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1999-02-18 第145回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十八日(木曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 谷津 義男君       江口 一雄君    亀井 善之君       海江田万里君    島津 尚純君       肥田美代子君    平賀 高成君    兼務 上田  勇君 兼務 大野由利子君    兼務 西川 知雄君 兼務 西川太一郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房長     林  正和君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         通商産業大臣官         房長      村田 成二君         通商産業省通商         政策局長    今野 秀洋君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石油部長   今井 康夫君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君  分科員外出席者         国土庁長官官房         審議官     村上 伸夫君         大蔵省主計局主         計官      坂口 勝一君         大蔵省主計局主         計官      村尾 信尚君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 大久保和正君         農林水産省食品         流通局市場課長 本川 一善君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   肥田美代子君     島   聡君   平賀 高成君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   島   聡君     島津 尚純君   藤田 スミ君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   島津 尚純君     末松 義規君 同日  辞任         補欠選任   末松 義規君     肥田美代子君 同日  第三分科員上田勇君、第五分科員大野由利子君  、第七分科員西川知雄君及び第八分科員西川太  一郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  〔総理府(経済企画庁)及び通商産業省所管〕      ————◇—————
  2. 谷津義男

    谷津主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  3. 西川太一郎

    西川(太)分科員 私は、貸し渋り一点に絞って通告をさせていただいております。  まず、ここにございますのは、二月十三日付の土曜日の「ウイークエンド経済」という朝日新聞の特集記事でございます。これもコピーして差し上げてあると思いますが、「貸し渋り解消異聞」というテーマで、中小企業または零細企業現場に記者が行って、取材をしております。  これによりますと、貸し渋り対策というものが喧伝されている割には、十分行き渡っていない。なぜそうなるのかというと、結局、金融機関が今まであった前の債権を盾にとって、いわゆるつけかえなどという、ある銀行がマスコミで取り上げられ、通産大臣も随分厳しくいろいろと対応されておりますけれども、依然として、隠れたところで、そういう金融機関のチェックが保証協会に行って、その結果、保証協会が保証渋りをするということが、これだけ枠を広げて審査を緩めているにもかかわらず、ほかの条件で、今まで取引があった金融機関がその債権を保全するがために、なかなか金が回ってこないというようなことが、ここに書かれているわけであります。  その証拠として、金利の高い商工ローン利用者がかなりふえている。こういうことで、安定化融資の金が事業の応援をするよりも、貸してある金を回収することにきゅうきゅうとしている。せっかくつくったこの制度が、順調にいっていると言われている割には、そういう不都合もある、こういうことでございますが、これについて、中小企業庁長官はどんな印象を持っておられますか。
  4. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 一昨年の秋以来、政府関係機関特別貸付制度の拡充とか、あるいは昨年十月からの、委員指摘特別保証制度発足等で、大変厳しい状況にあります中小企業者資金繰りについて、政府としては最大限の対応を図ってきたと考えております。  実績的に申し上げさせていただきますと、最近の時点、二月十二日時点までの特別保証制度実績は六十四万件、かつ金額的にいうと、十二・七兆円という大変大きな実施率になってきております。  この結果を受けまして、私どもで毎月調査をしております貸し渋り調査の結果を見させていただきますと、昨年の十月時点で大変高い率を持っておりました中小企業者金融機関に対する貸し渋りで悩んでおられる比率というのが、数字を申し上げさせていただきますと、十月中旬で三五%の中小企業の方が貸し渋りに悩んでおられるという結果が出ておりますが、漸次低減をしてきておりまして、最近の一月中旬の数字によりますと、三二・四%ぐらいに落ちてきております。  ただ、いずれにいたしましても、三割強の方が依然貸し渋りに悩んでおられるという状況でございますので、この点については十分な配慮をしながら今後も進めたいと思います。  片や、既に先生も御承知のように、倒産件数の方が十月の千七百件弱から大幅に減少を見せてきておりまして、最近時点で見ますと、一月には千件を割るという件数減になってきております。倒産金額の総額につきましては、ノンバンクの関連の話とかいろいろ特殊事情がありまして、ふえてきてはおりますけれども、件数的に見ると、大変激減をしてきているということもございます。  私ども評価としては、金融対策あるいは特別保証制度効果というのは、それはそれなりに発揮されてきているのではなかろうか。ただ、依然中小企業者の三割以上の方が貸し渋り問題に悩んでおられるという事実がございますので、この点については十分配慮をしながら進めていきたい、そういう認識でおります。
  5. 西川太一郎

    西川(太)分科員 私も、これはここでそんな話を改めてする時間もないかもしれませんけれども、この信用保証協会融資制度というのは、私ども自由党が思いついて提案をし、与謝野大臣もそれ以前から構想を温めておられたと伺っておりますけれども、たまたまそれが一致してこういうことになったというふうに、これはもう世間的にも認められている話でございますが、大変よかったと実は喜んでいるわけですね。  なぜかと申しますと、私も東京の下町が選挙区でございますが、例えば私の出身区であります荒川区では、三千七百社ほどのところに、何と六百五十億を超えるお金融資されたのです。その結果、四月から十一月まで六十九件を数えた倒産が、十二月になりましてゼロでございました。  それから、もう一つの墨田区は、こちらはもっと数が多く、金額的にも一千億を超えております。倒産は、四—十一が七十件であったものが、十二月にはわずか四件、平均の半分ぐらいになっておりまして、私どもは、町の中で、暮れは助かった、本当にいいことをしてくれた、こういう声をたくさん聞いております。  したがって、これは本当に政策としては大ヒットだったと思うのです。通産大臣の談話でも、中小企業者の全国の十人に一人は利用をしたということを押さえておられました。全く私はよかったと思うのです。  しかし、問題は三点ほどございまして、一つは、この問題が起こる以前から、いわゆる貸し渋りという問題。つまり、金融機関がなかなかこの制度そのものを応諾していただくのに、いろいろな条件をつけたりして、既存債権を保全することに優先的に動いているという事実。これに対して、もう少し積極的な取り組みができないかということがあります。  それから二点目は、自民党の三役のお一人も九州地方で講演をされて、今約十三兆の貸し出しになったのだから、さらに追加貸し出しをして、二十兆ぐらいまでにするべきではないか。これはそういうことに当初からなっているわけでございますけれども、つまり、それはどういうことかというと、せっかくこの資金で息を吹き返しつつある、もう一息応援をしてもらえるならば完璧に頑張れる、こういうケース。  それから、これも町の声でございますけれども平成不況平成十年不況と言われるように、極めて長い不況で受けた傷が相当深く重い。したがって、五年という年限では、正直言って返済がきついんだという声もございます。これら三点について、通産省は、とことん主導権をとって、面倒を見てやっていただけないか、こういうふうに思うわけでございます。  くどい話ですけれども、まず第一点の債権のつけかえについて、今まで、いろいろな角度から、いわゆる行政の通達のようなものや指導のようなものがあったと思うのですけれども、もう少し法的な形がとれないのかという声もあるのですが、これにつきまして、いかがでございましょうか。
  6. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 西川委員よく御承知なわけでございますけれども信用保証協会特別枠というのは、金融機関のためにつくった制度ではなくて、中小企業資金調達難対応するためにつくった制度でして、仮に金融機関が自己の債権の保全のためのみにこの制度を使ったとしたら、それは制度趣旨にも反していますし、それから道義的にも大変おかしいことだろうと思っております。我々も、あくまでも中小企業資金調達難を克服するための手段という意味ですから、この制度が、制度目的どおり運営をされなければならないということがまず第一です。  そのためには、通産省も、各県にございます通産局あるいは県の商工部、大きいところの市町村とも連携をとり、保証協会ともよく連絡をとっておりますし、また、金融監督庁も非常にこの問題には熱心でございまして、現に、業務の改善をしろということを幾つかの金融機関に申し渡したということも過去ございました。我々は、せっかくいい制度をつくったので、制度の本来の趣旨が生かされるということをよく見ていかなければならない。これは、全く先生の御主張のとおりだと私は思っております。  旧債振りかえであるかないかというのは、実際の場面になりますと、なかなかその判断が難しいケースも多分あるのだろうと思います。しかし、全体として、制度趣旨が生かされた保証行為が行われるということを、いつも我々は見ていかなければならない。また、これは金融監督庁責任であり、各県の責任でもあり、保証協会あるいは通産省責任でもある、そのように思っております。
  7. 西川太一郎

    西川(太)分科員 大臣の御答弁、そのとおりだと思っています。  今度のこういう古い話が、と言うと失礼ですが、二月に入ってまで取り上げられている。これをよく分析してみますと、取引していた金融機関には借財がある、そこを通ずれば、許可になった金で相殺されてしまうということで、違う金融機関を通じて申し込んだ。その間の事情を、結局、信用保証協会が、この制度が時限的なものであり、一遍にたくさんの利用者が殺到しているために、いわゆる与信能力がなかなか対応し切れないということもあって、金融機関情報をうのみにするというか、そちらに重きを置く。  その結果、物理的に時間的に間に合わなくなって倒産をしたというケースがここでは報告されているわけですが、これをレアケースとするか。いや、結構な政策だったのだけれども、そういう憂き目に遭ったという方々も、そんなに多くはないと思いますよ、申込者に対して許可になった人はかなりの率ありますから。しかし、実際には、そういう恨みを残すようなことがないようにしなければいけないと思います。  一罰百戒ということもありますから、そういうことのひどい金融機関には、金融監督庁と御協力いただいて対応していただきたいし、五十二の信用保証協会にも、できるだけ親切にやってくださるように、大臣からぜひひとつ折を見てお話を、もうしていただいていると思いますけれども、していただきたい。これは要望しておきたいと思います。
  8. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 それは、まさにそのとおりでございまして、信用保証協会ばかりでなく、中小企業の三機関商工中金中小企業金融公庫、国民金融公庫、ここも、中小企業に対する融資枠を二十兆持っておりますから、本当に中小企業立場に立って、親切、親身に相談に乗り、対応していくということも必要です。  また、保証協会の方も、十月一日発足直後は人員が足りなくて大変だったのですが、各保証協会とも、OBを動員し、県の商工関係者にも手伝ってもらい、全力を挙げて、四カ月間で六十万件処理したわけですから、月平均十五万件ぐらいの審査をやっていたわけでして、そういう意味では、各県の保証協会はよくやってくださったと私は思います。  そういう中で、時々ふらちな方も金融機関の中にはおられまして、せっかく全体としていいことをやっているのに、幾つかの例外的なところで社会の指弾を浴びるというのは我々としても好ましいことではない、そのように思っております。
  9. 西川太一郎

    西川(太)分科員 実は、与謝野大臣には、先般の商工委員会で、その際には要望という形でございましたが、あれから数日たって、やはり私の考えはますますそちらの方に傾いているのです。  と申しますのは、さっき申しました二番目、三番目でございますが、この問題を導入する際に一般的に言われたのは、モラルハザードの問題といいますか、むしろ数年後に代位弁済がふえるのじゃないかというような話がございました。  それは、考えてみれば、要因としては、借金が返せるような経済の状態になっていないとき、または、個別企業でいえば、努力はしたけれども資金ショートが原因で倒産をしてしまったという形の倒産がふえたとき、こういうことになるわけでございますが、いかがでございましょうか、返す期間をもう少し延長してくれという意見につきましては、どんなふうにお考えでございましょうか。
  10. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 委員指摘のように、特別保証制度運転資金につきましては五年間の償還期限ということになっております。この点につきましては、五年というのは短いようでもあり長い期間でもありまして、現時点では、五年ということで返済期限を定めさせていただいております。  他の中小公庫とか商工中金政府関係機関の場合もそうなのですが、運転資金融資五年ということで一応制度上は決まっておりますが、実際上、個々の貸付者中小企業者状況に応じて、返済猶予等をかなり弾力的にやらせていただいております。実際の償還期限が参るその時点で、各般の情勢を考慮しながら個別に親身に対応するように、一昨年の秋から私どもから指導をさせていただいております。  具体的に数字をあえて挙げさせていただきますと、平成九年度の返済猶予実績が、当該年度償還期限が来る金額の三分の一ぐらいに既になっております。そういうことで運用しておりますので、その点については、制度論というよりは、個別の案件ごとにきめの細かな対応をすることで足りるのではないか、そういうふうに承知しております。
  11. 西川太一郎

    西川(太)分科員 鴇田長官の御答弁、大変重要なことでございましたので、大変ありがたく拝聴しましたけれども、これ以降具体的に結果の出る話でございますので、ひとつ何分よろしくお願いしたいと思っております。  それから、三つ目としては、ただいまの返済猶予のような弾力的な対応をしていただいたり、借りかえのようなことが可能であれば、かなりよい結果になると思いますけれども、もう一息追加融資をしてもらえないかという、枠の拡大というようなときには、これだけはいいよという許可範囲で借りた、そしてかなり返した、その返したブランクの部分については再融資を認めるというのが一般的な仕組みですけれども、そこでその状況を判断して、もう少し余分に追加融資をすることによってその個別企業なり産業界なりを救える、こういうケースもあるのではないかと思うのです。  そういう場合にはどういうふうに対処するおつもりか、ちょっと方針をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 これも先ほどの答弁と同じような形になるのですが、個別の貸付対象先中小企業者資金事情とか、個別企業事情に応じてきめの細かい対応をするように、累次、各緊急経済対策ごとに我々機関指導させていただいております。  ただ、先生お話の中で一つ、あえてお言葉を返すようですが、個別企業ごと担保余力とか与信力とか、それなり企業ごとの枠というのが当然のことながら金融機関から見るとあるわけですから、それを超えて面倒を見ろという話になりますと、これはいささか難しい面もあろうかと思いますが、既存特別貸付制度で枠も広がっておりますし、あるいは、担保の面で考えれば、この特別保証制度も使えますし、そういったものを目いっぱい使って、中小企業者資金需要におこたえするという意味では、その方向でやっていきたいと思っております。
  13. 西川太一郎

    西川(太)分科員 私はそこのところは若干認識を異にしております、率直に申し上げますけれども。  それは、現在の直接金融の機能がない中小企業にとっては、やはり金融機関に頼らざるを得ない。そうすると、資産デフレの中で担保余力がなくて、細っている。そこに特別融資枠が、言ってみれば、砂漠でオアシスに出会ったようなことで、すばらしい効果を上げている。そこで生き返ったのに、もう一杯水を飲ませてくれれば助かるのになという声が実際にあるのです。私は、観念論を言っているのではなくて、現場を歩いての声で申し上げているのです。  あらゆる方法をとってやる、こう言うけれども、では、実際に我々がそういうケース相談にあずかったときに、果たして本当に政府系金融機関も含めて、政府がそういうものに対応し切れるのか、やはりこれは制度の問題ではないかと思うのです。今度の枠の運用をもうちょっと弾力的にできないのかなと。  どぶに捨てるお金ではなくて、産業育成といいますか、これは通産行政目的にかなうのではないか、こんなふうにも思うので、これはぜひ前向きに、反論されることは一向に構わないのですが、私はそう思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 保証制度ケース政府関係金融機関の場合と両方あろうかと思いますが、保証制度については、御承知のように、法律上、無担保保証あるいは特別小口保証、これは限度が決まっております。したがいまして、その中で運用せざるを得ない立場に我々としてはあると思います。  それから、政府関係金融機関につきましても、一応、融資限度額個別企業には上限が制度上ございます。その中において中小企業者担保余力とか与信能力、そういった評価で、どこまで親身になって対応していくのかについては、先ほども申し上げましたが、担保を半分徴求するだけで済ますような緊急運転資金貸し付けもございますし、いろいろなメニューを用意してございます。そういったものをいろいろな形で組み合わせる形で、親身な対応はさせていただきたいと考えております。
  15. 西川太一郎

    西川(太)分科員 私は自分の主張したことを取り下げませんので、またしつこくいろいろと申し上げていくかもしれませんので、御了承いただきたいと思います。  ただ、大変すばらしい政策であって、国民から大変歓迎された政策であるということは、それに商工委員としてまた国会議員の一人としてかかわったことを私は大変名誉なことだと思っておりますし、これを実行された与謝野大臣初め通産省に敬意を表したいと思っております。  最後に、実は、アジア中心とした海外進出企業に貸し渋りがある。今度行政改革日本輸出入銀行国際協力銀行というふうに変わるわけでございますけれども、こちらが経企庁の所管であることは重々承知でございますけれども、それを離れて、日本海外進出企業に十分な資金援助をすることによって、通産省考えているところの、国際競争力でありますとかそんなものに寄与できるというふうに一般的には思われます。  きょう江口先生もおいでですけれども中心になってやっていただいた、中堅企業のあの五億、十億の、会社で又貸しもできるというか代理貸しもできるというか、親会社子会社のために金も借りられるという仕組みまでせっかくつくっていただいたのでございますから、今度は外に出て、ジャパン・プレミアムで困っているところや中小企業に対して援助ができないものかという一点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私、昨年八月以降何回か東南アジアに伺いました。日本から東南アジアに出ております会社というのはそれこそ何千社でございます。日本の代表的な大きなところもございますし、東京二十三区から工場を移してやっておられれる方、いろいろおられます。  しかし、私は大変うれしかったのは、少なくとも私がお目にかかった範囲では、どの会社責任者も、自分たちはこういう経済的な危機状況、困難な状況の中であるからこそこの国を去らない、それぞれの国には我々将来があるということを確信していると。大変気持ちが剛毅であって、私はすばらしいことだったと思っています。  ただ、具体的には、もう先生指摘のとおり、それぞれの国には日本銀行の支店があったり活動拠点がありますが、日本の国内でも銀行がすっかり元気がなくなる、貸出資金も潤沢でないという中で、そういう現地の資本の銀行も一昨年来の通貨危機等あるいは金融危機等貸し出し能力が落ちている。あわせまして、現地に行っている日本金融機関も貸し出す力がない。貸し渋りと言ってもよろしいのでしょうが、貸し出し能力がないということだと思いますが、そういう中で、我々としてはいろいろな方法考えました。  輸出入銀行を活用する方法一つ。あるいは、先生が御指摘になったように、日本にある親会社お金を貸して、それをアジア自分子会社に送ってもらって、資金繰りをやってもらう。そういうことをやりまして、最近は、やや海外進出企業の貸し渋り問題で大変だということは耳にしなくなってまいりましたが、引き続き我々としては、どういう状況が起きても、東南アジア等に進出している日本企業資金繰りだけで困ってしまうということにならないように、通産省挙げて、監視と言ったらおかしいのですが、よく見ていって、適宜いろいろな対応策考える必要があるのではないか、そのように思っております。
  17. 西川太一郎

    西川(太)分科員 ありがとうございました。  最後の問題につきましては、極めて最近でございますが、その関係金融機関責任者の方が、自分たちがその点について一生懸命やらなければいかぬなというような情報に接したものですから、お尋ねをしましたが、大臣のおっしゃるように、それが収束されつつあるということであれば、結構なことだと思っております。  どうも、きょうはありがとうございました。
  18. 谷津義男

    谷津主査 これにて西川太一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  19. 西川知雄

    西川(知)分科員 西川知雄でございます。  きょうは、三つの問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず第一は、京浜臨海部、これの地域にかかわる工業等制限制度がございますが、その見直しまたは廃止の問題について、これが第一点でございます。第二点は、現在、石油の販売において、元売のレベルで差別的な販売価格を設定しているのではないか、こういう問題についてお尋ねをしたい。第三番目は、これは一番目の問題と同じように、去年の分科会でも私が取り上げた問題ですが、卸売市場をめぐる諸情勢が大変厳しい、これをどういうふうに解決していったらいいか。この三点について、きょうは御質問をしたいというふうに思います。  まず第一の工業等制限制度の検討でございますが、昨年の三月十九日、やはり分科会で私がこれを取り上げました。  問題点は、もう大臣おわかりのことだと思いますが、京浜臨海部、これを有する横浜市の鶴見区、神奈川区、川崎市の川崎区等、この地域のいろいろな工場の数、また、従業員の数を統計的に見ますと、御存じのように、例えば、昭和五十三年と平成七年を比べると、事業所数は二六・六%減、従業員数に至っては三九・四%ぐらい減少をしている。また、この製造品の出荷額も、ピークの昭和五十七年と平成七年とを比べると三六%減になっており、対全国シェアは、例えば、昭和五十六年には二・九%でしたが、平成七年には一・三%、半分以下になっている。  こういうことで、昔は、こういう地域に工場がどんどん集まってくると人口もふえて環境も悪くなる、ですから、こういう場合には工場が入ってくることを制限しようという目的でこの法律がつくられたわけです。しかし、今、国際化をしている、そして産業が空洞化しているということで、むしろ逆にどんどんその地域から工場、工業が出ていっている。ところが、入っていらっしゃいというふうに言っても入ってこられないというのが現実なわけです。  そこで、具体的にどんなことがあるかということをちょっと御説明を申し上げますと、例えば、横浜で約三万平米の工場用地がないかというふうにアメリカの製造業者が十年の十二月に言ってきた。ところが、この法律があるために、実は、空き地はあるんだ、それだけ大きなところはあるんだけれども、入ってこられませんというような事例がある。  また、例えば横浜、川崎の港湾、これは利用度が非常にいいわけですから、この地域で、しかも、高速道路に隣接している土地、これを自動車のリサイクル工場に使いたいといって問い合わせがあった。これも去年の六月ごろです。  そういうようなことのほかに、例えば横浜でも、鶴見区とか神奈川区というのは、そういう工場が割合多いところなんですけれども、そうじゃなくて、都築区とか緑区とかいうところは、田園都市線で、例えば住宅地域がだんだん開発されてきた。そうすると、そこにある工場が、環境の問題で移ってくれ、また、手狭になったと。では、もともと工業系、そういうためにつくられた鶴見区、神奈川区、川崎区、そういうところの京浜臨海部に工場を移しましょうといってもできない。こういうようなのが現状で、この見直し、廃止について、地元からも、そして国会の方でも、いろいろと過去、議論をされてきたわけです。  そして、去年私が質問をしましたときにも、当時の堀内通産大臣は、私のその説明に対して、「通産省としましては、制限区域における工場立地のニーズというものの実態を踏まえまして、京浜臨海部などにおける制限緩和のあり方というものについて検討するということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしておりまして、こういう観点から、国土庁での見直しの検討に協力をしてまいりたいというふうに思っております。」とまずおっしゃっていたのです。  そこで、国土庁の方からも答弁をいただきまして、いろいろと規制緩和をやっている、プラス、現在、国土審議会において首都圏基本計画を審議中であるけれども、引き続き、この中で、将来における工業等制限制度のあり方について議論をして、そして必要な見直しを実施していきたいと考えている、こういうふうな説明があったわけです。  そこで、平成十年の八月、計画部会の調査検討報告というのがございます。そこで、京浜臨海部のうち、「工業系の土地利用目的とした地域における大規模遊休地の発生への対応」として、例えば、工場の再編整備及び遊休地等の有効利用を図る必要があるから見直す、こういうような中間報告、検討報告があるわけです。  そこで、まず最初に、通産大臣に所見をお伺いする前に国土庁の方から、この計画部会の検討の進行状況、そしてまた、これがいつごろ国土審議会に上がっていくのかということ。そして、具体的に、工場の再編整備及び遊休地の有効利用を図るための見直しということはどういうことか。そして、次に、今私が申し上げた例、これは見直しをすることによって、こういう場合には工場がその地域に入ってくることができるのか。  こういう点について、最終的に、国土審議会の意見というものを今やっていらっしゃるわけですから、こうだということはそこで決めるという御回答になると思いますが、どういう方向で見直していくのかということも含めて、簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  20. 村上伸夫

    ○村上説明員 今、議員からお話がありましたように、国土審議会におきまして昨年の八月に中間の取りまとめがまとめられたところでございます。  我々国土庁といたしましては、工場等制限制度につきまして、抜本的な見直しを行うという形で検討を進めているところでございます。その一つの重要な観点が、今先生おっしゃられましたような京浜臨海部における大規模遊休地の発生への対応、いま一つは、中小企業製造者のネットワークの維持形成、この二点でございます。  現在の作業状況についてのお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、今申し上げましたような国土審議会で取りまとめられました中間報告、それからまた、昨年の夏に小渕総理が川口市を視察された後に私どもの長官に御指示もございましたし、そういったことを踏まえて、現在最終的な案の取りまとめ作業をいたしておるところでございます。  時期につきましては、なるべく早く、本年度中にも結論を得て、必要な対応をとっていきたいというふうに考えております。  今議員がお挙げになりました具体的な例でございますけれども、これは議員もおっしゃられましたように、我々、現時点で最終的な成案を得ている段階ではございませんから、個別の、委員が例を挙げられたことについて現時点でお答えすることはできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、中間報告でも触れられておりますように、工場の再編整備あるいは遊休地の発生というものが問題になるわけでございます。  その中においては、例えば既存企業が産業構造の変革によっていろいろなリストラをやっていく、それにどう対応していくか。あるいは、議員がお尋ねになりましたような、住工混在のところの環境上問題があるところ、中、中であれば現在でも可能なわけですけれども、外、中の場合は現行制度では認められません。そういったものも、議員御指摘になったような問題も視野に入れながら、現在最終的な検討を進めている、こういうことで御理解いただければと思います。
  21. 西川知雄

    西川(知)分科員 ということは、三月までには審議会で結論が出る。そして、多分、京浜臨海部については、もともと工業系の土地利用、これを目的としてつくられたのであるから、個々具体的にはなかなか今の段階では言えないけれども、基本的な方向としては、その地域については制限区域ではない。簡単に言えば、そういうところに工場をさらに外から中に入れてくることも可能になる、こういうことじゃないかと思うのですが、もしそれが間違っているということであれば、ちょっと付言しておいてください。
  22. 村上伸夫

    ○村上説明員 この問題は、冒頭先生がおっしゃられましたように、横浜とか川崎とか、現在制限を受けている区域からは、大幅な緩和なりあるいは撤廃という御要望がある。一方、首都圏におきましても、北関東を中心とする制限を受けていない区域からは、逆に、現行制度を堅持してほしいという御要請があります。ある意味で利害が錯綜する問題だと言えるかと思います。  ただ、議員が先ほど御指摘になりましたように、現在の京浜臨海部の状況というものをそのままにしていいという問題ではなかろうと思います。したがいまして、先ほどもお答え申し上げましたように、現時点でどれがどうなるということをお尋ねになりますと、我々としてもこの時点で御回答することはできないわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、現状で、そのままでいいと思っていない。  それから、方向とすれば、国土審の中間報告あるいは総理からの指示ということを踏まえて、そういった方向性ということで、現在、最終的な結論を得べく検討しているということでございます。
  23. 西川知雄

    西川(知)分科員 政府の方からとしては、最終的な結論がまだ審議会では出ていない段階で、一番ポジティブな、積極的なことを言っていただいて、これは非常に、私としても、その方向でいくんじゃないかという確信をしているわけでございますが、最終的にどうだというのは三月にならないと政府の方としても言えないということはわかりますので、その点は理解します。  大臣、今国土庁の方からもそういう説明がありました。そしてまた、前の通産大臣も、国土庁と協力をしてそういう方向で進めたい、こういうふうにおっしゃっておりますので、今の討議、討論を踏まえて、通産省としても、現在の産業構造の変化、そして、特に京浜臨海部に対する状況の変化等を踏まえて、どういうふうに協力をしていきたいか、持っていきたいかということ、この点について見解を述べていただければと思います。
  24. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 工場等制限法というのは、やや時代の変化に対応し切れていない法律だと私はかねがね思っております。  我々の子供のころの京浜工業地帯の絵とか写真というのは、煙突がいっぱい並んでいまして、煙がもくもく出て、つち音高くすべての工場が動いている、立派な工業地帯だという話だったのですが、昭和三十四年にこの法律ができたときには、まだ公害という概念はなかったと思うのです。専ら、やかましい工場がやたらとあるのは困るとか、人口がそれで集中するのは困るとかということで、今の公害とか環境問題の原点とか、原始的な考え方として工場制限法ができたのだろうと私は思います。  しかしながら、先生がおっしゃいますように、産業自体のあり方が変わって、煙が出るというような工場というのはなかなか、今見つける方が大変なわけです。  ですから、この問題は、幾つかの観点から考える必要があります。  通産省も、工場を地方に分散させようという考え方をとっていた時期もあります。また、今でも、いろいろな工場、生産拠点が全国にバランスよく配置されるというのは大事なことだと思っておりますが、工場制限法を工場を地方分散させるための一つの手だてに使うというのは、私は好ましくないと思っております。  ですから、むしろ、工場をつくり設備投資をする人が非常にオプティマムな設備投資の条件というのを見つける自由を、こういう法律で制限するということは好ましくないと思っていますし、また、持っている土地をその土地の価値なりに換金しなければならないというようなケースは、そのことに対する自由もやはり保障しなければいけないと思っております。  いずれにしても、国土庁もこの問題は熱心でございますので、国土庁がちゃんとしっかりやってくれると思いますが、我々としても、この問題については意見を申し述べていくつもりでございます。
  25. 西川知雄

    西川(知)分科員 二つの省からの積極的な御意見、どうもありがとうございました。  それでは次に、先ほど二番目の課題として申し上げました、石油の元売の差別的な仕切り価格ということについてお尋ねをしたいと思います。  私の問題意識の発端は、我々の地元でも、ガソリンスタンド、小さいところも大きいところもあるのですが、これが幾つ倒産をしている。それで、何でだろうと。景気が悪いからだな、大体石油の価格が安くなっているからだな、こういうふうなことも思っておったのですが、もう一つ、いろいろと調べてみますと、どうもそれだけではなさそうだということがわかってきたわけです。  どういうことかと申しますと、元売がいる。これは大きなところですね。これが、石油というのは、大体特約店があって、そこと特約店契約を結んで、そして卸す、仕切り価格を設定する、そこからさらに小さなガソリンスタンドに卸していく。  そうすると、普通は、特約店ですから、長い関係があるから、そこに対する価格というものは公正で、どっちかというと、ほかの人に売るよりも安い金額で売ってくれるんじゃないか、こういうふうに思っているわけですけれども、ところが、やはり精製コストというのはいろいろと量がふえるとそれだけ安くなるということで、販売量をふやした方がいいということで、特約店だけではどうも売り切れないということになると、今度は余った石油を商社等に売る。  売るときに、元より高く売るというのは何となくわかりそうな感じがするのですけれども、逆に、例えば一リッター当たり十円ぐらい安く卸している。普通、例えば商社はたくさん買ってくれる、またそれを送るのも、近くだから、それは輸送コストが低い。だから、少しは安く売ることも可能かもしれないと思われるのですが、それでも多分一リッターで何十銭の差ではないか、十円の差ということは到底考えられないんじゃないか、こういうふうに言われているわけです。  また、今度は、特約店の中でも大きいところ、すなわち、元売の子会社である特約店、二十とか三十とかガソリンスタンドを持っている特約店とか、それからまた一般の、五つぐらい持っている特約店、これとの間でやはり差をつけている、こういうのがどうも現状のようなわけです。私も全部のことを知っているわけではございません。ですから、今通産省も、多分公正取引委員会と連携をとってその問題について実態調査をしようということになっていると思うのです。  そこで、石油の問題については、基本的には価格設定は自由化されてきて、自由市場であるということで、価格の差があってもいいわけですけれども、しかし、合理的な理由に基づかない、そういうような原因でいろいろと公正な価格がゆがめられている。こういうときに、消費者の立場からしては、消費者の選択の自由があります、その選択の自由というのは、公正妥当な競争のもとで形成された、そういう市場価格を、どこがいいのかというのを自分が選べる自由があるというのが本当の競争原理だというふうに私は思うのです。  ですから、この問題については、公正取引委員会の問題であるだけではなくて、石油業界全体を見回して、消費者にとっても自由な競争のもとで公正な価格を選べる、そういう市場をつくるというのがやはり通産省に課せられた役割ではないかというふうに私は思っております。  この点について、ぜひ通産大臣としても前向きな調査をしていただいて、もしこれが本当なら、こういうことのないように、関係当局と綿密に連絡をとって、ゆがめられた市場じゃないようにしていただきたい、こういうふうに思っておるのですが、通産省としては今現在どうされているのか、また、それについてどういう姿勢であるのかということをお尋ねしたいと思います。
  26. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今の問題は、そもそも昭和四十八年の石油ショックのころから起きている話でございまして、そのころ、石油危機の後の石油製品の価格をどう決めていったかというと、ガソリン高、灯油安という価格体系をやや人工的にやったわけです。そういう人工的な価格設定をするということをみんなでやりますと何が起きるかというと、石油精製をするときにガソリンを余計つくっちゃうということが起きたわけです。  以来、ガソリンの価格というのはいつも不安定であって、そういういわば、業転物と呼んでいるのですが、どこから来るんだかわからないんだけれどもひどく安いガソリンが売られる。私も随分、知り合いに石油スタンドの関係者とか石油会社の人、本当の友人がいますけれども、本当に業転物がどういうふうに流通するのかという一般論を随分勉強してみたんですけれども、結局答えは出てこない。最近、ガソリンの製品輸入が許されたので、ガソリンの製品輸入が価格を崩しているのかなと思いますと、実はガソリンの輸入というのはほとんどない。これは価格の問題、日本のそういういろいろな価格のばらつきということには寄与していません。  もちろん、暗黙のうちに一つの価格を設定するというのは自由競争としてはよくないのですが、現在のガソリンの価格というのは、業者の方に聞いても、まさか、なぜこんな安く売れるのかという、いわば不当廉売と申しますか、独禁法違反なのかどうかはわかりませんけれども、まじめに普通の仕入れをやって、普通に若干の利益を乗せて売っているガソリンスタンドにとっては、死活問題になるような状況が起きてきています。やはり、そういう不当に安いものというのは一時的なものでございますから、そういう安いものが恒常的にユーザーに供給されるのはいいんですが、目玉商品的になっている部分もあって、そういうこと全体は、やはり正しく価格形成される必要がガソリンについてもあると私は思っております。  ただこれは、日本の資本とか外資系とか、いろいろなところがあって、精製会社も経営に関しては本当にばらばらにやっていますので、えいやあといって全部解決するような問題でもないという、その苦しさもわかっていただきたいと思っております。
  27. 西川知雄

    西川(知)分科員 この問題はまた別の委員会でも続行させていただきたいと思いますが、最後に、卸売市場をめぐる問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。  これは去年もお尋ねいたしました。横浜の神奈川区には中央卸売市場というのがあるのですが、最近、その中の店が閉まったり、そしてまた、そこで不幸な事態もそれぞれ起きているというのが実は現状なんです。これは、もっと自分で努力をすればいいじゃないか、もっと商売をうまくやればいいじゃないかというのは一つなんですが、それだけではどうも解決ができない、やはり制度的な解決も必要であるということで、この問題についてどういうふうに取り組んでいくかというのが極めて喫緊の課題になっているわけです。  最初に、これに特に関係する農水省の方から、具体的にどんなふうな解決方法というか、対処されるつもりなのかということをまずお聞きして、最後に、それをまとめて、これは農水関係のものだけじゃありませんから、卸売市場の市場形成、これをもっと活発化させるためにはどんなふうなことを考えたらいいのか、引き続いて通産大臣にお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 本川一善

    ○本川説明員 卸売市場は、生鮮食料品の流通拠点として非常に重要な役割を果たしております。ただ、近年、産地の大型化でありますとか、あるいは大型の小売店の発言力が高まるとか、あるいは市場外流通の拡大でありますとか、御指摘のような関係事業者の経営悪化といったような問題が生じてきておりまして、そういったような状況の変化に対処いたしまして、私どもとして、卸売市場の活性化を図るために、この国会に卸売市場法等の改正法案を提出することとしております。  その中で、一つは、川上、川下の利用者の方のニーズに応じた取引方法の設定、こういうことによって市場の利便性なりを高めていく、あるいは活性化を図っていくということを考えております。それから、流通コストの低減に資するような規制緩和を実施したいと思っております。それから、第三点目は、卸さん、仲卸さんの大型化によります経営体質強化を進めるための金融上の支援措置、こういったものを講じてまいりたいと考えておりまして、これらによって関係事業者の経営改善に資してまいりたいと思っております。  その施策の実施に当たっては、できれば横浜市の中央市場の現状も見せていただきながら、具体的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  29. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 御指摘の卸売市場そのものの振興策につきましては、今御答弁がありました農林水産省さんの御所管ですのであれですが、私ども中小企業庁といたしましては、零細な中小の卸売業者対策というのは鋭意進めております。  もう先生も御承知のように、平成四年には中小企業の物流の効率化促進法というのもつくりまして、予算だとか低利融資だとか保証制度、いろいろな手当てもしてきております。また、中小零細の卸売業向けに、いろいろ勉強していただいたり、システムをつくっていただいたり、実験事業をやっていただいたり、前向きにいろいろ取り組んでいただけるように、そういった面での予算措置についても手当てをしてきております。  ただ、ただいま御指摘ありましたように、特に従業員四人以下ぐらいの零細の卸売業者については、商業統計を見ましても、平成三年から九年にかけて、大変数が減っておったり、売り上げが落ちてきたりしてきております。こういった面についても、我々は中小卸売業対策の一環としまして、いろいろな形で勉強して検討を進めていきたい、そのように考えております。
  30. 西川知雄

    西川(知)分科員 ぜひ実態をよく踏まえた上で、前向きな検討、そして活性化をお願いいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  31. 谷津義男

    谷津主査 これにて西川知雄君の質疑は終了いたしました。  次に、大野由利子君。
  32. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 公明党の大野由利子でございます。  初めに、通産省の通商産業研究所研修部のグラウンド等の開放についてお伺いをしたい、このように思います。  私の選挙区の東京都の東村山市に、通商産業研究所の研修部、こういう施設がございます。この施設は、通産省の職員の能力の開発とか資質の向上を図るために昭和四十四年に開設された、このように伺っておりまして、通産省の職員だけじゃなくて、地方自治体の公務員だとか、また、計量教習に当たり民間の方々の研修に幅広く使われているようでございます。  この施設に、大変広大な芝生のグラウンド、それからテニスコート等もございます。全国から研修に来られている方は、年間延べ人数三千人ぐらいいらっしゃっている、このように思うわけですが、この研修に来られている方々の交流とかに使われていると思うのです。  この広大な芝生それからテニスコートがほとんど使われていない、こういうふうに周辺の住民から声が出ておりまして、特に土曜とか日曜日、使われているのをほとんど見たことがない。ぜひ市民に開放をしてもらいたい。  少年サッカーとか少女サッカー、少年野球等々、皆さん、今本当に会場がなくて、各学校の校庭を開放してもらって、二時間刻みでそういうところを借りたり、いろいろなところを転々と、まるでジプシーのように、借りられる会場を探し回ったりということで、非常に練習場を確保するのに苦労している、こういう状況でございます。  私も、その話を聞きまして、昨年末からことし、ちょっと土日に地元を回るときに気をつけて、ここのところを通ったときは必ず見るようにしているのですが、私自身も土日にここが使われているのを見たことがない、こういう状況でございます。  通産大臣も、スポーツ施設とかそういうところに大変厳しい、ゆとりのない、そういう都心選出の議員でもいらっしゃるわけですので、この辺の地域住民の要望というのは非常におわかりいただけるんじゃないか、このように思いますが、ぜひ通産大臣に御意見を伺いたい。市民に開放していただけないものか、このように思っております。
  33. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 官房長のもとでその問題は既に検討しておりますので、官房長から具体的なことをお答えさせます。
  34. 村田成二

    ○村田政府委員 今先生おっしゃったとおり、かねてより、研修所につきましては、地域の周辺の住民の方々から、ぜひグラウンド等々を休みの日に使わせてくれ、こういう御要望が多々寄せられております。  私どもとしましては、まさしく、おっしゃいましたように、特に都市空間をどう有効利用していくか、それからまた、その施設が置かれている地域の住民の方々とどういうふうに有機的なつながりをきちっと持っていくかというような、いろいろな観点から、できるだけ施設を住民のために有効活用してもらいたい、こういうふうな基本的な考え方を持っているわけでございます。  ただ、御案内のように、もとよりこの施設自体の設立目的もございます。それから、国有財産法のもとに適切にきちっと運営管理していかなきゃいかぬという問題もございます。それからまた、現実に休日に開放いたしましたときに、グラウンドの中における安全というものについてだれが責任を持つのか、ないしは、そこのグラウンド全体の休日管理をどういう形で、管理人等々をお願いするのかというような、いろいろな問題がございますので、そこは、むしろ積極的にこういった問題点を早急に詰めまして、財政当局とも相談いたしまして、できるだけ早く実現にこぎつけたい、こう思っております。
  35. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。  この問題につきまして、実は、今文部省が小中高校の校庭とか体育館の体育施設を開放しておりますが、どういうふうに開放しているかといいますと、この学校体育施設の開放事業は教育委員会が行っている。教育委員会が管理もすべて責任を持つ、教育委員会に登録をした団体が教育委員会のもとで使っている、こういうシステムになっているようでございます。  いろいろな開放の仕方があろうかと思うのですが、この通商産業研究所の職員の方の管理業務が大変というふうなことになってもいけませんし、私は、市と契約をされて、市のどこの窓口が担当するかはともかくとして、市が責任を持ってその場所を借りる、管理とかそれから受付窓口というのは市が責任を持つ、こういうふうにするのが、通産省の職員の方にとっては管理業務が軽減されて、一番いいんじゃないか、このように思うわけですが、この辺の御見解はどうでしょうか。
  36. 村田成二

    ○村田政府委員 管理の方法は、先生が御提案いただきましたような方法を含めまして、いろいろあると思っております。ただ、国有財産というのは、基本的に、国の財産をこれは貸与するわけですから、やはりその体系のもとで適切な方策をいろいろ考えていく、こういうことだと思います。  今御提案の点も含めて、財政当局とも方法は具体的に考えていきたい、こう思っております。
  37. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 きょうは大蔵省からも来ていただいておりますので、大蔵省の方に伺いたいのですが、国有財産法の十八条三項に「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。」こういうふうに出ております。この通産省の研究施設のグラウンド等、テニスコートやグラウンドを開放することが同施設の研修という目的を妨げることにはならないので、国有財産法に抵触をするということはないというのは明らかではないか、こう思いますが、一言、イエスかノーか、お答えいただきたいと思います。
  38. 大久保和正

    ○大久保説明員 先生指摘のとおり、国有財産法第十八条の三項におきまして、今お話しのような規定がございます。  研修施設でございますので、これは、国有財産法上は行政財産ということになるわけでございますけれども行政財産といいますと国の行政目的に使ってございますので、その目的を遂行するためのものでございます。  ただ、国有財産はなるべく効率的に利用するということを日ごろから心がけておりまして、そうした見地から、今の法律にございましたように、その用途または目的を妨げないことを限度にいたしまして、使用または収益を許可することができるということになっているところでございます。  御指摘のグラウンドの使用につきましては、基本的には、所管する各省各庁が、用途または目的を妨げない限度であれば使用を許可するということで判断できるようになっているところでございますが、グラウンドを実際にそういった形で一般に使わせるとか、あるいは地方公共団体に一時的に貸して使ってもらうというふうな例もございますので、制度的な問題としては特にないというところでございます。
  39. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 同じく大蔵省の方に伺いたいのですが、国有財産法の二十二条に「無償貸付」という項目がございまして、公共団体において、緑地とか公園とかため池その他ずっと列挙してあるのですが、無償貸し付けをすることができる、こういうふうな項目がございます。それから、同じく二十二条の二項の中に「前項の無償貸付は、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、これを行うことができない。」要するに、営利を目的として利益を上げるときは無償貸し付けができない、こういう項目があるわけですね。  ですから、市が、少年サッカーだとか少年野球だとか、営利を全く目的にしないで市民に開放する場合は、これはまさに無償貸し付けができる、こういうふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
  40. 大久保和正

    ○大久保説明員 ここの規定は、国有財産が貸し付けができる場合で、なおかつ無償で貸し付けができるという場合で、普通財産についての規定ではございますけれども行政財産につきましても、これを準用するというふうな形で、同じことが適用になるというところでございます。  ただ、国有財産の使用の場合には、財政法の第九条に規定がございまして、「国の財産は、法律に基づく場合を除く外、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」という規定がございまして、原則として有償で使用許可あるいは貸し付けなどを行うというふうになっているところでございます。  本件の場合は、相手方が地方公共団体ということではございますけれども、法律にきちんと規定しているものに該当しないものでございますので、これはどうしても有償とならざるを得ないというのが法律の解釈でございます。
  41. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 通産大臣最後にもう一度伺いたいのですが、私は、国有財産というのは、国の財産であって国民のものである、国民の税金でつくったものだ、決して一部の国家公務員とか一部の地方公務員のためだけのものではない、こういうふうに思うのですね。  ですから、管理のために必要最小限の経費がかかることは予想されますし、その管理をどこが行うか、市がやるのか施設が直接行うのかということによって、その最低限の管理費用というものをどういうふうに算出するかということにはなってくると思いますが、本来は、営利を目的としないで国民の財産を国民に開放する、大いに使ってもらおう、国有財産は国民のためのものだ、こういう見解に立つべきじゃないか、こう思うのですが、通産大臣最後に、この問題にぜひ前向きに対処していただきたいということを含めまして、このことについて御見解を伺いたいと思います。
  42. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 多分有償にならざるを得ないと思いますが、それは市が払えないほど高い値段ではないし、恐らく、国有財産を使用していただく場合の極めて常識的なものだろうと思います。  ただ、これを無償にするのが当然だという議論があるとすれば、それは本来地方自治の中で東村山市が市民に提供すべきものであって、仮に東村山市が自己の資金でそういう事業をやったとすれば、それはそれなりにコストがかかるわけですから、それを国有財産で代替する場合に、当然見えない利益が市の方に発生をするはずでございます。  それもただにしろというのは多分無理な話であって、国有財産でございますけれども、理屈を少し言わせていただいて御不快になるかもしれませんが、その国有財産は、全国民が形成した国有財産であって、東村山市民が形成した国有財産ではないという側面もあって、やはり国有財産の活用とか運用というのは、むしろ有償にする方が国民的な立場に立つと公平になるのではないかという一般的な印象を私は持っております。  ただ、仮にいろいろな障害が取り払われて、また、通産省も御要望に沿っていろいろ検討してみますが、そういう難しさ、困難が取り払われて、なおかつ大蔵省との話し合いも順調にいった場合、それを有償にするか無償にするのかという話は、多分有償というふうにお考えいただいていろいろなことをお考えいただいた方が、どちらかといえば無難な結論に達するんじゃないかなというふうに残念ながら思っております。
  43. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 恐らく、東村山市だけじゃなくて、近辺のほかの市からも要望が出てくると思いますし、これは一般市民また青少年のスポーツ施設という要望が特に強いものでございますので、実際に開放したけれども高くて使えないとなるとこれは何にもなりません、使えなくなってしまいますので、利用できる範囲内、管理費用にとどめるということでぜひお願いをしたい、このように思います。  大臣、いつごろまでにこれは結論が出るのでしょうか。
  44. 村田成二

    ○村田政府委員 正確に申し上げますと、テニスコートとグラウンドはちょっとタイミングがずれるかと思います。  テニスコートの方は、もう整備されておりますので、あとは、管理方法その他のいわゆる手続的なところをどう詰めていくかということになります。したがって、これは遅くとも年央ぐらいにはきちっとした形を整えたい、こう思っております。  それから、グラウンドの方は、御案内かと思いますが、昨年本棟の増改築をやったものですから、その資材等々の置き場として使って随分荒れておりまして、ここをならした上で、整備をした上で、今度は手続面も同時並行的にやっていくということになりますので、若干これはまだ時間がかかると思いますが、なるべく早く、しかも、先ほど御要望がございましたように、使いやすい、実際に使える形で手続を実現したい、こう思っております。
  45. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。  それから、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、スーパーエコ住宅について伺いたいと思います。  高度な断熱構造を持った、太陽エネルギーやリサイクル資材を活用したスーパーエコ住宅が、昨年の十二月、政府の緊急経済対策の中で打ち出されました。建築主に最高二百万円の補助金を支給する制度ということで、この制度は、九七年十二月に京都で開催されました地球温暖化防止京都会議の京都議定書でも、日本は温室効果ガスの大変厳しい削減を強いられているという状況もございますし、また経済対策としても大変有効な政策だと思います。  ただ、残念ながら、これが、一月四日から申し込みを受け付けして、一日で満杯になってしまったということなのです。それほど、ある面ではニーズが高いというか、要望が高いというものでもありますし、今後もぜひ継続して実施すべきではないか、こう私は思うのですが、通産大臣の御決意を伺いたいと思います。
  46. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 スーパーエコ住宅というのが私ども考えていたよりはるかに人気があったというのは、大変皆様方に応援していただいたおかげだと思っております。  省エネ技術にすぐれているというのは、環境問題あるいは資源問題に資することでもありますし、また、リサイクルの結果できたいろいろな製品を住宅に使っているということで、今後の日本の社会の進む方向というものを示している大変いい計画だったと私は思います。  ただ、当初の予算の関係で、あっという間に申込枠まで行ってしまいましたが、今後とも、こういういい企画、計画というものは、通産省としてはぜひさらに進めさせていただきたいと思っております。
  47. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 つい数日前、本屋さんでこういう雑誌を見つけまして買ったのですが、この中にやはりこの制度が紹介されているのです。三月号の雑誌に紹介されているのですが、一月四日で締め切ったというのでは何の役にも立たないわけでございます。私の事務所にも、こういう制度をやっているらしいがぜひ利用したいのだけれどもというお問い合わせもあったわけですけれども、一月四日一日で締め切ってしまった。  業界の皆さんには大分伝わったのかもしれませんけれども、国民にはこの制度は知らされるゆとりはなかったのではないか。どういうふうに広報されたのかなということが一点と、これは、ニーズが高いですから、次回ぜひもう一度やっていただきたいと思うのですが、そのときにぜひ、十分な周知徹底というのですか、国民の皆さんが応募できるというふうにすべきだと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  48. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 本件に関しましては、今おっしゃいましたとおり、一月四日に申し込みを開始したところ、一遍に予算を上回る応募がございまして、結果的には、十八日ごろまでの申し込みをいただきましたけれども、千件を上回る申し込みがありまして、そのうち予算上手当てができる五百件以上が四日に来ておったものでごさいますので、そういう意味でも非常に多くの方々から期待を持たれておったという感じを持っております。  これは、実は補正の関係でもあって、大変時間が短かったという制約がございまして、かつ、年度内に事業を実施するという制度上の問題もありまして、その範囲内ではできるだけ広報にも努めまして、例えば新聞発表等ももちろんしておりますし、またNHKの報道でもやっていただいたりしておりますので、応募の方々を見ていただきますと、大変広い範囲で、普通の住宅メーカーばかりではなくて、一般の工務店さんからもいただいております。したがいまして、ある程度は幅広く広報ができたと思っております。  おっしゃるとおり、本来であればもっと多くの方々に知っていただいた方がよかったというふうに思っておりますけれども、何分補正のタイミング、それから今年度中に実施するという制度条件もあって、今回につきましてはどうしてもやむを得なかったというふうに感じております。  そういう意味では、最大の努力をして、結果的には、応募の数を見ていただきますと、相当の方には知っていただいたのではないかというふうに感じておりますけれども、今後、こういった制度につきましては、なお一層多くの方々に知っていただくように努力したいというふうに考えております。
  49. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 次回の見通しをもう一回。
  50. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 これは、実は補正でございますので、この制度のいろいろな効果、特に、この制度につきましては、お金を差し上げる方にモニターをしていただきまして、どういった効果があったか、どういった成果があったか、そういうのをフォローしたいと思っております。その成果を見ながら、いいものであれば引き続き考えたいと思っておりますけれども、現在のところは、補正でございますので、まず実施をして、その成果を見たいというふうに考えております。
  51. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 大変人気のあるあれですので、ぜひ早急なまた対策をお願いしたいと思います。  それから、中小企業金融安定化特別保証制度のことについてちょっと伺いたいのです。  日銀が昨日発表した昨年十二月末の銀行の貸出総額が、貸出総額全体で前年同期比二・一%減のようですが、特に中小企業向けは四・五%減だ、こういうふうなことがきょうの新聞にも出ておりました。一九七九年に現行の方式で調査を開始して以来最大の落ち込みになった、こういう報道、日銀の昨日の発表を報道しているわけです。  結局、今政府も、倒産件数が少し減少しているというようなこととか、安定化特別保証制度効果が出てきた、貸し渋りが解消してきたみたいなことをおっしゃっているわけですが、現実には、今なお大変な貸し渋りが続いていたり、現にこういう金融機関の貸出総額が調査以来初めてというぐらい大変落ち込んでいる、こういう実態があるのではないか、こう思うのです。  貸し渋りに苦しんでいる中小企業に対して、商工ローン業者の貸出額が、大変高金利であるにもかかわらず、今非常にふえてきている。結局、銀行中小企業に貸し渋りをして、かわりに商工ローンの方に資金が流れて、そして高金利で中小企業に回っているという、大変厳しい実態もあるのではないか、こういうふうに思うわけです。  それで、昨年の十月に一応二十兆円の特別保証制度の枠を設けられて、大体四カ月でもう既に十二兆円を消化された、こういうふうに報道されておりますが、来年の三月まで八兆円では足りないのではないかということがございます。もっと枠を拡大すべきではないかと思いますし、もう一つ、景気がぜひ来年の三月までには上向いてもらいたいと思いますが、それでもなおかつ、少し上向いたからもう取り消すというのではなくて、期間の継続もぜひやるべきではないか、こういうふうに思うのですが、通産大臣の御意見を伺いたいと思います。
  52. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 信用保証の特別枠は大変よく中小企業利用していただいておりまして、国会でもいろいろな関連法案も通していただいて、私は順調にスタートしたと思っております。  ただ、中小企業が潤沢な資金を獲得できるような環境が完全に整ったかといえば、そうではなくて、銀行の体力は弱っておりますし、まだ金融システムの不安というものが一掃されたわけではありません。ですから、私どもとしては、金融対策、システムの健全化ということを国全体としてやらなければならない、そういう基礎づくりもまた大事だろうと私は思います。  それから、一方、今まで、一月末までに、二十兆の保証枠のうち実際使われたのは多分十二兆三千億ぐらいだと思いまして、実際は八兆弱の保証枠が残っております。そこで、どう物事を判断していくかということですが、十二月は、資金の繁忙期でございますので、保証額もぐんとふえたのですが、一月になりまして保証した額の実績というのはがくんと減りました。十二月の反動とも考えられるのですが、私どもとしては、二月、三月の数字を見て、これがどういう推移をするかということを見きわめて物事を判断いたしたいと思っております。  もちろん、中小企業がさらに資金的に困難をきわめるということであれば、先生おっしゃるとおり、増枠ということも検討しなければいけない一つの大事な項目でございますが、現時点でそれが判断できるかどうかといえば、二月、三月の保証行為実績を見た上で、政府の中で相談をさせていただきたいと思っております。  ただ、中小企業が一般的に、資金調達、資金繰りということはまだまだ厳しい状況にあるということは、私は先生と全く同じ認識でございます。
  53. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 東京商工会議所のアンケートの実態の中にも、もっと保証枠の拡大、増額とか保証期間の延長が寄せられておりますので、ぜひこのことについて御検討をお願いをしたい、こういうふうに思っております。  それから、もう時間のようでございますので、質問は取りやめますが、ちょっと一言要望だけさせていただきたいと思うのです。  大変ダイオキシンで騒がれておりますが、ダイオキシンを発生しやすいものに対して私はきちっと表示をすべきだと。国民の皆さんから、分別といってもどう分別していいかわからない、そういう声が非常に寄せられております。  ダイオキシンが発生しやすいものにはきちっと、分別しやすいような表示をするとか、環境ホルモンのおそれのあるものは、子供用のおもちゃ、赤ちゃんが口にくわえるようなものに限っては禁止する、そういうこともぜひやっていただきたい、こういうことを要望させていただきまして、質問を終了したいと思います。
  54. 谷津義男

    谷津主査 これにて大野由利子さんの質疑は終了いたしました。  次に、島津尚純君。
  55. 島津尚純

    島津分科員 民主党の島津尚純でございます。  商工委員会で顔なじみの皆様方ばかりでありますので、余り無理難題を申し上げるのは恐縮であるというふうに思うのですが、きょうは分科会ということでありますので、ひとつ多少お許しをいただきたい、このように存ずるところであります。  私は、福岡県県南の大牟田市を中心とする県南の出身でありまして、きょうは、この大牟田が、閉山の後に新たな環境リサイクル都市として脱皮をしていこうというような中で、大牟田のエコタウンプランというのを取りまとめて、今、その実現に向かって懸命な努力をしておるということでありますので、その件に絞りまして、ひとつ御質問をさせていただきたい、このように思うところであります。  御承知のように、三池炭鉱は二年前に閉山いたしました。この二年間にわたりまして、閉山対策につきましては、大牟田のテクノパーク等々、振興策につきまして本当に大変な御尽力をいただいておりますことを感謝申し上げる次第であります。  しかしながら、不況の真っただ中でもあるということで、なかなか、この大牟田の落ち込んだ状況というものは、そう簡単に立ち直れそうでもないという厳しい状況にあることも、御承知のとおりであると思います。いまだ、四百人以上の炭鉱離職者の皆さん方が再就職を求めておられるというような状況でもあるわけであります。  そういう中で、大牟田市は、二十一世紀に向かって、石炭の町から石炭もあった町ということで、環境新エネルギーリサイクル都市を目指して、昔日の栄光というものを取り戻していこうということで、今懸命な努力をしておるわけであります。そういう中で、通産省の方から御承認をいただいた大牟田のエコタウンプランというものを取りまとめて、そして産炭地の跡地に、廃棄物の資源の再利用のための施設とか、あるいはRDFの発電所といったようなものを建設するために、現在努力をしておるわけであります。  一つ通産大臣にお聞きしたいのは、資源の循環型産業社会を目指すエコタウンプラン、エコタウンの事業と、あるいは環境問題と新エネルギー両面を解決するのにすばらしい役割を果たすのではないかというRDF発電についての一般的な御認識を一点お伺いしたいということと、さらには、そのようなものをすべて取り込んで、そして閉山から立ち直ろうとする大牟田のエコタウンプランについて、どのようなお考えをお持ちなのかというようなことを、まずお聞かせいただきたいというふうに思います。
  56. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、資源と人間の生活とか人間の経済という問題ですが、資源というのはいわば有限であって、それを効率よく利用するということは、資源を大切に使うという意味からも、環境問題に適切に対処するという意味からも、私は大変大事なことだろうと思っております。  今先生お話しになりましたRDFも、本来ですと捨ててしまうようなものを燃料化してそれを再利用するというのは、考え方としてすばらしい考え方であるし、また、循環型社会をいずれ日本全体として形成していく、その先駆的な事業として、大変大事な事業だと私は思っております。  三井三池の長い歴史、やはり三井三池の石炭というのは、日本の産業を支え、日本のエネルギー需要を支えてきた歴史があった。そういうものが、長い間の生産活動を二年前に中止されたわけでございます。したがいまして、その後の大牟田市あるいは離職者に対しましては、国や市というものが、やはり最大限の配慮を払っていくべきものだろうと考えております。  いろいろ県もやっておられますし、市もやっておられると思いますが、通産省では、今までエコタウンプランの策定に係る調査事業に対して支援も行ってまいりましたが、今後とも、関係者によるこの事業の検討結果を踏まえまして、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
  57. 島津尚純

    島津分科員 ありがとうございました。  次に、具体的な大牟田のエコタウンプラン事業について御質問をさせていただきたいと思います。  大牟田のエコタウン事業の予定されております計画地といいますのは、大牟田の臨海部にありまして、これは、もともとボタを捨てて、そして埋め立てていったという土地であります。かなり広大な用地を計画いたしておりまして、これが六十二ヘクタールぐらいの規模になるわけであります。  この用地の問題でありますけれども現地が、地元がなかなか頭を痛めておりますのは、エコタウン事業のエコタウン補助金は、上物にしか補助対象がないということでありまして、土地については補助できないというようなことであります。  大牟田市の財政というのは、基幹産業を失った中で、いろいろな独自の振興政策をやってきた、そういう中で、御承知のように、大変逼迫をしてきておる。そういう中にありまして、六十二ヘクタールの用地をみずからの力で取得していくということに対しては、これは想像を絶する大変なことであろうと私たちも考えるわけであります。  ところが、ダイオキシン規制等々のスタートする平成十四年の十二月までには、例えばこのRDF発電所は運転開始をしなければならない。そうすると、試運転に半年ぐらいかかりますので、逆算をしていきますと、上物の工事に一年半ぐらいはかかる、さらには土地の造成の期間に半年以上はかかるということを考えてまいりますと、年内にはこの土地の問題は解決をしなければ、すべてはスタートしないというようなことであると思うのです。  ところが、現地は、今解決のめどが全く立っていない。資金はどうするのか、こういうことで、命運をかけた再生のためのこのような計画でありますけれども、その基盤となる土地は全く、時間はどんどんたっていくわけでありますけれども、めどが立っていないというところが、大変私たちの心配なところであり、大牟田市当局の本当に苦悩のところであろうというふうに思うわけであります。  ですから、今までの流れの中で、いろいろな全国からの要望があって、やはりこの問題だけを特別扱いすることはなかなかできないのだとか、いろいろなことはあると思うのです。しかしながら、百年以上にわたって、みずからの地の底を削り、そして、日本の近代化あるいは日本の産業の発展のために、みずからの身を削って貢献をしてきたこの大牟田が、今再生するかできないかの瀬戸際に来ておる。しかも、年内に決着が迫られているというところでありますので、このような問題を勘案いただきまして、ひとつ愛情あふれる御判断を通産当局にお願い申し上げたいというのが第二点の質問でございます。  この土地の問題について、何らかの方策というものをお考えいただくことはできないでしょうか。
  58. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 大牟田市が、この事業を推進するに当たりまして、炭鉱跡地を利用することを検討している話は聞いております。ただ、土地の購入に対する直接的な支援の制度は、現在、市が借り入れを行った場合の利子補給の制度はございますけれども、直接的にこれに補助金を出す形のものとはなっておりません。したがいまして、この土地の購入に対する財政支援を直接行うのは、今の段階では、極めて困難だと考えております。  ただ、我々としては、大牟田市が石炭産業依存から脱却した振興を図り得るように、各般の努力をしたいと考えてございまして、土地の手当てに対する直接的な支援はできませんが、この事業全体につきまして、他の側面から支援をぜひしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  59. 島津尚純

    島津分科員 今長官がおっしゃったようなことが、大体通常の御回答であろうというふうに思うのです。  しかしながら、いろいろな産炭地の方からも、福岡県の方からも、産炭地振興のための臨交金の使用の用途等々、炭鉱跡地の未利用地の土地取得のために用途を広げてくれないかとか、いろいろなお願い事といいますのは今までも続いてきておるわけでありまして、何とかこの辺を御検討いただきたいということを申し上げさせていただきまして、たくさん質問があるものですから、ちょっと先に行かせていただきたいと思います。  三つ目は、この土地の上に建ちますいろいろな施設につきまして、お尋ねをしたいと思います。  これにつきましては、エコタウンの事業に対する補助ということが対象となってまいります。さらには、厚生省関係のごみ処理施設に対する補助ということも関係をしてくるわけでありますが、この六十二ヘクタールの土地の上に、廃棄物を資源化するための施設であるとかそういうものが、七つから十ぐらいでしょうか、これから建設をされていくわけでありますけれども、その計画の段階で、この総工費が四百億を超える、正確に言いますと、四百三十五億ぐらいを当初予定している、このような実に大変な資金規模の事業計画であります。  もちろん、大ざっぱな話でありますが、例えば四百億としましても、例えばエコタウン補助金の補助率が二分の一とすると、百五十億とか二百億というような大変な補助の対象が生まれてくるというようなことで、私たちは、本当に資金的に大丈夫なのかということを考えざるを得ませんし、現地もそのような心配をいたしております。  このような大きな取り組みの中で、例えば、エコタウンの補助金、あるいは産炭地振興のための臨交金、あるいは新エネの補助金、そして、さっき申し上げたような、厚生省のゴミ処理に対する補助金等々、いろいろな支援体制があると思うのですが、そういうものをどのように組み合わせられて、この事業のバックアップ体制をおとりいただこうと考えていらっしゃるのか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 島津先生おっしゃられたような大牟田地域のエコタウン事業、厚生省と共同で審査いたしまして、昨年七月にエコタウン事業として承認したところでございます。  私どもとしては、大牟田地域のエコタウン事業、今おっしゃられたように、大変いろいろな中身が詰まっておるわけでございますが、これから、それぞれの事業の性格、あるいはその熟度とか進捗状況等々に応じまして、いろいろと地元のお話も聞きながら、エコタウンの補助金、あるいは、おっしゃられたような新エネ関係施設整備に対する助成等の支援措置等々を、どういうふうに組み合わせていったらいいのかということも考えたいと思っております。また、廃棄物処理施設の整備に対する助成を行っている厚生省さんとも、引き続き十分な連携もとっていきたいと思っております。  ただ、今の段階では、どういう中身でどういう形で進めていかれるか、まさに計画を練っている最中と聞いておりますので、現段階では、そういうコメントにとどめざるを得ないと思っております。
  61. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 ごみの適正処理を進めるという観点から、私どもといたしましても、RDFにつきましては、今後推進していくべき重要な課題というふうに認識をいたしておりまして、市町村あるいは都道府県が、このRDFの燃焼施設あるいはこれに附帯いたします売電以外の発電設備を設置するというふうな場合には、国庫補助をいたしているわけでございますが、第三セクターを含みます民間事業者が行う事業というのは、国庫補助の対象としていないわけでございます。  しかしながら、民間事業者の資金あるいは経営能力あるいは技術的な能力を活用いたしまして、社会資本の整備、運営等を行いますいわゆるPFI手法は、効率的な廃棄物処理を進めていく上で活用が期待されているものと考えているわけでございます。  こういった観点から、厚生省といたしましては、平成十一年度の予算案におきまして、いわゆるPFI手法による一般廃棄物処理施設の整備に対する国庫補助等によりまして、効率的かつ効果的な施設整備を推進することといたしているところでございます。  本件に関しましては、本年の一月に、福岡県、大牟田市等の出資によります第三セクター方式による新会社が設立されたというふうに聞いておりまして、今後、その新会社あるいは福岡県等から具体的な支援の要請がございますれば、いわゆるPFI手法を活用いたしました場合などの支援策につきまして、十分御相談に応じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  62. 島津尚純

    島津分科員 ありがとうございます。  先ほど通産の方から御答弁をいただいたんですが、このような壮大な資金需要のかかる事業についても、腰が引けることなく、二分の一の補助率というものはなるべく実現していくというようなお考え、強いお考えというふうに考えてよろしいわけですね。
  63. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 私どものエコタウン事業関係の予算は、今年度でいいますと当初予算が十三億円で、一次補正で五十億円いただいておりますが、平年度ベースでいくと大体十三億というような数字だと思っております。先ほど先生言われたような額になかなか足りないというのは、今申したとおりでございますが、それ以外に、当然、資源エネルギー庁の関係の資源エネルギー関係の施設整備費とか、いろいろな制度もございます。  そういうものを念頭に置きながら、まず地元の方の御要望がどういうところにあるのか、重点がどういうところにあるのかということを十分聞いて、対応していきたいというふうに考えております。
  64. 島津尚純

    島津分科員 それはなかなかありがたいお話であります。  それに関連しまして次に行かせてもらいたいのですが、今、全体としては四百億以上というようなお話を申し上げたんですが、中心的な施設というのは、全国でも注目されておりますのは、RDF発電所、ごみによる発電、これが一番注目されている。これは、その中で、七十億ぐらいが工費として予定をされているということであります。そうなってきますと、この半分ぐらいが補助対象になりますと、三十五億ぐらいになりますね。  ところが、今御答弁がありましたように、平成十年度も平成十一年度も、このエコタウン事業に対する当初予算というのは十二億六千万ぐらいです。現在は、全国では七カ所、エコタウン事業として承認されているんでしょうか。これはたくさん今、希望といいましょうか申し込みがあるというふうに聞いていますね。  そうなってきますと、大牟田だけで分捕るわけにはいかないわけでありまして、そうしますと、お言葉は大変頼もしいお答えをいただいておるんではありますけれども、事実を見ていきますと、本当に大丈夫なのかなというような気持ちがするわけであります。  特に私どもが強調させていただきたいのは、RDF発電所というのは、例えば全国で百七十カ所以上あるわけでありますけれども、これはすべて、そこの市が出したごみをそこの市に発電所をつくってやるというようなことなんです。ところが、今度の大牟田の場合は、現在申し込みがある中でも二十四、五の広域な周辺市町村が参加をするというような、全国でもまれに見るすごい計画なわけであります。  そうなってきますと、全国が、この計画が成功するのかどうなのか、無理じゃないかなというようなことを考えておるわけでありますから、私は、ぜひここには今おっしゃったような強い気持ちの中で御支援をしていただきたい、こう思うわけでありますが、この大牟田のRDF発電、中心的施設の補助についてはどのようにお考えでございますか。
  65. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 環境立地局長が申し上げましたように、関係者の検討結果を踏まえまして今後の支援体制をとりますが、現在我々の持っております、資源エネルギー庁に持っております新エネルギーの導入促進の対応の予算として、先進的なRDF発電につきましては設備導入費用の最大二分の一までを補助する、この七十億のプロジェクトの発電部門は恐らく三十億程度かと推定をいたしますが、その二分の一程度までを補助する制度がございますので、御申請があれば、その適用に関しまして適否を検討してまいりたいと考えております。  それからさらに、広域的なごみ収集プロジェクトという趣旨お話がございましたが、我々も、産炭地域振興の観点から、極めて重要なプロジェクトだと認識をいたしてございまして、福岡県下の広域のプロジェクトとして、広域プロジェクトに臨時交付金を県に支援するという体系がございますので、これもまた全体の構想を見ながら、中を検討させていただきたいと思っております。
  66. 島津尚純

    島津分科員 平成十年度の補正予算で、一次と三次で七十二億ぐらいのエコタウン事業に対する補助金が予算化されていると思うのですが、その予算の用途なんですけれども、千葉市のエコセメント製造施設が二十九億とか、札幌の廃プラスチック油化施設が二十六億であるとか、そういうふうな補助のつけ方がなされておる。札幌の方は約五〇%、二分の一ぐらいの補助率である。千葉の方は、とりあえず二三%ぐらいだけれども、これも限りなく半分ぐらいつけていこうというような、大変力の入った支援をしていただいておりますので、こういうのを見ますと、私たちも何となく心強く思うわけであります。  しかし、あくまでもこれは補正予算の世界でありますので、こういうものがいつまで続くかなかなかわからないわけでありますから、大変心配をしておるということでありますので、先ほどの長官のお話のように、いろいろな形の補助金を組み合わせていただきまして、何とか全国注目のこの大牟田のRDF発電所を成功させていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  きょう、厚生省の方からも来ていただいておりますので、一点だけ質問をさせていただきたいと思うのです。  先ほどちょっとお触れになりましたRDF発電所の問題なんですが、先ほど長官おっしゃいましたように、新エネに対する補助金で発電部門は賄っていただくというようなことであるのですが、燃焼部門については、今度は厚生省のごみ処理施設関係の補助が期待をされるということであります。  しかし、ここで問題になってきますのは、厚生省のごみ処理施設のための補助は、自治体にしかできない。このRDF発電所は第三セクターによって運営されていくということでありますので、ここで大きな問題にぶつかっておるということであります。このままいきますと、大牟田のRDF発電所における燃焼部門は、厚生省の補助は受けられないということになってくるわけです。  私たちは、この目的は実に合致しているわけでありますから、ここを何とか、しゃくし定規にとらえるのじゃなくて、日本の流れといいますのは、やはり第三セクター方式というものは大きな流れになってきておるわけでありますので、その辺の御検討が何とかできないのかということをお尋ねさせていただきたいと思うのです。
  67. 小野昭雄

    ○小野(昭)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、第三セクターを含みます民間事業者へ国庫補助が直接行くという仕組みには現在はなっていないというのは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほども答弁申し上げましたように、いわゆるPFI手法というのが新しい手法として今注目をされているわけでございまして、これにつきましては、PFIの手法によりまして一般廃棄物処理施設の整備をしようという場合には国庫補助等によって推進するということで、平成十一年度予算案に計上いたしているところでございますので、具体的な計画が今練られているというふうに聞いておりますので、よくお話をお伺いいたしまして、御支援できるならば御支援をいたしたいというふうに考えております。
  68. 島津尚純

    島津分科員 ぜひ前向きの検討をしていただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただくわけでありますが、通産大臣にぜひお願いしたいのは、前段でも申し上げましたけれども日本一というような三井三池の炭鉱が閉山して、そしてみずからの力でもう一度立ち上がって、そして新しいイメージの地域というものを立ち上げていこうというような懸命な努力がなされておりますので、ひとつ温かいお気持ちで御支援をいただきますことを最後にお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  69. 谷津義男

    谷津主査 これにて島津尚純君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  70. 谷津義男

    谷津主査 次に、総理府所管経済企画庁について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。堺屋経済企画庁長官
  71. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 平成十一年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、百五十億九千九百万円余であります。  以下、重点項目につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一は、経済情勢判断の推進など調査分析機能の強化に必要な費用として、十二億四千四百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、一つには、景気情報早期把握推進調査費など、迅速かつ的確な景気判断に資するため、きめの細かい景気情報を迅速に収集し、経済指標の充実を図るために必要な費用です。もう一つは、構造改革の進展による地域経済影響度の調査、構造政策の景気動向への影響評価調査など、経済構造改革などの推進に資するための調査分析に必要な費用であります。  第二に、経済運営と経済構造の改革を適切かつ機動的に推進するのに必要な経費として、六億九千九百万円余を計上しております。  その内訳の主なものは、一つには、就業形態の多様化に関する調査など、景気動向を踏まえて、経済構造改革の方向と整合性のとれた経済運営を適切かつ機動的に推進するために必要な費用です。もう一つは、民間資金等活用事業、つまりPFIの推進に必要な施策についての提言を行い、その実現を図るために必要な経費であります。  第三は、国民生活の視点に立った市場ルールづくりに必要な費用として、三億一千二百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、一つには、消費者契約適正化事業など、消費者政策の充実強化に必要な費用であり、二つ目は、ボランティア活動、いわゆるNPOの促進等のための環境整備に必要な費用、三つ目は、公共料金に係る情報公開のあり方に関する調査など、物価行政を積極的に展開するのに必要な費用であります。  海外経済協力基金の平成十一年度の事業規模は三千六百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、出資金千二百七十七億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金等からの借入金三千五十二億円が予定されております。  なお、本計数は、基金が本年十月一日を目途として日本輸出入銀行と統合し、国際協力銀行(仮称)に改組するまでのものであります。便宜上、通期の計数をとらえてみた場合、事業規模は九千二百億円、出資金は三千百二十六億円、財政投融資七千四百六十五億円となる予定であります。  以上、平成十一年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
  72. 谷津義男

    谷津主査 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。     —————————————
  73. 谷津義男

    谷津主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。上田勇君。
  74. 上田勇

    上田(勇)分科員 公明党の上田勇でございます。  きょうは、ぜひ堺屋長官に、今の我が国の経済の現状認識、それと今日に至るまでの経済運営、今後の経済の動向等についての御見解を質問させていただき、また御教示をいただきたいというふうに考えている次第でございます。  最初に、政府経済見通しについての点をお伺いしたいのですが、平成十年度の実質GDPの成長率、政府経済見通しは、当初はプラスの一・九%であったわけでありますが、マイナス二・二%と実に四・一ポイントも大幅に下方修正をしております。九年度も、当初見通しから比べますと二・三ポイントと大幅な下方修正、これは実績との差でありますが、低下しているわけでございます。  もちろん、この政府経済見通しというのは、ある意味では達成目標、努力目標といったような性格も幾分かはあるのかもしれませんけれども政府のマクロ経済に対する認識と実態がこれほど乖離しておれば、政府のさまざまな施策というのは経済見通しを前提として行われているわけでございますので、そうした政府経済運営に対する信頼感が失墜してしまうというのも、これも当然なのではないかというふうに思われるわけであります。  これは本会議等でも質問が出ていることではございますけれども、むしろ私は、その責任というよりも、なぜこれほど大きな乖離が生じてきたのか、どのような点の読み違いが大きかったのか、そうしたことにつきまして、なぜこのような差が生じてしまったのか、長官の御見解をぜひ伺いたいと思います。
  75. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 経済企画庁は、ずっと経済見通しを行う仕事をしておりまして、過去三十一年間を見ますと、民間シンクタンク等、多数の平均値に比べまして、実績との乖離が大きい方を負け、少ない方を、当たっている方を勝ちとしますと、十四勝十六敗一引き分けでございまして、必ずしも自慢できる成績ではございません。特に平成になりましてから、かなり間違うことが、乖離することが多いのでございますが、これはやはり、経済の成長力というものが基本的に変わっているということを十分認識していなかったからだと思います。  お尋ねの平成九年、十年のこの二年でございますが、平成七年、八年と、非常に中間的に成長力が出ました。修正した正確な結果で言いますと、四・四%、平成八年に成長いたしました。これを非常に強い成長と見て、それで一・九の成長は可能だと考えたわけでありますが、平成になりましてから、バブル崩壊の後遺症がたまりにたまっておりまして、実は、一時的に政策的なてこ入れ等で上昇したのですが、実はそれほど強いものでなかった。そこに消費税の引き上げ、医療費の引き上げ等々がありまして、銀行等も悪化した、またアジアの国々の経済も悪化したということで、一昨年の夏以降急速に景気が悪くなりました。これを十分読んでいなかったということが大きな原因で、一・九%が〇・四%になりました。  それで、一昨年の暮れに特別減税をやったり、あるいは去年の六月に十六兆円の総合経済対策などを行いまして、これも相当効き目があると当時の方々は評価したようであります。ところが、何といっても一昨年の北拓、山一以来始まりました金融危機というのは極めて底の深いもので、しかも、バブル崩壊以来、この問題がずっと先送りされてきた。このために、総合経済対策が実施されるのが秋になりましたこともありまして、減税ぐらいでは追いつかないというような状態になったわけです。  この根本的な金融システムの問題、それに伴う企業のマインドの低下、それに加えてアジア経済危機、こういったものを十分理解していなかった。この結果、一・九という数字を出しましたところが、マイナス二・二程度になりそうだというような大きな違いが出てきたわけです。この点、平成になってから、バブル崩壊以来の状況に思い至らなかった、分析が不十分であって、結果として誤った予測、見通しを立てたということは、ここで深く陳謝したいと思っております。  去年の七月から、小渕内閣になりましてから、その点を十分配慮いたしまして、一方においては金融対策を打ち、一方においては緊急経済対策を打ち、いろいろな手を打って、この平成十一年度、これから始まります、今御審議いただいております予算案の年度におきましては、プラスの成長にしたい、〇・五%のプラスの成長にしたい、こう考えている次第でございます。
  76. 上田勇

    上田(勇)分科員 もう一点、報道されているところによりますと、堺屋長官は、経済戦略会議の樋口議長に、十年度のGDP成長率というのは、下方修正しましたマイナス二・二というのをさらに下回って、マイナス二・五ぐらいになるのではないかという考えを示されたそうでございます。  私も実感として、昨年の十月以降というのは相当厳しい状況が続いているのではないか、また、年初からも経済の実態はかなり厳しいという感じを受けております。私は、数値がどのぐらいになるかというのは見当がつきませんが、昨年マイナス二・二%というふうに下方修正をした時点、これは昨年の後半の時点なんだと思うのですが、それ以来さらに状況は悪くなっているのではないかという感じもするわけでございます。そういう意味では、長官の、さらに下回る可能性もあるというような発言は、感覚としては非常にうなずけるものがあるのです。  そこで、再度、そういうふうなマイナス二・二をさらに下方修正せざるを得ない事態、あるいは実績ベースなのかもしれませんが、それがマイナス二・二%というのをかなり下回るという予想もおありなんでしょうか。その辺の長官の御見解を伺いたいと思います。
  77. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まず、御指摘の新聞報道でございますが、これは、樋口広太郎戦略会議議長がある講演会で私から聞いた話としてお述べになったようでございまして、それをまた記者が書いておりますので、二重の伝聞になっておりますから、正確ではございません。  私は、現在のところ、〇・一%刻みで経済成長率の予測を言うことは非常に難しいのでございますが、マイナス二・二%程度という予測は変えておりません。  十—十二月の動きが遠からず数値として出てまいりますが、その段階でかなり、一段と明確になると思いますけれども、私は、第一・四半期、四—六月でございますが、これがマイナス〇・七、そして七—九月、第二・四半期もマイナス〇・七といたしますと、マイナス二・二を達成するためには、第三・四半期、十—十二月、それから第四・四半期、一—三月が〇・二のプラス、プラスといかなければ足りないわけです。もしくは、十—十二月がゼロでございますと、一—三月が〇・四にならなければいかない、こういう数字なんですね。  こういうカーブを描くか、こういうカーブを描くかということなんですが、近く十—十二月が出まして、これはまだ予想できませんけれども、その段階になるとかなり明確になると思いますが、現在の段階では、マイナス二・二%程度というところは考えを変えておりません。  ただ、ひょっとするとちょっとしんどいかなという感じもなきにしもあらずでございますけれども、これを下方修正しなければいかぬという確たる情報、数値が出ているわけではございません。
  78. 上田勇

    上田(勇)分科員 今、長官がおっしゃったように、昨年の後半以降の状況というのは、実感としては、かなりそういう厳しい状況が続いているのではないかというふうに思いまして、率直なお話をいただきましてありがとうございます。  ちょっとさかのぼって話をさせていただきますが、先ほど、長官の御答弁の中でもございましたが、平成七年度、八年度というのは、これは、平成七年の四月、九月と二度にわたりまして、八兆円近い補正予算による景気刺激策もありまして、かなり高い経済成長率を示しました。当然、政府は、景気は回復軌道に乗ったという認識で、九年度からは財政再建路線、増税も含めまして、そちらに転じたというのは、今お話のあったとおりでございます。  これは後から見てみますと、先ほど少しお話もありましたが、七年度、八年度の好転というのは、やはり財政出動にかなり依存したものであって、経済の構造改革や金融問題など、そうした根本的な問題というのは、結局は未解決のまま残されていたのではないか。そうした状況にもかかわらず、政府としては、景気が回復軌道に乗っていると認識を誤って、経済運営を行ってしまったのではないかというふうに考えております。結果、政府は九年度については、増税等の影響も考えて、成長率は一・九というふうに見通しをしたのだと思うのですけれども、結局、結果としてはマイナスであった。  ここで、そういう意味で、九年度からの政策転換に当たって、当時は長官は在職ではなかったのだと思いますが、政府として、経済の現状というのでしょうか、経済の実態、経済構造の問題や金融問題なども含めて、正しい認識をされておられたのかどうか、その辺、ぜひ率直な御意見を伺えればというふうに思います。
  79. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 確かに、厳しい御指摘でございまして、私は、当時、ちまたの物書きをしておりました。  平成七年度に、これは修正値でございまして、正確な答えを出すと、実質三・〇%の成長をしました。平成八年度に四・四%の成長をしました。二カ年にわたってこれほどの成長をすると、景気が回復してきた、あのバブルの傷跡もようやくいえて成長してきたと判断をされたのは不思議ではないと思います。  ただ、それは極めて表面的な観察であって、その根底に何が残っていたのか、何があったのかということが、もうひとつ、これは経済企画庁だけではなしに、当時の金融構造あるいは不動産市場の構造等の分析が進んでいなかったこともございまして、政府全体として見誤ったのではないかと思っております。  思い出しますと、平成八年ごろはミニバブルと言われたぐらいでございまして、円高にもかかわらずどんどんと景気が回復して、そして、株も二万円をかなり上回るような数値にもなりました。それを判断したのでしょうが、それが平成八年の夏ぐらいからちょっとおかしくなりかけていたことに気がつくべきだったと思うのです。  それは何かというと、やはり金融問題でございまして、金融機関が不動産に貸し付けていたのが、不動産価格が回復することを期待していたのですけれども、これが思うようにいかなかった。フローとしての成長率はあったのですが、資産の面での不良債権化というのは回復していなかった。これをちょっと、ちょっとじゃなしに、ほとんど無視したような条件で、フローだけをとらえたというところが大きな問題だと思います。  それで、平成九年度、平成八年度のうちに準備して平成九年度の予算で、四月から徴収をふやす、増税と医療関係を拡大するというような財政構造改革法をおやりになったわけでございます。そのときに、非常に自信があったのでしょうけれども経済構造の内部の判断が平成九年度において、八年度を見て行った九年度において甘かったのではないか。  これは大変反省すべきことであり、今度景気が回復したときも、表面上の数字だけで見ちゃいけないぞという警告でもあろうかと考えておりますが、確かに、委員仰せのとおり、その点では、八年度の結果を見て九年度中に行った判断というのは、やはりかなり表面的だったと言わざるを得ないと思います。
  80. 上田勇

    上田(勇)分科員 今、金融機関の不良債権の問題についてもお話があったのですが、平成六年から七年にかけまして、例の住専問題が明らかになりました。いわゆる住専、あるいはそのバックにあった金融機関が、かなりの不動産、しかも、それが不良債権化している不動産に投資していたということは、はっきり明らかになっていたのだというふうに思うのです。  確かに、金融問題については、当時、私もこれほど深刻だとは思ってもみなかったわけでございますけれども、それは、情報が十分に開示されていなかったという面からすればいたし方のない面なんだと思うのです。  ただ、ちょっと私不思議に思うのは、経済企画庁においては、そうした十分かつ正確な情報を持っておられたのだというふうに思いますが、そういった中で、こうした昨年来の金融危機的な状況を生み出した不良債権問題について、十分な認識を持っておられなかったのか、なぜそこで正しい認識を持つことができなかったのかということについて、ひとつ御意見を伺えればと思います。
  81. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 その点は私どもも深く反省しているところなんでございますけれども、戦後四十年間、バブル経済がはじけるまでは、一方的に物価が上がったわけです。特に、土地神話とそれから消費力神話、消費は絶対に減らない、土地は絶対に値下がりしない、こういう二つの神話がございました。  それで、それまで金融機関の内部資産が、投融資している内部資産、これは証券と土地が担保に多いわけですが、それにさかのぼって調べないと危ないぞという認識がなかったのです。それで、御指摘のありました住専とかノンバンクの一部、あるいは信用組合にもございましたけれども、そういうのはよほど乱暴なことをした例外的な損害である、大銀行、きちんとした銀行はまさかそんなことになっていないだろうという前提がありまして、金融監査の方でも、内部にさかのぼって担保物件の安否というようなのは考えなくても、銀行はちゃんと土地を査定してとっておるから大丈夫だという認識が、非常に深く、四十年の間にしみついておりました。  それで、実際問題は、もう土地の価格を見ればはっきり、当時でも半値以下になっていたわけですから、これは危ないぞと気がつくべきだったのですが、そこへさかのぼって監査するという習慣がなかったから、突出してきた住専とか何かだけをまるでおできのようなものだ、内部疾患じゃないという認識で、余り深く入り込んでいなかった。また、人材的あるいは技術的にも、そういうことを監査する人員、組織というものが不十分でございました。それで、大銀行なら大丈夫だろうという前提があったものですから、三・〇%、四・四%と成長してくると、これはよくなったというふうに考えたのでしょう。  今から思うと浅はかだったと言われても仕方がないとは思うのですが、何しろ、四十年間そういう習慣があり、そういう組織と教育を受けた人たちがやっていたわけでございますから、これは今からいうと、当時の担当者にやはり酷な面があるのではないかと思います。  ただ、結果としてはこれが大変大きな被害といいますか、損失を日本の財政と国民に負わせたことは、政府として、企画庁もその真っただ中でございますが、政府として知恵が及ばなかったことだと言わざるを得ないと思います。
  82. 上田勇

    上田(勇)分科員 当時、住専問題がマスコミでも、また国会でも大きく取り上げられたときに、大銀行を含め、金融機関の迂回融資の話であるとか、また、その住専自体がかなり乱脈な融資をしていたということが次々と明らかになりまして、正確にということではありませんが、国民の多くも、何となく、こういう不動産に融資している金融システムについて危惧を持っていたのは、そういうところまでは認識は広まっていたのだと思うのです。  にもかかわらず、政府の中でその辺の認識が不十分だったというのは、それは担当していた当局の、いわゆる意識の変換がうまくいっていなかったということなのか、それとも、その担当、大蔵省の方では十分承知をしていたのだけれども、それを十分、例えば経済企画庁も含めて、政府部内においても十分にその辺が、実態を伝えるということに至っていなかったのか、その辺はいかがでしょうか。
  83. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 恐らく、認識としても不十分だったというのが第一にあると思います。  住専は数兆円でございます、十兆円ぐらいだったと思いますが、そのときはまだ、母体行、住専をつくったもとの銀行に負担させれば、かなりの程度、あのとき六千何百億は国が出したのですが、大部分は母体行が持てる、母体行の方はしっかりしているから責任とれというような意識でございました。だから、その点のまず認識が非常に甘かった、認識が甘かったから極めて重要な問題として伝達することも不十分だったかもしれませんが、何よりもやはり認識が甘かったということだと思うのです。  この不動産の融資の実態というのが、今でこそ非常によくわかっておりますけれども、値下がりしただけではなしに、転売が非常にできなくなってまいりました。これで不良債権処理というのが、八年の終わりから九年に入りますと、不良債権処理が土地を売ればできる、何割か回収するということでなくなってきた。これは非常に深刻な問題だったんですけれども、八年ごろの段階では、まだそこまではいかないだろうというような認識がありました。  そして、検査機関の方も、日本銀行にいたしましても、大蔵省にいたしましても、人数もわずかでございましたし、銀行の言うことを信用するというような、これは、その態度自身が問題だと言われれば問題なんですけれども、そういうような雰囲気がありました。  まさに世間で言う護送船団方式で、お互い信頼関係で結びついているからいいんだ、余り相手の言うことを疑って帳簿をひっくり返すようなことまでしなくてもいいんだという、何となくそういう雰囲気があった。実際は一生懸命おやりになったんでしょうけれども、そういう雰囲気、前提があるものですから、何となく、結果としては突っ込み不足である。それで、向こうとしても、金融機関の方も、それほどの危機感がまだなかったものですから、結果的としてはなれ合い的になってしまった面があるのではないか。  これは、私は、当時内部におりませんから、明確に言われない、推測でございますけれども、そんな感じを持っております。
  84. 上田勇

    上田(勇)分科員 済みません。時間も経過してまいりましたので、ちょっと次の質問に移らせていただきます。  先ほど、長官が、十一年度の経済見通しをプラス〇・五と見込んでおられるということでございました。九年度、十年度のいろいろな失敗の話もございましたので、それを十分盛り込んでの推計なんだというふうに思います。  ただ、どうも、最近のいろいろな経済動向、新聞で報道されているものなどを見ますと、確かに、昨年の緊急経済対策、これはかなり大きなものでありましたので、一定の効果があるとは思われるのですが、この経済の構造改革とか、もう一つ、社会保障などのセーフティーネットの整備というのも一つ挙げられているのですが、そういったものもどうももう一つ進んでいないところを見ますと、やはり年度の後半には減速して、プラス〇・五というのもかなり厳しい目標になるのではないかと思うのです。さらに加えて、年初めから長期金利が二%を超えて上昇している、そういうことも非常に大きな懸念材料だというふうに思います。  では、プラス〇・五が達成できるのかどうかという御質問をしてもむだかと思いますけれども、まず、この長期金利の上昇が景気にどのような影響を及ぼしているのか、私、かなりこれは影響があるのではないかと思うのですが、また、それを踏まえまして、このプラス成長を確保していくという意味では、補正予算の編成などの追加的な景気対策が必要になってくるのではないかというふうに考えておるのですけれども、その辺、長官はいかがお考えでしょうか。
  85. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 確かに、いつの時代でもそうですが、これで万全だということは経済にはございません。常に懸念材料というのは大なり小なりあるものでございまして、その懸念材料の中には、例えば、アメリカの景気が悪くなるんじゃないか、為替がどう動くか、あるいは、政府が今行っているような政策を途中でやめるんじゃないかとか、いろいろな心配があります。それを並べたら幾らでもあるわけですけれども、その中の一つに長期金利の問題がございます。  長期金利は、長期金利といいましても十年物の国債利回りの話でございますが、この代表的な数字をとりますと、一時一%を下回るような水準になりました。そして、去年の十二月になりまして二%を上回るようになり、一月に一時下がりまして一・七台に来ましたけれども、また二月に入って二%を超えるような水準になりました。短期金利、オーバーナイトのコールレートが〇・二五%でございますから、それに対して長期金利が高過ぎるんじゃないかというような声もありました。  この長期金利と短期金利のカーブ、イールドカーブというのですが、長短金利曲線をどのくらいに持っていくか、これは、金融機関の経営や年金運営とも関係いたしまして、かなり複雑な要素をはらんでいます。長期金利が余りに低くなると、年金運営ができなくなるということもございますし、また、金融機関の経営が難しくなるということもございます。  それで、景気に対しましては、やはり住宅投資、設備投資等のマイナス面もございます。それで、日本銀行の方でもその点は十分御理解いただいておるようでございまして、去る十二日、短期金利の引き下げを行っていただきまして、資金供給に遺漏のないようにするような方針を出していただきました。その結果、長期金利の方も少し落ちついてまいりまして、きのうあたりは、大蔵省の資金運用部が国債を購入したこともありまして、一・八%台に下がっております。  少なくとも、こうしたことは、善悪両方の影響はあるのですが、市場は、政府は金利についても非常に景気対策中心に注意深く政策をとっている、政府も日銀も景気対策優先の政策をとっていると判断してくれると思います。そうすれば、この景気回復に対する悪影響はなくなるんじゃないか、市場が、つまり、全国民がそういうぐあいに理解してくれれば、これはそれほど懸念材料にならないんじゃないかと考えております。  したがって、今のところ、私といたしましては、〇・五%の経済成長率については自信を持っております。  追加的な景気対策につきましては、まだ十一年度が始まっておりませんので、今のところ、御審議いただいている予算で、前年度に比べまして、公共事業等予備費を含めて一〇%以上高い予算を組んでいただいておりますから、これで十分だと考えております。
  86. 上田勇

    上田(勇)分科員 時間が参ってしまったのですが、ちょっと今のと関連して、最後一つだけお聞きしたいのです。  今の長官のお話の中で、資金運用部による長期国債の買い入れあるいは日銀のオペレーションという、長期金利の上昇対策についてお話があったのですけれども、長官自身としては、ちょっと所管外のことかもしれませんが、これらについては、今の現状を考えれば、長期金利を低く抑えようという意思を示す意味で行うべきだというお考えをお持ちであるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  87. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 長期金利は、この十二月からかなり、カーブを見ると急に上がっているわけですね。この状態が続くと市場に思わせたら市場が警戒をしてしまいますから、やはりここはマイルドな状況で推移すべきだと考えております。
  88. 上田勇

    上田(勇)分科員 ありがとうございました。
  89. 谷津義男

    谷津主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管経済企画庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午前十一時四十一分散会