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1999-02-18 第145回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十八日(木曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 自見庄三郎君       村田 吉隆君    坂上 富男君       松沢 成文君    横路 孝弘君       西川 知雄君    福留 泰蔵君       若松 謙維君    北沢 清功君    兼務 島   聡君 兼務 平野 博文君    兼務 斉藤 鉄夫君 兼務 藤田 スミ君    兼務 中川 智子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 川崎 二郎君         郵 政 大 臣 野田 聖子君  出席政府委員         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君         運輸省航空局長 岩村  敬君         郵政大臣官房長 高田 昭義君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   矢代 隆義君         国土庁長官官房         審議官     齋藤  博君         大蔵省主計局主         計官      佐々木豊成君         農林水産省食品         流通局市場課長 本川 一善君         運輸大臣官房会         計課長     馬場 耕一君         郵政大臣官房主         計課長     須田 和博君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君         逓信委員会専門         員       平川 日月君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     坂上 富男君   西川 知雄君     大口 善徳君   北沢 清功君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   坂上 富男君     松沢 成文君   大口 善徳君     近江巳記夫君   保坂 展人君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   松沢 成文君     横路 孝弘君   近江巳記夫君     若松 謙維君 同日  辞任         補欠選任   若松 謙維君     福留 泰蔵君 同日  辞任         補欠選任   福留 泰蔵君     西川 知雄君 同日  第三分科員斉藤鉄夫君、第五分科員中川智子君  、第六分科員島聡君、藤田スミ君及び第八分科  員平野博文君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計予算  平成十一年度特別会計予算  平成十一年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  平成十一年度一般会計予算平成十一年度特別会計予算及び平成十一年度政府関係機関予算郵政省所管について、政府から説明を聴取いたします。野田聖子郵政大臣
  3. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 委員皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして、平素から格別の御指導を賜り、心から御礼申し上げます。  さて、当省所管平成十一年度予算案でありますが、まず最初に、一般会計予算案につきまして御説明申し上げます。  一般会計歳出予算は千三十一億円を計上しており、前年度当初予算額に対し百五十億円の増加となっています。  これは、景気低迷が続き、我が国経済全体が深刻な状況にある中、情報通信が当面の景気回復にとって大きな効果があるばかりではなく、我が国二十一世紀の未来を開く基盤であるとの考えに基づいて取りまとめたものであります。このうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、次世代情報通信インフラ構築を推進する観点から、安全で信頼性が高く、超高速大容量通信が可能な次世代インターネット高度道路交通システム研究開発等施策に取り組んでまいります。  次に、情報通信分野研究開発充実強化を推進する観点からは、ギガビットネットワークを活用した研究開発制度を創設するとともに、ベンチャー企業に対する研究開発経費助成等施策を実施してまいります。  また、高度情報通信社会に向けた利用環境整備する観点から、インターネットにおける迷惑通信などの情報通信の不適正利用への対策や不正アクセス発信源追跡技術に関する研究開発に取り組むとともに、視聴覚障害者向け字幕放送解説番組制作費助成等施策を推進してまいります。  さらに、地域経済活性化を図る観点からは、移動通信用鉄塔ケーブルテレビ施設整備など、情報通信格差是正に引き続き取り組むとともに、二十一世紀デジタル放送時代に向けた受信実態調査等施策を実施してまいります。  以上のほか、国際面では、アジアからのグローバル化を推進する観点から、いまだに電話がない地域への普及を目的とした衛星通信システム開発ギガビット衛星ネットワーク構築に向けたアジア太平洋国際共同実験等を実施してまいります。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額は、収入印紙等に係る業務外収入支出分を除きますと、五兆七百三十八億円で、前年度当初予算額に対し千三百四十一億円の増加となっております。  平成十一年度においては、国民皆様利便性向上を図るため、郵便局サービス充実を図る施策中心に実施してまいりますが、このうちの主な事項について御説明申し上げます。  まず、少子高齢化高度情報化の進展の中で、国民の安心と信頼のための郵便局サービス充実を図るため、高血圧や糖尿病に罹患していても日常生活支障なく過ごす方々が加入できる簡易保険の創設や、ハイブリッドメールサービス提供等施策を実施してまいります。  次に、国民に身近な郵便局ネットワーク積極的活用観点からは、最も身近な国の窓口機関である郵便局でさまざまな手続、サービス申し込み等を行うことができるワンストップ行政サービスの拡充を図るとともに、ATM提携サービス提供円滑化を図ってまいります。  また、安心して生活できる地域社会の実現への貢献の観点からは、郵便局舎及び簡保加入者福祉施設バリアフリー化充実等施策を推進してまいります。  さらに、次世代を展望した事業運営基盤整備のために、郵貯・簡保資金資金運用制度の改善を図るとともに、郵便局強盗事件防止を図り、安心して利用できる郵便局づくりを推進する郵便局セキュリティー充実強化等施策を実施してまいります。  以上をもちまして、郵政省所管会計平成十一年度予算案についての御説明を終わらせていただきます。  御審議のほどよろしくお願いいたします。
  4. 自見庄三郎

    ○自見主査 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 自見庄三郎

    ○自見主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  6. 坂上富男

    坂上分科員 坂上富男でございます。  本日は、デジタル化に伴うところのテレビ放映について、それからテレビ朝日ダイオキシンによるところの問題についての放送について御質問をする予定で準備をしたのでございますが、少しテレビ朝日の方の問題が、いろいろと問題点が摘出されてまいりましたので、ここを中心にして質問をさせていただく形になるかと思いますので、御了承をお願いいたしたいと思います。  さてそこで、私も前まで逓信委員会大変お世話になったわけでございますが、私が委員長をさせてもらいました当時に、次のような事件が起きました。  一つは、ポケモンというのでしたかね、その事件が突然起きまして、私はたまたま上京中の汽車の中でこの放送を聞いたわけでございまして、びっくりいたしまして国会に帰りまして、理事の先生方等にお諮りをいたしまして、国会としては直ちにこの問題を取り上げるべきなんじゃなかろうかということで、私は先生方に御要請をしたわけでございますが、事態事態だけに、いま少し静観してみようじゃないかというお話もあったのでございます。しかし、事はやはり国会としても放置できないということで、間もなく国会審議をしていただいて、この真相と防止策について審議をしていただきました。私は、適切な対応がなされたのでなかろうかと思っておるわけでございます。  それから、いま一つ、私はこのことで経験をいたしておることがあります。というのは、もう名前を挙げていいと思うのでございますが、私の新潟県の上越市長が、民間放送によって、自分がやってまいりました政策について事実と違うことを報道されまして、市長立場としては非常に立場が損なわれたということで、しかもそれが選挙前であったというようなことで大変苦慮なさいまして、この回復のためにいろいろと努力をなさったようでございますが、しかし、なかなか思うようにいきませんで、そこで、私も実は委員長当時、御相談を受けました。  しかし、立場立場なものでございまするから、私が取り扱うというわけにはいかなくて、別の先生が少し取り扱われました。そして今度は、それでも完全ではございませんでしたものですから、市長みずからが公開質問状という形で質問をいたしまして、これについて調査をいたしまして、そして放送業者側は、この点において間違いがあった、御迷惑をおかけしたという発表があって、私は一件落着したんじゃなかろうか、こう実は思っているわけであります。  この二つの経験をとらまえまして、私は郵政省質問をしたい、こう実は思っておるわけでございます。しかし、またこれはテレビ朝日にとりましても大変重大なことでもございますものですから、事実の確定が、前提が崩れますと大変御迷惑もかかりますし、また、この問題は厳しく追求をしませんと、被害を受けておると言われる農民皆様方があるわけでございます。でありまするから、いわゆる郵政省中心とし、国会の私たちにおいても、この問題は的確に、そしてかつ迅速に対応すべき問題であろう、私はこう思っておるわけであります。  そこで、これらの基準としなければならないのが、いわゆる放送法中心といたしました立法の解釈と、これに伴う適用という問題だろうと私は実は思うわけであります。まず、事実を確認させてもらいたいのでございますが、こういう認識でよろしゅうございましょうか。これは事務局で結構でございますよ。  所沢野菜があたかもダイオキシンに汚染されているようなテレビ報道がされ、埼玉農家に多大な損害を与えております。これがまずいいかどうか。テレビ朝日報道根拠となったデータは、サンプリングの場所も方法も明らかにされない不明瞭なものであったにもかかわらず、これが正しいかどうか、人々が埼玉産の野菜の不買に走ったのは、テレビ局が放送したからそれを信じたものと思われますが、どうでしょうか。  その後、最もダイオキシン濃度が高いとされた数値は、当初の放送内容とは異なり、野菜のものではなかったことが明らかとなりました。そして、野菜そのものダイオキシン濃度は、厚生省の全国調査と大差ないものであることがわかってきました。ということは、テレビ朝日が当初行った所沢野菜が汚染されているという放送誤報であると言わなければならないのではなかろうかと思います。あるいはまた、意図的になされた誤報であるというところまで言えるかどうかという問題もあろうかと思います。  この点について郵政当局は、まず、私の申し上げました事実について御確認をいただけるかどうか。また、違っておりましたら御指摘をいただいて、違っておる争点はひとつ摘出をしてこの解決を図らなければならぬ、こう思っているわけです。どうですか。
  7. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  今回のこの報道以来、埼玉県下においていろいろ大きな反響を呼んだということは十分私ども承知しておるところでございます。  ただいま先生指摘の点でございますが、私ども報道内容として承知しておりますところは、今先生指摘がございましたように、まず、報道フリップといいましょうかボードが出まして、そこで、二月一日には、所沢数値といたしまして、野菜ダイオキシン濃度ということで、所沢環境総合研究所調べということで、〇・六四ないし三・八ピコg/gという数値報道され、それから、二月九日に至りまして、その部分、問題のところで、環境総合研究所自主調査ホウレンソウ、九八年〇・六三五ないし〇・七五pg/gという報道がなされたということは承知しております。  このことが、確かに一日の方ではそういう数値が出まして、解説の中で、ホウレンソウメーンですけれども葉っぱ物ですねというような発言があったことも私ども承知しておりますが、それが意図的かどうかということにつきましては、私ども今承知している限りでは、なかなかそのようには言い切れないのではないかというふうに承知しております。
  8. 坂上富男

    坂上分科員 大体私が今事実として申し上げたことについて、郵政省も同一の認識のようでございます。意図的な誤報であるかどうかという点は、私は確かにこれからの争点だと思いますし、また、そういうことのないことを私は何よりも期待をいたしておるわけでございます。しかし、また、そういう点についても思いをいたして調査をしなければならぬ問題でもあろう、こう実は思っておるわけでございます。  いま一つ確認をさせてもらいます。  これは、私が質問するに当たりまして郵政省事務当局からいただきました書類でございます。「「所沢ダイオキシン報道」の経緯概要テレビ朝日からの報告)」、これ、聞いてみましたら、口頭で郵政事務当局が経過として報告を受けたのだそうでございます。少しこの事実も確認させていただきます。  まず、十一年の二月一日、ニュースステーションで、所沢ダイオキシン問題について、埼玉所沢市の野菜ダイオキシン濃度が高い旨の報道を行った。同番組に出演の環境総合研究所青山所長は、同番組中で、数値について、ホウレンソウメーンですけれども葉っぱ物ですねと発言された、こうあります。  あわせまして、十一年二月四日、同じくニュースステーションで、所沢には積極的に生産者や市民を守る姿勢が見られない旨、追加報道を行った。  それから、二月八日でございます。所沢市の農民有志約七十人がテレビ朝日に対して、放送によって野菜暴落被害を受けた農家に謝罪すべきである、データ内容とその信頼性野菜サンプル採取場所等所沢野菜が危険だと放送した根拠を明らかにするように求めた質問状提出された、こういうことでございます。これは法律上どうなるかということは後で聞きます。  これに対してテレビ朝日は、本日、所沢農業者有志方々による質問状を受け取り、代表方々お話をいたしました。テレビ朝日としましては、今日の話し合いを受けて、できるだけ早く文書回答する予定です。今日の具体的な対話内容については、相手のあることで控えさせてもらいますが、今後も、ダイオキシンの問題の取材、放送の中で当社の考え方を示していきたいと思います、との報道発表を行った。  今度は十一年二月九日でございます。JA農協が一九九七年に行った調査結果を発表した点について報道がなされました。この中で、環境総合研究所調査によるホウレンソウ数値が表示された、そしてフリップ放送された、こういうことのようでございます。  それから、平成十一年の二月十日でございますが、スタジオで使用した図表説明についてテレビ朝日広報部発表いたしました。二月一日と昨日のニュースステーション所沢ダイオキシン問題の放送の中で使用した図表では、広い意味野菜表現しましたが、環境総合研究所青山氏がスタジオで何回も繰り返したように、厳密には葉っぱ物と表示した方がより適切であったと思っています、こういう広報部発表があったそうでございます。それで、今度、農水省がテレビ朝日に対して申し入れを提出をいたしました。  それから、二月十二日に、二月十日付で、埼玉県及び所沢農業者有志代表あて、二月一日ニュースステーション報道に関して文書を送付をした。これは回答があったというような意味のようでございます。そこで、新聞報道によりますと、郵政省といたしましても、テレビ朝日質問書といいましょうか照会といいましょうか、何か回答を求めるために提出をしたそうでございます。  そこで、今言ったことは、事実、そのとおり間違いないのか、それから、郵政省のことがここにまだ書かれていませんが、郵政省としてはしたのか、そしてどういう内容なのかということもあわせて御答弁をいただいて、十日付で埼玉県や農業者代表文書回答があったように書かれておりますが、この文書回答内容について郵政省確認をしておるのか、内容はどんな回答があったのか、これもお答えいただきたい、こう思います。
  9. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生がお述べになりましたことは、ポイントといたしまして、私どもも承知しているテレビ朝日側から聞いたこと、それから私どもなりに調べたことの中で大体相違ございません。  それから、私どもの方でテレビ朝日に対しまして、先ほども申し上げましたけれども、二月一日の放送において野菜ダイオキシン濃度として〇・六四ないし三・八〇pg/gという報道がされて、九日にはホウレンソウとして〇・六三五ないし〇・七五pg/gということで報道がなされまして、数字がどうも異なっている、表現も違うということで、両者の関係はどうなっているのか教えていただきたいということで問い合わせをしておるという事実もございます。  それから、テレビ朝日側関係者に、埼玉県あるいは所沢市の方々文書を送ったということは私どもも承知しておりますけれども、その中身については私ども承知しておりません。
  10. 坂上富男

    坂上分科員 郵政省に対する回答はいつある予定ですか。
  11. 品川萬里

    品川政府委員 できるだけ早く報告いただきたいということで今お願いをしているところでございます。まだ日にち的には確定しておりませんけれども、できるだけ早くと思っております。
  12. 坂上富男

    坂上分科員 私の情報によりますと、本日午後回答が来るというように聞いておりますが、まだ確認していませんか。あるいは情報でもいいですが。
  13. 品川萬里

    品川政府委員 できるだけ早くということでお願いしておりますが、既に十五日にお願いしていることでございますので、まだ私のところ、今時点で承知しておりませんけれども、あるいはこれから、今週中に願えればと思っております。
  14. 坂上富男

    坂上分科員 さてそこで、大臣郵政大臣とされましてこれまでのテレビ朝日報道について、率直な感想をまずお聞かせいただきたいと思います。
  15. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今回のテレビ朝日報道内容につきましては、私も今先生が御指摘のとおりのことを承知しているところであります。  今回のテレビ朝日ダイオキシン報道をきっかけに、所沢のみならず埼玉県全域にわたって生産された野菜流通等支障を来したとされているわけでありまして、放送の影響の大きさをまさに実感し、今回の事態を重く受けとめているところでございます。
  16. 坂上富男

    坂上分科員 これは十六日付の読売夕刊でございますが、大臣は、今まで放送法違反はないというような方針であったようですが、これからは放送法とすり合わせないといけないと発言されたとあるのでございますが、これはどういう意味か、お答えをいただきたいと思います。
  17. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 お答え申し上げます。  実は、これにつきましては従来からも、その時点その時点でお答えしていることは、郵政省として放送法違反するといったことを言える状況ではない、そういうその時点での現状について申し上げてきたところで、現時点でもまさに趣旨は変わらないところでございます。
  18. 坂上富男

    坂上分科員 ちょっと私理解ができないんでございますが。その時点その時点認識表現しておるというような意味でございます。今もそれは変わりはない、こう言っている。確かに放送法というのもよく認識をしていただきまして、すり合わせていただかなければならない問題でもあるわけでございます。  そこで、今大臣がおっしゃいました点から見ますると、今後の調べいかんによりましては放送法違反可能性もあるという意味なのか、仮にその違反があった場合は郵政当局はどういう処置をとられるお考えなのか、仮定の話でありますから果たして今答弁を求めることが適切かどうかわかりませんけれども、精いっぱいやはりこれは答えていただきませんと、また、事実でなければそれはもう結構なことでございますものですから、また大事なことでございますから、的確な御答弁を賜りたいと思います。
  19. 品川萬里

    品川政府委員 私どもも今回の事態につきまして、放送法を所管する立場から、放送法から見て問題があるのかないのか、結論は別にいたしまして当然検討しなければならないわけでございます。ただいまいろいろな事実の確認を進めておりまして、それに基づきまして、この事実と法がどのような関係にあるのか、十分に検討して、審査してまいりたいというふうに考えております。
  20. 坂上富男

    坂上分科員 ぜひ的確な調査審議をひとつお願いしたい、こう思っております。  さてそこで、今度はこの問題を解決するに当たっての提言でございますが、放送法を見てみますると、この場合は放送法第一条で、第一条の第二号でしょうか、放送真実、それから自律を保障することによって放送による表現の自由を確保すること、これが第一条の第二号にあるんですね。  そこで、さっき話しましたポケモンの問題は、ここの問題ではなくて、放送法第三条の二には四項目あるわけでございますが、その一つ「公安及び善良な風俗を害しないこと。」というのに私はポケモンが当たったんだろうと思いますので、この放送をされた放送局の方は、直ちにこれに対する必死の対応をなさったわけでございます。  そこで、今回の問題は、この第三号に「報道は事実をまげないですること。」こうあるんですね。でありますから、事実を曲げるというのは、過失にやる場合はまあまあ仕方がない、故意に、故意に虚偽の事実を報道する、こういうことなんですね。だから、これは、さっき上越市長の話は多分ここの問題だったんだろうと私は思っておるわけでございます。  それから、今度これが、はっきり真実報道しなかったんだということになればここの問題になりますが、仮にこの第三号に該当しないとしても、第四号、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を整理すること、これにも当たる。第三号なのか第四号なのか、これはこの場合大変重要な問題になるだろうと私は思っておるわけでございますが、まず今申し上げました点について、局長で結構でございますから、御答弁いただけますか。
  21. 品川萬里

    品川政府委員 放送法条文が多岐にわたるわけでございまして、先生指摘条文も、当然放送法と今回の事案とを検討するに当たって考慮に入れなければならない条文でございますが、今ここでこの条文に該当するかどうかということについては、放送法全体から見て今この事案について検討しているということでございまして、この条文に該当するかどうかということは、まだ判断はいたしかねております。
  22. 坂上富男

    坂上分科員 局長、じゃ、どういう条文があるの、ほかに。
  23. 品川萬里

    品川政府委員 基本的には放送法第一条という条文がございますし、放送法全体で見て我々判断してまいりたいと存じております。
  24. 坂上富男

    坂上分科員 ちょっとそこの答弁は私は受けがたいです。的確に放送法を検討いたしまして申し上げているわけであります。  でありまするから、放送法第一条は目的なんです。それから、今度具体的な編集、それは第三条の二によるんです。だから、これを適用するとするならば、三か四だろう。どっちかの問題だ。このことの認識は私は重要だと。このもとに対して、このほかに条文があるんだったら挙げてくださいよ。あるいは、第一号の公安及び善良な風俗を害したということになるかどうか。そういう問題はないわけではないと思うんだが、常識的に三か四、これにかかわっていいんじゃないかと私は思っておりますので、申し上げます。  時間も迫ってまいりましたから、さて、そこで私は申し上げたいのでございますが、もしもこれが誤報であるとするならば、どういうふうに私たちは救済を求めたらいいのか。  殊に、農民皆様方が二月の八日、テレ朝に行かれたそうでございます。これは一体、訂正放送として第四条の規定があるわけでございます。これは、今度は故意であろうと過失であろうと、放送事業者が真実でない事項放送をしたという理由によって被害を受けた方が、放送のあった日から三カ月以内に請求をしたときは、放送業者は、遅滞なくその放送した事項真実でないかどうかを調査して、真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備によって、相当の方法によって、訂正または取り消しの放送をしなければならない、こういうふうな規定があるわけであります。しかもまた、これは申し出なくても、放送業者がその放送について真実でない事実を発見したときも同様とする、そして民事訴訟法の損害賠償請求を妨げるものでないという規定、これは非常に重要な意味のある規定でございます。  しかし、我々庶民は、テレビというのは物すごい力があって、新聞にちょっと五、六行間違って書いてあったということの訂正よりも、テレビ訂正というのはなかなか私たちにとっては大変なんですね、一般国民にとりましては。そこで、この第四条の訂正放送の規定が僕はあるんだろうと思うのでございます。  でありまするから、テレ朝に七十人の人が行ったというのが、いわゆる第四条に基づくところの要請かなと私は思ってはいるわけでございますが、まず、今郵政省はこういう点についてはどういうふうな御確認をされておりますか。
  25. 品川萬里

    品川政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、当然、この番組についてどう判断するかということについては、先ほど先生指摘の三条の二、十分これは我々が判断のもとにしなければならない条文であること、念のために申し添えておきます。  それから、今の訂正放送制度による訂正の申し入れがあったかということでございますが、私どもとしては、今のところ、当事者から訂正放送の申し入れがテレビ朝日側になされたというふうには確認しておりません。
  26. 坂上富男

    坂上分科員 私も初めて今回勉強してみてわかったんですね。郵政省が出しておる「訂正放送制度はあなたの権利を守ります。」これは相当宣伝したんでしょう。非常に私は結構だと思いますよ。そして、あわせまして、こうやってパンフレットも同じのがあるわけでございます。国民はほとんど知らないんじゃないか、私も知りませんでしたから。私は、非常に重要な問題で、今回このことがどう生かされるかという問題にかかわると思うんです。  でありますから、テレビ朝日側は、私らの言うことは真実です、虚偽の事実を言うたことはありません、こうなるのか。あるいは、行き過ぎがあって、この部分については真実でなかったというふうになるのか。この辺の判断は、これからの問題ではありますが、しかし的確に早くしなければ、被害がまだまだ拡大していくんじゃなかろうかと大変心配をいたします。また一面、あるいは健康にかかわる問題になるのか。  この辺、本当に判断しませんと、郵政省は今大変責任が重い立場にあるのであって、ぜひその点の考え方についてお聞きをし、もし仮にこれが真実で、いわゆる訂正放送の必要なしというような事態があった場合は、これはどうなるんですか。民放協会の方で再度また審査してくれる規定になるのでございましょうか。これはどうなりますか。もし真実でないことが放送されて訂正放送がなされないと、罰金五十万円の規定があるんですね。この辺、きちっとひとつ当局の御意見を賜って、これから対応を見守りたいと思いますが、いかがですか。
  27. 品川萬里

    品川政府委員 条文のコメントなり恐縮でございますけれども、この訂正放送制度、第四条の規定では、放送事業者がみずから調査して判断するというのが前提でございますので、これは放送事業者の判断によらざるを得ないわけでございます。  今先生にポスターまで見せていただいて恐縮でございますが、今、全国にポスターは約一万二千枚、それからリーフレットは六十七万枚配布いたしまして、こうした制度がございますので、視聴者の方々がみずから権利を守らなければならないというときに御活用いただくようにPRしております。もし今回の事案でまだこういうことを知らなかったということになりますと、私どものPRがまだ不十分ということでございますので、今後、真に広く国民視聴者の皆様に、こういう制度がある、それで現実に御活用いただけるように、十分PRあるいは周知、そしてまた御相談にあずかれるように努力してまいりたいと存じます。
  28. 坂上富男

    坂上分科員 もうこれで終わります。  まず、郵政省はいわゆる放送法五十三条の八による資料提出要求をしているのかどうか。  それから、放送法施行令で、この五十三条の八の規定による資料の提出、特に「法第四条第一項の規定による訂正又は取消しの放送に関する事項」、こういうものに関する調査というものは、皆さんが資料提出を要求することによって調査をするということになっているんですね。それで、こういうことに従わなければ罰金二十万の規定があって、刑事罰対応になっておるわけですね。でありまするから、私は、郵政省はやはり勇気を持って毅然と的確な御処置をなされないといかぬと思います。  確かに、放送ですから自主性を重んじますけれども、事はまた被害として出ておるわけでございますから、どう判断するかというのは大事でありまして、これは私は、郵政省のまさに信頼、どういうふうにして信頼するかという重大な問題にかかわってきているんじゃなかろうかと思いますので、ひとつ大臣、どうでございますか。今言ったような点の御指摘をいたしましたけれども、御決意のほどを。局長からされるなら、どうぞ。
  29. 品川萬里

    品川政府委員 今先生条文まで引用していただいて恐縮でございますが、我々、法律ないし関係法令というのは私どもの権限というものを示すと同時に、私どもの責任を示されたものでございますので、そういう責任を果たせというのがまた法令の趣旨でございますので、十分法令の趣旨を踏まえて対処してまいりたいと存じます。
  30. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 小渕総理からも、今回のことに関しましては、放送のあり方も含めて真剣に取り組むよう御指示がございました。  今先生の御指導もいただきつつ、局長が申し上げたとおり、権能の範囲内でしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  31. 坂上富男

    坂上分科員 どうもありがとうございました。
  32. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、島聡君。
  33. 島聡

    ○島分科員 情報化社会と言われるわけでありますが、いろいろなことが変わってきて、情報化社会の到来によっていろいろな可能性が開かれてくる。政治にも恐らくは一つの新しい可能性が開かれたのではないかと私は思っています。  今、この国会も当然でありますが、代議制、いわゆる間接民主主義という形で運営をされているわけでございますけれども、もともと、この間接民主主義が採用された、代議制が採用されたというのは、どうも空間的にも時間的にも情報が伝わるのが遅い、だから直接民主主義はあり得ないので間接民主主義、代議制というものをとるべきであるというのが、いわゆるアメリカのジェファーソン以来の考え方でありました。  その後、いろいろな意味で変わってきました。未来学者のアルビン・トフラーという人が、これから先は半直接民主主義ができるんじゃないか。つまり、情報化社会の到来によって、情報がすぐに手に入るようになった、あるいは、議員と直接話ができる、国会にもすぐアクセスできるという形で、今後は半直接民主主義ができるんではないかというような提言をしておりました。  私も、それは非常に大きな方向性を示しているだろうと思っておりまして、ただ、それが具体的にどうなるかということはなかなか難しいところがありますので、何か半直接民主主義的に、せっかく野田郵政大臣質問をするので、私のメーリングリストに、こういう質問をしてほしいというものがあったら出してくれというのを出しましたら、たくさん参りました。たくさん参りましたが、七割以上がいわゆる電話料金あるいはインターネット料金が高いというものでありました。  きょうはここで質問させていただいて、せっかくメールをいただきましたから、残念ながら衆議院ではインターネットですぐ中継というわけにいきませんので、また、きょうの質問は私のホームページで即座に、こういう答えが返ってきたということを皆さんにお知らせするという形で、いわゆる半直接民主主義の新しい形としてちょっとやってみたいと思っていますので、よろしくお願いします。ちなみに、私のホームページはss-project.comというアドレスでございますので、後で見ていただければと思うわけでございます。  先ほど申し上げましたように、七割以上がやはり電話料金の話でありました。  事前にちょっとお聞きしたわけでありますが、ちょうど電気通信事業法が改正されたばかりで、認可制から届け出制に変わった。電話料金がいろいろな形で新しい段階に入ったわけでありますが、その中で、意見申し出制度というのがある。利用者などが郵政大臣に苦情や意見を申し出ることができるということであります。改正法九十六条の二で、事業者の料金その他の提供条件、業務の方法等について、利用者が郵政大臣に苦情や意見の申し出を行うことができることとする、申し出を受けた場合に、郵政大臣は、これを誠実に処理した上、その結果を申し出者に通知することとする。  平成十年十一月一日から施行をされているということでございますけれども、その十一月一日以降、どんな申し出があって、そしてまたどのように処理をしてこられたか、まずお聞きしたいと思います。
  34. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今お話がありました、昨年十一月一日以降の電気通信事業法第九十六条の二に基づく意見申し出は、現在まで二件ございました。  まず初めは、一件目は、NTTドコモの携帯電話とPHSの複数回線複合割引料金について、ほかの電気通信事業者四十社の方々から、不当な競争を引き起こす等を理由に料金変更命令の発出を求めるものが十一月の二十四日にございました。二件目は、長距離電話料金の過剰請求についてということで、これは個人ですけれども、利用者の方から関係する電気通信事業者の事業許可の取り消しを求めるものというのが、昨年の十二月二日に申し出がございました。  このうち、一件目の方のNTTドコモの割引料金については、意見申し出を受けていろいろと調査をした結果、NTTドコモに対して、不当な差別的取り扱いがある点を是正することを命ずる料金変更命令を一月二十二日に発出しました。そして、その結果を申し出者に通知をしたところであります。二件目に関しては、料金過剰請求に関する意見申し出について、現在、関係の電気通信事業者と申し出られた方からヒアリング調査を実施しているところであります。  この意見申し出制度というのは、料金がかつての認可制から届け出制になったということに伴って、事業者、利用者等の意見申し出によって事後的に料金等の適正化を図るものであり、私たちはその趣旨を踏まえてきちっと運用してまいりたいと思っています。  以上です。
  35. 島聡

    ○島分科員 今申し上げましたように、七割方がやはり高いというような話を、どうにかならないのかという意見が多かったようです。それは一般に、私は前に仕事でアメリカに滞在していたが、そのときはこんなに高くなかったとか、そういう生活体験からくるお話が多かったわけであります。  事前に、現在の日本の電話料金というのはアメリカと比べて高いんじゃないですかというようなことをお聞きしまして、レクを受けたわけであります。そうしましたら、いや、高くないんだという答えが返ってきました。  公共料金の内外価格差の状況を見ますと、これは経企庁の物価レポート98からだそうでございますけれども、通信というのは対ニューヨークで一・〇〇、これは日本を一とした場合、一・〇〇だから差がない。個別の公共料金は、一を下回れば日本の方が物価が安いということでありますが、例えば、電気は対アメリカで一・一九、ガスは一・九五、郵便が二・〇七。ところが、一般加入電話は区域内だと〇・六九とか、あるいは四十キロ程度の昼間三分通話料金だと〇・四八、長距離電話だけが、二百キロ超は一・〇六だ。つまり、長距離電話は高いけれども、あとは大丈夫だというようなデータが返ってきたわけであります。  これは、本当にこういうデータ政策判断をしていらっしゃるということであるならば、どうも私に来たメールあるいはアメリカに住んでいらっしゃった方の生活実感と随分合わない。こういう判断の中で政策判断を遂行していらっしゃるとすると、これはおかしいと私は思うわけであります。  日本には定額料金システムがないことが大いなる原因じゃないかと私は思っているわけですが、例えば、アメリカのニューヨーク、メトロポリタン地域のある会社の場合、定額制、フラットレートサービスは、利用状況によっては月額一六・六五ドルとか二〇・一六ドル。これは、今円安が進行していますが、百十五円ぐらいで計算して約千九百円になります。  市内通話料金の定量制でありましても、この辺は同じ会社でありますけれども、夜間、週末は極めて割引料金を使っています。例えば月曜日の、夕刻料金は、九時から十一時までは四〇%割引とか、夜間料金の十一時から八時まで、あるいは週末、土曜日の八時から日曜日の十七時までは六五%割引とか、恐らくこういう実感があるからどうも高いという意識が強いんだと思うわけであります。  私としては、このような状況の、例えば今区域内は〇・六九だとか、通信が差がないんだとかいうような基準で政策判断をしていらっしゃるとするとおかしいと思いますが、いかがでございましょうか。
  36. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げます。  日米の電話料金は料金体系がそれぞれに違いますので、一概に比較することは非常に難しいわけでありますが、確かに、先生指摘のように、経企庁の物価レポートの昨年十月の発表によりますと、総合的には東京とニューヨークの通信料金はほぼ同じ水準である。そして、区域内料金につきまして日本が米国の〇・六九とむしろ安くなっているというような数字になっているわけであります。しかし、これは東京とニューヨークにおける市内電話の三分間という一つの時間設定をして単純に比較した結果でございます。  しかしながら、アメリカの料金は、米国も広いわけでありまして、州や地域によって一定ではないんでありますが、一般的には、通話時間にかかわりなく、一通話当たりの一定の料金、いわゆる度数制というわけでありまして、三分間を超えても同じ料金、フラット料金になっているとか、あるいは、一定度数以下の利用については基本料等を含めた料金とするいわゆる定額制といったものなどいろいろあります。  そういった事情を含めて比較しますと、これは数字ではなかなかあらわしにくいんでありますが、米国の方が日本よりも割安になるケースも多々あるというふうに私ども認識しているわけでございます。決して三分間の比較した数字から日本が安いといった認識を持っているわけではございません。  ただ、参考までに申しておきますと、最近には、一定額を支払えば夜間、深夜の時間帯はかけ放題となるテレホーダイというサービスとか、あるいは一定額を支払えば市内通常三分十円のところを五分十円とするサービス、いわゆるタイムプラスサービスなど、サービスの多様化、料金の多様化も進んでおります。さらに競争の進展によって一層の利用者ニーズに合致した料金があらわれることを私どもは期待しておるところでございます。
  37. 島聡

    ○島分科員 今テレホーダイの話が出たわけでありますが、インターネットの利用者には非常に便利なシステムだということで、これについてもたくさん来ました。  インターネットというのは、非常に膨大な量が世界じゅうの利用者の知の蓄積としてあらわれて存在する状態になっています。私は、これらの情報リソースが、政府とか民間、一般市民、そういうものが有効性を活性化させていくことが最終的には国家としての競争力にもつながると思っていますので、これはどんどん、いわゆるインターネットというものがもっと使われやすくすることが必要であると思っています。  今おっしゃったテレホーダイ、これはNGOというんですか、ある市民団体がこんなことをやっています。二十四時間テレホーダイ運動というのをやっている。これは要するに、今テレホーダイは夜十一時から朝八時までだ、夜十一時から朝八時までということは深夜しかできない、一生懸命やっていると体を壊す。ここにも書いてあったんですが、それは健康管理がけしからぬと言われればそれまでだけれども、例えばインターネットをやっていて、一生懸命検索して自分の仕事にも役立てようと思ってやっている、あるいは子供に頼まれて、これを調べてくれ、お父さんがきちんと調べて、こうだというふうに、海外からとってあげたよといって出す。そのときは家庭が非常に円満に済むんだけれども、十一時前でしたら、やっていると、何カ月後かに通信料金が二万円とか三万円とか五万円とか来て家庭不和が起きる、だからどうしても二十三時以降やる。  これをもっと、二十四時間使えるようにしてはどうかというようなことがありましたので、これも聞いてみました。例えば、市内電話料金を固定制にして、二十四時間いつでもインターネットを固定料金で使えるようにすることは政策としてできるんですかというようなことに対しては、当然、今電気通信事業法の改正もあって、そんなようなことは今はなかなか難しいですという答えが返ってきました。  その答えとして、例えば、夜間は今テレホーダイがあるんですが、昼間も含めて単純な定額制を導入すると、つなぎっ放しの利用者がふえて電話の疎通に支障が生じたりするとか、あるいはインターネットの利用者と一般の電話の利用者との料金の公平性が損なわれるおそれがあるとかということがあって、なかなかできないんだという答えが返ってきました。  私は、今も申し上げたように、例えば、基本的にはそういう、インターネットで知の蓄積をして、日本が情報化社会において、二十一世紀においても人的資本の蓄積も含めて国際競争力を高めていくためには、政策判断としてインターネットをもっと使いやすくするためにあるいは直接投資も必要ではないか。今、公共投資、私ども民主党は、むだな公共投資は外して、未来への投資と言っておりますが、こういうものこそ未来への投資につながるんではないかというふうに思っているわけであります。  このインターネットを例えば二十四時間固定料金制で使えるようにするとか、そういう形で考えていくという考え方についてはどういう見解をお持ちですか。
  38. 天野定功

    ○天野政府委員 先生今御指摘のように、近年のインターネットの爆発的な普及によりまして、市内料金へ定額制を導入してほしいといった声が各方面から要望として、私どものところあるいは電気通信事業者の方にも届いているところは承知しているところでございます。  しかしながら、現実にこのことを昼間を含めまして実施する場合には、今いろいろ検討しておるわけでありますが、先生指摘のように、やはり電話回線の昼間の疎通に支障が生じないかとか、あるいは基本的に日本の料金体系の考え方が沿革的にアメリカと違うわけでありますので、一般の電話利用者間の公平を確保できるのかどうか、そういった課題がございますので、すぐに踏み切るのはなかなか難しいわけでございますが、私どもは、今後の検討課題といたしておるところでございます。  なお、今度、十年度の第三次補正で学校インターネットの普及促進策が国としても予算で盛り込まれておるわけですが、そこに対しましては、通信料金の低廉化を図るために、特別に郵政省の方から要請いたしまして、百時間まで八千五百円程度の特別な割引サービスを実施する予定に十一年度からはなることを申し上げておきます。  いずれにしましても、この問題につきましては今後の検討課題というふうにさせていただきますが、基本的には、電話料金の決定の仕方は届け出制というふうになっておりますので、従量制にするか定額制にするかといった料金体系の問題とか、あるいは料金水準の問題は、基本的には市場原理のもとに電気通信事業者の経営判断によるものでございます。したがいまして、電気通信分野の競争が促進する中で、各事業者の創意工夫が発揮されまして、利用者ニーズに対応したインターネット時代にふさわしい多様な料金体系やサービスが提供されることを期待しておるわけでございます。
  39. 島聡

    ○島分科員 ただいま学校のインターネットの話が出ましたけれども、全国の小中学校に超高速通信網を整備して、二〇〇一年までにインターネットの接続を可能にする計画であると聞いております。  後で大臣にお聞きしたいのですけれども、私も実は小学二年生の子供がおりますけれども、極めてインターネットなどの習熟は早い。私の家にはリビングにパソコンが置いてありまして、私が使っているのを見まして、もうインターネットは自分で接続します。小学二年生で十分接続できて、例えばどこか遊びに行くときはその地域の天気予報を自分で見たり、そういうようなところまでしています。または、子供同士が遊びに行くときに携帯電話を持たせますと、携帯電話でアポイントをとっています。そういう時代まで完全に子供たちの方は来ているわけであります。  恐らく、今二〇〇一年までにすべての小中学校にインターネットの接続を可能にする計画、後でお聞きしたいと思いますけれども、アメリカの場合は、二〇〇〇年までにすべての教室、図書館を情報スーパーハイウエーに接続する。今日本は、全国三十地域、千五十学校、私の地元でも安城市の安城西中学校と教育センターに二回線引かれていると聞いておりますが、例えばこれをやっていくに当たりまして、サーバー、LANの管理指導者が不足していると思います。こういう人材育成をどのようにしていくか。  あるいはまた、私の家でも非常に気にしているんですが、子供が自分で使うとなりますと、いわゆる有害情報から青少年を保護するために、管理運用主体、方法が問題となっていくと思います。こんなことで例えばインターネットというのが急に規制がふえるというのも私は反対でございますので、より円滑にこれが進むようにどのように進めていくおつもりか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  40. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生指摘のとおり、アメリカに比べてインターネット、日本でも爆発的に普及はしているものの、学校教育においては大変おくれているということは事実でございました。  私ども、文部省とお話し合いをしまして、今先生が御指摘のとおり、一日も早く子供たちにそういうインターネット学習の教育環境を整えていこうということで取り組んできたところであります。いわば、今私たち大人が抱えているジレンマというか、パソコンに向かうのが怖いとか、インターネットというのは何かわけがわからない、そういうものを子供たちには味わわせないで、自由自在にインターネットの中でいろいろな、自発とか自活を身につけてもらおうというのがねらいだと思います。  現在、アメリカが八割というところで日本は二割、大変おくれているわけですけれども、今回二つの取り組みの中でアメリカにキャッチアップしていこうということを進めているところです。  一つは、先ほど来通信料金の問題がありまして、学校の教育現場でなかなかインターネットが進まなかった理由も、やはり学校の通信料金の負担が大き過ぎるということで足踏みしていたのに対して、今局長から話がありましたように、NTT等の事業者に対して、学校向けの定額制という新しいコンセプトを導入していただく、接続料金もしかりということで進めています。  あわせて、やはり地方の学校なんかはそうなんですけれども先生も岐阜の御出身だからよく御存じですけれども、地方に行くと、電話回線が一本か二本というので、せっかくパソコンを置いても使えないという現状がありましたので、今後はそのネットワークの高度化、要するに、速く大容量で、LANを通じてたくさんの子供たちに使ってもらえるというような仕組みづくりが必要だということで今日まで取り組んできました。  おかげさまで、三次補正でようやくそういう研究開発をさせていただくことになりまして、その取り組みは可能になってきたわけですけれども、人材についても、実はやはり文部省の方で懸念、教える人がいないんじゃないか、取り扱う人がいないんじゃないかということだったんですけれども、むしろ子供たちには、もう先生のお子さんと一緒で、習うよりなれろで、とにかく与えて、とにかく好き放題やらせてみてアレルギーをなくしていくことが大事だとは思っています。  そうはいっても、やはり監督、管理者が要るということで、今通信事業者とか文部省、または地方の教育委員会の人たちが一体になっていただきまして、地域における学校インターネットの利用に関するボランティア活動の推進体制の整備を実は進めていただいているところであります。  御心配の有害情報、これも当然学校自身が主体としてやっていただかなければなりませんけれども郵政省としては、具体的に挙げると、横浜市の協力を得てフィルタリングシステムの研究を行っているので、あわせて御要望があれば、そういう地域地域の学校、また中央、地方なんかでの学校を中心としたそういう人たち、責任者の人たちの御要望があれば、そういうものを導入していくようには準備はできているところであるわけです。  いずれにしましても、情報リテラシーの向上というのは、やはりこれからの、せっかくインターネットという道具があっても多くの人が使いこなせないということでは困るわけで、そういう人材育成のために積極的に推進していきたいと思いますので、御支援のほどよろしくお願いいたします。
  41. 島聡

    ○島分科員 今回、研究開発という形でついたという話でありますが、それも含めまして、直接投資も考えてやっていくべきだと私はこの問題は思っています。  日本のインターネット環境をアメリカと比較しますと、非常におくれているというイメージが実は強いんです。つまり、先ほど言いましたメールでも、アメリカに比べておくれているという声が非常に多かったんです。  もはや次世代インターネットというものをにらむ時期になってきておりますが、アメリカにおける次世代インターネットのプロジェクト、もう既にインターネット2とかあるいはネクスト・ジェネレーション・インターネット、NGIがあるわけでありまして、昨年四月ですかね、インターネット2の物理ネットワーク部分に特化したもの、サブプロジェクトでありますが、超高速ネットワークのプロジェクト、アビリーンというものが立ち上がっています。これは全アメリカにまたがりまして、政府組織と大学、これは大学だけ結んで学術的な研究もしていくというプロジェクトでありますけれども、そういうものまである。  ゴア米国副大統領は、今のインターネットに比べまして百から一千倍の高速なネットワークを構築するということも発表をしております。日本は今後、この次世代インターネットの時代に対してどのように対処していくのか、お答えをいただきたいと思います。
  42. 天野定功

    ○天野政府委員 日米のインターネットの普及状況は、確かにホストコンピューターの絶対数あるいは人口比から比較しましても、相当な隔たりがございます。しかしながら、最近の動きを見ますと、この五年間でホストコンピューター数の伸びを見ますと、世界平均で二十一倍でございますが、日本では三十八倍というぐらいに大きな伸びでございまして、将来的には、日本のインターネットの普及もかなり促進されていくというわけでございますが、現実には相当の隔たりがあるということでございます。  そこでまず、私どもの取り組みといたしましては、この利用の促進をとにかく図っていかなきゃいけないということで、郵政省としましては、二十一世紀の産業経済構造を大きく変える可能性を持ったいわゆる電子商取引、これの普及促進策を今進めております。  具体的に申しますと、サイバービジネス協議会におけるインターネットキャッシュの提供実験とか、あるいは社団法人テレコムサービス協会による日本—シンガポール間での電子商取引の国際相互接続実験などがございます。  もう一つの大きな推進策としましては、先ほどから出ていますように、教育分野でのインターネットの活用促進の施策を積極的に進めるといった利用の普及策が一つあります。  もう一つの柱としましては、インフラとしてのインターネットの高度化といったことも非常に重要でございまして、これはアメリカも次世代インターネット開発に積極的に取り組んでおるわけでありますが、日本としてもこれにおくれることのないよう、次世代インターネットに関する研究開発平成八年度から五カ年計画で進めておりまして、これによりまして、より安全性が高く、超高速で大容量の通信ができるようなシステムの開発を急いでいるところでございます。
  43. 島聡

    ○島分科員 コンピューターの普及によりまして、ネットを悪用した犯罪が急増しています。現在、我が国において、不正アクセスに対する法的な手当てがない状況でありまして、どのように対処していくかということをお聞きしたいわけであります。  私が聞いておりますのは、昨年六月に、警視庁がサイバーポリスの体制整備を柱とするハイテク犯罪対策重点プログラムを発表した、同じく不正アクセス対策法制案を公開して意見の募集を開始している、郵政省も、電気通信システムに対する不正アクセス対策法制を公開して意見の募集を実施していると私は聞いています。  今後、公共のこういうコンピューターシステムに例えば侵入しまして交通網を麻痺させたりするサイバーテロ対策というのも非常に重要になってくると思います。例えばアメリカでは、司法省やNASAのホームページが改ざんされたりするという事件があります。  今後、どのように対処していくかということをお聞かせ願いたいのと、最後に大臣にちょっとお聞きしたいんですが、さらに今後幾つかの法制が考えられます。一番重要になってくるのは、表現と出版の自由とどうバランスをとっていくかということだと私は思っています。  一九九八年の十一月には、アメリカでは、未成年が有害な地域情報にアクセスできないようにサイト側に規制をかけるという法案、COPAというのですが、それに対しましてフィラデルフィア地裁は執行延期を決定しました。これは、九七年に有害コンテンツ規制法案、これはCDAというのですが、最高裁で廃案になったんですよ。だからそれを踏襲した形になっています。アメリカの司法というのは、表現、出版の自由を優先する判断をとりまして、アメリカの場合は日本の三権分立とはちょっと違いますけれども、非常に優先する判断をとりました。  だから、今後いわゆるインターネット等に関しまして、表現と出版の自由とどのようにバランスをとっていくかについてどう考えるかを最後にお聞きしたいと思います。では局長、お願いします。
  44. 天野定功

    ○天野政府委員 それでは最初に、コンピューター通信システムへの不正アクセス問題への取り組みでございますが、欧米の先進国では不正アクセス法制が整備されておりますが、日本では残念ながらまだそれが未整備でございます。それで、昨年のバーミンガム・サミットのコミュニケでもうたわれたとおり、これに対して取り組むということになっておりまして、私どもは今、警察庁と共管の法案でございますけれども不正アクセスそのものを禁止する法案を核とする新規立法を検討しておりまして、今鋭意関係省庁と調整を進めて、この国会に法案を提出させたいという意味で今取り組んでいる最中でございます。
  45. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 表現または出版の自由というのは大変尊重されなければならないものだと受けとめています。あわせて、先ほどの先生お話にあった子供たちの、青少年の健全な育成ということも尊重していかなければならないと思います。  第一点は、利用される側のモラルまた常識というものをやはり期待するところでありますし、また私たちとしては、技術として、親が子供に対して見せたくないものがあったときには、先ほど申し上げたフィルタリングシステムとか、またはもう既に市販されているフィルタリングソフトなんかの充実、応援をしていくことが重要ではないかと今受けとめているところであります。
  46. 島聡

    ○島分科員 恐らくこれから、表現と出版の自由というものとのバランスをどうとるかということが一番政治的な判断を必要とされるところだと思いますので、十分検討していっていただきたいと思います。  特に、日本の場合はアメリカと比べて、NII構想やそれを世界に広めるGII構想に比べまして、日本の場合、情報通信というものに対してきちんとやっていくというメッセージがまだ国民に伝わっていないと私は思いますので、ぜひともそういう方向性で進めていっていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。
  47. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて島聡君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子君。
  48. 中川智子

    中川(智)分科員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  私はきょう、携帯電話のことで質問をさせていただきたいと思うんです。四年前の阪神・淡路大震災のときには、まだまだ携帯電話というのがそれほど普及しておりませんで、私はたまたま買って半年ぐらいでしたか、とても役に立った。緊急時にこれほど本当に力になってくれた機械というのはなかったのじゃないかと思うぐらい役に立ちました。  ほとんど電話が不通で、いろいろな人に無事だよ、生きているよという連絡をするのを携帯電話でやりまして、あのときに忘れられない風景は、公衆電話の後ろで何十人もの人たちが寒い中電話を待っていた。むしろ公衆電話の方がかかりにくくて、携帯電話がかかったということで、物すごい役目を果たしたのですが、その後急速に、やはりこの四年間に驚くほど携帯電話というのが普及いたしました。  そのように役に立ちながら、一方では、いわゆる内部障害を持つ方、ペースメーカーを持つ方たちが、病院の中では、ペースメーカーとかさまざまな手術の器具に電波が影響を及ぼすということで、病院の中で携帯電話をかけている人というのはもうほとんど見られないぐらい徹底していますが、一歩外に出ますと野方図に携帯電話を使っている。  自分が使っているときは余りいらいらしないのですけれども、人が使っているときにいらいらするというのはどうしてかと思いましたら、ある新聞記事によりますと、相手の声が聞こえない。会話ですと、目の前の人が話す、答えることも耳に入るので、ああ、こういうふうな話をしているんだなということでそれを楽しむこともできるけれども、携帯電話の場合は、向こうの返事というのはしゃべっているその本人にしかつながらないから、いわゆる不快感というのが何倍にも倍増するらしいのです。  そういうふうな迷惑と、もう一方では、内部障害の方たちのある意味では命の危険を感じるほどの恐怖感というのを、私たち、そのような内部障害を持っていない人間にとっては人ごとなんだということをよく思うのですけれども、満員電車なんかですと逃げられないわけですよね。そうしたら、気分が悪くなったりとかということがそのような方たちから言われていますし、その後倒れたとか、そういうことがあります。  昨年末に、野田郵政大臣に、その障害者の方たちと一緒に、電車内ですとかさまざまな公共施設の場で携帯電話を使うことの自粛なり禁止なり、そのような施策を講じてくれないかということで申し入れをしたところ、すごく前向きのお返事をいただいて、皆さん喜んで帰られたのですが、その折に、運輸省なんかとも相談して対策を検討したいというお返事ですとか前向きの回答に対して、その後どのように検討がなされているかということをまず最初に質問したいと思います。
  49. 天野定功

    ○天野政府委員 先生指摘のように、昨年末、先生から大臣の方に申し入れがございましたので、私どもといたしましては、早速、電気通信事業者協会に対しまして、各電気通信事業者を通じて、満員電車など混雑した場所における携帯電話の電源を切るように、携帯電話の使用者に一層周知徹底を図るように要請したところでございます。  さらに、このような携帯電話の取り扱いのPRも盛り込みました電磁環境改善に向けた周知、啓発のためのパンフレットを三月までに作成すべく今取り運んでおりまして、これは、私どもの各地方電気通信監理局などを通じて広く頒布したいと思っております。  社団法人電気通信事業者協会では、以前にもこのような周知はリーフレット等でやっておりましたが、この際にすべての携帯電話の使用者に対しまして取り扱いの徹底を図るよう、協会の加盟の事業者及び製造業者に対して徹底方の取り運びをしております。  また、運輸省に対しましても、これは一昨年の三月に不要電波問題対策協議会が作成しました携帯電話等の使用に関する指針につきまして、鉄道、バスなど公共交通機関等で周知されるよう再度要請したところでございます。
  50. 中川智子

    中川(智)分科員 今の局長からのお話で、そのようにやってくださっているのかということは実によくわかったのですけれども、具体的には、こういうところに何か張るとか、あと、今電車の中では、御迷惑にならないようにお願いしますと言う程度ですね。あと、新幹線なんかだと、御経験が皆さんおありだと思いますが、デッキの方でとおっしゃいますけれども、出る人と出ない人の割合というのは、出る人が七割ぐらいでしょうか、印象では。出なくて、もう我が物顔に座席で座ってしゃべっていらして、何か仕事の中身とか緊迫度とかもうどんどん伝わってきて目が覚めてしまうとか、新幹線ではゆっくりしたいなんて思ったりしておるのですけれども、そのように、割と甘いというふうに思うのですね。  周知徹底という部分でより一層具体的に、今のお話では、買ったときに、ラベルを張るとか、それともリーフレットか何かですよね。できれば、健康のために吸い過ぎに注意しましょう、私なんかたばこは好きなんですけれども、あれは無視することにして、やはり無視する人はしてしまうという状態があると思うのですね。そんなときに、より一層の徹底というのが急務だと思います。  これはなかなか表ざたになっていませんが、やはり注意する人はいるんですよね、人に迷惑だから。その人が殴られたり、私の部屋の秘書さんのだんなさんは、注意したら胸ぐらをつかまれて駅に引きずり出されたというようなこともございます。いつそのような注意が具体的な暴力事件になるとも限りません。  ですから、もうちょっと具体的に、文書で、今のこのような形で周知徹底を図る、それに対する取り組みを教えていただきたいと思うのですが、宿題としてよろしくお願いします。それに対して、また、内部障害の方ですとか一般市民の声が一つに集められていけばいいと思うし、できればファクスなんかで、今の携帯電話の、皆さんが思っている国民の声、市民の声を集められたらいかがか、そのように思いますが、大臣、いかがでしょう。
  51. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今の先生の、シールを張ったらどうかとかそういう宿題をいただきましたので、前向きに検討させていただきたいと思います。  ただ、やはり基本は何といってもマナーなんじゃないか。携帯電話、PHSというのは、今三人に一人は日本では利用されているという数字が出ております。その周知徹底をきちんとやっていくことも、私たちは事業者の方にそういう製品に対してお願いはできるけれども、今先生おっしゃったように、無視することもできるわけで、やはり皆全体で利用者が考えていくような仕組みづくりも、これは郵政省だけではなく、すべてにわたって検討していただきたいなと思います。  ちなみに、病院においての携帯電話の利用というのはほとんどなくなったというのは、やはりかなり病院を初めとする周知徹底がきちんと行き届いたというあかしではないか、そういうことを期待して、私たちもできる限りのことはやってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  52. 中川智子

    中川(智)分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。  やはり、今規制緩和で、頭から縛りをかけてそのようにしていくというのは私も反対なのですけれども、マナーというものが今かなり問題になっているわけですね。ですから、マナーより一歩踏み込んだところである程度の縛りをかけていかないと、これはますますひどい状況になるというふうに思っておりますので、ぜひともよろしくお願いします。  ペースメーカーを装着していらっしゃる方に伺いますと、最近、カッターシャツなのか、中のシャツですかね、下着か何かに、いわゆる電磁波とかそのようなものが行かない、心臓の器具に届かないようなシャツを売っているそうで、一着二万円ぐらいするそうなんですね。その二万円のものを買って身を守っていらっしゃる方もいるんですけれども、やはり一着二万円というのはとても高いし、洗濯したらその後の機能がどうなるかということなんかも、業者さんの言っていることをまるきり信じることもできずということで、やはり現場では随分お困りになっているようなんです。  ですから、ペースメーカー装着者の方たちへの身体的な影響というのをもっと科学的に調査をしまして、具体的にこういうふうに危険があるということならば、その科学的なデータを前提に、公共機関での取り締まりですとか、それを一層強化することもできると思いますので、医学的にそのようなことを調べていくというお考えはおありでしょうか。局長で結構ですが、お願いします。
  53. 天野定功

    ○天野政府委員 携帯電話のペースメーカーへの影響につきましては、これまで、携帯電話端末等の使用に関する指針を作成することとしまして、平成七年度から八年度にかけまして、先ほど申しました不要電波問題対策協議会におきまして厚生省など関係機関の協力を得まして実証実験を実施いたしました。郵政省では、この実験結果を広く利用していただくために報告書も公表いたしております。  今後は、このようなデータを活用していただきまして、今先生指摘のような防護服につきましてはより安価で電波遮へい効果の高いものを開発していただくとか、あるいはペースメーカー自身の防護機能をより高める必要があろうかと思っております。そういったものが開発されることを期待しますとともに、現在統一的な方法が定まっていません電波遮へい効果の評価方法の開発やその標準化につきましても、関係省庁とさらに連携を深めながら検討してまいりたいと思っております。
  54. 中川智子

    中川(智)分科員 より安価なというふうにおっしゃいましたが、その二万円という額はどのように思われますか。
  55. 天野定功

    ○天野政府委員 先生指摘している防護服というのは、私も現実に見たことはないので写真でしか承知しておりませんが、カッターシャツとかアンダーウエア、そういった通常市販されているものの価格から見ると、私ども相当高いという認識でおります。
  56. 中川智子

    中川(智)分科員 より安価というのはどれぐらいが適当だと思われますか。
  57. 天野定功

    ○天野政府委員 具体的に幾らぐらいというのはちょっと申し上げにくいんでございますが、やはり一般庶民がそういった本来の使用目的に買える程度の価格だろうと思います。しかし、これはやはり特殊な機能を持っているものですから、通常の今申し上げたカッターシャツあるいはアンダーウエアと比較しまして同じ水準というわけにはまいりませんけれども、やはり常識的に入手しやすい価格ということですが、これは今後具体的な意見などを広く聞いてみないと、一概に、個人差もあろうと思いますので、ちょっとここで具体的な数字を申し上げるのは控えさせていただきます。
  58. 中川智子

    中川(智)分科員 やはり心臓病でそのようなペースメーカーをつけられる方というのは、医療費とかその他のことでもさまざま御負担がございます。その上、いわゆる携帯電話が今のようにある意味では野放しになっている状態の中で、みずからの身を守るためにまたそういう高いシャツを買わなければいけないというのは、とてもお気の毒だし、また理不尽なことではないかと思っております。  ですから、これもいろいろな方と話をしたらいろいろアイデアがあったんですが、結局、電車なんかでも携帯電話使用バツと。この間私も新幹線でちょっとお昼御飯を食べるときに相席をお願いしますというので座ったんですけれども、目の前に二人いらして、それで私が一人で、私はハンバーグを食べていたんですけれども、いきなりその一人の人に電話がかかってきて大声で目の前でしゃべり出すんですよね。全く意に介さないということで、本当に不愉快だったんです。  ところが、その横の同僚みたいな方が、携帯電話バツって、新幹線の食堂では。そういうのが置いてあるんですね。それをぴゅっと持ちましてそのしゃべっている、上司だと思うんですが、しばらく考えていたからきっと勇気が要ったんでしょうね、でも見ていられなかったんだと思いますよ。ですから、喫茶店なんかも最近ありますが、携帯電話の写真があって、上に赤くバッテンしているんですが、それをその人の目の前にぱっと出したら、あっと気がついてデッキに行かれたんです。でも、きっと、私としゃべっている人と真向かいでやっていたら、私がそれを持ってぱっとやったら、何かぱしっなんて言われそうなちょっと怖そうな人だったんですけれども。  そういうふうにきっちりと電車の外のところに、ここの車両はペースメーカーをつけている人は安心して乗れるとか、やはりもう少し公共機関とか公共施設に対しての周知徹底というのは、先ほどの最初のお答えでは少し甘いかなと思うんですけれども、いわゆるマナーに任せるという、大臣、そのマナーから踏み込む御発言をお願いします。
  59. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生の御指摘の問題、ペースメーカーを利用されている方々をきちっと守るためのやり方というのは、先ほど局長お話がありましたように、既に数年前から、私も政務次官をやっていた折からこのことは逓信委員会でも随分議論されたことがございまして、郵政省としては、いろいろと研究、実験なんかをして科学的なデータを公表しているので、そういう患者さんのためにつくる防護服とか、またはそのペースメーカー自身を改善するのに必要なデータというのはどんどん惜しみなく公表させていただいているので、御利用いただくことが技術としては第一点。  マナーに関しましては、施設管理者、例えば電車とかそういういろいろな公共施設で混雑すると考えられる場所の管理者につきましては、今先生がおっしゃったように、もう少しはっきりとした明示をしてくれてもいいんじゃないか。アナウンスというのは、一過性というか聞いて流れてしまうけれども、表示がきちっと出ていればなかなか意識が高まるんじゃないか。そういうことで、今先生から御指摘があったような表示のことにつきましても、私の方から再度また施設管理者の皆様方にも要請していきたいと思います。
  60. 中川智子

    中川(智)分科員 ありがとうございました。  きょうは携帯電話のことだけしか質問通告をしていなかったんですが、先ほどの島さんの質問をちょっと聞いていて、インターネットでやはり人権侵害、これは委員会なんかで議論になったかもしれませんけれども、人権侵害がかなり深刻な状態になっております。  例えば、被差別部落の方々の地図をインターネットで流して、そして就職差別、結婚差別、新たな人権侵害が今とても深刻で、私もお正月に荊冠旗開きにさまざまなところに参りましたけれども、人権侵害がインターネットで野放しになっているという状態に対しての御見解と、そして今後の取り組みというところでの大臣のお答えを伺って最後の質問にいたします。
  61. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 日本でもインターネットが大変爆発的な普及と言われていまして、現在十人に一人ぐらいが国で利用しているという計算になっています。そんな中で、インターネットを利用したホームページも莫大なページ数になってきていることは事実です。  本来ならば、いろいろな関心事項、星が好きだったら星を検索することによって世界じゅうの星のデータが集められる、そういう目的とか、または先ほどの話にあったようにインターネットを通じてショッピングをしていただくとか、なかなか忙しくて買い物をできない人がインターネットのオンラインサービスを使っていろいろチケットを予約したりとか、洋服を買っていただくとか本を取り寄せていただく、そういうことに利用していただけるのが一番最適なんでしょうが、そうはいっても、やはり利用者それぞれのお考えがあって、さまざまな自己主張のホームページがあることも事実です。  ただ、今のような人権侵害に関しまして、被害を受けられた方が扱っている事業者に申し出ていただければ、今ガイドラインがございまして事業者が削除することはもう当然可能になっておりますので、被害を受けた方は申し出ていただきたいと思います。もっと悪質なものであれば警察で逮捕されていますように、当然、犯罪であるということが認定されればそういうことはきちっと逮捕されるというふうになっておりますので、そういうこともお気づきになりましたら、どんどんホームページなんかを主催している事業者の方にお願いしたい。  くどいようですけれども、やはりこれからの情報通信の高度化で、携帯電話にせよインターネットにせよ、大変便利な情報通信の道具ができてきます。ただ、利用者がそれをどう有効的に使うかというのは、郵政省も取り組んでまいりますけれども、これはやはり教育の問題、地域の問題、さまざまな問題を含んでいるので、国会内でも大きく議論していただきたい、そういうことを願っているところでございます。
  62. 中川智子

    中川(智)分科員 今の携帯電話もインターネットもそうですが、余りに便利になり過ぎて、それをある程度チェックしていかなければいけない。そのことによって大きく人権を傷つけられたり、また、それを利用したことによって人間に対する悲しい状況が新たに生み出されるということに対しては、議論と同時に対策を前向きにとっていただきたいと心から思います。どうかよろしく、御活躍を祈念しております。  ありがとうございました。九分時間が延びているそうですので、ここは一生懸命協力いたしました。失礼いたします。
  63. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて中川智子君の質疑は終了いたしました。  次に、平野博文君。
  64. 平野博文

    平野分科員 民主党の平野でございます。  短い時間でございますので、多くを質問したいと思っておりますが、特にデジタル放送、いわゆるデジタル技術について少し御質問してまいりたいと思います。  また冒頭、郵政大臣にこういう質問のできる機会ができたことは、私自身、心から喜んでいるところでございます。  まず最初に、私も民間企業に勤めておった時期がございまして、友人からお聞きいたしますと、郵政大臣はよく現場に出向かれて状況を把握されている、こういうことでございますし、これからの二十一世紀というのはまさに転換期にありまして、そういう中で、社会的インフラという意味では、高度情報社会というのは必然的にそういう社会になってくるわけでございます。  そういう中で、大臣、次官、お忙しい中、合間を縫っていろいろなところに、そういうお立場で民間企業等々を御視察されているわけでございますし、つい最近も私が昔いた職場に御視察をいただいたわけでございます。私、ちょうど門真の建物に、十何年研究所にいたものですから、非常に私自身個人的にも感動しているわけでございまして、今あの技術を見られて大臣はどういうふうに、御感想があれば答えていただきたいと思います。
  65. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 郵政大臣に就任して以来、郵政省としては、情報通信の高度化にどれだけ御支援、応援できるかということがかぎだと言われてまいりました。  ただ、高度化された情報通信技術というのは、私も素人で、文書で書かれてもなかなかわかりづらい、データとかそういう専門用語を言われてもわかりづらいものがあるけれども、大切なのは、それが国民一人一人、そういうことに関心のない国民が手に入れて初めて便利さとか豊かさを感じることが大事だということで、そのできたもの、成果物を自分で確認することが大事なんじゃないかという方針で、民間の、先生が御在籍された企業にもお邪魔をさせていただきまして、その研究者の皆様方が、国民のこれからの将来の幸せのためにと一生懸命努力して研究開発された成果物、テレビの受像機とか、それで何が起きるかというのを拝見させていただきました。百聞は一見にしかずというのが、まさに情報通信高度化の中で私が申し上げていることでございます。  それで、拝見させていただきまして、先生に申し上げるまでもないんですけれども、日本は家電が非常にすぐれていると思います。私もアメリカに住んでいたことがあるんですけれども、日本ほどこんなに便利な家電製品があるという国は余りないんじゃないか。それで、今現在取り組んでおられることが、情報通信という付加価値をつけた、いわゆる情報家電という呼び方がいいかどうかわかりませんが、その一つにデジタルテレビなんかがあると思います。  私たちも努力しているけれども、今まさに民間企業の研究開発チームの皆様方がなし遂げていただいていることについては心から敬意を表するとともに、これが一日も早く現実のものになって、一人でも多くの国民の皆さんの手元に行き、喜んでもらいたいなというのが今の私の率直な感想です。
  66. 平野博文

    平野分科員 政治家たるものはやはり現場を見てあらなければならない、このことを先頭に立ってやっていただいておりますから、本当にその点については心から敬意を表する次第でございます。  さて、デジタル放送ということでありますが、その根幹をなすものというのはやはりデジタル技術であります。今の日本の放送技術、テレビジョン放送というのはいろいろな意味の変遷を経てきているわけでありますが、私が生まれたときにはまだテレビがなかったわけでありますし、モノクロからカラー化に移っていく、あるいはハイビジョン化になっていく、こういうことで、いわゆるアナログ技術から進展をしてきておりまして、日本はまだやはりアナログでございます。  これからの高度情報化という中にあっては、利便性、いろいろな部分を含めましても、デジタル化に向かうことは技術屋の立場ということよりも、多くの方がそういうふうに思っているわけでありますが、デジタル技術が導入されて高度情報化社会に入ってどうなるかということが、非常に国民自身がわかっていないのではないか。  そういう意味で、大臣地域なり、あるいは国民の声を聞くために現場に出向かれるということは非常に大事でございますが、その所轄の郵政省も少なくとも大きな転換点に立つわけであります。テクノロジー的にも変わるし、この社会のインフラも変わっていくわけでありますから、そういう意味では、国民の皆さんの理解、あるいは啓蒙活動を含めてやっていかなければだめだと私は思っているんですね。そういう視点で、なぜ今デジタル放送を進めていかなければならないのか。大臣も今言われたわけでありますが、世界の国々と比較をいたしますと、相当日本はおくれているわけであります。特に、アメリカでは既に地上波においてでもやっている、衛星ではもう相当早くから本格稼働している。ヨーロッパにおいてももう既に実働化している。にもかかわらず、日本はまだできていない。  けさ私、きょう質問するものですから、昔の友人に、日本はデジタル技術はおくれているのか、こういうことで電話を入れました。そうしたらファクスが来まして、決しておくれていないと。では、どこが悪いんだ、なぜおくれているんだと。これは行政ですよと。  これは友人ですから、私、個人的に生で伝えているだけでありまして、決してその人は、政治が嫌いだとか官庁に偏見を持っている、こういう立場ではありませんが、そういう視点で見ますと、なぜ日本はこういうふうにおくれているのか、ここを少し郵政省としては、どういう理由でおくれているのか、このことについてお聞きをしたいと思います。
  67. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、今日のデジタル放送化についての御指摘があったわけでございますが、原因を分析しますと、多岐にわたろうかと思いますけれども……(平野分科員「端的に」と呼ぶ)今までそれぞれ諸先輩、関係業界の方、一生懸命やってきたと思います。  おととしになりますけれども、二〇〇〇年を目標にデジタル化、諸制度を整備しようじゃないかということで、一つの方向をもとに我々も諸制度の整備等を進めてまいりました。今はむしろ、なぜおくれたかというよりも、いかにそのおくれを取り戻すかという精神で対処してまいりたいと存じます。
  68. 平野博文

    平野分科員 決意も大事でありますが、おくれた理由を聞いておるわけでございます。まあそれは現実おくれているんですから、そのことを聞いたってしようがない部分もありますが。  私が仄聞するには、アメリカとの比較においてでありますが、アメリカの国というのは非常に広くて、日本は非常に狭い。今、日本のアナログの電波でやっても十分に、国民から見るとデジタルに変える必要はないんだ、すぐ近所に行けばビデオ屋がある。したがって、アメリカは非常に広い国土の中で、近所にビデオ屋がない、そういう意味では非常に大変だ、こういう視点と、やはり大統領自身あるいは政府自身が強い意思のもとに決して、強力に推進してきた。このことがより先行しているんではないか、このように思うんですね。  日本も、デジタル技術をやっている人はデジタルだ、デジタルだと言っているわけですよ。ところが、そのデジタル技術が将来高度情報化社会の中に導入されていったときに、こういう社会になっていきますよ、いわゆるグランドデザインが十分に示されていない。一部分で、起こり得ます、コンピューターを使えば双方向に変わっていきますよ、こういうことは個別には出ているんですが、トータル、日本の社会、我々住んでいる立場で言いますと、住んでいる住民は、このシステムをインフラとして整備されればこういうふうに利便性が高まってまいりますよ、こういうところの全体像が示されていないんではないか、このように思うんですね。  したがって、いろいろやっていかなきゃならないということで一生懸命やっていただいていると思うんですが、やはり国民にもっと強力に、デジタル化をすれば、あるいは高度情報社会というのはこういうふうに社会構造が変わっていきますよ、このことを示す責任が行政にある、また政治家にもあると思うんです。おくれはおくれでもうどうしようもないわけですから、そういう視点での国民に理解を得る。  アナログで別に不自由していないよ、こういう答えがまだ大半だと僕は思います、その関連におられる人は早くしなきゃならないと言っておりますが。したがって、やはり大臣を含めて、こういう社会にしていかなきゃならない、そのための基本テクノロジーはやはりデジタル化だ、こういうことをより強力にお示しをいただきたいな、このように今思っているわけであります。  そういう視点で、今デジタル化を進めていく、こういうプロセスを考えてみますと、やはり方式決定を早くしなければ、幾ら絵にかいた部分であっても進まない。こういうことで、今郵政省自身、どういう方式でいこうとしておるのか、あるいはどういう時期でこの決定がされるのか、まずこういうことの目途を聞きたいと思うんです。
  69. 品川萬里

    品川政府委員 全般的におくれておりながらも、やるべき準備は進めておるつもりでございまして、今先生指摘放送方式につきましては、いわば理論値のレベル、パラメーターは既に固まっております。しかし、この電波の世界というのは、実際に出してみてどうかということが不可欠のことでございますので、ただいまいろいろな実験を進めているところでございまして、その実験値を得て、最終的に、理論値レベルだけでなくて実証的に見ても大丈夫だという方式をこの秋までには固めたいというふうに思っております。
  70. 平野博文

    平野分科員 これはもっと早くやっていくべきだと僕は思います。  今局長の方から説明がありましたが、進めにくいのは、私、もっとうがった見方をすれば、今までの放送行政のあり方でいきますと、利害が絡んでおって方式というのがなかなか決めにくいのか、こういうところはあるんですか。
  71. 品川萬里

    品川政府委員 確かに、メーカーのお立場放送事業者のお立場、それぞれ長い研究の歴史がございますので、それぞれのお立場で研究されてきた方式が一番いいという御自信と見識をお持ちでございます。  したがいまして、そういった議論で、確かに先生の御指摘のような側面はございますけれども、今はそれぞれの、いわば我が社の利益ということではなしに、あくまで視聴者本位に、それから全体のデジタル化をいかに進めたらいいのか。その方式が決まるプロセスもできるだけ、どの方式がどういう論点で長所、短所があるのかということを広く比較考量可能な形で、やはりオープンな形での審議を願っておるところでございます。  今、そういう意味で大変議論が錯綜しておりますのは、データ放送の方式についてでございます。これも、いわゆるMPEG方式とHTMLの方式をどうするか。この分野は大変技術革新が激しいものですから、早く決めなければならないけれども、先見性のある方式を決めなければいかぬ。相矛盾する課題をいかに調和させるかということで、関係者方々、一生懸命努力していただいております。しかし、その努力の視点というのは、あくまで視聴者にとっていかにいいか、それから、全体のデジタル方式への移行をいかに円滑ならしめるか、この二つを大事なポイントとして御審議いただいているし、我々もそのような方向で対処したいと考えております。
  72. 平野博文

    平野分科員 まさにそのとおりだと思いますが、要は、おくれることは全体をおくらせることになりますので、今局長が言われた視点で、やはりできるだけ早く方式決定というのは決めてもらいたい、このように思うところであります。  さて、そういう中で次の問題として起こってくるのは、地上放送デジタル化していく、こういう視点に立ちますと、チャンネルプランの問題というのが非常に重要な問題になってきます。  今あるチャンネル帯域を見ましても、相当VHFの帯域からU帯に向けて使っているわけですね。デジタル放送の帯域を使おうとしたときに、既存のアナログの帯域をどこかへ移さなきゃならない、こういう問題が発生すると思うんですね。私の想像でございますが、一番放送局数の帯域の少ないところを何とか移動させようではないか、一応私も元技術屋ですから、多分、一番薄いところをどこかの帯域に移して、そこにデジタル化の帯域をはめようとしておられると思うんですね。これはよく出ているわけであります。  特に、U帯の領域でもしこのことをしていこうと思いますと、特にローカル局になるかわかりませんが、その帯域を使用しておる世帯というのは、やはり相当世帯数があると思うんです。その世帯数の方に対するコストというのが相当かかってくると思うんです。私、大体一千万世帯と想定しますと一千億円ぐらいかかる、こういうことを言っていますが、今ある帯域をもし、アナログのUHFの帯域から移行させたときに、移行するコストというのは今大体どれぐらい想像されておりますか。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  73. 品川萬里

    品川政府委員 先生指摘のように、デジタル放送の波を確保するためには、これまで全国津々浦々、放送視聴可能なように放送用に使える波は全部使っておるものでございますから、どうしてもいわゆる周波数調整をせざるを得ない状況にございます。それによってデジタルの波を生み出すわけでございますけれども、今、私どもが本当のたたき台のたたき台ということでデジタル放送の波を、ある案を前提にいたしますと、その周波数調整を要する地域に所在する世帯数が約一千万弱、それに要するコスト、これはプリセットを変更するとかアンテナを変更するということが考えられるものですから、これはほとんど人件費なんでございますけれども、五百億円から一千億円、十年間でなるんではないかという一つの試算値を持っております。  しかしこれは、個々の集合住宅がどのぐらい今後ふえるか、あるいはCATVなり共聴施設がどのぐらいふえるかということで大きく変わってくるものでございます。それから、チャンネルプランそのものの組み方でこれもまた変わってくるものでございますので、全体最適を目指しつつ、いかに合理的なチャンネルプランをつくり、また、チャンネル調整のために要するコストを、いろいろな法的な面、経済的な面を考えながら作業をどう合理的に結末をつけていくかというふうに今考えておるところでございます。
  74. 平野博文

    平野分科員 今局長が言われましたが、大体どの帯域を使うかによって世帯数が変わってくるということでありますが、これはやはり国策で進めていく、こういうことからしますと、この発生する費用をだれが分担をするのか、負担をするのか、この点については今どう考えておられますか。
  75. 品川萬里

    品川政府委員 いずれにしても一定の作業をしなければならないわけです、当然コストは発生するわけでございますけれども。基本的には、これもやはり視聴者が本当にいい放送が見られるようにということでございますから、デジタル放送を円滑に進めつつ、かつアナログ放送の視聴の保護も図るという大変難しい命題を抱えておるわけでございます。しかし、その命題もやはり、視聴者ができるだけ戸惑いの少ない形でいく、一体放送はどうなるんだということのないように、経済的にもそういうことのないような方向で考えていくべきものと考えております。  したがいまして、今先生おっしゃったように、高度情報推進本部の決定におきましても、デジタル放送というものの意義は国として推進していくべきだという位置づけがされておりますので、しからば国としてどのような体制でどのような措置を講じていくべきか、いろいろな側面から検討してまいりたいと存じております。
  76. 平野博文

    平野分科員 今非常に答弁が難しいことだろうと思うんですが、国の施策として新しい社会のインフラを移行していくわけですから、やはり国の責任において、国のコストで私はやっていくべきだと考えていますが、いかがですか。
  77. 品川萬里

    品川政府委員 国の責任としてやっていくにしましても、いずれにしましても、国の予算ということになれば、当然国民皆様の御納得の得られる形というものが必要だと思います。なるほどこれならば確かにデジタル放送推進のためには国を挙げてやらなければならない、国としてもいろいろな支援措置が必要であろう、それからそのためのいろいろな予算措置等、あるいは税制とかいろいろな手だてがございますけれども、なるほどと最終的に国民皆様の納得の得られる合理的な案をこれから検討してまいりたいと存じております。
  78. 平野博文

    平野分科員 いろいろ議論のあるところですから、余りそこに対して突っ込むことはやめておきますが、私の意見としては、やはり国の施策として、国のコストで、国のコストということは国民のコストでやっていく、こういうことで、より理解が得られるような仕組みにコスト負担に対してやってもらいたい、このように要望をしておきたいと思います。  さて、アナログからデジタル放送へ移行していく中で、切りかえというのが当然発生するわけですね。当然、併用放送をしていくのか、あるいはもうある程度デジタル放送が普及してくればぶちっと切ってしまうのか、こういう意味では暫定期間というのを当然置かなければ、それを享受している国民の皆さん方を含めて大変な影響が出てくると思うんですね。そういう意味では、今、移行期間、併用期間というんでしょうか、アナログとデジタルとを併用してやるというこの期間は大体どれぐらいを考えておられますか。
  79. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  最終的には、今後法制を御審議いただく中でいろいろ御指導賜るところでございまして、私ども今確定的に申し上げるのはいかがかと存じますが、私どもが今まで有識者あるいは関係方面の方々の意見を総合いたしますと、例えばいろいろな、これは送り手と視聴者の受像機選択のサイクル、そしてまたメーカーさんがこれにうまく同期していくか、いわば三者の歩調が合っていくことが大事でございます。そうした観点からいろいろ考えてみますと、デジタル放送が始まって約十年間、二〇〇〇年に始まったといたしますと、二〇一〇年ぐらいがいわゆるサイマル放送を終わらせる時期として適当ではないか。  これは一にかかって、受像機がいかに普及しているか、その前提としていかにすばらしいデジタル放送が流されているかということがございますけれども、少なくとも、受像機の買いかえのサイクルを見ますと、十年で大体八割以上は買いかえされているということでございます。それから、企画庁の耐久消費財の利用年数を見ましても、大体十年弱というようなところでございますので、いろいろ考えますと、総合しますと二〇一〇年というのが今の時点では一つの妥当な目安ではないかなというふうに私ども受けとめております。
  80. 平野博文

    平野分科員 十年ということでありますが、欧米では大体この移行にどのぐらいかかっておりましたか。
  81. 品川萬里

    品川政府委員 いろいろなケースがございます。例えばアメリカの場合は二〇〇六年というふうにしておりますけれども、ただこれも、今申し上げましたように、例えば受像機がどの程度普及しているのかということをかんがみながら、その実情に合わせながらサイマル放送の終期を考えていくというような方式をとっております。  したがいまして、何年かということよりも、いかにデジタル受像機の普及が円滑であるか、それから、実情に合った、あくまで視聴者の利益という観点から、合理的な放送事業の経営の観点から、いかに合理的なサイマル放送の終期の設定の仕方をするか。その辺が、早いにこしたことはありませんけれども、あわせて、設定の仕方、現実対応の仕方というのがもう一つの重要なポイントではないかというふうに考えております。     〔村田(吉)主査代理退席、主査着席〕
  82. 平野博文

    平野分科員 一番大事なところは、日本はおくれている、日本の国というのはやはり、こういうデジタル技術あるいはデジタル放送あるいはインフラのネットを含めて、テクノロジーの立国であるわけですから、今のままいきますと、アメリカとかヨーロッパに負けてしまうんじゃないか。やはり国を挙げてこの社会あるいはインフラを整備していくために、私は、郵政省がどうだとか通産省がどうだとかそういう部分ではなくて、これからの高度情報化時代にあっては、本来国が情報通信省的な発信機能をやはりつくっていくべきだというふうに個人的に実は思っております。  そういう中の一つとしてこのデジタルというのがこれから大きな根幹になっていくわけでありますから、何とぞ、局長局長のエリアだけを見ずに、もっと大きな立場で、やはり他省庁とも連携をいただきまして、高度情報化といういい面と、これは必ず影の部分が絶対出てまいります、その影の部分も、政治がそこに光を当ててでも、その影をかばい合いながら進めていかなければならない問題だと思っています。まだ余り影の部分というのは表に出ていませんから、やはり日の当たるところでしかこれは出てきませんが、トータル的には究極は情報化社会に入っていくわけでありますから、何とぞそういう視点でできるだけ早く進めてもらいたい、このように願うところであります。  いま一つは、そういう中で、視聴者の視点と、それを担ってもらっていますローカル局を含めて放送業者の問題もあるわけでございますし、これはやはり、地方の局、キー局は別にいたしまして、ローカル局にしてみたら死活にかかわる問題であります。そういう意味でいきますと、やはり国の強力な支援策が必要だと思っておりますし、逆に、今の電波法でいきますと、七十一条ですか、この二項でいきますと補償していく、こういうような法律もあるわけでありますが、ローカル局に対してやはり積極的な支援策を講じてあげることが、より全体的な推進に拍車がかかる、こう思っておりますので、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。  時間が参りましたが、最後に大臣に。  私は、やはりグランドデザインを描いていく、あるいは大臣が、アナログからデジタル放送の画面に、国民に向かってより広報的役割を担ってもらう、こういうことをより積極的に進めていってもらわなきゃならないと思いますから、最後に野田郵政大臣の、その思いを含めた御意見があれば、決意でも結構ですよ、御意見をお聞きをして質問を終えたいと思います。
  83. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 きょうは、先生には随分郵政省を激励いただきまして、心から感謝申し上げます。  私は、大臣になりまして、既にもうデジタル化は決まっておりましたけれども、とにかく今おっしゃったような形で、いささかおくれているものの、これから関係の皆さん方の御協力をいただいて一生懸命進めていこうということで取り組んでいます。  グランドデザインの話がございました。情報通信の高度化は何かというと、一部の、技術を持っている人とか、そういう産業にメリットがあるのではなくて、今までの情報通信によって不便を感じていた、例えば地方の人たちとか、地方と都会の格差、または勤めに出ている人と出ていない人、家にいる人と外に出ている人の情報の格差、さらには障害を持っていらっしゃる方とか、お年寄りが若い人に比べて情報がなかなか入らない、そういう今までの情報通信のハンディキャップを持っていた人たちにとっての利便性、豊かさというのがここで表現されていかなければいけないと思っています。  その中にあって、情報通信の道具としては、もう既に通信とかパソコンというのはデジタル化されていて、そして今まさに地上波を含めた放送デジタル化されることによって、その融合によってさらなるいろいろな恩恵というか、広がりが出てくるんではないか、そういうことで、しっかりと先生お話を承りながら、おくれている分を取り戻すべく頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  84. 平野博文

    平野分科員 ありがとうございました。終わります。
  85. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  86. 自見庄三郎

    ○自見主査 次に、運輸省所管について昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北沢清功君。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  87. 北沢清功

    北沢分科員 社会民主党の北沢でございますが、きょうは、尊敬する川崎運輸大臣が御出席をいただいたことを非常にうれしく思っております。  私は、昨日の国鉄債務の問題で、JRの皆さんが負担に御協力をいただいたということは、私ども進める立場から見て非常にありがたいことであるというふうに思っております。常々感じていることなんですが、戦前からの国有鉄道の果たした役割というのは、全国津々浦々に国民の皆さんの足を確保するということで、ひところは政治路線もあるというようなことで非難もされたけれども、大きな面では、大変な投資であり、また大きな役割を果たしたんではないかと私は思っています。  戦後、満鉄の職員も含めて取り組んできたわけですが、いわゆる時代の流れの中で技術革新というものが進みまして、そのことは一つの合理化となって、いわゆる民間ということになりまして、JRが今現実的には進めているわけです。ですから、やはりJRそのものは、その経営の中で積極的に活躍をされておるわけで、その実績を私は評価をしております。しかし、これから申し上げる質問の中で、やはり国民的な、時代的な要求というものと採算ベースだけを中心としたようなJRの行き方というものが果たして妥当であるかということになると、やはり運輸省の果たす役割というものが非常に私は今後も大きいということをまず前段で申し上げたいと思います。  二十一世紀は本格的な高齢化社会が到来をいたしますし、また地球環境の問題への対応が大きな課題になっております。今日のような車社会では、高齢者は交通弱者とならざるを得ない。そのことは私も身近な問題として地方で感じております。  また、地球温暖化対策が大きな国際化問題となっておりますように、エネルギー問題、環境問題が今以上に深刻化をすることは、私は必至であるというふうに感じております。特に、車、今日の交通部門の二酸化炭素の排出量は約二〇%を占めるというふうに言われておりまして、そのことも証明できるわけでありますが、都市空間の効率的な利用であるとかエネルギー問題への対応、それから大都市交通の渋滞や事故防止、地球の環境などすべての面で今後公共交通機関の重要性は非常に高まってくるんではないか。  昨今よく、市電をもう一度復活したらどうかというようなことも聞こえてくるわけでございますが、二十一世紀の交通対策について、大臣はどのような構想を持っておられるか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  88. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 まず最初に、北沢委員に昨年特別委員会で国鉄の長期債務についていろいろ御議論を賜りました。最終、社民党さんと自由党さんによります修正案が出され、衆参で可決を見たところでございます。その結果に基づいてJR七社が、いろいろな経緯はございましたけれども、法律としてでき上がったものに対して支払いという形で受け入れてくれた。委員の御協力にも心から感謝申し上げておきたいというように思います。  今後、JRの株の売却、また特に三島、貨物につきましては上場という問題も残されておりますので、努力をしてまいりたいと思っております。  今のお尋ねでございますけれども、私ども、二十一世紀社会を見たときに、環境問題と国際化、この二つが大きな課題ではないかなと思っております。国際化に対応するためには、やはり中部、関空それから成田、拠点空港の整備を急いでまいりたい。同時に、環境問題に対応していくために、やはり鉄道というものの利用、それから船、海運の利用というものをより一層進めていかなければならないだろう、こういう立場でいろいろなことを進めさせていただいております。  実は、東京、大阪圏の方々は、大都市網に集中投資をせい、また地方の方々は、いや、新幹線、港湾というものをしっかりつくっていかなきゃならぬ、いつもこういう議論をいただいております。その中で、国土の均衡のとれた発展と大都市圏に対する集中投資、ある意味では納税者に対する投資、こういうものをどう整合性をとっていくかというのが交通政策の中で一番基本だろうと思っております。  私自身は就任直後から、都市の投資というものが約六割、地方に対する投資四割、就任直後五七ぐらいでありましたけれども、昨年の補正とことしの予算で六割程度を大都市圏に集中させていただいて、交通網整備をさせていただいております。しかしながら、同時に、均衡のとれた発展、それから地域の将来に対する夢というものにやはり合わせていかなければならぬということで、新幹線網とかそういったものに取り組ませていただいているところでございます。  また、委員からいろいろな角度から御助言を賜れればありがたいと思っております。
  89. 北沢清功

    北沢分科員 私が申し上げたことは、日本の交通政策としてやはり根本から改めて強く取り上げなければならないことであるというふうに思いまして、大臣にはそういう面でひとつ大いに頑張っていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。  地方の公共交通の衰退が地域住民に与える影響は、私ははかり知れないと思います。高齢者それから障害者、低所得者、子供など、マイカーを持てない人や使えない人の足がなくなっておる。地域間交流の崩壊も招いていることにもなるわけでありますが、こういう意味からしても、公共性の強い交通手段というのは、単なる採算性ばかりではなくて、社会的役割を考慮して、国としても過疎地域の生活路線、それから能率の向上などは都市とは違った意味で重要性がより高まっているというふうに考えますが、この点についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  90. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 生活路線をどう守っていくか、ことしの国会、来年の国会運輸省としては、規制緩和というのを大きく取り上げながら法案の御審議をいただくことになってまいります。  当然、規制緩和によって大都市部はよりいろいろなサービスが提供され、光の部分が出てくるんだろう。一方で、企業にとりまして、不採算部門への投資というものが当然減少してくるだろう。影という部分が生まれてくる。その影の部分、生活路線維持という部分について、運輸省としてやはりしっかりとしたスタンスを持っていかなきゃならないだろう、こう思っております。  今、私自身、急がせておりますのは、例えば離島航路もしくは離島航空路、こういうものを保つためには幾らのお金が必要なのか、それに対して国としてどれだけの財政措置ができ、地方自治体としてどのぐらいのものができるか、ここはしっかり考えていかなきゃならぬだろう。バスについても、来年、乗り合いバスにつきまして御審議をいただくわけでありますけれども、バス全体としてどう取り扱っていくべきか、生活路線を守るためにどのぐらいのお金がかかるか、この辺をはっきりさせながら国会での御審議をいただきたい、こういうふうに思っております。  ただ、私ども考えておりますのは、企業の社会的責任というものがございます。例えば、トヨタ自動車、松下電器、日本全国の方々に物を届ける、これは採算が合わなくても、企業というものは力を持っているときは全部それをなし遂げるわけでありますけれども、やはり企業の力がなくなってきたときに、この社会的責任ということだけで全部やりなさいよとかぶせていくのは無理な時代になってきておるのかな。そういう意味では、私どもと地方自治体の責任というのは極めて大きな時代になっておるだろう、こういう認識をいたしております。
  91. 北沢清功

    北沢分科員 過疎地における交通手段がなくなるということは、地方の自治体や地域の住民の皆さんの積極的な協力なしにはできないし、また、物事というのは弱くなればどんどんと加速度的に悪循環が出てくるという意味で、私は、これは過疎地域ばかりではなくて、公共交通の中で、例えばマイカーに一人で乗って毎日通っている皆さんが多いわけですが、これはやはり日本の、もうエネルギー資源というのは、石油も寿命があるわけです。それから、環境問題も出てきているわけですから、そういう形を努めて公共的な手段で、国家的な効率という面を考えるときに、そういう悪循環ではなくて、そこへどういうふうに導いてくるかという誘導政策が非常に大事だろう。  私は三十年ぐらい前に県会議員をやっていまして、全国議長会の派遣でヨーロッパをずっと回ったことがございます。私はソビエトで一つ感心したことは、当時、地下鉄が非常に発達をしていたところです。地下鉄の中はもちろん宮殿のようでしたが、とにかく安いことと地下鉄網が都市の隅々まであるということで、いわゆる自家用車を持たなくても——持つことの方が高いコストになる。安くて時間が早くて便利である、そういう原則、それに基づいた幼稚園だとか、または老人ホームも一緒にしてしまう。駅の近くに移るとか、学校とかそういう配置を都市計画の中で整備されているのですね。これを我々はまねできるわけじゃないわけですが、少なくともそういう誘導性というもの、安くてその方がいいという原則をやはりつくっていかないと、いつまでたっても口だけで終わったりはしないかということでありますから、そういう意味で、私は、先ほどから申し上げるように、抜本的な対応が必要である。  例えば、財源も乏しいわけでありますから、日本は車社会でありますから、もう隅々まで、大体農村まで実は道路ができていますね。そういう中で、やはり道路の特定財源であるガスとか石油だとかそういうものを振り向けることも私は大きな意味で日本の公共交通手段をいかに、先ほど私の言うような、理想像に近づけるという意味で問い直されるときがなければならないし、そのことをしなければ、今のような財源の乏しい中では、たとえJRの皆さんが苦労されても大変なことだろう、私はそう思います。その意味での運輸省対応というものについては、積極的にひとつ根本的な対応をもう一度また議会にも呼びかけたり、議会の我々も協力をして積み上げていかなきゃいけないという責任を感じておることを申し上げておきたいと思います。  それで、地元の問題ですが、実は昨日、予算の説明が運輸大臣からございました。その中に、整備新幹線の問題もあれですが、主要な鉄道の問題として幹線鉄道の高速化ということが実は大きく出されております。鉄道における課題もいろいろあるわけです。私どもも、長野県の松本の在なんですが、おかげさまで冬季オリンピックもありまして、長野までは新幹線ができましたし、またそのことで今まで陸の孤島だと言われている長野県全体が、今までは三時間以上かかったのが一時間と二十分ぐらいで長野へ行けるようになりました。これは長野県にとってはありがたいことですが、やはり松本方面というのも、これも北アルプスを控えて非常に観光的に将来的にも未来性があるし、また、白馬等を持っておりますからスポーツだとか休養地としての存在感が非常にこれから高まってくるんです。  そういう中で、今回幹線鉄道の高速化ということが主要な事項として取り上げられたわけでありますが、鉄道というものそのものも、私は先ほど過疎の問題を取り上げたけれども、一方においてはやはり都市だとか利便性というものも交通の大きな役割の一つであるというふうに考えております。そういう意味で、高速化が私どもの方では地域で非常に盛り上がっておりまして、山梨、それから沿線の八王子における都内の議員の皆さんとともにひとつこのことを考えていこうという、野沢先生と私と二人で実は考えて、近く議員の期成同盟会をつくりたい。地元はもう既につくって運動に入っていますが、そのように考えております。  高速化に向けてのこれまでの経過と見通しについてお尋ねをしたいし、また八王子—松本間について、もう対策はないのかどうか、技術的な面を含めてお尋ねをいたしたいと思います。
  92. 小幡政人

    ○小幡政府委員 中央線の高速化についてお答え申し上げます。  御案内のように、塩嶺ルートの開通あるいは曲線改良等の施設改良を行うことによりまして、平成六年には最高速度百三十キロの新型車両を導入したことによりまして、五十七年当時に比べまして、例えば新宿—松本間で所要時間三時間三十八分だったものを二時間二十八分、つまり一時間十分ばかり短縮するというような大幅な短縮を実現したという経緯がございます。  今後の見通しにつきましては、中央線の高速化を図ることについては、JR東日本によりますと、特に新宿—高尾間のダイヤが非常に込んでおるということがございまして、さらにその高速化を図るためには同区間の輸送力をまず増強しなければならないという課題があるということでございます。  なお、中央線の三鷹—立川間の複々線化事業につきましては、現在複線でございます三鷹—立川間を連続立体交差化するとともに、新たな線増部分を同区間の地下などに建設するというものでございます。平成六年に都市計画決定いたしまして、平成七年に鉄道施設変更認可を受けまして、本年の三月より連続立体交差事業に着手する予定と聞いております。工事につきましては、当面は連続立体交差化を進めまして、平成十五年度の完成を予定しているということでございます。その後、需要動向、財源確保等を見きわめた上で線増工事を進めるというふうに聞いております。
  93. 北沢清功

    北沢分科員 確かに三時間から、今速いのは大体二時間二十分ぐらいですが、通常ですと二時間四十分、二時間半ということになると思いますが、これをぜひ二時間切りたいということでやっています。  今御答弁がございましたように、八王子—新宿間が非常に、三十分以上かかりまして、ここら辺は、ただ単なる中央線の問題もさることながら、やはり八王子から通勤する皆さんというのは大変な人数に上るわけですね。そういう意味で、これは都市問題にも大きな役割を果たしているから積極的にやろうということだろうと思います。ここら辺は国、運輸省の助成を強めていただいて、ぜひJR東に積極的な対応を、一年でも早くできるように根本的な解決をお願いしたい、そう思って心の底からお願いを申し上げたいと思います。  その他、野沢先生から聞いた話なんですが、岡谷と諏訪間のあれ、高架にしてありましたよね。そこは複線化できるんだけれども、今単線でいるんですが、複線化でつくってあるらしいんですが、その複線化によっても相当、十分ぐらい短縮できるじゃないかということもお聞きしておるし、山梨における線形を改良するとか、または機関車の改良をするとかを含めて、そういう面でのスピードアップというものに、ぜひ技術陣も挙げてひとつ今後追求していただくように取り組んでいただきたいということを要請いたしたいと思います。  それから、もう一つ大事なことですが、私も感じていますし、恐らく通勤の皆さんも感じているんですが、この間の事故等において非常におくれが多いということが指摘をされています。これは、私一番感じています。こうした対策はどういうふうにされているか。  さきに言われたとおり、公共性の強い交通の手段を安全かつ確実、しかも必要に見合った状況で確保することは、民間会社ばかりではなくて、地方自治体に任せておくのではなくて、国としてきちんとした指導と助成をしていただきたい。これはただ単なるJR東日本に対しての問題ばかりではなくて、そのことは通勤者の皆さんの本当に大きな不安になっておることは事実でありますから、そこら辺の対策、取り組みについてお願いをいたしたいと思います。
  94. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  JR東日本におきましては、各種の安全対策の推進により、運転事故件数につきましては、おかげさまで長期減少傾向を示しております。しかしながら、車両故障などを初めとする運転阻害件数につきましては、高密度運転の影響等もございまして、残念ながら東京圏において増加傾向を示しておるということで、御指摘の中央線におきましても利用者に多大の御迷惑をかけているところでございます。  JR東日本におきましては、安定輸送に向けた対策について、当方からの指導も踏まえまして、車両の取りかえ、改良、地上施設の改良強化、早期復旧、運転再開のための取り組みや利用者などに対する案内情報提供充実等の対策を講じることとしておりまして、逐次実施していただいているところでございます。  申すまでもなく、鉄道においては安全かつ安定的な輸送の確保が基本条件でございます。運輸省といたしましても、JR東日本を引き続き指導してまいりたいと思っております。
  95. 北沢清功

    北沢分科員 ぜひそのことを、これは恐らく何万人、何十万の人の足にかかわることですから、都市問題としても考えていただくことは即中央線にかかわる問題であるという御認識をいただいて、積極的に御指導をお願いいたしたいと思います。  最後ですが、先ほど私は誘導政策の問題を申し上げましたが、川崎運輸大臣委員長であられました地方行政委員会で私ども一緒に実は御指導いただいたわけです。その中で私が取り上げたことは、都市の交通渋滞をどういうふうに直すかという意味で、都市周辺の都市から都心に入る莫大な交通渋滞というものは、いらいら運転になり、または自動車が傷むとかガソリンを吹かすとか、環境問題になるわけです。そうはいってもビルを取り除くわけにいきませんから、拡幅するということは何兆円という大変なお金がかかるわけですから、そういう意味で、近代的なコンピューターの利用によって、信号の連続使用ということに実は取り組んでまいりました。警察庁の皆さんと協力して、特別枠もとりましたりして、非常に感謝をされています。  もっともっと工夫をすれば、やはりそういう意味での交通という問題が現実に今の時点でも考えられるわけでありますから、そういうことを含めて、鉄道においては、都市交通はもちろんのこと、幹線、整備新幹線ができることも望ましいことであるかもしれぬが、ひとつあとの鉄道も忘れないようにお取り組みをいただきたいということを最後に要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  96. 村田吉隆

    ○村田(吉)主査代理 これにて北沢清功君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢成文君。
  97. 松沢成文

    松沢分科員 民主党の松沢成文でございます。  きょうは、まず最初に、運輸政策審議会の首都圏の鉄道網に関する答申について伺いたいと思います。  この答申、前回の答申が出たのが十年近く前だと思います。大体十年に一度ぐらいの割合で見直して新たに出していくというような方向性であると聞いておりますが、もうそういう時期になっております。聞くところによりますと、ことし中には新たな答申が出るのではないかというふうに言われているわけでありますけれども、まず最初の質問は、いつごろ新たな答申が出されるのか、それに向けて今どのような準備状況になっているのか、伺いたいと思います。
  98. 羽生次郎

    ○羽生政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、前回の答申は昭和六十年七月にいただいていまして、おおむね十五年くらいをめどにやっております。そういたしますと、二〇〇〇年が目標年次でございますので、そろそろ目標年次が参ります。その観点から、昨年の十一月末に東京圏の鉄道の整備計画について諮問をさせていただきました。  それで、どういうタイミングで答申をいただくかということでございますが、従来、一年半か二年程度、答申をいただくのにかかっていたわけでございますけれども、本件の重要性にかんがみまして、諮問からおおむね一年で答申をいただければと考えております。
  99. 松沢成文

    松沢分科員 その中で、ちょっとローカルな話になりますが、私の地元の川崎、横浜北部の路線について、今どんなような状況かお伺いしたいんです。東京に住んだ方なら御承知のとおり、首都圏の鉄道網というのは、東京にみんな集まってくるというか、放射線状に東京から出ているんですね。ただ、その周りを移動するときの環状線という鉄道網が非常に弱くて、一回東京に入ってからまた出なくちゃいけないというような不便さがあるわけなんです。  横浜からの市営地下鉄というのが東急線のあざみ野まで来るんですけれども、それを新百合ヶ丘の方まで延伸してほしいというのが地元の十年来の切実な要望なんですが、この路線ができると、東京の一つの環状線、横浜から見れば放射線の軸が抜けるわけで、この地域には港北ニュータウン、そして多摩ニュータウンという、計画人口十万、二十万という大きなベッドタウンもどんどんつくられているわけで、こういう横の移動を可能にするためには、この部分を抜ければ大変に便利になる。  これは地元のエゴだけじゃなくて、首都圏全体の鉄道網を見てみても、この部分を抜くときちっと放射線に対する環状線が整備できるという部分だと思うんですが、この路線、前回要望があったと思うんですけれども、答申には漏れてしまったんですね、川崎の方からは答申の中で路線が入っているんですが。今回出る答申の中に私はぜひともこの路線を入れていただきたいというふうに思っているんですが、当然そこには地元自治体の理解というか、地元自治体からも声が上がってこなければできないと思うんですが、この路線について今どういう状況なのか、お伺いしたいと思います。
  100. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど運政局長からお話しございましたように、運輸政策審議会に諮問させていただいているところでございます。この審議会の審議の中で、横浜三号線の新百合ヶ丘への延伸につきましては、神奈川県を初めとする地元自治体より整備の要請をお聞きしたところでございます。  同線の整備につきましては、今後、当審議会の中で御審議をいただくということでございまして、その中で本ルートにつきましても検討していただくということになろうかと思っております。
  101. 松沢成文

    松沢分科員 神奈川県等からも要請は来ているということなんですが、実は横浜市長がことし一月に、市内鉄道網充実のために整備する路線として、あざみ野から新百合ヶ丘までの延伸約七キロを具体的にやりたいという方針を固めているんですね。この場合に、横浜市営地下鉄の延伸という形で川崎市の新百合ヶ丘まで入るわけで、川崎と横浜がどういう調整をとるか、また、やるとしたらどういう事業主体でやるか、大変難しいことになると思うんですけれども、具体的に運輸省の方に横浜市、そして川崎市から、この路線をやりたいんだけれども、どうだろうかという打診が来ているのかが第一点の質問です。  そして、神奈川県や両市からそういう要請も受けた上で、運輸省として、この路線は首都圏の道路網をきちっと整備する上で大変重要な路線と位置づけているのかどうか。  この二点、お伺いしたいと思います。
  102. 小幡政人

    ○小幡政府委員 地方公共団体からの要請で、神奈川県を代表例として申し上げましたけれども、横浜市、川崎市からも具体の要望をいただいております。  なお、そういう計画そのものをどういうふうに運輸政策審議会として整備計画上位置づけていくかという議論でございますので、まだ、その具体の中身の詰めまでは我々も当然行っておりません。  それから、我々としても、実はこういう全般的な、首都圏全体についての議論をさせていただいているところでございます。一つの検討ルートであるというふうには理解しておりますけれども、まだその評価については今後の話でございますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
  103. 松沢成文

    松沢分科員 横浜、川崎からも神奈川県と同様に要望が上がっているということでありまして、地域の強い要望であるということで、今後の検討課題ということでありますが、地元の代議士としてこの問題にずっと取り組んできておりますけれども、神奈川県、東京都を見渡した広域鉄道網の中でも大変重要な路線だと。また、地域の発展は、ある意味で利用者の利便性も含めて大変に向上するわけでありまして、私の方からも、今後運政審の中で最終的な議論になると思いますが、運輸省の方でも、そういう方向で次の答申にはぜひともきちっと明記をいただきたいということをまず要望させていただきます。  さて、それに続きましてもう一点、神奈川県の方で問題になっているのが、羽田空港へのアクセスの問題であります。  羽田空港へのアクセスは、前回の答申で、東部方面線といいまして、相鉄線の二俣川あたりから川崎を抜けて羽田空港に通ずる鉄道をつくるべきだと。これは、羽田空港がどんどん航空需要が大きくなって利用者がふえてきて、特に神奈川県から羽田空港へのアクセスというのが非常に悪いんですね。これは電車を使うと、今までは一度浜松町まで行ってからモノレールで行くしかなくなり、一度東京までぐんと入ってから、また川崎のすぐそばにある羽田空港まで戻るということだったんですが、今回京急の蒲田からの乗り入れができて、蒲田から行けますから大分便利になったんですが、神奈川県としては、県都横浜、川崎を抜けて羽田空港へという路線を強く要望しておったと思うんです。  この路線については前回の運政審に載っていますが、その後具体的に川崎、横浜と、どういう形でつくっていくべきなのか、運輸省としては少し動いてきたのか、その辺の経過をお伺いしたいと思います。
  104. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  お話しのように、昭和六十年の運輸政策審議会の答申の際におきましては、神奈川東部方面線の整備が位置づけられたわけですが、その整備につきましては、残念ながら残された課題であるというふうに認識しております。現時点におきましては、事業主体等の課題がございまして、その事業化方策については、残念ながら見通しは立っておりません。  また、同線の羽田方面への延伸につきましては、ルート、財源、需要、採算性等基本的な事項につきまして、まず地元において検討をしていただきたいというふうに考えておるところであります。  いずれにしましても、先ほど申し上げました運輸政策審議会の中での議論でございまして、同線につきましても神奈川県、それから横浜市、川崎市等から強い要望をいただいておるところでございます。同線の整備につきましても、先ほどの審議会の審議の中で御検討いただきたいと思っておるところであります。
  105. 松沢成文

    松沢分科員 羽田空港へのアクセス、私はもっと充実をさせていきたいと羽田空港を利用するたびに思っている一人であります。  今回、ようやく、つい先日ですけれども、京急の蒲田駅から乗り入れが可能になった。また、これが成田空港の方から直接電車で、この路線を通じて羽田までつながった。大変喜ばしいことだと思うんですが、今まではモノレールしかなかったんですね。羽田空港の利用者が、京急の乗り入れでどれぐらいモノレールから、こちらも利用するようになってきて、逆に言えばモノレールの方が少しすいたわけですよね。その辺の乗降客の変化等々は、運輸省の方では分析されているんでしょうか。
  106. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  京浜急行と東京モノレールから報告を受けましたところ、羽田空港駅を利用した乗降人員でございますが、京浜急行が一日平均約三万二千人でございます。東京モノレールは七万七千人ということでございますが、東京モノレールに関しますと、対前年同期比で見ますと二二%減少した結果ということでございます。
  107. 松沢成文

    松沢分科員 大分モノレールがすいてきたということなんです。  ちょっとこれは大臣にお伺いしたいんですけれども大臣、多分羽田空港に行く場合は車で行かれちゃう場合が多いと思うんです、国会議員は大体そうだと思うんです。最近、モノレールに乗ったことあるでしょうか。それで、特に朝の時間帯、夕方の時間帯、これは物すごいラッシュなんですね。  どうしてかというと、まず、浜松町から羽田、ただ羽田が今度沖合展開になって、さらに遠くなって、私は三十分はかかるんじゃないかと思うんですが、その間、ラッシュの電車のような形で揺られていくわけなんです。空港を利用する人は大きな荷物を持っている方が多いんですね。荷物を置くところもありますが、荷物を置くところのスペースをモノレールはとっちゃっているんで、ますます人が乗れなくて込んじゃっているという状況で、私は、日本の玄関である、日本の玄関というか日本の空港のまさしく中心にある羽田空港に行くのに、これだけの時間、これだけの込んだモノレールにすし詰めにして行くようなアクセスじゃ、ちょっと問題あるなと思っているんです。  大臣、このモノレール、もうできて三十年ぐらいたつんでしょうか、かなり老朽化していますし、そして、モノレールといって一つのレールの上を走らせるわけですから、恐らく車両を十両、二十両にふやせというのも無理だと私は思うんですね、キャパシティーの面でも。このかなり老朽化したモノレールを何らかの形で改善する、つくり直す、あるいは新交通システムを入れるようなことを考えて羽田のアクセスを充実してあげないと、路線が延びた分、途中の事業所のサラリーマン、要するに通う人、空港を使う人じゃない人がたくさん乗ってきて、それで本当に空港を使う人がすし詰めでモノレールに乗って羽田まで行かなきゃいけない、あるいは羽田から帰ってこなきゃいけない、こういう状況なんですね。  大臣、もしラッシュ時に乗られたことがなければ一度乗っていただくことをお勧めしますけれども、その辺の、モノレールができて二、三十年たつと思うんですが、何か新しい改善策等々考えられないものでしょうか。
  108. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 私は、三重県でございますので、例えば北陸に行くとき、在来線で上に上がるよりは、東京まで来ましてそこから飛行機に乗った方が時間的に早いんです、何か推理小説みたいな話ですけれども。そういう意味では、我々は実は東京駅と羽田の間を使うという一種の形態になるわけです。ですから、乗ったことはございます。  実は、私ども心配しましたのは、先生の話と全く逆になってしまうんですけれども、モノレールの採算性が合うだろうか。今二二%と申し上げましたけれども、これからどんどん地下鉄へシフトしていく、これで東京モノレールの経営全体がどうなっていくだろうか、これを少ししっかり見なきゃならぬねと思っております。  一方で、先ほどからの御答弁のように、首都圏全体における鉄道網をどうしようかということで議論を始めました。これは、先生のお考えも入れながらしっかり議論していかなきゃならぬだろうと思っております。ただ、前提として申し上げた東京モノレールの経営を大変心配しておるものですから、もう少し時間をいただきたいと思っております。
  109. 松沢成文

    松沢分科員 モノレールの需要が逆に地下鉄にとられてちょっと経営も心配だとおっしゃっています。それも非常にわかる意見なんですが、そうであれば、羽田空港の需要をもっともっと大きくできる方法があるんですね。  それは、羽田空港が今度沖合展開になりまして、新C滑走路が完成して二十四時間利用が可能になったんですね。二十四時間利用が可能になったけれども、国内空港としての路線の需要はほとんどないんです。二十四時間使えるようになったけれども、利用されている路線はそれこそ両手に足りないぐらいだと私は聞いています。この二十四時間体制になった羽田をもっともっと有効利用する。国内の需要がないわけですから国際線を夜間飛ばすということは十分に可能であるし、私は、日本国のためにもこれはすごく大きなインパクトを持ち得るというふうに思っているんですね。  そこで、羽田空港の夜間を利用した国際化については、もう自民党の東京都連あるいは青島都知事も大変積極的な運動をやっておりまして、私は、羽田空港の今後の位置づけも大きく変わるわけで、これができればさまざまな分野に影響を与えると思うんです。  まず第一に、空港利用者の利便性が上がります。といいますのは、今国際線は成田ということになっていますから、これが夜間国際線を羽田から飛ばすことができれば、私は民間の旅行会社は本当に喜ぶと思います。さまざまなパッケージで、夜間を使って近隣のアジア太平洋路線、こういうところにツアーが組めるわけですね。そういう意味では、旅行者の利便性、旅行業者の需要も大きくなると思うんです。  また、今東京の経済が地盤沈下している。不景気の中で首都東京の工場はどんどん逃げていく、あるいは東京の株式市場上場の外国の会社の数もどんどん減っているという状況の中で、首都東京を世界の先進都市東京に戻すためには、やはりもう一度国際性というのをどうつくっていくかということを考えなきゃいけない。その中で、羽田空港がもし夜間利用できれば、さまざまな需要が東京湾沿岸にできてくる。  すなわち、今私の方の神奈川県では、京浜工業地帯がリストラをしなければいけないという時期なのに、工場三法があるためになかなかリストラができないで困っているわけですね。この京浜工業地帯をリストラクチャー、再活性化させるためには、私は、羽田を国際化することによって、そこで起きてくる貨物の需要なり企業の誘致なり、あるいはそれで入ってくる人々、ホテル、コンベンションセンター、さまざまな需要が起こってきて、東京湾の沿岸が新しい開発が可能になってくると思うんです。  民間の調査会社の試算によると、これによってGNPが相当上がるんじゃないかという試算もありまして、今、景気対策で大量の国債を発行して、どんどん景気対策を進めて経済復興をねらっているわけですが、ことしの予算はそうなっていますが、ほとんど財政的な負担を伴わずに、羽田空港の夜間国際化をすることによって、物すごい経済活性化、景気の向上につながっていく可能性がある、私は大変に有効な手段だというふうに思っています。これはやはり大臣から大局的な御見解をいただきたいと思いますが、羽田空港の夜間の国際線利用、今申し上げましたように、さまざまな波及効果を与えて、私は日本の国にとってもいい方向になると思いますが、大臣は大局的に見ていかがでしょうか。
  110. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 松沢委員を初め、東京、神奈川の国会議員の方々からそうした意見が強く出されていることは十分承知をいたしております。また一方で、千葉県の選出の方々からは全く逆の意見が提案されていることも御承知だと思います。  今、運輸省立場として、実は非常に微妙な時期にございます。二〇〇一年の三月三十一日までに成田の平行滑走路をどうしても仕上げたい、こういう目標を持ってやってまいりました。今からもう二年ちょうどの時期になってきました。今、林政務次官を先頭にしまして毎日努力を積み重ねている時期でございます。そういった意味では、今千葉県挙げて成田の問題にお取り組みいただいている時期でございますので、成田の国際線、そして羽田の国内線対応、こういうことについては、今私の立場としては変えることはできないという御答弁しかできない、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  111. 松沢成文

    松沢分科員 国際都市東京が世界の経済の一大中心地として今後の国際的な経済競争の中で生き抜いていくには、私は、やはり首都圏に複数のハブ空港をきちっと整備できなければ国際経済競争に勝てないというすごい大きな危惧を持っているんです。といいますのは、今アジア経済、どこも、日本も含めて調子がよくないわけですが、それぞれ、韓国も新しい空港をつくりますし、あるいは中国も上海に物すごい、四千メートル、五千メートルの滑走路を四、五本持つような空港を計画しておりますし、香港でも今度新しい空港ができました。あるいはシンガポールのチャンギやマレーシアでもそうした計画があるようであります。ハブ空港というのは、国際線がおりたり出たりして、そこからの乗りかえで近隣の国際線あるいは国内にも便利に出られる、だから自転車の主軸のハブと言うんですね。  今東京の航空体制の最大の問題は、確かに、大臣おっしゃいますように、成田は国際拠点空港で羽田は国内拠点空港、このすみ分けをしているんですね。ただ、利用者にとっては物すごく不便です、この空港が二つ遠く離れていること。これはバスで行くとしても、交通渋滞したら二時間、三時間かかっちゃうと思うんですね。リニアモーターカーでもあって一瞬にして行ければ、地理的に離れていても機能は一つということを言えると思いますが、結局、東京におり立っても、そこから国内線に乗りかえるといっても、下手したら一日かかっちゃう、一泊泊まらなければいけない。東京のホテルは恐らく世界一高いでしょう。非常に不便なんです。そうであれば、これからひょっとしたら、一回韓国におりてそこから九州に行った方が便利じゃないか、こんなことで、東京パッシングが起きてしまう可能性も私はあるというふうに思っているんです。  確かに、今成田の滑走路の問題、大変な最後の交渉をされていて、御苦労されているのはわかりますけれども、私は、成田と羽田の、国際線の中でもすみ分けは十分可能だと思っています。やはり羽田は一番利便性のいいところにありますから、羽田を再国際空港化しちゃうと成田がまた廃れちゃうんじゃないかというのが千葉県の議員さんなんかに多く聞かれる意見なんですね。  ただ、絶対そうはなりません。私は、羽田はやはり夜間を利用した国際空港でいいと思いますし、そうであれば、近隣のアジア太平洋路線なんかが一番便利に路線が組めるわけですね。そして、成田の滑走路は五千メーター級であります。羽田の滑走路は三千メーター、四千メーターですから、ジャンボジェットも、やはり北米路線、欧州路線というのは重いですから、これは長い滑走路を利用しなきゃいけない。やはり成田が中心でいいわけです。それで、夜間の近くの路線を、短い滑走路でもジャンボジェットが飛べるやはり近くの路線にすみ分けが十分できると思うんですね。  私は、そんな観点から考えて、今、成田、羽田の体制でいろいろ難しい交渉をやっているから、とにかく今は言えないんだ、もう少し検討が必要なんだというのはわかりますが、この状況を続けていたら日本は世界の経済競争の中でどんどんおくれをとっていくという大きな危惧を持っていまして、そういう観点から、大臣はいかが首都圏の航空体制をお考えか、お聞きしたいと思います。
  112. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 今お話しになりましたように、松沢委員、すべて御承知の上で御質問になられていると思います。それですから、私どもは、二〇〇一年三月三十一日という、日を区切らせていただいて成田問題に取り組んでおる。どうぞその点は御理解をいただきたい。  一方で、拠点空港の問題をいろいろ進める中で、やはり地元住民にとってどうなんだという立場は常にあると思うんです。この東京という、世界にそれこそ例のない、東京だけの人口をとれば少ないかもしれませんけれども、都市圏全体となるとこれは大変な人口を抱えている地域でございます。その住民の理解というものがやはり一番大事なことなんだろう。そういう意味では、今は私ども千葉県側の理解というものを置きながら、また委員の御主張はよくわかります、前から聞かせていただいておりますので。しかしながら、今は二〇〇一年目指して全力を挙げておるところでございますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。     〔村田(吉)主査代理退席、主査着席〕
  113. 松沢成文

    松沢分科員 二〇〇一年目指して全力を挙げて、いい成果をぜひともつくっていただいて、その後はやはり国際都市東京にふさわしい新しい首都圏の航空体制ということにぜひとも運輸省でも前向きに取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。  最後の質問ですけれども、今私が申し上げましたように、今の成田、羽田体制の、ある意味で非常に離れている二つの空港の欠点を補う意味で、私は、この二つの空港の間の移動をできるだけ短時間に便利で、利用者にとっては便利な方法を模索するというのは大変重要だと思うんですね。そこで、何か今、鉄道が、レールがようやくつながったので、いろいろな路線を経由しながら、成田と羽田の間、一回電車に乗ると羽田まで着くような形ができたと聞きます。それがどんな形でできて、今一日何本ぐらい通っていて、それで、利用者がどれぐらいで、あるいは所要時間がどれぐらいなのか、その辺をまずお聞きしたいということ。  それで、もし成田、羽田体制をかなりの将来続けるという選択しかないのであるとすれば、私は、これこそ都市型の公共事業として、この両方の空港の間を結ぶ、鉄道がいいのかあるいはコミューター航空みたいな小さな飛行機で飛ばすのがいいかわかりませんが、何らかの新しい交通システムを考えて、成田におり立ったらもう一時間後にはあるいは一時間半後には羽田からほかの都市に飛び立てるという乗りかえ、これを最大限便利に追求していくことが大事だと思いますが、この二点についていかがお考えでしょうか。
  114. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生指摘のとおり、成田と羽田の間の鉄道連絡につきましては、昨年十一月に、京浜急行の空港線羽田空港駅の開業に伴いまして、両空港間の直通特急の運行が始まったところでございます。  それで、ダイヤ等でございますが、最速の特急で、両空港間百二分になりました。これは、従来より二十分から三十分程度所要時間が短縮されたところでございます。また、これまで最低二回必要とされておりました乗りかえも必要がない、そのまま座って行けるということで、大幅に向上されたところでございます。  具体的に本数でございますが、直通特急の運転時間帯、十時から四時ごろまでございますが、直通特急といたしまして、往復八本ございます。それからさらに、直通ではございませんが、接続しております特急がございまして、これは最速で百十一分かかっておりますが、この特急が、平日で九本、休日で十二本運行されておるところでございます。  それから、将来のこのアクセスをさらにどう改善していくかということでございますが、現在、空港利用者の利便の一層の向上ということを目的にいたしまして、アクセス交通に関する総合的な調査を実施いたしておるところでございます。その中で、将来的な需要動向を見ながら、両空港間の鉄道アクセスの改善に向けての検討をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 松沢成文

    松沢分科員 では、本当に最後に一点、神奈川県でありますから、以前から実は首都圏の航空需要、特に神奈川県方面からの航空需要を賄うというか分散するという意味で、首都圏第三空港の実現というのを横浜の経済界あるいは市民団体挙げて行ってきたという経緯があるんですが、やはり大変、厚木基地の航空管制等々で難しい部分があったり、あるいはどこにつくるのか難しい部分があるということで、今運輸省としては、長い将来で見るとそういう可能性も追求しなきゃいけないけれども、短中期的な見方でいくと、やはり首都圏の航空体制というのは羽田と成田でやっていく、第三空港は相当な検討を要する、すぐの実現に向けての事業化というのは無理だ、こういう把握でよろしいんでしょうか。
  116. 岩村敬

    ○岩村政府委員 平成八年の十二月の航空審議会の答申、それから九年の十二月の第七次の空港整備計画、この中にこのことが記されておるわけでございます。現在の羽田空港さらには成田空港、この二つの需要というのが、今計画しております整備が終わっても、また早晩需要が供給力を上回るだろうという予測を立てておりまして、そのときに向けて、海上を中心とした新たな拠点空港を建設することを前提にして、事業着手を目指し、関係地方公共団体と連携しつつ、総合的な調査検討を進める、そういうことが計画に盛られているわけでございます。具体的には、今年度も予算案の中に計上しておりますが、一億円の調査費を計上しておるところでございます。
  117. 松沢成文

    松沢分科員 以上であります。どうもありがとうございました。
  118. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて松沢成文君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  119. 自見庄三郎

    ○自見主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。藤田スミ君。
  120. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、バリアフリー化の問題について質問をしたいと思います。  質問の前に、私はちょっと大臣に聞いていただきたいんですが、今ベストセラーになっております「五体不満足」、早稲田大学の学生で乙武洋匡さんとおっしゃるこの人は、先天性四肢切断という障害、つまり手も足もほとんどない、そういう体で立派に早稲田まで進学されて、そして今こういう著書を出されて、大変すばらしい本の中身であります。私、随分励まされながら読みましたが、中でもこの人はこういうことを言っています。  僕は日ごろから、環境さえ整っていれば僕のような体の不自由な障害者は障害者でなくなると考えている。例えば、駅にはエレベーターもついていない、バスやタクシーも車いすのままでは利用できないという状況では、移動が不可能または困難になる。そのとき、確かに僕は障害者だ。障害者を生み出しているのは、紛れもなく環境の不備なのだ。  どうも涙もろいので困るんですが、そういうことを言っていらっしゃるわけです。私も、これまでずっと障害者やお年寄りに利用しやすい駅の改善をということを求め続けてきましたけれども、今回この乙武さんの本に出会って、はじかれるようにここに立っているわけであります。  運輸省は昨年、優しい駅づくりということで第三次補正を組みまして、五十億円の予算と、補助率も一割から三分の一と大きくふやし、エレベーターやエスカレーターの整備を促進されるということになりました。この駅のバリアフリー化補助事業を活用して、この二月の五日までに申請された数は九十四駅、整備費合計百八十一億円のうち五十三億円を国が補助するというふうに聞いています。もちろん、これは精査をしなければ、多少の変動が出てきますので確定していませんが、いずれにしても、運輸省は、九四年から高齢者や障害者のための新施設整備ガイドライン、そしてそういう策定とともに補助金も制度化されてきました。  この補助金の制度を活用してエレベーター、エスカレーターの整備をされているのが、これまで年平均十二、三駅、こういう状態でありましたが、今回補正で通常一億の予算を五十億にふやされたこと、それから補助率が引き上げられたことによってこの施設整備を大きく前進させたということは明らかでありますが、この点についてどう見ていらっしゃるか、まずお伺いをしたいと思います。
  121. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 バリアフリーの問題につきましては、まず基本的に企業の社会的責任という側面があると思います。そういった意味で、私ども民鉄等を指導してまいったところでありますけれども、一方で、経営が極めて厳しい、必ずしも営業収益というものにつながることではございません、今申し上げたように社会的責任の方だろうと思います。しかしながら、それだけを両者が言い合っていては進まぬという中で、今御指摘いただきましたように、私どもも財政的な措置を広げます、地方自治体にも協力を求めます、その中で、民鉄またJRの方々、どうぞ前向きな努力をしてほしい、そして、一つの目標も指針として出させていただいたところでございます。  おかげさまで、今回の予算につきましては、民鉄の方々も私どもの趣旨に賛同していただいて要求を出していただいておりますので、鋭意整備をことし進めたい。また、今後も継続して進めていくことが我々の大きな課題であろう、こう思っております。
  122. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私も企業の社会的責任ということは当然のことというふうに考えております。  運輸省は、九一年のエスカレーター整備指針では、既設駅については遅くとも十年間を目標にして整備をする、つまり二〇〇一年を目標にして整備をするというふうに言われてきたわけですが、その目標を今回二〇一〇年というふうに先送りされました。指針に対応する全駅を二〇一〇年で整備する、こういうふうに言っているわけですが、これは、これまでのように年一億の予算ではなかなか進まないので、大臣、今おっしゃったように国の方も思い切って応援をしようという積極的な支援で計画の立て直しをして、今改めた目標を示されていると思いますが、二〇一〇年までに対象駅全駅で指針の設置基数が確保されるということなのか。つまり、現在残っている未設置の駅、あるいはまた設置が不十分な駅も含めて、すべて設置するということなのでしょうか。
  123. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 基本的な認識としまして、私どもが指針で考えたすべての駅にエレベーター、エスカレーターをつけるとしまして、三千億ぐらいの事業費がかかるなと思っております。三分の一の補助でありますから、国としては一千億ぐらいの補助金を必要とするであろう。そして、ことしは五十億プラス、地下鉄は地下鉄の財源の方でやらせていただいておりますので三十二億、合わせて八十二億を今申し上げたバリアフリーのために使わせていただくということになります。  十年でそうすると足りないじゃないかという議論がありますけれども、実は指針で出しているものが一〇〇%やり切れるかということになると、駅の構造上の問題になってきまして、駅自体をやりかえなければならないという問題もありますので、必ずしも一〇〇%ということにはならないだろう、そういう想定の中でこのような数字、約二〇一〇年というのを目標にやりたい、こう思っております。どうぞ御協力のほどお願いしたいと思います。
  124. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 ぜひこの二〇一〇年は達成をしていただき、この補正予算並みの五十億プラス三十二億、こういう予算の姿を継続し、補助率も継続をしていただきたい。もう一度確認意味で、しつこいですが、そうだというふうにお答えをいただきたいと思います。
  125. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 五年後、十年後のことを私がお約束していいのかわかりませんけれども、私としては意欲を持って取り組みたい、こう思っております。
  126. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それでは質問を続けます。  とにかく、高齢化社会を迎えて、バリアフリー化を求める対象者は毎年どんどんふえていくばかりであります。中でも養護学校や身障者施設などに隣接する駅、また、特に高齢者がふえてきているところでそういう要求が高まっている駅、ここでは地域住民も地方自治体も鉄道事業者に対して要望しているわけですが、鉄道事業者の対応は、はっきり言って余り温かいものとは言えないんじゃないか、私の経験ではそういうふうに思っております。  私の住んでおります大阪の堺市でも、JR阪和線堺市駅にエスカレーターの設置を求め、これはもう対象の五千人、高低差五メートル以上をはるかに超えた駅なんですが、自治会連合会や周辺の自治会、老人会、婦人会、PTA、子供会、もう本当にみんながそろって要望書を出しているわけで、堺市の方も理解を示して、積極的に対応しようとしているにもかかわらず、今回、南海電鉄の方からは、堺市に対して、こういうふうにエスカレーターをふやしたいけれどもどうかという接触があったわけですが、JR西日本の方からは、もう何の音さたもないわけであります。  このことは、兵庫の明石の場合は、市長さんと商工会議所と市議会が、JR西明石駅にエレベーターの設置をと要望を出し、奈良では、JR王寺駅も、王寺の町長が、大変重要かつ急務な整備事業だということで切望して働きかけをしているわけですが、JR西日本は、財政的にゆとりがないの一言で片づけられてしまっています。  私は、実際、今回もJR東日本が申請されたのが二十二駅、JR西日本はたったの五駅でありますから、反映されているんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。先日、一般新聞でもこの問題が取り上げられておりましたが、JR東日本の場合は、東京五十キロ圏内の対象駅を平成十三年までに、つまり、もうあと三年ほどでエスカレーターの設置率を八割に引き上げよう、意欲満々だと。しかし一方、JR西日本については、財政的に余裕がないと及び腰で、お寒いJR西日本のバリアフリー、こういう書き方をしています。関西の民間鉄道と比較をしても、その特殊事情では済まされない、この新聞の記事はそういう批判を添えているわけでありますけれども、これでは、国や自治体が幾ら予算や補助率を引き上げて力を入れようと思っても、全体の足を引っ張ってしまうわけでありますから、運輸省として、こういうところへもっと強力な指導をしていっていただかなければならないんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
  127. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  我々の方も、先ほど大臣から申し上げましたように、社会的責務の履行ということで、決して経営的な裏づけあるいはメリットにつながらないということから、各事業者ともなかなか進まなかった、そこに対して、我々の方で、先ほど申し上げましたような三次補正予算の支援措置というふうなものを用意いたしまして、各事業者に取り組みの強化を要請しておるという状況でございます。その中において、第三次補正の中身等において、各社によりましてそれぞれの事情はあろうと思いますけれども、確かにばらつきがあることは事実かと思っております。  我々、これからまた先、二〇一〇年に向けての仕事でございますので、この取り組みについて、西日本のみならず、すべての事業者についてきめ細かい指導をさせていただきたいと思っております。
  128. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 ぜひ御指導をお願いしたい。  エスカレーターの設置の、運輸省のホームページを見ましても、全国対象駅はエスカレーター五四%の整備率、こういうことになっておりますが、JR西日本は二九%、東の方は四四%と、随分格差がある。体力がないのかというと、JR西日本の場合は、例えば経常利益は、JR西日本が発足してから六倍ぐらい伸ばしていまして、内部留保も四千九百億と、大変なあれをため込んでいるわけですから、やはり、そういうところについて本当に、大臣がおっしゃったように、鉄道事業者としての社会的な責任というものを十分わきまえてこれから取り組むように指導をしていただくことをお願いをしておきます。  そこで私は、こうした問題を前進させるために、三つの提案をしたいと思います。  その一つは、鉄道事業者に対して地方自治体や地域の住民から要望が出されているところは、設置する立場で、地元の自治体や府県も含めて、設置推進の協議のテーブルにつくような指導がどうしても求められるのじゃないか。行っても一方通行、やる気があるのかないかもわからないという状態では、地方自治体も段取りのつけようがない。来年は望みがあるなと思うなら思うで、また段取りというものがありますが、毎年行っては、まあ門前払いと言ったら言い過ぎでしょうが、何の返事もなしに、また年が明けてまた行く、こういうのはよろしくないので、やはりそういう協議のテーブルというものをつくるように、ぜひ運輸省がイニシアチブをとっていただきたいなというふうに考えます。  もう一つの問題は、整備指針を見ますと、五千人以上の利用者、高低差五メートル以上、こうなっておりますが、やはり、地域には優先度というものがある。そこが自治体がかんでいく重要なところですが、最初に言いましたように、障害者の利用が非常に多いとか、あるいはまた高齢化が非常に進んでいるとかいったようなところについては、ぜひしかるべくその優先度というものを勘案していただきたい。  この二点、まずお伺いします。
  129. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点目でございますけれども、このバリアフリー対策、先ほど申し上げましたように、事業者の社会的責務というのが基本にございます。それを実施するに当たって、地元の公共団体の御協力を得ながら、あるいは国の指導や支援を得ながらということでございますので、そういう意味での御相談の場というものについては、我々としても、事業者は積極的に対応すべきというふうに考えておりますので、そういう見地から指導を続けたいと思います。  それから、二番目でございますけれども、指針との関係でございますけれども、これは、実は指針の方は、御案内のように五千人、それから五メートルという基準を有してございますが、この趣旨は、やはり全体の整備をいたしますと、相当多額の資金がかかる。その中で整備の重点化を定めていこうということで設けさせていただいておるわけでございます。  その中で、お話のように、利用される方の質の問題については余り触れておりませんけれども、我々実は、整備指針上は五千名以上、五メートル以上の指針でございますけれども、今回の五十億の補助の対象といたしましては、先生おっしゃられるような趣旨から、そういう指針基準に満たない駅についても、需要のある、必要性のある、社会福祉施設が近くにあるとか、そういう個別のお客さんの質に応じまして指導対象にするというようなことで、現に申請いただいているところもございます。  そういうことで、実態に応じたきめ細かい対応をすべきだと思いますので、先生の御趣旨のとおり我々としてもやっているつもりでございます。
  130. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 三つ目の提案をいたします。  それは、既に設置されているスロープですね。これをもっと幅広く、私に言わせたらもっと開放的に、本当にバリアフリーを求めている人たちに利用していただけるようにするべきだというふうに考えるわけです。  私は、幾つかのJR阪和線の駅におりて調べてみました。かつてまだ供用化されていないころ、障害者の車いすが入れるようにスロープをつけてということでお願いしてできたようなところが、今は、桟の入った扉にかぎがかけられております。そして、入り口のところには、ここを利用する人は車いすに限る、ちょっと言葉は正確ではありませんが、そう言わんばかりの言葉が表示されているわけです。そして、ベルを押しまして、駅員さんにお願いして、どこそこへ行くと言ったら、駅員さんが汗を流してたあっと切符を持ってきて、おつりと切符とを渡して初めて、かぎをあけてスロープから車いすが入る、こういう姿になっているのです。  大臣、どこもかしこもそうだとは、スロープですぐできるとは思いませんけれども、私の幾つか調べた中では、明らかに自動券売機を一台ぐらいは置き、それから幅広の車いす用の自動改札機を置けば、そんなややこしいことをしなくても今すぐ利用できる、気軽に利用できるというようなことになっているわけです。  そして、そうなれば車いすの方だけじゃなしに、車いすじゃないけれども松葉づえをついているとか、足の不自由な人、お年寄り、内臓疾患を抱えている人、妊婦、そういう人たちはみんな気楽にこのスロープを使ってどんどん出入りができるわけで、私はこれこそバリアフリーだと本当に思うんですよ。  今すぐエレベーター、エスカレーターをつけろなんて言ったって、いろいろの条件もありましょうし、それから、そんなにぱっとできるわけじゃありませんから。しかし、あれなら置くものを置いたらぱっとできる。そのぱっとできるところをもっと幅広に活用する。健常者が利用する云々かんぬんの問題は、私はこれは国民の良識というんですか、そういうものにゆだねることにして、やはり見かけではよくわからない、階段を上るのに本当に大変な思いをしている人たちもスロープを活用できるように、ひとつ国の方も応援をしてほしいと思います。
  131. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃられるように、エレベーター、エスカレーター、最終的には目標として頑張らせていただきますけれども、その過程において、スロープの有効活用であるとか、いろいろな工夫というものが必要であることはおっしゃられるとおりだと思います。  我々としては、そういうもののきめ細かい措置について、例えば補助対象にするとか、国としてのできる支援をさせていただきたいと思っております。
  132. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 補助対象にするとか、国としての支援というお言葉をいただきましたので、私はそれを率直に、素直に受けとめて、今後期待をしておきたいと思います。  最後になりますが、ベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシートの着用義務化の問題についてであります。  この問題は、乳幼児の自動車乗車中の交通事故の死傷者数が平成八年では九千四百人、大臣、実にこの十年間で一・八倍もふえています。そして、チャイルドシートの着用率というのは、七・九%と本当に低いんです。これは私、ヨーロッパ諸国をずっと回ってきて、欧米に比べても常識の外れた典型だ、そういうふうに思い、委員会でもしばしば求め続けてまいりました。  きょうは警察庁の方からお願いをしておりますが、報道では法案を今国会提出というふうに伝えられておりますけれども、どういうことになっているんでしょうか。
  133. 矢代隆義

    ○矢代説明員 御説明いたします。  いわゆるチャイルドシートの問題でございますが、警察庁といたしましては、春、秋の全国交通安全運動等のさまざまな機会をとらえまして、チャイルドシートの使用の促進を図るための広報啓発活動等を行う一方で、チャイルドシートの使用義務の法制化につきましても、所要の調査研究を行うなど、積極的な検討を行ってまいりました。  近年の自動車乗車中の交通事故による幼児の死傷者数の急増……(藤田(ス)分科員「簡単に」と呼ぶ)はい、失礼しました。それから、最近のこの問題をめぐる世論の盛り上がり等にかんがみますと、法制化の期も熟していると判断いたしまして、警察庁におきまして、チャイルドシートの使用義務の法制化のための道路交通法の一部を改正する法律案を今国会において御審議いただくべく、現在準備を進めているところでございます。
  134. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 大臣、お聞きのような状態であります。  ただ、義務化する場合に必要になることは、義務を求める対象者に対する十分な配慮と支援の問題であります。今回の法規制の場合は、適用の対象者には新たな負担が求められてくるわけでありますが、乳幼児を抱える対象者は圧倒的に若年層で、経済的にも大変困難な家庭が多いわけでありますから、可能な限り経済的負担を軽減できるような対策、そして早く広げていくような対策が求められています。  そのために、安全協会はレンタル化を実施するための取り組みも始めていますし、それからリサイクルの活用というようなこともこれからどんどん活発に起こしていかなければならないと思います。しかし私は、車両の製造者や新車を販売する側が、その設備の安全性に対して確固たる責任を持つこともまた非常に重要な観点ではないか、ここが運輸省とのかかわりの問題で大臣に力をかしてほしいんです。  運輸省の車両の保安基準は、自動車の製造者がシートベルトを取りつけなければならない、こういうふうになっています。シートベルトの着用義務化のときは、既に全車に装備されて、新たな経済的負担はありませんでした。今度のチャイルドシートの義務化に当たっては、まだそういう保安基準にチャイルドシートが取り込まれておりません。  しかし、今はもう安全装備の標準化が一つのトレンドになっているわけでありますから、しかも、一部のメーカーではチャイルドシートの固定機能つきシートベルト、メーカーは言いませんが、国内のメーカーでチャイルドシート固定機能つきシートベルトを採用した車、組み込み式チャイルドシートというふうに言っていますが、そういうタイプの車も販売されるようになっておりますので、ここはひとつ保安基準にしっかり取り込んでいただいて、メーカーにも標準装備を義務づけるように検討をしていただきたい。  もう一つ、時間がありませんから、あわせて大臣に求めますが、メーカー、販売会社に対して、乳幼児も当然乗車することを想定して販売される場合は、必要に応じて無償で貸し付けをするというような措置が、これは残念ながら外車ですが、現に日本の販売店で行われております。だから私は、そういうふうにやはり積極的な対応をしていくように、大臣ひとつ日本のメーカーに働きかけをしていただきたい。  この二つです。保安基準にチャイルドシートを取り込む問題と、それからメーカーへの働きかけ、御答弁をお願いします。
  135. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 今御質問いただいた中で、メーカー等に、例えば無料貸し出しとか、古いものを回収してきて貸し出しをしていけば安く上がるじゃないか、こういうことについては十分働きかけをしてまいりたいと思います。  これは自己責任原則と、しかし、やろうとしても経済的な対価が必要だからできないということをどうやって超えていくかという問題になろうと思います。したがって、一番最初の方の質問の、車にすべてつけてしまえということは、逆の話になるんだろうと思います。  そういった意味では、御提案いただいた中で後者のことを我々積極的に取り組んでまいりたい、こう思います。
  136. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 もうこれで終わりますが、ただ、例えば車で走っていて、親戚の子が来て、あるいは孫が来て、乗せてやろうと思ってもチャイルドシートがないというようなことだとか、あるいはタクシーは今回は義務化の対象外です、しかし、そんなのおかしいというような意見が出てくるなど、若干の矛盾を抱えながらの出発であります。  したがって、そこを何とか工夫して、保安基準への取り込みができないかというようなことはぜひ検討をいただきたい。私は答弁を求めないで、時間でございますので、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  137. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  138. 若松謙維

    若松分科員 若松謙維でございます。  きょうは、運輸省分科会ということですけれども、その前に、地域戦略プラン、これは国土庁が取りまとめをいただいておりまして、平成十一年度から、これは大蔵省主計局からいただいた平成十一年度の関係所管別、事業別というところで、国土等、地域戦略プラン二千億円、皆増というようなものがありまして、この二千億円ですけれども、五カ年で四兆円の地域戦略プランがいよいよスタートという認識をしております。  そこで、一月中に、この説明によりますと、三十万人の規模のいわゆる広域連合、そこで一カ所、ですから、大体日本では四百カ所から骨子が先月出された。それで、いよいよ三月には最終の申請という形になるわけですけれども、今後これをどういうふうに進めていくのか、さらに、現時点での問題点は何なのか、それについてお伺いしたいと思います。  というのも、私の埼玉の地元を見たんですけれども、とりあえずこの骨子の内容が、五年間事業ということで、結局、いわゆる市独自の単独事業、もしくは国庫補助事業で、既存のものばかりなんですね。この戦略プランというのは、まさに空間倍増という趣旨なんでしょうけれども、何か既存のものばかりで、とても地域戦略プランと言えないものじゃないかな、そういう思いもありますので、例えば申請期間の延長とか、三月までという形だけでは、従来の進めているところに対する予算をふやす、何かその程度のものにしかならないんではないかと思うわけですけれども、その点も踏まえて、現時点問題点等をお答えいただきたいと思います。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  139. 齋藤博

    ○齋藤説明員 国土庁でございます。  地域戦略プランにつきましては、今先生の方からお話がございましたとおり、一月二十九日までに市町村から、連携する地域、テーマ及び主な事業等を記載しました骨子を提出していただきまして、原則として三月までに地域戦略プランを提出していただくスケジュールで市町村に策定をお願いしているところでございます。  一月二十九日に、四十七都道府県を通じまして、地域戦略プランにつきまして市町村が現在考えている段階での骨子が、各地域から合計四百七十六提出されております。約四百程度と想定しておりましたけれども、実際、今のところ四百七十六出ているというところでございます。  今後でございますけれども、三月のプランの提出に向けまして、関係省庁及び地方公共団体との連携協力のもとに、今先生指摘になりましたように、地域戦略プランにおきましては、いろいろな政策がトータルプロジェクトとして効率的に組み合わさっておって、地域のゆとり、活力、そういったものを生み出すプランであるということがその目的になっているわけでありますので、そういった目的に沿うものとなるように、また、事業規模も適切な形になるように、取りまとめに努力していきたいと思っております。  また、スケジュールの点でございますけれども地域の要望も踏まえまして、弾力的に取り扱ってまいりたいというふうに考えております。
  140. 若松謙維

    若松分科員 今の御説明なんですけれども、ちょっと私の質問に答えていただいていないようなんです。  この緊急経済対策、平成十年十一月十六日の抜粋ですけれども、この「生活空間倍増戦略プランの策定」というところを読みますと、「このプランの推進に当たっては、都市の住空間、遊空間・田園空間・健康空間、教育・文化空間、高齢者にやさしい空間、安全で環境にやさしい空間、交通・交流空間の拡大など民間投資の誘発や投資の拡大といった経済効果の高い施策に特に配慮し、重点的な予算配分を行う。」ということで、まさに経済効果の高い施設ということに特に配慮することが求められております。  そこで、運輸省、川崎大臣にお聞きしたいんですけれども、現在、埼玉、群馬には空の足がありません。あるのは横田基地だけなんですね。横田基地は米軍基地ですから、当然日本人は使えないということで、埼玉七百万人、群馬三百万人——栃木もいわゆる飛行場がないわけです、あえて言えば隣の福島空港ということです。この一千万人もいる地域でいわゆる民間人が使える飛行場がないということで、こういった人たちが成田とか羽田に行くのに三時間ぐらいかかるんですね。もし埼玉にあればいいのではないかということです。  ちなみに、御参考までに、私も視察してまいりましたけれども、ロンドンのロンドン・シティー・エアポートというのがありまして、当初千メートル強で出発しまして、今千二百メートル、正確に言うと千百九十九メートルのエアポートで、ロンドン・ドックランズという、これが航空写真ですけれども、ここに千二百メートルの飛行場があります。ここから地下鉄でロンドンのシティーまでつながっているということで、実はここでもこうやって、ちょっと見えないと思いますけれども、ジェット機が走っております。では、ここからどういったところへ行っているのかというと、アムステルダムとかベルンとかブリュッセル、ダブリン、デュッセルドルフ、エジンバラ、フランクフルト、ジュネーブ、ミラノ、パリ、ローマと、かなり行っています。  なぜこういうことを言うかというと、今まさに空の時代ですので、ちょっとした既存の空港を改良すれば、即国際線にもなり得る、そういうことがありまして、ぜひ大臣にも知っていただきたいんですけれども、桶川に川島町という、交差していますけれども、そこにホンダエアポートがあります。これは民間の、まさに本田ですね、本田系の飛行場がありまして、今、約八百メートルぐらいなんですけれども、セスナが年間で二万回ぐらい離発着しているんですかね。これは、そのホンダエアポートも利用してくれれば、いわゆるコミューターとしてのエアポートにしてもらいたいという要請もありまして、地元の経済団体等もそういう要請があります。  ですから、特に北関東のいわゆる空の交通という面でここがエアポケットになっていまして、大臣、ぜひこの北関東の空の玄関としてこのホンダエアポートを活用して、地域コミューター空港への拡大を図っていただきたいと思うんですけれども、国としてどんなお考えなのか、お答えいただけますか。
  141. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 拠点空港の整備と地方空港の整備ということであろうと思うんです。  例えば成田の問題、第二滑走路、運輸省の政務次官が先頭に立ちながら、今土地の話、最終段階をしているところでございます。また、羽田の沖合展開問題、これも国が責任を持ちながらやっております。一方で、地方空港整備ということになりますと、今先生が御質問のように、埼玉県、群馬県という地域の特性から、こうしたコミューター空港をつくったらどうだ、こういうお話でございます。  私も十分関心がございますけれども、基本的にはやはり埼玉県がお考えいただかなければならない。地方からの強いニーズというものをお考えいただいた上で、私どもは、そういうものを聞かせていただいて、国として何が援助できるか考えていく。そういう意味では、拠点については国が考え、またお願いをしていく立場でありますけれども、一方、地方空港については、やはり地方の主体性というものを大事にしたいと考えております。
  142. 若松謙維

    若松分科員 それでは、先ほどの地域戦略プランにまた話が戻るわけですけれども、先ほどの緊急経済対策では、交通・交流空間の拡大、そして民間投資の誘発、投資の拡大と。このホンダエアポート、今後事業が進むとして、私は、この生活空間倍増戦略プランにマッチしているのではないかと思いますけれども、こういった一つの事業が、地元の要請がありまた国の後押しもあれば、地域戦略プランは使えるという理解でよろしいですか。
  143. 齋藤博

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  私どもの方からは総論的なお答えになろうかと思いますが、地域戦略プランは、活力にあふれ、ゆとり、潤いのある空間の創造のために、複数の市町村等が広域的な連携のもとにみずからテーマを選び、空間倍増計画の中にいろいろな空間が表示されておりますけれども、それ全部ということではなくて、地域づくりのためにそれの中からいわばテーマを絞って、それに対してみずからテーマを選び、関連施策間の連携を十分図って、トータルプロジェクトとして高い事業効果を有する、そういった原則を踏まえた総合的なプランを地域が主体的に作成し、国がこれに支援をしていくという性格のものでございます。一般論になりますが、このような地域戦略プランの趣旨に沿うということであれば、地域戦略プランに空港整備事業を位置づけるということは可能でございます。  ただ、当然のことながら、プランの策定主体以外が事業主体になっておりますものにつきましては、その主体と協議をするということが当然必要でございます。
  144. 若松謙維

    若松分科員 この線に沿えば当然利用可能だというお話をいただきました。  それでは、大臣にまたお伺いしますけれども、私もホンダエアポートからセスナに乗りました。それで三宅島まで行ったんですけれども、乗って八分ぐらいしたら川が見えまして、荒川かなと思ったら多摩川なんですね。やはり速いですね。乗って十五分ぐらいで横浜のランドマークのビルに届きまして、これはすごいと。これをもっと、例えば埼玉なり群馬なりからいわゆる成田とか羽田に飛行機で行きたい。そうすると、正直言って一時間ぐらいで行けてしまうわけですね。  ところが、今、日本の、成田、羽田等は大型空港ですけれども、こういう小型のセスナの離発着というのは禁止されております。私も三宅島まで乗った中で、航空地図というんですか、ドライバーの方の地図を見ながら、入ってはいけないとちゃんと円がありまして、なるほど、こうなっているのかなと。ところが、諸外国へ行きますと、狭い日本の国で言うのもなんだと思うのですけれども、大型空港の横にセスナ機の発着用の飛行場があって、そこからすぐ国際ターミナルに移動できるようになっている。  そこら辺、もうちょっと工夫した方がいいんじゃないかなと思うのですけれども、それについての運輸省のお考えはどうですか。
  145. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生今御指摘の羽田、成田なり、そういう大型機が専ら使っております空港に小型機の発着をということでございますが、実は羽田、成田は、国内、国際の定期便だけで既に飽和状態といいますかにございまして、大変残念ながら、小型機まで受け入れる余力がないわけでございます。  さらに、大型機自体についても、環境問題等がございまして飛行の空域について大幅な制限を受けている、それによって空港の能力が十分発揮できない、そんな状況にもあるわけでございまして、そこにさらに小型機にということになりますと、現在羽田だけでも約四千万人近いお客様がいらっしゃるわけですが、この方々へ与える影響も非常に大きゅうございますので、できればそういうことで空の接続というのは考えたいわけでございますが、なかなか容易でないというのが現状でございます。
  146. 若松謙維

    若松分科員 私が言っているのは、恐らくそういう趣旨も入っていると思うのですけれども、小型機発着用のいわゆるエアポートですね。そういうことで、当然大型のわきとか、もしくはちょっとふやしてランドをつくってできないか、そういうことなんですね。
  147. 岩村敬

    ○岩村政府委員 羽田の関係といいますか首都圏の関係でいいますと、調布の飛行場というのがそういう役割をしておるわけでございます。  ただ、今の羽田なり成田に隣接してと申しますと、やはり飛行機の安全のためにある程度の空域が必要になっております。また、羽田の空域は、先ほどもちょっと申し上げたように、東京都側に飛行しないという制限を受けております、これは環境問題からなんですが。そういったことで、さらにその横に小型機の飛行場と申しましてもなかなか余地がないということで、現在では大変残念ながら、調布の飛行場が小型機の受け皿になっておるという現状でございます。
  148. 若松謙維

    若松分科員 こちらとしてもぜひ、地元の関係団体、住民の理解また県の後押し、そういったものを得て何とか北関東の皆様に、もっと快適に短時間で遠いところに行けるようにということのためにこのホンダエアポートを、ホンダエアポートさん自身が何とか活用してほしいという意向がありますので、ぜひとも地元で頑張ってまいりますので、そこら辺の動きができましたらひとつ国の方の支援もよろしくお願い申し上げまして、ほかの質問に移らせていただきます。  それでは、高崎線について、これは運輸省になると思うのですけれども、ちょっと二点ほど質問させていただきます。  まず一点は、上尾駅、大宮から高崎線、在来線で二つ目の駅ですけれども、今上尾市は人口二十万人以上おりまして、一日の乗降客数が九万人なんですね。しかし、上尾駅は高崎線の通勤快速が停車しません。それは大宮から鴻巣駅まで、さらに十五分先の駅までノンストップ。私も夜なんか、大宮駅で通勤快速に乗ってしまうと遠いところまで行ってしまいますから、次の電車を待たなくてはいけない。その電車が、先ほど言いましたように、鴻巣は人口七万ですけれども、上尾は二十万で乗降客が九万人いるわけですから、通勤快速の後の電車というのはかなり混雑するのですね。私もいつも苦労して、これは何とかならないのかと。  そんなことで、地元でも上尾駅に通勤快速を停車させてくれという要望、ニーズが非常に高くて、昨年五月から二カ月間で住民の署名が九万七千三百五十八人にも上りまして、当然現在もふえております。こういう状況、何とかこういった地元のニーズに対応していただけないかと、JRというのは民間なんですけれども、ひとつ運輸省も働きかけをいただいて、地元のこういうニーズそして大勢の署名、民意に対応できるようなお力添えをいただきたいわけです。いかがでしょうか。
  149. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答えを申し上げます。  運輸省といたしましては、鉄道事業者が利用者の利便向上に資する措置をとることは当然重要なことというふうに認識しております。そういうことでございますけれども、御指摘の、通勤快速電車をどの駅に停車させるか等々のいわゆる運行計画につきましては、事業者による経営判断の問題というふうに認識しております。  ところで、JR東日本からの報告によりますと、通勤快速につきましては、停車駅を限定いたしまして遠距離通勤者の通勤時間を短縮するとともに、遠距離と近距離の利用者の分離を行いまして混雑度の平準化を図るという観点から、停車駅の設定を行っておるということでございます。現在のところ、上尾駅に通勤快速を停車させる考え方はないという報告を受けております。
  150. 若松謙維

    若松分科員 それはそれとして、民間のJRの言い分はあるんでしょうけれども、やはり利用者としても当然、なぜ上尾はいけなくて鴻巣はいいのかと。  実際、北の方は輸送力強化という面でかなり改善しているのですけれども、反対に、近場の方がいろいろな不便が出ているという次の段階に来ていると思うのです。ですから、こういう上尾のニーズに対して、一般的な基準というものはあってしかるべきじゃないかと思います。そうしないと、いつまでも地域独占にあぐらをかいて、ただだめなものはだめという従来の裁量行政的なやり方は、全く不透明だと思います。  そういった観点から、どういった基準を満たせばこの上尾の皆様の要望が実現できるのか、その点についてもお答えいただけますか。
  151. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、運行計画につきましては、それぞれの事業者がお客さんの需要等々を踏まえながら経営判断として行っていただくという事柄でございますので、我々として、先ほど申し上げましたように、一般的に利用者の利便向上について措置をとることは重要だと認識しておりますけれども、個々具体的な判断基準を持ち合わせているわけではございません。  その意味で、たくさんの上尾駅の利用者の方々から御要望があるということにつきましては、また先生からこういう御要望があったということにつきましては、JRの方にもお伝えしたいと思います。
  152. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ、朝は無理だとしても、夜だけでも何とかしていただけないかと再度要請して、今度は次の、駅の問題に移らせていただきます。  北本駅と桶川駅というのがかなり、五キロぐらい離れておりまして、この距離が一番長いのです。そこで、その間に北本新駅とか北本南駅とか桶川北駅とか、いろいろな仮称の計画があるわけですけれども、最近、建設省が環境配慮型官庁施設計画指針というものを出されまして、私もその中身を見たのですけれども、大変環境に配慮した、いいガイダンスではないかと私は思っております。  それで、せっかくこういうものをつくったわけですから、これは運輸省にもお伺いしたいのですけれども、例えば駅等の公共サービスの施設にも、一応JRは民間といいながら、やはり公共サービスであることは間違いありませんので、かつ地元負担、大体市とか町が負担しているわけであって、そういうことを考えると、こういった新駅、例えば環境配慮型新駅、そういったところとして具体化するのも一つの案だと思うのですけれども、どんなお考えですか。
  153. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  我々も運輸省として、地球環境問題を初めとする環境問題等々については、やはり大切な課題というふうに十分認識しておりまして、それぞれ各民鉄事業者、JR、関係事業者についても、その取り組みについては実は指導しているところでございまして、御案内のように、JR東日本においてもそういう担当を置きまして、種々対策なり行動計画等をつくっておるという状況でございます。
  154. 若松謙維

    若松分科員 それでは、先ほどの北本新駅、仮称ですけれども、これについて、かなり地元の行政も盛り上がってきて、いよいよやろう、あとは財源だけではないかと。それをめぐって、地元ではいよいよ市長選が四月に行われるわけですけれども、国というか、こちらの立場で、この北本新駅をつくるに当たって、ほぼ問題はクリアされているのではないかと思いますけれども、どこら辺がいまだに固まっていないというか、いわゆるこれをクリアすればあとは大丈夫だというものは何なのでしょうか。
  155. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  JRの高崎線の桶川—北本間の新駅設置について、地元の北本市からJR東日本に対して要望されているということは、東日本の方から聞いております。  ただ、この新駅設置につきましては、やはりJR東日本の判断事項ということでJRにおいて検討中と思いますけれども、そういう意味で、我々その詳細について承知しているわけではございませんが、新駅設置のいろいろのケースを見まして、基本的に我々として一般論でちょっと申し上げたいと思いますけれども、五つぐらいあると思っております。  一つは、十分な利用者が見込まれまして、駅としての経営収支、それを悪化させない、駅の設置が経営収支を悪化させないということ。それから二番目でございますが、技術的な問題ですが、線形とか勾配等から実は設置できないというケースがございます。これがクリアできるかどうか。それから三番目ですが、やはり停車時間が設定されますと、ダイヤ設定上問題が生じることがございますので、この問題があるかないか。特に大変な込んだダイヤの場合には、こういう問題が生ずる場合があります。それから四番目でございますが、新駅を設置した場合に、駅の周辺の整備等について、これは地元、地方公共団体の役割になるわけですが、そういう意味でのそれぞれの御指導なり御協力が得られるかどうか。それから最後になりますが、五番目、駅設置の具体的な負担関係が明らかになっておるかどうか。この辺が一般論としてございますけれども、判断要素になろうというふうに考えております。
  156. 若松謙維

    若松分科員 大体お話を聞いていて、あとお金の問題で、これはいずれにしても財源は固まっていますので地元としては早急に対応できると思いますので、ひとつ国の方でもそこら辺の条件を、マッチした際の後押しをよろしくお願い申し上げます。  最後の質問ですけれども、これは農水省、そして国土庁にお伺いしたいのですけれども、いわゆる市場ですね、食料関係の市場。大田市場がありますけれども、今、市場ですと中央市場と地方市場とありまして、やはり集荷量を見ていると卸売市場は一般的に低迷で、それで中央市場に、シフトと言っていいのかわかりませんが、いずれにしても中央市場の占有率が高まっております。  そういう中、鴻巣には二つの花卉市場があるのですけれども、かつ地元でも花の生産者が多くて、出荷量はたしか北関東で最大だと認識しております。この二つの市場を今統合して合併しよう、こういう動きがあるわけですけれども、ぜひ農水省として、まずそれの後押しをお願いしたいということと、あわせて、大変多額の資金も必要でありますので、先ほど言いました地域戦略プラン、これをやはり使うこともひとつ検討すべきではないかという私自身の考えですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  157. 本川一善

    ○本川説明員 私ども、卸売市場の施設の整備に対して、補助金で支援をしております。  現実に、花の市場を統合する場合の施設整備につきましては、例えば第三セクターの方式で整備された大阪の鶴見の花卉市場でありますとか、あるいは事業協同組合方式によって整備された愛知県の豊明の花卉市場であるとか、そういうものに対して現に助成を行ってきておるところであります。  お話の、二つの市場の統合の件なんですが、私どもお伺いしているところでは、第三セクターの方式によって十三年度に着工しまして、十四年度から開業するというような予定で、今基本的な計画をつくっている段階だというふうに伺っておりますので、そういうような構想の検討状況を我々としても十分聞かせていただきながら検討させていただきたいと思っております。  ただ、残念ながら、地域戦略プランには今この構想は盛り込まれておりませんので、私どもとして、戦略プランとの関係についてはなかなかお答えしがたい面があることを御理解いただきたいと思います。
  158. 齋藤博

    ○齋藤説明員 私どもの方から、また総論でございますが、先ほど申し上げましたような地域戦略プランの趣旨、原則に沿うということであれば、一般論として地域戦略プランに市場事業を位置づけることは可能でございますが、あくまでも地域プランというのは地域が独自に、自主的につくるプランであると認識しております。
  159. 若松謙維

    若松分科員 最後に国土庁にお聞きしたいのですけれども、もう一度先ほどの、現在の申請、申請といっても骨子ですね。骨子の内容を見ると既存のものばかりで、正直言って新鮮味がない。それが、五年以内にやらなくちゃならないということですけれども、本当に経済効果なり誘発効果なりを引き出すにはもっと工夫が必要なんじゃないかと思います。その点について、先ほどの質問とダブるのですけれども、ちょっとお答えいただけますか。
  160. 齋藤博

    ○齋藤説明員 私どもの方からもプランの実施要領というものを出しておりまして、その中にプラン策定の原則というものが書いてございます。地域がみずからテーマを設定する、地域の主体性と創意工夫が盛り込まれておる、関係施策間の連携が盛り込まれておる、トータルプロジェクトとして高い事業効果がある、民間投資の誘発や投資の拡大等の高い経済効果等があるというような原則がうたわれているわけでありますので、こういった原則が盛り込まれているかどうかにつきまして、また、盛り込まれるように今後調整を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  161. 若松謙維

    若松分科員 これは現場の声ですけれども、この話は去年の十一月に急に出て、それで急遽一月までに骨子提出ということで、やはり現場としては既存のものを出すしかなかったという声もありますので、ぜひとも、本当に地域として熟慮した、また検討したものが出せるような、そういったお計らいもぜひ引き続き努力をしていただきたいと要望をいたしまして、時間が来ましたので質問を終了します。  ありがとうございました。
  162. 村田吉隆

    ○村田(吉)主査代理 これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  163. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。  きょうは、JR西日本可部線の廃止問題と関空二期工事、この二つについて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  平成八年十二月に、運輸省は、旅客輸送業の規制緩和の方針を打ち出し、鉄道事業法改正の準備を進めてこられたようでございます。昨年六月に出されました運輸政策審議会鉄道部会の答申によりますと、路線の廃止については従来の許可制から届け出制に改められ、事実上自由化することがうたわれております。  この動きを先取りしたのか、昨年四月、JR西日本広島支社は、可部線の可部から三段峡まで四十六・二キロメートルの区間を、経営困難を理由として廃止する旨を発表しました。  この可部線というのは、広島駅を出まして、山陽本線を一駅区間だけ西に、横川というところまで行きまして、そこから山陽本線と離れて、そこからが正式には可部線になるわけですけれども、可部というところ、そこまでは電化をされております。そこから先は電化をされてなくて、名勝地として名高い三段峡まで行っている、こういう路線でございます。  沿線自治体にとっては、この廃止発表はまさに寝耳に水だったわけですが、なぜ可部線が廃止されなければならないのか、一番の理由とされる経営困難、その根拠をまずお示しいただきたいと思います。
  164. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  JR西日本においてそのような考え方を地元において発表し、御相談されているということは承知しておりますが、我々実は、許可申請をいただくに至ってない、まだそういう時点になってないことなものですから、JR西日本の方からの報告をもとに申し上げますと、昨年の九月に、可部線について、会社発足時の昭和六十二年以降の可部以西の区間の利用状況から、地域の足として機能し得るだけの十分な輸送サービスを今後とも提供し続けることは鉄道としてもはや困難であるとの経営判断のもと、同区間についてバス転換を表明したというふうに聞いております。
  165. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 廃止の発表があってから、沿線の広島市など五市町村から成る対策協議会が設置されまして、JR側に説明を求めました。その回答をまとめたものを私もいただいておりますけれども、それによりますと、この区間、可部以西といいましょうか、可部以北といいましょうか、可部から山奥に入っていく方ですけれども、この区間においては一日当たりの輸送量が五百人となっておって、旧国鉄時代に鉄道をバスに転換させるその基準である、旧国鉄時代の基準ですけれども、一日当たり四千人ということを下回っている、したがって、バスの方が効率がいいという論旨のようでございます。  この一日当たり四千人という数字、これは旧国鉄時代の数字でございまして、それをそのまま使うのはいかがか。十年以上時間もたちまして、合理化、技術の進歩などがあるわけでございまして、この基準をそのまま使うのはどうかという思いがいたします。  そして、同じ資料によりますと、可部線全区間では一日当たりの輸送量は四千六百人ということになっております。この四千人という基準、昔のままの基準ですが、この基準を使ったとしても、可部線全体で見れば四千六百人ですから、十分クリアしていると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  166. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  お話しのように、輸送密度一日当たり四千人未満という一つの基準を採用させていただきましたのは、実は国鉄時代の考え方でして、当然、先生御案内のように、公企体たる国鉄のサービスをどのようにするかというときの一つの基準としてそういうものを使ったわけですが、御案内のように、国鉄改革後、JR各社、民営化ということの中で、民間企業として、経営としてどのように考えるかというときの判断基準というのは、おのずからまた別なものが運用されてしかるべきだろうと思っております。  その意味で、四千人という数字が妥当かどうか、それはやはり当該路線区間の需要の中身というものがどういうものなんだろうということが大事な判断要素かなというふうに思っております。
  167. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 今私が質問しました二番目の方、区間全体では四千六百人という昔の基準さえも十分クリアしているのに、なぜ廃止するのかという質問についてはいかがでしょうか。
  168. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  JR西日本の話、報告によりますと、いわゆる可部線全体として全部を廃止するというわけではございませんで、先生お話しのように、最先端の部分、一日五百人未満の非常に鉄道特性が失われているとJR西日本では考えるその区間について、廃止させていただきたい、バス転換させていただきたいということでございますので、そういう意味で、路線全体、区間全体の四千六百という数字と、それから先端の部分の五百人未満という部分、その辺をどう考えるかという問題かと思いますので、全体で四千六百人だから、それで先端部分を廃止するのはおかしいというふうには一概には言えないというケースかと思っております。
  169. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 この問題については、また後ほどちょっと聞かせていただきますが、利用客が減って苦しいから廃止というのはいかがなものかと思います。私もこの線によく乗るわけですけれども、とにかく、わざとお客が乗るのを阻止、阻止しようと言うと言葉はおかしいですけれども、わざと利用させないようにしているんじゃないかと思うようなダイヤなんですね。  可部以北にも、ずっとディーゼルですけれども、途中で大きな中継駅があるんですけれども、どういうわけかディーゼルはそこでとまる。別なディーゼルに乗りかえなきゃいけない。その待ち時間が一時間以上ある。  この間、家族連れで三段峡に行くのに乗ったんですが、今度は逆に、そういう多客期でも一両しかない。もうぎゅうぎゅう、国電以上です。結局、積み残しが出る。私も、中に子供を連れて入りましたけれども、まさに地獄の一時間ちょっとでした。お客さんをふやそうという努力が全く見られないという中で、そういう努力をしないで、利用客が少ないから廃止する、こういう自由化というのは、本当の意味の自由化、規制緩和ではないんだと思います。  利用者と事業者が対等に権利を主張し合える仕組みを用意するべきだと考えますけれども、運輸政策審議会の答申によりますと、地元協議会は一年以内に廃止する、一年以内ということになっておりまして、これでは、利用者と事業者は対等ではないというふうな気がいたしますけれども、いかがでしょうか。
  170. 小幡政人

    ○小幡政府委員 まず前段で、先生、サービスがよくないからお客さんがどんどん減ったという御指摘でございますが、我々も詳細に伺っておりませんけれども、需要が少ないとどうしてもサービスが悪くなるという、実は鶏と卵の議論というのが通例でございまして、その意味で、実は潜在需要としてたくさんあるということの地元の御意向でしたら、そういう条件なら乗れる、たくさんお客さんがふえるんだということ等々について、ぜひ事業者とも御相談いただければと思っております。  それから今回、我々は、運輸省の所管の各事業について、需給調整規制を廃止することに伴う規制緩和を今目指しているわけでございますけれども、我々の鉄道事業法におきましては、現在、参入については免許制ですが、退出については御案内のように許可制になってございます。  それをちょっとごらんいただきたいと思うのですが、鉄道事業法の二十八条で「事業の休廃止」がございます。これは、廃止しようとするときは運輸大臣の許可が必要でございますけれども、その際の基準が二項に書いてございまして、「運輸大臣は、当該休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、前項の許可をしなければならない。」というのが基準でございます。我々としては、この基準、つまり具体的な代替輸送機関が整備されていないというようなときは典型的な不許可の事由でございますけれども、そういう意味で、次の代替輸送機関が用意されているかどうかということは非常に重要なメルクマールになります。  そういう制度でございますけれども、現実に、実際の運用といたしましては、この許可を申請する前に、次の交通をどうするか、あるいはまた現在の鉄道サービスをいかにしたら残せるかというようなことについての地元の御相談というものを踏まえた上で申請が来るのが通例でございまして、現在JR西日本が行っておりますのは、この許可申請に先立つ行為というふうに御理解いただきたいと思います。  そういう意味で、我々は、今回、こういう制度を事前届け出制に緩和するわけでございますけれども、この趣旨は非常に大事なことであるということでございまして、一年前の事前届け出制にいたしますけれども、その際に、法律的には、実は関係地方公共団体の御意見を伺う規定を用意したいと思っております。  そして、運用上は、その一年の間に、具体的に届け出がある前にそういう話がございますれば、その前に地元の御要望を受けて、我々としては、地方運輸局が中心になって協議会をいたしまして、今申しましたような、鉄道を維持するとすればどういう維持の方策があるのか、あるいは、それがとても鉄道特性がないという需要であるならばどういう代替のバス輸送機関を用意するのか、こういうことについてせっかく協議して、調整した上で廃止していただく、こういうことの場を実は用意させていただこうと思っているわけでございまして、効果としては、現在の許可制で持っておるような効果を期待しつつ、特例的に一年間という非常に長い期間を用意させていただこうと思っているわけでございます。
  171. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 現実には、JR側は問答無用というふうな態度があるようでございまして、その点につきましては、そういうことがないようにきちんと御指導をいただきたいと思います。  川崎大臣にお伺いしたいのですけれども、先ほどの、路線全体としては廃止しなくてもいい、廃止基準を十分クリアしている、しかし、部分的に見ると、この部分はもうかって、この部分がもうかっていない、だからここだけ廃止する、要するにそういうことですけれども、この考え方を認めてしまいますと、任意の区間で廃止、存続が決められるということが起こり得るわけで、最終的にはもうかるところでしか営業しませんということに道を開くことになるのではないかと思います。  JR各社については、分割・民営化に際して、不採算路線も含めて事業全体で採算がとれるように政策的な措置を講じたという経緯があります。JR西日本としては、今、営業利益は出しているわけでございます。そういう意味では、今回の措置はその前提に反するのではないかと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  172. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 可部線の実態を私はまだよく見ておりませんけれども、六十二年のときの仕組みと今の実態がどう変わってきておるのか。同じ状況にあるならば、委員が言われることも一つの議論であろうと思いますけれども、実態が変わってきているということになれば、当然、今度は私どもが十分受けとめなければならない議論だろうと思っております。  企業の社会的責任というものがございます。例えば電気通信の社会とか電力のエネルギーの社会、こういうものは、民間会社であってもすべての人に供給していく、これが担保されなきゃならぬだろう。では、鉄道の場合に必ず担保されなきゃならないか、代替というものであってはいかぬのか、こういうことは、私は当然議論の対象だろうと思うのです。  そこで、先ほどから局長から答弁させていただいておりますとおり、代替というものがしっかり担保されるということが廃止の前提条件だろう、このように思っております。
  173. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 大臣のおっしゃる代替ですけれども、代替案としてバスが提案されております。  しかし、バスにいたしますと、例えば、代表的な区間である可部と加計の間を見ますと、JRを使った場合の通学定期は七千九百四十円、これがバスになりますと二万三千六百四十円、三倍になります。それから、通勤でも二倍になります。中には生徒の七割がこの可部線で通学をしているという高校もあるわけでございまして、死活問題、こういうことで、こんな過大な負担を一方的に利用者に押しつけておいて代替というのはちょっといかがなものかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  174. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 まさにその点も含めて、地方自治体、そして、先ほどお話し申し上げたように、運輸省が主導的な立場をとりながら調整を進めてまいりたいということでございます。
  175. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 ちょっと細かい問題になりますけれども、現実にお年寄りが一番心配していらっしゃる点は、まず、バスは鉄道と違ってステップが高いので乗りおりに大変な苦労をする、それから、雪が多い土地柄ですから低床バスの導入も難しい、そしてまた、お年寄りは概してトイレが近いと言われておりますが、病院に行って点滴を打った後などは特に顕著だということで、列車にはトイレがついているけれども、バスにはトイレがついていなくて、長い間トイレに行けなくてバスの中に閉じ込められてしまう、長距離の移動が心配だという声も上がっております。こういう細かい一つ一つのことについても耳を傾けなくてはいけないと思うのですが、いかがでございましょうか。
  176. 小幡政人

    ○小幡政府委員 いろいろ需要の中身といいますか、お話しのように、いろいろ細かい個別の御要望に対してJR各社がサービスを提供しているわけでございますけれども、それの代替に当たっての議論、そういう細かいことも含めまして、地方公共団体、それから当該事業者、利用者の方々、その中での次をどうするかという場が必要だと思います。  先ほど申しましたように、新法ではそういうものを用意したいと思っておりますし、現在の許可制の中においても、そういう相談をしっかりさせていただいて、代替について問題のないようにしていただきたいということで、我々は注意をしていきたいと思っております。
  177. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 さらに、バスということになりますと、将来、環境への配慮から炭素税というような新たなコスト要因が発生する可能性考えられます。その場合、利用者と事業者の間で負担をどのように分担するべきなのか、こういうコストの上昇は、将来、バスの運行継続にも影響が出てくるのではないか、このように考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  178. 小幡政人

    ○小幡政府委員 バス転換した後の外部的なコスト要因をどうするかということでございますけれども、これも、先ほど申しましたように、当該バスの運営主体たるバス事業者の経営の問題、それの費用負担の問題でございますけれども、その辺についても、問題が非常に大きくなってきたときには、バス体系の中で、地方公共団体の方々と御相談をしながら、どんな対応が可能なのか、議論すべき課題かと思っております。
  179. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 大臣に、二つの観点からこの問題について最後に質問をしたいと思うのです。  一つは、今後、今過疎化が進んでいる中で、経営という観点からすればどうしても成り立たない、しかし地域にとってはなくてはならない鉄道というものはあるわけでございます。今回、JR西日本が言っているように、経営上困難だから、また代替があるからということだけで安易にどんどん鉄道をバスに転換していくというのはいかがなものかと思います。ある基準が必要だ、このように考えるわけですけれども、過疎化の進行とその地域にとってなくてはならない鉄道というこの問題について、大臣の基本的なお考えをお聞きしたい。  それから、これは鉄道一般でございますけれども、鉄道というのは、もう御存じのように、環境という側面から見たときも非常にすぐれた輸送手段でございます。そういう意味では、鉄道をもっともっと、国としても地方公共団体としても、いわゆる公の立場で支援をしていかなくてはならない、このように私自身考えております。道路に対してはいろいろな補助金もあり、政策的な援助があるわけですけれども、鉄道についてはそれもない。もうJRは民間なんだからということで、公の援助がないところで、ある意味では市場原理、競争原理の中でやっていかなければいけない。それは、ある意味では不公平のような気がいたします。  そういう意味で、鉄道というものに対して公としてもっともっと援助すべきではないかという私の今の考えに対して、大臣、どのようにお考えになっているか。この二点についてお伺いします。
  180. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 規制緩和ということは、期待される部分と、一方で影の部分が出てくる。これはもうすべての国会議員はわかっておることだろうと思います。  しかしながら、我が国がこれから国際社会の中で生き抜いていくためには、やはり民間の活力というものを引き出していかなければならない。逆に言えば、光の部分というものに大きな期待を寄せていかなければならぬ、それによって今日の高コスト構造というものを改善していかなければならぬという決断だろうと思います。  しかし、その結果として、企業の社会的責任というものが果たし得なくなってくる。もうかるところにはどんどん出てくるけれども、もうからぬところには出ていかない。本来はこちらでもうけた分で、内部補充制度でできたけれども、それがきかなくなる。したがって、影の部分について、企業の社会的責任だけでカバーしてくれというのは無理な時代、こういう認識をいたしております。  したがって、運輸省としても、例えば離島航空路の話、離島航路の話、過疎地域のバスの話、それから今お話のありました鉄道の話、どう我々として、影の部分に光を与えながらやっていけるか、補助をしながらやっていけるか。これはまさに、運輸省だけというよりも、地方自治体、自治省と一緒になりながら考えていかなければならない大きな課題というように考えております。  ただ、一つの側面で申し上げますと、ディーゼル車を走らせて二、三人しか乗っていなかったとなると、エネルギー効率は、もう斉藤先生おわかりのとおり、極めて悪い。それだったら、小さな車両というか、バスの方がかえってエネルギー効率はいいということは、当然出てまいるのだろうと思っております。その辺もやはりあわせながら、鉄道だからすべてエネルギー効率がいいのだということにはならないだろう、ずうたいが大きいだけに。そんなようにも考えております。  ただ、御指摘のように、私どもがどう影の部分をやっていくかというときに、果たして今の財政措置だけでやれるのか、政府全体としてもう少し広い立場考えてみろというのには私どもも賛成でございますので、十分議論をしたいと思っております。
  181. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 この可部線の問題は、規制緩和後の最初のケースでございます。したがいまして、地域住民の皆さんの声を十分聞いていただきながら、またその声を反映させながら、みんなが納得する形での解決を図っていかなければいけないと思いますので、その点については運輸省の指導をよろしくお願いいたします。  これで可部線の問題に関する質問を終わらせていただきまして、関空二期工事の海砂使用について質問をさせていただきます。  関空二期工事で、海底のヘドロ地盤の整備に、これは一期工事もそうですけれども、瀬戸内海の海砂が大量に使用されました。二期工事でもこの海砂が地盤改良に使用されるという計画でございます。ところが、この海砂を使うということにつきましては、瀬戸内海の環境上非常に大きな問題があるということで、瀬戸内審議会でも環境上の影響を懸念するという答申が先日出てまいりまして、きのうの予算委員会第五分科会でも、真鍋環境庁長官は、瀬戸内の海砂採取の全面禁止に向けて環境庁はリーダーシップをとっていくという非常に踏み込んだ答弁をされました。  そこで、二つ質問をいたします。  まず一つ目の質問は、私もこの問題を予算委員会や環境委員会で取り上げてまいりましたけれども運輸省の方から、この関空二期工事に使う海砂使用を極力少なくするよう努力をするという答弁をしてこられましたけれども、どういう努力をして今どういう状況になっているかをまずお伺いします。
  182. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生指摘のとおり、関空の整備に当たりましては、海底の軟弱地盤を改良する、そのために海砂が要るわけでございますが、二期工事におきましては、地盤改良の中で敷き砂という形で砂を敷く部分があるわけでございますが、その敷き砂の一部に山砂を使う。すなわち、従来ですと約一・五メートル海砂をまず敷きまして、それで工事を始めるわけでございますが、それを一メートルの厚さにする、そのかわりに一メートルの山砂をさらに上に載せる、それによって従来どおりの効果を出そうと。  すなわち、海砂については利用量が減るという工法の工夫、そういうことをいたしまして、従来の工法で二期工事をやった場合に必要になる海砂の量が約二千二百万立米と考えておりますが、これを二割削りまして、一千八百万立米まで削減できるものというふうに考えております。また、さらにこれを削減するべく、今いろいろ研究をいたしておりますが、海砂の代替材として砕石が使えないか、そういったことについても検討をいたしているところでございます。  それから、一期工事におきましては、この工事に使いました海砂の大部分を瀬戸内海の方から調達いたしたわけでございますが、二期工事におきましては、瀬戸内地区だけではなくて、西日本全域において海砂供給の可能性がある各県と調整を今行っております。また、輸入砂、これは実は、安定的な供給面、それから品質、さらには生物環境への影響という問題もありまして、安易に導入というのがいかないわけでございますが、これも、今言ったような問題を勘案しながらその使用について検討し、瀬戸内からの海砂の使用、調達をなるべく減らそうという努力をしておるところでございます。
  183. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 その御努力を続けていただきたいと思います。  大臣、突然海砂の話をしまして、きちんと経過説明なりこれまでの議論の流れを説明しておりませんので、すぐにはなかなかわかっていただけないかと思いますが、実は、瀬戸内海で四十年間にわたってとり続けてきた海砂採取という行為そのものが瀬戸内の環境を大きく破壊してきたということは、今衆目の一致するところでございまして、きのうも真鍋環境庁長官、先ほど申し上げましたように、全面禁止に向けてリーダーシップをとっていくということをおっしゃいました。  そのときに、同じ内閣の中で川崎運輸大臣に、この関空二期工事については瀬戸内の海砂は使わない、こういうふうに要望していただけますか、こういうふうに言いましたところ、環境庁長官は、それは同じ内閣だから、あうんの呼吸でやっていくんだ、こういうお答えでございました。海砂、瀬戸内の環境を破壊して関空二期工事を進めるということはないんだという点について、大臣の御所見をお伺いして質問を終わります。
  184. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 質問の通告がありましたので、真鍋長官の答弁内容を読ませていただきました。多分、真鍋さんのお話は、私に対してはこれからあるのだろうと。ただ、運輸省としても、今日、斉藤委員等の御指摘をいただく中、できるだけの努力をしてきていることは事実でございます。仮定の話として、海砂を使わぬでできないのか、こういう単純な質問をいたしましたが、これは無理なようでございますので、お互いに了解ができる範囲内で努力をしてまいりたいと思います。
  185. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)分科員 ありがとうございました。終わります。
  186. 村田吉隆

    ○村田(吉)主査代理 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。  次に、福留泰蔵君。
  187. 福留泰蔵

    福留分科員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  平成十一年度予算に関して、当予算委員会第七分科会で最後の質問をさせていただきます。私は、この平成十一年度予算案における特に運輸省関連の主要施策に関して質問をさせていただきたいと存じます。  まず具体的な質問に入る前に、大臣に大枠の、今次における予算の使い方、投資のあり方という観点から質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  今回の予算もさまざま見させていただきました。重点的な予算配分も考えておられるようでございますし、情報通信・科学技術・環境等二十一世紀発展基盤整備特別枠にかかわる予算もあるようでございます。さらに、公共事業の配分重点化措置にも、物流効率化による経済構造改革特別枠とか、環境・高齢者福祉・中心市街地活性化等二十一世紀経済発展基盤特別枠等、また生活関連等公共事業重点化枠等々の重点をつくって予算を組んでおられるようでございます。  私がまず大臣にお尋ねしたいのは、実は今、日本の経済の再生というのが最大の眼目であります。そしてさらに、時代が、さまざまなものがボーダーレス化していく中で、これからの日本の国際競争力というものをいかにつけていくかというのが問われる状況にある。そういう中で、限られた今の国の財源の中で、重点的にそういうことを考慮して投資をしていくことが必要ではないかと思っております。大きな政府全体の流れとしては、規制緩和の流れがこれあり、運輸省としては、そういう流れに沿って規制緩和を鋭意進めておられます。そして、安全規制を除いて、需給調整についてはこれを撤廃する方向で取り組んでおられることを承知しているわけでございますけれども、いずれにしても、これからは市場原理にある程度ゆだねる形になる流れだというふうに理解をしております。  そういう中にあって、やはり私は、これからの国際競争力をつける、また経済の再生を図るという意味で、この日本の経済を支えている東京を中心とした首都圏というものをさらに世界的なレベルで魅力ある、非常に基盤のしっかりしたものにつくり上げていくことが重要ではないかと思っているわけでございます。そういう意味で、これまでは、均衡ある国土発展ということも重要でありまして、そのための施策もさまざまやってこられたことを承知しておりますが、今の時点においては、そういう限られた財源の中でありますので、特に首都圏整備ということを重視して進めていくことが重要ではないか。  日本の経済一つの牽引力として、首都圏がやはりまた元気になっていく、そのことがまた日本経済全体を引き上げていくというふうな思いで私はおりまして、予算の配分に当たっても、この首都圏をさらに活性化するためのさまざまな取り組みがあってもしかるべきではないかと思っているわけでございます。  今私が申し上げたその大枠の話の中で、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  188. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 分科会で、委員で十六人目の御質疑をいただきます。この間、運輸委員会を開かせていただいて、六時間ほど御質疑を受けました。その中で、まさに委員が御指摘のような意見を言われる方、一方で地域振興、国土の均衡のとれた発展、二つの御意見がございます。  実は私、就任した直後に、今委員が言われましたように、少し都市圏に投資をふやすべきではなかろうか、こういう思いを持っておりましたので、六〇%以上は三大都市圏に公共事業を組むように、こういう指示をいたしたところでございます。昨年で五七%、ことしの十五カ月予算では六〇%を突破いたしていると思っております。  要は、国土の均衡のとれた発展、それから三大都市圏への集中的な投資、バランス論であろうと思います。どちらがよくてどちらが悪いという話ではなくて、バランス論であって、そういう意味では、今回の予算につきましては、六割以上を三大都市圏に集中させていただいたということで御理解をいただければありがたいなと思っております。  昨年の暮れ、予算が最終段階を迎えたときに、総理からも、東京、大阪の通勤対策をもう少し考えろということで、調査費を計上させていただいて、十三号線等のより一歩踏み込んだ開発というものを考えてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  189. 福留泰蔵

    福留分科員 今大臣の方から、私が申し上げた趣旨と同じような形で推進をしておられるというお話を伺いました。また、その御説明の中で、特に通勤対策についても鋭意取り組んでいるという御説明がございました。  今大臣の方からもお話がありましたので、続きまして、その通勤対策の問題について質疑をさせていただきたいわけでございます。大都市圏の通勤混雑というものは、もう長年にわたって言われてきているところでございまして、まさしく通勤地獄と言われるような状況でございます。通勤時間、一時間、二時間かけて、サラリーマンの方々は大変な苦労をして会社に出勤をされておられるわけでございまして、それをやはり何とかしてほしいというのはかねてからの要望であったわけであります。  運輸省としても、この問題についてはもう長年にわたって取り組んできておられることは承知しているわけでございます。この対策としては、通勤を担う交通網の能力を増強するという形と、それからオフピーク通勤という、通勤のあり方を変えるという方法と、二通りの方法があるということもかねてから伺っているわけでございまして、混雑率をできるだけ下げる方向に計画を立ててこれまで施策を推進してこられていることを承知しているわけでございますが、運輸省のこれまでの取り組みの内容と実績、そして現状がどうなっているかということをまず御説明いただきたいと思います。
  190. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、平成四年六月に運輸政策審議会の答申をいただいておりますが、この答申の中で、東京圏について申し上げますと、通勤混雑緩和を、今後おおむね十年程度で一八〇%にするということが目標とされておりました。平成三年度の二〇〇%から平成九年度には一八六%と改善されているものの、依然として高い状況にございます。特に、先生が触れられましたように、その間に通勤通学の方の距離が大分延びております。そういうことを勘案いたしますと、まだまだ高い状況というふうに認識しております。  ラッシュ時におきます都市鉄道の混雑の実態にかんがみまして、通勤混雑対策として、鉄道の整備の促進ということとオフピーク通勤の促進とを、いわば車の両輪として推進してきたところでございます。このうち鉄道の整備につきましては、六十年に出されました運輸政策審議会の答申に基づきまして整備を進めてきているところでございますが、今後とも計画的かつ着実な整備を図るために、地下鉄の新線建設、既設線の複々線化等の輸送力増強を着実に推進していく必要があるというふうに考えております。  さらに、昨年の暮れに、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備につきまして運輸政策審議会に諮問したところでございまして、新たな東京圏の鉄道網の整備のあり方について鋭意審議を進めていただいているところでございまして、この答申を待って、さらにまた次のステップへ努力したいというふうに考えております。
  191. 福留泰蔵

    福留分科員 平成三年に二〇〇%だったのが、今、平成九年には一八六%になった。一四%下げることの御努力は大変あったと思いますが、いずれにしてもまだ非常に高い水準で、まだまだ通勤者の皆さんに満足していただける数字ではないと思うわけでございます。  こういう大都市圏においては、新しい路線を新たに設置するということについては非常に高いコストと非常に長い時間がかかるわけでございまして、すぐにこれが改善されるということはなかなか難しいということは十分承知しているわけでございますけれども、これはもう、長年にわたるその御苦労を通勤者の方々に背負わせているということをやはりしっかり認識をして、早急な取り組みをしていく必要があるんじゃないかと私は思っているわけでございます。  今も御説明がありましたけれども、昭和六十年の答申をまた見直す形で、新たな答申を、本年ですか、出してもらう形で今進められているということでございます。今回の予算の中でも、東京圏の鉄道整備に関する新たな基本計画策定に向けての調査等の予算が入っておりますけれども、これを指しているのじゃないかなと思うわけでございますけれども、これは七号答申の見直しというふうに考えてよろしいんでありましょうか。  この新たな首都圏の、東京圏の鉄道網について、現時点で次の一つの骨格となるべき調査を行われているということでございます。答申を受けてはっきりその姿が見えてくるんでありましょうけれども、現状において首都圏の交通網整備についてどのように考えていらっしゃるのか。  そして、具体的な一つの問題として、これは埼玉県の方からも強く要望があるんですけれども、東京八号線の整備計画、先ほど御説明がありました昭和六十年の運輸政策審議会答申第七号では永田町から最終的には亀有まで計画があるわけでありますけれども、この亀有から先、武蔵野線方面へぜひとも早期に延伸をしてほしい、これも、途中草加市、越谷市を経由する形になろうかと思いますけれども、そういう強い要望もあるわけでございます。  この計画についての運輸省としての何かお考えがあれば、お伺いしたいと思います。
  192. 小幡政人

    ○小幡政府委員 昨年十一月末に、運輸政策審議会に、東京圏のいわば七号答申の見直しについて諮問をさせていただいております。その中で議論されていることでございますが、そのときの視点としては、先ほど先生おっしゃられましたような、混雑対策を抜本的にどうするかということを念頭に置きながら、新線建設、それからなかんずく我々としては次のステップとして、既存の鉄道網の有効活用、レベルアップ、具体的には既設線のスピードアップであるとかあるいは接続線直通運転の推進、こういう意味での利用者利便の向上を図るようなことを重点的に念頭に置きながら進めたいと思っております。その中で、首都圏全般について、各地方公共団体等々の御要望をお伺いしているところでございます。  当然、その中で、八号線の延伸につきましても、関係の地方公共団体、具体的には埼玉県、千葉県、東京都、茨城県等々から御要望いただいているところでございますが、これらの延伸問題につきましては、先ほどの審議会の議論の中で検討していただけるものと理解しております。
  193. 福留泰蔵

    福留分科員 ぜひ、今検討中ということでございますので、前向きにこの問題について取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  鉄道に関連して、次の質問に移らせていただきますけれども、最近、都市部、かなり改善してきている部分があるんですけれども、やはり、地域の住民の方々の御意見を伺っていると、鉄道が地域の交流の妨げになっているという部分がある。それは、鉄道を利用して結ばれる都市と都市の交流には大変役立っているわけですけれども、小さなコミュニティー単位のレベルで見ると、鉄道があるために、すぐ近くの距離でありながらそこへ行くことができない、踏切が途中途中あって、踏切は大渋滞の一つのもとになっている、そういうふうな声が多々あります。鉄道の高架化というのはかなり取り組みをなされているわけでございまして、実際高架化になっている地域を見てみますと、今までの人の流れ、車の流れが大変大きく変わってきているということで、その効果というものを改めて実感している状況があるわけでございます。  これは、これまでその施策を推進してこられたことに一つの敬意を表する次第でございますが、鉄道が小さな単位の地域を分断しているというか、地域のそういう交流の妨げになっているということについての認識を改めてお伺いするとともに、今後この問題についてはどのようにまた推進されていかれようとしているのか。  特に埼玉県の具体的な問題で申し上げますと、東武伊勢崎線は北越谷まで複々線化になって、高架化の計画はもう既にあるんですけれども、その先の予定があるのかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。     〔村田(吉)主査代理退席、主査着席〕
  194. 小幡政人

    ○小幡政府委員 鉄道の連続立体交差化などによります高架化事業は、我々鉄道事業者側に立ちますと、踏切の除去による踏切事故の防止というようなことに資するとともに、都市部における踏切での交通渋滞、それから、先生おっしゃられました地域の分断といった問題を解消するということで、都市の一体的な発展と道路交通の円滑化を図る上で重要なものと認識しております。そういうことで、現在、全国約五十カ所で、都市側と鉄道事業者との連携のもとに事業を実施中でございます。  運輸省といたしましても、建設省と連携しつつ、特に我々建設省と統合を迎えるわけでございますが、そういう意味でもさらに連携を強めながら、チームワークを組みながら整備を促進していきたいと思っておるところでございます。  次に、具体のお話でございます東武伊勢崎線につきまして申し上げますと、伊勢崎線の竹ノ塚—北越谷間の連続立体交差事業につきましては、昭和五十一年及び昭和六十二年に都市計画決定をいただきまして、このうち竹ノ塚—越谷間を平成九年度までに順次高架化の使用を開始、現在、越谷—北越谷間につきましては、平成十二年度の完成を目途に鋭意工事中でございます。  それから、北越谷以北の区間におきます連続立体交差化につきましては、東武鉄道では、現在のところ都市側からの要請はございませんので、具体的な計画はございませんが、今後都市側からの要請があれば協力してまいりたいと言っております。  それから、運輸省といたしましても、踏切事故防止、道路交通の円滑化観点から、都市側からの要請に応じ、協力していくよう鉄道事業者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  195. 福留泰蔵

    福留分科員 ありがとうございます。またその地域方々の要請を受けて、また都市側からの要望があれば前向きに推進していただけるということでございますので、その際はよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、同じく鉄道の関連でございますが、先日、運輸大臣は、新宿駅に御視察いただいたということを報道で伺いました。通勤者の負担軽減ということについて、みずから現地に足を運んでいただいて実情を調査なさってくださっている。そしてさらに、通勤者の負担を軽減するために鋭意努力をなさっていらっしゃるということについて、大変敬意を表する次第でございます。  通勤者の負担軽減、また利便性の向上を図るということは、ある意味で、今すぐに新線をつくれない、またオフピーク通勤等の施策もなかなか進まない状況の中で、今とり得る一つの手段として、非常に有効な一つの手だてじゃないかと思いますので、それはぜひ進めていく必要があると思う点です。運輸大臣もその視察の際にお話しになったというふうに私お聞きしたんですけれども、各地下鉄とか各鉄道の相互乗り入れというものを今後鋭意推進していく必要があるんではないかということでございます。  先日、運輸大臣のところに、春日部の市民の代表で、東武線準急の地下鉄乗り入れを推進する市民の会代表森泉よしおさんという方が陳情に行かれたというふうに承知をしているところでございます。この東武線については、今御説明があったとおり、北越谷駅まで高架化、複々線化等の事業が推進されて、発着本数がふえたり、また区間準急が設置されたりして、かなりこれは利便性がよくなってきているわけでございます。  また、北千住駅が多層構造化されているという状況もあるようでございます。利便性の向上、通勤者の負担軽減について、かなり取り組みがなされているようでございますけれども、北千住駅が多層構造になったということがあって、遠いところから来られる方は準急を利用される、準急を利用される方々は北千住駅でかなり乗りかえが大変である、できれば北千住駅で準急がそのまま地下鉄に乗り入れができれば乗りかえに伴う負担が軽減される、ぜひともこの相互乗り入れについては前向きに推進していただきたいというふうな要望がございました。  これは大臣が何か要望を受けられたというふうに承知をしているわけでございますけれども、ぜひともこの点について、大臣のお考えがあればお伺いをしたいと思います。
  196. 川崎二郎

    ○川崎国務大臣 確かに御陳情いただきました。一階と三階になってしまってかなり大変なようでございます。  ただ問題は、準急が今十両編成で動いております。地下鉄が八両編成。特に、地下鉄の場合は前と後ろが出口、入り口になっておりますので、その二両分をどうするかという知恵を出さなきゃいかぬのかな。じゃ、八両で来たらどうか。八両ではどうやら伊勢崎線の今日の混雑状況からちょっとこなせない、お互い少し勉強しましょうと言って、お話を聞かせていただきました。  なお、平成十五年春を完成目途に、押上駅において、二十メーター車両十両編成で東武伊勢崎線と地下鉄半蔵門線が相互直通運転ということで完成予定になっております。こういった問題も含めながら、私ども勉強してまいりたい、こう思っております。
  197. 福留泰蔵

    福留分科員 大臣の方から、お互いに勉強してやってまいりましょうというふうなお話を伺って、皆さん喜んで帰ったようでございますので、知恵を出し合って、通勤者の方々の負担軽減、利便性向上のために今後とも取り組んでいただきたいと思っているところでございます。  残り時間あと五分ということで、最後の質問をさせていただきますけれども、今回の平成十一年度の予算の中で、特に港湾に関する件で質問をさせていただきたいと思います。  港湾行政の推進の中で、国民生活の質の向上ということで、深刻なごみ処分に対応するためのフロンティアランド、廃棄物海面処分場の整備を行うというふうなことがあるわけでございます。ごみ問題というのは首都圏にとって大変大きな問題でありまして、今後危機的な状況になるんではないかなというふうに思っているわけでございます。  つい最近、これは港湾のごみ処分場の問題と関係ないかもしれませんけれどもダイオキシンの問題がマスコミを通して大変関心を集めて、皆さんが不安を覚えていらっしゃるわけでございます。所沢市の問題が特に大きく報道されまして、大きな波紋を今広げております。所沢のあのごみ焼却場というのは、伺うところによると、東京からごみが持ち込まれて、それを埼玉で燃やしているということで、埼玉方々がそのダイオキシンの危険にさらされているという状況のようでございます。  運輸省の港湾行政に関係して申し上げれば、今御紹介申し上げました海面の処分場については長年取り組んできておられます。昔、フェニックス計画というのがありまして、大阪湾フェニックス計画というのは大変うまくいっておりまして、関西の各府県が協力をして、既にうまくいっている一つの例としてあります。  同じ時期に東京湾フェニックス計画というのがあったわけでございますが、これは現実的にはまだ各都県の調整がつかないというふうに私は承知しているわけでございます。この東京湾フェニックス計画についての運輸省としての現状認識と、これについては各都県に今話し合いを任せている段階ではないかと思っているんですけれども、もう少し国としてリーダーシップをとっていかないといけないんではないかと私は認識をしているところでございます。  東京にとってみれば、自分の所有している東京湾の海面というのはもうありませんので、自分たちの海面を使うので手いっぱいだ、よその県のことまで構っておられない。千葉県がまだ東京湾の海面があるんですけれども、千葉県はよその県のごみを持ってこられても困るという立場である。東京はイニシアチブをとろうとしない、千葉県は困る、埼玉県は海面を持っていないというふうな状況がありまして、これは各都県に任せていたら、それぞれの地域エゴと言ったら申しわけありませんけれども、それで話し合いの調整がつかないのではないかと私は思っております。そういう意味で、国として、これは首都圏全体のごみをどうするかという観点から、リーダーシップを持って推進して取り組んでいくべきことじゃなかろうかと思っているわけでございます。  運輸省の港湾行政の中で、立派にこういうふうな施策を推進するというふうにうたってあるわけでございますので、ぜひともそういう意味での取り組みをお願いしたいと思っているわけでございます。  この点について、運輸省の御見解をお願いしたいと思います。
  198. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 先生指摘のございました東京湾フェニックス計画の基本構想につきましては、昭和六十二年に運輸省、厚生省が発表したところでございまして、それに基づきまして関係自治体の方に検討を今要請しているところでございます。  この要請に基づきまして、関係自治体の方では、七都県及び市の首脳会議の中でいろいろ御検討をいただいております。平成十年の十一月に開催されました会議の中では、関係者間の中で、資源循環型の社会の構築を目指しまして、いわゆるごみの減量化ということで、共同して協調していくということが確認されましたし、また、一般廃棄物の広域処分場につきましても、定期的に調査検討を行うということで確認されたというふうに承知をしているところでございます。  それで、私どもの方の政策でございますが、首都圏域で大量に発生いたします建設残土につきましては、建設残土を全国の港湾などのプロジェクトにおいて有効活用するということで、いわゆるスーパーフェニックス事業というのを平成六年度から推進をしてまいっております。それによりまして、首都圏の残土処理といいますか、そういったものは大きく進展をしたというふうに認識をしております。  また、補助事業におきまして東京湾の新海面処分場を建設中でございますが、廃棄物の広域処理の場として他の自治体の方に提供するというふうなことで東京都の方からの意思表明もなされたということで、こういった意味では、広域処理の問題はかなり進展をしているのではないかというふうに認識をしております。  運輸省といたしましては、これらの取り組みがさらに成果を上げていくように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  199. 福留泰蔵

    福留分科員 時間が来ましたので終了いたしますけれども、今お話を伺っていて、大変難しいところを取り組んで、ある一定の前進があるというふうな御説明があったかに思いますけれども、私のお聞きしての感想は、いずれにしても東京湾フェニックス計画というのはとまったままである、ほかの対応でやっていらっしゃる。また、循環型社会のためにごみの減量化を目指す、これはまた当初の東京湾フェニックス計画とはちょっと違う形に今流れているような感じがしますけれども、もう少し国として広域のごみ処理という観点からの問題解決について取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  200. 自見庄三郎

    ○自見主査 これにて福留泰蔵君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力により、本日ここに本分科会の議事をすべて終了することができました。心から感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三分散会