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1999-07-21 第145回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十一日(水曜日)     午後二時二十六分開議   出席委員    委員長 二田 孝治君    理事 植竹 繁雄君 理事 小此木八郎君    理事 小林 興起君 理事 萩野 浩基君    理事 北村 哲男君 理事 佐々木秀典君    理事 河合 正智君 理事 三沢  淳君       越智 伊平君    小島 敏男君       佐藤 信二君    谷川 和穗君       近岡理一郎君    虎島 和夫君       西川 公也君    桧田  仁君       平沢 勝栄君    堀内 光雄君       武藤 嘉文君    矢上 雅義君       河村たかし君    藤村  修君       山元  勉君    石田幸四郎君       倉田 栄喜君    鰐淵 俊之君       児玉 健次君    瀬古由起子君       辻元 清美君    中川 智子君       深田  肇君    笹木 竜三君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         文部大臣    有馬 朗人君         国務大臣         (内閣官房長官         )       野中 広務君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房内政審議室長 竹島 一彦君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         内閣総理大臣官         房審議官    佐藤 正紀君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    御手洗 康君         文部省教育助成         局長      矢野 重典君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君  委員外出席者         法務大臣官房審         議官      渡邉 一弘君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君 委員の異動 七月二十一日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     西川 公也君   石井 郁子君     中路 雅弘君   児玉 健次君     瀬古由起子君   深田  肇君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   西川 公也君     武藤 嘉文君   中路 雅弘君     瀬古由起子君   辻元 清美君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   瀬古由起子君     中路 雅弘君   中川 智子君     深田  肇君 本日の会議に付した案件  国旗及び国歌に関する法律案内閣提出第一一五号)     午後二時二十六分開議      ————◇—————
  2. 二田孝治

    二田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国旗及び国歌に関する法律案議題といたします。  この際、本案に対し、河村たかし君外四名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。河村たかし君。     —————————————  国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案趣旨説明。  私は、民主党を代表し、ただいま議題となっております国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案趣旨を御説明いたします。  案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただきます。  まず、修正概要は、第一に、「国旗は、日章旗とする。」としている第一条第一項の規定を「国旗は、日章旗である。」とし、第二に、本案の「国歌は、君が代とする。」としている第二条の規定を削除しようとするものであります。  次に、その理由を述べます。  第一は、国旗に関する事項であります。  国旗につきましては、政府案におきましては、第一条で「国旗は、日章旗とする。」としているところでありますが、従来から、政府自身も、国旗日の丸であるということは慣習ないしは慣行として定着していると答弁しているところであります。  そのような長年の慣行法制化するというのであれば、創設的な意味を持たせる場合に用いられる「とする」という表現を用いるよりは、一定の事実について述べる場合に用いる「である」という表現を用いた方が適切であり、本修正案におきましては、国旗に関する規定中「日章旗とする。」とあるのを「日章旗である。」とすることといたしております。  そのことは、官から民へを党是とする民主党の理念、そして、社会の伝統、慣習国家の管理より上位に置こうとする真の保守主義立場からも適切であります。  第二は、国歌に関する事項であります。  まず一つは、君が代は、日の丸と異なり、法制化について国民の間にコンセンサスが得られておらず、広く定着したとは言えないからであります。  二つ目として、「君」については、その原義はあなた、明治から終戦までは主権者たる天皇、戦後は主権者たる国民象徴としての天皇と、解釈が二転三転しております。特に、君が代を、日本国民の総意に基づき天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであると解することには、いかにも無理があります。  三つ目として、君が代は、明治維新後、急速に近代国家を建設するため、欧米人が当初の採用に至らなかった曲そして編曲に深いかかわりを持っているなど、西欧に追いつき近代化を実現しようとする時代象徴としてつくられた曲であります。  さらに、その曲と詩の不一致も指摘されているところであります。  より永久的な日本象徴、そして、明治初頭とは異なり、世界の中で大きな役割を担うこととなった二十一世紀の新しい日本のあり方にふさわしい国歌を、君が代の新解釈及び新国歌、新国民歌の制定を含めてさらに検討し、その定着を図るべきであります。  四つ目として、戦前戦中において、君が代とは、主権者たる天皇の御代のいやさかを祈るという意味であったことは厳然たる事実であり、詩の解釈の変更のみで新憲法国民主権精神と合致するかという問題があるからであります。  最後に、戦後私たちは、私たちの父親、母親の世代の皆様のつめから血を流す努力で、敗戦の焼け跡の中から今日の繁栄を築き上げてまいりました。私たち戦争で傷ついた先輩皆様に対してどれほど感謝の念をささげても、ささげ過ぎるということはありません。  日本経済は、競争を前提とする自由主義経済システムの中で力強い歩みとなりました。しかし、自由とは、みずからのエゴ、すなわち自我からの自由をも意味する非常に強い精神であります。それを真の保守主義と言うかどうかは別として、社会の中で最も弱い者、傷ついた者が最大の幸福を得られねばならないとする社会的正義があってこその自由なのであります。  我が国は、戦後、世界各国戦争で傷ついたり亡くなったりした一般市民に対して補償を行ったのと対照的に、昨今の銀行救済を初めとする膨大な公的資金の投入にもかかわらず、六十七万名の一般市民には、原爆被害を除き、補償を行っておりません。  今なお戦争の傷跡を引きずり、君が代を聞けば、傷つき亡くなった兄弟や肉親のことを思い出さざるを得ない人々が存命されていることを、私たちは決して忘れてはなりません。その皆様の気持ちを押し切ってまで君が代法制化することは、余りにも残酷であると私は考えます。戦争と切り離して法制化考えるような考え方はさらに残酷であり、人間の感情を無視した全体主義的国家観であります。  二十一世紀を迎えるに当たって時代けじめをつけるということならば、日本の国を愛するということは、まずその日本の国を血と汗で支えてきてくれた先輩に感謝し、先輩を愛することなのだということが確認されなければなりません。だれも置いてきぼりにしない国家こそが、二十一世紀自由主義国家日本に求められている未来像だと私は強く思うのであります。  以上が、本修正案概要とその理由であります。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、修正案趣旨説明を終わります。
  4. 二田孝治

    二田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 二田孝治

    二田委員長 これより本案及び修正案を一括して質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。北村哲男君。
  6. 北村哲男

    北村(哲)委員 私はまず、審議に先立ちまして、午前中、野中官房長官に対して同僚の山元議員が、野中長官答弁を受けるにふさわしくない、御退席をお願いしたいという申し出をしました。私もその立場と同じ立場として、民主党が今なぜあたかも個人的な問題のようなことをこうして公にするかということについて、予算委員会を振り返ってもう一度民主党立場を申し述べたいと思います。  すなわち、これほど重要な、国家基本にかかわる問題について、一体野中官房長官のもとで国旗国歌審議を続けていいかという問題があります。国務大臣としての適格性が問われておる、すなわち、言うこととすることが違うということを言っておるわけです。こういうことをしたのなら、若い人や子供たち教育現場にどう説明するかという問題が出てくるだろう、そうすると教育現場で本当に受け入れられるだろうかということを石井議員が言っておるわけです。すなわち、国旗国歌というのはこれほど重要な、国家基本にかかわる問題である、これをこのままの状態で、けじめもなくて官房長官のもとで審議をしていいかどうか、そういうことをすれば、国旗国歌とが変節するかもわからない云々と言っておるわけです。そうして、ということで、この国旗国歌基本の問題について所管の大臣として処理する資格がないのではないかというふうに石井委員は言いました。私も同じ立場をとりたいと思います。  ということで、ここで私が退席を求める権利はないかもしれない。すなわち、憲法の六十三条には、国務大臣は常にこういう席に出ることができるという国務大臣権利もあります。権利の衝突かもしれません。しかし、私はその権利がないかもしれないけれども、こういう立場野中長官が思いをいたしていただけるならば、自発的に御退席を求めたいと思います。いかがでしょうか、委員長
  7. 二田孝治

    二田委員長 本問題は、当委員会審議するには不適切だと思いますので、北村委員の御発言は却下いたしたいと思います。  理事会にはなじまない事項でございますので、本問題はここで議論すべき問題ではないということは先ほどの委員会でも確認済みでございますので、これに対する御答弁は控えさせていただきたいと思います。
  8. 北村哲男

    北村(哲)委員 私の委員長に対する要望、それから野中長官に対する要望は受け入れられないということであります。まあ、そういう意味では、私には見えないと思いまして、いらっしゃらないという立場でひとつ話を進めていきたいと思っております。  ところで、私は、質問項目を出すにつきまして、この問題は国家基本にかかわる問題であるからぜひ総理に御出席を願い、そして御答弁をお願いしたいというふうに申し出ております。しかし、現実に今総理はいらっしゃいません。ただいま私が申し述べました憲法の条文で、野中長官がお出になる権利があるということはもちろん認めますけれども、同じ憲法六十三条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、」「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」という規定があります。  委員長、私は、そうなると、いらっしゃらないのであれば審議ができないではないかというふうに思うのですけれども、どのように委員長はお裁きになりますか。
  9. 二田孝治

    二田委員長 本委員会審議進行につきましては、理事会で十分検討し、そして決定したとおりに進めておりますので、その線に沿って整々粛々と質疑を行ってもらいたいと思います。
  10. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は、こういうことで、前々からこの問題については総理出席を求めておったわけですけれども、これを今のような抽象的なことで委員会決着済みと言われるよりも、私どもはそういうことによって質問権利、そういうものが大いに制限されてきておるのです。そういうことについては十分に御配慮を願って、今後こういうことがないようにお願いしたいと思っております。  ところで、私もそういうことで随分時間を制限されまして、かなり無理やりに時間がなくなって、まあ、了解したとはいえ、これは無理やり了解させられたということでされておりますので、ひとつ質問に入っていきたいと思っております。  この日の丸君が代国旗国歌とする法案は、戦後、教育行政分岐点につながる問題を含んでいるというふうな言い方もされております。文部省などが、行政側法制化に慎重な姿勢を今までずっと五十年間とってきた。そして学習指導要領などの準法律的な制度の整備に努めて、抑制的な態度をとっておる。この法制化によってこういう一種の歯どめがもうなくなってきたという、解禁することによってますます混乱が大きくなるのではないかというふうな不安が教育界にあるということが、午前中の連合審査の中で大きく取り上げられました。  確かに、この問題は教育現場の問題が最大の問題であると思いますが、それは午前中に譲るとしまして、今なぜ教育現場だけの問題を一般法化して、なぜ立法化か。他の、教育現場以外の国民一般市民にはどう関係しているかということがどうもはっきりしない。その点について幾つかの質問をしていきたいと思っております。  まず、日の丸君が代はともに慣習法として成立しているという認識があるのかどうかということについて、本当は総理に聞きたいのですけれども、これは慣習法という問題がありますので、法制局に聞きたいと思います。
  11. 大森政輔

    大森(政)政府委員 委員承知のとおり、平成二年四月十七日の衆議院内閣委員会におきまして、当時の工藤内閣法制局長官から、国旗及び国歌につきまして、いずれもそれが日の丸君が代であるという点については既に国民のいわば法的確信であるというふうに高まってきておりますという答弁をしておりまして、それ以来、私どもは、その点については既に慣習法として成立しているという見解をとってきている次第でございます。
  12. 北村哲男

    北村(哲)委員 慣習という言い方慣習法という言い方がそれぞれの立場、あるいは特にこの質問主意書に対する政府答弁書に多く出ております。今の長官お話だと、双方とも慣習法だというふうに言っておられますが、もう一度確かめますけれども日の丸君が代もそれぞれ慣習法として成立し、存在するというふうにお聞きしてよろしいでしょうか。
  13. 大森政輔

    大森(政)政府委員 国旗日の丸とされ、そして国歌君が代とされていることにつきましては、いずれも慣習法として成立している、両者ともに同意見でございます。
  14. 北村哲男

    北村(哲)委員 そうすると、慣習法というのはどういう領域で法的に機能しているのかという問題、これについてはいかがでしょうか。
  15. 大森政輔

    大森(政)政府委員 どういう法域で機能しておるのかということでございますが、これは二つの面に分けて考える必要があろうかと思います。  まず第一に、国旗とかあるいは国歌、そういう用語を用いている個別法との関係でどういうふうに機能しておるのかということでございますが、これは、まず国旗につきましては、御承知のとおり、船舶法あるいは海上保安庁法あるいは自衛隊法商標法等におきまして、それぞれ一定の場合における国旗掲揚義務というものを規定しております。これらの規定におきます国旗というものは何を意味するのかということにつきまして、要するに国旗日の丸とされる、日章旗とされるという慣習法効果といたしまして、その規定で、今述べましたような法律における規定中の国旗というのは日章旗日の丸であるということが法的に定まるわけでございます。  同様に、国歌につきましては、これは法律中には、個別法でそのような国歌規定の中に取り込んだものはないように思われますが、午前中から議論になっております学習指導要領、これは法規としての性格を有するものであると最高裁判所においても解せられているところでございますが、そこの指導の対象とされる国歌というのは、それは君が代であるということが法的に定まるということでございます。  それから、もう一つ局面は、そういう個別法との関係ではなく、一般、それ以外の局面でどう機能しているかということでございますが、国旗とか国歌というものは、現代社会ではいずれの国家も備えているべき、国家としての基本的な制度であるというふうに考えられます。したがいまして、そのような基本的な制度一つである国旗とか国歌というものは一体どうされるのか、何を指すのかということが慣習法によって定まる、内容が定まる、こういうことでございます。
  16. 北村哲男

    北村(哲)委員 関連して、端的にお答え願いたいんですが、確かに今おっしゃったさまざまな領域では慣習法として成立しているでしょう。  そうすると、午前中に問題になった教育現場では極めて混乱が多い。それから、ずっと五十年間、法律指導要領ができてもなおその法的根拠がないというふうな、あるいは価値観の相違でいろいろ問題がありますから、小中高教育現場においての慣習法は成立していると思いますか。どういうお考えですか。
  17. 有馬朗人

    有馬国務大臣 慣習法がかなり行き届いていると思っております。
  18. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は、ある場面においては確かに国旗あるいは国歌として成立しているけれども教育現場においては極めてこれはまだ問題が多い、慣習法としてはできてない、混乱が引き続いておるというふうに考えております。  ところで、立法化のためには、その立法必要性保護法益というものがあるのが通常であります。今までの政府答弁では、長年の慣行により日の丸国旗として広く定着していることを踏まえて立法をするんだというふうに言われます。この踏まえてということは、その後官房長官も、これは広島の問題が一種契機になってというお話もされました。踏まえてとか契機とかいうのは単なる動機であって、いわゆる立法事実、必要性立法事実とは全く違うものであって、そしてこれを立法することによって何を守るのかということはまた違うと思います。  その面では、例えば少年法の問題でも、神戸で十四歳の少年殺人事件を起こした、非常にセンセーショナルな問題ですけれども、それっと、じゃ少年法をすぐ改正して十二歳でも適用しろという話が必ず出てきます。それによって、しかしそれが果たしていいかどうかという立法事実を探して、保護法益を探しながら、その動機が果たして社会的に必要かどうかを探しながらその立法をするのでありますけれども、本件は、どう見ても、やれ二十一世紀云々とか広島の自殺を契機としてとかという話があるんですが、実際の立法必要性と、何を保護するのかという法律目的というものについてはどのようにお考えでしょうか。
  19. 大森政輔

    大森(政)政府委員 ただいま委員から、慣習法教育の場では成立していないんじゃないかという御指摘がございましたが、この御指摘が端的に示しますように、慣習法の宿命といいますか欠点というものがございます。これは、要するに不文法でございますために、その存否がやや不明確な場合がある、そしてその内容がまた一義性に欠けるところがあるという欠点がございまして、今回の改正の一つ必要性と申しますのは、そのような慣習法欠点を解消するということがまず一つあるわけでございます。  そして、やはりその場合には、これは民主主義時代でございますから、主権者の代表である国会の制定する法律によってそれを定めるということが民主主義の原則に合するわけでございますし、また法律明確性安定性にも資するということがもう一つ理由でございます。  そして、今まで総理及び官房長官からたびたび答弁がございましたように、二十一世紀を迎えるに当たって、国家としての基本的な制度について、それを法制化することによって一つ基本的な制度を整備するということがまたもう一つ目的趣旨であろうかと思うわけでございます。
  20. 北村哲男

    北村(哲)委員 今までの政府見解の中でも定着という言葉がしばしば出ておりますけれども、一体、国民の間に広く定着しているということがどうして法制化必要性関係あるんだろうか。この点については、一体どういう現象をもって定着していると言い、そして立法化とどういう関係があるのかという点についてはいかがでしょうか。
  21. 竹島一彦

    竹島政府委員 国民の間に定着しているということの根拠でございますが、これは政府による世論調査は昭和四十九年でございますけれども、その結果は、先ほど官房長官からお話があったとおりでございます。八割近い方々が、日の丸及び君が代日本国旗及び国歌としてふさわしいというお答えをしておられるわけでございます。その後、この三月以来、各マスコミ等におきまして行われました世論調査の結果も委員御案内のとおりでございまして、このような、国民の間に、ふさわしい、愛着があるというアンケートなり意識調査、これをもって定着しているというふうに判断しております。  それから、法制化に当たって、定着しているということを踏まえということを申し上げておりますのは、全く白地に新たに日本国旗及び国歌を描くということではなくて、このような長い歴史を持ち、定着しているという事実をもってその法的根拠を明確にするということが今回の法制化の経緯及び趣旨でございますので、それを意味するために、この定着していることを踏まえ、二十一世紀を迎えるに当たって法制化を図りたい、こういうふうに申し上げているところでございます。
  22. 北村哲男

    北村(哲)委員 定着ということを非常に安易に使われておりますけれども、それをまた世論調査云々と言われますけれども世論調査は、時と場合、それからやる人により、またその書き方によって随分違っておるので、私は軽々に使うべきことではないと思っております。  ところで、次の質問なんですが、法制化による法律効果という問題なんですけれども、この法律に違反したような場合は、特に教育現場についてよくいろいろと説明がありました。教育現場でない一般国民法律に違反した場合の法律効果は、どういう法律効果が生ずるのか。  例えば、慣習法として成立し、あるいは成文法の場合でも、それに違反した場合は、法律行為が無効であるとか、あるいはペナルティーを科せるとか、あるいは強制執行をされるとか、そういう法律効果というのは必ずあるものですけれども、これは政府答弁によると義務が伴わないというふうに言われるので、そういうような法律効果は一切ないのでしょうか。いかがでしょうか。
  23. 大森政輔

    大森(政)政府委員 ただいま御審議いただいております法律案、これは、二条立てで、極めてシンプルでございます。「国旗は、日章旗とする。」「国歌は、君が代とする。」こういうことでございまして、この法律自体から生ずる効果といたしましては、国民掲揚義務を課されたり、あるいは斉唱の義務を課されるということは一切ないわけでございます。  ただ、他の法律領域において、国歌国旗一つ法律要件として何か国民義務を課する規定があるという場合には、他の法律効果として国旗掲揚義務が生じ、その義務を履行しなければ制裁があるということがあることはまた別論でございます。
  24. 北村哲男

    北村(哲)委員 時間が終了したようなので、そのほかの質問についてはやめたいと思っております。  終わります。
  25. 二田孝治

    二田委員長 次に、河村たかし君。  質疑者並び答弁者に申し上げますけれども予定時間が随分オーバーしておりますので、予定時間を超えないように、また、答弁は簡潔にお願い申し上げます。  それでは、どうぞ。河村たかし君。
  26. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  官房長官には、まことに残念でございますが、そこに不在だという前提で質問をするということになりますので、どなたが答えられるかよくわかりませんが、副長官を要求したのですけれども、出ておられませんが、ひとつお願いしたいと思います。  まず、先ほど修正案趣旨説明でも申し上げましたように、この法律は、傷ついた者というか、非常に苦しんでいる人たちに対する配慮の全く欠けた残酷な法律なのではないか、そういう視点から質問をしたいと思います。  まず、法制化に当たっていろいろな調査をすると思いますけれども、担当者の方、いろいろな法律をつくるときに、その法律によって、やはり一番影響を与えるというか苦しむ方、そういう人に対してヒアリング等をするのは常識でございますね、一般的に。
  27. 竹島一彦

    竹島政府委員 それは、それぞれの法律の制定なり改正の経緯なり目的によって違うと思います。
  28. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなとぼけたことを言っておりますけれども、まず、これでもし君が代法制化したときに、どういう方が一番それに対して傷つくといいますか、複雑な感情を持たれる方だと思いますか。
  29. 竹島一彦

    竹島政府委員 それは、それぞれ一億二千五百万人の国民で違うわけでございますけれども、よく指摘がございますのは、やはり戦前の大日本帝国憲法下における君が代日の丸の扱われ方、それについてのそれぞれの方々の経験なり思いということが指摘されておりますので、恐らくそういう世代の方々にとっては、その後生まれた者とは違った受けとめ方をされておられるのではないかというふうに考えます。
  30. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんな話じゃなくて、やはり戦争で傷つかれた方たちが一番苦しむんじゃないですか。  それで、軍人軍属さんの方もお見えになりますけれども、東京大空襲を初めとして、私も名古屋、うちもそうでございましたけれども、そういう戦災で亡くなられたり傷つかれたりした方をヒアリングされましたか、この法案をつくるときに。
  31. 竹島一彦

    竹島政府委員 昭和四十九年の総理府による世論調査、並びに最近における各マスコミにおける世論調査の結果はよく検討させていただいておりますけれども、今委員指摘のような方々についてのヒアリングはいたしておりません。
  32. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とんでもないですよ、あなたは。どういう気持ちで法律をつくっておるのですか、それ。こんな法律は大体審議の対象にならぬのですよ、もともと。どういう法律をつくるときにも、この法律をつくったら、私がもし総理官房長官だったら、絶対一番悲しむ方を一番最初にヒアリングしますよ。どうですか、これは、理事。これ、法案審議できぬじゃないですか。資料を出してくださいよ、ヒアリングした資料を。理事、ちょっと検討してくださいよ、これ。できませんよ、こんなの。
  33. 竹島一彦

    竹島政府委員 今回の法制化は、たびたび申し上げていますように、従来慣習法として位置づけられた国旗及び国歌につきまして、本来成文法の我が国において、二十一世紀を控えて法的根拠をはっきりさせようということでございまして、それにつきましては、先ほど申し上げましたような世論調査その他のデータに基づいて、国民の世論の趨勢というものは把握しているつもりでございます。  そういうことで、この上は、国権の最高機関たる国会における御審議にかかっているというのが政府立場でございます。
  34. 河村たかし

    ○河村(た)委員 あなた、自分で、何か自分の思っておることがすべてだ、日本国の総意だと思ってみえるのかどうかわかりませんけれども。  それでは、海外で、こういう戦争のときに、一般民間人が傷ついたとき、そのときにどういう補償をしているか調べたことがありますか。
  35. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 まず、厚生省関係で調べているかどうかということにつきましては、厚生省は、軍人軍属等の国と雇用関係についての仕事をやっておるわけでございます。したがって、今先生の御質問一般戦災者につきましては、援護対策の対象になっておりませんので、御質問のような諸外国の状況も含めて、厚生省としては、現在のところ特段の調査を行っておりません。
  36. 河村たかし

    ○河村(た)委員 となると、どなたも海外のことを調べておられぬ。  私は六年間国会議員をやっておりますけれども、どういう法律審議するときにも、膨大な海外の資料が出てきて、特に、私、絶対反対しておる国民総背番号なんて、全然わけのわからぬ海外の資料をぼんぼん持ってきてやっておるじゃないですか。  最も、私、自民党に言いたいのだけれども、自由主義というのは、やはりなぜ競争が許されるかといったら、世の中で一番苦しんでいる人に最大の幸福を与える、そういう社会的正義があるから許されるのですよ。何もそんなことをやらずに、何が自由主義で保守主義なんですか。こんな法案やれますか。  資料を出させてくださいよ、今からすぐでも。調査させてくださいよ、理事。(発言する者あり)
  37. 二田孝治

    二田委員長 不規則発言は慎んでください。  答弁者はどちらになりますか、ただいまの。
  38. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いずれにしろ、全然調べていないということですね。これは全然調べていない、この法制化に至る段階で。そういう戦争で傷つかれた一般被災者といいますか民間人については、全然ヒアリングもしていないし、海外はどういうふうに補償しているかということも全然調査していないということで間違いないですね。
  39. 竹島一彦

    竹島政府委員 この国旗国歌法案は、今委員指摘のような戦災による一般の被災者の方々という国民だけを対象にしているわけじゃございませんで、要するに、この法制化について、経緯は先ほども説明申し上げましたとおりでございますけれども根拠を明確化するということでございまして、それにつきましては、国民の間に日の丸及び君が代がどのような気持ちで受けとめられているかということについては調査をしておる。  それからもう一点、今の戦争の被災者の話につきましては、これは政策としてまた別な対象であろうというふうに考えております。
  40. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは全く承服できませんね。私、こんな残酷な法案を聞いたことはありません。少なくとも、そういう方々にヒアリングをして、海外はこうである、それで、例えばこういう補償をしましょう、だからということならわかりますけれども、少なくともそのステップをとってください。それをやらない限り、私、質問はこれで停止します。
  41. 竹島一彦

    竹島政府委員 今回のこの国旗国歌法制化に当たりましては、委員御案内のとおり、中央、地方の公聴会並びに参考人の質疑をやっておるということで、それぞれ直接国民の一部の方々から御意見を伺っているということは御理解をいただきたいと思います。  それから、直接この国旗国歌法案に関係があるとは考えておりませんけれども、本土空爆等による被害状況につきましては、今回改めて、私ども、この国旗国歌法案に当たりまして調査はいたしておりませんが、かつて政府として調査したことはございます。昭和二十三年五月に、時の経済安定本部において調査したところでございまして、そういうことでございます。  いずれにしましても、今回の国旗国歌法案につきましては、改めて、地方、中央の公聴会、参考人の質疑をしておるということでございます。
  42. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今ちょっと協議がどうなったかわかりませんけれども、いずれにしましても、私としましては、法案、立法のところで当然適正な手続で出てくるのは当たり前でございまして、今言われたように、被災者の十分な調査もしていない、海外でどうかも全然やりません、そんな法案を審議するわけにはいきませんので、ですから、資料を提出させてくださいよ。資料を提出してからやりましょう。そうしましょう。
  43. 二田孝治

    二田委員長 ただいまの河村委員の資料要求に対しましては、後ほど、理事会で十分に協議しながら、その資料要求に応ずるようにいたしたいと思いますので、ひとつよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  資料要求につきましては、本委員会終了後、十分に討議いたしますから。  厚生省は、後ほど、誠意のある答弁をひとつ御提出お願い申し上げるということで、ひとつ御了解のほどお願い申し上げます。  再度お尋ねいたしますけれども、法案提出についての調査資料というものの御提出を後ほどお願い申し上げます。
  44. 竹島一彦

    竹島政府委員 この国旗国歌法案の検討作業に当たりまして、今河村委員指摘一般戦災者に対する措置というものは、私どもは、直接関係した話ではないというふうに考えております。それらは別途別な問題であろうかと考えておりまして、戦後処理の問題につきましては、長い間政府としては別途検討し、必要な対策を講じてきておるところでございまして、今回の国旗国歌法案についてそのような資料を御要求いただいたこともございませんし、私どもは、先ほど申し上げましたように、世論調査を踏まえ、かつ、この審議をお願いしてからは、中央、地方の公聴会をたびたび開かせていただいているということでございまして、そのような中で、国民の多くの方々の意見は反映されているというふうに受けとめております。
  45. 二田孝治

    二田委員長 河村委員質疑をお願い申し上げます。  議事進行をお願い申し上げます。
  46. 大森政輔

    大森(政)政府委員 官房長官にかわってお答えするわけじゃございませんで、ただいま法案の提出過程についての御質問でございますので、法制局としての立場からの若干の御説明をいたしたいと思います。  先ほど答弁いたしましたように、この法律案を提出いたしました理由と申しますのは、簡単に申しますと、日章旗及び君が代が、長年の慣行によりそれぞれ国旗国歌として国民の間に広く定着していることを踏まえ、かつ、今日各般の国際化が進展し、国際の舞台においても、国旗が掲げられ国歌が歌われる機会が質、量ともに増大していることにかんがみまして、この際、我が国国旗及び国歌は何かということを法律の形をとって明確に示しておくという考え方に立っているものでございます。  したがいまして、先ほど、デュープロセス上、被害者の求意見手続は不可欠である、それをしない場合はデュープロセス違反であるという趣旨の御発言がございましたけれども、この法律に一体他人を害するという側面があるのかどうかという点については、私は若干理解できない点がございますし、関係者という意味に聞き取りましても、こういうすべての関係者の手続を、聞いた上で法案を企画立案し、審査をして提出しなければならないということがデュープロセスであるということは言えないと思います。
  47. 二田孝治

    二田委員長 河村議員に申し上げますけれども質疑時間が切れましたので。(発言する者あり)  委員皆様に申し上げますけれども、不規則発言は慎んでいただきたいと思います。  議事進行上、後ほどの日程のためにも休憩するというわけにはまいりませんので、本問題につきましては、両筆頭同士でひとつ御協議をお願い申し上げることにいたしまして、ただいまのところ、佐々木秀典議員質疑時間が参りましたので、佐々木議員から質疑をお願い申し上げたいと思います。  次に、佐々木秀典君。
  48. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。  ただいま同僚の河村議員から提起のありました問題については、この委員会審議中にも理事の間で協議をする、そして責任のある対処をしてもらうということにしたいと思いますので、そのことを申し上げて、限られた時間ですけれども質問いたします。  私は、前回一時間ほど質問いたしまして、かなりの部分が残っておりますが、きょうも時間が制限されておりますので、限られた中で端的に御質問をします。  法務省、来ていますか、法務省。御承知のように、現在、刑法の中には自国の国旗を損壊する罪というのはありません。しかし、刑法の九十二条で、外国の国旗に対してこれを壊したり、あるいは除去したり、あるいは汚した者、これは二年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処するという非常に重い規定があるんですね。今度国旗法律化された場合に、これが法律化されたからということで、日の丸に対する今のような損壊罪、これを置くということになりはせぬのか。  御案内のように、アメリカでは、自分の国の国旗に対する冒涜罪というのがあったのですけれども、これは憲法の言論の自由に違反するという判決が連邦最高裁判所で一九八九年にあって、それで、これが違憲無効となっているのです。  こういうことを考えて、我が国法務省としてはどう対応していくのか。刑法改正を準備するつもりなのかどうか、あるいはそれをしないのか。しなかった場合に、外国の国旗損壊罪との整合性などはどうなるのか。端的にお答えください。
  49. 渡邉一弘

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  委員指摘のとおり、刑法の九十二条一項には外国国旗等の損壊罪が定められておりますが、同条の罪は刑法の第二編第四章の「国交に関する罪」の中に置かれております。これは、我が国の外交作用の円滑、安全等を考慮してこのような行為を処罰することとしたものと考えられております。  これに対しまして、我が国国旗に対する同様の行為については、これを処罰する規定は現行刑法にはございません。これは、国家の威信の保護のあり方として……(佐々木(秀)委員「今はいいから、これからどうするかだよ」と呼ぶ)
  50. 二田孝治

    二田委員長 簡潔に御答弁を。
  51. 渡邉一弘

    ○渡辺説明員 したがいまして、国旗及び国歌に関する法律が施行されたとしましても、そのことによって直ちに国旗に対する損壊罪を設ける必要が生ずるものではないと考えております。
  52. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 直ちにというところがくせ者なんだよね。今はしないという、直ちにはしない、やがてはするかもしれない、ここのところが問題なんだよ。  そして、さっきの法制局長官の話でも、今度これを法制化しても国民義務づけるものではない、だけれども、他の法律によって別な効果が生まれた場合は別だと言っているんでしょう。刑法改正だってまさにそうだ。そういう心配が出てくるんだよ、この法律化によって。私ども、それを心配しているんだ。そうはさせないけれどもね。そんなことも含まれているとすれば、これは大問題ですよ。  それから、教育関係、これはけさから連合審査でも随分協議されました。それで、これは決めるだけのことであって他の効果をもたらさないと言っているけれども、一番何といってもきょうは、官房長官、私ども民主党としてはお答えをいただけてないのでちょっと残念なんだけれども、これは前回の私の質問で、「はしなくも」と私は言いましたけれども立法動機としてやはり教育現場の問題を出された。そして、この指導要領の問題なんかもずっとここのところ議論が出てきて心配されております。  今度の立法化でも、国旗国歌、これを法定化するだけのことであって、ここから直接の効果は出てこないといいながら、しかしやはり指導要領、この問題がどうなるかということになってくるのではないでしょうか。そして、指導要領に従わなかった教師の処分の問題というのが現に非常に深刻にあるわけでしょう。  私の持っているのは、昨日、七月二十日、私の地元の北海道新聞ですけれども、恐らくこれは共同通信の報道だと思うのです。これは、北九州の市教委で「今春の入学式や卒業式で「君が代」斉唱の際、職務命令に従わず起立しなかったとして、同市内の小、中学校の教諭各一人を減給一カ月の懲戒処分に、小学校教諭一人を厳重注意にした。」こういう報道もされています。これだけじゃないですね。実際にこういうことが幾らでも処分あるのでしょう。これだけの処分というのは重いじゃないですか。減給一カ月ですよ、給料減らされちゃうわけですよ。これで強制しないとかいうようなことに私はならぬと思うんだ。  そしてまた、これを法律化することによって、これに勢いを得たように、一層こうした現場の教職員への指導が強まる。そうすると、これに違反する職員に対して必ず処分の問題が出てくる。そうすると、これに対して認められないということで不服の申し立てが起きる。結局、私は、混乱は、官房長官の意図と反対に、決してこの法制化によっておさまらない。むしろ現場での対応を、冷静に対応するようにということを言うにとどめるべきだと思うのだけれども文部大臣、どうですか、これは。
  53. 有馬朗人

    有馬国務大臣 たびたびいろいろな場所でお答え申し上げておりますように、現在の教育指導要領のやり方を変えるつもりはございません。そのままでやっていくつもりです。
  54. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 今までと全く変わらないということなのか。  それともう一つ。それじゃ、文部省にお聞きしますけれども、これが法制化された場合に、これは教科書の検定との関係ですけれども、教科書での国旗国歌の扱いはどういうようになっていくのか。その方針があったら示してもらいたいと思います。
  55. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 大臣からも御答弁ございましたように、学習指導要領におきます社会科、音楽、特別活動等におきます国旗国歌に関する指導の扱いというのは、法制化以前と法制化以後におきまして、その具体的な文言から導き出される法的な効果というものは、いささかも変わるものではないと思っているところでございます。  現在、教科書検定につきましては、このような学習指導要領規定一つの検定基準といたしまして検定を行っているところでございますので、法制化後におきましても、平成十四年度から適用される新しい学習指導要領一つの基準といたしまして検定が行われるという仕組みに変わりはございません。
  56. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が来ましたから残念ながら終わりますけれども、最後に文部大臣、イエスかノーでお答えください。  さっきのお答えからすると、仮にこれが法律化された場合でも、これに反対をする教師への指導とか処分が今まで以上に厳重になるとか、重くなるとかということがあるのかないのか。ないならないとお答えください。
  57. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今までどおりだと思います。ただ、今までよりは慣習法のためにいろいろ疑問があったことに関してははっきりすると思います。
  58. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 はっきりするという意味が非常に問題だと思いますが、残念ながら突っ込むことができません。他の同僚委員にその点深めていただきたいということを希望して、一応終わります。あとは総理大臣にお聞きします。
  59. 二田孝治

    二田委員長 次に、河合正智君。
  60. 河合正智

    ○河合委員 公明党の河合正智でございます。  国旗国歌法案が当委員会に付託されましてから、当委員会質疑及び四カ所にわたります地方公聴会並びに東京での中央公聴会、それから参考人質疑、午前中の連合審査会を経ましてただいまの委員会に至っているわけでございますので、私は、その審議の過程で出ました論点を整理する意味質問させていただきたいと存じます。  まず、国旗及び国歌に関する法律案につきまして尊重義務規定を置かなかったのはどうしてでしょうか、官房長官にお伺いさせていただきます。
  61. 野中広務

    野中国務大臣 今回の法制化につきましては、その趣旨は、これまで長年の慣行によりまして国民の間に広く定着をしてまいっております国旗国歌を成文法で明確に規定するものでございますことから、法制化に伴いまして国旗に対する尊重義務規定を置かなかったものでございます。
  62. 河合正智

    ○河合委員 実は、沖縄におきます地方公聴会におきまして、沖縄県の社大党の元書記長であられます比嘉公述人は、次のように述べられておりました。この法案に義務づけ規定がなかったから法制化に賛成であるという趣旨を述べられておりましたことを付言させていただきたいと思います。  次に、定着しているかどうかの問題でございますが、これは毎日新聞の七月八日付に載っております坂本東大名誉教授の論述でございますけれども定着しているならむしろ法制化する必要はないという論述をされておりますが、この見解に対しまして官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  63. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、日の丸君が代は、先ほど申し上げましたように、長年の慣行によりましてそれぞれ我が国国旗国歌として国民の間に広く定着をしておるものと考えております。しかしながら、成文法に根拠がないこともありまして、日の丸君が代我が国国旗国歌と認めないという一部意見が国民の中にあることも事実でございます。このような状況のもとで、国旗国歌国民の間に定着をしているということだけでは十分とは言えないのでございまして、新しい二十一世紀を迎えることを一つ契機といたしまして、成文法にその根拠を明確に規定する必要を私どもは認識をして、法制化をお願いしたところでございます。  先ほど来、民主党もいろいろ御指摘がございましたけれども、新しい世紀を迎えるのには、さまざま私どもは積み残してきた過去の整理していかなくてはならない問題が幾つかございます。そういう中において、戦争後の幾つかの問題もまた深刻に影を投げかけておるわけでございます。  政府といたしましては、例えば中国に残してまいりました遺棄兵器の処理の問題、あるいは韓国国籍であるために、旧日本軍人として戦争に参加しながらその恩給あるいは恩典に浴しておられない方々の処理は、援護法で整理をされ、あるいは日韓国交回復のときに処理されたとはいえ、現実に在日韓国人の人たちの上には残っておるわけでございます。こういう問題をどのように、援護法とは離れて措置をするか、あるいは韓国とは別な側面で韓国の理解を得ながらやっていくかということは、私ども、今二十世紀を締めくくる上で重大な課題と考えておるわけでございまして、国旗国歌に対しましても、そのような認識のもとに新たな法制化をお願いした次第であります。
  64. 河合正智

    ○河合委員 一方で、ただいま民主党河村たかし議員ほかが提出されましたいわゆる国旗法案が、修正案として出されております。これに対する御見解を承りたいと存じます。
  65. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、長年の慣行によりまして、先ほど来累次申し上げておりますように、日の丸君が代我が国国旗国歌として双方とも広く国民の間に定着をしているものと考えておりまして、国旗国歌を一体として法制化することが必要であると考えておる次第であります。
  66. 河合正智

    ○河合委員 次に、沖縄の公聴会におきましてこのような意見が述べられました。二点ございまして、一つは、いわゆる日の丸日本の侵略戦争の第一級の軍旗としての汚点を持つ旗である、こういう見解でございます。また、もう一人の方の御見解は、君が代天皇が支配する国家の永遠の繁栄を祈り歌った歌である、だから反対であるという表明がなされました。これに対する長官の所感をお聞かせいただきたいと存じます。
  67. 野中広務

    野中国務大臣 過去の歴史にかんがみますときに、委員指摘のとおり、それぞれ過去の歴史で多くの問題を起こしてきたわけでありますけれども、昭和二十年八月十五日以前に生起をいたしました出来事に対する認識と評価は、御承知のように、平成七年の村山内閣総理大臣の戦後五十年の節目のときに、我が国の謙虚な反省として総理大臣談話が出されたわけでございます。したがいまして、これと過去の歴史認識や歴史観の問題とは整理して考えるべきでございます。  時には、日の丸戦争の手段に使われたという御指摘もございます。けれども、私ども戦争自体を知っておる者にとりましては、ある意味において、連隊旗が奪われたりあるいは焼失をしたり紛失をしたりしたら、それは、軍人として処刑されたりみずから責任をとって死んだ人たちの歴史もあります。けれども戦争の手段の中に、日の丸がそういうように使われたことはないわけでございます。ただ、日の丸が軍国主義の中で歴史観をゆがめてきたことを否定されるわけではないと思っております。  また、戦後五十年を経まして、我が国は今や平和と繁栄を享受する国となったわけでございますけれども、過去の一時期、多くの国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめまして、現在の我が国の平和と繁栄は、先人たちの方々のとうとい犠牲と、またそれぞれ近隣諸国を初めとする多くの人たちの犠牲の上にあることを忘れることなく、今後とも、我が国はもとより、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくことが我々の責任であると考えておるところであります。
  68. 河合正智

    ○河合委員 次に、君が代についてお伺いさせていただきます。  我が党の冬柴幹事長並びに、国会での代表質問に対します答弁という形で総理答弁がなされました。そこでは、「国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民統合象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民の総意に基づき、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの」というふうに答弁されております。  そこで、中央公聴会におきまして、國學院大學の教授であられます阿部教授は、天皇象徴であるとした上で次のような見解をお述べになっておりますので、この見解に対します官房長官の所感をお伺いさせていただきたいと存じます。  それは、結論として申しますと、君が代というのは国民の世、「よ」というのは、「代」というよりもむしろ世間の「世」。  阿部教授のおっしゃいますには、君が代の歌ができたのは、貞観十六年ごろ成立した。この当時、君ということについて歌った歌がたくさんある。例えば「君が代もわが世も知るや磐代の丘の草根をいざ結びてな」とか、「筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣あやに著欲しも」といった和歌を引用されまして、この場合の「君」というのは夫とか恋人を指している。そして、歌っている人と同格の意味で「君」というものを表現されている。したがって、同格ですから、後に言われますように、位の高い統治者に対して恐れ多いとかへりくだったとかという意味を持っていない。つまり、当時の言葉で言うと民衆とか、現在の言葉で言えば国民ということになる。  それと、君が代の「代」というのは世の中の「世」と同義語で読まれている。ちなみに、現在でも、「代」を転じて国と読むという総理答弁解釈というのは広辞苑という辞書に載っているわけでございますけれども、広辞苑でも「代」というのを世の中、世間、社会意味もあるというふうに書いておるところでございます。  したがって、阿部教授のおっしゃいますには、君が代というのは国民の世を示す歌として適当である、このように参考人としてお述べになりましたけれども官房長官はこの解釈をどのようにお受けとめになりますでしょうか。
  69. 野中広務

    野中国務大臣 委員が御指摘になりましたように、君が代の歌詞は古歌に由来するものでございまして、古くからその当時の祝い歌として培われてきたと思うわけでございます。  しかし、明治時代に入りまして国歌として歌われるようになりましてからは、いわゆる大日本帝国憲法精神を踏まえまして、君が代の「君」は日本を統治する天皇意味で用いられるようになってまいりまして、君が代の歌詞も天皇の治める御代が末永く続きますようにという意味解釈されてきたことは、残念ながら事実であろうと思います。  しかしながら、現在国歌といたしましての君が代解釈するに当たりましては、御指摘のように、日本国憲法を踏まえまして、君が代の歌詞全体の意味が、日本国国民の総意に基づき、天皇日本国及び日本国国民統合の象徴とする我が国の末永い平和と繁栄を祈念したものと理解することが適当であると考えておるところであります。
  70. 河合正智

    ○河合委員 その次に「論座」という雑誌の八月号におきまして、麗澤大学の教授であります松本教授がこういう見解を表明されております。  日の丸というのは、歴史的にも天皇旗とは異なった位置づけがされていた。したがって、国際法とか国際常識に照らして日本国旗であるということは国民的なコンセンサスができ上がっている。しかし、君が代は本来天皇敬礼の曲、礼式曲であり、そのまま国歌として認めるということは、選択肢の一つであるにしても、礼式曲を国歌としてスライドさせるということについては、このように礼式曲を国歌としてスライドして使ってきた歴史というものを周知徹底させる必要があるという見解をお述べになっておりますが、この見解に対しましてどのようにお考えでしょうか。
  71. 野中広務

    野中国務大臣 いろいろ意見のございますことは承知をいたしておりますけれども我が国憲法のもとにおきましては、国歌君が代の「君」とは、先ほど申し上げましたように、日本国及び日本国国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代とは、日本国民の総意に基づき、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えておるところでございまして、したがって、憲法の主権在民の精神に反しておらないと存じております。
  72. 河合正智

    ○河合委員 次に、文部大臣官房長官にお伺いさせていただきたいと思いますけれども教育現場におきます強制の問題でございます。  同じく参考人質疑の中で、ある参考人の方はこういうふうに論述されました。日の丸君が代教育の中でどういう役割を果たしたのかということに対しまして、これは明らかに子供たち戦争に奮い立たせる、日本のために働かせるということを子供たちの脳裏にしっかり植えつけるためにあの旗と歌を教えてきたことは明らかではないか、しかもそのとき目指していたことは戦争に勝つということであって、その戦争の先頭に旗があり、歌があったという論述でございますが、これに対して文部大臣はどのようにお考えでございましょうか。その次に官房長官の御見解もお伺いしたいと思います。
  73. 有馬朗人

    有馬国務大臣 それは過去のことでございまして、今日の段階においては反省すべきことであろうかと考えております。
  74. 河合正智

    ○河合委員 官房長官にもお伺いしたいと思います。
  75. 野中広務

    野中国務大臣 私、午前中の合同委員会の、連合審査の際にも答弁で引用をさせていただきましたけれども、レーニンの言葉の中に、祖国に絶望感を抱かすことが、すなわちその国の革命への近道であるという言葉がございました。  すなわち、この国は悪い国なんだ、悪い国なんだ、こういうことを青少年に植えつけることがすなわち革命への近道なんだということを信奉される人たち教育現場において意図的にやられた結果、残念ながら、今日の教育現場における対立を生んできたかと思うわけでございます。そこに指導要領がございましても、根拠となるべき法が存在しないということで、それぞれ関係者は悩み、苦しみ、そして自殺される方まで出てきたわけでございます。  こういう問題を一つ契機として、私どもは二十世紀末の一つけじめをつけて、新しい世紀へとつなげなくてはならないと考えたところでございます。
  76. 河合正智

    ○河合委員 以下、文部大臣にお伺いさせていただきます。  学習指導要領に法的拘束力はある、このように繰り返しお述べになっておりますが、その根拠についてお示しいただきたいと存じます。
  77. 有馬朗人

    有馬国務大臣 学校教育法におきましては、教科に関する事項文部大臣が定めることとされております。同法の委任を受けまして、学校教育法施行規則において、教育課程については、教育課程の基準として文部大臣が公示する学習指導要領によるものとしている次第でございます。小中高等学校等の学習指導要領は、これらの規定に基づき、文部大臣が定め、告示しているものでございます。  このような学習指導要領は、学校教育法及び同法施行規則の規定の委任に基づいて文部大臣が告示として定めるものでございまして、いずれの学校においても、これらに基づいて教育課程を編成し、実施しなければならないという法規としての性質を有しているものでございます。
  78. 河合正智

    ○河合委員 法規としての性質を有している上に、今回法制化することによる効果はどのようにお考えでしょうか。
  79. 有馬朗人

    有馬国務大臣 学習指導要領で今後も指導していくことになると思いますので、その点においては変化がございません。  しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、現在慣習法として定められている国旗国歌がきちっとすること、これは望ましいことであると考えております。
  80. 河合正智

    ○河合委員 広島における公聴会におきまして、ある公述人がこのような見解を述べられました。これについて文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。  その公述人がおっしゃいましたのは、法制化して学校教育へ強制をする根拠をつくる、教師に指導を強制することは、必然的に子供への強制につながらざるを得ないと述べられました。  したがって、この見解に対する文部大臣のお考えをお述べいただきながら、以下のことを質問させていただきたいのですが、校長先生に強制力が働くかどうか、それから、教員に強制力が働くかどうか、生徒に強制力が働くかどうか。そもそも、教えるということは強制力なのかということも踏まえまして、明らかにしていただきたいと存じます。
  81. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 学校におきます学校教育の実施の最終的な責任は校長が負うということが学校教育法の規定にございます。したがいまして、学習指導要領は、直接的にはこの責任者であります校長に、教育課程の基準として、この基準に従って教育課程を編成し、そして実施をしなければならないという意味で、大綱的な基準としての法的な拘束力を有するわけでございますが、個々具体の教員にとりましても、個々具体の指導場面に即しまして、職務上、学習指導要領に基づいて忠実にその職務を遂行しなければならないという公務員法上の規定、法令に基づいて忠実に職責を遂行しなければならないという規定がございますので、学習指導要領規定によりましては、直接個々の教員がこれに基づいて誠実に教育指導を行わなければならないという義務を負うことにもなろうかと思います。  なお、子供にとりましては、最初に申し上げましたように、直接このことが子供の具体的な行為について及ぼすものではございませんので、あくまでも教師のあるいは学校の教育指導を通じて、教育的なプロセスとして、子供たちにこの学習指導要領趣旨というものが学習の中で身についていくというふうに考えているところでございます。
  82. 河合正智

    ○河合委員 具体的にお伺いさせていただきたいと思います。  入学式、卒業式で国旗掲揚されている、入学式、卒業式に国歌を斉唱する式次第になっている、その入学式、卒業式に参加しなさいということ、また起立しなさいということ、それから斉唱しなさいということ、これは指導ですか強制ですか。
  83. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 学校の教育活動として卒業式、入学式が行われるということでございますので、これはすべての子供たちがその卒業式、入学式、もちろん物理的な状況によりまして、学年によってはそこに参加できないという子供たちがあることは当然でございますけれども、具体的に学校が定めた範囲におきましては、そこに参加するように、あるいは起立をするように、あるいは国歌を斉唱するようにという個別の指導を行いあるいは指示をするというようなことは、教育的な指導の範囲に入るものと考えているところでございます。
  84. 河合正智

    ○河合委員 その場合、退席した生徒に対して戻りなさいというのは指導ですか。
  85. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 学校として、すべての子供たちに入学式、卒業式の意義を十分体得させ、そこにおける基本的な態度というものを身につけさせるという重要な教育活動でございますので、その戻りなさいという指示をどういう場面でどうやるかということは、個々の場面に即して教育的に行われるべきものと考えますけれども一般論として申し上げれば、戻りなさいという指示をすることも教育上の指導の範囲に入るものと考えているところでございます。
  86. 河合正智

    ○河合委員 文部大臣文部省におかれまして、強制となるというふうにお考えの具体的な例をお示しください。
  87. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 いずれの教育活動におきましても、子供にとって何がしかの苦痛を伴う教育的なプロセスを行うということは、例えば体育の指導でも体力的に非常に難しいという場面があるわけでございまして、どこまでが強制になるかというのはそれぞれの具体の教育活動の場面に即して判断されるということであろうかと存じます。  入学式、卒業式について申し上げるならば、子供が単に歌わなかったあるいは退席をしたというような行為に対しまして、事後において、例えば、あってはならないことでございますけれども、子供の心を傷つけるような形で指導が行われる、あるいは子供に精神的な苦痛を伴うような形での長時間にわたったりあるいは執拗な指導が行われるということになりますれば、これは通常の教育指導の範囲を超えた不適切なものということでございまして、一般的に内心の自由に立ち入った強制というような問題が生じる場面もあろうかと存じますが、そういったことのないように、私どもとしては、十分、各学校において適切な教育的な指導のもとに行うということについて努めてまいりたいと思っているところでございます。
  88. 河合正智

    ○河合委員 参加しなかった、起立しなかった、斉唱しなかった、席へ戻りなさいと言っても戻らなかったという子供に対する評価の問題でございますけれども、これは行動評価としてどこまでできるとお考えですか。まず、それについてお伺いします。
  89. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 児童生徒に対する評価はさまざまな場面で行われます。個々の授業や儀式について、教師がそれを適切に教育のプロセスとして評価していくという場面もございますし、あるいは学期ごとにいわゆる通信簿というような形で評価するという場面もございます。あるいは一般的には、年間を通じて、学校における指導基本的な様式として指導要録というものをつくるということが学校教育法施行規則で決まっているわけでございますが、例えばこの指導要録について見てみますと、入学式、卒業式などにおきます特別活動につきましては、いわゆる五段階評価というような評定の対象にはしないということに文部省としてもいたして、指導しているわけでございます。  なお、これらの書式の中におきましては、児童生徒の日常の活動状況について主な事実や所見を記載する所見欄というものも設けられておりますが、文部省指導といたしましては、所見欄につきましては、当該児童生徒の長所を取り上げることが基本となるものであるということに十分留意をするようにという指導を行っているところでございます。  したがいまして、御指摘のような、単に歌わなかったあるいは起立しなかったというようなことがそのまま指導要録等に記載されることには通常ならないものと私ども考えているところでございます。
  90. 河合正智

    ○河合委員 その場合、思想、良心の自由に係るような評価というのはどのように取り扱われておりますでしょうか。また、今後どのように取り扱われていきますか。
  91. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 思想、良心の自由にかかわる事柄につきましては、教育上もこれを最大限に尊重する必要はあろうかと思います。したがいまして、個々の児童生徒の思想信条にかかわることというのはこういった評定の対象にならないものと考えております。
  92. 河合正智

    ○河合委員 池坊議員に対する文部大臣の午前中の答弁でございましたが、マナーというのは忘れてしまう、しつけですね、だから繰り返し教えることが大事だと。だから、発達段階において社会科とか音楽で、小中学校で歌い方とか国旗国歌の意義を教えていくんだと。小中学校までこのようにおっしゃって、だから高校における学校行事で国旗国歌を適切に指導するんだというふうにおっしゃったのですが、私はこれをお聞きしていまして、ある飛躍を感じました。それは、小中学生と高校生というのは、大臣がおっしゃる発達段階に応じますと、かなり違うのではないかという疑問ですね。  といいますのは、高校生になりますと、自我も発達してまいりますし、みずから考えるようになる。思想、良心の自由とかという、そういう基本的人権についての考え方も持ってくるようになる。したがって、それをむしろケーススタディーとして、人権というものをむしろケーススタディーとして、入学式、卒業式における国旗国歌の問題を教えたらいいのではないか、このように思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  93. 有馬朗人

    有馬国務大臣 おっしゃるとおりだと思いますね。  確かに、幼稚園、小学校、中学校、高等学校で教え方は変わると思います。そしてまた、小中ではやはり型というものをぴしっと教えて、これは何も国歌国旗とかそういう問題じゃなくて、算数でもそうです。ぴしっと繰り返し何回となく教えていく必要がある。高等学校に行って、算数を忘れてしまう子がいるのですね。本当に忘れてしまう、理科にしても。こういうのはやはり徹底的に反復、練習をする必要があると思う。ちょっと本題から外れて申しわけありません。  しかし、高等学校では、おっしゃるように自我が発達してくる、社会性が発達してまいりますから、そういうことはきちっと教えていかなければいけない。そういう上で、みずから判断をするという力は高等学校になりますと十分つきますので、そういうことは考慮していかなければならないと思っております。  ただ、入学式とか卒業式とか、ひとつみんなで喜ぶ、発達してきたことを喜ぶ、そしてまた完成したことを喜ぶ、こういう喜びは持たせてやりたいと思っているわけです。
  94. 河合正智

    ○河合委員 私が申し上げたいのはまさにその点でございまして、中央教育審議会の平成十年九月二十一日の答申での方向性も、学習指導要領等の教育課程の基準の弾力化、大綱化を進めるというふうに書かれております。  それから、高等学校段階では、例えば総合学習制だとか単位制だとかが進んで多様化が進み、必須教科もかなり減ってきております。全国的統一基準を学習指導要領という形で示す必要が薄くなってきているのではないか。年齢十六歳以上の生徒で、これからは社会人の方も高校に入学するという流れが強くなっていく中で、入学式等の行事で国歌斉唱を指導するということはむしろなじまなくなってきているのではないかと思います。したがって、学習指導要領の入学式における国旗国歌の取り扱いの仕方も、小中学校になさっていることと高等学校では、やや緩和して、弾力的に多様性において考えていけるのではないかということについてはどのようにお考えでしょうか。
  95. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 まず入学式におきます国旗国歌の取り扱いの方からお答えをさせていただきますが、学習指導要領規定しておりますことは、入学式、卒業式におきまして国旗掲揚し、国歌を斉唱するということでございまして、この内容を、日常の事前のプロセスも含めまして、あるいは当日の入学式における参加の仕方を含めまして、どのように教育的に取り扱っていくか、どのような形で子供たちに発達段階に応じて参加させていくか。当然、各学校における教育的な配慮のもとに低学年、高学年、あるいは中学校、高等学校と違ってくるということは委員指摘のとおりであろうかと思いますけれども、少なくとも国旗国歌の取り扱い、先ほども言いましたその点につきましては、儀式のあり方として、小中高等学校を通じて、私ども、入学式、卒業式の意義にかんがみまして、学校においては基本的に同じ扱いをしていくべきものだろう、こう思っておるわけでございます。  学習指導要領全体の仕組みといたしましては、委員の御指摘にもございましたが、中教審の答申等も踏まえまして、このたび改訂いたしました学習指導要領におきましては、高等学校につきましては大幅に必修科目を精選し、生徒の興味、関心、あるいは進路等に直接応じた多様な選択履修ができるような形で各高等学校が教育課程を編成できるようにということで、小中学校に比べますと、選択あるいは専門科目等がございますので内容は多うございますけれども教育課程の編成の仕組みといたしまして、あるいは児童生徒の履修の仕組みといたしましては大幅に弾力化を図っているところでございます。
  96. 河合正智

    ○河合委員 残された質問が若干ございますけれども総理大臣に対する質問の中で取り上げさせていただきまして、以上で終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  97. 二田孝治

    二田委員長 次に、児玉健次君。
  98. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  私は、所管大臣である野中官房長官にこの後の質問すべてお答えをいただきたいのです。  まず述べたいのは、この法案の提出が契機になって、与党の幹部の中から、日の丸君が代に賛成しない国民の意見や主張に対して、あるいは特殊な思想であるとかまたは過激な人たちだとか、こういうこれらの意見を異端視する発言が見られます。  官房長官はもしかしたら御存じかもしれないけれども、私はここに、清沢洌さんの「暗黒日記」、この方は、高名な新聞記者から評論家にかわられた方です。芦田均や長谷川如是閑などと交流のあった方です。暗黒というのは一九四二年から一九四五年。この方の昭和十八年、一九四三年十二月三十日のところ、私はこれを読んで非常に胸に迫るものがある。清沢は何と言っているか。「考え方が違っても愛国者であり得、また意見が相違しても団結することができる。そう我国の「愛国者」」ここはわざわざかぎ括弧をつけています。そのように「我国の「愛国者」は考うることができぬ。」これが戦前の、特にあの時期の暗い状況の一つの特徴であった。そこのところを清沢は的確に言い当てていると思う。非国民と言えばある人物を社会的に抹殺することができたあの戦前の暗い時代を、これらの発言を聞いて私は想起せざるを得ません。  官房長官法制化に反対する国民を特殊な思想だとか過激な人たちと見ていらっしゃるのかどうか、お聞きしたい。     〔委員長退席、植竹委員長代理着席〕
  99. 野中広務

    野中国務大臣 今回の国旗国歌の法案につきましてそれぞれ意見のありますことは私もよく承知をいたしております。  ただ、政府といたしましては、本法案の提出に当たりまして、まず閣僚の理解をいただき、次に政府・与党連絡会議を開催いたしました。その政府・与党連絡会議において法案の趣旨を申し上げ、御賛同をいただきました。その後、各与党内におきまして、それぞれ党内手続といたしまして部会及び政審、総務会、党役員会等を経由いたしまして、通常の法案の提出と同様の手続をいたしまして出したものでございまして、それぞれ与党内議論は尽くされておると考えておる次第であります。
  100. 児玉健次

    児玉委員 野中さん、私がお聞きしているのは、この清沢洌のような精神状況というのはあなたもおわかりだと思う。そしてそういう中で、この君が代日の丸に対して抵抗感を持つ、今度の法制化に反対する、こういう少なくない国民を特殊な思想の持ち主だとか過激な人たちだ、あなたもそういうふうにお考えなのかどうか、そこをお聞きしたい。
  101. 野中広務

    野中国務大臣 歴史の変遷を経てまいりましたし、かつて、特に明治憲法以来、我が国は残念ながら誤った道を一九四五年まで歩むことになったわけでございますから、そういう経験と反省の上に立ってさまざまな御意見があることは私どもとしても謙虚に承知をいたしております。
  102. 児玉健次

    児玉委員 私はこの機会に明確に述べておきたいわけですが、君が代日の丸に対して少なくない国民があるいは批判を、または抵抗感を持っています。これは個人の好みの問題ではありません。歴史的に見ても、そして日本国憲法に照らしても立派な根拠のある意見です。君が代日の丸が、戦後政治の原点である侵略戦争に対する深刻な反省と相入れない、そして憲法国民主権と両立しないからこのような意見が出てくる、こういう少なくない国民の意思を政府としては真剣に受けとめるべきではないかと思いますが、長官、どうですか。
  103. 野中広務

    野中国務大臣 そういう意見をも承知した上で、いわゆる二十世紀末の整理すべき問題として法制化をすることが正しいと考えた次第であります。
  104. 児玉健次

    児玉委員 その点はさらに議論をしたいと思いますが、私はここで一言付言しておきたい。  レーニンは、一九一四年に「大ロシア人の民族的誇りについて」という文書を書いております。その中で彼は何と言ったか。「民族的誇りの感情は、われわれ大ロシアの自覚したプロレタリアートにとっては縁のないものであろうか?」と。民族的誇りの思想は縁のないものであろうか、「もちろん、そんなことはない!われわれは自分の言語と自分の祖国を愛している。」ここのところが真骨頂であるということを私はひとつ述べておきたい。  そこで、皆さんたちが出されているこの今度の国旗国歌法案は、結局のところ、国民定着論が事実上唯一の根拠です。先日内閣委員会が行った中央、地方公聴会、さらに参考人の意見聴取、合わせて三十二人の広い層の方々から率直な御意見をいただいた。どのように見るかというのはそれぞれ聞き方があるだろうけれども、私はそれに参加をして、賛成のグループ、反対のグループ、慎重意見のグループ、大体三つに分かれた。ただし、慎重意見というのは、私のお聞きしたところお二人でした。賛成の意見の中からも、議論は丁重に、慎重に行うべきだとか、次世代に歴史的変遷を説明し、民主的ルールに基づいて理解を求めることが望まれる、こういった意見が続出しました。当然のことです。  国論は、君が代日の丸法制化することについては、しばらく前は賛否相半ばしていた。私はあえて、しばらく前まではと申す。最近の世論調査は急速な変化を遂げています。  例えばJNN、七月八日に発表された世論調査では、賛成四四・〇、反対五三・〇、約一〇ポイントの差で反対がふえている。ちなみに、JNNが三月に行った調査によれば、そのとき、賛成は四九・二、反対四九・一、文字どおり相半ばしていました。それがこの七月八日、先ほどのように大きく変化した。毎日はどうか。七月十四日に掲載された世論調査、賛成三六%、そして反対と慎重な審議を求めるという二つを足せば五八%です。ちなみに、四月はどうだったかというと、賛成は六一%ですから、三カ月の間に六一%から三六%に法制化賛成が減っている。そして、反対は三〇%から五八%にふえている。そのことを受けて毎日新聞は、七月十六日の社説でこう書いている。「君が代国歌法制化をめぐり、法案の国会提出と審議入りを境にして、賛否が逆転したことをうかがわせる。」  まさにそのとおりではありませんか。あなたたちの言う広く定着しているという基礎が見事に崩れているではありませんか。官房長官、どうですか。     〔植竹委員長代理退席委員長着席〕
  105. 野中広務

    野中国務大臣 それぞれ世論調査の結果が出されておりますことは承知をいたしております。しかし、長年にわたりまして国旗国歌定着をし、そして国民の間に理解をされておることは、私どもとしては各種調査を通じまして承知をしておるところでございます。
  106. 児玉健次

    児玉委員 官房長官、ここのところはやはり論議をかみ合わせましょう、これは非常に重要な案件だから。私はいいかげんな形で議論したくないので、真剣に議論したい。  何かといいますと、今まで皆さんは、定着論というとき、例えば昭和四十九年十二月の総理府の調査、日の丸八四%、君が代七七%。そして、小渕総理はこの前の本会議で、NHKの六月の放映の中で、日の丸八九%、君が代七二%、これらに対して親しみがあるということを述べられた。この人たちの中から、法制化は適切でない、こういう意見が今どんどんふえてきているじゃありませんか。法制化は適切でない、議論は尽くせという議論が急速にふえている。この世論に対して謙虚でなきゃならない、私はそう思うが、いかがですか。
  107. 野中広務

    野中国務大臣 世論の動向には常に謙虚でなければならないと考えております。ただし、私どもとしては、累次申し上げておりますように、国民に長く定着し、そして理解をされておると認識をしております。
  108. 児玉健次

    児玉委員 その定着ですが、法制化ということについて相半ばしていたのが大きく今変わってきている。議論を尽くせ、これはもう多くの同僚議員が述べているけれども、六月三十日の朝日の世論調査によれば、論議を尽くせは六六%ですよ。今度の国会の会期延長の寸前に駆け込んできて、八月十三日までのこの短い間にやってしまえなんというのは、そんな意見というのは本当に今では少数になっていて、国民の意思の多数は論議を尽くせ、こういうふうに述べている。  官房長官に私は一つお聞きしたいけれども、紀元節、建国記念日、そのころ私は学生でした。そして、私の敬愛する古代史の小倉豊文教授が、中国の讖緯説の問題を中心にして、数回にわたって詳細な議論を展開したことを私はいまだによく覚えている。この紀元節を含む国民祝日法の改正が提起されたのは一九五七年、昭和三十二年の二月です。官房長官にお尋ねするが、この法案が成立したのはいつですか。何回の国会の審議を経て成立しましたか。
  109. 野中広務

    野中国務大臣 たしかこの法案が成立をいたしましたのは、昭和四十一年の第五十一回国会で可決、成立をしたと承知をいたしております。私の承知しておる範囲におきましては、九度にわたり所要の法案提出が行われたと承知しております。
  110. 児玉健次

    児玉委員 今の答弁からも明らかなように、紀元節という、確かに当時国論を二分しました。私は、今でもあれを祝日として設定することについては一切納得をしていない。しかし、その法案について九年間国会の審議がなされた、その事実を私たちは今重く見なきゃいけない。  そういう中で、世論が急速に動き出している。そこのところで、皆さんが今まで言ってきたのは、広い定着があるから、これが唯一の根拠だった。定着と言う以上、どんなことが求められるか。国民の中でその旗やその歌に対して、日常生活において常に心からの親しみがある、理解についても安定している。今はどうですか。  君が代、この三文字について既に皆さん方はいろいろ言ってきたけれども、結局、象徴天皇、それが「君」だ、「が」というのは所有の格助詞だ、「代」というのは転じて国だ、もっと詰めていったら国語的解釈はできないなんて言い出している。そこにこの問題の言うところの国民定着の基礎が崩れ出しているところが明らかで、そして、それを一つ契機にして、話が違う、我々が昔理解していたのと全く違うとこの国会審議が始まる中でぐんぐん法制化に対する批判、反対の意見が強まり、審議を尽くせという声が広がっているじゃありませんか。定着論の基礎が崩れた。白紙に戻すべきじゃないですか。
  111. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、国旗国歌法制化につきましては、諸手続を踏みまして既に法律案を国会に提出をさせていただいており、御審議を賜っておるところでございますので、国権の最高機関たる国会におかれまして慎重御審議の上早期に決していただきたいとお願いをしております。
  112. 児玉健次

    児玉委員 私はそれをそのまま官房長官にお返ししたい。紀元節のときも法案は出された。法案が出されたからこの短い間にやっていいなんということじゃないでしょう。そもそも、提出されたのは六月十一日です。本会議趣旨説明は六月二十九日、内閣委員会質疑は七月一日ときょうの午後しかやっていない。そしてその間、急速に世論は動いている。  結局、皆さんは今何をねらっているかというと、時間がたてばたつほどこのことについて国民の深い理解が進む、そうならない前にともかく数の力で押し通そう、そうしているんじゃありませんか。踏みとどまるなら今ですよ。官房長官、どうですか。
  113. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、諸手続を踏んで、既に国会に法律案として御審議をいただいておるところでございまして、御審議の中におきます慎重審議の上で、それぞれ参考人及び公聴会等を地方においても開催をされまして、本日への御審議の過程は、委員長初め理事会において十分御討議をいただいたことと存じておるわけでございまして、なおなお、委員会初め関係の皆さんの御審議を賜ることによって早期に成立することを、法律を提出した者としてお願いを申し上げるところでございます。
  114. 児玉健次

    児玉委員 官房長官、私は率直にお聞きするけれども、皆さんがこの法案を提起された六月十一日、そしてきょう七月二十一日、この間、賛否をめぐる世論、継続審議を求める声、それが急速に伸びている事実について、あなたは御承知ですね。
  115. 野中広務

    野中国務大臣 さまざまの調査報告がなされ、あるいは論評が行われておることは承知をいたしております。  しかし、少なくとも私の手元に寄せられる投書あるいは意見等の中におきましては、早くこれを整理して成立をするようにという意見が多うございます。(発言する者あり)
  116. 児玉健次

    児玉委員 委員長、ああいう声はこの重要な議論をする場になじまないから、注意してください。  官房長官、多分そうおっしゃると思って、私は最近の新聞の投書をずっと持ってきました。特徴は何かといえば、「君」とは象徴天皇だという皆さんの新しい解釈、ある新聞は君が代狂騒曲とさえ述べた。そのことが契機になって議論がぐっと進み、そのことを中心とした投書が、その一部を持ってきただけでこれほどありますね。  例えば、ある投書、七月七日、「文化の遺産というべき歌の解釈を時の内閣の意向で公権的に決めてよいのだろうか。」こういうふうに述べられる。そして、別の、これは七月十三日の投書、「一部のA級戦犯の処刑だけでケリをつけ、最高・最大の責任を問わなかった上に、妥協の産物のような」象徴天皇が残った、そこに今日の矛盾の出発点がある。そして、きょうの投書も、あなたはお読みになっただろうと思うけれども、七月二十一日、そこでどう言っているか。「君が代の「君」を政府象徴天皇と明言したことへの戦争体験者の不安」、それが募ってきている。投書自身がそういう投書が圧倒的ですよ。  そうなってくると、皆さんの根拠にしてきた、これは小渕総理の二十九日の本会議答弁をそのまま読むけれども、「我が国国旗国歌であるとの認識が広く国民の間に定着している」、もろくも破綻したじゃありませんか。  そうなった以上、これは白紙に戻して、そして国民の討論にゆだねる。私たち日本共産党が国旗国歌に関する調査会の設置を提起している深い意味を、私は官房長官に理解してもらいたい。審議を続けることでどれほど国民の討論が進むか。これは日切れ法案とは違いますよ。いかがですか。
  117. 野中広務

    野中国務大臣 法案のお取り扱いにつきましては、委員長初め国会の御審議でぜひお決めを賜りたいと存じております。
  118. 児玉健次

    児玉委員 そのことについては、私は繰り返し二田委員長や内閣委員会理事会で述べました。多くの同僚の皆さんも述べている。  それで、問題なのは、例えば小渕首相は何て言っているか。こういうふうに私どもの志位書記局長質問に対して述べていますね、国権の最高機関において十分な御審議をいただきたい、別の党の質問に対しては、幅広い御審議をいただきたい、そう言って政府自身が希望しているじゃありませんか。その希望に、わずか一日と五時間の審議では到底こたえられない。私たちはそう思っている。  そうであれば、政府の方は、引き続き論議をするためにこの際白紙に返します、そういうふうに述べれば、別に立法府に対してあなたたちは何だかんだ、法案を提出しているのはあなたたちだから、あなたたちの責任で事態を前進させたらどうですか。
  119. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、法案を提出し、既に御審議をいただいておるところでございますので、一日も早い決定をいただきたいと念じております。
  120. 児玉健次

    児玉委員 広い団体の声に真剣に耳を傾ける必要があります。  文部省、何ですかあなたは、にやにや笑って。この法案がどのくらいこの後教育の現場を困難にするか、少しは思っているのか。  私は、述べたい。  日本ペンクラブ、会長は梅原猛さんです。御存じの方です。七月十五日にこういうふうに述べてもいらっしゃる。日の丸君が代法制化することについて、必ずしも国民的合意を得たものとは言いにくく、性急に結論を出すべきではなく、また、その必要もないと考えます。  梅原会長のこの声に真剣に耳を傾けられてはどうですか。この意見は国会にではなく、政府に対しても出されています。
  121. 野中広務

    野中国務大臣 梅原先生の御所見は、私も拝見をいたしております。また、共産党の京都民報にも、梅原先生の御所見は拝見をいたしております。
  122. 児玉健次

    児玉委員 見ていただくのは結構ですが、ごらんになって、その意見に対して行動でどのように責任をとるか、その点じゃないですか。いかがですか。
  123. 野中広務

    野中国務大臣 政府といたしましては、先ほど来累次申し上げておりますように、法案を既に国会の御審議に供しておりますので、早い成立を期待するのみでございます。
  124. 児玉健次

    児玉委員 故障したテープレコーダーみたいに同じことを繰り返したくない。  紀元節のときも九年間の論議をした。そして、今、私たち審議というのは文字どおり緒についたばかり。  その中で、皆さんの唯一の根拠であった幅広い国民の間の定着、そういう中で大きな分化が起きていることを、私は同僚の議員はお気づきだと思う。君が代日の丸について、そのことについて親近感を持っている人の中から、法制化はまずい、その意見がほうはいとして起きているから、先ほどのような急速な変化が生まれている。  そして、議論を十分に尽くせ、この声に対して、もし、私たち国政が耳を傾けなかったら、文字どおり政治のあり方が根本から問われることになる。  私がそう言う意味がわかりませんか。もう一歩進んだ御意見を、回答をいただきたい。
  125. 野中広務

    野中国務大臣 児玉委員の御意見として拝聴をしておきたいと存じます。  しかし、私どもは、自国はもちろん他国の皆さんに大変な御迷惑と犠牲を強いて、あの戦争の敗戦になりました。その後、平和憲法を得て、今日、五十数年の平和を保つことができました。その憲法に従って、私どもは、今世紀末の結末を、新世紀への足取りとして残しておきたいと念じておる次第であります。     〔委員長退席、萩野委員長代理着席〕
  126. 児玉健次

    児玉委員 その二十世紀に積み残しがあるという点について、率直に申しましょう。  例えば、広島や長崎で韓国の方たちが被爆をなさった。日本の被爆者援護法の適用を求めていらっしゃる。さっき長官がおっしゃったケースもそういったケースです。これらのケースについて真剣に責任を負う、これが二十世紀に積み残された課題に対する日本政府の責任であり、私は、私を含めて日本国民の責任であると思っている。ドイツがそれを周辺の民族に対して真剣にやったところに、ヨーロッパ諸国のドイツに対する信頼がある。日本はそれをやっていない。そういう中で、皆さんがやろうとしているのはベクトルが逆です。  そのことを、例えば、韓国の新聞ハンギョレは何と言っているか。君が代復活間近と言って、君主の治世が永遠であれという歌詞が近代国民国家理念に合わず、アジア侵略を想起させる。そして三月九日の中国の中国青年報。近隣諸国を侵略し、アジア人民に残した悪夢は今なお消し去ることが困難である。これを解消することが二十世紀に積み残した課題の解決ではないですか。どうですか。
  127. 野中広務

    野中国務大臣 二十世紀を振り返りますときに、委員おっしゃった問題を含めてさまざま残してきた問題があり、なお解決するべき課題が多うございます。私どもはまた、ドイツの処置に学ぶべきところが多いと考えております。
  128. 児玉健次

    児玉委員 最後に述べておきたい。  今、国旗国歌をめぐって、国民の間で歴史上初めて自由濶達な論議が始まった。当然これは賛否両論です。結構です。この国民的な討論の中から、現在の日本に最もふさわしい国旗国歌国民の英知を結集して必ずつくり出されるだろう。そこに向けてどうやって国会が国民的討論に貢献するか、そこが問われている。数の力でこの法案を強行することがあれば日本の歴史に汚点を残す、そのことを述べて、私の質問を終わります。
  129. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 次に、辻元清美さん。
  130. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  それでは、まず最初に野中官房長官にお伺いしたいのですが、野中長官は、七月一日の内閣委員会でこのように御答弁されています。「法制化によりまして国民生活に何らの変化や義務を生じ、かつ影響を与えるものではないと理解をしておるところでございます。」この中の「国民生活」という中には学校教育の現場というのも含むという理解でよろしいのでしょうか。
  131. 野中広務

    野中国務大臣 そのとおりでございます。
  132. 辻元清美

    辻元委員 それでは、同じ日の別の答弁でこのようなことをおっしゃっています。  教育現場を中心といたしまして、国旗国歌をめぐりましてはそれぞれ対立や争いのもとになってきたこの五十年を振り返りますときに、その中心は、私も現場で知っておりますけれども、どこに根拠があるんだ、根拠があったら示せということが交渉の中心でありました。それぞれのこの仕事に当たっておる人たちは、法文化の根拠がないことに大変な苦しみを味わいながら、例えば、学校現場では広島の世羅高校の石川校長のように、指導要領のみで根拠を示せと言われて、そのはざまの中で大変な孤立感を高めてこられたということを思いますときに、ここで法文化の明確なことをしておくべきではなかろうかとお願い申し上げた次第でありますとお答えになっています。  この御答弁を見ますと、これは明らかに法文化をするということで学校現場に影響を及ぼすということをみずからおっしゃっていることじゃないですか。  そうしますと、同じ日の答弁で、一方では影響を及ぼさない、一方では法文化することが影響を及ぼすとおっしゃっている、私はこれは矛盾していると思いますけれども、いかがですか。
  133. 野中広務

    野中国務大臣 私は、決して矛盾をしておらないと存じております。  学校現場において、私が指摘をいたしました問題は、かつてこの五十年間、教育の現場におきまして指導要領等が定められました後におきましても、法制化がないじゃないか、法的根拠がないじゃないかということが入学式あるいは卒業式の国旗国歌のありようについて争いの起きるもとになってきたわけでございまして、その現場のすべてを承知しておる私といたしましても、また広島県の世羅高校の石川校長の死というのはそれ以上に深刻な問題を持っておるということを考えて、それが一つ契機とならざるを得なかったことも、私は、これは学校現場がこの法制化をすることによって影響を受け、生徒の内心に入るものではございませんけれども、この法制化によって根拠を得るということの成果はあると考えております。
  134. 辻元清美

    辻元委員 それでは、今の長官の御発言の中に、法制化によって成果がある、成果というのは何を想定されているのでしょうか。
  135. 野中広務

    野中国務大臣 今までの交渉の過程において、指導要領があっても法的根拠がないではないかということが交渉の中心になってまいりました。広島における世羅高校におきましては、その交渉の渦中に、広島だけの問題でありますけれども、全国の部落解放同盟とは内容を異にするものでありますけれども広島は異常な状態で、部落解放同盟が一緒に交渉に入って、この根拠がないものを生徒に押しつけ式典に押しつけることは人権差別であると主張をしてきたわけであります。校長はそのはざまに入って苦しみ悩み、そして死を選ばざるを得なかったわけであります。  それぞれの交渉の場において、それをやらなければ差別だと言われる当事者の悩みと苦しみを考えるときに、私どもは、そういう人たちの悩みや苦しみをこれからも考えていかなくてはならないと存じております。
  136. 辻元清美

    辻元委員 ということは、今の御答弁では、法制化いたしますと、学校現場で、法制化しているじゃないか、ですから各個別の教員や教師の人たちに、法制化した根拠があるからやるべきであるということにつながりませんか。それが長官がお考えの成果なんですか。
  137. 野中広務

    野中国務大臣 法制化がないではないかと主張をする人たち法律根拠を与えることであると、私は申し上げておるわけでございます。(発言する者あり)
  138. 辻元清美

    辻元委員 静かにしていただきたいと思いますけれども、この法制化によりまして、先ほど、学校現場にも何ら変化がないとおっしゃっている。しかし、今の一連の御答弁を伺っていますと、法制化根拠を与えることによってその争い、要するに現状に学校で賛否両論あるわけです、それに影響を及ぼす……(発言する者あり)静かにしてほしいのですけれども法制化は明らかに影響を及ぼすということをおっしゃっているじゃないですか。私、そこが全然理解できないです。
  139. 野中広務

    野中国務大臣 御理解いただけないかもわかりませんけれども、少なくとも、日の丸国旗とし君が代国歌としたくない人たち教育においてこの問題をまげて交渉の手段に使ってきたわけであります。そして、その中において、法制化が、法律根拠がないじゃないかとおっしゃってきたわけであります。
  140. 辻元清美

    辻元委員 そうすると、国旗にしたくない、もしくは国歌にしたくない人が存在してはいけないということですか。
  141. 野中広務

    野中国務大臣 さまざまな方があろうかと思います。少なくとも、しかし教育公務員として公務員法に基づいて職責を得られる方は、我が国法律に忠実であるべきだと考えております。
  142. 辻元清美

    辻元委員 今のその御答弁は非常に、それでは、今まで義務化はしない、強制するものではないというふうにおっしゃっていたわけですけれども法律を遵守する、遵守の中身は何ですか。
  143. 野中広務

    野中国務大臣 教育公務員法に基づいて、我が国憲法及び教育公務員としての法律を遵守するということは当然のことでございます。
  144. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、法制化によりまして国民生活に何らの変化や義務を生じかつ影響を与えるものではないと理解しております、法制化すると何も影響が与えられないわけでしょう、こうおっしゃっているわけじゃないですか。ここのところの整合性をちょっと言っていただけますか。
  145. 野中広務

    野中国務大臣 委員に、整合性がないと解釈されるだけでありまして、私は、少なくとも、今日までいわゆる法律根拠がないと言われたことを、法律根拠を持つということに意義があると申し上げており、その法制化をすることによって、尊重化を初め、それぞれ生徒の内心に入ってまでこれを強要するものでないから、変化がないと申し上げておるところでございます。
  146. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、たとえ公務員であろうと学校の先生であろうと、日の丸掲揚し、君が代を歌いたくないということには立ち入らない、それはオーケーということですね。
  147. 野中広務

    野中国務大臣 私どもが学校現場のありようについてとかく申し上げるべき立場にありません。それは、法的根拠を持ち、また文部省が定める指導要領に基づいて、教育的成果を上げるようにされるべき範疇のものと考えております。
  148. 辻元清美

    辻元委員 私は、この両方の矛盾というのを何ら今の御答弁で理解することができなかったです。というのは、矛盾があることをわざとこの法制化ということで両方接ぎ木のように足していこうというのが、私は今回の審議を聞いていてそのように思います。  さて、そういう中で、有馬文部大臣にちょっとお伺いしたいと思いますけれども文部大臣は、一九八九年四月一日から九三年三月三十一日まで東京大学の学長を務めていらっしゃいましたけれども、この間、東京大学の入学式、卒業式で、日の丸掲揚し、君が代を斉唱されたことはあるんですか。
  149. 有馬朗人

    有馬国務大臣 君が代はいたしませんでした。ただ、国旗は四月十二日の入学式の日には本部庁舎に掲げておりました。
  150. 辻元清美

    辻元委員 本部庁舎に掲げていらっしゃるのとは別に、その式典で、そうしますと、学長時代、どうしてそれだけ、きょうもずっと教育的な意味があると答弁されておりました。るるおっしゃっていましたけれども、御自身が学長をされているときに、卒業式や入学式で挙行されなかったんでしょうか。
  151. 有馬朗人

    有馬国務大臣 学習指導要領では、大学に対してはそういうことが言われていない、そういう意味で、やはり大学というのは、国立大学の入学式や卒業式における国旗国歌の取り扱いにつきましては、特に留学生が大勢いるというふうなこともありまして、入学式が大学の教育研究活動の一環として行われていることにかんがみまして、各大学の自主的な判断に任されているところです。
  152. 辻元清美

    辻元委員 私は、今のは矛盾した御答弁だと思います。留学生などがたくさんいる。日本には、在日韓国・朝鮮人の人を初め、留学生以上に日本人ではない方もいらっしゃるわけですね。かつ、高校卒業、三月三十一日、そして四月一日、入学でしょう。そういう中で、大学でこの国旗国歌を取り扱うと、思想信条の自由などで大論議になるということで単に取り扱っていない。ところが、大学で取り扱えないものをなぜ小中高だけに教育指導要領指導されているのか、明快な御答弁をいただきたいと思います。  なぜ大学で行わないのに小中高ではやっていらっしゃるのか。矛盾しているじゃないですか。どうぞ答え——いや、ちょっと待ってください、文部大臣に。東京大学の学長をやっていらっしゃった文部大臣に私はお伺いしていまして、あなた、学長をしていたんですか。
  153. 有馬朗人

    有馬国務大臣 ただいまの立場と総長時代立場は明らかに違っております。
  154. 辻元清美

    辻元委員 どのように違うんでしょうか。
  155. 有馬朗人

    有馬国務大臣 やはり一大学の学長としての立場の場合に考えていることと、それから大臣になって考えること、全体を見通す場合と一大学の責任を負っているだけと、そしてまた、それには義務が別に課されていなかった時代との違いであります。
  156. 辻元清美

    辻元委員 先ほどから公務員論争というのがありますが、東京大学の学長は公務員でいらっしゃるわけですし、この法制化論議、直接所管されている大臣として、御自身の経験、大学の学長時代国旗掲揚や斉唱せなあかんという議論は一度も吹っかけられていないわけですか、教員の方に。
  157. 有馬朗人

    有馬国務大臣 日の丸の旗を立てるということに関しては随分議論をいたしました。そして、きちっと本部庁舎に祭日等々においては必ず上げるということをいたした次第であります。
  158. 辻元清美

    辻元委員 私の手元には、日の丸君が代法制化に反対する東京大学教員の共同声明というのがあります。随分たくさんあるんですよ、この中に。そして、これはさまざまな方、きょうも大学関係者が大きな集会を開かれるようですけれども君が代の「君」を象徴天皇と解するのも驚きであるが、その歌を国歌法制化することによって強制力をふやそうとすることに二重三重の無理があるとか、さまざまな意見がありますよ。  私は、先ほどの問いにまだ御答弁いただいていません。大学でやらないことをなぜ小中高指導要領指導するのかということを長官にお聞きしたわけです。何回もお聞きしているわけです。御答弁をください。——長官に御答弁。要するに、東京大学の学長でいらっしゃった長官にお聞きしているわけです。
  159. 佐々木正峰

    ○佐々木政府委員 学習指導要領は、文部大臣の定めによりまして、小学校、中学校、高等学校の学習指導の基準として文部大臣が定めているものでございまして、これは大学には及んでおりません。
  160. 辻元清美

    辻元委員 だから、なぜ大学に及んでいないのかと聞いているんですよ。答えてください。あなた、答えるんだったら、答えてくださいよ。なぜ大学に及んでいないのか。
  161. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 初等中等教育におきましては、義務教育の全国的な水準を維持し、機会均等を確保するという基本的な初等中等教育、高等学校も含めまして、そういう観点から、国といたしまして、一つの政策的な判断として学習指導要領という形で……
  162. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 簡潔にお願いします。
  163. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 基準を定めているものでございます。
  164. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 辻元清美さん、もう時間が来ておりますから。
  165. 辻元清美

    辻元委員 全然答弁になっていませんね。  大学で、日の丸掲揚君が代斉唱ということを入学式や卒業式でやったら大混乱になって大激論になりますよ。できないじゃないですか。同じ教育現場です。なぜかと言ったら、思想信条の問題に触れるからなんです。それを、まだ、要するに……
  166. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 辻元清美さんに申し上げます。時間が来ております。
  167. 辻元清美

    辻元委員 小学生といえば、小中高、なぜそこで区切って、教育現場であるのに、こっちはやって、こっちはやらぬ。そこに既に矛盾があるじゃないですか。学長をやられていまして、個人の立場、学長時代長官時代立場が違うというようなことをおっしゃることも……
  168. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 委員長から申し上げます。時間は守ってください。
  169. 辻元清美

    辻元委員 やはりこの法制化の議論を所管する大臣として、私は、残念ながら、非常に落胆いたしました。そういう中で採決をするというのはやめていただきたいと思います。  まだまだ議論は尽くされていないですよ。私、長官お話ししただけでもこれだけ……
  170. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 もう時間がオーバーしておりますので、質問を終えてください。
  171. 辻元清美

    辻元委員 学長としての経験豊かな長官にお聞きしているだけでもまだ納得できません。
  172. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 ルールは守ってください。
  173. 辻元清美

    辻元委員 ということで、次、中川智子議員がこの後、社民党が引き続きやりますので、私はきょうの採決に反対ですということを強く申し上げたいと思います。
  174. 萩野浩基

    ○萩野委員長代理 次に、中川智子さん。     〔萩野委員長代理退席委員長着席〕
  175. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党市民連合の中川智子です。  ただいまの辻元議員に関連して最初に質問いたしますが、やじとしてもう看過できない発言がございました。  まず最初に、官房長官に伺いますけれども、ただいま法律根拠がないと言った人々と、いま一つ、そんな教員は首にすればいいというやじが飛びましたけれども、現場で働く先生たちの中で、日の丸そして君が代の今回の法制化に対して、断固反対という声が現場から沸き起こっております。法律根拠がないから悩んでいる人たちは、どういう教育現場の人たちでしょうか。
  176. 野中広務

    野中国務大臣 端的に申し上げますと、今まで教育の中で国旗国歌を認めないでやっていきたいと主張をしてこられた方々がまた反対をしておられると認識をしております。
  177. 中川智子

    中川(智)委員 これはやはり文部省が、今回の教科書の問題でもそうでしたけれども、本当に一方的に、「望ましい。」からそれを「指導する」にどんどん変えていって、いわゆる現場で強制が行われている。この板挟みによって、そのような不幸な事件が起こったと思っております。  そのようなところで、一般の本当に一部の人たち法律根拠がないといった声に対して、現場の先生たちの声が全く無視されているということ。そしてまた、先ほどのやじの中で、そんな教師は首にしろ、このような言葉に対して、どのように思われますか。首にするのですか。
  178. 野中広務

    野中国務大臣 戦後教育を振り返ってまいりますと、過去の歴史が余りにも犠牲が多く、そして大きな傷跡を残しておりますだけに、教育現場にもさまざまな混乱を呼んできたと思うわけでございます。それだけに、私どもは、ぜひこの法律根拠を得ることによって、教育が正常に、そして次なる世紀国民みんながこの国を愛し、そしてこの国の国歌国旗に誇りを持っていく世代であってほしいと考えておる次第であります。
  179. 中川智子

    中川(智)委員 長官、ただいま、この国を愛しというふうなことをおっしゃいました。長官は、この日本の国のどんなところがお好きですか。
  180. 野中広務

    野中国務大臣 午前中も申し上げました。辻元委員及び中川委員質問のちょっと前にお越しになりましたので、連合審査あるいは前の委員会等を聞いていただいておりませんので、繰り返して申し上げることになりますけれども、私は、私を生んでくれた両親があります。その両親によって命をいただきました。また、その両親は、その両親によって命をいただいてまいりました。そこに愛すべき家庭があり、愛すべき地域社会があり、そして、それをはぐくんできた国家があるわけでございます。私は、限りなくそういう愛する家庭と社会国家というものを大切にしていかなければならないと存じております。
  181. 中川智子

    中川(智)委員 私は、この国が好きです。本当にこの日本の国が好きです。しかしそれは、本当に憲法で守られている思想信条の自由、表現の自由があるから、嫌なことは嫌というふうに表現できる、そして日の丸でも、やはりそれを強制してそこを向かされるのではなく、自分自身の思いに自然に向いてこそ、初めてもっともっとこの国を好きになる、もっともっとこの国を愛していける、そういうふうに考えております。  それと今回の法制化は逆行する。先ほどの佐々木委員質問の中でアメリカでのことがございましたが、一九七七年の星条旗を焼いた事件、そして一九四三年の国旗敬礼への参加を拒否して処分を受けた。このアメリカでの判決は、あらゆる公の統制から留保されることが憲法修正第一条の目的であるところの知性及び精神領域を侵犯するものであると言っています。本当にこれは見事だと思います。  憲法で保障されている思想信条の自由と今回の国旗国歌法制化の優位に立つものをしっかりと端的に御答弁ください。
  182. 野中広務

    野中国務大臣 アメリカ合衆国におきまして、今御指摘ございましたように、掲揚されていた国旗をはぎ取り、火をつけた行為が、国旗保護を定めました州法に違反するとされまして有罪判決を受けた件であろうと思うわけでございますが、その後、連邦最高裁で、国旗毀損行為には、連邦憲法修正法第一条で規定されておる個人の表現の自由であり、これを禁止するいかなる法律表現の自由を制限するという理由から違憲判決が出されたことは承知をいたしております。  今回の国旗国歌法制化は、日の丸君が代が長年の慣行によりましてそれぞれ国旗国歌として我が国国民の間に広く定着をしていることを踏まえまして、成文法にその根拠を明確にすることが必要であるとの認識のもとに提案をさせていただいた次第でございます。
  183. 中川智子

    中川(智)委員 そうしたら、例えば公の場所で日の丸に黙礼をしない、敬礼をしない、おじぎをしない、そのことによって逮捕されたりすることは一切ありませんね。
  184. 野中広務

    野中国務大臣 したがいまして、たびたび申し上げておりますけれども政府といたしましては、この法制化に伴いまして国民国旗掲揚国歌の斉唱等に関し義務づけを行うことは考えておらないところでございます。現在の運用に変更が生ずることとはならないことから、法制化によりまして内心の自由及び表現の自由との関係で問題が生ずることにはならないと考えております。
  185. 中川智子

    中川(智)委員 はい、わかりました。  そうしたら、例えば知花さんが沖縄の読谷村で、あのときは器物破損ということでしたが、これにいわゆる日の丸だからということで侮辱罪なりなんなりということは一切ないということですね。
  186. 野中広務

    野中国務大臣 沖縄の知花さんの問題につきましては、まだ私が正式にこの場でコメントすべき立場にございません。
  187. 中川智子

    中川(智)委員 その辺があいまいにされますと、本当に今回は非常に危ない法律だということを、また認識を強くいたしました。  それでは、次の質問に移りますけれども、千代に八千代に、この君が代を歌わせる法律が今回強行採決されようとしている。そして、歌う私たちがいます。そして、歌われる方がいらっしゃいます。私ども、主権在民で今までずっと、国民、主権在民、私たちが主役、私たち自身がこの国の主権を持っている。ですから、「君」というのはあなたであり、そして国民一人一人だと思ってきました。ところが、六月二十九日の総理答弁の中であのような形での見解が示されたのですが、政府としては歌われる方の御意思を伺ったことがございますか。
  188. 野中広務

    野中国務大臣 中川議員我が国憲法を遵守される立場にあると考えております。憲法下におきましては、国歌君が代の「君」は、我が国象徴であり、日本国民統合象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しておるわけでありまして、君が代とは、日本国民の総意に基づき天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことでございまして、また、君が代の歌詞も、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。
  189. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、「君が代は」と歌うときは、イメージとしては、たくさんの日本のこの国民、それともお一人を思い浮かべて、気持ちはどういうイメージをすればいいのでしょう。
  190. 野中広務

    野中国務大臣 天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考えております。
  191. 中川智子

    中川(智)委員 私は、やはり歌われる方の御意思というのを一度伺いたいと思いますが、それに関しては、やはり国民がそのことを一たん納得できる議論が、この間、一切されませんでした。ですから、絶対反対で採決には臨みますが、やはりそこのところをあいまいにしておくことが今後禍根を残すというふうにしっかりと発言させていただきたいと思います。  日の丸に移りますが、日の丸は、長官のこの間の御答弁の中で、やはり過去の忌まわしい戦争ということをおっしゃいました。そのことを共有する同じ人間として、この旗のもとに亡くなった方々、またたくさんの方が引きずって今生きていらっしゃいます。本当に日の丸が平和のシンボルとして、私たちがそれをしっかりと見詰めるならば、高らかに、二度と戦争には使わないという国会決議、平和の旗宣言をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
  192. 野中広務

    野中国務大臣 過去の歴史認識に対する政府考え方につきましては、これも繰り返して申し上げておりますけれども平成七年の、戦後五十年の節目に当たりまして、中川委員尊敬される村山内閣総理大臣談話を基本といたしまして、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略によりまして多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものでございまして、これまでもこのような考え方を表明してきたところでございます。この村山内閣総理大臣談話は、私どもの不変のものであると考えております。  そのような考え方の上で、日の丸君が代が長年の慣行によりまして、それぞれ国旗国歌として国民の間に広く定着をしておることを踏まえまして、二十一世紀を迎えることを一つ契機といたしまして、成文法により根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を図って、法案として国会に御審議をお願いしておるところでございます。
  193. 中川智子

    中川(智)委員 私は、ただいま、この国歌国旗法案というのは、日米新ガイドラインから始まって国民総背番号制、盗聴法、そういう流れの中にあるものと思っております。国会としてしっかりと、日の丸が平和のシンボルだということをこの国会でやるべきではないかという質問でしたが、そのことに対してはお答えいただいていないと思いますが。
  194. 野中広務

    野中国務大臣 我が国国旗として、先ほど申し上げましたように、戦後五十年の節目に村山内閣総理大臣談話が発表されたことを基本として考えております。
  195. 中川智子

    中川(智)委員 時間が参りました。  きょうの東京新聞でも「「君が代」伴奏拒否で戒告」というふうに載っております。いろいろな地域で締めつけがきっとある。私たち質問に関しても、売国奴だとか非国民だとか、国会の中でそのような発言がされる、このような状況の中で、地域に、学校現場に強制がないということは絶対ないということで、危惧を表明して反対の質問を終わります。  ありがとうございました。(発言する者あり)
  196. 二田孝治

    二田委員長 静粛にお願いします。  次に、笹木竜三君。
  197. 笹木竜三

    ○笹木委員 笹木竜三です。  質問を始めます。まず、民主党修正案が出ております。それについて一言質問させていただきます。  非常に格調の高い趣旨説明の文章だと思います。ここで確認をしたいわけですけれども民主党国旗については法制化する、国歌、歌については切り離して、これについては法制化しない、そういうふうに切り離して国旗だけ法制化する理由は何なのか。  ここに書いてありますけれども、その場合、君が代慣習としての国の歌だ、このこと自体も否定をされるのかどうか、確認をしたいと思います。
  198. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  君が代につきましては、各種の世論調査を見ていただきましても、やはり法制化については慎重な意見が多い、まずこれが一つでございます。  それから、君が代解釈について、これはもともとの新古今和歌集でございましたか、それ以来の原義と、それから明治以来、それから終戦まで、それから終戦以後、特にまた最近と、非常に二転三転をしておるということ。  それから、やはり旗と違って、特に詩ですけれども、詩というものは非常に一定の価値をあらわしております。そういうことで、やはり旗と違ってまた別の感情もあるだろうということでございます。  先ほども言いましたように、そういった感情を持たれる中、戦争で非常に傷つかれた、そういう人たちがまだ御存命で活躍しておられるところに、先ほどもありましたようにそういう調査もなくて、そういう人たちにこれを歌えというのは、私は、自由主義というか、真の保守主義というのは自由競争を是認しておりますけれども、そういう自由競争を是認しておる者は、世の中の一番苦しい人、一番つらい人たち、そういう人たちの一番の幸せを願って行動する、そういう一つの厳しい社会的正義があってからこそ初めて自由主義というものが成り立つと思っております。  したがいまして、君が代についてはまだ広く国民の間に定着しているとは言えないのではないか、そんなふうに思っております。  以上でございます。
  199. 笹木竜三

    ○笹木委員 確認をしたいんですけれども、国の歌については、君が代については慣習として国歌と認められている、そのこと自体も認められないということなんでしょうか、法制化じゃなくて。
  200. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そこの点につきましては、いろいろな御意見があるかと思います。しかし、少なくとも法制化については、やはり広く国民の間に定着をしていないということで、慎重にすべしというのが今の私の感覚でございます。
  201. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、この趣旨説明の文章の中に、君が代については「新解釈、及び新国歌、新国民歌の制定を含めて更に検討し、」云々とあります。  新解釈については、私も、本音を言うと、若干総理の新解釈だけでは不満なところがあります。仮に、この民主党修正案がこの後否決された場合にですけれども、その場合にはどうされるのか。こういった国民運動を引き続き運動として行っていく覚悟はあるのかどうかお聞きをしたいと思います。
  202. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは党としてはまだ議論をしておりませんものですから。  しかし、強制するものと言えるものかどうか疑問もありますので、慎重にといいますか、そういうことになると思いますが……。
  203. 笹木竜三

    ○笹木委員 さらにもう一点だけ、短くて結構です。  四つ目理由で、君が代法制化反対という文章があります。君が代の歌詞を聞くと非常に悲惨な思い出を思い出すとか、そういったことがあるから反対だという理由もあります。これはしかし、日の丸についても言えるんじゃないでしょうか。そのときのイメージというのを例えばアジアの国々の方は、こういったこと、同じようなことが日の丸についても言えるんじゃないでしょうか、そういうことはないでしょうか、一言で結構です。
  204. 河村たかし

    ○河村(た)委員 確かに日の丸についてもさまざまな感情を持たれる方も多いと思いますけれども、先ほど言いましたように、やはり君が代の詩の中に一定の価値が示されておりますので、日の丸君が代については別に考えてもいいのだろうと思います。また、そのように世論調査の結果も大体出ておるのではないか、そんなふうに思っております。
  205. 笹木竜三

    ○笹木委員 先ほどの答弁の中で、明治以前、明治から終戦まで、終戦以降、そこに込める思いもかなりいろいろ変わってきているということ、これもやはり日の丸のイメージについても同じことが言えると思います。少なくとも、戦前と戦後では言えると思います。それと、こういった反省すべき点と誇りとすべき点、これはどの国も両方持っているわけですし、歴史としてどの国も両方持っているんじゃないか。ということで、四つ目理由については特に私なんかもどうなのかという気がします。それは感想としてつけ加えておきます。  官房長官にお聞きをしたいわけです。  地方公聴会等で、あるいは中央公聴会、例えば法制定に賛成の方からも、今回の法案の提出についてはかなり疑問があるという声が、一人じゃありません、何人かから私も聞きました。  こんなに重たい法案を、言ってみれば政局的な意図、政治的な思惑、他党対策、そういったもので、国会の途中からどたばたで出してきたのじゃないか、そういった不安あるいは不満の声も公聴会で聞きました。これについて長官は、絶対にないと言い切れるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  206. 野中広務

    野中国務大臣 今回の法案提案につきまして、政局に絡めてこの問題を取り扱おうとした意図は全くございません。  ただ、広島における世羅高校の石川校長の日の丸国旗国歌に対する、いわゆる生命をなくされた、これは法案を提出する一つ契機になったことは事実であります。
  207. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、先ほどからこの委員会においても長官は、二十世紀末の残された課題に取り組む、それを処理するんだ、そういった決意でこのことに取り組んでいる、そういったお話がありました。  もう一度確認をしたいわけですけれども総理による新解釈、これで本当に君が代としての歌詞の新解釈は十分だと長官も思われているのかどうか。  確かに、明治期については天皇制、先ほどほかの委員からも質問がありました、天皇に対する礼を示す、あるいは敬意をあらわす、そういう歌として使われてきた、これは事実です。しかし、それ以前、明治以前、あるいは戦後、さらにこれから二十一世紀を目指して、新解釈としては、私は、あの解釈ではこれからの日本の新しい方向を示すものとしてまだまだ不十分だ、そう考えますけれども長官はどう考えておられるか、確認をしたいと思います。
  208. 野中広務

    野中国務大臣 総理が御答弁申し上げた統一見解と共通に認識をいたしております。
  209. 笹木竜三

    ○笹木委員 さらにもう一点お伺いしたいわけですけれども、公聴会でよく聞かれた、そういった政局的な思惑から出されているのじゃないか、そのことに非常に残念な気持ちを持つ、そういった意見もあったわけですけれども、この委員会でもたびたびありました。  法制化するということは、政権交代によって、政治的な意図でたびたび変えられる可能性も出るのじゃないか、そういった意見もありました。公聴会でも、だからこそ国民投票とか、あるいは憲法でさらに規定する、そういったおもしをさらに置いたらどうか、こういった意見もありました。憲法でさらに規定をすることが、政治的な思惑から余り左右されない、おもしをつける意味でいいのじゃないかと私自身も思いますけれども官房長官はそういった意見はお持ちかお持ちでないか、確認をしたいと思います。
  210. 野中広務

    野中国務大臣 国旗国歌法制化は、これまで慣習として定着をしてまいりました国旗国歌を成文法で明確に定めることが趣旨でございまして、この点から、政府といたしまして、一般法律規定することとしたものでございまして、憲法で定めるという選択肢は特段考えていないところでございます。  諸外国におきましても、フランスのように憲法規定している国も見られるわけでございますし、他方、アメリカのように一般法で規定している国もあるわけでございます。  いずれにせよ、この点を含め、ぜひ国会で御審議をいただきたいと存じております。
  211. 笹木竜三

    ○笹木委員 時間が来ましたので、終わります。ぜひ、政治的な、政局的な思惑で提出したんだという不満の声をこれから払拭できるように、我々も長官もお願いしたいと思います。  質問を終わります。
  212. 二田孝治

    二田委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
  213. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党佐々木秀典です。本日の理事会におきまして、私どもは、どうしてもこの問題について、最高責任者、総理大臣にお出ましを願いたいと要求いたしました。それにおこたえをいただいたことについては、私どもとしても敬意を表したいと思います。いろいろ申し上げたいことがありますけれども、時間が限られておりますので、端的に質問させていただくことをお許しいただきたいと思います。  総理大臣は、この法案を提出することを、私は、六月十七日の、会期が八月の十三日まで延長されたその後にお決めになったと了解をしております。と申しますのも、総理大臣は、本年の二月段階では、日の丸君が代法制化については考えていないと明言されておられた。しかし、六月二十九日の本会議においては、よくよく考えた結果、やはりこれが必要だということで出したと言われておる。しかし、このよくよく考えてどうだからどうだということについて、私どもの納得のいく御説明がなかったと了解をしておるわけです。これについて、実は官房長官からいろいろ補足する御説明どもあったけれども、これもまた納得できないものでございました。  いずれにいたしましても、御承知のように、今、国論は私は二分されているのではないかと思われます。官房長官も、これまでの御質問の中で、国民の世論を尊重したいということをおっしゃってこられた。ところが、政府は、この問題についての政府としての国民の意見を聞く機会というのは、昭和四十九年、つまり一九七四年、今から二十五年前の世論調査根拠にしておられる。その後は直接にやっていない。あとはマスコミ関係の世論などを、これとそう違わないものとして受けとめている、こう言っているのであります。  だとすれば、例えば七月の十四日付の毎日新聞などによると、少なくとももっと時間をかけて論議すべきだという方が四四%、反対だというのが八%、過半数を超える方が、いずれにしても今国会での法制化というのは望んでいない。これは日の丸君が代に賛成の方でもそうだというわけであります。  特に、先ほど私どもの同僚、河村委員が、この私ども修正案説明として、それからまた、その後の質問に今も河村委員からの答弁がありましたけれども世界各国戦争で傷ついたり亡くなったりした一般市民に対して補償を行っているのと対照的に、我が国の場合には、六十七万名の一般市民には原爆被害を除いて補償を行っていない。今なお戦争の傷跡を引きずっている人たち君が代を聞けば、亡くなった兄弟だとか肉親のことを思い出さざるを得ない、そういう人たちがたくさん存命していることを忘れてはならないのにもかかわらず、政府は、特にこうした方々の思いを聞くという調査などをしていないではないか。これは質問によって、調査していないということをお述べになっているわけですけれども、こうした方の気持ちを全くそんたくしないで、こうした方々に対する補償ということも解決しないでおいて、そしてこの日の丸君が代法制化をするというのは、余りにも残酷でないかということを河村氏は言っているわけであります。このことに対して、総理大臣としてはどうお考えになり、どう対処していこうと考えているのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  214. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 さきの大戦におきまして多くの悲劇が起こり、そのことに対しての国家としての対応につきましては、軍人恩給法あるいはまた遺家族援護法その他を含めまして、それぞれ国としての立場でそうした方々に対して対応してきたと思っております。  今、お話は恐らく、戦火で命を失われ、そして多くの方々が被災をされたということに対する対応いかんということであろうかと思いますが、私も総務長官という仕事をしておりまして、当時からそうした問題についていろいろと御要請がありましたが、しかし、これは国民全体としてそういう方々に対する補償ということにまで至らぬというのが国民的なある意味での考え方であったかと存じております。ただ、気持ちといたしましては、戦災において多くの命が失われておりまして、今なお、たしか東京都だと思いますけれども、そうした方々に対する慰霊のための施設をつくるべきであるかないかという議論もされておるようでございまして、継続してこういう問題が、なお五十数年経た今日においても存在するということはまことに残念だというふうに思うと同時に、このことにつきましては、現在、国民全体でお互い理解し合って生きていくための努力をしていくということになっておるのではないかというふうに考えております。  今お尋ねの点は、今議題となっております国旗国歌法との関連においてお話しされたと存じますけれども、私は、冒頭申し上げましたようなことと今提案されておる法律とは直接的な関係はないものと考えておりまして、私どもといたしましては、この国旗国歌法につきましては、これは現下提案理由説明し、また今日まで御審議をいただいた経過に関しまして、ぜひ御理解をいただきたいと念じておるところでございます。
  215. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が参りましたから、残念ながら同僚議員にお譲りをしなければなりません。  しかし、ただいまの御答弁を聞いても、我が国の場合には、それこそ空襲による被害などを受けた一般の方々に対する補償は全く野放しにされてきているのです。そういう方々の思いがこの日の丸君が代にも関連しているということを、政府としてはやはり重く受けとめていただかなければいかぬ。その人たち全部から意見を聞くということがないにしても、抽出的であってもやはりその方々の意見を聞く、それがこの問題とも深く関連しているんだということをぜひお考えいただきたい。まだこれからでも間に合いますから、遅きに失したということではなしに、そういう方々のお気持ちを聞く手だてを講じていただく。  それとまた別に、そういう方々に対する戦後補償の問題、官房長官も戦後補償必要性を言っておられるのですよ、あわせてやはり真剣に取り組むということをぜひお考えいただきたい。  御答弁までは残念ながら求めません。北村委員質問にお答えをいただくという形でお願いしたいと思いますけれども、ぜひ真剣に考えていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  216. 二田孝治

    二田委員長 次に、北村哲男君。
  217. 北村哲男

    北村(哲)委員 民主党北村でございます。  ただいまの佐々木同僚議員からの質問で、総理は明確なお答えがなかったような感じなんですけれども、被災者あるいは戦争によって被害を受けた方々に対する調査をこの法案が成立する以前にされるということのお約束をしていただくことはできますか。(発言する者あり)
  218. 二田孝治

    二田委員長 静粛に願います。
  219. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、戦後補償問題につきましてはいろいろの思いもあろうかと思います。毎日朝NHKの放送で「すずらん」というのをやっていますが、あれを見ておりましても、あれは北海道の例でありますけれども、多くの被害者が出られて、苦しい戦後を経てきたということについては、政治家の一人として十分認識をいたしておる次第でございます。  さりながら、先ほど申し上げましたように、本法律案との直接的な関係ということは私はないものと考えておりまして、これは、国民を代表される国会において現在御審議をいただいておりますゆえをもちまして、ぜひその点についての国民的な御理解のもとに本法案が成立することを願っておるということでございます。
  220. 北村哲男

    北村(哲)委員 委員長に申します。  この問題はちょっと堂々めぐりになりますので、理事会においてきちっとしていただきたいと思います。私どもは、やはりこの点については見逃せない問題だと思っておりますので、ぜひお願いします。(発言する者あり)関係ないの。(発言する者あり)
  221. 二田孝治

    二田委員長 御静粛にお願いします。
  222. 北村哲男

    北村(哲)委員 関係ありますから、委員長、お約束お願いします。でなくちゃ、私、これ以上できません。(発言する者あり)
  223. 二田孝治

    二田委員長 御静粛にお願いします。
  224. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は質問できません、これは。委員長、約束してください。質問できません、これ以上、これでは。
  225. 二田孝治

    二田委員長 先ほど申し上げましたとおり、本問題につきましては、両筆頭理事間で御協議いただくというようなことでございましたので……
  226. 北村哲男

    北村(哲)委員 いえいえ、そういう答えがないじゃありませんか、きちっとした答えが。(発言する者あり)とめてください、ちょっと。
  227. 二田孝治

    二田委員長 質疑時間が参りますので……(発言する者あり)  先ほどから議論になっておりますところの議題でございますけれども、この際、委員長から申し上げます。  先ほどの河村委員要求の資料は、政府において調査の上、後刻本委員会に提出するようお取り計らいくださいという申し出が両筆頭間の協議の上で決定されておるわけでございますので、こういうことになっておりますから、これにて御了解をお願い申し上げたいと存じます。(発言する者あり)いや、それは参議院のことですから。(発言する者あり)それは本院の話でございますから。河村委員に申し上げますけれども、それは本院の話でございますから。(発言する者あり)だから、後刻本委員会に提出するようお取り計らいくださいというようなことでございますから。(発言する者あり)  総理質疑の時間が切れてしまいますから、どうかひとつ、この上、総理に対する質疑を続行のほどお願い申し上げたいと思います。  北村哲男君。
  228. 北村哲男

    北村(哲)委員 時間がなくなってきたのですが、一つだけ総理にお聞きしたいのです。  私どもは、日の丸だけをとにかく法制化することについては、今議員立法として民主党から出しました。というのは、この君が代については、特に総理の御答弁がずっと変化をしている。すなわち、一番最初は、質問主意書答弁書については、君が代の「君」を日本国及び日本国民統合象徴である天皇と言っておられたのを、今度は国会答弁のときには、その地位が主権の存する国民の総意に基づく天皇というふうに変えられた。この解釈変更が国民の間に非常に戸惑いがあるということで、また、これについては毎日新聞なんかも、君が代には無理があるのではないかということを社説でるる述べております。  それについてもう一つ、私は、過去において文部大臣が「君」について言っておられることについて、また矛盾しているのじゃないかということがありますので、総理がここでどう考えているかについてお伺いしたい。  というのは、一九八九年、ちょうど十年前の十一月十日の衆議院決算委員会で、当時の石橋一弥文部大臣が、「君」とは何だという、この問題についての上田哲さんの質問に対して、これは、「「君」というもの、それはすなわち国民全部を意味している、」というふうに答えておる。さかのぼってみると、また違った答えになっておる。  そういうことの混乱は、君が代というものはまだまだ国民的コンセンサスを得ていないのじゃないか、そして、どうしても解釈が違ってくるということで、定着しているとかあるいは慣習法化ということについては、解釈が一致していない、考えも一致していない中で、こういうふうに拙速に法制化することについては問題があると思うのですけれども、その点について総理はどのようにお考えかをまず一つだけ最後に伺いたいと思います。
  229. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 最終的に私が総理として述べました君が代のことにつきましては、既に本会議でも御答弁申し上げておりますし、恐らく官房長官からも十分御説明があったかと思いますので、差し控えさせていただきます。  お尋ねの点の、衆議院の決算委員会におきます平成元年における当時の上田議員からの御質問についてでございますが、この点につきましては、当時の石橋国務大臣答弁といたしましては、「私ども君が代という言葉、これは憲法規定されておりますいわゆる天皇象徴国民合意の上に立った象徴天皇であるという意味」であり、いわゆる君が代国歌のことでありますけれども憲法にございますように、先ほど答弁いたしました天皇に対する考え方、そのように考えておりますとはっきり申し上げた上で、さらに問われておりまして、その問いに対して、私は、君が代というものは、「君」というもの、すなわち国民全部を意味しております、こう答弁しております。  したがいまして、最後、国務大臣としての答弁ではありますけれども、すなわち、石橋国務大臣としてあえて自分の考え方と言われますればそういう答えをした、こういうことでございますが、申し上げましたように、今日、この問題についての考え方というものとして、そのときの前提のお話と、今日の私の答弁ぶりとしては、基本的な相違というものはあり得ない、こう私は考えておるところでございます。
  230. 二田孝治

    二田委員長 北村委員に申し上げます。  お約束の時間を既に大分経過しておりますので。
  231. 北村哲男

    北村(哲)委員 私は、最後に、もう終わりますけれども、これはやはりどう見ても変転しているとしか考えられませんので、審議はきょうで終わるわけではない、さらに参議院でもあると思いますけれども、恐らくきっちりとしなくちゃならぬ問題だと思っております。  以上、終わります。
  232. 二田孝治

    二田委員長 次に、河合正智君。
  233. 河合正智

    ○河合委員 総理大臣にお伺いさせていただきます。  総括的な質疑に入っております。「国旗は、日章旗とする。」「国歌は、君が代とする。」とする当法案を法制化の御決意に至りました理由を、改めてお伺い申し上げたいと思います。
  234. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 日の丸君が代が、長年の慣行により、それぞれ国旗国歌として国民の間に広く定着いたしておりますことを踏まえまして、二十一世紀を迎えることを一つ契機といたしまして、成文法によりその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとで、法制化を図ることといたしたものでございます。
  235. 河合正智

    ○河合委員 次に、過去の戦争についての歴史認識につきまして、地方公聴会、中央公聴会でもかなりの議論がございました。  その中で、中央公聴会におきます公述人の先生は、元従軍慰安婦の方の証言を引かれました。また、その方たちが描いた日の丸の絵を示されました。また、「中国人画家が描いた南京一九三七」の絵というものを示されました。また、マレーシアの新聞の論調とか、シンガポールの高校の歴史教科書等を示されまして、日の丸君が代がアジアの方たちにどのように受け取られているか、紹介されました。  このことを後ほどお伺いさせていただきたいと思いますが、その前に、私は、この公述人の御懸念におこたえする意味で、総理が先般訪中されましたけれども、その訪中の前に、河野元外相に対する中国のトウカセン外相の談話が新聞報道されております。唐外相は、この中で、日本の国会に日の丸君が代国旗国歌と定める法案が提出されていることに触れ、理解できる、当然のことだ、中国として口出しをするはずがない、日本国民が決めることで、他国が口出しすることではないと述べたと報道されております。  その後訪中されました総理に対しまして、中国の見解というのは表明もしくは伝えられたのでしょうか、お伺いさせていただきます。
  236. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 まず、アジア諸国がどのように考えておられるかというお尋ねでございました。  結論から申し上げますと、今の時点に至りましても、公にこの問題について各国から、いわゆるクレームと申しますか御批判と申しますか、こうしたものの一つも得ておらないことでございます。それぞれの国民の中にはいろいろ思いもあろうかと思いますけれども、今日の段階では、そのようなものはございません。  それから、先般の訪中の際について、どのようであったかというお尋ねでありますが、中国側より、君が代日の丸法制化についての言及はございませんでした。  委員が御紹介をされました河野議員とトウカセン外交部長とのお話、これはお互い、ある意味では私的なということではないかと思いますけれども、食事の際、いろいろと率直な意見の交換をされた中でそのようなお話がされたということは、河野議員から直接私もお聞きをいたしておるところでございます。
  237. 河合正智

    ○河合委員 先ほど申し上げました公述人の方に対しまして、私は質問をさせていただきました。「国旗は、日章旗とする。」「国歌は、君が代とする。」というこの二つの条文だけで、旧憲法下において行われました日本のすべてを論ずるということは、かえって矮小化するのではないですか、このように私がお伺いしましたところ、その公述人の方は、日の丸と戦後五十年の問題というのは別の問題でありまして、分けて議論すべきだとは思いますがという形で懸念を表明されたところでございます。  我が党の冬柴幹事長が代表質問総理質問申し上げましたように、私どもは、日の丸君が代には、戦中、戦前の暗い、許すべからざる事実への連想から一部に拒否感があることを十分に承知しておりますけれども、少なくとも、昭和二十年八月十五日の敗戦の日以前に生起したこのような暗い、悲しい出来事に対する認識と評価は、歴史認識もしくは歴史観の問題として整理すべきものであると考えている、このように表明いたしております。  これに対します総理の御見解をお示しいただきたいと思います。
  238. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 冬柴議員にお答えをいたしたことと全く同様でございます。
  239. 河合正智

    ○河合委員 教育現場におきますかかわり方につきまして、村山元総理と与謝野元文部大臣との答弁内容を整理されました平成六年の十月十三日の第三項目めでございますけれども、「児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要である。」このように確認されているこの内容というのは、今回の法制化後も同じ見解と受けとめてよろしいでしょうか。総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
  240. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 我が国国民として、学校教育におきまして、国旗国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てることは極めて重要であることから、学習指導要領に基づいて、校長、教員は、児童生徒に対し国旗国歌指導をするものであります。このことは、児童生徒の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものでなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます。  この考え方は、平成六年に政府の統一見解として示しておるところでございまして、国旗国歌法制化された後も、この考え方は変わるところはないと考えます。
  241. 河合正智

    ○河合委員 大変ありがとうございます。この問題に対する懸念が蔓延しておりましたところ、総理大臣からこのように明確に御答弁いただきまして、感謝申し上げます。  文部大臣はお帰りになりましたか。——それでは、官房長官にお伺いさせていただきます。  ただいまの総理大臣答弁を、文部行政におきましても、また国政全般にわたりましても徹底されるよう要望するわけでございますけれども、お願いできますでしょうか。
  242. 野中広務

    野中国務大臣 国政全般はもちろんのこと、大切な教育の現場で十分生かされるようにしてまいりたいと存じております。
  243. 河合正智

    ○河合委員 ありがとうございます。  一日の当委員会に付託されましてから、中央公聴会また地方公聴会、参考人質疑連合審査会、そしてただいま総理大臣をお迎えしての質疑を経まして、我が党としては、論点のほぼすべてを議論したと受けとめさせていただいております。  したがいまして、当法案に対しまして賛成を表明させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  244. 二田孝治

    二田委員長 次に、児玉健次君。
  245. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  まず、私は、総理に対して、二点に関して伺います。  君が代、「君」と「が」と「代」、この三文字について、政府は、七月一日内閣委員会で、国語解釈をしているわけではない、このように答弁をした。総理の名前で出た六月十一日の答弁書、その中で、政府は、君が代の「君」とはという形で一語一句の解釈をしている。そもそも一語一句の国語的解釈を始めたのは政府ではありませんか。今、国歌を一語一句国語的に解釈することができないような歌がどうして国歌たり得るのか、そこのところをはっきりさせていただきたい、これが第一点です。  二つ目は、総理は、国民的な定着論、事実上それが唯一の根拠でしかない。先ほども論議をしたけれども、世論がどんどん変わり出している。法案が提出される前は大体法制化については国論が二分していた。今は違います。七月十四日の毎日、賛成三六%、反対五八%。幾つかの世論調査もそうです。きょう私は、七月二十一日、きょう付の沖縄タイムスを送っていただいた。そこでどうなっているか。「君が代についておうかがいします。あなたは、君が代国歌として法律で定める必要があると思いますか。」必要あり二九%、必要なし六四%。日の丸国旗にすることについて、賛成三一%、反対五三%。あなたが言う世論の定着が見事に崩れたじゃありませんか。この際、白紙にしていただきたい。  以上二点。
  246. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 第二問のお尋ねの方からしますと、いろいろと調査はあろうかと思います。が、しかし、政府といたしましては、この問題につきましては、長年の国民における定着というようなことを考えますと、私は、国民の多くは今なお、この国旗国歌につきましては、日の丸そして君が代を支持しているものと理解をいたしておるところでございます。  それから、最初のお尋ねにつきましては、それぞれの名詞について御議論を申し上げておるということでなくして、この君が代というものにつきましては、既に官房長官から十分御答弁いただいておると思いますけれども日本国憲法のもとで、君が代は、日本国民の総意に基づき、天皇日本及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄を祈念したものと解することが適当であると考えておるわけでございまして、日本国憲法の主権在民の精神に反するものではない、このように考えておるところであります。
  247. 児玉健次

    児玉委員 一国の総理ともあろうものが、この君が代をめぐる世論調査の結果、民意の推移について、いろいろとあろうと思いますで済みますか。あなたは、いろいろとあるという形で、世論が大きく今、一つ審議を尽くせ、もう一つ法制化については適当でない、こういうふうに動き出していることを、いろいろとあろうと思いますという言い方で言ったけれども、それではあなたの立論が崩れたじゃないのですか。  もう一つ、一語一句の国語的解釈ができないような歌が国歌たり得るのか、答えていません。答えてください。
  248. 二田孝治

    二田委員長 児玉議員に申し上げます。  打ち合わせ時間を経過しておりますので、質疑を打ち切ってほしいと思います。——それじゃ、一点だけ、ひとつ。
  249. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 一語一句説明をせよということでございますので、長くなるかと思いますけれども、改めて申し上げさせていただきます。  君が代の「君」に関することにつきましては、君が代の歌詞そのものが、平安時代の古今和歌集や和漢朗詠集に起源を持ち、その後、明治時代に至るまでの祝い歌として長い間民衆の幅広い支持を受けたもので、この場合の君が代の「君」とは、相手を指すことが一般的で、必ずしも天皇を指していると限らなかったと考えられます。  ところで、古歌君が代明治時代国歌として歌われるようになってからは、大日本帝国憲法精神を踏まえ、君が代の「君」は、日本を統治する天皇意味で用いられました。  終戦後、日本国憲法が制定され、天皇の地位も戦前とは変わったことから、日本国憲法下においては、国歌君が代の「君」は、日本国及び日本国民統合象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指しており、君が代は、日本国民の総意に基づき、天皇日本国及び日本国民統合象徴とする我が国のことであり、君が代の歌詞も、そうした我が国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解することが適当であると考え、かつ、君が代についてこのような理解は、今日広く各世代の理解を得られるものと考えておるところでございます。
  250. 児玉健次

    児玉委員 質問に対してまともに答えられない。そういう中で、数の力で押し切ることがあれば、日本の歴史に汚点を残します。踏みとどまるなら今です。どうですか。  終わる。
  251. 二田孝治

    二田委員長 次に、深田肇君。
  252. 深田肇

    深田委員 総理大臣の耳には入っているのだと思いますが、社民党は、きょう採決するのはちょっと早いと一生懸命言ったのですけれども、きょう最後の番になりましたので、そのことを前提に申し上げた上で、総理に、五分間でございますから、二つに絞ってお尋ねして、お答えいただきたいと存じます。  いま一つは、きょうの午前から午後にかけて、総理が夕方ごろ三十分ぐらい来られるのではないかという情報をもらったものですから、実は、私どもとしては官房長官との間で十分間のやりとりを予定しておりましたけれども、時間の制限で五分間で総理とやりとりせいということですから、これはいろいろ考えました。何を今一番国民があなたに聞いてほしいと思っているかなということで、先輩、同僚の御質問も伺いながら考えましたことで、即興的に一、二申し上げておきたいと存じます。  一つは、総理というポストは、やはり尊敬されるポストだと思うのですね。いま一つは、やはり国民から信頼されなければならぬポストだと思います。そのことを考えて、国民が求めていることは極めて単純なことですよ。  ことしの一月の、国会が始まるときの施政演説で、総理の方から、本年度は何としても、盛んに今官房長官が使う言葉だけれども、二十世紀を全部清算をして、二十一世紀に向かっては国旗国歌をちゃんとやろうぜということを言われなかった。そうしたら、今回はこれはやらないなと皆国民は思ったと思うのです。ところが、何か新聞でぼこぼこ出始めたので、今度は参議院で二月でしたか、お尋ねしたら、私はその気はございませんと、これまた明確に答えられた。そこまで皆国民は知っている。そして今度、六月の二十九日の日の本会議で、その前にちょっと日にちがありますが、だっと段取りがあって、本会議場で提案され、質疑応答をするという状況があった。まさに、六月二十九日の本会議を見て、まあ全体的に言えば、現在の状況の中で、あ、これは本格的に始まったなということになるだろうと思います。  なぜそういうふうな意外な手法で、意外な手続でやられたんですか。素直に、やはり一月からやる、二月のときも考えています、それで、いずれまあと言うと思ったら、会期延長が決まったら、野中先生の声がばっと大きくなって、さあやろうぜということで出てきたことについては、国民はやはり、こういう場で、率直なあなたの腹を、何を考えておったかを聞きたいだろうと思いますから、その手法の意図は何があったか、その手続をねらったのは何をねらったのかということをちょっとわかりやすく、テレビの前で、皆さんの前でお答えいただきたいのが第一点。  第二点は、きょう採決しないでくださいとお願いした理由はどういうことかというと、やはり審議が足らない。もう時間がありませんから、皆さん、同僚がおっしゃったからその言葉に乗って言いますが、ずばり言えば、七月一日の日に五時間の、提案者である官房長官とのやりとりをしたのです、内閣委員会は。そしてきょうは二回目なんですよ。しかも、きょう午前中は連合審査で、文教でやったのですよ。きょう午後、わずか四時間、あなたが来たので延びていますが、総理大臣に三十分というのは短いと思ったら、やはり一時間かかっていますからありがたいことですが、それを含めてわずかに半日と半日で、あなたがおっしゃる二十世紀を清算して二十一世紀に向かおうという、我々の国の旗や歌を、国旗国歌をここで決めちゃおう。それは余りにも、冒頭申し上げたあなたの最初の意図がわからぬと同時に、これだけの審議の時間では何もできないじゃない。  しかも、あなた、意外なことは、今までの行政省庁の問題だとかいろいろなものに比べてみたら、物すごいペースで地方公聴会が持たれた。いいことですよ。加えて中央公聴会もやった。その次に参考人をと。あ、参考人もやりましょうと、参考人の公述もやってくれた。どんどん内外の声を聞いた。衆議院議員が、さあ今度は提案者である官房長官総理とやろうと思ったら、きょうで終わりだと言うんだ。これは審議不足。したがって、審議が不足だからもっと待ってくれと言ったら、職権でやるというんだよ、この委員長は。きょうの会議は職権でやる。それは、職権でもできるらしいから、職権に応じてここへ出てきておるけれども、職権でやってやるというやり方はいかがなものか。これは、同僚議員の自民党の人もわかるよ。ちょっと無理している。  このことをしっかり、この二つ国民説明してもらいたい。そうでないと、これは必ず禍根を残すだろうと思うよ。禍根を残すだろうと思いますから、だから、その点はどうぞひとつ丁寧な御説明をいただきたいと思います。
  253. 小渕恵三

    ○小渕内閣総理大臣 まず第一点、率直なところを申し上げますと、国歌国旗の問題につきましては、私自身、一国会議員としても、かねて法制化必要性考えてまいりました。しかし、この内閣といたしまして種々議論をいたしました段階におきましては、二月の段階でありますが、今次におきましては、私としてはそのように答弁を申し上げました。しかし、本会議におきまして、その後よくよく考えてみた結果、今回、この法律案を必要と考えました。  私、率直にということでございますので、この法制化につきましては、今年、日本共産党におきましても、朝日新聞発行の「論座」三月号で、君が代日の丸が、何の法的根拠もなしに、社会慣習理由に、一方的に国歌国旗として扱われていることとし、法律によってその根拠を定める措置をとることが最小限必要なことを強調されておる等の御主張も、いろいろと参考にさせていただいておりました。  また、ある意味では、広島におきまする不幸な石川校長の自殺というような問題もありました。私、日曜日のこの問題に対するテレビ番組を一時間見ておりましたが、当時、さかのぼりますと、教育委員会に対してなぜそうしたことを強制するかということについて非常に反論がございまして、テレビでも証言されておりましたが、法的根拠のないものにつきましてどうしてそうしたことをするという大変な反論をテレビの場面で拝見いたしました。一昨日のことではありますけれども、私自身、今回こうした形で法制化することの意義があったと改めて深く考えておるところでございます。  それから、二番目の、国会における御審議のことでございますが、この点につきましては、今私の立場で、法律を提案いたしております、国権の最高機関としての当国会、衆議院並びに内閣委員会における御審議のことにつきまして、私からこのことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、ぜひこれはこの委員会におきまして御判断して、政府といたしましては、提案いたしました以上、一日も早くこれが成立することを心から願っておる、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
  254. 深田肇

    深田委員 もう時間ないのですよね。だから終わらなければいけませんが、総理、一言だけ申し上げて終わります。  今あなたに、なぜ時間がかかってこういうふうな手続を踏んでおられますかについては、聞く限りにおいては、一つは、共産党が何か言ったからということをおっしゃった。それからまた、どこかのテレビで拝見していると、官房長官まで、いろいろ共産党対策のにおいを、まあ京都の厳しい経験があるのかもしれませんが、おっしゃっていますよ。これはいかがなものかと私本当に思いますよ。本当にそう思っておられるのなら、余りにも視野は狭いし、偏見だと私は思いますと、一つ、これは私の意見として申し上げておきたい。  いま一つは、広島の自殺問題を基本にしておられるけれども、それと相匹敵するような悩み事であるとか、校長先生が途中でやめられたり、子供たちが悩んだり、夫婦げんかが起きたりということは、何も今回の死だけではなくて、確かに死んだからいけないかということになると一つの事件でありますが、準ずるものはたくさんあったよ。我々はそういうことをたくさん聞かされた、現場に呼ばれて話を聞いたり。  きょうも盛んに教員組合と部落解放同盟を官房長官は分けて説明するけれども、分けなくていいんだよ。それは一緒になってやることになっているんだ、ずっと広島ではやってきたんだよ。悪いかどうか知らぬが、認めてきたんだ、今まで。それが、その中で死が誘発されたということを言って、部落解放同盟の名前を挙げて……
  255. 二田孝治

    二田委員長 深田委員に申し上げます。  予定時間を大分超過しておりますので、質疑を終了してください。
  256. 深田肇

    深田委員 中央はいいが、広島が問題だとあえて言っているけれども、そういうところまで言うことについては、これはやはり討論ができない、だから審議したかった。審議できない、採決というんだったら、私は、採決が早過ぎる、反対ということを申し上げて、終わっておきたいと思います。  以上。
  257. 二田孝治

    二田委員長 これにて総理に対する質疑は終了いたしました。  これにて本案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  258. 二田孝治

    二田委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
  259. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、日の丸国旗に、君が代国歌法制化するための国旗及び国歌に関する法律案に反対の討論を行います。  国旗国歌の問題は国民にとって重大な問題であり、これを決めていく上では、国民的討論が十分に保障されることが何よりも大切です。しかし、提案された法律案は、その内容の点でも決め方の点でも、民主主義の原則に真っ向から反するものであり、強く反対いたします。  以下、具体的に反対理由を述べます。  反対の理由の第一は、今、我が国の歴史上初めて、国旗国歌をどうするかをめぐって広範な国民的討論が始まっております。ところが、小渕内閣と自民党を初め与党各党などは、国民的討論が進みつつある真っ最中に、国論を二分する法案を十分な審議もなしに採決しようとしています。国旗国歌法制化を、国民的討論どころか国会でのまともな審議もやらないで、数を頼みに強行することはまさに愚行であり、断じて容認できません。  第二は、日の丸君が代国旗国歌にふさわしいものではないという点です。日の丸君が代は、日本がアジア諸国に対する侵略戦争を行った際に、そのシンボルとして使われました。君が代は、国会審議政府の新解釈でも明らかになったように、天皇の代、天皇の国をたたえる歌であり、日本国憲法が求める恒久平和、国民主権の原則に反することは明らかです。  第三は、国旗国歌国民に押しつけることは絶対に許されないことです。それは学校の場合も全く同じです。本委員会での質疑を通じて、学校現場への押しつけは憲法第十九条が保障している思想、良心の自由、国民の内心の自由への侵害になることがますます明らかになりました。また、教育的観点から見ても大きな問題です。政府も、日の丸君が代の扱いは内心の自由にかかわることを認めざるを得なくなっています。  法制化している国であっても、それを国民義務づけたり学校行事などに押しつけたりしないということは、近代国家ではどこでも実行されている世界の常識です。それにもかかわらず、法制化をする目的日の丸掲揚君が代の斉唱を強制しやすくしようとするものであることを政府が公言していることは、絶対許されないものです。  第四は、政府が唯一法制化根拠にしてきた日の丸君が代国民定着しているという論拠が、国会審議が進むにつれて崩れ、国民定着にはほど遠い実態が各種の世論調査を通じて次々と明らかになっていることです。  日の丸君が代法制化については、本委員会の公聴会、参考人質問でも賛否が相半ばに分かれたように、世論も二分されております。また、成立を急がず議論を尽くすべきという人は圧倒的多数となっています。しかし、法案を提出した内閣に対する質問は、わずか十三時間余りにすぎません。法制化の強行をやめよ、国民的討論を保障せよということこそ国民の多数の声です。議論抜きで問答無用で成立させてしまおうという姿勢は、断じて容認できません。  日本共産党は、十分に議論を尽くした国民的討論の中から、今の日本にふさわしい国旗国歌が生み出されてくることを確信しております。  なお、この点で、我が国国旗にふさわしいとは言えない日の丸法制化しようという民主党案には反対であることを表明し、討論を終わります。(拍手)
  260. 二田孝治

    二田委員長 次に、深田肇君。
  261. 深田肇

    深田委員 社民党の深田肇でございます。  私は、ただいま議題になっております政府提案の国旗及び国歌に関する法律案に反対する立場から討論をいたします。  さて、まず申し上げたいのは、この重要法案は、本国会の施政演説では提起が全くなく、加えて、二月二十五日の参議院予算委員会でも、総理みずから法案提出の意思がないことを表明されたにもかかわらず、会期延長後突如として提出され、六月二十九日の衆議院本会議から始まって、七月一日の内閣委員会でわずかに五時間の一般質疑を行い、これに続いて地方、中央の公聴会及び参考人からの意見聴取を行い、そして本日の午前中に、教育現場における出来事の審査を含めた文教委員会との連合審査、続いて午後から四時間半、内閣委員会の総括質疑を最後に、法案の採決へと進んでまいりました。このことからわかるように、内閣委員会審議は実質九時間半しか行われておりません。極めて不十分であります。  社民党は、この法案の慎重審議のために十分な日程の保障を求めてまいりましたが、内閣委員長の職権によって最終日を迎えたことは極めて遺憾であります。したがって、本日の委員会で本法案の採決をすることにも反対を表明いたしておきます。  さて、その上で、問題点について意見を述べます。  まず第一には、これまで学習指導要領を盾に、学校現場で国旗掲揚国歌斉唱が強制されてきたという事実があります。広島県で、学校現場のさまざまな意見や実施されている慣習ども無視して、卒業式での国歌斉唱を強制するよう県教育委員会が強く命じたため、県立の高校の校長が自殺するという痛ましい事件が起こったのであります。人の命すら奪う事態が起こっているのでありますから、まずはそれを回避するために、強制を行わないことが先決だと思います。それが逆に、法制化によって強制に法的根拠を与えようというのですから、日本国憲法が保障する内心の自由を侵害すると思うのであります。  第二は、日の丸君が代をどう認識するかについてであります。  いまだに日の丸君が代の問題が指摘されるのは、明治以来、日本が歩んだ侵略と植民地支配の歴史に深く関連していることは言うまでもないことであります。日の丸君が代をどう認識するかは、基本的に個人の内心の自由にかかわる問題でありますが、過去の侵略戦争、植民地支配のシンボルとしてアジアの人々に強制してきた歴史的事実を踏まえなければならないと思います。  戦後我が国は、過去の侵略戦争、植民地支配を真摯に反省して、日本国憲法のもと、平和国家、民主国家たるべく不断の努力を積み重ねてきたところだと思います。しかし、皆さん、アジアの諸国とその国民に対して歴史的な清算を行い、真の政治的和解をなさなければならないと思いますが、これができておりません。しかも、これは不十分そのものであると思います。  第三は、果たして日の丸君が代国民定着しているのかという問題でありますが、政府は、長年の慣行により定着していると言うのみで、何らその根拠を示していないのであります。むしろ、長年の強制により強制という手法が定着していると言うべきでありましょう。  国会に政府案が提出され、審議が始まってから、前にも述べたように、国会内の審議は不十分でありますが、国民の側の関心は日に日に高まり、各種の世論調査などでは、国会提出時に比べて大きく変化し、法制化反対、強制反対の意見が多くなってきておることは、御承知のとおりであります。この状態は重く見るべきであり、慎重に審議するのが義務だと思います。  さらに指摘すれば、君が代戦前戦中と、主権者たる天皇をたたえる歌として解釈されてきたのでありますから、主権在民をうたった日本国憲法のもとではふさわしいものではありません。  最後に、政府案は、その立法動機すら明確にされておらず、当然踏まえるべき国民的論議も十分なされておりません。したがって、数多くの重要な論点があることを踏まえ、また国会内審議も不十分であることから、広く国民的論議を保障し、その合意を得るまで行い、その上で慎重に検討すべきであることを申し上げ、政府案の撤回、廃案を強く求めて、討論を終わりたいと思います。  最後になりますが、残念ながら、民主党提案の修正案については反対といたします。  以上、終わります。(拍手)
  262. 二田孝治

    二田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  263. 二田孝治

    二田委員長 これより採決に入ります。  国旗及び国歌に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、河村たかし君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  264. 二田孝治

    二田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  265. 二田孝治

    二田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 二田孝治

    二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  267. 二田孝治

    二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会