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1999-01-21 第145回国会 衆議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年一月二十一日(木曜日)     —————————————  議事日程 第三号   平成十一年一月二十一日     午後二時開議  一 国務大臣演説に対する質疑(前会の続)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑(前会の続)     午後二時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。  第二番、中国選挙選出議員知久馬二三子君。     〔知久馬二三子起立拍手〕  第四百五十四番、北関東選挙選出議員小島敏男君。     〔小島敏男起立拍手〕      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑(前会の続)
  4. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。横路孝弘君。     〔横路孝弘君登壇〕
  5. 横路孝弘

    横路孝弘君 私は、民主党を代表し、昨日の羽田孜幹事長の質問に続き、小渕内閣総理大臣施政方針演説に関連して、総理並びに関係大臣に質問いたします。  我が国経済情勢は、現在、戦後最悪の状況にあります。政府の再三にわたる財政出動にもかかわらず、景気回復の兆しはなく、国民の将来に対する不安感はかつてない高まりを見せております。  また、アジア経済危機は一層深まり、アメリカ金融主導型経済は、ルールなき経済のグローバリゼーションとして、国際的警戒心を強めているのであります。他方、欧州諸国は、通貨統合に見るように、二十一世紀に向かうヨーロッパ構想を明確に示し、世界人々に強烈なメッセージを発信しております。  これに対して、日本では、暗やみの中を目的地も告げられず、ひたすら険しい道のりを歩み続けることを強いられています。我が国国民の最大の不幸は、まさにここにあるのであります。(拍手)  総理はさきの施政方針で五つのかけ橋を掲げていますが、橋の向こうにはどんな国民生活が想定されているのか、言葉があっても、さっぱりイメージがわいてこないのであります。今こそ私たちは、目指すべき理想と、二十一世紀のよりよい日本の将来像を明らかにしなければなりません。  その観点から、まず、さきの総理ヨーロッパ訪問について、見解を伺います。  ヨーロッパ諸国政治経済情勢は大きな変革と変貌を遂げ、ことし一月には、ついに十一カ国による通貨統合がスタートしました。ユーロ時代を迎えたのであります。二度の大戦に疲弊した欧州は、不戦と復権という目標を共有しました。それから約半世紀欧州リーダーたちは、その理想を絶やすことなく、幾たびの困難に直面しても、その強い政治的意志を継承し続けているのであります。  そして、二度と戦争を起こさないために、ヨーロッパ統合を目指して、EUは、既に欧州議会欧州中央銀行司法裁判所を機能させ、将来はヨーロッパ軍を持つことも議論されているのであります。国民国家を超える、新しい形の欧州連邦国家という二十一世紀モデルを示そうとしているのであります。  総理欧州を訪問し、何を見て、何を学んでこられたのか。平和への理想を掲げ、各国の固有の文化多様性の上にヨーロッパ統合の実現を目指した、この構想力と強い政治意志をこそ学ぶべきであります。総理の御見解を伺います。(拍手)  あわせて、単一通貨ユーロの登場について、それが国際経済に与える影響をどう受けとめられておられるのか、また、ドルとユーロの大競争時代の到来に対して、日本はどうコミットメントされようとしているのか、総理見解を伺います。  私たち欧州通貨統合で学ぶべきことは、アジア地域の平和と繁栄のために、我が国のリーダーシップをどのように発揮するのかということであります。アジアは現在、通貨金融危機にとどまらず、実体経済危機に陥っており、失業者も拡大しています。昨年十二月、民主党は、アジア経済金融調査団を派遣して、金融経済の実態を調べてまいりました。各国から、アジア経済の再活性化に向けた日本役割への大きな期待が表明されたのであります。  二十一世紀という新しい世紀は、アジア日本が、それぞれの国の多様な文化、言語、歴史、習慣を尊重しつつ、尊敬し合う友人関係をつくる時代としなければなりません。そのためには、アジアとともに発展する日本の立場を鮮明にし、それを絶えざるメッセージとして世界に発信することが重要であります。  また、経済面では、資金援助だけでなく、アジア通貨基金構想推進や、中長期の展望に立って市場開放を進めるとともに、アジアの持続的な経済発展の担い手となる人材育成技術研究開発技術移転などが必要でありましょう。こうした協力、支援が、アジアに信頼される日本となるための道筋をつけることになると思うのであります。  二十一世紀アジア経済圏の姿について、総理並びに大蔵大臣見解を求めたいと思います。  また、安全保障の面でも、平和で安定したアジアの実現について、特に北東アジアの平和を実現するために、日本の果たさなければならない役割は重要であります。北東アジアではいまだに冷戦構造が色濃く残り、各国間の信頼醸成もできていないため、協調的な安全保障体制が模索できない地域であります。  特に、朝鮮半島の緊張を緩和し、冷戦構造から脱却するためには、北朝鮮が対外的に開放された国として国際社会に軟着陸するように、日本としての外交努力をすべきであると考えます。そのためには、まず、日朝国交回復交渉実務レベルでの直接協議の場を設けるなど、対北朝鮮外交を他国任せにしない、主体的な外交姿勢がぜひとも必要であります。総理施政方針演説北朝鮮に対する一つメッセージと受けとめてよろしいのか、お尋ねをいたします。  また、最近の日本外交は、過剰にアメリカ依存になっているのではないでしょうか。米国に奉仕して言うことを聞いていれば、あとは何も考えなくても大丈夫だと言わんばかりの姿勢は、他国からも、日本は、アメリカと話をつけさえすれば、あとは言うことを聞く国だと見られるのではないかと心配をいたしております。  ところで、昨日、クリントン・アメリカ大統領一般教書演説を行い、その中で、日本鉄鋼輸出に対する名指しの警告がなされましたが、政府はどう受けとめているのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。  また、北朝鮮のミサイル問題や地下核施設の疑いや拉致事件など、我が国にとって極めて重要な問題であります。しかし、交渉のテーブルに着いて、議論交渉をしっかり行うべきであって、全く協議の場を持たずに、幾らけしからぬと言っても解決はいたしません。北朝鮮に対する今後の方針について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  韓国は、金大中大統領のもとで、いわゆる太陽政策をとっています。特に最近、南北交渉最優先から、米朝日朝交渉が先行したり並行したりすることを容認する政策に転換したと伝えられていますが、こうした韓国の太陽政策やスタンスの変化について、私はこれを評価するものですが、総理はどのように評価されているのか、お尋ねをいたします。  あわせて、将来、アジアにおいても、全欧安全保障協力機構のような、各国が参加する信頼醸成枠組みをつくるべきだと思います。ASEAN地域フォーラムも成果を上げておりますが、少なくとも北東アジアフォーラムなど、将来の北東アジア安全保障枠組みをつくる努力をすべきだと思います。総理北東アジア安全保障システムの将来の構想をお持ちなのかどうか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。  次に、安全保障問題についてお尋ねをいたします。  日本は、戦後一貫して、経済は発展しても決して軍事大国にはならないということを決意し、アジア諸国に機会あるごとに表明し、国連総会でも、歴代総理大臣説明をしてまいりました。そして、その大きな根拠の一つは、日本の自衛隊は海外では武力行使をしない、集団的自衛権は行使をしない、非核三原則はしっかり守り、日本の国土に侵略があった場合、それを撃退する専守防衛我が国は徹するということであったのであります。  ところで、自自連立政権協議の中で自由党が主張している多国籍軍への参加は、国際紛争を解決する手段として武力行使あるいは後方支援をするという考え方で、専守防衛からの変質と言わなくてはなりません。歴史に目をつぶる者は未来が見えなくなると言われます。政府は、我が国が今日まで堅持してきたこれらの原則をどう考えるのか。私は変えるべきではないと思いますが、総理はどうお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。  次に、日米防衛協力のための指針に関連した法整備について、お伺いをいたします。  今日までの国会論議を通じても、周辺事態がどこのどんな事態なのか不明確であります。小沢自由党党首ははっきりと、ロシア、中国、台湾そして朝鮮半島と言われました。このことは政府説明と異なるわけですが、自民党自由党の間の了解事項なのか、この際明確にしていただきたいと思います。  また、内政不干渉国際社会原則であります。ある国の内部で混乱が起きても、その国の内部にとどまる限り介入すべきでないことは当然だと思いますが、そのような場合にも、周辺事態と認定されるケースが考えられるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。  アメリカは、スーダン、アフガニスタンへの空爆が示しているように、一方的に武力を行使することが多々あるわけであります。米軍の行動にノーと言えるのか。事前協議制度の運用を充実するとともに、ガイドラインについても事前協議体制整備すべきだと考えますが、総理見解をお伺いいたします。  ガイドラインは、多くの大事な問題を含んでいるだけに、本国会での十分な議論が必要であるということを強調しておきたいと思います。  次に、平成十一年度予算案についてお尋ねいたします。  一昨日の総理施政方針演説は、小渕政権とそれを支える自民党自由党が、この危機的状況を切り抜け、二十一世紀に向かう改革あり方を集大成したものと受けとめていますが、その内容は余りにも時代認識を欠いていると申し上げなければなりません。  総理は、今必要なのは確固たる意思を持った建設的な楽観主義であることを強調されていますが、この楽観主義は、二つの神の効用を信ずるところにそのすべてがあるという、間違った出発点を置いているのであります。一つの神は超大型予算という大魔神にあやかり、もう一つは、市場原理主義というか、市場万能性を求める神の見えざる手にすがった楽観主義と言うほかありません。  我々民主党は、市場機能を拡大し、市場機能の効果をより発揮できる、あるいはまた国際競争に対応できるための経済改革を進めていくための改革案を提言しています。  総理の言われる楽観主義とどこが違うかといえば、総理は、アメリカが主張する市場万能主義グローバルスタンダードと称して、福祉や教育や年金さえも個々人の責任で対処せよと主張するわけであります。大魔神と呼ばれる九九年度政府予算案が決まっても、一番肝心な課題である景気を回復できないのではないかという不安を払拭し切れないのであります。  経済は、二年連続のマイナス成長にあり、九九年度もマイナス成長が心配されております。雇用消費設備投資など、景気動向を示す数値はいずれも危機的状況にあることは、御承知のとおりであります。なぜできなかったのか。なぜできないのか。それは、これまでの市場の失敗と政府の失敗に対する謙虚な反省と、その上に新しい国家運営あり方をつくり出そうとする姿勢に欠けているということであります。(拍手)  我々民主党は、市場機能の拡大のための改革規制緩和推進には、同時にインフラ整備雇用年金医療介護消費者保護といったセーフティーネットの再構築を進めていくことがぜひとも大切だと考えております。特に、今必要なことは、生活と情報通信人材育成など新しいインフラ整備セーフティーネットの再構築に取り組むことによって、初めて先行き不安が解消されていくものと考えております。  繰り返しますが、総理のやってきたこと、これからやろうとしていることは、一番大事なセーフティーネットの再構築に目を向けていません。それどころか、公的サービスは質、量ともに低下することになります。だから、先行き不安の解消はできない、景気回復経済構造改革が進まない、市場主義による政策推進をする、そこで再び先行き不安が増してくるという悪循環を生む、間違った改革を推し進めているということになります。今やこの間違った改革の転換が必要であります。  総理は、諮問機関である経済戦略会議に、経済政策構造改革のシナリオを提出させました。ここには、いろいろこれまで言われてきたメニューがそれなりに入っています。しかし、将来の不安をいかに克服していくのか、額に汗して日々働き、皆を思いながら暮らす庶民の姿が見えません。日本社会未来についての構想力の貧困さがそこにあると言わざるを得ないのであります。むしろ、レーガン、サッチャー時代、一九八〇年代の弱肉強食の競争社会人々を投げ入れるようにしか見えないのであります。  経済が困難であればあるほど、積極的な雇用確保雇用機会の創出、持続可能な安定性ある福祉構想こそが、日本未来戦略でなければならないと考えます。男も女も、青年も高齢者も、ゆとりを持って、生涯働き続けられるような社会枠組みづくり高齢者雇用、男女平等の雇用、長時間労働の克服、労働時間短縮による雇用機会創造介護と扶養の社会的受け皿づくり福祉環境保全につながる雇用創出などが、持続可能な日本福祉社会構築基本になるという視点が大切でしょう。  以下、社会保障福祉問題等についてお尋ねをいたします。  国民の将来への不安を解消するためには、年金医療介護さらには育児支援など、社会保障制度をだれもが享受し、安心して生活できるように改革していかなくてはなりません。二〇二五年には六十五歳以上の人口が四分の一を超え、出生率はどんどん低下して、一・四〇を切ろうとしています。にもかかわらず、高齢者に対する年金給付は引き下げられ、医療介護などで負担ばかり増大をしております。  政府の調査によれば、高齢者世帯五百十六万人の平均所得金額は三百十六万円で、そのうち二百万円以下の世帯が全体の四二・五%を占めています。低い金利と相まって、じっと消費を控え、将来の不安におののいている多くの人々がいることを忘れてはなりません。社会保障は安心の給付なのです。しかし、来年度政府予算案は、将来の絵を描けず、抜本改革とはほど遠い予算と言わざるを得ないのであります。  そこで、まず年金についてお尋ねをいたします。  年金は、高齢者が安心して暮らせる持続可能な年金でなければなりません。しかし、現在、国民公的年金に対する不信、不安がどれだけ大きいか、総理はどの程度認識されておられますか。制度改正のたびに、現役の保険料は引き上げられ、逆に給付は引き下げられる。これでは、不信感が募るばかりで、年金離れは解消しません。  したがって、高齢化ピークの二〇五〇年までを見通し給付負担のバランスがとれた制度構築し、公的年金の土台となる基礎年金を抜本的に改革することが重要であります。具体的に、来年度から基礎年金国庫負担率を二分の一に引き上げ、二〇〇四年までに全額税方式に移行することです。これにより、現役保険料は抑制でき、未加入や保険料の滞納、免除者の増大で崩壊寸前基礎年金財政基盤は安定し、国民生活の安心の基礎を確立できると考えます。  政府自民党は、来年度は基礎年金国庫負担引き上げを先送りするとしています。それでは真の改革になりません。税方式への道筋を示しつつ、来年度から国庫負担を二分の一に引き上げ、将来とも制度を安定させることを明示することこそ、公的年金信頼回復につながると考えますが、総理の御見解を伺います。  ところで、経済戦略会議中間報告は、一階の基礎年金最低水準保障税方式で賄い、二階の報酬比例部分は三十年後に完全民営化を目指すと提言しています。私は、基礎年金報酬比例部分から成る公的年金枠組みは将来とも維持すべきと考えますが、この点、総理のお考えを伺います。  だれもがひとしく良質な医療を受けられるよう、国民保険は今後とも維持していかなくてはなりません。国民医療費は今後とも増加が見込まれ、将来とも制度が安定し、公平性の高いものとするためには、医療制度及び医療保険制度抜本改革が必要と考えます。  そうした状況の中、政府自民党は、抜本改革のやる気を疑う予算案を計上いたしました。七十歳以上の高齢者薬剤費一部負担を免除し、それを国費で賄うというもので、全額国庫で賄うとすれば二千二百四十億円もの支出が必要になると見込まれています。  一昨年九月施行の薬剤に係る一部負担制度は、その場しのぎ財政対策として創設されたのですが、医療費の動向を見ると、一昨年の制度改正後はがくんと医療費は落ちましたが、最近は改正前と同じような伸び率に戻っています。つまり、医療費適正化を図るには、小手先制度改正ではだめで、抜本的な構造改革が必要なのであります。  にもかかわらず、なぜ唐突に小手先の措置を行うのでしょうか。医療費薬剤比率を下げるための薬価制度見直しや、老人医療費適正化のための高齢者医療制度あり方を、今まさに検討中ではありませんか。審議会議論も無視してまでこれを盛り込んだのは、まさに自民党選挙対策ではありませんか。総理の明快な説明を求めます。  また、政府は、今回の措置を、抜本改革までのつなぎと説明しています。そうであるならば、どんな内容の抜本改革をいつまでに行うのか、国民にはっきりと公約すべきであります。総理の答弁を求めます。(拍手)  介護保険制度が来年四月からスタートします。民主党は、介護基盤整備や自治体の計画づくりへのフォローアップを行い、今後も制度が円滑に施行できるよう、安心できる地域介護体制確立のために取り組んでまいります。ところで、不十分な施行準備を理由に、来年度の実施を延期せよとの声が一部にあります。しかし、介護は待ったなしの課題であり、先送りは許されません。この点、総理の御見解を伺います。  市町村では、高齢者実態調査事業計画住民参加のもとに策定するなど、積極的な取り組みを進めています。保険者である市町村が不安なく運営できるよう、国、都道府県によるバックアップも怠ってはいけません。政府のこれまでの進め方では、介護サービスが不足するまま制度が始まるわけですが、現時点で新ゴールドプラン達成後の要介護者へのサービス充足率がどの程度になるのか、政府見解を求めます。  心配される介護基盤は、新ゴールドプランのさらなる上積みやNPOへの積極的支援によって、質、量とも一層の充実が必要であります。私は、新ゴールドプラン終了後の基盤整備について、新たな数値目標を設定した計画を打ち出すこと、特に、介護保険対象サービスでありながら、絶対量が不足するグループホームを飛躍的に整備する必要があると考えます。政府の御見解を伺います。  また、政府は一貫して、第一号被保険者保険料平均は一人月二千五百円だと説明してきています。ところが、実際には、とても二千五百円ではおさまらない地域が数多くあり、大きな不安が広がっているのであります。保険料在宅サービスより施設が多いほど高くなり、中でも療養型病床群が多いと高くなることを考えますと、在宅介護の充実こそ必要でありますが、どのようにお考えでしょうか、総理見解を伺います。  次に、中小企業を中心とした産業政策について、お尋ねをいたします。  まず、戦後日本経済を支えてきた製造業空洞化を食いとめ、育てていくことが不可欠であります。技術立国日本を支える熟練技能技術の多くは中小企業に受け継がれています。国を支える基礎的産業として、高品質、高付加価値の製品を生産する日本製造業の発展があってこそ、情報通信産業サービス産業も存立し得ると考えます。  民主党が提起したものづくり基盤技術振興基本法案を、各党とも協力して、この国会において提出できる見通しが立ちました。この法律を実効たらしめるために、予算金融税制等にかかわる具体策を実施していくことが求められますが、政府物づくり産業育成策をどのように講じるのか、お伺いをいたします。  また、消費生活のライフラインであり、地域創造的活動伝統文化の保持にも重要な機能を分担している地域商店街への万全な施策も重要であります。中心市街地活性化対策の大幅な拡充、空き店舗空き地対策を充実させるとともに、大店法にかわって二〇〇〇年から施行される大規模小売店舗立地法指針策定に当たっては、地域町づくりに配慮し、地域の実情を柔軟に反映できるものにするべきであると考えますが、政府はこれにどうこたえるのか、総理の答弁を求めます。  民主党は、新規事業ベンチャー企業創造産業政策の最重点に位置づけています。アメリカでは、九一年から九七年まで、マルチメディアを中心に千四百万人の雇用が生まれました。市場経済的規制が少ないこと、ベンチャーが資金を得やすい直接金融が発達していること、エンゼルと呼ばれる資金の出し手と起業家を結ぶネットワークが確立していること、大学の研究室新規ビジネスに直結していること、ハイテク中小企業商業化までをきめ細かく支援する制度が整っていることなど、新規事業が生まれる土壌が整っています。  我が国でも新規事業が生まれやすい社会をつくるために政府はどうこたえるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  次に、農業についてお尋ねをいたします。農政改革大綱と新農業基本法についてお伺いいたします。  昨年末、政府は、農政改革大綱を発表し、今国会にそれに基づく新農業基本法案を提出されようとしています。しかし、大綱は、今日の我が国農業危機的状況を招いた戦後農政の総括がなされず、総花的に政策を並べた感が否めません。現行農業法農政のどこに問題があったのか、そして新たな農政はどのような哲学に基づいて何を目指すのかを総理にお伺いいたします。  私は、これからの農政あり方は、従来の一国主義的農政ではなく、世界の飢餓、貧困や食糧不足問題に対して我が国農政が果たす役割を明確にした上で、食糧自給率の向上、国土、環境との調和、財源を伴う地方分権型農政の確立といった個別課題政策化すべきであると考えます。  特に、食糧自給率については、先進国が軒並み七〇%、八〇%から一〇〇%に達する中で、我が国はわずか四一%にすぎません。政府大綱では自給率目標の策定を言っておりますが、具体的にどの程度自給率を想定しているのでしょうか。我が国農業を力づけるためにも、大胆な目標設定を行うべきであると考えますが、総理見解をお伺いいたします。  雇用問題は経済全体のかなめであり、社会安定の基礎であります。そして、長期的に継続し安定した雇用こそ、日本社会の本来の姿でなければなりません。日本人は、汗水流して働けば必ず報われるという思いで、一生懸命働いてまいりました。それが、いきなりリストラだ、倒産だといって職を失う現実なのであります。現在三百万人近い人が失業しており、ますます悪化していく雇用情勢に歯どめがかけられず、今や国民の不安は高まるばかりであります。民間の見通しでは、五%を超える失業率を指摘するところもございます。  昨年、政府緊急雇用開発プログラム雇用活性化総合プランを実施いたしましたが、これらの政策でどれだけの雇用を創出し、確保できたのでしょうか。一体いつまでにどの程度雇用拡大が実現するのか不透明であります。深刻な今後の雇用動向についてどう受けとめているのか、総理見解をお伺いいたします。  民主党は、地方主体民間活力を生かした新社会資本整備を促進するという原則のもと、福祉医療、教育、住宅、環境、情報通信分野などの社会資本整備を促進することを提唱しており、雇用創出措置として、ホームヘルパー、OT、PT、介護職員などの介護マンパワーの拡充、三十人学級の実施による教員の増員などの実施を提案しています。こうした具体的な、しかも将来にわたってどうしても必要な雇用創出政府は行うべきであると考えますが、どう思われますか。総理見解をお伺いいたします。  加えて、失業者が再就職するまでのセーフティーネットを強化するために、失業給付期間の延長、統括的なカウンセリングと職業教育、訓練制度による個人の職業能力、適応力の向上を提唱いたします。また、失業給付の受給者に対し一律九十日間延長について、実施基準の緩和をすべきであると思うのであります。  また、政府は二〇〇〇年度までに年間総労働時間千八百時間を目標に掲げていますが、実現の目途は立っておりません。雇用対策の柱は長期、安定、継続であり、アメリカのように短期雇用と失業の繰り返しでは、安定した持続可能な社会は望めません。ヨーロッパにはワークシェアリングを実施している国もあり、将来における日本雇用あり方考える上で、そのような仕事の分かち合いは一つの選択肢ではないかと思います。総理は以上の点についてどうお考えなのか、お伺いをいたします。  次に、地方分権についてお尋ねをいたします。  地方分権は、我が国が取り組むべき最も重要な改革一つであり、我が党の最重要政策一つであります。総理施政方針演説の中で、地方分権を推進してスリムな政府を実現されると述べられました。しかし、総理が政権の座に着いて以来、この地方分権の風がぱったりとやんでしまったのであります。どうしてでしょうか。  今、行政施策の中で一番問題になっているものに公共事業があります。国の直轄事業や補助事業が、国の都合で国によって決定されるため、実施される地域では、本当は必要がないという状況が生じてまいりました。そこで、省庁改革基本法で、国が直接行う公共事業を限定して、他は地方にゆだねていくことが決まったのであります。  これに基づいて、地方分権推進委員会は第五次勧告に取り組んだのであります。しかし、各省庁の激しい反対と、公共事業をコントロールしたい自民党族議員の抵抗で後退し、内容のないものになったのであります。その原因は総理にあります。委員会に対する中央省庁の抵抗を野放しにし、族議員に対して何の指導力も発揮せず、ただ眺めていた総理姿勢こそ、地方分権の後退を招いたのであります。(拍手)  そこで、総理に地方分権についてお尋ねをいたします。  総理は、本当に地方分権の意義を十分に御承知なのでしょうか。この際、何のために地方分権を行うのか、分権を行うことでどう我が国を変えようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。  次に、第五次勧告についてお伺いします。  まず、この勧告で、国土交通省のスリム化がどこまで実現するのでしょうか。具体的に定数をどう削減するのか、また統合補助金の創設はいつまでに行うのか、お尋ねをいたします。  地方分権の実現に税財源の地方への移譲が必要なことは明らかであります。総理はこの税財源の移譲をどのように進めようとされるのか、お伺いをいたします。  また、民主党は、国と地方の税源配分を一対一とするべく現在検討中でありますが、このような大胆な改革総理は取り組む意思があるのか、また、地方財政の抜本改革として地方交付税などの引き上げによる対処が必要と考えますが、あわせてお答えをいただきたいと存じます。(拍手)  最後に、長銀、日債銀破綻の重大な政治責任と政治倫理について伺います。  日本長期信用銀行並びに日本債券銀行は、かなり以前から実質的に経営破綻していたと言われております。昨年三月、政府は、長銀を健全な銀行と認定した上で、金融機能安定化法に基づき千七百六十六億円の資本注入を行い、国民に対して巨額の損害を与えたのであります。  日債銀については、それよりもさかのぼる一昨年四月、大蔵省が再建策のシナリオを書き、得意の奉加帳方式で金融業界に増資を引き受けさせ、経営破綻を回避しました。このとき日債銀は二千九百六億円の増資を実施しましたが、そのうち八百億円は新金融安定化基金、すなわち日銀が出資したものであります。さらには、昨年三月、政府は、日債銀も長銀と同様に健全な銀行と認定し、六百億円の資本注入を行いました。すなわち、政府は、日債銀について千四百億円の損害を発生させたのであります。  しかも、これらの銀行は、そもそもが税金を投入するに値しないような、乱脈経営、粉飾決算、不正融資を重ねていたことが明らかになっているのであります。一体、政府総理はどのように責任をとるのか、国民の前に明らかにすることを強く求めたいと思います。(拍手)  さて、政治家の不祥事が続いており、こうした中で、政治倫理への一層の取り組みが求められていますが、昨年の通常国会以来の懸案となっている、政治家の地位利用収賄罪やあっせん利得罪の創設、株取引の報告、公開の義務化など、一連の法案がたなざらしにされたままになっているのであります。もはや国会に提出するつもりはないのでしょうか。総理のお考えをお聞かせいただきたい。  また、自由党はさきに、入札に干渉すると直ちに罰せられるという思い切った法案を独自に提案しています。民主党としても、これはぜひ実現すべきだと考えておりますが、この点に大変熱心だった野田自治大臣に決意を承りたいと思うのであります。(拍手)  小渕内閣は総選挙の洗礼も受けずに発足しております。また、今般の自自連立政権についても国民の審判を受けておりません。私は、小渕内閣が政権組みかえの是非を国民に問うことを強く申し上げて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  6. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 横路孝弘議員にお答え申し上げます。  まず最初に、先般、私、欧州三国を訪問いたしまして、何を見、何を学んできたかということでございました。  いろいろ学ぶことも多かったと思いますが、また、学びても、なかなか我が国の政治情勢の中ではこれを実行することの困難な問題もありました。  例えばユーロの、統一通貨として十一カ国が新しい通貨によりまして、ドルとともに大きな世界通貨となっていく傾向でありますが、このことをなし得たことにつきましては、十一カ国それぞれ自国に多くの失業率を抱えながら、財政赤字を、六〇プロを超えてはならぬという厳しい政策を打ち出しております。そうした意味で、ユーロの導入につきましても大変な努力をされておることにつきまして、まず多く学ぶ点もございました。  いずれにいたしましても、このユーロの導入につきましては、世界史に新しいページを刻む偉業でありまして、それら各国との強固な政治的意志と厳しい構造改革の努力を通じてなし上げられたことにつき、感銘を受けたところでございます。  さて、このユーロについてでございますが、ユーロは、巨大な経済圏を背景とする通貨でございまして、国際経済におきまして重要な地位を占めることとなると考えております。主要通貨間で安定性と柔軟性のバランスのとれた為替相場制度を実現することが肝要であると考えておりまして、具体的な方策につきましては、大蔵大臣間で既に十分な議論が始まっておるところでございます。  なお、ユーロの誕生といった内外の経済金融情勢の変化の中で、東京市場をより魅力的なものにすることによりまして、円の一層の国際化が進み、金融システムの改革の効果が高められますよう、官民挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。  アジアとともに発展する日本の立場を鮮明にすべきとの御指摘であります。  当然のことだと思っております。私は、昨年末のASEANとの首脳会議出席の際に行った政策演説で、アジアの二十一世紀を人間の尊厳に立脚した平和と繁栄の世紀とするため、アジアが一体となり、協力の必要性を強く訴え、アジア各国の共感も得ました。今後とも、政策演説のタイトルにもありましたように、明るい未来創造に向けてアジア諸国とともに努力してまいりたいと思います。  二十一世紀アジア経済圏の姿と我が国役割について、お尋ねがありました。  我が国アジアの密接な関係を踏まえますれば、安定と繁栄の実現に向けて、応分の貢献を行うことは当然と考えます。こうした認識に立ちまして、今後とも引き続き、アジア太平洋地域における域内協力に積極的に努めてまいります。  北朝鮮についてお尋ねがありました。  私、施政方針演説におきまして関連部分で、北朝鮮へのメッセージであります。その際も明らかにいたしましたが、我が国は、米国等の連携を保ちつつ、北朝鮮が国際的な懸念や日朝間の諸懸案に積極的、建設的な対応を示すのであれば、対話と交流を通じ関係改善を図る用意があり、今後ともそのための外交努力を強化いたしてまいります。  次に、日本鉄鋼輸出についてであります。  クリントン大統領の一般教書演説におきましての言及は、米国政府が議会に提出した報告書の立場を改めて述べたものであり、本件に対する米国の関心の高さを反映したものであるとは考えております。ただ、我が国といたしましては、米国に冷静な対応を求めるとともに、既に鉄鋼輸出が減少している事実など、必要な情報提供を行っておるところであります。  韓国の対北朝鮮政策についてのお尋ねであります。  韓国は、確固とした安保体制をしきつつ、北朝鮮との間で和解と協力を積極的に進める方針であると認識をいたしておりまして、我が国としては、韓国政府のこのような包容政策を支持いたしております。また韓国は、北朝鮮と日米との関係を、この地域の緊張緩和につながる好ましい動きととらえていると思いますが、我が国としても同様の認識であります。  北東アジア安全保障枠組みについてでありますが、私は、日、米、中、ロ、韓国、北朝鮮が参画した形での話し合いの場を将来的に設定していくことが同地域全体の平和と安定のため有益である旨、かねてより主張いたしておるところでございます。かかる話し合いの実現は、関係者の意向もあり、なかなか難しいことではありますが、既に、私といたしまして、米ロ韓おのおのの国の首脳と会談を行いまして、先方から基本的な支持を得たところであります。この実現に向け不断の努力を傾注し、地域の安定に寄与してまいりたいと考えております。  次に、安全保障に関する御意見がありました。  我が国は、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念を今後とも堅持するとともに、非核三原則につきましても、これを守ってまいります。集団的自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものとして、憲法上許されないとの立場に変わりなく、また、多国籍軍後方支援につきましても、武力の行使はせず、かつ対象となる多国籍軍の武力の行使と一体化することはないとのこれまでの憲法解釈を維持してまいります。  周辺事態につきましてのお尋ねでありました。  周辺事態につきましては、政府考え方につきましては、今回の連立政権発足後も変わりはありません。また、特定の事態が周辺事態に該当するか否かは、事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断するものであり、仮定の状況につき一概に申し上げることは困難であります。いずれにせよ、我が国としては、内政不干渉原則を含む国際法の基本原則を遵守することは当然であります。  事前協議についてお尋ねがありました。  事前協議は、米軍が戦闘作戦行動のための基地としての我が国の施設・区域の使用を行おうとする場合に、我が国が国益確保の見地から自主的にその諾否を判断する権利を留保するものであります。その運用に係る事項につきましては、日米両国が長年にわたり確認してきているものであり、その体制や運用の見直しは考えておりません。  次に、情報通信などインフラ整備セーフティーネットの再構築を図るべきとの御指摘がございました。  社会資本整備は、二十一世紀先導プロジェクトの推進を核といたしまして、民間活力を最大限活用しながら、情報通信、都市、住宅、環境、教育、福祉など、我が国経済活性化に不可欠な分野につきまして、戦略的、重点的に行ってまいります。  また、二十一世紀の本格的な少子高齢社会に向けまして、安心へのかけ橋を今から整備し、明るく活力のある我が国社会を築き上げていかなければならないと考えております。社会の仕組み全体を見直す中で、セーフティーネットとしての役割を担う年金医療介護などの社会保障制度についても、将来にわたり安定的に運営のできるよう、構造改革を強力に推し進めてまいります。  我が国未来像についてお尋ねがありました。  二十一世紀に向けて我が国社会の活力を維持していくためには、高齢者や女性が生き生きと働けるようにするとともに、労働者の創造的な働き方を促進するなど、一人一人が意欲的に働ける環境の整備や、健康で安心して働けるようセーフティーネットの充実に向けた施策を推し進めていくことが重要であります。  次に、介護と扶養の受け皿づくりが重要であると御指摘があり、当然のことと思います。  高齢者介護社会全体で支える仕組みとして、介護保険制度平成十二年度から実施するほか、信頼される安定した年金制度構築など、国民が世代を超えて支え合う福祉社会づくりに全力で努めてまいります。  次に、来年度から基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるとの御提案であります。  しばしばお答え申し上げておりますが、国庫負担割合の引き上げは莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。基礎年金国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的方法と一体として検討する必要があり、中期的な検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方社会保険料と税の役割あり方等をあわせて議論すべきものと考えております。  公的年金枠組みを将来とも維持すべきとの御意見であります。  厚生年金等の民営化を指しておるのかもしれませんが、企業年金のない中小企業などに勤めるサラリーマンの高齢期における所得保障基礎年金のみになりかねない点、将来大きなインフレが発生した場合には対応が困難であること、また移行期に巨額の二重の負担が発生するなどの問題点も指摘されておりますが、いずれにせよ、年金国民生活にかかわる重要な制度でございますので、信頼のできる安定した制度を確立してまいらなければならないと考えております。  次に、老人薬剤負担軽減措置及び医療保険制度抜本改革について、お尋ねがありました。  今回の措置は、現下の厳しい経済状態にかんがみ、医療機関にかかる機会の多い高齢者につきまして、その薬剤負担を軽減するために、医療保険抜本改革までの応急的な措置として、臨時特例的に実施するものであります。薬価制度の見直しを初めとする医療保険制度抜本改革の必要性は、この措置によっていささかも変わるものでなく、平成十二年度からの実施を目指し、精力的に取り組んでまいるところであります。  次に、介護保険制度の実施についてお尋ねがありました。  高齢者介護をめぐる現状の深刻さや、介護保険に寄せられる国民の期待の大きさ等を考えますと、市町村に大変御苦労いただいておりますが、その御協力をぜひ得ながら、平成十二年四月から実施することが重要と考えております。今後とも、制度の円滑な実施に向け、介護サービスの供給体制の整備市町村に対する財政面、実施体制面等の支援に全力で取り組んでまいります。  介護保険保険料について、重ねてお尋ねがありました。  高齢者介護保険料は市町村ごとのサービスに応じたものとなりますので、療養型病床群が多いといった地域におきましては、それに応じた保険料になるものと考えております。このため、介護保険導入時の介護サービスの目標につきましては、在宅サービスの充実を図るとともに、施設の種類ごとの均衡にも十分配慮されたものとなるよう、市町村を適切に指導してまいりたいと考えております。  次に、民主党の御発案でありますものづくり基盤技術振興基本法に関しまして、中小企業の物づくりにつきまして御指摘がございました。  私も、これまで埼玉県の川口市など中小企業の現場をお訪ねいたしまして、関係の方々と懇談をいたしまして、中小企業が直面する問題等についてしっかりと承ってまいりました。議員御指摘のとおり、物づくりの重要性については、全く私も同感する思いであります。  そこで、物づくり産業の育成についてでありますが、政府におきましては、物づくりを支える基盤的技術の維持、活性化我が国製造業の競争力強化に不可欠との認識のもと、各省連携しつつ、人材育成事業等を実施してきたところでありますが、今後とも、物づくり技術のシステム化、物づくり産業支援施策の強化を図ってまいります。  次に、商店街対策につきまして御質問をいただきました。  これまた、私も、東京、大阪の商店街等を視察いたしまして、関係の方々と懇談し、商店街が直面するさまざまな問題についてお聞きいたしてまいりました。  そこで、中心市街地活性化施策等につきましてでありますが、昨年七月に施行された中心市街地活性化法に基づきまして、地域商店街における空き店舗対策も含め、空洞化危機にある中心市街地における商業等の活性化と市街地の整備改善を一体的に推進すべく、政府を挙げて現在取り組んでおりまして、今後ともその充実に努めていく考えであります。  また、大規模小売店舗立地法は、大型店の周辺の生活環境の保持を目的とするものでありまして、その指針につきましては、国会における附帯決議の趣旨も踏まえ、大型店に関する現状を調査し、幅広く関係者の意見を伺いつつ策定していくことといたしております。  次に、新規事業の生まれる土壌がアメリカは整っておるが、我が国はいかん、こういうことであります。  御指摘のように、米国におきましては開業率が廃業率を上回っておるのに比べまして、近年、我が国におきましては開業率が廃業率を下回る傾向を示しておりまして、強い問題意識を持って臨んでおるところでございます。  そこで、新規事業についてでありますが、政府としては、今後成長が期待される十五の産業分野に関する規制緩和技術開発の推進など、総合的な支援策を講じてきたところでございます。前国会におきまして成立いたしました新事業創出促進法、これに基づきまして、創業者に対する集中的な支援や産業再生計画の策定を通じまして、今後とも新規事業が創出されやすい社会構築に努めてまいりたいと思います。  次に、農政につきましてお尋ねがありました。  現行の農業基本法は、消費者の視点が不十分であることなど、経済社会の変化の中で実情にそぐわないものとなっております。このため、食糧の安定供給と農業、農村の多面的機能の十分な発揮を図るという基本法の考え方に立ちまして、我が国農業の持続的発展を目指し、新たな基本法の制定等に取り組んでまいります。  あわせて、食糧自給率についてのお尋ねがありました。  世界の食糧需給につきまして、長期的に逼迫するという可能性もあると見込まれる中で、食糧を安定的に供給することは国の基本的責務であります。このため、国内生産を食糧供給の基本に位置づけるという考え方のもとに、自給率目標の策定につきましては、消費者ニーズに応じた国内生産の可能な限りの増大を図るという方針で取り組む考えであります。  次に、雇用対策についてでありますが、雇用失業情勢を含む現在の厳しい経済情勢に対応いたしまして、政府全体の取り組みとして、一両年中に日本経済をぜひ回復軌道に乗せ、百万人規模の雇用の創出、安定を目指し、雇用活性化総合プランなど雇用対策を強力に推進してまいります。これまでも、解雇の防止や就業支援等の対策により、雇用情勢の悪化を防ぐように努めてきており、今後とも、最大の効果が得られるよう積極的に取り組んでまいります。  雇用創出についてでございますが、国民雇用不安を払拭し、再び希望と活力にあふれる経済社会をつくり出すことがまず先決であります。介護サービスの分野における新高齢者保健福祉推進十か年戦略を着実に推進することによりまして、訪問介護員等の確保に引き続き取り組んでまいります。  また、教員の増員に関して、現在、児童生徒一人一人の個に応じた多様な教育を展開するための第六次教職員配置改善計画を推進いたしておるところでありまして、この計画の完成に向けて最大限努力してまいります。  失業給付期間の延長についてお尋ねがありました。  すべての受給資格者を対象に一律に給付日数を延長する全国延長給付の実施基準の緩和は考えておりませんが、雇用活性化総合プランに基づきまして、失業者へのカウンセリングを強化し、失業給付期間の職業訓練中の延長措置を拡充して、失業者の能力開発を積極的に行うことなどによりまして、その早期再就職の促進に努めてまいります。  年間千八百時間を目標とする労働時間短縮につきましては、この十年間に二百時間の短縮を見、平成九年度で千八百九十六時間となったものの、目標には、残念ながら、なお約百時間の開きがあります。このため、完全週休二日制の普及促進を初め、長時間残業の実効ある抑制や年次有給休暇の取得促進に一層努め、その達成、定着に向けて積極的に取り組んでまいります。  ワークシェアリングについてでありますが、景気変動には所定外労働時間の調整でまず対応するというのが我が国労働市場の特徴などから、なじみがたい点があり、現時点におきましては、社会的コンセンサスを得がたいものと考えられます。将来の雇用あり方としては、今後、労使を初めとして十分な議論を行っていくことが必要な課題であると考えております。  次に、地方分権について、厳しい御指摘がございました。  しかし、地方分権は、国と地方公共団体が相互に協力し、地方の自主性と自立性を高め、個性豊かな活力に満ちた地域社会の実現を図る、この点につきましては、ぜひこの目的を達成したいと念じております。地方分権の推進によりまして、明治以来形成されてきた、国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権型行政システムを変革し、対等、協力の横の関係をぜひ構築したいと考えております。  次に、国土交通省に関するお尋ねでありました。  今回の省庁再編は省庁を大くくり編成し、その一環として同省を設置するものであります。同省の公共事業につきましては、中央省庁等改革基本法及び地方分権推進委員会第五次勧告に即し、国と地方の役割分担の見直しや、統合的な補助金制度の導入を進めることなどにより、定数も含め、同省のスリム化に努めてまいりたいと思います。  また、統合補助金についてでありますが、地方分権推進委員会第五次勧告におきまして、中央省庁等改革基本法第四十六条第二号に基づきまして、具体的な事業箇所、内容について地方公共団体が主体的に定めることができる統合補助金、一定の政策目的を実現するために複数の事業を一括的かつ主体的に実施することのできる統合補助金を創設することとされております。  政府といたしましては、この五次勧告を最大限尊重することとして、平成十年度内を目途にして、これに対応する地方分権推進計画を推進してまいります。統合補助金につきましては、その対象となる事業を所管する各省庁におきまして、具体的な内容を検討しておるところであり、その導入に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。  地方税財源についてでありますが、地方税財源の充実確保は、地方分権を推進する中で極めて重要な課題であると考えております。今後とも、この計画に沿って、国と地方公共団体との役割分担を踏まえ、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源の確保に努めるとともに、中長期的に国と地方の税源配分のあり方について検討しながら、地方税の充実確保を図るべきと考えます。  次に、長銀及び日債銀の問題についてお尋ねがありました。  金融行政におきまして、その時々における制度枠組みのもとで、金融システムの安定性確保のため最善と考えられる対応がとられたものと考えます。また、昨年三月の両行への資本注入につきましては、金融危機管理審査委員会におきまして、法律及び審査基準にのっとり、厳正に審査され、決定されたものと考えております。いずれにいたしましても、我が国金融システムの安定及び再生には、今後とも万全を期してまいらなければならないと考えております。  次に、政治家の地位利用収賄罪やあっせん利得罪の新設等の政治倫理の確立に関連する法律についてでありますが、これらの立法措置につきまして、かねて自由民主党等におきましても議論が行われてきたものと承知いたしております。政府としては、各党各派、十分御議論をいただくことが基本であると考え、その結果を踏まえ、適切に対処いたしてまいります。  以上、お答え申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
  7. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) アジア経済圏の姿につきましての総理の御説明を補足いたします。  東南アジアの国々は、戦後、概して対外的には開放的な体制をとってまいりましたが、一九八五年のプラザ合意以降、殊に我が国からの投資が増大いたしまして、急速な工業化が進みました。対日、対米貿易ばかりでなく、華僑資本を含めて域内の貿易・投資が増大をいたしまして、アジアの一国である我が国としては、これらの国々とともに二十一世紀に向けて明るい共存ができるという希望を持っておったわけであります。  一昨年にタイに端を発しました通貨危機は、このようなアジア諸国の希望にとって一つの挫折となったわけでありますけれども、しかし、元来勤勉で開放的であり、かつ余り大きな財政負担をしていないこれらの国々でございますので、この挫折の中から立ち上がれる可能性は極めて大きいと思われます。先週、フランクフルトで開催されましたASEMの蔵相会議におきましても、これらの国々自身あるいは国際機関の判断も、大体そのような見方をいたしておると思います。  したがいまして、我が国としては、できる限りの経済支援を行いまして、まず輸出に必要な原材料の輸入を助ける、支援するということ、あるいは社会的なセーフティーネット金融体制支援などをしていくことが最も有効な方法と考えます。  ユーロが誕生いたしました現在、ドル、ユーロ、円の三極体制ということがしばしば言われますが、まず、円が我が国で十分に運用されるように、資本市場整備や短期国債等への源泉徴収免除、課税免除などの環境整備が必要だと考えます。その進展いかんでは、一昨年来ドルのみにペッグをしておりましたこれらの国々の外貨準備が複数通貨のバスケットにペッグをするというふうな移行がもし展開していきますと、円の使用についても関心が高まっていく可能性があるのではないかと考えております。  したがいまして、昨年十月に発表いたしました援助構想は、そのような意図で今日まで、既に実行段階に入っておりまして、韓国につきましては貿易金融円滑化のために五十億ドルの短期資金、マレーシアには輸出産業支援の十五億ドル、タイには十八・五億ドルの金融機構改善等々は既に決定をいたしました。フィリピンについての十四億ドルの銀行システム改革支援につきましては、先週、フランクフルトでフィリピンの蔵相と妥結をいたしました。インドネシアにつきましては、今週初め、要人がハビビ大統領の親書を持って総理を訪問されましたが、その際に、援助の内容について、私ども御相談をいたしました。来週、こちらからミッションを出すところでございます。  これらの援助をしながら、先ほど申しましたようなこれらの国々のニーズにこたえてまいりたいと思いますが、もとより、中国、インドネシアあるいはフィリピン等と長期のODAの計画がございます国にとりましては、これらは将来とも、このアジア経済圏の成長に大変に役立つものというふうに考えております。(拍手)     〔国務大臣野田毅君登壇〕
  8. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 入札干渉処罰法案についてのお尋ねがありました。  本法案は、公の入札等の公正の確保を図るということとあわせて、国民から選ばれた政治家の廉潔を確保するということがその趣旨であります。政治家みずからが襟を正し、フリー、フェア、オープンな社会、正々堂々、公明な社会構築しなければならないという思いに、今でも変わりはありません。今、この点に関して横路議員のお話をお伺いしまして、大変心強く思った次第であります。(拍手)     〔国務大臣宮下創平君登壇〕
  9. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 横路議員お答え申し上げます。  まず、介護サービスの充足率についてのお尋ねでございますが、平成七年に厚生省がお示しした資料の中で、平成十二年度時点における在宅サービス整備率見込みについて四〇%としてお示ししたことがございます。この整備率は、要介護者の全員が一定のモデル的な水準のサービスを利用すると仮定した場合を一〇〇%とした上で、これに対して、当時の市町村からの積み上げによる、利用を希望される方へのサービス必要量を集計し、その割合を示したものでございます。  したがいまして、サービス量を本来必要な量の四〇%に限るという意味ではございませんで、利用を希望される方全員が希望されるだけのサービスを利用できるようにすることを目指すものでございます。利用希望者の割合が変わっていなければ、新ゴールドプランで定めた目標値が達成されることによって、平成十二年度時点において、在宅サービスを希望される方々に対し、必要となる介護サービスは充足できるものと考えております。  ただし、利用希望につきましては、市町村ごとに必ずしも同一の状況ではございませんが、介護保険制度の導入を控え、利用希望が高まっていることも予想されます。このため、現在、全国の市町村実態調査を行い、将来の介護サービスの必要量を見込んだ介護保険事業計画の作成を進めております。これに基づく介護サービス基盤整備に対しまして、厚生省としても必要な支援に努めてまいります。  いずれにいたしましても、介護保険制度下において、在宅サービスの利用を希望される方が希望されるサービスを基本的にはすべて利用できるよう、必要な基盤整備を進めてまいります。  また、特別養護老人ホーム等のいわゆる施設サービスについても、新ゴールドプランに基づきまして整備を進めてきており、引き続きこのプランの目標値、あるいは一部のサービスについてはこれを上回る数値の達成を目指して努力してまいります。  次に、新ゴールドプラン終了後の介護基盤整備について、新たな数値目標を設定した計画を打ち出すべきである、特にグループホームを飛躍的に整備する必要があるとの御質問でございます。  まず、新高齢者保健福祉推進十か年戦略、つまり新ゴールドプラン終了後の新たな計画についてのお尋ねでございますが、介護保険制度におきましては、各地方自治体が作成する介護保険事業計画に基づいて、必要な介護サービス基盤の整備を進めることとされております。現在、全国の市町村において、その計画の作成の前提となる要介護者等の実態調査及びその集計作業が行われているところであります。新ゴールドプラン終了後の取り扱いにつきましては、今後、これらの状況を踏まえながら、厚生省としても、各地方自治体における介護サービス基盤整備に対する支援の具体的方策を検討することといたしております。  次に、痴呆性老人グループホームの整備についてのお尋ねですが、痴呆性老人グループホームは、痴呆性老人に対し、その特性に応じた生活環境を提供するとともに、家庭的な雰囲気の中で老人が自立した生活を送れるように支援するものであり、今後、重点的な取り組みを必要とする痴呆対策の重要な柱であると考えております。このため、平成九年度に運営費の補助を開始したことに加えまして、今年度第三次補正予算から新たに施設整備費の補助を行うこととしたところであり、今後一層その整備の促進に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  10. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 中井洽君。     〔中井洽君登壇〕
  11. 中井洽

    ○中井洽君 私は、自由党を代表し、我が党の考え方を重点を絞って申し上げ、総理並びに関係大臣に御所見をお伺いいたします。  この一月十四日、私たち自由党自民党との連立政権がスタートいたしました。昨年の十一月十九日の小沢、小渕両党首の会談以来、約五十日間両党間で政策協議を重ね、合意を得、連立内閣がつくられました。その連立内閣の施政方針演説に対し自由党を代表して質問することは、私にとり、まことに感慨深いものがあります。  小渕総理並びに我が党の小沢党首初め関係者に心から敬意を表し、とりわけ自由党を代表して入閣された野田自治大臣にお祝いを申し上げますとともに、今後とも、私たちと一緒に、改革政策実現に向け御努力いただきますようお願いいたします。  私は、自由党が今度の連立政権に参加した思いや、その意義について申し上げたいと思います。  この数年間、私どもは、日本経済社会等が直面している危機は、一時的なものではなく、明治以来日本を支えてきたシステムが全く機能せず、冷戦構造の崩壊後の世界や、すさまじいスピードで進むすべての面での国際化に対応できずにいることが原因だと主張し続けてまいりました。かつてない危機に直面している日本を救い、二十一世紀への新たなスタートを切るためには、大胆な構造改革がどうしても必要であり、従来の発想を捨て、すべての面での改革を行わなければ、この国家的危機を突破できないと訴えてまいりました。  しかし、私どもの主張はなかなか相入れられず、一時的なびほう策や、その場しのぎの対応が政府の手で繰り返されてきました。その結果、莫大な税金を投入しながら効果が上がらず、かえって社会のあらゆる面での閉塞感がますます強まり、経済の停滞と不況の長期化はさらに深刻化し、国民の生活と雇用を直撃しているのであります。  こういう状況になって、昨今ようやく日本社会全体に危機意識が浸透し、だれもが大胆な構造改革の必要を主張されるようになってまいりました。私は、遅きに失した感じがないわけではありませんが、今が日本にとって最後の改革のチャンスだと思います。  私どもは、社会のあらゆる分野での構造改革を断行し、この国を仕組みから立て直す政策大綱を、日本再興へのシナリオとしてまとめています。今日の危機にいち早く警鐘を鳴らし、抜本改革を言い続けた我が党の基本政策実現こそが、二十一世紀日本の新たな繁栄を築くために必要であります。我が党は、かねてから基本理念、政策について一致するならばどの党とでも協力すると申し上げてまいりました。今回の連立合意は、まさに私どものこの精神を生かしたものであります。(拍手)  小渕総理を初め自民党の皆さんが、今日の日本危機克服を政党、政治家の使命と責任として自覚され、日本再興のための構造改革に我々と一緒に取り組む決意を示されたのであります。そのあかしが今回の政策合意であります。  今回の合意だけでなく、自由党自民党と力を合わせ、この国の仕組みを立て直す構造改革を今後ともに実行し続けてまいります。それによって日本経済を再生させ、国民に自信と誇りを取り戻し、二十一世紀への新たな繁栄の基盤を築いてまいります。自由党自民党の連立政権の歴史的意義はこの点にあると私は確信いたします。(拍手)  五十日間の自民党との政策協議のうちで、制度政策面では、政府委員制度廃止と副大臣、政務官制度の導入、衆議院議員定数の五十名削減、大臣数二十名を十八名への削減、自衛隊の海外での国連の平和活動参加の基準等が合意されました。  予算編成や税制改革では、消費税の使途を基礎年金、老人医療介護目的に限定することを予算案の総則に明確に書き入れさすことができました。六兆円規模と言っていた減税額を、我が党の主張を入れ、九兆円を上回る思い切った減税案が今国会に提出されます。公共事業の大幅な増加と集中化が図られます。介護制度についての検討、消費税率のあり方については引き続き協議することとしています。  これらは、予算の骨格がおおむねつくられた十一月の終わりから予算編成終了時までの短期間で、私どもと自民党との協議で合意をいたした点であります。連立に対する御批判はいろいろと耳にしないわけではありませんが、過去の連立政権と比較にならないほど、政策の合意優先の連立政権を我々はつくり上げたと自負いたしております。(拍手)  これからも明確なビジョンに基づき、国のすべての面で大胆な改革を実行するため、自民党自由党は、誠心誠意政策を論議し、改革を今までにないスピードをもって断行していくことが必要です。一日も早く国家の危機を乗り切り、二十一世紀、安心と誇りを持って、日本世界の中で繁栄できるよう頑張らなければなりません。  以上述べました連立政権の意義について、総理並びに野田自治大臣の御所見を承ります。  両党間で合意いたしました政府委員制度の廃止と副大臣、政務官制度の導入について申し上げます。私は本プロジェクト協議自由党側の座長でありました。いずれ両党間で議員立法を提出し、国会での審議をお願いいたしますが、ここで詳しく申し上げてみたいと思います。  まず、政府委員制度を完全に廃止することを合意いたしました。ただし、内閣官房副長官や、制度上大臣でもって答弁できない人事院総裁、公正取引委員会委員長並びに公害等調整委員会委員長は国会答弁できるものとします。  また、執行状況技術説明のため、国会側からの要求により政府職員を参考人(仮称)として出席させることができることとしますが、この参考人は従来の政府委員や参考人とは全く違ったものと考えております。また、政府側が参考人(仮称)を準備し、大臣にかわって答弁さすことは一切いたしません。実施は、本百四十五国会の次に開かれる国会からで合意いたしております。  次に、副大臣制度、政務官制度についてであります。  複数の副大臣を設置します。副大臣はラインという位置づけで、認証官とし、各省大臣の命を受け、政策及び企画を担当し、政務を処理し、あらかじめ各省大臣の命を受けて、大臣不在の場合その職務を代行するものとします。次いで、政務官ですが、これも複数置きます。立場はスタッフです。政務官の職務は、各省大臣の命を受け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理するものとします。政務次官制度は廃止であります。各党の御理解を得まして、副大臣、政務官とも国会での答弁を可能にしたいと考えております。実施時期は二〇〇一年一月一日の省庁再編の実施時期とします。  また、政府委員が廃止されてから二〇〇一年一月一日までの経過措置としまして、各省庁に四人以内の政務次官を置くものとします。そのうちの一人を、大臣の命を受け、政策及び企画を担当し、政務を処理し、並びに、あらかじめ大臣の命を受けて、大臣不在時にその職務を代行するものとします。政務次官は、各党の御理解を得て、国会での答弁を可能にします。  これらの合意を早期に一本の議員立法にまとめて、国会に提出いたします。同様趣旨の法案を提出されている野党もある状況から見て、早期に成立をお願いできると考えています。この改革に基づき、どういう形の本会議が、またどういう委員会のありようが考えられるか、各党に真剣に御検討をお願いしなければなりません。  国民の皆さんには、国会内の運営、ルールのことですので、なかなか御理解いただけないかもしれません。明治以来我が国国会を支配してきた官僚主導の国会論議や立法のあり方を、選挙で選ばれた政治家が本来の仕事として行うという大改革になります。自由党自民党の連立政権は、この一点をとっても、大変大きな改革をなし得ると確信いたしております。(拍手)  与野党が政策について国会で真摯な論戦を闘わせ、立法をしていく姿が本来の国会あり方であります。国会改革されて初めて、国民が政治に対する信頼を回復してくれると考えています。また、この改革は、与党のあり方や体質、党内政策決定の仕組み等、すべての面での改革を必要といたします。総理施政方針演説において、この改革で迅速な政策決定を可能にしたいと申されました。この制度改革に合わせた与党の体質改善をどのようにお進めになるお考えか、お尋ねをいたします。  次に、経済財政問題について幾つか申し上げます。  先ほど申し上げました予算、税制の合意のほか、今予算では、景気対策として住宅、設備投資促進税制の整備や少子化対策税制の重視が実現を見ました。また、我が党のかねてよりの主張である連結納税制度の導入の端緒が開かれましたこと、また、自由党中心となって取りまとめた中小企業向け貸し渋り対策のさらなる充実をもスタートさせることができました。当面の景気対策という意味において、まさにやるべきことはすべて網羅した予算案であると言えます。  我が党は、政治改革と今回の予算案、税制改革とで本年度の日本経済がプラス成長に転じるものと考えておりますが、一方、まだまだ油断のできない状況も数多く見られます。さらに国際化する世界経済は相互依存の度合いをますます深めており、昨年のロシア経済の混乱、昨今のブラジル通貨切り下げ、変動相場制への移行など、海外の景気経済動向が我が国に与える影響には十分注意を払っていかなければなりません。  平成十一年の日本経済が国内外の諸情勢の変化によりさらに落ち込むようなことがあった場合、消費税の一時凍結のような、旧来の手法にとらわれない大胆な政策が必要と考えます。私どもは自自協議の中で、消費税のあり方については引き続き協議すると確認しておりますことはこういった意味であるということをあえて申し上げ、総理の御意見をお尋ねいたします。  また、本年から欧州諸国はその仕組みを大きく変えようとしております。五〇年代初めの欧州石炭鉄鋼共同体に始まり、欧州経済共同体、EECを経て、一つ欧州を目指してきた欧州連合、EUの歩みは、単一通貨導入によってさらに深い統合の段階に入ったのであります。巨大な経済圏を持つユーロの導入は、世界経済に重要な影響を与えることになります。参加各国の国内総生産は世界の二三・七%、アメリカの八割、日本の一・五倍であり、ドルに次ぐ国際通貨となり、英国などがさらに加われば、アメリカをも上回る規模となるのであります。  小渕首相は、ことし初めの仏独伊三カ国訪問で、国際金融システムを強化するため、円、ドル、ユーロによる三極通貨体制の構築を提唱されましたが、今後、日米欧の通貨金融政策での協調体制を強化していくことは、世界経済の安定にとって重要であります。政府は、政府短期証券の公募入札発行、一年短期公債の導入や、非居住者に対する国債利子課税の優遇措置など、円の利用拡大のための対策を進めようとしておりますが、円の国際化をさらに進めるとともに、当面最大の課題である景気回復金融システム再生を速やかに実現し、日本経済への国際的な信認回復に全力を挙げるべきであります。  ユーロ発足直後のヨーロッパを視察された御所感と、国際金融システム改革に向けての御決意をお伺いいたします。  次に、自由党の中長期的な構造改革構想を申し上げます。  第一に、本気で行政改革に取り組むことであります。  行政改革の本質は規制の撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、役所の仕事を減らして、スリムで効率的な政府構築すれば、国、地方の歳出をカットして、行革減税の財源とすることが十分可能であります。例えば、国の事業補助金は廃止して、公共事業一括交付金として地方自治体に交付し、真に必要な事業が効率よく行われるようにすると同時に、受け皿となる地方自治体の体力を高めるため、現在約三千数百ある地方自治体を三百から五百ぐらいの市に再編し、身近なことはすべて地方自治体に任せるなど、改革が必要であると考えます。  野田大臣に、総理演説で述べられた地方自治体合併を含む体制整備というだけでなく、我が党の行政改革中心政策である市町村合併への取り組みを強く求めておきます。  また、現在、両党間のプロジェクトチームで、二〇〇一年からの大臣の数、公務員削減目標の数値について熱心な話し合いが続けられております。両党首の合意どおりに決着されるものと確信いたしてはおりますが、小渕総理のお考えを求めます。  第二に、社会保障、特に消費税の福祉目的化についてであります。我々は、社会保障の基盤を確立するために、基礎年金高齢者医療介護については、消費税を目的税化し、国の責任を明確にすべきであると考えています。  国民が抱く不安感は、現在の経済的な不安であると同時に、将来不安であります。つまり、現在社会を支えている世代の人々は、出生率の低下による人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料負担が増加する一方、それに見合った給付が将来受けられないのではないか、また現在給付を受けている人々は、その水準を引き下げられるのではないかといった不信が、人生の将来設計を直撃し、先行き不安、消費低迷の大きな要因となっております。  実際に、社会保険料の未納者の増加や制度間格差といったものは、国民社会保障制度への不信としてあらわれ、社会全体の安定の基盤を崩しかねない状況になっています。  総理は、一昨日、まだコップの水が半分残っていると考えようと呼びかけられました。物事の明るい面を見ようというお考えはわかりますが、現在の若い人たちの不安は、幾ら水をくんでも全部先の人々で飲み干され、自分たちの番が来たときには残っていないと感じているところにあります。すべての人が水をくみ、いつも水が飲めるという安心感が必要ではないでしょうか。  我々は、社会保障のビジョンを明確に示し、社会を担う現役世代の人々保険料負担累増の懸念を払拭し、他方、お年寄りの給付水準引き下げへの心配を取り除くことにより、国民全体が安心と安定を確保して、人生設計を描きやすくすることが社会保障政策の骨格ではないかと考えます。また、これこそが日本経済全体を立ち直らせる大きな要素になると考えております。  このためには、今までの概念にとらわれることなく、国民全体で社会保障制度を支え合い、その結果として確実な給付保障されることを明確に示さなければなりません。その一つとして、導入時の理念に立ち返り、消費税の福祉目的税化、つまり社会保障税を主張しております。  我々は、基礎社会保障は、より安定した財源を確保し、財政的理由で給付水準が右往左往することのないものにすべきであり、それをはっきりと見える形にすることが必要であると考えています。また、負担給付の水準のあり方は、本来、わかりやすい形を示し、国民全体で議論しなければならない問題であります。目的税財源の使途を基礎年金高齢者医療介護のみと限定し、これを一般財源から切り離し、給付負担を明示することは、公正で透明な制度を確立する点からも重要であります。  今予算の総則に消費税収の使途を書き入れられたことは、我々の政策にとって大きな前進でありますが、総理は、一昨日の演説で、消費税に対する国民の御理解を一層深めていただくよう明記したと述べられました。私どもの主張に対して、どのようにお考えかを改めてお尋ねいたします。  次に、二点お尋ねします。  阪神・淡路大震災より丸四年がたちました。六千人を上回る死者を出し、悲惨な大災害でありました。改めて、心より御冥福をお祈りいたします。震災直後、政治や行政が機敏に対応すればもっと少ない被害で済んだであろうということは、間違いのない認識でありましょう。  残酷に三十数人の国民を殺害したオウム集団には破防法を適用できず、いまだにこの集団が宗教団体として活動を拡大していることに私は不快感をぬぐえません。  山形マット少年殺人事件、神戸小学生殺人事件を含め、小中学生の背筋の寒くなるような事件がここ数年間続きました。明治以来の、また敗戦直後の発想から抜け切れず、今まだ少年法の改正や教育の改革も進んでいません。例を挙げれば切りがないほど、政治、行政が現実の事象に対応していない事例が山積をしています。  総理施政方針演説には、犯罪の多様化、複雑化、国境を越えた薬物犯罪等に断固として対処するとありますが、従来どおりの危機管理や法体系では、到底御決断を生かすことはできないと思います。現実を直視し、国民の生命と財産を守るため、法体系を含め諸制度改革を断行すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。  また、総理は、施政方針演説で、国民に開かれた政府実現のため、情報公開法の早期成立に引き続き最大限努力することを表明されました。国民に信頼される行政の確立、透明性確保のために、情報公開法案の早期制定はまさに待ったなしであります。総理の決意を重ねてお尋ねいたします。  次に、外交、安全保障政策についてであります。  二十世紀は戦争と殺りくの世紀であったと言っても過言ではありません。十六世紀から二十世紀までの五百年間に行われたすべての戦争による戦死者の、実に六五・八%が二十世紀に集中しております。本年は、ハーグ平和会議から百周年に当たり、これを記念する世界平和会議が五月にハーグで開催されることになっております。新しい世紀を戦争のない平和と繁栄の世紀とするために、我が国世界の国々と手を携えて努力していかなければなりません。  自由党は、日本国憲法の平和主義、国際協調主義の理念に基づいて、平和な国際環境を確保するために積極的な外交努力を行っていくことについて、自民党と合意いたしました。そして、自衛隊の国連の平和活動の参加について、国連の総会あるいは安全保障理事会の決議があり、かつ要請があった場合は、直接戦闘行動を行うことや戦闘地域に直接物資を輸送、補給すること以外の活動については、政治家の判断により、積極的に参加、協力することといたしたのであります。  このため、PKO協力法に定められた業務のすべてに参加できるよう法改正を進めるべきであり、あわせて、国連の諸活動に積極的に参加するために必要な法制を整備していくべきであります。  小渕総理は、常々富国有徳を目指すと述べられていますが、それは、とりもなおさず、国際社会から尊敬され、信頼され、必要とされる国家であり、世界のために経済的に貢献するばかりではなく、世界平和のために汗を流す国家であります。自由党のこのような認識について、小渕総理のお考えをお聞かせください。  日米関係について申し述べます。  我が国の安全を確保するために、米国との関係は決定的に重要であります。このため、新しい日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの関連法案を速やかに今国会で成立されるべく努めてまいりたいと考えています。我が党は、さき国会で、このままではガイドラインの関連法案には賛成できないと主張いたしましたが、連立合意に当たり、自民党との間に安全保障基本的な考え方について合意し、自衛隊の行動の原理原則が明確になりました。ガイドラインの関連法案の早期成立を期したいと考えるものであります。  米国との間の協力については、安全保障面とあわせて、経済面でも、保護主義を排し、世界の自由貿易体制の維持発展に日米両国が協調して努力すべきであると考えます。  北朝鮮や中国について申し述べます。  現在、我が国の脅威の第一は、北朝鮮であります。昨年は、無謀にも我が国の領空越しに弾道ミサイルを撃ち込み、日本は言うに及ばず、世界じゅうを唖然とさせました。国民が飢餓に苦しむ中で、膨大な軍事費を使い、ミサイルを輸出したり、秘密核施設疑惑で地下施設の査察要求に対しては三億ドルを、また最近のジュネーブの米朝交渉では百万トンの食糧を要求するなど、非常識きわまりない体制の国家であります。  我が国としては、北朝鮮に対しては毅然たる姿勢を貫くとともに、米国、韓国との連帯を強化していくべきであります。特に、効果的な情報収集システムの整備に努めるとともに、我が国が共同技術研究への参加を決めた戦域ミサイル防衛、TMD計画についても米国と積極的に協力していくべきであります。  野呂田防衛庁長官がことしになって韓国を訪問し、日米ガイドラインや、TMD構想の日米共同技術研究への着手、情報収集衛星の二〇〇二年導入など、日本の当面の防衛政策について説明し、韓国側の理解を得たことは、有意義なものであったと考えます。韓国との間には、引き続き、北朝鮮についての情勢認識について密接な連携を図るとともに、共同訓練などの防衛交流を積極的に推進すべきであります。  中国について簡単に申し述べます。  中国は、我が国ガイドライン関連法案の成立に警戒感を強めていると伝えられます。中国との良好な関係を維持するために、日米ガイドラインが、周辺事態に備えたものであり、他国を侵略するためのものではないことを、中国政府に対し引き続き強く訴えていくべきであります。  北方領土問題とロシア支援について申し上げます。  本日二十一日、モスクワで平和条約締結問題日ロ会議の次官級分科会が開かれます。エリツィン大統領の健康悪化が報じられる中、ロシア側の領土問題での軟化は予想しにくいものがありますが、橋本前総理が提案した、平和条約で国境線を画定し、北方四島の帰属を決め、四島の施政権返還に道筋をつけるという我が国の主張に沿って問題が解決するよう、改めて努力すべきであります。  また、経済危機の影響で、ロシアの核物質が第三国やテロリストに流出する可能性が懸念されており、我が国としても、ロシア政府に核兵器不拡散を強く求めるとともに、政治の民主化と市場経済化への改革を引き続き支援していくべきであります。  以上、外交、安全保障に対する私どもの基本姿勢に対しての小渕総理の御意見を承ります。  最後に、孔子は弟子に政治の要諦を問われ、近き者喜びて遠き者来たると答えました。連立内閣発足に当たり、海部元首相・新進党初代党首を初め四人の新しい仲間を自由党に迎えましたことは、まことにうれしい限りであります。(拍手)  我々は、小渕内閣を支え、自民党の皆さんと一緒に改革を大胆に実行し、日本世界人々に御評価いただける成果を上げられるよう、全力を尽くす決意であります。  以上申し上げ、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  12. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 中井洽議員お答え申し上げます。  冒頭、議員から、自由党が今般の連立政権に参加いたした思いや、今般の連立の歴史的意義について真情あふるる御発言があり、その上で私の考えについてのお尋ねがございました。  ここで、今般の連立内閣につきまして、この機会に改めて私の考えを申し述べさせていただきたいと思います。  昨年七月に内閣をお預かりいたしまして以来、日本経済の再生に全力を尽くすという立場から、あらゆる分野で思い切った施策を実行してまいりました。しかしながら、内外の環境は依然厳しく、景気の回復を初め、近々に解決しなければならない課題が山積みいたしております。また、急速な少子高齢化や情報化、国際化などが進展する中で、あらゆる分野における改革を断行し、二十一世紀に向けてこの国のあるべき方針を明確にいたすことが強く望まれます。  私は、これらの課題に果断に取り組み、今日の国家的危機を乗り越えていくために、時局認識と基本的理念で一致を見た自由民主党自由党の両党が政権をともにし、日本国と国民のために責任ある政治を実現していくことがぜひとも必要であると判断をいたしました。この連立内閣の発足に当たりまして、自由民主党自由党との間で、政治行政改革安全保障等多くの政策課題につきまして真剣な議論を積み重ね、合意をした上で、連立に至った次第であります。  私は、こうした確固とした基盤に立った連立内閣であって初めて責任ある政治を実現できるものと確信し、また、両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよき点を相乗的に効果あらしめて、その結果、国家と国民のために大きな役割を果たしていきたい、このことを強く念じておるところでございます。(拍手)  副大臣、政務官制度の導入、政府委員制度の廃止についてであります。  自由党との協議におきまして、副大臣制度の導入や政府委員制度の廃止などで合意いたしましたが、これは、国権の最高機関たる国会の権威を高め、国民に直結した政治に転換し、迅速な政策決定を可能にしたいとの考えからであります。今国会におきまして、成案が得られ、実現することを期待いたしております。  また、こうした制度改革にあわせまして、与党としての体質改善についてお尋ねがありました。  自由党も与党でございますが、我が自民党としてということだろうと思いますが、党といたしましては、党改革本部におきまして、まさに政治の指導性が高まるような党の構造改革に向けて、現在、全党を挙げて取り組んでおるところでございます。  十一年度の日本経済動向消費税のあり方についてお尋ねがございました。  自民党自由党との協議の中で、自由党から、消費税の問題を含めまして、景気回復に資するための御提案が数々ありましたが、このことも勘案いたしまして、平成十一年度税制改正におきまして、景気に最大限配慮して、全体で平年度九兆円を超える減税を行うことといたしたところであります。  消費税率の引き上げを含む税制改正は、少子高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えます。消費税に限らず、税は低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方考えるとき、消費税の引き下げはなかなか困難であり、この点、国民の皆さんにも御理解いただきたいと願っております。  いずれにせよ、消費税のあり方につきましては、今後も両党間で引き続き協議をしていく課題一つ考えております。  次に、ユーロ発足後のヨーロッパ視察について所感を問う、こういうことでありましたが、先般の欧州訪問につきまして、ユーロを導入した直後でございました。新たな歴史を開いた欧州という感を深くいたしてまいりました。こうした欧州我が国が、政治、経済文化など幅広い分野で、一層関係を強化していくことの重要性を改めて実感いたしました。  この観点から、各国首脳と個人的信頼関係を構築し、国際金融システムの改革等の重要な問題につきまして、忌憚のない意見の交換が行い得、二国間関係を、さらに日欧関係を強化していくことで意見の一致を見たことは、極めて有意義だったと考えております。  加えまして、国際金融システムについてでありますが、今回の訪欧を通じまして、フランス、イタリア、ドイツの首脳と、金融監督規制の強化やIMFプログラム及び手続の改善等、国際金融システム改革に関するさまざまな分野におきまして、協調して対処していくことで合意をいたしました。その直後、大蔵大臣がASEM等で協議をいたしまして、ケルン・サミットに向けてさらにこの協議を深めていくことでも一致をいたしております。今後とも、他のG7諸国とも協力しながら、国際金融システムの一層の安定に向け努力してまいる所存でございます。  また、現在既に従来の護送船団方式から決別し、フリー、フェア、グローバルを三本の柱とする金融システム改革を進めつつあります。これに加えまして、今般、円の使い勝手を大きく向上させる諸措置をとることといたしました。ユーロの誕生といった内外の経済金融情勢の変化の中で、これらの措置を通じ、東京市場をより魅力的なものとし、円の一層の国際化が進むよう、官民挙げまして取り組んでいかなければならないと考えております。  次に、二〇〇一年からの大臣の数と公務員の定数削減についてお尋ねがありました。  自由党党首との間で合意いたしました基本的方向のもと、現在、両党間のプロジェクトチームで協議が行われております。決着に向けて、私といたしましても努力してまいる考えであります。  社会保障のビジョンについて御質問でありました。  社会保障につきましては、お説のように、国民安心して、将来にわたって安定的に運営できる制度構築していく必要があります。今後、社会保障に係る給付負担増大が見込まれる中で、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化を進めるなど、年金医療社会保障構造改革を、今後とも国民議論のもとで進めていかなければならないと考えております。  次に、消費税を福祉目的化すべきということでありますが、今般、消費税に関する国民の御理解を一層深めるため、自由党の御主張も考慮し、予算総則に消費税収の使途を明記し、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療及び介護のための福祉予算に使う旨を明らかにしたところであります。  なお、消費税をいわゆる目的税とすることにつきましては、今後の少子高齢化の進展を踏まえ、社会保障給付あり方やそのための財源をどうするか、中長期的な税構造はどうあるべきか、いわゆる目的税について、これまで指摘されてきたさまざまな問題点についてどう考えるかといった諸点につきまして、幅広い観点から十分検討する必要があると考えております。  次に、国民の生命と財産を守るための制度改革に関するお尋ねがありました。  国民の生命と財産を守ることは、人間の安全保障、ヒューマンセキュリティーを確立するという重要な責務の一つであると考えております。政府といたしましては、これまでも、内閣危機管理監の設置、組織的な犯罪に対処するための法整備、重大なテロ事件等に対処するための体制整備など、常に変化する社会状況に対応した施策の実現に努めてまいりましたが、今後とも、法務大臣もお務めされた中井議員の御指摘も踏まえまして、必要な施策を的確に進め、安全へのかけ橋を築いてまいります。(拍手)  情報公開法の制定についてでありますが、情報公開法は、国民に開かれた政府実現のため重要な法律であると認識いたしており、法案の早期成立に向けまして、政府として引き続き最大限の努力をしてまいります。今後とも与野党間で十分御議論をいただき、速やかに国会において成立させていただきたいと考えております。  次に、自民、自由両党の安全保障に関する合意についてお尋ねがありました。  我が国としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対して積極的に貢献を行っていく考えであり、御指摘の平和維持隊、PKF本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力及び法整備につきましては、国会はもとより、国民各位の御理解をいただきつつ、積極的にこれを進めてまいりたいと考えております。  次に、ガイドラインの関連法案等についてお尋ねでありました。  周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、昨年四月末に既に閣議決定をして国会に提出済みであります。政府といたしましては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が、早期に審議され、今国会において成立または承認されることを強く期待いたしております。何とぞ、国会におきまして十分御審議をいただきたいと存じております。  米国との関係でありますが、米国との経済面での協力に関して、日米両国の経済力の大きさにかんがみ、世界経済の安定と繁栄のために、WTOのもとでのグローバルな自由貿易体制の維持強化を初め、世界経済の直面する諸課題に日米が緊密に協調して取り組むことは、大変重要なことであります。今後とも、こうした考えに立って経済面でも米国との協力を積極的に進めていくべきことは、中井議員御指摘のとおりでございます。  北朝鮮についてであります。  我が国は、北朝鮮議員御指摘の弾道ミサイルの発射や、秘密核施設の疑惑をめぐる国際社会の懸念や、日朝間の懸案に前向きに対応するよう、米国及び韓国と連携しつつ対処いたしてまいります。また、政府としては、情報収集システムについて、情報収集衛星の導入を初めとするその一層の整備に努めるとともに、弾道ミサイル防衛につきましては、昨年十二月、米国との間で共同技術研究に着手することを決定いたしております。  韓国との情勢認識についての緊密な連携と防衛交流についてであります。  昨年秋の私と金大中大統領との会談におきまして、日韓両国間の安保対話、防衛交流、これを一層強化いたしていくことといたしました。このような成果に基づき、韓国との間で、今後とも、北朝鮮情勢も含め緊密な意見交換を行うとともに、幅広い防衛交流をさらに推進してまいりたいと考えております。  次に、日米防衛協力のための指針につきましては、特定の地域における事態議論して作成したものではなく、指針のもとでの我が国の行為は、憲法上の制約の範囲において専守防衛等の基本方針に従って行われるものであります。このような指針の性格につきまして、中国を含め関心を有する諸国に対し、これまでも累次説明を行ってきておりますが、今後とも必要に応じ説明を行う考えであります。  次に、北方領土問題についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、今後とも、ハイレベルの間断なき対話の継続を通じまして、あらゆる分野における関係を一層強化しながら、東京宣言とモスクワ宣言に基づき平和条約を締結して、両国間の関係を完全に正常化するよう全力を尽くしてまいります。本日、モスクワで平和条約締結問題日ロ合同委員会の次官級分科会が行われますが、同会合におきましても、かかる考えに基づき、ロシア側との協議に臨む考えであります。このような努力により、エリツィン大統領が本年の早い時期に訪日され、平和条約交渉が一層前進することを期待いたしております。  最後に、対ロ支援等についてお尋ねがありました。  議員御指摘のとおり、我が国として、ロシアにおける改革の成功は、世界の平和と安定に多大の利益をもたらすとの見地から、市場経済化、民主化等に向けたロシア政府改革努力を一貫して支持いたしていく方針であります。  特にロシアの核不拡散問題について、御指摘のように、核物質の流出は核兵器の拡散につながる可能性があるという意味で、国際社会に対する大きな脅威であり、我が国としては、ロシア政府に核拡散防止のための努力を強く求めておるところであります。また、関係国と協力しつつ、ロシアの核兵器解体から生ずる核物質の管理の強化のため、支援に取り組んでまいります。  改めて、連立政権をつくり上げました自由党とともに、その連立政権の意義が十分発揮のできるように、私といたしましても全力を尽くすことを申し上げて、お答えとさせていただきます。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)     〔国務大臣野田毅君登壇〕
  13. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 中井議員お答えを申し上げます。  まず、連立政権の意義についてでありますが、総理からも御答弁をされましたが、私に対してもお尋ねがありましたので、申し上げたいと思います。  まず大切なことは、かつてない危機に直面しているこの日本を救い、二十一世紀への新たなスタートを切るためには、あらゆる分野において構造改革を大胆かつスピーディーに断行することが大事であるという、この認識を両党が共有したことであります。その上に立って、基本理念、基本政策について両党首で真摯な意見が交わされ、そのリーダーシップのもとで基本政策協議が調ったということであります。  いたずらに政策よりも政争を優先し、展望のない閉塞状況をこれ以上続けるということは、今の時代の政治のあり方として極めて不本意であり、国民にとっても不幸なことであると思います。今日の日本の内外をめぐる危機的な状況と与えられた時間の制約を考えれば、まず第一に政策の方向性、そして第二にスピードということを大事にしなければならないときにあると考えます。その点で、小渕総理と小沢党首のリーダーシップのもとで、自由民主党自由党が真摯に誠意を持って、内外の課題に果断かつ迅速に対応することこそが、今日の我々政治家の責務であると考えます。  次に、市町村合併に対する取り組みについてのお尋ねでありますが、中井議員の御指摘にもありますように、地方分権の担い手である市町村が、基礎的自治体として住民への行政サービス提供を高め、充実強化するとともに、国、地方を通じた歳出削減にもつながるよう、行政の効率化を図る必要があります。このため、都道府県の協力をも得つつ、市町村合併を積極的に進めたいと考えております。  以上であります。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  14. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 不破哲三君。     〔不破哲三君登壇〕
  15. 不破哲三

    ○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、小渕首相に質問するものです。  まず、日本経済の問題です。  私は、日本経済の現状の深刻さは、消費不況と財政危機が重なって進行しているところにあると思います。消費不況は、失業も中小企業の倒産も、過去最高水準の危機的な状態にあり、そこから抜け出す確かな見通しはどこにも見えてきません。しかも、国と地方の財政危機は、来年度末の借金総額、長期債務残高が六百兆円に上る見込みという、前例のないところまで重大化しています。日本経済が活路を見出すには、これまでの政治の枠組みや惰性にとらわれない思い切った転換が必要であります。  私は、景気と財政の二重の危機というこの情勢のもとでは、次の二つの点が、政府の行動としてだれも避けるわけにいかない原則、鉄則だと思います。それは第一に、財政の浪費的な支出を徹底的に切り詰めて、むだ遣いの思い切った削減を図ることであり、第二に、不景気の打開のために本当に必要とされる対策に対しては、政府が思い切った出動をすることであります。首相はこの点をいかがお考えでしょうか。  小渕内閣の誕生以来の行動を見ると、あなたは経済政策を、この行動原則とは全く正反対の立場で進めてきたと言わざるを得ません。まず、景気対策について言えば、小渕内閣は、大銀行に対しては、国民の税金で既に六十兆円もの枠組みをつくり、万全の支援体制を用意してきました。また、ゼネコンに対しても公共事業予算拡大をもってこたえ、補正予算による積み増しは、前内閣の分も合わせ、年間で十六兆円にも上りました。  しかし、肝心の景気対策、実体経済の立て直しの対策はどうだったか。現在の不況が一昨年四月の消費税増税を転機として悪化したもので、その直接最大の原因が国民の個人消費の冷え込みにあったことは、今や国民的常識であります。ところが、あなたは、この六カ月間、冷え込んだ国民の個人消費を温め、景気国民生活の大もとから活気づける対策を何一つとってこなかったではありませんか。  首相が、昨年八月の臨時国会で、消費拡大の方策として公約したのは減税でした。その減税案はようやくこの国会に出てきましたが、首相、あなたは、政府のこの減税案が国民消費拡大に役立つと本気で考えていますか。  政府は、四兆円の所得税減税を実行すると言いますが、政府のモデル世帯計算でも、この減税案で実際に減税の恩恵を受けるのは少数の高額所得者だけであります。年収七百九十四万円以下の世帯は、今年度よりも増税になります。試算してみますと、増税になるのは納税者の実に七割から八割、また、その増税の総額は何と約一兆円の規模にも上ります。首相、国民の多数に一兆円もの増税を押しつけるような税制改革案が、どうして国民消費拡大する景気打開策だと言えるのですか。  しかも、政府が提出している統計から分析してみても、一昨年来の消費不況で打撃を受け、消費が縮小しているのは、政府が増税を計画している中所得、低所得の世帯なのです。この増税計画国民の家計にさらに重荷を背負わせ、消費不況を一層深刻なものにすることは明らかではありませんか。  また、政府が減税の柱だと言う法人税減税も、わずか三千六百ほどの大企業が減税総額の五五%を手にするという、大企業向け減税であります。真剣に景気打開を考えるなら、一部の高額所得者と大企業だけを考えたこのような税制改革案は、撤回すべきであります。そして、私は、消費税の税率三%への引き下げを中心に、国民の大多数の家計を確実に潤わすような、国民的な減税計画への切りかえを強く主張するものであります。(拍手)  どの世論調査を見ても、消費税率の引き下げは、文字どおり国民の圧倒的な世論であります。そして、この減税が景気打開効果の最も期待できる対策であることは、多くの識者が一致して指摘していることであります。政府がまともな理由もなしに消費税減税を回避し続けるなら、景気対策に熱意なしと言われても仕方がないでしょう。  私たちは、日本の税制の将来像という問題については、私たちのように消費税廃止論の立場もあれば、消費税二けた増税を目指す立場もあることをよく承知しています。だからこそ私たちは、消費税の廃止を将来目標として掲げつつ、今日の緊急対策として、消費不況への引き金となった増税前の税率三%への引き下げを要求しているのであります。また、税制の将来像の問題はわきに置いて、景気対策として消費税減税での一致を図ろうではないかと提案しているのです。  私たちはまた、昨年十二月、あなたの諮問機関である経済戦略会議中間報告で、消費税増税は不可避という方針を示したことを知っています。しかし、あなた方がもし、将来の増税計画の妨げになるという理由で今日の国民的な要望を否定し、日本経済の切実な要請に背を向けるのだとしたら、それは余りにも極端な党利党略だと言わざるを得ません。将来の増税はあなた方の計画ではあるかもしれないが、国民がそんなことを確認したことは一度もないからであります。  消費税減税を柱に、全国民の家計を確実に潤す国民的な減税計画への切りかえについて、首相の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、財政危機の問題です。  この問題を考えるとき、私は、三年前の九五年十二月、政府諮問機関である財政制度審議会が、日本の国と地方の異常な借金の高さについて、近い将来において破裂することが予想される大きな時限爆弾を抱えた状態と厳しい警告を発したことを思い出さざるを得ません。その報告は、ヨーロッパの経済通貨統合が、条件として、借金残高はGDP、国内総生産の六〇%を超えてはならないとしていることを挙げ、日本の借金残高が四百十兆円、国内総生産の八〇%を超えていることを示して、この警告を行ったのでした。  それから三年、政府がやってきたことは、財政危機への対応ではなく、むしろやけぎみの浪費とむだ遣いの拡大でした。政府の発表では、ことし三月末、九八年度末の長期債務残高は五百六十兆円、三年間に百五十兆円もふえました。そして、九九年度末の見通しは六百兆円、国内総生産の一二〇%にも達し、実に国民一人当たり五百万円もの借金を二十一世紀に引き継ぐことになります。  それは、この間に、公共事業野放しの拡大や、国の年間総予算にも匹敵する銀行支援体制など、浪費に次ぐ浪費の政策を強行してきた結果にほかなりません。しかも、金融支援の六十兆円の枠組みが現実の資金投入として本格的に具体化されるのはこれからであり、また、九九年度も予算の補正が予想されることなどを考えると、財政危機の進行は、今挙げた数字よりもさらに深刻であります。この危機のもとで、何十兆円という税金を特定の業界の救済のためにこのように無造作に投入するなどは、納税者に責任を負う立場からは到底考えられない無責任な政策であります。  首相、今日のような空前の財政危機に直面しながら、政府がその解決の見通しもなしに、浪費に明け暮れるなどは絶対に許されません。あなたがこの財政危機を解決する、どのような方針見通しを持っているかを伺いたいのであります。財政危機がここまで深刻化した以上、財政の健全化のためには、年々の赤字の解消を目指すにとどまらず、時限爆弾とまで言われたこの長期債務の総額を、どうして減らしていくかを大きな目標とすべきは当然であります。  私は、先ほど財政制度審議会の三年前の報告に触れましたが、この報告がヨーロッパ諸国経済通貨統合の条件を挙げたのは、偶然ではないと思います。借金残高を国内総生産の六〇%以内に抑えるというのは、日本の財政の歴史の中でも、八〇年代初めまでは当たり前の状況とされてきたものであります。九〇年代の財政も、九〇年度、九一年度ともに借金残高ほぼ六〇%というところから始まりました。経済成長との関連を考えても、この六〇%を財政健全化の一つの指標として扱う根拠は十分にあると思います。  政府は、財政再建の目標として、国内総生産比一二〇%にまで膨れ上がった借金残高を圧縮する目標をお持ちですか。お持ちであるとすれば、それがどういう目標であるのか、それをどれぐらいの期間で、またどのような手段で実現する見通しなのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  財政危機の問題で、政府が明確な方針を持ち得ないのには大きな理由があります。それは、政府がどうしても財政赤字の大もとに目を向けようとしないからであります。私は、この議場でも何回も指摘してまいりましたが、日本予算の中で公共事業が抜群の主役をなしているというのは、世界でも本当に異常であります。  実際、国と地方を合わせて国民が納める税金はこのところほぼ九十兆円ですが、毎年の公共事業の財政負担は約五十兆円に上っています。そのうち、ほぼ十兆円が財政投融資を財源とするもので、あとの四十兆円がその年の税金あるいは将来の税金を財源とするものです。結局、税金の半分近くを公共事業に投入しているわけで、税金をこのように異常な形で配分している国は、世界のどこにもありません。  私は、消費税減税などの景気対策を初め、国民の緊急切実な要求には積極的にこたえながら、国と地方の財政を健全な再建のレールに早急に乗せるために、財政の抜本的な転換にかかわる幾つかの提案を行いたいと思います。  第一、浪費的な性格の歳出について思い切った削減を行うこと。特に、公共事業については、その規模の半減という長期目標を定め、年度を追って計画的にその実現をやり遂げることであります。  政府は、国民の強い批判を前にして、余りにもむだの明白な事業について、ごく部分的な見直しを始めたようですが、現状はそんなことで解決されるものでありません。公共事業予算の圧縮の目標をきっぱりと定め、対米公約となっている公共事業総枠六百三十兆円を取り消すこと、公共事業を自動的に膨張させる仕組みとなっている分野別の長期計画を廃止すること、列島改造型の国土開発を無批判に繰り返した五全総を見直すことを初め、大型計画を全体として凍結し、その中から緊急必要な事業を選別するなど、思い切った措置が必要であります。  第二に、社会保障の分野で国の負担を抜本的に拡大し、国民安心して頼れる社会保障制度を目指し、その財政的な基盤を強化することであります。  今、国政と国民生活とのかかわりをヨーロッパ諸国と比較した場合、最もくっきりと違いがあらわれるのは、ヨーロッパ諸国では、公共事業ではなく、すべての国民生活を支える社会保障が公的支出の主役となっていることです。日本では公共事業への支出の四割相当しか社会保障に回されていないのに、諸外国では公共事業の三倍から六倍の予算社会保障の分野で支出されて、資本主義のもとでもそれが当たり前になっています。  その状態に一挙には飛躍できないとしても、ヨーロッパ諸国の水準に近づくことを国民的な目標とする必要があります。その財源としては、国民への新たな増税によるべきではなく、何よりも、公共事業の負担を減らした支出のかなりの分を社会保障の拡充に充てることで賄うことを追求すべきであります。  社会保障貧困は、国民の将来不安を大きくし、日本経済の前途をこの面からも暗くしています。高齢化社会への対応は今日の大きな問題ですが、厚生省の調査では、六百二十万に上る高齢者世帯の四割が二百万円未満の低所得世帯です。年金内容は、改善の見通しどころか、改悪の心配だけが先行している上、政府計画では、この世帯介護保険金や高齢者医療保険負担が次々とかかってくることになり、新たな負担総額は高齢者全体で一兆円に上るとの試算もされています。  これでは、国民が将来に不安を持つのは当然ではありませんか。国民が将来に安心を持てる社会保障体系の構築を目指し、国の負担を国際水準並みに引き上げる方向で、財政的な基盤の拡充に努力することが今こそ必要であります。  第三に、地方政治でも、開発中心主義から住民サービス本位の政治へと、行財政の転換を図ることであります。  今、地方財政は、戦後第三次の財政危機と言われるほど全国的に深刻な状態にあります。その最大の原因が七〇年代後半からの開発型政治の持ち込みにあったことは、今では全く明白です。実際、八〇年度に全国の行政投資の自治体負担は十四兆一千億円でしたが、それが九五年度には三十二兆八千億円と実に二・三倍にもふえ、公共事業に投じる財源のほぼ三分の二を自治体が負担するという状態になりました。  この過大な公共事業の負担が自治体財政を圧迫して、福祉、教育など、自治体の本来の仕事、住民サービスの仕事の水準が年ごとに困難になっているのが、全国の自治体の偽らざる実情であります。  地方自治体に持ち込まれたこの逆立ち政治を、住民自治の精神で立て直すことは、何よりもその自治体の住民の仕事であります。しかし、国政に携わる者としてここで目を向けなければならないのは、自治体の行政を逆立ちした方向に引き込む上で、国の政治が重大な、主導的な役割を果たしてきたことであります。  ここでその通達などの文書を一つ一つ挙げることはしませんが、全国の自治体に大型開発優先主義を持ち込んだのも、住民サービス切り捨ての方向に誘導したのも、政府が大きくかかわって行われてきた仕事でした。その指導の結果が今、全国的な財政破綻となってあらわれているのであります。  ここでも、誤った開発中心主義から住民向けの仕事を本業とする住民自治本来のレールに立ち戻る以外には、地方財政再建の道はありません。これまでの誤った指導、誘導の反省に立って、この方向での地方政治、地方財政の再建を助けること、これが現時点における政府の責任ある立場だと考えますが、いかがでしょうか。  第四、日本は公共事業大国として世界で有名だとはいえ、その内容がゼネコン好みの大型開発に偏っているため、国民生活に必要な施設が極めて貧困だという状態は各分野に多く見られます。公共事業の全体規模の圧縮を図りながら、そういう分野については重点的な取り組みを進めることが当然であり、今日大切な点であります。  一例だけ挙げましょう。私は全国を回って、一方で巨大な開発や豪華な施設建設がこれでもかこれでもかという調子で進んでいるのに、小中高校の施設の荒れ方がひどく、雨漏りが直せない、ドアが外れたままだなど、敗戦直後の物不足の時代を思わせるような状態が各地で見られることに胸を痛めてまいりました。そこには、開発優先主義と福祉、教育の切り捨てがもたらした最悪な結果の一つがあると思われたからであります。  今度、教育予算を調べてみましたら、実際、小中高校の修理、整備に充てられる公立学校施設整備費が、この十数年の間に極端に減っていることに気づきました。一九八〇年度には五千七百十三億円あったものが、来年度予算案では千六百三十八億円、四分の一近くにまで減少しています。自治体の負担分を合わせれば、整備事業が全国で約一兆円前後も減ったことになります。物価の上昇もあって、実際の整備面積は七分の一に圧縮されています。  教育の現状の打開が日本の将来にかかわる大問題となっているとき、こんな状態をこのまま放置することはできません。首相はどうお考えでしょうか。  このことを含め、教育や国民生活が必要とする公共施設の建設にこそ、公共事業の重点を移すべきではないでしょうか。生活密着型の公共事業が、大型開発に比べて雇用拡大に格段の効果があることも、多くの調査が示しているところであります。  以上、四点にわたる提案を行いました。日本経済の将来を少し長い目で見た場合、これらを含む抜本的な対策に大きな目標と年次的な計画性を持って取り組むことは、先延ばしの許されない急務となっていると考えます。首相の真剣な検討と答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、安保、外交の問題であります。  政府は、この国会ガイドライン関連法案を提出していますが、私は、最も重大な問題点の一つは、日本アメリカの先制攻撃戦略に参加することの是非が問われるという点にあると思います。  御承知のように、国連憲章では、国連自身が決定する行動以外は加盟国の勝手な武力行動を認めないことを建前としています。そして、その唯一の例外として認められたのが、加盟国が他国から武力攻撃を受けた場合にそれに反撃すること、いわゆる個別的あるいは集団的自衛の行動でした。これが、第二次世界大戦後、国際社会が平和の基盤として設けた国際秩序の原点であります。  ところが、今アメリカは、この国際秩序に満足しないで、国連加盟国に対する武力攻撃、侵略行動が行われないでも、その危険があるなどの判断をした場合には、その国に対して軍事攻撃を行うという先制攻撃戦略を、戦略方針一つとして公然と採用しています。私は、これは世界の平和にとって大変危険な戦略だと考えます。戦争か平和かの決定権を国際連合からアメリカ一国の手に移すことであり、また、侵略の危険についての情勢判断自体、そこに誤りを犯す危険、あるいは特定の利害、目的、思惑が入り込む危険、これが多分に存在するからであります。  昨年、アメリカが行った一連の戦争行動、スーダンとアフガニスタンに対する八月の攻撃も、イラクに対する十二月の攻撃も、すべてアメリカがこの先制攻撃戦略の具体化として一方的に実行したものでした。特に、十二月のイラクへの攻撃は、イラク情勢について国連安保理事会が討議中に、それを全く無視して強行されたものでした。  だからこそ、アメリカの行動は、その合法性、正当性自体が国際的な深刻な討論の対象となり、湾岸戦争の際にはアメリカと同じ立場に立った同盟国の中でさえ、支持できないとする国が続出したのであります。首相は、この先制攻撃戦略について、その是非をどうお考えですか。これが第一点であります。  今政府が提案しようとしているガイドライン法案は、そのアメリカアジア太平洋地域でとる軍事作戦に対して、日本が軍事的な協力を行う方針とその内容を定めるものであります。私が指摘したいのは、ここで、アメリカの先制攻撃戦略に対する日本参加が問題になっているということであります。その角度から、幾つかの点について質問したい。  第一に、政府は、日本の周辺で日本の平和と安全に重大な影響を与える事態が生まれたときにガイドラインが発動され、日本米軍の軍事行動に参加するとしています。  問題は、この周辺事態なるものの内容であります。それは、国連憲章の規定にあるような、国連加盟国が外部から武力攻撃を受けたという事態に限定されるのでしょうか。それとも、そういう事態はまだ存在していないが、アメリカがその危険を先取り的に判断して、先制攻撃戦略に基づく軍事行動に出る場合も含まれるのでしょうか。  もし後者の場合でも、政府周辺事態と判断してガイドラインを発動し、アメリカの軍事行動を支援する行動に出ることがあり得るのだとしたら、それは、日本自身が他国に対する先制攻撃戦略に参加することになるではありませんか。政府は、そういうことが許されると考えているのか。はっきりした答弁を求めます。(拍手)  第二に、日本がとる支援活動の内容であります。  政府はこれまで、日本が行うのは後方支援だから戦争行為への参加とはならないなどと繰り返し弁明してきました。しかし、戦争行為であるかどうかは、日本政府の勝手な線引きで決まるものではありません。国際社会でこの問題がどう扱われているかが何よりも問題であります。一体政府は、ガイドラインで規定している日本の軍事支援の諸行動が、国際的な基準で見て戦争行為に属さないと断言できるのですか。  例えば、ガイドラインは、公海上の米艦船に対する海上輸送を後方支援の項目に挙げています。国際的には、この活動は戦争行為の一部をなすものとされており、その行為に参加する船舶は、相手国から攻撃を受けても文句の言えない立場に立たされます。戦争の現場では、政府の勝手な解釈など通用しないのであります。  首相、あなたは、政府ガイドラインで引き受けている諸項目が、国際法の基準に照らして戦争行為として扱われるものでないと断言できますか。もしそう断言するのだとしたら、私が今挙げた項目、米艦船への海上輸送について、それが戦争行為に当たらないとする国際法的な根拠を、この場で具体的に示すことを求めるものであります。(拍手)  第三に、政府はこれまで、多くの問題について、その時点で情勢に応じて判断するといった答弁を行ってきました。周辺事態の周辺にどんな地域が含まれるかについても、事態内容についても、後方支援活動の規定についても、突き詰めた討論をすると、すべて、そのときに考えるであります。そのときに考えるとは、いざ事態が起きたときの判断と行動の基準を定めないということ、言いかえれば、そのときの政府の勝手な判断に任せるということにほかなりません。  これでは、そのときの政府の判断いかんで、いかなる国連加盟国も武力攻撃を受けていないのに、アメリカの一方的な判断で行う先制攻撃に日本参加することもできる、後方支援という名目で、国際的には戦争行為とみなされる軍事活動に加わって日本が事実上の参戦をすることもできる、中国の一部である台湾地域を対象とする軍事作戦に日本参加することもできる、すべてがあり得るということになるではありませんか。  アメリカの軍事作戦に参戦するかどうか、日本の運命を左右するこの問題について、多くの重要問題で政府に白紙委任するようなガイドライン法案は、憲法に基づく法治国家である日本で許され得るものではありません。首相の見解を厳しくただすものであります。(拍手)  以上、ガイドライン関係法案の問題点を指摘してきましたが、日本共産党は、ガイドラインとその法案には、二十一世紀日本の安全と平和の見地から反対であり、その撤回を強く要求するものであります。(拍手)  今のガイドライン問題にも関連することですが、ここで、北朝鮮をめぐる問題について、質問と提案を行いたいと思います。  北朝鮮日本の間には、今、複雑で重大な状況が進んでいますが、私が特に懸念を禁じ得ないのは、日本北朝鮮との間に交渉ルートが存在しないまま、対立的な雰囲気、特に軍事的な対応の悪循環ともいうべき事態拡大していることであります。  日本では、北朝鮮からの一方的なミサイル攻撃があり得るのではないかという心配が語られ、それに対する軍事的な対応措置が問題になっています。一方、北朝鮮の昨年来の対外的な声明や国内での報道を見ると、アメリカ韓国日本を率いて北朝鮮に先制攻撃を加えるという予想が既定の事実とされ、攻撃があったら反撃するぞという戦争前夜のような言明が連日のように行われています。  世界政治のいろいろな経験に照らしても、互いに先制攻撃を懸念し合うこの状況が悪循環的に拡大することは、大変危険なことだと言わざるを得ません。しかも、関係諸国の中で、韓国アメリカ北朝鮮との間にそれなりの交渉ルートを持っているのに、日本だけは正式の交渉ルートを持たないまま、対立的な関係だけが先行していることは、問題をとりわけ深刻にしています。  北朝鮮の政権あるいは政権党が、国際社会におけるルールについて、我々と共通の常識を持たないことは私たちもよく知っています。日本共産党自身、北朝鮮の側から国際的な道理を無視した不当な攻撃を繰り返し受けたために、一九八二年以来、北朝鮮の政権及び政権党と、いかなる関係も持っていません。  しかし、国際的な平和と安全のためには、また、不測の事態を未然に防止するためには、相手がそういう状況にあればあるだけ、日本の側が国際的な道理を踏まえ、問題を平和的に打開する態度を尽くすことが重要であります。その見地から、二つの提案を行いたいと思います。  第一は、北朝鮮と正式の対話と交渉のルートを確立する努力を、本腰を入れて真剣に行うべきだという問題であります。対話と交渉の場を持たないまま、すなわち日本側の真意を相手に伝える場、相手側の意思や認識を公式に聞く場を何ら持たないまま、対立的な関係や雰囲気だけが拡大するという悪循環は、早急に断ち切らなければなりません。  中断している国交正常化交渉を改めて軌道に乗せる問題に、今こそ本格的に取り組むべきではありませんか。また、そのほかの方法を含め、両政府間の接触、対話、交渉の場を開く問題に、日本の側から積極的な対応をすべきではありませんか。  第二に、今日の軍事的対応の悪循環では、どちらの側でも、相手側が先制攻撃に出るのではないかという心配が問題とされています。ここに重大な点があります。私は、この悪循環を絶つために、日本がいかなる国に対しても先制攻撃の立場をとる意思を持たないことはもちろん、先制攻撃的な性格を持つ第三国の軍事行動に参加したり、これを支援したりする方針を持たないことを、アジア世界の平和に対する日本政府基本的な態度として、今明らかにすることが重要だと思います。  そういう立場を宣言することは、悪循環からの暴発を防止する上でも、北朝鮮との関係で日本日本にふさわしい平和外交を展開する上でも、大きな支えとなるであろうことは疑いありません。北朝鮮問題に対する政府自身の見解方針を改めて伺うとともに、この二つの提案に対する首相の見解を求めるものであります。(拍手)  首相は、就任以来、首脳外交の展開に大きなエネルギーを注がれてきましたが、国際社会での日本の政治的地位は、率直に言って、決して高いものではありません。それは、日本が国際政治の問題で独自の定見と方針を持たない国、アメリカの陰に寄り添う国だとの認識が国際社会で既に定着しているからであります。  ソ連が解体して既に八年目、世界の主な国々は、アメリカの同盟国であっても、より自立的、自主的な方向で自分の国際的な位置を強める道を進んでいます。その中で、どんな国際問題でもアメリカへの同調と追従の枠から出ようとしない日本の態度が、アジアでも世界でも日本の立場を失わせていることを、今率直に認識すべきではありませんか。  いよいよ二十一世紀は目前であります。私たちは、国民多数の合意を得て日米安保条約を廃棄し、独立、非同盟、中立の新しい立場で、国際社会役割を果たすことを展望している党であります。しかし、同時に、その大目標に至る以前においても、アジアに生きる日本として、アメリカの戦略的利益を第一義としない自主自立の外交に踏み出すことは可能だし、必要であると考えています。平和外交へのこうした転換は、二十一世紀を迎えるに当たっての急務であります。  日本共産党は、内政、外交の両分野で、国民の利益に立って、日本の政治の新しい進路のために全力を尽くすことを申し上げて、質問を終わるものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  16. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 不破哲三議員お答え申し上げます。  むだ遣いの削減と同時に、不況克服のための財政出動が必要との御指摘でありますが、平成十一年度予算につきましては、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮いたしますとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分取り入れたものといたしております。  その一方で、財政構造改革基本考え方は維持し、限られた財源の中で経費の一層の合理化、効率化、重点化を図っており、めり張りのきいた予算配分を行ったと考えております。  減税の効果についてお尋ねがありました。  平成十一年度以降の個人所得課税の減税は、四兆円超という大規模な減税を継続して実施するものであり、他の施策と相まって、可処分所得を下支えし、個人消費の回復に資するものと考えております。なお、昨年の減税は一年限りで打ち切られる文字どおり特別な減税であり、恒久的に効果が持続する減税と単純に比較することは適当でないと考えております。  今回の税制改革についてお尋ねがありました。  将来の抜本的な見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、早急に税負担の軽減を図る観点から、期限の定めのない恒久的な減税を実施することといたしたところでございます。  所得税、個人住民税の最高税率の引き下げは、我が国の将来を見据え、国民の意欲を引き出す観点から行うものであります。また、中堅所得層に配慮し、定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしており、全体としても高額所得者に偏ったものとなっておりません。  さらに、法人課税につきまして、基本税率を引き下げるとともに、中小軽減税率も引き下げることといたしておることも、御承知おき願いたいと思います。したがいまして、今回の恒久的な減税が、一部高額所得者と大企業だけを優遇したものであるとの御指摘は当たらないものと考えており、大規模な減税を、一時的でなく、期限を定めず、継続して実施することにより、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。(拍手)  消費税減税を中心にした減税を行うべきではないかという御意見でありますが、消費税率の引き上げを含む税制改正は、少子高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。消費税に限らず、税は低い方がいいという面はありますが、税財政のあり方考えましたときに、消費税率の引き下げは極めて困難であり、この点、国民の皆様にも御理解をいただきたいと思います。  財政危機を解決する方針見通しについてお尋ねがありました。  私は、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、日本経済の再生に全力で取り組んでおります。経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政、税制上の諸課題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆さんにそのあるべき姿を示さなければならないと考えます。  借金残高を圧縮する目標を持っているかとのお尋ねがありました。  財政構造改革実現するに当たりましては、財政赤字のみならず債務残高についても着目されると考えられますが、いずれにせよ、具体的内容については、日本経済が回復軌道に乗った段階におきまして、しっかりとした検討を行わなければならないと考えております。  公共事業の見直しについて御質問がありました。  公共事業を含めた社会資本整備は、公共投資基本計画を踏まえながら、二十一世紀を展望し、我が国経済活性化に不可欠な分野について戦略的、重点的に行ってまいります。また、公共事業の効率化を図る観点から、再評価システムの導入等、徹底した見直しを行ってまいります。  社会保障についてでありますが、社会保障制度につきましては、国民の信頼にこたえ、将来にわたって安定的に運営のできる制度構築していくことが必要であります。今後、社会保障に係る給付負担増大が見込まれる中で、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化を進めるなど、社会保障構造改革に引き続き取り組んでまいります。  地方でも、開発中心から住民サービス本位の政治への転換を図るべきとの御意見であります。  地方団体は、少子高齢化に向けた総合的な地域福祉施策の推進や、住民に身近な社会資本整備等の地域課題に積極的に取り組むことが求められていることにつきましては、十分認識いたしておるところでございます。  一方、現在の我が国経済の厳しい状況により、地方財政は極めて厳しい状況にこれまたあることから、このような地方財政の立て直しのためにも、地方財政の運営に支障が生じないよう十分配慮しつつ、まずは、緊急経済対策を初めとする諸施策の実施により、景気を回復軌道に乗せることが必要であると考えております。  公共事業についてお尋ねがありました。  公共事業につきましては、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、その確保に最大限配慮いたしますとともに、情報通信、都市、住宅、環境、教育、福祉など、我が国経済活性化に不可欠な分野、安全な国土整備といった分野にも重点的に投資を行ってまいります。  公立学校施設整備についてお尋ねがありました。  公立学校施設整備予算は、児童生徒の増加に伴い、昭和五十五年度に最も多い予算を計上いたしております。その後、児童生徒の減少に伴いまして減額となっておりますが、市町村等の毎年度の事業計画に支障が生じないよう所要の予算を計上いたしますとともに、近年では、耐震性の向上のための補強改築事業にも力を注いでおるところでございます。  次に、外交問題につきましてでありますが、米国の軍事行動に関するお尋ねでありました。  スーダン、アフガニスタンについては、米国は、継続的、連続的テロに対して国連憲章第五十一条で認められている自衛権を行使したと説明しており、我が国としては、テロに対しては断固たる対応をとるべきとの基本的立場のもと、米国がとったテロに対する断固たる姿勢を十分理解しております。  また、イラクにつきましては、国連安保理及び我が国を含む関係各国がイラク政府に対し関係安保理決議を完全に履行するよう最大限の外交努力を行ったにもかかわらず、イラクの協力が得られなかったため、武力行使という事態に立ち至ったものであり、我が国としては、このような経緯にかんがみ、米国の行動に対する支持を表明したところであります。  周辺事態についてお尋ねがありました。  ある事態周辺事態に該当するか否かは、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断いたします。また、周辺事態につきましては、我が国がいかなる活動を実施するかにつきましては、国益確保の見地から、我が国が主体的に判断を行うこととなっていることは御承知のとおりであります。  指針のもとでの我が国の対応についてお尋ねがありました。  指針のもとでの我が国の行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国連憲章を初めとする関連する国際約束に合致するものであります。このような指針のもとで周辺事態において後方地域支援として行われる輸送の行為は、武力行使武力による威嚇に当たるものではありません。  さらに、周辺事態への対応は、しばしば申し上げておりますとおり、武力行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、迅速な決定の必要性等も含め総合的に勘案すれば、内閣の判断と責任のもと、閣議により決定された後、遅滞なく国民に報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。  次に、北朝鮮についてでありますが、北朝鮮をめぐる情勢は依然として不透明な面が多く、昨年のミサイル発射や秘密核施設疑惑などにより、国際社会の懸念は増大しております。我が国として、米韓両国と連携しつつ、これらの懸念の解消や日朝間の諸懸案の解決を目指しております。  この北朝鮮との対話についてもお尋ねがありました。  我が国としては、北朝鮮がミサイル問題や秘密核施設疑惑をめぐる国際的な懸念、日朝間の諸懸案などに建設的な対応を示すのであれば、我が国としては対話と交流を通じ関係改善を図る用意があることは、さき施政方針演説でも強く申し述べたところでございます。  先制攻撃に関する我が国の立場についてでありますが、我が国専守防衛に徹し、自衛権の発動につきましても、我が国に対する急迫不正の侵害の存在、これを排除するための他の適当な手段の不在、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、この三要件に該当する場合に限られ、また国際法上違法な武力行使に対しては一貫して反対するとの立場をとっていることは、御案内のとおりであります。  最後に、我が国の外交政策と米国との関係についてお尋ねがありました。  戦後、今日に至る我が国の繁栄を外交面で支えてきましたのは、日米安保体制を基礎とする日米関係であります。日米両国は、共通の価値観に基づき、私とクリントン大統領を初め双方の関係者が、主張すべきことは主張し、忌憚のない意見の交換を行うことにより、さまざまな課題に協調して取り組んでおります。このような日米協力は、我が国自身のみならず、国際社会の平和と繁栄にも貢献しており、我が国に対する国際的な評価にもつながっておると認識をいたしておるところであります。  以上、御答弁申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 土井たか子君。     〔土井たか子君登壇〕
  18. 土井たか子

    ○土井たか子君 社会民主党・市民連合を代表して、小渕内閣総理大臣施政方針演説に対して質問をいたします。  今、日本は深刻な危機の中にあります。そして、この第百四十五回国会は、その危機を克服し、国民未来を決定づけるための重要な選択を行う国会であります。戦後史に画期をなすかもしれぬ重要な岐路を前にして、国会に身を置き、その決定に責任を負う政治家の一人として、私は身の引き締まる思いでここに立っております。将来において国民に禍根を残さぬような、誤りなき決断をこの国会が下すことができるかどうか。私たち社会民主党・市民連合は、相当の決意と覚悟を持ってこの国会に臨んでいることを、まずは申し上げさせていただきます。(拍手)  私たちは、今どんな危機の中にあるのか。第一は、言うまでもありません、いよいよ深刻さを増す経済危機雇用危機、暮らしの危機であります。この危機を打開するために、九九年度予算案はその方向を誤りなきものとしているでしょうか。第二は、総理国会開会に当たって早期成立に意欲を見せられた、新日米ガイドライン関連諸法案のもたらす平和の危機、憲法の危機であります。いずれも、自民党自由党の連立政権の発足によって、危機はより深まり、解決どころか、誤った方向に国と国民を導いていくものではないかと私は憂慮しております。(拍手)  連立の協議の中には、福祉も乏しい、環境も教育も乏しい、政治倫理はもちろんない。目につくのは軍事同盟安保の強化、米軍への協力と改憲の準備だけです。自自連立の協議の中で、いわゆる周辺事態法案の成立を急ぐためか、しきりに北朝鮮の脅威があおられました。目的のためには人々を脅迫してその目的に駆り立てていく、恫喝政治の手法を感じざるを得ません。  国会に憲法調査委員会を設置しようとする動きや、中村法務大臣のいわゆる改憲発言もこれに呼応するものと考えます。法務大臣の任命権者としての総理はどのようにこの責任を考えておられるのか。失言取り消しで済む問題ではないと思います。お答えください。  総理は、施政方針演説において、当初、総花的になるのを避け、みずからの言葉で語ると言われましたが、見事に総花的なものでした。私は、ただしたいことは多々ありますが、時間が限られておることもあって、絞りに絞って経済と憲法の二つの問題に集中することにいたします。いずれも日本国民の将来に大きな影響をもたらす重要な問題であります。  二年連続のマイナス成長、とどまることなく上昇し続ける失業率、何十兆円もの大型景気対策を打ち出しても打ち出しても上向かない経済指標と、日本経済の停滞状況は未曾有のものです。昨年の今ごろには、桜の花の咲くころには景気は上向くといった言葉も聞かれましたが、桜の花どころか、夏が終わり、秋が終わり、冬になって年が改まっても、一向に景気は上向かない。人々は敗北感に打ちのめされ、言いようのない不安の中で暮らしております。政府の言葉も経済学者の言葉も、もう人々は信をおかなくなっています。  将来が見えないのです。そして、国民の不安に確信を持ってこたえるべき政治が、その責任をまだ果たしていない。今の政党と政治家の行動を人々はどう見ているか。例えば、今回の自自連立です。両党の指導者がいかに言い繕おうとも、人々には御都合主義の数合わせとしか見えておりません。昨年の参議院で自民党を惨敗させた国民の意思は、このような連立を実現させるようなものであったでしょうか。  例えば、連立の協議の中で議員定数の削減が掲げられました。選挙制度は、国権の最高機関の構成を決定するものであり、いかに民意を公正に平等に反映させるかを慎重に検討すべき事柄であります。それを両党に有利な形で、しかもお手軽に変えようとする。その上、恥ずかしげもなく、いかにも政治が犠牲を払ったように装う。一方で、中島洋次郎前議員の政党助成金の不正使用問題や収賄事件については、触れることは好ましくないのでしょう、一言もない。いかにも政党の御都合主義ではありませんか。国民はそう見ています。そう見ることは間違っていると言えますか、総理。  今の不況は、ここ四半世紀日本がつくり上げてきた経済システムが、限界に来たことを示しています。構造的な改革が必要なことは改めて言う必要もないくらいです。しかし、構造的な改革のためには、既得権を持つ者はそれを手放さなければならない。それはだれにもつらい、困難なことです。その困難をみずから率先して引き受け、血を流さざるを得ない人々を説得し、未来の展望を示して、人々に確信を与えること、これが政治家、政党の責務ではないでしょうか。  国民の信頼なしに政治はできない。そして、今はこのことが切実です。この不況は、国民の信なくしては決して解決できないのです。総理、信なくば立たず、この言葉を繰り返しかみしめていただきたいのです。  我が党は、国会議員等のあっせん利得行為等の処罰に関する法律案をさき国会に提出し、団体、企業からの政治献金を、政治資金規正法の定めているとおり、来年からはきっぱり禁止しなければならないと強く主張いたしております。改めて総理の御決意をお聞きします。  さて、一九九九年度予算案であります。公約のプラス成長を実現するために、一般会計規模は九八年度当初比五・四%増の八十一兆八千億円余。宮澤大蔵大臣は、かの野球で言うハマの大魔神、ハマの大魔神を初回から登板させるような予算、また、財政としては後がないと言われております。  この予算案には、規模の拡大はありますが、日本社会をどの方向に向かわせていくかという哲学が見えません。多くのジャーナリズムも指摘しているとおり、従来型のばらまきの大型化にすぎません。これでは、国民総理の言う安心へのかけ橋がかけられたとはとても言えません。  既に、従来型の公共事業や減税による景気波及効果については、疑問が出されているところです。実際、バブル崩壊以降、百兆円を超える巨額が公共事業などに投じられても、十分な効果を上げていないではありませんか。公共事業を担当する地方自治体からは、その負担に耐えられないという悲鳴が上がっています。公債への依存度が急速に高まり、その元利償還費の増加が地方財政を圧迫しているのです。  この大盤振る舞いを支えるために、国債の発行が三十一兆円、前年比九九・六%増、国債依存度は三七・九%、国、地方を合わせた長期債務残高は六百兆円という、借金の返済を迫られる次の世代から悲鳴が聞こえてきそうな借金の額です。異常な事態と言わざるを得ません。  そして、減税は最高税率の引き下げと定率の方式だと言われています。これは通常、減税とは呼ばないのです。給与所得者の九割が実質増税になるものを、減税という言葉でごまかせるとは思えません。なぜ定額方式による特別減税の継続や、消費税見直しなどによる、本当の意味での減税ができないのでしょうか。  この予算は、経済再生の展望なき、従来型大盤振る舞い予算と言わざるを得ません。確かに、この巨額のお金で景気は一時支えられるかもしれません。しかし、この財政には後がないのです。このままでは、いかなる構造改革にも手をつけることなく、恐るべき借金が残るだけということになりかねない。後は野となれ山となれで済ませてしまうのでしょうか。  では、どのようにすれば、国民安心と信頼を得られるのか。  第一は、生活不安の根源となっている社会保障制度への不信を取り除くような、しっかりした措置をとることでございます。例えば年金基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるという国会決議は既に五年前になされていました。こうした約束は最優先で実施すべきです。小渕総理も、昨年の自民党総裁選挙で、年金給付水準は維持するとおっしゃっていたではありませんか。  私は、首相官邸をお訪ねして、この問題について小渕総理に具体的にお話をしたことをはっきり覚えているわけでありますが、しかし、国庫負担金の引き上げは今回見送られ、そればかりか、九九年度予算案では賃金スライド制も凍結、臨時福祉特別給付金も打ち切りとなりました。高齢者安心して暮らすための施策を怠っていると言わざるを得ません。総理、いかがですか。  第二は、土木に費やされていた投資を福祉、それも介護などのヒューマンパワーに振り向けることです。  福祉への投資は、雇用、とりわけ女性の雇用を大きく広げます。第三次補正で三千億円の雇用対策費といった消極的なものでなく、投資の対象を変えることによって雇用を生み出すべきではありませんか。介護福祉、教育、住宅、防災、環境保全の分野で、本年八月までに五十万人、来年度末までに百万人の雇用創出を図るため、思い切った施策が必要です。一兆円くらいの雇用対策費を別途計上するくらいのことはやるべきであると考えますが、総理の御所見はいかがでしょう。(拍手)  第三は、環境を重視し、循環型の産業、社会をつくり上げていく方向を示すことです。  人々のダイオキシン汚染やいわゆる環境ホルモンに対する不安が非常に大きいことは、御承知のとおりです。各地で頻発しているごみ焼却炉やごみ埋め立てをめぐる紛争を見てください。解決には、有毒化学物質の発生、使用を抑え、ごみを出さないような社会的仕組みをつくっていくことしかないのです。  総理施政方針演説にも、なるほど、大量生産、大量消費型の社会を転換していくといったくだりはあります。しかし、本格的な転換を図るために格闘された痕跡は、この予算案のどこを探してもないのであります。どうなさるおつもりでございますか。  私たちは、活発で健全な市場経済は必要であると考えています。競争も必要です。しかし、弱肉強食のジャングル社会になることを望んではいません。そのため、市場には、環境、平和、人権、公正などを守るための規制がかけられなければならない。また、市場から脱落したり、離れざるを得ない人々のためのセーフティーネットも必要です。それがあってこそ、人々安心して働いたり生活することができ、また、そういう人々の存在が逆に市場を活発にするのです。(拍手)  総理、あなたの施政方針演説からは、膨大な借金を次代に残してしまう苦悩も、経済システムを大きく変えていく勇気も、残念ながらみじんも発見することができませんでした。総理は、この不安と不信のこの予算案を、安心と信頼の予算案に組み替えるお考えはありませんか。  第二は、憲法と安全保障をめぐる問題です。  自民、自由両党の連立協議において、武力行使と一体化するとかしないとか、憲法解釈を変えるとか変えないとか、大変物騒な話が飛び交っておりました。そして、自自連立内閣において、新日米ガイドラインに基づくいわゆる周辺事態法案ほか関連諸法案の成立が、この国会の優先課題だと位置づけられております。  しかし、これは他国の紛争に武力をもってかかわってしまうような危うい内容です。私たち国民の命にもかかわってきます。これは、日本国憲法の根幹に触れる問題であります。折から朝鮮半島をめぐる緊張があおられているときに、あおりに輪をかけて、何を慌てふためいて急がなければならないのですか。(拍手)  新日米ガイドラインが、日米安保条約の実質的改定であること、私は安保外安保と折に触れて警告してきました。後藤田正晴元副総理も、最近のインタビューで、これは日米安保の変質であり、本当を言ったら日米安保条約の改正をやらなければいけない、しかし、改正するなら、当然日本国憲法の改正も問題になってくると言われています。それだけ重要な問題なのです。  そのことを小渕総理、どう思っておられるのでしょう。施政方針演説でこの問題に触れられたのはわずか三行、しかも世界へのかけ橋の中であります。最大の懸案事項であり、多くの国民が心配している課題について、総理はなぜ堂々と国民説明しようとなさらないのでしょうか。お答えください。(拍手)  確かに、朝鮮半島にはなお軍事対立と緊張が存在し、昨年は、朝鮮民主主義人民共和国からテポドンが発射されて日本上空を飛び越えるという遺憾なことがありました。しかし、こうした事態がなぜすぐさま米軍への協力体制の整備や戦域ミサイル防衛などの軍事的な対応に結びつくのか、あるいは軍事的な対応にしか結びつかないのか、本当に私は不思議なのです。  日本国憲法第九条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」このようにあります。国際紛争や対立は武力行使の威嚇によらないで解決していくというのが私たちの生き方の原則であります。つまり、紛争や対立は、平和的な対話や交渉を粘り強く行うことによって解決していくことなのです。  総理、昨年のテポドン発射事件以降今日に至るまで、北朝鮮とどのような対話、交渉を行ってきたのか、あるいは対話や交渉を聞く努力をどこまでされたのか、伺いたいと思います。  武力行使は、いつも自衛とか正義とかという大義名分や美名のもとに行われるものです。それがいかに欺瞞であったか、いかに取り返しのつかぬ悲劇を招いたか、私たちは嫌というほどさきの戦争で知ったではありませんか。その反省が憲法第九条のこの原則に凝縮されているのです。  戦後半世紀、私たちはこの憲法のもとに生き、武力によって一人も殺さず、一人も殺されなかった時代を持つことができました。私は、このことを心から誇りに思っています。そして、この原則は正しかったと確信しております。武力武力を生み、憎悪は憎悪を拡大します。武力では紛争は解決しないのです。この憲法の原則世界に広げ、また次の世代に手渡していくことが、この時代を生きた私たちの義務ではないでしょうか。  脅威といえば、最も直接的な脅威を受けているはずの韓国金大中大統領は、北朝鮮に対するいわゆる太陽政策を維持し、日本に対しても北朝鮮との関係改善を行うよう要請しております。実に理性的、賢明な対応であると私は考えますが、総理、このような要請にはどうおこたえになりますか。  提案されているいわゆる周辺事態法案には、日本への侵略があった場合の防衛出動にさえ必要とされている国会の承認さえ、規定されておりません。まるで日米両政府に白紙ですべての権限をゆだねよと言うがごときではありませんか。国民の運命を決するような重要な事態にこそ、まず国会の意思が必要だというのは歴史の常識であります。昨年末のアメリカ・イギリス軍のイラクへの爆撃などを見るにつけ、私は、政府への白紙委任など、到底できないと考えております。(拍手)  問題は、国会承認だけではありません。法案に言う周辺とはどの範囲を指すのか。また戦闘地域と一線を画した後方地域というものがあり得るのかどうか。自衛隊が、戦闘行動を行っている米軍を輸送、補給などで支援することが、戦闘への参加だと相手にみなされない保証はあるのか。その他その他、この法案にはあいまいな部分が多過ぎるのです。  なるほど、法案には一応、対応措置武力による威嚇または武力行使に当たるものであってはならないと書かれてはいますが、武力の威嚇ないし行使と紙一重の行動をとることは間違いない以上、あいまいさは徹底して排除しなければならないと考えます。  とりわけ、ここでお尋ねしたいのは、地方自治体の長に対して必要な協力を求めることができるという条文です。第九条です。一体どのような協力を求められるのか、それは義務なのかどうか、多くの自治体では戸惑いと懸念が広がっています。  私はつい先日、高知県を訪ね、橋本大二郎知事と懇談をし、大変大きな感銘を受けました。高知県では、昨年来、県の港に外国艦船が入港するとき、核兵器が搭載されていないという証明書の提出を求める条例、いわゆる神戸方式と言われていますが、この条例の制定を準備しておられます。  ところが、外務省からは、これは国のすることですと言うのです。非核三原則日本の国是であり、核の持ち込みも認めておりません。それに沿った自治体の施策は何の不都合もないはずと橋本知事は首をひねっておられます。私も知事に同感です。さらに知事が不信感を持たれているのは、次のようなことがあったからです。  つまり、一九九四年、米軍の空母艦載機が高知県の山中で低空飛行訓練中、墜落事故を起こしたのです。昨日も高知沖で米軍機の墜落がニュースで伝えられておりますが、この一九九四年の事故、このときは、この低空訓練自体大変危険なもの、直ちに中止すべきだという声が強かったのです。しかし、そのときに県が外務省に何度も照会したにもかかわらず、説明一つなかったというのでございます。  橋本知事は、県民の命と安全を守るのが自治体の長の最大の責務と言われます。当然のことだと思います。しかし、知事が言われるには、外務省はアメリカにばかり目を向けて、国内には説明なしと言われるのです。  周辺事態法案についても同じじゃないのでしょうか。自治体の長に求める必要な協力とは何なのか、それを自治体や議会に明示することもなく、こんなことが起きている中で、どうして国に白紙委任するなどということができるのでしょうか。地方自治体の不安と懸念に、総理、どうお答えになりますか。外務大臣にも答弁を求めたいと思います。(拍手)  また、高村外務大臣は、外交演説で沖縄の基地問題に触れて、沖縄県の御理解と御協力を得つつ、SACO最終報告を踏まえ、米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向け努力すると言われました。アメリカにばかり顔を向けて、自治体や住民を顧みなければ、沖縄基地問題は決して解決しません。外務大臣、どうなんですか。  また、大変懸念されますのは、もし万が一、近隣で紛争が生じ、戦闘に入った米軍日本支援するようなことが起きた場合、国内で在日外国人を含む市民の基本的人権が制限されたり、公務員などの動員などが行われないか、あるいは言論の統制を含む民主主義の規制が行われないかということであります。  今、日本という国がアジアの中で問われていることは、新ガイドライン関連法案の成立ではなく、アジアの平和と安定のためのネットワークづくりの信頼あるコーディネーターとしての役割を果たすことではないでしょうか。大事なときです。  総理の御決意と真剣な御答弁をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  19. 小渕恵三

    ○内閣総理大臣(小渕恵三君) 土井たか子議員お答え申し上げます。  まず、法務大臣の発言につきましてでありますが、一月五日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、私から法務大臣に対しましてその発言の真意をただしましたところ、司法制度に関する改革の必要性を強調するため、我が国が直面するさまざまな局面を説明し、複雑な世界情勢に言及したかったというのが真意であるが、その改革の必要性を強調する余り、表現に適切を欠いた点があったので、おわびして撤回するものであり、小渕内閣の閣僚として、御指摘の憲法尊重、擁護、このことは当然のことである旨の発言があったので、私としてはこれを了承したものでございます。  今般の連立内閣につきましてでありますが、昨日既に何度かお答えをいたしておるところでありまして、繰り返しは避けさせていただきますが、今般の趣旨を一言で申し上げれば、今日の難局に当たり、時局認識や基本的理念で一致を見た自由民主党自由党の両党は、政権をともにし、安定的な政権基盤を築き、真に責任ある政治の実現を目指すというものであります。  また、この際、私は、次の二点を強調させていただきたいと思います。  すなわち、第一に、自由民主党自由党との間で、政治行政改革安全保障等多くの課題につきまして真剣な議論を積み重ね、合意した上で連立に至ったこと、第二には、そうであるがゆえに、この連立内閣は確固とした基盤に立っており、国民の期待にこたえ、国民に信頼される責任ある政治を実現できるものと確信をいたしておるところでございます。  次に、企業・団体献金等についてでございますが、企業、労働組合等の団体献金につきましては、平成六年の政治改革における政治資金規正法の改正により規制が強化され、さらには、改正法附則によりまして、施行後五年を経過した場合の取り扱いに定められておるところでございます。この問題につきましては、まず各党各会派において十分御論議をいただくべき問題と考えております。  次に、財政をどう再建していくかということでございます。  我が国財政は、平成十一年度末で、国、地方を合わせて長期債務残高が約六百兆円に達する見込みであることなど極めて厳しい状況にあることは、土井議員御指摘のとおりでございます。将来世代のことを考えますと、私は、財政構造改革という大きな重い課題を背負っていると痛感いたしております。  このことは施政方針演説でも申し上げておるとおりでございますし、礼記を取り上げるまでもありませんが、財政の根本は入るをはかって出るを制するということだろうと思いますけれども、しかし、今日の経済的なこの不況の状況考えますと、単年度でこれをレベニュー・ニュートラルするということはなかなか無理なことでございまして、私自身は、この日本経済が今後こうした政策を遂行することによりまして回復軌道に乗った段階におきまして、財政、税制上の諸課題につきまして中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行って、国民の皆さんにそのあるべき姿を示し、御理解を求めて、この長期債務問題についても真剣に取り組んでいかなきゃならないと認識し、努力をしてまいりたいと思います。  次に、税制改正の問題でございますけれども、定額方式による特別減税を継続してはどうかということでありますが、平成十年度における定額減税は、あくまでも、できる限り早期に減税を実施するため、臨時異例の一年限りの措置としてとったものであることは、御案内のとおりであります。今回の個人所得課税の見直しが、景気の現状に配意して、課税ベースや課税方式の抜本的見直しを伴わずに恒久的な形で減税を実施するものであることから、納税者ごとの税負担のバランスをゆがめない定率方式をとることが適当と考えたからであります。  定率減税の実施によりまして、単年度比較で見ると、昨年より確かに減税額が減少する所得階層が生ずることは事実でありますが、一年限りで打ち切られた文字どおりの特別な減税と、恒久的に効果が持続する減税を単純に比較することは適当でないと考えます。  次に、消費税見直しについてでありますが、消費税率の引き上げを含む税制改正は、少子高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものでありまして、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。  申し上げておりますように、消費税に限らず税は低い方がいいという面はありますけれども、税財政のあり方考えますとき、消費税の減税は極めて困難であり、この点、国民の皆さんにも御理解を願いたいと思っております。  次に、年金給付の水準についてお尋ねがありました。  今回の年金制度改革におきましては、給付負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう、制度の抜本的見直しを行うことが必要であると考えております。年金制度改革につきましては、現在、政府・与党におきまして検討をいたしておるところでありますが、購買力を確保する観点から、年金額を物価上昇に応じて改定していくことによる年金額の実質価値の維持は、堅持することといたしたいと考えております。  また、高齢者等に対する平成十年度の臨時福祉特別給付金の支給につきましては、特別減税の追加実施に関連して、臨時特例の措置として行ったものであります。高齢者生活の安定と福祉の向上につきましては、社会保障制度全般を通じて対応してまいりたいと考えております。  雇用拡大についてお尋ねがありました。  政府全体として取り組んでおります百万人規模の雇用創出、安定を目指し、新規雇用創出労働者の就業支援内容とする事業規模一兆円程度雇用活性化総合プラン等の対策を強力に推進し、国民雇用不安を払拭し、再び希望と活力にあふれた経済社会をつくり出してまいりたいと思います。  さらに加えて、一兆円程度の対策費を、こういうお話でございましたが、私どもとしては、予算に計上させていただきました一兆円のこの総合プランを実質的に実施をいたしてまいりまして、その力によりまして雇用不安を解消する最善の努力をいたしてまいりたいと思います。  循環型社会についてお尋ねもございました。  循環型社会への転換は、美しい安定した環境を守り、子孫に引き継ぎ、安全へのかけ橋を築いていく上で極めて重要であります。来年度施策におきましては、環境重視、循環型の経済社会構築に向け、地球環境問題への対応、省エネルギー対策、原子力や新エネルギーの開発利用の促進、リサイクルなど、全力を尽くして努力してまいります。  十一年度予算についてお尋ねがございました。  当面の景気回復に全力を尽くすという観点から、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分に取り入れたものといたしております。その際、私が提唱いたしました二十一世紀先導プロジェクトを初めとして、情報通信高齢者福祉等、二十一世紀を展望した経済発展基盤となる分野、生活関連資本等への優先的、重点的配分を行ったところであります。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますように重ねてお願い申し上げます。  次に、安全保障問題でございますが、日米防衛協力のための指針と日米安全保障条約及び憲法との関係につきましてお尋ねがありました。  指針関連法案は、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的として、日米安保条約に基づく日米安保体制の、より円滑かつ効果的な運用を確保するために策定された指針の実効性を確保するために作成されたものでございます。そのような意味におきまして、日米安保条約の目的の枠内であるということができます。  また、周辺事態安全確保法案に基づき実施することを想定いたしております活動は、それ自体は武力行使に該当せず、また、米軍武力行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。したがって、日米安保条約及び憲法との関係で問題になるとの御指摘は当たらないと考えます。  朝鮮半島情勢への対応に関してお尋ねがありました。  日米防衛協力のための指針も、米国とのBMDの共同技術研究も、いずれも特定の国、地域を対象としたものではございません。また、北朝鮮に対しまして、昨年八月の弾道ミサイル発射以降、これに対する抗議の意を直接伝えたほか、国会等の場におきまして、北朝鮮が国際的な懸念や日朝間の諸懸案に前向きに対応するよう呼びかけてまいりました。  さらに、私は、先日の施政方針演説におきましても、北朝鮮がこれらの問題に建設的な対応を示すのであれば、我が国としても、対話と交流を通じ関係改善を図る用意がある旨を述べたところであり、この本会議場からこうしたことを述べさせていただくことは、我が政府北朝鮮に対する強いメッセージとして取り上げていただきたいと考えております。(拍手)  憲法第九条についてお尋ねがありました。  憲法前文には、言うまでもなく、国民主権、基本的人権の尊重の理念のもとに、平和主義及び国際協調主義の理念がうたわれております。また、憲法第九条には、平和主義の理念を具体化した法規範として、戦争と、武力による威嚇または武力行使の放棄、戦力の不保持等が規定されておることは、もう議員十分御承知のとおりであります。これらの理念は、日本国憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から支持されてきたものであって、その理念を高く評価し、将来にわたって堅持すべきものであると考えております。  日韓の対北朝鮮政策に関するお尋ねであります。  韓国は、確固とした安保体制をしきつつ、北朝鮮との間で和解と協力を積極的に進める方針であると認識しております。我が国としては、この太陽政策といいますか、韓国では包容政策、こう言われておるようでありますが、このことを支持いたしております。また、我が国としては、先ほど申し上げたとおり、北朝鮮が建設的な対応をいたしますれば、対話と交流を通じ関係を改善する用意があることは、重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、周辺事態安全確保法案について幾つかの御指摘がございました。  基本計画国会承認についてでございますが、周辺事態への対応は、武力行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、迅速な決定の必要性も含め総合的に勘案すれば、基本計画国会に遅滞なく御報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。  ある事態周辺事態に該当するか否かにつきましては、事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであり、これをあらかじめ地理的に特定することはできず、また、いかなる活動を実施するかは、憲法の範囲内で、及びその時々の適用される法令に従って、我が国が国益確保の見地から主体的に判断を行うものでございます。  次に、後方地域についてお尋ねがありましたが、実施区域が後方地域であるとの判断は、各種情報をあわせて総合的に判断することにより可能であると考えております。  最後に、武力行使に該当するか否かについては、本法案に基づき実施することを想定している活動は、それ自体、武力行使に該当せず、米軍武力行使と一体化の問題が生ずることは想定されておりません。  政府といたしましては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が早期に審議され、今国会において成立または承認されることを期待しております。何とぞ、国会におきまして十分御審議をいただきたいと考えております。  最後に、アジアの平和と安定のための我が国役割についてお尋ねがありました。  我が国として、アジア地域の平和と安定を確保するため、関係国間の緊密な対話を通じて、協力関係を強化し、信頼関係を深めることが何よりも重要との考えのもと、これまでの地域の安定要因である米国等の存在と関与を確保しつつ、二国間及び多国間の安全保障分野での対話や協力推進に向け、積極的に取り組んできておりまして、今後ともこのような努力を続けてまいります。  以上、お答えといたします。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えさせます。(拍手)     〔国務大臣高村正彦君登壇〕
  20. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 外国軍艦の寄港につきましては、高知県より、同県が検討している条例改正案に関連して外務省に対し照会がありましたので、従来よりの政府考え方を踏まえ、先般、外務省より県側に対して回答を行ったものであります。  米軍機の低空飛行訓練につきましては、平成六年に高知県において御指摘の事故が発生した際、外務省より米軍に遺憾の意を表明し、再発防止等を申し入れ、また、平成九年に本件事故原因に関する報告書を米側より入手しましたが、以上については県側にも御連絡しております。  なお、低空飛行訓練の実施に当たっては、安全性の確保に万全を期するとともに、地元住民の方々への影響を軽減することが重要であり、このような観点から、先般、私とコーエン国防長官との間で具体的措置に合意、結果を発表したところであります。  周辺事態安全確保法案の地方公共団体の長に対する協力要請につきましては、周辺事態に対する対応の重要性にかんがみ、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができるとしております。この場合、あくまで協力を求めるということであり、地方公共団体に対して強制するものではありません。  沖縄における米軍施設・区域に関する問題でありますが、沖縄県及び県民の方々が直面する諸問題を十分踏まえた上で、普天間飛行場の返還を初めとする米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向け、稲嶺知事のお考えを十分に拝聴しつつ、県の協力と理解のもとに、SACO最終報告を踏まえ、真剣に取り組んでまいる所存でございます。(拍手
  21. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  22. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    中村正三郎君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣    有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣    川崎 二郎君         郵政大臣    野田 聖子君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣    関谷 勝嗣君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣    太田 誠一君         国務大臣    堺屋 太一君         国務大臣    野中 広務君         国務大臣    野呂田芳成君         国務大臣    真鍋 賢二君         国務大臣    柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣法制局長官  大森 政輔君