしようと言ったのは、やはり国民に対する総理としての何らかのシグナルなのかな、そういうふうに読んだわけであります。  では、それが何なのかということを考えるわけでありまして、きょうを迎えるに当たって私なりに整理してみると、今まさに大臣がおっしゃったように、雇用活性化総合プラン、一兆円部分ですね、これは昨年、ことしの予算でも入っているわけでありますけれども、今御説明がありましたように一月ぐらいから始まったものもあるわけでありまして、すぐにフォローアップといったってなかなか結果も出ないだろう、何をおやりになるのかな。そういう意味では、昨年の暮れに出たものでありますから、大変厳しい状況の中で何とか底を打って経済を動かしたいという総理のシグナルなんだろう、このように理解をしたわけであります。  大臣も、新聞報道等では、リストラ対策イコール雇用削減という図式にならないようにしてもらいたいというようなことを御発言されたということも載っておりましたけれども、私は、フォローアップといったってそんなに簡単に出ないんだろうと。そうすると、労働大臣として、この総理のシグナルを受けて、何か新しい分野を、通産の分野にも詳しい大臣でありますから、何か新しいシグナルを発せられる、そういうお気持ちなのか、ちょっと私は読みかねておるんでありますが、国民として何か期待してもいいんでありましょうか、もう一度お伺いしたいと思います。
  187. 甘利明

    甘利国務大臣 先般、失業率が四・六%になりました。この受けとめ方が、正直、どう受けとめ、どう外に労働省としての心構えを表明していくかということをちょっと悩んでおったわけなんであります。それは、必要以上に不安をあおるというのはかえって事態を悪くする、かといって、では現況下で何ができるかということを考えなくちゃいけないし、そして、総務庁の調査結果によると、景気が反転攻勢に出るときの現象も一部出ている、だから非常に判断がしづらいというところがあります。  ただ、今も申し上げましたように、予算が成立した直後で、その範囲内で一体何が新たにできるかということも考えた方がいいと思いまして、そこで直ちに年齢要件の緩和の要請をしたわけであります。その点は、失業者が就職できないでいる理由の最大原因が年齢要件、これは総務庁の調査だと二三%ありました。それから二番目が、希望の職種がないというのが二二%。そして三番目、これは私は実は最大かと思ったんですが、給与等の待遇が自分の想定しているものと合わない、これは一〇%でありました。実はこれが一番大きいのかと思いましたら、年齢要件が一番大きい。これは、雇用情勢が厳しいからこの労働条件でいいし、その職種でいい、だけれども年齢ではじかれちゃうということに至ってその数字になっているのかもしれません。ですから、それを直ちに緩和してくれという要請をマスコミに向けて発表し、先般、要請に行ってまいりました。  それとは別に、まだ少し詰めているところなんですが、特に、昨今は、ブルーカラーに加えてホワイトカラーが非常に厳しい状況になっている。そこで、中高年の離職者の復帰システムというのはつくったんですが、さらにホワイトカラー管理職、そして、失業者の自主的主体性というものを大幅に組み込んだ職業能力開発のプランと就業支援する仕組みをうまくかみ合わせたものができないだろうかということを私なりに考えたものを、今事務方に、組み立てる指示をしておりまして、それをできるだけ早いうちに、組み立て上がったら発表したいというふうに考えております。  そういうところでございます。
  188. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。今大臣も御説明されましたけれども、まさに現場、年齢要件というのは私の地域も同じでありまして、ぜひ今の方向で鋭意お取り組みをお願いしたいと思います。  先日、一月二十六日でしたか、具体的な話になりますけれども、我が党の冬柴幹事長が、予算委員会だったと思いますが、例の高齢者雇用開発協会に積んでおります緊急雇用創出特別基金、六百億ですけれども、こうした発動についてはぜひしっかりやってもらいたい、やりましょうと、こんな話もあったわけであります。  フォローアップの中では、確かに雇用活性化総合プラン、この一兆円の内容をしっかり着実にやっていくということは片方ではまた必要なわけでありまして、計画が進んでいるさなかにフォローアップされるということは、それはそれで私は必要なことだと思いますし、例えば今のような緊急雇用創出特別基金の発動状況等、この前の議論では、しっかりやっていく、こういう話がありました。  まだ実績が出ていないと思いますが、感覚でも結構ですが、沖縄あたりでは着実にやられているのかどうか、ちょっと現状を御報告いただきたいと思います。
  189. 甘利明

    甘利国務大臣 ただいま御指摘の緊急雇用創出特別基金、これは雇用活性化総合プランに仕組んだ新しいセーフティーネットの一つであります。この発動要件というのが、ブロックごとに発動要件を満たす失業率を設定してあります。なぜブロックかといいますと、失業率は総務庁の統計なんですが、ブロック単位でしか出ないわけであります。  ただ、沖縄の場合は、九州ブロックの中でかけ離れて沖縄県だけが高いわけでありまして、沖縄は伝統的な県単独での失業統計、そう精緻な数字、サンプリングじゃないんですが、それがありまして、九州ブロックとはいえ、随分離れているし、突出して高いし、そして沖縄県独自の統計もあらあらでありますけれどもあるということ等、そういった中で、予算委員会で御党から御指摘をいただきまして、総理の御指示もありまして、それでは対応してみようということでやらせていただいたわけでありまして、一月三十日から発動をいたしました。  沖縄における本奨励金の支給申請は三月から開始されておりまして、一昨日までの申請件数は十二件となっております。公共職業安定所における二月の四十五歳以上六十歳未満、これが年齢該当要件でありますが、常用就職件数は百五十件となっておりまして、このうち非自発的失業者であること等の支給要件を満たすものが支給対象となる見込みでありますが、この内数が出てくるというふうに思っております。
  190. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。  実績については我々もまた関心を持っていきたいと思いますが、今、着実にお取り組みをいただいている状況を御報告いただいたわけでありまして、ある意味ではフォローアップも大事でありますけれども、雇用活性化総合プラン、着実にお取り組みをお願いしておきたいと思います。  次なる安全衛生の話になるその前の話で恐縮なんですが、もう一点、男女共同参画社会基本法案が今動いております。それで、ちょっと確認だけさせていただきたいんですが、男女共同参画社会基本法が参議院で今始まっておりますけれども、この法案以前ももちろん取り組みはされているわけでありますが、いわゆる政策等の立案及び決定への男女の共同参画という観点であります。  法案では、「国若しくは地方公共団体における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、」行わなければならないという、まことに当然の内容になっているわけでありまして、当然ながら、この法案を待つこともなく、男女共同参画推進本部におかれて、政府の各審議会等については女性の参画、男女共同参画という取り組みが進められているというふうに伺っております。  労働省における審議会の状況については、非常に今大事な時期でありますから確認をさせていただくのでありますが、順調にいっているかどうか、その辺をまず御報告をいただきたいと思います。
  191. 甘利明

    甘利国務大臣 御指摘のとおり、審議会における女性委員の登用につきましては、男女共同参画推進本部が定めた目標がございまして、中身は、国際的な目標である三〇%をおよそ十年程度の間に達成するよう努力するものとして、当面、平成十二年度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成するというものであります。  これに沿って努力をしておりまして、我が省の審議会における女性委員の比率でありますが、平成十一年の四月一日現在二三・四%と、ちょっと胸を張らせていただきますが、既にもう当面の目標は達成しているというところでございます。
  192. 桝屋敬悟

    桝屋委員 胸を張っての御報告でありまして、目標は達成されているわけでありますから、それはそれで結構だと思いますし、労働省におかれてはごく自然のことで、当たり前のことだ、このように思うわけでありますが、しかしお取り組みをされる経緯はあったと思います。  ただ、きょう私がテーマにしたいのは、今の男女共同参画推進本部の決定は総体として二〇%を超えましょうということでありまして、審議会、委員会ごとに見ると比較的少ないところからしっかり多いところまであるわけで、総体としてできていればいいということであります。私は、クオータ制まで言うつもりはありませんけれども、極端に少ないところはいかがかなという気がしないでもない。いや、それはやはり適切な委員を人選する上でなかなか難しいんだということもあろうかと思うんですが、さらに各審議会ごとによくよく検証していただきたいな、こう思うわけであります。  加えまして、法律に基づく審議会は結構なんでありますが、何でこんな質問をしたかというと、この今回調査室につくっていただいた資料をずっと勉強しておりましたら、それぞれの研究会とかの報告あたりが出ておりまして、その研究会のスタッフを見ると、どうもちょっと女性が少ないような気がいたします。研究会というと、例えば局長の私的諮問機関であったり、いろいろな形で労働省、政策を研究する上で設置されているんだろうと思うのでありますが、こういうところになりますと、例えばこの資料の中でも、深夜就業環境研究会とか、あるいは労働者の個人情報保護研究会とか、幾つか見させていただきましたけれども、一とかゼロとか、全く女性が参画されていない状況もある。  いやいや、あなたはそう言うけれども、研究会まで言うのはちょっと難しいよ、なかなか適任がいないんだ、こういうお答えになるかもしれませんけれども、私はやはり、法で定められた審議会で取り組まれていることは、研究会あたりでもぜひそういう方向でお取り組みいただく必要があるんじゃないかと思うんですが、ちょっと御所見を伺いたいと思います。
  193. 甘利明

    甘利国務大臣 ちなみに、うちの女性局長関係する審議会のメンバー、知っていらっしゃいますか。
  194. 桝屋敬悟

    桝屋委員 いや、知りません。
  195. 甘利明

    甘利国務大臣 そうですか。ぜひ聞いてみたいと思ったんですが。  それぞれ研究会、私的諮問度合いが強い、あるいは私的要素が強い部分について、できるだけ外堀から埋めていって、女性が参画していく比率を上げたいというふうに思っておりますが、周辺環境整備されていくに従って登用率が上がってくると思うんですね。  労働組合からもよくお話を伺うんですが、では連合の中に一体どれくらいいらっしゃるんでしょうかという話とか、私がいろいろお話を伺うときちっとも女性が出ておいでになりませんがというような話をしますと、いや、そこはなかなか型どおりにいかなくて、労働運動の中に女性がなかなか定着していかない、だから単に無理無理に割り当て数を出してもなかなか上に上がってこなくてという……。  周辺の社会環境整備とあわせて、本当は自然にふえていくようにしなければいけないと思いますので、そこのところを、さっき先生はクオータ制まで言うつもりはないとおっしゃいました、がちっと決めてこういうふうにしようといっても、周辺環境整備されていないと相当な無理が生じると思いますから、その環境整備も含めて、自然とふえていくように各般の努力をしなければならないというふうに思っております。
  196. 桝屋敬悟

    桝屋委員 これは余り議論するつもりはないのでありますが、本日私が問題意識を持っていただきたいとお願いしたいのは、法の審議会だけではなくて、こういう私的な研究機関、研究会あたりもぜひそういう精神で運営をしていただきたい。  自然にという大臣のお話がありましたけれども、大臣はなかなか言いにくいと思いますけれども、私も役所の事務方の経験がありまして、研究会あたりになりますと、やはり選ぶときは自分たちの研究する方向、目指す方向で賛成してくださる人を入れたいわけでありまして、特に労働省の行政の分野でこれから私は女性の声というのは極めて大事だと思いますし、また人を探せば必ずそういう人材はいらっしゃる、こういうふうにも思うわけでありまして、法で定める審議会のみならず、こうした分野についてもそういう特段のお取り組みをお願いをしておきたいと思います。  さて、本題に入りたいと思うのでありますが、労働安全衛生法の話に移ってまいります。先ほど、同僚議員が、中小事業所の対策ということについてるる議論をされておりました。私もそれに延長する話で、そうした観点から議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  それで、一つ労働災害防止計画の議論をさせていただきたいと思います。労働安全衛生法第六条に基づきます労働災害防止計画なるものを、これは昭和三十三年から中期計画ですか、五年ごとにずっと今日まで政府におかれては策定し、発表し、お取り組みを進めてこられた、こういうふうに理解をしております。それで、現在のところは九次の労働災害防止計画がスタートしている、こういうふうに理解をしておるところであります。  まず、八次の実績なんですが、八次の計画の目標は、特に労働災害については、計画期間中における労働災害件数を二五%減少させるという目標をお立てになってやってこられた。この実績を伺いたいと思います。特に、先ほど申し上げましたように中小事業所のことが私ども気になるわけでありまして、事業所形態別に御報告をいただけたらと思います。
  197. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 八次の労働災害防止計画、平成五年から平成九年度までの計画でございますが、この期間中における労働災害の減少でございますが、休業四日以上の労働災害による被災者数、約八十四万人でございますが、これを第七次と比較いたしますと、計画期間中に約二十万人、百四万人から二十万人、一九%の減少となっております。  これは全体でございますが、規模別に見ますと、三十人未満の事業場でございますが、統計上、労働保険事務組合加入事業場もほとんどが三十人未満でございますので、これを合わせて見ますと、三十人未満の小規模事業場におきましては二〇%の減少でございます。それから、三十人以上三百人未満の事業場で二二%の減少、三百人以上の事業場では五%の減少という状況になっております。
  198. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ありがとうございます。こうした中期計画については、やはり多少高い目標を立てて、それを達成するということでお取り組みされてきたんだろうと思っておりますけれども、全体としては二五%の目標を立てて二〇%までいったということですね。  しかしながら、今、事業所別に見ますと、特に私やはり気になりますのが、先ほど議論がありましたように中小の事業所でありまして、二十九人ぐらいまでのところについてはいい成績もあるのですが、一番気になりますのが事務組合のところ、これについては一六%ぐらいということで、目標の二五%からいきますと大分離れているという状況もあるようでありまして、やはりこうした中小の事業所への労働安全の体制を進めていかなきゃいかぬのかなということを感じている次第であります。  そこで、九次が既に発表されておりますけれども、九次の目標設定についてはどういうふうにお立てになっているのか、特に今の事務組合あたりはどんなふうにとらえられて取り組みをされようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  199. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 昨年度から発足しております第九次の労働災害防止計画の中では、労働災害の総件数を二〇%減少させるということを目標にいたしまして、小規模事業場の労働災害の減少、これも含めまして取り組みを開始しているところでございます。  労働災害全体としては着実に減少してきておるわけでございます。死亡災害につきましても、平成十年ですと、昭和五十六年以来二千人台で低迷していたものが、ようやく千人台に入った、こういう状況も生まれてきておるわけでございますが、問題は、減った中での構図、建設業が多い、それから中小規模事業場が多いという構図は変わっておらないわけでございますので、先生御指摘のとおり、中小規模の事業場における労働災害の減少というのも、この第九次労働災害防止計画の重点事項として取り組みをすることになっております。  その中でも、事務組合加入事業場が労働災害の減少傾向が低いというような傾向が出てきておるわけでございますが、こうしたところにつきましても、原因等もよく究明しながら、場合によっては、労働保険事務組合というところに集まっている事業場でもございますので、集団指導等の機会もあればそういうことも展開しながら、そういうところに力を入れた労働災害防止に努めていきたいと思っております。
  200. 桝屋敬悟

    桝屋委員 この労働災害防止計画、昭和三十三年以降現在まで、今九次がスタートしたばかりでありますけれども、時系列的にずっとどういう目標設定をされてこられたのかということを見ますと、やはり労働省の、政府労働災害に対する取り組みの姿が見えるわけでありまして、当然ながら、当初は多発する死傷災害防止というものが最重要課題でありまして、そうした目標を設定されながらずっと今日までやってこられたわけであります。  特に最近は、先ほど言いましたように、第六次で五年間でおおむね三〇%減少しましょう、それから第七次ではやはり同じく三〇%、この第七次では三〇%の目標に対して二五%だった、今度八次で二五%で二〇%、こう来ているわけでありまして、流れとしてはわかるのですが、そろそろこの労働災害防止計画の目標設定のところは、目標というのは重点——先ほど局長は重点項目とおっしゃったけれども、労働災害防止計画の中で数値目標が明確に出てくるのは計画の目標でありまして、この目標を見るとやはり政府の姿勢ということが非常に明確になるわけであります。  今回も全体で二〇%減少させる、こういう目標設定をされておられますが、全体としては大体うまく来ているわけでありますから、重点項目とおっしゃったけれども、目標設定の仕方も、今は九次ですか、今度は十次になるわけでありますけれども、そろそろそうした重点項目を数値目標として目標設定の中に入れていくというようなこともあわせて検討していただいた方がいいのではないか。先ほど法の中に入れる入れないの問題がありましたけれども、私はこういうところへ目標設定もそろそろお考えになった方がいいのではないか、こんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  201. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 数値目標だけではなくて、労働災害の現状、また、これからのその質的な変化等を見きわめながら、いわば重点項目的なものをはっきりと打ち出して、この労働災害防止計画もいろいろなめり張りのきいた形で進めてはどうか、こういう御趣旨かと受けとめさせていただきますが、先ほども申し上げましたように、労働災害、確かに量的には全体着実に減少している中で、どうも構図は変わらない。こういう面がございますので、やはり個々の建設業あるいは中小規模事業者等に労働災害を減少していただくためには、やはり数値目標というものを掲げて、関係団体等がそういうものに向けて取り組んでいただく機運をつくっていくことも必要な一面が確かにあるわけでございます。  ただ、労働災害をめぐるいろいろな環境というのも確かに変わってきておりますので、例えば、今回の九次の労働災害防止計画の中では、そうした建設業、中小規模事業場の対策というのは当然重点項目にしておりますが、あわせまして、産業保健サービスの充実とか、あるいは高齢化していく中で、今まで若い人だけでやっていた作業場に高齢者も混在する形で作業が行われる、そういうところの安全管理体制というものはどうしていくかとか、そういうところも重点としてかなり意識した計画内容にしてきておりまして、今後とも、そういう労働災害をめぐるいろいろな周辺の環境が変わる中で、労働災害防止を進めるために、数字だけでなくて、どういう点に気をつけながら労働災害防止というものの効果を上げていかなくてはいけないかということに十分留意した重点項目というものを今後も設定をして努力していきたいと思います。
  202. 桝屋敬悟

    桝屋委員 これは水かけ論になりますけれども、この労働災害防止計画を見せていただくと、私なんかが最初に見るのはやはり計画の目標でありまして、これは九次、一番新しい平成十年四月に出された計画でありますけれども、この四項目、これについてはやはり最初に目が行くわけでありまして、超重点項目といいますか、ほかのところはいっぱい書いてありますよ、なかなか国民はそういうことは全部目が行かぬわけでありまして、この中で、計画期間中における労働災害件数を二〇%減少させるというのは、これは大きな政府としてのスタンスになるわけでありまして、今まで三〇%、二〇%と来たわけでありまして、私は、そろそろその辺は少し知恵をお出しになってもいいのではないか、こう思うわけであります。これは意見として申し上げておきたいと思います。  そういう意味で、この九次計画、そろそろ数値目標もお考えいただいた方がいいのじゃないかということで、いわゆる中小の事業所に視点を当てて議論をするわけでありますけれども、九次計画では、小規模事業場では大規模事業場より高齢化は進んでいる、今御説明があったとおりでありまして、健診の有所見率が高いにもかかわらず健診の実施率が低い、健康づくりの取り組みも十分でない状況にあるというような問題意識が整理されております。  こういう健診の実施率等の目標設定も私は明確にされてお取り組みをされる必要があるのじゃないか、こんなふうに思ったりするのでありますが、いかがでしょうか。
  203. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおり、安全衛生法上義務づけております定期健診につきましても、中小規模事業場ほどその実施率が低くなってくる傾向があることは御指摘のとおりでございます。  これらについて目標設定ということでございますが、法定健康診断については、私ども、やはり一〇〇%実施していただかなくてはいけない、そういう立場でございまして、それを下回る目標を設定することについてはなかなか難しい問題がございますが、ただ、その水準まで至っていないという現状、御指摘のとおりでございますので、むしろどうやって法定健康診断実施を担保していくか、監督制度とも相まった形で私どもそういう具体的な施策面を強く打ち出すようなことで臨んでいるところでございます。
  204. 桝屋敬悟

    桝屋委員 もちろんこれはもう義務化されているわけでありますから、一〇〇%いっていないことが問題でありまして、そこはおまえ目標設定して取り組めと言うのは甚だ矛盾があると私も思うんでありますが、あえてこういう議論を申し上げたのは、義務化されながら中小の事業所では健診率等も実態としては厳しい状況があるわけでありますから、その実態に着目をして取り組みをするということがやはり必要だろうというふうに申し上げたいわけであります。  それで、先ほどの議論を聞いておりましても、本当に私は感じておるんでありますが、さっきもここで話をしておったんでありますが、最近私の地元でも労災事故がありまして、一人の労働者の方がお亡くなりになった。下請の方であります。聞いてみると、大臣、本当にこれはもう切実な話でありますが、その労災事故でお亡くなりになった方は数年前に同じ労災事故で重傷になっている、重傷に遭われた。もちろんお亡くなりにはならなかったわけでありますけれども。その方が、同じような状況でこのたび、また穴を掘っていて、全部崩れて生き埋めになって亡くなられたという痛ましい事故があります。  こういう状況を見ますと、本当に、先ほど同僚の議員が議論していた下請企業の方々労働安全管理上の体制ということが極めて私は気になるわけであります。今そういう事例を申し上げましたけれども、実態を見ると、小規模事業場の死傷者数の全災害に占める割合あたりを見ますとやはり大変な割合になっているわけでありまして、もう具体的な数字は申し上げませんけれども、全体の中で七〇%以上を占めるということも教えていただきました。  大臣、やはりこうした部分にこそ光を当てていくということが私は今回の労働安全衛生法議論する中で最重要の課題ではないのかというふうに思うわけでありますけれども、大臣の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、石橋委員長代理着席〕
  205. 甘利明

    甘利国務大臣 本来規模が小さければ小さいほど、労働安全に対する趣旨といいますか、それは徹底していくはずでありますが、規模が小さいところは、それに対応するための準備といいますか、そういう面での体力不足、あるいは、仕事が下請になればなるほどかなり無理無理を重ねるという点が先ほどからもこの委員会指摘されているところであります。  それで、体力的にカバーできない部分、体力的な大企業と中小との格差を埋めるために行政が手助けをするというのが本旨でありますから、できるだけ、労働安全、健康保全に関することについて行政としてフォローができる、あるいはしなければならない部分はどこか、常に精査をしながら対応していかなければならないというふうに考えております。
  206. 桝屋敬悟

    桝屋委員 今回の労働災害防止計画、この中で新しい手法をどんどん入れていこうということで、新しい言葉としては労働安全衛生マネジメントシステム、こうしたもので、計画を立て、実施をし、評価をして改善をしていく。これは、労働安全管理の体制は繰り返し、巻き返し、不断のやはり努力をしていかないと、先ほどの話じゃありませんが、同じような事故に数年前に遭われて、今回また同じような事故に遭われてとうとうお亡くなりになった、こういう状況もあるわけでありまして、私は、こういう労働安全衛生マネジメントシステムというようなものは、本当に有益だろう、ぜひやっていただきたいなと思うんでありますが、これとても、恐らく大規模の事業場についてはこういうシステムは容易に取り入れられるだろうと。既におやりになっているかもしれない。  多分、大規模な事業場でやられている形がモデルとなって今回こうした形で提言が出ているんだろうと思いますが、私は、こうした労働安全衛生マネジメントシステムのような取り組み、これが小規模の事業所で、中小の事業所で本当にできるのかということが一番気になるわけでありますが、こうした新しい手法についてどういうふうに中小の事業所で進めていかれるのか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
  207. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今御指摘がございました労働安全衛生マネジメントシステムにつきましては、近々その指針を策定いたしまして、事業主の皆さん方に周知活動を展開して企業の管理の中に取り入れていただくように努力してまいるわけでございますが、その際に、中小企業の実情に即して、また、そういったところがいろいろな意味でこういったシステムを新たに取り入れることに困難が伴うことに配慮いたしまして、こうした事業を展開する場合には、小規模事業場においてもシステムの導入が容易になりますように、システムの担当者に対して、必要な知識や能力を付与するための研修、またそのためのテキスト、こういったことの作成を行って、できる限り広範囲の事業者の方に研修等に参加していただく、こういうことを進めながら、この新しい労働安全衛生マネジメントシステムというものを理解していただきながら、自分の企業に取り入れるためにはどうしたらいいかということを工夫していただく機会等をできるだけふやす形でこの普及を進めていきたいというふうに思っております。
  208. 桝屋敬悟

    桝屋委員 中小についてこういう新しい手法がちゃんとできますかということを私は伺っておるわけです。もちろん、もうモデルとしてやられているところがあると私は思うんですね。しかし、こういう形ができないのはやはり中小の事業所でありまして、そういうところに新しいこういう手法はいかに展開されるのか、このポイントをお聞きしたわけであります。
  209. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 新しい労働安全衛生マネジメントシステムの指針を策定する場合には、もちろん、その内容中小企業においても実行が、取り入れていくことが可能な内容であるように、その内容について十分留意しながらこれを策定していくということが一つございます。  それを作成しましても、人材面とか、そういった面で中小企業がなかなか取り入れにくいというケースに対しまして、そういったケース対応するために研修体制を中小企業者向けに実施していく、こういうこともあわせて整備していきたい。そのための研修のテキストの作成、研修の実施、場合によりましてはそうしたモデル事業場等も定めて取り入れてまいりますが、そういうモデル事業場につきましても、中小企業に取り入れる場合にはどうするかというような問題意識を持ってそのモデル事業場というものを考えていただくことになるかと思いますが、そういうモデル事業場のためのマニュアル等もあわせて作成いたしまして、そういったものが中小企業で応用できるように配慮していく。  いろいろなきめ細かな中小企業に配慮した工夫を取り入れていくことによって、私ども、新しいせっかくのこの労働安全衛生マネジメントシステムが中小企業者にとっても関心を持っていただき、また取り入れていただけるような形へ持っていきたいと思っております。
  210. 桝屋敬悟

    桝屋委員 それともう一つは、先ほどの同僚の議員の議論でもあったポイントでありますが、現行の安衛法で、小規模事業場には、五十人未満については、例えばさっきの産業医の選任の問題でありますとか、いろいろな違いがあるわけでありますけれども、そうした中で、小規模事業場でいかに管理体制を進めていくかということで先ほど議論が出ておりました地域産業保健センター、これが、先ほどの議論で、始まったばかりだ、今取り組んでいるんだ、スタートしたんだよという御説明のように横で聞いておりまして、今から格段に取り組みを進めていく、こういうことかもしれませんが、しかし、やはり状況として、その実態を聞きますと大変不安になってくるわけであります。  一つは、まだ県の産業保健推進センターが設置されていない、私の地元もまだされていないんでありますが、きょう私はこの質問をするについて、なぜ我が地域でできないのか研究もしてきたかったわけでありますが、ちょっと時間がなくてできなかったんでありますが、この産業保健推進センター、先ほどからこれからだという話はありましたけれども、仕掛けそのものに無理があるのではないかという気もしないでもない。何かいい知恵はないのか、こう思ったりしているわけであります。先ほどこちらで中桐先生とも話をしておりまして、産業医という世界が本当に地域の医師会の中で定着しているのか、医療の世界とは別に、労働安全の観点から、いわゆる産業医という分野、それは本当に地域で機能する仕組みになっているのかということがちょっと私は不勉強でまだよくわからないところがあります。  お尋ねしたいんですけれども、一つは、県の産業保健推進センター、これは全県に設置される予定があるのか、それがなかなか難しいんであればどういうことが隘路になっているのか、その辺をまずお示しいただきたいということと、将来どうせ厚生、労働一体になるわけでありますから、私は、地域の産業保健センターが機能するために検討しなきゃいかぬことがもっとあるんじゃないかという気もしているんですけれども、その二点、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  211. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 都道府県単位で設置しております産業保健推進センター、いわば地域産業保健センターを指導したり産業医の方の研修等の場を用意したり、先ほども御議論ございました各地域産業保健センターが十分機能していくために必要な施設でございますので、私ども、全県に設置することを目標に計画的に整備を推進してきております。平成十年度までに二十九カ所、いわば二十九県単位に設置が完了いたしておりまして、平成十一年度の予算ではさらに四カ所の増設を図っていきたいという計画でございます。  こうした地域産業保健センター、それからそれらを指導したり産業医の方の研修等に当たる都道府県の産業保健推進センターの、いわばそういう仕組み自体に問題がないかという点でございますが、私ども、先ほどの御議論の中でも申し上げましたように、地域産業保健センターであれば、うまく機能しているところと低調なところ、どういう問題の違いがあってそういう結果が出てきているのか、また、都道府県の産業保健推進センターも二十九カ所まで整備されてきていますので、それらの活動状況にやはり格差があるとすればどういう問題が背景にあるのか、その辺については十分資料、情報を集めまして、これから中小規模の事業所に対します健康確保対策に当たるこういう機関が、今後どういう方向で機能を高めていく必要があるのか、いろいろな検討の場も設けて考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
  212. 桝屋敬悟

    桝屋委員 先ほど同僚議員が東京の事例を出されていましたけれども、活発なところもあるんだ、非常にうまくいっているところもあるという話でありました。私の地元は今から設置するんでありますが、大変うまくいっている地域というのはどの辺ですか。教えていただければ私も勉強に行きたいな、こう思っておるんですけれども、もし差し支えなければ、こういう地域は大変うまくいっているというところがあれば御紹介を賜りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  213. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 私も幾つか都道府県の産業保健推進センター等を視察いたしまして活動状況等も見ておりますが、近県で言えば、千葉とか神奈川については非常に熱心な取り組みを都道府県単位の推進センターでやってきていただいております。また、地域でも、埼玉の大宮等の地域センターは、集積している中小企業者相手に産業保健のサービス等について熱心な取り組みをしていただいているところもございます。  そういった状況と、またそういった活動ぶりが伝わってこないところもあるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、背景にある問題点をよく研究してみたいと思っております。
  214. 桝屋敬悟

    桝屋委員 労働省におかれてもそうした検討、研究を続けていかれると思いますが、今お話をいただいたところについては、私どもしっかり勉強してまいりたいと思います。  最後に、深夜業にかかわる自発的健診の問題でどうしても気になる部分があるのでお伺いしたいと思うんですが、今回の改正で、年二回の健診に加えて自発的健診をした場合についても、例えば有所見者の場合には事業者医師の事後措置に係る意見の聴取義務等が入ってきているわけであります。  当然、そうした事後措置に係る医師意見を聴取した上で、場合によっては深夜業の回数減などの事後措置をやっていくんだ、こういう仕組みになっているわけでありますけれども、例えば、自発的な健診の場合は、当然ながら労働者の主治医さんがあるわけですね。主治医に自発的な健診をされるんだろうと思うんですが、それで有所見になったという場合には事業者は事後措置に係る意見医師に聞かなきゃならぬわけでありますけれども、その医師というのは、具体的には現場では事業主はどなたに聞くんでしょうか。主治医ですか、それとも自分たちが抱えている、例えば産業医であるとか、その方に意見を聞くのか、その辺はどういう取り扱いになるんでしょうか。
  215. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回提案させていただいている改正案の中では、定期健診だけではなくて、自発的に健診を受けて有所見という結果が出た場合につきましても事業主医師意見を聞きまして、その上で労働時間短縮とか深夜業の回数減といった就業上の措置を講ずることに結びつけていかなければならないわけでございます。  そうした観点から申し上げれば、主治医の方等が有所見という結果を出された場合にそのことが事業主の方に伝わってくるわけでございますから、まず第一義的に判断された先生の判断というものは大変重みを持つわけでございますが、同時に、じゃ、その事業場の中で具体的に深夜業の回数の減少という形でいくのか、あるいは昼間の方へ作業転換させていくのか、労働時間を短くすれば可能なのか、どういうふうに就業上の措置を選択するかということになりますと、労働密度とか作業の実態あるいは作業による体への負荷とか、そういうことを全体的に勘案することになるものですから、そういう点の判断として医師意見を聞く場合には、それは第一義的には産業医の方が、情報も承知しているし、一番望ましいのではないかというふうに考えております。  もし中小規模の事業場で産業医の選任等がないケースがあれば、その主治医の方に事業主が改めて意見を聞くということもあろうかと思います。そういう場合には、その事業場の作業内容等について十分情報をその主治医の方に提供しながら意見を聞くというようなことをやっていただくことがより望ましいのではないかとふうにも考えております。
  216. 桝屋敬悟

    桝屋委員 医師の事後措置に係る意見については政令の定めるところにより聞くように、こういう書きっぷりになっていますよね。その政令というのは今から検討されるんだろうと思うんですが、私ちょっと気になるのは、これはお医者さんの世界、私もおつき合いが長いんでありますけれども、医師によって診断に基づく判断が違う場合があるんではないかという気がするんですね。いつもかかっている主治医さんの診断に基づく判断と、例えば産業医さんとの判断が違うような場合というのはないんでしょうか。特に深夜業の回数減などの事後措置にかかわってくる問題でありますからちょっと気になるんでありますが、そういうドクターの見解が異なるような場合にはどういう対応になるのか、そういうことは想定されていないのか、伺いたいと思います。
  217. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的健診にせよ今までの従来からの定期健診にいたしましても、最終的には、その職場事業主が作業転換とか深夜業の回数減少とか、具体的ないわば労務管理上の措置に結びつけなくてはならないわけでございます。  そういったことをするためには、事業主あるいは事業主から意見を求められた医師の方も、本人と十分話し合いながら、できれば本人が十分納得する中で新しい職場配置とかそういった就業上の措置を決めていくわけでございますので、そういった過程では、当然、もし第一義的にその労働者の健診を実施した医師の方と違う方が事業主から意見を求められた場合でも、第一義的に健診を実施した医師の方がどういうふうにおっしゃったのか、あるいはどういうふうに判断されたのか、場合によっては連絡をとるというようなこともあろうかと思います。実際上そういう話し合いの中で調整されていくのではないか、また、そうすることが望ましいのではないかというふうに思っております。
  218. 桝屋敬悟

    桝屋委員 今局長のおっしゃったとおりでありまして、まさに望ましいんです。連携をとっていただければ一番いいんですけれども、往々にして見解が——めったにないと思いますよ。しかし、私は、有所見に基づいて深夜業の回数減などの事後措置を検討しなきゃいかぬケースというのは大変悩ましいケースだろうと思うんです。そうした中で、主治医さんと産業医さんが見解が異なるというようなことも私はあるのではないかと。  その場合に、産業医さんがよしわかったと言って、お医者さん同士が連携をとっていただいて、当然医学的なことでありますからよく話し合いをしていただくというようなことであれば、まことに今御説明があったように望ましいわけでありますが、実態はなかなかそうはならぬだろうという気がするんですね。  そういう意味で、最後に確認ですが、政令に定めるところにより事後措置に係る意見を聞かなきゃならぬ、その政令というのはどういう内容になるんでしょうか。
  219. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 事業主のところに有所見の診断結果が提出された場合に、事業主労働省令で定めるところにより医師意見を聞かなければならないとなっておるわけですが、これは、例えば医師意見を聞くべき期間とか、そんなにほっておいてはいかぬという趣旨で一定期間内に医師意見を聞かなくてはならない、そういうことを定めていくわけです。  具体的に、有所見という結果に基づいて作業の転換、深夜業の回数減とか就業上の措置を講じていくためのやり方につきましては、これは法律に基づいて労働大臣が指針を公表する、こういう定めになっておりまして、その指針の中で、今御指摘のあったような点について望ましい姿を示して、現在も示しておるわけでございますが、今度の改正法が成立させていただきましたら、見直すべき点があるかどうか検討いたしまして、必要があれば新しい指針としてもう一回公表し直す、こういうことになるわけでございます。
  220. 桝屋敬悟

    桝屋委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、私どもとしては、今の案件に関しましては、助成の回数、助成額あるいは健診項目等の内容についてもしっかりとこれからも注視をしていきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上であります。
  221. 石橋大吉

    ○石橋委員長代理 次に、大森猛君。
  222. 大森猛

    大森委員 今回の安全衛生法改正案については、私ども日本共産党も賛成の立場をとるものでありますけれども、先ほども法的健診の遵守状況についてのお話もありましたけれども、安全衛生法にしろあるいは労働基準法にしろ、全国数百万の事業場あるいは数千万の労働者等にどう周知し、どうそれを守らせるかという点で、並大抵の困難さじゃない、そういう問題を伴うものであるわけですが、そういう点で今回の改正案が、特に労働者が本当にこれを有効に利用できる状況をつくり出すかどうかという点で、幾つか具体的な点で質問をさせていただきたいと思います。  最初に、まず、今もお話がありました自発的な健康診断、これにかかわる措置が設けられたわけでありますけれども、その対象となる労働者の範囲の問題であります。  今回、第六十六条の二が改正されて、労働者自発的健康診断労働安全衛生法上に設けられたわけであります。現行制度では、法的な健診、安全衛生規則の方の四十五条で、特定業務従事者として深夜業に従事をする労働者に対して年二回の健康診断事業者に義務化されている。今回の改正は、この義務的な健康診断に加えて、新たに労働者が自発的意思による健康診断を受けることを勧奨し、その結果に基づいて、異常が認められる場合に医師意見を聴取する、あるいは必要な場合には他の作業への転換やら夜勤回数の軽減などの措置をとることが義務づけられたわけですが、この点で、一部には、こういう法改正に対して深夜業をますます拡大するための誘導的な措置じゃないかというような心配をする声もあるようであります。  先ほども同僚議員から質問がありましたけれども、深夜業、私自身は、これは労基法あるいは男女雇用機会均等法の際に私どもの立場も再三申し上げてきたわけですが、生体リズムに反するという点から、公益上あるいは生産技術上等々、真にやむを得ないものに限るべきだという立場をとるわけであります。  まず労働大臣に対して、無限定なこういう深夜業の拡大についてどういうぐあいにお考えになるか、経済活動上そういうものも好ましいことなのか、そういう点の基本的なお考えをお聞きしたいのと、あわせて、法改正目的がそういう深夜業拡大の誘導策なのか、その本来の趣旨についてまずお聞きをしたいと思います。
  223. 甘利明

    甘利国務大臣 生物学的、生理学的に言えば、太陽が上るとともに起き、沈むとともに休むのが一番健康的なのかもしれませんが、しかし、社会の中でのニーズというのがあって、それにこたえていくという形で深夜労働部分というのが発生してきたと思うのであります。公益上の必要性であるとか国民生活上の利便性であるとか、あるいは生産技術上の必要性から、人間生活の上で必要不可欠なものにだんだん位置づけられてきたんだと思います。  今までは、どちらかといえば比較的年齢的には若くて堅牢な人が深夜業に従事をしていた。でありますから、健康診断をしまして有所見が出るのが逆に昼間の方が多かったりする例が出ちゃうというのは、これは別に深夜の方が健康だからというのじゃなくて、そっちの方が屈強な人たちがやっていた、だから意外と少なかったということかもしれません。  ただし、これからは女性が参画をしたり中高年齢者が参画をしていく、そうすると、今までよりもむしろ働く者が健康に不安を覚える比率が上がるかもしれない。それにこたえて、自発的に受診したものに対して対応できるような道を開こうということが今回の趣旨であるというふうに私は理解しております。
  224. 大森猛

    大森委員 そうした状況のもとでの新たな健康保持のための諸施策の強化ということが一つ大きな理由としてあるということだと思うんです。  先ほど来何度もお話があるわけなんですが、男性労働者の場合はこれまであったわけですが、この四月一日から女性についても深夜業、今後大幅に増加することが予想されるわけでありますけれども、それとの関係で男女共通の健康管理策等の強化をすることが強く求められるわけでありますけれども、今回、四月一日以降それが解除されたということで、一体どのぐらい今後増加が見込まれるか、それから、午前中質問がありましたけれども、現在従事されている労働者の数、改めてお聞きをしたいと思います。
  225. 藤井龍子

    ○藤井(龍)政府委員 まず、現在女性労働者で深夜業にどれだけか把握しているかという御質問の方からお答えさせていただきたいと思うんですけれども、この四月一日から深夜業の規制解消ということでございまして、まだ二週間ほどでございますので、現在その数字は私どもで把握はしておらないというところでございます。  それから、今後どれだけふえると予想しているかという御質問でございますが、規制の解消に伴いまして、交代制勤務職場など深夜業を必要とする業種あるいは業務女性配置あるいは採用されるということで、職域がかなり拡大されるというのは予想しておるところでございます。  ただ、実際にそれらの職場業務におきまして具体的にどの程度の女性が深夜業に従事されるかということにつきましては、今後の景気の動向あるいは業務の繁閑等の影響もございますので、今の時点であらかじめこれだけという予測を行うことは極めて難しいことではないかと考えております。     〔石橋委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 大森猛

    大森委員 関連してちょっと具体的にお聞きしておきたいんですが、資料でも出されております労働省の深夜業の中間報告ですか、この中で、今後の見通しのアンケートで、一一・五%がふえる見込みという回答になっていると思うんですが、恐らくこれは事業所数での数字じゃないかと思います。事業所数との関係で仮に一一・五%という場合、推定値といいますか、そういうものが出てくるかどうかなんですが。
  227. 藤井龍子

    ○藤井(龍)政府委員 確かに、研究会中間報告の中で、事業場の一一・五%でふえる見込みというふうにお答えになっておられるわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、これはまだ規制が解消される前の時点での事業主さんの予測ということもございます、それから景気の動向、業務の繁閑等もございますので、現時点で予測するのは大変難しい、特に数的に予測するのは難しいということを申し上げておきたいと思います。  ただ、実態把握は大変重要だと認識しておりますので、これから事業場訪問等の機会を利用しまして把握には努めてまいりたいと思います。
  228. 大森猛

    大森委員 ぜひ見込み等を含めて正確な数値を、できるだけ実態を把握していくという点で御努力いただきたいと思います。  そこで、今回、健康診断について、論議の過程で、二回の法的健診義務づけを三回にすべきじゃないかというような議論もあったかのように聞いておりますけれども、三回の義務づけじゃなくて、いわば三回目については自発的な健診ということにした理由はどういうものでしょうか。
  229. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 深夜業につきましては、交代制あるいは常時夜勤あるいは残業がそのまま深夜帯に及ぶというような形を含めまして、多種多様な形態で行われておるわけです。また、そこから健康面への影響となりますと、これも一律ではなくて、年齢等が加味されて影響等を見なくてはいけない、また深夜業の作業内容もまちまちである、こういったことで、その辺も多様な形であらわれてくるわけでございますので、画一的な健康管理面の対応というものには限界がある点もある。  したがいまして、定期的な健康診断だけでなくて、その間に、みずからが自分の健康と相談の上、もし不安を感じれば自発的に健診を受けられ、その結果に基づいて、事業主の方にその結果を提出すれば必要な就業上の措置事業主が勘案しなければならないことになる、そういうルートを新たにつくっていこう、こういうことで深夜業の健康管理対策をさらに厚いものにしていこうという趣旨でございます。
  230. 大森猛

    大森委員 今日のような実態の中で三回の義務づけというのは事実上困難な状況があるということをおっしゃったわけです。そうしますと、この自発的な健康診断について、それを本当に保障していくという点でのさまざまな措置が必要になってくると思うんですが、まず冒頭にも申し上げました、今回こういう措置が新たにとられることになったということについて広く周知し徹底する、法的健診の問題もありますけれども、自発的な健康診断を受けられるようになった、それらについての助成措置等々があるということの周知について、どういう立場で、どういう御決意でやられるかどうか、これは大臣に、まず基本的な点、お聞きしておきたいと思います。
  231. 甘利明

    甘利国務大臣 啓発普及が非常に大事なことでありまして、このために、リーフレットの作成をするとかあるいは説明会の開催等さまざまな手段を講じまして、労使に対する周知徹底、そして広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
  232. 大森猛

    大森委員 そこで、今回の自発的健診に伴う措置を受けられる労働者ということの具体的範囲の問題ですが、製鉄あるいは看護婦さんとか、そういう三交代シフトになっているような労働者に限定するとかなり対象は狭くなると思うんですが、この対象について「労働省令で定める」というぐあいになっておりますけれども、深夜業の回数等での対象労働者の範囲はどのようにお考えになっているか、お示しいただきたいと思います。
  233. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的健康診断を受けられる対象労働者というよりは、自発的健康診断を受けた場合にその結果に基づいて事業主が講ずべき就業上の措置と結びつけられていく対象労働者、こういうことに相なろうかと思いますが、そういう意味では、労働省令で定める対象労働者は、やはり深夜業の回数等を基本にしながら、どの程度の深夜業を行っている方からこういう制度の対象として考えていけばいいかという点を中心にいたしまして、今後、中央労働基準審議会の方で御議論いただいて決めていく、こういうふうに持っていきたいというふうに考えております。したがって、御指摘ございました三交代制の労働者に限られるというものでは必ずしもございません。
  234. 大森猛

    大森委員 そこで、現行の深夜業、常時深夜業という場合は月四回程度ということになっているわけなんですが、これが一つの目安になるのではないかということはできれば確認をしておきたいんですが。  今回派遣労働法をまた出されているわけなんですが、派遣労働者は圧倒的に女性が多いわけなんです。女性の深夜業の規制が撤廃されたことに伴い、今後派遣労働者の深夜の就業というのは当然増加が予想されると思うんですが、今回の自発的な健診はこういう派遣労働者にも適用されるというぐあいに考えてよろしいでしょうか。
  235. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣労働者につきましても、派遣元の事業者に常時雇用されて、これから決定することになる一定の深夜業を行っている場合につきましては、派遣労働者ケースでありましても、この新しい自発的健診、それに基づく就業上の措置へ結びつく仕組み、これは適用になるわけでございます。
  236. 大森猛

    大森委員 そうしますと、労働者派遣事業法の四十五条では、派遣先企業が派遣労働者に対して事業者責任を負っているというぐあいになっているわけですが、派遣労働者が自発的に健康診断を受けて、有所見、異常が発見された場合必要な措置をとらねばならない。この場合に、派遣元企業が必要な措置をとるのか、それとも派遣先企業が義務を負うのか、そのどちらになるのでしょうか。
  237. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣元の事業者が、必要に応じまして作業転換その他就業上の措置を講じなければならないことになります。
  238. 大森猛

    大森委員 派遣元、派遣先、ちょっと聞き取りにくかったのですが。
  239. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣元の事業者が、必要に応じましてそういう作業転換その他の就業上の措置を講じていく、こういうことになります。
  240. 大森猛

    大森委員 そうすると、四十五条の「労働安全衛生法の適用に関する特例等」との関係はどうなるんでしょうか。派遣先じゃなくて派遣元企業が有所見の場合必要な措置をとるということですか。
  241. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣労働者につきましても、どういうところでどう働くかというのは、派遣契約に基づいて派遣元の事業主が決定していくわけでございますので、先ほど御指摘ございました労働者派遣法四十五条で特例の規定を設ける必要がなければ、これは派遣元の方でその責任が出てくるわけでございまして、事の性格上、派遣元事業主が必要な就業上の措置を勘案して講じていくということになるわけでございます。
  242. 大森猛

    大森委員 現実問題として、派遣労働者がある会社に派遣をされて、深夜パソコン等の作業をやって、それで自発的健診を受けて異常が発見された場合に、例えば昼間の勤務にかえることを指示するのは派遣元企業なんですか。その前に、では、派遣先と派遣元の関係はどうなんですか。
  243. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣契約に基づいて、例えば昼間のこういった業務あるいは夜間のこういった業務等々にだれを派遣するかということは派遣元の事業者が決定することになるわけでございまして、労働安全衛生法上、作業の転換あるいは深夜業の回数の減少という就業上の措置は、そういった権限を有する派遣元の事業者医師意見を勘案して実施していくべきことになるわけでございます。
  244. 大森猛

    大森委員 そうしますと、例えば昼間への勤務のつけかえとかいうものについても派遣元でやるということになるわけですね。  そうすると、派遣先と派遣元との契約関係は、Aという派遣労働者からBという派遣労働者に切りかえたということだけになるわけですか。
  245. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 派遣契約を履行する責任は派遣元事業者にはもちろんあるわけでございますから、自分雇用しているある派遣労働者が、今回の安全衛生法の規定に従って、今まで派遣していた職場ではなくて別の事業所のもとで例えば昼間の勤務へ派遣しなければならないということになれば、そういう派遣労働者の変更を派遣元事業者が講じていくことになるわけでございます。
  246. 大森猛

    大森委員 いずれにしろ、もともと不安定な関係にある派遣労働者が自発的健診を受けて有所見になった場合に、そういうことがなくても中途契約解除あるいはそれに伴う解雇等が頻繁に起こっているわけですから、派遣労働者等がこうした措置を有効に受けられるよう十分なきめの細かい措置をぜひとっていただきたいと思います。  同様に、パートあるいは臨時という雇用形態で常態として深夜業に勤務する、これは食品関係とか弁当屋さんとか総菜屋さん、総菜工場なんかでは非常に頻繁に見られるわけでありますけれども、こういう自発的健診を受けた場合、夜勤の免除あるいは業務の軽減が必要になったにもかかわらず、そういう措置がとられないで、そのことを理由に逆に契約解除をされたり追っ払われてしまうということが予想をされるわけですが、こういうことにはどのように対処されるでしょう。
  247. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、パート労働者等の方でも、常時使用されて一定の時間以上働いている方については、現在の定期健康診断から就業上の措置につながる措置対象者になるわけでございまして、そういった点については、基本的には今回の改正後も変わらないわけでございます。  もし、そういった方が自発的健康診断の結果を事業主に提出した、そういうことをもって解雇等の不利益な取り扱いを受けたということになれば、それは有所見の結果に基づいて事業主医師意見を勘案して、この法律で明示していますように、労働時間の短縮とか作業の転換、深夜業の回数の減少等、そういう措置を十分こなせるかどうか、そういうことで労働者の方に対応できるのかどうか、十分措置について検討し、努力したことがまずなければならないわけでございますので、そういった措置をまず事業主が十分実施するための努力をするということが先決で、もしそういうことなしに解雇等の不利益に及べば、それは今までの判例等に照らせば問題のあるケースになってこようかと思います。
  248. 大森猛

    大森委員 次は、自発的に健診を受ける権利をどう保障していくかという点です。  先ほどの御答弁にもありましたように、三回の義務じゃなくて自発的健診ということになったわけでありますけれども、それだけにそれが本当に担保される、あるいはそういう措置をとらなくてはならないと思うんです。仮に、勤務時間内に健診を受けたいということを申し出たとき、今回の法改正の趣旨からいって、勤務時間内でも事業主はこれを認める義務があるのではないかと思いますが、これはいかがでしょうか。
  249. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的な健康診断ということでございまして、今回の法改正では、自発的健康診断の結果、有所見が出れば、事業主就業上、作業転換等の何らかの措置を講じていかなければならないことにつながっていくという仕組みをつくったことでございまして、本質的に、自発的な健康診断を受けることは、これは労働者の方の意思にゆだねられているわけでございます。基本的にはそういう性格のものでございますので、当然に勤務時間ということには認められるものではないというふうに考えます。
  250. 大森猛

    大森委員 では、年休をとって健診を受ける、これは当然考えられるわけですが、この場合、年休取得との関係で、判例もあるわけでありますけれども、事業主の側でこれを拒否する、時季変更権等を行使することのないような指導等がこの面との関係では必要じゃないかと思うんですが、この点、どうでしょうか。
  251. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 健康に不安を感じている労働者の方が健康診断を受けるために年次有給休暇の請求をした場合、これはもちろん事業の正常な運営を妨げるような事情がないような、そういう合理的な理由を欠くようなことでその請求を認めないということになれば、これは労働基準法上、当然問題のあるケースに該当します。
  252. 大森猛

    大森委員 次に、費用の負担と助成についてでありますけれども、自発的な健康診断を受けるようにするために経済的な負担を軽減することがやはり必要じゃないか。先ほど助成等についての話がありましたけれども、現在二回の義務づけ健診、その項目数等は基準等が示されているわけなんですが、それと同等程度のものが助成等の費用算定の場合にめどとして考えられるのか、そこらの点。  それから派遣労働者、たびたび派遣労働者の問題を出しますけれども、これは、助成の対象は派遣元か派遣先か。それと、助成先が事業主になるのかあるいは労働者個人になるのか、そこらはいかがでしょうか。
  253. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 今回、法改正によって新たな仕組みとして導入してまいります自発的な健康診断につきましては、その健康診断項目等々につきまして、今後、医師方等専門家委員会等を設置いたしまして、その御意見を聞いた上で決定を詰めていきたいというふうに考えております。したがいまして、その内容等が詰まった段階で、そういったものを支援していくための助成措置内容につきましてもあわせて詰めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、助成の詳細な内容については今後ということになるわけでございます。  また、支給の対象等がどういう形で本人の方に助成金が渡るような形をつくっていくか、そういう仕組みにつきましても、そういった内容とともにあわせて詰めてまいりたいと思っております。
  254. 大森猛

    大森委員 では次に、深夜業労働者への職場環境整備の問題ですが、これも午前中に、男女別々の仮眠室を設置するなどのお話がありました。それから、ことしの四月一日以降適用になる深夜業に従事する女性労働者就業環境等の整備に関する指針、これについてのお話もありました。  そこで、こういう指針の中にも盛り込まれているわけですが、仮眠をとることが可能な深夜業であるにもかかわらず男女別々の仮眠室が設置されていないというような場合、深夜業に就業する指示があった場合に、女性労働者の場合といいますか、深夜業の指示を拒否することができるかどうかという問題なんですが、その点はどうでしょうか。
  255. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、現在の労働安全衛生規則におきまして、夜間に労働者睡眠を与える必要があるときには、あるいは仮眠の必要があるときには、男性用、女性用、区別して、適当な睡眠、仮眠の場所を設けなければならないという、これは強行規定で定めておりますので、もしそれに反するようなケースがあれば、厳しく是正勧告を行い是正させていくことを、労働基準監督署の方において監督をしっかりやってまいりたいと思っております。  もし、そうした適当な施設が設けられていないところで、睡眠あるいは仮眠を必要とするような深夜業を事業主から命じられた場合に、それを拒否したらどうなるか。  これは一律に申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、ただ、同じ強行法規である労働安全衛生法関連法規に違反しているような姿でそういった業務命令を出し、労働者の方がそういったことを理由に拒否した場合に、問題は、そういう拒否に正当な理由といいますか合理的な理由が認められるかどうかということになってくるのだろうと思います。いわば民事上そういった合理的な理由の有無が争われて、もしそれが合理的な理由と判断されるようなケースに該当すれば、そうしたことを理由にする解雇等があったとすれば、その解雇についてはその効力が問題にされるケースも生じてくる可能性はあろうかと思いますが、それはいろいろな諸般の具体的なケースに即して判断をしなければならないことになろうかと思います。
  256. 大森猛

    大森委員 そうしますと、こうした指針ですね、これを本当に周知することの重要性というのは非常にあると思うのですが、先ほどの御答弁で、今回の法改正が成立後、新たな指針を出されるというお話もあったわけなんです。  そこで、要望としてお聞きをしたいんですが、一つは、特にそういう指針の周知を本当に徹底していただきたいということで、仮にそういう業務命令が出た場合に女性労働者が本当に相談できる窓口といいますか、そういうものをきちんと設ける必要があるんじゃないか。指針の周知と同時に、そういう面の周知を特に力を入れてやっていただきたいと思うんですが、この点いかがでしょう。
  257. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 もちろん、仮眠あるいは睡眠の施設を、必要な場合には、男性用、女性用、区別して設けなければならないということ、これは強行法規である安全衛生規則に基づいて定めておりますので、もとよりその周知については万全を期してまいります。また、そういう点を包含してさらに幾つかの点について、深夜業に従事する女性労働者就業環境整備のために新たにつくられた指針につきましても、かねてよりその周知に努めてきておりますので、そういったことについても引き続き努力してまいりたいと思います。  もしそういうことに問題があるケースで相談したいということであれば、仮眠、睡眠の場所等については安全衛生規則の問題でございますので、最寄りの労働基準監督署の方においてそうした事案については相談なりを受けて必要な対応をしていくことは当然でございます。
  258. 大森猛

    大森委員 最後に、深夜業といえば、私も当委員会で看護婦さんの問題も取り上げたことがあるわけなんですが、最近あちこちの大きな病院で、患者を間違えて手術をしたり、別の患者用の注射を打ったりする医療事故なども相次いで起きているわけなんです。  それぞれの事故原因の解明、再発防止策等、いろいろやられているわけなんですが、その背景に看護婦さんの過酷な労働実態があるんじゃないかという点で、四月二日付の朝日新聞の社説では、「事件の背景として見過ごせないのは、看護婦の勤務の過酷さである。」と書いて、夜勤時の看護婦の少なさとともに、日本医療労働組合連合会のデータとして、七四・八%の看護婦が慢性的疲労状態であることを指摘している。看護婦の配置基準の国際比較でも、日本は国際的にかなり低く、この基準を改善しなければ取り違えのような事件は根絶できない、こういう主張をしているわけなんです。  そこで、平成四年に看護婦確保法、これは労働省、厚生省、文部省、三省庁の共管する法律であるわけなんですが、この法律の第三条に基づく基本指針では、週四十時間労働、週休二日制への移行、二・八体制の確立などが求められております。これに関連する平成四年、一九九二年十二月二十五日付の職発八百八十六号、三省庁合同通達で、目標年次は平成十二年度、こういう通達をされております。  この指針の見直しについてどういう考えで臨まれるかという点と、これは大臣にお聞きしたいんですが、医労連の皆さんと懇談を先般行いました。その中でも、深夜業を常態とする看護婦の勤務条件について、週三十二時間労働、三人以上での夜勤体制、月に六日以内、いわゆる三・六体制の確立を求めていきたい、こういう要望も出されておりました。私もこれは当然の要望だと思います。基本指針の見直しはこういう要求も踏まえて臨んでいくべきではないかと思いますが、このお答えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  259. 甘利明

    甘利国務大臣 ただいま御指摘の基本的な指針につきましては、特に目標年次を定めるものではありませんけれども、厚生省が平成三年に策定をしました看護職員の需給見通しの目標年次に従いまして、平成十二年を一応のめどとすることといたしております。  労働省といたしましては、まずは基本指針に掲げられました課題に取り組むことが重要であるというふうに考えておりまして、例えば夜勤負担の軽減にかかわる問題につきましては、いわゆる二・八という体制をまず目指すということが必要だというふうに考えております。  それから、この基本指針の見直しにつきまして御質問がありましたが、厚生省におきまして、現在の看護職員需給見通しの見直しが、その達成状況であるとか介護保険の導入等、看護をめぐる状況変化等も勘案して行われるものというふうに承知をいたしております。御要望の点に関しましては、この需給見通しの見直しを踏まえた上で、同指針を見直すか否かを含めて、厚生省を初めとする関係省庁と協議の上、適切な対応について考えていきたいというふうに思っております。
  260. 大森猛

    大森委員 終わります。
  261. 岩田順介

    岩田委員長 次に、畠山健治郎君。
  262. 畠山健治郎

    ○畠山委員 近年の労働環境の急速な変化対応する労働者の健康保持のあり方を中心にしてお尋ねをいたしたいというふうに思います。重複する部分も大分多いようですが、お許しをいただきたいというふうに思います。  まず、今回の労働安全衛生法改正に関する評価についてお尋ねいたしたいというふうに思います。  今回の改正は、直接的には、労働基準法改正附帯決議において深夜業の回数減少と健康診断による事後措置を求められたことに由来しておりますが、事はそれだけにとどまらず、小規模事業場の安全衛生格差、化学物質対策の強化という緊急かつ重要な課題への対応を迫られております。中でも、深夜業について言えば、そうした労働の拡大は生理学的にも両立し得るものではなく、これを縮小させていくことは労働安全衛生法の存立的課題と言えるかと思います。また、小規模事業場の問題一つとっても同様でございます。  そうした課題と改正案とはかなり隔たりがあるように思いますが、大臣の評価をお尋ねいたしたいというふうに思います。
  263. 甘利明

    甘利国務大臣 御指摘がありましたとおり、職場において健康診断を行いますと、何らかの所見を有する労働者の比率が四割を占めておりまして、労働者自分の健康に対する不安というのがかなり高くなってきております。  加えて、これも今御指摘のありましたとおり、深夜働くというのは本来の人間の生体系リズムからするとそれに反していることでありますから、それが健康にマイナスの影響を与えるということは容易に想像がつくことであります。そういった点から、さらに深夜業に対する健康管理を充実していくということ。それからもう一点の、化学物質による労働災害が、これは依然として高いわけでございまして、その防止対策の充実が重要である。  そうした課題に対応しまして、加えて、第百四十三臨時国会において、深夜業に従事する労働者健康確保に関する附帯決議がなされたわけでありますが、それを踏まえまして、深夜業に従事をする労働者が自発的に受診をした健康診断についても定期的な健康診断と同様の措置対象とする、それから、化学物質有害性等情報提供を充実させて、その情報等を踏まえた事業者による健康障害防止措置実施を促進する等を内容とした法案を現在提出させていただいているところでありまして、これらの措置を講ずることによりまして、労働安全衛生の一層の推進に寄与するものというふうに確信をいたしております。
  264. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまのような評価では、労働者の十分な納得は得られないばかりか、深夜業従事者健康確保は難しいのではないかと考えざるを得ないというふうに思います。  そこで、お尋ねをいたしますが、深夜業従事者健康管理は、昨年の労働基準法改正の際規制が求められたものであり、こうした経緯を直視するならば、今回の健康確保策は、深夜業に従事する労働者労働条件全般の一環としてとらえる必要があろうかと思うのです。その意味で、深夜業に従事する労働者労働条件改善方策についての基本的な考え方と施策内容をまず明らかにすることが重要かと考えます。  また、同様に、深夜業の適正な就業に関するガイドライン策定が進められることになっておりますが、当然健康管理ガイドラインとは密接不可分の関係にあるものと考えますが、以上二点についてどのように認識されていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  265. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 まず、深夜業に従事する方の労働条件全般についての改善確保対策でございますが、深夜業に従事する方につきましては、先ほど来申し上げておりますように、その健康への影響についていろいろ懸念も指摘される面があるわけでございますので、労働基準法労働安全衛生法など労働条件の最低基準を定める関係法律が遵守されなければならないことは言うまでもないわけでございます。また、先般の労働基準法改正によって設けられた時間外労働の上限基準等も厳正に遵守していただく必要がございます。  そういったことを含めまして、私ども、労働条件の確保に万全を期しながら、深夜業に従事する方の安全や健康を確保してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、こうした取り組みに加えまして、深夜業の問題につきましては、深夜業に従事する方々就業環境就業条件の整備を促進するために、まず労使の方の自主的な取り組みを促進しようという前回の労働基準法改正の際の修正もいただいておるわけでございますので、それに基づきまして、労使の方が自主的にガイドラインを作成して就業環境就業条件の整備に当たっていくための支援を、私ども労働省といたしましても、予算措置を確保してそういったことに取り組みをスタートさせたところでございます。  その自主的なガイドラインの策定に当たりましては、就業環境就業条件の整備ということでございますが、その中には健康確保に関する配慮措置も当然含められるよう、そういった観点からの御議論は、テーブルに着いた労使の方々に私ども十分お願いをしてまいる考えでございます。
  266. 畠山健治郎

    ○畠山委員 現行の法定二回の健康診断について、検査項目がどちらも同じであることについては医学者からかなり疑問が提示されております。少なくとも二回目は検査項目を充実することが必要と考えます。  そこで、お尋ねをいたしますが、同一項目で二回行う現行健康診断実施状況並びにその効果についてどのように認識なさっておるのか。これと関連して、一部助成措置があるとはいえ、労働者が自費で行う自発的健康診断の利用方法と効果については、必ずしも明らかにされておりません。深夜業といっても多種多様である現実からすれば、どのような労働者がどういう場合に受診することが最も効果的と考えておるのか、明らかにされたいと思います。
  267. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 御指摘ございましたように、深夜業に常時従事する方につきましては年二回の健康診断を義務づけておるわけでございますが、この結果、深夜業に従事する方の六七・九%が二回以上の健康診断をそういう事業場で行われている状況が出てきております。  そうしたことを踏まえながら、先般実施いたしました深夜業に従事する方々就業環境健康管理等あり方に関する研究会報告によりますと、健康診断の結果としての有所見率が、深夜業に従事しない方が三八%であるのに対し、深夜業に従事する方は三〇・九%と低くあらわれている。このことは、深夜業に従事させるに際して事業主健康状況を重視しておられること、あるいは健康診断の結果に基づいて、労働安全衛生法上定めております配置転換等就業上の措置を行っていること等の背景があることをうかがわせているのではないかというふうに考えておるところでございます。  ただ、同報告書でもあわせて指摘されておりますように、そうした状況の中でも、深夜業に従事する方で疲労が蓄積する等々の方が半数近くおられるわけでございまして、こうした方が、年二回という定期的な健康診断の間でも、もし自分の健康に不安を感じれば、自発的に随時自主的な健診を受けるケースはもちろんあるだろうと思いますし、高齢化していく中で、やはり健康に関する意識も高まっておりますので、そうした方もふえていくだろうと思っております。  そうした方々についても、その自発的に受けた健康診断の結果、有所見ということになれば、それを事業主に提出して、定期健康診断の場合と同様、事業主は速やかに医師意見を聞いて、深夜業の回数減少等を含みます作業転換等の就業上の措置を講じなければならないという義務規定につながっていくわけでございますので、私ども、こうした仕組みを今回いわば厚くしたことによりまして、深夜業従事者につきましての健康管理措置に一層の効果を上げていくものと期待をいたしておるところでございます。
  268. 畠山健治郎

    ○畠山委員 同一内容による二回の法定健診に加え、さらに自発的健康診断を促進するならば、当然、健診項目が充実されなければ意味はありません。聞くところによれば、ホルター心電図等はできるとされておるようでありますが、この程度の項目追加では、健康確保対策としては極めて実効性に乏しいと言わざるを得ないと思います。法定二回の内容の充実もさることながら、自発的健康診断については、健診項目の思い切った充実が必要ではないかと考えます。  これと関連して、都合三回の健康診断のうち二回目の法定健康診断については人間ドックとし、健診項目を追加、充実させた部分、あるいは二回の健康診断の中間において通常のドックや脳ドックなどの特定健診を受けた場合、自発的健康診断に含むと考えてよいのか、見解を承りたいと思います。
  269. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 深夜業に従事する方々とその方への健康の影響に関する点につきましては、私ども、専門家の方にお願いし研究をしたり、いろいろな知見を収集しておりますが、まだ具体的にどういう影響としてあらわれてくるかについての知見、評価というものは定まっていない。ただ、そういう中で、一日の体内リズム等の変化から健康へ悪影響を及ぼす可能性が否定できない、そういったことが指摘されているわけでございます。  そういったことを踏まえて今回の法改正も取り組ませていただいているわけですが、そうしたことになりますと、一回目、二回目の定期健診で、具体的に二回目でどういう充実をさせるのかというのは、深夜業に限って考えましても大変難しい。むしろこれは、前の労働基準法改正審議の際に御指摘いただいた附帯決議等をさらに超えて、基本的な、専門的な検討を加えていかなければならない課題になるんではないかと思っております。  今回は、少なくとも、疲れを感じる方が多く指摘されている深夜業従事者について、定期健康診断を待たずとも、自発的に受けた場合について必要な就業上の措置がとれるような道を開いていくための改正として提案をさせていただいたわけでございます。  自発的健診につきまして、その健康診断内容でございますが、もちろん、そうした健康診断につきましては、病気を特定するための検査や治療に直結する検査というもの、そこまで踏み込むことは、これは性格上、診断と治療との境があるわけでございまして難しいわけでございますが、いずれにいたしましても、こうした自発的な健診の内容等につきましては、今後、労使の推薦する医師方等を含めた専門家による委員会を設置いたしまして、深夜業に従事する労働者の定期健診を含めた健康診断あり方について検討していただきまして、その意見を聞いた上で関係審議会にも諮り、決定をしていきたいと考えておるところでございます。
  270. 畠山健治郎

    ○畠山委員 法定二回の定期健診ですが、これこれという健診項目全体をやりたいですけれども、やはり一般的にここの部分ということでこれは定められておると思いますが、有所見という部分については重複して結構だと思うんですけれども、同じことを二回やるというようなこと、一体これはどういうものか、そう言わざるを得ないというふうに思うんです。  それから、自主健診のことについては、深夜業に耐え得るのか、あるいは日常勤務に耐え得るのかとどこかの異常を訴えて健診をするわけでありますから、余り断定的に、固定的にどうこうというようなことじゃなくて、本人の自発的な判断によってやっていただく、それはやはりお認めいただく、こういう基本的な立場に立ってもらわなきゃいけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  271. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 定期健診一回目、二回目でございますが、先ほども申し上げましたように、その健診内容に差をつけていくということになりますと、どういう健康状況をチェックするかという具体的な的を絞った上で健診項目というものを違えていかなければならない。ただ、現在のところ、深夜業に従事するということだけでその辺の診断項目をすぐかえて、二回目はこういう診断項目だということについて、必ずしも的が絞れるだけの医学的な知見というもの、あるいは評価というものが固まっていない中であることが一つございます。それを、固まるまで法改正を待つわけにいかずに、私ども、こうやって附帯決議を受けた提案をさせていただいているということで御理解をいただきたいと思っております。  また、これは事業主に義務づけられた定期健診でございますので、あくまで、健康はある意味では自分自身のものでもあるわけでございますので、もし体の異常等によりまして検査等を受ける場合に、定期健診だけに依存することと自主的に自分の健康をチェックすることと、それは両方相まっていかなければならない性格の面もあるだろうと思います。定期健診でどこまでの役割をカバーしていくのかという本質的な議論もしていかなければならないことに相なるのであろう、そういう問題点もあろうかと思います。  ただ、その点、自発的な健診という道を今回広げておりますが、この自発的健診の内容自体、どこまで受けるかということはもちろん御本人の意思にゆだねられるものでございますので、それを制度的に制約するものではございませんが、ただ、少なくともどういう健診項目を求めていくかという点については、今後、専門家医師等の方の御参集を願って、そこでの御議論を通じて決めてまいりたいと考えておるところでございます。
  272. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこの部分ではもっと論議を深めたいところでありますが、時間がございません。先へ進ませていただきたいというふうに思います。  自発的健康診断によってある種の異常が発見された場合、それを行った医師所見はどのように扱われることになるんでしょうか。あくまでも産業医の所見を勘案するというならば、自発的健康診断の意義は全くなくなってしまうことになります。自発的健康診断にかかわった医師所見について事業者は当然勘案すべきものと考えますが、いかがでしょう。
  273. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的に健診を受けられて、そこで何らかの所見が出たという場合には、その方はその結果を事業主の方に提出いたしますと、今度の改正によりまして、事業主は改めて医師意見を聞き、具体的にその方について深夜業の回数を減らすのか、あるいは作業を転換して別の方に配置するのか等々の措置を講じなければならない義務が発生するわけでございます。その場合に、具体的にどういう労務管理上の新たな措置を講ずるかにつきましては、その事業場の職務内容、作業の内容労働密度等々について承知している産業医の意見を聞くことが望ましいことは当然かと存じます。  ただ、御指摘ありましたように、最初に健診を受けた方の検査のデータ等の内容というものが、それがまず事業主がそういう対応をする入り口をつくっていくわけでございますので、そういう意味で大変重みのある、尊重される診断結果になっていく、こういうことを想定した制度になっておるわけでございます。
  274. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自主的健診を受け持った医師所見事業主が受けて、さらに判断するために医師所見を聞いて何かの措置をとると。自主的に健診をした医師所見というのは、所見が余り違うなんてことはあってほしくないんですが、場合によってなしとはしないと思うんですね、その際、大変微妙なことになろうかと思うので、その辺の判断を今聞いておるわけです。
  275. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自主的に健診を受けた結果としての診断結果に基づいて事業主医師意見を聞く。その医師意見を聞かなければならないとしておりますのは、その方をどういう職場配置していけば、あるいは深夜業の回数をどの程度まで減らせば健康を維持していけるかどうかという、具体的ないわばアドバイスを受けるために事業主医師意見を聞かなければならないと義務づけておるわけでございまして、これは事業主が必要な措置をとるために必要不可欠な手順であろうかと思っております。  ただ、事業主がそういうことをしなければならない入り口をつくるのは、健診を実施した医師の方の診断結果。ただ、これは基本的には、その事業場の職務内容等についての情報がないとすれば、健康に関する情報だけ、個人情報になりますので、それにその職場情報等を加味した最終判断が、事業主医師意見を聞くという形で行われるわけでございます。  もし、基本的な健康診断結果に対する評価が、最初の医師の方と産業医の方で評価自体が異なる場合には、恐らく労働者の方からよく事情をお聞きする、また場合によっては産業医の方が健診を実施した方と連絡をとりながら意見を聞いてみるとか、いろいろな実務上の措置実施されていくんではないかというふうに思っております。
  276. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自発的健康診断によってある種の異常が発見された労働者の事後措置について、深夜業の回数減等の措置が講ぜられるとされており、そうした事後措置に関しては今後指針で定めるとされておりますが、九六年の法改正による指針は全産業一律となっております。しかし、今回の改正の実効性を高めるためには、運輸業、サービス業を初めとする就業形態対応した深夜労働の回数削減に関する基本的基準や就労形態に対応した内容に改める必要があると考えます。  また、これと関連して、自発的健康診断による事後措置を行う期間について、通常の三カ月よりさらに短縮できると思うが、あわせて所見をお伺いいたします。
  277. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、事後措置あり方について労働大臣が指針を定め、公表をいたしておるところでございます。  確かに全産業共通のものとして策定をいたしておるわけでございますが、深夜業というものが加わったことによっていろいろな業態に応じた指針としていくべきではないかという点でございますが、そういう点につきまして、今後、労使の方による自主的なガイドラインの策定作業等が進み、そういう中で業種ごとガイドライン内容等について指針の中でも取り上げていかなければならないような違いというものがいろいろ出てくることも想定されます。そういう段階で、私ども、指針の面でどう対応するか検討をしていきたいというふうに思っております。  また、有所見の結果が事業主のところで把握された場合に事業主医師意見を聞かなければならないということになっておるわけですが、その医師意見を聞くまでの期間、三カ月以内というふうに現在定めておるところでございます。これは、健診が行われてから三カ月ということでございますので、健診結果等が事業主にいつ提出されるかというのは、これはちょっとわからないわけでございますので、そういうことも考えれば三カ月という枠組み自体について今、改正等はなかなか難しいわけでございます。  ただ、今回提案させていただいています自発的な健診に基づく事後の措置に関連いたしましては、健康の不安を感じて自発的に健診を労働者の方が受けるという事情があるわけでございますので、そういった事情を考慮すれば、当然事業主医師意見を聞くまでの期間というのはできる限り短いことが望ましいことはもちろんでございますので、現在、さっきも御指摘ございました指導のよりどころにしております指針、その中でそういった趣旨をどう盛り込んでいくか、この点については十分検討させていただきたいと思います。
  278. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自発的健康診断を実効あらしめるためには、助成の措置の充実が必要かと考えます。健診項目を大きく拡大する場合、助成対象に一定の基準を設けることはやむを得ないにいたしましても、助成措置の考え方、基準に関する基本的な方向は明確にしておく必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  279. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 自発的健診を受ける場合の助成措置につきましては、労働基準法の審議の際に附帯決議としても私どもちょうだいをしている点でございます。  先ほど来御議論がございましたように、自発的健診の際に健診項目としてどの程度まで求めていくか等につきまして、専門医師方等による意見を聞きまして、関係審議会にも諮って今後決めてまいりますので、そういうものが決まった段階で助成措置等も、それに合わせてどういう内容の助成を考えていくかということを詰めてまいりたいと思っております。  いずれにしましても、来年度の予算要求までにそういったことについての作業をやってまいりたいと思っております。
  280. 畠山健治郎

    ○畠山委員 女性の深夜業の解禁によって女性労働者健康確保は極めて重要な課題となったことは申し上げるまでもございません。  そこで、お尋ねをいたしますが、深夜業にとって仮眠、睡眠の重要性は言うに及ばないことである以上、当然、労働省は仮眠室等の全国的状況を把握しておるはずであります。そのデータを示していただきたい。深夜労働における仮眠、睡眠あり方を定めた労働安全衛生規則は四十年前のものであり、現代的課題とは大きくかけ離れたものとなっております。保護規定撤廃に伴い、今後、いつまでに、どのような方向で改正するのか。また、女性健康確保については、常時問題点の把握を行い、労使を含む例えば審議会などにおいて継続的に検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
  281. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 仮眠、睡眠施設等の整備状況でございますが、先ほど来引用させていただいております深夜業に従事する方の就業環境等のあり方に関する研究会中間報告によりますと、深夜業を実施している事業場でのそうした施設の整備状況でございますが、ふろ、シャワー施設等を約半数近い四八・七%が整備をいたしております。また、仮眠施設については、これも四七・四%が整備をしている、そういった状況が出てきております。  ただ、これらについて、女性につきましてのこうした保護規定の解消等が行われた中で今後十分に対応していけるかどうかという問題がございますので、私ども引き続き実態の把握に努めますとともに、労働安全衛生法で定めている男女別とかそうした要件につきましては、厳にそれを遵守していただくように努めてまいりたいと思っております。  そうした活動の中で、もし今後、深夜業に従事する方の健康確保、あるいは女性の方が深夜業等に進出するに際してのいろいろな職場実態の中での職場環境の中で、仮眠、睡眠施設等についての何らかの問題点等が出てくれば、私ども早急にそういうことを把握いたしまして、中央労働基準審議会で、御指摘女性の方の問題という視点も含めて御審議をいただき、適切な措置を講じていくように今後も努力をしてまいりたいと思っております。
  282. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、化学物質規制についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  危険、有害として製造、使用が規制されておる物質数は現在百十七となっており、千余り物質規制するアメリカと比べると、その格差は極めて目立ちます。今回の改正を機に、今後、直接的規制物質を速やかに拡大すべきと考えますが、見解をお尋ねをしたい。  あわせて、データシートの義務づけについてお尋ねいたしますが、なぜ義務づけについて罰則を設けなかったのか。また、罰則なくして化学物質の安全性を確保するためには、ILO条約にも定められた義務づけと正しいデータシートの確保及び運用が不可欠と考えます。このためには、不十分、不正確なものや虚偽内容のものを排除する行政対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。
  283. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 現在、労働安全衛生法関係法令によりまして、百十七の化学物質について、作業環境管理健康管理等も含めた規制が行われているところでございます。  こうした規制化学物質に関しましては、本年一月の中央労働基準審議会の建議におきましても、「今後、必要に応じ適宜対象物質規制内容について法令上の見直しを行いつつ、引き続き適切な管理を義務付けることが必要である。」こういう指摘もなされておりますので、御指摘の趣旨を踏まえて、私ども、専門家意見を聞きつつ、有害な化学物質に係る行政措置あり方を含め、規制対象化学物質の追加などについて積極的に対応してまいりたいと考えております。  それから、MSDSの問題につきまして御指摘がございました。  MSDSの制度につきましては、労働者健康障害防止するために、こうした有害性に関する情報が速やかに事業者のもとに伝わり、事業者がそれを労働者に周知させる、こういう仕組みをつくりたいということでの制度化でございます。  ただ、労働安全衛生法労働基準法等も同様でございますが、最低労働条件を定め、それに違反する労使の間での事柄に対して罰則をもって規制をしていくというのが基本でございます。ただ、今回のMSDSは、事業主労働者という関係を超えて、その事業主のところへ化学物質等を提供する製造者、メーカー等、義務づけをそこまで広げているわけでございまして、これにつきましては、基本的に、義務づけはいたしますが、罰則でもって対応するというほかの最低労働条件に関する部分と性格を異にしておりますので、御理解を賜りたいと思っております。  また、こうした制度が実効性を持って機能していくためには、御指摘のとおり、虚偽の記載等があってはならないことは当然でございますので、先ほども労働大臣から申し上げましたように、私ども、このMSDSに記載すべき内容等につきまして、国としても一つのモデルというものを常に見直しながら作成して、そうした違いをはっきりさせていく。また、そういうことがあった場合に、全国の労働基準監督機関からの指導というようなものを強化していく。もし、再三にわたる指導等があっても応じないような悪質なケースの場合については、そうした物質名あるいはそういう化学物質内容等につきまして関係事業者等へ周知させていくことも必要になることもあり得る、そういうことも念頭に置きまして、そうした事態が発生しないように努力をしてまいりたいと思っております。
  284. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、ダイオキシンについてお尋ねいたしたいと思います。  政府の策定したダイオキシン対策の進行状況並びにこれを吸収する可能性のある職場労働者数の把握についてお尋ねをいたしたい。  また、これに関連して、昨年七月、安全衛生部長名のダイオキシン被災防止通達が出されておると聞きますが、これによる施策内容の効果はどうなっておるのか。また、豊能郡美化センターの調査では最高八百六ピコグラムのダイオキシンが検出されているようであるが、これによる健康への影響をどう見ているのか。ダイオキシンのみならず、これと他の重金属との複合汚染を懸念する専門家もおりますが、いかがでしょうか。
  285. 伊藤庄平

    伊藤(庄)政府委員 ダイオキシン対策につきましては、去る三月三十日、政府としてのダイオキシン対策推進基本指針が示されたところでございます。その中で、私ども労働行政として対応すべきものとして、そうした施設におきまして働く方々の暴露防止対策、これが一つでございます。また、そうしたところで働いている方々の作業環境、それから健康状況の把握、こういったことについて取り上げられておりますので、そうした点について万全を期してまいりたいと思っております。  そういうことと関連いたしまして、昨年、全国の都道府県労働基準局長に指示をいたして周知に入っておりました、そうしたごみ焼却施設等におきます作業環境の測定、また、ダイオキシンの発生源を、例えば密閉化する、湿潤化する等によって発生源そのものを抑えていく、あるいは、作業に当たる方々のマスク等の保護具の使用等を指示した通達につきまして、さらなる徹底を図るべく、これも労働大臣から緊急の指示がございまして、今改めて自治体、関係業者へ文書を含めた要請活動を展開をいたしておるところでございます。  もう一つ、大阪の豊能郡の美化センターにおきまして、私ども、そこで働いていた方々の血中のダイオキシン類濃度を含め、健康状況等についての調査を行いましたが、その結果、一部の労働者につきまして血中のダイオキシン類濃度が高いということが判明をいたしました。これらの方々については、現段階ではダイオキシン類を明らかな原因とする健康障害等は認められていないということでございますが、ダイオキシンに関する人体への影響等につきましてはまだ十分評価が定まっていない面もございますので、私ども、引き続きこうした方々健康状況をフォローしてまいります。  御指摘ございました重金属との複合的な汚染がないかという点につきましては、そうした中で十分必要な情報の収集に努めてまいりたいと思っております。
  286. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間がなくなってしまいましたので、最後に要望しておきたいというふうに思います。  被災者の健康に対する影響については長期的なフォローアップが必要と考えます。特に、全国に労災病院を持っておる強みを発揮して、かつての三大公害病のような悲劇を二度と繰り返さないためにも労災病院において専門的な調査研究体制を組んでほしい。と同時に、制度的な措置を講ずる必要があると考えますし、新しいタイプの規制対象物質として扱ってもらわなきゃいけない。そんな観点から、健康管理手帳の発行、あるいは定期健診を実施すべき方向で、あるいはまた、ダイオキシンの被災者の労災申請についても積極的に対応してほしいということを要望して、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  287. 岩田順介

    岩田委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会