運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-04-22 第145回国会 衆議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十二日(木曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 小川  元君    理事 栗原 裕康君 理事 栗本慎一郎君    理事 小杉  隆君 理事 増田 敏男君    理事 藤村  修君 理事 山元  勉君    理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君       岩永 峯一君    大野 松茂君       奥山 茂彦君    倉成 正和君       佐田玄一郎君    下村 博文君       高鳥  修君    高橋 一郎君       中山 成彬君    松永  光君       渡辺 博道君    池端 清一君       田中  甲君    中山 義活君       池坊 保子君    西  博義君       笹山 登生君    石井 郁子君       山原健二郎君    濱田 健一君       粟屋 敏信君  出席国務大臣         文部大臣    有馬 朗人君  出席政府委員         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君  委員外出席者         文教委員会専門         員       岡村  豊君 本日の会議に付した案件  学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提出第六七号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 小川元

    小川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  3. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 おはようございます。自由民主党の栗原裕康でございます。  学校教育法等の一部を改正する法律案について、前回に引き続きまして二回目の質問に立たせていただきたいと思います。  前回、私の質問趣旨は、戦後の日本言論界をある意味ではミスリードし続けてきました進歩的文化人というものの存在、そしてその人たちがなぜ間違った言論をリードし続けてきたのか、あるいはその責任を全くとらないで平然としていられたのかということは、恐らく大学の閉鎖的な、あるいは非常に悪平等といいますか、そういった旧来の組織運営システムの欠陥がその原因の大きなものであっただろう、今回の法律について、そういった長年の懸案であった大学組織運営システムに大きなメスを入れる第一歩であるということで、評価をする、賛成をするという立場から質問させていただきました。  きょうは、前回質疑で各党のいろいろな委員議論がございましたし、その中で気になった点、あるいは四月十六日の日に参考人先生方意見陳述をしていただきまして、大変私も参考になりましたし、有意義な参考人質疑だったと思いますので、そういう参考人質疑を通じて私なりに疑問に思う、あるいは我が意を得たりといろいろありましたけれども、そういった点を中心に質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、前回委員会で社民党の濱田委員が、学生意見大学運営に反映させるべきである、そういう御意見をおっしゃられました。そして、参考人質疑の中でも、一人そういうことをおっしゃる先生もいらっしゃいました。前回濱田先生の、学生意見をどう反映させるんだという質問に、大臣から、授業評価といいますか、そういったものをぜひ実現させたい、教授側から学生評価することはもちろん今までやっているわけですが、逆に学生から教授評価する、そういうものも導入をしたいというお話をいただきました。  ちょっと私調べてみましたら、実はもうやっているところが結構あるんですね。  これはある私立大学の例でございますが、ミニコミ誌で、学生授業に対する評価というのは、主に単位が取りやすいか成績で優をとりやすいか、そういう観点で書いてありますから、余り参考にならないかもしれませんけれども、二、三読みますと、例えばアジア史。「特に東南アジアの歴史を取り扱う。先生は、話術だめ、傲慢、板書の仕方が悪いときている。」なんて書いてあるんですね。それとか、「常に生徒から厚い信頼を受けている先生授業に出なくても、授業中寝てても単位は取れる。まじめに経済史を学びたい人はどうぞ他へ。」こう書いてありますね。結構学生が自由にいろいろなことを書いている。  もう二、三紹介しますね。例えば、アメリカ政治外交史。「教科書あれば楽勝、しかし、毎年教科書指定が変わるので先輩から頂戴しても馬鹿をみる。しかも前後期で教科書がちがう。ちなみに昨年は二冊で六千五百円なり。」教科書を売るような授業だ、こういうふうに書いてあるんですね。そのほか、先生が高齢なのでしょっちゅう休講があるとか、そういう評価をしております。  国立大学の方を、余り時間がなかったんですけれども文部省お願いをして多少調べてみました。東京大学なんかはちゃんとあるんですね。「教官教務逆評定九九春の号」、これはムーディーズの格付をまねまして、AとかAAAとか、いろいろあるんですね。それと、ワーストテンなんというのがありまして、これにもいろいろなことが書いてあるんですね。  そのほか、静岡大学教養教育委員会では、「より良い履修指導授業改善のためのアンケート」、これはかなりまじめなものですね。それから、茨城大学工学部の点検・評価委員会の「良い授業ベスト5」アンケート報告書なんというのがあるんですね。  ですから、結構やっていらっしゃる。どちらかというと学校側が関与してまじめに、多分大臣が想定するのはこういうことだと思うんですけれども、やっているのもあるし、それから、いわゆる学生の全く自由な発想で、ミニコミ誌的な、どうかなと思うんですが、例えば授業単位が取りやすい、あるいは成績で優がもらいやすいという観点から評価しているのもありますし、それもなかなか辛らつな評価をしているということで、私は、なるほどこういう形で学生意見授業にもあるいは学校運営にも反映されているのかなという気がいたしました。  私の意見を申し上げれば、余り四角四面に学校側のイニシアチブというよりも、むしろ学生の自由に任せた方がいいのかなというような気もしております。  もう一つの例を挙げますと、これもある私立大学の話なんだそうですけれども学生自治会館というのがありまして、そこの運営はすべて学生にお任せをしている。そこでは、例えばいろいろなサークルクラブ活動部室の割り振りなんかをするんですね。ところが、学生自治会執行部というのはある一部左翼系学生に完全に牛耳られておりまして、例えばガイドライン法案反対デモに参加すると部室が割り当てられる。  あるいは、学生自治会というのは学園祭を仕切っておりまして、学園祭というのは外部からお客さんがいっぱい来ますから、学生たちのいい収入源になるんですね。例えば、いろいろなサークルで出店をする、屋台を出す。そこで、当然のことですけれども学生も二十以上もいますからアルコールを販売しようとすると、アルコール独占販売権学生自治会が持っておりまして、そこを通さないと一切酒は売れない。相当差益を取られまして、それはみんな左翼系が牛耳っている学生自治会収入源になってしまう。  それについて、例えば公の席で学生がおかしいじゃないかというようなクレームをつけますと、これは確かめたわけじゃありませんけれども、その後学内でリンチに遭ってしまうというようなことがあって、もうだれも言わない。必ずしも学生に、学生の主体性を尊重して大学のある一部の運営を任せると余りいいこともない、そういう事例もあるのでございますね。  今二、三の例を挙げましたけれども、改めて大臣の御所見を伺いたいんですけれども学生大学運営あるいは大学授業等にどういうふうにかかわっていくべきなのか、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  4. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大学運営においては、やはり最後まで責任を持つべき人間というのは学長であると思います。学長が、教員組織人々意見を代表する評議会意見を踏まえながら、きちっと大学運営をしていくということが重要なことでございます。そういう意味で、教育を受ける学生諸君大学意思決定への参画というのは適当でないと考えております。  これは大学紛争以後さんざん考えました。本当に考えて、一時学生諸君意思形成機関に入れるというようなことも考えたことがございますが、呼びかけたらついに入ってこなかったという例もあります。  そういうことがありますので、世界的な動きを見ていて、やはり教職員で構成される組織がきちっと運営をしていくべきである、そしてその上で、教員組織代表者である評議会意見を踏まえつつ学長意思を決めていく、この意思決定の方法が一番いいと私は判断をいたしておりますし、今回もそういう考えで法律を御提案いたした次第でございます。  しかしながら、学生諸君意見というものを十分酌み取るという必要があると私は思っております。例えば、今御指摘授業評価でございますが、これは絶対やるべきだと私は思う。学生諸君がやっているところがありますが、私はやはり大学が主体的に一方でやるべきだ、それに対してまた学生諸君が自由な立場からやることもいいと思います。  なぜ大学でやるべきだと私が長年主張しているかというと、アンケートというふうなものじゃなくて、授業評価を行いますと授業のどこが悪いかということがはっきりするわけですね。先ほど、板書のことを御指摘になっておられました。遅刻はしてこないか。準備してくるか。講義は明確であるか。それから、質問にちゃんと答えたか。オフィスアワーオフィスアワーというのは別のところで学生諸君のいろいろな質問に答えるわけですが、そういうものにきちっと対応しているか。授業時間をちゃんとやめたか。エクセレントかベリープアか。こういうふうな評価をやはりきちっとすることにより、学校の、その場合でありますと例えばまず最初教室主任とか学部長と思いますが、そういう人々がちゃんと授業が行われているかを見ることと、それから、その先生自分自身授業の仕方に対する反省の具にするということができますので、これは絶対やるべきだと思っています。  しかし、アンケート調査等を通じまして、教授のみならず、授業全体とか教室施設あるいは厚生施設などが十分かどうか、そういう点についての意見を取り入れて教育研究活動改善していくということは極めて望ましいことと考えております。そういう意味で、学生の意向を積極的に把握すべく努力をすべきだと私は考えております。
  5. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ありがとうございました。  あくまで学長責任をとって、しかも同時に学生意見も十分聞く。特に授業評価については、学校側がやって、なおかつ、それに対して学生側はアングラ的といいますか、ミニコミ誌的にやるということで、両輪でやっていく、こういうことでございますね。よくわかりました。  次に、参考人意見陳述の中で、今回の法案による改革はまだプロセスの途中である、インプロセスであるという御意見が出されました。私もそういうことでは全く賛成でございます。しかも、これも参考人先生が御指摘なさいましたけれども、九九%の学生学部を卒業して社会に巣立っていく。社会に巣立っていくということは、つまり恐らくほとんどの方が何らかの企業役所団体就職をしていくことだと思うんですね。  今度逆に、今まで受け入れる側の企業役所団体大学教育にどんな期待をしていたのかといいますと、多分私はこうだと思うんですね。特に文科系の場合は、例えば大学でどういう授業をとって何を学んできたということは余り関係ない、むしろ企業に受け入れてからあるいは役所に受け入れてから、社内で、役所内で研修をする。例えば、例は適切じゃないかもしれませんけれども、上級、いわゆる公務員のキャリアの合格者というのは、役所に入ってからとにかくいろいろなところに回されて、しかも外国まで行って、非常にある意味ではエリート教育をされるわけですね。企業なんかもやはり配置転換をどんどんして、非常に社内研修というのを充実させる。  ですから、企業側からすると、学校で何を学んできたかということは余り重視しないで、ある意味では、社内研修を充実させておりますから、それにたえ得る基礎的な学力といいますか、そういったものを重視していくという傾向にあったと思うんですね。  これは背景には、日本右肩上がり経済成長をしておりましたし、それから、いわゆる日本的な雇用慣行といいますか、終身雇用制で、しかもどちらかというと年功賃金、いわゆる本人の仕事の面での評価というよりもむしろ年功賃金、こういうことでいっておりましたので、企業側からすると、繰り返して恐縮でございますが、大学で何を学んだということよりも、むしろどういう大学を出たのかということ、あるいは大学での成績がどうだったのかということを重視して人材を採っていくということになりますね。  したがって、極端な話をすれば、ある意味では高校三年卒業時の学力でもうその人物を評価するとか、あるいは大学で、先ほど私ミニコミ誌を紹介いたしましたけれども、いかに優の数が多い学生を採るかということになると、授業が、何を学ぶかというんじゃなくて、いかに優をとれるか、そういうことになっちゃう、そういう弊害が今まであったと思うんですね。  しかし、大臣も御案内のように、これからの企業活動というのはグローバル化がどんどん進んでおりますし、それから、私ども団塊世代でございますけれども、私ども世代が一番今割を食っているんです。要するに、年功賃金でいえば一番高い賃金をぼちぼちもらい始めるんですね。しかし、能力には随分差があります。そうすると、能力の落ちる人は、企業にとってみれば、賃金は高い、能力はない、どうしようもないというので一番リストラ対象になるんです。現実に、リストラ対象に随分なっています。  したがって、これからの企業人材のいわゆるニーズというのは、そういう今までの偏差値重視といいますか、社内で十分研修するにたえ得る基礎学力ということよりも、むしろ企業雇用形態が変わってきて、どんどん転職をさせる、転職しても構わない、あるいは女性であっても意欲があって能力があればどんどん採用していく。大学偏差値というよりも、むしろ本人能力というものを重視していくというふうに変わると思うんですね。もっと極端に言うと、年功賃金から本人能力評価に変わっていくと思うんです。  そういうことを考えますと、今度の法案で、いろいろなカリキュラムの再編成に伴って、例えば三年で卒業できる道が開かれていますね。考えてみますと、今までは今言ったように偏差値でどっちかというと判断いたしましたので、大学三年の後半ないしは大学四年の初めにとにかく学生があっちこっちの企業をばあっと回って資料を請求して、ごく短時間で、場合によってはその瞬間で就職を判断するということになったわけですけれども、やはりこれからはもうそういうことではなくて、せっかく三年で大学を卒業できる道ができているんですから、それに伴ってカリキュラムの再編成をするんですから、これはインターンシップ制というんだそうですけれども、例えば、大学生の時期のある時期に少なくとも複数の企業に一、二カ月行って、企業側が受け入れてくれれば、研修をしてじっくり就職を選ぶということもむしろ大事なことじゃないかなというふうに私は思うんですね。  そういうことについて、三年で卒業できる道が開かれておりますので、各学年のカリキュラムの再編成によって、学生が少なくとも一、二カ月数社の企業で試験的に働いてみて、そこでの活動を通じ自分に適性な会社を選ぶということが、企業協力が得られれば可能になるような道も模索すべきではないかというふうに私は思いますけれども大臣の御見解を伺いたいと思います。
  6. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私も大賛成でございます。  これは、大学だけではなく、初中教育の中での高等学校段階、すなわち、かつて職業高校と言われておりましたところ、今専門高校、ああいうところでも大いにインターンシップを活用すべきだと思っております。  今、インターンシップを二月、三月という御指摘でございましたが、もっと長くても構わないと思っております。ただ、そのインターンシップで出た後それをきちっと単位に認めるというふうなことに関してまだ議論がございまして、既に認めているところもあると思いますが、そういうところの制度を整えることが一番大切だと思っております。  特に、工学部とか農学部等々、現場を見た方がいいというふうな学科の授業学部授業に関しましては、インターンシップ等を特に積極的に導入すべきだと考えております。
  7. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ありがとうございます。  次の質問に移ります。  これも参考人意見陳述の中にございましたけれども、今私が申しましたように、企業等はもう年功賃金からどんどん業績評価に移っていくんですね。一方、大学、特に国立大学はどうかといいますと、これはやはりある意味では年功賃金だと私は思います。例えば、いい研究発表、すぐれた研究発表に対しての報奨とか、あるいは学生に対して大変いい教育を施しているということについて、いわゆる金銭面での評価というのが日本国立大学ではなされていないような意見陳述でございました。今後、こういう点も改善していかなければいけないと思いますけれども大臣の御見解を問いたいと思います。
  8. 小野元之

    小野(元)政府委員 御指摘にございましたように、大学教員につきましても、能力、実績に応じました適切な給与上の処遇ということが大切だと思っております。  一つの例でございますが、平成九年度には、いわゆる特別昇給の枠を拡大いたしまして、教育研究上の業績給与上より明確に反映させるというような措置も講じたところでございます。それから、この特別昇給実施基準、あるいは勤勉手当の支給の基準等につきましても、相次いで弾力化を図りまして、めり張りのきいた運用が可能になるように努力しているところでございます。  また、お話ございましたように、極めて顕著な研究上の業績等を上げられました、例えば、ノーベル賞でございますとか文化勲章クラス、そういったものにつきましても、特にそういった場合には、教授指定職という例があるわけでございますけれども、そういったものにつきましても、今関係方面と協議を進めておるところでございます。  いずれにいたしましても、そういった教員意欲が高まり、教育研究の効果が上がりますように、給与上の措置といたしましても努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 官房長の今の答弁、よくわかります。ただ、これはまた非常に難しいことでございますけれども、私が言いましたのは、教育業績評価、いい教育を施したということについてもということです。これは多分、処遇は非常に難しいですよね。この先生授業は非常にいいという評価をどうやって客観的に位置づけるか、難しいと思いますけれども、そういうことについても、今後御検討いただければというふうに思います。  次の質問に移ります。  これも参考人の御指摘にありましたけれども大学事務局体制事務局職員。今度の法案審議を通じまして、各国立大学教職員組合から、これは反対である、これは慎重にしろという意見がファクスや文書でどんどん送られてきています。このことは、逆に何を意味しているのかなと私考えるんですが、多分大学事務局職員体制というのも相当時代おくれになっているんじゃないかな、反対陳情が多いものですから、逆にそう思うんですね。  学生たちに聞きますと、やはり事務局職員が非常に傲慢であるとか、一時、公務員の窓口の好感度みたいなものも評価したことがありますね。一番悪かったのが社会保険庁だったなんという、ちょっと余計なことを言いましたけれども、そんな評価もあったようです。大学事務局職員も、実は相当態度が悪いんですね。  今回の法案で、大学職員事務局体制についての何らかの改善とか改革というものについては余り触れられておりませんし、それから、これからは国立大学といえども、先ほども言いましたように、コスト感覚を持っていかなければいけないと思うんですね。そういう意味では、大学事務局職員体制を今後どのように改革していくのか、伺いたいと思います。
  10. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 お願いをしております今回の法改正は、国立大学が一個の有機的な組織体として責任ある運営を行うことができるように、基本的な枠組みの整備を図るものでございます。このような改正趣旨の実現をするためには、学長学部長等の行う大学運営業務を支援する事務組織充実強化というものが不可欠でございます。  そのため、各大学においては、一つ教学組織事務組織機能分担連携協力あり方についてさらに検討していく必要があるというふうに考えておりますし、その前提といたしまして、教職員意識改革であるとか、事務組織における業務専門性効率性向上、こういった点が必要であるというふうに考えております。  文部省といたしましても、御指摘ございましたような事務処理体制あり方、あるいは、コスト感覚というものも十分に備えて必要な業務を効果的に行うことができるように、さまざまな改善を考えてまいりたいと思っておりまして、具体的には、まず全学的な観点から適正な職員配置をしていく必要があるだろうと思っております。また、人事、会計、財務の柔軟性向上による事務合理化専門化や、事務処理電算化業務外部委託など、事務処理業務高度化を図っていく必要があるというふうに考えておりますし、また、人事交流、あるいは民間企業での研修会充実等を図って事務職員資質向上などに努める必要があると考えております。  いずれにいたしましても、事務組織重要性を踏まえた各般の施策を今後とも充実してまいりたいと考えております。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 独立行政法人の問題も、この前の質疑でございましたね。私は、恐らく相当大学改革をこれからしていかなきゃいけない。事務局体制も、職員配置とか職員の身分とか、そういうものも相当変えていかないとこれはなかなか難しいんだろうと思うんですね。そういう意味では、平成十五年でしたか、独立行政法人の結論を得るということになっておりますけれども、余りその改革がおくれますと、そのときに極端な方向に行ってしまうという可能性もあると思いますので、ぜひいろいろな意味で御検討いただきたいと思います。  もう最後になりましたけれども、いずれにしましても、今度の法律で、私ども長年本当に大学はこれでいいのかなと、閉鎖的で、どちらかというと独善的と言っては大変恐縮でございますがそういう部分も見える、それが社会に開かれた形になってくる。この前の参考人意見陳述にもございましたけれども教授会というものが実質的に大学を支配しておって、しかもそれが全会一致の原則とかどうのこうのということがありまして、非常に時間をむだにし、非効率的に、しかも責任の所在もあいまいになってしまうといういろいろな弊害がございました。  それを今度の法律である程度改善できると思いますけれども、ただ、ここははっきりとしていただきたいのは、評議会とか教授会というのは、これは最高意思決定機関ではないと思うんですね。何かその辺が非常に誤解がありまして、教授会が一番偉いんだというようなことがありますけれども、偉いというのは大変変な言い方ですね、最高意思決定機関だというような誤解があるように思うんです。  ですから、これはあくまで学長大学としての意思決定を行う責任者ということで、評議会教授会意思決定機関ではなくて審議機関である、学長はそれを尊重しながら、最終的には自分責任でやっていくということを、指導するという言葉はどうかわかりませんけれども、きちっとコンセンサスを得なければいけないと思います。  そういうことでございますので、文部省として、今後、今私が申し上げましたように、評議会教授会意思決定機関ではなくあくまで審議機関にとどまる、最高責任者学長であるということをどういうふうに指導というか誘導していくのかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  12. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 国立大学が自主性を持って教育研究の充実を図るためには、責任ある組織運営体制というものを確立することが不可欠でございます。今回の法案におきましては、評議会教授会審議機関と位置づけ、大学運営に当たっては、最終的には学長がみずからの判断と責任で決定するものであることを明確化するとともに、学長評議会の議長として責任ある会議運営を行うこととしております。各大学におきましては、このような制度改正趣旨に沿った組織運営の適正化を図りつつ、学長補佐体制の整備や学長選考の改善などに積極的に取り組む必要があるというふうに考えておるところでございます。  文部省といたしましても、このような各大学の積極的な取り組みを支援するため、制度改正趣旨を各大学に対して十分指導、周知徹底をするとともに、今後とも、副学長の整備や学長裁量経費の措置など、学長がリーダーシップを発揮し得る環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 終わります。ありがとうございました。
  14. 小川元

    小川委員長 次に、山元勉君。
  15. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  前回に引き続いてお尋ねをさせていただくわけですが、法案に入ります前に、別の問題ですが、きのう、きょうの新聞で報道されておりますアメリカのコロラド州の高校の痛ましい事件について、大臣の所感をお伺いしたいと思うんです。  これは非常に痛ましい悲惨な事件でございました。報道によりますと、これがいじめに対する仕返し、あるいは人種差別、あるいはスポーツ選手へのねたみとかいろいろな問題が報道されています。要するに、人権の問題、あるいは心の問題が根本にあるんだろうというふうに思います。他山の石にせよという言葉がありますけれども、それにしては余りにも痛ましい事件だというふうに思います。  日本の場合、アメリカのこういういろいろな事象については、十年おくれでやってくるということが言われていますけれども、今は十年もかからないでやってくるというふうに考えなきゃならぬわけです。日本の場合は、銃の保有の問題、アメリカは憲法で保障しているわけですけれども、そういう条件は違いますけれども、今申し上げましたようないじめの問題だとか、あるいは差別、部落差別の問題だとか、共通している問題がたくさんあるわけですね。現に、新聞のきょうの社説なんかでも、学校の荒廃という言葉が見出しに使ってあるわけですね。これは日本の場合も同じことです。  クリントン大統領は、きのうのコメントで、早速のコメントでしたけれども、アメリカは今、同様の事件の再発を防げるかという問題の大きさに目覚めなければならないと。これは、社会全体がこの再発を防止していくんだということで思いを新たにしなきゃならぬということを大統領は言っているわけですけれども、国民的ないわゆる課題だ、こういうふうに言っているわけです。  日本の場合、今申し上げましたような共通の根はあるわけです。ですから、文部大臣あるいは文部省として、どういうふうに今この事件について受けとめていらっしゃるのか。あるいは今、この機になすべきことがあるんではないかというふうに私は思いますけれども文部省としての今の所感とか、あるいは対応についてのお考えをまず伺っておきたいと思います。
  16. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私もこのたびの事件、大変痛ましいことであると思っております。アメリカのさまざまな問題をあそこに浮き彫りにしていると思っております。しかし、御指摘のとおり、日本でも似通った問題が起こる可能性が十分ございます。神戸の事件というふうなものも、そういうことの一つのあらわれであったという可能性がございます。  文部省といたしましては、たびたび申し上げていることでございますが、生きる力ということを今大いに教育しようと思っています。その生きる力というのは、一つは、もちろん独力で解決していく、みずから勉強していくというふうな知徳体の知の部分もありますが、徳及び体のところも非常に重要視しておりまして、思いやりの心とかしっかりした倫理観を持つ、美しいものを美しいものと思う、そういうふうな健全な心や体力を十分育てていかなきゃならないということを主張しているわけでございます。  さらに、心の教育という点で、ただいま御指摘のような生命を尊重しないというふうなことがないよう、命というものは自分の命も他人の命も極めて重要なものであるという命を尊重する心、そしてまた他者を思いやっていく心、それから正しい社会性、倫理観を持つこと、正義感を持つというふうなことを心の教育の充実として図っていきたいと思っている次第でございます。  最大限、こういうふうな痛ましいことが起こらないよう努力を続けてまいりたいと思っています。さらにまた、覚せい剤というふうなものがこのごろ大幅にふえてくる様子がございますので、こういう点に関しても、今後も厳しく検討を進めていきたいと思っております。
  17. 山元勉

    ○山元委員 先ほども言いましたように、共通する問題があるわけですから、根があるわけですから、子供たち自身も、今大臣おっしゃられますように命だとか思いやりとかいうのが大事だということがこの機会に十分また考えられるように、各学校でも考えられるようにぜひ御指導をいただきたいというふうに思います。  それでは、法案についてお尋ねをしたいと思うんです。  先週十六日に四人の参考人の方に来ていただいて、お聞かせをいただきました。実に率直な御意見でしたし、そして参考になりました。そこで私も感じたのは、今の大学は大変難しい状況にあるんだなということを実感をしましたし、そして大学がそれぞれこの現状を何とかしなければならぬという御努力をいただいているということも理解をしました。私も、十四日のここの審議の場でいろいろなことを確かめさせていただきましたけれども参考人の皆さんの御意見、実態を幾つか詳細に伺ったことについてお尋ねをしたいというふうに思います。  最初に、あそこの場でも問題になりました三年卒業の問題です。これは、例外的な措置であって、安易に流れないようにすべきだ。これはもう参考人の御意見も強い意見がございました。ただ、そういう道を開くということについては意義がある、こういう御意見もございました。ですから、大事なことは運用の問題だというふうに思います。慎重に運用されるための歯どめ措置をかけることが必要だというふうに思います。  これから文部省令でいろいろの基準を決めていかれるわけですけれども、どういう内容になっていくのか。実際、現実的に、これは厳正にやらなきゃだめですよ、しっかりと授業をやりなさいよという精神規定だけではだめだというふうに思うんです。ですから、私は、文部省令でどういう場合に認められるのかという条件を明確に定めること、あるいはそういう適合した人が出たときにはきっちりと、こういう尺度でやったんだということが公表できるような前もっての措置というのが必要なんだというふうに思うんですが、どういうふうにお考えですか。
  18. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 三年以上の在学で卒業を可能とする措置につきましては、御指摘ございますように、安易に卒業が認められるようなことがあってはならないと文部省としても考えておりまして、各大学がこの措置をとり得る要件として文部省令においては、まず大学についてでございますが、責任ある授業運営を前提として、厳格な成績評価を行うこと、また履修科目登録単位数の上限制というものをその大学において導入していることとした上で、学生につきましては、三年以上の在学で卒業に必要な単位数を取得し、かつ成績が優秀であると大学が認めた学生であること、また本人が卒業を希望することなどを定めることとしております。  また、文部省といたしましては、この措置が適切に運営されるよう、法律が成立しました場合には、その施行の通知や各種会議等により趣旨についての周知徹底に努めるとともに、各大学におけるこの措置の運用基準あるいは運用の実態等について広く社会に公表していくことが必要であると考えておりまして、御指摘の点を踏まえて、各大学に対して十分な措置がとられるよう指導してまいりたいと考えております。
  19. 山元勉

    ○山元委員 重ねてですけれども、言葉としては、安易な運用がなされないように、これは大学みずからが自殺行為になりかねないことでもありますけれども、そこのところは文部省令でもきちっとした枠をはめていただきたいというふうに思います。  次に、評議会教授会の問題ですけれども参考人の皆さんからも実態についていろいろの状況の御報告がありました。例えば、個別学部の利益の集合である性格が強くて、大学全体の意思決定がなかなかできぬ、何回も何回もだとか、長時間かかってとかいうこともありました。あるいは、一部の学部反対すると、これは結論が出せない、動けないというようなことも御指摘がありました。そして、大学の自主性を高めていく必要がある、だから現状をやはり改善しなきゃならぬ、こういう御意見もございました。  確かに、私もそういう実態は理解できます。しかし一方で、大学組織というのは、企業や官庁と違って、トップダウンで物が決めていけない、いってはいけない部分が非常に大きい。それぞれの教員の自主的な、創造的な活動が一番根底にきちっと保障されなければならない、それが大学だろうというふうに思います。ですから、そういう意味では、今回の、関係をそれぞれ明確にしてバランスをしっかりとしようということについては私どもわかるわけですけれども、そういう現実を余りに強く見て、教授会なり評議会というものが軽視されるようなことになってきたのでは、これは大学の自治だとかあるいは研究の自主性というのは損なわれていくだろう、末は大学の活力がなくなっていくんだろう、こういうふうに思います。そういう意味では、評議会意思も、あるいは教授会意思も最大限尊重されなきゃならぬというふうに思うのです。  そこで、今私が申し上げましたような意味から、学長評議会意思を尊重する、あるいは学部長教授会意思を尊重する、そういうことがこの法の改正の原則なんだということで確認をしたいと思うのですが、いかがですか。
  20. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今御指摘のように、大学全体の教育研究をきちっと進めていく、目標や計画を明確にしていく上で、学内の各機関の機能分担連携協力により、大学としての合理的で責任ある意思決定が可能になる体制をつくっていくことが求められていると思います。  今回の法改正では、このような観点から、教授会評議会審議機関として法律上位置づけ、大学運営については学長が、学部運営については学部長がそれぞれ最終的には決定するものであることの明確化を図っているわけです。  第二に、学長評議会の議長として、学部長教授会の議長としてそれぞれの会議を主宰することとし、評議会教授会運営における学長学部長の主導性を法律上明確化するとともに、省令で多数決の実施など責任ある会議運営の手続を規定する、こういうふうな内容を盛り込んで、学長学部長評議会教授会機能分担連携協力という組織運営の基本的な枠組みを制度として整備することといたしております。  このように、学長学部長大学運営学部運営において最終的に判断を行う権限と責任を持つものでございますが、御指摘のとおり、その判断に当たっては、学長評議会の、学部長教授会意見を十分尊重する必要があるものと私は考えております。それは私自身の経験からも、すべてを学長一人あるいは学部長一人で決定するということは不可能でございまして、さまざまな審議をしてもらって、そこでの考えを尊重するということは非常に必要だと思っております。
  21. 山元勉

    ○山元委員 この間からの論議の中でもいろいろとありましたけれども、要は、例えば評議会の主宰者は学長であり議長を務める、教授会の主宰者は学部長であって議長を務める、多数決もありだ、いわば、最終責任学長やあるいは学部長が持つとしても、最終的な意思決定というのは、やはり最大尊重されるべきは評議会教授会だというふうに思います。  そこのところで、議長をしている人が、多数決でやって決めたことについて後から云々ということにはならないというふうに私は思うのですね。それがやはり民主主義だろうというふうに思いますし、そういうことでなければ、活力のある大学教授会評議会にはならないだろうというふうに思いますから、そこのところは文部省としてもきちっとした態度でこれからも指導してほしいというふうに思います。  それで、運営諮問会議の問題についてもいろいろありました。参考人の皆さんからも、二十年前、三十年前とは違うんだ、いわゆる象牙の塔でなくて、社会に対する説明責任も非常に強くなってきている、そういう意味で、外の風を入れることについては大変意義がある、これは大臣も前のときに、筑波の例でしたか、おっしゃっていました。ですから、そこのところには私どもも異存はないわけですけれども、要は委員の人選の問題にかかわってくるだろうとも思います。  この間、法的拘束力があるとかなんとかということを言っていましたけれども、私は、要はそれ以前の人選の問題で大きくこれが左右されるだろうというふうに思うのです。その人選は、学長が申し出て文部省が任命をする、こうなっておるわけです。  もう一回確認をしたいのですけれども、その人選について、学長の申し出というのは最大限尊重される、文部省がそのことについて、恣意的とは言わぬけれども、指図するようなことは最悪ないということで、学長評議会などできちっと論議をして人選をした者については最大限尊重されるということと考えてよろしいですか。
  22. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、運営諮問会議委員の任命についてちょっと整理してみますと、学外者の意見を聴取するための同種の組織の例に倣って、文部大臣学長の申し出を受けて行うこととしております。  その委員の人選につきましては、運営諮問会議設置の趣旨を踏まえ、各大学において適切に行われるものと期待いたしております。  なお、大学の自主性を尊重するという観点からも、学長が申し出た者につきまして文部大臣が拒否したり再検討を求めることは通常考えられないと思っております。
  23. 山元勉

    ○山元委員 通常考えられないことが起こらないように願いたいと思いますし、御努力お願いしたいというふうに思います。  学生の参加の問題ですが、先ほども委員からありましたけれども大学運営について、大臣の答弁では、学生意見をくみ上げる必要があるというふうにおっしゃいました。私も、やはり大学で、教員職員学生という構成員があるとすれば、それぞれの英知が集められて大学がよい大学になっていく。例えば、今度の改革で、副題についていますように、個性が輝く大学をつくろうと思うと、今言う三つが三位一体になっていろいろ知恵を出して大学運営を考えるべきだというふうに思います。法律にはそういう学生の参加については書き込んではいないし、なかなか書き込むことは難しいだろうと思うのですね。  そこで、文部省として、例えば、学生大学運営に積極的に、建設的に参画することは望ましいことであって、これは先ほどの大臣の答弁を大体受けていると思うのですが、建設的に、積極的に参画することは望ましいことであって、各大学がそれぞれ工夫をすることが望ましい、工夫すべきだというような文部省の姿勢というものを今後打ち出していくべきではないかというふうに思うのですが、その学生の参加の問題について、もう一遍お伺いしたいのです。
  24. 有馬朗人

    有馬国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども大学運営そのものにつきましては、やはり大学運営の最終的な責任者である学長が、教員組織代表者で構成されている評議会意見を踏まえながら、大学としての主体的な意思を決定すべきだと考えておりますし、そういう面から、教育を受ける立場にある学生大学意思形成に参画することは適当でないと私は考えております。  しかしながら、今先生指摘のように、大学で学ぶ学生についてはできる限り自主的な態度を育成していく必要があり、自治活動を含めた学生の自主的な活動は、それが学生の人間形成に資する健全な活動である限り大学内において尊重されるべきだと思っております。  また、各大学の判断により、学生の課外活動、学習環境の整備、特に私はこれを重要視しているのですが、学習環境の整備や、さらにもう一つ私が重要視しております、授業の内容、方法などの改善について、学生の希望や意見を積極的に取り入れて教育活動改善していくことは、極めて望ましいことと私は考えております。  より具体的に申し上げますと、先ほど来繰り返して申し上げることになりますけれども授業評価というものあるいはアンケート調査などで各大学において学生の意向を積極的に把握するよう取り組むことが期待されております。私としてもそれを期待いたしているところでございます。
  25. 山元勉

    ○山元委員 前の委員会で、東大で、年一回でしたか、そういう機会をきちっとつくっていると、これは慣例かどうかわかりませんが。そういうことはやはり各大学がやるべきだ、不断にそういう努力をすべきだということについては、文部省としてもきちっとした立場に立っていただきたい。これは要望しておきます。  次に、この間、参考人の御意見の中に随分とございました財政の問題です。もっともっとという意味です。国家戦略としても重要だ、こういう御意見がございました。例えば、予備校はホテル並みの環境なのに、大学は途端にひどい環境になってしまう、あるいは、サポートスタッフが乏しくて、病院でいったら、お医者さんはいるけれども看護婦や技術者がいない、こういうような御意見がございました。大臣学長のときに積極的に発言して努力してこられたことは承知をしています。  今、財政上の問題から独立行政法人というような問題が出てきているのは私は間違っているというふうにこの間も申し上げました。これは悲しいことです。しかし、二十一世紀の大学はこういう大学を考えているんだ、だから財政投入が必要なんだと言うためには、二十一世紀の大学の像、あるべき姿というものがしっかりして、国民の皆さんにも理解をしてもらう必要がある。金が要るんだ、金が足らぬのだと言うだけではだめで、やはり二十一世紀、日本国立大学としては確保したいんだということで言わないといけないというふうに思うのです。  そうすると、私学のように、建学の精神とか肇国の精神など、いろいろあるわけですね。国立大学も、どこを切っても金太郎あめみたいに同じような大学ではなしに、今度出しておられる、さっきも言いました、個性が輝く大学をつくるんだと。だから、個性が輝く大学、それぞれの個性というのはどういうものが望ましい個性なのだという像も必要なのだろうというふうに思います。  そこで、文部省として、今申し上げましたように、個性が輝く二十一世紀の大学、少し抽象的な質問になりますけれども、どういうふうに描いていらっしゃいますか。だから財政投入が必要なんだ、これではお粗末なんだということになるのですか。そこのところをお伺いします。
  26. 有馬朗人

    有馬国務大臣 何といっても、二十一世紀を支えていく人々の中で最も活躍が期待される人々を育てていかなければならないと思います。そのためには、社会のあらゆる分野で活躍できるすぐれた人材の養成確保、それから、人類の知的資産を継承するだけではなく、未来に対して新しく開発をしていく知の創造、そういう面で、社会を発展させていく中心的な役割を大学が果たしていかなければならないと思っています。  こういうふうな面から見まして、日本大学が本当に社会や経済の著しい変化に対応しつつ二十一世紀に十分役割が期待できるかというと、まだまだ不十分でございます。国際的に評価されるようにするためには、これまで随分多くの成果を出していることは事実でございますが、さらに改革を進めていかなければならないし、さらにそれのための環境の整備ということを大いに図っていかなければならないと思っています。  より具体的にどういう目標を私どもが今考えているかと申しますと、二十一世紀に向けて、まず第一に、課題探求能力の育成を目指した教育研究の質の向上、第二に、教育研究システムの柔構造化による大学の自律性の確保、第三に、それを支える責任ある意思決定と実行を目指した組織運営体制の整備、さらに第四に、こうした取り組みについての多元的な評価システムの確立による教育研究の不断の改善ということが必要であると考えております。  これは、初中教育を初めとして、大学大学院の教育全体、生涯学習を通じて生きる力を今後大いに伸ばしていかなければならない、その生きる力の中で最も重要な一つの段階でございます大学のところを、環境を改善し、さらに世界的な水準のものに確立していく必要があると考えております。  こういうふうな改革を通じまして、各大学の個性化、多様化を図って、創造性を備えた人材の育成や学術研究の推進に努めてまいりたいと思っております。
  27. 山元勉

    ○山元委員 大学審議会からも、たくさんの指摘があったといいますか、大学像が描かれているわけです。今大臣もおっしゃいましたように、個性が輝く、多様化する大学、まずそういうイメージで絵をかいていらっしゃるのだろうと思いますけれども、もう少し具体的に、今回は、今もありましたように、第一段階としてその改善をするんだ、こう言っています。第二段階、第三段階、例えば、大学審議会から出てきたのは四つの柱がありましたけれども、それぞれちょっとずつ入っているけれども、第三の柱が主に今度の改正の中身なのですけれども、これからの道筋、何を具体的にやらなければならないか。  例えば、第三者機関による評価の問題は、後ほど尋ねたいと思いますけれども、これは来年やらなければならぬ、こういうふうになっているわけですけれども、これから今大臣がおっしゃるような大学像を実現していくための道筋というのは、どういうふうにお考えになっているのですか。
  28. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 今回、三年以上の在学での卒業を認めることとか、あるいは大学研究科について整備をする、さらには組織運営体制を整備するといったような法改正お願いしておるわけでございますが、これらにつきましては平成十二年四月の実施を目指しておるわけでございます。  その実施に向けては、これ以外にも、例えば大学院について、より実践的な教育というものが行われる、いわゆる専門分野に特化した大学院についての整備を進めるといったような点もございますし、また、大学院制度といたしましては、社会人の要請に対応すべく一年制の課程等も考えておるわけでございます。  そういうもろもろの整備というものを、これらは大学院設置基準あるいは大学設置基準等改正となるわけでございますが、これらの改正平成十二年四月までには実施をしたいと考えておるわけでございます。  また、御指摘ございました第三者評価機関につきましては、今次の概算要求を踏まえて、でき得れば来年の通常国会においてその設置に向けての法律改正お願いしたいと考えておりますし、また人事、会計制度等の弾力化につきましても同様な措置お願いしたいと考えております。  いずれにいたしましても、それらもろもろの施策を総合的に、制度改正も含め、また各大学での積極的な取り組みというものも促しつつ、平成十二年四月の実施に向けて文部省としても整備をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 山元勉

    ○山元委員 将来像というのはしっかりと論議をしなきゃならぬ問題だと思いますが、今局長からもろもろのことを考えているという言葉がありましたけれども、早くしっかりとした絵をかいてもらいたいと思うんですね。  そして、端的に言って、今度の場合、大学審がおっしゃった四つの柱のうち、金のかからない、予算は要らない、これならやれるというものがやってあるという感じがせぬでもないわけです。本当にこういう大学をつくるんだ、だからということで、例えば次のステップの第三者評価機関というのも金が要る、若干の調査のための予算が組んである。実際にきちっとしようと思うと金がやはり要るわけですけれども、それ以上の、個性が輝く大学をつくるとなるとこれは金がかかるわけですから、ぜひしっかりとした絵をできるだけ早くかいて、国民の皆さんから、それはそうだ、それはやはりきちっとした財政措置をすべきだという声が出てくるように絵をかいていただきたいというふうに思います。  そこで、今お話し申し上げました第三者評価機関の問題ですが、次のステップになっているわけです。次の国会には出すというふうになっているわけで、準備を始めていらっしゃるわけです。外国にはいろいろ例があるそうですけれども文部省としてのこの第三者評価機関の検討の状況、まあ始まったばかりだと言われてしまえばおしまいですけれども、今の文部省の検討状況についてまずお伺いをしたいのです。
  30. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 第三者評価機関の設置の必要性につきましては、大学審議会答申において指摘をされておるわけでございます。それを受けまして文部省といたしましても、創設に向けて現在、例えば評価内容、評価方法、評価の実施体制評価事業の実施計画、それから機関の組織運営等について調査、準備を行っておるところでございます。  今後、国立大学協会等関係者の意見も十分伺いながら教育研究改善につながる評価システムづくりを考えてまいりたい、そういう状況でございます。
  31. 山元勉

    ○山元委員 この間の参考人の皆さんの意見も、大事だ、開かれた大学にしていくために必要だと思うと。ただ、自己評価だとかあるいは自己点検というものときっちりとタイアップしなければいけない。いわば、一つの権威ある機関ができて、それが監視するなり予算の配分のさじかげんを決めるなりということになると、これは大学を萎縮さすというか殺すことになるんだろうと思います。ですから、国民への透明度を高めていく、あるいは教育研究の実効をより高めるというような意味を持つ機関でないとあかん、あるいは評価でないといけないというふうに思うんです。  今申し上げました大学の自己評価、自己点検とどういう関係になるのか。今申し上げましたように、一方的な監視だとか評価だとかいうことになるとこれはよくないというふうに思うんです。ですから、大学との関係、例えば機関が考える評価について大学から説明を求めるなり、あるいは弁明の機会はきちっと保障するとか、お互いに大学をよくするという立場での話し合いができるようなシステムでないといけないというふうに思うんですが、そういう点については論議はされていますか。
  32. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 第三者機関による評価というのは、各大学教育研究活動の個性化や質的向上に向けた各大学の主体的な取り組みや改善努力を支援、促進していくことが大切であると考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、大学が行う諸活動について多面的な評価を行い、評価結果を各大学にフィードバックすることを考えておるわけでございます。  また、評価される大学側に対して評価の結果及び理由を示し、それに対して意見を提出する機会を確保することは、大学の主体的な取り組みを促進していく観点からも有意義であるというふうに考えておりまして、そうした点も含めて今後調査、準備を進めてまいりたいと考えております。
  33. 山元勉

    ○山元委員 大学の側も、この間の意見では、そういう趣旨で支援してもらえると。  例えば、第三者機関のメンバーの皆さんは、素人が集まるんではなしに、それぞれ見識なり権威を持った人たちが集まるわけですね。これは大学から見ればいわば恐ろしい存在で、何点つけられるか、どういうふうにランクされるかということについてはやはり恐ろしいということになるんだろうと思いますが、恐ろしいではなしにありがたいということにならないと、本当のことを言って支援にならないわけですから、支援するために多面的にと今局長はおっしゃいましたけれども、そういうことに実際になっていくように、この運営についてはこれから十分な論議をぜひ文部省でしていただきたいというふうに思います。  少し具体的にですけれども、先ほどちらっと言いましたけれども大学審の中ではそのことがちょっと書かれてあるわけです。評価は予算の配分の参考にするというような言葉があるわけですね、たしか。頑張っている、だからふやしてやるというんだったらいいですけれども、あなたのところはこうだといって渋い顔で削減をされる、そういう種にされたら困るわけですね。  ですから、どこまでそのことが参考にされるのか。単に、短絡的に、評価がこうだから予算配分はこうだというようになっていかない、そういう歯どめといいますか配慮というのがきちっと初めになければ、一生懸命になってごまをすって評価を高めていただこうということになるわけですから、そこのところは、短絡的ではありませんということについて、歯どめといいますか、それはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  34. 有馬朗人

    有馬国務大臣 私は第三者評価の推進を図っている環境の一人でございますので、このことに関して私の考えを一つ申し上げたいと思います。  まず、今御指摘のように、第三者評価機関というものがつぶすためのものではないということを初めに申し上げておきたいと思います。  第三者評価というのは、よいところがどこにあるか、我々が気がつかないところがどこにあるかなどをきちっと評価をするということが第三者評価の極めて重要なところと考えております。そういう意味では、先ほど恐ろしいものでないようにとおっしゃられましたが、まさに、恐ろしいものではなく、愛情にあふれるものであるべきだと私は思っております。  それから、自己点検、自己評価の関係でございますが、私はやはりこの自己点検、自己評価を早くやるべきだと主張した人間の一人でありますが、まずみずからをきちっと知る。さまざまな白書に対して御意見も御批判も多いんです、だれが読むのかと。ですが、少なくともその大学教員が読むことによって自分大学が何をしているかがはっきりわかる。どんな規模であるかもはっきりわかる。こういう点で、少なくとも学校の中では大いに役に立つということを申し上げておきたいと思います。  しかしながら、それをちゃんと評価するところが欲しい。これが、第三者評価を置くべきだと考えることであります。各大学が出している自己点検、自己評価を正しく評価して、そしてその上で、各大学努力の結果がどうなっているか、こういうことをぴしっと見きわめていくのが第三者評価機関であると思います。各大学研究教育活動を、十分多面的な評価を行いまして、評価結果を各大学に戻してやる、フィードバックすることによって各大学教育研究活動が大いに改善される、そういうことに役立てていくことが一義的に必要なことでございます。  そしてまた、特に国立大学でございますと、これは何といっても国民の税金で運営されている国の機関でございますから、社会責任を果たしていくことが求められております。いわゆる説明責任というものが極めて重要でございます。そういう意味で、第三者機関というのは、評価の主たる対象国立大学と考えておりますが、公私立についても、評価対象とすることが適当である場合には、それぞれの申し出に従ってやらせていただくこともあり得ると思います。  しかし、先生の御質問の中で一番肝心なところでございますが、国立大学の予算配分に際しましては、大学審議会の答申で、第三者機関による評価参考資料の一部として活用されることが考えられているとしております。こういうことでございますので、各大学教育研究活動の個性を尊重しつつ、国際的な水準を確保するためには、基盤的な経費の充実とともに、教育研究上のすぐれた取り組みや教育研究活動の水準向上努力を正当に評価し、きめ細やかな評価情報に基づきまして、より客観的で透明な方法によって適切かつ効果的な資源配分を行う必要があると考えております。  文部省といたしましても、このような点を踏まえながら、第三者評価機関の創立に向けて調査、準備を進めてまいりたいと考えております。
  35. 山元勉

    ○山元委員 外国では多くあるようですけれども日本では初めてです。ですから、国民からも信頼されるような機関となるように慎重な御検討をお願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  36. 小川元

    小川委員長 次に、西博義君。
  37. 西博義

    ○西委員 公明党の西博義でございます。よろしくお願い申し上げます。  学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げます。初めに、情報公開のことにつきまして御質問いたします。  昨年の三月十八日のこの文教委員会において、私は、行政改革の一環としての国立大学独立行政法人化の議論の中でこのように申し上げました。国立大学独立行政法人ではなくて国立大学として存続しなければならない理由として、私は三つを掲げさせていただきました。一つは、基礎研究、高度研究をやるべき存在としての国立大学。二つ目は、バランスのとれた地域配置の問題。これは国立大学の責務であろう。三つ目が、時代の要請に機敏にこたえるべき存在としての国立大学。この三つが国立大学の大きな特徴ではないか、こう申し上げました。  今、国全体の行政機構のあり方が厳しく問い直されているときでございます。もちろん国立大学といえどもその例外ではない、このように考えております。しからば、その根本は何かというと、やはりだれのための行政か、だれのための大学か、こんなことが今改めて問われているのではないかというふうに考えております。そういう意味で、学生のための大学、国民のための開かれた国立大学、こういうことを目指して今後真剣な議論が重ねられていかなければならない、このように認識しております。  ところで、現在の大学運営、私もその末端の一職員の一人でございましたけれども社会から見て非常に不透明な面がある、また運営自体も必ずしもスムーズにはいかない面がある、こういうことを実感として私も感じてまいりました。  国会では今情報公開法案審議されております。同時に、今回審議されている国立学校設置法の改正案第七条の八の中にも、「教育及び研究並びに組織及び運営の状況を公表しなければならない。」こういう規定が明記されました。情報公開というのは、大学運営が、国民への説明責任という観点からも改善される大きな契機となる、国民に開かれることによってまた運営が透明化され、またさらに効率化されていく契機になるものだと私も思っております。  そんな意味で、大学運営に関して、評議会教授会等がこれからまた活発に行われるわけでございますが、このすべての情報が公開される方向に行くのかどうか、お伺い申し上げたいと思います。
  38. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 大学が公共的な機関であり、大学教育研究活動に関する情報を社会に対して提供することは社会的な責務である、説明責任を果たす上からも必要なことであるという考えに立ちまして、今回国立大学について、教育研究組織運営の状況の公表について定めることとしておるわけでございます。  評議会教授会審議事項の公表につきましては、制度改正趣旨に即して、各大学において組織運営の適正化、この取り組みを進めていただくわけでございますが、その取り組み状況について学内外の評価を求めるという観点から重要なことであると考えておりますが、文部省令において公表内容としてどのようなものを定めるかにつきましては、御指摘ども踏まえて検討してまいりたいと考えております。  なお、現在国会で行政機関の保有する情報の公開に関する法律案審議をされておるわけでございます。そこにおきましては、国の施設等機関である国立大学の保有する情報も、個別の教員選考についての記録など、個人のプライバシーに関する情報のように、不開示情報に該当しない限り、開示の対象となるものでございます。したがいまして、評議会教授会の議事録なども、開示請求があればそれに応じて開示されることになるというふうに考えておるところでございます。     〔委員長退席、栗原(裕)委員長代理着席〕
  39. 西博義

    ○西委員 そのことがまた開かれた大学の第一歩になる、このように考えております。  次に、女性教員の採用、昇進の問題についてお伺いをしたいと思います。  大臣も、学長時代人事にもタッチされていたし、また東京大学の状況についてもよく御存じだと思うのですが、大学運営の不透明さの問題として、特に人事の不透明さというのが常々言われてまいりました。この面でも、先ほど答弁がありましたように、できる限り明確化する努力をしていただかなければならない、こう思います。  人事に関連して、以前文教委員会で、大学における女性教員割合の低い比率の問題を私取り上げさせていただきましたが、その当時の文部省の回答は、採用に関しては大学の判断であるということで、積極的な取り組みというところまではいきませんでした。  再度御質問申し上げるわけですが、国立大学の女性教員は、毎年〇・四から〇・五%ずつ比率としては伸びております。今、全教員に対する比率は、平成十年度の学校基本調査報告書によりますと八・四八%となっております。一方、公立大学では一六・六八%、私立大学でも一四・八一%、こういう比率でございます。  私は、国立大学にも、例えば当面の目標、私立、公立がこの程度ですから、一五%程度を目指してここ五年ぐらいの間にしっかり各大学努力をしていただくということを大臣からぜひ表明していただきたい。もしできなければ、若干やはり応援をするという意味では、一時的に、アメリカなんかで、例えば人種の問題等で若干配慮しておりますアファーマティブアクション、差別撤廃措置という措置があるんですが、こんなことを考えても、ある程度女性枠を設けてやるべきではないかというふうに思いますが、この点についてお伺いをしたいと思います。  また、昇進の面でも、国立大学の講師、助教授教授に占める女性の割合、もちろん教授になるに従って少なくなっているわけです。これは、公立、私立の半分でございます。国立大学の女性教授は四・一%という数字になっております。この現状についての見解をお伺いしたいと思います。  男女機会均等法が改正されて、募集、採用、配置、昇進などにおいて、男女間の差別が明確な禁止規定となっております。教員の任命権者である文部大臣には、女性教員の採用を促進し、また、公平公正な昇進、昇格が行われるようにする責任があると思われますので、この取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  40. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおり、残念ながら、現在大学において全般的に女性教員の数は少ないと思いますし、特に国立大学は御指摘のとおり少ないということはまことに残念に思っています。  状況を御説明申し上げますと、現在国立大学における教授から助手までに占める女性の割合は、御指摘のように少しずつ増加していっております。全体として、現在、国立大学でございますが、八・五%程度まで参りましたが、しかし、非常に少ないことは事実でございます。  たびたび御答弁申し上げていることでございますが、大学における教員人事というのは、やはり各大学責任に基づき適正に行うべきものでございますので、文部省として、この人を採れというふうなことは絶対言えないわけです。そういう意味で、各大学にお任せせざるを得ないことでありますが、文部省といたしましては、男女共同参画の視点に立って、各大学において女性の教員の採用を積極的に進めることを促してまいりたいと思っております。  なお、アファーマティブアクションというのは、確かに一つの有効性はありましたけれども、それだけに頼ってやることが果たして人事の上でいいかどうか、いろいろ疑問のあるところでございます。
  41. 西博義

    ○西委員 ぜひとも積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  次に、評議会教授会の間の連携のことについて、先日来随分いろいろな議論がございました。参考人先生方からもいろいろ御示唆をちょうだいいたしました。  大学が、今これから大きく変革をしていく際に、一つの大きな有機的な組織体としてその自律性を高めていくということが大事だろうと思うんですが、その際に、学長評議会、それから学部長教授会、こういう一つの流れがあって、学内の各機関の間で十分な意思の疎通それから連携が必要なことは、組織としてはもう当然のことだろうと思います。  そういう意味で、評議会教授会の間、どちらが上とか下とかいうことではなくて、基本的な役割分担ということが正しい言い方なんだろうと思うんですが、その間にも、十分な意思の疎通、フィードバック等があってしかるべきではないか、こう思います。  その際、各機関、評議会教授会が連携する上で、どちらかというと全学の運営に関することは評議会、それから各学部教育研究に関することは教授会よ、それ以上のことは越権行為みたいな、ややもするとそういうふうにとれる今回の文面なんですが、実は、やはり評議会で相談をする全体的な学内の運営のことに関しても、当然それぞれの学部にいらっしゃる皆さん方、先生方に影響することでもあるし、また、その人たちのお知恵もかりてよりよい大学をつくっていくという意味では大切な一人一人でございます。  そんな意味で、もちろん私は、学長を中心とした評議会が、この件については各教授会にお聞きをしようとか、このことについては私たちで責任を持って決めようとか、そういう自主性は当然学長並びに評議会にあってしかるべきだと思いますが、ある場面においては、全学的なことを教授会で一度御相談願おうじゃないかということが、そして、その結果をまた評議会に持ち上げる、当然のこととして国会なんかでもそういうことは常々行われているわけですが、一つ意思形成の場としての大学あり方としては当然必要なことではないかというふうに私自身は考えております。  この間の本会議質疑応答から始まって前回参考人質疑まで、いろいろな議論がございましたけれども、この際、そのあたりの考え方について、最後にまとめていただければというふうに思います。
  42. 有馬朗人

    有馬国務大臣 詳しくは高等教育局長よりお返事申し上げるかと思いますが、学部長あるいは研究所長は、必ず例外なく評議会のメンバーになっております。したがいまして、評議会議論が出たことは、当然、そこに入っている評議員は自分のところで、自分が今度は自分の仲間で相談をしたいときにはやれるわけですね。  特に、学部長あるいは研究所長ですと、それぞれのところの教授会に相談をする、諮問することは十分あり得るわけでございまして、そういう意味で、一つの例でございますが、各学部は、そういう形をも通じて、学内全体の意見を決めていく際に大いに活躍をしていただくことになると思います。  ですから、学部長が諮問されれば教授会は十分動けますので、あるいは所長が諮問すれば十分動けます。そういう意味で、例外的なことをたくさん審議お願いすることがあろうかと思っております。
  43. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 今回の改正趣旨は、合理的で責任ある組織運営体制を整備するという観点に立って、評議会教授会の役割分担を明確にすることとし、それぞれの審議事項を法律上具体的に規定したわけでございます。  したがいまして、評議会審議事項とされている大学運営に関する重要事項につきましては、学部教育研究に関する重要事項に該当しなければ、学部教授会審議事項とは本来ならないものでございます。  ただ、例えば全学の教育研究に関する中長期計画などについて評議会が全学的な観点から意思形成を行う過程で、評議会審議の状況というものを周知する、あるいは各学部における当該学部教育研究に関する中長期計画の審議の結果を踏まえる、そういったことは当然考えられるところでございます。  ただ、この場合であっても、評議会は、学部における審議の結果を踏まえつつも、評議会責任審議を行うことは当然でございますし、また、学長大学としての意思決定を行うに当たっては、評議会審議を尊重してこれを行うべきものと考えているところでございます。
  44. 西博義

    ○西委員 大臣の御答弁、まさしく常識的でそのとおりだというふうに思っております。  やはり、硬直化した大学運営ではなくて、もっと全学で学長を守り立てていくといういい意味でのシステムをつくっていっていただきたいなというふうに思います。  それから、ついでなんですが、評議会のことで、私も大きな大学運営のことは余り存じ上げなかったんですけれども、結構大きな規模の評議会の構成になっているんだそうですね。東大なんか何人かわからないんですが、随分多いというふうにお聞きしました。会議の人数は、今各学部長さん以外にも何人かの人が、代表がお出になって構成されるんですけれども、やはり適正な規模というのがあるんじゃないかというふうに思います。学級も三十人学級とか言っておりますが、この委員会も三十人委員会、こんなことになっております。その程度が、審議をしたり会議をしたりする、決めたりするのには適当かなというふうに私自身は思っております。余り多いと、全体の合意形成が難しいんじゃないか。  今回の法案では、大学運営における役割分担を見直そうということで、大学運営の形式化、硬直化を克服するよい機会だというふうにとらえて、前向きに取り組んでいただきたいと思います。  産業会でも、今、会社の運営がかなり変わろうとしています。業務執行役員制度というのを導入しているところも出てきているのですけれども、日常業務は執行役員、社長を中心としたスタッフに任せて、取締役会というのは結構大きな範囲になるものですから、これは将来戦略を決めて、業務執行をしっかり今度は監視していく、必要なことは小さなスタッフでやって、大事なことは取締役会でやる、こういうふうなことを今しようとしている。それによって機動性を高めよう、こういうことをねらっているというふうに言われております。  大学は、もちろん企業とは異なりますから一概にはそう言えないのですが、やはり組織運営ということになってまいりますと、もちろん評議会もそんなに毎回毎回開けるわけではありませんし、このことについては学部長を中心としたスタッフで運営していこうというようなこともあるのではないかというふうに思います。  この問題に対処するために、業務執行役員会、先ほど申し上げましたことによって役割分担をしようとしているのですが、実態的にはもう既に副学長さん等のスタッフを中心にという形ができ上がっている大学も多いというふうに聞いております。特に、大規模な大学においてそのような形の機構をつくるということも一案ではないかというふうに御提案を申し上げたいと思いますが、規模等についてのお考えをお教えいただきたいと思います。
  45. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおり、小さい大学と大きい大学で随分違うと思います。今おっしゃられましたように、東大とか京都大学とかいう大きな大学ですと、五十人規模の評議員が出るというふうなことになります。したがいまして、実際の意思決定一つ手前に、学部長会議とか研究所長会議、さらにそのもう一つ前に、東大ですと補佐会議というものがございます。副学長二人プラス新進気鋭の助教授教授にメンバーとして加わってもらう、そういう各大学の工夫が大いにあり得ると思っております。単に評議会をうんと大きくしてということではなく、かなり大きな評議会でもいろいろな工夫で機動性を発揮できると思っております。     〔栗原(裕)委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 西博義

    ○西委員 大学組織あり方について、これもちょっと私参考人質疑のときにも申し上げたのですが、今教官組織の整備をしておりますが、行政の組織も引き続いて整備をすべきだ、こういうふうに思っております。  日本では、職員事務職というと、どちらかというと外国でいうクラーク、セクレタリーというような色彩の仕事がイメージされますけれども、実はこれは大学の管理をなさっている専門スタッフなのです。そういうスタッフをぜひとも、日本大学の将来を考えますと、評議会に対応するようなものがやはり必要になってくるのではないかということで、将来的にはアドミニストレーターを育成する必要があるのではないか。  もちろんこれから長い年月がかかりますから一挙にはいかないのですが、幾つかの大学国立大学大学院の教育の中で、もちろん社会人の入学をも可能にするような形でこういうものをつくっていく必要があるのではないか。それこそ、私先ほど申し上げました三つ目の、時代の要請にこたえていくべき国立大学の責務の一つではないか、こう思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  47. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 大学事務組織の役割といたしまして、教育研究活動を支援する役割と並んで大学の経営管理にかかわる役割があるわけでございますが、我が国の国立大学ではこれまで主として教学組織大学運営の権限と責任を担ってきたということがございまして、事務組織学長学部長大学運営を支援するものとして機能してきたわけでございます。  しかしながら、今後、各国立大学における主体的、機動的な改革の推進や教育研究機能の一層の充実を図るためには、各大学において教学組織事務組織が適切な機能分担連携協力のもとに一体となって企画立案や経営に当たるということが重要になってくるというふうに考えられるわけでございます。そのためには、なかなか難しい問題もあるわけでございますが、将来の方向としてはそういう方向も考えられるわけでございます。  そこで、御指摘のような、例えば大学院レベルの教育訓練プログラムによる大学の経営管理の専門職の養成につきましては、今後の大学院のあり方ともかかわってより実践的な教育を行っていく、そういう大学院充実の方向性というものも踏まえながら、今後の課題として研究してまいりたいと考えております。
  48. 西博義

    ○西委員 そろそろ時間が参りますので、最後に三年生の卒業の件について御質問申し上げます。  これはもう大臣御経験のことだと思うのですが、先ほどから議論がありましたように、大学単位を修めた上で、さらにそれが優秀な成績で百二十四単位修得したという条件が入るわけですが、実は、理科系の、実験系の場合は、私もちょっと東大のケースも見せていただきましたけれども、実験、実習、卒業研究、特に三年次、四年次は大変な時間がかかっておりまして、実質上私の感覚では一〇〇%無理ではないかというふうにさえ思っております。その辺のところ。  もう一つは、既に実施をされていますが、三年中退で大学院に、修士に入る、こういう制度がございます。これとの兼ね合わせで、卒業要件を満たして修士に入ってくる人と、それからそれをクリアできないで来る人との、今回卒業要件を付与することによって二つの差ができるのです。  その辺実際は理科系は大変、無理と言ってはなんですけれども、少し工夫が要るのではないか、きちっとした単位を積み上げた卒業要件というのは現行の制度では多分無理であろう。そこを、接続の問題はやはり余り甘くしたりあいまいにするということは私はよくないと基本的には思っております。そのことを今後の課題として若干考える余地が残っているのではないかと思っておりますが、大臣のお答えをお願いいたします。
  49. 有馬朗人

    有馬国務大臣 御指摘のとおり、三年以上の在学で卒業可能とする制度というのはなかなか実行が難しい面があるかと思っております。  今言っておりますことは、先生指摘のように、優秀な成績で卒業に必要な単位を修得しということであります、早期卒業を希望する学生について卒業を認めるというあくまでも規制緩和的な例外的な措置大学の判断によってとり得るという道を開くということでございます。しかし、おっしゃられますように、分野によって、特に理科系で実験を十分やらなければいかぬというふうなところでありますと、なかなか導入が難しいことはあると思っております。  大学院の場合ですと、多くの大学学部四年の授業大学院の修士一年の授業がかなり重なっているところがございます。そういうところでは修士に進んでいっても十分取れるというようなことで、優秀な人でありますと三年を終わったところで大学院ということを考えているわけであるし、実施しているわけでございます。  こういうふうなことから、いずれにせよ、例外措置を導入するかどうかは、各分野の教育内容や方法等を踏まえつつ、各大学において十分検討されることを期待いたしております。
  50. 西博義

    ○西委員 ありがとうございました。  終わります。
  51. 小川元

    小川委員長 次に、石井郁子君。
  52. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。学校教育法等の一部を改正する法律案について、前回に続いてただしたいというふうに思います。  私は、十四日の質問で、国立大学評議会教授会について、審議事項から議事手続まで法律と省令で定めるということは重大な問題だというふうに指摘をいたしました。法案では、さらにというか、その上に、一体的運営ということまで規定されているわけであります。これは国立学校設置法第七条の七として、当該大学教育研究上の目的を達成するために、学部その他の組織の一体的な運営により、その機能を総合的に発揮するようにしなければならないということがございます。これを書き込んだ意味はどういうところにあるんでしょうか。ちょっとお尋ねします。
  53. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 今後国立大学は、新しい分野であるとか学際分野における教育研究を推進する、あるいは学部教育における教養教育の充実など、全学的な教育研究課題への対応が必要でございます。また、生涯学習への対応、さらには国際交流あるいは国際協力の推進などが求められているわけでございますが、国立大学運営の現状を見ると、学部等の閉鎖性が指摘され、一つ組織体として明確な意思決定のもとに明確な方針で運営がされているとは必ずしも言えない状況というものがあるわけでございます。  そこで、国立大学等の運営の基準に関する規定を設け、国立大学が直面する課題に積極的に対応していくために、各大学が全学的な見地から一体的な運営を行い、その機能を総合的に発揮することが当然のこととして求められる、それを踏まえて今回規定したものでございます。
  54. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、やはりまた今の御答弁を伺って、これは本当に重大な内容を持っているということを改めて言わざるを得ません。これは単なる組織の一体的な、機能的な運営をということじゃなくて、まさに大学の課題、目的を一体的に進めなければいけないということを含んで出されているということを今御答弁されたというふうに思うのですね。  そうなると、本当にますますこの条文というのは重大な意味を持っている。これは機能を総合的に発揮するようにしなければならないということでしょう、しなければならないというのは義務規定ということで、法文上というのは重いんじゃないでしょうか。罰則がないけれども義務だ。  では、その義務を果たしているかいないかというのは、どこがお決めになるわけですか。やはり文部省がそれをお決めになるわけですか。
  55. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 規定の性格でございますが、この規定はあくまで訓示規定でございます。したがいまして、各大学においては、この規定に照らし適切な組織運営を行うことが要求されるわけでございます。各大学組織運営状況というものは、これは公表されるというふうな仕組みがあるわけでございますので、その組織運営状況がこの規定に照らし適切かどうかということについては、社会評価を仰ぐことになるというふうに考えております。
  56. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その訓示的な規定というのは、まさに精神的な規定というふうに言いかえてもいいと思うのですけれども、わざわざそういうものを条文として置かなければいけないというのはどうしても理解できないわけです。  つまり、大学は、先ほど来の議論のように、先般もそうですけれども評議会教授会、あるいは意思形成のためにいろいろな機関をつくったりして大学として努力されているわけでしょう。それをさらにもっと一体的にせよ、決めたことを決めたようにやっていないじゃないかということで書かれるわけですから、これはやはり訓示、精神的規定にとどまらないのですよ。そしてまた、もし訓示的規定だったらわざわざ書くことはない、実際そういうふうに大学努力されているわけですから、そういう努力をあえて法律で縛らなければ大学は動かないのだというふうに考えること自身が、私は、大学に対する、あるいは大学人に対する本当に根深い不信のあらわれだというふうに思うのですね。やはりそこまで不信を大学に持たれるのかというふうに言わざるを得ないわけです。  こういう訓示的な規定というのは、本当に必要ないんじゃないですか。そして、私は削除すべきだというふうに思うのですけれども、やはり本当に必要があるのかないのかという点で、大臣はいかがでしょうか。ぜひ大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。
  57. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 大学社会との関係というのは、今後ますます緊密化していくわけでございます。そういう中において、大学が課せられた使命というものを達成していくことが社会の要請にこたえることでもあるわけでございます。  そういう社会的存在としての国立大学について、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、必ずしも一つ組織体として十分な機能をしていないというふうな指摘があるわけでございます。そういった指摘というものを踏まえ、大学一つ組織としてより十全に機能することをやはり積極的に求めていくことが必要である、そういう観点に立って今回訓示規定というものを設けたわけでございます。
  58. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣の御見解を伺いたいと思います。
  59. 有馬朗人

    有馬国務大臣 さまざまなやり方で各大学が工夫していることは事実です。しかしながら、例えば、私が経験した例から判断をいたしましても、多数決原理というのは何となくみんなそうは思っているけれども、ぴしっと決まっていない大学もあるのですね。だから、そういうことに関しては、やはり多数決であるというふうなことをちゃんと決めておいた方がいいということもございまして、多少きめ細か過ぎるという御指摘もあろうかと思いますが、そういうところについて今回きちっと書かせていただくということになったと思います。
  60. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間がありませんので、私は、この問題はこれで終わらざるを得ないのですけれども、非常に重大な局長の御答弁だというふうに受けとめておきたいと思います。  それで、運営諮問会議についてですけれども、この趣旨というか、学外の方から、あるいは社会的にいろいろな意見を聞くということは既に幾つかの大学でされているのですね。外部の方をアドバイザーとする懇話会などが置かれている大学だとか、それから先日の参考人質疑でもそういう御紹介がございました。だから、既にもうそういう形で大学努力をされている、開かれた大学を目指していろいろなことに取り組んでおられるということを考えますと、あえて法定する必要はないのではないか、大学の裁量でいろいろの学外の意見を取り入れて運営をしていくということでいいのではないかというふうに思うわけですね。  それで、その上で伺うわけですが、法案は、そのメンバーにつきましては学長の申し出を受けて大臣が任命されるというふうになっているわけですが、どういうメンバーにするか、また、どういうふうに選出されるかというあたりは各大学の判断に任せられているというふうに理解していいわけですね。
  61. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 運営諮問会議委員につきましては、「学長の申出を受けて文部大臣が任命する。」というふうに規定をしておるわけでございます。  したがいまして、学長の諮問機関という運営諮問会議の性格に照らし、どういう人物を委員とするかということについては学長が総合的観点から判断をすべきものというふうに考えておるわけでございます。申し出に至るまでの学内手続について、あらかじめ学内の意見を聞くことは予想されるところではございますが、それはそれぞれの大学の判断にゆだねているところでございます。  なお、各大学において学長が学内諸機関の意見を聞くこととした場合、その意見法律上申しますと学長の判断を拘束するものではない、あくまで学長の判断において申し出を行う、そういうものでございます。
  62. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この運営諮問会議も、審議事項についても法定されている、そして構成について文部大臣が任命するという点では、私はやはり大学の自主性を否定せざるを得ないというふうに思うのですが、さらに勧告という権限を持たせられているわけですね。こうなると、大学の中で非常に混乱ということもいろいろ予想されるのではないかというふうに思います。勧告と評議会意見が異なる場合はどうなるのかとか、まさに大学意思形成がさらに難しい局面を迎えるのではないかというふうにさえ考えられるわけです。  それで、もう一点。意見聴取をするという機関として置かれているわけで、それでいいと思うんですが、意見聴取だけではなくて勧告、強い権限を持つ勧告ということをなぜ法定しなければいけないのかということはいかがですか。
  63. 佐々木正峰

    佐々木政府委員 御案内のように、勧告には法的拘束力がないわけでございます。したがいまして、これを受けた学長がその内容に従うかどうかということについては、これは学長の判断によるわけでございますけれども、ただ運営諮問会議が設置された趣旨というものを踏まえれば、学長としてはこれを参考としたりあるいは尊重することが求められるわけでございます。  運営諮問会議は、学長の諮問に応じて審議するのみではなくて、学長の諮問がなくても、学外有識者で構成されるわけでございますので、そういった方々が、学外の目から見て、大局的な観点から大学運営の充実に資すると判断した事柄につきましては、その判断により審議をし、学長に対して助言または勧告を行うことができるというふうな扱いとしたわけでございます。
  64. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この点は大変残念ですけれども、時間がありませんので、私は残る時間で教育公務員特例法について一点お伺いをしておきたいというふうに思います。  今回評議会を法定したことで、読みかえ規定が書きかえられたわけでございまして、人事に関する事項がこれによって明文化されることになるわけです。  そこで、教員の採用、昇任についてですが、教授会が置かれる組織の長は、教員人事の方針を踏まえ、意見を述べることができるという規定が加わりました。既に現在でも組織の長というような方は教授会意見を述べておられると思うんですけれども、新たにこの規定を加えたというのは、この人事方針というものにやはり従えというような意図を強く押し出すためにされたんでしょうか。もしそうだとしたら、教授会の決定を大きく拘束するのではないかというふうに思われますが、この点の御答弁を伺いたいと思います。
  65. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今回の教育公務員特例法の改正のところでございますが、教授会教員の選考を行う場合には、学部長等大学教員人事の方針を踏まえて、教授会に対して意見を述べることができるようにしたということが一つです。これまで暫定措置として附則で定められたものを本則に規定することとしたものでございます。  そういう意味で、学部長教授会で、私はこういう人を採りたいというような格好での意見はありません。大学として、全体として、こういう方針でいきたい、例えば情報というような科学技術を伸ばしたい、あるいは環境問題をやりたい、こういうふうなことが大学として方針があり得るわけですね。そういうことに関して、各学部長評議会等々を通じて決まった方針を各学部に持って帰って、そこでそのことを各教官に教授会で伝えるというふうなことが、教授会に対して意見を述べることができることの一番大きな眼目であると思っております。  そういう意味で、またその評議会の問題もございまして、評議会の設置等国立大学組織運営に関する基本的な事項を法律上定めることに伴う規定の整備でございまして、規定の内容を変更するものではないということを申し上げておきます。
  66. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私自身は、大学院に今度研究科以外の基礎組織を置く問題、それから学長選挙の問題等々、また今の教育公務員特例法の問題でも引き続いてまだ尋ねたいことがあるわけですけれども、もう時間がなくなりました。  今大学関係者から、やはり徹底審議を求める要請書が連日送られております。私は最後に、これはきのう受け取ったものなんですけれども、本当にそうだなということがありますので、ちょっと御紹介をさせていただきます。この中にはこう書かれているんですね。  一国の高等教育、学術文化の未来を決定的に左右する重要な意思決定が、このような短期間に、教育行政の付託者、受益者である広範な国民各層の議論を経ることなく、一部有識者、官僚、政治家だけの手で推し進められようとしていること自体は不当だ、強く抗議をするということがございました。  私は全くそのとおりだというふうに思うんです。大学の自治、学問の自由への不当な介入になりかねないこの法案に私は強く反対を表明して、一応質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  67. 小川元

    小川委員長 次に、濱田健一君。
  68. 濱田健一

    濱田(健)委員 わずか十分ですので、三問程度整理をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。  この間の審議、そして参考人への質疑等々で、学部三年卒業、この問題もいろいろと論議をされました。参考人の御意見も、高校の二年次から大学への進学という道が開かれている。当然そういうものとの対比の中での、同列ではないですけれども、優秀な学生大学学部三年以降に大学院その他に進学できる方向を開く意味では今の実態を乗り越えるものではない、やはり慎重な配慮が必要であるということを賛成の方も言っておられました。また、反対の方も、大学というのは、学業だけではなくて、もっといろいろ学ぶことがある、だから四年生という形になっているんだというような話がございました。  私としては、学部三年卒業という部分について、これは今日的な要請に基づいている部分もあるというふうに認めるわけでございますが、やはりこれを適用するに当たっては、学業成績だけではなくて、当然その他の幅広い角度で、その認定について考慮すべき点を学内で明らかにしておく必要があるのではないかというふうに思っておりますので、その辺を大臣としてお考えのところがございましたら、御教示いただければ幸いでございます。
  69. 有馬朗人

    有馬国務大臣 昨年十月の大学審議会答申の中でこの問題が提言されております。私もこの議論に昨年の今ごろまで参画していたのでありますが、そこで言われておりますことは、学期末の試験だけではなく、ここが重要でございます、学期末の試験のみでなく学生授業への出席状況とか教員が与えた課題への対応状況、あるいはレポート等の提出状況等、日常の学生授業への取り組みと成果を考慮すべきであると考えるべしというふうに大学審議会答申で指摘されているところでございます。ですから、単に単位成績がよかっただけではなく、そういう日常的な生活を通じて学生一人一人を評価していくべきだと思っております。  今回の措置を適用する場合には、それらに加えまして、さらに学生に対して適切な学習指導、オフィスアワー等の学習指導、相談等を行うなど十分な教育的配慮を行う必要があると考えております。こういうことについて、各大学に対して周知徹底をしてまいりたいと思っております。
  70. 濱田健一

    濱田(健)委員 参考人の御意見の中に、浜林参考人がエリートはやがて伸びないというような文書もつくっておられまして、私はそうは思わないんですけれども、今大臣にお答えいただきましたとおりに、将来を見通して、その学生がよりよく伸びていくためにどう三年卒業を認めるかという観点で、ある意味でいうと、カウンセリングなんかも、あなたが認められたのはこういう期待感で三年の卒業が認められたのだよということなど、よりよくその場で適切な指導がなされるべきものというふうに申し上げておきたいと思います。  もう一点は、運営諮問会議の設置でございますが、参考人の多くが、現時点でも民主的な形でさまざまな学内の運営について御提言をいただいているということがございました。しかしながら、使い方によっては、勧告というこの法案の言葉もございますとおりに、学内民主主義を形骸化させる中身に使われる可能性もあるというふうな二つの側面を持っていることも事実でございます。これはもちろん使い方によってということでございます。  やはりこの中で、大学教育研究の自主性、主体性が侵されることがない配慮ということをより訴えていきたいと思いますが、大臣としていかがお考えでしょうか。
  71. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今度の改正案では、大学社会からの意見を聴取して、社会的存在としての責任を明らかにするという観点から、大学教育研究の自主性を尊重することを前提としている。あくまでも大学教育研究の自主性を尊重することを前提としつつ、専ら国費で支えられております国立大学として、社会からの意見等を適切にくみ上げるような仕組みを制度上整備すべきものであるという考えでございます。  おっしゃるように、学部とか研究所等々、既にこういうふうなものを設けているところがございますが、やはり大学全体としてこういうふうにした方がよいという判断から、今回の法律改正お願いいたしている次第でございます。  運営諮問会議は、大学教育研究上の目的を達成するための基本的な計画や、大学教育研究活動等の状況についての自己評価に関する重要事項等について審議をして、助言または勧告を行うこととしているわけでございます。各大学におきましては、このような助言等々を踏まえまして、教育研究活動の一層の活性化、高度化が図られることになるものと考えている次第でございます。  さらに、運営諮問会議審議及びこれに対する大学の対応等については、社会に対して積極的に公表することになると考えております。  また、運営諮問会議審議や助言、勧告を踏まえて大学としてどのように対処するかは、各大学の自主的、主体的な判断にゆだねられておりまして、個々の大学の自主性を侵害するものではないと考えております。
  72. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。  最後に、大学改革の推進、当然財源の確保が必要でございます。  私は、多分これから一生忘れられない言葉の表現として、村山政権のときに、教育は未来への先行投資であるという言葉が非常に印象的に頭の中に残っている。これは、幼稚園教育といいますか、幼児教育から大学院、最高学府の教育まで、すべてにわたって共通した私たちの思いであり、国民全体の思いであるということを強く意識したいというふうに思っておりまして、今回のこの改正案に伴って、やはり高等教育の財源の充実確保というものがこれからも大事だというふうに思っております。  国立学校の特別会計への繰入金の増額とか、私立大学の経常経費を拡充するというような部分については、非常に厳しい財政の問題が横たわっているということを認識しながら、より拡充に向けて強化をしなければならない。ここに参加している委員すべてがそういうふうに意識しているというふうに思うわけでございますが、最後に、その辺の大臣の所見と決意をお伺いしたいと思います。
  73. 有馬朗人

    有馬国務大臣 未来への先行投資というお考えには、私、全面的に賛成をいたします。  日本の高等教育が、社会経済の著しい変化に適応しながら、来るべき二十一世紀において期待される役割を十分に果たす、そして国際的にも評価されるようになっていくためには、各大学改革への努力というふうなことも必要でございますが、さらに一層教育研究環境を充実していくという努力が必要であると思っています。  教育研究の充実を図っていくためには、教育研究費の充実など基盤整備を図っていくことが必要でございます。必須、不可欠だと思います。  その際、教育への投資は、我が国の今後の発展に欠かすことのできない、先ほどおっしゃられました未来への先行投資であるということ、その点をまず強調いたしたいと思います。  それからもう一つ、私が常に強調いたしておりますことは、我が国の公財政支出全体に占める高等教育への支出割合が、先進諸国と比較して低い状況にあるということでございます。  こういうことを改善すべく、文部省といたしましては、大変厳しい財政事情のもとではございますが、引き続き高等教育関係予算の充実に最大限努めてまいりたいと思っております。
  74. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  75. 小川元

    小川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  76. 小川元

    小川委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案反対の討論を行うものであります。  これまでの短時間の審議でも、大学の自治の根幹にかかわる重大な問題が浮き彫りとなりました。しかも、大学関係者から、慎重に審議せよ、法案反対の声が次々寄せられています。  一九七三年の筑波大学法案では、本委員会審議だけでも五十九時間行いました。国立大学全体にかかわる本法案を、このようにわずか十二時間の審議で議了、採決をするということに対して、強く抗議をするものであります。  その反対の理由を述べます。  第一に、これまで大学が長年にわたり築いてきた大学自治を無視し、大学の管理運営に関する規定を事細かに定めることによって、国立大学の自主性、自律性を否定し、学長中心の新たな管理運営の枠組みをつくることであります。  本法案は、多くの国立大学意思決定機関として位置づけられてきた評議会教授会審議機関とし、意思決定学長学部長などにゆだねることを目的としています。しかも、構成員、審議事項、審議手続に至るまで一律に法定するなど、政府、文部省国立大学運営を微に入り細に入り管理、統制しようというものであります。  大学は、営利企業とは違い、学問の府であります。大切なのは、学生も含めた大学構成員の英知を結集することであり、そのための民主主義の徹底であります。そこにこそ、学長学部長の真のリーダーシップが求められているのであります。それを、有無を言わさず国がトップダウンの体制大学に求め、学内の十分な意思形成、意思決定の道を閉ざすなど、言語道断と言わなければなりません。  また、運営諮問会議についても、既に各大学で懇談会や世話人会などを置いて広く学外の意見を取り入れようと努力しているのであり、わざわざ法定する必要はありません。しかも、経済界などの有力者をメンバーとして学長への助言、勧告を行うというものでは、多くの大学関係者が外部からの圧力、介入となることを不安に感じているのは当然のことであります。  第二に、例外的措置とはいえ、大学三年での学部卒業を可能とすることは、幅広い教養、学問の修得、他の学生との人間関係の構築などを軽視し、学生の人間的な成長を阻むものでございます。学校教育法第五十二条には、大学は「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、」と定めています。四年間で修業する内容を三年で詰め込むことは、この目的とも相入れないものでございます。  今行政がなすべきことは、大学をこのように管理、統制する仕組みをつくることではありません。二十一世紀に向けて我が国の大学を学術の中心にふさわしいものにするために、高等教育予算を抜本的にふやし、大学の貧困という現状を克服することでございます。そして、大学の自主的改革を励ますことでございます。  日本共産党は、この意味におきましてこの法案に強く反対するものでございまして、反対討論を終わるものであります。(拍手)
  78. 小川元

    小川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  79. 小川元

    小川委員長 これより採決に入ります。  内閣提出学校教育法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 小川元

    小川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 小川元

    小川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原裕康君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び粟屋敏信君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。藤村修君。
  82. 藤村修

    ○藤村委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、新たな時代の要請に応え、大学における教育研究の自主性に留意しつつ、大学改革を積極的に推進するため、この法律の実施に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 三年以上の在学で大学の卒業が認められる在学期間の特例については、安易な運用により大学教育の質の低下を招くことにならないよう、本法の趣旨に沿った制度の適正な運用の確保に努めること。  二 大学運営に当たって、学長評議会審議を尊重し、また、学部運営に当たって、学部長教授会審議を尊重するなど、適正な運用が確保されるよう努めること。  三 運営諮問会議については、その制度の運用に当たって、大学教育研究の自主性を尊重しつつ、広く各界から大局的な見地からの意見を取り入れ得るよう配慮すること。  四 大学等高等教育機関の改革推進のため、財政措置を含む必要な諸条件の整備に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  83. 小川元

    小川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 小川元

    小川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。有馬文部大臣
  85. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいる所存でございます。     —————————————
  86. 小川元

    小川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 小川元

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  88. 小川元

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十四分散会