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1999-02-10 第145回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十日(水曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 中沢 健次君    理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 小沢 鋭仁君    理事 福留 泰蔵君 理事 西田  猛君       逢沢 一郎君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       亀井 久興君    倉成 正和君       佐藤  勉君    桜井 郁三君       園田 修光君    竹本 直一君       虎島 和夫君    仲村 正治君      吉田左エ門君    生方 幸夫君       川内 博史君    原口 一博君       石垣 一夫君    遠藤 和良君       江崎 鐵磨君    矢島 恒夫君       横光 克彦君    中田  宏君  出席国務大臣         郵政大臣    野田 聖子君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         郵政大臣官房長 高田 昭義君         郵政省郵務局長 濱田 弘二君         郵政省貯金局長 松井  浩君         郵政省簡易保険         局長      足立盛二郎君         郵政省通信政策         局長      金澤  薫君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第四局長  増田 裕夫君         逓信委員会専門         員       平川 日月君 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任  吉田左エ門君     桜井 郁三君   生方 幸夫君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   桜井 郁三君    吉田左エ門君   川内 博史君     生方 幸夫君 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 中沢健次

    中沢委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉成正和君。
  3. 倉成正和

    倉成委員 自由民主党倉成正和でございます。質問をさせていただきたいと思います。  昨日の野田大臣所信表明の冒頭、郵政行政基本的考え方について、「この厳しい状況から脱し、経済を自律的に発展させることが現下の最重要課題」であること、そして、郵政省としては、「国民共有生活インフラである郵便局ネットワークを最大限に活用するとともに、情報通信高度化を一層推進し、日本経済再生国民一人一人が豊かで幸せに安心して暮らせる社会構築に貢献していきたいと考えております。」と述べられております。この考え方に全面的にかつ積極的に賛成する立場から質疑を行いたいと思います。  本日は、時間の制約のために、情報通信高度化の中でも特にその発展が期待されております地上デジタル放送早期実現のための施策を中心に質問させていただきます。  大臣指摘のごとく、日本経済再生景気回復国民共通の願いであり、最重要課題であります。このためには、産業再生と新産業の創出が不可欠であり、地上デジタル放送景気回復バイアグラともいうべき可能性があり、我が国の従来からの得意分野である情報通信産業製造業が再び元気を取り戻し、世界をリードするきっかけになることが期待されています。  我が国経済が二年連続のマイナス成長に苦しんでいるのに対して、米国においてはかつてない好景気と低い失業率を達成しています。この原因としては、東西冷戦の終結により、米国主導もと経済市場グローバル化市場経済の徹底と競争の激化、並びに産業社会情報化デジタル化の三つの大きな潮流が進展していることが挙げられます。  この中で、産業社会情報化デジタル化の進展は予想以上のペースで進んでおり、産業社会そのものを大きく変化させています。地上デジタル放送は、単に従来の放送事業延長ではなく、デジタル化により通信事業との融合が進んだ新しい産業としてとらえるべきであると考えます。  昨年十月に出された地上デジタル放送懇談会報告書においては、地上デジタル放送による経済波及効果は十年間で約二百十二兆円、また雇用誘発効果は十年間で約七百十一万人と試算しています。  地上デジタル放送については、政府として早期実現のための施策を行うことを強く望みたいとの観点から、幾つか御質問をさせていただきます。できましたら、事務方答弁ではなく、情報通信に造詣の深い大臣による政治主導の前向きの答弁をぜひともお願いいたします。  そこでまず、地上デジタル放送について、従来の放送事業延長として考えるのか、それとも、放送通信とが融合した新しい戦略産業として考えるべきなのかについてお尋ねしたいと存じます。  もし地上デジタル放送を単に従来の放送事業放送産業延長として考えるのであれば、特に産業政策を講ずる必要性は少ないと考えられます。しかし、通信放送とが融合した新しくかつ発展が見込まれる戦略産業として考えるのであれば、思い切ったデジタル化支援策を行うことにより、世界に先駆けて普及を推進することが考えられます。大臣の御所見をお願いいたします。
  4. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私は郵政大臣として七月三十日に小渕総理からお仕事をいただいたわけでございまして、経済再生内閣ということで、特に郵政省では、情報通信発展が今日の、そして二十一世紀に向けての日本経済再生のかぎであると位置づけて、これまでも政策大綱等をつくらせていただいていたところでございます。  その中で、デジタル革命ということで、今先生指摘通信またはパソコンはもう既にデジタルによって動いているわけでございますが、さらに、情報通信の主役の一人であるいわゆるテレビに関してもデジタル化を推進して融合させていかなければならないということで、恐らく国民の皆さんが今テレビ番組を見るに当たってはいろいろな方法があると思います。例えば、今御指摘の地上波、そしてケーブル、CSBSといろいろな形で今テレビ番組を見ていただけることになっておりますが、そのうちBSCS、CATVに関しては、デジタル化方向が決まっておりまして、それを推進している最中でございます。  そして、今御指摘地上デジタル放送につきましては、特に、昨年十一月の高度情報通信社会推進に向けた基本方針とか、またはことしの一月の産業再生計画の中において、この政府決定の中で、我が国経済社会発展のために大変重要であるということが位置づけられたところでございます。  御指摘のとおり、地上デジタル放送は、ただ単にアナログデジタルに変わるということではなく、デジタル化することによってさまざまな特色が出てくるわけでございます。例えば、一般的に言われているのは、画像がきれいになるということ、さらには、圧縮技術によって多チャンネルになり、より多くの番組視聴者人たちに選択していただける機会があるということ、そして、通信パソコンなんかの融合によって双方向性という形で、今までは一方的に見るだけのものが、見る側からいろいろなアクションが起こせるような、新しいものとしてデジタル放送が生まれてくるであろうということが予測されているところでございます。  その中にあって、やはり設備投資需要が起きます。さらには受像機需要も起きてまいります。さらに、デジタル化によってさまざまなコンテンツが必要とされてくるわけで、そういう政策に関する産業も必ず起きてくるということで、先ほどのデジタル懇談会に出てきました数字があらわされてきたのだと思っています。  そういうことですから、産業政策観点から極めて重要であると同時に、放送というのはもう既に文化というのをつくり出しているわけで、このデジタル化によってその文化向上がなお一層進むのだと私は受けとめているところでございます。  結論から申せば、御指摘のとおり産業政策面はもちろん、文化向上においても、この地上デジタル放送というのが二十一世紀に、我が国社会にとって大変貢献するものだと信じているところでございます。
  5. 倉成正和

    倉成委員 大臣、非常に前向きで積極的な御答弁、本当にありがとうございます。今大臣が御答弁のように、地上デジタル放送いうのがこれから発展が非常に期待される戦略的な産業であるという位置づけを政府としてもぜひとっていただきたい、そのためのデジタル化支援策も思い切った施策をやっていただきたいというのが希望であります。  さらに申し上げますと、今情報通信分野で、例えばインターネットその他の分野ではアメリカに比べますと五年から十年程度のおくれは少なくともあると言われておりますけれども、地上デジタル放送は、アメリカにおいてもイギリスにおいても、昨年始まりはしましたけれども、まだまだこれから行われるということでございまして、ここで思い切ったデジタル化支援策をやることによって、アメリカと並ぶあるいは追い越すぐらいのタイミングにあると思います。ぜひ、今後とも積極的にデジタル化支援を進めていただきたいと考えております。  そこで、次に、地上デジタル放送導入目標スケジュールに関して、地域格差情報格差をゼロにするというデジタル化支援策ができないものかについて、お尋ねしたいと思います。  大臣所信表明にもございますように、情報通信高度化である地上デジタル放送実現に当たっては、日本経済再生という産業政策としての観点と、国民一人一人が豊かで幸せにという福祉面地域格差をなくす観点とが考慮されるべきだと考えます。  先ほど申し上げました懇談会報告では、地上デジタル放送の開始時期を関東、近畿、中京広域圏では二〇〇三年末までに、またその他の地域では二〇〇六年末までにとしています。しかし、テレビ放送は、NHK民放も含めて、今や国民生活に不可欠の存在であり、データ放送など高度のサービスが期待できる地上デジタル放送メリット地域格差なく全国民が享受できる体制づくりが必要であると考えます。大都市圏とその他の地域との間で三年以上もの地域格差情報格差が生まれることに大きな懸念を覚えます。  デジタル化推進に当たり、中央のキー局はある程度自前で設備投資その他が可能でありますが、ローカル局に対しては国の強力な支援策が必要であると考えます。例えば、NHK民放による共同利用電波塔に対する公共事業枠組み等検討するべきではないでしょうか。  大臣の御所見をお願いいたします。
  6. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 情報地域間格差をなくしていくということは、これまでも国を挙げて取り組んでまいりました。現在も、民放テレビ放送難視聴解消事業というものがございまして、先生方の御支援をいただいて着実に進めさせていただいたところでございます。ですから、同様に、デジタル化を進めるに当たっても、今御指摘のとおり、情報地域間格差がないように一生懸命努力をしてまいります。  公的な支援につきましても、これは新しく理論を構成していかなければならないこともありますし、当然費用がかかってくる問題でありますので財政当局ともきちんと検討していかなければならない問題でありますので、ぜひとも委員のお力をかりながら前向きに進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  7. 倉成正和

    倉成委員 大変前向きの御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  今大臣の御指摘のように、従来にない枠組みをつくるというのは非常に大変な作業だと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、いわゆる情報通信分野では、インターネットその他では五年から十年、アメリカにおくれているということがありますけれども、この分野、今思い切ったデジタル化投資を行うことによって、アメリカを追い越す、あるいはリードする立場にもなり得る状況だと思いますので、ぜひ、新しい枠組み、これは大変な御苦労があるかと思いますけれども、自由民主党としても全面的にやっていきたいと考えております。  そこで、次の御質問をさせていただきたいと思います。サイマル放送についてお尋ねしたいと思います。  デジタル放送アナログ放送を同時に並行して放送するサイマル放送というのは、ある一定期間必要であると考えます。しかし、地域格差をゼロにする観点電波有効利用観点、また放送事業者の過大な負担を少なくする観点からも、サイマル放送最短期間にすべきであると考えます。一方、国民一人一人の福祉観点からは、アナログテレビ利用者利便にも考慮すべきであると考えます。  そのために、アナログ放送打ち切り目標年次目標普及率を明示し、例えば、デジタルテレビ普及が八〇%に達した時点を目標普及率とし、その際、引き続きアナログテレビ利用している視聴者に対しては、デジタルアナログ変換アダプターなどを配付するなどの施策により、サイマル放送を短縮することが考えられます。  これについての大臣の御所見をお願いいたします。
  8. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 サイマル放送の基本的な考え方というのは、今後、我が国放送デジタル化を進めるに当たって、では放送を構成している人たちはどういう人かということを考えたときに、まず放送を送ってくれる送り手放送事業者の人がいて、さらにそれを見る視聴者国民利用者がいて、そしてさらにはテレビを供給している、テレビ受像機をつくっているメーカー、この三者が存在して初めて放送というのが成り立っているわけであり、当然、アナログからデジタル移行するに当たっても、これらのそれぞれの人たちがそれぞれの立場で、デジタル化の効率とか利便性を自覚していただいて、円滑に進めていくことが大切だと思っています。  そんな中で、サイマル放送の意義というのは、デジタル化を進めていくことが将来大変国民にとってはいいことであるけれども、これは国が強制すべきことではない。  今テレビ受像機買いかえをいろいろと調査すると、大体年間約一千万台ぐらいのテレビ買いかえ需要があるという結果がございました。それを踏まえて、デジタル懇談会の中においても、約十年ぐらいあれば、強制的に受像機をかえるのではなく、利用者個人がみずからテレビ買いかえようか、そういう自然の中でアナログ受像機からデジタル受像機買いかえてくれるのではないか、そういう予想もとに、目安としてそういう時期を設定しているところでございます。  確かに、短期間にというお話もありますけれども、やはり大切なことは、スムーズに、また今おっしゃったように、アナログを使っていらっしゃる方の選択を尊重しつつ、デジタル化国民合意もとで流していくのが重要ではないかということで、そういう意味では今後検討の一つでありますけれども、まずはサイマル放送考え方がそういうものであって、これからそれぞれの御意見を踏まえつつ、先生にもどうしたらスムーズにそういうふうに移行できるかということを御示唆いただければありがたいと思います。
  9. 倉成正和

    倉成委員 今大臣から御答弁いただきましたけれども、確かに今一億台あると言われるテレビ、毎年一千万台ずつ買いかえられるということで、スムーズにいけば大体十年間買いかえが進んでしまうということでございますけれども、逆に言うと、そういうスムーズな移行、それから産業としていわゆる私が最初申し上げたバイアグラとしての役目を考えるとなると、二律背反の要素がございまして、やはり産業として急速に例えば立ち上げる、あるいはサイマル放送短期間にするというふうなことをやることによって、産業としての意味合いといいますか、設備投資の面でもいろいろな消費の面での意味合い、それからまた世界をリードするという意味合いも出てくると思います。  この辺は非常に難しいところでありまして、一方アナログテレビ利用者国民一人一人の利用者利便性福祉の面も考えることが必要でありますので、この二律背反をどううまく考えるかというのがこれからの課題になると思いますので、しかし、私といたしましては、ぜひ早期実現をする方向で、いろいろな弊害を防ぐ、先ほど申し上げましたように、デジタルアナログ変換アダプターを配付するなどの政策をとることによって、その弊害をなくすような、そういうことができないだろうかという観点でございます。  次の質問をさせていただきたいと思います。  地上デジタル放送に関連いたしまして、国民共通財産である電波利用計画のビジョンについて、また現在年間三百二十億円を超えると言われております電波利用料具体的使途につきまして、そしてまたこの電波利用料を今後デジタル化推進財源とすることが可能であろうかということについて、お尋ねしたいと思います。  電波国民共通財産であり、サイマル放送終了利用可能となるVHF帯及びUHF帯有効利用についても議論すべきであると考えます。モバイルでの需要などを考えますと、年間数百億円の電波利用料の徴収が可能であるとの試算もあります。この観点からも、サイマル放送最短期間とし、期間短縮による、追加的に得られる電波利用料デジタル化推進財源とすることも考えられると思います。  大臣の御所見をお願いいたします。
  10. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 御指摘のとおり、電波国民共通財産でございます。デジタル化が完了すれば、当然アナログ放送に使用されていた周波数がほかのことに使えるということを、可能性は当然もう既に想定しているところでございます。  完了後の周波数利用についてはこれからの検討ということで進めていきたいと思いますけれども、では、現在その電波利用料についてはどういうことになっているかということについて申し上げると、現在、電波利用料というのは、無線局免許人から徴収する負担金であり、電波の適切な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的とする事務に充てる旨電波法において規定をされているところでございます。  具体的にはということですので申し上げますと、平成十年度では、電波監視体制の整備、これに約六十五億円、さらに総合無線局監理システム構築と運用、これに約八十二億円、さらには周波数逼迫対策のための技術試験事務、これが約百三十億円、また、その他に約四十三億円の合計約三百二十三億円が予算計上されているところであります。  今後のことにつきましては、電波利用料というのが今申し上げたような電波法において規定されている中で、利用料を払う人の、現在の免許人負担に対することをどう考慮していいかとか、また、今後のデジタル化移行後の電波利用に関する受益との対応という新しい問題が出てくるわけで、それを慎重に検討していかなければならないなということを感じています。  何度も繰り返しますけれども、先生が御指摘のようにサイマル放送短期間になるということは非常に望ましいことですけれども、重ねて申し上げるのは、やはり見る側の人とのバランスを慎重に考えながら、無理のないように進めてまいりたいと思っているところでございます。よろしくお願いします。
  11. 倉成正和

    倉成委員 御答弁ありがとうございました。  これからどう電波利用していくのか、国民共通財産である電波をどう使っていくかについては非常に重要な問題であると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  次の質問をさせていただきたいと思います。  今地上デジタル放送実現するという方向検討が進められている中で、現在デジタル放送をローアーチャンネルUHF帯でやろうという話になっておりまして、そこでの移行チャンネルプランというのが話題になっております。ここの移行チャンネルプランについては、ぜひとも公的負担が必要であるという考えから御質問をさせていただきたいと思います。このためには、やはり新しい法的な枠組み検討も必要なのではないかということでお尋ねしたいと思います。  新たに地上デジタル放送用チャンネルを確保するため、現在使用中のUHF帯での移行チャンネルプランが避けられないものとなっております。この移行計画に対しては、次の観点から公的負担がぜひとも必要であると考えます。  一番目としましては、チャンネル変更に関しては、視聴者放送事業者にとっても何らメリットがないこと、すなわち、同じアナログ放送を、同じものを見るのに、視聴者にとっても全くメリットがないだけでなく、放送事業者にとってもメリットがないということでございます。それから、特にローカル局にとっては負担が非常に大きくなっているということが挙げられると思います。  それから二番目には、チャンネルプラン、この移行チャンネルプランのつくり方によっては負担の大きい放送局と少ない放送局が生まれ、公平な負担とならないことが挙げられます。  三番目には、電波法第七十一条にもありますように、このチャンネル変更というのはデジタル化推進といういわば国策、これからの国策のための公益上必要とされる変更に当たるということでございまして、電波法七十一条には、御承知のように、チャンネル変更その他の命令をした場合は補償するという項目もあります。  そういうことで、今公的負担が必要であると考えますけれども、その公的負担実現するためには、実は今の枠組みだけでは不十分であると考えまして、そのための新しい法的な枠組みを考える必要があると思います。そして、この移行チャンネルプランがスムーズにいかないと、デジタル化地上デジタル放送実現ということでは非常に問題があるということで考えておりまして、この件に関しましての大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  12. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 地上デジタル放送が、さきに申し上げたとおり、この日本経済再生というか活性化に大変重要なものである、そのためには、それを成就するためには、このアナログ、いわゆるアナログ変更というのが避けて通れない道であり、なおかつ、先生指摘のとおり、これは見る側にとっても事業者側にとっても決して得なものではない、負担だけが生ずるということで大変今議論をいただいているところでございます。  郵政省としては、まず、昨年十二月に発表させていただきましたチャンネルプラン、これもいわゆるたたき台として御理解いただきたいのですが、このチャンネルプランをいかに改善していくかということで、コストの低減、さらにいろいろな形で受信対策費用低減について今検討を実際行っているところでございます。  公的負担につきましては、この財源をどう生み出していくかというのは非常に重要なことでございますので、今御指摘いただきましたことを含めて真剣に検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  13. 倉成正和

    倉成委員 大臣から非常に前向きの御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。ぜひ、この移行チャンネルプランがスムーズに行われて、次の地上デジタル放送実現できる方向に行きますように心から願っております。  続きまして、最後の質問になろうかと思いますけれども、地上デジタル放送免許のあり方についてお尋ねしたいと思います。  まず、現在アナログ放送を行っている放送事業者に対しては、そのまま地上デジタル放送免許を与えるのかどうかというのが一点目であります。  二点目は、その場合の帯域幅は、いろいろ議論があると思いますけれども、アナログの場合の六メガヘルツとするのかどうか。六メガヘルツとしますと、HDTV、すなわちハイ・ディフィニション・テレビジョンの場合は大体一チャンネル放送可能であり、またSDTV、スタンダード・ディフィニションTVの場合は三チャンネル程度が可能となると言われております。  六メガヘルツという場合ですけれども、その場合は、例えば、サブリースといいますか、ある放送事業者が六メガヘルツの帯域を免許として受けた場合に、一チャンネルを従来型のチャンネル放送するとしますと二チャンネル分があくわけですが、その二チャンネル分について別の放送事業者に又貸しを認めることが可能なのかどうか、それを方向としてどういう検討をされているのか。  それから三番目に、この問題に関連いたすわけでございますけれども、サブリースの問題と関連するわけですけれども、新規参入事業者というか、これをどういうふうに考えておられるのか。この三点につきまして、大臣の御所見をお願いしたいと思います。もしあれでしたら、事務方の御答弁でも。
  14. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  今先生のお尋ねは三つに分かれたかと思います。  一つは、周波数帯をどのように考えたらいいかということでございます。法案の関係でどこまでお答え申し上げていいか、ちょっと先走っている点があるかもしれませんが、お許しいただきたいと思いますけれども。  法律上は、六メガヘルツを使うかどうかということは法律の事項にはならないのではないかと思いますけれども、およそこのデジタル放送メリットというものが発揮されるためには、少なくともデジタルハイビジョンを送るためには最低六メガヘルツ、今の技術水準では必要であるということ。それから、いろいろ先ほど大臣からも申し上げましたように、双方向テレビでございますとかあるいは多様な放送ができるというためにはやはり六メガヘルツということを前提に考えていかないと、せっかくのデジタルテレビというものの意義がやはり国民の皆様に還元できないのではないかというふうに考えております。  したがって、今の法律に表現されることはございませんけれども、六メガヘルツということで考えるのがよろしいのではないかというふうに思っております。  それから、今の地上放送先生のおっしゃったところは、例えば委託放送とかという制度との関係もあるかとは思いますけれども、今のところはやはり、将来は別といたしまして、デジタル放送の初期といいましょうか、当分の間はやはりその放送会社が六メガヘルツを十分に使って放送する、いわゆるサブリースというふうな形では必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。  それから、このテレビジョンでございますけれども、あくまでデジタルの技術が十分生かされるテレビジョン放送ということになるような、いろいろテレビジョンの定義なり考えてまいりたいと思っております。  以上でございます。  それから、新規参入でございますが、先ほど先生からも御指摘ございましたように、周波数調整を、それから今のアナログ放送を円滑にデジタル放送方向に全面的に持っていくということでは、やはり現在アナログ放送テレビ放送している方々が円滑にまずデジタル放送の方に行けるということが大事でございますので、やはり一定期間は今のアナログ放送の事業者が優先的にデジタル放送移行できるという体制が必要ではないか。したがって、新規参入ということについては、もうデジタル放送に移って、先ほど御案内がありましたように、たくさん周波数がまた生まれる可能性がございますので、そういう時点でまた新たな新規参入ということを考えていく方が、全体の長い目で見ての放送文化向上につながるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  15. 倉成正和

    倉成委員 地上デジタル放送に関しましては、非常に発展が期待され、そして、従来の放送産業延長ではなく、新しい産業として考えられる、発展が非常に期待されることでありますので、郵政省としてもぜひ強力な支援体制を組んで取り組んでいただきたいと思います。  持ち時間が終了いたしましたので、これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  16. 中沢健次

    中沢委員長 今村雅弘君。
  17. 今村雅弘

    ○今村委員 おはようございます。自由民主党、今村雅弘でございます。  きょうは貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、私は、郵便事業、それから時間がありましたならば、現在、国債の日銀引き受け等々が問題になっておりますが、そういったものについての郵便貯金等々の対応方について、時間があればお伺いしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  それで、質問の前にでございますが、私は、以前の逓信委員会におきまして、当時頻発しておりました郵便局におけるいろいろな、強盗事件でありますとか、そういったことにつきまして対応策をきちんと講じていただくようにお願いいたしたわけでございますが、ガードマンの配置等々、積極的にまた迅速に取り組んでいただきまして、現在非常に事件も少なくなっておるということで、郵政当局の対応に心より感謝申し上げる次第でございます。  そういう中で、本日、まず郵便事業についてお伺いしたいというふうに思っております。  先ほど来、倉成委員それから大臣のやりとりを聞いておりまして、大変世の中が進んでおるな、私たちはこういうアップ・ツー・デートな高度な情報化社会に本当についていけるのだろうかというふうに目を白黒させておったわけでございますが、私は、相変わらずのオールドファッションということで、郵便事業について多少お伺いしたいというふうに思っております。  昨日でございますが、大臣所信表明の中で、いわゆる郵政事業、特に郵便事業等について触れられたわけでございます。その中で、大まかに言いますと、郵便事業はなかなか厳しい状況であるということでございます。お手元にもちょっとお配りしたかと思いますが、簡単に申しますと、平成五年度から平成十一年度までにわたったこの収支、これは、私は、これも手書きのオールドファッションで簡単に書いてみましたが、これで言えますことは、費用はどんどん順調にふえるということかと思います。  これはさておき、問題はやはりこの収益の方でございまして、平成五年からずっと八年ぐらいまでは順調にふえるわけでございます。これは途中、料金値上げもございますが、八年度から九年度にかけて、収益が二兆三千三百六十二億から二兆三千百三十八億ということで、二百二十四億ほどダウンするということでございます。  そうした中で、平成九年から十年あるいは十一年等で見ますと、二百二十四億ダウンしたけれども、少し頑張って、九年から十年にかけては七百八十四億ぐらいふやしてやろうじゃないかということで取り組まれたことになっておりますが、結果としてはこれはショートして、平成十年度当初予算それから十年度の補正でいくと、収益だけでも千六百十二億ほど当初計画と差が出てしまったということでございます。これは単に、不況とかいろいろな事情もあるでしょうが、それだけで本当に済まされる問題なのか。むしろ構造的に、この郵便事業について、それを取り巻く環境に大きな変化が起きているんじゃないかというふうに私は非常に心配しているわけでございます。  こういったものにつきまして、個々の分析なり対策等につきましては後ほど事務方の方にも詳しくお聞きしたいと思っておりますが、大臣として、こういったことにつきましての基本的な認識、あるいはこれからの展望等についてどのようにお考えになっておるのか、基本的なことをまずお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  18. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 お答えする前に、防犯につきましては、先生方にもいろいろと御指導いただきまして、本当にありがとうございます。郵便局利用者の皆さんが安心して、また郵便局の職員も安心して利用でき、仕事ができるような環境整備に一生懸命努めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。  実は、きのうの所信表明におきましても、郵政三事業、その三事業すべて事業環境が厳しいということを申し上げました。先生がおっしゃったとおり、特に郵便業務収入が九年度の下半期からマイナス基調ということで、とりわけ郵便事業が厳しいということは、私自身十分理解しているところであります。九年度には、実は消費税の引き上げ分の約四百億円を事業でのみ込んでいるわけですけれども、その当時から比べ、現在の経済状況とか事業を取り巻く環境も随分さま変わりしてしまった、そういう認識を持っています。  そういう状況の中で、私としてはどう取り組むかということなわけですけれども、まずは営業面での努力、要するに、みんな郵政省総力を挙げて営業活動をやっていこうじゃないか、そういう取り組みを推進しておりまして、おかげさまで、厳しい経済状況にありましたけれども、去年の年賀はがきにつきましては、過去最高の販売を達成させていただきました。ただ営業だけではいけませんので、やはり今のニーズ、利用者のニーズにこたえられるような新商品の開発、販売ということにも努めてまいりました。モーニング10とか冊子小包という、今の社会にマッチした、そういう商品も売り出しを始めておりまして、これは順調に推移しているところでございます。  そういうプラスの活動とあわせて、やはり経費削減ということに真剣に取り組んでいるところですけれども、まず、新郵便番号制度を着実に推進することによりまして、その効率化によって、経費の削減とか、または定員の削減に向けて今いろいろ取り組んでいるところです。  具体的に申し上げると、この新処理システムによって、九年度と十年度で合わせて約四千百人を削減する、そういう取り組みができましたし、また、十一年度からは、新たに三年間で、地域区分局を中心としますけれども、本務者の方を非常勤職員にかえることによりまして三千二百四十人の削減を行うことを決めさせていただいたところでございます。  そうはいっても、まだまだマイナス基調を反転するまでにはいっておりません。今後、国務大臣としても、政府では十一年度はプラスの経済成長を全力で取り組んでいるところでございます。そういうことも相まって、今取り組んでいるさまざまなものを推進することによって、健全な事業の運営を維持してまいりたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
  19. 今村雅弘

    ○今村委員 ありがとうございます。  大臣のお気持ちはよくわかったのでございますが、ただ、私は、ただいま大臣のお話を聞いておりまして、どうも増収施策といいますか、そういったところにちょっとまだ力が足りないのじゃないかなという感じを受けました。  確かに、リストラなり、そういった合理化は必要だと思っておりますが、私は、昔国鉄にいた経験からいいまして、どうやって企業を発展させるかということは、やはり外向きにいろいろな知恵を出して、みんなが協力してやっていくというところに企業の発展があると実は思っているわけでございます。内部の合理化は、これは内部のことでございますからいつもできるでしょうけれども、外に向かってのときには、これにやはりみんな全力を挙げるべきではないかというふうに実は思っておりまして、若干不満でございますが、これはまた今後いろいろお知恵を出していただくということでございます。  それでは、ただいま大臣も認識しておりましたいろいろな形での増収対応ということでございますが、まず、なぜこういうふうに減っているのか、一体どういうところに問題があるのか、その分析、それからそれに対しての対応ということに絞って、実は事務方にもう少し詰めてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 ただいま先生から非常に厳しい御指摘をいただきました。  確かに、先生お配りになられました資料のとおりでございまして、平成九年度までは、これは決算数値でございます。九年度におきまして、事業の収益が三角二百二十四億円、三角の一・〇%でございますが、これは昭和五年の大恐慌以来六十七年ぶりでございます。今まで値上げもお願いさせていただきましたけれども、前年度の収入を絶対額で下回るといったことは、今のような形でもちろん戦後初めてということでございます。  この九年度でございますけれども、先生御記憶まだ鮮明だと思うのですが、九年度の上半期までは、比較的スムーズに、営業収入を含めて伸びておったのです。九年度の下半期から、大手の金融機関の破綻などをきっかけとして景気が急激に下がってきた。政府経済見通しでも、プラスだったのがマイナスということになってきまして、そういうような景気の動向に左右されておるところが非常に大きいと思います。  これは、歴史的に過去を分析しましても、GDPの伸びと郵便物数の伸びは非常にきれいな相関関係を持っておるところでございます。現実に、海の向こうのアメリカ、今非常に経済がいいわけでございますが、ここ三年、いずれも毎年十億ドルを上回るような利益を上げておるというふうに認識をいたしておるところでございます。  それで、景気のお話をさせていただいておるわけですが、何といいましても、やはり郵便のお客様で収入を上げさせていただいている多くのところは企業でございます。企業の御利用が非常に多いわけでございますが、非常に景気に敏感な企業の方で、いろいろな形でもって、端的には、結果としては郵便物数を少なくする、そして重量の軽い物を出すといった傾向が非常に顕著にあらわれておりまして、現在非常に厳しい状況に立っておるというところでございます。  後ほど、いろいろな対策について、お時間があれば御説明させていただきたいと思います。
  21. 今村雅弘

    ○今村委員 郵便事業は、普通の商売と違ってお客様がなかなか特定できない。もちろん企業関係は特定できるでしょうが、一般的には不特定多数の方を相手にするということで、その需要をどう分析していくかということについてはやはり難しいかと思いますが、できるだけ知恵を絞って、これは、地域密着という言葉がございますが、いろいろな形で現場の皆さんも頑張っておられますから、そういった方の情報を大切にしながら具体的な施策を打っていってもらいたいなというふうに思っているわけでございます。  それで、私、外からいろいろ言ってもしようがないので、一つ、提案と言ったらなんでございますが、実は、電報とレタックスの関係、これについてお聞きしたい。  といいますのは、私も、電報とかレタックスでは正直言って大変お金を使っております。それで、いつも思うのですが、電報なんかは大変高いな、それに比べてレタックスは安い。大体五分の一ぐらい、レタックスは五百円ぐらいですか、電報代で二千五百円ぐらいと聞いております。そういう中で、全体でいいますと、私もちょっとお聞きしましたら、レタックスの収入が八十億ぐらいですか、それから電報の収入が大体九百億ぐらいかな、約千五百万通と四千万通弱だというふうに伺っております。  私、正直言って、この電報、NTTでは大変厄介者みたいな扱いになっておりますし、これはやり方によってはもう少しうまくできるんじゃないか。先ほど言いましたように、これからの増収施策の一環として、郵政省も、この電報のニーズをもうちょっとレタックスで食うわけにはいかないかということの御提案でございます。  御存じのように、電報は基本的には文字だけ、レタックスはいろいろな形でアピールができるというその特性ですね。そしてまた、通信手段としても、昔と随分違うわけですから、即時性その他、あるいは配達性等についても余り変わらない。一体、なぜこれが、片一方は八十億、片一方は九百億、こんなに差があるのか。これについて非常に疑問を持っているわけでございます。  それについて郵政当局に聞きましたところ、いろいろ代金決済のシステムがなかなか難しいとか、そういった答えがちょっと返ってきておりますが、これらについてどういう御認識をしておられるのか、伺いたいと思います。
  22. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 まず、前段の関係で、先生の御指摘でございますが、現場の郵便局を非常におもんぱかっていただいて、ありがたい次第でございます。  先生、冒頭オールドファッションというお言葉を使われましたけれども、今情報通信を郵便事業にも取り入れるということが相当進んでおります。例えば、私の机のLAN端末に、夕刻になりますと全国二万の郵便局の業務収入がすべて上がってくるという状況でございますので、この辺、また個別にもレクをさせていただければと思っております。  そんなところで、そういう情報通信手段も活用しまして、現場の郵便局では、大口のお客様が特にでございますが、お客様ごとに、このお客様は今月何通郵便物を出されたか、その郵便物の種類は一種であったのか二種であったのか、料金は幾らかというのを全部把握いたしまして、そして、営業活動に、できるだけ特定性というのが必要だと先生おっしゃいましたので、そのとおりでございまして、活用させていただいておるところでございます。  ただいまのレタックスと電報でございますが、レタックス、電報とも実は今ピークを下っております。レタックスの方は八年から下がっておりまして、電報は四年から下がっておるというところで、私の方としては、電報はともかくといたしまして、レタックスにつきまして非常に危機感を持っておる次第でございます。  郵政局そしてまた郵便局とも、いろいろなレタックスの工夫、父の日レタックス、母の日レタックスとか工夫をしてもらっておるわけでありますけれども、基本的なところで、私の個人的な意見になるかもしれませんが、やはりPRがいま一つ足りないのではないかということも考えまして、久しぶりにこの三月から大々的に、ポスター、リーフレットを大量に印刷しまして、そして郵便局等でお客様に対してPRを、地道ではありますけれども効果的でもあろうと思いますので、始めさせていただきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  23. 今村雅弘

    ○今村委員 ただいまのお答えで若干不満があるのですが、私も、先ほど言いましたように、なぜ高い電報がこれだけ多くて、枚数でいうと、正確に言うと、九年度でレタックスが千四百九十二万通、電報が三千七百五十六万通、値段にすると約五百円と二千五百円、こういうふうに本来通信手段として遜色のない、あるいはむしろ優位なレタックスが後塵を拝しているのかということをもうちょっと分析してほしいということを言ったわけでございます。  そういう中で、端的に言うと、電報は電話のシステムでもって料金を徴収できる、レタックスは、郵便局にお願いしても、それを一々契約しておかないとこれは引き落としができないわけでございますから、そういったところに問題があるんじゃないかというふうに指摘したわけでございまして、この辺についてまたいろいろお聞きしたいと思いますが、ちょっと時間の関係もございますので、これはまた勉強しておいていただきたいというふうに思います。  それに関連して、実は郵便局でも、郵便局二〇一〇ということで、新しいビジョンをつくって取り組んでおられるわけですね。その中で、やはり地域に根づいたいろいろな郵便事業をやっていこうじゃないかということになっているわけでございますが、実は今言いました、郵便局のやっていく中で、そちらに配っておりますが、これはたまたま見ていたら、おとといの日経新聞夕刊にこんなものが出ていたので資料をお配りしております。  今コンビニがまさに国民生活インフラとして定着してきておるということで、大手十一社で約五兆四千億ぐらい売り上げがある、これでほぼ八割方カバーしているわけでございます。ここで今伸びているのが、ここに挙げておりますように、物販よりもサービスの需要であるというようなことを言われておりまして、これは、今後、郵便局が地域におけるワンストップサービスを含めていろいろやっているときに、ここと、ある意味では競合相手になるかもしれないし、あるいは、うまく郵便局とこことを組み合わせれば、大変な情報インフラをお互いに共有し合って、いいサービスができるんじゃないかというふうにも思っているわけでございます。  こういったものについて、若干ゆうパックその他でも提携等々を進めておられると思いますが、今後こういったところとの取り組みはどういうふうに進めていかれるつもりなのか、何かお考えがあれば伺いたいと思います。
  24. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 コンビニの活用につきましては、全く今村先生指摘のとおりに私どもとしても考えておりまして、かねて、例えば郵便切手類の発売所にコンビニになっていただくということで、もう三万店余のところでなっていただいております。さらにはゆうパック、今からさらにPRをしていきたいわけでございますが、ゆうパックにつきましても五千店強のところで取次所になっていただいております。  このような形で、コンビニエンスストアの持っておる特徴、メリットを最大限に私どもとしても活用させていただきたいと思っておりまして、今後さらにコンビニとの連携を深めるための努力を続けてまいりたいと思っております。
  25. 今村雅弘

    ○今村委員 それに関連して、今後の対策、いろいろなビジョンがあると思いますけれども、やはり郵便局自身も、まだまだサービスとしては、高度化、技術化社会といいますか高度情報化社会ということも含めて、何となく無機質なサービスが多くなってきているんじゃないかなという感じもしているんですが、むしろこれからは、こういうことができるかどうかは別ですが、郵便局でも、直接やるかどうかは別にして、コンビニ事業を展開するとかそういったことまで思い切ってやっていかれた方がおもしろいんじゃないか。  私は、先ほどリストラ云々でちょっとクレームを申しましたけれども、やはり郵便局が持っておるいろいろな資材、人材、ネットワークの関係、こういったものは大変な財産でありますから、これはできるだけフルに使うということでやっていってもらいたい。これは、やはり合理化ということになってくると縮小再生産で余りよくないんじゃないかということも考えておりますので、JRもそうでありますから、やはりいろいろな事業をこれから展開していくこと、しかもなるべく人間臭い事業もお願いしたいなというふうに思っておりますが、以上、お考えがありましたらお聞きしたいと思います。
  26. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 先生の、非常に私ども、特に現場の管理者や職員を激励づけていただけるような御発言、ありがとうございました。さらにまた先生の意を体しまして、やれることとやれないことはあろうと思いますけれども、全力で取り組んでまいりたいと思っております。ありがとうございました。
  27. 今村雅弘

    ○今村委員 それでは、ちょっとこの締めとして最後に一つだけ、答えられればで結構でございますが、これは大臣になるかもしれませんが、郵便局ビジョン二〇一〇、この中の「郵便局の改革 七つの提言」という中で、「郵便局経営効率化の推進」ということで、「手紙・はがき料金の二〇〇五年までの据置き」というのがうたってございます。昨今の収支状況を含めて、これについてはどのように考えておられるのか、よろしかったら伺わせてください。
  28. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 大臣に就任して以来、たびたびこのことについては御質問いただいておりますけれども、私としますれば、そのビジョンを十二分に踏まえて、国民利用者に迷惑がかからないように、今郵務局長いろいろとアイデアなり取り組みを申し上げましたけれども、その方向で進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  29. 今村雅弘

    ○今村委員 わかりました。それでは、新年度の予算も一応計画としてきちっとできておりますので、ぜひこれをしっかり実行できるように皆さん方頑張っていただきたいと最後にお願いしたいと思っております。  それでは続きまして、当初申しましたが、郵便貯金事業に関連してでございます。  不況の中、たんす預金とともに郵貯の額も随分膨らんでおる、およそ二百五十一兆ということでいいと思います。そうした中、やはりふえ方もほかの一般の金融機関の預金よりも、率としてちょっと多いんじゃないかなという感じも若干持っておりますが、それはそれとして、今郵便局でお集めになったお金、そういったお金の中で、いわゆる自主運用あるいは簡保で持っている国債が両方で大体三十四兆円ぐらいというふうに思っております。  そうした中で、今国債の大量発行ということで若干消化の面でいろいろ問題があるということなのかどうなのかわかりませんが、実質金利としては上がってきておるということでございます。その中で、今、日銀の買い切りオペレーションをやったらどうかとか、そういった広い意味での日銀引き受けということが言われておりますが、これについて、郵政として、これはもちろん郵政当局だけでできる話ではないということはわかっておりますが、一応お金を皆様方からお集めになってお預かりしている責任ある立場として、こういったものについて今後どういうふうに対応していかれるのか、基本的な考え方、国債引き受けについて積極的に取り組むのかどうか、これについてお考えがあれば教えていただきたい。
  30. 松井浩

    ○松井政府委員 最近の国債の金利上昇、特に長期金利の急上昇というのが連日マスコミの紙上をにぎわしておるところでございますが、これとのかかわりでの御質問でございます。  まず、スタンスだけ率直に申し上げますと、私どもの郵便貯金は、金融自由化対策資金という形で自主運用をさせていただいておりますが、その資金は、基本的に長期安定的な運用を心がけております。実際には、年々計画を立てまして、そして、現実にポートフォリオで申しますと、約四八・三%が国債になっております。既に半分抱えております。新年度の国債におきましても、政府が発表しております国債発行計画の中で二兆七千五百億の引き受けをする予定で既に組まれております。  こういった部分につきましては、基本的に投資判断をベース、それ以外のものについてはそのときの経済変動等もございます、そういう中で投資判断としてやっておりますが、世の中の金利を操作するために、あるいは債券価格の相場を維持するためにと、そういったことはできないものだというふうに基本的にまず考えております。  それからもう一つの点ですが、全体の資金循環との関係で申し上げますと、私どもの自主運用の資金というよりも、全体のお金があって、郵貯のお金で申し上げますと約二百五十兆を現時点では超えておりますが、二百五十兆のお金が一応は全部大蔵省の資金運用部への預託金という形で行っております。この中で、大蔵省が八十兆を超える国債を既に持っております。これだけじゃありません、年金の資金もありますが、合わせて八十一兆を超えるお金を既に長期国債に投資しておられます。  そういう全体の長期資金の循環の中で、今回の話は、大蔵省の資金運用部の引受予定額は、資金運用部自身で買う国債の予定額が減ったということが今回の世の中の変化の転機でございます。より大きな流れの中で決まっておりますので、なかなか、今の今村先生のそれぞれにお答えするというのは難しいということになろうかと思います。より大きな資金の流れの中での問題でございます。
  31. 今村雅弘

    ○今村委員 いろいろな計画があることはもちろん承知しているわけですよ。だけれども、予想以上に郵便貯金の残高がふえるというような事態が起きるわけですね、計画よりも。そういった場合にどのように対応されるんですか、全く大蔵省任せですか、郵政当局は一切口は挟みませんか、それをお聞きしているわけです。
  32. 松井浩

    ○松井政府委員 私がお答えしたかったのは、むしろそういう変化に対して大蔵省の方で対応してこられた、つまり財投計画とそれ以外の余資運用という形で、それでたくさん国債を買ってこられた、そちらの方がむしろ調整弁になっているということであります。
  33. 今村雅弘

    ○今村委員 これについてはいろいろ難しい問題があることは承知していますが、やはり、私お金を集める人、私配る人、私使う人、こういうばらばらの構造になって進んできたところに財政投融資の問題がある意味ではあるんじゃないか。ですから、これから先は、私集める人だから使い道は知らないよというようなことについては正直言ってどうかなと実は思っております。  こういったものについて、今後いろいろ、大きな金融行政の変化の中で、郵政当局もそういったことについては、今後で結構でございますから、十分心をして、集めるだけの責任ではない、集めた以上はその使い道についてもやはりある程度関心を持っていくということをひとつ持ってもらいたいなということを最後に御要望しておきます。
  34. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 最後に、これから省庁再編に伴って郵便貯金のお金も全額自主運用の形で進められていくことになっておりまして、郵政省の方でも、既にそれに備えての研究会を郵政大臣もとでやっております。その中で、今先生が御指摘のことを踏まえて、そういう無責任なことがないようにやっていきたいと思いますし、また郵便貯金とか簡易保険の運用というのは、あくまでも加入者とか貯金をしている方たちのメリットになること、さらにはその事業の健全化のために資するものということで運用させていただいておりますので、御理解いただきたいと思います。  以上です。
  35. 今村雅弘

    ○今村委員 どうもありがとうございました。
  36. 中沢健次

    中沢委員長 西田猛君。
  37. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  自由民主党委員の方に続いて質問させていただきますが、質問の順番とか座っている場所が急に変わっちゃったじゃないかとお思いになる向きもあるかもしれませんが、これは私どもがかねて主張していた政策を党と党がともに携えて、今混迷のきわみにあると思われる日本をこれからどのようにしていくか、確たる政権をつくって、そして老後及び将来に対する漠然とした不安をお持ちの国民の皆さんがなかなか消費に向かうことができない、そのことが日本経済混迷の大きな原因の一つでございますから、そういう将来への不安を払拭できるようにしていきたいというところから、今回一緒に内閣を組成しようという話で今の政権ができたわけでございます。  したがいまして、私どもが考えておりますところは、だれが内閣総理大臣でも、どの党が政権党であっても、そんなことは国民の皆様にとっては関係のないことであって、よい政治が、すばらしい政治ができればいいという思いで今日に至っているわけでございます。したがって、どうぞこれからの郵政行政におかれましても、我々の意のあるところをお酌み取りいただきまして、邁進していただきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、ある意味で余談でございますけれども、委員会の配置というものも、今国会をもって、この国会で政府委員制度廃止、そして副大臣設置法案を通すことになっておりまして、このようなスクール形式ではなくて、言うならばイギリスの本議会のような対面方式になりまして、そして与党側の委員の中には、今でいえば野田郵政大臣、そしてきょうは御出席でないようですけれども佐藤副大臣、それからその他の副大臣と政務官が入る。  その方たち、これらがすべて国会議員になるわけですけれども、その方たちが御答弁をされて、それに対する野党の方はいわばシャドーキャビネットのようなものをおつくりになって、そのシャドーキャビネットの中の郵政大臣あるいは郵政副大臣、政務官に当たられる方がいろいろと政府の施政方針について質疑をされるという討論方式になっていくと思われております。  そのような中で、私も役人を長年やっておりましたけれども、役所の方たちには、本来の政策立案そして予算、法律に基づく執行、その任に当たっていただいて、国民福祉そして危機管理の任に当たっていただくということになるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、このような形式の国会も今国会をもって終わるのかと思うとなかなか懐かしいものがありますので、味わいながらこの国会を過ごしてまいりたいというふうに考えているところであります。これもすべて、主権者である国民の皆様、そしてその国民の皆様から直接選ばれた代表であるところの国会議員が主権の行使者として国民に直接責任を負っていくということの流れでありまして、迅速に、スピードを持ってこの経済構造改革あるいはいろいろな構造改革に当たっていかなければならない、このように考えるところでございます。  さて、そのような中で、郵政行政及び情報通信行政をつかさどる郵政省の役割は二十一世紀に向けてますます重要なものであるというふうに私どもも認識しております。  ところで、これは郵政大臣にお伺いしたいのでございますけれども、二〇〇一年からの省庁改革によれば、郵政省は今の総務庁それから自治省などなどと一緒になりまして、総務省という大きな役所を組成することになっております。また、いわゆる郵政三事業においては、当初においては郵便事業庁の形になりまして、また二〇〇三年ごろには公社化をされる予定になっております。このような中で、ますます重要性を増してくるこの郵政行政情報通信行政について、そのあり方、体制そして基本的方針などについてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  38. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 お答えいたします。  まず、省庁再編ということで、総務省に移行する、大変大きな役所になる。しかしながら、私たちが今抱えている情報通信行政にせよ郵政行政にせよ、これからのニーズがどんどん増大してくる中でちゃんとやっていけるかどうか、そういうこともあろうかと思いますが、今先生が御指摘のとおり、政府委員制度が廃止になりまして、大臣もとで、副大臣、複数になるかどうか、いずれにしてもそういう専門的なチームができるということで、役所自体は大きな一つのものに統合されますけれども、情報通信行政、郵政行政というのは、それぞれやはり特色を持って、また中心的に、専門的に進めていかなければならないなということを痛感しているところでございます。  先に情報通信について申し上げるならば、もう既に、申し上げるまでもなく、今日本世界もそうですが、情報通信というものが経済とか文化とか教育とか福祉とかさまざまな分野を支えている基盤ということは皆様御承知のとおりでございます。私たちがこれからやっていかなければいけないことは、その情報通信というものが、利用者の視点に立って、そしてだれでも公平にそのよさとかすばらしさを味わっていただく、そういう環境をつくっていくことではないかということを考えているところでございます。  具体的にどういうことをしていかなければいけないかというと、まず大もとの基盤の基盤であるネットワークをきちっと国に張りめぐらしていかなければいけないねということで、今進めている光ファイバー網、これを全国きちっと配置していくことも重要ですし、今取りざたされているインターネットも、先ほどもアメリカに随分負けているんじゃないかという話がございまして、まさに御指摘のとおりなんで、次世代、二十一世紀にはインターネット利用する側も、それを使う人たちも互角に世界とやっていけるような、そういう基盤をつくっていかなければならないということが第一点だと思います。  さらに、高度化される、例えばインターネットなんかも、今なかなか使い手がいない。要は、キーボード教育がなかったりとか、英語教育も関係あると思いますけれども、学校教育の中においてのそういう情報リテラシーが十二分でなかったということで、これも急務の、将来を担う子供たちがそういうものに対して抵抗なくスムーズに入っていけるような環境整備をしていかなければならないと思います。  さらに、次世代インターネットというのは、諸外国と互角に頑張っていこうということですけれども、少し欲張りましてやはりリーダーシップをとりたい、これからの情報通信に向けて世界のリーダーとなりたい。そういう希望の中で、日本では、ギガビットネットワークという大変高速のネットワークシステムを技術開発していこうじゃないか、そういう取り組みもしております。  さらには、情報通信というのは内なるものではなく、これからの高度化された情報通信というのは完全にグローバルなものでありますから、国際的な協調とかそういう交渉事がふえてくると思うのですね。そういう中にあって、ITUとかAPECまたはOECDみたいな、そういう国際舞台においてきちんと展開ができるように、諸外国とスムーズな情報通信のやりとりができるような、そういう対応を進めていきたいと思っているところでございます。  郵政事業につきましては、所信では三事業は大変厳しい、今も御指摘がありましたが本当に厳しい事業環境ですけれども、まず大切なことは、全国二万四千六百あると言われている郵便局のインフラ、ネットワークというのは国民財産であるわけで、さらに三事業、いわゆる郵便、貯金、簡保以外の、それ以外の多角的なサービスを活用することによって、国で最も身近な機関という位置づけをこれからつくり出していかなければならないと思っています。  そういう目標に対して、今少しずつ進めていることは、やはり民間とタイアップをしていこうじゃないかと。もう既に始めていることでは、民間金融機関とATM接続がスタートしていますし、民間の運送会社の方たちとはチルドゆうパックという物流の相互乗り入れをやっておりますし、またさらに、ワンストップ行政サービスといって、これは先生がいらした自治省に大変御理解をいただいて進めていかなければいけないことなんですが、今それぞれの役所単位でばらばらに交付されている行政サービスの文書等を一番身近な郵便局で利用者が一括に受け取れないかというような、そういうものへの取り組みも進めているところでございます。  総じて申し上げるならば、総務省に移行することによって、今まで地域の面倒を見てこられた自治省と一緒に仕事をさせていただくということで、地域行政の情報化を進めることができるんじゃないか。または、自治省や総務庁と力を合わせて行政のデータベースを共有化することによって、そういう情報通信高度化も期待されますし、また、先ほど申し上げたワンストップ行政サービスはまさに地方の人たちのためのものであるので、そういった意味では、総務省になり他の役所と融合させていただくことで、さまざまなメニューが展開できるのではないかと期待しているところであります。
  39. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今、野田郵政大臣の方からいろいろとお話をしていただきました。例えば、郵政省が自治省あるいは総務庁と一緒になるのは、どこにも行かなかった三つを寄せ集めたんじゃないかとかいろいろな批判がありましたけれども、今、野田大臣がおっしゃったように、確かに郵政省と自治省という、地域、地方を管轄しているところが一緒になれば、これはいろいろなメリットが出てくるものと私も思います。  今、非常に積極的に前向きにこの省庁の統合を機能せしめていきたいという御発言がありましたので、私どもも非常にすばらしいことだなというふうに考えております。  そのような中で、ネットワークの構築でありますとか、いろいろ、大臣が今おっしゃった郵政行政あるいは情報通信行政の今後のあり方の中で、やはり解決していかなければいけない問題というのは幾つかあるのだと思います。  いろいろありますけれども、まず第一に、我々が一番気になりますのは、ネットワークというものが構築されていった場合のいわば影の部分がいろいろと生じてくるだろう。その中でも、例えば、表現の自由とネットワークのディセミネーションといいますか発出の問題があると思うのですね。  例えば、責任ある自立した成人に対しては性に関する表現も本当に自由だけれども、他方、その反面で、成長過程で人格に可塑性のある青少年あるいは少女に対しては、それらの性表現に対して、あるいは有害な情報、有害な文書図画との接触が非常に厳格に制限されている、そういう欧米というものがあります。  他方において、我が国は、大人に対する性表現、これも何でもかんでも自由であっていいというものではないですけれども、そういう大人に対する性表現にどちらかというと表現を損なうような制限が見られる、変な、ぼかしといいますようなものが入ったりするものがある。他方で、青少年、少女が実に容易にそういう有害な情報あるいは有害な文書図画に接することができる。やはり驚くべきことでありますけれども、どのものという特定はいたしませんが、一般のコンビニエンスストアあるいは一般の本屋で売られている文書図画、雑誌に、青少年が見たら本当に驚くばかりの表現あるいは写真がある、そういうものに容易に接することができるというのが我が国の現状であるわけです。  こういうふうに非常に、規制と実際の教育に対する真髄というもののインバランスが日本には生じているのではないかなということを私ども常々思っているわけでございます。  そこで、これは特に郵政省の所管というわけではないのですけれども、やはり放送行政を所管しておられる郵政大臣のお立場で、これらの表現の自由ということと、これからの日本を、あるいは世界の平和と安全をしょって立っていっていただかなければいけない青少年、少女たちの教育というものの問題点の整理についてお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
  40. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生が御指摘のとおり、表現の自由とまた青少年の健全育成というのはともに尊重していかなければならない、そういうふうに受けとめております。  しかし、特に子供たちに対しての事柄ということに限定させていただくならば、国連の方では児童の権利条約というのがございまして、既に日本も批准しているわけですけれども、その専門委員会の方から、日本は、視聴覚メディア等の有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童を保護するため、法的なものを含めてすべての必要な措置をとるよう勧告を受けているわけでございます。ですから、これはもう真剣に受けとめていただきまして、これから政府においても一丸となって対応していかなければならないことだと思います。  ただ、メディアだけがということよりも、やはり、全体的な問題として、今の大人である私たちがそういう性表現に対して子供をどう保護するかということもきちんと議論をしていただかなければならないと思います。  例えば、インターネット普及してまいりまして、今十人に一人ぐらいがインターネット接続を我が国でもするようになりました。当然さまざまな性的なものが出てくるわけでございまして、これに関しては、まず郵政省としてできることは、技術的に子供たちからそういうものをシャットアウトしようということで、フィルタリングシステム、そういう有害なものをあらかじめ機械によってカットできるようなシステムやソフトの技術開発に取り組んでいるところであります。あわせて、インターネットの事業者の人たちに、ガイドラインみたいなものをつくっていただいて自己規制をしていただき、やはりそういうものは削除していただくように支援を要請しているところであります。  ただ、私個人としても、それは子供が見るというポルノもあれば、子供をモデルにしたポルノというのも実は児童ポルノといって、これは今超党派で議員立法という形で進めていますけれども、なかなかこれも日本の法制度の中で成立しない、何年もかかってもなかなか表現の自由という言葉のもとで成立し得ないわけですけれども、やはり、今の日本の大人がどう子供たちを守るか、そういう基本的なことをきちっととらまえてから物事を進めていかなければならないなということを日々痛感しているところでございます。  先生にはリーダーシップをとっていただきまして、よろしくお願い申し上げます。
  41. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ただいまの御答弁、本当にありがとうございました。  同じく放送メディアの問題点の一つに、やはり放送内容の公正さ、正確さというものがあるんだと思います。ただ、これは、放送、特に報道の自由というものとの関連が非常にありますので、非常に難しい問題になってくるのだと思います。  そのような中で、ここのところ話題になっておりますのが、ある地域で、ダイオキシンにそこの地域産の野菜が汚染されている、そのことの報道がなされて、多大な被害、一般には風評被害とも言われていますけれども、そういうものが生じている地域があって、昨今話題になっておりますね。具体的には埼玉県、特に所沢市を中心にしたところだと思うのですけれども。  これは、きょうもテレビ局の方も来ておられると思いますけれども、報道の公正さ、正確さということと、それから報道の自由の絡みの中で、こういう事態が起こることについて、どういうふうに対処していくのか、我々としても、逓信委員会としても真剣に考えていかなければいけないのだと思います。  そこでまず最初に、今私が申し上げた、野菜がダイオキシンに汚染されたという、そういうある民放テレビ報道によって深刻な風評被害を受けているという地域がありますけれども、その事実関係について、今わかっている限りのことを教えていただけませんでしょうか。これは大臣でも事務当局からでも結構でございます。
  42. 品川萬里

    ○品川政府委員 事実関係というのは、報道の中身についての事実じゃなくて、報道された事実があるかということについて申し上げます。  報道そのものについて申し上げますと、先生社名をおっしゃっておりませんので、ある民放と申し上げておきますけれども——テレビ朝日からこのような報告を受けております。  平成十一年二月一日にニュースステーションで、埼玉県所沢市の葉っぱ物はダイオキシン濃度が高い等の報道を行ったという報告を受けております。それ以降、二月四日の報道の中身についても報告を受けております。六日には、テレビ朝日に対しまして、埼玉県からデータ提供の要請文書が出されたということも承っております。二月八日には、テレビ朝日に対して、所沢市の市民の方が質問状を出されたということも承っております。  ただ、私ども、報道された中身についての事実関係というのは大変専門的、科学的な分析を要するところでございまして、これも私ども直接は、今これについて事実関係はどうかということについては判断する状況にはございません。
  43. 西田猛

    ○西田(猛)委員 報道されたことが事実だったのかどうかということの吟味を要求しているのでは当然ありませんで、それは郵政省でできることではございませんが、そのテレビ朝日のニュースステーションの番組の中でどういう表現で報道されたかということを、これは郵政省事務当局において把握しておられるのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
  44. 品川萬里

    ○品川政府委員 私どもの承知しているところでは、直接テレビを私自身が見ておるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、二月四日のテレビ朝日からの報告では、ニュースステーションで、所沢市には積極的に生産者や市民を守る姿勢が見られないというような追加報道があった、二回にわたる報道があったというふうに、要旨でございますけれども報告を受けておるところでございます。それはそのとおり、そういう報道があったということは我々も承知しておるというところでございます。
  45. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今品川局長は、私たちも実際、事実関係をテレビ朝日の方からいただいておるのですけれども、その要旨の要旨ということで、多少まだ不備な、先生の方で納得いかない点があるかもしれません、すべて読み上げるとかなり時間がかかりますので割愛させていただいているわけですけれども、実際にそういう報道を、今品川局長が言ったような報道をしたということはテレビ朝日の方から報告を受けているところでございます。
  46. 西田猛

    ○西田(猛)委員 実は、今でもそうなんですが、かなり前から私の地元の大阪府の豊能郡、豊能町、能勢町という二つの町から成るのですが、そこのごみ処理センターからまた高濃度のダイオキシンが検出されたという、そのことは事実なんですけれども、それに関するいろいろなメディアの報道によって、今回の所沢と同じようなケースで、そこから産出される野菜が全く売れなくなって大変困ったことになっているという風評被害を受けている事実もございます。  こういうふうに、放送メディアというものはやはり一般社会への影響力が非常に大きいわけでございます。それらのことにかんがみまして、特に報道については公正さ、正確さが要求されますし、そのことは放送法の中にもきっちりと書いてあるのでありますけれども、この種の報道について、そういう放送事業者の報道のあり方、そして、もしも事実関係あるいは因果関係が認定された場合の法的な責任の有無、それから法的責任にまで至らずとも社会的な責任の、これは有無というよりもその担い方でありますね、そういうことについての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  47. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今先生指摘のことなんですけれども、一般的に申し上げるならば、放送というのは、放送法で規定しているように、真実及び自律の原則に立って放送することが期待されている、放送事業者がこれらの原則を十分自覚していただき、事業に当たるべきものだと考えているところでございます。  これに限らず、やはり放送を行う事業者は、受け手である視聴者との間の対話を積み重ねていただく中で、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、放送が生み出す文化を豊かなものにしていただきたいということが私の願いでございますが、今現在は違反していると判断できる状況ではないわけでございまして、それは引き続き注視してまいりますけれども、そういうことが仮にあれば、いろいろな形での、かつても注意をさせていただいたこともございましたので、そこら辺は検討させていただきたいと思います。
  48. 西田猛

    ○西田(猛)委員 検討していただきたいと思っておりますけれども、どうでしょうか、これは事務当局からでも結構ですが、放送法の規定ぶり、書きぶりから考えて、今回のような事実があればどういうことが想定されるのかということをちょっと教えていただけるでしょうか。
  49. 品川萬里

    ○品川政府委員 ただいま大臣がお答えになりましたように、基本的に今放送法に違反するというような事態にあるとは私ども認識しておりませんけれども、仮に今回の報道の中身が、一般論として申し上げますと、報道を見た方が、これは事実と違うという場合には、訂正放送を求める制度がございます。これは放送法の第四条にございます。放送された側がこれは真実でなかったということを認められた場合には、訂正放送をするという仕組みがございます。それが一つの、問題の解決と申しますか、放送の自律のもとの真実報道を追求する一つの道かなと存じます。  それで、放送法にもございますけれども、もとよりこれで裁判ということは、それはそれである道でございますし、それから損害賠償が生じた、必要であるという場合にはそれはその道があるということでございます。ただ、一つの事象についていろいろな角度の問題があろうかと思いますけれども、それは、それぞれの法益と申しますか、法律の求めているところによって、それぞれ御所管の省で対処されるべきではないか。私どもは放送法の立場から、今訂正放送制度というのが一つ、真実の報道が形成されていく一つの道として整備されているというふうに思っているわけでございます。今後よく事態の推移を見まして適切に対処してまいりたいと存じます。
  50. 西田猛

    ○西田(猛)委員 先ほど大臣も言われたように、やはりメディア文化というものが豊かであってほしいというのは我々の共通の願いでありますけれども、他方、メディアの影響力というものの大きさを考えれば、これらの放送事業者の方たちにおけるある意味での非常な決意が求められているところではないかなというふうに思いますので、これらの事態についても、私ども逓信委員会としても注視をしながら、今後ともよりよいメディア文化の創造に向けて活動していきたいなというふうに考えているところでありまして、そこはもうまさに大臣と同感でございます。  それでは最後になりますけれども、いろいろな問題点を大臣指摘された中で、やはり情報通信分野の競争ということが担保されなければいけないと私は思うのであります。  そこで、簡単な質問でございますけれども、情報通信分野の真の、本当に有効な競争市場がつくられていくために、緊急にとるべき施策、それから中期的な戦略あるいは長期的な戦略、この三つのタイムスパンに分けた大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  51. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 緊急、中期、長期と切り分けるのが大変難しくて、今も切れ目なくいろいろと取り組んでいるところなので、先生のリクエストに十二分にこたえられる答弁ができるかどうかわかりませんが、今までやってきたこと、それと今抱えている問題点、さらにはこれからやっていくことについて私の方から答弁させていただきたいと思います。  重要であるということはもう既に何度も申し上げたとおりで、そのために、今まで国としては何をしてきたかというと、一番大きいのが、昭和六十年のNTTの民営化が始まりまして、具体的には、平成九年には接続ルールを策定、同じく九年には公—専—公接続の自由化、十年には外資規制の撤廃、そして平成十年には料金の原則届け出というような規制緩和の推進、民間の人たちに元気よく競争していただこうということでの、そういう応援体制をとってきたところであります。  ただ、現実の問題として、特に地域通信市場においては実質的な独占状態が続いておりまして、内外事業者の方々から、これをどんどんフェアな競争ができるようにしてほしいという要望が来ております。そのために、私たち郵政省としては具体的に何に取り組むかというと、ことしに予定されているNTTの再編を着実に実施していくこととか、接続ルールを一層強化するというか、フェアな競争ができるような形に持っていく。  どういうことかというと、例えば、長期増分費用方式みたないものを取り入れるとか、優先接続または番号ポータビリティーの導入、そういうことを実際に既に検討し、今も検討を重ねているところであります。あわせて、ネットワークのあり方も、無線システムを導入することによって、そういう既存のものと競争関係に、新しい事業者ができるような、そういう基盤の整備についても検討しているところであります。  そういうことが有効競争のための一つの私たちのやるべきことではないかということで取り組んでいますが、あわせて、どんどん情報通信高度化してくることによって、影の部分、さっきおっしゃった影の部分の中には、そういう表現の自由のみならず、パスワードを勝手に使ってしまうとか、そういうような犯罪もふえてきておりますし、あわせてプライバシーの問題とかも出てくるので、そういう不正アクセスについても、これは早急に情報通信の健全な発展のためには解決していかなきゃならない大きな問題だと思います。  最後には、グローバルな市場であるということを踏まえて、やはり国際競争力をつけるということと、WTOなんかの取り決めにありますように、相互が規制のない行き来のしやすい情報通信市場を、世界的なものをつくり上げていかなきゃいけないということで、国際協調のもとでそういう規制緩和に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  52. 西田猛

    ○西田(猛)委員 競争なきところには発展なきでございますので、ぜひ頑張ってまいりたいと思います。  ありがとうございました。それでは終わります。
  53. 中沢健次

    中沢委員長 小沢鋭仁君。
  54. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  大臣所信に伴って、何点か御質問をさせていただきたいと思います。  まず、昨日聞かせていただきました大臣所信の中で、こういうワンストップ行政サービスについてのくだりがございます。「郵便局ネットワークを活用したサービスについては、民間金融機関とのATM提携サービス、デビットカードサービス、民間運送事業者と提携したチルドゆうパックの取り扱い等の諸施策を引き続き推進してまいります。」ということと、その後に「ワンストップ行政サービスでは、新たに住民票の写し等の自動交付を行う機器の郵便局への設置などに取り組んでまいります。」こういうくだりがございました。  先ほどの委員質問の中でもこうした御答弁がなされましたが、私はかねてから逓信委員会において、一つは、私どもは、行政サービスステーション、こういう言い方をしておりましたが、こうしたワンストップ行政サービスの進展、これが私の一つのテーマでございましたし、後ほど聞かせていただくいわゆるメディアと青少年との関係といいますか、その二つを大きなテーマにしてきたわけであります。  この最初のワンストップ行政サービスですが、聞かせていただいていて改めて感じたことは、民間が連携をしてきている業務に関しては、大変大きな進み方になってきている。しかし、このワンストップ行政サービスの中で、私はかねてから、まさに行政改革というものの一つの姿というのは、日本の縦割り行政をある意味では情報通信といった科学技術の進展を使って横刺しにして、そして、国民にとって利便性のあるサービスを本当に身近なところで提供していくことだ、それがある意味ではワンストップ行政サービスの一つの大きな役割である、こういうふうに申し上げ、そして、去年の十月でありましたが、逓信委員会の場面でも、野田大臣にその考えを申し上げて御激励を申し上げたわけであります。  そこで、改めてお尋ねするのですが、なぜ、行政サービス、こちらの方の進展はないのでしょうか。  確かに、ここにありますように、住民票の写し等の自動交付、この実験が行われたとありますが、これはあくまでもまだ実験ですよ。そして、民間のまさにATMとかCDとの連携というのは、命の次に大事なものはお金、こう俗に言われますが、それを自由にやりとりできているじゃないですか。にもかかわらず、たった住民票のものとか、そういうことがなぜできないのか。これは自治省が悪い、こういう話を申し上げているつもりではなくて、政府全体にそれに取り組む意欲がないのじゃないのですか。これをお尋ねしたいと思います。
  55. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 前回の小沢先生の御質問、ハッパをかけられましたので、微力な郵政大臣でございましたけれども、このワンストップ行政サービスをとにかく一歩でも二歩でも前進させたいという気持ちでこの半年やってきたところでございます。  残念ながら、先生がお望みになるオールインワンという形は不可能でございましたけれども、今回自治省がようやく御理解をいただきまして、今までは設置場所が決められておったものを、郵便局へ設置してよろしい、そういうやりとり、調整がついたところでございます。  私は、これは大きなブレークスルーだと思っておりまして、と申しますのも、今までは実験という形で進めてきましたけれども、今回は自動交付機によって実用、要するに利用者の方は実際に住民票を受け取っていただくということができるようになるわけでございます。  できればそういうことを、まだ地域が限定されておりますけれども、実感していただく中で、国民の皆様方にも応援をいただきまして、郵政省の仕事というよりも政府挙げての仕事で、あなたたちもそういうふうにするべきではないかというようなコンセンサスづくりを先生主導のもとでやっていただければ、ますますスムーズにワンストップ行政サービスが今後展開していくのではないかと思っています。  国では全然取り組んでいないのじゃないかという厳しい御指摘なんですけれども、小渕内閣が始まってからどういうことが行われたかというと、私が副本部長をやっております高度情報通信社会推進本部というところ、これは全省庁が集まって議論する場所ですけれども、ワンストップサービスについては郵便局等を活用した実験を行う等段階的に実施していくということを既に十一月に決めておりまして、あわせて、その後、緊急経済対策の中にあっても、「強力な電子政府、ワンストップ行政サービス等情報化を図る。」というお約束をさせていただいております。  さらに、小渕総理もとでの生活空間倍増戦略プラン、これはことし一月二十九日に閣議決定ということになっていますけれども、その中にはもっと具体的に、「特に、郵便局で二〇〇五年頃までの本格的サービス実施を目標に積極的に実験を進める」ということを国としても明言しているところでございまして、まだまだ厳しい状況でありますけれども、そうやって御支援いただける先生がいろいろなところにハッパをかけていただければ、二〇〇五年までにはそういうことが可能になるのではないかということで取り組んでいきたいと思っています。
  56. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。私も引き続きいろいろな場面で申し上げていきたい、これはお約束もいたしたいと思います。  ただ、大臣、同時に、前回の委員会のときに大臣も既におっしゃったわけでありますが、高度情報通信社会推進本部の中で頑張っていきたい、こういう話もあったし、あるいは私は、閣議というのはまさにそういうことを議論する場ではないのですか、こういうふうにも申し上げた。閣議で発言していただけましたか。そして、推進本部でこういう話をやっていただけましたか。
  57. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 実は、閣議では発言はしておりません。ただ、推進本部の事務方の打ち合わせの中で、郵便局でのワンストップ行政サービスをきちっと明記するようにということは指示させていただきました。
  58. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まさに国民が望む行革というのはそういうことではないのか、こういう意味の話を政府の中で、閣議でなくても結構ですから、ぜひ一回議論をしていただいて、そしてその結果等をまたお聞かせいただきたいな、こういうふうに改めてお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは、青少年と情報通信、こういう切り口でお聞きしたいと思います。まず最初は、情報通信教育の重要性、こういうことでお尋ねをしたいと思います。  これもまた、私もゴア副大統領とかクリントン大統領の話を過去も申し上げてきておりますが、改めて御紹介すると、クリントン・アメリカ大統領は、九六年一月、一般教書演説の中で、二〇〇〇年までに全米のすべての教室、図書館をコンピューターとすぐれたソフトウエア、そしてよく訓練された教師によって情報スーパーハイウエーに接続する、こう明確に発言をしており、さらに翌年には、今後四年間の最優先の課題はすべての国民世界で最もすぐれた教育を保障すること、こう言って、続いて、八歳でみんなが字を読めること、十二歳でみんながインターネットにアクセスできること、こう明快に発言しているのですね。  クリントン大統領にしてもゴア副大統領にしても、新しい世代の政治家、こういうふうなとらえ方もされておりますし、やはり発言が明確ですね。明快ですよ。こういう形で、大臣、取り組んでいただきたい、こういうふうに私は思うのですけれども、いかがですか。
  59. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私もそういう歯切れのいい答弁をしたいといつも願望しておるところでございますが、今回の場合、特に子供に対する情報通信のリテラシーというのは、やはり郵政省単独というよりも、学校を預かっている文部大臣とともに意見を交換しながら進めているところで、文部省の方では、いろいろ大臣初めそれぞれの事務方同士話し合っていく中、日本においては二〇〇三年度までに全国の学校にインターネットを接続するというのを、いろいろと先生方にも御支援いただいた結果、二〇〇一年度に日本では全国の学校にインターネット接続ができるということを今申し上げているところでございまして、そういう意味では明確じゃないかなと思っています。
  60. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 確かにこれは郵政省だけでやれる話ではない、こういう話もわかります。その中で、文部省と教育分野におけるインターネットの活用促進に関する懇談会が設置されているわけですね。そして、昨年六月は、「子どもたちがもっと自由にインターネットを活用できる環境づくりを目指して」、こういう提言が出ている。そういう流れを受けて、昨年の第三次補正では学校へのインターネット研究開発予算がつけられた。第三次補正予算で郵政省は八百二十五億円の予算でありましたが、そのうちの学校における複合アクセス網活用型インターネットの研究開発として三百億円、これは私としても評価をさせていただきたいと思うし、かつてから一貫して、こういうことをやってほしいというふうに民主党としては言ってきた課題であります。  その中で、今大臣がおっしゃられた二〇〇一年への前倒しというのは、経済対策も含めてそういった前倒しの話が出てきた、こういう理解でありますが、まさに未来への投資と我々が呼んでいるのはこういう投資なんですね。新しい時代を切り開いていくような投資をやってもらいたい、そして、民主党が政権をとったらそういう投資をやるんだ、こういう話を我々は言ってきているわけで、第三次補正の中でこれが成立したというのは評価をしますけれども、全体の中ではいわゆる従来型のばらまき予算あるいはばらまき補正の中で、我々が主張しているのはこういう投資なんですよ。  そういった中で、まだ不足しているんじゃないんですか、学校のインターネット接続の状況なんかを見ると。諸外国との比較をして、どうですか、そのあたりは。大臣でなくても結構ですが、どうぞ。
  61. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 御理解をいただき、本当にありがとうございました。  この学校インターネット接続、総予算からするとわずか三百億ということで微々たることかもしれませんけれども、先生初め多くの国会議員の先生が未来の先行投資ということでこのテーマを掲げて取り組んでいただいた結果、今回現実のものになったわけでございます。  これはもう以前からいろいろ議論されている中だったんですけれども、その過程において問題だったのが、やはり、教える人がいないんじゃないかとか、日本通信料金が高いんじゃないかとか、あとは、最初は光ファイバーだけでやろうということで取り組んでいたけれども、それはちょっと現実的ではない、そんなような話を一つずつ消化して、今の、平成十一年の段階でできることをやらせていただこうというような形で、小さくはありますけれども、約千五十校に対してこういうことができるようになりました。恐らく、現実にインターネットの教育が始まることによって、多くのまだ接続していない学校の人たちに見てもらったり、やはりそういうことが始まったことを知っていただくことによって普及していただけるものではないかと期待しているところでございます。  一番比較しやすいのはアメリカとのおくれなんでしょうけれども、昨年度末でアメリカは既に八割の学校に対して接続していますけれども、日本では残念ながらまだ二割ということであります。  今後の問題点というのは、やはりまずはそういうネットワークをきちっとつくっていくことですけれども、その人材育成、さらには、どちらかというと英語圏主体できたインターネットですので、日本語を使うこの国にとって、やはりキーボードを活用するとか英語力を高めていくということもあわせてこれからの検討課題になってくると思います。
  62. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まさに今おっしゃっていただいたのは私も同感でございまして、そういったものを我々は本当に切り開いていきたい、こう思っておりますので、ぜひ引き続き大臣あるいはまた郵政省の皆さんにも頑張っていただきたい。その中で、他省庁とのいろいろな共管事項が出てくるんだろうと思うんですね。だから、そういうときはまさに大臣、政治家としてのリーダーシップを発揮していただいて、まさに横割りの弊害を乗り越えていただきたいと改めてお願いするし、そして民主党もそういったことであれば幾らでも、野党ではありますけれども、政府にも協力をさせていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  それから次に、今はある意味では前向きに進めていかなければいけない部分を申し上げたわけでありますが、先ほどの同僚委員質問にもありましたが、やはり、情報通信及び放送、メディア、こう一括して申し上げれば、それの影の部分というのもあるわけであります。そういった部分についても注意をしていかなければいけないと思うものですから、その点に関して幾つか御質問を申し上げます。  まず、情報通信の発達と子供への影響、例えばこういう切り口で見たときに、今まで郵政省としてそういう対応というのがあっただろうか、これを御質問させていただきたいと思います。  私もそんな観点でいろいろと調べてみると、文部省とか、それから審議会でいえば中央教育審議会とか、それから総務庁の青少年対策本部の調査とか、いろいろな調査があるようですが、なかなか郵政省独自の話は見当たらない。決して、郵政省が独自にしなければいけない、こういう意味ではないんですが、そういう問題意識を持っていただきたい、こういう意味で申し上げているわけであります。  私の問題意識というのは、デジタル時代の子供たちというのは、どうやって遊んで、どうやって成長して、どうやって人格形成をしていくんだろうと。昔、我々は、戸外で隠れんぼをしたり、めんこをしたりとか、あるいは魚釣りをしたりとか、こういう話になっておるわけでありますが、デジタル時代の子供たちというのは、部屋の中でテレビゲームをやって、友達と一緒に遊んでいても会話がなかなか存在しなくて、一人あるいはまた二人がゲームをやっていて、それを周りが見ている、こういうような話を私も見かけます。  やはりそういう子供たちの成長というのは、かなりそういったメディアに影響を受けているんじゃないか、こう思うわけでありますが、そういう問題意識はございますか。
  63. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 デジタル時代というよりも、郵政省としては放送もお預かりしておりまして、もともと、やはり私たちの時代はテレビっ子という言葉があったぐらいで、テレビをずっと見ておりますので随分親にしかられたというような記憶がございます。  その中で、郵政省としては、そういうテレビでいろいろと子供に対して何かあれば、きちっと対応するようなことで取り組んできましたし、正直、私の認識では、デジタル時代に向けて日本の子供たちは、いわゆる情報通信高度化がまだそれ自体が成長過程であるので、その対応ぶりというのは実はまだ進んでいないんじゃないか。  そうは言っても、インターネットというのは不思議なことに、だれが何もしなくても爆発的に普及してくるという今まで経験したことのないような新しい情報通信の手段だということをようやくここ数年認知し、認識し、それで、今現在進めているのは、青少年に向けてこれからの情報通信がどういう影響を及ぼすか、またはそれをどう守っていくかということについて、勉強会なり議論を始めたところだと思います。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、有害情報等に関しましてはもう数年来言われておりまして、インターネットに関しましては、既に事業者の皆様方に要請し、ガイドラインをつくっていただき、自発的にそういう有害情報は削除していただくということもやっておりますし、あわせてフィルタリングシステムまたはソフトの開発とか、そういうことの支援をし続けているところでございます。  今後もなお一層社会環境が大きく変わってくると思いますので、郵政省としても、今までも文部省と連絡をとり合ってやってきましたけれども、さらに進めてまいりたいと思っているところでございます。
  64. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 その中で、やはり具体的な事件とか社会問題が発生していますね。先ほどの所沢の野菜の話もまさに一つはそういう観点なんでしょうが、それは後ほど放送のところで聞かせていただきます。  いわゆるネットワーク社会において、まさにメディアを使った現代的犯罪とでもいうのでしょうか、伝言ダイヤル殺人事件とか、例えば、先ほどのお話でもありましたが、インターネットでのポルノを初めとする有害コンテンツとか、そういう話があります。  ああいう事件が起こったときに、私の知人が、これは逓信委員会の問題でしょう、議論しているのですか、こう言われた。私もはっとして、ああ確かにそうだ、こうは思った。しかし、同時にまた、それが果たして、規制みたいな話というのが有効なんだろうか、こうも思った。いわゆる道具としてそういうネットワークというのはあるけれども、使い方というのはまた、例えばナイフなんかが具体的にはそうですけれども、ナイフというのは人を刺せばそれは殺人の道具にもなりますけれども、まさに使い方の問題で、有用な使い方もできる、こういうことですから、どうなんだろう、こう思った。  そのあたり、ちょっと私自身もまだ整理し切れていないのですが、そういった最近の一連の事件、社会問題について、どのようにお考えでしょうか。
  65. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げたいと思います。  先生指摘のとおり、近年、インターネットや携帯電話が爆発的に普及しているわけでございますが、それによって利用者利便性が著しく向上しますとともに、インターネットを通じた違法な薬物とか毒物の売買、あるいはわいせつ情報など青少年に有害な情報の提供とか、あるいはただいま御指摘の伝言サービスを悪用した犯罪など、電気通信サービスの不適正な利用によるトラブルが大きな社会問題になっているわけでございます。  こうしたいわばネットワーク社会の影の部分に対しましても適切に対処しまして、利用者が安心してネットワークを利用できるようにするということが非常に重要な政策課題でございます。  具体的な取り組みとしましては、まず、インターネットを通じました毒物売買やわいせつ情報など、いわゆる違法・有害情報の流通につきましては、ただいま大臣からお答え申しましたとおり、プロバイダーが加盟しております社団法人のテレコムサービス協会というのがございまして、そこで、昨年でございますが、違法・有害情報が発見されたときの排除措置を定めているわけですが、そういった自主規制のためのガイドラインを策定することにつきまして私どもは支援してまいりましたし、その徹底に現在努めております。  また、青少年にこうした有害な情報を見せないようにするいわゆるフィルタリングにつきましては、その技術をさらに高めるための高度化研究を、現在、横浜市の協力を得て進めておるところでございます。  さらに、伝言サービスにつきましては、匿名性を悪用した行為が行われやすいという認識で、これがだれでもメッセージを録音したりあるいは再生できるサービスである場合には、いわゆる公然性を有する通信としてインターネットと同様の問題状況が起こると考えられます。そこで、先月、電気通信事業者の団体に対しまして、既にあるインターネットの自主規制を伝言サービスまで拡大することの検討の措置を今要請しているところでございます。  こうした一連の施策で私どもは取り組んでいるわけでありますが、そもそもこうした影の部分に対して、法律により規制すべきであるという指摘もあるわけでありますが、拙速な法規制は新しいこの種のメディアの発展や自由な情報流通の妨げにもなるわけでありまして、かえって情報通信発展の阻害要因にもなりかねないということで、慎重な検討が求められると考えております。  むしろ、新しい通信メディアの利用につきましては、利用者側の意識も重要な要素でありまして、行政に限らず幅広いところで御議論をお願いしたいというふうに考えているわけでございます。
  66. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 まさに本当に幅広い議論をこれからやっていただきたいし、我々もそれに加わっていきたい、こういうふうに思います。  それで、それに関連して放送の方にも入らせていただくのですが、放送の問題は、物すごく、ある意味では何度も実は起こってきているのです。  私は、一貫してこの中で、表現の自由、報道の自由というのをきちっと守りたい、大事にしていきたい、しかしそれと裏腹のというか対置する責任というのをどう考えるのか、今の放送法には責任という概念がないですよ、そして、チェックする機関というのが不足していますよ、こういうふうに一貫して申し上げてきたわけであります。  そこで、ちょっと時間もないのですが、大急ぎで、テレビというメディアに関して東京大学の野口悠紀雄先生が大変おもしろいエッセーを書いておりまして、示唆に富むものですから、ちょっと早口でありますが申し上げますと、テレビというメディアは、他のメディアとの競争上、不当に有利な立場にある。なぜかというと、視聴者が料金を気にせず見られるからだ。これがまず一点です。ですから、テレビの見過ぎが起こるのですね。  それから、幾つかおもしろいところがあるのですが、もうはしょって申し上げますが、それは、今量的な問題だったのですが、今度は、内容的にもバイアスが生じやすい。なぜかというと、テレビの場合はコストがないですから、対価に見合うだけの内容を提供しようとするインセンティブが普通の、例えば雑誌や書籍に関しては内容をよくしよう、こう思うわけでありますが、テレビにとってはできるだけ多くの視聴者を獲得するというのが目標になりますから、それは必ずしも情報の質の向上にはつながらない。できるだけ多くの視聴者を獲得しようということによってテレビ番組の多くが低俗路線に流れる傾向にある、こういうことですね。  そして、コストがないですから、一言で言うと暇な人ほどテレビを見る。これは一般にという話で、お許しをいただきたいのですが、暇な人が要求する情報の水準は高くない、つまり、テレビ視聴者には質の低い番組を要求するバイアスが存在している、こうエッセーでおっしゃっていて、大変歯切れよく、おもしろい見方なんですね。  テレビというのはやはりそういう部分があるということを認識しながら、例えば暴力シーンであるとか人権を侵害するシーンであるとか、そういったものがどうしても流れてしまう、それをどうするかという議論をしなければいけない、こういうふうに思って、ずっと発言をしておるわけであります。  それと同時に、いろいろな調査もしていただいているようでありますが、調査にあらわれないことで大事なことは、本当に過激な表現とは別に、私はいつもこの逓信委員会で言ってきたのは、いわゆる相手をおもしろがっていじめているような番組、日常的なシーンとしてですね、そんな過激なシーンではないけれども、それが蔓延していて、それがいわゆる子供たちのいじめの現場の場面と酷似しているのではないか、こういう言い方をしてきました。  笑われている相手も最初は一緒の仲間として遊んでいて笑われている、そういうシーンの番組というのが大変テレビの中に多い。それは過激なシーンじゃないものだから、一見見落としてしまうけれども、まさに日常のいじめの場面と全く同じだ、こういうことを指摘してきたわけでありますが、例えばそういったことにも関心を持ってぜひ調査をやっていただきたい、こう思っておるわけです。  そういうお願いをしましたら、昨年やっていただいたようなんですが、青少年と放送に関する調査研究会、ちょっと内容を、本当に簡単で結構ですがおっしゃっていただけますか。
  67. 品川萬里

    ○品川政府委員 先生指摘の調査研究会でございますが、約半年間にわたりまして検討をいただきまして、七項目提言をいただきました。  一つは、青少年向けの放送番組を充実させるべきではないかということ。  それから、メディアリテラシーの向上。今先生おっしゃったように、受け身の視聴じゃなくて、いかに能動的な視聴ができるような青少年を育成するかということでございます。  それから、青少年と放送に関する調査。我が国は大変実態調査が不足しておりますので、その辺の推進をどうするべきか。  それから、第三者機関の活用。これは番組の是非、見る者と送る者の間で意見が違うという場合に、どのようにこれを調和といいましょうか図っていくか。そのためには第三者機関というものの活用があるのではないか。  それから五番目に、放送時間帯の配慮でございます。やはり子供を意識して、送る時間帯というのはどういう時間帯であるべきか。  それから、番組情報をいかに視聴者に的確に届けるか。  それから七点目が、いうところのVチップでございます。  この七つの提言をいただきましたけれども、これは、議論のスタンスといたしまして、だれかれが、だれのせいだ、かれのせいだということでなしに、メディアも、それから視聴者自身も、それから大人も学校も一緒になって、いかに青少年のための情報環境を整備するか、メディア環境を整備するかというスタンスで議論いただきました。  ただいまその七項目につきまして、では具体的にそれぞれの関係者がどう具体策を講じていくのか、メディア自身はどうするか、テレビ自身はどうするか、あるいは学校ではどうするのか、PTAのサイドではどうするのか、具体的にみずからやる課題をまとめていこうではないかということで、今六月を目途に御検討いただいておるわけでございます。郵政省自身も、みずから何をすべきかということについて、課題を今六月に向けてまとめて検討しているという状況にございます。
  68. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 最後に、これは野田大臣の昨年七月三十一日の発言ですが、これは児童ポルノ処罰法案についての中の発言でありますけれども、表現の自由は大切だとしながらも、何でもかんでもありの自由は違う、子供の人権を守るために規制は必要だ、こう明快に言い切っていらっしゃるわけです。今の放送の問題もそうでありますけれども、これは直接的には放送の問題ではないというのは当然私もわかっているわけでありますが、これは一つの理念、考え方だろうと思いますね。  それで、放送の問題に翻って考えてみたときに、やはりそういった観点が必要なんじゃないでしょうか。その中で、法的規制という話は、これはなかなか難しい部分がある。しかし、今おっしゃっていただいた中で、第三者機関、ないんですよね。きちっとチェックする機関というのはないんですよ。  大臣、今申し上げたような大臣の今までの一貫した考え方からすると、第三者機関をつくっていく、これはもちろん第三者機関だから政府の機関じゃないんだけれども、それをつくっていくための環境整備、努力していただけますか。最後にお尋ねします。
  69. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先ほど先生が御指摘ありました私の答弁、発言に関しまして、誤解のないように申し上げると、その発言は極めて限定的で、子供がポルノの雑誌のモデルになる場合、その子供の意思とは裏腹に親が売ったりとか、そういう悪い大人にだまされて子供がみだらなことをさせられたときに関しては、これは表現の自由ではない、やはりむしろ子供の人権の方が重いんじゃないか、そういう限定的なところでの発言でございますので、御理解いただきたいと思います。  また、今の第三者機関等の活用等につきましては、品川局長の今のお話のとおり、今後専門家会合をしていただきまして細目を決めていただくということで、環境整備に向けては前向きにやってまいりたいと思います。
  70. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 終わります。ありがとうございました。
  71. 中沢健次

    中沢委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  72. 中沢健次

    中沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川内博史君。
  73. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史でございます。  権威と伝統と格式ある当逓信委員会で、理事先生方委員長、お許しをいただいて、御発言をいただきますことにまずもって御礼を申し上げたいと思います。  大臣所信表明の文章を読ませていただいておりましても、二十一世紀に向けて郵政行政へかける熱意というものが大変に感じられて大変に心強い限りでございまして、大変に情報通信分野などにもお心を砕いていらっしゃるようでございます。  昨今はインターネットというものが大変に発達をしておりまして、私の事務所にもコンピューターが、パソコンが四台、東京の方は入っているのですけれども、インターネットに、私のメールボックスにある一通の投書が来ておりまして、旅館をやっていらっしゃる、雄琴の温泉旅館組合の方なんですけれども、当温泉から約七キロメートルの琵琶湖の対岸に簡保総合レクセンターというのができます、レクセンターとは名ばかりで、三百名収容の和室がほとんどの国営旅館です、温泉、露天ぶろ、ヒノキぶろ、二百畳の宴会場、ボウリング場を備えた豪華なものであります、当温泉とまともに競合し、大打撃を受けることは必至です、本年三月に組合の一軒が廃業をいたします、この不況のときにこの簡保の総合レクセンターの施設ができれば、当温泉は大きな打撃を受け、ほとんどの旅館が大変経営に苦しむことになると思います、数百人の社員が路頭に迷ってしまうのではないかと大変に心配をしておりますというメールでございました。  私は、せっかくの機会をいただきましたので、この件に関して質問をさせていただきたいというふうに思うわけでございまして、きょうは野田大臣に初めて質問をさせていただけるということで、きのうは余り眠れなくて、のぼせて鼻の下に出来物までできてしまいまして大変恥ずかしいのですけれども、おつき合いをいただければというふうに思います。  この公的宿泊施設というのは、厚生省、労働省あるいは郵政省というふうに、厚生年金の施設や、あるいはきょう取り上げさせていただく簡保の施設、保養センターなどがよく知られているわけでございまして、また一般的には、公がやっているものかあるいは民間がやっているものかということは利用者は余り気にせずに、立派な施設だとか、設備が整っているとか、あるいは料金が安いとかいうことで広く利用されているわけでございまして、かく言う私も、最近小田原に労働省が雇用対策でつくったスパウザ小田原というのがあるのですけれども、四百五十億かけてつくっているのです。大変立派な施設で、エステサロンまであるのですが、そこについ行ってしまったりするのですけれども。  民業圧迫ということが大変に言われておりますし、また行革の観点からも、公的な宿泊施設というのはいろいろやり玉に上げられているというところでございまして、この守山に計画をされております簡保の総合レクセンターについても、昨年十一月に郵政大臣は、この総合レクセンターの事業の推進を何とか考え直してくださいとおっしゃる皆さん方の陳情に対して、「地元から歓迎されない地域に簡保施設を進出させる気はない。したがって守山市の施設は凍結を指示した」というふうに観光経済新聞という新聞に出ているわけでございますが、この野田大臣が昨年凍結を指示されたという報道に関して、その真意を大臣にもう一度確認をさせていただきたいというふうに思っております。
  74. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 報道の真意を申し上げる前に、少し経緯だけ守山について申し上げたいと思うのです。  今先生指摘のとおり、滋賀県守山市に簡易保険総合レクセンターを設置する計画がございます。既に建設用地の購入、また施設の設計は完了している段階であります。  総合レクセンターというのはどういうものかというと、地方自治体の地域開発整備計画により、建設する一部を分担させていただき、家族そろって楽しめるレクリエーション施設などを設置し、簡保加入者の健康増進とあわせて地域の振興のために寄与する、そういう施設でございます。既に大分県とか山形県にそういうレクセンターが開設されているところです。  今のお話にありました守山市の設置計画についてですけれども、これも先生御承知のとおり、滋賀県や守山市なんかが推進しています琵琶湖リゾートネックレス構想、この一部として一体的な運営を行う施設の位置づけがございまして、地元から強い要望があって設置するものであると計画しているところであります。  実はもう既に何回も何回も、地元の知事または守山市長を初め各種団体から建設促進の陳情が来ているわけでございます。しかし、その新聞にありますとおり、最近地元の一部に異論があるということを承りました。  そこで、昨年、改めてこの御陳情の後に、私が大臣になって初めて滋賀県知事、国松知事がお見えになりましたので、私としては、やはりきちっと地元調整をしていただきたい、そういうことを申し上げたところ、知事の方からわかったということで今日に至っているところでございます。
  75. 川内博史

    川内委員 今大臣から、地元の調整をきちっとしていただきたいというふうに知事に要請をしたら、知事はわかったというふうにお答えになられたという御答弁があったわけでございますが、地元の調整というのは具体的には大臣はどういう趣旨のことを想定されて地元の調整ということをおっしゃられたのか、また、知事はそのことをしっかり理解していらっしゃるのか、もうちょっと具体的に御説明をいただければというふうに思います。
  76. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 繰り返しになりますけれども、簡保の総合レクセンターを設置するに当たっては、地元の、この場合滋賀県ですが、地域開発整備計画の一環としての位置づけがあるわけで、そういう意味では自治体と一体的となって設置運営をするように図っているところであります。  具体的な立地に関しては、地元の旅館組合からの反対がある場合もありますけれども、総合的に見て、そのレクリエーションセンターをつくることによって地元への流入人口が増加し、地元の観光が活性化される、そういう判断があって立地を決定していくわけでございまして、地元の調整は必ずしも同意を得ることが前提ではなく、知事さんの御判断のもとで地元の調整をしていただくというふうに私の方ではお願いしたところでございます。
  77. 川内博史

    川内委員 委員会の正式な場で申し上げていいのかどうかわからないけれども、きのうのレクと郵政省さんがおっしゃることが若干違っているので私も今戸惑っているのですが、必ずしも地元の旅館組合の同意を必要としない、地元の県知事なり市長なりの総合的な判断に基づいて計画を推進していくという大臣の御答弁であったわけでございますが、しかし、地元の関係する旅館組合と協議の上、この計画を推進していくということに関しては、組合長の判こがあるなしにかかわらず協議をするということは、それは間違いないと考えてよろしいのでしょうか。
  78. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 ちょっと言葉足らずで済みません。旅館組合を無視するとかそういう意味ではなく、当然その地元の旅館組合の方々の意向も踏まえて、今その計画がありますけれども、そういうリクエストに応じて変更するなり調整するなりしていただくということは申し上げているところでございます。
  79. 川内博史

    川内委員 私は、何も旅館組合の別に利益を代弁して申し上げているわけではなくて、大臣も帝国ホテルにお勤めで、いかにこの旅館、ホテルというものがビジネスとして大変に厳しいビジネスかということはよくおわかりになっていらっしゃると思うし、私も旅館の若だんなをしておりましたので、よくわかっているわけです。  この公的宿泊施設というのは、守山もそうですけれども、用地の取得でさえも百三十億かけているわけですね。そうですね、ちょっと私も数字がうろ覚えですけれども、恐らくそのくらいの数字だったと思うのですけれども。それに設備をしていくわけですから、総投資額でいうと相当な規模の投資になるわけですね。それで、売り上げは全く投資に見合うだけの売り上げはないわけでございまして、しかも、公的宿泊施設というのは固定資産税やらあるいは減価償却、そして地代、建物の賃貸料なども全くかからないという、民間の旅館、ホテル業と比べて大変に経営が不平等な中で、不公正な中で経営をされているわけでございます。  そういう施設を何百億もかけて地域に、いかな地域の要請があろうとも、つくっていくということに関して、この国は資本主義、自由主義の国ですから、どんな理屈をつけようとも、そういう施設がまかり通るということは、私は経済合理性の上から見てもちょっとどうなのかなということを思うものですから、御質問をさせていただくわけでございます。  今、野田大臣が、旅館組合を無視するわけではない、しっかり話をするのだというふうにおっしゃいました。無視するわけではない、しっかり話をするということは、近隣の旅館組合の皆様方の同意が必要であるというふうに一般的には私は考えるのですけれども、最後まで反対されたらそれは知事の総合的な判断になるのだということでは、私は言い逃れだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  80. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 簡易保険が運営しておりますこの加入者福祉施設でございますが、これは簡易保険創業以来、実は簡易保険の保険金の給付事業と並びまして進めてきておるものでございます。  そういう加入者福祉事業というものを推進するに当たりまして、これは当然その時代時代に応じまして私どもは適切な運営方法というものを考えていくわけでありまして、ただいま御指摘のようなそういった民間との調整問題、最近そういった問題が出てきておりますので、そういったことにつきましては、最大限私どもも努力をしておるところでございます。今後もいろいろな対応が出てくると思いますので、最大限そういったものに対処してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  81. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今守山のレクセンターについてのお話をさせていただいているのですけれども、レクセンターは先生指摘のとおり当然宿泊の機能も持っていますけれども、むしろレクセンターの主たる目的というのは、いろいろな、ゲートボール場とか多目的のグラウンドとかテニスコートとか、そういうものを設置して、そこに健康増進のためとか、または地元のいろいろな大会とかイベントに多く利用していただき、そこで利用していただく人が、要するに、地元にたくさん人が来てくれるような、またはそういうものに利用してもらえるような、そういう目的も踏まえてやっているので、やはりそういう内容をしっかり理解していただいて地元の調整をしてもらいたいと思っているところであります。
  82. 川内博史

    川内委員 大臣のお気持ちもよくわかります。局長から最大限の努力をするというお言葉もいただきましたが、結局、経済的に今大変厳しい状況ですから、皆さん神経をぴりぴりされていらっしゃいますし、国の力でというか、結局、大変に不平等な条件のもとで成り立つ施設が近くにできるということは、やはりそれだけで、地元の方たち、同じ宿泊業をやっていらっしゃる方たちにしてみればそれは相当な脅威だと思いますので、最大限の努力というものが、やはり言葉だけに終わることのないように、それこそ最大限の努力をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、公的宿泊施設というものについて、その定義について若干議論をさせていただきたいと思うのです。公的な宿泊施設については新設を行わないという閣議決定が今まで再三にわたってされてきているわけでございますが、しかし、今大臣から御答弁があったように、これは附帯の施設というか、そういう遊び場、レクリエーションが主たる目的であって、宿泊はあくまでも従たるものでできる施設なんです、そこを御理解くださいという御説明があったわけですけれども、私は、何だかんだ言いながらも泊まる施設があるわけですから、その閣議の決定を純粋にそのまま文章どおり読むならば、この公的宿泊施設の新設は行わないんだという閣議の決定にどうしても矛盾しているのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで伺わせていただきますが、きょうは会計検査院の方にもいらしていただいているのですが、会計検査院が去年の九月に発表した「公的宿泊施設の運営に関する会計検査の結果についての報告書」、こういう冊子があります。この検査は衆議院の決算行政監視委員会が会計検査院に要請して初めて行われた検査でございまして、厚生省、郵政省、労働省の所管する公的宿泊施設、合計三百七十カ所について検査をしているわけでございます。  しかし、この報告書の中には簡保の総合レクセンターというのは入っていないのです。なぜ入っていないのだろうというふうに思うわけでございまして、例えば、先ほども申し上げましたが、他の省の同様の施設、例えば雇用促進事業団の勤労者リフレッシュセンターとか、あるいは中小企業レクリエーションセンターは検査対象になっているのに、なぜ簡保レクセンターは検査対象に含めなかったのか、公的宿泊施設という範疇に含めなかったのかということをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  83. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 今回の報告書では、ただいまお話のございましたように、簡易保険福祉事業団につきましては、簡易保険保養センターと簡易保険会館の二施設を対象として、その運営状況等を検査いたしております。  それで、今回検査の対象といたしました公的宿泊施設につきましては、特にその範囲を定めたものがあるわけではございませんで、それぞれの施設によりまして、設置目的、規模、内容も異なっております。そのようなことから、民間のホテル、旅館と同種、同程度の宿泊施設を有していて、宿泊施設の運営状況を横並びで比較することが可能なものという検査実施上の観点から、施設の主たる設置目的が宿泊機能であるものはすべて対象といたしましたが、宿泊施設とレクリエーション施設としての機能をあわせ持つものにつきましては、宿泊施設の規模を考慮いたしまして検査対象施設を選定いたしております。  お話のございました簡易保険福祉事業団の総合レクリエーションセンターにつきましても、このような考え方で検査の対象からは除外しておりますが、これらが公的宿泊施設に該当しないと判断しているわけではございません。
  84. 川内博史

    川内委員 今の御答弁では、なぜ簡保レクセンターを外したのかということがちょっと納得できないというか、理解に苦しむわけです。  というのは、先ほど申し上げたスパウザ小田原という勤労者リフレッシュセンターの「勤労者リフレッシュセンターの概要」という中の「趣旨・目的」というところを読みますと、広く勤労者を対象として、その多様なニーズに応じて、心身の健康チェック、健康状態に応じた生活指導、職業生活に関するコンサルティング、教養・スポーツ活動の実践等を通じて、心身ともにリフレッシュするための機能、施設、内容を備えた総合的勤労者福祉施設を設置するというふうに書いてありまして、宿泊が主だというふうには書いていないわけでございまして、この勤労者リフレッシュセンターをこの検査の対象に含めながら、総合レクセンターを対象に含めていないというのは、そこに何らかの意図があったというふうに思わざるを得ないわけでございますが……。まあ、それはいいです。  今会計検査院の方から、しかし、簡保レクセンターを検査の対象にはしなかったが、公的宿泊施設に該当しないとは思っていないというお話がございました。  そこで、郵政大臣にお伺いをしますが、大臣は、この簡保レクセンターというのは公的宿泊施設、一般的に言う公的宿泊施設とお考えになるのか、それとも公的宿泊施設には当たらないというふうにお考えになるのかということを御答弁いただきたいと思います。
  85. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今会計検査院の方のお答えにもありましたように、公的宿泊施設の定義というのは明確になっていません。  私は、一般的には、施設の本当の、メーンの目的が宿泊にあって、宿泊することによって、いろいろなオプションというのですか、いろいろなことができる、そういう施設が公的宿泊施設なのかなと認識しています。  レクセンターは、宿泊設備はあります、それは事実ですが、むしろ、それよりもレクリエーション機能をメーン、主たる目的として設置してありまして、例えば、先ほど申し上げたような施設は、当然日帰りでも利用ができるということで、あくまでも宿泊目的ではないということで、今までの簡保の保養センターや会館とは異なるものだと考えているところです。
  86. 川内博史

    川内委員 ちょっと今よくわからなかったのですけれども、そうすると、簡保レクセンターというのは公的宿泊施設、一般的に言う公的宿泊施設の範疇に入っていないということになるのですか。
  87. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今までの簡易保険が設置してきた、いわゆる宿泊機能が設置目的である保養センターや会館とは異なる、そういうふうに認識しています。
  88. 川内博史

    川内委員 保養センターや会館とは異なるということは理解しました。  それで、その公的宿泊施設という、この会計検査院の、政府が出している正式な資料の中にも公的宿泊施設という文言が使われているわけでありますから、その定義があいまいであるとかあいまいでないとかは別にして、一般的に言う公的宿泊施設の中にこの簡保総合レクセンターというものが含まれるのか含まれないのかということをお聞きしているのです。
  89. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 公的宿泊施設という言葉でありますが、その言葉自体の定義というのはどこにもないわけであります。  ただ、この言葉が使われますのは、例えば臨調の答申であるとか行革に関する閣議決定の中で使われておりまして、それはどういう脈絡で使われているかと申しますと、民間と競合する宿泊施設という意味で使われておるわけであります。  ですから、先ほど大臣が申し上げましたのも、民間と競合する度合いが強いものか、弱いものか、全くないものかといったような、その言葉が使われます状況の問題であると思います。  そういう意味からいいますと、専ら宿泊を目的とする保養センターや会館というものと、専ら宿泊を目的としないレクとかスポーツ機能を重視するレクセンターというものも、おのずから民間との競合の度合いというものが違うわけでございますので、従来私どもの理解では、いわゆる閣議決定や臨調答申に使われておる公的宿泊施設という言葉の使い方ではちょっと違うということを申し上げておるところでございます。
  90. 川内博史

    川内委員 今、図らずも局長から、この公的宿泊施設というものの定義が、民間と競合する宿泊施設というふうに出たわけでありますが、簡保総合レクセンター、私は前の二つの酒田と宇佐についてはまだ事情をつまびらかには存じ上げませんが、少なくとも守山については明らかに、旅館組合の方から打撃を受けるというメールをもらっているわけですね、民間と競合するわけですよ。民間と競合するかしないかは非常に主観的な判断であって、定量的にはかれるものではないと思うのですね。こういうふうに、困ります、私たちは大変な打撃を受けるんだというふうに来ている。縁もゆかりもない私のところにですよ。  ということは、この公的宿泊施設というのは、大ぐくりにして公的宿泊施設という一つの概念があるのではなくて、建物、施設一つ一つについて、これは公的宿泊施設なのかどうか、民間と競合するかどうかという検証をしなきゃいけないということになると思いますが、この守山の場合には、こういう投書も来ているし、野田大臣のところに事業推進をやめてくださいという陳情も来ている。明らかに民間と競合しているでしょう。公的宿泊施設じゃないですか。
  91. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 私、公的宿泊施設の定義が民間と競合するかしないかということではなくて、公的宿泊施設という言葉が臨調答申や閣議決定の中で使われておりますその文脈、脈絡は、このものが民間と競合する度合いが高いかどうかということでとらえられておるということであります。  ですから、公的宿泊施設というその言葉自体を考えますと、これはいろいろな種類の公的宿泊施設があるわけであります。例えば郵政省の中にも、人間ドックを行う診療所のようなものの中にも宿泊施設はあるわけであります。しかし、それが民間と競合するということは余り問題になっておりません。それからまた、恐らく他省庁の中にも、例えば青少年自然の家といったようなものがありまして、これも公的主体が建てておるといえば公的宿泊施設でありますが、そういったものまでいわゆる公的宿泊施設という言葉を使って指摘されることはないということを申し上げておるところでございます。
  92. 川内博史

    川内委員 いや、総論はわかります。  私は、この守山にできる簡保総合レクセンターについて、公的宿泊施設に当たるかどうかということを聞いているわけでございまして、民間と競合するかしないかといえば、こういうふうに投書も来ているし、大臣のところに陳情も行っている、業界の方たちあるいは地元の旅館組合の方たちも大変心配をしているわけですね。民間と競合しているわけですよ。そうすると、これは公的宿泊施設に当たるでしょうと。  しかも、臨調、閣議の文言の中に使われておる言葉で、その定義はあいまいだというふうにおっしゃるが、臨調、閣議の文言を策定するのは事務当局である郵政省、労働省、厚生省じゃないのですか。あなたたちがこの文言を使っているのでしょう。定義をあいまいにして使っていて、その定義を突っ込まれたらわかりませんということで済むのですか。
  93. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 いわゆる臨調答申の中で「民間と競合する会館、宿泊施設」という言葉が使われておりまして、そのことを公的宿泊施設ということであるというふうに考えております。このことは、昭和五十八年の閣議決定の中でもそうでありますし、それから最近の平成七年の特殊法人の整理合理化に関する閣議決定の中でもそのように書かれておるところでありまして、公的宿泊施設という言葉は一般的に先ほど申し上げました民間と競合するという言葉とセットで使われておりますので、そういう意味からいたしますと、私どもは具体的には簡保の場合でありますと保養センターと会館がこれに該当するということで考えて、従来の閣議決定等にはそのように表現されておるところであります。
  94. 川内博史

    川内委員 なかなか私が申し上げたいことを御理解いただけない。民間と競合する宿泊施設を備えた施設、すなわちそれを公的宿泊施設というということであるならば、守山にできる宿泊施設を備えたこの施設、簡保総合レクセンターは公的宿泊施設の一つに該当いたしますよねということを申し上げた。それに該当するのかしないのかということを答えてください。
  95. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 該当しないということであります。  ただ、そういう趣旨を受けまして、五十八年の閣議決定それから平成七年の閣議決定、簡易保険の分野につきましては保養センターと会館がこれに該当するということで、原則として今後新設を行ってはいけないということが決められておるところでございます。いわゆるレクリエーションセンターというものはこれに該当しないということでございます。
  96. 川内博史

    川内委員 この簡保総合レクセンターは閣議決定が予定をしている公的宿泊施設には当たらないということが、今御答弁があったわけでございます。  言葉をかえて言うならば、閣議決定により新設をしないということになっている公的宿泊施設以外の公的宿泊施設、すなわち今回の守山の総合レクセンターのような施設が今後も展開をされるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  97. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 総合レクセンターということだと思いますけれども、今郵政省としては、加入者福祉施設の数は現有の施設数である百二十三を上限としていて、その中でスクラップ・アンド・ビルドの対応をしているところであります。  いろいろな施設の建設に当たっては、何度も申し上げていますけれども、まず地元の調整があって、そして設置計画を推進していく、そういうことで取り組んでいるところであり、何度も申し上げますけれども、今地元から望まれない施設はつくることは考えていない、これだけは明言できます。
  98. 川内博史

    川内委員 また、地元が望む望まないというのは、非常にまた地元の内容というか、だれとかどの団体とかを指すのかということがいろいろ出てくると思いますが、それはまた後でお聞きしたいというふうに思います。  ちょっと時間もなくなってきたので、実は公正取引委員会の方にも来ていただいているのですが、きょうちょっと時間がないので、もしかしたら公正取引委員会の方は御勘弁をいただくかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  今、大臣の方から、百二十三を上限としてスクラップ・アンド・ビルドで皆様方のために展開をしていきたいという御答弁があったわけでございますが、保養センター、会館については閣議決定により新設は行わないということになっている。総合レクセンターについては、閣議決定が予定をしていない施設でありますから、もしかしたら今後も新設をされるかもしれない。守山以降も新設する計画がおありになるのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
  99. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 具体的には、全国十二の郵政局がございまして、私ども、その管内に一カ所ぐらいは全国の簡易保険加入者の方々の公平な利用という観点からつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。  そこで現在、先ほど申し上げましたとおり酒田と宇佐がオープンしておりまして、それ以外に、現在工事中である、まもなくオープンというのが北陸、中国管内でございます。また、それ以外に、現在土地を取得いたしまして設計も進んでおるというところが四カ所あるところでございます。  以上でございます。
  100. 川内博史

    川内委員 今後、全国十二カ所に総合レクセンターが展開をされるという事業の計画をお持ちになっていらっしゃるということでありますが、どちらにせよ、地元の皆様方との調整というものは大変に重要な部分になってこようかと思うのですね。何せお上がおやりになることですから、我々下々は大変脅威を持つわけでございます。  簡保事業団についての収支を若干ここでお尋ねをさせていただきたいのですけれども、事業団全体の宿泊施設の収支、交付金を入れない収支の状況というものを簡単に数字だけお答えいただければというふうに思います。
  101. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 いわゆる加入者福祉施設に関する収支でございますが、経常収益が七百八十七億でございます。経常費用が七百五十九億。したがいまして、二十七億ほどの経常利益が出ております。ただ、これは、先生の今お話がありました交付金を除くということになりますと、交付金が二百五十一億入っておりますので、先ほど申し上げました二十七億の利益がマイナス二百二十三億の経常損失になるわけでございます。
  102. 川内博史

    川内委員 今、政府交付金を除けばマイナス二百何億かの経常損失になる、純粋に事業として見た場合にはそうなるという御答弁であったかと思うのですが、この総合レクセンターについても、宇佐、酒田両方ともそれぞれに事業収支では赤字に、現状稼働している二カ所については赤字になっているわけですね。その宇佐と酒田についての赤字の額をそれぞれ、平成九年度の決算を教えていただけますか。
  103. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 最初に一般的な、全体的な収支でありますが、宇佐につきましては、収入が四億九千七百万、支出が五億二千三百万、したがいましてマイナスの二千六百万ほどになります。なお、これは交付金が約六千七百万入っておりますので、それを除きますとマイナスの九千三百万でございます。  酒田につきましては、収入が五億三千七百万、支出が五億二千七百万で、約一千万の経常黒字になっておりますが、いわゆる交付金八千万円を除きますとマイナスの七千万になります。  なお、加入者福祉施設でございますが、いわゆる加入者福祉施設は、加入者の方がお払いになっておられます保険料を原資として設置運営しているものでありまして、その利用料金というのはなるべく安く設定することが求められております。  このため、簡易生命保険法第百一条四項によりまして、施設に要する費用は国の負担とする、ただし、その一部は利用者負担とすることができるということでございまして、いわゆる加入者の積み立てております共同準備財産の中からこういった施設を運営していく、しかし利用者にも利用者負担ということで一部負担をしてもらう、これが現在の仕組みになっておりますので、この点は御理解を賜りたいというふうに思っておるところでございます。
  104. 川内博史

    川内委員 大臣、今までの局長の数字的な御答弁をお伺いしておりますと、理屈はいろいろあると思います。加入者の方々に対する云々かんぬんという理屈はいろいろあると思うのですけれども、今世の中にいろいろとレクリエーション施設もいっぱいありますし、それぞれ楽しむ場所もたくさんあるわけでございます。そういう中で、全く採算を度外視とは言いませんけれども、それほど採算を考えることもなく、あるいは大変に優遇された条件の中で運営をされる施設がある。  閣議決定により、会館、センターは新設を行わないということになっておりますが、この総合レクセンターについては、郵政省としては全国十二カ所にこれから展開をしていきたいというふうに局長がおっしゃられた。これはやはり公的宿泊施設というか、先ほどこの総合レクセンターは公的宿泊施設には当たらないんだというふうにおっしゃられているわけでございますが、一般的には、宿泊施設を伴うものは、しかも公の機関が運営をするものは、公的宿泊施設だろうというふうに素直に考えられると思うのです。  この簡保の総合レクセンター、全国十二カ所にこれからも展開をされるということに関して、果たして大臣としても、それはいい、やれと、やれとは言わないでしょうけれども、やってくださいねというふうに思っていらっしゃるのかどうかということをちょっと御答弁いただきたいと思います。
  105. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 まず申し上げることは、繰り返しになりますけれども、民間の宿泊施設と競合するセンターとか会館はこれからはつくらない、これはもう決まっていることでございます。  そして、その総合レクセンターに関しましては、まずは地元の総合的な流入人口、つまり地域で観光で財源をふやしたいというときに、多くの人が来られるようなそういうインセンティブをやはりお手伝いしたいということで、レクリエーションセンターというのはなかなか地域で大規模なものはつくれない、そういう地域振興の一助として簡保の施設を、レクリエーションセンターをつくらせていただいているわけでございます。  それをできれば地元の皆様方に上手に有効活用していただきまして、例えば大きな大会、イベントを仕組んでいただいたりとか、全国規模の大会をしていただければ当然全国各地から宿泊があり、当然地元の人たちにもそういう経済波及効果はあるわけでございまして、そういう中で、レクリエーションセンターというのは、簡易保険の加入者の人たちの健康増進と、あわせてそういう大規模なもので集客能力があったり流入人口をふやすというトータル的にその地域メリットになるようなものを優先的に、そして、地元の調整があって初めて設置を進めていきたいと思っています。  実際のところ、先ほど局長の方から計画の話がありましたけれども、多くの地方自治体からの御陳情が大前提でございまして、地域状況を踏まえて必要なものはつくっていかなければならないと思いますが、当然民間への配慮は忘れずに取り組んでいく所存でございます。
  106. 川内博史

    川内委員 最後にもう一度大臣に、今すばらしい御答弁をいただいたと思うのですけれども、総合的に、地域の振興等との兼ね合いの中で、地元の調整をしっかりやりつつこの事業を進めていくと。現状の制度の中では、この簡保総合レクセンターというのはつくろうと思えばつくれるわけでございますから、今大臣がおっしゃられた点に十分に御留意の上、事業をお進めになるのであればお進めになられればいいと思うのです。  そこで、地元の皆様方の調整という最初の問題に戻るわけですけれども、例えば、十二の管内の郵便局の局長さんたちの会合は必ずここでやりますよとか、この地域でやりますよといったような条件をお出しになられて、地元の旅館組合の皆様方ともしっかり話し合いをされればいいと思いますし、大臣がまさしくおっしゃられたように、この地域発展するんだ、たくさん人が来るんだという確約があれば、地元の人たちも、うんうん、では判こを押すよということになろうかと思うのです。  それがないままに、これができればいっぱい人が来るんだ、大丈夫だということでは、やはり商売というのはそういう甘いものでもないでしょうから、旅館組合の同意を取りつけるということは、すなわち、その地域に施設をつくることイコール人をたくさん郵政省としても呼ぶんだという何か裏づけとなるものが必要だと思うのです。そういう裏づけを持って旅館組合の皆さん方の、こういう宿泊業をやっていらっしゃる皆さん方の応援をもらっていくということが必要になると思うので、旅館組合の同意を、ただ協議をするだけではなく、最後は知事がつくってくれと言ったからつくったんだということではしり切れトンボになってしまうので、お互いに判こで、署名をして協定を結ぶということはしっかりやられた方がいいと思うのですけれども、その辺についてはどうですか。  この公的宿泊施設の新設を行わないとした文書の中にも、地元の旅館組合の同意を、協定をしっかり結ぶという一文が多分入っていたような気がするのですけれども、その辺、つくる側は同意をとるためにいろいろな交渉をするでしょうから、そこがやはり大事なことだと思うのですが、どうですか、大臣、最後に力強い御答弁をお願いします。
  107. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私事になりますけれども、私は、地方議会出身、県会議員から国政に上がってきた人間でございまして、今まさに地方主権の時代と言われる中で、やはり地方の自主性というのを十分尊重しなければならないと思います。  ですから、私が国松知事に申し上げたのは、滋賀県の整備計画の一環であるということでしっかり責任を持って調整をしていただきたいということでございます。  また、郵政省がつくる以上は何らかの応援というか人を寄せるようなということもおっしゃいましたけれども、むしろ、やはり今地域の、地方の抱えている問題は、そういうハードのインフラ整備はなかなか難しい。そういうことで、我々がその一助になって何かそういうイベントをするなりスポーツ大会をするなり、それに必要な施設の一助をさせていただいたり、むしろ、それをどう使いこなしていくかというのは、やはり地方の、それぞれの地方主権の発想を持っていただいて取り組んでいただきたいと思います。  もちろん、文書でどうのとか、そういう水臭いことではなく、私たちも、総合レクリエーションセンターをつくらせていただくということであれば、当然いろいろな形で御協力を申し上げていきたいとは思います。
  108. 川内博史

    川内委員 終わります。
  109. 中沢健次

    中沢委員長 福留泰蔵君。
  110. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  当逓信委員会で初めて質問をさせていただく機会を得ました。心から御礼を申し上げたいと思います。  かねてより、私、来るべき二十一世紀社会的な中心基盤というのは情報通信分野になるだろうということで、高い関心を持ってきたところでございます。昨日、野田郵政大臣所信表明を伺って、郵政省が掲げている施策についての御説明を伺いました。まさしく、当委員会が次の来るべき世紀の重要な部分を担っているという認識を深くしたところでございます。  私は、きょう初めて逓信委員会で質問させていただくということでございますので、余り細かいことを質疑させていただくつもりはございません。情報通信という分野にかかわる基本的な姿勢、政府として取り組む基本的姿勢、基本的な考え方について、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思っております。多少数字が間違っていても追及いたしませんので、ぜひ大臣におかれましては、できるだけ自由な発言を、政治家としてのお考えを述べていただければと思います。  先ほど西田委員の方からも委員会のあり方についても一つの提起がなされましたけれども、できるだけこの委員会が、それぞれ政治家として、それぞれの持論を述べ合えるような場になればいいかと思いますが、現状での制約も多少理解しているつもりでございますので、できるだけ大臣としてのお考えをお述べいただければと思う次第でございます。  昨日の所信の中でも、情報通信の重要性については述べられているところでございます。「情報通信は、将来の経済国民の暮らしの発展の原動力として期待されております。」というふうにも述べておられるわけでございますが、まず初めに、大臣の方から、来るべき世紀における情報通信の果たすべき役割というのか、その重要性についての認識をお伺いしたいと思います。
  111. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 答弁する前に、まず、福留先生には私が初当選して以来すぐに出会いがございまして、全く情報通信に未熟で、全く知識のない私でしたけれども、福留先生に初めてモバイルコンピューティングなるものをお示しいただきまして以来、関心を持ち、今日まで勉強させていただいておりますことを、自分の言葉で御報告を申し上げたいと思います。ですから、もう福留先生はまさにその道のプロフェッショナルでございますので、余り細かいことを申し上げるより、私たちが取り組んでいかなければならないことについて、できる限り自分の言葉で申し上げたいと思います。  情報通信の重要性は、私が申し上げるまでもなく、もう既にこの日本の国で情報通信産業のリーダーシップというのは、数字は申し上げませんけれども、明らかになっているわけでございます。  簡単な例を出しますと、ここ数年来、日本経済は低迷だ、物が売れない、そういう中で、携帯電話は着実に売り上げを伸ばしておりますし、あわせて、GPSを利用したカーナビゲーションシステムも着実に売り上げを伸ばしており、最近では、自動車においては、標準搭載というか、最初に買う車に既にカーナビゲーションがついている。そういうような形で、情報通信産業は、わずかな部分ですけれども、それを含めて大変頑張っているところだと思います。  また、その単体だけではなくて、携帯電話はもう非常に技術が進歩しておりまして、昔はただの呼び出し音だけだったのが、今は着メロといいまして音楽が流れる。それぞれ好きな音楽が流れるのですけれども、ついこの間までは電話会社の指定した中から選ぶのが、最近ではもう自分でオリジナルの音楽がつくれるということで、その着メロの本が大変今爆発的に売れているということで、これは情報通信産業の売り上げの中には入らない分野かもしれないけれども、情報通信産業高度化することによってさまざまな経済波及効果が実はもう既に日本で起きているということを認識した上で、まだまだ国会での情報通信の認知も日が浅いわけでございまして、今後とも精力的に取り組んでいけば、必ずや二十一世紀の新しい日本をつくる経済の原動力になるということを信じて、国家戦略として取り組んでいきたいと思っているところです。
  112. 福留泰蔵

    ○福留委員 今大臣の方から、特に産業政策の面からの情報通信の重要性、それから生活の面も若干触れられましたけれども、私は、十九世紀末の産業革命によりまして、この二十世紀というのは、産業革命から始まった科学技術文明の発展というのですか、大量生産、大量消費の物質文明時代を創出してきた。それが今、世紀末に来りて、その行き詰まりを呈している。しかしながら、その発展延長上に情報通信革命なるものが今起きつつあって、二十一世紀は全くまた新しい社会が築かれようとしているのではないか。  そういう意味合いにおいて、この情報通信というのは全く新しい世紀の、社会の最も重要な基盤になっていくのじゃないか。ライフスタイルも変わっていくでしょうし、産業の中核になっていくことも、これは御説明があったとおりでございまして、この情報通信ということの重要性の認識をもっともっとお互いに深くしていかなければならないと思っているところでございます。  そういう観点から見てみたときに、さて、では今日本情報通信分野状況というのはどうなっているのか。これはもう皆さんよく御案内のとおりでございますし、また当委員会でも先ほど来何点か質疑があったとおりでございます。  特に日米間の格差というのはかねてから指摘されているとおりでございまして、産業面からいうと、日本情報産業年間売り上げが、ハードウエアで十八兆円、情報サービスで七兆から八兆円、通信サービスが十一兆円、コンテンツ十一兆円、計四十八兆円というふうな数字があるようですけれども、どれもアメリカのおおむね三分の一程度であるという産業面からの状況であるようでございます。  また、これは産業とも関係するのですけれども、そういう情報通信をいかに利用するかという面から見ても、インターネット利用者数は、アメリカが七千万人、人口の三割だ、こういうことらしいですけれども、日本はまだ一千万人にすぎないという話もあります。  郵政省の方で出された平成十年版の通信白書を読ませていただきました。その中に「国民生活情報化に関する国際比較」というものをされておりまして、日本を一〇〇としたときにそれぞれがどうなっているか。パソコンの保有率が、日本が一〇〇にしてアメリカが二一四、二倍以上ということですね。イギリスが一二一、ドイツが一〇八、韓国が七九ですけれども、シンガポールは一一二。また、それに対してインターネットの加入率は、日本が一〇〇に対して、アメリカが四九五、イギリスが三一五、ドイツが二〇〇、韓国が一一〇、シンガポールに至っては六〇〇という状況である。いずれも、これらの国々と比べても決して高い位置にあるわけじゃない、かなり低い位置にあると言わざるを得ない。  カナダ産業省の調査というのがあったらしくて、電気通信投資、コンピューター利用台数、インターネット接続数、電話ライン数、電話の利用コスト等々の十二の指標に基づきまして、情報産業技術インフラに関する総合ランキングをつけてあるようです。これによると、日本は、調査対象四十六カ国中十七位であるという状況であります。これはある意味でいうと、日本は、パソコン利用による情報技術の普及、特にまたその肝心となるネットワーク利用の面において、まさしく世界の中進国であるという実態じゃなかろうかというふうな指摘もあるわけでございます。  こういう観点からして、大臣としては、今の日本のこの情報通信分野に関する状況をどのように見ておられるか、所見を伺いたいと思います。
  113. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 対アメリカが一番わかりやすいかもしれませんが、結論から申し上げると、現時点では完全におくれをとっている、そういうことが言えると思います。  いろいろな事情はあると思いますが、今の情報通信高度化を支えているインターネットなりGPSといったものが、実は、これはアメリカが国防目的で、もう既に随分前からたくさんの金を投資して、国費でここまで築き上げた、そういう基盤に私たちが乗っかっているという状況があり、また、あわせてパソコンなんかのOSとかブラウザーについても、今現在はアメリカの技術がデファクトスタンダードになっているという状態でもあるわけで、これは、現状は完全に水をあけられているのじゃないか。  インターネット利用も、これは、ある通信事業者から言われて、大変言い得て妙だなと思ったのですけれども、アメリカインターネットは明るい、日本インターネットは暗い、そういう言い方をされました。  それはどういうことかというと、アメリカの場合は、既にいろいろな状況、例えば情報リテラシーが行き届いているとか、英語圏であるとか、インターネットをもう随分前からやっているとか、いろいろな状況を踏まえた上で、もう既にインターネットが実用化されている、商売の道具になっている。そこで、売り上げが一兆円を超えるような、そういう一つのサイバービジネスを形成しているから、明るい。  片や日本の方は、まだまだ、先生指摘のとおり、約一千万人、十人に一人がインターネットを接続するような状況にはなってきたものの、どちらかというと、まだマニアックな、趣味の世界の中でのやりとりが主体で使われているのじゃないか。実際に、平成九年の売り上げはたしか八百十八億円ということで、実用面においても、売上高で大きく水をあけられているところが日本の現状ではないかと思います。
  114. 福留泰蔵

    ○福留委員 私は、その今の実態、御認識をされているということを評価するわけでありますが、これから二十一世紀我が国は引き続き世界でリーダーシップをとっていく国づくりをしていかなければならないというふうに思っております。  そういう観点からしたときに、これからの二十一世紀、先ほど申し上げましたとおり、情報通信というものが社会の基盤となっていくということを考えていけば、この情報通信分野における今の立ちおくれというものは、二十一世紀我が国がリーダーシップをとっていける国になれるかどうかという大変重要な問題だろうと私は思っているわけでございます。これからそういう、二十一世紀我が国が引き続き世界のリーダーシップをとっていける国になるためには、情報通信分野に関するある程度国家戦略に基づいた施策というものをつくっていかなければならないと私は理解しているわけであります。  アメリカになぜこれだけ水をあけられているかということの理由、さまざまあろうかと思いますが、巷間言われているところには、やはりアメリカが、八〇年代でしたか、大変不況に苦しんで、アメリカの衰退と言われる状況の中で、ゴア副大統領を初めとする情報スーパーハイウエー構想が発表されて、いち早く情報通信革命に対する施策を実行してきた。先んじてこれを実行してきたために、今大臣からも説明がありましたデファクトスタンダードということで、今世界を制覇しようとしている状況にあるわけであります。  私、ここで、再度この件でお尋ねいたしますけれども、これから日本が引き続きリーダーシップをとっていくためには、今既におくれている部分というものをキャッチアップしていかなければなりません。なぜおくれてきたのか、そこをよく分析した上で、どうやってキャッチアップしていくかということが重要になると思いますけれども、この点についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  115. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 私が郵政大臣になって常に考えて、思っていることは、ここ数年来情報通信というのは非常に重要だとだれもがおっしゃっていただけるようになっているわけでございますが、その現実の財というか、それに利用できる郵政省の予算というのは非常に限られていることに愕然としてまいりました。つまり、情報通信という言葉だけが先行して、若干国家の中でその利用とか戦略というものに欠けてきたんじゃないか。  ところが、数年前から、ぼちぼちとですが、郵政省だけで情報通信行政を担うのではなく、政府全体でやっていかなきゃいけないねということになりまして、高度情報通信社会の推進本部というのが総理を本部長にできてきたところでございます。  恐らく、今その中で国家戦略というものをつくり上げていっているわけですけれども、おくれてしまったものはいかんともしがたい。今現在のインターネットのシステムにせよOSにせよ、今できたものを今から研究開発して競争するには、この分野というのは日進月歩だから、追いつこうと思ったらまた先に行かれるという状況になるわけですから。国としては、あくまでも情報通信というのは民間主導で、公正有効競争のもとでやってくれということで、このスタンスは変えずに、しかしながら、将来にわたって互角にまたは乗り越えていくための基礎研究等は国の方で主体的に取り組んでいかなければならないということを感じています。  ですから、今までだめだった点を申し上げるならば、言うなれば、ネットワーク、日本の場合はまだ遅い、容量が小さい、さらには高いとか、安全性の問題、そういうことがありますので、今後、そういう問題を解決できる大容量高速のネットワークの構築に国としては力を入れていく。基盤だけができても走らせるものがないと困るわけですから、そのコンテンツに対していろいろなベンチャーの支援をしていきたい。ところが、ベンチャー企業をつくるに当たっても、人材がなきゃいけないということで、やはり情報リテラシー、つまり、日本国民、特にこれから次世代を担っていく子供たちには十分なインターネット環境を教育の現場でしつらえていこうということが、恐らく今の問題点であり取り組みではなかろうかと思っています。
  116. 福留泰蔵

    ○福留委員 今いろいろ御説明をいただいているところなんですが、国として、基本的にはこの分野というのは民間競争にゆだねていく部分である、ただし基礎研究については国としてやっていくという御説明が一つありました。  その上で、大容量高速のネットワーク網の整備については、これも国として整備については推進していかなければならないという御説明もあったところでありますけれども、これまでの情報通信に対する、国、特に大蔵省の理解が少なかった、郵政省としての予算が少なくてなかなか思うことができなかったということ、しかしながら、情報通信推進本部というものが総理が本部長のもとでつくられて、やっと認識が少しずつ出てきたところであるというお話がありました。  それは一つわかるのですけれども、一つ、これは私自身もまだ結論を出し切れていないのですが、この情報通信分野に関して、どこまで政府として、行政としてかかわっていくのか、民間はどこの分野をやっていただくのか、この辺の仕分けがどうもはっきりしないままごちゃごちゃきているのではないか。  恐らくこういう公共財というものはあるクリティカルマスというのがあろうと思いますね。従来は、ネットワークを張りめぐらすという意味では、例えば鉄道網にしても電話網にしても道路網にしても、高速道路がそうですけれども、全国にある一定のネットワークを築き上げるまではコストが合わない、利用者も少ない。しかし、ある一定のクリティカルマスまでネットを完成すれば、後は利用者もふえて採算が合ってくる。だから、その採算が合うところまでは国がある程度面倒を見る。しかし、採算が合って、これは市場競争の中にゆだねた方がいいというところで、民間にゆだねていくという流れで来たのだろうと思います。  確かに、電話に関していえば電電公社が民営化された、国鉄も民営化された、こういう流れの経緯があるのだろうと思います。その経緯の中で、基本的な流れはすべて、こういうネットワークについても、これからは民間主導でやっていく、市場原理にゆだねていくというのが現状の大きな流れであります。  市場原理で、基本的には民間主導でやっていくべきだという一つの論がある中で、今大臣が御説明になった大容量高速ネットワークについて国が関与することの理論づけが私は必要になってくるんじゃないかと思っているわけであります。これは大変難しいことでありますけれども、今言った趣旨はおわかりになると思いますけれども、そういう意味での、この分野については国が積極的に国家戦略の中に位置づけて、必要だという理論をつくっていかなければならないと思いますけれども、その点についてのお考えがあればお伺いしたいと思います。
  117. 金澤薫

    ○金澤政府委員 若干事実関係だけ補足させていただきたいと思います。  アメリカでも高速大容量のネットワーク技術の研究開発という視点のもとにネットワークを整備いたしておりまして、一番有名なものにNRENというのがございますけれども、これは、一九九二年から一九九六年までございましたが、一千億以上の金を投下して大学、研究機関を結ぶ高速大容量ネットワークを整備しております。それから、一九八八年にNGII、ネクスト・ジェネレーション・インターネット・イニシアチブ、次世代インターネット計画というのを打ち出しまして、ここでも、大体幹線部分で六百メガビット以上、エンド・ツー・エンドで十メガビット以上のそういうふうな大容量回線を敷設して、さまざまな研究開発をしていこうというふうに考えております。  郵政省として大容量高速回線の設置ということについて考えておりますのは、これはギガビットネットワークということで、第一次補正で五百十億、第三次補正で六十数億の金がつきましたが、全国北海道から沖縄までATM交換網を中心にしたギガビットのクラスのネットワークを形成してさまざまな研究開発をしていこうというふうに考えているところでございます。  実用レベルに達したネットワークをどういう形で整備していくかというのはまた別の考え方でございますが、研究開発としてはそういうことを考えているということでございます。
  118. 福留泰蔵

    ○福留委員 私は基本的に、先ほど私が論立てしました私なりの考え方からいえば、ここは国家戦略としてとらえて、ある程度国が先導的にやっていかなければならないのではないかと思っているところであります。ただ、それがどの段階かは難しいところでありますけれども、いずれにしても、後は民間にすべてゆだねていくというふうな流れに持っていくべきではないかと思っております。  昨今の経済不況の中で、日本再生計画の中で経済的な面からここに対しての特段の支援をやっていこうという政府の動きがあるようでありますが、それは大きな流れからすると、若干先ほど私が申し上げたことからいえば逆行する流れになっていくと思いますが、そこのところの論理構成を郵政省としてもう少し明確にしていただいた方がいいのではないか。  私が実は申し上げたかったことは、この情報通信というのが大変重要なこれからの時代のテーマである、ある意味では国家戦略につながっていく部分である。国家戦略としての位置づけの中で、国民また外国に対して明確なメッセージを出す形での戦略が打ち出されていないような感じがしてならないわけであります。  私、一昨年ちょうど実はシンガポールとマレーシアに行ってまいりました。シンガポールではIT二〇〇〇インテリジェントアイランド構想というものを持っていまして、特にこの情報通信分野で先取りする形で、さまざまな施策を推進して世界の中心地になろうというふうな大きな目標を掲げてやっておりました。  それからマレーシア、マハティール首相の強烈なリーダーシップのもとで、MSC構想というのがあります。マルチメディア・スーパーコリドーといいまして、ちょうど新国際空港、もう開港したんでしょうかね、あのときは開港の直前でしたけれども、私見てきましたが、新国際空港それからクアラルンプール、また新首都のプトラジャヤというところ、この南北五十キロ、東西十五キロの圏内に情報ハイウエーを張りめぐらして世界一の情報都市を新しくつくっていくんだ、ここに来れば世界じゅうの情報が全部わかる、すべての商売がそこでできるというふうなことで、国家目標としてやっている、こういう取り組みをやっているわけでありました。  これはこれとして、そのまま私は日本に当てはまるわけにはいかないと思います。何もないところから新しいものをつくるという意味では、いろいろやりやすい部分はあろうかと思いますけれども、日本は既にそういう国々と比べると情報通信分野ではある程度できている部分もある。そういう中にあって、きちんとした国家戦略を持って、リーダーシップを持って日本がやっていくというふうな具体的なビジョンを世界に指し示していく必要があるのではないかと私は思っております。  今回の省庁再編の問題でも、総務省に郵政省情報通信の関係の部門が入られる、かねてから言われていることでありますけれども、この情報通信分野というのは、どちらが川下か川上かわかりませんけれども、通産省と接点のある部分があるわけであります。それが縦割り行政の弊害の一つだとも言われているわけでありまして、私は、基本的に言えば、情報通信というのが本当に重要であるというふうに政府が認識していれば、ある意味では、情報通信省みたいなものをつくるということが、国民に対するメッセージにもなりますし、世界に対するメッセージにもなろうかと思います。お隣の韓国では、一九九三年に既に情報通信省というものを設けて、明確な意思を持って推進をしている状況であります。  今世界じゅうが、アメリカもまだリーダーシップをさらに引き離していこうということでさまざまな施策をとっている。ヨーロッパも負けじとしてやっている。また、東南アジアの国々、昨今の経済的な大変な状況の中で、若干陰りは見えているんだろうと思いますけれども、未来を見据えて積極的に国家戦略としてやっている中で、私は、国家戦略としての日本の取り組みが大変足りないような感じがしてならないわけであります。  省庁再編の結果は決まったことで、後は、事務当局としてはそれにのっとってやっておられるにすぎないかもしれませんけれども、私としては、もう少しそういうふうな国家戦略としての位置づけをもってやっていかないことには、先ほど中進国というお話をしましたけれども、このまま中進国に終わってしまうのではないかという危惧を抱いているわけであります。  郵政省の当局におかれましては、大蔵省に一生懸命予算の要望を出されているとは思いますけれども、情報通信の関連の予算の問題についても、さらに郵政省の今所管しておられる業務の中の予算がふえていいのではないかと私は思っているところでございまして、今、私一方的にるる申し上げましたけれども、この点についての大臣の所感をお聞かせ願いたいと思います。
  119. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 大変な激励を賜って、心から感謝を申し上げます。  私自身も、大臣になりましてから同じような疑問にぶつかってまいりました。情報通信は非常に重要だから、それを国家戦略として位置づけていこうという努力はするものの、情報通信インフラは非常に公共的であるけれども、公共事業でないというのがこの国の今の姿でございます。民間主導で、民間の力でネットワークを構築していかなければならない。次世代のいろいろな、光ファイバー網にしてもそうです。  実は、私自身も、政務次官をやったときから、全国を光ファイバーで網羅するというのは国家戦略だと思っておりましたし、思っております。しかしながら、実際にそれをやってくれる人というのは、国ではなく民間事業者の意向でありまして、民間事業者には国としてはバックアップ、後方支援みたいな、低利融資とかそういう形でしか、今のところ、財政当局との折り合いがつきませんので進めてこられませんでした。民間主導というのは非常に自由でいい発想がある反面、例えば今のように景気が悪いときとか経済活動が沈滞しているときには、なかなかそういった直接利益を伴わない設備投資とかはしてもらえないわけでございます。  しかし、問題なのは、情報通信のネットワークインフラは東京だけが光化されても全く意味がないわけで、例えばファイバー・ツー・ザ・ホームという国家戦略があると、ほぼ同時に北海道や沖縄まで東京と同じだけ光化になっていなければ、今先生が御指摘になっている情報通信高度化国民が受けとめることができない。そういう問題を抱えているので、とりあえずは今の私たちの与えられた環境の中ででき得る最大限のこと、実験とか研究の名のもとに、民間が手を出せないような、先ほど局長からあったようなギガビットネットワーク等、そういうものを進めていく中で、いずれはそういう構築されたものが産学官の中で利用される、そういうプロセスをつくっていかなければならないと思います。  非常に限られた予算で、信じられないぐらいのリクエストがありまして、対応に大変困っておりますが、ようやく予算の中で情報通信という言葉が出てきたのが平成九年度からなんです、いろいろな特別枠とかそういう形で。それで、一番最初に頭出しで情報通信という形でお金がいただけるようになったのがこの平成十一年度の特別枠ということでありまして、ですから、まだまだ政府全体の中で情報通信の重要性というのが十二分に周知徹底されていないということで、私はもちろん、郵政省を挙げてそういう御報告やお願いをさせていただきますけれども、どうか御理解のある先生方の御支援をなお一層期待申し上げるところでございます。
  120. 福留泰蔵

    ○福留委員 時間が参りましたので、まだまだ議論をさせていただきたいと思っておりますけれども、これで終了したいと思います。  今大臣の方からもいろいろお話があったところ、我々としても本当に同じ思いでございますし、今のお立場の中でやらざるを得ないということを理解しておりますけれども、私どもとしても、この情報通信というものの重要性を十分認識して、二十一世紀、私ども日本世界で引き続きリーダーシップをとれる国になれるよう、また、国民の皆さんが豊かでまた安心して暮らしていただける社会になるよう、重要な分野であると認識して取り組んでいきたいと思っております。  今御説明のあった中で、情報通信枠の予算がやっと認められたという話もお聞きしましたけれども、この点についても私は実は質疑させていただきたいと思いましたけれども、なかなかおもしろいもので、情報通信枠ができたとなると、各省庁から、これも情報通信にくっつけてしまえと。何か私から見ると、これは情報通信のどこに関係があるんだというふうな予算も多々あるわけですね。今、国家財政が限られている状況の中では、やはりそれは取捨選択して、ある程度重点投資をしていく発想も必要ではないかと思いますし、そのコントロールタワーが実はないというのが国家戦略のなさというところにつながっているという認識を私はしているところでございます。  引き続き、大臣の御活躍を期待しつつ、我々もこの問題については一生懸命取り組ませていただくことを申し上げさせていただいて、本日の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  121. 中沢健次

    中沢委員長 遠藤和良君。
  122. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、個別具体的な問題を三点に絞りまして質問をさせていただきます。  第一点は、はがき文化の振興という観点。第二点は、地上波のデジタル化に伴います国の関与のあり方。それから第三点は、オリンピックとかワールドカップに見られる放送権料の高騰化の問題。三十分間で全部できるかどうか、ちょっと心配なんですが、御協力をよろしくお願いします。  最初に、はがき文化の振興という観点ですが、郵政省は、手紙、はがきの料金を二〇〇五年まで据え置くということをおっしゃっていますが、これはこのとおり実行できますか。
  123. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 まず、ちょっと事実関係を補足させていただきたいと思います。  先生御案内のように、一昨年の六月、郵政審議会から、当時の安定的な経済状況を前提に、今先生から御指摘がございましたように「二十一世紀初頭、例えば、二〇〇五年までの手紙・はがきの料金据置き」ということで御答申をいただいたところでございます。審議会の御提言を当然真摯に受けとめてまいります。  ただ一方で、ファクトといたしましては、当時のGDPというのは三%とか四%という前提での御提言であったのもまた事実でございます。郵便事業の物数というのは、先生御案内のように、非常にGDPと相関関係がございます。そういうところで、このように景気が大変な状況になってまいりますと、今の相関関係からして物数が落ち、そして収入も非常に影響を受けておるのも事実でございます。  しかし、さはさりながら、景気景気とばかり言っておれませんので、みずからの力でこの難局を切り開いていくということが必要だということで、営業体制を強化するとか、あるいはお客様に喜んでいただける新たなサービスをきびすを接して提供していくとか、さらに、かつて郵便事業ではやったことはなかったわけですが、局所によっては本務者、職員を非常勤に置きかえるとか、こういうようなこともやりまして、懸命な努力を行ってまいりたいと思います。  一方でまた、十一年度からプラス成長への転換というような明るい話もあるわけでございますので、こういう経済環境の変化を期待しつつ、また、増収と経費の削減、ただいま一例だけを申し上げましたけれども、私どもとして損益の改善に一層努めまして、できる限り長く現行料金を維持できるよう努めてまいりたいというふうに事務方としても思っておるところでございます。
  124. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 経済状況に左右されることはわかるのですけれども、経済状況がどうあれ、郵政省としては二〇〇五年まで据え置くことに努力する、こういうふうな力強い発言がありましたと理解します。どうぞ、よろしくお願いします。  その上で、私の家庭に来る郵便物なんかを見ておりましても、最近は、いわゆる私文書と申しますか、個人の、自分で書いた自筆のはがきというのは大変少ないわけですね。はがきを自分で書くというのは一つの文化だと思うのですけれども、そういう振興というものがやはり大変大切だと思うのですね。  ちなみに、郵政省が取り扱っているはがきの中でそういう私文書の数が幾らあるかというのは、通信の秘密がありますから統計はないのでしょうけれども、感想としては全体のはがきの量の一割ぐらいじゃないのかなという実感を持っているのですけれども、大体そんなぐらいでしょうか。
  125. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 統計的な数字でございますのでオープンにできるわけでございますが、実は、三年に一回、郵便利用構造調査というのをやっております。  最近では九年、その前は六年、そして三年でございますが、この三回だけを取り上げますと、先生のお感じの倍はありまして、私人対私人のはがきというのが、平成三年が二四・六%、平成六年が二二・四%で若干下がりましたけれども、もう一度、九年はまた二四・七%というところで、比例的には大体横ばいということでございますが、絶対物数が上がっておりますので、トータルとしては上がっておるというのが統計上の数字ではございます。
  126. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、私、官製はがきがもっと多様化してもいいんじゃないかなというふうな、要するに国民の側から見て、官製はがきが若い人にはちょっと不向きじゃないのかなという感じもするのですね。  例えば横書きのものをつくるとか、あるいはデザインを少し変えてみるとか、あるいは官製の絵はがき、これは若干つくっているようですけれども、そういうものをもう少しPRするとか、あるいはブックレットになって旅行に携帯できるようなはがきをつくって、書いたら一枚ちぎってポストに出しておく、こういうふうな工夫をぜひしたらいいんじゃないかなと思います。  あるいは、エアメールも、最近は官製のエアメールの絵はがきができていますけれども、大変種類が少ないですね。これはもっとたくさんつくって、手軽に、切手を張らなくていい形になっているわけですから、使える、こういうふうな工夫をすべきだと考えますが、どうでしょう。
  127. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 全く先生のおっしゃるとおりだと思っております。取り組みが必ずしも早くなかったわけでありますけれども、先生今おっしゃいました中で、絵入り官製はがき、昭和六十年から発行してきております。ことしの場合は、八百種類を超える絵入り官製はがきをそれぞれ地方郵政局が創意工夫でもって発行していこうということで取り組んでおるわけです。  そして、ブックというお話がございましたけれども、去年の十二月に初めて、まだ初めてというところがちょっとお恥ずかしいのでございますが、中国郵政局におきまして、竹久夢二さんの十枚の絵入り官製はがきをブックスタイルにして発売をさせていただいたということで、これは先生指摘のように、非常に世の中的にも好感を持たれるのではないかということで、これから郵政局において続いてこういうブックスタイルのものも発行されていくことを、私どもとしてもぜひ期待をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。  それからデザインというお話もございました。先ほどの絵入り官製はがき、昭和六十年から発行させていただいておるものでございますが、各地の代表的な風景、風物というのもあるわけでございますが、最近では、鉄腕アトムとかあるいはポケットモンスターとか、そういうような人気キャラクターを絵の中に取り入れた、そういう作品も出てきておるところでございます。  それから、絵入り国際はがきについても先生から御指摘を賜りました。若干その利用が減っておりますけれども、先生のただいまの御指摘を踏まえまして、さらに私どもとして、デザイン上の工夫ができないかどうか考えていきたいと思います。  ただ、先生お話しになりましたところで、一点だけなんですが、横書きのはがきとなりますと、今郵便局に郵便の新型区分機を入れておるわけですが、その読み取りが、場所的なものとして、はがきの右上というところになっておりますので、横書きにしました場合に、七けたの枠のとり方によって読めなくなるというような技術的な問題があるのも事実でございまして、その点だけはさらにさらに私ども研究をさせていただきたい、そういうふうに思います。
  128. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いろいろ商品の開発を熱心にやられているようですけれども、すべての郵便局にその実物があるわけじゃないのですよね。その情報は必ずしも国民のところに伝わっていないと思います。ですから、少しPRに取り組みまして、すべての郵便局でそういうものがあるんだということがわかるというふうにぜひしてほしい。  それから、横書きの話ですけれども、はがき自身を横書きにするのはなかなか、今郵便の読み取り機の話でしょう、そのはがきの形は縦書きにして横にけい線を引くとか、そういう工夫はあっても大丈夫じゃないですか。そういうふうに、縦に書くことになれないで横に書くことになれている人が多いわけですから、その人たち利用しやすいような形態を考えるというものも一考あっていいのじゃないか、重ねて御答弁をお願いします。
  129. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 もちろん前向きに検討させていただきたいと思います。
  130. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大臣にぜひ認識してほしいのですけれども、郵政事業の中で、特にはがきと手紙の部分は独占になっているわけですよね。独占というのがいいのか悪いのかということを議論をする際に、独占の分野があって、そこがサービスがすごくよくて、そこの部分で郵政事業全体を引っ張っていくということになれば独占というのはすごくいいわけですけれども、そこが引っ張れなくていつも値上げをしている、値上げで引っ張っているという形になると独占の弊害ということになりますよね。そうすると、民営化すべきだという議論が出てくるわけです。  私は、独占であるということは、ここの部分で本当に独占的に国民に多様なサービスを供給しているのだ、そして供給することによって、増収も図って郵政事業全体を引っ張っていくのです、こういうふうに、国民にとって独占というものがいいことだ、日本全国どこでもユニバーサルで、ポストにさえ入れればいいという話ですよね。  しかも料金は据え置かれて本当に独占でありがたい、こういうことにならないと、また郵政省自身、もう一回、民営化したらどうかとかいう議論が私は必ず出てくると思うので、これを安易に値上げに頼って全体の増収を図るということではなくて、増収あるいはリストラ、そういう形で、国民に多様なサービスを提供する場として、このはがきあるいは手紙の部分を活用してもらいたい、こう思うのですが、どうでしょう。
  131. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 大変すばらしいアドバイスをいただき、本当にありがとうございます。私自身はどちらかというと電子メールの愛用者なんですけれども、その私ですら、やはり正月の年賀状をいただいたときには、それぞれ心のこもったお手紙、はがきをいただき、大変感激いたしました。  振り返ってみると、電子メールというのは非常に限られた仲間とのやりとりで、むしろはがきというのは非常にフォーマルで、また、ちょっと距離を置いていても手紙、はがき一つでコミュニケーションがとれる。さらには、よく言われるのは、私は大変字が下手なんですけれども、下手な字だけれども心がこもっていてうれしい、そんなようなものを伝えられる日本古来からの大変重要な通信手段ではないかなということを実感しています。  おかげさまで昨年の年賀はがきは、先ほども申し上げたとおり、最高の販売ということで、恐らくまだまだ国民の中にははがきを書くということを大切に思ってくださる方がいるんだ。また、その人たちのニーズにこたえられるように、今先生がおっしゃったようなさまざまなアイデアを駆使して、そういう手紙離れ、はがき離れを防いでいく、むしろふやしていく、書いてくれる人をふやしていく努力をしていかなければいけないと思っています。  今いろいろなところでいろいろなはがきを出しているということ、確かに、私も全国からいただくのですけれども、どこのはがきだったか定かではない場合がありますので、そういうのもひとつシリーズでまとめて、全国の皆さんにどこでどういうはがきが販売されているかというのもお示しできるように取り計らっていきたいと思います。  本題に入りますけれども、はがき、手紙の独占、私自身も何度か委員会で答弁する中で、独占というのがさも何かいけないことのようなニュアンスでおっしゃる方もあるわけですけれども、そうではなくて、まさに今先生が御指摘されたとおり、はがき、手紙をきちっと独占で事業をさせていただくことによって守られているもの、それは、簡単にポストへ、どこへ行ってもポストへ行けば全国に送られるというシステムであり、なおかつ、どこからどこへ送っても同じ料金で送れるというシステムであり、さらにそれは全国で、東京だけじゃない、全国どこへ行ってもそういう同じ、公平なサービスが受けられるということであり、さらに郵便料金を低目に抑えることができる、全国統一の料金でやれる、そういうことを維持するために独占をしていっているということを改めて私自身も腹に置いて周知徹底をしていかなければならないと思っています。  今後値上げしないようにということで、一種や二種に関して、やはり積極的に、今いただきましたお話を踏まえて一生懸命努力してまいりたいと思いますと同時に、むだな経費の節約なんかにあわせて努めていきたいと思いますので、御理解をお願い申し上げたいと思います。
  132. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 地上波のデジタル化に伴って、その前段階としてアナログ電波の調整が必要ですね。それに従って、視聴者アナログアナログで見るのに何でお金を払わなければいけないのかという問題が必ず出ると思うのですね。  NHKの会長がおっしゃっていますけれども、この費用というのは国と放送事業者とメーカーが負担すべきであって、視聴者負担を求めるべきではない、こう言っていますけれども、国の考え方NHKの会長と同じですか。
  133. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のような趣旨の発言があったという報道は承知しておりますが、直接私NHK会長からは伺っておりませんけれども、先生指摘のように、このデジタル放送、波を生み出してデジタル放送がきちっといくためには、今申されたアナログ周波数調整、そのための措置が必要不可欠でございまして、これをいかに円滑に取り運ぶかというのが大変重要な課題でございます。  そこで、まず我々といたしましては、たたき台ということでいわゆるチャンネルプランというものを、どのような周波数計画を立てるべきか、第一次案、素案をお示ししたわけでございますが、これのつくり方で、この受信対策がどれだけ要るのかということも大分変わってまいります。  それから、私ども、この計算をするにつきましても、必ずしもまだ実態を、現実の実態をよく把握できていないところもありますので、その辺の情報、それからすぐれて現場の話でございますので、今までのいろいろな経験、ノウハウもいただきながら、この受信対策そのもの、それからそのコストをいかに縮減していくか、これをまず最善の努力課題としてまいりたいと思っております。  もとより、地上放送デジタル化ということは、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国挙げての施策の一つとして位置づけられておりますので、政府としても、この受信対策を含めまして、いかにデジタル放送を円滑にしていくか、まず国としてどのような方策を講ずべきか、それを真剣に考えてまいりたい、このように考えております。
  134. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから、アナログ視聴者デジタルまでいく前の段階の話をしているのですね。アナログアナログで見るのに、同じサービスしか受けられないのに、チャンネル変更とかテレビのアンテナの角度を変えなきゃいけないわけですね。その費用視聴者負担させるべきではない、この考え方を国はどう考えますかということです。
  135. 品川萬里

    ○品川政府委員 方向としては、そういう方向で考えていくべきことと思っております。視聴者が戸惑う形じゃなくて、アナログ放送を見つつ、かつデジタル放送に円滑に移行できるというための措置でございますので、全般として視聴が十分行き届きますように、国としても最善の方策を考えてまいりたいということでございます。
  136. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、影響する世帯数は一千万世帯ぐらいだというふうな見通しがあるようですね。あとは、チャンネル変更しなければならない局と、しなくてもいい局ができますね。その区分をどうするのかという問題ですね。それから、この負担の問題は、チャンネル変更する局だけに負担させることになると、それはチャンネル変更させない方にみんなが陳情合戦しますよ。こういうふうな問題がありますから、これをきちっと進めるためには、枠組みをきちっとつくる必要がありますね。それについてはどういうお考えを持っていますか。
  137. 品川萬里

    ○品川政府委員 先ほど申し上げましたように、まず、いかに合理的な、かつコストを最小限のコストにできるようなチャンネルプラン、そしてまた、周波数移行のための対策を講ずることがまず第一義でございますけれども、今先生指摘のような点というのは、周波数全体のバランスのとれた、トータルとしての全体最適を組む中での個別の状況でございますから、この対策コストも、合理的な、常識的な財源の確保方法、それから手当ての方法というものを考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  138. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 あいた周波数のところをどうするかという問題もありますね。これは、競売したらどうかという話もありますね、アメリカみたいに。そして、それをその財源にしたらどうかという話もありますね。  それから、私、もっと進めて、本当のデジタル化になるためには、もっと膨大な設備が、費用がかかるわけでございますけれども、こうしたときに、国はいかなる立場放送事業者に助成あるいは協力するのかという問題が起こってくると思います。例えば、融資制度とか税制上の措置とかいうもののほかに、直接補助金で助成をする、こういうことまで考えていらっしゃるのですか。
  139. 品川萬里

    ○品川政府委員 予算とか、いろいろな政府としてとるべき措置というのは、まず全体像を把握いたしまして、そしてまた、それぞれの施策の性格づけなりを踏まえてのことになりますけれども、これまでも、例えば民放テレビの格差是正事業で、補助金という形で格差是正が図られる難視聴地域解消という手だても講じられてきました。  これは、デジタル放送普及ということが考え方として格差是正事業と直ちに一致はいたしませんけれども、補助金の形とか、あるいは先生指摘の税制とか、あるいは金融上の措置とか、いろいろな考えられるあらゆる手だてについて、それぞれの対策が、もちろん施策の目的によって整合性がとられていなければいけませんけれども、どのような分野については補助金がいいのか、あるいは政策支援がいいのか、それぞれのコストの性格あるいは施策の性格に応じて、いろいろな組み合わせを考えてまいりたいと考えております。
  140. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 報道の自由というのがあるわけですね。放送事業者に補助金を出すということは、私は報道の自由との関連で疑義があります。  また、放送事業者の方もプライドがあると思います。それに対して国から補助金をもらうと、何か国の方に向かって国の悪口を言えないとか、そういう問題になるとこれは大変なことですね。  ですから、私は、デジタル化に伴う国の関与のあり方ということを最初に申し上げましたけれども、この助成という中身、これは報道の自由との関連でしっかり議論をしないと、これは憲法上の問題を含んでいる、こう認識しますけれども、どうですか。
  141. 品川萬里

    ○品川政府委員 この、国としての今まで講じてきた措置というのは、いわば民放、民間放送の地上放送システムとかいろいろな放送システム、そのシステムの健全な発展という趣旨からなされてきております。  それから、もちろん助成をする際にも、あくまで客観条件に的確に対応するものに対して助成をするということでございまして、会社のいかんによって助成をする、しないということは、判断の要素にしておりません。  また、放送会社におかれては、助成があった、ないで報道の体制が変わったというような事例は聞いておりませんし、そこは立派に見識を持って対処しておられると私どもは考えております。  具体的に申し上げますと、例えば、十一年度でデジタル化についての支援措置も計上させていただいておりますけれども、これは、番組の中身でどうこうということではなくて、デジタル技術等の活用ということで、性格的にも非常にニュートラルな観点からの支援策でございまして、この支援措置のいかんによって中立性あるいは自由が損なわれるということは現に起こっておりませんし、今後もそのようなことはないというふうに信じております。
  142. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 もちろん、放送の中身に対して助成するのはあってはならないことですよ。でも、やはり、例えば基盤整備だとか放送設備だとかデジタル化に伴う設備とか、そういうものに対して補助金を出すということも、僕はいかがなものかと思いますよ。それは、やはりめぐりめぐってそこの経営に対して助成をしていることですよ。これは、そういうふうなお考えを持ちませんか。
  143. 品川萬里

    ○品川政府委員 これは確かに、例えば今までの格差是正事業というのは、いろいろな補助率がございますけれども、これは、それによってその地域のまさに視聴状況を改善するというためのものでございまして、結果として、それが格差是正事業なり助成の目的でございます。  それから、このデジタル化につきましても、最終的に視聴者デジタル技術のメリットを利活用されるようにということがこの目的でございますから、その点において、経営上に何らかの予期し得ぬ影響があるというふうには考えておりませんし、あくまで、最終的には視聴者利便向上ということに我々の政策目的はあるわけでございます。
  144. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、デジタル化の利益は国民が受けるというのはわかります。しかし、やはり放送事業者に国が税金で助成をするというのは考え直した方がいいと思うのですね。  それはむしろ、私の考え方はこうです。例えば、基金をつくる。デジタル化推進のために必要な基金というものを、放送事業者とかメーカーあるいは有志の方々から集める。そして、できれば、その基金は本当は国がつくる基金じゃなくてNGOが一番望ましいと思うのですね。要するに、収益を目的としない基金ですね。そして、例えば、そこに有志が寄附金を出すと、その寄附を寄附金控除する、そういう形で政府支援するという形が非常に理想的だと思うのですね。そうすると、国が直接税金で支援するというのじゃなくて、国民の皆さんが寄附金を基金に出して、それによって国民のための放送をやってもらうための基金にする。政府はそれを寄附金控除という形で助成をする。こういうふうな形というのが私は大変大事な視点ではないのかな。  例えばそういうものをつくっておくと、さっき言いましたけれども、デジタル化の前段階でアナログ周波数を調整するときに、例えば変更しないでいい局、変更しなければならない局の区別があっても、国民のためのいろいろなサービスあるいは器具の調整、基金の方で全部そういうもののお金を出す、そういうことになれば、デジタル化に向かって放送事業者の協力も大変得やすくなるのではないか、こう思いますけれども、どうでしょう。
  145. 品川萬里

    ○品川政府委員 ちょっと私、御答弁申し上げるのがいささか不十分なところがございましたけれども、残念ながらと申しますか、デジタル化については補助金という段階までまだ行っておりません。いろいろな先生おっしゃったようないわば間接的な支援策でございまして、しかも、デジタル化につきましてもやはり現在は技術開発途上でございますので、そういう側面での支援、いずれ成熟した場合には、これは当然国としての役割もふえるかと存じます。そういう意味で、先生おっしゃったように、いろいろなツールの組み合わせでこれからの合理的な支援策、それから国民の納得の得られる支援策構築してまいらなければならないと思っております。  今先生指摘の基金のプールというお考えがございましたけれども、これも政府が一方的にとやかく決める話でもございません。まずは国としてどういうことをすべきかということを考えつつまいりたいと思いますが、先生のせっかくの御提言でございますので、我々、今後それも含めましていろいろ研究させていただきたいと存じます。
  146. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、デジタル化という目標に向かっていろいろなシステムづくりを行う、その中で本当に注意していただきたいことは、報道の自由というものがあるわけですから、国民の税金を直接放送事業者に渡すということは避けた方がいい、私はこう思います。そういう形ではなくて、デジタル化に伴う膨大な費用をどのように賄っていくのかという知恵を出さなければいけない問題だと思うのですね。  それから、そのときに考えてほしいのは、地方のローカル局というのは地方の文化の発信地でもあるんですね。ですから、例えばデジタル化に伴って地方の放送局民放の系列局の傘下に入ってしまう、あるいは会社の中に吸収されるとか、あるいはデジタル化というものが競争の原理、資本の論理だけでいくと弱肉強食という形にもなるわけですね。その中で、地方の情報の発信地であるローカル局の存在というものをどのように守っていくかというか、育成していくかとか、生き残ることができるような工夫をしていくか、こういうことはまさに郵政省の仕事だと思うのです。  そういう観点で、放送のダイナミックな変化があるわけですけれども、それに対して、これとこれとこれとは共通の価値として今後も継続発展させていくというふうな一つの技術化に対する哲学といいますか基本方針といいますか、そういうものを郵政省から発信すべきだ、私はこう思いますが、どうでしょう。
  147. 品川萬里

    ○品川政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、まさにこのデジタル化の推進ということも、地上放送網、いわゆるローカル放送会社がまさに地域の基幹メディアとしてデジタル化社会において期待される役割を果たしていくためにこそデジタル化という技術が大いに期待されている、そのために必要であるというふうな考え方に基づいて地上デジタル化の推進も図っておるわけでございます。  先生指摘のような観点から、もちろんこのデジタル化はかなり高度な技術を要しますので、やはり東京におられる放送会社の皆さんと、全国ローカルで活躍しておられる皆さんと、技術情報なり経験なり、できるだけ格差がないように、全国七カ所でただいま実験の準備中でございます。  そうした手当てを通じて、放送会社はもとより、地域全体のデジタル化による地域活性化、それがまたローカル放送局の機能発揮につながると考えておりますので、そうした先生おっしゃるような、一律の考え方じゃなくて、どこに重点を置くべきか、どのような形で支援していくのがいいのか、きちっと見きわめながら今後の方策を考えてまいりたいと存じます。
  148. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、最後の質問ですけれども、長野のオリンピックでは、放送権料が邦貨にしましてトータルで五百六十四億円、それから二〇〇二年のワールドカップは、次の大会と合わせて一千百七十億円というふうな放送権料が決まっておりまして、この中で日本がそれを分けていただくわけです。  こういうふうにスポーツ放送放送権料が高くなるということになると、無料放送ではなくて有料放送にしないと、放送事業者の経営を圧迫するんではないかという心配をするわけですね。そうすると、スポーツというのは公共性のある、だれでも好きなときに見られるというものでなければいけないと思うんですが、それがお金を出した人しか見られない、こういうふうになると、これはスポーツの公共性からいっていかがなものか、こういう心配をするわけですが、その辺について、郵政大臣はどう考えていますか。これを聞いて終わりにします。
  149. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生が御指摘のとおり、オリンピックにせよワールドカップにせよ、放送権料というのが非常に高くなっていて、問題になっております。幸い日本ではまだ、スポーツ番組放送に対していろいろ法律なんかで規制をかけなければならないような事態になっていないということが現状なんですけれども、イギリス等では、国民的スポーツに関しては無料、有料にしてはならない、競馬とか、そういうのがもう既に法律としてできているということで、大変深刻な問題になっていることと受けとめています。  これからも、NHKとか民放の皆さんが、そういう事態にならないように、有料でなければスポーツが見られなくなるようなことにならないように、ぜひとも、今取り組んでおられるように、また今後も引き続き努力をしていただきたいということを期待しているところでございます。  とはいえ、また今後どういう問題になるかわかりませんけれども、そういうときに当たりましては、私たちもやるべきことがあれば、積極的にNHK民放の皆さんと相談して取り組んでいきたいと思っておりますので、これはもう既に事業者の方に申し上げていることでございますが、改めてここでも申し上げさせていただきたいと思います。
  150. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
  151. 中沢健次

    中沢委員長 矢島恒夫君。
  152. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  大臣が所信の中で、「昨年二月に導入した新郵便番号については、その記載率が九〇%を超えており、」以下、国民の御協力にこたえるためにという御発言がありました。私、きょうは三十分間という時間です。この七けた化の問題についてお聞きしたいと思っております。  その最初は、七けた化のメリットは何かという問題であります。  既に前の質問者から、二〇〇五年まで今の郵便料金を維持しろという質問に対して、それぞれ、いろいろな経済状況の困難さの中にあってもそれを維持するための努力をするという、大臣も含めての御答弁がありました。答弁は結構でございますので、私も、ぜひ郵政省として、国民に公約した二〇〇五年まで料金の値上げをしないということを守っていただきたいということが一つであります。  そして、その上に立って、メリットの問題として、国民利用者にとってメリットといえば、まず郵便料金を値上げしないということがあると同時に、このシステムを導入したことによって、国民サービスの低下はないのか。あるいは、新たに、働いている人たちに対してしわ寄せが、郵政労働者に対してのしわ寄せ、こういうものがもしあるとすれば、これは七けた化に対しての信頼はもとよりですけれども、郵政省そのものに対する信頼というものも傷つけることになると思うわけです。  そこで、この七けた化によって効率化していく最大のポイントとして、効率化するための労働力の削減というのがあろうかと思います。昨年の三月に配達区の減員を行ったと思います。七けた化の区分機ならば配達経路まで機械がやってくれる。そこで、配達労働者の熟達した配達技能というとあれですが、そういう熟練労働というものが必要ないんだというような点から、長年配りなれた、配達しなれた地域からほかの地域に移る、いわゆる人事交流というものが頻繁に行われたと思います。その後うまくいっているのか、こういう問題であります。  私のところにも、利用者の方々から、誤って配達されたとか、あるいは時間がかかる、遅くなる、配達そのものがおくれる、こういうようないろいろな苦情があるわけなんですけれども、そういうことによって郵便事業への信頼というものを低下させてはならない、こう思うわけです。  そこで、私思うに、一つの机上で、今度は配達がしやすくなる、区分機が配達の順路まで含めて仕分けするというので机の上でやっていることと、実際現場で、区分されたものをさらに配列を上、下変えなければならない部分も出てくるわけですし、あるいは、誤って区分されたものについてのし直しというのは非常に手間がかかっているというような状況があると聞いております。  ですから、実際にやった中でうまくいっていないところを改めるということは、これは積極的に取り組んでいただかなければならないわけですが、いかがでしょう、一年たった今日を見て、郵政省として現状はどうなっているか調べられていると思いますけれども、サービス低下という問題が起こっていないのかどうか、どういう状況かをお答えいただきたいと思います。
  153. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 まず、先生の方から、二〇〇五年までは郵便料金の引き上げをしない、そういう公約を大臣も私もこの場でされたというように詰め詰めにされますと、やはりそういう公約というのは責任ある立場ではできないんじゃないか、そういうふうに思っております。  今御指摘いただきました新郵便番号制は、国民利用者の皆様の絶大なる御理解と御協力を賜りまして、矢島先生の方からも御紹介いただきましたけれども、九〇%を超える記載率をいただいておるところでございます。  こういう中で区分機もさらに有効に機能を発揮できるということで、コストの削減という意味で、昨年三月の定員削減、これは先生から御指摘いただきましたけれども、ことしの三月にも同じように定員の削減をやるということで、九年度と十年度で四千名を超える削減を考えておるところでございます。  それで、先生から御指摘のございました、新郵便番号制導入後一年を経て業務の運行などどうだというところでございます。確かに、昨年二月二日の新郵便番号制の導入直後におきましては、やはりなれの問題から、職員の皆さんにも戸惑いがあったという事実が客観的にも発生したのは私も聞いております。しかし、一年たちまして、おかげさまで新しい郵便処理システムに対する職員の皆さんのノウハウもだんだん蓄積されてまいりまして、現在におきましては、七けたの番号の導入に伴う配達上の問題とか、そういう問題はなく、おおむね順調に運行できておるものという報告を現場郵政局から受けているところでございます。
  154. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ことしになってからの利用者からの苦情というので、事故郵便、いわゆる配達がおくれるというのが多々あるんですね。  どういう状況かといいますと、今人員削減の問題にも局長が言及されましたけれども、減らせば何でもいいというものではなくて、やはりサービスが低下するのも構わず減らすというわけにはいかない、これはそのとおりだろうと思うのです。ですから、現場の状況、例えば、事故郵便を処理し切れないで、四日ないし五日おくれて管理者が転送を処理している、そういう実態も報告されております。それから、誤配がふえたとか、あるいは区分機によるいわゆる誤った区分、この部分については翌日回りになる。新しい区分機になってから破損あるいは汚損の郵便がふえた等々あるんです。  ですから、今局長が言われたように順調にいっていますというのは、各報告は上がっているかもしれませんが、現場にはそれぞれいろいろな問題点が山積していると思いますから、ひとつ十分調べて、ただ報告だけを、上っ面を見ただけではなくて、なるほどこういう問題が現場にはあるな、それを改善していくということが国民利用者へのサービスにつながるわけですから、ぜひそういう方向で取り組んでいただきたい、このことを申し上げたいと思います。  さて、ぜひそういう方向で対処していただくことにして、国民が実際にこの七けたの区分機の導入によってどういうメリットを得たか、なかなか国民には直接的には感じられないのです。郵便番号を七けたにするために、郵便番号帳をいろいろ調べてみたり、あるいはワープロの住所録の書きかえをやったり、大分手間がかかっているわけです。つまり、国民の協力を得てという、その部分だろうと思うのです。ですから、そういう状況の中でも九〇%を超えるような状況にまで協力が今得られているわけです。  ところが、こういうさなかに起こったのが談合問題ですね、この七けた区分機。いわゆる新型区分機。  この問題で、昨年の十一月十二日に公正取引委員会が、東芝と日本電気に対して独禁法違反を認定した、排除勧告を出しました。公正取引委員会は、この排除勧告に伴って、この独禁法違反の前提として次のことを挙げているわけです。  二社に対する郵政省からの区分機類の機種別台数、配備先郵便局等に関する情報提示があることが明らかだ。郵政省に対して異例の要請を行ったと思うのです。公取の考え方からすれば、事実上、郵政省主導の談合だった、こういう認定にもなると私は思うわけです。  この報告書はさらに、一般競争入札にするわけですけれども、こういうふうに書いているのですね。「郵政省内で区分機類の購入価格が高い等との批判が出ており、価格低廉化等を図るために、平成七年度以降の区分機類の発注方法を一般競争入札にせざるを得ない」こういう説明を東芝とNEC、日本電気にやった。こういう記述が公取の報告文書の中にあるわけであります。  郵政省内では、この区分機が高い、こういう認識があったわけなんですか。
  155. 高田昭義

    ○高田政府委員 今先生が引用されたくだりは、多分公取から関係のメーカーに出された勧告の中で記述された内容だと思います。  その事実については確認できておりませんが、私ども、資材購入の立場からすると、当然のことながら、いいものをできるだけ安く購入するということが原則でありますので、そういう意味で、区分機についてもできるだけ安く調達したいと契約担当者として考えていたということは当然あり得ることというふうに理解をしております。
  156. 矢島恒夫

    ○矢島委員 安くて優秀な機械というのはだれでも考えることなんですが、今現在購入しているものは少し高過ぎる、こういう認識があったというふうな報告書になっているのですが、そういう説明があったということになっているのですが、そのことについては事実関係についてどうですか。
  157. 高田昭義

    ○高田政府委員 そのくだりのところの高いというのは何と比べて高いと言っているのかよくわかりませんので、そこのところはちょっと判断しかねる問題だと思います。
  158. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう認識があったからこそこういう発言が、郵政省の担当官だろうと思いますが、二社になされたんだろうと思います。  そこで、郵政省情報を提示する、こういう中で一応二社ともに高い購入価格を生んだ。そこで指名競争入札から一般競争入札に変わっていくわけですけれども、公正取引委員会指摘するところによれば、その後も、郵政省が事前情報を提供することで、この一般競争入札、実際には機能しなかった。  つまり、文書からいえば、その後も一社入札が繰り返され、落札するまで入札を繰り返す、こういうことなどによって、同省が定める予定価格にほぼ近い価格で当該発注量のおおむね半分ずつを安定的に受注していた、こういう報告がありますし、それから、会計検査院が、公正取引委員会指摘以後になりますが、その報告によりますと、九年度歳出による調達では平均落札比率というのは九九・九五%、考えられないような数字が出てきていると思うわけです。東芝にはこの比率が最高は一〇〇%になる。平均して九九・九五と相当高い比率になっているわけなんです。  そこで、きょうは会計検査院に来ていただいておると思うのですが、平成八年度分について区分機の配備状況、これについてお答えいただけますか。
  159. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 配備状況でございますが、若干の例外はございますけれども、地方郵政局のうち、右流れの区分機が配置されておりますのが、北海道、信越、北陸、九州の各郵政局と沖縄郵政管理事務所でございまして、東芝製でございます。また、左流れの区分機が配置されておりますのは、東北、四国の各郵政局でございまして、日本電気製でございます。  その他の郵政局については右流れも左流れも配置されており、二社併存となっておりますが、一部の例外を除きまして、右流れのものは東芝製であり、左流れのものは日本電気製となっておる状況でございます。
  160. 矢島恒夫

    ○矢島委員 委員の皆さん方にお配りした資料のうちの地図が書いてある方の資料でありますけれども、今会計検査院の方から御答弁いただいたもの、またこれは会計検査院の資料をお示ししているわけなんですけれども、東芝、北海道全域になっております。以下、日本電気と東芝、それから二社が併存するところなどを色分けしてございますけれども、こういうように、御答弁いただいたように、まさにきちんと区域分けがなされているわけなんです。郵政省、この資料についてはお認めになりますね。
  161. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 私どもが会計検査院に提出をさせていただいております資料がベースになっておると思いますけれども、私どもは旧型区分機という名称を使って出しておりませんので、後ほど検査院の方と突き合わせをさせていただきましたら、それほど時間がかからぬうちにその辺は確認できるだろうと思っております。
  162. 矢島恒夫

    ○矢島委員 一部そういう部分があったとしても、おおよそこういう方向での区分機の区域配分がなされていたということはそのとおりだろうと私は思うわけです。  さらに、会計検査院は、この製造会社の固定化、私今、平成八年度までのものについて、上に数字の表がありますが、そういうような状況だということで資料を提示したわけですけれども、平成九年契約分について、「配備される新型区分機等の製造会社があらかじめ特定されていると認められる事態が、次のとおり見受けられた。」ということで、アとイに分けてそれぞれ報告が会計検査院から出されていると思います。平成九年まではそういう事態だったと。  ところで、平成十年ですけれども、郵政省にお聞きしますけれども、平成十年度はいわゆる事前の情報提示はやめられたのですか。
  163. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 先ほど来先生の方で事前の情報提示とか、そういう言葉を使っておられるわけでございますけれども、私ども、メーカーが今はおかげさまで三社になっております。さらに四社、五社を私どもは期待したいわけでございますが、二社という状況の中で区分機の導入、配備を円滑に進めていくために、状況によりまして、生産可能性の確認をさせていただく、問い合わせをさせていただくということはあったわけでございますが、事前の情報の提示というのは何を意味するか、今もって少し定かでないところがありますけれども、言ってみれば、法に触れるとかあるいはそのたぐいだという意味で言っておられるとすれば、そういうことは十年度のみならずそれ以前においてもやったことはございません。
  164. 矢島恒夫

    ○矢島委員 何しろ郵政省はこの問題では盛んに新聞紙上でも開き直っています。情報提示というのは、私が言いましたのは、これはちゃんと私は文書を引用したのですよ。公取の文書の中にそういうあらわし方で言っているのですね。ですから、それは情報提示だということでその言葉を私は使ったわけです。  さてそこで、今言われたように、法律的に何のやましいところもないんだということについては、あなただけじゃなくて、昨年の十一月十二日に排除勧告が出されましたけれども、十三日に大臣も記者会見をされております。そして、郵政省には何の不正もなかったという、以下、その会見の内容はすべて申し上げる時間はありませんが、そういう趣旨の答弁をされている。その後も、今局長答弁したように法に触れる何のやましいところもないということですけれども、どういう調査を行って、何の不正もないんだ、こういう記者会見や発言になっているのか、その調査内容についてお答えいただきたい。
  165. 高田昭義

    ○高田政府委員 昨年の十一月十二日に、先生の御指摘のように公正取引委員会から納入メーカー二社に対して勧告が出されたことは事実でありまして、その勧告を出されたときに、勧告の文書とは別に、公正取引委員会からではなくて、公正取引委員会事務局から私どもの方に対して入札情報の管理等の見直しについて要請をするという文書が参りまして、実はその段階で私が記者会見をいたしました。  それは公取の判断が一応出たということをもって会見をしたわけでございますが、そのときに申し上げましたのは、勧告の中身自体は、直接は私どもに、行為について指弾をするという中身の勧告ではなかったということと、それから私どもの職員の情報管理のあり方についての見直しを要請するという文書でありますが、具体的にこういうことがということがあっての要請の文書では必ずしもないというふうに理解をいたしましたので、それを踏まえて記者会見をいたした、こういうことでございます。
  166. 矢島恒夫

    ○矢島委員 文書は郵政省に対する要請ということで出されております。要するに、公取ですから、業者、東芝やNECに対しては、それは勧告とかいろいろな形でやりますが、談合した方は向こうの形でありますから、郵政省に対してはいわゆるこういう点について注意してもらいたいという要請になっているのだろうと思います。  そのときに、そういう記者会見が行われたということですが、結局、不正はなかったということについて、どういう調査をして不正はないとしたのか。その段階で、別に調査もしないけれども、不正はないのだから不正はないのだ、こう記者会見でやったんですか。
  167. 高田昭義

    ○高田政府委員 十一月十二日の勧告なり私どもに対する要請を受けた段階での記者会見は、公取の判断を前提にいたした会見でございました。  ただ、それは十一月の話でございますが、九月の段階で、実は政府全体で物品の調達手続等の見直しについては全省庁でやろうというようなことになっておりましたので、実は私どもは九月から省内に点検委員会を設けまして入札関係の事務処理の適正化についての点検作業をしたことは事実でございまして、そういう意味での私どもの日々の業務運行についての見直し作業はやったということでございます。
  168. 矢島恒夫

    ○矢島委員 会計検査院に聞きますけれども、平成十年度の入札の落札結果はどうなっているか。
  169. 増田裕夫

    ○増田会計検査院説明員 十年度の歳出予算における調達では、四十一契約中二十四契約と約六割の契約において二社による入札が行われるようになりまして、予定価格と契約金額の比率も九〇・九六%に低下するなど競争性が向上したと認められる状況になっております。
  170. 矢島恒夫

    ○矢島委員 平成十年度については、平均で比率はぐっと下がった。ぐっとでもないけれども下がった。価格が下がった。ですから、以前の九九%というようなものと比べたら、最低は七五・二六という数値もあるかと思いますが、そういう状況に十年度以降、いろいろな資料を提示することをやめてから出てきているというのだと思います。  そこで、大臣に申し上げるんですが、不正はなかったというコメントを出されたけれども、その後、会計検査院からも当時の状況についていろいろと出てまいりました。ですから、昨年の秋の段階でいろいろ調査されたというお話ですけれども、公取の後、出てきているいろいろな内容について、さらに調査していくというお気持ちはありますか。
  171. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 調査について申し上げる前に、新型郵便区分機についての私の理解を申し上げたいと思います。  私も大臣になって何度か郵便局を実際に訪れまして、新しく利用されている新型の区分機についてはみずからの目で見、そしてその流れを確認してきたところでございます。聞くところによりますと、特にことしの年賀は、大体普通だと二十五日ぐらいなのだけれども、二十八日ぐらいまでがピークになってしまって、日にちはなかったのだけれども、新型区分機があったおかげで大変スピーディーにそういう仕分けができたという報告も受けたところで、そういうものを利用して効率化を進めていかなければならないということは実感しています。  さて、この新型郵便区分機なんですけれども、先生も御承知のとおり大変複雑で、例えば郵便番号を読み取るだけじゃなくて、あて名とかそういう仮名まで読まなければならない非常に技術的に困難な、これは研究開発に大変ないろいろな人材も要っただろうし、費用もかかっただろうなと推察されるものであり、なおかつ、これはほかでは商売ができないというか郵便局だけでしか使えない、いわゆる汎用性がないと言われている機械であるということを私も理解しておりますし、先生にもぜひとも御理解していただきたい。  さっき高いとか安いとかいうお話もありましたけれども、基本的に比較するものがないのだ。例えば、かばんとか鉛筆とかだと既に比較するものがあるけれども、新型郵便区分機というのはそういう非常に技術的に高度なものであってオリジナルなものであるので、普通のものとの取り扱いとは若干異なるのではないかという御理解をしていただきたいと思います。  そういうことがありますので、先ほども局長答弁にありましたように、きちっと七けたの新郵便番号制度を国民に喜んでいただくように、また効率的に、迅速にやっていくためには精度の高いものをつくっていかなければいけないということで、導入するに当たっても、数年前からそういうメーカーさんに呼びかけて研究会をやってきた。でも、結果として、その当時、導入のときに当たってはNECと東芝が間に合った、今日は、平成十年度ですか、日立が入ったということで、これは疑いを晴らすためとかそういうことではなく、日立の技術が追いついて、ようやくまたそういう新たな競争ができたというふうに、そういう技術の流れ、技術の革新とともに、そういうマーケットが変化したと私自身は受けとめておるところでございます。  ただし、先ほど申し上げたように、事前情報とか今いろいろ言われている部分、聞くところによると、電話でのやりとりと聞いていますけれども、そういうことは、やはり今後そういういろいろな疑いを生じてはいけないということで、文書などで、例えばファクスとかメールとか証拠が残るやりとりでしていくべきだということを私自身も、調査の結果を踏まえて、事務方に申し入れをしているところでございます。
  172. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大分時間がなくなりましたので……。  私は、入札価格が高い低いとか、その問題よりも、むしろ国民の前にいろいろな疑惑を抱くような状況はつくらないことだということです。そのことは、既に大臣も御存じのように、いろいろな綱紀粛正についての通達が出されているわけですね。  最初は、昭和六十三年の十二月十六日から始まって、つい最近では、平成八年の十二月二十五日に事務次官の通達が出されて、そしてまた閣議決定もされている。「この場合、日常の行動については常に公私の別を明らかにし、特に、職務上利害関係のある業者等との接触に当たつては、国民の疑惑を招くような行為は厳に慎しむこと。」これは郵政省ですが、「当省の所管する事業及び行政の各分野国民生活に密接に関係しており、職員の不祥事が郵政行政に対する不信感を招来し、その運営に重大な影響を与えかねないことを十分自覚しなければならない。」つまり、法律的に何の違反もしていない。それから、それに対していろいろお述べになりました。  しかし、実際に談合だとか、あるいは、実は時間がありませんので、私、これは郵政省からいただいた天下りの資料、天下りというか再就職、私は再就職問題を取り上げようとしたのじゃないのです。というのは、この間、厚生省あるいは大蔵省そして防衛庁の調達本部、次々と業者と官僚との癒着、その中で起きてきている事件が多発しているわけです。郵政省、おまえもかと言われるような事態になっては重大問題だ。少なくとも、今の通達にもありますように、国民から疑惑を持たれるような行為、あるいはそう疑われるようなもの、これはできるだけ国民の前に明らかにする。明らかにしながらやっていけば何のことはないけれども、何か陰でやっているんじゃないかというような疑いが持たれる、そこに、一つの疑惑になってくるわけですから、調査をして、そしてひとつぜひきちんと国民の前に明らかにしていただきたい、このことを。
  173. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 郵政省は、これまでもそしてこれからも、そういう疑惑が抱かれぬようしっかりやっていくつもりでございます。特に郵政省は、郵便局を通じて国民に直接、事業を通じておつき合いがありますし、信頼関係のもとに今の三事業が成り立っているという自覚をすべての職員が持っていると私は信じておるところなので、先生指摘のとおり、これからも透明で公正なそういう手続をしてまいりたいと思っております。
  174. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  175. 中沢健次

    中沢委員長 横光克彦君。
  176. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。きょうは大臣、御苦労さまでございます。  臨調、行革を通して郵政事業のあり方というのが論議されてきました。そして一昨年末に、三事業のあり方というのが方向づけをされたわけでございます。そのときの大きな論議の一つが、官業が民業を圧迫しているではないか、そういった民業関係者、金融関係者の声が大きかったわけですね。  ところが現在、その官と民が連携を始めていく姿がいろいろなところで出始めておる。それが現金自動預け払い機また支払い機、ATM・CDの官民の相互接続、これがことしの一月十八日からスタートしたわけですね。国営機関と民間機関が連携するということは非常に大きな意義があると私は思うんですね。この連携の礎になったのは、やはり利用者利便ということが一番大事にされた結果であろうと思うんです。  とはいえ、接続状況を聞きますと、まだ一部の銀行に限られている、しかも、残された都市銀行間では、銀行間のATMの手数料を無料にする動きとか、いわゆる郵政省に対しての連携を図りつつあるという動きもあると聞いております。一部都市銀行が参入していますので、利用者が、いいものはいい、そういうものを感じ始めて、その声が広がりますと、おのずといろいろな都市銀行にも連携の道がやがて開かれるんであろうと思いますが、それでも、やはり郵政省としては積極的に他の都市銀行にもこの連携を図る働きかけをすべきではないかと思っておりますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  177. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 先生の御指摘のとおり、ことしの一月十八日から百十五の金融機関とATM・CD提携サービスが始まったところであり、いろいろ報道を通じまして、利用者の方にも喜んでいただいているところでございます。都市銀行につきましては、今全部で九行あるそうでございまして、そのうちの東海銀行と大和銀行が今御参加いただいておりまして、あさひ銀行も要望があり、近々サービスの開始が始まるのではないかと準備を進めているところです。  このサービスというのは、相互に提携するという性格がありますので、やはり民間金融機関が、御本人が望まれるということが非常に重要でありまして、ただ、私たちが常に申し上げているのは、郵便局のネットワーク、全国二万四千六百あるわけですけれども、これは国民共有財産、宝であるから、これはいろいろなサービスや利便に資するものにどんどん使っていただきたいということで開放してありますので、今後とも、そういう趣旨を踏まえて、金融機関の皆様方には積極的にPRはしてまいりたいと思っています。
  178. 横光克彦

    ○横光委員 やはりそういった努力は必要であろうかと思っております。それが国民利用者の一番の利便性につながるわけです。  また、この接続に当たって、かねてからの民間金融機関側の懸念として、このことによって郵便貯金への資金シフトが始まるんじゃないか、そういう問題提起がされていたわけでございます。まだスタートして間がないわけですが、実際にそのような傾向は起きているのか。そしてまた官民のATMシステムの利用状況、これをちょっと御説明いただけますか。
  179. 松井浩

    ○松井政府委員 先生お話しのとおり、ATM・CD提携サービスは一月の十八日にスタートしたわけでございますので、まだ一カ月間も経過していない状況でございます。ですから、御質問に的確にお答えするだけの必要なデータがまだないところでございます。  ただ、一つ、考え方でありますけれども、かつて都市銀行のネットワークと地方銀行のネットワークを相互利用するという話があったときに、やはりそういったような資金シフトの議論がございました。しかしながら、実際に接続されました結果といたしましては、そういった資金シフトの問題は生じなかったという経験がございます。お互いに店舗網を補完し合って、むしろメリットを享受するというふうな結果が得られたというふうに聞いております。そういう意味で、私どものATMと民間金融機関のATMとの相互利用という観点におきましても、資金シフトの問題は生じないのではないかと思います。  それから、先生の御指摘利用状況でございますが、一月十八日から二月七日までの状況につきましてお話しさせていただきたいと思います。  これまで、トータルで二十三万九千件の利用となっております。一日当たりで申し上げますとおおむね約一万一千件の利用になっております。それを官民の内訳で申し上げますと、郵便局のATM・CDを利用したものは約六千七百件でございます。全体の約六割でございます。それから、提携金融機関のATM・CDを利用したものが約四千七百件でございまして、割合で申しますと約四割に当たるということでございます。
  180. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  このATM・CDの連携とともに、もう一つ、最近よく耳にしたり目にするデビットカード、これは一部の民間金融機関でこれまで実施されていたと聞いておりますが、なかなか普及しにくかったということを聞いております。これに郵便貯金が参入したということで、この便利さもまたマスコミに盛んに今取り上げられているわけです。  このデビットカード、即決、即時決済カードと訳されるそうでございますが、考えてみたら、こんな便利なものはないわけですね。新たなキャッシュカードは必要ない、これまでのキャッシュカードでそのまま買い物ができる。いわゆるキャッシュレス社会がこれによってより進みつつあるわけですね。  流通業界あるいは利用店にとってこのメリット、代金回収は早いし、もちろん現金にはかないませんけれども、これまでのクレジットカードよりははるかに早い。暗証番号をお客さんが入力しなければならない、そういった作業は必要なんですが、これまでのように現金を数えたり運んだり、そんな手間は要らない。その上に、やはりレジに多額の現金を置く必要がなくなる、これは大変なリスク回避になりますね。これも非常にプラスになる。利用者はもちろん便利なわけですが、金融関係にもプラスになる。加盟店からの手数料が入るわけですね。  この加盟店手数料の相場をつくっているのが郵貯カードであり、銀行サイドもほぼこれに近い設定をしていると聞いております。郵政省も、日本デビットカード推進協議会の代表幹事をやっているという関係から、六千三百万人の郵貯カードの利用者、そしてさらに多くのカード利用者のためにも、やはり限られたところではなくてオール・ジャパンのネットワークを構築する必要があるんじゃなかろうか、このように考えております。  これもまた一月四日からスタートしたばかりでございますが、この利用実績、そして今後の普及の見通し、私は相当これから普及が始まるのではなかろうかという気がいたしておりますが、どのようにお考えでしょうか。
  181. 松井浩

    ○松井政府委員 先生お示しのとおり一月四日にスタートいたしましたデビットカードサービスでございますが、かつての銀行POSとして顧客の囲い込みのために行われたものではなくて、今度はオール・ジャパンとして、個々の金融機関のためでなくて世の中全体のためというところのコンセプトが違いますので、今度は大いに普及するのではないかと思っております。  その一カ月間の利用状況を申し上げますと、利用できるキャッシュカードを発行している金融機関、それから利用できる店舗が現在まだ限られております。つまり、金融機関で申しますと八金融機関、それから利用できる店舗に関連した企業はデパート等八社でございます。そのように限られておりますが、その中でも、利用件数が約四万件、それから利用金額が約七億五千万円に至っております。  現在、このほかにデビットカードサービスの導入に向けて準備を進めているところがたくさんございます。金融機関で申しますと約九百機関でございますし、それからこれに参加しようという流通企業などは約百三十社ございます。今後、金融機関と加盟店の間の決済システムも一層整備されますので、秋以降、一層急テンポに普及していくものと考えております。
  182. 横光克彦

    ○横光委員 そういった予想が恐らく成り立つと思いますし、そうなってほしいと思うのですが、かなり急速にこの秋以降急展開するだろう。  そうなりますと、カード利用者は、代金決済のためにキャッシュカードの暗証番号を入力しなければならないわけですね。そうしますと、利用者がだんだんふえてきますと、今はぼちぼちでしょうが、ずっと並んだりする。そうすると、今の機械を見ますと、後ろの人から暗証番号がほとんどもろに見えるわけですね。こういったこともございますし、こういった防止策もこれから普及のためには欠かせないわけですが、これは郵政省も推進協議会の中心なわけですが、こういうこともどうこれからお取り組みなされるのか、ちょっとお聞かせください。
  183. 松井浩

    ○松井政府委員 御案内のように、その利用上の、防犯上の問題というのは非常に重要なことだと思っております。  具体的には、このデビットカードサービスに利用する端末機につきまして、日本デビットカード推進協議会の中で、参加しております金融機関だとか流通企業等々、一緒に検討しているわけでございますが、多数のメーカーの協力も得まして、私どもなりの防犯上の工夫も加えてきたところでございます。  具体的に申しますと、利用者がみずから暗証番号を入力する装置、キーパッドがありますが、これにかざしをつくりまして、なるべく後ろの方からあるいは横から暗証番号が見られないように、そういうふうな工夫をまずしております。  それから、もう一つは、使い方といいましょうか、実際にお店での運用面での工夫でございますが、加盟店のレジの場で、お客様と接する際に、暗証番号をお客様に入力していただくわけでありますが、できる限りカウンターのわきにお客様を誘導するということが一点でございます。二点目が、できるだけ暗証番号の入力装置を手元に引き寄せて入力していただくようにする。そういったきめ細かな応対が行われるように、協議会の中で徹底を図っていこうというふうにしております。  そのほか、電気通信回線を通してのオンラインでの処理の中では、暗証番号は一番大事ですから、暗証番号を暗号化するとかそういったことは当然でございますが、そういうことで、安心して御利用いただけますように引き続き協議会の中で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  184. 横光克彦

    ○横光委員 御努力をいただきたいと思います。  次に、昨年成立した省庁再編基本法では、郵便事業への民間参入の具体的条件について検討するということになっております。  これはもちろん検討しなければならないと思うのですが、このことによって都市部のみのいいとこ取りとなってしまって、結果的には地方の利用者のサービス水準が低下する、こういったことのないように私は真剣な検討をお願いしたいと思うのですが、現在の検討状況、そしてまた結論公表の時期の見通しについてお聞かせください。
  185. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 ただいま先生指摘の中央省庁等改革基本法で「郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入る」というふうに規定されているものでございますが、この具体的条件の検討に当たりましては、まさに先生指摘のように、ユニバーサルサービスをどう確保していくか、そして郵便事業財政の健全性の確保をどうするかというのは大前提の問題になるというふうに考えております。  このため、昨年二月から調査研究会を開催いたしまして、まずは諸外国の状況等について、現在、学者、先生を中心として、実態調査を含め調査研究を行っていただいておるところでございます。  郵政省といたしましては、先生の御指摘のとおりだと考えております。不採算地域を含め全国あまねく公平にサービスを提供することによりまして、国民利用者の皆様の利益確保、これを第一義として検討してまいりたいと思っております。  時期の観点でございますが、先生も御案内のように、この問題は国営の新たな公社への移行の問題とあわせて提起されたものでございます。そういうことで、郵政事業庁から自律的かつ弾力的な経営を可能とすることとされている新たな公社への移行時までに、参入の具体的条件についての検討の結論を得たいと考えておるところでございます。
  186. 横光克彦

    ○横光委員 ユニバーサルサービスという原点を決して忘れることのないようにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  187. 中沢健次

    中沢委員長 中田宏君。
  188. 中田宏

    ○中田委員 委員長また各理事の皆さんの御配慮でここに立たせていただいていますことを感謝申し上げます。  短目にという御要望もありましたが、時間を有効に使うために早速質問に入らせていただきます。  大臣所信表明をお伺いした中で、インターネット等の情報通信メディアの普及に伴い社会問題化しつつあるネットワーク利用の影の部分、これについて適切な対応をしていくというくだりがありました。  私、これは非常に重要なことだと思っていまして、ことしになってから幾つか事件がありました。伝言ダイヤル、これも通信に絡む一つでありました。女性がその中で被害者になる。あるいは、インターネットの悪用によるさまざまな販売、毒物、薬物といったものがありました。こういったことでまだ済んでいるうちはいいというつもりは全然ありませんが、さらに、よりこれが高度に犯罪化した場合は、サイバーテロ、例えば自衛隊のパソコンの中にだれかが入り込む、あるいは銀行間の取引の中に入り込む、こういったことまで当然予想されるわけで、既にこういったことは発生しつつあるわけですね。  そういう意味では、これも既に国際社会の中でも大きな関心事になっているし、ハイテク犯罪を防いでいくということは、またそれを取り締まっていくということは、国際社会の中で、既にバーミンガム・サミット、九八年にも語られているし、日本もこれは早急に対応をしなければいけない、ある種の日本の国際公約でもあるということになろうかと思います。  いろいろな席、国際間の席であるとか各国のいろいろな人と会ったりする中で、大臣、ここら辺を大分迫られている部分はあろうかと思いますけれども、まず急ぐべきだと私は思うのですけれども、こうした法規制についての大臣の御見解をお聞かせください。
  189. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 きょうの委員会でもしばしばネットワーク社会の影の部分の御指摘がございました。性に対する表現のあり方とか、また伝言サービスによるいろいろな事件についてどう対応していくか、またはインターネット上の物品の販売におけるやりとり。そういうことについて、情報通信高度化し、そしてマーケットというか、物が大きくなればなるほど、影の部分、悪用される部分がふえてくるということは、これはもう事実として認識していかなければなりません。  ただ、すべてを法律でやっていくという乱暴な議論ではなく、むしろ今先生が御指摘のとおり、バーミンガム・サミットなんかで国際約束として共通認識ができているものに対して、とりわけ不正アクセスとか直接電気通信にかかわるような、そういうものに関しては、申し上げているとおり、今国会で法律等を整備することによって禁止していきたいということを考えています。
  190. 中田宏

    ○中田委員 大臣の意気込みをお聞きしましたけれども、まさに、国際公約として日本が約束していることについて速やかなる対応が必要だ、私もそう思っているわけです。  今不正アクセスというお言葉がありましたけれども、他人のパスワードだとかIDを自分のもののように利用して、そしてパソコン内に侵入をしていくということをしても、現状の日本だとこれは実は犯罪にならないんですね。  仮に、現実の社会の中で、家屋のかぎをがちゃんと壊したら、その段階で器物破損ですけれども、合いかぎをこっそりつくったとか、あるいは針金でこじあけて、全くかぎを壊さないで中に入ったという場合は、それでもある種犯罪ですね、今だったらちゃんとそれは取り締まれる。しかし、今のこの情報通信の中でいうならば、他人のパスワードを使って入るところまでは犯罪じゃなくて、中に入って、入った後いろいろと物をとってみたりとか壊してみたりすると、そこから先は犯罪になるけれどもという扱いで、これは実に甘いことは事実なんであります。  そこで、今申し上げたとおり、そして大臣もお認めになったとおり、ある種の国際公約になっている部分の規制に関してはしっかりやっていかなければだめだ。というのは、日本発の世界混乱を引き起こすような犯罪が、日本だけは取り締まられていないからということでやられたら、これは大変なことになりますから、そういう意味ではやらなければいけないと思いますけれども、郵政省は既に法をしっかりと策定をしているというふうにもよく承知をしているし、また一方で、警察庁の方も同じように法を今準備中だということでありますけれども、何やら難航しているとも聞く。  ここに関して、なぜ今これが速やかに、スムーズに進んでいないのか。そこら辺についての問題点というのを郵政省からちょっとお答えいただきたい。
  191. 天野定功

    ○天野政府委員 ただいま先生指摘のとおり、日本ではこの不正アクセスに対しまして規制立法というのがないわけでございまして、今後こういった問題が非常に重要な問題になりますので、現在、今国会に、警察庁と共管になるわけでありますが、私どもとしましては、不正アクセスの対策法制をお出ししたいというふうに準備を進めております。  現在の状況を申しますと、昨年の十一月に広く世間から募集しましたパブリックコメントの結果も踏まえまして、両省庁間で法制化の調整を進めておりまして、この法律のコアとなる、骨格的な部分でございますが、一つは、他人のIDといいますか、利用者本人であることを示す符号といったものでございますが、IDあるいはパスワードを盗んで、そして他人の電気通信システムに侵入する、いわゆる不正アクセスそのものを禁止する。それから、そういった他人のID、パスワードを無断で第三者に提供する、いわゆる不正アクセスの助長行為を禁止する。  それからもう一つ、国や国家公安委員会による電気通信システムの設置者等に対する不正アクセス防止に関する情報提供など、こういったところは両省庁では一致しているところでございます。  しかしながら、現在まだなお警察庁との間で調整が進んでいない主なものを申し上げますと、通信履歴、これはシステムの中にログインしますと残るわけですが、その通信履歴の保存だとかその他の個人情報の保護のあり方につきましては、なお引き続き両省庁で今調整を図っているといった状況でございます。
  192. 中田宏

    ○中田委員 警察庁もせっかく呼んでいますから、お聞きをすると、今問題点として出てきたのは、いわゆるログ保存についてが問題点だということで一つ出てきていますが、それ以外にありますか、あるいはそれで結構ですか。
  193. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 基本的にただいま電気通信局長さんの御説明されたとおりの内容でございます。  ただ、それに加えまして、電気通信回線に接続しているコンピューターの設置者の義務、こういったものについてもまだまだ細部にわたっては調整しなきゃならない部分が残っている、このように考えております。
  194. 中田宏

    ○中田委員 諸外国における通信履歴、ログの保存に関してきょう委員会でお聞きしようかなと思ったのですけれども、私、とにかく持ち時間が少ないので、これを聞いていると時間がないので、きのう事前に資料もいただいてざっと見たところ、アメリカ、EU、イギリス、ドイツ、フランスと、全体にわたってログ保存の義務づけというのは今のところ規定はないですね。そういう意味では、私、ここがこだわりでなかなか進まないのは実にスピードに欠けるなと思っているのが率直なところです。  要するに、ほかの国はまだそこまで行っていないですね。警察庁、それでもここにこだわるというのは、他の国より法整備がおくれているにもかかわらず、ある意味では他の国よりも先んじてログの保存などについての義務づけをしよう、一番遅くやっておるのに一番前の方にというか、かなり強烈に規制をかけるという、これは当然、最後にまとめて言いますけれども、通信の秘密その他いろいろありますから、その問題に絡むことにあえてこだわるというのは、何かあるのでしょうか、警察庁。
  195. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 大変核心を突いた質問かなという感じもいたしております。  現在、不正アクセスをされた者がこれを発見、確認するための手がかりは、コンピューターにおける情報処理の記録、いわゆるログしかございません。また、現在も多くの企業やプロバイダーが不正アクセスの発見、防止に資するログを保存しておるところでございます。  このような実態を踏まえまして、私どもといたしましては、必要最小限のログの記録、保存を努力義務として求めることが不正アクセス対策として有用ではないかと考えておるわけでございます。国民負担等の関係においても合理性がある、このように考えておりまして、そういった諸外国の状況等を踏まえまして、現在郵政省さんとの間において鋭意折衝を進めているところである、こういうふうに考えておるところでございます。
  196. 中田宏

    ○中田委員 そういう意味では、ほかの国はまだログの義務づけの、努力義務も含めた規定というのはないのですよ。だからひとつ、日本がこういうことに手間取って長々やっておると非常に、先ほど申し上げたように、あらぬ国際的なテロ事件に発展したりしたらむしろ大変な話でして、ぜひできるところの法規制を早くやるべきだというふうに思います。  当然、ログの保存に関しては、プライバシーの問題、通信の秘密の問題、あるいは業者におけるコストの問題もありますね。  実は、日本インターネット普及しているようで普及していないのですよ。先生方は既に御承知のとおり、日本インターネット普及率というのは、国民の中ではまだ、世界的にいったら十九位というのは私が調べた数字ですけれども、そのぐらいですよね、大臣。こういう意味でいうと、日本は早く情報通信というのを、きょうも委員会の中でもいろいろ出ていたけれども、早く整備をしていかないと、実に先進国の中ではもう最下位の状態に今あるわけであって、新たなコストを今ここで負担をする業者やあるいはユーザーにかけて、そしてまたログ保存なりという規制をかけることよりも、とにかくできるところの、合意したところの法規制をやって、そして早く通信網のより充実を図っていかなければいけないというふうに思います。  ましてや、最後に一言つけ加えるならば、本来これは刑法でやらなければいけない話のはずですよ。ところが、刑法でやろうとすると日本の場合はえらい時間がかかってしまうというのがある。しかし、諸外国だとやはり刑法で扱っているケースが多いと思いますね。  その意味でいうと、これは新分野における新しい法制なんですよ。だから今は行政法で対応しても僕はいいと思うけれども、これから先、やがて本格的に、新分野ですからいろいろなケースが起こってきます、新しい技術ですから。そこに合わせたむしろフレキシブルな対応をやがてしていかなければいけませんから、その意味では、まずできることの、ログ保存だとかなんだとかに、そこにこだわることでこの法規制というものが、法整備がおくれるのじゃなくて、早く郵政省との間で、せっかく大臣がおられるわけです、きょうは自治大臣はお呼びしていませんから、郵政大臣にひとつリーダーシップをとってもらって、早くまとめていただきたい。——答弁したがっていますが、一言だということで。僕はまだ持ち時間があと三分あるのですよ。だから、三十秒ぐらいにしてください、最後に言いたいことがあるから。
  197. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 この不正アクセスに関する法律につきましては、今国会に提出するということが政府としての約束事になっておるわけでございます。そういった意味で、我々といたしましては、不正アクセス対策として効果的な法律案とすべく、両省庁の合意形成を目指しましてぎりぎりまで努力を続けていきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  198. 中田宏

    ○中田委員 最後でありますけれども、今大体早口でばっと言いましたけれども、警察庁が犯罪捜査という意味でこだわるのは当然だと思いますけれども、ただ、先般の事件にしても、それは捜査機関のしっかりとした協力要請の中においては業者ももちろん協力しているわけだし、それが逮捕の手がかりにも当然なっているわけですから。ただ、今諸外国に先駆けて、ログの保存をどうしてもやらなきゃ法律がつくれないというんじゃ困ってしまいますから、そこはひとつ折れるところは折れてやっていただきたいと思うし、郵政大臣、そこら辺、この国会早くに提出いただいて私はまとめるべきだと思いますが、最後に御決意を伺いたい、こう思います。
  199. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 大変前向きな御意見をいただきまして、ありがとうございました。  もともとこの不正アクセスの対策に関しては警察も、情報通信を預かっている郵政省も、また他の関係の役所も同じような思いがあったわけですね、これをどうにかしなきゃいけないと。当初ばらばらで法律をつくろうというような動きがあった中、このたび合体しまして一本の法律で、国民利用者にとっていろいろな法律ができると厄介だから、似たような法律ができると厄介だから、警察の方と郵政省の方で合体しまして作業を進めているところで、ようやく最終地点にやってきたのかなという感じがします。  ログの取り扱いにつきましては、インターネット人口はまだまだ少ない中、先生もそして多くの逓信委員先生も御利用いただいていますけれども、ユーザーとしてそういうのがあると何となく嫌だな、そういう思いを抱かせることが、郵政省にとっては、これからの情報通信を進めていく上で大変危惧されることであるわけでございます。  今後、今の先生の御意見も踏まえまして、必ず今国会中、不正アクセス対策に関する法案は警察の皆様と協力して取りまとめていくということをお約束申し上げまして、私の答弁にしたいと思います。
  200. 中田宏

    ○中田委員 みんな早口で答えてもらっているんですけれども、実は僕はまだあと一分は持ち時間があるんです。ただ、先ほどから、電車の時間かわかりませんが急ぎの要請があるもので、やめます。  そういうことで、日ごろ郵政省には割と厳しい質問が私は多いんですが、この部分、私は日本の責務としてひとつ大臣のリーダーシップのもとに頑張っていただきたい、このことを申し上げて終了したいと思います。
  201. 中沢健次

    中沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会