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1999-08-24 第145回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月二十四日(火曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 二田 孝治君    理事 植竹 繁雄君 理事 萩野 浩基君    理事 北村 哲男君 理事 佐々木秀典君    理事 河合 正智君 理事 三沢  淳君       越智 伊平君    小島 敏男君       佐藤 信二君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    河村たかし君       藤村  修君    山元  勉君       倉田 栄喜君    鰐淵 俊之君       瀬古由起子君    中路 雅弘君       深田  肇君  出席国務大臣         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君  委員外出席者         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         給与局長    大村 厚至君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         総務庁人事局長 中川 良一君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君 八月十三日  一、国と民間企業との間の人事交流に関する法律案内閣提出第一一三号)  二、国の行政機関職員等営利企業等への就職の制限等に関する法律案松本善明君外一名提出、第百四十二回国会衆法第一九号)  三、国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案若松謙維君外四名提出、第百四十三回国会衆法第一八号)  四、特殊法人役員等給与等の規制に関する法律案若松謙維君外四名提出、第百四十三回国会衆法第一九号)  五、日本銀行法の一部を改正する法律案若松謙維君外四名提出、第百四十三回国会衆法第二〇号)  六、審議会等委員等構成及び審議等公開等に関する法律案松本善明君外一名提出衆法第一四号)  七、行政機構並びにその運営に関する件  八、恩給及び法制一般に関する件  九、公務員制度及び給与に関する件  一〇、栄典に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  公務員制度及び給与に関する件(人事院勧告)     午前十時開議      ――――◇―――――
  2. 二田孝治

    二田委員長 これより会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  去る十一日の一般職職員給与等についての報告並びに給与改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。中島人事院総裁
  3. 中島忠能

    中島説明員 人事院が、今月十一日、国会内閣に対して行いました公務員給与に関する報告及び勧告の概要について、御説明いたします。  本年の勧告に当たっては、厳しい諸情勢もと民間給与の的確な把握を初め、民間給与抑制措置雇用調整等実施状況、さらに規模の小さい事業所の実態について幅広く調査を行うとともに、各界各層意見交換を広く行い、さまざまな角度から熟慮を重ねました。その結果、次の三点を柱とする給与勧告を行うこととしました。  一、指定職俸給表適用職員及び本省庁課長級職員についてはベアは見送り、一般職員に限り、〇・二八%のベアを行うこと、  二、ボーナスは〇・三月分削減すること、  三、社会環境変化に対応し、福祉関係職員の適切な処遇を図るため、福祉職俸給表を新設すること であり、これにより、勧告による改定後の職員年間平均給与は、九万五千円減少することになります。  次に、このような結論に至った人事院考え方を三点申し上げます。  第一に、勧告労働基本権制約代償措置であり、その内容についても民間動向を的確に反映させ、仮に公務員労働基本権があればどのような結果となるか等を念頭に検討することが要請されています。本年の民間春季賃金改定状況を見ますと、産業間、企業間の差が拡大する中、平均賃上げ率は過去最低となり、ベア中止事業所は増加していますが、約六割の事業所ベアが行われ、低率、低額であっても従業員処遇維持改善に努めていることが認められました。  また、同じ公務組織で勤務する四現業職員約三十一万人については、中央労働委員会より平均〇・二五%の仲裁裁定が行われ、既にその実施閣議で了解されていること、さらに、本年はボーナスの引き下げにより勧告後の職員年間平均給与は減少する状況にあることなどを考慮していく必要があると考えました。  その一方で、約四割の事業所では管理職について給与抑制措置実施されていることを真摯に受けとめ、現下の厳しい経済雇用情勢勧告に反映させていく必要があることも考慮しました。  また、近時、特に地方において規模の小さい事業所状況を反映させるべきである等の意見があることを踏まえ、本年は、特別に企業規模百人未満の事業所について調査を行いました。その結果、これら事業所役職段階が少なく、中途、縁故採用も多く、賃金表のないところが半数を占めており、官民給与比較対象に含めることには制約があることが認められました。また、給与抑制等を行う事業所は多くなっていますが、厳しい情勢下でも約半数ベアが行われており、従業員処遇維持改善努力していることが認められました。  第二に、多くの民間企業では、厳しい経営環境もと事業の再構築人員削減等合理化努力を行いつつ、従業員処遇の確保が行われています。公務においても、行政組織整理簡素化、定員の削減行政コスト削減等の取り組みが積極的に行われておることについて御理解いただきたいと思います。なお、各職員は、業務遂行に当たって、コスト意識を持ち、一層の効率化推進する必要があると考えます。  第三に、完全失業率上昇等雇用情勢は極めて深刻です。これに対し、公務員身分保障が厚く、給与水準は低くてもよいのではないかとの御意見もあります。しかしながら、公務員身分保障は、厳しい服務規律とともに、公正で安定的な公務運営基盤として必要不可欠であり、身分保障という公務員制度基本給与水準は、それぞれの次元で判断される問題であると考えます。また、民間給与水準失業率を含めてその時々の雇用情勢も反映しており、給与勧告を通じ、公務員給与民間給与に合わせていくことが最も合理的と考えます。  続いて、勧告の主な内容について順次御説明いたします。  本年四月時点における官民給与較差は、公務員一人当たり平均一千五十四円、率で〇・二八%となっております。比較対象にはベア中止賃金カット等を行った企業も含まれており、これらの従業員状況官民較差に反映されております。  まず、俸給表につきましては、本省庁課長級職員が格付されている行政職俸給表(一)十級及び十一級は俸給月額改定を見送ることとし、九級は抑制的な改定とし、他の俸給表も同様な措置を行います。改定を行う級は、早期立ち上がり型への給与カーブの修正を推進する観点から、中堅層職員改善に重点を置いた一層傾斜的な改定といたします。また、社会環境変化に対応し、指導員保育士等福祉関係職員職務専門性にふさわしい適切な処遇を図るため、福祉職俸給表を新設します。  期末勤勉手当につきましては、前述のとおり、支給月数を〇・三月分引き下げるほか、民間での育児休業者に対するボーナス支給状況等を考慮し、より円滑な育児休業の取得に資するよう、育児休業中の期末勤勉手当支給について制度改正を行う必要があります。  実施時期は本年四月一日としておりますが、福祉職俸給表の新設、育児休業中の期末勤勉手当支給等は、平成十二年一月一日としております。  以上のほか、今後の給与制度改正方向として、民間賃金体系改革動向や今後の公務員人事管理あり方等を踏まえ、職務や個人の能力実績に応じた給与体系への転換を進めていくことを表明するとともに、専門的なスタッフ職を活用した多様な給与処遇号俸構成昇給制度など俸給体系基本的見直し方向についても報告しました。  次に、公務運営改善に関する報告について御説明いたします。  二十一世紀に向けた我が国の形をつくるべく社会経済システムの再構築が進む中、人事院は、行政運営基盤を担う公務員人事管理システムを時代の要請にこたえ得る柔軟で開かれたものとするよう、全般的な見直しに取り組んでおります。今次報告におきましては、現在取り組んでおる課題として次のような項目について述べており、速やかに成案を得られるよう努めてまいりたいと思います。  第一に、公務員倫理確立につきましては、本年六月に提出しました平成十年度年次報告において、不祥事の再発を防止するための諸施策を提起したところであり、これらの諸施策を着実に実施し、公務員倫理確立に努めてまいります。特に、公務員倫理法により人事院に求められている役割を積極的に果たしていく決意でございます。  第二に、II種III種等採用職員幹部職員への登用の着実な推進に取り組むほか、事務官、技官の別等による固定的な人事管理見直し能力実績等評価システム研究を行うなど、柔軟で弾力的な人事管理推進に努めてまいる所存でございます。  第三に、退職管理につきましては、早期退職慣行是正に向けて、各般の条件整備を図りながら、六十歳までの在職を目指し、計画的に退職年齢を引き上げる必要があり、当面、Ⅰ種採用職員の過半数が五十三歳以前で退職する現状の是正を図ることとしております。  第四に、女性の採用登用の拡大について、各省庁男女共同参画社会基本法を踏まえ、積極的に取り組むことが重要と考えます。人事院も、これを支援するための施策について幅広く検討を進めます。  このほか、国立大学教官等技術移転事業者役員兼業を認め、遅くとも平成十二年四月一日までに施行することを表明いたしました。  内閣委員会皆様方におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割に深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただくよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。     ―――――――――――――
  4. 二田孝治

    二田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
  5. 山元勉

    山元委員 おはようございます。民主党の山元でございます。閉会審査ということで、お忙しい中、皆さん大変御苦労さんです。  私は、今総裁から御報告がありました勧告について、若干の時間、御質問を申し上げたいというふうに思います。  今もありましたように、内容は、ベースアップで〇・二八%、一方、期末一時金で〇・三カ月分カットという大変厳しい内容でございました。さらに、一方では、福祉職給料表が新設される、あるいは賃金体系全体の基本的な見直し、あるいは能力実績に応じた評価制度の導入、これは今の社会経済変化あるいは民間労働者皆さん状況変化、これに対応しようということで出されたものというふうに理解をいたします。確かに民間皆さんは、今よく言われますように、倒産だとかリストラだとか賃下げ、さまざまな大変苦しい状況の中にいます。さらにまた、率直に言って公務員に対する批判といいますか、世論というのは大変厳しいものがございます。そういう中での勧告でございます。  したがいまして、私どもは今まで人勧が出たときには、早期完全実施を、こういうふうに求めていましたけれども、そう簡単ではないわけです。しかし、今申し上げましたような背景がある中での人勧です。内容は厳しいけれども人事院勧告制度というのが公務員労働者皆さん労働基本権代償措置としてずっと根づいているわけですから、ことしもやはり勧告どおり実施をされるべきだというふうに私どもは思います。  それが、今の人勧体制といいますか、人事院勧告制度を守る、十全にこれからも機能を果たしていただくということにおいて大事なんだろうというふうに思いますし、この間公務員倫理の問題について論議をいたしましたけれども人事院皆さん公務員の任用もあるいは給与もあるいは倫理もしっかりとやはり管理をしていただく、あるいは確かなものにしていただく、そういう仕事をこれからも進めていただくという意味で、ことしも勧告どおり、厳しいけれども実施をすべきだというふうに思うわけです。  この勧告を受けられた総務庁長官に、この勧告についての御見解をお伺いしたい。
  6. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  政府といたしましては、八月十三日に給与関係閣僚会議を開催いたしまして、この人事院給与勧告を受けて国家公務員給与取り扱い検討を始めたところであります。そして、給与関係閣僚会議におきまして、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢もとに、国政全般との関連を考慮し、誠意を持って検討を進めたいということでございます。  総務庁といたしましては、依然として厳しい民間経済状況や国の財政事情など、国家公務員給与を取り巻く環境は極めて厳しいものがありますが、今委員もおっしゃいましたように、人事院勧告労働基本権制約することに対する代償措置という制度の根幹があるわけでございますので、良好な労使関係維持などにもかんがみまして、人事院勧告早期完全実施に向けて最大限努力を尽くす所存であります。
  7. 山元勉

    山元委員 確かに八月十三日の関係閣僚会議というのをお聞きいたしました。例えば自治大臣労働大臣、それぞれの立場からの御発言があったようですけれども結論が出なかった。例年は一回で出るということはなかなかないわけですけれども、しかし、今の経済状況を考えると、ことしもやはり早期決定をしていくべきだというふうに思うのです。  これは、今の状況の中で、中小企業労働者皆さん、あるいは地場産業だとか、全体的に民間皆さんがまだ春闘の中から決まっていない人がいるわけですね。あるいは、ことしは見送って来年春考えようというのもあるわけです。そういう状況の中では、やはり早期にきちっと、たとえ〇・二八であろうと、私は、閣議政府の方針をしっかりと早くお決めをいただきたいというふうに思うのです。  長官、十三日、第一回目はだめでしたという言い方はおかしいのですけれども決定されなかったのですが、今申し上げましたように、できるだけ早くこのことについては処理をすべきだというふうに考えますが、今後のスケジュールについてはどうなりますか。
  8. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  今後のスケジュールにつきましては、確たることは申し上げかねますけれども総務庁としては、早急に結論を得るように最大限努力を尽くす所存であります。
  9. 山元勉

    山元委員 ぜひ、主管の大臣でございますから、御努力をいただきたい。きょうは官房長官にもおいでをいただいてと思ったのですけれども中身にわたりますので官房長官については御遠慮申し上げましたけれども、ぜひ力を合わせて頑張っていただきたい。  そういう意味では、勧告を出された人事院として、今の状況あるいは今後の見通しについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  10. 中島忠能

    中島説明員 今回の勧告は、ベースアップボーナスについての勧告を主として含んでおりますけれども、実は、この勧告をめぐる給与問題、特に給与体系等の問題というものを考えますと、私は、政府としてもいろいろな観点から御検討なさるのだろうというふうに思います。  そういうような観点から、給与問題を含めまして、いろいろなそれ以外の国政全般との関連を眺めながら御検討いただくということでございますので、総務庁といたしましても、広い観点からきっと御検討いただけるだろう、そして、勧告の趣旨というのは十分尊重して結論を出していただけるだろうというふうに考えております。     〔委員長退席植竹委員長代理着席
  11. 山元勉

    山元委員 人事院も、言い方は悪いですけれども出しっ放しということでは全くないわけですから、今まで努力していただいているわけですから、ぜひ早期に処理されるように御努力をお願いしたいと思います。  中身が大変ことしも多うございまして、幾つかのことについてお尋ねをしたいのですが、一つは、この勧告の別紙第二「職員給与に関する報告」の五番のところに、給与制度改正方向というのがございます。その中に大変難しいことが書いてあって、一体どういうふうに考えていらっしゃるのかお伺いをしておきたいわけです。  中には、早期立ち上がり型の給与カーブ、これは今までの年功序列と違って、高原型に変えていくということだろうというふうに思いますけれども、大変難しいわけですが、このことだとか、あるいは、号俸構成昇給制度見直し昇給期間あり方見直し、昇格時の号俸決定方法見直し幾つかの見直しが書いてあるわけです。これは、公務員給与制度を抜本的に考え直していこうという方向がまさに示されたのだろうというふうに思います。  そこで、ここに至る考え方基本的に給与制度改正していく方向を見極めるというか、出されたのですけれども、その基本的な考え方についてまずお伺いをしておきたいのです。
  12. 中島忠能

    中島説明員 これからの給与体系といいますか、それを考えるときに、視点が二つあるだろうというふうに思います。  一つは、在職期間長期化してくるだろう、そして高齢職員というものが公務の中で働いていただく率が高くなるだろうというふうに思います。そういうような公務組織の中の変化というものを踏まえながら、なお公務組織が活性化して国民に十分適切なサービスが提供できるような給与制度というものをつくっていかなきゃならないという視点一つございます。  今先生がおっしゃいましたように、現在の給与体系というのは、いろいろな人が指摘しておられますように、年功主義的な要素が強過ぎるという指摘がございます。したがいまして、今私が申し上げました公務組織の中の変化というもののもとで、なお公務組織を活性化して適切な行政サービスを提供していくということになりますと、この年功主義的な要素というものを改めて、職務に対応する給与能力実績に対応する給与というものをつくっていかなきゃならない。  そのためにはどういうことを検討していかなきゃならないかといいますと、現在の俸給表というものに示されております給与体系、例えて言いますと、各級ごと号俸あり方初任給決定の仕方、あるいはまた、一年たてば一号上がるという定期昇給制度、さらに、そのもとにおける特別昇給制度、そしてまた、そういう昇給制度の中における能力評価というもののあり方、そういうものを含めて検討していかなきゃならないというふうに思います。  したがいまして、かなり抜本的な改革ということになろうかと思いますけれども、非常に大きな問題でございますので、私たちはいろいろな方の御意見を賜りながらこの作業にこれから取り組んでまいりたいということを、そこで表明したわけでございます。
  13. 山元勉

    山元委員 今の給与体系なり制度というのは、一朝一夕にできたものと違って、前は、日本年功序列型賃金というのは世界の傑作の賃金体系だ、こう言われたわけです。それが長い間ずっとかかって定着をしてきて、そして今、確かに六十歳から六十五歳とか、高齢化がどんどん進む条件があります。けれども、長い間にだんだんと日本高齢化長寿化が進んできたわけです。あるいは、それに伴う在職期間長期化とか。そういう職場の高齢化あるいは在職期間長期化というのは、長い間かかってずっと進んできた問題です。ですから、これを一気にがたんと変えるということについては、大変無理がいくだろうというふうに思うのですね。  ですから、今総裁もおっしゃった幾つかの項目で、これは易しい、これは難しいと。例えば、十一級制というのに十何年前からなっているわけですね。その十一級制を十級にするにしても十五級にするにしても、それは余り難しいことではないかもしれない。けれども、抜本的な改正となると、やはり相当タイムスケジュールをしっかりと考えてやらないと混乱するだろうと思うのです。  そういうスケジュールというのですか、その計画の大枠というのは見通しは立っているわけですか。
  14. 中島忠能

    中島説明員 改革しなければならない項目としていろいろ申し上げましたけれども、その中で、今おっしゃいますように少し時間をかけて改革をしていかなければ、職員によっては、若いときは比較的低い給与のところを歩んできた、そして加齢とともに給与が上がるだろうと考えておったところが、今度の制度改正によって、またそれほど恩恵が受けられないようなところを歩むということも考えられますので、そこは制度によりましてというか項目によりましては、かなりの時間をかけて改革していかなければならないだろうというふうに思います。また項目によりましては、かなり思い切って改革しなければならない項目もあるだろうというふうに思います。  したがいまして、この給与制度改革につきましては、職員納得というものがどうしても必要になるだろう。そのもとにおいて改革していかなければ、職員が安心して公務に専念していただけないだろうというふうに思います。  ただ、すべての公務員納得していただかなきゃならないかということになりますと、私たちもできるだけその努力をしてまいりますけれども、ある時点においては決断をしなければならない時期もあるだろうというふうにも思います。
  15. 山元勉

    山元委員 ここにも書かれておりますように、在職期間長期化とかあるいは職員構成中高年齢化、そういうことに対応していくということでは必要な措置考え方だろうというふうには私は理解をいたします。  けれども、大事なことは、変わっていく、変化をしていくそのときに、公務としての質が向上する、これはそういうためになるということ。あるいは職員皆さんの士気が向上する。今総裁もおっしゃいましたけれども公務員皆さんが何だということでは、これはサービスが低下しますし意欲は落ちるわけです。ですから、本当に総裁が使われた納得という言葉ですけれども関係職員団体皆さんあるいは有識者、民間皆さん等の知恵をかりて、たくさんの経験を持っていらっしゃるはずですから、ぜひ、これは後で申し上げたいと思いますが、拙速ということに結果的にならないように、十分な検討をお願いしておきたいというふうにまず思います。  それから、次に行きますが、四月二十七日に省庁等改革推進に関する閣議決定が行われました。その中で公務労働の問題についても相当触れられているわけです。  それに関して、勧告の「公務運営改善に関する報告」の中でも触れられているわけですが、いわゆる能力実績等評価、活用のあり方についてというところで、こういう書き方がしてあるわけです。「行政の複雑・高度化の下で、質の高い行政サービスを効率的に提供していくためには、」という目的がしっかり押さえられてあって、「能力・適性に基づき適材適所の配置、昇進管理を行うことや、能力実績を重視した給与上の処遇を行うことがますます重要となっている。」これは、先ほども言いました質の高い行政サービスを提供していくためにということなんです。そして、その評価を適切に行う仕組みを整備することが極めて重要である。  これは、この能力実績評価というのは非常に難しいというふうに思っているんですね。民間皆さんのように、優秀なものを常につくるとか、常に売り上げが高いとか、そういう目に見える、はかることができやすい民間労働、まあ違うものもありますよ。けれども、そういうものと公務労働というのは随分と質が違うわけですから、その能力実績評価というのは非常に難しいと思うのです。そこでそれを行うための仕組みを整備する、こうおっしゃっているんですが、今のところどういう構想をお持ちで、どういう研究でこの制度をつくろうとしていらっしゃるのか。今のところの大枠を示していただきたい。
  16. 中島忠能

    中島説明員 公務員能力というか実績評価するということは、おっしゃるように非常に難しい問題だと思います。  少し余談になりますが、私も若いときに税金の徴収の仕事をしたことがございます。そのときに、二人の窓口職員がおる。その中で、Aという職員は一日に十五人から二十人ぐらいの納税者の応対をしている、こなしていく。ところが、Bという職員はせいぜい二、三人しかこなさないというようなときに、Aという職員の方が能力は上というふうに決められるかというと、必ずしもそうではない。むしろ、一日に二、三人しか納税者の相手ができないような人の方が、訪ねてきた納税者には十分納得していただいて、納税意識というものを持って帰っていただくような対応の仕方もあるということを経験したことがあります。  公務員能力とか労働の質というのは、民間企業の場合は、多くの場合は量によってその能力をはかることができますけれども公務員の場合には質というものを考えなきゃならないという経験を若いときにしたことがございます。  したがいまして、今回の能力評定あるいは能力評価というもののシステムづくりに当たりましても、公務員というのは民間の場合とはかなり違うなということが前提でなきゃならないというふうに思います。  だからといって、公務員の世界で能力評定のシステムづくりができないかというと、そうではないだろう。職種によって、あるいは職域によって違うということを前提にしながらこのシステムづくりをしていかなければ、これからの行政の複雑多様化の中で、適材適所というものを念頭に置いた人事配置もできないだろう。あるいはまた、今先生がおっしゃいましたように、これからの公務組織給与行政あるいは昇進管理というものの中でも、能力評価というものを適切に行っていかなければ、職員納得しないだろうというふうに思います。  したがいまして、私たちはこの能力評価のシステムづくりにつきましては、検討に着手したばかりでございますのでその見通しを現在立てておりませんけれども、いずれにいたしましても、民間の有識者とか、あるいはまた専門の、大学でそういうことを研究しておられる方々とか、現に中央官庁で人事管理についていろいろ悩んでおられる方々とか、いろいろな方からの御意見を賜りながらこのシステムづくりというものに積極的に取り組んでいかなければ、これからの人事管理の責任ある体制というものはつくれないだろうという意識を持っております。  したがいまして、これから、来年になればこういうことができるとか、再来年になればこういうことになるというようなところまでは申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、この問題については、これからの公務員行政上の核になる重要な問題だという意識を持っておりますので、精力的に取り組んでいきたいというふうに思います。
  17. 山元勉

    山元委員 総裁の御認識どおりだというふうに思いますが、民間公務と比べても随分と違うし、公務の中でも、行政事務をやっていらっしゃる方と、例えば福祉の現場にいる人、教育の現場にいる人あるいは研究をしている人たち、さまざまな分野があるわけです。私は全く質が違うだろうと思うのです。ですから、このシステムをつくる、あるいは仕組みというのですか、制度をつくっていくときに、よほど職場の皆さんの気持ちにぴったりとくる制度をつくらなければいけないだろうというふうに思うのです。  私は、昔教育の現場におって、勤務評定制度、勤評というのを経験いたしました。ある県なんかは特徴的に、県の財政が苦しいから、勤評をやって成績の悪い人は昇給をストップするんだ、こういういわゆる勤評をやったわけです。げた箱の並び方も変える、同級生でもげた箱の順番が変わっていく、名札の順番が変わっていく、そういうえげつない方法でやっていったあのときの勤務評定、業績評価というのは、恐らく大きな誤りを犯したというふうに思っているのです。  現に、今学校における勤評というのは、全く機能していないと言っていいわけです。全国でやっていますけれども、全くそれは機能をしていないわけです。  それは、本当に意欲を持って職務に専念しよう、自分の信ずることでやろう、そういうものを育てるのではなしに、同級生でもげた箱の順番、名前札の順番が変わっていくわけですから、どうしても、やはり上を向いて仕事をしたり、外を向いて、あるいは保護者へ向いて仕事をするような、そういう仕事になってしまうわけですね。公務全体がそんなことになったら大変なことになるだろうと思うのです。ですから、それぞれの公務の職場の皆さんがわかるシステムをつくる努力を、ぜひしていただきたいというふうに思います。  そこで、ここの書き方がちょっと私は気になったのですが、私の生まれ育ちでそうなるのかもわかりませんけれども、「この問題について、関係分野の専門家の参加を得るなどの研究の体制を整え、」と書いてある。  総裁もおっしゃいましたように、それぞれの経験者に集まっていただいて研究したいんだ。私は、一番最初に書いてあるように、質の高い行政サービスを効率的に提供したいというのを一番痛切に思っているのは、現場の皆さんだと思うのですよね。あるいは、そういうことで一生懸命になって条件改善していこうという職員団体皆さんかもしれません。  ですから、そういう専門家というのはどういうことをイメージしていらっしゃるのかわかりませんけれども、ぜひこれについても職員団体皆さん、現場の皆さんの気持ちをしっかりと聞いて、これが合理的な、これが公正な評価あり方だということをつくっていただきたい、そうでないと、学校の勤評のように悔いを残すことになると思うのですが、いかがですか。
  18. 中島忠能

    中島説明員 おっしゃることはよくわかります。  昔のようなことにならないようにといいますか、昔の轍を踏まないように、私たちも十分検討を深めなきゃならない。その過程においては、労働団体の方の御意見を、どういう形か工夫いたしますけれども、そういう方の御意見も賜りたいというふうに考えております。
  19. 山元勉

    山元委員 このことについては私もしつこく申し上げますけれども、本当に公務の中で混乱が起こらないように、本当にまじめに働いたら、あるいは能力を持っていたら、それなりに評価をきちっとされて、公務というのは喜びがある職場だというものをつくる責任があるだろうと思うのです。  私が心配するのは、行革の立場で人事院が考える、今、当面のスケジュールも立っていないというふうにおっしゃいますけれども行政改革を進める、あしき意味の行革を私はイメージしているのですけれども、それでがんがんがんがんと早くやってというようなことであれば悔いを残すというふうに思いますので、ぜひこのことについては、拙速を避けてしっかりとしたいいものをつくっていただきたいというふうに思うのです。  とりわけ、先ほども言いましたように賃金体系については、年功序列型賃金というのはずっと長い間その中にいた感覚というのはやはり大変深いものがありますから、そういうものも含めて、見直していくことについては、ぜひ慎重にいいものをつくる努力をしていただきたいというふうに思うのです。  現行の行(一)の給与表で十一級制になっていますけれども、これはたしか八〇年の人勧で出されて、給与表をちょっと組み立て直すにしても、八〇年の人勧から八五年の実施まで五年間かかって研究していらっしゃるわけですね。ですから、そう簡単にカーブのかけ方を変えるんだと、年功序列型でなしに高原型にするんだということについては、これは大変な変化だろうというふうに思うのです。そういうことも含めて、やはり評価の問題は大変重要だというふうに思います。  そこで、先ほど行革という言葉を使ったのですが、太田長官、二〇〇一年一月に一府十二省庁省庁再編が行われます。そのときに、この評価の問題については省庁再編と連動するのですか。     〔植竹委員長代理退席、委員長着席〕
  20. 中川良一

    ○中川説明員 人事評価の問題につきましては、省庁等改革推進に関する方針というものを中央省庁等改革推進本部で決定いたしましたが、その中で公務員制度改革という項目がございまして、その公務員制度改革の中で、今後、能力実績等に応じました人事管理推進する観点から「勤務評定制度見直しを進めること等により、客観性・公正性の高い人事評価システムの整備を図る。」というふうにうたっておるところでございます。  先ほど来、人事院総裁の方から人事院としての見解が表明されておりますけれども、今後、政府サイドといたしましても、それぞれ実際に勤務評定を実施する立場にある各省庁とも相談しながら、能力実績に応じた処遇を実現するためのいわば基本をつくるという意味での、新しい評価システムづくりというものを検討していく必要があろうというふうに考えております。  直接的に、中央省庁等改革と時期的に必ずしも一致させる必要性があるということが端的に出てくるわけではございませんけれども、今後、私どもとしては、そういった省庁再編で各省庁が新しい体制のもとに仕事を進めることになるわけでございますので、一応再編の時期もにらみながら、そういった新しい評価制度づくりというものを検討していく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  21. 山元勉

    山元委員 先ほどありました四月の二十七日の閣議決定の各省庁等改革推進に関する件の中に、今問題にしております能力実績等に応じた処遇ということがあって、これがきちっと端的につながるものではないというふうに局長は今おっしゃいましたけれども、端的につなげなきゃならぬと人事院が思ったら、これは大変難しいだろうというふうに思うのです。  例えば、二〇〇一年一月の省庁再編に間に合わそうと思うと、来年、二〇〇〇年の人勧にきちっとそのことが出てこなきゃいかぬわけです。これから正味一年しかないわけですね。その間に、先ほどから申し上げているような評価あり方、あるいは賃金体系見直しということが、拙速にやられたら大変だろうというふうに思います。ですから、そういうシステムづくりは人事院の方でしょうし、行革の進め方については主に総務庁の方がやられるのかもしれませんけれども、そこのところはしっかりと、今申し上げましたような気持ちというのは大事にしてもらいたいと思うのです。  何が何でも二〇〇一年の省庁再編のところで、新しい人事システムなり給与体系をつくろうということを考えていただくと、拙速で、将来悔いを残すような制度ができてしまうという心配がありますから、二〇〇一年にいいスタートを切りたいというふうに十二省庁のことを考えていらっしゃるかもわかりませんけれども、そのことで、だから来年の人勧で今申し上げましたような課題については一応人事院結論を出さなきゃならぬのやということには、私は物理的にいっても非常に難しい、八月に勧告して、次の一月から制度を変えていくということは難しいだろうというふうに思いますけれども、ぜひそこのところは無理をなさらないように配慮をしていただきたいというふうに思います。  それで、最後の一つですが、超過勤務の問題です。  この勧告の中にも少し出ているわけですが、この問題については、この間総裁に、超勤の実態をほっておいたらいかぬ、ひどいサービス残業が多いんだというふうに言ったら、理由が三つあって、一番先に国会対応があるんだというふうに言われて、これは国会も国会議員も心しなきゃ、徹夜をさせる仕事の多くは、国会議員が質問通告をするなど、あるいは資料を要求するなど、無理な注文をしているというのがありますけれども、これはまた私ども努力をしたいと思います。  そこで、四月に指針を出された。先ほどありました超過勤務は、およそ三百六十時間を上限の目安として、特に育児や介護責任を有する職員が請求すればそれまでに抑えなきゃならぬし、その他の職員は三百六十時間を上限の目安として努力すること、例外は国会対応だとか国際対応、これは時差がありますからそういうことになるんだろうと思いますけれども、そういうものについては例外だ、この例外もなくしていかなきゃいかぬわけですが、この四月に各省庁に指示を出されたというのですか、指針を出された。  それぞれが、この文章でいうと、各省庁が進めている、努力をしている、しているはずだというふうに読み取れるような文章なんです。四月からの各省庁努力がどういうふうになされているのか、あるいは実効が上がってきているのか、まだ半年足らずですからわかりませんけれども、しかし、一方で、今十年で二五%人員を削減するんだ、経費も三〇%削減するんだという大きな目標が、私から言うとひとり歩きをしているわけです。一方でそうやって二五%削減するんだ、しかし、一方で超勤が非常にたくさん行われている、これはどうするんだということをきちっとしないと、極端な言い方ですが、公務員皆さんは地獄で働かなきゃならぬようになるだろうと思うのです。  そういう点からいって、この四月に各省庁へ出された指針というのは生きてこなきゃいかぬと思うのですが、どういういき方を今のところしつつあるのか、実態についてお教えをいただきたいと思います。
  22. 佐藤信

    佐藤説明員 今お話ございましたように、中央省庁改革でございますとか社会経済情勢変化といった中で行政あり方が大きく変化をいたしておりますけれども、そういう中にありましても、職員の適正な勤務条件あるいは健康維持という観点から、超過勤務はやむを得ないんだと漫然とそういうような考え方をするのではなくて、必要最小限度に抑えるようにしなければいけないという基本的な考え方もとで、今さっき委員おっしゃいましたように、目安時間というようなものを設けて、四月から実施をしているところでございます。  この指針によりまして具体的にどの程度効果が上がったかということにつきましては、まだそれほどの期間が経過していないということもございまして、端的には申し上げにくい面もございますけれども、各省庁における取り組み状況を私ども何度かお聞きをしております。目安時間達成のために、省内で横断的な会議で超勤縮減対策を講じるとか、事務の簡素化の検討を行う、あるいは人事担当の部局が超過勤務の多い職員をチェックして上司に配慮を求めるとか、あるいは健康診断を行うというような、もろもろの施策を講じておる省庁が多うございまして、それぞれの省庁において指針に基づいて熱心に努力をしていただいているもの、そういう省庁が大方のところだというふうに思っております。  私どもとしても、この指針がさらに現場まで徹底いたしますように、引き続いて各省庁に対してその取り組み状況を聴取し、あるいは指導等を行っていきたいというふうに思っているところでございます。
  23. 山元勉

    山元委員 これは具体的にいつ、例えば年度末なら年度末にきちっと一年を振り返って報告をせいというのか、どういうような切りをつけていくのか、人事院がどういうような指導をする権限があるのか、具体的に効果が上がっていかなきゃいかぬわけです。ただ口で、各省庁が、うちは簡素化をできるだけしています、それは口で言えることと実際にこれからも続けて体制を変えていくということとはちょっと違うだろうと思うんです。  ですから、継続的に、きちんきちんと節目節目で点検をして、きちっと人事院が指導する必要がある、あるいは人員配置の問題にしろ何にしろ対策を講じていく必要があるんだろうと思うのですが、そういう具体的なことについてはどうなんです。
  24. 佐藤信

    佐藤説明員 超過勤務、まずはこれは職務命令でございますので、これを命ずる立場にある各省庁においてそれぞれの職員の超過勤務の状況の把握に努めるということが必要でございまして、指針におきましても、管理者が常に職員の超過勤務の状況や健康状態の把握に努めるということを求めているわけでございます。  私どもといたしましては、今さっきも申し上げましたけれども、各省庁における職員の超過勤務の状況についてどうなっているかというようなことを、指針発出の前後を通じて、数回にわたって人事担当者に聴取等もいたしましたし、毎年、実際に相当数の官署に対して調査等も行っておりますけれども、引き続きさまざまの機会をとらえてその把握に努めて、おっしゃられるような実効が上がっていかなければ意味がないわけでございますので、指針の趣旨に沿った指導をさらに徹底して行ってまいりたいというふうに思っております。
  25. 山元勉

    山元委員 時間ですから終わりますが、先ほども言いましたように、これはサービス残業という言葉がありますように、長い間続いてきたいわば職場の慣行みたいなもの、悪い慣行かもしれませんけれども、ずっと続いてきている。目に余るものがあるというふうに言う人もあるわけですけれども、そこのところを改善していかないと、このままで、十年かかって二五%、一〇%、一五%、二〇%、これはきついだろうと思うんです。  ですから、そういうことについては、人事院がここに書いてあるような指針をしっかりと守らせていくという努力を厳しくやってもらわぬといかないだろうというふうに思います。へっぴり腰では各省庁なかなか言うことを聞かぬだろう、実績が上がってこぬだろうというふうに思いますから、ぜひこれは公務サービスの質を上げる意味からも、そのことは大事だというふうに思います。  最後にですが、私どもは、総裁のこの間の言葉が気になっているのですが、国会議員がやはり公務員皆さんに徹夜を強いていることが多いということで、これは議運になるんですかね、議員の皆さんも、やはり公務員皆さんにいい仕事をしてもらうとか、あるいはそういう生活を守ろうという立場を理解しなきゃいかぬだろうと思うのです。それが余りにもないだろうと思う。  私も、この質問の通告はできるだけ早くというふうに努力をしているのですけれども、聞くところによると、日がとっぷり暮れてからということでは、そして、こういう質問がありますというのを明け方に大臣のところに届けるという話も聞きました。これはやはり国会議員全体が心すべきことだというふうに思いますから、ぜひそれは、人事院から議運におっしゃるのか、私どもがこの委員会として、やはりこういう人勧の中にも「他律的な」と書いてありますが、他律という言葉もいかぬのですけれども、ぜひそのことについてはひとつ改善が見えるように私も努力したいというふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  26. 二田孝治

    二田委員長 次に、倉田栄喜君。
  27. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党の倉田でございます。  今回の人事院勧告は戦後初のマイナス勧告である、こういうことであります。その戦後初のマイナス勧告に至った経緯、概要というものは、先ほど総裁から御説明をいただきました。これは、内容を少し繰り返しますと、指定職、本省庁課長級以上の管理職はいわゆるベースアップ見送りをして、そのかわり一般職員に限り〇・二八%のベースアップを行う、そしてさらには特別給、ボーナスは〇・三カ月引き下げる、こういう内容で、結果として戦後初のマイナス、平均九・五万円の引き下げになるということであります。  そこで概要を、総裁からこれに至った経過というのは大体御説明いただいたわけでありますけれども、いわゆる民間給与体系、それから今失業率がこれだけ上がっていく中でリストラが盛んに行われている、そういう民間の厳しい情勢もあるんだと思うのですけれども、それを受けて、指定職はベアは見送りますよ、しかし一般職は〇・二八%ですよ、特別給与ボーナスは〇・三カ月引き下げますよ、こういうふうになった。  どうしてそういうふうになったのですかということになると、もう少し詳しく御説明をいただければと思うのです。そういうふうになったのは、どういうことを調査して、どういう企業、どういうところを調査して、その結果として厳しいですねということになってそうなったと思うのですけれども一般職ベアベースアップしましょう、しかし特別給与は下げましょう、こういう結論に至った経過、概要、そこをもう少し詳しく御説明をいただけたら、こういうふうに思います。
  28. 中島忠能

    中島説明員 公務員給与というのは、やはり国民の理解納得もと制度化されなければならないという基本があるだろうというふうに思います。  そこで、労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告あり方というものを考えるときに、もしも公務員労働三権を完全に持っておるならばどういう結果になっただろうかということを頭の中で想定しながら作業を進める。そのときに基準になるのは、やはり労働三権を持っておる民間企業労働者の賃金の改定状況だろうということで、私たちはこの五月の連休明けから民間企業の賃金改定状況を調べてまいりました。  その結果、約六割、正確には五八%ですが、五八%の民間企業において、非常にわずかな額、わずかな率でございますけれどもベースアップが行われておるということを把握いたしました。  その五八%の民間企業ベースアップが行われているのですが、その中で、ベースアップは行うけれども定期昇給を停止するとか、あるいはまた賃金カットをするとかという企業がそのうち五%ございました。そういうような状況があるとともに、ベースアップは行わない、賃金の抑制とか、ベースアップの抑制とか、あるいはまた賃金カットをする企業というのが三〇%ぐらいございました。  したがいまして、私たちは今回の給与勧告の作業をする最終段階におきまして、本当にベア勧告をするかどうかということで最後まで迷ったわけですけれども、結局私たちは、もし公務員労働基本権を持っておるならば、五八%、約六割の民間企業でわずかな率、わずかの額のベースアップを行っているのだから、公務員もそのようになっただろうということを想定せざるを得なかったということが一つあると思います。  それと並びまして、私たちは五十万人の公務員を対象にこの作業をしておるわけですけれども、この五十万人のほかに三十一万人ばかりの四現業の職員がおります。この四現業の三十万人ばかりの職員につきましては、七月二日の閣議決定で〇・二五%のベースアップをするということがもう既に了解されております。したがいまして、同じ一般職公務員でありながら、現業職員の方は〇・二五%のベースアップが行われるけれども、それ以外の非現業の公務員ベースアップを行わない、そういう取り扱いというのが果たして公務組織の中でいいのだろうかということを考えざるを得なかったというのが第二番目の要素としてございます。  それから、これはボーナスの話になりますけれどもボーナスは、民間公務員ボーナスというものを比較いたしますと、四・九五カ月分、したがいまして、〇・三月分のマイナス勧告をせざるを得ないわけですけれども、このマイナスの勧告だけをして、わずかな、わずかとはいえ〇・二八%のベア勧告をしないというわけにもいかないだろうということで、結局私たちベア勧告に踏み切ったわけでございます。  先ほど申し上げましたように、民間企業におきましては非常に厳しい状況というものが一般職員についても認められておりますけれども管理職員については、約四〇%の管理職員につきまして賃金カットとかベアの見送り等が行われておりますので、それを踏まえまして、今回非現業の公務員につきましても、本省庁の課長以上の職員、指定職職員を含む課長以上につきましては、この際、ベアというものを見送ることにしようではないか。そして、民間企業と同じように、ベアは見送るけれども民間企業管理者がそうであるように、やはり組織の立て直し、組織の効率化、組織の運営というものに精いっぱい努力をしていただくようにお願いしていかなければならないというふうに考えたわけでございます。  そういうことで私たちは今回の勧告というものを行ったわけでございますけれども、要点を今かいつまんで申し上げましたけれども、非常に苦しい選択の過程だったということでございます。そういうことで私たち勧告を申し上げましたので、この御説明というもので御納得いただけるかどうかわかりませんけれども、要点を申し上げればそういうことになるだろうというふうに思います。
  29. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今総裁から、こういう勧告に至った中身人事院としてもいろいろ考えながら、苦慮しながらこういう勧告を出したということであります。  人事院勧告というのは、従来からそうでありますけれども、非常に重い。先ほど労働基本権の代償という話がありましたけれども、重いものであるわけですね。であるがゆえに、私ども人事院勧告が出ますと、これは早期完全実施をしていただくように、大体委員会がありますと、こう要望をするわけであります。  しかし、今回みたいに戦後初のマイナス勧告ですよということになりますと、やはりそれは公務員皆様方にもそうでありますように、また国民の皆様にもなるほどと納得していただけるように、では、人事院はどういう調査をして、どういう分析をしてこういう経過になったのですかということがより明らかになっていかなければ、それは公務員の方々も納得をしないだろうし、国民もなるほどそうだねと理解をするわけにはいかない。  そこで、今回も多少報告の中にありましたけれども、いわゆる小規模事業所、どういうふうに調査をするのか、どういうふうにその実態というのを把握をしていくのか、これもなかなか難しいのだろうと思うのですね。しかし、最前線の現場でやっておられる小規模事業所の経営者の方々にとっては大変な厳しい状況の中、またそこで働いておられる方々はまさにもうリストラ寸前、職場がなくなるかもしれないという状況の中、そういうところの意見もどういうふうに反映をされてきて今回の結果になったのか。  それから、これはまさに調査の透明性というか分析の正確性に帰することだと思いますけれども、いわゆるひとつの雰囲気とか状況とか、そういう風みたいなものに左右されて人事院勧告があってもまたならないのだろうと思うのですね。厳しい調査をされて、なおかつ一般職については〇・二八のベースアップは必要だ、こういう結論を出されたのは、それなりに正確な分析、調査の結果があったのだろうと思うのです。  そうしますと、今まで我が国経済は右肩上がりでずっとやってきたけれども、こういう状況になったときに、ますますこれから人事院勧告がなされる前提の調査、分析というのは非常に重要なものになってくる。この調査のやり方も、やはり一定のきちんとした基本基準がなければ、それは調査のやり方次第、数字の動かし方次第で結果が変わってくるということがあり得るのだと思うのですね。  ですから、戦後初のマイナスという勧告があったときに、今までやってきた調査あり方とか結果とか、今回小規模事業者も対象にいろいろ意見も聞いてみたとか、そういうことがいわゆる厳しい風みたいなものに影響されて変わってもいけないだろうと思うし、やはりこれからもきちっとこういう方法で我々の調査はなっていくのですよと。そして同時に、それもまたいろいろな状況もあって、ある意味では硬直化されてもいけないものだと思いますけれども、ずっと戦後人事院勧告をやられてきた調査の方法とか内容とか、そういうものは今回の調査について何か変わった要素が出てきてこういうことになったのでしょうか。その二点についてお伺いしたいと思います。
  30. 中島忠能

    中島説明員 民間企業を対象に調査をするわけですが、対象になる民間企業というのは、昭和二十三年に勧告制度が始まりましてから、二十三年、二十四年、二十五年というのは、実は調査対象の民間企業というのは毎年変わっております、その基準は。したがって、その三年間というのは試行期間だったのだというふうに思いますが、二十六年になりましてから、事業所規模で五十人以上の事業所を対象にする、そしてそれがしばらく続きまして、昭和三十九年にいわゆる当時の総理と総評議長が会談されまして、現在の事業所規模五十人以上、そして企業規模百人以上というのが定着して今日に至っております。  したがいまして、それを基準に私たち調査の対象企業というものを現在も考えておりますし、今までそれが正しいというふうにずっと申し上げてきたわけですけれども、昨年あたりから、小規模企業というものの状況はどうなのかという御質問もかなりございましたので、私たちはことし、小規模企業状況調査をいたしました。  調査をいたしましたその結果というのは、やはり公務員給与と比較するときに必要になります年齢層というときに、公務員の場合には大半の方が学校を卒業して公務員でずっとお勤めになっておる。ところが小規模企業の場合には、中途採用の方が非常に率が高いということで、同じ四十歳の方の給与を比較するに当たりましても、公務員のように学校を卒業してそのまま四十歳になった方と、中途採用されて四十歳で中小企業に勤めておる方との賃金の比較というものが果たしていいのだろうかということがございますし、それ以外にもいろいろございます。  例えて言いますと、役職段階の数も、小規模企業の場合には役所と異なりまして非常に少ない、あるいは役職段階がないとか、あるいはまた賃金表というものがなくて賃金を決定する基準がないとか、あるいはまた、時たま賃金台帳のないようなところもございます。  ということで、小規模企業調査いたしましたけれども、結局小規模企業状況というものを把握して、それによって公務員給与あり方を正確に議論するというのはやはり技術的にかなり難しいというのがことしの結論でございます。  したがいまして、私たちは今までどおりの調査規模民間企業というものを調査いたしまして、公務員給与あり方というものを基本的に議論してまいりたいというふうに思います。
  31. 倉田栄喜

    ○倉田委員 戦後初のマイナス勧告ということですね。これは我が国経済が戦後ずっと右肩上がりの経済成長を続けてくる中で、大体人事院勧告というのはいわばベースアップというのか給与が上がるものだというふうに意識的には受けとめられてきているわけですね。ですから、そういう意味において、この勧告実施をされて、そしてそれを実際に受け取る公務員の方々にとっては、感じとして、これは従来とは違うのだなということは実感としてお受けとめになられると思うのですね。それがゆえにいろいろな議論も出てくると思います。  勧告に至ったその経緯についても、さらにさまざまな形で検証されるのだと思うのですね。そうだとすれば、民間が厳しい状況だということ、それから、なかなか小規模事業者は反映しにくいということがあったとしても、その状況ということも無視するわけにはいかないということがあるにしても、今後もやはり我が国の経済の成長のあり方とともにあるとすれば、マイナス勧告というのはあり得る。  そうすると、総裁としては、これは実態を把握してそうなった結果ですという、数字の問題だと思いますけれども、戦後初のマイナス勧告人事院として行われた、そのことの意味というのをどういうふうに御認識になっておられますか。
  32. 中島忠能

    中島説明員 私もこういう仕事をしておりますと、私たちの仕事の結果が公務員全体にどういう影響があるだろうかということをやはり考えざるを得ないわけです。したがいまして、今回のように、年収としてマイナス勧告ということを行うことは非常に寂しい気持ちでございます。  ただ、寂しい気持ちでございますけれども、翻って、公務員給与というもののあり方を考えた場合に、国民が果たして納得してくれるものかどうかということも基本的に考えざるを得ない。したがいまして、民間企業状況というものを先ほどから御説明申し上げましたけれども民間企業で働いている労働者状況を考えますと、私たちは非常に寂しい思いがいたしますけれども公務員皆さん方には理解していただき、納得していただいて、公務サービスというものの提供に全力を相変わらず傾けていただきたいという気持ちでございます。
  33. 倉田栄喜

    ○倉田委員 少しこだわって議論をさせていただいておりますのは、いわゆる勧告労働基本権制約代償措置、ずっと人事院の非常に大きな役割一つとして、公務員の方々には労働基本権制約されているのですよ、だから、なかなか自分たちでは一般的な使用者側、政府側と交渉することは難しいので、かわりに人事院が行われる、こういう従来の流れ、私どもがずっと右肩上がりの経済成長の中にあったということもあるのだと思いますけれども労働基本権制約代償措置ということでこの勧告を考えるとすれば、これは理屈の問題ではないのかもしれません、ないのかもしれませんけれども、やはりマイナス勧告というのは公務員の方々にとっては非常にショックだし、なじまないみたいに思ってしまうのですね。これは実際どうかわかりませんけれども、思ってしまうのです。そこをどう説明できるのか。  つまり、人事院勧告というのは労働基本権制約代償措置代償措置としても、マイナス勧告というのはあり得るのだというふうにこれからなっていくのかどうか。もともと人事院がいわゆる使命として、役割として持っておられる公務員給与体系の公正さ、適正さ、公務員給与はどうあるべきなのか、そこから考えていかなければなかなか理解できないのかなと思ってしまうところもあるわけですけれども総裁、これはなかなか難しいのだと思うんですね。  ずっと今まで人事院勧告というのは、あるとすれば給与アップで、最初からさかのぼってやってくださいということだけを我々は申し上げてきたわけですから、それがマイナスということになれば、なかなか感情にもなじまないし、しかし国民全体、我が国の経済のことを考えれば、そのこともきちっと、なるほどねと説明もでき理解もできるような状況でなければならない。  そこで、総裁としてはこのマイナス勧告というのを、一方で労働基本権代償措置と言いながらも、実はマイナス勧告なんですよということを、感情的にはなかなか、考えると難しい面はあるんだと思いますけれども、理屈、理論の上で考えればどういうふうに説明できるとお考えでしょうか。
  34. 中島忠能

    中島説明員 国家公務員法を制定した当初というのは、プラス勧告もあるしマイナス勧告もあるという前提で法律ができたと思います。現に国家公務員法をよく読みますと、減という言葉も何カ所か出てきておりますので、国家公務員法をつくったときには、プラスの勧告、マイナスの勧告両方を想定して法律をつくったわけですけれども、実は、勧告の歴史というのは、今まで五十年間常にプラスの勧告ばかりが行われてきた。したがいまして、今先生がおっしゃいますように、労働基本権制約代償措置としての人事院勧告というのはプラス勧告だという考え方が五十年間定着したのだと思います。  ただ、定着した今日において、もう一度国家公務員法を制定した当初の原点に立ち返って考えてみますと、やはりマイナス勧告もあるのだということを法律の条文の中でも予想しているわけでございますので、この際、私たちがマイナス勧告をせざるを得なかったこの時点において、これからの日本経済状況によっては民間労働者の賃金の改定条件も厳しくなるだろう。そういうときにはやはり公務員の賃金というものも非常に厳しい局面を迎えなければならない。それでないと、一般国民というのは、公務員賃金のあり方について納得もしてくれないし、理解もしてくれないだろうということをここで改めて考え直さなきゃならない時期に来たのかなという思いでございます。
  35. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今総裁がお答えいただいたような、まさにマイナス勧告もあり得るんだ、国家公務員法にはそのことも、マイナスもプラスも想定しながら書いてあるのだということになるとすれば、まさに人事院勧告役割というのは重い。また同時に、それを勧告なさる人事院役割、使命というのはまさに重要、非常に重い。まさにこれは、仕事のやる気にもつながっていく話だと思うんですね。  先ほどの議論の中にもありましたけれども、今回の勧告の中には、いわゆる公務員給与体系そのもの、今までのような給与体系でいいのかどうかということも検討していくとありました。つまり、職務能力、そして実績に応じた給与体系、そういう方向を目指した文書になっております。これは、実際にどうするかということは非常に難しい問題だと私自身も思います、先ほども議論にありました。どう実績評価するんですか、どう能力評価するんですか、そのことがやる気にどう反映していくんですか。一方で効率的な行政サービスをやっていかなければならない。  そうだとすれば、よく一般で言われる年功序列型賃金体系ということについても、切り込んでいかなければならないなという人事院としての問題意識が今回の勧告の中にもあらわれているのだと思うんです。しかし、これは非常に大きな問題提起だと私は思います。  一方で、我が国の終身雇用制、同時に年功序列型賃金体系が、我が国全体の問題として、このままで存続し続けられるのかどうかという議論が今まで行われている中で、公務員給与体系にもその議論の影響というのか、そのことも考えなければいけないなということは私は当然のことだとは思います。しかし、事は非常に大きな問題で、これがずっと進んでいくと、我が国の公務員制度にもいわゆる年俸制的な、まさに実力、能力に応じた給与体系にしますよ、仕事に応じた、その期間期間に応じた年俸制的な考え方も、その延長線上にはあり得るわけですね。  今回の勧告の中に、職務能力実績に応じた給与体系ということが問題提起として挙げられたと私は理解をいたしておりますけれども、その延長線上に、今の時点でお考えになっておられることはどういうことなのか、まずその点を少しお聞きしたいと思います。
  36. 中島忠能

    中島説明員 一つは、先生がおっしゃいますように、今の公務員賃金体系というものは年功主義が少し重過ぎるということでございましょう。したがいまして、この年功主義的な賃金体系というものを少し変更いたしまして、職務に対応する賃金、能力実績に対応する賃金というものに体系がえをしていかなければならない。そのときの検討項目として、私が先ほど申し上げました定期昇給制度とか特別昇給制度とか、あるいは一年に一号上がる、そのときの間差額のあり方、あるいはまた、その過程において勤務成績というものをどのように配慮していくかというようなことも考えなければならないということでございます。  したがいまして、この賃金体系あり方というものを考えていかなければならないということが一つございます。もう一つは、非常に経済社会が複雑化いたしまして、それに対応して、公務員というか公務組織に求められておる役割というものも非常に多様化、複雑化しております。これに対応するためには、今のようなライン職を中心とする俸給表というものではなくして、もう少しスタッフ職というものを頭に入れた給与体系を考えていく必要が出てくるだろう。もうそれは、そこまで来ているような気がいたします。  したがいまして、この二つの要素というものを考えながらこれからの公務員給与あり方というものを考えていく、それによって時代に対応する公務員制度給与制度というものができ上がるのじゃないかという意識を持っておるわけでございます。
  37. 倉田栄喜

    ○倉田委員 さらに今回の勧告の中には、公務運営改善として、柔軟で開かれた人事管理システム構築、そして同時に、早期退職慣行是正や新たな任期つき採用システムの検討、こういう提言が行われているわけであります。  給与体系もそうでありますけれども、この給与体系に見合っているのかどうか、現在の人事管理体系が、早期退職慣行を前提としたいわゆるピラミッド型の人事体系になっている。このピラミッド型人事体系で果たして二十一世紀ももち得るのだろうかという問題も一方これあるわけですね。こういう問題提起をされた背景のところには、ピラミッド型人事構造というものについての問題意識も総裁はお持ちだということなのでしょうか。
  38. 中島忠能

    中島説明員 年次主義的な人事、そのもとにおけるピラミッド組織というものは限界に来ておるのじゃないかという意識を持っております。  この年次主義的な人事、それによるピラミッド組織というものが前提になりまして早期退職慣行というのが今定着している。早期退職させるということによりまして、非常に若いうちから退職し、民間企業とかあるいは特殊法人とか公益法人に再就職していく。その再就職のあり方、再就職に伴ういろいろな問題というのが指摘されて、今、公務員組織というもの、また公務員人事管理について、非常に厳しい議論が世の中で行われておるということを認識しなければならないだろうというふうに思います。  そしてまたもう一つは、ピラミッド組織というのは、先ほども申し上げましたように、とにかく、いろいろな行政需要に対応するポストというものを考えた場合に、いわゆる公務組織の柔軟性というのですか、柔軟化した公務員組織でいろいろな外部の行政需要に対応していくということを考えた場合に、ピラミッド組織というのはもう向かなくなりつつあるというふうに考えなければならないというふうに思います。  したがいまして、これも長い間にできた人事慣行でございますので、そういう問題意識を持ちながら、この慣行というものをどのように直していくかということもひとつ考えていかなければならない、そのように思っています。
  39. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間がなくなりましたので、最後に総裁総務庁長官に、今回の公務員倫理改善の中で、高い公務員倫理もとで、こういうのがあるわけでありますけれども、つい先般公務員倫理法が成立をいたしました。  人事院総裁として、法施行に伴う課題をどのようにお考えになっているのか、まずこの点を総裁にお答えいただいて、その次に総務庁長官に、この公務員倫理法は、まさに長官も、政治家個人として、提案者として本当に随分汗をおかきいただいて、その成果が今回の成立に至った、こういうふうに思っております。私どもも、この公務員倫理法が成立したことを大変喜んでおりますし、公務員倫理審査会が円滑に機能することを非常に強く望んでおります。この点総務庁長官に、この公務員倫理法が成立に至った所感、そして長官なりの御所見を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。まず、総裁からお願いをしたいと思います。
  40. 中島忠能

    中島説明員 公務員倫理法というのは、私はかねがね申し上げておるのですけれども、五つの骨格があるだろうというふうに思います。  一つは、人事院倫理審査会を設置するという骨格でございます。したがいまして、この倫理審査会が、組織面においても予算面においても、責任を持って仕事ができる体制というものをつくっていかなければならないだろうというふうに思います。それが第一点でございます。  第二点は、倫理規程というものを政令でつくるわけですけれども、その原案というものを倫理審査会がつくってお渡しするということになっております。また、懲戒処分の基準を倫理審査会でつくって、その原案に基づいて、人事院規則で懲戒処分の基準を決めなければならないというこの非常に難しい作業が第二点としてあるだろうというふうに思います。  第三点は、やはり結局は公務員個々人の問題に帰するわけですけれども、一人一人の公務員倫理観をしっかり持っていただくための研修というのが重要になってくるだろうというふうに思います。  そして、第四点といたしましては、各省庁任命権者におきまして、公務員倫理法に違反する疑いがあるという事実が出たときには、公務員倫理審査会の方に御連絡いただくことになっておる。その結果、公務員倫理審査会の方では、その省庁と連絡をとりながら、調査の実態とか調査の結果というものを把握する。そして、必要に応じて共同調査にも着手するということが第四番目の骨格としてございます。  第五番目の骨格は、これは各省庁が懲戒処分を行うときに、倫理審査会の承認が必要だということになっておりますので、この機能というものをきっちり果たしていかなければならないだろうというふうに思います。  以上、五つの点を申し上げましたけれども、この五つの点につきまして、倫理審査会あるいは人事院として、法律に基づいて課せられておる職務、職責というものをしっかり果たしていく必要があるだろうという認識でございます。
  41. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  公務員倫理の徹底を図るためには、倫理法に基づくさまざまな倫理審査会の機能というものが大変中心になると思います。私は、広くよく認識をされないことがあると思うのでございますが、総務庁役割は、国家公務員の服務管理については国家行政組織法において私どもが責任を持たなければいけないわけでございます。それともう一つは、およそ内閣が提案をする法律というのは、内閣の責任でもって出すわけでございますから、だから閣議決定を経なければ国会に対して法律は提案できないわけでございます。  そこで、その法律の最終責任は内閣が負うものでございますから、したがって、この国家公務員の服務に関する、国家公務員倫理審査会がどのように仕事をするかというのを、その政令は、まさに政令でございますから、それは閣議決定でありますので、私が責任を持ってその提案をしなければいけないということになるわけでございます。しかしながら、その内容は、過去の慣例によって、人事院の方でこういう内容でいくという慣例になっておりますので、それは尊重をして、人事院の方でお考えいただきますけれども、私の方で十分に、内容がどうであるかということは一緒に相談をしなければいけないという立場でございます。  ですから、ひとり人事院だけではなくて、私どもも責任を持って、最後の決定の責任は閣議に参りますので、総務庁長官が負わなければいけないというふうに思っております。そういうふうに十分機能する政令にいたしたいと思うのでございます。  それから、提案者、提案者というか、ワーキングチームの一員として、一緒にかつて苦労したものがこういうふうに委員皆様方の御苦労でもって成立をしたということは、まさに感無量でございまして、この法律が、それこそこれまでの数年間に、我々というか、あるいは公的な世界におります者が、ひとしく責任を問われてきたさまざまなスキャンダルに対して十分こたえ得るようなものに育てていかなければいけないというふうに考えております。  大変お世話になりました。
  42. 倉田栄喜

    ○倉田委員 国民の側から見れば、公務の信頼性が確保されて、公正中立で効率的な行政サービスが提供されるということでございますので、この公務員倫理法が成立したことの意義は大きいと思います。長官にも人事院総裁にも、この法がぜひ円滑に施行されますように強く要望して私の質問を終わります。  以上です。
  43. 二田孝治

    二田委員長 次に、中路雅弘君。
  44. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に人事院勧告についてお伺いしますが、九九年の人事院勧告ですね、賃金改定が史上最低、一時金も史上最大の引き下げ幅ということになっていまして、生活できる賃金改善とはほど遠いものであります。とりわけ一時金、いわゆる期末手当、勤勉手当期末特別手当の〇・三カ月の引き下げは非常に深刻な問題だと思います。この引き下げによって、平均前年比較でも十万二千円、五・五九%のマイナスになるわけです。  労働省の主要企業調査結果によりますと、九八年の年末一時金妥結状況を見ると、主要企業は夏季プラス年末一時金で二千四百十九円、〇・一%のマイナスであります。中小企業をとりますと、従業員三百人未満ですけれども労働組合がある企業は四万一千七百四十四円、四・〇九%のマイナスにとどまっています。  このような調査結果を比べても、今回の一時金の勧告は、引き下げ率、引き下げ幅でも、大変大きい引き下げになっているわけです。調査のとり方の違いもあるわけですけれども、まず最初に、人事院総裁にこの問題について一言御意見をお伺いしたいと思います。
  45. 中島忠能

    中島説明員 先ほどから御答弁を申し上げているわけですが、民間企業の春季の賃金改定状況というのは、非常に厳しい状況でございます。五八%の民間企業が賃金改定をしておったわけですけれども、その中でも五%の企業は、ベースアップはするけれども定期昇給は停止するとか、賃金カットをするとか、そういうことを行っておる。ベースアップを全くせずに賃金のカットをするとか、あるいはまた、非常に厳しい賃金対応をしている企業が三〇%ぐらいあるということを先ほど御説明申し上げました。  そしてまた、小規模企業というものをことしは調査をいたしましたけれども、小規模企業におきましては、約半数企業ベースアップをしていないというような状況でございます。  そういう状況もとにおけることしの人事院勧告でございましたので、非常にベアの率が小さくなるということは先ほどから御説明申し上げたとおりでございますが、非常に厳しい民間賃金の改定状況というものを背景に考えますと、やむを得なかったのかなという感じがいたします。  また、ボーナスにつきましては、今先生がおっしゃいますように、調査に当たりましての産業間のウエートの置き方によりましても若干数字が変動してまいるということはもう既によく御存じのとおりだと思います。  私の記憶によりますと、昨年の十二月のボーナスというのは、労働省の調査におきましても、あるいはまた日経連の調査におきましても、五%内外のマイナスではなかったかという記憶をしております。これもまた詳しいことは必要があれば御説明いたしますけれども民間企業におきましても、昨年の暮れにしましても、ことしの夏にしましても、非常に厳しい状況が続いておるという事情はよく御理解のほどだと思います。
  46. 中路雅弘

    ○中路委員 繰り返し言われていますけれども人事院勧告というのは職員労働基本権制約代償措置ですね。団体交渉権が制約されている代償であります。もしこれが労使交渉ということであれば、私は恐らく、自分の方から賃金を下げてくれというようなことをどんな労働組合も要求しないと思うんですね。やはりこの労働基本権代償措置という問題について、もっと深く私は考える必要があるのではないかというふうに思います。  今回の一時金の大幅引き下げは、ベースアップ改定を加味しても年収ベースで九万五千円のマイナスになるわけですが、国家公務員の年間給与のマイナス改定公務員だけにとどまらない問題だと思います。先ほど経済情勢を言いましたけれども、私はこういう角度から考えてみたい。現在の消費不況のもとで、マイナス改定が今の消費不況をさらに拡大することになる。  現在、非現業国家公務員は五十万ですが、平均九万五千円のマイナス改定で計算しますと四百七十五億円の減収になります。また、人事院の資料によってみても、勧告の影響が及ぶとされる特別職国家公務員、地方公務員特殊法人等々の職員を約七百五十万としても、この人たちの減収分が七千百二十五億円ですから、合計しますと年間給与七千六百億円の減収による購買力の低下にもつながるわけですね。  だから、今の消費不況の問題を考えても、今回の人事院勧告がこのような性格を持っているという点で、この角度からもどうかということで、一言総裁の見解を求めたいと思います。
  47. 中島忠能

    中島説明員 公務員の賃金というのが、それぞれ見る角度によって評価が異なるというか違う面を持っておるというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、私たちは、労働基本権制約代償措置としての勧告というものを担っておるわけでございまして、この面から、先ほどから御説明申し上げておりますように、民間企業の賃金改定状況というものを参考に勧告をさせていただいておるということでございます。  ただ、こういうような勧告をいたしました場合に景気の面からどういう影響があるかとか、あるいはまた国の財政状況の面から見たらどうかとか、いろいろな角度からの議論というものはそれぞれ行われるわけでございますけれども、それはそれぞれ政府とか国会において十分御議論いただいて結論を出していただくべき問題だというふうに思います。そういう前提で私たちは、国会、衆参両院の議長と内閣総理大臣にそれぞれ勧告しておるということでございますので、ひとつ先生のおっしゃるような問題意識を持って国会で議論をしていただきたいというふうに思います。
  48. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれ基本法が出た場合に、もう少しこの関連は質問したいと思います。  きょう、農水省、来ておられますね。局長が来ておられますね。  農水省の構造改善事業の問題について。これは勧告に続いて、今度の報告部分とも関連がありますが、人事院報告、いわゆる「公務運営改善に関する報告」の第一に、「公務員倫理確立」を掲げています。これと関連して御質問したいと思います。  人事院総裁、この数年、幹部公務員を中心にした不祥事が相次いで起こっていますけれども、まず、これについてどんな感想をお持ちですか。
  49. 中島忠能

    中島説明員 このところ幹部公務員を中心に不祥事が続いております。したがいまして、これによりまして公務組織に対する信用が失われておるということは大変ゆゆしいことだというふうに思います。これから行政と政治がお互いに手を携えていろいろな難問を解決していかなければならない、こういう時期でございますので、どうしても公務組織の信頼確保というのが重要だという認識を持ちまして、私たちは、六月二十五日に年次報告の中でこの問題を取り上げたわけでございます。一日も早く、公務組織が国民から十分信頼されまして、そして本来の機能が発揮できるようにしていきたいというふうに思います。
  50. 中路雅弘

    ○中路委員 今おっしゃったように、平成十年度の人事院年次報告倫理法の制定の必要性を記述されていますけれども、さきの通常国会で全会一致でこの国家公務員倫理法が成立しました。この倫理法の主要な規定である倫理規程を考える上で、今各省庁にあります職員倫理規程が一つの参考になると思います。  厚生省の元事務次官の汚職事件を契機に、各省庁職員倫理規程を制定しましたけれども、この職員倫理規程が今いかに形骸化しているか、また、これからこの問題について具体的な行為規範を定める上で倫理規程がいかに大事かということについて、私は一例を挙げて御質問したいと思います。  農水省の最近の事例をもとに質問しますけれども、ことし一月六日に、農水大臣の訓令に基づいて、構造改善局長委員長とした農業構造改善事業に係る調査委員会を設置されました。調査委員会を設置したきっかけは、九七年三月の構造改善局長あての投書あるいは九八年三月の投書、そして九七年十二月の情報誌に出た記事、こういう投書や風説に基づいて調査委員会を設置したと聞いておりますけれども、そのとおりですか。
  51. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 御指摘のとおりでございます。
  52. 中路雅弘

    ○中路委員 こうした投書や風評に基づいて、過去に訓令で調査委員会を設置したことがありますか。
  53. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 過去におきまして、投書や風聞に基づいて大臣訓令により調査委員会を設置した例はございません。
  54. 中路雅弘

    ○中路委員 今おっしゃったように、こうした投書等を受けて訓令で調査委員会を設置したことはなかったわけですね。逆に言ったら、こうした投書、風説がかなりの信憑性を持っていたということだと思います。  大臣、政務次官等々に提出された調査委員会の中間報告を見ますと、調査の主要な内容として、農業構造改善事業及び山村振興事業の地区認定、事業費配分に関して、農水省担当者による地区認定の予算決定前の事前連絡、あるいは恣意的な新規採択及び予算配分、コンサルタントのあっせん、これらに伴うコンサルタント業者からの便宜供与についての指摘があったこと等の調査を行ったと記述しています。  報告書によると、この調査は、三週間にわたって、部外者を含めて延べ三十五人から三十一時間の聞き取り調査、書面調査実施したと言っていますけれども、延べですからね。実際の調査をやった人員、農水省の部署別の実人員と、公益法人については何団体で何人か、民間会社は何社何人かということをお聞きしたいと思います。
  55. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 関係者延べ三十五人ということで御指摘がございましたが、実員は二十四名でございます。それから、三十五人の延べ人員のうち職員は十八名、そして職員の実人数は十名でございます。
  56. 中路雅弘

    ○中路委員 今十名とおっしゃった内訳ですが、構造改善局が五名、本省他局が二名、関東農政局三名、公益法人六団体で十名、民間会社三社四名とありますが、構造改善局の関係、いわゆる構造改善事業課と地域振興課合わせて十名ということですが、これは間違いありませんか。
  57. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 農林水産省関係の実人数でございますが、構造改善局が五名、省内他局が二名、関東農政局が三名ということになっております。
  58. 中路雅弘

    ○中路委員 この二つの課を合わすと総勢五十六名ですね。余りにも聞き取りをした実人員が少ないと思うんです。  中間報告の中に「事業の採択やコンサルの斡旋等に伴い便宜供与が行われ、その一部は、公務員としてあるまじき行為に該当するのではないかという指摘があったが、関係者から聞き取り調査した範囲内では、物的証拠の提出を求めても十分な証拠は得られず、事実は確認できなかった」という記述があります。  常識的に考えても、投書に書かれた職員を対象に聞き取りしたところで、正直に話をすることはないと思うんですね。接待を受け、見返りに便宜供与をしたとすれば収賄容疑の疑いが生じるわけです。わずか十名足らずの聞き取りで、事実が確認できなかったと済まされる問題ではないと思います。  それで、私はここでお聞きしますけれども、この聞き取り調査のさなかで、業者との関係でどういうことが判明したのか。職員五名に対して構造改善局の総務課長から口頭注意をしたと聞いていますけれども、その根拠規定は何に基づくものですか。
  59. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 まず、根拠規定から申し上げますが、農林水産省の倫理規程でございます。  それから具体的な注意でございますけれども、二つございまして、一つは、昼食及び会食時に、経費は本人負担でございますけれども職員倫理規程上の会食等の届け出を提出していなかった。それから二つ目は、短時間ではございましたが、年次休暇を請求せずに早期退庁をした者及び昼食時間をオーバーした者合わせて五名につきましては、人事管理上の必要な措置としてそれぞれ上司から口頭により注意を喚起したところでございます。
  60. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題で今ちょっと資料をお渡ししますけれども、この問題がマスコミに発覚したとき、ことしの七月五日に、構造改善局の総務課長、これは調査筆頭主任ですね、服務管理官をやっていますけれども、農水省記者クラブで緊急記者会見をやっています。  きょう、その緊急記者会見のメモを全文持っていますけれども、このメモを見ると、口頭注意というのはとの記者の問いに対して、総務課長は、調査の中で非常に軽微であり、倫理規程ができる前のことではあるが、厳密にいうと倫理規程にもとるような違反をしていく可能性があるものについて、総務課長から注意したということを言っています。また、記者から重ねて倫理規程違反ではないかという問いに対して、課長は、いずれも倫理規程以前のことで、届け出が出ていない等の軽微なものだということを答えています。  私は、この問題で年数等の数字があるので、ちょっと資料をお渡ししたいんですけれども、いいですか。局長にもちょっと見てもらいたい。
  61. 二田孝治

    二田委員長 資料を配付してください。
  62. 中路雅弘

    ○中路委員 それを見ていただくとわかるんですが、記者会見でしゃべったのは、出来事は全部倫理規程以前だということを言っているんですが、今お渡しした資料は調査主任の課長補佐が私のところに詳しく報告に来た問題です。年代も皆書いてあります。  A氏、B氏、C氏、D氏、E氏ということで書いていますが、例えば、A氏は平成九年、九七年、業者と昼食ですね。B氏は平成十年秋、また九年五月ごろ、いずれも、九八年、九七年、業者と会食、昼食。C氏は九七年、業者と会食、B氏と一緒にというように、ずっとあります。見ていただけばいいのですが。  倫理規程ができたのは九六年の十二月ですね。一カ所を除けば全部倫理規程ができてからじゃないですか、会食や昼食をやったのは。記者クラブでしゃべったのは、倫理規程のまだできない前だったから、それで軽微だということを言っているのですが、局長、これはどういうことですか。
  63. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 倫理規程ができる前のものと、それから倫理規程ができてからのものとございます。それは多少クラブでのやりとりの中で取り違えがあったかと思います。ただ、私が今答弁をいたしましたとおり、職員倫理規程上の会食等の届け出を提出しなかったと先ほど答弁で申し上げました。したがって、これは倫理規程、つまり平成八年十二月以降の問題について、この倫理規程をもとに届け出等の問題について措置をしたということでございます。  なお、年次休暇の問題は、これは職務専念義務との問題でございますので、その前も後も同じように適用がされるということでございまして、多少クラブでのやりとりの中では取り違えがあったかと思います。
  64. 中路雅弘

    ○中路委員 そんな言いわけをしてはだめですよ。前にあったというのは一カ所だけですよ。それも早期退庁したが休暇の請求はしなかった、出さなかったということで、これが平成五年の四月の、一人だけなんですよ、一カ所だけなんですよ、この表を見ても。あとは全部倫理規程後じゃないですか。以前も以後も、あなた、そうじゃないですよ。この一カ所、わずかな、早退、退庁の問題だけが倫理規程以前で届け出しなかった。あとの会食、昼食は全部倫理規程以後なんですよ。両方あったなんて、そんな言い方ないでしょう、局長。もう一回言ってください。私が出したのは、これは調査主任ですね、あなたのもとでこの調査をやった課長補佐が持ってきた資料です。
  65. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 先ほどの答弁のもう一つ前で申し上げましたとおり、措置をするに当たってはその根拠が必要でございます。その根拠として職員倫理規程、つまり平成八年十二月以降に、効力を持っているものについてこれをよりどころにして措置をしたということでございますので、先生から示されましたものはまさにその根拠になっているわけでございます。  そういうことでございます。
  66. 中路雅弘

    ○中路委員 いや、記者クラブのメモをもう一度見ますとそうじゃないのですよ。平成五年から七年、八年までの出来事を記者クラブで言っているのですよ。だからこそ、倫理規程以前だから軽微なものだと。しかも、届ければ特別な例外規定があるのですよね。それだけ使って、だから軽微だということを答弁しているのですよ。全然違うじゃないですか。軽微だというのは、倫理規程以前の平成五年から七、八年までのことだったからということを記者クラブで言っているのですよ。あなたの答弁と違うのですよ。
  67. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 ちょっと整理をして申し上げますと、本件の調査の対象となりましたのは平成五年から平成九年と申し上げましょうか、その間の構造改善事業実施に係る問題でございます。  それから、口頭注意をしたものの根拠はあくまでも倫理規程をよりどころにしておりますので、この倫理規程に反していたかどうかというところをもとにやったわけでございます。私が申し上げているのも、厳密な意味で、この五人に対する注意のうち会食等の届け出が出ていなかったというのは倫理規程ができてからのことでなければ当然措置ができないわけでございますので、その点について申し上げたわけでございます。  クラブでのやりとりは取り違えと申し上げましたのは、五年ないし九年の間の事業を対象にしておりましたので、取り違えがあったのではないかというふうに先ほど申し上げた次第でございます。
  68. 中路雅弘

    ○中路委員 調査の中で、非常に軽微であり、倫理規程ができる前のことであるのでということでして、軽微を繰り返し言っているんですよ。そして、重ねて倫理規程違反ではないかとの質問に、いずれも倫理規程以前のことで、届け出が出ていないというだけの軽微なものだということを言っている。  では、恐らく農水省記者クラブの会見のこの課長は、あなたのもとにある調査委員会の筆頭主任ですよ、少なくとも今のは間違いだということを認めますか。
  69. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 恐縮でございますが、私が調査委員会委員長でございますので、私が今、国会の公の場で申し上げておりますことが事実として正確でございます。筆頭主任のクラブの会見では、そういういろいろなことが起きた時期でございましたので取り違えがあった、私が今ここで申し上げていることが調査委員長として申し上げる正しいことでございます。  五名の措置につきましては、職員倫理規程上の届け出が提出されていなかったということをもと措置をいたしました。
  70. 中路雅弘

    ○中路委員 そうだとすれば、ここで言っているのは、倫理規程以前だったから、軽微なものだから口頭注意したということを言っていますね。だから、あなたの言われるとおりだったら、もう一度この中間報告をやり直して、倫理規程の以後に起きている問題だとすればその問題を明確にして、それに応じた処分の問題を考えなきゃいけないというふうに思いますが、どうですか。
  71. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 重ねて恐縮でございますが、倫理規程に掲げられたことを行っていなかったということにつきまして措置をしたわけでございます。それ以前の事柄につきましては措置をする根拠がございません。したがいまして、今回の調査に基づく措置は、あくまでも、この会食の届け出をしていなかった、倫理規程に定められたことを実行していなかったということについて行ったわけでございます。
  72. 中路雅弘

    ○中路委員 繰り返し言いますけれども、ここで言っている筆頭調査主任の記者クラブでの話は、倫理規程以前であったから軽微だったんだということを言っているんですよ。あなたの言うように倫理規程以後だったら、この処分が適当かどうかということは問題になりますよ。
  73. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 恐縮でございますが、措置内容につきましては、それぞれ、従来国家公務員あるいは各省の倫理規程に基づいて行われております措置との並びで厳正かつ適正に行っております。
  74. 中路雅弘

    ○中路委員 私は納得できないですよ。調査委員長は局長なんですが、そのもとである筆頭調査主任が記者クラブでしゃべる、そしてやはり調査主任の一人である課長補佐が私のところへ詳しく報告に来た、みんな違うじゃないですか。私は、この問題を改めて明確にして、記者クラブで言ったことが間違っているとすれば訂正をしなきゃいけない、措置についても検討しなきゃいけない。こんな中間報告じゃだめですよ。私は、改めてその結果の報告を求めたいと思います。いかがですか。
  75. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 私どもは、大臣訓令に基づきまして必要な人数につき必要な調査を行い、現段階でとり得るすべての措置をとったと思っております。
  76. 中路雅弘

    ○中路委員 違う報告をしているんだから、これは中間報告ですから、きちっとした報告を改めて出すべきだと私は思うんですよ。そして、新たな証拠が出てきた場合は、贈収賄の疑いもあるとすれば、農水省としてやはり捜査当局に告発するということも必要だと思います。  時間も来ていますので、私は総務庁長官人事院総裁にお聞きしますけれども、今若干農水省の問題をやりとりしました。倫理問題について、残念ながら、今私が指摘したように、農水省の問題を取り上げましたけれども、非常にあいまいな認識なんですね。それから、記者クラブで調査の筆頭主任がしゃべったことが違うんですね、今局長はそれを言っていますけれども。  こういう中で、国家公務員の不祥事を根絶するための抜本的な対策として国家公務員倫理法が成立しました。この法律によって実効性あるものとして重要になってくるのが政令で定める倫理規程の問題だ、ここでもっと明確にしなければいけないと思います。文字どおり国家公務員倫理法を実効あるものにするためにどうしていくか、総務庁長官人事院総裁の決意を最後にお聞きしたいと思います。
  77. 太田誠一

    太田国務大臣 先ほども申し上げましたように、政令で定める公務員倫理に関する規程でございますので人事院の方でそれは今検討中のことと思いますが、私ども国家公務員の服務に責任を持つ総務庁でございますので、責任を持って関与してまいりたいと思います。  なお、今御質問の件でありますけれども、我が国は長く行政各部による分担管理という考え方でまいったので、国家公務員というものは国民全体のために尽くすのであるという認識が欠けているところがございます。自分の所管の官庁、所管の分野についてのことだけをやればいいというふうな考え方があるわけでございまして、それは間違いであって、あくまでも、憲法に定められているとおり、国民の一部ではなくて全体のために尽くすという考え方で頭を切りかえてもらわなければいけないというふうに考えております。そのために、今回の公務員倫理法は大きな第一歩になるというふうに考えております。
  78. 中島忠能

    中島説明員 公務員倫理法が誕生いたしましたことを契機にいたしまして、公務員倫理についてしっかりした基準ができ、そして国民から不信を持たれないようにしていかなければならないというふうに思います。
  79. 中路雅弘

    ○中路委員 もうこれで終わりますが、先ほどの件で、農水省から改めて報告をこの問題について出していただきたいというふうに私は思いますが、いかがですか。
  80. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 多少趣旨を取り違えておるかもしれませんけれども調査委員会は当分の間存続をするということになっております。新たな事態がもし仮に発生をいたしました場合には、必要に応じ即座に対応する体制をとっておるところでございます。
  81. 中路雅弘

    ○中路委員 新たなときはもちろん出すんですけれども、今の中間報告の中で、少なくとも記者クラブで代表してしゃべった筆頭調査主任の話が違うわけでしょう。だから、それについてはきちっとした報告を出してほしいということを言っているんです。
  82. 二田孝治

    二田委員長 中路議員に申し上げますけれども質疑時間が超過しておりますので。
  83. 中路雅弘

    ○中路委員 はい、これで終わります。
  84. 渡辺好明

    ○渡辺説明員 中間報告自身は、私どもは、調査の結果に基づいてきちんとしたものを出したと考えております。御指摘がございましたクラブでの事実関係につきましては、クラブに対して訂正をする必要があるかどうかということも相談の上、措置をさせていただきたいと考えております。
  85. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので終わります。
  86. 二田孝治

    二田委員長 次に、深田肇君。
  87. 深田肇

    ○深田委員 大分時間がおくれておるようですから協力して早く終わらせたいと思いますので、御理解賜りたいと存じます。  私どもは大変好都合なんでして、各党の先輩や同僚議員が人事院だとか総務庁とやりとりしてもらえますから、それを全部聞いておいて、賛成することをあえてここで聞くことはありません。そこで、若干ニュアンスが違うとか、私どもが少し意見を言っておかにゃいかぬなというところに絞って、重複を避けながら少し意見を言わせてもらいたいと思いますので、ひとつ御了解をいただいておきたいと思います。  まず最初に、人事院総裁に御質問するのですが、これは後ほど関連して長官の方からもお言葉をいただくことになると思いますが、人事院勧告については、総裁を含めて、代償性ということがきょうは大変強調されました。しかも、そのことを承知の上で長官の方は、これを尊重してちゃんとやろう、こういうことまでおっしゃったことを含めて、その代償性について危ないんじゃないか、断固として代償性を守らにゃいかぬ、確認をせにゃいかぬ。これは日本の民主主義のために大事なことだし、戦後五十年、今や何でもかんでも変えてしまう与党政治だけれども、これは変えちゃいけない。変えちゃいけない。  これはしっかりと与党の皆さんと、与党は本当に一部の人しかここにいらっしゃいませんが、与党はしっかりとこの際、いいことは、もっといいことはたくさんあると私も思いますが、守り抜いてもらうということを前提条件として、不安な気持ちがありますから、少し人事院総裁に御質問をしておきたいというふうに思います。  まず最初に、今回出されたマイナスということを含めてですが、現場の国家公務員の方々は納得するというふうに本当に思っておられますか。先ほどいろいろな質問を公明の先輩からもしておりましたけれども、私は、聞いていれば聞いているほど、総裁の苦衷は理解するけれども、これは現場の公務員は了解できない、納得できない。いわんや、士気を高揚させようなんということを文章に書いているけれども、士気は上がらない。こんなことをやってはいけないんじゃないかということを、あえて印象に持ちましたことを申し上げます。  自信がありますか。国家公務員納得させて士気を高揚させて、この前どんどん進められた行政改革をやっていく、副本部長の太田長官もいらっしゃるが、これからどんどんやっていくという状況の中で、自信があるのかないのかということを、本当に心配でございますから、あえてもう一度伺いたいと思います。  その根拠は、行政改革で二五%も三〇%もリストラをやるということは、いろいろな意見でやってしまったわけですよ、結論的に言うと。それは意味がちょっと違うというニュアンスもあって、首切りじゃないと言いたいのでしょう。だけれども、相手はそう思いますよ。そこは違うんだ、立場の違いがあるから、その点は一方的に押しつけるんじゃなくて、そういうことも含めて不安材料であることは間違いない。  同時にまた、いわゆる独立行政法人化というのがどんどん進んでいく。これで公務員としての資格を与えるとなっているけれども、どういうものができてくるんだろうか、見えないうちにどんどん走っていく、ひょっとしたら自分たちはどうなるんだろうかということだって、不安材料が現場にあることは間違いないですよ。国民もそれをまた見ているでしょう。  同時に、現在、不況で失業率がどんどん高まっている、景気が悪い、こういう状況の中で消費能力もどんどん下がっている。これはお互い認めるところですよ。物価だって全然下がらぬわけで、上がっている状況でしょう、微々たるものだといえども。  そういう景気が悪い状況の中で、失業者がふえている状況の中で、今度一方では、公務員倫理法は国民的世論で早くつくれという声があってつくった。確かに一部の中央省庁の、これは高級官僚という言葉を使っていいのかわかりませんが、上級幹部の中に不祥事があって、そのことに対しての国民的怒りがあって、公務員はしっかりせよ、はっきり言えば、取締法をつくれというのは反対なんだけれども、お互い倫理観を持ってやろうということで、これは満場一致ででき上がった。  しかしもう一方は、どこの新聞にも、どこの世論でもどこの社説でも、国家公務員倫理法をつくれという声と同様に、政治家の倫理はどうなるんだ、政党の倫理はどうなっているんだということが全部書かれている。当然この次やるだろうという期待感がある。ただ、それがとまってしまっている。(発言する者あり)とまっていない、とまっていないというなら長官に後で答弁してもらおう。納得できると言っていません、国民は。恐らく国民は納得できない。  例えば、二〇〇〇年の頭でやろうという企業献金については、これは引き延ばしか待ったかやめちゃうのかわかりませんが、自民党のある筋からどんどんと報道が流れている。現にそのことが、今日の状況の中では、俗に言う公選特の中で大きな話題にならない。  こういう状況になっているというマイナス条件を考える中で、国家公務員がせめて期待をしているボーナスも減る。これは民間に比べてやむを得ないんだといえばそれまでのことだけれども民間に全部準じていなきゃならぬということはだれも認める。しかし、五十年間の歴史の中で上がると思い込んでいた。上がったといってもわずかなものですよ。今まで完全実施と言ってきたけれども、少ないから完全実施と言ってきたので、しかも代償措置であるから、出したものはやってくれよということを言ったのであって、あの金額で満足だと思っておる国家公務員はおらぬだろうと思う。もっともっと上げてもらいたい。  もし、人事院総裁が言うみたいに、ストライキ権があったり、交渉権が完全に使われてばんばんやることができて、三法が本当に確認されたら何が起きているかわからない。あなた自身がいみじくも書かれているように、そのことを想定したがゆえに考えたんだとおっしゃる。想定すれば想定するほど、公務員の不満だとか怒りだとかいうのはもっとあるだろうというふうに、もっと議会筋は物を言わなければいかぬし、長官によく言っておかなければいかぬ。長官に特に言わなければいかぬ。  人事院は苦しくて、勧告する側だから、足したり引いたり割り算したりして一定の理屈をつけて、納得できるようなできないような理屈をつけて、今回のような低いベアとマイナスまで出して、総体的には全体がマイナス、戦後初のマイナスまでやった。民間が悪くなったのはだれが悪いといったら、日本の政治が悪くて、民間企業はバブルで失敗していろいろなことがあった。そのしわ寄せが一般公務員の方へ、したがって、民間が低くなったから、それに準じるから公務員もと、もっとものように聞こえるけれども、現場労働者にしてみたらこんな迷惑な話はないと私は思う。  総裁が言われるように、あえて言えば、高級官僚の中に問題があったとするならば、そこに特権意識があったり癒着構造があったりするならば、そこの方をとめたことは事実、それは結構だ。しかし、一般公務員の方まで、ボーナスまで下げますよ、ベアの方もほんの少ししか上がらぬ。上がったうちに入らぬ、こんなものは。  こういう状況勧告について、もっともらしく提案をして、それを国会の中で承認を求めようというのだから、本来ならこんなものは反対なんだけれども、反対だと言ったら人事院が要らなくなっちゃうから、人事院がいなくなっちゃったら、代償措置がなくなったらどうするのか。いや、戻してくれればいいよ、三権を戻してくれればいいよ、それを与えてくれるならいいよ。そうならないということもあるだろうから、したがって、私はその点は答えを先に言いませんが、もう一遍前に戻ります。  一言で言って、この代償性をしっかり確認したいという立場を堅持するためには、今回出されたのは、人事院総裁の苦衷を理解しながらも、これで国家公務員納得したり、国民からよくやっているとお褒めの言葉が出ると本当に思っているのかどうかについてもう一度御説明を簡単にいただいて、次のところへ入っていきたいと思います。
  88. 中島忠能

    中島説明員 今回の人事院勧告につきましては、今深田先生がおっしゃいますような厳しい御意見もございます。また、それとは全く違った角度から厳しい御意見もございます。それぞれいろいろな御意見があるというのも事実でございます。  ただ、私たちが先ほどから御説明申し上げておりますように、基準とすべき民間状況がこういう状況なんだということをやはりよく御説明しなきゃならないだろう。御説明して、国家公務員皆さん方に納得してもらわなきゃならないだろうというふうに思います。その努力が必要だということでございましょう。今現在納得しているか納得していないかということよりも、納得してもらって、その上でやはり、国民に対してしっかりした行政サービスを提供していただくようにしていかなきゃならないだろうというのが私の意識でございます。
  89. 深田肇

    ○深田委員 時間がありません。次々行きます。  今の説明を聞いても、現場労働者なり現場公務員納得できない。すべての責任を五十万の全国家公務員に与えることはない。民間が低くなったから下げるんだ、もっともに聞こえるけれども、それから民間人事院は合わせて毎年追いついていくんだ、これも追い越すというのが言いたかったんだけれども、追いついていかなければいかぬということはこの五十年間の歴史があるから認めるとして、それからそれも幅が少ないということも言いたいのだけれども、そこは別にしても、今回はマイナスが出たんだから。  皆さんが文章に書いたように、初めてのマイナスなんだから、このマイナスを出すということによって、どんどんこれから何十万か、首切りではないがいろいろな配置転換を含めてなってくる、その中でどういう労働強化が起きてくるかということを心配している状況の中で、これからもっともっと国のために働こう、国民のために働こうという状況の中では、私はあえて言えば、マイナスというところまでなぜ決断をする必要があったのか。マイナスしなきゃならぬという根拠はないじゃないか。  民間が下がっておるというだけだったら、民間が下がった理由は何にあるのか。政府の責任はないのか。国家公務員である末端労働者に皆責任が行くのか。こういうふうに計算をしてもらったら、私は、このいわゆるマイナス要因を、ボーナスをカットしましょうなんて話は出なくていいんじゃないかという基本考え方があるのです。そこを言ってしまうと人勧を否定しなければいかぬから、それはそういう意見があるというふうにとどめるわけですが、正直な話、そういうことを申し上げた上で、私は、なぜマイナスを選ばなければならなかったのかについて、簡単にもう一度お話を伺っておきたいというふうに思います。  そうして、もしマイナスということを、過去にもあったし、これからもあるかもわからぬということを予言されるとするならば、この人事院のやり方によっては逆効果になっていって、人事院というものは、客観的に物がわかって、判断ができて、公務員のことだとかいろいろなことを考えてもらう、待遇問題を考えてもらえるという意識があって、あえて言えばストライキ権との刺し違えになっているんだから。労働者基本的権利を刺し違えているわけだから。それなのに、その労働者に対して、今、共産党がもっと怒るかと思ったら怒ってくれなかったから私が怒るのだけれども、法のことを奪い取っておいて、奪い取ったかだれが与えたか別にして、労働者のそのことは別にして、そうしておいて、その次に、民間はマイナスだからおまえらもマイナスにするんだ。それで一方では倫理規程をつくって締めるだけ締めましょうというのだから、それほど日本の政治が悪いというのは、どこが悪いといったら日本の政治の責任なのであって、いわゆる末端公務員のところへ全部しわ寄せをすることはないじゃないか。  公務員ボーナスというのはわずかなものですよ。民間はいいときはばあっと上がる。公務員が何ぼ上がるかといったらほんの少ししか上がらぬことは、お互い経験してわかっているよ。その公務員ボーナスをカットするなんということは、暴挙にすぎない。やらなくていいことだ。これは人事院説明のときに言ったけれども、返事しない、人事院の偉い人たちは。私の意見に賛成して黙っていたのか、あなたの意見は暴論だから返事せぬ、値なしということかどうか知らないけれども、返事されなかったよ。社民党は小さいからかどうか知らぬけれども。差別意識があったとは思わぬが。  それは冗談にしても、そういう状況でありますから、私は、もう一遍言いますけれども、何としてもこのマイナス要因をつくるということについてはやるべきことじゃないと思います。もっと削ることがあるなら削ることがあるだろうし、もっといい意味での合理化をすることはたくさんあるだろうということを申し上げた上で、人事院は、なおかつこの段階でどうしてもこうする以外に道はなかったんだということをもう一遍聞いて、次の問題に入っていきたいと思います。
  90. 中島忠能

    中島説明員 社民党の先生方には、かねがねいろいろな面で御指導いただいておりまして、私たち、社民党が先生の数が少ないからといって、決してその声に耳を傾けないというわけではございません。非常に見識の高い方がたくさんいらっしゃいますので、これからもひとつ御指導をいただきたいというふうに思います。  なお、この問題につきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、やはり国民が納得してくれるかどうかという視点からも考えてみる必要があるだろうというふうに思います。今先生が、国家公務員労働団体といろいろと接触されまして、その意見をよくお聞きになった上でおっしゃっておられるんだと思います。また、そういう声にも私たちは謙虚に耳を傾けていかなきゃならないというふうにも思います。  ただ、片一方、国民がどのようにこれを受け取るかということも私たちの忘れてはならない視点だというふうに思いますので、そういう視点からも、私たち勧告内容というものをもう一度御理解いただけたらというふうに思います。
  91. 深田肇

    ○深田委員 御意見として伺う以上のことはどうも、賛成というわけにいかないし、だからといって反対するわけにいかないというのが現状であることを正直に申し上げた上で、まあ、流れに任すことになるのでしょう。  そこで、時間の関係がありますから、ひとつ長官に、ちょっとお話を変えて。  今長官は、同僚議員の質問に答えて本件に関しての一定の見解を述べられましたが、今度の人事院の出された内容についてはこれから審査されるのでしょうけれども早期完全実施完全実施でも私は足らないということを言いたいんだけれども、そこのところは別にして、とりあえず早期完全実施ということは今約束いただけるんですか。このこともまだ約束できないほど複雑な問題があるのなら、そのことを聞かせてもらいたい。
  92. 太田誠一

    太田国務大臣 たびたび申し上げておりますが、早期完全実施という方向最大限努力を申し上げたいということを申し上げております。
  93. 深田肇

    ○深田委員 だれが妨害したかを次のときに明らかにしてもらおう、もし早期完全実施できないときは。あなたがおっしゃるんだから、間違いなく早期完全実施やってもらえると思うが、努力するというふうにおっしゃるんだが、もしうまくいかなかったら、だれが妨害したかということを次の委員会で必ず御説明いただくという約束をした上で、あなたの決意を高く評価して、御努力をお願いしておきたいというふうに思います。  そこで、それに関連いたしまして、一、二伺うのでありますが、いわゆる政治倫理の問題であります。ちまたでは、二〇〇〇年を目途にして、お互いの約束事項として、いわゆる企業からの団体献金、政治献金などについてはこれを禁止することを断行しようという話に大体なっていたという意識があったんだけれども、一部では最近そういったことが緩んできているような報道もあるのであります。  この点について、直接今回の人事院勧告との関係があるなしは別にして、私はぜひ、企業・団体の政治献金についてストップをかけることについて断行すべきであると思いますが、最近何か断行できない要素が起きていましょうか。五年前は断行しようと約束したように思いますが、長官に聞きたいと思います。
  94. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  このテーマは、むしろこちら側よりもそちらの方でぜひ積極的な御議論をお願いしたいテーマでございますということをまず申し上げまして、私自身も、昨年の七月までは実は自民党の執行部の方でこの課題にずっと取り組んでおりましたので、熱心でないというふうなことでもなかったかと思います。  大変激しい議論がございまして、その中で一応成案をまとめたわけでございますが、それは十分に御評価をいただけなかったということがあったりいたしております。それは、いわゆる一般公務員だけがこうであればいいということではないわけでございますので、ぜひまた、個人として、そういう御議論が再開されることを待っておるということでございます。
  95. 深田肇

    ○深田委員 こういう場所で大臣が個人としてという発言を、質問する方が悪いからそういう答えになるのかわからぬけれども、余り適切な用語とは思わぬ。できれば委員長から注意してもらった方がいいと思うけれども、この場へ来て個人なんてあり得ない。だから、それをやるから、後から言うけれども、靖国神社へ行ったり行かなかったりするんですよ。
  96. 太田誠一

    太田国務大臣 また後でお答えいたしますが、議院内閣制でございますから、国会議員として私は閣僚をやっておるわけでございます。国会議員としての立場も、これは忘れてはならないというふうに思うのでございます。
  97. 深田肇

    ○深田委員 これを議論する場でありませんから、次に行きたいのでありますが、もうあと二、三分しかないので、この機会にしかお尋ねができないと思って、ぜひひとつ長官に甘えて、日ごろから信頼していますから、伺うのであります。  戦後五十年という言葉があって、五十数年たってここで一挙に、この間の国会が終わるに当たって、ほとんどのことが解決されていますが、新しい方針が決まってしまったと私の立場なら言いたいんですね、全部賛成したわけじゃありませんからというふうに申し上げた上で、一、二伺いたいのであります。  その後の動きの中で、靖国神社の参拝問題等々についてやりとりがあることが新聞報道で出ました。そこで、改めてもう一遍テレビを拝見したら、たしか長官は参拝に行かれた。総理大臣は行かない、官房長官は行かない、国家公務員全体を把握している総務庁長官は悠々として行く。この矛盾は矛盾でなくて、これは当たり前のことだというふうに説明を聞いて、私はそれを有権者に説明するべきなんですか、どうでしょうか。やりとりさせてください。あなたの意見を聞かせてください。お返事をいただければそれでいいんですよ。
  98. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えいたします。  これは先ほど申しましたように、なぜこの国が議院内閣制なのかといえば、それは国民に選ばれた国会議員が行政のリーダーシップをとっていくということがいい制度だからそういうふうになっているのだと私は思います。  そうであれば、国会議員としての人格をすべて捨て去って閣内にいるわけではない、そこはケース・バイ・ケースで私どもも判断をしなければいけない。内閣全体でもって足並みをそろえるべきこととそうでないことがあるということはわかるわけでございますけれども、この話につきましては、私は国会議員としての行動をとることが適切ではないかというふうに考えている次第でございますということが、この間靖国神社に参りましたときに私が質問に対して答えたことでございます。  公人という言葉を閣僚についてだけ使うのは間違いであって、それこそ選挙で選ばれたということにまさる公の立場はないというふうに、その点を申し上げたわけでございます。
  99. 深田肇

    ○深田委員 まだ納得できない。納得できませんが、意見の違いや立場の違いもありますから、ここで論争する必要はないと思います。  では、あなたのような説明を、総理大臣官房長官を逆にして、おれは行かないんだ、総務庁長官であるか太田個人であるか知らぬがそこは行けるんだ、こういうふうにあの二人は説明されると思いますか、総理大臣官房長官は。
  100. 太田誠一

    太田国務大臣 お答えをいたします。  まさにそこが政治判断であろうかと思うのでございます。
  101. 深田肇

    ○深田委員 政治判断という言葉を使うのなら、私は、総務庁長官は総理大臣官房長官と同一行動をとるべきだと思う、本件に関して言えば。  なぜこのことは別になっていいのか。それではその他もみんな別になっていいのか、別になっていいことにならないんだ。大体国民から見たら、総務庁長官というのは、だれでもわかっているように、他の大臣とは違ってセクションは全部把握して全体を回している。それで官房長官がいて、総理大臣という状況になっているわけですから。  したがって、私は、ここで戦争問題や靖国神社の問題を語るということだけではなくて、総務庁長官と総理大臣官房長官が違う行動をとったことが異様だ、珍しいことだ、違うことをやっているなということを言っているんですよ。それをあなたはできるんだと言うけれども、これは国民から見たら、行くのが悪いか悪くないかという論争の前に異常なことが起きていると思う、私はそう思っている。  私は、個人的には参拝するのは賛成じゃありません、それは正直に言っておきますよ。
  102. 二田孝治

    二田委員長 深田議員に申し上げます。質疑時間が終了いたしておりますので。
  103. 深田肇

    ○深田委員 だから最後にこれで終わりますが、そういう意味では、私は、総理大臣の決断、官房長官の決断に総務庁長官というポストは従っていくべきだと思いますよ。そうしてもらわぬと国民は納得できない。大変異議がある、反対の意見があるということを申し上げておきます。
  104. 二田孝治

    二田委員長 答弁はよろしゅうございますね。
  105. 深田肇

    ○深田委員 答弁してくれれば一番いい。できるならしてくださいよ。しないならしなくていい。
  106. 二田孝治

    二田委員長 質疑時間が終了しておりますので。
  107. 深田肇

    ○深田委員 それは委員長の判断に任せるよ。
  108. 二田孝治

    二田委員長 それでは、質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  109. 二田孝治

    二田委員長 この際、御報告申し上げます。  去る十二日、議長より本委員会に送付されました、議員山本孝史君外四十一名からの特定公益増進法人の認定及び寄附の実態に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議に基づき、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る十三日、調査局長に対し、私から、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会