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1999-01-20 第145回国会 衆議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年一月二十日(水曜日)     —————————————  議事日程 第二号   平成十一年一月二十日     午後一時開議  一 国務大臣演説に対する質疑     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑     午後一時四分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 国務大臣演説に対する質疑に入ります。羽田孜君。     〔羽田孜君登壇〕
  4. 羽田孜

    羽田孜君 私は、民主党を代表して、総理施政方針演説に関連し、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。(拍手)  かつてともに汗を流した小渕さんが橋本さんに続いて重責を負われたこと、宮澤大蔵大臣初めお世話になった方々が閣僚につかれたことに、私情から、慰労と、成功を願いたいと申し上げます。しかし、我が国再生か沈没かを占う大転換のとき、国民と国家に思いをいたし、私事を離れて、自民党政治について申し上げたいと思います。  まず最初に、総理施政方針演説をお聞きして、感想を一言で申し上げると、国民に対する呼びかけは平易で、その言葉は美しく勇ましく聞こえましたが、しかし、自民党政治の判断の誤り、小手先、小出し、なし崩し、先送りの対応が今日の危機的状況をつくり出したことへの説明と反省がなく、悲観主義からの脱却、建設的な楽観主義を説かれても、多くの国民の耳にはむなしく響いたものと思われます。(拍手)  冒頭に、まず情報公開法案に対する姿勢について質問をさせていただきます。  自自連立政策協議の過程で、政府自民党の不熱心さにより四国会目となった情報公開法案取り扱いについては、ほとんど議論されなかったように見受けられます。密室による談合政治によって政権を維持してきた自民党情報公開制度の確立に消極的であるのは当然としても、基本理念としてオープンを掲げる自由党情報公開制度の確立を強く主張されなかったことは、全く理解できないところであります。  情報公開は、日本民主主義を高めるためにも、行財政改革を進めるためにも、極めて重要な基盤であります。継続協議される政府提出情報公開法案に対する、自由党を含む全野党の修正要求にどのように臨まれるのか、総理並びに野田自治大臣見解をお示しください。  私は、九三年、自民党を離党し、日本に二大勢力による緊張感のある政治を実現しようと立ち上がりました。そのときの同志が自由党小沢党首でした。その結果、自民党は、九三年以降の国政選挙得票率が三八%から、さきの参議院選挙では二五%へと落ち込み、民心はもはや自民党政権から離れつつあります。  小沢自由党党首御自身が、昨年の臨時国会において、衆議院の解散・総選挙を断行し、国民の信を得た正当な政権にかわるのが憲政の常道だと述べられました。自民党政権の延命に手をかすことは、政治空白をさらに深めると考えます。野田大臣所見をお聞かせください。  また、自民党自由党とは、この間厳しく対峙してきました。これまで国民に述べてきたことは何だったのか、国民は戸惑っております。  構造改革を阻む利益誘導政治とは断固決別し、政治経済、行政、社会構造改革を断行し得る政権担当能力を持つもう一つの勢力を定着させようという志はどうなさったのか。私は、自民党政権迷走ぶりを見るにつけても、かわるべき勢力の構築は、今こそ大切な価値であり、大義であるとさえ確信をいたします。  また、昨年十一月、和歌山県の参議院補欠選挙で我々に応援を求め、非自民で共闘したのは一体何だったのでしょうか。我々のみならず、県民国民を欺いたことにはなりませんか。野田自治大臣の真意をお聞かせください。  自民党自由党は、連立のための政策協議で、国連決議に基づく多国籍軍には武力行使と一体化しない形で後方支援参加、協力すること、国連平和維持軍本体業務への参加凍結基本的には解除することに合意しております。いずれも我が国外交安全保障あり方憲法問題に直結する重要な問題です。  PKO本体業務は、停戦監視武装解除、国境での検問など、八年前に成立したPKO法案が当面実施を見合わせることとした任務のことであります。これらの業務は、その性格上、任務遂行のために武器の使用もあるのではないか。その場合、武器使用は隊員の自己防衛のための最小限度に限定されるから憲法には抵触しないという従来の憲法解釈を変更しなければなりません。  今回の連立合意は、こうした任務遂行のための武器使用を含むのか。もし含むのであれば、武器使用にかかわる憲法解釈を変更するということなのか。また、除外しているということであれば、それで本当にPKO本体業務の遂行が可能なのか、総理お尋ねをいたします。  また、今回の連立合意によれば、国連決議に基づく多国籍軍への後方支援内容について、内閣責任で、憲法理念に基づき、諸般の動静を総合的に勘案し、ケース・バイ・ケース対応するとしております。これでは、その時々の内閣が可能と判断すれば何でもできるという、なし崩し憲法解釈変更につながるのではありませんか。合意に基づいて新規立法を検討するおつもりか、総理、明確にお答えください。  連立合意でも、周辺事態安全確保法案基本計画国会承認を必要とせず、国会への報告とすることになったようですが、これは看過できません。  そもそも、周辺事態日本への直接攻撃を伴うという意味で有事ではない、国民権利義務関係への直接的影響も小さい、だから国会承認は必要ないという政府の説明は、全くのまやかしであります。例えば、朝鮮半島有事が起こった際に、日本米軍後方支援をすれば日本をミサイル攻撃するとのおどしを受けるケースを想定した場合には、周辺事態日本有事に変わることもあることは明らかであります。  もちろん、今述べたような事態が起きたとき、我が国の平和と安全を守るために米国との共同行動が必要であることは言をまちません。私は、周辺事態という事態は、政府の説明してきたような軽い事態ではありませんということを申し上げたいのであります。  我々は、シビリアンコントロールの観点からも、周辺事態安全確保法案基本計画国会承認事項とすることを強く要求してまいります。なお、政府は、国会承認日本の迅速な行動を妨げかねないとの懸念を表明していますが、基本計画国会承認に関して、総理見解をお伺いいたします。  衆議院議員定数削減問題についてお伺いいたします。  定数削減については私も同感であります。しかし、今回の自自合意である衆議院比例定数二百名から五十人を削減するという案は、政治改革理念哲学を無視したもので、定数を減らすという、国民受けをねらった余りにも安易、安直な独善的行為であり、党利党略の最たるものと指摘せざるを得ません。定数削減の議論の背景には、中選挙区制への回帰を模索する動きすら透けて見えます。  民主党は、これらの策動にはくみせず、現行選挙制度の根幹の上に立って、定数是正とあわせ、定数削減問題に積極的に取り組むべきと考えます。総理、いかがですか。  当面実現を急ぐべき課題として、在外邦人選挙区における投票機会保障や、船員の方々の洋上投票制度永住外国人地方選挙権については、いまだ検討課題のままです。総理の御決意をお聞かせください。  次に、平成十一年度予算及び景気対策についてお尋ねいたします。  いまだ日本経済は長期の不況から脱却できず、正月明けから証券市場は低迷し、職安には多くの人が押し寄せています。さらに、多くの企業にあって、含み益を失う中で本格的な人員整理が始まっており、失業者の増加も憂慮されます。昨年十二月から長期金利上昇基調に転じ、今後の経済に対する不安がますます高まっていると言えましょう。こうした事態をさらに悪化させている最大の原因は、平成十一年度の政府予算欠陥予算であったからにほかなりません。(拍手)  政府予算案は、将来へのビジョン、哲学理念を欠き、行政改革経済構造改革を先送りした、従来型の既得権を守ることに徹した予算であります。政府予算案では、現下の不況を打開するのは到底不可能であります。政府は、めり張りのある積極財政を、なりふり構わぬばらまきにすりかえております。  最高税率だけの引き下げ上限つき定率減税土木事業を中心とした旧来型の公共事業など、効果も少ないその場しのぎ対策が中心となっております。バブル崩壊後、百兆円を超える景気対策を講じながら十分な効果がなかったことについて、何の反省も見られません。来年度の政府経済見通しも、実質で〇・五%の成長を見込まれておると言われますが、民間のシンクタンクのほとんどはマイナス成長と予想しております。  第二の問題は、政府予算案がかつてないほどの放漫財政に陥り、国家破綻寸前状態にまで来ていることであります。  国債発行高は当初予算では最高で三十一兆円を上回り、国債依存度は三七・九%になります。国と地方債務残高は、来年度末でGDPの一・二倍に当たる六百兆円に上る見通しです。OECDの九九年予想でも、債務残高ではサミット参加先進国において日本はイタリアと肩を並べ、財政収支ではワーストワンとなっております。このような状態で、果たして来年度は予算を組めるのでしょうか。国民の多くは、近い将来の大増税を懸念しているのではないでしょうか。  国債増発に伴って長期金利が上昇に向かっておりますが、設備投資住宅建設に冷水を浴びせ、景気対策効果を減殺いたしております。これでは、経済再建にも財政再建にもブレーキをかけるという最悪の結果になろうと思います。  何の見通しもなく財政構造改革法の凍結を行いましたが、今後五年間の経済成長見通し財政展望を明確にし、凍結期間に、これまでの硬直的かつ固定的な手法にかわる新しい財政規律あり方財政再建策を取りまとめるべきと考えますが、総理の御所見を求めます。  民主党は、所得税率の一律引き下げ西欧水準並み子供手当創設国庫負担率引き上げによる年金保険料引き下げを図り、国民負担を軽減し、少子高齢化時代の要請にこたえるセーフティーネットを確立することこそが、健全な個人消費を促す景気対策基本であると考えます。さらに、都市型公共事業、医療、福祉や情報通信インフラなどに集中して公共事業を進めるとともに、一括補助金を交付し、地方が自主的に社会資本整備に取り組める仕組みをつくるなど、新産業創出構造改革につながる新しい対策を講じるべきであります。(拍手)  政府は、無節操なばらまき政策を撤回して、私たち民主党が主張する予算に編成し直し、日本経済プラス成長の軌道に乗せるべきと考えます。総理見解をお伺いいたします。  あわせて、自由党お尋ねをいたします。  自由党は昨年十二月、平成十一年度予算編成税制改正に関する重点事項において、消費税を一年間凍結する、所得税住民税についてはすべての税率引き下げる等の提言を行っていますが、これらの要求は実現しませんでした。にもかかわらず、予算案を認め、自民党との連立参加したのはなぜか、自由党野田大臣に明快なる答弁を求めます。  次に、コンピューター西暦二〇〇〇年問題についてお尋ねいたします。  米国は、大統領直属の二〇〇〇年問題対策委員会を設置し、特別法を制定して情報公開を促進するなど、万全の態勢を整えておられます。我が国政府においても、高度情報通信社会推進本部関係省庁連絡会議対応策が講じられておりますが、その実態は、各省庁が関係することだけ個別にやればいい、だれかが何とかしてくれるだろうという不完全なものであると申し上げざるを得ません。  二〇〇〇年問題は、対応が十分でないとき大事故も予測されるのであります。総理は、施政方針の中では二〇〇〇年問題を一行だけ触れていらっしゃいますが、この問題を危機管理として認識されておられるのか。具体的にどのような対応が現在されておられるのか。私は、使える予算、人員、技術を総動員して、官民一体危機を克服すべきと考えますが、総理見解をお聞かせください。  次に、私は、政府与党税制改正案について、その問題点を指摘し、民主党考えを述べたいと思います。  政府与党改正案は、個人所得課税減税を除いては、まさに民主党が昨年二月以来主張してきた内容をなぞったものとなっており、政府与党が、ようやく我が国経済の深刻な状況と民主党案の正しさを認識し、重い腰を上げたと申し上げることができると思います。  この一年間、政府自民党は、みずから強行成立させた財政構造改革法に縛られ、一時しのぎの特別減税の繰り返しなどの失政を続けてまいりました。自民党が今回打ち出した内容のほとんどは本来一年前に実施されているべきものであり、その対応のおくれが景気低迷長期化を招いたことの責任は重いと言わざるを得ません。何ゆえ、今まで税制改革を先延ばしにされてきたのか、そのことによる景気低迷長期化した政治責任をどう考えるのか、総理の御所見を求めます。(拍手)  改正案の最大の問題点は、何よりもまず個人所得課税について、高額所得者優遇減税との強い批判を浴びている所得税個人住民税最高税率のみの引き下げ、これを基本に据え、中低所得層については一時的な定率減税のみでお茶を濁しているという点であります。民主党の主張してきた総合課税化による不公平是正などの抜本改革は、今度もまた先送りされております。  今回の所得税減税規模の大半を占める定率減税部分は、いずれ廃止され、大多数の勤労者世帯に大幅な負担増がもたらされることは明らかであります。このような負担増予告つき減税では、国民の将来への不安の解消には何らつながるものとはなりません。また、個人住民税減税についても、破綻のふちに立っている地方財政危機的状況を無視するものであり、民主党は強く反対をいたします。(拍手)  また、最終段階で、子育て減税と称して扶養控除の十万円引き上げ特定扶養控除の五万円引き上げが追加されましたが、これまで政府与党自身が表明してきた方向に反して、所得税課税最低限をさらに二十万円近く引き上げることになりますが、このことは課税ベースの縮小につながるものであり、まさに理念哲学を欠いたものであると指摘をせざるを得ません。  このように、自民党所得税減税案は、所得課税抜本的改革を先送りしただけではなく、橋本内閣時代場当たり的特別減税と同様に税制をゆがめる内容であり、到底国民の理解を得られるものとは言えないのであります。  特に個人所得課税について、なぜ最高税率のみの引き下げに固執されるのでしょうか。先進国並み課税に、また、やる気を起こす税をの考えは私も同感でありますが、今必要なのは、あわせて中堅の皆さんの消費を促す税制が大切で、その意味でも各段階すべての税率引き下げ制度減税を実施すべきではないでしょうか。特に自由党は、これまで民主党と同様、所得税のすべての税率引き下げを主張してきたのではなかったでしょうか。  また、今回の課税最低限引き上げについて、税制のあるべき姿に照らしてどのようにお考えなのでしょうか。このような策が、ますます今後の抜本的な改革を困難にするとはお考えにならないのでしょうか。  民主党は、国民の将来不安解消につながる税制の抜本的な構造改革を、できる限り前倒しで実現するという観点こそが重要であると考えております。  個人所得課税については、税制公平性確保と低中所得層も含めた負担軽減を実現すべきであり、その具体策として、納税者番号制度総合課税の三年以内の実施を明確にした上での、所得税のすべての税率引き下げを提案いたしております。中低所得層負担増を緩和するとともに、税制簡素化を図る方策としては、所得税扶養控除見直しと組み合わせて、児童手当の抜本的な拡充による子供手当の創設を提言しております。また、基礎年金財源全額税方式導入に向けた消費税福祉目的税化についても、直ちに実現すべき課題として提言しております。  私たちは、今国会にこれらの法案政府関連法案への対案として提出する予定であります。  最近、自民党の中からも、民主党の主張する児童手当抜本的拡充に共鳴する動きが出ていると聞いております。この点について、民主党としては、児童手当の単なる拡充ではなく、これを所得税人的控除あり方見直し等との改革のセットで進めることが、今後の税制考える上でも不可欠であり、同じ悩みを持つ欧州諸国等の趨勢であると考えております。総理及び自由党野田大臣は、これらの点についてどのようにお考えでありましょうか。  次に、金融問題についてお伺いいたします。  民主党がつくった金融再生法自民党がつくった早期健全化法は、金融システム不安解消のための車の両輪と表現した方がおられました。しかし、後輪である金融再生法はよく機能しておりますのに対しまして、前輪である早期健全化法はその役割を果たしておりません。  なぜなら、自民党早期健全化法は、銀行責任を極力問わないようにするため甘い資産査定を許しており、健全な銀行再生するために十分な額の資本増強を行うことができないからであります。市場もそれを見抜いているからこそ、金融システム不安は一向に払拭されないのです。  我々の早期健全化法は、厳格な資産査定により銀行の真の経営内容を明らかにし、存続可能な銀行には思い切った資本注入を実施するものであります。もちろん経営責任は厳正に追及し、モラルハザードを許すことはありません。小渕総理が真剣に金融システム早期健全化考えられるなら、直ちに民主党案を受け入れる勇気を持たれることであります。総理見解お尋ねいたします。(拍手)  また、さきの金融国会において、自由民主党民主党及び当時の平和・改革は、十月一日付覚書をもって財政金融分離について合意しております。すなわち、金融再生委員会の設置に伴う財政金融分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法整備を行い、平成十二年一月一日までに施行する、つまり期限は今国会中であります。  そこで、小渕総理にお聞きしますが、財政金融分離に係る法整備について、どのような形で実施しようとお考えなのか、財政金融分離を見送った中央省庁等改革基本法取り扱いも含めてお聞かせをいただきたいと思います。  次に、中村法務大臣発言についてお伺いいたします。  中村法務大臣は、法務省の一月四日の賀詞交換会で、連合軍からいただいた、国の交戦権は認めない、自衛もできない、軍隊も持てないような憲法をつくられて、それが改正できないという中でもがいているといった憲法批判や、オウム事件和歌山毒入りカレー事件を例に出し、弁護士批判発言をされておりますが、憲法解釈についての重大な誤認も含まれており、法相として不適切な発言で、翌日の閣僚懇談会では発言を取り消し、陳謝されたそうでありますが、それで済むものではないと思います。  我が党は、結党の基本理念においても、憲法基本精神を尊重しながらも、議論をしていくことにしておりますが、閣僚の不用意、不適切な発言は、国の内外の不信を招き、健全な憲法論議に冷水を浴びせるものであります。総理は、法務大臣発言をどのように考えておられるのか、改めて御見解を承りたいと思います。(拍手)  昨年八月三十一日のテポドン発射以来、朝鮮民主主義人民共和国の姿勢が、我が国北東アジア地域安全保障緊張をもたらしていることは、遺憾であります。  私は、我が国の平和と安全を守るためには、日米同盟を含めた軍事的備えと、緊張を除去する予防的外交が車の両輪であると考えます。日米安保条約に基づく米軍との協力体制を十分に機能させることが重要で、米国に対し主体性を持ちながら、日米の緊密な協力体制をより充実させることを希望いたしております。  安全保障政策において特に重要な課題が、外交でもあります。日本は既にKEDOへ十億ドルの拠出を決めており、これは日本が果たす役割として評価をいたします。また、北朝鮮のかたくなな姿勢発言は、国際社会に対し誤った不信を持っているところにあると考えます。私は、北朝鮮が世界に向け門戸を開くことこそ、北朝鮮国民のためにも大切なことと信じます。このためには、韓国、米国、中国、ロシアあるいはカンボジア等とも連携し、門戸開放を真剣に呼びかけるべきと心得ます。我々もそのための努力をする覚悟を申し上げておきたいと思います。  総理に、北朝鮮情勢と、それに対する我が国対処方針についてお伺いいたします。  橋本内閣以来、政府は、沖縄問題を内閣の最重要課題であると公約してこられましたが、経済振興面である程度の改善策がとられてきているものの、根本課題である米軍基地整理縮小は全く進展せず、膠着状態にあります。  普天間飛行場の返還を目玉とするSACO合意は、基地の県内移転に反対する県民の強い声によって暗礁に乗り上げていると申し上げても過言でありません。SACO合意を見直す勇断がなければ、県政はかわっても、沖縄問題を県民の期待にこたえる方向での解決策は出てこないと思われます。総理は、沖縄基地問題の打開、産業経済振興を、主体性を持っていかように解決されるのか、明確な答弁を求めます。(拍手)  ダイオキシンについては、各地の廃棄物焼却施設の周辺から高濃度で検出されており、多くの国民が不安を余儀なくされております。そのため民主党は、環境や人体に重大な影響を及ぼす化学物質対策について、製造段階でチェックの強化を初め、製品の表示制度の導入、PRTR、環境汚染物質排出移動登録義務化、既に汚染された土壌の除去、住民の血液や母乳中のダイオキシン濃度測定など、各方面にわたる対策が必要だと考えております。  国民の不安を除去するためにも、ダイオキシン類汚染状況についての早期に実態解明と、人体への摂取量の削減のための環境基準排出基準の設定、汚染地域での対策などの緊急対策の措置が必要であると考えます。民主党は、ダイオキシン類緊急対策法案を提出する予定であります。政府は、ダイオキシンに対する国民の不安に対してどのように答えようとされておるのか、総理所見をお伺いいたします。  続いて、文化振興政策についてお尋ねいたします。  文化立国を目指す日本国としては、文化振興支援は、その質、内容、方法までも問われるべきであります。現在、文化振興支援は専ら政府からの直接補助によって行われています。しかし、芸術、文化は、本質的に自由な土壌から生まれてくることを考えれば、民間やコミュニティーが自発的にその担い手になることが一番ふさわしいと考えております。  事実、昨年の調査結果によると、企業メセナ、つまり、企業による文化支援活動費が、この経済不況にもかかわらず、三年連続で増加しております。社会倫理が問われる今、メセナ精神は、企業倫理健全化をもたらし、文化立国としての日本のあるべき姿を示すものとして歓迎されるべきものと考えます。  政府は、民間による文化振興支援を促進する施策を積極的に打ち出していくべきであります。既に特定公益増進法人に対する寄附金には優遇措置がとられておりますが、民間からの寄附等を奨励するための税制優遇措置の抜本的な拡充について、総理の御見解を具体的にお聞かせください。(拍手)  現在、日本人は、失業率がアメリカを上回る中で自信喪失状態にあります。また、日本沈没の声も各所から聞こえます。しかし、私は、日本人の持つ潜在的能力を開花するならば、必ずや再び明るい未来が訪れるものと確信しております。高い教育水準、勤勉な国民性、高い技術力、五年連続の世界第一位の外貨準備高、高い個人金融資産など、多くのすぐれた資産を今もって保有しておるのであります。  つまり、現在の経済危機、混迷は、自民党内閣経済状況の判断を誤り、景気対策のアクセルとブレーキを踏み間違えた積年の失政によって引き起こされた政治不況であることを、もう一度私たちは顧みたいと思います。現在の経済危機を引き起こした政府自民党責任小渕総理はどのようにお考えか、御所見を求めたいと思います。(拍手)  終わりに、自自連立政権について申し添えておきます。  前回の総選挙は、自社さきがけ政権で戦った選挙であり、自自連立政権国民の信任を得た政権ではありません。前回の参議院選挙比例代表では、自民党は二五%の得票率しか得ておらず、それにもかかわらず、非自民を唱え厳しく対峙してきた自由党が、たった五カ月で結果として自民党政権の延命に手をかすことは、国民に対する背信行為であると申し上げざるを得ないわけであります。(拍手)  選挙によって信任された政党が政権を担うことが、民主主義の正道であります。国民の信任のない連立によって政権が延命したならば、民主主義基本である国民参加による選挙への冒涜であり、それによる政治の安定は見せかけでしかありません。日本の政党政治を高めるどころか、この国の民主主義を破壊することになると信ずるのであります。  総理、幾ら言葉は優しくても、信任のない政治からの発信には国民はこたえないのであります。この国を救うためには、今こそ解散を断行することであります。今国会を、総理も言われたミレニアム、千年紀、二十一世紀を切り開く歴史的な国会にするためにも、総理の決断を望みます。我々も、かわり得る真の改革勢力を結集し、正々と臨むことを申し上げて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  5. 小渕恵三

    内閣総理大臣(小渕恵三君) 羽田孜議員にお答え申し上げます。  まず最初に、情報公開法につきましてお尋ねがございました。  政府は、行政改革委員会におきまして、関係諸方面の意見をも徴取しつつ、熱心に御審議され作成された要綱案を、最大限尊重して立案したものであります。これまでの国会の御審議に際しましても、政府といたしまして誠意を持って対応してまいったところでありますが、衆議院内閣委員会におきましてもこれまた熱心に御議論があり、与野党理事の合意で継続審議になったものと承知をいたしております。国民各界の期待にこたえまして、国会で十分御議論いただき、速やかに成立させていただくよう、お願いを申し上げる次第でございます。  PKF本体業務への参加についてお尋ねがありました。  我が国が、いわゆる五原則に沿って立案された国際平和協力法に基づき国連の平和維持隊に参加することは、憲法第九条に違反するものではなく、我が国がかかる前提を設けて平和維持隊に参加することにつきましては、国連にも十分説明をし、問題ない旨の回答を得ております。また、政府といたしましては、従来の憲法解釈を変更する考えはありません。  いずれにしても、我が国国際社会への応分の貢献を行うべきことは当然でありまして、PKF本体業務凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力につきましては、国会はもちろん、国民各位の御理解をいただきつつ、積極的に進めてまいりたいと考えております。  多国籍軍への後方支援についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、我が国として、武力の行使はせず、かつ、対象となる多国籍軍の武力の行使と一体化することのないとのこれまでの憲法解釈を維持しつつ、具体的なケースに即し、後方支援あり方判断してまいります。いずれにしても、法整備を含め、合意内容の実現のために政府としては真摯に対応してまいりたいと思っております。  周辺事態安全確保法案基本計画国会承認とすべきとの御指摘であります。  周辺事態への対応は、武力行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、迅速な決定の必要性等も含め総合的に勘案すれば、基本計画国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。何とぞ、国会におきまして十分御審議をいただきたいと願っております。  衆議院議員定数削減についてお尋ねがありました。  この問題につきましては、自由民主党自由党との間での協議がなされたところでありますが、先般、両党のプロジェクトチームにおきまして、衆議院議員の比例代表定数を五十人削減すること等を内容とする合意がなされたところであります。いずれにいたしましても、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、定数あり方につきましては、各党各会派におきましても十分御議論を深めていただきたいと考えております。  選挙制度について、種々御質問いただきました。  まず、在外選挙につきましては、来年五月一日以後に公示される国政選挙から、当分の間、比例代表選挙に限って行うこととされておりますが、その実施状況を踏まえまして、衆参選挙選挙実施について今後検討してまいりたいと思います。  洋上投票につきまして、船員の方々の就業形態が特別であることから特例的な不在者投票制度を設けておりますが、不在者投票の送致が難しいことなど、投票が事実上困難な方々がおられることにつきまして十分認識いたしております。貴重な選挙権の行使にかかわる重大な問題でありますので、さまざまな角度から検討してまいりたいと存じます。  定住外国人に対する地方選挙権付与につきましては、国民主権、地方自治のあり方、国と地方公共団体との関係等の基本的な事柄に関係する問題であり、さまざまな角度から幅広く検討されなければならないと考えており、これまた各党各会派におきまして十分御議論いただきたいと考えております。  凍結期間内に財政再建策を取りまとめるべきであるとのお尋ねでありますが、財政構造改革法は、我が国の厳しい経済情勢を踏まえ、景気回復に向けて全力を尽くすためこれを凍結したところでありますが、将来世代のことを考えるとき、私は、財政構造改革という大変重い課題を背負っておると痛感いたしております。日本経済が回復軌道に乗った段階におきまして、財政税制の諸問題につき、中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆さんにそのあるべき姿を示さなければならないと考えております。  基礎年金の国庫負担率の引き上げ等につきまして、年金保険料を引き下げるとの御提案でありますが、国庫負担率の引き上げは莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正を実施することは困難であると考えております。  基礎年金の国庫負担の問題につきましては、新たな財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要があり、中期的な検討課題として、国の財政状況等を踏まえつつ、国民負担全体のあり方社会保険料と税の役割あり方等とあわせて議論すべきものと考えております。  公共事業についてお尋ねでありますが、十一年度の公共事業予算につきましては、私が提唱いたしました二十一世紀先導プロジェクトを初めとして、情報通信、高齢者等福祉中心市街地活性化等、二十一世紀を展望した経済発展基盤となる分野へ優先的、重点的な配分も行っておるところでございます。  御指摘の一括補助金の交付につきましてでありますが、行政目的を異にする補助金等を全般的に総合し、地方公共団体等に交付するという趣旨のものであるとすれば、国が一定の行政水準を維持するためや、国の特定の施策を推進するための政策手段である補助金等の貴重な機能を損なう等の問題があるものと考えます。  なお、公共事業にかかわる個別補助金のあり方につきましては、地方分権推進委員会第五次勧告におきまして、適切な目的を付し、具体的な事業箇所、内容について地方公共団体が主体的に定めることができるなどを内容とする統合的な補助金を創設することとなっております。今後、第五次勧告の指摘に沿いまして、統合的な補助金の創設を進めてまいりたいと考えております。  二〇〇〇年問題についてお尋ねがありました。  本問題は、高度情報通信社会の構築に向けた信任を揺るがしかねない重大な問題であることは、羽田議員の考えに即するものであります。私が本部長でございます高度情報通信社会推進本部におきまして行動計画を決定するとともに、予算でも重点的な配慮をいたしました。行動計画に基づきまして、官民挙げた総点検や危機管理計画の策定等を進め、その対応に万全を期してまいりたいと思っております。  また、この問題はひとり我が国のことのみでありませんで、ネットワークを組んでおります関係上、国際的にもその接続がされることから、この二〇〇〇年問題を国際的な課題考え、私は、特に太平洋地域におきまして各国が共同して本問題に取り組むことが必要であると考えまして、昨年十一月のAPEC首脳会合でも、APEC地域全体のY2Kウイークの開催などの提案を行い、各国の強い賛同を得たところでございます。Y2Kウイークは、本年春に実施される運びとなっております。  次に、税制改正につきましてでございますが、今まで税制改正を先延ばししてきたのかとのお尋ねでありますが、今回の税制改正におきましては、現下の厳しい経済情勢に最大限配慮し、総額九兆円の大規模な減税実施することとし、所要の法案について、昨年の夏、所信表明演説でも申し述べたとおり、十一年度予算編成とも関係することや、法案の立案作業に要する期間等を勘案し、今国会に提出することといたした次第でございます。  このような大規模な減税実施することによりまして、消費者や企業のマインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えておりまして、この平成十一年を経済再生元年と位置づけ、日本経済再生に全力で取り組んでまいりたいと考えます。  今回の個人所得課税見直しについてのお尋ねでありました。  個人所得課税につきましては、将来の抜本的な見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、早急に税負担の軽減を図る観点から、最高税率引き下げ定率減税等、期限の定めない恒久的な減税実施することといたしたところでございます。  定率減税は、納税者ごとの税負担のバランスをゆがめないで減税を行うことができるという長所があり、今回のように、景気の現状に配慮して、課税ベース課税方式の抜本的見直しを伴わず恒久的な減税を行う方式としては、定率減税が適当と考えられます。  さらに、今回の見直しにおきまして、扶養控除額の加算によりまして、結果として、子供を扶養する世帯の課税最低限が若干上がることは事実でありますが、こうした措置は、課税最低限を一律に引き上げるものではなく、我が国における少子高齢化の進展という経済社会の構造変化の中で、現在の景気の状況も踏まえ、子育て世帯への配慮や、教育費など諸々の支出のかさむ所得層への配慮として特定の世帯を対象に行うものであり、適切な措置であると考えております。  また、資産課税総合課税化につきましては、今後の納税者番号制度等の取り組みも含め、理論と実態面から十分検討を進めていく必要があると考えます。  いずれにしても、個人所得課税税率構造、課税ベース課税方式のあり方につきましては、今後、我が国経済社会の構造的変化、国際化の進展等に対応した抜本的な改革におきまして、腰を据えて検討を行っていく必要があると考えます。  児童手当の抜本拡充を組み合わせて所得税扶養控除を見直すとの御提案であります。  扶養控除制度と児童手当制度はそもそも代替する制度ではないことや、扶養親族に配慮しないことが税負担のあり方として適当かといった議論が必要であり、そうした点を踏まえつつ、所得課税全体の中で慎重に考えるべきものと考えます。  また、児童手当拡充につきまして、三歳未満の時期に給付を重点化した制度改正を行ったという経緯や、児童手当あり方についてさまざまな意見があること、御指摘のような拡充のためには巨額の財源が必要であること等を考えますと、慎重な検討が必要であると考えます。  基礎年金財源の全額税方式の導入に向けて、消費税福祉目的化すべきとの意見がありました。  基礎年金の税方式化につきましては、給付と負担の関係が明確な社会保険方式の長所が失われるのではないか、年金の性格が生活保護と類似のものに変質するのではないかといった指摘もあり、慎重な検討が必要であると考えております。  また、消費税福祉目的化につきましては、今般、消費税に対する国民の御理解を一層深めていただくように、予算総則に消費税収の使途を明記し、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療及び介護のための福祉予算に使う旨を明らかにしたところであります。(拍手)  民主党早期健全化法案を受け入れるべきではないかとのお尋ねであります。  現行の金融機能早期健全化法におきまして、金融機関等が実態に合った適切な資産査定、引き当て等を行うことを前提といたしておりまして、また、経営合理化のための方策、経営責任の明確化のための方策及び信用供与の円滑化のための方策等の実行が見込まれることが、資本増強を承認するための要件となっておりますことから、金融システム早期健全化のために有効であると考えておりまして、現民主党案、これを受け入れる考えはございません。  財政金融分離等に関する問題についてお尋ねがありました。  中央省庁改革関連法案におきまして、本年四月に国会提出することを目指しております。現在、作業を行っておるところでございますが、この問題につきましても、中央省庁改革の枠組みの中で検討が進められており、今後の検討状況等も踏まえつつ、適切に対処してまいる所存でございます。  一月五日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、法務大臣の発言に関しまして、大臣に対しましてその発言の真意をただしましたところ、司法制度に関する改革の必要性を強調するために、我が国が直面するさまざまな局面を説明し、複雑な世界情勢に言及したかったというのが真意でありますが、その改革の必要性を強調する余り、表現に適切を欠いた点があったので、謝罪して撤回するものであり、小渕内閣閣僚としては憲法を尊重、擁護することは当然のことである旨の発言がありましたので、私としてはこれを了承したものでございます。  北朝鮮との関係についてのお尋ねがございました。  北朝鮮をめぐる情勢には依然として不透明な面が多く、昨年のミサイル発射や秘密核施設疑惑などにより、国際社会の懸念は増大いたしております。我が国としては、御指摘のとおり、北朝鮮に対して影響力や利害関係を有する米国及び韓国を初めとする諸国とも連携しつつ、これらの懸念の解消や日朝間の諸懸案の解決を目指してまいります。  また、北朝鮮がこれらの問題について建設的な対応を示すのでありますれば、我が国は対話と交流を通じまして北朝鮮との関係改善を図る用意があることは、私が施政方針演説で述べたところでもございます。  沖縄問題についてお尋ねがありました。  米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、政府としては、稲嶺知事のお考えも十分拝聴しつつ、沖縄県の理解と協力のもと、SACO最終報告を踏まえ、真剣に取り組んでまいります。  また、沖縄振興策につきましては、極めて高い失業率に示される沖縄の深刻な経済状況も踏まえ、沖縄政策協議会を中心として鋭意検討を行っているところであり、効果的な振興策を速やかに実施いたしてまいります。  ダイオキシンについてお尋ねがありました。  ダイオキシン対策は、国民一人一人の安全を確保し、安全へのかけ橋を築いていく上で極めて重要と認識いたしております。この認識に立って、現在、政府は、廃棄物焼却施設などに係る排出削減、汚染実態の把握、汚染土壌対策の検討など各般の対策を進めており、今後ともその推進を図ってまいります。  民間による文化振興支援の促進策についてお尋ねがありました。  羽田議員もかねがね本件について大変御熱心に努力をされておることは私も承知をいたしておりますが、芸術、文化の振興について、政府と並んで民間の支援も重要であると、これは深く認識をいたしております。このため、企業メセナ協議会の特定公益増進法人化など、税制上の優遇措置の充実に努めているところでありますが、寄附金税制あり方につきましては、今後とも、寄附の公益性が担保される仕組みを前提として、税負担の公平にも留意しつつ検討してまいります。  現在の経済危機を引き起こした責任をどう考えるかということでございます。  前内閣は、一昨年来、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策、二兆円規模の特別減税に加えまして、金融システム安定化の迅速かつ的確な執行に努めてきたところでありますが、さらに昨年四月には、総合経済対策を策定いたしました。このように、その時々の経済状況に応じて、財政金融両面にわたり、可能な限りの措置を懸命に講じてきたところでもあります。  現内閣としては、この平成十一年を経済再生元年と位置づけ、昨年十一月に決定した緊急経済対策を初めとする思い切った諸施策を果断かつ強力に推進し、日本経済再生に全力で取り組んでまいっておるところでございます。  最後に、この連立内閣について御批判された上で、解散についてのお尋ねもございました。  まず、今般の連立内閣につきましては、改めて思いを申し述べさせていただきます。  私は、昨年七月に内閣をお預かりして以来、日本経済再生に全力を尽くす立場から、あらゆる分野で思い切った施策を実行してまいりました。しかしながら、内外の環境は依然として厳しく、景気の回復を初め、緊急に解決をしなければならない課題が山積をいたしております。また、急速な少子高齢化や情報化、国際化などの進展する中で、あらゆる分野における改革を断行し、二十一世紀に向けてこの国のあるべき方針を明確にいたしていくことが強く求められております。  私は、これらの課題に果断に取り組み、今日の国家危機を乗り越えていくためには、時局認識等基本理念で一致を見ました自由民主党自由党の両党は、政権をともにし、日本国国民のために責任ある政治を実現していくことがぜひとも必要であると判断いたした次第でございます。(拍手)  この連立政権の発足に当たりまして、自由民主党自由党との間で、政治行政改革安全保障等、多くの政策課題について真剣な議論を積み重ね、合意をした上で連立に至った次第であります。  私は、こうした確固とした基盤に立った連立内閣であって初めて責任ある政治を実現できるものと確信し、また、両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよき点を相乗的に効果あらしめて、その結果、国家国民のために大きな役割を果たしていきたいと強く念じておるところでございます。(拍手)  したがいまして、経済再生を初めとする内外の諸課題に真正面から取り組み、迅速的確に政策を実行し、責任ある政治を実現していくことがこの連立内閣に与えられた使命であることに思いをいたしますときに、衆議院の解散は、内閣総理大臣たる私に与えられた権限ではあるとは申せ、以上申し上げた現状にかんがみまして、解散は全く念頭にございません。  以上、御答弁申し上げます。  残余の質問は、関係大臣から答弁させます。(拍手)     〔国務大臣野田毅君登壇〕
  6. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 羽田幹事長に御答弁申し上げます。  まず、情報公開法案の問題でありますが、この点は、自由党としても情報公開法の制定を従来から主張してきておったわけでございますし、同時に、ただいま総理からも御答弁でございましたとおり、情報公開法案早期成立は、まさに小渕内閣重要課題の一つでもございます。そういう点で、基本方向は同じでありまして、それだけに、党首会談でこの問題だけを突出させなかったというだけのことであります。  この点は、国会においても既に与野党間で議論をかなり重ねてもらっておるところでありまして、かなり煮詰まってきておるようにも聞いております。いずれにせよ、この点は速やかに成立することを願っておるところでございます。(拍手)  それからいま一つ、自自連立意味について、自由党の前幹事長としての御質問であったと思います。  自由党は、これまで一貫して、党の基本政策であります日本再興へのシナリオ、この実現を強く訴えてまいったわけでございます。それは、二十一世紀の日本を国際的にも信頼される国家とし、新たな繁栄の基盤を築くために、あらゆる分野における構造改革を断行し、我が国日本を根本から立て直す具体策を示したものと自負をいたしておるわけであります。  同時に、自由党は、これは小沢党首も口癖で申しておりました、国のため、国民のため、この基本政策を実現するためにはどの党とも協力させていただくということを公言しておったわけであります。  今回、自民党連立政権を組むことになりましたのは、これまでの政策合意からも明らかでございます、今小渕総理からお話もございました、小渕総理・総裁が我々の政策に理解を示され、ともに相協力して、国民のため、日本の将来のために新しいしっかりとした船をともにつくろうと決断されたからであります。(拍手)  そして、展望のない閉塞状況の中で、いたずらに政争を優先し、そしてそれを繰り返し、その中に埋没するということは、極めて不本意であり、国民にとっても不幸なことでございます。今日の日本の内外をめぐる危機的な状況は、まず第一に政策の方向性、そして第二にスピードということを大事にしなければならないときにあると考えております。そういう点で、残念ながら、我が党の基本政策と民主党の政策は、必ずしも政策の力点が同じであるとは言いがたいと考えております。  その点で、小渕総理小沢党首のリーダーシップのもとで、自由民主党自由党が真摯に誠意を持って内外の課題に果断に対応することこそが、今日我々の責務であると判断したからであります。そして、その中で我々自由党基本政策を実現する展望が開けるものであると考えておるものでございます。(拍手)  次に、税制改革について自由党の提言が実現しなかったにもかかわらず、なぜ連立合意したのかというお尋ねがございました。  まず、消費税につきましては、平成十一年度予算案予算総則において、基礎年金、老人医療、介護への使途限定が明記されました。老後や病気に対する不安を払拭し国民生活の安寧を保つという意味において、後世必ずや評価をされるに違いない構造改革の第一歩であります。  また、自由党の主張する消費税の一時凍結段階引き上げは、基本政策というよりも、今日の景気の極端なる落ち込みということを念頭に置いて、個人消費を刺激し、駆け込み需要を創出することにより景気回復に弾みをつけたいという一つの考え方を提示したものであって、これにかわるよき方策があるならばどうぞということを申してきたことは、御承知のとおりであります。その点で、同様の趣旨は、住宅土地税制、投資促進税制の時限的実施によって若干生かされておると考えております。  次に、法人関係税におきましては、実効税率引き下げが実現しており、所得税住民税等の減税とあわせて規模も十兆円に迫るものとなっていることは評価をしていいことだと考えております。(拍手)  平成十一年度税制改正におきましては、合意文書にも明記してありますとおり、直面する経済危機を克服するための当面の措置であり、今後も景気動向を見ながら必要な対策を協議することは当然であります。また、経済社会構造改革を進めるとともに、社会保障制度の基盤を強化するための税制抜本改革については、引き続き自民、自由両党の間において協議が行われることになっております。  いずれにせよ、まさに昨年の十一月十九日に両党党首間において合意されました「いま直ちに実行する政策」について具体化を見たからこそ連立政権が発足したのであって、御指摘は当たらないと考えております。  次に、個人所得課税関係の改正案について御言及がございました。  この点については、第一に最高税率引き下げること、第二に中堅所得者層への配慮をすること、第三に景気に配慮をするため減税規模を確保すること、第四に昨年大幅な定額減税があったこと、そして第五に一年限りではないこと、恒久的なものであること、こういうことなどさまざまな制約、要請がある中で、大変苦労してつくられた案であると理解をいたしております。いずれにいたしましても、個人所得課税課税方式のあり方税率構造の見直しについては、将来の抜本的な改革において、腰を据えて検討を行っていく必要があると考えております。  それから、児童手当の抜本拡充と組み合わせて所得税扶養控除を見直すとの御提案でありますが、今総理が御答弁されました。全く同じ問題意識を持っております。重複を避けたいと存じます。  それから最後に、基礎年金財源の全額税方式の導入に向けて、消費税福祉目的税化すべきとの御意見がありました。  消費税を、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療、そして介護のためにのみ充て、他の使途には使わないということは、かねてより自由党基本政策として強く主張してきたことは、御承知のとおりであります。なお、今般、予算総則に消費税収の使途を明記し、基礎年金、老人医療及び介護のための福祉予算に使う旨を明らかにしたところであります。  以上、御答弁を申し上げます。(拍手)     —————————————
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 森喜朗君。     〔森喜朗君登壇〕
  8. 森喜朗

    ○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、小渕総理施政方針演説に対し、総理及び関係閣僚質問いたします。  ことし一九九九年は、次の千年紀や二十一世紀へとつなぐ重要な節目であります。私の恩師である福田元首相は、二十世紀を振り返って、悔恨と栄光に満ちた百年と総括しました。戦後、先進国は、工業化によって目覚ましい経済発展を遂げた反面、今世紀前半は戦争を繰り返し、日本に核兵器の惨禍をもたらしました。ことしは、国際社会が今世紀の負の遺産を清算し、地球人類がよりよき人類愛に満ちた社会、未来を目指して、人類の生き残りをかけて新たな千年紀の序章を書くときであります。  しかし、現実には、冷戦終結後、逆に多発している地域紛争や、共産主義の後退にかわる宗教上の原理主義の台頭、さらに、インド、パキスタンへの核の拡散など、世界は不安定さを増し、国連を中心とする安全保障体制も揺れているかに見えます。  我が国を取り巻く環境も一段と厳しくなり、内外から大きな変革を余儀なくされています。したがって、こうした大きな節目に政治がなすべきことは、現下の厳しい経済情勢下にある日本構造改革、揺るぎない日本の基盤の上に、まさに夢と希望、勇気の持てる国にするための構造改革を何としてもなし遂げることであります。そして、二十一世紀に向けて新しい発展の地歩を再び固めるためには、どう反発を招こうが敢然と実行する、政治の強いリーダーシップが求められています。(拍手)  小渕総理はもとより、私を初め党員は身命を賭してこの難局を打開する決意でありますが、まず冒頭、総理はこうした時代認識についてどう考えておられるかをお伺いいたしたいと思います。  私と総理は、ともに昭和十二年生まれの同世代であります。総理施政方針で示された日本の新しい理念づくりに取り組む姿勢は、私の胸中にも強くある思いと共通しております。そして同時に、その理念を今後どう政策として肉づけするかが重要だと思いますが、具体的な方針をお聞かせください。  ところで、現在のような経済的困難を克服するためには、挙国一致の体制を整える必要があります。政党、政治家が党利党略、私的利害を超えて、理念、政策の一致を大前提に結集して、迅速な意思決定ができる政治基盤を一日も早く構築し、果敢に政策遂行に当たることが日本再生のかぎとなります。こうした熱い思いから、今般、小渕総理自由党との連立政権樹立に踏み切られた大きな決断に対し、深く敬意を表するものであります。(拍手)  これからは、自由党責任をともにし、さらに他の各党各会派の理解と協力も広く求めながら、国家的見地に立ち、危機脱出のために重要政策の実現に最大限の努力を払い、二十一世紀へ向けた日本の確固たる進路を切り開くことが重要かと考えます。そこで、今回発足した自由党との連立政権での政局運営方針、差し当たってこの通常国会をどう乗り切られようとしておられるのか、総理の御所見を賜りたいと思います。  現在、我が国経済は極めて厳しい状況にあります。こうした状況を一刻も早く打開し、国民に対し二十一世紀に向けて明るい展望を示すことが現下の最大課題であり、また、アジアを初めとする世界経済安定のために、我が国が寄与する最大の道であると考えます。  小渕総理は、このような厳しい事態を的確に認識され、平成十一年度において、はっきりプラス成長と自信を持って言える需要を創造すること、雇用と起業を推進すること、国際協調を推進すること、以上の三点を目標に掲げ、昨年十一月に過去最大規模の緊急経済対策を取りまとめるよう、リーダーシップを発揮されました。このような大きな政治判断を下されたことは、国内はもとより、アジアを初めとする海外からも高く評価されております。  小渕内閣は、成立以来、経済再生内閣として、この緊急経済対策を初めとしたさまざまな施策を迅速、果断に決定し実行に移しておられますが、一日も早く景気を回復させてほしいという国民の期待にこたえるため、今後とも経済運営に万全を期していただきたいと思うものであります。この意味で、まず、九九年を経済再生元年とする総理の御決意を改めてお伺いしたいと思います。  次に、平成十一年度予算についてお尋ねいたします。  我が国経済再生のためには、まず、景気の底割れ要因となりかねない金融システム不安、信用収縮対策に万全を期すとともに、十分な需要喚起を行うことによって景気の回復を図ることが重要であります。  こうした認識のもと、小渕内閣は、緊急経済対策を受けて平成十年度第三次補正予算を編成いたしました。また、この第三次補正予算と一体的、連続的な、いわゆる十五カ月予算という考え方のもとに平成十一年度予算を編成されております。これにより、年度末から年度初めにかけて切れ目なく施策を実行することが可能となるわけで、まさに、当面の景気回復に向け、需要喚起などに全力を尽くした最大限の財政運営であると思います。  そこで、この平成十一年度予算の特色はどのようなものであるのか、総理の御見解をお伺いいたします。  このように、景気に最大限配慮した平成十一年度予算ではありますが、その一方で我が国財政状況は、公債依存度が三七・九%、公債残高が三百二十七兆円、地方を含めれば約六百兆円にも達するなど極めて厳しい状況になり、将来世代に対して極めて重い責任を背負ったとも言えます。  景気回復を最優先にするという観点からは、当面このような積極的な財政運営はやむを得ないものと考えますが、他の先進諸国に比較しても最悪の財政赤字であり、また、今後急速な少子高齢化の進展が見込まれる中で、財政構造改革の道筋を絶やしてしまうことは、絶対に避けなければなりません。国民消費が上向かないのは、年金、社会福祉の十分なサービスを受けられるのかという心配や、巨額の財政赤字に伴う将来への不安も大きな一因となっているという意見もあります。  そこで、この一両年で何としても経済再生をなし遂げ、一方で、行政改革による小さな政府で、国有資産処分も進め、財政の構造を抜本的に改革して、国民の不安を払拭しなければなりません。いずれ新たな財政構造改革法も必要になると思われますが、今後の財政構造改革をどのように考えておられるのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、税制について質問いたします。  景気がこれほどまでに悪化し、不況が長引いている状況考えれば、歳出面において積極型予算にするだけでなく、税制についても積極的な対応が必要と思われます。こうした観点から考えると、来年度税制改正において、小渕総理の公約となっていた六兆円を超える恒久的な減税に加えて、住宅減税設備投資減税など各種の政策減税なども含めて、総額で過去最大の九兆円を超えるという大規模な減税実施しようとしていることは、大いに評価できるものと考えます。  そこでまず、来年度税制改正基本的な考え方について、総理にお伺いしたいと思います。  次に、政策減税の柱ともいえる住宅ローン減税について、大蔵大臣にお伺いいたします。  今回の税制改正で、住宅ローンの利子所得控除制度の導入を望む声も大きかったと思いますが、最終的には現行の税額控除制度を新規分二年間に限って大幅拡充する形になりました。それはそれで大いに評価できますが、なぜ住宅ローンの利子所得控除制度に踏み切れなかったのか、その経緯と考え方についてお伺いいたします。  また、恒久減税に向けての将来像を早期に示すべきと思いますが、総理のお考えを伺います。  次に、金融再生についてお尋ねいたします。  昨年十月以降、実体経済の不振を反映した株価の下落と不良債権の増大によって、銀行の貸し渋りと貸し出しの回収が加速し、これが急速な信用収縮となって投資活動も急速に低迷し、失業者の増加と所得の減少を招きました。この引き金を引いたのが銀行であり、その不良債権と株式の含み損が大きな負の要因であります。  私は、銀行を立ち直らせるために用意された資金が、金融機能早期健全化法に基づき政府保証枠として措置された二十五兆円であると理解しております。銀行の不良債権と株式の含み損の償却は、本来、銀行が自分の収益の中から捻出すべきものであります。銀行はリストラを徹底し、金融再編を通じて得意分野に経営資源を特化して、公的資金で買い取った新株をプレミアムつきで売却して国庫に戻すようにしなければならないと思います。金融機関は、経営責任の重みを改めて痛感すべきです。  そこで、金融機関に対し、どのような方針で資本注入を行うべきか、総理の御見解を聞かせていただきたいと思います。  また、私は、公的資金注入後の銀行の経営状況を監視する公的関与は必要であると考えます。米国では、通常でも大手主要銀行に検査官が常駐しています。金融監督庁が、公的資金注入行に監査役や財務部門への人員派遣あるいは常駐の検査官派遣を行うことを検討してはどうかと考えますが、総理、いかがでしょうか。  次に、経済再生の第三の柱である雇用対策について質問いたします。  長引く景気の低迷の影響を受けて、我が国の雇用失業情勢は一段と厳しさを増しております。特に、四十五歳以上の中高年労働者を取り巻く環境は大変厳しいものとなってきており、こうした方の再就職はなかなか見つからない状況にあります。このような厳しい状況を改善するには、政府が緊急経済対策を迅速かつ効果的に実施することにより、我が国経済を一刻も早く回復軌道に乗せることが何よりも重要です。  緊急経済対策において、雇用対策について、私も最大の関心を持ち、我が党が主張した百万人という目標をそのまま受け入れていただいて、政府は百万人規模の雇用創出、安定を目指すことを決定しました。そして、その一環の雇用対策として、雇用活性化総合プランや緊急雇用創出特別基金など大胆な施策が盛り込まれ、これに過去最高の約一兆円に上る額が確保されましたが、これは、雇用の安定に向けた政府の強い姿勢のあらわれであると高く評価いたします。(拍手)  ところで、産業構造の転換、勤労者の就業意識の変化等、我が国の労働市場を取り巻く環境の急速な変化に対応するためには、労働力需給のミスマッチが解消され、一人でも多くの求職者が速やかに適職につけるよう、労働市場の需給調整機能を高めていくことが必要です。このため、職業安定法を早急に見直すとともに、現在提出されている労働者派遣法の改正法案早期成立を図る必要があります。  総理は、昨年末に公共職業安定所を訪問され、現在の厳しい状況を御自身の目で見られたと聞いております。国民生活の基盤である雇用の安定を図ることにより、国民の将来に対する不安を払拭し、我が国経済社会再生させるため、今後の雇用対策についての総理の御決意をお聞かせください。  次に、社会保障分野について質問いたします。  少子高齢化の急速な進行により、社会保障の給付とそのための国民の負担の増大が避けられないと言われております。しかし、社会保障は、国民生活の不安を取り除き、国民に将来の安心を与えるという非常に大きな意義を有しています。我が国経済の発展も、現下の経済再生も、この社会保障制度の安定基盤なしになし遂げることはできません。  現在、雇用や将来の生活にかなり不安感を持つ国民が多いわけですが、こうしたときにこそ、負担という側面ではなくて、社会保障のプラスの効果に着目すべきであります。もちろん、人生八十年時代に対応して、セーフティーネットとして年金、医療、介護など、社会保障全体にわたって効率化を図りながら国民のニーズに的確にこたえていくことは、ぜひとも必要であると考えます。  そこで、総理にお伺いします。このような社会保障の意義についてどのように考え、制度の安定のためにどのように取り組んでいかれるのかをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)  年金制度については、ことしは五年に一度の財政再計算の年であります。医療制度については、国民医療費の増大に対処し、安心して良質な医療サービスを受けることができる仕組みを実現するための抜本的な制度改革が求められています。さらに、来年四月に介護保険制度を確実にスタートさせることが、国、地方公共団体を通じた最大課題となっております。  これらの課題に取り組むに当たって、給付と負担、利用者の選択の拡大、民間事業者の導入を含め、総理のビジョン、改革のスケジュール、そしてその御決意を伺いたいと思います。(拍手)  次に、行政改革でありますが、まず、いよいよ今国会関連法案が提出される、中央省庁再編を初めとする行政改革に取り組む総理の御決意をお聞かせください。  また、小渕内閣は、小さな政府を目指して、国家公務員二割削減を公約し、今国会に独立行政法人通則法案を提出する予定とのことですが、独立行政法人化を図ることにより、この公約は達成できるのか。さらに、小さな政府や真の恒久減税を実現するために、現状の取り組みで十分なのか、総理にお伺いいたします。  ところで、我が国経済再生を図り、二十一世紀に向けて明るい展望を示すためには、景気対策とあわせて、経済社会構造改革を一層強力に進めていく必要があります。官主導を脱して、民間活力の一層の導入が重要政策推進に欠かせません。民間経済の持てる力をフルに発揮させるための規制の撤廃等、規制改革に心を砕くべきです。  また、人材活用の多様化、流動化などにつながる公務員制度改革は、行政改革全般に通じる課題です。内閣機能強化の観点からも、民間の人材の活用を考えるべきです。制度改革に向けた今後の取り組みについて、さらに、情報公開法案早期成立も世論の求めているところでありますが、総理のお考えをお聞かせください。(拍手)  次に、外交政策について質問いたします。  今回、総理は訪欧し、ユーロ通貨統合という歴史的統合へのヨーロッパの意気込みを実感されたと思いますが、一連の首脳会談で、円、ドル、ユーロの協調体制確立に向け、どのような御感触をお持ちになったのでしょうか。  円を国際通貨として強化するために、ユーロ通貨統合や、米国とカナダあるいはメキシコとの自由貿易圏と同様な仕組みをアジアでも考えることは、現状ではそう簡単なことではないことは私も承知しております。しかし、最近、韓国経済界の一部には、二十一世紀へ向けて、日本と新たな共栄圏を設立すべきとの注目すべき意見が出ております。  この際、アジアにおいても、新世紀に向けて、共存の基盤を隣人と築くため、自由貿易協定や自由貿易圏を検討してもいいのではないか。この機を逃がしてはならないと思いますが、総理、いかがでしょうか。(拍手)  さて、日米関係についてですが、沖縄の米軍基地問題は後ほど質問することとして、現下の朝鮮半島情勢や世界経済情勢等を考えれば、日米間の協調がますます重要になってきていると考えます。総理は、五月初旬の訪米を控え、今後の日米関係をどのように展望しておられるのか、お伺いいたします。  次に、日ロ関係ですが、昨年、総理は、我が国総理として二十五年ぶりにロシアを公式訪問されました。本年二月にはイワノフ外相の訪日、春には高村外務大臣の訪ロも予定されており、両国間のハイレベルでの間断なき対話が着実に実行されることとなっていることは承知しておりますが、今後どのように日ロ関係を進展させていかれるのか、総理のお考えをお聞かせください。  また、領土問題につきましては、総理がエリツィン大統領との会談で合意した国境画定委員会及び共同経済活動委員会の第一回会合が、明日、二十一日に開催されるとのことですが、二〇〇〇年までの平和条約締結に向けた今後の交渉の見通しについて、御見解をお伺いいたします。  次は、日中関係ですが、日中平和友好条約締結二十周年に当たった昨年、江沢民国家主席が中国の国家元首として初めて訪日され、共同宣言及び共同プレス発表が発出されました。今回の訪日に関しては、歴史認識等をめぐって種々の報道もありますが、総理は、江主席の訪日をいかに評価され、また、今後の日中関係の発展にいかに取り組んでいかれるおつもりか、御見解をお伺いします。  日韓関係ですが、我が国の朝鮮半島政策の基本は、韓国との友好協力関係の強化にあります。昨年の金大中大統領の訪日や、これに続いて開催された日韓閣僚懇談会、ハノイにおける日韓首脳会談は、日韓両国が二十一世紀に向けた新たなパートナーシップを構築していくことを、内外に強く印象づけるものであったと考えます。この成果を踏まえ、今後の日韓関係をどのように取り進めていくのか、総理のお考えをお聞かせください。  ところで、総理は、先月ハノイでのASEANとの首脳会議参加され、その後ベトナム公式訪問を行うとともに、同地では今後のアジア外交に関する政策演説も行われ、一定の成果を上げられました。他方、ASEAN諸国を初め多くのアジア諸国は、依然として厳しい経済状況にあります。ASEANの経済支援を初め、今後のアジア・ASEAN外交をどのように進めていかれるのかも、御見解をお伺いいたします。  次に、我が国安全保障政策について質問いたします。  本年前半は、我が国にとって安全保障が最も大きくクローズアップされることになると考えます。それは、昨年八月の北朝鮮による弾道ミサイルの発射や、米国と英国による対イラク軍事制裁などにより、冷戦後の我が国安全保障をいかに確保するかが緊急の課題となったからであります。  北朝鮮問題について、現在、米朝間では、九四年の枠組み合意違反の疑いがある秘密核施設の疑惑解明などを目指し、協議が行われております。その中で、米国は地下施設の査察を要求しておりますが、北朝鮮は当該施設への立ち入りに対する経済的見返り要求を表明しております。  そこで、北朝鮮が査察をあくまで拒否し、米国の疑念に的確に対応できなければ、議会の動向もあり、米国北朝鮮政策の路線転換、場合によっては枠組み合意の維持が危うくなるなど、事態が緊迫化する可能性があります。我が国は、ミサイル再発射阻止へ向け、断固たる姿勢を貫き、外交努力を続けるべきです。(拍手)  総理は、KEDOへの資金拠出など、外交面も含め、北朝鮮政策をどのように進めていくおつもりでしょうか、お伺いいたします。  先般、我が党と自由党との政策協議において、安全保障基本的な考え方について合意を得ましたが、安全保障体制は国の存立が問われる問題だけに、国会において各党各会派で十分論議を尽くし、合意を得るために努力すべきであると考えます。また、日米安保体制の円滑な運用や我が国の平和と安全の確保のため、ガイドライン関連法案等の国会での早期成立、承認を図ることが喫緊の課題であると考えますが、これらについての小渕総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、沖縄問題について質問をいたします。  高い失業率などとりわけ厳しい経済状況下にある沖縄県では、現在、稲嶺新知事の登場で県民の多くが明るい見通しを感じております。それにこたえて稲嶺知事は、再開された沖縄政策協議会の場で、経済振興のための緊急かつ効果的なプロジェクトとして、特別自由貿易地域への立地促進のための受け皿の整備や、北部地区の振興にもつながる沖縄自動車道の通行料金の引き下げ、情報通信関連産業の支援策としての通信コストの低減化、また航空運賃に係る追加措置などを具体的に例示し、政府にさらなる配慮を要望いたしております。  また、今後は、県民の最も強い要望であった普天間飛行場の返還を初め、沖縄の米軍施設・区域面積の約二一%の返還が盛られたSACO最終報告を基本に、米軍基地の整理、統合、縮小への取り組みを着実に推進する必要があります。  これらの点について、総理の御所見をお聞かせください。  以上、幾つかの重要政策について質問してまいりましたが、確かに現在の日本経済は困難な状況にあります。しかし、知恵と創造性と勤勉さを備えた人的資源を最大武器に、戦後の半世紀で世界第二位の経済大国の地位を築いた日本の基盤の強さは、まだまだ光を失っておりません。現在日本全土を覆っている悲観論を乗り越えて、日本の潜在力や二十一世紀への可能性を掘り起こすよう政治がイニシアチブを発揮することが、日本経済再生への第一歩ではないでしょうか。元気を出せ日本と、私は国民の皆さんに申し上げたいと思います。(拍手)  昨年十一月に策定した緊急経済対策に加え、平成十一年度予算及び税制改正が今国会で早急に成立、施行されれば、平成十一年度はプラス成長に、十二年度は回復軌道に乗り、十三年度には民需中心の安定的な成長軌道に乗って、我が国経済が発展していくものと確信しております。小渕総理、どうぞ持てる力を遺憾なく発揮し、自信を持って経済再生に当たってください。(拍手)  さて、総理、私は、この一九九九年を新しい時代に引き継ぐため、政治家として何が最も大切なことかを常々考えてまいりました。ことしの正月にNHKのテレビを見ておりましたところ、ハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授が、御自分の著書「文明の衝突」について日本の学者と対談をされており、興味深く見ました。  ハンチントン教授の言う文明の衝突とは、第一に、西欧の価値観の押しつけ、そこに傲慢さが見られる、第二に、イスラム教徒の人口の爆発的増大、特に十五歳から二十四歳までの若年層が増加している、第三に、東アジアに新しい大国の台頭が見られるといったものです。さらに、冷戦後の世界におけるさまざまな民族の間の最も大きな違いは、イデオロギーや政治経済ではなくなった、文明や文化が違うのだ、民族も国家も、人間が直面する最も基本的な問いに答えようとしている、我々は一体何者なのかと。  これまでのイデオロギーの対立、それが終えんして、二十一世紀は地球上にこの三つの文明がぶつかり合うのではないかという内容でありました。これからの地球社会を示唆する問題提起であったと改めて感じました。  しかし、総理、私は、そのことよりも先に、今の社会を見ていると、むしろ文明と文化が衝突しているのではないかと考えます。今世紀の後半に、冒頭申し上げましたように、先進国は、科学技術をてことし、工業化によって経済の発展をなし遂げました。自動車、電化製品、そしてコンピューター、これらは、あたかも魔法遣いのように、ボタン一つ押せば我々に快適な生活を享受できるようにしてくれました。しかし、そのことが結果的には環境問題、公害問題を引き起こしました。そして我々は、それを今、負の側面として、どう対応するかを迫られております。  さらに、今や科学技術は情報化社会を進展化させて、コンピューターを初め情報通信手段が新産業の主役となっています。その重要性と裏腹に、携帯電話やインターネットが、青少年を巻き込んだ、我々が予想しなかった新しい犯罪の道具ともなっています。また、伝統ある出版社の週刊誌やテレビの深夜番組には、利潤追求の余り、青少年に明らかに有害なものがますます目に余るようになっています。  まさに、世紀末現象を招来させていると言っても過言ではありません。経済追求第一主義、便利さの徹底追求という現在の風潮が、本来の人の心を失わしめているのではないでしょうか。自動車事故があるからといって自動車をなくすわけにはいかない、これは当然なことです。  科学技術の進歩は文明社会の進化です。一方、生命、自然、愛情、友情、感謝、協力、平和、宗教、これらはまさに文化そのものです。文明を創造する我々人類は、チャップリンが警鐘を鳴らした、モダンタイムスを追求することによって文化を破壊しているという、二律背反のおそれを持たなければなりません。  人間の存在に係る人間教育の原点について、昨日総理施政方針で言及されました。私も、かねて、人間教育について次の三点を柱として考えてまいりました。一つは、試練に耐え、困難に挑戦する強靱な体と心をつくること。第二に、大自然に対し畏敬の念を持ち、人間と文明の傲慢さを謙虚に省みること。第三に、家庭や学校、社会企業、さらに地域、そして国家や地球社会の中に生き抜き、守り抜く最低限の規範をしっかり教え込むことです。  改めて、新しい時代に向けて、文化をしっかり守る抜本的な教育の改革について、総理はどのように考え対応されるおつもりか、お尋ねいたします。  現在は、明治維新、戦後の民主化に次ぐ第三の開国期と言われております。聞くところによりますと、小渕総理は、明治維新の先駆者、坂本竜馬を敬愛しているとのことですが、その坂本竜馬のように、総理が先頭に立って、経済のみならず、日本再生の道筋をお示しください。  竜馬は、幕末の閉塞状況を打破して、七つの海に雄飛する日本をつくろうと、若き血潮と命を燃やしました。平成の竜馬と志士たちは、今また二十一世紀に未知なる船出をせんといたしております。こうした熱き思いから、我々は、一致協力して小渕内閣を支えていくことをかたくお誓い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  9. 小渕恵三

    内閣総理大臣(小渕恵三君) 森喜朗議員にお答え申し上げます。  当然のことといえば当然かもしれませんが、同じ政党に所属し、ただいま自由民主党を代表して、幹事長として、大変力強い、また格調高い御主張とお尋ねもちょうだいをいたしました。ともに、同じ気持ちを持ちまして、これからの政治に臨み、今お尋ねのありました諸点を、十分これに解決の道をつけ、そして日本のために全力を尽くしていきたい、このような気持ちを、お聞きをいたしておりながら、痛感いたしたところでございます。(拍手)  さて、冒頭、議員から、福田元総理が二十世紀を悔恨と栄光に満ちた百年と総括されたことが御紹介をされました。また、今年こそ新しい千年紀の序章を書くべきときであると指摘をされました。全く同じ時代認識を持つものであります。  ただ、私は、施政方針でも申し上げましたように、現在を改めて明治維新、第二次世界大戦に続く第三の改革の時期と位置づけておりまして、この明治維新と二次大戦後の改革が、大変困難なものでありましたが、改革の発端が外国からの圧力や強制であったこともあり、いわば社会を挙げての覚悟が定まり、また、先人の大いなる勇気と相まって、改革を成功に導いたものでありました。  現在の改革の難しさは、社会全体の覚悟と勇気が十分存在しているのかとの点もあり、その意味で、社会を挙げての意識の転換が不可欠であります。また、改革に当たりまして、これまで有効であったシステムなどが足かせになっているからといって、これを単に壊せば足りるというわけでもなく、新たなるシステムをつくり上げなければなりません。同時に、日本が持つすばらしいものを残す努力も必要であります。  私は、こうした時代認識に立ちまして、議員御指摘のような新しい千年紀、ミレニアムを迎える前夜に当たりまして、二十一世紀へのかけ橋を築いていくためにも、このあるべき姿、国の姿について真っ正面から取り組んでまいりたいと考えております。  次に、日本の新しい理念づくりについて、強く共感をされるわけでありますが、具体的な方針についてのお尋ねもございました。  内閣をお預かりしてから事あるごとに、目指すべき国の姿として、富国有徳あるいは国徳国家ということを私申し上げてまいりました。私は、徳すなわち高い志を持った国家でなければ豊かな国であり続けることは不可能でありまして、何よりも世界から信頼されなくなると考えております。こうした基本的な考えを踏まえつつ、二十一世紀のあるべき姿について、有識者から成る懇談会を早急に設置し、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめてまいりたいと考えております。  次に、政策運営についてのお尋ねがありました。  今般の連立内閣の発足に当たりまして、思いは、一言で申し上げれば、内外の重要課題が山積する折、時代認識や基本理念で一致した自由民主党自由党との連立により、安定した政治基盤をつくり、責任ある政治を実現していくことであります。私は、両党がともに協力し合い、そして切磋琢磨し、お互いの党のよき点を相乗的に効果あらしめて、その結果、国民国家のために大きな役割を果たしていくことを確信いたしております。(拍手)  今後の政局運営に当たりましては、こうした両党との連立を基軸としながら、国家国民のために何をなすべきかとの政治原点に立ちまして、もちろん各党各会派との協議、協力、連携もお願いをしながら、国政の難局に当たってまいりたいと考えます。  景気回復に向けた決意についてのお尋ねもございました。  経済の繁栄は、豊かで潤いのある国民生活実現と、国家社会の発展にとっての基本であります。私は、平成十一年を経済再生元年と位置づけまして、緊急経済対策を初めとする思い切った諸施策を果断かつ強力に推進し、日本経済再生に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  平成十一年度予算の特色についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、昨年末に成立いたしました第三次補正予算のもとで切れ目なく景気回復策を実施しており、十一年度予算においても、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、公共事業や中小企業対策、雇用対策最大限配慮するとともに、科学技術の振興など、将来の発展基盤を確立する施策も十分取り入れたものと考えております。  今後の財政構造改革についてのお尋ねがございました。  私は、かねがね、財政均衡は極めて大切である、このことは当然と考えております。中国の言葉に、入るをはかりてもって出るをなすという言葉があります。収入の多少を計算してから支出をする、それが健全財政の根本であることは、政治家の一人として十分承知をいたしております。が、しかし、単年度ですべてこれを達成しようとすることは、今日の複雑な経済社会におきましては、極めて困難であります。  そういう意味合いにおきまして、私は、施政方針でも申し上げましたように、公債残高が三百二十七兆円にも達する見込みなど極めて厳しい状況である、将来世代のことを考えますと、この財政構造改革という大変重い課題は常に背負ってまいらなければならないと考えております。  したがいまして、日本経済が回復軌道になりました暁におきましては、財政税制上の諸問題につきましても、中長期的視野から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示し、また協力をお願いしていかなければならないと考えます。  税制改正基本的な考え方及び恒久減税の将来像について、お尋ねがありました。  平成十一年度の税制改正におきましては、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、景気に最大限配慮して、個人所得課税及び法人課税につきまして恒久的な減税実施するとともに、住宅建設及び民間設備投資の促進、経済金融情勢の変化への対応等の観点から、適切な措置を講ずるものといたしております。  また、恒久減税の将来像につきましては、個人所得課税及び法人課税あり方につきましては、経済状況等を見きわめた上、課税ベース課税方式等を含め、全般にわたり、今後、我が国経済社会の構造的変化、国際化の進展に対応した抜本的な改革において、腰を据えて検討を行っていく必要があると考えております。  次に、金融機関に対してのお尋ねがございました。  特に資本注入についてでありますが、今般の資本増強制度におきまして、各金融機関が主体的に業務の再構築、経営合理化等を行い、その結果、収益の向上が図られることが重要であると考えております。政府としては、我が国金融システムの再構築と経済の活性化が図られるよう、政府保証を活用した資本増強制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。  公的資金注入行の経営監視についてお尋ねがございました。  公的資金注入行に限らず、金融機関の経営の健全性を確保するための監督は、金融システム安定のために重要であります。政府といたしましては、金融監督庁の機構・定員の拡充、この定員につきましては来年度予算につきまして百三十五人の増員をお願いいたしておりますが、この増員や、あるいはモニタリングの開発などによりまして、検査監督の体制の充実を図り、日々の経営状況をチェックすることによりまして、金融機関の経営の健全性の確保に万全を期していく所存でございます。  極めて貴重な提言の数々であります。これを真剣に検討してまいらなければならないと考えます。  雇用対策についてでございますが、政府全体の取り組みとして、百万人規模の雇用の創出、安定を目指し、雇用活性化総合プラン等の対策を強力に推進し、国民の雇用不安を払拭し、再び希望と活力のあふれる経済社会をつくり出してまいらなければならないと考えます。とりわけ、労働市場の需給調整機能を高めるため、早急に職業安定法を見直すとともに、労働者派遣法の改正法案早期成立に努めてまいります。  議員からも御指摘がありましたが、私は、昨年十二月、公共職業安定所、ハローワーク飯田橋を訪ねまして、厳しい状況を自分自身の目でつぶさに見させていただいたところでございます。  その際、私は、求職をされる方の数に比べて求人の数が大変少ないこと、あるいは当然のことかもしれませんが、あるいはコンピューター関係では求人が極めて多いわけでありましたが、これに対して求職される方が極めて少ないなどのミスマッチがあること、求職をされる方にとりましても、公共職業安定所が土曜日に開庁されていないことは大変不便ではないか等、これらの点につきまして、早速甘利労働大臣に指示をいたしました。  これを受けまして、今般、労働省におきましても、東京、大阪におきまして、交通の利便が最もよい公共職業安定所を土曜に開庁する等の方針を決定いたしたところでございます。  社会保障の意義についてお尋ねでしたが、社会保障は、国民生活を支え、安心を与えるセーフティーネットとして重要な役割を担っております。社会保障制度が将来にわたって安定的に運営できるよう、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化等、その構造改革に引き続き取り組んでまいります。  次に、年金、医療、介護についてでありますが、これらの課題に取り組むに当たりましては、経済との調和を図りつつ、給付と負担の均衡を図るとともに、利用者の選択の拡大や民間事業者の導入なども含めて、制度の効率化や合理化を進めることが必要であり、年金、医療の制度改革早期に取り組むとともに、介護保険制度につきまして、市町村に大変御苦労をいただいておりますが、その協力を得ながら、来年四月からの円滑な施行に全力を尽くしてまいりたいと思います。  行政改革につきましてでございますが、行政改革は国政上最重要課題の一つであり、二十一世紀に向けた我が国経済社会の繁栄へのかけ橋として、規制緩和、地方分権の一層の推進、またスリム化された政府の実現が何より必要であります。今国会におきまして中央省庁改革関連法案の提出を予定いたしておりまして、この中で、二十一世紀の我が国にふさわしい中央省庁の具体的な姿をお示ししたいと考えております。  行政改革につきましては、改めて、橋本総理が全精力を傾けて取り組んでまいられた課題であります。私としても、いささかも退くことなく、その実現のために全力を挙げてまいりたいと考えております。(拍手)  具体的に定数削減についてのお尋ねでありましたが、八十四事務事業の独立行政法人化の方針などを定めた中央省庁改革に係る大綱を近く決定する予定でありまして、この独立行政法人化と中央省庁等改革基本法に定められた新たな定員削減計画によって、十年間、二〇%の削減の実現に努めることとしております。また、これにとどまらず、さらなる削減の実現に努めてまいりたいと思います。  規制緩和についてお尋ねがありましたが、この推進によりまして、国民生活や事業活動に対する政府の関与のあり方を抜本的に見直していく考えであります。近く策定する産業再生計画におきましても、規制緩和を重要事項と位置づけまして、さらに本年度末を目途に、規制緩和推進三カ年計画の改定に際しては、規制緩和委員会の第一次見解最大限盛り込むなど、規制緩和を一層強力に進めてまいります。  公務員制度改革についてでありますが、行政を支える公務員制度の改革行政改革の一環としても重要な課題であり、御指摘の民間の人材活用等も、重要な視点の一つと認識いたしております。現在、公務員制度調査会におきまして、公務員制度とその運用全般の見直しを行っており、本年度内にその答申を得て、改革を着実に進めてまいります。  情報公開法の制定についてでありますが、情報公開法は国民に開かれた政府の実現のために重要な法律であると認識いたしており、法案早期成立に向けて政府として引き続き努力をいたします。今後とも与野党間で十分御論議をいただき、速やかに国会において成立させていただきたいと考えております。  次に、ユーロを初めとする主要通貨間の協調についてのお尋ねがありました。  今回会談をいたしましたフランス、イタリア、ドイツ各国の首脳とは、国際金融制度の改革につきまして協調をしていくこと、またユーロと円のレートの安定がとりわけ重要であるとの観点から、為替市場の安定に向けて協調していくことで意見の一致を見ました。円、ドル、ユーロの安定的関係の確立に向け、欧州、米国とも協議しつつ、引き続き努力してまいる所存でございます。  自由貿易協定に関するお尋ねであります。  我が国は引き続き、WTOのもとで、グローバルな自由貿易の促進を重視してまいります。今後、アジアとの経済関係の強化に伴い、国際ルールの枠組みのもとで、さまざまな方途を検討することが適当であると考えております。  次に、日米関係についてでございますが、この両国間を展望いたしますと、歴史を振り返りますと、我が国は明治以来、国家の発展を、外交面では日英同盟を基本としてまいりました。戦後、今日に至る我が国の繁栄を外交面で支えておりますのは、言うまでもなく、日米安保体制を基礎とする日米関係であります。二十一世紀を控えて、今後世界がさまざまな課題に直面するでありましょうが、私は、ここまではぐくんできた日米関係をさらに発展させていくことが、我が国のため、そして世界のため、必要不可欠であると考えております。  このような認識を踏まえつつ、五月初めを目途といたしております米国公式訪問の機会には、北東アジア地域における安全保障の問題や、世界経済の安定化に向けた協力など、日米両国の共通課題への対応について、首脳間で緊密に協議を行いたいと考えております。  日ロ関係についてお尋ねでございますが、両国間では、昨年だけでも三回の首脳会談が行われ、関係は着実に進展いたしております。政府としては、今後とも、このハイレベルでの間断なき対話の継続を通じて、あらゆる分野におきまして関係を一層強化しながら、東京宣言とモスクワ宣言に基づき、平和条約を締結して、両国間の関係を完全に正常化するよう引き続き全力を尽くしてまいります。  エリツィン大統領が一日も早く健康を回復されることをお祈りするとともに、同大統領が本年の早い時期に訪日され、平和条約交渉が一層前進することを期待いたしております。  江沢民国家主席の訪日についてお尋ねでありますが、日中共同宣言等の作成によりまして、日中両国の一致のもと、両国が共通の目標に向けてともに行動する枠組みを示すことができ、これにより日中関係は新たな段階に入ったものと考えられます。今後の日中関係につきましては、信頼関係を一層強化してまいりますとともに、二十一世紀に向け、平和と発展のため友好協力パートナーシップをさらに強固にいたしてまいりたいと考えます。  日韓関係につきましては、昨年秋の金大中大統領との話し合いを通じまして、日韓両国は過去との決別を果たし、かつては、近くて遠い国と言われましたが、私は、急速に名実ともに近くて近い国になってきておると考えております。今後は、金大中大統領の訪日の際に宣言されました日韓共同宣言と行動計画の具体化を通じまして、日韓関係をさらに高い次元の友好協力関係へ発展させていきたいと考えております。  次に、アジア・ASEAN外交についてでありますが、私は、先月、ASEANとの首脳会議に出席しましたが、その際、シンガポールのゴー・チョクトン首相から、日本が雁行モデルの先頭を行くカリとして他のアジア諸国を再び引っ張っていってもらいたいとの発言もあったように、我が国経済再生及びアジア諸国への支援に対する高い評価と強い期待を感じました。  同会議出席の際に行った政策演説でも申し述べましたように、アジアの二十一世紀を人間の尊厳に立脚した平和と繁栄の世紀とすべく、アジア経済再生のために、今後ともできる限り支援を行うとともに、これら諸国との協力関係の強化に努めてまいります。  次に、北朝鮮についてお尋ねがありました。  我が国は、北朝鮮の核開発を阻むため引き続きKEDOを支援するとともに、北朝鮮が秘密核施設疑惑やミサイル問題等をめぐる国際社会の懸念を解消するよう、米国及び韓国と連携しつつ対処してまいります。また、北朝鮮がこれら問題に建設的に対応するのであれば、対話と交流を通じ関係改善を図る用意があることは申し述べているところであります。  安全保障に関するお尋ねでありますが、国の安全と繁栄を維持し、国民の生命財産を守ることは政府の最も重要な責務であり、施政方針演説でも述べましたように、世界へのかけ橋の柱の一つに我が国の安全の確保を挙げております。政府としては、国会の御議論をも十分踏まえ、我が国安全保障体制を一層強固なものとしていくため、努力を引き続き行っていく考えであります。  ガイドライン関係法案についてでありますが、周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、昨年四月末に閣議決定し、国会に提出をいたしておるところでございます。政府としては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が、早期国会で審議され、成立または承認されることを期待しておりますが、施政方針演説でも申し述べたように、今国会におきまして、ぜひともこれらが成立、承認されることを、改めて御協力をお願い申し上げる次第であります。  沖縄振興策についてお尋ねでありますが、先月開催した沖縄政策協議会におきまして、稲嶺知事が示された六項目の緊急対策に係る御要望につきましては、確実な実現を図るべく鋭意検討中であります。なお、これに関連いたしまして、今月二十九日には再開第二回の協議会を開催し、これら緊急対策の具体的方向について協議を行う予定であります。  沖縄における米軍施設・区域に関する問題につきましてでありますが、政府としては、普天間飛行場の返還を初めとする米軍施設・区域の整理、統合、縮小に向け、稲嶺知事のお考えを十分拝聴しつつ、同県の理解と協力のもと、SACO最終報告も踏まえ、真剣に取り組んでまいりたいと考えます。  教育についてのお尋ねがございました。  今日、未来を担う子供たちに、自然を慈しむ心、助け合う心、社会的倫理観、生きる力等をしっかり身につけ、心身ともに健康な人間に育てることは極めて重要な課題考えております。このような考えに立ちまして、心の教育の充実を図りつつ、我が国のすぐれた文化や伝統などを次の世代に引き継ぐ教育の推進に努めてまいりたいと思います。  冒頭申し上げましたように、自由民主党を代表しての森幹事長の力強い考え方、そして格調の高いそうした基本的な精神につきましては、私自身も全く同様の感をいたすものでありまして、ともどもに力を合わせて、その実現のために改めて努力することをお誓いいたしたいと思います。(拍手)  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
  10. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 住宅減税につきましてお尋ねがございました。  このたびお願いしております住宅減税は、従来のものを大幅に拡張しようとするものでございまして、控除税額にいたしましても、従来は最高百七十万円でございますが、このたびは六百万円近くに及ぶようなことを、十五年間にわたりまして、そして平成十一年、十二年のこの年に限りまして行おうとしておるものでございます。したがいまして、政策減税としては非常に大きな規模になりまして、平年度減収額は一兆二千億円でございます。それだけの効果を期待いたしております。  その減税の方法でございますが、御指摘のような議論もございました。ローンを所得控除すべきではないか、税額控除と所得控除ということで、御議論政府税調でも、自民党の税調でもありましたわけでございます。  両論いろいろ理由のあるところではございましたが、結局、利子所得控除で高額所得者と中堅、中位の所得者と比べますと、利子所得控除は高額所得者に有利でございますが、税額控除は中堅、中位の所得者の方に減税効果が大きい、負担軽減効果が大きいということから、そういう方法を採用させていただきました。いろいろ御議論があったところではございますが、御理解をお願いいたしたいと思います。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  11. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 神崎武法君。     〔神崎武法君登壇〕
  12. 神崎武法

    ○神崎武法君 私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました小渕総理施政方針演説中心に、山積する内外の諸問題に質問をいたします。  冷戦後の世界は、安定した新秩序を模索してきましたが、二十一世紀を目前にして、いまだに確かな設計図を見出せないまま推移しています。  近年、資本主義のグローバル化、バーチャル、仮想化が急激に進み、国際金融も様相を一変しました。共産主義のソ連初め東欧諸国が崩壊し、次々と市場経済化し、資本主義が全世界に広がってグローバル化したこと、また、高度情報通信革命によって、巨額の資本取引がほとんどコンピューターの中で瞬時に行われるというようにバーチャル化したことであります。そのため、国際金融取引が異常に肥大化し、無秩序化し、それによる混乱のゆえにグローバルキャピタリズムが崩壊しようとしています。  事実、貿易など実需を伴った金額の数十倍もの投機マネーが瞬時に国境を越えて移動しています。九八年の世界の外国為替の取引額は三百七十二兆ドルで、実際に貿易決済された取引額の三十四倍以上にもなっています。東南アジア諸国での経済危機の原因はいろいろと分析されていますが、そのような状況のもとで生じたことは事実であります。このような動きに対して、世界経済が耐えられなくなってきているのも事実であります。  さて、ことしの世界経済最大の焦点は、申すまでもなくアメリカにあります。さきのブラジル通貨切り下げによる反応に見られるように、アメリカの景気にはバブル的な要素が多分にあり、そろそろ調整局面に向かうことは必然と言われています。  一方、ヨーロッパでは、この一月一日に統一通貨ユーロが誕生しました。参加十一カ国合計のGDPは約六・五兆ドルに上り、人口二億九千万人になるなど、アメリカに並ぶ経済規模を持つ巨大通貨圏になります。ドルに過度に依存した国際通貨体制が是正され、世界の国々や企業、個人投資家の為替リスクが分散されて、世界経済の安定成長にとって大変望ましいと言われています。しかし、我が国は、景気回復と金融システム再生を速やかに実現して国際的な信認を回復しなければ、国際取引におけるシェアをユーロに奪われてしまうことになりましょう。  今、戦後最大経済危機に直面している我が国が学ばなければならないことは、ユーロがまさにヨーロッパの危機の中から生まれたということであります。二度の世界大戦による戦禍を断じて繰り返してはならないという反省から、統合を通じて、疲弊した経済を立て直すことでありました。各国歴代首脳の、相次ぐ経済危機への粘り強い挑戦でかち得たものであります。  さて、日本経済の先行きは不安一色のようにも見えます。しかし、日本は依然として世界第二位の経済大国であります。質の高い労働力と世界トップレベルの技術力を持っています。また、貯蓄率も高く、千二百兆円の個人金融資産を持っています。二千億ドル以上の外貨準備があり、貿易収支も大幅な黒字であります。  世界最大の対外純資産国である日本経済のファンダメンタルズは健全であります。今日の悲観ムードを打破し、我が国の持つすぐれた可能性を的確に引き出していけば、バイタリティーに満ちた、活力ある日本再生させることは十分に可能であります。  ある学者は、今の日本は総論不在、原理原則不在、哲学不在の無脊椎状態にあると評しています。今進行しているグローバル化は、経済活動中心のものであります。これは、弱肉強食の資本の論理、経済至上主義の暴力的な側面を持っており、結果的に国民生活を脅かすことも多々見受けられます。  今トップリーダーに求められているものは、このようなさまざまな課題を乗り越え、健全で創造的な二十一世紀社会を構築するためのグランドデザインを国民の前に提示し、国民を説得し、的確にリードすることだと考えます。総理、あなたは、国民にどのようなグランドデザインを提示し、国民をいかに説得し、リードしていかれるのか、まず最初にそのお考えを承りたい。(拍手)  次に、自自連立政権についてお伺いします。  昨年秋から難航していた自自連立政権が誕生しました。あの参議院選挙では厳しく対決していた自民党自由党が、このような連立政権を誕生させ、国民は、一体参議院選挙での国民の厳しい審判は何だったのかとの思いがするのではないでしょうか。(拍手)  両党の政策合意も、甚だ理解に苦しむことが多々見受けられます。  一つには、これまでの連立協議の経過を見ても、国家の根本法である憲法に対する見解に相当な開きがあることであります。自自連立内閣が今後、憲法観の違いを乗り越え、安定した政権運営のかじをとれるのか、国民は大きな不安と疑念を持っているのではないでしょうか。中でも安全保障に関しては、両党の対立点は先送りされ、今回の合意も、具体性に乏しい上に玉虫色の合意と言わざるを得ません。  これまでの歴代内閣がとり続けてきた集団的自衛権の行使は憲法上許されないとした憲法九条の解釈について、自自連立政権として変更するつもりなのかどうか。さらに、国連軍の目的・任務武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないとした八〇年の政府見解を初め、国連の集団的安全保障措置に関する従来の政府憲法解釈を変えるのでしょうか。  二つには、両党が、現行の小選挙区比例代表並立制の比例区定数五十削減案を合意したことであります。私どもは、旧公明党時代から、国会議員の定数削減を一貫して主張してきたところであります。しかし、比例区の定数のみを一方的に五十削減する案には反対であります。  その反対理由の第一は、小選挙区比例代表並立制という制度は、あくまでも小選挙区制度と比例区制度を並立させた制度であるからであります。比例区のみを削減すれば、少数意見が選挙に反映しづらくなるという問題が生じます。総理は、小選挙区で政権を選択し、比例区で少数意見も国政に反映するという、お互いの制度の特性を考慮して並立制に決定した経緯をお忘れになったのでありましょうか。  反対理由の第二は、小選挙区制度は、政策本位の選挙をするということで導入されました。しかし、実際に導入、運用されて、大変な弊害が明らかになりました。小さな地盤で熾烈な選挙戦を勝ち取るためには、知名度の高い二世議員や大政党の議員が大変有利になり、専門的知識経験を有する者が立候補しても常識的には当選できず、問題であります。  その意味で、私は、全党的な合意のもと、選挙制度改革について真剣に話し合うべきであり、その中で定数削減も協議すべきであると考えています。もし、自民党自由党が現行制度の中の比例区のみを削減する案を強行しようとするなら、私どもは、野党共同して断固対決していく決意であります。(拍手)  また、連立政権自由党小沢党首みずからが入閣することこそが、この連立が単なる数合わせではなく、政党の確固たる理念に基づく連立であることを証明する唯一の方法であったはずですが、小沢党首は入閣しておりません。二十一世紀を目前にして、内外の激動するこの時期に、国政を的確に運営することができるかと危惧するものであります。  総理、これらの諸点とともに、一体、自自連立政権の誕生が国民にとってどのようなメリットがあるのか、あわせて具体的に御説明願いたい。(拍手)  今日、日本経済再生は最も重要な政策課題であります。日本経済再生なくしてアジアの経済再生はありません。基軸通貨を持ったEUの登場により、世界経済秩序の状況は一変したと言っても過言ではありません。今後、日本は、みずからの軸、すなわち通貨政策、円に対する政策を鮮明にしていくことは極めて重要であり、避けて通ることはできません。今回の小渕総理の訪欧においては、総理は、イタリア、フランス、ドイツの各首脳との会談において、日米欧三極通貨協力によって、変動する為替相場の安定を図りたいという提案を行いました。  しかしながら、国際通貨として円が役割を果たしていくためには、まず経済再生が根本であります。それと同時に、円が国際通貨になるためには、まさに政治的な努力が不可欠であります。また、国際金融市場にふさわしい国内の法制度を完備しなければなりません。そのため、短期市場の制度面、税制面での整備など、円の使い勝手をよくし、アジアの金融センターとしての役割を担うにふさわしい努力が不可欠であります。  そこで、総理は、円を基軸通貨としていくため、ビッグバンのほかに、どのような具体策考えておられるのか、お伺いをいたします。  さて、長期化した現在の不況をどのように脱却するのか、総理も悩んでおられると思います。過去の循環的な不況と同様な対策で解決できないことは、既にこの数年間で証明されました。現在の不況にはいろいろな要因が重なっていますが、戦後経済を支えてきた金融、産業、雇用など、行政経済社会システムの疲弊による構造的不況ととらえ、総合的な変革を展開していくべきであると考えます。  戦後経済を一貫して貫いてきたものは産業優先のシステムづくりであり、結果として経済大国になりましたが、一方で生活小国を形成してしまいました。企業の資本は蓄積されましたが、大きくなったパイの配分は生活者に対しては余りにも少なく、企業と生活者の間には大きな乖離が生じたのであります。初期においては企業成長国民全体の生活を豊かにしましたが、国民消費を超える産業生産が続く中でこの関係が逆転し、過剰な産業生産が、豊かさを求める国民生活を脅かす事態も起きています。  中でも、大きな変化を与えたのは国際環境の変化であり、過去の不況は、ほとんどの場合、アメリカを中心とする諸外国に輸出を拡大することによって救済されてきましたが、今や、輸出をこれ以上増大することは容易ではありません。このことは、国内においてGDPの六〇%を占める個人消費に望みをかける以外にないことを物語っています。  しかし、個人消費の回復は現在低迷し、膠着状態が続いています。過去における産業優先の経済構造を生活者優先に転換できないことが足腰の強い消費市場が生まれない理由になっていると、ある学者は指摘をしております。景気が低迷するごとに公定歩合を引き下げ、生活者から生産者へ強制的に所得移転を行ってきたことは、その典型的な例であります。かつてのように海外にその市場を求めることができなければ、産業、生産者のみに景気対策を行っても、消費は拡大するわけがありません。  総理、今や景気対策は、消費者、生活者中心考えるべきであります。今までの産業、生産者中心から、生活者を主にして生産者を従にした景気対策確立が求められているのであります。公明党が地域振興券を打ち出したのも、このような論理に基づくものであります。  九九年度政府予算案は、所得減税などを含むものの、なお旧来型の予算と言わざるを得ません。景気対策方向を転換する決意があるかどうか、総理のお考えを伺います。  また、我が党は、年末から新年にかけて重点的に実態調査を行ってきましたが、金融機関の貸し渋り状況は一向に改善されてなく、むしろ長引く不況でますます深刻になっています。総理は、この深刻な貸し渋りの解消のために、本気で取り組んでいただきたい。  次に、税制改正についてお伺いします。  政府は、九九年度予算案において総額にして九兆円規模の減税を盛り込んでいますが、額においては一定の評価をするものであります。所得税住民税減税も四兆円規模であり、最高税率を五〇%に引き下げるなど、評価すべき改善も見られますが、恒久減税にならなかったことは近い将来の増税を意図するものであり、納得できません。  また、各階層ともに二〇%の減税を行っていますものの、昨年の四兆円特別減税を加味して比較をすると、標準世帯で年収七百九十三万円以下の層が負担増になります。税体系としてはやむを得ない面もありますが、今回の税制改革景気対策の側面があり、年収七百九十三万円以下という納税者の八割が負担増になることは、どうしても看過できない問題であります。  中堅所得層中心に、単年度の定額戻し税として、二兆円規模の激変緩和を実行すべきであります。財源が厳しい中ではありますが、さきに述べました生活者優先の政策こそ景気対策の糸口でありますだけに、どうしても実行しなければならない課題であります。  なお、地域振興券につきましては、関係者の御努力でようやくその趣旨が浸透し、「親子三人家族の二万円ポッキリ宿泊プラン」とか「一泊二日北海道空の旅・二万円プラン」など、いろいろな企画やイベントも計画され、消費拡大の呼び水として、地域経済や商店街の活性化に相当の効果があると期待されています。さらに、第二弾の実施を要請する商店街等もあらわれています。私たちも、こうした要請にぜひこたえてまいりたいと考えます。  政策減税として、住宅取得促進税制を大幅に拡充することになっていますが、これはそれなりに評価いたします。しかし、総理、バブル最盛期から九〇年代前半にマイホームを購入したサラリーマンや自営業者の方々が、今どのような生活を強いられているか、御存じですか。  一生に一度の買い物と言われるマイホームを購入したたくさんの方々が、その後の長期不況で会社が倒産したり賃金カットなどで、住宅ローンを払えなくなっています。やむなくマイホームを手放そうにも、土地価格や住宅価格の暴落のため、希望する価格では売れず、売っても安く買いたたかれ、結局マイホームは手放し、後には清算し切れなかった住宅ローンが残ることになるのであります。まさに残酷物語であります。  総理、住宅促進税制拡充も必要でしょう。しかし、このような既往の住宅ローンの返済で大変苦労しておられる方々に、具体的な支援策を講ずべきではありませんか。買いかえ特例を、売り切りにした場合も何らかの方法で適用すべきであります。銀行救済には数十兆円もの国民の血税を投入して、一方、その銀行の住宅ローン返済で苦労している方々を救済しないのは納得できません。総理の御決意のほどをお伺いいたします。(拍手)  地方分権型社会の構築は、二十一世紀の大きな課題であります。そのためには、国と地方の財源配分を抜本的に見直し地方の財源を思い切って拡充することが不可欠であります。  ところが、地方自治体の財政事情は、不況のあおりも受けて、まことに厳しい状況にあります。福祉、教育、医療分野の予算が切り捨てられようとしています。特別養護老人ホームへの補助金カット、母子家庭に対する乳幼児医療の有料化、敬老祝い金の廃止、公立や私立学校の授業料の引き上げ、保健所の健康診断の廃止、学校教員の大幅削減、公営住宅の建設戸数の大幅削減など政府経済失政のツケが、すべて国民へ回されようとしているのであります。  この際、地方財政拡充して、住民の生活と福祉を守るため、地方消費税率を拡大することを真剣に検討すべきであります。現在、消費税五%のうち一%が地方消費税分ですが、これを二%に拡大し、地方財政を充実させることです。そして、この拡充した財源は地方自治体の福祉関連分野に優先的に配分し、地方福祉を断じて後退させないことであります。大蔵大臣と自治大臣のお考えを伺います。  次に、社会保障と雇用問題についてお伺いします。  我が国は、世界に前例のないスピードで少子高齢社会へ向かっています。六十五歳以上の高齢者人口が、二〇〇六年には二〇%を超え、二〇三〇年には国民の三人に一人が六十五歳以上という超高齢社会になると言われています。  本来、社会保障制度は、国民の生活に安心感を与えるべきものであります。ところが、政府の年金制度改革は、保険料は引き上げ、給付水準は引き下げるというものであります。医療保険制度は、改正するたびに国民に負担を強いることばかりです。これでは、国民は将来への希望を失い、老後の生活不安から、財布のひもをかたく締めるのは当然であります。また、これでは、新婚家庭で子供を欲しくても産めないのが現実でありましょう。  今政府国民に示さなければならないことは、将来において社会保険料と税負担がどれだけふえても、実質所得を現在よりも下げないという決意とその設計図であります。ところが、政府は、年金制度改革を初めとして、保険料は引き上げます、給付水準は引き下げますと言うばかりであり、実質所得がどうなるのかについては、何ら国民に示していません。これでは、国民の将来に対する不安は募るばかりであり、景気低迷の中で消費が拡大するわけがありません。また、新婚家庭では子供を産みたくても産めない状況をつくることになります。  総理、どれだけの経済成長を維持すれば、税金と社会保険料の負担率が上昇しても手取り実質所得も上昇していくのか、それを実現するために何を国民に公約するのか、御答弁を求めます。  中長期展望として、今政府が真剣に取り組むべきことは、少子化対策と高齢者雇用の問題であります。合計特殊出生率が一・八に回復するという前提のもとに行われている人口予測でも、二〇二五年における高齢者、六十五歳以上の総人口に対する比率は二五・八%になると予測されています。合計特殊出生率は、現在一・四二であり、このまま放置をしていると、一・三〇近くまで低下することは間違いありません。子供を産みたくても産めない若いカップルのためのみならず、国全体のために、万難を排して緊急の対策確立すべきであります。  本年度の税制改革の中で、十六歳未満を中心とした扶養控除引き上げられたことはよく承知しています。しかし、よく考えてみれば、扶養控除の拡大は、高額所得者であるほど優遇され、まだ税額の少ない、あるいは払っていない若い世代の子育てには十分に役立っていないと言わざるを得ません。私は、将来不安から進む少子化傾向に歯どめをかけるために、根本的に発想を転換して、この際、児童手当制度と奨学金制度を抜本的に見直し拡充すべきと考えます。(拍手)  児童手当制度については、支給対象年齢を、現在のゼロ歳から三歳未満を十五歳までに拡大し、支給額を第一子、第二子は月額一万円、第三子以降は月額二万円に倍増し、親の所得制限は撤廃すべきであります。また、十六歳以上の高校、専門学校生、大学生に対しては、奨学金制度を拡充し、学生の成績要件や両親の所得制限を撤廃して、希望するすべての学生に無利子で貸与すべきであると考えます。この児童手当制度と奨学金制度の抜本的拡充について、総理の御見解をお伺いします。  高齢者雇用も大変深刻な問題であります。  高齢化が進むにつれて、五十歳から六十四歳の高齢生産年齢人口が増加し続けています。さらに、六十五歳以上の健康な高齢者がふえ、雇用に対する希望もふえています。高齢者雇用は、ひとり高齢者のためのみならず、社会保険料を負担する側の人口を増大させ、保険給付を受ける側の人口を抑制する意味から、雇用希望への対策が急務であります。企業が必要としているのは職場への適応力がある若年労働者であり、高齢労働者との間にミスマッチが生じます。ここには、どうしても国の政策が必要になります。総理の高齢者雇用に対するお考えをお伺いいたします。  次に、教育問題についてお伺いします。  二〇〇二年度からスタートする新学習指導要領は、学校週五日制の完全実施を前提に、これまでの知識詰め込み型教育からの脱却を目指しています。しかし、この新学習指導要領を定着させるためには幾多の課題があります。  これからの二十一世紀を担う子供に求められるべきものは、受験知識の多寡ではなく、豊かな創造性や独創性と、確固たる自律心や自主性であります。また、そのため、能力や関心に応じて伸び伸びと学ぶ教育環境を整えることであります。いじめ、校内暴力、学級崩壊等は押しつけ教育に大きな原因があるとも指摘されています。これらの点を十分に踏まえて、まず教員自身が大きく意識改革することであります。  また、多彩な才能を持つ教員の確保と育成のために、教員採用試験の年齢制限撤廃、社会人採用枠の拡大、二十人から二十五人規模の少人数学級の実現、さらには通学区制の自由化、高校、大学の入学試験の抜本的改革等が急務であります。  神戸事件の反省から、兵庫県内の全公立中学校の二年生を対象に実施した職業体験学習トライやる・ウイークが、大変よい効果を上げていると伺っています。これは、中学二年生を一週間、学校の授業から解放し、原則としてその学校区内にあるさまざまな業種で働かせたり、ボランティア活動をさせたりするものであります。生徒たちは、保育所、病院、図書館、建築現場、町工場、商店、スーパーなど、広範にわたって生き生きと働いていたそうであります。  高齢社会を迎えて、介護を必要とする人、ホームヘルパーの不足に悩む人などを手助けすることによって、人間の弱さ、それらの人を支えることの重要性を認識するなど、社会を構成する一員としての自覚も深まってきましょう。事実、このトライやる・ウイークに参加した不登校生の七割が登校するようになったとのことであります。地域の実情に応じて、いろいろな試みが積極的に行われるように、教育現場の徹底した規制緩和も必要であります。  総理は、二十一世紀日本を展望して、教育制度をどのように改革されようとしているのか、お伺いいたします。  次に、農業問題についてお伺いします。  昨年農水省が発表した推計によると、二〇一〇年の農業従事者は、全国で現在より百十万人も減少し、中でも九州地方では五〇%も減り、米どころの東北地方でも三八%も減少するとのことであります。しかも、農業従事者の高齢化はますます進んでおり、このままでは、二十一世紀の日本農業はゆゆしき事態になります。農業後継者の育成と、新たな農業従事者の確保が急務であります。  この通常国会には新農業基本法が提出されますが、政府は、加速する農地の流動化と経営規模拡大対策、高齢による離農者への配慮、離農して再就職希望者への職業訓練、営農意欲を著しく妨げてきた米減反政策の廃止、中山間地域農業への所得補償制度の導入など、日本農業の抱える諸問題をどのように方向づけていくのか、お伺いいたします。  次に、昨年来緊迫の続くイラクと朝鮮半島情勢についてお伺いします。  昨年十二月十七日に始まった米英両国による対イラク武力行使について、総理はいち早く、米国及び英国の行動を支持するとのコメントを発表されました。あれから一カ月が経過した現在、イラク政府姿勢に大きな変化は期待できず、国連安保理においても、打開策を見出し得ない状況であります。  そこで総理にお伺いしますが、イラクがUNSCOMの査察を受け入れない場合に想定される米軍等による再攻撃に対し、我が国は今後も支持を続けるのかどうか、またそれはどのような根拠によるものなのか。  また、国連安保理常任理事国の中では、これまでの査察システムの改正、またイラク国民への人道的配慮の視点から、国連制裁の緩和を求めるなど、国連による対イラク政策を見直すべきだとの意見もあります。我が国は、これらの主張に対し、いかなる認識を持ち、いかに行動されようとしているのか。さらには、イラクと国際社会との関係が正常化に向かうよう、我が国は具体的にどのような外交努力を進めていかれるのか。総理の御決意のほどをお伺いいたします。  昨年八月以降、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国内に地下核施設建設の疑惑が新たに表面化し、アメリカは、九四年の米朝枠組み合意に基づき査察受け入れを要求しています。北朝鮮側はこれを否定し、疑惑の解明に応じようとしていません。また、日を追うごとに我が国に対する非難報道も激しさを増しています。  一方、ミサイル開発問題についても、またミサイル実験を行うのではないかと強く懸念される中、開発と輸出の阻止への具体的な行動にはいまだ至っておりません。さらには、韓国軍による北朝鮮潜水艇の撃沈、北朝鮮兵士と見られる遺体の日本海岸漂着など、緊迫する事態も看過できません。アメリカ政府北朝鮮政策について全面的な見直しに着手したとの報道もあります。米朝関係が大きく動き出せば我が国への波及は避けられず、まさに予断を許しません。  米朝枠組み合意の今後の推移と日本対応、そして今後の北朝鮮問題に対する外交方針について、政府見解を求めます。  次に、日米防衛協力のための新たな指針、新ガイドライン関連法案についてお伺いします。  初めに、日米安保条約第六条には、極東有事の際の米軍への基地、区域の提供の義務が明記されているだけで、周辺事態対処のために軍事目的で行動する米軍に対して、自衛隊が補給、輸送、整備等の後方支援実施するといった、日本の新たな対米協力については全く触れられていません。周辺事態法案日米安保条約第六条の規定から大きく超えるという議論もありますが、日米安保条約第六条で言う極東有事と今回の周辺事態との関係について、まずお伺いします。  次に、我が国周辺の地域、そして我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態について、政府はこれまで、地理的な概念ではなく事態の性質に着目したものであると説明してきましたが、定義が極めてあいまいであります。総理、この際、周辺事態の定義について政府の統一見解を明らかにすべきと考えますが、いかがですか。  次に、基本計画国会への報告に関する問題であります。  周辺事態法案では、これまでの日米安保体制の変更をもたらす重大な内容を含んでいるにもかかわらず、周辺事態に対する対応措置内容を規定する基本計画については国会への報告とされています。これでは、憲法のシビリアンコントロールの形骸化につながりかねないゆゆしき問題であります。  国会への報告でよいという政府の理由の一つに、国民の権利義務に直接関係するものではないと説明をしていますが、法案では地方公共団体や民間にも協力を求めており、まさに国民の権利義務に直接かかわっているではありませんか。  また政府は、迅速な決定を行う必要があることも理由に挙げていますが、自衛隊派遣にかかわるシビリアンコントロールの原則を省くことには重大な問題をはらんでいます。国会には報告で済ませ、政府判断のみでよいというのは、まさに国会軽視と言わざるを得ません。言うまでもなく、周辺事態は、戦闘あるいはそれに近い状態の後方地域で対米支援を行うものであり、自衛隊法七十六条で言う自衛隊の防衛出動と同様に、国会の承認のもとで実施するよう改めるべきだと考えますが、総理の御決断を求めます。(拍手)  平和な国際社会を構築するためには、具体的な平和戦略が不可欠であります。軍事中心のハードパワーではなく、経済政治文化、科学技術などを複合させたソフトパワーを、国際社会で積極的に活用すべきであります。我が国のソフトパワーとしては、世界唯一の被爆国としての核廃絶、軍縮の推進、ODAの展開、地球温暖化対策環境汚染対策、人口、食糧危機対策、災害緊急援助、麻薬撲滅対策などが考えられます。我が国の保有するこれらのソフトパワーを、地球的規模の問題へ積極的に活用すべきであります。  また、ことしは国連高齢者年でありますが、高齢者の抱える諸問題についても、総力を挙げて取り組むべきであります。さらに、来年は平和と文化のための国際年でもあります。  昨年、ハリケーンで一万数千人の犠牲者を出し、壊滅的な打撃を受けた中米ホンジュラスへ派遣され、現地では大変好評であった自衛隊チームの国際緊急援助隊等は、今後とも積極的に派遣すべきでありましょう。  また、日本の国際公約である留学生受け入れ十万人計画が、二〇〇〇年初頭の達成目標を目前に、事実上破綻していますが、特に経済危機のアジア諸国では、日本への留学を断念せざるを得ない事態に追い込まれている学生がたくさんいます。留学生は、将来の日本との平和のかけ橋として、長期的な平和友好の構築に大変重要であります。このような視点からも、ODA予算を優先的に活用して、当面十万人目標を達成するために総力を挙げるべきであります。  世界トップレベルの我が国の科学技術をもって、地球温暖化対策ダイオキシン対策などの技術経済支援も積極的に進め、国際貢献すべきであります。このような人間の生命と人道にかかわる重要問題においてこそ、日本は積極的に国際協力や経済支援の先頭に立つべきであります。これらの活動を通じて、アジア諸国を初め、国際社会我が国に対する認識と評価が一層深まるのではないでしょうか。  我が国が保有するこれらのソフトパワーを、有効かつ優先的に活用した積極外交を展開すべきと考えますが、総理の忌憚のない御意見を伺います。  昨年は、元自民党代議士及び秘書などによる総支部の架空領収書を使った報告書への虚偽記載事件、政党交付金の流用事件、秘書の選挙違反による初の国会議員の拡大連座制の適用など、不祥事が相次ぎました。一方、国政選挙の買収事件で連座責任を問われた候補者がくらがえ出馬して市長選で当選するなど、連座制の制裁効果が疑問視される出来事もありました。  特に、国民の大切な税金で賄われる政党交付金が政治活動とは言えない方面に流用されたことは、明らかに国民への背信行為であり、私たち政治家は当然として、関係者は厳粛に受けとめなければなりません。  自民党は、去る七日、政党交付金の不正流用や買収事件で、政治資金のあり方に対する国民批判の高まりを口実に、政党交付金総額の削減と、事もあろうに企業・団体献金の存続を決めたとのことであります。しかし、これは全くの本筋、論理のすりかえではないでしょうか。  総理、あなたは自民党総裁でもありますが、これらの一連の事件や動きに対して、いかに理解されておられるのか、しかと承りたい。  最後に、総理、この通常国会に新たな自自連立政権で臨まれていますが、国政の基盤である政権が、ほとんどの国民が夢想だにしなかった自民党自由党による連立政権である以上、一日も早く景気回復の道筋を立て、しかるべきときに衆議院を解散し、国民にその信を問うのが憲政の常道と考えます。総理のお考えを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
  13. 小渕恵三

    内閣総理大臣(小渕恵三君) 神崎武法議員にお答え申し上げます。  冒頭、議員から、国際金融の様相の変化、統一通貨ユーロの誕生、また、日本経済のファンダメンタルズの今日の悲観ムードなどに触れられまして、まさに激動する内外情勢について大きく俯瞰された上で、トップリーダーとして二十一世紀社会を構築するためのグランドデザインを提示し、国民をリードしていくべきとの御指摘がございました。  私は、議員の御主張に同感をいたしますと同時に、ぜひそのことのために努力をしてまいりたいと思っております。国の将来のグランドデザインを示すことは、政治に求められた大きな役割であると確信いたしております。そうした思いに立ちまして、私は、内閣をお預かりして以来、事あるごとに、国のあるべき姿として富国有徳ということを申し上げてまいりました。  今回、施政方針演説におきまして、二十一世紀のあるべき国の姿について、有識者から成る懇談会を早急に設置いたしまして、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめたいとの方針を明らかにしたところであります。ぜひ、議員初め十分御議論をいただき、ともに考えていただければと念願いたしておる次第でございます。  まず、集団自衛権に関する憲法解釈についてのお尋ねがございました。  政府は、従来から一貫して、憲法第九条のもとにおきまして許容される自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法上許されないとの立場に立っているところであり、この見解を変更する考えはございません。  国連の集団安全保障措置に関するお尋ねでありますが、国連憲章のもとで集団安全保障のための措置がとられる場合、我が国は、国際の平和と安全を実現するため憲法の枠内で協力していくことといたしており、こうした協力のあり方に関する従来の憲法解釈については、自自連立政権のもとでも、変更する考えはございません。  衆議院議員定数削減についてお尋ねがございました。  この問題につきましては、自由民主党自由党との間で協議がなされてきたところでありますが、先般、両党のプロジェクトチームにおきまして、衆議院議員の比例代表定数を五十人削減すること等を内容とする合意がなされたところであります。しかし、いずれにいたしましても、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、これは、各党各派におきましても十分御議論を深めていただきたいと考えております。  今般の連立政権に関しまして、そのメリットや、自由党からの入閣などについてお尋ねがございました。  まず、今般の連立政権につきましては、今日は、重ねてではありますけれども、改めて、私の思いを申し述べさせていただきたいと思います。  私は、昨年七月に内閣をお預かりいたして以来、日本経済再生に全力を尽くす立場から、あらゆる分野で思い切った施策を実行いたしてまいりました。しかしながら、内外の環境は依然厳しく、景気の回復を初め、緊急に解決しなければならない課題が山積をいたしております。また、急速な少子高齢化や情報化、国際化などの進展する中で、あらゆる分野における改革を断行し、二十一世紀に向けて、この国のあるべき方針を明確にいたしていくことが強く求められております。  私は、これらの課題に果断に取り組み、今日の国家危機を乗り越えていくために、時局認識と基本理念で一致を見ました自由民主党自由党との両党が政権をともにし、日本国国民のために、責任ある政治を実現していくことがぜひとも必要であると判断をいたしました。この連立内閣の発足に当たりまして、自由民主党自由党との間で、政治行政改革安全保障等多くの政策課題につきまして真剣な議論を積み重ね、合意をした上で連立に至った次第であります。  私は、こうした確固とした基盤に立った連立内閣であって、初めて責任ある政治を実現できるものと確信をし、また、両党間で日々ともに協力し合い、そして切磋琢磨し、両党のそれぞれのよき点を相乗的に効果あらしめて、その結果、国家国民のために大きな役割を果たしていきたい、このことを強く念じておるところでございます。  なお、この内閣の発足に当たり、私としては、率直に申し上げまして、自由党の党首であります小沢党首とともに力を合わせて連立内閣を進めたいと考え、その旨お話もいたしましたが、党首の御推挙により、自由党を代表されて、同党の幹事長として党運営や政策の責任者として務められた野田氏を自治大臣、国家公安委員長としてお迎えをいたした次第でございます。  円の国際化の具体化につきましてお尋ねがありましたが、ユーロの誕生や一昨年来のアジア通貨の危機といった、内外の経済金融情勢の変化を踏まえ、円の国際化は極めて重要な課題であると考えておりまして、全く同感でございます。政府としては、先般、FBの市中公募入札発行の実施、TB、FBの償還差益にかかわる源泉徴収の免除等、円の国際化の具体的推進策を発表したところでありまして、今後も円の国際的使用を一層推進するために、幅広い分野で努力いたしていきたいと考えております。  次に、景気対策消費者、生活者中心方向転換すべきとの御指摘がございました。  十一年度予算におきまして、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、個人所得課税の恒久的減税実施するほか、公共事業や中小企業対策、雇用対策最大限配慮するとともに、住宅ローン減税等を含め、あるいはまた子育て、教育等に配慮した控除額の加算等、人々の生活基盤の安定につながる施策を十分取り入れたものといたしております。私は、この平成十一年を経済再生元年と位置づけ、日本経済再生に全力で努めてまいりたいと思います。  いわゆる貸し渋りについてお尋ねであります。  貸し渋りの問題につきましては、先国会でも国会で十分御議論をいただき、御批判もいただきました。これまで、信用保証協会等の保証制度の拡充早期健全化法による新たな資本増強制度の創設、さらには政府金融機関による中小、中堅企業等に対する融資制度の拡充など、さまざまな措置を講じてきたところでございます。  昨年末、末になりましたけれども、私みずから、まず借り手であります中小企業団体等の皆さんと懇談会をいたし、さらに、貸し手でございます金融機関との懇談会を設け、融資の実態や意見等をお聞きするとともに、金融機関に対し、改めて適切な対応をお願いいたしたところでございます。今後とも、ただいま申し述べました諸施策を有効に機能させるとともに、貸し渋りに対する監視対策を強化する等、貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと思います。  次に、所得税住民税減税についてお尋ねでございました。  個人所得課税につきましては、将来の抜本的な見直しを展望しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、早急に税負担の軽減を図る観点から、最高税率引き下げ定率減税等、期限を定めない、まさに恒久的な減税実施することといたしたところであります。  また、定率減税実施によりまして、単年度比較で見ますと、昨年より減税額が減少する所得階層が生じることは事実でありますが、一年限りで打ち切られる文字どおり特別な減税と、恒久的に効果が持続する減税とを単純に比較することは適当でないと考えます。なお、中堅所得層に配慮し、定率減税には頭打ちを設け控除率をある程度大きくするとともに、扶養控除額の加算等を行うことといたしております。  地域振興券についてのお話もありました。  御指摘のように、市町村や商店街等が工夫を凝らし、さまざまなイベントや地域おこしに結びつけるなど、地域振興券を大きな施策として育てていただけるものではないかと、私といたしましても大いに期待いたしておるところであります。  住宅ローンの返済で苦労しておられる方々への支援策についてであります。  住宅の買いかえで譲渡損失が発生した場合の繰越控除につきましては、住宅ローン控除との併用を認めるなど、大幅な拡充を行うことといたしました。また、住宅金融公庫等におきまして、ローン返済相談を積極的に行うとともに、返済期間の延長や据置期間の設定などの対策を講じておるところでございます。  経済成長社会保障についてお尋ねでありました。  経済構造改革を一層推進し、経済の供給サイドの体質強化を図ることにより、経済が自律的に発展していくよう全力で取り組むとともに、社会保障につきましては、経済との調和を図りつつ、必要な給付は確保しながら、制度の効率化や合理化を進めるなど、改革を引き続き推進してまいります。こうしたことが可処分所得の確保にも資するものと考えます。  児童手当拡充についてお尋ねがありました。  この制度におきましては、三歳未満の時期に給付を重点化した改正を行ったという経緯や、児童手当あり方についてさまざまな御意見があること、御指摘のような拡充のためには巨額の財源が必要であること等を考えますと、慎重な検討が必要であると考えます。  奨学金制度についてでありますが、学生が自立して学べるようにするためには、奨学金制度を拡充することはもとより重要な点であります。平成十一年度予算におきましては、日本育英会の無利子奨学金につきまして、貸与月額の増額や貸与人員増を図るとともに、有利子奨学金について、貸与人員の大幅な拡充や貸与基準の緩和などを行うこととしておるところでございます。  高齢者雇用対策についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、少なくとも六十五歳まで働くことのできる社会を実現するための施策を実施しておるところであります。具体的には、企業に対する助言指導や各種助成金の活用などにより、できる限り六十五歳までの継続雇用を推進する等、その雇用機会の確保に努めてまいります。  教育制度の改革についてお尋ねがありました。  未来の担い手である若者がたくましく育つ環境をつくるための教育改革の推進が、極めて重要と考えられます。幾つか重要な点に議員触れられました。こうした問題につきましても、真摯に検討いたしてまいりたいと思います。また、ボランティア活動を初めとする心の教育の充実、教員の採用改善、教員の意識改革、現場の自主性、自律性を尊重する特色ある学校づくり等に引き続き取り組んでまいりたいと思います。  次に、農業についてお尋ねがございました。  国民の安全で豊かな暮らしの確保のために、我が国農業の持続的発展によりまして、食糧の安定供給と国土保全などの多面的な機能が、十分に発揮される必要があります。このような基本考え方に立ちまして、現下の農業をめぐる諸課題も踏まえ、今後の農政の方向づけを行うべき新たなる基本法の制定など、政策の具体化に全力を挙げてまいります。  次に、外交問題につきましてお話がございました。  イラクに対して再攻撃が行われた場合に、米英両国による武力行使停止後もイラクがUNSCOM等への協力再開の姿勢を示していないことから、現在のイラク情勢は、引き続き予断を許さないものであるとの認識をいたしております。こうした中で、我が国を含む関係諸国は、事態の正常化に向けて外交努力を行っておるところでありまして、このような段階におきまして、イラクに対する再攻撃を想定した御質問にお答えを申し上げることは適当でないと考えます。  対イラク政策の見直し等についてでありますが、本件につきましては、現在国連安保理におきまして議論が行われておると承知をいたしております。いずれにせよ、イラクによる大量破壊兵器の保有を封ずることが国際の平和と安全の確保のために不可欠であり、同国に対し国連安保理が一致して毅然とした対応を示していくことが肝要であると考えます。我が国としては、関係国とも緊密な連携を維持し、イラク政府に対し関連安保理決議の遵守を働きかける等の外交努力を行ってまいります。  北朝鮮についてのお尋ねでありました。  我が国は、北朝鮮の核開発を阻むために引き続きKEDOを支援するとともに、北朝鮮が秘密核施設疑惑やミサイル関係等をめぐる国際社会の懸念を解消するよう、米国及び韓国とも連携しつつ対処してまいります。また、北朝鮮がこれらの問題に建設的に対応するのであれば、対話と交流を通じ関係改善を図る用意があります。せっかくに現下、四カ国会合が開かれておりますので、その成果を見守ってまいりたいと思っております。  次に、日米安保条約周辺事態との関係についてお尋ねがありました。  周辺事態安全確保法案は、我が国の平和と安全の確保のため資することを目的として、日米安保条約に基づく日米安保体制のより円滑かつ効果的な運用を確保するために策定された日米防衛協力のための指針の実効性を確保するため作成されたものであり、そのような意味におきまして、日米安保条約の目的の枠内であると言うことができます。  また、周辺事態の定義につきましてお尋ねですが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であり、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであります。したがいまして、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定し、あるいは一概に画定することはできません。このことは、従来より明確に説明いたしてきておるとおりでございます。  周辺事態安全確保法案基本計画国会承認とすべきとの強い御指摘であります。  周辺事態への対応は、武力の行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないこと等を総合的に勘案すれば、防衛出動と異なる性格のものであり、基本計画国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えております。何とぞ、国会におきまして十分な御審議をいただきたいと考えております。  外交におけるソフトパワーの活用についてお尋ねがありました。  施政方針演説でも申しましたように、私は、我が国国際社会で尊敬され、その地位にふさわしい責任を果たしていくことが必要であると考えております。そのためにも、今後とも、政府開発援助の実施、人道救援活動等を積極的に進めてまいる所存であり、神崎議員の、経済文化、科学技術などを複合させたソフトパワーを活用すべきとの御意見に賛同するものであります。  また、留学生の受け入れは、我が国と諸外国との相互理解と友好親善を促進し、途上国を初め各国の将来を担う人材の育成に協力するとの観点から、今後とも一層積極的に推進してまいります。  自衛隊の国際緊急援助隊のホンジュラスでの活動につきまして、御評価をちょうだいいたしました。現地で非常に高い評価を受け、また感謝されたと聞いております。今後、大規模災害に際し自衛隊の派遣が必要と認められる場合には、先方政府の要請等も踏まえつつ、適切に対応し、国際協力の推進に努めてまいります。  帰国いたしました隊員の皆さんにも官邸でお目にかかりまして、その努力を多とし、その行動に対して大きく評価されておることを申し上げ、隊員の皆さんも、今後とも力強くその問題について対処してまいりたいという決意が述べられておりました。  政党交付金の不正流用事件についてお尋ねがありました。  これらの問題につきましては、同僚議員が辞職し、失職したことはまことに遺憾であり、こうした事件が再び起きないよう、政治家個人が厳しく身を律していかなければならないと考えております。  政党交付金の総額並びに企業、労働組合等の団体献金につきましては、政治改革関連法の施行後五年を経過した場合において見直し等を行うものとされております。これらの問題につきましては、まずは各党各会派におきまして十分御論議をいただくべき問題と考えております。  最後に、解散についてのお尋ねがありました。  日本経済再生を初め、内外の重要課題に真正面から取り組み、迅速的確に施策を実行していくことが、この内閣に与えられた使命であります。改めてこのことに思いをいたすとき、国家国民のために、責任ある政治を実現すべく全力を尽くしてまいる覚悟でありまして、解散は全く念頭にありません。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたします。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
  14. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 地方財政消費税福祉についての関係の御質問にお答えを申し上げます。  確かに、地方財政は非常な苦境にございまして、これは一つは一般の景気の反映でもございますが、このたび減税をいたしておりますので、その地方自身による減税分と国税の減税のはね返り分、交付税を通じての影響、その二つがございます。  まず、地方自身減税影響は大体一兆円ほどでございますが、それは、国としてはたばこ税の入れかえをいたしました。これが千億ほど。あるいは、法人税の交付税率を少し上げました。また、殊に不交付団体が法人事業税の関連で非常な不振にございますので、地方特例交付金というものを新たに六千三百億でございますか、設けたりいたしまして、ともかくかなりの部分、国が必要と思われる支援をいたしております。  それから、国税の減税地方交付税に響きました分、これは一兆五千億円ほどでございます。折半をいたしまして、交付税特別会計の借入金等で半分を賄うことにいたしております。  しかし、地方も非常な苦しい状況でありまして、御苦労をしておられることはおっしゃいますとおりでございますが、そこで消費税の問題でございますが、御承知のように、平成六年度に改正をいたしまして、五%のうち一%は地方消費税になっております。またその際、消費税地方交付税率分、消費税に係る地方交付税を二四%から二九・五%に率を上げておりますから、結局、消費税全体の四三・六%までが地方の収入になっておるという現状でございます。したがいまして、これをこれ以上変更するということは、なかなか容易なことではないように思われるわけでございます。  ただ、消費税福祉のための財源との関係につきましては、昨日も、国につきまして、その使途を基礎年金、老人医療及び介護に限るということを予算総則に明記したということを申し上げました。これは意味のあることだと思っておりますし、また、地方福祉がともすれば後退しやすいということも私は共感をしておりますところですが、将来増大が予想されます社会福祉の需要と、それから、それに対応するための国、地方、あるいは国、地方を通じて財源あるいは行政をどう分担するかというようなことは、幅広い問題として検討していかなければならないものではないかというふうに考えております。(拍手)     〔国務大臣野田毅君登壇〕
  15. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 私に対してのお尋ね地方税財源の充実の問題であります。  今、大蔵大臣も御答弁されたとほぼ同趣旨になりますが、地方分権の進展に応じて地方団体がより自主的、自立的な行財政運営ができるようにするためには、地方税財源の充実強化を図っていくということが極めて重要であるということは、御指摘のとおりであります。また、御指摘されました地方消費税の配分割合などの見直しについては、貴重な御提言と受けとめさせていただきたいと存じます。  何といっても、地方においても財政再建、極めて重要な課題でありますが、それに先立って経済そのものをどうやってきちっと立て直していくかということが国、地方を通じて喫緊の課題でもあります。そういったことがきちっと絵が描かれた上で、ちゃんとした一つの財政再建の姿なり、あるいは行政改革も含め、国、地方の仕事の配分の見直し等々の中から、ちゃんとした税財源の位置づけということをあわせてやっていかなければならない、そういう課題であろうと思っております。  以上であります。(拍手)     〔国務大臣高村正彦君登壇〕
  16. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 北朝鮮については、総理が答えられたとおりでありますが、北朝鮮の核兵器開発を封ずるためには米朝間の合意された枠組みの維持が重要でありまして、我が国としてもKEDOを引き続き支援していく用意があるわけであります。他方、KEDOの枠組みを維持する上で、北朝鮮が秘密核施設疑惑やミサイル問題等の国際社会の懸念を解消する行動をとることが重要であります。  我が国としては、米韓両国と緊密に連携しつつ、このような国際的な懸念並びに拉致疑惑等の日朝間の諸懸案に対処していく方針でありますが、北朝鮮がこれらの問題に建設的に対応を示すのであれば、対話の再開を通じ関係改善の用意があるわけであります。(拍手)      ————◇—————
  17. 岸田文雄

    ○岸田文雄君 国務大臣演説に対する残余の質疑は延期し、明二十一日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
  18. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    中村正三郎君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣    有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣    川崎 二郎君         郵政大臣    野田 聖子君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣    関谷 勝嗣君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣    太田 誠一君         国務大臣    堺屋 太一君         国務大臣    野中 広務君         国務大臣    野呂田芳成君         国務大臣    真鍋 賢二君         国務大臣    柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣法制局長官  大森 政輔君