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1999-02-17 第145回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十一年二月十六日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月十七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       越智 通雄君    斉藤斗志二君       森山 眞弓君    池田 元久君       岩國 哲人君    中井  洽君 二月十七日  中井洽君が委員長指名で、主査選任された。 —————————————————————— 平成十一年二月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席分科員    主 査 中井  洽君       斉藤斗志二君    森山 眞弓君       池田 元久君    岩國 哲人君       金田 誠一君    桑原  豊君       堀込 征雄君    兼務 横内 正明君 兼務 石毛えい子君    兼務 細川 律夫君 兼務 吉田  治君    兼務 草川 昭三君 兼務 白保 台一君    兼務 松本 善明君 兼務 山原健二郎君    兼務 伊藤  茂君 兼務 保坂 展人君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村正三郎君         外 務 大 臣 高村 正彦君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         防衛施設庁施設         部長      宝槻 吉昭君         法務大臣官房長 但木 敬一君         法務省民事局長 細川  清君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         法務省矯正局長 坂井 一郎君         法務省人権擁護         局長      横山 匡輝君         公安調査庁長官 木藤 繁夫君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   柴田  健君         警察庁警備局公         安第一課長   飯島 久司君         法務大臣官房会         計課長     津田 賛平君         外務大臣官房会         計課長     卜部 敏直君         外務省中近東ア         フリカ局長   天江喜七郎君         大蔵省主計局主         計官      坂口 勝一君         大蔵省主計局主         計官      村尾 信尚君         国税庁課税部法         人税課長    吉川 元康君         文部大臣官房審         議官      銭谷 眞美君         文部大臣官房審         議官      若松 澄夫君         厚生省児童家庭         局育成環境課長 畠山  寛君         労働省労働基準         局監督課長   松井 一實君         最高裁判所事務         総局刑事局長  白木  勇君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     竹本 直一君   池田 元久君     金田 誠一君   岩國 哲人君     堀込 征雄君 同日  辞任         補欠選任   竹本 直一君     越智 通雄君   金田 誠一君     島   聡君   堀込 征雄君     藤村  修君 同日  辞任         補欠選任   島   聡君     池田 元久君   藤村  修君     桑原  豊君 同日  辞任         補欠選任   桑原  豊君     岩國 哲人君 同日  第一分科員細川律夫君、草川昭三君、第三分科  員吉田治君、第四分科員山原健二郎君、第五分  科員白保台一君、伊藤茂君、第六分科員石毛え  い子君、松本善明君、第七分科員保坂展人君及  び第八分科員横内正明君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  (法務省及び外務省所管)      ————◇—————
  2. 中井洽

    中井主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、法務省外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。中村法務大臣
  3. 中村正三郎

    中村国務大臣 平成十一年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  法務省は、法秩序確保及び国民権利保全等国基盤的業務を遂行し、適正・円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要予算確保に努めております。  法務省所管一般会計予算額は五千九百二十九億四千万円、登記特別会計予算額は千九百六十一億五千九百万円、うち、一般会計からの繰入額が七百五十八億五千六百万円でありますので、その純計額は七千百三十二億四千三百万円となっており、前年度当初予算額と比較いたしますと、百十五億五千九百万円の増額となります。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してございます印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
  4. 中井洽

    中井主査 この際、お諮りいたします。  ただいま中村法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中井洽

    中井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 中井洽

    中井主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 中井洽

    中井主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。横内正明君。
  8. 横内正明

    横内分科員 自民党の横内正明でございます。  私は、オウム真理教の問題について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  あの日本を震撼させたオウム真理教事件が発生して約四年たつわけでございまして、この一連オウム真理教事件によって殺害をされた死者は二十六人、そして現在でも五百名から六百名の人がいわゆるサリン中毒の後遺症で苦しんでいるというふうに言われております。  その事件があった後に、教祖の松本智津夫を初めとして実行犯である信者四百二十八名が逮捕されまして、裁判に付せられております。また、教団に対して破産の手続進行して、ほぼ完了しているわけでございまして、そういういろいろな教団に対する手続が進みましたから、一時期は国民だれしも、これでオウム教は力が低下していくであろう、問題はなくなるであろう、そういうふうに思ったわけでございます。しかしながら、案に相違しまして、その後教団は再び復活し、特にここ一、二年は大変に活動的に勢力を拡大してきているという状況でございまして、全国各地に約三十数カ所あると言われておりますが、全国各地進出をして、その地域住民とか地元とさまざまなトラブルを生じているという状況でございます。  私は地元山梨県でございまして、この山梨県はオウム真理教問題の重要な舞台だったわけでございまして、県民や住民は大変な苦労をして、ようやく現在は、上九一色村だとか富沢町といったようなところにあったサティアンを初めとする教団施設が、国の補助も得て大体きれいに整理ができました。跡は公園とかそういう形になって、オウム真理教の傷跡というのは大体なくなった、そういう状況でございます。  そのやさきに、再びこの山梨県にオウム教進出をし始めたわけでございまして、今度は甲府盆地を挟んで富士山と反対側の八ケ岳の山ろくで、山梨県の高根町に清里というリゾート地がございますけれども、ここにオウム真理教進出をしようとしております。ある信者の名前で、競売手続で売りに出された昔のホテルだった施設でありますが、かなり大きい施設ですが、それを買い取ろうとしておりまして、現在手続進行中ということでございます。  地元大変心配をしまして、きょうも地元の北巨摩郡の市町村長さん方が大勢おいでになっているわけでございますけれども、特に、清里というところは割と有名なリゾート地であり別荘地であり観光地でございますから、そういうところのど真ん中にオウム真理教というような忌まわしいものが出てくると、これはイメージが傷つくことおびただしい。観光地としては命取りになりかねないという状況でございます。既にペンションなんかで予約が解約をされたというような被害も現実に出てきているわけでございまして、地元の町、住民にとっては大変に不安、苦悩が深い現状でございます。そういうことで、地域ぐるみ対策協議会をつくって、これに対して徹底的な阻止をしていこうという運動を今進めているという状況でございます。  そこで最初に、事実関係公安調査庁長官に伺いたいわけでございます。  最近のオウム教団の実態、二つありまして、一つ組織現状信徒動向とか拠点とか資金源関連会社資金状況、それから地域社会とのトラブル、そんな組織現状お話しいただきたい。それから二点目として、オウム教というのは、教義は人殺しも許容する教義だったわけでありますが、あの事件を経て多少は反省してそういう教義を直しているのかどうか、その二点について、できるだけ簡単明瞭に、端的に御説明をいただきたいと思います。
  9. 木藤繁夫

    木藤政府委員 お答えを申し上げます。  オウム真理教は、平成九年一月の公安審査委員会による規制請求棄却直後から、着実に組織施設拡充強化を図っておりまして、現在、長老部などの十五の中央部署を擁しておるほかに、これら中央部署などを配置した拠点施設や支部、道場などを次々と増設しておりまして、教団施設は十七都道府県三十四カ所に及んでおるのでございます。  こうした教団施設をめぐりましては、各地において、周辺住民らとの間で紛争がますます活発化するという様相を呈しておりまして、これら三十四施設のうち合計十六の施設におきまして、訴訟の提起や施設反対する住民組織の結成など紛争事案が発生しておるところでございます。  こうした背景には、教団合計十八の関連企業事業収益から多額の活動資金を得て財政基盤を強化しているということがあると認められるのでございますが、中でも、資金獲得中心的役割を果たしておりますのがパソコン販売事業でございまして、これによりまして、昨年一年間において総売り上げが七十億円を超えるものと推計されております。それによって、教団側相当額収益を得ているものと思われるところでございます。  一方、活動面におきまして、五百人以上の出家信徒と多数の在家信徒活動が認められておりまして、これら信徒全国各地布教宣伝活動ないしは資金調達活動に携わっておるところでございます。  また、平成七年三月の地下鉄サリン事件など一連事件で逮捕、送検された四百人を超える信徒のうち、これまでに百七十人が教団に復帰したという事実も確認しております。  このように、オウム真理教は着々と組織再興を図って活発な活動をしておる現状にあるわけでございます。  もう一つのお尋ねの、オウム真理教が危険な教義を改めたかどうかという点でございますが、先生指摘のように、オウム真理教は、麻原彰晃こと松本智津夫が説いた殺人をも肯定する危険な教義、これをタントラ・ヴァジラヤーナ、こう称しておるのでございますが、そうした教義を有しておりまして、現在もその教義を改めてはいないものと考えております。  なぜかと申しますと、教団は、今日に至るまで、そういった教義に基づいて起こした一連事件に対する反省を示したことがないばかりか、こういった危険な教義などを説いた文献とかビデオを、新しく入った信徒の教材として用いるなどしておりまして、依然としてそうした危険な教義を堅持しているものと認められるところでございます。
  10. 横内正明

    横内分科員 次に、公安調査庁は、平成八年の七月でしたか、オウム真理教に対して破防法適用すべく、公安審査委員会申請をしたわけでございますね。それで、平成九年の一月に、公安審査委員会はその公安調査庁請求を棄却したということでございます。  ここにその理由書がありまして、私もきのうこれを読んでみたわけでありますけれども、結論的に、端的に言いますと、公安審査委員会理由書というのは、オウム教団弱体化をしたという極めて楽観的な認識に貫かれているというふうに思います。  いろいろずっと読んでいって、一番のポイントのところが、本団体オウム真理教に対する当委員会の判断というところがありまして、そこのところにこの認識が集約されているんですが、「本団体は、人的、物的、資金的能力を縮小、弱体化させつつ、閉鎖隔離的信仰集団から広く社会内に分散した宗教生活団体へと移行していることがうかがわれる」、したがって、暴力主義的破壊活動を行う心配がない、こう言っているわけです。  要するに、閉鎖的な危険なカルト集団から、町の中でひそひそと小集団宗教生活をやる、そういう危険のない団体に変わりつつあるんだ、こういう認識に立っているんですね。当時、オウム教は、これを免れるべく、かなりしおらしく、偽装的な工作をやりましたね。どうも、それに結果的に乗るような格好になってしまったんではないかというふうな気がいたします。  しかし、今長官お話のように、オウム教が人的、物的、資金的に拡大、ますます強力になっている、殺人を容認する教義もそのままであるということになると、再度破防法申請を検討すべきではないかというふうに思うわけでございます。それは、国民だれしも、特に地元の人なんかに聞くと、みんなそれを、国民の自然な、素朴な感情としてそういうことを言うわけでございます。  特に大事なことは、これは長官に特に聞いてもらいたいんですが、破防法適用するんだ、そういう強い姿勢を持つことがオウムに対する最大抑止力になるんですね。ということが大事だと思うんですね。だから、審査委員会審査している間は、オウムは非常にしおらしく鳴りをひそめていたんですよ。その決定が出たら途端に動き出したわけですから、だから、常に公安調査庁なり政府が、再度これを適用するんだ、そういう強い姿勢を持ち続ける、それがオウムに対する抑止力になり、また、地元で戦っている住民に対する一番の援護になるわけですね。  その点を頭に入れて、再度、適用について御意見を聞かせていただきたいと思います。
  11. 木藤繁夫

    木藤政府委員 オウム真理教につきましては、先生ただいまおっしゃいましたように、平成九年一月に、公安審査委員会によりまして請求が棄却されたわけでございます。その主たる理由が、やはり将来の危険性立証が十分でない、こういうところにあったわけでございます。  破防法によりますと、将来の危険性立証というのは、「継続又は反覆して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由」というふうに規定されておるところでございまして、非常に厳しい要件法律上規定されておるわけでございます。  そういった要件を考慮いたしますと、現時点において、直ちにもう一度公安審査委員会処分請求をするかとなりますと、まだそういった状況ではない、こう考えておるところでございます。  しかしながら、教団が今なお危険な体質を維持しておるということとか、周辺住民とのトラブルも発生しているというようなことを考慮いたしますと、教団の今後の動向いかんによっては、再度処分請求を行うという可能性も十分あることを念頭に置きまして、厳重な調査監視活動を行っていきたい、また現に行っておるところでございます。
  12. 横内正明

    横内分科員 先ほども申しましたように、政府が強い姿勢で、破防法適用するんだぞという姿勢を常に示し続けることが、彼らに対する最大抑止力になるんですよ。今は抑止力が何もないですからね。だから、せいぜい地域住民地元住民が一生懸命スクラムを組んだり、なにをしたりして、違法すれすれの行動をとりながら必死になって今その阻止をしているわけですからね。  そういうことを考えてもらって、やはり、法律に基づいてこれを規制するんだ、そういうはっきりした姿勢を常に持ち続けることが、オウム拡大させていくことに対する最大抑止力になるということを常に念頭に置いて、前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。  それで、大臣に伺いたいのですけれども、今、長官からお話があったように、破防法というのは適用条件が非常に厳しい。これは、できたときに、共産党を初めとする革新政党が非常に反対をする中でできたわけですから、いろいろな条件が課せられていて、伝家の宝刀とは言いながら、抜かずの宝刀であり、さびついた宝刀だと言われているわけでございます。  しかし、当時、事件のときに言われましたが、オウム教のあの事件というのは、世界歴史で初めて毒ガスを使って一般市民に対して無差別テロが行われた。これは世界歴史にないんだそうですね。初めての事件。そういう集団が、依然として全く規制なく生き残っていて、しかもそれが拡大をしているというのは、それを現行法上どうしてもとめられないというのは、やはり民主主義社会として非常におかしいのではないか。これはだれしも感ずるところだろうというふうに思います。  地元住民の皆さんに聞くと、本当にそこのところを一番指摘するわけでして、我々がこんなことをやって何でこんな団体阻止しなければいかぬのか、何で政府がきちっとやらないのかということを盛んに言われるわけで、もっともなことだというふうに思うわけでございます。  それで、欧米諸国の事例を聞きましても、ああいうものがあったら、当然のことながらそれはもう強制的に解散をさせるというようなことで、欧米でもそれが当然のこととされているというふうに聞いております。  そんなことで、破防法改正を行う、あるいは、これはある方の意見なんですけれども、カルト法というような、狂信的な宗教団体に対する一定の規制をするような法律をつくるとか、そういうようなことが、どういう形であれ、そういった法的措置が必要ではないかというふうに思うわけでございます。  なかなか、これは政治的に難しい問題でございまして、法務大臣としてはお答えしにくい面もあると思いますが、練達敏腕大臣として、政治家として、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 中村正三郎

    中村国務大臣 確かに、委員指摘のような、いろいろ、あのときの破防法適用の問題、公安審査委員会決定に対する御批判等は随分報道でも拝見をいたしました。  今、委員は、オウム真理教現状にかんがみまして、法改正、整備をするべきではないかという御指摘でございますが、およそ国民意思を反映できないような行政というのはいけないわけでありまして、時代の変化国民の意識の変化に応じて、それを反映できるような行政ができるように法改正を考えるというのは、当然我々としてやらなければいけないことだと思います。  今、新法というお話がございましたけれども、新法ということになりますと、カルト法みたいなものは私どもの、かたいことを言うようですが、所掌事務にはないということで、政府全体で考えることかなと思うわけでありますが、現行法律から考えると、どうしても先ほどの公安調査庁長官のような答弁になってしまうということにかんがみまして、私といたしましては、国民意思が反映できるような公安調査庁あり方審査委員あり方にするようにということで、法律改正事務当局に考えるように命じております。  ただ、最終的には、これは国会で御審議いただいて、国会で御決定されるべきことだというふうに考えております。
  14. 横内正明

    横内分科員 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。  次に、国税庁に聞きたいのですけれども、さっき長官から話がありましたように、言ってみれば、資金源が非常に豊かなわけですね。オウム関連企業というのが、法人が十三社、個人で五店舗あって、パソコン販売で非常にもうけている。売り上げが七十億円だ。聞くところによると、七億円から十億円ぐらい利益があるというふうに言われているわけでございまして、これがオウムの原動力になっているわけですけれども、これに対して適正な納税が行われているかどうかということでございます。  十分な監視をする必要があるのではないかと思いますが、一点は、国税庁として、そういうオウム真理教教団あるいは関連会社に適正な納税を行わせるために所要税務調査等をしっかり行っているかどうかということが一点。  それから、もう一点は、これは非常に細かい話になるのですけれども、先ほど申し上げた山梨県の高根町の清里土地建物を取得しようとしているのは助永隆雄なる人物でありまして、この人物株式会社アレフ株式会社アレフというのはオウム教資産管理会社でして、オウム教とイコールだと考えていいと思いますが、それの代表取締役であります。代金が五千五百万円と言われております。ただ、まだ支払われていないのですけれども、近々恐らく支払われるだろうと思いますけれども、その支払い能力があるかといえば、あるわけがないわけでございます。  というのは、オウム教信者というのは、入ったときにオウム教団に財産を全部出すのですよ。それが教団の決まりになっている。そういうことも含めて、五千五百万などという資金をこの助永個人が出せるわけがないわけでございまして、そこに一つの脱税の可能性があるわけですけれども、その代金調達方法等について税務調査をするように要望したいと思います。  その二点について御返答をいただきたいと思います。
  15. 吉川元康

    吉川説明員 お答えさせていただきます。  個別の事柄について答弁することは従来から差し控えさせていただいているところでございますが、一般論として申し上げますと、国税当局としては、常に、納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じ課税上有効な資料情報の収集に努め、これらの資料納税者から提出された申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなど、適正な課税に努めているところでございます。  今後とも、このような考え方に基づき、適時適切に対処してまいりたいと考えております。
  16. 横内正明

    横内分科員 今は一般論の話で、守秘義務があるからそういう一般論お答えしかできない、こう言っているわけなんですけれども、課長、よく聞いてもらいたいのですけれども、このオウム真理教団というのはテロ集団なんですね。犯罪集団、反社会的な集団なんですね。だから、脱税をするのはもう当たり前なんです、遵法精神なんというのは全くないわけですから。そういう集団であって、守秘義務とかなんとかというのは、これは要するに善良な納税者に対する話ですから、こういう集団に対しては税務当局もそれなりの対応はすべきだろうというふうに思うのですね。  もちろん国税庁だけでできる話ではないので、警察とか公安調査庁とか、そういうところと十分情報の交換をしながら、オウム真理教関連会社に対する税務の監視、これは厳しくやってもらいたい。やっているというような話ですけれども、これはぜひひとつお願いをしたいと思います。先ほどの助永何がしという個人に対しても、税務上の調査、監視等をこれから厳しく続けてもらいたい。もう一回答えてください。
  17. 吉川元康

    吉川説明員 繰り返しで恐縮でございますが、一般論として申し上げますと、国税当局としては、常に、納税者の適正な課税を実現するという観点から、国会において御議論いただきました事柄、あるいは新聞、マスコミ等で報道されました事柄も含めまして、あらゆる角度から課税上有効な資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなど、適正な課税に努めているところでございます。  このような考え方に基づきまして、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
  18. 横内正明

    横内分科員 今、課長が言われた中に、国会で議論された事柄などを踏まえて厳しく対応していくという言い方がありますから、それは私が申し上げたことも十分頭に入れた上で対応するということの意味ですから、そのように受けとめたいと思います。  それから、労働省もお願いをしているのですが、これは少しあいまいな話で申しわけないのですけれども、あちこちの警察とかそういうところから、オウム教団関連会社が、信者を従業員として、過重労働とか低賃金労働とか、あるいは労働環境が非常に悪いとか、狭いアパートみたいなところに集団的に信者を収容して、そして二十四時間近いような労働をさせているというようなことがよく言われておりまして、労働基準法違反ではないかということが言われております。  労働基準監督署は強制捜査権があるわけですけれども、これについて把握をしているかどうか、伺いたいと思います。
  19. 松井一實

    ○松井説明員 お答えさせていただきます。  先生指摘の労働基準監督機関、これはもともとの使命といたしまして、ある事業場で労働基準法を適正に守っているかどうかという視点からの監督権限、調査権限でございまして、その事業場が、先生が今問題にされておりますような、例えば宗教法人と関係しているか、あるいはそこで働いている方がどういう属性かという点については、特段、権限を持ってやるという考えで今までやってきておりませんでした。したがって、現段階では、オウムと事業場の直接の関連というものは把握していないという現状でございます。
  20. 横内正明

    横内分科員 先ほど国税庁に申し上げたのと同じことでして、こういう犯罪集団ですから、そういうものに対しては厳しく対応すべきだ、法規違反があるおそれがあれば、それに対してはしかるべく調査をきちっとすべきだろうというふうに思います。その点を要望しておきます。  それで、最後に大臣にお伺いをしたいわけでございますが、これは法務省だけというのじゃなくて、いろいろな役所が絡みますので、小渕内閣の国務大臣としての御見解を賜りたいわけでございます。  一つは、今お話がありましたように、全国で十六ぐらいのいろいろなトラブルがあって、地元住民の皆さんが反対運動をやっているわけでございます。法的な手当てがないものですから、反対運動もやれることというのは限られておりまして、いろいろな違法すれすれの手段を使って、例えばスクラムを組んで信者が入ってくるのを阻止したり、あるいは地元の町が道路工事をそこで無理に起こして、それで道路工事で溝を掘るということで信者が入れないようにするとか、いろいろな違法すれすれの手段を使いながらオウム真理教の進入を阻止する、そういう運動を全国あちこちでやられているわけでございます。  こういう地元の皆さんの努力というか、苦慮というか、苦労というか、運動に対して、国としてもぜひひとつできるだけの支援を、応援をしてやっていただきたい。  例えば公安調査庁は、あるいは警察もそうですけれども、いろいろな情報を入手すると思うのです。それは機密情報が多いかもしれぬけれども、地域住民団体にとってみれば有益な情報というのはあるわけでありまして、そういう情報はできるだけ流してやるとか、いろいろな形で、国として、そういった地元住民の苦労、努力に対して支援をお願いしたいというのが一点でございます。  それから、もう一点は、今の国税庁とか労働省の話に関連するのですけれども、関係の機関が非常に多いものですから、そういう関係の機関でぜひひとつ情報交換とか協力体制をしっかり組んでいただいて、オウム教団に対しては強い姿勢をとるということがオウム教拡大阻止する一番大事なことだと思っておりますので、お願いをしたいということでございます。法規違反の疑いがあるときには、警察、検察、国税、そういった捜査機関が、強制捜査権があるわけですから、共同して強制捜査をするとか、そういうことで関係機関が協力してオウム教団に対して断固たる対応をぜひお願いしたいということでございます。  地元のそういった運動に対する国の支援ということと、それから関係機関の協力体制のもとでの断固たる対応、この二点を大臣にぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  21. 中村正三郎

    中村国務大臣 今御指摘がありましたように、極めて反社会的なことを肯定してかかる教団でありますから、尋常な取り組みではどうにもならないという面があると思います。委員がそちらから申されましたように、これは所掌事務からいくと法務省だけでやることのできないことでありますけれども、関係機関による幅広い対応というのが必要だと思います。  そういう中で、情報の交換とか提供、こういったことは実はかなりやっておるのでございまして、地方自治体に対する情報の提供もやっております。これは、委員のお言葉も踏まえて、さらに密接に協力して、こうした反社会的な集団住民の方を脅かさないようにいろいろな努力をしていくべきことと存じております。  それから、さらなる政府横断的な対応ができるかどうかということについては、これは、私一存ではまいりませんけれども、関係する省庁の方たちなどとも話し合ってみまして、何か政府としてさらなる住民の方のためにやることができるかどうか、ちょっと研究してみたいと思います。
  22. 横内正明

    横内分科員 ありがとうございました。  大臣から大変前向きの、懇切な御答弁をいただいて感謝をしております。私の地元でのそういった運動も始まったばかりでございますけれども、これからもそういう状況をよく注視をしながら、何としてもこれを阻止するということで、私も政治家の一人として頑張っていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  23. 中井洽

    中井主査 これにて横内正明君の質疑は終了いたしました。  次に、金田誠一君。
  24. 金田誠一

    金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。  法務省所管の登記に関する手数料の問題並びに登記所の統廃合の関係についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  法務省は、昨年、登記手数料をかなり値上げをしたと思うわけでございます。理由は、コンピューター化といいますか、そういうことが主な理由と伺っておりますけれども、これによってかなりの収入増ということになったと思うわけでございますが、この値上げによって幾らから幾らに手数料収入が増になったのか、幾ら増額になったのかということをまずお答えいただきたいと思います。
  25. 細川清

    細川政府委員 お答え申し上げます。  登記の手数料は一たん郵政省に入りまして、その後登記特別会計に繰り入れられますので、繰り入れまでに二カ月間を要します。したがいまして、昨年度の収入のうち、現在まで確定値で判明しておりますものは六百九十億でございます。これを前年同期と比べますと、前年同期が五百八十四億でございますので、百五億の増でございます。  なお、これは全体の一八・一%増に当たりますので、平成九年度の収入総額八百八十二億に一八・一%を掛けますと、平成十年度の推計値としては千四十二億ほどになって、百六十億ほどの増になるということの見込みでございます。
  26. 金田誠一

    金田(誠)分科員 百六十億の増収になるだろうということでございますけれども、一方で、この登記手数料は、官公庁なりあるいは特殊法人、こういうところは減免ということになっていると伺ってございます。謄本、閲覧あるいは証明というんでしょうか、この三区分だと思うんですが、例えば、前にいただいた資料でございますけれども、平成八年度の無料証明をもし有料にすればどうなるかという資料をいただいておりますけれども、平成八年度だとすれば、私の計算では合計四百四十六億、これが官公庁の証明、謄本を有料化したときの増収額になろうかと思っておりますが、その辺の数字をお聞かせいただきたいと思います。
  27. 細川清

    細川政府委員 まず、登記簿の謄抄本及び証明書の関係でございますが、これは国あるいは地方公共団体の無料請求に係る発行通数が総通数に占める割合は約一二%でございます。平成九年度でございますと、当時は単価八百円でございますから、この数字を乗じますと約九十億円になるわけでございます。  それから、閲覧でございますが、閲覧は、登記簿を簿冊で処理しておる登記所におきましては、簿冊単位で地方自治体の方が一挙に多数のものを見られるということになりますので、これは非常に登記所の負担が少ないということですから、これを単純に閲覧の四百円を掛けるということは適当ではないのではないかというふうに考えておりますが、単純に計算しまして、その四百円を無料の閲覧件数に掛けますと二百三十八億ぐらいになろうかと思います。
  28. 金田誠一

    金田(誠)分科員 九八年四月十三日に民事局第三課からいただいた資料でございます。  この数字を見ますと、謄抄本で推計七十四億、これは平成四年から平成八年までの平均値をとっております。平均値で推計七十四億。同じく閲覧の平均値で三百七十三億という数字でございまして、証明無料請求事件数等というのがありまして、これが三十四億。この平均値合計四百八十一億、平成八年度だけ合計しますと四百四十六億という数字をいただいております。多少違うようでありますけれども、いずれにしても巨額な数字でございまして、登記手数料の値上げによる推計百六十億をはるかに上回っているということだけは確かなようでございます。  そこで伺いたいんですが、なぜ官公庁あるいは公社公団、特殊法人などについては無料のままで据え置いて、なぜ一般の民間、こういう厳しい経済状況の中で手数料を引き上げなければならないのか。これはもう理解に苦しむわけでございます。まさに官尊民卑そのものだと思うわけでございますが、その辺何か弁明する言葉などございますか。
  29. 細川清

    細川政府委員 確かに、御指摘のとおり、現在、登記手数料令の第七条が適用される国、地方公共団体あるいは特殊法人からの職務上の請求につきましては、手数料を無料とする扱いとされておるわけでございます。この扱いは、公共部門における相互の協力関係を促進する、こういう意味でございまして、従来から他の同様の制度についても同様なことが認められておるわけでございます。  さらに、この登記特別会計が創設されたときの衆議院大蔵委員会の附帯決議でございますが、昭和六十年四月のものでございますが、これでも、公共部門における相互の協力関係について、従前の慣行を尊重するようにという附帯決議がございました。  そういうことなどから考慮して、現時点ではこれは維持せざるを得ないということが私どもの考えでございます。
  30. 金田誠一

    金田(誠)分科員 その大蔵の附帯決議が行われた後の昭和六十二年十月五日に、登記のコンピュータ化に関する民事行政審議会答申というのが出ております。これはもうよく御存じのとおりだと思うんですが、その答申によりますと、「国又は地方公共団体請求による登記事項証明書及び登記事項要約書の交付は、有料とするのが相当であって、その方向で検討すべきである。」ということが答申として出されているわけでございます。  さらに、その説明という中では、公共性、官公庁間の相互協力関係云々に帰着するという、今までの根拠はそうであったけれども、「登記特別会計制度の下で登記事務のコンピュータ化を実現していくに当たっては、これをそのまま維持することは困難であって、その根本的な見直しが必要であると考えられる。」もっともな答申が出ているわけでございます。なぜこの答申どおり行われてこないのか、その辺を伺いたいと思います。
  31. 細川清

    細川政府委員 ただいまの民事行政審議会の答申の文面は、ただいま委員指摘のとおりでございますが、別の部分もございまして、「しかし、これに対しては、手数料無料制の廃止は、地方公共団体等の経済的負担の増大をもたらすから相当ではないが、その廃止を検討するとしても、関係各界の理解が得られるようその調整に努める等慎重に対処することが望まれるとする意見があった。」そういう部分もございます。  これについてはさまざまな意見があるわけでございまして、私どもとしては、関係機関の御了解が得られなければそれはできないという状況でございまして、今後とも、それはそういったことを含めて検討していかなければならない問題だというふうに思っておるわけでございます。
  32. 金田誠一

    金田(誠)分科員 今、その慎重にというのは少数意見として付記されていることも承知をいたしております。しかし、答申そのものは、有料とするのが相当であるということでございます。そして、その説明の中にはこういうくだりもございます。  官公庁間の協力関係は維持すべきものとしても、そのコストをすべて一般利用者の負担に帰することは不合理であって、国等にも相応の負担を求めるのが合理的である。コンピュータシステム導入後における登記情報の供給には、一般利用者の場合と等しいコストを要する反面、国等は現在閲覧に費やしている時間と手間を省略することができる。   したがって、国等に対する登記事項証明書及び登記事項要約書の交付についても、国等に相応の負担を求めるべきであり、これを有料化する方向で検討すべきである。 これが、答申の大勢といいますか、多数意見の答申の方ですね。  それで、さっきおっしゃった、慎重にという意見もあったというのでついているのはわかりますけれども、コンピューター化のためのコストを一般利用者のみの負担に帰するのは不合理だ、その恩恵は国も受けるではないか、これはどう思いますか、そう思いませんか。
  33. 細川清

    細川政府委員 その点にだけ限って言えば、それは合理性のある考え方だと私どもは思っておるわけですが、他方、この無料の閲覧の大勢は、地方公共団体課税台帳等の適正を期するために大量に閲覧する、あるいはコンピューターで所在場所、物件の地番あるいは家屋番号と所有者名を記載した一覧表を出して、そして確認するということをやっているわけでございまして、そういった官庁間の相互協力ということを前提にいたしますと、私どもとしては、今直ちにこれを有料化するということは、非常に地方財政にも影響が大きいわけですから、簡単に関係機関の了解を得られる問題ではないというのが実は実感でございまして、そういったところで、前提の条件の整備ということについて我々としても考えていかなければならない問題だというふうに思っているわけでございます。
  34. 金田誠一

    金田(誠)分科員 自治省がうんと言わないということですか。それをはっきりしていただきたいということが一つと、それでは、民間は、この不況下にあってリストラ、リストラで経費節減で大変な目に遭っているときに、これは御了解得られているわけですか。それは得なくてもいい、勝手にやってもいいんだ、しかし、自治省はうんと言わないからと。  これは公社公団まで全部入るわけですよ。住都公団だって道路公団だって全部入っているわけでしょう。例えば登記なんというのは、開発行為だとか公共工事に伴う事業費絡みの経費だって相当あるわけでしょう。これは潤沢に予算ついているわけです、公共事業費の積み増し積み増しで。そういうところから手数料を取って、民間にかぶせる分を少しでも節減、軽減してあげる。コンピューター化に伴う経費なんですから、言うならば設備投資みたいなものですよ。それを民間の手数料だけでやって、恩恵は官公庁も受ける、そんなことで通りますか。その辺、ちょっと、もう一回答えてください。
  35. 細川清

    細川政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、官庁間の相互協力というものは従来から行われておりましたものですから、これを今直ちに改めるということは、諸般の事情から見て難しいというふうに考えております。
  36. 金田誠一

    金田(誠)分科員 自治省がうんと言わないということなのかどうなのかということと、それでは、民間は官公庁よりも財政事情が楽で、これについては官公庁と比較すれば取りやすいとか支払い能力があるとか、そんなことを思っておられるのですか。その二点。
  37. 細川清

    細川政府委員 これは、改正いたしますには、多数の関係の機関、つまり政府全体としての合意が必要であるということを申し上げたわけでございます。  それから、手数料につきましては、不動産登記法におきまして、物価の状況、登記簿の謄抄本等の交付に必要な実費その他一切の事情を考慮して政令で定めるということになっておりまして、まさに利用者負担の原則に従って、そういったものを計算して現在の額となっているわけでございます。
  38. 金田誠一

    金田(誠)分科員 答弁になっていないと思うのです。まあ、複数の官公庁、それぞれお伺い立てて、いいと言うまでできませんということで、仕方がないから、かかる経費は民間に全部かぶせよう。こんなことが——これは、国の役所が考えているとすれば、もう国民は本当に情けなくなると思います。怒りを通り越して、本当に問題だと思います。  これ以上細かいことはお聞きはいたしませんが、大臣に最後に、これはどうですか。法務省としては、これはもう答申に従って改善をすべきだ、その方向で早急に措置をするというお答えいただけませんでしょうか。
  39. 中村正三郎

    中村国務大臣 おっしゃっていることは、意味はよくわかるわけでありまして、およそ行政サービスを受けようとする者が行政サービスを受けたその費用を支弁していくということで、登記所に行ってもお金を払うわけですけれども、その地方自治体なりがもしこれを払うならということの論議にはなかなかいかぬと思うのですね。すると、地方自治体にも払えということになる。(金田(誠)分科員「地方自治体、払ってないんですよ」と呼ぶ)払ってないですよ。払えということになった場合に、地方自治体なり国なりは、どこからお金が来るかというと、それは税金から来るわけですね。税金から来る。国民の負担になるわけですね。それが、委員の議論は、そういう地方自治体、国などが無料になるために民間の人たちの費用がふえているのではないか、こういう論点ではないかと思うのですね。  私は、この議論、非常に難しいことがあって、今局長は苦しい答弁をしておりますけれども、現行法制だとか今までのやり方からすれば、即座にこれは法の上の平等違反で、違法だということは言えないと思います。  ただ、これから独立行政法人とかいろいろなものが出てまいります。そういうときに、負担のあり方はどうかということは、今も局長が答えましたように、これからも考えていかなければいけないことだと思う。ただ、これは法務省だけではできないということでございますね。ですから、私は、直ちにこれが法の平等に反するとか違法だとか言うことはできないと思いますが、これは考えていくべきことだというふうに感じさせていただきました。
  40. 金田誠一

    金田(誠)分科員 直ちに違法だと私は言っているわけじゃないんですね。為政者として、法の適用の精神に照らしてどうなのかということですよ。あるいはまた、現下の情勢に照らしてどうなのか。民間は非常に厳しい状態にある。地方公共団体も厳しいですけれども、そういう予算も努力の中から民間と同じように捻出しても罰も当たらぬだろうということを申し上げているわけでございます。  特に、この経費は、コンピューター化に伴う経費、コンピューター化をしなければ値上げは必要なかったわけでございますから、そのコンピューター化が整えば官公庁も応分の恩恵にあずかるというものでございます。それをみんなで割り勘しようではないかという発想になぜ立てないのかということは、非常に残念に思います。  大臣、最後のくだりは、やるようなやらないような、微妙なところまでちょっと、前段はちょっと否定的かな、最後の方は、まあそうはいってもという感じで受けとめましたけれども、法務省としての軸足といいますか、視点といいますか、そういうものをもうちょっときっちりお答えいただければありがたいなと思います。
  41. 中村正三郎

    中村国務大臣 このコンピューター化による費用というのは、将来返ってくるものですね。合理化すれば安くできるということが言えるわけですね。ただやはり、コンピューター化することも、それによって能率化することもすべて行政サービスだということになれば、行政サービスの費用をどこが負担するかということでは、先ほど私が申し上げたことと同じだと思うのですよ。地方自治体がやれば、それは税金から出るわけですね。いずれにしろ国民の負担になる。その負担がアンバランスかどうかという面で、委員のおっしゃっていることは私はよく理解いたします。非常に局長も苦しい答弁をしておりますが、そういう中でこれからも見ていかなければいけないことだと言っていますので、よく研究させます。
  42. 金田誠一

    金田(誠)分科員 これは受益者負担という原則です。受益者は、謄抄本を請求する、閲覧を請求する民間人だけではありません。官公庁も請求する。その官公庁の利益を納税者が受けるとすれば、納税者が割り勘で負担をしろという意味でございます。理屈としてはその方がきちんと通るのではないか。民間部分だけが受益者で、官公庁というのは全体が利益をこうむるんだから負担は要らないという理屈は非常に通りにくい。答申の方でもはっきりしていると思いますので、ぜひひとつ早急な善処を改めて御要請申し上げておきたいと思います。  そこで、このように相手が自治省とかいろいろ強いところであれば引っ込む法務省が、相手が弱いと見るや、一方では強行している例がある。これもまた非常に問題だということを一点指摘させていただきます。  それは、登記所の統廃合という問題でございます。  これは地元のことで恐縮でございますが、私ども地元函館でございます。隣町、近所に松前町あるいは木古内町というところがあって、そこに小さな登記所があるわけでございます。この二つを廃止しようというのですが、関係の町長さん、議長さん、議会もそろって決議をして、何度もこの東京にも足を運んで反対運動を展開されているわけでございます。冬期間などは三時間以上も車で、車しかないわけでございますが、高速道路も走っていないというところでございます。冬道は、時間ばかりでなくて非常に危険でもある。こういうところで登記所が廃止されれば大変だということで再三お願いをしているわけでございますけれども、にもかかわらず、該当する町村の理解を得ることもなく、今年度末で廃止をしようということを強行されるというのは、これまたいかがなものか。  前段の手数料の方は理解を得なければと言っておきながら、相手が一般住民とか小さな町村と見れば強行するというのは、これは一貫性を欠くと思うのですが、どんなものでしょうね。
  43. 細川清

    細川政府委員 本年の一月一日現在で、全国には九百十五の登記所があるわけでございます。そのうち、職員が六人以下の小規模な登記所が約半数を占めておりまして、そのために、事務処理上、予算及び人員の配置上、極めて非効率になっているところでございます。かつては二千以上の登記所があったわけですが、それが現在九百強の登記所になっているという状況でございます。  私どもとしましては、昭和三十年から登記所の整理統合に取り組んできたところでございます。特に、平成八年十二月二十五日の閣議決定では、法務局出張所等の整理統合を進める旨、また平成十年六月に成立した中央省庁等改革基本法では「地方支分部局は、可能な限り、整理すること。」とされております。また、本年一月二十六日に決定された中央省庁等改革に関する大綱におきましても同様なことがあるわけでございます。  現在、公務員の数を減らすというような状況になっておりまして、私どもの法務局、地方法務局も、昨年は三十四人の減となりまして、十一年度予算ではこれが四十九人の減になる、そういう厳しい情勢になっておりますので、全体的な行政を効率化し、迅速適正に事務を処理するということのためには、やはり登記所の整理統合ということはしなければならないことだというふうに考えておるわけでございます。
  44. 金田誠一

    金田(誠)分科員 それは国の側の論理なんだと思いますね。そういう論理はある意味では持たれてもやむを得ないのかなという気もいたしますが、もう一方の論理を全く無視していいのかということでございます。  先ほども申し上げましたけれども、片道三時間。積雪の時期などは非常に危険も伴う。私などは、飛行機に乗って東京に来た方がずっと時間的には早い。そういう地域なわけでございます。さまざまな地域事情、いろいろあるわけでございます。  町長さんなどは、そんなに国が経費節減、人員削減と言うのであれば、地方自治体に、機関委任事務というのはなくなるのかもしれないけれども、そっくり仕事をよこしてくれ、人も出して役場の一角を提供して自前でやってもいいとまでおっしゃっているわけですね。それほど切実な問題として受けとめておられる。  そうであればあるなりに、国の論理は論理として、その論理を捨てろとは言いませんけれども、お互いの立場立場で話し合いをして、接点を見出すというか理解を求めるというか、そういうことがあってしかるべきじゃないんでしょうか。一方で登記の手数料の方は、自治省が反対すれば何百億という金を取っていないわけですから。どうでしょう。そういう話し合いの姿勢というものをもっと持っていただきたいと思うのですけれども。
  45. 細川清

    細川政府委員 御指摘の松前出張所及び木古内出張所の函館本局への統合につきましては、平成八年の五月に統合のための折衝を開始いたしまして、地元の理事者及び議会の方々に説明を重ねてきたということでございます。  また、私どもといたしましては、統合後における地元行政サービスがなるべく低下しないようにということで、さまざまなサービスを検討しておりまして、これについても地元の方々に御説明申し上げているところでございますが、今のところは御理解をいただけないという状況だと思っております。
  46. 金田誠一

    金田(誠)分科員 住民の方々がそれぞれの立場で反対されているという例は幾つか聞いているわけですけれども、町の議会とか町長さんとか関連する自治体がそろって反対をされているという状況の中で強行するという話は余り聞いたことがない。これは非常に異例の状況だと思うわけでございます。ここは一呼吸置いて、もっと話を詰めてもらう。  例えば、今コンピューター化を進めているわけでございますけれども、閲覧などは、コンピューター化が成ればオンラインで恐らく画面に出てくるんだろうと思いますし、謄抄本も、認証の判こを押したものはどうかわかりませんけれども、そこから出力しようと思えばできるようになるのではないか。閲覧なり謄抄本というのが恐らくかなりのウエートを占めるとすれば、最後の登記をする申請などは仮に足を運んだとしても、その辺は御了解を得られる可能性もあるのではないかということを考えれば、もう少しこの話を詰めて合意を見出していただきたいな、こう思うのですけれども、どうでしょう。
  47. 細川清

    細川政府委員 御指摘のとおり、松前、木古内の出張所につきましては、統合と同時にコンピューター化するという計画でございまして、そしてこれにつきましては、今国会に電気通信回線による登記情報の提供に関する法律というものの御提案を予定しておりまして、これが成立させていただければ、ネットワークを通じて地元の方々が自分の事務所ないし自宅からのパソコンで登記簿の閲覧をすることができるということになるわけでございます。  ただそれは、これから法案を提出するということで、約一年の後になるわけですが、それをするためにもコンピューター化を進めていかなければならないということになるわけでございます。
  48. 金田誠一

    金田(誠)分科員 当該町長さんがそれでオーケーされるかどうか私はわかりません。わかりませんけれども、それも材料の一つになるだろうということで申し上げているわけで、自治体が反対姿勢を崩さない中で強行するのはいかがなものかということを申し上げているわけで、そこをちょっと誤解のないようにしていただきたいということと、統廃合して廃止になる、直ちに画面で見られるというふうにはならないわけですね。そこに一年とか二年のタイムラグがあるようですよ。そういう中であえて強行しなければならないのか。廃止された、しかしオンラインで見られる、謄本もとれるという状況一つの協議の素材としながら、この三月末にこだわらずに、もう少し合意を見出す協議を続けるというあたりで、大臣、ひとつ御答弁いただけませんでしょうか。
  49. 中村正三郎

    中村国務大臣 この御答弁は、議員としてと大臣としてと別にさせていただきたいのですが、私の選挙区も幾つか過去に統合されまして、地元から行政サービスの低下だと大変なおしかりを受けた経験があり、今も経験しております。  そういう中で、行政サービスを低下させなければならないようなこういう行政改革をどうやっていくかという非常に難しい問題があると思いますが、やはり現実を考えますと、お役人の定員も減らさなければいけない、いろいろな行政改革の要請もあるという中で、登記所に来られる方の件数だとか廃止されるところからの距離だとか、いろいろなことを勘案して進めていかざるを得ないというのはしようがないことかなと思うのですね。  そこで、私の地元では、今言われました電子化、こういったことを急いでくれと。今議員御指摘のように、それを早くしろと言ったら、本体のコンピューターができるまでちょっとかかるとかなんとか言われまして、またおしかりを受けているわけですよ。それは全く同じなんです。  ただ、大臣として考えますと、そうした距離だとか件数だとかを勘案して、今の、最終的には国民の負担を減らそうという行政改革の中である程度やむを得ないことかなと思っておりますが、地元の御意見は十分伺うようによく指示をしておきますので、どうか御了解賜りたいと思います。
  50. 金田誠一

    金田(誠)分科員 時間になりましたから終わりますが、余り強硬なことはなさらないで、話せばわかることでしょうから、ぜひひとつ腹を割った話をして合意を見出していただきたいな、こういうふうに思います。
  51. 中村正三郎

    中村国務大臣 そういうふうに言っておきます。
  52. 金田誠一

    金田(誠)分科員 よろしくお願いいたします。終わります。
  53. 中井洽

    中井主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  54. 細川律夫

    細川分科員 民主党の細川でございます。  私は、犯罪の被害者の人権、とりわけ交通事故の被害者の人権についていろいろお伺いをいたします。  一昨年の十一月、東京都世田谷区で起こりました交通事故で亡くなった片山隼君の事件などをきっかけにいたしまして、最近、被害者の人権についていろいろ活発な議論がなされております。昨年、運輸省や自算会が自賠責保険の有無責の審査会あるいは再審査会をつくったり、あるいはまた、ことしの四月からは検察庁の方で、起訴、不起訴の処分結果とかあるいは公判の期日を被害者や遺族に通知する、そういう制度がスタートいたしますけれども、部分的ではありますけれども、被害者の立場を考慮した改善がなされている、そういうふうには思います。しかし、まだまだ被害者救済のための課題は山積をしているというふうに思っております。  交通事故の被害者や遺族にとりましては、特に死亡事故などにつきまして、事故が一体どういうふうにして起こったのか、これを知りたいのは当然でありますし、また、警察とかあるいは検察庁の調べが不十分だ、十分でないということでありますれば、これを正していくのもこれまた当然だろうというふうに思います。また、交通事故が起こりますと、それに伴って、民事上の和解とかあるいはまた保険金の請求とか、そういうこともありますから、そういう意味でも、正確な事実をきちっと知らなければいけないというようなところがあろうかと思います。  ところが、現在、被害者とかあるいは遺族に対する実況見分調書であるとか供述調書であるとか、そういう開示が十分ではないわけでございます。確かに刑事訴訟法の四十七条には、公判の開廷前には開示はだめだ、こういう規定があることも十分私も承知をしております。  しかし、一方で、開示をしているということがあるのです。自動車保険料率算定会、いわゆる自算会とかあるいは保険会社に対しては、事実上情報提供が行われております。  このことにつきましては、私は、平成九年五月二十八日に運輸委員会でこの問題について質問をいたしましたところ、当時の自動車交通局長がこういうふうに答弁をいたしました。自賠責保険の損害調査につきましては、「保険の請求があってからいたします関係で、どうしても警察からの情報に頼らざるを得ないという面が多いわけでございます」、こういう答弁でもはっきりと、警察からの情報がなければ調査ができない、自算会なんかのも調査ができない、こういうことでございます。  また、御承知かと思いますけれども、週刊誌とかあるいは新聞とか、いろいろな報道で、この実況見分調書について、自算会とか保険会社、そういうところが見せてもらっているというようなことも報道されております。  そこで私は、これはいかにも不公平だと。事故に遭われた遺族の方に対してはいろいろな資料が提供されない、開示をされない。一方の自算会であるとかあるいは保険会社、こういうところには資料が開示をされている。これは余りにも不公平、公平でないというふうに私は思います。  したがって、せめて、民事上の権利を行使する、そのためにも必要な調書については、被害者とか被害者の遺族あるいはその代理人である弁護士について、そういう人にはそういう資料を開示するというふうにしていただかなければいけないと思いますけれども、この点についてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  55. 中村正三郎

    中村国務大臣 刑事訴訟法四十七条のお話でございますけれども、これは、訴訟関係人の人権保護だとか、捜査及び裁判に対して不当な影響が及ぶことを防止するということから、公判開廷前における訴訟に関する書類の公開を原則として禁止しておりますけれども、他方、委員御存じで御質問だと思いますが、公益上の必要があると認められた場合は例外的な取り扱いを許しております。そしてそれは、公判開廷前に訴訟に関する書類を開示するか否か、これは、その保管者、すなわち検察になると思いますが、それにゆだねられるという法律になっておるわけでございますね。それに基づいて一部公開されているんだと私は解釈するわけですけれども、今おっしゃいました、民事上の権利行使のために特に必要である、こういうこともあると思いますので、実況見分調書、これは、事件を不起訴処分とした後は、閲覧を求められれば、原則として開示をするということはやっておるわけでございます。  ただ、こういう制度になっておりますからこういうことをやっているということでございますけれども、一方、やはりいろいろなことがこれから考えなければいけないことだと思いまして、ちょっと話が大きくなって申しわけないのですが、司法制度改革というようなことがこれから考えられております。  その中で、刑事訴訟法四十七条によって秘匿するべき事項と、やはり知りたいという方々の権利とか、大きく言えば国政調査権も絡んでまいります、そういうことについて、大きな面から御論議をいただけないかと私は思っているのです。そういう中では、実を言いますと、起訴陪審、大陪審の制度とか検察審査制度の改革、そんなことも含めて御論議いただけないかと思っておるのですが、現法律によるとこういうことでやらせていただいている、こういうことだと思います。
  56. 細川律夫

    細川分科員 大臣の方からは多分そういうようなお答えになるのではないかなというふうに思いました。  法務省の方としてはそういう考え、原則的なそういう立場でそのようなことになるだろうと思いますが、私は、今のこの刑事訴訟法そのものにやはり被害者の人権あるいは救済という意味においてはちょっと欠けている面があるのではないかというふうに思っております。  それは、まずこういうことだろうと思います。その実況見分調書にしろあるいは供述調書にいたしましても、誤りがある可能性があるにもかかわらず、それをチェックするというのが現在のシステムでは非常に不十分だという点があろうかというふうに思います。それをチェックするためには、公判が始まる前に被害者側にもきちんと意見を聞いたりしますと、そこに誤りが正される部分も十分あるのではないかというふうにも思っております。  そういう意味で、ジャーナリストの柳原三佳さんという方が大変熱心でいろんな交通事故の遺族の方を追っかけて、特に加害者の無責の、責任がないというこの問題についてずっといろいろ追っかけられて、その中で、いろんな調査の中ではいわゆる加害者の一方的な言い分だけを聞いて調書がつくられる、あるいはまた、場合によっては警察官の方が勝手につくる、捏造しているような場合もあるとか、そういうことも書かれております。そういうのが事実だとすると、そういう事実に反することをある程度チェックして、その誤った資料がつくられるそれをチェックする何割かは、被害者に情報を提供することによってそういうこともチェックできるのではないかというふうに私は思っております。  それから、もう一つ問題があるのは、不起訴処分になったような場合に、その後被害者と加害者との損害賠償請求の問題があるのですけれども、これが、いわゆる不起訴になりますと、不起訴になったこと自体が記録上大変重くなって、そうしますと、結果的に被害者に非常に不利益な資料がばあっとつくられちゃった、こういうことで、これも非常に私は問題だと思いますし、外国では、割と人権に配慮したいろいろな法的なものが最近つくられているというふうに聞いております。  そこで、私は大臣にお聞きをしたいのですけれども、今の刑事訴訟法というのが、先ほども言いましたように、限界がある。そこで、刑事訴訟法を改正して、被害者の人権を尊重するような、そういう意味で被害者にも訴訟手続の中に関与していくような、そういう制度がつくれないものかどうか。  例えば、管轄の問題でしたら管轄の移転とか事件の移送の問題があるのですけれども、こういうのも被害者の方の意見が聞いてもらえるようなそういう制度とか、あるいは刑事訴訟の記録とか、確定じゃなくて、確定の前に裁判になっているような場合、そういうときにも、被害者の方は被害者ですから、被害者とかあるいはその代理人の弁護士が要求した場合にはその記録がきちんと見られるようなそういう制度、あるいは被害者が証拠保全をやるとか、そういうような権利を訴訟法の中に組み込めないものか。  そこのあたり、ちょっと細かいことになって恐縮ですけれども、大臣、ひとつその被害者の人権救済というのですか、やはり被害者の方からもそういう訴訟手続の中できちっとした真実の追求をしていく、そういう制度を考えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  57. 中村正三郎

    中村国務大臣 私、実は法律の専門家でもございませんのでお答えすることに限界があると思いますが、その調書の信憑性だとか実況見分の信憑性ということに誤りがあるだろうという立場でお答えするわけにいかない立場なんですよね。それが正されるのはまさに裁判であろうというふうに思います。裁判になれば、それは被害者の方も、いろいろな証人の方も出られるのだろうし証拠も出てくるのだろうと思います。  今委員おっしゃいましたことで一番重要なところは、やはり検察の起訴独占のところにあるのではないかと思うのです、起訴するかしないかを検察が決めていくわけですから。この間新聞を見ていましたら、フランスの予審判事の権限が強くなり過ぎて、予審判事が起訴しないとそれは無罪になってしまうので、最高裁判所長官より予審判事の権限が上だというような冗談が言われるようになって、制度が改正されたということが出ておりました。  ですから、そういうところを踏まえて、検察審査制度、私は実は検察審査制度を提案したときの提案理由説明書を読んでみたのですよ。そうしたら、昭和二十年代に既に大陪審を考えていたのですね。大陪審を考えているんだけれども、ちょっと時期尚早だから検察審査制度を導入しようということになった。私、今検察審査制度を直観的に見てみて、欠陥があるのは、被害者が亡くなったときに申請できないことになっております。ですから、この間の例の世田谷の事件でも、職権でもって審査をした。私はこれは即座に、被害者の遺族が検察審査を申し立てるようにできるようにする法改正を考えろということで既に指示をいたしました。そういうところとか、裁判所に行けばもう裁判所の話ですから、我々法務省としてできるところは、検察の起訴独占のところをどう考えるかということを司法制度改革の中でいろいろお考えいただくようなことじゃないかと思うのです。  それと、被害者の方に対する通知の問題。これは実はトラックの事件がありましてから、東京地検ではしばらくして通知することを始めたのですね。ところが、そのころ私が法務大臣にならせていただきましたので、これは全国統一した方法でやるべきだと。しばらく時間がかかりましたけれども、この四月から統一した様式でお知らせするようにしたということでございます。  そういうことで、委員の御指摘をよく頭に入れて、極めて重要なところの御指摘をされていると思いますので、よくいろいろ勉強してまいりたいと思っております。
  58. 細川律夫

    細川分科員 ぜひ、起訴の段階でということももちろんありますけれども、起訴された後、裁判の中で、訴訟法の中で被害者の人権を守るような仕組みをぜひつくっていただけるようにひとつ御努力をお願いしたいというふうに思います。  そこで、進んでお聞きをいたしますが、今一番最初の質問で、大臣の方からお答えになりましたその刑訴法四十七条の問題がございます。  この刑訴法四十七条でいきますと、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」という規定になっておりまして、裁判前には訴訟に関する書類を見せてはいけないということでございます。これをちょっと大臣も言われたところがありましたけれども、この四十七条、特にただし書きを使って、弾力的に対処するようにしてもらいたいというのが私の気持ちでございます。  特に実況見分調書、これは非常に客観的なものでありますから、これらのものを被害者とか遺族、あるいはそれらの代理人の弁護士に対してできるだけ明らかにしていただきたい。これは訴訟記録というか、訴訟のためにつくっている書類を全部出してくれというのではなくて、せめて実況見分調書、こういうものを被害者などに見せてもらいたい、内容を見せてもらいたい、あるいは謄写をさせてもらいたい、こういうことでございます。  これは先ほども申し上げましたように、自算会とか保険会社、そういうところには見せている事実があるわけなんですね。被害者の方にはなかなか見せてもらえない。これはやはり不公平でございますから、この刑訴法四十七条のただし書きの、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」という例外をもっと弾力的に運用してもらえないものかどうか。ここはぜひお願いをするわけなんですけれども、これについて、実際に捜査を担当している警察庁の方でちょっとお答えいただきたいと思います。
  59. 柴田健

    ○柴田説明員 被害者の方々への事故情報の提供でございますが、私ども警察といたしましては、現行法現行刑事訴訟法の枠内、抵触しない範囲におきまして、保険会社から問い合わせがあった場合、あるいは被害に遭われた、あるいは遺族の方々から問い合わせがあった場合、いずれもその抵触しない範囲内においてお答え申し上げているというところでございます。
  60. 細川律夫

    細川分科員 抵触しない限りで見せているというふうに言われますけれども、どうもそこが公平ではないのではないかというのが、これは事故に遭われた方がみんな言われるんですよ。それで、いろいろ調査をされている方のいろいろな報告書を見ても、そういうところなんですよ。だから、ぜひそこはできるだけ、これは民事に専らと思いますけれども、客観的な事実関係を保証するようなものですから、特に実況見分などというのは。それはひとつ公平にやってもらうように僕はお願いしたいのですけれども、もう一回お願いします。
  61. 柴田健

    ○柴田説明員 実況見分調書となりますと、なかなかそのものをお見せするというわけにはまいりませんが、通常、被害者の方々からお申し出があった場合に、現場の見取り図等をお示ししながら御説明を申し上げるということも現場では行われているというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、片方の当事者の方々に詳しく、すなわち不公平というようなことのないように指導してまいりたいと考えております。
  62. 細川律夫

    細川分科員 ぜひそういう方向でお願いいたします。  それでは、最後になりますけれども、今法務大臣の方からもお話がございました検察審査会の関係でちょっとお伺いをしたいというふうに思います。  法務大臣の方からは、これについての改正の必要性のようなものもいろいろお話がございました。この検察審査会の中で、不起訴になった事件、不起訴が相当か相当でないかというようなことを一般の方が審査をして、そして結論を出しますけれども、その検察審査会の結論に対して申し立てをした人たちがいろいろ不満も言われて、不満を持っておられるようでございます。  これは去年の七月五日ですけれども、毎日新聞の記事の見出しは、「看板倒れの「審査会」」というようなことで報道をされております。  どうも、審査会の審査をちょっと聞いてみますと、結局、十一人で審査をするんですが、審査をする判断材料の資料というのが、刑事記録というか、いわゆる警察あるいは検察官が調べた、そういう資料ばかりで、それが資料の全部のようですから、そうしますと、これは同じ結論になるのは大体当たり前じゃないか。同じ資料を見てやるわけですから、いわゆる不起訴が相当だという結論になる。  そこで、そうではない、もっと判断材料の資料をいろいろな方に提供もしてもらえるような、特に被害者側のそういうところからも資料をぼんぼん出せるような仕組みというか運用、こういうことをやはりやっていかなければいけないんじゃないか。制度そのものとしても、いろいろ大臣も言われましたし、それは私もそういうふうに考えますけれども、今の検察審査会の中での運用でも何か改革ができるようなものがあるのではないかというふうに思いますので、その点について、改革が考えられるのかどうか、裁判所の方にお聞きをいたします。
  63. 白木勇

    ○白木最高裁判所長官代理者 委員仰せのように、検察庁の不起訴処分に不服があって検察審査会に審査を申し立てたような場合、申立人としてはいろいろ言い分があり、また資料も提出したいと希望されるのは自然なことであろうかと思われます。  そこで、検察審査会の運営に責任を負っております私どもといたしましては、検察審査会の事務局長の協議会などにおきまして、常々、少なくとも申立人からそのような希望があった場合には、検察審査会長によくお話をして、申立人から話を聞く機会を設けることが望ましいというように指導をしてきたところでございます。  ただ、これも委員御承知のとおり、検察審査会はまさに十一人の国民の皆様で構成されているわけでございまして、事務局の職員というのはあくまで事務的なお手伝いをしているだけでございます。そういうわけでございますので、実際に事務局が審査会をリードしたりするようなことがあってはいけませんし、また、現実にそのようなことは行っていないところでございます。  結局、申立人から事情を聞くかどうかといったようなこと、すべてにわたりましてまさに国民の代表であります審査会御自身が事件ごとに決定していくシステムというふうになっていることを御理解いただきたいと存じます。  なお、現在の法のもとでも、証人とかあるいは専門的助言者という形で事情を伺うことができるシステムになっております。以上でございます。
  64. 細川律夫

    細川分科員 今説明があったように、建前としてそういうふうになっているとしても、なかなかその運用の場面でそういうふうになっていないように私は伺っておりますので、どうぞ、そういう点で申立人が十分納得のいけるような、特に、そういう審議をきちんとしてもらえたと言えるような、そういう運用をぜひ行っていただくように、御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。  三十分、いろいろ質問してまいりました。交通事故の被害者を中心に質問してまいりましたけれども、犯罪そのものの被害者の人権、これがどうもおろそかになっているんではないかということが、今大変いろいろなところで議論をされております。何といっても被害者ですから、その被害者の人たちが、自分たちが完全に無視をされる、そういうような形で事件のその後の推移が進んでいくようでは、これは法治国家としてもまた非常にゆゆしきことだろうと思いますので、ぜひ、被害者の人権を考える、それがいろいろな制度の中に組み込まれていくように、大臣の方でも御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  65. 中井洽

    中井主査 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。  次に、石毛えい子君。
  66. 石毛えい子

    ○石毛分科員 民主党の石毛えい子でございます。  本日は、国連人権教育の十年の日本での推進状況につきまして、所管であります内閣内政審議室を中心に、関連しまして法務省に、法務大臣にお伺いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  一九九五年から二〇〇四年は国連人権教育の十年ということで、内閣総理大臣を推進本部長として、私たちのこの日本でも、人権教育の推進について取り組みを進めているわけでございますけれども、まず初めに、国連人権教育の十年を推進する意義につきまして簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  67. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 今お話のございました国連における人権教育のための十年の決議を踏まえまして、政府といたしましても、総理大臣を本部長といたします推進本部を設けまして、日本の行動計画もつくってきているところでございます。  人権教育の重要性、申し上げるまでもないわけでございますが、かねてから日本政府もいろいろな面で取り組んできておりましたけれども、こういう国連の決議を経まして、先生御案内のとおりの体制をとって進めてきている。具体的には、平成七年十二月に先ほど申し上げました人権教育のための国連十年推進本部を設置いたしまして、その後、検討を終えて、平成九年七月に人権教育のための国連十年の国内行動計画をつくって、それぞれ政府のみならず民間における人権意識の高揚、それから、特にそういった分野に携わる職員に対する研修等々、各般の施策を講じておりますし、その後も、それぞれの施策の推進状況につきましてフォローアップをさせていただいているということでございます。
  68. 石毛えい子

    ○石毛分科員 私が改めてここで申し上げるまでもないわけですけれども、今、社会状況は、子供たちのいじめの問題を初めとしまして、あるいは被差別地域の出身者の方への就職差別や結婚差別、あるいはこれは入所施設で見られました実例ですが、障害のある方への虐待の問題、あるいは女性への暴力の問題、今この人権侵害の問題は、日本の社会の本当に大きな課題を指し示していると私は認識しております。  この人権教育に関します国連十年の文書は、人権教育は単なる情報提供にとどまるものではなくて、あらゆる社会層の人々が、他の人々の尊厳について学び、その尊厳をあらゆる社会で確立するための方法と手段について学ぶための生涯にわたる総合的な過程である、そのことを国連総会は確信するというふうに記載してございますし、私も、このことに深い共感、同感の意を表するところでございます。ぜひとも積極的な取り組みを要請させていただきたいと存じます。  そこで、次の質問でございますけれども、今、国内行動計画を策定し、そのもとに人権教育の推進を図っているわけでございますが、この推進状況について御説明をいただきたいと思います。
  69. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 今御指摘の人権教育の問題、それから重要課題といたしまして、女性、子供、高齢者、障害者、同和問題等々がございますが、それぞれに関連する施策を推進しているわけでございます。  具体的には、それの内容の公表ということになろうかと思いますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、平成九年につくりました行動計画に基づいて行っておる関連施策につきまして、昨年、平成十年七月に、推進状況について取りまとめて公表しているわけでございます。内容は各般にわたりますので、大変分厚い概要になってしまいますけれども、項目といたしましては、先ほど申し述べましたような人権教育、それから重要課題についてのそれぞれの施策、国際協力といったようなものにわたっております。
  70. 石毛えい子

    ○石毛分科員 お話しのように、内容は非常に多岐にわたっているのだと思いますけれども、その中で、政府が策定しましたこの行動計画が、各地方自治体、都道府県を中心に、どのように推進されているかということについてはお答えをいただくことはできますでしょうか。
  71. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 御指摘のとおり、確かに、政府のみならず地方公共団体、さらには企業、民間団体等において、この人権意識の高揚ということが重要でございまして、私どもも、行動計画を政府はつくりましたけれども、それを直ちに都道府県に、政府としてはこういうものをつくりました、ついては各都道府県におかれてもこれを参考にしながら行動計画をつくっていただきたいということで、その指導といいますか、意識高揚に努めております。  それを受けまして各都道府県におきましても、全部ではございませんけれども、行動計画をつくったり、具体的な政策を進めておられるということでございます。
  72. 石毛えい子

    ○石毛分科員 各都道府県においてつくっているという御指摘をいただきましたけれども、個別の都道府県名はさておきまして、幾つの都道府県でつくられているかということの御教示をいただくことはできますでしょうか。
  73. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 私どもの把握しているところでは、平成十年七月現在でございますけれども、人権教育のための国連十年に対応する、まずその体制、地方自治体における取り組み体制、これは二十の府県で設置されております。それから、つくるべく検討しているというのが四県ございまして、合計二十四府県で体制づくりが既に行われている、ないしは検討されている。  それから行動計画につきましては、若干下がりますけれども、六つの府県で同じ時点で既に策定をされている。それから、策定に向けて検討を行っているのが二十都府県ということになって、合計二十六都府県になります。これは平成十年七月時点での調査結果でございます。
  74. 石毛えい子

    ○石毛分科員 四十七都道府県のうち、取り組み体制をつくっている県あるいは既に設置を確定しているというふうに申し上げてよろしいんでしょうか含めますと二十四、それから行動計画は、策定を決めているというところも含めまして二十六でございますけれども、私は、少しスピードが遅いのではないか、そういう感想を持ちますけれども、推進本部といたしましては、どのような受けとめ方をなさっていらっしゃいますでしょうか、あるいはこれからそれをどういうふうに進めるというおつもりでいらっしゃいますでしょうか。
  75. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 やはりこれは四十七都道府県すべてがこの問題について正しい認識をし、具体的な行動を起こすということが大事でございますので、私どもといたしましては、まだ未設置または未設定の都道府県に対しましては、引き続きその必要性について促していきたいというふうに思っております。
  76. 中井洽

    中井主査 石毛さん。
  77. 石毛えい子

    ○石毛分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  竹島室長は、先ほど国内行動計画を参考にしながらというふうに表現されたと思いますし、それから今の御答弁では促していきたいというふうに表現なさったかと存じますけれども、政府の国連人権教育の十年についての推進、また国内行動計画の策定、そしてそれを地方自治体もともに推進していくという、そうした全体の内容の推進、その取り決めにつきましては、どういう法令、制度と申しましょうか、根拠になっているのは何なんでしょうかということを御確認いただければと存じますが。
  78. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 これは、政府といたしましては、本部におきまして、閣議決定をもって行動計画を実施しているわけでございますが、各都道府県に対しましては、こういった動きをきちんとお知らせをして、それに理解をいただいて、地方公共団体の御自分の御判断で行動計画をつくるなり体制を整備していただくということでございますので、何か法令に基づいて指導するとか、そういったものではございません。
  79. 石毛えい子

    ○石毛分科員 人権教育を推進するといいますのは、後ほど、最後に御質問させていただきたいと存じますけれども、法務省所管で人権擁護推進審議会が法に基づきまして設置をされまして、その重要なテーマの一翼であります教育、啓発につきましては、この六月にも審議会の方から答申が出されるというふうにも伺っております。  そうしたことを考えてみますと、我が国にとりましては大変重要な課題であると認識できるのは当然のことだと思いますけれども、今の室長の御答弁ですと、国内行動計画に関しまして閣議決定をして、そして都道府県の取り組みは、知らせて、理解を得てということで、制度的な根拠はないというふうに私は理解するわけですけれども、それでは弱いのではないか。主体的、自発性に依拠するというのは、それはそれで一つの考え方であると思いますけれども、中身についてまで細かく規制をするということではございませんで、人権教育を推進するというその本質にかかわる、本義にかかわることに関しましては、もう少し積極的な取り組みを推進するための仕組みというのが必要だというふうに私は考えるところでございます。  これは私の方の意見として申し上げさせていただきまして、時間の関係もございますので、大変恐縮ですが、次の質問に移らせていただきたいと思います。  先ほど室長の御答弁にも触れられておりましたけれども、国内計画で「特定の職業に従事する者に対する人権教育の推進」という項目がございまして、検察職員を初めといたしまして十三分野にわたる職業が記載されてございますけれども、この中には、国連の行動計画に載せられております、例えば法律家、裁判官、国際公務員、それから議員など、ちょっといろいろと省略しましたけれども、人権の実現に影響力を持つ特別な立場にある人々に対する研修に注意を向ける必要がある、こういう項目が国連の行動計画の方にはありますが、日本の国内行動計画にはそれが入れられておりません。これはどういうわけでございましょうか、御説明をいただきたいと思います。
  80. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 御指摘の裁判官であるとか議員の方々に対してでございますけれども、私ども、人権教育に係る研修というのは非常に大事で、特にこういう人権にかかわりの深い特定の職業に従事しておられる方に対する研修というのは大変大事であると思っておりまして、この問題で、基本的には各ところでそれをおやりになるということが基本でございます。特に、裁判官、議員は、申し上げるまでもなく三権分立でございますので、行動計画はあくまでも行政府の定めているものでございますので、それを裁判官とか議員にそのままというわけにはまいらないのは御理解いただけると思うんですが。  それはそれといたしまして、やはり裁判所におきましてもこの問題は大事でございまして、具体的に私ども、それぞれのところで研修をやっているわけですが、その研修をどういうふうにすればより効果的であるか、お互いその情報交換をするということも大事でございますので、そういう目的のもとに、人権教育にかかる研修等に関する関係省庁連絡会というのを設けてございます。主体はあくまでも各省庁でございますけれども、そこに裁判所の方から、オブザーバーということでございますが、参加をしていただいているというようなことで、実態的にはそれなりの情報交換といいますか、意思疎通を図らせていただいておりますけれども、基本的には、最初に申し上げましたとおり、司法当局は司法当局として、立法府におかれては立法府としてこの問題についてはお取り組みをいただくというのが筋であるというふうに考えております。
  81. 石毛えい子

    ○石毛分科員 行動計画は行政府の行動計画としてつくられたという御説明をいただきました。  スタートがそういう三権分立を前提にしてということであれば、御説明もその筋道での内容をお話しいただいたというふうには思いますけれども、今国会法務省管轄の大変重要な法案として、成年後見制度をめぐって民法一部改正の審議もあると伺っております。その中では、後見人の選定は家庭裁判所の権能になるんだというふうに思いますので、改めて私は強調させていただきたいと思いますけれども、司法関係にある者、そしてまた、私どもも含めまして議員も、この人権教育、人権学習ということにつきましては大変重要な課題であるということを申し上げさせていただきたいと思います。  次の質問でございますけれども、この国内行動計画をつくる過程におきまして、多くの日本のNPO、NGO団体の担当の事務局の方と話し合いをさせていただきまして、最後の「計画の推進」というところの(3)でございますけれども、さまざまな差別意識の解消を図り、すべての人の人権尊重の意識を高めていくためには、地方公共団体、民間団体等の果たす役割が大きいということを記載していただくようになったと私は理解しております。けれども、本当にこのことが今実際の推進において十分に受けとめられているだろうかというふうに思いますと、私は、人権教育の推進に対しまして、一般市民の方々、あるいは人権侵害を受けられた当事者、あるいは当事者関係の方々の教育推進に関する参画というのは弱いのではないかというふうに思っておるところでございます。  何をもって弱いかというふうに言われると、私も困ると思いまして、私どものグループで、各省庁がさまざまにそれぞれの所管での人権教育の教育プログラムを、ビデオですとか、読本とかいろいろな形で作成されておられますので、それの内容がどんなふうにつくられているかということを少しく私どもも勉強させていただきました。  それらを拝見しますと、私たちのところで報告書をつくりつつあるわけでございますけれども、例えば法務省が人権擁護のパンフレットをつくっておられますけれども、その人権擁護のパンフレットの中に、「人権擁護委員は、あらゆる分野から選ばれ」というふうに記載されておりますが、例えば、在日外国人は制度上人権擁護委員にはなれないということになっておりますので、「あらゆる分野から選ばれ」という記載は少しずれている部分があるのではないか。あるいは、障害者の方々は、ノーマライゼーションの記述はあるけれども、自立とか自己決定とかの記述に不足をしているのではないかというような意見を持っておられます。  私はまさに、人権侵害を非常に受けやすい社会的立場にある方々が、つくられた後でそういうパンフレットや教材やビデオ等を拝見してそういう感想を持たれるというのは、やはり人権教育の推進の中に十分にNGO、NPO関係の方々などが参画し得ていないということのあらわれではないかと思っているところでございます。  結論から申しますと、推進に当たっては、市民団体、NPO、NGOの方々の参画を積極的に求めていただきたいという要請をしたいわけでございますけれども、この点に関してはいかがでございましょうか。
  82. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 委員指摘のとおり、この行動計画の推進のところで、「民間団体等の果たす役割が大きい。このことに鑑み、これらの団体等が、それぞれの分野において、本行動計画の趣旨に沿った自主的な取組を展開することを期待するとともに、本行動計画の実施に当たっては、これらの団体等の取組や意見に配慮する。」というふうに書いてございます。  今、具体的な事例も御紹介いただきましたけれども、私どもは、この行動計画に書いてあるとおり、民間団体の方の有益な御意見等には引き続き前向きに対応させていただきたいと思っております。
  83. 石毛えい子

    ○石毛分科員 ぜひ、積極的に窓口を開いて意見等を受けとめていただけますように、要望をさせていただきます。  次でございますけれども、もう時間もありませんので法務大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  冒頭に申し上げましたように、人権擁護推進審議会、三月の十六日でしたでしょうか、教育、啓発に関する部分は最終の審議を終えて、六月に答申を出されるというふうに伺っております。  それでは、その中で、ただいま質問をさせていただきました国連人権教育の十年に関しまして、どのように積極的な位置づけを行っていただくべきとお考えになっていらっしゃるかということを御質問させていただきたいと思います。  そこで、ちょうど私も、人権擁護施策推進法が成立いたしますときに、実は議員としての初めての審議の場でございまして、その意味では大変感慨深いものがございますけれども、その法案の提案理由をちょっと読ませていただきます。「政府といたしましては、これらの状況を踏まえ、人権の擁護に関する施策の基本ともいうべき人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策並びに人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策を今後とも推進していくとともに、これらの施策について改めて十分な検討を行うことが必要であり、これが同和問題の早期解決のためにも不可欠と考え、この法律案を提出する」。  そして、それに先立ちます地域改善対策協議会意見具申、これは九六年五月でございますけれども、これには、「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられる。その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組みを踏まえて積極的に推進すべきである。」  そして、さらに、先ほど申し上げましたその法律の成立に関しまして、衆議院の附帯決議でございますが、第二項で、「法的措置を含め必要な措置を講ずること。」というふうになっております。  そこで大臣に、先ほど申し上げました質問につけ加えて、続きまして、この附帯決議等を踏まえて、私の理解では、人権擁護推進の教育、啓発に関する答申は、今申し上げさせていただきましたこうした法的措置を含むというようなことも含めて、十分に期待にこたえていただけるものと理解させていただいてよろしいでしょうか。少し長くなりまして恐縮ですが、ぜひ、よろしくお願いいたします。
  84. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員の長い御経験からいろいろ御質問がありましたので、今私も勉強させていただく気持ちでお伺いしておりました。  この答申の内容というのは、これは審議会自体がお決めになることだと思いますが、さはさりながら、諮問のあり方、そして今の法律のことをお話しになりました。そういうことからいって、やはりそれは、衆議院、参議院の各法務委員会の附帯決議、これを踏まえたものになるであろうということは私ども考えるわけであります。  国際的な人権尊重の意識の高まりの中で、人権教育のための国連十年の取り組みが開始された状況にかんがみ、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発の基本的な理念や人権教育・啓発にかかわる施策の効果的、かつ、総合的推進のための実施体制の整備、こういったものに関する基本的な考え方が盛り込まれることを期待しているところでございます。
  85. 石毛えい子

    ○石毛分科員 ありがとうございます。  大臣がおっしゃられましたように、審議会は審議会としての権能を持つわけでございますから、ぜひ期待してというふうなところで、でも、それは積極的によろしくお願いいたします。  そして、最後に一言確認させていただきたいと思いますけれども、私はやはり、先ほど室長が御答弁くださいました、今、日本の都道府県で行動計画あるいは組織を設置しているところがようやく半数ちょっと超えたところというのは、今の人権教育に対する取り組み状況の現実を示すものとして受けとめる必要があるだろうというふうに理解しております。そういう意味で、やはり法的な措置をもって推進していくということは大変重要なことだというふうに認識しておりますということを申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  86. 中井洽

    中井主査 これにて石毛えい子さんの質疑は終了いたしました。  次に、堀込征雄君。
  87. 堀込征雄

    堀込分科員 先ほど、オウム真理教問題について、山梨清里の問題に関連して横内先生から質問があったと思いますが、私も、長野県北御牧村の問題に関連をしまして、オウム真理教の質問をさせていただきます。  まず、現在のオウム真理教活動実態でございますが、それぞれ、在家、出家信徒数、あるいは組織実態、保有施設状況、それから教義、危険な教義を引き続いて持っているかどうか、あるいは教団財政は果たして潤沢なのかどうか、それから、今、逮捕、送検された脱会信徒はどんなような状況になっているかなどなどについて、かいつまんでまずひとつ御説明をいただきたいと思います。
  88. 木藤繁夫

    木藤政府委員 お答えを申し上げます。  オウム真理教は、平成九年一月に公安審査委員会によりまして規制請求が棄却されたわけでありますが、その直後から、殺人をも肯定する危険な教義を堅持したまま着実に組織施設拡充強化を図っておる実情にございまして、現在、教団組織等、活動拠点となる各地施設は、十七都道府県、三十四カ所に及んでおるのでございます。  こういった施設をめぐりましては、教団進出反対する周辺住民らとの間で紛争がますます活発化する様相を呈しておりまして、これら三十四施設のうち合計十六の施設におきまして、訴訟の提起とかあるいは施設反対する住民組織の結成など、紛争事案が発生しておるところでございます。  こういった背景には、教団合計十八の関連企業事業収益から多額の活動資金を得て財政基盤を強化しているということが認められるのでございまして、中でも資金獲得中心的役割を果たしているパソコン販売の事業につきましては、昨年一年間におきまして総売り上げが七十億円を超えるものと推計され、相当の収益を上げていると思われるのでございます。  活動面につきましては、五百人以上の出家信徒がおりまして、また多数の在家信徒活動も認められているところでございます。  それから、平成七年三月の地下鉄サリン事件など一連事件で逮捕、送検されました四百人を超える信徒のうち、これまでに百七十人が教団に復帰したという事実も確認しております。  このように、オウム真理教は着々と組織再興を図って、活発な活動をしておる実情にございます。
  89. 堀込征雄

    堀込分科員 つまり、依然として危険な教義を維持しながら、むしろ活動が活発化している、こういうことでありますが、御存じのように、周辺住民と大変な紛争が起きているわけであります。  長野県北御牧村でも、施設をめぐっての住民との紛争がありまして、実は、昨年末から村民が交代で二十四時間の監視体制をとって村の平和を死守している、こういう状況があるわけでありますが、いかんせん小さな村でありますから、交代が頻繁に行われますと、村民の方も肉体的、精神的な疲労が大きくなっている。極めて自制的な自衛措置を講じているわけでありますけれども、非常に困難になっているという実態がございます。  山梨県でも知事が官邸に陳情したという経緯がございますが、北御牧村の件につきましては、オウム真理教が一月十二日、電子メールで建物奪還のために決死隊を募るというようなことも報道されているわけでありまして、こうした状況に対して、政府として対応する方策があるのかどうか、あるいはどういう対処方針で臨もうとしているのか、考え方をちょっと聞かせていただきたいと思いますが、公安調査庁からお願いします。     〔主査退席、斉藤(斗)主査代理着席〕
  90. 木藤繁夫

    木藤政府委員 先生指摘のとおり、オウム真理教は、勢力の拡大を図る中で、活動拠点周辺の住民とのトラブルを発生させておるわけでございます。  公安調査庁といたしましては、教団に対して厳重な調査、監視を続けておるわけでございまして、それによりましていろいろな情報を入手しておるわけでございます。そういった情報につきましては、国の関係する機関を初めといたしまして、教団施設が所在する自治体などに提供するなどしておるところでございます。  今後も、引き続きそういった関係機関などとの連携を密にいたしまして、住民不安の解消などに最大限努力してまいりたい、このように考えております。
  91. 堀込征雄

    堀込分科員 同じ質問を実は警察庁にも申し上げたいわけでありますが、私は、国家に不当な外国の侵略から国を守る自衛権が本来的に存在するし、また個人にも不正な暴力や攻撃に対して正当防衛を初め権利があると同じように、地方自治体にも村の平和を守るための自衛権といいますか、そういう権利というのはやはり存在しているんだろうというふうに思うわけであります。  そういう意味で、国民の平和と安全な生活を守るためにこそ法があり、国家があり、あるいは行政組織がある、こういうふうに考えるわけでありまして、決死隊などの行動が万一とられるとすれば、非常に大変なことだろうと思うわけであります。同じ質問を、警察庁からも御答弁いただきたいと思います。
  92. 飯島久司

    ○飯島説明員 お答え申し上げます。  オウム真理教は、一連組織的違法事案に対しまだ何らの謝罪、反省も行っていない上、依然として反社会教義を維持しているところであります。このため、教団施設周辺地域の方々の不安は大変はかり知れないものと承知しております。  警察といたしましては、住民の平穏な生活を守り、公共の安全を確保するとの立場から、地元警察署のみならず、本部及び近隣警察署からの支援により態勢を強化いたしまして、重点的な警戒を行いますほか、教団の違法行為については厳正に対処していくなど所要の措置を講じまして、地域の方々の不安感の除去に努めたいと考えておりますし、関係当局との緊密な連携を維持しつつ、不測の事態に備えてまいりたいと考えております。
  93. 堀込征雄

    堀込分科員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。  そこで、問題は現行法制の問題であります。公安調査庁オウム真理教を調査対象団体に指定している、警察庁もいろいろな調査を継続しているというふうに伺っておりますが、北御牧村初め全国各地で起こっている施設をめぐるトラブル施設の取得方法などについて、いろいろな会社を使ったり、カムフラージュといいますか、そういうことがあって、なかなかこれは住民の側もつかみにくい、あるいは市町村もつかみにくいということがあるのだろうと思います。  活動拠点確保、あるいは不動産取得などをオウム真理教がやる場合に、なかなかこれは難しいとは思うのですけれども、現行の調査監視体制では、やはり事前に把握するということは不可能でしょうか、どうお考えでしょうか。ちょっと見解を聞かせてください。
  94. 木藤繁夫

    木藤政府委員 オウム真理教は、平成七年の十二月に、裁判所による宗教法人法に基づく解散命令によりまして法人格を剥奪されたところでございます。したがって、宗教法人としての財産取得はできない状況にあるわけでございまして、剥奪された後は、活動拠点などを確保するに際しましては、さまざまなダミー会社の名前とかあるいは信徒の名前などで、巧妙な手口で土地建物確保を図っているわけでございます。したがいまして、その土地建物確保について、事前の動向把握が困難な状況にあるというのは事実でございます。  しかしながら、当庁としましては、教団がなおそういった施設確保等に向けて勢力の増大を図ろうとし、また周辺住民らとの間でトラブルも発生しているという事態にかんがみ、引き続き厳重な調査監視活動を行っていって、そういった点をも含めて、可能な限り必要な情報の収集に努めていきたい、このように考えております。
  95. 堀込征雄

    堀込分科員 そこで、日本における組織犯罪対策、あるいは言葉をかえて言いますと、テロ対策法というような法整備、こういうものが問題視されなければならない、極めて不十分だというふうに思うわけでありますが、組織犯罪対策にかかわる法整備につきましては、団体規制一つはあるのだろうし、二つ目には、捜査手法の強化や活動資金の没収などを通じながら組織壊滅を図っていくという考え方、二つの考え方があるというふうにされているわけであります。  政府は、この国会組織的犯罪の処罰及び犯罪収益規制に関する法律案、それから刑事訴訟法の改正案、それから犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、三つの法律を提案しているわけであります。この法律というのは、今オウム真理教の話を申し上げているわけでありますが、こういう対策に果たしてどの程度実効性を持ち得るというふうに思っているのでしょうか。ちょっと答えにくいかもしれませんけれども、その辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  96. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生お尋ねの三法案でございますが、組織的な犯罪に適切に対処するために有効と考えられる刑事法等の整備を行うというものを内容としております。  ただいまの先生の御質問に関連するということで三点申し上げますが、一つには、組織的な殺人等、あるいは組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等ということでございますが、こういった組織的に行われやすい犯罪については刑を加重しようというのが一つの内容でございます。  それから、今度は財政面でございますが、組織的な犯罪を抑止する効果があると考えられる財政的な抑制ということでございますが、その点では、マネーロンダリングの処罰、それから犯罪収益規制の強化ということも一つの内容になっております。  またさらに、事案の内容によっては、犯罪捜査のための通信傍受によりまして、首謀者も含めた犯行に関与した者を早期に特定して検挙することができる場合もあると考えているところでございます。  そうしたことを総合しますと、先生お尋ねの点についてもそれなりの効果があるものというふうには考えております。
  97. 堀込征雄

    堀込分科員 そういう法律も議論をされている。しかし、やはり何といっても、破防法というものを議論しないわけにはいかぬだろうというふうに思うのです。  そこでまず、破防法政府認識について伺っておきたいわけであります。  オウム真理教破防法請求棄却の決定がなされたわけでありますが、この過程の中で、組織性と政治性、この二つはクリアされた、しかし、将来の危険性についての立証が判断の基準になって棄却になった、こういう経過があるわけであります。  決定文を見ますと、人的、物的、資金的能力、これが縮小、弱体化しつつあり云々、こうあるわけでありまして、つまり、危険性が低下した、将来の危険性が薄らいでいる、こういうことを理由にしながら棄却決定をした、こういうことなのだろうと思います。しかし、実態は、棄却決定後、人的、物的、資金的能力を増大させているのは、先ほど答弁にあったとおりであります。  私は、破防法の欠点というものが、そういう意味ではやはりこの過程の中で明らかになっているのだろうと思うわけであります。つまり、摘発が進まないと危険性は低下しないわけでありますが、証拠を集められないという事情が一方にあって、摘発が進むと今度は危険性が薄まってくるという矛盾があるわけでありまして、なかなか請求決定するにはその条件を満たすに難しいといいますか、そういう事情が働くのだろうというふうに思うわけであります。それで、どうしても、そういう意味では集団的な組織犯罪に対して機敏に対応できる法整備というものが必要なのだろう、こういうふうに考えるわけであります。  私は、破防法を読んでみて、今度勉強してみて、問題点は、第一には、手続の簡素化、迅速化、あるいは、規制処分が六カ月以内の活動制限と解散指定の二つしかありませんから、保護観察処分的なものを入れるとかいう検討が必要なのだろうと思います。二つ目に、政治目的という問題、やはり無思想のテロ集団にこれでは対応できないという現代社会の犯罪に対する問題点を抱えておるのだろうというふうに思います。三つ目に、問題になりました将来の危険性、この規定はやはり緩和ないしは削除するというような検討がなされるべきだろうというふうに私自身は考えておるわけでありますが、現行破防法組織犯罪に対する有効性についてどのような認識をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  98. 木藤繁夫

    木藤政府委員 先生既に御案内のところであると存じますが、御指摘のように、破壊活動防止法、破防法による団体規制要件は非常に厳しいものがあるわけでございます。規制の客体となり得る団体が、まず第一に、団体活動として行ったということ、それから第二番目に、それが暴力主義的破壊活動であると認められるということ、それから第三に、継続または反復して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があることという三点が必要なのでございまして、団体規制が認められるためには、これらの要件のすべてが充足される必要があるのでございます。  そういった要件として厳しいものがある上に、公安審査委員会に対しまして規制請求を行うに先立ちまして、被請求団体に反証の提出やあるいは弁明の機会を与えるといういわゆる弁明手続を踏むことが法で定められた手続としてなっておるわけでございます。  こういった団体規制要件とか手続が厳格に定められておるということは、団体規制というものが憲法で保障する国民の自由と権利に深くかかわりを持っているということによるものであると思うわけでございまして、そういったことから厳格に規定されているというふうに理解しておるのでございます。  ちなみに、オウム真理教に対する規制請求手続では、弁明手続の開始決定から公安審査委員会決定が下されるまで一年余りの長期間を要しましたし、また、先ほど説明しました規制要件のうち、いわゆる第三点の将来の危険性要件について極めて厳格な立証が必要とされる、それで、これが充足されていないという理由から、請求棄却になったという経緯があるのでございます。  そういった経緯にかんがみますと、現行の破壊活動防止法には改善すべき点も少なくない、こう考えておるわけでありまして、当庁におきましては、有効かつ適切な団体規制を図っていくという観点から、法改正念頭に置いて、同法の適正な内容がどうあるべきかということにつきまして、現在所要の検討を進めておるところでございます。
  99. 堀込征雄

    堀込分科員 ぜひ早期に積極的に検討を進めてほしいと思うのです。  その際、日本的なといいますか、いろいろな検討も結構でありますが、諸外国のテロ対策法等をやはり十分しんしゃくし、そして、国際社会の中で通用するといいますか、そういう常識やルールに沿った法検討がなされるべきであろうと私は思うわけであります。  やはり再発防止とかあるわけでありますが、しかし、オウムのような、地下鉄事件だとか松本サリン事件だとか、いろいろな事件が起きてからでは遅いわけでありまして、未然防止、もう犠牲者を出さないという法律をどういうふうにつくり上げていくかということが必要だと思うわけであります。  言うまでもございませんが、欧州議会でも一九八四年以来、カルト決議を採択して、それに基づいて各国の新宗教に対する法整備が進んでおるという実態がイギリス、フランス、ドイツ、イタリア等でもございますし、これらの国の状況を見ますと、規制対象が政治対象から犯罪組織へというふうに変わってきているという問題もございます。  あるいは、アメリカでも有名なテロ対策法ができまして、これは九七年十月ですか、日本のオウム真理教と日本赤軍が海外三十団体を指定した中に指定されておるわけですね。海外の法律でそのように規制されておる団体が、現に日本の中では法律規制できないという事情があるわけでありますから、ここは国際社会の常識、国際ルール、世界各国の常識と歩調を合わせた法整備を行う必要があるのだろう、こういうふうに思います。  棄却決定当時でしたか、当時の松浦法務大臣、それから中村法務大臣も、昨年、参議院の法務委員会で何度か改正を表明されておるというふうに思いますが、ぜひこれは少しスピードを上げて、先ほど申し上げましたように、全国十七県、三十四カ所、いろいろな問題がオウム真理教だけで起きているわけでありますから、急いで改正検討をしてほしい、こういうふうに思いますが、見解をお聞きしたいと思います。     〔斉藤(斗)主査代理退席、主査着席〕
  100. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、就任いたしましてから、改正について検討するように指示をいたしております。  その指示の要点ですが、委員と私はかなりな部分同感でございまして、委員がお挙げになった政治要件の問題だとかいろいろな要件を挙げまして、およそ国民の要望にこたえられない行政をやるような法律というのはやはり時代の要請に従って見直していかなければいけないということで、かなり委員と同じような意識を持って、検討してくれという指示をしております。  今御指摘のように、国民の安全にかかわることでございますので、急いで検討を進めさせるようにいたします。
  101. 堀込征雄

    堀込分科員 その指示を受けた事務当局、いかがですか。
  102. 木藤繁夫

    木藤政府委員 団体規制法であります破壊活動防止法は、必要な際には迅速に適用されるべきである、このように考えておるのでございます。  先般のオウム真理教に対する規制請求手続の経験にかんがみますと、先ほど申しましたように、改善すべき余地も少なくないと思っておりまして、先生指摘のような諸外国の同種の法制をも十分参考にしながら、有効かつ適切な団体規制を図るという観点で、今、鋭意所要の検討作業を行っておるというところでございます。鋭意やっておるところでございます。急いで検討作業を進める所存でございます。
  103. 堀込征雄

    堀込分科員 ぜひ急いで検討を進めてほしいと思います。  そこで、最後の質問になりますが、公安審査委員会は、破防法請求棄却決定の中で、危険性を減少させるため、信徒社会復帰を助長することが肝要だ、こういうふうに指摘しているのであります。しかし、冒頭に申し上げましたとおり、実際には、信徒集団で住む場所を各地で探す、それが各地住民等の反対運動に遭ってトラブルが発生している、こういう悪循環になっているのが実情なのだろうと思います。信徒の脱会支援やカウンセリングの処方せんも考えなくてはならない問題の一つかなとは思うわけであります。  それから、欧米ではカルト集団、セクトと呼んでいるようでありますが、これらの集団には入らないようにしようとか、危険な集団だとか、学校で警戒を呼びかけるビデオを放映したり、そして子供たちに見せたり、あるいは学校教育だけではなくて社会教育の場でも、セクトの名前を具体的に挙げて批判する活動行政を通じてやられておるという国が数多くあるようであります。  そう考えますと、私は、現在のこの社会問題は、法務省公安調査庁や警察だけの問題ではなくして、文部省やいろいろなところを含めて、政府を挙げて、そしてまた都道府県、市町村を含めて、地方公共団体を含めて、こういう集団に対する全体的な取り組みというのがなされるべきなのだろう、今被害に遭っている町村だけが苦しむべき問題ではないのだろう、こういうふうに思うわけであります。  小渕総理大臣もこの国会の所信表明演説で安全のかけ橋ということを強調されたわけでありまして、ぜひ内閣の一員として、そういう視点から、法務大臣にもこうした問題に対する取り組み、御努力をいただきたいと思いますが、所見をお聞かせください。
  104. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員指摘のとおり、国民の大変大きな関心事であり、実際に脅威を受けている方もいらっしゃり、また、前の事件では多くの死者も出して、被害者がいるわけでございます。  ただ問題は、宗教の自由でございますとか、いろいろな自由があるわけで、そういったものとの関係においてどういうふうに政府で対応していくかという極めて難しい問題があると思います。  法務省として考えれば、今の破防法の問題ですとか現実にある事件の捜査とかいろいろな面で対応するわけでございますが、要は、政府全体として、関係する省庁が連絡をとりながら、総合的に対処をしていくということが重要だと思います。将来において、そういうようなことをどうやるかということは、これまた内閣の中で相談するべきことと思いますが、我々としては、そういう面では情報を提供し、状況をいただき、相互に連絡し合って、総合的な対策を講じていく、こういうことになるのではないかと思います。
  105. 堀込征雄

    堀込分科員 ぜひ前向きな取り組みをお願いして、質問を終わります。
  106. 中井洽

    中井主査 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  107. 保坂展人

    保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。  先般、予算委員会の中で、これは国や行政に対する国民からの信頼という点で、東京世田谷区で起きた片山隼君の交通事故について、一年前も再三伺っているんですが、質問させていただきました。その際十分お答えいただけなかった部分があると私感じていますので、あえて本日やらせていただきたいと思います。  この問題は法務委員会で、議事録を見ると、三回にわたって下稲葉法務大臣が、まさに捜査現場の指揮官であったという御体験からくることだと思いますけれども、大変率直に、あの一年前の段階では、片山隼君が結果として亡くなった、このことが一体どういう問題なのかという幾つかの要素がありますけれども、とりわけ昨年の一月に、自分の息子の亡くなったこの事態についてはどういうふうに扱われているのかということで検察庁に出向かれたところ、窓口で、一切教える義務はないんだというふうに言われた、この点について、大変適切でない対応があったということで、下稲葉大臣は謝罪をされているわけなんですね。  この際、刑事局長にまず伺いたいと思いますけれども、十分でなかった、適切でなかったといういわば陳謝を大臣がされるということは大変重いことだというふうに思っておりますけれども、何が不十分で何が適切でなかったのか、ここをちょっと確認したいと思うんですが、お答えいただけますか。
  108. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 お尋ねの事件における御遺族の方への対応の問題でございますが、まず、東京地検の職員におきまして、亡くなられた隼君のお父様が検察庁へおいでになった際に、事件が不起訴処分とされたということは申し上げたのでございますが、それ以上の説明をしていなかったという点、その後、代理の弁護士の方がおよそ一カ月後ぐらいに検察庁に参られまして、検察官において、不起訴処分の、嫌疑不十分だという理由についての説明をしたところでございますが、御遺族の方の納得を得るには至らなかったと聞いております。  このような経過に照らすと、対応が不十分であったと言わざるを得ないという点で、陳謝申し上げたというふうに理解しております。
  109. 保坂展人

    保坂分科員 簡潔な御答弁ありがとうございました。  今刑事局長がおっしゃった経過、これはかなり世論が沸騰した事件だったと思います。その沸騰した背景には、私もその一人でありますけれども、交通事故の被害者が身の回りにかなり多いんだということで、その処理について、かなり疑問が国民の間に広がっているということもあろうかと思います。  そこでお尋ねするんですけれども、つまり、窓口の対応が不適切だったということを大臣が陳謝された後、東京地検交通部の方に何度か片山隼君の御両親の方もお訪ねをしたり、いわば窓口対応の仕切り直しということが行われたと思うんです。  今回、これは検察審査会の議決ですから直接お答えされる立場にはないとは思いますけれども、しかし、結果として、却下理由として、検察審査会法の三十条の規定によって、まさに請求権者たるべきは亡くなった隼君であって、お父さんやお母さんというのはそもそも請求権はありませんよ、したがって却下ですよということを一年後に受け取るというのは、やはり心の痛みはいかばかりかと私は思うわけでございます。  例えば、そういうこともありますよということを、最初の対応だけではなくて、その後に御説明されていたのかどうか。刑事局長はその道のプロですから法律に精通されているでしょうけれども、一般の国民が、もう不起訴はどうにもならぬ、唯一あるのはこの検察審査会ですよとパンフレットを渡されたわけですから、ある面で、そこにすがるというか、そこに希望を抱くしかないわけですね。しかし、一方においてこういう規定が厳然と存在しているという説明責任は、私はやはり検察にあったと思うんですね。その点についてはいかがでしょうか。
  110. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 検察審査会法、まさに先生の御指摘のとおりの内容になっております。御遺族の心情等を拝察いたしますと、窓口の当初の対応におきまして、そこまで立ち入って説明を申し上げればよかったなというのが反省の一つでございます。
  111. 保坂展人

    保坂分科員 これは、私は大変聞きにくいことをあえて前回も聞きましたけれども、お答えいただけませんでした。私は、今時代の転換期だと考えています。そういう意味で、今回、検察の現場の方が、特に東京地検が十一月二十六日に再起訴を決めたというのは大英断だったというふうに考えています。しかも、不起訴は誤りであったということをきちっとお認めになった。これは、ある意味で、行政、国に対する信頼回復への大きな一歩だったというふうに大変評価をしておりますし、そういうふうに御努力された内部の方々の御苦労に敬意を表したい、そういう思いでおります。  ただ、一点だけひっかかるのは、大臣が陳謝をされた、しかも、私の求めも数度にわたったということもありますが、何度もそのことで、監督する長として、部下のいわば失敗をみずからかぶって謝った。この当事者の方々、つまり、不起訴処分を決めた副検事の方、そして窓口をお訪ねになったときに十分な説明をしなかった方に対する注意といいますか、あるいは処分というか、そういうことは行われたのかどうか。そして、現在それぞれの方がどういう位置に在籍されているのかということについて、やはり明らかにしていただきたいと思います。
  112. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 本件の場合に、御遺族の方への対応は、その納得が得られなかったという点から見て不十分であったということは、既に法務大臣も陳謝申し上げているところでございます。  ただ、国家公務員法の規定する懲戒処分を行うべきかどうか、当然法務省としても検討はいたしましたが、いろいろ考えましても、処分を行う事案とまでは認められないということの判断でございまして、窓口で対応した職員を含めまして処分は行っていないところでございます。
  113. 保坂展人

    保坂分科員 これは後ほど大臣にお尋ねしますので、その前に事実確認なんですが、そのお二人の方は、いわば組織の中では出世あるいは昇進をしたというポストの動き方をされているんでしょうか。刑事局長にお尋ねします。
  114. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 その点についてはなかなかお答えしにくいことではございますが、窓口対応した職員は、現在もやはり同じ東京地方検察庁に勤務しておりまして、他の部に異動しているということをお答えいたしたいと思います。
  115. 保坂展人

    保坂分科員 大臣に伺います。  前下稲葉法務大臣は、大変率直に、みずから監督されているこの件について大変大きな転換をされたと思うんですね。私は別に、処分を乱発しろとか求めているわけではありません。しかし、当の要因をつくった方たちもそれなりの戒めというか注意あるいは譴責ということがあってしかるべきだと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。今の御答弁だと、そういうことはなかったということだったんですが。
  116. 中井洽

    中井主査 保坂さん、後ろに傍聴されている方は御両親ですか。
  117. 保坂展人

    保坂分科員 そうです。
  118. 中井洽

    中井主査 御両親がおられますので、委員長からも、お悔やみと、この間の御両親の勇気ある行動に敬意を表します。  御両親がおられるということを御存じの上で、中村法務大臣から御答弁をいただき、ただいまの保坂君の質疑お答えいただきたいと思います。
  119. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほどから保坂委員が、下稲葉法務大臣行政あり方の大変な転換を行ったという御指摘がありましたが、私も全く遺憾でありまして、そのとおりだと思うのであります。間違いを起こした者がいれば、それは素直に謝って、正していかなきゃいけない、それは当然のことであります。私も、こうした不十分な対応、間違った対応があったということに関しまして、下稲葉法務大臣同様、御遺族におわびを申し上げるものでございます。  そして、今、東京地検における当初の捜査、これが不十分だったということは、再び捜査して起訴になったということから事実でありまして、そこもやはり反省して、これからの検察業務に生かしていかなければいけない点だと思います。  そしてもう一つ、この前の予算委員会でも御指摘になられました、亡くなった方が検察審査会に申し立て権がないという点でございますが、先生の御質問を受けまして、私は即座にこれの法改正を検討するように命じました。御遺族に申し立て権がないというのは法律の欠陥だとさえ私は思います。それを即座に検討するように申しまして、検討に入るということにしております。  そして、大変残念なこの事件を契機に、委員にも何度か申し上げましたが、被害者に対する通知制度を全国で発足することにいたしまして、もう通達をいたしまして、そして四月に始めることにいたしました。  そして、もっと大きく、やはりこの起訴のあり方、検察の起訴独占のあり方を見直した方がいいということで、これからやることになっております司法制度改革審議の中で、検察起訴独占のあり方、そして検察審査制度のあり方それ自体、そして、もっと広くは起訴陪審のところまで踏み込んだ御議論をいただきたいという希望を持っているわけでありまして、保坂議員に御指摘いただきましたことは一々そのままで、そのとおりであるということを感じさせていただきますと同時に、今一生懸命そうした行政に生かす努力をしているところでございます。
  120. 保坂展人

    保坂分科員 大臣審査会法の三十条というのはやはりおかしい、我々、素朴に考えても、法律というのは、これは人間がつくったものでございますから、やはり人の情というものを十分にくみ上げるに至らない面がある、その中で、今回この部分が浮き彫りになってきたことについてすぐ指示を出していただいたことに対しては大変感謝をしたいと思います。  ただ、私は別に、公務員に対して、厳しく高いハードルをその方の前に置けということを述べているんではないんですね。前大臣が何度も陳謝をされたということについて、国家公務員法によらない例えば口頭厳重注意というようなことだってあるわけです。何らかのけじめということがやはりなされるべきではなかったのかという点を先ほど刑事局長にお尋ねしたんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  121. 中村正三郎

    中村国務大臣 一昨年ですか昨年でしたか、委員と国家公務員法のことで御議論したのを覚えていらっしゃるかもしれませんが、国家公務員法においては極めて厳重なことが定められておりまして、先ほど刑事局長答弁したように、確かに不十分なことがあった、これから反省しなければいけない、それはこれから直していかなければいけない、行政にも反映していかなければいけないということでありますけれども、これをもって即座に処分、懲戒というようなこととか、それはなかなか難しいことではないかと思うわけでございます。
  122. 保坂展人

    保坂分科員 懲戒ということではなくて、懲戒外処分というのがございますよね。ですから、そういうことも踏まえて本来は対応があるべきだったというふうに指摘をしておきたいという意味なんです。よろしいでしょうか。組織というのは生き物で、最高責任者が謝罪されて、そして、その実行行為者がやはり何らかの譴責あるいは注意ということがされるのが、これは民間の会社でもどこでも当たり前のことだと思うんですね。社長が謝って、その実行行為者は注意を受けないなんということはあり得ないことなんです。いかがでしょう。
  123. 中村正三郎

    中村国務大臣 私の前任の大臣がなされました行政の仕事ですから、私が申し上げるのはなかなか難しいのでございますが、委員の御指摘の意味はよく理解できます。
  124. 保坂展人

    保坂分科員 警察の方にも来ていただいているので、ひき逃げということについて若干お聞きしたいんです。  私ども、ひき逃げというのはいわゆる交通犯罪の中で最も重いという認識があるわけですけれども、そのひき逃げが引き起こす問題、今回の件については、事実の認定については争いがございます。結果としては、救護義務違反の疑いありということが、これは不起訴ということになって、遺族の方は納得されていないという部分はあるわけですけれども、それ以外に、結果としてひき逃げであると疑われることがあった場合に、どういう視点で捜査が行われるのかという点を警察の方に伺いたいと思います。
  125. 柴田健

    ○柴田説明員 委員指摘のとおり、ひき逃げ事件、これは大変凶悪重大な犯罪でございます。したがいまして、ひき逃げ事件が発生いたしましたならば、警察といたしましては、緊急配備をしくなどしてまず現場検挙を図る、あるいは逃走した場合にも、綿密な鑑識活動あるいは幅広い聞き込み等々を行いまして、徹底検挙を目指して捜査するということが私どもの責務であると考えております。
  126. 保坂展人

    保坂分科員 そこで、ひき逃げかどうかというのは、これは検証するのは大変難しい部分があると思います。ただ、これは大臣にもぜひ考えていただきたい問題なんですけれども、私は、後ろで傍聴されている御両親に聞いて、いろいろな矛盾を思いました。  そのときに、警察の方はかなりきちっと捜査をされていた、実況見分調書もきちっとつくられていました。しかし、その中に一部疑問がありまして、答弁は警察の方にまずいただきますけれども、要するに、ひいたかどうかを体感するテストをしているわけです。テストをされているテストドライバーが加害者の会社の社長だった。これはちょっと公平を欠くんじゃないだろうかな、こういうことはよくあることなのか。大体、テストというのは公平に行われるべきで、加害者の社長であれば当然その利害関係があって、自分のところの運転手の起こした事故ですから、これは大変ゆがみが生じるんじゃないかと思うんですが、こういうことはよくあることなんですか、警察の方。
  127. 柴田健

    ○柴田説明員 お答え申し上げます。  実況見分につきましては、個々の事案によりましてさまざま状況がございますので、一概には申し上げることができません。  ただ、本件の場合、確かに加害者である運転手の雇用主がテストドライバーというような形で関与しておるわけでございますが、実況見分の中におきましては、多数の警察官が補助をしておる中で、これは、仮に加害者の言うとおりにトラックを運行させたらばどういうふうになっているかという実験的な実況見分でございますが、この事案については、多数警察官がいる中で客観的にかつ公正に行われていたというふうに私ども考えております。
  128. 保坂展人

    保坂分科員 大臣に伺います。  私ども常識で、例えば○○運送という会社のドライバーにお子さんがひかれた、それが本当に体感し得たのかどうかというのが一番知りたいところですね。ですから、一番大事なポジションは、運転席のハンドルを握る、ハンドルにどれだけの振動があるのか、感じがないのかどうかということをまさにテストする、それが○○運送の社長だったというと、これは公平かどうか。そのトラックを動かせる人はいっぱいいるわけですね。そういうところで、大臣、どのように今の答弁をお聞きになられましたか。
  129. 中井洽

    中井主査 保坂さん、中村法務大臣はA級レーサーというのを知っていますか。法務大臣はA級レーサーなんです。
  130. 中村正三郎

    中村国務大臣 確かに、大型二種の免許も持っておりますし、大型トラックを運転したこともあるしバスも運転したことはありますけれども、ただ、事実認定手続のところを私どもが正しかった、正しくないと言うことは、なかなか警察の捜査に対して口を挟めるところではないと思うんですね。それで、そのやり方が正しかったか正しくないかということは、それは裁判でもって正しくやったか正しくないかを事実としてどう認めるかということになってくるんだと思うんですね。  そういたしますと、私が先ほど申しております起訴独占のところに問題がある。起訴するかしないかだ。だから、先ほどもお話ししたんですが、フランスにおいて、予審判事制度で、予審判事が起訴しない、だから、予審判事の力の方が最高裁判所長官より偉くなっちゃったというような冗談を言われて、その制度を改革した。だから、私は、この制度から改革しなきゃいけない。それはやはり検察審査制度の改革であり、できれば起訴陪審のところですね。私は、判断はこの上なく裁判所にゆだねられるべきものだ、そういう方向で改革を図るべきものだと思っております。
  131. 保坂展人

    保坂分科員 この件がきっかけでたくさんの制度改革が進んだと思うんですね、必ずしも立法によらない。国民が多数、これは私も驚きましたけれども、東京の私鉄の駅でもう一回捜査をやり直してほしいという署名をされたら、何と九千人の方が一日に署名をされたそうです。これは、大変多くの方が、私の周りでも、恐らく大臣の周りでもあると思いますけれども、亡くなっている、あるいはけがをされて大変な目に遭いながら、しかし十分な捜査が行われたのかどうか、そしてまた、そこに公正がきちっと保たれたのかどうかということについて大変な世論の注視があるという件でございます。  ですから、前大臣当時のことでありますけれども、きょうも見えているので、今後、ぜひその声を受けとめていただきたいということを要望しておきます。  そして、その大きな改革の中で、犯罪被害者への捜査情報の提供、いわば特別な地位ということでくくって刑訴法の四十七条との整合性を保とうという、これも一つの改革の方途だと思いますけれども、今の段階で、いわば現在進行形で、あの事件で、一回不起訴が、十一月二十六日に業務上過失致死のことで再起訴が決まって、そして公判が始まっている。これも十分に捜査情報、どんな捜査があったのかということを被害者にも、そして加害者にも見せるという努力があっていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  132. 中村正三郎

    中村国務大臣 四十七条は、公判が始まるまでの間は、公益性のない場合にはこれを公表しないということになっているわけですから、公判が始まったんですから、それは双方が十分情報をお持ちになっているんじゃないかと思いますが、補足的にあれば、刑事局長から。
  133. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、公判が始まる前には加害者及び被害者の方にその資料開示はされたんでしょうか。
  134. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 先生お尋ねの点はまさに刑事訴訟法四十七条の問題でございまして、公判が始まるまでは捜査資料は開示しないという大原則を立てているわけでございます。したがいまして、一般論として申し上げることになりますけれども、現在、捜査関係の情報については、捜査段階においては開示はなかなか難しいというのが現状でございます。
  135. 中村正三郎

    中村国務大臣 こういった問題が今大きな広がりを見せているわけでありまして、実は、これから行う司法制度改革審議会において我々が希望して審議をしていただきたいと思っております中に、この四十七条の問題を入れてございます。それは、大きくとらえると、いわゆる国政調査権と秘匿するべき要件の調整の問題もありますし、こういったことが何のためにあって、だれのための法律かというような視点から、四十七条のようなことについても審議をしていただきたいというふうに持っていきたいというふうに思っております。
  136. 保坂展人

    保坂分科員 では、時間が残り少なくなりましたけれども、矯正局長にも来ていただいているので、一点、前回、法務委員会指摘したことですけれども、裁判所の文書が東京拘置所で拒絶されてしまって逆送されちゃったという件について、ちょっと事実の確認があいまいだったと思うのですが、その後、こういうことは確認されましたでしょうか。  それから、こういうことはやはり改善されるべきではないか、確定死刑囚の方が裁判所から発行された、これはコピーであったとしても、これを受け取れないというのはおかしいんじゃないかという点なんですが、いかがでしょう。
  137. 坂井一郎

    ○坂井政府委員 この前のお答えで若干不十分だったかと思いますけれども、調べてみますと、同じような件が二件ございまして、どういうことかと申し上げますと、要するに、確かに裁判所の封筒に入ってきた書類、口頭弁論調書でございますが、裁判所から送られてくる書類は、例えば期日の呼び出し状であるとか訴状であるという法律上あるいは職権として送られてくる文書については、収監されている収容者がだれであろうと、渡すことはもちろん当然のことでございますのでお渡しするわけですけれども、口頭弁論調書につきましては、この口頭弁論調書を収容者が裁判所に請求したという事実もございませんものですから、一体どういう経緯でこれが入ってきたんだろうかということに疑問がございまして、若干確認をしましたところ、いわゆる裁判所の通常といいますか、要するに職権として送る書類ではないというような受け取り方を私どもの方はしたものですから、それでは一度裁判所の方にお返しして御判断を願った方がいいんじゃないかということで、お返ししたということでございます。  あくまでも、申し上げますけれども、裁判所から送られてきた裁判所の正式な書類あるいは職権に基づいて来た書類を収容者に渡さないというようなことには全くなっておりません。ただ、本件の場合、この文書の性質がよくわからなかったから渡さなかったというだけだということで御理解いただきたいと思います。
  138. 保坂展人

    保坂分科員 以後、そういう取り扱いについて、国連からも指摘を受けていますので、十分善処をお願いしたいと思います。  もう時間が迫っていますので、最後になりますけれども、法務大臣、私、話を聞いて、これだけかけがえのない息子さんが事故でなくなって、そして、今いろいろ質疑がありましたけれども、必ずしも捜査情報というのは被害者本人には渡されません。目撃者がだれだったのか、そういうことも全然出てきません。そういう中で、一人一人思い起こしながら電話をしたり、あるいは事故現場に立って車をずっと見続けたり、大変な努力の上で、実は今回のこういう世論の高まりも御両親の努力であったんだと思います。ぜひ、そういった声を法務大臣自身もお受けになって、今後信頼回復に努めていただきたいと思います。一言お願いします。
  139. 中村正三郎

    中村国務大臣 いろいろな御指摘を司法制度改革の中で生かしていきたい、このように思っております。
  140. 保坂展人

    保坂分科員 さらに言いますと、大変お忙しいと思いますけれども、どういう努力によって、いわば前法務大臣の陳謝、そして犯罪被害者への通報も含めて、大変な改革のきっかけにもなり、しかも矛盾をはらみながら今も進んでいる問題なので、ぜひ一度その声を大臣自身もきちっと受けとめていただきたいということでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  141. 中村正三郎

    中村国務大臣 そのようにいたします。
  142. 保坂展人

    保坂分科員 委員長には特別のお悔やみのお言葉もいただき、大変ありがとうございます。  国会での議論が、法務省の現場、そして国民の交通事故に対する——国会でも超党派の議員連盟も旗上げをいたしました。ですから、交通特はありませんけれども、ぜひ、国会での質疑を充実して、信頼回復に一緒に努めていきたい、こういうことを再度確認いたしまして、きょうの質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  143. 中井洽

    中井主査 これにて保坂展人君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  144. 中井洽

    中井主査 次に、外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。高村外務大臣
  145. 高村正彦

    ○高村国務大臣 平成十一年度外務省所管一般会計予算概要について御説明申し上げます。  外務省予算の総額は七千五百九十五億二千二百万円であり、これを平成十年度予算と比較しますと百十六億九百万円の増加であり、一・六%の伸びとなっております。  新しい世紀を迎えようとする中、国際社会における脅威は多様化しており、平和で安定した世界への道のりは決して平たんではありません。また、アジア経済危機とその世界的な波及に見られるように、グローバリゼーションの陰の部分への対応も急務となっております。こうした課題を前に、我が国は、高まる国際社会の期待にこたえ、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であり、平成十一年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、外交実施体制の強化と外交施策の充実強化の二点を重点事項として、予算の効率的配分を図っております。  まず、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。  定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心として、本省及び在外公館合計で八十六名の増員を図り、平成十一年度末の外務省予算定員を合計五千二百三十四名といたしております。また、機構面では、在アゼルバイジャン大使館及び在モザンビーク大使館の新設、ベルリンへの首都機能移転に伴う在ドイツ大使館の移転等を予定しております。  さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館施設等の強化、危機管理体制・海外邦人安全対策の強化、在外選挙実施体制の整備のための経費四百二十五億円を計上しております。  加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な通信・情報収集等の機能の推進に要する経費として六十五億円を計上しております。  次に、外交施策の充実強化に関する予算について申し上げます。  外交施策の充実強化の四つの柱は、二国間援助等の推進、対ロシア政策の推進、平和・安全、軍縮のための協力、そして国際文化交流の推進であります。  まず、平成十一年度政府開発援助につきましては、一般会計予算において、政府全体で対前年度比〇・二%の増額を図っておりますが、外務省予算においては対前年度比〇・三%増となっております。これは、微増とはいえ、アジア経済危機やアフリカ諸国支援等の面での我が国の積極的な姿勢を示すものと考えます。  このうち、無償資金協力予算は対前年度比一・〇%減の二千三百七十九億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が千九百九十八億円、食糧増産等援助費が三百八十一億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団の事業費として、対前年度比〇・五%増の一千七百七十億円を計上しているほか、国際協力事業団の定員につき一名の純増、機構改革を図る等援助実施体制の強化に努めております。  なお、ODAの透明性、効率性という面では、ODA事業の公募のモニター、インターネットを用いたODA情報公開の一層の促進、無償資金協力の実施体制の強化といった新しい工夫を施しております。  次に、昨今の日ロ関係の進展を踏まえ、新たに外交施策の充実強化の柱の一つとした対ロシア政策の推進につきましては、支援委員会、北方領土関連等に総額十五億円を計上しております。  また、平和・安全、軍縮のための協力でありますが、我が国の国際的地位に見合った責務を果たすべく、軍縮・不拡散分野における貢献を積極的に行い、また国連の活動に対する支援を一層強化し、さらに地域の安定に向けた取り組み等を行うため総額五十一億円を計上しております。  最後に、国際文化交流の推進でありますが、異なる文化間の相互交流を促進するために留学生受け入れ数の増大を図るべく、留学交流環境の整備のため一億円を計上しております。  以上が外務省所管一般会計予算概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する予算説明」を配付させていただきましたので、主査におかれまして、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。
  146. 中井洽

    中井主査 この際、お諮りいたします。  ただいま高村外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 中井洽

    中井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  148. 中井洽

    中井主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  149. 中井洽

    中井主査 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。白保台一君。
  150. 白保台一

    白保分科員 午前中に引き続いて、また質問をさせていただくような形になるわけですが、私は、日米安保条約に基づいて、提供施設の、占有施設の七五%が沖縄に集中しておりますので、そういった提供施設にかかわる問題で、環境に関する問題等を含めて、まず初めにお伺いをしたい、こう思っています。  私は、大分前になりますが、沖縄の県議会議員をやっておるときに、私どもが中心になって環境アセスメントの条例を県につくるように、条例案を我々でつくったことがありました。条例案は成功はしませんでしたが、県としましても、あの狭隘な島の中で開発をしていく、そういう状況の中で、やはり環境アセス的なものはきちっと確立しておかなければならない、こういうことで、その翌年に環境アセス規程というものを県でつくりました。  規程というような形で、どれほどの効力があるのかというようなことで非常に疑問を持たれたわけですが、それについても、狭隘な土地におけるところの開発行為というものは、やはり自然環境を守るということで必要であるということで、かなりのところで効力を発揮しておる、こういうふうに今見ておるわけでございます。その際に、私どもの考え方は、やはり米軍基地もその中に含めていかなければいけないということで、その案の中に米軍基地も含めたものをつくったのでありました。  これはなぜそういうふうに言うかといいますと、終戦以来、復帰を挟んで今日に至るまで、あの広大な基地の中から派生するさまざまな問題というのはもう皆さん御存じのとおりでありまして、基地の中で戦車道をつくる、そうするとそこから赤土が流出する、あるいはまた基地の中で工事をする、そこから流れる多くの水質汚濁の問題が出てくる。そういったことで、私たちは、何としても自然環境を守るためにも環境アセス的なものが必要であるということでこういった提案をしたわけでございます。  これから、SACOやそういったことで、軍港の移転だとか移設だとかあるいは空港の移設だとか、そういうさまざまなことが予測されます。それを肯定しているというわけではありませんが、予測されます。そういう際に、やはり環境アセス、こういったものがきちっと行われるのかどうか、この辺のことをまずお聞きしたいと思います。
  151. 高村正彦

    ○高村国務大臣 在日米軍基地における環境問題に対して、一般的な話を私からまずお答えさせていただいて、詳細、政府委員から答えていただきたいと思います。  一般国際法上、外国軍隊は、接受国の公共の安全に妥当な考慮を払い、関係法令を尊重すべき義務を負っておりますが、日米地位協定にも、米軍がこのような義務を負っていることを確認する規定があるわけであります。  在日米軍は、環境に関し、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうち、より厳格な方を選択して定めた環境管理基準を作成し、これに基づいて厳格な環境管理行動をとっていると承知しております。  環境に関連して具体的な問題が生じた場合におきましては、政府としては、日米合同委員会の枠組み、特に日米合同委員会のもとに設けられた環境分科委員会等を活用して対処してきているわけであります。  今後とも、このような枠組み等を活用して、米側と十分協議の上、我が国の公共の安全や国民生活に妥当な考慮が払われるよう、しかるべく対処していく考えであります。  今、ちょっと抽象的な答えになりましたので、もうちょっと具体的な答えを政府委員からさせます。
  152. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 施設部長でございます。お答えいたします。  具体的な問題で今御指摘ございました普天間飛行場、それから那覇港湾施設の移設に絡む環境の問題でございます。  先生、これにつきましては、稲嶺新知事が、普天間飛行場の返還については、一定期間限定した軍民共用の陸上空港案という提案をされておりますし、また、那覇港湾施設につきましては、その機能を浦添地先に移設するといった地元の動きがございまして、前向きに検討されるというふうに述べられておるわけでございまして、私どもとしては、今後、県のお考えを十分拝聴いたしまして、地元の御理解、御協力を得つつ、本問題の解決に努力してまいりたいと考えております。  したがいまして、具体的な移設先とかあるいは移設の規模であるとか、そういった問題について明らかになった段階で、環境庁等とも十分調整させていただきながら、これは適切に対応していくべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  153. 白保台一

    白保分科員 大臣が最初にお答えになられた一般的な枠組み、そのことですね。ですから、環境アセスというのが、今施設庁の方はちょっと先の方に行ってしまって、移設がなされたときの話まで行ったのですけれども、現実問題として、一般論として、仮にそういった問題があったときにきちっとした環境アセスメントが行われるのかな、どうなんですかということです。
  154. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 これにつきましては、環境影響評価法及びその規定に基づく政令等の規定に基づきまして、私どもとしては個々具体的なケースについて適切に対応していきたい、当然、環境庁と御相談しながら対応していくというのが基本的な考え方でございます。
  155. 白保台一

    白保分科員 それでは話を進めさせていただきたいと思いますが、県と国と米軍が一体となって米軍基地から派生する問題について協議する、いわゆる三者協です。  この三者連絡協議会、これが再開するために、その準備会を最近開いております。四月か六月ごろの間に三者協を開催しようということで準備会を開いておるわけでございますが、この際、原点に戻った形で何点か確認をしておきたい、こう思っております。  基本中の基本で大変恐縮ですが、三者協というのは、いつ、どういう目的でスタートしたのか、その確認をまずしておきたいと思います。
  156. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 お答えいたします。  いわゆる三者協につきましては、昭和五十四年の七月に、沖縄における施設・区域の管理及び運用から生ずる問題につきまして、沖縄県、防衛施設局それから在沖米軍、この三者が現地において拘束されない自由な立場から話し合いを行う場という形で設置されたというふうに承知いたしております。  なお、その後、三者協はこれまで十六回開催されて、いろいろな問題について話し合いが行われてきたというふうに了解しております。
  157. 白保台一

    白保分科員 これは、今御答弁がありましたが、まだそこまで聞いていなかったのだけれども、自由な立場で拘束されないで十六回議論をしてこられたということですが、その議論をされた中で、どういう成果が上げられましたか。
  158. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 これは、幾つかあろうかと思いますけれども、例えば、演習場の安全対策、あるいは航空機の騒音対策、赤土の流出防止対策、また基地内の松くい虫の駆除等について、現地で意見交換が行われまして、一定の成果があったというふうに承知しております。
  159. 白保台一

    白保分科員 ところが、最近は、三者協が再開されるということで、地元の新聞なども随分と大きく報道しているわけですね。再開というふうに報道されるほど長い間開かれていなかった。四年間開かれていなかった。その間いろいろな問題があったと私は思っていますけれども、そういう中で、私も原島大使に、やはり大使も入って三者協をきちっと開いて、さまざまな課題があるはずなんだから、早く開くべきじゃないのかなということを外務省沖縄事務所に行って申し上げたことも何度かありました。  そういった中で、今回再開ということになったわけですが、そこで、何で開かなかったのかなということが一つあるのです。成果は上げてきたのですね。上げてきたのですけれども、この四年間開かなかった、これが一つ。そして、それは要するに、三者協に付すべき課題がなかった、こういうような認識だったのか、この辺のことはいかがでしょうか。
  160. 高村正彦

    ○高村国務大臣 三者連絡協議会は、沖縄に所在する米軍に関する問題について現地関係者が意見を交換する場として有意義であると考えておりますが、そのあり方に関し、大田前知事のもとで県と在沖米軍との間で歩み寄りが得られず、平成七年三月以降開催されていなかったわけであります。  もとより、その間においても、現地関係者が意見交換すべき沖縄に所在する米軍に関する問題は種々存在していたと思いますけれども、三者協を開催して現地関係者が一堂に会してこうした問題に取り組むことができなかったということは、大変残念でありました。こうした経緯にかんがみれば、今般、三者協を再開するための準備会合として去る十三日に三者協再発足会合が開催されたことは、非常に喜ばしいと考えております。  政府としては、今般の再発足会合の開催を契機として、今後、国、県、在沖米軍の三者が、より一層良好な協力関係の構築と密接な関係のもと、三者協の活性化を図り、沖縄の基地問題の解決促進や基地に関する諸課題への取り組みを強化すべく、引き続き努力してまいりたいと考えております。
  161. 白保台一

    白保分科員 大臣、非常に立派な答弁をされました。その前に、先ほど申し上げたように、この間の問題は何かといえば、要するに、今の答弁もございました、大田さんと米軍との間に歩み寄りがなかったというお話です。  そこで、その間にさまざまな課題がありました。では、その間、三者協といって、国は一体どういうふうにその間を取り持ってくれたのか、そして国は何をやったのか、こういうことが私は一つの問題としてあると思うのです。現に基地を提供しているところは県民です。そして、県民の生活の中にいろいろな問題があるから、三者協を開いて、いろいろと自由な立場で物を言って、そして解決すべきことは解決していこうという三者連絡協があったわけですけれども、双方の歩み寄りがなかったからといって、県民生活、非常な問題がかなりありました。それじゃ、国は一体その間何をやったんだという問題が一つ問われるのです、この問題は。そのことを私は今聞いているのです、どうですか。
  162. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 私ども防衛施設庁としましても、本庁及び防衛施設局それぞれこの三者協の再開に向けましていろいろな形で努力してまいりました。また、政府として原島大使を任命されて、大使の立場からいろいろな形で努力されたというふうに私も伺っておりますし、何分にもこの三者協の基本的な運営と申しますか、この場でどういったことを話し合って、何をここで解決していったらいいかということについて、その認識の統一を図るためにいろいろこの間努力がなされてきたというふうに承知しております。
  163. 白保台一

    白保分科員 私があえてこういったことを申し上げているのは、今回の三者協準備会、この中でも、三者協で提案できる議題というのは、基地に関する諸課題で現地レベルで解決できる事項に限定する、しかも三者が共通の関心を有するものについて協議するというようなことを言っているのですね。  そうすると、先ほどのお話じゃありませんが、お互い関心を持たなかったら、沖縄が非常に重大な関心を持っている、国も持っておる、しかし米軍は持たない、共通の関心に立たなければそういったものは協議しない。それは議論ですからそういうことになるのかもしれませんが、さまざまな基地から派生する問題を解決するために、自由な立場で議論をしようということですから、こちらの方から提案があったら、その問題について、その三者のどちらかの提案があったら、みんながそれではという関心を示してお互いが議論に入れる、こういうことにしませんと、三者の共通の関心に立たなければ協議には入らないということであったならば、そういったふうに報道もされていますし、そういうふうに言われていますが、今までと変わらないんじゃないか、そういう不安があるのです。  現実にあれだけの基地を抱えていれば、軍が動いていれば、いろいろな問題が派生します。そういった問題等について、あるところから協議の問題が出てきたら、そのときにはそれはお互いが話し合いをするということにならなければ、私はこれはうまくいかないんじゃないかな、こういうことです。  幸い、原島大使が行かれて、相当御苦労をされています。非常に努力されて、そしてどうすればいろいろな問題等を解決できるかということで、日々悩んでおられるところも私は見ています。だからこそ、あえて申し上げるのは、やはりそういった問題等もきちっとやるべきだ。三者が共通の関心に立たなければやらないということじゃいけないわけで、そういった面では、今申し上げたその辺について、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  164. 高村正彦

    ○高村国務大臣 協議をするわけですから、協議の結果を得るためには三者の一方が全く関心を持たないようなことをしてもしようがないと思うのですが、ただ、準備会合だとか日ごろの接触で、だれかが深刻に考えているものがあれば共通の関心を持つように努力をしていくというのは、それは当然のことなんだろう、こういうふうに考えております。
  165. 白保台一

    白保分科員 最初に目的を聞いたのはそれなんです。結局、基地から派生する諸問題、そういった問題を話し合いをしましょう、議論しましょう、そして成果を上げましょう、こういうことでスタートしたわけですから、そういう面では、基地から派生する問題というのはさまざまにあるのです。さまざまにありますし、そういった問題を、今回決めているのは、定期的にやろうということになりました。それは大きな前進です。これまでは定期的にやっていませんから、定期的にやろう、これは大きな前進だと思います。  したがって、その大きな前進の中で、やはりこれから何を議論するのかということについても、これからもこの辺の問題についても詰めていくということでございますが、我々としては、多くの文化財もありますし、あるいはまた環境保全の問題もありますし、騒音の問題もありますし、いろいろな問題があるわけでございますので、その中でしっかりとした協議がなされて、県民生活の上に安全を保てるような、こういった方向にしてもらいたい、そういうことを申し上げたいと思います。  次にお聞きしたいのは、沖縄県が軍転法の見直しの問題でまとめました。それについて承知しておりますか。
  166. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 これは県の方でいろいろと検討されまして、関係者の御意見も聞いた上で、三月ごろをめどにまとめて提出されるというふうに聞いておりまして、まだ正式に県の方から伺ったわけではございません。
  167. 白保台一

    白保分科員 正式にはないと思います。承知しておるかどうかということでございましたので。  そこで、実は、問題点として挙げられるのは、先般補償期間が切れました恩納村の返還土地。あれなどを見ていますと、去年の安保委員会でも北米局長とも議論しましたが、三年間の補償期間ということでやっていました。返還してみたら中がPCBで汚染されておる。それで、汚泥をだれが責任持つのか。地位協定の四条で原状回復をしなくてもいい、そういうことで、その汚泥の問題について、あっちだ、こっちだと言いながら、最終的には那覇防衛施設局が頑張って何とかしてくれた。  返還して何とか使えるようになるのかなというふうな感じになったわけですが、気がついてみたらもう三年たっておる。有効に活用をしていくための三年間でなければならないにもかかわらず、こういう問題が生じるとあっという間に三年間がたってしまう、こういう状況です。したがって、我々としては、この補償期間というものは延長していかないといけないなと。  そしてまた、最近出てくる問題では、返還が合意されておる地域で文化財がある。その文化財を全部掘って工事をして、全部やっていくと相当な日数がかかるんじゃないか、こう言われておる。そのようなさまざまな課題がございます。  五十年、半世紀も提供したものを有効利用しようという形になってきたら、どうしても補償期間という問題がかなり重要な問題になってきます。そしてまた、限度額の問題もそれに伴って大きくなってきます。そういった面が大きな課題として今回の改正案に乗ってくる、こういうふうに思っておりますが、ぜひそういった辺の問題についても勘案をして前向きに取り組んでいただきたい。いかがでしょうか。
  168. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 今先生指摘になったような、恩納通信所の返還後の跡利用の問題、また軍転特措法の給付金の期間の問題、限度額の問題でございます。私どもとしては、先生御承知のとおり、軍転法は議員立法で制定されたという経緯でございまして、その後、審議の過程、またいろいろな議論の末、結果として、その期間、限度額という形で定められて、施行になって四年目という段階にあるわけでございます。  私どもの行政サイドの立場からは、この法の適正な執行というふうに考えておるところでございまして、他方で跡利用の問題、これをやはり計画的に詰めていくということが大事かと思います。そちらの面では、沖政協のプロジェクトチームのメンバーとしても努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  169. 白保台一

    白保分科員 そのとおりだと思います。議員立法のお話がございましたけれども、そういった課題というものが、あのときは議員立法で、補償期間にしても、限度額にしても、そういう皆さんの考え方でやったわけですね。しかし、その後運用してみて、やはり多くの課題が残っておるということで、県の方も取りまとめてやってきているわけでございますので、ぜひその辺のことも念頭に置いていただきたい、こういうふうに思っています。  時間が迫ってまいりましたので、最後に外務大臣にお聞きしたいと思いますが、西暦二〇〇〇年のサミットの問題について、多くの地域が立候補、手を挙げていると思います。私ども沖縄県においても大変盛り上がっておりまして、昨日なども大会を開いたり、その前にも大会を開いたり、いろいろとやっております。  特に我々が申し上げたいことは、それぞれの地域の方でそれぞれの特徴を持って、そのことが立候補の理由になって皆さんやっておられると思いますが、例えば、サミットを開くに当たって、外務省の方でいろいろと調査をされたり、現地へ行かれたりやっておられると思いますが、それについての、基本的にこういう要件だというものがございますか。
  170. 高村正彦

    ○高村国務大臣 サミットは、主要八カ国の首脳が一堂に会する行事でありまして、数千人規模の各国代表団、報道関係者を受け入れるわけでありますから、会議場や宿舎等施設状況だとか、地理的条件だとか、輸送の問題とか警備上の問題、その他諸般の事情を総合的に勘案して検討、決定していくことになるということであります。
  171. 白保台一

    白保分科員 時間がありませんので。  そこで、大分もう絞り込みはなされたのでしょうか。
  172. 高村正彦

    ○高村国務大臣 絞り込みはなされていないと承知をしております。開催地の決定時期につきましては、諸般の事情を考慮し、新年度になってから行うということとしております。  なお、本年六月に行われるケルン・サミットまでに二〇〇〇年のサミットの開催地が決まっていれば、サミットの他の参加国との関係では特段の支障はないと承知しております。
  173. 白保台一

    白保分科員 歴史的な問題等、そしてまた現在の基地の問題等を含めて、沖縄県におけるところの熱意が強いということだけを申し上げまして、私の質問を終わります。
  174. 中井洽

    中井主査 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  175. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 アメリカの原子力空母の横須賀母港化にかかわる話題につきまして質問をさせていただきます。  予算委員会で取り上げましたが、大変短い時間でございましたので、大臣の方もその後資料などをごらんになっているというふうに思いますので、限られた時間ですが、きちんとした議論をさせていただきたいというふうに思います。  ごく簡単に、改めて私の趣旨を申し上げますと、アメリカのGAO、米国議会会計検査院、情報公開などにつきましても信頼性の高い活動をしているというふうに私どもは認識をいたしております。昨年八月に報告書が出されまして、海軍空母の通常型、原子力空母の費用対効果についての報告書が出されました。二百ページほどございまして、私どもも、神奈川県でこれにかかわる市民運動とかNEPAの会とかございまして、内容を全部インターネットで取り寄せまして、みんなで勉強したり、私なりに検討をしてみたわけであります。特に、この中でこういう点を非常に感じます。  この長い二百ページの報告書がございまして、この中の第四章に、全面的原子力空母艦隊が太平洋の海軍プレゼンスに与える意味というチャプターがございます。それを読んでおりましたら、幾つかございまして、一つは、空母が横須賀を母港に持つことで、そのプレゼンスは、米国を母港とする原子力空母六隻分にも相当する、九十九ページにそんな文章がございます。  その後、数ページにわたりまして、母港にする場合の施設、港湾整備、費用についての分析が載せられております。原子力空母が横須賀を恒久的に母港とするためには、原子力推進装置の整備、メンテナンスや補助設備あるいは港湾のしゅんせつ、大きくしっかりした桟橋などが必要になる、などなどが述べられております。  ちょうど今十二号バースの補修の計画が進んでおりまして、現在二百七十七メートル程度を百三十七メートル程度拡張して四百メートル余りにするということが、これは汚染物質の問題などございまして複雑になっておりましたが、計画がなされているわけであります。したがいまして、非常に関心の高い地元での問題になっております。  さらに読んでおりますと、その後に、どれぐらいお金がかかるか、サンディエゴのノースアイランドで通常型航空母艦から原子力空母に転換する場合にどうだったのかとやっておりまして、約二億六千万ドルかかるというふうな費用の概算の見込みまで書いてあるというふうなことになっております。  私は、その中身を見ますと、国務省あるいは国防省、さまざまな司令官のコメント、担当者の調査などという文章が入っておりまして、これは単なるうわさ話ではない、何か非常に具体的な問題となってきているということではないかということで重要視をいたしているわけであります。  外務省の方でも、この報告書、内容を検討されたというふうに思いますけれども、どのように認識をされておりますか。まず冒頭に伺いたい。
  176. 高村正彦

    ○高村国務大臣 御指摘の報告書でありますけれども、昨年八月に米会計検査院が米連邦議会に提出した「海軍航空母艦 通常型空母と原子力空母の費用対効果」と題する報告書であると承知しております。  我が国政府はこの報告書の作成には全く関与していないわけでありますから、その内容の逐一につきコメントする立場にはありませんけれども、同報告書は、通常型空母と原子力空母の費用対効果における客観的な比較分析を主な内容としているというふうに理解をしております。  この報告書では、米国の前方展開戦略及び今後の空母配備計画との関連で、日本における通常型空母から原子力空母への交代の一般的な可能性については言及しておりますが、関連インフラ整備等の点で多大な困難を伴うことが予想されているということも述べているわけであります。  いずれにしましても、連邦議会の補助機関であるGAOの報告書は、独自の調査に基づくものであって、米行政府の立場と同じでないというふうに承知をしております。  空母キティーホーク以後の横須賀における将来にわたる米海軍の具体的な海外家族居住計画については、何ら決定されていないというふうに承知をしております。さらに、このような計画について日米政府間で協議が実施されたことは全くないことは先般申し上げたとおりでありますが、今後とも米国における動向には注意を払っていきたい、こういうふうに思っています。  一言付言いたしますと、この報告書の中には、米行政府、国務省から、原子力艦船の日本の港湾への入港はいまだセンシティブな問題であり、米政府が原子力空母への交代を望むのであれば、日本政府との慎重な協議が不可欠である旨のコメントが寄せられているとの記述があるわけです。そういう記述があって、日本政府に何も話がないわけでありますから、少なくとも現時点でそういう計画があるということではないと承知しております。
  177. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 GAOの報告とつけ加えまして、実は大臣、さらに懸念する動きを聞いているわけであります。  スターズ・アンド・ストライプスという新聞がございます。これはパシフィック版なんですが、昨年十一月九日の報道、トップ記事がございまして、それを読んでおりましたら、第七艦隊司令官ティモシー・キーティング少将は、日本や太平洋地域を守るために展開している米海軍空母艦隊の今後について、もはや通常型の空母はなくなりつつあると述べている。さらに、現時点では具体的な計画はないものの、既に日米外交当局者間では原子力空母を横須賀に配備するための取り組みが始まっている。また、頻繁に原子力潜水艦が日本を訪問し、原子力空母を配備するためのおぜん立ては既に整いつつあると述べた。この新聞は機関紙ではありませんから、防衛庁と朝雲新聞みたいなものかと思いますが、そういう報道がございます。  もう一つ、これは公式なんですが、米国国防総省のベーコン報道官の昨年三月三十一日の正式の会見の内容がございます。その会見内容の一部にこういう内容がございます。現行の計画では最終的に通常型空母はすべて退役することになる、日本側の懸念は空母を推進する原子炉にあると思う、原子炉の補修だけは米国内などで実施をし、他の補修については日本で行うなどさまざまな方式が考えられるということがベーコン報道官のペンタゴンの記者会見で述べられております、記録を取り寄せて翻訳したところですが。  それからもう一つ、これも新聞なんですが、空母ニミッツの航海記録というのがございまして、それを見ますと、世界をあちこち回って、そして日本にも寄った、九七年九月には横須賀寄港、これは、将来、いわば原子力空母が横須賀を母港とするという予測に日本人をなれさせることが主要目的であったということを、これは少佐ですから艦長ではありませんけれども、幹部クラスだと思いますが、航海録という形でそのようなことを軍関係の機関紙に載せているということがございます。  それらを見ますと、大臣が今おっしゃいましたような、行政府とは違うという問題、では行政府の方はどうなのかというと、関係者の方ではこういう発言がある。これも無視できない重要な動きではないかというふうに私は思います。  そうなりますと、単に交渉していないというだけでは済まない問題ではないだろうかというふうにも思うわけでございます。それぞれ報道官の記者会見とか司令官が言うこととかいうことですから、責任ある者の発言ですから、これらについてはきちんと対応し、それから、我が政府はどう考えるのかという対応をすべきであろう。金融問題とか何かになりますと、アメリカの当局者がこう言った、いや、うちはこう考えると年じゅうやっていることですから、日米という関係からいっても、そういうことが当然遠慮なしに、フランクにあるべきではないか。言われっ放しか、言っているのを知らないということではやはりまずいだろうというふうに思いますが、これらの報道などにつきましてどう対応されますか。
  178. 高村正彦

    ○高村国務大臣 御指摘のような報道については承知しておりますが、既に繰り返し申し上げましたように、空母キティーホーク以後の横須賀における将来にわたる米海軍の具体的な海外家族居住計画については何ら決定されていないというふうに承知しておりますし、また、かかる計画につき日米政府間で協議が実施されたことは全くありません。ですから、報道の中で、あたかも日米政府間、外交当局間で協議がされたかのごとき報道は、これは事実に反するということははっきり私から申し上げておきます。  したがって、将来の仮定の問題に関して現時点でこれ以上コメントするのは適切でないと考えますが、委員が重大な関心を持っているということは我々にもよく理解できますので、米国がどう考えているのかについては、これから関心を持って見守っていきたい、こう思っています。
  179. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 大臣がおっしゃった一歩先のことを述べたいのですが、これは、私も私なりにいろいろと関心のある問題ですし、また、我が神奈川県は不幸にして沖縄に次ぎまして第二の基地県という立場にございまして、いろいろと勉強してみたわけであります。そうなりますと、大臣が今おっしゃったことからもう一歩進んでいるのではないだろうかというふうに思います。  例えば、先ほども一部紹介しましたが、通常型空母、原子力空母ということのアメリカの今後のポリシーの問題、ペンタゴンなり国務省なりあるいはホワイトハウスがどう決めていくのかという問題なんですが、それらについてのいろいろなものを読んでみますと、現在、空母十二隻体制、これは九三年のボトムアップ・レビューの結論でもありますし、一昨年、四年に一遍やるところの戦力見直しでも十二隻体制と再確認されている。  その十二隻体制なんですが、現在、海軍が保有している十二隻のうち、四隻が通常型空母ということになっているわけであります。では、今後、二十一世紀初頭の段階においてそれらをどうするのか。二〇一〇年とか二〇一七年とかにはそれぞれ全部寿命が来ますから、どうするのかとなっているわけでありますが、私の調べたところでは、四隻のうち、通常型空母の将来につきまして、二隻分は原子力空母にするということが決定して建造中である。  あと二どうするのかということについていろいろな議論があって、そして、そのうちの一は、去年の暮れにやはり原子力空母でいきましょうというふうに決定をされ、設計が始まっているというふうな報道を、いろいろと調べまして、聞いているわけであります。これはアメリカの国防総省あるいはアメリカの政府としてのポリシー、行政決定という方向で進んでいるというふうに聞いているわけであります。私、これは相当確実性の高い方向であるというふうに思います。  そうしますと、今のままでは、一方ではアメリカの航空母艦が、外国では世界で唯一日本が母港化されている、片方ではすべて原子力空母の方向に進んでいるということになりますと、これは、遠い将来ではなくて、いずれかの時期にぶつかる問題、我が国はどうするんだという問題ではないかと思います。  大臣もちょっと御紹介なさいましたが、この長い文章の中にはいろいろなことが書いてあります。難しさも書いてあります。日本国民の気持ちも書いてあります。七年ないし十年かかるであろうなんという文章もいろいろございます。読んでおりますと、この報告書を書かれた方々自体が、原子力航空母艦に熱心というよりも、むしろクールにお考えになりながら作業をしたというふうな感じもあらわれているところでございますけれども、しかし、それだけに、客観性も高いというふうに思います。  今の流れとしては七年ないし十年かかるなんという言葉もございますから、そうなりますと、キティーホークの寿命その他考えれば、先ほどスターズ・アンド・ストライプスの司令官報道を申し上げましたが、調べていますと、やはりもう目の前の時期に何かしなくちゃいかぬ、そういうモーションがどこかで働いているんじゃないだろうかという懸念も実は持つような気持ちがするわけであります。  そうなりますと、大臣、現時点でこれ以上日本政府としてコメントする立場では今はないという趣旨のことをおっしゃいました。しかし、考えますと、こういう流れについて我が国政府としてはどう考えていくのか、イエスなのかノーなのか、現段階で白紙なのかどうなのかということについて、まだ交渉していないとか今後の問題だというだけでは済まない、やはり日本政府としてのポリシーの考え方というものはこうだという点が求められているというのが現状ではないだろうか。また、流れからいいましても、それがないと地元の市民にとっても非常に不安感がある、非常に懸念が高まるという状況にあると思いますが、そこはもう一歩突っ込んで、どうお考えになりますか。
  180. 高村正彦

    ○高村国務大臣 何度も繰り返しになって恐縮なんですが、少なくとも、現時点で具体的な計画があるということは承知してないし、そしてはっきりしていることは、外交当局間でそういうような話は一切ないということはこれは事実であります。  そういう中で、仮定のことについて今からどうだと言うことは、仮にそういうことがあった場合に、そのときの国際情勢がどうなっているのかだとか、いろいろな状況もあり得るわけでありますので、現時点で日本側から積極的にどうこう言うということが適当であるとは思えないわけでありますが、先ほど申し上げたように、これからも、米国が本当にどういう決定をされ、どういう方向で進もうとするのかということについては、強い関心を持って見守っていきたい、こういうことでございます。
  181. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 GAOの報告書の中にこういう一節がございます。国務省、まあ政府外務省のカウンターパートとなるわけですが、国務省は、原子力船が日本に入港することに日本の世論は今でも神経質なので、原子力空母の母港を日本に求めるならば日本政府と入念な協議が必要との見解を示した。大変親切にそこまで書いてございます。七年ないし十年という話もございました。  しかし、現実に、客観性の高い、国際的に、私どもも信頼性が高いものと評価しているGAOの報告書、これは性格上、もちろん行政府決定文書とは違いますね。しかし、客観性の高い、信頼性の高い内容だと思います。また、さまざまの動きがいろいろと起こっている。ペンタゴンの報道官がこう言っているというふうなものがある。そうなりますと、やはり見詰めているだけでは済まないんじゃないだろうか。  率直に伺いますが、今まで日米合同委員会にかかわるさまざまのシステムの中で、こういうことについての意見交換とか問題提起とかあるいは意見とか、正式のプロポーザルでなくとも、一遍もなかったんでしょうか。また、ここまでこういう事態があるわけですから、やはりきちんと、あなた方は将来どうなんですか、我々も日本の政府にふさわしいものを決めなくちゃならぬというふうなことを、アクションとしてあるべきではないだろうかという気がしますが、いかがでしょう。
  182. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 日米合同委員会におきましては、在日米軍のいろいろ種々の問題、円滑な地位協定の運用とかについての意見交換、相談をやっておりますが、必ずしも、現在御指摘されました大きな政策問題ということについては取り上げられてきておりません。  他方、先ほど来先生の方からも御指摘がございましたとおり、米国の政府側におきましても、まさしくこういう種類の問題というのが、日本にとって極めて神経質と申しますか、センシティブな問題であるという認識を有しているわけでございまして、日本との慎重な協議が不可欠であるという問題意識は先方も有しておるわけでございますので、そういうような意識に立ちまして、必要なタイミング、必要なときに、適当なときが来ますれば、恐らく相談が持ちかけられるというようなことは、当然このコメントからも想定、予想されることであろうと思います。
  183. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 残念ながら、外務大臣は今の御答弁以上に踏み込むことは難しそうでございますが、私はこう思いますね。やはりそういうさまざま懸念すべき動きがある。また、それを知った人、あるいはかかわる地域の市民には懸念や不安が高まる。外務大臣もおっしゃいましたが、これからのアジア情勢とか日米関係とか、いろいろな展望もございます。  私ども、いつも申しているんですが、だからこそ、PKO活動その他ございますけれども、やはり日本にふさわしいピースメーキングとかピースビルディングとかいうものを、もっと鮮明な外交戦略、当面、朝鮮半島の問題ございますから、私どもは私どもとして、今与党ではありませんけれども、やはり国民的視野から必要な努力はみんながしなくちゃならぬというふうに思っております。  そういう中で、そういう懸念がないような、あるいは世界で唯一日本だけがアメリカの航空母艦の母港となっている。ガイドラインでさまざまこれから議論になりますけれども、かつての極東の範囲の議論というものが、日米共同宣言以来、アジア・太平洋、湾岸まで含めて、いろいろな意味で政治的にも拡大しているというふうに私は思います。やはりそういう視点から政府としては対応する、それが日本のビヘービアにふさわしい、あるいはまた国民の皆さんに、やはり日本の外交戦略を含めて路線を示すということではないだろうか。  あえて申しますと、今の御答弁にとどまっている限りでは、さまざま全国にたくさんございますけれども、非核都市宣言運動が広がるとか、あるいは高知、神戸とかいろいろな懸念が広がるのはやむを得ないと言うとおかしいんですが、私は、当然の動きとして出てくるということではないだろうかというふうな気持ちもするわけでありまして、単に軍事問題だけではない広い視野からなされるべきではないかというふうに思いますが、何か御発言ありませんか。
  184. 高村正彦

    ○高村国務大臣 まことに申しわけありませんが、今までの答弁を繰り返す以外ないわけでありますが、本当に政府としても関心を持って、私も申しましたし、委員からも御指摘あったように、この問題は日本国民にとってセンシティブな問題だから、これをやる場合には日本と密接な協議が必要だと米国側も言っていると、このGAOの報告書に書いてあるわけです。  それが現時点でまだないということは、具体的なそういうことが進んでないということでありますから、私の方から積極的にどうなんだどうなんだと言って、必ずしもそういう動きを早める必要はないのであって、具体的な計画があればこちら側に当然話があるでしょうし、その話の中で、そのときの国際情勢その他もろもろの状況を考えながら密接な協議をしていきたい、こういうふうに思っております。
  185. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 正式にも米国側から話がない段階というふうに、これは私も事実だと思います。そういうふうにも御答弁でうかがえました。ただ、話はありませんが、さまざまの市民の心配や懸念は高まっている。また、そういう動きについても、何か調べれば調べるほど心配になるというのが状況でございまして、これはここでとどめておきます。またにしたいと思います。  もう一つ、具体的なことを伺いたいんですが、十二号バースの工事が進んでおります。この関係では、深刻な重金属汚染とかいろいろな問題がございまして、地元との調整があり、またいろいろな運動もあるというのが現実で、これは御承知のことだと思います。  それに触れる時間は残念ながらございませんが、私が伺いたいのは、GAOの報告などで述べておりますように、横須賀を原子力航空母艦の母港化するというふうになれば、原子炉のメンテナンスにかかわるところの施設とか、さまざまのものが必要になる。それからまた、それが日本でやられるのがいいかどうかというベーコン報道官のような話もある。それから、そのほか、もっとしっかりした桟橋とか、それからもっと強力な能力の高いクレーンとか、いろいろなことが述べられております。  これは、現実問題として、今十二号バースの工事の計画がございますが、GAOの中で原子力空母に関連をして指摘をしているような幾つかの具体的な工事、施設などの問題は、当然、まだ話のない段階ですから、そんな工事をやる計画も話も全然ないということになると思いますが、原子力空母の受け入れのために何かやるんだみたいな形でのものは計画はされていないし、今我が国としては、政府としてはやる意思がないということは、これは外務省、それから現実にやるのは施設庁になるわけですが、いかがでしょう。
  186. 宝槻吉昭

    宝槻政府委員 現在工事を進めております施設庁の立場からお答えさせていただきます。  端的に申し上げますと、私ども、十二号バースの改修につきましては、これが老朽化しているということで改修しておるわけでございます。具体的に在日米軍の方からは、現有空母の諸元に基づきまして整備してほしいという要望を前提にして工事を進めていくという考え方でございます。現有空母キティーホークの諸元に基づき整備していくというふうな考え方でございます。
  187. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今政府委員が述べたように、原子力空母への移行を念頭に置いたものでは全くありません。
  188. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 その点わかりましたが、GAOのレポートの中でも、原子炉に直接かかわるメンテナンスとかいろいろなことを述べてありますね。そのほか、もっとクレーンを強力にするとか、などなど述べられておりまして、これはキティーホーク対応とも重なる問題ですね。ですから、その辺のところをどう考え、展望するのかにつきましては、私どももまたいろいろと現地の話も伺いながら議論してまいりたいというふうに思います。  もう時間ですから、一言だけにいたしますが、私は、これらを見ますと、現実を見ますと、どうしても六〇年安保の国会、四十年前以来ずっと議論されてきた事前協議とか極東の範囲とかなんとかいうようなことを、特別委員会も昨日設置をされましたので、やがて徹底的に議論しなくてはならぬというふうな気持ちがいたします。国民の皆さんの大方の御理解を得られるような議論を国会でするということが必要だと思います。  一点だけ、五十三年、旧ガイドライン、「前提条件」の冒頭に事前協議という言葉がございました。今度の新ガイドラインにはその言葉はなくなっております。何か大変な変化じゃないかという気持ちがするのですが、その点だけ伺いたい。
  189. 高村正彦

    ○高村国務大臣 新しいガイドラインにも、従前の権利義務に変更がないということをはっきり書いてありますから、そのことは、事前協議も今までと同様である、こういうことでございます。
  190. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 大事なと申しましょうか、私ども、非常に関心の高い問題ですから、今後ともさまざまの動きなどを見ながら議論をさせていただきたい。  質問はこれで終わります。
  191. 中井洽

    中井主査 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  192. 松本善明

    松本(善)分科員 きょうは、米の関税化問題を伺います。  これは、予算委員会で我が党の中林さんも質問しましたし、きょうは農水委員会で藤田さんも質問しまして、外務省の考え方は大筋わかっているつもりです。ですから、端的に私の疑問とする点にお答えをいただきたいというふうに思います。  この中林さんの質問で、特別措置から米関税化への移行については、WTO農業協定附属書五の規定に基づいてなされるということが確認をされました。そして、その規定で明記をされているように、特別措置から米関税化への移行について、外務省も、当該加盟国の譲許表において譲許されることが必要であることを確認いたしました。条約局長は、特定の時点までにそれをなさねばならないということはこの文言上要求されておらないというのが私どもの理解でございます、こういうふうに答弁をしたわけですね。これは明文上の根拠がありますか。     〔主査退席、斉藤(斗)主査代理着席〕
  193. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいま委員指摘のとおりでございまして、先般の予算委員会でも申し上げましたけれども、委員指摘の……(松本(善)分科員「明文上の根拠があるかと言っている」と呼ぶ)明文上の根拠は、委員指摘のWTO農業協定附属書五、第四条の2の規定に関する特例措置の第六パラグラフに、当該通常の関税は当該加盟国の譲許表において譲許されるというふうに書いてあるということでございまして、その中に、いついつまでにその譲許をやらねばならないということは書いていないというのが端的な状況でございます。
  194. 松本善明

    松本(善)分科員 要するに、書いていないからそう解釈するという以外にないわけですよね、そういう態度だという。これは国際的にコンセンサスのある、認められた解釈ですか。日本政府の解釈ではありませんか。
  195. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ちょっとそもそも論にさかのぼって恐縮でございますけれども、条約の解釈というものをいかにすべきかという観点から、単に書いていないからということのみではなくて、そのように解釈するのが適当だというふうに考えるわけでございます。そもそも論で恐縮でございますが、条約の解釈をいかにすべきかということは国際法上種々議論があるところでございますが、例えば、条約法条約の三十一条の一項には、「条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。」ということでございます。  そこで、今議論されておりますWTO農業協定というものの趣旨、目的は何かというその原点にさかのぼって考えますと、これは、今申し上げましたように、WTO農業協定の第四条に次のような規定がございます。「加盟国は、次条及び附属書五に別段の定めがある場合を除くほか、通常の関税に転換することが要求された措置その他これに類するいかなる措置も維持し、とり又は再びとってはならない。」ちょっとこんがらがっておりますような表現でございましたが、要するに、関税化しなくてはいけないということが書いてあるわけでございます。これがWTO農業協定の趣旨の根本でございます。  しかし、その例外といたしまして、附属書五に、「第四条2の規定に関する特例措置」というのがあるわけでございますが、根本は関税化ということでございますので、今の附属書五の第二パラグラフに、「加盟国は、実施期間中のいずれの年の開始時においても、」「当該指定産品に関する特例措置の適用を終了させることができる。」という規定があるわけでございます。したがって、関税化することはいいことだというのがこの基本でありますが、ただ、それでは関税化というのをどういうふうにやるのかということにつきましては、当然ながら農業協定に従ってやれということでございまして、今申し上げた第六パラグラフに、当該加盟国の譲許表において譲許されるということが書いてあるわけでございます。  この譲許表において譲許されるということはどういうことかということは、先般の予算委員会でも申し上げましたけれども、関税化する、しかし、その関税化の率というものは青天井ということではやはりよくない、そこで、ある種の水準を設けて、その水準より上がらないということをみんなで約束しよう、国際約束としてそれをコミットしようという趣旨が、譲許表において譲許するということでございまして、まさに関税化に伴い譲許税率以上の関税を課さないことを譲許表において国際的に約束するということでございます。  そこで、追加的に譲許表において約束するというその手続がとられていないことをもって根っこの関税化をすることができなくなるということは、これは冒頭に申し上げましたWTO農業協定の本旨とはどうしても考えられないというところで、先般申し上げたようなことを御答弁した次第でございます。
  196. 松本善明

    松本(善)分科員 条約局長が長々とこれだけ説明しなければならぬというところが問題なのですよ。やはり明快な根拠がないのですよ。附属書五の6では、当該加盟国の譲許表において譲許され適用される。だから、やはりきちっと譲許表に書いて、そして適用される。むしろこれは自然にこの条項、附属書五の6を読めば当然そういうことになる。ちょっと時間もありますから、あなたたちばかり発言させるわけにはいかない。むしろ、素直に読めば、私はそういうことになると。  それで、十分時間のあるときならゆっくりやりますが、外務省の出している「解説WTO協定」にはそんなことは一言も書いていないですよ。そんな大事なことなら、これだけのことを出すのなら書いてしかるべきだ。何にもないです。  私は、ちょっとそのことを指摘して、きょうは外務省の審議官が、譲許表の改正がなければ古い譲許表が残るということを農水委員会で認めました。これは当然だと思いますが、政府が国内法で関税化できると言っても、これは憲法上の条約優先の立場、条約と国内法が違う状況になるわけですね。それはどう考えるのですか。簡明に言ってください。
  197. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、まさに国際条約であるところのWTO農業協定の解釈として申し上げましたので、その意味で、WTO協定上の矛盾は生じないというふうに理解しております。
  198. 松本善明

    松本(善)分科員 いや、とてもとても理解できないですよ。  それで、申し上げますが、今、譲許表には関税率は明記されていないわけです。関税率が明記されていない譲許表が残ったままで関税率を課すということになりますと、これは、私はそれでいいのかと。外務大臣はこの間の予算委員会で、日本が国内法措置でできると言っているのだから、国際社会は受け入れざるを得ないというお話でございました。そういう形で、各国が基本的に関税をかけるということの権利はありますけれども、それを勝手にやってはいけないから譲許表というのがあるわけで、それは、譲許表を離れて各国がやれるということになりますと、譲許表そのものが意味をなさなくなるのではないか。私は、条約局長がいつまでにやれということは書いていない、だけれども、どこかでやらなければならぬという趣旨だと思います。それが、いつまでも譲許表と国内法が違ったままでいてもいいのだということになれば、WTO協定そのもの、譲許表そのものが意味がなくなるということになるのではないかと思いますが、その点はどう考えているのでしょう。
  199. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 先ほど委員の御指摘になられました、当該加盟国の譲許表において譲許され、適用されるという点でございますけれども、これは原文と照らして読んでも、正確に申せば、当該加盟国の譲許表において譲許されるものとするということと、それから、以前に明記してありますいろいろなことについて適用されるという、二つのものがかかっているわけでございます。  そこで、先ほど詳しく申し上げましたように、譲許表において譲許されるということ自体をやらねばならないというふうに第六パラグラフは書いてあるわけでございまして、先般申し上げましたように、その義務は果たさねばならない、ただし、それをいつまでに果たさねばならないということは書いていないということでございます。さっき申し上げましたように、その義務を果たさなければ、WTO協定の根本であるところの関税化というプロセスを農業協定の手続に従ってやってはいけないと解釈するのは、これはこの条約の目的に合致しないだろうというふうに理解しておるわけでございます。
  200. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、ちょっとそれでは済まないだろうと思います。  まず、それとの関係で先に聞いておきたいのですが、三カ月以内に異議申し立てがないという見通しがあるのでしょうか。
  201. 大島正太郎

    大島(正)政府委員 現在、ガットの方を通じて、日本側の修正が関係国に通告されております。そして、今のところ何も具体的な動きはございません。我々は農業協定に従って関税化を進めているわけでございますので、これに対して何らかの疑問があれば、それに対して誠意を持って説明すれば理解が得られるものと確信しております。
  202. 松本善明

    松本(善)分科員 そうじゃなくて、見通しがあるのか、異議申し立てがないという見通しでやったのか、あるいは、現状で三カ月以内にはないだろうという見通しが何か根拠を持って言えるのかということを聞いているのですよ。
  203. 大島正太郎

    大島(正)政府委員 繰り返しになりますけれども、農業協定上の特例措置を適用されることはできるということに従って、またはその具体的な手続に従って行っておりますので、当然、農業協定に加盟しております他のガットの加盟国からは正しく理解されるものだと確信して進めているわけでございます。
  204. 松本善明

    松本(善)分科員 私はそう簡単にも言えないのではないかというふうに思います。  それで、もし紛争手続があったならばとか、それから異議申し立てがあるとすれば、これは三カ月たっても譲許表はできないということになるわけです。先ほど条約局長が言った、やらなければならぬが、いつまでにしなければならないということではないというふうに言いましたけれども、一体これは、いつまででもそのままでいいのですか。その期間はどの程度と考えているのですか。譲許表と国内法との食い違いが一体どのくらいなら許容される、こういうふうに考えているのでしょうか。外務大臣でも結構です、どちらが答弁されても。
  205. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 協定の目的、趣旨に照らしまして、なるべく早くということかと思います。特定の日数を挙げて法律的に申し上げるのはちょっと難しいかなというふうに考えます。
  206. 松本善明

    松本(善)分科員 私は大変、そんな見通しのないことをやっていいのだろうかということを思います。無限にそういうことができるわけではありませんし、何年、それは十年、二十年というようなことは考えられますか。あるいはあなたの言うのであれば、できるだけ早くと言うけれども、紛争手続にでも入ったら時間がかかるでしょう。それはどうするのです。
  207. 大島正太郎

    大島(正)政府委員 私どもとしましては異議申し立てがないような形で努力したいと思っておりますけれども、万が一、申し立てが行われた場合どんな形になるか、ちょっと簡単に説明させていただければと思います。つまり、WTOの紛争解決手続に従えばこういうことになるということでございます。  まず、どこかの国が申し立てを行う。その場合にはまず協議要請を行う。そして、その要請から六十日以内に協議が解決に至らない場合にはパネル。パネルが九カ月以内に報告を採択する。そうでなければさらに上級委員会。そして、上級委員会の勧告が出た場合、原則として、採択から十五カ月以内に実施する。こういう形で、紛争解決の手続に入りますと最長で二年半ぐらいはかかるということを、一般的な形として申し上げたいと思います。
  208. 松本善明

    松本(善)分科員 やはりこれは十分な、普通ならば事前の通報も、各国に根回しをしてそしてやるわけでしょうし、その根回しもなしにやった。国内の手続も十分な論議なしに、それから自民党の議員でさえも、唐突で性急なやり方だということの批判を委員会で公然とやるというようなやり方でやった矛盾がこういう形であらわれてきているのだと私は思います。  国内法で関税化ができるということをあなた方は言っているわけだが、仮にこの国内法が四月一日までに成立しなかったらどういうことになるのでしょうか。これはもちろん、通報は無効になると思いますが、どうですか。
  209. 大島正太郎

    大島(正)政府委員 特例措置の適用をやめる場合につきましては、開始の年度ということになっておりますので、日本の場合にはその年の四月一日から開始するというのが、協定の手続に従った場合の関税化の措置の導入の時期だと思います。
  210. 松本善明

    松本(善)分科員 ちゃんと質問に答えなければ……。ちょっと外務大臣にお聞きしましょう。まどろっこしくてしようがない。  要するに、国内法でやれるというのだけれども、国内法が成立しなければ当然に通報は効力がなくなるでしょう、国内措置ができなければということです。当然の話です。
  211. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいま同僚の政府委員が申し上げましたように、四月一日までに所要の国内法の改正が必要であるということでございますので、万々が一国内法が成立しなければ今私どもがやろうとしている手続というのは履行されない、できなくなるということでございます。
  212. 松本善明

    松本(善)分科員 外務大臣、これは先ほどちょっと言いましたように、自民党の中でも唐突で性急だと。これは与野党一致したものです。それから、今農協の中でも、高関税が条件だということで認めたところが高関税を維持できないじゃないかということでいろいろな議論が出てきています。強引にやったことだからこういうことになる。  私は、この国内法措置はやはり日切れ法案などということにはしないで、十分な国内の論議をすべきではないかと考えますが、閣僚としてどのようにお考えになりますか。与党内でも批判のあることです。当然に、これは徹底的にちゃんと議論をしてから事をすべきではないか、早急に事を運ぶべきではないではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  213. 高村正彦

    ○高村国務大臣 この法案に反対だということは与野党が一致しているなどということは絶対ないわけでありまして、与党の自由民主党の党内手続を経て了承されてこの法案を提案しているところでございます。  それから、条約局長お答えしましたように、年度内にこの法案が成立しないと我々がやろうとしていることができなくなるわけでありますから、できなくなっていいなどということを政府の人間が言うはずがないということは御理解いただけるだろうと思います。
  214. 松本善明

    松本(善)分科員 国会というのは、問題点を指摘して政府に考え直させるということもやはり一つの義務なんですね。だから聞いているんですよ、あなたの良識を信頼して。  私がなぜこういうふうに言うかというと、この間の予算委員会であなたも農水大臣も、次期WTO交渉で非貿易的関心事項を主張して協定を変える努力をするんだということを答弁されました。農協が皆議論をしたときには、加盟国の三分の二の賛成を得ることは到底できないから不可能だ、そういう前提で四つの選択肢という議論を押しつけて、そして、ことしからやるのが最も有利になるんだという議論に誘導していったわけです。ところが、今それに対しててんやわんやの議論になっているわけです。  農協は、その直前にやりました一千万人の署名でWTO協定の改定を求めている。請願署名をあなたもごらんになったかもしれませんけれども、自民党が紹介したんですよ。そういう状態です。だから今、外務大臣も農水大臣も、WTO協定の改定を次期交渉ではやるんだと言っているんです。その選択肢も含めて国内の議論をやり直すべきじゃないか。  二〇〇一年以降高関税が将来とも維持できるという保証がないことは政府答弁をしています。だから、やむを得ず認めた都道府県農協もみんな、高関税が維持できるならという条件つきなんですよ。私が先ほど日切れ法案にすべきではないのではないかというふうに言ったのは、論議の中で条件がみんな変わってきているんだから、それを含めて十分論議をし直してやるべきではないか、国論を統一するというのが何よりも大切なことではないかということでお話ししたんです。いかがですか。
  215. 高村正彦

    ○高村国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、日切れ法案として扱っていただいて、そして一刻も早くこの法案を通していただきたい。それを良心にかけて私は申し上げます。
  216. 松本善明

    松本(善)分科員 結論だけではなくて、あなたと農水大臣が次期のWTO交渉で協定を変えるための努力をする、食糧安全保障やその他非貿易的関心事項を強力に主張してやるんだと答弁したから、もしそれならば、その選択肢を入れて議論をし直すべきじゃないか、このことを私は言っているんですよ。
  217. 高村正彦

    ○高村国務大臣 農業の多面的機能とか食糧安全保障ということを今度のWTO交渉の中で主張していくということを私は申し上げましたが、協定を変えるとかそういったことを申し上げたつもりはございません。
  218. 松本善明

    松本(善)分科員 ちゃんと議事録上は、協定の文言もいじるんだということを農水大臣は答え、そしてあなたも同じだという趣旨で答えていますよ。  では、もう一回確認をしますけれども、協定を変えるという考えはさらさらないんですか。食糧安全保障だとか非貿易的関心事項は主張するけれども、しかし協定を変えるという考えはないんですか、次期協定交渉で。
  219. 高村正彦

    ○高村国務大臣 私は、そういう考えがさらさらないということを申し上げているのではなくて、極めて困難なことであろうという判断を持っておりますから、積極的に協定を変えるというようなことを申し上げたことはございません。
  220. 松本善明

    松本(善)分科員 困難だと。選択肢として出したのは、不可能だということでやったんですよ。あなた、困難だとは、農協でいろいろやったのとはちょっとまた違います。このことは指摘をしておきます。  もう一つお聞きをしておきたいのは、では協定交渉で非貿易的関心事項、食糧安全保障を主張する場合の立場ですね。私は、市場原理と食糧安全保障は矛盾すると思います。日本が食糧危機になった場合に、市場原理でいけばそこでもうけようということになる。食糧安全保障というのは市場原理ではないものです。本来矛盾をするものです。  私どもが政府の立場を非難するのは、関税化をするということになれば、WTOでは関税は下げるというのが前提なんです。だから、その立場で交渉したらとても我が国の主張は通らない。やはり真っ正面から食糧安全保障を掲げ、非貿易的関心事項があるんだということを掲げてWTO協定の改定ということを主張していかなければ、日本の国民の食糧を守り切ることはできないのじゃないか、こういうことなんです。  市場原理と食糧安全保障の関係が矛盾するのではないかと思いますが、外務大臣はどう考えますか。
  221. 高村正彦

    ○高村国務大臣 矛盾という言葉の意味はどういう意味だか、矛盾という言葉のとり方によっていろいろあると思いますが、一方で、市場原理ということと食糧安全保障ということの考え方を調整する必要があるだろう。市場原理ということだけで走って決していいことではない、食糧安全保障という考え方も大切だ、そういうことを主張していきたい、こういうふうに言っているわけであります。  そして、現実の問題として、今、関税化をした場合とミニマムアクセスの特例でいった場合と、どっちの方が日本の農業者を現実に守ることになるかということを考えていきますと、我々が主張したとおり何でも通るのであればまた別ですけれども、そうでない現実の国際社会の中の状況を見ると、こうやった方が日本の農業生産者を守るためにもいいことだと私は考えております。
  222. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、私どもの言っているのは、この問題で、食糧安全保障と市場原理の問題を含めての議論を国民の中でもっとしないと、あなたのような意見もあるかもしれないけれども、それはとんでもないという意見がいっぱいありますよ。  もう一つお聞きしたいと思うのは、関税化ということを認めるならば、関税は下げていくという方向に行くというのがWTO協定の仕組みでしょう。これは、米だとかは別だと。食糧安全保障という観点からはそれでは通らないんだということを協定上はっきりしない限りは、それは守り切れないと私は思います。そこの議論ですよ。それは私はそう思いますということで済まないんだ。日本人の食糧にかかわる問題ですから。その問題をやはり十分に論議をしてからでないとだめなのではないかということを提起しているのです。  あなたに聞きたいのは、WTOは、関税化をして、関税を下げていくという方向が基本の枠組みじゃないですか。その点を聞きたいのですよ。それを認めていけば、白旗を掲げて交渉をするようなものだということを私は言っているのです。WTOは関税を下げていく方向になっているのじゃありませんか。大臣から聞きたい。
  223. 高村正彦

    ○高村国務大臣 基本的にはそのとおりでありますが、農水省を中心にして国内でいろいろな意見聴取をした上で、そして、農業生産者を守るためには今の関税化の方に踏み切るのがいいのか、それとも特例措置にしがみつくのがいいのかということをいろいろな角度から検討した上で、政府として関税化に踏み切る方がいいということを決定して国会で御審議をいただこう、こういうことをしているわけであります。
  224. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、私が言っているのは、今はもう都道府県段階の農協でも、いや、それは、そんなことならもっと議論をしたいと。もう決まったんだと思っているんです。いや、この食糧法が、関税化の法案が通らなければ、国内措置が通らなければ決まったということにならないんだ、それならもっと議論したらよかったと言う人はいっぱいいます。それほど深刻な問題なんです。  あなた方はこれが一番いいと思うけれども、それは国民的な合意になっていないです。高関税が維持できるならばと、やむを得ずそう言ったけれども、どうもそれも違うらしい。政府が、それは二〇〇一年以降そんな見通しはない、保証はないということをはっきり政府自身が言う。そういう状況ですから、これはやり直さなければならぬ。そういう根本問題を提起しているのです。  私は、外務大臣が閣僚として、この問題をやはり考え直すということを閣内でも提起をされたいということを心から願うものでございます。あなたの、私とのこの議論を通じて感じられたことを伺いたいと思います。
  225. 高村正彦

    ○高村国務大臣 閣内で、委員がおっしゃったようなことを提議するつもりはございません。
  226. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、それではやはり国民から厳しい批判を受けるだろう、日本の国民の食糧と農業を守るということは非常に困難な事態になるだろう、それは国民もそれから農民も決して認めないだろうということを申し上げて、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  227. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)主査代理 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次に、桑原豊君。
  228. 桑原豊

    桑原分科員 民主党の桑原豊でございます。  私は、地元が石川県でございます。日本海側のちょうど真ん中あたり、能登半島が突き出ているところでございます。  この二十世紀と申しますのは、日本海を挟んだ国々が、ある一時期、大変暗くて不幸な歴史をつづったといいますか、国際関係の面でそういう一時期があったわけでございますけれども、東西の冷戦が終わりまして、いよいよこの海を平和とそしてまた共存共栄の美しい海にしていきたいというのが、日本海側に面して生活をしている我々の願いでもありますし、もちろん日本全体のそういう思いであろうかというふうに思います。また、不幸な歴史をつづったということの責任が、我が国のいわゆる大陸への侵略行為、そういうものに起因をしているということを考えてみますと、なおなお、そういうふうな海にしていくということの責任が我が国にあるということを強く思わざるを得ないわけでございます。  しかし、現実の、この海をめぐる北東アジアの情勢というのはどうなのかというふうに考えますと、必ずしもそういう方向にどんどん進んでいるということではございませんで、例えば、朝鮮半島の南北の分断、これがそのままの状態で、北朝鮮の、ある意味ではかたくなな姿勢といいますか、そういうもののこともあり、日本海の緊張というのは高まっているというふうに言わざるを得ない面があろうかと思います。何とかそれを解きほぐしていかなければならない。  そういうことを考えていきますときに、私は、図們江地域、中国読みではトモンコウですけれども、図們江地域の開発というものがそれを解きほぐしていく大きなきっかけになるのではないかというふうに注目をいたしております。  御存じのように、この開発計画は、中国、そして北朝鮮、ロシアが国境を接する図們江流域一帯の経済開発と、自由貿易地帯といいますか、そういうものをつくっていくという構想でございます。具体的に言えば、いろいろな区域のとり方がございますけれども、北朝鮮の清津、そして中国の延吉、そしてロシアのナホトカ、そこら辺を三角の線で結んだ地域一帯というふうにも呼べるかと思います。  国連開発計画、いわゆるUNDPや、国連工業開発機構、UNIDOが推進力となりまして、中国の豊富な労働力、そして極東ロシアの天然資源、さらには日本や韓国の資金力あるいは技術力、そういったものが相互補完的に機能いたしますと、北朝鮮やモンゴルを含むこの地域一帯の共通の経済基盤や相互依存の関係というものが非常に強化をされて、そして、今問題になっている経済的な格差も縮まっていく。また、平和的な環境づくり、それも進んでいくというような意味では、大いにこの計画というのは将来性があり期待が持てるものではないかというふうに私は思っておりますし、国連がかかわっているということもございまして、世界的な注目を集めてもいるというふうに思っております。  この北東アジアの情勢というものの認識と、それから、図們江開発についての外務大臣の御認識といいますか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
  229. 高村正彦

    ○高村国務大臣 まず、日本を取り巻く北東アジアの現状認識全体についてお話しした方がいいですか。  簡単にしたいと思いますが、朝鮮半島においては、北朝鮮による兵力の前方展開が継続して、軍事境界線を挟む兵力対峙の状況が続くなど、依然として緊張した状態にあるわけであります。特に北朝鮮については依然として不透明な部分が多く、確たることは申し上げにくい面もありますが、金正日総書記が国政全般を掌握している状況は変わっていないと見ております。  中国は、本年、建国五十周年を迎え、安定と団結を最優先しつつ、慎重な政策運営がなされると見られます。円滑な経済発展が引き続き重要課題であり、そのためにも安定的な国際環境を必要としていると考えられます。  ロシアは、全方位外交を標榜する中で、アジア地域諸国との関係改善にも努めております。一方、経済面では、ロシア全体が困難に直面する中で、極東地域においても厳しい経済状況が続いている模様であります。本年末の議会選挙を控え、ロシア政府には政治的、経済的な安定の達成が求められていると見ております。  このような中で、最近の北朝鮮のミサイル及び核をめぐる動向については、国際社会の大きな懸念となっており、我が国としても、米韓、さらには中ロ等の諸国と協力しつつ、問題の解決に向けて最大限の努力を行っていく考えであります。  今御指摘の図們江の開発についてでありますが、我が国としては、この地域の開発については関心を有しており、参加国及びUNDPからの招請を受けて、一九九一年十月のピョンヤン会合からオブザーバーとして参加をしているわけであります。一九九六年の会議の場で、参加国より日本に対して正式メンバーになってほしいとの希望が表明されましたが、我が国としては、同計画の詳細が必ずしも明らかでないこともあり、今後ともオブザーバーとして同計画の進捗状況を注意深く見守っていくとの方針をとっております。本件会合については、関係省庁にも情報提供等を行っているわけであります。  ともかく、この計画の内容がまだはっきりしないということで、そして日本については何を期待されているかというと、技術も期待されているでしょうが、お金が最大期待されているということで、ちょっと見守っていきたいと思っていますが、委員がおっしゃるように、これは将来のこの地域全体の構想としておもしろい計画ではあると思っていますので、今、北朝鮮との関係もあったりして、すぐ何をするかということではありませんけれども、日本として重大な関心を持って、将来極めて前向きな対応をすることあり得べし、こういうふうに思っています。
  230. 桑原豊

    桑原分科員 後で聞くことを先にお答えになられた面もあったんですけれども、図們江地域の開発の構想というのは、一九九〇年、もう十年近く前になりますけれども、七月に、長春市の研究者がある国際会議で提唱した。当時は、黄金の三角地帯というふうな表現を使ったんでしょうか。その後、UNDPのプロジェクトに移行いたしまして、数次の国際会議や現地の視察なども通じまして推進をされてきた。そして、一九九五年の段階からは、それまでのある意味ではビジョン的な段階から、いよいよその計画の実施に向けて踏み込むというような過程に入ったんではないか、こういうふうに思います。  その推進組織としては、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、モンゴルの五カ国による図們江経済開発地域及び北東アジア開発のための諮問委員会、略して諮問委員会、こういうふうに呼んでおりますけれども、が設立をされておりまして、それが中心になって推進をしている。  それで、今外務大臣もお触れになりましたけれども、日本はオブザーバーとして参加をしていて、一九九六年、今から三年前になりますか、十月の北京における諮問委員会で、五カ国の満場一致で、日本がこの諮問委員会に、推進組織に正式に参加をしてほしい、こういう要請が決議をされたということでございます。日本の経済力あるいは技術力、そして市場としてのいろいろな可能性もございますし、ともかくこの地域では突出した経済力を持った国として、日本の参加がぜひ必要だ、欠かせない、北東アジアの最大の経済大国としてリーダー的な役割を果たしてほしい、そういう思いがそれぞれにあるんだろうと思いますけれども、ぜひ日本に参加をしてほしい、こういうふうに決議をされたわけでして、そのことは今大臣がお触れになったわけです。  この決議が、オブザーバーの方々が参加されておったわけですから、その方々から伝わってお聞きになったんだろうと思いますけれども、外務省の中でどのように具体的に検討されて、そして現段階でどのような結論を得ているのか。先ほど、どうも計画が余りはっきりしないというようなお話がございましたけれども、そういう大ざっぱな話ではなしに、もう少しまじめに受けとめて検討したのかどうか、そこら辺のできれば詳細をお伺いしたいと思います。  それから、外務省だけでどうこうできるわけではございません。関係省庁、どういう関係省庁があるのかわかりませんが、例えば大蔵だとか通産だとかおありになるのかと思いますけれども、どういった協議をして、全体的な閣議の段階ではどのようなことが報告をされているのか、そこら辺をもう少し詳細にお聞きしたいと思います。
  231. 阿南惟茂

    ○阿南政府委員 大臣から御答弁ございましたように、外務省としても、日本政府としても、関心を持ってオブザーバーということでウオッチしてきているわけでございますが、計画の詳細が明らかでないという大ざっぱな言い方でなくという先生の御指摘でございました。  私どもが考慮しておりますのは、まさに先生御存じのように、大変広大な地域を対象にしております、費用対効果という問題でなかなか、どれだけの効果が上がるのか。実は私も現地に行って見たことがございますけれども、大変未開発の地域をこれからやっていく、ではそれに見合った経済効果、後背地の経済力というのがどのくらいあるのかというような、参加している国、そして当事者の人たちは先生がおっしゃったように大変熱心でございますし、そういうものができればいいだろうなということはコンセンサスがあるわけでございますが、それにかかる費用と効果。  それから、今メンバーでやっております国の中央政府がどれだけ本腰を入れてこのプロジェクトに取り組んでいるか。日本が参加すれば、先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、資金や技術ということでリーダー的な役割を果たしてくれるだろうということは当然期待されるわけでございますが、それでは今やっているメンバー諸国はどれだけ国のプロジェクトとして取り組むか、そういう点の詳細が明らかでないということでございます。そういうこともおいおい明らかになってくるとは思いますが、若干、日本の参加を待ってから本格的に動き出そうということで、両方が見合っているというようなことでございます。  国内でももちろん関係省庁と御相談をしておりますが、我が国は正式メンバーでもございませんので、閣議で大臣から御報告をされたというような段階には至っておりません。
  232. 桑原豊

    桑原分科員 余り詳細に検討をされたというような感触を受けないのですけれども、この諮問委員会も、今おっしゃられましたように、やはり日本の参加を得てこそある意味では機能を十分にする。この計画の前進もそれにつながってくるということでして、やはり日本の正式参加というのが、一つは、私は今後にとって決定的な要素ではないかなというふうに思っております。  そこで、後でこの参加の問題もどうするのかとお聞きしたいのですけれども、具体的な計画の中身について少しお尋ねをしたいのです。  既に日本の経済界の一部の取り組みが先行いたしておるようです。経団連の日ロ経済委員会極東支部の仲介で幾つかの企業がロシアのザルビノ港の整備に取りかかろうとしている、こういうように聞いております。既に、図們江流域にあります中国の琿春とロシアのザルビノを結ぶ鉄道は完成をいたしております、まだ供用はされていないようでございますけれども。いわゆる図們江開発の物流ルートの非常に重要な一つでありますところのザルビノ・ルートということであろうかというふうに思います。  しかし問題は、その鉄道が完成したからということで、すぐ何かなるということではございません。ザルビノ港がその拠点港としてのインフラが整備をされているのかということになりますと、これは極めて不十分でございまして、実効性を伴っていない。そこで、このザルビノ港の整備をどうするのかということで、昨年の九月の日ロ実務会議では、日本企業の投資に対するロシア政府の保証という点でも一定のめどが立った、こういうようなことで、順調にこのまま進んでいけば、ことしの春にも計画を始動させる基本協定を締結する可能性が出てきたというふうにも言われております。  そういう経済界の積極的な試みというのも一方であるわけでして、そういう時をぜひとらえて、私は、政府の方も積極的に対応してほしいな、こういうふうに思います。今こそ政府が、諮問委員会の正式メンバーとして参加を本当に真剣に検討すべきではないかというふうに思います。いろいろな北東アジアのそういう情勢を総合的に見ても、非常に好機ではないかなというふうに私は思っております。  それと、具体的なザルビノの港の整備についても、ぜひ政府としてバックアップをして、資金や技術協力やあるいはODAの活用というようなものは可能なのかどうなのか、そこら辺も含めて真剣にひとつ検討してみていただきたい。その時期ではないかというふうに思うのですけれども、正式参加も含めてどのようにお考えでありましょうか、ちょっとお伺いいたします。     〔斉藤(斗)主査代理退席、主査着席〕
  233. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 まず私から、ザルビノ港プロジェクトについて数点申し上げさせていただきたいと思います。  委員指摘のように、ザルビノ港プロジェクトは、これまで、日ロの協力という文脈で検討されてまいりました。我が方は、民間主導ということで、政府はその後ろに立ってこれをバックアップするという立場に立っておりまして、我が方の民間関係者の調査作業を側面から支援するということで、例えば一千七百万円の資金援助、これはロシアの専門家を日本に招待するということ等でございますけれども、そういうような援助を既に行っております。  まさに先生指摘のように、昨年九月にこの日ロの民間協力というのが一つ前に進みまして、日ロ合同ワーキンググループというのが開催されまして、その結果、プロトコールも発出され、そこでロシア政府が一般的支持表明を示すコンフォートレターを出すということに一応なったのでございます。しかし、今日に至るまで、今のロシアの諸般の状況があるのではないかと思いますが、そのレターがまだ接到していないということで、日ロのほかのプロジェクトと同様に、本当に時間をかけながら一歩一歩進んでいるという状況でございます。  ですから、そういう状況でございますので、今我が国の方で本件についての追加的な大きな融資をやるということは、ただいま現在は検討されておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、日ロの極東開発という観点から有意義なプロジェクトというふうに考えておりますので、側面支援ということで、引き続き注視し、適当な支援をやってまいりたいと思っているところでございます。
  234. 桑原豊

    桑原分科員 最後に、これは大臣お答えをいただきたいと思いますけれども、私は、このプロジェクトをぜひ北東アジアの情勢の中での位置づけをしっかりされて、確かに、私も何回か現地は見てきておりますけれども、広大なところで、ある意味では投資をしていくということに危険も伴う、そういうところでもあろうかと思います。  そういう意味で、なおなお、やはり政府がどう本腰を入れていくのか。民間の皆さんの先行はわかりますけれども、どう本腰を入れていくのかということが一つ大きなポイントになるというふうに思いますので、その点はぜひ再考していただきたいと思います。  そこで、その一角をなします北朝鮮ですね。北朝鮮というものに対する対応の仕方という点でも、このプロジェクトは、私は大きな意味があるのではないかというふうに思っております。  最近、EUが北朝鮮政策を非常に積極的にとらえておられるというふうに聞いております。欧州議会の代表団あるいは欧州委員会の代表団などが派遣をされているようですし、KEDOへの資金拠出や積極的な食糧援助ですとか、あるいは現地のNGOを通じての農業技術指導、政治対話についても定例化を目指している、まだそうなるということではございませんけれども。そういった積極的な努力を行っている。  それで、特に日米がこの朝鮮半島の問題に深くかかわってきたという歴史が、EUにはその分、そういったかかわりが少ないだけに、逆に非常にやりやすいという点もあるのだろうというふうには思いますけれども、とにかくEUの姿勢は、北朝鮮を孤立した状態からどう引き出していくのかというようなところに重点を置いて取り組んでおられるように見えます。  それから、アメリカも、ペリー前国防長官を北朝鮮問題の責任者にして、政策調整官ですか、そういう形で新たな展開をして、近くレポートも提出されるというようなことも聞いておりますけれども、そういった新たな展開を求めておられる。韓国も、対峙をしながらも太陽政策という形で総括的な解決を目指しておる。局面をどう変えていこうかということでかなり積極的なように私は見えるわけですけれども、日本も、では手をこまねいているのかといえば、そうではございませんで、例えば、KEDOにも大変な巨額を拠出するというような、そういう対応もしております。  ただ、どうも、やはりテポドンの問題がございました。日本じゅうが非常に大きな不安にさらされたわけですけれども、そのことの対応に急な余りといいますか、例えば、防御とはいえ、TMDというような形で共同して研究開発をやっていこうというようなことに、ある意味では、それにどれほどの効果が期待できるのかというのは私は甚だ疑問に思っている一人ですけれども、そこに巨額の資金を投じていく。一兆円とも聞くわけですけれども、そういうことの方がどうも目立ってしまう。きょうは予算委員会の中では我が党の横路総務会長も質問しておられましたけれども、もっと総合的な安全保障といいますか、経済協力なども含めて、そこら辺に少し焦点を当てて踏み込んでいくことはできないだろうか。  それで、確かに、直接的に北朝鮮に対してそういった形で提案をしていくというような素地というのは今の段階ではないわけですけれども、ただ、この図們江開発のように、一つのテーブルができていて、そこに日本が参加をして一定の国際的なプロジェクトに投資をしていく、積極的にかかわっていくということを通じて北朝鮮のいわゆる改革あるいは開放を一歩一歩進めていく、そういうような手だてというのは、私は、どんなことでもやろうと思えば前に進めることができるんではないかというふうに思うんです。  ぜひ大臣、そういった直接の対話というのはなかなかできないかもしれませんけれども、そんな形で、迂回をしながらでも積極的にやっていく方法はこのプロジェクトのように私はあるというふうに思うので、そこら辺をぜひ積極的にとらえて、もう一回、この問題についてどう考えているのか、北朝鮮政策との関連でどう考えているのか、どう考えていきたいのか、そこら辺をぜひお伺いしたいと思います。それで終わりたいと思います。
  235. 高村正彦

    ○高村国務大臣 北朝鮮のミサイルが、全く無警告で我が国、日本列島を飛び越えていったわけですから、それに対して毅然とした対応をとるというのは、私は当然のことだと思います。  ただ、一方で、北朝鮮がさまざまな国際的な懸念や日朝間の諸懸案に建設的な対応を示すのであれば、対話の再開を通じ関係改善の用意があるということは、これは多く言ってきているところであります。  そして、今、図們江の開発のお話がありましたが、私が、まだ具体性が余りないので今すぐ何ができるという話ではないけれども大変興味があると申し上げたのは、今委員が御指摘になったような観点も含めて大変興味があると申し上げたということだけ、また申し上げておきます。
  236. 桑原豊

    桑原分科員 どうもありがとうございました。
  237. 中井洽

    中井主査 これにて桑原豊君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  238. 草川昭三

    草川分科員 草川でございます。  まず最初に、外務大臣に経済問題を三点と、残りは厚生省あるいは文部省、外務省に、在日米軍の方とアジア人、日本人の間に生まれました子供の問題を取り上げさせていただきたいと思います。  まず第一に、二月の十二日だったと思いますが、日本銀行がいわゆる積極財政に転換をいたしました。そのきっかけというのは、日本の長期金利の上昇や、円高あるいはまたドル安の進行にルービン財務長官らの米国通貨当局の懸念発言というのがあったやに聞いておるわけでございます。  このような日銀の金融緩和は、米国との協調によって世界的な金融市場の動揺を防ぐことにねらいがあったのではないかと思うんですが、一応、外務大臣の見解を、この際、お伺いしたいと思います。
  239. 高村正彦

    ○高村国務大臣 先般の日本銀行による金融緩和決定につきましては、日本銀行として、景気の悪化に歯どめをかけることを確実にするため、金融政策運営面から経済活動最大限サポートするとの判断に基づいて、かかる決定がされたと承知をしております。  いずれにいたしましても、我が国の経済再生に向けた取り組みは、アジアを初めとする世界の安定と繁栄にとって極めて重要であると認識しており、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう、景気回復策を強力に推進しているところでございます。
  240. 草川昭三

    草川分科員 続きまして、外務大臣は、国際経済・金融システム研究会というのを発足させられたと伝えられております。そこで為替制度や国際金融機関のあり方を含む国際経済全般の指針を取りまとめたいということを言っておみえになりますが、いわゆる経済外交というものに対する主導権というより主導を握られたいのではないかと推察をするわけですが、この際、抱負なり考え方をお聞かせ願いたいと思います。     〔主査退席、岩國主査代理着席〕
  241. 高村正彦

    ○高村国務大臣 東アジアに始まった経済金融危機は、単に為替、金融という特定の領域にとどまらず、国際政治、外交上も大きな問題となっております。このために、外務省としても、貿易、投資、開発等も含む広い視点から、強い関心と責任を感じているわけであります。  委員から御指摘のあった研究会は、このような問題について国内の英知を結集し、国際的な議論に貢献していくことを目指したものであり、最終的な報告を得た上で、その内容を最大限我が国の対外経済政策に反映させていきたいと考えております。  経済外交の主導というのはどういう意味かよくわかりませんが、国内的にどうということを考えたわけではありません。     〔岩國主査代理退席、主査着席〕
  242. 草川昭三

    草川分科員 これはいろいろと新聞報道でも出ておりますけれども、日本人が非常に苦労して今日の富を築いたわけでございますが、国際的な投機筋の圧力だとかいろいろな問題がありまして、日本の価値がどんどんなくなっていくというのが今度の予算委員会でも随分議論をされているところでございます。そういう意味で、ぜひとも国際経済というものについての取り組みというのは積極的に展開をしていただきたい、こんな感じを持っておるわけであります。  続きまして、経済問題の三問目でありますが、ただいまアメリカの国防次官補キャンベルさんが来日されたわけでございますけれども、今度の国会の中でもこれまた小渕総理の訪米というものがいろいろと指摘をされております。五月の時期になるのかいつになるのか、まだ決まっていないのか、決まっているのかわかりませんが、これもどういうような形で訪問なされるのか、キャンベルさんの方からは、ひとつ歴史的な訪問にしたいというようなことを言われたのか、それに対して小渕さんの方が歴史的な訪問にしたいとおっしゃっておられるのかあれでございますが、どういうような流れになっておるのか、この際、お伺いしたいと思います。
  243. 高村正彦

    ○高村国務大臣 日米の担当者の間では、相互の往来によってふだんより緊密な協議を行っており、十一日から十三日まで行われたキャンベル国防次官補代理の訪日もその一環として行われたものであります。  キャンベル次官補代理と政府関係者との協議では、日米安全保障体制や地域情勢などの両国の共通の関心事項につき意見交換を行いましたが、五月初旬を目途として行うことが予定されている小渕総理の訪米についても、充実した成果が得られるよう日米両国が連絡を密にしていくことが確認されたと承知をしております。  今回の小渕総理の米国公式訪問は、朝鮮半島情勢や世界経済等、国際社会において日米両国が共同して取り組むべき課題が山積している中にあって行われるものであります。  また、二十一世紀を控えて、今後世界はさまざまな課題に直面するでありましょうが、このような課題に対処するためには、国際社会に大きな影響力を有する日米両国の協力が必要であります。総理訪米の際には、このような現下の主要課題に関する日米間の協議、協調を進展させるとともに、二十一世紀に向けた日米協力の基盤となるような成果が得られるよう、現在準備を進めているところでございます。
  244. 草川昭三

    草川分科員 では、もう一問お伺いをいたします。  日米間に横たわっている主要な課題に取り組んでいきたいというお考えが今答弁をされたわけでありますが、これも今度の国会に近く提出をされてくるであろういわゆるガイドライン、日米共同宣言に基づく指針関連法案が議題になり、特別委員会も開かれるわけでありますが、訪米に当たってガイドラインの法案の成立というものが前提になるのか、そのあたりをどうお考えになられるのか。  例えば、衆議院を通過した段階で訪米されるのか、いや参議院も通過してきちっと関連法案というものが成立をするということ、承認されるということが訪米の前提になるのかどうか、これもお伺いをしたいと思います。
  245. 高村正彦

    ○高村国務大臣 五月初旬をめどに行うこととされている小渕総理の米国公式訪問は、昨年十一月、クリントン大統領が訪日された際に小渕総理に対して招待があったものであります。  これまでも日米首脳会談におきましては、政治、経済といった二国間関係のみならず、主要国際情勢や地球規模の問題への取り組みなど、両国の共通の関心事項が幅広く議論されており、特定の案件が首脳会談の前提となるというようなことはあり得ません。  いずれにしても、政府としては、現在国会に提出されている周辺事態安全確保法案が御審議を得て、早期に成立または承認されることを強く期待しております。
  246. 草川昭三

    草川分科員 公式な答弁はそういうことだと思うんですが、政治的には当然一定の節々というのはあるわけですから、ある程度の流れというものを見ながら訪米されることになると思うんです。  また、国会の方もそういうことを念頭に置きながら審議は促進されるべきでありましょうし、あるいはまた我々野党のさまざまな要求というのがあるわけでありますから、まだ法案が出ていないのにマスコミでは早々と修正論議というのも報道されておるわけでございますが、いずれにいたしましても、国会の審議がどうあろうと訪米されるということではないと思うんですね。今おっしゃいましたように、早期の成立を期待したいということだと思うんですが、我々も十分そういう流れを見ながら審議をさせていただきたい、こう思います。  では、本来の質問の中心になります、沖縄の米軍基地の中に、基地の中というわけではありませんが、米軍の家族と言っていいのでしょうか、米兵の方々あるいは軍属の方々とアジア人あるいは日本人の間に生まれた子供さんの問題を取り上げたいと思います。  俗にアメラジアンと言われているわけでありますが、今米軍の基地内にアメラジアンの教育施設というのがあるのかないのか、あるいは沖縄にはあるのかどうか。また、そういうような教育施設の利用状況はどうなっているのか。あるいは、これは外務省にお伺いをするわけでありますが、基地内の今申し上げたような方々の教育施設というものに対する日米間の取り扱いはどういうような取り扱いになっているのか、外務省にお伺いしたいと思います。
  247. 高村正彦

    ○高村国務大臣 現在、文部省において沖縄県を通じて把握している限りにおきましては、沖縄県における米軍の施設・区域内に設けられた教育施設等には、御指摘のような児童が百七十名程度就学しているとのことであります。  沖縄県当局において御指摘のような児童の実態調査に努めているとのことでありますが、個人のプライバシーの保護等の問題もあり、実態把握には困難な側面があるというふうに聞いております。  在日米軍は、軍人軍属が同伴している子弟のための教育施設を米軍施設・区域内に設けているわけであります。これらの教育施設における教育課程は米国の法律に基づいて運営されているものと承知をしております。
  248. 草川昭三

    草川分科員 では、文部省にお伺いをしたいと思いますけれども、今外務省の方は、文部省なり沖縄県を通じて、教育委員会を通じての実態把握ということで、百七十名の方が就学をしているのではないかということを言われておりますが、その場合の略称アメラジアンでございますが、そういう方々の国籍の現状はどういうことになっているのか、承知をしている範囲内で結構ですが、お答え願いたいと思います。
  249. 若松澄夫

    ○若松説明員 沖縄県の方から聞いております範囲でございますけれども、日本国籍を持っておられる方、若干引き算がございますけれども、小学校の子供が三十八名、中学校十八名、合わせて五十六名。米国籍と日本国籍とあわせ持っておる子供が、小学生段階で百十一名、中学生十四名、合計で百二十五名。その他が三名、不明二十一名、全体で二百四名でございますが、ただ、そのうち、父親が日本人でありますとか母親が日本人ということで日本国籍を持っているという子供がおるようでございまして、国籍等の関係は若干不明確でございますが、施設内等におる小中学校関係のアメラジアンの数は、先ほど外務大臣申し上げたように約百七十名ということかと存じております。
  250. 草川昭三

    草川分科員 今の答弁で、大体アメリカ人の父親が中心だと思いますが、そういう方々、在日米軍関係者と言っていいんでしょう、そして母親はアジア人なり、日系というんですか日本人の方々、こういう方々があの沖縄で生活をしてみえるのは当然でございますけれども、その中でも二重国籍の方もおみえになる。母親が日本人でありますから、当然日本人の国籍を持って日本の学校に通う。これまた常識的な話であります。  私が今指摘をしたいのは、母親が日本人で日本人として公立の教育を受ける子供さんの中でも、肌の色が違うとかさまざまなことからいじめに遭ったり、なじみが非常に難しい、子供たちの間の関係も難しいというような方々が基地内で、あるいは沖縄でアメリカンスクールに行くとかというようなことがあるわけであります。  また、アメリカンスクールに全部が全部入るということでもないわけでありまして、子供さんたち、いわゆるアメラジアンという方々を専門に取り扱う学校というんですか、一種の塾、文部省的に言うならば教育基本法に基づく正規の公立学校ではないわけでありますから一種の塾扱いになる、そういう子供さんたちが大変苦しい生活状況の中で日々を送ってみえるのではないかということを私は取り上げたいと思うのでございます。  また文部省にお伺いをいたしますが、このような学校を卒業したアメラジアンに対して、学歴評価というのは一体どういうことになっているのか。これは文部省にお伺いをしたいと思います。
  251. 銭谷眞美

    銭谷説明員 例えば、小学校、中学校を終えて入ります高等学校の入学資格の点でちょっと御説明をさせていただきたいと思いますが、我が国の学校教育制度におきましては、中学校卒業者またはこれと同等以上の学力があると認められた者に対しまして高等学校の入学資格を認めているわけでございます。  御指摘のいわゆるアメラジアンスクールにつきましては、先生お話がございましたように、都道府県の認可を受けていない教育施設であるというふうに承知をいたしておりまして、その卒業生を中学校卒業生と同等以上の学力を有すると認定することは一般的には困難でございまして、高等学校の入学資格は認められないということになろうかと思います。  また、我が国の小中学校にこれまで通っておりまして、いわゆる就学義務の猶予免除を受けていない子供が、例えば登校拒否などによりまして、我が国の義務教育制度を前提とした指導が行われているなど一定の要件を満たす民間の施設に通学している場合がございますけれども、こういう場合は、各校長の判断によりまして、これを本籍校への出席扱いをするということもできることとされております。  アメラジアンスクールに通う子供を出席扱いにすることができるかどうかという点につきましては、本籍校の校長が教育委員会と連携をとって個別に判断をするということになろうかと思います。
  252. 草川昭三

    草川分科員 今答弁がありました本籍校の校長というところが、実はこのアメラジアンには本籍校というのがないわけなんですね。  それで、本籍がある場合には、さまざまな条件から猶予を受けた方々がまた復学をするというような救済の方法があるのでありますけれども、これは私、正確なところがまだわかりませんので、この際お伺いをしたいと思うのですが、日本の学校で、いわゆるアメラジアンに対して学籍を抹消するというようなことがあったのではないかと伝えられるのでありますが、そのようなことは教育委員会等を通じて把握をしておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
  253. 銭谷眞美

    銭谷説明員 現在、アメラジアンの教育問題につきましては、沖縄県におきまして、重国籍児等の教育問題に関する検討委員会を設置いたしまして、鋭意検討中と承知をいたしております。  文部省としては、この沖縄県の実態調査を踏まえて、学籍の取り扱いについては適切になされるよう必要な対応を行っていきたいと思っておりますが、先生お尋ねの事実関係については、実は詳しくは承知をいたしておりません。  ただ、学籍につきましては、いわゆる就学義務の猶予免除がなされない限りその学籍は存在をするというものでございますので、この点及び調査結果を踏まえまして、適切な対応がなされるようにしてまいりたいと考えております。
  254. 草川昭三

    草川分科員 これは個々人によって違うと思うのですね。最初に、まず日本の認可されたところに入学をし、その後就学猶予という手続を踏む人と、全く国籍がダブルで、父親なり母親が将来米国本土で就学をさせるとか、あるいは日系アメリカ人として将来をアメリカ本土で暮らすとか、そういうさまざまな条件の違いがありますから、非常にこれは難しい対応だということは私自身も承知をしておるところであります。  しかし、どういう選択になるのか。これは、その選択をされた場合には、公立学校に対して入学をさせる、復学というのか、入校させるというようなこと、あるいは途中に編入をさせるというようなことがあっていいのではないだろうか、こんなことが一つの救済策ではないか、私はこう思うのであります。  この際、ちょっと外れますが、厚生省にお伺いをいたします。要するに、児童手当というのがあるわけでありますが、アメラジアンの子供たちは支給対象になるのか。児童手当の支給というのは日本国籍者に限られるのかどうか、この際、厚生省にお伺いをしたいと思います。
  255. 畠山寛

    ○畠山説明員 児童手当制度につきましては、父または母が日本国内に居住する、児童を監護している等の一般的支給要件が合致すれば、児童の国籍を問わず受けられるものでございます。
  256. 草川昭三

    草川分科員 今の答弁で、日本国籍に限らず居住をする、こういうことでございますから、これも、外務省にお願いするのか、文部省にお願いするのか、沖縄県庁に申し上げるのか、ちょっと私自身もまだわかりませんけれども、実はアメラジアンの子供さんたちの中では、児童手当を支給することすら承知をしていないという家族もおみえになるようでございますので、ぜひこれは周知方をお願いをしたいと思うわけであります。  それから、この教育の内容でありますが、実は私、今、ことしの一月現在のアメラジアン・スクール・イン・オキナワというところの教育内容のガイドラインというペーパーを持っておるわけであります。  アメラジアンの教育を考えるという一種のボランティアの方々の集まりがございまして、正式には、アメラジアンの教育権を考える会、こういう方々が運営をしているわけであります。内容を見ますと、学校の教育目的も、アメラジアンの子供たちが日本社会で生きていくために必要な力を持つために努力をするのですよ、だから、英語を学びたい人は英語も学びます、あるいは、日本語を学んで日本の中で生活をしてまいります。いろいろな非常に高いレベルの教育目的を持っておられるわけでございますが、授業料が月に二万五千円、こういう内容になっておるわけです。それは、自分たちで運営をし、校舎を維持し、それから教師を採用というのですか、お願いをするわけでありますから、相当負担が重いわけであります。  それで、内容は、幼稚園、あるいは低学年のクラス、これは一年生、二年生、三年生に相当する方、あるいは中学年のクラス、これも四年、五年、六年生、それから高学年のクラス、七年、八年、九年生という四つのクラスに分けて授業が行われているわけであります。  当然のことながら、自分たちで運営をされるわけでありますから、補助金の対象にもなっていないというようなことで、非常に困っておみえになるわけであります。  ですから、私は、もうこれは時間がないので終わりますが、要するに、このアメラジアンを担当する役所はどこなのかというので、いろいろと事前に各省庁にもお伺いをしておるわけでありますが、総務庁関係でもなさそうでありますし、さりとて基地内の問題ということで防衛施設庁のところでもないようでありますし、また外務省関係でもないようでありますし、文部省関係でもないというようなことで、いわゆる所管官庁というのが明確でない。ここが一番私は問題だと思うので、この際、最後の質問になりますが、外務省に対して、一体この所管官庁というのをどういうようにお考えになるのか。最後の一問を行いまして終わりたいと思います。
  257. 中井洽

    中井主査 三つ質問がございました。  一番最初の、周知徹底について、厚生省畠山課長
  258. 畠山寛

    ○畠山説明員 児童手当制度につきましては、よく外務省と相談しながら、周知徹底について図っていきたいと考えています。
  259. 中井洽

    中井主査 次の、授業料の云々ということについて、文部省銭谷議官
  260. 銭谷眞美

    銭谷説明員 アメラジアンの子供に対しましては、公立の小中学校へ受け入れ、他の児童生徒と同様、教育を受ける機会は保障しているわけでございます。また、重国籍者であるアメラジアンの方が公立の小中学校以外の学校への就学を希望する場合には、一定の条件のもとに就学費用免除をするといったような、かなり保護者の自由な選択にゆだねているところでございまして、その選択をした場合、これに対して文部省として助成措置を講ずるというのは考えていないところでございます。  なお、このことは、地元の教育委員会等がそれぞれの地域の実情に応じて助成等の措置を講じることを妨げるというものではございません。
  261. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今、文部省、厚生省の政府委員からもお答えいただいたことでわかりますように、アメラジアンの問題は、例えば養育費の問題とか教育の問題、多くの要素が含まれているわけでありまして、それぞれの側面から、担当する省庁は異なるわけであります。  ただ、外務省といたしましても、関係省庁との協議の上で、政府としていかなる対処を行うことが適切か、さらに検討してまいりたいと考えております。
  262. 草川昭三

    草川分科員 ありがとうございました。以上で終わります。
  263. 中井洽

    中井主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  264. 山原健二郎

    ○山原分科員 米軍の墜落事故について質問をします。  ことしの一月の二十日午前十時、高知県夜須町沖合十四キロの土佐湾に、在日米軍岩国基地所属のFA18Cホーネット戦闘・攻撃機が墜落をしました。岩国基地報道部は、通常の訓練中に僚機と接触し墜落したと見られると発表したのでございます。私は、翌二十一日午後一時三十分、外務省に直接出向きまして、危険な訓練はやめてもらいたいと口頭で申し入れをいたしました。  ちょうどそのとき、午後一時三十二分ごろ、岩手県釜石市の山林にまた米軍戦闘機が墜落をしております。九九年、ことしの一月十四日の日米合同委員会の合意にさえ安全性を最大確保するとしていただけに、一週間もたたないうちにこのような事故が連続して起きたことに対して、高知県民と岩手県民は怒り心頭に発しておると報道されています。  そこで質問をいたしますが、高知県沖に墜落した米軍機の訓練がその合意で言う低空飛行訓練に当たるかどうか、まずお伺いをいたします。
  265. 高村正彦

    ○高村国務大臣 在日米軍が実施している低空飛行訓練に関しましては、去る一月十四日に行われた私とコーエン米国防長官との会談において、同訓練の安全性確保及び住民への影響軽減のための措置について合意に達して、同日の日米合同委員会において具体的措置を盛り込んだ文書を公表したところでございます。  御指摘の高知県沖での米軍機の墜落事故につきましては、事故後の米側の発表によれば、当該米軍機は通常の飛行訓練の最中の事故とのことであり、今回の低空飛行訓練に関する合意には含まれていない訓練だと考えております。
  266. 山原健二郎

    ○山原分科員 低空訓練ではないということでございますけれども、この訓練も安全性を最大確保すべきだと私は思うのでございます。では、この米軍機はどんな訓練をして、どの飛行ルートであったか、高度はどれくらいを飛んでいたのか、それを知りたいのは県民の一致した意向でございます。  私は、日米地位協定室長からアメリカ大使館一等書記官に、また外務省の審議官から公使に対して、再発防止に万全の措置をとってほしいと申し入れをしたと聞いております。しかし、訓練中止については何も要請はしなかったようでございますけれども、なぜ訓練中止を要請しないのか。訓練中止が本来再発防止の一番決め手になるわけでございまして、事は日本国民の安全にかかわる問題でございますが、この事故報告書を早急に国会に提出すべきだと思いますが、これに対してお答えをいただきたいんです。
  267. 高村正彦

    ○高村国務大臣 御指摘の米軍機の墜落事故の発生につきましては、私としても極めて遺憾なことと思っております。  政府といたしましては、米側に対し、遺憾の意の表明、再発防止に万全を期すこと並びに事故原因の究明及び日本側への説明を強く求めたところであります。  これに対し、米側よりは、今回の事故の発生につき深い遺憾の意を表するとともに、再発防止に最大限努力し、事故原因の究明のため鋭意調査する旨の返答があったところであります。  また、事故機の所属する飛行中隊は、事故発生後二日間飛行を中止し、機体の安全点検の実施等の措置をとったものと承知しております。  他方、一般的に、米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保条約の目的達成のため極めて重要であります。日米安保条約が米軍の我が国への駐留を認めていることは、同条約の目的の達成のため、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としているわけでありまして、米側に対して飛行訓練の中止そのものを要求することは考えていないところでございます。
  268. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、米軍との関係で日米ガイドラインの問題等についてきょうは触れようとは思いませんが、今回も民間機の高知空港へのルートに近いところに墜落しておるわけでございまして、非常に危険だったと思っております。  緊急着陸の連絡は、これは午前九時四十六分だったと思います。運輸省の高知空港事務所に聞きますと、ANA五六一便は東京から高知空港に午前九時五十分に到着予定でございましたが、三十二分おくれたわけです。その理由は、出発時刻が十六分おくれたことと、東京から高知へ向かう上空で連絡を受け、空港から南東十八キロ上空で待機をしていたからでございます。  この待機というのが今度の事故と関係があるわけでございまして、もう一つ、JAS六四五便も伊丹から高知に午前九時四十分に到着予定でございましたが、考えてみますと、どんな飛行ルートで緊急着陸しようとしたのか、これも報告されておりませんけれども、民間機の飛行ルートと重なるのではないか、こう思いますと、慄然たる気持ちがするわけでございます。  一月二十二日に外務省に申し入れをしましたとき、米側から連絡があれば結果については情報公開すると言われました。しかし、ペンタゴンの文書を見ても、在日米軍が日本防衛の任務を負っていないと報告をしておりまして、連絡を待つのではなく、住民の安全のためにも早急に事故の原因、どんな訓練か、訓練ルート、緊急着陸ルートも明らかにすべきでございます。  事故の原因究明もあいまいでは済まされないことでございまして、日本として早く出させるのが主権国家としての当然の任務ではなかろうかと思いますが、岩手県についても同様の考えを持っておりまして、この点についてどうお考えになっておりますか。
  269. 高村正彦

    ○高村国務大臣 米軍航空機事故の調査報告書につきましては、日米合同委員会において承認された米軍航空機の事故調査報告書の提供及び公表に関する手続に従い処理されることとなっております。すなわち、日本政府が合同委員会を通じて要請を行うときは、米国政府は日本政府に対して、米軍航空機の事故調査報告書の公表可能な写しを提供することとなっております。  先般、高知県及び高知県沖及び岩手県内で発生した米軍機墜落事故について言えば、事故の発生を確認した後直ちに米軍に対して強い遺憾の意を表明するとともに、徹底した墜落原因の究明と日本側への説明並びに事故の再発防止に全力を尽くすよう強く申し入れを行い、さらに一月二十八日の日米合同委員会において、米側に対し、事故調査報告の速やかな提出を求めたところであります。
  270. 山原健二郎

    ○山原分科員 余り時間がありませんから細かく質問ができませんけれども、そういう文書あるいは報告というものはつぶさに報告をしていただきたいと思うんです。  墜落と同日の低空飛行訓練について、これは本当に皆怒っているんですね。三時間後には既に、嶺北地方といいますけれども、私のふるさとの上を低空飛行で飛ぶわけですから、その直前に飛行機が墜落しておるというこの事態、これは大変ゆゆしい問題だと思いますが、墜落の約三時間後、高知県本山町で午後一時三十八分から、西へ二機の低空飛行が目撃をされています。  去年のこの分科会で、私は、低空飛行訓練中止を強く要請をしました。県民にとっても、私にとっても事態は余りにも屈辱的でございますし、岩国の基地のことは高村大臣よく御承知と思いますけれども、本当にこれは報告というものが大事でございますし、その点をぜひこれから的確にやっていただきたいと思います。  次に、一月の日米合同委員会の合意についてお伺いしますけれども、日米合同委員会の合意文書では、在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所については安全かつ実際的な形で回避するとしておりますが、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、学校あるいは病院等は妥当な考慮を払う、こうしております。  高知県嶺北地域五カ町村は二万人の人が生活をしておりますけれども、過疎地であることは間違いありません。では、この過疎地である高知県嶺北地域はこれに含まれるのか、なぜこんな差が出てくるのかという疑問が住民には多分にあるわけですね。その点で、こういう差別が何で出てくるのかということをお伺いをしたいと思うんですが、いかがですか。
  271. 高村正彦

    ○高村国務大臣 去る一月十四日に公表した低空飛行訓練に関する具体的措置の中には、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を回避する旨、及び人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物に妥当な考慮を払う旨記されています。それと同時に、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物については、これらの上空での低空飛行訓練はできる限り避けるようにするということを定めているわけであります。  御質問の高知北部一帯、具体的にどこの地域かよくわからないわけでありますが、いずれにしても、先般の合意文書においては、在日米軍は国際民間航空機関や我が国航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規制を現在適用しているということでございます。
  272. 山原健二郎

    ○山原分科員 この合意文書、在日米軍は日本国民の騒音に対する懸念に敏感であり、週末及び日本の祭日における低空飛行訓練を、米軍の運用即応態勢上の必要性から不可欠と認められるものに限定をするとなっております。  私のふるさとの本山町の総務課、これはもう毎日低空飛行を調べているんですね。それによりますと、九八年、去年ですが、確認できたのは三十回来ております。そのうち土日祝日は四回しか来ておりません。広島県君田村では、小学校が騒音で授業中止になることも起こっておりまして、これは平日です。また、本山町では、ことし一月は七回飛来しておりますが、全部平日でございます。  この調査を見ましても、こんな一月の合意は本当にまやかしではないか。この合意は、平日なら安全性や騒音を無視してもよいと映るのでございますが、外務省は中止をまじめに要請してきたのか、こういう疑問が県民には多分にありまして、この予算委員会での論議がアメリカに伝わっているかどうかも疑問だと言われているのでございます。  高知県も町村も、自民党から私の党まで含めまして、全会一致で低空飛行の中止を要請しておるのでございますが、広島県もそうでございます。この声が聞こえないでは済まされない、そういう気持ちがもうみんなにみなぎっているわけでございます。これは高村大臣もぜひお聞きいただきたいと思います。  それから、ルート公開を強く求めてきたわけですが、先日、二月十四日の日本テレビの「ドキュメント99」を見ても、低空飛行訓練ルートの地図はアメリカ本土では雑貨屋で簡単に買えるというんです。これはこちらで手に入らぬですからね。しかも、米軍の飛行訓練の区域というのは秘密にされていますから全くわからない。しかし、アメリカでは、本国では雑貨屋で売られているという状態でしょう。  そうしますと、こういう問題を考えましても、明らかに低空飛行訓練については、これはもう公開すべきである。アメリカでは公開し、日本では非公開、こんなことが許されて本当にたまるかという気持ちがいっぱいでございまして、改めてルートについても公開を要求するものでございますが、これについて外務省としてはどういうお考えでしょうか。
  273. 高村正彦

    ○高村国務大臣 米軍の飛行ルートにつきましては、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあることは承知しています。  他方、実施区域を継続的に見直しており、具体的ルート等、詳細は米軍の運用にかかわる問題であって、承知をしておりません。  なお、米国では市販の航空図に軍の飛行ルートが記載されていると承知しておりますが、米軍機が五百フィート、百五十メートル以上の高度で有視界飛行する場合には、これらの記載したルートに限定されることなく飛行訓練が可能である、こういうふうに承知をしております。  それで、日本における米軍というのは百五十メートル以下を飛ぶことは本来的に許されておりませんので、米国の場合はルートが記載されているじゃないかといっても、それは百五十メーター以下を飛ぶ場合のものが市販されているもので買える、こういうことでありますので、日本の方が甘いとかそういうことではない、こういうふうに承知しております。
  274. 山原健二郎

    ○山原分科員 これは私、テレビで見まして、十分な認識はないのですけれども、少なくとも、低空飛行についてルートが地図で示され、それをアメリカ国民は見ているわけですね。我が日本国民は全く知らないんだ。だから非常に危険なんです。  それで、御承知のように、今度も三百八十八回ですか、ニアミスがあったわけです。その中の五十一回が軍用機です。日本の上空を軍用機で五十一回ニアミスがあるのですけれども、これも真相を追及するわけにもいかないというような状態でございます。だから、航空機の労働組合の皆さんもこれを非常に危険だと。米軍の場合、全くどこから飛んでくるかわからぬわけですからね。  日本のニアミスは、あっても、大体ルートがわかっていますから、これに対して一応の対応ができるのだけれども、全くわからぬところから飛んでくるという。しかも、ニアミスの場合は、日本の飛行機は高度で調整するのですよ。だからほとんどが低空飛行といいますか、下へ下がる。大変な苦労もしますけれども、危険性も伴っているということですから、これはもう少し外務省も必死になってこの低空飛行問題については対処していただきたいと思います。  ホール在日米軍司令官が橋本高知県知事に電話で対応しまして、事故について陳謝をしたようですね。これは当然のことでございますから、私もそのことは喜んでいるのですけれども、このことについて、一月二十二日の高知新聞社説では、むしろ大川村の事故の際に直接の謝罪がなかったことに日米軍事関係のゆがみを見る思いがする、こういうふうに批判をしております。肝心の大川村の村長が、本当に、もうあと三百メートルで幼稚園あるいは学校があるところへ、早明浦ダムへ飛行機が墜落している。その結果の報告もない、何にもないですよ。そんなばかなことがありますか。  広島県の藤原清隆君田村長は、低空飛行訓練下の住民の安全を守る自治体の首長としては、最大の安全策は訓練の中止である、引き続き低空飛行訓練の即時中止を政府と在日米軍に求めていきたいとコメントをしておるのでございますが、これは高知県の関係五カ町村ももちろん一緒の気持ちでございます。  低空飛行訓練を即時中止すること、これが国民の本質的願いではないのか。中止を要請いたしますけれども、本当にこれは主権国家として断固たる態度を示さぬとだめですよ。これはもう当たり前だと私は思うので、高村外務大臣、せっかく外務大臣としてこの大きな仕事をされているわけですから、ここで断固たる気持ちで、米軍に対して、低空飛行をやめろ、これくらいの気迫を持って折衝をしていただきたいことを切にお願いを申し上げる次第でございます。これについての御見解を伺っておきます。
  275. 高村正彦

    ○高村国務大臣 先ほども申し上げたわけでありますが、一般的に、米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは、即応態勢を維持するという軍隊の機能の一環として不可欠の要素であり、日米安保条約の目的達成のために極めて重要であります。  日米安保条約が我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため米軍の我が国への駐留を認めていることは、米軍がこの目的の達成のため、飛行訓練を含め、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としているわけであります。したがって、米側に対して低空飛行訓練の中止を要求することは考えておりません。  ただ一方、米軍は全く自由に飛行訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは言うまでもありません。政府としても、従来より、日米合同委員会等の場を通じ、米側に対し、安全確保に万全を期すよう申し入れを行ってきているところであります。  先般のコーエン国防長官訪日の際合意された米軍機の低空飛行訓練に関する具体的措置は、まさにかかる観点に立って作成されたものであり、低空飛行訓練が日米安保条約の目的達成のため不可欠な訓練であるとの前提に立ちつつ、安全性を最大限に確保し、かつ住民への影響を軽減するための具体的措置が盛り込まれているところでございます。
  276. 山原健二郎

    ○山原分科員 大体お考えはわかるのですけれども、私は、もう河野外務大臣のときからこの問題を一貫して取り上げているのです、この分科会で。本当にこれは日本国民を守るという気迫がないですよ。そのことを私は絶対皆さんに訴えておきたいと思いますので、これで時間をこれ以上とりませんが、どうか本当に、日本国民の安全を守るという点では絶対に引かないという決意を示していただきたいと思います。
  277. 高村正彦

    ○高村国務大臣 日本人の安全を守るために、一生懸命頑張ってまいります。
  278. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。ありがとうございました。
  279. 中井洽

    中井主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  280. 吉田治

    吉田(治)分科員 民主党の吉田治でございます。外務大臣も随分長い質疑でお疲れでしょうから、私もできる限り早く終わらせていただきたいなと思っております。  周辺事態だ、やれ何だといろいろとガイドライン等々の問題がありまして、御答弁等も御苦労されておると思うのですけれども、これは公式見解にしかならないのかもしれないのですけれども、質問予告しておりませんことを大臣にまず、個人的な見解でも結構ですからお答えいただきたいなと思うのは、実は、中華民国、台湾のことであります。  これは非常におもしろいなと思うのは、議員の世代の違いというのですか、若手議員というのは、中華民国、台湾に対する親近感というのが結構強い議員が私は割と多いように見受けられます。もちろん北京、中華人民共和国に対しても同じように持っているかもしれませんけれども、いっときのような、大陸、北京というふうなものが正しくて、台湾は間違っているという議論もだんだんこのごろおさまってきたように思うのです。  また、御承知のとおり、中華人民共和国は、共産党一党独裁というのですか、一党の指導のもとにという国家ですけれども、中華民国、台湾政府というふうなものは、さきに大統領直接選挙、さまざまな選挙を行われ、まさに国家として民主主義の国であるというふうな認識というのは急激に広まってきている、そういうふうに思うのです。  その中で、かねがねいろいろ問題になってまいりますのは、李登輝総統の日本訪問というような部分で、特に私も李登輝総統と同じ大学に一時学びかけたことのある人間として、同窓会にぜひとも来たいという御本人の要望というのも、これはやはりアメリカがいろいろ知恵を絞ってしたように、そういうふうな部分も私は必要ではないかなと強く思うのです。現に、中華民国の、台湾の立法院というんですか、国会議員に当たられる方々の代表団も過日日本に訪問をされてもおられます。その辺というのは、従来の見解にしかならないのかもしれないのですけれども、その辺を踏まえて、大臣、どういうふうに今お考えになられておりますでしょうか。
  281. 高村正彦

    ○高村国務大臣 台湾問題に関する我が国の基本的な立場は、日中共同声明において表明されているとおり、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を理解し尊重するというものであります。  したがって、日本と台湾地域との関係というのは非政府間の実務関係、こういうことで処理をしております。そういう前提に立って、個々の問題を処理していきたい、具体的な状況のもとに具体的な問題を処理していきたい、こういうふうに思っております。
  282. 吉田治

    吉田(治)分科員 大臣、突然の質問で大変なのはわかるのですけれども、やはりこれだけガイドライン、周辺事態、台湾海峡、常にそういうふうなことが議論になる中において、こんなことを言ったら大変失礼かもしれませんけれども、突然の質問でも、台湾の件にはそらんじてお答えいただけるぐらいにぜひともなっていただきたいと同時に、それでは、これは事務方がお答えいただいても結構でございます。李登輝総統はだめで、なぜ向こうの立法院の国会議員はいいんですか。
  283. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、台湾との関係について「日本は、引き続き台湾と民間及び地域的な往来を維持する。」これは日中共同宣言で昨年の十一月二十五日に確認されたとおりでございます。  個別的な問題については、ちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  284. 吉田治

    吉田(治)分科員 民間、地域と言うのですけれども、向こうは中華民国立法院、国会議員だといってリーフレットもつくって来ているわけじゃないですか。私たちは、皆さん方に対しては国会議員として遇しているわけで、何も民間人であるとか、中国の一部をなす地域の人たちだという発想は全然ないのですね。それはそういうふうによくて、いや、李登輝さんはやはりあかんのやわと。同じように台湾の人たちに選ばれた人たちであるというふうな中においては、論理の整合性という部分では非常におかしいのではないか。それだったら、反対に言うならば、立法院の人もだめ、私たち国会議員も台湾に行くのはだめよというふうなことというのは、どこかで——方便ばかり使うのはいかがかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  285. 東郷和彦

    ○東郷政府委員 委員御承知のように、中国と台湾との関係ということは、長い歴史的な経緯のもとに置かれているわけでございます。  現在の状況に関して申し上げれば、まず、日中間の友好協力関係は年々拡大深化しており、政府としては、今後とも日中共同声明を堅持しつつ、日中の友好協力関係を一層強化していく決意である、この点については先般の江沢民主席訪日の際にも再度確認されたところでございます。また、国際的には米中関係も著しい進展を見せておる。それからさらに、台湾海峡両岸の往来接触は、かつては考えられなかったほど増大し、最近ではハイレベルの交流も進んでいるというふうに承知しております。  このような状況におきまして、私どもも、台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として、当事者間の話し合いにより平和的に解決されるべきものであるという認識をますます広く共有されてきているというふうに考えております。  このような発展的な認識のもとに、先ほど申し上げましたように、「引き続き台湾と民間及び地域的な往来を維持する。」という立場をとっておりますので、個々の件につきましては、以上のような政府の立場を背景にして、ぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
  286. 中井洽

    中井主査 どちらももう少し論議をかみ合わせてください。
  287. 吉田治

    吉田(治)分科員 これは事前に質問通告していなかったので、これ以上議論しても同じ答えなのでやめておきますけれども、余りにも言葉が、発展的とか、拡大深化とか、何か昔あった中国のスローガンみたいなことばかり言われても、私たち若い世代の議員としてはそれで本当にいいのかよと。両岸交流と言われましたけれども、そんなの、答弁に出ているようにきれいごとではなくて、まさに台湾の人たち、中華民国の人たちにとったら、自分たちの命と財産を守るためにやっているんだというふうな部分というのも、これは私が言うまでもなく外務省の賢明な方々、試験でいうならば上級職ではない試験を通られた立派な方々だから、発想とすれば十分理解されていると思うのです。  こういうことを含めて、一つ御質問させていただきたいのは、ODAとか円借款の制度というのが日本にある。これは外務省が所轄をしているということですけれども、実際上、ODA、円借款制度というふうなものはどういうふうな形で運用され、どういうふうに外国の国のために使われているのか。現状というふうなもの、それをかいつまんで御説明をいただきたいと思います。
  288. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 ODAにつきましては、日本の外交政策の重要な手段の一つということで、外務省を中心に政府全体として一丸でやっております。  現在、アジア中心でございますけれども、パキスタンから東のアジア諸国に対しましては、日本が二国間援助の中で最大の供与国ということで、非常に重要な経済開発支援の役割を果たしておると思います。加えまして、昨年のアフリカ開発会議でも見られましたように、世界一の援助国でございますので、アフリカに対しても適切な配慮が必要だということで、これも力を入れております。さらに、日系人がたくさんおられます中南米の諸国に対しても日本は力を入れております。そういうことで、途上国・地域全般にわたりまして日本の外交の重要な下支えの役割を果たしておると思いますし、その成果というものが各国に素直に評価をされてきていると私どもは自負をいたしております。  したがいまして、実際の援助の仕事をしていますと非常に難しい問題多々ございますけれども、日本の気持ちのあるところというのは、長年の努力の成果ということで、確実な成果を生み、外交の支えということでも役割を果たしておるというふうに思っております。
  289. 吉田治

    吉田(治)分科員 二国間援助というのは、具体的にどういうふうな援助、一例を挙げて簡単にお答えください。
  290. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 先ほど円借款、それから技術協力というお話がございましたけれども、大きな援助といたしましては円借款がございます。これが日本のODAのほぼ半分ぐらいを占めております。さらに、無償でやっております協力としまして、無償資金協力、それからJICAを通じます技術協力等、相当広範な技術協力が行われております。  基本的には、ODAは政府政府の間の行為でございますので、政府間の取り決めに基づきまして個々のプロジェクトを実施いたしております。それ以外に、特にNGOによります援助活動も盛んに行われ始めておりますので、ODAによるNGOに対します部分的な支援ということも最近力を入れております。
  291. 吉田治

    吉田(治)分科員 私がここで質問したかったのは何かというと、そういうふうに御努力はわかるのですけれども、今日本はこれだけ景気が悪いですね。国民の一般的発想からすると、自分らは困っているのに何でそれだけ人にやるのや。  例えば、本年度の予算の中で、特別円借款制度の創設というのが、今後三年間で総額六千億を上限として出すという。そういうふうな中の費目を見ていきますと、中国の洪水の対策、大災害の対策という形で、鋼材を買ってそれを向こうへ出すという制度が、たしか私、どこかで見たことがあるのです。  そういうふうな部分で、これは新聞的に言ったら許されるのかどうかは別にして、やり方、方法というのは公明正大にやらなければいけない。まさにODA、円借款とかいう問題になってきますと、いろいろマスコミで、こういう問題がある、ああいう問題がある、談合しているんじゃないか、どこかがおいしい目をしているんじゃないか。私が申し上げたいのは、そういうものは一切排除して、そういうことは全部なしの上で、ODA、円借款というものを、今申し上げたような、鋼材を買ってそういうのを援助にするというふうな、物というか、国内の景気にプラスになるような発想というのは、私はこれから物すごく重要ではないか。  そうでないと、今外務省の手柄のようなお話をなさいました。自慢のようなお話をなさいました。自負を持っておられるんだと思います。私はそれで結構かと思うのですけれども、ではこのままずっと財政が厳しい中で国民に理解を得られるかというと、そうではないのではないかと思うのです。この辺の、今一つの事例として鋼材を申し上げましたけれども、今後、こういうふうな制度とかやり方、方法というものについて、どういうふうにしていくのか。広げていくのか、続けていくのか等を含めて、どういうふうにお考えでしょうか。
  292. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 今委員の方から御指摘がございました特別円借款の制度でございますけれども、この制度につきましては、御言及ございましたように、危機にありますアジアの諸国に対する緊急の支援に役立てると同時に、我が国におきましても、いろいろ経済状況が困難である、そういう日本の企業が、ODAの、特に円借款の事業に参加する機会も同時にふやす、いわば一石二鳥をねらっているというふうに言えると思います。  そういうことで、今御指摘になりましたように、私どもとしましても、援助には援助の目的がございますが、そういう目的を追求する過程において、我が国が現在置かれている経済状況にも十分配慮しながら事業を進める、これは十分可能でございまして、それを実現しようということで、この三年間で総額六千億円の特別円借款の制度ができたわけでございます。  鋼板についてのお話ございました。特別円借款につきましては、大きな分野としまして、道路とか港湾、空港、橋、鉄道、こういった大きなプロジェクトを念頭に置いております。と同時に、大規模災害対策にも資するような支援も取り上げていきたいと思っております。中国の例もそうでございますし、バングラデシュとか、中米諸国でも大きなハリケーン等の災害がございました。こういうケースにおきましては、我が国の持っておる技術、機材、こういうものが活用できる形で支援をしていければ、これはなおいいというふうに思っておりますので、現在、その内容につきまして関係国と話し合いを始めておるところでございます。
  293. 吉田治

    吉田(治)分科員 今局長言っていただきましたように、こういう経済状況の中においては、機材等についてはできるだけ国内調達をするという方向、それから原材料についても、それはその相手国の経済を発展させなければならないということは十分に理解できますけれども、では肝心のこっち側の経済が疲弊してしまって、もう援助できなくなるということもあってはいけませんので、ぜひともそういうふうな部分を多目に持っていただく。  と同時に、国内で調達する部分については、ゆめゆめいろいろなマスコミ的な批評というか、そうならないように。インターネットだとかいろいろな制度があるのですから、オープンにして、まただれでも参加できるように、大手、中小関係なしに、それは会社自身の信頼度、信用度というのはあるかもしれませんけれども、そういうようなことができるように、制度というふうなものをいろいろとつくっていっていただきたい。具体的に、何かそういうアクセスできる制度というのはあるのですか。
  294. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 できるだけ、大小問わず、我が国の企業が援助活動に参加できるような仕組みというものは、常日ごろ十分配慮しているつもりでございます。  他方、もちろん援助活動を、諸外国からは、日本の輸出振興そのものであるというふうな誤解はやはり避けながらやる必要があると思いますので、そういうことには十分気をつけながらも、基本的には、できるだけ国内調達が与えられたシステムの中で進むように努力しているつもりでございまして、特に今の時期にあっては努力をさらに強化していくということが必要であると思ってやっております。
  295. 吉田治

    吉田(治)分科員 あえて強く言うならば、私は、輸出振興と思われてもいいぐらいやってもらわなければならない今の日本の経済状況ではないかな。そういうことに関しては、私たちは全面的に、野党であっても外務省をバックアップし、マスコミの矢面に立っても言わなければならない。自分たちが食えなくて、ほかの人たちがというのは、私はそれは国民の代表として言えないということだけは強く申し上げておきます。  今、局長の発言の中にも、アフリカ開発会議ということがございました。アフリカというのは遠い国で、基軸通貨はドルでなくて、フランに連動しているのが各国通貨だというお話もあり、公用語もなかなか英語が通じないということもあるかもしれません。しかしながら、先ほどのお話の中にありましたNGOであるとか、さまざまな機会を通じて、アフリカに日本の皆さん方も結構多くボランティア的に行かれているというふうな話を聞いております。現在の日本と、アフリカというのは一国ではなくて何十国もあるんですけれども、アフリカとの関係というのがどうなっているのかということ。  そして二点目は、これは特に大臣外務省におられて、こういうことはないとは思うのですけれども、例えば日本において重要なのはエネルギーの安全保障、どういうふうにエネルギーを確保していくかという中においては、昭和四十八年、大臣お幾つかわかりません、私は小学校五年生だったのですね。そのときに石油ショックが起こりました。ある日突然ネオンが消え、家の中の灯油がないと買いに走り、あげくの果てにサラダ油が値上がりする。何でやねん。油て書いてあるやないかと。そしてトイレットペーパーがなくなり、テレビを見ていたら、十二時にイレブンPMはなぜ終わってしまうのかというふうなことがあった。そういう原体験を持っております。  ですから、中東ということを考えたときに、その後の脱石油、脱中東依存というふうなことがあったとしても、やはりエネルギーの多くを中東に依存しているという中においては、その原体験を持っている世代というのが多分私ぐらいで終わりだと思うのです。その後の世代になってきますと、外務省の中でも、私は三十六ですけれども、私より下の世代というのは、中東といってもそういう強烈なイメージではなくして、一つの大事なという発想になってしまうと思うのですけれども、ヨルダンのフセイン国王亡き後の中東情勢、エネルギーの安全保障も含めて、中東、アフリカというふうなもの、今どういうふうにお考えになられ、どういうふうに対応されているのかという御所見をちょうだいしたいと思います。
  296. 天江喜七郎

    ○天江説明員 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。  フセイン・ジョルダン国王の死去に伴いまして、中東情勢にどのような変化が起こるかという点について申し上げますと、アブドラ新国王が、フセイン国王のもとで行ってきた外交政策を継続させるということを明確にしておりまして、私どもは、新国王の就任が中東情勢に大きな変化をもたらすということは当面ないというふうに認識しております。  さらに、その前提にございます油の問題でございますが、先生も御案内のとおり、日本は一九七三年の第四次中東戦争のときに油がカットされまして、アラブ・ボイコットに遭いました。その苦い思いというのは、今でも私どもにはあるわけでございます。そのときの日本の、ホルムズ海峡を通るペルシャ湾内の油に依存している割合が約六五%でございます。それから、今は既に八〇%になっております。これが二〇一〇年には九〇%になろうというように、この地域に対する日本の経済安全保障の度合いが深まっているということは、私どもは非常に注意して対中東外交を進めなければいけない、かように考えております。
  297. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今、近ア局長が述べたとおりでありますけれども、中東は、我が国のエネルギーのかなりの部分を供給しているところだという面でも必要なところでありますし、それと同時に、まさに世界の火薬庫みたいな非常に危ないところ、グローバルな、まさに世界の平和に大変関係のあるところということでも、日本として重大な関心、関係を持っていかなければいけないということでありますから、私たちも、単に油が欲しいというだけでなくて、この中東の和平の問題に対しても日本として積極的に協力をしていかなければいけない、できる協力をしなければいけない。幸い、中東和平の問題、すべての当事者と日本はいい関係にあるわけでありますから、そういう意味でお手伝いをしていかなければいけない、こう思っております。  アフリカの問題でありますが、アフリカの開発については、昨年、TICADIIを開催して、大成功に終わったわけでありますが、日本が主として提唱している新開発戦略、いわゆる被援助国がオーナーシップをとって、援助する側がパートナーシップで、そして全体で経済を底上げしていく、こういうことも必要だと思います。  アフリカというとどうせ大したことないんじゃないかと思っている人もいますけれども、一九六〇年代はアジアの方がアフリカより貧しかったという事実があるわけで、そういうところからアジアはここまで来た。それには、アジアの人たちの主体的努力もあるけれども、日本が果たした役割も大きかったと思います。日本は、このアフリカに対してもやるべきことをやっていきたい、そしてグローバルな責任を果たしていきたい、こういうふうに思っております。
  298. 吉田治

    吉田(治)分科員 まさにアフリカというのは、レアメタルというんですか、単にそういう資源の宝庫であるというだけじゃなくて、日本は日本なりの何かやるべきことはあるんじゃないかなというのは強く感じているということを申し上げさせていただいて、局長の方からまだ、中近東の話はしていただいたんですけれども、アフリカについての一言と、それから、中近東というと、今度イスラエルで総選挙が五月にございます。これの行方というのは非常に大きいと思うんですけれども、状況説明をしたら長くなりますので、五月の選挙結果というのは、認識度というか、随分大きいと認識されていると思いますけれども、それだけで結構でございますので、一言お願いしたいと思います。
  299. 天江喜七郎

    ○天江説明員 アフリカの問題でございますが、アフリカでは、近年、民主化及び経済改革に努力して、着実に経済成長を達成している国がございます。ただ、その一方で、貧困と紛争に明け暮れている国もまた多々ございます。残念ながら、日本がいろいろと援助している国もその中に入ってございまして、紛争しておりますと、援助がストップしてしまうというようなことになりかねない国が含まれております。  一番の問題は、そういうようなアフリカの人たちの自己努力ということがまずあって、それで、自分たちの国づくり、人づくりをどう進めていくかという青写真を掲げた上で、私どもがどのような態様でそれに協力するか、先ほど申しましたTICADの新開発戦略という点でございますが、私どもは、これをことしいっぱいかけましてフォローアップに努めていきたい、かように存じております。  第二の、イスラエルの問題でございますが、五月の十七日に首相選挙がございまして、今約四、五名の立候補者がおります。リクード党のネタニヤフ首相からバラク労働党党首を含みます数名がおりますが、この決選投票が六月一日でございます。この決選投票まで国内は選挙一色ということで、中東和平の中でも一番重要なパレスチナ・トラックが動かないのではないかというような不安がございまして、外務大臣が参りましたときには、双方に対しまして、むしろパレスチナ・トラックを動かそうじゃないかということを強く言っていただいたわけでございます。  この前に、五月四日にパレスチナの独立を宣言するのではないかという動きもございまして、ここでもし一方的な独立になる場合には、これは、紛争あるいは武力闘争という形をとるおそれもございます。これにつきましても外務大臣から、先般、アラファト議長に対しまして、一方的な独立宣言ということだけは避けてほしいというような申し入れをしていただいた次第でございます。  この五月まではちょっと目が離せない状況であろうということは私ども感じておりまして、今後とも、中東関係については、各国といろいろと意見交換をしながら、平穏無事な推移を見守りたいと思っております。
  300. 吉田治

    吉田(治)分科員 中近東、アフリカについてよく理解させていただきましたし、そういうふうに、エネルギーの安全保障というふうな部分を含めて、特段に頑張っていただきたいと思います。  最後ですけれども、二点。まず、在外公館。  私ども議員というのは、海外へ出ますと、大使公邸、総領事公邸等でいろいろお世話になるんですけれども、あれを見ておりますと、また実際行きますと、非常に広いスペースもありますし、パブリックスペースというんですか、大使御夫妻だとか総領事御夫妻が実際住まれているところは意外に狭いんじゃないかなと思ってみたりもします。一部週刊誌はおもしろおかしく、中身も知らずに報道等をしておりますけれども、この基準というんですか、大きさだとか価格だとか土地、それから利用活用目的だとか、まあ資産という部分もあると思うんですけれども、それはどういうふうにされているのかということ。  それからもう一点は、これは公邸とはちょっと離れるんですけれども、今、JETプログラムというのが日本でされております。私は、これは非常にすばらしい世界に誇るべきプログラムであって、海外におりますとき、アメリカにおりますときも、向こうの人間が日本へ行きたいのだけれども何がいいと言ったら、JETプログラム、これが一番いい、これで行くのが一番間違いないというふうに勧めて、まさにその中でも、各地の在外公館が試験をされて、やはりいい子がたくさん来ている。  結果として、多分そういう人たちというのは、周恩来さんじゃありませんけれども、日本になかなか留学しないという中でも、実務面でこれから日本とその国とのかけ橋というかネットワークになる人です。これについては、在外公館がOB会というか同窓会みたいなものを組織化しているといいますけれども、この実態というんですか、行かれた人数全員を把握することもなかなか不可能だと思うんですけれども、この辺をどう発展させていくのかということを含めて、最後、お答えをいただければと思います。
  301. 浦部和好

    ○浦部政府委員 まず最初の、大使の公邸なり総領事の公邸の基準いかんという御質問でございますが、実は、率直に申し上げまして、これは、各地域の事情によりまして物価も違えば不動産事情等も違うものですから、一律に数字で、例えば何円が歩どまりでございますとか、そういうことは非常に申し上げにくいことは御理解をいただきたいと思います。  ただ、さはさりながら、公邸というのはやはり外交活動の基本の場でございます。したがいまして、例えば任国の要人を受け入れるとか、あるいは大規模のしかるべきレセプションができるとか、あるいは万一のときには邦人の避難の場所になり得るとか、いろいろな条件を満たすことが当然必要でございますし、加えまして、いろいろな意味でのアクセスが重要だ、しかし、警備上の観点もやはりあわせ考えなくてはいかぬというような、定性的に申し上げれば、そういうようなことを考えながら個別にしっかりと選択をしていく、こういうのが現状でございます。  また、JETプログラムについて御質問をいただきました。  私自身、地方で経験をしたことがございまして、そういうJETプログラムの関係の方とも直接お話をしたこと等もございます。いかに地方の国際化に貢献をしているかということは、私は如実に経験いたしました。  今回も、実は今年度でございますが、世界の国々から、米、英その他五千七百名程度現在受け入れていただきまして、間違いなく、そういう国々と我が国との相互理解あるいは地域レベルでの国際交流等に大幅に貢献をしていただいているということは、おっしゃるとおりでございます。  我々としても、例えば、OB会の設置等をさらに積極的に進めまして、この活動を実のあるものにしたいというふうに関係省庁ともども努力をしてまいりたい、かように考えております。
  302. 吉田治

    吉田(治)分科員 時間で、終わりたいのですけれども、OB会の方はほとんどできているという感じでいいですか。
  303. 浦部和好

    ○浦部政府委員 残念ながら、これは人数も大変多いものですから、必ずしもほとんどということは言えないんだろうと思います。我々としても、一生懸命努力をしてまいりたい、かように考えております。
  304. 吉田治

    吉田(治)分科員 努力、よろしくお願いします。ありがとうございます。
  305. 中井洽

    中井主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日木曜日午前九時より開会し、大蔵省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十分散会