運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-07-14 第145回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月十四日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君    理事 北村 直人君 理事 久間 章生君    理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 斉藤 鉄夫君    理事 中井  洽君       植竹 繁雄君    江口 一雄君       小澤  潔君    越智 通雄君       大原 一三君    奥谷  通君       奥山 茂彦君    加藤 卓二君       亀井 善之君    河村 建夫君       岸田 文雄君    斉藤斗志二君       阪上 善秀君    島村 宜伸君       砂田 圭佑君    津島 雄二君       葉梨 信行君    萩野 浩基君       牧野 隆守君    村田 吉隆君       村山 達雄君    谷津 義男君       横内 正明君    石井  一君       岩國 哲人君    上原 康助君       生方 幸夫君    岡田 克也君       川端 達夫君    小林  守君       肥田美代子君    藤村  修君       横路 孝弘君    吉田  治君       池坊 保子君    漆原 良夫君       大野由利子君    太田 昭宏君       旭道山和泰君    白保 台一君       並木 正芳君    西川 知雄君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西川太一郎君    西村 眞悟君       鰐淵 俊之君    木島日出夫君       佐々木憲昭君    春名 直章君       矢島 恒夫君   知久馬二三子君       畠山健治郎君    濱田 健一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    陣内 孝雄君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣         国務大臣         (北海道開発庁         長官)     川崎 二郎君         郵政大臣    野田 聖子君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         自治大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国務大臣         (内閣官房長官         )         (沖縄開発庁長         官)      野中 広務君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国務大臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国務大臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  尾見 博武君         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         防衛庁運用局長 柳澤 協二君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     大熊 健司君         科学技術庁科学         技術政策局長  青江  茂君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         国土庁防災局長 生田 長人君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         公安調査庁長官 木藤 繁夫君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房長 林  正和君         大蔵大臣官房総         務審議官    原口 恒和君         大蔵省主計局長 武藤 敏郎君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省金融企画         局長      福田  誠君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    御手洗 康君         文部省教育助成         局長      矢野 重典君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         厚生省保険局長 羽毛田信吾君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         林野庁長官   山本  徹君         水産庁長官   中須 勇雄君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         運輸省運輸政策         局長      羽生 次郎君         運輸省航空局長 岩村  敬君         郵政省郵務局長 濱田 弘二君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働大臣官房政         策調査部長   坂本 哲也君         労働省労働基準         局長      伊藤 庄平君         労働省女性局長 藤井 龍子君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         労働省職業能力         開発局長    日比  徹君         建設大臣官房長 小川 忠男君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         参考人         (日本銀行総裁         )       速水  優君         予算委員会専門         員       大西  勉君 委員の異動 七月十四日         辞任         補欠選任   亀井 善之君     奥谷  通君   河村 建夫君     阪上 善秀君   森山 眞弓君     砂田 圭佑君   横内 正明君     奥山 茂彦君   生方 幸夫君     川端 達夫君   肥田美代子君     石井  一君   吉田  治君     藤村  修君   太田 昭宏君     旭道山和泰君   草川 昭三君     漆原 良夫君   西川 知雄君     並木 正芳君   鈴木 淑夫君     鰐淵 俊之君   西村 眞悟君     西川太一郎君   志位 和夫君     春名 直章君   不破 哲三君     矢島 恒夫君   北沢 清功君     畠山健治郎君 同日         辞任         補欠選任   奥谷  通君     亀井 善之君   奥山 茂彦君     横内 正明君   阪上 善秀君     河村 建夫君   砂田 圭佑君     森山 眞弓君   石井  一君     肥田美代子君   川端 達夫君     生方 幸夫君   藤村  修君     吉田  治君   漆原 良夫君     白保 台一君   旭道山和泰君     太田 昭宏君   並木 正芳君     西川 知雄君   西川太一郎君     西村 眞悟君   鰐淵 俊之君     鈴木 淑夫君   春名 直章君     佐々木憲昭君   矢島 恒夫君     不破 哲三君   畠山健治郎君    知久馬二三子君 同日         辞任         補欠選任   白保 台一君     池坊 保子君   佐々木憲昭君     志位 和夫君  知久馬二三子君     北沢 清功君 同日         辞任         補欠選任   池坊 保子君     草川 昭三君 本日の会議に付した案件  平成十一年度一般会計補正予算(第1号)  平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  3. 北村直人

    北村(直)委員 おはようございます。自由民主党北村直人でございます。  久しぶりに予算委員会が開かれました。小渕総理が直接国民皆様方に語りかける機会だと思っております。大変重要な時期に差しかかっておる我が国の景気、そして経済だと思っております。小渕総理並びに関係大臣皆様方、率直に国民皆さんにわかりやすくひとつ御説明あるいは御指導をいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。  冒頭、この六月の二十三日から七月の三日にかけて、梅雨前線豪雨によりましてとうとい生命をなくされました御遺族の皆さん、そしてまた御家族の皆さんに心からお悔やみを申し上げる次第でございます。と同時に、被害を受けられた、たしか二十九府県だと思いますが、それぞれの府県皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  政府の早急な復旧対策を心からお願いを申し上げるところでございますし、特に広島県は大変大きな被害が出たわけでございます。総理初め、内閣挙げてこの復旧対策に取りかかっていただきますことを、お願いを冒頭申し上げる次第でございます。  さて、テレビ新聞では、小渕総理の自自公連立政権づくりについてというのは拝見をし、拝聴をしております。国民皆さんも、テレビ新聞を通じて、ああ小渕総理はそういうお考えを今しているのかな、こういう御理解は少しずつ出てきているのかなという感じがいたしますが、きょうはせっかくの予算委員会で、小渕総理国民皆さんに直接語りかけられるチャンスでございますので、今小渕総理がお考えの、小渕総理が昨年内閣を発足以来、やれることからやるんだ、こういう気持ち景気をまず回復する、政局の安定、そういうことを第一にしながら、とにかくやれるものをどんどんやっていこう、こういう気持ちで取り組んでこられた小渕総理が、今、自自公連立政権をつくり、そして政局の安定、その方針あるいは総理のお考え、見解というものをぜひ披瀝をいただきたいな、このようにお願いを申し上げる次第でございます。
  4. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 本題の自自並びに公明党との連立問題についてお話を申し上げる前に、冒頭お話ありましたように、広島県を中心にいたしまして大変な豪雨災害が起こったわけであります。改めて、政府を代表いたしまして、この災害によって不幸にも命を落とされた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた多くの方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。  災害発生直後、関谷国土庁長官を現地に派遣をいたしまして、つぶさに現状について視察をお願いをいたし、翌日早朝、御報告をいただきました。  大変被害が大きくなった地域は、急峻な山すそのところに住宅地がございまして、これが、土砂等が流れてまいりますと直ちに大きな被害が生じてくるということでございました。航空写真建設省にございますいろいろ特殊なカメラで見ますると、単にこの航空写真をそうした器具で見ますと、まさにまざまざと、大変山すそが急峻でありまして、その下に住宅地ができる、そのもっと下の方には平地がございまして、それは住宅地と農振地域がございまして、なかなか住宅が建たぬ。そうしますと、山のすそに住宅ができる。これが、こうした突然の降雨によりまして大変な被害ができる。  したがって、こうした地域のあり方、その地域住宅移転問題等につきまして、国土庁長官に直ちに検討を今お願いいたしておるところでございます。法的な措置をもし必要とすればすることによりまして、こうした被害発生可能性の極めて高い地域における対処の仕方について、これは真剣に考えなければならないということを考えさせられたわけでございます。  あわせまして、今回この被害につきまして、被害者生活再建支援法という法律国会におきまして通過させていただいております。これを、早速その適用お願いしておるわけですが、実は、昨年に、栃木、福島、この地域におきましてこうした事案がございまして、当時、柳沢国土庁長官でございましたが、サジェスチョンがありまして、せっかくこういう法律が既に制定をしておる、適用はたしか今年の四月一日からと存じますけれども、それ以前におきましてこうした災害が起きた場合には、これはやはり準じて適用できないかというようなことでございまして、これを大いに活用させていただいたことでございまして、これも国会におけるおまとめいただいた法律効果ということでございます。こうした法律適用しないことが最も望ましい姿でありますけれども、万が一のときはそうした対応ができる姿を国会でお示しいただいたということは大変ありがたいと、被災者方々もこれは思っておられるのではないかというふうに思っております。  長くなりましたが、お許しをいただきたいと思います。  そこで、いわゆるこれからの国会における各政党間の協力関係につきましてでございますが、御案内のように、昨年秋以降、大変国会の厳しい状況のもとで、自由民主党と自由党との連立成立をいたしました。その後、今国会もそうでありますが、公明党の御協力をいただき、多くの重要法案成立予算早期成立が図られ、政局の安定、このことは国の安定への道ができると認識をいたしております。その上に立ちまして、国民の信頼と期待にこたえ、政策早期実施、諸問題の迅速な対応を図るためにも、より一層強固な安定した政権基盤が求められていると確信をいたし、今般、自民、自由の現連立政権に加えまして公明党の御参加を得て、三党がともに政権を共有することができれば、こう考えまして、公明党に対し連立お願いをいたしたところでございます。  もちろん、三党連立を組むに当たりましては、おのおのの党の主張を持ち寄りまして、国家国民の立場から、できる限り政策を共有し、政権の運営を図っていくべきことは当然であると考えております。  そうした意味におきまして、現在、公党間におきましてその話し合いを始めさせていただいておる、こういうことでございます。
  5. 北村直人

    北村(直)委員 確かに、国家国民のことを考え、そして、政局の安定が景気回復あるいは社会の安定につながっていく、これはもう論をまたないわけでございますので、総理がしっかりとしたその方針で臨むということであれば、慎重な上にも慎重を期しながらも、ぜひその方向で進んでいただきたいな、このようにも思うところでございます。  さて、平成十一年度の予算というのは史上まれに見る速さで国会を通ったわけでございます。それはまさしく、総理日本景気回復するんだという内閣の使命を持ちながら一丸となって取り組んでこられた結果、国会での審議、十分な審議を尽くしながら、それも早急な国会での成立が図られたわけでございます。  四月一日からこれが実施をされ、四月、五月、六月、七月、ほぼ四カ月になんなんとするわけでございます。この平成十一年度の予算、これは重点項目をしっかりと見据え、置きながら、この予算執行を今していただいていると思いますが、その進捗状況、そしてまた今後の見通しについて、やはり私は、ちょうど四カ月たつ、こういう時期でございますので、ある面では総括的な御意見を聞かせていただければ国民も安心をするのではないかな。そしてその結果、今回のこの補正につながっていく。あるいは、場合によっては、一部新聞の報道では、来年になると景気が下がってくるのではないか、それも公共事業等々、そうすると秋にももう一度補正予算実施しなければならない、そのようなことも新聞では報道されているわけでございますので、まずは平成十一年度の四、五、六、七の約四カ月の予算の総括ということをぜひお考えをお聞かせいただきたいな、このように思います。
  6. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 個々の進捗状態につきましては担当大臣から御答弁させていただきたいと思いますが、今北村委員御指摘のように、十一年度予算につきましては、マスコミによれば史上最速、こう言っておりますが、すなわち、三月の早い時期に本予算成立をいたしました。  このことは大変大きな意味合いを持つと考えておりまして、かつて政権の中では、この本予算成立が夏にまでかかるというようなことになりまして、それ以降の予算執行その他につきまして、地方自治団体はもとより、国民皆さんにもいろいろな大きな影響を与えたということを考えますと、四月一日から予算執行するという以前に予算成立するということは、これは四月以降における各種の事業の、例えば公共事業にいたしましても、設計その他をあらかじめ予定して執行できる体制を整えたということは、まことに大きな意味合いがあるのじゃないか。この内閣としては、経済再生内閣と申し、景気回復が大きなメーンのテーマであることを考えますと、四月から直ちに設計ができ上がって工事に発注ができ、その進捗が計画的に進められるということは、大変これは大きな影響を及ぼし得る、またその効果というものもはかり知れないものがあったのではないかというふうに感じております。  そのことは、同時に、予算につきまして各党各会派の御協力を得まして三月の後半早い時期にこれが成立したということは、その効果によりまして今般若干なりとも経済状況が安定し、かつ上向きになりつつあるということの原因にもなっておることでございまして、そういった意味で、予算早期成立せしめて国民の要望にこたえ得たということにつきましては、内閣としても、また国会のそうした御審議について、改めて感謝を申し上げておるところでございます。  詳細なことにつきましては、それぞれ担当大臣から御答弁させていただきたいと思います。
  7. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 建設省の今までの結果を御報告させていただきたいと思います。  平成十一年度の上半期におきます執行状況でございますが、これは三月の二十三日に閣議決定がされたわけでございまして、前年度上半期実績の一〇%増ということで契約目標額を決めまして、九兆八千百七十九億円と決定をしたところでございます。それに基づきまして、今手元にありますデータによりますと、四月末の建設省所管事業執行状況は、契約額にいたしまして五兆八千七百九十二億円となっております。これは直近の促進五カ年度中の中でも最も高い契約額になっておるわけでございまして、閣議決定を踏まえまして着実に実施をいたしておるところでございます。
  8. 中川昭一

    中川国務大臣 今建設大臣のおっしゃられた前提で、農林水産省関係公共事業の四月末契約済み額は六千百八十八億円でございまして、対前年比一一三・四%となっております。プラス一〇%という目標は一兆八千七百二億円でございますので、その目標に向かいまして、今後とも適切かつ積極的に執行を図ってまいりたいと考えております。
  9. 川崎二郎

    川崎国務大臣 運輸省でございますけれども、四月末で五千八百二十六億円の契約済み額になっております。前年比一三・五%アップ北村委員の地元の北海道につきましては、二千五百六十三億、七・三%アップでございます。  いずれにせよ、私どもも、上半期契約目標額達成に向けて着実に進めてまいりたいと思っております。
  10. 有馬朗人

    有馬国務大臣 科学技術振興費のことについてお答え申し上げたいと思います。  まず、その前に、研究者が非常に元気づけられておりますのでお礼を申し上げますが、科学技術基本法ができ、科学技術基本計画が立てられたことによって、大変研究者が元気づけられているということを御報告申し上げたいと思います。  ただ、平成十二年度以降どうするか、これまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。  科学技術は、何といっても、日本の二十一世紀を支えていく上で絶対必要なことだと思っております。ただ、地球と仲よくしていく、こういうふうな科学技術を発展させていかなければならないと思っております。  このような観点から、平成十一年度の予算につきましては、科学技術振興費は、対前年度比八・一%増ということで、九千六百三十億円が計上されているところでございます。  今後とも、科学技術振興費の効率的な執行によりまして、科学技術振興に努めてまいりたいと考えております。
  11. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 都道府県におきます四月末の契約済み額につきましては、統一地方選挙の関係で骨格予算または暫定予算を編成しております十四道府県を除く三十三都府県の合計で、昨年度四月末の契約済み額と比べて一〇・八%増の三兆三千六百三十一億円となっております。また、四月末の契約率の実績につきましては、三十三都府県の平均で三〇・九%となっております。  そういう意味で、地方公共団体におきましては、国の方針に対して積極的な協力をしていただいたものと考えておりまして、今後とも、地域経済動向を踏まえ、適切な執行管理が行われるよう配慮してまいりたいと考えております。
  12. 北村直人

    北村(直)委員 それぞれ省庁の進捗状況、大変、この四月末の過去五カ年の契約状況から見て、それを上回っている、私はそのことが景気の下支えをしているものだ、このように理解をいたします。  ただ、経企庁長官の御発言の中には、公共事業、年明け後の息切れを懸念する、そうなると新たな補正が必要ではないかな、まだ早いけれどもと、こういうような注釈づきでございますけれども、私は、どうしても、この契約状況からいって、秋以降もう一つやはり工夫が必要ではないのかな、こんな感じを持っている一人でございます。  いまだ早いのかなという思いはありますけれども、総理、この新たな秋以降の補正ということについてのお考えがもしございましたら、お聞かせをいただきたいな、あるいは大蔵大臣でも結構でございます。
  13. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大変予算を早く成立させていただきましたので、おかげさまで公共事業等々、施行のスタートは早うございますし、昨年、十年度の補正と十一年度の本予算を組みますときに、十五カ月予算ということで組んでございます。  それで、公共事業について、支出で申し上げるのが一番よろしいと思うんですが、支出面で申しますと、今年度の支出は昨年度の支出よりもかなり高いところにございまして、殊に下半期も、昨年度の下半期も高くいたしてございます。したがいまして、世の中で時々中だるみがあると言われますが、大事なところは支払いでございますから、それに関する限り、早い時期の中だるみというものは多分ないだろうと予想してそういうふうにいたしてございます。  ただ、当面雇用と企業設備の両方がなかなか思うようにまいりませんので、ただいま御審議補正予算はそれを頭に置いてお願いをしているものでございますから、一般的に見まして経済の動向がどうなりますか、このまままずこの予算、本予算並びに御審議補正執行していくことが大事と思いますが、経済は生き物でございますから、せっかくいいムードが出てきていて、先へ行ってもう一押しした方がいいかなと、御判断いかんでそういう事態が展開するかもしれません。そこは十分に柔軟に考えていく必要があるであろうと思っております。  ただ、御承知のように、公共事業予備費五千億、まだ使わずにおりますし、しばらく様子を見まして、四—六の四半期がどういうことになりますかもわかりませんが、そこらを見ながら、せっかくここまで来ましたので、柔軟に対処する気持ちはございます。ただ、その時期あるいは範囲等々は、まだしばらく様子を見ていてもいいのかな、私としてはそう思っております。
  14. 北村直人

    北村(直)委員 確かに経済は生き物でございますから、今、秋のことを言うのは早いかなという感じがございますが、今大蔵大臣申したとおり、柔軟な対応をとっていただきながら、せっかくここまで来た景気回復の基調というんでしょうか、それをこれからも続け得るためには、そういうことも念頭に置きながら、今回この予算委員会審議をいたしております補正をまず上げながら、国民の生活の安定のためになお一層の努力をお願い申し上げる次第でございます。そのことが、この平成十一年の一月から三月期の一・九%の経済成長率が評価をされ、そしてさらに十一年度の経済成長率〇・五%の達成につながっていく。総理のお考えのとおりの景気、そして経済の達成になっていくのではないかな、私はそう信じておりますので、ひとつ柔軟な対応お願い申し上げる次第でございます。  さて、今回審議をしております雇用対策等々につきましての補正予算、特に、私はこの内容を見させていただいて、七十万人の雇用の創出、その中で約三十万人は地方、特に緊急地域雇用特別交付金というものを活用して、地方が雇用を創出していく、あるいは雇用の拡大をしていくということになりますと、どうしても都道府県の知事あるいは市町村長、首長さん方の大きな力が必要になってくる。国はこの緊急地域雇用特別交付金、仮称でありますが、これをしっかりとつくりながら、さて、地方の方々がどういう知恵を出し、どういったものを雇用の拡大に結びつけていくか、このことが大変重要なことになる。地方にとってそれができ得なければ、私は、国民から見て今回の雇用対策というものが失敗に終わってしまうのではないかなという心配を実はしております。  総理におかれましては、そういう地方への地域雇用特別交付金の使い方と、知事あるいは市町村長等々の方々協力のあり方というものについて、どういうような御認識でまた御指導をいただけるのかお聞かせをいただきたいな、このように思います。
  15. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これまた後ほど、労働大臣からこの緊急地域雇用特別交付金について御説明をさせていただく機会があれば幸いだと思っておりますが、今北村委員御指摘のように、雇用問題というものは、日本四十七都道府県、かなり状況が異なっております。産業の形態も異なっておりますし、また地域的特性もございます。例えば、沖縄県のような日本全国最高の失業率を抱えておるというようなところもございまして、したがって、こうした地域地域の特性を十分生かした形で、応急の措置として国により創設するものでありますし、それを地方公共団体に交付することによりまして、緊急に対応すべき事業実施し、雇用・就業機会の創出を図るものでございまして、御指摘のとおり、各地方公共団体が地域の実情に応じて創意工夫に基づいて事業実施することといたしております。  それぞれ事業の内容に応じた雇用・就業機会の創出が図られるものと考えておりますが、ある意味では、発想として、こうした形で地方にお渡しをしながらそれぞれの実情について知恵も絞っていただこうということでございますので、その点につきましては、従来からの政策と若干異なっております。  また、そもそも雇用対策そのものにこうした形で対応しなければならないということ自体も、大変残念ながら現下の経済状況のもとにある状況でございますので、この交付金を最大限に活用していただきまして雇用を創出していただきまして、それぞれの地域での失業率を低下せしめ、そして失業されておられる方々の生活を保障していくということに役立たせていただきたいというのがその本旨となすところでございます。
  16. 甘利明

    ○甘利国務大臣 総理からのお話に尽きておると思いますけれども、国と地方の関係につきましては、地方分権の趣旨に沿いまして、国は基本的な枠組みだけつくろうと。つまり、臨時、一時的でありますから一両年で終わってもらう事業、それから、雇用創出効果が図られる事業にしてほしい、そして基本的には民間委託というのを主体とする、そういう大枠だけ決めまして、あとは地方の創意工夫にお任せしようじゃないかと。全部画一的にやりますと地域の事情を無視したことにもなりますし、そこで、地域ごとにいろいろ知恵を出していただいて、その知恵を活力に結びつけていただくということを考えておる次第でございます。
  17. 北村直人

    北村(直)委員 今、総理並びに労働大臣からお話がありました。私もそのとおりだと思っておりますし、またそのことでそれぞれ地方の知事さん方、やる気を起こしておられる県も多く出てきているように私は思います。  これは地方版でありますが、七月の三日の新聞によりますと、福岡の麻生知事は、交付金を積極的に活用して、全国から福岡はおもしろいことを考えたと言われるような事業実施したい、こういうふうなコメントもございますし、また静岡の知事も、県の経済対策の連絡会議を早急に開いてこれに対応しよう、あるいは滋賀県でも、県民の最大関心事である雇用の安定確保に向けて、県の実情に即した効果ある対応を講じるよう努力しよう、そういった面々、知事も大きくこたえようとしているわけでございます。  私は、今回のこの補正に盛り込まれております五千億を超える予算の中に、この二千億の緊急地域雇用特別交付金というのは、地方分権というのでしょうか、地方がやる気を起こし、いろいろなアイデアを出して、そして県民やあるいは市町村が本当に地域の、地方議員の方々を含めて、創意工夫をした結果生まれてくるものに国がしっかりとした対応をしていくということでは、この時期、大変的を得た事業である、私はこのように思っております。  ぜひ地方で雇用の創出が行われなければ、くどいようでありますけれども、今回の補正予算というものは、ある面では失敗に終わってしまうということにつながっていくと私は懸念をしている一人でございます。そのことを十二分に踏まえながら今後の対策に当たっていただきたい。  そしてまた、さらにこの中には、NPOにも、こういうようなお考えもあるようでございます。私は、NPOが活動しやすい環境をやはりきちっと整備をしてあげる、これが大事ではないかな、このように思っております。そういったことを踏まえて、これは短期間ではありますが、次の長期の雇用拡大に向けた、その助長になるような、そういう今回の特別交付金であっていただきたいものだ、実はこのように思っておる次第でございます。  ただ、今回の雇用対策の中で私が一つ懸念をしているのは、今、景気の動向等々でいろいろな企業がリストラに向かっているわけであります。一度リストラを受け失業された方々、自分の意思ではなくて本当にある日突然職を失う、こういう方々も多いわけでございます。そういう方々が次の雇用を受ける、これは地方に行けば行くほど、実は大変なわけでございます。  そういう面では、地方で一番雇用のしっかりしているのは、私は第一次産業ではないかな。農業であり林業であり水産である。地方において雇用の確保をしていくということは、まずこの一次産業のところがしっかり安定をしていなければ、雇用の確保がされていかない。  そういう面では、今週の月曜日、十二日に農業基本法が本当に久しぶりに、四十年にわたる改革をされたわけであります。総理も農林水産委員会においでになって、総理としてのお考えを披瀝され、農林水産大臣中川大臣と一緒になってこの基本法の制定に向けて御努力をいただいたわけでございます。そのことによって雇用の安定にまたつながっていく、こう私は確信をしている一人でございます。  そうなりますと、国の雇用の安定という意味合いからして、第一次産業が大変重要である。今回は農業基本法が制定された。例えば林業関係でも基本法等々あります。森林法は昭和二十六年、あるいは林業基本法は昭和三十九年、これも随分昔に法律化された基本法でございます。私は、次は林業の基本法でありあるいは水産の基本法をしっかりと政府国会に提出をして、農と林と水、この基本法を史上まれに見る改革をして、地方の雇用の安定をしていく時期ではないのかな、私はこのように実は考える一人でございます。ぜひ総理の——農業基本法、大変御苦労さまでございました、次は水産の基本法でありあるいは林業の基本法、これを見直していく、こういうお気持ちがあるのかどうか。今それぞれ審議会で御議論をいただいて、それぞれ方向性が出てきているやに私は聞いております。総理のお考えと、また農林水産大臣のお考えをあわせてお聞かせをいただきたいな、このように思います。
  18. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 農林水産業とこれを支える農山漁村は、食料の生産に加えまして、国土、環境の保全などの面で幅広い機能を有しておるところでございます。社会の変化や国際化が進む中で、こうした機能に十分目を向け、農林水産政策の改革を進めていくことは極めて重要なことと認識をいたしております。  今委員がおっしゃられました、もう前になります農業基本法、昭和三十六年に制定されまして、私自身も本院に三十八年に議席をいただきましたが、たまたま農村地帯が選挙区でございまして、そういう意味では、この農業基本法が制定されたことを思い、その基本法に基づいて今日まで農業政策の根本がそこに存したわけでございますが、今般、食料・農業・農村基本法が今後の農政の基本指針になるものでございまして、本法によりまして食料の安定供給の確保と農業、農村の多面的機能の発揮を可能にする条件整備を進めていくことは、未来へのかけ橋を築くものとして取り組むべき国民課題であると考えております。  そこで、今、水産関係あるいは森林・林業政策につきまして基本法というお話がございましたが、水産政策につきましては、本格的な二百海里時代の到来を迎えておるわけでございまして、基本法の制定を念頭に置きつつ、今後の基本政策のあり方について検討を進めてまいりたいと思っております。  また、森林・林業政策につきましては、国民共通の財産であります森林を次の世代に引き継いでいく観点から、その基本的な課題につきまして検討を行いまして、林業基本法、すなわちこれは現行昭和三十九年制定でございますが、この林業基本法の現行のあり方については、その上で検討をする必要があるのではないか、現在そのように考えておるところでございます。
  19. 中川昭一

    中川国務大臣 先日、食料・農業・農村基本法を国会成立させていただきまして、まことにありがとうございました。食料という国民に絶対的に必要なものの安定的な確保、あるいは農、林、水の果たす多面的な役割といったものの基本的な位置づけというものをあの法律によって確定することができまして、厚く御礼を申し上げます。  また、林、水につきましても、食料あるいは国民に必要不可欠な資源を安定的に、しかも持続的に供給をしていかなければならない資源でございますので、そういう意味で、水産基本政策検討会での検討を踏まえまして、基本法の位置づけも念頭に置きながら、これから進めてまいりたいと考えております。  また、林業、森林につきましては、基本政策検討会をこれまた開いていただきまして、つい先日論点整理をいただきましたので、これを踏まえてこれから基本法のあり方等、いろいろと検討していかなければならないというふうに考えております。  先生御指摘のように、国土の八割を占める農林水産地帯は国民共通の貴重な財産でございますし、また、こういう雇用情勢の中での雇用調整機能といった側面も歴史的にあると考えておりますので、なお一層、こういう地域の充実発展のために、国民的な理解を得ながら努力をしてまいりたいと考えております。
  20. 北村直人

    北村(直)委員 大変力強い御答弁をいただきました。  農の次には水産あるいは林業と、国の骨格を占める農、林、水、これはもうだれもがそのことについては異論を挟まないわけでございます。ぜひその方向性に向かって御努力をいただきたい、このように思います。また、早急な改革を含めた水産あるいは林業、森林の基本法の改定に向けて御努力をお願い申し上げる次第でございます。  さて、もう一つ、この雇用対策の中で意外と、今回の雇用対策の中でもちょっと、忘れられているわけではありませんけれども、少し少ないのかなと思うことは、実は障害者雇用促進法というのがございます。  その障害者雇用促進法があって、その中で、職についた障害者の方々が会社等々のリストラに遭って一度その職を失うと、そのハンディを負った障害者の方々が次の仕事につくというのは非常に至難のわざでございます。また、こういう雇用促進法があるにもかかわらず、こういった経済状況の中ではなかなか、それぞれの民間企業でも受け入れについては積極的になれないというような今の現状でございます。  大変悲しいニュースでございますけれども、これは、先般、重度障害者を多数雇っていただいた埼玉県のある機械部品の製造業の会社が今月の一日に倒産をして、八十名を超える障害者の方々が路頭に迷っている。この会社の社長さんの経営のあり方についても問題があるというふうに新聞等々では報道されておりますけれども、この障害者の方々は何の責任もないわけでございます。  そういったことを踏まえると、この今回の、緊急ではありますけれども、雇用対策の中に障害者の方々が忘れられそうになっているのではないかな、私はそう思うところでございます。障害者の方々も大変でございますけれども、またその御家族の方々、あるいは御両親の方々も大変でございます。  例えば、ちょうどここにございますが、総理の御地元の群馬県前橋市には、障害児を持つ母親の方々が連帯をしようということで「マザー・アンド・マザー」という季刊誌をおつくりになって、障害児を持っておられる母親が、障害児の子供を持つと同時に自分の仕事と両立をさせていこう、こういうことで、全国的なネットワークで頑張ろう、こう言っておられる方もおいでになります。  しかし、そういう方々も、実は仕事、雇用ということに大変な不安を持っておられるわけであります。また、いろいろな地域においては、厚生省、大変御努力をいただきながら、授産施設あるいは共同作業所等々があるわけでございますけれども、この景気が悪いという中にあって、授産施設で行われる仕事の量が本当に減ってきた、あるいは共同作業所で行われる作業、これも全くない、共同作業所に通っておられる障害者の方々も、ただ行って一日ぼけっとしているだけだ、こういうところも実はあるわけでございます。  そうなりますと、やはり景気をまずは回復していただいて、そしてその上で、障害を持っておられる、ハンディキャップを背負っておられる方々がある面でそれを克服されて仕事をしてもらえるような、そういう社会を一日も早くつくっていかなければならないな、実は私はこう念ずる一人でございます。  そういった中で、ある面ではうれしい事業も一つあるわけであります。  今、若い人を含めて、手紙を書こう、手紙を出すというのは、このごろは電子メール等々で、なかなか自分の手で書かないということでありますが、しかし、昭和五十一年から実は郵政省は、青い鳥はがきというのを提唱して、身体障害者福祉の一環として、厚生省が提唱する身体障害者福祉強化運動に賛同してというのでしょうか、協賛して実施をしているわけであります。  これは、対象の方々は、重度の身体障害者の方々を対象として一人二十枚のはがきを無償で実は配っております。ここに見本がございますが、ちょっとここに傷がついておりまして、だれが見てもすぐわかるような形になっておるわけであります。これは、一千五百万枚郵政省は実は印刷をされました。そのうち、障害者の方々が自分で申請をして、今四百万枚使われております。つまり、二十万人の身障者の方々の手に渡って、これを自分の心境を書いて友達等々あるいは御親戚の方々に出しているんですね。  ただ、非常にいいことを厚生省の協賛をしてやっていただいた郵政省ではございますが、実はここに知的障害者の方々は含まれていないんですね。私は、そのことは、五十一年のときにはどうしてなのかなという気持ちでいろいろと考えてみましたけれども、実は私のところにも、知的障害者の方々から本当にたどたどしい手紙を毎年何通もいただくわけであります。それはどうもこれではないような気がするんですね。  どうでしょうか、郵政省、郵政大臣、このせっかくつくっていただいた青い鳥はがきの身障者の皆さんへの一人二十枚の無償配付でありますが、これを知的障害者の方々にも枠を広げていただける、そのようなお考えをぜひ、今回の雇用対策の審議ではありますけれども、ぜひ郵政大臣の御決意をお願い申し上げる次第でございます。
  21. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生御指摘のとおり、社会福祉の増進に貢献するためにこの青い鳥郵便はがきを発行して、これまでは重度の身体障害者の方に無料で差し上げてまいりました。  今先生御指摘の知的障害者の方にも拡大するべきではないか、このことにつきましては、大変意義のあることと思います。よって、実施の方向で具体的に検討をさせていただきたいと思います。
  22. 北村直人

    北村(直)委員 私は、確かにいろいろな議論はあろうと思っております。しかし、やはり土俵というものは、同じ土俵の上に乗せてあげるということも一つの方向かなと。しかし、これはあくまでも本人の申し込みでありますから、本人が手紙が書けない場合には申し込みができないわけでございますので、私は、そういう面では今の郵政大臣のお言葉というのは大変ありがたいと思いますし、またそういった方々に励みにもなるし、あるいは手紙を出すということの楽しさというものがますますふえてくるのではないかな、こう思いますので、実施が速やかにできますようにぜひ全力を挙げていただきたいな、このように思うところでございます。  さて、我が国の外交上大変大きな重要な問題は、やはり沖縄であり北方領土であったと思います。沖縄につきましては、沖縄サミットの取り組みについて、総理を初め内閣皆さんの大変な御努力等々で大変前進をしている、私はこのように思いますし、来年迎える沖縄サミットに向かって、それぞれ大きな予算を使いながらその整備、そして万全を期して日本の平和のために全力を挙げていただけるものと確信をしているところでございます。  しかし、その一方、北方領土につきましては、今回、ある面では大事に至らなかったわけでありますが、実はこの十二日に、羅臼沖で羅臼の漁船三隻がロシアの警備艇に拿捕されてロシア海域に連れていかれました。しかし、きょう十四日未明に釈放されて、無事羅臼港に戻ってきたようでございます。まあ国境を越えたということでしょう、一隻一万五千ドルを科せられて、それを払うという約束のもとに釈放されたのではないかと思いますが。  これは今回ばかりではありません。今までも、この北方領土を含めた北方水域では拿捕があったわけでございます。これが我が国の固有の領土であればそんなことはないわけでございますが、今回のサミット等々で小渕さんはエリツィン大統領と、多くの時間ではありませんでしたけれども、しかし丹念にその時間を使って、エリツィン大統領の来日、あるいは小渕総理とエリツィン大統領で、この二人で決めよう、こういう熱意はエリツィン大統領に伝わったのではないかと私は思いますが、この秋にも予想されますエリツィン大統領の来日を含めて、この北方四島のことにつきましての総理の御決意というものを改めてお聞かせをいただきたいな、このようにお願いを申し上げます。
  23. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、日ロ間、特に北方水域におきます漁業問題につきましては、幸いにして両国間において協定が成立をいたしまして、久しく今お話しのような拿捕、銃撃事件というようなものは、これは解消されておると聞いておりましたが、残念ながらまた事件が発生し、しかし、今お話を聞きますと、解決の方向で処理、処置されておるということで、そのことにつきましては、大変残念ではありますが、方向として無事決着方向にあることはうれしいと思っております。  いずれにしても、こうしたことがかりそめにも起こってくる、現状は、日ロ間において話し合いにおきまして、この地域における漁業につきましてはそうした事案が起こらないという形にはなってきておりますが、根本的には四島の返還ということが基本的になければならない、こう思っております。  幸いにして、橋本内閣時代、橋本総理とエリツィン大統領との大変深い信頼に基づきまして、かなりこの点について加速されてきたわけでございまして、引き継ぎまして、私も外務大臣以来、このロシアとの関係を本格的に決着を見なきゃならぬということで努力をしてまいっておるところでございます。  エリツィン大統領といたしましても、過去数回会談をいたしておりますが、御本人の熱意といいますか、平和条約を締結してこの領土問題を解決しなければならぬということは、先般のケルン・サミットにおきまして、大変短時間でありましたがお話をいたしましたときにも、大統領自身非常に熱意を込めてお話をされておるわけでございまして、現下、ロシアにおける政治情勢もなかなか複雑やに見られておるところでございますが、やはり大統領自身の決断によりまして、新しい世紀には日本とロシアとの関係は平和条約をもって領土問題を解決するということで、全力でいたしていかなきゃならぬと思っております。  粘り強く、最終的決着を見るためにぜひ最善の努力をしていきたいと思いますが、今回はエリツィン大統領が訪日をしていただく順番になっておりますので、ことし早い時期にと思っておりましたが、現在のところにおきましては秋以降ということでございますが、でき得べくんば大統領の訪日の機会にさらにこれが加速されますように全力を挙げていきたい、こう考えております。
  24. 北村直人

    北村(直)委員 エリツィン大統領が訪日をされる、されないということと同時に、また、小渕総理のこの北方四島にかける熱意というものは、私は常日ごろから強く感じている一人でございます。この二十世紀のうちに、小渕総理とエリツィン大統領、このお二人がしっかりとこの解決をするある面では最後のチャンスではないのかな、私はこのように思っている一人でございます。ぜひその熱意で取り組んでいただきたいな、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  もう一つ、雇用対策で、失業を大きく生んできた一つの産業の中には、実は石炭がございました。閉山することによって相当な失業者を生み、その雇用のために大きなエネルギーを使ってきたのも今までの現実でございます。私は、ある面では、地方において炭鉱を存続させることが雇用の安定対策につながってくるのではないかなというふうに考える一人でございます。  たまたま今回の予算委員会理事の中には、久間筆頭理事は長崎・外海町、石炭の地域を持つ代議士でございますし、また、自見先生は福岡、鉱害対策等々、産炭地振興を持つ国会議員でございます。私は今、自民党の石炭対策特別委員長を仰せつかっております。そういう面では、党の中で石炭の議論を今いたしているところでございますが、先般も、この方向について、審議会等々で出す前に、自民党として一つの方向性を出すということで議論をしたところでございます。  ぜひ、総理あるいは通産大臣におかれましては、審議会で答申が出るまではなかなか思い切った答弁はできないと思いますけれども、この二つの炭鉱が残っていけること、あるいは産炭地振興が、特にポスト八次あるいは八次策で閉山になったところ等々がしっかりやっていけること、あるいは鉱害対策についても、まだ害があるということであればそれもしっかりやっていくということが雇用対策につながっていく、私はこのように考えておりますので、通産大臣の御決意をお聞かせいただきたいな、このように思います。
  25. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 御承知のように、石炭の炭鉱は数多く閉山されて、あと残り二つになっているわけでございます。これをどういう視点から考えるのかということで、私どもは、やはり経済性だけでは考えられないと。一つは、やはり地域との関係、雇用との関係もあるだろう。それから、日本の炭鉱が持っております採炭技術、また安全のための技術というのは大変すぐれたものでございまして、こういうものを現在世界のいろいろな国々が必要としている。そういう意味で、技術をどうやって温存し、他国にスムーズにお渡ししていくかという視点もまた必要になってくる。いろいろな観点から、実は石炭鉱業審議会で御審議をいただいております。  我々は、経済性のみでばっさり日本の炭鉱政策を切るということは正しくないと思っておりますし、先生言われましたように、やはり地域との関係、雇用との関係、そういうものもございますし、やはり日本が長年培ってきた炭鉱技術、安全の技術、こういう技術を人から人に渡すというためには一体どうするのか。また、長期的には、やはり日本もいろいろな面で今後エネルギーの問題にさらに直面していくわけでございますから、ここで石炭の灯を消していいのかという視点もまたあるんだろうと思っております。  いずれにしましても、近々石炭鉱業審議会から答申が出てまいりますので、その答申を見た上で政策を決めなければならないと思っております。
  26. 北村直人

    北村(直)委員 ひとつよろしくお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  27. 中山正暉

    中山委員長 この際、伊藤公介君から関連質疑の申し出があります。北村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。
  28. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 昨今、雇用問題が社会的な大きな問題になってまいりました。この補正予算も五千億、約三千億は当面の雇用対策に政府挙げて支援をしよう、こういうことであります。  こういう雇用問題が社会の問題になりますと、直ちに総理は、先日、墨田区の生涯職業能力開発促進センターをお訪ねになられました。その前には、特別養護老人ホームあるいは学習塾に、それぞれの商店街の活性化の現場を見られる。また、多摩ニュータウンの現実も総理には見ていただきました。大変ありがとうございました。  私は、国のトップリーダーが、こうした社会的な大きな問題が出ている、そこにみずから身を置いて、そして行動をされるという小渕総理の政治姿勢といいますか、そして、現地では極めて自然体で市民の皆さんに語りかける。また、総理の仕事は忙しいわけですけれども、小渕総理は、私も現地でその対話の集会にも参加させていただきましたが、決して忙しぶらずに、市民の皆さんの声にしっかりと耳を傾ける。私は、そういう政治姿勢が、昨今、小渕総理の支持が日に日に上がってきている大きな要因の一つであろうというふうに思います。  どうぞ、この政治姿勢をこれからもしっかり貫いて、当面の重要な諸課題に取り組み、また、私たちはしっかりとした新しい二十一世紀への、今、産業構造改革と言われていますが、まさに時代の転換を図っていかなければならないというふうに思います。総理のこの姿勢に私も心から支持をしている者でございますので、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  そこで、まず一問、きょうは限られた時間でありますので、外交問題について一言だけまず御質問をさせていただきます。  先週から週末、大変忙しいスケジュールのようでありましたが、訪中をされました。中国とのWTO、世界貿易機構で日本と中国が交渉妥結をしたことは大変すばらしいことでございます。  また、北朝鮮のミサイル防止について中国側の理解を得られたと伺いました。江沢民国家主席との間で、これから将来にわたる日中問題についてしっかりと信頼関係を結んでいこうという合意ができたことも外交的な成果だったと思います。  しかし、北朝鮮の問題は、日本の我々にとっては文字どおり生命線です。現実に日本のこの列島の上をミサイルが飛んでいったという事実を、我々はしっかりと受けとめなければならないと思います。  日本斉藤駐米大使が、もし北朝鮮がミサイルを、さらに同じような状況があったときには、KEDOへの資金拠出は難しくなるということをアメリカ自身も理解をしていただいているはずだ、こういう報道が報じられました。  この北朝鮮のミサイルの問題については、あるいは核開発につきましては、日米韓それぞれが連携をしてしっかりとした対応をしていかなければならないと思います。米韓の間でその歩調がしっかりととられているのか。また、こうした我が国にとって重大な関心事である問題に対して、政府はどのように取り組んでいられるか。まず総理からお伺いをさせていただきます。
  29. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、現時点におきまして、北朝鮮によるミサイル再発射が差し迫っているとの判断はしておりません。仮に再発射が行われれば、我が国の安全や北東アジア地域の平和と安定に深刻な影響を与え、日米韓を初め関係諸国と北朝鮮との関係に重大な影響を及ぼすことになることは必定であります。そして、そのことは北朝鮮にとりましても決して利益にならない、こう考えております。  我が国政府としては、そのような事態を回避すべく、米国、韓国と連携しつつ、再発射抑止のために最大限の努力を行ってまいりたいと思っております。  KEDOにつきましては、北朝鮮の核兵器開発を封ずる上で最も現実的かつ効果的な枠組みであると認識をいたしており、政府といたしましても、これを維持していく考えには変わりありません。  他方、再発射が行われた場合には、KEDOへの協力に対する国民の理解が得にくくなり、政府としても、実際上KEDOへの協力が難しくなることもあり得ると認識をいたしておるところでございます。この点につきましては、米国、韓国にも十分説明しておるところでありますが、委員御指摘の斉藤大使の発言も、こうした認識を述べられたものだろうと思っております。  そこで、今伊藤委員おっしゃられるように、日韓米、この三国が極めて協調してしっかりスクラムを組んでこの問題に対処しなければならぬということは申すまでもないことでございます。  ただ、米国は北朝鮮と直接交渉のできる立場であります。また、韓国は、言うまでもありませんが、南北が分断をされまして、まさに陸続きのところであります。日本は、日本海を経ておるといえども列島として存在をしておるということでございます。若干そこに基本的考え方の差異があってはならぬ、こういうことでございますので、可能な限り三国間で協調し、連絡、情報の交換をしながら、水も漏らさぬ状況にいたしていかなければならぬと思っております。  一方、日本といたしましては、もちろん米国、韓国との関係を、協調したいことは当然でありますが、同時に、直接的にも北朝鮮に我が国国民のそうした憂慮の念を伝えなければならぬということでございます。  これまた残念ながら、現在国交が存在しない中であらゆる手段を講じて我が国の意思を伝えておりますが、必ずしも十分これが伝え切っておらないという感、否めないところでございますので、先ほどお話がありましたが、先般中国へ参りました折に、北朝鮮との国交を持つ中国そしてまたモンゴル、こうした国々の政治責任者に対しましても、我が国民のこのミサイル発射に対する憂慮の念を、ぜひ国交のあるそうした国々からもお伝えいただきたいということでお話を申し上げ、機会があればその気持ちを伝えたい、そうした御返事もいただいておりまして、そうした点からの北朝鮮における我が国民の不安というものが解消できる方向になることを、そのためにさらに努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  30. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、外交問題はまた改めて御質疑をさせていただきたいと思います。  そこで、当面の経済問題について伺いますが、大変時間がありませんので、ストレートに経済企画庁長官に。  株価が一万八千円台になってきました。きのうはたしか一万八千百八十一円ぐらいだったと思います。今、日経平均が千円上がりますと含み益が市中銀行で約二兆三千億と、以前大蔵省の答弁がございました。そういうことからいたしますと、昨年の暮れから約四千円、八兆円から九兆円の含み益ということになるわけですね。私は、この経済の、株価も含めて、景気回復というものを確かにしていかなければならないときだと思います。  ことしの一—三月の年率七・九%という成長は、正直言って私もちょっと驚きました。これは民間の調査なども、〇・五%、まだ依然として厳しいのではないかという見方もございます。今政府としてどのような経済的な見通しを持っていられるか、大変恐縮ですが、少し短目に御答弁をいただければありがたいと思います。
  31. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員御指摘のとおり、株価はこのところじりじりと上がってまいりまして、銀行にそのような含み益をもたらしておるということは事実でございます。  この一・九%、年率七・九%の経済成長率は、実を言いますと、私も予想以上のものでございました。その結果、我々が〇・五%のプラス成長を申しておりましたことしの初めまで、民間の三十以上の機関で、プラス成長を言うところはほとんどなかったのでございますが、最近になりまして十二の機関が修正をいたしましてプラス成長になりまして、経済企画庁は孤独でなくなって仲間が出てまいりました。  しかし、これで楽観できるわけではないと思っております。私たちは、まだ経済の事情は、雇用の問題あるいは企業利益の問題、構造改革の問題、まだまだ厳しいものがありますので、注意深く見守りまして、先ほども大蔵大臣の答弁がございましたように、四—六のQEが出たころにどのような手を打つか、慎重に考えていく必要があると思っております。
  32. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 そこで、きょうは日銀総裁においでいただいておりますので、伺いたいと思います。  景気回復には、何といっても消費がこれからどれだけ進むかということが大変重要なポイントです。GDPの六割は消費だと言われておるわけでありますが、今、日本の圧倒的多くの国民皆さんはどのような考えを持って暮らしているかというと、将来に対するさまざまな不安がある、しかし、自分で頑張って汗したお金はほとんど最寄りの銀行に持っていっている。  今、金融資産は、つい先日までは一千二百兆円と言われていましたが、きのうあたりの新聞を見ますと既に一千三百十四兆になった、これは日銀の発表でございます。一千三百十四兆。国民皆さんは、そのうちの七百五十兆は預貯金です。アメリカのようにマーケットが成熟していれば、それは投資信託の人が多い。しかし、日本の場合には、残念ながらマーケットはまだまだ大変未成熟です。だから、〇・一二%の配当しかくれない銀行にじっと黙って預金をしているわけです。  最近、私たちは地域に行って、御年配の皆さんとの会合に行くと、公定歩合はどうなるのだ、私たちは銀行に預けて、その配当で老後も何とかやっていこうと考えていたけれども、もう配当はないに等しい。  今、公定歩合は、一九九五年から史上最低がずっと続いています。〇・五%。今、公定歩合は、アメリカでは四・五%、イギリスでは六・七五%です。日本は〇・五%。だから、国民皆さんに対する、例えば預金をしましても、その配当は、アメリカで今四・八八%、ブレアのイギリスでは五・一九%です。日本はわずかに〇・一二%。つまり、百万円預金して一年たったときに、アメリカでは四万八千八百円の配当がある。イギリスでは五万千九百円の配当をしてもらう。しかし、日本ではわずかに千二百円です。  私は、消費が六〇%を占める、そういう意味からいっても、公定歩合はそろそろ見直すべきときに来ているのではないか。これは、私がここで言ったからといってどうすることもできません。これはもう日銀総裁のところで会議を開いていただく以外にない。しかし、日本国民皆さんはみんな見てくださっています。日本も、株価が一万八千、二万円近くなってきたというような状況になれば、そろそろ見直すべきときじゃないのかというふうに思いますが、どういう状況になったら日銀はこの公定歩合、最低〇・五を見直すのか。そして、公定歩合を下げるということは、目的は、それは市中銀行の金利が下がって、そして企業が設備投資をしてくださる、そして景気回復につながるということですが、どのデータを見ましても、設備投資なんか全然進まないのですよ。だとすれば、いよいよ消費に向けて公定歩合を見直すべきときが来ているのではないかと思いますが、日銀総裁からお答えをいただきます。
  33. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  日本銀行では、現在の景気判断につきまして、下げどまってはいますけれども、回復へのはっきりした動きというものはまだ見られていないというふうに判断いたしております。物価面でも、当面まだ需給ギャップというのが縮小しておりません。そういうことから、潜在的な物価低下圧力が残存しているというふうに見ております。このような景気、物価動向を踏まえますと、やはり現在は金融面からの経済活動を最大限下支えしていくということが景気回復を図ることにとって重要であるというふうに考えております。  御指摘のとおり、利息収入を介した個人消費への影響というものは、長引く低金利の中で非常に御苦労が多いというふうに判断いたしております。家計が厳しい状況にあることは十分承知いたしております。しかし、これまでの日本銀行の金融緩和措置によりまして金融・資本市場ではかなりの影響が出てきておりまして、企業金融の円滑化、さらには企業や家計のコンフィデンスの改善を通じて、徐々に実体経済にも好影響を与え始めているというふうに見ております。ここで仮に金利の引き上げによってマクロ景気が再び落ち込むようなことになりますと、家計部門の給与所得というのは総収入の約八割でございますから、雇用や所得への悪影響を通じて、結局個人消費にもマイナスの影響が及ぶことになりはしないかというふうに考えております。  以上の点を踏まえまして、日本銀行としましては、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまで現在の政策を続けるという方針を表明している次第でございます。
  34. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 きょうはこれ以上やりとりするつもりはありませんが、どうぞ御検討をいただきたいと思います。  私はつい最近に、二回目になるわけですが、山梨県のリニアモーターカーに試乗してまいりました。実は、なぜそんなことを申し上げるかといいますと、今度のこの雇用対策を含めた五千億の中に、創業者、中小・ベンチャー企業に対する保証制度が位置づけられました。私は大変いいことだと思っているわけであります。  最近政府は、例えば新規事業法、中小企業創造法、新事業創出促進法、あるいはこれからこの国会にもかけられるようでありますが、産業活力再生特別措置法などなど、次々と法案が提案をされているものをずっと一貫して見ますと、いよいよ小渕内閣が、二十一世紀に向かって、科学技術創造立国、日本のベンチャーを含めたそうした新規事業促進に大きくカードを切った、船がその方向に向かった、向かいつつあるということを感じます。  感じますが、一つ一つ細かくもう申し上げている時間はありませんが、総じて言うと、例えば一千万の保証をするとか融資をするとか、かなりちまちましていますよ。  私はこう思うんです。昨年の十月に、私たちは貸し渋り対策で四十兆の、英断を持ってさまざまな企業に支援をしました。あのことによって随分、もう事業がつぶれるかもしれないという方々が救われたというものを身近に私は見てまいりました。  しかし、それはどちらかといえば後ろ向きの応援です。それなら私たちは、次の時代のベンチャー企業や新しいビジネスを起こそうという方々に、もっと大胆に金融制度、支援制度、例えば債務の保証だとかあるいは融資だということを超えた、もう一つ、投資も含めて、我が国のこうした新しいビジネスを起こす方々、ベンチャービジネスに対して金融システムの支援制度をつくっていったらいいんじゃないか。  そして、特にこういうことを申し上げたいんです。いろいろな制度ができていますけれども、その審査をするのは残念ながら全部役所ですよ。今これだけ民間活力をと言っているときに、日本のベンチャーの最前線にいる専門家の人たちでむしろ審査委員会みたいなものをつくって、そこで民間の人たちが、これはベンチャーだ、だから国の支援もしてやれという選定をすべきですよ。そうしないと、今までのような、役所の選択で一千万の保証をするとか、債務保証をするというような形では、私は本当のベンチャーは育っていかないのではないかというふうに思うんです。  そこで、冒頭に私はリニアモーターカーのお話を申し上げましたが、総理、乗られましたか。私は総理に、もう乗っても安全ですから、どうぞ乗っていただきたい。  今五百五十二キロ、世界一の記録です。私が先月乗ったときは四百五十二キロでした。百六十キロから百七十キロになると浮上します。あ、浮上したという瞬間だけわかりますが、非常に静かです。そして、私はもっと揺れると思いましたが、ほとんど揺れません。そして、目から入ってくる光景は、まさに宇宙船に乗っている、そういう状況なんだ。(発言する者あり)いや、そういう感覚なんです。出てくるんですね、次々。四百五十二の掲示が出たとき、乗っていた人たちはみんな拍手しました。今地上を走っている世界一の乗り物に私たちは乗っている、その歴史の瞬間を感じて大変興奮しました。  私は、総理に近いうちに、日本がこの時代に世界一の技術をつくってきたリニアにはぜひ乗っていただきたい。どうですか——返事していますからね。乗っていただけますか。これは、私が言ったので乗っていただくと、また支持率上がりますからね。現地に行きましたら、既に何人かの大臣の色紙もありました。私は、現地を訪ねた大臣の色紙を見て、やはり小渕総理のここへ来たというしるしも欲しいと思いました。  ちょうどオリンピックのころに、私たちはまだ貧しい時代でした。しかし、それでも日本人は頑張って、東京—大阪五百五十五キロをわずか五年間で夢の新幹線を私たちは実現しました。そして、私たちはこの時代に世界一のエンジンをつくりました。そして、我々は世界一のトランジスタ製品を次々とつくって今日の平和と繁栄を築いてきたと思います。  今、日本人は新しい二十一世紀に向かってこのチャレンジ精神が必要だ、政府も民間もベンチャービジネスを起こそうという人たちも、私は、そういう意味で、さまざまな法案はつくりますけれども、その審査を役所がやるのではなくて、民間から選ばれた専門家の人たちがベンチャーに支援をするという新しい制度をつくるべきだと提案したいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  35. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ベンチャーに対しましては、これはそれこそ積極的な支援をしていかなきゃならぬと思います。  一つは、国としてということでございまして、これは先ほどちまちまと言われましたが、随時、国としての支援方策につきまして知恵を絞りながら努力しております。一方、今伊藤委員おっしゃられますように、国民は多くの資産を有しておるわけで、一千三百十四兆というお話がありましたけれども、こうしたお金の活用というものも必要じゃないかなというふうにも思っています。  いろいろ、エンゼル税制の問題で通産省も非常に苦心をしておりますが、率直なことを申し上げますと、今米国でやっておるようなものに比べますとまだまだ足りないのではないか。もっと民間の資金が活用できるように、ということはベンチャーというものはすべて成功するわけじゃありません。相当リスキーのある仕事もあるわけでありまして、そういった意味で、これに投資をした場合に、結局すべてこれが還元されるとも限らないわけでありますので、投資される方についてのストックオプションの問題等も含め、あるいは税制面でもし優遇するとかいうことで、両面からこれはもっともっと真剣に取り組んでいき、二十一世紀はまさに科学立国、日本人の持つ最も優秀な頭脳を生かしながら、これが事業体として成功していくような形にしていかなきゃならぬということは、全くお説のとおりだろうと思っております。  リニアモーターカーにつきましては、残念ながらまだ乗車しておりませんが、かつて宮崎県でそれの試験線がございましたときには私も乗車いたしました。あれから技術も進歩をしまして、実際に今、実験線で山梨県でやられております。一日も早く乗車をさせていただいて、みずから宇宙船に乗ったようなつもりで体験をしてきたいと思っております。
  36. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 そこで私は、余り時間がありませんから、もうこのパネルで説明をさせていただきますが、もう一つ、新規事業、ベンチャービジネスで、バイオテクノロジーの問題です。  アメリカは、二〇二五年にこのバイオの世界で約三百兆円の市場を目指しています。そこで、さまざま政府が、いろいろカードを切ったと私は申し上げましたが、今スタートしたところです、日本は。今、アメリカでは、代表的な微生物保存機関、これはさまざまな研究をするための微生物を保存しているわけです。これは日本は八千、アメリカは七万一千です。それからDNA、これは、これからがんだとかあるいはエイズだとか、そういうものの治療に向かっていく、人間のいわゆる染色体の分析です。日本は世界の一割、アメリカは世界の何と六割です。そして、このバイオテクノに対するライフサイエンスの予算です。日本は千三百二十六億円です。アメリカは一兆二千億円です。最後に、独創的な研究開発を担うベンチャー企業、これは日本の場合には、どこまでがバイオなのか、何をやっているかわからないような企業もありますが、とにかくたったの十五社です。アメリカは一千三百社です。  二十一世紀、人類に貢献する日本、新しいビジネスに若い人たちが情熱を傾けるというなら、私は、政府は大胆にこの新しい分野に踏み込んでいくべきだ、そして日本は今そのチャレンジ精神を持たなければだめだと思いますが、これは、将来ニューリーダーを目指しているんでしょう、通産大臣、与謝野先生、在任中にぜひこれをしっかり位置づけていただきたい。お願いします。
  37. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 先生御指摘になられましたように、ベンチャーというのはそう簡単に生まれるものではありません。やはり、非常に大きな目標を持って、大量の人と大量の資金を投入して初めて技術や考え方が生まれ、それがやがてベンチャーを生んでいくというふうに私は思っております。  そういう意味では、先生が今お話しになられましたバイオテクノロジーは、日本が目指すべき一つの方向であると私は思っておりますし、そこに相当の人と資金を日本社会全体として投入していく必要がある。また、ベンチャーの中では、バイオの世界はいろいろな可能性を秘めております。環境問題にも資しますし、食糧問題、あるいは健康、医療の問題、こういうあらゆる問題を解決できる可能性のある分野でございますから、日本も相当の資源をここに投入する必要があると考えております。  幸いにして、文部省、厚生省、農林省、環境庁、科技庁、私どもと五省庁で、このバイオだけを扱う連絡会が閣僚レベルでできました。小渕総理も、二十一世紀に向けてミレニアムプロジェクトを構想されておられますので、ぜひ、そういう小渕総理のミレニアムプロジェクトの中でこういうバイオテクノロジーなどが大きく取り上げられるべきだというふうに私どもは考えておりまして、また、そのためにも努力をしたいと思っております。
  38. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が参りましたので、最後にこれだけ示して質問を終わりますが、今、国民皆さんは、私たちの未来は大丈夫なんだろうかという将来に対する、年金、医療、介護など、セーフティーネットに対する心配があります。  そこで、厚生大臣にまとめて質問をいたしますが、現在三十九歳の方、働き盛りの三十九歳の方が、これから二十六年後は六十五歳の年金支給です。そのときにどれだけの年金をもらえるかというのは、これは我が党の考え方です、今、年金、現在もらっているのは二十三万八千円です。二〇二五年には四十一万八千円になります。そのときの現役の負担は、今は一七・三五%、御存じのとおりです。二〇二五年には二五・二%。つまり、トータルをすると、現在は年収の六二%を我々は支給されるわけですが、二〇二五年にはそれは五九%になる。しかし、それにしても、この制度を今改正していけば、二〇二五年にも、働いた方々が安心をして老後を送ることができると私は思います。  厚生大臣から結論だけ伺って、質問を終わらせていただきます。
  39. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 年金改革は五年ごとに年金財政再計算ということで、ことしはその年度に当たっております。  急激な高齢化社会を迎えまして、また、経済の低成長ということでございますから、どうしても、保険料をなるべく上げを少なくする、それから給付水準も今お話のように多少調整いたしますが、しかし、既裁定年金者の年金は上昇していくわけですね。そんなことで、また支給開始年齢等も、二〇二五年、つまり平成三十七年を目標時として今改正をしようとしています。また、国庫負担率も、基礎年金について、三分の一から二分の一にしようというような、いろいろな各面を通じまして、制度の安定化を図るべく改正案を用意してございます。  これは準備が相当整ってきておりますが、残念ながら、基礎年金についての自由党、与党内の調整がいまだ未調整でございますので法律の提出に至っておりませんが、早期に提出をさせていただいて、そして将来、安心、安定した制度として、これは国家が管理、経営する制度でございますから、絶対に安心感を与えるということが必要でございますから、そういった姿勢で取り組みをさせていただいております。
  40. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ありがとうございました。
  41. 中山正暉

    中山委員長 この際、自見庄三郎君から関連質疑の申し出があります。北村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。自見庄三郎君。
  42. 自見庄三郎

    ○自見委員 自由民主党の自見庄三郎でございます。  緊急雇用対策について、今回の補正予算があるわけでございますが、私は、雇用対策というのは、もう何よりも政策の最も重要なものだと思っております。  私ごとで恐縮ですが、私は、若いころ、福岡県の田川郡添田町という過疎の町立病院で実は七年間働かせていただいたことがございます。今さっき北村委員から話が出ましたが、旧産炭地で、大変疾病率も高い、また失業率も大変高い町でございました。  私は、当時青年でございましたが、やはり人生で最も悪いことは病気になること、それから失業することだ、そういった考えを持たせていただいておるわけでございます。失業されますと、当時、私は内科の医者でございましたが、往診かばんを持ってその家庭に行きましても、暗いと申しますか、本当に胸にじんとくるような思いを青年時代に何度もしたわけでございます。  そういった中で、まさに雇用問題というのは政治に与えられた厳粛かつ最も重要な問題だ、こう私は思うわけでございます。きょうは、少しきめの細かい問題かと思いますけれども、その中で特に高齢者の方の雇用について、いろいろ今さっきから北村委員伊藤委員が総論的なことをお聞きしていただきましたので、私は、まず高齢者の雇用問題について質問をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  これは労働大臣に御質問をさせていただきたいと思いますが、今回のこの緊急雇用対策の中で、いわゆる高齢者の就業のため、シルバー就業機会開発プロジェクトの拡充が盛り込まれましたが、この拡充内容、また、この拡充によりどのような効果が生まれるのか、こういったことを質問させていただきたいと思うわけでございます。  シルバー人材センター、初めてお聞きになられる方もおられるかと思いますけれども、簡単に申し上げますと、これは、六十歳以上の方で、健康な就業意欲のある高齢者の方が会員でございます。定年退職後の高齢者に対し、その希望に応じて地域の日常生活に密着した臨時的かつ短期的な仕事を提供し、もって高齢者の就業機会の増大を図り、活力ある地域社会をつくるというのが設立の趣旨でございます。  実は、昭和五十四年に社会保障制度審議会、私も現在、社会保障制度審議会の一員でございますが、当時、大河内一男会長のもと、高齢者の短期就業の実態を把握し、それに対処するための高齢者就業対策を講ずることが高齢化社会を正しく活性化するために必要である、こういった建議をいただいて、昭和六十一年あるいは平成八年、高齢者等の雇用の安定に関する法律というのができまして、今、実態として作用しているわけでございます。  平成元年は二十万人でございましたが、今は四十八万人の方が入っておられまして、契約金額も、平成元年は六百八十一億円でしたが、現在は千七百九十九億円、こういったように高齢者の方々の就業機会の増大に大変貢献をしてきた、こう私は思うわけでございます。  そのことはもう労働大臣、よくおわかりでございますが、今回のこの緊急雇用対策の中に盛られたシルバー人材センターの施策につきまして、御答弁をいただきたいと思います。
  43. 甘利明

    ○甘利国務大臣 自見先生御指摘のとおり、シルバー人材センターというのは、六十歳以上で、リタイアされている方、あるいは失業状態にある方を中心に会員登録をしていただきまして、そういう方々の経験とか知識を生かして短期就労の場を提供するという事業でございまして、これは大変期待されております。  御指摘のとおり、ここ一年で八・八%ほど会員数が伸びておりまして、会員数は伸びているのでありますが、今の景気がいま一つという状況の中で、発注の仕事がそんなに伸びておりません。そこで、会員の増加に対応した仕事量の確保を図っていきましょうということが今回の対策でありまして、約四十億円を計上いたしております。  具体的に言いますと、仕事を開拓してくる専門員をシルバー人材センターに配置しておりますが、これを増強いたしました。それから、市区町村からシルバー人材センターに仕事を発注しますときに奨励金を出しておるんですけれども、それに加えまして、シルバー人材センターが自分で独自につくり出すような仕事、例えば伝統工芸の経験のある方はそちらの仕事をするとか、あるいは補修教室だとか特産物の栽培とか、そういうシルバー人材センターみずからが創意工夫によって企画、実施をする独自の事業、これについても奨励措置の実施を追加いたしまして、事業の立ち上がり費用の一定割合を助成するということで仕事量を会員増強に対応してふやしていこうということであります。
  44. 自見庄三郎

    ○自見委員 今労働大臣から御説明をいただいたわけでございますが、この就業機会の開拓専門員の配置ということで予算をつけたということでございますが、私は、この政策は大変いい政策だと思っております。  計画によりますと、全国約二千四百人の、シルバー人材センターがどういう仕事をするか、その仕事をとってくると申しましょうか、仕事を拡張する方でございますが、これが今の説明にはございませんでしたが、職安の求職者を就業機会の開拓専門員に予定しているということでございますから、この補正予算が通れば、大体間違いなく二千四百人の雇用が確保されるわけでございます。  同時に、その人たちが雇用機会をまた求めてくるわけでございますから、それに対してまたシルバー人材センターの会員が働くわけでございますから、私は、こういったのはまさに一石二鳥の雇用政策じゃないか。お金を一遍使って、それがまた雇用が雇用を生むということになるわけでございますから、今のこういった大変雇用状態の厳しい中、今申し上げましたように、いろいろな年齢層の就業機会の増大ということは大変大事でございます。同時に、高齢者の方々の就業機会を確保するために大変すぐれた施策だ、私はこう思うわけでございますが、労働大臣、どう思われますでしょうか。
  45. 甘利明

    ○甘利国務大臣 現在は失業率が四・六%と非常に高いのでありますが、二〇〇五年をピークに労働力人口というのは減っていくわけでありまして、経済社会活力をどう維持するかということは、これから新たに労働力人口にどういう人たちに参画してもらうかというのがとても大事な政策でありまして、そこでは、女性の能力と高齢者の能力をいかに活用するかという非常に大事な政策があります。  そこで、シルバー人材センター事業というのは六十歳以上の方を会員といたしますから、高齢者の方にその知識経験を活用していただいて、経済社会の活力を維持向上する、そのための戦力として頑張っていただく。それが働く側にとっても、自分の能力を生かしながら職業生活を送れるという自己実現にもつながってくるわけでありますから、一石二鳥、三鳥の効果があると思いますし、その導入的といいますか、口火を切るような事業として、シルバー人材センター事業というのは大変有用であるというふうに思っております。
  46. 自見庄三郎

    ○自見委員 労働大臣から、シルバー人材センターについて、また今の施策について大変前向きの御回答をいただいたわけでございます。  もう一点、シルバー人材センター、今四十八万人ということでございまして、非常に会員がふえております。ウナギ登りにふえておりますが、仕事の内容でございますが、事務系の仕事の構成比が低いものとなっているが、今後、特に増加の見込まれるホワイトカラー層の会員のために事務系職種の開拓をいかに行うかも課題である、こういった課題があると思うのでございますが、これが一点です。  今文部大臣、それから郵政大臣おられるわけでございますが、昨年からの施策で、日本もやっと全生徒が学習できるためのパソコンの導入、それにインターネットをつなごうということが、両省の大変な御努力、与党の後押しでできたわけでございます。このインターネットの接続を進め、パソコン、コンピューターでございますが、その操作能力、情報機器リテラシーと申しますか、これを国民全体として、特に小学校、中学校、高等学校の生徒に上げることは、今この国が科学技術創造立国だといろいろ言われるわけでございますが、私は本当にこれはエッセンシャルな、必須なことだと思っております。御存じのように、アメリカのクリントン大統領も英国の首相も、これは国策のナンバーワンとして、実は強力に推し進めているわけでございます。  この国はいずれ必ずまた若い人たちに受け継いでいただかねばならないわけでございますから、そういった意味で大変大事な政策だと思うわけでございますが、このパソコン、コンピューターを小学校、中学校、高等学校なりで教える方ですね、いわゆる教える臨時講師と申しますか、パソコン、コンピューターの知識経験がなければ生徒に教えることができないわけでございます。  実は私、先般、北九州の中央郵便局が主催をいたしました高齢者のためのインターネット教室というのがございまして、ちょっと顔を出させていただいたのですよ。大体六十歳以上の方がパソコン教室に来られたのですが、びっくりしたのですね。大変、中にはもう本当にコンピューターの知識の豊富な方がおられるのですよ。どうしてですかと聞きましたら、実は私の選挙区は北九州市、かつての北九州重工業地帯でございますから、新日鉄だとか住友金属だとか東芝だとか安川電機とか日産の工場だとか、たくさんいわゆる大手の工場がございまして、そこで、例えば溶鉱炉でも全部コンピューターで管理してあるわけですね。そういったところで働いておられた方は、六十歳で定年になりましても実に該博なコンピューターの知識を持っておられるのですよ。そういった方が高齢者といったことで、フルタイムはきついけれども少し社会に貢献したい、そういった人材と人材を合わせるというのは大変有用なことではないか、こう思うわけでございます。  そういった意味で、このシルバー人材センターには無料職業紹介所としての機能もあるわけでございますから、まさにこの臨時講師に、そういったシルバー人材センター、特に今ホワイトカラーの職種をふやしたいというような希望もあるようでございますが、ぜひそういったことを積極的に考えればいいんじゃないか、私はこう思うわけでございます。そのことについて、労働大臣の御意見がございましたら。
  47. 甘利明

    ○甘利国務大臣 世の中を生き抜いていきますために、昔は読み書きそろばん、今はパソコン、英会話と言われていますけれども、両方とも余り得意でない私は二十一世紀に生き残れるかどうか定かではありません。御指摘のお話は大変前向きな、いいお話だと思います。  シルバー人材センターは、いろいろな能力を持っている方が登録されているわけでありまして、今のところの仕事は、どちらかといいますと事務系よりも現業職のような短期的な依頼仕事が多いのでありますが、登録している会員の方々もいわゆる事務系職種を希望する人が非常に多くなっておりまして、現在でいいますと、全会員の二一%ができれば事務系の職種でいい仕事が来ないだろうかという希望を持っていらっしゃるわけであります。  そこで、今回の緊急雇用対策の中で、パソコンそれから英会話能力を国際人として高めていくために小さいころから習得させていこうという事業がございます。シルバーに登録されている方々にも、そういう仕事をしていらっしゃってリタイアされた、あるいは現在失業状態にあるという方はかなりいらっしゃると思いますから、そういう能力を活用して、情報機器あるいは英会話等々、これから必要とされる、あるいは今必要とされている能力を将来を担う子供たちにつけていくということは、非常に大事なことでありますし、大変にいい御提案だと思いますので、そういう方向でシルバー人材センターの取り組みを働きかけていきたいというふうに考えております。
  48. 自見庄三郎

    ○自見委員 シルバー人材センターのことを高齢者の雇用について一例挙げたわけでございますが、ぜひ実情に即して、きめ細かく、そして強力に、今労働大臣はやっていくという決意でございますが、しっかり、何よりも雇用というのは最も今、最優先課題の政策でございますから、頑張っていただきたいというふうに思っております。  それでは、もう残された時間が少なくなりましたが、少子化対策について、今回の約五千億円の補正予算のうち約二千三億円でございますか、少子化対策臨時特例交付金に入っているわけでございます。  少子化というのは、これは御存じのように、先般の厚生省の発表によりますと、平成十年の合計特殊出生率が一・三八と更新したわけでございます。大変この国、人口の減少ということが起きるわけでございます。少子化の進行が経済成長へのマイナス効果地域の懸念、活力低下、あるいは国民生活に深刻な影響を及ぼすということは、我々は知っているわけでございます。  今回の少子化対策でございますが、基本的に、市町村に手を挙げていただきたい、こういうやり方でございますね。一番多いところは、これは多分横浜市になるんだろうと思うのですが、いろいろな計算方法がございますが、六十億弱。しかし、どんな市町村でも、いいメニューできちっと手を挙げて採用されれば一千万円はいただけるということでございますし、私は、まさにこれは昔ございましたふるさと創生子育て支援策ではないか、こう思うのですね。  こういう子育ては、まさに、政府が決めて押しつけるのではなくて、それぞれ一人一人の生活の話ですから、やはり市町村長が一番住民にもよく接しておられる。そういった中で、いいプランを出せば今度はお金が出るんだよということで、国がお金を出すという話ですから、私はそういった意味で、本当に子育てについて、今大変国民論議が盛んでございますが、こういった施策を核にしてますます、我々の市で、町で、ひとつ子育ての何かいいプランはないか。多分、市町村長は、今私の地元でもそうやっていますが、いろいろな人の意見を聞いてみたり、我々もそういったことに参加しよう。こういったことが、ふるさと創生子育て支援、これは私が勝手につけた名前でございますが、そういった草の根の少子化対策になる、こういうふうに私は確信をするわけでございます。  また同時に、今、保育所に、全国の保育園に待機して、特に保育園に入りたいよ、こういうわけでございますが、保育園があいていないという、いわゆる保育の待機児童が四万人いるわけでございます。この四万人の保育所待機児童の解消というのが今回の少子化対策についての一番大きな目玉だ、こういうふうに思うわけでございますが、この点につきまして厚生大臣から、時間が余りございませんから、手短に御説明をいただければと思います。
  49. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 少子化対策は、高齢化対策と並んで大変重要な視点でございまして、小渕内閣としても非常に重点を置いている施策でございます。したがって、閣僚会議をしたり国民会議をつくったり、また有識者会議の提言を受けて、これを具体化しようということでやってございます。  今御指摘の、今度の補正予算で計上されております少子化対策臨時特例交付金は、今委員のおっしゃられたとおりでございまして、保育の待機児童の解消、これは四万人くらいいますけれども、それが一つ。それから、地方の特殊性を生かす、つまり保育等の問題は地方が独自にアイデアを出していただいて、これを出していただくというようなこと。それから交付に当たっては、そういうところばかりではなくて、地方の独自性に基づいていろいろのメニューを出していただくことにいたします。  配分も、二千億でございますけれども、これを最低一千万円から、今横浜の六十億、指摘ございましたが、そういったレベルに、自主性を生かした対策としてこれを生かしていきたいと思っておりますので、よろしく御理解をいただきたい。
  50. 自見庄三郎

    ○自見委員 それから厚生大臣に、まさにこういったプランも大変私はすぐれたプランだと思いますし、メニューの中には、保育ステーションモデル事業、これは埼玉県で実際、県単位でやっているようでございますし、また家庭的保育園、保育ママ、資格を持つ看護婦さんだとか保母さんだとかが自宅で二人、三人保育をしても、少しそういうのは対象にしようじゃないか、あるいは環境整備をしようじゃないか。非常に私、今の時代にまさに草の根保育と申しますか、そういった芽が出てきているなというふうな感じもするわけでございますが、それはさておき、それも大事でございますが、やはり認可保育園をきちっと今の時代に機能していただくということも私は大変大事な政策だと思っております。  その中で、厚生大臣御存じのように、緊急保育対策五カ年事業がことしで大体終了するわけでございます。今内閣の方で、少子化対策関係閣僚会議、これは十八省庁だというふうに聞いておりますが、ここで十二月近くに基本方針を出すというふうに聞いております。今のエンゼルプランというのがございますが、これは厚生、労働、文部、建設が関係していると思っております。この基本方針、新エンゼルプランだ、私はこう申しているわけでございますが、少子化対策、政府を挙げて十八省庁でやるということでございます。  その基本方針、十二月でございますから、まだいろいろ政府の内部で御検討中だということもわかるわけでございますが、ポスト緊急保育対策五カ年事業をこの基本方針の中でやはりきちっと位置づけてほしい、私は強い希望を持っておりますが、そのことにつきまして、厚生大臣の御答弁をいただければというふうに思っております。
  51. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 平成六年につくられました十カ年計画のエンゼルプラン、その中の一つといたしまして、今緊急保育対策の五カ年計画を実施しております。十一年でこれは終了いたしまして、ほぼ概成いたします。目標値を上回ったものもございます。  そんな中で、先ほど申しましたように、少子化対策の関係閣僚会議を開きまして、今後の取り組みについて申し合わせがございますが、少子化対策というのは、単に保育所だけではございませんで、多様な対応が必要でございます。  今考えられておりますのは、固定的な性別役割分業、あるいは職場優先の企業ムードを是正する、あるいは仕事と子育ての両立のための雇用環境を整備するというようなこと、それから安心して健やかに育てるための家庭、地域の環境づくり等々、非常にいろいろの問題点を持っておりますので、これは十一年末までに基本方針を定めることが約束されておりますから、その中で、今委員のおっしゃられたような、今のエンゼルプランというか緊急対策の後期、どのような位置づけをしていけばいいか、またいろいろの点をよく検討させていただきまして、御趣旨のほどはよくわかりますので、そういった方向を検討させていただきます。
  52. 自見庄三郎

    ○自見委員 それでは、もう時間が迫りましたが、最後に文部大臣に。  幼稚園も、少子化対策で本当に大変重要な役割を担っていると私は思っております。今ごろ、子供数が減っていることでございますので、そのことは子供自身にも非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。この中で、預かり保育、平成九年から始めた制度であると思いますが、午後、希望者を幼稚園で預かっていただける。幼稚園、大体四時間が基礎でございますが、そういった中で、預かり保育事業というのは大変今の時代にかなった子育て、あるいは子供同士も幼稚園に残っておけば一緒に遊べるとか、私はそういった非常にプラスの面があると思います。  今後の幼稚園における預かり保育、これは大変大事なことだと思いますが、そのことについて文部大臣から最後に御意見を聞かせていただければと思っております。
  53. 有馬朗人

    有馬国務大臣 その前に、先ほどの情報教育のことにちょっとお答え申し上げておきますと、シルバーの人たちを活用するということで、語学や情報教育ができるように、免許証がなくても既に先生になれるようになっておりますので、大いに進めたいと思っております。  それから、幼稚園における通常の教育時間以外の預かり保育に関しましては、今非常に盛んになっておりまして、現在、全国の約三割が既にそういう努力をいたしておりまして、今回の補正予算におきましても、緊急少子化対策といたしまして、預かり保育のための環境整備初め、幼稚園における少子化関連施策を事業量といたしまして大いに努力をいたしているところでございます。
  54. 自見庄三郎

    ○自見委員 もう時間が参りましたが、最後に一言、小渕総理お願いを申し上げたいと思います。  先般、北村委員の方から質問がございましたいわゆる自自公連立についてでございますが、参議院の現状は、今連立を組んでおります自民、自由を合わせて過半数に達しておりません。予算あるいは法律のスムーズな成立のためには公明党協力が必要ですし、協力していただいていることは、私も与党の国会議員の一人として感謝をいたしております。  しかしながら、自民党と公明党は、それぞれ独自の党の生い立ち、歴史があるわけでございます。支持基盤、ひいてはおのおのの党のアイデンティティーが異なるわけでございますから、私は、例えでございますけれども、自民党と公明党はよい友達であってほしい、慌てて結婚して一つの屋根に暮らすことがすぐ必要なのかな、こういったことを実は党内でも主張させていただいたわけでございます。自由党と公明党協力は閣外協力が適当であるというふうに自民党の総務会等々で発言をさせていただいたわけでございますが、残念ながら、総理の入れられるところとなりませんでした。  しかしながら、自民党の総務会等でも多くの方が主張されておりますが、今まで長い間自民党を支援、支持していただいた関係団体、特に宗教法人を初めそういった方々に対する御理解、そして何よりも国民に十分理解をしていただくことが私は民主主義国家について必要だと思いますから、小渕総理にはまさに特段の御努力と御配慮を賜りたい、このことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  55. 中山正暉

    中山委員長 これにて北村君、伊藤君、自見君の質疑は終了いたしました。  次に、中井君から質疑の申し出があります。これを許します。中井洽君。
  56. 中井洽

    ○中井委員 自由党の中井です。  補正予算質疑に入ります前に、自由党を代表して、過日の集中豪雨で人命をなくされた、亡くなられた皆さんに心からお悔やみを申し上げ、また、被害に遭われた皆さん方にもお見舞いを申し上げます。  本日、我が党の中村鋭一議員、衆議院の災害対策委員長でありますが、彼を先頭に、衆参の災害対策の皆さんが現地の視察に行かれております。国会国会災害対策あるいはこれからの災害予防に全力を挙げますが、総理以下関係閣僚も、全力で被害者の救済そして災害対策にお取り組みいただきますことを、この際、冒頭に強く希望いたしておきます。  質問に入りますが、中小企業対策や緊急の雇用対策につきましては、後刻同僚の西川議員が質問いたします。その他、私ども、重要な問題について逐次端的にお尋ねをしていきたいと思います。  きょうは七月十四日でございます。一月の自自連立合意以来、連立政権がスタートしてちょうど六カ月が経過をいたします。そこで、この六カ月間の自自連立の評価について、小渕総理そのものの自己採点、ここらをお尋ね申し上げたい、このように思います。  私どもは、常に申し上げてまいりましたように、数合わせで連立を合意したわけではありません。総理が、並々ならぬ御決意とリーダーシップのもとに、改革に向かって自由党と一緒になって政策実現を図っていく、こういう強い決意をあらわされたからこそ、私どもは、その思いに賛成をし、そして政策合意を積み重ねて、今日まで半年間いろいろなことを、御批判もいただきながら自自合意を連立内閣として進めてまいりました。  そういう中で、かつてやられたことのない、大臣の数を削るということで、現実に今二名兼務でおやりをいただいているわけでございます。中央省庁の再編の法案が通りましたが、この中におきましては、十年間で公務員の二五%の削減、こういうことが盛り込まれているわけでございます。  地方分権の推進法におきましては、地方自治体の合併、私どもは最終的には三百に集約すべき、こういう公約を掲げておりますが、当面千ぐらいを目指した地方自治体の合併促進、こういったことを強く盛り込んだ法律成立をいたしております。  また昨日は、国会におきまして、衆議院におきまして、自民、自由、公明、民主の賛成のもとに、国会の活性法案、いわゆる政府委員の廃止、副大臣制の導入等を含んだ国会の大改革の法案が通過をいたしました。  特に、この政府委員の廃止、副大臣制の導入等は、十二月、両党首間の合意以降、一時私が自由党の責任者をいたしまして、自民党の皆さんと交渉をいたしました。初めのころは、正直言って、自民党の方から、中井さん、これ本気でやるのかとか、やったら大変だとか、いろいろなお話がございました。しかし、おいおいと御理解が広まって、よし、やろうということで自自合意が具体的に成立をして、今回、他党の御協力をいただいて、法案として成立をしました。次の国会から国会質疑が大きくさま変わりをするのだろう、また国会議員の体質等も大いに変わっていかなければならないのだろう、このことを痛切に感じております。  これら、国民皆さんにはなかなか見えにくい点もありますが、私どもは、具体的にこういう成果を上げてきたんだ、このように自負をいたしているところでございます。  いささか自慢めいたことにもなりましたが、これらの問題も含めて、総理のこの半年間の自自連立内閣の成果、お尋ねをいたします。
  57. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 成果というものは、これは最終的には国民の御判断にゆだねざるを得ないことだろうとは思います。  ただ、経過から申し上げますと、自由民主党と自由党との連立につきまして、昨年十一月十九日に、党首間の合意を受けまして、両党間で政治行政改革、安全保障等、多くの政策課題につきまして真剣な論議を積み重ねまして、合意した上で、本年一月十四日に、いわゆる閣内にともに責任を持つということでの内閣を発足いたしたところでございます。  私はその際、記者会見で申し上げましたが、両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよい点を相乗的に効果あらしめて、その結果、国家国民のために大きな役割を果たしていきたい、こう申し上げたわけでございまして、現在、そうした両党間の話し合いを連日行って、まだ結果を見ておりませんものもありますけれども、一つ一つ合意のできたものは現実化しているという成果を上げてきていると認識をいたしております。  この連立内閣は、この合意に基づきまして、今、中井委員おっしゃられましたように、閣僚数を減ずることになりました。恐らく、明治十八年に内閣制度ができて、閣僚の数は随時、もちろん時代の要請もあったのだろうと思いますけれども、その数がふえてまいりました。しかし、初めてであろうと思いますけれども、大臣の数を減少するということになりました。  これもいろいろ御議論のあったところでありまして、行政におきまする国民の要望が非常に強いということでありますので、大臣はそれぞれ役所を指揮監督していく上からも、大臣の数を必ずしも減ずるべきでないという意見もありましたけれども、しかし今後、この問題については、省庁が削減されるということも将来ございますし、また、副大臣あるいは政務官等を通じまして行政府に対する責任も、政治責任を果たし得るというような将来像も描きながら、今般、その一つのシンボルとして大臣の数を減少する、こういう画期的なことも行えたのではないかと思います。  その後、公明党協力も得ながら実効ある成果を上げてきたと存じておりまして、国民の信頼にこたえて、責任のある政治を進めることができたと認識をいたしております。  例えば本年度の予算も、これは先ほど申し上げましたように、非常に国民的要望の中で、一日も早く国として景気に対する影響力を行使するとすれば予算早期執行ということがあるわけでありまして、そのための予算案の早期成立というようなことも可能になったように考えております。  また、日米安保条約の効果的運用に寄与し、日本の平和と安全をさらに強固にするものとして、ガイドライン関連の法案も成立することとなりました。もちろんこれは橋本内閣以来の大懸案ではございましたけれども、こうしたガイドライン法につきましても決着を見ることができた、こう考えております。  また、言うまでもありませんが、先般両院を通過いたしました地方分権一括法あるいは中央省庁改革関連法案の成立等につきましても、明治以来の行政システムを抜本的に改めるという歴史的な大改革と考えております。  もとより、これが法律成立したからすべてではありません。今後とも対処していかなければなりませんが、こうした点についても、自自協力の中で、今後の方向性につきましても十分協議がし続けられるものと考えております。  申し上げましたように、政府委員の制度の廃止、副大臣の導入など政治改革につきましても、各党の協力を得て今国会成立の目途が立ちつつあるところでありまして、こうした政府委員の廃止、あるいは新しい副大臣、政務官等の制度につきましても、これは自由党の強い主張もあり、これから政治優位の行政を行うという立場からも、こうした強い後押しといいますか、話し合いがあって初めて成立への目途がついてきたのではないかというふうに考えております。  このほか、雇用対策にかかわる補正予算、産業競争力強化のための法律案を現在御審議をいただいておりますが、こうした経済再生に向けて喫緊の課題につきまして、迅速な対応ができるというところも大変意義の深いことだと思っております。  さらにまた、国内の政治のみならず、私どもしばしば外国に出張をさせていただいておりますけれども、やはり諸外国のいろいろと首脳との話し合いの中におきましても、政権の安定度というものにつきましては、お互い民主国家におきましてはそうした状況については非常に関心を深くしておるところでありまして、したがって、この内閣につきましても、協力をともにする政党があり、それを基盤にして政治を進めることができるということについて、外交の面からも非常に効果をみずから認識させていただいておるということでございます。  挙げれば限りないことかと思いますけれども、さらにこれから、ともどもに相協力しながら、実質的な成果を上げていくことのできるように努力をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  58. 中井洽

    ○中井委員 具体的に思いを込めてお話しをいただいた、こう思っております。  私どもはそのほかにも、予算総則の中に、消費税を基礎年金、高齢者医療、介護、こういうところに使途を限定する、こういう書き入れをさせて、先ほど厚生大臣お話がございましたが、年金、医療、介護等のことで今猛烈に論議をいたしておる。あるいはまた、ことしの予算においての十兆円近い、九兆円を超える諸減税というものが実行できた。  こういういろいろな政策を、今までやれなかった政策、改革を、お互いが辛抱するところは辛抱しながらやってきた、しかもスピードアップをしてやってきた、ここに、国民小渕内閣に対する評価、また株価の上昇、こういったものもあるのだろう、こう私自身も思っています。これからも油断なく、また間断なく、景気対策を含めて日本の改革にお互いが取り組んでいかなきゃならない、こんなふうに考えております。  そういう中で、全部が全部できたわけではありません。まだこれから幾つも幾つも約束を果たしていかなければならないことがございます。そういう問題について、幾つかお尋ねをいたします。  まず、本年度の予算の中に五千億の公共事業予備費というのが盛り込まれております。これはかつてない発想であろうか、こう考えておりますが、今補正予算におきまして、赤字国債を発行せずに補正予算が組まれているわけでございますが、そのうち千四百億ぐらいが予備費の流用、こういう形になっております。  私も二十年ぐらいしか国会におらせていただいておりませんが、予備費をこの七月の段階で補正予算に回してしまうというのは極めて珍しいのじゃないか、こう考えております。これはこれで御工夫であろうかと思います。  しかし、私どもは、これを妙に考えるわけじゃありませんが、公共事業の五千億というものが、私どもと自民党との予算編成に絡む合意どおり使われずに、これから純粋な予備費的な形で残され、そして違う形で使われてしまわないか、こういったことを実は正直言って懸念いたしております。  公共事業については、国家的プロジェクト、中部国際空港、関西国際空港二期等、あるいはまた整備新幹線等について、優先的、重点的に措置をする。また、現在の計画の前倒し実施を図ることとし、その具体化のための両党間の作業を早急に開始する。こういったことを、十二月の十六日に両党間政策責任者会議で合意をいたしております。  こういう方針で間違いなく五千億を使っていくんだ、この確認を宮澤大蔵大臣お願いを申し上げたいと思います。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年、予算編成時に両党で協議がございましてそれが確認されておりますが十二月十六日でございます。  一つは、公共事業費については、予算ベースでも、支出ベースでも平成十年度比一〇%以上とする、こういうことでございます。次に、国家的プロジェクト(整備新幹線、中部国際空港、関西国際空港二期等)については、優先的、重点的に措置する。また、現在の計画の前倒し実施を図ることとし、その具体化のための両党間の作業を早急に開始する。いろいろ両党に御主張があったようでございますけれども、これが最終的な協議として確認をされております。  この五千億円というものを公共事業等予備費に組みましたのには確かにいろいろ理由がございますけれども、自由党におかれて、予算ベースでも支出べースでも平均十年度比一〇%以上とせよという御主張を、真っすぐ公共事業を具体的な予算として計上いたしましただけではこの自由党の御主張を満たせないと考えまして、ここに五千億円を計上した、こういう経緯があったと存じます。  ただ、これは予備費として計上をいたしましたので、一般の予備費と同様の使用の要件に従わなければなりませんで、予算編成の段階で予見しなかった事態の発生によって公共事業等の経費に予算の不足が見込まれた場合にこれを使うことができる、こういうことでございます。  御承知のように、災害等は別といたしまして、国会開会中にこれを使うことができませんので、したがいまして、将来、そういう予見しなかった事態等が公共事業に生じましたときに使うことになると思いますが、その際には、ただいま御指摘の点を含めまして、社会経済情勢に照らして適当な分野に使わなければならない、御協議のあったことはよく承知をいたしております。
  60. 中井洽

    ○中井委員 宮澤大蔵大臣の慎重な言い回し、私が読み上げた文書をまだ一々お読み上げいただくようなことを見ておりますと、少し違うんかなという感じがいたします。  そこで、その当時の責任者でありました野田自治大臣に、この点のもう一度の確認をお願いいたします。
  61. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは、さっき総理からお話ありましたとおり、十一月十九日の両党首における合意事項の中で、予算編成を共同して行うという合意に基づいて共同編成作業に入ったわけでございます。  そのときに、自由党として、結局、経済問題というのが、特にこの景気対策という大事なところでストップ・アンド・ゴーの形に入って、常に手戻りをして、結果としてトータルコストを高くしてしまっている、したがって、アクセルをぐっと踏むときは踏むべきであると。ただ、十二月に入ってからの予算編成作業では、既にいろいろな要求が出尽くしているので、そこで具体的な箇所づけ等々の作業に入れない。そこで、支出ベースでも予算ベースでも対前年一〇%以上ですということで、五千億というのを私たちの主張で入れました。  本来、それは予備費ではなくて調整費で入れよう、調整費であれば予算成立した後それの配分先が決められるということだったんですが、当初から五千億の公共事業調整費をのせるということについて、今まで前例が全くないんでとてもしんどいというんで、とりあえず公共事業予備費という形にして計上する、だけれども、実際には、予算成立した後直ちに具体的な配分に入りますと。ただ、法律上、財政法上、予備費という定義が多少難しいんで、せめて配分だけでも内々決めておこうじゃないか、そうすれば早目の手当てができて年度内の事業執行ができるということでそういう意味にしたんですが、残念ながら、今のところちょっと、財政当局の方が、予備費ということを上手にうまく活用して、もうちょっと待とう、五千億の使途をもう少し考えてと、いろいろなことまで五千億でやろうという配慮があるのかもしれません。  そういうことがあってはいけないんで、あえて今宮澤大蔵大臣から申されました国家的プロジェクト、整備新幹線、中部国際空港、関空二期工事等、こういったものに重点的に措置するということまでわざわざ言及したのは、実は、この五千億の使い道を一般的な公共事業にばらまくんじゃなくて、あるいは災害対策の穴埋めに使うんじゃなくて、これはこれで最初から予定して使うんですということにアクセルを踏んだ、私はそう理解をいたしております。  私は、今大蔵大臣がいろいろ慎重な言い回しをされたのは、法律上の解釈等との関係もこれあり、断定的なことは言いにくいが十分そのことを念頭に置いておりますということの趣旨ではないか。私は、そうあってほしいし、またそれが自自の連立に当たる予算編成のスタンスであった、そう思っておりまして、今その確認でありますから、私は、それが、いずれこの五千億の具体的な使い道が決まるわけですから、その際には反映されていくべきものであるというふうに考えております。
  62. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、景気対策にとって大事な財源であり、また国家プロジェクトの諸事業に集中的にそれを使っていくことが日本にとっても必要だと考えて工夫をしたところでございます。これらが、いろいろと問題ありましても、そのとおり使われていくように与党の一員として努力いたしますが、政府におかれましても十分経過等を踏まえて対処されることを強く要求をいたしておきます。  それからもう一つ、介護の問題についてお尋ねをいたします。年金あるいは高齢者医療ということについてもいきたいのですが、当面、介護のことについてこの場でお尋ねをいたします。  いろいろと地方自治体も含めて御準備を急いでいただいて、困難な問題を抱えていらっしゃいます。私どもは、ここまで来ましたから、介護サービスというものは当然来年四月から実施をすべきだ、このように考えております。  しかし、最近のある新聞社のアンケートでも、五〇%以上の人が、実は来年四月から保険料を徴収されるということを御存じない、また保険料を払うけれども、大半が掛け捨てになって、そして自分たちのところへ戻ってくるという方式ではないんだ、年金や医療のように給付があるということではないんだ、こういったことを御存じでない。  こういう中で、四十歳以上の方々が、年金生活の方も含めて保険料を徴収される。特に、六十五歳以上の方々は、年金にもよりますが、平均三千円ぐらいを年金から天引きされる。夫婦でいきますと、年間七万二千円ぐらいの負担の増になるんではないか、このように計算がされます。  現行の厳しい経済環境、特に個人消費が冷え込んでいる状況の中、先ほど伊藤議員から、そういった意味で預金の金利を早く上げろ、こういうお話がございました。私どもは大賛成でありますが、しかしこの預金の金利以上に厳しい七万二千円というものが取られていく。こういったことを考えますと、私どもは、一昨年消費税を上げたあの政策は大失敗であった、こう考えて今日まで消費税を凍結しろと言ってまいりました。また、連立政権という中で、私どもは、先ほど申し上げましたように、消費税を福祉目的税化して、介護や年金や医療、高齢者医療に使う、こういったことを予算総則に書き込ませたわけでございます。  年金や高齢者医療のことはこれからも論議を続けてまいりますが、介護は来年四月から初めて保険料を取るわけであります。総理、この機会に、思い切ってこれを消費税で賄っていく、一昨年上げました消費税で賄う、こういう形で福祉政策として実行していく、このことは非常に私は時宜を得た施策だ、こんなふうに思います。また、自由党としてもこれを強く今求めているところでございます。総理大臣の責任者としての御判断、お考えをお尋ねいたします。
  63. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今後の急速な高齢化の進行に伴いまして、さらに深刻化する高齢者介護の問題に対応するため、増大する介護費用についての財源を安定的に確保していくことが必要であることは言うまでもございません。  このため、個人の自立自助を基本とした仕組みであり、サービスと負担の関係が明確で、負担について国民の理解を得やすい社会保険方式で行うことといたしております。  また、地域間格差のない介護サービスの供給体制の整備を進めるため、新高齢者保健福祉推進十か年戦略を着実に推進するとともに、現在各市町村において策定作業中の介護保険事業計画も踏まえ、介護サービスの供給体制の整備を進めてまいりたいと思います。  いずれにしても、現在市町村において平成十二年四月からの施行に向けて懸命の準備作業を行っており、国としても制度の円滑な実施に向けて努力してまいりたいと思っております。  今、中井委員御指摘のように、この財源をめぐりましていろいろと御意見のあることも承知をいたしております。特に自由党としてのお考えにつきましても、これは十分承知をいたしておるところでございますが、現時点におきまして、政府といたしまして既に決定をいたしております方針でございますので、この方針のもとに国民の御理解をさらに一層得ながら、実施に向かって進んでいきたいと念願いたしております。  委員憂慮されますように、まだ国民各界各層におきまして、この介護保険における負担と、それがいかにあるべきかという問題につきまして十二分な御理解を進めていきませんと、結果的にこの制度が崩壊することになりかねないわけでございますので、ぜひそういった点で、今後の課題としてこの問題について勉強させていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  64. 中井洽

    ○中井委員 せっかくのお言葉ですが、今後の課題といいましても、もう来年四月でございます。実施のあり方については、いろいろと地方自治体とのやりとり、工夫、御努力をいただいていることを承知いたしております。しかし、説明すればするほど、国民の中でこの負担についての反発が大きい。現在、国民年金ですら三割が未加入であり未納であり、そして猶予されている人たちでございます。その上に市町村がこういったものを取り立て、徴収をやる。私は、到底制度が円滑に動いていくと思えません。  そういった意味で、先ほど平等に全国一律に実施するというお話がありましたが、保険料すら全国一律ではありません。これを全国一律でやるということであるならば、一昨年値上げした消費税で賄う。幸い初年度は二兆円ということでありますから、一昨年上げました消費税二%、国へ入っている分はちょうど二兆円前後でしょう。ちょうどいい金額ではないか。私どもは、あえて申し上げて、これからも自自協議の中でお訴えを申し上げていきたい、このように思います。  それから、もう一つ自自合意の中で成立を図っていかなければならないことは、衆議院、参議院の定数是正の問題でございます。  参議院におきましては、超党派の会合においてそれぞれの改革の案をおまとめいただいておるということでございます。衆議院におきましては、党首合意を受けて、当事者間で、比例代表定数五十を削る、そして今国会中に成立をさす、こういうことが合意をされているわけでございます。自民党さんのその責任者でサインされているのは、予算委員長中山先生でございます。現在、与野党選挙制度等に関する協議会の実務者会議の座長でもいらっしゃるわけでございます。  当然私どもは、他の自自合意の成立と同じく、この五十名の定数削減が次の総選挙までに実施される、このように確信をいたしておりますが、これに取り組まれます総理の御決意をお尋ねいたします。
  65. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これまた小沢党首と私との間の重要な合意点でございます。  したがいまして、当時、この行政改革の問題におきましても、公務員の定数削減という問題について大きく世に問われておる問題でありまして、そういった点で、国会議員の定数につきましても、この問題についてやはり国民的理解を得るためには、みずからその身を削るという必要があるのではないかということで合意をいたしたところであります。  その後、今お話しのように、党と党との話し合いの中で詳細についての話し合いを進め、お約束ができており、かつ、そのことに基づきまして法律案も成案を得ておるわけでございます。したがって、私といたしましては、ぜひ、こうした方向性につきまして国会の御理解も得ていかなければならないかと思います。  ただ、国会議員の身分にかかわることで、もちろん小沢党首と私との間におきましてそうした合意は成り立っておるわけでございますし、また、このことにつきましては、国会議員の身分全体にかかわる、もっと申し上げれば制度にもかかわることにつながっておりますので、各党間での御協議もまた、なければならないかと思っております。  いずれにいたしましても、合意におきましての重要な諸点でございますので、これから、この問題についての解決のために御支援、御協力を得られますように、各党にもお願いいたしていきたいと思っております。
  66. 中井洽

    ○中井委員 民間が大変厳しいリストラのあらしの中にあります。また、公務員の定数削減も、私どもあえて二五%という大変厳しい数値を設定いたしました。そういう時期に、国会だけが定数をいじらない、こういうことでは世間の国会に対する信頼というものは一切なくなってしまいます。私どもは、堂々と五十名の定数削減、これの実現に向かっていくべきである、努力すべきである、このようにあえてつけ加えて申し上げさせていただきます。  あと五分もありませんので、オウム対策についてだけお尋ねをいたします。  私は、かつて、オウムに破防法をかけるべきである、この予算委員会で二度にわたって主張もいたしました。残念ながら、いろいろな情勢の中で、破防法の適用が見送られました。しかし、今日、数年たって現状は、だれしもが破防法をかけておけばよかった、適用しておけばよかったと思っているような状態にございます。  オウムがいろいろな形で移転をしたり進出をしてきた地域の住民の不安というものは、言い知れない、はかり知れないものがございます。この地方自治体の人たちは、もう既にオウム防止で法律すれすれあるいは法律を超えた防止策をやっておられる。しかし、それに対して、国としては何をやってくれておるんだ、激しい怒りの声が上がっているわけでございます。  警察、公安、国税等含めて、ありとあらゆる連携と対策をおとりいただいておるんだろうと思いますが、過日、私どもの部会におきましてお尋ねをしましたら、ある役所はオウムの出家信者九百、ある役所はオウムの出家信者五百、一体どっちだと言ったら七百だ、こう言うのです。間をとるのがありますか、こんなことで。何にも連携をとっていない。捜査当局、出先機関すら連携をとっていない。こういうことで本当に住民の不安はなくなるのか、心配をいたしております。  私ども党も、私が責任者で今法案等の準備を急いでおりますが、自自でこの対策をする、こういう幹事長会議の結果になりまして、また、私どもも、鋭意他党の皆さん方とのお話し合いも進めて、早急なオウム対策、立法化をしていきたいと考えておりますが、政府におかれて、政府自身が立法化をする、あるいは対策を強化する、これらについてのお考えはいかがなものか、お聞かせをいただきます。
  67. 陣内孝雄

    ○陣内国務大臣 オウム真理教は、今委員が御指摘のように、危険な体質を今なお維持したまま、豊富な資金を背景に新たな拠点を獲得するなど活動を活発に行っておりまして、凶悪重大事件に対する謝罪はもとより反省の意も示していないというようなことから、国民皆さんに不安や危惧の念を依然として与えており、払拭できておらないということでございます。その活動拠点の周辺では、住民の方々とのトラブルも絶えない状況にございます。  したがいまして、こういう状況を踏まえまして、法務省といたしましては、政府に設置されたオウム真理教対策関係省庁連絡会議などを通じまして、警察庁、国税庁など関係省庁と相互に協力関係を緊密化させて情報交換を行っており、また、公安調査庁におきましても、オウム真理教の動向いかんによっては破壊活動防止法に基づく規制処分を再度請求することも念頭に置きまして、現在、厳重な調査、監視活動を行っておるところでございます。その結果得られた情報は、国の関係機関はもとより、住民とのトラブルが発生している地域の地方自治体にも提供しております。  いずれにいたしましても、現在各地で生じている事柄からいたしまして、できる限り早急に法整備について検討を行ってまいりたい、このように考えております。
  68. 中井洽

    ○中井委員 ここに、上祐の牢獄からの我が党党首に対する請願書なるものを持っておりますが、この文書を見ましても、何一つ反省していない。集団として三十六人の人を殺し、あれだけの事件を起こしながら、何一つ反省をしていない集団、団体、これらに対する住民、国民の怒りというのはすさまじいものがありますし、不安も大きいわけであります。全力を挙げてお取り組みをいただきますように、また、私どもも政党人といたしまして全力で対策を急いでまいりますことを申し上げて、質問といたします。
  69. 中山正暉

    中山委員長 この際、西川太一郎君から関連質疑の申し出があります。中井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西川太一郎君。
  70. 西川太一郎

    西川(太)委員 自由党の西川でございます。  私は、この場で何回となく信用保証制度につきましてお尋ねをしてまいりました。思い起こしますと、当時は野党でございまして、今閣僚席にお座りの野田大臣、また当委員会の委員であります鈴木淑夫議員、こういう方々が、総理、そして元総理、蔵相であらせられる宮澤先生にお尋ねをした。  その中で宮澤大蔵大臣は、何でこのことに気がつかなかったのか、大変すばらしい着眼点だということが一つと、私に対する答弁としては、銀行に直接お金を入れるよりも貸し渋りのためにはこちらの方が役に立つというような御趣旨の御答弁をいただきました。大変建設的な提案をする野党と、それを幅広く受けとめて実現する与党。今、与謝野通産大臣がこのことの推進役になっていただいておりますけれども、私は、商工委員会の委員でもございます、理事でもございますので、大変このことを喜んでおります。  ところが、やっと十一年一月—三月期の景気はプラスに転じてきて、年率にすれば八%にも及ぼうか、そんな空気でございますけれども、一般には、実感としては、特に規模の小さい業界ほど、そんなことはもう夢みたいな話ですね、実感は全くありませんね、こういうことでありますし、民間のシンクタンクも、官需によって支えられている、政策の支えがあるから何とかこうなっているんだ、完全な民需の回復ではないんだ、こういう意見もかなり強く聞いております。  そこで、信用保証協会のこの制度を、私は、モラルハザードの面も確かにあるし、これをのんべんだらりんと続けるべきだとも思いません。ただ、せっかくこれは大変な小渕内閣の善政でございまして、私も都議会議員と国会議員を合わせて二十二年になりますけれども、こんなに感謝をされたことはないと言っても言い過ぎでない評価なのですね。せっかくこういう苦しい中の瀬戸際に追い込まれた中小企業を助けられた、または中堅企業にまで手を伸ばした、これはすばらしいことなので、倒産件数も著しく減りました。  そこで総理に、まず、このことに対する感想、自己評価を伺いたいと思います。そして、さらにこれを拡充してもらいたい、こういう希望に対する御見解も承れればありがたいと思います。
  71. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今般実施をいたしました特別保証制度によって、貸し渋り対策として講じました二十兆円のこの制度につきまして今お話がございました。  段々の経緯の中で、西川委員からの御指摘もあり、また与謝野通産大臣初め通産省の皆さん、また大蔵省もこれを理解されて、こうした政策を打ち出すことの効果というものにつきましては、私自身のところにも多くの方々からお話を承って、善政ということを申し上げてはいかがかと思いますけれども、打った手としてはなかなか強力な手法であったというふうに理解をいたしております。  日ごろ、民間市中銀行に日参をしてお金を借りるために精力のすべてを尽くすというようなことにかんがみれば、都道府県の保証協会に参りまして、限度はございますけれども、このお金が大いに活用されて、貸し渋りが行われるような状況の中でみずからの企業における資金繰りに大きな効果を発揮した。そのゆえかどうか、必ずしもすべてではありませんけれども、年末の倒産件数なども、一つの数字としては、これが非常に減少してきておる状況考えますと、やはり効果があったという感じがいたしております。  お話しのように、モラルハザードの問題等も、最近はやや、その効果についての評価とは別に、反面のことを強く主張されるような記事も散見いたしておりますけれども、総体として、これによって、中小企業並びに中堅企業が大いにこれを活用していただいて、この危機的な経営状況を乗り越えたという意味では効果があったものと考えております。  現在はまだ、二十兆円のうち承諾金額も十六兆円に上ってはおりますが、なお若干の余裕があるわけでございますが、せっかく行ったこうした政策というものは、先ほどの野田大臣のお話ではありませんが、アクセルを踏むといいますかやることは途中で中断するというようなことのないように、必要とあらばやはり十分これにこたえていくということであり、かつこれを利用される方々も、国民皆さんのそうした貴重な財源をもとにしてみずからの企業が生き延びようとしているわけでありますから、大いにひとつ企業体も頑張っていただいて困難な状況を乗り越えていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  72. 西川太一郎

    西川(太)委員 事故率は〇・〇九%でございまして、代位弁済は百三十七億円で済んでいるのですね、今既に。この十月になりますと、一番先に適用を受けた方々が元金を返し始めるわけであります。中小企業の皆さんというのはまじめなんだなと思うのは、据置期間を待つと返す金額がその分多くなるというので、実は、ちゃんと、もう借りた翌月からせっせと返しておられまして、東京都の、未確認の数字でございますけれども、その衝に当たる方から伺いますと、七割がそうしている。和歌山県などは九五%がそうしている。全国平均が、先ほども御答弁ありましたけれども、七割。  こういうことを考えますと、与謝野大臣にお伺いしたいのでございますが、いよいよ元利を返し始める、今のようにほとんどの方がきちっとお返しになっている、大変すばらしいことだと思うのですが、しかし、条件が緩和されれば、そういう方にも裨益する部分もあるし、また事故扱いにならないで今後も継続してそうした公的資金を使えるようにもなるわけでありますので、その辺につきまして、通産省として、返し方の条件緩和といいますか、例えば阪神大震災のときの特例みたいなことが先例としてあるわけでございますから、そんな工夫をしていただけないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  73. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 保証いたしましたときは一定の条件のもとで保証しておりますから、原則としては最初お約束したことを守っていただくということがルールだろうと思います。  しかしながら、個別のケースについては、やはり各県の保証協会あるいは金融機関が弾力的に対応するということは、企業を生かしていくためには、または、自分たちが貸したお金あるいは保証した枠、そういうものの将来の取り戻しがきくということを実現するためにも、柔軟な態度で対応するという場合はあり得るわけでございまして、当然通産省でも、そのような個別具体的なケースについて各県の保証協会が弾力的な態度で臨むということはむしろ推奨されるべきことだろうと思っております。  ただ、原則は冒頭に申し上げたとおりでございます。
  74. 西川太一郎

    西川(太)委員 通産大臣、個別対応ということは、例えば五十二の信用保証協会で六千人の職員でそういう対応が果たしてできるのだろうかという疑問もございますし、恣意的と言うと語弊があるかもしれませんが、地域によるいろいろな取り扱いの差が出たりするということも心配されるので、一律でそういうことを御検討していただけないかどうか、そんな気持ちを持っておりまして、これを私の要望というふうにさせていただきたいと思います。  それから、今度産業再生法案が上程をされるわけでありますけれども、その中で、ベンチャー企業向けのいわゆる無担保保証制度を新設するということ、また、二十兆円の総額という枠はふやさないと。  それで、貸し渋り対策の今四兆円残っている、八十六万社が使っているわけでありますけれども、その残の四兆円の中でこのベンチャー向けの融資をされるのか。そうした場合にはこれからの特別保証枠の需要を圧迫してしまうのじゃないか、枠を食ってしまうのじゃないかという心配があるのですが、これは杞憂でございましょうか。
  75. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 まず、先ほど総理からお答えいたしましたように、昨年十月一日から始まりました保証の特別枠というのは、全体二十兆用意いたしましたが、現在まで使った枠は十六兆でございます。残り四兆ございますが、先月あたりから、毎月保証をいたしておりますのが大体四千億ぐらいのレベルに来ております。ですから、その四千億で四兆円を単純に割りますと、季節調整とか年末のことを考えなければ、毎月四千億保証していきますと十カ月もつということに相なります。  今回、大変落ちついておりますので、我々としては、ベンチャーに対することをいろいろ考えましても、従来の特別枠の運営には多分支障は来さないだろうと思っておりますし、かてて加えまして、小渕総理は記者会見で、必要かつ十分な保証枠というのは将来追加することはあり得べしということを示唆されていることもございまして、今回ベンチャー枠を設けるということが、従来の保証枠の運営に支障を来すか、特別枠の運営に支障を来すかという御質問であるとすれば、それはないと私どもは考えております。
  76. 西川太一郎

    西川(太)委員 どうかこの制度を、冒頭申し上げましたとおり、ここにおいでの各党の委員の皆様も、それぞれ御地元やお知り合いから大変このことについて高い評価を経験しておられると思います。これはぜひひとつ、政府として、この制度を最後まできちっと活用できますように、特段のお力添えをお願いしたいと思います。  もうわずかでございまして、短い時間で大事な問題をお尋ねするのは恐縮でございますが、宮澤大蔵大臣に一つだけお尋ねをさせていただきたいと思います。  先ほどもちょっと申しましたように、平成十一年一月—三月期の実質GDPは前期比の一・九%増となった。景気は厳しいけれども、雇用も厳しい、設備投資も厳しい、個人消費も厳しいが、しかし、何となく明るい方向に向かいつつある、月例経済報告の行間を読めばそういうことでございます。そこで、経済の見通し、一点でございますが、伺いたいのです。  と申しますのは、最近出されました雑誌に、民間のシンクタンクの経済の見通しが五つ六つ載っているわけでございますけれども、一カ所を除いた五つぐらいのシンクタンクがみんなマイナス成長だろうというのですね。つまりそれは、民需の回復に至っていないんだ、政策的官需の下支えで辛うじてもっているんだ、こういう見通しなんですが、これは大蔵大臣が、こういうふうにすればそれはこうなるというところをひとつお聞かせ願いたい。短い時間で恐縮でございますけれども、私の持ち時間は十二時まででございますので、お願い申し上げます。
  77. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから西川委員が、今の経済は官需に支えられていると仰せられまして、私もそのとおりだと思います。これだけ大きな市場経済がいつまでも官需だけで支えられるものではありませんで、やはり民間個人消費と企業の設備投資、この二つの柱が本当に出てきませんと、いわゆる普通の経済循環に入らない。それで殊に、リストラがございますし、今そういうことで雇用とリストラについて法案と補正予算お願いしているわけですが、これが本当にいつ出てくるか。個人消費の方は少し動意が見えますが、設備投資の方は遺憾ながらまだ見えないということでございますので、それでだんだんに、しかし、予算執行されてまいりますとそこへいくとは思いますものの、一—三月が四—六月にも本当にそのままになるのかということも、確たることはなかなか申しにくい。  でございますから、世の中には、もう一つ政府がしないとだめだぞというお話、御心配があります。そうでありますか、そうでありませんか、もう少し時間をかけて見たいと思いますけれども、少なくとも、御心配がある向きに、いや、そういう事態になっても何にもいたしませんと私どもは言うべきじゃない、御心配がないようにしたいと思いますが、そうなりましたら、やはりそれはそれで対応いたさなければならない、そういう気持ちで見ております。
  78. 西川太一郎

    西川(太)委員 未曾有の平成不況、国民は世論調査でも景気回復を第一位に望んでおられます。政府が切れ目なく、企業がゴーイングコンサーンということを求められるならば、それを支援する政策も文字どおり継続的に切れ目なくやっていただきたい。必要なところに必要なだけ必要な力をぜひ配っていただきたいと思います。  私どもは、本日で自自連立半年の記念すべき日でございますが、政治の約束ということがきちっと守られることが国民の政治に対する参加の度合いをふやすことですし、それによって初めて政府に対する信頼、国会に対する信頼が醸成されると思います。  一生懸命、小渕総理を先頭に、信義を全うする政治をやっていただきたい。特に、苦しい経済状況の中で、困っている方々を大いに助けていただきたいと要望いたしまして、質問といたします。どうもありがとうございました。
  79. 中山正暉

    中山委員長 これにて中井君、西川君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  80. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井一君。
  81. 石井一

    石井(一)委員 質問に入ります前に、我が党の同僚議員でありました山花貞夫君が、けさ逝去されました。本予算委員会のメンバーでもございました。同僚各位の御了解をいただきまして、山花君に心から哀悼の弔意をささげたいと思います。  次に、質問に移ります。  まず、補正予算についてお伺いをしたいと存じますが、補正予算の中身を検討してみると、雇用関係に関しましては、少子化対策を除いて約三千億。これで七十万人の雇用の創出というものが可能なのかどうか、甚だ疑わしいと思います。政府は、このためにこの国会を延長し、予算委員会審議は衆議院でたった二日間、参議院でも二日間、こういう対応をいたしております。  失業率は四月で三百四十二万人、四・八%の失業率を記録し、特に中高年齢層の人々が多い。企業の中にある失業の予備軍も三百万人を超えるというような状況にある。  昨年の警察庁の調査では、中高年齢層の自殺者がふえておる。経済苦すなわち借金、事業不振、生活苦、失業、就職の失敗、こういう理由で自殺した人は、四十代から六十代の自殺者の中の七四%がこういう生活の苦しみを感じておる。事業に行き詰まって倒産し、自殺した人もあれば、長年会社のために働き、家族に、企業に忠誠を尽くした、こういうサラリーマンの人々が、扶養家族を支えたまま、五十代のそういう年齢で次々に命を絶っていく、こういう状態が起こっております。こつこつと働いてきた人々に本当に申しわけない、今のこの問題は弱い人々に直撃をしておるということであります。  自民党政権は、公共事業の大盤振る舞いをやり、銀行には湯水のように金をつぎ込んでおりますが、地域振興券にも七千億円という金をばらまいた、これはみんな借金だ。しかし、この失業者のこれらの人々に、特別に国会を開いて三千億。失業を救済するとすれば、セーフティーネットの問題もあれば企業の創出の問題もある。まあ言うなれば、風速七十メートルの暴風雨の前にバラックの小さい小屋をちょっと建てた程度の、こういう雇用対策ではないかと思う。これで十分だと思うのか、まず基本的な問題でありますから、総理の御見解を伺いたいと思います。
  82. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず冒頭、長い間本院で御活躍されました山花貞夫先生の長逝を悼んで、謹んで哀悼の誠をささげたいと思っております。この場所でも質疑応答相まみえさせていただきましたが、まことに残念のきわみと存じております。心から御冥福をお祈りする次第でございます。  今御質問のございましたように、今次における雇用対策としてこれで十分かということではございますけれども、緊急雇用対策ということで今般取り組ませていただいておりまして、従前のとってまいりました施策に加えまして、今回、これをさらに拡充推進するために、七十万人を上回る規模を対象とした雇用・就業の機会の増大を実施するために、就職支援策の対象を十万人拡充し、再就職促進の取り組みをより確実なものとすることといたしております。  また、少子化対策臨時特例交付金の活用によりまして、保育士等を中心として新たな雇用・就業機会の増加が見込まれるところでありまして、今回の補正予算は、この緊急雇用対策を実施するため必要な経費を追加するものであり、着実に効果があらわれてくる、この確信のもとに、今回、補正予算を提出させていただきました。  石井委員おっしゃられますように、すべて満足すべきかどうかということでございますけれども、今回、特に会期も延長してお願いをいたしているゆえんのものは、やはり失業者が今日のような状況に相なっておることにかんがみまして、少なくとも打てる手は打たなければならない。こういう考え方のもとにおきまして補正予算を提出させていただいておる次第でございます。こうした施策を順次行うことによりまして、そしてまたスピーディーにこれを行うことによりまして、不安感を少しでもなくすことによりまして、この雇用に対しての政策を遂行していくということについては、国民的な理解が得られるものと理解いたしておるところでございます。
  83. 石井一

    石井(一)委員 恐らく失業率は、やがて五%を突破するでありましょう。私は、今回の施策というものが余りにもツーレート・ツーリトル、すべて今日までやってきた政府と同じ繰り返しであるということを申し上げておきたいと思います。  総理は、経済成長のいわゆる本年度の予測を、〇・五%を公約されております。一—三月のGDPの成長率も一・九ということでありますが、国民の意識からは相当かけ離れたものではないかというふうに思います。特に、この同時期の家計調査の消費支出が落ち込んでおるということを考えて、全く理解できないデータではないかというふうにも思います。  そこで、小渕内閣ができて一年、この間、五十六兆円の赤字国債がふえております。既に平成十一年度末の長期債務残高、要するに国の借金は、地方も合わせて六百兆円、大蔵大臣御存じのとおりであります。国民一人当たり約五百万円、夫婦と子供二人の一世帯にすれば二千万円という借金になっておる。これは皆、後世のツケになってきております。利子だけでも一日五百五十四億円、こういう状況の、破産寸前の財政状態である。今年度の予算は約八十兆円でありますけれども、税収は五十兆円に達しておりません。これが現実であります。  平たく言えば、一家の収入が仮に五十万円あるとしたら、毎月八十万円使っておる。そして、一人当たり五百万円の借金を抱えておる。四人家族なら二千万円の借金がある。こんなことをやっておったら、サラ金地獄へ入っておるような話じゃないですか。  普通の親であれば、子供に少しでも財産を残してやろう、少しでもよくしてやろうというのが普通だと思います。総理は、子供に借金を残すことは平気で、その日暮らしで、むだ遣いを減らそうともせずにどんどんこれをふやして、金をばらまく。ぐうたらおやじと同じだと言われても仕方のないような財政経営である。歳出減もなく、行革もなく、構造改革もなく、赤字国債を垂れ流して公共事業にばらまくというやり方は、既に限界に来ておる。国債の金利がここまで下がっておるというのはこれを証明しておると思います。  まさに深刻な財政状態である、こういう中に、〇・五%の経済成長の公約を実現できるという見通しを持っておられるのか、実現できなければ責任をどうとられようとしておるのか、総理にお伺いしたいと思います。
  84. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 我が国財政が、平成十一年度末で国、地方を合わせました長期債務残高が六百兆にも達する見込みであるなど極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えますと、私は、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると痛感いたしております。私とて、政治に携わる者として、古来、礼記にありますように、入るをはかって出るを制する、憲法上からいえば単年度予算でありますから、その中で歳入と歳出がバランスをとれるということが最も望ましい状況であることは百も承知をいたしております。  しかしながら、私、内閣をお預かりいたしますときに、日本経済をいかに再生させるか、経済を再生し、景気回復し、そしてもって国民皆さんが安んじて税負担にたえ得るような形をつくり上げることがまず率先垂範していたさなければならないということで、財革法も、せっかくに前内閣としてはその方針を定めながら、これを中断させていただいておるわけでございまして、そういうことから考えますと、できる限り景気回復し、そして、法人税、所得税におきましても、国民がそれ相応の応能負担ができますような事態をつくり上げるということが大切だと考えております。  そこで、お示しのように、今年度末すなわち来年三月期におきまして〇・五%プラス成長を目指しながら種々の政策を遂行させていただいておるわけでございまして、公約であるか否かということについてはいろいろ御議論はあるかと思いますが、この内閣としては、その時点で我が国の経済を、少なくともプラス成長になってまいりますような努力をしなきゃならぬと思っております。  幸いに一—三月におきまして、GDPにおきまして一・九%という数字が出ました。これとて安閑としているわけじゃありませんで、これから四—六の事態を注視していかなければならない状況でありますが、あらゆる施策を講じながら、ぜひ日本経済がプラス成長を行うことによって、幸いといいますか、減税につきましては、法人税につきましても所得税につきましても国際並みに引き下げつつも、さらにその過程で、税収としては、これが国家経営を行うことができると同時に、財政のこの厳しい状況の中でその再建ができていくような経済成長を企図して、今全力を挙げて努力をさせていただいておるということでございます。  ぜひこの点を御理解いただきますと同時に、こうした中ではありますけれども、なお一方、お示しのように、企業その他も含めまして、企業自体がこれからしっかり立ち直っていくために、その過程で雇用の問題も惹起せざるを得ないという厳しい状況、そうした状況も見詰めながら政策運営をしていかなければならないという難しさがあろうかと思います。  いずれにいたしましても、あらゆる手法を講じまして、この事態を脱却するために最善の努力をし、目標を達成していくように頑張ってまいりたい、このように考えております。
  85. 石井一

    石井(一)委員 経済、雇用の問題につきましては、続きます同僚の議員がお尋ねをいたしますのでこれ以上私は申し上げませんが、いずれにいたしましても、今の答弁を聞いておりまして、公約なのか努力目標なのか全く自信がないな、これで先行きどうなるのか、こういう問題を提起されておるのではないかと思います。  小渕内閣の政治姿勢についてお伺いをしたいと思います。  自民党は、平成五年、平成七年、平成八年、平成十年の最近四回の国政選挙において、ことごとく過半数を割っております。低いときには二五%、最高でも三八%でありますから、三分の一から四分の一の政党になり、国民の過半数の支持を受けずに、単独の政権維持は無理だという状況に入っております。そこで自民党は、社会党を引っ張り込みまして村山さんを総理にされたり、当時の新進党の連中を一本釣りしてみたり、そして今や自自、自自公という方向に進んでおります。  昨年の参議院の結果はどうでありましたでしょうか。自民党は惨敗、国民は自民党の政権にノーと言い、橋本内閣は直ちに退陣をいたしました。そしてあなたが総理につかれた。しかし、その選挙で激しく自民党と対決をし、政権交代を迫った自由党が、自民党は何も変わらないのに、納得できる説明もなく、自自の連立政権を組んだ。  神崎公明党代表は、公明党の結党の大会で、自民党の利権政治を排するということを明快に言われたはずだ。そして、本年の衆議院の本会議場においても、自民党政権を厳しく批判し、自自連立政権国民の理解を得られておらない、こういうふうに言われてきた。これが自自、自自公の連立ということになろうとしておる。  これは、国民の世論に対する冒涜であり、背信ではないかと私は思います。少なくとも、連立政権を組むなら、国民の前に政権構想を示し、選挙で訴え、そして国民に信を問うということがなければなりません。私のところにも、一体どうなっておるのか、今の政治は何をやっておるのかという至純な国民の声が届いてまいります。  G7の欧米諸国の政党政治の過去二十年間、私、つぶさに調査をした。アメリカやイギリスではもちろん単独政権で、国民の意思に従って常に政権交代が整然と行われておる。多党化しておるヨーロッパにおいてもよく調べてみた。日本に起こっておるような自自とか自自公の連立はありません。選挙で戦い、批判し、政策の違いを訴えた者が、何の理由もなく、ともに政権をつくる、こういうことは日本だけの、世界に例を見ないまさに珍現象である、こう申し上げてもいいと思います。  こんなことをしたら、政治に対する国民の不信、信頼というものはどうなるのか。私は、このことに対する総理の率直な御所見を伺いたいと思います。
  86. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 総選挙ないし参議院選挙という国政選挙で示された国民の意思というものは、これはまことに貴重なものであり、それをたっとんで政治を行わなければならないことは当然でございます。理想を言えば、その段階におきまして、それぞれ多党化しておる現代におきましては、それぞれの考え方において選挙後の姿というものを国民にお訴えしながら選挙を打つということが必要かと思います。  が、実際には、そうした形で必ずしもその選挙後に政権が誕生するとは限らないわけでありまして、今お話ありましたが、細川政権のときも七党会派でたしか政権を誕生させましたが、あのとき、それぞれの政党は、そうしたことをもって政権を維持するということをお話し合いの上で選挙をされたと私は承知をしておりませんで、それこそ、それぞれの実態の中で、政権担当する責任を与えられた者が、各党各会派と十分御相談をしながらより安定した政権を目指すということは、これは私は世界各国の共通のことではないかと思っております。  今石井委員日本だけ、こうおっしゃったが、日本にもさっきの申し上げたような例もございますし、例えば、私、正月にイタリアのダレーマ首相とお話ししましたが、その後におきましても、いろいろと組み合わせというものは変わってきておるわけでございますし、また、今ドイツでもシュレーダー政権が緑の党と連立を組んでおりますが、この方向についても、必ずしもそのままでいくかどうかというようなことは、ドイツにおきましてもいろいろ議論されておると聞いております。  したがいまして、選挙後におきまして、いろいろ政策を通じ、話し合い、共通の基盤において、国民のために行う政治について、その時点において各政党、各国会議員がいろいろな御判断をいたしながら、政権をともにすることもありますし、また野党と与党との立場をそのまま続けていく場合もあり得るというふうに思っておりまして、そういう意味で、私としては、昨年来自由党との話し合いを進めてまいりました。加えまして、先般神崎代表ともお目にかかりまして、共通の課題、問題について、手を相携えて国民に対する責任を負うことができれば、連立内閣としてともにこの責任を果たしていくことができないかということを申し上げたわけでありまして、それに対するお答えをまだいただいておりませんけれども、それぞれの政党が、その時点におきまして、十分党内の民主的手続を経ながら話し合いを進めて行をともにするということは、私は、許されることであって、国民皆さんからの信託を得て責任ある議員として当選をいたした者が、その後においていろいろ話し合いを続けてまいるということを進めることに、何ら私は否定されるべきものでない、このように考えております。(発言する者あり)
  87. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  88. 石井一

    石井(一)委員 私は、このことについて、別の機会にゆっくり議論をさせていただきたいと思います。  ヨーロッパにもいろいろ例はありますが、政権を共有しておった政党が、政策が一致せずに離脱するということはございます。しかし、日本のように、反対の立場であり、そして、その政権を批判し、対決し、その政権交代を求めた政党が、国民にお尋ねもせずに、勝手にやると言えば何でもあり、こういうことになります。  そこで、現在自自連立政権国会に提出している衆議院の五十名の削減問題、公職選挙法の改正問題について、これは連立政権発足に当たっての公約と思いますが、国会で実現するということに間違いございませんか。
  89. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 自由党小沢党首と私と、昨年末お話をいたしまして、党の幹部も出席をいたしまして、公党間のお約束をいたしております。そのことにつきましては順次解決をする努力をいたしておりまして、既に御案内のように、政府委員廃止の問題、あるいは副大臣、政務官の問題等につきましては、ほぼ今国会成立を見る方向にありますし、また、大臣の数を減らすという問題につきましても、これもその方向で努力をしておることでございます。  したがいまして、まだ、年金その他の問題に対しての財源問題につきましてお約束した点は、経過の過程でありますし、また同時に、今お示しをいただきました定数削減の問題につきましては、これは自自両党におきまして、これを成立さすべく、今最善の努力をいたしておりますし、また、私自身も、総裁として党の幹事長初め、その方向で努力することを強くお願いをいたしておるところでございます。
  90. 石井一

    石井(一)委員 私が質問しておりますことは、これは要するに総理国民に対する約束ですよと。そして、この約束のことを、あなたは自民党の総裁でもある、首相官邸まで自由党党首を呼んで、墨痕鮮やかに内閣総理大臣の肩書までつけてサインをされ、しかも、その後、両党の実務者協議において、この法律はこの国会成立をさせる、そして次の選挙からこれを施行するということを内外に約束しておるんじゃないですか。この国民に対する公約をやるのかやらないのかだけお伺いしておるんです。お答えください、簡単に。
  91. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 小沢党首との公党間の約束は、これを実施するために努力をいたしていきます。  しかし、石井委員御指摘のように、内閣総理大臣としてお約束をした、公党間、二党でありますが、いたしましたことは、これをすべて実行すべきものと言われたか正確に覚えておりませんが、もしそういうことであるとすれば、内閣総理大臣が各党間でお約束したことについて、ほかの政党も皆そのとおり御了解をいただけるものかどうか、お聞きしたいところでもございます。
  92. 石井一

    石井(一)委員 今の答弁などをやっておりましたら、総理の見識はありませんよ。  総理と党首の合意というのはそんなに軽いものなのか。もし各党の協議が要るんなら、なぜそんな約束をしたのか。おかしいじゃないか。それをやったんなら、自分の党のすべての人に命令をしても約束を守るというのが総理の立場ではないかと思います。いかがですか。
  93. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ですから、自民党、自由党との話し合いに基づいてお約束したことを法案化して、これを法律化する努力を今傾注しておる、こういうことでございます。
  94. 石井一

    石井(一)委員 努力を傾注されておる。新聞報道によりましては、私はそういうことは余り言いたくなかったんですが、公明党が反対したらどうにもならぬ、自由党は賛成をする、どっちかをだまさないかぬ、どっちかがだまされる、こういうふうに言うておる問題でありますが、なぜこういう問題ができたのか。こういうことをあなたが約束したからですよ。  議員の身分にかかわる問題だったら、約束しなさんな。公党と公党が協議をする必要があるんなら、約束しなさんな。総理がやったら、やりなさい。いかがですか。一番、イロハのイですよ。やるんならやる、できないんなら国民に謝罪しなさいよ。いかがですか。
  95. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 自由党小沢党首と私との間の信頼感に基づいて、これをもとにして合意がされております。この合意されましたことがそのままに国会を通るということであれば、ある意味ではこれは大変なことだろうと思っておりまして、国会の御審議も得ながら御判断をしていただきたい、このように考えております。  それから、先ほどちょっと、だましたとか、だまさないとかということをお話しされましたが、私に関しまして、そのようなことを一切申し上げていないことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  96. 石井一

    石井(一)委員 だから、国会に御審議をいただくとかなんとかといいましても、自民党のそうそうたるメンバーがすべて合意した中に自自の合意が進んでおるわけでありますから、これは、この国会が終わるのにあと一月ございます、時間も十分あります、決断をすれば直ちに通る。そんな中身の難しい問題ではありません、政治的判断であります。  それならそれで腹を決めていただいて、直ちに、今指示されたと言われましたが、自民党の幹事長も右を向いたり左を向いたり、私も協議会に出ていますが、言語明瞭、意味不明瞭なことを言っていますよ。総理大臣として、自民党の総裁として、自民党の幹事長、国対委員長、議運委員長、公職選挙特別委員長に、これは国民に対する私の公約で、しっかりとした首相官邸における確約なんだから、直ちに、あと一月あるこの国会の中で審議を進めて、採決の前までやってくれ、採決をやってくれ、次に実行しなければいかぬのだ、そう言うてください。いかがですか。
  97. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私の党の最高幹部を信頼して私は任命をしておるわけでございますので、それにお任せをいたし、最善の努力をお願いいたしておるところでございます。
  98. 石井一

    石井(一)委員 最高幹部はあなたですが、議会関係者に指示をして、この国会で処理をする。処理ができなければどうするのか。自分たちの決めたことがわからないというのなら、党首会談なんて要らぬじゃないですか。党首会談はそんな軽いものじゃありませんよ。決めたらその方向でやるという不退転の決意がなかったら、どうにもならない。それは、そういう答弁ではできません。そういうことをきっちりと自民党の執行部、議会関係者に指示をするということを約束してください。
  99. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 石井先生も、長い間、私ども政治をともにしてまいりましたが、党を異にいたしております。ほかの党からそのようなお指図は受けるつもりはございません。
  100. 石井一

    石井(一)委員 今の言葉を聞いて、どうでしょうね。優柔不断な総理、自分の約束したことに責任も持てない、他の党に対してくちばしを入れるな、そんなことで総理大臣の重い責任が果たせますか。  この問題は自自合意の合意前のことであり、もしこれができないのなら、自自連立は破綻する。野田さんはそこへ座っておる必要がなくなってくる。  野田さん、いかがですか、この私と総理とのやりとりを聞いて、あなたは自由党を代表しておられる、本当は小沢さんに聞きたいのだけれども、小沢さんなら堂々と話をするんじゃないかなとも思うが、あなたがかわって一遍答えてください。
  101. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 いろいろやりとりを聞いておりまして、随分ボルテージが上がっておると思って聞いていたのですが、自自連立というのは、今のお話だけじゃありませんで、少なくとも経済政策にせよ、さっき総理からもお話がありましたが、財政構造改革法の凍結の話あるいは大減税の話、いずれも——大事なところですからあえて言います。一方的に公党をこういう場面で誹謗中傷して事足れりというのは私はおかしいと思っていますので……(発言する者あり)
  102. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  103. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 そういう点で、政策の合意があって初めて自自が連立ができた、このことだけは申し上げておかなければなりません。あなたがさっき妙な形でおっしゃったから、あえてこのことは一言言っておきます。  それから、自自連立の前提になる幾つかの政策問題について一つずつ検証していっていいと思いますが、今の選挙制度改革、特にその中で定数削減の問題は、少なくとも、これだけ国民が民間レベルにおいても必死の思いでリストラに力を入れている。行政改革をやっていこう。公務員も大幅に減る。そういう中で、少なくとも国会議員がみずから率先をして痛みを分かち合うというこの姿勢が大事であるということが定数削減の話になり、それに基づいて具体的な協議が行われて、なかなか、率直に言っていろいろありました。しかし、先ほど来お話がございますように、実務者の中で責任者を決めて、具体案を両党間で詰めて、そしてこの国会に現に提案をしているわけであります。  問題は、提案をしないというのなら先ほど来のお話があるが、提案をした上で、さらに誠意を持ってその実現のために努力しようということで努力をしておられる。ただ、その努力する過程の中で、参議院が現実に逆転をしているという状況下において、各党の盛衰に関係することでもあるから、慎重の上にも慎重な形の中で一生懸命前進の努力をしておられると私は判断をいたしております。  したがって、最終的に結果が、全然何の努力もしない、何の誠意もなくてということであるならば問題ではあるが、一生懸命努力をしておられるということであるならば、私たちはしっかりとその努力の推移も見させていただきたいというのがかねてから小沢党首が公に発言をしている姿であると理解をいたしております。
  104. 石井一

    石井(一)委員 いずれにしても、この問題をこれ以上やる時間はございません。国民は刮目をしてこれを見ていると思います。一体、自由党の約束を守るのか、あるいは公明党の顔を立てるのか。もしこれができなければ、自自公の連立ということはあってはならないんじゃないですか。それをあえてやるというのなら、数合わせであり、政策以前の問題である。  次に、私は、野中官房長官に何点かの御答弁をいただきたいと思います。  野中官房長官は、「私は闘う」というこの本、平成八年五月に発刊をされた。最近、これがよく売れるのか、文芸春秋社で文庫本としてまた新たに出ておる。私は、これを精読させていただいて、いささか驚いた。野中の信念ここにありという感じがいたします。  少し長くなりますが、静かに皆さん聞いてください。  この本の中で小沢一郎氏を厳しく批判。その中で野中氏は、「政治家はもっと言葉に責任を持ち、行動に責任を持つことが基本でなければならない」と百十五ページで言っておられます。  保保連合について、「政策が似通っていようが、政治の原点は信義であり、それが政治をやっていく芯である。従って、自民党を脱走したような人たちと共に行動することは私は有り得ないと考えている。」「人を裏切り、人を地獄に落とし、そして政治家としてあるまじき敵前逃亡をしてみたり」。  梶山さんに対しては、「いくら梶山さんかてあれだけ大きな内輪もめで世間に迷惑を掛け、日本を混乱させた連中と手を組むようなことには、わしが一人になってもはんたいしまっせ」と伝えておいた、こう書いてある。  中曽根元総理が、保保はやるべきだ、こういうことを言われたら、「それほど小沢さんがいいのなら、自民党をさっさと出ていって新進党にいったらどうか。」「やはり長生きも大事だが、人間として自分の立場というものを考えてもらわないと」いけない、こうしなきゃ若い人はもうもたない、ここまで言っておられる。さらにつけ加えて、「あれだけ偉そうなことを言われると、こっちも言い返したくなる。」と、この中に書いてある。  このほかにも、週刊誌、雑誌、インタビュー、物すごいものですよ。私は一部ここへ持ってきました。読むのだって相当の時間がかかる。すごいことが入っている。よくもこれだけしゃべられたものだ。政治家の発言は重たいですよ。「亡国の独裁者小沢一郎と組むやからは自民党を去れ、これは私怨ではない」、こう言っておられますよ、ここで。これはたしか岩見さんとの対談だ。  ここまで言った人が、自自連立、小沢一郎との連立の中心で、内閣の中核におられる。そうして政治を仕切っておる。私のささやかな国会議員の経験の中でも、これほど厚顔無恥な人はこれまで私の記憶にはありません。  もう少し待ってください。さて、そこで、野中官房長官は、七月十日、四日前、宮崎で記者会見をし、やがてみずから責任をとる日を考えないといけないと思っていると。これに対してマスコミは、次の内閣で身を引くという意向を示唆したのではないか、そういうふうに解説をしておる。  また、小沢、自自連立に対しても、個人的感情で政局安定の道を誤れば、みずからの人生に必ず恥ずかしさを記録することになると考えたと。いつもこんなことを言うて、きょうまで来ているのですよ。私の調査によれば、過去四回こういうことがある。  まず一回目。去年十一月十九日、自自合意の成立した夕方の記者会見であなたは、私は一人の政治家として、みずから歩んできた道にみずからけじめをつけなければならない人間であると述べております。それについてマスコミは、連立政権が発足するに当たって、恐らくそのときには官房長官を辞任することを示唆したのではないか、こういうふうにコメントしております。  連立政権が発足をしたが、責任はとられていない。けじめとは何か、どうつけたのか、いまだはっきりいたしません。  さらに十一月二十一日、その二日後ですよ、あなたは京都へ帰って、自民党の政経文化懇話会でいささか大時代的な大演説をやっておられる。その一部を読み上げます。  大きくぶれることで私の政治生命が傷つき、終わろうとも、日本が二十一世紀に少しでも光を残した国として栄えることができれば、この世に生きてきた政治家として満足だと考えた。また、どうして変節して自由党と一緒になったのかとの批判を受けているけれども、今日の日本は、私どもがそのことにこだわっていることを許さない状況だ。大胆に連携できる政党と手を組んで、国家存亡の事態を早期に解消するために決断したと述べております。いささか浪花節的で、変節の説明にはなっておりません。自己の正当化の地元でのPR、こう申し上げてもいいでしょう。これが二回目。  三回目。本年の二月二十三日の参議院の予算委員会におきまして、参議院の検事をやっておられた佐藤道夫議員が、あなたの余りにひどい変節に対してこれを指摘しました。そのとき官房長官は、いろいろ批判は甘んじて受けたいと思いますが、私は、みずから書いたもの、みずから発信したことに、一人の人間として、政治家として重い責任を持っておりますと。また別のくだりで、不良債権処理や行政改革の道筋が明らかになったとき、みずからの行動に責任をとっていきたいとも述べておられます。佐藤議員は、全く納得できません、こう言っております。  そこで、お尋ねをさせていただきたい。  責任をとらないといけない自分であるということを繰り返し言っておきながら、いつまでも責任をとらないのはなぜなのか。本当に責任をとる人であれば何回もこんなことは言わないですよ。  要するに、言い出してから九カ月もたっておる。自自合意の前から、その前にもテレビ朝日で一回やっている。それは、ひとつ子細に検討した結果ここでは申し上げておりません。しかしそれ以上のことを言っている。  結局、責任をあいまいにし、先送りにし、そして責任をとらないで逃げよう、そういう人間である、そう思われても仕方のない情勢ではないかなというふうに思います。そして責任をとらずに九カ月、内閣官房長官としてそこへ座って政治を仕切る。一時は野中総理だと言われたこともある。そんなことは私はないと思っておりますけれども、そこまで政治を采配し、良心の呵責にとがめられるということはないんですか。こういうのを称して厚顔無恥と言うんじゃないですか。私はそういう思いがしますよ、少し言葉が過ぎるかもわかりませんが。  私はあなたとは知らない仲ではありません。いつか、あなたは腹を据えてやっていると思って見ているからあれだけれども、余りにも言うこととすることが違う。この国会でも責任をとらずに、次の内閣の改造のときにやめたら責任をとるということになったら、そんなものは責任をとったことにはならない。  やがてとはどういうことか、なぜすぐに責任がとれないのか、やがてとはいつなのか、とろうと思えば今すぐにでもとれる、それをとらない理由は一体何なのか、官房長官の見解を伺いたいと思います。
  105. 野中広務

    ○野中国務大臣 石井委員から、私の本なりあるいは発言を通じまして、いろいろと御指摘をいただきました。御指摘は甘受をしたいと思っております。  ただ、こういう席で論争するのはお互いに嫌でございますけれども、あなたがそれほどおっしゃるなら、私はあなたほどは変節でないと思っております。これだけ申し上げておきます。  あとのことは、お望みであれば、私から幾らでも申し上げます。けれども、この席で申し上げようとは私は思いません。  ただ、私は、あの金融国会の最中を振り返ってみて、お互いに自分たちの恩讐を超えて自自合意をすることがやはり今一番我々に求められた重大なことであるということを、同僚、先輩の皆さんとも話し合いをしながら、みずから小沢党首にひれ伏してでも自由党との御協力をいただき難局を乗り切りたいと内閣の一員にある者として申し上げてきたところでございます。  けれども、みずからまた、自分の活字と、そして自分の発言には責任をとるべきだと考えております。一月十四日の改造につきましても、小渕総理にも身の処し方についてお願いをしてまいりました。私は、政治家としてやがてみずからの政治責任を明らかにするべきだと考えております。  それ以上、私の扱いについてあなたからとかく言われる筋合いはございません。
  106. 石井一

    石井(一)委員 今の話は私には了解できません。言うなれば開き直りですか。何を言っているのか。  長官の問題を、自分で、みずから書いたもの、発言したことに関しては責任をとる、保保をやったら自民党を出ていけ、政治家をやめてもいい、そこまで発言をしておるんじゃないですか。これはあなたの発言ですよ。  私はこの人と、小沢さんのことですね、共通の政権の場におりたいとは絶対に思いませんし、そんなことを我が党の中でやるんやったら、私は政治家をやめますよ、こう言っているんだ。仮に連立の申し込みが小沢さんからあったらどうするかというのに対して、私は嫌だね、そういうことをする自民党なら、私は党と決別します。党と決別するどころか、内閣の真ん中へ座って、知らぬ存ぜぬ。これで政治家が信頼できますか。政治家は全部うそつきだということになってくる。  あなたは私に変節だなんだって言いましたけれども、私は、今そういう時間がないから一々言いませんが、宮澤総理大臣のときに、政治改革をやり、またしても挫折するから、これではだめだと決起しました。それから今日まで、苦しいこともありましたが、頑張ってきました。一回も変節をした覚えはございません。  しかし、哲学なり理念の違いはあるかもわかりませんから、この議論はさておきまして、きょうは、私はあなたと議論をしておるんでありますから、自己のことについては申し上げません。  要するに、私が聞いておりますのは、これほどの変節はないんじゃないか。それが国家のためか。小渕総理から慰留された、そんなこと言うていたら、こんなこと言いなさんな。政治家の発言は一番重たい、政策以前の問題だ、それが政治にかかわる者のしんだ、こういうことを言っておるじゃないですか。このままやっておったら、あなたは変節漢であり、無責任であり、大臣にしがみついておる、まことにもって、口は大きなことを言うけれども何もできぬ政治家ということになってしまうぞ。  私は、これは野中さん個人の問題ではない、日本の政治家全体が問われておる。政治には無責任なのか、変節漢なのか、国会におる連中はみんなそんなこと言うて、勝手に言うておるのか、こういうことにとられますよ。  あなたの変節に対する説明は全く納得できません。どうして変わったんですか。説明してください。
  107. 野中広務

    ○野中国務大臣 いろいろ御指摘を賜りますけれども、御批判は甘受をいたします。  ただ、私がたどってまいりました道筋について、私は一人の政治家として、あの局面では自自が合意することが、また、私がおのれをむなしゅうすることがこの難局を乗り切る唯一の道だとみずから考えた次第でございます。
  108. 石井一

    石井(一)委員 大体、問題をすりかえるのもいい加減にしてもらいたい。政治の原点は信義であり、それが政治をやっていくしんである、こうまで言ってきたんじゃないですか。中曽根総理のような総理を五年間やった方に、おまえ出ていけ、そこまでたんかを切ったんじゃないですか。それが、情勢が変わったら、そのとおりだと言えば、それは何でもありということになってくる。  あなたは、ことしの一月二十五日、我が党の菅代表に対して、金融と財政の分離の問題で二枚舌と言った。しかし、あなたは二枚舌以上のものじゃないか。一党の党首に対してそんなこと言うべきじゃないと言うけれども、あなたは一党の党首に悪魔だと言った。売国奴と言っている。そんな言葉を言うべきではないですよ。そう言う資格がありますか。  あなたは、二枚舌だから取り消せなんて言うけれども、あなたはそれじゃ何枚舌ですか。そのときそのとき何回言うのか。舌切りスズメを呼んできて舌を抜かなきゃいけなくなってくるぞ。何を言っておるのか、本当に。もうちょっとまじめに答えなさい。  だめです。これはあなた個人の問題ではありません。国会議員、日本の政治全体が問われておる問題だ。答えてください。
  109. 野中広務

    ○野中国務大臣 私は私の道を歩んでまいりました。あなたにそういうことを言われる筋合いはありません。あなたがもしお好みであるならば、私があなたについて申し上げるべきことはたくさんございます。私はそれをここで言うことはありませんし、あなたからそのような指摘を受ける筋合いはございません。
  110. 石井一

    石井(一)委員 今のを聞いておられまして……(発言する者あり)委員長、ちょっと静粛にしてくれ。
  111. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  112. 石井一

    石井(一)委員 重要な局面にかかっておる。もう少し厳粛にこの議論を聞いていただきたいと私は思います。  あなたが今言っておることはまるで脅迫じゃないか。そんなこと言っていいのかい、おまえがそんなこと言うのなら、おれもやるぞと。何を言っているのか。官房長官という立場をもう少し権限のある、尊厳のあるものだと思いなさい。政治家の中心、内閣の中心だ。それだったら、小渕内閣というのはこんな内閣だ、自民党政権は恐怖政治だ、質問をしておる人間に対して、それに対してそういう言い方をするという内閣か。冗談やめなさい。これは絶対に許せません。
  113. 中山正暉

    中山委員長 石井一議員、御質問願います。
  114. 石井一

    石井(一)委員 私が申しておるのは、自自公がいかぬとか、自自がいかぬとか、そんなことを言っておるのじゃないのです。これは、国民が選挙で審判し、決定をします。もう既に、社民党の今日の姿、さきがけの姿を見ても、自自公のてんまつがどうなるかというのは、国民が一番賢明だ。今この議論を聞いておって、一番国民が泣いているのじゃないですか。一番国民が怒っておると言っても私は過言でないと思う。  私が言っているのは、自分の言ったことに責任を持て、持てないことなら言うな。そのときそのときに変わって、あなたに文句を言われる筋合いはない、これがあれであると言うのであれば、物を言うな。  飲酒運転に標語があるでしょう、飲んだら乗るな、乗ったら飲むな。しかし、酒飲んだら必ず捕まる、一人の国民は。言うたことは守れ、守れなかったら言うな、私はそのことを言うておるんですよ。守ってなくて、勝手にほっておいてくれと、そういうことなら最初から言うな、こんなもの出すな、こういうことを言うなと、こういう問題を提起しておるんです。答えてください。
  115. 野中広務

    ○野中国務大臣 石井委員の御指摘として甘受しておきたいと存じます。
  116. 石井一

    石井(一)委員 これを、議論をやっておりましても、脅迫をするか、脅しをするか、別のことを言って、まことに答えようとされない。けじめをつけるということについても触れられない。しかし、それはこれで通りますか。  去年の暮れ、額賀福志郎君が辞任したのだって部下の不祥事ですよ。私は当時国対委員長として、気の毒だな、しかしいずれ将来があると。私は、去年の一月、この予算委員会で三塚大蔵大臣とやり合った。部下の大蔵省の監督不行き届きのために、私が質問をし、責任をいつとられるのですかということを聞いたら、三日後、三塚大蔵大臣辞任をされた。  閣僚はそれだけの重い責任があり、言ったことに責任を持ち、それだけの行動をしてきておるのがこれまでの閣僚の姿です。あなたのやったことは、額賀君や三塚さんがやったよりはるかに大きい過ちを犯しておると私は申し上げてもいいと思います。  しかし、この問題をこれ以上追及しても、まあ、この場ですから嫌でしょう。私だって、あなたの本を読んで、立派な人だと。大学にも行かれずに、戦時中に高知で敗戦を迎え、リュックサック一つで京都へ帰り、そして自分の村へ帰り、町議になり、町長になり、府議になり、副知事になり、それで政治家をやめようと思ったが、国会に出てきて、今日当選六回でここまで上がってきた人だ。  大義に生き、責任を持ち、だれからも批判されない行動をされるという政治家だから、私は待っていたんですよ。自自の合意ができたときに、野中はこう言っているな、さすがは古武士だ。その次の次の日、また言った。ああ、もうこの一週間で辞任するのか。それから九カ月たっている。まだ言うて、まだやっておる。それでは筋が通りませんよ。私は私情で言っておるんじゃない。あなた個人がそれが通ったとしても、あなたのこのとうとい歴史に大きな汚点がつく。  しかし、それはそれでいいとしても、我々国会全体に対する国民の不信はどうなるのか。これは国会全体が取り上げていかなければいかぬ問題だというふうに思います。  委員長、これ以上答弁ができないんですから、こういう繰り返しでは議論になっておりません。私は、変節の理由、けじめをとるべき手法その他すべてを過去のデータに基づいて質問しておるわけです。官房長官の発言に基づいて、私はそれをただしておる。それを、あなたは何だ、こっちはどうだと。そんなこと聞いておりませんよ。あなたのことを私は聞いているんですから。  私はそのことはもう一々言いませんが、委員長、これは官房長官個人の問題ではございません。この話を聞いておる、テレビを見ておられる日本国民皆さんは、政治家というのは何を言うてもいいのか、それは全然信用できないな、ああ言うて開き直れるんだな、官房長官でもやっておるやないか、今の日本の政治家なんて皆そうだ、こういう問題になってくると思うのであります。  私は、この問題については、けじめ自身は官房長官御自身がつけられるにしましても、当委員会において、予算委員会の権威においてけじめをつけていただきたい。  すなわち、雇用が急いでおるんですから、きょう、あす審議するでしょう。そして、その後参議院でも審議されるでしょう。それはやったらいいです。それが終わった時点で、本委員会において、野中問題についてのけじめをどうつけるかという集中審議をしていただきたい。それをしなければ審議は前へ進まぬ。それをあなたに要求したいと思います。
  117. 中山正暉

    中山委員長 御提案でございますが、私は、長い間の政治混乱の残滓が残っていると思っています。あなたも、それから官房長官も、同じグループに所属をされた方々で、今、官房長官というお立場で、大の虫を生かすために小の虫を殺すという形で、いろいろ御辛抱なさってやっておられると私は思います。  私は、武田信玄に山本勘助あり、太閤秀吉に竹中半兵衛あり、小渕恵三に野中広務あり、こう評価していますから、どうぞひとつ、内閣に所属をしておられる野中広務というお方が個人の思いをいろいろ持っていらっしゃることは、私も痛いほど感じております。その意味で、あなたの御提案は、この場で、委員会としてそういう審議をするということに対し私はこの場でお断りをいたしておきたいと思います。  御提案については理事会で協議いたしたいと思います。
  118. 石井一

    石井(一)委員 なぜあなたにそれだけの権限があるんですか。
  119. 中山正暉

    中山委員長 委員長ですから。
  120. 石井一

    石井(一)委員 だめ。それはだめだ。そんな権限はないよ。
  121. 中山正暉

    中山委員長 一度不信任案を受けておりますので、私はこの国会で信任をされております。もう答弁者が発言しております。質問者に答弁してください。(発言する者あり)いやいや、だから、私は委員長としての気持ちを申し上げたのです。  石井一君、質疑を続行してください。石井君。(発言する者あり)  どうぞ、議事を続けさせてください。  申し上げましたように、委員長としての判断はさきに申しました。私の判断と、また理事会での、石井議員の御提案の取り扱いは別問題として、理事会で協議をいたします。(発言する者あり)撤回はいたしません。
  122. 石井一

    石井(一)委員 中山委員長、あなたも私とは三十年来の友人だ。あなたの立場ではそういう仕切りをしなけりゃいかぬかもわからぬ。そういうこともわからないことはない。しかし、これを聞いておる国民はどう思いますか。  私は質問を次々にしました。それに対して、政治家の発言が重いはずである、責任は重いはずであるというのに、それに対する的確な答弁もなく、それならそれで、この問題について処理をするために予算委員会でけじめをつけてくれと言うても、そういう締め方をされるのが自民党所属の予算委員長である、これは国民皆さんがよく見ていると思いますね。結局は、数頼みの、なれ合いによってそういう問題を処理するのか、こういうことにならざるを得ないと思います。  十分私の趣旨を酌み取っていただいて、理事会において協議をされて、このことについては、予算委員会の、本委員会の見識において処理をされることを望みたいと思います。
  123. 中山正暉

    中山委員長 お話がありましたように、あなたと私は一緒に昭和四十四年に当選をした仲間でございます。ですから、委員長としての私の考え方は先ほどはっきり申しました。ですから、その後に、あなたの御提案は、友情をもとにして、私は、理事会で取り上げるという発言をしておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  124. 石井一

    石井(一)委員 私は、もう一つ最後に申し上げさせていただきたいと思います。  国旗・国歌の問題は、内閣委員会であり、その所管は野中官房長官であります。今この問題は、最後の上り道にかかっておるという状況でございます。  私は、個人的に国旗・国歌には反対ではありません。また、審議をおくらすということなどは考えてもおりません。しかしながら、国民の中には大変大きな議論のある問題であります。なぜ今延長が終わったこの国会に急ぐのか、延長はまだ五十七日間もあるけれども、十分な審議をやるのに何のためか、こういう議論がございます。  要するに、私が言いたいことは、これほど重要な、国家の基本にかかわる問題について、一体、野中官房長官のもとで国旗・国歌の審議を続けていいのかという問題があります。国務大臣としての適格性が問われておる。言うこととすることとは違うんだ、何でもありだということなんでありますから。これをやったんなら、若い人や子供たちや教育現場にどう説明をするのかという問題が出てくるだろう。教育現場で本当に受け入れられるのか、こういう問題が提起されてきておると思います。  私は、本予算委員会予算委員長のそういう処理であれば、それはそれとして、衆参両院の国会議員に、この席をかりて申し上げたいと思います。もちろん小渕総理大臣にも全閣僚にも申し上げたいと思います。  国旗・国歌というのは、これほど重要な、国家の基本にかかわる問題だ。これを、このままの状態でけじめもなく、内閣官房長官のもとで審議をしていいのかどうか。もしこのまま審議を進めれば、国旗と国歌が変節するかもわからぬ、あるいは私情で国歌が、どこかの国旗に変わるかもわからぬ。責任をとらないんですから。責任をとらない人が、この国歌と国旗の基本の問題について、所管の大臣として処理するだけの資格があるか、私はだめだと思います。  そういう意味におきまして、この予算委員会の衆参の審議が終わりました時点において、議運におきましても、内閣におかれましても、国会対策の場面におきましても、この問題を審議する前に、すべての法案の審議をストップして、まずこの野中問題にけじめをつけるということをするべきだ。それが国会の権威である。  政治家全体に問われておる、日本の政治の根幹にかかわる問題であるということをあえて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと存じます。
  125. 中山正暉

    中山委員長 この際、川端達夫君から関連質疑の申し出があります。石井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川端達夫君。
  126. 川端達夫

    川端委員 民主党の川端でございます。総理以下各大臣、よろしくお願いいたします。  この国会、現時点で議論されています予算、緊急の雇用対策に入る前に、一点だけ。  雇用対策、経済対策も大変深刻でありますけれども、それと同じぐらい、あるいはそれ以上に深刻な問題を現在抱えておるというふうに思っております。それは、いわゆる……(発言する者あり)委員長、静粛にさせてください。
  127. 中山正暉

    中山委員長 御静粛に願います。
  128. 川端達夫

    川端委員 それは、コンピューター二〇〇〇年問題であります。昨日、本会議でも質問があり、総理も御答弁をされました。  いわゆるY2K、イヤー・ツー・キロ、二〇〇〇年問題に対して、総理は、この問題はどういう問題であり、どういう対処をしなければいけないというふうに認識され、行動しておられるのか、簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
  129. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 いわゆる二〇〇〇年問題につきましては、私自身もかねてから本件に強い問題意識を持っておったところであり、総理就任後、時を置かず、昨年八月下旬、政府を挙げて迅速な取り組みを指示いたしたところでございます。  これを受けまして、政府として、昨年九月、強力な取り組みを進めるための行動計画を決定し、マイクロチップ搭載機器を含めた総点検の実施とその状況の四半期ごとの公表及び国民への情報提供、さらには危機管理計画の策定を重点に、官民挙げて強力に推進してきたところでございます。このような取り組みによりまして、対応に目に見える進展を見せ、海外におきましても評価を得ていると考えております。  政府としては、国民への情報提供と危機管理について、二〇〇〇年に向けて今後一層重要となると考えており、これらを含め、国民が二〇〇〇年を安心して迎えられるように万全の対応を進めてまいりたいと考えております。  川端委員、あえて御指摘を提起されましたことは大変重要なことでございまして、私のことを申し上げて恐縮ですが、昭和四十年代後半に情報産業振興議員連盟というものを創設いたし、自来、日本の情報化につきましてそれなりに勉強させていただいてまいりました。  コンピューターの発展というものが、日進月歩のみならず、一日一日というスピードで行われましたために、かつての古いコンピューターのソフトその他が、時あたかも西暦二〇〇〇年になります中で十分これがうまく組み込められないとすると、まことに大きな問題を惹起するということでありまして、これは世界的に今取り組ませていただいております。  いっとき、日本につきましては相当程度遅いのではないかというような一部世界のメディアの報道もありましたが、私はさようには考えておりませんし、また政府、民間挙げてこの問題に取り組んでおりますので、私は、安心して二〇〇〇年が迎えられる体制は着々整っておると認識をいたしております。  しかし、御指摘のように、これは国民皆さんの理解も深まりませんと、今やコンピューターチップはあらゆるところに入り込んでおりますので、万が一のことがあってはならぬということで、さらに細心の留意を払い、二〇〇〇年までもう日にちも限られてきておりますので、点検に点検を重ねて、万が一のことが起こりませんように最大の努力をいたしていきたい、このように考えております。
  130. 川端達夫

    川端委員 政府がいろいろな対策を必死にとっておられる、あるいは民間もとっておられることは十分承知をしております。  しかし、今総理のお言葉でも、いろいろなことが起こらないようにということで万全の手を打つと。私は、それは一つの切り口として大変大事なことであるし、当然やらなければいけない。しかし、今世界じゅうでこの二〇〇〇年問題が大変だと言われている背景というのは、幾ら手を打っても完全に抑えることは不可能であるという認識のもとに、何かが起こることに備えることに実は世界じゅうが今シフトをしているということであります。  ことしは一九九九年七月、ノストラダムスの大予言で何かが起こると言っている人がいます。このことは、何かが起こるということに科学的な根拠があるわけではない、そして起こるか起こらないかも根拠がない。しかし、備えようとするか備えようとしないかというのは、信じるか信じないかは各人の勝手だと思うのですね。このことを政府に、総理に何とかしてくださいと言うことは全く筋違いである。  しかし、我々の記憶に新しい阪神・淡路大震災クラスの大震災が我が国を襲う可能性はゼロなのかといえば、ゼロとは言えない、起こる可能性は十分ある。だから、いろいろな形で教訓を生かして、必死に各級で対策をとり、備えをしているというのが現実だと思うのです。  しかし、このコンピューター二〇〇〇年問題は、阪神・淡路大震災クラスの震災が起こるか起こらないかの確率ではなくて、二〇〇〇年一月一日零時零分零秒、時報が打った瞬間に何かが起こることは間違いがないんだ。日まで、時刻までわかっているんです。しかも、それはひょっとしたら、年明けからどこかへ初もうでに行って、家へ帰ってきて、朝の七時には御飯が炊けているように炊飯器、まあお雑煮があるから炊飯器は炊かないのかもしれませんが、炊飯器が炊けていなかったというぐらいの話かもしれない。しかし、時報とともに世の中真っ暗になるのかもしれない。  そういう意味では、何かが起こることは間違いがないが、何がどの程度起こるのかわからないというのが今二〇〇〇年問題の抱えている一番の問題であって、これは技術的な、総理がおっしゃったのは技術的な話なんですよ、技術的な話は必死にやらなければならないけれども、技術問題ではなくて危機管理の問題だ。そういう部分で、今決しておくれていないし、安心して正月が迎えられるように努力したいとおっしゃるけれども、そういうメッセージではなくて、何かが起こるということに備えてくださいというメッセージが、少なくとも我が国では政府の部分で発せられていないところに一番の問題があると私は思っているのです。  例えば、世界の主要国の中で、日付変更線の関係で、二〇〇〇年の一月一日零時零分を迎えるのは日本が一番先なんです。その国でどう起こるか、アメリカは半日後で、対応もでき得る。  そういう意味で、例えば、ここのどなたの大臣か、所管はわかりませんが、内政審議室、推進本部の顧問会議のまとめということで、「国民の身の回りの製品等の二〇〇〇年問題への対応状況について」というので、家電製品から電話からパソコンからというのが公表されました。  これを見たら、ほとんどまあ安心だなということなんですね。そうしたら、例えばエレベーターは何十万台、何百万台あるのか知りませんけれども、日本じゅうのエレベーターは一台もとまりませんということを断言できる方はおられるのでしょうか。
  131. 野中広務

    ○野中国務大臣 川端委員が御指摘になりましたコンピューター二〇〇〇年問題というのは、ただいま総理からも答弁をされましたが、その対応を誤りますと、委員が御指摘のように、国民生活や企業活動に重大な支障を生ずるわけでございまして、高度情報通信社会の構築に向けました信任を揺るがしかねない重大なことと受けとめておるわけでございまして、政府といたしましては、危機管理の面にも十分配慮をいたしまして、国民への情報提供や危機管理計画の策定など、官民を挙げた取り組みを強力に行っておるところでございます。  特に、今委員からも御紹介がございましたけれども、国民への情報提供につきましては、金融、エネルギー、情報通信あるいは交通、医療等の民間の重要な分野につきましても、政府、地方公共団体の対応状況につきまして四半期ごとに公表をいたしますとともに、去る四月には、家電製品や電力、水道等、国民の身の回りの製品等の二〇〇〇年問題への対応状況等につきましても、政府といたしまして公表をし、国民の視点に立った情報提供を進めているところでもございます。今後もまた十分努力をしてまいりたいと思うわけでございます。  二〇〇〇年を控えまして、国民の視点に立ちました情報提供あるいは危機管理の重要性は、今御指摘がございましたように、今後一層増大することと考えておりまして、今後とも国民生活にかかわりのある情報を積極的に提供いたしますことによって、国民が安心して二〇〇〇年を迎えられるという万全の体制を整えてまいりたいと考えております。
  132. 川端達夫

    川端委員 ちょっと質問というか私の申し上げているのと違いまして、そういう体制を一生懸命やっていただいているのはそれで結構なんですよ。大事なことです。そして、広報をやっていただいていること、大きな記事で二〇〇〇年問題というのは幾つか出しておられるのも承知しているのですよ。しかし、これはコンピューターを使っている人、そういう事業者という人たちに、万一に備えてちゃんとしてくださいよというメッセージなんです。  そうではなくて、国民の生活に対して、万一何か起こるかもしれませんよ。今やっておられるのは、一生懸命そういうことで起こらないように抑えているから安心してくださいというメッセージが流れているのですよ。そうではないですよ。不安をかき立てる、パニックを起こすということを言っているのではなくて、幾らやっても、これはコンピューターのソフトを変えるということは、必死にやられて、日本は本当に短い期間で一生懸命やられておる。しかし、ソフトはやられても、世界じゅうに二百五十億個とも五百億個とも言われるマイクロチップを全部チェックすることは不可能である。日付がないといっても、日付を知らないというか、安い部分で、それまで入ったチップをほかに日付を使うのに使っているということもあるから、もう不可能だと言われている。だから、何かが起こりますよ、万一に備えた部分の備えをそれぞれしましょうよというメッセージが全く出ていないというこの国は何なんだろうというふうに私は思うのですよ。  毎年恒例の、元日に砂漠を走るパリ・グラナダ・ダカール・ラリーというのがあります。来年一月一日にスタートしないのですよ。なぜスタートしないのか。何が起こるかわからない。万一に備えて、一月一日は避けようというので、六日スタートするのですよ。要するに、あのラリーをやるのに、いろいろなシステムを含めて全部チェックをしたけれども、それでも何かが起こったときには大変なことになるからということで延期したのですよ。  今、都内の都心のホテルはこの春から全部満室なんですよ。なぜなのか。正月は家族で都心でお正月行事とかいうので込んでいるのは、ツインルームとか、もう少し大きい部屋です。お正月三が日はシングルルームは全部空っぽというのが普通の状況なんですよ。全部満室ですよ。なぜか。民間企業は、大変なことになったときに会社に行けないかもしれないということも含めて、全部自助努力で備えているのです。  アメリカの赤十字社が文書を出している。アメリカ赤十字社のチェックリスト、国民に向けて、家族全員のため、数日から一週間分の災害用品を備蓄すること。例えば長もちする食料、水、常時服用している医薬品。停電に備えて別の調理器具を準備しておくこと。例えば、真冬だから、寒いから、風邪を引かないような暖房器具を電気、ガス以外で。  要するに、起こらないかもしれない、しかし起こったときに、その被害を最小限にする備えはみんなでしましょうよ。だから、アメリカ政府は具体的に、例えばアメリカの国務省は、アメリカ人で外国に行く人は何が起こるかわからぬから気をつけなさいよと言っているわけです。既に公式に、オフィシャルにアナウンスしている。アメリカの緊急時管理庁が国民に備蓄の訴えをしている。カナダの赤十字社も言った。カナダの政府は、軍艦を主要港に係留して緊急発電所としたり、通信隊が緊急の連絡網を構築したりしている。兵士二万人が警官をバックアップする計画を立てている。  要するに、起こらないように機械の部分で万全を期すのを一生懸命やっても起こり得る、ここに二〇〇〇年問題の深刻さがあって、だから、何もしないで大変なことがあったらパニックになるからということで、正しい情報を開示して、最低限、万一のとき、例えば、一月一日正午を過ぎたときに電気もついていた、電話もつながっていた、交通網も動いている、よかったなというんだったら、一週間、二週間備蓄したものを後使えばいいわけです。万一のときの備え、そういう部分の切り口が政府に見られないということに私は非常な不安を覚える。  それで、時間が限られておりますから、例えば、自治省、手引書を立派なものをおつくりになっている。その部分では、その視点も、例えば、地方自治体のコンピューターで給料を計算するとか保険の計算をするとかいうのをチェックしなさいというのは、御指示をされ、フォローされている。これは、そういう部分では、先ほどの起こらないようにするということに対応をしておられる。  もう一つの視点として、万一に備えたことはしてくださいねということも書いてある。書いてありますけれども、「万一、問題が発生し、住民や企業に影響を及ぼすような事態に備えて、地方公共団体においては、適切な対応をとることができる体制を整えておく必要がある。」云々とありまして、これは、いわゆる普通の防災対策のレベルで対応しなさい。  各論を見ますと、「社会インフラに関する情報収集については、万一の問題が発生した場合に正確な情報が得られるよう、あらかじめ近隣地方公共団体とも調整し、社会インフラ関連事業者と連携したうえで、相互の連絡窓口を設定しておくことが望ましい。」と書いてあります。後、「連絡体制の調整を行うことが適当であろう。」  この自前のコンピューターをちゃんとしなさいというのは、きっちりやりなさいよという具体的な指示であって、後の部分は、防災のことというか備えに関しては、やった方がいいのではないかという部分で、お伺いしましたけれども、調査したりフォローされていない。  私は、官房長官、こういういわゆる緊急に備えた部分というのは、万一、もう日までわかっていて、起こるかもしれないということの幅がこんなにあるということに関しては、今私が調べた範囲では、政府からそういうメッセージが出された形跡は全くない。そういう部分では、起こらない対策を必死にやっておられることは評価をいたしますが、万一に備えるといういわゆる危機管理体制がこの国においては非常にあいまいである、そういうふうに思います。  ですから、ぜひともこういうふうなことに、万一起こったときに備えるという、市民生活を守り、混乱を可能な限り起こさないようにするということのための対策の組織と、それから政治家のリーダーシップを発揮できる責任者を設置していただきたい。  例えば、万一のことに備えれば、水とか食料とか暖房器具とかということがありますけれども、例えば薬というのがあります、お医者さん。そのときにお薬を、今だったら普通三日から一週間しかもらえないのです、処方せんでは。それを年末だからといって特にお願いすると、三週間とか一カ月くれる先生もいる。しかし、支払基金の関係で拒否される場合もある。しかも、それは、長い薬をみんなが、国民が万一に備えて、風邪薬からいろいろな薬だけではなくて、慢性の常備薬も少しは持っておこうといったら一気に在庫がなくなるんです、製薬メーカーはそんな体制を持っていませんから。  というと、製薬メーカー、お医者さん、薬屋さん、卸屋さん、それから支払基金まで全部、そういう部分はこういうふうにしようということのシステムをきちっとやるのは政治の責任でしかやりようがない、私はそういうふうに思います。(発言する者あり)そこまでやるのかという何かつぶやきが聞こえますけれども、そこまで各国はやっているんです。日本だけはやっていない。  だから、その部分の御認識と、その体制をとられるように、私は、あえてほかのいろいろなケースは余計な不安をあおってはいけないと思いますので言いませんけれども、御所見を伺いたいと思います。
  133. 野中広務

    ○野中国務大臣 小渕総理が昨年七月就任をされました最初に、コンピューター二〇〇〇年問題の重要性と、そして危機管理について切々と閣僚に申し渡されまして、自来、内閣として熱心に取り組んできたわけでございますが、今、川端委員からそれぞれ具体的に御指摘をいただきましたように、なお、国民生活に際しまして、万が一かかった場合を十分配慮しながら、万全を期してまいりたいと考えております。
  134. 川端達夫

    川端委員 私は、いろいろな事態を想定して、情報開示をし、指針を示し、そして迅速に進めていくのが政治に求められる最大のリーダーシップだというふうに思っております。そういう部分で今までの対応は非常に欠けていると私は率直に思います。これが今の政権の本質ならば大変悲しいことですし、そのことで悲しいなといって国民が混乱しては大変なことでありますので、ひとつぜひともに対応していただくように指摘をさせていただきたいと思います。  次に、経済景気、雇用で補正予算が組まれました。この点に関して若干の質問をさせていただきたいと思います。  先ほど同僚の石井議員からもありましたけれども、例えば自殺が急増した。中高年の経済苦による自殺が物すごくふえた。例えば、全体で三五%去年よりふえた。四七年以降、統計をとり出して最高値である。経済、生活問題の自殺が七割。もちろん、この比率は統計のある二十年間で最高。勤務の問題、仕事の失敗、上司の叱責の自殺が五〇%。経済苦の自殺のうち七三%が働き盛りの三十歳から五十歳代。三万二千八百六十三名。同年の交通事故死者数が九千二百十一名。交通事故の三倍を上回る数の方が、中高年で経済苦によるものということで、ここ一年、物すごく自殺者がふえた。数名あるいはそれ以上の死者が一気に出る災害が起これば大変なことです。そして、交通事故死で一万人を超えた時期が何年かありました。交通事故非常事態宣言だ、何とか減らそうと、国を挙げて対策に取り組まれたのは記憶をしております。  今、こんな状況になっている、一方で経済をよくしなければいけない。それこそ今回の雇用対策も含めて、そういうことの原因になることをなくそうということで一生懸命やっておられるんだと思う。私の目から見たら、かなりもどかしいというか、後で御指摘しますけれども、そういう思いだと思うのですが、自殺すること自体、こんな状況になっていることに真正面から取り組んで対応しようという姿は全く見えない。  WHOは九三年に、各国に自殺予防センターの設置や予防研究などを盛り込んだ自殺予防のガイドラインを示し、国を挙げて取り組むように勧告したと報道されている。日本はどうか。勧告から六年を経ても、公的な自殺予防センターは設置されていない。  国民がこの国に暮らして、絶望して死んでいく人が三割もふえて、物すごく多くの人が亡くなっているというときに、ただ手をこまねいている政府なのか。それだけではなくて、家出や離婚や、新卒者の就職率が史上最低である。失業率は言うまでもない。そして、実質賃金はマイナス傾向が続いている。そういう状況で、今、国民はまさに今まで経験したことのない不安の中にいる。その国民生活の最高の責任者が小渕内閣総理大臣だと思います。  国民に本当にこの不安を解消するという部分で総理はこの補正も組まれたわけですけれども、こういう日本が経験したことのない不安いっぱいの社会に国民がいるという部分で、内閣総理大臣としてどう思っておられるのか。そして、どういうメッセージを、国民よ、安心しろ、死に物狂いでその部分をやっていくぞ、その先にはこういう絵がある、だから今この手を打つからという姿が、私が頭が悪いだけではなくて見えないのが、正直な私の気持ちです。  きょうも新聞を見ましたら、きのう総理は、若手の実業家かなんかのところへ行かれたという報道がされていまして、僕の頭は真空です、きょうは皆さんの意見をお聞きしたいと言われた。私は、初めそういう言葉が動き出して、みずからがほとんどジョークとして言われる言葉としてはいいのですよ。  しかし、報道されて、こんなに苦しい状況の中でみんな本当に悲鳴を上げているときに、その一番トップのリーダーが僕の頭は真空ですと言われたら、どうしたらいいのだろうと思うのではないですか。私はそんなことは思っておられないと思うのですよ。ですから、今この厳しい状況で本当に何とかしたいという部分のメッセージをお伝えいただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
  135. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私も、最近各紙が取り上げておりますように、我が国の自殺者が残念ながら三万二千人台に達したという事実を知りまして、まことに残念至極でありますと同時に、この問題についていかように対応すべきかどうか、真剣に考えなければならぬと思っております。  戦後、大変生活が厳しく混乱のしておられた時代にも、あるいはそうした方々はおったかと思いますけれども、しかし、それなりに何とか生き延びていこうという生存意欲がありまして、食事もとれない中でも将来の生活の安定を目指して営々として努力してきた時代に比べますと、この時節、少なくとも衣食住は足りてきておる中で、こういった方々が残念ながら与えられた人生の中で早くみずからの生命を失うということは、本当に人間としても、まことに残念至極なことだと思っております。  よって、私は、できればどういう原因があるかということもできる限り早い時期に精査する必要があるのではないかと。  今、委員の御指摘は、例えば職を失い将来の展望がないという方もおられるでしょうし、あるいはお年を召された方々が将来に対してまた展望がないというような点もありましょうし、あるいは若い人たちがどういうふうにあるのかというようなことも含めまして、確かにある意味で終身雇用の中である程度生活も安定してきた、昇進もできたというのが、今日がらっとそういう環境が百八十度転換したということで、大変なショックがあって、そうしたみずから命を絶つというようなこともあったのではないかと思っております。  したがって、この数字そのものはまことに驚きでありますから、よって来る原因も十分いち早く精査して、その原因が何たるやということも明らかにしなければならぬかと思います。  一般論的に言えば、今の時代、将来に展望を失って、与えられた大切な命というものをみずからの手で失わせるというようなことはまことに残念のきわみであります。何はともあれ政府として考えなければならぬことは、そうした方が安定して、安んじて生活が保障されるような体制をつくり上げるということが、少なくともそうした不安におののいておられ、また命を失うというようなことを回避できるゆえんのものだろう、こう考えておりますので、決して私自身これをなおざりにするつもりはありませんで、ここに示された数字は冷厳なものとして受けとめながら、これに対する対処方法についても直ちに検討させていただきたいと思っております。
  136. 川端達夫

    川端委員 総理からこの自殺の背景を分析していただくことを聞いたわけではございません。  例えば、一人の自殺者が出れば十人の未遂者がいると言われる。そして、その自殺あるいは自殺未遂をした人の周辺で、本当に心に傷のつく人が四人ぐらいは最低いると言われる、親御さんであるとか子供さんとか配偶者。そういう部分でいえば、三万数千人ということは、未遂者が三十数万人、そしてその周辺に百数十万人の深刻な打撃を受けた国民がいるという国なんですよ、今。  その部分で、いろいろな背景があるだろうという分析ではなくて、景気をちゃんとして失業なんかを起こさないということも一つだけれども、そういう人が死の一歩手前でもとめられるように、いろいろな部分のカウンセリングとか、そういうことをやることに何にも取り組みをされないということは、本当に国民を捨てているのかと私は思います。ですから、ぜひともに取り組んでいただきたい。  それともう一つ、今リストラという言葉がよく使われる。総理に、リストラという言葉はどういう意味というふうに認識しておられるのか、お伺いをしたい。  報道で恐縮ですが、七月五日に東京墨田区の生涯職業能力開発センターを訪れたときに、「「雇用問題は最大の政治課題。だが、リストラをした企業の株価が上がる傾向もある」とあいさつ。」「官邸に帰ってからも記者団に「これからは必ずしも年功序列中心の雇用じゃない。大学を出ても安定しているわけじゃないんだから」。構造改革のためにはある程度のリストラはむしろ必要という持論を示した。」  そして、五月にアメリカに行かれたときには、米国訪問の中の講演、多分シカゴの講演だというふうに思いますが、これも報道からの引用で恐縮ですが、失業増加は構造改革の努力の結果であり、日本経済が再生するための痛みだと述べられた、こう書いてあります。  失業問題にお触れの部分とリストラに対するお言葉がありました。リストラクチャリングというものがどういうものと御認識なのか、簡潔にお聞かせをいただきたい。
  137. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 なかなかこれは一口で申し上げるということは難しいかもしれませんが、一般的には、企業その他、再生を願ってより合理的な経営をするために、今そこで働く人たちの転換、あるいは時においては非自発者でありましてもやはり職を失うというようなことが行われるわけでありまして、それを企業側の目で見ているわけではありませんで、そうされた方々のことも考えてどうなっていくかということが最大の問題、すなわち、言えば雇用問題、こういうことになるのだろうと思います。  今、日本の企業体におかれましても、トップと言われる有名企業において相当の数の退職者を求めておるというような状況でございまして、この点につきましては、政府部内でも、再生の会合等におきましても、政府としては、通産大臣あるいは労働大臣を通じまして、雇用については、そうした企業自体の経営上の問題だけでなく、日本社会を維持していくという意味合いから、できる限り会社の社会的責任という観点からの雇用についても検討してもらいたいということを常々申し上げておりますが、一方、企業も生存のふちにおりまして、そういった意味で、できる限り労働力の中でリストラクチャリングをしなければならないという、厳しい、追い詰められた状況のあることも、これまた一方で否定しがたい点があります。  そういった点で、万やむを得ず非自発的な失業をされる方々を含めまして、今日時点で生活ができなくなるということを解消する意味合いにおきまして、今次、臨時的にも幾つかの処方せんを出させていただいておるということでございます。  ただ、このままでいいかと問われれば、それぞれ民間の企業におきましても、今のままで、この状況ではなかなか会社そのものが存立し得ないという厳しい場面に立ち至っておる企業体もあることも、これまた事実だろうと思いますので、そういった中でも、国全体として、できる限り企業も、申し上げたように社会的責任を自覚しつつ、その中で合理的な人員配置その他を考えて、何とかこの時点をしのいでいただきたいということでお願いをいたしておるわけでございますが、万やむを得ないところにつきましては政府としての責任も果たしていきたいというのが、今回こうした補正予算を提出させていただいているゆえんでございます。
  138. 川端達夫

    川端委員 企業が、いわゆる国際競争力をしっかり持って頑張っていかなければならない、そのために体質を強化しなければならない、これは当然のことだと思うんです。これが本来のリストラという英語、再構築ということなんだと思います。日本では、その部分に加えて、そのことによって人を減らすことなんだ、要するにスリムにする、余分な人間を首にしていくということがリストラだというふうになってしまっているのではないか。  私は、全く違うものであって、そこに二つあるんですが、一つは、先ほどの部分でいうと、総理のお話を伺っていますと、企業はそういうことをやっていくときに、ある部分では失業者が出るのはやむを得ない、そういう流れはあると。私もそれは否定しません。しかし、そのときに、企業が果たすべき責任というのは、最大限雇用を守る、あるいはそこで守れない、余分な人間を抱えたらやっていけないという部分でいえば、ほかに新しい仕事をつくる、転職のあっせんをするということが企業に課せられた社会的な責任だというメッセージがどこからも出ない。ちょっと誤解を受ける発言だと思うんですが、現実がそういう切り口があることも残念なんですが、リストラをやる企業は株価が上がる傾向があると。傾向はあるんですよね。それはいいことなのかよくないことなのかというメッセージが伝わっていないということなんです。  リストラをどんどんやったという部分で今アメリカの社会で起こっていることというのは、物すごい企業のモラル低下なんですね。私も、いろいろな本を読んでみて、そして今の実態、日本でどうなのかなと見たんです。  例えば希望退職を募る。いろいろな例がありますね、報道でも。百人と言うたら二百人来た。今、腕に自信があり、能力に自信があり、体力に自信がある人は、退職金を倍もらえるんだったら、今このチャンスでこの会社に見切りをつけてやめようという人がどかっと来るんですよ。そして、まあ今さらなあ、当てもないし、いろいろ扶養もせないかぬし、あるいはこの会社に愛着があるからという人が残るんですよ。そして、しかし会社は大丈夫かなという不安が起こるんですね。  いい人は見切ってやめていく、そして残った人は、人数が少なくなって、そして労働の負荷は、今実態でいえばサービス残業はどんどんふえて、厳しい仕事の中で、しかし自分は次にいつ首になるかもわからないという不安におののきながら、どこかにいい仕事の口があったらぱさっとかわってやろうと思いながら職場に残って仕事をして、この会社がよくなるはずがないんですよ。ですから、この会社はまたじりじり悪くなる、そうすると次にもっと人を減らさなければいかぬ。アメリカの企業で起こっている現象はこのことなんです。リストラをやってどんどん会社がおかしくなってつぶれていく。  アメリカにIBMとDECというコンピューターの会社が二つあります。両方ともリストラをやりました。  IBMは一回だけやりました。そして、大胆に構造転換をするけれども、残ったこれ以上の首切りは一切しない、そしてこういう方針で経営をやっていくんだという、要するに、初めの部分は別にしまして、これ以上首を切らない、そういうことの中でみんなが頑張ったら、史上空前の利益を出している。  DEC、デジタル・イクイップメント・カンパニーという会社は、じわじわ減らしていった。そして、昨年、企業は吸収合併をされてなくなってしまった。この現象がいろいろなところで出ているということなんです。  今、日本の企業に働いている人たちの不安は、まさにこの状況をつくっているんじゃないですか。うちはリストラをやる。大丈夫かな、おれは入るんだろうか入らないんだろうか。さっさとやめてしまえ。優秀な人ほど先にやめる。残った人は不安の中でいる。こんな状況が起こっている。  そして、日本の国が今やってくれていることは何なんだろう。去年、金融システムの安定化、金融は日本の血液である、これが滞ったら大変なことになる、数十兆円の公的資金をバックアップして支えよう、やり方に多少の議論はありますけれども、そういうことで対応された。今、日本の国で起こっている、勤労者に起こっていること、その家族、社会に起こっていることは、金融システムの安定化じゃなくて、勤労システムの崩壊ですよ。勤労システムが崩壊しつつあるときに、やりがいもなく、不安の中で、給料も下がり、首つって死んでいくか家族離れ離れになるかという状況に、どんなまなじりを決した、死に物狂いの対応が必要なのかという、その決意と態度は、残念ながら私は見えない、申しわけないけれども。  そこの部分で出てくる補正予算ですから、相当なことを考えていただけるんだと思って、半ば期待をし、半ばあきらめながら見ておりましたが、正直申し上げてがっかりしました。私は、そういう意味で、新しい時代をどうつくっていくのかというビジョン、そしてそこに流れていくために打つべき手、そして今緊急に雇用が大変だという部分は、ワンセットでなければいけないと思います、同じ税金を、みんなの税金を使うんですから。  そのときに、例えば緊急雇用・就業機会創出特別対策事業で、総額五千四百億強の中の約二千億使われる。大変な額です。いろいろなことにやるべきだという例示が挙げてある。私は、この例示はある意味でこれからの新しい時代、物の豊かさ、物を大量につくり、大量に消費し、大量に廃棄するという時代から、新しい時代の消費というのはそういうものではない、いわゆる第三次産業的な部分にシフトしていくという部分で、本当に人間らしい生き方をする、そして少子高齢化だというときに、教育、文化、福祉、環境、リサイクル等の部分を視野に入れて地域でやりなさいという視点は、私はいいと思う。間違っていないと思う。  しかし、そのやり方について、幾つか聞きますのでまとめてお答えいただきたいんですが、例えば三十万人の雇用創出だと書いてある。しかし、こういうテーマは示しますけれども、それぞれの地方自治体が自分で計画をつけて手を挙げなさい、そしてそれを申請しなさい、それでお金を上げましょう。地方に任せるというと地方分権で聞こえがええように見えるんですけれども、実は申請主義なんですね。お金を上げるから一生懸命、自分のところで要るんだったらもう何も言わないから使いなさいというのでもない、そして一両年で終わりなさい。  そうすると、例えば例示的に挙げている、学校でコンピューターの教育をしなければいけないから小中高に臨時講師として活用することでコンピューターのインターネット教育等を充実しよう、これからの時代に大変大事だ。海外勤務経験者等の外国語能力の高い者を置いて外国語教育を充実しよう。あるいは、これは日経連さんも提起されましたけれども、日経連さんは小中高十万人と言われましたけれども、ここに書いてある例示としては、小中学校の直面する生徒指導上の課題を解決するために、児童生徒の相談相手となる社会的経験豊富な中高年を生活相談員として活用する等々と書いてある。いっぱい書いてあるんです。中身はいいけれども、一両年だけで済む話なんですか。  新しい時代を目指してこういうことをやらなければいけないというときであれば、そういうときに地方から、この中で好きなことだけやったらどう、手を挙げなさい、そして、申請したらお金を上げますよ、そして二年で終わりなさいといってどうして新しい時代のビジョンをかくような金の使い方なのか。全く理解ができない。  そして、いい人材もこんなのに来るはずがないですね。私は、ある地方の自治体に、こういうのでお金が来るけれども何に使うんやと言ったら、いや、今市役所で臨時に雇っている職員が何人かいる、これで見たらいろいろなデータ整理や何やらという分野にはめようと思ったらはめられる。だから、臨時職員の給料に回すので大体いけますわ、反対せんともろうといてくださいねと言われた。どうしてこんなものが雇用拡大なんですかと言いたくなる。  三十万人の根拠を含めて、御所見があればお聞かせをいただきたい。
  139. 甘利明

    ○甘利国務大臣 質問が多岐にわたっておりますので、答弁漏れがありましたら御指摘をいただきたいと思います。  まず、三十万人の根拠でありますけれども、実は客観的な基準というものを探しまして、一つは、これは臨時、一時的な、要するに恒久的な職が見つかるまでの間の応急措置として構えておりますので、就業に至る期間が平均どれくらいかと調べてみますと、労働省の調査では三カ月であります。つまり、三カ月の間に失業給付の平均水準は確保したい、それは十七、八万でありますから、それをもとに算定をしていきますと、三十万という数字が出てまいります。  もちろん、この事業は主体は地方自治体でありますから、こういう仕事を任せるのにこの給与では人は集まらぬなというときには、自主判断をされることはやぶさかではないのでございまして、一応の基準として算定をさせていただきました。  それから、地方自治体が主体的に事業を行う場合に、その必要性が長期にわたる場合には、新たにその必要性を自治体ともども検討していただきたいと思いますが、あくまでも恒久的な仕事、常用雇用につくまでの間の臨時的な措置として、公的セクターが中心に雇用を生み出すということであります。  それから、中長期的につなげる雇用といたしましては、いわゆる成長する十五分野の前倒し雇用があります。これは、将来必ず雇用が発生するであろうところに対して、一年でも二年でも前倒しして採用していただきたい、そしてその間に人材の養成についても人件費についても御支援をいたしますということでありまして、将来につながる前倒しだというふうに理解をいたしております。  そして、今回は、雇用の維持安定から雇用の機会をつくるということに踏み出した政策であります。本来、雇用の受け皿をつくるというのは民間経済がする仕事であります。事実、政府がそこまでするのかという御批判もいただいておりますけれども、本来政府は間接話法で雇用の受け皿をつくる、民間企業が立ち行くように環境整備をするとか、そういう間接話法で雇用の場をつくるのでありますが、間接話法を踏み越えてかなり直接的に踏み込んでおります。  それは、この小渕内閣が雇用不安を解消するためにはできることは何でもやるという決意表明だと思っていただきたいと思いますし、それがメッセージだというふうに思っております。
  140. 川端達夫

    川端委員 できることは何でもやるというときに思いつきみたいな話であってはもったいなさ過ぎるというふうに指摘をしておきたいと思いますし、逆にない方がいいのではないかという気さえいたします。  時間がほとんど来てしまいましたので、もう一点、これも予算の大きな目玉の一つであります二千億を使った少子化対策臨時特例交付金。  この少子化対策というのは、日本の将来を本当にどうしていくのかというときに一番根っこにある深刻な問題でありますし、この部分はいろいろなところで、政府におかれても当然でありますが、各政党、政府において幅広い議論がされていることは承知をしております。大きな方向としては、問題意識は共有しつつも、対策においてはいろいろな議論もあることも承知をしております。そして、まだその結論が出ていない段階で、雇用対策として少子化の部分に予算が組まれたということに、ちょっと無理過ぎるのではないかなというふうに思います。  大きな流れが少子化対策をこういうふうな考えで手を打っていこうという中で、今すぐ必要なことにはどかっとお金を使おうということに関しては、私は異議を唱えるつもりはありません。  そういう意味で、例えば、今喫緊の課題であって、お子さんを持っている女性が仕事の部分で、非常に希望しておられる部分で、保育所に入れたいのに保育所を待たなければいけないという問題が非常に大きな問題であるということはもう今すぐにでも直したい、私はこれはよくわかるのですよ。それなら、今全国の市町村に、そういう保育待機をしている部分で、要る分の施策を全部言いなさいと。それは、むだ遣いはいけませんよという部分で全部やりましょう、その予算をつけましょうといえば、これは、日本じゅうでお子さんを持つ親御さんに、保育に関してはこの国では心配することがないんだという安心を与えるという大変なメッセージなんです。  しかし、今回の予算の組み立ては、計算は、そういう人、就学前児童、保育待機の児童を計算しつつも、足らぬところは最低一千万円を上げますというから、人口数百人で待機児童はゼロで未就学児童が十人というところに一千万行くことになるんです。そういうふうなことと、それから、二十項目ほど列挙してあるけれども、そのことが少子化対策なのか雇用対策なのか、両方でもないのではないかというふうな予算に残念ながらなってしまっている。  私は、前段申し上げましたように、本当に大きな流れのビジョンを持つ中で、重点的、効率的、明確的な施策を打って、国民にいろいろな安心を与えるというメッセージを出すことが今問われている。そして、残念ながら、今回の予算、そしてトータルの、この政権の姿勢はそういう姿が全く見えないという感想を申し上げて、終わります。
  141. 中山正暉

    中山委員長 これにて石井君、川端君の質疑は終了いたしました。  次に、太田昭宏君。
  142. 太田昭宏

    太田(昭)委員 公明党・改革クラブの太田昭宏です。  初めに、経済の活性化、そして不安の解消、結局、今一番国民が望んでいるのはこの二点、しかも、経済の活性化ということと国民の不安、その不安が相当根深いものがあろうというふうに私は思います。  雇用とか福祉というような問題だけでなく、社会が非常に変わってきた。そこで銀行が倒れたりあるいは大企業が倒れたりする。そうしたことに対して、就職ということを考えてみても、何を信じていったらいいのかわからないという、不安の底にはかなり根深い、私は、不信みたいなものが社会変化の構造の中に出ている。そこを見て、この活性化ということと、そして、不安解消ということに今手を尽くすということが非常に大事だという認識をしております。  そこで、一月から三月期、一—三月期が一・九%の経済成長というデータが六月十日に出ました。昨日も経企庁は「やや改善」、こういう表現で発表しています。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕  私は、実際のところ、極めて景気はデリケートであるという認識をしております。特に、今何を手を打たなくてはならないか、そのときに、今回の不況というものは一体どういう不況であったかというと、それは端的に言いますと、私も前回の予算委員会あるいは去年末の補正予算委員会で質問をしたことがあったんですが、一言で言うならば金融不況、あるいは中小企業先行型の貸し渋りというものがまずあって、二年半前に、ちょうど衆議院選挙のあったころです、あのころに貸し渋りが先行して、それで中小企業が大変な状態になっていった。その後にあの消費税とかあるいは特別減税の打ち切りとかいうことが続くので、今回の不況というものの大きな特徴は、金融不況、中小企業先行型の貸し渋り不況、私はこう思います。この点は、昨年、ことしの予算委員会で、総理からも、また堺屋長官からも、おっしゃるとおり、同感、そういうようなお話をいただきました。  データを示しますと、非常にくっきり出ているんですが、私が先ほど申し上げましたのは、早期是正措置検討委員会設置、九六年九月、このときから国内総支出と国内の銀行貸出残高という、相当これが、貸し渋りということがあって、ここが、実は中小企業の生産性というものが急落していくのはこの九六年の十月からなんですね。大企業と中小企業の格差が物すごく広がっていって、中小企業が先行的にだめになって、その因になったのはまさしくこの貸し渋り現象であったというのが、この九六年九月、早期是正措置検討委員会設置、これが九六年九月三十日です。  ずっとここで、矢印が書いてありますけれども、貸出残高が減っていきまして、そして第二期が、九七年十一月、北拓、山一の破綻、ここから一気に落ちて、去年の三月期までがっと落ちます。それからさらにもう一遍、三段目が、落差がありまして、それは去年のちょうど今ごろから九月にかけまして、長銀とか、金融システムというものがある意味では迷走した時期、その時期ががんと落ちた。この三連発で、貸し渋りというものが中小企業にダメージを与えて、日本経済ということについては物すごく大きな影響を与えたわけなんですが、この一—三月期は確かに上がって、GDPはいいんです。  そして、同じように、符節を合わせてこの貸出残高というのも改善されて、少しいいわけなんですが、実は一番見なくてはいけないことは、ここの、最後のところの、今、勝負は四—六だなと言われる。一—三月期はまだいい。よくなった。予想よりもよかった。しかし、あらゆる人が焦点に今考えているのは、まさに四—六がどうなるか。この四—六というところで、結局は、この貸出残高というのを見ると、これが五・四、五・七。きのう出た指標によりますと、マイナス五・七という指標が、六月で、これは出ています。  私は、これは非常に注目をして、大変だということの上に中小企業の調査をしてみますと、民間金融機関の貸出姿勢は厳しいと考えているのが、今、総理、二六・二%。これはどういう数字かといいますと、山一とか拓銀が破綻したときの九七年十一月、このときに貸出姿勢は厳しいと答えたその数字は一九・五なんです。そのときよりも今は悪い貸出姿勢になっているというところは注目しなくてはならない。  実は、少し明るさは空の方では見えているかもしれないけれども、中小企業の現場においては非常に資金繰りに苦しいという場面が今あって、実感としては大変な状況になって、それが実はデータに、最後のところの落差、今出ているところのさらにこれから落ちていくという、こういう状況にありまして、今数字を示したこの最後のところがもっと下がっているというのが昨日の経企庁の報告で明らかになっているわけです。私は、このことは極めて重要だというふうに思います。  まさに、総理、金融不況が克服されたかどうか、これが今回の不況の一番の焦点だというふうにしますと、問題は四—六である。これは、景気認識を、この四—六、そして貸出残高が落ちている、こういう現象について、私は日本経済というのはまだまだとても健常な体には戻っていないという認識をしているわけですが、総理は、四—六が大事で、この貸出残高をどう見るかということについて、まず御認識を伺いたいと思います。
  143. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今そこでお示しをされたグラフを見ますると、赤線のところが、貸出残高が低くなってくるというところにまたGDPの山も崩れてくるというような例証でございまして、そういう意味で、今太田委員御指摘された最後のところ、四—六、これがそのように残高が示されているとすると、大変危惧すべきことではないかとは思いますけれども、大変申しわけありませんが、この点、専門家、経企庁長官もどういうふうに考えているかお聞きをしたいと思いますが、一応青線グラフは今のところ、一—三は上がっておるわけです。  しかし、御指摘のように、そのグラフだけ見ますると、その一番右の方が低くなっておるというのは、やはりこれは相当注意をしなければならない数字かな、そう私自身は思います。
  144. 太田昭宏

    太田(昭)委員 経企庁長官の前に、総理、もう一言だけ、この四—六というものが非常に大事だというその認識だけはしっかり持ってくださいということを私はまず申し上げています。
  145. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これは、一—三でその数字が、一・九出たからといって、これですべていいというのではなくて、問題はその以降の、特に四—六というものは十分これは監視しなければならない数字であることはお説のとおりと認識しております。
  146. 太田昭宏

    太田(昭)委員 長官お願いします。
  147. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員御指摘のとおり、一—三月は私もでき過ぎかと思うぐらいいい数字が出ました。それで決して安心しているわけではございませんで、経済企画庁といたしましても、なおこの現状は、経済は非常に厳しいと見ております。そして四—六、さらに四—六の後の今、現在ただいま、この七月ぐらいが非常に警戒すべきところだと考えております。  金融問題でございますけれども、金融問題は中小企業に対して、大企業の方は、直接金融等が出てまいりまして貸出残高の減少ほど厳しくはありませんが、中小企業の今の認識は決して楽観を許さない状態でございます。したがいまして、我々の月例の見通しでは、少し、やや改善は見られるものの、極めて厳しい状況であるという認識を抱いております。
  148. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そういう意味では、私は、やはり必要な対策の一つとして、まず金融政策、これは非常に大事だと思います。  日銀総裁。日銀の緩和策、ゼロ金利がかなりきいたということは私は事実であろうと思いますし、特にインターバンク市場においてはそういう傾向があって、一—三月期というものが好転をしたということについては、これが大変な大きな要素であったというふうに思います。そこで、これを崩すのは私はまさに時期尚早である、むしろ強化してもいいぐらいだ、こう思いますが、この点の認識はいかがでしょうか。
  149. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  景気の現状に対する判断は、私どもは、足元の景気は下げどまっているけれども、回復へのはっきりした動きはまだ見られていない。先週発表いたしました六月の短観でも、そういう判断を確認するものとなりました。  そういうことでございますので、日本銀行としては、引き続きデフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になりますまで、現在のゼロ金利政策を維持していきたいというふうに考えております。これによって、物価の安定と経済回復を金融面から下支えしていけるものというふうに考えております。
  150. 太田昭宏

    太田(昭)委員 もう一つは、金融システムの方で、大手行に関して資本注入も、私はこれはきいたんだと思います。しかし、地銀とか第二地銀、中小企業とか地域経済に非常に密着したここのところの資本注入、ここはかなり大事な感じになってきたなというふうに思っておりまして、この辺について私は、中小企業に資することは大いにやるべし、そして地域経済に資することは大いにやるべし、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  151. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 先生今御指摘のとおり、私ども、三月期の年度末にねらいをつけまして、大手行への資本注入を行った。その後、実は地域銀行、つまり地銀、第二地銀についても監督庁の方で一斉検査をしてくださっておりまして、これが大体終了したということで、これをもって資本注入へのいわば準備作業が整ったということで、去る六月の十日に、地域金融機関の資本増強についての基本的考え方というものを金融再生委員会決定をさせていただきまして、この基本的考え方に基づいて、地域金融機関に対する資本増強、いわゆる資本注入を行おう、こういうような体制を整えているところでございます。  その中で、先生今御指摘のとおり、私どもは、地域金融機関への資本増強については、その地域におけるその金融機関の重要性や存在状況等、地域の実情に応じたものとするということをうたいつつ、そういうような一般原則ですとどうしてもその地域での貸し出しシェアが大きい銀行を大事にする、あるいは競争行を大事にするというようなことに流れがちだ。  そこで、あえて、「その際、申請金融機関がその地域の中小企業に対する資金供給においてどのような役割を果たしているかについても十分考慮する。」こういうように、例えば通産省がやりました特定企業集積地域がある、それに対して資金供給をしている、そういうような金融機関にあっては、例えばその地域での貸し出しシェアが仮に少々小さくても、これに対しては手厚い資本増強をして、その資金の供給に遺憾なきを期してまいろう、こういうことを考え方としてうたわせていただきました。  この方法で我々やろうといたしておりますので、地域金融機関の方々も、ぜひ我々のこの趣旨を酌んでいただいて、どんどん申し出をしていただきたい、あるいはその前の相談事をしていただきたい、このようにあえて呼びかけさせていただきたい、このように思っております。
  152. 太田昭宏

    太田(昭)委員 テレビで多くの方も聞いていらっしゃるし、私は、ぜひともそのリーダーシップをとっていただきたいというふうに思っております。  財政面からのバックアップも必要だ。私は、午前中の審議を聞いておりまして、四—六の結果、これが出るのが九月十日前後、そこから直ちに、もし機動的な対応をしなくてはならないときには動いていただきたいというふうに思っております。堺屋長官が先ほど七月に非常に注目しているという話がありましたので、それもあわせて、この九月中旬、出たところのこの勝負の勘どころ、ここのところで機動的な対応総理みずからリーダーシップをとってしっかりやっていただきたい、私はこのことを念を押しておきたいと思いますが、いかがですか。
  153. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 経済の動きというものを注視しながら、政府としては、十分な対応をとるべきときにはとらなければならぬと思っておりますが、いずれにしても、なかなか予想しがたい数字がいろいろ、一—三月でも正直申し上げて出てきておりまして、以降、その反動があるのか、あるいはまたそれが引き続いて上向きになっていくのかどうかというような点もあろうかと思います。  一方、株式市場等におきまして、どのような数字にまたその時点でなっていくかわかりませんけれども、少なくとも、資産価値として一万八千円を上回るというような事態になりますと、またそういう中での全体の金融がどうなるかということも含めまして、財政につきましても、それらを十分見た上で判断をさせていただきたい、こう思っております。
  154. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今回の、雇用という問題あるいはまた保育所とかさまざまな少子化対策ということで手が打たれ、さらに産業再生法ということがこれから提起をされる。  しかし、見てみますと、どうもこの産業再生法でも、事業再構築、技術開発、中小・ベンチャー企業の育成という三部門が提起をされているわけですが、私は、一番大事なのは、これは今大変な状況の方たちをバックアップするということについては雇用面では相当手を打たなくてはいけない、しかし、もうちょっと長期的に見れば、長期というか、今踏み込まなくてはいけないのは、まさにこの中小・ベンチャー企業を育成し、大きく拡大をしていく、そういう戦略に今日本は転じなくてはいけないというふうに思っております。  というのは、実は一九八〇年代から九〇年代、大変苦境に陥っていたアメリカの経済が大きく飛躍をした、これはだれしも知っていることですが、我が国で今問題となっている失業率、当時アメリカは一〇%を超えていたわけですが、今四%台になっています。この要因は一体何かというと、中小・ベンチャー企業の大飛躍、中小企業の中にその発展のシーズがある。ベンチャーが大きく伸びた。  パネルを持ってきたので見ていただきたいのですが、「アメリカにおける新規企業の勃興」ということで、例えば、わかりやすくということでちょっと表をつくってきましたが、NASDAQの市場ですが、インテルとマイクロソフトという二つの企業がある。これが、名うての、昔から大変な企業ですがGEとボーイングとエクソンを合わせた株価時価総額六千百億ドル、これだけの規模を誇っているのですね。  また、もう少し拡大しますと、インテル、マイクロソフト、オラクル、シスコ、ここの全部の総額が、何とニューヨーク証券取引所のATTプラスIBMプラスGMプラスモトローラプラスフォードプラスダイムラー・クライスラープラスウォルト・ディズニープラスフィリップ・モリスという。これだけの新しい企業というのを、中小企業それからベンチャー、そういうところから拡大してきたという新しい流れができているというところに、アメリカの今の隆々たる発展というものがあるということを私たちはよく見なくてはならないというふうに思うわけなんです。  これを、開業率ということを比べてみると、日本は今三・七%ぐらい。ところが、アメリカは一三・七%の業が起こされているというような、開業率とか廃業率も大幅に違いますし、そういう意味では、社齢という言葉が最近あるようですが、日本の会社というのは伝統があっていいかもしれないが、しかし、年齢がそれもまた高齢化を迎えているという社齢という言葉があるそうですよ。そういうようなことも含めて、開廃業率というのが高いという非常にダイナミックな社会を、日本は今こそ踏み込んでいかなくちゃならないときを迎えているんだと私は思います。  従業員数をとってみますと、一九八〇年代、アメリカは、大企業は三百七十万人のリストラが行われたんですね。そして、中小・ベンチャー企業は何と千九百万人の雇用の増を図ったんですね。大企業は削減をし、リストラをし、そして企業というものをある意味では再生させたんでしょう。そして、中小・ベンチャー企業は千九百万人の増加をさせた。  アメリカは、九〇年、九一年は大変な状況だったんですが、九二年から今度はどうなったかといいますと、下の図で、「中小企業の雇用者数対前年比伸び 日米比較」というのを見ますと、一九九二年から九六年までの五年間、アメリカは中小企業において千百八十三万人の雇用増を果たしている。ところが、日本は二百六万人の増にとどまっている。  こういうようなことからいきますと、私は、まさに今日本というものが浮上するためには、大企業はリストラしたが中小企業が雇用を創出したというアメリカの流れを見る中で、起爆力はまさに中小企業あるいはベンチャーにある、こういうような徹底した戦略というものを私は日本は立てなくてはいけない、これが一番、雇用とかいう問題でも大事な問題であるということを指摘したいと思いますが、どうも今、今回の補正予算等に出ている政府の姿勢は弱過ぎる、私はこのように思います。総理、いかがでしょうか。
  155. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 前段の、アメリカの経済の中で占めるNASDAQ上場の企業の大きさというもの、数字が、先生の御指摘のとおりでありまして、今アメリカ経済がなお好調を謳歌しておるというような状況考えますと、その原因を探ればというところは全く御指摘のとおりであると思います。  おくればせながら、日本としてもそうした考え方に立ち、ベンチャーあるいは中小企業、こういう中に今お示ししたような会社が生まれてくることを願って、政府としてはいろいろな対策を講じよう、産業再生会議におきましても、そうした考え方に立ちまして、今、与謝野大臣を中心にいたしまして、ミレニアムプロジェクトというような形で、加速的に今おっしゃったような点に予算を投入していく必要があるという認識は全く同じでありまして、これはぜひやらなきゃならぬと思っております。  ただ、今回の補正予算は、申し上げましたように、これは今の雇用対策に対して新しい対策を講じようという趣旨でございます。その点は御理解いただいておると思いますけれども、今前段お話しした点については全く同感とするところでありまして、この内閣としてもぜひ積極的に取り組んで、日本における創業率が高くなり、かつベンチャーが本当に、今アメリカで示されているような、雇用をたくさん受け入れかつ利益も出しておるというような姿にしていくことは、知識産業に向いた我が日本の産業としても必要なことは言うまでもないことだと思って、最大努力をいたしてまいります。
  156. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私の党、公明党で、経済活性化戦略ということで、今、活力と安心の生活大国、この生活大国という意味合いの中には、文化とか人権とかあるいは人道的な世界的な貢献というような、そうした、住みやすさというようなことも含めた生活大国ということを、経済面だけでなくて言っているんですが、そこで、大きく五つ私たちは絞り込んでやろう、そういうことを今合意をしているわけです。  情報通信産業の活性化、中小企業、ベンチャー企業の活性化、第四次産業、こういう命名で、環境とかあるいは介護、医療、こうした福祉というのを産業的に位置づけて発展させるという第四次産業論。そして第四には、科学技術立国、これをもっと進めていかなくてはいけない。そして第五には都市再生への重点投資という五つを、私たちは、これからの経済活性化のためには必要だ、そういう絞り込みをしたわけです。  例えば情報通信産業の活性化と中小企業、ベンチャーについて申し上げますが、五番目に書きました都市再生への重点投資、私、これは非常に大事だというふうにかねてから思っておりまして、そういう意味では、都市を再生させる、住みやすい環境をどうつくっていくか。大都市部では渋滞だとかあるいは通勤地獄、地方の都市ではモータリゼーションで一体この町の中心市街地はどうなったのだろうとか、さまざまな町が壊れているという現象がありまして、そういう意味では、もう徹底して都市再生ということへの重点戦略というものが私は必要だというふうに思っております。  小渕総理の目玉である地域戦略プラン、私はこの二月にこの委員会でも、これが、ある意味では一番大事な、地域の連携を図ったりということでは大事なんだけれども、しかも、予算規模では五年間で四兆円という大変な額であるけれども、もう今すぐ出せという計画でも、なかなか町をどうつくるかというような知的インフラがないから、どうしても箱物とか補助金というふうに成り下がっているということを指摘させていただきました。  それで、建設大臣関谷大臣が直ちに動いてくれて、もう一遍それを出し直すというようなリーダーシップをとっていただいたわけですが、これが一体どういうふうになっているのか。これを、非常に大事な焦点ですから、ぜひとも総理はもう一段と取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、まず関谷大臣、これが一体どういうふうになっているのかということについてお答えいただきたいと思います。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この問題は、小渕総理が提唱されました生活空間倍増戦略プランに基づきまして、国土庁が地域戦略プランを打ち出したわけでございます。私、ちょうど国土庁の方も兼任するようになりましたのが一月の十四日からでございますが、その後の予算委員会におきまして先生から、一月末までに希望する各地域からいわゆる骨格を提出をさせたわけでございますが、それは、先生に厳しく御指摘いただいたわけでございます。  また、小渕総理からも、これはおかしいではないか、今までの予算の分捕り合戦的な感覚で出てきておる問題ではないか。どこそこの道路を何年早く完成してほしいとか、あるいは四車線化にしてほしいとか、そういうようなことだけで、何もこれは総理の提唱された生活空間倍増戦略プランには合ってないではないかというふうに、先生から厳しく御指示をいただきました。  それで、私も、国土庁に行ったばかりではございましたが、その出ております骨格のプランを見ますと、御指摘のとおりでございまして、全く今までの、いわゆるハードの、箱物の予算の分捕り合戦のような感じでございました。  それで、国土庁の担当の方に、これは太田先生御指摘のとおりではないか、おかしいではないかということで、三月の十五日にそれを締め切る予定でございましたが、これを五月の末日まで延期をいたしまして、その間、国土庁から、チームをつくりまして、全国へ、この意図しておりますことを徹底して理解していただくように、各地方公共団体へ六チームを派遣したわけでございます。  それで、その後、大変そういうようなことで地方の方々もこのプランを御理解をしていただきまして、六月の十日に国として最終的に四百六十のプランニングを決定したところでございます。  内容を見てみますと、大変自慢のように聞こえると恐縮でございますが、大変いい結果が出てきておるわけでございまして、県境を越えた連携した圏域でも、新しく九つのプランが策定をされております。  それから、今年度以降に新規に取り組む事業が全体の四割以上にもなっておるわけでございまして、全く先生の御指摘いただいたその線に沿いまして是正をいたしまして、私はこの目的を達成することができたと思っております。  したがいまして、今後は、国といたしまして、関係省庁と一体となりまして、重点的な予算の配分等により地域戦略プランの積極的な推進を図っていきたいと思っております。
  158. 太田昭宏

    太田(昭)委員 そこで、情報通信の活性化ということですが、実は、世界は一九九五年という年で第二段階に入ったということを言う人が非常に多いわけです。  九五年以来、ある意味では革命が起き、そして爆発的なインターネットの普及ということの中で世の中が変わってきている。アメリカで初めてパソコンの販売台数がテレビの販売台数を抜いたのが一九九五年。それから十年後の二〇〇五年、ドッグイヤーと言われるほどスピードが速い情報通信分野の技術革新が産業構造を一変させる。この十年間が非常に勝負である。e革命とかデジタル革命、こう言うわけですが、日本がそれに追いついていけるのか取り残されるか、非常に大事な瀬戸際になっているんだというふうに私は思っております。  例えば、端的に「インターネット・ホスト・コンピュータ数の推移」と簡単に。もう一目瞭然で、アメリカが三千万台を超えているのに、ホストコンピューターが日本はもうほとんど伸びない、こういう状況であるわけなんです。  今までの日本は、どちらかというと、情報通信の技術とかそういうものも、経営の合理化であるとかあるいは省力化であるとか、そういうようなことで使われていた。しかし、これから世界が今進もうとしているのは、まさに全体が浮上するという、そこのところにITというものが、情報通信というものがあるという社会に大きく変わっている。単なる生産プロセスや事務の合理化のツールとしてのITではないという時代に突入をしたということが、私は非常に大事な観点ではないかというふうに思っております。  世界が好むと好まざるとにかかわらずそうした時代になるということを考えますと、私は、それは、経営者が自由競争でそういう時代に耐えることが大事だよというんではなくて、やはり政府としての何らかの対応というものが必要になってくるんだというふうに思います。  設備的に、例えば光ファイバーを敷けとかパソコンをもっと数多く配備しろとか、そういうこともあるわけですが、やはり何といっても、もう一つは人材ということが非常に大事であろうというふうに思っております。  プロフェッショナルスクールの育成を初めとして、そんな人材育成へのさまざまな手だてをしなくてはならないということも大事な観点で、全体的に政治がリーダーシップをとって、そういう世界に踏み込むぞというメッセージを国として与えていくということが私は非常に大事だと思いますが、この点、総理、先ほどの話とダブるかもしれませんが、決意で結構ですから、お答えいただきたいというふうに思います。
  159. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これまた全く同じ気持ちを持ち、日本がこれから世界に伍していくためには、情報通信の分野におきまして、アメリカに相当離されておりますけれども、可能な限り追いつき追い越せという体制をつくり上げていかなきゃならないと思っています。  ただ、インターネットにつきましては、ハードの面はともかくとして、これを利用しますのはほとんど英語でございまして、そういう意味で世界を席巻しておるというようなことでございますので、そうした教育も含めて行ってまいりませんと、単なるハードウエアだけの製造技術だけでは決して追いつき得ないという危機感を持って対処していきたいと思っております。
  160. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先日、経済審議会から答申をいただきまして、総理大臣の一月の諮問に対しまして、経済社会のあるべき姿というのを答申してくれました。  その内容は、先生の御指摘のとおりでございますが、ベンチャー企業を起こすにいたしましても、今のインターネット、電子機器の話にいたしましても、その底辺としての精神的なバックアップがあり、しかも、リスクをとる、そういうような冒険的な社会があり、全体の社会的なものが必要だ、この点を非常に明確に打ち出してくれました。そして、それを一つの知恵の時代ということで、教育から産業から金融まで、全体を変える精神風土をつくっていかなければいかぬ、こういう指摘がございました。  これから、中長期的な問題として、こういうことをぜひ推進していきたいと考えている次第です。
  161. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今おっしゃるとおりだと私は思います。あらゆるものの基盤にそういうようなものがあるかどうかという、教育もそうだし、経営感覚もそうだし、社会もそうだし、全部そういうものというように、一気に入っていくという流れをつくることが大事だと思います。  そこで問題になるのが、例えば通信コストの問題。これは日本は非常に高い。ニューヨークと日本と比較をしますと、プロバイダーが払うインターネットのアクセス料金というのは変わりはないわけですが、しかし、定額制というものをとっているニューヨークは日本と比べたら全然違う、こういう状況になっております。  従量制から定額制へという、通信料金を一気に下げるということがインフラ整備の中ではどうしても必要と思いますが、もっとこの辺はぜひとも政府として力を入れていただきたいと思いますが、いかがですか。
  162. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先ほど来から、太田先生からは情報通信、これを伸ばさなければいけないということで、全くありがたいことだと思っています。  インターネットにつきましても、日本でも爆発的に普及が始まっています。現在、約十人に一人はインターネットに接続するような、そういう環境になってきましたが、その現状の中にあって、ユーザーからの不満というのは、日本のインターネットは高い、遅い、危ない。そんなようなことをクリアすることでインターネットユーザーをふやしていくこと、さらには、インターネットを日本の中で根づかせることによって、お話に出ているベンチャービジネスまたは総合ビジネスの活性化につなげ、そして、そこで新しい産業が起き、またそこでの雇用が生まれてくる、そういうことを私たちも一日も早く望んでいるところでございます。  現実的には、今おっしゃった通信料金が高いということをどうクリアしていこうかというのが大きな問題になってくるわけですが、実はきのう、政府の産業構造転換雇用対策本部においても決定されましたけれども、今年度じゅうの実施をめどに定額制の導入を促進しようと政府の方でも決定しているところであります。  現状はどうなっているかといいますと、例えば、第二電電ではもう既にプロバイダーとして通話料金込みの、一応上限つきの定額料金というのをオファーしていただいておりますし、CATV、ケーブルテレビでもインターネット接続で、これはもう完全定額制ということで御利用いただいておりますが、しかし、これらはまだまだ小さなエリアでございますので、やはり何といってもNTTが主体となってこの定額制について検討していただかなければならないということでございます。  現在、NTTにおきましては、そういう動きを受けまして、ISDN回線を利用した定額料金制の導入について積極的に検討をしていただいておるところです。郵政省としても、できるだけ早期に、一般家庭で利用しやすい料金水準でサービスが提供されることを期待しているところでございます。  これに先駆けまして、教育、学校向けのインターネットにおいては、NTTの方で、ISDN回線を使い、大体月百時間までで八千五百円という料金で定額制をことしから導入していただけることになっているわけでございます。
  163. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今学校の話が出ましたので申し上げますが、人材ということについては、学校での情報化教育というのは非常に大事だと思います。  インターネットの普及率を見ますと、日本は全学校の一八%。二〇〇一年までに一〇〇%の計画ですが、現在一八%。アメリカは全学校の八九%。国家戦略にしておりますシンガポールはもう一〇〇%を超えている。シンガポールでは、政府はさらに先進化を図って、二〇〇〇年までにすべての学校にLANを導入する、二〇〇二年までにすべての学校に二メガbpsの専用線と生徒二人当たり一台のコンピューターの導入を目指している、こういうような状況にあります。  私は、日本の学校の情報教育というのは非常におくれている。しかも、現在計画をされているその計画自体が進捗をしていない。どうも、地方自治体に財源がないとか、お金がなくて後回しになっているようなので、将来の日本の人材ですから、非常に大事な観点なのでぜひともこれは力を入れて、目標どおり、そしてさらに進めるようにお願いしたいと思います。いかがですか。
  164. 有馬朗人

    有馬国務大臣 これは御指摘のとおりでございます。明らかに日本はおくれているということでございまして、文部省といたしましても、現在、非常に一生懸命やっているところであります。  公立の小中高等学校のインターネットへの接続状況は、今御指摘のとおり、平成九年度末で一八・七%でございまして、極めて不十分な状況でございます。そこで、このような状況を踏まえまして、文部省といたしましては、平成十年度から学校へのインターネット接続計画に着手したところでございまして、平成十三年度までにすべての公立学校がインターネットに接続できるよう計画的な整備を推進しているところでございます。  しかし、非常に重要なポイントは先生たちの確保であります。こういう点で、各学校における学習指導等にインターネットを効率的に利用することができるよう、平成十年度から実践的な研究開発等を実施するとともに、これらの指導を担当する教員の研修の充実に努めているところでございます。そしてまた、高年齢の方等々で情報に詳しい方たちを非常勤でお願いをするというふうなことで、大いに教育の方を熱心に力を入れていきたいと思っています。  いずれにいたしましても、インターネットというのは極めて重要でございます。さらにまた語学的な力も必要でございますので、そういうことに役立つ語学の教育というふうなことにも力を注いでいきたいと思っております。
  165. 太田昭宏

    太田(昭)委員 先生というお話がありましたが、これも、今できるという人がたまたまそれで行くというのではなくて、もうスピードが速いですから、民間と学校との連動とか、そういうようなことを大いに私はここで壁を破って進めていただきたいというふうに思っております。  今度は攻めではなくて守りということになるかもしれませんが、中小企業の信用保証協会、私は、昨年の十月から始まって大変これが大きな効果を発揮したという認識をしております。午前中でも論議があったようですが、現在、八十七万件、十六兆円の保証承諾がなされている。十月から、ちょうど去年列をなしたあの十月、そこから一年になろうとしているというときに、私は、これは金額的にも十兆ぐらい上乗せするということを明示した方が、やりますよと言うよりは明示した方が安心していただけるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  166. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 昨年十月一日から始まりましたこの特別枠は非常に利用された方が多く、いわば実績が上がっていると私は考えております。現在、先生がお話しされましたように、二十兆の枠のうち十六兆が使われております。八十五万を超える中小企業の方が使ってくださっているわけでございます。  現在の特別枠の消化状況を見ますと、最も直近のもので、六月の数字で大体四千億前後でございまして、残っております四兆を四千億で割りますと、理屈の上ではあと十カ月もつということですが、また年末の資金需要とかそういうものがございますから、必ずしもそこまではもたないかもしれません。これは、小渕内閣としての政策でございまして、既に小渕総理が記者会見で、仮に将来必要なときには十分な資金をまた用意しよう、こういう強い決意を表明されておりますので、中小企業に対するこの保証枠は、将来は増加されるという含みを持って制度が運営されているわけでございます。  一方、我々としては、今回の一連の産業再生のために、やはり新規開業等、あるいは新しい事業が出てまいりますための資金需要にもこういう保証枠を使えないかということを検討しておりまして、そういうものをおいおい国会皆様方にも御議論いただく時期が来ると思います。  いずれにしましても、中小企業の資金繰りが順調にいくように、保証協会もまた活動できるように今から準備をしておりますが、実際にはあと四兆円残っておりますので、ここ一月、二月で物を決めなければならないという状況ではないということもあわせて御理解をいただきたいと思います。
  167. 太田昭宏

    太田(昭)委員 枠がなくなったからできませんということはないということですね。イエスかノーかだけで答えてください。
  168. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 まだ私は宮澤大蔵大臣には直接お願いをしておりませんが、総理が記者会見で、必要かつ十分な枠は将来に向かって追加をするということをおっしゃっておりますので、それを信じて物を申し上げているわけでございます。
  169. 太田昭宏

    太田(昭)委員 十月一日から一年かかって猶予していただいて、そこから元本返済に入るという方が大体一五%、金額にして二割ぐらいいらっしゃるわけですね。相当この方たちは今苦労しながらいる。ぜひとも、猶予とかそれからよく話し合うとかいうことで今答弁が午前中にもあったようでありますけれども、私は、そうですよ、よく話し合ってあげなさいよということを重ねて、弾力的配慮をさらに徹底してもらいたい、こう思います。
  170. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 通産大臣のおっしゃることは何でも私は承知するつもりでございます。
  171. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 個々の中小企業がいろいろな事情を持っております。そういうものに対して一律の態度で臨むということは具体的な要請に応じていないことでございますので、私どもとしては、各県の保証協会に対して、個々の中小企業の事情に対して弾力的に対応をしてくださいということを既に要請しておりますし、太田先生からそういう御指摘があれば、重ねて各県の保証協会に、やはり親切、親身にそれぞれ個別の中小企業に対応すべきだということを申し上げるつもりでございます。
  172. 太田昭宏

    太田(昭)委員 これは我が党がかねてから一生懸命やってきたことなので、ぜひともお願いをしたいと思います。  最後になりますが、今回、少子化対策臨時特例交付金事業予算措置、これも、我が党が強く主張してきた駅前保育所や在宅保育サービス、いわゆる保育ママの拡充などで少子化対策、待機児童対策、あわせて雇用の拡大を図るということが前進をしたんだというふうに思います。しかも、ばらまきというよりは、各都道府県、市町村にこれを任せていく、そして、そこで知恵を出してやるというような、メニューを国が出して市町村が考えるというようなやり方も私は大変いいんではないかというふうに思っておりまして、今回の補正の大きな柱となっているこの対策の評価をどう考えるか、それから、少子化対策についてさらにどういうようなことをやろうとしているのかということを最後に御答弁をお願いしたいと思います。
  173. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今回の臨時特例交付金は、今委員のおっしゃられたように、三党の協議の結果、緊急な措置が必要であるということで御提言をいただきまして、私どもも、その趣意に賛同いたしまして、政府として予算計上したものでございます。  この趣意は、今申されましたように、待機児童、保育所の待機をする児童が四万人以上いると思われます、それの解消、それから、地方公共団体の自主的な今お話しのような構想を大いに尊重して、保育所の整備その他、多様性に富んだ少子化対策をここで見ようということがございます。  それから同時に、駅前保育所等を整備いたしますと、保母等の保育士の増員等にもつながりますので、そういった諸点をあわせて今回措置したものでございまして、私どもは、それなりの効果がある、そして、非常に自由に市町村の発想を尊重していこうという趣意でこの二千億が使われますので、いいものをよく取り上げて、そして今後の少子化対策に生かしていきたいと思っております。  なお、少子化対策の問題は、小渕内閣としては極めて重要な課題であるということでありまして、閣僚会議を設置したり、あるいは有識者会議の提案をいただいたり、また国民会議を立ち上げていただきました。せんだっても総理に御出席いただきまして、いろいろこれらの問題に国民的な取り組みが必要であるという認識のもとに今後取り組んでいきたいと思っておりますが、少子化の問題というのは、単に厚生省の保育所等だけではございませんで、男女の雇用形態まで及ぶ問題でありますし、教育の問題も影響いたします。そういうことで、総合的な基本方針を本年中につくって、そしてその充実を図っていきたいというように考えております。
  174. 太田昭宏

    太田(昭)委員 女性の世紀と言われる二十一世紀ということで、少子化対策、また保育所というのは非常に大事なことだというふうに私は思っておりまして、ぜひとも力を入れてのお取り組みをお願いしたいし、男女共同参画社会の実現に向かってさまざまな施策をお願いしたい、このように思います。  以上です。
  175. 中山正暉

    中山委員長 この際、並木正芳君から関連質疑の申し出があります。太田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。並木正芳君。
  176. 並木正芳

    並木委員 改革クラブの並木正芳でございます。  公明党・改革クラブとして関連質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  御承知のとおり、労働省発表の五月の有効求人倍率というのは〇・四六倍、統計以来最低となりました。また、OECDの雇用情勢予測ということで、日本の二〇〇〇年の完全失業率というのは五・三%、三百六十万人、ほかの加盟国に比べて、大変日本の悪化のペースが際立っており、厳しい雇用環境が今後さらに厳しくなり、それが当分続く、このように分析しております。また、厚生省の昨年の統計では、特に五十代の男性の自殺が急増しており、一九八〇年以降の失業率と自殺率の推移を重ねてみると、この二つの曲線は極めて類似した、同じようなカーブを描く。このような、数字にしてもあるいは国際的な見方にしても、あるいは日本の世情、社会情勢にしても、大変深刻な事態になっているわけであります。  そのようなことを踏まえて、今回の緊急雇用対策、あるいはそれに関連する予算というのが組まれたということでございますけれども、お聞きしたいことはたくさんあるわけですけれども、残りの時間の範囲ということなので、幾つかに絞って質問させていただきます。  まず、若年労働者の失業ということについてなんですけれども、これまた御案内のとおり、六月下旬に総務庁より発表されました平成十一年五月の労働力調査、それによりますと、学卒を含む十五歳から二十四歳のいわゆる若年層の失業率というのは、男一一%、女八・三%と極めて高率になっているわけであります。学生の間では、就職活動リベンジ、リベンジという言葉が最近スポーツ界などにもはやっておりますけれども、雪辱という意味ですけれども、そういうリベンジ組というのが求職留年をする、そういう事態も増加している。リクルートリサーチ等の調査では、来春就職を希望する大卒見込み者への求人倍率というのが〇・九九倍だ、一を下回る、こういうふうになっているわけです。  今後、企業も、即戦力といいますか、税務とか経理、そういうもので必要な場合にはそれなりの経理マンとか、あるいは営業で必要なものは営業マンとか、そういうものをヘッドハンター、アメリカ社会では盛んに行われるわけですけれども、利益等の効率を考えるとそういう傾向になってくる。そうなりますと、即戦力とならない若年層、これは教育に何年かかかるということになると、ますますこの若年層の雇用情勢というのが厳しくなるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  企業の収益重視の側面というのも、これはそれなりに理由があるわけですし、そういう意味で、終身雇用が崩れて雇用の流動化がこれから高まっていく、そういう過渡期に今あるわけですけれども、今般、その関連の予算として、学卒未就職者に対する早期就職支援・能力開発支援事業実施等ということで二億円ほどを計上されているわけです。やはり、この次代を担う若者、これが、今の状況のように、企業が、安易なといいますか、やむにやまれずという面もあると思いますけれども、そういうリストラ策として採用を抑制していく、こういうことではまさに社会は希望と活力を失っていく、このように思うわけです。  総理、この若年者の雇用対策、スピーディーに何らかの対策を出していただきたいと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  177. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘のように、若年労働者の減少が確実視される中で、将来の産業の担い手となる若手、若年者の採用機会の確保は極めて大切な課題でございまして、また、社会への第一歩を踏み出すときに就職が決まらないことは、本人にとっても大変不幸なことだと考えております。  このため、新規学卒者の就職状況が近年になく厳しいものとなっている中、これまでも、積極的な求人開拓や就職面接会の開催に努めるなど、来春に向けた就職の促進に向けて全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  今般の緊急雇用対策におきましても、今春の大学等の学卒未就職者を、全国の学生職業センター等において登録いたしまして、一人一人の希望、適性を踏まえた求人の確保とともに、就職活動に直結した企業実習や、民間教育訓練機関を活用した三カ月程度の職業訓練を実施することといたしております。  これらの対策によりまして、若年者の雇用対策について万全を期してまいりたいと考えておりますが、今御指摘のように、今回の能力開発支援事業実施のための資金について不足だとおっしゃられますが、できる限り、政府としては、こうした若年者の不安感を、失わないように大全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  178. 並木正芳

    並木委員 一例として挙げさせていただきますと、大手銀行、公的資金を受けながら立て直しが始まっているわけですけれども、この平均職員給与というのは公表されているのです。詳細については十分とは言えないわけですけれども、たまたまインターネットで中央信託銀行が公表している数字から類推しますと、従業員数というのは各行とも減らしているようですけれども、給与ベースというのは、特に男子行員の給与水準というのはかなりの高額を維持している。ですから、人件費総額というのは、退職による自然減あるいは新規採用の抑制、こういう中で達成しようとしている、そういう見方ができるんじゃないかと思います。  公的資金を投入しながら高賃金を維持していくというか、それは国民感情からもちょっと疑問があるんじゃないかと思うわけですけれども、むしろ私は、個々の給与水準、これを引き下げる、そういう中で、新しい将来を担う金融マン、これを採用していく、若い層を採用していっていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  よく、ワークシェアリングとか、これは労働時間を分け合う、そういう中で雇用をふやすということですけれども、あるいはウエージシェアリング、賃金を分け合う、こういう中での雇用確保、こういうことが最近取り上げられてきております。今、大手銀行の例をとっても、こういう方法、ワークシェアリングやウエージシェアリングによって、新たな人材を確保し、そして将来の金融ビッグバンと言われる時代で新しい国際的な金融秩序への備えをつくっていかなきゃならない。人材面でもそのとおりでございますけれども、そういうものを誘導していくとか、そういう必要があるんじゃないかというふうに考えるわけです。  そういうことで、金融再生委員長になるんでしょうか、公的資金により支援した優先株の普通株への切りかえという中で、四行ぐらいがもうその時期に来ていると思います。つまり、国の方は大株主になるわけですけれども、株主権というのをそれなりに行使して、こうした経営者に、この高額な給与水準を引き下げる中でも、新たな人材雇用を図るべきじゃないかと。もちろん、一時的に数としてのリストラとしては好ましくないんですけれども、将来的には優秀な金融マンによって効率的な金融が営まれる、そういうことも考えるわけなんですけれども、柳沢大臣、御見解はいかがでしょうか。
  179. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 ただいま並木先生からいろいろなアイデアもいただきながら、特に大手銀行の雇用の問題にお触れいただいた御質疑をいただきました。  私どもも、これは安閑としているわけではなくて、当然のことながら、資本注入に当たっての健全化計画の中で、人件費の削減というような形で経費の抑制を当然その要件として課しておりますし、現実にまた、総体としての人件費、さらに具体的な給与水準、こういうようなものの引き下げということは、例えば優先株の条件を決定するに当たって、それに努めれば努めるほど条件が有利になるというような形でその奨励をいたしている次第でございます。  しかし、それ以上に立ち入って、例えば株主権を行使するような形で、そういった面にまで立ち入った、いわば経営介入という形をとってこういうことを実現するかということについては、やや私どもは消極的でありまして、私どもが優先株を普通株に転換して株主権を行使するというのは、やはり健全化計画自体、あるいは自己資本比率であるとか、あるいは収益目標であるとかというような数字にさわりが出てきたと私どもが判断するときに、そういう権限を行使して私どもの資金の確保を図ってまいりたい、このように考えております。  いずれにせよ、私どもは、銀行がみずから雇用をどうのこうのというよりも、金融を疎通させることによって、その相手方の企業の雇用を確保することこそ金融機関の使命である、このような考え方で臨んでまいりたい、このように考えております。
  180. 並木正芳

    並木委員 一例として銀行の例を挙げさせていただいたわけですけれども、もちろん、ほかの企業にも共通したことだと思います。  日本人というのは働き過ぎだとまだまだ言われています。過労死だという話も尽きないわけです。労働省の調査によれば、完全週休二日制を導入している企業の割合は三三%程度、つまり三分の一ぐらいだと。年休の消化率も、九六年度ですけれども五八・五%、こういう低水準にとどまっているわけであります。  このたびの経済審議会の答申では、二〇一〇年には年間休日数百四十日近く、年間通勤時間百三十五時間、あるいは年間可処分時間二千三百時間を超える、そういうふうな目標といいますか見通し、あわせて目標ですけれども、答申にあるわけですけれども、早急にこのゆとり社会をつくっていく、それが成熟国家のあり方じゃないかなというふうに思うわけです。  総理も御存じのとおりだと思いますけれども、社会経済生産性本部の試算でも、サービス残業をゼロにすると九十万人、あるいは時間外労働をゼロにすれば百七十万人の雇用創出効果がある、こういうふうに言われているわけです。サービス残業というのは、実質賃金は下がっているということでありますので、労働者側もこうしたワークシェアリングによって賃下げを容認する、こういう意向も聞いております。  経営者側はコストが上昇するという抵抗があるということですけれども、国が福利厚生費等、こういうものを雇用調整助成金等々として支援していく、こういうことになれば、あるいはワークシェアリング、ウエージシェアリング、こういうものが進められていくのじゃないかというふうに考えるわけです。  総理も、いずれそういう環境が整ったらというような話をされているというのもお聞きしておりますけれども、緊急に雇用を確保するというところですから、やはり政治の力といいますか、そういう中での一つの方向性を示していくことが必要じゃないかというふうに思うわけです。総理、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
  181. 甘利明

    ○甘利国務大臣 ワークシェアリングについての御提言であります。  サービス残業というのは、恐らく実態は、その多くは基準法違反でありますから、その事実を私どもが把握したら、厳正に対処をして是正を求める。その分の労働時間がどうしても必要である場合には、ちゃんと人を雇いなさいということは当然だと思います。  ただ、いわゆる基準法上認められている残業時間を減らして、それを新たな雇用に結びつけるかどうかということについては、やはりこれは、第一に労使が話し合っていただく必要があると思います。  当然、労働者の中には残業を当てにして生活設計をされている方もいらっしゃいますし、そもそも、適切なというのもおかしいのですけれども、法定内の残業については、好不況のショックアブソーバーのような役目も果たしているのが日本の雇用の実態でありますから、その辺のところは、労使でまず話し合ってもらって方向性を出すというのが一番よろしいかと思っております。
  182. 並木正芳

    並木委員 最後に、時間もございますので、やはりこれは甘利大臣になるかと思いますけれども、障害者雇用の問題です。  一般企業で働く障害者というのが、深刻な不況の影響でリストラの対象にされている。昨年度は、前年度の一・四倍の二千九百五十人が解雇された。こういうふうに、社会のひずみが弱い者のところへ行ってしまう。こういうことでは決して好ましくないということでありまして、労働省でも障害者緊急雇用安定プロジェクト、こういうことを実施しているわけですけれども、今後、とどまることなく解雇、失職者というのが膨れ上がるのじゃないかという見通しもあるわけです。  また、いろいろ、つぶれた企業等があって、今事件的になっておりますけれども、大変劣悪な状態で障害者を雇用している。こういうことでは大変困りますので、その辺についての見解を短くお話しいただければと思います。
  183. 甘利明

    ○甘利国務大臣 法定雇用率を一・六から一・八に上げまして、知的障害者も一緒に入れたわけでありますし、これをしっかり守らせるように指導してまいります。  それから、先生御指摘の、昨年の十一月につくりました障害者緊急雇用安定プロジェクト、各項目にわたって配慮がなされておりますが、これをしっかりと運用していきたいと思っております。
  184. 並木正芳

    並木委員 どうもありがとうございました。
  185. 中山正暉

    中山委員長 これにて太田君、並木君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  186. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  失業の増加は大きな社会不安を招いておりまして、特に、職を失った中高年の方々がハローワーク、職安で職を探してもなかなか見つからない。あるいは、親の失業で子供が学校をやめざるを得ない。また、展望を失ってみずから命を絶つ。本当に胸の痛む事件がふえております。  失業の原因にはいろいろありますけれども、きょう私は、企業のリストラの問題を中心にただしたいと思います。  まず、総理の基本認識をお聞きしたいと思います。  失業者がふえる原因にはいろいろありますけれども、その要因の一つとしてリストラがあるという点、そういう認識はお持ちかどうか、まずお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  187. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その原因もあるかと思います。
  188. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 リストラで大変な失業不安が広がっているわけでありますが、ちょっとここにパネルを用意いたしましたのでごらんをいただきたいと思います。  棒グラフは総務庁の労働力調査でございます。折れ線グラフの方は、経済企画庁が所管する日本リサーチ総合研究所が調べた消費者心理調査であります。そこからつくりました。  「失業不安」は、今後一年間に自分または家族が失業する不安、これがそういう不安があると答えた方の割合でございます。これは、四〇%台からどんどんふえまして、六〇%台へと大きくふえております。「収入増加見通し」というのは、今後一年間で自分または家族の収入がふえる見通し、その見通しがあると答えた方の割合は、約四〇%でありましたが、どんどん下がりまして、わずか一三%に低下しております。  したがって、リストラというのは、一つの企業にとってはバランスシートをきれいにするということかもしれませんけれども、しかし、すべての会社が右へ倣えでどんどんリストラをやっていきますと、雇用をどんどん減らすということになり、それが消費を冷やすということになります。そうなってきますとさらにリストラしなければならなくなる、一層失業者がふえ、全体の景気がますます悪くなる、こういう悪循環に陥るわけでございます。  そこで、総理にお聞きをいたしますけれども、このようなことにならないように企業の経営者は最大限従業員の雇用を維持する、そういう社会的な責任があると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  189. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一般的に、企業がみずからの企業を運営するために必要なことは、資金と同時に人材だろうと思います。したがって、人材を確保していかなければならないということは、企業経営者にとりまして最大のポイントだろうと思っております。
  190. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 リストラをやることによって全体が大変な状況になっているのが現状でございまして、経営者というのは従業員の雇用を維持するという社会的責任があるということを明確にもう一度確認したいと思いますが、いかがでしょうか。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 先生が今示されたグラフというのは日本状況をよくあらわしていると私は思っておりますが、それは、いわば日本経済が置かれている状況をいろいろな症状の面から判断した数字だろうと私は思っております。  やはり、日本経済をよくするためにはマクロから見た日本経済をよくしなければならないという側面、それからマクロの経済をよくするためにはやはりミクロの政策を積み上げていかなければならないということがございまして、マクロかミクロかということは厳密には多分区別できなくなることになると思います。  そこで、先生の御質問でございますが、私個人は、やはり日本の雇用制度というのは非常に雇用関係に緊張関係がない、すなわち、不況だからすぐレイオフというような欧米諸国とは違った雇用慣行が成立していて、それは穏やかな雇用慣行、雇用関係として、私は大変いいものであったと思いますし、できればそれを続けていけないものかというふうに思っております。  そこで、経営者とその会社で働いている方との関係でございますが、全体から見ますと、やはり生産性の低い部門とかあるいは社会的に必要でなくなった部門から資本と労働がむしろ生産性の高い部門に移動していくということが、私は構造改革ということだろうと思っております。そういう意味では雇用というのは移動せざるを得ない。これは会社の経営方針とかそういうこととは関係なく、社会のニーズが変わる、あるいは日本が置かれております競争環境が変わるとか、いろいろな外部的要因で、雇用はある部門から他の部門に移動するということは、これは否定できないと思っております。  しかし、そのときに、会社から別の会社に移動するのか、あるいは、会社が自分のやっている部門をもう少し成長力の高い分野に移動していくという、会社の中で努力をするのかという問題は当然あるわけでして、私は、日本の長い間の雇用環境からすれば、できれば社外に人を出すのではなくて、会社の中で他の部門で雇用を吸収することがベストであり、あるいは子会社を設立して、そこで吸収していくというのがベストであろうと思っております。  しかし、ベストが必ずしも実現できない場合、それは、雇用をスムーズに他の分野に移動するといういろいろな雇用政策をとることが多分求められているのだろうと私は思っております。
  192. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のお話は、安易に人をどんどん減らすということについては否定的な見解でございますね。  同時に、子会社をつくるという場合も、子会社をつくることによって全体として減らしていくという傾向もあるので、そういう点はよく現実を見ていただきたいというふうに私は思っております。  いずれにしましても、今の御答弁でも、経営者は従業員の雇用をできるだけ維持することが大事だということが確認されました。  そこでお聞きをしたいわけですけれども、今回提出をされました政府の緊急雇用対策を見ますと、現にリストラで人がどんどん減らされている、この減らされていることについてどうするのか、この点について全然触れられていないわけですね。このことを一体どうするのか、この点についてなぜ触れなかったのか、お聞きをしたいと思います。
  193. 甘利明

    ○甘利国務大臣 リストラをする場合に、事業の再構築でありますから、いろいろな分野を見直すわけであります。設備過多を見直すところもあれば、そのほかいろいろなところを見直す。  ただ、雇用というものを同列に並べてほしくない。雇用について、削減という手段をとるときにも一番最後で、しかも、先ほど通産大臣から答弁がありましたように、関連会社に出るとか子会社に行くとか、そういうことをすべてやって、あるいは職業訓練をして労働者個人個人の競争力をつけるというようなことをやって、リストラとする方法をとってもらいたいということであります。  そこで、抜本的には、企業が受け皿として雇用をしっかり支えることができるように立ち直っていく、あるいは新しい産業がどんどん生まれていく、その間の臨時的な受け皿として、公的セクターが主役になって臨時、短期の雇用をつくって受け皿になる、その期間中にいろいろな環境整備ができてくることを期待しているということでありまして、御指摘のように、リストラに対して手をこまねいて何もしていないというわけではありません。  しかも、成長する十五分野につきましては、前倒し雇用で、将来は必要になってくるんだから、今から採用して、今から職業訓練もされたらどうですか、その際の支援もいたしましょうということでありますから、現状をしっかりと踏まえて、それに短期的と中長期的と両方で対処をしているつもりでございます。
  194. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どうも答弁が、私が求めたことと少しずれているような感じがしますね。  つまり、リストラが今どんどんやられていて失業者がどんどん出ているわけですよ。失業の原因としてそれがあるということも総理も認められた、現実にそうなんです。しかし、政府が出してきた今回の緊急雇用対策の中に、そういうリストラに対して、つまり出口に対してどういう防ぐ手だてが盛り込まれているのかということをお聞きしたのですけれども、どうもそれは明確じゃない。結局、出てきた人を、どう受け皿をつくるかということをやっている。ですから、私は歯どめがなかなかこれはかかっていかないんじゃないかと。  今、こういうグラフも持ってきましたけれども、結局、今まで政府がリストラに対してまともに対応策をとってこなかったためにどんなことになっているかといいますと、九二年からずっと総合経済対策、今まで何回もやってきました。経済対策、十回ぐらいやってきましたけれども、しかも、そのたびに雇用対策を出してきた。しかし、人減らしにまともに歯どめがかかっていないわけですよ。  例えば、上場千九百二十二社の従業員数、これを見ますと、一九九四年の三月では四百九十四万人でした。それがどんどん下がりまして、ことしの三月期では四百三十八万人、五十六万人減らされているわけです。こういう状態がどんどん続いてきて、失業率がずっと上がってきているわけです。  今まで何度も何度も雇用対策、経済対策をやっても歯どめがかかってこなかった。ですから、今回出されているこの緊急経済対策も、そういうリストラに対してどうするのかということがない限り、こういう傾向が、歯どめがかかっていかない、私はこの点を指摘しているわけであります。  今、リストラのやり方というのは、非常に深刻な、ひどいやり方が行われております。例えばこういう例があります。  ある会社の中間管理職だった四十代の男性の話ですけれども、突然上司から辞表を出せと言われた。理由は業務命令違反だ、こう言うわけですけれども、全く心当たりがない。翌朝、ふだんどおり出勤いたしますと、数人の同僚や部下たちが玄関をふさいでしまった。その後三日間出勤したが、会社側の組織的な出勤妨害が続いた、こういう事例があります。これは管理職ユニオンという組合に相談があったもので、新聞にも報道されております。  もう一つ例を挙げますと、例えば、大手企業のあるサラリーマンは、肩たたき、退職勧奨ですね、これを断った。そうしましたら、社内で仕事を取り上げまして、物置部屋と呼ばれている倉庫の一人勤務を命じられた。電話はない、回覧も事務連絡も回ってこない。妻子があるのでしばらく辛抱はしていたけれども、一年半でついに耐え切れずに退職した。こういう例は私どもたくさん知っております。幾らでも挙げることができます。  肝心なのは、ですから、こういう不当なリストラ、人減らしにどう歯どめをかけるか、そこに雇用対策として踏み出すかどうかということだと思うのですけれども、そういう対策をなぜ出さないのですか。
  195. 甘利明

    ○甘利国務大臣 先ほど私と通産大臣の方から、安易にリストラに走らないで人材を活用してほしいというのをありとあらゆる機会に申し述べているというお話はさせていただきました。日本の経営者の雇用に対する責任を喚起をしているわけであります。そして、従来からの政策として、雇用調整助成金というのが先生御承知のとおりありまして、これは、ほっておけば雇用を喪失させるという事態に至る企業に対して、雇用の支援のための補助をするわけであります。あるいは、来るべきときに備えて、その人たちを職業訓練で能力のバージョンアップをしていく、そのための支援を広範囲に行っているわけであります。  そして、秋の対策でもつくりましたけれども、この緊急対策では、さらにフルモデルチェンジをいたしました。人材が移動していくときにいかにスムーズにそれを図るか。つまり、失業という経過を経ないで新しいところに就職ができるという仕組みをつくったわけであります。これは、今までは年齢要件もありましたけれども、それも外しました。  そして、どうしても最終最後の手段として人を外に出さなきゃならない企業は、新しい受け入れ先を探してきてくれれば、そこに対して給与の一部を補助する、あるいはそこの企業の業務に合うように職業訓練をする、それも支援する、そういう策も同時に組み立てたわけでありますし、その際の年齢要件も外したわけであります。あるいは、その際に、今までは受け入れ側だけに対する支援を送り出し側に対して、ちゃんと訓練をしてから移転先を見つけるというのに際して送り出し側にもそういう訓練費の助成をするということで、最終最後に雇用を削減しなきゃならないときにもそういう手だてを使ってほしいということで策を用意したわけであります。
  196. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のお話でもリストラに歯どめをかける方策は何も説明がありませんでした。  雇調金の話がありますけれども、この雇用調整助成金についても、今回これを緩和して、いわば効果を薄めているという状況があるわけであります。私は、今の政府のそういう姿勢に非常に大きな問題がある。制度的に日本はリストラや解雇に対する規制というのは非常に弱い。法律は整備されていないというのが現状であります。  例えば、ドイツにもフランスにも解雇制限法という法律がございます。しかもヨーロッパ全体を網羅する解雇制限の制度がありまして、従業員三百人以上の企業なら、三千人の企業であろうと一万人の企業であろうと、三十人以上解雇すれば大量解雇だというふうにみなして、それを規制する、こういうEU指令というのがございます。  これに比べて、日本では解雇あるいは人減らしもやりたい放題、極めて異常な状況にあります。政府はよくグローバルスタンダードと言いますけれども、日本のこういうやり方は国際的にも極めて異常でございますので、グローバルスタンダードを言うなら、こういうヨーロッパの水準に合わせるべきだ。  日本では、最高裁などで、自由に解雇できるものではない、こういう判例が出ております。しかし、不当な解雇をきちっと規制する法律がありません。日本共産党は既に三年前から解雇規制法を提案しておりまして、解雇権の乱用を抑える、退職の強要を禁止する、出向、転籍の強要を抑える、こういうことを提案しておりますけれども、これは最低限の要求であります。少なくとも、こういう方向に政府の雇用政策を切りかえるということが私はどうしても必要だというふうに思っております。残念ながら、今回の緊急雇用対策には、そういう中身はございません。  次に、七十万人雇用創出の問題について、お聞きをしたいと思います。  政府は、今度の対策で、十五の新規・成長分野を挙げまして、この分野で、失業した中高年を前倒しして雇用したり訓練する場合、企業に奨励金を出す、これで十五万人の雇用拡大が期待されるとしております。  そこで、前提となる数字を確認したいのですが、もとになったのは一九九六年十二月に閣議決定されました経済構造の変革と創造のためのプログラムというものでございます。その中では、一九九五年から二〇一〇年までにこの十五分野で千六十六万人から千八百三十万人へ七二%ふえる、こういう予想をしていました。  そこで、お聞きをしますけれども、最新のデータ、例えば九八年の時点で十五の分野の雇用数はそれぞれどうなっているか、数字を示していただきたいと思います。
  197. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 平成九年五月に閣議決定をいたしました経済構造改革のための行動計画は、医療・福祉、情報通信、環境等の今後成長が期待される十五の分野について、関係省庁が総合的かつ戦略的に取り組むべき政策パッケージを整理し、これを政府一丸となって強力に推進することを目的としたものでございます。  新規・成長十五分野について公表されている数字は、こうした総合的な政策を講じることによる効果として二〇一〇年においてどの程度の雇用、市場規模が見込まれるかをあくまで参考として示したものでございます。政府として毎年行動計画のフォローアップを行うこととしておりますけれども、これは政策の具体的な進捗状況と今後講じる措置についてフォローアップを行うことにより政策の実効性を担保しようとするものであり、毎年の雇用、市場規模については特段対象としているものではございません。  通産省としては、こうした新規・成長分野ごとの取り組み等を通じ、引き続き政府一丸となって新規産業の創出及び良質な雇用機会の確保のための環境整備に努力してまいる所存でございます。
  198. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結局、数字はないじゃないですか。一九九五年にこれこれの雇用がありますよという数字がありましたね。それが一体今どうなっているのか、その数字が全然ない。したがって、十五分野でこれからどの程度ふえていくのかという見通しが各分野に立たないじゃありませんか。それでは本当にいいかげんだと私は思うのですね。  そこで具体的にお聞きしますけれども、例えば十五分野の一つの情報通信関連分野、政府の予想では九五年から二〇一〇年の間にこの分野で約二倍に雇用が拡大するとされておりますけれども、振り返りますと、例えば情報通信分野で、一九九〇年の生産額は八十・六兆円だったけれども、九七年には百十一・二兆円と約四割近くふえております。それでは、この分野で、雇用は一九九〇年と九七年それぞれどういう数字であったか、雇用はふえたかどうか、これをお知らせください。
  199. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 情報通信分野だけのお話を申し上げますと、例えば通産省の行っております統計調査においては、製造業を対象とした工業統計調査や、サービス産業を対象とした特定サービス産業調査がございます。この調査によりますと、コンピューター、通信機器製造業及び情報サービス業を合わせたいわゆる情報分野の雇用規模は、一九九〇年に約七十二万人、一九九七年には約六十六万人という数字が出ております。  なお、九〇年から九七年にかけては、バブル崩壊の影響によりまして情報分野の雇用者は減少しているものの、例えば情報サービス業では九五年から九七年にかけて雇用者が増加しているなど、近年成長分野においては雇用規模の回復が見られております。
  200. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今数字を挙げられましたが、結局、九〇年から九七年までの間、成長分野と言われて期待されている分野の雇用は大幅に減少しているということですね。  最大の問題は、この分野のガリバー企業と言われているNTTです。NTTは、今、このパネルに示してありますように、グループ全体でもあるいは本体でも、それぞれ大量の人減らしをやっております。本体では十七万人この間減りました。それから、グループ全体でも七万六千人マイナスになっております。この影響は極めて大きい。  小渕総理が本部長になっている産業構造転換・雇用対策本部が三月五日に公表されました「雇用創出が期待される各分野における取組について」という中では、情報通信分野で十八万人ふえる、こういうことを想定されているようですけれども、現実にはこのように大量の人減らしをやっている。NTTだけじゃないんです。例えばソニーは一万七千人減らす、NECは一万五千人減らす、日本IBMは別会社で五千人減らす、KDDは二千人減らす、こういう状態ですので、ざっと五、六万人はこれから減るということになるわけですね。  総理にお聞きしたいんですけれども、これだけ大規模なリストラを放置したままで雇用を本当にふやすことができるのか。二〇一〇年までに二倍にすると言っていますけれども、そうであるなら、少なくともこのリストラ計画を撤回しない限り私は不可能だと思いますけれども、いかがですか。
  201. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 ただいまの数字は、それはまさに情報通信機関が合理化している状況でございまして、その結果、インターネットであるとかプロバイダーであるとかいろいろなものが出てきておるのでございます。世界的にそういう合理化が進むことによって新しい産業は生まれてまいります。古い例で申しますと、クロスバー交換機ができたときに電話交換手という職業がなくなったのでございますけれども、そのおかげで産業が発達して情報通信が栄えたのでございます。  今、日本が必要なのは、そういった雇用の流動性をつけることが必要な一つでございまして、リストラを無理に制限するのはいかがなものかと思いますが、どうでしょうか。
  202. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は重大な発言だと思うんですね。こういう人減らし、合理化を徹底してやっている状況を放置して、これを当たり前だと。こういう状況にしておいて、それで将来伸びると。将来伸びる可能性のある分野はその分野でもどんどん人減らししているわけですから。それでソフトや情報サービスがふえると言いますけれども、しかし、そういうところには五十代、四十代の中高年はほとんど吸収されない。これは政府統計でも明らかですよ。ふえているのはパートや派遣労働など二十代の若者。もちろんふえておりますよ、そこの分野では。しかし、不安定雇用が非常にふえている。  ですから、そういう状況考えますと、一方で徹底してリストラをやっている状況に歯どめをかけようとしない、他方で伸びると言われている成長分野は伸びる展望が見えない、雇用を吸収する展望が見えない。こうなりますと、政府の雇用対策というのは、労働移動を円滑にするとか再就職の支援といいますけれども、しかし、こういう状態なら結局失業者はふえてしまう。今大事なのは、リストラに対してどう歯どめをかけるかですよ。それがない限りは、結局、雇用されていた人が失業者になるという移動でしかない、こういうことになるじゃありませんか。こういう内容がなぜ出てくるのか。私は、非常にこの雇用対策のつくり方に問題があるのじゃないか、こういうふうに思います。  総理は、産業競争力会議での議論を踏まえて雇用対策をつくった、こういうふうに本会議でも答弁されていましたね。そこで、資料を配付してください。私、皆さんに配付をしている資料をぜひ見ていただきたいのですが、この産業競争力会議に当初から参加している企業、これは十七社であります。その十七社の意見を聞いて雇用対策をつくったというわけでありますが、この十七社がこの六年間で雇用を拡大したかどうか、拡大した企業は何社あるか、これをお聞きしたいと思います。
  203. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 近年の経済情勢を振り返りますと、バブル崩壊後の日本経済は厳しい調整局面を経験し、一九九二年度以降、九五年、九六年度を除いてゼロ%台の成長あるいはマイナス成長が続いているところでございます。  そうした中、産業競争力会議に参加している十七社の過去六年間の雇用者数の推移を見ますと、年によって変動はございますけれども、一社において拡大が見られます。しかしながら、産業競争力会議で検討されている事業再構築のための環境整備、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業、ベンチャー企業の振興などの取り組みは、新たな産業と雇用を生み出すものであり、真の経済再生を目指す上で不可欠なものであると考えております。
  204. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今おっしゃったように、六年間で、この十七社のうち、ふやしたのはたった一社であります。しかも、わずか六百人程度。あとの上場企業十五社は大変な規模の雇用削減をやっております。合わせて十五万八千人減らしております。  つまり、こういう失業者をどんどんつくっている会社の意見を聞く、それが問題だと思うんですね。例えば、経団連の今井会長は、企業内に必要以上の労働者を抱えたままでは、これまでどおりの対応では世界的な競争に勝てない、こういう発言をしている。あるいは、日経連の会長は、失業率が五%を超えるのはまず必須だと考えなければならない、こういう発言をこの競争力会議の中でやっているわけです。  失業者をふやし、消費を冷やして、まさに不況の悪循環をつくり出している企業の要望ばかり聞いて、まともな経済対策、雇用対策が出るはずがないじゃありませんか。なぜ国民の声を聞かないのか。この競争力会議に参加しているのは、大企業は参加しているけれども、中小企業もいない、労働者の代表もいないじゃないですか。そういうやり方でこういうことを決めても、そこには本当のリストラ規制もないし、労働者の雇用の安定も生まれてこない。私は、この根本的な転換を求めて、質問を終わります。
  205. 中山正暉

    中山委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  206. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党・市民連合の濱田健一でございます。  短い時間しかございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  今回の緊急雇用対策、この中身というものが、いわゆる雇用不安を克服することによって景気回復ということ、その特効薬になるというふうに考えておられるようでございますが、その対策費として約五千億という規模は極めて不十分なのではないかということをまず申し上げておきたいと思います。  それは、去年の十一月の緊急経済対策の中で、一両年の中で約七十七万人の雇用を創出するのに、総額十七兆円超、恒久的減税の六兆円を入れると二十三、四兆になるという規模からいって少ないのではないかというふうに思うわけでございます。この五千億というお金、今申し上げました四兆円、五兆円という高額所得者に対する優遇減税と言われたああいう減税の中身からいうと、いかにもつつましい限りだなというふうに思うわけです。  総理にお伺いします。  この五千億という今回の補正予算、これで本当に雇用不安が克服できて、国民的な雇用の安定、景気回復というものにこたえられるというふうに確信を持って提出をされたのかどうか。明快な御答弁をいただきたいと思います。
  207. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、十年度の補正予算あるいは十一年度予算におきまして、既に雇用のための一兆円プロジェクトというものをやってまいりましたが、ことしに入りましてリストラが非常に激しくなりまして、またこういうことをお願いしているわけであります。  ただ、申し上げるまでもないことですけれども、雇用というのは大きな経済の成長あるいは減退によって影響を受ける、これは当然のことでございます。でございますから、私どもがこの不況脱出のためにやっております施策の非常に大きな部分が実は雇用にかかわっているわけでございまして、今度の補正予算は、たまたま労働省がその中でこの際なさらなきゃならない行政に関する部分でありまして、国の経済政策全体が雇用という問題と密接に関係をいたしておりますので、五千億だけで何かをやろうとするわけではもとよりございません。
  208. 濱田健一

    濱田(健)委員 そういう意味では、けさから何人かの委員が質問に立つ中で、一次の補正のほかに秋には二次の補正が必要になってくるんではないか、そのときには前向きに検討される、そのような趣旨の答弁もあったと思うんですが、その辺もやはり視野に入っていらっしゃるわけですか。
  209. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまそのことを具体的には考えておりませんが、もし秋になっても非常に、例えば雇用情勢がよくならない、悪くなる、あるいは経済成長もどうもはかばかしくないといったようなことが私どもの期待に反して現実に起こりましたときには、それはもう現実的に対応しなければならないというふうに考えています。
  210. 濱田健一

    濱田(健)委員 私は、今の大蔵大臣の答弁は、現時点でその辺も予測をしながら、私たちが主張したように、もう今になっては遅いんですが、一回国会を閉じて十分な中身の分析をしながら補正予算を出すべしといった意味合いで、この予算については非常に問題ありというふうに思っているところでございます。  今の質問と連動するわけですが、昨年十一月の緊急経済対策、それに基づいて三月に政府が試算をした先ほど言いました雇用創出規模の七十七万人、これの関係でいえば、少なくとも今回の補正予算の新しい機軸としての緊急地域雇用特別交付金、これで創出効果が期待されると言われている三十万人以上、これが上乗せできて百万人を超える、トータルした雇用増大という去年から言っていらっしゃる中身が本当に実現するのかというふうに私は思うんですが、この辺は、総理でも労働大臣でも結構です、御所見を伺います。
  211. 甘利明

    ○甘利国務大臣 雇用の創出、安定に関する数字が百万、七十七万、そして七十二万といろいろ出ておりまして、これは一体、全部足すのかとかいろいろおしかりもいただいているわけでありますが、一番最初の百万というのは、マクロ的に見て創出効果、それにプラス雇用の維持安定効果というものを見込んだ数字であります。七十七万といいますのは、これは雇用創出でありますけれども、一両年のうちに期待される保健福祉であるとかあるいは情報通信であるとか、四分野において試算、推計が可能な関連施策と、それに伴って期待される雇用創出規模を算出したものであります。  今回、きちんと予算を割り振りまして、その予算を使って具体的にこういう数字が期待できるということでありますから、より具体的になってきておりまして、この三つの数字はそれぞれオーバーラップをしている部分というふうに御理解をいただきたいと思います。ですから、足し算ということではございません。
  212. 濱田健一

    濱田(健)委員 今回、少子化対策を含めて五千億、雇用については約三千億という認識をするわけですが、どう見てもこの三十万人という、足し算ではないとおっしゃいますけれども、今回のこの雇用対策を考えたときに、どう見ても臨時的な一時的な、今の厳しい雇用状況を脱却するために財源的な手当てをするんだというふうにしか見えないんですが、そこの私の認識というのは間違っているんでしょうか、正しいんでしょうか。
  213. 甘利明

    ○甘利国務大臣 全体的な政策効果ということで期待をされるということでの数字のはじき方と、それから、今回具体的に予算を配置して、それによって、算定根拠は、例えば地方自治体を中心に、外部委託を中心に三十万人という根拠も申し上げましたけれども、予算と雇用創出人員との関係が割とクリアになっている部分と、それから政策効果全体としてこういう数字が期待されるという部分とのオーバーラップというふうにお考えをいただきたいと思います。  一番最初に発表されました百万人につきましては、雇用維持というのがその大宗でございまして、その時点ではまだそれから先の予算の捻出云々ということまでは思いをはせておらない部分がございますので、かなり重複をしている部分がある。もちろん完全にオーバーラップをしているということではありませんけれども、重複している部分が多いというふうに御理解をいただきたいと思います。
  214. 濱田健一

    濱田(健)委員 観点を変えたいと思いますが、今回のこの補正予算との関連の中で、リストラの誘因ともなるべき事業再構築関連の支援策、これも政府は取り組んでおられるところでございまして、設備廃棄を景気回復の呼び水という考え方もこの中にある。これは余りにも楽観的だと私は思わざるを得ません。  当然、考えてみたときに、工場の撤退などの設備の廃棄、これらが地域経済に与える影響というものは非常に大きく、雇用問題は当然深刻な直撃を受けざるを得なくなるというふうに思うわけでございまして、また、分社化や会社の分割、これらは当然不採算部門の人件費抑制というような形で、人員整理という方向に今よりももっと進んでいくというふうに思うわけでございます。  今のような厳しい状況の中でなければ、これらの副作用というのはある程度低く抑えられる可能性があるというふうに思うわけですが、今のこの雇用失業状況、もう底割れになってしまうというような懸念さえ言われている状況の中では、今度のこの補正予算、そして事業の再構築の政策、これらがいわゆるベストミックスな政策というふうになり得ないのではないか、逆なベクトルに進んでいくのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  215. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 避けがたきことというのは、やはり日本経済が国際競争力を失うことだけは、我々ベストを尽くして避ける。また逆の言い方をすれば、国際競争力を失いますと、日本国自体が富を獲得する手段を失うということをまず考えなければならないと思っております。  確かに、ミクロで見ますと、ある地域から工場が撤退するということは、その地域経済影響も与えますし、その地域での雇用という問題も当然発生するわけでございます。しかし、先生に申し上げたいのは、今回の事業再構築等々をすべてやる中で、我々としては考え得るあらゆる社会的なセーフティーネットを用意した上でそういう構造改革をやろうということを目指しているわけでございますし、また一方では、構造改革をやるに当たっては、国と企業との責任分担というのは一体どこに線が引いてあるのかということは、やはり企業が自己責任でやっていただく、国はそういう事業再構築等を企業がみずからやるときに、よりやりやすい方法でできる環境を整えるというのが今回の事業再構築の大まかな趣旨でございます。  しかし、事業再構築をやりますときに、過剰資本、過剰労働等々が別の分野に移動するわけでございまして、そういうときに、なるべく痛みを伴わない、あるいは社会不安の起きない、そういう形をとらなければならないということも一方での私は政治の大事な仕事だろう、そのように思っております。
  216. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間がありませんので、全然違った観点で年金の問題について宮下厚生大臣にお聞きをしたいと思います。  論議されております確定拠出型年金のことでございますけれども、この導入論の経緯については、企業の負担軽減や株式市場対策の一助というようなことなど、本来であれば二義的な目的といいますか、そういう目的に重きが置かれてきているのではないかというような思いもしているところでございます。  本来、本家本元のアメリカでございますが、これは、従業員福祉制度の公平性とその財政の健全性を保障するために最低条件を設定したERISA法、日本語的に言うと、従業員退職所得保障法というふうに言われているようでございますが、これを一九七四年に制定し、企業年金プランの加入者と年金受給者の保護を最優先の課題に位置づけてきたというふうに私は思っております。  具体的には、加入者に対する報告義務、年金受給権、受託者責任や受託者に対する行為規制などの万全的な保護策というものが期せられてきたのでありますが、我が国のこれから導入されようとしているこの確定拠出型年金においての利用者保護、これらはどういう形で論議をされ、措置を検討しておられるのかということが一点。  それと、これについての資産管理機関、運営管理機関及び指定団体が必要であるというふうにこの年金を導入するに当たっては聞いているわけですが、中小企業への制度の普及のために利用しやすい制度というものはどのように措置を検討しておられるのか。  それと、公務員はこの確定拠出型年金を利用できるのかという三点についてお尋ねをしたいと思います。
  217. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 日本の公的年金制度は、言うまでもなく、厚生年金あるいは国家公務員共済、その他すべて確定給付型でございます。給付をお約束いたしまして、そして拠出をしていくということでございますが、この確定拠出型年金というのは、拠出が確定しておりまして、給付は必ずしも保障されていないという特色がございます。  私どもはこの確定拠出型年金は時代の要請にある程度合ったものと考えておりますが、その理由は、まず前提として、社会保険としての厚生年金その他がきちっと守られていくこと、その上で余力があれば、確定拠出型年金によって個人の選択の幅を広げ、そして老後の生活の幅をより広めることができますから、賛成をしておるわけでございます。  それで、今政府におきまして、これは厚生、労働、大蔵、通産の四省で協議機関を設けてやっておりまして、そのあり方について検討中でございますので、今確たる詳しいことをまだ確定しておりませんので申し上げるわけにもいきませんが、今御指摘のように、運営管理機関を置いたり資産の管理機関を置いて責任体制を確立していくとか、情報を開示して過ちのないようにしていくとか、そういう配慮が必要なことは申し上げるまでもございません。  それからまた、従来の企業年金、これはいろいろ厚生年金基金を初め税制適格年金等がございますが、これとの調整をどうするかという問題もございますが、中小企業につきましては、確定拠出の方は、ポータビリティーが、年金を一たん拠出しますと個人の経理、管理で移動いたしますので、かえって中小企業者にも有利かなというような感じもいたします。アメリカも現に中小企業等を中心に利用されているようでございます。  なお、公務員等についても、私は基本的には準じたものであるべきだと考えておりますが、いずれにいたしましても、こうしたものはこれから検討をいたしまして、特に税制上の措置等が重要でございますから、八月の概算要求までにはあらあらの姿を示して、十二月の予算折衝あるいは税制改正において確定し、来年の通常国会で実現をしていきたい、こう考えております。
  218. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間が来ました。  私は、今回の五千億というこの補正予算、雇用対策、少子化対策にはやはり少し足りないのじゃないかといろいろな中身を分析したときに思うわけでございまして、やはり、雇用対策にしても、少子化対策にしても、その周辺の、例えば新しいエンゼルプランをきちっと確定するとか、新しい児童手当の制度というものをつくるとかいうような抜本的な中身についての論議というものがこれからますます必要になってくるだろうということを指摘申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  219. 中山正暉

    中山委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会