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1999-07-21 第145回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十一日(水曜日)     午前十時一分開議   出席委員    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    小野寺五典君       大石 秀政君    金子 一義君       金田 英行君    木部 佳昭君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       熊代 昭彦君    塩谷  立君       鈴木 俊一君    園田 修光君       谷畑  孝君    中山 成彬君       萩山 教嚴君    御法川英文君       宮腰 光寛君    宮本 一三君       矢上 雅義君    安住  淳君       神田  厚君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    上田  勇君       漆原 良夫君    旭道山和泰君       井上 喜一君    岩浅 嘉仁君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       中林よし子君    藤田 スミ君      知久馬二三子君    前島 秀行君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 昭一君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         農林水産省畜産         局長      本田 浩次君         農林水産省食品         流通局長    福島啓史郎君         農林水産技術会         議事務局長   三輪睿太郎君         食糧庁長官   堤  英隆君         水産庁長官   中須 勇雄君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         農林水産委員会         専門員     外山 文雄君 委員の異動 七月二十一日         辞任         補欠選任   金田 英行君     谷畑  孝君   木部 佳昭君     大石 秀政君   木村 太郎君     旭道山和泰君   井上 喜一君     岩浅 嘉仁君   前島 秀行君    知久馬二三子君 同日         辞任         補欠選任   大石 秀政君     木部 佳昭君   谷畑  孝君     金田 英行君   旭道山和泰君     木村 太郎君   岩浅 嘉仁君     井上 喜一君  知久馬二三子君     前島 秀行君 七月十四日  農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八九号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案内閣提出第五四号)(参議院送付)  肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)(参議院送付)  家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案内閣提出第六六号)(参議院送付)  農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八九号)     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案肥料取締法の一部を改正する法律案及び家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。
  3. 安住淳

    安住委員 おはようございます。  きょうは休み明けでございますので、通告の質問が、先週の木曜日だったので少しずれるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  環境三法ということで、遅きに失した感はありますが、出してきたこと自体は率直に評価をいたします。しかし、歴史的な経緯を含めていろいろこれは話をしないといけません。戦後だけに限って言えば、我が国においては食料不足があった。大量生産、そして、米でいえば単収をどういうふうに上げていくかという中から、農薬をできるだけ有効に使うということで、戦後、水稲の増収という点で、同時に農薬使用量というのも随分ふえてきた。しかし、振り返って現時点で考えますれば、私は、環境農業の問題を考えるときに二つ視点があると思っております。  一つは、言ってみれば農産物に対する影響。これは、この間の所沢ダイオキシン騒動所沢農家皆さん、大変な迷惑をこうむったわけでありますが、農産物そのものがいわば被害者になるという点がありますね。もう一つは、農業そのもの地球環境に与える影響というものもあるわけであって、その点からいうと、この農業環境の問題というのは大変に密接不可分であって、環境に対して農業がプラスの面で有効に機能をするためにどういう方法があるのかということを考えるのが今回の法案ではないか。しかし一方で、農産物に対する影響というのがあるわけでありますから、これは肥料取締法等々で少し考えていかなければならない、こういう問題点の整理を私はさせていただいております。  そこでまず最初に伺いますが、持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案、まさに低農薬、低化学といいますかそういう栽培、この間も参考人の方がおいでになりまして、有機栽培についてるる御説明がありましたが、私は、やはり生産者はもとより消費者の側が安全面に非常に配慮した農作物を欲しているという点、これは多分時代の趨勢からいって当然のことであろうと思います。しかし、それにしては遅きに失した感があると私は思います。  一九六〇年代、七〇年代にもう既にヨーロッパではこの問題が出ていて、有機農産物生産等々に関して非常に関心が高かったといいます。やはり日本はこれについては、今法案を出したことについては評価をいたしますが、少し対応がおくれたんではないかということを私自身は考えております。  この法案を出した理由、それから今後の対策を含めて、まず大臣から所見を伺いたいと思います。
  4. 中川昭一

    中川国務大臣 おはようございます。  今、安住先生からの御指摘でございますが、この法案の趣旨については御理解をいただいておるということで、ありがとうございます。  農業が将来にわたって持続的に国民に安全なものを安定的に供給することによって国民が安心して暮らせるということは、基本法理念にも基づくわけでございます。そのため、従来から環境保全型農業を推進し、土づくり、あるいは低肥料、低農薬ということの努力をしてまいりましたけれども、率直に言って、農業者段階における取り組みは決して十分ではないと言わざるを得ませんでした。それにはそれなりの理由があったと思います。  したがいまして、先生指摘のように、今回、基本法あるいはまたそれぞれの法律を抜本的に見直し、二十一世紀に向かって、新しい農業あるいは農業者、そして農村空間、さらには消費者国民全体といったものの将来にわたっての新しい基本的な認識機能の発揮という観点から、基本法、そして持続性の高い農業生産方式に取り組む農業者に対する支援措置を講ずることを内容といたしまして、堆肥を活用した土づくりと、化学肥料化学農薬使用低減を一体的に行う本法案提出させていただいたところであります。
  5. 安住淳

    安住委員 そこで、これは樋口局長担当になるんですか。今回出された環境三法ですが、特にヨーロッパなんかを中心に、時流というのは一体どういうふうになっているのか、わかれば少し御説明をいただきたいのと、それから、この法案で言う持続性の高い農業生産方式というのは具体的に一体どういうことを指すのか、少し丁寧に説明をしていただきたいと思います。
  6. 樋口久俊

    樋口政府委員 お答えを申し上げます。  二つございました。  一つは、環境保全型農業といいますか、農薬なり化学肥料をなるべく使わないという農業生産方式、いろいろな言葉であらわされております。私どもはこれまで環境保全型農業を推進してきておりますが、その内容。それからもう一つは、有機という言葉であらわされているもの、それから、低投入型といいますか、どちらかというと欧米で使われているものに分けてお話をしたいと思います。  一つは、環境保全型農業といいますのは、専ら環境負荷をかけないという点が主眼でございます。もちろん、全体としましては、農業または農業生産持続性に着目するという点が一点。それから、化学肥料化学農薬使用を控えるということはほぼみんな共通をしているんですけれども環境保全型農業という場合は、どちらかというと環境への負荷低減に重点が置かれております。  それから、有機農業という場合には、主として消費者サイドといいますか、そちらからの視点が非常に強うございまして、化学合成資材を原則として使わない。それから、どちらかというと、労力を余り否定しないといいますか、そういう負担には若干重きを置かないということもございます。  それから、低投入型の場合は、さらに広い使い方をされている部分がございまして、持続性の高い農業生産方式に加えて、技術面、バイテクを活用しましたものとか、そういう面を含めてかなり広い概念で使われております。  それから、EU諸国で使われております環境を重視した農業ということでございますけれども、それは背景がやや異なっておりまして、農地への窒素等投入量低減することによって粗放化して生産を抑えるという点にやや主眼が置かれているということが一点であろうかと思います。  冒頭お話をしましたように、二つ持続性に着目するという点、それから化学農薬等使用を控えるという点が一点でございますが、背景なり着眼点、どちらの切り口といいますか目で眺めるかという点がやや異なっておるというふうに私ども理解をしております。  それから、今回御提案を申し上げております持続性の高い農業生産方式の具体的な内容でございますが、これは持続性の高いという、つまり高いという点に一つ主眼がございまして、三つの技術を組み合わせてやるというところに一つのポイントがございます。  一つは、土づくり技術土壌の性質を改善する。これは土壌診断機器等利用して非常に適切な投入をしてほしい。それから、化学肥料を減らす。これにつきましては、局所施肥技術等々、いわゆる側条施肥といいますか、そういう技術を使ってほしい。それから、防除の技術としましては、被覆栽培マルチ栽培を使う。  こういう技術を組み合わせて使う。一つ一つ技術は必ずしも水準が高いというわけではございませんし、農家の方にとって必ずしもハードルは高うございませんが、組み合わせると非常に持続性が高くなる。そういう点に私どもとしては着目しているということを御理解いただきたいと思います。
  7. 安住淳

    安住委員 私は、それは多分総論でいうとそうだと思うのですが、例えば、いただいた資料の中に「水稲作におけるたい肥の施用量の推移」というのがあるわけですよ。それで、十アール当たりでいうと、昭和四十二年で五百七キロですか、それが平成九年で百二十五キロまで減ってきたということですよね。  大臣、これは確かに今の局長の話の延長線でいうと、有機栽培というのをこれから多分消費者は非常に求めてくるし、そういう意味持続性の高い農業生産をやるというのであれば、目標数値の設定とか、それから農薬に関しての規制というのが相当求められてくると思うんだけれども、今度の法律ではそこまでは踏み込んでいませんね。そこまで書き込んでないわけですよ。  例えばこの法案は、いわば理念的な部分を含めた計画策定はやるけれども、その先もう少し、今私が言ったように農薬規制それから使用量をぐっと制限していくということをやはりやらざるを得ないと思いますけれども、これはどういうふうに今後なさっていくおつもりなんですか。
  8. 中川昭一

    中川国務大臣 先生が冒頭おっしゃいましたように、収量アップのために化学的肥料あるいは化学的農薬をいっぱい使ってやる。一方、今御指摘のあったように堆肥使用量がここ数十年の間に四分の一ですか、五分の一近くに減ってきたということは事実であります。その結果、単収はアップをしてきたわけであります。  先ほど申し上げたように、持続的な農業あるいは農村というもの、あるいは農業の果たす多面的役割、そして安定供給というものがセットになって基本法というものの理念が構築されておるわけでございまして、そういう観点から、一つには、農地農村地帯の果たす多面的役割基本はやはりその土地の空間がベースになるんだろうと思います。その場合に、化学製品に頼ったままの農業で果たして持続可能と言えるのであろうかということが一つ。  それからもう一つは、消費者の方が、やはり有機といいましょうか、無機に頼らない有機によってつくられている農産物に対する志向が現に高いわけでありますし、これからもますます高くなっていくだろうということがあるわけでございまして、生産サイドだけではなくて、消費者サイドの要望なり役割というものは当然大きいものと私は期待をしておるわけでございます。そういう意味で、農産物を安定的に持続的に国民に供給していくための一つ基本として、持続的な農法というものが必要になってくるだろうと思います。  では、その場合に、義務規定といいましょうか、低減義務とかあるいは不使用義務というものを課すかというと、先ほど申し上げたように、今の段階農業者皆さんは、いきなり持続可能な農業あるいは有機農法に転換したときにすぐにできるかというと、いろいろな意味でできにくい状況にあるわけでございます。  現時点におきましては、そういうふうにやった方が消費者ニーズの高いものができますよ、そして、持続的といっても、来年一年どうやって自分たちは経営をしていくんだという面に対しての問題もございますので、この法律等々で御理解をいただくことによって、三年先、五年先に向かっても、やはり国土あるいは消費者にとって有利な農産物、まさに基本法三十条の需給の状況というものの大きなインセンティブとして、やはり自然に優しいといいましょうか、そういう農産物がきちっとやっていけるような対策というものに誘導していく一つの大きな転換点であるという位置づけとして、とりあえずスタートさせていくというふうに御理解をいただきたいと思います。
  9. 安住淳

    安住委員 はっきりは言いませんけれども、重要視した視点でやっていきますということでしょう。  しかし、これは後で肥料取締法なんかでやりますが、やはりリサイクル型を考えたときに、どうしたって堆肥に使うもとが、汚泥がまた汚染をされているおそれもあるという非常に難しい問題がありますので、行政が手を突っ込むと多分莫大なお金のかかる話なのではないかなと私は思うんですね。そこまで本当にやる意思があるかどうかが問われているんだと実は思っているんですよ。  だけれども、多分それはやっていかざるを得ないんだろう。この日本の狭い国土の中で本当に安全な農産物をつくっていかなければならない。逆に言うと、大臣、これはただ安かろうであれば外国にどうやったって負けちゃうのであって、消費者信頼というのは多分、顔が見える農業というのは、つまりイコール安全なものであって、日本人がつくるものだからしっかりしているんだろう、そういう神話の上に成り立っているんじゃないですか。もしここが壊れたら、私は農産物流通の根底が崩れていくような気がするんですね。  それからいうと、やはりこれはきちっとしたガイドラインをつくって、厳しい罰則も含めてやっていく最初にしていかないといけない、その基本が今回の環境三法であるというふうに私は認識をしているんですけれども、いかがですか。
  10. 中川昭一

    中川国務大臣 まさに三法を一くくりで環境三法というふうに申し上げているのは、これは自然、そして何よりも国民に対して優しいといいましょうか、より健康的であり、安心して食べられるものにしていこうということのスタートラインであることは、先生指摘のとおりであります。  したがいまして、先生は今、日本農産物は安全だという神話というふうにおっしゃったんですか、私は、神話というよりも信頼という言葉で、これからまさしくその信頼関係を太くしていくための基本法であり、今回の環境三法だ、スタートラインという意味では先生認識と全く同じであります。
  11. 安住淳

    安住委員 そこで、余り認識が一緒過ぎると委員会になりませんので、少し違う観点から私はお話ししたいと思います。  認定農業者というのは、今度のこの法案でいうと、導入計画をして、いわば受け皿になるわけですね。そうすると、認定農業者というのは、今後どういう形で数値目標をつくって何人ぐらいにしていくかという見通しはあるのですか。
  12. 樋口久俊

    樋口政府委員 お答えいたします。  まず、認定農業者になる前にいろいろな手続があることは、県が定めるとかそれは省略させていただきますけれども方式がどういうものになるかとか、農業者の意向というのはなかなか正直言ってつかみづらい面もございます。  しかし、あえて、御質問でございますから割り切ってといいますか、そこのところを前提に置きながら、私ども思いを込めて若干お話をさせていただきますと、現在私どもがつかんでおります数字として、いわゆる広い意味環境保全型農業に取り組んでおられる全国の農家方々が大体十五万戸ぐらいと思っておるわけでございます。  それから、農協調査をいたしましたところ、大体半数近いあるいはそれを超えるような農協皆さんが、全く先生のおっしゃるとおり、これからは環境に優しいといいますか重視した農業生産に取り組んでいかないといけないだろうという認識をお持ちだということは承知をしておりまして、そういう農協で旗を振っていただけるということを一つは要素に入れることができるんじゃないか。  それから、今回こういう法案を制定させていただきまして、これは生産者だけじゃございませんで、消費者まで理解をいただいた全体としての運動みたいな、そういう協議会までつくっていただいて、浸透をさせて理解してもらうということを含めたそういう支援策を講ずるということをやりますと、私どもとしては、現在取り組んでおられる方に、一口で言えば十五万戸に相当上積みして二十万戸に近いといいますか、その程度の数字の方が取り組んでいただけるようになればという思いがあるわけでございます。
  13. 安住淳

    安住委員 十五万弱ということは全体の五%でいいですか、局長日本農業者の大体五%ぐらいでしょう。  つまり、この法案を読むと、これは新たに導入計画都道府県知事提出をして、それで認定を受けるということですよね。一戸一戸の農家は相当まだまだ認識不足をしていて、私は五%というのは多分相当農業に対する意識の高い方々だと思うのですよ。全体の農家皆さんにこういう考え方を浸透させて、なおかつ認定農業者になっていただくというのは大変なことだろう。なおかつ、都道府県に対して導入計画まで立てるとなると、個々の農家は相当ハードルの高いものだというふうな意識を持ってしまうんじゃないかと思うのですけれども、いかがなんですか。
  14. 樋口久俊

    樋口政府委員 二つ理解をちょうだいしたいと思います。  一つは、先生おっしゃいました認定農業者皆さん、これは一つ要件でございまして、例えば非常に有利な改良資金を借りるとか税金の特例措置を講ずるという場合の要件でございます。したがって、ある手続が必要になるわけでございますが、その場合でも、どういう様式をつくるか。できるだけ簡素化する、あるいは私どもの方で記載例を提示するとか、あるいは農業改良普及センター等でいろいろな会合をしていただいて、そこで助言指導を行って浸透するということでございますので、できるだけ容易に作成することができるような書類といいますか手続にしたいと思っておるわけでございます。  それから、この生産方式というのが各都道府県で制定をされますが、実際にこの方式生産をされる、あるいは最終的には産地ができる、ブランドができるといったものは、別にこの認定を受けなきゃその方式をつくっちゃいかぬというわけではございませんので、全体としてそういう生産方式を提示されたものに従って生産される産地なり集団なり組織、そういうものが今お話をしました認定農業者等々を中核にしてできていくもの、そういうふうに理解をしております。  重ねてお答えをしますが、できるだけ手続なり様式なりを簡単なものにしていくということは、先生おっしゃるとおり、当然私ども念頭にあるというところでございます。
  15. 安住淳

    安住委員 と同時に、認定農業者をどういうふうにふやすかというのは大変な話だと思うのですね。多分目標数値をつくっても、全然そこまでいかないという繰り返しですからね、何をやっても。  そこで、例えば農協等々に対して、どういう指導助言をしてこの考え方というものを広く普及してもらうのか。つまり、これはやってもらわなければ困るという話なんじゃないのと言っているのです。できるだけ広めていきますじゃなくて、今からこういうことをやっていかないと、農業というのは、言ってみれば環境との調和という一点で、これを外したらばなかなか大変なんですよということを広くやっていかざるを得ないものだと思うのです。できるだけふやすのじゃなくて、どうふやすかという発想でこれはやっていかないとだめなんじゃないですか、大臣
  16. 中川昭一

    中川国務大臣 とにかく、化学的な製品によって農産物がつくられていくということをできるだけ少なくしていこうということが持続的な農業であり、消費者の求める農産物である。しかも、それは環境に優しい。そういう場合の環境に優しいというのは、いわゆる多面的な機能一つとしての役割になってくるだろうと思います。また、やはり有機農産物というものは、我々、特に今の子供たちが知っている農産物とは随分何か形もいろいろと味も違うねというような、子供たち本物志向というものを醸成していくための教育的な側面という、まさに将来にわたって私は非常に大きな位置づけがあるというふうに考えております。  そういう意味で、環境という側面、まさにその言葉一つをとりましても、いろいろな機能が果たされるべきでありますし、今回三法まとめてではございますけれども、何度も申し上げておりますように、基本法理念を遂行するための重要な一つ概念であり、またこれからやっていくべき農業形態であろうというふうに理解をしております。
  17. 安住淳

    安住委員 そこで、例えばこの認定農業者が決まったときに、今度は、持続性の高い生産方式導入するのにいろいろな施設を使いましょうというときに出てくるのが農業改良資金助成法に基づく支援措置なわけですね。  そこで、私は資料を見せてもらいました。私は大変問題があると思います。例えば、「農業改良資金種類別貸付実績推移」というのがあるわけだけれども、私はこれを見て驚きました。例えば平成五年、全体で貸付金総額が四百十七億、平成九年には二百十九億ですよ。つまり、この貸付額は激減しているわけですよ。  個々個別の具体例を私は今からやっていきますけれども大臣銀行にお勤めになっていらっしゃった経験がある。つまり、売れない商品を出しておいて、いずれは使いますと。私に対する説明もそうだ。しかし、実際どうなんですか、これは。後から言いますけれども貸付枠をつくっていても、貸付総数がゼロなんというのが四年連続続いている枠もある。大臣民間銀行だったらば、こういう商品をつくっている担当は多分左遷されるんじゃないですか。使いもしない融資枠をずっと残しておく、魅力のないものを置いておくというのは、いかにもこれはお役所仕事の悪い例が私は端的に出ていると思います。  まず総論として伺いましょう。四百十七億が二百十九億と激減をしているのは、不景気だけでなくてもっと何かの影響があると思いませんか。いかがですか。
  18. 中川昭一

    中川国務大臣 農業改良資金というのは非常に農家にとってメリットのある融資制度といいましょうか、資金だと思いますけれども、今先生指摘の四年連続ほとんどゼロというのはお蚕の技術改善資金でございまして、これは六億の貸付枠があってほとんどゼロということでございます。これはお蚕自身が今非常に厳しい状況にあるわけで、何としても日本の養蚕を守っていかなければならないのでありますけれども、需要がない。  したがって、眠っておるということに対しては、今抜本的な予算の見直しということも基本法の中で私自身答弁をさせていただきましたけれども、こういう資金制度そのものについても、ニーズの高いもの、あるいはまたこういう数年間ほとんど需要のないもの、これをよく検討いたしまして、実質的な徹底的な見直し作業を指示しておるところでございます。
  19. 安住淳

    安住委員 いや、それがそうなっていないから私は言っているのですよ。今蚕の話をしましたけれども、私が指摘したのはそうではないのですよ。大臣、蚕なんか、それでもまだ六億の枠で平成八年度に二件の貸し付けがあるのですよ。いいですか。  特定地域生活改善資金なんというのは、平成六年に創設されて、三億の枠があって、六年、七年、八年、九年、貸付総数ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロですよ。わかりますか。ところが、私に対する説明は、これは非常に重要な資金で、不景気なものだから、いずれは多分必要だと思うのですと。それは農林省が必要だと言っているけれども、借りないということは農家にとっては必要ないということなのではないですか。どうですか。
  20. 樋口久俊

    樋口政府委員 お答えを申し上げます。  今お話がございましたように、農業改良資金、幾つか種類があるわけでございますが、極めてわずかなもの、あるいはこの数年間全く実績のないものもございます。大臣からは極めてわずかなものの事例をお答えしたわけでございます。  私どもとしては、一つは、最近の所得の伸び悩み、経済状況の悪化等によりまして、新たな投資が手控えられているとか、あるいは経営環境をめぐるものがございますけれども、それはそれとして、現在お話のような状況がございますので、今度のこういう改良資金の特例等々もございますし、全体としてどういうニーズがあるかきちっと見直して、もう一回こういう整理をしないといけないということで、既にもうそういう検討、整理には着手をしているところでございます。  これまでの状況は、御指摘部分については実績がないというのはそのとおりでございます。
  21. 安住淳

    安住委員 まあいいでしょう。これは、抜本的に見直すということでいいのですか。では、そういうメニューをいつまでに出してもらえるのですか。本当にこれはいろいろな種類があるけれども、ことしじゅうにはちゃんとこれを直して、来年には売れるような商品をちゃんとつくるということですか。ニーズのある商品をつくっていきますというふうに理解していいですか。
  22. 樋口久俊

    樋口政府委員 今回、法律の御提案もさせてもらっておりますし、予算についても相当きちんとした整理をし直して、十二年度予算から要求をしていくということでございますので、その一環としまして、農業改良資金についても必要な整理をさせていただきたいと思っております。
  23. 安住淳

    安住委員 大臣、私は農林省の中でも少しいろいろやらないといけないと思うのですよ。なぜかといいますと、例えばこれは農産園芸局が持っているいわば資金融資枠なのでしょう。しかし、農家から週末に私は話を聞いたのだけれども、例えば農業経営強化促進法があって、構造改善局の持っている融資枠もあるわけでしょう。似たようなものがやはり結構あるのですよ。個々に話を聞くと、いや、それは種類とか目的が違いますからとそれぞれの局が言うのですよ。ところが、借りる側とか農協から見ると、さほどの違いを感じないというか、むしろそこまで資金の融資枠や租税特別措置法に関係した問題について認識のある人は少ないのですよ。  ということは、それぞれの局は、私から言わせれば売れない商品でも自分の資金枠としてつくっているけれども、農林水産省全体からいいますと、大臣、それぞれの持っているこういう融資枠をもう少しわかりやすく簡単に整理すれば、実は私は統廃合はできると思っているのですよ。それをやらないといけないのではないですか。  行政改革が叫ばれているときにこんな実績で、普通の銀行の支店長がもしこんなものをつくったらこれは左遷、首ですよ。だって、半分以下ですよ。つくっている商品の半分以下。なおかつ、構造改善局にしたって何にしたって似たような商品を売っているわけですから。これは、大幅に抜本的な見直しが迫られると思います。やってもらわないと困ります。大臣、いかがですか。
  24. 中川昭一

    中川国務大臣 先生も先ほどちょっとおっしゃっておりましたけれども、今、低利の制度資金というものに対するニーズが、こういう金融情勢でございますから、本来公的ないい条件というメリットが薄れておるということは、まず一つ理解をいただきたいと思います。その上で、こういう状態が数年間続いておるということになります。  確かに農家サイドから見ると非常にわかりにくいということは、私自身も地元に帰ってよくそういう話を聞きます。幸い、二〇〇一年一月一日から省庁再編で、農林省も新たな業務も含めまして局の体制が抜本的に変わっていくわけでございます。たまたまといいましょうか、幸運なことにといいましょうか、省の体制も変わってまいりますので、そのタイミングに合わせて、こういう本来国民のためにあるべきサービスをきちっと効率的にわかりやすく、またニーズの高いものを中心にきちっとやっていく。  今ニーズがないから未来永劫ニーズがないかどうかは、そこは政策判断だと思いますけれども、原則としては、中央省庁再編というタイミングもございますので、その機会をとらえまして、見直しをきちっとやっていかなければならないというふうに考えています。
  25. 安住淳

    安住委員 というふうに考えておりますではだめだと思うのですよ。やはり、やりますと言ってもらわないとだめ。  それで大臣、私はこう思うのですよ。これは提案だけれども、細か過ぎるのですよ、多分。ある意味で、大臣の地元も私の地元もそうだと思いますけれども農業をやっている農業者から見ると、例えば花なら花で何かをやってハウスをつくるということがあるでしょう、そういうときにいろいろな融資枠がある、だけれども、それを農協や役場へ行って聞くのもやはりえらい大変な話なんですよ。なおかつ出先の、それぞれの例えば町役場の担当者が丁寧でわかっていればいいですよ。それがよく認識していない者もいっぱいいるのですよ、実態は。  こんなことを言ったらこれはまた今私が言うのとちょっと相反するかもしれないのだけれども、もっと大枠で、大くくりで資金の融資をするような、言ってみれば無利子枠をつくってあげるような形にした方が多分借りやすいのじゃないのですか。例えば私が持っているこの資料にしたって、生産方式改善資金なんていったって、メニューがとてつもなくあるのです。十数種類もあるのですよ。バイオテクノロジー導入資金、生産環境改善資金、農業者技術開発資金等々ずっとある。  大臣、私はこれはそれぞれの局、課の、言っては悪いけれども、縄張り争いの中からいろいろなことで出てきたものだと思います。しかし、これは実はもっと単純かつ借りやすい制度にしないと私はだめだと思うのですが、そういうことを思い切ってやってみたらどうですか。いかがですか。
  26. 中川昭一

    中川国務大臣 趣旨としてはそのとおりだと思います。
  27. 安住淳

    安住委員 では、ぜひそういう見直しをやっていただいて、二〇〇一年まで中川大臣大臣としてやっていらっしゃるかどうかわかりませんけれども、そういうことをぜひ引き継いで、省庁再編に合わせてこれをやっていただきたいと思います。  それでは、時間もなくなりましたし、実はこの環境三法と全く関係ありませんけれども、きょうは水産庁からも長官にお忙しいところを来ていただいています。その問題もやらせていただきますので、あと何問か、この肥料取締法とそれから家畜排せつ物の関係法について説明をいただきたいと思います。  まず肥料取締法ですけれども、これは有害成分が含まれている堆肥がふえている現状にかんがみて今回こういうことになった云々というふうなことが書いてあるわけだけれども、私も現状をよく掌握し切れておりません。実態の調査をもしかしたらなさっていらっしゃるのかもしれないので、この有害成分が含まれている堆肥というのは実際としてふえているのかどうかを含めて、現状とこの法案の必要性について、簡単で結構ですから説明を願いたいと思います。
  28. 樋口久俊

    樋口政府委員 二点お答えをしたいと思います。  有害成分がふえているという御質問でございますが、実はふえているということではございません。実態をどう判断するかでございます。最近十年間で、都道府県が立入検査をしておりますけれども、十年間のうち、いわゆる重金属等の基準を超えるといいますか、そういうものが全く発見されなかったのが四年ございます。残りの間に、細かく言えば別ですけれども、全体として十件、つまり平均して一年に一件という程度のものでございます。それをどう評価するかでございます。決して増加をしているということではございません。  むしろ、私どもがこういう提案をさせてもらいました背景は、一つは、特殊肥料のうち、いわゆる汚泥の肥料流通量がふえてきているということと広域化しているということでございまして、そういうものの中に含有される可能性が強いということでございますのでそういう点に着目をしましたのと、これから適正な施肥をしていかないといけない堆肥等につきまして、含有する成分が表示をされていないとどうしても適正に施肥ができない、この二点に着目をしまして、改正の提案をさせていただきました。
  29. 安住淳

    安住委員 私は、この法案には、私なりの考えでは二つ重要な点があると思います。  一つは、やはり言ってみれば取り締まりをどう強化していくかという問題ですね。そこで、例えば、この法案に書いてある普通肥料の範囲というのを拡大して、今の区別を少しシフトしたということですね。  もう一つは、私は、やはりこれはユーザーの側から見たときに、品質表示の徹底だと思うのです。品質表示を徹底してもらう。しかし、その表示そのものが今度は虚偽の場合もあるわけで、実際はこれはなかなか難しい問題があるなと思います。しかし、ルールを適正に運用するという点からいうと、第二点目のこの品質表示もやはりもう一方の柱かと思いますね。  そこで、第一点の普通肥料の範囲というのを拡大した理由についてまず説明をしていただけますか。
  30. 樋口久俊

    樋口政府委員 実は先ほどお答えをしました提案の理由とほぼダブるのでございますが、特殊肥料でございますと、平たく言えば、どうしてもそういう規制が緩いということでございまして、普通肥料の範疇に移行させまして、事前のチェック、それから流通段階でのチェックができるようにする。  その普通肥料に移行させます理由は、お話をしましたように、流通量もふえておりますし、特に県域を超えたりして広域化しているということが一点と、原料が廃棄物等々になるわけでございますので、どうしても重金属等の有害成分を定められたもの以上に含有する可能性が強い、そういう心配があるという二点でございます。
  31. 安住淳

    安住委員 それと、品質表示の問題について言うと、私は、今の検査体制はどうなっているのかなと思うのですよ。品質表示を義務化するのはいい。しかし、本当にこれを徹底して調べるといっても、現在そんな体制が全国のどこにあるのか、だれがそういうことをやるのかということが、私は大変不安になるのです。  私は、そういう意味では、農林水産省の中にある仕事の区域というのをちゃんと大幅に見直しをして、その中からこういう検査体制、これはJAS法に関係しても言えることだと思いますけれども、ルールを厳守する、そして生産者消費者を結果的には守るということがこれからの流通行政といいますか農林水産行政にとって非常に重要なことだと思いますから、この検査体制をどうするのか。今の人員でやったって、私はいわば不可能に近いと思うのですね、この流通全部を洗うというのは。これを行革の時代にどういうふうに充実させていくのですか。
  32. 樋口久俊

    樋口政府委員 今度、法律改正をやらせていただきまして、その体制の問題で考えないといけないことも二つございます。  一つは、制度発足時に新規の登録等々の手続がかなりございますので、これについて急増するということはございますが、この心配につきましては、一時的な、経過的な需要でございますので、一言で言えば私どもの組織を挙げて支援体制を組むということでございます。  それから、施行後、立入検査業務でございますとか表示がちゃんとやられているかということにつきましては、いわば通常化するといいますか平準化するわけでございますが、これについては、これまでそうしていたというわけではございませんが、なるべく検査対象になる業者の負担の軽減、あわせて検査を効率化する、それから、形式的ということではございませんで、一律としないで、日常業務をやっておりますと、お行儀のいい業者といっていいのかどうかわかりませんが、そういうところじゃないのとそうであるのとわかりますので、それは重点化をしまして、きめ細かにチェックをしていく。そういう体制を、農林水産省と、それから流通関係、都道府県でもしょってもらうということになりますので、よく連携をとりながら対応していく。  片方で業務を効率的にやれという要求と、片方で重要な業務だからきっちりやれという要求がございます。これは両方にらみ合わせて、私どもとしては、業務全体の再編成、再整理をしないといけないと思っているところでございまして、現行の体制をきちっともう一回目配りをして対応していきたいと思っております。
  33. 安住淳

    安住委員 私がもらった資料の中に、平成十年現在で、検査所の数が全国六カ所で百四十二人の検査業務なんでしょう。現実的にこれから、品質表示の問題にしても、悪質な業者を取り締まるといっても無理じゃないですか、こんな体制では。大臣、これは組織の人員配置等々やるのでしょう。やはり私は、ある意味でJAS法にも関連して言うと、検査、チェック体制というのは絶対ふやしていかないといけない分野だと思いますよ。  そういう中で、例えば、食糧事務所等々の統廃合の問題も出ているようでありますけれども、人員を少しスライドして、ルールを守るという点に人員のシフトをした新しい農林水産省の体制をつくるというのも一つ考え方だと思います。最後にそこだけ伺いますけれども、いかがでございますか。
  34. 中川昭一

    中川国務大臣 千七百ほどある品目をきちっと検査をし、また新しいものも出てくるのでしょうけれども、今局長が答えましたように重点化と効率化という流れ、そしてまた行政全体の流れがあるわけでございます。  人員の融通も含めまして、効率化、重点化という中で、大勢人員をふやすとか減らすとかいうのはそれはやってみなきゃわからない話でありますけれども、とにかく目的達成ができるように、与えられた条件の中で最大限の体制をとり、作業を進めていかなければならないというふうに考えています。
  35. 安住淳

    安住委員 私は前から実は持論でございますが、やはり行政はこれからは、野球でいうと、監督やコーチをやるのではなくて、食品流通、特に農産物はそうだと思っておりますが、徹底的にアンパイアに徹して、フェアでない人には退場を命じる。フェアに流通をしてもらうことが、結果的には生産者消費者にとっては大きな利益を生む。  よく、都会と農村といいますか、我々の選挙区もそうですけれども、利害が相反する部分というのは確かにあると思うのです。コストの問題にしても、農産物が高い値段であるということも含めていうと、相反することがあるかもしれない。しかし私は、実はこの流通部分の合理化や、今言ったフェアな取引をするということに農林省がもっと力点を置いてやれば、生産者消費者は非常にメリットが大きいというふうに思っておりますから、この部分をぜひ、これからの組織の改正を含めたときに、厳しい行革の時代でありますけれども、地方にも手厚い人員の配置をしていただきたいということを最後に要望しておきます。  そこで、家畜排せつ物法案の中身については同僚の鉢呂先生の方からるる質問がありますので、私は、この点については一問だけ質問させていただきます。  実は、私のところなんかは、結構やっていらっしゃる方が多いのだけれども、一番問題になっているのは、都市化の中で混住しているというのですか、つまり、都市住民や近所に新興住宅街があって、それと家畜農家というのが混在しているのですよ。そこでやはりその悪臭等々の問題というのがあって、現実にはそういう問題の方が実はよほど深刻だなと私は思っているのです。ですから、風向きが変わると本当に、私のところにも抗議をしてくる都市住民の方がいらっしゃるのですね。  こういう問題について、これはなかなか対策が難しいと思いますけれども、私は、今度の排せつ物を含めてだけれども、悪臭対策等々をもう少しやっていかないと、混住化というのは多分大臣の地元でもあると思うのですけれども、いかがでございますか。簡単でいいですから。
  36. 本田浩次

    ○本田政府委員 御指摘のとおり、畜産経営に起因します苦情は、平成九年度に発生件数で二千五百十八件ありましたけれども、このうち、悪臭問題に関連したものが約六割、それから水質汚濁に関連したものが約三割、この両者で九割になります。まさに地域の混住化などが進展する中で、こうした畜産環境問題の解決を図ることが重要な課題となっております。  このために従来から、公共、非公の補助事業でありますとかリース事業などによって、家畜排せつ物処理施設の整備を推進しているところでございます。今回さらに、この法律案提出いたしまして、家畜排せつ物管理適正化利用促進を図るための支援措置を講ずることにしたところでございます。  また、この畜産環境問題の解決のために技術的に、悪臭防止技術でありますとか浄化処理技術などの技術開発に取り組んでいるところでありまして、引き続き効率的かつ低コストな家畜排せつ物処理技術の開発と成果の普及を図っていきたいと考えております。
  37. 安住淳

    安住委員 ぜひやっていただきたいと思います。関連は、後で鉢呂先生の方から質問します。  さて、水産庁長官、お待たせをいたしました。十分ほどありますので、お話をさせていただきたいと思います。  水産の現状についてでございますが、漁獲高の速報値というのが出たと思いますが、どうもやはり魚が随分減っているのではないかという議論が出てきました。日本海近海における漁獲量というか魚の量は、実は思った以上に低いといいますか、ないのではないかと。どうも最近魚がとれないのは、エルニーニョ現象だ何だと言っていましたけれども、こう何年もとれなくなると、何か大きな原因が実はあるのじゃないか、もともとの我々が予測していたパイよりも魚の量はかなり少ないのではないかという懸念が出ておりますが、いかがでございますか。
  38. 中須勇雄

    ○中須政府委員 御指摘のとおり、近年、我が国周辺水域におきます魚の漁獲量はかなり減少傾向で推移をしております。  この原因ということでいえば、さまざまな要因があるわけでありましょうが、基本的に、資源に対して漁獲努力、船とかそういうものが大き過ぎるのではないかということ自体に大変大きな懸念を持っております。そういう認識のもとに、今、これから先の中長期にわたる水産の基本問題、基本政策をどう考えていくべきかいろいろ議論をしておりますが、そういう中でのある意味では最大の課題ではないか、私どももそういう認識を持っておるところでございます。
  39. 安住淳

    安住委員 「資源の現状維持等のために必要な漁獲量の推定削減率算出根拠」というのをいただきました。これはどうなのでしょうか。私、もうびっくりしましたが、例えば、スケトウダラというのは大臣の地元の方でございますか。これは、これからの漁獲水準、平成八年から七年ぐらいでとっていた量をこれからも維持するとなれば、これから何年間かはもうとってはならないぐらいに魚が減っているということですね。この資料で見るとそうなるのです。  つまり、全体に現状維持すらできないような状態になっている。これはかなり深刻で、もともとの算出根拠は私もよくわかりませんけれども、これを本当にまともに見たら、水産基本法についても根本から見直さざるを得ないといいますか、これは相当大変なことになると思うのですけれども、まず、この数字について説明をしていただけますか。
  40. 中須勇雄

    ○中須政府委員 このデータにつきましてこういう場で御説明をするのは初めてでございますので、ちょっとお時間をいただきたいと思います。  今お話のございましたデータは、ことしの四月に私どもが世の中に発表した資料でございます。先ほどお話がございましたように、我が国周辺水域での資源状態がかなり悪化しているということは外からも言われますし、私ども自身もそういうことを言ってきたわけであります。  しかし、率直に言って、事柄として悪化しているということはみんな認めても、本当にどの程度の水準まで悪化しているのか、数字をもってデータを示すというふうなことはなかったわけであります。そういう意味で初めて、一つの全くの大胆な試算でありますけれども、どういう状態にあるのかということを研究者に推計していただきまして、それを公表したということでございます。  総じて言えば、現在の我が国周辺の資源水準をずっと続けていく、決してこれは高い水準ではありませんけれども、それを横ばいで続けていくためには、現在の漁獲量を二四%減らさないとそういう水準が維持できない、こういうような推計がその内容でございます。  これ自体、もちろん、海況の変動だとか水温だとか、そういったことを一切捨象しております。一定の推計に基づく大胆な予測値ということでございまして、実際にはさらに細かく事柄に応じて考えていかなければなりませんが、そういう状態に基本的にはあるんだ。これを前提にして、私ども、これから水産基本政策を立案するに当たってはそれを早急に回復していく、そして持続的利用が可能な状況に持っていく、そのために何をすればいいか、こういうことで、真剣な議論を各方面としていきたいというふうに思っているわけであります。
  41. 安住淳

    安住委員 率直にお話をいただいて、ありがとうございます。  そこで、そうはいっても長官、多分これはやはり基本法をやるときに非常に重要な根拠になると私は思うのですよ。そうなってくると、魚をとる側のこちら側がどういう体制でこれからいくかということが、大臣、大事ですよね。そうなってくると、一つ大きな問題として、日本の漁業を考えたときに、沿岸の漁業者、それから、大きく分けて沖合、底びきというのがあるわけですよ。今の長官のお話からいっても、全体で二四%の漁獲量の削減がどうしても必要になってくるだろう。どうしますか、これは。水産基本法をつくるということになっているようだけれども、沖合、底びきそのもののあり方というのをどうしても問われざるを得ないと思うのですよね。  これは非常に高度な、政治的な問題になってきます。これ以上踏み込んだ話をするというのは、私にとっても大臣にとっても大変難しい話ですから、それは私もどうしていいかわかりません。しかし、いずれにしたって、このままの現状の産業体としてやっていかれたのでは、資源の枯渇にまでいってしまうというふうな認識にならざるを得ないのじゃないですか。いかがですか。
  42. 中川昭一

    中川国務大臣 先生お話を伺っていて、まさに水産というのは有限な資源であるということが大前提になるわけであります。特に我々日本国民は魚との親しみが非常に深いわけでございますから、一時期は世界一の漁獲量を誇っていたわけでありますけれども、今や世界で七番目という水産国になった。  しかし、じゃ、今後どうしていったらいいのか。沿岸あるいは沖合そして遠洋、あるいは内水面も含めまして、ここがまさに、今後の水産のあり方あるいは水産地域のあり方、さらには、山から平地、海に至る一連の国土の面的な、多面的機能という言葉を今から使っていいのかわかりませんが、広い意味の大きなポイントになっていくわけでありまして、今後に向けて、といってもそんなに時間的な余裕がないぐらいに厳しい資源状況でありますけれども、そういう意味で水産政策の検討会で約二年間近くにわたって基本的な議論をしていただいたわけでございまして、単に業としてだけではなく、地域あるいはまた日本が保有する資源として、今後どうやっていくかということにつきまして、まさに基本法の議論というものがこれからもますます議論として重要になっていくのではないかということで、検討会の一つの方向性が間もなく出るというふうに伺っておりますので、またいろいろと御議論をいただきたいと思っております。
  43. 安住淳

    安住委員 いや、大臣、結果はかなり厳しい選択だと私は思いますよ。沖合、底びきに対して何らかの、言ってみれば業界再編どころか撤退をしてもらわないといけないようなことが出てくると思うのですよ。だって、これはどう考えたって、とる側を規制しなければ多分守れない話になってきますから。  そこで、最後に伺いますが、水産基本法の策定を急ぐべきだと私も思います。しかし、これだけ魚の量が思った以上に少ないということであれば、そういう今後の水産全体の、とる側の再編というのがやはり避けて通れない話だと私は思います。どこまでそこに踏み込んで書くのか、なおかつ、国会に対していつの時点までに水産基本法の骨格というのを出していただけるのか、最後にこの二点だけを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。また別途時間をかけて水産の問題はやらせていただきますが、この二点だけひとつよろしくお願いします。
  44. 中須勇雄

    ○中須政府委員 一つは、これから先の基本政策を考える上で、水産、やはりとる側の再編整備ということが避けられないというのは、私ども基本的に同様の認識を持っております。  それから、今後のスケジュールでございますが、八月、この夏中に基本政策検討会から御報告をいただくというふうに思っておりますので、それ以降、まず私ども内部で、それを受けて、どこまで一体政策として立案可能なのかという粗ごなしの議論をした上で、その折々の段階で、各先生方あるいは国会の場等でも御議論をいただきながら、それをできるだけ早くまとめていきたい。  ただ、具体的にいつまでということは、大変難しい問題も含まれておりますので、そういう議論の中で、その方向、いつまでということについても、あわせて答えが出ていくように努力をしていきたいというふうに思います。
  45. 安住淳

    安住委員 地域経済にも大変大きな影響を与えますので、ぜひ、すべての人に対して非常に、手厚いといいますか、配慮を持った対策というものを、特に業界に対してはしていかないといけないと思いますので、ひとつ情報を隠さず、我々にも基本法制定の過程というものをいろいろお示しいただければありがたいと思います。  それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 穂積良行

    穂積委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  47. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  きょうは、環境三法ということで、環境や食品に重大な影響のあります遺伝子組み換え食品についてまずお伺いをいたしたいと思います。  まず、大臣、私も先週十三日に農水委員会で遺伝子組み換え食品について質問いたしました。同じ日に食品表示問題懇談会の技術的検討のための小委員会が報告書を提出したということでございまして、これに対して中川農水大臣が十六日の記者会見で、一つの方向性として原則的に表示を義務化するということがはっきりしている、このように述べたわけであります。さらに、消費者理解するようなシステムにしなければならない、このようにも述べたというふうに報道されておりますけれども、この内容についてもう少し詳しく説明を願いたいと思います。
  48. 中川昭一

    中川国務大臣 懇談会から一つの方向性が出まして、最終的には八月中には正式の報告書が食品流通局長の方に出てくると思いますが、中間取りまとめといいましょうか、去年出ました一つの方向、中間的な方向性を、いわゆるパブリックコメントで国民的にいろいろお示しをしたわけでございますけれども、その段階消費者皆さんを中心にやはり表示をすべきだという意見が強いというのがそのパブリックコメントの結果でございました。  もちろん遺伝子組み換え食品は安全であるということが大前提でございますから、それは主たる輸出国でありますアメリカ、カナダにおいても安全性というものを確認した上で、また輸入国たる日本、あるいはEUもいろいろと今議論をやっているようでありますけれども、輸入国としても安全性を国民に対しての義務としてきちっと確認をしなければいけないというのが大前提なわけであります。  その大前提に立った上で、では表示をどういうふうにしていったらいいのかということについて長い間の御議論があったわけでありますけれども、やはり安全であっても、いわゆる遺伝子を組み換えした食品、それにはそれのメリットというものも技術的にもまた食品としてもあるわけでございますけれども、安全であるがゆえに表示をしなくてもいいという意見と、安全であってもそれは正しい技術による食品なのだから表示をすべきだ、最初は大きくこの二つの、単純なと言ったらおかしいですけれども、右か左かみたいな議論でありましたけれども、その後、専門家の方々の御議論の結果が、例の、内容が変わる場合どうするかとか、あるいは変わらないけれどもその遺伝子組み換え部分が残る場合、消えてしまう場合、さらにはそれがまざった場合にそれを識別できる場合、識別できない場合と、いろいろと難しい専門的な話になってきたわけでございます。  したがいまして、私としてはやはり、国民に情報を提供する義務あるいは情報を知る権利というものが一つの原則になっていくであろうというふうに申し上げましたが、現にそれを技術的にどういうふうにしていくかということになるとなかなか難しいということで、消費者にわかりやすく御理解をいただくためには、さらに専門的な議論がもう少し必要なのではないかというふうに考えております。
  49. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 一時間という短い時間でございますので、端的に答えていただきたいと思います。  今大臣は、新聞の報道によれば、原則として表示は義務化すべきであるというふうにおっしゃったわけであります。どうも、まだ、表示をどうするかというのは、今度は農水省が原案を提示して八月中に結論を出すということでありますから、まさに農水省がどういう表示をするかということになります。  新聞等では、原則義務化して表示するのは少ないのではないかというふうに言われているのですけれども、その中で、それでは、できた食品が科学的に、性質として、DNAやあるいはたんぱく質としてそれが残存しておるのか、あるいは分解されてないのか、そういう仕分け、あるいはまた流通の実態として原料農産物が遺伝子組み換え作物として輸入されてきておるのかどうか、そういうものの実情というところから区分け、分類をしておるわけでありますけれども基本として、日本として、原料の遺伝子組み換え作物について表示をすべきであるという線をきちっと輸入業者なり外国政府に判断を求めるのか。  それから、同時に、DNAと思われる食品あるいは輸入された原料農産物に対する検査を、DNA遺伝子組み換え作物が入っておるということの検査をするのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  50. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 今先生質問の点でございますが、御質問の中にもありましたように、八月中に結論を出すべく懇談会で検討しておるところでございまして、次回に事務方として原案を出すということでございます。  この懇談会で議論しておりますのは、いわゆる加工食品を中心としたものでございまして、そこでの、先生言われましたように、三分類に分けまして、それぞれについての表示の仕方をどうするか、これの原案をつくれということを懇談会から言われておりまして、今それを作成中でございます。  その中で、今御質問ありました、例えば、組み換えられたDNAなりたんぱく質が除去、分解されて検査できないものにつきまして表示を義務づけるということについては、いろいろ問題があって難しいというようなこともこの懇談会で議論されております。  そういったことも含めて、現在原案を作成しているというところでございます。
  51. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ちょっと質問に答えていないのでありますけれども、それでは、まず、そのように組み換えDNAとかたんぱく質が分解された食品について、その検査ができないものは、原材料の農産物についてそれが遺伝子組み換え作物なのかどうか、それを検査すれば、今のJAS法と同じ形でありますけれども、あるいは書類上の突合をすれば、果たしてこの食品が、例えばしょうゆとか大豆油というものが、確かに原料が遺伝子組み換えされておらないということが証明されるので、当然その会社のしょうゆは遺伝子組み換えのしょうゆではないというふうな形の原料の表示、あるいは検査というものをきちっと公的な形でやるのかどうか、お答えください。
  52. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 表示は、まさに改正JAS法に基づきまして、飲食料品につきましても表示義務を一般に今度つくることになりますので、その中でやるように考えております。ですから、製品であります飲食料品について表示をするということになるわけでございます。  ただ、そのとき、当然のことながら、原料の問題でございますので、原料段階で、例えば遺伝子組み換え農産物を使っていないということを表示するためには、IPハンドリングされました、分別された遺伝子組み換え農産物でないという、遺伝子組み換え農産物でないものとして分別流通されたものを使っていなければ当然そういう表示はできないということでございますので、原料段階でのハンドリングといいますか、原料手当てという事実関係に基づいて製品に表示するということになるわけでございます。
  53. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今のお答えは、一般的に流通が、GMOの流通を、非GMOですとかあるいはその不分別だとかいうことの流通の実態で、例えば表示を不分別とする、あるいは表示を非GMO原材料だという形にするというような御答弁に聞こえるわけでありますけれども、私が質問しているのは、まず第一に、そういう不分別をなくするような、流通実態としてGMOも非GMOもまざったような、そういう流通実態をきちっと、原料農産物について、GMOという遺伝子組み換え作物であれば遺伝子組み換え作物であるという表示を輸入業者等に義務づける、一つは。  それから、そういうでき上がった食品について、きちんと検査に基づいて、公的あるいは民間の検査でもよろしいです、検査に基づいてこれは確かにGMOが入った食品ですという表示をさせるのか、そこのところをお答えください。
  54. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 今の遺伝子組み換え農産物が、大豆であるとかトウモロコシであるとかといったような、いわばアメリカから大量に輸入しているという日本の実情を踏まえて、仮に輸入された農産物につきまして検査を義務づけるとすれば、膨大なコストがかかりますし、また、その生産地、つまりアメリカ段階でそういう分別されていないのが大部分でございますので、それを新たに日本側の要求でもって分別するとなりますと、そのコストは非常なコスト高になるわけでございまして、そういうコストの問題と、それから技術的にどの段階でやっていくのかという問題もあるわけでございます。  そういったことから、流通の実態に即した表示ということで、先ほどお答え申し上げましたように、遺伝子組み換え農産物でないものをIPハンドリングする、そういうものにつきまして、不使用なり遺伝子組み換えでないという表示をする、できるという、そういう製品段階での表示でもって消費者への情報提供をしていこうというのが今回の考え方でございます。
  55. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣、もう一度お答え願いたいのですけれども、原則として表示の義務化ということを御答弁されました。今の実態は、そういう検査あるいは表示ということになるとコストがかかるということで、一般的に、例えば豆腐は約六六%がGMO食品、それでないものもあるかもわからぬけれども、要するに、そういうものがまざっておる、分別をしにくいという形の原料から豆腐はできております。国産の大豆からできている豆腐は六%とか、そういうふうになっていますけれども、六割以上のものは、区分けがされておらない大豆から豆腐ができておる。  大豆の油、大豆油は、これは極めて多いのですけれども、三百六十万トンぐらい大豆を使っておるのですけれども、一〇〇%ばら積みの不分別。ですから、中にはGMO作物も入った大豆を使っておる。したがって、大豆の油をつくるためのかすから例えばしょうゆができるのですけれども、だからそれも分別をしにくいというふうなことであります。  しかし、流通はそういう実態だから、それに合わせれば、任意の表示として不分別だけの表示はしていこうというような報道が多いのでありますけれども、果たしてそれで日本消費者信頼にたえ得るかといったら、極めてたえ得ないのではないかと。そういうものは買わないという消費者の声が出てきたときに、日本の行政なり日本の販売業者というのはそこで大混乱をしてしまう可能性が強いというふうに思います。  実は、同じ日の七月十三日、アメリカのグリックマン農務長官がワシントンDCのプレスクラブで記者会見、これは講演的ですね、私も全文読ませていただきましたけれども、一時間以上にわたって遺伝子組み換え食品だけについて講演をしておるのであります。  新聞でも一部言っておりますけれども消費者信頼をかち得るためにも情報を伝えるラベル表示はなされるだろうと思う、こういうふうに明確に答えています。マーケティング目的のためのラベル表示は過激なものではない、すべて承認された食品は安全なのであるけれども、ただ、消費者にこうした情報提供のある選択肢が与えられるにすぎないということで、アメリカの農務長官も、いろいろな過程はありました、これは現在進行形でありますけれども、アメリカ自体も原料の農産物にラベル表示をしなければならないというような方向を明確に示したというふうにこの文章は、講演の内容は言われております。  そういうものを踏まえれば、当然、特に日本はほとんどがアメリカからGMOの原料は入ってきておりますから、日本としてもきちんとこれをアメリカに、原料について、これはGMOの原料ですと、違うというような表示ではなくて、あるいはまざっているというような表示ではなくて、これはGMOの原料、大豆ですよという表示を求めていくべきであると思います。  そういう意味で、大臣の記者会見のあの発言があったというふうに思いますけれども、御答弁願いたいと思います。
  56. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、GMO食品だから消費者が買わないか買うかということは、私自身はこの場で断定すべきではないと考えております。あくまでもアメリカの専門家、そして輸入国である我が国の専門家がきちっと研究なり一つの検証した結果として、食品としての安全性については確保されている、しかしそれについて表示をするかしないかということとは別問題だという前提で、私は一貫してこの問題を考えてまいりました。  もちろん、問題が発生をしたということになりますと、これは大きな問題になるわけでございますから、そういうことがあってはならないという前提であります。グリックマン農務長官も、そういう前提で、ラベリングが必要なのではないか、そしてまたさらに科学的な研究が必要なのではないかというようなことを言ったと報道では私は知っております。  とにかく、表示をするかしないかということについては、やはり消費者にできるだけ正しい情報を与える、これは何も、GMOだからだめだ、GMOじゃないからいい、そういう単純な問題ではなくて、消費者の一般的な知る権利として、新しい技術による食品の情報として消費者に知っていただくことが原則なのではないかということと、さて、現実、成分として消えてしまった、あるいは不可分で検証のしようがない、さらにはいろいろな生産地の段階の事情があるといったときに、どこまでそれがきちっとした情報として消費者に伝わっていくか。その場合には、コストの問題もありましょう、また検査する上での技術的な問題もありましょう、そういうものがどこまでできるかということについては、私自身もまだ正直言ってわからない部分があるわけであります。  ですから、原則表示という方向で考えていますということを申し上げたのには、自分自身でもまだ整理のついていない部分があるわけでございまして、そういう中で、しかし、原則表示という方向で御検討をいただき、八月中には改めて検討会の報告というものが出てくる。その段階で私自身の考えというものも、原則は既に申し上げておりますけれども、より明確な形で発表しなければならないというふうに考えております。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 アメリカとこの問題についての交渉もされておるというふうに聞いておりますけれども、アメリカ側は、GMO関係について、これが表示とかそういう形になると貿易障壁になるというような極めて強い立場でこの交渉に臨んでおるというような話も聞きますけれども、農務長官の話によれば、相当アメリカも変わってきている。  この会見の内容を見ましても、特に消費者信頼は重要であるし、バイオテクノロジーに対する疑問も膨大である、しかし、その多くは極めて正当なものである、疑問があるということについては正当であるというような言い方でグリックマン農務長官も言っておるわけであります。  後でまた若干言いますけれども、その交渉の課程はどういうものであるか。ある新聞は、極めて高圧的なので、それに日本政府はたじたじとなって、将来WTOでの米等の関税引き下げとの取引材料にすべきかというようなうがった報道もこの数日間あるわけでありますけれども、交渉の経過の中身、それについてお知らせを願いたいと思います。
  58. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 まず最初に、グリックマン・アメリカ農務長官の発言でございます。先生言われましたように、情報表示にはある役割があるかもしれないということを農務長官は述べられたということを承知しておりますが、具体的にどういう表示制度を念頭に置いて発言されたのかわかりません。また、アメリカ農務省の担当者は、義務表示については引き続き反対であるという考え方を当方に示しております。  どういうことをこれからやらなければいけないかということでございますが、もちろん、まず最初に懇談会で結論を出していただきまして、それに基づきまして我が国としてどういう方策をとるかということを決めることになるかと思います。その後にアメリカ等にそれを説明するということになるかと思います。そこで意見が出てくれば意見交換をしていくということになりますし、また、これはWTOに通報をしなければなりませんので、そういう経由でも各国からの意見が出てくるかと思っております。それらにつきましては、適切な考慮を払いつつ、この懇談会の結論あるいは我が国の方針を実施していくべきものというふうに考えておるところでございます。
  59. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農務長官の記者会見を見ますと、安全基準の見直しについても言及していまして、米国の農務省やあるいはこの食品医薬局、FDAやあるいは環境保護庁、EPAのその機関について、バイテクの承認プロセスを科学的に見直すよう要請をしたいというような話をされまして、私たちの規制能力というものが新技術の進歩とともに発展を続けるため、または科学者が最良の情報を手に入れるため、この承認プロセスの見直しが必要であるということで、USDA、これは、米国農務省以外の多数の専門家との協議も必要である、あるいは、栽培に携わる人の自覚、あるいは長期的なモニターの改善が必要になってくるだろう。  それから、このバイテクの製品の長期的評価をして、その情報を随時提供するために国内に地域センターを数カ所設置する必要がある。さらに、このバイテク製品の予想外のマイナス効果にさらされないためのガイドラインを強化する必要があるし、マイナス効果というようなことの情報があった場合は、それを即刻報告していく必要がある、そのための見直しの機関をつくっていきたいというような言い方をしておるわけであります。  先ほど大臣は、日本も輸入国としてその安全性については独自の立場をとるという考えを表明されたと思います。日本としてもこの安全基準、これは環境と食品、食品は厚生省の方でやっていらっしゃるのかもわかりませんけれども、この遺伝子組み換え作物あるいは食品の安全基準の見直しというものについて、大臣として考えていくという御答弁がいただければと思います。
  60. 中川昭一

    中川国務大臣 食品の安全基準については一義的には厚生省ということでございますが、とにかく輸出農産物についての安全性についてはアメリカに義務があるわけでございますから、私はあくまでも報道でしか知りませんが、今鉢呂先生が言われたようなことのもっと概括的なことの報道でのお話ぶりは知っておりますし、当然のことだろうと私は理解をしております。  また、輸入国としても国民に安全な食品を供給するという責務があるわけでございますから、我が国としても引き続きこの遺伝子組み換え食品の安全性の確認については努力をしていかなければならないわけでございます。その上で消費者がどういう判断をするのかということについては、今から私は予断を持って申し上げることは控えたいと考えております。
  61. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにしても、極めて専門性もあります。あるいは行政としての規制の専門家、あるいはそれ以外のバイテク関係の学者もいらっしゃると思います。ですから、アメリカもこの関係の農務長官の諮問委員会をつくるということで、つくることは決定をしておるようでありますけれども、それをことしの秋に発足させるというような発言もされております。政府あるいは学者あるいはバイテク製品のビジネスマン、農業ビジネス関係、それから倫理学者、環境及び消費者グループの代表という形で広く選考して、二十一世紀のバイオテクノロジーに関する幅広い議論をしていただくというような表明をされておるわけであります。ここは日本も、今回表示に関する懇談会ということで二年数カ月かかって今日まで来たのでありますけれども、やはり輸入国として、あるいは日本もバイテクを、安全さえ確認すれば、これは食品産業の大きなビジネスチャンスといいますか、それは大臣もこの前表明されておるわけでありますから、そういった形で積極的な姿勢を持ってそういう委員会をつくるべきである、この考えについては、大臣、どうでしょうか。
  62. 三輪睿太郎

    ○三輪政府委員 遺伝子組み換えを含むバイオテクノロジーの多方面にわたる視点からの検討でございますが、これは一九七〇年代から、先生がおっしゃった倫理とか社会的影響を踏まえたオールサイエンスの検討という面では科技庁が検討をしております。現在では、それは科学技術庁のライフサイエンス部会というところがその役割を負っておりますが、私どもはそういう広い検討を受けた上で、なおかつ農林水産業関係のバイオテクノロジーの評価ということで、大所高所から御検討いただくために、昭和六十年代から、農林水産業の関連業界団体、民間企業、ジャーナリスト、それから学者、消費者を含みますバイオテクノロジー先端技術開発推進協議会というものを継続的に開きまして、そういった御議論をいただいておりますし、また、その中で、そういう会を開きますと、やや消費者のような方々委員の数が少ないものですから、そういう消費者のような方をふやしたような形で、十人規模の諮問委員会を私ども独自に設けまして、バイオテクノロジーの研究開発の方向等につきまして学者、消費者、マスメディアが親しく懇談できるような推進委員会もあわせて設置しております。  こんなようなことで、幅広く各界の意見を把握しながら、バイオテクノロジーの関連について適切な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。
  63. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにしても、余り国民皆さんが、そういう機関があって、今アメリカが、農務長官が言うような開かれた形で論議をしているというふうには到底思えません。  ですから、そういう点で、これは私が承知していない点もあるかもわかりませんけれども、先ほど言いましたように、不分別というのは任意表示で、まざっているから、日本消費者はそれをそのまま受け入れるというような形で、それはもちろんGMOだからということで安全性は確認されているということですから、それはそれとしていいんですけれども、それ以外に、消費者はそれがきちっとどういうものであるかという情報をつかまえるという必要性があるだけに、大臣が言った原則義務化、義務的表示ということに突き進むということになりますと、私は、先ほど言いましたように、入ってくる原料農産物に対するきちんとした表示を例えばアメリカ側に求めていく、それからその商品なり食品なり、あるいはこの原料農産物について、日本が検査をして、それがそうであるかないかという判断を下す、この二つ基本的な大きな姿勢になるというふうに思いますから、そういう観点で、八月のこの表示問題についての結論も出していただきたい。余り現状の流通実態にこだわりますと、本当にGMOの食品問題の大きな課題に適切に対応するという形にならないというふうに思います。  それでは次に、家畜排せつ物法の方に移らせていただきます。  先般の参議院側での農水委員会質疑で、これは四月十五日でありますけれども、我が党の郡司議員の質問に対して、畜産局長は、堆肥舎の建築基準、これは管理基準という形で法律の第三条にも述べられておるんですけれども、建築基準法の適用との関係について、直ちに適用される、されないということをここでお答えするのは難しいという御答弁をされておるわけでありますけれども、これはどういうことを意味するんでしょうか。
  64. 本田浩次

    ○本田政府委員 参議院の郡司先生の御質問に答えたのと同じことでございますけれども、建築基準法の適用の関係を直ちに今の時点で適用されるかどうかということについて答えるのは難しいということで、一般論としては、この家畜排せつ物関係の施設が、地面に固定されていて、柱、屋根があれば、これは建築物ですので適用される可能性はあるわけでございますけれども、私どもとしては、畜産農家の負担をできるだけ少なくしたいということ、それから一方で、野積みそれから素掘りといった不適切な管理をできるだけ少なくしていきたい、それに必要な必要最小限の施設を整備していくということで、建築基準法上の適用を避けることができるかどうかについても考えていきたいという趣旨でお答えをしたところでございます。
  65. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私もそういう趣旨については大賛成でありまして、まさに畜産経営上、この家畜排せつ物というのは有機的な循環機能的には利用される大変貴重なものでありますけれども、施設投資の過大さという点からいきますと、できるだけ安価に施設投資をすべきである。これは今補助金つきのリース事業ですとか、あるいは公共事業を非公共でやっておりますから、そういう公的な支援を使う事業についてもそのことを貫き通していただきたい。  これは大臣平成九年、規制緩和の推進方策にのっとって、畜舎自体が従来型に比べると二、三割軽減するような建築の標準基準というものをつくったわけでありますけれども、さらに、大臣も御案内のとおり、堆肥舎というようなものはほとんど人的な出入りもないわけでありますし、また堆肥の熱というものもあるわけでありますから、相当の基準の緩和が必要である、このように思っておるわけであります。  きょうは建設省の住宅局長が見えられていると思います。建築基準法は、国民の生命、健康、財産を守るため、その安全性や建築の敷地、周囲の環境に関する最低限の基準を定めるものである、と同時に、構築物といいますか人の出入りのないものについてもこの基準法に準ずる、そういう形になっておるようでありますけれども、ぜひ従来の枠にとらわれず、ともすれば日本規制規制で民間の活力が出てこない。この堆肥盤についても、もちろん汚物、汚水等が環境を汚染するという意味では大変大きな課題でありますけれども、その処理をする堆肥舎というものが過剰な投資になったのでは意味をなさないということでありまして、ぜひ建築基準法の適用外にしてほしいというぐらいの思いなんですけれども、御答弁願いたいと思います。
  66. 那珂正

    ○那珂政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘なさいましたように、堆肥舎を含む畜舎一般につきましては、平成九年三月に建築基準法上の取り扱いにつきまして大幅に緩和したわけでございます。その後、十年三月におきましても、一定程度の緩和をしてまいりました。  ただ、ただいま御指摘のように、畜舎一般ではなくて、堆肥舎ということに着目して、さらに緩和すべきではないか、あるいは適用対象外とすべきではないかというような御指摘だと思うわけでございますが、おっしゃるように畜舎一般の状況と比べまして堆肥舎というのはさらに人の出入りがほとんどないとか、先生指摘のように発酵熱等の状況があるとか、あるいはまた、最近はいろいろな形の堆肥舎の構造も見受けられるようなことから、今先生がおっしゃったようなことも含めまして、農林水産省とも十分協議を踏まえながら、その利用状況、構造のあり方を十分把握した上で、建築基準法上の取り扱いを、全般、例えば建築基準法の対象外にするとか、あるいは簡易な建築物としてその基準をさらに緩和するとか、堆肥舎の構造とか規模にもよると思いますけれども、それらにおいて早急に検討をしていきたいと思います。
  67. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大変どうもありがとうございます。  本田局長は参議院の御答弁で、標準的な堆肥舎の整備費ということで、酪農でありますと五十頭規模で七百五十万、肉用牛で二十頭規模で二百万、養豚で八百頭規模で七百万、しかし実際は、私も北海道でいろいろ聞いていますけれども、その倍以上かかっておるようであります。これは補助事業でありますけれども、とても人間が住んでも風邪を引かないような堅固なものになっておりまして、局長はさらに防水シートなど簡易な施設で試算をすればその三分の二ぐらいになると、どこかで食い違っておるのではないかと思わざるを得ません。  補助事業についても、これは会計検査の対象もありますけれども、今建設省からそういうお話があるわけでありますから、やはり大胆な見直しをしてやっていただきたい、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  68. 本田浩次

    ○本田政府委員 御指摘のとおり、堆肥舎などの施設整備に要するコストにつきましては、施設の種類、飼養規模などによって異なるために、一律にその額を示すことは困難でございますが、参議院の委員会で、先生指摘のような答弁をさせていただいた次第でございます。  私どもも、北海道におきます、これは一応五十頭規模の酪農経営の投資の実態、堆肥舎の投資の実態を幾つかの事例で調べているところでございますけれども、例えば、これは十事例で調べてみますと、五百万円台のものが三事例、それから七百万円台のものが二事例、八百万円から九百万円台のものがそれぞれ一事例、それから一千万円以上のものが三事例、投資実態にはかなりの差があるわけでございますが、飼養規模が一応五十頭規模の酪農経営における堆肥舎の整備費七百五十万円については、一定の計算方式で計算したものでございまして、通常の堆肥舎の価格としてはおおむね妥当なものと私どもは考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、できるだけ簡易で低コストな施設整備を行えるように考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  69. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この堆肥舎整備の支援策でありますけれども、これも参議院側で質疑をされておりますけれども、全国で、小規模畜産農家を除くと、全体で四万戸程度が整備必要件数である、酪農家は二万五千戸程度が整備必要だということであります。  実は、北海道庁も昨年七月と本年六月に調査をしておりまして、現在北海道では一万八千戸の畜産農家が経営をやっておりまして、ふん尿の河川流出、地下浸透、悪臭の発生危惧を含め、整備必要件数はそのうちの四五%の八千三十五戸、河川流出等緊急対策が必要なものがそのうちの約半分の四千十五戸、講ずる計画として、あるいは既にやってしまったという形でありますけれども、公共事業絡みで一千五百五十七戸、自己資金で八百三戸、補助金、リース事業で五百十三戸という形でありますけれども、なお、緊急に必要なものだけでも、一千百三十戸は残ったまま計画が立て得ないということであります。  先ほど言いました二分の一補助つきリース事業が、平成十年度当初予算額で八十一億ということで、ほぼ一千戸近く対象でやっておるというふうに聞いておりますけれども、本年はその倍増の百五十億程度措置をしたというふうに聞いております。  いずれにしても、冒頭言いました四万戸のものが対策を講ずるということになりますと、五年や十年では全くできないという状況であることは確かでありまして、なかなか自己資金で、あるいは、この法律は、先ほど問題になった農業改良資金を使うというような形なんでありますけれども、果たしてこれが五年なり十年で本当に設備投資を完了できるのかどうか、その計画、見通しについて御答弁願いたいと思います。
  70. 本田浩次

    ○本田政府委員 御指摘のとおり、野積み、素掘りなどを行っている農家で、その施設整備を行わなければならない農家数というのは、かなり大胆に推計しているわけでございますが、特に新たな施設整備を行わなくても管理適正化を図ることが可能と考えられます小規模なものを除きまして、おおむね四万戸程度というふうに考えているところでございます。  今後、この法律が通りますと、農林水産大臣基本方針を定めまして、その施設整備の目標などを設定するわけでございますけれども、これを受けまして、都道府県知事に施設整備計画、施設整備のための計画目標を定めていただくことにしておるところでございます。  したがいまして、具体的には、この四万戸の農家の施設整備を進めるに当たりまして、どの程度の所要投資額が必要とされるか、それからどの程度の対象農家があるのかということは、各県が定めます施設整備計画で設定されるところになるわけでございますけれども、私ども、先ほど申し上げました四万戸の農家のうちで約二万二千戸ほどが野積み、素掘りを解消しなければならない農家というふうに考えております。それから、一万八千戸ほどは酪農及び肉用牛の経営であって、堆肥盤はあるわけですけれども、いわゆる屋根のない堆肥盤だけになっているものがかなりの数ございます。  それから、現在、家畜排せつ物の処理施設を緊急に整備するために、補助事業、リース事業、融資などを含めて早急に対策を講じているところでございますけれども、現在進めております事業は、どちらかというと大規模なところを取り上げておりますので、戸数は比較的少ないわけでございますが、この大規模なところの施設整備を進めていけば、一戸当たりの所要投資額は徐々に減っていく、こういう形になるのではないかというふうに考えておりまして、現在の我々の見通しでは、この五年程度でほぼ施設整備を進めることができるのではないかと考えているところでございます。  具体的には、各県の施設整備計画が定められた段階で、所要投資額、それから施設整備の対象農家の詳細もわかってまいりますので、必要があれば、さらに予算の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  71. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 第十四条には経過措置が設けられまして、これは、参議院側でも五年程度の経過期間というような御答弁があったというふうに聞いておりますし、きょうの新聞もそのような報道をしておるわけでありますけれども、予算との関係でどうしても投資が完了しないというときには、その延長もあるのかどうか、大臣から御答弁願います。
  72. 本田浩次

    ○本田政府委員 管理基準の適用猶予期間につきましては、家畜排せつ物の処理または保管の用に供する施設の整備にかかる期間などを勘案いたしまして、畜産経営に過度の負担を課することとならないように、管理基準に定める各事項ごとに必要な経過期間を設ける方向で検討を行っているところでございます。  このうち、例えば、施設整備といったハードに関する基準につきましては、先生指摘のとおり五年程度の適用猶予期間を設定する方向で検討を行っておるところでございますけれども、これは、他の法令の例なども見ながら考えているところでございまして、十分な期間であると考えておるところでございます。  さらに、適用猶予期間を延長することにつきましては、家畜排せつ物管理適正化に必要な施設整備への取り組みをおくらせるということになるのは、これは忍びがたい、こういう事情もございますので、この法律案の目指す環境と調和した畜産経営の実現を図る上で適当ではない、とりあえず五年程度の猶予期間を設ければ十分ではないかというふうに考えておるところでございます。
  73. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 環境庁の方が見えておられると思いますけれども、水質汚濁防止法に基づく排出規制という形で、畜産農家も対象になるのでありますけれども、排出水が基準を超えた場合には、排水基準違反ということで罰則が即刻かかるという法体系であります。  今回の本法案につきましては、先ほど来お話ありますとおり、指導助言、勧告、命令、各段階を経て、最終的に違反した場合に罰金がかかるという形で、両法案の対応が違うわけでありますけれども環境庁として、このことについてどのように考えるのか。  時間がありませんから、それと、硝酸態窒素の排出水規制の関係で、畜産経営等の関係でどのような影響があるのか、お答え願いたいと思います。
  74. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  水質汚濁防止法と、今回提案されておる法案の罰則等の適用についての整合性の問題の御質問でございますけれども、まず、水質汚濁防止法、これにつきましては、もう先生御案内のように、環境保全の観点から、直接的に汚水等の排出を規制して、その違反には直ちに罰則を科すという道も開いておるわけでございます。  それに対しまして、今回提案されておる法案につきましては、畜産業の健全な発展に資するという観点から、今先生指摘になりましたようないろいろな措置を定めまして、その実効を期す上で、勧告、命令、報告徴収等を行い、これに違反した場合に罰則を科す、こういうことになっております。  両者の整合性でございますけれども、それぞれ水質汚濁の防止あるいは畜産業の振興といった目的の違いを踏まえまして、極力整合のとれたものにしていくべきと考えております。  具体的には、まず基本的には、今回提案された法律の施行のもとで、管理基準に沿いまして、畜産農家の取り組みによって不適切な家畜排せつ物管理、あるいはそれによる水質汚濁というものを回避していくというのがまず基本になるべきだと思います。しかしながら、そのような対応にもかかわらず、結果的に排水基準に抵触するような場合には、水濁法の適用も考えていかざるを得ない、こういう関係になろうと思います。  次に、硝酸性窒素の件でございますけれども、この硝酸性窒素、御案内のとおり家畜ふん尿等が土壌なんかに地下浸透いたしますと、それが硝酸性窒素という形になりまして地下水を汚染するということでございます。それに対しましてはいろいろ、メトヘモグロビン血症ということで小児に影響が出ますので、平成十一年二月二十二日に環境基準項目として追加をいたしました。  しかし、今後具体的にどういう排水基準あるいは地下浸透規制を行うかにつきましては、畜産業の実態も踏まえまして、審議会等での議論を踏まえて決定してまいりたいと思っております。
  75. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣が五十五分に退席をされるということでありますので、大変申しわけないのですけれども持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法案について二つだけ大臣に御答弁を願いたいと思います。  一つは、今回の法案、名称は非常に格調高いんですけれども、極めてその内容は貧弱と言ったら後でまた怒られますけれども、もっと環境保全型農業全体の基本法なり有機農業も見据えた基本法的な、あるいは総合的な体系的な施策に裏打ちされた法案をやはり準備すべきではないか。これはもう、二十年前こういうような法案であればまだいいんですけれども、今の段階で減化学肥料、減化学農薬そして土づくり、本当に三十年前、四十年前のことであればいいんですけれども、こういうようなものではないのではないか。後で私詳しくお話をさせていただきますけれども。  同時に、大臣は参議院の論議でも、こういった環境保全型の農業に対する支援という形で金融支援あるいは税制上の支援があると。まさにこの法案についてこういう形をとっておるわけでありますけれども、その程度のものでは使うにも、先ほど農業改良資金が使われておらないというのは、まさに魅力がなくて、使わないためのいろいろな規制があるわけではありませんけれども農家にとってこの程度のことでは環境保全型の農業を推進していくためには何にもならない。今回も資金的なものはつくりましたけれども、ほとんど利用されない可能性が強い。  そういう意味でもう一段踏み込んだ支援策というものが必要ではないだろうかというふうに思いまして、その二つについて御答弁願いたいと思います。
  76. 中川昭一

    中川国務大臣 貧弱というお話でしたけれども、まさに基本法理念に沿った法律である……(鉢呂委員「そっちの基本法はいいです」と呼ぶ)はい。そして二つの御質問をまとめて答えますならば、持続性の高い農業を維持していくためのスタートラインとしての位置づけであるというふうに理解をしております。  つまり、正確な数字は忘れましたけれども、まだ有機農法で売られている農産物が三十七億とかなんとかと役所の答弁が、違っていたら後で訂正いたしますけれども、そういうぐらいの程度でしかない。それで消費者ニーズの方も非常に高いわけであります。また一方、生産者の方も非常に熱心にやっておられる方がいますけれども、まだまだ有機とかあるいは自然循環型とか持続性の高いというものに主眼を置いた農業というものが、特に生産サイドの方ではまだまだこれからだという中で、罰則はおろか優遇のメリットが十分ではないのではないかという御指摘につきましては、これからこれをスタートとしてということでやっていかなければならないというふうに考えております。  いずれにしても、こういう農法でつくっていた農産物については消費者サイドのニーズが高いというメリットを生産者サイドの方に早く御理解をいただくということが経営という観点から一つ大事なことじゃないかということで、あくまでも基本法理念に基づくスタートとしての位置づけということで、今後状況を見ながらさらに積極的な施策をとっていく必要があるというふうに私自身も考えております。
  77. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 スタートラインというお話でありますけれども、しかし、全体像というのがさっぱり見えない。  私もちょっと勉強させていただきまして、きょうは環境庁の所管の局長が来ていますけれども環境白書を見せていただきました。環境白書の方がずっと農水省よりも勉強しておるような形でありまして、ことしは膨大な環境白書になっております。その中で、「産業活動における環境保全の内在化の動き」ということで、OECDの「農業環境」指標というようなものを参考にして、まず一つは「有機農業に係るグリーン化の枠組み」という形で、まさに今回皆さん提出されたものはその取り組み内容の第一段階である。第二、第三、第四までありまして、第一段階というのは、既存の技術を活用して可能な範囲で化学肥料農薬を節減、例えば慣行の二割程度節減することによって環境負荷を軽減する。それは経営の中身としては、単収あるいは作物の外観の低下あるいはコストの上昇等を伴わないようにやっていく段階だ。第二段階は、リサイクルを推進するとか施肥、防除基準を見直して、新技術、新しい資材の活用の推進により一層の環境負荷を軽減する。第三段階になりますと、化学肥料農薬をおおむね五割から全く使用しない、いわゆる無農薬、無化学肥料というものを片側ずつ実施するという方法をとって、これはできる限り単収、外観の低下あるいはコストの上昇を伴わない。できる限りということでありますから、場合によっては減収するということもいとわない生産方式というふうな書き方をしております。それで第四段階は、有機農業という形で、全く化学肥料農薬に依存しない栽培方法により農産物を供給する。これは単収、外観、コスト等には必ずしもこだわらないということで、減収してもいいんだというような言い方であります。  そのほかに「その他の環境保全の取組」ということで、水環境あるいは廃棄物、廃棄物というのは農業の廃プラスチックフィルムをどういうふうに処理するかとか、あるいは温室効果ガスの排出についてどのような形をとるかとか生物多様性ですとか国土保全機能というものをどういったふうに農業の中に生かしていくかという別の項目をとっておるのであります。  ですから、こういった全体像に基づいてその第一段階としてこういった法案を出してくるのであれば私はいいと思いますけれども、その全体像が見えません。局長みずからが参議院で質問に答えて、今回の法案は、自分で言うのもおかしいけれどもかなり格好がいい名前がついた法案だ、しかし、これは農業が本来環境と調和して持続的に発展するということに関して、すべてをこの法案で対応することを想定しておらないということを答弁されておるんですけれども、今私が言ったようなことについてどのように考えておるのか、御答弁願いたいと思います。
  78. 樋口久俊

    樋口政府委員 二つほどお答えをしたいと思います。  一つ支援措置でございますが、改良資金について御指摘がございまして、これは先ほど大臣からもお話がございました。私も申し上げましたけれども、こういう新たな法律に基づきます支援措置一つのきっかけではございますが、改良資金全体やその内容については既に検討を始めているところでございます。  それから、今回のこのような、いわゆる環境保全型農業と申しましょうか、この法律は、その中で法律的な手当てを要しますものについては対応いたしておりますけれども、全体としまして、金融措置、税制措置、それから別途、予算措置も講じさせていただいております。その中でも、決して農家皆さんだけではございませんで、消費者段階流通段階も含めて、アクションプランとでもいうべきものをつくっていただいて、全国として縦横でこういう対応をしていくということが今回の特徴でございまして、相当多くの方々にかかわっていただいて、理解をしていただくということが私どもとしては一つの特徴じゃないかと思っております。  それから、ヨーロッパとの比較を御指摘になったわけでございますが、これはいろいろな経緯もございますが、一つ申し上げますと、特にEU等でしばしば直接支払い等で御議論があるわけでございます。環境に着目した支払いが行われていることは事実でございますが、それらを含めまして、例えば自然的条件が異なります。  特に我が国は、南北、かなり事情が違うような、あるいは相当湿気の多い地域も抱えた中で農業生産が行われているという状況でございますし、いろいろな作目が、かなり高いところから低いところまで、営農条件に十分対応しながら営まれている。そういう状況のもとでやられていることについて、どういうような形で環境なりに取り組んでいくかという、背景が違うあるいは経緯が違うということがございますので、先ほど大臣からもお話ございましたが、新しい農業基本法に基づきます持続的な農業生産を行うためにどういうことが必要かという中でこういう御提案をさせていただいておりますし、法律以外にも、先ほどお話ししましたように、予算措置を含めて総合的な対応をとらせていただくというふうに考えておるところでございます。
  79. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長、何か違いを言いましたけれども、私先ほど言いませんでしたけれども、先ほどのグリーン化の取り組みについては、むしろ、農水省の環境保全型農業推進本部の、平成六年四月につくった「環境保全型農業推進の基本考え方」に基づいてつくったというふうに言われておるわけでありますから、問題は、さっき言った四段階、その段階は違ってもいいんですけれども、その段階の移行をどういったふうに、農水省として、基本的な考えとしてやっていくのか。  第一段階は、今言った、この法律案に基づいてやっていくとか、そういうものをきちんと示して、計画的、総合的にやっていく必要があるのではないか。有機農産物の方は必要ないということであればいいんですけれども、今のような状態では、これはもう有機農産物も外国の有機食品に市場が全部とられるというような状況になりかねないという形でありますから、日本独自の有機食品の規定でもつくるんならいいですけれども、そういうわけでもないという中で、もう既に日本の商社は外国の有機農産物に向けて走っておるわけでありますから、そういう点で、体系的、段階的、そして総合的なプランをつくって、それに基づいてやっていただきたいものだなというふうに思うわけであります。  食糧庁に質問したかったわけでありますけれども、時間が来てしまいましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
  80. 穂積良行

    穂積委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  81. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮腰光寛君。
  82. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 最初に、持続性の高い農業生産方式導入に関する法律案について幾つかお尋ねをいたします。  万物は土に返るという哲学があります。自然農法は、土が本来有している力を引き出す生産方法であり、環境法案理念と共通しております。その意味で、今回の三法案を高く評価したいと考えております。  また、全国各地の土地改良事業の記念碑には、農魂あるいは農魂不滅という言葉が多く見られます。これは、先駆者の不屈の農民魂に感謝するという意味と、子孫へ農民魂を末永く継承したいという意味が込められたものであります。  私自身、自然農法や農魂は今後の農政を進める上でのキーワードであると感じておりまして、先般成立いたしました食料・農業農村基本法においてもこうした理念はもちろん盛り込まれていると考えております。  そこで、まず大臣に伺いたいと思いますが、今回の環境法案はこの新基本法理念とどうかかわってくるのか、伺っておきたいと思います。
  83. 中川昭一

    中川国務大臣 私も農魂という言葉が好きでありますし、また非常に意味の深い言葉だと思っております。  そこで、今回の基本法におきまして、四つの理念がございますが、農業の持続的な発展を図るためいろいろな施策を講ずる場合における基本的な方向として掲げられておりますけれども、その中で、望ましい農業構造の確立、農業生産基盤の整備とともに、農法面におきまして自然循環機能の維持増進を図ること、これが先生指摘の自然農法ということに当たるかと思います。そして、二番目といたしまして、集落を基礎とした農業者の組織等による活動を促進すること、あくまでも集落、そしてそこの農業者が中心地になって面的な発展を遂げていく。その共通項が農魂という言葉に当てはまるのではないかということで、今後の基本法基本的な精神といいましょうか、非常に大事な理念的な位置づけのある言葉だというふうに考えております。
  84. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 この法案につきまして、持続的農業生産を目指す環境保全型農業ということでありますけれども、その最大の課題は、通常の栽培と比べて除草作業などの労働時間が多くかかるということではないかと思います。  農林水産省の行ったアンケート調査によりますと、環境保全型農業の経営が成り立たない理由として、第一位が労力がかかるということでありまして、およそ八割の取り組み農家がそう答えております。つまり、環境保全型農業を推進するためには労働時間短縮のための省力技術の開発と所得の確保が必要であると考えますが、本法案が目指す持続性の高い農業生産方式導入生産性の向上をどのように調和させていくのか、伺いたいと思います。
  85. 樋口久俊

    樋口政府委員 今ほども大臣からお答えございましたけれども農業の持続的な発展を図るためには、一つ農地農業用水それから担い手等々が確保されまして、これらが効率的にうまく組み合わされた望ましい農業構造が確立されるという点が必要だと思います。これと持続性の高い農業生産方式導入等々によりまして農業の自然循環機能が維持増進されること、この両面を目指していかないといけないんじゃないかと思っておるわけでございます。  その際、先生お話ございましたことも一つ側面でございますけれども持続性の高い農業生産方式導入するということになりますと、短期的には、いろいろなバリエーションがあると思いますけれども、単収の低下の可能性が避けられない、それから農業時間の増加等を招く面もあります。  そういう面もあることに配慮をしまして、一つは地力等を増進することによりまして病害とか連作障害を減少する、こういうこともねらっていく。それから、片方、やはりこういうふうにしてつくりましたもの、あるいはつくってほしいという消費者ニーズ、これがあることも既に御承知だと思いまして、こういう消費者ニーズに対応していくということで付加価値を高める効果もある。こういうことでございますので、収益性を高めるということと、それから先ほどからお話ししましたような効率的な農業経営の実現に資する、こういう面を有しているということもまたあるんじゃないかと思っているわけでございます。  したがいまして、こういう取り組みを推進する場合には、そういう点も配慮をしながら、両面にらみながらいくわけでございますが、お話ございましたように、生産性を低下させちゃいかぬということで、高性能機械の導入を図る、これは一つやはり頭に置かないといけないだろう。  それから、少量でも効果を発揮するような新たな肥料を開発していくとか、それから防除の場合には、例えば天敵昆虫を活用するとか、新しい技術、そういう防除技術の確立に関します試験研究等を進めていく。  こういういろいろな方策を進めていく必要があると思っておりまして、この法律の実施あるいは関連します支援措置として、いろいろな予算措置も既に講じてあるものもございますし、これからもそういう面を配慮する必要があるんじゃないかと思っております。
  86. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 昔のことでありますが、私が小学校のときに、理由は覚えておりませんが、学校をずる休みしたことがあります。今で言う登校拒否ということだと思いますが、そのときにおふくろから田の草取りを一日やれと言われまして、朝から夕方までやっておりまして、これが小学生にとりましては大変な重労働でありまして、そのことがありましてから、もう学校をずる休みしなくなったという経験があります。  やはり農家方々は、実際のところ、農薬によって重労働から解放されてきたということが現にあったわけでありました。そのおかげで女性も腰が曲がらずに済んでいるということだと思っております、農薬それから機械化によってでありますが。今もしこれまで以上に重労働をしながら、自然農法といいますか、持続的農業生産を目指す環境保全型農業に取り組むということになりますと、何といいましても省力化というのが何よりも必要だというふうに思います。  今ほど御答弁にもありましたけれども、労働時間の短縮、それから省力化に向けた技術開発、これが重要でありますが、とりわけ農林水産省としては、今ほどお話がありましたとおり、高性能機械の開発について今後とも積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと考えます。このような観点から、持続性の高い農業生産方式導入を円滑に進めるための高性能機械の開発について、進捗状況と今後の取り組みについて伺っておきたいと思います。
  87. 樋口久俊

    樋口政府委員 いわゆる高性能機械の開発につきまして、現在私どもでは、第一段階といいますか、現在進行中のものは二十一世紀型農業機械等緊急開発事業といいまして、俗に私ども言葉で二十一緊プロという言葉で言っているのですが、それは今既に実施中でございますが、この前提として既に開発して実用化されたものがございましたので、一、二御紹介をしたいと思います。  その前に、どういうふうにして進めていくかということでございますが、いわゆる生研機構と呼ばれております組織、生物系特定産業技術研究推進機構というところがございまして、そこと民間メーカーとの共同の研究でございますとか、あるいは都道府県での機械開発に対する助成を通じていろいろな研究を進めてきておりまして、先ほどお話ししました、既に終わりました緊プロと称しておるもので開発されました機械を一、二御紹介します。  今ほどもお話ございました除草作業ですね。それに除草剤や大変な労力を使わないでもいいということで、紙マルチを敷きながら例えば一緒に田を植えていく、そういう減農薬米の生産について大幅な省力栽培を可能とします軽量の紙マルチ敷設田植え機というようなものが既に開発をされております。  それからもう一つは、お茶でございますけれども、例えば表面へまくということではなくて、やや深層へペースト状の肥料を注入するということで、施肥作業の回数を減らすとか、それからそこが雨が降ったりして流れていく、流亡の防止ということで効率的に作業ができるというお茶の施肥作業機、こういうようなものが既に開発されておりまして、これらを十分、今回の法律あるいは関連の施策でも活用してもらうというふうに考えております。  さらに、十年度からはそれを一歩進めて、先ほど御紹介をしました二十一緊プロということで、例えば稲のそれぞれの条の間あるいは株の間を一緒に除草してしまうというようなかなり画期的な機械を現在開発中で、取り組んでいるところでございます。あるいは、その環境を十分確認しながら、施肥、防除をきめ細かに行うということを頭に置いた環境負荷の軽減のためのプレシジョンファーミング、私どもはそう呼んでいますが、精密農業といってもよろしかろうと思います、そういう農業方式で、ある意味で一斉に肥料をまくとかではなくて、土壌の条件を厳密に確認しながらまけるような方式も今開発をしているところでございまして、こういう開発、実用化を一層進めるということで、御質問ございましたような対応に効果があらわれるようにしていきたいなと思っているところでございます。
  88. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 ぜひ、高性能ではあるけれども、低価格な機械を開発していただきたいというふうに御要望申し上げておきたいと思います。  今後このような生産方式の普及を進める際に重要なのは、持続性の高い農業生産方式に取り組む農家のインセンティブをどう高めていくかということでありまして、そのための幅広い支援措置が必要であるというふうに思います。個々の農家の取り組みはもとよりでありますが、集団的な取り組みを推進することによって効果を上げることができるものや、効率的に実施できるものもあります。今回の法律案に基づく金融、税制上の支援措置、これは農家個人の取り組みに着目した支援として高く評価できるものだと考えております。また、集団的な取り組みに関しましては、従来から補助事業による支援が行われておりますが、今後ともこうした支援の充実を図ることが必要と考えます。  このような観点から、持続性の高い農業生産方式導入促進するため、集落営農等、集団的な取り組みに対し、今後どのような助成措置を講じようとしておられるのか、伺いたいと思います。
  89. 樋口久俊

    樋口政府委員 こういう農業生産方式導入していただく際に、一つは、有機質資源、堆肥等を安定的に入手する、こういう側面からすると、当然一人一人よりは、出し手も受け手もある程度まとまっていることが有利になるのはもう御承知のとおりでございます。それから、農業機械や農業資材を効率的に使う、あるいは肥料農薬低減の効果が安定的にあらわれてくる、こういう面からすると、集落など一定のまとまりがある地域で一緒にやってもらう、集団的に取り組んでもらうということがより一層効果があるということも、先生お話があったとおりでございます。  したがいまして、法律の中で金融、税制上の支援措置を講ずるということにしておりますが、それはお一人お一人のいわば支援措置ではございますけれども、このほか予算措置も別途講じております。例えば、農産物の販売のルートを確保するということも大変大事なことだと思っておりまして、消費者等々と、これは全国的にも各県、地域でもそういう交流会なり、あるいは全体として、それぞれどういう計画でいくかというアクションプランみたいなものをある程度つくってもらおうじゃないか。  それから、施肥なんかするときは当然土壌診断施設、こういうものは必要不可欠でございます。それから、有機物の供給施設等の共同利用施設の整備、これはもう当然集団的な利用ということでございまして、集団的に取り組んでもらわないと有効に機能しないし、より一層効果が上がるということは私ども十分念頭にあるわけでございます。  こういう集落営農等の集団的な取り組みが行われましたり、効果が上がっていって、その延長線には当然産地化とかブランド化とかいうようなものも結びつけられるということで期待をしておりまして、その役割は私どもとしては大変大事なものと思っているところでございます。
  90. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 ちょっと話が飛びますけれども、富山県、私の地元でありますが、第二種兼業農家の比率が極めて高いという特殊な地域でありまして、中核農家の育成とともに集落営農を強力に推進しているという状況にあります。この集落営農につきましては、今般成立いたしました新農業基本法の二十八条に一定の位置づけがなされておりまして、農林水産省として集落営農を評価されたものとして感謝を申し上げたいというふうに思っております。  集落営農の位置づけといたしましては、自分としては、認定農業者と並ぶ今後の農業の担い手の一つというふうに考えておりますし、今回の議題の環境保全型農業の推進におきましても、面的に取り組むことが可能となることから、集落営農は評価できるというふうに考えておりまして、ぜひ今後ともこの集落営農全般につきまして、国として推進の方向で施策を進めていただきたいというふうに要望を申し上げておきたいと思います。  次に、肥料取締法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  近年、資源の有効利用環境負荷低減の推進の観点から、下水道や工場排水から発生する汚泥などの未利用有機性資源を肥料として再生利用していくという社会的要請が高まっております。実際に、汚泥を原料とする堆肥流通量は、昭和六十年には六十八万トンであったものが、平成九年には百三万トンと着実に増加してきております。しかしながら、汚泥には重金属など有害な成分を過剰に含むおそれがあることから、本来、環境保全型農業という観点からは肥料として望ましいものではないというふうに思っております。しかし、循環型農業という観点からいたしますと、有害成分の最大量の基準を新たに設定しつつ、これをクリアし、かつ安全性が十分確保されたものについてのみ生産を認めていくことはやむを得ないことというふうに考えております。その際、一番の問題となりますのは、肥料中の有害成分の含有をどの程度まで認めるかということであります。  そこで伺いますが、汚泥肥料や汚泥堆肥については、重金属が許容範囲を超えるものが生産されるおそれがありますので、今回の法改正によって普通肥料に移行させるとのことでありますが、有害成分の基準設定についてはどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  91. 樋口久俊

    樋口政府委員 今ほどお話ございましたことが、まさにある意味では今回の法律案提出させていただいた理由といいますか背景でもあるわけでございまして、その結果、公定規格を設定するということが今回の改正後の大変重要な作業になってくるわけでございます。  その際、土壌の保全あるいは農作物の安全性の確保等々の観点から、施用方法、施用時期、施用量等を十分私ども頭に入れて、そういうものを材料にしながら、肥料の種類ごとに、原料、生産工程から想定されます有害成分がどうやって入ってくるか、そういう意味で許容限度数量を設けるわけでございます。  その公定規格を定めます作業の過程としまして、やはりこういうことにつきましては、専門家の知識が大変必要なことは論をまたないわけでございまして、こういう土壌肥料学とかあるいは植物栄養学に大変御堪能なといいますか専門の方々にお集まりいただきまして、科学的な知見に基づいて検討をして、その結果を踏まえて策定をしていく、そういうきちんとした手順を踏んで心配ないような規定にしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  92. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 午前中の質問と重複いたしますので、二問ほどカットいたします。  最後に、環境三法に関連いたしまして、カドミによる土壌汚染についてお尋ねをいたしたいと思います。  過去において、富山県を初め幾つかの県でカドミウムによる土壌汚染が発生をいたしまして、汚染田から産出された米の流通を完全にストップさせつつ、土壌復元事業が着実に実施されてきております。富山県では、水質汚染による神通川流域と、大気汚染による黒部地域の二つの汚染地域で復元事業が実施されてきており、既に七合目あたりまで来ていると見ております。農林水産省を初め、これまで復元に御努力いただいた関係者に深く敬意を表したいと思います。  個人的なことで恐縮でありますけれども、私の家はもともと農家でありましたが、所有していた水田の大半がカドミ濃度の高い一号地に該当するとして強制的に買い上げられ、農業を続けることを断念したという経緯があります。  そこで、まず大臣にお尋ねをいたしますが、新農業基本法は優良農地の確保や保全を目的の一つとしておりますが、カドミ汚染田の復元事業は新基本法上どのように位置づけられるのか、伺いたいと思います。
  93. 中川昭一

    中川国務大臣 基本法二十四条に、農業生産の基盤の整備ということで、良好な営農条件を備えた農地を確保しということがあるわけでございまして、まさに新しい基本法一つの柱でございます。  その優良農地ということが食料の安定供給を図っていく上で最も基礎的な農業生産活動としての資源であるわけでございますので、そういう意味で、先生の御実家がそういう汚染によって大変被害をこうむったということはさぞおつらいことだっただろうというふうに思っておりますが、農業者の不可抗力によりましてカドミ等の重金属に汚染されたものであって、その汚染を除去し利用の合理化を図るための措置を講ずることは、今申し上げた優良農地確保のために極めて重要な施策でございます。  したがいまして、農林水産省といたしましては、今後も、カドミ汚染の農地につきまして、農用地土壌汚染防止法に基づき、汚染農地の復旧事業を推進し、優良農地の確保に努めてまいりたいと考えております。
  94. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 大臣から、直接ありがたい御答弁を伺いました。ありがとうございました。  次に、神通川流域及び黒部地域における復元事業の完了見通しを伺いたいと思います。
  95. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 神通川流域と黒部地域に分けてお話を申し上げたいと思います。  神通川流域では、七百八十ヘクタールを対象といたしまして、昭和五十四年から復元事業をやっておりますが、現在まで五百七十ヘクタールが復元をいたしております。平成十六年度を完了目途に事業の実施を続けているところでございまして、おっしゃいましたように、進捗率で申し上げますと七四%、七合目というところでございます。  それから、黒部地域は、三十九ヘクタールを対象といたしまして、平成三年度から事業を実施いたしまして、平成九年度に完了をいたしました。  これ以外に要観察地域が、神通川流域で八十八ヘクタール、それから黒部地域で九十四ヘクタールございます。それぞれ平成十八年度、十七年度、この両年度を目標としてやっておりまして、今後とも、事業の着実な推進に努めたいと考えております。
  96. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 ぜひ着実に推進をしていただきまして、一日も早く汚染田がなくなるようにお願いをいたしたいというふうに思います。  次に、大臣にお伺いいたしますが、現在の仕組みにおきましては、カドミ濃度の高い一号地は全部休耕、それからカドミ濃度が一ppm以上出るおそれのある二号地の産米は土壌汚染防止法の規定で流通させないということになっております。さらに、昭和四十五年の農林大臣談話によりまして、〇・四ppm以上出るおそれのある産米流通対策地域、つまり三号地の産米は流通させないとされておりますが、この自主規制的な流通不可政策は今後も維持されるのかどうか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。長官。
  97. 堤英隆

    ○堤政府委員 カドミ含有米につきましては、昭和四十五年から今御指摘のような形で対応してきております。そういう意味では、政府が買い入れた米のうち、カドミ濃度が一ppm未満でかつ〇・四ppm以上のものにつきましては、消費者感情といったことも考慮いたしまして、非食用の合板接着剤の原料用として売り渡しております。  近年、米を含みます食品全体の安全性について国民皆さんの関心が非常に高くなっておりますので、現時点でこの取り扱いを変更するということは困難であるというふうに考えております。
  98. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 実は、カドミ含有米というのは、先ほどから申し上げておりますように、今のところ完全に流通をストップさせております。カドミ土壌汚染の原点は、本来、加害者と被害者の問題であるということが原点であるというふうに思っておりました。今ほどの御答弁にもありましたとおり、カドミ含有米につきましては、土壌汚染防止法と農林大臣談話に基づいて流通させないこととされておりますが、これは、本来、流通させないということは食管法とか新食糧法の問題ではないというふうに私なりに考えております。  ただ、残念ながら、新食糧法になりましてからは、カドミ含有米の買い入れにつきましては、備蓄運営ルールの枠の中で対応することとされまして、販売実績が確定する十一月中旬ごろまでは買い入れるのかどうかが不明確でありまして、被害農家の不安が極めて大きいのであります。  被害者としての生産者の苦痛を十分御理解いただきまして、カドミ米の円滑な政府買い入れを行っていただくよう強く要望しておきたいと思います。もし何か御見解があればお聞きしたいと思います。
  99. 堤英隆

    ○堤政府委員 カドミ含有米につきましては、今お話しのような形で対応をしてきておりますけれども、新食糧法のもとで政府米の販売数量とのバランスというものを考えながら、他の米と同様に政府が買い入れをカドミ米についても行っているわけでございますので、そういう買い入れの方針につきましては一体として取り扱う必要がある、これは御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、カドミ含有米の取り扱いにつきましては、今おっしゃいましたような趣旨も踏まえながら、復元事業の進展状況、これまでの経緯、それから生産者への影響ということも勘案の上、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
  100. 宮腰光寛

    ○宮腰委員 終わります。ありがとうございました。
  101. 穂積良行

    穂積委員長 次に、漆原良夫君。
  102. 漆原良夫

    ○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。私の方からは、持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律、まずこの法律からお伺いしたいと思います。  農業は、元来、自然の持っている循環機能を基礎とする産業でありまして、この意味では最も環境と調和したものであろう、こう思います。また一方では、環境負荷を与えるという側面もあります。したがって、農業の持続的発展を図るためには、環境に対するプラスの面を維持増進する、同時にマイナスの面を軽減することが必要であろうというのが、先進国の、世界の潮流となっております。  このため、過剰な農業生産資材の投入の軽減などに努める等、適切な農業生産活動を通じて、国土環境保全に資するため、農業が持っている自然循環機能を生かして、我が国農業全体としての生産性の向上を図りながら環境負荷の軽減にも配慮した農業生産方式が確立されることが求められております。  このような現状を踏まえて、我が国における持続的な農業生産の現状をどのように把握されているのか。また今後、持続的な農業生産のあり方や、これに対して国の果たすべき役割等について、まず政府の基本的な考えをお尋ねしたいと思います。
  103. 中川昭一

    中川国務大臣 農業というのは、特に我が国は、千年、二千年にわたって、この狭い急峻な国土の中で農業生産を営々としてやってきたわけでございまして、そしてまた、今後もそれを子孫に渡していかなければならない責務があるわけでございます。  近年、土づくりの減退、あるいは化学肥料農薬への過度の依存等によって、いわゆる地力の低下あるいは営農環境の悪化等々、自然環境に与える影響が非常に多くなりまして、消費者、実需者の不安と環境に優しい持続的な農業に対する期待というものが高まってきております。そういう意味で、環境に優しい、あるいはまた地力が増進する、そして持続可能な農業というものを、堆肥等の活用による土づくり化学肥料農薬使用低減によって推進していこうということが重要な課題でございます。  具体的にどのような施策をとるのかということでございますけれども、この法律に基づく金融、税制上の支援措置あるいはまた予算措置によりまして、土壌診断施設等の共同利用施設の整備等による地域ぐるみの活動の推進、また農業団体と流通消費者団体との連携の強化、そしてまた消費者のこういう農法に対する支持の拡大といったものが考えられます。  そういう意味で、生産者そして消費者が、お互いに共通の認識といいましょうか、目的を持って、持続性の高い農業生産方式がより行われることによりまして、これが消費者ニーズにもこたえられることになり、産地化、ブランド化につながっていくことにもなっていくわけでございますので、大いにこの施策を推進していくことが、国民的なニーズあるいは将来的なニーズにもこたえ得るというふうに理解をしております。
  104. 漆原良夫

    ○漆原委員 いわゆる持続的な農業生産の取り組みは、生産者の意向や消費者ニーズの意向もあって増加傾向にありますが、しかし、いまだ低い状態にあると思います。確かに、高温多湿の我が国においては、全く農薬なしの栽培というのは一般的には困難であろうと思われますが、低農薬、低化学肥料栽培農業というのは、今後、我が国の基軸としていくべきではないかと思います。  今回の政府の措置によりまして、持続的な農業生産への取り組みが推進されるという見通しをお持ちなのかどうか。そして、このことが農業生産の発展にどのように寄与していくものか、その辺の大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  105. 中川昭一

    中川国務大臣 今までは、とにかく生産性を上げるということで肥料等に頼り、また、その結果、地力の低下等あるいは環境に与える影響等がだんだんふえてきたわけであります。消費者サイドからのニーズの高まりはもとよりでありますけれども生産者の方もやはり、持続的な農業、自然循環型の農業といったものが、農業形態から見ても、スタートの段階では若干変更することによって苦しいものがあるかもしれません、したがいましていろいろな支援措置をとるわけでございますが、中長期的に見ますならば、生産サイドから見ても、農業経営としてより長期的に耐え得る経営形態だという認識農業者自身が深めていただくというところに消費者ニーズとの合致ができまして、初めてこれが強力に前進するというふうに考えております。  やってみたいのだけれどもコストがかかりそうだ、時間がかかりそうだ、だからちょっと遠慮しようとかやれないということに対しての国としてのちょっとした後押しと国民的なニーズが、生産者にその決断をしていただくための一つのきっかけとしての位置づけとしても、この法案基本法理念にもかなう重要な役割を果たすものというふうに理解をしております。
  106. 漆原良夫

    ○漆原委員 少し具体的な内容についてお尋ねしたいと思うのですが、この法律の第二条で定義がございます。持続性の高い農業生産方式とは、土壌の性質に由来する農地生産力の維持増進その他良好な営農環境の確保に資すると認められる合理的な農業生産方式である云々、こうありますが、これは一見して非常に抽象的で、私、わかりにくいなという感じを受けております。  そこで、農地生産力の維持増進と環境を加味した良好な営農環境の確保に資するというのは矛盾しないのかなという心配があるのですが、この土壌の性質に由来する農地生産力の維持増進、どんなことをお考えなのか。また、良好な営農環境の確保というのはどんなことをお考えなのか、その辺を説明していただければと思います。
  107. 樋口久俊

    樋口政府委員 第二条の各号以外の部分、柱といいますか、ややテクニカルな事柄にわたって申しわけありませんけれども土壌の性質に由来する農地生産力。これは一言で言えば地力と言ってもいいのかもしれませんけれども堆肥等を施用することによりまして土壌の性質の改善が図られることによる効果を期待しているということでございます。もう少し具体的に申しますと、例えば、窒素の含有量を改善する等々のいわば化学的な性質、それから土壌有機物を含むということによる物理的な性質、それらを維持していくということであろうと私どもとしては考えております。  それからもう一つは、良好な営農環境の確保。これはむしろ営農環境とは何だという御質問ではなかろうかと思いますが、ここでは化学肥料とか化学農薬低減する効果をねらっているわけでございまして、土壌の塩基バランスが悪化することを防止する、あるいは病害虫に抵抗性があるような品種を導入するとか、そういうことによりまして、個々の農業者が営農される土壌とか生物相を改善していくというようなものだと理解していただければと思っておりますけれども、私どもそういう考え方で、やや技術的な表現で申しわけないのですが、書いているところでございます。
  108. 漆原良夫

    ○漆原委員 続いて、土づくりとか施肥、防除について、この条文では「効果が高いものとして農林水産省令で定めるもの」、こういうふうなものを規定されております。この「農林水産省令で定めるもの」というのは、具体的内容については今どのようなことをお考えなのか、あるいは幾つぐらいのものを定めようというふうに予定されているのか、その辺を具体的にお聞きしたいと思います。
  109. 樋口久俊

    樋口政府委員 各号ごとに分けて御説明をさせていただきたいと思います。  一号では、土づくり技術を定めるということになっているわけでございまして、ここでは、土壌が空気や水を通します能力、こういう物理的な性質を改善するもの、それから養分を保持し作物に供給する能力等の化学的性質、土壌中の微生物が有機物を分解する能力等々、先ほどお話ししましたようにたくさんありますが、生物学的性質といったものを総合的に改善することができる技術をねらっておりまして、具体的にはそれぞれ細かく省令の中で規定していくわけでございます。一つは、例えば、規定の仕方としては、堆肥等の有機物の資材を土壌分析の結果に従ってきちんと入れていく技術を書くということでございまして、平たい言葉で言いますと、足らないだけの肥料をちゃんと確認をした上で入れるということでございます。  それから、施肥技術につきましては、作物の養分の吸収パターンに応じまして、肥料成分が効率よく施肥されていくということで、全層にばらまくということではなくて、例えば側条施肥の機械等を使いまして必要なところにきちっと打ち込んでいく、そういう技術でございますとか、肥料の効果を調節するような肥効調節型の肥料がございますので、そういうものを入れていくとか。  さらに、最後は防除技術でございますが、ここでは被覆栽培をするとかマルチ栽培技術等々ございまして、これらを一つ一つ省令で規定していくということでございます。  なお、つけ加えますと、これらの一つ一つ技術そのものは決して、非常にレベルの高いといいますかそういう導入しにくいという技術ではございませんが、これらを組み合わせて目的のために実施をしていくというところがまさに効果が高いということに、使える技術だというふうに私どもは考えているところでございます。
  110. 漆原良夫

    ○漆原委員 今申された、まさに効果の高いものという要件も付加されているわけですね。したがって、通常の土づくり施肥、防除とは違った効果の高いものというのはどんなことをお考えなのか。通常よりもレベルの高いものというふうに考えるのが普通だと思うのだけれども、この辺はいかがでしょうか。
  111. 樋口久俊

    樋口政府委員 先ほどるる御説明しましたように、それを引用させていただけば、例えば、簡単に言えば、単にそういう堆肥を入れるというだけではなくて、きちんとした分析の結果に基づいて入れていく、そこがまさに、片方では必要なものを入れる、それから余分なものを投入して悪影響を及ぼさない、そういう面で、典型的に例をとりますと、土壌分析の結果をきちっと使ってそれに基づいて入れていくということが効果が高いというふうに考えております。
  112. 漆原良夫

    ○漆原委員 もう一点だけ本条について聞きますが、本条では、まさに農家が本法によって金融、税制面での特例措置を受けようとする場合には土づくり施肥、防除の技術をすべて用いて行われるものというふうな条文になっております。  例えば、土づくりだけ効果の高い技術利用してその他は通常である、こういう場合、本法の適用にはならないと私は思うのです。ある意味では、国全体として環境への調和を図る農業の展開ということを求めているわけですから、初めからこの三つの要件すべて該当するというハードルを高くすることではなくて、一つでもこの条件に当てはまった場合には本条を適用するというふうな、新法を適用するというふうな工夫をした方がすそ野を広げることになるのではないか、こういうふうにも考えますが、そうではなくて、この三つについてすべての技術を用いなければならないというふうな法律構成をとられた理由についてお尋ねしたいと思います。
  113. 樋口久俊

    樋口政府委員 お手元に条文をお持ちでございますので、ちょっとそれを使わせていただきながら御説明をしたいと思います。第二条の出だしのところから、先生先ほど御質問がございました農地生産力の維持と良好な営農環境の確保という規定の次に、合理的な農業生産方式でないといけないという規定がございます。  したがいまして、決して一つだけやるのが合理的でないとは申しませんけれども、やはりそれぞれが高いものを組み合わせてやっていくところに、合理性が高くて、それぞれの目的に沿って、結局それが持続性の高い農業生産方式になるのだろうということでございまして、私どもとしては、農業生産方式が、一つは地力を増進する、もう一つは良好な営農環境を確保する、それから経営的に合理的なものでないといけない。これらについては、先ほどお話をしました技術を、持続性が高いものそれぞれ組み合わせてやっていただく、こういう要求を満たすためには、持続性が高いと言えるためには、いずれかのみということだけでは十分ではなくて、これらを組み合わせてやることがやはり高いのであろうということでございます。  それから、決して一つだけ使うことはけしからぬとかなんとかという話ではございませんで、こういうもの全体を進めてもらうすそ野が広くないといけないことは当然ですし、別途いろいろな対策を講じておりますので、それぞれを満たす場合には予算措置の対象になるものも出てこようかと思っております。  それから、こういうことを組み合わせることによって最終的には生産力の維持増進につながっていく、こういう目的を考慮すれば、やはりそれぞれを果たしてもらうということが大事かなというふうに考えてこういう規定になっているということで御理解をいただきたいと思います。
  114. 漆原良夫

    ○漆原委員 具体的に、土づくり施肥、防除に対して、農林水産省令というのを私ども見ておりませんので、この条文だけを見ると非常にレベルの高いものが予想されているのかなというふうに第一印象を受けます。農家皆さんもとても自分たちの手に負えないような新しい技術なのかなというふうに思います。  いろいろ質問の前に御説明を受けましたが、決して農家皆さんにとって特別に高いものではないのだ、通常やっておられるようなものでもいいのだというものを農林水産省令で定めるつもりなのだというふうにお聞きして少しは安心したのですが、普通の農家が少し工夫をしてやられる程度のようなものでいいというふうに理解していいのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  115. 樋口久俊

    樋口政府委員 繰り返しで恐縮ですが、決してその一つ一つ技術はレベルは高くございませんが、先ほどお話をしましたように、全体として目的を達成していただくためには、組み合わせるというところにもう一つ意味がございますので、私ども決してクリアできないような技術を求めているということではないということは御理解をちょうだいしたいと思います。
  116. 漆原良夫

    ○漆原委員 次に、都道府県は、持続性の高い農業生産方式導入に関する指針を定めると三条に規定されております。この導入指針は、都道府県全体について定めてもいいし、あるいは自然的条件を考慮して複数の区域に分けてもよろしい、こういうふうになっておりますが、この場合に、複数の区域に分ける要因としては、気候、地形、地種などの自然的条件だけでいいのか。今、混住社会にあっては、農業資材の投入が近隣民家等に与える影響も配慮しなければならないのではないか。そういう意味では、自然的条件だけではなく、社会的、経済的条件についても考慮する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。  そして、特に、この本文の「地域の特性に即し、」という条文になっているわけですが、この三条二項の地域の特性の中に今私が申し上げた社会的、経済的条件が入るかどうか、この辺をお尋ねしたいと思います。
  117. 樋口久俊

    樋口政府委員 この導入指針、各県一本ということではございませんで、もちろんそういう県もあるかもしれませんが、そういうことではないケースも当然想定をしているわけでございまして、都道府県の区域を別々に設定する、分けて設定をするということは考慮の上でこういう規定を書いてございます。  その際に、自然的条件ということを書いておりますのは、やはりこの農業生産方式内容によるところが大きいと思っております。これは、主として技術的要素から成るわけでございますけれども、これを構成します施肥、防除等の技術は、気象とか土壌要件、それから地形といった自然的な条件と相当密接な関係があるのだろうと私どもとしては思っておるわけでございます。  これらの条件が相違をすることによりまして、農業者導入される具体的な方針は異なる可能性が強いということで、こういう規定にしているわけでございます。お話しのように、何かほかの、例えば社会的条件とかを入れたらどうかという話でございますが、自然的条件と別に、就業機会でございますとか所得水準とか、何があるかちょっとあれでございますけれども、そういう別の要件を入れてはということにつきましては、持続性の高い生産方式内容が、先ほどからお話をしておりますような、かなり自然的な要件と密接あるいは直接的にかかわる、そういうものを設定していくというふうに考えておりますので、必要な条件としてそういうものを入れなさいということはなかなかふさわしくないのじゃないかと思っております。  ただ、当然、都道府県で設定をされるときに、そういう要件も含めて区域を設定される、これは決して私どもが、けしからぬ話であるとか、だめであるとかいうようなことはないというふうに考えておりまして、具体的に区分設定をされるときにはいろいろなことを考慮した上で都道府県は設定されるのじゃないかと思っております。
  118. 漆原良夫

    ○漆原委員 この導入指針の作成に当たっては、都道府県の方で一方的にこれを示すのではなくて、できるだけ農業者とか農業関係団体の意見を十分聞いて、意見を集約して作成するべきであると思いますが、その辺はいかがでしょうか。あるいは、どんな方法で集約するのが妥当なのか、お考えがあればお尋ねをしたいと思います。
  119. 樋口久俊

    樋口政府委員 具体的に方針を作成される場合の手続をまず想定してみますと、都道府県とはいいながら、実際おつくりになるときは、地域の農業の実態とかそういうことを御存じでございますのはやはり現場に近いところでございますし、農業改良普及センターとか、それから農政を担当しております部局が中心になって作業が行われるものと思っております。地域の特性を十分踏まえる、そういうことを頭に置きますと、その地域の特性を十分熟知しておられる農業者あるいは農業団体、場合によっては、今回の全体の趣旨でございます消費者団体ともよく連絡をとっていただくということは私どもは当然頭にあるわけでございますので、こういう関係機関の意見を考慮に入れられるということも十分考えているわけでございます。  地域の農業の実情を踏まえて、関係機関の意見を参酌しながら作成される、むしろ意義のあることじゃなかろうかと私どもは考えております。
  120. 漆原良夫

    ○漆原委員 次に、四条の導入計画の作成についてお尋ねしたいと思うのですが、この新法の趣旨からすれば、できるだけ多くの農業者の方に本法の適用の対象になっていただきたいというふうに私は考えております。したがって、この導入計画のいろいろな手続というのはできるだけ簡便であることが望ましいと。  この四条二項一号所定の導入計画の作成事項についてお尋ねしたいのですが、まず、導入に関する目標、これを記載しなければならない。この導入に関する目標というのはどの程度のことを記載するのかが一点。  それから、「その他農林水産省令で定める事項」というのは一体どんなことを決める予定なのか、内容をお尋ねしたいと思います。
  121. 樋口久俊

    樋口政府委員 まず一つは、導入計画で目標を規定するということでございますが、この目標につきましては、一つは、その農業者がどういう持続性の高い農業生産方式導入されるか、県によっては野菜があったり米があったりするわけでございますけれども、どういうものを書くか、これはある意味で当然でございます。  それから二つ目に、その方式により生産されます農産物の作付の面積でございますとか収量でございますとか、そういうものを目標年までどのように展開していこうかというようなことを書いていただくということでございまして、今のところ、目標年をおおむね五年程度を目標にして記載していただくということを考えております。  その場合に、目標というのは決して農家の方の具体的な、ほかのことまで含めました営農計画のような詳細な中身でございますとか、経営全般の将来設計をどうするかとか、そういうところまで書いていただくということでなくて、先ほどお話をしましたような、一応目標年という言葉を使っておりますので、その目標年までに導入する方式をどういうふうにしていくか、そういう意味の目標を書いていただく、そういう程度の内容にしていただきたいと思っているわけでございます。  それから、もう一点ございました。三号の省令で何を書くかという話でございますが、正直言って、ここはそうたくさん書くことがあるわけではございませんで、むしろ相当細かい内容になるのじゃないかと思っておりまして、場合によっては書き方が相当ラフになるのかもしれません。  一つは、自分が導入しようとしておられる、例えば有機質の資材の目安となります土壌診断が行われることが通常あるのじゃないかと我々は思っておりますので、どういう結果だったか書きなさいとか、それから都道府県導入指針でいろいろなことを定められることがありまして、例えば、県によっては施肥基準をお書きになる県があるかもしれません。そういうことを定められた場合には、一体その施肥基準より多いのか少ないのかとか、そのいろいろなパターンがある、自分はどれを採用するかとか、そういうようなことでございまして、やや基本的な部分から派生していきます細かいことについて記載することが定められていけば、それはきちっと記載をしておいてくださいよというようなことでございます。  やや技術的で申しわけないのですが、一番細かいことからいったら、もし仮にそこで展開される水田等が非常に粘土質の土壌であったということが、わかるわけですね、どこで申請してくるかということがわかりますから。そういうところであったら、すき床の層が非常に密度がきっちりしているわけでございますので、心土破砕はやるのかやらないのか、それは書いてこないとなかなか、そういうところで展開するには難しいのじゃないかということもございますので、いろいろな地域の条件とかそういうものに応じては少し詳しく書いてもらおうかなということを想定しているわけでございますが、一般的に細かいことまですべて書いてもらうということではございませんで、いろいろな条件のもとで書いていただくことがあるのじゃないかということで、むしろこういう規定を置かせてもらっているということでございます。
  122. 漆原良夫

    ○漆原委員 新法は認定農業者に対して農業改良資金助成法の償還期間の特例等の措置を六条で講じております。しかし、この農業改良資金助成法では既に、生産方式改善資金、それに対する助成が同法二条で規定されております。今回、農業改良資金助成法の改正ではなくて、あえて新法を制定されようとする理由は何か、農業改良資金助成法では十分に対応できないのかということをお尋ねしたいと思います。
  123. 樋口久俊

    樋口政府委員 これは法律提出させていただく背景と関係していると思いますけれども一つは、これが、やや御批判はちょうだいしましたけれども、全体として新しい農業基本法なりそういう理念なりに沿ってつくられていく、一つの流れの中でつくられていくものだということが一つございます。  それから、国全体として、私どもとしては国がこういうフレームをつくり、都道府県で具体的な農業生産方式を策定していき、これに取り組んでもらうことも大変大事なことであろう。単にこの法律はそういう税金を、まけてやるとか金をお貸ししますよというような、ややそういう技術とかテクニックの部分だけではなくて、そういう物の考え方なり全体として推進をしていく方向というものを定めていただくことも大事じゃなかろうかということでこういう法律にさせていただいているわけでございまして、お話ございました支援の規定も大切な規定でございますが、都道府県がその地域の実情に応じて具体的な方式を定めていただく、これも大変大事だと思っております。  逆に、これまでなかなか環境保全型農業というものが、漠然としたといいますか、余りにも大きなものを対象にしていたこともございまして、具体的な方式が提示されないということも個々の農業者がなかなか取り組みにくかった一つの原因だろうと言われておりますので、そこも含めまして都道府県がそういう対応をしていただく、そういうものを法律でお決めいただくということも大事なことだろう、そういういろいろな考え方のもとにこういう法律案を提案させていただいたということでございます。
  124. 漆原良夫

    ○漆原委員 平成五年から平成九年までの農業改良資金の貸付実績を調べてみました。この生産方式改善資金につきまして、四百七十六億円の貸付枠でございました。そのうち、各年度の実績は、平成五年で三百四十三億二千七百万円、平成六年度三百八億七千万円、七年度二百六十七億八千四百万円、平成八年度二百十三億四千八百万円、平成九年度百三十六億四千九百万円、枠が四百七十六億円ありましたが、どんどん貸付実績が減少しているわけですね。この減少についてどのように当局は分析されているのでしょうか。
  125. 樋口久俊

    樋口政府委員 この点につきましては、先ほどからもお話をちょうだいしているところでございますが、この貸付実績が、右肩下がりといいますか、このところ伸び悩んでおりますのは、一つは、経済状況の悪化によりまして農業所得が伸び悩んでいる、そういうことを背景としまして農業者皆さんが新たな投資にはやはり慎重になっておられるということがあるんじゃなかろうかと思っております。  それから、これは実際に借りておられる方々にアンケート調査をしてみたんですけれども、どういう点を改善すれば、もう少し手が出るといいますか、そういうことがあるんだろうか、お話をしたことがございます。やはり一番は、貸付枠なり、それから一つ一つの単価といいますか、そういう限度額がどうしても改良資金の場合は多額のものになり切れない。これは御承知のように無利子の資金であるということもありますけれども、そういう点があるということがございましたり、期間が短いんじゃないかというお話もございましたので、今回御提案をさせていただいておりますのは、私ども改良資金の中では、ほかの資金とのバランスを見ながら、目いっぱいといいますか、できるだけ広げることにしていきたいと思っているところでございます。  お話ございました、なぜこういうことかというお話につきましては、今みたいなお話と、それから農業者皆さん、借りるときの手続がちょっと煩雑じゃないかなという話もあったりして、そういう点も反省をしないといけないのかなということは頭の中にございます。
  126. 漆原良夫

    ○漆原委員 重なるかもしれませんが、特に今回、環境との調和を重んじる立法でございますが、この貸付実績の貸付項目の中で、環境保全型農業導入資金というのがあるわけです。これは平成五年、貸付枠一億で実績千三百万円、平成六年の貸付枠五億円で実績が三千三百万、平成七年度、十億の貸付枠で実績千三百万、平成八年度は十億の貸付枠で百万円しか実績がありません。平成九年度の貸付枠十億で五百万円の実績でございます。特に平成八年、九年度は、十億の枠に対して、貸付件数が八年は二件、九年は五件、実績は百万、五百万という大変少ない実績でございます。  この環境保全型農業導入資金の利用度、そしてその貸付実績の少ない理由は一体何なんだろうかと。私、農業関係者からこの制度は魅力がない制度として見放されているのではないのかなという、そんな感じを持っておりますが、この実績の極端に少ない理由についてどのように分析をされておられますでしょうか。
  127. 樋口久俊

    樋口政府委員 先ほども申し上げました理由は、もう重なりますので申し上げません。それから、環境保全型農業につきましては、これは名前は環境保全型といたしておりますが、相当きついといいますか、むしろ有機に近い技術を使わないとこの資金が借りられないという仕組みになっておりましたので、今回はここのところも、そういう狭いといいますか限定的な技術じゃなくて、本来の意味のというとあれでございますが、もう少し環境保全型農業に着目した技術を別に広げまして、そういうものに貸し付けできるような形にしたい。  重ねて申し上げますと、やや技術を限定的に書き過ぎていた、規定し過ぎていたという反省がございまして、そういう点で改善をしたいと思っているところでございますし、今回まさにお願いをしてありますものはこの資金を使わない、これが対象になるものですから、このところの改善は既にもうやらせていただくということで決定をしているところでございます。
  128. 漆原良夫

    ○漆原委員 本法は、先ほど申しましたように、持続性の高い農業生産方式導入しようとする認定農業者に対して金融、税制上での特例措置を講じよう、それによってそういう環境と調和を図っていこう、こういう趣旨でございますが、今まで述べましたような農業改良資金の貸付実績、そしてまた環境保全型農業導入資金の実績を見るときに、本法が果たして農業に従事する人々にとって本当に利用しようという魅力を感じてもらえる内容になっているのかどうか、非常に心配でございます。  積極的に導入計画を申請してもらえるのかどうか、私は非常に心配なんですが、この農業改良資金助成法所定の融資と違って、新法ではこれだけのメリットがあるんだということを農業に従事する皆さんに訴えていただきたい。特に、金融、税制上の措置としてどのようなメリットがあるのか、それを積極的に訴えていかないとこれは利用してもらえない、こんな結果になってしまうのじゃないかなという心配を持っておりますので、具体的に、従来と違って本法はこれこれこれだけのメリットがありますということを農業者皆さん説明をしていただきたいと思います。
  129. 樋口久俊

    樋口政府委員 もちろん、金融、税制上の特例があること自体はメリットではあるのです。現に、私どもとしては、例えば今先生からお話ございました環境保全型農業のための改良資金、これはメリットだったのですが、今お話ししましたような理由でなかなか借り手が多くなかったということでございまして、そこはそれで改善をするとして、そのほかにさらに資金の需要額と償還期間の改善をいたしております。  ちょっと細かくなりますので一例だけお話をしますと、環境保全型農業に取り組んでいただく農業者の方の対象になります資金の内容は、これまでは償還期間が七年で据置期間が三年でございましたが、この特例を認めていただくということになりますと、返済期間を四年から九年へと、実質的な据置期間を除きますと倍になるとか、それから標準資金の需要額が十アール当たり十三万九千円でございましたものが十六万一千円になるとか、それぞれが二倍になるというようなことでございます。それは一例でございます。  それから、減税の見込み額でございますが、これは個別の農業者の方がいろいろな行為をされて、個々区々で別々になると思いますが、例えば、現在、主業農家皆さんが平均的な所得税額、大体十一万円ぐらいだと私どもは見込んでおります。この農家の方が三百万円の農業機械、これは導入される農業機械が大体その前後の価格ではなかろうかと思っておりますけれども、特別償却を選択された場合では五万六千円ということになるわけでございまして、丸めて半分ぐらいかなと思っております。半分ぐらいが特別償却の額になりますし、普通償却がそもそもできる額と合わせますと、これが五万四千円でございますので、合わせて大体納められる税額ぐらいになるかと思っております。  それから、税額控除を選択された場合には、所得税額の四割が税額控除になりますので、二万円強が税額から控除されるというようなことがございますので、こういうメリットをきちっと農家のところまで届くように、これは先ほどもお話をしましたが、全国では消費者皆さんにも入っていただきますし、県、農協、関係のところでこういうメリットを具体的に理解していただく、そういう手続、手順を踏まないといけないのじゃないか、これは先生おっしゃるとおりでございます。
  130. 漆原良夫

    ○漆原委員 いずれにしても、幾らいい制度をつくっても、これが農家皆さんから利用していただかないと新法の趣旨は達成できないわけでございますので、今おっしゃったように農家皆さんのところにこの制度の趣旨が聞こえるような、届くような、そういう段取りをしていただきたいということをお願いしておきます。  それでは、続いて、肥料取締法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思います。  戦後、我が国におきましては、化学肥料大量生産が始まって、生産現場では化学肥料の多投による多収穫栽培が浸透してきております。このことは、農業生産の増大をもたらす一方で、環境に対する負荷を与えるという面も有してまいりました。我が国の食料の安定供給は、化学的合成資材の生産流通、普及によるところが大であったと思われます。確かに、環境保全型農業の推進は世界的な趨勢でございますが、我が国農業の進むべき道とされてもおります。しかし、他方では、低廉で安定した農産物の供給に対する要請もあります。  このような現状にかんがみ、今後どのような観点に立って肥料行政をしていかれるのか、全般的な御意見を承りたいと思います。
  131. 中川昭一

    中川国務大臣 環境保全型農業の推進と低廉で安定的な農産物の供給という命題は、一見何か矛盾しているように見えるかもしれませんが、確かにそういう農法に転換をしていく場合のスタートにおいては、労働時間あるいは多少のコスト増、そして収量の低減といったような問題が出てくる可能性があります。  しかし、これは単に環境負荷の軽減に配慮するだけではなくて、化学肥料農薬の削減を前提とした農業を持続的に行うわけでございますから、地力の向上あるいは土壌診断、効果の出方を調節した肥効調節型肥料などの利用、あるいはまたきめ細かな発生予察、天敵やフェロモン等の利用等を進めることにより、生産コストの上昇を極力生じないようにしながら収量の確保を行っていくわけでございます。  こうした取り組みや地力の増進を通じて気象変動に強い安定的な農業生産にもつながっていくものであり、地域ぐるみによる拡大によりまして、低廉で安定的な農産物の供給は両立し得るというふうに考えております。  さらには、情報ネットワークあるいは堆肥製造施設の整備を図るなどいたしまして、肥料の適切な施用あるいは引き続き土壌診断等の利用を図ることによりまして、少しでも局所施肥導入、あるいは少量でも効果を発揮するような新たな肥料開発といった技術面の向上も図りながら、総合的には、肥料物流の合理化あるいは輸入肥料や粒状配合肥料など比較的安価な肥料の活用等によりまして、肥料費の低減対策を一体的に推進してまいります。  したがいまして、今後の肥料行政と環境保全型農業の推進、そして低廉で安定的な農産物の供給ということは、中長期的あるいは大局的に言えば、基本法理念に基づく同じ方向の施策であるというふうに理解をしております。     〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
  132. 漆原良夫

    ○漆原委員 この汚泥等の廃棄物を原料に含有されるおそれのある有害物質として砒素とかカドミウム、水銀が挙げられております。この汚泥等廃棄物を原料とする肥料等の流通量を見ますと、昭和五十二年には二十三万トン、平成九年には百二万トンと急増しております。今日までこれらの有害物質を含む特殊肥料についてどのような措置を講じてこられたのかが第一点。第二点目として、従来の措置を改めて、今回、特殊肥料に区分を見直した理由は何なのか。この二点をお伺いしたいと思います。
  133. 樋口久俊

    樋口政府委員 お答えいたします。  その前に、まことに恐縮なんですが、先ほど答弁を申し上げました単価のところで、欄を見間違えましたので、訂正をお許し願いたいと思います。  十三万九千円から十六万一千円へと申し上げましたのは、十三万九千円または十六万一千円から三十二万円と倍でございますので、そこはひとつ御容赦をお願いしたいと思います。  それでは、お答えでございますが、これまで汚泥等からつくられます肥料は特殊肥料という区分にされておりまして、届け出ということでよかったわけでございます。しかし今回は、お話がございましたように、流通量自体が相当ふえている、それからもう一つの要素は、実は流通範囲がかなり広域化をしておりまして、市の範囲、県の範囲を超えて流通しているということが同じ特殊肥料の中でも特徴があるということでございます。したがいまして、やはりそれは単なる都道府県知事への届け出義務だけではなくて、品質的にも事前にチェックをしないといけないのじゃなかろうかということが私どもがこういう提出に至った背景でございます。  なお、このところ十年ほど、こういう特殊肥料を検査していただいております都道府県の立入検査によりますと、ここ十年間で全く、いわゆる重金属等の基準を上回るものが発見されなかったのが四年間、残りの六年間の間に、一件発見された年が三年でございまして、二件が二年、三件が一年ということで、十年で十件ということでございます。  これは多いか少ないかというのは議論はあるかもしれませんが、最近の状況を見ますと、やはり我々としてはもう少しチェックをきちっとした方が、安全性の観点、あるいは肥料をきちっと使う、施肥量を確実にしていくという観点から普通肥料に区分をして、公定規格をつくって、ちゃんとしたチェックをするということにふさわしいものじゃなかろうかということで対応させていただいたということでございます。
  134. 漆原良夫

    ○漆原委員 今回の改正によって、農林大臣は、汚泥を原料として生産された所定の肥料については、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格を定めるものとするとされております。カドミウムはイタイイタイ病の公害を引き起こし、水銀は水俣病の公害事件の原因でございました。  リサイクルの必要性は認めつつも、そもそもこのような有害物質を土に返すことについては、私自身、一抹の不安を持っておるものでございますが、有害物質が土壌中に長年蓄積されていくということを考えますと、有害成分の最大量を定めるという大臣の責任というのはまことに重大であろうと思います。どのような観点からこの有害成分の最大量を定めようとされるのか、大臣の考えを聞きたいと思います。  もう一点、厚生省、環境庁などと総合的な検討をして決めるべきなのかどうか、その辺もあわせてお尋ねしたいと思います。
  135. 中川昭一

    中川国務大臣 汚泥肥料に含まれるカドミ、砒素、水銀につきまして、肥料土壌または農作物に反復継続して施用されるものであることを踏まえまして、土壌の保全及び農作物の安全性を図る観点から、その施用方法、施用時期、施用量等を勘案した上で、肥料の種類ごとに、原料、生産工程等から想定され得る有害成分の許容限度量を定めることにしております。  この考え方に即しまして、今後、土壌肥料学、植物栄養学等の学識経験者等から成る検討会において科学的知見に基づく検討を行い、その結果を踏まえて策定することとしておりますけれども、その検討等に当たっては、長期間にわたり連用した場合の重金属の土壌への蓄積を考慮するなど、産業廃棄物の肥料化に伴う粗悪な肥料流通することを防止し、品質を適切に保全するための規格が設定されることとなるよう、十分留意してまいりたいと思います。  二点目につきましては、局長の方から。
  136. 樋口久俊

    樋口政府委員 これは当然、肥料がいろいろな時期に施用される、施用の時期でございますとか、施用の条件、それから品種でございますとか、そういうものを十分頭に入れながら、そういうことを前提にした上で、今大臣から御答弁ございましたように、やはり科学的にきっちり心配がないようにしないといけないということでございますので、今お話をしましたようなことを頭に入れながら検討していただくということを考えております。
  137. 漆原良夫

    ○漆原委員 たしか昭和五十一年でしたかに、農水省としては一定の基準を決めて規制をされたと聞いておりますが、ちょっとppmの細かい数字は忘れましたが、昭和五十年以降今日までどのような単位で規制をされてきたのか、お伺いしたいと思います。
  138. 樋口久俊

    樋口政府委員 お話ございましたように、五十一年に、特殊肥料の中で含有が心配されるものということで、特に汚泥肥料等々につきまして、カドミウムそれから水銀、砒素につきまして一定の基準をつくりまして、その基準に適合するものじゃないといけないということは、おっしゃるとおりでございます。  この設定等につきましては、ある意味では当然でございますが、関係の省庁と御相談を、あるいはお力、情報をいただきながら整理をしたということでございますし、今回も、先ほどお話をしました専門家、当然科学的知見を集めていただいて設定をするわけでございますが、そういういろいろな方がお持ちの情報その他知見は活用させていただくことになろうかと思っております。
  139. 漆原良夫

    ○漆原委員 次に、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案について、残された時間の中で質問させていただきたいと思います。  本法律案は、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進を図ることを目的としていると一条に書いてございますが、そのうち、管理適正化についてまずお尋ねしたいと思います。  この家畜排せつ物規制に関する法律としては、従来、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、水質汚濁防止法あるいは悪臭防止法などがあります。それぞれいろいろな規制があるわけですが、そういう従来の法律とともに、さらに本法でもって、あえて新法を制定して管理基準を定めようとした趣旨は、一体どういう趣旨なのか。それから、本法と従来からの法律の関係は一体どうなるのか。その辺をまず総論的にお尋ねしたいと思います。
  140. 本田浩次

    ○本田政府委員 まず、この法律を提案した趣旨は、提案理由説明で御説明をさせていただいているところでございますが、この法律案につきましては、家畜排せつ物を畜産業におきます貴重な資源と位置づけた上で、その管理適正化利用促進を図ることによりまして、畜産業の健全な発展に資することを目的として制定しようとするものでございます。  具体的には、法律内容としては二点ございます。まず第一点は、家畜排せつ物管理適正化を図るために、都道府県知事が畜産業を営む者に対しまして、農林水産大臣の定める管理基準に基づきまして必要な指導、勧告などの措置を講ずるということでございます。それからもう一点は、家畜排せつ物利用促進を図るために、国の基本方針に即して策定されます都道府県計画に基づく認定を受けた畜産業を営む者が行う施設整備に対しまして、農林漁業金融公庫の融資を行う、こういうことでございます。  一方、例えば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律環境規制法はたくさんございますけれども、これにつきましては、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とするものでございまして、事業者や廃棄物処分業者などが行う廃棄物の処理や保管につきまして、処理、保管に関する基準に基づき必要な改善命令を行うなどの規制を行うものというふうに承知をしております。  以上のように、この法律案におきましては、まず畜産業の健全な発展を目的とするものであるということでございます。それから、畜産業を営む者の理解を得ながら、いわゆる野積み、素掘りといった家畜排せつ物の不適切な管理の改善を図るために、指導助言といったよりソフトな措置を講ずることとしていること、さらに、家畜排せつ物の適正な管理を確保する措置に加えまして、資源の有効利用を図るための措置もその内容とするものであるということから、例えば廃掃法とはその趣旨、措置の内容を異にするものだというふうに理解をしております。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 漆原良夫

    ○漆原委員 九条についてお尋ねしたいのですが、九条では、畜産業を営む者が処理高度化施設の整備計画を出さなきゃなりませんが、この記載事項の中で、「資金の額及びその調達方法」という条文があります。「実施に伴い必要となる資金の額及びその調達方法」、これをこの中に入れた理由は、一体どんな理由なんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  142. 本田浩次

    ○本田政府委員 御承知のとおり、この法律案では、国の基本方針、都道府県計画に沿った家畜排せつ物の処理施設の整備を図る観点から、畜産業を営む者の作成する施設整備計画につきまして、都道府県知事による認定制度を設けているわけでございます。  この都道府県知事認定に当たりましては、施設整備計画の達成が確実に行われるか否かといった観点から判断を行うことが重要だというふうに考えております。  したがいまして、認定を申請している畜産農家が経営規模に応じた施設整備を行おうとしているかどうか、また、必要な資金の調達方法が現実的かつ計画的なものであるかどうかといったことが認定の重要な判断基準になるというふうに考えておりまして、こういった趣旨で、第九条第二項第三号におきまして、施設の整備の実施に伴い必要な資金の額及びその調達方法を施設整備計画の記載事項として掲げているところでございます。
  143. 漆原良夫

    ○漆原委員 今のに関連して、十一条には、第九条第一項の認定を受けた者に対して、他の金融機関が融通することを困難とするものの貸し付けの業務を行うことができるというふうに、農林漁業金融公庫の権限を拡大した条文がございます。  これは、今の九条との関連で考えますと、認定された場合には、十一条によって、ある意味では自動的に貸し付けが認定されるというふうに考えてもいいんでしょうか。
  144. 本田浩次

    ○本田政府委員 先生今読んでいただきました十一条第一項の条文では、「施設の整備を実施するために必要な長期かつ低利の資金であって他の金融機関が融通することを困難とするものの貸付けの業務を行うことができる。」と規定しているところでございます。法文上は、農林漁業金融公庫は、認定を受けた畜産業を営む者に対しすべて融資を行うことを義務づけられているものではございません。  しかしながら、実際の制度の運用におきましては、認定を行う都道府県知事と融資を行う農林漁業金融公庫との間で十分な連携を図った上で認定を行うこととしたいと考えているところでございまして、この法律案に基づく認定を受けた畜産業を営む者は公庫資金の融通を受けることができるという方向になるだろうと考えているところでございます。
  145. 漆原良夫

    ○漆原委員 そういう意味も含めて九条で資金の額と調達方法を書き入れさせたんだというふうに理解させていただいてよろしいですね。
  146. 本田浩次

    ○本田政府委員 そのとおりでございます。
  147. 漆原良夫

    ○漆原委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  148. 穂積良行

    穂積委員長 次に、菅原喜重郎君。
  149. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣質問する前に、地元の報告と要望をまずさせていただきたいと思います。  先日、私、郷里の一関市の遊水地内に水田を耕作している農家を訪ねましたところ、今、遊水地では一町歩単位の基盤整備を進めております。沖積土なものだし、また今非常に機械も進んでいるものですから、一ヘクタールの基盤整備でも高低差が五センチ以内だといってみんな驚いておりました。そうしましたところが、もう既に七十戸近い耕作者が、二戸の方に一反歩当たり二万円相当の小作代ですかをいただいて委託して経営しているわけなんです。  私は今まで、自由化されても食える日本農業を確立しないといかぬということを一貫して主張してきているわけなんですが、またそのことのためには国家が責任を持って基盤整備とかんがい排水は完備すべきだ、国家責任で減歩を取り入れて、個人の負担をなくして進めるべきだと言ってきたんですが、このように非常に土地利用の集積が進んでいるわけです。  農地の集積は、これも私の持論なんですが、結局、農地の均分相続を禁止すべきだと言ってもなかなかこのことを日本の国は取り上げ得なかったわけですから農地の集積はこれはもう困難といたしましても、利用地の集積はどんどん進んでおります。ですから、今回の食料・農業農村基本法の作成を踏まえて、土地利用集積の促進計画を策定した地域には基盤整備、機械設備の助成、技術指導等を集中すると成文化しておりますから、ぜひこの政策を、なりふり構わずという言葉がございますが、重点施策として実施していくように大臣にまず強く要望しておきます。  それでは、これから質問に入らせていただきます。  持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案、何か長ったらしい名前の法律案なんですが、要は、環境保全型の農業を目指して土づくりの重要性を推進する法律ですから、私も、おくればせながらこの法案が提案されたことにつきましては時宜にかなったものだと思っておるわけでございます。  しかし、本来農業は自然循環型の業種でありまして、また、土づくりというのはこれは農業の本質でございますから、法律土づくり促進させるということ自体、既に日本農業の今の農業形態というものがどこか間違ってきているといいますか、こういう環境保全の立場から見ますと、どうも営利的な、商業的形態に走ってきた。その結果が、環境に対しましていわゆる破壊をしてくる、あるいは農地を略奪した生産化学肥料投入が、いつの間にか基本土づくりを忘れて自然からしっぺ返しを受けている、そのように感ずるわけでございます。でも、やはり農業生産基本である土づくりは重要でありますので、このことは政府といたしましても一層推進を図っていくことが必要であるわけであります。  そこで、具体的な推進方法をまず大臣にお聞きしたいわけですが、その前に、私もこのことに対しましては一つの確信を持った農業方式を考えておりますので、このことを申し述べてみたい、こう思います。  今回、水田のいわゆる継続的な経営を目指させるために、一応、水田に麦作や大豆作を取り入れることにしたわけですが、内地においては最初からもう麦づくり、大豆づくりという夏作は赤字ですから、しかし、今減反している面積を放置するわけにはいかないというので、苦肉の策で、助成金あるいは補助金の対象でこのことが組み入れられているわけでございます。しかし、こういう耕種農業は将来はやはり国際競争が宿命づけられているわけですから、これは私は前回も大臣に要望しておきましたが、北海道では可能なんですから、北海道には大豆、麦あるいは小豆類、こういう耕種農業の見本的な農家経営を確立するように、大臣が北海道地域の出身だとしても、胸を張ってそういう政策をひとつ進めるようにお願いしたいなと。  ただし、水田における麦づくりに対しましては、東北以西、以南は裏作が可能なわけですから、ぜひこの裏作を入れたいわゆる水田の麦利用、そして、裏作で生産された麦を水田経営農家が自分の家畜の飼料として回して、そこからとった堆肥を自分の経営する水田に循環していく、こういう水田酪農というもの、水田畜産というものを私は今までも主張してきたわけでございます。  これも、昔の農業は大体一ヘクタールに対して大型家畜一頭、これは水田、畑地を入れて一ヘクタールですが、一頭は、二割以内の購入飼料で肥育あるいは飼育していくことができるわけです。それから、一頭の成牛がありますと十分に一ヘクタール以上の耕地に対しては堆肥投入ができる。そういうわけですから、昔のいわゆる大型農業、大型農業といいましても、戦前は三、四町歩、五町歩ありますと大型農家の類型に入るわけだったんですが、みんなそういう農家は家畜を飼って、朝草刈りなんかもしているわけですね。  しかし今、米づくりの農家は全然そういう循環型、土地から生産物の恩恵を受けた、その土地に対して土づくりという恩返しをするという形態をやめておるわけですから、こうして金肥に頼って。ですから水田づくりの農家というのは、水田だけつくっていると一年間に三カ月ぐらいしか働けないのが事実でしょう。そうなると、三カ月で百姓面するなと私だったら言いたいわけですね。水田専業の農家ですと、二十ヘクタール、三十ヘクタールつくったって冬には出稼ぎに行くような形態なんですよ、今の機械やなんか。  そうなりますと、ぜひこの水田裏作の麦、これは飼料作でも結構です、さらに、何もこれは麦に限ったことでありませんで、私たちの東北では菜種なんかも昔はみんなつくったわけですから、そういうのを取り入れて、堆肥をつくり、そしていわゆる循環型の農業を進める、こういうことが本当に土づくりに対して最も重要な、循環型農業に返らせる方法の一つだと思っているわけですが、このほかにも具体的な推進方策を政府が考えているとするなら、ひとつお聞かせいただきたいなと思います。
  150. 中川昭一

    中川国務大臣 幾つか御指摘をいただきました。順不同になるかもしれませんけれども、まず一番最初の、先生の御地元で七十戸ですか、これが二戸に集約されて米作をやっているということにつきましては、基本法二十三条にあるように、農地利用の集積、農地の効率的な利用促進その他必要な施策を講じるということがございますので、そういう農家あるいは集団に対して積極的な施策を講じていくことにしております。  それから、土づくりに関しまして、循環型ということで、水田と畜産、あるいは水田と麦、大豆、飼料作物、菜種等の扱いに対するお話がございました。  土づくりが何でこんなにおろそかになったのかという御指摘がありましたが、やはり生産性等を上げていく、あるいは労働時間等の減少という観点からも、化学肥料化学農薬に依存した農業というものがしばらく続いてきた。しかし、これによって世界全体でも大変な量の農地が毎年失われておりますし、表土の喪失あるいは地力の低下といった側面が世界的にありますし、我が国におきましても、地力の低下といった問題が大変重要な問題であり、また環境に与える影響というものも無視できない。そしてまた、消費者ニーズというものとのマッチングという観点からも、土づくりイコール低農薬、低肥料というセットということは先ほど質問、答弁がございましたけれども、そういう観点で、改めて地力を増進していく、土づくりをしていくということでございます。  また、麦、大豆あるいは飼料作物、菜種等をどんどんつくっていくということにつきましては、基本法の議論のときにも随分ございましたけれども、自給率を向上する、あるいは国内生産基本とする、そして、水田の裏作というよりも、水田は水田の位置づけ、そしてまた麦は麦の位置づけ、大豆は大豆の位置づけといった形で、それぞれが主体的な作物として、消費者あるいは食品業界の期待にこたえ得るような形での日本の主要作物としての位置づけをしまして、いわゆる減反がどのぐらいになったとか、あるいは耕地利用率が何%に減ったとか、そういうことではなくて、国内生産を増大させて、そして自給率を上げていくことが将来にわたっての国民に対する安定的な食料供給だということで、先生の御指摘のとおりにこれからしていかなければならないというふうに考えております。
  151. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、米単作経営では、三百六十五日のうち、どんなに頑張ったって半年と働けないわけですから、やはり単作米づくりということに対しては、本当にこれから、農民自体にも考えさせていかなきゃならぬなと私は思っているわけでございます。  次に、肥料取締法の一部を改正する法律案が出されたわけですが、個別的な質問に移っていきます。  これも持続性の高い農業生産方式の問題と関連していくわけですので質問させていただきますが、堆肥の品質表示事項としてはどのようなものを想定しているのか。堆肥農業者が自家製造施設で製造する場合や、農業者が共同して運営する共同利用施設で製造する場合でも、それを自家利用するなら何もこれは問題にすることはないわけですが、販売するような場合は、やはり品質表示というものが義務づけられなければならないのではないか、こう思っております。  そこで、堆肥の品質表示事項としてはどのようなものを想定しているのですか、お伺いします。
  152. 樋口久俊

    樋口政府委員 まず、肥料に表示をしなければならない事項につきましては、一般的な事項といたしまして、肥料の名称、これは堆肥ということでございますが、原料の種類、正味の重量、それから、つくられた方、生産業者の氏名または名称及び所在地等々、こういうものを考えております。  それから、大事なのは成分に関する事項でございますが、ここはいわゆる三つの成分、窒素、燐酸、カリの含有の成分量、それから炭素と窒素の比率等々を表示事項として考えております。  こういうふうにしておりますのは、これを購入された消費者といいますか使われる農家の方が、外見からでは品質は見分けがつかぬわけでございますので、これが明確に識別がつきまして適切な施肥を行っていただけるための材料ということで、こういう事項を今考えているわけでございます。  そこで、どういうようなものに表示をしないといけないかということでございますが、一言で言いますと、一般的に市場流通するものということを想定しているわけでございまして、お話ございました自給的に生産、消費されるもの、それから、隣近所といったらあれでございますが、表示によらなくても、農業者等々がどういうものでできているかとか聞けばすぐわかるような、そういう距離的な関係とか等で識別が可能なものについては表示は必要ないようにしたいと思っているところでございます。  やや具体的に申し上げますと、自家製造施設で製造をされるものとか、それから、共同して運営をされます共同利用施設で製造をされて近くの耕種農家に供給されるような場合には、これは表示をわざわざしなくても、日常の情報交換や万一何かあったら直接聞けばいいわけでございますので、その品質について識別は可能ということで表示は必要ないものと考えております。  ただ、例えば農業者皆さんが共同でおつくりになっても、これが農業協同組合等の第三者といいますか、ある機関なり組織を通して別のところへ供給されていくということになりますと、これは買い受けた人のことも考えてやらぬといかぬというわけでございます。そういう場合には識別困難でございますので、品質表示はしていただくというふうに扱うのが適当であろうかというふうに考えているところでございます。
  153. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 汚泥の問題について、これは質問もされておりますが、自然生産物というよりもむしろ汚泥は人工生産物のようなもので、どのような重金属類が入ってくるかわからぬわけですから、やはりこういう汚泥を肥料にするとなりますと、よほどこれは許容範囲をはっきり、いわゆる検査の基準を定めてもらわなきゃいかぬ。本質的には、本当はこういうのを使わせてはいかぬと私は思っているんですが、やはりそれでも使わなきゃならぬとなりますと、これについては、厳重に品質表示、その基準というものを定めていっていただきたい、これを一つ要望しておきます。  次に、家畜排せつ物管理関係なんです。  本来、家畜排せつ物もいわゆる自然循環的な、いわゆる農地から生産された生産物で家畜を飼育していく、そして、先ほど言いましたようにそこからの排せつ物は土地に返していく、これが本来の農業基本なんですが、最近は、全然土地を持たないで、えさは外国から購入した飼料に依存して家畜を飼っているわけです。ですから、私に言わせると、これはいわゆるかす畜産だというふうに悪口も言えるわけなんです。しかし、やはり現実には、今公害もまき散らしておりますので、家畜排せつ物管理が必要になってきております。  そこで、国の基本方針、都道府県計画の具体的な内容、あるいは管理基準の内容をどのようにしていこうとしているのか、ちょっとこのことをお聞かせいただきたいと思います。
  154. 本田浩次

    ○本田政府委員 まず、国の基本方針と都道府県計画内容でございますけれども、まず、国の基本方針につきましては、家畜排せつ物利用促進につきまして、堆肥化のための施設整備でありますとか試験研究の推進など、全国共通の施策の基本的方向を示すことにしております。また、都道府県計画におきましては、地域におきます家畜排せつ物利用状況なり施設整備の現状などを踏まえた上で、一つは、具体的な家畜排せつ物利用の目標、それから施設整備の目標などを示すことにしたいと考えているところでございます。  それから、管理基準の内容でございますけれども、この法律案におきましては、家畜排せつ物管理適正化を図るために、農林水産省令で、堆肥舎などの施設の構造設備及び家畜排せつ物管理の方法に関する基準を定めるということになっております。  まず、施設の構造設備に関する基準といたしましては、現時点におきまして次の二点を考えております。まず第一点は、ふん尿の処理または保管の用に供する施設、いわば堆肥舎でございますけれども、この堆肥舎につきまして、床をコンクリートその他の不浸透性材料で築造いたしまして、適当な覆い及び側壁を有するものとすること。それからもう一点は、尿やスラリーの処理または保管の用に供する施設につきましては、コンクリートその他の不浸透性材料で築造した構造の貯留槽とすることといったことでございます。  それから、ソフトの面で、管理の方法に関する基準でございますけれども、これは現時点で三点ほど考えております。第一点は、家畜排せつ物につきましては、ただいま御説明いたしました構造設備の基準を満たしている施設において管理をするということ。それから第二点は、送風装置、攪拌装置などを設置している場合には、その維持管理を適切に行うこと。それから、当然のことでありますけれども、施設に破損があるときは速やかに補修を行うことといったものを内容として考えているところでございます。
  155. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、この管理基準を強化することも当然だと思うのですが、しかし、やはり基本的には自己管理主眼とさせていかないといかぬ、こう思っているわけです。そうなりますと、やはり畜産農家の負担というのが重くなるわけですので、この畜産農家の施設整備に伴う負担を軽減する必要があるわけで、この支援措置内容がどうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。
  156. 本田浩次

    ○本田政府委員 畜産農家の施設整備に対する支援措置でございますけれども、これはいろいろな手段を投入していきたいと考えております。  まず第一点、従来から行っているところでございますが、共同利用に係ります家畜排せつ物処理、利用施設の整備に対しましては、補助事業によって助成を行うということでございます。それから、個人利用に係ります施設整備につきましては、リース事業でありますとか融資などによって支援してきたところでございます。  さらに、今回、この法律案におきまして、堆肥化施設などの整備を推進するための金融上や税制上の支援措置を充実することとしたところでございます。また、加えまして、個々の畜産農家の野積み、素掘り解消のための施設の整備を図るいわゆる補助つきリース事業につきまして、従来、平成十年度当初八十一億円だったのでございますけれども、これを大幅に増額する、百五十億円にするといった支援措置の充実を図っているところでございます。  今後は、こうした支援措置の適切な運用によりまして、畜産農家によります堆肥化施設などの整備の推進を図っていきたいと考えているところでございます。
  157. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間がなくなってきましたので、まだまだ質問したいわけなんですが、この家畜排せつ物利用関係で、堆肥の標準的な施用量はどの程度に国は見ているのか。  参考資料を見ますと、水稲作付における堆肥施肥量の推移が、昭和四十二年には十アール当たり五百七キロでございましたが、平成九年には、これを一〇〇%にすると二五%に下がりまして、十アール当たり百二十五キログラムになっております。昔は、大体反当、十アール当たり六百キロ以上の堆肥を入れないといかぬというような頭でやってきておったわけなんですが、政府としてその施肥量の基準をどの程度に考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
  158. 樋口久俊

    樋口政府委員 堆肥の標準的な施用量のお話でございますが、地力増進法という法律がございまして、これは先生も既に先刻御承知のとおりでございますが、これで地力増進基本指針を定めるという規定がございます。その中で、かなり幅を持って定めておりますけれども、水田でございますと十アール当たり一トンから一・五トン程度、普通畑で十アール当たり一・五トンから三トン程度というふうに地力増進基本指針の中での標準的な施用量を定めております。
  159. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 このことについてもいろいろ質問したいのですが、時間が参りましたので、以上をもって終わります。どうもありがとうございました。
  160. 穂積良行

    穂積委員長 次に、藤田スミ君。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、まず最初に、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案について質問をいたします。  私ども日本共産党は、毎年、家畜ふん尿処理などの環境対策は重要であり、農家に新たな負担を求めることのないよう、政府の責任で緊急に整備を進めることを要求し続けてまいりました。  ところで、この法律案内容が明らかになるに従って、農家の間では、家畜の処理のために機械や施設に多額の投資はできないんだという心配が広がってきています。  日本農業新聞の六月二十五日付を見ますと、「「環境」と「経営」の板挟み」という見出しをつけましてこの問題で特集をしております。この中には、農水省の描く適正処理は、ふん尿を分けて、固形分は堆肥舎に、液体は尿だめで液肥化を図る、そのためには、農水省の推計でも、堆肥舎と尿だめの費用は、搾乳五十頭飼育の酪農が千百万円、養豚八百頭で千七百万円で、別に尿の浄化装置が三千万円かかる、こういうふうに書いております。  群馬県の大胡町農協の試算では、肉豚一頭当たりの環境コストは、この法案どおりに行うとなると現在の三倍はかかる、しかし豚価が低迷している現状では多額の設備投資はできない、そういうふうな不安を募らせているということもまた書いておりますが、もちろんこの心配は養豚農家だけではありません。  北海道の十勝支庁の例を見ましても、堆肥舎は鉄骨構造からカラマツの間伐材にして、そして規模を縮小して建築基準法の適用外というふうに費用を極力減らすように検討を重ねているけれども、それでもその施設の費用はやはり多大な負担になってくるというふうに言っているわけです。  実際、私の知人で網走管内の津別町で搾乳牛百三十頭を経営している農家がありますが、平成の五年に自然浄化法リアクターシステム、素掘りで、それからゴムマット一ミリ、一槽五十トンで三槽方式の曝気方式、こういう施設を取り入れたわけですが、千五百万円。現在、その電気代が月一万五千円というだけでももう大変なものなんだというふうに訴えてきております。  参議院の審議の中で、畜産局長は、先ほどもおっしゃいましたが、特に施設整備をしなくてもよい小規模農家を除き、今後施設整備を要する農家は四万戸、こういうふうにおっしゃるわけですが、この四万戸をこうした農家の実態のもとで経過措置の五年間に一体本当に解消できるとお考えなのか、どういうふうに解消しようとしていらっしゃるのか、簡潔に聞かせてください。
  162. 本田浩次

    ○本田政府委員 これまでの事業の実績について若干御説明させていただきますと、平成十年度におきます非公共事業及び補助つきリース事業の実績によりまして、非公共事業におきましては合計百二十カ所で、受益農家千八百八十八戸につきまして事業を行っております。また、補助つきリース事業につきましては、八百五十九戸、八百五十九カ所の個人処理施設を整備したところでございます。  私ども、農林水産省といたしましては、家畜排せつ物処理施設の整備に対する支援措置の充実を図ることによって施設整備を促進していくことが重要と考えているところでございます。このために、従来から行っております各種の事業につきまして、平成十一年度ではかなりの充実を図っているところでございまして、一つは補助事業につきましては、これは公共事業と非公共事業があるわけでございますけれども、公共事業につきまして、平成十年度に比べて一割弱伸ばしている、それから非公共事業につきましても、七・五%伸ばしている、両方で八十二億ほどの予算措置を講じているところでございます。  さらに、先ほども説明いたしましたけれども、補助つきリース事業につきまして、平成十年度当初八十一億円に対しまして、伸び率八五%ということで、百五十億円に大幅に増額をしたところでございます。  さらに、この法律案に基づきます各種の金融、税制上の支援措置を講ずるといったことによりまして、こうしたあらゆる政策手段を投入することによって、できるだけ早く緊急に家畜排せつ物の処理施設の整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は今の御答弁はよくわかるわけです。しかし、今のテンポで果たして五年後にいけますか。財政措置は相当力を入れていかなければならないでしょう。  これは私は子供じみた計算で単純に過ぎるとは思いますが、あえて申し上げましたら、昨年のこの平成十年の措置で、おっしゃったように、進んだのがリース事業で八百五十九件、それから非公共部門、畜産環境対策事業で千八百八十八戸の受益農家戸数になっている。そういうことではあっても、ことし大幅にふやしたということではありますけれども、昨年の実績でいくと、リース事業で二十九年、四万戸の中の二万五千戸は二十九年、残り一万五千戸を畜産環境対策事業でカバーしても八年、これほどかかるわけですね。そうすると、とてもあと五年の経過措置の中でそれを全部やり遂げるということにはなり切らないわけであります。  施設と受益戸数は地域の条件によっても違うでしょうし、それから施設そのものを併設する土地さえも余裕がないというような、そういう困難が予想されるところもあるわけであります。しかし、私は、もう少し綿密にこういう問題について数的にもきちっと把握をして、そして現段階でも可能な限り推定をし、必要な財政措置としてはこれぐらいやはり使っていかなければいけないのだ、そういうことをはっきりさせなければいけないというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  164. 本田浩次

    ○本田政府委員 御指摘のとおりでございまして、この家畜排せつ物の処理問題を緊急に解決することは畜産行政上の重要な課題でございます。ただ、解決をする上で二点の課題があるというふうに考えております。  まず第一点は、これまでるる御説明しておりますように、施設整備を要する農家は一応四万戸程度と推定される、こういうことでございます。ただ、先ほども若干御説明いたしましたけれども、この四万戸のうち、一万七千戸ほどが堆肥盤はあるけれども屋根がついていないということでございまして、家畜排せつ物の処理施設を新たに整備しなければならないのは二万三千戸程度、こういうことでございます。これが第一点でございます。こういった農家につきまして、どういう形で処理していくことができるかということにつきましては、本法案によりまして、都道府県の施設整備計画がつくられたら、施設整備計画によってそういった具体的な要整備農家というものの実態が明らかになってくるということがまず第一点でございます。  それともう一つは、この施設整備を進めていく上で、予算措置、それからリース事業、それから金融措置といった支援措置をどういう形で用意していくかといったことが必要であるというふうに考えているところでございます。  まず、戸数につきまして、若干今わかっているところで御説明をさせていただきますと、平成十一年度の予算措置なりリース事業によりまして予定されている施設整備可能戸数でございますけれども、公共事業、非公事業によりまして、平成十一年度におきましては、約三千五百戸程度になるのではないかというふうに考えられます。  それから、リース事業につきましては、平成十一年度の百五十億円に増額したことによりまして、千数百戸程度になるのではないかというふうに考えているところでございます。  ちょっと間違えました。ただいま御説明いたしました三千五百戸につきましては、平成十年度の公共事業、非公事業による整備箇所二百七十カ所の受益戸数がおおむね三千五百戸、こういうことでございます。  平成十一年度におきまして、この補助事業につきましても、先ほど御説明いたしましたように、かなりの増額を行っておりますので、これがさらに拡大を見ることができるということが予想される、こういうことでございます。  それから、農林水産省の他局の事業、構造改善局の構造改善事業等も堆肥舎の整備には活用されておりますので、こういった事業をフルに動員させていただくことによりまして、明らかになっておりますのは、三千五百戸プラス千数百戸プラス公共事業、非公共事業の増額分による増設可能性、それから他の事業などを動員することによって、年間整備可能戸数としては、おおむね現時点で考えられるのは六千数百戸ではないかというふうに考えているところでございます。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今の御説明でもやはり数が合ってこないのですよ。  それで私は、最初に申し上げましたように、農家負担が大変なのだということを言いました。大臣、聞いてください。これは私がここで言いますが、北海道の士幌町の酪農家の方の言葉を私はここで代弁させてもらいます。こう言うのです。  今まで政府は、野方図に規模拡大をさせてきた。規模さえ大きくなればコストが下がる、自由化で廃牛やぬれ子の値段が下がり、乳価が安くなってもやっていけるのだと言ってきた。農家はその指導に従って莫大な負債を抱えてきた。しかも、最近は作業の効率化をやればもっと多頭化できるのだとフリーストール、ミルキングパーラーの導入も進められて、ふん尿混合で処理が一段と難しいものになってしまっている。乳価が下げられる中で、とても自力で処理施設はできないのだ。  もう一つおっしゃったことは、政府は規模拡大は言っても、ふん尿処理についてはこれまで全く無視し続けてきたではないか。もし当初からふん尿処理について対策、指導があれば、我々はここまで野方図な規模拡大政策に乗ってこなかったはずだ、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。処理施設でさらに借金をつくり、その処理のために経費をかけ、そして赤字をふやすことなどとてもできない。私は本当にそのとおりだというふうに思います。  私の住んでおります堺にも九百六十頭を持った十七戸の酪農家が集まる団地があります。ここは町に近いわけですから、いや応なく環境対策ということで、既に一九八二年に五億七千万、九二年に三億三千万の処理施設をつくってやっておりますが、いや、全く大変なのです。修理、電気代それからオイル代で、ふん尿処理施設にかける運営費だけでも三千七百五十万かかるのです。堆肥の方を売りまして千六百七十万の収入がありますが、赤字が二千八十万、減価償却合わせますと、毎年三千万の赤字になってきているわけであります。  だから、北海道の方もパワーアップ事業で、農家負担を五%まで軽減するなどということで、大変精力的な取り組みを進めていらっしゃるけれども、北海道も市町村の財政も大変な制約がある中で、とても農家の要望にこたえてそれを支えることができないというふうにおっしゃっておられるわけです。ふん尿対策が引き金になって、畜産農家が廃業に追い込まれるようなことがあってはならないと思います。しかし、この法案は罰則規定まで設けているのです。それだけに、私は国が万全の対策を講ずるべきではないかというふうに考えるわけであります。  大臣がお聞きになったら、またかとおっしゃるかもしれませんが、私は今までこの委員会で毎年毎年、輸入牛肉の関税収入の未使用分が二千四百六十八億円もあるということを、この春も確認をし、そしてそれを農家に返せということを言ってきました。もともとこの多頭化政策、規模拡大の背景にあるのは輸入自由化政策ではありませんか。そして、牛肉の輸入自由化によって、畜産農家をその打撃から少しでも助けるようにしていこうという趣旨がこの輸入牛肉の関税収入の使い道であるとしたら、今こそ畜産農家のこうした処理に対する負担を解消し、環境負荷の解消のためにこの二千五百億ばかりのお金は、もう大蔵省に遠慮なくこれを大胆に使っていこうではありませんか。その点、大臣、いかがですか。
  166. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、士幌町、私の地元のお話をしていただきましたが、多分士幌町のことは先生より私の方が存じ上げているのではないかと思います。  士幌町は北海道の中でも、自慢ではありませんけれども、一番いい畑作、酪農、肉牛経営をやっておる町でございまして、多頭化あるいは規模拡大の意欲も非常に高い町であります。そういう中で、確かにふん尿処理の問題、町の近郊につい数年前ありましたふん尿施設のビニールの底に穴があいて大変な公害問題になりましたけれども、農林省が素早く対応してくれました。  そういうことで、士幌町の全部とは言いませんけれども、多くの農業者現時点においても誇りを持って、さらに今後に向かって誇りを持って経営をやっていくという農家が少なくとも過半を占めておるというふうに私は理解をしております。もちろん苦しい農家もあると思いますけれども。  したがいまして、わざわざ士幌町のことをお取り上げいただき、感謝を申し上げますけれども、士幌町の名誉のためにも申し上げておきますけれども、士幌町は日本でも一番誇れる畑作、酪農地帯だということをぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、多頭化あるいは規模拡大となりますと、当然、先生指摘のように、ふん尿の問題等々は出てくるわけでございまして、だからこそ、本日御審議をいただいているような三法案について、前向きの経営あるいは環境に優しい経営、そして、堆肥という有効な資源を地域を超えて有効に利用することによって地力増進あるいはまた環境に優しい農業をやっていこうということでございますから、ぜひこの趣旨を御理解いただきまして、もちろんこの法律三つだけで完璧にすべてが解決するとは私も思っておりませんけれども基本法の趣旨にのっとった形でのこの三法というものの御趣旨を理解をいただき、その上で御議論をいただきたいと思います。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まともに質問に答えていらっしゃらないです。  私も名誉のために言っておきますが、士幌町のことを決してけなしていませんよ。大臣はお足元ですからそうでしょうが、私は、士幌町を初め、十勝にしても、北海道は本当に愛すべき、日本の誇りある農業地帯だというふうに考えています。そして、この法案を、本当に日本のふん尿問題を解決するために働かせていきたいというふうに考えているのです。  そして、私がずっと言ってきたこの関税収入の未使用分というのは、これは今は未使用ということで大蔵省の方に持っていかれているのです。しかし、少なくとも帳づらは未使用分としてあるわけですから、これを思い切って使おうじゃないか、使わせるようにもっとやろうじゃないか。そうしてできるだけ農家の負担を軽くして、これに対応できるようにしていけば、農家も肩の荷がおりるし、そして環境の方も負荷されないし、そういう点では、今、この未使用分の働かせどきだということを申し上げているのです。  その一点に限って簡単に御答弁ください。
  168. 本田浩次

    ○本田政府委員 牛肉等の関税を財源といたしました肉用子牛等対策として、これまでも堆肥化施設等の整備を行ってきたところでございまして、今後とも、畜産環境対策の予算につきましては、全力を挙げて十分に確保してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、輸入牛肉の関税収入実績と肉用子牛等対策費の差額、いわゆる未使用部分の取り扱いにつきましては、平成十二年度以降におきまして、関税収入見込みと肉用子牛等対策費に照らして必要があると認められる場合には、必要な額を肉用子牛等対策費に充当するという法律の趣旨を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えております。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 関税の引き下げを見越して、そして足りなければこれを使っていこうという、その考え方には賛成いたしかねますよ。そして、私は重ねて強く申し上げますが、今こそ本当に使うべきときだということを申し上げておきたいと思います。  この問題に時間をとることができませんが、最後に三問だけ、非常に簡単な質問ですので、簡潔にお答えをいただきたいのです。  先ほどからも、簡易に低コストでやれるように研究開発を進めていきたいという御答弁がありましたけれども、そのふん尿処理の施設、一体どういう処理の仕方が有効で、かつ経費を安くするのか、今確定的なものはありません。その点については、本当に開発そして普及を急ぐべきであります。これが一点です。  もう一つは、せっかく堆肥化しても、それの活用先のめどがなかなかないのです。私の地元も大変苦労しておりますが、その対策を求めておきたいと思います。  三つ目は、施設の老朽化は、ふん尿が相手ですからとても早いわけです。したがって、施設を更新する場合も補助対象にすべきであります。  三点、簡潔にお答えください。
  170. 本田浩次

    ○本田政府委員 まず第一点の、できるだけ低コストでということでございますけれども、これは、施設整備をできるだけ低コストにするということと、それから、例えば飼料の側から、余り環境に負担をかけるような飼料でない形での技術開発を行うというような点が第一点でございます。  それから第二点、つくられた堆肥についてどういう形で利用していくかということでございますけれども、これはあくまでも耕種農家と畜産農家の連携をできるだけ強化していくということ。それからもう一点は、平成十一年度の新しい施策といたしまして、堆肥需給マップをつくろうということで、各地域ごとに、これは都道府県単位でございますけれども堆肥需給マップをつくるというようなことについての新しい施策を打ち出していきたいと考えております。  それから第三点の、既存の処理施設につきましてもうまく活用していくべきだということでございますけれども、この既存の施設につきましての支援措置でございますが、例えば、飼養頭羽数の増加に伴う既存施設の処理能力アップでありますとか、家畜排せつ物の処理方式の高度化でありますとか、堆肥の広域流通推進のための水分調整それから袋詰めなどの施設整備を行うことによって機能向上を行う際にも補助対象としているところでございます。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに、更新のときに新しくしたり規模を拡大したり、そういうふうな場合には対象になるということでございますね。もう、そうならそうと首を振ってくれはった方が早い。——首を振ってくれはったですね。ありがとうございます。  ただ、耕種、畜産を大きく引き離してしまったのは、国の農政の大きな責任です。したがって、やはりマップをつくって情報をもっと広く提供するということは賛成ですが、しかし、どうしてもここで求められるのは、運送費等、非常な経費がかかるということもまたこれから念頭に置いていただきたいというふうに思います。  次に、肥料取締法の改正案について伺います。  今回の改正で、新たに汚泥等が普通肥料になり、公定規格を定めることになります。そのためには、公定規格に適合したものになっているかどうかなど確認して登録されることになるわけでありますが、汚泥肥料が工場排水、生活雑排水から出てくる汚泥を原料にしているものなので、今回、普通肥料として措置されることに私たちも賛成しています。  しかし、この仕事に携わる肥飼料検査所の実態を見ますと、今の体制で大丈夫なのかということを非常に心配します。この検査所は、全国で六カ所、百四十一人の職員しかいません。今、百四十一人の職員が千二百の肥飼料の銘柄を扱っているわけでありますが、今回、ここに汚泥肥料の千七百銘柄が乗ってくるわけであります。したがって、仕事の量は、これまた単純に言いますと、二・四倍に膨らむことになります。  一気に質問してしまいますが、私は、実は大阪の肥飼料検査所というところに行ってきました。ここは実に広い範疇です。四国、山口県を除く中国地方と近畿を受け持っています。そこで職員はたったの二十四人です。そして、仕事は、登録、仮登録の申請に関する審査、業者からの公定規格改正申し出に対する調査及び検討、立入検査、そこで収去した肥飼料などの分析、鑑定。こういうことで、分析は四千六百二十四件、鑑定の方は八千三百四十三点も年間に行っています。その上に、分析、鑑定方法の調査研究、さらには県の検査職員の指導、あるいは場合によったら海外の人々の指導、こういう仕事まで全部やっているわけであります。  この大阪の検査所の組織図というのを見て驚いたわけですが、この組織図には、庶務係長から抗生物質係長まで、係長は十三名いることになっておりますが、しかし、鑑定係長は担当も長もおりません。分析係、有害係はダブルで配置されておりますけれども、あとの九つの係というのは係長一人ずつなんです。もしかしたら、長じゃなく係員だけかもしれない、あるいは係長だけかもしれない。とにかく一人なんです。ちょっとお粗末に過ぎませんか。これで、この仕事が二・四倍になってやっていけるのか。  あなた方は、登録申請が一時期に集中しないよう事前に十分調整する、本省から助っ人を出すんだ、今後の検査の重点化を図って、立入検査の方はそういうことで、早う言うたら間引きをするというようなことなんでしょうが、少々のことでは、これでは本当に体制的な不備が出てくるのじゃないかというふうに私は思いますが、いかがですか。
  172. 中川昭一

    中川国務大臣 まさに、先生が御質問をされて、御自分でそう言うだろうというとおりの答弁でございます。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 お認めになったわけですね。そうすると、私、体制の強化は必要だというふうに聞かせていただいて結構ですか。
  174. 中川昭一

    中川国務大臣 まさに効率化、重点化を図り、そしてきちっとした体制のもとで、今先生が御指摘になったように、必要とあれば、本省からも機動的に応援態勢をとりながらやっていくことによって対応できるというふうに考えております。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 本省から一時助っ人が出て、それで登録申請や何かの処理はできても、とにかく千二百銘柄の上に千七百が乗るわけですから、常時重い荷物がかぶさってくることになるんです。しかもこの検査所は、わずかですが、やはり年々一人ずつ人が減っていっているのです、百四十一も。だからこの際、その銘柄がこんなに大きく検査所の肩にかかってくるんですから、やはり人員の拡充ということ、端的に言えばそういうことですが、そういうことをしっかりやっていかなければならないんじゃないかということを申し上げているわけであります。後でお答えください。  もう一つは、東京都で、都の肥飼料検査所が汚泥肥料生産していた多摩北部の衛生組合に対して農水省基準の二倍近い水銀が検出されたことで警告をしていたのに、なおかつ生産、配布を続けて、都の中止命令が出るまで一年余り経過していたという大変苦い過去の経験がございます。  したがって、私は、こういうような厄介な汚泥肥料であるということをよく肝に銘じていただきたい。そして、公定規格では有害成分とはされていない別の有害物質が含まれているために欠陥品を公認するというようなことになれば、これもまた大変な問題でありますので、安全性の確保は徹底してやるということを確認しておきたいわけでありますが、先ほどの二点と、もう一度お答えください。
  176. 樋口久俊

    樋口政府委員 業務量についてまずお話を申し上げます。  これにつきましては、実は私ども、新たな業務が加わりますものですから、業務量全体をどういうふうにするかということで、細かいことは省略をいたしますが、業務量の見直しを行ったわけでございます。見直しを行いました結果、重点化を図る、効率化を図る、両方の観点から、どのような人員配置にすればいいか、肥飼料検査所全員で百四十名余ございますが、そういう体制の中でこの業務量にどういうふうに対応するかということを詳細に検討いたしました結果、大臣お答えを申し上げましたようなことになっておりまして、現在の体制をしっかり活用して、必要があります場合には、本省にも組織がございますし、そういう対応をしていきたいと思っているところでございます。  それから、お話がございました案件は、多分、平成元年ごろであったと思っております。現在、手元に資料がありませんので恐縮ですが、記憶でお話をさせていただきますと、逆にそういうことがあってはならないということもございまして、もし万一今回のような事件がございましたならば、迅速に対応して一定の措置がとれる、場合によっては登録をやめてしまうとかそういう肥料流通をさせないという措置をとるためにも、今回提案をさせていただいているような法律を成立させていただきたいと思っているところでございます。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大事な問題ですので、本省から人を回すということであっても、それはいっときのことではなしに、体制そのものが強化できるように再度求めておきたいと私は思います。  時間が本当になくなりました。持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案、一点だけ大臣にお伺いしておきたいと思います。  この法案は非常に大事な法案であります。私も、環境保全型農業促進させるという点では大いに賛成であります。ただ、そのためには国がこれもまた積極的にバックアップしていかなければならないということについては、私は有機農産物のJAS法の表示のときも申し上げましたが、この間調べておりましたら、お隣の韓国でもやはり、一般農法との所得差額の部分を政府が支払うというような措置をとって支援をしています。だから、私は改めてこれが国際的な常識なんだなというふうに考えたわけであります。  いずれにしても、この環境保全型の農業にこれからずっと取り組んでいくためには、あわせて技術的な指導も必要であります。私が調べましたら、農業改良普及センターの職員も、交付金がこの十年間で三十七億円余削られてしまっておりますので、したがって、職員の数も、全国的ですが八百人余少なくなっています。こういうことではなしに、やはりそこら辺の体制も要るのじゃないかなということを思いました。  そうして、この環境保全型農業というものを、個々の農家の取り組みから地域、地方の取り組み、そういう点から面への取り組みの広げ方というものも、今、本当にこれを契機に考えていこうじゃありませんか。大臣、私の言っていることがわかりますか。環境保全型農業に取り組む個々の農家の点々をその地域、その地方に大きく広げていく、そういう方向性を持っていただきたいということを質問申し上げたいのです。  改良普及員の問題とあわせて御答弁いただいて、終わります。
  178. 中川昭一

    中川国務大臣 改良普及員の話は農産園芸局長からということで。  まさに、持続性の高い農業というものをこれからやっていこうと。韓国はちょっと詳しいことはわかりませんけれども、これは義務的に今からやっていこうということじゃなくて、朝も申し上げましたけれども農家の中にも、これをやりたいのだけれどもなかなかやれない、あるいは障害があるというようなことで、まだ非常に規模としては少ない。産直とかそういうもののデータが余りありませんから、我々が把握しているデータとしては非常に少ないわけで、何とかそちらの方に誘導をしていこうということが、基本法理念にもかない、そしてまたこの法の趣旨でもあるわけでございます。  そういう意味で、持続性の高い農業というものを点から面へ、あるいはまた空間としてとらえていくということは、先生のおっしゃることと私どもとは同じ考えでございます。
  179. 樋口久俊

    樋口政府委員 普及に関します交付金のお話でございましたので、お答えを申し上げます。  確かに減額をいたしているのは事実でございますが、もう既に御承知だと思いますが、交付金は人件費的制約の部分がございます。これは、国、県を通じまして、行政改革の流れの中で職員の数が減っておるということでございますので、これを背景として交付金が減っているのは事実でございますが、我々としては、普及職員の皆さんが地域の農政の中で果たしていただく役割は十分評価をしているというつもりでございまして、逆に補助金の方で相当力を入れてといいますか、頑張ってふやしているということもひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
  180. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。ありがとうございました。
  181. 穂積良行

  182. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 私は、社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案について、まず最初法案の意義について、私自身がその意義を確認するためにお伺いしたいと思います。  二十一世紀を前にして、資源の有限性に配慮した持続可能な社会の構築が求められているわけです。地球規模での環境汚染、世界人口の増加、農地の減少、水資源の枯渇といった現状がこのまま進めば、深刻な食料と水の危機に直面します。二十一世紀が飢餓の世紀となる危険は否定できないものと思うのでございます。  こうした現状認識に立ちこれからの農業のあり方を考えるとき、農業の持つ自然環境機能をどう発揮させるかは、農業の持続的発展のみならず、地球規模の環境問題をいかに解決するかという問題意識からも極めて重要な課題であると認識いたしますが、大臣の御見解をお願いしたいと思います。それとあわせて、今回の法案もこうした問題意識を前提にしたものであるということでよろしいでしょうか。その認識についてもお伺いするものでございます。
  183. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、一般論として、先生の御指摘のとおりでございまして、我が国においてだけではなく世界的な意味においても、やはり持続可能な、環境に優しい、人に優しい農業というものをこれから構築していこうということ、逆に言うと、今のままでは世界で毎年日本農地と同じぐらいの面積が失われていって、しかもそれをもとに戻すことはほとんど不可能というような現状を何としても押しとどめていかなければならない。一方、基本法の中では四つの理念というのがございまして、これはいずれも相関関係があるわけでございますけれども、国内での農業の増産という観点からも、息の長い国内の農業供給体制というものをつくり上げていく面からも必要だということで、ほかの二法も含めまして先生指摘のとおりでございます。
  184. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 私、現在の農地は、化学物質をたくさん使って、そういった過度なエネルギーを投入した農業によって、地力の低下、それから砂漠化、地下水の枯渇など農業生産自体を不可能にするなど、本当に環境が大変変化していると思います。そうしたことが今大きな問題になっているところでございますが、このままでは農業持続性そのものを喪失していくという危険性があるのではないかと思います。さらに、農業に対する環境負荷の増大は、残留農薬や地下水の汚染などを初め、人間の健康、家畜もそうだと思いますけれども、大変に健康をむしばんでいるという問題を生み出していると思うのです。  こうした現状を見据えたときに、今後とも、農業の持つ自然循環機能を発揮させ農業の持続的発展を図るためには、環境保全型農業の推進は極めて重要であるということ、これまでもずっと各委員さんがおっしゃったと思うのですけれども、それだけではなく、農業生産のあり方そのものを環境保全型農業に大きく転換していくことが必要であると考えるものでございますが、この点について御見解をお願いいたします。
  185. 樋口久俊

    樋口政府委員 お話のありましたまさにそういう方向が、一つどものねらっている方向でもあるわけでございます。  農業生産のあり方につきまして、その多面的機能を十分発揮するというためには、環境と調和をしつつ持続的に発展する、そのためには農業本来の特質が十分生かせるようにしないといけない。しかし、もうここで十分お話がございましたけれども土づくりの減退等、それから化学肥料農薬への過度の依存でなかなかそういう状況にはないというのが片方あって、消費者ニーズとかそれから実需者ニーズにも片方こたえないといけない。  そういうことを背景にしまして、大きく転換をするという物の考え方、私どもとしては十分わかるわけでございまして、その中で、いろいろな状況を踏まえまして、各地域の実情に合ったような形で地域の農業生産方式を改善していこうではないかということを考えているわけでございます。
  186. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 今回の法案によって、農業者導入促進を図るべき持続性の高い農業生産方式を具体的に明確にするとともに、農業者への支援措置を講じることとされたことにつきましては、一定の評価をするものでございます。新たに立法措置が必要とされるのは、こうした農業生産方式が現状では浸透していると言いがたい実情にあるのではないかと思うのでございます。  そこで、我が国における持続的な農業生産の現状についてどのように認識しておられますのか、お聞かせください。  さらに、今後政府が果たすべき役割基本的な考え方についても御説明いただきたいと思います。このことについては、私ちょっと席を外していたもので、重複の点があると思いますけれども、以上の点につきましてよろしく御説明お願いいたします。
  187. 中川昭一

    中川国務大臣 たまたま基本法の御審議以来、ここ四十年近くの農業に対するいろいろな過去に対する評価あるいは反省といったものが随分当委員会でも議論になりましたけれども、やはり生産性を上げていく、あるいはまた労働力を少しでも軽減していくという観点から、化学肥料農薬等を使う農業が中心になってきたわけでありまして、その結果、単収も上がってまいりましたし、病害虫に対する耐性というものも強くなってきたということは事実でございますけれども、一方ではやはり、最初先生質問に戻りますけれども、このまま持続的な農業を続けていかなければならないとするならば、自然あるいは環境と共生できるような形での、しかも生産性を失わず、あるいはまた農業労働に対する負荷をそうかけずにやっていく農業というものを模索していかなければならない。消費者のニーズも高まっている。  一方、そういう中で、生産者の中にはそうしたいのだけれどもそうしていない、できない農業者が多分まだまだ多いわけでございまして、そういうことで消費者サイド生産者サイド共通の認識のもとで持続性の高い農業というものをこれからやっていこうということで、時あたかも新しい基本法理念にも合致し、これを実現していかなければならないということであります。  具体的には、地力の維持あるいは増進、そしてそれと関係のございます、農薬あるいは肥料使用のできるだけの低下、あるいはまたふん尿というある意味では自然物でございますから、これを耕種、畜産双方にわたって有効利用していくということをこれからの持続的農業一つの大きな柱としてこの施策を進めていきたいと考えております。
  188. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 それでは次に、第二条の関係で、持続性の高い農業生産方式の定義に関連することについてお伺いします。第二条では、持続性の高い農業生産方式について、土壌の性質に由来する農地生産力の維持増進その他良好な営農環境の確保に資すると認められる合理的な生産方式と定義されています。  そこで、土壌の性質に由来して農地生産力が維持増進されている具体的な事例、すなわち生産力を増進させるための土壌管理のあり方、また土壌の性質に合わせた生産のあり方等について、その先進的な事例があれば御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  189. 樋口久俊

    樋口政府委員 事例の方からちょっと先に御紹介をいたしますと、この二条で書いてございます「土壌の性質に由来する農地生産力の維持」、若干かた目の文章でございますが、平たく言えば地力を高めるということでございますけれども、これは、実際農業経営にタッチをしておられます方は実感としてはよくわかっておられることではなかろうかと。しかし、いろいろな条件でなかなか踏み切れない、あるいはいろいろな条件でそれが減ってきたということではないかと思います。  そういう土づくりの不十分さを背景に、例えば冷害があったりしますと、不作があったということはもう肌で感じておられまして、そういう土壌病害の発生とか、生産力、例えば収量が落ちていることをかなりきちっと整理された結果、やはりそういうものに対応しないといけないのではないか、しかも個人ではなくて組織でやらないといけないだろうということで、私どもが承知をしております長野県の農協でそれを組織的に、野菜産地でございますが、「野菜づくりは土づくり」というような標語を使いながら、JA信濃朝日というところでやっておられるとか、あるいは、これも宮崎県の事例でございますが、個別の名前を先ほどからちょっと挙げて恐縮なんですけれども、児湯農協とか、農協単位あるいは地域単位でそういう土づくりに取り組んでおられる事例はございます。  それから、二条の規定の読み方でございますが、これは私ども説明が不十分だったのかもしれませんが、この柱書きといいますか、各号以外の部分は、土壌の性質に由来する農地生産力の維持増進、それと良好な営農環境、ここは負荷をかけないということでございます。そういうものの中で、合理的な農業生産方式というものを前提として、そういうものを持続性の高い農業生産方式法律で呼ぶという定義になっておりますので、よろしくお願いいたします。
  190. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 それともう一つあれなんですけれども、営農環境の確保に資すると認められる生産方式とも定義されています。具体的にいかなる生産方式を想定しているのかを挙げていただきたいと思います。
  191. 樋口久俊

    樋口政府委員 良好な営農環境、これは先ほどもお話ししましたが、できるだけ負荷をかけないということがあるわけでございまして、化学肥料を適切に投入するということで、例えば、ややピンポイントで肥料をまいていくといいますか、側条施肥技術でございますとか、それから化学農薬を多投しないということでございますと、マルチあるいは被覆の栽培をするというようなものを使うことによって、営農環境が良好に保たれる、負荷をかけないというふうなことを考えております。
  192. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 いわゆる環境保全型農業については、農業の持つ物質循環機能を生かし、肥料農薬などの過剰使用等に起因する環境への負荷の軽減に配慮した農業と考えてよいと思いますけれども、その点についてはそれでよろしいでしょうか。何か難しいあれですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
  193. 樋口久俊

    樋口政府委員 環境保全型農業、実は厳密な意味で定義とか定説というものがきっちりあるわけではございませんで、環境負荷をかけないようにするということが中心的になるわけでございますが、その中で、今回御提案をしてありますものは、具体的に農法あるいは生産方式を定めるというところに一つ意味があるのではないかと私ども思っているわけでございます。当然、方向としては全く一致をいたしておりますので、この生産方式の目指しますものは、環境保全型農業の推進というための具体的な手法の一つとして位置づけられるというふうに考えていただいてよろしかろうかと思っております。
  194. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 税制上等の特例措置について、第六条では、農業改良資金生産方式改善資金のうち、認定農業者導入計画に従って持続性の高い農業生産方式導入するのに必要なものの償還期間を十二年を超えない範囲内で延長するとの特例措置がとられることになっていますが、こうした措置だけで本当に持続性の高い農業生産方式が浸透するのかどうかという疑問点がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  195. 樋口久俊

    樋口政府委員 これも先ほどお答えしました中で、ダブっていたら恐縮ですが、法律的に特例を講じないといけない部分でございますので、当然法律で御提案をしている部分がございます。私どもの頭の中では、この法律に規定されております金融措置と税制措置だけで目的を達せられるとは当然思っていないわけでございまして、あわせまして、予算措置で持続的な農業のための総合対策を十一年度から創設させていただいておりまして、二十六億ほどの予算を計上させていただいております。  そのほか、試験研究も十分にやっていかないといけないだろうということでございまして、これらが相まって、また別途消費者からの御参加も得ながら、アクションプランというべきものもつくりながら全体としての意識を高めていく、そういうことで、この生産方式あるいは持続農業導入に御理解をいただきたいと思っているところでございます。
  196. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 時間がもうなくなりましたので、もう一点、第七条の方に課税の特例、それから第八条で定める国及び都道府県が行う援助について、その具体的な内容というものにつきましてちょっとお聞きしたいのです。
  197. 樋口久俊

    樋口政府委員 課税の特例は、租税の特別措置ということで別途規定をされるわけでございますが、一つは、取得価額の三〇%の特別償却、あるいは取得された価額もしくはリース費用の百分の六十の七%の税額控除ということで、これはいずれも部分選択ということになるわけでございます。  また、そのほかの援助の措置ということも、各県あるいは私どもも含めて、先ほどお話ししましたいろいろな支援があるわけでございまして、これは改良普及員等々が中心になりながらいろいろな指導助言をやっていくということでございます。
  198. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 それで、もう本当に最後になりますけれども、私は、農地生産力の維持増進を図るということは、先がたから出ておりますように、やはり土づくりにあると思うのです。まず土があり、植物があり、飼料ができ、それを人間なり家畜、動物等が食べます。それを今度は排せつし、土に返っていくというのが、自然的な農業、これまでの長年の農業だったと思うのです。  そうした中で、私は、これはどの部門に関係するかはちょっとわかりませんが、家畜環境問題をめぐる現状と課題の中に、生ごみの処理と一体にした家畜ふん尿の処理の利用の事例が挙がっておりますけれども、これらのことに対しまして、本当に今後ともにこれらを進めていく方策というものが大切じゃなかろうかと思います。そういう点につきましてどのようにお考えになっておるかということをお伺いして、私の質問にかえたいと思います。
  199. 本田浩次

    ○本田政府委員 御指摘のとおり、今後地域と調和した健全な農業なり畜産経営の発展を図っていくためには、家畜排せつ物の適正な管理を確保して、堆肥として農業の持続的な発展に資する土づくりに積極的に活用するなど、その資源としての有効利用を一層促進する必要があります。また、地域全体の資源循環でありますとか、土づくりに資する観点からも、生ごみと家畜排せつ物の一体的な処理を推進していくことが重要であります。  このために、これまでも種々の施策を講じてきたところでございますけれども平成十一年度におきましては、新たに生ごみと家畜排せつ物の一体的堆肥化など、有機質資源を循環利用する事業を新たに創設したところでございまして、今後、地域の実情を踏まえながら、生ごみと家畜排せつ物の一体的な処理など、有機質資源の循環利用の推進を図っていきたいと考えております。
  200. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 本当に、生ごみというのは、環境美化の点につきましても、ぜひともこのような形での肥料にしていくということを促進していただきたいと思います。  以上、終わります。
  201. 穂積良行

    穂積委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  202. 穂積良行

    穂積委員長 ただいま議題となっております各案中、まず、持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、肥料取締法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、中林よし子君外一名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。中林よし子君。     —————————————  家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  205. 中林よし子

    ○中林委員 私は、日本共産党を代表して、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進に関する法律案の修正案の提案理由説明します。  家畜排せつ物管理適正化及び利用促進は、畜産農家もその必要性を認めているところですが、同時に、処理のための施設や機械に多額の投資はできないという不安の声が広がっています。  この解決のためには、家畜ふん尿対策を放置して規模拡大を進めてきた政府が責任を持って処理施設の整備に取り組むべきであり、この法案の実施によって畜産農家が離農に追い込まれることなどあってはなりません。  よって、農家の負担をなくすために、本則に、国及び地方公共団体は、処理高度化施設の整備を促進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする規定を追加する修正が必要だと考えます。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、修正案の説明を終わります。
  206. 穂積良行

    穂積委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  207. 穂積良行

    穂積委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、中林よし子君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 穂積良行

    穂積委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  209. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  211. 穂積良行

    穂積委員長 次に、内閣提出農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣中川昭一君。     —————————————  農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  212. 中川昭一

    中川国務大臣 農業者年金基金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業者年金の保険料の額につきましては、平成七年の農業者年金基金法の一部を改正する法律におきまして、毎年、平成七年度価格で月額八百円ずつ引き上げるとともに、保険料の額について物価スライドを実施することとなっております。  この結果、平成十一年における保険料の額は、月額二万四百四十円となっており、平成十二年におきましては、一月当たり八百十円上がり、月額二万一千二百五十円となることとなっておりますが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十二年以後の保険料の額を平成十一年と同額の月額二万四百四十円とすることを内容とし、この法律案提出した次第であります。  以上が、この法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  213. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会