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1999-03-18 第145回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十八日(木曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君    理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君       今村 雅弘君    金子 一義君       金田 英行君    岸本 光造君       熊谷 市雄君    熊代 昭彦君       鈴木 俊一君    園田 修光君       中山 成彬君    丹羽 雄哉君       萩山 教嚴君    御法川英文君       宮腰 光寛君    宮島 大典君       宮本 一三君    矢上 雅義君       安住  淳君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    漆原 良夫君       木村 太郎君    斉藤 鉄夫君       井上 喜一君    菅原喜重郎君       松浪健四郎君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 昭一君  出席政府委員         農林水産政務次         官       松下 忠洋君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    城  知晴君         農林水産委員会         専門員     外山 文雄君 委員の異動 三月十八日         辞任         補欠選任   小野寺五典君     宮島 大典君   上田  勇君     斉藤 鉄夫君   佐々木洋平君     松浪健四郎君 同日         辞任         補欠選任   宮島 大典君     小野寺五典君   斉藤 鉄夫君     上田  勇君   松浪健四郎君     佐々木洋平君 三月十七日  漁船損害等補償法の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)  持続的養殖生産確保法案内閣提出第四九号) 同月十八日  農・林・漁業の地域産業振興策拡充に関する請願古賀一成紹介)(第一四七九号)  新たな農業基本法制定に関する請願北沢清功紹介)(第一四八〇号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  漁船損害等補償法の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)  持続的養殖生産確保法案内閣提出第四九号)  農林水産業振興に関する件(畜産問題等)  平成十一年度畜産物価格等に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田修光君。
  3. 園田修光

    園田(修)委員 きょうは質問の機会を与えていただいて、本当にありがとうございます。  私の鹿児島県は、日本でも有数の畜産県ということであります。飼育頭数にしても、全国の大体一割を鹿児島県が担っているわけであります。その面から、今回の畜産価格についての質問をさせていただきます。  ことしの畜産物価格畜産酪農基本政策決定については、従来とは全く環境が違うのではないかと思っているところであります。それは、農政改革大綱はもちろんでありますけれども、新たな食料農業農村基本法制定を目前にしているということであります。特に、この新たな基本法の大きな柱となる良質な食料安定供給確保観点からどのような価格あるいはまた政策を打ち出すのか、地元畜産農家は特にそうでありますけれども、北海道を中心とした酪農農家もこれを注視しているところであります。  しかしながら、選挙区を回ってみますと、畜産農家には、大変元気のある畜産農家もたくさんおられます。ですけれども、ただ、多くの畜産農家はやはり将来に向かっての不安があって、今歯を食いしばって頑張っているというのが現状だろうと私は思っているところであります。先祖の土地を、畜産経営を続けてきたのに、最近の環境問題あるいはまたふん尿処理の問題、この管理に莫大な経費と近所への気苦労というのがまたあるわけであります。そしてまた、これからも増大し続ける輸入畜産物におびえているという現状、あるいはまた、市場原理導入して国際価格に近づけるという議論だけが現在先行しているように感じてならないわけであります。  今私が言ったこの三つ、ほんの一例でありますけれども、私は、今こそ畜産農家酪農家に対して、流した汗が報われる、そして将来に向けてやはり元気の出せる価格あるいは政策を決める必要があると思うのでありますけれども、今回の畜産振興審議会で取りまとめられた食肉及び子牛価格答申について、まずは次官の方から所見をお伺いしたいと思います。
  4. 松下忠洋

    松下政府委員 園田委員の御指摘のとおりでございますが、我が国畜産は、食生活の多様化等に伴いまして、需要拡大を背景に順調に進展してまいりました。我が国農業基幹的部門にまで発展してきておりまして、経営規模も、諸外国に劣らないほどの水準に達してきております。  しかし、御指摘のように、近年において、経営規模の大規模化に伴って、家畜ふん尿処理の問題、それから担い手の不足の問題等、今後、畜産振興を図っていく上で解決すべき重要な課題がございます。  このため、今般、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進を図るための新たな法律案、いわゆるふん尿処理法律案ですけれども、これを今国会に提出して、堆肥化施設等整備を一層推進してまいりたい、そのように考えております。  また、担い手確保、育成を図るための各般の施策を積極的に展開していきたいと考えておりまして、後継者のいない健全経営新規就農への円滑な継承など、我が国の実態に合った経営継承システム検討を進めてきているところであります。  このような施策を積極的に推進してまいりまして、今後の畜産振興施策に努めてまいりたい、そう考えております。
  5. 園田修光

    園田(修)委員 政務次官は、我々党の中で二年にわたって畜産そしてまた酪農小委員長というのをやられておられまして、ですから、この価格あるいはまた畜産政策については、本当にいろいろな現場を見ていただいて、もう十分わかり切っておられると思います。しかしながら、従来の価格決定とは、先ほど申しましたとおり、ことしはまさに環境が著しく違うわけでありますから、そのことも、今次官から述べられたように、いろいろな形で政策を進めていただかなければならないと思っております。  しかしながら、畜産については、先輩の議員の皆様がさまざまな制度をつくっていただいております。考え方によっては、園芸作物などとは比較にならないぐらいうらやましい各種の事業制度に守られていると思っているところであります。そうはいっても、先ほどから言いますように、いろいろな環境の変化があって、農家がそれに追いつかない状態もあることも事実であります。特に、国際化の問題や環境対策も、やはり個々農家ではどうしようもないところまで来ているんではなかろうかと思っております。  そこで、新農業基本法の中で、まず、畜種ごと国内生産量あるいはまた自給率をどの程度までに引き上げようとしておられるのか、そのところをちょっとお聞きしたいわけであります。
  6. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘畜種ごと自給率目標でございますが、これにつきましては、先生承知のように、今回の基本法が成立いたしました後、新たな基本計画を策定する、こういう段取りになっております。この基本計画の中におきまして我が国食料自給率目標を掲げるわけでございますが、その過程におきまして、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、さらには牛乳乳製品につきましても具体的な生産目標ということを掲げてまいりたい、このように思っております。  したがって、現時点におきまして具体的な目標を掲げられないわけでございますが、先般取りまとめました新たな酪農乳業対策大綱におきましても、牛乳乳製品並びに肉用牛を対象といたします新たな酪農及び肉用牛生産基本方針を策定するに当たりましては、可能な限りの国内生産拡大、これを目標にするというふうに既に定められておりまして、そのような観点に立ちまして今後の作業を進めてまいりたい、このように思っております。
  7. 園田修光

    園田(修)委員 個々の部分についてはこれからの議論だろうと思いますけれども国内自給率というものが新しい農業基本法に明確に明示をされるということでありますから、畜産部類もやはりその点はしっかりと目標というものを設定しなければ、それに近づけて一生懸命努力をするわけでありますから、そのことはやはり大切だと思っておりますから、どうかよろしくお願いいたします。  そこで、これから個々部類に入りますけれども豚肉価格低迷という形で一つだけお聞きをします。平成八年、平成年度は、狂牛病やO157の食中毒問題、また台湾の口蹄疫の発生などによって高い水準で推移をしていたわけであります。養豚農家にしては一息ついたところでありますけれども、最近の豚肉卸売価格動向を見てみますと、例年、価格が大きく回復をする十二月、その十二月にも回復が小幅にとどまって、さらに一月も省令規格は平均の約三百八十円と低迷をしておりますけれども、この価格低迷原因についてお聞かせいただきたいと思います。
  8. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘のように、豚肉と申しますのは夏場が高くて冬場が安い、基本的にはそういう価格変動を繰り返しておりますが、特に本年につきましては、昨年の十二月、本年一月と、一〇%を超える低落を見ております。  これの原因でございますが、輸出国でございます米国デンマーク等におきまして、数年前から生産過剰状態であり、価格低迷いたしておるわけでございますが、特に昨年十一月、十二月におきまして、米国におきまして、価格が短期的でございましたが大幅な低落を見ました。この結果といたしまして、我が国への輸出圧力といいますか、輸出量がふえまして、これが国内需給動向に悪影響を与えたもの、このように思っております。ただ、その後の状況を見てまいりますと、本年二月に入りましてからは四百十五円ということでかなりの回復を見せておりますし、三月に入りましてもほぼ安定的に推移いたしておるところでございます。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、豚肉輸入動向等を踏まえながら、国内卸売価格動向等につきまして今後とも注視してまいりたい、このように考えております。
  9. 園田修光

    園田(修)委員 今、答弁をいただきました。豚肉価格というのは、本当に乱高下がすごく激しいんですよね。だから、養豚農家にしても、やはりその部類を計算に入れてやらなきゃならないということはわかるわけでありますけれども政府のさまざまな制度の中で、地域肉豚発動基準価格というのがありますよね。この価格、今度の答申でも据え置くべきという答申が出ておりますから、この四百円というのはしっかり守っていただきたいと思っているところであります。  次に、国産の食肉衛生管理の問題であります。  これは、今いろいろさまざまな議論が行われるダイオキシンの問題、ニュースキャスターが一言言えば大変な被害を与えてしまうというような状況の中で、やはり生産者として、供給側としては衛生管理の面をしっかりやらなきゃならないと思っておりますけれども、この衛生管理の面についてお伺いしたいわけであります。農林省としてはどういう対策を持っておられるのか、お伺いいたします。
  10. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘のように、食肉につきましても、あるいは牛乳乳製品につきましても、安全な食料を国民に安定的に供給するというのが産業としての農業基本的責務ではないか、このように考えておりますが、今、食肉につきましては、平成八年にO157事件というのがございまして、これに関連いたしまして、厚生省の方におかれましてと畜場法政省令改正が行われまして、HACCP的手法を入れた屠畜場の新たな衛生管理基準というのを策定されたわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、このような政省令改正を踏まえまして、HACCP導入によります食肉衛生管理徹底安全性確保ということを図りますために、産地食肉センターにつきましてHACCP的手法に対応できるような整備ということを積極的に進めているわけでございますし、また、そこにお勤めいただいております職員の方々等に対しましても、その旨の周知徹底普及等を現在行っているところでございます。  今後とも、厚生省十分連携を図りながら、食肉衛生管理徹底について万全を期してまいりたい、このように考えております。
  11. 園田修光

    園田(修)委員 私の認識としては、どこの国よりも安全なものを国内ではつくっているという認識なんです。ですから、そのこともしっかり取り組んでいっていただきたいと思っております。  次に、畜産農家が一番関心を持っている環境対策についてお伺いをいたしますけれども家畜ふん尿の適切な処理という形で、畜産農家にとっては環境対策への投資というものが多額の費用がかかっている現実であります。家畜ふん尿処理施設整備に対しては、農家の負担を軽減するように特別の助成措置を講じることが重要ではないかと思うわけでありますけれども、ここのところを少し答弁をしていただきたいと思います。
  12. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  畜産環境問題につきましては、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、今後の我が国畜産持続的発展を図ってまいります上で極めて重要な課題、このように認識いたしております。したがいまして、従来から、畜産環境問題に適切に対応していただきますために、堆肥センター整備であるとか、あるいは機械、施設導入に対します補助でありますとか、あるいは個人でおやりいただきます場合には低利融資、さらには二分の一の補助つきリース、こういうさまざまな事業を実施してきたわけでございます。  ただ、現在の畜産環境問題、個々事業個々施設でこれを処理するという問題ではなくて、国、都道府県、市町村、関係団体が一致協力して進めることが重要でないか、このように考えまして、今国会におきまして、家畜排せつ物管理適正化及び利用促進を図るための法律を新たに提出させていただいたわけでございます。私どもといたしましては、本法案が可能な限り早期に成立いたしまして、これを軸といたしまして、今先生指摘のような環境問題に対しまして、畜産農家はもとより、地方自治体も、生産者団体も、国も、みんなが力を合わせてこれを解決するような体制を組み立てていきたい、このように思っております。  また、個別の事業リース事業等につきましても、現在の問題に対応いたしまして、可能な限りの予算額確保拡大を図ってまいりたい、このように考えております。
  13. 園田修光

    園田(修)委員 ちょうど地元の県議会も今開かれておりまして、このリース事業について、本年度が四十四件、新年度は既に八十二件の申請があるということであります。しかしながら、環境問題、しっかり施設を整えなければやっていけないというのはわかるわけでありますけれども、ただ、いろいろなリースの形の中で、担保保証という形でJAが見たりしておりますけれども利用者農家は、保証担保というのが、現実にはそれを超えちゃっているわけですね。ですから、その部類に対してリース保険制度みたいなものをやはり早急にやっていただかないと、これもまた、やろうと思ってもできない、できなければもう畜産農家をやめなきゃならないというところまで来ているような気がいたしますから、そのこともこれから検討をしていただきたいと思っているところであります。  そして、新規就農者後継者対策であります。  畜産を営もうとすればまた新たな土地を求めなければならない、そしてまた、今言った環境対策での投資をしていかなければならないと思うのでありまして、大変厳しいわけであります。そしてまた、高齢化やリタイアする農家の畜舎や土地を活用した日本型の経営継承システムというのを確立する必要があるということであります。この部類についても農林省はしっかりとしたものを持っておられると思いますけれども、少し聞かせていただきたいと思っております。
  14. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  先生十分御承知のように、畜産につきましては、資本装備が極めて大きいということでございますので、その有効利用を図るということが私どもの基本的な課題、このように認識いたしております。  残念ながら、さまざまな理由によりまして、畜産経営をおやめになっていかれる方が一定率で出てくるのはやむを得ない面もございますので、先ほど申し上げましたように、極めて資本装備の大きい畜産農家施設土地、これが新たに畜産に参入しようという方に円滑に引き継がれていくことを支援するのが私ども責務ではないか、このように思っております。  具体的には、日本型継承システムと申しておりますが、これは大家畜にしろ中小家畜にしろ、現在畜産経営をおやりになっている方々につきまして、今後の動向後継者の有無、後継者のない場合はどの程度まで経営を継続されるか、そういうことを調べまして、他方、酪農等に対します新たな新規参入希望者のリストを別途つくりまして、この二人を、ある意味ではお見合いと言っては失礼でございますが、半分公のところがそれらの二人を会わせまして、その後段階的に、一気にお金がかかるものでございますので、資産、技術両面を含めまして段階的な継承を図っていく、そういう観点から現在検討を進めております。  具体的な検討会を現在開催いたしておりまして、できるだけ早期に具体的な仕組み、内容等決定いたしまして来年度予算に反映させていきたい、このように考えております。
  15. 園田修光

    園田(修)委員 今、こういう時世でありまして、都会から、職場をリストラされたとかそういう方々が、田舎に行って畜産をやろうかという形で、真剣に考えておられる方がたくさんおられるわけであります。しかしながら、先ほど私が申し上げたとおり、まさに土地問題にしても環境の問題にしても乗り越えなければならないところがたくさんあるものですから、それがうまくこの施策によって継承できるような形を早急につくって、充実した施策をつくっていただきたいなと思っているところであります。  ちょっと食肉の方で、最後に自分のところのことで申し上げますと、黒豚表示問題ですね。  黒豚大変人気が出まして、ここにおられる委員皆さんもおいしいなと思っておられると思います。特に鹿児島産はおいしいと言われておりますから。しかし、この黒豚定義がどうもよくわからない。  私は、黒豚というと、真っ黒な豚が黒豚、その肉が黒豚の肉だろうと思っていたわけでありますけれども、その定義をここで改めて、鹿児島ブランド黒豚のあれに際しても、しっかりとした定義をここで教えていただきたいと思っております。
  16. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  黒豚につきましては、一般にスーパー、小売店等で販売されております黒豚につきましては、現在のところ、明確な定義がないというのが現状であります。  現在、黒豚と称する豚肉が相当量売られておるというふうに私どもは見ておりますが、これにつきましては、一般的には、薩摩黒豚のようなバークシャー純粋種の肉、真っ黒な黒豚でございますので、バークシャー種純粋種のものを黒豚というというのが一般的な定義ではなかろうかと思いますが、小売店販売等におきましては、そのような定義が現在ないということでございます。  したがいまして、私ども農林水産省といたしましても、消費者の適切な商品選択に資するという観点から、この黒豚表示問題につきましては、現状のままでは極めて問題が多いのではないかと思っておりまして、具体的な表示のあり方ということについて現在検討を進めておるところでございます。  基本的な考え方といたしましては、純粋種のものを交配させてできたバークシャー種からの肉のみを黒豚というということについては大方の異論はないわけでございますが、バークシャー種の血統が例えば四分の三入っているとか、そういうものにつきまして黒豚というふうには認めないんだけれども黒豚割合何%という表示を認めるのかどうか、そういう問題で現在検討いたしております。  いずれにいたしましても、明確な方向を定めまして、食肉公正取引協議会の規約の中にこれを入れていただきまして、消費者の方から見ましても、あるいは生産者の方から見ましても問題が生じない、不信が生じないような取り扱いを行いたい、このように考えております。  具体的には、本年夏ごろを目途に具体化したい、このように思っております。
  17. 園田修光

    園田(修)委員 それはしっかり、早くやっていただきたい。  今、隣の先生から、黒豚じゃなくてグレー豚という形で言われましたけれども、まさにグレーじゃだめなんですよ。だから、黒豚だと表示してあれば、それはしっかりおいしいものだという認識皆さんが今持っておられるわけですから、これは黒豚と書いてあるのにまずいなと思われると、これは産地にとってはたまらないわけでありますから、どうかよろしくお願いします。  最後に、牛乳乳製品価格政策考え方についてお伺いいたします。  先ほどから申し上げていますように、新農業基本法あるいは農政改革大綱、いろいろなものが今示されているところでありますけれども、この主要な改革方針の中に、乳製品加工原料乳に係る価格制度については、平成十三年度目途として、市場原理を反映した形で価格が形成される制度に移行するようであります。今回の改革は、価格政策農林省は放棄したのじゃないかと言われておるわけでありますけれども、そこのところを政務次官から答弁をしていただきたいと思います。
  18. 松下忠洋

    松下政府委員 ただいま国会で新しい農業基本法を審議いただいておりますし、当然、それを受けて、酪農乳業対策についての新しい取り組みも始めなければいけないという認識でございます。  乳製品とか加工原料乳につきましては、その価格が確かに硬直的、固定的であるというふうに言われてまいりましたし、需要者ニーズに応じた生産供給が必ずしも行われていないのじゃないかというような問題もございました。そういうことで、今委員が御指摘のとおりに、平成十三年度目途に、市場実勢を反映した形で価格が形成される制度に移行していきたい、このように考えております。  なお、今回の改革に当たりましては、高い関税相当量国家貿易のもとで、計画生産の推進や必要に応じた調整保管等を実施しておりまして、それらによって生乳等需給の安定を図る、これを通じた全体としての価格水準の安定を図っていくということで、実際の各取引において、市場実勢を反映する観点から価格政策改革していきたい、このように考えているわけでございます。  したがいまして、加工原料乳地域における生乳の再生産確保して生産者経営の安定や所得の確保を図る観点から、加工原料乳生産者に対して所要の措置を講ずるということにしておりますので、価格政策を放棄するというものではない、このように考えております。
  19. 園田修光

    園田(修)委員 今、答弁をいただきました。  市場にゆだねるとなれば、なおのこと農水省の指導も必要になろうと思っておりますから、そういう形でやっていただきたい。  しかし、きのう、おとといから、米の関税化の問題、日本で一生懸命やろうと思っても、国際化の中で、どうも日本農政というものが方向を見失うような形で、本当に、国内法があって、国内法なんて外国には通じやしないよという議論もされておられましたけれども日本農業を守るために、あるいはまた日本で、さきの自給率の問題もそうでありますけれども、しっかりとした農政大綱、日本農業はこうあるべきだというものをしっかりとつくっていけば、まさに外国からどう言われようとも、日本はこうやっていきますよというのができるのではなかろうかと思っているところであります。  市場原理市場原理と言うわけでありますけれども市場原理でしていかなければならない、それにはまた関連の対策をこれからしっかりやっていかなきゃ、畜産農家にしても後継者なんというのは育たない。  実は、きのう酪政連の大会がありまして、その会長、代表者ですか、本当に悲痛な思いできのうは大きな大会をされておられました。まさに、供給側農家としては、もう一生懸命汗水垂らしてやっていても、何か国際化の中で揺れ動いてどうしようもないというところまで来ているようでありますから、そのことはしっかりと政策の中で取り組んでやっていただきたいと思っておりますから、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  20. 穂積良行

    穂積委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  21. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党を代表して、畜産酪農関係の質疑をさせていただきたいと思います。  私自身、民主党の酪農畜産委員長をさせていただいておりますし、また、この農水委員会は三年連続質問もさせていただいております。そのことも踏まえて質問させていただきますし、また、今園田先生からお話があったとおり、ことしの酪農畜産関係は、従来と違っていわゆる畜産の大きな岐路に立った状況の中での質疑だというふうに思っております。それは、政務次官御案内のとおり、新しい基本法を今国会に提出されております。同時に、皆さんがそれに基づく酪農・乳業大綱というものを先般策定されたわけでありますから、単にことしだけにかかわらず、将来にわたる酪農畜産の大きな道筋を決める、そういうものであろうというふうに考えております。  同時にまた、私ども民主党も、三月七日、八日、北海道の釧路、根室、十勝の調査をさせていただきまして、従来にも増して生産者皆さん、今も園田さんからお話があったとおり、悲痛な思いで自分の酪農業というものを見詰めておる。一方では乳価が下がりぎみの推移を示しておりますし、また同時に、輸入乳製品等が多くなってきておる。また、担い手であります後継者、比較的北海道でも酪農畜産はいるのでありますけれども、しかし、親として、大変なこの資産も、借金もあるのですけれども、後継させることがいいかどうかということを親が考えざるを得ないという状況もあるわけでありまして、そういう大変悩み多いといいますか悲痛な思いで、一方ではもう現実に離農が後を絶たない。皆さんの統計ではだんだん大規模になっておるというふうになされるわけでありますけれども、中身を見ますと、大規模な農家であっても、これはもう酪農畜産は莫大な資産を抱えておるのですけれども、やめるということが続出しておるわけでありまして、そういう環境下での重要な委員会の審議であろうというふうに思っておるわけであります。  きょうは政務次官と審議官に御答弁いただくわけでありまして、ぜひそういう観点から積極的な御答弁をお願いいたしたいというふうに思っております。  ただ、苦言を呈させていただけば、きょうのこの重要な、国民の代表者たる国会の審議がこういう、資料においても、当初の畜審総会の資料しか出ておらない。もう食肉答申も終わった、きょうは乳価の諮問案も出ているはずでありますけれども、私は、個人的には聞かせていただきましたけれども、こういうものを従来は、冒頭きちっとした説明があった委員会もあったというふうに記憶しておりますけれども、全くそれらの資料も委員皆さんに見せられることなく進められておるということは、私は遺憾に思いますから、こういうことがないように、ある資料であればすべての委員皆さんにお示しするということがあってしかるべきだと思いますから、委員長もその点の御配慮もお願いいたしたいというふうに考える次第でございます。  同時に、私は、一昨年も昨年も当委員会で善処方を求めて指摘をさせていただいておりますけれども、畜審という、ある面では国民の意見を聞く審議会、その専門の部会長であります食肉酪農の部会長あるいは部会長代理というものを農水省のOBがとどまってやっておるということに対して、本当に中立的な透明性、あるいは客観的な審議を求めて答申を得るというには問題があるのではないかということを指摘させていただきました。しかし、ことしもそれが全く変わらないということを、私は大変遺憾に思います。  昨年の私の質問に対して、当時の岸本政務次官は前向きにこのように、委員指摘の面を含めて今後の検討課題とさせていただきたいというふうに御答弁を願っておるにもかかわらず、一向にこれが改善をされておらない。何も、人の人格を否定するわけではありませんけれども皆さんの先輩であります局長や事務次官がその部会長という立場で取りまとめをする、ですから、私に言わせれば、食肉答申にしても、本当に官僚的な答申しかされておらないのではないか。文章を見てもそう思うわけでありまして、まずこの点について、政務次官として、基本的なお考えをいただきたいと思います。
  22. 松下忠洋

    松下政府委員 行政改革等の中で、審議会のあり方でありますとか幅広く議論されてきておりますし、そういう議論の中で御指摘をいただいていること、そしてまた改善すべきであるということがありましたら、これは当然取り組んでいかなければいけない、そのように考えております。  以上でございます。
  23. 穂積良行

    穂積委員長 ちょっと待ってください。  城審議官から、配付した資料について簡単に、どういう資料かの説明をしてください。城審議官。
  24. 城知晴

    城説明員 ただいまの委員長の御指摘でございますが、役所の方からは、本日、特段、資料を配付しておりません。
  25. 穂積良行

    穂積委員長 各委員のお手元に配付されている資料は、農林水産省から委員部の方に届けられた資料を委員部から諸先生、諸委員のところに配付したということでございます。  鉢呂委員
  26. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにしても、国会の審議というものをきちっと踏まえてやっていただかなければ困るわけでありまして、政務次官、もう少し私は、去年岸本政務次官はそういう御答弁をされておるわけでありますから、やはりそういうことを踏まえてやってもらわなければ困りますし、資料についても、私は隣のものも見ましたけれども、こういう資料ではきちんとした審議は行えないと思いますけれども、それはそれとして、今後改善方をお願いいたしたいというふうに、お願いすることではないですけれども指摘をしておきたいと思います。  そこで、先ほど園田さんからも御指摘ございました。今回の新しい基本法と大綱との関係で、いわゆる酪農畜産物国内自給率との関係でございます。  皆さんがつくった新たな酪農乳業対策大綱では、可能な限り国内生産拡大していく。可能な限りというのは、新しい基本法では、国内生産を基本としていく、それは維持増進を図っていくんだというふうに補足的に大臣が説明を、新しい基本法、まだここで論議もされておりませんけれども、そういうふうに記者会見あるいは国会の審議等で、一般的な予算委員会、農水委員会で御答弁をされております。その意味からいきますと、この表現はいかにも、可能な限りというような表現では、新しい基本法の趣旨をきちんと踏まえたものではないのではないかというふうに思いますけれども、御答弁を願います。
  27. 城知晴

    城説明員 今回の新たな酪農・乳業大綱におきましては、今先生指摘のとおり、国内生産の可能な限りの拡大ということを打ち出しております。  これは、字面でそういうことを申し上げているわけではなくて、私どもは、これを受けまして、各地域別の乳用牛あるいは肉用牛頭数の目標なり生乳生産目標なりを、今後、基本法に基づきます基本計画とあわせまして酪肉基本方針を新たに策定いたしまして、そこで設定いたしますが、その中で、まさに我が国の現在置かれている状況を十分踏まえまして、もちろん、先生のおっしゃいますようなさまざまな難しい課題もございますが、その課題の解決がついた暁にはここまではできるんじゃないか、そういうことで、目標数字ということを全国別、地域別に示していきたい、このように思っております。
  28. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 酪近計画なり肉用牛の近代化計画はこれまでもつくられてきていました。しかし、皆さんも御案内のとおり、この酪農畜産関係、例えば生乳についても、自給率は、昭和四十年と比較しても、平成九年は八六%から七一%、この自給率自体が絶対値で一五%減っておるのであります、これは重量ベースでありますけれども。カロリーベースでいけば六三%から三一%と、半分になっておると言っても過言でないわけであります。  そういう困難な中で、従来と同じ長期計画をつくったのでは、まさにこれは自給率を上げるということにはなっていかないという、その基本的なこれまでの過去の経緯と、今後どういうふうにやっていくかという、その決意がこの大綱にはないのではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。  自給率を向上させるには何が一番大事か、この点について、私はそんなにけんか腰ではないんですけれども皆さんの思いを語っていただければと思います。
  29. 松下忠洋

    松下政府委員 鉢呂委員が日ごろから畜産酪農に取り組んでおられる姿勢、私もよく承知しておりますし、一緒に仕事をしていく仲間だなという気持ちを持っております。  確かに、現在、百三万トンの国内需要が牛でございますし、豚でも百四十五万トンの需要がございますけれども、牛の場合ですと、百三万トンのうち国内が三十七万トン、約四割、あとは外国、こういう実態でございますし、豚につきましても、百四十五万トンのうち国内が九十万トン、あと残りの五十五万トンが外国、こういう状況になっております。  新農業基本法の中で、国内生産を基本とするということをうたい上げました。これはすべてのものに当てはまると考えておりますし、特に畜産酪農、牛、豚、この問題につきましては、単なる価格の問題を中心にして議論してきた政策から、今回はそれを強く継続、持続するために何が必要かということを分析して、やはり今抱えている大きな課題環境の問題でありますとか後継者の問題、あるいは負債の問題でありますとか労働過重性の問題、二十四時間一年間、のべつ幕なしに働かされる、そういう状態を少しでも改善して、やはりきちっとした足腰の強い畜産酪農にしていかなけりゃいけない、そういう政策の補強が極めて大事だ、こう思っております。  そういう問題をきちっと整理しながら、持続的な、そして自給率を高めていくための畜産酪農に励んでいきたい、こういう強い気持ちを持っております。
  30. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 国内対策は、今政務次官言われたように大変大切だと思います。  また一方、私は、それ以上に大事なのは、この時点で、いわゆる国際化、農産物の貿易自由化という方向に対してどういう対応をするかということだろうと思います。この点でも、皆さんの、例えば今回の局長の畜産報告なり大綱ではこのように述べております。「国際化の更なる進展に適切に対応し、」という表現で、これは国内対策を行う場合に、こういう国際化状況を言っておるんだと思いますけれども、この国際化、いわゆる畜産酪農製品の国際化輸入増に対してどういう考えでいくかということについては、この大綱等には述べられておらないのであります。  私は、この点も、政務次官も御案内のとおり、今日これまでの自給率の低下は、一方では、国内生産体制のいろいろな面があったと思いますけれども、自由化、関税化、関税の引き下げというものの流れが大変急激で、そのことが輸入乳製品等の乳畜産物を怒濤のように積み上げてきたということが一方ではあったのではないかと思いますから、私は、こういう表現だけでは極めて弱いと。今日の、二〇〇〇年から始まりますWTOの次期交渉に対して、どういう視点でこの畜産物に対して臨むのか、この基本的な考えをお聞かせ願いたいと思います。
  31. 城知晴

    城説明員 牛乳乳製品について見ますと、現在の不足払い法ができますときと現時点におきましては、生産量二・六倍ということで大幅な生産の増大を見たわけでございますが、今先生指摘のように、チーズ等を中心とした輸入の増大の中におきまして、残念ながら、自給率自体は七一%まで低下しているというのが現在の状況でございます。  今後の国際問題に対する対応でございますが、私ども、次期ラウンドが明年度から具体化する、本年末にも何らかの具体的な動きが始まるであろう、このように予測いたしておりまして、次期ラウンドに対しましては、我が国畜産酪農が今後とも安定的に持続的に発展できるような立場から、カレントアクセスの問題であるとか種々の問題に対応していきたい、このように思っております。  なお、御承知のように、次期交渉に臨むに当たりまして、本年一月に、政府、与党、農林漁業関係団体から成ります三者会議というのを立ち上げたところでございまして、こういう場におきまして、今後の次期交渉における我が国の基本的対応方針を具体的に策定していくことになるのではないか、このように思っております。
  32. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まず、その三者会議はこの前も私は指摘したので、審議官、余り言わない方がいいと思います。  そこで、現在のカレントアクセス量十三万七千トンという、生乳換算ですね。それから、これは乳製品について言っているわけですけれども、同時に、関税相当量というのを高いところで張っております。ですから、まず第一に、カレントアクセス量というものをきちんと次期交渉でも守るんだ、これは大臣、政務次官に聞いた方がいいんですけれども、事務当局は最大の努力をするというところまでしか言いませんから。やはり大臣として、もう政務次官は大臣ですから、今度、これから大臣と呼びますから。大臣として、このカレントアクセス量は一歩たりとも引かないんだ、十三万七千トンというのはこれ以上多くしないんだ、その決意。  それから関税相当量も、今国内との格差を考えれば一・六倍ぐらいになっているんです。この六割というものがどんどん減ってくれば当然輸入も急増することが目に見えておりますから、この今の関税相当量というものをこれ以上下げないんだということを政府当局者として——今思い出しましたけれども松下大臣は、当時野党でありましたけれども、体を張って、座り込みをやって、あるいは自民党の議員立法として、私は中川農水大臣にも質問したかったんですけれども輸入が急増したときには実質入ってこない関税を倍増する法案国会にも提出したわけでありますから、そのぐらいの気迫のある政務次官でありますから、ぜひそのことについては、ここでその決意を表明していただきたい、このように思います。
  33. 松下忠洋

    松下政府委員 政治家として何を守らなけりゃいけないか、何を日本の農民のためにしなきゃいけないか、これは間違いなくきちっとした認識を持っておりますし、守るべきもの、これはきちっと全力を挙げてやっていきたい、こう考えております。政務次官としても、当然それを、政治家として一体ですからやっていきたい、そう思っています。
  34. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は君づけでしか呼ばれない身ですけれども、これは大臣として、きちっとした決意、もう少し具体的にあなたの言葉で言ってもらわなかったら、私の言葉を敷衍して、そういう形でやっていきますというような表現でなくて、このカレントアクセス量と関税相当量については現行をきちんと守りますということについて御答弁願いたいと思います。
  35. 松下忠洋

    松下政府委員 守るべく全力を尽くします。
  36. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 交渉事でありますから、全力を尽くすというのが後に入るのかもわかりませんけれども、それぐらい、これがさらに下がるようなことがあれば大変な事態が起きるということでありまして、もう一つの牛肉、あるいは豚肉もそうでありますけれども、牛肉はもう、関税の引き下げはどんどん今回のウルグアイ・ラウンドでもなっておりまして、それによって輸入量がふえておることは、もう大臣御案内のとおりであります。  これは、いわゆるWTOの農業協定の二十条で、さらに改革の継続は進めていくのだ。改革の継続ということは、関税率ですとか国内の助成ですとか、そういう保護の規定をまだ削減する方向で、その方向の中で次のラウンドというものはあるのだということをWTOは示しておるわけでありますから、その枠組みを変えることは困難であるという中川農水大臣の答弁もありましたけれども、いずれにしても、その実質を、条約の変更というのは難しいかもわかりませんけれども、現行以上の輸入増大につながるような国境措置ということはあり得ないのだ。特に牛肉とかそういうものはもう大変な影響になるわけでありますから、その点についても政務次官の御答弁を願いたいと思います。牛肉、豚肉について。
  37. 松下忠洋

    松下政府委員 改革過程の継続という流れの中で臨んでいくわけですけれども、当然、我が国農業そして農業者を守っていく、そして足腰の強い農業をしくための政策を補強していくということで、全力を尽くしてやっていくということでございます。
  38. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 同時に、乳製品の関係でいきますと、これはちょっと専門的なあれでありますから審議官に答えていただいてもいいのですけれども、擬装乳製品が、擬装乳製品というのは言葉は悪いのですけれども、バターですとか脱粉、特に脱粉なんかはそういうことが、塩とか砂糖を混合して、いわゆる貿易品目としては自由に入ってくるという擬装乳製品が大変多いわけでありまして、国内の消費量が一千二百万トン程度、いわゆる生乳換算であっても四百万トン以上がそういう形でいろいろ入ってきておる。  特に、最近問題になってきていますのは、ハイファットチーズ、これはチーズという名称がついていますけれども、高脂肪ということでほとんどバターの役割で使われておる。これがどんどん、生乳換算で十万トンぐらいになってきておる。このことで極めて、国内のバターが余ってくる。大臣御案内のとおり、バターと脱粉が同時に生乳からつくられますから、これが消費が跛行性という形で違いがあれば、バターがどんどん積み上がってくるという状態。これは何も国内のバターの消費がどんどん落ちているのではなくて、そういう擬装乳製品が入ってきておるということに起因しておるわけでありまして、このハイファットチーズについての規制なり指導なり、そういうものについてきちんとしていただきたい。御答弁願います。
  39. 城知晴

    城説明員 ただいま先生の御指摘のハイファットチーズ、極めて脂肪分の高い、五〇%を超えるフレッシュチーズの一種であります。このハイファットチーズにつきましては、近年輸入量が増大いたしてまいりまして、私ども、通関統計からは必ずしもハイファットチーズだけの数字は把握できないわけでございますが、さまざまな情報を総合いたしましたところ、一万三千トン程度入ってきておるのではないか、このように把握いたしております。なお、昨年の状況等を見ますと、現在、輸入自体は一時の増加傾向から横ばいに転じておる、このように聞いております。  このハイファットチーズにつきましては、現在のコーデックスのチーズの国際定義に合致しているチーズである旨の輸出国からの証明書が添付されてきておりまして、したがって、そのようなチーズの一種を、輸入にストップをかける、あるいは禁止するということは国際的に見て極めて困難なのではないか、このように考えております。ただ、今後とも、ハイファットチーズの使い道、具体的な価格動向輸入動向等々につきまして、私どもとしても十分注視いたしていきたい、このように考えております。
  40. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 乳価にかかわる価格支持政策考え方に移らせていただきます。  まず、この大綱では、取引については市場実勢を反映する形をとりたい。同時に、酪農経営の安定対策として、この市場実勢を反映させた加工原料乳価格では生産者の再生産確保し得る水準は困難であるという農水省の認識に立って、加工原料乳地域における再生産確保し、生産者経営の安定及び所得の確保を図る観点から所要の措置を図るというふうに述べております。  そこで、従来のいわゆる不足払いの制度と今回の、新たな経営安定措置のイメージというふうに大綱は言っておるわけでありますけれども、どこが同じでどこが異なるのか。また、これ自体は不足払い制というふうにとっていいのか。最初の段階ですね、異常に価格が下がる部分はちょっと後で質問します。
  41. 城知晴

    城説明員 現在の加工原料乳暫定措置法で行われておりますいわゆる不足払い制度と今回私どもの考えております制度との相違点でございますが、まず、加工原料乳地域におきましては、生産者価格面等において不利な条件に置かれる。その不利な条件を補正するための一定の金額を政府が直接支払いを行う。そういう意味におきましては、全く同様の考え方で行っております。同様の取り扱いというふうに考えてもらって結構であります。  ただ、現在の不足払い法におきましては、原料である加工原料乳取引価格につきまして、政府が基準価格を定めまして、その価格自体で動いている。また、それからつくられました乳製品につきましても、政府が安定指標価格を定めまして、極めて固定的に推移している。それが、今回の私どもの考えといたしましては、その二つとも、市場実勢を反映して、別の言葉で申し上げれば消費者ニーズなり実需者ニーズを反映して価格が形成されることとしたい。その面が最大の相違点、変わっている点だ、このように理解しております。
  42. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 実勢の取引が変わるということに基づく制度だということだと思いますけれども、同時に、この大綱では、一定期間における生産者経営判断等の目安となる手法を、いわゆる先ほど言った再生産確保するための所要の措置というものをとりたいという言葉で言っておるわけでありますけれども、これは具体的にどういうことをイメージしておるのか。まだ確定はしていないのかもわかりませんけれども、お答え願えればと思います。
  43. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  新たな酪農乳業対策につきまして、これを取りまとめるに際しまして、この新たな措置ということにつきまして極めて種々の議論があったわけでございます。特に生産者サイドの方々からは、毎年毎年価格が変動していくようでは自分たちの経営の将来展望が立てられない、もう少し経営の将来展望が、あるいは一定期間の経営の目安となり、それを目標とするようなものが設定できないか、そのような御宿題を賜ってきたわけでございます。  したがいまして、今先生指摘のように、今すぐ具体的にどう考えているのだと言われると極めて答えにくいわけでありますが、そのような問題意識の中におきまして、酪農経営方々が、一年ではなくて複数年にわたりまして自分たちの経営目標あるいは経営の目安、そういうものとして活用できるような単価の設定ということができないものかというふうに考えておりまして、それを具体的にイメージいたしまして、今後、四月以降関係者の方々にもお集まりいただきまして、種々検討を行っていきたい。まさにお知恵をおかりいたしまして、そのような農家方々の声にこたえられるような仕組みをつくり得ないか、このように考えているところでございます。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そういう検討の場をつくって行うということを書いていますから、ぜひ、関係者というのは余り偏らないで、幅広く、三者会議なんということを言わないで、きちっとしていただければというふうに思いますし、このこと自体は、加工原料乳暫定措置法の法改正なり新しい法律を必要とするというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  45. 城知晴

    城説明員 算定方式自体がすぐさま法律に基づくかどうかということがございますが、先ほど来申し上げておりますような、加工原料乳並びに乳製品価格市場を反映させて形成させていただく、その中におきまして必要なお金を政府が直接支払いするということでございますので、現行の不足払い法の改正、場合によっては新たな法律制定ということをお願いせざるを得ない、このように考えております。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 その後に、あわせて、加工原料乳価格の過度の変動の影響を緩和するための生産者の自主的な取り組みを前提とした措置について、その必要性も含めて検討をしたいというふうに述べておりまして、いわゆる先ほど言った一連の再生産保障のための直接支払いとは別に、過剰な価格変動に対応した安定化対策を必要かどうかも含めて検討するということでよろしいですね。
  47. 城知晴

    城説明員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、私ども、新たな制度につきましては、大綱にも明示いたしておりますように、一定の単価、再生産確保する上で必要と思われる単価を農業者の方々に直接支払いする、そのような考えに立っております。その場合、当初想定されましたものと異なりまして大幅に価格が低下するという事態が、私ども事務当局といたしましてはほぼ起こり得ないのではないかというふうに認識いたしておりますが、需給実勢を反映するという意味におきまして、そのような事態も起こり得るという御懸念は当然生ずるわけでございます。そういう御懸念も踏まえまして、先ほど申し上げました制度とは別個に、価格が異常に低落した場合の措置がそもそも要るのか、要るとした場合においてはどのような仕組みで講じた方がいいのかということを検討させていただくということで、まさに先生指摘のとおりでございます。
  48. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 市場実勢の方に移りますけれども、今審議官が言われましたように、乱高下はないというような見通しを言ったわけでありますけれども、私は必ずしもそうは言えない要素も出てくるのではないかと。もう皆さん御案内のとおり、飲用乳と加工原料乳との関係が必ずつきまといます。飲用乳が季節的な変動が大きいということはもう御案内のとおりでありますし、また、バターというのは貯蔵性がきくということでなかなか調整するのがうまくいかない。  一方では、皆さんは全国的な需給調整機能を働かすということ、これが前提だというふうに言っておりますけれども市場価格は自由にする、そして需給は計画的なものにするということは、米の場合に見られますように二律背反的なことがあるわけでありまして、そこがうまくいかなければ、これはもう大暴落することもあり得ると思います。ですから、全国的な需給調整が自由化という中でどのぐらい権限を発揮できるのかということもあるわけでありますし、また、今度は乳業メーカーと指定団体との相対取引に移るわけでありますけれども、そこのところの力関係も、飲用乳のような形でいきますと、必ずしも早期価格設定ができない、いつまでもずるずるいくというようなことにもなりかねない。  ですから、いろいろ今農水省が見通しておるようにはいかない場合も私はあり得ると思いますね。その点についてお伺いいたしたいと思います。
  49. 城知晴

    城説明員 先ほども申し上げましたように、私どもは、今回の制度の前提といたしまして、引き続き適切な国境措置確保する、具体的に申し上げれば、いわゆるTEの水準酪農生産上必要な水準に設定するということを基本的に前提といたし、また、先生も御案内のように、昭和五十四年以降計画生産が行われてきておりまして、それ以前と比べますと、乳製品価格の乱高下というのはほとんど起きておらないわけでございまして、そういう二つの、国外との問題を一定の国境措置で遮断し、国内においては生産者方々に用途別計画生産を適切に実施していただく、そういう面におきまして、大きな需給変動はないのではないか。  ただし、具体的な問題といたしまして、ごく短期的な価格の変動、暴落ということは起こり得ないとまでは断言できないわけでございまして、そういう場合におきましては、現在も実施いたしておりますが、調整保管等を行いまして、一定量の乳製品市場から一たん隔離する、そういう方法もあわせ行うことによりまして、ごく短期的にはともかく、長期的な価格低迷という事態は起こらないのではなかろうか、このように推測いたしておるところでございます。
  50. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 市場にも介入する、調整保管のような形もとるということでありますけれども、もちろん、それはある面では一定の効果をあらわすと思います。同時に、私はこれは提案なんですけれども、乳業メーカーといわゆる指定団体との基準取引価格についても、今度は基準取引価格とは言わないで、全く市場というか相対取引になるのですけれども、そこに一定の価格帯を設定して、これ以上下がったら市場に介入するとか、そういうルールをつくっておかなければ、なかなかこれは、その季節によるかもしれませんけれども、予想以上の暴落をするというようなことが発生するのではないかと思いますから、もちろん、急激な乱高下に対する価格の補てん措置を別途とる、検討するということでありますけれども、そういうことが私は必要ではないかと。  ですから、米のように、ああいう形の基金制度があればいいというだけではいかない難しい面があると思いますけれども、その価格帯の設定についてはどうでしょうか。
  51. 城知晴

    城説明員 商品の取引に際しまして一定の取引価格の目安となる価格あるいは価格帯を設けるというのは、一つの御提案であろうか、このように考えております。  ただ、私ども、今回の考え方といたしましては、安定指標価格として極めて固定的なところに市場実勢を反映させまして、相対取引によりまして価格を形成していただきたい、このような制度改正を考えておるところでございます。先ほど来の繰り返しになりますが、現在のさまざまな国境措置の問題、あるいは計画生産の問題、さらには、先生御案内の一元集荷、多元販売という制度を私どもは今後とも残していきたい、このように考えておりますし、さらには、内地の飲用乳地帯につきましては、指定生乳生産者団体のブロック化ということを強力に推進していきたい、このように考えておりますので、特に安定価格帯を設けなければ価格の安定が図れないこともないのではないか、それは必ずしも必要ではないのではないか、このように考えております。
  52. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それと同時に、大綱でも述べておりますけれども、次期WTO交渉では、AMSの削減、いわゆる国内助成策の削減というものが一層求められる方向だ、私は、これはそうなる可能性が強いというふうに思います。アメリカ等はもうそういうものを廃止して国際交渉に臨んでくるというのが目に見えていますから、そういう意味では、今お述べになった農水省の構想は、いわゆるWTOの黄色の政策であって、必ずしも今後ともこれがきちんとした形で残される保証はないのではないかと思います。  したがって、これは民主党の考えでもありますけれども、いわゆる農業酪農畜産の公益的な、多面的な機能に着目をして、いわゆる緑の政策にきちんと方向転換をしておくということも、政務次官、これは大切なことでありまして、二〇%削減してきたからいいんだということではいかない面もあり得るのではないかというふうに思いますから、これは国民の合意、あるいは、生産者がいつまでも乳価乳価という考えから脱却をしなければならないという難しい問題はありますけれども、ここはきちっと皆さんに納得をしていただくということを通じて緑の政策にきちんと転換をする、これは早目に決断をする。そんな一カ月もない段階で米の関税化の変更をするというようなことがないように、これは大臣そういうことなんですよ、私ども何も委員会をむげにとめたわけではありませんから。そういう形で早目の結論を出していただきたい、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  53. 松下忠洋

    松下政府委員 我が国農業基本法を約四十年ぶりに大きくつくりかえる作業をして、今国会に提出しております。そのことも、やはり日本農業をきっちりとした背骨を通した上で、世界の農業ときちっと闘っていこうというその背骨の出発点であると認識をしておりまして、ヨーロッパにおいても共通農業政策を大きく変えながら新しい戦略を描こうとしておりますし、アメリカ、ニュージーランドを初めとしたケアンズ・グループもそれなりに腕をぶして新しい国際戦略を練り上げようとしておりますから、我々もしっかりと腹を固めて、国民合意のもとで進めていかにゃいかぬ、これは当然のことだと思っております。
  54. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 その決意はよくわかりました。  同時に、今の緑の政策への転換について、それでは城審議官の方から。
  55. 城知晴

    城説明員 お答えいたします。  基本的考えは今松下政務次官から答弁いたしたとおりでございますが、私ども現在検討いたしております平成十三年度から実施いたします新たな経営安定措置につきまして、具体的内容はこれから検討するわけでございますので、それがいわゆる黄色なのか緑なのかということにつきましては最終的なでき上がりぐあいにもよろうか、このように考えております。  ただ、今回検討いたします政策が仮に黄色のものであるとしても、黄色の政策というのは、現行WTO上においては、存続を許されないものではなくて、削減を求められるものであるというふうに考えております。  他方、今回の新たな酪農乳業対策でお示しいたしました乳製品価格支持制度の廃止につきましては、これをもちまして、私どものいわゆるAMS計算の相当量は計算外として算定し得るのではないか、このような考え方を現在有しております。
  56. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今の大綱に基づく具体的なことについて、ちょっとあいまいな審議官の御答弁でしたけれども、今考えていらっしゃる再生産を保障する価格支持あるいはこの極端な価格の下げにおける経営安定対策というのはいわゆる黄色の政策になるのではないですか。
  57. 城知晴

    城説明員 現在、牛乳乳製品のAMSは約一千五百億円ございますが、このうち乳製品価格支持分が約一千百億円ございます。これにつきましてはAMSの算定から除外する、今回の改正が通れば除外するという方向で理解しております。  ただし、今回私どもが考えております制度経営安定措置につきましては、現在のWTO上の定義から見ますれば黄色に該当するものではないか、このように考えております。(鉢呂委員「該当するということですか」と呼ぶ)黄色に該当するのであろうと考えております。
  58. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは、現行では削減をクリアするとかということはよくわかりますけれども、いつまでも、先ほど言いましたように、世界の大勢が黄色というものを許さないということになってから慌てふためいても、私は、いろいろ国内の納得し得る環境をつくるということも大変な問題でありますから、そういう意味では、そういうところについては緑の政策といいますか世界の潮流に沿ってやるということがある面では大切ではないか、そういうときの国際交渉に当たっても強い立場で日本は臨めるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  59. 城知晴

    城説明員 次期交渉につきまして、どのような内容のものになるか等につきましては、現時点において即断することは極めて難しいわけでございまして、私どもといたしましては、先ほど先生から御指摘もございましたが、現行協定の第二十条に基づきまして、交渉の継続ということが一つの前提となって動きつつあるというふうに理解いたしております。そういう状況の中におきまして、具体的に我が国の立場を次期交渉においていかに反映させるか、いかに理解を求めるかというのが今後の課題だというふうに思っております。  それで、個々政策につきましては、そういう国際的な問題とともに、我が国国内生産者が安心して安定的に生産を継続できる、そういう観点から必要な措置というのは仮にそれが黄色であったとしても実施せざるを得ない、このように思っております。したがいまして、先生指摘のお話は十分理解するところでございますが、仮に黄色であっても必要な施策は実施していく。  ただし、それの総計、現行の仕組みでいけばAMS総計の問題がございまして、そこの問題につきまして今回においてはかなりの改善を図り得るのではないか、このように理解しております。
  60. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにしても、世界の流れと日本国内政策というものが乖離しないように十分見きわめて国内政策もとっていただきたいというふうに思います。  そこで、これは大臣にお聞きをしたいんですけれども、新しい基本法食料農業・農村という形をとりました。食料という概念を大きく取り入れた形になっております。具体的には、基本法の第十六条で「食料消費に関する施策の充実」という項目を設けまして、健全な食生活に関する指針の策定を行う、これは旧来も行ってはきておるんですけれども。  そこで、大臣も御案内のとおり、日本自給率がもう四割ということで、食生活のバラエティーを謳歌しておりますけれども、そんなにきちっとした基盤に基づいて食の生活を行っておらないということは現実だと思います。  一方、畜産局の大綱や畜産局長の畜審における報告を見ますと、食生活の多様化、高度化がされてきておる、それが畜産物の消費の増加と結びついておるという言い方をしています。  ある識者によりますと、この答申、これは基本問題調査会の答申日本の食生活は高度化しておるという見方は誤っておるのではないか、高度化とは何ぞや、皆さん法律でいけば、健全な食生活ということからいけば、むしろ不健全な食生活になっておるのではないか。  例えば、日本の栄養バランスで平均的な日本人の脂質摂取量、要するにバター等の脂質の摂取量はもう過多になってきておる、とり過ぎの状態になってきておるということが言われてきておるわけであります。これは、私は何も畜産振興を図るなということを言っておるわけではありませんけれども、望ましい日本人の、日本型の食生活ということがあるのではないかと思います。  そういう面で、新たな基本法食料というものについてうたっただけに、畜産物の消費との関係でどのように大臣がお考えになるか、この辺を聞かせていただきたい。
  61. 松下忠洋

    松下政府委員 大変難しいことに挑戦しようとしております。これは委員も御承知のことだと思います。一たん一つの生活になれますと、そこから新しいものに転換をしていくということは大変な努力が要ると思います。日本型の健康な食生活というのは、これは私がいろいろな議論の中で一番主張してきたところでございます、その面では委員の御主張と一致するところがたくさんありますけれども。  一日二千六百カロリーですか、調査によりますとそれだけの食料が皿の上に載る。食べるのは二千カロリーだ。そうすると、六百カロリーはどこかに皿から消えて処分されている。多様な食生活というのはそういうものだろうか。皿の上にいろいろなものが載る。しかし、そこに載っているものは、四一%が我が方の自給で、あとは海外に依存している。確かに多様であるけれども、それが日本型の本当の食生活、健康な食生活であるのであろうか。しかも、二十四時間いろいろな場所で食べ物が供給されている。  そういうことからどうやってきちんとした健康な食生活というものを取り戻していくか、そして食料自給率を一方では上げていかなければいけないか、こういう問題もありますから、これはやはり我々も目標として掲げておりますけれども、大変難しい問題であるということはしっかりと我々もわかっておりますが、そこをどうやって克服していくか。これはやはりみんなで知恵を出してやっていかなければいかぬなというふうに考えております。ぜひ委員の御意見もございましたら伺いたい、そう思っておるところでございます。
  62. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 日本型の健全な食生活というものについて、もっと政府としてメッセージを国民に出すということも必要だろう。また、日本の伝統的な食生活、そういうものについてもっと積極的に、その中で畜産というものについてどういう位置づけにしていくのか。あるいは、今でも相当の輸入量ですから、畜産はもう、例えば牛肉は五割以上を外国に頼っておるわけでありますから。しかも、同時に、動物、家畜に食わせるえさは海外に依存しておる。  一方ではまた、皆さんは自然循環型の農業生産方式を、そして持続的な生産方式をとろうということからいきますと、外国からそういう農産物といいますか、えさの原料を持ってきているというこの状態を見直す必要があるのではないかと思いますから、そこの努力をやはり最大限やっていただきたいし、また、畜産局には、それだけの方向転換の考えはまだ入っておらないのではないか。先ほど言った畜産局長の報告やこの大綱を見ても、まだ高度化、多様化というだけでとらえておるということを、警告といいますか指摘をしておきたいと考えておるところでございます。  そこで、北海道でさえ畜産物ふん尿処理が大変大きな課題になってきておりまして、また、酪農経営の大きな経営的なマイナス要素になってきておる。猶予されない状況になっていますということで、農水省でも、家畜排せつ物にかかわる法案を今回新規立法ということで提出しておるところであります。  中身を見ますと、そういう家畜ふん尿管理適正化を図るための規制強化ということはよくわかります。しかしながら、これをきちんと進めていくための、利用促進するための施策が、金融支援と税制支援だけを法律はうたっておるわけでありまして、そこのところは甚だ法律的には弱いのではないか。  また、そこの法の審議になりましたら質問したいと思っておりますけれども、まさに酪農経営体の努力だけに押しとどめることができないような状態になってきておるのではないかと思いますから、ぜひその処理に当たっては、広域的な流通システムの確立ですとか、余剰ふん尿を処理して地域全体あるいは広域的に使うというようなことについて大胆な施策をしていただきたい。五年間でこの不適切な管理の解消をするということをうたっておるわけでありますから。  例えば、平成十年では、この関係で畜産関係八十一億四千万の予算を投入しておりますけれども、全国的な希望は三百億あるというふうに言われております。これに対応するには、今回の関連対策でも相当の拡充強化をぜひ図っていただきたい。  時間がありませんので、もう一つ一緒にやらせていただきますけれども、同時に、農水省もさまざまな畜産酪農の関連対策を打ち出して、政治主導とはいいながら、本当に事務的には大変な状態が続いておるのではないかと思います。同時にまた、それが中央の強制的な施策といいますか、ある面では、地方はそれぞれの特色ある施策を実行しなければならない時点に来ておるということで、この畜産酪農に関して、政務次官、もっと地方の自主性を生かすような制度改革について大胆に踏み込む時点に来ておるのではないか。  一方では、今地方分権の推進法にかかわるさまざまな、四百七十本の法律を出すぞという段階でありますから、特に畜産酪農については、本当に農水省は、優秀な頭脳がちまちました事業一つ一つにかかり切りになっておる、もっと大きな視点で日本畜産行政についてデッサンを描いてやっていくという方向にならなければ、日本の農水省は死んでしまうというふうに私は思いますので、そういう面で、地方分権型の統合的な畜産酪農事業というものに大転換していただきたい。この検討をぜひ松下政務次官にお願いいたしたい。  この二点について、お答え願いたいと思います。
  63. 松下忠洋

    松下政府委員 この狭い国土を最大限に生かして、そして畜産酪農を繁栄させていくという大変難しいことに挑戦しているわけですけれども環境問題、ふん尿処理の問題一つとりましても、いろいろな試みをして地域に語りかけてまいりましたけれども、やはりこの問題一つとっても、地域の協力なしに、地方の人たちの協力なしにこのふん尿処理の問題は解決できない、そう考えておりますし、そういう面では、地方の意見をしっかりと取り入れてやっていくというのは当然のことだと考えております。  あとの問題については、基本的にはそういうことでやっていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  64. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう時間がありませんので、本年度の乳価関係でありますけれども、この問題は私も三年越しで、家族労賃の男女格差の是正の問題について指摘をさせていただきました。  前の岸本農水政務次官が大変な御英断をしていただいて、また、今自民党の畜産酪農委員長をされておるという形で、生産費調査においては男女込みの単価で算出をするという方向転換をしていただいたことに、感謝申し上げるところでございます。  ただ、これは第一歩でありまして、本来は男女の賃金格差というのは労働基準法第四条で否定をされておるわけであります。一〇〇対五五というような男女の格差というのは大変大きいものがございますから、乳価の評価がえに当たっては男子労賃で算定できるように、もう一段踏み込んだ改善方をぜひお願いいたしたいというふうに思います。これは要望しておきますから。  それから、国産粗飼料増産緊急対策事業というものが去年創設をされました。飼料作物の作付地を拡大した場合に国が助成をするということでありました。  これも、当初と相反して、農家皆さんの取り組みが大きかったということで、予算が極めて少ない状態でございました。ことしはそういうことがないように、去年は三分の一程度予算しか計上されなかったということで、満度に十億以上計上されるようにぜひ農水省当局の配慮をお願いいたしたいと思っています。  同時に、今回いわゆる横積み二円問題について、横積み特別対策というような形で、平成十一年度はWTOの緑の政策に合ったような形にしていくということでございます。ぜひこのことについては、私どもも、最初の年でありますから、一つは、段階的にその定着を図るようにしていただきたい。二つ目は、これが恒久対策として、緑の政策として定着をさせていただきたい。  また、その中身については、客観的な要件、例えば飼料畑の単位収量、単収もその地域によって相当の違いがございますから、そういうものが生かされるように、客観的な要件に基づいてこの制度を創設していただきたい。今お聞きをしておりますと、そのランクごとの格差は大きいものがあるというふうに聞いております。北海道でも、私のような割と温暖な地域は、十アール当たり収量が、牧草もルーサーンとかそういう高収量の品種でありますけれども、十アール当たり十トンもとれるものを作付しているわけでありますから、これを単に面積だけでランクづけをするというのには無理があると思っておりまして、そのことも踏まえた制度を定着していただきたい。これについては御答弁を願います。
  65. 城知晴

    城説明員 いわゆる横積み二円の問題につきましては、今種々御意見を賜ったわけでございますが、私どもといたしましては、この問題につきましては、基本的に、飼料基盤に立脚した酪農経営を育成する、環境問題にも適切に対応し得る酪農経営を育成する、こういう観点から新たな対策に転換させたい、このように考えております。  この場合につきまして、でき得る限りさまざまな要素を考慮することは当然でございますが、他方、余りにも複雑怪奇となりまして、逆に農家方々から極めてわかりにくい、そういうことになってもまたかえって事業の推進上適切性を欠くのではないか、このように思っておりまして、でき得る限り、農家方々にわかりやすくて飼料基盤の強化にインセンティブを与えるような仕組みのものといたしたい、このように考えております。価格決定と同時に最終的な内容につきまして決定させていただきたい、このように思っております。
  66. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今日、酪農経営で求められておるのはゆとりある経営ということで、どこに行きましてもまず時間的なゆとり、二千六百時間を超える長時間、もっと私は多いと思います。分娩等には拘束されますから、夜中も、待ち時間等もありますから、そういうものの時間的なゆとりを、ぜひヘルパー制度をきちっと定着させる。  同時に、やはり経営的なゆとりといいますか、内面的な充実ということも今求められておりますから、必ずしも、どんどん高泌乳の牛をそろえれば、しかし耐用年数は二、三産で終わってしまうというような経営では私は長続きするものではないと思っておりますので、それらも含めて、ぜひこの大綱がきちんとした具体的な定着をされるように大臣の御指導を、各省庁の幹部の皆さんにハッパをかけていただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  67. 穂積良行

    穂積委員長 次に、木村太郎君。
  68. 木村太郎

    ○木村(太)委員 おはようございます。政務次官には私自身初めて質問をする機会をいただきましたので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。園田先生鉢呂先生が大変熱心なる御質問をされておりましたので、内容的には大分ダブる点もあろうかと思いますし、言葉の違いというような感じにもなるかもわかりませんが、よろしくお願いしたいと思います。  畜産酪農振興ということを考えた場合に、まず基本的なことでお伺いしたいと思います。  先ほど来御質問が続いたように、畜産酪農を取り巻く環境が厳しいことは、これはだれもが認識していることだと思います。また政府においては、昨年十二月に農政改革大綱改革プログラム、あるいはまた十五日には正式に新たな酪農乳業対策大綱決定されたわけであります。またさらには、新しい農業基本法国会への提出が既にされておりますが、この畜産酪農に関しての政務次官認識現状をどのように認識しておられるのか。  また今私が言った各大綱、プログラム、あるいはまた新農業基本法、こういったことを通じて我が国畜産酪農振興、発展ができるものと確信を持っておられるのか、その決意のほどをまずお伺いしたいと思います。
  69. 松下忠洋

    松下政府委員 今、新しい農業基本法議論が始まりました。その中で当然畜産酪農改革も進めていかなきゃいけないし、また継続するべきものは発展させなきゃいけない、そのように考えているわけでありまして、現行農業基本法の中でも我が国畜産酪農は発展してまいりました。御承知のとおりでございます。  また一方で、お話がありましたように、担い手の育成や確保後継者の問題で大変難しい場面に行き当たっておりますし、畜産環境問題の深刻化、ふん尿処理、そして、先ほど鉢呂先生質問にもありましたけれども輸入飼料への過度の依存、ここをどう脱却していくか。  それから、労働過重性といいますか、二十四時間三百六十五日、お産があれば朝から晩までとにかく張りついてそこで労働していかなきゃいけないという問題がありますから、ここをどうやって克服していくか、これがすなわち次の新しい農業基本法課題であり、畜産酪農課題であると考えておりますし、この問題をしっかりと克服してやっていかなきゃいかぬ。  それと、どのように立派な理念をうたい上げ政策目標を掲げても、問題はそれを実現する政策の中身だと考えていますから、そこもきちっと見直して新しい農業をつくり上げていく、畜産酪農をつくり上げていくための政策をきちっと思い切って転換していくということもしなけりゃいけない、こう考えておりまして、その努力を今しております。
  70. 木村太郎

    ○木村(太)委員 すばらしい計画あるいはまた方針を決めても、政務次官の御答弁にあったように、いかに今度実行に移していくかということだと思いますので、力強い歩み方というか積極的な取り組みというものを私も御期待を申し上げたいと思います。  もう一回聞きますけれども、それらの新農業基本法あるいはまた各大綱、これに沿って今後実行していけば我が国畜産酪農が必ずや発展また振興がさらに図られていくという決意を持っているかどうかをぜひもう一回お尋ねしたいと思います。
  71. 松下忠洋

    松下政府委員 明るい展望が開けていく、そう考えておりますし、それをぜひ実現しなきゃいけない、そう考えております。
  72. 木村太郎

    ○木村(太)委員 少し視点を変えます。畜産酪農について生産農家の視点からちょっとお伺いしますけれども、それぞれの酪農肉用牛あるいはまた養豚、鶏卵、鶏肉等それぞれの違いはあると思いますけれども、今の生産農家経営状況というものをどのように認識されているのか、また、今後の姿をどのように描いておられるのか、お伺いしたいと思います。  例えば、北海道の酪農農家の方からちょっと意見として聞いたんですけれども、行政の考え方あるいはまた物の視点というのが、北海道の酪農の例で言えば八十頭の規模経営に対していろいろ行政からの視点が重要視されているというような意見も聞いたことがあります。そういったことも含めて、どのようにとらえているか、お伺いします。
  73. 城知晴

    城説明員 御承知のように、戦後の我が国畜産の発展の過程におきまして大変な規模拡大が生じてきております。不足払い法ができました昭和四十一年と現在と比べてみますと、酪農肉用牛とも約十五倍の規模になっております、豚について言えば百倍を超えている、そういう状況になってきております。これは、各農家方々生産性の向上を図っていくという過程の中におきまして、経営規模拡大というのは極めて有力かつ重要な手段であったということでその道を推進していただいたことによるものと考えており、私どももこれについて今までさまざまな支援をしてきたところでございます。  ただ、現在、北海道の酪農はもとより、我が国全体の酪農の規模自体は既にヨーロッパの水準を凌駕しているわけでございまして、今後におきましては、それぞれの酪農家方々の置かれた状況、労働力であるとかあるいは飼料基盤が恵まれた地域に存するのか飼料基盤が恵まれていない地域に存するのか、そういうさまざまなことを考えていただきまして、一言で申し上げれば、ゆとりある、生産性の高い酪農経営を実現する、そういう方向でそれぞれの経営発展の道をぜひとも御努力願いたいし、私どももそれに対して可能な限り支援を行いたい、このように思っております。  具体的には、基本法制定後になりますが、畜産局で新たな酪肉基本方針というのを制定いたしまして、その中におきまして、さまざまな条件ごとに、飼料基盤に恵まれたところ恵まれていないところ、規模の大小、それぞれにつきまして、こういう経営が皆様方の一つの参考になるのではないか、そういう指標をお示しいたしたい、このように思っております。その中におきまして、当然のことながらコストの問題であるとか労働時間の問題等もあわせ含めた指標をお示しいたしたい、このように思っております。  また、各都道府県、北海道においても青森県においても、具体的なそのような計画をおつくりいただくことになるのではないか、このように思っております。     〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
  74. 木村太郎

    ○木村(太)委員 基本的には規模拡大ということが一つの有効な手段だというふうに今の答弁にもありました。ただ大事なことは、今現在規模拡大の姿になっていない生産農家あるいはまたなかなかそれに向かうことができないでいる農家の姿ということも忘れてはならないし、それを忘れてしまって、いわゆる切り捨てにつながってもなりませんので、この点は、今答弁にあったとおり、各地域やまた各酪農肉用牛それぞれの姿の中でぜひ心温かい物の見方で対応していただきたいなというふうに思います。  また、ここで私なりに思うのが、例えば今あった規模拡大を図る努力をしようとしても、生産農家の姿を見た場合に、やはり今現在かなり負債を抱えている方が多いのもこれは事実だと思います。ですので、今現在負債を抱えている姿からさらなる規模拡大を目指すため、あるいはまた経営の効率化を目指すためのさらなる投資が必要になってくる。その場合に、先ほどもありましたが、いわゆるリース事業等の充実、拡充というのがやはり大事になってくると思います。  しかし、これまでの取り組みというかあるいはまたいろいろ大綱等の考え方を見た場合に、例えば環境に対する排せつ物の処理、こういったことに対してリース事業の拡充なんかを目指すような感じを私印象としては持っているのですけれども、やはり畜産酪農、すべての分野を網羅したリース事業の拡充というものをもう一度構築しながら、そして、先ほどあった規模拡大あるいはまた経営の効率化につなげていくようにぜひ農水省サイドで検討していただきたいと思います。国としてのバックアップ、どのように考えておられるでしょうか。
  75. 城知晴

    城説明員 今先生指摘のように、経営内容がやや厳しい方々もかなりいらっしゃるというのも事実でございまして、私ども、そういう方々のために負債整理資金等を用意いたしております。その場合、何よりも経営の再建を図っていただくという本人の御決意と関係する生産者団体の支援、それから私どもとの連携、こういうことが重要ではなかろうか、このように思っております。  なお、御指摘リース事業等の問題につきましては、御案内のように、二分の一補助つきリースという環境関係につきましては、全畜種を対象に行っております。  また、ウルグアイ・ラウンドの結果といたしまして、関連対策の中の一つに経営効率化リース事業というのがございまして、これは、経営を効率化するために必要な機械ということにつきましてリースを受けられるに際しまして国の方から補助を行う、そういう仕組みを用意いたしておりまして、その推進、普及にも現在努めているところでございます。
  76. 木村太郎

    ○木村(太)委員 くどいようでありますけれども酪農肉用牛、養豚、鶏卵、鶏肉等それぞれの姿は違うと思いますけれども、その点、ぜひ手厚い視点で御配慮、御検討、また行政としての取り組みを期待したいと思います。  次に、新たな酪農乳業対策大綱、これについて具体的にちょっとお伺いしてまいりたいと思います。  これを見ますと、加工原料のものに対しての不足払い制度が廃止される、そして平成十三年から新たな所得、経営安定対策に移行していくということが一つの目玉になっているようであります。そこで、やはり生産者サイドの声としては、この廃止が飲用乳価の引き下げにつながっていくことにもなるのではないかというような心配をする声がありますが、この点どう考えているのか。  例えば、北海道の生産状況を見ますと、飲用乳が九十万トン、加工原料乳が百九十万トン。また、北海道以外で見ますと、これはまた姿が逆転しまして、飲用乳が四百三十万トン、加工原料乳が五十万トンというふうに、まるっきり今現在の用途の姿というのが違うわけであります。  不足払い制度が廃止される、このことによって今現在の姿がまるっきり変化していって、例えば全国の四〇%を占める北海道の生乳が大量に本州サイドに入っていきまして、結果的に飲用乳の全体の値段が下がっていくこと、こういったことも心配されるのではないか、こう思いますが、どう認識されておられるでしょうか。     〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 城知晴

    城説明員 先生指摘のように、あと二年間をもちまして不足払い制度、現行制度を廃止いたしますが、新たな制度を設けまして、その制度におきましても加工原料乳地域生産者方々の再生産確保するために必要な政府からの直接支払いを実施する、こういうことにいたしておりますので、現行制度と基本的趣旨は相違ないわけでございます。そのような観点から見まして、北海道から急遽ミルクが都府県の方に入っていくというような事態はなかなか想定しがたい、このように考えております。  なお、従来の私どもの経験から見ますと、加工原料乳価と飲用乳価が必ずしもパラレルに動いておらない、加工原料乳価を据え置いたときにも飲用乳価がかなり下がった場合もあるし、逆の事象も起きてきておりまして、ここのところにつきましては、我が国酪農家全体の利益のためにどのような需給調整が可能なのかということを生産者団体方々に十分お考えいただく課題ではなかろうかと思っております。  具体的には、平成十二年度目途に各都道府県ごとの指定団体をブロック化するということを現在検討いたしておりまして、そのブロック化された指定団体になりますと、都府県八つ、北海道を合わせて九つでございますので、その九つの団体におきまして飲用乳、加工原料乳動向をよく見きわめた配乳ということが当然行われてしかるべきではないか、このように考えております。
  78. 木村太郎

    ○木村(太)委員 今の答弁を聞いていまして、一言でもう一回聞きますが、では、生産農家が心配するような事態になることはないというふうに考えていいんでしょうか。
  79. 城知晴

    城説明員 先般の御質問にお答えいたしましたが、現在、不足払い制度を廃止する観点から、乳製品の安定指標価格並びに加工原料乳の基準取引価格を廃止いたしまして、そこを双方の相対取引に移行させるわけでございます。  この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、外国との間の適切な国境措置確保するし、また計画生産も適切に実施するということでございますので、加工原料乳価格が長期にわたり大幅に低落する、そういう事態はちょっと想定しがたいのではなかろうか。万が一短期的に落ちること等がございますれば、調整保管措置により対処をいたしたい、このように考えております。  なお、つけ加えますれば、そういう新たな措置との関係で加工原料乳価格が低下した場合について、それを補てんするような別途措置につきましても、その必要性を含め現在検討を重ねておる、このような認識でおります。
  80. 木村太郎

    ○木村(太)委員 今の答弁を聞いていましても、皆様方の考え方ではそういった心配をするような事態にはなり得ないというふうに私は今理解しましたので、そう願いたいと思います。  今もありましたが、新たな制度であっても今現在の姿とある面では余り変わらないというような感じにも聞こえたわけですけれども、ただ、今現在の制度でも、具体的に見ますと国から二百六十億円ぐらいが活用されているというふうにも聞いております。  そうしますと、新たな制度はどうなっていくのか、今現在でどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  81. 城知晴

    城説明員 お答えいたします。  現時点におきまして、新たな制度に要するお金がどの程度のものになるのか、国の予算がどの程度のものになるのかにつきまして、明確に見通すことは極めて困難でございます。  私ども先ほど来申し上げておりますように、適切な国境措置、具体的に申し上げれば、バターでいえば六〇〇%近い関税率を現在設定いたしておるわけでございますが、そういう状況の中におきまして、諸外国からは、農畜産振興事業団の国家貿易数量、カレントアクセスしか入ってこない、そういうことを前提にいたします場合、乳製品価格が現在水準と大幅に乖離するということはちょっと想定しがたいのではなかろうかというように思っております。  そういうことを前提にいたしますと、今後、乳業メーカーの皆さん方に対しまして、積極的な再編合理化を進めていただきまして、加工販売経費の圧縮を図っていただくということが大きな課題になるわけでございますが、加工原料乳取引価格自体は現在水準とそれほどまた大きくは変わらない、そういう状況でございますので、直接支払いの額について明確な額を申し上げられないわけでございますが、適切な額を設定いたしましてお払いするということになるのではないかと思っています。
  82. 木村太郎

    ○木村(太)委員 今議論しているのは、あくまでも加工原料乳について今の制度を見直しして新たな制度に変えていくということであります。  そうしますと、今新しくつくろうとしている所得安定対策なるものを飲用乳に対してもぜひというような声が、希望が既に生産農家個々にはあるのかもしれないし、また、将来的にも必要に、あるいはまた求められてくるような印象も持つわけですが、このことを農水省サイドから見た場合にどう考えているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  83. 城知晴

    城説明員 現在、飲用乳につきましては、先生御案内のように、自由な取引ということで価格形成がなされておるわけでございます。  それで、今後の問題といたしましては、内地、北海道それぞれにつきまして飲用乳、内地の場合は少ないのでございますが加工原料乳それぞれあるわけでございまして、農家経営の点から一番重要なことは、それらをすべて含めました全体としての価格といいますか、全体としての手取り、私どもは総合乳価と言っておりますが、そういうことをどのように適正に決定するかということが非常に重要な課題になるんじゃないか、このように思っております。  したがって、その点につきまして、先ほど申し上げましたように、飲用乳にどの程度供給していくのか、加工原料乳にどのように供給するかについて生産者団体としての的確な見通しに基づいた判断も必要であろうし、計画生産の適切な実施も必要ではなかろうか、このように考えているところでございます。  なお、今回、必要性を含めまして検討すると言っておりますものは、当然、加工原料乳の問題についてでございますが、実は平成年度から飲用乳共補償と俗称されておりますような基金ができておりまして、飲用乳価格低落に伴いましてそれを乳製品として処理せざるを得なくなった場合に、当初予定されている価格より低落した場合はその差額を補てんする、そういう仕組みを現在設けております。ただ、平成九年、十年と飲用乳価が安定的に推移いたしましたので、発動額は数億円程度ではなかったか、このように記憶いたしております。
  84. 木村太郎

    ○木村(太)委員 基本的には、加工原料乳でいいますと、生産者サイドとメーカー側との交渉で進んでいくという姿だと思います。それが先ほどもありましたが相対取引に移行していくんだということであります。そして、答弁にもあった生産者団体、八ブロックにきちっと分けてやっていくというような姿になるようであります。  そうしますと、需給調整機能などいわゆる生産者団体としての姿、また生産者団体としての機能の強化というものもメーカー側に対して必要になってくると思いますが、この生産者団体の今後のあるべき姿をどう考えて、またそれに対して国としての支援策なるものがあるとすればどういうことがあるのか、お伺いしたいと思います。
  85. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  現在、ミルクにつきましては、各県ごとに指定生乳生産者団体というのがございまして、ここの団体を通じまして一元集荷、多元販売体制というのを実施いたしております。ただ、現時点におきましては、北海道のような極めて大きな団体から北海道の一農協程度の規模もないというような団体まで数多くに分かれております。  他方、ミルクの流通自体につきましては、県を超えて流通する量、広域流通量と呼んでおりますが、これがどんどん現在ふえてきておりまして、この広域流通のミルクが適切に流通するのであれば特段問題ないわけでございますが、場合によると価格の低下を招く混乱要因を引き起こしている、そういう事態も見られるわけでございます。  したがいまして、今先生の御指摘のように、今後の指定団体に対しましては、一つは的確な需給調整を行える、先ほど飲用乳共補償の話を申し上げましたが、そういう的確な需給調整を行える、また計画生産を適切に指導し得る、そういう一つの指導能力をお持ちいただくことが必要なのじゃないかというふうに思っております。  その次に、現在もそうでございますが、これから飲用乳だけではなくて加工原料乳も新たに自由な市場価格の形成の一方の取引者になるわけでございますので、そういうところから見まして、そういうことが取引主体となり得るような体制整備が必要なのではないか、このように考えております。  種々のことを考えますと、現在の流通の実態、今後の課題等を考えますと、一県ごとの団体ではとてもできないわけでございまして、ぜひとも広域化を図ることが必要ではないかと思っております。  このような広域化に向けた取り組みに対しましては、国の方といたしましても、それらに要しますさまざまな経費の補助であるとか、あるいは先ほど申しましたような需給調整のための余乳処理施設整備であるとか、そういうものに対しまして積極的に支援してまいりましたし、今後ともそのような考え方で支援してまいりたい、このように思っております。
  86. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ただ、今答弁にあった言葉で言いますと広域化、全国を八ブロックに分けていくんだ。広域化はもちろんある意味では効率を図るためにも必要だと思いますが、裏返して言いますと、広域化することによって、例えば東北地方は東北地方に一つになった場合に、各県あるいはまたその地域において、一つのブロックにおいてもやはり若干の差があったりとか実情が異なったりする場合もあると思いますので、この点は十二分に万全を期す生産者団体の姿というものをやはり築いていってほしいし、また、行政、国としての適切な指導というものをぜひお願いしたいと思います。  もう一つ続けて聞きます。先ほどあった需給調整ということでありますけれども、そうしますと、今後この需給調整という姿をどう維持されていくべきと考えているか。これだけの大綱をつくっていくわけですので、どう考えているのか。また、国としての役割というものをどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
  87. 城知晴

    城説明員 今回、価格政策の見直しによりまして、加工原料乳につきましても取引価格が変動する事態になるわけでございますので、飲用乳を含めました生乳価格全体の安定を図りますためには、一つには、需要に対応した用途別の生産ということをまず考える必要があるのではないか、このように考えております。  それで、本年来、生産者団体におかれましても用途別の計画生産ということに積極的に取り組んでおられるわけでございます。私どもといたしましても、そういう用途別生産あるいは広域的な需給調整に取り組まれます各指定団体の動きを側面から支援するということで、先ほども申し上げましたように、俗称飲用乳共補償と言っておりますが、そういう事業を実施してきているところでございます。  さらに、平成十二年度までを目途に広域化を実現するということにいたしておりまして、各ブロックブロックさまざまな問題を抱えておりまして、なかなか口で言うほど生易しい話では実はないわけでございますし、各県ごとの利害も若干相反する面が現実問題としてございます。そういうところにつきましても、今後の酪農、乳業の将来像を見据えていただきながら、何とか相互の調整によりまして利害を調整していただいて、平成十二年度末までにブロック化ということをぜひとも推進していただきたい、このように思っております。  私どもも、そのブロック化には当然指導、支援を行いますし、また、新たな制度下におきましても、加工原料乳に対します限度数量の設定ということを通じまして、我が国生乳全体の需給の安定に努力したい、このように考えております。
  88. 木村太郎

    ○木村(太)委員 時間がなくなりましたので、視点を変えてもう一つお伺いします。  今まではいわゆる生産者サイドについての議論というか質問をしてきました。一方、乳業メーカー側の視点に立った場合に、乳業工場の統廃合や製造、販売コスト削減などの具体的な目標設定を求めていくようでありますけれども、大手はその体力はあったとしても、私の地域にもありますが、地域に根づいている中小のメーカー、このメーカーにとっては大変厳しい状況になっていくのではないか、こう思いますが、どう対応するのかお伺いします。
  89. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました我が国酪農につきましては、一戸当たりの規模拡大は極めて進んできております。これに対しまして、乳業工場数につきましては、近年、大幅な縮小は見られておりませんで、諸外国と比べましても、一工場当たりの規模は極めて小さい、こういう状況になってございます。  したがいまして、私どもは、基本的な方向といたしまして、乳業工場の再編合理化ということを進めていかないと諸外国に匹敵するような生産性の高い乳業の展開ということはあり得ないのじゃないか、このように思っておりまして、さまざまな各ブロックごとの状況を踏まえながら乳業再編を進めてきております。  ただ、先生指摘のように、各地域にございます中小乳業、これらにつきましても、規模が小さいがゆえに存在の必要性がないなどということは思っておりませんで、それぞれ地域酪農と密接な関係があるわけでございます。このような中小乳業につきまして、さらに合理化を進めていこうとされる場合におきましては、支援対策といたしまして、乳業者が共同して新たな製品を開発するとか、あるいは製造技術について相互に高位平準化を図る、協力し合う、そういうことに対しましては、私どもとしても支援を続けているところでございますし、今後ともそのような支援は続けたい、このように思っております。
  90. 木村太郎

    ○木村(太)委員 時間が参りましたので終わりますが、もう一つ、WTO次期交渉に向けてお伺いしたいと思いましたが、先ほど鉢呂先輩がおっしゃっていましたので、もちろん国内整備先ほど答弁があったとおり進めながらも、次期交渉、国際競争の中での我が国畜産酪農の姿に対しても心して、政務次官先頭に頑張っていただきますことを御期待して終わります。ありがとうございました。
  91. 穂積良行

    穂積委員長 次に、一川保夫君。
  92. 一川保夫

    ○一川委員 私も今回のこの畜産関係に関連して、政府の基本的な考え方をお尋ねしたい、そのように思っております。  先ほど、この委員会に提出されております今回の畜産振興審議会の「最近における畜産動向等について」という資料、これは何か畜産局長の報告事項らしいのですけれども、こういうのをちょっと眺めておりました。確かに、先ほど来のいろいろな質疑の中でもそうなんですけれども、これまでのいろいろな畜産行政をこの機会に大きく転換していきたいというような農水省の意気込みといいますか、そういうのは非常に感じられるわけでございますし、そういう方向に向かって努力をされていることに対しては敬意を表したいという面を持っております。  ただ、この資料の中の後ろの方に、昨年の審議会からいろいろ建議された御意見が幾つかあると思うのですね。そういうものを眺めたりしておりますと、昔からいろいろな指摘事項がなかなかうまく解決の方向に向かって進んでいないのではないか、そういう懸念もございますし、冒頭のいろいろな状況報告的なところを眺めておりましても、畜産関係を取り巻く厳しい状況が幾つか最近出てきているという問題意識は持っておられるわけでございますけれども、そういうものに対してどういう意気込みで取り組むかというもっと力強い何か施策みたいなものが本当はあった方がよろしいのではないかなという感じがいたします。これからまた新しい酪農、乳業関係の対策を展開されるということなので、そのあたり大いに期待したいと思いますけれども、私の方から数点の問題について基本的な考え方をお聞きしておきたい、そのように思っております。  一つは、先ほど来ちょっと話題に出ておりますけれども、飼料の自給問題というのは非常に大きな課題でもありますし、昨年の審議会からも指摘されております。そういうことに対して畜産局もそれなりのいろいろな対応はしてきたというようなことをここに書いてございますけれども、実際にいろいろな制度でこれだけの予算をつぎ込んできたというようなことが羅列されているだけで、ではその予算をつぎ込んだ結果として具体的にどういう成果があって、それに対して畜産局としてはどう評価しているかというところの説明がちょっと抜けているような気がします。  今後の問題も含めまして、こういった飼料の自給率をさらに向上させていくというような方向に向かって、具体的にどういう取り組みをされようとしているのか、もう一度御説明をお願いしたい、そのように思います。
  93. 城知晴

    城説明員 お答えいたします。  我が国の現在の飼料作物の作付面積は約百万ヘクタール程度でございまして、これで生産されます数量は我が国の大家畜の食べます粗飼料全体の約七七%、八割弱ということでございまして、濃厚飼料はもとよりでございますが、粗飼料につきましても二割程度を海外から輸入しているというのが現在の状況でございます。  具体的中身について申し上げますと、肉用牛酪農、北海道、内地とも、一戸当たりの面積につきましてはかなりの伸びを示しておるわけでございますが、全体といたしまして畜産農家が減少してきております中におきまして、内地におきましては、畜産から撤退された方々の草地面積がかわりの残ろうとされる方々の草地になかなかうまく結びつかない、そういう状況が大きな課題としてある、このように思っております。  したがいまして、飼料作物の問題につきましてはそういう状況下でございまして、我が国全体の食料自給率の問題は新たな基本法制定後具体的な検討に入るわけでございますが、その中におきまして飼料自給率をどの程度にするか、飼料作物作付面積をどの程度にするかというのは今後基本的な重要課題になろうと思っておりまして、御指導を賜りながら検討いたしたい、このように考えております。  ただ、現在、私どもの考えております具体的な話といたしましては、一つは、従来からもやっております草地の造成、整備、あるいは転作田、耕作放棄地等を活用しました飼料作物の作付増大、このような面を積極的に進めていきたいと思っておりますし、また、公共牧場の活用であるとか、あるいは、わずか一三%しか使われず半分以上が土に返っております稲わら等につきましての利用拡大であるとか、そういうことを積極的に進めていきたいと思っております。  したがいまして、今回の新たな酪農乳業対策大綱を受けまして、今後は私どもといたしましては、酪肉基本方針制定と同時に飼料作物増産計画を設定いたしまして、今申し上げました転作田であるとか耕作放棄地であるとか、そういうことも含めましたさまざまな増産計画を国並びに地方段階で策定いたしまして、それに向かって畜産関係者、加えまして土地利用の調整を行っていただける各部門、相参加していただきまして増産運動を今後展開していきたい、このように思っております。
  94. 一川保夫

    ○一川委員 今ほど御答弁があった中身については、確かにそのとおりだとは思いますけれども、これは一畜産局だけの対応というよりも、やはり農政全般の中で今の生産調整の世界、そういったものとのいろいろな連携もありますし、また、先般の主要食糧法の一部改正の折の参考人の御意見の中にも、中山間地帯というのはいろいろな農政の展開の中でもそういう飼料作物の適地として再評価してはどうかというような御意見もあったような記憶もございます。そういう面では、農政全般の中で飼料基盤の整備またはそういったものの生産コストの削減等を含めてしっかりとした取り組みをお願いしておきたい、そのように思っております。  畜産物は当然ながら我が国のいろいろな食生活の中で大事な部門を占めているわけでございます。先ほどの国民一人当たりの一日の熱量からしても、一五、六%、それぐらいのシェアを占めているというふうに聞いておりますし、また、たんぱく質全体の供給量の中でも、三分の一ぐらい畜産物が占めているというようなデータもございます。そういう面では、我々国民の食生活が非常に多様化し高度化しているという現状では、この畜産物に対する食生活の面から見てもやはり安定的な供給というのは非常に大事な面もございますので、そのあたりをぜひよろしくお願いしておきたいと思っております。  それから、我々地元に行っておりましても、実際に酪農家皆さん方の悩み事、最近の大きな問題点は、やはり環境問題にあるような気がいたします。それで、この問題がある程度解決できれば、担い手の問題とかそういう問題も非常にやりやすい状況になるわけでございまして、そういう環境問題が近年とみに大きな課題になってきたという背景はいろいろあろうかと思います。酪農家の規模が非常に大きくなってしまったということで対応が非常に難しくなったという問題なり、また、その地域のいろいろな耕種農家皆さん方が高齢化をしてきたという中でそういうものを有効に活用することが非常に難しくなってきたということは、確かに現実問題としてあろうかというふうに私は思います。  しかし、実際に数は減ったといえども酪農家皆さん方はこういった重要な役割を担いながら農業を営んでいるわけでございまして、そういう酪農家がその地域でしっかりと受けとめられて正々堂々と誇りを持って仕事ができるような状況をぜひつくり上げていただきたいというのが私の願いでございます。何となく酪農家方々が、その地域の皆さん方から最近は若干疎外されつつあるような気がいたします。特に家族の皆さん方、奥さんとか子供さんが、お父さん、もうそろそろこういう仕事をやめようじゃないかということすら言い出してきているというふうにも聞いておりますので、非常に残念な現象でございます。  そういう面では、やはりこういった酪農の問題に関連しての環境対策というものは、個々酪農家だけに焦点を当てた環境対策ももちろん大事ですけれども、その地域全体で酪農家という皆さん方がしっかりと受けとめられるような、地域の皆さん方とうまく連携していけるような施策というのが非常に大切ではないかなという感じを持っております。  そういう面で、この環境問題に対するこれからの基本的な考え方を再度確認しておきたいと思います。
  95. 城知晴

    城説明員 ただいま先生から御指摘されましたように、我が国畜産の今後の持続的発展のためには、環境問題に適切に対応するということは極めて重要な課題認識いたしております。  したがいまして、従来から個人あるいは集団に対するさまざまな補助リース、融資を行ってきたわけでございますが、今国会法律案を提出させていただきました趣旨は、基本的に個々農家方々のみでこの問題に対応するというのは極めて困難ではないかということでございまして、地域の実態をよく把握されておられます都道府県におかれまして畜産環境の改善のための具体的な目標をお示しいただきまして、それに基づきまして市町村、関係団体生産者それぞれが力を合わせて進めていく、こういう仕組みでぜひともこの問題の解決を図ってまいりたいと思っております。  特に、先生指摘の地域社会との調和の問題につきましては、最低限の、今回農林大臣が決めさせていただきます管理基準はやはり守っていただいて、その次に、地域内における堆肥センター等でできる堆肥を、地域住民との、家庭菜園をやられる方との交換であるとか耕種農家との交換であるとか、供給するとか、そういうことを通じて理解を得ながら進めていかないとなかなか地域社会との摩擦がなくならない、このように思っております。  先ほど申し上げましたように、成立した新たな法律のもと、国、県、市町村、団体が力を合わせてこの問題に対応していきたい、このように思っております。
  96. 一川保夫

    ○一川委員 これも先ほどの飼料基盤関係と同じでございますけれども、一畜産局だけの対応では非常に難しいと思います。そういう面では、やはりこれも農政全般の施策の展開の中でこういう環境問題に対してしっかりと対応していただきたい、そのようにお願いしておきたいと思います。  それから、ちょっと話をかえますけれども、当然ながら、酪農畜産関係の中でも乳業という問題が非常に大きなまた一方の課題であろうかと思います。我が国の食品産業の中では乳業という部門も大変重要な位置づけになりつつあるわけでございまして、そういう面では、国産の生乳利用拡大を図るという観点からもこういった乳業に対するしっかりとした対策というものも一方で大変大事なわけでございまして、当然ながら国民全体の需要等の問題にも関係するわけでございます。こういった牛乳なり乳製品の消費という面から考えまして、今後しっかりと拡大基調に持っていくということもある面では大切なことだろうと思いますけれども、そういうことに対する何か対応方針みたいなものがございましたらお願いしたいと思います。
  97. 城知晴

    城説明員 牛乳乳製品需要につきましては、我が国の食生活の変化の中で大変大幅な増大を見た分野でございますが、最近、やや飲用乳を中心といたしまして需要が停滞しているというのはそのとおりでございます。したがって、今後我が国酪農全体の発展を図っていきます場合には、このような牛乳乳製品需要拡大問題ということについて積極的に取り組む必要があると考えております。  特に飲用乳について申し上げますと、各県ごとに極めてまだ大きなばらつきがございまして、一人当たりで一番飲む県と一番飲まない県では三倍近い格差があるという状況でございまして、こういう問題について積極的に対応していくことから飲用乳需要拡大ということが図り得るんじゃないか、このように思っております。  また、年齢別に見ましても、男女別に見ましても、あるいは収入別に見ましても飲用乳はまだまだ格差の大きい品目でございまして、そういうところを焦点に、また、現実消費者がお飲みになっておられるミルクの八割はスーパー等からでございますが、そういうところを対象に積極的な消費拡大を行っていきたい、このように思っております。  乳業につきましても、御指摘のとおり積極的に合理化を図っていく必要があろう、このように思っております。
  98. 一川保夫

    ○一川委員 では、私最後質問にさせていただきますけれども、今回のこういった畜産酪農関係を取り巻く状況は非常に厳しい課題がたくさんあるというのは御案内のとおりでございますし、本日は、政府のいろいろ価格決定する前段でのこういう質疑でございまして、そういう面では非常に関係者の関心の高い時期だというふうに私は思います。  そういうときに、先ほど言いましたように、やはりこれから畜産行政のかじを大きく切って一つの新しい方向に向かって展開していこうということでございますし、新しいそういう方向に向かっての畜産行政のもろもろの施策を確立するためにも、いろいろな方々の御意見を謙虚に聞きながら、ある面ではまた大胆にそれを生かしていく決断も必要だろうというふうに私は思いますけれども、その意気込み、また、政務次官としてのこの畜産行政に対する考え方をひとつお聞かせ願いたい、そのように思います。
  99. 松下忠洋

    松下政府委員 どんなに立派な理念をうたい上げても、また、いかにすぐれた政策目標を掲げても、それを実現するための政策がきちっと動いていかないと目標は達成されませんし、理念を達成することはできないと考えていますから、思い切った政策の変更、具体的な一つ一つの中身を検討して将来展望があるような形に仕上げていかなきゃいかぬ、こう思っておりまして、全力を尽くしてまいります。
  100. 一川保夫

    ○一川委員 終わります。ありがとうございました。
  101. 穂積良行

    穂積委員長 次に、藤田スミ君。
  102. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私ども日本共産党は、せんだって、農林水産大臣に「畜産酪農振興に関する申し入れ」というのを行いました。きょう問題になっております加工原料乳の乳価の問題につきましても、その保証価格は、昨年、七十三円八十六銭に引き下げられ、そしてこの価格は二十数年前の価格水準に置かれている、したがってこれでは酪農経営を発展させることはできない、加工原料乳保証価格を引き上げ、限度数量は適切に拡大をし、飲用乳価については同様に乳業メーカーに対して引き上げるよう適切に指導すること、こういうことなど七項目にわたって申し入れをしてまいりました。  政務次官、きのう私のところに北海道の酪農家皆さんがおいでになりました。昨年は大変なぬれ子、廃用牛の値下げで、農家は一戸当たり百万円も収入が減った、こんなことではもうとてもやっていけない、保証価格は何としても上げてほしいという要望に来られたわけです。  その中で、ぬれ子の捨て子、御存じですか。それから、へい獣処理場、これは普通は何かの事故で亡くなった動物を処理するところでありますが、そういうところにぬれ子を持っていく、生きているぬれ子を持っていく、廃用牛を持っていく。廃用牛を持っていけば手数料が五千円取られ、ぬれ子は千円。私は、本当にそれを聞いて涙が出るような思いがしたんです。一晩かかって一生懸命子供を産ませて、やっと生まれてきたそのぬれ子を、千円添えてへい獣処理場に持っていかなければならない酪農家の気持ちがわかりますか。  実際、興部町の、これは網走管内ですが、農協の組合長は、保証価格の値下げは死活問題にかかわる、今の乳価で十円足りない農家もいる、乳量は七%伸びているが、昨秋から四戸が離農した、最近は競りに出したぬれ子に値がつかず、これ以上の乳価引き下げは離農に拍車がかかるだけだと訴えています。  政務次官、その声にどう答えられますか。
  103. 松下忠洋

    松下政府委員 国際化の大きな流れの中で国内農業そのものも大変大きな荒波に洗われ、そして新しい農業基本法というものを背骨にして、また二十一世紀の農業を展望しようとしております。同じように、畜産酪農を生業としておられる方たちに対する施策もそれを受けて基本的に大きく改革し、あるいは時代に合ったものにしていかなければいけない、そういうことでずっと議論を続けてまいりました。  藤田先生の御指摘のとおりに、酪農家もそういう中で大変な苦労をしておられますし、私自身も北海道にも何回も出かけましたし、私自身も鹿児島県の畜産農家の一人として生産牛を何頭か持ってやっておる一人でございます。北海道、内地のいろいろな牛乳生産の目的の向かう方向は違っておりますけれども、一つの農家が同じ牛乳生産して、そして、一つは加工用に行き、一つは飲用乳に行くという仕組みはそれぞれの農家が持っているわけでありまして、加工原料乳だけの課題にとらわれずに、飲用乳も含めて農家そのものの手取りがきちっと確保される、そういう総合所得ということで考えていかなければ成り立っていかないという考え方でここ数年取り組んでまいりました。  十分にまだ行き渡っていないと思いますけれども価格に加えて必要な施策をきっちりとつくり上げて補強していくということも大事だと考えておりまして、そこのところも含めて現在まで進めてまいりましたし、これからも十分農家の継続的な再生産ができるような仕組みをつくっていくということで努力してまいりたい、そのように考えております。
  104. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 継続的な農家の再生産が保障できるようなそういう仕組みじゃなしに、そういうことをするなら、まさに今現在あるこの保証価格という仕組み、その中で保証価格を引き上げていかなければならないということを申し上げておきたいと思います。  政務次官は、今、いみじくも二十一世紀の農業展望が持てるように大きく改革していくということで議論を続けてきたということをおっしゃいました。ところが、その議論で出されてきた農政改革大綱では、今酪農家は一層大きな不安を持っています。この農政改革大綱では、乳製品加工原料乳価格形成に市場実勢が一層反映されるようにするというふうに述べまして、新たな酪農乳業対策大綱では、乳製品加工原料乳について、乳製品価格は近年硬直的となり、加工原料乳価格も固定的になっている、そういうことで価格政策の解体の方向性を打ち出したわけであります。しかも、一方では、この大綱でも、価格市場実勢を反映させた場合、現状では、加工原料乳地域生産者の再生産確保し得る水準に達することは困難だ、こういうことも述べています。  そこまでわかっていて、なぜ二〇〇一年にこの大事な支持価格制度をなくすことになるのですか。端的にお答えください。
  105. 城知晴

    城説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、加工原料乳につきましては不足払い法のもとにおきまして保証価格並びに安定指標価格決定いたしまして、その間の額をいわゆる不足払いとして補給してきたわけであります。ただ、このような仕組みにおきましては、乳業メーカーから見れば常に一定の価格、努力のあるなしにかかわらず一定の価格で原料が手に入る。他方、販売についても一定価格が目安となる。生産者につきましてもまた同様の問題がございまして、そういうところにつきまして、昨年の農政改革大綱におきまして、市場実勢をより反映させる方向で見直しすべきだという宿題をいただいたわけでございます。  それを受けまして、我々るる検討いたしましたが、やはり、加工原料乳取引あるいは乳製品取引自体を国がこの額にしなさいとかあるいはこの額が望ましいと言うことは、現在の経済情勢下において継続する必要性はないのではないか。ただ、市場取引に任せました場合、先生指摘のように再生産確保させることは困難でございますので、再生産確保、所得の確保のための新たな措置を実施する。具体的には、一定の再生産確保の上で必要な単価を直接支払いする、そういう方式に移行して、生産者、乳業者、それぞれの方々の創意工夫が十分に発揮し得るような仕組みにいたしたい、こういう考えであります。
  106. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 市場実勢に見合う、こういう言葉は乳業の場合に実際には成り立たないんですよ。  私はここに北海道の白糠郡白糠町の組合の皆さんからいただいた要請書を持っていますが、北海道の酪農畜産にとって加工原料乳不足払い制度はまさに命綱ともいうべきものになっており、これらを廃止することは北海道の酪農畜産基盤を根底から奪うことになりかねません、生産者はこう言っているのです。何よりも酪農の場合、需給実勢、市場価格動向に合わせて生乳生産をコントロールすることはできないんだ、こんな乱暴な政策は撤回してもらいたい、こういうふうに訴えています。  北海道だけではありません。愛媛の酪農家の方も、加工原料乳価格の安定とともに、飲用乳価の下支えの役割を果たしてきた不足払い制度の廃止は、現在でさえ規模拡大、多頭化のもとで負債に苦しんで、超長時間労働で体を削って経営を維持しているのに何事か、新基本法の審議さえ始まっていないというのに、なぜ軽々に加工原料乳価格の廃止が論じられるのか理解に苦しむ、こういう訴えをしています。政務次官が牛も飼っていらっしゃるというなら、そういう気持ちはわからないはずはないと思うのです。そうでしょう。  しかも、中央酪農会議に設置している酪農政策研究会は何と言っているか。これはいろいろ酪農政策研究会に試算をさせたわけです。つまり、指定団体の協調体制の有無、補給金の有無が乳価に与える影響を試算したのです。そうすると、その結果、不足払い制度が、加工原料乳価だけでなく、飲用乳価の下支えの機能を果たしていること、そのことを結論として述べながら、こういうふうにも言っています。約二百六十億円の不足払いの財源で、その七倍から十倍の総乳代維持機能、つまり、加工乳もそれから飲用乳も含めて総乳代の維持機能、すべての生産者の所得の維持の機能を果たしているということを明らかにし、もしこの補給金がなく、指定団体が激しい競争状況に追い込まれていったら、現在よりも二千六百億円総乳代が落ちていくんだという試算を出しています。  大変な被害が出ると生産者団体さえ試算をしている。そういうことをあなた方はどう受けとめますか。簡単で結構です。どう受けとめているか。
  107. 城知晴

    城説明員 今回の加工原料乳制度の見直しに当たりまして、制度の見直しでございますので、各地域の酪農家方々、さまざま不安を持たれるというのは当然のことかと存じておりまして、新たな制度につきまして、十分私どもの考えをお伝え申し上げたい、このように思っております。  今先生の御指摘の一つの試算でございますが、要するに各指定団体が、四十七県の指定団体が、俗称でいいますればたたき合えばという話だと思いますが、そのようなことになるのではないかという試算結果があるということは承知いたしております。  私どもは、各ブロックごとのブロック化を進めまして、各指定団体を、内地八つ、北海道、合わせて九つのブロックのもとに、適切な生乳の配乳を行っていただきたい、このように考えておるところでございます。
  108. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 本当に、今ぎりぎりの経営を行っている酪農家、そして、すぐにもう離農しようかということを考えてしまう酪農家にとって、こういう話が耳に入るだけでも本当にやる気をなくしてしまうのです。どうしようかどうしようかと迷っている酪農家に、あなた方は引導を渡すようなものだ、私はそう思いますよ。もうとどめを刺すような話を今している。  そういう点では、このような保証価格制度をやめてしまうなどというような大綱は撤回をするべきだ。本当に日本の酪農業振興させ、畜産業を育成していくという立場に立つなら、撤回をするべきだということを申し上げ、次の問題に入ります。  私は、もうずっと歴年、肉用子牛生産安定等特別措置法に基づいて進められている牛肉の関税の問題、未使用分の問題について取り上げてきました。そして、歴代の大臣は、私の質問にいつも、適切に対処するというふうに答弁されてきました。この肉用子牛生産安定等特別措置法の十三条に基づいて充てられている財源というのは、牛肉の輸入自由化で苦況に追い込まれた畜産農家のために使うものであります。  ところが、毎年毎年未使用分をためてためて、とうとう今二千四百六十八億です。毎年毎年大臣は、この未使用分を活用して畜産農家振興のために生かしていきたいと答えながら、これほどにためてしまった。一体、どうするのですか。
  109. 城知晴

    城説明員 ただいまの先生の御指摘の件につきましては、御指摘のような数字のいわゆる未使用分があることは事実でございます。  ただ、これは未使用分という言葉遣いもどうかと思いますが、先生御案内の法律第十三条に基づきまして、今後、肉用子牛対策費に必要な額が当該年度の関税収入に満たない場合は、前年度以前に、関税収入以前に生じた関税収入と肉用子牛対策費の差額の範囲内で使える、つまり、今おっしゃった額は、今後必要に応じて使えるということが法律上明確に担保されておるわけでございまして、そのような規定のもとに、今後私どもは肉用子牛等対策を推進してまいりたい、このように思っております。  なお、あえて申し上げますれば、各年度ごとの肉用子牛対策費と関税収入実績につきましては、関税収入がどちらかといえば減りぎみ、肉用子牛等対策費がどちらかといえば増大ぎみということで、その格差、未使用額が大幅に縮小しているということでございます。
  110. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 かつて、関税収入実績に対して肉用子牛等の対策費がオーバーしたことは一度もないのです。これからオーバーするとしたら、どういう状況でオーバーするのですか。
  111. 城知晴

    城説明員 御指摘のように、予算の編成上、関税収入を上回る肉用子牛等対策費の見込み額を計上したことはございますが、実績といたしましては、今先生指摘のとおり、上回ったことはございません。  今後の話でございますが、私ども、肉用子牛の不足払い制度の運用、あるいは我が国肉用牛生産豚肉等の価格安定、そういう面において必要な額は、今後とも財政当局と協議の上、確保いたしたいと考えております。  現時点におきまして、約一千二百億円程度のお金を御案内のように使用いたしておるわけでございまして、これらにつきましては、今後の関税収入の見込み等が大きな影響を及ぼすのではないか、このように思っておりますし、また今後、肉用子牛あるいは牛肉問題につきまして新たな問題が生じた場合においては、当然のことながら、当該年度を超える額を使用する必要が生ずるであろう、このように思っております。
  112. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今後の関税収入の見込みというその言葉は、二〇〇一年以降の新しいWTO農業協定のもとでの関税の引き下げをまるで想像しているような話でありまして、全くいただけません。そして、この関税収入については、予算のたびに、農水省がしっかり踏まえて、そして絶えず主張していくべきものだ、こういうふうに言いながら、あなた方は、この未使用分をどんどん膨らませてきました。  私は、ここで提案したいのです。二千四百六十八億を全部使えとは言いません。その中の、せめて五十億を活用したらどうなるでしょうか。私は、その五十億を今農家が抱えている負債の利子補給に使ったらどうなるか、大変子供じみた計算かもしれませんが、そんな計算をしてみました。一千億円の負債に利子補給、五%の利子とした場合ちょうどこの五十億というお金が生きてくるわけで、つまり一千億分は無利子になるんです。  私の言っていることわかりますか。一千億の利子が五%、五十億ですから、二千四百六十八億円の中のわずか五十億円をそこへ持っていくだけでもこれだけ生きてくるんです。生かそうじゃありませんか。今本当にみんなが苦しんでいるんだから。展望が持てない、そういう中で政府が展望を持たせていく、そのために二千四百六十八億というのを今生かそうじゃありませんか。将来のことじゃなく今生かす、そういう立場で検討してもらえませんか。
  113. 城知晴

    城説明員 繰り返しになりましてまことに恐縮でございますが、私ども、必要があればそのお金を当然のことながら大蔵省から農林水産省の予算の方に計上させていただく、そういうことで措置したい、このように思っております。  なお、今先生指摘の負債農家に対する融資措置でございますが、これにつきましては、大家畜経営活性化資金というのを平成年度から設けておりまして、現在二・一%の補助で融資いたしておりまして、約一千億円程度の枠があるということでございます。
  114. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 必要があれば、必要があればと、あなた方はいつを必要と考えていらっしゃるのか。いかにも無責任であり、そして財政当局とと言いますが、これこそまさに農水省が主体になってこう活用するんだという姿勢がない限り、未使用分はどんどん膨らんでいくばかりです。そして、本来法律でまで定めたこの関税収入がちっとも畜産農家の方に生かされていかない、それは随分政治の怠慢だということを私は申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので先に移らざるを得ませんが、最後に私は、この大綱の中で学校給食用の牛乳供給対策、これについても供給事業交付金の見直し、削減問題を検討するというふうに出されているのに対して大きな怒りを持っています。  現在、学校給食牛乳は、小学校で九八%、中学校で八五%と大変定着をし、子供たちの体づくりのために貢献をしてくれています。私はこのことは大変大事なことだと思う。牛乳になれた体をつくっていくためにも、このことは非常に大事な事業なんです。それなのに、どうして米と同じようにこういう事業交付金の見直しなど、削減などの話が出てくるのか。  学校給食用の米の値引き率の縮小で、今どんなことが起こっているか御存じですか、政務次官。岩手県の西根町では、子供たちに、御飯を持ってきなさい、給食の方でおかずはつくりましょう、お弁当箱に御飯だけ入れていらっしゃい、そういうふうなことで御飯の持参ということを決断せざるを得なくなったというんです。  なぜか。それは、給食米の値引き率が縮小され、そしてもうなくなるということのために父母負担を求めなければならない。この時世に父母負担を求めたら父母の方も大変だろうと思ったとき、そういう措置で決断をしたんです。  牛乳の場合、そうなったら牛乳一本ずつ持っていらっしゃいと言うんですか。私は、こんなことを言っちゃいけない、幾らのお金でもないのにこういうやり方をしてはいけないと思いますが、最後政務次官の御答弁を求めたいんです。やらないと言ってください。
  115. 松下忠洋

    松下政府委員 子供たちの成長にとって牛乳、そしてその中に含まれている栄養分が非常に体にいいということは、これはみんながわかっていることであります。長年続けてまいりまして、極めて零細であるということも現実としてありますけれども、極めて供給業者が固定されてきているというようなこともいろいろ言われてきておりまして、そのあり方を含めて見直そうということでございまして、これはぜひ検討させていただきたい、こう考えております。
  116. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まともに答えていませんからね。私は牛乳工場のことを言っているんじゃないんです。それでは、そういう意味なんですか。この学校給食に出している助成の方は、それはもういらわない、そういうことですね。
  117. 城知晴

    城説明員 補足してお答え申し上げます。  大綱をお持ちのようでございますが、大綱の関係箇所をお読みいただきますればわかりますように、私ども、学校給食制度と申しますのは、学校教育上の問題もさることながら、お子様に飲用の習慣をつけるということで極めて重要な事業だと思っております。  法律に基づきますこの事業につきましては、私ども、今後とも極めて重要という位置づけのもとに推進してまいりたいと考えております。ただ、その推進の具体的仕組みにつきまして、今政務次官が申し上げましたように、効率的に実施し得る方法はないかどうか、それを四月から検討させていただく、そういうことを申し上げているところでございます。
  118. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたから終わりますが、あなた方は学校給食の重要性をるる書いていることはよく知っています。それでいて、その中に事業交付金の見直しという言葉が入っておりますので、私は取り上げました。決してそれをやってはならないということをもう一度申し上げて、質問を終わります。
  119. 穂積良行

    穂積委員長 次に、前島秀行君。
  120. 前島秀行

    ○前島委員 私も今の学校給食のことをちょっと質問する予定で言っていましたので、順序を変えますが、見直しは見直しとしていいんですけれども、要するに削減するかしないか、補助金をカットするかしないかというところが一つ。  それから、私は乳業メーカーと学校現場との問題があるという話も聞いていますね。私は、やはり学校給食というのは、いわゆる子供たちにとって安心だとか安全だとかという点も非常に重要なんで、やはり地域と密着した制度をどう組み立てるかということも現場と乳業メーカーの重要な課題だと思っています。  そういう面で、要するに補助率を削減するのかしないのかということと、乳業メーカーと学校現場との関係で、やはり地域性を大事にする、そのことが需要に結びつくだろうし、それから酪農の発展にも結びつくだろう、こういうふうにも思いますので、その二点だけ明確にちょっと言ってくれませんか。
  121. 城知晴

    城説明員 ただいま先生指摘のように、学校給食につきましては極めて重要な事業ということで私ども位置づけておりますが、具体的な事業の実施の仕組み、これにつきまして今のでいいのかどうかを検討させていただくということを大綱等においても明らかにしているところでございます。  したがいまして、補助金が減るのかふえるのかということはその検討の結果による、このように考えております。
  122. 前島秀行

    ○前島委員 そういう段階だとするなら、やはり大事でありますから、また、それが将来の需要にもつながるだろうし酪農の発展にもつながるでしょうから、経費の削減なんというようなことはせぬように私は要望をしておきます。  それから、今年度保証価格決定の問題で、例の横積みの件でありますが、私が一つ心配するのは、地域間格差が出ないのかなということ。要するに、乳牛の飼養頭数と草地面積との比率でやっていく、その単価の出し方あるいはランク格差によって、地域によって結果として差が出てくる。そうすると、トータルの乳価としての収入というのは格差が出てくるのではないだろうか。  やはり率直に申し上げまして、北海道とそれ以外の都府県との格差というのが、そのランクの格差のつけ方だとか単価の出し方によって結果として差が出てくる。乳価という側面から、トータルの収入という側面から見ると、不公平が生じる心配があるわけであります。  そういうふうに、不公平が生ずる危険があるけれどもどうかということと、私は、北海道並びに内地、同じ加工原料乳をやっているわけでありますから、その差はつけるべきではないと思いますが、その点についての見解をお聞きしたいと思います。
  123. 城知晴

    城説明員 いわゆる二円の横積み問題の飼料作物政策への転換につきましては、今先生指摘のように、北海道と内地とが全く同じ基準のもとに事業を仕組むということはかえって不公平が増すのではなかろうかというふうに考えておりまして、具体的なランク分けの基準その他につきましては県別に設定せざるを得ない、このように考えております。
  124. 前島秀行

    ○前島委員 そうすると、単価の出し方並びにランク格差も全部それぞれ違う。したがって、北海道での補助金と、それから都府県の補助金というのは、同じ収穫、同じ量を産出するならば補助率は同じだ、こういうふうに見ていいんですか。
  125. 城知晴

    城説明員 この二円対策の問題につきましては、先生御案内のように、加工原料乳につきまして、生産性のより一層の向上を図る必要がある、飼料基盤に立脚した酪農経営を図る必要がある、こういう観点から設けたわけでございますので、具体的に申し上げれば、加工原料乳供給実績に応じて必要な額を配分することが適当ではなかろうか、このように思っております。
  126. 前島秀行

    ○前島委員 対象が加工原料乳であることはわかっているんです。北海道で加工原料乳生産した人と内地でした人とは、結果において補助金は同じかと聞いているんです。
  127. 城知晴

    城説明員 ちょっと誤解を持っているのかもしれませんが、要するに、従来もらっておられた二円問題、あるいは乳価五十銭問題、今回の引き下げ額五十銭問題に相当する額につきまして、北海道、内地とも従来と差がないということでございます。
  128. 前島秀行

    ○前島委員 そういう不公平が生じないように、そのことがやはりやる気につながるだろうし、今後の発展につながりますから、そういう地域における格差が生じないように、一定の政策的誘導があるということはわかりますけれども、結果として地域によって不公平が生じないということだけはぜひお願いをしておきたい、私はこういうふうに思います。  それから、私も、不足払いを廃止する、その後の経営安定対策ということの重要性ということだけはどうしてもただしておきたいなと思っているんです。  その一つに、やはり政府の今後の役割、任務ということですね。市場価格を反映するんだ、したがって、これからは相対取引でおまえたちやれよ、需給調整はみずから生産調整をしてやれよというふうな形で、やはり聞きようによっては、この乳業、酪農の今後の経営安定について、政治的な責任、政府の役割というのは後退するんじゃないか、後退させようとしているんじゃないか、生産者あるいは関係者のところに一切任す、こういうふうにとれなくないと思っているわけであります。  私は、内外の状況だとかあるいは酪農の必要性等々から見ると、やはりこれまで以上に政治の役割、責任というのはあるような気がしますけれども、これからの新しい経営安定対策における政府の役割、政治の任務、役割ということについてお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
  129. 城知晴

    城説明員 お答え申し上げます。  私どもが考えております新しい制度下におきましても、引き続き国内生乳需給を十分見きわめまして限度数量を設定いたしたい、このように考えております。  また、それ以上に政府のやるべき役目といたしましては、適切な国境措置を維持するということが極めて大きな役割ではなかろうか、このように思っております。  さらには、各指定団体で行っていただいております計画生産なり需給調整なりにつきまして、私ども政府としても、御支援すべきことがあれば当然支援すべきもの、このように考えておりまして、すべてを民間に任せる、決してそういうことを言っているわけではございません。  なお、先生も御案内のように、我が国生乳八百六十万トンの生産量中、加工原料乳は二百四十万トンでございまして、現在でも過半のものは市場取引が行われているという実態にございまして、市場取引で必ず問題が生ずる、そのような事態でもない、政府としても、十分目を光らせながら今後とも制度の設計から運用に当たっていきたい、このように思っております。
  130. 前島秀行

    ○前島委員 先ほど鉢呂先生議論にもあったように、やはり需給調整というのは非常に難しいし、そこにおける政治、政府の役割というのはあるわけでありまして、それを、指定団体をブロック化して、おまえさんたち、生産調整をやれというだけでは、需給調整というのはそう簡単にいくものではないだろう、こういうふうに思いますので、引き続きやはり政府の役割というのは大切だろうと思います。ひとつそこのところをよろしくお願いしたい。  それからもう一つ。これからの需給安定並びに経営安定を考えた場合、乳業メーカー方面の努力ということ、加工原料乳にしてもあるいはその他の乳製品価格の安定等々を考えても、結果としてそれが生産者経営安定につながるわけでありますが、やはり一方で、乳業メーカーの努力、改善というのも絶対に必要な条件になるんではないだろうかな、私はこういうふうに思います。そういう面では、いろいろな課題があることは間違いないだろうと思いますが、その辺の経営安定に向けての努力はどうするのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 城知晴

    城説明員 乳業メーカーにつきまして経営努力、経営改善を図る必要があるというのは、まさに先生の御指摘のとおりでございまして、現在、我が国の乳業メーカーの生産性というのは、諸外国に比べて極めて低うございまして、酪農経営生産性格差に比べましても、それを上回る生産性格差が乳業工場についてございます。  その理由といたしましては、基本的な問題といたしましては、一工場当たりの処理量が小さ過ぎるということが根本的な問題ではないかと思っております。したがいまして、各メーカーごと、あるいは場合によっては農プラ・中小も含めまして、再編合理化をぜひとも図っていただきたいと思っております。そのための支援措置を現在講じているところでございますし、また、今回の新たな酪農乳業対策を踏まえまして、今後、各地区ごとの具体的な再編合理化の計画を策定していただきまして、それに基づいた統合なり再編が進むことを私どもとしては期待しているし、そのような方向でぜひとも指導をしていきたい、このように思っております。
  132. 前島秀行

    ○前島委員 経営安定対策あるいはさまざまな内外の状況変化が生産者だけの負担にならないように、生産者だけにそれを求めるということにならないように、私は、乳業メーカーに対する指導というのはちゃんとやるべきであるという点だけはぜひ強調しておきたい、こういうふうに思います。  それから、具体的な制度の問題ですが、先ほど議論を聞いていますと、もう黄色の政策を前提にしている、そういうふうに聞こえるわけなんですね。それなら何で不足払いを変えるんだということもWTOとの関係からなら言えるのでありまして、やはり黄色の政策ということを前提にしながらやるということは、いずれどんどん削減がついて回る、こういうことなんでありまして、生産者の側から見れば不安は最後まで募る、こういう結果になるわけであります。やはり、グリーンボックスという枠の中でこの不足払いにかわる新たな制度を考え出すべきである。正直言って、グリーンボックスの前提条件があってなかなか難しいなというところは私もわからなくはないんですけれども、グリーンボックスの枠の中で新たな所得補償政策を考え出すべきだ、こういうふうに思いますが、その辺のところ、どうですか。
  133. 城知晴

    城説明員 大変重要な指摘だ、そのように受けとめております。  現在牛乳につきましてのAMS、削減対象となっております総額は千五百三十三億円でございます。このうち、乳製品の安定指標価格をもちまして価格支持いたしております部分が千百五十一億円。直接支払い、不足払い等が三百八十二億円でございまして、今回、私ども加工原料乳並びに乳製品につきまして、市場取引導入するということをもちまして価格支持部分はAMSの計算からなくなる。そういたしますと、三百八十二億円程度のものがAMSとして残るということになります。  黄色の政策につきましては、先生十分御承知のように、これは決してやめろと言われているわけではなくて、削減の方向検討が進められている、一定の削減率がかかっているということでございまして、私どもは、現在の千五百億円が三百数十億円になるということで、AMS問題につきましては、かなりの対外的交渉力を持って次期交渉に臨むべきである、このように思っております。  ただ、いずれにいたしましても、次期交渉につきまして具体的な枠組みが固まっているわけでもございませんので、我が国の立場が受け入れられるかということを重々考えまして、その時点においてまた、黄色なのか青なのか、あるいはそういう概念はないのかということを十分検討させていただきます。
  134. 前島秀行

    ○前島委員 次期WTOの交渉に向けては、グリーンの政策、グリーンボックスの適用の幅でさえも縮めようという要求が出てくるのではないか、こういうふうに言われていますね。ましてや黄色の政策について激しい削減要求というのが出てくることはもう予測されるわけですよ。  そういうことが想定される中で、農家生産者の側からしてみれば、毎年毎年削減されるだろう、そのことを前提とした補償政策ということについて不安があることはわかり切っていることでして、それよりかやはり緑の政策、グリーンボックスを前提とした補償政策、所得政策ということの方がより安全であるし安心である、またさらに発展につながるということは間違いないわけでありますから、交渉事といえばそれまでかもしれませんけれども、ぜひ、黄色の枠ではなくして、私はグリーンボックスのもとでの新しい所得補償政策を実現するように、そういう案を考え出すことをお願い申し上げまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。      ————◇—————
  135. 穂積良行

    穂積委員長 この際、増田敏男君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による平成十一年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。増田敏男君。
  136. 増田敏男

    ○増田委員 自由民主党の増田敏男です。  私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、平成十一年度畜産物価格等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     平成十一年度畜産物価格等に関する件(案)   我が国畜産を取り巻く最近の情勢は、ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づく関税の引下げ等による畜産物輸入の増大、担い手の減少・高齢化畜産環境問題の発生等極めて厳しいものがある。   よって政府は、平成十一年度畜産物価格決定に当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。       記  一 我が国酪農・乳業の健全で持続的な発展を期する新たな酪農乳業対策の展開に当たっては、ゆとりある生産性の高い酪農経営と効率的な乳業の実現を図るため、酪農経営の安定及び所得の確保を図る等総合的な施策を講ずること。  二 加工原料乳保証価格については、酪農家が意欲を持って営農に取り組めるよう、生乳の再生産確保を図ることを旨として決定すること。    また、加工原料乳限度数量については、牛乳乳製品需給動向を踏まえて適正に決定すること。  三 牛肉・豚肉の安定価格については、再生産確保を図ることを旨として、畜産農家経営の安定に資するよう適正に決定すること。    また、肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家経営の安定を図ることを旨として決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態に十分配慮し適正に決定するとともに、肉用子牛生産者補給金制度については、肉専用種以外の品種区分について乳用種と交雑種の分離を早急に検討するなど、円滑な運営に努めること。  四 飼料自給率の向上等を計画的に図るため、飼料作物の生産基盤の強化、生産コストの低減、品質の向上、草地畜産振興等を図るとともに、配合飼料価格安定制度についてその適切な運用を図ること。  五 農業が有する自然循環機能が発揮され、農業持続的発展が図られるよう新たな法制度整備等に努め、家畜ふん尿処理施設の計画的整備、耕種農業との連携による堆肥利用促進を図ること。  六 安全・良質で特色ある畜産物供給を図るため、畜産物生産・流通過程における衛生管理徹底を図るとともに、食肉処理施設の再編整備、原産国表示徹底を含めた表示適正化促進すること。  七 畜産業の安定的発展に資するため、国産畜産物需要拡大、ヘルパー及びコントラクターの積極的活用、経営継承対策を含めた畜産経営に対する財政、金融、税制に係る支援の適切な運用等の諸施策を講ずること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  137. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣中川昭一君。
  139. 中川昭一

    ○中川国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  140. 穂積良行

    穂積委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  142. 穂積良行

    穂積委員長 次に、内閣提出漁船損害等補償法の一部を改正する法律案及び持続的養殖生産確保法案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣中川昭一君。     —————————————  漁船損害等補償法の一部を改正する法律案  持続的養殖生産確保法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  143. 中川昭一

    ○中川国務大臣 漁船損害等補償法の一部を改正する法律案及び持続的養殖生産確保法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  まず、漁船損害等補償法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  現在、漁船保険制度は、近年の漁業形態の変化、海洋性レクリエーションの発展等に伴う漁業者の新しい保険ニーズに的確に対応するとともに、我が国漁業を取り巻く情勢の推移を踏まえ、これまで以上に効率的な事業運営を行うことが求められております。  この法律案は、このような状況を踏まえ、新たな保険制度の創設、漁船保険事業の再保険主体の変更等の措置を講ずるものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、冷凍運搬船等に積みかえられた漁獲物の損害をてん補する保険及びプレジャーボートによる漁船被害等をてん補する保険から成る、漁船保険団体による新たな保険事業の実施であります。  第二に、普通保険及び漁船積荷保険の再保険主体の国から漁船保険中央会への変更であります。  このほか、漁船保険組合の定款のあり方の見直し等を行うこととしております。  続きまして、持続的養殖生産確保法案につきまして御説明申し上げます。  我が国の養殖業は、戦後順調に成長を続け、沿岸漁業の重要な一部門を構成するに至っております。  しかしながら、近年、全国的に養殖漁場の悪化が見られ、また、これと輸入種苗の増大とが相まって、魚病の蔓延の危険性が高まっております。  このような状況に適切に対処し、持続的な養殖生産確保を図るため、養殖漁場の悪化を確実に食いとめるとともに、特定の魚病の蔓延を防止するための措置を講ずることとし、今回この法律案を提出するものであります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、農林水産大臣は、持続的な養殖生産確保を図るための基本的な方向を明らかにする基本方針を策定することとしております。  第二に、漁業協同組合等による養殖漁場の改善を促進するための計画制度を創設し、漁業協同組合等による養殖漁場の改善を促進することとしております。  第三に、国内における発生が確認されていない等の特定の魚病の蔓延を防止するため、都道府県知事は、感染魚の移動制限等の措置を命ずることができることとしております。  第四に、都道府県知事は、魚病を予防するため、都道府県の職員である魚類防疫員に立入検査等を行わせることができることとしております。  以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  144. 穂積良行

    穂積委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会