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1999-02-17 第145回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十七日(水曜日)     午前十時十分開議   出席委員    委員長 穂積 良行君    理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君    理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君    理事 小平 忠正君 理事 宮地 正介君    理事 一川 保夫君       小野寺五典君    金田 英行君       岸本 光造君    熊谷 市雄君       熊代 昭彦君    鈴木 俊一君       園田 修光君    中山 成彬君       丹羽 雄哉君    萩山 教嚴君       御法川英文君    宮腰 光寛君       宮島 大典君    宮本 一三君       目片  信君    矢上 雅義君       吉川 貴盛君    安住  淳君       神田  厚君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    上田  勇君       漆原 良夫君    木村 太郎君       井上 喜一君    佐々木洋平君       菅原喜重郎君    中林よし子君       藤田 スミ君    前島 秀行君  出席国務大臣         農林水産大臣  中川 昭一君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         農林水産省経済         局長      竹中 美晴君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         農林水産省農産         園芸局長    樋口 久俊君         農林水産省食品         流通局長    福島啓史郎君         食糧庁長官   堤  英隆君         林野庁長官   山本  徹君         水産庁長官   中須 勇雄君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  委員外出席者         外務省経済局審         議官      近藤 誠一君         農林水産委員会         専門員     外山 文雄君 委員の異動 二月十七日         辞任         補欠選任   今村 雅弘君     吉川 貴盛君 同日        辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     目片  信君 同日         辞任         補欠選任   目片  信君     宮島 大典君 同日         辞任         補欠選任   宮島 大典君     今村 雅弘君 二月十六日  主業稲作農家経営安定緊急対策等に関する陳情書(第二九号)  国内自給基本とした日本農業と食生活に関する陳情書外三件(第三○号)  新たな国際環境対応した農業農村対策推進に関する陳情書(第三一号)  国土保全奨励制度関連する施策充実に関する陳情書(第三二号)  農林年金制度に対する国庫補助に関する陳情書(第三三号)  漁業基本法早期制定に関する陳情書(第三四号)  新たな農業基本法制定関連政策の策定・推進に関する陳情書外五件(第七○号)  食料自給率の引き上げ、日本の食と農に関する陳情書(第七一号)  農産物等原産国原産地表示推進に関する陳情書(第七二号)  福山営林署の存続に関する陳情書(第七三号)  遠洋まぐろはえなわ漁業国際減船措置に関する陳情書(第七四号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農林水産業基本施策)     午前十時十分開議      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。
  3. 増田敏男

    増田委員 お許しをいただきましたので、これから質疑に入るわけですが、三十分の時間ですので、要領よくお尋ねを申し上げ、同時にまた、実のあるお答えをお願い申し上げたいと思います。  私は埼玉県の出身ですから、現在の所沢地方に起きているダイオキシンの問題、これを離れて質問に入るわけにいきませんので、順を狂わして、これを一番初めに持ってきたいと思います。  申し上げるまでもなく、生産者消費者双方にとって大変な不安が高まっているこの状況は、既に皆さんが御案内のとおりであります。いろいろの数値やあるいは議論、同時にまたマスコミ等を通していろいろの情報が伝わってきておりますが、どうしても我々がはっきりしておきたい点は発生源であり、被害がどのくらいあったのか、そして補償はできるのかできないのか、安心、安全の基準はどういうことになっていくんだろう、同時にまた、的確な情報伝達というのは、マスコミなり行政なりどういう対応をして行っていくのかな、実はこんなことを思っていたわけであります。  そこで、けさニュースの中に、中川大臣風評被害で動いた、こういうニュースがありました。どういうふうに動いたかは定かに私見なかったんですが、けさ、たしか六時から七時ごろの間、七時半ごろと二回ぐらいあったと思いますが、家内が、大臣が出ていますよ、こういうことでしたので、まことに結構なことだと思います。国家国民、もちろん生産者消費者立場に立って大臣が動いていることはよくわかりますので、引き続いて、信頼をしておりますから、自信を持って動いてもらいたいな、期待をかけたいと思います。  そこで、質問に入っていくわけですけれども、まず、いろいろの数値が出されています。数値の中には、所沢地区農業団体、これの発表数値、そして厚生省発表数値、幾らか食い違いがあります。しかし、問題はないという意見厚生省が述べておりました。  そこでまず、農林水産省関係なんですが、所沢市のホウレンソウを中心として、スーパーや何かが取引を見合わせる動きがあった、あるいは、生産者は大変苦しい状況で、今一生懸命皆さん理解を求めるべく動いている、このようなことがあるわけですけれども、救済措置が何かあるのかどうか、また考えられるのかどうか。埼玉県としては、けさ県版に、埼玉県も取り組んでいこうというような方針が出されていますが、この点を一点お伺いしたいと思います。  それからまた、今回の所沢地方ダイオキシン問題に対する不安の解消には、国が実態調査を行い、その結果を評価し、消費者に対して、もちろん生産者も当然ですが、その情報を的確に提供するということが大事だな、このように思うんですけれども、取材に対するマスコミを通しての情報伝達行政行政の系統を通しての伝達、あるいは関連団体を通しての伝達、いろいろ考えられるわけでありますが、その辺に対する対応は、農水省では議論がしてありますか、大丈夫ですか、これからどういう結果が出るか、大丈夫ですか、こういうことをお尋ねしたいと思います。  それから、一般国民にとっては、ダイオキシンというものがどういうものか、実は私を含めてわかりません。だから、ダイオキシンがどのくらい体内に入ったらどういう影響が生じるのか、こうなったらほとんどわかりません。そこで、信頼のあるデータ基準、こう言われてみても、どれが信頼があるかわからない。だから、安全基準ともいうべきものが出せるのか、あるいはそういうものが世界どこかにあるのか、その辺はいかがか。これは厚生省関係だと思うんですけれども、この点をわかったらお教えをいただきたいと思います。  それからまた、現状を、信頼回復のためにどうしても転換していかなければなりません。それには、これは安全なんだ、安全宣言が出せるというような問題ではないんじゃないのかな。そうすると、数値を出して納得してください、こういう方法になるのかな。この辺を考えると、当然、厚生省環境庁十分論議を尽くしながら、整合性を図りながら、耐容一日摂取量という言葉を過日聞いたことがあるんですけれども、恐らく、耐容一日摂取量、だから一日にこれだけとったのなら耐容、大丈夫なんですよ、こういう意味なのかな、こういうふうに思うんですけれども、その辺のことを含めて厚生省から御答弁をいただきたいと思います。  それからまた、厚生省は十ピコグラム環境庁は五ピコグラムWHO世界保健機関ですが、一から四ピコグラムと聞いております。数値とり方はどういう根拠なのか、それぞれが違います。けさあたりも、その数値とり方でいろいろの議論がこれから私たちのレベルであるというふうに聞いておりますが、それはどういうことか。特にWHOの場合にはどういう説明が、一から四というのですから、極端に言えば四倍違うんですから、その数値発表している、それは何かそこに説明が付されているのか。どういう意味なのか、わかったらお教えをいただきたい。  そこで、今回のダイオキシン問題でも、もちろん根源を絶つのが一番よいことだと思います。それはもう焼却場からだというふうに一口に言われていますが、申し上げるまでもなく、焼却場といえば、あるいは焼却ということを考えたら、日本じゅうないところはない、こういうとらえ方をして対応していくのが順当だろう。たまたま今所沢が問題になっているけれども、所沢地方だけではない。  しかも、あの問題となっている最中に、キャベツであるとかあるいは白菜が、私もテレビ説明を聞いていてびっくりしたんですが、皮がだんだんまとまっていって実ができるという説明をしていました。テレビの画面に映っているんですから、中から実ができてきてだんだん外にはじけていくんですけれども、降った灰を巻き込むんだから、みんな中に閉じ込められるというようなテレビを見ていまして、ああこれはびっくりしたな、どうしてこういう情報マスコミに伝わっているのかな、こんな不可解な面も持ったところであります。  そこで、今は所沢地方です。これから、東京都を含めて、いよいよキャベツの時代に入ってまいります。そういうことを考えたら、全部すっかり整理をしなければこれは大変なことだ、こう思います。  一人でしゃべっていると時間がなくなっちゃいますので、答弁をここで求めたいと思います。お願いします。
  4. 穂積良行

    穂積委員長 ダイオキシン問題について、最近起こったことに関し総括的な御質問がございました。順次、農林水産大臣、それから関係政府委員、さらに厚生省政府委員から答弁を願います。中川農林水産大臣
  5. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生から、二月一日のニュースステーション報道きっかけにいたしまして、特に先生の御地元のホウレンソウを初めとする野菜大変暴落をいたしまして、生産者の方はもとよりでありますけれども、流通関係皆さん、そして消費者皆さん、大変に不安になり、また特に生産者皆さん経営上の大きな損害を受けておるわけでございまして、私といたしましては、大変お困りになっていることに対して、その報道ぶりに関して怒りを覚えておるところでございます。  幾つか御指摘がございまして、専門的なことについては後ほど事務当局の方から答弁をいたさせますが、農林水産省を初め厚生省そして環境庁、さらには県、関係市町村と早急に緊密に連絡をとり合いながら、何としてもまず実態調査をしなければいけないということで、国といたしましても、きのうから調査をし、そしてできるだけ早い時期に実態の把握をする、そしてそのデータをきちっと公表をする。テレビ等の一般的な報道だけではなくて、例えば農林省でありましたならば、あらゆる手段を通じて直接国民皆さんにわかることができるように、例えば農林省でも有線テレビを持っておりますから、そういうものを通じて、あるいは政府広報等を通じて、できるだけ実態というものを直接的にも国民皆さんにお伝えするように早期にできるようにしていきたいと思います。  ただ、技術的な関係から若干時間がかからざるを得ないということも御理解をいただきたいと思います。  それから、救済についてでございますけれども、これははっきり申し上げて、一つ報道きっかけになって、ホウレンソウ等所沢関係、入間あるいは狭山等々の地域生産者皆さんが大変な損害をこうむったわけでございます。私は、政治家というよりも一人の人間として、その方たちに対して何としてもできるだけの救済措置をしたいという気持ちはあるわけでございますけれども、残念ながら個人に対して国が直接、所得損害補償をするというようなことが極めて困難だというのを申し上げざるを得ないということは、私自身、大変残念に思いながらの発言でございます。  しかし、今回の直接的な原因者というものが明らかであるわけでございまして、その方たち損害を生じさせた原因があるということが客観的に判断されますならば、その人たちに当然損害賠償の責が生じるものというふうに理解をしております。  ただ、農林水産省としては、経営支援の形で、あるいはまたいろいろな融資等措置を講じまして、できるだけの支援措置を講じさせていただきたいと思います。
  6. 樋口久俊

    樋口政府委員 私の方から一つだけ大臣の御答弁に補足して答弁を申し上げます。  大臣からお話を申し上げましたように、三省庁で連絡会議を設置いたしたのが二月五日でございますが、その後、県や市等連絡を緊密にとりながら準備を進めてまいりまして、昨十六日に現地で、所沢市とその周辺で、ホウレンソウにつきまして調査のためのサンプリングの採取が終わっております。  これから分析に入るわけでございますが、大変微量な物質の分析でございます。ピコグラムという単位で分析をするわけでございますが、例えば千メーター掛け千メーターの一メーターの深さのプールを……(増田委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)  大変微量分析でございますのでそれ相応の時間は要しますので、できるだけ早くやりたいと思いますが、その結果は公表をするということになろうかと思います。その対応につきましても、よく関係者で緊密な連絡をとりながら対応していきたいと思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
  7. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 TDIにつきましては、今先生指摘ございましたように、一生涯にわたりまして摂取をし続けても健康影響という観点から許容される数値でございまして、略称TDIというふうに申しておりますが、通常は一日体重一キログラム当たりという量であらわすのが通例でございます。  それで、ダイオキシン類に関しましては、平成八年の六月に、厚生省ダイオキシンリスクアセスメントに関する研究班というのがございますが、そこにおきまして、当面の許容限度としてのTDIを十ピコグラム提案をされたわけでございます。これは一九九〇年のWHO提案であります十ピコグラムと同等の数字であるわけでございます。この値につきましては、当時の科学的な知見に基づきまして、さまざまな実験等から得られた結果から総合的に判断して出されたものでございます。  なお、今御指摘のございましたWHO専門家会合におきましては、昨年の五月に、これまでの値の十ピコを見直しまして、当面の許容限度として一から四ピコグラムという値を提案されているわけでございますが、WHOの文書を点検いたしますと、当面の許容限度が四ピコグラム、それから究極の目標を一ピコグラム以下とするということにされているわけでございまして、これにつきましても専門家会合では直近の知見提案をしたというふうに聞いております。  環境庁との関係でございますけれども、このWHO専門家会合の結果を踏まえまして見直しを行うこととしておりまして、これは環境庁と合同で行うということにしておりまして、去る一月二十八日に両省の連合の専門家会合を開いたところでございます。この専門家会合の御議論を通じましてTDIの設定の御結論を得たいというふうに考えております。
  8. 福島啓史郎

    福島政府委員 先生の御質問にございました量販店等への要請でございますが、農林水産省といたしましては、報道のあった直後から、さらに二月九日のJA所沢市の調査結果の公表を受けまして、安全性に特段の問題があるものではないと考えているとの当省の見解を付しまして、量販店あるいは卸売関係等業界団体に冷静な対応をお願いしているところでございます。  こうした動きを受けまして、所沢野菜の取り扱いを再開した量販店もあり、また卸売市場におきます価格も徐々に回復してきております。
  9. 増田敏男

    増田委員 与えられた時間が少ないので細かくはできませんけれども、お願いをしておきます。  現在、まだ不安です。そして、この不安が静まるのには時間がかかります。というのは、安全宣言安全基準、ぴたっとだれにでもわかるのはありません。先ほどお答えがありました耐容一日摂取量についても、こう言うと変ですがWHOのまで説明がございましたけれども、体重一キロ当たりの量であらわす、こういうことですから、一々細かく計算をし、同時にまた、含まれているものをいろいろ食べたのを細かく計算し、その都度ごとにこうだああだとやっていかなければ出てこない。だから、なかなか一刀両断にこうだという、そういうような安全宣言みたいなものが出せない。  だけれども、できるならば、現在これなら大丈夫だとかどうだとかというのは、ぜひ情報としてどんどん流してもらいたい。そして、自治体がありますから、自治体と連携をとって、ああこれは大丈夫だなといったら安全宣言に似たようなそういう形がとれないか。カイワレ大根を思い出し、今そんなことに気づいたんですけれども、ちょっとこれはお願いしておきます。  時間がありませんので、次に入りたいと思いますが、まだ続きますので、頑張ってください。  それから、先日の所信表明において、大臣は、我が国農業農村の持続的な発展を目指して新たな基本法案を本国会に提出するなど、農政抜本的改革に向けた確固たる決意を示されました。  そこでまず、農政改革関連し何点かお伺いをしたいと思います。いろいろ私の意見を申し上げてもいいんですが、時間がありませんので単刀直入に聞きます。  大臣所信表明において、食糧自給率目標を策定することとし、必要な作業を進めると明言をしておられます。そこで、食糧自給率目標をどういう形でいつごろまでに明らかにされるお考えなのか。また、品目別自給率目標をつくるお考えがあるのかどうか。これは大変重要な問題でありますので、まずお伺いしたいと思います。
  10. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、結論的に申し上げますならば、自給率というものを策定していくという方向で現在作業を進めております。  具体的には、まず新しい食料農業農村基本法の中に基本的な考えを打ち出しまして、それに基づきまして基本計画というものをつくります。その基本計画の中で数値目標を明らかにしていきたいと思います。  その場合に、何の前提もなしに何%ということではなくて、実現可能なものについて品目ごとに、また生産者消費者理解のいただける範囲内で、品質、コスト面における課題も明確化した上で、到達可能な自給率を明らかにしていきたいと考えております。  具体的には、基本法との関連がございますので、十一年度中に策定したいと考えております。
  11. 増田敏男

    増田委員 それではまた、それが発表になったらいろいろとお聞かせをいただきたいと思います。  次に移りますが、農業担い手確保育成についてであります。我が国農業構造は、戦後の農業を担ってきた昭和一けた世代、私ももちろんそうなんですが、これがもうリタイアを迎える時期に参りました。近年、農地耕作放棄、減少の傾向を農業担い手確保育成によって食いとめることがまさに焦眉の急だ、こういうふうに思っております。  私のところにある資料によれば、大体農業耕作者平均年齢が六十五歳だ、一口にこう言われています。だから、あと五年たったらみんな七十になっちゃうな。そうすると、昭和三十六年に農業基本法ができて、今三十八年たって改正になる。そうすると、今度のこのことは二十一世紀を展望した大変な大改正だ。  そこで、幾つお尋ねをしたいと思うのですけれども、まず、農業生産法人の一形態として、株式会社導入については実はさまざまな懸念があります。したがって、これを払拭する措置具体化に取り組んでもらいたい。もちろんこれが反対というのじゃないのです。そこで、農外者法人が支配されないようにするための措置、あるいは農地法上の許可時における厳正な審査、あるいは地域社会と調和した農業生産農業経営確保、あるいは農業生産法人がその要件を欠いた場合の対策の強化及び体制の整備等についてどう考えているかとお尋ねしたいのですが、細かく答えが出ると時間がありませんから、そういうような懸念を持っております。  そこで、株式会社形態導入をいつごろまでにどのような形で具体化していくお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  12. 中川昭一

    中川国務大臣 あくまでも日本農業というのは土地に密着した形での経営というものが基本でございますが、その経営形態の中で法人形態というもののメリットというものもあるわけでございます。しかし、今先生指摘のようなデメリット、あるいは農業者の方が大変御心配されているような幾つかのことについてもあるわけでございます。  先生指摘のとおりでございますから繰り返しませんが、そういう法人化によるデメリットというものを何としても生じさせないという観点から、一般的に株式会社一般は認めない、そして、一定の条件のもとで、限られた形での株式会社に対して認めていきたいということで考えておりまして、現在、そういうそれぞれの立場の方々の御議論もお聞きしながら、専門家による農業生産法人制度検討会を設け、夏ごろまでに結論を出したいと考えております。
  13. 増田敏男

    増田委員 慎重に、大胆に進めてください。  それでは、次に入りますが、一括してお尋ねをします。  まず、今担い手問題の株式会社関係お尋ねしたのですが、今度は所得確保関係。  農業所得確保対策充実についてでありますが、農業担い手確保するためには、農業経営によって十分な所得確保され、かつその安定が図られるようにしていくことが大前提の課題であると思います、所得がなかったらだめですよ。とはいえ、国が農産物価格支持を行うことになり、農家所得確保するというやり方で、これだけでは需要に見合わない農作物の生産により需給バランスが崩れたり、内外価格差を大きくし、結局、価格の安い外国農産物市場を奪われるといったようなことになるかと思います。  したがって、農業生産基本は、生産者消費者実需者が求めているものを市場の動向から見きわめ、その需要に即した生産を行っていくということであり、そういう意味では市場原理を重視する必要があります。こうした生産方向を徹底していくことが国産農産物需要確保し、ひいては国内農産物生産維持拡大を図る道であると思います。しかし、自然を相手に行う農業生産については、市場原理、これだけにゆだねるわけにもいきません。需給作況変動等により作物価格の大幅な低落があった場合には、農業主業とする意欲ある経営者経営が成り立つようにしなければとても農業はもたない、このように思いますし、担い手確保経営の継続はおぼつかないと思います。  そこで、お伺いをいたしますが、価格低落時における意欲ある担い手経営への影響を緩和するための所得確保対策導入に向けた取り組みを進めると述べられておりますが、中山間地の問題ではありません、具体的にはどのような方法担い手経営の安定を図るお考えなのかお尋ねをいたします。  続いて、次も言ってしまいます。  多面的な機能関係なんですが、農業の有する多面的な機能について伺いたいと思います。  農業農村は、国民に対する食糧の安定供給はもちろんのこと、国土、環境の保全、水資源の涵養等、美しい景観の形成、さらには生物の多様化の保全等、実に多面にわたる役割を有しております。こうした多様な機能を有する農業農村国民共通の財産であるとの国民合意を得ることこそ二十一世紀の農業農村を確かなものとし、ひいては真に豊かな日本を切り開く出発点である、このように考えております。  そこで、農林水産省が環境保全型農業に積極的に取り組み始めていることは大変よいことだと考えております。今後は、こうした生産面の取り組みだけではなく、農業水路、農道の整備、圃場整備など土地改良事業の事業実施面でも自然と調和した事業展開が図られるように、そして生物の多様性の確保をすることが重要であると考えておりますが、いかがでしょうか。
  14. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、今回の新しい基本法の根本理念の中には、国内生産基本としてということ、それから、先ほど申し上げましたように、そのために生産者消費者共通認識のもとで自給率を上げていくということがあるわけであります。  一方、今先生指摘のような不測の事態、特に暴落に対する対策というものにつきまして、我々としてもきちっとした対策をとっていかなければならないと考えております。  米麦につきましては、既に新しい政策大綱が打ち出され、また牛乳、乳製品につきましても、ことし春の乳価決定までに新たな酪農・乳業対策を策定していきたいと考えております。また、大豆についても、価格安定のためのいろいろな振興策を現在検討しておるところでありまして、主要作物を中心に日本の農作物が安定的に国民に供給できるべく最大限の努力を図っていきたいと思っております。  また、農村環境整備事業につきましては、もう先生指摘のとおりでございまして、単に生産機能だけではなくて、国土の多面的機能あるいはまた自然環境、さらには教育的側面、文化あるいは伝統の位置づけ、そういうものも含めた田園空間、農村空間というものの維持発展に向けて全力を尽くして頑張っていきたいと考えております。
  15. 増田敏男

    増田委員 時間が来てしまったようですが、ここで考え方を述べ、改めて一生懸命やってもらいたいなと期待を申し上げたいと思います。  それは、もうすぐ二十一世紀です。だから、国民皆さんにとれば、二十一世紀のグランドデザインが各省庁全部前へ出て、なるほど二十一世紀はこうなるんだという姿が見えれば、励みも希望も夢もそこに生まれると思います。特に、農政の場合には、毎年九千万を超える人口が世界ではふえていく、一口にこう言われております。したがって、それらを考え合わせると、十年後は、今の状態でいったら食糧はどうなるんだろう、三割を割った穀物自給率はどうなるんだろう、あるいはエネルギーで計算しても、五割を割っている我が国のエネルギーの摂取量を考えたら、自給率はどうなるんだろう、当然、国民皆さん考えられると思います。  そこで、それらを踏まえながら、今まさに大転換の時期ですから、ぜひ頑張ってもらいたい。そして、大きな変化が、国にも地方にもこれから影響が出てきます。特に、やがて四月に入ると、分権がどういう姿で進み、農政とどういう関係になっていくのかわかりませんが、国にある二十二省庁の中の千七百の法律の中で、四百から四百五十の法律が改正になって、それがこの四月に国会に提案される、そしてこれが分権だ、来年の四月には実施になる、こういうことであります。そうなったときに、国と地方のかかわり合い、そして農業の将来あるいは今までの流れ、これらを考えたときには心新たな取り組みを、このように申し上げたいと思います。頑張ってください。  質問を終わります。ありがとうございました。
  16. 穂積良行

    穂積委員長 次に、鉢呂吉雄君。
  17. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きょうは中川農水大臣所信表明に対する質問ということで、まず、私も同じ北海道として、中川農林水産大臣、私よりお若い青年大臣としてこの今の農政の大転換の時期に中川大臣の指導力を発揮して、将来にわたって日本農業がきちんと永続できる、その視点で頑張っていただきたい、そのように思っております。  そこで、質問をさせていただきます。まず所沢ダイオキシン事件の問題でありますけれども、あのようなテレビ報道テレビ局も不適切さを認め、あるいはまた、JA所沢農協さんの調査結果も公表されたんですけれども、いまだ大手スーパー等は所沢産のホウレンソウ等野菜を扱わないということで、行政調査結果を待ってみよう、あるいはまた所沢データは二年前ということで古いとか、あるいは社会的に販売再開を促すコンセンサスができておらないということで、先ほど局長が言われたのとは違って、まだ相当消費者の不安感はあると思っております。  質問が重ならないために、増田委員質問されました、できるだけ農水省の作物調査の結果を、年度末と言わずにわかった時点で公表していただきたい、あるいはまたテレビ朝日に対しては、農水大臣御自身があの調査の内容についてもっと事細かに公表するようにみずから申し入れもしていただきたい、私はそういうふうに思っております。  そこで問題は、このダイオキシン対策行政、政府としても極めて対応がおくれてきておったということに大きな原因がある。一番大きな原因は、作物ごとのダイオキシン安全基準というものの設定がいまだなされておらないということでありまして、今回も、政府の基準が出ても、逆に混乱に拍車をかけるというような事態もおそれなしとは言えない状態であるというふうに私は思います。  そういう意味で、まずこの埼玉県の検査結果、調査結果が出ると同時に、政府としての作物ごとのダイオキシン基準というものが示される必要があると思いますけれども、大臣、そのことについてどうお考えか、お答えを願いたいと思います。
  18. 中川昭一

    中川国務大臣 先ほどの答弁は繰り返しませんが、きのうから農林、厚生、環境で現地に入りまして、実態調査をやる。先生指摘のとおり、今国としてのきちっとした基準がないわけでございますが、先ほど厚生省答弁の中でも、一応の安全の目安というものはあるわけでございますが、とりあえず実態調査をやって、できるだけ早くやる。ただし、これは先ほどちょっと農林の局長が言いかけましたけれども、一ピコグラム、一兆分の一という、千メートル掛ける千メートルで深さ一メートルの水を張ったところに一ccを垂らしたぐらいが一ピコグラムでありますから、これを分析するということは、実は大変専門家皆さんも時間のかかる作業だというふうに伺っております。  そういう現実はございますけれども、できるだけ早く実態を把握し、そして公表し、生産者はもとより、流通、消費者皆さんに、私は所沢ホウレンソウは安全だと当初から信じて実は毎日いただいておるわけでございますけれども、国民皆さんにも本当に数字でもって安心感を、直近のデータ公表することが必要だろうと思っております。  ただ、その先、厚生省として食品安全の観点からどういうふうにするかについては厚生省の方から答弁をさせたいと思います。(鉢呂委員「いや、それは要りません」と呼ぶ)
  19. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、食品としての安全基準ではなくて、いわゆる作物出荷段階の基準というものがなければ、農家みずからが出荷していいのかどうかわからない。そこをきちんとしなければ、今大臣は毎日食べていますというふうに言われました。この要請に対して自衛隊に食べていただくとかいう話も聞きます。しかし防衛庁長官は、そういうものではない、やはり安全基準がきちっと定まって、それに基づいてそれ以下であるということが示されるのであればと。これは、大手量販店はそういうふうに言っている嫌いは極めて大きいわけでありますから、いわゆる作物出荷の段階の基準というものを定めなければ大混乱を起こすおそれがある。  仮に大臣、例えば今言われておるような形でぎりぎりの線が出たということになりますと、私は逆に、所沢農協が基準がない段階でこれを公表するのを差し控えてきたというのは、ある面では私はわかるわけであります。  そういう点で、出荷の段階の農作物ごとの基準というものを設定するお考えがあるかどうか、そこのところははっきりしておらないというふうに思います。
  20. 中川昭一

    中川国務大臣 専門的なというか細かい話になってまいりましたので、ぜひ厚生省、農水省の答弁をお聞きいただきたいと思いますが、今調査をしているのはあくまでもホウレンソウを中心とした埼玉県の複数市町の実態でございます。作目の出荷までの段階での、例えばある野菜に対して現時点でどのぐらいのダイオキシンがくっついているのかということについて今農林省としては調査をしているわけでございまして、それは現時点での基準の範囲内であろうと私は思いますけれども、予測についてはその結果を見て判断するということにとどめさせていただきます。  作目ごとにというよりも、その野菜に、あるいはその辺の農作物にどのぐらいのダイオキシンなるものがついているかどうかまでの調査、そして、それを例えば水洗いをして出荷する場合等々についての実態調査が我々の判断でありまして、それが、安全基準そのものが先生指摘のようにまだ統一的なものがあるようなないようなという現実でございますので、それについては厚生省基準というものに今後ゆだねていくべきであろう、今後とあえて申し上げましたのは、現時点では私は安全だというふうに判断をしているわけでありますけれども、今後の実態調査、そしてまた、それに基づく安全基準の作成については私は厚生省の御判断に任せたいと思います。
  21. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いや、事務当局はよろしいです。  いずれにしてもこの種の問題は、基準がきちんとしておらなければ混乱に拍車をかける懸念もあるわけです。これはもう大臣もおわかりだと思います。  基準を設定することについて、これまでのダイオキシン類総合対策厚生省でも環境庁でもありますけれども、必ずしも農水省もこの問題に対して、これまで、この問題が出るまでは総合的な取り組みをしてきたというふうには思えません。あるいは厚生省環境庁もタイムスケジュールをつくっていますけれども、五カ年計画というような形で二〇〇〇年ぐらいにさまざまな調査、汚染状況調査ですとか、そういうものも基準も含めて確たるものにしていくということで、ある面では行政の取り組みは必ずしも十分でなかった嫌いがありますから。  いずれにしても、農水省としても作物の出荷段階の基準というものを明確にする努力をしなければならない、このことはもう当然だと思います。ただ単に実態公表すればそれでよし、安全宣言を出すということにむしろならない場合も出てくるのではないか、私はそういうふうに思います。したがって、例えばテレビ朝日についても、どういう調査をしたのか、葉っぱというような言い方をしておりますけれども、何を調査したのか、そういうものを出していただくということは私は必要だというふうに思っています。  それから、O157の問題もありますけれども、風評被害における三億円を超える被害があったというようなことでございますから、中川農水大臣としても先ほどの御答弁がありましたから答弁を求めませんけれども、やはりこの種の被害というのはかなり大きなものになってくる。これは、根元はそういう形で危険性もある場合もあるんですけれども、それがホウレンソウだけでなくて野菜全般にも影響を与えるということに対する救済措置というようなものを私は考える時期に来ておるのではないかと思います。  いわゆる収入保険制度というようなものもありますけれども、自然災害以外で価格が急激に低下した場合の救済措置というものを総合的に検討する段階に来ておるのではないか。もちろん被害原因当事者がいるのであればそこに求めていくというのは当然でありますけれども、それだけではならない広範囲の影響を与える場合がありますから、この点について大臣、どのようにお考えか、そこのところを聞いておきます。
  22. 福島啓史郎

    福島政府委員 お答えいたします。  価格の低下あるいは量販店等の取り扱いの停止、そういうことにつきましては、事実関係関係者に通知いたしまして冷静な対応量販店なりあるいは卸売関係者に要請しているわけでございます。  こうした動きを受けまして所沢野菜の取り扱いを再開した量販店もあるわけでございまして、卸売市場における価格も、もちろん報道前の二月一日の水準には戻っていませんけれども、徐々に回復はしてきているということをまず前提といたしまして、農家に対する支援策といたしましては、ハウス等の被覆施設の設置を行う場合、あるいは農林漁業金融公庫なり農業近代化資金を活用しまして長期、低利で資金を借り入れることが可能であるわけでございます。また、既借入制度資金の償還が困難になった場合には、個別の経営状況に応じまして償還期限の延長などを行うことができるようになっておりますので、関係金融機関への要請など適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  23. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 続きまして、北海道の国有林野の森林盗伐の問題について御質問いたします。  二月の十三日、北海道の阿寒町の国有林野を盗伐したということで、帯広市の製材会社やまりんという会社の職員二人が、森林法違反、森林を窃盗したという容疑で起訴をされております。既に警察の調べが終わって、起訴された段階になっております。一昨年十一月十九日から一カ月間、トドマツなど三百二十四本、三百二十五万円相当を盗伐した、あるいはまた、さらに二月の十五日に、被疑者二人が白糠町で一千本、約七百万円相当の盗伐をしたという疑いで再逮捕されたという報道がされておりますけれども、農水大臣はこの事態をどのように受けとめているか、まずそこからお聞きいたしたいと思います。
  24. 中川昭一

    中川国務大臣 帯広営林支局の阿寒営林署並びに白糠営林署管内におきまして森林、国有林の窃盗事件が発生したということは、私の地元でもございますし、大変残念なことでございます。  農林省といたしましては、この事件を契機にいたしまして、国有林における販売業務の見直しあるいは早期の適正化等を含めて、二度とこういう事件が発生しないよう、農林省の事務次官を長といたします国有林販売業務適正化検討委員会というものを設置し、そしてまた業務運営の適正化あるいは再発防止のために万全を期していきたいというふうに考えております。極めて遺憾な事件だと考えております。
  25. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 さらに、一昨日、この事件と関連して林野庁の営林署の職員が公記号不正使用の疑い、これは販売をした木を一つ一つ極印するための作業があるんですけれども、この器具をこの業者に自由に使わせるような形にしたということで逮捕されておるわけでありますけれども、このような事実があるのかどうか、これについても大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お考えをお聞きいたしたいと思います。
  26. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、白糠営林署の森林官と前白糠営林署の森林官の二名が公記号の不正使用の容疑によりまして二月十五日に逮捕されました。私どもとしてはこれはまことに遺憾であると考えておりまして、事実関係の確定を待って、国家公務員法に基づき、大臣の御指示をいただきながら厳正に対処してまいりたいと考えております。
  27. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣のお考えは後で聞きますけれども、それと関連して、このやまりんという製材会社、新聞報道によると毎回の国有林野の販売に関してこのような盗伐を繰り返しておったのではないかというふうな報道もあるわけでありまして、極めて貴重な国の財産であります森林、立木を盗伐されるということは、極めて遺憾なことであるというふうに思います。  同時に、これは、鈴木前北海道開発庁長官がこのやまりんから大臣就任の祝賀会というようなものを催してもらう、あるいは多額の政治献金を受けておる、また、それに林野庁の当時の最高幹部の長官が同席をするというようなことが報じられておるわけでありますけれども、この点についても大臣はどのようにお考えになるのか、お答えを願いたいと思います。
  28. 中川昭一

    中川国務大臣 農林水産省といたしましては、農林関係業者との会食規制、会食をしてはならないという農林省職員倫理規程というものがございまして、これに違反をしているということで、去る一月十八日付で職員倫理規程に基づく措置をとったところであります。具体的には、当時の業務部長であった者及び帯広営林支局長について訓告処分を行ったところであります。
  29. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 中川大臣の政治資金管理団体、昭友会というのはありますか。
  30. 中川昭一

    中川国務大臣 あります。
  31. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私どもの調べでは、昭友会について、平成七年度から平成九年度まで三カ年間、この事件を起こしたやまりんから毎年四十八万の政治献金がある。このことについては掌握をしていらっしゃいますか。
  32. 中川昭一

    中川国務大臣 掌握しております。
  33. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私どもは、こういう国の財産を不当に盗伐するというような企業の献金を受けるということはあってはならない行為だというふうに思いますけれども、大臣としてこの点についてどのようなお考えをし、また対応をしたのかどうか、お考えをお聞きいたしたいと思います。
  34. 中川昭一

    中川国務大臣 先生御承知のとおり、私の地元の十勝というのは大変木材資源の多いところでございます。したがいまして、木材関係のお仕事をされているところも多くて、また私の支援者も木材関係の方が何人かいらっしゃるわけであります。そのやまりんの社長さんから政治資金規正法の範囲内において政治資金をいただいておるということが、九年、あの事件の発覚以前ということでいただいており、また、それを届けておったことは事実でございます。  今後こういう、現在裁判中といいましょうか、刑事事件で係争中の会社からの政治資金については、これは今後一切受け取らないということが政治家としての倫理に基づくものではないかというふうに考えております。
  35. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もちろん、その当時はこういう形で明らかになっておらなかったわけであります。しかし、今起訴された段階でありますから、やはり過去のものにもさかのぼって、大臣としてきちんとした対応をすることが必要だというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  36. 中川昭一

    中川国務大臣 そのことも含めまして、きょう突然の御質問でございましたので、ありのまま、正直に申し上げているつもりでありますが、そのことも含めて、今後のことについて、自分の現在の立場も含めて、慎重にじっくり考え対応策をとっていきたいと考えております。
  37. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 国有林野については、昨年、国有林野改革二法ということで、大変な人員、組織を簡素化しながら、長期累積債務をいかに返済しながら対応していくかということで、特別委員会でも、この国有林野を、きちっと資産を守りながら、しかし同時に、売るべきものは売りながら公益的な機能というものを十分にと言われておるわけであります。  しかし、こういう事件が起きることは、広大な国有林野の資産を管理するには、やはり当時、人員の一万五千人を約三分の一にするということに対する危惧の念も各委員皆さんからもあったわけでありまして、やはり相当の、資産管理あるいは収穫、販売業務についてもこれまで以上に目が行き届かないというか、今回は売る側にも意図的なものがあったということで、これは言語道断の話でありますけれども、こういうふうに、買う側にこういう形で意図的になされた場合には、なかなかそれがきちんとしたものになっていかないというおそれを感じたわけであります。  その辺も含めて、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  38. 中川昭一

    中川国務大臣 国有林の盗伐事件、そしてまた、先ほど先生指摘がありましたように、公記号、いわゆる極印の不正使用が発覚して、二人の職員が逮捕されたということでございます。まことに遺憾なことだと重ねて申し上げます。  農林水産省の中に、国有林販売業務適正化検討委員会というものを設置し、早急かつ、事件がまだ検察での取り調べ段階のものもございますので、最終的な結論というよりも、中間段階でまず何ができるかということで、本日、再発防止のための緊急措置として、林野庁長官名におきまして、綱紀粛正の徹底を図った文書を全国の林野庁職員に出しておるところでございますが、今後の捜査状況を見守りながら、第二弾、第三弾という形で、より国民信頼が回復できるような林野行政、あるいはまた我々の全体の仕事を図っていけるように、できるだけの省内での真相解明、あるいはまたそれに対する対応について考えていきたいと思っております。
  39. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 国有林野を守る最前線の組織については、営林署から森林管理署に移行するということで、これについても相当の組織の簡素化をするという形でございました。  とりわけ、国民と一体となる国有林野ということで、地元の御意見も聞き、また説明もしてという形で、一月一日発足が三月一日発足ということで、繰り延べて今対応しておるというふうに思いますけれども、その後の経過、この事件に見られるように、極めて広大な国有林野の資産を管理する、それに万全を期すためには、林野庁が設定をした森林管理署所在地以外の組織的な、あるいは機能的な維持を図るということも私は必要になってくるのではないかというふうに考えております。  また、とりわけ北海道あたりは、ぜひ何らかの形で維持をしていただきたい、恒久的な組織を存続していただきたいという声も大臣の方にも届いておると思いますけれども、その声は現在も続いておるというふうに承知をしておりますので、そのことについて、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  40. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 先生指摘のとおり、森林管理署の発足を一月一日から三月一日に延期いたしまして、関係の市町村等への御説明に努力させていただいているところでございまして、具体的には、関係市町村に出向いて説明したところが平均三回ございます。また、おいでいただいた場合等々を含めますと、平均一市町村あたり五回の話し合いを重ねさせていただいております。多くの市町村につきましては、今回の再編、これで御納得をいただいております。  しかしながら、先生指摘のとおり、今回の再編はやむを得ないとしても、暫定的に置く事務所、これは平成十五年までに逐次廃止していくわけでございますが、この暫定的に置く事務所の廃止後に何らかの組織を残してほしいとか、事務所を恒久的に残してほしいというような御要望のあるところもございます。私ども、地元のために国有林の適正な管理運営をするということは大変重要であると考えておりまして、地元との円滑な連絡調整を確保し、適切な業務運営を進める観点から、森林管理署等に配置されております中心的な森林事務所の機能強化を検討しているところでございまして、これらの措置等を通じまして、関係市町村のより一層の御理解が得られるようにさらに努力し、また国有林の適正な、地元の役に立つ管理運営に努力してまいりたいと考えております。
  41. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 昨年の法案の審議でも、一兆円を特別会計に残して、これを五十年で返していくという林野庁の計画案に対して、私どもとして、その実現性に危惧があるのではないかということを強く申し上げた経過がございます。  平成十年度国有林野の収支、私の聞いておるところでは、歳入といいますか収入は、二〇%以上落ち込むのではないかというふうに言われておりまして、この基本計画初年度目、平成十年度でこれぐらい食い違いが出てくるような実態であるというふうに聞いておりますけれども、その経緯、あるいはまた、これらすべて収支が赤になったときに、果たしてこれを補てんする道があるのかどうか。あるいはまた、五十年で本当に一兆円を返していけるのかどうか。  私は、早晩、一兆円の累積債務を含めて、この基本計画を見直しする必要があるのではないかというふうに思っておりまして、大臣基本的なお考えをお聞きいたしたいと思っております。
  42. 中川昭一

    中川国務大臣 この問題は、去年の夏以降、特別委員会先生とも何度もやりとりをさせていただきました。  現時点では若干収支が悪いという状況でございますが、これは、スタートしたばかりということ、それから去年も申し上げましたが、こういう経済状況ということ、あるいはまた、金利状況もプラス、マイナス両面に働いてくるわけでございまして、最近の住宅着工件数の増加等によりまして木材価格も上昇しているとか、あるいはまた土地等の売り払いが年度末に集中するとか、そういうこともございますので、十年度末とか十一年度末時点での御判断として、御指摘に対してきちっとしたお答えをしなければいけないと思いますけれども、現平成十年度の途中、といっても大分差し迫ってはきておりますけれども、途中時点でははっきりといいとか悪いとかということではない。あくまでも五十年間かけて業務をしながら一兆円の債務もお返しをしていくというスタートをしたところでございますので、この方向で推し進めていきたい。  計画が最初から倒れたんじゃないかというような考え方は、現時点では毛頭持っておりません。
  43. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今大臣は、若干の落ち込みというような言い方、表現だったと思います。私は二〇%ぐらい落ち込むというふうに聞いていますけれども、林野庁長官どうですか。
  44. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、まだ年度途中でございまして、景気対策の中で特に住宅の着工促進対策が講じられた結果、最近では丸太の価格も、平成十年度の予算単価、私どもこれで収支計画を策定いたしておりますけれども、立米三万六千円、この水準にまで最近の価格は戻しております。また、土地売りにつきましても、年度末に集中いたします。  こういった収入確保の努力、また支出経費の節減、効率的な業務運営について最大限の自助努力を行い、平成十年度についても年度末、そういったことでぎりぎりまで収支改善努力を行ってまいりたいと考えております。
  45. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 長官は質問に答えてないんですけれども、もっと経営感覚と言ったらおかしいですけれども、もう二月のこの時点ですから。そういった途中経過だということで全く中身を言わない。そういうふうに長官が言えば、本当に経営感覚があるのかねと。二〇%も落ち込む状況について、本当にどういう対応をしていくかということに疑問を呈さざるを得ないような答弁だと思います。  いずれにしても、三月末で、若干であれば幸いでありますけれども、この時点でそういう段階ではないと私は思いますから、しっかり中長期見通しも立ててやっていただきたいというふうに思います。  次に移りますけれども、新基本法が国会に提出される直前を迎えておりまして、私は、政府提出される前に重要な課題三、四点について大臣の所信をお伺いいたしたいと思っております。  調査会の最終答申、あるいはまた農水省の農政改革大綱、そしてまたこの法の骨子については若干我々にも知らされておるんですけれども、その中で四つほど重要な課題があるというふうに思っています。  一つは、調査会でも、いわゆる農産物の貿易ルールについて全く言及はしておりません。もちろん、日本の食糧を安定して供給するためには輸入を安定したものにしなければならないという観点はありますけれども、日本農業生産との関係で貿易ルールについての言及は避けておると言っても言い過ぎではないような嫌いがあります。  これは、農政改革大綱にも同じような形で出されてきておるわけであります。もちろん、国内農業生産基本としていくという考えは述べられておりますけれども、同時にそれは、自給率との関係もありますけれども、海外の輸入農産物がどういった形になるのか、あるいはどういった貿易ルールになっていくのかというものと無縁でない。  むしろ、この十年間の自給率の低下、農水省は必ず、現農業基本法がつくられた昭和三十六年に七十数%あったものが今四一%になった、その大きな原因は食生活の変化だということで説明をしてきておるんですけれども、この十年間、私どもが議員になったときは四八%程度あったんです。それが確実に一%ずつ低下をして今四一%というような数字になっておるわけでありまして、その大きな原因は、大臣にも確認をしていただきたいんですけれども、私はやはり、さまざまな農産物が自由化の方向で、海外の農産物日本の消費市場の大きなシェアを占めるに至った、このことと無縁でないというふうに思っています。  したがって、新しい基本法には、この国際貿易ルールに対する日本政府の考え方あるいは国境措置についての考え方の言及がなければならないというふうに思っていますし、現基本法が第十三条でそのことを明記しておるだけに、この点についての大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  46. 高木賢

    ○高木政府委員 現在の基本法におきましては、ただいま先生指摘がありましたように、国の農産物輸入に関する施策の方針といたしまして、三点が規定されております。  一つは、まず生産性……(鉢呂委員「それはいいです」と呼ぶ)三つ目の、事態の克服が困難または緊急の場合には、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるということが規定してあるわけでございます。  その他の部分は、新しい基本法の検討におきましては、生産性の向上という点は、基本理念の食糧の安定供給の確保という方で位置づけられるのではないか。また価格安定対策につきましては、価格政策の見直しとの関係で調整が必要であるというふうに思っておりますけれども、農産物の国境調整措置考え方自体につきましては、おおむね現行基本法と同様の考え方をとるという方向で検討いたしたいと考えております。
  47. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これは大臣、現基本法の国境措置の条文は、新しい法の中でも生かされるというふうに理解をしていいんですか。
  48. 中川昭一

    中川国務大臣 今まだ条文そのものはできておりませんけれども、先生指摘の骨子の段階でありますが、基本的には現行基本法と同じような国境措置ということで進めていきたい、また、その前提で御審議いただきたいというふうに御理解いただきたいと思います。
  49. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私はそのことを高く評価をいたしたいと思っています。これまでその論議が一切なかっただけに、私は常々農水省の皆さんにはそのことを言ってきたわけでありますけれども、きょう示された農水省の骨子の中にも、農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物生産に重大な支障を与えるおそれがある場合で緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限等を実施するというような書きぶりになっておるわけでありまして、私はこれを評価したいと思っております。  ただ問題は、現在は次期WTOの交渉を控えて、日本立場を極めて鮮明にしなければならないということも私はあろうと思っております。そういう意味では、農産物の国際貿易の基本的な考え方というものについても基本法の中に条文化すべきでないかというふうに考えておるわけでありまして、各国の食糧の安全保障あるいは国土・環境保全、景観形成、保健休養や教育、文化、地域経済社会の維持といった多面的、公益的な機能農業は有するということで、国際貿易においてそれらの多面的、公益的機能をきちんと各国が認め合って、食糧の自給権というものを認めながら持続的農業生産を相互に尊重する新たな農産物貿易ルールの確立と、農産物貿易における国境措置を堅持するものとするというような文言を入れることが必要ではないかというふうに私は思いますけれども、大臣に初めてお話ししましたから、大臣のこれに対する見解をお伺いいたしたいと思います。
  50. 中川昭一

    中川国務大臣 具体的な文言につきましては、先生の今の御指摘も検討させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、WTO次期交渉というものも来年からあるわけでございまして、そういう中で、日本の置かれている立場一つの大きなポイントとして、輸出国と輸入国とのバランスという問題も前から申し上げているところであります。  そういう観点からも、具体的な文言につきまして今お答えすることはできませんけれども、先ほど申し上げたように、現行の国境措置基本として、その趣旨を踏まえて新基本法をつくっていきたいというふうに考えております。
  51. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今回、政府は米の関税化に踏み切るということで、その関係法案を提出することになっております。当面は、他の農産物と同じように、二次税率というものが国境措置的な役割を果たすということは事実だというふうに思っています。  ただ問題は、中長期的に見て、この関税を定率化するというWTOの流れは、いまだ大きいものがあるというふうに考えますから、私は、他の農産物のように、まあ極端な話、木材や水産物のようにほとんど、関税が少ないにもかかわらず、さらに各国の圧力が強いという形で、七〇%強の外国産に押しつぶされておるというのが現況だと思いますし、そういうものとして米もなってしまうのではないかというおそれを極めて強く抱くわけであります。  この点について、大臣は、次のラウンドで、いわゆる関税相当量、二次税率を堅持していくという決意かどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  52. 中川昭一

    中川国務大臣 四月からの関税化に当たっての二次税率、キロ当たり三百五十一円については、これはあくまでも現行協定に基づく極めて透明性のある基準だというふうに我々は思っておるわけでございますが、次期交渉においてどうなるかということについては、交渉事ではございますけれども、率直に申し上げて、何も日本の米の関税相当量だけが突出して高いわけでは決してない、アメリカでもスイスでも、ほかの国々で、これは従価税ですけれども、何百%というような農産物もあるわけでございますから、その中で米だけを高過ぎるといって下げるという理屈は、私は、国際的にも我々の主張というものは十分理解していただけると思います。  そういう意味で、関税化に踏み切った選択というものは、我々はベターな選択だというふうに考えておりまして、それを踏まえて、次期交渉においてもきちっと日本立場が守れるような貿易ルール、そしてまた、それに基づく米を初めとする日本農産物の関税というものを決めていきたいというふうに考えております。
  53. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に移ります。  食糧自給率目標設定の問題でありますけれども、農政改革大綱でも、関係者の努力喚起と政策推進の指針として食糧自給率目標を策定するという形になっておるわけであります。自給率の具体的な内容等については基本計画に明記をして、計画の見直しをおおむね五年ごとに行うという考え方であります。  現行でも、生産の長期見通しの条文がありまして、それに基づいて施策を講ずるという条文になっておるわけであります。もちろん、生産の長期見通しでありますから、自給率の設定あるいは施策の遂行という観点に比べれば、もっと明瞭になったことは事実でありますけれども、しかし、おおむねこの計画の策定ということだけでは、達成をしていくことについて必ずしも強い表現でないというふうに私は考えています。  この四一%というものが、先ほども言いましたように急速に下がってきておる。また、それに歯どめをかけて上昇に向けるということの困難性というものも私はわかるわけでありまして、そうであればこそ、確実にその目標を達成するということについて、この法律条文に何らかの形で明記をすべきでないか。例えば、目標達成のための政策、予算等を集中して、絶えず検証、見直しをして、その目標を達成させるものとするといったような条文化が私は必要でないかというふうに思います。  大臣政治家として、これまでもいろいろな計画がございました、あるいは自給率の下がっておる現状、これはもう、この十年間、自給率に何とか歯どめをかけなければならないというのは、私ども関係議員の常に言ってきたことでありまして、目標を設定してその目標に到達させていくということについて、大臣として、今この法案を提出する責任者として、本当に達成させる条文化についてどのように考えているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  54. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、今回の、食料品目ごと自給率を設定するということにつきましては、先ほど別の先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども、実現可能な数字を設定していかなければいけない。つまり、生産者消費者、共通に理解し得るもの、実現可能なもの、そしてそのために課題があるとすれば、それは取り除くことのできる課題であって、その課題を取り除くことによって、例えば麦なら麦、あるいは大豆なら大豆について、一体どのぐらいの自給率になっていくのだろうか、またそうしていかなければならないという意味で、単なる努力目標というよりも、かなり現実性が伴うということが要求された目標を設定していかなければならないわけであります。  そういう意味で、先ほど申し上げましたように、この品目ごと目標につきましては、ことしの夏ぐらいをめどに検討会の中で議論を尽くしていきたいと思っておりますが、そのことはあくまでも法律に基づく具体的な政策目標であり、それはもちろん、さっき言ったように単なる努力目標ではなくて、国民理解のもとでの、また国会での御議論も踏まえた上での目標ではありますけれども、あえて形式的に申し上げますならば、政策目標でありますので、それを法律の中に書き込むということは、逆に申し上げますとかなり固定的になってしまうわけでありまして、逆に、自給率そのものが自然条件あるいは国際的な貿易条件で上がったり下がったりすることも、実は不測の事態もあるわけでございますので、そこはひとつ基本法の中できっちりと位置づけた基本計画の中で、行政的な施行の一手段として目標設定を位置づけたいというふうに考えております。
  55. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 目標率の明示についてはいろいろ議論があると思いますから、そこは、我が方はそれを法律に明示をしろという考え方をとっておりますけれども、問題は、その目標に到達する政策なり予算を本当に集中するということについて条文化しておくことは私は必要でないかなというふうに思いますから、御検討願いたいと思っております。  新農業法が国会でも審議されるということもありますから、私も北海道ですから、農村地帯を絶えず歩いておるんですけれども、先日、二月の十一日も三時間ほど、これは酒も飲まないで十二人ほどの農家の、まあ若い人といっても三十五から五十二、三歳の十二名の方と懇談をする機会を設けました。そこで出てくる話は、例えば米政策の、先ほど大臣も言っておりました、市場価格に連動していくという政策で、この二、三年来極めて経営が厳しくなって、ずっと厳しいことは農家の人も盛んに言うわけですけれども、本当にこの二、三年は厳しくて従来と比較にならないような状況で、昨年も米が、北海道の場合ですけれども、豊作ではあったんですけれども、価格低落をするということで収入減になっておる。子供に後を継がせるというよりも、むしろ自分がいつやめた方がいいかと。北海道は、大臣も御案内のとおり、稲作農家を中心に急激に離農者が出ておりますし、また農地も、むしろ後を引き受ける方がいないというような感じも出てきておるわけであります。  そういう面では、いわゆる専業的な土地利用型の農業経営というものが、この間の貿易の自由化といいますか、そういうものの波を大きく受けているというふうに思うわけでありまして、先ほども言いましたけれども、米の関税化で当面はしのげるかもわからないけれども、五年後、十年後になれば輸入されるのではないか。  その証拠に、後で質問する機会があるかどうかわかりませんけれども、SBSというような売買同時入札のお米なんかが、昨年は四、五万トンしか入らなかったものが、十二万トンですよ。六十八万トンの海外のミニマムアクセス米のうちの約二〇%もいわゆる主食用として市場に出回っている。  質問する機会がありませんから言っておきますけれども、農水省の、食糧庁の皆さんは、国内の米生産影響を与えないという閣議決定がありますから、したがって、その分に見合う国内産のお米を海外援助に回すとかいう形で、国内に出回らせないようにしておるという言い方をされるんですけれども、その内実は、平成六年産の最も古い米をそういう形で海外援助に回しておる。本来はもう国内で出回らないようなものが、そういう形で、国内に出荷をしないという形のものとなっておる。したがって、十二万トンは最終的にはやはり国内の需給に大きな影響を与えておるというふうに思わざるを得ないのですけれども、そういう状況農家皆さんも肌身に感じておるというような受けとめ方を私はしてきました。  あるいは、新農業基本法にかかわる一連の国民的な合意を得るということになっておるけれども、これは農家の人が言っているんですから、私が言っているわけじゃありませんけれども、何か農家の声といったら全中の声のような形で、どうも農水省、与党、全中という三者会議で最近決められていく。農協の理事さんもいたんですけれども、では単位農協でこれらの課題十分論議されたかというと、なかなかその点までいっておらないということで、農家の声が本当に農水省に届いておるのかなという強い疑問の声も、一人ばかりでなくて、出てきました。  役場の職員、農政課の担当職員も、あるいは農協の営農指導課の指導員の皆さんも来ておりましたけれども、ここ数年、補助事業等にかかわる事務が急激にふえてきた、地方分権で独自な農業政策あるいは営農指導をしろといっても、そこまで手が回っていかないという声も聞いたわけであります。  大臣、北海道の農村がその代表かもわかりませんけれども、極めて悲痛な声に満ちあふれておりまして、私も本当に、今さらながら、とりわけ北海道のような専業的な経営が必ずしも安定化の方向になっておらないということを肌身に感じて受けとめてきたわけであります。  そこで、若干資料も示したいと思いますけれども、昨年の北海道の稲作部門の農業経営の平均が、これは一番わかりやすくするために、水田農地十アール当たり、これは転作田も全部入れてですけれども、平成十年度、十アール当たりの粗収入額が九万七千円であります。昭和六十三年に十二万八千円ありました。平成六年、今から四年前でも十三万四千円あったのでありますけれども、この四年間、本当に急激に、平成八年でも十二万六千円、九年で十一万四千円、十年で九万七千円と、昭和六十三年の十二万八千円に比べて七七%に落ち込んでおるわけであります。  したがって、北海道全体で、水田農地総面積でいきますと、昭和六十三年に粗収入額が三千百八十四億あったわけでありますけれども、今は二千五百五十六億円、八〇%に落ち込んでおります。これはいずれも、作況指数は一〇四、一〇八、一〇一、一〇二、一〇二と、不作の年ではありません。  農業粗収入、一戸当たりのものを見ても、平成十年は一千三百三十四万円あるのですけれども、変動費と固定費を入れて一千六十万円ということで、差し引きの農業所得が二百七十四万円であります。家族労働費を時間当たりで割り出しますと五百九十万円になるわけで、農業純収益は逆に三百十六万円の赤字ということで、家族労働の報酬は全くなしのような状態。農業所得で二百七十万ということですから、本当に、若い人がサラリーマンで勤める金額にも、一家三人ほどの就業でもならないという状態でありまして、そういう面では、この間の稲作の経営安定対策というのは不十分であったと言わざるを得ないと私は思います。  市場価格に連動していくというのは、私はある面ではやむを得ないと思いますし、そういう方向で努力をしていきたいと思っていますけれども、しかし、そのことと、新農政でも言われておったようにタイムラグがある。特に専業的な経営は、土地利用型の経営は、価格支持政策についてソフトランディングをさせるためのきちんとした方向でやらなければ、専業的な経営者はほとんど脱落をしてしまうということも新農政でうたわれておりましたけれども、まさに今そういう状態になっておるのではないか。したがって、稲作の経営安定対策については格段の強化をしなければならないのではないかというふうに思いますけれども、大臣、どのように思われますか。
  56. 中川昭一

    中川国務大臣 先生も私も北海道ですから、北海道の稲作事情というものは、先生から今るる御指摘があって、特に北海道は畑作、酪農、米作とありますけれども、米作の方々、大変御苦労されているということは私も承知をしております。  一方、全国の米につきましても、平成五年のあの大冷害があったわけでありますけれども、その後ずっと豊作が続いてきた、あるいは新しい食料政策等々があって、価格そのものが市場にいく、そしてまた、政府の買い上げ機能というのはあくまでも備蓄が前提であるということで、現在の米の需給というのは大変緩んでおるということから、政府の買い上げ数量、あるいは価格の現実が今先生お示しのとおりだろうと思います。  もう一つは、やはり米の一人当たりの消費量が減ってきておるということも私はちょっと気になるところでございますし、またさらには、日本型食生活というものに対する教育的な面からのバックアップなんかも必要なのではないか。日本型食生活といえばあくまでも米中心ではなかろうかと私は思うわけであります。  そういう意味で、九年、十年の数字をお挙げになりましたけれども、だからこそ、昨年、ことしと、北海道を初め全国の米作農家皆さんが、つらいんですけれども、将来にわたっての安定的な米の生産、そして需給の安定のために今緊急対策をとっておられるわけでありまして、ことしは、そういうことによって安定的な、生産者サイドからいえば価格等が好転するという状況になっていくのではないかということで、現在の緊急対策をとっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 これから、麦については若干の施策具体化しつつありますけれども、畑作全体あるいは酪農、畜産についても価格支持政策の見直しを行っていくという方向だろうと思っております。  問題は各個別の作物の需給動向だけではなくて、全般に土地利用型の作物については今の価格支持政策からの移行段階でありますから、これをソフトランディングさせるための総合的な施策といいますか、場合によっては直接所得補償的な施策を段階的に踏む必要があると私は思っております。  大臣は一番実情をわかっている方でありますから、その点についても農水省内での御指導を発揮されて、誤りのない施策をぜひ講じていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  58. 穂積良行

    穂積委員長 次に、安住淳君。
  59. 安住淳

    ○安住委員 お昼どきに一時間ほど時間をいただきまして、ありがとうございました。私も、鉢呂議員の質問に続いて、関税化の受け入れ、農業基本法の問題、それから行政改革に絡んで農林省が今後どうあるべきかということについて、一時間にわたって質問をさせていただきたいと思います。  まず、米の関税化の受け入れの問題でございますが、昨年の十二月に、我々から見ると大変突然出てきた話でありました。関税化のことに関しては、私個人としては一定の評価をしております。しかし、先ほど鉢呂議員も申し上げたとおり、果たしてその決定の経過はいかがであったのかということについては、農林省がやってきたことに対しては私どもも少し首をかしげることがあります。  それはなぜかといいますと、決定の経緯という紙を農水省からいただいて、この中を見ても、決定の経過に当たって出てくる主役は、三者三者、三者は一体であると。この三者とは一体何かというと、政府、与党そして農業団体と書いてあります。つまり、農林大臣は、今回の所信の表明に当たっても、国民あっての農林水産業農林水産業あっての国民といいながら、実際に米の関税化を受け入れるというのは、戦後農政の中でも大きな転換点であるわけです。こんなことはここで言うまでもなく、特例措置をそのまま続けるのと関税化を受け入れるのでは、これは農家の受ける印象もまた政策も百八十度違うものだと私は思います。  しかし、その中で果たして国民のコンセンサスを得る努力をしてきたかといえば、そこに甚だ疑問な点があり、それと同時に、最近この傾向はとみに、一農業団体、それから与党そして政府、ここが合意すれば何でもまかり通るんだと。そこには消費者や何かという国民合意の視点が実は大変欠けておったのではないかというふうに私は思っております。  この点について、まず農林大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  60. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、国民あっての農林省農林省あっての国民ではなくて、国内農業あっての国民、そして国民あっての日本農業というふうなことは、私は常日ごろ申し上げているところでございます。  それから、先生指摘の米の関税化に当たって、あたかも、与党、そして団体というよりも団体の一部といいましょうかトップと行政、つまり農林水産省だけで関税化を唐突に決めたという御指摘でございますが、率直に言って、確かに農家皆さんお一人お一人から見ればそういうお感じを持たれたことは私も否定いたしません。しかし、先生もお話がありましたように、この決定自体についてというよりも、むしろプロセスが問題ではないかという御質問だろうと思います。  率直に申し上げまして、片っ方では基本法議論というものがある。それから、五年目を迎えようとしておる現在の米の特例措置をどういうふうにしていったら国内的にも、また対外交渉をする上でもいいかということで、議論が公の場に出てきたのが去年の秋以降であり、決定が十二月の十七日であったということであります。  JAの組織内部としては、一昨年の十月の大会での検討事項ということで、既に議論が内々されていたというふうに伺っております。最終的な結論は、結論に至るまでの間でも国会の場でも何回か御議論をいただきましたが、私は、そんな拙速ではないと頭から申し上げることはいたしませんけれども、しかし、ぎりぎりの四月一日というものを仮に判断するとするならば、それに向かっての時間的な制約もあるという中で、限られた時間ではありますけれども、国会の場あるいはまた消費者団体を含め、また農林省挙げて、全国の生産者皆さん方にできるだけの御理解をいただいた上での、現段階においては国民的な御理解をいただいた上での御判断、結果的になるかもしれませんけれども、私はそういうふうに認識をしております。  なお、具体的には、この後、衆参の国会の場で御議論をいただく関税化関連法案の中でまた議論を深めていただき、御示唆をいただければというふうに考えております。
  61. 安住淳

    ○安住委員 私は、関税化を受け入れるというのは大変なことだと思っております。なぜかといえば、納税者の側から見れば、大臣、あの六兆百億円というのは一体何だったのかという話になるわけですよ。それは、特例措置として盛り込んだために、農業基盤の整備をするためにつくった予算であったわけです。  こうしたことに対する総括もきちっとやらないままに来年の四月、来年の四月と言いますが、では、再来年の四月だったらどうかと。それは、確かに輸入量は数万トンふえると思います。しかし、そういうことよりも、説明責任を怠っているのではないかと私は思いますよ。それは、納税者に対して、農業関連予算といったって、これは税金を使ってやっているものでありますから、やはりまずこれに対する総括ということをきちっとやって、何が変わって何が変わらなくて、農業地域というか、農業所得も含めて、どこがどう豊かになったのか、そういうことをきちっと農林省はやっているんですか。  そういうことも含めて、関税化を受け入れるというのは大変重い選択であるから、立法府の意見を聞いたというけれども、私はちょっと、立法府でこういうことをやったという経過は全くないと思います。そういう意味では、否定をしないとおっしゃいましたけれども、一農業団体とそれから与党と政府だけで決めれば、立法府も消費者もある意味ではついてこざるを得ないだろう、もしかしたらそういう甘い考えが根底にあるから、私が今言ったように、予算の話も含めて、全く総括も何もしないままに、次期交渉のことで有利になる、不利になるというだけでこれを受け入れたとしかとても思えないわけです。  私は、これに対してはぜひ反省をしてもらわなければならないと思いますが、もう一度御答弁を求めます。
  62. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、また別に言葉じりをとらえるつもりは毛頭ございませんが、正確を期すために申し上げますが、関税化は、受け入れたのではなくて、我が国みずからの選択として判断をしたところでございます。  それから、一農業団体とおっしゃいますけれども、今、千数百ある全国の単協の上部組織としての団体でございますから、その傘下に全国の農協組織、そして農民の方がいらっしゃるということで、我々としては、一農業団体というよりも、農業団体を代表する立場の方というふうに考えております。  六兆百億並びにその前のことについて説明責任があるのではないか、それはもうおっしゃるとおりだと思います。我々としては、関税化することのメリット・デメリットについては、決定後、先ほど申し上げたように鋭意御説明をしておるところでございます。  ウルグアイ・ラウンド対策につきましては、これは六年間の作業であり、しかも公共事業については二年の先延ばしということでございまして、もちろん、これについて、終わった段階での総括というものは当然必要だろうと思いますが、現在進行形でございますので、現時点においてどういうふうに向上していったのか、いい影響を与えていったのかということについては担当局長から説明いたさせます。
  63. 安住淳

    ○安住委員 ちょっとウルグアイ・ラウンドの件については、今までの、十年までの措置額でいえば、私は公共、非公共に分けて、数字の話をする考えというか詳しい数字は要りません。  しかし、私の印象でいうと、構造改善というか、どこに行っても、私の選挙区もそうですが、土地改良、圃場整備というのは随分やっているなというふうなところはよくわかります。大規模化、ハウスをつくることについても、これは借金がふえていますから、果たして本当にその農家にとっていいかどうかは別にしても、立派なハウスを随分つくれるようになりました。  しかし、現実に、今の段階でいえば、二兆円以上のお金は既に投入しているわけです。その中で、農業所得はふえたでしょうか。農村の人口流出は減ったでしょうか。つまり、国内で何が本当に変わったのかということに関して言うと、大変辛らつな言い方をすれば、農業土木やそれにかかわるようなそれぞれのところでは潤った人もいるかもしれませんが、果たして本当に農業は結果として何かの形で上向いてきたのかどうかということになると、私は必ずしもそういう効果は見えていないんではないかと思います。そういうことについて、経過ではありますけれども、私はむしろ大臣の御感想を伺いたいと思います。
  64. 中川昭一

    中川国務大臣 六兆百億の事業費でございまして、国費そのものは半分弱でございますけれども、六年あるいは八年かけての現在進行形でありますが、現時点においては、着実に私はその成果というのはあると思います。何しろ、途中で大冷害とか不況とかいろいろな状態に見舞われながらも、全体としては、私はその効果というものは着実にあると思います。  具体的なことについては、三点、四点、具体例を担当の方から示させていただきたいと思います。
  65. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 非公共、公共とございますけれども、例えば公共の方の分につきまして事例をちょっと挙げさせていただきたいと思います。  UR対策の追加的措置によりまして、工期がまず一〇%短縮をし、事業効果が早期に発現をする。また、大区画の圃場整備等を契機といたしまして、担い手農家経営規模が、これは八年、九年度に完了した地区の実績でいいますと、整備前の二・六ヘクタールから五・六ヘクタールということで二・二倍に拡大をしております。さらに、労働時間でございますけれども、これも八年、九年度に完了した地区の実績で見ますと、整備前は十アール当たり六十二時間、これが整備後には十九時間ということで、実に七割の低減をしているというふうな効果が見られます。  私どもは、今後ともこの対策の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
  66. 安住淳

    ○安住委員 私は、きのうちょっとお願いしたのですけれども、農業農村整備事業の公共の部分のもうちょっと詳しいことを教えてもらえますか。非公共のことはいただいたのですけれども。つまり、どれぐらいの割合で予算をどこに使っているのかという話を、ちょっとわかる範囲でいいですから教えていただけますか。
  67. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 農業農村整備緊急特別対策でありますけれども、高生産農業基盤整備緊急促進事業、それと中山間地域活性化緊急促進事業、この二つが柱でございまして、これまで平成十一年度まで予算措置額としては二兆六千九百八十一億円、そのうち最初の高生産の方に一兆八千十四億円、中山間には八千九百六十七億円、いずれも事業費ベースでございますけれども、投入をされております。
  68. 安住淳

    ○安住委員 果たしてそれで、それだけのお金をつぎ込んで、それで非公共を含めると二兆円を超すという予算規模である。確かに基盤整備は、数字でいえばできたと思います。私の地元の宮城県でも、遅まきながら圃場整備の比率は上がってきた。しかし現実には、圃場整備をやったことが目的なんですか。圃場整備をやって、基盤整備をやって、そこで農業所得がふえましたとか農家が結果的に豊かになりましたということが結論であって、それからいうと、整備をしました、これはやりましたと言われますけれども、所得や何かに関していうと、決してそういういい結果は出ていないんじゃないですか。いかがですか。
  69. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、担い手経営規模が二・二倍になる、あるいは労働時間が七割減るということは、労働時間の低下と規模拡大が相まって所得の増大につながるわけでございますので、私どもはこの事業をそういうことで非常に大きな貢献をしていると考えております。
  70. 安住淳

    ○安住委員 このことは後でまた農林水産委員会の方でずっと私もやらせていただきますけれども、それはちょっと考え方が甘いというか、ちょっと違うと思います。それはそういうところもあるでしょう。しかし、全体としてどうかといえば、決してそんなことになっていないと私は思う。  ところで、大臣がお戻りでございますから話をちょっと変えますが、ガットの対策関連事業を含めて、時代に応じた農林水産省施策というのは当然あってしかるべきで、そういうことからいうと、私は、この五年、六年というのは日本農業にとって大きな変革期だったと思う。  ところが、私が今から指摘する話は農林水産省全体の予算のことです。きのう、資料をお願いして、平成七年度からこの十一年度までの予算、大臣官房を含めてですけれども、各局各庁の予算のシェア率を数字で挙げてくださいということでお願いしました。私はこれを見て、やはりなるほど変わっていないなと思いました。口でいろいろなことを言っても、実際に予算が伴っていないんじゃないか。  つまり、大臣、例えばの話、農林省全体に占める構造改善局の予算は、平成七年度で四〇・四%です。どれだけ変わったか。これだけ行革行革と言われながら、実際には一ポイント下がって三九・四%ですか。しかし、ほとんどのシェア率は全然変わっていないわけですよ。  大臣、これは御就任なさってまだ半年やそこらで、私はそんなに大幅な大なたを振るうというのは大変なことだと思いますから、そのことをとやかく言うつもりはございません。しかし結果としては、行革をやるだの、構造改善をもっと、例えば人材の方にお金を使うとかいろいろなことがありました。担い手をつくるためにいろいろなことをやった。しかし、大枠で見たときに、実は危機感だけは先行していますが、体の部分というか、農林省全体の予算から見ると、各省全部それは言えることではありますが、この硬直化は甚だしいと私は思います。  何で予算というものを、国民からいただいた大事なお金をもっと機動的に使い切れないか、そこにはやはり農林省、大きな問題があるんじゃないかなと私は思いますが、このシェア率がほとんど変動がないということに対して、大臣、いかが御感想を持っていらっしゃいますか。
  71. 中川昭一

    中川国務大臣 多分先生のお手元にある資料と私の今見ている資料は同じだろうと思いますが、例えば農林省もこれから先端技術というものにより一層力を入れていかなければいけないということで、技術会議のシェアなんというのは五割ほどふえておるわけでございます。また御指摘の構造改善局については、平成七年の四〇・〇が三九・四とほとんど変わりがないじゃないかという御指摘であります。確かに結論的に見れば構造改善局のシェアは五年間でほとんど変わらないというふうな御指摘になるかと思いますが、先生ももう一段、例えば構造改善局の中での事業の変化というものについても、ぜひ御理解をいただきたいわけであります。  例えば今回の我々の目玉の一つ、田園空間の整備というものに非常に力を入れてやっておるとか、こういうものは数年前にはなかったわけでございまして、現時点における農村あるいは農業者、そしてそこに住む人々の産業活動だけではない暮らし、さらには全国民にかかわりのある国土のいろいろな機能、さらには伝統文化、そして教育の側面等々、いろいろな面から農林水産省としても仕事をやっていく。その中で構造改善局がある意味では中心的な役割を果たしていく部分もございますので、そういう意味で、その中身の変化というものにもぜひ着目をしていただければ大変ありがたいなと思っております。
  72. 安住淳

    ○安住委員 私は、中央省庁再編に絡んで、これは後で農業基本法の中でお話をしようと思っておりますが、今大臣は、もちろん行政改革は必要だという御認識でございますよね。仕事をスリムにするわけでしょう。中央省庁再編があるわけですね。それは、大臣農林水産省全体としてどこかと合併したりなんかというのは全くないわけで、ある種やはり自己改革が逆に言うと求められているのだと私は思いますよ。その認識はまずよろしいですよね。
  73. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、中央省庁再編があろうがなかろうが、農林水産省としては、先ほどから申し上げております時代のニーズにこたえるために、みずからがダイナミックに柔軟に対応することによって国民的ニーズにこたえていかなければ、農林水産省自体の存立が危ぶまれると言われても仕方がないというような危機感すら私は持っております。
  74. 安住淳

    ○安住委員 私が申し上げているのは、それは当然の話であって、実際にそれが、考えていることがちゃんと実行できるかどうかが、結果からいうと私は問われているのだと思うのです。それからいうと、例えば具体的な仕事の中身をどう削っていくのかということが私は重要だと思うのですよ。  それで、例えば省庁の中で、機構改革を今度なさるわけですよ。その中で、今までの局、省のあり方、庁のあり方を農林省の中で見直す、それはいいのですが、私は橋本前総理の言っていることで大変これは忘れてならないなと思うのは、中央省庁再編をやることが目的ではなくて、その第二弾として権限を地方にどう移譲するかということ、この二つを完結しなければ、ただ単なる巨大官庁をつくって終わりだということは、橋本前総理に私が委員会質問したときに、前総理もちゃんと答弁なさっていらっしゃるし、それは大臣もそのお話は多分聞いていらっしゃると思うのです。  それからいうと、私は、農林水産省というのは、これから何を地方に、権限をどう移していくのかということに余り関心がないというか議論していないのではないかと思うのですね。私は、そのことは実は今度の農業基本法の中でもう重要なポイントになっているのだと思うのです。それは、何を言おうとしているかというと、後でちょっと議論しようと思いましたが、ここで少し触れます。  大臣、今度の正式な法案の名前というのは食料農業農村基本法とかなんとか、大臣農村というのは、大臣はどういう定義をもって農村とおっしゃっているのですか。これはちょっと高木さんではなくて、農村というものの定義を教えてください。
  75. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、一義的には農業活動を中心にした人の住んでおる地域だろうと思いますが、現在におきましては、その地域というのは、単に農業生産活動だけではなくて、そこに住む人々の持っている暮らし、伝統というものを守り育てる、さらには、国民的な貴重な地域としていろいろな機能を果たしている地域でございますから、まさに日本人のふるさとだという認識のもとで、農村に対する農林水産省としての施策というものも、その農村地域の維持発展に努めていかなければならないというふうに考えております。
  76. 安住淳

    ○安住委員 農林省皆さん、今ので本当にいいですか。今から私は、農村のことでえらい細かい話をさせてもらいますよ。本当に農村というのは、今の大臣農村という定義でもしやっていったら、それは本当は都道府県の所管にならないといけないような話になるのじゃないですか。それは大臣農村というものに対するちゃんとした定義をきちっとここでやってもらわなければ、農村というものを一つ基本法基本に据えるというのはどういう意味かということは大変な話だと私は思いますので、少し深い議論をしたいと思うのです。
  77. 中川昭一

    中川国務大臣 農村というのは、法律的な定義としてあるとするならば今官房長の方から答えさせますが、農村というのは、やはりその地域に住む人々、そして農業を中心とした産業形態、そして全国民的な意味での位置づけというものが極めて多い。  もっと具体的に申し上げますならば、裏山一つあるいは川一本、これは一つの町村でも一つの都道府県でも、北海道は別ですけれども、一つの都府県でも管理するには量的にも質的にも余りにも広大な意味合いを持っておる、そういうまさに国土全体の中での農業という、あるいは食糧という位置づけ、さらにはその地域の位置づけというものをきちっと見ていかなければならないという意味で、決して一集落あるいは一市町村単位で完結するものではないというふうに理解をしております。
  78. 高木賢

    ○高木政府委員 各種の法令におきまして農村という言葉が使われておりますが、その大部分は無定義といいますか、特段定義はございません。一つありますのは、農村地域工業等導入促進法というのがございますが、これは工業導入を促進する地域がどこであるかということを特定しなければならないために、ここで言う農村地域というのはこういうものだということが書かれているというのがございますが、農村というものは法律の中では特に定義はされておりません。  しからば我々がどういうふうにとらえているかということで、立法作業中の段階でございますが、新たな基本法の中におきます農村というものは、農業的な土地利用が相当の部分を占める、かつ農業生産と生活が一体として営まれており、居住の密度が低く分散している地域というふうにとらえて作業を進めているところでございます。  我々がそういう農村を重視いたしますのは、全国民的な意味合いという、まさに農業生産活動を通じまして食糧の安定供給の機能を果たしている、また国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全などの多面的機能を果たしている、そういう基盤であるということで、国土の均衡ある発展を図る上からも国民全体にとって重要な役割を果たしている、そういう位置づけのもとに農村をとらえているわけでございます。
  79. 安住淳

    ○安住委員 それでは伺いますけれども、例えば大臣、大都市近郊の農家があって、そこにはベッドタウンがあるとしますね。それで非常に田んぼも一面広がるというのは日本じゅう至るところにあると思うのですよ。例えば私の地元でいえば、仙台市の隣の町のそこは農村というのですか、農村といわないのですか。今の定義からいったら、官房長農村といわないのでしょう。
  80. 高木賢

    ○高木政府委員 農村といった場合に、現在の行政区画と必ずしも一致するものではないと思います。大変広域合併が進みまして、例えば静岡市などは南アルプスのてっぺんまでが静岡市という範囲になっております。ここで言っておりますのは、そういったある行政区画ということではなくて、自然的、経済的、社会的な条件の中から、他とある程度区分できる歴史的経過の中でとらえたものということで、厳密に行政区画が、何市全体が農村であるか農村でないかということよりは、歴史的経過の中から整理された地域を区分した概念というふうに考えております。  したがいまして、当然、都市近郷にも農村はあるというふうに思います。
  81. 安住淳

    ○安住委員 この話をなぜこうしつこくやっているかというと、これは法案になったらもっとしつこくやります。実は、私は調べるだけ調べましたけれども、農村という言葉が書いてある一般法令は我が国には十八あるのです。だあっと言うと、国土庁の組織令にもあります。それから総理府の組織令にもあるし、国土総合開発法にもあるし、農村地域工業等導入促進法等々あるのです。しかし、大体ここで言っている話は、私が考えるに、都市に対するいわば違う概念としての農村だという定義なんです。つまり、それはやはり面なんです、面。大都市や都市部に対しての農村地域であり漁村地域なんですよ。  大臣、今、言ってみれば中央集権の我が国において、当たり前に考えれば、その流れで言えば、今言っている農村地域、つまり農業を主になりわいとする人が比較的多く住んでいる地域とでも申しましょうか、そういうところの生活の、道路にしても、今は本当に集落排水も我々の地域でもやっていただいていますが、農林省がやっていくというのは多分それは当然の流れだろうと私は思うのです。  しかし、二十一世紀に向けて、少なくとも今与党がやろうとしている中央省庁の再編の概念からいうと、よりスリムにすることで、なおかつ権限を地方におろしていくんだという、そのなおかつというところがどうも今度の話でもすとんと抜けておりまして、このことをちゃんと二つやらなければ、セットでやらなければ、先ほども言いましたけれども、橋本前総理も、私の言っている行革というのは何の意味もなくなる、ただ単に巨大官庁をつくるだけで終わってしまうと言っているわけです。  そこで、私は思うのですけれども、食料とそれから農業ということに対する基本法というのはわかります。しかし、もう一つのこの農村ということに関して言うと、本当は、二十一世紀を先取りするのであれば、農林省というよりも、それぞれの都道府県といいますか、それぞれの地域に応じて、農村の姿形がもう全然違いますから、法律で追っかけている、言葉じりをとらえるわけではありませんが、法律で言う農村の姿と、現在我が国に広がっているそれぞれの地域農村の事情というのはもう本当に千差万別。それを考えたときには、もし生活面のことで農業者充実させていくということであれば、これは中央省庁である農林水産省のやるべき仕事ではないのではないかと私は実は思っておるのです。それはむしろ都道府県に一生懸命やっていただいて、それをいわば中央がサポートをするということでいいのではないかなと私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  82. 中川昭一

    中川国務大臣 もとより私も、中央省庁再編あるいはまた地方分権さらには民営化そして事業そのものが不必要であれば廃止ということについて、抵抗をするつもりはございません。先生の御指摘のように、農業活動あるいは農村地域というものは全国それぞれ違うんだ、それも私も十分理解をしているところであります。  だからといって、事情が違うのだから全部現在の市町村あるいは都道府県単位にぶつ切りをすることによって果たして日本農業農村地域を守っていくことができるかということについては、例えば水域あるいは川一本とっても、山一つとっても、それは複数町村、複数県にまたがるわけでございます。  ですから、何もどこどこ地区の細かい、小さな小さな事業についてまで国がどうこうしろとか、あるいは、最近の流れの中で、そういうものについても自治体の要望というものをより以上に国としてもお聞きをしながら、それについてお手伝いをするという方向に流れが変わってきておるわけでございますので、あくまでも国家的見地から、あるいは国民食糧政策的見地から、あるいは国土保全的見地から、国としてやるべきものについては国が責任を持ってやっていくということでもって、これはもう農村だから全部地方自治体だとか、農村だから全部国だとか、そういうゼロか一〇〇かということではなくて、国がやるべきことについては国がやっていくことがよりよいと思いますし、また、地方自治体でやれることについては地方自治体がやり、場合によってはそれをお手伝いしていくということが、私は、バランスのとれた農業農村政策ではないかと考えております。
  83. 安住淳

    ○安住委員 言われるとそうかなとも思いますが、実は私はそうでないのかなと思っているのです。  それは、大臣、言葉でそう言うのは簡単ですよ。しかし、実際それぞれの仕事をして、それは私が言うよりも皆さん百も承知だと思いますが、例えば農道の問題一つとっても、中央省庁がいろいろなことをやっているのはわかります。結果として、そこに住んでいる人が、私がこだわっているのは、例えば農村といってもサラリーマンが今圧倒的に多いわけですよ。そうですね。農業者というものを守ることを基本法のたがにはめていくというのは当然だと私は思うのです。しかし、農村という概念を基本法に入れるということであれば、私は、私が聞くのではなくて、皆さんが、農村というものがどういう定義であって、それをなぜ中央省庁である農林省が全国的にやらないといけないのかということをちゃんと出さないといけないと思います。これは基本計画でやってもいいのですが。  つまり、大臣が今おっしゃったような線引きをするのであればいいのです、それは結構です。そうしたらば、この事業はなぜ国がやらなければならないのかということをちゃんとやらないといけないんじゃないでしょうか。私はそう思っています。  ですから、この法案を見れば、当然、面としての農村というふうにだれでも思うわけです。しかし、この面というものを、今現在の議論もそうなんですが、大臣、地方分権をやるとおっしゃっているわけでしょう、与党だって。中央省庁再編は言ってみればその最初の第一歩であって、あれで終わりでないわけでしょう。熱意があるかどうかわかりませんよ、小渕内閣で。橋本内閣のような熱意があるかどうか感じられませんから、私はわかりませんけれども。  しかし、中央省庁の持っている権限をより地方に移譲していって、スリムな中央省庁の体制をつくろうとするときに、一種誤解をされるんじゃないですか、農村なんということをまた入れて。そこは、全部農林省が仕切りますというような発想ではないんでしょうねということを私は最後に確認をして、次の問題に行きたいと思うのです。
  84. 中川昭一

    中川国務大臣 たしか、現在、農業に従事する人口というのは三%か四%だと思いますが、いわゆる農村、山村というのは国土の六割、七割を占めるわけでありまして、そこで大事な農業あるいは林業等を営んでいただくためには、やはりそういう人たち、そしてまたその広大な、狭い日本でありますけれども六割、七割の地域をどうやって守り発展し、また国民的ないろいろなメリットが得られるようにしていくかという広い意味観点から、今回は、食料農業、そしてそれに携わる農村地域というものをできるだけ維持発展させていきましょうという意味であります。  先生が御指摘になりますように、必ずしも仙台市の何とか町の何とか農場について国がどうだこうだということではなくて、国家的見地からそれぞれの地域について、大規模あるいはまた国家的な意味の非常に深いものについてはそれは国としてもやるわけでありますけれども、県あるいは市町村がやるべきお仕事についてはもう既にいろいろと地方分権も農林省としても進めておりますし、不必要に細かいところまで全部、農村だから国が一〇〇%取り仕切るなんということは毛頭考えておりません。
  85. 安住淳

    ○安住委員 それでは、次の委員会までに、今大臣が言った最後の言葉の、農林省は地方分権を進めていると言っておりますから、大臣、過去五年間の地方分権をどういうふうに進めたのか、具体的な資料を出していただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。具体的に出していただけますか。
  86. 中川昭一

    中川国務大臣 出させます。
  87. 安住淳

    ○安住委員 それでは、この話の続きはまた法案の審議の中でさせていただきますが、もう一つの問題として、私は、土地の問題について少し大臣意見を交換させていただければと思っております。  大臣基本的なことをまた伺って恐縮ですけれども、農地というのはだれのためにあるものだとお考えでございますか。
  88. 中川昭一

    中川国務大臣 農地に限らず土地というのは、やはり一つの国家にとってのかけがえのない財産だろうというのが基本認識にあります。農地というのは、その中でも特に国民生活にとって必要不可欠な、生命に直接かかわる食糧等を生産するための土地であり、そこには自然条件あるいは生き物といったものも大きくかかわってくる、極めて大事な大事な国民的財産だと考えております。
  89. 安住淳

    ○安住委員 私が伺っているのは、土地はだれのものであるのかということでありまして、大臣がおっしゃっている土地がそういうものであるというのはわかります。その土地というのはだれのものでありますかと聞いているのです。
  90. 中川昭一

    中川国務大臣 それぞれの所有者のものであります。
  91. 安住淳

    ○安住委員 私がこの話をしているのは、戦後の農政の中で、今度の農業基本法の中でも一つの焦点になると思いますけれども、大臣、少し私と考えが違うのです。私は、土地というのは多分耕す者のためにあるんだろうと思うのです。大臣の今のお話は、所有している者のためにある。私は、そこに戦後農政の大きな問題点があるんだと思うのです。  つまり、土地の集約化を阻んできた理由、それはなぜだったのか。そしてまた、私も自分の選挙区のことでいえば、農家皆さんと話していて、特に農地開放を経験した第一世代が持っている土地への執着、つまり、土地というもの、いわば分け与えてもらった田んぼというものは、大臣と同じように、自分の財産だというふうにもしかしたら認識をしているんだと思うのです。  ところが大臣、これから農業問題、土地の問題をやっていくときに、持っている者のために土地があるんだという認識では、私はちょっとこれから心配な点があるものですから、実は今こういう話をさせてもらいました。今まで、ガットのウルグアイ・ラウンド関連対策事業の中でもいろいろな問題が個々細かく出たわけです。例えば田んぼの中に消火栓をつくって、いつでも宅地にできるようにするとか、そんなところがあったとか報道でありましたよね。  つまり、大臣農地というものを果たして農林省はどう考えているのかということをきちっと、これはさっきの農村と一緒ですけれども、別に意地悪するために聞いているのじゃなくて、基本法だから私はこういうことを聞いているのです。  戦後の農政の中でこの土地の問題がどう扱われたか、これは私だけじゃなくて皆さんよく御存じですから、私は言いません。しかし、一九六〇年代にいろいろな議論があって、土地の集約化の問題をやるときに、農地開放の問題からわずか十年やそこらの中で、とてもできる状態じゃなかった。だから、結果的には今もその問題を引きずっているんだろうと私は思うのです。北海道を除けば、耕作地の所有が一ヘクタール未満ですよ、大臣。なおかつ虫食い状態になっていて、先ほど自民党の先生の方からも、農地の放棄をする人がふえていると。  本当に、土地は持っている人のためにあるという認識でやったのでは、抜本的な農地改革はできないと私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  92. 中川昭一

    中川国務大臣 先生の御指摘は、土地がだれのためにあるかということで、財産権としての御質問であるというふうに思いましたから、所有者のものというふうに答えました。そう答えないと憲法二十九条違反になるわけであります。  しかし、土地、特に農地につきましては、先ほどから申し上げておるように、国民的なニーズといいましょうか、重要性が極めて高いわけでありますから、多分、土地の集積とか流動化とか、それによってより生産性の高い、効率性のある農業を推し進めるべきではないかという御質問ではないかという観点からいえば、その先生の御趣旨も十分わかるわけでありますし、我々もそういう方向で政策を進めておるわけであります。  しかし、あくまでも所有権の移転に関して申し上げるならば、本人の同意なくしては所有権を変更することはできません。したがいまして、所有権と利用権と二つの問題があっての御質問だという意味お答えをさせていただきました。
  93. 安住淳

    ○安住委員 きょうは本当に入り口ですから、このことについては、あと一問やって、また後でやりますけれども。  大臣、これは私、もしかしたら自分の党内でもまた意見が全然違うかもしれません。しかし、もう大規模化は避けて通れない、そして土地の流動化を進めざるを得ない。私は、この認識は、多分これだけは皆さん共通しているのだと思うのですよ。  そのときにやはり出てくるのは、株式会社の問題をどうするかという話なわけですね。土地は耕す者のためにあるということを前提に私は申し上げているということをぜひ忘れないでいただいて、その上で集約化をどう図るか、具体的にその道筋をどうつけるのかということになったときには、財産として、こういうことを言うのは問題があるかもしれませんが、自分の田んぼにしがみついている、行政はそこをいわば解決しないといけないわけですよ。  それをやらなければ足腰の強い農業というのは全然できないと私は思うし、農業基本法の中である程度それは読み取れるのです、私も。しかし実際、基本計画の中でどこまで書き込むのかというのは、ある種、農林省、問われているのだと私は思いますよ。  そこで大臣の指導性、どうしたってこれは発揮してもらわなければならない部分でもあるのかなと思いますから、この点について、これは農林省全体に対して、この土地の問題、大臣、後でまた具体的にやりますけれども、どういう御指示をなさって、審議会か何かにかけるにしても、大臣御自身はどこまで踏み込んでそれをやるおつもりなのかということを、手短でいいですからお聞かせ願いたいと思います。
  94. 中川昭一

    中川国務大臣 先生のようなお考え方もございますし、それから土地利用形態一つとして株式会社を入れることによるメリットの、先生のような御指摘もあれば、また、それによって耕作放棄地、あるいは営利のみを追求することによって地域社会影響を受けるとか、いろいろ御指摘があるわけであります。  現時点においては、検討会において、それぞれの立場の方、いろいろな立場の方の御意見を聞いて、それを集約して基本法に基づく経営形態としてまとめていきたいというふうに考えておりますが、現時点において申し上げられるのは、いわゆる一般的な株式会社形態だけはとらないということだけは申し上げておけると思います。
  95. 安住淳

    ○安住委員 時間がなくなりましたので、この基本法についてはもう一点だけ、自給率の問題ですね。  簡単に私の考えを申し上げますと、自給率を上げるということは、やはり食生活に挑戦していかざるを得ないのだろうと思うのです、今のままでいけば。しかし、それはなかなか大変なことだと思うし、もう一方で考えないといけないのは、自由な意思に基づく生産者の意思と自給率向上のための計画性というのは、大臣、これは相矛盾するのじゃないでしょうか。  ここをどういうふうに調整するかということが非常に問われるのだと私は思うのですが、我々の党としても、五〇%は何とか達成目標として、それに向けてやっていこうということは党内合意を得ております。しかし私は、そのプロセスの中で、耕作者の自由意思と、我々というか行政側の自給率を上げるための計画性、どうその矛盾を克服できるのかということは、これは法整備を含めてかなり大変なことではないかなと実は思っているのです。  食生活にまで踏み込んでそれを本当にやる意思があるのかということと、耕作者の自由な耕作権というか、それに対してまたある程度規制も含めてやっていってそれで自給率を向上させていく、そういう御意思があるのかどうかだけお聞かせ願えませんか。
  96. 中川昭一

    中川国務大臣 私個人も自給率を何としても上げていきたいというふうには思っておりますが、とにかく耕作者がいっぱいつくればいいんだというだけで自給率が上がるとは私は思いません。耕作者が苦労して丹精込めてつくられたものを、消費者がこれまたそれを受け入れるということがやはり大前提だろうと思います。  そういう意味で、消費者国民一般と生産者とが共通して、自給率を向上することが必要なんだ、世界じゅうどこの国を見ても日本ほど低い国はない、下がり続けている国はない、こんなことで将来いいのだろうかということを、国民皆さんも御理解をいただくということについて、我々もいろいろ広報等をしていかなければいけないと思います。  それから、食生活を変えるべきであるとか、あるいはいわゆる残滓、ごみになる量が二割とも三割とも言われておりますけれども、これも自給率向上にはばかにできない数字であります。しかし、残しちゃいけませんよとか、日本型食生活にしましょうということは、これは法律やあるいは政治でもって強制することもできませんので、これも我々、国民皆さんに御理解をいただくという努力をできるだけするという意味で、国民の御理解をいただきながら、自給率を少しでも上げていくということについて、生産者そして国民皆さん共通の認識のもとでやっていけるように我々自身全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
  97. 安住淳

    ○安住委員 四百九十一万ヘクタールで一千七百万ヘクタール分食べている人間を、その自給率を五〇%にするというのはこれは大変なことだということは、まあ五〇というのがひとり歩きしているのかもしれませんけれども、もう重々わかりますから、逆に言うと、大臣、私が聞いているのは、そうではなくて、そこまで踏み込んでやるおつもりなんですかということなんです。  食生活のことまで、また、耕作者がネギをつくればもうかるというところを、いや、芋をつくってください、芋をつくってもらわないと困るんです、それは予算措置を含めてそういうことをやっていくということが現実には自給率向上にはどうしたって避けて通れない話ではないですかという話を私は今したわけであります。  そのことについては、また別途議論をさせていただきたいと思います。  ですから、私が申し上げたのは、要するに、農村それからその土地の問題、自給率の問題というのは、まさに私の問題意識からいうと、きょうは減反のことはあえて聞きませんけれども、やはり大きな柱ではないか。つまり、柱というのは、国民を巻き込んだ議論をしていかないと、この問題は決して答えがないから議論をすべきだと私は思うのです。  最初の話に戻りますけれども、一農業団体と与党と農林省で話をして出せばそれでいいのだという発想だけはぜひやめてもらわないといけない。そんなことでは国民理解は得られないと私は思いますから、もっともっとオープンな場で基本計画の策定を含めて議論をしていただきたい。その中で、我々も立法府の責任として細かいところまで逐条審議をするようなつもりでやらせていただきたい、そう思っております。  残された時間、大変少なくなりましたが、水産庁おいででございますが、ちょっと水産庁は別途質問させていただくということで、きょうは質問いたしません。  最後に、残された時間、大臣、二〇〇一年にいよいよペイオフの問題が迫ってまいりました。その中で、農協系の系統の金融機関の経営安定策をどう図っていくのかということについて、最後に少しこの問題について触れさせていただきたいというふうに思います。  やはり農協合併がおくれている。そして、それがまた悪いことに信連のいわば合併にも大きな影響を与えているというふうな悪い循環になっていて、ペイオフを迎えて、特に信連は、私が言うまでもなく何のセーフティーネットも今のところはないわけですよね。果たしてこれはどういうふうになさるおつもりなのか、このことを少し伺います。  まず基本的に、公表されている貸出金に占める不良債権比率、農協と信連とを簡単に教えていただけますか。     〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕
  98. 竹中美晴

    ○竹中(美)政府委員 お答え申し上げます。  農協系統金融機関の不良債権の状況でございますが、平成九事業年度末で見まして、農協が八千七百五十一億円、農林中金、信連を合わせまして四千六百三十億円、そういう実情になっております。(安住委員「比率、比率。貸出金に占める比率ということですよ。四・一、四・五というのがあるでしょう」と呼ぶ)  総資産に占める比率でいいますと、農協の場合に一・一%、農林中金、信連で〇・五%でございます。貸し出しに対する……(安住委員「じゃ、いいや。時間ないから」と呼ぶ)
  99. 安住淳

    ○安住委員 そうじゃないんですよ。貸出金に占める不良債権比率じゃなかったら何の意味もないじゃないですか。金融の話をここで詳しくする時間もないからあれだけれども。大臣、要するに、特に私のところの宮城もそうなんですが、一〇%を超えているようなところがあるわけです。これがもうまず間違いなく合併問題を阻んでいる。しかし、問題なのはもう一つあるのです。巨大合併した大型農協のいわば金融不安をどう解消するかということに対しても、私は今のところいい策はないと思うのです。  そこで、この信連の問題、大臣どういうふうになさるおつもりなのか。つまり、公的資金活用論というのが一方である。もう一方で、系統の中でこれは自助努力でやってください。つまり、これはもう二者択一なのかなと今のところ私思っているのですが、いかがですか。どちらの方向に行くおつもりでございますか。
  100. 中川昭一

    中川国務大臣 いわゆる系統金融機関につきましては、日本全体が今こういう金融情勢でありますけれども、一つには系統の体質強化ということで、農協合併あるいは信連の二段階制とかいろいろありますけれども、基本的には今みずからが大変な努力をされているわけであります。  一方、公的に、万が一のときには、これは貯金者等が大変な影響をこうむるわけでございますから、万が一のときにはという制度は一方であるわけでございまして、そういう意味で、これはどちらかしかないというのではなくて、これは現時点での努力、そして最悪の場合には国民経済的な観点からということになるのではないかというふうに考えております。
  101. 安住淳

    ○安住委員 それは大臣、私の認識とちょっと違いますけれども、信連に関していえば、農水組合の預金保険や信用事業相互援助制度というのは当てはまらないのではないですか。つまり、それはセーフティーネットがないのではないですか。その認識、ちょっと違うと思いますよ。いかがですか。
  102. 中川昭一

    中川国務大臣 現時点ではおっしゃるとおりです。
  103. 安住淳

    ○安住委員 だから、私申し上げているんじゃないですか。公的資金を活用して銀行並みの厳しい査定をやって、こういう言い方はあれですけれども、それはもう所管を大蔵省なり金融監督庁なりにちゃんと移して普通の金融機関並みにやるか、公的資金を投入するというのはそういうことですよね。そうでなければ系統の中でちゃんとやれるんですかと。二〇〇一年ですから、もう来年には何とかしないといけない話なのに、それに対しての明確な方針がなくてこのままいって信連は大丈夫ですかという話を僕は危機感を持って言っているんですよ、大臣。  最後に、このことをどうするのか、また時間を設けてやらせていただきますけれども、この見通しをぜひ伺わせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 竹中美晴

    ○竹中(美)政府委員 仮に、信連が経営困難に陥った場合の対応でございますが、これまでも県内におきます最大限の自助努力を基本といたしまして、例えば人員の削減あるいは資産の処分、役員報酬のカット等々、信連の自助努力による経営の改善と、それから、それで困難な場合には傘下の農協を初めといたします県内農協系統による支援が行われまして、これで経営の改善、健全化が図られておりますとともに、また、系統全体としてのバックアップ機能も働いているところでございまして、こういう形で対応していけるものと考えております。
  105. 安住淳

    ○安住委員 これで終わりますが、ちょっと今の話は、私は全然納得しておりません。不良債権の額が確実に解消されていることが経営の健全化が図られているという話であって、全く解決していないのにそんなことを言うということは、私はちょっと感覚を疑います。  しかし、この話はこれで、時間が終わりますから、この通常国会の中でまた時間を設けて質問させていただきます。大臣、お忙しいところありがとうございました。
  106. 松岡利勝

    ○松岡委員長代理 次に、一川保夫君。
  107. 一川保夫

    ○一川委員 今回の農林水産大臣所信表明を聞かせていただきまして、非常に大事な時期だなということをつくづくと感ずるわけです。特に、昨年の九月の食料農業農村基本問題調査会の答申を受けまして、その後、十二月に農政改革大綱というものを打ち出されたわけです。そういうものに沿っての基本的な所信表明であったというふうに思いますけれども、この時期にこういう重要な法律を提出したいということも含めて、そういう重要な所信であったという基本的な認識に立っておるわけでございます。  そこで、大臣質問いたします。  私、今日のこの基本法の制定という中には、当然従来の農業基本法のいろいろな反省を込めての制定になるわけですけれども、この基本法を制定するに当たって、国民的にしっかりと支えられた、そういう合意がそのバックにあるということが非常に大事なことでございますし、そういう中で、従事する農業者なりまた農村地域に住んでいる皆さん方も、それなりに意欲と誇りを持ってこれからの新しい時代を乗り越えていけるということになると思うのです。そういう面では、今回のこの基本法を制定するに当たりましての基本的な理念といいますか、そういうところが非常に大切であるというふうに思っているわけです。  私は、個人的には、今回の新しい基本法の中に前文的なものが入るか入らないかまだ定かになっていないとは思いますけれども、その前文を読むだけで、農業に従事する人とかあるいは農村に住んでいる人たちが何となく奮い立つような、何か明るい展望が見えるような、そういう理念がぜひ必要だというふうに思っているわけです。そのあたりの大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  108. 中川昭一

    中川国務大臣 新しい基本法におきましては、まだ条文そのものが確定しておりませんけれども、先生指摘のように、この日本が続く限り、国内食糧供給を基本として、日本国民日本に住む人々が暮らしていけるような体制にしていきたいという思いが私自身にはございます。  そういう意味で、二十一世紀にわたって安定的な食糧供給のいわゆる中心的な役割となる農業者皆さんが将来にわたって夢を持てるような施策の根本に理念法として基本法があり、実体法としてそれに法律が何本か関係してくるわけでございますけれども、そういう農業に携わる方々が本当に将来に夢が持てるような形の法律というものに位置づけていきたいというふうに考えております。
  109. 一川保夫

    ○一川委員 大臣にもう一つ伺っておきたいわけですけれども、新しい農政改革という流れの中で、当然ながら、従来取り組んでこられた農水省のもろもろの施策に対してのいろいろな点検なりを行いながら、そういう新しい改革に沿っての新しい施策というのは当然構築されるわけですね。特に大臣としては、これまでのいろいろな個別政策を含めて、どういったところに見直しをかけて、特にこういった点を重要視して施策をしっかりと構築していきたいというような考え方をある程度整理されていらっしゃるのではないかというふうに思いますけれども、今後の農政の取り組む柱といいますか、どこに重点を置いて取り組んでいかれる方針なのか、そのあたりを伺っておきたいと思います。
  110. 中川昭一

    中川国務大臣 新しい基本法、そしてまた政策全般の推進当たりまして、先日所信を述べさせていただきましたが、今回の農業改革におきましては、まず、前基本法と全く違う新しい概念といたしまして、消費者という立場を大きく一つ位置づけました。消費者あっての日本農業生産であり、また国内の農業生産あっての日本国民であるという、共生関係といいましょうか、共通の認識というものを重視いたしまして、消費者の視点というものを位置づけたところであります。  そのためには、安定的な食糧の確保、そしてまた農業の持続的な発展が可能となるようないろいろな施策、さらには自然循環機能の維持増進、そして農村地域における、食糧供給はもとよりでありますけれども、多面的機能の発揮、その中で、文化とか歴史とかあるいは教育的な側面とかいうものも含めた、心の安らぎとかゆとりとかいうものも含めた農村地域の形成というものを柱にしていきたい。  ほかにも国際的な貢献とかいろいろありますけれども、要は、農村地域を守り発展させ、そしてそこで農業に携わる人々が夢を持って農業にいそしめるような施策づくりにポイントを置いたところでございます。
  111. 一川保夫

    ○一川委員 ちょっと具体的なお話をお聞きします。  今ほど大臣も、農村の文化的な役割とか、そういうことにも若干お触れになりましたけれども、私は、農業というのは、まあ一次産業すべてかもしれませんけれども、いろいろな面で、効率性だけを追求するとか生産性のみを追求していくという世界では非常に難しい部分を基本的に抱えているというふうに思います。また一方では、そういった効率性の悪いと言われるような部分とか、あるいは非常に条件が不利な地域におけるいろいろな仕事というのは、ある面では非常に文化的な価値の高い部分というのがあるような気がいたすわけでございます。  そういう面では、恐らく今回の農政改革一つの流れの中でも、従来の農政とほぼ共通する中には、できるだけ効率的で生産性の高い農業を目指すというのは基本に当然あるわけでございますけれども、一方では、中山間地域などに言われますように、非常に条件が厳しい地域におけるそういった農村の公益的なもろもろの機能なり、あるいは歴史的、文化的な資産、そういうものがいろいろとあろうかと思うのです。それは有形な文化財もあれば無形な文化財もあるわけですけれども、そういうものを、そういう厳しい自然条件なりいろいろな環境の中でも、そこに住んでいる皆さん方はしっかりとそれを守っていこうという努力も現実にされているわけです。  私は、生産性、効率性の高い農政という一つの大きな流れの一方では、効率の割と悪いと見られるところ、また生産性が低いんではないかというふうに言われるような地域に対しても、やはりこれから、農村の持つ公益性だとかあるいは文化的な役割ということをしっかりと評価する中で、そういう地域なりそういうことに取り組んでいる方々に対してしっかりと公的に支援をしていくというような流れも忘れてはいけないというふうに思うわけですけれども、そのあたりに対する農水省の基本的な考え方をお聞かせ願いたい、そのように思っております。
  112. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 ただいま御指摘があったとおりでございまして、中山間地域は、言ってみれば下流域の都市住民を初めとする国民のいわば防波堤ないしはダムの機能を持っております。国土保全上の機能と申し上げてもよろしいと思いますし、それに加えまして文化とか伝統、そういったものの色濃く残る場でもございます。  ただ、先生から御指摘ありましたように、こういった地域では生産条件が非常に不利だということもございまして、担い手が減少する、あるいは耕作放棄地が増加をするといったことで、そういった公益的機能の低下が懸念をされているところでございます。  文化、伝統、そういったものにつきましては、それぞれ構造改善事業や山村振興事業で対策を講じておりますけれども、このたびの農政改革大綱の中で、耕作放棄の発生を防止いたしまして公益的機能確保するという観点から、中山間地域等に対しまして直接支払い制度の実現に向けた具体的な検討の枠組み、これを明示いたしたところでございます。  十二年度の概算要求時までに、国民の合意が得られるような仕組みにつきまして具体的な検討をしてまいりたいと考えております。
  113. 一川保夫

    ○一川委員 今構造改善局長の方からいろいろ答弁がございましたけれども、先ほどもちょっと委員質問の中でいろいろ話題に出ておりました。今回の大臣の所信の中にも、農地なり水などの生産基盤を確保、整備するということが大きな一つの柱になっております。  これはもちろん、農業を営む基礎的な条件を整備するという意味では大変大事なことでございますし、今我々いろいろな地域を歩いていても、最近の特に山村地域と称するような中山間よりもやや奥に入ったところなんかは、非常に耕作放棄地がふえてきているという問題とか、あるいは非常に集落そのものが高齢化してきている、過疎化してきているという状況の中で、農地そのものをしっかりと管理していく体制そのものも非常に弱くなってきているわけですし、また、そこへ導水する、かんがい用水なんかを取り入れる堰とか水路等についても相当老朽化してきているわけですけれども、そういう施設そのものを更新するエネルギーすらもうなくなってきているという状況にあるわけです。  こういったことを放置すれば、当然ながら国土保全とかあるいはまた環境保全という観点からも大変ゆゆしき問題につながっていく危険性があるわけです。特にこういった割と条件の厳しい地域での農地とか農業用水を中心にした地域用水的な役割も担っておりますけれども、そういう用水をしっかりと公的に責任を持って整備していくというような姿勢が非常に大事ではないかというふうに思います。そのあたりに対する基本的な姿勢を伺いたいと思います。     〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 先ほどの話と関連をするわけでございますけれども、確かに条件の不利な地域におきましてそういった土地改良施設の管理なりになかなか力が及ばないというふうなこともございます。  これまで私どもの農業農村整備事業の中でかなり重点的に、思い切ってそういうところに予算の配分を行ってきたわけでございますけれども、このたびの農政改革大綱の中で三つ、農業農村整備事業につきましても大きな点を明示いたしております。  一つは、地域の立地条件に即し環境保全などに配慮した基盤整備を進めるということでございます。それから二つ目には、土地改良施設の管理の強化ということで、公的支援をこれからはできるだけ強めていくという方向でございます。そして、計画的な土地利用と総合的な農村整備を推進するということで、先生の多分お心の中にあるんだと思いますけれども、これまでの土地改良事業、土地改良制度につきましても抜本的な検討を加えまして、多少時間はかかるかと思いますけれども、総合的な見直しを行いたいと考えております。
  115. 一川保夫

    ○一川委員 今ほどの話題にも関連いたしますけれども、特に生産基盤を整備してきているもろもろの制度がたくさんございますし、またその根拠となっている土地改良法というような法律もあるわけです。こういった制度なり現行法の仕組みそのものがある程度見直しをかける時期に来ているということの認識を先ほど局長答弁されましたけれども、私も全く同感でございます。  特に、そういった基本的な法律が制定されて以来の農村地域状況に大きな変化もございますし、当然農業そのものの構造というものが、いい方向に改善されているところもあるし悪い方向に改善されているところもございますけれども、非常に構造が変化してきていることは間違いないわけです。  また、そういう事業に対するニーズというものも、農業者のニーズなり、またその地域に住んでいる直接農業に従事していない方々のニーズというものも当然あるわけでございまして、そういうニーズのいろいろな変化、多様化、そういう現象も当然あるわけでございます。また一方では、最近よく言われていますように、地域に対するいろいろな、生態系を含めた環境問題に対する配慮が必要だとか、また農村そのものの景観を重要視すべきだというような意見も相当出てきております。  そういう法律なり制度を取り巻く状況というものが相当変化してまいっているわけでございますので、そういうものに即して、また今後を見通す中で、現行の法体系なりまたは制度的なものをしっかりと見直していくということも大変大事なことだし、また、これに余り時間をかけ過ぎてもタイミングを逸してしまうようなところもございます。先ほど話題に出ましたような行政改革なり地方分権という一方の新しい施策の流れもありますから、そういうものもにらみながら、現行制度等を見直していくということに対する考え方をもう一度お聞かせ願いたいというふうに思います。
  116. 渡辺好明

    ○渡辺(好)政府委員 ただいまの先生の御指摘の中で、農村社会が混住化の様相を呈している、したがって、農村地域における各種の土地改良施設などが必ずしも農業者生産だけではなくて地域住民のための機能向上も果たしているという点もございます。  また、最近、とりわけ自然環境の保全とかあるいは景観の維持といった点について国民意識が大きく変化をしてきておりますので、私どもこれまでも農業農村整備事業をやります際に、そういった環境への配慮ということも随分気を使ってきておりまして、施設の構造とか材料の設計上、生態系の保全などがうまくいきますような工法等を行っているところでございます。蛍であるとかあるいは魚であるとかそういったものの巣づくりや、流れを妨げないといったようなこともやってきておりますし、大分やはり土地改良事業、土地改良制度、それからその個別具体的な中身について大きな期待と改革をすべき時期に来ているというふうに認識をいたしております。  農政改革プログラムの中でも示しておりますけれども、総合的に見直しをすることを検討するというふうに明示をいたしておりますので、現在既に検討に着手はいたしておりますけれども、精力的にこれをこなしまして、新しい意味での農業農村整備事業のバックボーンになるような制度の検討を行いたいと思っております。
  117. 一川保夫

    ○一川委員 次に、ちょっとWTOの次期農業交渉に向けての基本的な考え方を伺っておきたいと思うのです。  来年に次期農業交渉を控えているわけでございますけれども、この交渉が大変またポイントを握る、そういう交渉になろうかというふうに思うわけです。先般の米の関税化問題にも当然大きく関連するわけでございますけれども、二十一世紀の我が国農業がスタートラインでどういう方向に向かっていくかという面では相当重要な交渉になろうかと思うわけです。当然ながらそれぞれ各国ともしっかりとした対応をすると思いますけれども、我が国としまして、この交渉に臨むに当たりまして、特にこのあたりをしっかりと交渉していきたい、交渉の基本姿勢といいますか、そういったところを確認したいわけです。特に、農業なんというのはそれぞれの地域、それぞれの国の特性というものを背景にしておりますから、特殊事情といいますか、そういうものをしっかりと相手方に理解させるということが大変肝要であるというふうに思います。  また一方では、先ほどの新しい農業基本法改正もそうですけれども、国民的にしっかりとした合意形成がなされた上での交渉事というのが非常に大事ではないかというふうに思うわけです。今回の大臣の所信の中にも、国民合意の交渉方針を早急に確立するというような言い回しをされておりましたけれども、具体的にはこの言い回しがどういうことを指すのかちょっとわからない面もございますが、要はそういう国民的なしっかりとした合意を受けて交渉に臨みたいということだろうと思います。  これまでの国際交渉、ウルグアイ・ラウンド等のああいう経過を見ておりましても、農業界とほかの経済界が意見が対立しているとか、あるいは都市住民と農村住民の意見が対立している、あるいは生産者消費者意見が対立しているというような図式が何となく日本の世論の中に見え隠れしているわけですね。そういう背景を受けての国際交渉というのは非常に弱くなってしまうということを私は基本的に非常に心配するわけですけれども、そういう合意形成を踏まえて、次の農業交渉に基本的にどういうスタンスで臨まれるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  118. 竹中美晴

    ○竹中(美)政府委員 御指摘のとおり、次のWTO農業交渉は、我が国国内におきましても農政改革を進めているという中での交渉でありまして、大変重要な位置づけを持ってくるものと考えております。  交渉に当たりましては、我が国として、いろいろ主張していくポイントもあろうかと思いますけれども、一つには、例えば国境措置等のあり方につきまして、農業の多面的機能や食糧の安全保障といったことの重要性。さらにはまた、国内の農業政策の円滑な実施や、また長年我が国で営まれてきました農業生産の文化への十分な配慮といったこと。さらにはまた、公正な農産物貿易ルールを確立いたしますために、輸出補助金や輸出規制の取り扱い等につきまして、輸出国の利益に偏っております現在のWTO協定を見直して、輸出国と輸入国との権利義務のバランスを図るといったこと。また、御指摘にございましたように、各国の農業というのはそれぞれ自然的条件、歴史的経過を背負っておるわけでありまして、各国の農業の違いを認識しながら、それぞれの農業が共存できるような国際規律にしていくといったこと、そういったことを目指していきたいと考えております。  その際に、御指摘にもございましたように、我が国の主張を強力に展開していきますためには、広い範囲で国民的な合意をつくっていくということが大変重要な課題であると考えております。関係者が一体となって、対応方針につきまして協議、検討を進めながら、さらに幅広く各種の経済団体あるいは消費者団体といった方々の御理解も得ながら対応をしていきたいというふうに考えております。
  119. 一川保夫

    ○一川委員 官房長に、今回の農政改革関連して、先ほどの大臣質問をもうちょっと具体的にお聞きしたいわけです。  先ほど個別政策の見直しについて大臣の方から答弁が一応あったわけですけれども、もうちょっと具体的にもしできたらお話を聞かせていただきたいと思うわけです。今回のこういう食料農業農村基本法というものを制定していく中で、当然ながらこういう新しい法律のもとで新しい施策が展開されていくわけです。そうした場合に、従来いろいろとやってきた個別具体的な施策を、こことここは要するに見直しをかけながら、特にこういったところは重点的に取り組んでいきたいというところをもうちょっと具体的に知りたいわけです。  先ほど来、いろいろな議論の中で、例えば食糧自給率を向上させていくとか、あるいは農村の活力をしっかりと維持向上させていくという観点での環境整備とか、雇用の確保みたいなものとか、都市と農村の交流の問題とかいろいろあろうかと思うのです。また一方で、当然農政としての、本来のそういう経営体をしっかりとつくり上げていくということも大事だと思いますけれども、従来の農業基本法時代のいろいろな施策を、新しいこういう改革の中で、特にどのあたりに重点を置いていきたいというふうに考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  120. 高木賢

    ○高木政府委員 お答え申し上げます。  食料農業農村、各分野にわたりましていろいろと重点の置きどころがあるわけでございます。  食糧政策、これは一億二千万の国民を養うものでございますから、やはり消費者の視点を重視する。具体的に何かということになりますが、やはり安定供給なり安全なる食品の確保という点が極めて重要かと思いますし、供給の体制の中でも、農業だけでなくて、食品産業と密接な連携を持って食糧供給体制をつくるということが大事かと思います。それから、情報提供といいますか、表示制度の充実というところに特に当面力点を置きたいというふうに思っております。  農業政策の中ではやはり経営という視点を重視したいと思います。やはり効率的、安定的な担い手を中心とした農業構造を確立する、また個々の担い手経営の発展を図るという点から、特に横断的な経営対策ということを展望した政策展開を今後は目指すべきではないかというふうに思っております。そういう中で、自給率の向上ということを目指しまして、消費者のニーズ、実需者のニーズが的確に生産現場に伝わるような仕組みに変えていきたいというふうに思います。  また、農業が本来持っております自然循環機能、これは大変重要なものでございますので、これをしっかり制度的にも位置づけてその推進を図っていきたいというふうに思います。  それから、何といっても、農村につきましては農業生産の基盤であり、また農業者の居住の場でもありますから、この振興を十分図っていく。特に、中山間地域、人口の自然減を来している町村が八割にも及ぶ、こういう事態にもなっておりますから、その崩壊を防ぐという意味からも、中山間地域の振興、直接支払いの検討ということをしっかりやっていきたい、このように考えております。
  121. 一川保夫

    ○一川委員 私の方はこれで質問を終わらせていただきますけれども、いつの時代でも、私は、農業という産業以外で食糧を生産しない限りは、農業という産業は非常に大事でございますし、国の基本であるというふうに認識いたしております。そういう面では、今回の新しい基本法の制定の動きというのは大変大事な問題であるわけでございまして、食糧の安定供給を確保するということはもちろん農政基本であるわけでございますけれども、農業なり農村が有するそういう公益的な、また文化的な役割というものをしっかりと再評価する中で、我が国農業がしっかりと発展できるような、二十一世紀に向けて明るい展望が開けるような、そういう新しい農政の確立を、ぜひ中川農水大臣に頑張っていただいて確立していただきたいということを最後にお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  122. 穂積良行

    穂積委員長 次に、宮地正介君。
  123. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは、大臣所信表明に対する質疑ですから、一時間程度でございますが、まず、地元埼玉所沢市で起きました二月一日のテレビ朝日の報道による野菜、特にホウレンソウ生産農家の大変な悲鳴を、私は現場に行きましてお聞きしてまいりました。この問題について、きょうは少し取り上げさせていただきたいと思います。  この問題について、農水大臣は先ほど、怒りを覚える、こういうお話がございましたが、大臣、この問題についてどのようなお考えをお持ちなのか、また、この報道の問題について、大臣として、また政府として、どういうふうに受けとめておられるのか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
  124. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、農林水産大臣立場からは、農家生産者皆さんは手塩にかけて農産物をつくられておるわけでありまして、そこには御苦労と愛情と、そして誇りがあるということが前提にあるというふうに私は確信をしております。これは日本全国の農家皆さんの共通認識だろうと思います。  そして、私を含めて多くの消費者が愛用しております特に所沢産のホウレンソウにつきまして、あの二月一日のニュースステーション報道によりまして、極めて危険な濃度のダイオキシンが付着したホウレンソウ生産されているというふうに国民がとるということは、私は、私だけの受けとめ方ではないのではないかと。その証拠に、流通業者が買い取りを拒否し、そして消費者が買うことを拒否し、暴落をし、あるいは売れなくなった。しかも、その後判明したところによりますと、その中には野菜ではないものが入っていて、その数値が極めて高いものであって、野菜、特にホウレンソウについては、我々が数少ないデータ一つとして持っております二年前の厚生省の全国的なホウレンソウに付着しておるダイオキシン濃度と、そう大差のないものであるということがわかったわけでございます。  私としては、あの報道、そしてその後の二度目の報道ぶりを何回も繰り返し見ましたが、これは消費者、流通業者だけではなくというよりも、もとより生産者皆さんが、どんなにかそれによってつらい、苦しい、そして経済的にも大きなダメージを受けることになったかということを考えますと、我々の立場も決して小さいものではないと思いますけれども、やはり報道番組の責任、あるいは万が一にも結果的に間違ってしまったということであれば、何がどのように間違ったのかということをきちっと視聴者の皆さんにわかりやすいように報道をし、謝罪すべきであったのにもかかわらず、二回目の報道についても、あの司会者の方の発言というものはよくわからない報道ぶりであったということについては、朝申し上げましたように、私は、正直言って怒りを感じているところでございます。
  125. 宮地正介

    ○宮地委員 この問題について、郵政省は、放送法の観点からあるいは別の観点から、どのような対応テレビ朝日にしたのか、この点について報告していただきたいと思います。
  126. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のこのテレビ朝日の放送は、二月一日、それから二月九日に同じ案件について放送がされたわけでございます。先生御案内のように、報道の中身にどうも非常にわかりにくいものがありまして、一日の放送と九日の放送、どういう関係になっておるかということで、私どもも、多くの視聴者の方がどうもわかりにくかったという大変強い印象を持たれた。それからまた、それによって大きないろいろな社会的影響があったということで、この一日と九日の放送の、特に数字の関係はどういう関係になっているのかということで事情を聞くようにしておりまして、今その報告を待っているところでございます。  本件につきましては、既に、内閣といたしまして、関係省庁でこの問題に真剣に取り組むようにという総理からの御指示もございますし、私どもその政府全体の方針にのっとりまして、放送法を所管する立場から、この問題に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。  今現在、いろいろ承知している範囲では、放送法に直ちに抵触するというような判断はしておりませんけれども、引き続き事実関係あるいは関係状況を把握しながら、放送法の観点からどのように対応すべきか真剣に検討してまいりたい、かように存じております。
  127. 宮地正介

    ○宮地委員 放送法三条の二、三号に当てはまるかどうかということについては、私もこの立証については大変に難しい点があろうかと理解をしております。しかし、この二月一日の放送と二月九日の放送にはまず根本的な数値の違いが出ていることは、皆さん御存じのとおりであります。  この二月の一日の報道のときには、所沢ホウレンソウがメーンですけれども葉っぱ物ですと。このホウレンソウがメーンですけれども葉っぱ物です、こう言いながら、このときの発表は最高で三・八〇ピコグラム、まずこれが現場の生産農家、流通業者に大変なショックを与えたわけです。ホウレンソウがメーンというこの言葉がポイントなんです。  そして今度は、九日のときには、数値が〇・六三五から〇・七五、これはホウレンソウ、こう言ったわけです。  今、いみじくも大臣は、間違いであったならと。農作物とか野菜とか葉っぱとか、この辺を間違えたとか言い違えたとか、いろいろなことが言われておりますが、最初の二月一日のときの、この〇・六四から三・八〇ピコグラム、そして、ホウレンソウがメーンですけれども葉っぱ物ですね、こう発言した。これが大変なことになった。いわゆる所沢産のホウレンソウは、これは大変な野菜なんだという印象を埼玉、東京周辺の消費者に与えた。  これについて、郵政省、どういうふうに監督指導をされているのですか。
  128. 品川萬里

    ○品川政府委員 今先生指摘になりました、私どももそのように、一日と九日にそのような報道があったというふうに承知しております。特に九日の方は、単位は省略いたしますけれども、〇・六三五それから〇・七五。ボードの表示はホウレンソウ、あるいは解説ではホウレンソウと大根の葉物等の表現があったというふうに承知しております。  それで、今先生指摘のように、ホウレンソウをメーンとした葉っぱ物。私ども、これは聞きましても非常にわかりにくい表現でございます。それから、一日と九日ではこの数値とまた対象、表現が変わっておりますので、この辺の相違について非常に国民、視聴者のわかりにくさを招いているので、これについて説明を求めたいということで、今報告を求めているところでございます。  この一日、九日の報道の中身というものが放送法からどう解釈されるべきか、どのように条文にのっとってこの報道をとらえるべきか、ただいま検討しているというところでございます。
  129. 宮地正介

    ○宮地委員 あなた方が放送法の三条の二、一項の三号に該当するかどうかのチェック、私は大変難しいだろうとさっき申し上げました。それは、読み上げますと、「報道は事実をまげないですること。」事実を曲げたか曲げないかの立証は、大変にこれは難しいと思う。  しかし、この二月一日の報道で大変なパニックが所沢を中心として起きた。現実に起きた。実際にホウレンソウは、九日の数値で全く一日の数値とは、三・八から〇・七五ですから、これはもう大変な数値の違い。しかし、この一日の報道によって現場においてどういうことが起きたか。一日から九日に、JA所沢日本食品分析センターに委託した、その公表をするまでどういう状態であったか、これをまず、大臣また郵政省も、私はしっかりと認識をしてもらいたいと思う。  この一日の報道になる直前の一月三十日、所沢市の中央卸売市場所沢産のホウレンソウがどのくらい入っていたか。約三万束ですよ、三万束。大体三万束がずっと一月は入っていた。そのときの価格も、一束百円から百二十円です。ですから、ざっと見れば、三万掛ける百で三百万です、一日のホウレンソウの取引は。それがどういう状況になったか。一日からだんだん下がって、最悪のときは、大臣、七千束ですよ、七千束。価格は幾らですか。一束二十八円ですよ。十九万六千円ですよ。三百万の一日の取引が、わずか十九万六千円。生産農家の採算コストは七十円と言われているのです。ですから、埼玉県でもどのくらいの被害になったか。土屋知事も一生懸命、現地に飛んだり、対応しています。埼玉県の調査だけでも、所沢産で四千万、この八日間で。全体の野菜で三億の被害が出ている、こういう試算も出している。  そして、生産農家皆さんがどういう状況か。私も、現場に行って激励をしてきました、生産農家を。現場のホウレンソウをつくっているところも見てきました。流通業者にも会って、激励してきました。JAの所沢にも行って、激励してきました。ある生産農家は、子供が学校に行って、おまえのところは毒入りのホウレンソウをつくっているのか、こう言われて泣いて帰ってきている。両親が朝早くからビニールハウスでホウレンソウをつくっている。代議士、もうつくる意欲が出ませんよ、これをどこに訴えたらいいのですか、テレ朝はあれでおしまいなんですか、政府は何をやってくれるのですか、我々はホウレンソウをつくる意欲はありませんよ、だから見てください、もう出荷する意欲がないからとりません。これが、今の所沢生産農家実態なんですよ。  だから、そういう点で、まずこの報道の自由という問題と、そこには当然民主主義のルールとして、責任という問題を私は伴うと思う。何でも自由に発言して、無責任に発言していいなんということは許されない。民主主義国家であるなら、言論の自由も報道の自由も保障される。結構でしょう。しかし、そこにはおのずから公的機関としての責任という問題が伴うのは当たり前です。  今回は、明らかに私は、テレビ朝日においては何らかのやはり訂正の報道をするなり、公的機関であるならきちっとした陳謝をするなり、それは、これから調査する、調査の結果を見てとかいろいろあるでしょうが、少なくとも今回は天災じゃない。これは言うなれば、生産農家に言わせれば人災ですよ。この認識に立って、郵政省、私は、もっと厳しく監督すべきだ。また、申し入れをしたなら、いつまでにきちっと回答をよこすのだ、この点についてもう一度、局長、確認しておきたいと思います。
  130. 品川萬里

    ○品川政府委員 ただいま先生から、この報道による社会的な影響について大変詳しくお話しいただきました。私も、真剣にこれは受けとめなければならないと改めて痛感した次第でございます。  先生指摘のように、当然のことでございますが、表現の自由の保障とともに、放送というのは公共の福祉に適合することというのも大事な柱でございまして、そういう立場に立ちまして、今放送会社に、テレビ朝日の方に求めている報告につきましてもできるだけ早く承知いたしまして、そして、放送法の理念に従って的確に、どのように対処すべきか、できるだけ早く私どもも対処方、方針を示してまいりたいと思っております。
  131. 宮地正介

    ○宮地委員 この放送法の中に「訂正放送等」という項目があるけれども、これは例えば、こういう打撃を受けた生産農家テレビ朝日に訂正の申し入れをして初めてテレビ朝日が調査をする、こういうふうに放送法はなっている。これに対して、郵政省は、監督行政としてどういうようにこの問題を取り扱うつもりなのか。また、生産農家の監督行政に当たる農水省としても、この解釈、行動についてどういうフォローアップをしようとしているのか。あくまでも生産農家の主体性に任せるということで対応するのかどうか。この点について確認しておきたいと思います。
  132. 品川萬里

    ○品川政府委員 今先生指摘の訂正放送制度でございますが、これは放送法四条に示されております。恐縮でございますが、若干条文を引用させていただきますと、放送によって権利の侵害を受けた本人またはその直接関係人が、放送のあった日から三カ月以内に請求をされて、そして放送事業者が、その申し立てに基づきまして、真実でないということが判明したときは訂正放送をするというような仕組みでございます。  これは、三カ月以内に請求と現行はなっておりますけれども、かつては三週間以内でございました。これを最近の法改正で三カ月まで延期いたしまして、この訂正放送制度の一つ充実が図れるように放送法を改正していただいたわけでございます。  この制度につきましては、予算をとりましてPRに努めておりますけれども、まだまだ、今回、仮に、この訂正放送制度について所沢の皆様も御存じないゆえに訂正放送制度を活用しなかったということでございますと、これは我々も、制度の活用ということからすれば望むところではないわけでございまして、私どもが、訂正放送をしたらどうですかと言う立場ではございませんけれども、制度の趣旨につきまして相談したい、あるいは知りたいということであれば、喜んで相談にあずからせていただきたいと存じております。
  133. 中川昭一

    中川国務大臣 今回、先生指摘の三億とか四千万とかいう被害に対して、我々として、テレビ朝日に訂正放送あるいは損害賠償請求を求めるということはできませんけれども、しかし、農家皆さんの経済的な損失に対して、我々としてはできるだけの経営支援等々をやっていきたいと思います。  何よりも、流通そして消費者皆さん方に、今先生がおっしゃいましたけれども、生産者の経済的損失はもとよりでありますけれども、イメージダウンさらにはプライドの問題を何としても回復すべく、農林水産省の食品流通局あるいはまた広報を通じて、できるだけのことをやっていきたいと考えております。
  134. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、私が言ったのは、この四条の問題についてどうフォローするかということについて申し上げたので、既にJA所沢等では、弁護士等に相談をいたしまして、今後どういう対応ができるか、こういうことも研究をしております。  ただ、生産農家というのは、経営も大変な中で、一人一人では告訴とか告発なんかに踏み切るだけのパワーがありません。やはり生産団体等が本気になって取り組まなければ、経費もかかることですから、こうした問題については対応できない。そういうことで、JA所沢などは、上部団体と相談しながら、告訴に踏み切るかどうか今弁護士と相談をしている、こういう状況にあるわけです。  そうした問題についても、農水省として、JA中央会とか全農とか、いろいろ生産者団体があるわけですから、そういうところとも連携をとりながら、やはりこうしたことが、もし誤りの報道であったなどということは二度と許される問題じゃないし、これだけの影響力のある問題については、報道機関としても責任を持ち、慎重過ぎるほど慎重にやるのは当然なんです。  こういう点について、郵政省所管の放送法、そういう感覚でなくして、この異議申し立てという報道訂正の四条について、農水省としても、全中とか全農とか、そういうところと意見を交換しながら、何らかのサジェスチョンをしていくべきではなかろうか、私はこう考えておりますが、もう一度、この点についてお考え伺いたいと思います。
  135. 中川昭一

    中川国務大臣 放送法四条の訂正を求めることについては、直接的に損害をこうむった方あるいはその直接代理人ということになっていると理解しております。したがいまして、農林省がどうこうということはちょっとできかねると思います。また、放送法そのものの所管が郵政省でございます。  しかし、先生指摘のとおり、いち早く全中会長からも抗議の声明が出たと記憶しておりますし、農林省といたしましても、テレビ朝日に対しまして申し入れをしたところでもございますし、今後の農業者あるいはJAがとるべき行動についてできるだけの支援をし、連携を密にとっていきたいと考えております。
  136. 宮地正介

    ○宮地委員 郵政省、農水省、この問題は大変に重要な問題ですから、よく連携をとって、私も監視をしていきたいので、適切な監督指導を今後ともぜひよろしくお願いをしたいと思います。  もう一つの大事な視点は、いわゆるダイオキシン安全基準をいつ政府はつくり、国民発表するかという問題であろうと私は思っております。  確かに、今WHOでは、一日の体重一キログラム当たりの人体に摂取する量は一から四ピコグラム、こういうことで報告しております。我が国は今まで十ピコグラムということで来ているわけですが、これも報告の範囲であります。  そこで、今、厚生省環境庁に、いわゆるダイオキシンリスク特別部会、評価の特別部会が厚生省、小委員会環境庁、この部会、小委員会の合同会議が一月二十八日から発足しているわけですが、いつごろまでに報告書をまとめ上げるか、これが今最大の国民の関心事です。農作物等を食べて、その中に含まれているダイオキシン安全性はどうなのか、大丈夫なのか。基準はどうなんだ、十なのか、それともWHOの一から四なのか。果たして我が国はどうなのか。御存じのとおり、各国はもう既にできているわけです。  この点について、まず厚生省環境庁、この合同部会であなた方はいつごろまでに結論をまとめて、各大臣に報告をし、政府として安全基準公表するのか、その努力目標についてまず報告をしていただきたい。
  137. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 ダイオキシンTDIについてのお尋ねでございますが、昨年の五月に、WHO専門家会合におきまして、今先生が御指摘のございましたように、従来は十でございましたけれども、一ないし四ピコグラムという数値提案をされたわけでございます。  ただ、この時点では、極めて概要しか発表されておりませんで、その議論の根拠になったもの、詳細な議論の内容のペーパーというのはなかなか入手することはできませんでした。本年の一月末になりましてやっとWHOから送付をいただきましたので、今先生指摘のように、一月二十八日に環境庁と合同の専門家会合を開催いたしまして、見直し作業に着手をしたところでございます。  具体的な作業につきましては、ワーキンググループを設置いたしまして作業をするということといたしておりまして、近日中に第一回のワーキンググループを開催することといたしているわけでございます。  このワーキンググループにおきましては、専門家先生方にWHO専門家会合において使用されました多くの資料等を科学的に評価、解析をしていただく必要があるというふうに考えておりますが、ただ、問題がこういう非常に大きな問題でございますので、今の時期にいつというお約束はなかなか難しいとは思いますが、可及的速やかに御結論をいただきたいというふうに考えております。  また、数値につきましても、この専門家会合では、日本の研究者を含む世界の研究者が長い時間かけてディスカスしたものでございますので、一あるいは四という数字はそれなりに一定の権威のあるものというふうに私どもとしては受けとめているところでございます。
  138. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  環境庁といたしましても、今の厚生省立場と全く同じ事態の認識でございまして、厚生省と連携して、できるだけ早期対応を図ってまいりたいと思っております。
  139. 宮地正介

    ○宮地委員 ダイオキシンのいわゆるTDIは、私はもう早急に政府として報告を取りまとめて発表していただきたいと思う。これはぜひ中川農水大臣に、環境庁あるいは厚生省と連携をとっていただいて、政府全体として、日本政府として、やはりこのTDI安全基準をきちっと国民にいち早く発表する。この所沢野菜問題を契機に、これは私は待ったなしだと思うのですね。ぜひこの国会中ぐらいに、会期末ぐらいには国民公表できるぐらいの精力的な、ぜひ合同部会に少しハッパをかけていただいて、急いでいただきたい。  これがないと、今サンプル調査に入っていますけれども、幾らこれが三月末に出ても、本当にこれは安全なのか安全じゃないのか、安全宣言が政府はできるのか、こういう問題にも発展するわけですから、まず安全基準というものをしっかりとコンクリートする。これはぜひ、今回の野菜事件を突破口に、農水大臣、リーダーシップをとっていただきたい。その点についてのまず御決意。それから、今国会中に何とかまとめさせるように、少し環境庁厚生省にハッパをかけていただきたい。この点についてのお考え伺いたいと思います。
  140. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の埼玉県の実態調査につきましては、きのうから三省庁合同でやっておりまして、この事務局は農林水産省にあるわけでございまして、これにつきましては、本当にできるだけ早い、もう今月、来月のうちにやれるというめどがついております。  それから、全体のTDIにつきましては、これは一義的には多分厚生省だと思いますが、小渕総理も所信表明でもこのダイオキシン問題に触れられておりますし、総理も昨日の閣議でこの問題に強い関心を持っているということでございますので、総理のリーダーシップのもと、できるだけ早く国民皆さんに安心いただけるような基準づくりに向けて、私も努力をしていきたいというふうに考えております。
  141. 宮地正介

    ○宮地委員 既に今WHOの一から四で、四というのは大体当面、最終目標は一ぐらいというのはWHOです。ちなみに、各国のデータについてはもう既に御存じだと思いますが、ドイツなんかはTDIが十、これは一九八五年。スウェーデンが一九八八年でTDIが〇から五。それからデンマークも一九八八年でTDIが〇から五。カナダが十。英国が十。スイスが十。アメリカは、これはどういう状況かぜひ確認をしていただきたいのですが、一九九四年、アメリカは非常に厳しく、現在提案中のようですが、〇・〇一と。こういう状況で、我が国が今までの報告では一九九六年でTDI十。これで今対応しておるということで、日本TDIについてもきちっとした基準を詰めて、小渕総理も所信表明で述べているようですから、ぜひ対応していただきたい。  そこで、特に、これから大事なポイントとして、環境庁、大気汚染については大気汚染防止法がある、水の水質にも水質汚濁防止法がある、土壌はないのですね。まず土壌の汚染防止法を早急に私はつくるべきである。これについて、まず環境庁として土壌についてどうなのか。それから、土壌汚染については既にドイツではガイドラインもできている。こうした問題で、やはり農作物に対する影響の土壌汚染の問題等についても、私は農水省として早急に検討に入るべきである。  確かに、ダイオキシンは水に溶けない。今回の所沢の例でも、ニンジンだとか大根だとか、そうした土の中に潜っているものは全然ダイオキシンはゼロです。たまたまホウレンソウが外に出ています。しかし、出ていても、所沢ホウレンソウはほとんどトンネル栽培かハウス栽培ですから、大気汚染の心配もない。それをショッキングに報道されたわけですから、これは大変な事態になってしまう。  そういう意味合いからも、土壌汚染、例えば牛が草を食べた、泥も食べた、乳からダイオキシンが出る、こういうことは可能なので、そろそろ日本も土壌汚染に対するきちっとしたガイドラインを農水省としても私はつくるべきである、環境庁としてもきちっとした法整備をすべきである、こう思いますが、この点について、まず環境庁、そして農水省からお伺いしたいと思います。
  142. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  土壌中のダイオキシン類につきましての包括的な土壌汚染対策制度でございますけれども、問題は土壌中のダイオキシン類の健康への影響、あるいは土壌中のダイオキシンの農作物への影響、これにつきましては科学的に未解明な部分が非常に多うございます。しかし、科学的な知見が必ずしも十分でないという制約のもとでございますけれども、汚染土壌の処理対策上緊急に必要だという事態を踏まえまして、居住地についてでございますけれども、さきに土壌中のダイオキシン類に関する検討会が設けられまして、緊急的に暫定ガイドライン値を設定すべく提案をしておるところでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、まず検討会の御提案を踏まえまして、居住地のガイドラインの策定、これに対応し、そして所要の対策を講じていきたいということでございます。  次に、先生指摘の農用地の点でございますけれども、この検討会でも今後の検討課題一つといたしましてその対応の必要性について言及しております。しかし、一般にダイオキシン類というものは水に溶けにくい、かつ土壌中のダイオキシン類が植物に吸収されることはほとんどないという学術論文もございます。これに対しまして、植物中から検出される微量のダイオキシン類、これは大気中のダイオキシン類によるものではないかという研究報告もございます。  いずれにしましても、我が国におきましては、農用地及び農作物の測定例が非常に少なくて、汚染の実態に関する知見とかデータ上の制約があるのが現状です。したがいまして、現在、全国で農用地土壌と農作物に関する関係調査中でございまして、これらをベースに農作物と土壌との関係などの科学的な解明、これに努めていくというのが緊急な課題だ、こう考えております。
  143. 樋口久俊

    樋口政府委員 土壌につきましては、私どもの方でも来年度から実施をしていくものの一環といたしまして、土壌と野菜あるいはその他いろいろな作物を県とよく相談をしながら、まずは実態を調べたいということで、その手法を現在設計しておりまして、年度を越しましたらなるべく早く実施に着手をしたいと思っております。
  144. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひこの土壌汚染対策についても法的整備あるいはガイドラインを、農水省、環境庁、しっかりこれから検討して、ドイツのそうした例もあるわけですから、ぜひドイツの例も、あるいはドイツに視察でも行っていただいて、状況を確認の上、早急に私は手を打っていただきたいと、まずきょうは強く要請をしておきたいと思います。  そこで、今、中川大臣からお話ありました、三月末、年度内目標に、今回の所沢ダイオキシン野菜問題を契機として、三省庁で実態調査に踏み切ったわけでございます。この実態調査に踏み切ったのは大変ありがたいことでございますが、これは、年度末目標で頑張っていただくのは結構ですが、ぜひ、これはスピーディーに対応していただきたい。  そこで、昨日から実態調査ということで、所沢市内七カ所、川越市一カ所、狭山市一カ所、三芳町一カ所、三省庁がサンプリングに入る。まず、畑の指定は農水省がやるわけです。そして、その畑の中の土壌、大気汚染、水質汚染、このチェックは環境庁がやる。そこにできている野菜、例えばホウレンソウ、あるいは大根、ニンジン、里芋、そうしたものについて、とりたてのもの、あるいはとった後、洗った後、あるいはホウレンソウなどを煮た後、こういうようなことでサンプル調査をするわけです。  問題は、まず、畑の指定は昨日で終わったのか。それから、厚生省は、その畑からの大気汚染や土壌や水質のサンプルをとったのか。厚生省は、その畑の野菜を、サンプルとして何の野菜をとったのか。この点について、まず報告していただきたい。
  145. 樋口久俊

    樋口政府委員 農林水産省関係で申し上げますと、十カ所すべてホウレンソウということで、他の作物は適当なものがございませんでしたので、すべてホウレンソウでございます。採取は、すべて終了いたしております。
  146. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 私どもの調査は、実際に調理をして、口に入る状態にしたものの中にどのぐらい含まれるかということを調べるわけでございますので、農水省の方で、あるいは県の方でとっていただいたサンプルを、一方は検査の方に回りますし、一方は私どもの方に御提供いただきまして、それを水で洗い、調理をいたしまして、口に入る寸前のところの状態にしたもののダイオキシンの含有量をはかることといたしております。
  147. 宮地正介

    ○宮地委員 埼玉県も、同じように七カ所、一カ所、一カ所、一カ所で同じ地域。これは、三省庁の十カ所と埼玉県の十カ所は、検査地域が市と町は同じでも、畑の場所は違う、こういうふうに私は報告を受けている。だから、言うならば、二十カ所で、埼玉県と国が十カ所ずつ調査に入った、こういうことです。これで間違いないですね。
  148. 樋口久俊

    樋口政府委員 おっしゃるとおり、たまたま箇所数は似通っておりますが、場所は別のところでございます。
  149. 宮地正介

    ○宮地委員 そうなりますと、あとはサンプルをとってどこにきちっと委託するかです。  委託後、四週間かかるのですね。今、分析してデータが出てくるまで一カ月。だから、国の方が県より遅くなんということにならぬように。大体、連携をとっているとは思いますが。  問題は、今のお話だと、一番ちょっと心配なのは厚生省。食品衛生法に照らして、生のホウレンソウ、煮たホウレンソウ、洗う前、洗った後、これは農水省や埼玉県が持ってきたのをやりますなんて、こんな悠長なことを言っておるけれども、あなたのところがいつサンプルを手元にして、いつ委託するか。  環境庁は、大気汚染と土壌と水質は、サンプルをとりましたか。確認しておきたいと思います。
  150. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 質問の後段部分にお答え申し上げます。  環境庁といたしましては、大気、降下ばいじん及び土壌につきまして、今回、十地点、農作物をとりましたけれども、その地点に合わせてとっておる、あるいはとるということにしております。といいますのは、土壌につきましてはもうとりました。ただ、降下ばいじん等につきましては、今後、二十六日まで順次やっていくということでございます。そのほかに、水質、底質及び地下水につきましても、これは二地点でございますけれども、調査するということにしております。
  151. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、実際にサンプルをとるときは一緒でございまして、それがそのままで、あるいは水洗した状態で検査機関へ回るのと、それから、ゆでるか何かして調理をして回すのとはほとんど同時期というふうに私どもとしては認識をいたしております。  今、手元にちょっと何日という資料がございませんので、何日というふうにお答えするのは難しいかと思いますが、いずれにいたしましても、同時並行的に行うという計画であるというふうに承知をいたしております。
  152. 宮地正介

    ○宮地委員 そうすると、環境庁は、自分の手持ちの機関で分析はできるのですか。委託ですか。厚生省は、これは今、分析をする公的機関は福岡県にしかないから民間委託になるのではないか、こう思いますが、環境庁それから厚生省、この委託問題について、自前でできるのか、できないのか。
  153. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 環境庁といたしましては、今回の調査につきましては、民間受託機関、財団法人日本食品分析センターに調査を委託するということでございます。  それで、大変恐縮ですが、三省庁とも同一機関で行うということでございます。
  154. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 私どもの厚生省の所管しております試験研究機関では、まだ測定体制は整っておりませんで、本件に関しましては民間の試験研究機関、ただし、民間と申しましても、これは非常に微量なものをはかりますものですから、精度管理という、管理がきちんとしている機関でないといけないわけでございます。  日本では、現在のところ、食品のこういう微量な調査ができるのは民間機関三つが確実にできる。また、残り公的機関が、先生も御指摘の、福岡だとか大阪だとかが今年中に精度管理の承認をとるというふうには聞いておりますが、とりあえず、今は三つあります民間の機関のうちの一つに委託をして検査をしていただきたいと思います。  食品の検査といいますのは、むしろ前工程、いろいろな成分を取り除いていってはからなければいけないという、前処理の工程が非常に難しいというふうに聞いておりまして、現在のところ、信頼できる機関は三つというふうに聞いております。
  155. 宮地正介

    ○宮地委員 要するに、民間に委託をするわけですね。日本分析センターという名前も出てきまして、私も、ここが、JA所沢やJAいるま野が委託した有能な機関であることは承知をしております。問題は、皆さんが早くサンプルを委託先に渡す、これが要するにポイントなんです。  ぜひ、年度末といいますが、私は、三月の中旬ごろまでに公表できるように、一日も早く公表できるように、同時進行でやるなら早くサンプルを委託してもらいたい、そして早くその結果を国民公表して、そして安全宣言をぜひしてもらいたい、こう思うわけでございます。  そこで大臣、残念ながら、ダイオキシンのこうした分析をする機関が、公的機関というのは福岡県に一つあるだけなんですよ。あとは、今厚生省も言っていましたが、有力な民間の機関が三つある。あとは中小的な小さな機関が相当数ある。これが、今、我が国ダイオキシンの、農作物や大気や、あるいは土壌や水質の分析をする機関の実態なんですよ。  これだけダイオキシン問題が国民の重大な問題になってきている。政府の機関の中にこうしたダイオキシン分析をできる機関もきちっとつくり上げてもいいのではないか、私はこういう気持ちを持っております。政府として、今後、公的なダイオキシン分析センターを設置する方向でぜひ検討してもらいたいと思いますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  156. 中川昭一

    中川国務大臣 私は全く素人でありますけれども、ピコという兆分の一単位の、しかも、一けた違ったら先ほどのテレビ朝日のように大変な国民影響を与えるということでございますから、今先生が御指摘のようなピコという、微量といいましょうか、そういうものに対して正確に測定ができる機関というものが、こういう時代の中では必要なのではないかと個人的に思います。  私の立場の中で、政府の中でもいろいろと関係省庁と相談をし、またいろいろと提案をしていきたいと考えております。
  157. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に、この所沢野菜問題に対する、いわゆる生産農家に対する救済対策、これは大臣も、補償はなかなか難しいけれども、できるだけの支援措置はやっていきたいということを再三国会で答弁していることは、私も承知をしております。  しかし、先ほど私が少し実態を申し上げましたように、これは大変な実態なんです。物、金より心の痛みなんですよ。この心の痛みをどう解消するかがポイントなんですよ。これに対して私は、政府は強い認識を持っていただきたいのです。これは大変なんです。ですから、当然、現行でできる金融的な、税制的なフォローアップについては当然やっていただきたいと思う。  しかし、この心の痛みを解消するための努力と、それから、これだけの問題に対して政府が結果として何もしなかったということになれば、これは農業政策に対する不信が高まりますよ。  ホウレンソウといいましても、ホウレンソウの場合、所沢には六百戸あるのです。半分の三百戸がJAの一元化方式です。全部JAに持っていって、JAにさばいてもらうのです。あとは産直なんです。自分でつくって、自分で市場へ持っていって売るのですよ。これが半分なんです。所沢では合わせて四十億です。これを見過ごしちゃならない。  この点について、単なる救済対策を言うのでなくて、何らかの形でこの心の痛みに対して国としてフォローアップしたという証拠を――大臣、私は、それで初めて、中川水産大臣が、お父さんの一郎大臣も農水大臣をやった、そして今の大臣も農水大臣をやった、親子そろってすばらしい大臣だった、こう言われると思うのですよ。  この点について、大臣、きちっと国会で国民に訴えてください。
  158. 中川昭一

    中川国務大臣 一月二十九日の予算委員会質問をいただきまして、そのとき以来、この問題にずっと私自身も心を悩まし続けているところでありますし、また報道については怒りを覚えているわけでございますが、私自身が毎日所沢のおいしいホウレンソウをいただいていると言っても、これは何の国民的プラスにもなるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、小渕総理御自身が、ダイオキシン対策に積極的に取り組むと同時に、所沢ホウレンソウを中心とした野菜に対して、大変な損害をこうむっておることに対して、総理御自身が大変心を悩まされた発言をされております。  そういう意味で、政府一丸となって、早急に実態究明、そしてまた安全基準の作成に向けて取り組んでいきたいと思いますが、私もその中の一員といたしまして先頭になって頑張っていって、先生、そしてまた所沢初め埼玉県の生産者皆さん、さらには流通、消費者関係皆さん方の不安を一日も早く払拭するように、私自身全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
  159. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、先ほども申し上げましたが、ホウレンソウの栽培農家は、トンネル栽培とビニールハウスなんですよ。もう露地でやっているのはないのですよ。それが大気汚染だということで、三・八でパニックになっちゃったのですよ。現実に行くと、みんなビニールなんですよ。下に青々としているのですよ。土壌から水を吸い上げないわけですから、汚染はないですよ。だれが見ても、一般常識的に見れば、大気汚染だって相当少ないのです。ですから、今、生産農家はもう踏んだりけったりなんです。先ほど言ったように、三万束百円のものが、七千束二十八円まで落っこっちゃっているのですよ。もう意欲をなくしちゃっているのですよ。  大臣、例えば、十アール、反当たり、ハウスをパイプでもってつくりますね。設備投資に二十万かかるのですよ、二十万。これは、何回かビニールを上げてとるから、使います。私は、今回打撃を受けたホウレンソウ生産農家については、緊急避難的に、この二十万円の反当たりのビニールハウス、パイプ、このくらいは政府として緊急避難的にここは助成する、このくらいのダイナミックなことをやってくださいよ、目に見える形で。額は少ないけれども、ああ、政府もおれたちのことを考えてくれたのか、ここなんですよ、ここが心の痛みの解消につながるのですよ。  今の補助金制度とか、今の利子補給制度とか、今の特別政策税制の措置だとか、それとにらめっこしていて、合うかな、合わないかなというのは、その後ろにいる官僚が考えることなんです。大臣はそれじゃないんだ、政治家なんですから。国民が失地回復できることに手を打つのが大臣なんですから。そこにいる官僚さんとは違うのですよ。官僚さんはいいですよ、法律と、政策とにらめっこしていれば。我々は政治家なんですから。私は、そのぐらいの勇断を持ってぜひ頑張っていただきたい。ここは私は要望しておきます。  そこで、時間がないですから、最後に大臣に。  先日、十二日に、私は大臣の北海道に行ってきました。札幌から一時間車を飛ばして岩見沢に行ってきました。雪の降る中、米農家を激励してきました。また別の機会に私は申し上げますが、それはそれは今北海道の稲作農家大臣、もう目の当たりにして御存じだと思います、六十キロ当たり一万五千円です、今自主流通米「きらら」で。政府米を割った。その中で、一番重みになっている一つがやはり本土と違う、いわゆる流通経費、運賃ですよ。三千円から三千五百円、これが大変な重みになっている。ですから、手取り、大臣知っているでしょう、一万二千円前後ですよ、今北海道の稲作農家は。  これじゃ、後継者の担い手づくりだとか経営のフォローだといっても、自分たち農地でも買ってくれるところがない、離農したくても離農ができない、この悲鳴の声でしたよ。あそこは御存じのようにタマネギをつくっています。タマネギでフォローして、このタマネギだって今下落している。  ぜひ、北海道出身の中川農林水産大臣、北海道を食糧基地にすべく、また今の北海道稲作農家のこの大変な悲痛の声をでんと体で受けとめて、今回の新しい食糧法改正あるいは新しい農業基本法改正の中で、この北海道をどういう食糧の基地に転換させていくのか、そういう構想の中で、ぜひ稲作農家、酪農等々についての抜本的な対策を先頭になって頑張っていただきたい、私はこう思いますが、この点についてどうか決意なり所感が伺えればありがたいと思います。
  160. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、先生には大変寒い中、北海道に行っていただきましてありがとうございます。  今先生の御指摘になった、特に米作農家の今の窮状というものはもちろん私も知っておるところであります。  北海道というのは、今先生励ましていただきましたように、日本の食糧基地としての位置づけという自負を持った生産者が多い地域理解をしております。そういう意味で、その自負が現実のものになるように、今度の新しい農業政策の中でも、地域地域にそれぞれに合った政策をやっていこうということが一つのポイントでございまして、全国それぞれ特徴のある農政をきめ細かくやっていきたいと思っております。その中で、御指摘の北海道についても、今お話のあった運賃コストが高いとか時間がかかるとかいうデメリットもありますけれども、メリットもたくさんあるわけでございますので、デメリットを抑え、メリットを伸ばしながら、北海道初め各地の農業がそれぞれ発展していくように、また先生の御指導をいただきながら頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  161. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは所沢ホウレンソウダイオキシン問題を中心に質問させていただきました。  どうかこの所沢ダイオキシン問題については災い転じて福となすという決意で、私は、与野党超えてこの問題に取り組んでまいりたい、こう考えております。どうか中川農水大臣、先頭に立ちまして、厚生省環境庁もぜひ連携をとっていただいて、万全の対策を講じていただき、一日も早く生産農家皆さんが安心して再び意欲を持って農業に取り組めるよう、そうした対策を講じていただくよう強く要請して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  162. 穂積良行

    穂積委員長 次に、藤田スミ君。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、米の関税化問題から質問をしていきたいと思います。  WTO協定は、その是非は別にして、物の貿易については基本的には非関税障壁をなくし、関税化による貿易ルールを確立しようとするものであります。そして、関税化に伴う関税率の設定については関係国の了承を得てから設定するという、関税率の譲許を基本的な貿易ルールの中心に据えております。関税率の設定を国内法だけで設定してしまえば、各国は自由に高関税を設定してしまい、貿易ルールはノールールになってしまう、それを防ぐために関税率の譲許という仕組みを設けているんじゃありませんか。きょうは外務省にお願いをしておりますが、お答えください。
  164. 近藤誠一

    ○近藤説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、譲許表といいますのは、譲許税率以上の関税を課さないということを国際的に約束をし、明らかにする、そういう約束でございます。  現在の米の関税化に関する議論におきましては、政府といたしましては、本来の農業協定附属書のルールに基づいて関税化の手続をやっているわけでございまして、その内容について諸外国に十分説明を行っているところでございます。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の言うていることにまともに答えてください。  譲許率の譲許の仕組みというのは、そういう関係国の了承を得てから設定する、それが基本的な関税率の譲許の貿易ルールの基本になっているなということを聞いているんです。はっきりもうそのことだけで答えてください。
  166. 近藤誠一

    ○近藤説明員 若干繰り返しの面が出てくるかもしれませんが、譲許税率というのは、それ以上の関税を課さないという約束を国際的に明らかにするものでございます。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういう仕組みを中心に据えてやっているわけでありますが、政府は、現在関税化のための国内整備法である食糧法や関税定率法などの改正案を国会に提出して、関税率と特別セーフガードの対象品目及びミニマムアクセス数量を記載した譲許表改正の条約案件を国会に提出しようとしています。  この譲許表改正の条約案件というのは、一九八〇年の譲許表の修正及び訂正のための諸手続に基づいてその手続が進められ、日本政府は昨年の十二月二十一日にWTO事務局に譲許表改正の通報をし、仮に三カ月の間にWTO事務局に異議の申し立てがなければ、三月二十一日に日本政府に対して譲許表改正が確認書になったことが通報されてくることになるわけであります。政府は、このWTOからの通報を受けて、国会に対して譲許表改正の条約案件を提出することになるわけでありますが、しかし、アメリカなどが三月二十一日までにWTO事務局に異議を申し立てるかあるいは紛争手続に入ったときは、WTO事務局からの確認書の通知は行われない。政府は、したがって譲許表改正の条約案件の国会提出ができないことになるわけであります。  このことについては、二月四日の衆議院予算委員会で、我が党の中林よし子議員もこの問題を取り上げまして、農業協定上も譲許表の改正が関税化以降の要件になっており、それを無視して関税化することは国際的にも通用しないということをただしたわけであります。ところが、これに対して外務省は、当該加盟国の譲許表において譲許されるというのは、いずれかの時点で、その枠組み全体に従いまして譲許するということは必要でございますが、特に特定の時点までにそれをなさねばならないということは文言上要求されておらないというのが私どもの理解でございますというふうに答弁され、さらに、日本がそういうことが国内法措置でできると申し上げているのだから、その反射効として国際社会はそれを受け入れざるを得ないのだ、そういうことでございますと高村外務大臣答弁されているわけでございます。言いかえれば、日本が国内措置でできると言っているのだから国際社会はそれを受け入れざるを得ないのだ、こういうことでございましょう。  私はここで端的にお伺いをいたしますが、譲許表の改正がなされないということは、これまでの譲許表が残るということになりますね、いかがですか。
  168. 近藤誠一

    ○近藤説明員 一般的に申し上げまして、譲許表の修正と申しますのは、その手続が完了することによって発効するということでございます。  他方、現在政府が行っておりますことは、農業協定附属書五パラ2に基づきまして、特例措置の適用を終了させるために、その協定の精神、ルールに従って国内法の改正を行っており、かつ、その状況を主要国に通報し、説明をしているというところでございます。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 国内法を仮に整備しても、譲許表が修正されなければもとの譲許表は残っているのだなということに一言お答えください、端的に。
  170. 近藤誠一

    ○近藤説明員 御指摘のとおり、譲許表の修正が発効するまでは修正前の譲許表が有効なものとして残るということは、先生指摘のとおりでございます。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう一つ伺いしましょう。  改めて言うまでもありませんが、譲許表というのは条約であります。条約と国内法との関係では、基本的人権や第九条など憲法上問題になるものは除いて条約が優先することは日本国憲法でも定められ、解釈上も確立している基本原則になっていますね。確認です。
  172. 近藤誠一

    ○近藤説明員 御指摘のとおりでございます。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今まで確認してきましたように、譲許表は条約であって、国内法より優先されるもの、そして、譲許表の改正がなされていないということは、現在の譲許表が残るということであります。  現在の譲許表にはミニマムアクセスの数量が明記されております。私はここにその譲許表を一部抜いて持ってきておりますけれども、この中にはミニマムアクセスの数量が明記されております。譲許表の改正がなければそのミニマムアクセスの数量がそのまま生きることになります。それは、政府が今回、関税化措置導入によるメリットの一つとして挙げたミニマムアクセス数量の増加率の削減ができないということを意味するものであります。  さらに、今回導入する特別セーフガードについても、WTO農業協定ではその第五条で、特別セーフガードの措置をとることができるのは「当該農産品がこの条の規定に基づく措置をとることができる譲許の対象として「SSG」という記号によって譲許表において指定されているときに限る。」というふうにされているわけであります。現行の譲許表にはそのような記号は全く明記されておりません。協定上は譲許表の改正がなければ特別セーフガードの発動ができないということもまた明白ではありませんか。それができるとするなら、国際的に通用するその根拠を示してください。
  174. 中川昭一

    中川国務大臣 前回の予算委員会からの同趣旨の御質問でございますが、先生の御質問は形式論と実態論とを都合よくミックスされた御質問だと言わざるを得ません。  十二月十七日に我が国で決定して、十二月二十一日にWTOに通報をいたしました。これは、ガットの規定に基づいた当然の措置として、権利として通報いたしました。その結果、ガット事務局から直ちに、日本がこの特例措置から通常の関税化への変更というか、原則に戻るという通知がすべての国々に行っております。そして、三カ月の間に異議があれば言いなさいということでございますけれども、我々は、ガット上の附属書五に基づく措置に基づいて公明に透明性を持ってやっておるわけでございますから、確かに譲許表上はまだ変更の手続はされておりませんけれども、我々としては、協定の手続にのっとって、一方的な権利としてWTOに通知をし、そのことが各国に通知をされておるわけでありますから、仮に異議が申し立てられ、そしてパネル等でもってひっくり返らない限りは、これは現時点においてはもうその通知が生きているという前提で我々は作業を進めているところであります。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、形式論と実態論と都合よくミックスして言っているなんて、そういう言い方をされてはなりませんよ。そして、あなたの言い分は、結局それはあくまでも日本の解釈なのでしょう。日本の解釈でしょう。だから、我々は公明性を持ってやっている、だけれども三カ月の間に異議があれば、そういうこともやはり認めていらっしゃるわけです。私は、異議があって、したらその譲許表の改正はできない、できないとその譲許表はそのまま残るじゃないかということで質問をしているわけです。日本の勝手な解釈、それともWTO加盟国のコンセンサスのある解釈なのですか。
  176. 近藤誠一

    ○近藤説明員 譲許表と申しますのはWTO全体の枠組みの一部をなす国際約束でございます。同時に、農業協定というのも同じくWTOの一部をなすものでございます。日本政府が今行っております国内措置といいますのは、この農業協定にのっとって、その国際約束のルール、算定方法にのっとって行っているということで、そういう意味で、WTOとの整合性を保つ形で行っているということで、これは十分に諸外国の理解の得られる方法であると考えております。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 理解が得られるといったって、今までの御答弁というのはみんな、日本はそのルールにのっとってやっているんだから、国際社会は受け入れざるを得ないんだ、こういう大変一方的な言い方なのですが、そうはならないこともある。  だからさらに聞きますが、譲許表が改正されない中で、これまでの譲許表どおりミニマムアクセス米を受け入れなさいというふうによその国から要求された場合には、それではWTO協定での紛争処理手続に入らないで処理することはできるのですか。
  178. 近藤誠一

    ○近藤説明員 我が国の国内措置というのは、農業協定の定める指針に従って関税率を算定しているということで、そういった努力にもかかわらず、譲許表の修正手続が完了しないということだけをもって特例措置の適用の終了というものが妨げられるべきではないというのが私どもの確信でございますし、この点については理解は十分に得られるというふうに考えております。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっとよくわからないのです。  それは皆さん立場からしたら、諸外国から、日本はせっかくこういうふうにして国際ルールにのっとって関税を計算し、ちゃんと手続をしているのに、それについていちゃもんをつけて、それが妨げられるべきではないというようなことを思われるでしょう。しかし、それはあなた方の思い、勝手な解釈であって、ほかの国はそうだそうだということになり切りますか。  譲許表の改正がなければこれまでの譲許表が存在し、よその国がその譲許表どおりにミニマムアクセス米を受け入れよということを言ってきたら、これはどうしても紛争手続に入らざるを得ない。そんなことはもう絶対にあり得ないとあなたは言い切れますか。その根拠を持っていますか。
  180. 近藤誠一

    ○近藤説明員 WTO協定の解釈あるいはそれの実行についての加盟国の意見の違いがある場合には、御指摘の紛争解決手続というのがございます。したがいまして、いかなるテーマであれ、いかなる問題であれ、ある加盟国が他の加盟国の決定等に同意しない場合には、当然この紛争解決手続に持ち込む権利はございます。  したがいまして、今回の場合でもその可能性を一〇〇%否定することはできないと思います。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 紛争手続に入る可能性も結局否定されませんでした。認められたわけであります。  このことは、特別セーフガードの問題でも同じです。特例措置から関税化へ移行の手続を定めている農業協定附属書五の適用についてもまた同様であります。農業協定附属書五について、幾ら日本政府がそういうふうに日本の解釈を主張しても、結果として、今あなたが御答弁されたようになるわけであります。  附属書五には、「特例措置の適用が終了する年の開始時から」、つまり今回の問題でいえばことしの四月一日から「当該加盟国の譲許表において譲許され及び適用されるものとする。」と明確に規定されている以上、日本の解釈が通用しないで国際的なルールというものが適用される、それは当然のことであります。大臣、御理解いただいたでしょうか。
  182. 中川昭一

    中川国務大臣 我が国は、WTO協定附属書五に基づきましてルールどおりに、昨年十二月二十一日ですか通報し、そしてWTO事務局はすべての加盟国に日本からの通知があったことを通知し、そして現在、三月二十三日だったかの確認書の到達を待っておる状況でございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 全く、答弁の点数で言ったら何点と言ったらいいのでしょうか。異常なんですよ、やり方が。さっきからも指摘されていたでしょう。  今回の米の関税化というのは、国内的にも、農業関係者に十分な了解も得ていない。それから、国民消費者には何の相談もない。国会の審議も、短時間と言うのも不適当なぐらいあっという間の審議しかしてこなかった。そして国際的にも、関係国との、通常だったらこういうことは余り問題にならないんですね。事前に、WTO事務局に通報する前におおむね関係国にずっと根回しができているのが、根回しできていない中でこういう矛盾が出てきているわけです。そして、それでも日本が国内法だけで関税化をやっていくんだと言ったら、それは全く異常としか言いようがない。大臣、この点についてはどう思われますか。
  184. 中川昭一

    中川国務大臣 国内法だけではなくて、WTO協定に基づいて関税化するわけでございまして、それを基本にいたしまして国内関係法令を整備する、こういう御理解をしていただきたいと思います。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、WTOの最終確認を得て、譲許表もちゃんと修正をして初めて国内法も発効することができる、そういうふうに理解していいですね。
  186. 中川昭一

    中川国務大臣 通報した段階で、WTO協定、つまり参加国すべてが拘束されておる協定に基づいた措置我が国がとっておるわけでございますから、それに基づいて、実質的には、四月一日からの関税化というものは日本の一方的権利としてできるわけであります。  しかし、異議を申し立てする期間でありますとか、あるいはまたいろいろなことについての猶予期間というものも三カ月間あって、それで三月二十三日に確認書が来るということでスタートをするわけでありまして、これはあくまでも協定に基づくということが前提にあり、その協定というものはすべての国が拘束される、それが前提であります。それに万が一異議を申し立てたい国があるとするならば異議を申し立ててくるというのが前提でありまして、先生のように、最初から異議を申し立てる国があるんだ、日本だけが勝手な解釈をしているんだということは違うと私は思います。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何遍も何遍も説明しましたので、もうあなた方はそういうことしか言えないんだ、大変苦労して無理無理おっしゃっていると思います。  特例措置を終了させるためには、農業協定の附属書五の文書の中には、六の定めに従うことによって特例措置の適用を終わらせることができる。その六というところには、当該加盟国の譲許表において譲許され、そして適用されるものとするということになっていますから、協定が前提にあるということならばなおさらそういう流れの中でしなければならないんです。  だから、実質的には一方的権利としてできるなんというような言い方というのは、これは国際的には全く通用しないし、無理無理の言い方だというふうに言わざるを得ません。  大臣、今、我が国食糧自給率の低下と食の安全に対する不安、飢餓人口の増大と環境破壊に心を痛めている多くの消費者は、主食である米の関税化という重大問題をまともに国民に知らされることもなく、一方的かつ大変拙速に政府が強行したことに大きな怒りを持っています。  そして、譲許表の修正が行われなければ、関税化前倒しのメリットの一つとして挙げたミニマムアクセスの増加率の削減もできないことを意味する、特別セーフガードの発動もできないことは明らかであります。  また、高い関税率を設定すれば米は入ってこないんだということをあなた方は理由に挙げておられたけれども、この問題については、昨年の当委員会でもあなた方自身が、交渉事だから二〇〇〇年の次期交渉での見通しは困難だと、事実上高関税を維持し続けるということを確約できなかったわけであります。  しかも、年が越えた一月の二十六日、アメリカのバシェフスキー通商代表部の代表は、二〇〇〇年に始まるWTOの次期交渉について、我々は関税の大幅引き下げを想定しているというふうに言い、続いてゴア副大統領も、特に、現在平均四〇%という高関税を課している農業分野で大幅な関税引き下げを呼びかけていくんだということを豪語しています。  次期交渉での大幅な関税引き下げと長期的な関税引き下げは必至であります。関税率が引き下げられることによって米の輸入増大は不可避であります。とりわけ日本商社による開発輸入が本格的に始まれば、国産米と何ら変わらない米がどっと入ってくることもまた目に見えています。それが先ほどからいろいろ言われているこの日本農業にとってどんな打撃になるか。米生産の基盤にとって取り返しのつかない打撃になり、大規模な離農と農村の崩壊を進行させ、食糧の自給率を急速に低下させていくことになるでしょう。  あなたは所信表明の中でも、日本の国益にとって最善の選択だ、今度の関税化についてそう言い切られた。どうしてこれを最善の選択と言えますか。だれにでもわかるように説明してください。
  188. 中川昭一

    中川国務大臣 九三年の、七年間かけたウルグアイ・ラウンド交渉、その中で、日本はぎりぎりの選択肢として、関税化は阻止をいたしましたけれども、そのかわりのミニマムアクセスという措置をとったわけであります。九五年から二〇〇〇年にかけて、国内消費量の四%から八%を年々ふやしていくという義務的な輸入でございます。  一方、我が国は、おかげさまでといいましょうか、豊作が続き、また残念ながら米の一人当たりの消費量等々が減る、いろいろな状況の中で国産米が大変に余ってきている状況であります。  そして一方、義務的に入ってきておりますミニマムアクセス米につきましても、消費者需要というものがほとんど見られない。一部加工用にあるようでありますけれども、一般消費者需要というものがほとんどないまま在庫として積み上がっていっている現状。しかも、在庫というのは財政負担を伴うわけでございます。  そして、二〇〇〇年以降の次期WTO交渉におきまして、実質我が国だけが関税化の特例措置をとっておる。ほかにフィリピン、韓国、イスラエルといった国々が一部の品目について関税化の例外措置をとっておりますけれども、二〇〇〇年においては、米について日本のみがこの措置をもって次期交渉に臨んでいかなければならないわけでありまして、そういう中で、改革の続行という次期交渉の中で、我が国としては、我が国だけがたったひとり特別の対策をとっていくということ自体が、我が国にとって有利な交渉を進めることが非常に困難であるという判断があったわけであります。  したがいまして、過去九五年から現時点における現行ミニマムアクセス制度の反省、そして次期交渉に向かっての関税化措置というものを総合的に判断し、生産者団体等々の御理解もいただいた上で、関税化措置に踏み切ったところであります。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 三六%以上も減反を農民が強制され、なおかつ義務的な米が入ってきて、それが山積みされて財政的な国の負担にもなっている。だとしたら、そういうミニマムアクセス、輸入を義務化させるというようなやり方をやめなさいということを主張すればいいのです。あなたが今答弁されたことは次期交渉に向けて早々と日本政府が白旗を上げたということになる、私はそういうふうに言わざるを得ません。  日本の米を守る、国益にとってこれが最善の選択と言うなら、今からでも遅くないのです、米の関税化を撤回することです。そしてWTO農業協定を改正させ、日本の食糧自給の根幹をなす米を自由化の対象から外して、実効ある輸入規制が行えるように、断固その立場に立っていくべきです。そのことが日本の選択にとって最善の道であり、世界の二十一世紀の食糧問題にも貢献できる最善の選択になるのだ、私はそのことを強く申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  次は、遺伝子組み換え食品の表示問題であります。  端的にお伺いします。大臣は遺伝子組み換え食品の表示問題についてはもう十分御理解をいただいていると思いますけれども、藤本農林水産大臣が遺伝子組み換え食品の表示は大事なことだという認識を示されてから、農水省の取り組みが行われてまいりました。この、遺伝子組み換え食品の表示は必要である、大臣御自身はいかがお考えでしょうか。
  190. 中川昭一

    中川国務大臣 現在、世界的に遺伝子組み換え食品というものの生産がふえている。そして、もちろん安全性というものが前提にあるわけでありますが、先生質問のこの表示問題につきましては、国際的にもいろいろな御意見がある、あるいはまた国内的にもいろいろな御意見があるということで、現在、食品表示問題懇談会において専門的、あるいはそれぞれの立場皆さん、あるいはまた一万件を超えるパブリックコメントなんかの御意見もお寄せいただきまして、現在、どういう方向にしていったらいいか、鋭意検討している最中、懇談会にお願いをしている最中でございまして、私としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  191. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 おうちに帰って、一度奥様の御意見を聞いてごらんください。それはもう藤田スミさんの言うとおりだと。  今、全国の一千をはるかに超える地方自治体の方から、遺伝子組み換え食品の表示は必要だ、求めたい、そういう要望書、決議が上げられているのです。検討中であることはよくわかりますが、大臣のお口から、僕も必要だと思う、そのために検討してもらっているんだ、そういうすかっとしたことをおっしゃってくださいな。
  192. 中川昭一

    中川国務大臣 今晩、うちに帰って、よく女房に聞いてみたいと思います。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農水省にお聞きしますが、オーストラリア、ニュージーランドではこれまで、もう遺伝子組み換え農産物には表示をしない、食品には表示をしないということになっていましたけれども、今回、州政府代表で組織されているオーストラリア・ニュージーランド食品基準会議が、遺伝子組み換え農産物を原材料にした食品にその表示を義務づけられたというふうに報道されています。その詳細を明らかにしてください。
  194. 福島啓史郎

    福島政府委員 お答えいたします。  オーストラリア・ニュージーランド食料機関は、一昨年二月に、遺伝子組み換え食品の表示のあり方につきまして、生食の場合あるいは加工食品でも原材料の五%以上遺伝子組み換え農産物を含む場合は表示をするという案を提示したわけでございます。  これにつきまして、国民からのコメントを受け付けた上で再検討いたしまして、昨年二月には、実質的に同等でない場合にのみ表示が必要で、実質的に同等な遺伝子組み換え食品には表示が要らないという案が、オーストラリア・ニュージーランド食料機関から、連邦、州の保健大臣等で構成するオーストラリア・ニュージーランド食品規格評議会に勧告されたわけでございます。  その後、この評議会で議論されておりまして、先生おっしゃるとおり、昨年十二月に、従来のものと実質的に同等な遺伝子組み換え食品についても、遺伝子組み換えを含むあるいは遺伝子組み換えを含むかもしれないという表示が必要であり、任意に遺伝子組み換えでないという表示ができるようにすべきであるということを六対四の僅差で決めたわけでございます。  今後どういうふうになるかということでございますが、今後、オーストラリア・ニュージーランド食料機関におきまして、砂糖や油のように、遺伝子組み換え植物からつくられているがそれ自身は遺伝子組み換えでない食材の扱いを含めまして検討をいたしまして、食品規格規則の修正案として提案された後に、このオーストラリア・ニュージーランド食品規格評議会で検討されることになるというふうに考えられるわけでございます。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに、背を向けていたオーストラリア、ニュージーランドは、結局食品基準会議でその表示をやろうということを義務づける、そういう立場に立って事を進めているわけであります。  政府は昨年、食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会で、インターネットでA案、B案、この二つの案のどちらがいいかということで公募しています。これに対しても、一万三百九人の消費者、三百三十六の生協、四十八の消費者団体から意見が寄せられました。生協の構成員の人数で掛け合わせていくと、何百万人もの消費者意見を寄せている、こういうふうに言ってもいいわけであります。そして、願いは一刻も早い表示の実現であります。今明らかにされたように、EUだけじゃなしに、ほかのところでも表示の義務化というのは進んでいるのです。  一方、日本の方は、食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会で延々と審議が続いています。さらに、技術的検討のための小委員会も設置をして検討を進める、現在はそういうふうに言っています。私は、そういう技術的な検討そのものをけしからぬと言っているのじゃないのです。それを否定しているわけじゃありませんが、しかし部会の議論は、どうも見ていたら、表示に反対する食品メーカーがその議論のための議論を延々と続けているんじゃないか、そういうふうに言わざるを得ないところがあります。したがって、私は、やはりここで国民の声にこたえて政治的な立場で表示を実現する指導力の発揮がどうしても必要だ、大臣にそのことを本当に求めたい。大臣、いかがですか。
  196. 中川昭一

    中川国務大臣 この問題は、世界的に本当にいろいろと議論のあるところだろうと思います。また、我が国においても全く新しいやり方でございますから、いろいろ議論があるところであります。だからこそ、懇談会の方々に鋭意御検討いただき、また、小委員会等でも専門的にやっていただきまして、ことしの夏ごろをめどに結論を出したいということで、私の立場からはその懇談会での御議論をお待ち申し上げているという状況でございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ことしの夏ごろの議論の終わりがめどだということだけは確認をしておきたいと思います。  そして、そういうめどが立てば、国の方、政府の方として、早速圧倒的国民の要求を受け入れて表示を前進させる、そういうふうに私、ここでお伺いしておいていいですね。
  198. 中川昭一

    中川国務大臣 まあ、専門家皆さんが鋭意検討していただいておるわけでありまして、ここでおしまい、打ち切りということも難しいと思いますけれども、めどとしての意味は、めどということでございます。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これで質問を終わります。消費者問題特別委員会のこの問題の小委員会では、大臣のところの政党も含めて全会一致で、可能な限りあらゆる食品に表示をするべきである、そういう小委員会の報告書をまとめてから、もうこれもはるか一年超えてきました。そういうことでありますので、私は大臣の就任中にこれは実現をさせるということをぜひとも頑張ってほしいとお願いをして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  200. 穂積良行

    穂積委員長 次に、前島秀行君。
  201. 前島秀行

    ○前島委員 最後になりましたので、大臣、若干おつき合いをお願いいたします。  最初に、国有林のことについてちょっと伺いたいと思います。  昨年の国有林の関連法案の改正で、大臣の所信でもそれを受けて、着実な実行をと、こういうふうに言われていますが、その中で、近くこの組織・要員の方針が閣議決定されるというふうなことを伺っています。特に管理署、森林事務所、そしてさまざまこの間やられてきた営林署の統廃合に伴う、例えば管理センター移行等々の地域の整理だとか、新しい管理署が決まった場合のそれぞれの担当エリアだとか、それに対する要員の配置という問題等々について近く閣議決定される、こういうふうに聞いているところであります。その辺の見通しと、同時に、大臣も、この昨年の法改正を受けて、組織・要員の問題についてはひとつ思い切った策をとるんだと。僕も、ある意味でいったら国有林の発展のためにも、あるいはいろいろなためにもその辺のところもある程度の必要性は認めるわけでありますが、ただ、この要員問題に関しては、言葉としてどういう表現がいいか悪いかはありますけれども、いわゆる生首を飛ばすような措置はお互いに慎もうではないか、こういうところはお互いにこの間いろいろ議論の中で、政党間でもあるいは労使の話し合いの中でもされてきたと思うのであります。その辺の基本的スタンスといいましょうか、基本方針は改めてそう受けとめていいか、大臣にひとつお聞きをしたいと思います。
  202. 山本徹

    ○山本(徹)政府委員 事実関係等について御説明申し上げます。  先生指摘のように、昨年十月に国有林改革二法を成立させていただきましたが、これに基づきまして、三月一日に営林署を森林管理署等に再編する組織の改革を進めさせていただきたいと思っております。  また、要員につきましては、この改革法の趣旨に沿いまして、十五年度末までの集中改革期間内に各般の改革を進めまして、将来の業務に見合った必要最小限度の要員によって効率的な業務運営に努めてまいることといたしております。労使間でもこの問題、鋭意論議、疎通に努めさせていただいておるところでございまして、今後とも私ども円滑な労使関係を築いていく方向で、一層努力いたしてまいりたいと考えております。
  203. 前島秀行

    ○前島委員 その組織と要員の関係、それと国有林のあり方というところが、片方で経営的側面と同時にこれからの国有林のあり方、あるいは国有林だけではない、山の存在、山の役割等を考えた場合に、単に国有林の財政的側面では処理できない部分というのもあるような気が私はいたしますね。  そういう面で、この組織と要員の決定に当たってぜひ考えなくちゃいかぬのは、これからの木材生産、収穫量の見通しの関係、それから国有林の問題はかなり民間委託という方向が見えてくるのでありますけれども、そのことは同時に、国有林だけではなくして林業労働者の存在という側面も考えて、国有林の組織・要員のこの問題は最終的に方向性を出していかないと、国有林並びに山の存在というものが国民の期待にこたえられなくなるだろう、こういうふうに思いますね。  そうしますと、林野庁の試算にも、今後の木材の収穫量というのは、平成十五年は若干減るけれども、それから先というのは収穫量がふえていくよ、こういう見通しを立てているわけですね。そして、平成六十年には現在の三倍の収穫量というのが予測できるという見通しを林野庁みずからも持っている。片っ方、この労働力というのは年々低下をしてきて、例えば平成七年、七万一千人、それが平成十二年で五万四千人、そして平成十六年、そのころになってくると四万七千、五万を切る労働力の状況だ、こういう形が見積もられているわけです。  そういう状況の中で、片っ方で、国有林の財政等々を考えて、あの法案議論のときに、要員をおおむね三分の一、こういう議論が私はあったと思うのであります、そこは一つ目標であったと思うのですけれども。そういう流れから見て、また、国有林の存在あるいは今後の山に対する国民の期待から見た場合に、このおおむね三分の一、すなわち五千人という目標と必要な労働力、あるいは今後の収穫量の見通し、それから国有林で働く労働者の要員という問題を考えたときに、私は、三分の一目標というものが果たして実際にできるだろうかというところに必ずぶつかるような気がしてなりません。  現に、国有林関係者の労働力の推移を見ますと、そこにギャップが生ずることは間違いないですね。改革目標時の平成十五年、十六年、十七年前後を見ますと、言われていた三分の一目標と現実の労働力の配置との中にはギャップが生ずるわけですね。そのギャップをどうするかというところが、最初に言ったいわゆる生首を飛ばすか飛ばさないかということと、現実に国有林の、あるいは山の存在、国民の期待にこたえる政策というものとの整合性を求めて、私はあるだろうと思っているわけです。  そこで大臣、国有林の合理化あるいは削減努力ということと、そのギャップを生じた場合には、やはり国有林の位置づけ、それから山に対する国民の期待ということを重視した上で、その組織・要員の決定をしていく、要員の配置をしていきたい、そういうふうに私は期待をするわけでありまして、その辺の大臣基本的な認識と方向性をお聞きしておきたい、こういうふうに思います。
  204. 中川昭一

    中川国務大臣 昨年の法案審議のときにも、先生とも随分議論をさせていただきましたが、集中改革期間において必要最小限、つまりおおむね三分の一程度を基本としつつというような文言の文章もあったわけでございます。  一方、国有林の方の業務でございますけれども、公益の管理、維持が中心になりまして、現業部門は民間に委託する。現時点においては、景気が悪いとか、あるいは材価の問題とか、さらには適齢伐期の木が少ないというか、先ほど先生指摘のように、適齢伐期の木がこれからふえていくということで、国産材の供給がしやすくなるという見通しも一方では立てておるわけでございます。  そのときに労働力とのギャップをどうするかという問題が仮に出てきた場合には、当然それは、本来の国有林のやるべき業務とその人員との間に、人員の方が不足するという意味でのギャップというものがあれば、また御相談をするということになるでしょうし、逆の場合にもまた御相談ということになるでしょう。結論からいえば、この集中改革期間を初めとして、要員関係につきましては、とにかく労使よく話し合いをし続けていくという信頼関係が前提になって、どういう状況にも対応できるように、この要員関係についての論議を常に続け、そしてお互いにお互いの立場理解し合いながら、信頼関係の前提の上でこの作業を進めていきたい。決して生首を切るようなことはしないということは以前から申し上げているとおりでございます。
  205. 前島秀行

    ○前島委員 やはり国有林の持っている位置づけだとか国民の期待、同時に、片っ方で、多額の債務処理に当たっての一定の枠組みということも私たち十分わかっています。  しかし同時に、やはり一番大事な点、あるいはその辺のところの判断の基準といいましょうか、スタンスはどこに置くかといったら、やはり国有林を大切にする、国民の期待にこたえるんだということだろうと思いますね。したがって、収穫量に対応する労働力、あるいは民間の全体の労働力の確保の中における国有林の労働力をどうするか、それをどう全国的に配置するかという観点で、ぜひその辺のところに対応してもらいたい、このことを強くお願いしておきたい、こういうふうに思います。  それから、ちょっと基本法関連で二、三質問したり、あるいは希望を述べておきたいと思っています。  いわゆる今度の基本法をつくろうという中で、食料農業農村基本法、こういったところに私はそれなりの意味があるし、意義があるだろうし、そしてまた、今度の大綱あるいは基本的な方向性を今お聞きしますと、何点か特徴もあるし、前進しているし、我々としては積極的に評価をする点もたくさんあるだろうと思います。  そのうちの一つに、法律そのものは宣言法であっても、それを具体的に実施目標にするための基本計画の存在、それを見直していくということは、従来の基本法と比べて私は大いに意義あることだろうと思うし、具体的に目標を立てて進めていくということも大切だろうと思います。  そこで、基本計画を大体五年単位で見直していこうということはそれでいいのでありますけれども、問題は、五年単位で見直すときの扱いといいましょうか、議論の仕方というところが非常に大事だろう。それが単に行政サイドだけでの見直しではなくして、やはり国民議論、あるいはさまざまな参考意見を聞くという形の中で見直していく、そういうことが非常にこれから大事だろうと私は思いますので、この基本法の中で言っている基本計画の見直しを、国会との兼ね合いの中でどう位置づけていこうとするのか。  やはり一行政サイドの見直しだとかで終わらないで、ちゃんと国会の中で審議をする、質疑をする、その道をちゃんと保障していくことが、この農業問題を国民的に位置づける上においても、またこれからの国民に期待される農業というものを確立していく上にも大事ではないだろうかな、私はこういうふうに思いますので、この見直し作業と国会との兼ね合いの問題、必ず見直し議論を国会の場でやる。それが承認的扱いになるのか、あるいは法律的にどうするのかということはまたいろいろ議論があるとしても、その辺のことはぜひやってほしいな、そのことをちゃんと位置づけてほしいな、こういうふうに思っているのでありますけれども、その辺の大臣考え方をお聞きしたい、こういうふうに思っています。
  206. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生の御指摘のように、新しい基本法は、理念法というか、宣言法でございまして、それに基づく実体法が幾つか当然伴わなければなりませんし、また、その宣言を実現するために基本計画というものを位置づけていく。基本計画は、新しい基本法の中でしっかりと条文の中で位置づけていきたいと考えております。  その基本計画というものの位置づけでございますが、法律に基づく中長期的な実施要綱みたいなもの、ちょっと正確でないかもしれませんけれども、そういう形でございまして、これは基本的には行政一つ作業として御理解をいただけないでしょうか。ただし、五年に一度程度これを見直していく、再評価なりなんなりをしていくという新しい政策手法を導入しておるわけでありまして、一方、今まで、農業白書なんというのがございまして、これは当然、先生方のところにはできたときにはお見せをし、そしてまたそれに基づいて当委員会等で御議論をいただくわけでございますので、この基本法に基づく毎年毎年の政策の進捗状況あるいは今後の施策等について公表し、また国会の場で、議院内閣制でございますから、この最高機関の場で御議論をいただくということで、基本計画そのものについて国会の承認なりなんなりということは、現時点では私どもとしては考えていないというのが実情でございます。
  207. 前島秀行

    ○前島委員 白書というのは毎年一年単位のことでありまして、この白書の取り扱いも、最近はほとんど本会議でも議論されなくなったし、前はそれぞれ三白書、具体的に個別に取り上げて本会議議論等々をしてきたし、そういうこともありますけれども、最近は白書そのものもほとんど審議されていない、あるいは本会議等々で議論されることも少なくなってきた。しかも、それは一年単位の報告にすぎないんだ。  それよりか、私はこれで評価したいのは、こういう基本法に基づいて、五年をめどにして基本計画というものを議論しよう、実態に合ったものにしようとかということは非常に意義があると思っているのですよ。その意義あるものがさらに内容を伴ったり、あるいは確実に実行ができるように、あるいは国民理解を得るためには、五年単位の基本計画そのものもやはり国会を中心として議論するということは、私は非常に大切なことだろうと思っているのです。  食料農業農村と、この三つで基本法を定義づけているように、単に農業というのは一農民とか一農業団体の問題で位置づける、あるいは解決すべき問題ではこれからないだろうと思います。そういう面で、この基本計画の見直しというものを国会の場を中心として国民的な議論をする、そのことは絶対に必要だろうと私は思っていますので、何らかの形で、これは基本法の中に書けということを言っているわけじゃないので、その辺のところの方向性はぜひ見出していってほしいな、このことはぜひ大臣にお願いをしておきたい、こういうふうに思います。  それから二つ目に、当面聞いておきたいし、お願いをしたいのは、食糧の安定供給ということに対する位置づけといいましょうか、その中で、自給率、国内生産というものをどう受けとめていくかということが非常に大事だろう、先ほど来の、WTOにおけるいろいろな交渉事だとかあるいは関税化の問題とも絡んできて。そういう面で、数字はともかくとして、自給率を初めとして、主要作物の指定だとかあるいはその生産目標だとか、それを達成するための農地確保というのを具体的に出すということが非常に重要だろう。それを基本法の中で出すということを言っているわけじゃないのですが、基本法とそういう具体的な生産目標、主要食糧の位置づけ、それから結果としての自給率目標、そしてそれをする基盤としての農地をどうしていくんだということは、五年単位に、基本計画との関連の中でぴしっと位置づけていくということもこれから非常に大切なことだろうな、こういうふうに私は思うわけであります。  それと基本法との関係はどうだということを問うているのではなくして、そういう方向性を今度の基本法の策定の中で明確にしていく、それを何らかの形で位置づけていく必要があるだろう。そのことでもって農家皆さんの励みにもなるだろうし、国民理解も得ていくだろうし、さまざまな横の政策もその中から見えてくるような気がするわけなんで、その辺の具体的な生産目標、その立て方、それを具体的にどう表現していくのか、その辺の考え方をひとつお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  208. 中川昭一

    中川国務大臣 御承知のとおり、日本世界一の食糧純輸入国でありまして、しかも自給率が非常に低い。しかも、その低さがさらに低くなっているという現状を何とかしていかなければいけないというのは、農業生産サイドだけの考えではなく、まさに今や国民的コンセンサスではないかと私は理解をしておるわけであります。  そういう中で、安定的に食糧を確保するためには、やはり国内生産というものを基本としながら、備蓄そして輸入というものの組み合わせ、あるいはまた不測の事態においていかに食糧を確保するか、あるいは流通をどうやって平穏に行うか等々、幾つかの場合が想定されると思いますが、いずれにいたしましても、国内での生産というものをできるだけ引き上げていきたいというのが私の考え方でございます。  ただし、それは、ただ何でもいいから農地につくればいいというものではないわけでありまして、限られた農地の中で、主なものについてどのぐらい国内で生産することができるか、しかもそれを消費者がどのぐらい、あるいはメーカーがどのぐらい買うかという、消費と生産とのマッチングもやはり自給率向上には必要だろうというふうに考えております。  さらには、結構むだ、捨てるものの量もばかにできないわけでございまして、その辺の観点も含め、さらにはまた自給率を上げるために日本型食生活の導入なんという、かなり啓蒙あるいは精神論的な部分も含めてですけれども、その辺はなかなか強制できる次元の話ではございませんが、いずれにしても、日本食糧自給率生産者消費者の両方のコンセンサスのもとで引き上げていくことが必要なのではないか。そのためには、先ほど申し上げた啓蒙、教育的な部分、そして何よりも優良農地確保といったいろいろな側面から、個別品目ごとに実現可能な自給率の設定というものを行って、その積み上げをしながら一つ一つやっていきたい。それを基本計画の中にできるだけ具体的に、生産者の意欲に資するような形で目標を設定していきたい。現時点においてはそんなふうに考えております。
  209. 前島秀行

    ○前島委員 私は、基本法の中で、まだたくさんあるのですが、例えば農村全体をどう位置づけていくかというのはこれから非常に大切な視点だろうと思いますね。その点、いろいろあるだろうと思いますし、またあるいは今度の中で、いわゆる日本型デカップリング、直接所得補償というのも私は新しい考え方として評価できる方向だろう、こう思います。あるいは株式会社の問題等々いろいろな議論がありますけれども、時間がありませんから一つだけ最後にお聞きしたいのは、直接所得補償、デカップリング、ここの位置づけ、それからこの対象といいましょうか、考える幅というところなのです。  大綱だとか実施要綱といいましょうか、そういうものを見ると、いわゆる限定されたといいましょうか非常に対象地域を絞った形、いわゆる耕作放棄につながる、そういう全く条件不利な地域だけに非常に限定していくという考え方のようでありますけれども、私は、もう少しこの直接補償といいましょうか日本型デカップリングというものを幅広く受けとめてやっていくべきではないだろうか。それが単なる農家へのばらまきに通ずるということは絶対避けるべきだろうと思うし、したがって、その支払い方式というのは自治体への一括支払い方式でいいと私は思います。ですけれども、単に耕作放棄地、ほうっておくとそういう地域になるとか、全くの条件不利地域だけに適用するのではなくして、もっと積極的に農業の持っている多面的な機能を維持していく側面だとか、あるいは現に地域でやっている、自治体では棚田を確保していくとか、いろいろな面でやっているわけであります。  そういう面では、農業の持っている多面的な機能を積極的にやっていくということから見ると、単なる条件不利地域だとか耕作放棄地につながる地域だけではなくして、いわゆる平地の部分にでもやはり適用していくだけの幅というものは持つべきではないだろうか。同時に、単なるばらまきとか何かになってはいかぬということがありますので、その辺、支払い方法的には工夫の余地というのは非常にあるだろうと思いますので、私たちは、この自治体なんかの一括方式でやっていった方が目的はもっと達成できるだろう、こういうふうに思います。  その辺の新しい考え方として、この直接補償、デカップリングというのは非常に私たちは評価をするんですが、もう少し積極的に受けとめて、農業の持っている多面的機能を発揮するためにそういう制度を積極的に適用する、すなわち平地の部分でも必要があればやっていく、こういう考え方に広げるべきではないだろうか、こういうふうに思っていますが、その辺の考え方だけ聞いて終わりたいと思います。
  210. 中川昭一

    中川国務大臣 今度新しくいわゆる直接所得補償方式というものを導入するわけでありますが、これがやはり、まず農地としてあるいは土地としてきちっと管理、維持されているということによる機能、もちろん農業生産活動だけではないいろいろな機能を、今先生からも御指摘がありましたが、それをどうやって守っていくかということ、そして、そこに住んでいらっしゃる方に引き続き住んでいただいて活動していただきたいということもあって、いわゆる中山間地域等の条件不利地域に対してのそういう方式というものを今回導入するわけでありますが、今先生からも御指摘があったように、これは実際いざやってみるとなると、なかなかどういうふうにやったらいいのかということが、非常に細かいいろいろなファクターが入ってまいりまして、正直言って現段階できちっとしたものができ上がっているわけではございません。  ただ、一つ言えることは、そういう地域を守っていくということと、やはり直接所得補償でありますから、国民理解というものも一方では前提になるんであろうということぐらいを今申し上げられるわけでございます。現実には、対象者、対象行為、対象地域、支払い方法について専門家皆さんに今御検討をお願いをし、その一定方向が出た段階で、また当委員会を初め国会の場で先生方の御議論を踏まえて、最終的には基本法に基づく実態論として作業を進めていきたいというふうに考えております。
  211. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  212. 穂積良行

    穂積委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十二分散会