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達増委員 今の
政府の
答弁の論理は、論理としては一貫性があり、国内における議論としては、国内の人を説得することはできると思うんですが、紛争というのはやはり
相手があること、しかも
外国でありまして、その論理に従ってくれるかどうかはわからない。
これは今までの
委員会審議の中でも、
日本が
相手にとって一見中立義務違反に見えるようなことをしていたとしても、
日本がやっていることは国連憲章上何ら違法なことではない、国際法上全然違法なことをやっていないのだから、仮にそれをもし
攻撃したとしたら、それこそが国際違法行為であって、その国はそんなことはしてはいけない、できないはずだということなんですけれども、あえて理屈をこねて、後で、例えば国際司法裁判所にかければ違法となるようなことでもしちゃう国というのはあるわけですね。サダム・フセインのイラクがクウェートに侵攻したときにも、侵攻した側には過去の領土の回復であったとか自衛を言っていたかもしれません。何か理屈をつけてやるわけであります。
たとえ、そういうことを第三国がやってきた場合でも、
日本は正義の観点、法の観点からは勝てるかもしれないけれども、ただ、そういうことをやられて、実際
日本側に人的な被害が出たりしたら、やはりそれは外交防衛政策としてはまずいと思うんですね。ですから、そういう法的正義の観点と同時に、やはりたとえ違法なことでも
相手にさせないという抑止の観点、そういうことも必要だと思うんです。
そこで、論理的に考えられることは、今回のこの
周辺事態に関する後方地域支援についても、この際、
集団的自衛権という考え方を徹底させて、あくまで
集団的自衛権の
行使としての後方地域支援だ、したがって、これはもう
集団的自衛権、自衛ですから、
日本の
武力行使にエスカレートする
可能性もあるというところをあらかじめ明確にしておくことによって、そういう
日本の輸送ですとかそういう
活動に対して
攻撃をしてくることを抑止する、仮に
攻撃してきそうになった場合には、それを効果的に撃退するということが
一つの考え方としてあると思います。
この考え方を取り入れれば、例えば輸送艦が後方地域支援で輸送
活動をする場合に、
相手からの
攻撃の
可能性が高ければ護衛艦等を護衛につけまして、そうすると、
相手が第一撃をする誘惑に駆られにくくなる、そういう狭い意味での抑止効果もあると思います。今の
政府案のままですと、ほとんど丸腰の輸送艦が
米軍の方に進んでいくということで、一か八か、その作戦自体は
攻撃することで粉砕できるかもしれないという誘惑を
相手に与える危険性があると思うんですね。
ただ、今の議論は
集団的自衛権を徹底させればということでありまして、私は個人的にはそれがいいのじゃないかと思うんですけれども、自由党は現在この考えをとっておりません。自由党は、党内にはいろいろ議論はありますけれども、今自民党と連立与党を形成するに当たりまして、
政府の現在の
憲法解釈をひっくり返すことはしない。仮に
集団的自衛権というのは
憲法が禁止していないという解釈に立っても、政策的にそれを凍結して使わないということはあり得るということですので、いずれ
政府がやらなければならないことは法の執行であって法の解釈ではございませんから、法の執行の
レベルでは自自連立には何らそごがなく、
集団的自衛権の
行使はしませんということで合意しております。
そこで、自由党としては、個別的自衛権の問題としてこの
周辺事態における後方地域支援
活動もとらえなければならないのではないかということになるわけであります。
ちょっと一方的な、話が長くなって恐縮なんですけれども、自衛の問題として後方地域支援等の
周辺事態対応措置をとらえることに対しては、そもそも
武力行使をするわけじゃないから自衛権の
行使には当たらないだろうという
指摘があります。しかし、それは準
有事ということを今まで
日本では余り詰めて考えてこなかったからでありまして、自衛権の
行使には当たらないとしても、その自衛権の
行使をいつでもできるようにするための自衛のための準備といいますか、まさに準
有事としての自衛のための
活動というとらえ方がこの際必要なのではないかと考えます。
例えば
日本に対する
武力攻撃が差し迫っている
事態の場合、
日本はさすがに動員をかけるわけであります、
自衛隊の部隊が戦闘配備についたり、戦闘機や護衛艦等が公海上にまで進んで列をつくって
相手の
攻撃が来ないようにする。それは自衛権の
行使そのものではありません、まだ
相手の
攻撃もないし、
武力で反撃するわけでもないですから。ただ、それは自衛のための
活動ではあるんですね、準備
活動。ですから、いざ自衛権の
行使をするのに必要な武装はそのときしている。ですから、後方地域支援についてもそういうことが可能な法的枠組みにしておかなければならないのではないかということです。
もう
一つ、そういう考え方に対する批判で、
日米の新
ガイドラインで規定している
周辺事態というのには、
日本に対する直接の
武力攻撃には決してならないような軽いものも入っているので、そういうものに関する協力をこの際排除することは
日米関係にとってよくないという議論があります。確かにそれはそのとおりでありまして、この
周辺事態という概念の中には準
有事と平時とその二つが入っているんだと思うんです。
それは新
ガイドラインそのものにも書いているように、
日本に対する
武力攻撃が差し迫った
事態に移行し得ることも
周辺事態の中に入っているし、決してそうはならないような、例えば純粋な内戦、もう戦闘というほどもないような社会的混乱で難民が大量に出るような場合、そのときにはその国が
日本を
攻撃してくることはまずあり得ないということもあると思います。そういうときも
周辺事態には含まれておりまして、そういう
日本に対する
武力攻撃に絶対つながらないような
事態というのは、これは平時なんですね。ですから、国内法的にはあえて
周辺事態という新しい観念をつくらなくても、ACSA、
日米の
役務協定の枠組みをちょっといじればそういう平時の問題には
対応できると思うんです。
この
政府案の問題は、そうした平時的な観点で本当は準
有事、
武力攻撃に発展するようなことも起こり得るような
周辺事態全体を平時的な考え方でくくって、武器使用とか武装についてもあたかも準
有事というものがあり得ない、純粋平時のような体制にしている、そういうところにこの法案の基本的な問題があり、そこはやはり修正する必要があるということを自由党は主張しているわけであります。
ということで整理をさせていただきましたけれども、続いて、
周辺事態のほかにもう
一つ重要な論点があります。後方地域支援のほかに重要な論点がございます。船舶検査でございます。
これは
確認したいんですけれども、この法案の規定では、船舶検査について、
通常の国際法上、慣習上、国連の経済制裁を守るために各国が行う船舶検査、警告射撃等も認められているそういう船舶検査に比べ、非常に限定的な、縛りをかけた
行動しか認めないような規定ぶりになっております。これは
アメリカと一緒にやる
活動だから、たとえ
日本が効果的に船舶検査ができなくても、逃げた船が、
アメリカがチェックしている領域に入ってそっちで
アメリカがきちっとチェックしてくれるだろうから、
日米のこの
周辺事態をめぐる協力の中に位置づけられる船舶検査だから、あえて国連の
活動に関するものでもそういう縛りをかけた規定にしているのかどうか。
その趣旨からいえば、
周辺事態にかかわるものじゃなければ、例えば湾岸戦争のとき、中東ですとかおよそ
周辺事態に入らないようなときに
我が国が国連のもとでの船舶検査に参加する場合には、この法案のような縛りのない、普通の国が普通にやっているような形でそういう
活動に参加できるという趣旨なのか、この点を
確認したいと思います。