○保坂展人君 私は、
社会民主党・
市民連合を代表して、杉浦
法務委員長の
解任決議案に
賛成の
立場で
討論を行います。(
拍手)
先週末、いわゆる
盗聴法の
採決が異常な形で行われたこと、まだその
質疑が入り口に立っただけであるにもかかわらず、自自公の枠組みの成立とともに、暴れ馬に身を任せるような
委員会運営がなされた、このことに強い不信と怒りを表明します。
さらには、
組織犯罪対策法や
刑事訴訟法の一部改正案はほとんど
審議を経ていないことを、みずから
弁護士であり
法律家であったはずの
杉浦委員長が最もよく知っているはずです。にもかかわらず、
採決を強行した罪は、
国会の機能放棄であり、自殺
行為であると告発しなければなりません。
強権的で問答無用の
杉浦委員長の
委員会運営に抗議して、
社民、
民主、
共産の
野党三党があくまで同意しない
日程を、何が何でも押し通すという
姿勢は、
国会の異常事態を
国民に知らしめて、とてつもない議会の堕落が始まっていることを知らしめています。
委員長は、この
盗聴法の
審議に
当たり、
前提となる条件を整備する努力をことごとく怠りました。
捜査機関が、
政府の言うところの
通信傍受という権限を行使しようとするときに、過去のうみはしっかりと吐き出してしまう、しっかりと吐き出させるというのが
立法府の責務であります。
私は、現
参議院議員である
日本共産党緒方宅
盗聴事件の事実の解明を求めて、質問を重ねてまいりました。しかしながら、日本の
警察当局は、緒方
事件は反省する、反省するけれども、組織的にも個人的にもやっていない、こういった答弁を今の今まで繰り返しております。
窃盗の容疑で逮捕された者が、やってないけれども反省する、過去も現在も違法なことはやっていない、けれども、いやしくも
警察の取り調べを受けたことは遺憾であると主張し続けたら、それで放免されるわけがないではありませんか。
さらに重大な事実が、
法務委員会の
盗聴法の
質疑で浮かび上がってきました。
かつて、
警察から
盗聴器の開発と製造を依頼され、納入したという経験と技術を証言するエンジニアの丸竹洋三さんという方が、私
たち野党の前で証言をいたしました。元職場の同僚もこの証言の信憑性を言い添えるなど、日本の
警察に
違法盗聴の過去があるならば、その体質を根絶しなければならないということは、だれもが認める
前提条件になりました。
しかしながら、この丸竹さんを
参考人として招致しようとする
野党の
要求も頭ごなしに拒否し、
各党が推薦する
参考人の枠に入れることも、学識経験者、専門的知識を持つ人ではないからなどの
理由で拒否、真実を追求し
国民の不安を解消する
姿勢を一切見せませんでした。
かつて、
国会で、
自由民主党が
野党であった
平成五年、一九九三年十月六日、
予算委員会で、
盗聴問題を、現在の野中官房長官が質問されております。野中官房長官は、当時の神崎郵政大臣に、
日本共産党委員長宅
盗聴事件と創価学会の関与について、議事録を持ってきましたので、
○野中
委員 盗聴事件に関与したと
マスコミに報道されておる方が電話、電波を所管される大臣である。この報道につきまして、恐らくみずから否定をされますならば、神崎大臣は抗議をするなり名誉回復の手だてをされましたか、これをお伺いいたします。
○神崎国務大臣 この件についてはいろいろな対応があったと
思いますけれども、告訴をするあるいは無視をする、いろいろあったと
思いますけれども、私は明確に当時から事実を否定し、無視をする、こういう対応をとっております。
○野中
委員 非常に私は疑惑の残る
事件だと
思います。この
事件は、もちろん
法律的には既に時効であります。しかし、報道のとおり、現職の所管大臣として、たとえ時効でもそのような
盗聴事件に関与があったとすれば、大臣の適格性において非常に問題であります。
として、野中
委員は、疑惑が残る、事の真偽は関係者の
証人喚問で解明するべきだと。
沖縄特措法で、私
たち若い
議員に、大政翼賛会にならないように、極めて大所高所に立った、いわば
自民党の枢要な方として尊敬もさしあげている野中現官房長官が、かつて、疑惑解明の先頭に立って、
野党としてこういう質問をしていたという歴史はわずか六年前のことなんであります。
疑惑解明の決意、そして論戦があったこと、これを振り返るとき、
国会議員として、とりわけ
野党として、
政府・
与党の数の力に
質疑を通して厳しいチェックを求め、疑惑の解明に全力を尽くすことこそ、
国民に対して
野党の責務であるということを
与党も十分に理解しているはずだと
思います。けれども、こうした歴史的事実を忘れ、現在の自自公のいわば問答無用の態勢を見るときに、私は本当に恐ろしい気がしてなりません。(
拍手)
五月二十六日に、二十七、二十八日の
採決、この
採決の抜き打ち
提案、これは、四十八時間、二日間がかりのタイマーを
採決にセットをして、
強行採決をする、議論を封じる
行為であります。
そもそも、
国会の
審議とは、
疑問点を明らかにして、
疑問点が明らかになればその解消を図るべく真摯に議論する場なのであります。
審議未了の一例を挙げます。例えば、
通信傍受の
手段を、
捜査機関がいつ、どこで、だれと、だれの立ち会いのもとで行うのかという、基本の事実さえ解明をされておりません。
NTTの内部の情報によれば、映画「エネミー・オブ・アメリカ」の中のシーンのように、携帯電話と小型パソコンさえあれば、電話局の外でも車の中でも
盗聴、
傍受が技術的に可能であります。
法案をよく読んでみても、
警察の中に、NTTと接続する
通信傍受センターをつくることを、
法案は、阻止する条項は一つもありません。逆に、
捜査機関がその必要を求めたときに、
通信事
業者は必要な処分ができるという強制権があり、また、
立会人は、これはNTTとは限りません。
通信手段の
傍受を実施する部分を管理する者、またはそれにかわる者ですから、
警察の
傍受センターというものがもしできたならば、
警察官が
立会人になるという
可能性さえあります。
違法盗聴、
盗聴法の怖さは、ジャーナリストがまさにその危機にさらされることであります。そして、私
たち政治家も、
与党、
野党かかわらず、そのときの政局によって
違法盗聴の危惧に立たされる、このことが大変怖い。
そして、この
法案がもし成立をしたならば、十年後には、
盗聴、
傍受のプロが千人単位で育成される。その中には、金銭トラブルや人事に対する怨恨で
警察をやめていく人間もいる。元
警察官の起こした凶悪
事件の実例を挙げるまでもなく、
傍受のプロが
犯罪組織に雇われたときに、まさに我々の危惧は現実のものとなるのであります。
NTTの中で、
通信の
秘密を守ることを、プロとして、誇りをかけて守ってきたNTTの職員が、今度は
盗聴の手引きをしなくてはならない。高度な倫理観が薄れることを私どもはおそれます。
この
法案はざる法であり、むしろ、
捜査当局によって自由に
解釈できる問題だらけの欠陥
法案です。これを
審議するのが
委員会であり、これらの
審議に背を向けて、迷走した
法務委員長の責任はまことに重いと
思います。(
拍手)
公明代表の浜四津敏子さんが、
参議院議員が、十一月、
社民、
民主、
共産、公明
各党の出席する中で、大変に傾聴に値する御
意見を披露しています。
浜四津さんは、
盗聴捜査が、
通信の自由という
憲法上の人権を侵害する
可能性が大きいだけではなく、
盗聴という
手段には歯どめがきかない。
国家権力の都合で政治的に利用されてしまう
危険性が大きい歴史的な教訓があるからであります。浜四津さんは、特に今回の
法案におきまして、
対象となる
犯罪が
組織的犯罪に限定されておらず、また、
通信傍受された当事者への事後報告制度がなく、当事者は、自分が
盗聴されることを、全く
犯罪行為を行っていない場合でも知ることができないという点であります。全く妥当な議論です。
また、浜四津さんは、違法な
盗聴を監視することが事実上できず、
令状主義に抵触するおそれが大きい。