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1999-08-02 第145回国会 衆議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月二日(月曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 中井  洽君       赤城 徳彦君    今村 雅弘君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    越智 通雄君       大原 一三君    加藤 卓二君       亀井 善之君    河村 建夫君       岸田 文雄君    小島 敏男君       斉藤斗志二君    津島 雄二君       中谷  元君    萩野 浩基君       古屋 圭司君    牧野 隆守君       村山 達雄君    山本 幸三君       渡辺 博道君    岩國 哲人君       上田 清司君    上原 康助君       生方 幸夫君    岡田 克也君       小林  守君    肥田美代子君       横路 孝弘君    大野由利子君       旭道山和泰君    草川 昭三君       西川 知雄君    丸谷 佳織君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西川太一郎君    西村 眞悟君       木島日出夫君    春名 直章君       矢島 恒夫君    畠山健治郎君       濱田 健一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    陣内 孝雄君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         郵政大臣    野田 聖子君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         証券取引等監視         委員会事務局長 舩橋 晴雄君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵省主計局長 武藤 敏郎君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         大蔵省金融企画         局長      福田  誠君         大蔵省国際局長 溝口善兵衛君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         水産庁長官   中須 勇雄君         通商産業大臣官         房審議官    林  洋和君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         郵政省貯金局長 團  宏明君  委員外出席者         参考人         (預金保険機構         理事長)    松田  昇君         参考人         (日本銀行総裁         )       速水  優君         参考人         (日本銀行理事         )       小畑 義治君         予算委員会専門         員       大西  勉君 委員の異動 七月二十二日         辞任         補欠選任   小林  守君     佐藤 敬夫君 同月二十七日         辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     小林  守君 八月二日         辞任         補欠選任   岸田 文雄君     山本 幸三君   島村 宜伸君     古屋 圭司君   葉梨 信行君     渡辺 博道君   村田 吉隆君     中谷  元君   森山 眞弓君     赤城 徳彦君   谷津 義男君     小島 敏男君   横内 正明君     今村 雅弘君   吉田  治君     上田 清司君   草川 昭三君     旭道山和泰君   加藤 六月君     西川太一郎君   志位 和夫君     春名 直章君   不破 哲三君     矢島 恒夫君   北沢 清功君     畠山健治郎君 同日         辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     森山 眞弓君   今村 雅弘君     横内 正明君   小島 敏男君     谷津 義男君   中谷  元君     村田 吉隆君   古屋 圭司君     島村 宜伸君   山本 幸三君     岸田 文雄君   渡辺 博道君     葉梨 信行君   上田 清司君     吉田  治君   旭道山和泰君     丸谷 佳織君   西川太一郎君     加藤 六月君   春名 直章君     志位 和夫君   矢島 恒夫君     不破 哲三君   畠山健治郎君     北沢 清功君 同日         辞任         補欠選任   丸谷 佳織君     草川 昭三君 同日  理事斉藤鉄夫君同日理事辞任につき、その補欠として太田昭宏君が理事に当選した。 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(日債銀・長銀等金融問題)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事斉藤鉄夫君から、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事太田昭宏君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 中山正暉

    中山委員長 予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、日債銀・長銀等金融問題について集中審議を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  6. 河村建夫

    河村(建)委員 おはようございます。自由民主党河村建夫でございます。  総理、きょうは私は政権与党立場でここに立たせていただいておりますが、その前提としては、国民の代表であるという立場もございます。そういう観点から、当面する重要課題金融問題に関して、こういうことでございますが、そういう点に立ちますために、いささか厳しい、場合によっては失礼に当たることもお聞きいたすやもわかりませんが、その点はひとつ御海容賜りたい、このように思います。  小渕内閣が無事に満一周年をお迎えになりました。御同慶にたえません。総理は一年を振り返って、「がむしゃらにはたらきし汗ぬぐうかな」久保田万太郎の句をお引きになりましたが、汗ぬぐう、まさに汗もぬぐわずに一年間頑張ってこられたという感じを持ちます。間もなく高校野球も始まるのでありますが、ピッチャーが満面汗をかいて、汗もぬぐわずに打者に向かっていっておりますが、非常に共感を抱いております。総理もそういう形で頑張ってこられた、こう思うわけであります。  ただ、発足当時のことを思い出しますと、失礼ながら、大変低い支持率でございました。低空飛行という言葉がございますが、低空飛行どころか失速寸前、率直なところ、こう申し上げてもいいような状態でありました。  しかし、その後、それからの一年間を考えてみますと、金融国会、これはなかなか大変な国会でございまして、苦難の連続。政府にとりましても、また我々自民党にとっても、必ずしも百点満点といかない面もあったわけでありますが、しかし、その後、自自連立、この状況下から、まさに順風に帆を上げる状況が続いてきておるわけであります。  史上最も早い予算編成平成十一年度予算ができました。景気低迷ということで、国民は呻吟をいたしております。これに安堵感を与えるということもございましたし、例の日米防衛協力ガイドライン、この問題も恐らく自社さ政権ではなかなか前に進まなかったであろう、こう思われるわけでありますが、これも見事に成立をいたしました。この間、サミットの沖縄開催という見事な決定もございましたし、決断もいただきました。さらに、歴史的な省庁再編法あるいは地方分権推進法、こういう法律成立し、国会活性化国会改革、この法案も成立をしたところでございます。  こうした成果といいますか、汗をぬぐわずの御努力というものが国民評価されたに違いないと私は思っております。最近の世論調査では、小渕内閣支持率は五〇%を超え、それどころか六〇%に迫る勢いだ、こういう結果が出ております。あの今太閤と言われた田中角栄首相が、日中国交回復においてあの電撃的な国交回復を実現されましたが、その直後の支持率に迫る勢いであります。  この支持率の高まり、総理の顔の表情の豊かさといいますか明るさ、あるいは巧まぬ自然な笑顔が非常に親しみを感じる、こういう見方もあるわけでありますが、総理自身、この一年を振り返られて、現在の支持率の高さ、推移、そういうものを受けて、これをどういうふうに見ておられるのか、そしてこの高い支持率にこたえるべく、当面する重要課題にどのように取り組んでいこうとされておるのか。無論、この秋には自由民主党総裁選挙も迫ってきておるわけでありますが、再選を目指してこれにどういう姿勢で臨もうとされておるのか。あわせてこれもお聞かせいただければ、このように思います。
  7. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先月三十日、内閣として一年を迎えました。この間、国会を初め与党また並びに公明党の御協力も得ながら、幾つかの重要課題につきましてこれが法律成立させていただきまして、まことにありがたく、感謝を申し上げている次第でございます。  率直に申し上げて、総理大臣就任いたしました時点におきましては、満を持してということでございませんで、参議院選挙の結果、橋本内閣が退陣をされた後を受けての就任でございました。そういう意味で、本院におきましても、また本委員会におきましての御質疑に対する答弁等につきましても、甚だもって不十分であったかと今反省をしております。  最近の支持率についての御指摘がありましたけれども、私は率直に、国民支持協力がなければ民主政治というものは成り立たないという信念でございますが、時においては、世論というものの動向には厳しいときもあり、また理解が深まるということもあります。このことは大切にしなければならないとは思いますものの、やはり事に当たりましては、国益を中心にいたしまして何をなすべきかという課題にどうこたえていくかということでありまして、そういう意味では、支持率につきましても一喜一憂することなく、国民理解を求めつつ、最終的にはその利益をいかに満たしていくかということについて、最善を尽くしていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。  就任当時、今御指摘ありましたように、金融二法の法律成立させていただきましたが、これはまさに、国会において与野党とも、現下のこの状況の中で日本金融システムが崩壊するのではないか。従来、戦後、金融資本といいますか、そうしたことが日本経済を引っ張ってきたわけでありますが、やはりそれに対しての行政とのあり方等につきましても、バブルが崩壊いたしました平成初年時点に本来的に言えば解決をしなければならない問題が順送りされてきた。とどのつまり、日本金融システムがまさに崩壊の極に達してきたわけでありまして、このことにつきましては、振り返りますと、あの二法の成立の過程におきまして、与野党とも本当に真剣なお気持ちを持って法律成立に御協力いただいたことを思い起こしておるわけでございます。  今まだこれが完全に安定した状況になっているとは言いがたいと思いますけれども、しかし、国際的に見ますると、この二法の成立並びにその後の金融に対する取り組みにつきましては、国際的には一応の信認を得ておるものと考えておりますので、ぜひこれがより安定した形で、資本主義といいますか、経済社会の中で最も重要な心臓部分であるところの金融がより安定していく形に進んでおることについては、大変うれしく思っておる次第でございます。  その他の問題につきましてもいろいろ課題は多いわけでありますが、私自身といたしましても、これからいろいろな問題は起こってくるわけでありますが、一日一生の思いで日々全力を尽くして努力をいたしていきたいと思いますので、変わらざる御支援、御鞭撻をぜひお願いいたす次第でございます。
  8. 河村建夫

    河村(建)委員 大変謙虚で、しかし一日一生、前向きな御答弁をいただいたと思います。  先日、中曽根首相と懇談をする機会をいただきました。かつて同選挙区でライバルの関係にいらしたわけでありますが、元首相小渕総理に対する興味深い評価をされておった。真空総理というのは中曽根さんが名づけられたのかなんというマスコミもございますが、真空というのは、実は私がないんだと、だから非常に吸収力が大きくて、いろいろなあらゆる課題について自分でみずから吸収できる、これは非常に大きな強みなんだ、こういう評価がございました。  それから、小渕総理の長所といいますか、総理としての条件にかなっているその第一点は、目測力の高さ、こう言われておりました。目ではかる、こういうことなんでありましょうが、これは、中曽根総理は、田中首相あるいは竹下首相のもとでそういう勉強をされたんだろう、こう言われておりました。それから、結合力の高さ、説得力の高さ、こういう評価をされておりました。  これから本格的な連立時代に入るわけでありまして、政党間の間合いをはかる、あるいは目測力、私は、群馬県の選挙区で、福田総理また中曽根総理の間に入ってこの間合いをはかりながら頑張ってこられた、そういうものもあるかなと思って聞いておったのでありますが、まさに目測力結合力、そして説得力、私は大変言い得て妙だ、こういうふうに感じたわけであります。どうぞこれからの連立政権、本格化するわけでありますが、その力を遺憾なく発揮して頑張っていただきたい、こう思うわけであります。  総理の場合には、みんなが総理を助けていかなきゃいけないというムードも高まっておると聞いておるわけでありますが、新聞等も実は、若干おせっかいでありますが、人間というのは得意のときに失敗するものだ、こういうことも指摘しながら常に心配をしてくれておるわけでありますから、その辺も自戒をされて御健闘をお願いしたい、このように思うわけであります。  次に、概算要求の問題について若干触れさせていただきたいと思うわけでありますが、平成十二年度の概算要求に当たっての基本方針閣議了解をされまして、発表されたところでございます。日本経済景気回復にかけて軌道に乗るかどうかというまさに瀬戸際といいますか、正念場にあると私は思うわけでございまして、現況を見ますと、住宅需要等々一部回復の動きはございますけれども、しかしこの低金利時代にもかかわらず、この低金利もどうかしてくれという強い声もあるわけでありますが、企業の設備投資意欲は高まっておりません。また個人消費もいま一つだ、こう言われておる現況がございます。特に失業率、六月は四・九%、まさに五%に近づこうとしている、過去最悪の状況下にある。国民の生活不安、あるいは景気への不透明感が完全に払拭し切れていないという現状がございます。  それだけに、景気回復を最優先ということで組まれたいわゆる今年度、九九年度の予算に続いて、平成十二年度も積極型予算をとっていく、これは私は当然至極のことだというふうに思っておるわけでありますし、そのことがやはり日本経済のこれからを決める非常に大きな意味を持つ、非常に重要な予算になってくるというふうに思っておるわけでございます。これまで金融システム安定化のために、あるいは雇用対策、次から次といろいろな財政出動もやってきて、その効果がやっと見えて、改善の兆しも見えてきた、こういうときだけに、これから景気回復を間違いない揺るぎないものにしていく、こういう大きな前提に立っていかなきゃならぬと思うわけでありますから、これからの財政運営というものが日本の二十一世紀にとって大きな意義を持ってくると思っておるわけであります。  特に、今回の概算要求の中で、特色といいますか、総理みずからが新生経済再生というよりも新生だということで、特別枠五千億を組むというふうになっておるわけでございます総理みずからが予算配分をする、こう言われておりますが、どのような理念、どのような方針でこの配分についてお考えなのか。あわせて、全体の財政運営とともにお聞かせをいただけたらと思います。
  9. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回の概算要求基本的方針についての基本的な考え方として、まず、当面の財政運営に当たりまして、今後の我が国経済動向、具体的には四—六月期の経済指標等を見きわめた上で、必要がありますれば、公共事業等予備費活用、十五カ月予算という考え方に立ちまして、平成十一年度第二次補正予算編成も視野に入れまして、回復力が弱いながらも改善しつつある景気の腰折れを招くといったことのないよう、引き続き景気に十分配慮した財政運営を行っていくということであると考えます。  このような基本的考え方を踏まえた上で、平成十二年度予算概算要求につきまして、いわゆるミレニアムプロジェクトを初め、二十一世紀に向け我が国経済新生させるため特に資する施策に特段の予算配分を行うこととし、私が優先度合いについて仕分けを行う経済新生特別枠設定等を行うことといたしております。今後、この基本方針に基づいて、まずは立派な内容の概算要求となるよう、各省庁全力を挙げて取り組んでいただくよう指示をいたしておるところでございます。  十一年度予算あるいはその前の補正予算等もございまして、これは、経済再生内閣と銘打たせていただいた内閣としては、当然のこととして予算編成をいたしてまいりました。その重要性は言うまでもありませんけれども、特に、御指摘いただきましたように、実は次年度予算というものが私は極めて大切ではないか。せっかく改善しつつあると見られる経済状況につきまして、政府としてどのような予算編成していくかということは大きな影響を持つわけでございまして、もちろん十一年度予算が極めて大切でありましたけれども、より重要なのは、十二年度予算あるいは十二年度予算にかかっていくところのことしの暮れからの財政運営、これが非常に重要ではないかという認識をいたしております。  そういった意味で、ぜひ、来年度予算につきましては、今の状況改善をさらに進めていくような予算になり得るべく、効率的、効果的な予算編成に向けて努力をいたしていきたいと思っておりますし、今申し上げましたように、その中で、特に来年度、二〇〇〇年でございますけれども、二〇〇一年、二十一世紀を迎えるこの一両年というものの極めて重要性にかんがみますれば、これに対して、二十一世紀を展望した意味でのミレニアムプロジェクトといいますか、日本としても心がけていかなければならない、かなり中期的展望に立った予算をつくり上げていくということが今回の極めてポイントではないかというふうに考えておりまして、そのことを志向しながら全力を挙げていきたい、こう考えておる次第でございます。
  10. 河村建夫

    河村(建)委員 ありがとうございました。  地方にとりましてはもう一つ景気回復という実感がわいてこないということがございます。そういう意味で、切れ目のない予算執行ということで総理もお触れになりましたが、いわゆる五千億の公共事業予備費活用という問題もございます。むしろ、補正予算の前にそれが先ではないかという指摘もあるわけでございますが、積極果敢にこの予算執行について取り組んでいただきたい。これは要望にとどめておきたいと思います。  次に、日債銀の問題に入らせていただきたいと思います。  まず、特別公的管理になりました日債銀、旧経営者の逮捕、粉飾決算容疑ということがございました。まず、その事実関係をお聞きしたいと思います。
  11. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 日債銀につきましては、ただいま先生仰せのとおり、昨年の十二月十三日から公的管理のもとに置かれました。公的管理のもとに置かれた場合には、再生法規定により現経営陣は、旧経営陣行為等に犯罪にわたるというふうに思料される事実がある場合には、これを告発しなければならないという義務規定が置かれておるわけでございます。  そういうような規定を実現すべく、日債銀経営陣は、これをみずからでやるということは避けまして、責任の追及ということで、第三者の機関を内部に設置いたしました。主として法律家から成る委員会でございますが、内部調査委員会というものを設置いたしまして、この方々が、強制調査権のない中で、専ら書類と取り組むという努力のもとで大変な御苦労をいただきました。  先般、同委員会からこの調査検討の結果の報告書が提出されまして、この報告書を受けまして、七月二十三日に日債銀の現経営陣から告発が行われました。同日、東京地方検察庁及び警視庁によりまして旧経営陣六名が証券取引法違反容疑で逮捕されたということが、先生お尋ねのこれまでの事実関係でございます。
  12. 河村建夫

    河村(建)委員 ありがとうございました。  私、昨日のNHKの夜のニュースを見ておりまして唖然としたのでありますが、特捜部内部に入ったいろいろな結果から、不良債権隠しの問題で、二百年、三百年たてばこれは回収できるんだからという前提に立って不良隠しが行われておった嫌いがある、こういう指摘がございました。このような状態があった、いわゆるモラルハザードでありますが、このようなことでああした銀行がつぶれていく、これは当然と言えば当然のことの結果だという思いがしたのであります。  しかし、考えてみたら、このような銀行側モラルハザードというものがなぜ発生したのかということであります。いわゆる大手銀行はつぶれない、つぶさない、この銀行不倒神話とでも申しますか、そういうものが、これまでの大蔵省のいわゆる護送船団方式、この中にあった、こういう指摘、私もそういう感じがするわけであります。  実は、宮澤大蔵大臣、さきの参議院決算委員会等々におきましてもこの問題について大蔵省責任を率直に認められたと聞いておりますが、そのあたりの真意をお聞かせいただきたい。また、柳沢金融再生委員長も、セーフティーネットの立法を怠った行政側にもこの責任があるのではないかということについても言及されておるわけでございます。  時間の関係であわせてお聞きいたしますが、この責任があるとするならば、この責任をどういうふうな形でこれからとっていくのか、また、大蔵省はどのような形でかかわっていったのか、私は、そこのところがこれからの金融行政をやっていく上で非常に重要なことだというふうに考えておるわけでございます。金融再生へ向けてのこの教訓をどのように生かしていこうとされておるのか、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる護送船団方式が戦後かなりの期間有効に働いたことは事実であったと思いますが、我が国がこれだけの国になりましたある段階で、この行政方針は転換せられるべきであったと思います。明らかにその機を逸しました結果として、国内の銀行間には競争がなく、国民金融商品についての選択がなく、また、外国から金融機関が入ってきましたときには、我が国の金融機関はそれに対応するだけの力を備えていないといったようなことになったことは事実でございます。  そういうことが基本にございましたために、銀行に対して、検査は検査としてしっかりやっておりますものの、基本的にその銀行をつぶすということが国益でない、そういう頭で行政が行われておりますので、また、実際、準備がなければ、つぶすということは、我が国が大国になりました後には、国内にも国際にも大きな影響を及ぼすこともございまして、それをやむを得ず続けておったということであったと思います。  いわば、セーフティーネットがなかったということでございますけれども、それならばセーフティーネットを早く考えればよかった。幸いにして、国会が昨年法制定をしていただきましたので、その問題はかなり直りましたけれども、そういうことを長く長く続けておった、その結果としてこのたびのようなことが起こったと考えざるを得ません。  大蔵省としては、そのような行政金融を任せるわけにはいかないという国会の御判断がありまして、新たに金融監督庁ができ、また再生委員会ができ、やがて金融庁ができるといったようなことで、大蔵省はいわばその責めを問われた形であると考えておりまして、その点は深く反省をいたします。
  14. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私もこのたび、先生先ほど御質疑になられた日債銀の旧経営陣の逮捕という事態を受けまして、記者の皆さんから、これについての感想はどうだ、こういって聞かれました。私は、そのときに申し上げたのは、非常に選択の幅は狭かったんじゃないかということを申し上げたのでございます。  別に、粉飾とまだこれは確定した事実ではありませんけれども、そういう疑いをかけられるというような会計処理をしたということでございますけれども、非常に苦しい選択、もしそうだとすれば苦しい選択であったということは想像にかたくない。つまり、一方で、もし破綻をさせれば、今宮澤蔵相がおっしゃられたように、国内のみならず国際にわたる金融秩序の混乱というものを生じさせてしまう。では、破綻をさせられない、破綻をさせられないけれども、実態の財務状況というものが非常に悪化しているというときに、一体どういう手が打てるだろうかということを頭の中に浮かべまして、やはり、セーフティーネットの構築というか、あるいはそれ以前の問題というものの処理がおくれたということに大きな問題があったのではないか、こういう趣旨のことを申し上げたということでございます。  これをどうやってこれから生かしていくかということでございますけれども、一つには、私はやはり、金融機関そのもののこれからの経営に対する態度というものを変えていただくということが必要だろうと思います。  このときに、私指摘させていただきたいのは、一つは、ディスクロージャーの拡充ということで、正しい的確なディスクロージャーをすることによって、みずからの経営状況、財務状況というものを国民の目にさらすということでみずからを規制する。それから第二番目は、リスク管理というものの技術の向上を図っていただく必要があるというふうに思います。これは、当局側でもこのリスク管理というものについてモニターしていくというような体制の整備を図っておりますけれども、そういう官民通ずる努力が必要であるということが第一点でございます。  それから第二点は、もう一つ金融検査というものをやはりもっと厳しいものに、また、頻度の、密度の濃いものにしていく必要もあろうというふうに思うわけでありますが、同時に、金融機関の側も自己査定というか自己規律というものをしっかりやってもらう。そして最後に、早期是正措置ということで、もう追い込まれる前に何らかの解決策を講じていく。  こういうようなことをやっていかないと、お互い、経営者も進退きわまってしまってからの選択ということになると、非常に厳しいものになり、今回のようなことを繰り返すことになるのではないか、このように考えておる次第であります。
  15. 河村建夫

    河村(建)委員 これから金融行政というものがどういうふうに変わり得て、国民の信頼ある金融行政ができるかということにかかってきておるというふうに思います。全力を尽くしてその期待にこたえていただきたいというふうに思うわけでございます。  時間ももうせってまいりましたので、ペイオフについてもお聞きしたいと思ったのでありますが、時間がございません。  最後に、当面する問題として、日韓、日中漁業問題についてお聞きをしたいと思うのであります。  日中の間でございますが、新漁業協定の早期発効を漁民の皆さんは本当に切望いたしております。既に、日中間では一昨年の十一月に署名がなされて国会の承認も得ているわけでありますが、あれから既に一年半を経過しておるわけでありますが、発効に至っていません。その結果と申しますか、韓国漁船との間には、もう発効いたしておりますから、EEZ内の一定の規制措置がとられておりますけれども、中国漁船はございません。何の規制もなく、野放し状態日本海側におきましても、中国の二そう底びきといいますか、底びき網漁船が十数隻入ってまいりまして、日本漁船側のシイラ漬け漁業の漁具が切断された等々の大変な被害が出始めております。このまま置きますと、日本海側の漁場の資源管理がめちゃめちゃになるという危機感を抱いておるわけでございます。  さきの日中首脳会談におきましても、総理からその点について中国側に強い要請をされたと伺っておりますが、その取り組み、今後の方針について、日中首脳会議の様子も含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  16. 高村正彦

    ○高村国務大臣 まさに委員が御指摘になったような状況でありまして、できる限り早期に新協定を発効すべく、さきの総理訪中の際も含めて中国に強く働きかけており、中国側からも、早期発効に向けて努力したい旨の反応を得ているわけであります。  このようなやりとりを踏まえまして、今週、東京において水産庁長官及び局長級の日中間の協議が開催される予定であり、鋭意協議に努めてまいります。できるだけ早くやりたいと思っております。
  17. 河村建夫

    河村(建)委員 私の地元山口県を初めとして、福岡、佐賀等々、いわゆる西日本海域の漁民の皆さんが近々東京におきまして総決起大会をやるという動きもございます。全力を尽くしていただきたい。  それから、日韓の間も、せっかく協定を結んだのでありますが、暫定水域の問題が残っておるわけであります。せっかく農水大臣にお越しをいただきました。この取り組みについて一言お願いしたいと思います。
  18. 中川昭一

    中川国務大臣 日韓は一月に協定が発効いたしましたが、暫定水域におけるルールについては共同委員会で話し合いをするということになっておりまして、先方の都合でそれが大変おくれまして、七月の二十一日、二十二日に行われました。  資源管理の認識は共通するものがありますけれども、韓国の国内事情等もあって実質的な議論ができなかったということで、近々、できるだけ早い時期に第二回、第三回という、共同委員会の枠内での実質的な詰めを行っていかなければならないというふうに考えております。
  19. 河村建夫

    河村(建)委員 お互いの共通の海で、漁民の生活がかかっております。国連海洋法時代の資源管理という観点に立って、早急にひとつ取りまとめをお願いしたいことを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  20. 中山正暉

    中山委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次に、山本幸三君。
  21. 山本幸三

    山本(幸)委員 自由民主党山本幸三です。  きょうは、金融問題に集中して質問いたします。  時間がありませんので、すぐ本題に入りますが、まず第一に、先ほどもお話があったわけですが、金融機関破綻処理行政の問題についてお伺いしたいと思います。  過去五年間、いろいろな出来事があって、そして今日の長銀、日債銀の問題ということになっているわけでありますが、私が思い起こしますに、この金融破綻処理の問題の最初の契機というものは、九四年の暮れに東京協和、二信組事件がありまして、そのときに、東京共同銀行というのをつくって、この二信組の破綻処理のための受け皿ということをつくったわけですね。  私はそのときに、大蔵省の担当者の方が説明に来られたときに、それはだめだ、この二信組のためだけにそういう受け皿をつくるような構想ではだめだと。もしやるなら、アメリカのRTCみたいに全金融機関、全体に対して適用されるようなものをつくっておかないと、本当にそれが必要になったときには大変難しくなる、この二信組だけで問題を糊塗しようとすると将来に禍根を残すという話を申し上げたのですが、とにかくこの二信組が解決すればみんな問題は解決するんですということで、受け入れられませんでした。  それから住専国会。これも、住専が解決すれば問題はすべて解決するのでという話でしたし、その後、金融安定化法、預金保険法の改正があったわけですが、そのときも一つのチャンスだったのですけれども、結局、預金保険機構が資金救済、債務保証等で資金拠出できるのは信用組合相手の受け皿銀行の場合だけ、そういう処理で来たわけですね。  私は、こういうことがずっと続いて、そして昨年の金融国会金融再生法につながってきたという気がしておるのですけれども、そういう意味で、大変残念だけれども、大蔵省は、金融破綻処理についての問題意識、最大の問題、不良債権処理という問題が、現状として単に信用組合だけではなくて全金融機関に蔓延しているんだということをしっかりと現状分析することができなかった。そしてその結果、大きな金融破綻処理についてのグランドデザインが描けなかったのではないかなという気がしておりまして、どうも最初のボタンのかけ違いというものが今日の状況を生んでいるんじゃないかなという気がしてなりません。  その後、私は、宮澤大蔵大臣総理のときに公的資金を使って処理をすべきだということを申されたということを後で知りましたけれども、大変炯眼であったという気がしております。それが実現できなかった、そのことが今日こういうことになっているんじゃないかと思うのですけれども、この点について、やはり反省すべきは反省し、けじめとしてはきちっとつけないと、行政自体が信頼を失うのではないかという気がいたします。  その点について、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 平成四年の夏でございましたが、今御指摘がありましたように、これは、政府が公的に関与することをいとわないということを私は申しました。  しかし、それがほとんど顧みられなかった理由を考えますと、一つは、銀行の中にも優劣がございますので、先の方の銀行を後の方の銀行並みに扱われることは当然快しとしない。  次に、公的な関与がありますと、結局は銀行経営者自身責任が問われることになる。政府が干渉するということはそういうことでありますから、それを恐れたということもあったと思います。  それから、産業界は国が金融に金を使うということに本能的に反発をいたしました。  それからもう一つ、これに関係しておりました公務員諸君には、そのうちに市況が回復するであろう、そうすれば自分たちが今まで内々やっていたアレンジメントというものが生きてくるだろう、これは一種の楽観主義でございましたが、そういうことがあって顧みられなかったということを記憶しております。  しかし、考えてみますと、これだけ大きな不良債権を日本の経済が、不良債務を抱えたということ自身が、言ってみれば開腹手術をして明らかになったようなことでございまして、毎日毎日がともかく無事に動いておればこれで動ける、そのうちに土地も上がるだろう、株も上がるだろうといったような見方が、残念でございますが支配をしておったということだと思います。  これは、もとをたどりますと、多分、八五年のプラザ合意に私はさかのぼるのだろうと思います。それから日本の通貨が、価値でもう倍以上、七十九円までございましたですから、そういう大きな変動に、日本経済といいますか日本経済社会が対応する、その苦労なんだろうと、もうここまで来れば私はそう思っていまして、その苦労があって、それでうみを出して初めて二十一世紀に向かって生きられるだろう、今となってはそういう思いがしております。
  23. 山本幸三

    山本(幸)委員 大臣の所感、本当にそういうことだろうと思いますが、ぜひ、先ほども申されたように反省して、これからの新しい行政に向かっていただきたいと思います。  次に、長銀や日債銀、これから破綻処理をしまして譲渡先を見つけるわけでありますけれども、新聞紙上によりますと、いろいろ取りざたされております。  私は、そういうときに非常に大事なことは、原理原則をしっかりしておく必要があろう、これは破綻処理のときにも通じるわけでありますけれども。  その原理原則というのは、これはスウェーデンの例を読みますと、そこにはっきり書いてあるのですけれども、要するに、そういう処理をして不良債権を切り離すことは結構だ、しかし、通常のレベルのリスクは当然持たせておかないといけませんよ。そして、譲渡するときには、その通常のリスクは当然譲渡先も覚悟してもらわなければいけませんよということが、スウェーデンのケースの場合にもちゃんと書いてあるのですね。  したがって、これからどういう譲渡先が見つかるかわかりませんけれども、そこのところの原則はきちっとしておいてもらいたい。余りいいとこ取りされて、ハゲタカファンドのえじきになるというようなことは国益のためにもならないと私は思います。  このことはぜひしっかりしていただきたいと思うのですが、柳沢委員長、いかがでしょうか。
  24. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 山本先生御指摘のとおり、再生法における公的管理の終了というのは、株式の処分と営業譲渡、こういうふうに二つ分かれております。しかし、営業譲渡に伴ういろいろな困難あるいはコストというものを考えますと、通常は株式の譲渡というようなものを想定して、以下議論をちょっとさせていただきたい、こう思うわけであります。  この譲渡に当たっての手続というのも再生法上しっかりと示されておるわけであります。  まず第一に、今先生御指摘のように、資産の判定をして適資産と不適資産を分ける。不適資産はRCCなりに買い取っていただいて、そして適資産というものだけを残す。そして、この適資産というものに対して、会計基準に基づいた引当金を積んだところで、一体バランスシート上どれだけの損失が生じているかというものをはかって、その損失を一般勘定なり特例勘定なりから穴埋めする。こういうことになりまして、相手先に一体これに対してどれだけの出資をしてもらえるかということで株式の譲渡をする。こういうことになっているわけでございます。  問題は、ただ、再生法上、明示の規定とまではちょっと読み切れないわけでありますけれども、一応そのときに相手方にも資産についての選択というものが許されておって、というのは、そこからRCCなりがまた買い取るという規定があるというところからそれを読んでいるわけでありますけれども、そういう選択ができるという立場が一応規定されておるというふうに考えられるわけであります。  そういうことでありまして、そこで、今先生がおっしゃるように、そういいとこ取りをされるということは避けるべきだというのは、私どももそのとおり考えておりまして、できるだけ一体としてこれを引き継ぎさせてもらいたい、こういうように考えているわけでございます。  そこまでで話を終えておいてもいいわけでございますけれども、あえてさらに踏み込めば、そういうことをするならば、その譲渡後に起こった途方もないロスについては少しいろいろ考えてくれないかというような要求というものも出てきておるということでございまして、これらについて今、いろいろなこなし方というか、交渉、論議をしておるというところでございます。
  25. 山本幸三

    山本(幸)委員 そこのところは、原理原則はしっかりとして、本当に、一般的に見ていいとこ取りだけされたというような評価にならないようにぜひ気をつけていただきたいなというふうに思っております。  次に、ペイオフの解禁についてお伺いしたいと思います。  私は、原理主義者かなと思っておったのですが、最近、ペイオフのことを少し考えるようになりまして、ちょっと考えが変わってきたんですね。  一つは、やはり預金というものは、個人預金はもちろん当然ありますけれども、大宗の預金は、金融機関が貸したときにつくる事業用の預金、それは決済性の預金が多いと思います。ただ、単に決済性だけじゃなくて、やはり企業は、銀行と取引していると、決済性だけじゃなくて定期預金としても積む、そのことがまた信用力ということになっているというふうにも聞いております。  そういう意味で、中小企業経営者なんかに少し聞いてみますと、必ずしも一千万円のレベルでおさまっているわけじゃない。もっと大きなものが、むしろ相当大きい金額になっている。これが本当に、二〇〇一年四月にペイオフ解禁ということになってスムーズに移行できるんだろうか。私は、もちろんモラルハザードの問題とかいうことがあるのは承知いたしますけれども、しかし、そのことによってまた金融システムが揺らいでは、これはせっかく目的とするところが元も子もなくなるという気がしておりまして、これはそう簡単な話ではないなというように今考えるに至っております。  したがいまして、先日も党内でも議論があったのでありますけれども、結局、やるやると言って、大詰めになって実際はできないというような状況になっても問題だということでありますし、やはり、いろいろな条件、ディスクロージャーの問題とかあるいはそのほかの安全ネットの問題とかそういうことがはっきりとして、できるまでは、私は、一千万円というのは、別にこれじゃなきゃいけないという金額じゃないと思うんですね。  したがって、もしやるとすれば、例えばこの前出たのは、五億円とか言っていましたけれども、五億円とか三億円とか相当大きな金額から始めて、そして順次小さくしていくというようなことも考えるべきじゃないかなという気がしておりますけれども、この点についての大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府は、予定どおり二〇〇一年三月をもってペイオフを打ち切るという、今の制度を打ち切るということを申し上げておりまして、そのことにただいま変わりはございません。  ただ、今山本委員の言われますように、これはそう簡単な話ではないということ。したがいまして、問題を金融審議会に検討をお願いしておったわけでございます。金融審議会としては、先ごろ、これについての問題点を煮詰められまして、それを列挙する形で発表をされました。それを世人にひとつごらんをいただいて、批判を受けたい、批評を受けたい、またその上でさらに建設的な議論を進めていきたいということでございます。  当初、秋までリアクションを待とうというようなお考えであったようですけれども、私はどうも秋というのは少し遅過ぎると思いましたので、金融審議会に夏休みを返上して議論を再開していただきたいというお願いをいたしまして、もう間もなく再開されます。それによりまして、いろいろな問題をどういうふうにしていくか、従来の政府方針前提といたしました場合に、どういう問題があって、それについてはどういう答えがあるかということを金融審議会として洗い出していただきたい。それがありませんと、おっしゃいますように、大変問題があってこれは簡単なことではないなというところで議論が終わりますので、やりますときには、こういうことはこうしますということがありませんと、なかなか御議論が尽きないであろうと思います。  もとより、実行するとしますと、実行はするが後は万事オーケーというような話にはこれは多分ならないはずですけれども、しかし、理由のあることについては、これこれの対案がありますと。  今決済性預金のお話もされましたし、相殺適状のこともお話しになられたと思うのですが、一つ一つ答えを出していただいて、その上で、私は、立法は通常国会でお願いすればいいのだと思いますけれども、仮に、その前に、秋深まって国会でもございましたときには、政府として基本的にどうするのかということは申し上げませんと、もう日が詰まってまいりますので、そういうことをしてみたいと考えております。
  27. 山本幸三

    山本(幸)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、資本注入した銀行の健全化計画のフォローアップというのが行われているわけでありますけれども、これは法律でそういうことが義務づけられているわけですね。  その中で最近ちょっと気になりましたのは、中小企業向けの貸し出しについてであります。  実は、この健全化法は議員立法で、昨年金融国会でやったわけですが、私もその提案者の一人になりまして、答弁にも立たせていただきました。  そのときに、野党の皆さん方と、特に問題になったのは中小企業向けの貸し付けでありまして、この点はしっかりやりますということをお約束して、そしてこの法案の成立が図られたという経緯があるわけですね。やはり資本注入する以上は、政府も株主になるわけですから、そこはきちんとやってもらわなければいかぬ。  例えば、これは社民党の濱田健一先生との間で、健全化計画に書き込ませるということだけれども、どう担保するのかという質問がありまして、私自身がこう答えております。「これは履行状況をフォローアップすることにしておりますし、それを公表することにしております。そして、そうした計画の中に織り込まれた事項が十分に履行されていないというようなことがあれば、当然業務改善命令の対象になると思っております。」そこまで答えて、これはセットして答えたのですね。  そういう観点から見て、この七月に監督庁から信用供与の状況というのが出されまして、見ますと、これは三月末ですから、まだこれからということはありますけれども、しかし、余りにも見込みと実績が離れている銀行があるのですね。  一番大きいのは富士銀行。見込みに対して実績は、実に五千五百五十九億円低い。あと住友銀行が二千六百八十八億円、東海銀行が二千四百九十三億円、大きなところはそういうことですが、この富士銀行の実績の低さというのは異常である、大変問題だというふうに私は思っています。  そのほかの銀行も若干ありますが、今後ぜひ決算期に見ていただかなければいけませんけれども、富士銀行が何でこんなことになっているのかなと思ってみますと、銀行被害者の会というのがありまして、そこでいろいろ問題が指摘されるのは、富士銀行が結構多いのですね。まさに、信用保証協会から借りさせて、そしてもとの融資を引き揚げた、そういうことも出ていました。あるいは変額保険の問題、提案融資、そういうことも出ていました。そういう問題があります。  富士銀行だけとは限りませんけれども、このことはしっかりと今後履行するようにしてもらわなければなりません。その点についての柳沢委員長の御所感をお伺いしたいと思います。
  28. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、健全化計画のスタート時点状況の確認という調査をいたしましたところ、スタート時点の中小企業向けの貸し出しにつきまして、見込みどおりの実績を示し得なかった銀行が十五行中八行ありました。中で、それは金額の乖離の程度というのはかなりばらばら、区々のものでございますけれども、いずれにしても、そういう状況でございました。  そこで、これをどのようにして担保していくのかということについての御質疑でございますけれども、やはり健全化法は、先生のお答えもございましたけれども、基本的には、まず健全化計画の実行ぶりというものについて報告を徴求する、そして徴求した報告を公表するという形で、つまり銀行の計画に照らした行動というものを国民監視のもとに置くということ、このことが最も基本に据えられているというふうに私どもは考えております。  私どもが考えているのみならず、各銀行経営者にとっては、この公表ということによる牽制というものはかなり大きなプレッシャーになっているというふうに考えております。最後のどん詰まりのところで、しかし、それでもこの貸し出しが未達であるというような状況が続く場合一体どうするんだという問題が、確かにぎりぎり言うとあるわけでございます。  私どもとしては、やはり問題は、実際やろうとすればできる、できるにもかかわらず何か意図的にそういうことが未達になるような措置をしているというときに、その措置の排除というものを業務改善命令の形で発するということはできようかと思うのですけれども、基本的に貸し出しをしろということについては、相手のあることで、そこにはおのずから限界があるというふうに思っております。しかし、そういうことは全部御理解の上での先生の御質疑でもあるし、また答弁であっただろうと思いますので、先生の御趣旨を体して制度の運用に努めてまいりたい、このように思います。
  29. 山本幸三

    山本(幸)委員 ぜひ大いにしっかりやってもらいたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  30. 中山正暉

    中山委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  次に、西川太一郎君。
  31. 西川太一郎

    西川(太)委員 このごろモラルハザードという言葉がやたらに職業人に対して使われる、そういう中で、この日債銀、長銀の問題につきましても、昨年の八月下旬に、本委員会参考人として当時の大野木頭取をお呼びをして、我が党も、当時は野党でありましたが、厳しい質問をさせていただきました。そのときに感じたことは、社会的責任ということについて全くいいかげんな態度で臨んでおられたということを、当時の議事録を読み返してつくづく感じるわけであります。  そんな方々のお話をするのに例として引くこと自体不謹慎かも存じませんが、先般のハイジャック事件の際の長島機長の崇高な職業人としての、あの死を賭して、命を賭してまでというもの、私は、あの方の死は決してむだではなく、日本人にそういうものをしっかりと思い起こさせてくださったと思って、質問に先立って、心から弔意と敬意を表したいと思っております。  ところで、特別公的管理となった日債銀、長銀は、特例業務勘定でありますとか金融再生勘定から公的資金が使われているわけでございますけれども、両行それぞれへの勘定はどれぐらい使われたのか、まず柳沢大臣に伺いたいと思います。
  32. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先生今御指摘のとおり、日債銀、長銀はただいま特別公的管理のもとにございますけれども、これに対してどのような公的資金の使われ方がしておるのか、現状を報告しろということでございます。  先生今御指摘のとおり、特例業務勘定と金融再生勘定から公的資金が使われるという状況にありますけれども、現在ただいまのところは、損失補てんだとかそういったことに充当するところの特例勘定につきましては、これまでのところ資金が使用されたという実績はございません。  他方、金融再生勘定でございますけれども、これは預金保険機構から両行の業務に必要な資金が貸し付けられるということで、どちらかといえば資金繰りの面倒を見ていくということでございます。これにつきましては、長銀においては、いっとき最高の残高に行ったときには三・七兆円まで上りましたけれども、これも返済をされまして、現在残高は二・二兆円になっておると承知をいたしております。  他方、日債銀につきましては、同様に、ピーク時は〇・五兆円、五千億円の金融再生勘定からの貸し出しが行われておりましたが、現在では残高はゼロでございます。
  33. 西川太一郎

    西川(太)委員 ところで、こういう状態の中で両行の特別公的管理の終了の見込みはどんなふうになっておるでしょうか、伺いたいと思います。
  34. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 日債銀、長銀ともに現在特別公的管理のもとにありますが、基本的には一刻も早くこれを終了するということでなければならない、このように考えております。  このような方針のもとで、私どもは、この譲渡ということについて、全力を、持てる力を全部注ぎたいということで、同時に、透明性の確保ということも念頭に置きながら、FA、フィナンシャルアドバイザーというものを世界から募集いたしまして、それぞれの銀行が現在FAのアドバイスのもとでのこのような最終的な処理に向けて交渉をしておるというところでございます。  長銀につきましては、現在関心を示しておる複数の先と秘密保持契約を結んだ上で、いろいろな情報を開示しながら、譲渡に関する説明、協議等を行っているところでございますし、日債銀につきましては、ついせんだってFA契約を締結いたしたというところでございます。  現在のところ、具体的な終了見込みということにつきましては、先ほど来申し上げておるような、いろいろ、それぞれの問題がございまして、今その問題のこなしをしておるところでございます。両行の資産劣化を防止して国民の負担を極力軽減するには、できるだけ早期に終了することが望ましいということは私どもつとに承知をいたしておるところでございまして、今後とも、早期処理に万全を尽くしてまいるということを申し上げておきます。
  35. 西川太一郎

    西川(太)委員 早期に処理をされるということでありますけれども、今このFAの話などが出て、方針としては、背景にある考え方はわかったんですけれども、具体的に、例えば公的管理が終了した際、どんなふうに処理されるのかというのをまた改めて伺いたいんです。パーチェス・アンド・アサンプションというんですか、PアンドAというのがありますね、それによって解体するのか、それともほかの金融機関と合併させるのか、あるいは再度株式を公開というか売却して単体の銀行として再建させるのか、金融監督庁としてはどんな御方針でしょうか。この時期にそれをお尋ねするのは早過ぎるかどうかあれですけれども、質問したいと思います。
  36. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  現在、ただいま大臣が申し上げましたとおりに、複数の候補者といろいろな条件面での交渉を行っているわけでございまして、公的管理終了の際にどういう形になるのかということは、まだ確たることを申し上げられない段階でございますけれども、いずれにいたしましても、金融再生法で、特別公的管理の終了は、営業の譲渡または株式の譲渡その他の処分、基本的には営業譲渡と株式の譲渡、この二つしか金融再生法では認められておりません。  ただ、いろいろ税効果を生ませるとかあるいはその他手続を簡素化するという観点からは、株式の譲渡の方がメリットが多いということは一般的に言われておりまして、そのことを念頭に置きながら交渉を進めていくということになろうかと思います。
  37. 西川太一郎

    西川(太)委員 いずれの方法をとるにせよ、いわゆる国民の負担が重くならないように、多くならないようにぜひしていただきたい、このことについて大臣の御決意を伺いたい。
  38. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 「金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。」と申しますことは、金融再生法上、明定されておることでございます。したがいまして、私どももその観点が最も大事だというふうに考えておりまして、これを最優先して、今問題に取り組んでいるところでございます。  しからば、それは具体的にはどういうことかということでございますけれども、引当金について会計基準で説明できないようなことをして、いわゆる持参金を持たせたらどうかとか、あるいは二次ロスの問題についても何か弾力的に考えることができないかというようなことが先生の御念頭にある事柄かと思うのでございますけれども、これらについても、私どもは、会計基準であるとか法律規定であるとかということについてやはり忠実にこの問題を処理していくことが、今言った国民の負担の最小化ということにも資する道である、このように確信をして、その線に沿って考えてまいりたい、このように考えております。
  39. 西川太一郎

    西川(太)委員 次に、ペイオフについて、宮澤大蔵大臣に御質問をさせていただきたいと思いますが、ペイオフは予定どおり行うのかどうかが一つ。  それから、庶民的な感覚で言えば、例えば、同じ銀行に預金を三千万していて、借金を五千万している。そうすると、貯金の方は一千万しか戻ってこない。とりあえずは二十万しか戻ってこないそうですが、いずれ一千万は戻る。借金の方は相変わらず五千万返してくれ、こう迫られる。そうすると、この二千万というのは借金の相殺に使われてしかるべきじゃないか、自分の金じゃないか、こういう庶民の間の心配論が前からあるわけでございます。そういうことについても、通算してきちっと相殺する制度というものを、もしペイオフを、いつ実施するかにもよるでしょうけれども、そんなことも考えられる必要がないかと思うのですが、この二つをまとめて宮澤先生にお尋ねしたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど山本委員にもお答えいたしましたが、従来の方針どおり、二〇〇一年三月をもってこのただいまの制度を打ち切ろうと考えておりますが、それにつきましては、今おっしゃいましたようなことを含めまして大変にたくさんの問題がございますので、金融審議会が過日問題点を洗い出して公表いたしましたが、そればかりでなく、夏休みを返上して、それについての答えをひとつ審議会として出してもらいまして、できるだけ国民の皆さんにメリットとデメリットをわかりやすいように、そしてデメリットは政府がどれだけ防げるかといったようなことを含めまして、審議会の答申を求めたい、こう思っております。  ただいまのお話の一つは、相殺適状の話でございます。これは、私、専門家でございませんけれども、一般的に民法の規定から申しましたら、片方で預金があり、片方で借金がある、しかも、それがマチュアになっておって、預金者に相殺適状してそれを差し引くという意思があれば、民法の規定では当然に相殺適状の場合には差し引かれるということだと考えておりますが、そのことが今回の場合とどういうふうに絡みますか、基本的には民法はその点は明快に述べておるのではないかと思います。
  41. 西川太一郎

    西川(太)委員 国民金融機関に対する絶大な信頼を持って、我が国は、経緯を見れば推移してきたわけですけれども、金融不安が国民に大きな先行きの不安として不景気のマインドの原因になっているということはもうだれしも承知をしているところで、これを、いつの時期にペイオフをして国際公約を守るのか、はたまた我が国の経済の再建をどうするのか、大蔵大臣、大げさに言えば、岐路に立って悩んでおられるのだろうと拝察をいたします。  御党の小渕総理のふるさとの先輩も、本日の新聞で、ペイオフは延ばせ、こういうことをおっしゃっていましたから、総理も大変御苦労されるんだと思いますが、大蔵大臣、どうぞひとつ国民の、庶民の気持ちを体してやっていただきたいということを要望させていただきます。  次に、与謝野通産大臣に、信用保証制度、特別保証制度についてお尋ねを申し上げます。  この制度は残りおよそ四兆円ほどだ、この前も予算委員会で与謝野大臣にお尋ねを申し上げましたところ、一カ月およそ四千億ぐらいの実績に落ちついてきたから、単純に計算しても十カ月分はある、加えて今度の新法で、新規事業やまたベンチャーに天井一千万円で無担保無保証でこれをしても四兆円で十分足りると。  さはさりながら、総理の積極的な何度かの御発言もあり、また宮澤大蔵大臣が、通産大臣のおっしゃることは何でも聞きますとここで御答弁をなさいましたように、通産大臣の胸一つで枠をふやすこともできるでしょうし、また返し方についてのリスケジューリングと言うんでしょうか、そういうものも十分私は可能だと思うんですが、まず枠を我が党はあと五兆円ぐらいふやしたらどうか、こういうことを要求しているのでございます。つまり、四千億からここへ来て五千億ぐらいにふえていますし、九月の決算期や十二月の金融繁忙期を迎えると、心理的なあれとして四兆円というのはちょっと少ないんじゃないかという気がするわけでございますが、まずこの点について通産大臣の御見解を承ります。
  42. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 昨年十月に発足いたしました貸し渋り対応特別保証制度については、制度開始から七月二十三日までに、既に保証承諾に至った実績は八十九万四千件でございます。約十六兆二千億と、多くの中小企業の皆様方に御利用をいただいておりますが、四月以降は一カ月当たり五千億程度とかなり落ちついた傾向で推移しているところでございます。  御指摘の保証枠の追加については、総理の御指示を踏まえ、また大蔵大臣の御発言を踏まえ、現在二十兆円の保証枠に加え、今後必要かつ十分な額の保証枠を追加することとしており、その具体的な規模等については、中小企業者の資金需要の動向等を引き続き注視しながら決定してまいりたいと考えております。
  43. 西川太一郎

    西川(太)委員 そこで、専門家の間ではリスケと言うんだそうですが、リスケジューリングと言うんですか、要するに設備資金は七年、一年据え置きですね、それから運転資金は五年、これも一年据え置き。そうしますと、公平に言えば、もう既に借りて翌月からお返しになっている方が全国平均七五%いらっしゃるそうですから、これは前にも申し上げましたけれども、実にまじめに返していただいているわけです。  しかし、さはさりながら、そういう方々も途中で経済の状況によってはそれが重荷になるということになれば、例えば据置期間を単純に延ばすと結局は返す額がふえるだけですから、利息がかさむわけですから。そうじゃなくて、ちょうど階段の踊り場のように、重い荷物をしょって階段を上がっていくときに、踊り場で一息ついて汗をふいてまた元気に上へ上がろうというような、途中で猶予をしてやるような方法も考えられるのじゃないか、こう思うわけでございます。そのリスケジューリングについて通産大臣は、一括してやることはない、個々の対応ができるということを主張しておられるわけでございますけれども、その辺についても御答弁をいただければと思います。
  44. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 中小企業金融安定化特別保証制度は、その返済期間について、運転資金五年以内、設備資金七年以内、そのうち据置期間はそれぞれ一年以内などの条件のもとで、各中小企業者の経営内容や財務内容を踏まえた返済可能性を考慮した上で個々の運用が行われております。  中小企業者の経営環境は、融資実行時点以降さまざまな事情変更も生じ得ることから、御指摘の据置期間及び返済期間の延長については、個々の中小企業者の事情に応じた返済条件の弾力的な対応等を、信用保証協会に指示しているところでございます。  具体的には、昨年の九月三十日に、中小企業庁長官名で次のようなことを言っております。  「さらに、現下の中小企業の資金繰りが厳しい状況を踏まえ、引き続き、窓口における親身な対応、返済猶予の弾力化等既往債務に対する措置、担保徴求の弾力化等につき、一層配慮されたい。」こう言っておりますので、個別の中小企業のそれぞれの事情に応じて弾力的に対応していく、こういう方針で今やっております。
  45. 西川太一郎

    西川(太)委員 この制度が始まりまして二十兆の枠が決まったときに、これは年限も切って、しかも、こういう状況の中で特例のものであるという幾つかの条件つきで、信用保証協会に大体一〇%、二兆円ぐらいの回収の難しいものが発生するであろう、そのうち一兆円は政府が全額これを保証してやる、残りの一兆円について、保証協会は少なくともその半分、五千億、五〇%は回収に努力せよ、こういうことであったと思うんですが、この結果が出るのは、要するに事故、代位弁済とかそういうものが出てくるのは多分秋以降、そして二、三年後がピークになると思います。  二年も三年も先、景気がどうなっているかわかりませんし、そこを言うことはいかがかなと私も質問しながら思うんですが、しかし、貸し渋りに際して、保証渋りという言葉も一時期でしたけれどもございました。こういう、難しくなって取れないところには、結局は自分たちが回収しに行くんだから、そこは、ではもう最初から貸すのをやめようというようなことが蔓延して、またぞろ貸し渋りになってしまうという心配はないのか、私はそこのところを気にしておりまして、モラルハザードは、もちろんこれを克服することは大事でございますけれども、全国信用保証協会等に余りストリクトリーな回収策を迫るということは、かえって政策の効果を生まないんじゃないかと思うんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  46. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 中小企業の金融安定化特別保証制度にかかわる代位弁済後の債権回収については、本制度に係る回収業務が本格化する時期、すなわち本年秋以降、また、二、三年後がピークと予想されますが、その時期までに、回収担当職員の能力向上のための研修会等の実施、各信用保証協会の回収担当の人員の増強等の回収体制の強化を図るべく、社団法人全国信用保証協会連合会に対して指示をしております。  他方、実際の回収業務に当たっては、債権の管理、回収に万全を期すことが原則でありますが、当該中小企業の個々の実情を配慮し、過酷な回収が不当に行われることのないよう、各信用保証協会に対し指示しております。  御指摘の、合理的な範囲での回収ルールにつきましても、保証協会の業務の運営に当たっては、保証業務の遂行に支障を来すことのないよう、信用保証協会の経営の健全性を確保することが原則でありますが、他方、公共的見地から、信用補完機能を通じて中小企業者の金融上の利便に資するという信用保証制度本来の使命を全うすることも重要であり、このような観点を踏まえ、今後検討してまいります。  マクロで見ますれば、九十万件になんなんとする保証をやっておるわけでございますから、保証渋りというのはないというふうに考えていいのではないかと私は思っております。  ただ、保証して代位弁済した後、それをどう回収するかというのは、やはりこれは公的な保証をしたわけですから、その回収もまた念入りに行われなければならないということも一方の真実であろうと思っております。
  47. 西川太一郎

    西川(太)委員 大臣、もう十分御承知でございますけれども、この貸し付けは担保もとらずに、第三者保証もとっていませんから、こういうものを返せ、返せといってもなかなか相手が返さないケースが多くなると思うのですね。それを自分のところの責任でしょっかぶれというと保証協会も二の足を踏む。私はこれは杞憂に済めばいいと思っていますけれども、大臣がおっしゃるとおり、確かに九十万件になんなんとし、十六兆ものお金が出たわけですから、それは今の御答弁のとおりだろうと思いますが、私の申し上げる意図も御理解いただいて指導をしていただきたい。これはお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、新法、活力再生法の中で無担保無保証制度を導入したわけでありますけれども、これの審査をする能力というのは非常に大事でございまして、信用保証協会の与信能力の中にそういう新規事業やベンチャーを審査する力があるだろうか。私は、これは要望にとどめますが、総合事業団の中にいろいろ、コンサルタントの、経営診断士の養成コースとか、それから中小企業大学校なんかがあるわけですから、そういうところの枠をふやしていただいて、公務員並みにいわゆる保証協会の職員がそういうところで研修を受けることができる、そういう制度をぜひ拡充していただきたい、こんなふうに、これは要望を申し上げておきたいと思います。  最後に、もう時間もわずかでございますが、宮下厚生大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。  時間の関係で、細かいことを省略してずばりお尋ねするわけでございますが、七月十九日、参議院予算委員会における厚生大臣の御答弁の真意というものを私どもとしてはもう一度確認の意味で伺いたいと思いますし、それから、これは総理大臣も含めてお尋ねをするわけでありますけれども、概算要求が始まって、介護は来年から始まる制度でございますが、この見直しは早急に結論を得るべきだというふうに私は考えております。これを厚生大臣にお尋ねをしたい。  総理には、介護問題に関して、一部を財政で補てんして高齢者の保険料を引き下げようという意見が報道されておりますけれども、失礼ながら、これはちょっと場当たり的なやり方ではないか。つまり、今は税金でやっておいて、そしてことしの末あたりになればまた社会保険方式に返す、こういうようなやり方になるんじゃないかという不信感を国民は持っていると思うのです。それをどういうふうにきちんと根幹からこの制度を定着させるかということを総理には伺って、そして質問を終わりたいと思います。
  48. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私が七月十五日の本委員会におきまして介護制度につきまして答弁いたしました内容が、両党間の約束及び総理の御答弁と異なるという御指摘を自由党から受けたところでございます。  まず、政策遂行には与党間の合意と信頼が重要であることを、大臣としての私も、また厚生省といたしましても十分踏まえて対処してまいりたいと思います。  また、介護制度につきましては、平成十年十二月十六日の「自由党との協議の確認」におきまして、「介護制度については、平成十一年度末までに基盤整備、実施主体の状況などを点検し、円滑な実施が図られるよう財源のあり方などを含め検討する。」とされておりまして、これに沿って円滑な実施が図られるよう、当省といたしましても誠実に与党間における協議を得て対応したいと考えております。  本件につきましては、衆議院及び参議院予算委員会におきまして累次にわたる御質疑をいただき答弁をいたしましたが、このような経過となりましたことにつきましては、甚だ申しわけなく思っております。  次に、概算要求も始まるが見直しは早急に結論を出すべきではないかというお尋ねについてでございますが、介護制度を円滑に実施するための対策につきましては、市町村の準備状況等を考えれば、与党間の協議を得て、できるだけ早く内容を確定することが必要であると認識いたしております。したがって、所管大臣としては、できるだけ速やかに結論を得ていただくようにお願いをしたいと考えておる次第でございます。
  49. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 介護制度の財源につきましては、与党間におきまして協議する事項となっておりますことから、この問題につきましては、今後の協議の結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。  なお、御指摘の、高齢者の保険料の一部を財政補てんして引き下げようという意見は、政府として承知しているものでなく、自民党内の議論の一部として紹介されたものと考えておる次第でございます。
  50. 西川太一郎

    西川(太)委員 ありがとうございました。
  51. 中山正暉

    中山委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  52. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党・市民連合の濱田健一でございます。  日債銀、長銀等の金融問題集中審議ということで、わずか三十分ですので、長銀を中心に質問させていただきたいと思うんですが、まず前段で、昨年の三月に大手都市銀行に一律に公的資金が注入をされたというこの経緯が、ついこの間のようなことでもありますし、はるか昔のことのようにも考えるわけでございますけれども、当時、社民党も与党でございましたので、この公的資金の投入については、やむを得ないということで決断をさせていただきました。  当然、その公的資金投入というものが、銀行を助けるということもそうでございますけれども、先ほどお話がありましたが、中小企業への貸し渋り対策、健全な借り手保護という内容、そして雇用対策にも資すると、多くの企業が運転資金等に困っているということを含めて、経済へのいい影響が出てくることを期待しながら決断をしたわけでございます。  そういう意味で、この決断と判断には我が党も重い責任を持っているというふうに思っておりまして、今回の日債銀や長銀のさまざまな問題に関して、あのときはあのときだったというような形で責任を回避するつもりはございません。  そういう状況の中で、昨年のあの当時の公的資金の投入というものについては、我が党を含めた与党、どの党も大蔵省が発表した資料に基づいて判断をしたわけでございます。健全行でなければ当然公的資金の投入はできないという状況の中で、長銀も日債銀も健全行だということの資料が、完全ではないけれども、そういうことだということでしか出てこない。ちまたでは経営状況は悪いということもいっぱい言われておりましたけれども、それを信用するに足る中身というのも完全に明らかにはされていなかったということでございまして、当時、政府金融危機管理審査委員会等から出てくる調査の中身というのを信頼せざるを得なかったということ等が、今になってみると大きな問題点として残されたなというふうに私は思っているところでございます。  そういうことを前段に申し上げておきながら、長銀の問題でございますけれども、大野木元頭取、六月に旧経営陣三名を含めて送検をされました。中身を分析しますと、立件対象とされたのは、破綻直前の九八年三月期の粉飾決算というふうに言われております。有価証券報告書に虚偽記載をしたという証券取引法の違反と、原資がないのに配当をやった、違法配当をしたという商法の違反だったというふうに言えるわけでございます。  当然、この中身を見ますと、長銀の粉飾体質というのが破綻を招いたということも最大の原因だと私は言わざるを得ない。マスコミその他で、長銀は受け皿のダミー会社などを次々に設立して、系列ノンバンクが抱える不良債権を移しかえたり飛ばしたりしているという実態も明らかになっています。そして、その資金も長銀が融資するという、いわばタコの足食いといいますか、自分たちの持っている資金を自分たちで食ってしまうという状況に至って、実質的には長銀が不良債権を抱え込むという結果となったのは周知の事実でございます。また、受け皿会社などへの融資は、九八年三月で一兆一千五百億円に上がり、グループ内の融資の七〇%が不良債権化されていたということになります。  ここで大蔵大臣にお聞きしたいんですが、なぜこのような不良債権隠しのためと思われる系列ノンバンクへの融資というのが放置されるがままになっていたのか、その理由は何だったのか、大蔵大臣、どうお考えでしょう。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま既に訴訟が行われ、それに基づきまして調査が行われている件もございますので、それには触れずに、また、最近の検査でございましたら金融監督庁の方でお答えをしていただけると思いますが、結局、先ほども中途まで申し上げましたが、護送船団方式というもので、これはもうとっくに清算してしまわなければならなかったことであったと思いますが、セーフティーネットも欠きましたために、金融機関を破綻させることが我が国の国益にかなわないという行政考え方がございました。それによって、いろいろ是正についてはその都度申しておりますけれども、ただ、この是正ができなければもう倒産はやむを得ないといったような明確な意識を行政は持っておりませんで、むしろそのことから生ずる国内、国際への波及を心配した。預金者のこともございますし、国際的な信用あるいはシステミックリスクもございますが、そういう意識で行政が行われていたということが確かに一つございますと思います。  これは、私は、大蔵省行政について申しましたので、昨年の三月の資本注入について申し上げたものではございません。このときには、両行とも債務超過でないという考え方のもとに管理委員会が決定をされたというふうに承知をいたしております。
  54. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今大蔵大臣は去年の三月の段階のことではないとおっしゃいましたけれども、私は、九六年の大蔵の検査の際に、長銀の経営陣内部調査で回収不能債権が一兆円を超すことを知っていたというふうに思っているわけです。大蔵省には内部資料を改ざんして虚偽の報告をする一方で、大野木元頭取自身金融証券調査室長に、回収不能の債権額を圧縮するように働きかけたとまで言われている。  こういう状況の中で、結果的には、長銀の意向どおりの回収不能債権は二千億円余りというふうに査定をされたわけでございまして、見せかけの危機回避という事態を私は大蔵省みずからが演出したというふうに思わざるを得ない。そういう中で、それが九八年の粉飾決算を生む温床になったことは想像にかたくないというふうに思うわけでございます。  私から言わせると、このような粉飾を見逃してきた当局の責任は、ある意味でいうと逮捕された旧長銀の経営陣責任と同列視さえされてもおかしくはないというふうに思うんですが、大蔵大臣、その辺は内部的な反省といいますか、それらはいかがでございますか。そして、そのための責任をどういうふうに内部的にはとってこられて、公にされておられるのか、その辺を具体的に示していただきたいと思います。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまこれにつきまして捜査が行われております内容につきましては、私全く存じませんので、ただいまのような陳述がなされた云々ということも、確認もまた否定もすることができません。したがいまして、それにつきましては申し上げることができませんが、基本的に、当時行政をいたしておりました大蔵省の公務員としましては、先ほど申しましたようなセーフティーネットがないままで大きな銀行が破綻をするということを極力避けたいという意識があったことは確かであると思います。  もちろん、それは故意とか違法とかいうことではございませんで、許される範囲の行政であったとは思いますけれども、基本的にそういう行政のスタンスというものは確かにあったものと思いますし、それは、いろいろ申し上げたいことはありますけれども、今となって、ごく最近までそのような行政をやっておったということは適当ではなかったということは反省をいたします。
  56. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 そのことに対する内部的な責任をどうとってきたのか、それを私は明らかにしていただきたい。これはいろいろな責任のとり方があるとは思うんですけれども、どのようにされてきたのか、その辺は大蔵大臣からお言葉はいただけませんか。
  57. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的に、そのような行政方針大蔵省が持っておりましたことにもとより問題はあると存じますけれども、それを体して行政をした個々の官吏について違法があったとか故意があったとかいうことは聞いておりません。また、もしそういうことであれば、それは裁判所のことであると思いますので、私は個々の公務員についてというふうに、そこに違法、故意があったということは考えておりませんで、むしろ大蔵省の基本的なそういう行政方針に問題があったというふうに私としては考えております。
  58. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今回の立件といいますか、捜査の、容疑を固めるための条件というのは、我が党も九七年の与党金融システム改革論議において強く主張してまいりましたグローバルスタンダード、国際標準というものに対する自己査定制度というものが導入されて、それによって出てくる矛盾点というものが明らかになってきたと私は思っているわけでございます。  当然、ここに参加する委員はみんながわかっているとおりに、九八年三月に導入されましたこの査定制度によって、銀行が自己責任原則に基づいて不良債権の処理をみずから決定するということになったというふうに思います。甘い査定をみずからが行い、回収不能債権を回収可能というふうに偽れば、当然のごとく粉飾決算という形で摘発されるのは避けられないということも事実でございます。  それにもかかわらず、長銀は九八年の三月、金融システム安定化法に基づいて健全行と認定をされ、一千七百六十六億円公的資金が注入をされたという事実がございます。しかし、その後、半年後に破綻をしたということについては、その法案を、金融システム安定化法をよりよい内容とするために努力をしてきた私たちとしても、本当にざんきのきわみだというふうに今思っているところでございます。  金融というのが経済活動を活性化していくための血液であるということはだれしもわかっているわけでございますが、その金融システムが信用収縮にむしばまれるために機能不全という形に陥ることを回避するために、健全行に限って公的資金を注入することがこの法律の大原則になっていたというふうに思います。この趣旨からすると、長銀の粉飾決算は国民全体に対する詐欺行為以外の何物でもないということを私は言わざるを得ない。また、そのことは、国民の血税がいたずらに浪費されてしまったとしか考えられないというふうに思います。  それで、こういう粉飾決算を見過ごしたことによって生まれたこのように取り返しのつかない失態、これが私は大蔵の大きな責任一つだというふうに思って、不問に付すことはできないと国民の声は上がっていると思うのですが、そのことについて、先ほどと同じ回答になるかもしれませんが、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 検査行政大蔵省の管轄下にございました時代の検査につきましては、先ほども申し上げましたが、大蔵省として、是正はしばしば求めますものの、倒産という事態を基本的には避ける必要があるということを持っておりましたから、検査というものについてもそういう基本方針のもとに行われておった。検査がルースであるという意味ではございませんが。  金融監督庁になりまして初めて、そういうことを離れまして検査というものが行われるようになりました。また、マニュアルすら配付されまして、銀行についても、それは銀行自身責任ということになってまいりました。監査法人等々の問題ばかりではなくなってまいったわけでございますから、ここで本当に検査というものが、いわば国際並みの検査が行われるようになって、その上で、今いろいろおっしゃいましたような数字が明らかになった。  それで、昨年の今ごろから秋にかけましての国会の御審議では、金融監督庁自身が、長銀が債務超過であるということはにわかに確認できないということを答弁しておられますので、その段階ではそのように考えられておったものと思います。  したがいまして、検査というものがそういう形で金融監督庁自身によって行われることになりましたことによって不良債務等々が国際的なスタンダードで規定をされるようになった、こういうことではなかったかというふうに考えております。
  60. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 この件について、これ以上、同じ回答しか返ってこないというふうに思いますので、柳沢大臣にお尋ねをしたいと思います。  大蔵の検査に当たってきたのは、まさにまじめに職務に取り組む、地方の財務局に所属する職員の皆さん方が本当に細かく検査等をやってこられたと思います。しかしながら、残念ですけれども、精力的な検査を行った結果、当時の大蔵省の中、問題点が見つかったとしても、それが指導や監督に生かされることが多くなかったのではないかというふうに私は思わざるを得ない。まさに、先ほどから出ております護送船団方式というものの矛盾が本当に極大化したといいますか、大きく大きく肥大化して起きた長銀の事件だったというふうに私は申し上げておきたいと思います。  早くは九二年の大蔵の検査で既に、関連ノンバンク向け融資の審査が不十分と指摘したことが明らかにされておりまして、九四年にも、ダミー会社に移しかえた不良債権を早期に処理することを求めてきたのではなかったのかなというふうに振り返ってみたところであります。それにもかかわらず、その後の適切な監督や指導というものを怠ったがゆえに、繰り返しになりますが、国民の血税を盗人にくれたも同然の無価値なものになってしまったのではないかという批判さえ国民の皆さん方からは出ているわけでございます。  金融システムの不安に至るまで金融機関が不良債権の処理を先送りしてきた甘えの構図の背景には、先ほど大蔵大臣もちょっと触れられましたが、大手行は一行たりともつぶさないという護送船団の方式がございまして、それを実質的に担保してきたのが裁量行政だったと言わざるを得ないというふうに思います。  社会民主党は、与党協議の中で、このような裁量行政と明確に決別すべく、金融監督庁の創設による検査及び監督機能の大蔵省からの分離を強く求めてきた経緯があることは、九六年当時、与党の協議メンバーであられた柳沢大臣はよく御存じのことだというふうに思います。  そういう中で、この目的意識のもと創設されました監督庁においては、検査と監督体制の緊張関係が維持されて、大蔵時代の先送り体質は一掃されたと考えてよろしいのでしょうか。そのことを明確にお答えいただきたいというふうにまず思います。
  61. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 九六年当時、私も大蔵省の特に金融改革、金融行政改革のメンバーでございまして、御党の伊藤茂先生やその他早川勝先生などと一緒にこの問題を論議してまいった一員でございます。  そのときにも、今先生御指摘のとおり、金融の検査と監督、それからさらには企画立案というようなものは、最も公正でかつ透明、しかも裁量のない行政を行うにはどういう組織立てが一番適切なんだろうかというようなことで、随分議論をいたしました。その結果、金融監督庁ということになって、しかもその中で検査部と監督部が並列して、上下関係ではない、片方が片方に包摂されるというようなことがないという組織ができ上がったわけでございます。  この組織自体は、実は大蔵省時代にも、今までの金融部局から検査部門を官房に移して独立させるということである程度実現をしていたわけでございますけれども、それを、中央省庁再編の一環として、今言ったように金融監督庁というものをつくって、その中で実現をするということで事が運んだということでございます。  現在の検査と監督の緊張関係というか、関係はどうであるかということでございますけれども、現在の監督庁長官、次長のもとで、非常に監督部と検査部というものがそれぞれ独立の関係にある、いい意味の緊張関係にあるということの中で行政が運営されておる、この点は随分事態は改善されたというのが、その上におりましていろいろな行政をさせていただいている私の印象でございまして、これをさらに、金融検査マニュアル等を発出しながらさらに磨いていくということ、それから、監督部は監督部で、モニタリングなどで市場リスク、信用リスクあるいはその他リスクというようなものを逐一フォローしていくという体制ができ上がって、日本金融機関行政というものがさらに向上していくことを期待できる基盤ができつつある、このように認識をさせていただいております。
  62. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今大臣は、検査、監督、行政として厳しい切磋琢磨の中でやっているというふうに言われたわけでございますが、私は、この春の幸福銀行の検査結果をめぐって、破綻処理を考えるべきだという検査部と監督部の間で意見が分かれたというふうなことも伝えられている。結果、五月に幸福銀行は破綻をしましたけれども、そういう内部的な意見の違いといいますか、そういうものがやはり存在することによって破綻処理等が後手に回っていくということもこれまでの大蔵の検査、監督等含めてあるんじゃないかというふうに感じるんですが、その点、大臣の御見解はどうですか。
  63. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 幸福銀行のことについて検査部と監督部の間で意見が分かれたということがあるのではないかという御指摘でございますが、私ども、先生がどのあたりの事実に基づいてそういう御推測をなさっているかということについてさえ全く思い当たる節がない、事実として全くそういうことは存在しなかったということをここではっきり明言させていただきたいと思います。行政は、粛々として定められた手続を踏んで、非常に的確に行われたということでございます。  細かいことについては、もし必要であれば政府委員答弁をさせます。
  64. 日野正晴

    ○日野政府委員 幸福銀行に対しましては、本年三月十九日に立入検査を終了いたしまして、その後検査結果の取りまとめ等の作業を行いまして、四月十三日に検査結果の通知を行ったところでございます。同行の検査結果をめぐりまして検査部と監督部との間で意見が分かれたという事実は全くございません。  なお、幸福銀行に対しましては、私どもの検査結果に対する対応策につきまして銀行法第二十四条に基づきまして報告を求めていたところでございますが、五月十三日に回答されました同行からの十一年三月末の自己資本比率の水準にかんがみまして、私どもは五月十四日に、銀行法第二十六条及び早期健全化法第三条第三項の規定に基づきまして、第二区分の二に当たります早期是正措置命令を発出いたしました。自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併または銀行業の廃止等の措置のいずれかを選択した上で、当該選択に係る措置を速やかに実施するように求めたところでございました。  これに対しまして、五月二十一日、同行から当庁に対しまして銀行業の廃止等の措置を選択する旨の報告、また、金融再生委員会に対しましては金融再生法第六十八条第二項に基づく申し出がなされたことから、五月二十二日に、金融再生委員会におきまして、同法第八条に基づく金融整理管財人による管理を命ずる処分がなされたところでございます。
  65. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 時間がなくなりました。最後に法務大臣にお尋ねをいたします。  住専問題の教訓に学びながら、社民党は、与党時代平成九年に、今回の事件にかかわりある部分でいえば、例えば有価証券報告書への虚偽記載に対する懲役刑を五年へと、当時の三年から二年間延長することにいたしました。しかし、それでもこの長銀事件では、時効の壁に阻まれて、破綻時の大野木元頭取らだけが刑事罰の対象として立件をされているわけでございまして、このような内容に対して、スピード違反を取り締まるようなもので巨悪本丸に迫っていないという国民の不満は払拭しがたい状況であると私は思っております。起訴された同被告らの責任責任として、長銀破綻の本質はまた別なところにもあるというふうに思うんです。  イ・アイ・イ・インターナショナルなどに象徴される乱脈融資を指揮し、長く長銀の経営に影響力を行使してきた杉浦元会長やそこにつながる旧経営陣、安斎頭取ら現経営陣は、刑事責任とは別に、一向に進まない退職金返還とあわせて損害賠償などの民事責任も追及する構え、私たちはそういうふうに伝えられていることをお聞きするわけですが、その姿勢は大いに称賛をされるというふうに申し上げておきたいと思います。  この決意へのエールではございませんけれども、捜査のメスが及ばないまでも、裏づけのとれた疑惑の公表を含めて、せめて公判では長銀破綻の本質をついた検察側の陳述が行われるものと期待をしたい。そして、それは当然捜査当局の熱意のあかしにもなり得ると考えておりますが、その用意がおありかどうか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  66. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 個別の事案においてどういう冒頭陳述をするかにつきましては、これは検察当局が証拠に基づいて判断すべき事柄でございますのでお答えしかねますが、一般論として申し上げますと、検察当局は、公訴事実あるいは情状等を立証するため、証拠により証明すべき事実を明らかにしていくものと考えております。
  67. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今の部分については、国民がこれまでのいろいろな問題点を本当に明らかにしながら二十一世紀を迎えたい、そういう気持ちに関して、検察としては、法務省としては期待にこたえられるよう努力をいただきたいというふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  68. 中山正暉

    中山委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  69. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、同理事小畑義治君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  71. 中山正暉

    中山委員長 質疑を続行いたします。横路孝弘君。
  72. 横路孝弘

    ○横路委員 初めに総理にお尋ねをしたいと思いますが、総理は、昨年、就任されて初めての予算委員会が八月の十七日に開会をされまして、そのとき、私、日本金融システムについてということで、特に長銀と日債銀の問題をここで議論をさせていただきました。  その後、この二つの銀行は破綻をしてしまったわけですが、この間いろいろなシステムもでき、またこの三月には資金の導入などもあって、かなり不良債権の償却なども進んできていますけれども、しかし依然として、大手行を見ましても二十兆近い不良債権があるわけですね。  もう山を越えたという主張もあるわけですけれども、しかし、優良行を除けばまだまだ問題も多く、根拠のあることではないというように思いますけれども、総理に、今日の日本金融の現状と、あるいは金融システムの安定性といったことについて、どのようにこれを考えておられるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  73. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 昨年金融二法を、国会の御理解をいただきましてこれが通過させていただきました。その後、二つの大きな金融機関が公的管理に入りましたけれども、現在の状況では、一応大きな国家的な金融のシステムリスクというものは乗り越えられた、また同時に国際的な信認も得つつあると理解をいたしております。  しかし、個々の金融機関の実態につきましてはまだ要注意のところもあろうかと思いますが、全体としては、この趨勢の中で適宜適切、この法律運用を誤らしめなければ、国際的な信頼も得つつ日本のシステムは安定化していくものと理解をいたしておりますが、現下におきましては、決して気を緩めずに対処いたしていくということであろうかと思っておりまして、決して安閑とせずに対処していかなきゃならぬ、このように考えておる次第でございます。
  74. 横路孝弘

    ○横路委員 もう一言だけ総理にお伺いして、あと、まだ食事をされていないということでございますから、結構でございます。  先ほど来議論されましたペイオフの解禁まで一年半余りと迫ってまいりまして、来年から預金者の選別が一段と強まるわけであります。もう既に二年物とか五年物とか、そういう動きも始まっているということも言われているわけでございますが、そのときに、何をもって国民はその判断をしていくのかというと、やはり銀行の経営を示す自己資本比率ということだろうというように思うのですね。それを見て預金先を決めていくということになると思うのです。  大手行ばかりじゃなくて、今度は地方銀行、第二地方銀行といった、地域の経済を支えている金融機関というのを見て、この九九年の例えば三月末の自己資本比率を見ますと非常に大きな格差があるわけですね。この辺のところを、これからペイオフ解禁まで、二〇〇一年三月に向かってどうなさっていかれるつもりなのか。金融システムの全体的な、地域を含めた安定性という観点からは、地方銀行と第二地銀の問題も大変重要だと思いますが、総理、基本的にどのようにお考えでしょうか。
  75. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ペイオフの問題につきましては、先ほど来大蔵大臣も御答弁申し上げておるところでございますけれども、従来からの考えに変わりなく、ペイオフを延期することは考えておりません。  そこで、現在、金融審議会のもとで、二〇〇一年四月以降、預金者にも負担を求める体制に円滑に移行するために、実務上の問題等につきまして基礎的な検討を行っているところでございまして、先月六日、中間的な論点整理が公表されたところでございます。金融審議会におきまして、今後、この中間的な論点整理等を踏まえ、精力的に検討が行われるものと考えております。  なお、現在、金融再生委員会及び金融監督庁におきまして、昨年秋の国会で整備されました金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みの的確な運営が行われているところでありまして、こうした枠組みを活用いたしまして、二〇〇一年三月末までの間に揺らぐことのない強い競争力を持った金融システムの再構築を実現するとともに、個々の金融機関においても、収益性の向上や自己資本の充実等に努め、経営基盤の強化を図ることが重要であると考えております。  先ほども大蔵大臣が御答弁されましたように、この夏におきましても、金融審議会におきまして精力的なお取り組みをしていただくということでございまして、現在、いろいろのこのペイオフに関するお考えが朝野出てきておりまして、いよいよ実行という段階でございますので、その段階におきましては、万遺漏なきを期するために、問題を整理整とんしていただいた上で政府としては対処いたしていくべきものと考えております。
  76. 横路孝弘

    ○横路委員 総理、結構でございますので、食事の方をどうぞ。  この二〇〇一年三月までに問題なのは、不良債権の処理と、それから金融機関そのものが、やはり健全な金融機関としてそれまでの間にしっかり整理されるということが大変大事なわけですね。この延期論、いろいろな立場からありますけれども、やはりこの二〇〇一年三月を目標にしっかり努力をしていくことが必要だと思うのです。  したがって、今ちょっとお尋ねしたら、地方銀行、第二地方銀行について、これは、九九年三月決算を見ましても、かなり自己資本の幅があります。したがって、これをどうするかということが大変大事な点だと思うのですけれども、これはどのようにお考えでしょうか。
  77. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 大手行については、先生御案内のように、ことしの三月期を目指して、私ども、公的資金による資本増強を実現させていただきました。  これは監督庁の一斉検査を踏まえての措置であったわけでございますけれども、マンパワーの関係から、地方銀行、第二地方銀行といういわば地域銀行については少し時期をずらして、昨年の九月期を基準日とする検査が最近その作業が大体終了した、こういう事態を受けまして、私どもとしては、今地方銀行に対して、資本の増強、公的資金による資本注入をひとつ検討していただいて、そしてこれを申し出ていただきたい、我々の基本的な考え方はかくかくしかじかなものでありますということを、先般、地域銀行に対する資本注入に関する基本的考え方ということで発表をさせていただいたわけでございます。  ぼつぼつ銀行の中で、これはいろいろ微妙な面もあるものですから、非公式での接触も我々歓迎という姿勢をとっております関係で、非公式の接触等をし始めている銀行も出てきておりますけれども、いま少しこのテンポを速めていただけることが望ましいのではないか、私ども、率直に言ってそのように考えておるわけでございます。  いずれにせよ、私どもとしては、資本注入をしていただくことが先ほど先生がおっしゃったペイオフ等において預金者の信頼をかち得る道であるということを踏まえて、条件等についてはいろいろと考えさせていただく、こういう姿勢も打ち出しておりますので、九月期それから次の三月期というようなところを目指して、ひとつ各銀行経営者の方々には真剣な御検討をお願いしたい、呼びかけさせていただきたい、このように考えております。
  78. 横路孝弘

    ○横路委員 六月十日にその基本方針を決めたわけですが、その際、柳沢さんから八%をめどに考えるというような御発言があって、そのことが非常に大きな波紋を呼んでいるわけですが、一体その八%未満というのはどれぐらいあるのか、何行ぐらいあるのか、現状をちょっとお話しいただければと思います。
  79. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 実は、地域金融機関の資本増強につきましては、私ども、資本増強をした場合には、「単に国内基準行としての最低限の水準を満たす」、四%を実現すればいい、あるいは四%を少し上回ればいいじゃないかというようなことではなくて、「今後発生し得るリスクにも対応できる水準となることを目指す。」こういうことを先ほど触れさせていただいた基本的考え方の中でうたわせていただいておるわけでございます。  これについて、記者の皆さん方からそれはどういう意味なんだというような話があったときに、私といたしまして申し上げたのは、まず、資本増強の金額については、必要性の面からの金額がはじかれるであろう。  それからまた、今度は私どもの方の回収の可能性、回収の原資は、当然それぞれ投入した個別の銀行の収益ということになりますので、収益がそれだけ期待できないと回収の可能性もこちらは少なくなるわけでございます。この面から実は一定の制約というものがあり得るわけでございますが、それが仮に非常に高いレベルで投入できるというようなことになった場合に、それじゃそれを多々ますます弁ずだから投入することにするのかというと、そうではなくて、その場合に、我々はやはり八%程度のところを目安とする、そういうことを申したわけでありまして、これは構造的に今言ったようなことになっているわけで、一義的に八%というような数字が出るものではない。  このときに、私どものそうした発言を報道機関がとらえまして、八%以上を要請などというような活字にいたしたものですから、随分誤解を生んだわけでありますが、我々の真意は、以上述べたとおりでございます。(横路委員「どのくらいあるんですか、何行ぐらいですか、八%」と呼ぶ)  ちょっと今数字が手元に、私メモしてありますけれども、百二十四行のうち大体半分くらい。ただ、そのウエートは地方銀行において圧倒的に高い、こういうことでございます。
  80. 横路孝弘

    ○横路委員 六月十日のこの基準から見ますと、地域金融全体をかなり再編統合するという方向性がこの中に出ていると思うんですね。  それで、よく、一地域二行体制でありますとか、あるいは、第二地銀は半分ぐらいに減るのではないかということを言われているわけですが、この地域金融機関の再編統合ということについてはどのようにお考えでしょうか。水面下でいろいろやっているというお話がございましたけれども、では、従来の大蔵主導の行政指導というような形でおやりになるつもりなのか。それには批判が非常にあったわけですから、やはり地域が主体的、自主的にやることが望ましいというように思うんです。  しかし、いずれにしても、この六月十日の内容を見ますと、再編統合ということを出しているというように受け取られると思うんですけれども、いかがですか。
  81. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先生お尋ねの点は、私どもが資本増強をする場合の優遇というか、ポイントをメリットとして与えるということについての記述の部分にかかわるところでございます。  私ども、確かに、その地域の中核行である場合には、その中核行はその地域の金融の疎通に大きな責任を持っていただいておるわけですから、これについてはかなり円滑に資本増強ができるように配慮していきますよ、これがまず第一点です。  それからもう一つは、やはりそれぞれの地域で競争が適切に行われるということが、利用者、消費者の立場からいって、これはもう絶対必須の条件であります。  したがって、私どもは、中核行さえよければいいということではなくて、その中核行と競争関係にあるような銀行、こういうものも非常にその存在自体に意義が見出せるということで、これについても我々は一定の配慮をしていきますよということを申し上げ、最後に申し上げたのは、資本増強をして合併や提携等の金融再編が行われる場合にも、これをメリットとして勘定いたします、こういうことを申し上げました。  そう申し上げますと、これはもう再編行というのは、今言った中核行か、あるいは競争行にくっつくしかないというようなことで、すぐイメージとして一県二行かというような短絡的な見方が出たわけでございます。私ども、このような画一的な考え方が出ることについては、随分留意をして注意をしてきたつもりですが、そういうことが出てしまったというのは残念だと思います。  私、その際にも指摘をいたしましたけれども、文書をよく読んでください、地域の経済というものに非常に大きな役割を果たしている。「申請金融機関がその地域の中小企業に対する資金供給においてどのような役割を果たしているかについても十分考慮する。」こういうことです。  例えば、ある産物の産地というものがある、その産物の産業というのは地場産業として非常にかけがえのないものだ、しかも、それを長年にわたってバックアップしてきた地域金融機関がある、そういう場合には、今言ったようなことと観点をたがえて、私どもはその立場というものを大いに尊重していきますよ、こういうようなことも書かせていただいておるわけでありまして、きょう、こういう説明の機会をいただけたということを大変ありがたいと思います。  失礼しました。
  82. 横路孝弘

    ○横路委員 それでは、日債銀の事件につきましてお尋ねをいたしたいというように思います。  主として、大蔵省はどういう役割を果たしてきたのかという点が議論のポイントになろうかというように思いますが、今回逮捕された前会長、前頭取の容疑は、一九九八年の三月期決算で、経営の実態をよく見せかけるために、回収不能な債権というのを甘く査定して、その結果、必要な損失処理を行わずに、引き当てを過少に仕上げたということでございます。これは、形は形式犯でございますけれども、しかし、この背後には巨額な不良債権がある。それをつくり出した経営があり、その後の経営の中で、この経営と一体となった行政というものがあったわけでございます。  そこで、まず第一は、大蔵省日債銀の粉飾決算を黙認していたのではないかという点について、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  問題は、一九九七年の四月基準日の検査の結果と大蔵省銀行局との対応ということにあろうかと思います。四月基準日の検査の結果、三分類が一兆一千二百十二億、回収不能が五百八十九億円というのが検査の結果だったと思います。これですと債務超過のおそれがあるわけでございますので、関連会社へ飛ばした不良債権などを回収可能な債権に移したわけですね。  佐々波委員会にはどうしたかといいますと、日債銀は、九八年三月の自己査定見込み額として、三分類六千億、これは七千億から償却部分を引いたものでございますが、この数字は、大蔵の検査の結果、示達は九月十一日に行っていますが、これとは異なったわけでございまして、日債銀の方の自己査定見込み額というのは、関連会社に対するものを二分類にしているわけですね。この自己査定結果というものを大蔵省も日銀もどうしたかというと、実は、これを間違っているという指摘はとうとうしなかったわけであります。  一つ、この佐々波委員会との関連でお尋ねをいたしたいと思いますけれども、まず、申請の内容というものに間違いがないかどうか、あるいは、申請書類を審査委員会に諮るに当たって特に留意すべき事項はないかというようなことを委員長の方から大蔵省日本銀行の方に問い合わせがありまして、それに対して、結局、審査内容の事実関係については、各金融機関とも特段の間違いはなかったということを大蔵大臣がこの中で述べるわけでございます。  そしてこの中には、自己査定については、一部においてやや正確性を欠くと思われるもの、関連会社に対する査定の甘いもの、第三分類債権の引き当て率の低いものが見受けられるということ、これは金融危機管理審査委員会の議事要旨の中に出ているわけでございます。  しかし、いずれにしても、大蔵省は、結局のところ、一九九八年三月の時点でも、前年に示達した内容と違う日債銀の自己査定結果を認めてしまったわけですね。まずここに、一つの非常に大きな問題があるというように思います。  これはどなたの御答弁でしょうか、再生委員会ですか、監督庁の方でしょうか。一九九八年三月、公的資金を導入する際に、結局大蔵省は粉飾決算を認めてしまったということだと思いますが、いかがでございますか。
  83. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  昨年三月の日債銀に対する資本注入は、御指摘がありましたように、金融危機管理審査委員会におきまして、その審査時点における財務状況金融システム安定化への必要性等を勘案して、法律や審査基準にのっとり厳正に審査され、決定されたものであるというふうに考えております。  金融危機管理審査委員会におきましては、当時、大変限られた期間のもとで、申請行からの自己査定の資料を初めとする提出書類に基づきまして集中して検査が行われたと承知しております。その時点におきましては、日債銀も含めて、債務超過であるという情報は持ち合わせていなかったというふうに承知しております。  大蔵省におきましては、この審査に先立ちまして、佐々波委員長からの御依頼がありましたので、各申請金融機関が自己査定に使用したラインシート等を徴求いたしまして、日債銀から委員会に提出された健全化計画や自己査定の結果を検査部局が過去の検査結果等に照らして精査するなどによりまして、その正確性や適切性についての確認を行ったというふうに聞いております。  委員会の審査の直前には、委員会における大臣の御発言に備えまして、事務当局から当時の松永大臣に対しまして、債務超過ではないなどの審査基準を満たしていると考えられるが、御指摘がありましたように、日債銀が提出した資料について、関連会社に対する査定が甘いのではないかと報告を行ったというふうに聞いているところでございます。
  84. 横路孝弘

    ○横路委員 九七年の四月基準日検査の結果は、先ほども言いましたように、一兆一千二百十二億の三分類と、それから回収不能債権として四分類、五百八十九億という数字になっているわけですね。  しかし、日債銀は、いわばその前の五月段階で七千億、八十九億というこの数字を持って回ったわけですけれども、結局この九八年の三月段階でもその同じ数字を出している。大蔵省は、検査の結果、それが事実ではないということを知りながら、いわばこれを認めたということだというように思うのですけれども、この九七年の九月に示達した内容というのは、結局、破綻をしてから金融監督庁で調べた結果と非常によく似ているわけでございまして、やはり四月基準日検査というものは数字として正しかったということが言えるんじゃないでしょうか。
  85. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えをいたします。  御質問が二点あったかと思いますけれども、まず第一点は、五月時点についての話でございますけれども、今先生お話ありましたように、検査結果が出ましたのは平成九年の九月でございますから、五月時点においてはその検査結果は出ていなかったということでございます。  それから、平成九年の九月の検査通知におきまして御指摘のような通知をしておりますけれども、当時とその後と違いますことは、当時につきましては、検査結果において償却、引き当てを指摘する仕組みがなかったということでございます。
  86. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、そういうことを言っているわけじゃなくて、結局、公的資金を入れるに当たって、もちろん債務超過かどうかということなんですが、しかし同時に、公的資金を導入して、それは回収されるのかどうか、健全な銀行なのかどうかということをチェックしたわけでしょう。  そして、この議事要旨を見ますと、まさに問題として、関連機関に対する、先ほども申し上げましたけれども、不良債権についての引き当てが非常に弱い、甘いということを指摘しているわけですよ、大蔵省自身が。つまり、それはどういうことかというと、九月時点の示達の内容ということから見ると、非常にいろいろな問題があるということを承知しておったということじゃないですか。
  87. 中山正暉

    中山委員長 どなたが答弁なさいますか。  横路君。
  88. 横路孝弘

    ○横路委員 この議事要旨を見ていますと、先ほど言いましたように、委員長の方から大蔵省日本銀行の方に、申請内容の事実関係に誤りがないかどうか、申請書類を審査委員会に諮るに当たって留意すべき事項がないかどうかという問い合わせがあるわけです。  それに対して、大蔵大臣の方からは、要するに申請内容の事実関係は問題ありませんよと言いながら、しかし自己査定については、関連会社に対する査定が甘いもの、第三分類債権の引き当て率が低いものが見受けられたと言っているわけですよ。そして、特に留意すべき点は何か、不良資産の状況や処理方針、それから関連会社に問題がある金融機関に対して、関連会社の経営見通しはどうなのかというような留意条項まで大蔵大臣がしゃべっているわけです。  あと、委員の人たちからはどんな議論があるかというと、関連会社の不良債権については、頭取からの聴取においても十分明確になっていないが現時点でどうなんだ、大蔵大臣日本銀行総裁の考えを明確にしてほしいというようなことがこの要旨からでも十分みんなが疑念を持って議論した様子というのが出ているわけですね。  ですから私は、三月の公的資金を入れるときに、日債銀の方が六千億という自己査定の見込み額を出した。これに対して大蔵省は、検査して実態は押さえているわけですから、それをちゃんとはっきりと大蔵大臣に伝え、そしてそれを踏まえて議論すれば結果はかなり違っていたのではないですか。
  89. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、私が聞き知ったことをお答えするのが一番いいと思いますが、その三月十日の時点で、大蔵大臣が当然管理委員会におられたわけでございます。先ほど金融監督庁の長官が言われましたように、日債銀からの改善計画書をもとに、またラインシート等も大蔵省の専門家がそれを調べまして、そして大蔵大臣としての最終的な意見を言われたわけですけれども、それは債務超過とは考えられない。  しかし、もろもろの事情というのは恐らく今申しましたような大蔵省の専門家による調査ということだと思いますが、それによるといろいろ甘いところがあるということを大蔵大臣は横路委員が言われましたように言っておられるわけですから、日債銀そのものの言っておること、そのものを信用していいかどうかには問題はあるけれども、大蔵省として、検査結果をもってそれによって債務超過だと考える理由はない、こういうことを大蔵大臣は言っておられるというふうに思います。
  90. 横路孝弘

    ○横路委員 問題は、その関連会社に対する融資ですね。その不良債権化というところが問題なわけです。  これは従来から、我が党議員が予算委員会の場や大蔵委員会で議論しているのですけれども、例えば日債銀関連のペーパーカンパニー六十社をとってみますと、ほとんど設立されたのは九二年ぐらいなんです。そして、九五年から九六年の決算を見てみますと、ほとんどがもう借金返済能力がない、そういう実態というのは私は大蔵の検査の中でもう既に明らかだったと思うのですね。  それを、理屈としては、本体が支援するから大丈夫だと言っているわけですが、そうやっているうちに、この不良債権というか、ますます腐っていって、そして結局どうしようもなくなったということなんですね。それはもう既に、私が強調したいのは、九七年の四月基準日検査、九月十一日の示達の中にもはっきり出ているわけですよ。  ですから、そういう中身を、大蔵大臣がわざわざ少し甘いところがあると言いながら、どうして知っている中身をちゃんと出さなかったのかということなんですね。そこはもうお答えがありません。今までも随分いろいろな方が議論しているけれども、どうして本当の姿というものを出さなかったのかということですよ。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一部推測で申し上げることになりますけれども、現在、取り調べが行われておって、報道されるところでは横路委員の言われるようなことが報道されております。私にはそれを確認する方法はございませんけれども、常識的に考えますと、これだけの不良債務の処理をするのには、今おっしゃったような方法は私は一つの方法であるだろうというふうに、それはそういう想像はできないわけではない。ただ、大蔵省は検査を完了しておりませんから、そういうことを大蔵大臣として確認しておっしゃるわけには恐らくまいらなかっただろう、それは御理解いただけると思うのです。  全体が債務超過でございますと、これははっきりした答えになりますが、債務超過ではない状況において、いろいろ甘いところはある、日債銀の計画書どおりとばかりは言えないということを大蔵大臣が言っておられると記録されておりますから、恐らくその内容については、どの程度大蔵大臣が御存じであったのか、あるいは検査当局がどの程度知っておったのか。いずれにしても、検査が終了しておりませんから、それを具体的におっしゃられる立場にはなかっただろう。これは一部推測でございますが、そう考えます。
  92. 横路孝弘

    ○横路委員 検査そのものは前年の九月十一日に示達という形で、そこはもうはっきりしているわけですね。九八年三月基準日の検査はその後になりますけれども、九七年四月基準日の検査はもう九月に出されまして、内容は、この検査と次の検査の間は大きな形というのは変わっていませんね。ほとんど変わっていません。  ですから、九月の示達の内容というのはほとんど実態を反映したものであって、その後の、破綻してからの検査、九八年三月三十一日基準日検査の内容とそんなに大きくは変わっていないです。変わっていないのです。そして、その三月三十一日のものは債務超過であるということになり、なおかつ刑事事件になったわけですね。その決算についての有価証券の記載についての刑事事件として逮捕されているということになっているわけです。  そうすると、その検査を前年行った中身を知っていたのは大蔵省なわけですから、それをちゃんと大蔵大臣に、補佐する立場からしっかり内容を言わなければいけない。  ところが、山口銀行局長国会における答弁ですと、細かい数字は言っていませんと。ただ、問題はありますよということだけ言っているのですね。その問題は、先ほど言った、ちょっと関連会社に対する債権について甘い査定がありますよ、つまり、本来ならば三分類のところを二分類にしているというような甘い点がありますよということは当時の松永大蔵大臣に話をしたということは、銀行局長答弁しているのですが、それ以上の中身は言っていないと言っているのですね。そこが問題ではないんだろうか、こういうことを私は強調したいわけであります。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段は、昨年の国会でもいろいろ御議論になりましたけれども、横路委員の言われますように、九月十一日に大蔵省の検査が示達されております。それが、いつもの一兆一千二百十二億円という部分でございますけれども、これでも債務超過でございません。それは御理解のとおりであります。  これでも債務超過でございませんから、大蔵大臣としては、結局、管理委員会で言われますときに、債務超過でないということはこれは知っておられて、したがって、債務超過ではないと言っていらっしゃいます。  しかしながら、先ほど申しました私の推測を加えまして、銀行当局の言っていることそのものがそのとおり信じていいようでもない、いろいろ甘いところがあるという中には、恐らく、横路委員の言われますように、幾つかのところの債務免除をしているとか、いろいろなことが内容としてはあったのだろうと思いますけれども、大蔵大臣がどの程度御存じであるかは別といたしまして、甘いところがあるとおっしゃった。しかし、債務超過ではないということも言っていらっしゃる。  あとは、いろいろ取り調べが進んでまいりますと客観的な事実がわかってまいると思いますし、恐らく、この点は、監督庁にお聞きになられましても、きちっとした記録が残っていなければお答えが無理でございましょうから、私は、そんな推測をいたしております。
  94. 横路孝弘

    ○横路委員 債務超過かどうかということは、どういうように分類するかということと、どのように引き当てするかということになるわけですから、先ほど言いましたペーパーカンパニーの経営実態を見ましたら、もう九五年の段階で破綻しているような企業ばかりですから、これはちょっと、債務超過であるかどうかということについて、そんなに簡単になかったというように私は言えないと思いますし、今回公的資金を入れるに当たっては、まずはやはり返済の見込みがあるかどうか、経営内容が非常に悪化しているのか健全であるのかというところが問題であったわけですね。確かにそれは、債務超過というのは一つの指標ですよ。しかし、これは、やはり経営全体を考えるということが大事なことだと私は思っております。  それで、一つお尋ねしたいのですが、金融監督庁の九八年三月三十一日基準日の結果は、債務超過であるということを認定したわけです。これは、第三分類が一兆三千百十億、四分類が千二百七十七億ということで、大きな流れからいいますと、その前年の検査の流れの中にある数字だというように思っております。  そうしますと、九八年三月の決算が粉飾決算だということ、うその有価証券報告書を作成したのではないかということなのですが、これを見ると、九七年の三月決算もやはり非常に大きな問題があるのじゃないか、このように思います。  法務省にお尋ねしますが、逮捕の理由は九八年三月決算についてでございますけれども、当然こういった幅広い捜査が必要ですし、それをやっているというように思いますが、いかがですか。
  95. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 捜査機関が具体的にいかなる事実を捜査すべきかにつきましては、捜査機関において法と証拠に基づいて判断すべきものでございまして、法務当局からお答えするのは適切ではないというふうに考えております。
  96. 横路孝弘

    ○横路委員 金融監督庁にお尋ねしますが、この九八年三月三十一日基準日検査、それから前年の四月基準日検査、この二つを見て、九七年の決算も非常に問題があるというように思いますけれども、いかがですか。
  97. 日野正晴

    ○日野政府委員 今御指摘になりました九七年三月期の決算にかかわる問題でございますが、先ほど金融監督庁、当庁の監督部長からもお答え申し上げましたように、当時は、償却、引き当ての適切性について、私どもといいますか大蔵省指摘する仕組みにはなっておりませんで、まだ早期是正措置の導入以前のことでございました。  この九七年三月期の決算が捜査当局による捜査の対象に現在なっているかどうかについて私どもが承知する立場にはございませんし、また、仮にこれを承知したとしてもコメントすることは差し控えたいと存じますけれども、九七年三月期の決算につきましては、少なくとも今申し上げたようなことになろうかと思います。
  98. 横路孝弘

    ○横路委員 引き当てなどについて物を言う立場になかったと言いますが、実際は、決算を事前に大蔵省が承認する、いわば決算承認銀行ともいうべき存在に日債銀はなっていたのじゃありませんか。だから、一つ一つについて監査法人が何か物を言うというよりは、どうするかということは全部、分類から引き当てから含めまして大蔵省にお伺いを立てて、そしてそのオーケーをもらうという形に日債銀だとか当時の拓銀などはなっていたのじゃないでしょうか。
  99. 日野正晴

    ○日野政府委員 ただいまお話しいただきました決算承認制度といったような制度は、当時はとられておりませんでした。
  100. 横路孝弘

    ○横路委員 私は、大蔵省日債銀の粉飾決算を黙認したと思います。そして同時に、検査結果を偽るということも黙認をし、なおかつ検査結果を隠したということが指摘できるのではないかと思います。  先ほどの答弁とも関連しますが、四月に検査をして、五月の十九日に日債銀が日銀と金融機関に、検査結果の概要として第三分類七千億、第四分類八十九億、八十九億というような細かい数字まで挙げまして話をしているわけです。そして、大蔵省も日銀へ、日債銀は債務超過ではありませんよということを言っているわけですね。これはちょうど、いわゆる奉加帳を回して、何とかみんなに協力してもらおうという努力大蔵省がやっていたときであります。  どうも、この五月十九日にある程度の数字が出て、その前に銀行局と検査の中でやはり意見の対立があった。山口元銀行局長は、国会答弁で九七年九月の示達のときに決裁で初めて数字を知ったということを言っていますが、こんなことはあり得ない、それは絶対あり得ない。だって、五月十九日の日に日債銀の方は、こういった七千億、八十九億というような具体的な数字を持って回っているわけですね。それは、もうある程度の数字が出ていたということです。そうじゃありませんか。
  101. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、平成九年の五月十九日でございますけれども、その時点では検査は終了しておりません。したがって、その検査結果というのは出ておらないわけでございます。  ただ、その時点日債銀は、増資の話を他の民間金融機関にお願いして回っていたときでございますから、みずからつかんでいた検査の感触というものにつきまして説明を迫られていたという事情があったようでございまして、その時点におきまして日債銀は、途中段階であった大蔵検査の状況につきまして、みずから認識していた計数を説明して回っていた、そういうふうに私ども承知しているところでございます。
  102. 横路孝弘

    ○横路委員 どうも検査の実態というのを聞いてみますと、やはりある程度、最終的な、最後のところに至る過程では交渉はあるそうですね、この不良債権についてどうだこうだということについて。しかし、五月十九日にこういう具体的な七千億に八十九億という数字ですよ、八十九億という具体的な数字を持って回ったというのは、やはりある程度数字が出ていたからでしょう。そして、この数字は、九月十一日の最終的な数字と違うわけですよね。そこが問題なわけです。  つまり、大蔵省銀行局は、奉加帳を成功させるために、やはり、心配ないのですよということを、金融機関あるいは日銀へも、説得する材料として、検査の結果とは違って、こういう数字をそこで使ったのではありませんか。ですから、五月十九日の前に、どうも検査部門と銀行局との間で意見がいろいろと、議論があったという報道がございますけれども、私はそれが実態をついているものだというように思います。いかがですか。
  103. 日野正晴

    ○日野政府委員 日債銀の問題につきましては、現在捜査当局において捜査が進められていることでございますので、今御指摘がありましたようなことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、検査結果の示達は、当時は平成九年の九月に行われたわけでございます。  検査結果は、三分類が一兆一千二百十二億円、それから第四分類が五百八十九億円でございまして、先ほど監督部長からも御答弁申し上げましたように、増資要請の時点ではまだ検査結果は判明しておりませんでした。すなわち、増資要請の時点では、第三分類が一兆一千二百十二億円、第四分類が五百八十九億円という数字は存在していなかったわけでございます。  ただ、当時日債銀は増資要請先に対しまして、何らかの形でやはり自分のところの資産状況を説明する必要に迫られておりましたので、日債銀が、途中段階でありました大蔵省検査の状況といいますか、感触も踏まえまして、みずから認識していた計数を説明したものというふうに承知しております。
  104. 中山正暉

    中山委員長 ちょっと速記とめてください。     〔速記中止〕
  105. 中山正暉

    中山委員長 速記起こしてください。  今、刑事事件になっているので答弁は差し控えたいというのを撤回してくれというお話がございましたのですが、質問者、どう考えておられますでしょうか。現実の問題としては司直の問題になっておりますので、取り消す必要があるのかどうか、横路先生、ひとつ御発言いただきたいと思います。
  106. 横路孝弘

    ○横路委員 幾つも問題点があるのですけれども、一つは、山口元銀行局長が九月の示達の決裁のときまで数字を知らなかったというのはこれは完全な私は偽りの答弁だというように思います。なぜならば、奉加帳の問題を含めて四月からずっと議論になり、しかも、四月に検査が入って、少なくとも五月十九日の以前の段階ではある程度の数字は出ていたというわけです。出ていたから日債銀の方が数字を使ったわけでしょう。その数字には幅があった、これはもうはっきりしています、検査部と銀行局の方で、そこで意見の違いがあったわけですから。  ですから、私は、一つは、まず山口さんにやはり国会に来てもらってお話をしっかりいただくということが必要だと思いますので、そのことを委員長に要求をしたいと思います。
  107. 中山正暉

    中山委員長 理事会で協議したいと思います。
  108. 横路孝弘

    ○横路委員 それで、確かにそれは刑事事件になっているわけなんですが、私は、もっと幅広い、いろいろな幾つもの問題があると思うんです。  時間もだんだんなくなってきましたが、一つ金融危機管理審査委員会の審議についてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、この審議の中でも随分議論になりました、この日債銀の問題は本当に大丈夫なのかということ。そして、この三月の議論している中に、大蔵省の方から説明をさせてくれということで審議官が出ていって、非公開の、非公式の、委員に対する説明会が開催されたというように聞いていますが、その中で一体どんな説明があったのか。  特に問題になりましたのは、先ほど来議論になっています、関連会社に対する不良債権、その分類や引き当てが甘いんじゃないかという点が議論の一つの焦点だったと思うんですけれども、これは松田理事長、どのように受けとめていらっしゃいますか。
  109. 松田昇

    ○松田参考人 お答えいたします。  先生御指摘のような事実は全くないと思います。審査委員会の席に、あるいは非公式でも、当時審査は日銀で行っておりましたけれども、そこに大蔵省大蔵大臣以外の方が発言するとか、非公式にも説明をするとか、そういう事実を私は一切承知いたしておりません。
  110. 横路孝弘

    ○横路委員 松田さん、今回、九八年三月の基準検査の結果として、金融監督庁は、債務超過であるということを認定したわけですね。そして、日債銀が皆さん方に説明した資料、それは、七千億から償却部分一千億を引いて六千億ですよという、あの説明をした。この説明にも非常に大きな問題があったということも、今日、明らかになっています。  あのとき実は債務超過だったんだということ、そのことが刑事捜査の対象になっているということで、これは事務局を担当されたということでもありますので、一体今どのようにお考えになっておられるのか、その率直なところをお聞かせいただきたいというように思います。
  111. 松田昇

    ○松田参考人 日債銀で具体的にどういう粉飾決算が行われたかというのは、現在捜査進行中でありますので、事実の確定は待たなければいけないと思いますが、少なくとも、ここ以来いろいろ議論がございまして、私どもが資本の注入を決めたときは、債務超過でなく、かつ、この銀行の再建は可能だということを六人の委員全員が一致して議決をしまして、それで注入を決めたという経過にございます。  今にして思って、なぜそのとき見破れなかったかというようなお話になりますと、それは不敏と言うしかありませんけれども、当時としては、与えられた材料の中でまじめに議論をし、まじめに審査をして、その結果資本注入を決める、こういうことでございます。
  112. 横路孝弘

    ○横路委員 ですから、今から思うとだまされたということになるんじゃないですか。
  113. 松田昇

    ○松田参考人 だまされたかどうかというのは、いろいろな考え方があろうと思います。  私は、だまされたというよりも、この一連のいろいろな議論を見ていまして、いろいろな考え方が当時いろいろあったんだなということを今この時点で思っております。
  114. 横路孝弘

    ○横路委員 そんな、あなた、人ごとみたいな話をしたって困りますよ。委員の一人であり、事務局を担当されてやって、結果として、国民の税金が使われて、これは全部パーになってしまったわけでしょう。それで、いや、いろいろ議論があるんだなと、そんな人ごとみたいな話ですか。いや、私は、その被害者だと思っているから申し上げているんですよ。だまされたんじゃありませんか。
  115. 松田昇

    ○松田参考人 先生、だまされたかどうかという御質問だったものですから、だまされたかどうか、私も昔、法曹の一員でございましたので、少し厳格に考えまして、一体それはだますということになるのかどうか、いろいろな考えのもとでみんながやったんだろう、そう思って認識しております。  結果として、今、そういう形で税金投入による優先株の買い取り、その行為が非常に、株価算定がゼロになったということについては残念でありますし、非常に遺憾に思っております。
  116. 横路孝弘

    ○横路委員 この事件の背景は、やはり非常に深く広いものがあるというように思うんですね。要するに、護送船団方式という形で進めてきて、いわば日債銀問題というのは、当局と企業の方と二人三脚で行われたかなり無理な延命策が、結果としてその後の金融システムそのものの危機を深めたとも言えるわけでして、逮捕された窪田前会長は大蔵省ですね、それから東郷前頭取は日本銀行からの、いわば当局が送り込んだ人間なわけであります。ですから、いわば大蔵管理の銀行だということが言われているわけでして、大蔵、日銀が必死になって、例えば九七年四月一日の再建策なども、東郷前頭取の御発言ですと、これはもう銀行局と日銀が、いろいろな再建策の具体的なものについても我々のアイデアではないという御答弁をされている。それほど大蔵と日銀が一体となってバックアップしたわけです。それで、日銀が八百億のお金を出し、民間から二千百億円奉加帳で集めてバックアップをしたということなわけですね。  世の中の意見として、いわば当局とみんなが一緒にやってきて、どうして民間人だけ刑事責任が追及されるんだという声がございます。片っ方は、これは職務で政策としてやったんだ、いや、民間人の責任だけ問えばいいんだ、こういう意見もあるわけですが、しかし、多くの国民の声は、一緒にやってきた片っ方の民間人だけが責任追及されるのはどうなのか、こういう声があるのも事実でございます。  この声を、法務大臣、いかがお考えですか。
  117. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 具体的事件における犯罪の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断されるべき事項でございます。したがいまして、お答えすべき性格のものではないと考えておりますが、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、常に法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処するものと承知いたしております。
  118. 横路孝弘

    ○横路委員 現に、窪田前会長が、その八三年三月期の問題になった決算の前に、大蔵省から、日債銀をつぶさないように決算をちゃんとつくってくださいよということを言われたというようなことを言われているわけですね。そうしますと、これはもう完全に大蔵省の教唆あるいは幇助によって粉飾決算が行われたということになるわけであります。さらに、これについて適正だという意見を書いた監査法人の責任もあるわけでございまして、その辺のところを十分にこれから捜査をしていただきたい、このように思いますが、総理大臣、いかがですか。
  119. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 事件のことにつきましては、今法務大臣が御答弁申し上げたことで尽きると思いますけれども、一般論的には、法と証拠に基づきまして、当局は適正に判断して対応するものと考えております。
  120. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょっと最後に、「破綻銀行の検査結果」というペーパーをお渡ししてあります。今回の問題の一つは、検査ということ、これは検査部がやるわけですね。検査部の検査の結果に基づいて銀行局がどういう対応をしたのかということが問題なわけなんです。  例えば、北海道拓殖銀行、検査基準日一九九四年八月十七日、この中で、もうほとんど三分類、四分類含めて破綻しているんですね。それから幸福銀行、これは後ほど議論ありますけれども、検査基準日一九九五年八月十八日、この検査で、もうほとんど三分類、四分類、破綻しているんですね。日債銀も、一九九七年、この三分類、四分類を見ますと、この一番右の方の数字は破綻したときの検査でございますが、これを見ると、その三、四年前に実態はほとんど検査部が掌握をしている。問題は、その掌握した事実に基づいて何をやってきたかということですね。  今まで日債銀で申し上げてきたのは、その検査の結果を反映させないで、数字をごまかして、そして何とか生き延びらせようとしてあれこれやったあげくに、傷を大きくして破綻をさせてしまったというのははっきりしています。  それから、拓銀の九四年の検査の結果というものを見てみますと、もうこのときに、はっきり言っていろいろな指摘というのがされているわけですね。ところが、されているんですけれども、三年間何をやったか。ほとんど何もやった形跡がありません。これをちょっとお尋ねしたいと思いますが、九四年のこういう結果が出て、九七年まで、一体何をどうやってきたんでしょうか。
  121. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えをいたします。  検査結果でいろいろな実態把握をいたしまして、問題点をその検査で指摘改善を求めるわけでありますけれども、御指摘のありました拓銀等につきましても、検査結果等を踏まえまして、審査管理体制の充実強化、不良債権の適切な処理等について指導をするとともに、必要なフォローアップを行ってきたところであるというふうに承知をしております。  それで、拓銀につきましては、九四年八月の検査結果を踏まえまして、そうした大蔵省において指導を行った結果等を踏まえまして、その後、役員賞与や配当の抑制を求めるなど、社外流出を抑え経営体質の改善を図る努力がされてきたところであるというふうに承知をしております。
  122. 横路孝弘

    ○横路委員 九四年のこのときには、検査官の方から、今拓銀の関連の刑事事件になっておりますテルメの融資について、これは背任の疑いがありますよという指摘をしているんですね。その三年前の九一年には、カブトデコム関連の融資について懸念があるということを指摘しているんですね。指摘をしながら、三年間、あるいは九一年のときからでいうと六年間、ほとんど具体的にどうするかということもしないで、破綻させてしまった。  他方、日債銀の方は、これはもう現実に破綻しているという姿を知りながら、一生懸命力を尽くしてやって、そして結局は、しかし、傷を広げてしまったということだと思うんです。  私は、もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、この日債銀の事件をどのように総括するのか。例えば、検査と行政のあり方とか、あるいは飛ばし。私は、飛ばしというものは、どうも大蔵省の指導でやったんではないかという疑いがあります。山一証券のときにもいろいろとその議論がされましたけれども。  きょうはそういう議論をする時間がございませんが、そういう問題点など、これは大蔵省も、それから金融再生委員会の方も、ひとつこの日債銀の事件について、どういうことがあったのかという行政をひとつ徹底的に調査をされて、そしてどういう教訓を学ぶのか、その総括をしっかりして、国民の前に公表していただきたい。これは、刑事事件、刑事捜査で、はい終わりましたで済まない事件ですよ。済まない内容ですよ。それをひとつしっかりやっていただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
  123. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私が答弁に立たせていただきましたけれども、果たして私の所掌するところかどうかは若干おぼつかないというか、自分自身、自信を持てないところもありますけれども、あえて、先生がおっしゃられることですので、今の先生の御議論を聞きながら私感じておったことを申し上げますと、一つは、検査自体のあり方。これは、今までは分類ばかりやっておった、引き当ての方は完全に外部の監査に任せておった、そういうあり方がどうだったのかということ。これについては、マニュアルで今回はもう対応することになったわけでございます。  ただ、一つここで問題になりますのは、やはり、日本銀行とそれから対象の貸出先の企業との関係、これは相変わらずある意味で問題を残している。メーンバンクシステムということがあるときに、メーンバンクたるものが責任を負うということになったら、やはり分類に影響を与えざるを得ないのでございまして、この点は、一体日本経済社会としてどう考えるかという大きな問題をここで投げかけているという感じが私はいたします。  それからもう一つは、検査と監督の問題で、この問題は、組織の変更、行革の一貫で行われているところであります。  それから最後に、ここまで追い詰めちゃってから、だれが正解を得るかといってもほとんどもう不可能のような状況になっているということの中では、我々が学ぶべき教訓は、やはりもっと早目に手を打って、早期に事態を是正していく、こういうことであろうと私は思っておるわけであります。  これらのことについてどのような形で今先生がおっしゃった趣旨を実現するかということでございますけれども、これはやはり、今申し上げたことで現実に私どもが改革を進めているということが、私どもが今行っておるそういった事態を受けての回答だということを御理解願う以外にないと思います。
  124. 横路孝弘

    ○横路委員 理解はできませんけれども、ちょっと時間になりましたので。
  125. 中山正暉

    中山委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  126. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田でございます。参考人の皆様、どうもお疲れさまです。  それでは早速お伺いいたしますが、お手元に資料をお配りしておりますが、とにかく、元気だという銀行があっという間に、健全だと言っている銀行が半年から一年ぐらいでばたばたつぶれていったわけですが、その判断を誤ったためにどれだけ国民が損失したかということを一連の表に出しております。  御承知のとおり、兵庫銀行が破綻したときに、みどり銀行というのを官営で、このときもやはり関西の財界人に、経済界に募集をしてつくりました。しかし、また同時に、このみどり銀行もいつの間にかまた破綻して、今度は阪神銀行を受け皿にしながらみなと銀行をつくろうという話になってきておりますが、ここでもまた損失額が出るはずです。  幸福銀行、御承知のとおりでありますが、京都共栄銀行の受け皿として救済合併をして、預金保険機構から四百五十六億の資金贈与をやった。しかし、これも破綻した。今、債務超過分が二千百一億であります。  北海道拓銀は、先ほど横路議員が言われたとおりでありまして、絶対つぶさない、大手行はつぶさないという公約に反して破綻をした。  それから、日本長期信用銀行も、公的資金の投入にもかかわらず、これは先ほど言われましたように、債務超過であったか何かが問題じゃないのです、健全であるかどうかという、それが基準だったのです。にもかかわらず、健全であるはずの長銀が一千七百六十六億も注入されながらすぐに破綻。  そして、日本債券銀行は、奉加帳で増資をしたり、あるいは公的資金の投入にもかかわらず現実に破綻している。  そして、山一証券も、しばしば我々もお伺いしました、債務超過の可能性があるんじゃないか。そんなことはありません、資産超過ですと何度も日銀総裁や大蔵大臣は言われましたが、何のことはない、破綻してしまって、特融の毀損が行われている。  数字は刻々と変わっておりますので、いや、もう少し多くなりました、減りましたという議論をここでするつもりはありません。具体的に責任をどのように感じておられるのか。反省していますという話は聞くけれども、責任をとったという話は聞きません。総理総理としての責任はどう感じておられますか、お伺いしたいと思います。
  127. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 議員御指摘のケースは、いずれも、その時点で把握できた財務状況等を前提に、セーフティーネットの整備状況や預金者保護、金融システム安定性の確保の必要性等を勘案し、その時々に応じて最善と考える対応がとられたものと理解いたしております。  いずれにせよ、従来の金融行政については、いわゆる裁量行政護送船団方式との批判があったことから、昨年、新たに金融監督庁を設置するなど、自己責任原則の徹底と市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図っているところであります。  なお、法的にこれが問題になる点につきましては、現下、これが刑事事件としておられるわけでございまして、そういった意味で、これに対して適切な対応がされるものと考えておるところでございます。  また、政府といたしましては、後段申し上げましたように、新しい金融監督庁のもとで、これが検査その他におきましても万全を期する体制を整えつつ、最終的には、金融庁を目指して、新しい体制のもとで二度と再びこうしたことの起こらないように対応していく、このことが政府としての責任のとり方と考えておる次第でございます。
  128. 上田清司

    上田(清)委員 行政責任と法的な責任のとり方は伺いました。政治的にどのような責任を考えておられるのでしょうか。  というのは、御承知のとおり、国民は、あるいは企業者は、特に中小零細企業は、個人保証をして、そしてお金を借りて、もし破綻した場合には、保証人や本人がその支払いに全力を尽くさなきゃならない、そういうかなり悲しい、極めて厳しい立場にありますが、これだけ半年前、一年前に健全行だと言われて、それでもなおかつ破綻していく、このことに行政としてそのとき最善を尽くした、それで許されるというふうな考え方に本当に立てるんだろうか。まだ行政は一方いいとしても、政治家として、政治として本当にそれで責任がとれたと言えるんだろうかというふうに私は思いますが、もう少し何か違う言葉があるんじゃないでしょうか、日本総理大臣としての言葉とすれば。私はそれを期待しておりますが、いかがでしょうか。
  129. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、行政並びに刑事に対する政府が監督をし、行政権を行使する範囲におきまして最善を尽くしていくということが、結果的には政治責任をとるゆえんだろうと思います。  おっしゃられますように、こうした形で金融機関が残念ながら破綻していく状況につきましては、まことに残念のきわみであり、また、こうしたことにおきましては、多年における金融行政のあり方、また金融機関そのものがある意味では国民的には準国家機関的にとらえられてまいりましたことに対しまして、そうした意味でのそれぞれ個々の金融機関がみずからの自己責任を十分果たし得なかったという残念ながら過去の経過があるわけでありまして、今日、こうした問題につきまして、それをしっかりと、その根底にありましたことをえぐることによりまして今後そうしたことの起こらないような手段を講じていくことが、結果的には政治に対する責任を果たすゆえんと、こう心得ておる次第でございます。
  130. 上田清司

    上田(清)委員 食い足りませんが、日銀総裁、日銀も、呼び水としての八百億あるいは山一の特融、こういった問題について何らかの形で責任感じていただかなければなりませんが、どのような責任感じておられるか、お伺いしたいと思います。
  131. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  日本銀行といたしましては、日本債券信用銀行特別公的管理の開始決定を受けるに至りましたことは、まことに残念かつ遺憾でございます。  当時は、今日のような公的資金による資本増強とか特別公的管理の枠組みというものは存在しておりませんでした。また、金融債を預金保険制度のもとで保護できるかどうかということにつきましても、コンセンサスは得られておりませんでした。そういった中で、抜本的な手を打たないまま仮に日本債券信用銀行の経営が行き詰まった場合には、内外の市場、我が国金融システム全体に著しい混乱をもたらすことが懸念されたわけです。  このために、政府からの強い要請があったこと、それから大蔵省検査においても債務超過ではないとの認識が伝えられたことなどを踏まえまして、信用秩序の維持という日本銀行に課せられた責務を達成するためのぎりぎりの選択として、新金融安定化基金による同行への出資を行ったものであります。  御承知のように、日本銀行の機能の一つとして、最後の貸し手、レンダー・オブ・ラスト・リゾートというのが中央銀行一つの機能でございます。金融システムが不安定化するというときには、これを貸さなければならないわけです。当時から日本銀行は、金融システムの不安を取り除くためには、不良債権等の抜本的な処理とこれに伴う銀行の資本不足を解消することが必要であるということを考えておりました。過少資本問題に対処するための仕組みとしてはその時点では方法がなかったわけで、唯一その前年に設立されました新金融安定化基金、これが金融機関の資本基盤の構築を支援する事業を行い得るというふうにされただけでございました。その後、大手金融機関の破綻など苦い経験を重ねる中で、昨年の金融安定化法、そして今日の早期健全化法、これらによる資本増強の枠組みが整備されたわけでございます。結果として当該出資が毀損される事態となったことにつきましては、私どもとしては極めて重く受けとめてはおります。  昨年四月に新日銀法が施行されましたが、今回の教訓を踏まえながら、我が国金融システムの健全化に役立つ政策を行っていくことが、新しい日本銀行に課せられた責任であると思っております。新法下で初の総裁として、私もその意味で重責を果たしてまいりたいというふうに考えております。
  132. 上田清司

    上田(清)委員 既に山一の問題につきましては、七月六日の大蔵委員会で、大蔵大臣責任をとる、大蔵省責任をとらなきゃならないことだということを言っておられますからいいとしても、八百億については日銀は責任があります。このことももっと重く受けとめてもらいたいと思いますが、これだけで話を終わるわけにいきませんので。  これは、作家の村上龍さんの「あの金で何が買えたか」という大変楽しい本であります。  ずっと、それぞれの今まで投入したお金がもっと世の中のために使われたらどんなことがあるだろうかということで、例えば日債銀に投入されました、これでは三兆九百四十三億の数字が出ておりますが、約三兆円のお金が、もしエイズを撲滅するための新薬開発、これはアメリカ最大の研究機関、国立衛生研究所の予算が年間百十億ドル、このうちの一二%がエイズの新薬の開発に充てられているというふうに聞かれますが、ちょうどこの金額が、為替の計算がややこしい部分もありますが、一千五百八十四億という数字があります。それから、がん治療の研究開発、これもアメリカで一番使っている部分で、計算すると二兆から使っている。そして、アジアのエイズ感染者への援助六千億を入れて、これで日債銀の公的資金投入並びに毀損の部分がちょうど片がつく。エイズとがんが日債銀で片がつく。どっちがよかったのか、本当に。こんなふうに考えるような次第であります。  次に、日野長官、「選択」の二月号について。ちょっと申しわけありません、これ、大蔵大臣
  133. 中山正暉

    中山委員長 まだ見ておりませんので、ちょっと見せていただいて。
  134. 上田清司

    上田(清)委員 申しわけありません、委員長にも。(発言する者あり)申しわけありません。大変失礼しました、委員長の許可もとらずに。  「選択」の二月号、大蔵委員会でやりました。私ども、別にこの「選択」だけじゃなくてあっちこっちで、いわゆる銀行の甘い査定、そういうものじゃなくて、もっとしんから現実を直視した査定があるということで、正味自己資本比率あるいは正味自己資本額の統計、統計というよりも見方を、結構あちこちの雑誌に出ているんですね。だから、ひょっとしてこれは金融監督庁がつくった資料じゃないかということを先般お伺いしたんですが、見たこともなければ聞いたこともないというようなことを日野長官は言っておられましたが、これは間違いありませんか。
  135. 中山正暉

    中山委員長 ちょっとそれを金融監督庁長官に見せてあげてください。持っておられますか。
  136. 日野正晴

    ○日野政府委員 既に、今お話がございましたように、大蔵委員会におきまして二月十七日に御答弁申し上げておりますけれども、この雑誌の記事は私もその後拝見させていただきましたが、私は、その雑誌を見るまでは、こういった資料に目を触れたことはございませんでした。出所が明らかでございませんし、金融監督庁としては、こういった報道の資料について何かコメントするというような立場にはないと思いますけれども、あえて申し上げさせていただきますと、ここに掲載されているデータといいますのは、一見いたしますと、例えば、第二分類債権の引き当て率を二〇%とした前提となっているわけでございます。これは、先般金融再生委員会が決定されました引き当て率、これは、担保や保証で保全されていない要管理先債権については一五%を目安とする、こういうふうに金融再生委員会の方では決定しておられますので、そういった前提とも違う。一体どうしてこの二〇%といったような引き当て率が出てくるのかなと大変疑問に思っているところでございます。  何か金融監督庁の資料じゃないかというお話もございますけれども、私どもが保有している個別金融機関に関する情報につきましては、当然のことながら厳重に秘密保持を行っているということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  137. 上田清司

    上田(清)委員 金融担当大臣は御存じでしょうか、正味自己資本比率だとかこういう概念について。
  138. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 何か、雑誌に載ったということは承知をいたしておりますが、今監督庁長官が言われるように、前提も違えばいろいろ違うということで、私は、もう別段そういうものに関心を持ちませんでした。
  139. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣は、こういう数字あるいはこういう概念は御存じでしょうか、あるいは、大蔵省で使ったことがあるとかないとか。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 書類を今いただきましたが、私に関する限り、大蔵省関係がないと思います。
  141. 上田清司

    上田(清)委員 幸福銀行の検査、これは、御承知のとおり、実は、このもともとの話が、この幸福銀行の検査のいろいろな資料が出回っているというような話が雑誌に出ておりまして、それから少し関心を持ったような次第だったのですが、一番、破綻する直前のその直前が、平成七年八月十八日の立入検査があって、検査報告が平成八年の二月二十三日に出たわけなんですが、それが、実は、これがそのコピーなんですよ。余り出回っちゃいけないのかもしれませんが、あるのですね。どうぞ配っていただきたいと思います、資料を。
  142. 中山正暉

    中山委員長 はい。
  143. 上田清司

    上田(清)委員 ぜひ各委員の皆様にも見ていただきたいのですが、もう既に破綻している銀行ですから、このくらいは許されるかなと私も思っております。  実は、この中に、いかにいいかげんな銀行だということが示達書の中に書いてあるのです。幾つか、資料が届くまで、時間がもったいありませんので、少し読み上げさせていただきます。  例えば、内部事務管理の徹底については、再三にわたり指摘しているが、依然として不祥事件や現金出納事故が続発している上、事故やトラブルの発生の可能性がある事務不備も多数認められている。しかも、当局への報告を隠ぺいした不祥事件も新たに認められているとか、こういう話が出ておりまして、これ、実は、本物だという証拠に、きちっと大蔵省の印鑑がついておりまして、幸福銀行取締役社長頴川徳助殿、大蔵大臣官房金融検査部長中川さんと大蔵省銀行局長西村さんの名前とそれぞれの印鑑がしっかり押してあります。  そして、検査概要書の中に何が書いてあるかといいますと、今否定をされました話が出ているのですよ。「自己資本比率については、四年三月末までは国内基準値」云々からスタートいたしまして、「なお、今回検査の結果、多額の欠損見込額の発生により自己資本は大きく毀損されており、正味自己資本額はマイナス三百八十二億円と実態的には債務超過」である。  ここで今、各大臣、長官が否定されました、正味自己資本額あるいは正味自己資本比率という新しい概念が出回っているのではなかろうかというようなお話をしましたが、実際、大蔵の検査で使っているじゃないですか。三枚目にちゃんと数字が書いてありますよ。一番下のところを見てください。自己資本比率がどうなっているか、あるいは正味自己資本比率がどうなっているか、現実に出ているのですね。  このように、大蔵省なり金融監督庁なりにいわば公式的に査定をされた数字以外に、できるだけその銀行の実態を把握しよう、そういう基本的な姿勢もあるのですよ。いいかげんな査定だとか、あるいは自己査定だけでは信用できない。だから、厳しく引き当て率をとった形の中でやっていけばどうなるかということを見ながら、現実にこの幸福銀行の示達書並びに検査書を出して、極めて克明に問題点を記録されてあります。  先ほどは本当の概要だけでしたから、もっと幸福銀行のお話をすれば、支店長が勝手に名義を分割して、一人には幾らと決まっていますから、幾つも名義をかえてたくさん貸し付けたり、あるいは銀行員が各種書類を代筆したり、勝手にやってはいけないわけですよ、人の名義のものを。それから、当局に対して隠ぺいした事件が三件もあった。例えばこれは有価証券報告書の中に記載されていないわけですから、こういう事実を見たら訂正命令を出さなくちゃいけないわけでしょう、当然、当局は。そういうのもなされた動きがありません、この幸福銀行に関していえば。  第一、今御答弁されましたように、私どもにうそをつかれましたね。現にあるじゃないですか、大蔵大臣。どういうことですか、これは。まず大蔵大臣からお聞きしたいですね。
  144. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今これを拝見したばかりで、何とも申し上げられませんが、お尋ねの趣旨はどういうことでございますか。
  145. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、幸福銀行のことをよく覚えておられるかどうか、大変恐縮ですが、御承知のとおり、京都共栄銀行の受け皿銀行として昨年の十月に営業譲渡を受けて、ぼろな銀行を受けるから大変でしょうということで、不良債権の五百億ぐらいはちゃんと買い取っていただき、そしてその上に資金援助を四百五十六億いただいた半年後にまた破綻したわけですよ。そういう不健全な銀行だということを最初からわかっておったんですよ。それを隠して、健全な銀行だということで四百五十六億も資金援助をして、あるいは不良債権を五百億買い取った。そういう銀行をどうして健全銀行として、受け皿銀行として認定をして、資金援助までしたのですかというのが一点。  それと、自己資本比率というものに対して、正味という実体的な概念があるということを、あるじゃないですかということを何度もお聞きして、その都度うそをつかれておられる。この委員会で大臣たちがうそをつかれたら、どういう議論ができるんですか、今後。またうそを言っているんじゃないか、またうそを言っているんじゃないかと思ったら、議論できないじゃないですか。  総理、そういう点について、もしこれがずっとうそをつかれていたということであれば大変な問題じゃないですか。では、今までの日債銀も、ひょっとしたらみんなうそをついているかもしれませんよ、では本当の示達書が出たらどうしますか、こういう話にもなるんですよ。  まず大蔵大臣。大臣は正味自己資本比率の話は知らないと言われましたけれども、現に大蔵では使っておられるという、この事実に対しての基本的な考え方を言ってください。
  146. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わかりました。  九年の秋にいわゆる特定合併というものをいたしました。そのことは知らされております。そして、この場合、金融再編を加速するために、債務超過ではないが経営が悪化した金融機関がたくさん出ておりますから、合併先等、受け皿となる金融機関が見出せないときに、いわば預金保険機構が不良債権を買い取った上で、これらの金融機関同士、同士というのは、実は強いもの同士ではなくて、受け皿がないんですから弱いもの同士、そういうことになりましょうが、それで健全な金融機関として再生することを可能にするということで法律を通していただきまして、この法律は適用が一件だけであったと思いますが、そうでございましたね。(上田(清)委員「はい」と呼ぶ)一般のケースでございます。  それで、その次のお尋ねは、この銀行局長の、これは八年二月二十三日ですが、今回検査の結果は、多額の欠損見込み額の発生により自己資本が毀損されておる、正味自己資本額は三百八十二億円と実態的に債務超過に陥っていると書いてありますが、これは私どもが法律的に使ういわゆる債務超過という意味なのか、あるいは正味自己資本は実際計算すればそうなるじゃないかということで警告を発したものか、ちょっとそこのところが私にわかりかねますので、事情を知っております者がおりましたら、政府委員から御説明します。
  147. 五味廣文

    ○五味政府委員 ただいまの正味自己資本比率という言葉でございますけれども、かつて決算承認制度というものがございまして、決算のたびに、その決算についてヒアリングを濃密に行うような制度でございますけれども、この制度の対象とする銀行とするかどうか、これを判断いたしますときに……(発言する者あり)ごめんなさい。平成八年九月までそういう制度がございまして、その決算承認を行うかどうかという、対象行とするかどうかの判定の一つの基準として、ここに言われておりますような四分類プラス三分類の二分の一、これと自己資本を比較する、こういうやり方がとられていた。これがここで申しますいわゆる正味自己資本比率という言葉でございます。
  148. 上田清司

    上田(清)委員 私は一貫して、こういう話があったのかどうなのかということを聞いていて、ないと言っていたじゃないですか。どういうことなんだ、これは、長官。
  149. 日野正晴

    ○日野政府委員 私は、「選択」の記事についてお尋ねがございましたので、「選択」について、私どもの資料ではないということを申し上げたということでございます。(発言する者あり)それは最近の話でございまして。
  150. 上田清司

    上田(清)委員 いいですか、これは大変なことですよ。物事の考え方で、大事なことだったんですね。  絶対的に、別に「選択」の記事に載っていたか載っていないかを聞いたわけではありません。これを例として出しただけです。質問追加要項の中でもちゃんと大蔵の方にも出しております、こういう概念についてあるかどうかということを。事務方からそれが上がっていないじゃないですか、大臣のところまで。ということは、ないということでしょう。だから、ないと言われたんでしょう。うそじゃないですか。うその答弁なんかやっておったら審議なんかできないね、これは。委員長、お願いします。きちっとさせてください。
  151. 中山正暉

    中山委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  152. 中山正暉

    中山委員長 ちょっと速記を起こしてください。  日野監督庁長官。
  153. 日野正晴

    ○日野政府委員 決算承認制度のことにつきまして私がお答えしたのは、平成九年三月の時点での日債銀のことについてお答え申し上げたわけでございまして、先ほど検査部長はその以前の話を申し上げたということでございます。
  154. 上田清司

    上田(清)委員 長官、大臣も、私は追加質問の要項の中に入れたんです、これ。正味自己資本比率があるかどうか、そういう概念を大蔵省で使っているかどうか。  ないという答弁をされたんですよ、さっき。そういうのは知らないと。事務方は知っていたじゃないですか。何で事務方の方で勝手にとめているんですか。事実関係を変えているんですか。これは何が悪いんですか。事務方が勝手に変えちゃうんですか。
  155. 中山正暉

    中山委員長 時系列的にちゃんと説明してください。
  156. 五味廣文

    ○五味政府委員 答弁があいまいで申しわけございません。  平成八年九月まで決算承認制度というものがございました。この月をもって廃止されました。先ほど長官の答弁申し上げましたのは、平成九年に入りましてからの日債銀の問題についてということでございました。  時系列で申しますとそういうことで、平成八年九月まで制度があったので、その判断基準として、ここに今御紹介のありました正味自己資本比率という考え方が使われていた。いわゆる会計上の債務超過という概念とは別のものでございます。
  157. 中山正暉

    中山委員長 委員長も、聞いておりまして、時系列的にちょっと混乱があると思いましたので今御答弁いただきましたが、引き続き御質疑いただきたいと思います。
  158. 上田清司

    上田(清)委員 日野長官、さっき横路議員に対しては、ないと言っていたんですよ。人によって変えるんですか、中身を。きちっと謝罪してくださいよ。
  159. 日野正晴

    ○日野政府委員 私が御答弁申し上げましたのは、日債銀平成九年三月の期の話を申し上げたわけでございます。(発言する者あり)
  160. 上田清司

    上田(清)委員 うそついたじゃない、今。  いいですか。長官が知らなかったとしても、私は質問要項で出しているんだから、要旨で。  では、事務方は何で長官に知らせなかった、あるいは大蔵大臣に何で知らせなかったんだ、これを聞きたいと思います。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 何か行き違いがあったらおわびをいたしますけれども、私のもらっております資料は、正味自己資本比率一覧というものがあるが、出所は大蔵省ではないのか云々ということであって、正味自己資本比率という言葉は私どもは別に使ったことはありませんし、見ると、なるほど、この雑誌のあれに、「全銀行「正味自己資本比率」一覧」と書いてありますが、これは監督庁がおやりになったんでもないと言っていらっしゃいますし、私どもでもないんで、この言葉を使ったのは、多分この雑誌が使ったんだろうと思いますが、ちょっとその間に、しかし、御質問の聞き取りに行き違いがありましたら、おわびします。悪意ではございません。
  162. 上田清司

    上田(清)委員 では、幸福銀行の示達書に出ているのは大蔵省のじゃないんですか、大臣。
  163. 中山正暉

    中山委員長 ちょっと、用語としてあるのかないのかということをはっきりさせてください。そういうものを役所が使っているのか、あるいは一般のマスコミがそういうものを、正味というような言葉を使ってやっているのか、その辺のことを。
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、大蔵省銀行局長銀行の社長に言っていることの中にあるのでございますから、正味自己資本額はマイナスと言っておりますから、言葉としてこの中で使っておりますことは、これは平成八年でございますが、そのとおりです。
  165. 上田清司

    上田(清)委員 いいですか。質問の中身は、さっきもそうだったのですが、今使われていますかという話、そして、今までにそういうことをやっていたのですかということも聞いていますよ。前回も聞いているのです、そのことを大蔵委員会で。それで、そういうのはないと言っているのですよ。委員会の議事録を読み上げてみましょうか。  いいですか。私が平成七年八月の立入検査の話でちゃんと限定しております。平成十一年七月六日の大蔵委員会会議録です。そして、五味さんは、この限定された中身ですら、「検査の結果に基づく追加償却、引き当てを考慮すると債務超過であるとかないとかいうような認定が当局によってはなされていない、」こういうことですと言っていますよ。議事録と違うじゃないですか、言っていることが。うそばかりついているじゃないか。
  166. 五味廣文

    ○五味政府委員 先ほどから申し上げておりますように、正味自己資本比率と申しますのは、決算承認の対象とするかどうかを判定する目安として、四分類プラス三分類の二分の一が自己資本との関係でどうなっているかということを見るものであります。したがって、会計上の債務超過であるかないかという概念とは異なります。  その答弁で私が申しましたのは、御質問が、会計上のとはおっしゃいませんでしたと思いますが、債務超過ではないのか、わかっていたのではないかという趣旨の御質問だったと私は記憶しておりますが、そこで、当時はこういった三分類、四分類という指摘まではいたしますが、それを会計上の引き当て、償却というものの適否ということにまで及んで指摘をする枠組みにはなっていない、したがって、当局は会計上の債務超過であるかどうかについて判断はしていない、こういうことを御答弁申し上げたわけであります。
  167. 上田清司

    上田(清)委員 完全に前回言ったことと違うことを言っておりますので、ちょっと時間をとめていただきたいと思います。委員長にも確認してもらいたいと思います。
  168. 中山正暉

    中山委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  169. 中山正暉

    中山委員長 それでは速記を起こしてください。  これは、大蔵委員会会議録第十六号、平成十一年七月六日ということでございますので、この中での趣旨を、今の御答弁と違うというような御指摘でございますが、これは、ここで大蔵委員会の速記録を踏まえてもう一度御答弁いただいて、そして進行してまいりたいと思います。お願いします。ありますか、大蔵委員会のこの答弁。これと違うということ。この趣旨を説明してあげてください。
  170. 五味廣文

    ○五味政府委員 大蔵委員会答弁で「債務超過であるとかないとかいうような認定が当局によってはなされていない、こういう仕組みでございます。」この部分でございますね。  この部分でございますが、私が答弁申しましたときには、これは当然のことながら会計上の債務超過という前提でお話をしております。そこで、例えばこの「選択」に載っておりますように、四分類一〇〇%、三分類七〇%、二分類二〇%ですか、こういった引き当てを前提にして自己資本と比較をしてみたケースとか、あるいは、かつて決算承認制度時代に使っておりました四分類一〇〇%、三分類五〇%、これを足したものと自己資本とを比較したケースとかいうようなものとは全く違うもので、会計上の債務超過であるかどうかということを私はそこで御答弁申し上げたものでございます。
  171. 上田清司

    上田(清)委員 五味さん、詭弁をしたらだめだよ。限定して話をしているじゃないですか、平成七年の八月十八日の立入検査の件だと言って。限定しているじゃないか、完全に。このことだけについて答えればいいのに、何が会計上の問題だ。  委員長、完全に違いますよ。限定しているんです、問題点を。幸福銀行の八月十八日の立入検査だとはっきり言っているじゃないか。
  172. 中山正暉

    中山委員長 五味検査部長、もう一回御答弁願います。
  173. 五味廣文

    ○五味政府委員 同じお話で申しわけございませんけれども、その立ち入りにおいて会計上債務超過に陥っていたのかどうか、要するに破綻状態にあったのかどうかということをお尋ねでしたから、それに対するお答えをしたわけでございます。  ここで言う、いわゆる「多額の欠損見込額の発生により自己資本は大きく毀損されており、正味自己資本額はマイナス三百八十二億円」、こういう記述がここにあるようでございますけれども、これは、先ほど来申し上げておりますように、会計上の問題を議論しているのではなくて、決算承認銀行として将来これを管理するのかどうか、資本の外部流出というものを抑えるためにどういう監督をしていくか、それを判断するための目安としてこういう判断をしている。これは幸福銀行に限らず、どこの銀行でも、検査を行いますとこういう試算をして、対象に該当するかどうかはチェックをしておったということでございます。
  174. 上田清司

    上田(清)委員 いや、それじゃなかなか本当にわかりませんね。  それでは、大蔵大臣。今聞かれましたように、金融監督庁が、要するに幸福銀行というのは、この示達書を見る限り極めてでたらめな経営内容であり、そしてなおかつ、正味自己資本額においてもマイナス三百八十億の超過債務に陥って、実態的には破綻状態にあるということを、ある意味では、いろいろなことは言っておりますけれども、認定をしている。にもかかわらず、なぜ健全銀行の受け皿になったのか、要するに京都共栄銀行の受け皿銀行になり得たのか。当時もそういう質疑があったんですよ、危ない銀行だという話で。これはどうしてなったんですか。それを答えてください。
  175. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それで話は明るみに出てきました。何か、債務超過と言っておいて、それを受け皿にしたのはけしからぬとおっしゃいますから、そういう意味での債務超過でなかったということを今くどくど申し上げたので、その次は、とにかく悪い銀行であったことは間違いないだろう、それを受け皿にしたのは何か、こういう御判断、そのお尋ねだと思うのです。それでしたら、だれか、その行政をした者がお答えします。
  176. 乾文男

    ○乾政府委員 平成七年八月十八日を基準日といたします検査の結果が出ておりますけれども、その検査基準日の直近の七年九月期におきます同行の自己資本額は八百五十六億円ということでございまして、先ほどから答弁しておりますように、会計上の概念としてこれがいわゆる債務超過ということではございませんでした。  ただ、それにいたしましても、不良債権の償却等に伴いまして同行の資本の額がいわば薄かったということは事実でございまして、同行ではその後、八年三月、十年三月、十一年一月にそれぞれ六十億円の第三者割り当て増資ということを行いまして、資本の増強に努めたというふうに承知をしております。
  177. 上田清司

    上田(清)委員 三回の増資を承知しているだけじゃだめなんですよ、検査部は、監督部は。どこから増資を受けたかが問題なんですよ。みんなでたらめなところから受けているんじゃないか。どこから受けたんだ。東京相和だとか関連会社からばかりじゃないですか、どこもここもバンザイしているような。その中身が問題なんですよ。  何のためにあなた方は検査しているのですか。いいですか。決算はこうでした、ああでしたとかすぐ言う。会計上はこうでしたと言う。検査をするのが仕事なんですよ。本当の仕事なんですよ。でたらめなことをやっているじゃないですか。でたらめじゃないのです、検査は正しくやっているのです、そういう意味では。しかし、その後、銀行局の方でおかしくしているのじゃないですか。  おととい、NHKの七時のニュースで出ましたね。この日債銀の問題でも、実は、検査部では正しく出そうじゃないかという話をしていた。しかし、銀行局が待ってくれと。そして、小川事務次官の部屋で何回も何回も、行ったり来たりしているわけですよ、この話は。だから、山口さんが知らないことはない。知っているはずなんですよ、当然。知っているからこそ確認書も出しているわけじゃないですか。  もし間違いだったら間違いだと言ってください。NHKに抗議してくださいよ。日債銀日本債券信用銀行を支援するために大蔵省がおととし金融機関に出資を求めた際に、大蔵省内部では、日債銀の自己査定に従って少な目の不良債権の額を示そうとする銀行局と反対する金融検査部とが対立し、当時の事務次官の仲裁で少ない額を示すことが決まったことが関係者の間でわかりましたと。  いいですか。さっきも対立の話を横路先生がしていましたけれども、そんなことはないと言っていたじゃないですか。あるのじゃないですか、現実に。あるからこそこういう結果が出ているわけじゃないですか。検査部は正しく検査した。もうこれは破綻銀行だ、しかもでたらめだと。支店長が名義をいっぱいつくって、でたらめな融資をしている。おまけに有価証券報告書に違った記載をして、その告発もしていないじゃないですか、訂正も。だれがこういうふうにしたのですか。健全銀行にしてしまったのですか、本当はでたらめ銀行を。その責任を私は問うているのですよ。  それと同じようなことが日債銀でも行われた可能性が極めて高いし、長銀でもそのことが行われた可能性が極めて高いのですよ。検査部は正しく検査しているのですよ。それを最後によじ曲げているのはだれなんだ。だから、中井さんにしても、山口さんにしても、来なくちゃだめなんですよ。それを邪魔したのは皆さんじゃないですか。自民党が邪魔したのでしょう。  委員長に申し上げますけれども、この問題は、こういう正確な示達書があって、幸福銀行だけです、ただ今あるところは。しかし、必ず世の中には良識派がいますから、どんどん出てきますよ、日債銀も長銀も。そのとき、またですかなんという話じゃ済まないのですよ。だから、これは正直に出していただくしかないし、参考人できちっと来ていただくしかないのですよ。それを拒否されたら、何のための金融集中審議かわからないのですよ。そういう意味で、委員長の善処をお願いしたいと思います。  それから、NHKについての基本的な、忘れてしまいますから、大蔵大臣、間違っていたら間違っている、正しいのだったら正しいと言ってください。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 NHKが何と言ったか聞いておりませんけれども、報道の自由でございますから、何もそれに申すことはございません。
  179. 上田清司

    上田(清)委員 確かに報道の自由でありますが、今まで大蔵省答弁されていた、大臣が答弁されたことや、あるいは担当の局長答弁されたこと、あるいは日野長官が答弁されたことと全く百八十度違うことが言われているわけです、報道されているわけです。我々もそういう認識をしております。それについて、報道は自由ですからといってノーコメントじゃ困るのですよ。それじゃ無責任ですよ。
  180. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年来、このことについては、何度も何度も当委員会でも参議院でもお尋ねがございまして、政府としてはできるだけのことをお答えいたしておるつもりでございますので、それにつけ加えることは政府としてはないというふうに存じます。
  181. 上田清司

    上田(清)委員 それじゃ、NHKの報道とは別に、検査部と銀行局というのはそれぞれ対応が違うのでしょうか、それとも常にそれを止揚する形で大臣がきちっとまとめておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  182. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いや、それは違うので、検査というのは、御承知のように、検査に入りまして、お互いのやりとりをするわけでございますから、このぐらいだ、いや、それはありませんとやりとりをしているわけでございますが、検査そのものは途中の経緯があります。しかし、一遍検査の結果が決まりましたら、何人もこれに口を入れることはありません。
  183. 上田清司

    上田(清)委員 いえ、大臣の答弁を聞きますと、きちんとやはり経過があって、その経過の中できちっとした判断が出される、常にその当時としては最善のことをなされていたということを行政当局は言われますが、そうじゃなくて、時々ねじ曲がった判断をされている、事実と違う判断の方でやっておられる。そういうことを実は先ほど横路議員もずっと言っていたわけですよ、日債銀の問題に関しても。  もう何度も繰り返しませんが、時系列的にわかりやすいように、もう一回ちょっと繰り返しますけれども、もう五月の十九日の段階から、日銀総裁の方に大蔵の方から債務超過でないという連絡をいただいているんですよ。そして、九月にならないとわからなかったなんというようなことも言っておられますけれども、では、何で九月になる前のものを日銀総裁に五月に伝えるんですか。あるいは、大蔵省の幹部が、増資をしてもらいたい各会社に、第三分類は七千億ですということをあちこちでふれ回ったじゃないですか。では、何なんですか。我々には検査の中身は教えられないと言いながら、勝手に各増資機関には検査の中身を教えたりしているじゃないですか。日銀に教えたりしているじゃないですか。  そういうまやかしをずっとやってきて、どうして信用ができるんですか、九月までわからなかったとか。あるいは今の幸福銀行の例をとればわかりますように、実態的にはみんな毀損している。それで、最善を尽くしたとか、だれが納得しますか、国民全体。それを言っているんですよ。  だから、きちっとした反省と責任を明らかにしていただかないと困るんですよ。それが一つも出ないじゃないですか。だから、何度も何度もこういう話になっているわけじゃないですか。それで、キーマンになる人は出てこない。  私は、再度申し上げますけれども、ちゃんと横からアドバイスがありましたので、もう一度絞ります。  それでは、日債銀にちょっと戻ります。  日債銀で、先ほど、九月にならないと検査の概要がわからなかったんだと言っておられましたが、日銀総裁は、五月十九日に、それぞれの機関を通じて、つまり日銀側の窓口と大蔵側の窓口を通じて、大蔵省から債務超過ではないと、そういう回答を一月二十八日の予算委員会で御答弁されておりますが、これは事実ですね。
  184. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  九七年の五月十九日に大蔵省との間で、日債銀は債務超過ではないとの認識を確認いたしております。日債銀日本銀行へ、大蔵省検査結果の途中経過を踏まえた資産内容の説明を受けたときでございます。
  185. 上田清司

    上田(清)委員 日野長官、聞いたでしょう。総裁は五月の段階で、どの程度だったんだということを聞いているんですよ。あなたは何も知らないと言っているけれども、ちゃんと日銀にはもう伝えているわけじゃないですか、その中身を。あなた、またうそをついたじゃないですか。何回うそをつくんですか、きょうは。早く答弁してください。
  186. 日野正晴

    ○日野政府委員 たびたび御答弁申し上げ、同じことで恐縮でございますが、大蔵省の検査結果というものは、示達を行いました平成九年の九月に確定したということで、それまでは、検査結果はまだ判明していなかったということでございます。ですから、増資を要請した時点では、第三分類が一兆一千二百十二億円であるとか、あるいは第四分類が五百八十九億円という数字は、まだ存在していなかったということでございます。  ただ、当時、日債銀が、先ほども申し上げましたが、増資要請先に対しましては何らかの形でやはり自分のところの資産状況を説明する必要があった、そういう必要に迫られていたというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、日債銀は、まだ検査は途中でございましたけれども、いろいろな形でやりとりが大蔵省の検査部との間でございますので、そのやりとりの中から何らかの感触をみずから認識していたことは、これは否定できない事実だと思います。  そういった数字を、説明を行っていたということは大蔵省としても承知しておりましたけれども、これは別に大蔵省がそういうことをしろというふうに指示していたわけでもございません。ただ、その当時の日債銀が大変切迫していた状況から見まして、そういった途中段階で、ある検査の状況を踏まえて、日債銀みずからが認識していた計数を説明することはやむを得ないものと考えていたというふうに聞いているところでございます。
  187. 上田清司

    上田(清)委員 聞いているところでございますでは無責任ですよ、承知していますとか、聞いているところですとか。事実をしっかり確認するのが仕事でしょうが。そんなんじゃ仕事にならないよ。  いいですか。今、日銀総裁は大蔵から聞いたと言っているんですよ、七千億の話を。今引き継いでいるんでしょう、金融監督庁は。だれが言ったんですか、では。日債銀が適当に言っていましたことは承知しておりますと。そうじゃなくて、大蔵省が言ったと言っていらっしゃるじゃないですか。では、総裁が間違えたなら間違いと言ってくださいよ。
  188. 乾文男

    ○乾政府委員 この点につきましては、以前の予算委員会の集中でもお尋ねがありまして、お答えしておりますけれども、今長官がお答えしましたように、五月の二十日前後の時点では検査結果は出ておりませんでした。  ただ、日債銀につきまして、これは当時の大蔵省当局も、それから日本銀行も、この再建策が実施されれば再建可能であるということでもっていろいろな話を進めておったところでございまして、そうした前提におきまして、当時も、それから九月の検査結果通知が出た後も、日債銀が債務超過であるという認識は持っていなかったところでございます。  したがいまして、五月の二十日の時点におきまして、これは日本銀行大蔵省銀行局の担当者同士の話であるとお答えしたことはございますけれども、その当時、日債銀が自分の感触として七千億円という数字を持って回っていることについては、日本銀行大蔵省もその共通の認識を持っていた、また日債銀が債務超過ではないということについても、大蔵省日本銀行も共通の認識を持っていたということをお答えしたところでございまして、その当時の検査結果を日本銀行に伝えたということはございません。
  189. 上田清司

    上田(清)委員 別に検査結果について聞いたわけではないですからね。
  190. 速水優

    ○速水参考人 もう少し詳しく申し上げます。  五月十九日に、日本銀行大蔵省双方における本件担当部署の間での連絡を通じて、日本債券信用銀行は債務超過ではないという認識を確認しております。それと同時に、同じ日に、日本債券信用銀行が出資要請先に対して、回収に懸念のある債権の額は約七千億円であるとの説明を開始した日であると承知しております。そうした中で、ただいま申し上げた大蔵省との間の認識の確認を行ったものでございます。
  191. 上田清司

    上田(清)委員 何で七千億という数字が出てきたのですか、監督庁長官。検査も何もしていないのに、何で七千億という数字が出てくるのですか。
  192. 日野正晴

    ○日野政府委員 たびたび同じ答弁で恐縮でございますが、結局、検査結果はまだ出ておりませんけれども、検査官と日債銀との間でいろいろ検査の過程でやりとりをしておりますね。これは第二分類にすべきか、あるいは第三分類にすべきかとかいったようなことについてやりとりをしている過程で、日債銀日債銀なりに、大蔵省はこういうことを考えているんじゃないかなという感触を得ていたのではないかなというふうに思います。それを日債銀は、自分のところは、これは増資を要請する先に対しましては何とか説明する必要に迫られていたわけでございますので、自分が得ていた感触を持ち歩いたということになろうかと思います。
  193. 上田清司

    上田(清)委員 総裁は認識と言って、長官は感触と言いますけれども、これは同じ概念でしょうか、それとも違うんでしょうか。違うんですよね。感触というのはあくまで感触、認識は正しく認めているということですから、違うんですよ。そうすると、日銀総裁と大蔵側の考え方がこれはまず違うということをはっきり申し上げます。  それから、この見込みなり認識なりは、やはり増資を求めた関係の各会社に実は大蔵省の方からずっと頼んでいるじゃないですか。このことを否定されたら大変になりますよ。  大蔵大臣、実は事務当局の方は第三分類が七千億だということを言っているんですよ、幾つかの会社に。感触とかそんなんじゃなくて、中間報告かもしれません。そして各会社は、これは大蔵の中間報告じゃないだろうかということを感じ取りながら実は増資に応じていったという経緯なんですよ。いいですか、念書もあるでしょう。  だから、もう一度申し上げますけれども、もし大蔵省が、一切そういう数字はその時点で明らかにしなかったし、一切合財外部に七千億ということを漏らさなかったという絶対自信があるんだったら、言ってくださいよ。
  194. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大体お話はわかってきましたし、私の思っている——いや、冗談じゃないんです。私の思っていることも余り違いがないんですが、大蔵省としては、これはぜひみんなに協力してもらいたい、しかし、検査はずっと後の方でございますから、九月十一日でございますから、そういう数字は全くわかっていない。  日債銀は、いろいろ大蔵省とのやりとりの、四月十五日、やりとりの中から、ああだこうだ、何分類にするとかいうので、七千ぐらいだろうということを恐らく言って回っている。言って回っているところを、大蔵省は別段そのことをわざわざ否定することもしていない。ただ、これは債務超過ではないということだけは間違いなく言えるものだから、日本銀行との間では、債務超過じゃありませんね、何か七千億と言っているけれども、あのことは実は検査がないんだから本当はわからないんです、しかし言っていますよね、それは聞いていますというぐらいのことは私はあるんだと思いますね。しかし、わざわざ、そんなことは何も決まってませんと言ってもいないし、そこのところはきっとそういうことだったろうと思います。  ただ、債務超過でないということだけがわかっていますから、日本銀行との間でそういう認識は一致した、多分こういうことではないかと私は推察します。上田委員のおっしゃっていることとそんなに違っていない。
  195. 上田清司

    上田(清)委員 いずれにしても、極めて奇怪な動きがあったことだけは事実であります。まだ検査結果が出ていない時期に、この銀行が債務超過でないとか第三分類が七千億だというような話が出回りながら、しかも現職の銀行局担当審議官が確認書にサインをするという、再建は可能だという、しかも現実にはそうでなかったというこの責任は極めて重大でありまして、その経緯を聞くにも聞きようがない。実態がこうであります。  この押し問答をする時間が現実に与えられておりませんので、また、予算委員会集中審議も引き続きあるのではないかと思っておりますので、そのときにまた改めてやらせていただきたいと思います。  最後に、国会では極めて不快な思いをしておりますが、金融危機管理審査委員会議事要旨でありますが、これの終わりの方の九十三ページ、それぞれコピーを一枚配付させていただいております。このときの委員長の佐々波楊子さんが、私見という形で「金融危機管理審査委員会の役割と評価」の中で、下の段のところに少し行があいておりますが、その上の三行目ぐらいから見ていただければわかりやすいと思います。下から十一行目からですが、「それにもかかわらず長銀問題をめぐる日本での論議は国会質疑を含めて、日本金融の安定が世界にとって大切であるとの問題意識も緊迫感もなかったのはきわめて残念であった。」こういうことであります。  実は、この席あたりはすごい緊迫感があったんですが、金融安定化特別委員会でみんな必死でいろいろな議論をしておりました。委員長そのものが参考人で出てきた初日に、いろいろなことを聞かれてわからないもので、詰まって、私の責務は委員会の円滑なる運営をすることが仕事ですなんということを言って大笑いをされた、その程度の話なのか。  こんなのは怒ってもしようがないといえばしようがないのですが、これは政府のことを言っておられるのでしょうか、「国会質疑を含めて」というのは。「含めて」ですから、政府の対応が問題意識も緊迫感もなかったということを佐々波委員長は言っているのか、このことを総理に聞いてみたいのですが。
  196. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは私がお答えさせていただきます。  大変緊迫した国会でございましたし、政府も一生懸命対応いたしました。それは、日本金融の安定が世界にとって大切であるとの問題意識があったからこそでありまして、問題意識も緊迫感もなかったなんということは、私は当事者として全く考えておりません。  思うに、佐々波さんは象牙の塔からおいでになったので、こういう世界を御存じなくて、多分最初はかなり仰天されたのではないか、そんなことではないかと思います。  どうぞよしなにおとりくださいませ。
  197. 上田清司

    上田(清)委員 宮澤大臣の優しい心ばえは心ばえとして、広い心は広い心として評価しますが、資本注入に関しては閣議決定でございました。しかも、二つの銀行が破綻したという事実。そして、国民の代表者たる院の緊迫感あるいは問題意識、そういうことに関してこういう私見が平気で出ることに関して、また、預保の理事長も一体何をしていたんだと。こんなことが現実の状況ではなかったはずだということは松田理事長もよく御存じだったはずなのに、こういう文章が出ること自体も御注意が足りない、このことを私は申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  198. 中山正暉

    中山委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  199. 西川知雄

    西川(知)委員 公明党・改革クラブの西川知雄でございます。  きょうは日債銀と長銀等の金融問題であるということで、私も、理事の方からこの日のためにいろいろと質問の準備をしておくようにというふうに指示がありました。  この日債銀と長銀の問題というのはことしの二月十六日と二月二十五日にもありまして、私、両方とも質疑に立たせていただいたわけで、先ほどいろいろな方から問題点について大蔵省責任等が言われておりましたが、それは私、既にことしの二月二十五日に「日債銀問題についての主要論点」というのをこの予算委員会で皆さんにお配りして御理解を得ていたと思いますので、改めてそれ以上のことを実は質問しないといけないということで、いろいろな事情を、予算委員会集中審議総理もお出になるということで、とても重要な審議でございますから、そういう意味で、情報を正確に入手しようというふうに実は考えて準備をしてまいりました。  前の予算委員会集中審議のときも、当然、大蔵省金融監督庁、日銀そして日債銀の方と数十時間、私の事務所に来ていただいて、私みずからいろいろな、これは間違っていると大変なことになりますので、個別にお話を聞いて、正確性を期したところです。  ところが、七月の中旬、用意をしないといけないということで、ある日債銀の方にも来ていただきました。そうしたら、その人が検察庁でいろいろ取り調べを受けているということで、翌日、私のところに御当人から電話がありまして、検察庁からというよりも、その担当検事さんから、国会議員に接触してはならないという話がありました。  そこで、それは困る、事情をちゃんと知って、この集中審議で、事実を十分に把握した上で議論しないと、問題がこれは大きくなり過ぎるということで申し上げましたら、そうしたら、わかった、取り調べを受けていない日債銀の担当者がいる、その人たちに来てもらおうということで、七月十九日に別の人が来てくれました。そして、問題となっているTHCグループということについて説明をいただきました。  ただ、そのTHCグループといいますのはいろいろな会社がありまして、新聞には十九社と書いていますが、それは間違いで十八社なんですけれども。その十八社について、例えばその設立年月日とか住所とか代表者名とか従業者数とかバランスシート、これは自分でも集めようと思えば集められるんですけれども、時間の関係もあるし、そういう単純な事実であるから、これは教えてほしいということを申し上げましたら、わかりました、二十一日の日に行きますということだったんですが、たしか十九日の夕方か二十一日の朝、電話がありまして、検察庁から、そういうことをしてはならないということがあって、実はその資料が全然ございません、ある程度ありますが。  そこで、私ちょっと思ったんですが、日債銀と長銀の問題をここで話すというのでその問題についていろいろ調べようと思って、ほかの外交問題とか安保とかいろいろな問題を話してもいいのであれば関係ないんですけれども、そこで、私はちょっと意外に思って、総理にも御見解をお伺いしたいんです。  憲法は六十二条で、議院の国政調査権というのがあって、これは憲法上の規定でございます。この予算委員会の例えば集中審議で、国会議員が、その審議を円滑に、しかも正確に、国民の前に議論し、何が問題であって、議論がどういうふうに進行して、これからどういうふうに国があるべきかということを審議する重要なときに、その委員が、例えば民間から情報を得る、必要な人から情報を得る、これは私は議院の国政調査権を背景にした重要な行動であるというふうに思うんです。それで、こういう集中審議をやっている、そのときに今のような事実があった、これで果たして十分な審議ができるのかどうかということを私は個人的には疑問に思ったんです。  総理は、この国会のそういう国政調査権なり今のような集中審議をするときの重要な問題をどうやって今の捜査との関係で調整されようとするのか、まずそこをちょっとお答え願いたいんです。
  200. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 法務省の見解はまた後ほどいただくこととしまして、一般的に、政府としては国会議員の国政に関する調査活動に対して可能な限り協力すべきものと考えておりますが、捜査当局においては、関係者の刑事責任の有無を明らかにするため、捜査の秘密を守りつつ、限られた時間の制約の中で厳正に捜査を進めていることにつき、御理解を賜りたいと考えております。  国政調査権と行政サイドにおけるこの国会における見解を明らかにすること、あるいは関係者が国会に参りましていろいろお話しされることにつきましては、私も長い国会議員の経験の中でも何回か遭遇いたしまして、委員会におきましてその審議のあり方についていろいろな形で対応してきたと思っております。そういう意味では、国政調査権ゆえにすべてを律するということでない形の中で、これは、委員会その他におきましてお話し合いを進めながら結論を得てきたというような経過があろうかと思います。  本件につきましては、どのように考えておるかにつきましては、法務省から御答弁をさせていただきたいと思います。
  201. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 お尋ねは、具体的事件の捜査の過程において担当検察官と関係者とのやりとりにかかわる事柄でありまして、そのことについてお答えをすることは差し控えたいと存じますが、一般論として申し上げますと、捜査は被疑者その他の関係者の名誉にも深くかかわる上、捜査に関する情報が外部に漏れることとなれば関係者による罪証隠滅のおそれが生じることから、捜査状況やその内容については非公開で行われるところでございます。  捜査機関におきましては、取り調べの対象となった被疑者や参考人に対して、取り調べの内容や捜査機関に提出した資料または捜査機関が押収した資料の内容を他の者に明かさないよう協力を求めることがございます。  もとより、これは任意の協力を求めるものにすぎませんので、国会議員から協力を求められた方がどのような対応をするのかは、あくまでもその方の判断に任されている、このように考えております。  なお、国会議員の国政に関する調査活動につきましては、ただいま総理がお答えになったとおりでございます。
  202. 西川知雄

    西川(知)委員 私は、具体的な案件についてこういう事態になって、当事者が当該検察官の方から協力を求められたら、それは従わないといけないんだなと。これは強制力はないのですけれども、そう思うのはやむを得ないと思うのです。  予算委員長、こういう集中審議をする時期とか、そういう逮捕があるのかないのかとか、もうそういうことはわかっているわけですから、十二分な審議ができるようにこれからうまくひとつ調整を、今後とも同じことがあるかもしれませんから、お願いを申し上げます。
  203. 中山正暉

    中山委員長 わかりました。
  204. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、一つだけTHCグループのことについてお尋ねをしておきたいと思うのです。  これは、クラウン・リーシングと日本トータルファイナンスと日本信用ファイナンスというのがTHCグループ十八社に受け皿会社を持っていて、日債銀、NCBもTHCグループについて債権を持っていた、こういうことなんでございますが、個々の事例のことについてはそういうことなので聞きませんが、一般論としてどういう対応をしているのか、お尋ねをしたいのです。  NCBグループが、クラウン・リーシングほかノンバンク三社が破産をしたということで、そのままほっておくと自分たちのTHCグループに対する債権は第四分類になってしまう、そういうことで、事業計画を立てて、NCBのグループがTHCの株を買い取ってやれば、以前検査部が認めていた九段開発グループに対する分類と同じようなことになるのではないかということを検査部に聞いたところ、これを検査部の方では、いや、そうじゃない、四分類のままにしておいてくださいというふうに言わずに、三分類のままでもいいですよ、九段開発グループに対する分類と同じようでいいですよ、こういうふうに言ったのではないかということが言われておるのですが、それが事実かどうかだけちょっと監督庁の方に確かめたいと思います。
  205. 五味廣文

    ○五味政府委員 破綻いたしました金融機関の場合でございましても、検査の個別の結果につきまして、その詳細をお答えするのは控えさせていただきたいと存じます。恐縮でございます。
  206. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、ちょっと一般論として聞きますけれども、実はそれをどうも黙認していたらしいと。そこで、九段開発グループと同じような処理をしようということになった。そこで、NCBはTHCグループの事業計画を立てた。この計画が合理的な計画かどうかということは、これは今捜査当局が調べておられると思いますが、いずれにしても、事業計画を合理的な計画としてつくって、NCBがこれを承認した、また支援体制を確立した、それゆえに実は要注意先として三分類じゃなくて二分類に日債銀はしてしまうわけですけれども。  ここで、一般論として、これはお答え願えると思うのですけれども、例えば、再建先の当該事業計画が合理的なものか、また妥当性があるかどうか、こういうことについては検査部は今までチェックをしてきたのか。また、これからそういうような事例がどんどん出てくると思うのですが、これを判断するだけの体制がとられているのかどうか、これについて監督庁の答弁をお願いします。
  207. 五味廣文

    ○五味政府委員 融資先の例えば再建に係る事業計画というようなものにつきましては、立入検査の際に、その内容について、当該金融機関を通じまして詳細にこれを調べるという形をとります。その合理性につきましては、事業計画におきます、例えば収益性の度合いでありますとか、あるいはキャッシュフローがどういうことになってくるか、それから、再建に至るまでの期間、どのくらいの期間を想定し、どういう前提を置いているか、こういったようなことを一つ一つチェックをして確認をしてくる、これは今までそういうやり方でやっておりました。  今後につきましては、先般策定をいたしました金融検査マニュアルにおきまして、もう少し具体的に、どういう場合であれば例えば要注意先にとどめるということで差し支えないのかというような、一種のセーフ・ハーバー・ルールでございますね、こういったようなことも記述をいたしまして、よりわかりやすいものにしておるところでございます。
  208. 西川知雄

    西川(知)委員 前からそういうふうにされていたということですが、ことしの七月一日にも、私どもずっと、裁量に任せてはだめだ、ぴちっとしたものを出さないと検査を受ける方も困るということで、金融検査マニュアル等を出してくれということでこれを出されたわけでございますが、自己査定においても、債務者区分が破綻懸念先となるべきものが正常先及び要注意先とされている場合は、当該債権の必要な償却、引き当て等の算定を行うことに重点を置いて検証を行うものとする、そういうふうに今度の検査マニュアルでもなっております。  これは過去の反省を踏まえてのことでございますが、そういうふうに、要点を裁量がなかなか検査でも働かないような形にして、一定の基準で、各金融機関が果たしてこれを要注意先としていいのか、どういう先にしていいのかぴしっとわかるような体制をこれからもつくっていくということが重要じゃないかと思います。  そこで、従来、私ずっと指摘委員会でもしてきた点でございますが、公認会計士の監査法人の役割と責任でございます。多分柳沢大臣にも大蔵大臣にも、それから総理にもお尋ねしたことがあると思うのですが、一応、公認会計士、監査法人というのは、いろいろなたくさんの人を使ってその金融機関を査定をする、監査をする。そして分類もやって、そして一番重要な償却、引き当てもやるということで、これは大蔵省の監督下にあって、我々も国民もそれを信用する。また、そういうプロでございますから、金融機関も当然のことながら信用をする。こういうようなことであるのですけれども、実は今度の日債銀の例にいたしましても、この意見と検査部の意見が全然違ったということで、我々国民としては、どちらをまず信用していいのか実はわからないところでございます。  今新聞とかそういうところでは、あたかも検査部が全く正しいとか、また検察が言っていることが正しいとか、あるいは粉飾決算とかいろいろなことが出ていますが、私は、公平に見てどっちが正しいか実はよくわからない。そういうときに、我々国民としてはどちらを信用したらいいのだろうかということについてちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  まず、その前に、大蔵省として、また大蔵大臣としては、この件について監査法人を調査されたのか、また、日本公認会計士協会より報告を受けているのか、そして、現状の調査状況はどういうものか、ちょっとその点について御報告願えればと思います。
  209. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 制度自身はもちろん西川委員が御存じの上で御質問でございますけれども、公認会計士または監査法人が、会社の財務書類に虚偽がありましたときに、それを知りながら、故意または重大な過失があって、それを虚偽のないものとして証明した場合には、証券取引法あるいは公認会計士法等に基づいて、民事、刑事、行政上の責任がございます。したがって、その場合には、故意である場合には、大蔵大臣は、公認会計士、監査法人に対して懲戒処分をすることができる。  そこで、今の問題は、まさに西川委員の言われますように、どちらの言っていることが本当なのかということについては有権的には決定されておりませんから、もし、しかし、虚偽のある書類について、監査法人が情報を知ってこれをパスさせたという場合には、そういう処罰を受けなければならないということになると思いますけれども、今のところ、この点は調査が進んでおる、逮捕が出ておりますような状況でございますから、いわゆる公認会計士法三十二条三項に基づく大蔵省としての調査はまだ行っておりません。
  210. 西川知雄

    西川(知)委員 それから、公認会計士協会より何か報告は受けられておりますか。
  211. 福田誠

    福田(誠)政府委員 お答えいたします。  協会からの御報告等はまだ受けたことはございません。
  212. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、先ほどからお話ししておりますように、両方ともプロだと思うんですが、プロとしての公認会計士の意見と監督庁の意見、これが違った場合、それぞれの意見がどういうふうな理由でどうなったのかということで、その違った部分をそれぞれに意見をつけて公開しないと、これはちょっと無理じゃないかと思うんですが、総理大蔵大臣、御意見はいかがでしょうか。
  213. 福田誠

    福田(誠)政府委員 先ほど大臣が答弁申し上げましたように、大蔵大臣の懲戒処分等については会社の虚偽の書類の作成が前提となるわけでございますが、御指摘日本債券信用銀行につきましては、まさに有価証券報告書の虚偽記載そのものの容疑によりまして現在旧経営陣が捜査当局に逮捕されておりますので、今後の状況を見きわめたいと存じます。
  214. 西川知雄

    西川(知)委員 それを聞いているわけじゃなくて、この日債銀の事件を踏まえて、一般論として、公認会計士が監査法人としてこういう意見を出している、それは違うのだという意見が出ている、何で違うのだと。両方ともプロだ。両方とも、例えば法律に基づいて、また実務指針に基づいてやっていると言っているわけです。そこで違ったときが出た場合に、それは国民として何を信じていいのかわからないし、その結果によって場合によっては公的資金が導入されなければいけない。そういう重要なときは、その部分で結構ですから、しかもそれは個々の事例を挙げる必要はなくて、どういうコンセプトでその差が出てくるのか、宮澤大蔵大臣、そういうことを我々は知りたいと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
  215. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法律をよく知っているわけじゃございませんが、常識として、大蔵大臣として突然刑罰に処するわけには、罰則を与えるわけにはいかないので、監査法人側の主張というのはあるはずでございますから、どういうふうになるにせよ、監査法人は少なくともその主張を公にする権利があると思います。そのことは私ども一向に差し支えない。  問題は、さて、それを私どもが代弁するかどうかということになりますと、そこはよく考えなきゃなりませんが、監査法人はそれを言われる権利は十分にあると私は思います。
  216. 西川知雄

    西川(知)委員 当局の検査内容について、検査当局が言ったことがもうファイナルであるというのであれば、それは一つの決め方ですけれども、そうじゃないとするのであれば、金融機関から、またはCPAから、当局の検査内容についての不平なり不満を公平に審判する、そういう制度をつくっていかないといけないのじゃないかというふうに思うんですが、その点について、ちょっと……。
  217. 五味廣文

    ○五味政府委員 申しわけありません。御質問が制度論でございましたけれども、現行の運用を申し上げさせていただきますと、立入検査に入りました場合に、当然のことながら主役は銀行でございますから、銀行の自己査定というものをチェックするわけですが、それには外部監査人の監査というものがついているということから、当局が、これはどうも不正確であるということになりますと、まずは銀行とよく意見交換をし、資料もいただき、それで、やはりどうしてもこれは納得がいかないというようなケースにつきましては、銀行の立ち会いのもとに公認会計士さん、監査法人と意見交換をするという場を必ず設けるようにという指示をしております。この公認会計士との意見交換は、今回の金融検査マニュアルにも明示をされております。  こういった形で、公認会計士さんの方の御意見を運用面で十分伺う、そういう機会は設けているということにしております。
  218. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 制度としては、アピールできるそうであります。
  219. 西川知雄

    西川(知)委員 どうもありがとうございました。  そこで、先にこちらをちょっとやりたいのですが、銀行と郵便貯金の競争についてをやる前に、簡単に一つだけ。  皆さんのところに資料をお渡ししております。これは、いろいろなこれからの金融の再編成ということにかかわって、これからいろいろな、財政がまだまだ逼迫して、国債の利子の支払い、これも膨大な金額になっているということで、国債の発行は今、平成十一年五月末で約三百二兆なんですけれども、この利払いが、これは八ページですけれども、平成十年度で一日当たり三百七億円にもなっている。こういうことで、例えば定額国債というものをつくってはどうか。これは十年間据え置きます。これは金利はそのときは払われない。  そうしますと、二ページ目を見ておいていただきたいのですが、これは、償還期間は二十年、据置期間が十年。元利払いは、据置期間後毎月定額の利子と元金が支払われる。原則として購入可能者というのは四十五歳以上だ。十年間たちますと五十五歳になって、それから元利を毎月もらえるということで年金のかわりにもなる。これは譲り渡しは禁止である。それから、場合によっては記名式にして、そして脱税とかそういうものをなくす。また、保有者は満期前に途中償還を請求できるけれども、ペナルティーを科される。ただし、死亡、心身障害等による途中償還はこれを免除する。こういうようなことでございます。  五ページ目を見ていただきますと、その定額国債の税引き前のキャッシュフローをつくってみましたが、ゼロから十年のところは、これは何もキャッシュが動かない。その後、元本と、クーポン部分、より黒い方ですが、これが均等に払われる。これは均等に払われなくてもいいわけですけれども、その黒いクーポン部分というものの面積が一定であれば、一定というか合計が十年から二十年であればいいわけですが。  そうしますと、最後の九ページ目を見ていただきますと、普通の国債に比べますと、面積が、額面が百円ですと差額は一・三九円ということで、その部分だけ税収は少なくなるということでございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、八ページ目でございますが、定額国債発行のメリットとしては、利払いを抑えることができる。それから、いろいろな、政府それから与党の方でも五年の利付債とか国債のストリップ化ということが提唱されていますが、これによって国債消化を個人によっても促進するということが重要な課題となっておりまして、この意味において、高齢化社会を視野に入れた定額国債というのは、個人向け商品として重要な位置を占める商品となり得る。また、定額国債が、二〇〇〇年以降に満期を迎える郵便貯金解約後の受け皿として長期金利上昇抑制の一助となる、こういうふうに私なりに考えて、こういうものがあればいいんじゃないかと思うんですが、そのときに、この案プラス五年の利付債とか国債のストリップ化のときに問題となっているのは、これは私の感触では、大蔵省の当局としては、いろいろなバラエティーのある国債があった方がいいんじゃないかという考えもある。  ところが、日銀の方で、二〇〇〇年末までにRTGS、リアルタイム・グロスセツルメントというんですが、この導入に向けて大変人とお金が必要だということで、いろいろなバラエティーに富んだ国債というものを発行することになかなか難色を示していらっしゃるというようなことを実は私は聞いております。こういう重要な、これからいろいろな、財政の硬直化を打破したり、そしていろいろな国債を発行していろいろな人にこれを消化してもらう必要がある。そして、金融ビッグバンの時代において、日銀の方で人と、それからこれは作業が大変だからできないというのはちょっとどうかなというふうに私は考えますので、その辺のところの御見解を日銀総裁の方からお願いしたいと思います。
  220. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  西川先生の御提案、大変私も興味深く読ませていただきました。  おっしゃる国債システム開発面での私どもの事務的な障害があるというのは、ちょっとこれ、確かに非常に忙しくなっていることは確かなんでございます。とにかく三百兆以上のものが出ておりますし、まだこれから新しく出ようとしておりますし、そういうものが全部登録されていくということになりますと、内外から相当入ってきておりますだけに、大変なことは大変なことでございます。  しかし、私どもにとりまして今一番大事なことは、やはり国債発行残高が非常に増大しております状況の中で、国債市場が発行、流通両サイドでもっと円滑に大きな市場になって、しかも流動性がふえていく、増していくということが一番大事なことだと思っております。  そのことによって国債の大衆化も図られますでしょうし、今全体としての、ちょっと余談になるかもしれませんけれども、私どもがマネーフローで毎四半期出しております金融資産の残高を見ましてよく言われます一般市民の、庶民の金融資産残高というのは、三月末で何と千三百十四兆あるわけですね。そのうちほとんどが預金、現金、これが七百二十五兆、それから保険、年金が三百六十兆、両方で約千兆を超えまして、八二、三%はそういうもので占められている、運用されているわけですね。一方、公共債は残高がわずかに八兆円なんです。千三百兆に対して〇・六%あるかないかというのが現状なんです。  そういうものをもっともっとふやしていけば、そういうものを運用していくように、投資の対象になっていくようになれば、国債の発行につきましても私どもも非常にやりやすくなりますし、金利の方もそうむちゃくちゃに上がらないで済むんじゃないかということを考えております。  償還年限を多様化する、今二年物、四年物というものが出始めまして、これは非常によく売れておるように思います、銀行の窓口で売れるわけですから。それから、税制を見直す、あるいはFB、ファイナンスビルの市中公募入札の実施、こういったことが相次いで行われていきまして、そういう意味では仕事は非常にふえていて、これからも大変であることはわかっておりますが、金融の今後のあり方としては最も大事なことの一つであることはもう確かだと、私は特にその点は強調してまいりたい。そのことによって銀行の仕事がなくなるというものじゃございませんから、銀行でも、国債売買することによって取扱料をちゃんと取っておりますから、そんなに銀行を困らせるものではないと思いますし、今一番大事なことは、やはり国債の消化を図っていくことだというふうに思います。  議員の御指摘の新型国債、お話を聞いたばかりで、私どもとしても、この段階で開発コストや期間の見積もりというものを申し上げることは難しいわけでございますが、国債市場改革全般に対する取り組み姿勢という観点から申しますと、日本銀行としては、今後とも、国債の発行や決済に関する事務を取り扱う立場も踏まえまして、システム開発面で国債市場のインフラ整備こそ今緊急を要する問題だと思います。そういう意味で、なるたけ各方面に働きかけ、私どもでできるだけのことをやっていきたいと思っております。  どういう提案が出てまいりましても、国債の市場を大きくし、そして流動性をふやしていくという案でありますならば全面協力をしてまいりたいというふうに思っております。
  221. 西川知雄

    西川(知)委員 流動性を増して国債の消化を促す、そういう案であると思いますので、ぜひ日銀の方としても協力していただきたいと思います。  また、大蔵大臣も、きょうこれをごらんになったばかりだと思いますけれども、いろいろな、一つの多様化で、先ほど言いましたメリットもたくさんあると思いますので、前向きな方向で検討をいただきたいと思います。ちょっと御答弁だけ。
  222. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 事務当局が一、二、コメントを書いてきておりますけれども、それよりも、御専門の立場からの御提案であるし、今、日銀総裁が言われたような背景が確かにございますから、検討させていただきます。
  223. 西川知雄

    西川(知)委員 どうもありがとうございました。  それで、ちょっとこれは金融再生委員会郵政大臣にお尋ねして、総理にも御見解を伺いたいんですが、今、ペイオフの解禁に向けて、第二地銀とか信金とか信用組合、そういう金融機関に対しての預金が郵便貯金へ流出をしているということで大変心配をなさっているということでございます。  例えば、私の選挙区の神奈川県では、十一年の三月末でございますけれども、神奈川県に支店のある都銀とかそういうのをすべて入れまして、総預金量というのが約二十五兆なんですね。一方、郵便貯金の残高を全部調べますと、十一年の三月末で約十五兆ということで、金融機関全部入れて二十五兆でこちらは十五兆、こういうことでございます。  金融ビッグバンの時代で、各民間金融機関は厳しい競争にさらされております。もっとも、郵便貯金の方は千万円が預け入れの限度で、貯金の商品も民間金融機関のようには自由には決められないということでございますが、それでも、現況下では競争上極めて優位な地位にあるというふうに、これは民間の金融機関の方がおっしゃっている。  しかも、今、公的資金、公的資金と言いますけれども、郵便局は公的国有金融機関である、そういうことで預金がどんどんシフトしていっているんじゃないか。これはイコールフッティングで競争するという今の金融ビッグバンの時代に合わないんじゃないか。こういうことで、例えば県単位に郵貯を分割して民間金融機関と競争させるのはどうか、こういう考えが一つ出されているわけです。また、いろいろな、過疎地域とかそういうところには、やはり国のサービスというのも必要だろうけれども、そうじゃない、例えば東京都とか政令指定都市、そういうところにおいては幾つかの単位に分けていった方がいいんじゃないか、そういう意見もあるわけでございます。  金融ビッグバンの時代でイコールフッティングで同じように競争する、これは民間活力も生んで、それからシステミックリスクもなくす、そしてペイオフ解禁後においてもそういう体制をとれば、やはり今の時代に合った金融体制がとれるんじゃないか、こういう意見があるわけですが、この点について、柳沢国務大臣と野田郵政大臣にちょっと御意見をそれぞれお伺いしたいと思います。
  224. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 郵便局の貯金について改革案を今先生お述べになられたわけですけれども、私の立場でそのこと自体についてコメントをするというのは、やはりちょっとこれは越権行為ということになろうかと思います。私の立場から申し上げられることは、これから預金者は、やはり安全、できるだけリスクの少ないところということ等を背景としまして、非常に厳しい目を金融機関に向けて預金先を選別していく行動になるだろう、そういうことでございます。  したがって、私が民間の、特に先ほど来の御議論でこれから地域金融機関に対して申し上げておることは、せっかくあるこの金融機能健全化法を活用して資本の注入を受けて、そして、本来だったら自分が内部留保でだんだんと自己資本をふやしていくということを、いわば時間を節約するということで先に資本を積み上げてしまって、だんだんそれを収益でもって償却していくということで健全性を誇れるような、そういう金融機関になることが大事だ、ぜひそのことについて検討いただきたい、そして前向きに取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げておるということを先生にもお伝えしたい、このように思います。
  225. 野田聖子

    ○野田(聖)国務大臣 まず初めに、資金シフトについてのお尋ねがありましたのでお答え申し上げますと、個人金融資産に占める郵便貯金のシェアというのは、近年二割程度で安定的に推移しています。特段資金シフトの動きは認められないという状況です。  ちなみに、平成十一年の五月におきます個人預貯金残高の対前年同期比伸び率というのを銀行と郵便貯金で比較しますと、銀行が四・一%、そして郵便貯金では四・七%となっているところであります。もう少し細かくブレークダウンしますと、その郵便貯金の伸び率四・七%のうち〇・九%が預入額から払戻額を差し引いた純増分です。残りの三・八%は、かつての高金利のときに預けられた定額貯金の利子が元金に加えられたことによる増加ということでございます。  それで、郵貯と民間金融機関との競争とかイコールフッティングについてなんですけれども、まず郵便貯金というのは、今現在進められております行政改革の中の中央省庁等改革基本法の制定過程におきまして、国民経済上必要なサービスであり、引き続き国が責任を持って提供すべき国営事業というふうにしていただいているところでありまして、また、今柳沢長官がお話しありましたように、民間の金融機関というのはまさに金融ビッグバンに向かって競争力強化に取り組んでいただいているところだと思います。そういう中で、郵便貯金としては、そういう民間金融機関に配慮した例えば金利の設定とかまたは預入限度額の設定、そしてさらには国営事業ということで不採算地域を含めたあまねく公平に金融サービスが国民に利用されるようにということでの義務も負っているところなので、民間の金融機関とのトータルバランスというのは図られており、それぞれの立場において国民金融のニーズにこたえていけるのではないかと思っています。  そういう意味で、純粋に利潤追求を目的にしている民間金融機関と、また今申し上げたように、国営として、むしろ収支相償を基本とした非営利事業である郵便貯金というのは、もともとその制度とか仕組みが大きく異なっているわけで、それぞれの違いの一部をとらえて有利であるとか不利であるということではなく、全体のバランスを見ていただくことが大事ではないかと思います。  最後に、分割したらどうだということがございますが、まさに先生御指摘のとおり、それぞれ地域によって地域の経済性というのが随分違います。そういうことで、分割した場合に地域でのサービスの格差が生じてくる可能性があり、国営としての責務である全国あまねく公平にサービスを提供するという責任が果たせなくなるというおそれがありますので、分割は適当でないと思います。
  226. 西川知雄

    西川(知)委員 野田郵政大臣は、大臣として非常にリベラルな新しい時代の発言をされておったわけですが、ちょっと最後のところは何か旧態依然としているような感じがいたしまして、全国あまねく同じサービスをするのはいいわけですけれども、やはりこれからの国際化時代における金融ビッグバンという時代にかんがみて、もう少し柔軟に考えていかないとこれからの競争には勝てないと思います。ちょっと問題点だけ指摘しておきます。  それから、ちょっとこの間から申し上げています、大蔵委員会でロスシェアリングのことについてお尋ねをいたしました。ここで同じ問題は繰り返しませんが、例えば、ある破綻した金融機関があります、長銀、日債銀がある、そこから受け皿銀行を探す、そのときに、日本ではコーポレートファイナンスですから、プロジェクトファイナンスじゃないですから、言い方は変ですけれども、いい債務者かいい債務者じゃないかということで分けて、いい債務者を受け皿銀行に渡す、こういうことなんですが、いいかどうかよくわからない人も一緒に道連れにしていかないといけない。ところが、道連れにした人がまたやはり違う事業をして失敗してしまったとか、それこそリスク管理が悪かったためにまた不良資産が悪化した、こういうことの責任までとれない。こういうことは理論的にもよくわかるんです。  そこで一つお尋ねをしたいんですが、幾つかはノンリコースのベースのファイナンスもありますから、それについてはまず一つロスシェアリングを考えてもいいんじゃないかという考えもあると思うので、そのことについて御意見を伺いたいというのと、それから、譲渡したときにどういうバランスシートがあるのかということをそれぞれそこで確定をして、新しいプロジェクトは別として、そのプロジェクトについてさらに資産が劣化をした場合、それについてはロスシェアリングというコンセプトも入ってくることができると思うんですが、その点についてのちょっと御意見をお伺いしたいんです。
  227. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 要するに、今私どもがロスシェアリングはできませんよと言っているのは、譲渡なり処分なりが決定した後、資本注入というか、資金援助というものができる仕組みになっていない、そういうことでございます。  つまり、もともとの特別公的管理に置かれた銀行に対しとか、銀行がということで、その受け皿に対しとかということが法律の文言上規定されていないということから、そういうことが法律上予定されていないのではないか、こういう考え方をしておるわけでございまして、立法論としてこれをどう考えるかというのはおのずと別問題で、我々の課題一つではあろう。  今先生おっしゃったように、ノンリコースのローンであるとか、あるいはプロジェクトファイナンスにかかわる貸出金とかというものについては、どちらかというと二次ロスシェアリングになじむローンの形態である、これはもう間違いのないところであろう、こういうふうに考えておりますが、重ねて申しますと、今我々がそれはできないであろうと言っておるのは、法律規定によるところでございます。
  228. 西川知雄

    西川(知)委員 私の質問も、現行法ではできないというのはわかっておりますので、制度的に、今言ったように、日本のファイナンスのシステムというものがいわゆるリコースベースであるからできないということでございますが、先ほど申しましたように、ノンリコースであればまずロスシェアリングがコンセプトとしては可能だ、そうじゃない場合についても、譲渡したときの状態よりも、さらにそこの状態よりも、新しい事業は別として、その状態にフィックスをして、そこが劣化をしたという場合については、そのロスについてはロスシェアリングというものを考えられるんじゃないか、そういう立法をできるんじゃないか、こういうことで、柳沢大臣の御意見はいかがですか、こういうことを聞きたかったんです。
  229. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 もう余りたくさん申し上げることはないんでございますけれども、私は、シードマン氏ともそのあたりを直接議論いたしました。どうやっているんですかと、我々のようにコーポレートファイナンスの場合に、これはもう譲渡先の責任である、あるいはこれはもともと公的管理時代からあったいわば病巣が拡大して、これは我が方の責任としてロスをシェアしなきゃならないかということをどうやって区分するんですか、こういう質問を投げかけたわけでありますけれども、シードマンさんの答えは極めて簡単でありまして、分別経理をしておることだけで、そういうふうに区分けしているんですと申しておられました。  ちょっと、私としては、そういうことだけでのみ込むわけにはいかないなというのが感想でございましたので、西川委員にも同様に、なかなかそれは実務上難しいのではないかなという感想を持っておる次第です。
  230. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっとペイオフのことについて宮澤大蔵大臣にお尋ねしたいんですけれども、ペイオフ解禁後に心配されていることは、その後にセーフティーネットというものが十分かどうかということで、十分じゃないと言う人もいるし、また、新しい制度をつくらないといけないと言う人もいて、いろいろな意見が中間報告でなされております。  一つ、その中にもあって、私もそうかなと思うんですけれども、金融再生法とか金融早期健全化法、これに基づくいろいろな制度、これを延長すべきではないか、また、それにかわるようなシステムをやはりつくるべきじゃないかというふうに私は個人的に考えるんですが、最終報告を待ってという御意見もあるとは思うんですが、そうじゃなくて、大臣としての今のところの御見解はどういうことでしょうか。
  231. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 しばしばパーチェス・アンド・アサンプションなんて、アメリカでうまくいくんだというような話を聞くんですが、同じ状況なのかなと思ってみたり、それから、かつて御審議をいただいて今制度になっておりますブリッジバンクなんというものがあるいはうまく使えるのかもしれないとか、実はいろいろなことが私はありそうな気がするものですから、私自身が、実はそういうことも含めて検討してもらいたい、かなり広範な影響のある厄介な問題のように思われますものですから、そういうこともあるいは入り用かもしれない、そこまで含めて検討してもらいたいというふうに思っています。
  232. 西川知雄

    西川(知)委員 そこで、先ほど申されましたPアンドAの件なんですけれども、一つ考え方として、司法上の倒産手続の外で破綻金融機関の営業の一部の譲渡を行います。その後、譲渡されなかった部分、悪い部分でしょうけれども、この部分を破産手続で清算する、そうするとスピードでぱっとできる。アメリカの例ですと、金曜日に準備を開始し翌週の月曜日にはちゃんと用意ができている、そんなことが言われております。  そういうようなシステムをつくるためには、いろいろな法律上のネックとか、改正をしないといけない点があると思うんですが、簡単で結構ですから、どことどれを改正すればそういうシステムができるのか、ちょっとお答え願いたいんです。
  233. 福田誠

    福田(誠)政府委員 申しわけございません。今御指摘のような一部譲渡の類型としてどのようなものがあるか、あるいは司法上の倒産手続の外でそのようなことをやる場合にどのような手当てが必要かということにつきまして、具体的な、法律の条文のどこが問題かというところまでちょっと議論が進んでおりません。ただ、そういうような問題も含めて今御検討いただいているところです。
  234. 西川知雄

    西川(知)委員 多分スピードということが一番重要で、そのためには、いい部分と悪い部分というとおかしいですけれども、いい部分はさっと、例えば付保つきで渡して、そして悪い部分はゆっくりと司法手続でやろう、こういう方法というのが現実的じゃないかと思いますので、大蔵省の方にそれは検討しておいてほしいというふうに実は私申し上げたんですが、大臣、そういうふうに検討して、委員会なり私の方に報告をしていただけるように事務当局に指示していただければありがたいと思います。ちょっと御答弁を、済みません。
  235. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、私どもは、実は今週ぐらいからもう一遍金融審議会を再開しようと思っていまして、そういう問題も含めて全部その中で議論してもらわざるを得ないのじゃないか。ちょっと頭の体操をしてみるにしては余りに問題が、もう現実の処理が要りますし、各方面の御議論もあるでしょうから、アイデアを出まして、現実にかなり詰めて議論しないといけないと思います。その結果として、やはり立法がいろいろ要ることになるのかもしれません。  とにかく、まあまあこれなら安心できるという程度のところまでいきませんと大変厄介な問題だと思いますから、あるいはまたいろいろお知恵を拝借したりすることもあるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
  236. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっと通産大臣に来ていただきましたのでお伺いしたいと思うんですけれども、産業活力の活性化ということでデット・エクイティー・スワップという、いわゆる不良債権なら不良債権を株にかえる、そういうシステムを考えられて、それに対する手当てというものが幾つかできているわけですが、ちょっと私よくわからない。わからないというのはおかしいんですが、本当にそういうシステムが動くのかなということで、その辺どうなっているかをお尋ねしたいと思うんです。  実は、津島先生なんかと一緒に、また岩國先生も入っていただいて、アメリカの商工会議所の人たちの実際の意見というものを聞いておるのですけれども、そこで一つデット・エクイティー・スワップについて疑問点が発せられています。  一つは、例えば証券取引所における上場の維持というものが難しくなるんじゃないか、これは上場廃止になってしまうんじゃないかということが一つと、それからもう一つは、第三者割り当て株式の譲渡制限というのが昔あったんですが、その辺についての規制がまだあるんじゃないか。それから、三つ目と四つ目が重要なんですが、これは場合によっては法務大臣も後でお答えいただくかもしれませんけれども、授権資本の増加とか特に有利な価額での発行ということになると商法上の特別決議が必要なんですが、これについてはまだ全然変更がされていない。  それで、税務上の問題については若干今度の法律で改正をされる。また、独禁法についても、これはいろいろなルールがあるんですが、ガイドラインでフレキシブルに変えていただける、こういうことを聞いていまして、それから、優先株式等の発行限度というのが三分の一が二分の一になるということで、まあこれは解決されると思うんですけれども、これを始める上で今言ったような問題があって、実際はなかなかできないんじゃないか。特に、授権資本の増加と特に有利な価額での発行というのは商法上の特別決議が必要ですし、なかなかこんなことできるのかな、いろいろな制度を整えても、実際、産業活力の再生になるような一つの手段なのかなと。  これはどういうふうに通産大臣として考えられているのか、ちょっとその辺をお尋ねしたいと思います。
  237. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 たくさんの論点を先生申されましたので、まず、金融機関による債務の株式化の実現を妨げる障害ということから申し上げます。  まず、銀行が事業会社の株式を五%以上保有することができない。これは銀行法上の制限でございますが、産業再生法の施行に合わせて銀行法の省令改正を行う予定でございます。  次に、金融機関が事業会社の株式を五%以上保有する場合には認可が必要、これは独禁法上の制限でございますが、産業再生法の施行に合わせて、独禁法の運用の明確化、ガイドラインの改正、これはやらなければならないことでございます。  それから第二点としては、債務の株式化を実行する際の重要な周辺環境の整備でございます。債務の株式化を行うに際して債権放棄をする場合の税務処理は税法上の問題が不明確だという御指摘がございますが、合理的な再建計画に基づく債権放棄分は損金算入にすることが可能でございます。これは昨年の法人税法基本通達改正によって既に処理済みでございまして、債務の株式化の場合にも本通達が適用されることを国税庁に確認しております。  それから次に、御質問にはございませんでしたが、債務の株式化によって発行する新株発行への登録免許税の負担が大変重いという意見がありまして、これは産業再生法関連税制の一つとして今般国会にお願いしております租税特別措置法の改正で、登録免許税を七分の二に軽減することをお願いしております。  次に、商法上の問題で、無議決権株、議決権のない株の発行制限は商法上に制限がございます。債務の株式化の際に無議決権株を有効に活用できないという問題を指摘される方がおられますが、産業再生法案では、無議決権株の発行制限を、発行済み株式数の三分の一から二分の一に制限を緩和しております。  少し長くなりますが、今後の課題としては、これは先生の御質問の中にあったわけですが、圧倒的多数の株式を少数の株主が保有することができないという東証の上場規則がございますが、今後は、個別案件に関して東証と当該企業、証券会社でこの問題を処理しなければならないわけでございます。  重要な関連事項としては倒産法制の整備ということの必要性が指摘されますが、これは法務省で多分用意がつくと思いますので、国会で次の機会に議論をしていただくことになると思います。  それから、手当てすべきでない制限というのは、発行制限枠を超えた新株発行等の場合の特別決議が必要、これは制限緩和をすべきとの議論がございますが、これは実は商法上の基本原則でございまして、制限緩和は不適当だと考えております。特に、本件のような株主の責任が問われるような問題については、明確に株主の決議を経た意思決定をすべきであると思います。  ただ、いずれの場合にも、自分の持っております債務を、株券でいわば権利を相手に確保していただくというのは、会社が困難に直面するよりははるかにいいことでございまして、そういう面では、倒産を含めた困難に直面するよりは、株主の権利が薄まっても会社が存続するというのはむしろ株主にとりましても利益が生ずるんだろうというふうに私は思っております。
  238. 西川知雄

    西川(知)委員 お答えはわかりましたが、そうすると、余りデット・エクイティー・スワップというのは行われない。授権資本の、特に特別決議を変えないとこれはなかなか難しいと思いますので、現実にはなかなか難しいんじゃないかと思います。  そこでちょっと、柳沢大臣がいられなくなったので総理にお尋ねしたいんですが、最後の質問ですが、地銀で今公的資金を入れようというふうにしているんですが、なかなかその申請がないというので、これ本当に、これから競争時代において、地銀、第二地銀がこのまま生き残ってちゃんと、システミックリスクなんかがまた地域で起こってこないかということを私は心配しておるんですが、その点について御見解は何かございますでしょうか。
  239. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  先般、地域金融機関の資本増強についての考え方で述べましたとおり、我が方、早期健全化法のある間に地域金融機関にしかるべく公的資金注入をしたいと考えておりまして、現在、幾つかの銀行からは打診を受けている状況でございます。  ただ、まだ時間がございまして、必ずしもこの九月期に全部入れなきゃいけないというわけでもございませんので、来年の三月期を目標にしかるべく公的資金注入を地域金融機関において考えていただくべく、今考えを促している期間というふうに認識しております。
  240. 西川知雄

    西川(知)委員 質問時間が終わりましたので終了しますが、いろいろな提案をさせていただいて、積極的に考えていただくということで、またそのフォローアップもよろしくお願いします。  これで終わります。
  241. 中山正暉

    中山委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  242. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  日本債券信用銀行日債銀問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。  最初に法務大臣にお尋ねいたしますが、東京地検と警視庁は、七月二十三日、日債銀の元役員ら六名を証券取引法違反容疑で逮捕いたしましたが、被疑事実の具体的な内容は何でしょうか。
  243. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 逮捕時の被疑事実は、平成九年四月一日から平成十年三月三十一日までの事業年度の有価証券報告書を提出するに当たり、貸出債権にかかわる償却、引き当てについて約八百億円過少計上した虚偽の財務諸表を掲載し、よって重要な事項について虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した、こういう証券取引法違反の事実であると承知いたしております。  なお、これ以上の詳細については、現在進行中の捜査の内容にかかわることでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  244. 木島日出夫

    ○木島委員 逮捕というのは大変重大な処分であります。恐らく確たる証拠をしっかり検討の上逮捕令状をとったと思うんです。  今答弁に、容疑事実は貸出債権に係る償却、引き当てにつき約八百億円過少計上した虚偽の有価証券報告書を提出したことと答弁されました。  償却引当金につき約八百億円過少計上したといいます。そうすると、当然前提として、引き当てすべき不良債権額を総額幾らと判断したのか、そして引き当て率を幾らと計算したのか。そういう計算をした上、約八百億円の償却、引き当てをしなかったというのが逮捕令状の被疑事実だと思うので、その計算根拠を、これは捜査ではありません、逮捕令状をとったときの計算根拠を明らかにしていただきたい。
  245. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 逮捕事実の詳細につきましては、現在進行中の捜査の内容にかかわる事柄でございます。現在の段階でこれ以上明らかにするということは、関係者の間での罪証隠滅を招くおそれなどもございます。答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  246. 木島日出夫

    ○木島委員 私が聞いているのは、これから捜査にかかわることではありません。逮捕令状をとったわけであります。約八百億円の償却引当金額の過少計上、計算根拠がなければこんな逮捕状は出ないはずであります。不良債権総額は幾らと認定したのか、そして引き当て率は幾らとすべきだと検察は考え逮捕状をとったのか、逮捕状をとったときの前提事実を聞いておるんです。捜査のこれからの内容を聞いておるわけではありません。答弁できない話ではありません。  委員長、きちっと答弁させてください。
  247. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 ただいま大臣から答弁申し上げたとおりでございますが、逮捕事実については既に御答弁申し上げました。ただ、逮捕事実を構成した具体的なそれぞれの根拠ということになりますと、現在進行中の捜査内容に事実上はかかわってきますので、この点については、大臣からも申し上げましたとおり、御答弁は御容赦いただきたいと思っております。
  248. 木島日出夫

    ○木島委員 とても納得できません。  それでは、こう聞きましょう。逮捕令状をとったときの証拠関係書類の中できちっと計算根拠はした上で約八百億円という数字を割り出したんですか。では、それはどうですか。
  249. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 それは、先生お尋ねのように、逮捕事実を構成するということにつきましては、それまでに収集されました具体的な証拠に基づきまして事実関係を分析して、いわばそのエッセンスをその事実に盛り込むわけでございますので、その基礎的な事実は証拠によってしっかり認定されているということでございます。
  250. 木島日出夫

    ○木島委員 それならここで答弁できないはずないんです。そんなことまで答弁しない。大事な事実を隠ぺいしているということを指摘せざるを得ないんです。これまで予算委員会でそこが大変な問題になってきたところでしょう。  質問を変えてみたいと思うんです。この逮捕は、同日、七月二十三日の日債銀の告発を受けてなされたものであります。  法務大臣にお聞きします。告発の容疑事実と被疑者を明らかにしていただきたい。
  251. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 お尋ねにつきましては、平成九年の四月一日から平成十年三月三十一日までの事業年度にかかわる虚偽有価証券報告書提出の罪、これは証券取引法第百九十七条第一号に該当するわけでございますが、これで、氏名不詳の元日債銀取締役を被告、被告発人とする告発が日債銀現取締役頭取からなされたものと承知いたしておりますが、それ以上の具体的内容につきましては、これも捜査内容にかかわることでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  252. 木島日出夫

    ○木島委員 そうすると、被疑者はともかくとして、被疑事実、告発の容疑事実は同一である、要するに、告発の容疑事実の枠内でのみの逮捕状であった、そう聞いてよろしいんですか。
  253. 松尾邦弘

    ○松尾政府委員 告発状によりますと、今大臣から御答弁申し上げましたが、被疑者の特定もされておりませんでした。  それから、金額につきましても、具体的に申し上げますと、貸倒引当金及び資本の部の欠損金と未処理損失が著しく過小に評価されているという記載でございます。逮捕事実に記載されていました金額は、逮捕状の段階で具体的に提示したということになります。
  254. 木島日出夫

    ○木島委員 日債銀の告発は、日債銀が一月二十七日に設置をいたしました内部調査委員会が先月、七月十六日に提出をいたしました内部調査委員会報告に基づいて行われております。  柳沢金融再生委員長にお聞きをいたしますが、大臣はこの報告書を受けておりますか、そして、お読みでしょうか。
  255. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 この内部調査報告書は、内部調査委員会から現経営陣に提出されたものと承知いたしておりまして、私どものところには回付されてはおりません。したがって、私は見てございません。
  256. 木島日出夫

    ○木島委員 金融監督庁長官は、報告を受け、読んでいるでしょうか。
  257. 日野正晴

    ○日野政府委員 承知しておりません。
  258. 木島日出夫

    ○木島委員 まことにおかしな話ですね。  私はここに、政府金融再生委員会でしょうか、本年六月に出した破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告を持ってきております。そこで、これは金融再生委員会責任を持ってつくられている文書の最初の部分にこうあります。  日債銀について、「旧経営陣等の責任追及」「日債銀においては金融再生法第五十条の規定等を踏まえ、平成十一年一月二十七日、旧経営陣等の職務上の義務違反等に基づく民事、刑事上の告訴、告発等の必要性や妥当性につき取締役会、監査役会に報告することを目的として、取締役会及び監査役会に直結した独立の組織として外部の弁護士及び公認会計士から構成される「内部調査委員会」が設置された。現在、同委員会においては、極力早期に報告書を作成し、取締役会及び監査役会へ提出するべく、鋭意調査・検討が進められているところである。」こういう文章です。  と同時に、この私が今持っている六月の政府が出した報告書の中に、日債銀自身がことしの二月二十六日、金融再生委員会でしょうか、政府に出した金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第四十六条に基づく報告書、それが全文載っています。これは、日債銀政府に出した報告書であります。  その冒頭、「特別公的管理の開始決定が行われる状況に至った経緯」「はじめに」というところで、「金融再生法第四十六条において、特別公的管理銀行はこうした事態に立ち至った経緯等につき調査を行い、特別公的管理開始決定後遅滞なく報告することとされております。本報告は、同条に基づく報告として新経営陣のもと直ちに作成したものですが、時間的制約もあり、現時点では必ずしも十分な内容でない事項もあります。このような点につきましては、別途設置いたしました「内部調査委員会」によって時間をかけたより詳しい調査がなされるものと考えており、事情ご理解の上、ご容赦をお願いしたいと存じます。」こういう報告ですよ。  どうですか、二月の報告ですよ。時間がなくてしっかりした調査ができないので、このぐらいで勘弁してもらいたい、しかし日債銀としては内部内部調査委員会をつくってしっかり調査している、報告書を出すから勘弁してください、こういう報告ですよ。しかも、これは明らかに七月十六日に提出されているんじゃないですか。  そんなものを、再生委員会委員長たる大臣や監督庁長官が知らない、とんでもない答弁だと思うのです。こんなことで日債銀がどうしてああいう破綻に至ったのか、問題点が解明できますか、そんな大臣のていたらくな姿勢で。どうですか、本当に知らぬのですか。
  259. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 私ども、内部調査委員会の設置におきましても、実は、このメーンの目的というのは、再生法五十条でございましたか、特別公的管理銀行における責任の追及のための機関というように理解をしておりまして、したがいまして、その関係の事務が現在整々として行われ、その結果が現経営陣に報告をされ、そしてそれを機に告発に至った、このように承知をいたしておりまして、内部調査委員会の趣旨というものはそういうものだというふうに基本的に理解をしております。
  260. 木島日出夫

    ○木島委員 そうなんですよ。徹底して調査して、うみを洗い出して、そして刑事的に告発すべきものがあったら告発してほしい、民事的に裁判を起こすものがあったら民事裁判を起こしてほしい、そういう思いをも込めてこの内部調査委員会が設立をされ、そして半年にわたる大変な調査の上、七月十六日に報告書がまとまって、上げたんでしょう。そしてその報告書に基づいて、大変な決断だったと思うのですが、日債銀経営陣は元の幹部を告発したんでしょう。そして検察は逮捕したんでしょう。大変な事実が進んでいるのですよ。  新聞にも出ていますよ、七月十六日に内部調査委員会報告書が出されたという事実は。そうしたら、日債銀の、今、実際上、国営銀行でしょう、最高の責任者が柳沢委員長でしょう。そして具体的な責任の一端を持っているのが金融監督庁の長官でしょう。七月十六日からもう半月たっている今日、知らぬ、見たこともない、読んだこともない、そんな答弁が信じられますか。信じられないですよ。そんな行政金融行政ができるんですか。
  261. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 これは、読んでいただいてわかりますように、質問の、委員はどちらの方に重点を置いてこの質問をされているのか、ここで言っておることは、いわば破綻に至った経緯というものについて説明をしたものであるけれども、責任の部分については間に合いませんでしたというふうにお読みいただければ、全体が御理解いただけるんじゃないかと存じます。
  262. 木島日出夫

    ○木島委員 いや、それでいいですよ。それで、しっかり調査して、半年調査して出してきたんじゃないですか。  だから、当然、しかも日債銀自身が、申しわけないけれども、まだ調査が終わっていないのでよろしくという報告を、あなたにことしの二月に出しているじゃないですか。報告ができたのなら、すぐにでも持ってこい。当たり前じゃないですか。  総理、どうですか、今の話を聞いてみて、こんなので金融行政がやれますか。(発言する者あり)いや、そんな問題じゃないですよ。民事、刑事全体について、なぜ日債銀がつぶれていったのか、どこに責任があるのか、大蔵省政府責任はどうなのか、どういう不良債権だったのか、恐らく徹底した調査がなされたんでしょう。これから本当はそれを聞きたいのです。  それで、七月十六日に結果が出たんでしょう。それで、告発、逮捕という大変な事態になっているんでしょう。総理、どうですか。すぐ持ってこいって命令して当たり前じゃないですか。では、要求したんですか。
  263. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 この点につきましては、私ども、結論の部分について、正直申しまして報告を受けました。  そして、なお民事責任については引き続き監査委員会等で調査をするということでありまして、いわば民事の部面については、なお現在進行形の状況にあるというのが私どもの理解であります。
  264. 木島日出夫

    ○木島委員 さっきとちょっと違ってきましたね。さっきは全然知らぬと言っていましたね。そんなことあり得ないと私は思うのですよ。新聞にも大きく出ましたよ、報告書内部調査委員会から取締役会に出されたということは。そんな情報を、じゃ、それは知っているのでしょう、七月十六日に内部調査委員会経営陣報告書を出したと。それは知っているのでしょう。
  265. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 この点については頭取から報告を受けております。
  266. 木島日出夫

    ○木島委員 どういう報告を受けているのですか。
  267. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 この点につきましては、恐らく捜査当局の捜査に支障が生ずるおそれがあると私は考えますので、答弁を差し控えさせていただきます。
  268. 木島日出夫

    ○木島委員 そんなこと、全然関係ないですよ。六カ月かかって日債銀内部調査委員会がしっかり調査の上報告したのができた。そしてそれが七月十六日だ、新聞にも出た。そして今、柳沢長官はそのことを頭取から報告を受けたと言いましたね、それは一歩前進の答弁ですが。  報告を受けたのなら、報告書を出しなさいというのは当たり前じゃないですか。報告書を持ってこなかったのですか。口頭だけで、こういう調査結果出ましたと口頭だけで報告に来て、調査報告書を持ってこなかったのですか、頭取は。本当ですか、それは。
  269. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  報告と先生おっしゃいましたけれども、二つのことがございまして、四十六条に基づく破綻に至った経緯の報告、もう一つが、五十条に基づきます告発でございます。  五十条の告発は再生委員会に報告をすることが要件になっておりませんし、五十条の告発、刑事告発につきましては、頭取が記者会見で話したことは事前に我々にも報告はございました。そして、民事事件につきましては、引き続き現在、監査役で、どの案件について民事事件を起こすかを検討しているというふうに聞いております。そして、その民事事件の報告書自体が非常に膨大なものであるということも承知しております。  したがいまして、我々は、ボリュームの大きいものだということを聞いております。したがいまして、法律的に、我々は内部調査委員会報告書を求める立場には、金融再生法上どこにもそういうことはなっておりません。
  270. 木島日出夫

    ○木島委員 いやいや、金融再生法上どうかなんということじゃないのですよ。金融再生法第四十六条に基づいて日債銀が再生委員長に報告する義務がある、その義務を果たして、ことしの二月二十六日に日債銀委員長に対して報告書を上げているのですよ。  その報告書の冒頭に、時間がなくてまだ調査不十分で申しわけない、これから内部調査をしっかりやります、それまで待ってくださいと言っているじゃないですか。そうしたら、日債銀は、内部調査が終わったら、おくれましたが申しわけありませんでしたといって金融再生委員長のところに持ってくるのが当たり前の道筋じゃないかと言っているのですよ。そうなんでしょう。  別に、刑事事件がどうの民事訴訟がどうのなんて、そんなところ深入りして私は聞いていないのですよ。素直にちょっと答えていただきたい。今、民事の関係は膨大な報告書だったという。見たのですか、それじゃ。
  271. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先ほど来答弁をいたしておるとおり、内部調査委員会は五十条の責任追及のための機関として設立された、したがって、そのいわば責任追及の部分についてはなお作業が継続中であるということがその破綻に至った経緯に関する報告書に記されていた、こういうことであります。  そして、内部調査委員会の報告は、今まだ民事についてはいわば係属中であるというようなこともありまして、ただ、刑事告発については、私ども、概要について口頭で報告を受けておりますけれども、その内容についてはやはりここでちょっと申し上げるべきではないだろうというのが私のここの場での判断であります。
  272. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、民事や刑事の中身を聞きませんよ、私は。外形的な事実を聞いているんですよ。  この二月の日債銀金融再生委員長に対する報告書の中にもこう書いてあるじゃないですか。「はじめに」のところの最後に「特別公的管理の開始決定が行われるに至った経緯・原因等に関し本報告で必ずしも十分でない点につきましても、同委員会」、これは内部調査委員会です、「同委員会の外部専門家による透明度の高い調査によって、明らかにされるものと考えております。」こういう文章まであるんですよ。これは非常に客観性の高い外部委員、弁護士の皆さんによる調査結果が出ますからと、そういうことまで言っているんですよ。それはでき上がったら委員長のところに持ってくるなんというのは理の当然じゃないですか。  今事務方から、民事については膨大なものという答弁もありましたね。これは見なきゃ膨大かどうかなんてわかるわけがない。正直に答えてください。
  273. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 正直にお答えいたします。見ておりません。  それは頭取から聞いておりますし、七月二十六日の会見で頭取自身がこう言っております。本文は百四十三ページ、そして本文にかかわる重要な事項の事柄が別紙として六十一ページ等々と膨大なものでございますと頭取が述べております。だから、それを表現すればこうだということでございます。  そういうことでございまして、私自身、見ているわけではございません。
  274. 木島日出夫

    ○木島委員 こんな行政ってありますか。ここまで日債銀は書いているんですよ。そして、報告書ができて、今聞いたら、全部合わせて二百四ページだと、そこまで答弁しているんですよ。それをもらっていませんなんという答弁。  総理、あるいは大蔵大臣、この論議を聞いていてどうですか。こんなの信じられますか。あなたの部下がこんな行政をやっていいですか。総理、これで日本金融行政ができますか。総理。——いや、総理に聞くよ。総理、こんな半月もたって、この国会集中審議があるというのに。新聞に大きく出ていますよ、そんなこと。(発言する者あり)いやいや、入り口からこんな答弁だから入らぬ。総理、こんなのでちゃんとした金融行政ができますか。
  275. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 金融再生委員長を信頼いたしております。
  276. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 要するに、恐らく日債銀の方の今の考えをそんたくするに、今民事の問題についてはまだ事柄を整理している段階ということであります。したがって、恐らく内部調査報告書を、いわば内部調査報告書でありますから、それをどういう形で我々のところへ提出してくるかということは、いま少し彼らの最終の結論というものが取捨選択されて整理整とんされた後に、我々期待できるというふうに考えます。
  277. 木島日出夫

    ○木島委員 報告書は受領していないが内容は聞いている、そういう答弁ですか、結局。(発言する者あり)いや、さっき言ったじゃないですか。一部内容は聞いているということですか。概要は聞いているということですか。  では、報告を受けた概要をつまびらかにここで答弁してください。
  278. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 その点は、先生先ほど私にお尋ねになりまして、お答え申し上げたとおりであります。
  279. 木島日出夫

    ○木島委員 こんな秘密主義はありませんね。ディスクロージャーや透明性の高い金融行政をやろうというので始まった話じゃないのですか。  では、聞きましょう。刑事事件に触れない話で聞きますが、では、日債銀の頭取から調査委員会の報告ができたという報告を受けたときに、調査委員会の報告では九七年三月期の決算時の日債銀の財務状況についてはどんな報告がなされたか、聞いておりませんか。
  280. 中山正暉

    中山委員長 どなたですか。——ちょっと今、質問の趣旨がちょっと徹底していないみたいなところがありますから。柳沢伯夫君
  281. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 木島先生に大変恐縮ですが、ちょっと聞き漏らしましたので、もう一度質問の趣旨を明確にしていただきたいと思います。
  282. 木島日出夫

    ○木島委員 報告書は、文書はもらっていない、しかし概要は頭取から聞いたと先ほど答弁なされました。それじゃ、その概要の中身について一つだけ聞いておきます。  日債銀の九七年三月決算期の財務状況については、調査委員会はどんな調査をしてどんな結論を得たか、報告を受けていませんか。
  283. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 これはやはり、現在刑事事案ということで捜査当局によって捜査が行われていることに密接にかかわることでありますので、今この時点で私どもそれらのことについてコメントをするということは、やはり差し支えがいろいろ生じますので、控えるべきと思います。
  284. 木島日出夫

    ○木島委員 それじゃ、答弁を拒絶されました。  柳沢委員長に聞きます。速やかに日債銀経営陣からこの報告書政府に上げるようにと、持ってくるようにと要求いたしますか。そういう意思はありますか。
  285. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますとおり、いわば私どもは日債銀と対面しているわけであります。したがって、日債銀としての結論が出てから、私どもとしては、その報告を徴求するなら徴求するということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  286. 木島日出夫

    ○木島委員 もう結論を出したじゃないですか。刑事告発したという結論を出したじゃないですか。どうも、そんな理屈で金融行政はできるものじゃないと私は思います。  私は、速やかに政府がこの報告書を取り寄せて、提出をさせて、当委員会に提出することを求めたいと思います。  では、一つだけ聞きましょう。では、長銀の報告書についてはどうですか。今なお報告書を受け取っていないということですか。
  287. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  内部調査委員会報告書自体は経営者に出されたものでございますので、それ自体を我々が受け取っているということはございません。ただ、長銀につきましても、その概要は文書にしたものを受け取っております。
  288. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、長銀については、政府が受け取っているその概要を当予算委員会に提出することを求めます。諮ってください。
  289. 中山正暉

    中山委員長 理事会でまた協議をしたいと思います。
  290. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 この点も、私ども、報告書そのものについては、長銀においても民事責任については依然としてまだ継続作業をしておるという状況なんです。したがって、この問題について最終的な結論を彼らが得た後に、私どもとしては正式に報告書を徴求したい、このように考えております。
  291. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に、こんな無責任行政ではきちっとした金融行政はできないということを私は申し上げ、先ほど要求しましたとおり、速やかに政府が必要な報告を取り寄せて当委員会に提出されんことを求めて、次の質問に移りたいと思います。  本年五月二十四日、金融再生委員会は、日債銀が保有し続ける資産として適当かどうかの判定の結果を取りまとめまして、預金保険機構に通知をいたしました。貸付金関連資産の適、不適の金額はそれぞれ幾らとされたのか、答弁願いたい。
  292. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  資産合計で申しますと、十一兆四千百六十六億の総計のうち、適資産が六兆五千七百七十二億、不適資産が三兆九千六百二億でございます。(木島委員「貸付金関連残高は」と呼ぶ)  ただ、その中の貸付金関連ということに絞りますと、合計が八兆一千二百十四億でございまして、うち適資産が四兆四百八十一億、不適につきましては三兆八千三百四十六億でございます。
  293. 木島日出夫

    ○木島委員 答弁のとおりであります。貸付金関連資産のうち何と四八・六%が不適とされたわけであります。同じく公的管理に置かれている長銀の場合、不適貸付金の割合は二九・八%であります。適が十一兆一千五十七億円、不適が四兆七千百六十八億円。これと比べましても異常な数字だと私は思います。  しかも、日債銀は、公的資金や日銀からの資金あるいは民間金融から三千五百五億円の資本注入を受けているわけです。しかもなお、貸出金債権の約五割、今なお四八・六%が不適だ、持つことができない。本当にこれは異常な数字だと思うんですね。  宮澤大蔵大臣金融、税制、経済のプロだと思いますが、銀行が持っている貸出金の半分がもう持てない、そういう資産判定結果が出たんですが、どのようにこの数字を見ていますでしょうか。
  294. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 中身が詳細に検討できませんので、申し上げることができません。
  295. 木島日出夫

    ○木島委員 適、不適の判定基準は、金融再生委員会が九八年十二月十五日に作成しております。不適の貸付金は、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に対する貸出金、これ全部そうです。それと、二年以内に貸し出し条件の緩和、支払いの延滞、繰越損失がすべて解消すると見込まれる相手方に対するものは除く、それ以外の要注意先に対する貸出金、こういう定義を金融再生委員会は打ち出しました。それに基づいて、そういう数字が適、不適の判定がなされたと思うんです。  そこで、お聞きいたします。  日債銀について、不適とされた七百八十九社分、三兆八千三百四十六億円の貸出金の破綻先、実質破綻先、破綻懸念先、要注意先の分類別金額を明らかにしていただきたいと思います。
  296. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  適、不適のそれぞれの資産の合計額は公表させていただきましたけれども、不適資産あるいは適資産、一分類から四分類がそれぞれ幾らかということにつきましては、個別の金融取引に影響する懸念もございますので、公表を差し控えさせていただいております。
  297. 木島日出夫

    ○木島委員 個別なんて、全然関係ないじゃないですか。不適と分類した七百八十九社、三兆八千三百四十六億円の、破綻、実質破綻、破綻懸念、要注意、幾らかと聞いているんだよ。全然個別の債務者、債権者先ですか、関係ないじゃないですか。もう全然あんなの、だめですよ、委員長
  298. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  おわかりにくいのはよく承知するのでございますけれども、例えば、七百八十九でも、どこかの分類債権が非常に小さい数字であった場合には、それがどこであるということが憶測されるリスクがあるということでございます。
  299. 木島日出夫

    ○木島委員 そんなの納得できないですよ。それなら、最大限こちらも譲歩を示して、何社かはいいですよ。総額だけ言ってくださいよ。
  300. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 再生委員会といたしましては、適、不適の総額の資産ということで議決いたしておりまして、各分類ごとの額につきましては御容赦願いたいと思います。
  301. 木島日出夫

    ○木島委員 全然納得できません。総理、全然関係ないでしょう。総額を示してくれ。適の総額、不適の総額なんて、この報告書に書いてありますよ。内訳、四分類しているんですよ。そんなもの、答弁できない、明らかにできない理由ないじゃないですか。どうですか総理。こんなに秘密主義じゃ、真相解明なんかできやしないじゃないですか。
  302. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先生、不適の内容については既に御案内のとおりであります。  私どもとしては、これからこの資料を基礎にしまして、なおいろいろ譲渡候補先との間で交渉もする、そしてその譲渡先がまたそこで自分たちの観点からの選択もするというようなことを考えますときに、現実の経済あるいは企業というようなものの立場を危うくするというようなことを私どもがやるということは、これは個別の金融の取引であっただけに、やはり慎重にさせていただきたいというのが私どもの立場でございます。
  303. 木島日出夫

    ○木島委員 もう全く納得できません。これまでだって日債銀金融検査結果について、一分類幾ら、二分類幾ら、全部発表しているじゃないですか。しかも、公的資金が入っているんじゃないですか。それでもう確定した適、不適の、特に不適の中の分類、発表できない理由ないじゃないですか。私は全く納得できません。  政府が当委員会に対して、不適とされた七百八十九社、三兆八千三百四十六億円の四分類、これについての総額と会社数、せめてそれだけでもいいですから提出されることを求めます。委員長
  304. 中山正暉

    中山委員長 理事会でまた検討いたします。
  305. 木島日出夫

    ○木島委員 時間がなくなってしまいますから、次の質問に移ります。  九九年三月の日債銀の決算、私ここに持ってきております。これによりますと、貸出金総額七兆二千九十億円のうち、破綻先債権額一兆五千二百七十八億円、三月以上の延滞債権額十六億円、貸し出し条件緩和債権額五百二億円と書いてあります。そして、延滞債権額を合わせ、この四つの合計は、三兆七千七百四十七億円と記載されております。  そうしますと、足し算、引き算すればすぐ出るんですが、延滞債権額は差し引き二兆一千九百五十一億円となると思いますが、これは間違いないですね。イエス、ノー。——もう時間がないからやめます。間違いないわけです。  そうしますと、この決算書での問題債権、不良債権ですね、四つ足したのが、合計額三兆七千七百四十七億円。そこで、先ほど資産判定で不適とされた金額が三兆八千三百四十六億円。ほとんど重なり合っています。同一の貸出債権ととらえてよろしいですか。これは明確に答弁してください。
  306. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 失礼いたしました。お答え申し上げます。  三兆七千というのと、不適になりました三兆八千三百四十六億円というのは、ぴったりそういう関係のものではございません。
  307. 木島日出夫

    ○木島委員 いやいや、ぴったりそうじゃないけれども、ほとんど重なり合った数字ですが、だから、ほとんど重なり合うと聞いてよろしいかと聞いているのですよ。不適と判定した債権と、この三月の決算で、不良債権ですか、四つの分類、正確じゃないでしょうが、そういうのが三兆七千七百億円ですから、ほとんど重なり合う貸出債権と聞いていいか、簡単な質問です。
  308. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  不適のこの三兆八千三百四十六億には担保が相当あるものもございます。これは、取引先七百八十九件先の債権額が三兆八千三百四十六億円という意味でございまして、これが全部いわば、何と申しましょうか、四分類債権だとかあるいは三分類債権ではございませんで、国債が担保にあれば、それは一部正常債権もある、そういうことでございます。
  309. 木島日出夫

    ○木島委員 明確に答弁しませんから、では、次に質問しますよ。  この日債銀の九九年三月三十一日決算の貸借対照表には、貸倒引当金として三兆六千四百八十一億円が計上されているのですよ。決算書の説明書き、ずっとあります。不良債権額から回収可能見込み額等を控除してその残額を計上した、こう書いてありますよ。  そうすると、この金額、貸借対照表上の貸倒引当金に載せた三兆六千四百八十一億円、これと、不適としたのが三兆八千三百四十六億円、差はわずかに千八百六十五億円、五%以下の差、違いであります。ほとんど一致している。  では、質問します。  このことは、資産判定で不適とされた貸出金はほとんど全額近く回収不能だと想定しているということで引当金額を三兆六千四百八十一億円にしたと私はこの決算書を読み取りますが、そういう読み取りで結構でしょうか。
  310. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、この不適の三兆八千三百四十六億と貸倒引当金の三兆六千四百八十一億円、数字は似ているのでございますけれども、全然根拠が違いまして、貸倒引当金につきましては、適資産については、過去の貸し倒れ実績比率に応じてしかるべき引当金を積んでございますし、不適資産につきましては、RCC行きを前提といたしまして、RCCの引き当て控除方式に基づく買い取り価格、それをそのまま引当金にしてございます。ですから、その二つを合計したのが三兆六千四百八十一億円でございまして、この不適資産の三兆八千とは直に関係はございません。
  311. 木島日出夫

    ○木島委員 それでは、こう聞きましょう。裏から聞きましょう。  重なり合わない部分の貸出債権、いずれにしろ不良債権でしょうな。不良債権のうち重なり合わない部分、不適とされた部分と、この決算上の引当金、あるいは貸出金の中で、さっき言った破綻先、いろいろあります、重なり合わない部分というのは大体総額幾らぐらいあるということなんですか。ざっとでいいです。
  312. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、三兆八千三百四十六億円というのは債権の簿価ベースでございます。一方、貸倒引当金というのはあくまで引当金でございまして、いわば概念がちょっと違いますので、重なる、重ならないという問題とはちょっと違うのではないかと思います。
  313. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、私は、資産の方に勘定されている不良債権の額もさっき言ったでしょう。破綻先は幾ら、三カ月以上の延滞債権は幾ら、条件緩和幾ら、そこまで言っているんですよ。それで、資産総額は大体一致するんですよ、七兆円から八兆円。それはわかるでしょう。資産は全体が一致している。  それで、不適の分もその半分ぐらいだ。引き当てもそのぐらい引き当てている。そして、決算上の資産勘定にある不良債権の説明も大体一致している。ほとんど一致しているんですよ。それだから、重なり合わないというんなら、合わない部分の金額を明らかにしてほしいと要望しましたが、それもまともに御答弁になりません。  では、最後に一点。この貸借対照表の中に、資産の部に、特別公的管理勘定として三兆九百四十三億三千九百万の記載があります。これは何ですか。
  314. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  これは、三月三十一日時点のバランスシート上、右側の負債項目につきましては、先ほど申しました適正な引き当てと考えられるものを積んだ。左側の資産につきましても、不適資産も含めて資産をあれしたわけですけれども、当然、そういういわばクリーンアップをした後でございますので、穴があきます。そのロス分として、その額をいわば未収収益として計上したものでございます。  これは、これから後、受け皿に行くまでの間に、不適資産とされたものでもあるいは処理されるものがあるかもしれませんし、適資産の中でも、海外資産は例えば処分されたりいたしますものですから、そういうことで、いわばこのロス額というのはこれからも動くものでございます。
  315. 木島日出夫

    ○木島委員 要するに、特別公的管理勘定というのは、これだけの穴があく、だからそこに国の資金を入れようということを意味するんじゃないんでしょうか。  それで、結局、資産判定で不適とされた不良貸出債権は、事実上、九九年三月、本年三月決算でも、引き当てすべき不良債権として計上されて、それに見合う引き当てが行われているわけでありますよね。そうすると、資産判定で不適とされた七百八十九社、三兆八千三百四十六億円の不良債権が、結局ほぼそっくり国民の税金で補てんされるということを、これは物語っているというんです。これは重大だと思うんです。  それで、総理、最後にお聞きします。  どんな経過でそのような不良債権がつくられたのか。なぜ今日まで償却されずにずっと残ってきたのか。それを責任はだれが負うべきなのか、大蔵省責任がないのか。すべての真相が国会国民の前に明らかにされなければ、到底国民は納得できない。  勝手に日債銀の元の経営陣が不良債権をつくり上げて、そして、午前中からの質疑にありましたが、それを隠ぺいして膨れ上がらせた。そして、とうとう破綻に至らせた。そして、穴があいたからといって、これでその金額だけ公金を入れようというんでしょう。真相を明らかにしなければならぬ、国民は納得しないと思うんですが、総理の御所見をお聞きして、終わりにいたします。総理の御所見を聞きたいと思います。
  316. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 二法を適切に運用いたしまして、国民の不信を取り除く努力をいたしてまいりたいと思います。
  317. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  318. 中山正暉

    中山委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして日債銀・長銀等金融問題についての集中審議は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会