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1999-02-18 第145回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十八日(木曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 北村 直人君       葉梨 信行君    山口 泰明君       横内 正明君    上原 康助君       平野 博文君    松崎 公昭君       赤羽 一嘉君    石井 啓一君       木村 太郎君    加藤 六月君    兼務 石井 絋基君 兼務 大口 善徳君    兼務 保坂 展人君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         国土庁防災局長 林  桂一君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君         建設省住宅局長 那珂  正君  分科員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     宮崎 信敏君         大蔵省主計局主         計官      坂口 勝一君         大蔵省主計局主         計官      鈴木 正規君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 石山  范君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  今泉 浩紀君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  福田 秀文君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   葉梨 信行君     山口 泰明君   上原 康助君     平野 博文君   太田 昭宏君     赤羽 一嘉君   加藤 六月君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     葉梨 信行君   平野 博文君     松崎 公昭君   赤羽 一嘉君     福島  豊君   西川太一郎君     菅原喜重郎君 同日  辞任         補欠選任   松崎 公昭君     上原 康助君   福島  豊君     石井 啓一君   菅原喜重郎君     加藤 六月君 同日  辞任         補欠選任   石井 啓一君     木村 太郎君 同日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     太田 昭宏君 同日  第一分科員石井絋基君、第七分科員大口善徳君  及び保坂展人君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 北村直人

    北村主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口泰明君。
  3. 山口泰明

    山口(泰)分科員 おはようございます。自民党の山口泰明でございます。  私、平成八年に当選しまして、その翌年の三月の予算委員会分科会でも質問させていただいたんですけれども、私は四十八年に学校を卒業しまして、今北村主査が住んでいる北海道の、旭川ガスというところで六年ガス屋をやっておりまして、昭和五十四年に、今の選挙区のある坂戸坂戸ガスというところでずっと、平成八年にこの政界に入るまで、民間会社に一サラリーマンとして勤めておったんです。昔の住宅公団、今の都市整備公団、そして今度都市基盤整備公団になりますけれども、大変個人的にはお世話になっているところでありまして、大変思い入れがあるものですから、きょうは、ダブるようなこともあるんですけれども、感謝の意味を込めまして質問をさせていただきたい、こう思います。  実は、私の選挙区は、北坂戸、若葉台、東坂戸高坂ニュータウン川鶴団地、そして今事業着工中の坂戸西団地があります。合計戸数で二万一千二百五戸、計画人口では八万一千人となっており、大変多くの人たちが共有をしておりまして、平成九年六月に閣議決定をされました特殊法人等整理合理化に基づいた今国会提出都市基盤整備公団法案には、大変関心を持っております。  そこで、まず大臣に、今度新たに編成される住宅都市整備公団には、今までも期待をしておりますけれども、今度の公団について、今までの培ってきたノウハウをすべて生かして、都市基盤整備地方公共団体との連携強化、そして管理体制等においても、子会社関連会社初め優秀な組織が今まであるわけでございますので、それらを生かしながらこれからの国民生活安定向上国民経済の健全に寄与するという崇高な理念のもと、ますます期待をするところでありますけれども、今後の事業あり方町づくり等あり方についての大臣の御所見をまずお願いいたします。
  4. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のように、都市基盤整備公団が新しくスタートするわけでございますが、一番大きく変わってまいりますのは、分譲住宅からは原則として撤退をする、そして賃貸住宅も政策的に必要なものに限定をするということでございます。  先生指摘のように、住宅都市整備公団以来培ってまいりましたノウハウを活用しつつ、まず一つが、公共施設整備土地整序を重点的に行い、建築物整備基本的に民間事業者にゆだねるということ、先ほども申し上げた内容でございます。それから、これからは、政策的な賃貸住宅といいますのが、都心居住、そして職住、職場と生活する場所の近接の促進、あるいは防災性向上、こういうようなことはやはり公的な機関で指導していかなければならないと思うわけでございます。防災性向上、それから拠点市街地の形成、土地利用整序等に資するものに重点的に今後は仕事の内容を変えていくというようなことをやっていきまして、豊かな都市生活の実現に貢献する役割を果たすということが大きな目的になってくるわけでございます。  こういうふうに都市基盤整備公団、いわゆる今までの都市整備公団が変わってまいりましたのも、やはり戦後五十四年たったわけでございますから、その間のいわゆる持ち家住宅に対する感覚、それから賃貸住宅に対する感覚、そういうものが要望されてこの法律改正になってきたということでございます。
  5. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  次に、新公団役割についてお伺いしたいと思います。  大都市及びその近郊において困窮する国民住宅問題の解消に努力されてきた評価は大きく、そしてその実績に対し心より感謝を申し上げます。しかし、量から質の時代に入り、新しいライフスタイルが求められております。特に、中心市街地活性化法を初め、小渕首相の提案であります地域戦略プランはこうした考え方を反映するものと考えますが、今後の質的住宅プランはどのように考えているのか。また、今まで培った知識を生かした地域への取り組みをどうなさるのか。  これは私の選挙区の坂戸市というところなんですけれども、ここには、公団課長さんをされていた方が人的交流坂戸市役所部長待遇で入りまして、その方が入って非常に効果が、今まで市役所の職員が悪いというわけじゃないんですけれども、そういうノウハウを持っていなかった町づくりとか再開発で、非常に効果が出ている。そういうことで、ぜひ私は今までのそういったいいノウハウを各地区で、都市の再開発を含めそういうことを重点的に、この改革をいい機会にまたいい方向に持っていっていただくように私は心よりお願いしたいんですが、それについて局長の御見解をお願いいたします。
  6. 那珂正

    那珂政府委員 お答えさせていただきます。  新公団役割についてのお尋ねでございますが、基本的には、先ほど大臣お話にありましたとおり、これからは都市開発あるいは都市の再開発ということを重点的に行っていくということでございます。  その中で、住宅について、あるいは居住環境についてどう考えるかということだと思いますが、二十一世紀にふさわしい環境あるいは高齢者などにも配慮した良質な生活空間を創造する、そういう観点から住宅市街地整備を拡充してまいりたい、もう一方で、政策的に必要な賃貸住宅供給もあわせて行うこととしているというのが基本でございます。  また、これまで住都公団として百四十万戸強の住宅供給を行ってまいりましたし、三万八千ヘクタールの都市開発あるいは百地区を上回る再開発などを行ってまいりました。そういう事業を通じて培ってきましたノウハウ技術力、こういうものをおっしゃるとおりどんどん活用して、地域町づくりへの取り組みへの支援に力を入れていきたい、こう思っております。  具体的には、例えば地方公共団体からの求めに応じたコーディネート業務とか、あるいは再開発への参加などに積極的に正面から取り組むこととして、新たな都市基盤整備公団法に本来業務としてこういう業務を盛り込もうというふうに考えているところでございます。
  7. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。宝の持ちぐされにならないように、ぜひお願いいたします。  今回、公団が新たに編成されることにより、公団管理体制——特に私の選挙区内賃貸が結構ありまして、かなり家賃が安いんですね。今度、市場家賃基準にして、こう書いてあるんですけれども、逆に市場家賃基準にすると上がるんじゃないかという不安を抱く人もいるんです。そういった人もおりますし、賃貸家賃体系も含め、今後の管理体制がどのようになっていくのか。  また、先ほどちょっと冒頭に申し上げましたように、子会社なんかで居住者と非常にぴったりいっている、しかしそういうことがなくなってしまうのではないかという不安を居住者が持っておるものですから、二年前に私がちょっと似たような質問をしたときに、亀井大臣に、居住者の方に絶対に不安のないように、大丈夫だ、こういう安心あるお答えをいただいたんですけれども、私のところは傾斜家賃以外は非常に安過ぎるぐらい安いんですけれども、その辺も含めて、今後家賃体系をどういうふうに持っていくのかもちょっと御見解をお伺いしたいと思います。
  8. 那珂正

    那珂政府委員 住宅都市整備公団管理しております賃貸住宅約七十二万戸でございますが、これにつきましては、都市基盤整備公団がそのまま承継いたしまして引き続き適切な管理を実施していくということを基本としております。  お尋ね家賃についてでございますが、一般的な賃貸住宅供給基本としての家賃設定は、市場において合理的な賃貸住宅供給が行えるように、これまで原価を基準とするという方式でございましたが、これから今後は市場家賃基準とする方向へ移行することと、基本的な考え方はそういうふうに定めております。  ただ、継続居住者家賃についてはそういうふうに、今おっしゃるように家賃が下がるところも、あるいは高くなるところもあるわけでございますが、いずれにしても、それぞれの居住の安定に配慮しつつ、近傍同種住宅家賃の動きなどを勘案して改定することといたしておりますし、この際、特に低所得高齢者等につきましては、一般入居者よりも家賃の上昇を極力抑えるというような措置を講ずることとしております。
  9. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  さっき冒頭で述べさせてもらいました坂戸西団地の問題につきましてお伺いいたします。  この事業は、平成元年建設大臣認可を受けて以来、三回の事業変更が行われておるわけでございます。その期間は十年を経過しております。この三回にわたる事業変更の経緯と現在の進歩状況を聞かせていただければと思います。
  10. 木下博夫

    木下政府委員 お答えいたします。  先生の御地元ですから私よりずっと内容を御承知だと思いますが、全体計画としては百二十ヘクタールのいわゆる区画整理事業でございます。お話のございましたように、平成元年事業計画認可をしておりまして、実質的にはそこから工事等が始まっております。  これまで三回の事業計画変更を行っておりますが、そのうちの一回は事業計画なりあるいは事業規模変更したものではございませんが、平成七年度と平成九年度と、それぞれ都市計画道路の新設に伴います土地利用計画変更とか、あるいは河川等中心といたしました関連事業との事業スケジュール関係事業期間を延伸しておりまして、当初平成十四年ということでございましたが、平成二十年までの事業計画変更しております。  ただ、実は御質問があるということでいろいろつぶさに私も昨日勉強させていただきましたが、全体的には現在、工事量としては七三%、あるいは宅地使用収益開始割合が六六%、ちょっと難しくなりますが、いわゆる仮換地後の宅地として既に立ち上がっている割合がそういう状況でございますので、さらに拍車をかけまして、何とか地元方々の御期待にこたえるような町づくりへ向かってさらに進めてまいりたい、こういう見通しを持っております。
  11. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ちょうど昨年の末に、この地元地権者の方の集会に私も出てこいということで出てまいりまして、そのときに一部の方から、今言った、事業の全体計画がおくれているのではないかという不安と、一部ほかのいろいろな細々とした意見が出たんです。それでまた、その後私が建設省の方ですとか公団の方にちょっと来ていただいてお話を聞いたのでは、地元の御意見、主張と公団建設省の方のお話が若干食い違っているというか、やはりこの辺が公団地元のギャップがあるものですから、その辺もうちょっと密に今後はひとつ説明等をしていただきたいと思うんですが、その辺についてどのようなお考えかを聞きたいと思うのです。
  12. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど申し上げましたように、平成二十年度まで事業期間を延ばしておりますが、そのうちのおおむね五年程度はいわば区画整理清算金整理等で要しておりますので、お住まいになる状況というのは、工事としてはこれから三、四年ぐらいで立ち上がるんじゃないかと思っております。  お話のございましたように、それぞれの事業、こういう町づくり区画整理事業になりますと大変複雑に絡んでおりますので、そういう点については関係機関と十分相互の連絡をとらなきゃいけませんし、お話を伺った状況では、やはり地元の住民の方々に、従来からも公団公団なりにやってきたと私は思っておりますが、さらに説明の回数をふやすとか、あるいは、御不満あるいは不安に思っていらっしゃる内容などについてはそれぞれの説明会等の場を通じて丁寧に御説明していくのが立場じゃなかろうかと思っております。そういう情報的な提供については、なお一層配慮してまいりたい、こう思っております。
  13. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ぜひその辺お互いに、簡単なことですけれども、相手の立場になってわかりやすく説明していただければ大変ありがたいと思います。どうもありがとうございました。  あと、今度はちょっと道路について。  私、北村主査の前では大変言いにくいんですけれども、北海道へ行ったり九州へ行ったり沖縄へ行ったり、いろいろの地方へ行きますと、道路がびしっと、高速道路も立派なのがいっぱいあるんですけれども、台数が非常に少ない。つい最近も、土、日、月で沖縄へ行っていたんですけれども、そう言うと下地政務次官に怒られるかもしれませんけれども、何といっても、我々が首都高ですとか関越ですとか外環に乗っている台数の、ほんとに何分の一かであるわけです。それが悪いとは言いませんけれども、私は都心渋滞解消にももうちょっと、これからの都市政策地方も大事だけれども、やはり人口が集中しているところの道路、特に私は詳しく知りませんけれども、アメリカはあれだけ道路整備されていると私は思っていましたけれども、ある勉強会へ行きましたら、これからアメリカはもっと道路整備する、それも都市中心にということも聞きました。  そういったことで、私も今選挙区で圏央道という問題を抱えて、実はおやじが昨年の十二月まで三期町長をやっていまして、町長もいて、息子が衆議院議員だから早く圏央道ができるんじゃないかというふうに地元からは期待されておったわけなんですけれども、この圏央道についてちょっとお聞きしたいんです。  埼玉県の経済同友会では、この首都圏中央連絡道経済効果は一兆円、こう見込んでおるわけでございます。建設省ではどのような効果があると見込んでいるのか。  また、できれば東北自動車道の久喜までの完成年度、これは具体的に数字を挙げていただきたいと言ってもなかなか無理だと思うんですけれども、私は、予定よりぜひ——私の尊敬する全国知事会長土屋知事も、知事の公約が県内道路一時間構想と言っておりますし、私は、この圏央道完成なくして県内道路一時間構想はできない、こう思っておりますので、その辺について、なかなかこれは具体的数字を挙げていくというのは無理かもしれませんけれども、その辺全般についてちょっと御説明を願えればと思います。
  14. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 圏央道首都圏の骨格となります三環状九放射の自動車専用道路ネットワークの中の大変大事な一つ環状道路だというふうに認識しておりまして、首都圏中心部への交通の適切な分散導入、物流の効率化都市機能の再編成などを図ることができる道路だというふうに思っています。  経済効果でございますが、走行時間の短縮走行経費節約等の直接効果、また、交通利便性向上によります生産力拡大等波及効果が考えられますけれども、なかなか波及効果の方は計算上難しいところがございまして、直接効果だけ、走行時間の短縮あるいは走行経費節約等の直接効果でございますが、圏央道全体ができますと、私ども、そういうような直接効果だけの計算ですと、四十年間で十兆円程度になるというふうに推計しております。  それから、関越道から東北道までの区間進捗状況でございますが、関越道から川島インターチェンジの八キロについて、平成四年から用地買収を進めておりまして、現在までに約四割の用地進捗率になっておりまして、来年度から、川島町域から工事に着手したいというふうに思っております。  また、川島インターチェンジから東北道までについては、平成八年に都市計画決定をしまして、川島町側から順次測量調査を進めておりまして、今年度から、新たに桶川市内路線測量地質調査に着手しました。来年度、川島インターチェンジ側から用地買収を行っていきたいというふうに考えております。  先生お尋ねの供用時期、どのぐらいの見通しだということですが、先ほど申しましたように、川島インターチェンジまでの区間がかなり先行しております。そういうようなことで、平成十六、七年ごろ、用地が順調に進めば供用させたいと思っておりますし、さらに、東北道も続いて十年代に供用できればということで鋭意進めていきたいというふうに考えております。
  15. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  景気回復と言うのですけれども、そのころは当然景気はよくなっていると思うのですけれども、そういった観点からも、ぜひ予定を一時でも早くしていただいて、そしてまた願わくば、これはお願いですけれども、技術力が怠ってはいけませんけれども、地元業者でも優秀な業者もおりますので、そういった面で、大手ゼネコンだけでなくて地元の優秀な業者もそこに共同企業体で参加させていただければ、こう思います。  圏央道についての後、ちょっと前回も質問させていただいたのですけれども、鶴ケ島インターチェンジ付近計画しております鶴ケ島南西部土地区画整理事業について、一昨年の当分科会の答弁では、平成十二年度までに完成予定というふうに私お聞きしておったのですけれども、これらの事業の推進におくれはないのか、また、来年度からの計画はどのようになっているのかをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  16. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  鶴ケ島南西部地区は、鶴ケ島圏央道鶴ケ島インターチェンジの周辺の地区インターチェンジ設置のインパクトを効果的に吸収し、かつ地域活性化を図るために、公共施設整備を図って新産業拠点を形成するための土地区画整理事業ということで、大変重要な事業であろうというふうに思っております。  この事業先生御案内のとおり、組合施行平成七年から行っているわけでございますが、現在組合の方で、近年の地価の動向等を踏まえまして、資金計画あるいは公共施設配置計画等事業計画の見直しを行っておるというふうに聞いております。事業立ち上げ時には、先生先ほどおっしゃいましたように、平成十二年度完成を目標としておりましたのですが、現在の見込みでは、数年、三年程度おくれる見込みであるというふうに聞いております。  平成十一年度には仮換地指定を行う予定になっておりまして、その後、建物移転公共施設整備等に着手するということにしておるようでございます。  いずれにいたしましても、本事業は、圏央道整備効果を生かしまして地域開発拠点を形成する上で大変重要な事業であるというふうに認識をしておりまして、私どもとしましても、引き続き円滑な実施に向けて支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  17. 山口泰明

    山口(泰)分科員 ありがとうございました。  最後の質問になるのですけれども、関越自動車道、今、東松山インターチェンジと、その後は花園になるのですけれども、その間に嵐山インターチェンジという構想が、これはずっと前からありまして、県の企業局嵐山町に花見台工業団地というのを分譲したときも、この嵐山インターチェンジができるということの前提で分譲しておりまして、その企業からも、いつごろになるんだと。そして、地元のそれぞれ嵐山町、小川町、かかわる関係町長さんにいろいろ聞いても、一部地権者の感情的な反対でちょっとなかなか進展しなかったのだけれども、最近その辺もうまく糸がほどけてきたというお話も聞いておるのです。何といっても、このインターができますと、この辺の開発景気回復、その他いろいろプラス材料が多いものですから、その辺の詳しいことがわかれば進捗状況をお聞きしたいと思うのですけれども、よろしくお願いいたします。
  18. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 関越自動車道小川嵐山インターチェンジでございますが、これは、開発利益を吸収するということで、工業団地開発事業収益により整備を行う開発インターチェンジということで、平成四年の一月に整備計画が策定されました。五年の七月に施行命令が行われております。  また、今先生言われておりました工業団地についてでございますが、順調に整備が進んでおりまして、インターチェンジの方の早期整備について大変期待が大きい状況になっております。公団埼玉県と連携しまして用地買収の準備を行ってまいりましたけれども、今お話がございましたように、一部地元反対等がございまして、なかなか進んでおらなかった状況であったのですが、地元設計協議が終わりまして、幅ぐい設置もほぼ完了したというところで、これからは順調に推移できるのではないかというふうに期待しております。用地測量用地買収を進めて、十一年度内にも工事に着工できればというふうに思っております。  地元方々の御協力をいただきながら、今言いましたように、用地買収等順調に進めば十四年度には完成できるのではないか、そういうふうに期待しているところでございます。
  19. 山口泰明

    山口(泰)分科員 どうもありがとうございました。  公団のこと、そして圏央道関越道、いろいろな面でこれからも特に建設省さんの役割、今度省庁のあれが変わりますけれども、マクロ的に見ますと、今までの建設省さんのよさを絶対忘れないように、大官房長もきょう来ておりますので、ぜひそういったことでよろしくお願いいたします。  ちょっと時間を残しますけれども、これで質問を終わらせていただきます。きょうはありがとうございました。
  20. 北村直人

    北村主査 これにて山口泰明君の質疑は終了をいたしました。  次に、平野博文君。
  21. 平野博文

    平野分科員 民主党の平野博文でございます。  きょうは短い時間でございますが、地元の問題について、恐縮でございますが、一、二点。また、これからの新しい高度情報化社会に向けての視点から、ITSを含めた部分等々含めて質問をしてまいりたいと思っております。  まず一つは、私の地元で極めて恐縮でございますが、第二京阪国道の整備の進捗についてお聞きをしたいと思います。  御案内のとおり、国道一号線が京都から大阪に向かって今走っておるわけであります。通勤あるいは車で、大阪市内に京都からバイパス的に走る道路として動いておるわけでございますが、そういう中では、慢性的に朝、交通渋滞がもうここ数年あるいは数十年といってもいいぐらい続いておるわけであります。  そういう中にありまして、第二京阪国道ということを、たしかこれは昭和四十四、五年だと思いますが、計画決定をいただきまして、その実現に向けて今日までお取り組みをいただいておるわけでありますが、私の知っている限りにおきましては、進みぐあいが遅いのではないか。  特に、現時点では、京都府域では相当用地買収も進んでおるわけですが、私も地元の議員として非常に申しわけないところはあるわけでありますが、大阪府域では非常に進捗が遅い。こういう状況でございますので、まず第一に、この第二京阪国道の現状の進捗状況についてお聞かせをいただきたい、こういうことでございます。     〔主査退席、横内主査代理着席〕
  22. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今先生お話しのように、第二京阪道路は、国道一号及び周辺道路交通混雑の緩和、交通安全の確保を図るための路線として、昭和四十四年に都市計画決定がされました。大阪府域では、枚方北インターチェンジから門真ジャンクション間、延長十八キロでございます。  しかしながら、環境問題等がございまして、そういうことで地域方々からいろいろな御意見をいただきました。その調整に時間を要してきたということですが、平成二年と四年に都市計画変更も行われたということで、現在、そういうような都市計画変更によって、環境施設帯等の設置ができるような道路環境への対応もできるような道路となりました。  そういうことで、今お話がございましたように、現在の状況でございますが、京都府域では用地の取得率が九四%ということで大変進捗しておりますけれども、大阪府域では現状では五三%、やっと半分を超えたというような状況になっているところでございます。
  23. 平野博文

    平野分科員 そういう実態にあることは私もある程度承知しておりますが、この状況でいきますと、この第二京阪国道の完成目途というのは大体どういう状況になるでしょうか。当初、目途については平成十九年ぐらいというふうにはお聞きしておりますが、こういう状態では、平成十九年というのが本当に実現可能なんでございましょうか。
  24. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 先ほどお答えしましたように、都市計画変更によりまして沿道の環境施設帯ができるような道路になったということで、第二京阪道路整備促進大阪協議会等を通じまして、道路計画環境対策に対する地元の理解が得られるように努力しておりますし、また、そういうようなことでかなり調整が進んできた状況にございます。これから計画的、円滑な用地買収が本格的にできるんではないかというふうに私どもは期待しておるところでございます。  そういう中で、巨椋池北インターチェンジから枚方北インターチェンジ間について、私ども今新しい五カ年計画で進めております。この五カ年計画は十四年度に終わりますが、その間の供用を目標に用地買収工事を進めておりますし、また、枚方北インターチェンジから門真ジャンクションの間につきましては、先ほど先生お話ございましたように、十年代、まあ十九年ぐらいになるんじゃないかと思いますけれども、そういうようなことを目標に進めていきたいというふうに考えております。
  25. 平野博文

    平野分科員 今の実態でいきますと、それは本当に実現可能ですか。これが一つ。  もう一つは、十九年といいますと、あと十年近くかかるわけですね。そうすると、それまで、交通渋滞というのは永遠に待ち続けなきゃならないし、極端に言いますと、用地買収をしておる資金というのが、長くなればなるほど資金の効率化という意味からしますと寝ていくわけでございますし、地元の自治体の立場で見ましても、代替地をそれぞれの三セクで抱えたり、そういうことをしますから、非常に財政的な圧迫も考えられるわけでございます。とりわけここ数年、非常に地方財政が悪い中で、その問題も議会等々でいろいろ出てくるわけでございます。  そういう意味におきまして、私は、住民の皆さんの理解を得ていくということはやはり当然でございますが、特にあの地域というのは、非常に緑の多い町並みの中に、そこを横断する道路になる、こういう中で、環境の問題に非常に過敏になる団体が実はあることも私は承知をしています。  しかしながら、もしそういうことだけでこの推進を抑制されるとするならば、もっと大なる、本来のあるべきこの第二京阪国道を推進していくという大きな目的、さらには京阪道路ができ上がったときの経済的効果、トータル住民の渋滞緩和に対する喜び等を勘案いたしますと、もっと精力的に進めていかなければならないのではないかと思いますし、逆に、十九年なんということを言わずに、もっと前倒しで精力的にやっていただきたいというふうに思っているところなんです。  私も民主党所属議員でございますから、公共事業あり方について、やはり評価と効果ということで対案を出したりいろいろやっている立場でございまして、私、決して公共事業が悪いということではありません、真に重要なものであれば積極的にやっていくべきだ、こういう視点に立って取り組んでおるところでございます。きょうは建設大臣もお越しでございますが、毎年予算の時期に、地元の超党派の議員連盟をつくりまして、大臣の方に強い要望をいたしているところでございます。既定の計画の中にありますが、四十四年から今日までといったら、もうこんなにかかるものなのかという、非常に私、残念でなりません。私がもし地元ででき得ることがあれば、より積極的に参画をしていきたいと思いますし、それがその地域の府民、市民の大半の願いだと私は思っているところであります。  そういう中にありまして、私、交野市というところに実は住んでおります。交野市は非常に田園風景のいい、環境のいい町でございまして、大きな道路が横断することに対して、たまたま地下水の問題とかいろいろ、市議会等におきましてもやはり環境保全をきちっと守ってもらいたい、あるいは議会決議をいたしておりまして、私自身もよくわかりにくいところでありますが、築堤方式という方式を議会で決めております。  これはまず、築堤方式ということがいわゆる道路を建設していく上において大きな弊害になっておるのかどうか、二つ目は、やはり環境を守っていくためにもっと別の、それ以上のものが効率的な部分を含めてあるのかどうか、その辺、当局の認識というんでしょうか、答えにくいところがあれば結構でございますが、答えられる範疇でお答えをいただきたいと思います。そのことが弊害になっておくれているのであれば、もっと地元の自治体なりそういう方々に強くあれをしていかなければならない、そういう視点で質問いたします。
  26. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 交野市でのいろいろ地元との調整の状況でございますけれども、交野市の方から築堤方式について三つの提案がございました。路面占用部よりも三メートル程度高い築堤の設置、全面的な密閉式のシェルターの設置、効率よい脱硝装置つき換気施設の設置というようなことでございます。  設計協議において、築堤を高くしますとどうしても莫大な用地が必要になるというようなこと、また、地域分断が著しいというようなことで、そういうような地域分断を避けるような形、あるいは環境に配慮した道路構造というようなことを検討しておるところでございます。  また、シェルターについては、沿道環境の保全に必要な遮音壁の構造というようなことで検討しております。  また、脱硝装置については今研究開発を進めておりますが、実用化にまだ至っていないような状況でございまして、実用化に当たって解決しなければならない問題もございますので、引き続き技術開発を推進していこうと思っていますし、その動向に注目しながら、そういうようなことで採用できるようになれば採用していきたいというふうに思っていますけれども、いずれにしても、今はまだ開発途上だという状況でございます。  そういうようなことで、地元の公共団体等の御協力をいただきながら、さまざまな機会を通じまして地域方々意見もいただきながら、地域に即した環境対策を検討し、計画協議、設計協議等を進めていきたい。いずれにいたしましても、非常に大事な道路だという認識のもとに、早期に供用を図れるように努力してまいりたいと思っております。
  27. 平野博文

    平野分科員 今局長から前向きな答えをいただいたんですが、一つ、この三つの問題で、全面的にシェルターをかける、こういう地元からの要望があると聞いておりますが、これは実際、実現的にいいますと可能性というのはあるんですか。
  28. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 一つには、そういうことをいたしますと、トンネルと同じようになりまして、それの集中排気をしなければならない。非常にまた、それに伴う環境に対する影響等も出てまいります。騒音の問題が一番、シェルターをつけるという目的でありましょうから、騒音にどの程度の遮音壁で対応すれば環境基準等を守れるかということになろうかと思いますので、そういうようなことを今検討させていただいているということでございます。
  29. 平野博文

    平野分科員 脱硝装置の件でございますが、今、技術的には、従来の大きな脱硝装置をつくらなくても道路の側道の植栽の中でNOxなんかを地中に入れて分解をし吸収させる、実用化されているかどうかはわかりませんが、そういう技術体系も私はあるように承知をしております。そういうことですから、今までの既存の脱硝装置ができ上がらなければつけられないということよりももう少し、脱硝装置というのは非常に大事だと思っております、そういう意味では多面的な視点からも脱硝装置のあり方を含めて前向きにお考えをいただきたい、このように思います。  したがいまして、私は、これは大変な御努力をいただいていることも承知をしておりますが、それ以上に、第二京阪国道の開設、これを待ち望んでいる府民、市民、逆にそのことが今の景気低迷の経済効果ということからも非常に大きなものがあると思いますので、建設省中心として、道路公団また地元の大阪府、交野市、それぞれの衛星都市の、三者のあるいは四者の一体的な全面的推進が必要だと認識しております。そういうことで、全力で推進をしていただきますよう心より強く建設大臣にもお願いをいたしまして、この問題についての質問は終えたいと思います。  続きまして、ITS関連事業ということについて御質問をしたいと思います。  御案内のとおり、ITS、高度道路交通システム、こういうことでありますが、建設省の中でも重点施策の一つでございますし、このシステムというのは、道路あるいは交通、車両、情報通信、こういういろいろな分野にも絡む問題でありますし、現在は建設省中心として、中心になっているかどうかは後で聞きたいと思いますが、警察庁、通産省、運輸省、郵政省、いわゆる五省庁が連携をして取り組んでいるプロジェクトだと思っております。  これは少なくとも国家的プロジェクトであると理解をしておりますが、この発想が出てきた背景は、高度情報化社会の構築、推進、こういうことだと思いますが、もともとこのシステムを生み出そうとした背景はどういうところから生まれてきたのでしょうか。これについてお聞きしたいと思います。
  30. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 高度情報化の中で最先端の情報通信技術を活用いたしまして、道路交通システムとして、交通事故あるいは交通渋滞、環境負荷の増大といったような道路交通問題を解決する手段として最先端の技術を使っていこうということでございます。  先生今御指摘のように、平成七年の二月に、内閣総理大臣を本部長といたします高度情報通信社会推進本部においてITSについてその推進を決定されました。平成八年七月から、先生指摘のように、五省庁協力してITSの推進計画、全体構想を作成し、今その計画のもとに協力体制を組んで推進しているところでございます。
  31. 平野博文

    平野分科員 平成七年の二月に基本指針を出しておられるわけであります。高度情報通信社会に向けた基本指針ということでITSの推進を決定しております。どこが主体でやるか。高度情報通信社会推進本部という本部機構ができていることも承知しておりまして、本部長は内閣総理大臣だ、こういうことだと思います。  平成八年の七月に、ITS全体構想の発表ということで五省庁が共同的に出されたわけであります。私、この推進体制の仕組みを見ていますと、推進本部というのは形としてはあるわけでありますが、実際、運営、推進をしておられるのは、五省庁連絡会議という会議の名のもとに五省庁が連絡をとり合っている、こういう推進体制であると思いますが、これは間違いございませんか。
  32. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 先生指摘のとおりでございます。そういう中で、五省庁もございますけれども、産学官というような連携もとりながら進めていくという状況でございます。
  33. 平野博文

    平野分科員 では、そういう連絡会議の中でだれがイニシアチブ、リーダーシップを持ってこれを進めておられるのか、これについてお聞きしたいと思います。
  34. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 ITSは御承知のように、道路、通信、自動車、交通といった広い分野にわたるそれぞれ所管の官庁がかかわりある分野でございまして、道路、インフラの部分については建設省が主体にやっております。また、通信は通信の所管の省庁、自動車あるいは交通はそれぞれのところというようなことで、先ほど申しました五省庁がそういう意味で連携をとらなくてはならないということでございます。  建設省としては、ITSの社会インフラとしての道路整備、この辺は私どもが責任を持ってやっていこうということでございまして、関係者と連携をとりながら今後とも一層努力してまいるということでございます。
  35. 平野博文

    平野分科員 今の局長のあれは、他省庁のことを余り言いたくないから非常に優しく言っておられますが、私は、こういう連絡会議とか連携を密にとか、こういうことを言いますが、やはり力強いリーダーシップを持つ組織というのは非常に大事だと思うんですね。  極端なことを言えば、内閣総理大臣が推進本部長であるならば、少なくとも大半の部分というのは建設省がかかわってくるところだと私は承知をしておりますので、逆に言いますと、建設大臣がこの中で座長となって強力に推進するような、閣議了解を含めて取り組んでいかなければ、何となく縦割りの中で横横を通している、こういうイメージを私はぬぐえないわけであります。  国家プロジェクトといいながら、そういう推進体制で本当に進めていけるのかどうか、こういうことが一つと、具体的には、推進室ということを各省庁でつくって、あるいは共通で人がそこに入ってきて、そこで具体的に進めていく、そういうふうな体制を私はつくったらどうかと思うのですが、いかがですか。
  36. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 御説明しましたように、ITSに対応した道路整備が必要だということで、道路を情報通信分野における技術進展に応じて多様に活用できる社会インフラ、こういうようなことで、その専門的な担当のところをつくるというようなことが必要だというふうに思っています。  特に建設省の責務、先生指摘のように、そういう中で非常に重要だというふうに思っておりまして、平成十一年度からは道路局にITSを専門に担当いたします高度道路交通システム推進室というような組織をつくらせていただくということをお認めいただきました。取り組みを強化していきたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 平野博文

    平野分科員 時間がないものですから簡単で結構ですが、この件については、やはり国家プロジェクトである以上、国民の理解というのが必要になってまいるわけであります。ところが、一般国民の人は、ITSというのは何だと、十分によくわかっておられない方が非常に多いわけでございますから、国家プロジェクトで強力に進めていきますよ、こういう視点に立ったときに、やはり国民に対してきちっと啓蒙を図っていくとか理解を求めていく、こういうことも片やしていかなきゃならないと思います。今道路局長言われましたけれども、建設大臣にこの件については、一つは、このことは僕はいろいろな意味で二十一世紀に大きな影響を持ってくるインフラだと思っておりますから、そういう意味では、大臣みずから、推進室はつくる、今こういうことでございますが、決意を含めて、大臣の方から一言あればよろしくお願いしたいと思います。
  38. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘の、前半の公共事業云々のことがございましたが、本当に先生御理解をしていただいておると思うわけでございます。公共事業に対します国民のいろいろな考え方というのは当然また変わってきてしかるべきだと思うわけでございますが、その中にあって、やはり地元の方の協力がなければこの公共事業というのは今後は発展させていくことができないと私も思いますので、第二京阪の問題、先生ひとつ、先生のお立場でいろいろと御指導をいただきますようにお願いをいたしたいと思います。  それで、このITSの問題でございますが、これは先生指摘のように、五省庁でやっておりますけれども、これは建設省中心となって進めていかなければならないというふうに私は認識をいたしておりますので、私が先頭に立って努力をしていくことをお誓いしたいと思います。     〔横内主査代理退席、主査着席〕
  39. 平野博文

    平野分科員 それでは、もう時間が来ましたので、光ファイバーのことについても御質問したかったわけでありますが、これについては、出ていただいておりますが、割愛をし、別の機会にまた御質問したいと思います。  一言最後に、これはぜひ御要望を含めてお願いもあるのです。  やはり少子高齢、こういう時代認識のもとに、今何をすべきかというのは、いろいろな社会政策の変更をしていかなければならないと思っておりますが、そういう中で、今の景気浮揚策、こういうこともあわせて考えますと、やはり住宅建設をより進めていくことがいろいろな産業にも影響を及ぼし景気浮揚策にもなってくる、これは私は信じておるところであります。  来年四月から介護保険制度、これが実施されていくわけでありますが、あの介護の制度というのは、やはり在宅介護をバックアップしていく基本的な自立支援策でございます。そういう中にあって、今の、我々の一番安心して暮らせる居住空間、住宅という視点から見ますと、今日までの住宅構造のあり方が、本当にこれからもそういう構造でいいのか、こういう視点に立ちますと、やはりいろいろな部分で社会基盤のバリアフリー化が求められてまいります。  私は、きょうは住宅について、構造的な部分のバリアフリーの住宅とはどんなものなのか、こういうこと、さらには、お年寄りがこれからあと二十年、老後を安心して暮らしていくために、みずからの今までの住宅では非常に不便を感じている、そういうときに、やはり建築をより推進するための具体的な支援策をもっと強力に打ち出していただきたいと思うのであります。  具体的なところは別の機会にいたしますが、そういう視点で、景気対策上の問題、これはついてくることでありますが、これからの高齢社会に対してのバリアフリーの住宅あり方ということで今建設省自身がお考えになっていること、さらには、もう財力の少なくなっているお年寄りがきちっと建てられるような、こういうことをすれば建てられますよ、こういうふうな施策案があれば御説明をいただきたい、このように思います。
  40. 那珂正

    那珂政府委員 先生指摘のように、高齢化の進展に伴って、高齢者が安全で快適に生活できる環境整備することは大変重要だと思います。とりわけ御指摘のバリアフリー化というのは、この十数年の間、私ども、住宅政策、建築行政にとっても大変重要なキーワードの一つとして認識しております。特に住宅につきましては、平成三年度からでございますけれども、公営住宅あるいは公団住宅というような、すべての公共住宅の新規に供給されるものについては、すべていわゆるバリアフリー化をしてきております。  その内容については、要するに、段差をなくすということ、手すり等の設置ないしは設置可能な措置をしておくこと、そういうことで、また先生の今のお話にありましたように、将来介護保険が普及して在宅介護というものが本格化する場合に、予防という意味も含めまして、また介護のしやすい住宅環境というようなことも含めて、そういうことで進めてまいったわけでございます。  民間住宅についても、住宅金融公庫等の融資によりまして、そういう誘導を図っていこうと思っております。
  41. 平野博文

    平野分科員 以上で質問を終わりたいと思いますが、特に、公共住宅以外の一般住宅についてもそういう具体的支援策、私は、バリアフリー住宅と言いますけれども、段差がなくなったらバリアがなくなったという発想ではだめだと思っています。構造的な部分を含めて、今土地が少ないものですから上に上に上げていきますが、よりフラットにしていくような仕組みの住宅でないとだめだと私は個人的に思っていますので、具体的な質問はまた御相談させてもらいますが、以上で質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  42. 北村直人

    北村主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。  次に、赤羽一嘉君。
  43. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。  きょうは、三十分間という限られた時間の中でございますが、大臣に、大きく二点、質問をさせていただきたいと思います。  一つは、地元神戸市内の高速道路網についてが一点でございます。またもう一点は、昨年の五月、これはあの阪神・淡路大震災以来大変ないろいろな議論を経てでき上がった被災者生活再建支援法、あの法律は、附帯決議に、この支援法は五年間のうちに施策の施行状況を見て見直しを図っていく、よりよいものにしていく、こういう条項がついておりますので、約一年たった去年は風水害も相当ありましたので、大臣地元も大変な台風の被害にも遭われたということもあって、その件について確認をしたいと思います。  それでは一点目、地元のことで大変恐縮でございますが、もし委員長のお許しをいただければ、神戸の道路の地図を持ってきましたので、これを見ながら、ちょっとわかりにくい地図かもしれませんが、実は神戸というのは山が相当せり出しておりまして、平地部がかなり限られたという状況の中で、阪神高速の神戸線が、この南端部を大阪から西の方にずっと走っております。  この唯一の東西の幹線道路ともいうべき阪神高速の神戸線、実は毎朝渋滞が大変ひどくて、西行きは常に十キロ以上、渋滞十キロと出ていても営業車なんかは上に乗った方が下を通るよりまだ速いという状況があります。この万年渋滞を何とかしてほしいという中で、実は高速代もことし一月一日から百円値上げをして、一体どうなっているんだというような状況の中で、具体的な渋滞の現状をどう認識をされているかということと、渋滞解消の具体的な対策はどうとられているのかということをまず確認をさせていただきたいと思います。
  44. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 第二神明道路それから阪神高速神戸線、両方とも、今先生指摘のように大変渋滞状況が厳しいというふうに認識しております。  昭和四十五年に第二神明道路はできたわけですが、現在では、神戸市須磨付近で二十四時間交通量で十一万台、須磨の本線料金所付近で朝夕の交通集中時に大変大きい渋滞が生じている。それから、阪神高速神戸線の方でございますが、これも二十四時間交通量で十万台、神戸市の中央区付近で朝夕の交通集中による交通渋滞、大変厳しいものになっているという状況でございます。  それで、そのために、並行する地域高規格道路というようなことで神戸西バイパスと阪神高速湾岸線の整備を図っていこうというふうに考えているところでございます。
  45. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 今局長の御答弁にもありましたように、この限られた平地の中でなかなか拡幅もできないということで、関空の方から海沿いに、今お話ありました湾岸線というのが計画され、東から着工されてきているんですが、実は六甲アイランドという埋立島のところから西については、とんざしているというか、八期の区間については平成六年に都市計画が決定されたものの、九期の区間、さらに西については、地元説明会すら中断されているような状況であるということであります。  ここが例えば今から着工されたとしても、でき上がるまで十年以上かかるような大変な大型な事業でもあると思いますし、このまま進むのか進まないのか、大変膨大な予算もかかる大プロジェクトであると思いますので、湾岸線のこれからの見通し、それと予算規模をちょっと確認させていただきたいと思います。
  46. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 湾岸線の計画でございますが、八期につきましては、今先生お話しのように六年九月に都市計画が決定されました。その年の十一月に、建設大臣から阪神高速道路公団基本計画の指示が出されております。現在、阪神高速道路全体についての採算性等の検討を行っている状況であります。私どもとしては、先ほどお話がございましたように、大変現道の方が込んでいるというようなことで、早期に事業着手できるように指導していきたいというふうに思っています。  また、九期のところについては、現在、都市計画の準備を神戸市において進めていただいているということでございますが、これも事業手法等の検討等、推進できるような環境づくりをしていきたいというふうに考えているところでございます。  それで、御質問のございました全体事業費でございますが、八期分については約千九百億円ということ。それから九期は、見込みでございますので、今言いましたような状況でございますので、まだ十分な検討ができているということではございませんが、見込みとして六千七百億程度、大変大きい規模になっております。
  47. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 要するに、予算規模をざっと言いますと約一兆円近い予算がかかるであろう、かつ、都市計画の決定もまだこれからだということを考えると、時間も相当膨大な時間がかかる、しかし一方では、阪神神戸線の渋滞は全く解消されていない。こういう状況の中で、今、公共事業の、本当に有意義な公共事業なのかどうかという問いかけもありますし、時のアセスメントなんかでかなり中断とか見直しを図られている公共事業が多い現状の中で、私、ここの湾岸線自体を否定しているものではありません。神戸空港もできるときに、将来的にはアクセスという意味では多分必要になってくるのであると思います。しかし、私は、この一兆円近い大型のプロジェクトを進めようとすることに専念しているだけでは、震災から立ち上がろうとしている神戸市内の渋滞を解消することはできない、そういう認識でおります。  そこで、一つの提案なんですが、地図、ちょっと見にくいかもしれませんが、実は明石海峡大橋から北側の山に、阪神高速の北神戸線という新しい道が昨年開通いたしました。大臣、よくわからないと思いますけれども、政府委員の方、後でお示しをしていただきたいと思います。  その明石大橋からずっと北神戸線が走っております。これはずっと三田の方まで北に抜けるんですが、その真ん中ぐらいに、実は六甲山脈の裏側に箕谷というインターがございまして、その箕谷から三宮の方に新神戸トンネルというのがあるんです。これは実は阪神高速の所有じゃなくて神戸市の道路公社の所有という、そこのトンネルだけは別の形態なんです。  この阪神高速の北神戸線は、私の認識では、多分まだ一日一万七千台。新神戸トンネルも、片道八キロでありながら実は通行料が六百円。四分ぐらいで抜けられるんですけれども、六百円ということもあって、こっちが一万九千台ですか、まだ交通の収容能力というか、通行量としてはまだまだ余裕があるということです。  そういう東西の阪神高速の神戸線が渋滞をしている中で、北の六甲山の裏を通る北神戸線と新神戸トンネルというこの二つのもう既に現存している道路網をうまく利用する、バイパスとして利用することが、限られた財政の中で、また限られた時間の中で有用なことであるというふうに私は認識もしておりますし、そうするべきだというふうに考えております。  そのために、まず一つは、新神戸トンネルというのは実は、よく見ていただくとわかるんですが、具体的な名前で恐縮ですが、生田川というところの手前で途切れております。山を抜けるためのトンネルですから当たり前なんですが、そこで途切れているんです。それを南の方に延伸させて阪神高速の神戸線と、またハーバーハイウェイという湾岸線がありますので、そこにジャンクションをつくって直結させるべきではないか。そういうことが、膨大な一兆円近い大プロジェクトよりも、多分これは数百億でできると思いますが、そこの直結のことをまず優先すればかなりの渋滞が解消されるのではないかと思いますが、まずその点について。
  48. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この問題につきましては、先生から御指示がございまして前もって調べさせていただいておるわけでございますが、新神戸トンネルを阪神高速道路へ移管することについては、地元の議会において取り上げられたということは伺っております。  これにつきましては、移管に伴います新神戸トンネルの未償還額の負担が問題になるわけでございまして、利用者の十分な理解とかあるいは引き受ける側の阪神公団の採算状況等の課題がございまして、このことにつきましては、先生考え方、また今地図も見せていただきましたが、生田川のところで接合するということになりますと、確かに大きな流れは変わってくるんではないかなと思っております。  ただ、これをそういうようなことで阪神高速道路公団に移管をいたしますと、先般、先生今おっしゃっていらっしゃいましたように料金も百円アップしたというんですが、またそれもいささかアップしなければならないということも出てくると思いますが、本当に私もこのところたまに通らせていただくのでございますが、大変な渋滞であるわけでございまして、そういういろいろな問題を一つ一つ解決し、そういうようなことができるものであるならばまた進めていきたいと思っております。
  49. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 新神戸トンネルを阪神高速にというようなお話は今大臣お答えになった状況でございますが、ちょっと細かい話で、先ほど、新神戸トンネルを南へ伸ばすのはどうかというお話がございましたので、その状況について簡単に説明させていただきますが、国道二号への出入りができるというようなことで一キロの延伸は今現在実施しているという状況でございます。  ただ、さらに阪神高速の三号線に直結するというようなことまで考えますと、大変これも多額な事業費を要するというようなことで、これは公団、公社の採算状況にも影響してくるという状況でございます。  それから、そういうことで山手の道路とそれから湾岸の方との道路というようなことでは、神戸山手線を今阪神高速で整備を進めておりまして、それが一つ、新神戸トンネルを直接合併するということではなしに、阪神高速だけでの一つのバイパス効果は持ち得るのではないかというふうに思っております。こちらの方の状況は相当事業が進捗しておりまして、十五年ごろに供用できるのではないかというような状況にございます。
  50. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 神戸山手線ですかの供用というのも大事だと思いますが、これもまだ先の話でありまして、私が言いたいのは、この神戸というのは東西に幹線が通っていますが、六甲山脈というのがせり出していますので、この北側の裏側の高速を使う、そう考えてみた場合、こう地図をぱっと見てみると、新神戸トンネルだけが阪神高速の一環の道路でない、トンネルでないということに非常に不合理な、不自然な部分が実は生じてしまっているんですね。ですから、そのトンネルを通るために、繰り返しになりますが、私も行き来をして一番の負担者の一人でもあると思いますけれども、もう年じゅう通るわけですよ。一日に三往復も四往復も通る。そうすると、我々は時間にせいていますから泣く泣く片道六百円を払いますが、一日それだけで実は大変な金額になると。  これは、あの山の裏の方だと余り人が住んでいないようにも見えますが、実は北区というのは、六甲山の裏というのは物すごくニュータウンが開かれておりまして、いろいろなニュータウンから神戸に出てくる方、またそれから大阪とか尼崎の方に行く方がかなり多くて、その新神戸トンネルとかそのあたりというのは極めて生活道路の色彩が強いんですね。  ただ、現状は、高速に乗った上に六百円そこで支払わなきゃいけないということに抵抗感を感じて、実は有馬街道という細い道をかなり迂回して走っている。だから有馬街道も実は大変な、西にちょっと出るんですけれども、渋滞が解消されないということでありますので、確かにこれは阪神高速道路公団の経営にかかわる問題でありますけれども、神戸市の道路公社は多分、震災もあり、神戸市は売れるものなら売りたい、できるだけ高い値で売りたいというふうに思っていると思います。売れるものなら売りたいと。県議会で県の当局も、神戸市の東西だけじゃなく南北の格子状の道路網を考えていくときに、この新神戸トンネルを阪神高速と一体化してとらえていくということは大事なので、神戸市に協力して公団関係機関に働きかけていきたいという答弁もされているところであります。  ですから私は、確かに渋滞が解消されるという前提であるならば、全体の阪神高速の料金が若干、大臣の御答弁にもありましたけれども、上がることは、それは案外説明がつくのではないかというふうに思っております。むだを省こうというふうに言われている今の時代の中で、ぜひそこの新神戸トンネルの部分の移管問題については、これはもちろん神戸市と阪神高速道路公団のことでありますけれども、地元の声はそういう声が強いということを体していただいて、政府としてというか建設省としても、ぜひ御理解をいただき、御推進をしていただきたいとお願いする次第でございますが、大臣
  51. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 いろいろな問題点、ネックになるところがあると思いますが、そういうようなことをいわゆる前向きで、もう頭からそれは不可能だ、財政的にどうだとか、あるいは組織上どうであるとかいうようなことは省いて、私も、いろいろな地方公共団体、そして阪神高速道路公団等々とまた意見も交換してみたいと思います。
  52. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 どうもありがとうございます。ぜひ、県、市、また阪神高速道路公団の橋渡しのお力添えをしていただきたいと思う次第でございます。  それでは、二つ目の質問でございます。  被災者生活再建支援法案、これは議員立法という形でありましたが、昨年五月に何とか産みの苦しみというか、小さく産んで大きく育てていきたいという思いで私たちも成立にかかわった一人でございます。この法律を見てみますと、被災者生活再建支援法の対象となる自然災害、自然災害の定義というのが出ているんですね。出ているというか定義がされているのは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火等々の自然災害、これは震災に限っただけでなくて、いろいろな自然災害に対しての被災者生活再建支援法だということであります。  昨年夏、冒頭申し上げましたが、台風のラッシュでありまして、高知県を初めとし、また東日本でも大変な被害が出たわけであります。私、この法案の成立のときからも懸念をしておりましたが、この法律の対象となる被災者は、家が全壊になった人もしくは半壊で解体をした人、基本的には震災の教訓を踏まえての対象者の選定になったんですが、風水害の場合は、全壊というよりも実は床上浸水とか床下浸水とかという表記がされておるわけでございます。この床上浸水でもうほとんど住めなくなったような被災者に対して、今回のこの被災者生活再建支援法はどのように適用されたのか、ぜひお聞かせいただきたい。
  53. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 被災者生活再建支援法は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、自力により生活を再建することが困難である者について、自立した生活の開始を支援することを目的としております。  したがいまして、その対象者につきましては、住宅を失い、支援が真に必要と考えられる全壊世帯、あるいは半壊でやむなく解体した世帯等を支援対象にしておりまして、御指摘のように床上浸水による被災者につきましては、その床上浸水というものが全壊ないしは半壊で解体というような状況に達していれば格別でございますけれども、通常の床上浸水ということでは対象にされないということが法律で決められております。  昨年の集中豪雨、台風による災害につきましては支援法そのものの適用ではございませんけれども、既に政府において同様の措置を講ずる、予算措置として講ずるということとされておりまして、要件については全く同じにしておりますので、床上浸水ということはその対象になっていないというのが現況でございます。
  54. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 それでは、ちょっと手元の資料であればお答えいただきたいんですが、高知県を襲ったあの台風、何号でしたかね、ちょっと忘れましたが、あのときにこの適用を受けられた被災者というのは世帯数としてはどのくらいいらっしゃったんですか。
  55. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 高知は、九月末の豪雨ということで、台風の後の前線による豪雨の災害でございましたが、今現在調査中といいますか、申請を受け付けているという状況でございますので、具体的な申請数についてはこれから明らかになるということでございます。  とりあえず把握しております数字といたしましては、合計で三市二町でございますけれども、その合計が、全壊が二十四件、それから半壊二十八件がこの対象になるというふうに考えておりまして、あと、具体的に申請がありましたものについて、この中から支給をするということになろうかと思います。
  56. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 私は、これはやはり風水害の被害のときに、全壊した方ということだけが救済されて、本当に床上浸水でも大変な被害に遭われた方は、住む空間が失われたけれども全壊ではないというような方は対象に入らないということですと、現実に、本当はこの被災者生活再建支援法案をつくった思いと実態の運用というのは、差が出てくるのではないですか。  床上浸水したのは何万軒ですよね。それは程度の差は物すごいあると思いますが、高知のときなんかは、大変な被害を受けられた方は、それは大臣が一番よくわかられていると思いますが、そういった人たちが実はこの被災者生活再建支援法というのは受けられない。これは私は、やはり不十分なんじゃないかと。当時は震災を想定してつくったわけですけれども、これだけの水害が去年の夏起こったわけですから、やはりそれを踏まえて、ここをどうしていくかということは検討すべきではないかというふうに思いますが、大臣、どうでしょうか。
  57. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この法案は、先生御承知のように、五年後にまた見直すということになっておるわけでございます。ですから、そういう時点においてこの床上浸水の問題もまた検討されてくるのではないかなと思っております。また、この法案は、御承知のように住宅そのものの支援ではないわけでございますから、住宅そのものに対する支援というようなこともまた考えていくか。  とにかく、法律が最初にできましたときにはその線引きが非常に難しいわけで、当初は全壊された方だけでスタートされたと思いますが、今後またいろいろな条件を加えていくべきではないかなと私は思っております。
  58. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 前向きな御検討をいただけるというふうに期待しております。  それでもう一つ、先ほど局長の御答弁に、生活基盤に著しい被害を受けた被災者というふうにお話がありました。このとき、法案をつくられた提出者の説明では、議事録を見ますと、「自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等により自立して生活を再建することが困難な被災者に対し、その自立した生活の開始を支援」していくための法案だというふうになるんですね。  ここで議論があったのですが、日本の災害対策における生活基盤というのは、明らかになったのですが、住宅と生活必需品だというのですね。要するに、家を焼け出されて避難所に行く、そこで、災害救助法によってお弁当をもらうとか水をもらうとか毛布をもらうとか、そういう基本的な発想があったのです。  しかし、震災でいろいろな事例がありまして、例えば、家は一部損壊だった、ところがやっていた店がつぶれてしまった、こういう人たちは、この被災者生活再建支援法では被災者という認定を受けないのですね。ところが一方では、家は半壊とかつぶれた、しかし、会社はつぶれなかったから収入の道は確保されている。前者は、私が提示したのは、家は一部損壊だったけれども、店がつぶれて収入の道が絶たれてしまった。こういう人たちがどちらが困窮度が高いか、経済的理由などにより自立して再建することが困難な被災者か、こう考えた場合に、私は、この法案で、実は日本の災害対策の中で初めて現金を支給するという画期的な一ページが加えられたわけですから、これまでの被災者という、生活基盤という概念の中に、経済的な基盤というのをやはり含めるべきではないか。  ですから、簡単に言いますと、住宅だけではなくて店舗も、店舗が全壊している人たちについてもこれは基本的に考えていかなければいけないのじゃないかというふうにお話をしたわけでございます。  残念ながら、去年は、それは特別融資でとかいろいろな説明でならなかったのです。しかし、今回の水害の被害でも明らかなように、要するに、お父さんとお母さんでやっているパパママストアみたいなところが大変な水を受けて、在庫商品がつぶれてとか店自体がつぶれてみたいな話になって、とても融資を受けて何かやっていこうというような基盤のあるところではないのですね、被災者の多くは。  ですから、そういったところは、店舗というものを今後罹災証明の対象に考えながら拡充していく必要があるのではないかというふうに私は思っておりますが、この点について、御感想で結構ですけれども、お願いします。
  59. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 そのことも含めて、いずれにしましてもまた見直しが起こってくるわけですから、そのときにはぜひ先生のそういう御主張等とも、私も記憶をしておきまして、また委員間で大いに論議をしていただきたいと思います。
  60. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 それで、ちょっとこれは後でまた説明をすればいいのですが、あの被災者支援法案の支給対象も、年齢とか所得で区切っているものですから、ちょっときょうは時間が限られていますのであれなのですが、要するに、年収七百万から八百万円ある世帯主が六十五歳以上の世帯は支給対象になっていて、一方では、年収が五百万から七百万の世帯主が四十五歳以下の世帯は対象になっていない、こういうちょっとややこしい話なのですね。  それは、私たちから考えると、六十五歳以上の世帯主というと、もう子供は独立して奥さんと二人で、夫婦で生活している。六十五歳以上というと、定年退職なんだけれども、定年してもなおかつ八百万円の収入がある人に対して支給される。片や、四十五歳以下というと、大体子供は学校に行かせている、しかし年収は五百万前後だ、こういう人たちには支給されない。こういう不合理というのは、この法律にかなり出てきているのですね。  ですから、こういったものも具体的に御検討の中に入れていただきたいということを、時間も来ましたので、御要望させていただきたいと思います。  最後に、先ほど大臣の御答弁をいただきましたが、この法律の附則の第二条で、「住宅再建支援の在り方については、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」ということで、研究会が発足されたということです。学識経験者の研究会ということで、今月から立ち上がるというお話を伺っておるのです。  どうか、漫然として時間をかけてやるのではなくて、この中でも大臣みずから座長になるぐらいの勢いで、政治家のリーダーシップでしっかりしたものをつくっていただきたい。あのときの念頭では、どうも共済保険制度みたいなものを実現してもらいたいということでこの一項目が附則に入れられた経緯もあったと思いますので、大変難しい問題ではありますが、やはり学識経験者に任せて、ここで出てきたものについて一年半後に議論するというような話ではなくて、大震災はいつあるかわかりませんし、風水害は毎年あるわけでございますので、ぜひ政治家として、大臣として、この検討委員会ですか研究会のリーダーシップをとっていただきたいということについての御決意を伺わせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  61. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、本当にすばらしいといいましょうか、問題点を的確に御指摘していただいたと思うわけでございまして、先ほどの生業の方々に対する問題、それから年齢制限がございますが、おっしゃいますように、五百万円超七百万までの四十五歳以下の方の適用がない、これも私もそう思います。しかし、急ぎつくった法案ですから、つくってみて後からそういういろいろな問題点が出てきておる、その中がこの年齢制限、所得制限のことでもありましょうし、あるいは住宅自体の再建の問題も、ですから、次の機会にはこの法律改正に向かってお互い努力をしたいと思っております。
  62. 赤羽一嘉

    赤羽分科員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  63. 北村直人

    北村主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。  次に、大口善徳君。
  64. 大口善徳

    大口分科員 公明党・改革クラブを代表しまして、質問をさせていただきます。  大臣には、昨年、静岡県の地図をお見せいたしまして、建設省所管の課題についていろいろ御要望もさせていただきました。昨年は、八月、九月の集中豪雨あるいは九月、十月の台風等、私のところも中山間地を抱えておりますので、そういうことがありますと、すぐさま現場に行ったりして、そして心配なところを点検して歩いたりしております。  そういう状況の中で、やはり治水事業というのは、国土の保全と開発を図り、国民生活の安定と向上に資するものである、非常に重要な事業である、こういうように認識しておるわけです。治水事業七カ年計画基本方針で、「阪神・淡路大震災等の教訓をいかした安全な社会基盤の形成」とあります。そういうことからいきますと、昨年、計画水位を超過した水系が五系、それから、警戒水位を超えた一級水系は全国百六水系のうち九十六水系あったわけですね。そして、全国で家屋の浸水、流失、道路、鉄道等の交通機関の麻痺等、甚大な被害が発生し、各地で避難勧告が発せられるなど、住民の生活に深刻な影響を及ぼしたわけであります。  そういうことで、より一層治水事業の充実、発展に取り組み国民生活の安定、安全、そして向上が重要と考えられますが、大臣の御決意と取り組みについてお答え願いたいと思います。
  65. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のように、昨年は大変水害が多発したわけでございまして、本当に治水事業の重要性というものを改めて認識しておるところでございます。  そういう中にありまして、昨年の私と大蔵大臣との最終の予算折衝で、河川災害復旧等関連緊急事業というものを新しく創設したのでございます。そういう水害の発生したところは、今まではどうしても予算の関係で上流の復旧というものも十分できなかったわけでございますが、上流、下流、両方を同時に行うというような、こういう新しい事業も創設したわけでございます。災害対策を集中的、また機動的に行えるような制度もつくりましたので、この治水対策というものは、今後とも強力に建設省挙げて進めていくつもりでございます。
  66. 大口善徳

    大口分科員 そこで、具体的に質問してまいりたいと思います。  一級河川安倍川の治水、河川改修事業につきましては、静岡河川工事事務所を初め関係者の努力によりまして年々整備が進められており、地域住民も、また我々も、その努力を評価いたしております。  安倍川左岸の郷島地区の改修について、これは直轄河川防御対象はんらん区域に指定されており、過去において同地区内での堤防決壊回数は十二回で、安倍川流域では最多の地区一つでございます。この郷島地区を通過する県道井川湖御幸線は、安倍川の河床と県道との段差が少ないため、安倍川が増水したときに、あふれ出た水が県道を越えて旧道にまで達するので、地域住民にとっては非常に不安な状況であるわけです。郷島地区整備において、私も、平成八年から三年間連続して、地域の代表の方々とこれにつきまして要望しているわけでございます。昨年十二月には、大臣にも要望させていただきました。この一級河川安倍川左岸郷島地区の改修方針についていかがでございましょうか。
  67. 青山俊樹

    ○青山政府委員 安倍川の郷島地区状況についてお答え申し上げたいと思います。  先生非常によく御存じのとおり、安倍川は大変な急流河川でございまして、上流部には、大谷崩れという日本三大崩れの一つとも呼ばれるような崩れがございまして、上流からの土砂生産も非常に盛んでございますし、川は急激に海まで下るという急流河川でございます。今お話ございました郷島地区につきましても、昭和五十七年、五十八年、平成三年というふうな年に災害が発生いたしておりますし、また、護岸と申しますか、川岸を守る施設についても、ブロックが沈下したりという状況もあるわけでございます。  特に河口から二十キロ付近の状況でございますが、今お話ございましたように、非常に高さの低い小さな堤防、もしくは堤防のない状態ということでございまして、いろいろな被害を受けておりますが、その被害の受け方、いわゆる被災実態等を十分踏まえまして、また、急流であるという河川の特性も踏まえた改修方法につきまして、平成十一年度より精力的に検討してまいりたい、かように考えております。
  68. 大口善徳

    大口分科員 今、具体的な年度、平成十一年度ということでお伺いいたしました。しっかり取り組んでいただきたい、こう思っております。  また、安倍川は、今局長もおっしゃったように、源流から海までそういう急流の川であって、ただ、これは静岡市一市でおさまっている川でございます。昭和四十一年に建設省の直轄になってから、一部を除いて砂利採取は禁止されております。昨年、大雨を伴った台風が通過するたびに、住民が洪水に対する不安感を抱き、私も現地を台風通過のときに視察をして、車で行ったんですけれども、ちょっと往生した覚えがございます。  これは、近年、安倍川の中下流の河床が高くなっているということが要因として考えられます。四十一年当時に比べて数十センチから約一メートル河床が上昇している地域、これが目立っておって、市民も身をもって不安に思っている。その不安を取り除く必要があると感じまして、昨年の暮れにこの安倍川の河床の上昇対策について要望したわけです。  そして、この一月、報道でもありましたように、「安倍川の砂利採取再開 河床上昇で三十一年ぶり」ということで報道があって、そしてその場合、採取したものについて海岸の保全に活用していく、こういう見出しもあったわけでございます。  砂利の採取の再開によって河床の上昇がとまって浸水不安がなくなるということについて、高く評価をしたいと思うんですが、一方、地元からは、清水海岸の侵食は安倍川の砂利採取により安倍川からの供給がなくなったからだ、こう言われておって、採取が三十一年規制されておった、その清水海岸においてようやく土砂の漂着が見られるようになって、砂浜がよみがえることに今大きな期待を持っている、こういう住民に逆に今そういう不安が出ているという部分もございます。  そういう点で、この一級河川安倍川で採取した砂利は、海岸保全の養浜材として使用すべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、その基本方針についてお伺いしたいと思います。
  69. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、安倍川は非常に土砂生産の盛んな大谷崩れ等を源流部に抱えている川でございまして、ほっておけば河床上昇をするタイプの川であろうと思っております。  ただ、特に昭和三十年代でございましょうか、河川砂利の採取を急激に行いまして、河床も急激に下がったわけでございます。その影響が、川の流下能力の面からはプラスには働くわけでございますが、橋梁の根が出てしまったり、今おっしゃったように海岸侵食がある程度時差を持って出てくるということで、砂利採取を昭和四十三年度から、特に機械掘削によるものは禁止してきておるところでございます。  また近年は、先生指摘のとおり、平均的にまた上がってきたわけでございますが、これを即、砂利採取に使いますと、今度は海岸侵食の問題が時間差を持って起こってくるという問題もございますので、掘削した場合の土砂につきましては海岸の養浜材に活用するということを原則としてまいりたい、先生指摘のとおり、その方向で進めたい、かように考えております。
  70. 大口善徳

    大口分科員 前向きな答弁であったと思います。よろしくお願いします。  次に、スポーツ広場等、河川敷の活用が進んでおります。より親しみやすい河川空間にするために利用者などのニーズを把握しておくことが非常に大事だ、こう思っています。水道の設置をしてほしいとか、きれいなトイレの設置をしてほしい、あるいはスポーツ道具の保管場所を設置してほしい、夜間照明が欲しい、駐車場の整備をしてほしい、地域の要望がございます。これは大いに利用していただくということでありがたいことですね。こういうことに対してやはりこたえていかなきゃいけない、こう思っておるわけです。  静岡の河川工事事務所は、安倍川とかあるいは大井川流域の住民に対して大規模なアンケート調査を実施していただいておりまして、地域意見を反映させる仕組みとして、私もこれは高く評価したいと思っております。  ただ、さらにこれを一歩進めて、地域住民、利用者のニーズが円滑に反映されるように、関係者が一体となって協議をする場を設けて、継続的に地域住民、利用者のニーズを吸い上げていく、対話によってそれを吸い上げていくということが非常に重要だ、こう考えております。これにつきまして、大臣の御答弁をお願いします。
  71. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 きのうの分科会でも出ておりましたが、河川に対します子供の、もっと親しみやすいような場所をつくる、またそういう教育指導をすべきではないかというお話もございましたが、私も全くそのとおりだと思います。  そういう観点からも、河川空間を、地元方々と十分に話し合いを行いまして、楽しい場所として、レクリエーションであるとかあるいはまた公園的な感覚ででももっと利用できないかというようなことは努力していくつもりでございます。
  72. 大口善徳

    大口分科員 そういう協議の場というのですかね、そういうものをつくるような形でぜひとも大臣の方から推進をお願いをしていただきたい、こういうふうに思っております。  次に、道路整備についてお伺いをしたいと思います。  一般国道三百六十二号線は、静岡市と榛原郡の本川根、中川根、川根三町を結ぶ重要な幹線でございます。この中山間地の発展と生活を支えるための道路整備が必要である、ところが交通隘路箇所が多くて生活に支障を生じている、危険でもある、そういうことで緊急性の高い区間から早急に整備をすべきである、こういうふうに考えております。例えば静岡市の山崎と羽鳥の地区、それから八幡地区、あるいは久能尾—蛇塚地区などでございます。  そこで、この一般国道三百六十二号線における交通隘路箇所の早期の整備への取り組み見通しについてお答え願いたいと思います。
  73. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 国道三百六十二号、静岡市の中心部に近いところでは大変交通量も多く交通渋滞が著しい、一方、中山間地域では交通量は少ないけれども未改良区間がまだまだ残っているというようなことで、さまざまな課題を抱えているというふうに思っております。  そういう中で、未改良区間が連続します大原—谷津区間で、現在、国の補助事業で拡幅事業を実施しているところであります。また、御指摘のありました渋滞の著しい山崎—羽鳥地区につきましては、四車線拡幅のための都市計画決定手続を現在県の方で進めていただいております。また、未改良区間となっております市境付近の八幡地区でありますとか久能尾—蛇塚区間について、これも県管理の国道でございますので、静岡県においてルート調査等を進めているというふうに聞いております。  これらの調査や諸手続の進捗状況を踏まえまして、また県と御相談しながら整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 大口善徳

    大口分科員 さらに、一般国道百五十号線の清水バイパス、これは清水市と静岡市を結ぶ広域幹線道路として、また地域活性化等に大きく寄与するものとされておりまして、早期の全面開通が強く望まれております。観光バスが来るわけですけれども、渋滞で大変なところなんですね。だから、その渋滞で次に来るのはよそうかなというようなことになってしまうことを、非常に我々地元としても危惧しておるわけでございます。  そういうことで、一般国道百五十号線の清水バイパスの整備状況と、特に事業計画に熱い期待を持っている駒越地区の二期区間ですね、それの見通しについてお伺いしたいと思います。
  75. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 百五十号の清水バイパス、今先生指摘のように大変交通渋滞等問題があるところでございまして、六年度から事業着手しております。  九年度に起点側の駒越の現道拡幅部分を一部供用しておりますが、バイパスになるところを一期、二期ということで進めてまいりました。一期の方は十年度内に用地買収を完了するというような状況でございますが、二期区間について、十年度、今年度から用地買収に着手しました。  もともとは一期、二期、一期の方から供用していこうというような考えで進めておりましたけれども、現道とのアクセス等の問題もありましてなかなか、一期、二期同時に供用するように変えて事業を進めようという方針を立てまして、そういうようなことで引き続き二期の用地買収の促進を図って一期、二期同時に供用できるように、今そういうようなことで、順調に進めば十五年ごろ供用できるのではないかということで、県の方で進めていただいております。
  76. 大口善徳

    大口分科員 さらに、主要地方道南アルプス公園線は、山間地の産業経済の発展、それから観光、また生活の基幹であり、欠くことのできない重要な道路であるわけです。この道路について道路整備が非常に必要である。ところが、またここも交通の隘路箇所が多くて、さまざまな面で支障が生じております。これも緊急性の高い区間から早急に整備をする必要がある、こう考えます。例えば鍵穴—小島地区、それから赤沢地区、坂の上地区、湯の島地区等でございます。  主要地方道南アルプス公園線における交通隘路箇所の早期の整備への取り組み見通しについてお伺いしたいと思います。
  77. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 主要地方道の南アルプス公園線、大変自然豊かで観光客、登山客が利用するということで、地域振興上重要な路線だということでありますが、急峻な山間地を通っているというようなことで、改良率が七四%の状況です。  今先生指摘のようにいろいろなところで隘路箇所がありますが、現在、日向地区で国庫補助事業整備を進めておりますし、先ほど御指摘のありました各地区で、静岡県が単独事業整備を進めておられます。そういう隘路箇所の整備につきましては、静岡県からの御要望も踏まえながら、これからまた建設省としても対応してまいりたいと思っております。
  78. 大口善徳

    大口分科員 さらに、同じ主要地方道、南アルプス公園線の横沢字キョウツカ地区内の道路は、笠張峠から井川につながる道路で非常にここも重要であると思うのですが、現在、災害によって道路から約六十メートル下が動いておって、大変危険な状態で通行不可能でございます。一日も早く通行できることを地元も望んでおりまして、この早期復旧への見通しについてお伺いしたいと思います。
  79. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今御指摘のあった横沢地区道路災害につきましては、平成十年、昨年の四月十二日から十五日にかけての豪雨によって被災したわけでございますが、八月三十一日に現地査定を行い、災害復旧事業として確定したところでございます。  さらに、その後の大雨で被災箇所の地すべりによる地盤変動が顕著になりましたので、九月二十一日から自動車等の通行を規制する等の措置をしているところでございますが、現在、静岡県におきまして実施に向けた精査及び一部構造等の再検討を行っているところでございまして、引き続き、被災箇所の安全を確認しながら早期復旧に向けて、平成十一年度中、できれば十二年三月までに完了する予定でございます。
  80. 大口善徳

    大口分科員 早急な復旧を要望したいと思います。  次に、市道水道町平和町線の井宮の陸閘があります。これは、井宮の小学校がすぐ近くにあって、通学や歩行者等の安全対策が必要です。そういう場合、例えば道路管理者が歩道等の設置をする場合、この陸閘は河川局の管理なんですね。そういう点で改善策について検討した場合、河川管理者としての対応はいかがでございましょう。
  81. 青山俊樹

    ○青山政府委員 安倍川につきましては、非常に急流な河川でございますので、二線堤防と我々呼んでおりますが、川と直角に堤防があるわけでございます。それを、道路交通上はその堤防を割って陸閘というものをつくって、部分的に低くなって、いざはんらんのときにはゲートを閉めるというふうな状況になっておるわけでございまして、安倍川本川のはんらん時の被害を最小限に抑える機能を持つ、危機管理対策上非常に重要な施設だと認識しております。  この陸閘は現在も機能しておりまして、河川管理者として改築する予定はございませんが、道路の安全性等の観点で、道路管理者サイドにおかれまして陸閘の改築の必要性が強いというふうなことでございますれば、その改築に向けて前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
  82. 大口善徳

    大口分科員 小学校がすぐ近くにあって、子供たちが狭いところを通学するものですから、非常に危ないという状況がございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それから、砂防事業につきまして、静岡市の口坂本地区一帯は、静岡—糸魚川構造線などの影響を受け、地形、地質は複雑で、崩壊や地すべりが現在発生しております。この付近の山地は大量の土砂が堆積しており、さらに道路の路面に亀裂が見られ、しかもこれが拡大のおそれがある。地域住民の人命、財産を守ること、森林保全のために本格的に取り組み、そして安心して暮らせるような状態に一日も早くしていくべきである、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。
  83. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話ございましたように、口坂本地区につきましては、昭和六十三年に大規模な地すべりが発生して以来、昨年もたびたび大量の土砂が下流に出てきておるわけでございまして、これに対しまして、砂防及び地すべりの災害関連緊急事業及び砂防事業、地すべり対策事業によりまして、地域の安全確保に努めているところでございます。  また、命が非常に大切でございますので、地域住民の安全確保に万全を期するために、警戒避難体制の強化策といたしまして、雨量計や土石流センサーの設置など観測機器の配備等に努めておるところでございます。平成十年の四月にも約八万立方メートルの大規模な崩壊が発生したわけでございますが、土石流センサー等で土石流を検知しまして、住民の方々が自主避難をしていただいて、幸いにも人命の被害はなかったというような状況でございます。  今後も、引き続きまして事業を鋭意進めてまいりたい、また避難にも万全を期してまいりたい、かように考えております。
  84. 大口善徳

    大口分科員 私もそういうことのたびに現場に行っておりまして、非常に大規模な工事でございますけれども、推進をよろしくお願いしたいと思います。  次に、これは国土庁長官としてお伺いをしたいと思っておりますが、地域戦略プラン、これは、地域がみずからテーマを選んで、向こう五年間を視野に置いて主体的に、活力とゆとり、潤い空間を創造するため地域が作成したプランに対して、国が最大限の支援を行う、こういうことがパンフレットに書いてあります。  これがどう機能をしていくのか非常に私は注目をしているわけなんですが、この地域戦略プラン、昨年の十月から地元説明等をされて、ことしの一月末にプランの骨子を出すようにということで、地元としましても絶えず地域の戦略ということは考えているわけですから、出しなさいと言ったら、さあでは出しましょう、こういう形で運んでおられるという状況だとは思うんです。こういう地域戦略プランというものを、このアイデアを作成することには、メリットといいますか、こういうメリットがあるんだということを御答弁願いたいと思います。
  85. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生御承知のように、この一月の末までに市町村より、もうその骨子の提出をしていただきました。三月末を一応のめどにいたしましてまとめるようにしておるわけでございますが、地域方々の大変なる期待が大きくて、正直に御報告を申し上げまして、当初の計画は四百カ所、そして、平均いたしまして一地域当たりの事業規模は約百億円と想定をしておったわけでございますが、今申し出のある金額を言いますと、もう何十倍にもなっておるわけでございます。これを集約といいましょうか、その枠内におさめていかなければならないということで、逆に言えばうれしい悲鳴を上げておるところが正直のところでございます。  そしてこれは、先生指摘の、メリットは何かといいますと、確かに地方分権の時代である、地方のことは地方の方が一番よく御存じである、そういう地域が連携をとりまして、その地域の発展のいろいろなプランを出していただくということでございますから、今国を挙げてやっております地方分権の方向、その一角としてまた地域の発展に直結するものでございますから、大変時宜に合ったものだろうと思っております。  そして、予算も国庫補助事業の重点予算配分を行うということでございまして、推進費で二千五十億円ございますが、それも活用いたしまして、地方期待に十分こたえるべく頑張っていきたいと思っております。
  86. 大口善徳

    大口分科員 最後に、静岡市を初め四百七十六地域から一月末にプランの骨子が提出されていると聞いております。今後の認定の見通しについてお伺いをしたいと思います。  静岡市の場合でいえば、ゆとりと潤いのある住空間づくりをテーマに「しずおか住みごこちボリュームアップ作戦」のプラン名で出しておるわけでございます。
  87. 小林勇造

    ○小林(勇)政府委員 今後のスケジュールでございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、スケジュールについて弾力的に考えていきたいということでございます。  提出されたプラン、御指摘のように今四百七十六提出されてございますが、この数につきましては、地域が主体的に連携する圏域を決定した結果であるということでございまして、私ども、原則としてこれをできるだけ尊重していきたいというふうに考えています。  いずれにいたしましても、今後とも、関係各省庁及び地方公共団体の連携協力のもと趣旨に沿ったプランづくりができるよう、国として最大限の努力をしたいというふうに考えております。
  88. 大口善徳

    大口分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  89. 北村直人

    北村主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。  次に、石井啓一君。
  90. 石井啓一

    石井(啓)分科員 公明党の石井啓一でございます。  きょうは、茨城県内の建設事業につきましてお伺いをしたいと思います。  まず、那珂川でございますけれども、昨年、この那珂川の上流の栃木県の那須地域に大変な大雨が降りまして、その下流部の茨城県内で大変な浸水、出水があったわけでございます。昨年は大変な出水だったんですが、どうも昨年のみならず、昭和三十六年の六月あるいは昭和五十七年の九月、昭和六十一年の八月と、たびたび浸水が発生をしておりまして、大変な状況でございます。特に昨年は、テレビでも放映等されまして、全国的に大変な反響を招いたわけでございます。  そこで、まず大臣お尋ねいたしたいのは、昨年の出水を踏まえまして、那珂川の今後の整備方針についてお伺いをいたしたいと存じます。
  91. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 那珂川につきましては、昨年八月の出水によりまして、水戸市を中心として浸水の被害が発生したわけでございまして、改めまして被災者の方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。  その後、建設省といたしましては、またこういうような繰り返しのないようにということで、水戸市中心部においては、平成十二年度完了を目途に築堤整備を進めておりますし、下流部の湊大橋付近までについては今後四年程度で完了をする、今そういうようなことで災害復旧に努めておるところでございます。
  92. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひこれは全力でお願いしたいと思います。  昨年の秋に、この那珂川の出水を踏まえまして、私どもの茨城県本部の方から大臣あてに陳情をさせていただきました。簡単に読み上げさせていただきますと、「那珂川築堤の早期完成等を求める陳情書」ということで、   八月末に福島県・栃木県を襲った集中豪雨は、那珂川流域に多大なる被害をもたらしました。水戸市は、昭和六十一年の那珂川氾濫による大水害よりわずか十二年、二度目の大きな被害を受ける結果となりました。   さいわい、那珂川右岸の根本地区は、激甚災害特別事業の指定を受け、築堤が完成したため、被害を避けることができました。しかし、那珂川左岸の岩根・藤井地区、青柳・水府地区より河口までの未築堤区間と、支流河川の合流地点からの逆流により、床上浸水、農作物、道路公共施設などへの大きな被害となりました。水害にあった住民と救援者の心労は、図りきれないものがあります。那珂川は、県都・水戸を流れる一級河川であり、一度氾濫すれば大きな被害を被る実情をご理解の上、今回の災害を激甚災害対策特別事業に指定された上で、左記について、早期完成等を強く要望いたします。 それが二点ございまして、一点が「那珂川流域左岸、岩根・藤井地区、青柳・水府地区より河口までの未築堤区間の築堤早期完成」、もう一点が「那珂川への支流河川合流地点への水門の早期設置」、こういう陳情、要請をさせていただきましたが、その後の建設省取り組み状況について確認をさせていただきたいと思います。
  93. 青山俊樹

    ○青山政府委員 ただいまの石井先生の御質問の中で、水戸市の中心部、それからその下流部の湊大橋付近までについては大臣の御答弁があったとおりでございまして、中心部については十二年度完了目途、さらに湊大橋付近までについては今後四年程度で完了するということでございます。  また、支川への逆流防止のための水門等につきましても、西田川水門につきましては平成十一年度完了を目途といたしております。  そういった形で早急に河川整備を進めてまいりたいと思っております。
  94. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ちょっと一点確認をしておきたいことがございます。といいますのは、この陳情の中でも激特事業の指定を要望しているわけでございますが、これが何か基準に当てはまらないということで、指定されない。指定されないということで、何か地元の方の感情からしますと、そんなに建設省は重要に思っていないんじゃないかというような、あえて言えば誤解をされている向きもあると私は思いますので、そういう点はないんだ、たまたま激特事業にはいろいろな基準があって、指定はされないかもしれないけれども建設省としてはこれはもう最重点に取り組んでやっているんだ、この点を私はぜひ確認をしたいと思いますので、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  95. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先ほど先生がお読みいただいた陳情書を私もいまだに鮮明に覚えておるわけでございますが、今回の那珂川の激特事業の採択は、もちろん先生御承知のように、いろいろな条件がございまして、それに当てはまらなかったもので指定はされていないわけでございますが、そのことが、整備に力が入っていないとか、そういうようなことでは一切ありません。鋭意、極力早くこの整備を終わるように、水門の問題とか築堤の問題、整備を進めてまいります。
  96. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  ちなみに、昨年の被害の実態をちょっと数字を挙げてみますと、下流部の水府橋では計画高水位を二回にわたって上回った、非常に高い水位になったということでございますし、また、その被害は、直轄区間でいくと浸水面積が一千七百三十ヘクタール、床上浸水が四百三十六戸、床下浸水が五百七十五戸、計一千十一戸にも及んでおりますので、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。  それから、今の御説明によりますと、水戸市中心部では平成十二年度を目途に築堤の完了をする、こういうお話でございます。早急にやっていただいていると思いますが、平成十二年度というのは再来年度でございますから、十二年度ということは十三年の三月末まで、長くいえばそういうことにもなろうかと思いますので、ことしの出水期、また来年の出水期もございますけれども、二年続けて大きな雨が来るということは想像したくはありませんけれども、これも自然現象でございますので、何十年に一遍というのが二年続けて起こらないとも、それは限りません。そういったこともございまして、ことしの出水期に対する暫定対策といいますか、それがどうなっているのか。その点、ぜひ地元の皆さんの不安を解消するという意味でも確認をしておきたいと思います。
  97. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先生指摘のとおり、二年続けて水害が起こった河川というのは過去にもたくさん例があるわけでございまして、例えば新潟の加治川、また、長良川なんかは非常に連続して大水害が起こったという実績もあるわけでございます。私どももその辺非常に深く憂慮しております。  水戸市街地の左岸につきましては、まだ用地が完全には終わっていないわけでございます。戸数にして七戸、面積にして三・五ヘクタールの土地が未買収で残っているわけでございます。このようなところが未買収のために、無堤部の部分が若干出水期前に残るというのは事実でございますが、それは、そのすぐわきに土のう等を備蓄しておきまして、川の水位が上がってきますれば、緊急時にはその未買収の土地の上でも土のうを積ませていただく、水防活動として土のうを積ませていただくという緊急対応措置を講じたい、かように考えております。
  98. 石井啓一

    石井(啓)分科員 よろしくお願いします。ことしの出水期または来年の出水期も、非常に緊張感を持ってぜひ現場の事務所では御対応をいただきたいと思います。  ところで、築堤が進むあるいは支流に水門を設置するということになりますと、今度は逆に、内水はんらんというのが心配といいますか、そういうのが起こるわけでございます。本来であれば、支流と本川との合流部に排水機場を設置できればそれにこしたことはないわけでございますけれども、なかなかそれも早期には難しいでございましょうから、今聞くところによりますと、建設省でもポンプ車の配置を積極的に行っていらっしゃると。関東地建では現在五台あるんでしょうか、それが昨年の三次補正では四台追加された、こういうことも伺っておりまして、今その配備計画をなさっている、こういうことと伺っております。  このポンプ車は、特に昨年陳情にお伺いしたときそういうお話地元の方は聞いておりまして、期待も大きい、こういうこともございます。この那珂川だけ重点的に配置しろということは大変エゴになるかもしれません、どこの河川で洪水が起こるかわかりませんので。ただし、やはり近年に至ってしばしば出水の被害を受けているところでございますので、こういったポンプ車の機動的出動をぜひこの那珂川については積極的に行っていただきたい、このように申し上げたいと思います。  ぜひ前向きの御回答をいただきたいと思います。
  99. 青山俊樹

    ○青山政府委員 昨年の出水時におきましても、ポンプ車による排水が非常に効果があったというふうな評価をいただいているわけでございます。そういったことも踏まえまして、今お話ございましたように、全国的に三次補正でポンプ車の増強を図ったところでございます。  また、これはポンプ車という性格上、川の出水状況、また内水はんらん情報をなるべく早く的確に把握して、機動的に道路を使って移動させて、一番被害の大きい地区に集中的に出動させるというふうな体制が必要だと思いますので、そういった運用及び体制についても十分整えていきたい、かように考えております。
  100. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから、那珂川についてもう一つ。  水郡線というJRの鉄道の橋梁がございます。水戸と郡山を結ぶということで水郡線ということでございますけれども、この橋梁が大変ネックになっておると。特に、今後この那珂川の築堤が進みますと、築堤ができますと当然高水敷、低水敷とできるわけですが、その高水敷部分にこの水郡線の橋梁の盛り土がある。今、堤防はないためにそれが目立たないんですけれども、堤防ができるとその堤外に水郡線の盛り土が残るという状況がございまして、ですから、今の水郡線の橋梁というのは非常に河川を渡河している部分が短いんですね。ですから、ここを、本格的に那珂川を改修しようとしますと、この水郡線の橋梁が非常にネックになりまして、ある意味で、そこが基点になって堰上げをしていくということになりかねないわけですね。特に、堤防ができれば余計そういうことになるわけです。  したがって、この水郡線橋梁のかけかえというのが洪水の阻害をさせないために大変重要なポイントになってくるわけでございまして、このかけかえについてぜひこれも早期にやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、この状況についてはいかがでございましょうか。
  101. 青山俊樹

    ○青山政府委員 JR水郡線の橋梁がネックになるという先生の御指摘は、そのとおり私どもも認識いたしておるところでございまして、かけかえが必要だと思っております。  このかけかえの問題につきましては、現在JR東日本と協議を進めておるところでございますが、治水安全度を早期に向上させるために早期着工を目指してまいりたい、かように考えております。
  102. 石井啓一

    石井(啓)分科員 JRとの協議ということであります。相手のあることではございますけれども、やはり住民の生命財産にかかわることでございますので、ぜひ精力的に行っていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。  それでは、今度は日立バイパスの方の話に移らせていただきますが、御承知かと思いますけれども、この茨城県の日立市といいますのは、東側に太平洋、西側に阿武隈山脈の南端部分、海と山とに囲まれて南北に市街地が広がっている。神戸をイメージしていただくと、神戸は六甲山地と瀬戸内海とに挟まれて東西に市街地が広がっているわけでありますが、あれを南北にしたような市街地の広がりでございまして、その狭い山と海に挟まれた平地部に、市街地と日立製作所という大規模な工場がここに集中をしている。  そういう状況の中で、この日立市の市内の内内交通といいますか域内交通、あるいはこの市街を通過する交通というのが、国道六号あるいは国道二百四十五号ということに集中をしておりまして、大変な渋滞の原因になっている。生活道路とそれから長距離の通過交通とが混在するような状況もございまして、大変な渋滞の原因となっております。  そこで、この国道六号の日立バイパスということで、都市計画決定が十・四キロ、そのうち事業区間四・七キロ、こういうことで進めていただいているわけでございます。五十二年度に事業化をしていただいて、今まで用地買収、あるいは、これが海岸部にできるということで、地元漁協との漁業補償の交渉等ということで時間がかかったというふうに伺っておりますけれども、やはり地元の皆さんからすると、事業化したけれどもなかなか目に見えてでき上がってこないものですから、一体この日立バイパスってどうなってしまっているんだろう、こういう声も上がっております。ぜひ早期完成について御努力をいただきたいと思うわけでございますが、現在の整備状況と今後の見通しについてお伺いをいたしたいと存じます。
  103. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 日立バイパス、十・四キロのうち四・七キロ事業中ということで、先生指摘のとおりでございます。海上部漁業補償、埋め立ての免許手続等がございまして、なかなか進んでいなかったところでございますが、平成八年度から工事に着手しておりまして、今年度は、途中の本宮区間までを一期区間というようなことで精力的に整備を進めておりまして、一次補正等も、当初予算以上のお金をつぎ込んで工事を促進している状況でございます。そういうようなことで、十二年度供用を目標にその区間はしている。  残った区間、これは海岸部で大変お金がかかるところでございますが、こちらの方は、先般の三次補正でもまた非常に事業費をつぎ込むことができました。海岸部の緩傾斜護岸工事等を進めるようにし、できるだけ早く供用を図っていきたいというふうに思っております。  そういうようなことで、工事が大分進んでまいりますので、目に見えるようになってくるのではないかというふうに思います。  また、まだ事業化していない区間の方につきましても、差し当たり、今事業化している四・七キロの事業の進捗を見ながら、あわせてさらに進めていきたいというふうに考えております。
  104. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  それで、ここは、今お伺いしましたように、用地の手当てあるいは漁業補償の手当ても一応済んでいるようでございますので、あとは工事ということになりますと、当然、工事の段取りということもございますが、ここに事業費を投入していただくと効果が極めてすぐ上がるというところでございますので、今の緊急的な経済状況を考えますと、そういう極めて効果の高いところに重点的にぜひ事業費を投入していただくのが結構なんじゃないかな、このように思いますので、特段の御配慮を、また平成十二年度に向けましてもよろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、ちょっと確認をしておきたいのですけれども、確認といいますか私の意見を申し上げたいと思うのですけれども、残る未事業化、都市計画決定をしておいて事業化していない区間が約五・七キロあるわけでございます。これについては、考え方として、今局長がおっしゃったように、事業区間進捗状況を見ながら、これはさらに順次おやりいただく、こういうことかと思いますけれども、これは、今事業化している区間が終わってからやおらという形ではなくて、といいますのは、事業化しますと、当然また地元との交渉等々がありますので、本格的な工事着手には相当の期間がかかるわけでございますから、今事業化している区間が終わってから事業化ということではなくて、事業区間工事の最盛期にある段階で、次の、事業化していない区間についても早期に事業化していただいて、地元への協議等の準備をしていただくということで、この点についてはぜひお願いをしておきたいと思います。  それから、ちょっと話題を変えまして、茨城県に百里飛行場というのが実はございます。これは、運輸省さんあるいは防衛庁さんの話になるわけでありますが、この百里飛行場というのは、現在、航空自衛隊の基地になっているわけでございますけれども、第七次の空港整備五カ年計画の中では、百里飛行場の民間との共用化について、「引き続き関係者と調整を行うこととし、結論を得た上で所要の整備を図る」、こういう閣議決定がなされている、このように承知をしております。また、昨年の三月には、運輸省、防衛庁、茨城県の三者で、主に民航、民間航空機、航空会社が使用する新たな滑走路を、現滑走路の西側二百十メートルの位置に設置することを基本的な検討の方向とする、こういうことで三者の間で確認をされた、こういうふうなことも伺っております。  そこで、この百里飛行場の民間との共用について、これをぜひ早期にやっていただきたい、このように思います。運輸省、防衛庁の見解を伺いたいと思います。
  105. 石山范

    ○石山説明員 御説明を申し上げます。  ただいま先生が御指摘がありましたように、百里飛行場の民間共用化につきましては、私ども、茨城県を中心とする航空需要に対応するために必要であるという認識を持っております。  それで、七次空港整備五カ年計画におきまして、「関係者と調整を行うこととし、結論を得た上で所要の整備を図る」という検討に基づきまして、私ども運輸省、防衛庁それから茨城県との間で調整を進めておるところでございます。  それで、先ほど先生が御指摘されましたような方向で昨年の三月に合意を得たところでございますので、引き続きまして、残された課題につきまして鋭意関係者で調整を進め、事業化に向けての検討を進めているという状況でございます。
  106. 宮崎信敏

    ○宮崎説明員 御説明いたします。  自衛隊の飛行場につきましては、それぞれその利用に高い需要を有しておりますので専用で使用できることが望ましいと考えておりますが、他方、航空行政上の観点からの必要性というのもございますので、防衛庁といたしましては、自衛隊の飛行場の民間との共用化については、地元の需要が高く、航空行政上の観点から必要なものと位置づけられる場合には、基地の安定的な使用等の観点を踏まえて、防衛上の任務を十分配慮しつつ検討することとしております。  百里飛行場につきましては、先生指摘のように、昨年の三月に防衛庁、運輸省、茨城県との間で合意を得たところでございまして、防衛庁といたしましては、この合意を踏まえて、百里飛行場の民間共用化に係る検討課題について検討を行ってきたところでございますが、引き続き、鋭意検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  107. 石井啓一

    石井(啓)分科員 しばしばこの検討という言葉は、役所言葉ではなかなか進まないということにもなるかもしれませんので、これは、前に向かっての、実際に実現する方向でぜひやっていただきたいと思うのでございます。ある意味で、自衛隊が地元に愛される自衛隊になるためにも、ぜひ民間と一緒にやることが望ましいのではないかと思いますし、この百里基地は戦闘機の飛行場でございますが、実際に石川県の小松空港でももう既に共用をしている、そういう実績もございますし、また、地元の要請も非常にございます。したがって、ぜひ前向きにお願いをいたしたいと思います。  それでは、時間でございますので最後の質問になろうかと思いますが、北関東自動車道でございますけれども、これが、東側は常陸那珂港から茨城県内を抜けて東北道、さらには関越道までつながる、関東北部の大変重要な高速道でございます。この北関東自動車道の茨城県内整備状況につきましてお伺いをしたいと思います。
  108. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 常陸那珂港と茨城、栃木、群馬三県を結ぶ路線で大変地元からの期待も大きい路線でございまして、全線について施行命令を出し、整備を鋭意推進中でございます。  茨城県内につきまして、水戸南から友部の間二十二キロについて工事を全面展開中でございまして、水戸南—友部ジャンクションの十四キロについては、北関東自動車道として来年度、十一年度でございますが、初めて供用できるという状況でございます。  それから、さらに、常磐道の友部ジャンクションからさらに西に向かって、友部間八キロについても、その次の年に供用できるのではないかというふうに思っております。  それから、友部から栃木県境についても、九年の十二月、それから十年の四月と施行命令を出しておりまして、現在、路線測量や土質調査等を進めております。  なお、水戸南から東側の区間、東水戸道路十キロについても事業化しておりまして、これは那珂湊港と直接結ばれるところでございますが、既に五キロ供用中でありまして、残る五キロについて、ことしの夏ごろ供用できるのではないかということで、こちらの方はことしの夏には全線がつながるということでございます。  全線について、早期供用を目指して頑張りたいと思っています。
  109. 石井啓一

    石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、終了いたします。
  110. 北村直人

    北村主査 これにて石井啓一君の質疑は終了いたしました。  次に、石井紘基君。
  111. 石井紘基

    石井(紘)分科員 私も石井でございますので、委員長、呼びやすいかと思います。  最初に建設大臣にちょっと、建築基準法あるいは都市計画法の領域に入るわけですが、地域地域における高層建築物の建設に絡むところの、地域住民と建築主との間でいろいろな問題がしばしば発生しておりますので、そうした問題についてちょっと考え方をお伺いしたいと思うんです。  例えば、まず一つ最初に確認したいのは、地方自治体が、都道府県などが紛争解決のための条例を定めている例がございまして、例えば東京都におきましては、建築紛争予防調整条例というものが制定されております。  こういうのは、この意義といいますか、位置づけといいますか、こういった問題なんですが、これを考えてみるときに、例えば建築基準法とか都市計画法というようなものは、主として、建てる人にとって、建てるものに対するさまざまな手続やらあるいはルールやら基準やらというようなものを定めているんだろうと思うんですが、その点、いかがでございますか。
  112. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 建築基準法等々あるいは都市計画法などは、先生指摘のように、いわゆる建てる方の指導、規制といいましょうか、そういうところにあると認識をしております。
  113. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そこで、そういたしますと、そこにはいわゆるソフトの面といいますか、建築基準法や都市計画法を法的に運用していく段階で起こってくる、人と人との関係におけるさまざまな問題といったようなものは、これは社会でありますから、地域的にもそうしたものはやはりどうしても存在する。したがって、一方における、建てられる側といいますか、建てない方の、まあわかりやすく簡単に言いますと近隣住民ですね、こういう方との間の解決しなければならないさまざまな問題が現実には起こってくる。したがって、それぞれの地方公共団体は、あらかじめそうした紛争というようなものを想定して建築紛争予防調整条例というようなものをつくってあるんだというふうに思いますが、いかがですか。
  114. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私もそのように認識をいたしております。
  115. 石井紘基

    石井(紘)分科員 東京都の条例の第一条には、「中高層建築物の建築に伴って生ずる日照、通風、採光の阻害、風害、電波障害、プライバシー侵害等や、工事中の騒音、振動、工事車両による交通問題等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争をいいます。」というふうにこの建築紛争というものを定義して、これの解決方法の一助としてこういう条例が定められておるんだというふうに規定されております。  ということは、この条例というものは、主として近隣住民の利害というものに着目をしておるんだというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  116. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私もそのように思います。
  117. 石井紘基

    石井(紘)分科員 ありがとうございます。  そこで、この条例というものの内容でありますが、建物を建てるときには当然当事者間の話し合いというものがある、建てるときというか紛争を整理するやり方として、当事者間の話し合いがある。陳情書の提出あるいはあっせんの申し出書の提出というものがございます。そこで、今度はあっせんの開始ということになるんですが、このあっせんというものが成立をしない場合、そうすると、これはさらに調停という段階が明記されているわけです。  「調停の概要」といたしましては「調停は、あっせんが不調になった場合に行われるものですが、一方の当事者だけが調停移行を強く望んでも必ずしも調停に移行されるものではなく、都が調停を行うことが適当であると判断するとともに、原則として双方が調停移行に合意することが必要です。」というふうに述べられておりますが、つまり、調停に移行するということは、一方だけが強く望んでも必ずしも調停に移行しないんだということは、これはいい面というか積極的な面と、そうでない面が感じられるわけですが、いずれにしても、調停に進んだという場合は、これは「都が調停を行うことが適当であると判断する」というふうに書いてあるわけです。ということは、調停に進むということは、やはりここに問題が潜在しておるという判断のもとに、調停の段階に進むということになるだろうと思うんですね。  そこで、これは当然住民の皆さんの立場、利益を擁護する、そういう要素が先ほどのお話のようにあるわけでありますので、調停に当たっては、やはり調停をする者、調停の主体がこの場合はいわゆる第三者機関ということになって、知事が委嘱する法律家、建築家あるいは環境問題の専門家によって構成される、こうなっておりますが、この調停者が大いに住民の意向を入れて努力を重ねなければいけないというふうに論理的に当然なると思うわけですが、この辺は大臣はどんな御感想をお持ちでしょうか。
  118. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、東京都の例でございますと紛争予防調整条例というのがございまして、御指摘のように、まずは建築主に対して建築計画についての標識の設置の義務づけであるとか、そういうものからずっとスタートいたしまして、説明会の実施ということも当然行われるわけでございます。そして、あっせんの実施、そこで両者、問題点がある場合には、事前に調停委員会の意見も聴取をした上で、調停の実施に入るということでございます。  先生指摘のように、かつて、何年前になりましょうか、何十年前になりましょうか、そういうときにはこういうようなことがなくて、住民の被害を受けられる方々が泣き寝入りをする以外なかったのが現状だったわけでございますが、今やそういうようなことは許されることではないわけでございます。この東京都の条例を見ましても、目的として良好な近隣関係の保持というもの、これがなければならないわけでございますから、私はやはりそういう住民の方々の理解を得る、先生指摘のように、住民の方々意見の方が重いといえば、仕事を施工する方よりもそちらの方の意見が本来は重視されるべきであろうというふうに私は感じます。
  119. 石井紘基

    石井(紘)分科員 ありがとうございます。  具体的に今そういう紛争がございまして、以前にも一度大臣に御質問をさせていただきましたけれども、東京の駒沢というところで、古くからの、相当住宅の多い住宅地の南側に、地上約九十三メーター、大部分がワンルームマンションで二百数十戸というようなとてつもないものが計画をされておって、そして法律に従ってこれは建築認可が最近おりたというようなものでございます。  これに対しては、近隣の住民を中心に一万数千の反対署名があったり、あるいは頻繁にデモが行われたり、あるいは周辺には建築反対というような、まあ余り過激な方はいらっしゃらないんですが、といいますか大変良識的な方々が多いわけですが、それでもやはりそういうふうに近所、周辺にたくさんの立て札が立ったり、そういう状態になっております。当事者間の話し合いというのも、建築主の方の対応が非常に住民無視というような対応であるために、ますますそういうふうにエスカレートしているわけですが、そういう中でこういう調停の段階に今入ろうとしているわけなんですね。  そこで、大臣の今のお話のように、住民の立場というものが大いに尊重されるのは当然だということでございますが、この東京都の条例を見ますと、調停は、双方が受諾をしないと打ち切りとなる。こういうふうに、調停を行っても双方合意の見込みがないと判断された場合は調停を打ち切られる、それから先は今度はもう訴訟しかないんだと。こういうふうになりますと、やはりこれは行政の条例でもって進めてきている調停ですから、行政としては打ち切りというようなことになる。そういう事態になるというのも、一定のやはり行政の責任というものがそこには出てくることになると思うんですね。  条例に基づいて一生懸命あっせんをしたり調停をしたりしてくれるわけですが、それでもそれが無に帰するといいますか、むだになってしまうというようなことになることがあり得るわけですね。そういう場合は、やはり行政がそれだけ指導力がなかった、あるいは能力が十分になかったということが言えるんじゃないかと思うんです。  これは、せっかくこういう条例を定めてあっても、これが何も生み出さなかったというようなことになりますと、そういうことの可能性が大いにあるような条例の内容になっているわけですが、それはやはり行政がやっていることでありますので、行政の指導性というものは最大限にやはり追求されるべきだというふうに思いますが、大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
  120. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに調停でございますから、行政側の指導の努力というものは行わなければならないと思いますし、またそういうようなことはぎりぎり私はやっているんじゃないかなと思います。
  121. 石井紘基

    石井(紘)分科員 これは政府委員の方でも結構なんですが、この調停というのは大体、もちろん一回でだめであればまたもう一回、もう一回というふうに繰り返されると思うのですが、これはどうですか。当然ぎりぎりまで、やはりこれは努力はなされるべきだと思うのですが、そのあたりはどのぐらいの努力が必要だと。例えば調停の回数とか、そのあたりはいかがですか。
  122. 那珂正

    那珂政府委員 お話の東京都の中高層建築物の紛争予防調整条例についてのお尋ねでございますが、一般的にこの中で位置づけられております調停の手続について、どのぐらい、例えば回数だとかというようなことだろうと思うのですけれども、一般的に調停というのは、もう先生御案内のとおり、当事者間の主張をよく聞いて、争点を整理して、場合によっては調停案を作成することによって当事者間の合意をなるべく早く見つけるというような趣旨であろうと思います。  何回ぐらいやれば、あるいはどういう話し合いの仕方をすれば調停案として合意されるかというようなことは、まさしくその調停委員の方々の御判断によろうかと思います。
  123. 石井紘基

    石井(紘)分科員 そういうことで、精いっぱい、これは行政の方がこういう定めた条例を運用するわけですから、それなりのイニシアチブといいますか、それなりの行政の責任というものは当然否定できないんだということは、大臣、それでよろしゅうございますね。
  124. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 それは行政側も最大の努力をしていただきたいと思います。
  125. 石井紘基

    石井(紘)分科員 ありがとうございました。  先ほど大臣おっしゃるように、東京都も一生懸命やっているということは、私もそのように思っているところでございます。  それから、次の問題に移りますが、住都公団が千葉ニュータウンの中で桜台団地というものをつくって、これは昭和四十四年の事業認可だと思いますが、千葉県企業庁との共同施行ということで進められて、団地があるわけでございます。  私がこれから言いますような事例というのはほかにもあると思うのですが、この団地は、当時ほぼ全体、大体八割方できて、中高層、高層は余りないと思いますが、中層あるいは一戸建てというようなもので分譲されたり、あるいは賃貸もあるんでしょうか、そういう団地になっているわけです。それが、ずっと年がたって平成十年、昨年の三月に、そこの中の一部の土地をミサワバンという会社に、民卸しというのでしょうか、民間に売却された。そこで、ミサワバンという会社は、そこに高層のマンションを建設するということになりました。  その道路反対側に、既に平成五年ぐらいから募集されて入居しておる、千葉県の住宅供給公社から買った、そういう住民の皆さんがおるわけです。そこは桜苑団地というのでしょうね。  そういうふうに、一定の開発のための事業認可をとって、それに伴って都市計画区域の設定がなされる、用途地域が定められる。これはもちろん公共団体が定めるわけですが、しかし、住都公団がそういう開発をする、事業認可をとるということになりますと、当然、この場合もそうですが、その前後において用途地域変更、用途地域変更されて設定されるわけですね。  ですから、そういうふうにしておいて、この一部を後になって民間に売るということになりますと、それは今度は民間ですから、もし住都公団がそういう事業認可をやって用途地域変更がなされていなければそう高層なものは建てられなかったはずなのに、それによって高層のものが建てられるようにして、そしてそれを民間に売るということになりますと、近隣にとってみれば、これはやはり大変わだかまりの残るといいますか、困る、納得できない、そういうものがあるわけですね。  だから、この民卸しということについて、公団がやる際には、これはやはりそういう面、あるいはその他のいろいろな問題が起こってきますし、不公正といいますか、民間の業者開発の許可をとるのと公団開発認可をとる、これは大臣認可ですから、建設省の住都公団事業認可を申請すれば、建設大臣はほかの民間業者の申請に対する認可というのとまた違った、直接のつながりがある関係なんですから、やはりそうした事業認可というものについても、民間との間で不公正じゃないか、不公平じゃないかという点ももう一つあるわけです。  それで、さっき言った民卸しというものについても、これは問題があるというふうに思いますので、このあたりを、余り時間もありませんから、大臣、十分慎重に進められるように要望したいと思うのですが、いかがでございますか。大臣がいい。
  126. 木下博夫

    木下政府委員 経緯もありますので、私がまずお答えさせていただきたいと思います。  今回の国会でも、新しい法人への移行ということで法案をお願いしておりますが、やはり民間の活力をできるだけ使っていこうという姿勢については御理解いただけると思いますが、今の過程で、おっしゃられたように、地元に民間を活用するときに、どの段階で住民の方々にこの計画があったかということについての説明がいささか足りなかったようなことが、今回の地元のトラブルと申しましょうか、論議の一つであろうかと思いますので、そういう意味では、私ども、公団に対してもしかるべき説明をしっかりやるということだろうと思います。  状況からいきますと、かなり早い時期から、この地区については一定の高さを持って住宅を建てるという計画がどうも地元に知らされておったようですが、たまたま、先生が御紹介になった平成九年あるいは十年というところで新しく民卸しをするということで公募されてやった手続そのものは問題はさほどないと私は思っておりますが、地元に対しての、いわゆる全体的な計画としての理解が、十分説明されていなかったとすれば、今後の地元での協議においてその辺をしっかり御説明していくのは公団の役目ではなかろうかと思っております。
  127. 石井紘基

    石井(紘)分科員 いずれにしても、これは重ねてですが、地元の住民の皆さんの十分な理解を得る努力を最大限払っていただくというふうにお願いをしたいと思います。それでよろしいですね。  まだいろいろ申し上げたかったんですが、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  128. 北村直人

    北村主査 これにて石井紘基君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  129. 北村直人

    北村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算中総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。関谷国土庁長官
  130. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成十一年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、六千五百三十億五百万円を計上しております。  国土庁といたしましては、以上の予算によりまして、二十一世紀の展望を開く国土政策を積極的に推進してまいる所存であります。  具体的には、  一、二十一世紀の国土のグランドデザインの推進等の国土計画の推進  二、地域戦略プランの推進  三、土地の有効利用や土地取引の活性化を図るための総合的な土地対策の推進  四、健全な水循環系の確立を目指した総合的な水資源対策の推進  五、三大都市圏の新たな基本計画等の策定・推進及び首都機能移転の具体化に向けた検討等大都市整備の推進  六、人口地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進  七、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震、津波、噴火、洪水等の災害から安心して暮らせる安全な国土づくりに向けた総合的な災害対策の推進 に重点を置くことといたしております。  なお、事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付しております平成十一年度国土庁予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  131. 北村直人

    北村主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     —————————————
  132. 北村直人

    北村主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
  133. 松崎公昭

    松崎分科員 民主党の松崎公昭でございます。  まず最初に、国会等の移転に関する問題から質問をさせていただきたいと思います。  私は、前国会まで国会等移転特別委員会の党の理事もやっておりました。ですから、今までこれらの動きに関しましては多少なりとも承知はしておりますが、理事の立場、委員会の立場ですと、いつの間にか一つの流れの中に入っていたということで、今回少し立場を変えまして、冷静になりながら、果たしてこの国会等移転が今、国民の中でどこまで認知をされ、そして、これだけ社会が変わり、二十一世紀を間もなく迎え、情報化を中心として大きく社会の展開がある、その中で果たしてこの国会等の移転がどういう意味を持つのか。  法律ができて、そしてまた、間もなくことしの秋には場所が選定される。逆に戻すということはなかなか難しいかもしれませんけれども、私はちょっと、大変疑問を持っておりますので、その辺から御意見を申し上げながら、大臣考え方もお聞きしたい、そんなふうに思っております。  今さら申し上げるまでもありませんけれども、国会の移転の問題は二十四年ぐらい前、もっとさかのぼってもあったそうでありますけれども、昭和三十五年第一次、昭和四十五年第二次の首都機能移転ブーム、そういうところから、昭和五十年あたりに金丸先生の主導のもとに三全総に位置づけをされ、そしてずっと経過があります。委員会ができ、そしてまた調査会ができ、平成七年の調査会最終報告から一つの形が動いてきた、そのように感じております。  ただ、私はどうも、ちまたの意見、また、せんだってまでの委員会の質疑を聞いておりましても、あるいは、審議会の委員の皆さんの御意見を聞きましても、すべてがゴーサインだ、そんな感じは全くしないわけであります。まして、国民の中には、国会移転ということに対して非常に疑問というか、なぜこの時期にやるんでしょうと。  もちろん、阪神・淡路大震災以降、特に拍車がかかったわけであります。安全上の問題、危機管理の問題では確かにあるかもしれません。しかし、国民の総意の中ではまだまだ、国会等の機能の移転ということに対しましては、いろいろ鐘を鳴らしても踊らないという状況のように私は思っております。まず、十一月にも三地域の中で絞り込んで答申が出る、そんな状況の中で、国民的な盛り上がりはないのではないか。総理府の世論調査でも、九二年の賛成の方は五八・一%、それが九六年には五四・五ということで、四%ぐらい減っております。それから、反対の方も五・八%増加をしている。  そういう意味では、法案ができ、計画に入っているわけでありますから、今さらという感じはいたしますが、これはもっと国民の合意形成をしてからでないといけないのではないか、そんなふうに私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  134. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ざっくばらんに申し上げまして、私も、大臣になりましてから七カ月たつわけでございますが、正直に申し上げて、その中で一番難しい答弁だなと思っておるわけでございます。  私の考えておりますことは松崎先生が考えられておることに近いのではないかな、そんなことでございますが、さりとて、立場立場でございますから、それを超えるわけにはいかないわけですけれども、私は先生の御質問に対して違った方向からお答えをしたいと思うのです。  おっしゃいますように、世論の形成というもの、盛り上げというものがまだ十分ではないのではないか、それは私は事実そうだと思います。  ですから、とにかく、国土庁といたしますれば、講演会あるいはシンポジウムの開催、あるいは広報用ビデオ、パンフレット、ニューズレターの作成とかインターネットの活用等の広報、公聴活動を広く展開をしていくということで、国会等移転審議会は本年より全国各地で公聴会を行っているところでございます。  そういうことで、いわゆる前向きで、先生指摘のように、国民の議論の盛り上がり、そして形成というための努力をしておるわけでございますから、そういうようなことを十分にした上で、一度静かに、それで行くかどうかというようなことも判断すればいいのじゃないか。  いずれにいたしましても、首都機能移転ありきでそういう広報活動はやるわけですけれども、その過程において、先生指摘のような状態になってくるならば、それはそのときにまた考え直さなければならないと思うわけでございまして、現時点においては、やはり私の答弁とするならば、前向きでその啓蒙運動に努力するということ以外ちょっと答弁ができないように思っております。
  135. 松崎公昭

    松崎分科員 お立場上当然だとは思いますが、やはり、国会移転の決議が始まった平成二年、それから今の社会状態、我々の政治を含めた社会状態が大きく変わっている。ですから、それに対して、変わっている状況から本当に国会移転というものが必要なんだろうか、そういう疑問が国民の中にもあるのですね。  確かにおっしゃるとおり、私は、政治があるいは国会が誘導する、いい方向国民のために誘導して、後から国民がついていく、そういうこともあると思います。ですから、一概に、国民が冷えているから新しい施策とか将来展望を語るべきじゃない、これは全く違うと思う。ですけれども、ただそれを踏まえましても、なぜこんなに冷えているのかなというのは、やはりどうも、情報化社会、これは物すごく大きく展開してくる、これに対して本当に首都という今までのような大きな形であるべきかどうか。  それから、我々は、改革を求めるという大きなコンセンサスは国会でもできているわけでありますけれども、とりあえず小さい政府にしていこうじゃないか、分権をそのためにはしっかりやろうじゃないかと。そうしますと、いわゆる三割の、国が持っている仕事に見合った首都機能ということになると、かなり小さくなるではないか。そのときに、大層にどんと移ることはどこまで必要なんだろうか。  そういういわゆるありき論に対して、やはり私は、国民が違うんじゃないかなと。それは、景気対策上、四兆から十四兆という大きな幅がありますから、それも一つの魅力なのかもしれませんけれども、しかし、この辺でもう一回考え直す必要があるのじゃないか。  私は後ほど全総問題にも触れたいと思いますけれども、やはりこの五十年間、国土をどうやるかということで全総計画がずっとあった。これはかなり大がかりな、いわゆる土木を中心としたと言うと語弊がありますけれども、国家改造というか国土利用、そういう大規模開発型の発想で、金丸先生のことを言ってはいけませんけれども、最初に牽引力になった金丸先生あたりも最初はそういう発想もあったのじゃないか。そういうことになりますと、やはりこれは、そういう時代ではなくなって、またそういう時代から変革をしなければならないという今の段階で、その辺が欠落をしている。国民が盛り上がらない理由もそこにあるのではないか。  特に私が気にしておりますのは、十一月十六日に十四回目の審議会、各審議会で各委員さんはいろいろなことをおっしゃると思いますから、疑問をおっしゃっている方もいらっしゃるとは思います。特に、随分疑問を投げかけていらっしゃる方々が審議会の先生方にいらっしゃるわけですね。  例えば、「社会経済情勢が非常に動いていることもあって、見通しが必ずしも透明でないことから、理念を明確にしておくことが必要ではないかと思う。」「数年前に首都機能移転の検討が始まった頃の議論からもう少し先を見た議論をしなくてはならないと思う。」こういう意見。あるいは「国会等移転調査会の報告が出された後で、我が国を取り巻く諸情勢があまりにも大きく変わっていることについて、全く触れないで候補地の選定作業をすることはいかがなものかという疑問はもっともである。」あるいは「その後の情勢はずい分」、つまり答申を出した後ですね、「その後の情勢はずい分変わっているし、特に今の不況の中で、そんなことを果たして行うのかという状態は、現地へ行っても感じるので、もう一度合意の形成状況を確認しなくてはいけない。」随分やはり将来のイメージが、それから、今答申のままやってしまっていいのだろうかと。  もっと例えば、「本当に百年先を考えたら正しい方向であるのかどうか。」「我々の方で知恵の限りを尽くして正しいと思われる方向を打ち出して、」そして国民の「コンセンサスを得ていくという立場もあり得るかもしれない。」非常に疑問に思いながら審議会の先生方も試行錯誤、しかしもう決められた路線だからやるんだ。それで果たしていいのか。  特に、その審議会の中の慶応大学の石井威望先生、情報化が御専門でございますけれども、私は、あの先生の参考人意見を九月三十日にお聞きをしました。特に、情報化の進展、これをこれからの世の中の大きな枠組みの骨格にしておかないと大変なんだよ、そういう考え方を強く出されております。石井先生の場合は特に御専門でありますから、予想外のスピードで世の中が動いていく、そういうことでもう物理的な移転なんか必要ないんじゃないかということもそのときおっしゃっていらっしゃるのですね。  ですから、私は、情報化社会において首都というのはどうあるべきなのか、そういうことをもっと時間をかけて、あるいはもう間もなく第二期の情報化時代が来るわけでありますから、特にその辺の要素を入れて、審議会もそうでありますけれども、もう一回いい意味の足踏みをした方がよろしいのじゃないか、そんなふうに思っているわけであります。  その高度情報化の問題で、基準の見直し、さっきいろいろ審議会の方々も疑問に思っていらっしゃるということをお話しいたしましたけれども、こういうことを審議会の中では議論されているのかどうか、お願いいたします。
  136. 板倉英則

    ○板倉政府委員 情報化社会の進展と首都機能移転の問題をどうとらえるかということでございますけれども、松崎先生御案内のとおり、まず国会等移転調査会の時点でどういう議論がなされたかということを最初に申し上げさせていただきたいのでございます。  首都機能の移転先新都市におきまして、最新の情報通信技術が導入され、新都市と全国各地あるいは海外が情報通信ネットワークで直接に結ばれまして、世界に開かれた先導的な情報通信都市づくりが行われる、そういった期待を込めて調査会当時は議論がなされておりました。  そして引き続き、移転審議会にかわりまして、先生指摘石井威望先生中心に、情報化の進展とこの首都機能移転の問題をどうとらえていくべきかという検討がなされておりまして、それで現在のところ、その問題についてこういう中間的な取りまとめがなされております。  まず第一点は、情報化の進展に伴い情報通信ネットワークに依存する度合いが高まる一方で、得られた情報を直接確認するとか、あるいは新たな知的な刺激を求めて人と会うというような頻度もまた高まってくるということが一点指摘されております。  それから二つ目としまして、移転先の新都市の立地の場所として、やはりそういった行動欲求を満たし得るためには、ある程度都市集積を備えた母都市とか中核都市が近くに存在することが必要であるという一方で、また、それとは逆の側面といたしまして、これらに束縛されない、石井威望先生は慶応の三田キャンパスと藤沢キャンパスの例をとられて言っておられましたけれども、三田キャンパスでなかなか発想できなかったようなことが藤沢に移ったために発想できる、発想の自由が得られたというようなこともちょっと例で言っておられましたが、要するに、既存の都市に束縛されないために、ある程度距離を保った地域に立地することが望ましいという側面もあるというようなことが中間的に取りまとめられているわけでございます。  いずれにいたしましても、この情報化の進展と首都機能移転の関係というのは大変重要な問題だと思っておりまして、今後とも必要に応じまして検討を進めさせていただきたいと思っております。
  137. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘の高度情報化社会、今の光ファイバー等々があるから移転しなくてもいいじゃないか、その部分からいえば、全く私は移転する必要はないと思うのですよ。  ただ、一極集中になり過ぎてしまった。あの朝の通勤のラッシュなんというのは東京ぐらいのものでございましょう。ですから、本来のゆとりある生活ができるためには、首都機能を移転をするという、そのことは私はいいとは思いますが、先生おっしゃられましたように、いろいろな首都機能移転を取り巻く環境が、本当に大きく、目まぐるしく変わってまいりました。今や財政的な問題においてもこれは大変なことでございますから、そういうようなことを含めて、先生最初におっしゃられましたように、とにもかくにも、やはり世論形成といいましょうか、国民が本当に真剣に考えて議論をする、そこから一つのものを引き出していく。  ただ、これは、平成四年に国会等の移転に関する法律というものがもうできておるわけでございまして、そうなると、委員会でこのことをどうするかということもまた論議しなければならないということだろうと思うわけでございます。
  138. 松崎公昭

    松崎分科員 もちろん、新しく移ったところが逆に新たな発想で情報化の拠点になる、それもわからないでもないのですけれども、私は、テレワークが進んできたり、人口は減るし、それから、余り成功しているとは思いませんけれども、五十年間の全総計画で全部分散しようと一応やってきたわけですけれども、それはまだ続いているわけですね。  私も地元のことで後でお話ししますけれども、首都圏整備計画とか、やはりまだもう一回、五全総に伴ってやるわけですね。業務都市等もやっております。しかも、この移転はどんなに早くても十五年先なんですね。そうすると、その間も含めてもっと世の中が変わってきますから、今のような分散型、私は千葉県におりますのであえて分都論を言うわけじゃありませんけれども、私は分散でも十分できるんじゃないかと。まして、光ファイバー網はもちろんやるし、それからテレワークが始まったり、要は、一番懸念されているのは、阪神・淡路以降、首都機能がそこに集中して、それが地震等の災害があったときにどうするのだろうと。私はそれが一番強く感じたのですね。それは、私はまだ方法はあると思いますから、ですから、移転ありきは、まだ私は相当疑問に思っています。  特にその災害問題では、この同じ審議会の下河辺先生も、下河辺先生といえばもう全総計画の大権威者の一番中心の方で、何か案を出されておりまして、二段階移転構想ですか、平成十年の三月に出された。これはどうもよくわからないのですけれども、この計画とは別に、大震災に備えて緊急措置として、北関東、東北四県に首都機能を直ちに分散、移転した方がいいんじゃないかと。それで、五十年ほどたったら名古屋から百キロ圏以内に再移転して、五百年耐用型の本格的な中京都をつくるというようなことで、中心的な方が、やはり災害に対する危険度を非常に感じてこういう形を出されたのかもしれません。  私は、この構想はどんなふうに扱われたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  139. 板倉英則

    ○板倉政府委員 昨年の三月二十日の第七回の調査部会で、先生指摘のような御議論がございました。  これは、調査対象地域の選定に関連しまして、下河辺先生の方から、東京の震災時の首都機能の保持のための危機管理対策の重要性に関連しまして、これはゆるがせにできない問題だ、そしてこの北東地域への移転というのは、地震への緊急対応という意義でとらえるべきだというようなことがございまして、それが優先すべき課題で、本格的な首都機能移転はじっくり時間をかけて検討するという方法もあるんじゃないかというような御趣旨の御指摘であったかと思います。  それで、これにつきまして、昨年の十一月の十四回の審議会におきまして、この扱いをどうするかということが議論されたわけでございます。大変重要な問題なので、審議会として方向づけをしておこう、こういう趣旨でございまして、その際、震災に備えた東京における首都機能の危機管理対策というのは、御指摘のとおりゆるがせにできない問題なので、これは、こういう重要な指摘があったということを審議会として政府、国土庁にお伝え申し上げましょうということで指摘した上で、ただ、これは首都機能移転候補地の選定という問題とは直接かかわる問題ではないので、そこは審議会としては切り離して整理しておこう、こういう扱いになったわけでございます。
  140. 松崎公昭

    松崎分科員 要は、地震のことでこれだけの権威の方が心配している。下河辺先生のはもう二十年後なんですね、実際に終わるのが。そうなると、最大今の計画でいっても十五年前には僕はできないと思う。そうすると、その間の地震対策はどうするんだということです。もちろん、中央防災計画ですか、何かできていらっしゃるようでありますけれども、私は、宣伝じゃありませんけれども、本当の中枢の指示を出す、分析をするところだけは、それだけ先に安全なところへ置いておいて、そして、この移転問題はじっくり次の時代を考えながら、ひょっとしたらやらなくてよくなっちゃうかもしれないというふうに私は思うので、そんなことを考えた方がよろしいかと思います。  どちらにしても、この情報化社会、そして新しい社会、政治経済の大変革の中で、慎重に、そしてまた国民がしっかり理解できる形で進めるべきだろうと思います。  時間がないものですから、ちょっとこの五全総関係に入りますが、つまり、今の移転問題とも近いわけでありますけれども、先ほど言いましたように、全総計画でずっと分散型を、東京集中を何とか排除しようということでやってきた、私は、それはそれなりの現実論として正しいというか、一つの方法論だろうと思います。  その中で、四全総に業務都市という構想がございました。四全総を受けて、首都圏基本計画の中でやりました。千葉県も三都市が入っております。あと、神奈川、多摩、埼玉、茨城、千葉、こういうことで分散をしておりまして、これはこれでそれなりの効果がある。そして、ある意味では首都の分都になる。既に今回の法案でも、警察関係では大宮へ分散するということをやっているわけですから、現実に、今たくさん中央省庁の機能も関東に分けているわけですね。  それで十分じゃないかという点で、私は、これを支持しながら、そして実は地元の問題になりますが、四次の首都圏基本計画の中に入れなかった、私の住んでおりますのは柏というところであります、千葉県の東葛北部というところなんですが、ここで、どうしてもいわゆる首都分散の業務都市になろうということで、十年も前から、私も県会当時からずっと運動しておりました。今度、五次の首都圏基本計画が今策定をされようとしておりまして、その中に何とか入れないものかということで、要望をずっと続けてきたわけであります。  ですから、その五次の首都圏基本計画進捗状況と、それから、その中で、主要な広域連携拠点地域という、業務都市にかわるものかもしれませんけれども、この辺の構想があるそうでありますが、計画そのものの進捗と、それから、この広域連携拠点地域というものの中身をぜひお知らせいただきたい。
  141. 板倉英則

    ○板倉政府委員 第五次になるわけでございますが、新しい全国総合開発計画を受けまして、首都圏基本計画の策定作業に入っておりまして、これは平成六年の十二月に内閣総理大臣から国土審議会首都圏整備特別委員会に諮問が行われた。現在、昨年八月に計画部会におきまして中間報告が、調査検討報告書と言っておりますが、取りまとめられ、公表したところでございます。  その中で、松崎先生がおっしゃっていただいております業務都市、あるいはこの新しい計画の概念では広域連携拠点ということで、この位置づけあるいは育成方針ということが計画中心課題でございまして、御指摘のような点を十分踏まえながら、検討を進めてまいりたい。  私どもの予定としましては、年度内にこの基本計画の策定を終えたいということで、現在鋭意やっているところでございます。
  142. 松崎公昭

    松崎分科員 柏というところは、私生まれ育ったところでありますけれども、今、東京大学の移転も一部始まりまして、駒場、本郷、柏と三角の拠点になるという場所、そしてまた、最近では、通産省の地域産業集積活性化法、こういう法律に基づいて、東葛地域埼玉県川口、何でこれが一緒になっているのか、接近しているということなんでしょうけれども、ここで基盤的な技術産業集積を活性化させよう、そういう地域にも指定され、そして、千葉県の中でも四つ目の拠点、成田、千葉、木更津そして柏、四つの拠点の四つ目ということで、非常に力を県も市も入れております。  そこには、百億をかけた東葛テクノプラザという、これは産業支援組織、施設なんでありますけれども、インキュベーター事業をやったり、東大あるいは千葉大、それからあの辺のたくさんの大学と提携しながら既に動き始めております。  ですから、常磐新線というのもどんと今入りますので、大変に将来発展可能な場所だということですから、私は、首都圏機能を移転しなくても、こうやってたくさんの周辺の地域に分散型で分都ができるのではないか、ぜひその拠点にもさせていただきたいということの要望も含めまして、近々第五次の業務都市に指定を受けさせていただけそうな雰囲気でありますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  143. 北村直人

    北村主査 これにて松崎公昭君の質疑は終了いたしました。  次に、木村太郎君。
  144. 木村太郎

    木村(太)分科員 大臣には、朝早くから毎日、連日で御苦労さまです。心から敬意を表したいと思います。  与えられた時間、短いわけですけれども、自分の考え方も主張しながら御質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、昨年三月、多軸型国土構造への転換という目標を持って、新しい全国総合開発計画閣議決定されたわけであります。まさしく、あと二年で迎える二十一世紀の国土のグランドデザインがいよいよ動き出していこうとしているときにありますので、その思いを大事にしながら質問をさせていただきたいと思います。  第一点、聞きたいのは、総理を初め政府サイドからは、二十一世紀を見据えた社会資本の整備、これは積極的に取り組むというようなことを時々発言しておりますが、二十一世紀を見据えた社会資本の整備というのはどういうことが考えられるのでしょうか。
  145. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 木村先生とこのように質疑をいたしますのは初めてだろうと思いますが、先生のお父さんと私はもう長いおつき合いをしておりまして、何か息子に答弁をするような感じでございます。また先般は、本当におめでとうございました。  二十一世紀を見据えた社会資本の整備といいますれば、いろいろな角度からの見方があると思うのですが、まず最初に、私は、自分の考えでございますが、やはりゆとりのある、そしてまた自然と共生のできる、そういうような社会資本の整備ということではないかなと思うわけでございます。  都市構造の再編と地域活性化、あるいは連携、交流を支えるネットワークの整備、そして、暮らしの質を高める豊かな住宅生活空間づくり、そして、今も言いましたが、環境への負荷の少ない経済社会の実現、そして、何といいましても安全で安心できる国土づくり、地域づくりというのが基本にあるべきだろうと私は思うわけでございます。  そういうようなことを大きく一つのものとして縛りますとするならば、やはりゆとりのある、心豊かな、何も財政的に裕福というだけではないわけでございまして、近隣の方々とも仲よくその地区で生活ができるというような、心豊かなゆとりのあるそういう社会資本整備、その関連においては、自然破壊というものはこれ以上は起こさないというようなところで二十一世紀の社会資本整備を進めていきたいと私は考えております。
  146. 木村太郎

    木村(太)分科員 今具体的な御答弁も中にありましたが、私の印象では、時々新聞なんかの報道を見ていますと、情報化網の整備とか、こういったことが何となく二十一世紀を見据えた社会資本の整備の代表的なものとして報道されているような感も持っております。  だとすれば、私、例えば、一例を言いますと、下水道なんか一つとってみても、これももちろん、いろいろ政府も、国もバックアップして着実に整備は図られていますけれども、私の地元なんかでは、上水道でさえもまだ整っていない地域があります。ですので、個人的な思いからすると、二十世紀にやり遂げなければならないこと、あるいはまためどをつけるべきこととか、二十一世紀を見据えた社会資本の整備に向かう前に、また我々は一層努力をしなければならない今大切な時期ではないかなというふうに思いますが、この点、大臣の御所見がありましたら。
  147. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先ほど答弁いたしましたのは二十一世紀に向かってでございまして、先生指摘のように、今の時点から先ほど述べました状態にいくまでには時間があるわけですから、その間におきましては、私は、公共事業建設省関係から申し述べますれば、先生指摘のように、下水道の整備であるとか都市公園の整備であるとか、そういう今までの道路、河川、ダムというようなものだけではない、もちろんそれも必要なんです、道路がなければ我々の生活は豊かにならないわけですから、当然これも進めていくわけですが、それと並行して、そういう下水道の整備であるとかあるいは公園の整備であるとか、潤いのできる河川の周辺の整備であるとか、そういうような生活を心豊かにする方向への公共事業というものが、その間になければならないと思っております。
  148. 木村太郎

    木村(太)分科員 二十一世紀の日本は心豊かな私たちの国であってほしいし、そのための努力をぜひ御期待申し上げたいと思います。  また、新しい全国総合開発計画が動き出していこうとする中、いま一つ確認したいことは、例えば道路整備五カ年計画を初め港湾や河川などの社会資本の整備、公共事業等は、一つ整備計画に基づいて努力しているのが今の姿であるわけです。ただ、このことが、例えば予算の配分の比率が固定化している一つの要因ではないかというようなことも御指摘をする方もいらっしゃいますが、こういったことも踏まえて、新しい国土づくりに向かうに当たって、これまでのやり方というものを見直す用意もあるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
  149. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この全国総合開発計画につきましては、その中で各種の長期計画が確かにあるわけでございまして、その策定に当たっては、全国総合開発計画を所管いたしております国土庁建設省において相互に調整を図っているところでございます。  その意見の交換においては、当然のことでございますが、戦後五十四年たった今日、取り巻く環境は大きく変わってきておりますから、そのものなども十分予測をし、その予測をすることがまた国土庁の大きな仕事でもあるわけでございまして、国土庁建設省が、十分にそういうようなことは予測も立て、長期の計画、五年程度のものを基本的に考えておるわけでございますが、やっておるわけでございまして、単年度、単年度ではやはり一つの流れにのっとった国づくりというものは、国土づくりというものはできませんから、私はこの長期計画というのは今のままでいいと思っております。  ただ、先生指摘のような弊害の部分があるとするならば、そういうことはもちろん是正をしてやっていく。しかしやはり、この五年間の計画はこうですよというものがなければ国づくりはできない、私はそのように認識をしております。
  150. 木村太郎

    木村(太)分科員 では、新しい全総計画についてちょっとお聞きします。  この中で、日本海国土軸を初め多軸型国土構造の考え方というのが示されております。このことが示された直後、翌日の新聞なんかで、私は今でも記憶にあるのですが、日本列島の地図が載っておりまして、その地図が、東北の宮城県、山形県から以北が写っていないんですよ。これはあくまでもその新聞社の書き方ですから、それはもちろん、大臣初め政府がどうこうという問題ではありません。しかし、国土軸を日本列島であらわした場合に、東北の中間から以北、もちろん委員長の北海道も写っていなかったんですよ。ということは、何となく西日本重視に目に映ってきたわけです。もちろんこれは、何回も言うようですが、新聞報道でありますけれども。  私が強く思うのは、五つの大きな国土軸の中に地域軸というものをきちっと打ち出す必要があるんではないかということを以前にも訴えさせてもらった、主張させてもらったことがあります。  地元の話になって恐縮でありますが、私の地元青森県では、津軽海峡軸というもの、青森県と北海道の間に青函インターブロックとか、今までも考え方は示されているんですが、日本全体の五つの大きな国土軸の中に、部分的に重要な、地域を連携するような地域軸というものをきちっと打ち出す必要があるんではないかなというふうに私は思います。  例えば、北海道、東北八道県が、経済界も含めて一緒に作成した北海道・東北二十一世紀構想、通称ほくとう銀河プランというのがあるのですが、こういった中でも、北海道と青森県の間、津軽海峡に対して、津軽海峡大橋をつくるべきだ、あるいは津軽海峡横断道路というものを目指すべきだというようなことが示されておりますし、また、北海道、東北の知事会からの国に対する要望の中でもきちっとそういうことが明記されているのですが、こういったことに対して、大臣考え方があればお聞かせください。
  151. 小林勇造

    ○小林(勇)政府委員 昨年三月に閣議決定されました五全総におきましては、先生指摘のとおり、多軸型国土構造を形成しようということで四つの大きな国土軸、それからもう一つは、今まさに先生が御指摘されております地域の連携軸、これは県境を超えて、日本国土全体の中に縦横無尽につくっていこうという地域の連携軸、そういう二つの考え方を出しておりますが、一番大きな四つの国土軸につきましては、従来の一極一軸型の国土構造というものを反省しまして、多軸型の国土構造というものをつくろうということで、まず大きな四つの国土軸を提言しております。  それから、その具体的な施策の展開として四つの戦略というものを提案してございまして、一つが多自然居住地域の創造でございます。それからさらに大都市のリノベーション、さらに地域連携軸の展開、さらに広域国際交流圏の展開というような四つの戦略を提言してございまして、今先生の御指摘のあった、地域のさらにスモールスケールの、いろいろな形の地域軸というものをぜひ二十一世紀の国土づくりの中で形成していくことが重要だというふうに認識しているところでございます。
  152. 木村太郎

    木村(太)分科員 必要性は今の御答弁であったわけですので、それを私はぜひ、過ぎたことでありますが、新しい全総にきちっと、だれが読んでもわかる形で明記してほしかったなという思いがあって今も御指摘をさせてもらったわけです。計画はもう既に策定されておりますので、そこで、せめてものという思いでこれまた主張させてもらいたいんです。  第五次の東北開発促進計画の策定に向けての動きが、作業が進んでいるというふうに聞いております。この東北開発促進計画の中でも、先月の段階でありますけれども、私が今言った、津軽海峡軸あるいはまた津軽海峡大橋などの言葉が具体的に出てきていないようでありますので、せめて新しい全総計画考え方の中でもまた、第五次の東北開発促進計画なんだ、そしてその中で、せめてこういったことを具体的に、わかる形で示すべきではないかな、こう思いますが、いかがでしょうか。
  153. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまお話のございましたように、新たな東北開発促進計画につきましては、全総の改定ということも踏まえまして、現在その策定作業を鋭意進めております。本年度末を目途に策定をいたしたいと考えております。  このようなそれぞれの地方開発促進計画、俗にブロック計画と申しておりますが、この東北地方のブロック計画は、東北地方を単位として、その開発整備方向を指し示すものでございまして、御指摘のようなプロジェクトは、ブロックとブロックをつなぐような極めて大きな、交通基盤の整備交通基盤の施設ということが言えようかと思っております。  したがいまして、新たな東北開発促進計画におきます青函地域に係る記述につきましては、新しい全国総合開発計画基本として記述するべきではなかろうかと考えているところでございます。
  154. 木村太郎

    木村(太)分科員 青函地域については、ぜひ具体的な、だれが読んでもわかる形で、具体性を持って明記していただきたい。もちろんこれは、私は地元の例を言いましたが、他の地域においても重要視される地域軸があるとすれば、やはりそうあるべきだというふうに主張させていただきたいと思います。  次に、雪についてちょっとお聞きしますが、ことしの冬は大雪でありまして、私の地元青森県津軽地域も例外ではありません。地元に帰りますと、私も朝起きると、雪片づけからスタートするような生活が続いております。県や市町村も除雪費に関する費用も底をついているようでして、既に専決処分で対応したり、大変厳しい状況が続いております。  そういった中で、国土審議会の豪雪地帯対策特別委員会が、去る一月二十五日、九九年度から約十年間という期間基本計画案を総理に答申をいたしております。今年度中に閣議決定されるというふうに聞いておりますが、実は私もこの委員の一人に加えさせてもらいまして、いろいろと私なりに、思いすることを審議の過程で主張をさせていただきました。大臣の御認識、まだ答申した段階でありますけれども、この新計画の答申内容について、あるいはまた今後の豪雪対策についての考え方があれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  155. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 豪雪地帯の対策の基本計画でございますが、これは本年度じゅうにこの基本計画変更することとし、現在、先生指摘のように、鋭意作業が進んでおるという現状の状態でございます。  そういう中で、新しい基本計画のもとでは、いろいろなことが論議されておるわけでございまして、その交通、通信の安全性、円滑性の確保であるとか、あるいはまた雪国の特性を生かした産業の基礎条件等の整備、あるいは生活環境施設の整備、国土保全施設の整備環境の保全、そしてまた、そういうようなことをいろいろ対策を打ちますときには、片や研究も十分しなければなりませんので、雪に関する調査研究、気象業務整備等々を進めておるわけでございまして、総合的、計画的な豪雪地帯の対策の推進ということに万全を期していきたいと思っております。
  156. 木村太郎

    木村(太)分科員 大臣の今御答弁にあった、総合的に、計画的に万全を期していきたいというお話でありますが、だとすれば、私は審議会の中でも主張させてもらったのですが、今まだ答申された段階ですけれども、この計画の案という文字が削除された段階で、いよいよ新しい計画に沿って豪雪対策に取り組んでいく際に、やはり具体的にビジョンというもの、あるいはまた実施計画なるもの、こういったことも私は必要ではないかなというふうに思います。  この審議会の審議の中でも主張させてもらったときに、もちろんこの計画そのものにはそういった具体的なことは明記できなくても、先ほど一例で言いました道路五カ年計画などのように、例えば何年度ごろまでに、我が国では消融雪溝がどのぐらい整うように努力していきたいとか、あるいはまた坂道でいえば、危険な箇所が全国にはこのぐらいあって、その中で、何年ごろまでにはロードヒーティングはこのぐらい整備を図りたい、こういったことを、具体的に新しい計画に即して、今言ったように、ビジョンや実施計画なるものもきちっと打ち出して取り組んでいくことが私は必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、豪雪地帯の対策というのは計画的に実施をしなければならないわけでございまして、この基本計画もその中身として、国民にもわかりやすく、また具体的な内容を盛り込みながら、そしてなおかつ、実行力のあるものにする必要がございます。その際に、ただいま御提案ございましたような具体的な方向性というものをその中に織り込むべきであるという御意見はもっともであろうと思っております。  ただ、この豪雪地帯対策基本計画は、全国一本の計画でもございまして、その計画の中に個別具体の細かな数字というのはなかなか盛り込みにくいものがございまして、それを補完するという意味から、この豪雪地帯対策特別措置法に定めるところによりまして、関係省庁が所管する事項につきまして、毎年度事業計画を作成して、円滑な事業実施に努めているところでございます。  また、この基本計画に盛り込まれましたいろいろな事業につきましては、それぞれ各省庁が定められております治水、交通、通信等の長期計画にも反映をされることになっているわけでございます。  また、それぞれの施策を整備水準等を示して推進すべきであるという意味から申し上げますと、例えば積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画におきましては、今後五年間の雪寒道路事業整備延長、投資規模とともに、冬期道路空間の確保率及び凍結路面解消率の整備目標を示しているところでございます。  また、地域の特性に応じた豪雪地帯対策を推進するという趣旨から、道府県豪雪地帯対策基本計画が定められることになっておりまして、既に十県で策定されておりますが、これらの中には整備目標を具体的に示しているものが見られるところでございまして、そういう方向で道府県の基本計画が定められることは望ましい方向ではなかろうかと思っております。  整備目標を具体的に示すことが困難な分野も少なくございませんけれども、今後とも、関係省庁、道府県と連携をとりながら、どのような分野で具体的な整備目標を示すことができるのか、さらに検討をしてまいりたいと考えております。
  158. 木村太郎

    木村(太)分科員 ぜひお願いしたいと思います。  次に、二十一世紀の国土のグランドデザインということに思いして、地元に関してちょっとお聞きしたいと思います。  私の津軽地域の方でも、これまでも洪水がたびたび発生しまして、大きな被害が今までもありました。また一方では、渇水になったときもありました。そこで、二十一世紀にこの地域が水と共存する大きな安心の担保になるのに、今始まっております津軽ダムの建設というのがあると私は思っています。  この津軽ダムに関して、予算的にも、まだ本体工事に入っておりませんので、額そのものは大変少ない額でありますが、皆様方の御努力によりまして、あるいはまた地元、県あるいはまた市町村等の努力によって、移転なんかの方の対策もありますので、予算的にも動きが出てきているというふうに判断しておりますが、ただ、昨年ちょっとマスコミなんかでも、津軽ダムに関しても見直しがされるのではないかというような報道が地元紙でありまして、いま一度確認したいのです。  津軽ダムの事業そのものの必要性を確認させていただきたいということと、先ほど言ったように、まだ本体工事に入っておりませんので、額はまだ、十一年度の予算案も対前年比伸びておりますけれども、少ない額だと。しかし、計画そのものは、当初ベースでいうと平成十五年完成目標であったのですが、これは多分現時点では無理だろうという判断をしております。しかし、建設促進を私はぜひお願いしたいわけですが、この点、御答弁をお願いします。
  159. 青山俊樹

    ○青山政府委員 お尋ねの津軽ダムでございますが、津軽平野の治水対策のかなめであるという認識をいたしておりまして、岩木川流域で頻発する洪水、渇水対策のために極めて重要な施設だと認識しており、ダムの早期完成に向けまして事業の進捗を図ってまいりたいと思っています。  ダムそのものの見直しは、すべてのダムに対して毎年総点検をやっておりますので、その一環で毎年見直してまいりますが、津軽ダムの重要性についてはいささかも揺るがないという認識でおります。  平成十一年度におきましては、地権者方々の御協力をいただきながら、用地調査を進めたいと思っておりますし、下流の工事道路工事の進捗を図っていく予定でございます。
  160. 木村太郎

    木村(太)分科員 重要性は変更ないということでありましたので安心をいたしました。ぜひ建設促進に向けて今後一層の努力をお願いしたいと思います。  もう一つ地元の件でありますけれども、道路に関してお聞きしたいと思います。  日本海沿岸東北自動車道の整備が動き出しているようであります。これは新潟県の方からずっと日本海側を北上してくるわけですが、計画でいいますと、秋田県の能代付近で直角に近い形で右に方向転換しまして、そして能代から東北縦貫自動車道の小坂ジャンクションにドッキングする計画というふうに聞いております。また一方で、この東北縦貫自動車道をもう少し北上しまして私どもの青森県内に入りますと、浪岡インターチェンジというところがあるのですが、ここから日本海側の鰺ヶ沢という地域に向けて津軽自動車道という高規格幹線道路の建設が既に始まっております。  だとすれば、さっき新しい全総のところで言いましたが、日本列島の地図を広げた場合に、せっかく新潟の方からずっと北上してきて、そして津軽自動車道が日本海側に進んでいこうとしている。だとすれば、能代からそのまま北上して津軽自動車道とドッキングする形が、素人的な考えかもわかりませんが、理にかなう姿ではないかな、こう思います。  もちろん能代から小坂ジャンクションに向かう今の計画を白紙にしなさいとかそういう意味ではありません。しかし、私のこの浅はかな考え方に対して御意見があれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  161. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 五全総でも地域間の連携の強化の重要性が述べられておりますし、また、日本海沿岸地域の交流促進でありますとか、今御指摘の津軽自動車道、日本海沿岸東北自動車道とあわせて、循環型のネットワークの形成を図るというようなことは重要だと思っております。  そこで、今の鰺ヶ沢と能代の間でございますが、地域高規格道路の候補路線ということで六年の十二月に指定されておりまして、現在のところ、地域高規格道路として整備を進める緊急性等の基礎的な調査を、青森、秋田両県において進められております。  こういう状況の中で、地域高規格の路線指定、おおむね道路整備五カ年計画ごとにやっております。全国的にこういうような御要請も非常に強いところでございますので、そういう中でまた検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  162. 木村太郎

    木村(太)分科員 今御答弁にありましたけれども、実は私の地元の方では西津軽能代沿岸道路というふうに言いまして、既に国の方にもお願いをしているわけですが、ただ、既にこの地域においては部分的に大変危険な箇所あるいは密集地を通っている既存の道路がありまして、もう既にいろいろな事業を組み合わせてバイパス的に整備を始めております、県単でやっている部分もあるだろうし。  それで、今御答弁にあったことも含めて、やはり今後、いろいろ調べた上でまた判断されていくと思いますけれども、現在候補路線に指定されておりますが、ぜひ次の五カ年計画でいわゆる計画路線に格上げを図るようにお願いしたいと思います。いま一度このことに対して御答弁いただければと思います。  時間が来ましたので、先ほど大臣には個人的な御激励をいただきましたが、大臣にも国土づくりのための最大の御活躍をお願いして質問を終わりますので、最後にもう一回、次の五カ年計画に対しての思いを御披露いただければと思います。
  163. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 五カ年計画策定時までにいろいろ検討させていただきたいと思っております。
  164. 木村太郎

    木村(太)分科員 ありがとうございました。
  165. 北村直人

    北村主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  166. 保坂展人

    保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。関谷建設大臣、きょうは国土庁長官として、主にリゾート法について伺いたいと思います。  きのうも、私遅く自宅に帰ってテレビをつけましたら、ある報道番組でトマムが今どうなっているかという特集を放送しておりました。トマムは、御存じのとおり、アルファ・コーポレーションが倒産をして、そして残った部分、営業ができないかもしれないというところで、ついに村議会の決議で村がお金を出して経営を続行するというようなことで、大変綱渡りの状態だということが報道されていたわけですけれども、長官、このパンフレットをごらんになったことがあるでしょうか。「リゾートがつくる豊かな国土」、ございますか。——今初めてごらんになったということなのですが、私、二年前のちょうどこの時期に、リゾート法から十年ということで、その二年前と今とでは随分また経済状況が厳しくなっているのですが、国土庁の皆さんの御説明を受けました。  その際にこちら、十一ページがあるのですけれども、つまり、リゾート法、いろいろ問題はあるけれどもうまくいっている例があるのだということで、まず筆頭に来ているのがトマムであります。そして、二番目にシーガイアです。そして、三番目に磐梯リゾートです。結構大変な三つの案件が並んでいるわけなのですが、長官、どうでしょうか、リゾート法、ここは成功例だというふうに二年前に私のもとに持ってきたこのパンフレット、これはもう全面的に間違っていたのではないかと私は思うのですが、各論は後から入りますけれども、いかがでしょう、まず印象を伺いたいと思います。
  167. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 トマムのケース等々を見ましても、やはりリゾート法自体がつくられたときの社会情勢、財政情勢、あるいは国際社会の中での日本のスタンス等々、それから余りにも予測しがたい方向に大きく変わり過ぎたのではないかな。確かに、平成二年の夏ごろから景気がおかしいな、そして平成三年ごろからバブルがはじけたということになったのですけれども、平成三年以前だと我々もあのバブルの中で本当に踊らされていたと思うのです。ですから、そういうことで、その後の余りの変化についていくことができなかった。  リゾート法というのは、官民が一体となって我々の日々の生活を豊かなものにしたいという目的でつくられた法律であるわけです。ですから、その後の対処が機敏でなかったということもあるかもしれませんが、このリゾート法自体が間違っていたとは思いません。
  168. 保坂展人

    保坂分科員 その辺の御議論はあることと思いますが、現下の経済情勢、特に地方経済においてこういった大型リゾート開発が自治体の財政状況にかなりの深刻な影響を与えているということは、もうここで繰り返すまでもないことだと思います。  今もなお、リゾート法では税制の優遇ということで続いていますし、出発点の十二年前の時点において、私はその時点でもこれは問題があったというふうに思うのですが、仮にそこでこういう政策が正しいということであっても、現在これだけ、つまり進捗状況を見ても、もう十二年前の日本の社会で立案された計画では甚だ現実に即していないのではないか、もう一回これを根本から見直して仕切り直しをする。つまり、その中には、自然破壊の問題だとか、地域の経済を守り立てて大きくしていくという効果、雇用効果もうたわれましたけれども、逆にこれが、経営がこけてしまったときに、だめになってしまったときに、深刻な逆の影響をもたらしているという現実が今あるわけですね。この点、根本からの見直しを図るおつもりはないでしょうか。
  169. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のように、リゾート法は六十二年に制定以来既に十数年経過をいたしておりますが、昨年の一月一日現在でございますけれども、全国で千五百十九件の特定施設が既に供用をしておりますし、年間約一億七千万人の利用もちょうだいいたしております。また、雇用について見ましても、全国の特定施設で約五万人の雇用確保ということで、いろいろな事例はございますけれども、総体的には地域経済、地域社会に対して大きな効果を与えているものと思っております。  ただ、ただいま御指摘のような事例において、いろいろ経営上の問題等がございますので、そのような問題につきましては、できるだけ地域経済あるいは地域社会に影響を及ぼさないような方向で解決がされるように、我々としても適切なアドバイスその他を行ってまいりたいと思っております。
  170. 保坂展人

    保坂分科員 本当は大臣に伺ったのですが、お役人の方が答えていただきましたので、重ねてお聞きしますが、このパンフレットは今や廃版ですか。今も生きているのですか。リゾート法について何か下さいと言うと、国土庁はこれを配っているのですか。これは九六年の一月発行というふうにおととしは伺ったのですが、これは幻のパンフレットなのか、今も生きているのか、お答えください。
  171. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 ただいま御指摘のこのパンフレットは平成七年度に作成をしたものでございまして、その平成七年度時点で先行しておりましたリゾート地域について、具体的な写真等を載せて紹介をしたものでございますが、現状においては、いろいろな状況変化等もございますので、このパンフレットを増刷しているというものではございません。
  172. 保坂展人

    保坂分科員 ちょっと早口で聞き取れなかったのですが、このパンフレットをもう配らないことにしているということですか。現状、実情に即していないのでこれはお蔵に入れているということで、そういうことでいいですか。
  173. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 お答えをいたします。  この時点では、例えば基本構想を承認した地域も四十一ということでございまして、その後一つ追加をされておりますし、現状と必ずしも合っていない部分もございますので、現在これを増し刷りしてお配りするようなことはやっておりません。
  174. 保坂展人

    保坂分科員 要するに、増刷しないだけでどうしてもくれと言えばくれるわけですね。そうすると、これはリゾート法の成功例として三つ挙げているのですね。こういうものを配っていいのですか。
  175. 中川浩明

    ○中川(浩)政府委員 ただいまお答えを申し上げましたように、このパンフレットについてはその時点で作成をしたものでございまして、これから必要があるということでお話があればともかくでございますが、これからのパンフレットについては、現在の時点にマッチしたものに改めることも今後検討してまいりたいと思います。
  176. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、環境庁にも伺います。  環境庁も環境省になるに当たってもっと気概を持っていただきたいと思うのですが、平成十年一月に「リゾート事業における環境配慮について」という、こういうパンフレットが出ているわけですね。トマムのところをどう見ているのかな、いろいろな指摘をしているのかなと見ると、単に、人口がふえた、雇用がふえた、先ほどのこの黄色い幻のパンフレットも同じなのですけれども、それしか書いていないのですね。  ところが、その人口がふえたかどうかというところを見てみると、これは本当におかしな数字なんですけれども、国勢調査で、一度二千七百人に確かになっている、平成二年。これは工事人たちですよ、大勢訪れたのは。住民票で調べてみると、二年前だってもう千五、六百人だった。そういう意味では、人口動態においてはまあ戻った。工事の方がいなくなったら、もう人口は減った。それから、税収なのですが、環境庁が出しているのは、何を配慮しているのか、平成六年までしか出ていないわけ、平成十年の報告にもかかわらず。それまでは確かに税収もあったんです。今はどうなっているかというのは御存じのとおりでしょう。この事実をちゃんと書くというのが環境庁の責務じゃないですか。
  177. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 先生お尋ねの取りまとめは、平成七年に実は行いまして、したがいまして、平成六年度までの税収ということになってございます。これ自身は、全国の四十七の都道府県に対しまして、リゾート事業環境面への配慮すべき事例等についてアンケート調査の御協力をお願いいたしまして、その結果、さらに特定の場合にはヒアリングを実施して、具体的に環境配慮が良好な事例等につきましての取りまとめをいたしたものでございます。その中には報告をいただいたものを載せておる関係上、時点が古いという点で御了承いただければと思っております。
  178. 保坂展人

    保坂分科員 余り環境庁をいじめても仕方がないので。これは平成七年の国勢調査は書いてあるけれども、平成七年の税収が書いていないというのはおかしいですね、その後減っているわけですから。  もう一度国土庁長官に戻りますけれども、いろいろこの国はおかしいことがありまして、このリゾート法第一号の磐梯リゾートというのを調べてみると、大蔵省の元銀行局長の徳田さんという方が深くこの設立に関与されて、元事務次官の方とか、そうそうたるお歴々がこの磐梯リゾートの立ち上げに顔を並べておられるわけです。年額数千万の契約をして、そういった顔が並んだ。  金融国会で、さんざん銀行の不良債権の問題が語られました。今回長銀を吸収合併あるいは合併ができなかった住友信託銀行が多額の貸付金をしているのですよ、磐梯リゾートに。これはもう八百億を超えるんじゃないでしょうか。担保はと調べてみると、ほとんどないのですね、これは。  このリゾートというのは、夢があって、また国民一人一人が豊かに暮らす、そういう趣旨だということでなら賛成できるのですが、この三つとも問題案件だらけ。フェニックスが今どうなっているか。第一勧銀の大きな不良債権になって、それから、宮崎県の県財政の逼迫のかなり大きな材料になっているというのも御存じのとおりですが、やはりこのリゾート法という枠組み、当時つくった枠組みが、今やはり古くなっている。もっときっちりした査定が必要だったし、厳しい財政見通し、あるいは需要の見通しも極めて私は甘かったと思うのですが、この点、見直しというお考えはないでしょうか。長官にお願いします。
  179. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 法律は、今こういう内容でスタートをして十数年たっておるわけでございまして、その間、社会情勢の変遷もあってこういうようなことが起こっておるというようなことでございますから、この法律改正に向かった動きもまた出てまいりましょう。あるいは逆に、そういう磐梯リゾートの結果などを見て、この今の条件のもとでは、新しくそういうものにまた入っていこうとする地方は私は出てこないと思います。ですから、この法律の目標が達成できないというのであるならば、それは改正をしなければならないし、あるいはまた、廃案ということになるかもしれません。ですから、これからは委員の方の仕事になってくるんじゃないかな、そのように思います。
  180. 保坂展人

    保坂分科員 私としては、ただいま大変画期的な答弁をいただいたと思うのですが、確かに、不良債権という現実を直視すると、これも不良債権の遺物だと私は思うのですね、この黄色いパンフレット。これはもう不良債権なんです、実は。役所の中に残っている古い考え方なんです。だって、この磐梯リゾートなんかを見てみると、大成功したというふうに書いてあるのですよ。  ところが、この磐梯リゾートの呼び込みはオンリーワンリゾートということで、スキー場もある、ゴルフ場もある、それから各国の大使館の保養所もあったり、演劇も見られたり、もうすばらしい、世界にないようなリゾートをつくるということで集めているわけですね、かなり高い会員権で。しかし、それはもう全然進行していないということも明らかなんですね。  そういう意味で、リゾート法の当初は、バブルで確かにいろいろ緩かったです。銀行の方ももうお金をどんどんつぎ込んだ。担保もなしに貸し込んだ。これは、今の日本の国際的な信用力をうんと落としているわけですけれども、今の長官のお言葉で、現実を直視して、新たな法改正も含めて——本当の意味でのリゾートは必要だと思いますよ。時間を十分に有効に、国民一人一人が高くない値段でゆったりと過ごす、そういう方向に切りかえるということも含めてお考えになっているということで理解してよろしいでしょうか。長官の答弁をお願いします。
  181. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、このパンフレットの写真を見ましても、先生が言われんといたしますリゾート、いわゆる我々の日ごろの疲れをその場所へ行ってリフレッシュをするというその目的のためには、何もこんなに豪華な建物にする必要もないと私は思うわけでございまして、やはりそういう感覚も、狂っておったと言うと失礼になりますけれども、おかしいのであって、ですから、現代の感覚でもってそういう法律を見直していくということは必要だろうと思います。その過程において、こういう失敗をした例も参考にして直していけばいいと私は思っております。
  182. 保坂展人

    保坂分科員 去年、政治倫理のときはなかなか意見の一致が見られなかったのですが、これについては、もう本当に率直な御答弁で、ありがとうございました。  もう一点、思川ということについてちょっとお聞きをしたいのです。思川開発事業という、これは昭和三十年代からかなり長らく、寝かされてきたというか、調査は始まっていたのですが、本格的な工事が始まっていなかった大事業がありますね。  これは、二千五百億円総工費というふうに言われているのですけれども、これについて、これは去年この予算の分科会でお聞きをしたのですが、九四年の試算で二千五百億円と言われていました。それから五年たっているのですが、この二千五百億円という総経費自体は大体このまま変わっていないのかどうか、端的に、それでは建設省の方にお聞きしたいと思います。
  183. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今先生お尋ねのございました事業費の概算額でございますが、九四年試算で総事業費約二千五百二十億円を示しておるところでございまして、これが思川開発事業事業実施方針の中に書かれております。その後大幅な事業費の変動はないという認識をいたしております。
  184. 保坂展人

    保坂分科員 時間が余りありませんので先を急ぎますけれども、この思川開発事業について、いろいろ国会の中でも議論があったわけなんです。  私は、下見というか調査に行ってまいりましたけれども、南摩川というのは物すごく水が少ない川なんです。小川みたいなものですね。そこに行って、どうして一億トンというダムができるのかなと不思議だったんです。  そうしたら、この計画では、ちょうど高度経済成長当時の計画で、山にトンネルを掘って流し込むという壮大な計画ですよ。山の中をトンネルから水が来るのですね。ですから、一億トン来る。そうしたら、水を引っ張られる側の、大谷川というのですか、引っ張られる側の川べりの方々の農家の方たちは水不足になっちゃうじゃないかと。そうしたら、やはり水資源公団とかは考えられることが本当に壮大で、一億トン来たものを今度はポンプでくみ上げて逆送して水を送り込めという、そういう計画になっているのですね。  これは、水資源の有効活用ということで言われているのですが、どうでしょうか、今度建設大臣として、この事業については仕方がないかというふうに関谷大臣はお考えでしょうか。
  185. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話のございました思川の開発事業の概要でございますが、大谷川とか黒川とか大芦川とか南摩川とかいう川の流域の水を南摩ダム、行川ダムという二つのダムにためて、またその区域で渇水の場合は相互融通しながら、地盤沈下のための必要な利水だとか洪水調節等を行っていく事業でございます。  今先生おっしゃったように、ダムサイトとしての、水のたまる、貯水容量のある場所と、それから、その流域面積が大きければ一番問題ないわけでございますが、流域面積の集水区域が小さいものでございますから、各支川と連携をとりながら、ためるべきポケットに有効に水がたまるように、そういうふうな計画で進めておるものでございます。
  186. 保坂展人

    保坂分科員 では、建設省の方にもう一点、簡潔にお答えいただきたいのですが、この事業評価監視委員会が思川開発事業を継続と決定したというふうに聞いております。これはいつ決定したのかということと、その事業評価監視委員会の中に地元の方、つまり、計画がつい最近も動きましたので、新たに水没しなければならない住民の方も出てきて、大変驚いている、計画が知りたいという声もあって、住民がその中に入っていたのか。  この二点について、いつ決定したか、住民が入っていたかをお願いします。
  187. 青山俊樹

    ○青山政府委員 平成十年の十一月三十日に開催されました第二回の関東地方建設局事業評価監視委員会におきまして、思川開発事業について審議がございまして、継続することを了とするという結果になったわけでございます。  このときに、附帯意見がついておりまして、今後も現地の理解を得るべく努力するとともに、河川整備計画の策定、変更の手続の中で現地の意見聴取を図ることという附帯意見がついております。  これに従いまして、私ども、河川整備計画は利根川水系全体に関して定めているものでございますが、それの議論の一環としまして、これに先立って、水没者の方の御意見を聞く特別の場を設けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  188. 保坂展人

    保坂分科員 では、関谷大臣に伺います。  私、この質疑に先立って、去年の十月九日の建設委員会の議事録を読みました。地元の小林守議員の御質問大臣が答える形で、まさにずばり、今の地元の方の意見を聞く機会を設けるというのではなくて、大臣自身の答弁で、事業再評価委員会のメンバーには水没住民など現地の方を必ず入れる、この議事録にはそういうふうにあるのです。そういうふうに指導していきたいと答えているのですが、今の答弁だと、地元の方は入っていなかったみたいなんですね。  これは、やはり大臣のせっかくの前向きの決断が十分お役所の方に浸透しなかったということで、より指導を強めていただきたいし、地元住民を交えてもう一回やり直していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  189. 青山俊樹

    ○青山政府委員 先に実務的な答弁をさせていただきます。  関東地方建設局の事業評価監視委員会というのは、第一回が十月五日、第二回が十一月三十日、第三回が十二月十四日、第四回が一月二十日というふうに、平成十年の十月からだけでも非常に頻繁に開かれているわけでございます。これは、対象事業がダムだけではなくて、河川改修、砂防事業、公園事業道路事業、非常に多岐にわたって、この四回だけでもう百二十一の事業が対象になっているわけでございます。  そういった、非常に幅広い分野についての評価監視をする委員会でございますので、このメンバーの中に水没者の方を入れるということは、例えば道路の審議をするときに水没者の方が入るというのは合理的でございませんので、大臣の御趣旨は、水没者に意見を十分聞いて、透明性を持って事業を進めていけという御指導だというふうに私どもは理解しております。
  190. 保坂展人

    保坂分科員 そうじゃないんです。議事録をきちっと二回ほど読んで私は質問しているのでそういった御説明は無用なんですけれども、要するに新しい考え方、今までの日本では、役所が決めれば、はい、そうですかと言って住民も立ち退いた。だけれども、NGOの方たちも、水需要についても、ダムの安全性についても、事業の採算についても、あるいは県の財政についても、いろいろな専門的な意見も出ているということを大臣は高く評価されているわけです、この議事録の中で。ですから、やはりもう一度、水没するかもしれない、水没するだろうという方の声を、現地の方を交えたところで継続か否かの結論を出していくように指導したいというふうに、言われている趣旨はまさにそれだと思いますが、関谷大臣、違いますでしょうか。私の間違いですか。
  191. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私が建設大臣になりましたときに言いましたのは、とにかくすべてオープンでいこう、いろいろな方の御意見も必ず聞くということで、そういう意味で私は言ったわけでございまして、どういいましょうか、すべての人をすべて審議会あるいは判断をする会議に入れろという意味で言ったわけではありませんが、私はやはり、何といいましても、仮にそういう方々が入っていなくとも、それで強引に決定をして進めていこうとしてもなかなか現状としては進めていくことはできませんから、前もっていろいろな方々と十分に話し合いをしていくという姿勢で述べたわけでございます。
  192. 保坂展人

    保坂分科員 わかりました。ぜひ建設省の皆さんも、国会における議論というのをもう少し大切にしていただきたいと思います。大臣が答えている、そしてまた指導するとまで言っていることなんですから、それを今まで流に解釈して説明をここでなさるよりは、そういうことに時間を使うよりは、具体的な中身に——時間がちょっとないんですけれども、ではもう一度先ほどの事業の中身について、今国の借金は大変な規模に上っているわけです。次々と補正を組んだりいろいろやっていますけれども、なかなか経済効果が上がってこないというときに、この思川の考え方、水がないところにダムをつくる、なければトンネルで持ってきたらいいだろうという大変ダイナミックな考え方です。そして持っていかれた側は、水がなくなったら渇水になって困るから、そういう声が上がれば、ではポンプでくみ上げて逆送いたしますという、本当にほほ笑ましいというか、こういう時代もあったんだなという前時代の考え方のように私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  193. 青山俊樹

    ○青山政府委員 経過的な説明を先立ってお答えしたいと思います。  水を持ってくるのは、大谷川流域につきましても干害期と非干害期と分かれておりますが、極めて大谷川の流況がいい場合、具体的に言いますと、ほとんどの場合が、洪水がございまして、その洪水のピークが過ぎた後の後ろの部分、これが大部分のボリュームになろうかと思いますが、そういった水を持っていくわけでございますので、決して持っていくところの流況を非常に悪くするというふうなものではないということでございます。
  194. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 いろいろ検討いたします。
  195. 保坂展人

    保坂分科員 時間になりました。  本日は予算の分科会で、リゾート法、今、日本の不良債権のかなりの部分がこういった大型開発、規制緩和によって——これは民間が主体ですよ、確かに。民間が主体ですが、接道、道路をつくったり、あるいはこのトマムには村営ヘリポートまであるんですね。これは、アルファ・コーポレーションがつぶれてしまえばただのコンクリートになってしまうのですね。そういう意味では、どんどんどんどん税金も使って、いわば官民挙げて一種の収益を上げようとした、その収益を上げる考え方自体は必要な村おこし、地域づくりだったかもしれません。しかし、これが倒産して村をつぶしてしまっては、村が倒産してしまっては元も子もないわけで、ぜひ国土庁長官としての先ほどの御発言を具体的に、本当にこのパンフレットを廃棄して新しくこれをきちっと見直す、ぜひ、環境庁にも余り遠慮しないで、きっちり環境の評価ということで点検をして、リゾートということを根本的に総括するということをお願いして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  196. 北村直人

    北村主査 これにて保坂展人君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時三十五分散会