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1999-04-20 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十日(火曜日)     午前十一時二十分開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 土肥 隆一君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       小島 敏男君    新藤 義孝君       滝   実君    西川 公也君       平沢 勝栄君    藤井 孝男君       藤本 孝雄君    水野 賢一君       宮島 大典君    持永 和見君       保岡 興治君    河村たかし君       桑原  豊君    葉山  峻君       細川 律夫君    松崎 公昭君       白保 台一君    富田 茂之君       西村 章三君    穀田 恵二君       春名 直章君   知久馬二三子君  出席国務大臣         自治大臣    野田  毅君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         社会保険庁次長 宮島  彰君         自治政務次官  田野瀬良太郎君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君  委員外出席者         法務省民事局第         二課長     大鷹 一郎君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿委員の異動 四月二十日         辞任         補欠選任   中野 正志君     新藤 義孝君   桑原  豊君     河村たかし君 同日         辞任         補欠選任   新藤 義孝君     中野 正志君   河村たかし君     桑原  豊君 四月十六日  地方財政への介入反対に関する請願古堅実吉紹介)(第二六九三号)  地方財政早期健全化に関する請願桜井新紹介)(第二七三五号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住民基本台帳法の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第七九号)     午前十一時二十分開議      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
  3. 滝実

    滝委員 自由民主党滝実でございます。  住民基本台帳法の一部を改正する法案の当委員会における最初質疑に当たりまして、質問させていただきますのを大変光栄に存じております。  実は、平成八年の選挙の際に当選して間もない十二月五日に、当地方行政委員会質問をさせていただきました。その際に取り上げさせていただきましたのがこの住民基本台帳ネットワーク化の問題でございまして、このシステムを導入すべきである、そしてその必要性留意点という観点から質問をさせていただきました。以来、日がたちまして、本日で八百六十六日目でございまして、そういう因縁のある法案質問させていただきますことを、本当に光栄に存ずるわけでございます。  実は、その際に、平成八年の十二月五日に、同じく富田議員もこの点についての質疑をされておりますので、そういう意味では、当地方行政委員会はそれ以来いろいろな角度からこの問題を折に触れて取り上げてきているわけでございます。特に、平成九年の六月には、同じ富田議員からの御提案がございまして、政府としていきなり法案の形で国会に提出するのではなく、試案の形で世に問うていただきたい、そして、それを十分時間をかけて議論をし、試案もと政府案を改めて国会に出す、そういうような手順を踏んでいただきたい、こういうような趣旨の御提案もございました。  そういうような経緯をたどって、昨年の二月に、この問題は改めて政府の案として各党に正式な改正案として提示をされ、それに基づいて各党それぞれに御議論があったわけでございますし、我が自由民主党も昨年の二月中旬から下旬にかけまして前後五回にわたって慎重審議をし、その結果をもって政府案として固めていただいた、こういうような経緯をたどっているわけでございます。  そういうことを前置きといたしまして、余り長くやりますと時間がなくなりますので、この辺で前置きはさておきまして、そういうような慎重な手続の上にこの法案ができてきたということが前提でございますけれども、早速基本的なことから私は質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず、事務当局からお答えいただいて結構なんでございますけれども、この住民基本台帳法はそもそも、昭和四十二年でございますか、制度としてでき上がる前は、住民登録制度というのがあったわけでございます。戸籍とは別に住民登録制度というのがあったわけでございますけれども、これが四十二年に住民基本台帳という形で改めて現在のような姿形になっているわけでございます。  そこで、問題の基本的なところから認識を深めていくためにお尋ねをしたいのでございますけれども、従来の住民登録制度がなぜ住民基本台帳制度に切りかわっていったか、その辺のところの基本的な、現行制度のねらいと申しますか、そういうものからひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。
  4. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳制度昭和四十二年に成立する前は、今お話がございましたように住民登録制度がございまして、この制度もとでは、市町村における住民届け出に関する制度あるいはその住民たる地位を記録する各種台帳に関する制度、それはそれぞれ各種行政ごとに別個に定められたので、重複しかつ不統一であったわけでございまして、住民にとって不便であるばかりでなく、市町村事務処理合理化能率化の点からも問題が多くて改善すべきことが多いところでございました。  こういった状況を踏まえまして、政府において住民基本台帳制度合理化調査会を設置いたしまして、合理化基本方針及び要綱について諮問し、同調査会で二年間の御審議をいただきまして、答申の趣旨に基づきまして新しい住民基本台帳制度に切りかえたわけでございます。  具体的な目的でございますが、第一点は、住民住所変更等に関する届け出を統合いたしまして簡素化するということで、窓口業務の改善を図る、国民健康保険あるいは国民年金とか、当時食糧配給関係もございましたが、そういうものの届け出の統合、簡素化ということでございます。  二つ目は、住民に関する各種台帳を統合いたしまして、住民基本台帳を設けて住民に関する正確で統一的な記録を整備するということ。  三点目は、住民基本台帳に基づいて住民居住関係の公証、さらに選挙人名簿登録など、その他住民に関する事務処理基礎とするような制度というものを整備した。  この制度実施によりまして、住民の利便を増進する、あるいは国及び地方の全体の行政合理化能率化を図るということとした次第でございます。
  5. 滝実

    滝委員 そうしますと、基本的にはとにかく住民に関する事務はできるだけ住民基本台帳基礎にして一元的に処理する、こういうようなねらいを持ってこの制度が発足した、従来の制度はその辺が不十分だった、こういうことだろうと思うのでございます。  そこで、具体的なことについて一つ二つ、例を挙げて、きょうはせっかく関係省庁に来ていただいておりますので、少し意見をというか確認をさせていただきながら質問させていただきたいと思うのです。  まず第一に、一番基本になります戸籍との関係でございますけれども、これは人間だれしも一度は到着する死亡届の問題がございます。死亡届は、戸籍法に基づいて、診断書を添えて役場に持っていきますね。死亡届を持っていきますと、そこで役場が何をするかというと、今度は、その役場所在地でもって埋葬するあるいは火葬するということになりますと、そこでもって埋葬許可火葬場使用許可といいますか火葬許可、この二つを同時にやるわけでございます。  住所地死亡地届け出地もそれから本籍地も、全部一緒の地域でございますと事柄は大変たやすいのでございます。その役場窓口だけで事が処理できますから、それほど時間がかからない。時間はかからないのでございますけれども、しかし、これも単純にいかないのです。国民年金国民健康保険老齢医療年金といいますか老人医療費とか、そういったいろいろな各種の付随することがございますから、死亡届を出して埋葬許可あるいは火葬許可をもらう間に、普通は国民年金とか国民健康保険窓口へ駆けていって、そっちの手続もするわけです。  したがって、本籍地住所地も全部一緒の場合でも、この死亡届を出して全部書類をもらうのに大体三十分はかかります。  ところが、死亡地死亡届けをする場所と、住所地本籍地がみんな違う、戸籍法では死亡地でもって死亡届けができることになっている、ですから必ずしも住所地じゃございませんので、住所地あるいは本籍地が全部違うということになりますと、これはかなり時間がかかると思うんです。  それで、あらかじめ法務省の方に、一遍どのぐらいかかるか、法務省でつかんだところを教えてもらいたい、こう言ってお願いしておきましたので、ひとつ法務省の方から、その辺がわかったら教えていただきたいと思うんです。
  6. 大鷹一郎

    大鷹説明員 それでは、死亡届について御説明いたします。  死亡の事実は戸籍に記載されますが、これは原則として死亡届に基づいてされております。死亡届は、死亡の時分、死亡場所等所要事項を記載した届け書に医師が作成した死亡診断書または死体検案書を添付して、議員が説明していただきましたように、本人死亡地本籍地、または届け出人所在地市町村窓口に提出して行います。市町村においては、夜間や休日の執務時間外であっても届け出を受け付ける取り扱いがされており、適法な届け出があった場合にはこれを速やかに受理しているものと承知しております。  以上でございます。
  7. 滝実

    滝委員 建前はそうなんでございます。  実は、これをなぜ私が申し上げるのかといいますと、普通は、この死亡届は大体が葬儀社方々にサービスでもって事務を代行してもらっているんです。これはだれでもいいことになっているんですよ、届け出人は。本当はいかぬのですけれども、本当は親族なんですけれども、実際問題としては葬儀社の方が代行してやっていますから、一般には痛痒を感じていないんです。忙しい、ぱたぱたしていますから、葬儀社がなれたところでやってくれるわけですね。  ところが、実は私、自分でこれをいかなるものかということでやりまして、それで、先ほど申しましたように全部一緒役場へ行きますと大体三十分、これが住所地本籍地が全部ばらばらというところになりますと最低が一時間、間が悪いと二時間ぐらいかかるんです。役場で待ってなきゃいかぬ。  なぜかというと、死亡地届け出をする場所で扱ってくれますけれども、役場では住所地市町村役場、そして本籍地市町村役場に一々電話確認をします、現在は。それを電話ではさらに間違いが出てきますから、当然文字のことですからファクスでやりとりをいたします。たまたま相手先担当職員の手があいていればスムーズにいくんでございますけれども、普通は、そんな待っていてくれるわけじゃありませんから、これは最低一時間、運が悪いと二時間ぐらい、役場でもってじっと待ってなきゃいかぬのです。大体届け出をするのは親族ですから、親族自分でやりますと、この忙しいときに一時間ないし二時間待っているというのはこれは大変なことなんですね。  したがって、そういう意味でもう少し身近なことで、今の建前はそうなんでございますけれども、これをもう少しネットワーク化に乗せていけば、要するに確認事務ですからね、住所登録本籍地登録確認事務だけでもそのぐらいかかるわけですから、これをネットワーク化すれば、それだけで物すごく事務合理化になっていくというか、利用者が非常に簡便にいくという問題があるわけです。  これは、先ほど申しましたように、大体葬儀社が代行していますから、一般方々が直接被害を受けることはないと思うんですけれども、現実問題としてはだれがやってもそれぐらいかかる、そういう問題をはらんでおります。今回の法案の中にはそういうところがどうも出ていないようでございますけれども、これは今後の問題として法務省でもお考えをいただきたいと思うんです。きょうは大鷹第二課長さんにおいでいただいておりますので、ひとつ宿題として持ち帰っていただいて、今後の問題としてお願いを申し上げたいと思うんです。後は結構でございますので。  それから、二番目の問題として年金の問題を。実は私は、平成八年の十二月五日の当委員会最初に申し上げたときに、年金の問題を例に挙げました。  現在、老齢年金とかいろいろな年金をもらっている方は、年に一遍、現況届けをすることになっておりますね。これは何かというと、まだ生きているぞということを証明する手続と言われているわけでございますけれども、年金本部の方から往復はがき等が参りまして、そのはがきを持って市町村役場へ行って、確かに住民登録がなされているという判こをもらってもう一遍送り返す、こういうことをやってきたわけでございます。  ところが、手足が動く方はいいんですけれども、寝たきり老人であるとか、あるいはその介護をする人の手間が足りないとかというようになりますと、そういう市町村役場へ持っていく手間だけでも大変だというので、この現況届大変評判が悪い。そこで、昨年春に自治省がこの住民基本台帳法の一部改正を出した後から、各種年金が一斉にこの現況届の一部停止をやり始めました。  現在どうなっているかといいますと、それぞれいろいろな年金がありますから、ばらばらなんでございますけれども、大方のところは、とにかく従来どおり年金現況届の文書を送ってきます。送ってきましたら、それに所要事項を記入して捺印してもう一遍ポストに入れてくれというのが大体のやり方でございます。これはあくまでも暫定的ということになっているんですね。暫定的ということになっているんでございますけれども、とにかく、今のところは、一々市町村役場へ行かなくても、判こだけ押してもう一遍郵便ポストへ入れればいい、こういうような簡易方式に昨年から切りかわっているわけでございます。  しかし、こういう制度がいつまでも続くわけじゃないと思うんですね。やはりいつ死んだかということだけは、年金でございますから、明らかにしておかなきゃいかぬ、そういう問題があるわけでございます。  そこで、今回の法律を見ますと、この年金に関連する部分として、例えば恩給年金でありますとか戦傷病者年金でありますとか、あるいは国会議員地方議員あるいは地方公務員私学共済あるいは農業団体共済、こういうある意味では公的な年金の一部は今回の住民基本台帳法ネットワークの中に入ってくるということが、この条文からどうもうかがわれるようでございます。はっきりと書いてありませんから、文字で書いてありませんからわかりませんけれども、恐らくそういう趣旨でこの法案が成り立っているということが、別表を見ますと推定できます。  ところが、その他の一般的な厚生年金でありますとか国民年金、そういうものは今回のこのネットワークから外れていると思うんです、どうも条文上はっきりしませんから。ですから、私は、こういうところをやはり最初にまずきちんとしてもらう必要があるんじゃなかろうかなと。今回はこれは間に合わなくても、暫定的に昨年から少し改良しましたから、大分従来よりは進んだことになっていると思うんでございますけれども、今後の問題として、こういった問題をやはりこのネットワークをつくる段階できちんとした方がいいと思うんです。  平成八年の十二月の段階で、私は、ある新聞記事紹介いたしまして、年金受給者からクレームがついたと新聞投書がありました、それに対して、厚生省住民ネットワークができたらそういう問題は解消するんだ、こういうようなことを新聞紙上で回答を寄せているということを紹介させていただきましたけれども、こういった点について、本日は社会保険庁宮島次長さんがお見えのようでございますから、ちょっと社会保険庁意見をお聞かせいただきたいと思うんです。
  8. 宮島彰

    宮島政府委員 お答えいたします。  現況届は、今お話ございましたように、年一回、年金受給者から提出いただいておりますが、その中身といたしましては、今お話ございました生存確認のための情報と、それ以外にもいわゆる就労状況もいただいています。これは老齢年金受給者が再び就職等で働き始めますと被保険者になりますので、そのときは一定所得以上ありますと年金支給停止しますので、そういう意味では就労状況もいただいております。  それから、いわゆる加給年金対象者を把握するということで、扶養家族状況もいただいております。それから、障害年金受給者については障害の程度の状況ということで、受給者のさまざまな情報をこの現況届を通じていただいて、年金支給適正化を図っているということでございます。  この中で、今お話のございました生存に関する市町村長証明につきましては、高齢者方々あるいは市町村側にとっても大変事務負担が大きいということで、平成十年一月からこれを廃止して、受給者本人の自署による申し立てという形に変えておるところでございます。  この生存にかかわる市町村長証明の廃止に伴いまして、いわゆる死亡届届け出漏れというものに対しては、現在補完的に、戸籍法に基づく死亡届もとにした厚生省人口動態統計がございまして、この死亡情報を活用して現況調査を行うことによって、いわゆる届け出漏れを把握するという形をとっているところでございます。  ただ、現況届自体は、今申しましたように生存確認以外に就労なり家族状況情報としていただいていますので、これについては引き続き必要かというふうに思いますが、今お話のございました受給者死亡情報、これにつきましては、住民基本台帳情報の活用が効率的であるという点も考えられますので、今後、住民基本台帳ネットワークシステム利用について、自治省とも相談しながら検討していきたいというふうに思っております。
  9. 滝実

    滝委員 全般的なあり方については今後の検討、こういうことのようでございます。少なくとも今の状況は、指定統計人口動態調査個別票を使うなんというのは、一々それは告示はしていますけれども、本来の統計上のものを横から使うというのはいかがなものだろうかな。一々告示はしてきちんと法的な手続はとっていますけれども、私はそれは問題があるように思いますので、この辺のところはネットワーク段階できちんとしてもらいたい、こういうふうに思います。  それから、厚生省生活衛生局長さん、せっかく来ていただいておりますので、先ほどのことを法務省と同じようにひとつ宿題として、その辺のところも含めて、埋葬許可火葬許可厚生省の所管でございますので、よろしくお願いを申し上げます。どうぞ、もう結構でございますので。ありがとうございます。  それから、年金について、これは事務合理化ということも含めて質問をさせていただきたいと思うのでございます。  六十歳なり六十五歳になって老齢年金をもらうときになりますと、まず年金申請をしなければいかぬ。申請をするに先立ってまず必要なことは何かというと、社会保険庁に対して年金加入期間確認通知書をもらうということをやらないといけません。国家公務員共済年金を受けるのでも、一々社会保険庁年金加入期間確認通知書申請をするのです。これが最低一カ月かかります、申請してから。これは一々社会保険庁本人が出向いてやるわけでございますけれども、申請してから通知書が来るのに一カ月かかります。当然、その間にいろいろな件に追われて通知処理がおくれますと、その分だけ年金をもらうまでに時間がかかるのでございます。  今度、その通知書を持って、本来のもらうべき年金本部に改めて年金申請をいたします。申請をいたしましてから年金証書本人の手元に届くのに、二カ月と言っていますけれども、大体三カ月かかるのです。それぞれの年金の種類によって違うと思いますけれども、大体が二カ月ないし三カ月かかるのです、証書が送られてくるまでに。  それから、今度は実際に現金が振り込まれるのに、二カ月に一遍の現金の振り込みですから多少時間がかかります。そうすると、手続だけで大体五カ月、実際にお金が振り込まれるのに半年かかるのです。これは個人ですから、半年おくれたって、別に会社が倒産するわけではございませんし、それほどの大金ではないですから、そう社会問題が出るわけではありません。  問題は、確認通知するのに一カ月、さらに別途、実際の年金本部から年金証書をもらうのに二カ月ないし三カ月ということは、実はそれだけの人間と時間をかけているということなんですね、これは。時間がかかるからけしからぬというよりも、それだけの手間暇をかけているということなんです。私は、やはり年金業務、これからは年金がもうわんさと出てくるような御時世に、従来のような事務処理ではいけないというふうに思っているわけでございます。  この辺のところを、ひとつ社会保険庁、どういうふうにお考えになっているのかを一遍聞きたいと思うのです。
  10. 宮島彰

    宮島政府委員 まず初めに老齢年金受給の前の手続実態でございますけれども、現在、老齢年金の場合、受給申請から支給決定、いわゆる裁定という決定でございますけれども、そこまでおおむね一カ月程度かかっております。それから、その支給決定から実際の年金支払いまでの期間でございますけれども、年金支払い月基本的には月一回の処理ということになっておりますので、その決定時期によりまして一カ月ないし二カ月という事務処理実態になっているところでございます。  この事務処理に時間を要するという主な原因は、実は、制度別記録管理が従来別々になっておりますために、受給処理申請がありますと、そういった制度別記録をつなぎ合わせていくという点に大変時間を要しているというのが現在の状況でございます。  これにつきましては、九年一月から基礎年金番号をスタートさせまして、それに基づきましてこういった制度別記録一つにつなぎ合わせていくという、いわゆる過去記録を現在整備しているところでございます。これはまだ整備中でございますけれども、これが一応整備されれば、こういった裁定事務処理期間も相当短縮されていくのではないかというふうに思っているところでございます。  ただいまお話のございました住民基本台帳ネットワーク利用によって、この年金裁定支払い期間の短縮ということには直ちにはつながらないと思いますけれども、年金業務全体の効率化を図っていくという観点からは、この住民基本台帳ネットワーク利用について効果的な面もあるというふうに思いますので、今後ともそういった点を検討してまいりたいというふうに思っております。
  11. 滝実

    滝委員 時間は、要するに今までの各年金実施主体がばらばらでございますから、当然一々さかのぼって確認をするのに時間がかかる。それから流動化社会ですから、人もあっちの年金団体に出向したりこっちの年金勤務期間があるとかいろいろなことがありますから、かなり手間取ることは間違いないと思うのでございますけれども、それにしても時間がかかり過ぎるわけでございます。  これは、今、割と簡単にいくようなことをおっしゃっていましたけれども、実際問題として私が自分でやったところでは、私の手元に振り込まれるまでに七カ月かかっておるのでございます。もっとも、そのうち一カ月はせっかく来た通知書を棚上げにしておいたとかそういうようなことで、こちら側の事務処理がスムーズにいかなかったという問題もあるのですけれども、いずれにいたしましても、実際には物すごい時間がかかっているということに相なるわけでございまして、この辺のところは、行政局長さんは年金の専門家でございますから、一遍行政局長さんからもちょっとこの辺について、何か意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
  12. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳ネットワークシステムを構築していく場合に、今回の法律案にも盛り込んでおりますが、行政機関での御利用ということで、特に継続的な給付の分野というのは適用対象としては非常に適切なものであると考えております。  各種年金制度、それぞれの制度がございますが、基礎年金番号制度の導入にも見られますように、それぞれ制度が連携しながら、年金受給者のための相談あるいは給付の円滑化ということに努力しているところでございますので、このネットワークシステム利用ということがいろいろな分野で御検討いただければと思っております。  先ほどお話がございましたように、恩給あるいは共済関係については、今回の法案に盛り込んでいるところでございます。
  13. 滝実

    滝委員 この辺のところは、自治省におかれましても社会保険庁におかれましても、要するに事務合理化という観点も含めて積極的な取り組みを今後続けていただきたい、こういうふうに思います。  このネットワークに関連して、何が便利になるかというようなことについて、一つ二つ今まで例を挙げてお尋ねをしてまいりました。  次に、このネットワークそのものについていろいろな心配が寄せられているわけですね。一つは、国会が本来監視する機能を持っているわけでございますけれども、ネットワークをつくると国民監視が強化されるのじゃなかろうか、国民監視の道を開くというような御意見がございます。  そういう中で、今回のこのネットワークは、指定情報処理機関という一つのセンターを、国とか地方団体とかというのじゃなくて、別法人で一つの機関をつくって、そこにセンター的な機能をゆだねる、こういうようなことになっているわけでございますけれども、こういった機関が国民監視の道を開くようなことには当然ならないとは思うのでございますけれども、そういった心配に対して、こういうセンターをどういう格好で仕組んでいくのか、その辺について伺いたいと思うんです。
  14. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、この住民基本台帳ネットワークシステムにおきましては、全国センターを、都道府県知事から本人確認情報処理事務の委任を受ける指定情報処理機関が運営、管理するということにしておりまして、国がこのネットワークシステムに係る具体的な事務執行には関与しないという仕組みになっておるわけであります。そういう点で、国が一元的、一括管理してすべての情報を掌握してやっていこうという、その種のものとは全然質が違うということをまず申し上げておきたいと思うんです。  また、指定情報処理機関が保有する情報というのは、氏名、住所、性別、生年月日、この基本的な四情報住民票コード及び付随情報から成る本人確認情報法律上限定をいたしておりまして、さまざまな個人情報を一元的に収集管理することができない、そういう仕組みにいたしておるわけであります。さらに、指定情報処理機関についても、本人確認情報の目的外利用を禁止いたしております。したがって、個別の目的を超えたデータマッチングによってさまざまな個人情報を一元的に収集管理するということも不可能であるという仕組みにいたしておるわけでございます。  このような指定情報処理機関のあり方からいたしましても、このネットワークシステムが国民監視システムへの道を開くんだという指摘は当たらないというふうに認識をいたしております。
  15. 滝実

    滝委員 そこのところがやはり一番大事なところだろうと思います。  今、いろいろな批判のある中で一番大切なところについて自治大臣から明確な御答弁をいただきましたけれども、ぜひそこら辺のところ、基準がぐらつくことのないように、ひとつ運用よろしきを得ていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つの心配は、個人情報の保護の問題がもともとやかましく言われてきたわけでございます。最初はOECDの基準に照らしてどうだろうかというような議論もございましたし、今やEUの基準にそれが変わってきているわけでございますけれども、EUの個人データの保護指令についてどうなのかとか、大変議論が細かくなってきていると思うんです。  そういう意味では、この問題が取り上げられてから特にこの五、六年は個人情報の保護の問題が大変精緻になってきた、しかもそれが、ある意味では一つの世界的な流れの中での議論として取り上げられてきている、こういうようなことが言われてきていると思うのでございます。自治省の今度のものにつきましては、そういった世界的な流れについての議論を踏まえてどういうようなことを仕組んできたのか、その辺のところをひとつ明確にお答えをいただきたいと思うんです。
  16. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 御指摘のように、このシステムの導入に当たりましては、個人情報の保護ということが最重要課題の一つ考えまして取り組んできております。  住民記録システムネットワークの構築等に関する研究会の御議論におきましても、諸外国の事例などを踏まえ、また我が国における個人情報保護制度の現状を分析する、その上に立ちまして、個人情報の保護についての万全の措置を講じることが必要である、こういう御議論があったところでございます。  そのために、基本的には、ネットワークシステム全般の個人情報保護措置につきましては、いわゆるOECD理事会勧告八原則というものを前提として制度を構築いたしました。加えて、御指摘のEUによります個人データの処理に係る個人の保護及び個人データの自由な移転に関する理事会指令、いわゆるEU指令につきましても十分考慮いたしているところでございます。  具体的には、EUの原則に掲げている中で、例えば、データ内容に関する事項に関しましては、都道府県などが保有する情報は、氏名、住所、性別、生年月日の四情報住民票コード及び附属情報である本人確認情報に限定をいたしております。また、データ処理の適法性の基準に関する事項に関しましては、本人確認情報の提供を受けることができる場合及びその利用目的というものを法律上明らかに限定をする。それから、EU指令の処理の秘密保持及び安全に関する事項の関連では、本人確認情報の漏えいを防止するために必要な秘密保持の義務づけ、また安全確保措置の義務づけ、こういったことを講じておりまして、個人情報の保護につきましては、OECDの理事会勧告八原則及びEU指令に沿った十分な法令上あるいは技術上の措置を講じているところでございます。
  17. 滝実

    滝委員 以上、代表する二つの御心配の意見についてお答えをいただきました。  私の持ち時間がもう切れますので、最後に一つ、要望を交えて申し上げますので、自治大臣からお答えをいただきたいと思うんです。  と申しますのは、今までの年金の問題にいたしましても、それから戸籍との関連におきましても、これからなおいろいろこのネットワークに組み込んでいった方がいいようなものも、場合によっては出てくるだろうと思うんです。私は、そういうものについては積極的にこのネットワーク、今回はここでこういう格好で一区切りをつけるにいたしましても、これからの問題として取り上げるべき問題についてはなお御議論をいただいて載せていただくような、そういう努力を省庁間でお願いを申し上げたいと思うわけでございまして、これについての自治大臣の御意見を承って終わりたいと思います。
  18. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 今回の住民基本台帳法の一部改正法案におきましては、御指摘のとおり、国の機関などが本人確認情報の提供を受けて処理することができる事務というものを十六省庁所管の九十二事務ということで法律の別表に規定をいたしておりまして、その事務におきましては、それぞれ住民側においてもあるいは行政側においてもメリットが増加をするということを期待をいたしておるわけでございます。  今御指摘ございましたが、今後、国の機関などが本人確認情報の提供を受けて処理することができる事務法律改正を通じてふやしていくということによって、さらに住民の利便を増進すると同時に国及び地方公共団体の行政合理化にも資するということは、方向として十分認識をいたしておるわけでございます。  ただ、これは先ほど来いろいろ御指摘もございました。いろいろなお考えもございます。あくまでこれは法改正ということを伴って初めてできる事柄であるということもあわせて申し上げておきたいと思います。  住民基本台帳ネットワークシステムの国の機関などにおける利用事務の拡大については、そういう意味で、引き続き十分な検討を行っていくということが重要であると思っております。いずれにしても、提供先、利用事務の拡大については、国会の御審議を踏まえて、法改正を通じて可能性が拡大をしていくということは御指摘のとおりでございます。
  19. 滝実

    滝委員 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、法律でもってすべて規定していくという基本原則でございますので、そういう原則を踏まえた上でよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  20. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、新藤義孝君。
  21. 新藤義孝

    新藤委員 自由民主党新藤義孝でございます。  地方行政委員会には初めてお邪魔をさせていただきまして、質問させていただくわけでございまして、どうぞよろしくお願いをいたします。特に、野田大臣には初めてお目見えをさせていただきます。大変アグレッシブな方だと私は尊敬しておりますので、私が今回質問させていただく中でこれはと思うことがあったら、ぜひ御答弁いただければありがたいと思っております。  ただいま、滝実先生の明治時代からさかのぼることの歴史を踏まえた格調高い専門的な御質問があったわけなのでございますが、私は、これから先の将来の日本の情報化、こういう観点から今回のこの住民基本台帳の法改正をどうとらえていくかということで、御質問させていただきたいというふうに思っております。  いろいろなところで、行政もそれから政治家も含めて、二十一世紀の社会のキーワードは何かということになると、必ず出てくるのが高齢化社会とそして情報化社会だ、こういうことになっています。そして、閣議決定を何度も繰り返しまして、この住民基本台帳はもう既に平成九年の段階でやるんだというふうに決まっているわけでございますね。そして、政府の方でも、高度情報社会推進本部において、去年の十一月に基本方針をきっちりと決めているわけなのです。しかし、私の思うところ、我が国の情報化というのは思ったほどに、期待しているほどに進んでいるのかな、こういう気がするのでございます。  先進であるアメリカなんかと比べましても、これはもうどんどん離れているばかりなのですね。インターネット利用は、アメリカが六千二百万人、日本は一千四百万人でございますし、人口一万人当たりのホスト数、これは日本は世界で二十三位なのですね。世界一の通信技術、コンピューター技術を誇る我が国が、自分のところでつくっているのですが、しかし、どれだけ使われているかというと、ホスト数においては、シンガポールが十三位、香港が二十二位、そして日本はその次になっている、こういうような活用状況でございます。それから、電子商取引がこれから拡大するんだ、拡大してきたといっておりますが、アメリカが二十一兆円、日本はまだ八兆円だ、こういうことになるわけなのです。  ですから、なぜこれが進まないのか。私の考えるところ、率直に申し上げますと、便利でないのですよ。結局、自分の生活や仕事にみんなが使えるような創意工夫をしていかないと、ただ見るだけだったり、それからデータが集まってきたものを集計するだけ、そういう状況ではなかなかこれは普及が進んでいかないというふうに私は思っているのです。  ですから、そういう意味で、今回の住基台帳法の改正が、まずは行政の効率の向上、それと住民の利便性が上がるんだ、こういうことで私は大変歓迎しておりますが、これとあわせて、情報化を進めていく中で、今回の住基台帳ネットワーク化、これは自治省、どういう取り組みをされるつもりなのか、今のお考えを聞かせていただけるとありがたいと思います。
  22. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 幾つかの論点が指摘されたと思うのです。全体として、日本の社会全体の中で、高度情報化社会に対する対応が、世界的なレベルで見て、非常に本来のあるべき姿よりもテンポが遅過ぎるのではないかという、そのことに対するトータルとしての危機感といいますか問題意識というものが指摘されたわけであります。  この点は私も全く同感でありまして、これはそれぞれのミクロの企業レベルにおいても、あるいは、場合によっては学校における子供のころからのそういうような教育の内容そのものにおいても大事である。シンガポールなんかは日本よりもはるかに小さいころから学校教育の中で徹底してそれをやっているわけで、そもそも民族の繁栄というのは進取の気性ということが非常に大事なことであって、このフロンティアの部分をどう育成していくかということが一つの大きなポイントだと思います。  それから、自治省において、情報化に向けてどのような取り組みを行ってきたか、あるいはまた、おるのかというようなことでございました。この点につきましては、地方公共団体における情報化というのは、地域住民の福祉の向上や、あるいは地域の活性化を図るとともに、新しい行政ニーズへの対応あるいは行政事務の一層の高度化、効率化を図るということを可能にするものでありまして、セキュリティー対策や個人情報保護に十分留意しつつ積極的に推進をしていかなければならないというふうに考えております。  そこで、このために、自治省では、地方公共団体に対して、既に地域の情報化の推進に関する指針及び行政情報化の推進に関する指針というものをお示しいたしておりまして、各地方公共団体における情報化を積極的かつ戦略的に推進をするように要請をいたしております。同時に、地方債及び地方交付税による財政措置により支援をいたしておるというところでございます。
  23. 新藤義孝

    新藤委員 ありがとうございました。  それで、とにかくこれを進めていく、どんどん進めていくべきだと私は思っておるわけなのですが、しかし、そのときにやはり留意しなければいけないのは、盛んに新聞等でも言われておりますが、やはり国家の一元管理、権力の乱用が行われるのか、こういう危惧があるという声と、それから、そもそも個人情報が保護されるのか、こういう部分が今回の改正の一番の課題になるのではないかな、こういうふうに思うのです。  そして、ただ、私の考えですけれども、今回の住基台帳ネットワークができることによって、個人情報が漏れるなり、勝手に使われる、流用されるおそれが増す、こういう心配があることについては、私は、逆じゃないかな、こういうふうに思っているのですよ。というのは、結局今回のネットワークをやるということは、これはもう最先端のセキュリティー技術、それから暗号技術、こういうものを徹底的に工夫する、それからまた、実際運用上においても随分の工夫が、やり過ぎかなというぐらいに私は思うのですが、工夫が入ってきている、こういうふうに思っております。  現状で、むしろ個人情報保護法というもの、これは今国家行政機関の情報だけはその保護法によって制約がありますが、民間情報それから地方公務員に関しては、その情報を守りなさいという法律すらないという今の現状の中で、社員名簿だとかそれから顧客リストの流出だとか売買なんというのはむしろどんどん横行してしまっているわけなのです。  だから、私は、今回この住基台帳システムをきちっとするところで、まずシステム設計、セキュリティーを徹底的なものにする、それから職員の教育と罰則、こういう法令に基づく制約をかけていく。しかもこれに加えて、例えば住基台帳のデータを個人で、ICカードを持ってもらう、こういうことになったとすると、このICカードというのは極めて偽造だとか不正使用ができない、今のところ一番難しい、要するに今セキュリティー度が一番高いわけなんですね。  紙なんというのは、だれか持っていっちゃえば済むわけなんですが、自分の複雑な番号をもってしては、他人様がそれを知ることはできないんですよね。そうすると、例えばこのICカードをしっかりと運用していくと、むしろ今までデータがとれたはずのものがとれなくなってしまう、そういうふうに考えたらどうかなというふうに思っているのでございます。  それで、今回、本法改正におけるネットワークシステム、それからルール、こういうものがどのように検討されているのか、工夫されているのか、ちょっとさわりで結構です、時間がだんだんなくなってきますので。  国の一元管理の問題は、先ほど滝先生が御質問されました。私も御答弁に納得しております。国がやるのではなくて、国がいわゆる公益法人をつくって、そこの中で委託、県と市がやるんだよ、こういうことでございますから、納得しておりますので御答弁は結構でございます。
  24. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 この住民基本台帳ネットワークシステムにつきましての、特に個人情報保護面での配慮措置ということでございますが、先ほど申し上げましたように、基本的には国際基準を踏まえまして、法律上、技術上、十分な保護措置を講じるという考え方で構築をしてきております。  例えば、制度面での保護措置といたしまして、本人確認情報の提供先、あるいは利用目的については、法律で明らかにして規定するということといたしております。また、本人確認情報を取り扱う関係者、市町村、県、全国センター、あるいはそれの電算処理を委託される機関等に対します安全確保措置、これを義務づけております。また、従事する職員の秘密保持の義務づけも行っております。  また、本人確認情報の目的外利用の禁止ということを法律上明らかにしております。民間部門での住民票コードの利用も禁止しております。そういうことで、公的部門での利用ということにいたしておるところでございます。  システム面の保護といたしましては、これまでの全国的なシステムというものの実績の上に立って、それにまさるとも劣らない内容のセキュリティー面の配慮措置を講ずることといたしているところでございます。
  25. 新藤義孝

    新藤委員 このICカードは、別に持ちたくない人は持たなくてもいいということになっているわけなんですから、そのメリットを感じる人がお持ちになるということでございまして、別に全員に持たされるということでもないんですから、問題ないんじゃないかと思うんですよ。  ただ、きょうは御答弁はいただきませんが、むしろ個人情報保護法というものをしっかりと包括的なものにしていく、これは絶対やらなきゃいけないと思いますね。むしろ、国だけになぜ外しているのかというのが私不思議なんですが、これはやらなければだめだというふうに思っております。  それから、次のポイントとして、今回の課題としては、個人情報の保護と国の一元管理を、権力の乱用を排すということだとすると、逆に今度は、今回の法改正のポイントとしては、とにかく全国人口の九九%がコンピューター処理されているこの住基台帳を自治体間でネットワーク化させること、これによる物すごい行政事務効率化が行われるということだと私は思っております。  要するに、今までは自分の住んでいるところでなければとれなかった住民票が、勤務先のどこでもとれるし、それから転入転出の際は一回で済むんだ、こういうようなことでございます。  それで、これに加えて、ほかの行政機関がこの住基台帳にアクセスすることができるようになれば、これは住民票をとるだけじゃなくて何かほかの、その個人が例えば雇用保険だとか労災給付、それから恩給、共済年金支給、建築士免許、宅建資格、こういうものを登録するときの申請に、一々住民票をとりに行かなきゃならなかった。それが今回は、役所同士で連携をとってくれて、個人としては自分本人なんですよと申請をすればそれでいい、こういうことになる。非常に便利になるんじゃないかなというふうに思うんです。  これはかなり工夫をして、さっきのお話ではたしか十六省庁九十二事務ございましたね。こういう話ですから、便利になるということで、答弁してもらおうと思ったんですけれども、時間がもったいないですから、それはもう結構なんです。  それで、私、これに加えて本当は考えていただきたいのは、今回民間利用を禁止しております。言いかえれば、個人が行政のデータに直接アクセスすることはできない。民間の商行為ではなくて、一市民が私はアクセスしたいんだといっても、アクセスできないことになっているわけなんですね。そこが実は大変なポイントになってくると私は思うんです。  今回、状況として踏み込めないというよりも、考えていないということなのかもしれないんですが、二十一世紀型の高度情報化社会というのは、一々自分が足を運ばなくても、自分のコンピューターで、または自分の認証されたICカードでいろいろなコンピューターのネットワークにアクセスできることで、初めて飛躍的な高度情報化社会が訪れる、こういうふうに思っているんです。  例えばどんなことができるかといえば、自分のうちのパソコン、もしくはカードを持って駅のキヨスク、売店だとか、それからコンビニエンスストアなんかにそういう端末があったとします。そこで住民票をとりたいんだと、そうするととれちゃうんですよね。とれることになるんです。それから、介護保険の手続だとか、そんな検索なんかも自分でできるようになりますし、いよいよ始まりますけれども、高速道路で、有料道路のところにITSというのですか、自動料金算定装置、これも、自分のカードを出せば全部それでもって決済できるようになるわけなんですね。  だから、結局、今日本の情報化が進まない最大の原因は、さっき一番最初に申し上げました、使える情報処理ができないんだ、役に立つものがないんだ、少ないんだというお話をしましたけれども、ここの部分だと思うんです。  それで、アメリカはパソコンが家庭において半分以上普及しております。日本はまだ二割行っておりません。この最大の原因は何かなと調べました。そうしたら、アメリカは総合課税制度になっておりまして、源泉徴収もありますけれども、個人が申告するんですね。それの申告ソフトが、物すごく使いやすいソフトが普及しておりまして、だから、みんな税金の申告をするためにパソコンを買うんですよ。それから、アメリカの大学生は宿題はEメールで出るんです。ですから、大学に行って、パソコンができない者は宿題を出せないんです。だから、それを子供のころからさわらせて教育させる。自分と一対一でやっているんですよね。  だから、ちょっと住基台帳から離れちゃっているように聞こえるんですけれども、結局、そういうすべてのネットワークを、この九九%がコンピューター処理されている日本最大のネットワークを使って、それを民間利用と個人利用をさせることでこの情報化というのは物すごく普及する、こういうことになってくる。  それで、例えば教育問題。教育現場にパソコンを入れろというので、日本の方針ですと、平成十二年度までにすべての学校に、それで十五年までにすべての小学校に、十三年までに中高ですね。これはすごいなと思うんですけれども、アメリカは二〇〇〇年までにすべての教室、学校ではなくて、そして十二歳以上のすべての生徒なんです。日本は学校ですよね。片や世界の国は、教室、もしくは十二歳以上になったら一人一人に持たせるという、この差なんです。この差が恐ろしいんです、どんどん。  だから、そういう意味で、私は、今回の法改正に盛り込めという気持ちはありません。ただ、今回あえて民間利用を禁止した、セキュリティーだとか権力の乱用だ、そういう不安のもとに禁止した部分、将来のことを、取り組み、お考えを聞かせていただきたいのです、どんなふうに考えるか。
  26. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 率直に申し上げまして、現在、この新しいシステム法律を通していただきまして構築するということに精力を注いでおりますので、今お話しのように、現在考えている内容は、民間については利用を規制するという考え方でございます。  将来のあり方でございますけれども、お話しの、民間の商業部門で使うということでなくて住民の方がアクセスするという問題でございますが、行政分野で申し上げますと、行政のいわば申請とか届け出等の行政手続面でオンライン化を進める、その場合に、認証のシステムとしてこの新しいシステムが使えないかどうかということだろうと思います。  お話しのように、市町村の区域、県の区域を超えた全国的な本人確認システムでございますから、そういうものを認証システムとして利用可能性があるのかないのかということは、この制度が動きまして、あわせまして、そういったことも検討課題として考えていかなければならないだろう、こういうふうに考えております。
  27. 新藤義孝

    新藤委員 現状では、今のところ、この法律をまず始めることからだ、このように思っておりますから、私もそれは重々承知をしています。ただ、大臣、これは自治省の仕事ではなくて国家全体の情報化を進める上で多分極めて大きなポイントになってくるはずなのでございまして、これはぜひ頭にお含みおきいただいて、そして将来に向かって検討していただきたいな、このように要望をしておきます。  それからもう一つ、先ほどからどうしてもネットワークというよりもICカードの話が多くなってしまうのですが、この住基台帳ネットワークに伴ってICカードを入れることで、もう一つ別の利用可能性が広がります。これは要するに、この住基台帳ネットワークに入っていって使うのではなくて、それを持っていることによって個人認証がしっかりできるということによって、ほかの仕事に使えるわけなんですよね。  要するに、本人が自治体から発行されたカードを本人と認めてもらいたい相手に渡して、そして自分本人であることが間違いないと認証されれば、住民票要らないよ、こういう話ですね。パスポートだとか免許証だとか、いろいろあります。少なくとも紙なんかより全然安心なわけですよ。だから、こういうことで非常に私は有効だなというふうに思っております。ましてや図書館で本を借りるときだとか、それから、この間ちょっと実験をやりましたが、電子投票ですね、こういうものをやる上でも、これはぜひ本格的な導入を実施すべきだ、こういうふうに私は思っているのです。  ただ、諸外国でいろいろもう行われています。日本はこの件に関しては後進国なんですが、お隣の韓国で、何かこのICカードの取り組みでこれまでの方針を撤回するというような週刊誌の記事が出たり、それから御視察いただいた方もいらっしゃるようですが、そういう情報が聞こえております。これについて、自治省としては、韓国の問題、どういうふうに分析されているのか、わかっておる範囲で教えていただきたいと思います。
  28. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 韓国におきましては、ICカードの利用ということで、それは、偽造、変造を防止し、情報化社会に対応した多目的な身分証とするということで、現在、紙製の住民登録証がございますが、それをICカードの電子住民カードとするための法律改正平成九年十一月に行いまして、成立しました。その後、韓国の厳しい国家財政にとって相当の費用を要するという点、それから二つ目は、国民監視が強化されるのではないかという不安に基づく反対運動が強まったということで、電子住民カードの関係条文の削除ということを内容とする改正法律案議員立法で国会に提出されたというふうに聞いております。  この電子住民カードは韓国の住民登録制度の一環でございますが、日本とはかなり住民登録制度は実情を異にいたしております。  韓国におきましては、全国民について住民登録番号をもとにして多数の情報住民登録ファイルとして管理されておりまして、その情報行政、民間を通じてさまざまな分野で利用されている。また、満十七歳以上のすべての国民は常時住民登録証を携帯するということが義務づけられております。この住民登録証につきましても行政、民間を通じて利用されている、こういうことでございますので、制度もとが大分違います。  住民基本台帳ネットワークシステムの方では、これまでもお話ししましたが、保有するデータは住民票コードと四情報、氏名、住所、性別、生年月日及び付随情報のみであるという点、また、国の機関等へのデータの利用、提供については法律上明確な根拠が必要である、また、目的外利用というものが禁止されている、それから、民間部門による利用が禁止されている、また、住民基本台帳カードは住民サービスの向上の観点から希望者にのみ発行するといったことで、韓国の住民登録制度及び電子住民カードとは異なっている、このように考えております。
  29. 新藤義孝

    新藤委員 まあ、韓国、経済危機が深刻でございますから、そういう側面もある。そしてまた、国の一元管理、権力の乱用が心配だ、これは私に言わせれば、もう極めて感情論である。このことをやると悪いことをしてしまうからやらないよ。悪いことをしたら罰する、悪いことをさせないように工夫をする、それが知恵を使うということであって、物理的にこういうものをつくらなければ悪いことがないんだと。  ところが、どんなことをやったって、なければないなりに、今は個人情報なんというのはむしろ横行してしまっているわけなのですから、だから、骨太の議論をしっかりすべきだ、感情論でやってもらっては困るし、私もそんなことをもし国家に管理されてしまったら困りますから、そういうことをやられないようにルールをつくり、法律をつくるということなのでございます。  韓国と日本は違うのだということがよくわかったわけでございます。  そして、最後の質問にさせていただきますが、結局、システムとルールをきちんとすればこれは問題なく運用できるではないか。しかも、先ほどから御答弁が繰り返されているように、四情報に限ってとか物すごい制約をかけてしまって、本来ならもっと使える、国の基幹、根本を変えられるような、産業の活性化も含めて新産業の創出も含めてできるはずのものを縛ってしまっているわけなのですけれども、将来の話として、これを国民総背番号制だといって反対されている方がいる、こういうことも聞いております。  ただ、背番号制とは、確かにそれは全員に番号をつけるわけなのですが、しかし、広い意味でこういうものはさっきの韓国だってもう昔からですよね。含めて、アメリカ、カナダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、オーストラリア、ほとんど使ってしまっているわけなんだ、このように思います。  それから、やはり嫌だと言っている人がいるけれども、統一された番号によって所得の正確な把握をする、これは徴税の公平化からすればやらざるを得ませんよ。こんなことを、隠しを認めるようなことが暗黙の了解というのはいかにも日本的です。こんなの絶対だめです。  それから、社会保険だとか介護保険の対象者の把握、それから本人確認行政事務効率化、幾らでもありますけれども、まず第一点に、もう年金基礎年金番号制が始まってしまっているではないか、別の番号がついてしまっているのでどうするんだという話があるわけなのです、二つ番号持たなければいけないのかと。  それから、これから介護保険制度が始まってまいります。これも、介護保険制度システム基本設計、全三千三百自治体の中の三千二百自治体が厚生省システム設計の補助申請を出しています。ところが、このシステムを構築する上で、ある自治体は住基台帳を根本にして介護保険の台帳をつくろうとしているのです。でも、ある自治体は国保台帳をベースにしているのですよ。統一した見解をつくっていないから、ばらばらになってしまっているわけです。  このほか、これから例えば免許だとかほかの事務に、それから、きょうは余り僕はここで言いたくありませんが、例の納税者番号、ある新聞の社説によると、別のシステムをつくれというのです。それでは一人の人間に三つも四つも五つも番号をつくって、それのシステム運用で、私の地元、埼玉県の川口ですけれども、川口の町で介護保険のシステム基本設計をやるのに七千八百万かかっているのですよ。これまた別の台帳を使えとなったら、また同じ金がかかるわけで、三千二百自治体で、もちろん大きさは四千五百万が基本ですけれども、これはむだ遣いなんですよ。でも、国が方針を定めないから結局やっているわけなんでございます。  とにかくこれを、この住基台帳システムが九九%捕捉されて日本で一番ネットワークを張っているのですから、これを今回まず入れさせてもらって、その後の日本の情報化、そして個人がコンピューターにアクセスする、こういうことの前提として、やるべきだと私は思っております。  そういうことで、今回の決意というか、もう質疑時間が終了してしまいましたので、多分お答えは余りできないと思います。でも、そういう気持ちでやらないとこれはうまくいかないよ、私はこういうふうに思うのでございます。一点お願いするとするならば、この住基台帳コードの、将来他の行政事務への展開、このことについてどういう御見解があるのか、このことだけを最後に質問しておきます。
  30. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 基本的に御指摘のとおり、まことに私どもが申し上げたい事柄、もう随分お話をちょうだいいたしまして、大変心強い限りであります。  いずれにせよ、これからいろいろな行政事務等にどこまで広げていくかということにつきましては、まずこれをスタートさせていただいた上で、法的な手当てをしながら具体的には展開をしてまいりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  31. 新藤義孝

    新藤委員 いろいろ申し上げましたが、いろいろな意見があると思いますが、しかし国民大多数の利便性を向上させるという観点から、私は、これは積極的にぜひ推進していただきたい、このように申し上げまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  32. 坂井隆憲

    坂井委員長 午後三時二十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後三時二十四分開議
  33. 坂井隆憲

    坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鰐淵俊之君。
  34. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 自由党の鰐淵でございます。  住民基本台帳ネットワークシステム議論といいますか審議はようやく緒についたな、こういう感じでございます。と申しますのは、昨年の三月に法案国会に提出されまして、もう既に大体一年を経過しているわけであります。この法案は非常に重要な法案だということは、与野党一致しているわけであります。それだけに、やはり国民へのサービス面、それから事務簡素化の面、そういった面で非常に利点もあるわけでございます。  そういったことで、できるだけ早くこのシステムを実行に移すという考え方が一つあると同時に、実行に移すときにはまたいろいろな問題点もある。これは審議を深めていかなければなかなかそういった問題点をえぐり出せないわけでございますので、やはり早く審議をし、徹底的な国会での審議の中でこの問題が本当に国民のためになる法案として早く成立でき得れば、私はそのように考えているわけでございます。  さて、最近は情報化と言われて久しいわけでありますが、各地方自治体、三千三百ほどございますが、そのうち、お話ございましたように九〇%はもうOA化、いわゆるコンピューター化等が進んでおります。私どもの担当しておりました市は約二十万でございますが、もう既に昭和五十六年度にコンピューターを入れまして、実際に行政事務のコンピューター化を図りました。  これは考え方が二つあると思います。その一つは、個々の事務をコンピューター化するという方法、例えば税務なら税務事務、給与なら給与事務、こういう方法。それからもう一つは、住民情報を先に考えて、いわゆるトータルシステムでコンピューター等にする、こういう考え方と二通りあるわけであります。私は、個々のケースで入れるということは非常にロスが多いし、また行政事務簡素化あるいは住民へのサービスということを考えれば、一気にトータルシステムでやることが正しいということで、住民登録をすべてコンピューターに入れて、リアルタイムでもって実際に今実行に移しているわけであります。  そこで、私どもの例を簡単に今お話ししますと、そういった中で、バッチ処理なんというのは、実に時間として約一万七千九百七十八時間。それからオンラインで大体十四万八千九十七時間。それからバッチ処理は、件数で千七十九件。それからバッチ処理の全体のプログラムの本数ですけれども、これが六千百九十六本。こういうように、機械化できる、いわゆるコンピューター化のできる仕事については、主なものはやっておるわけです。それでもなおかつ、庁内ではまだやってほしいと。というのは、コンピューター化が、データ処理からいって、最終的に統計とか予測とか、こういったことにだんだん高度に使っていきたいという職員の意欲が非常にわいてくるわけであります。  ですから私は、そういう意味で、コンピューター化によって非常に経費の節減もできておりますし、いわゆる行政情報化というものが進んでおる、このように思います。  そこで問題は、一つ一つ市町村ではそれぞれやっておりますが、それぞれの関連は残念ながらございません。ですから、せっかくこれだけ各自治体で相当OA化が進んでおる状況考えるときに、市町村の区域を超える、ネットワーク化することによって、なお個々の市町村が十分に活用できる機会というものがあるわけですね。代表的な例は、やはり住民の転入転出、それから特に不現住処理、こういったものができる、このように思います。  そういうことで、こういった地域間交流ということを考えた場合に、既に答弁もいろいろあるわけでありますが、住民基本台帳そのものには十程度の情報の量があるわけでありますけれども、今回はそれが非常に限定的だ、こう言われているわけでございますので、再度ここで明確に、住民基本台帳の個人情報のうちの具体的にどんな情報を保有することになるのか、既に一部答弁は聞いておりますが、明確にお尋ねしたい、このように思います。
  35. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 現行の住民基本台帳におきましては、市町村住民につきまして、氏名、住所、性別、生年月日、それから世帯主の氏名及び世帯主との続き柄、戸籍の筆頭者の氏名及び本籍、それから選挙人名簿への登録の有無、国民健康保険の被保険者資格に関する事項国民年金の被保険者資格に関する事項、児童手当の受給資格に関する事項、こういったことが記録をされております。  今回の住民基本台帳ネットワークシステムにおきましては、住民基本台帳記録する個人情報として新たに住民票コードを加えるということといたしておりまして、住民基本台帳記録されました個人情報のうち、本人確認のために最低限必要となる氏名、住所、性別、生年月日の四情報、それに住民票コード、またこれらの付随情報、例えばこれらの記載等について変更があった場合の事由、年月日等の情報に限りまして、指定情報処理機関、いわゆる全国センターや都道府県において保有するということといたしております。
  36. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまお答えがありましたとおり、各市町村が取り扱っている住民基本台帳情報のうちではとにかく非常に基本的な、しかも限られた情報だけだ、今のところそのように私は考えます。そういう意味では、全国センターなどで保有することになるわけでございますので、これから、国民から信頼される全国的なシステムをつくり上げていくために非常に重要なポイントになろうか、このように思います。  したがって、重要なポイントになるわけでありますが、これも本会議でございましたが、いわゆるコストベネフィット、かなりこのシステムをつくるときにお金がかかる。しかし、お金がかかるけれども、いろいろな直接的効果、間接的な効果というものが生まれると思うのです。直接的な効果について大臣の方から本会議で述べられておりましたが、住民の利便それから簡素化、なかなか計数にあらわせないそういう利点もあるわけでございます。とりあえずきちっと試算でき得る状況につきましては、本会議の答弁もございましたが、さらにこの委員会で明確にしていただきたい、このように思います。
  37. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムの導入コストでございますけれども、データ移行のためのシステム開発費あるいはコンピューターの設置工事費などの基本的な導入経費としまして約四百億円を見込んでおります。また年間コストといたしましては、電気通信回線の使用料あるいはコンピューターの維持費などで約二百億円を見込んでいるところでございます。  他方、このコストに対します効果につきましては、前提を置きまして、システム導入に伴う行政側の職員あるいは住民の方の節減時間とこれらの方の時間当たりの標準的な人件費というものを用いまして、一定の仮定計算でございますけれども、数値化できるものだけを試算いたしますと、毎年、行政側で申し上げますと、転入手続簡素化あるいは住民票の写しの交付の省略といった窓口業務簡素化などによりまして約二百四十億円、また住民サイドで、住民負担の軽減といたしまして、転出手続あるいは住民票の写しの交付のために住所地役場へ出向く必要をなくすということで約二百七十億円の効果があると見込まれております。  こういうことで、このシステムについては、行政側、住民側における数値化可能なメリットだけに限って比較いたしましても、コストに見合う効果が十分にある、このように考えております。
  38. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今の局長の御答弁では、試算できるメリットに限っても十分コストに見合う、こういうお話でございました。私も、このシステムを発展させていくとするならば、今後もこういったメリットはどんどん拡大していくだろう、減ることは絶対にないと確信をいたしております。ぜひ、かけたコストをはるかに上回る、立派な成果というものを上げていかなければやはり意味がない、私はそのように考えます。  そこで、先ほど新藤委員も話されましたが、隣の韓国についてのお話がございました。それで、特に電子住民カードの導入事業が中断された、こういうぐあいに伝え聞いているわけであります。この電子住民カードを導入する前提といたしまして、韓国においては既に住民登録制度とそれから住民登録証というものが存在すると伺っているわけでありますが、まず、この制度の内容について、どんなものであるかお尋ねしたい、このように思います。
  39. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 韓国の住民登録制度でございますが、国内に居住する韓国国籍を有する者を対象とするものでございまして、地方自治体であります市、郡または区の長が事務を管掌するということとされております。市長等は、個人別及び世帯別の住民登録票を作成し備えるということにされております。  その主な特徴でございますが、一点目は、すべての制度対象者住民登録番号を付与することとされております。  二点目は、住民登録票自体について全国的な電算化が行われておりまして、政府は、住民登録番号をもとに、いわば住民登録ファイルとして全国民の情報を管理しております。この住民登録ファイルには、住民登録法に基づきまして住民から申告された事項のほか、住民登録番号によるマッチングにより多数の個人情報記録されているというふうに承知をいたしております。このファイルの情報は、一定の手続を経て行政あるいは民間のさまざまな分野で利用されている、このように承知をしております。  三点目の、住民登録証でございますが、十七歳以上のすべての者に、ビニールケースに入れた紙製の住民登録証が交付されておりまして、常時携帯することが義務づけられております。この紙製の住民登録証には氏名と住所などのほか、住民登録番号、戸籍、兵役に関する事項が記載され拇印が押されている、それから写真を貼付するということとされておりまして、行政手続上の申請書などの受理あるいは資格証書の発行などの際の本人確認のために行政、民間に利用されているということでございまして、日本の制度とは大きく異なっております。
  40. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの答弁をお聞きいたしますと、韓国の住民登録制度住民登録証というのは本格的な国民総背番号制ではないかという感じがいたします。  今、韓国の住民登録ファイルにおきましては多数の情報が国によって管理されていると言われましたけれども、それには具体的にどんな情報が入っておるのか、知っておればひとつ伺いたいと思います。
  41. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 韓国の住民登録ファイルでございますが、七十八項目の情報記録されていると承知しております。氏名、住所、性別、生年月日、住民登録番号のほか、血液型、婚姻関係、職業、本籍、戸主、転入月日、行政洞名それから電話番号、学歴、こういった基本事項のほかに、保有する免許資格、あるいは兵役等の関係事項、それから生活保護関係事項、医療保障関係事項などでございます。
  42. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの答弁を聞きますと、韓国の住民登録制度情報というのは、私どもが今考えている日本の四情報どころか、血液型だとか結婚、本籍、電話番号、学歴、兵役、こういう非常に大量の情報が入っているわけです。そういうことを考えますと、日本のネットワークシステムというのは、四情報住民票のコード、こういう限られた情報であるということに比べますと、韓国の制度というのは保有する情報の量も質も全く日本と異なると私は考えます。したがって、韓国型の国民総背番号制度と今日本の行おうとする住民基本台帳ネットワークシステムとは根本的に異なるというように私は認識をいたしたところでございます。  次に、韓国で電子住民カードの導入事業が中断をされたといったことを伺うわけでございますが、そういった経緯や理由について、わかればひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  43. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 韓国におきましては、先ほど申し上げましたように、住民登録証が紙製でございまして、写真の張りかえによる偽造、変造が行われるなどの問題があったということで、こういったことを防止して情報化社会に対応した多目的な身分証とするために、これまでの紙製の住民登録証を電子住民カードにかえるという事業が打ち出されたところでございます。  一九九六年に韓国の情報化促進基本計画において位置づけられて、一九九七年十一月には電子住民カードを発行するための住民登録法の改正法案が成立し、法的な基礎が与えられたというところでございますが、その後、韓国の厳しい国家財政にとっては相当の費用を要する、それから国民監視が強化されるのではという不安に基づく反対運動が強まったということで、電子住民カードの関係条文の削除などを内容とする改正法案議員立法が国会に提出されたもの、このように承知をいたしております。
  44. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの御答弁によりますと、そういった電子住民カードの導入が中断されるということになったそもそもの理由は、一つは国民の監視システムという問題、それからコストの問題、こういうことであろうというぐあいに今説明があったわけでございます。  まず、国民の監視システムではないかという点については、先ほどもやりとりがございましたが、日本のシステムは韓国の国民総背番号制度とはそもそも全く違うわけでございますから、これは問題がないわけでございます。また、コストの問題につきましても、先ほど費用対効果の質疑をさせていただきましたが、コストを十分に上回る成果というものも期待できるわけでございますし、したがって、一般的に言う韓国のケースは日本のケースと混同することはなく、切り離して論議する方がはっきりしていいのではないか、このように私は思います。  さてそこで、今この住民基本台帳法の一部を改正する法律案でるる問題になっている点は、大きく二つあるんだろうと私は思うんです。  その懸念の一つは、やはり、この情報をオール日本で管理するということによって、プライバシーといいましょうか、そういう情報の保護というものが確実になされるのかという懸念。これは自治省の説明によりますと、セキュリティーの問題につきましては相当いろいろな、二重三重と考えておられるようでございますが、そういった懸念が一つあるということ。  もう一つは、それをベースにして、これは類推のような格好になるわけですが、本来私どもはそういうことではないと思いますが、いわば住民基本台帳システムを通じてどうも総背番号制に移行するんではないか、こういった発展した懸念。この二つの大きな懸念を持っておられるだろう、こういうぐあいに私は思うわけでございます。  そこで、そういう意味で、ここでやはりそうではないということをはっきり明確にメッセージする必要がある、こういうぐあいに思いますので、住民基本台帳ネットワークシステムにおいていろいろプライバシーの保護措置を講じている、あるいはセキュリティーの対策、こういったことについて具体的な説明をぜひお願いしたい、このように思います。
  45. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムを構築するに当たりましては、お話のように制度面のプライバシー保護措置及び技術面の保護措置を講じております。  制度面におきましては、一つは、民間部門での住民票コードの利用を禁止いたして公的部門に限っております。また、本人確認情報の提供先及び利用目的につきましては、明確に法律で定めるということにいたしております。また、本人確認情報を取り扱う関係者に対しましては、安全確保措置及び秘密保持の義務づけを行っております。さらに、本人確認情報を目的外に利用することを禁止しておるという措置を講じることといたしております。  また、システム面の措置、セキュリティー対策といたしましては、専用回線を用いた個人情報の送信としていることと、それからまた送信情報は暗号化をすることといたしていること、それからコンピューター及び操作者のパスワードなどによりまして厳重な認証を行うことといたしているなどの措置を講じているところでございます。  このような制度面、システム面のいずれにおいても、厳重に個人情報を保護するということにいたしております。  また、総背番号制の議論につきましては、これまでもお話ございましたが、個人確認情報につきましては四情報プラス住民票コードと付随情報に限っている、しかもそのコードのもとにあらゆる情報を集めて管理するというシステムではないというシステムでございますので、そういう背番号制とは全く違うものであるということでございます。
  46. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私どもの小さな自治体ではございますが、冒頭申し上げましたとおり、コンピューターのトータルシステムは日本で三番目のシステムを講じて私どもやったわけです。そういう意味では自負をしております。やはり市議会の方からもそこで議論が出まして、プライバシーの保護、そういった情報の保護が必要である、こういうことがございまして、私どもも平成五年にそういった保護条例を制定しております。五十六年ですから、もうかれこれ、相当長く二十数年たっておりますが、私どものところでは一件もトラブルは起きませんし、そういった情報の盗用もないというぐあいにきょう電話で伺ったところでございました。  したがって、やはりそういった、先ほど私申し上げましたこの二点の懸念が多くの国民をして不安せしめておるのだと思いますが、今局長の答弁によりますと、制度面におきましても、システムの技術面におきましても、厳重に個人情報保護措置を講じていく、こういうかたい決意を伺いました。したがって、その決意でこの重要なシステムを安全にそして確実に構築していくことが大切だ、このように思います。  さて、目を転じてみますと、我々がふだん生活している社会におきましては、さまざまなコンピューターネットワークシステムが実際に活用されているわけでございます。  例えば、飛行機の航空管制、新幹線の運行管理、あるいは信号機の制御に始まって、金融機関はほとんどオンラインシステムになっております。さらに、ガスとか電力、こういったもの。それから、実際私は地震に遭って二回も経験いたしましたが、それ以後、ガスとか水道、これは地震によって自動的にコンピューターが作動して、ある管でもってぴしっととまるようになっている、漏れないガスなんかもできている。東京瓦斯なんかはそれが非常に進んでおります。  そういうことを考えますと、いわばこういうコンピューターネットワークシステムがもう我々の日常生活と切っても切れない状況にあるということを我々はしっかり認識する必要があると思います。これは、後ろの方で一生懸命社会主義と言っていますが、社会主義とは全く関係のないお話でございます。  ですから、我々はこれらのシステムにおきましても当然セキュリティー対策は講じられているというぐあいに考えますけれども、住民基本台帳ネットワークシステムが講じようとしておりますセキュリティーの対策は、現行の他のシステムが導入しているセキュリティー対策に比べて一体どうなのか。すなわち、同じ程度のセキュリティーなのか、あるいはまたもっともっと確実なんだ、優秀なセキュリティー対策を講じているんだ、こういうことなのか。いずれなのかお尋ねをしたい、このように思います。
  47. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬政府委員 全国的なコンピューターネットワークシステムについては、昭和四十年代から本格的な開発、実用化がなされており、既に行政部門、民間部門のさまざまな分野において運用がなされておりますことは、もう委員御指摘のとおりでございます。  行政部門におきましては、委員仰せのとおり、繰り返しになるのですが、救急医療、航空管制、郵便貯金、国の会計等の各種分野で、あるいはまた民間部門においては、金融、ガス、電力、新幹線等の幅広い分野で、個人情報に加えて、医療情報、会計情報、金融情報等の重要な情報が全国的なコンピューターネットワークシステムの対象情報となっておるところでございます。これらの現行システムは、既に数年から三十年程度の間稼働しておりまして、一定のプライバシー保護措置のもと確実な運用実績を残しております。  今回導入されます住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たりましては、先ほど局長が御説明いたしましたように、法制度面における担保に加えまして、現行の他のシステムの運用状況等も十分に踏まえまして、現時点では最高のセキュリティー対策を講じておる、こういう確信のもとで準備を進めておるところでございまして、どうぞその点よろしく御理解賜りたい、このように思います。
  48. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいま政務次官の強い決意が披瀝されたわけでございますが、言ってみますと、他のシステム以上に個人情報を保護していくというお答えでございました。既に社会的に認知され信用されております現行のシステムよりも優秀なセキュリティー対策をきちんと講じていくというのであれば、国民の安心感も得られるのではないか、このように思います。  さて、また先ほどお話ししましたとおり、住民基本台帳ネットワークシステムは、市町村の区域を超えて、全国単位で本人確認ができるようにするためのものでございます。したがって、高齢者ですとか被災者等の弱者に対する配慮の行き届いた社会づくりを進めていく際の社会を支えるセーフティーネットともなり得るものと私は期待をいたしておるところでございます。また、このような形での全国的な広域連携を図ることは、また一方地方分権の進展のためにも役立つものではないか、このように思います。  そこで、住民基本台帳ネットワークシステムの導入時期でありますが、法案では、ネットワークシステムについては三年以内に、住民基本台帳カードについては五年以内にということになっております。私は、ぜひ今国会での法案の早期成立を実現した上で、三年とか五年とか言わず、できる限り早く国民のサービス向上という視点からこのシステムを導入していただきたいと考えているわけであります。  そこで最後に、住民基本台帳ネットワークシステムの早期導入に向けての決意をぜひお伺いしたい。それで私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  49. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬政府委員 現在、住民負担の軽減、サービス向上、国、地方を通じた行政改革のために、行政の高度情報化の推進が求められておるところでございます。住民基本台帳ネットワークシステムは、こうした要請にこたえるために必要な行政サービスの基礎となる本人確認システムであるということでございます。また、これまた繰り返しになりますが、高齢者や被災者等の弱者に対する配慮の行き届いた社会づくりを進めていく際の社会を支えるセーフティーネットとなり得るものであると確信いたしております。さらに、市町村、都道府県自身が全国的な広域連携を図ることは、地方分権の進展のためにも不可欠であります。  このような高度情報化社会の進展と時代の要請を勘案すれば、二十一世紀の行政情報化の基盤であるこのシステムが現時点で存在していないことが既におくれておる、このように考えるところでございまして、ぜひ住民基本台帳ネットワークシステムの早期導入を我々としても進めてまいりたい、強い決意で臨んでおるところでございます。  どうぞ委員各位の絶大なる御協力、御支援を切によろしくお願い申し上げたい、このように思います。
  50. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変強い決意を伺いまして心強く思いますが、この問題は非常に国民の関心もございますし、十分先ほど言ったような点を留意されまして、国民によく理解をしていただいて進めていくということが肝要だろう。  特に、蛇足になりますが、私、実際に自分行政をやっておりましていつも思うのは、いわゆる国勢調査と住民登録というのは必ず乖離があります。私ども二十万都市で約三%の乖離。それはどうして乖離があるかというと、転入とか転居、あるいは同じ市内の中でも移るわけですね。そういったことが捕捉されていないということなんです。これは、釧路くらいの町ですと二十万くらいですが、それでも八千人違うんですね、国勢調査の悉皆調査と住民登録。ですから、住民登録というのは、残念ながらどこの町でも転入転出を一〇〇%捕捉していないということです。  これが、今言ったこの住民基本台帳ネットワークが構築されればかなり精度は高まっていく、このように思います。したがって、これは自治体にとりましても、住民に対して本当にサービスを平等に公正に公平に提供できるということになりますので、ぜひひとつ頑張って、早く導入するようにしていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。  以上です。
  51. 坂井隆憲

    坂井委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  52. 坂井隆憲

    坂井委員長 速記を起こしてください。  古賀一成君。
  53. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。  きょう、午前中に引き続きましてこの住基法の審議ということで、実は大臣の日程に合わせてこういう段取りになったわけでありまして、これまで日切れ法案等々もございまして、本地行委員会、私は理事でありますから、時間設定なり日取り設定の当事者でありますから私自身は強く言えないわけでありますけれども、各党委員、今度も夜か、何でこんな遅くまでやるんだという御意見を恐らく皆さんお持ちの中で、やはり各委員、予算に間に合わせぬといかぬ、そういういろいろな議論でおつき合いをいただいてきたと思うんですね。  きょうの日程も、住民基本台帳は重要な法案だ、やはり国会慎重審議で十分その問題点を明らかにしなきゃならぬという論理の中で、きょうも実は変則でございまして、午前中、午後に分かれている。私は、理事会でるる申し上げてきましたけれども、他の委員会にこの地方行政委員会が従属したというか、ほかの委員会が主であって、あと都合のつくときに委員は集まれ、そのときに審議をしろ、それに近いような形で来たと思うんですね。  きょうはそれをあえてのんで、午後もやろうと来たところが、私が一番心配しておりました、大臣が、実は前の委員会が延びた、こういうことで、これは大臣が悪いとは私は思わないんですが、やはりこういうことでは非常にまずいと思います。  しかも、この住基法は、マスコミなり国民から見ても非常に重要な法案だ、奥が深い、それから見えざる部分もある。マスコミの論調も、国会がこれを慎重に、十分徹底審議をして、本当に国民が安心できる形を示してくれ、それが国会の責務だ、こういう論調で来ておるわけですね。私はそこだと思うんですよ。それが何かガイドラインの委員会がどうだ、予算委員会がどうだ、せかせかとせき立てられるような形で細切れにやるということはおかしいし、地方行政委員会をまず自治大臣は一番主とされるはずでございまして、ところが、残念ながら、ガイドラインというもう一つの大問題があって、こうなっております。  私は、この点につきましては、各委員おられます、理事もおられますが、やはり今後の委員会運営については、この法案の重要性から考えて、本当に、もっと真剣にぜひ考えていただかなきゃならぬということをまず冒頭にきつくお願いもし、申し上げたいと思います。委員長も、ぜひこの点、せかせかと、あいたときに、夜でもいいじゃないかという論理は今後本当にやめていただかなきゃならぬということをまさに教えてくれたこの十分間であったような気がいたします。それはぜひ御理解をいただきたいと思います。今後、理事会等でもその旨確認をさせていただきたいと思います。  この点は、だから私はこうなるんじゃないかというようなことを、危険性を申し上げておったわけでございます。私はそれをのんだ方ですから余り強い不快感は言えないんでしょうけれども、後ろにおられる皆さん方は、もっと強い、何だ、理事会でどんな議論をしたんだ、古賀一成は何でのんだんだと、私おしかりを受けそうな方がたくさんおるんですが、そういうことでございます。  それで、住民基本台帳審議がいよいよ始まりまして、この問題について、きょうは、かねてよりずっと理事会等でも申し上げておりましたけれども、大変な法案だ、これについてはやはり慎重な、審議の仕方といいますか、そういうものをこの冒頭にしっかり確認してやるべき法律だと思うんです。  これは、ほかの法律のように、大体同じようなやり方でその一部を改正する、予算をふやす、減らす、あるいは一定の行政基準を変える、それはいかがでございますかという法律とは違って、何せコンピューターというものが絡んでくる、それがしかも全国ネットで絡んでくる。そして、この世界というものが、本当に先が見えないというか、複雑なる、生々発展していく途上にあるコンピューターの、サイバーの世界でございまして、そこら辺に実は大きな疑問がある。  これは、自治省が決してコンピューターの世界に詳しいとは私は思っておりません。国会でも一回質問をいたしました。そして、これは超専門家であったってわからないという世界もあるわけであります。こういう問題がありますし、そういう面で参考人も招致する、本当の専門家と言われる人ですらこういうネットワークの危険性をどう思っているか、こういうこともしっかり把握しながら、国民の皆さんにこうですと言った上でこの審議をトータルに判断して、これはゴーなのか、ストップなのかということを判断すべき事柄だと思います。  きょうは冒頭に、私はこの審議の仕方ということについてお願いもし、要求もしますとともに、この法案の奥深さというものを私なりに、各行政府といいますか、自治省もそうでありますけれども、委員の皆さんにも御理解をいただきたい、こう思います。  それで、これは質問通告しておりませんけれども、ちょっと前提として、大臣はコンピューターを自分でおやりになりますか、あるいはインターネットを自分でやられたことがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
  54. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 私は、自分でパソコンのキーをたたくということは、この程度はありますけれども、大体はありません。  ただし、今から二十年余り前から、IBMが十六キロビットを開発する。当時、昭和五十年代の頭のころでございますが、日本がまだ四キロビット時代。このままでは日本は大変だ、これからの情報化時代に際してこれが一番大きな勝敗を決することになりかねないというので、国会議員の中で情報産業振興議員連盟というものがございます。私も、長い間その中で、事務局長なり幹事長なり、そんな中で、この世界を育成していくために、予算、税制、財投、いろいろな面からバックアップをしていかなきゃならぬということで奔走してきた一人でございます。
  55. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 もう大臣の指先の動かし方で、インターネットはやっておられないということがすぐわかりました。  それでは、これも通告しておりませんけれども、鈴木行政局長、今と同じ質問ですが、コンピューターのいわゆるソフト操作、あるいはインターネットを常日ごろやっておられるかどうか。これも前提として、ぜひお聞きしたいと思います。
  56. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 私は、パソコンをいじったり、庁内の電子メールを見るといった程度でございます。
  57. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 こう聞く私も、実はコンピューターは全然得意じゃございません。しかしながら、私、もちろんコンピューターを自分のパーソナル用ということで買って、もう一年以上たちますけれども、本格的にある目的でやろうということで、この半年間、本当は暇はないんですけれども、ちょこちょこやり始めました。  これは本当に恐るべき世界でございまして、私もソフトのプロと、ともにいろいろやったりする時間も見つけますけれども、これは私はいわゆる情報化推進議連といいますか、そういう発想でのサポートの話と、やはりコンピューターという世界は、自分でやってみて、やらないとわからない部分が本当に多うございます。例えば十六キロビットの話、あれからメモリーは、今もう六十四とか百二十八とか、いろいろ、どんどんふえています。後ほど申し上げます二〇〇〇年問題も、まさに発端はメモリーの小ささにあったと思うんですが、本当に恐るべきスピードで変わってきておる。  そこにこの制度が入るということで、私はじっくりと、自治省は、局長もそうでございますし、恐らく担当課長さんも、周りにはおられるかもしれませんけれども、もっと奥深い、ハッカーの世界というか、そういうところというのは十分検討されていないと私は思っているんです。検討されておるならば、今度参考人の招致をした中で、あるいはデータをいただいた中で、資料をいただいた中で、自治省のレジュメに大丈夫ですと書いてある、法律上は罰則があります、こういう中止勧告があります、こう書いてあったって、これはコンピューターをやっている人間とは別次元の世界でありまして、懲役刑が何年であったって、これは全然歯どめのかからぬ世界なのですね。  そういう面で、とりわけコンピューターが入ってくるということで、極めて慎重な専門的な科学的な分析を、これは国会が、当委員会がわからないならわからないで、参考人招致等を踏まえて、しっかりやっていかなければならぬということをまず申し上げたいと思います。  きょう冒頭、自由民主党の方からお二人の議員の御質問がありました。確かに住基法の一点をついておられると思います。つまり、光の部分でございまして、こんなに便利になるというお話でございまして、どちらかというとそれ行けドンドンみたいな感じに受けとめましたけれども、住基法のいい面はもちろん評価するにしても、いわゆる影の部分ですね、光があれば影がある。  先ほどは、住基法のシステムを使って将来はどんどん拡大しようというトーンが私の質問の以前までずっと続いてきたわけでありますが、私は、国会でございますから、与野党一致結束して、やはりこの行政システムの影の部分というものを、国会が、国民の代表である者がしっかり見るという姿勢はぜひ強調しなければならぬと思います。とりわけ野党の我々はその責務を担っておると思いますので、今後、私は長い慎重な審議になると確信をしておりますけれども、そういったトーンで影の部分をしっかりと指摘し、やるのが我々国会の責務だ、こういう姿勢で我々はやっていきますので、この点、御理解をいただきたいと思います。  それで、まず質問でございますが、この法案は、私は大変ガイドラインに負けないぐらいの、案外重要な意味を持つ法案ではないか、かようにも思っておりまして、今まで申し上げましたけれども、住基法の審議のあり方について極めて慎重なる審議というものが、国民に納得していただくまず大前提だと思います。大臣として、この国会における、今大体申し上げましたけれどもそういう慎重審議ということについて、提案をされた大臣としてどういう御所見をお持ちかをお聞かせ願いたいと思います。
  58. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 内容において十分いろいろな角度から御検討をいただいて、そして、どうぞ深みのある議論をしていただきたいと思っております。その上で、できるだけ早くこの法案が成立できますように、心からお願いを申し上げたいと思うのです。  特に、私は先ほど来、いろいろ二十年前からのかかわりを申し上げてきました。それから午前中の滝委員新藤委員お話もございました。明治維新を考えてみましても、やはり日本がなぜアジアの中で早く近代化ができたか、ある意味では、産業革命の成果を日本が早く受け入れたという背景があったと思うのです。  そういう意味で、今日、本当に世界的な規模で高度情報通信、言うならデジタル革命とも言われております。一刻も早くアナログ的世界からそういう中に、我々自身が進取の気性を持って対応していく。そういう中にある種の民族のエネルギーが出てくるし、そしてこれからの大きなバイタリティーを発生していく大きな原動力になり得るのではないか。そういうアジアにおける対応、欧米における対応を考えますと、非常に私は危機感を感じております、このままで本当にいいのかと。  もちろん、いいばかりではない、御指摘のとおり光の反面、影の部分はあるだろう。しかし、その影はどういうものなのか、その影を極力短くするにはどういう工夫をすればいいのか、むしろ議論はそちらの方に重点を置いていただいて、トータルとして、やはり前進することにちゅうちょがあってはならないというふうに私は思っております。よろしくお願いを申し上げます。
  59. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 このコンピュータライゼーションということについて、私は、かつてこの委員会でも質問しまして、やはり地方行政の中でいろいろな地域医療とか、そういう分野でもっと自治省は検討したらいいのではないか、こういう質問をいたしました。  住基法の方も、もちろんコンピュータライゼーションにかかわるのですが、これは国民の情報を今度いわば管理しようという、その分野でのあれなものですから、私は、むしろコンピュータライゼーション全体というのは、経済活性化、社会活性化、あるいは次の日本社会がバージョンアップしていく、そのステップとして非常に重要だと思いますけれども、住基法そのものが、そういう国民情報を国が統一的に管理するということで、私は慎重な審議が必要だと思います。  それで、これは長くは質問をしません。これをやるとそれだけで何十時間かかるかわかりませんので、質問しませんが、私自身の考えを申し上げたいと思います。  まず、この法案については、基本論点をカテゴリーにしっかり分けて、あれもこれも飛び飛びに各党がやるというよりも、重要な論点についてはやはり集中的にきちんきちんと審議をしていく。これが余りにも技術的に過ぎてわからないということであれば、参考人を呼ぶ、あるいは資料の提出をいただくというようなことで、一つ一つの論点をはっきりと確認して、これなら安全だ、これは不十分だ、そういう審議をしなければならない性格の法律だと私は思っています。  それで、基本論点のカテゴリーというのが幾つあるかといいますと、たくさんあるのですが、私は、まず、きょうがその日かもしれませんが、総合的に、この制度システムを鳥瞰図的にやはりしっかり把握するという作業が一つ必要だろうと思う。  二番目に、財政問題、とりわけ費用対効果の問題、いわゆるコストベネフィット論でございます。  これも詳しくは申し上げませんけれども、初期費用に四百億、年間経費が二百億、そして便益が二百数十億というような、いわゆる自治省データがひとり歩きしておりますけれども、これの背後にある、では、中央センターは地震対策のためにもう一つつくるのかつくらないのか、あるいはICカードは大体このコストに入っているのか、それは単価は幾らなのかというような話もやはり細かく精査をしていくべきだと私は思います。つまり、財政問題あるいは費用対効果の問題が、二番目の問題としてあるだろうと思う。  三番目に、きょう大分話題になりました、いわゆるこのシステムが今後どういうふうに拡大利用されていくかという論点でございまして、納税者番号、あるいは、きょうは社会保険庁の方もお見えで御意見がございました。後ほど申し上げますが、死亡通知のときには住民基本台帳システムも使いたいというような感じもございましたし、いわゆる、これが今後ほかの行政に広がっていくということは、きょうの質疑のやりとりではっきりしたと私は思うのですね。それならば、それを前提として、この制度をどう組み立てるべきかという議論が三番目にあるだろうと思うのですね。  それから、問題のその次が、コンピューターシステムの信頼性であります。あるいはネットワーク化される問題点であります。  とりわけ、中央センターを設けるということになっておりまして、一億二千五百万人の四情報プラス番号データがこの中央センターに全部入るということになります。市町村がばらばらであればハッカー問題というのは軽いわけでありますけれども、中央センターで全部これを吸い上げるということになると、ネットワーク化の問題点及びシステムの信頼性というのが問題になるだろう。これもしっかりと、技術者の意見、専門家の意見を聞いて検証しなければならぬと思います。  次が、これが大きい問題でございますが、ICカードの可能性とその問題点でございます。  先ほど、これをもっとふやせ、もっと用途を広げろという議論が自民党から出たわけでありますけれども、このICカードは幾らかかるのか。これが広がっていったときに、法律建前とは別に、ほとんどの便利なデータをどんどん入れさせられて、国民が全部、実質上はカードを持たざるを得ないのではないか。  きょう、政府委員の方はみんな、国会議員以外は全部、名札を今月からぶら下げることになったそうでありますけれども、あれに八千字のICメモリーが入っておると思うとちょっと私もぞっとするんですよね。そういうふうに見えるんですけれども、それは入っていないんでしょう。でも、何でも、外に出るときはああいうカードを持って、あそこにその人の個人情報が全部入っているというふうにも見えるものですから、そういうICカードの問題提起については、これはしっかりと検証しなきゃならぬと思います。  それから、それに関連しまして、個人のプライバシーの保護と情報公開の問題でありまして、法律ではこう書いてある、罰則がありますといったって、実は名寄せ屋さんというのがおるんですね、それから名簿屋さんというのがおるんですね。いわゆる実態上は法律建前とは別に、こういう経済の世界、コンピューターの世界というのはどんどん動いていくわけです。実はそういう問題もしっかり議論しなきゃならぬ。あと、行革と地方分権の関連があります。  八番目に、きょうは韓国の例が出ましたけれども、スウェーデンあるいはアメリカ、そういった先進国に、あるいは先行国に学ぶということで、やはりこれは一つの重要なカテゴリーとしてやるべきだと私は思います。  ことごとくそういうふうに、この問題は幅が広いということで、参考人の招致とともに、地方公聴会、あるいは、ことしは地方行政委員会は三年に一回の外国調査の年でもございますし、私は、ぜひこれはこの地方行政委員会のメンバーで衆議院の正規の調査団として行くことを真剣に考えなきゃならぬと思います。予算を追加してでもと言われるが、予算はもうついておりますので、そういうことも含めて、今後、この審議を慎重にかつ深みある、今深みあるというお話がございましたけれども、しなきゃならぬと思っております。これは私の考えとして、ぜひこの委員会の正式の場で申し上げて、この質問を終わります。  二番目でございます。時間がございませんので急ぎますが、局長に御質問を申し上げます。  この制度に対する論議が両論に分かれておるわけであります。マスコミもそうであろうし、国民もそうであります、我が党内にもいろいろな意見がまだございます。これはやはり、いろいろな思惑が背後にあるだろうという思いが一つあるんですね。当面は住民票の交付が便利になる、こういう論理だけれども、こんな便利なシステムを将来ほっておくはずがないという、とりわけ、納税者番号という論議があるわけでありまして、これは正直に国民にあるいは国会に、こういう議論経緯の中で、これは将来やりますとはっきり言った上で、私は出すなら出した方がいいんじゃないかと思うんですね。  それで、これまでの関係機関の検討経緯がいろいろございます。私はここできょうはもう詳しくは聞きませんが、検討経緯と目的というものの概要を、簡単でもいいですから、教えていただきたい。  これについては、地方自治情報センター、これが検討してきた経緯がありますし、AID付番・登録方法検討会というのがあって、メモリーをつけたときにどういう情報を何番目につけるかというような検討をしているんですね、政府部内で。医療関係はここにしよう、じゃ個人情報はこうしよう、学歴関係は何番にと、それは統一しておかないと共通化になりませんから。そういうふうに、AID付番・登録方法検討会というのも政府部内で開かれた経緯がある。  それから、通産省系で、ニューメディア開発協会というものが、いわゆるカード産業を発展させるというような思いもあるのかもしれませんが、関係省庁とともにやってきた経緯がある。  それから、税務等行政分野における共通番号制度に関する関係省庁連絡検討会議というのもやられた経緯がある。いわゆる行政分野による共通番号制度、つまり、納番であるとか、電子投票かもしれませんし、あと、いろいろな行政を一本の番号でやろうという検討が内閣内政審議室を中心にやられた経緯がある。  それから、これは表に出ておりますけれども、自治省住民記録システムネットワーク構築に関する研究会、平成八年三月に最終報告されました、これもある。それから、住民基本台帳ネットワークシステム懇談会も自治省で行われた、これも知っております。  こういった一連の背後にある検討経緯というものを、きょうはイントロでありますから簡単で結構でございますけれども、今後、政府がどういう検討をしてきたかをつぶさに我々は知る必要があると思いますので、それを申し上げたいと思います。概要はいかがでございますか。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  60. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 これまでの政府部内あるいは諸団体での研究会の検討状況といったことのお尋ねでございますが、簡単にということで要旨を申し上げますが、まず、地方自治情報センターで、地域カードシステムということで、これは目的は、高度な安全性と大きな記憶容量を持つICカードを活用して住民福祉あるいは地域保健及び住民窓口サービスの向上を図るという目的で、平成二年度から、ICカードの発行方法、プライバシー保護対策、セキュリティー対策などについての標準的なモデルシステムを開発するために、学識経験者で構成する検討会においてシステムのあり方について検討を行った。  それで、この検討結果というものを踏まえまして、自治省の方でも、平成三年に、地域カードシステムを含みますコミュニティ・ネットワーク構想推進要綱というものを策定いたしまして、それに基づきまして、平成三年から六年までの四カ年、実施団体を指定いたしまして、指定を受けた地方公共団体が標準システム基礎として、それぞれの実情に即したシステムを開発している、こういうことでございます。  それから、ICカードアプリケーション識別子付番・登録方法検討会、これはAIDの付番・登録方法検討会でございます。官民合同の検討会と承知しておりますが、ICカードを広域、多目的に利用するに当たり、ICカード内での個別のアプリケーションファイルにつけられているアプリケーション識別子、AIDにつきまして、異なる業務サービスで同一のものが存在すると、誤って他の業務にアクセスしてしまうといった混乱を避けるためのルールづくりを検討するということが目的でございます。これは、平成十年に三回ほど開催されて、アプリケーション識別子、AIDの付番・登録方法などについて議論されたというふうに承知をしております。  それから、ニューメディア開発協会、財団法人でございますが、各地域で発行されたICカードを地域の枠を超えた広域で相互利用するということを目的として、ICカードのアクセス方式の標準ソフトを開発しているというものと承知をしております。  それから、税務等行政分野における共通番号制度に関する関係省庁連絡検討会議でございますが、これは、税制調査会平成元年度の税制改革に関する答申などを踏まえまして、税務及び税務以外の行政分野、ここにおいて共通に利用し得る番号制度について関係省庁が共同して総合的な検討を行うというのが目的でございます。  平成元年から平成八年まで二十二回にわたる幹事会を初めといたしまして、二十七回の会合を開催いたしておりまして、納税者番号の検討状況、あるいは共通番号と個人情報保護法などについて議論がなされているものと承知をいたしております。  そこで、住民記録システムネットワークの構築等に関する研究会、私どものネットワーク関係する研究会でございますが、その目的は、住民基本台帳制度の果たしている役割を踏まえて、今後の高度情報化社会や高齢社会、地方分権の流れに対応していくとともに、全国的な住民の移動や交流が一般化して地域間の交流や連携も活発に展開されているという状況もとで、住民サービスの質的向上と行政の簡素効率化を図るために、住民基本台帳基礎とした、市町村や都道府県の区域を超える本人確認のためのネットワークシステムの構築について調査研究するという目的でございます。  平成六年度及び七年度の二カ年度にわたって検討を実施平成六年度末にその中間報告を発表いたしまして、平成七年度におきましては、その中間報告に対する各方面の御意見というものも参考にしながら、また船橋市における住民基本台帳電算システム実態調査、あるいは大蔵省及び社会保険庁からの説明聴取などを含みます合計十二回の会合を開催、個人情報の保護措置、ネットワークシステム利用分野、その他の諸課題について審議検討ということで、平成七年度末にはこれを踏まえて最終報告を取りまとめ、公表されている。  それから、懇談会でございますが、これは自治大臣主宰の懇談会でございまして、経済界、労働界、消費者、報道関係者、地方公共団体等各界の代表者または法律等の諸制度に係る学識経験者の方から住民基本台帳ネットワークシステムのあり方等についてさまざまな御意見を承りまして、制度全般についての検討を深めるということが目的でございます。平成八年に三回開催いたしまして、システム関係利用分野、それから個人情報保護対策、制度全般に関しましてフリートーキングを行いまして、さまざまな観点から幅広い御意見をいただきまして、八年の十二月にその意見の概要を取りまとめて公表いたしている。  以上でございます。
  61. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 きょうは概要だけ口頭でお聞きしたわけでありますけれども、これは、この制度の構築の是非あるいは今後の生々発展のためにやはりぜひ参考にしたい資料でございますので、委員会の資料として委員の方にお配りいただくという資料要求を私はお願い申し上げたいと思います。いかがでございますか。
  62. 山本公一

    ○山本(公)委員長代理 理事会において協議します。
  63. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 理事会以前に、行政府としてこれは別に問題は全然ないと思うんですが、もめれば理事会かもしれませんけれども、政府として、ぜひ提出を求めますけれども、いかがでございましょうか。
  64. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 資料の提出につきましては、可能な範囲内で対応させていただきたいと考えております。
  65. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これはどれが可能かでやっていたら時間がかかりますので、要するに、そういう趣旨はしっかり述べましたので、ぜひ対応をお願いいたします。  それで、今イントロの途中でございますが、この住基法を出されたときに、自治省の説明が、先ほど言いましたように東京の人が新潟に行っても住民票がとれる、こういう説明が前面に出ておりまして、むしろこういう説明をやると後ろに何かもっとあるはずだと思うので、何か合点がいかないと思っておりましたところ、きょう、与党の質問という形で、私はなるほどと思ったわけです。明らかに将来、このシステムというものは、ほかの行政分野に、今の法で予定されている分野以外に、いろいろなところが、便利だ、これも使おうというふうに用途が拡大することは間違いないと私は思いました。それはまた大臣もそうですね、積極的な姿勢を示されましたから、そうなると私は確信したわけです。  それで、このシステムを単に四情報確認するというためだけではなくて、カードの話も出ましたけれども、随意と言われておりますけれども、あのICカードもシステムの一部に組み込まれて、申請で交付しますよという話になっているんですが、きょうの前半の議論だけでも、このICカードも、これは便利だ、この情報も入れるべきだというふうに絶対なっていくと私はきょう思いました。  そうしますと、きょう皆さんがぶら下げてある名札のように、要するに全部結局持たざるを得ないということに流れが行くんじゃないかということをきょうの質疑を聞いて私は確信したわけでありますけれども、それならそれでその是非を問わなきゃならぬし、その場合に、法律としてこれで万全か、もっと別の仕組みを付加しないとまずいんじゃないかという議論にしなきゃならぬと私は思うんですね。だから、住民票を他地域でもとれる、あるいはほかの行政機関が個人の情報確認のために本人が添付しなくても済むというだけの論理ではなくて、もっと背後に何かがあると思わざるを得ない。  そこで、私は、一言で言うならば、この巨大なる国民情報統合システムの本当のねらいは何ですかというふうに、はっきりと、まず大臣に、責任ある立場の大臣にこの段階での方針を表明していただきたい、かように存ずる次第であります。いかがでございますか。
  66. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 巨大なる国民情報統合システムという表現があったんですが、どういうものなのかはちょっと私もイメージできなくて、共産主義だというやじもありましたが、それなら共産党は賛成するんだろうと思うんです。  私は、率直に言って、先ほど来いろいろ申し上げましたけれども、ある意味で大きなデジタル革命という中で、午前のいろいろな議論のやりとりを本当に真摯に受けとめました。そういう意味で、この大きなデジタル革命、高度情報通信社会が進行していく、急速度で世界的規模の中で進行していく、そういう中で、日本だけが逡巡ちゅうちょしていて、本当にそのままでいいんだろうか。  しかし、一方で、先ほど来御指摘もありましたし午前も御指摘があったんですが、やはり個人情報というものをどうやってあちらこちらに漏えいしたりそういうことにならないようにするか。あるいは、そういう意味で、今回スタートすることだから、万々が一にもそういうことのないような、一つの、すべて法律できちんと決めて、無制限に利用分野が広がっていくということにはならない、言うなら法律的歯どめというものは現にあるわけでして、これを拡大しようとすればやはり法的措置を講じなければできない。その法的措置そのものさえ不安だというのなら、それは議会そのもののみずからの権能を否定するということにつながるわけであります。  そういう点で、国会がその見識においてこれにどう対応するかということが私は問われていることではないか、そのように思うんです。  したがって、これはいろいろこの後議論を進めていけばおわかりをいただけることだと思いますが、システム的な側面においても、制度的な側面においても、両面において、いろいろ影とおっしゃる、そういうような御懸念がないような形を本当に最大限講じてきていることである、私はそう信じております。
  67. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 いや、私はもちろん光の部分もあることは重々承知でございますが、先ほども申しましたように、光の部分は行政府の方から一生懸命説得されるでしょう、説明もされるでしょう。議会はその影の部分をやはりしっかりチェックする、そこに任務がある、こう思っておりまして、そういう趣旨から、今後国会内で、委員会で十分な審議をしようという趣旨でございます。  それで次に、私はプライバシーの保護の関連を聞きたいわけでございますが、このシステム、とりわけICカードは、大臣が今おっしゃったのは、他の行政機関が本人確認のために使う分野、これは確かに法律で決まっておりますから国会のいわゆるチェックがきく、それはわかります。しかしながら、今度は一方で、カードの交付があるのですね。そこに八千字のメモリーがくっついておる。メモリーなんというのは恐るべきスピードで安くなるしでかくなる、そういう分野でございまして、これが将来は、あと五年もすれば八千どころか、まあ十万字でも何百万字でも入るメモリー、そういうのももう実際にあるわけです。  この前新聞を見ておりましたら、コンピューターは何ギガというのがたくさんありますけれども、一ギガバイトというのは十億ですよね、それが何と、もう五年間に実用化されるメモリーというのは、一平方センチ当たり記憶量、現在の四十倍の四十ギガ。たった一センチですよ、実はそういう技術がもうできているわけですね。だから、四百億というメモリーがたった一センチのチップに入る。この十年間で恐らく一バイト当たりのメモリーの単価というのは千分の一ぐらいになっているんですね。今でもそのスピードなんですよね。私が最初に買ったコンピューター、一年たったコンピューター、性能は今の方がはるかに立派で、ハードディスクのメモリーの容量が全然違う、値段は前の何分の一、こういう世界なものですから、私は、このICカードのチップというのは八千字じゃ済まないと思うし、便利だからこそふえていくと思うのですよ。そうなると持たざるを得ない。  こうなってきたときに、実は、先ほど滝委員質問に対して、大臣は、本制度利用範囲が将来拡大する可能性があるというような方向で御説明がありましたし、そして鰐淵委員からもやはり、積極活用の要請といいますか質問に対して、それを受ける形での表明もあったわけでありまして、そして鰐淵委員の方からは、うちは四情報だ、韓国はそうじゃない、根本的に違うというお話がございましたけれども、これはそのカードを持たざるを得なくなってくることになると、全く同じになり得る事柄でもあると思うのですよね。  今は持っていませんから強制もされない、申告でありますけれども、便利になって、全部持たなければ一国民として活動できないようになれば、これはやはり韓国のように、まあ兵役情報まで入れませんけれども、そうなってくるだろう。そうなると、プライバシー保護法制そして行政情報公開法制、やはりこれが本当に一体として国民に示されないと国民の理解を得られないんじゃないか、私はかように思うのですよ。  行政側の情報は隠されている。最近起こっていることは、食糧費の問題にしても、まあ金融監督庁の話もあったし地方自治体もあった、またああいうのがばれた、何だ行政は隠している、こういう事件がずっと続いてきた中で、実は、今行革だ、情報公開法はどうするんだ、あるいは、何でおれのところにこんなダイレクトメールが来るんだという事象が毎日起こっている、そういう中にこの法案が出されるわけであります。  この法案を出すに当たって、国民を納得させる、理解を得るためには、やはりプライバシー保護法制、いわゆる行政情報公開法制と三点セットのしっかりとした総合的な提示というものをしないと、要するにまた統治する側が統治される側の情報を一方的に集めるだけだ、統治される方と統治する方のバランスがこれで正しいのか、私はこういう議論になると思うのですね。  この点、プライバシー保護法制及び行政情報公開法制の一体整備、これをセットでやるべきだと私は思いますが、大臣の所見をお伺いいたします。
  68. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 この住民基本台帳ネットワークシステムというものにおきましては、民間部門を本人確認情報の提供先とはしないということといたしておりまして、本人確認情報の流出を防止するための厳重な措置が講じられておるわけです。また、住民票コードの民間利用も禁止をすることにいたしております。このように、本人確認情報の民間利用を禁止する制度的な措置がなされておるわけでありまして、このシステムの構築に当たって、その前提として、民間部門を含めた包括的なプライバシーの保護法制が必要となるものではないというふうに考えております。  なお、民間部門を含めた包括的なプライバシーの保護法制ということについては、この法案とは別途、その制定に向けて議論、真剣な検討が進められなければならないことであるという点は、私もそのように存じております。さらに、具体的な個人情報の保護措置が講じられた住民基本台帳ネットワークシステムの構築によって、プライバシー保護のあり方についての認識が一層深まってくるというふうに認識をいたしております。  なお、午前の議論でもございましたが、いわゆるダイレクトメールや何かに住所等のリストが流れて、そして本人の知らない間にそういうダイレクトメールが送られてくるというようなことは、私は、午前のお話議論を聞いておりますと、それは今回のこの住民基本台帳ネットワークシステムという形がきちっとできれば、逆にそういうことは少なくなるのではないかというようなお話も伺いまして、なるほどそういう視点もあるなというふうに考えておるわけです。  また、改正法案におきましては、自己に係る情報の開示請求権を認めるということにいたしておりますので、このシステムの構築に当たって、その前提として行政情報公開の法制を改めて整備するという必要はないのではないかと考えております。
  69. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の大臣の御答弁を聞いておりまして、あるいは先ほどの各委員の御質問を聞いておりまして私が感じておったことは、自治省の方は、あるいは政府の方は、プライバシー保護法制はまずさておいても、この住基法の法体系の中で十分なるプライバシー保護の手だてを打っているという認識のように聞こえるのですね。法律条文上はそうかもしれないのです。ただ、この問題は、先ほども言いましたように、法律で罰則を強化したとか、あるいはよくある行政手続を打ったって、それとは全く無関係、何というのですか、まず理念上違うところでこれが漏れていくというところに問題があるのです。その典型がハッカーだと思うのですね。  県庁のコンピューターの奥まで簡単に侵入できるという話も聞きましたし、この前うちの葉山議員の方から本会議でも申し上げましたように、国防総省に対するハッカーのおびただしいアタックがある。そして、ことしの四月三日に新聞で載っていましたけれども、メリッサというのですか、メリッサという名前のコンピューターウイルスをばらまいた男がアメリカで捕まったという話も出ていました。強烈なるコンピューターウイルスだったそうでございますが、こういうのがもうあちこちに伝播し、あるいはハッカーがアタックし、こういうところは、だれがやったかというのはなかなかわからないのですね。  そこに法制上の、建前上の罰則でこれだけ強化しましたというのじゃなしに、システムとして実質上これが防げるという保障というものを、私は、今後、参考人か何かではっきりとさせていただきたいと思っております。もうこれ以上きょうは申し上げません。  それで、次に、先ほどから言っておりますけれども、いわゆるコストの問題でございます。  行政改革、いわゆる財政再建がずっと政府の大きい問題になってきておりまして、今国会で、その流れをくみまして中央省庁の再編まであるやに聞いておりますが、そうしたときのこの住基法でございます。初期投資に四百億の投資が必要であるという話も聞いておりますが、やはりこういう時期だけに、最少費用、最大効果という説明が不可欠であろうと思います。これについて、結論の数字だけは聞いておりますし、ひとり歩きをしているように思いますけれども、実際のところ、これについても十分な検証をすることが私は必要だろうと思います。それがこのシステムのまた安全性あるいは十分性を検証することにもなるだろうと思います。  この検証について、まずきょうは概略で結構でございますが、四百億です、二百何十億ですというもう聞いた話は結構なんですが、どういう分析といいますか、どういう前提条件でこれを検証されたのか。大まかで結構でございますが、お示しの上、これについては、私は、今までいただいた以上の詳細なる資料の提示を求めたいと思います。お願いします。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムの導入費用につきましてですが、基本的な導入経費としまして、四つほどポイントがございます。一つシステム基本設計費、またコンピューターの設置工事費、ネットワークシステムのテスト経費、既存の住基データを移行するための経費、こんな主な項目で約四百億円を基本的な導入経費として見込んでおります。それから、システムの年間経費につきましては、コンピューターのリース料、維持費でございますが、それと電気通信回線の使用料、これが主でございまして、約二百億円を見込んでおります。  導入によるメリットの方でございますが、システムの導入に伴う行政側の職員あるいは住民の方の節減時間とそれに対応する時間当たりの標準的な人件費などを用いまして、数値化可能なものについて一定の仮定のもとで計算した場合に、行政サイドの要素としては、転入手続簡素化による手続時間の省略、それから住民基本台帳事務合理化簡素化、それから三点目が、住民票の写しの交付が省略されますので、窓口業務簡素化、それからカードシステムを採用しますので、そのハード経費及び開発経費の節約、こういった要素の積算によりまして、約二百四十億円を見込んでおります。  住民サイドのメリットといたしましては、転入手続簡素化による手続時間の省略、また住民票の写しの広域交付によります手続時間の省略、それから住民票の写しの交付が省略できますので、そういうものによる手続時間の省略などの積算によりまして、約二百七十億円を見込んでいるところでございます。  なお、これらの資料につきましては、後日提出させていただきたいと思います。
  71. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の説明ですと、ただ、中央センターの設立といいますか、そういったものが入っておるのか、都道府県センターはどうなのか。それからカードも、当然これは国民に金を出して買えと言ったって、私はやらないのじゃないかと思うのですが、これはカードは無料なのか。これが一千万枚、五千万枚なんということになれば膨大な費用になると思うのでありますけれども、カードが入っておるのか、そして中央センターがどうであるのか、費用のところでこれが入っておるのか、ちょっとそれだけお聞かせいただければと思います。
  72. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 全国センターの関係経費につきましては、これは維持管理費にも入っておりますし、また、そのテスト経費と基本的な導入経費の四百億にも入っております。  それから、カードにつきましては、カードのハードにつきましては入っておりますし、基本的にカードそのものはそれに見合う手数料でいただきますので、開発経費の節減分をメリットとして考えております。
  73. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これは資料を要求いたしましたので、誠実な対応をお願いしますが、見込まれるカードの単価もちょっと頭に特記して、大体どの程度のものだろうかと思っておりますので、私は関心が高うございますので、それもあわせてお願いをいたします。  それで、次に移りたいと思いますが、これについて論議が一つある分野が、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる納番でございます。納税者番号への拡大の問題でございまして、今回はいわば納税者番号の結論を見ずにこの住民基本台帳法システム法案化される、こうなるわけですが、端的に申し上げまして、納税者番号への拡大というものはお考えになっておるのか否か、御質問をいたします。これは、大蔵省及び内政審議室が今まで検討してきた経緯があると思いますので。
  74. 福田進

    ○福田政府委員 政府の税制調査会におきまして、今御指摘の納税者番号制度につきましては、過去に、納税者番号等検討小委員会審議の上、昭和六十三年の十二月、平成四年の十一月の二回にわたりまして報告が行われております。その後、政府税制調査会の総会におきましても鋭意検討が進められているところでございます。  この納税者番号制度の目的につきましては、適正公平な所得課税、資産課税の実現、あるいは税務行政の機械化、効率化等の観点から議論が行われているところでございます。それで、納税者番号制度をめぐる環境につきましては、最近、各種カードの普及に伴います番号利用一般化、あるいは金融システム改革に伴います資料情報制度の充実の要請などの変化が見られるところでございまして、このような環境変化を踏まえまして、納税者番号制度に関しましては、国民の皆様の受けとめ方や考え方を十分酌み取りながら、この制度の目的を初め、プライバシーの問題をどうするのか、経済取引への影響、コストと効果等のいろいろな課題につきまして、さらに私どもは議論を深めていく必要があると考えているところでございます。
  75. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の大蔵省の答えで、要するに、もちろん納税者番号というのは重要なる大蔵省あるいは政府の課題であるというのが読み取れるし、国民の理解等々が醸成されていくならば、一つ一つつぶしていくならばこれはやるべしだという結論が背後にあると私は読み取るわけでございます。  これは、私は民主党でございますが、かつて自民党で大騒ぎになったグリーンカードの問題もこれでございまして、委員会全体としては、この納番への活用というのがしっかりあり得るというのをやはり考えて、与野党腹にそれを置いてやるべきことを私は申し上げておきたいと思います。  要するに、衣の下に何かがあるということで、便利な高度情報化社会がある、あるいは便利な生活があるという側面ももちろんありますけれども、私は、納番は納番でこれは必要でありますし、議論すればいいと思うのでありますが、その一つの例として、納番への可能性を今聞いたわけであります。本当にえたいの知れない、国家管理社会みたいなイメージで受け取る人もいる、そういうことがないようなきちんとした説明をやはり国民にしていく必要があるだろうと思います。これは今後もう少し深めていきますが、もうきょうは時間がございませんので、これでよしとします。  それから、先ほども一つの例で出ましたけれども、今後いろいろな話がたくさんあると思うのです、これはどうなんだと。今度は光の部分で、世界各地で始まっております電子投票、東南アジア諸国でも始まっているそうでございますが、これなんかは本当におもしろいんじゃないかなという気もします。こういう議論をされたのでしょうか、例えば電子投票を例にとって。投票制度自治省所管でございまして、そういう幅広い多角的な論議をしたのか、その例として電子投票というものが俎上に上がったのか、ひとつ局長にお答えいただきたいと思います。
  76. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムは、市町村あるいは都道府県の区域を越えた本人確認のためのシステムというものを整備しようというものでございます。主として公的分野を対象といたしておりますので、民間分野には利用しない、それは個人も含めてでございます。  電子投票の場合は個人認証の問題でございますが、先ほど申し上げましたシステムの研究会においては議論がありましたが、制度構築に当たりましては、この分野は、このシステムは民間には利用しないということで組み立てておりますので、直ちにそのまま使えるものとしては制度をつくっておりません。
  77. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 だから、そこがもう本当に衣の下にいろいろなものがあるだろうと我々は思うのですね。怖いものもあるだろう、いいものもあるだろう、だから、それを本当にオープンにして、国民の代表でありますこの国会で、これもやれます、この前提条件ができるならばこれをもう活用しますといった上で本当にやるべきじゃないか。システムができ上がってしまえば後はもうこっちのもの、何でもかんでもいくだろうというところに懸念があるわけです。私はその事例として電子投票について聞きましたけれども、これについては今考えていないということで、あとはもう時間がたつのを待ってくれというふうに聞こえましたけれども、大臣、何か御意見がありそうですから、ぜひ。
  78. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 午前中からいろいろ申し上げましたが、確かにこのシステムは、御指摘のとおり、いろいろな行政分野についてその利用範囲を拡大していこうということは、それは可能なことでございます。そして、本人の利便を向上させる、あるいは、さらなる行政コストをダウンさせてより充実した行政サービスを展開する、そういう中で、この時代に合わせた対応をしていこうということは十分可能なことでありますし、先ほど御指摘がございましたが、納税者番号云々の話についても、やろうと思えばできなくはないだろう。しかし、問題は、この法律に基づいて行うことは、これはできないということなのです。  したがって、論理としていろいろな利用範囲のことはあるだろうけれども、実際にそれをやるかやらないかということになれば、しかもやるということになれば、新たなる法措置が必要である。その時点において国会における意思が決めるのである。やはりここがきちんと踏まえてあることでありますから、何かこの法律が通ったらまるで国会の意思とは無関係にずるずる広がっていくというようなものではない、そのことをやはりきちんと踏まえて議論しませんと話が混同してしまうのじゃないか、私はそう思います。
  79. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の大臣の御答弁は、まさにそのとおりでございます。筋論であります。  しかし、これはやはりこういう制度を導入するこの当初に、つまりこの国会ですよ、この国会で、やはりいろいろな可能性があるということで国民なり国会なりでやはり知らしめておかないと、音もなく通ったということだったら、やはり三年後、五年後、十年後もこれはすいすいすいといくわけです。  そういう面で、システム構築をするこの国会というのは、あるいはこの委員会審議というのは、いろいろな論議があったということをやはり国民に伝わる形でやっておかないと、確かに法律国会が通さないことには通らぬ、それはもう当然でありますけれども、事実上は、コンピューターという世界の話であるだけに軽く流れていくのではないか、それを危惧して、まあちょっと責任を持ち過ぎかもしれませんが、そう実は私は思っておるわけでございます。  それで、大体時間も迫ってまいりましたが、次に私は、コンピューターに関してもう一点ぜひお聞きしたいことがあるのです。  これは新しいコンピューターシステムを、国民情報を統合するということでつくるのですが、その前に、間もなく必ずやってくる二〇〇〇年問題があるわけですね。私も、二〇〇〇年問題はそんなに大した問題じゃないのかなと思っておりましたところ、やはり読んでみればみるほど、人の話を聞けば聞くほど、そして、自分でコンピューターを実際やってみて、やはり大変な問題だと思うのです。これは大げさに言えば、人の命あるいは社会システムの維持にかかわる問題だ。  ところが、これは日本政府がしゃかりきにやっているというような印象を私自身は余り受けないし、この前新聞を見ていましたら、台湾のある飛行機会社の社長か何かが、あるいは運輸大臣でしたか、あるいは交通大臣でしたか、一九九九年十二月三十一日、大みそかに、飛行機に乗ってハワイに行く、つまり、私が乗っているのだから飛行機は落ちませんということを台湾の国民に示すために乗るという新聞記事が載っていました。  これは、本当にコンピューターといえばこんなノート型かデスクトップ型かと思う人がほとんどでありますけれども、マイクロコンピューターといって、このくらいの小さいコンピューターが、ジャンボ機なんかは何百か何千か知りませんが、組み込まれておるわけですね。それは全部時計が組み込まれておりますから、時計が入っていないマイコンもあるでしょう、でも、相当部分がいわゆる時間とセットになった、いわゆる時間が組み込まれたマイクロコンピューターが、飛行機にもあるし、炊飯器にもあるし、エレベーターの、昇降機のコントロールシステムにもあるし、相当あるのですね。五百億個あるというのです、世界じゅうにマイコンが。  それが結局、コンピューターというのは、先ほど十六キロバイトの話がありましたけれども、メモリーが小さい。だから、一九八五年とか一九六四年と書いていたらメモリーを食っちゃうということで、下の六四と書けば一九六四と読むようにソフトをつくっちゃったのですね。ところが、二〇〇〇年が近くなって、これは二〇〇〇年になったら下二けたが〇〇になる。そのときコンピューターがどう判断するのだといったら、それは原則一九〇〇年ちょうどと読むというのがほとんど、コンピューターに組み込まれた時計はそう読むだろう。  そうすると、まあ缶詰ぐらいならいいですよ、缶詰が一九九九年八月十日生産といって缶に打ったものがラインを流れてくる。二〇〇〇年になったら、それが一九〇〇年ちょうど、百年前に生産されたものとコンピューターが読んで、要するに古い日付から早く出荷しろと言ったら、きょうできたものがどんどん早く出荷されて古いものが残るとか、そういう問題が山ほど起こる、こういう問題のようではございます。  私は、この問題は本当に、世界各国に全体で五百億個もマイコンが存在する。これは昇降機とか、もう一般の生活する我々の身の回りにもたくさんある。これは重大な問題だと思うのですね。新幹線とか。これについて私は、コンピューターというのは万全ではないという、コンピューターシステムというのは本当に思わぬ落とし穴があるという一つの大きい事例だと思うのです。  私は、住基法の前に、本当にこういう二〇〇〇年問題について政府は——新幹線に乗る人だって、十二月三十一日は相当の人が、ハワイに行く飛行機に乗る人、控える人、私はおると思うのですよ、出ると思う。かなりの社会現象になると思うのです。これについて私は、もっと住基法以前に、二〇〇〇年問題は政府はコンピューターのプロを駆使してこれだけの態勢をとっておるということを言うべきだと思うのですが、これはどうなっているのでありましょうか。
  80. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 コンピューター二〇〇〇年問題については、御指摘のとおり、本当に国民生活全般にわたって重大な影響を及ぼすおそれがあるわけです。もちろん、いわゆる危機管理システムあるいは交通管制を含め、そういう安全あるいは保安上、さまざまな制御に関連する分野、そういったことを考えますと、これは本当にゆるがせにできない大問題であります。その点は、地方公共団体においても、この点、緊急に対応していかなければならない必要があるわけであります。  そこで、自治省におきましても、総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部、昨年九月にここで決定をいたしました行動計画がございます。この行動計画に基づいて、地方公共団体に対して、対応を迅速に行うよう、自治省としても要請をしてきたところであります。  なお、平成十年度の第三次補正予算に西暦二〇〇〇年問題対策調査費を計上して、対応のおくれている地方公共団体等の現地調査等を行いまして、地方公共団体が対応計画や危機管理計画を策定する際に参考となる手引書を作成の上、各地方公共団体に提供する予定であります。  また、二〇〇〇年問題対策に要する地方公共団体の経費については特別交付税措置を講ずることといたしておりまして、地方公共団体の取り組みを積極的に推進をしてまいる所存であります。
  81. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、実は資料をもらいまして、きょうの朝、この行動計画を読ませていただきました。それと、それにくっついておりますコンピュータ西暦二〇〇〇年問題対応指針というのも見せてもらいましたけれども、私は、基本的に言って、こういう行政のやり方は、もちろん有害ではない、不必要というわけでもないけれども、基本的なやり方としては本筋ではないと思ったのです。  何を言いたいかといいますと、要するに、こういう国家の大問題がある、まず、中央府の官庁、これは主務官庁というのはないに等しいとは思うのですが、いわゆる省庁連絡会議をやって、中央で指針をつくる、それに従って県がつくりなさいよ、その県のいわゆる計画なり指針に基づいて市町村もつくりなさいよ、大体こういう発想で今までの行政は来たのですね。  これを私が強烈に思ったのは阪神大震災のときなんですよ。私はあの後、予算委員会質問する機会を得まして、もちろん現地にも飛びましたけれども、いわゆる中央防災会議ですね、中央計画、都道府県計画、そして、震災があったときに一番現実的に動かなければならぬ地方自治体の末端の計画、つまり地域防災計画、これを読んでみたのですね。私はもう笑ってしまいましたよ、というか、情けないというか、要するに、地震があったら、火事が起こったら消防車が出動するものとするみたいなことしか書いていないのですね。もう当たり前のことなんです。  それは、国の計画はいわゆる国土庁の防災局が、それは震災の現場、そういうものを知らないわけですから、やはり例によって例のごとくのいわゆる中央会議を開きましょう、委員はこうしましょう、都道府県計画をつくらせましょう、それは承認にひっかけましょう、それに基づいて市町村計画をつくりましょうという、もう例のやつなんです。  だから、まさに現実に震災が起こったときにどう行動するかという生の問題とは全く離れた、一番遠いところから、その計画づくりからおりてくるものだから、末端の神戸市の地域防災計画を見たときに、もうそれは何の役に立つか、こう思ったのですね、私は予算委員会で言いましたけれども。  だから、こういう問題はもうボトムアップというか、現実のところからマニュアルというものを、自治体でこういう問題がある、コンピューターについてどういう問題があり得るか、それを出して吸い上げて国の中央のマニュアルをつくるという、やはりもうそういう時代に来ていると私は思うのですよ、とりわけこういう防災とかでは。それがこの住民基本台帳法も私はよく似ていると思うのです、これを結論としてきょう申し上げたいのです。  住民基本台帳法法律改正します、中央センターもつくります、都道府県センターもつくります、よく似ているんですよ。そして、法律の縛りでちゃんとこうしていますと。私は、将来これがどういうふうに夢があるように活用できるのか、問題点はないのか、もっといいシステムが構築できるのではないか、あるいは中央センターがなくとも、今のインターネット、一億のコンピューターがインターネットでつながっているわけですから、縦のピラミッドをつくらずとも横のネットワークでこれができるのではないか、そういうソフトはあり得るのではないかと思うのですよ。  そしてその使い方も、例えば一年かけて東北で一つ、あるいは九州で一つ、地域医療で地域医療カードを兼ねるようなICカードをひとつ手を挙げてやるところはやってごらんと、あるいは投票制度も、市町村議員選挙、もうすぐ終わりますけれども、議員選挙も、では手を挙げたところは自治省としてはモデル事業としてやってもらう。そうしたら、このメモリーに医療関係を入れたら、もうそれはおばあちゃんが喜んだ、市民もみんなこれは喜んだと、使えるとなれば、それをボトムアップで私は全国に制度化していけばいいと思うのですよ。  だから、このICのメモリーカードを持たせるということ、そこに、上からどんと来たときに、その背後に何があるかという懸念があるのだから、むしろやはり国民のコンセンサスを得るにも、いいシステムをつくるためにも、そしてコストを安くするためにも、むしろモデル事業をこの一、二年とか三年やって、ボトムアップで国民の理解を得る、いいシステムをつくる、あるいは安いネットワークを構築する、こういう方が本当に生きた住民基本台帳ネットワークになるのではないかと私は思うのですよ。それはこの阪神大震災のときに強烈に思ったのですね。二〇〇〇年問題もよく似た話であります。  だから、きょうあの指針を見たとき、では市町村長が実際にあれを、自治体にはどういうふうに措置されたのでしょうか。これは市町村関係あるわけですよね、地方自治体も、二〇〇〇年問題は。何行か書いてありましたよ、自治省が指導すると。これは実際、動いているのでしょうか。私は、市町村の人から見たって、あんな程度だったらどこをやればいいんだ、うちは何も関係ないだろうということではないかと思うのです。
  82. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 地方団体における二〇〇〇年問題に対する取り組みでございますが、政府の二〇〇〇年問題に対応する方策、これらをマニュアルとして地方団体にお示しをしております。  それで、地方団体もみずからの問題としてこれは取り組むものであって、法律に基づいてこうしなくちゃいけないという仕事ではないと思いますが、これは市町村システムとしましても、例えばライフラインあるいは公共の安全秩序とか、そういうふうな重要なシステムをAランクのものとBランクのものとに分けておりますけれども、県ではその重要なシステムが千七百ぐらいありますし、市町村においては三万一千ぐらい、これは団体数も多いものですから、それぐらいございます。  そういうものにつきまして、現在のところ重要システムの修正作業をしておりまして、都道府県段階におきましてはおおむね六割ぐらいの実施状況でございまして、市区町村につきましては、それよりも少しおくれておりまして約五四%ぐらい。今後少しずつ進むと思います。特に、重要なAランクシステムにつきましては、マニュアル上模擬テストをして、そういう問題がないということを確認するというようなこともやっております。あるいは危機管理計画をそれぞれの団体でつくっていただくというようなことを今後進めていただくことになっておりますので、この問題に対する対応について、自治省としては、都道府県、市町村に対する指導を徹底してまいりたいと考えております。
  83. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これは時間が来たら恐らくばれてしまうといいますか、飛行機は落ちぬだろうと思いますよ。これは本当に万全の対応をお願いしたいということなんです。  先ほど申し上げました住民基本台帳システムの構築に当たって、そういうボトムアップというか、とりわけICカードについてモデル事業的にまず幾つかの市町村で実験的にやって、ボトムアップで地域の知恵を出してきて、それを全国化していくかどうかは次に全国レベルで検討しよう、私はそういう時代だと思うのです。この点について、大臣にひとつ御感想といいますか、御意見をぜひいただきたいわけでございますが、私の考えにどう思われますでしょうか。
  84. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 二〇〇〇年問題の話はボトムアップとはちょっと質が違うんじゃないかというふうに私は承っておりました。むしろ、そういう危機管理あるいはコンピューター二〇〇〇年問題に関するその辺のチェックのマニュアルというものを、みずから開発してみずから主体的にやれるというところはそれでいいのですけれども、必ずしもそうではない。しかしライフラインに関するきちんとしたチェックは必要であるということに備えて、一応、地方自治体に対して自治省の方からそのマニュアルをお示しするということで、そこから先は自己チェックをしてもらおうということです。  問題は、住民基本台帳ネットワークシステムということについて、それぞれ地方団体の一部で一部事務組合みたいなものをやって、そして共通するような事項について既に、特定の市町村の中だけでなくて、少しその辺の範囲を広げようということでスタートしているようなところもあって、今の市町村を超えた人の交流といいますか動きというのは現にあるわけで、やはり住民の利便性を高めようという、これは本当に切実なものがあると私は思います。  いろいろな申請書類に住民票を一々つけるということも、今やペーパーに頼っているような時代じゃないので、そういう意味で、これから特に地方分権に伴って自治体自身の行政コストをどうやって低減させていくか、そして行政サービスの内容を、どうやって効率性、迅速性ということをも追求していくのか、そして内容を充実していくのか、そんなことを思いますときに、私は、論理としてはボトムアップということもそれは確かに考えられなくはないと思うのですが、本当にこの問題、そろそろ決断をしてもらわなければならぬ時期に入っているのではないか。ぜひしっかりまた御吟味をいただいて、結論を早期に出していただいて、私たちとしては、ぜひ御賛同をいただき成立をさせていただきたい、このように思います。
  85. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 四情報の件はさておいて、カードの分野については、八千字がありますと、本当に、どう使われていくかというイメージがまだ私は、何度聞いても実はわいておりません。だから気持ち悪いというか、これは民間のカード産業あるいはコンピューター産業も動くだろうし、それを受ける市町村長というのは、こういったことに関しては非常に疎い。このカードは任意です、個人の申請に基づいて交付するのです、メモリーは八千字です、こう言われているけれども、では、実際にこれがどういうふうになっていくかというのは、そこに非常に私は懸念を持つ。  したがいまして、では、今後モデル事業を起こして実験するのには時間がないということではあるでしょう。そうおっしゃると思うのです。その場合であれば、カードを使って、例えば医療行政がこれだけ喜ばれた、これだけすばらしい効率的な、国民のためになる行政の道が開けた、こういうものが、それもわかりませんと、我が民主党には出雲の市長でございました岩國先生がおられますけれども、私は一部しか知らない。やはり最低そういうことをはっきり示さないと私は納得できないと思うんですよ。  だから、それはぜひ我々に、モデル事業もやりません、出雲の事例だけですということではないと思うのですが、八千字でこれだけの道が開ける、市民のコンセンサスはこれだけ得ているというのを、きょうは間に合いませんから、そこら辺が恐らく全国会議員のイメージのわかない分野の一つだと私は思うんですよ、これをお示しいただきたい。  最後に、時間がございませんのでこれは長くは申し上げませんけれども、私は、今までの検討経緯の中で技術的な部分、ハッカーであるとかネットワークのセキュリティーとか、それはこの絵はいただいております。ところが、そこで絵をかかれて、こういうふうになっておりますから大丈夫といっても本当だろうかと思うし、我々は今度、きょうも探しておりましたけれども、ネットワークなりセキュリティーなりコンピューターシステムの脆弱性とか、そういう問題に詳しい人をやはり参考人として呼ぶ、その場での質問も我々はしなければならぬ。そういう面で、私は、自治省のこの間の検討経緯の中で、こういう技術的な分野がどういうふうに整理され、どういう論議が委員から指摘があったのかも各委員に資料提出をお願いしたい。  かように申し上げまして質疑を終わりますけれども、あと一分、その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  86. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 ちょっとカードのことについて御答弁させていただきたいと思いますが、住民基本台帳カードというものを考えておりますのは、そのセキュリティー機能が高いということに着目いたしておりまして、重要な秘密事項であります住民票コードなどを記録いたしますので、セキュリティーに着目しております。  それで、カードで全国的に共通するものは、先ほど申し上げました氏名、住所、性別、生年月日の四情報住民票コードでございます。それに暗証番号などの、いわばセキュリティーのための情報というものでございますから、暗号化とかいろいろなセキュリティーの措置を講じますので、かなりの文字を使います。それから、余白部分につきましてはそれぞれの市町村において、これは全国ネットではありません、市町村において条例でどういうふうに使うかということをお決めいただいて、条例で定める範囲内で利用する、こういう基本的な考え方でございます。  それから技術的な各種検討につきましては、このシステムを構築するに当たりまして検討課題として、基本的な構築のための基本方針、あるいはセキュリティー方式、それから住民票の写しの広域交付の場合の新しい業務の処理方式、それからICカードに関する調査、それから外字処理方式、こういったことの技術的な検討を行っております。  そういうことで、それに対応して、先ほど申し上げましたように、制度的、技術的なプライバシー保護措置を講じる、あるいは各市町村にコミュニケーションサーバーを導入して住民基本台帳のホストコンピューターとは切り離すとか、それから、住民基本台帳カードとしてセキュリティー機能の高いICカードを採用するとか、それから、住民基本台帳というものをベースにして、全国的に、市町村の区域を越えた本人確認ができる仕組みを付加する、こういうこととしてネットワークを組んでいるところでございます。
  87. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、本当に、深く慎重な審議をするためにも、そして国民の実際の理解をかち取るためにも、やはり資料提供について、本委員会がしっかり論議するということが重要でございますので、詳しくは理事会で議論になるかもしれませんが、ぜひ対応をお願いいたしたいと思います。  これで終わります。以上です。
  88. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、春名直章君。
  89. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章です。  きょう理事の皆さんに確認をいただきまして、桝屋先生の先にやらせていただくことになっておりますので、御了解いただきたいと思います。  先ほど来議論がありますけれども、私の方からも、きょうは一巡目ということで、徹底した審議、また参考人の質疑やそれから地方公聴会等々、しっかりとした議論をしていただくことを要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  第一巡目ですので、法案の具体的な内容には余り私は触れません。基本的な御認識をお伺いするというのを中心にやっていきたいと思います。  今回の法案で、オンラインで接続される個人にかかわる四情報、氏名、住所、生年月日、性別、この四情報について、これそのものが個人のプライバシーにかかわる情報なんだ、こう言う人もおります。逆に、いやプライバシー情報というのはもっと限定されたもので、住所、氏名などのこういう四情報は個人を識別する符牒のようなものだ、そういう見解もあります。  自治省は、今私が言いましたどちらの見解をお持ちになっているんでしょうか。
  90. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 プライバシーとは何かということにつきましては、確立された考え方があるというわけでは、なかなかそう言いがたくて、個人にとってのプライバシーとは多分に主観的なものだと考えております。こういうことで、プライバシーにかかわる情報であるか否かを一律的に考えるということは難しいと思います。  自治省としては、住民票に記載された氏名、住所、性別、生年月日の四情報は個人情報であるというふうに考えておりますが、かつ、一般的に知られていない事実で、知られないことについて利益があると客観的に認められるもの、そういういわば個人の秘密、それに属するような情報ではない、こういうふうに考えております。
  91. 春名直章

    ○春名委員 四情報というのは個人を識別する情報だ、そういうことですね、そういう考え方ですね、プライバシー情報とはちょっと違うと。  では、住民票コード、これは同じ質問ですけれども、プライバシー情報とお考えか、それとも個人の識別情報か。それからもう一点一緒にいきます。住民票コードと四情報が今回は一緒にくっつくわけですね。くっついた場合、一体になった場合はどういう御判断をされるのか、その点をお答えください。
  92. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民票コードでございますが、氏名とか住所などによる本人確認に比べまして特色がありまして、コードによる照合が明確にできる、また迅速な検索が可能で経済的である、また重複がない住民票コードにより確実な本人確認ができるということで、このネットワークシステムで全国共通の本人確認を行うに当たって必要不可欠なものと考えております。  それで、氏名、住所、性別、生年月日の四情報などの個人を識別することが可能な情報と、全国を通じて重複しない特性を有する住民票コードが一体化した場合、全体として秘密事項となるというふうに認識しております。
  93. 春名直章

    ○春名委員 コードそのものについては、プライバシー情報、個人識別情報のどちらというふうに判断されていますか。
  94. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民票コードそのものは、番号の並んだものでございますので、プライバシー情報というものではないと思います。
  95. 春名直章

    ○春名委員 先ほどの確認をもう一度、済みませんが。四つの情報住民票コードが一体になった場合は、これはプライバシー情報になる、そういう御見解ですね。
  96. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 そうでございます。
  97. 春名直章

    ○春名委員 わかりました。  続いてお聞きします。これらの情報を公開と非公開の観点でお聞きしていきたいと思います。  プライバシー情報は私生活上の情報の中でも公開をしないことが妥当なもので、もちろんこれは基本は非公開ということですけれども、一方、プライバシー情報でない、より広い範囲の個人の識別情報、今回の法案でいえば氏名、住所、生年月日、性別、これは公開というのが自治省の見解かどうか。この四情報ですね、公開というのが原則か。それから、あとの住民票コードについては、これは公開かそうではないのか。それから、最後、一体になった場合は秘密情報になるので非公開というふうな認識になるんだろうと思いましたけれども、その三点、公開、非公開の仕分けの考え方をしてください。
  98. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳法におきましては、住民票に記載されている氏名、住所、性別、生年月日の四情報につきましては、住民基本台帳の閲覧あるいは住民票の写しなどの交付によりまして、その請求が不当な目的によるものでない限り何人にも公開しているという意味で公開情報です。  それから、四情報住民票コードが付されて一体化した場合、これにつきましては、秘密事項として公開情報にはならないというふうに考えております。
  99. 春名直章

    ○春名委員 わかりました。一体になればこれは非公開であり、プライバシー情報という形で非公開の原則だということだと思います。  そこで、これをずっと私が今聞いてきたのは、この四情報そのものでも、国民のやはり、今さっき局長がおっしゃられたけれども、プライバシー意識の高揚の程度とかあるいは他の個人情報と結びつくことによって、それ自身公開でいいのかどうか、そういう議論になってきているんですね。  少しその流れを議論してみたいと思うんですけれども、八五年、住基台帳改正がやられました。そのとき、自治省の当時の行政局長さんは、この改正に当たってこういう説明をしているんですね。  住民基本台帳記録されておる個人情報が全般として個人情報として秘匿すべきものだという立場には立っておりません。場合により、部分によっては秘匿すべきものが出てきた、こういう認識です。その次に、その使い方によっては個人のプライバシーが出てくる、それを防止するための改正です、こういう認識でございますと答弁をされているんです。  その答弁に基づいて、そのときの改正ではどういう改正がされたかということですが、住基台帳の閲覧の許可あるいは住民票の写しの交付をするときに、市町村長が一定の事項については省略して閲覧に供するあるいは交付することができるようにする、と同時に、さっきおっしゃられましたけれども、請求そのものが不当な目的によることが明らかな場合は、閲覧、交付の請求を拒否できるというふうになったわけですね、八五年の改正で。  つまり、プライバシーを全体としては保護していこうという方向の改正としてやられたわけです。  しかし、現行法第十一条と十二条にはどういう規定がされているかといいますと、先ほど局長からお話ありましたけれども、住民基本台帳の閲覧あるいは住民票の写しの請求については、何人でもこれはできる、公開が原則というふうになっています。そして、今回の法案で対象となっている個人の四情報についても、当時、閲覧はこの四情報に限定すべきだという指摘もあって、閲覧する場合に見せない、あるいは住民票の交付の際の項目には入れない、こういうことの対象事項にはこの四情報はなっていないわけであります。ならないようにしてあるわけです。そういう経過をたどっている。  しかし、先ほど言いましたように、大切なことは、この四情報だけでも、国民のプライバシー意識の高揚の程度によっては、あるいは他の個人情報と結びつくことによっては、公開という原則そのものを見直すべきという問題も今生まれてきているというふうに私は思っているのです。  例えば、国民の意識というのはどうかということで紹介しますけれども、総理府が八五年、個人情報の保護に関する世論調査というのをやっています。そのときに、どのような場合にプライバシーが侵害されたと思うかという質問がありまして、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むというのがトップで三三・二%です。八五年の調査のときに、三三・二%、ダイレクトメールが頻繁に舞い込む、これがトップ。その四年前の八一年の調査では一六・三%しかなかったのです。他の調査項目にはこんな大きな差は見られない。だけれども八五年になるとぐんとふえて、二倍以上になりまして、そこにプライバシー侵害を実感する、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むことによって、という答えをしているのです。  そこで、局長からお話ありましたけれども、八五年の改正のときには、そういう国民の状況も勘案をして閲覧制限等を内容とした法改正、そういう背景があったというふうに私は理解をしております。ところが、八五年から四年たった八九年の同じ調査ではどうなったかといいますと、改正をした後ですよ。やはりトップは、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むというのが回答で、その割合がさらにふえて三六%。ぐんとまた上がっているのですね。そういう状況になっているんですよ。  だから僕は、八五年の改正でプライバシー保護の観点からの規制をある一定行いましたけれども、この結果を見れば、国民一般に与える印象といいますか、それではなお不十分だ。言いかえれば、国民のプライバシー意識が高くなっているということと裏腹の問題なんですけれども、八五年の改正ではプライバシー保護の観点からやられたけれども、それでも不十分だ。実際、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むことに対して一番プライバシーが侵害されていると感じる、そういう国民がふえている、そういう印象を国民は持っているのです。  私は、そういうふうにこの国民の意識を理解したわけでありますけれども、局長はこういう御認識はないでしょうか。八五年の改正というのはやはり国民から見ればなお不十分だというように思っているんではないかと思うのですけれども、その辺の御認識はいかがでしょう。
  100. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳制度におきましては、いわば基本台帳住民居住関係を公証するということから、不当な目的によることが明らかな場合などを除きまして、何人にもこれを公開するということとしております。  例えば、住民基本台帳の閲覧の問題でございますが、世論調査、学術調査、市場調査などの各種統計調査を行うときの最も基本的なベースとして広く活用しているということでございまして、この基本台帳の閲覧を抜きに正確な統計調査を行うことは困難なもの、こういうふうに認識をいたしております。  基本台帳制度趣旨、またこうした現状等にかんがみますと、プライバシー意識の高まりというものには留意しながらも、この住民基本台帳の公開原則を見直して四情報の公開を制限するということについては慎重な検討が必要ではないか、こういうふうに考えております。
  101. 春名直章

    ○春名委員 統計等で必要だということはずっとおっしゃられているわけなんですけれども、そこで、今の国民の意識の上に立ってといいますか、今の議論の上に立って聞いていきますけれども、最近では、この四情報についても一定の規制をしてほしいんだ、こういう要望が現場から上がってきていませんか。そういう要望を、幾つか上がってきているのであれば聞かせていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  102. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 市町村からは、住民基本台帳の閲覧制限などについての要望も承っております。
  103. 春名直章

    ○春名委員 要望はあると思うんですよ。  私も、この質問を準備するに当たっていろいろ勉強してみたんですけれども、例えば全国連合戸籍事務協議会がありますね。  これは、全部の総会の、いろいろな引用が全部出ているんですけれども、例えば四十八回総会で、これは九五年ですけれども、どういう要望がされているか。  住基台帳法十一条一項の閲覧の問題、この改正を要望します。人権擁護とプライバシー保護の立場から、公用請求以外は禁止にするように改正をしてもらいたいということで、広島県の代表がその説明をしていますね。   プライバシーの概念は普遍的なものではなく、個人の価値観の多様化など住民のプライバシー意識の高揚は著しいものがございます。このような中で現在、閲覧制度利用して不特定多数の人に送付されるダイレクトメールなどは、住民情報の管理やプライバシー保護の面で社会問題となっているところでございます。   閲覧制度は、第三者の知る権利とプライバシー保護のバランスの上で成り立っているわけですが、閲覧によって本人が知らないのにダイレクトメールが行ったりすることは、住民のプライバシーが守られているとは言えないのではないでしょうか。また、人それぞれ価値観が違うからこそ、一様にダイレクトメールが行くような私的閲覧は制限するべきだと思います。 こういう発言であります。  続いて四十九回総会、神奈川の代表。これは同じ改正要望ですけれども、こういうふうに言っていますね。   問題は、住民のプライバシーを保護するために設けられたこの住民基本台帳法第十一条第四項の規定が、住民のプライバシーを保護するための機能を果たしていないということでございます。つまり、閲覧請求者が住民住所や氏名などを転記して住民名簿を作成し、これを不特定多数の者に販売するなど、不当な目的に使用する意思を持っていたとしても、そのことを閲覧申請書に記載せず、正当な形で請求されれば、閲覧に応じざるを得ないのでございます。 住民情報の適正な管理、プライバシーの保護の面からぜひ検討していただきたい、こういう質問です。  また、同じような話で恐縮ですけれども、五十回の総会でも同じ要望が出ていまして、こういうことを言っています。   現行法のもと、個人の名前や住所などは全国の市町村の役所、役場で日常的に流出していると言って過言ではありません。本人が知らないのに送られてくる郵便物の状況、なぜ名前がわかったのか、役所で閲覧させていることは知らなかった等の声を多く聞きます。このようなことは住民行政に対する不信感を抱かせてはいないでしょうか。行政は今こそ一層の住民情報の適正な管理が必要と思います。   よって、職務上及び公用請求以外の閲覧を禁止するよう改正を要望するものです。 連続して、ずっと歴史的に大会でこういう要望が出されてきて、自治省の代表の方も参加をされて議論に加わっている文章をずっと読ませていただきました。  現場に携わっている人は、四情報であっても、大量にこういうふうに使われたりとか、あるいは別の情報にそういう形で使われたりとか、一体化したりとかしたら、それはもうプライバシー侵害になるんだというような感覚を現場の人も持って、そして国民もそういうふうに答えているのです。  だから、四情報だから構わないというふうにしていいのかどうか、そういう問題なんじゃないかと私は受けとめているんですね。そういうふうにはお考えにならないでしょうか。  この三回の総会の発言、改正内容の要望も紹介しましたけれども、こういう問題に自治省としてはどういうふうにお答えになるつもりなんでしょうか。
  104. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 これは、六十年改正に際しましても、いろいろな観点から御議論がありました。また、先ほど申し上げましたように、プライバシー意識の高まりということには、やはり十分な配慮が必要であると考えておりまして、今回の法改正でも、四情報そのものではありませんけれども、四情報に閲覧を限るということに限定をいたしている措置も講じているところでございます。  そういったことで、住民基本台帳制度趣旨、あるいは先ほど申し上げましたような実情というものを考えますと、公開原則を見直し、そして四情報の公開を制限するということについては十分慎重な検討が必要である、こういうふうに考えております。
  105. 春名直章

    ○春名委員 現場の方から連続してそういう要望が出されていて、自治省の担当者の方の答弁も読みますと、持ち帰ってこのことは検討する、報告したいと発言をしています。しかし、結論は、要望には応じがたいという結論になっているんですね。ですから、自治省と実際の窓口住民に接している現場の人々との間に認識のギャップがあるように私は感じるんですよ、この話を見ていて。そういうことを一つ指摘しておきたいと思うんです。  もう一点ですけれども、個人情報保護条例の制定の動き、これは随分広がっています。保護条例をつくる自治体が随分ふえていると思うし、それから保護する情報も、プライバシー情報に限定しないで個人を識別する情報を広く保護していく、そういう傾向になっていると私は認識をしておるんですが、その辺、どういうふうにおつかみになっているのか、少し聞かせていただけませんか。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  106. 香山充弘

    ○香山政府委員 ちょっと質問の内容を十分聞き取っておりませんので大変失礼なことになるかもしれませんが、個人情報保護条例を現在制定いたしております地方団体は、平成十年四月現在で千四百七団体ございます。その中で、オンライン接続を全面的に禁止するような条項を持っておる団体は五百六十五団体というような状況に相なっております。
  107. 春名直章

    ○春名委員 千四百七団体、私、九七年四月の数は調べていたんですけれども、千三百十二団体なんですよ。だから、千四百七団体、だんだんふえているんですね。オンラインすら禁止をする、オンラインも禁止をするというのが、今おっしゃったけれども五百六十五団体、そういう数になってきていて、やはり自治体は、個人情報、プライバシー情報をしっかり守っていく、そういう保護措置、条例、そして規律や条例だけじゃないと思いますけれども、いろいろな形でそういうものを広く保護していくという傾向になっていると思うんです。  ちょっと私、きのうその中身についての質問のレクをしていなかったので申しわけなかったかもしれませんけれども、その中身で、もしつかんでいれば、数もふえていっているんだけれども、個人を識別する情報全体を広く保護していくというような、そんな傾向になっている、そういう掌握はされていませんか。わかりませんか。
  108. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  大変難しい御質問で、的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、現在、この問題につきましては、個人の情報を保護するという重要性が高まっております一方で、通信回線を活用しての情報処理というのは、高度情報通信社会の実現といいますか、メリットを生かすために不可欠だという要素もありまして、したがいまして、個人情報のオンラインによる外部提供につきましては、一方で一律に禁止するというのではなくて、提供の目的、あるいは権利、利益の侵害等のおそれを個別に検討した上で提供の可否を決定するのが望ましい、そういった考え方が国の方のガイドライン等にも示されておりますし、私どもも、地方団体向けの情報ガイドラインには、そのような考え方をお示しいたしておるところでございます。  例えば、先ほど申し上げましたオンライン接続の全面禁止条項を持つ団体ということになりますと、これは、五百六十五団体というのは前年に比べて七団体減っておりまして、要するに、オンラインを接続する場合には、例えばある種の例でございますけれども、審議会に諮って個別に意見を聞いた上で、必要がある場合にはその結合を認める、このような形の条例がややふえておる。  ただ、全体として申しますと、個人情報を守るべきだという流れは大きな流れでございまして、条例を制定する団体というのは年々、百団体ぐらいずつふえていっておる、そういう状況にあるということでございます。
  109. 春名直章

    ○春名委員 そこで、その全連の総会の要望に対して、これは九七年の総会のときの行政局の担当者の方がこんな発言をされているのに注目しました。これは、八五年の法改正のとき、六十年当時と比べまして、プライバシー一般に関する法が制定されるなど、新たな認識が示されるなどの具体的環境の変化がなければ、なかなかこの御要望におこたえするのは難しいというふうに考えております、こういう御発言をされております、石塚さんという人ですけれども。それで、民間を含めたプライバシーの保護法、その制定を待たなければ、今、現場の窓口が直面しているいろいろな矛盾、問題は解決できないんだ、こういう御認識を披瀝されている。  私は、ごもっともな面があると思うんです。先ほど自治大臣は、包括的なプライバシー保護法についてはこの住基台帳システムとは別個の問題だという御認識を言われたんですけれども、私は、順番としては、こういう今の矛盾、今のプライバシー意識の高まり、その中でこのプライバシー保護法の制定そのものをイの一番に早くやって、そして十分な議論を尽くして、そしてその末にネットワークの問題も検討するということであればわかるんですけれども、民間を含めたプライバシー保護法の制定を待たなければ、今、現場の窓口が直面している問題はなかなか解決できない、当の自治省の方も言っておられる。  そういうときに、このシステムをつくるときにどんな努力を、法律そのものは、保護法については総務庁が担当されるのかもしれないけれども、しかし、自治省としても、そういう御認識を持って、本当にプライバシー情報を守っていく、やはりそういう努力がないとだめだと思うんですよ。どういう努力をされたのか、その点での中身、検討されたのかどうか、その点をちょっとお答えいただきたいと思います。
  110. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳関係情報について、プライバシー意識の高まりに応じて個人情報の保護のためにどうか、こういうことでございます。  先ほど担当者の発言を紹介されましたが、このネットワークシステム構築の法改正前で、手当てがなされておらない前提でお話ししておるわけでございまして、このシステム、法改正が行われますと、その中には個人情報保護のための措置を盛り込んでおります。四情報につきましては、あと住民票コードの本人確認情報につきましては、これは民間部門では使えない、それからネットワークから情報というものが流出することを防止するための厳格な措置を講ずる、あるいは住民票コードの民間利用を禁止するということで、この法律案において本人確認情報の保護措置というものを制度的に十分に講じるということで、これを導入する前提としては、民間部門も含めた包括的な個人情報保護法の制定を要するものではないと考えております。  いずれにしても、民間部門を含めた包括的な個人情報保護法につきましては、その制定に向けて議論、検討が進められるべき課題だと考えております。
  111. 春名直章

    ○春名委員 今、民間部門にはこれは行かないから大丈夫だという説明をされるんですけれども、確かに法はそういうふうになっているんでそういうふうにしていただかないと困るわけですけれども、しかし国民の意識というのは、やはり国民のプライバシーを権利として守る、そういう確固とした基本法がないんですよ、日本に、制定法が。そういうものがないんです。  だから、その中で国民の危惧というのは、民間企業を含めた個人情報の保護法がない中で、個人の識別情報を統一的に保有する、それがどんどん広がっていく、そういう活用をされることに対して、現状の四情報が大量に使われるということ自身にも現場の人たちは危惧の表明をしているわけでしょう、今言いましたけれども。そういう中でこれが出されるということに対する危惧というのは、やはり私は、こたえなきゃいけないし、それは消えないと思いますよ。そういう問題があると私は思っているんです。  ですから、今何をしなければならないかという点で、国民や実際に住民基本台帳事務に携わっている人と自治省の間の認識にギャップがあるといいますか、そういうふうに私は思わざるを得ないわけなんです。  それでもう一点、ちょっと時間も来ますので聞いておきます。  先ほどから将来の話の中身がいろいろ出てきて、法律改正しなければそんなことはできないんだという話で大臣もお答えになっているんですが、その点に関してちょっとお聞きしておきます。  九六年三月に、自治省行政局長の私的研究会で、先ほども出ましたが住民記録システムネットワークの構築等に関する研究会、この報告書の中に、このネットワークシステムは、公的部門の高度情報化のための基盤整備として導入されるものである、こういう表現が出てまいります。この基盤整備として導入されるというのは、一体どういう意味なのか、皆さんにわかるように、私にわかるように御説明ください。
  112. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このネットワークシステムにつきましては、市町村の区域あるいは都道府県の区域を超えた、いわば全国単位での本人確認するシステムを整備しようとするものでございます。  したがいまして、各市町村住民基本台帳事務効率化あるいは広域化に役立つ、あるいは国の行政機関などに法律の明確な根拠に基づきまして本人確認情報を提供するということで、行政効率化に役立つ、そういう意味情報化の基礎的な部分をなす、こういう趣旨でございます。
  113. 春名直章

    ○春名委員 よくわかりませんけれども、要するに、国民の不安、私たちの不安は、マスターキーになってしまうんじゃないか、このコードが。それでいろいろな情報が、公的部門の基盤整備、そういう方向が出ているんですよ、今は四情報で限定的だけれども。それは議論して法律が変わらなければできないんだということをおっしゃっているわけだけれども、それが出てきたときにはそういう議論をすることになります。しかし、基盤整備というのは、そういう方向の議論の中でこれが選ばれてきたというふうにしかとれないんですよ。そういう問題として私は見る必要があると思う。  それと同時に、納税者番号制のことも今出ました。この報告書の中では、納税者番号制への活用のことも率直に言われています。税制調査会を初めとした各方面の議論を踏まえて、将来的に納税者番号制度が導入される場合においては、このネットワークシステムの活用が可能である、こういう表現が出てまいります。はっきり書いてあります。  つまり、自治省は、今はこれはできません、今の改正ではこれはできません。それはわかります。しかし、今、政府税調もそういうことを検討されている。すぐにとはいかないけれども、将来的にはそういうことは当然あるということを前提にお考えになっているのか。自治省は、そういうことを前提に考えた上でこういうものも導入されるというふうな認識なのか、そうではないのか。その辺はどうですか。
  114. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 これは、先ほど古賀委員にも申し上げたんですが、基本は、どういうような利用目的でそれに接続をしていくかとか活用していこうかということになれば、それはそれで法律の上できちんとした手当てをしなければ、この法案に基づいてすぐあれに使う、これに使うということにはならないのであって、それは納税者番号制度への利用ということにおいても同じ問題であって、要は、この国会における、立法府がどう判断をするかということにかかっているということは申し上げておきたいと思います。
  115. 春名直章

    ○春名委員 最後に一点確認しておきます。  今回の改正内容のままで納税者番号制度に活用することが可能になるのか。これはシステム上の問題ですね、今回の改正のままで納税者番号制度に活用することが可能になるのか。法改正は別ですよ。あるいは、改正案システムに変更を加えないとこの活用はできないのか。これはどちらでしょうか。そのことを最後にお聞きしておきます。
  116. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 納税者番号制度につきましては、先ほど大蔵省の方からもお話がございましたが、政府税制調査会において検討がされているところでございます。  どのような目的のもので、どのような方式のもので組み立てられていくのか、やられるのかということについて、そういうことがはっきりいたしておりませんので、その段階で今のそのシステムがどうかということはお答えできないと思います。
  117. 春名直章

    ○春名委員 私は、技術的にできるかどうかということだけ答えてくださいと言ったので、申しわけないけれども、そのことだけお答えいただけませんか。
  118. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、システム論あるいは技術的な面においても、そこら辺がはっきりしないとお答えできかねますので、御了承いただきたいと思います。
  119. 春名直章

    ○春名委員 いろいろ疑問が深まったということを申し上げまして、質疑を一層深めていくことを確認して、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  120. 山本公一

    ○山本(公)委員長代理 次に、桝屋敬悟君。
  121. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。引き続きまして質疑をさせていただきます。  委員長がいらっしゃらないのであれですけれども、委員長にもお願いしておきたいんですが、外はもう日も暮れておりまして、我が地方行政委員会、本当にどうしてもこんな時間になるなという思いがありまして、理事の一員としてできる限り正常な時間帯でやりたい。もちろん、国会全体の運営はよくわかっておるわけでありますが、我々野党としても、今まで随分協力もしてきたわけでありまして、ここにこれだけたくさんいらっしゃいますけれども、私を初め随分おなかも減っているわけでありまして、なかなか元気な質疑もできないなと。私は、やはりきちっと健康管理をしたいなと思いつつも、まあ前置きはそのぐらいにしますが。  御配慮を賜りたいというふうに委員長お願いしたかったんですが、委員長がおられませんので、お伝えを願いたいと思います。  さて、朝からきょうの審議をずっと聞いておりまして、やっと審議が始まったわけでありますけれども、審議をする中でさまざまな問題点が明らかになりつつあるな、こんなふうに思っているわけであります。  同僚の古賀委員の方からは、御丁寧にカテゴリーまで整理をしていただきまして、八つのカテゴリーがあると、これは非常に参考になるわけであります。きょうはその総合的な見地からそれぞれ各党第一回の質疑をしているわけでありますが、さらには財政と費用対効果、あるいはシステムの拡大、ネットワークのあり方、システムの信頼性、さらにはICカードの問題、個人プライバシーの問題とか、行革と地方分権、各国の事例研究などなど、さまざまなカテゴリーがあるということも教えていただきました。  では、私もこのカテゴリーに沿って審議をしっかりやらせていただこう、こう思っておるのでありますが、全部やるのは大変難しいわけでありまして、きょうは、まず、総合論と、それからネットワークシステムの拡大というようなことをしっかり議論をさせていただきたい、このように思うわけであります。  やはり、きょうのこの初日の審議というものは、ある意味では全国民が関心を持って見ておられるのではないか。新聞の報道の中には、非常に国会は低調だ、この問題に関して審議が行われていないというような報道もありますけれども、逆に言いますと、やはり多くの国民が関心を持っている事項でありまして、そういう意味ではしっかりと審議をしていきたい、こんな決意もさせていただいておるところであります。  さて、本会議でも、最初のテーマは、システムがこれから拡大をするのではないかという心配をしているわけでありまして、それは多くの国民が共通に持っている部分でもあります。その辺の懸念を払拭しなければならぬわけでありまして、言葉をかえますと、国民総背番号制と本当にどう違うのかということは、やはりきっちりこれは全国民に理解をしていただく必要があるだろう、こういうふうに思っております。  本会議では、大臣は、今回のネットワークシステムは、地方公共団体共同の分散分権的システムであり、保有情報住民票コード、四情報と付随情報のみとするものだ、国が相互利用の促進を図るために導入する番号制というものとは異なるんだという説明をされました。これでどれぐらい国民が理解をされるのか大変心配でありまして、さらにそこはしっかり議論をしたいというふうにまずは思います。  大臣、確かに今回の仕組みは、午前中からも審議をずっと聞いておりまして、地方公共団体共同の仕組み、分散分権という表現を大臣はされておられますけれども、我が国におけるプライバシー保護への大変大きな懸念、やはり国民の感情にも似た思いがある中で、住民基本台帳という仕組みを変えて付番をするというやり方は、どなたがお考えになったか知らないけれども、確かに、ある意味ではわかりやすい方法かな、うまい方法だなとも思うわけであります。説明しやすい方法だなというふうには私は理解をするのでありますが、しかし、どういう説明をしようとも、赤ちゃんからお年寄りまで、間違いなくその人だけのナンバーがつく。住民票コードという表現を途中から、国民の理解を得るためでしょう、表現を変えておられますけれども、住民票コードたりといえども、あれはバーコードではないわけでありまして、十けたの番号が、私の番号がつくわけであります。  赤ちゃんからお年寄りまで全国民につくということは、これは我が国の行政史上初めてのことでありますから、これは大変私は大きな出来事だ、いやいや、これはもう住民基本台帳をちょこっと変えるのですよというようなことではなくて、やはり全国民に固有の番号がつくという、付番をされるということは、これはたとえ大臣たりといえどもその事実は、今回の法改正によって結果そういうことになるというのは、大臣、間違いないわけですね。全国民に番号がつくということ、この事実は、大臣、大きな出来事だというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。大臣の御感想をお聞きしたいと思います。
  122. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 考えようによっては大きな出来事なのでしょうね。  率直に言って、それぞれの行政事務の中で、既に税務署などでは、うんと早くから税務署独自の一つのナンバーをつけて管理をしておったことは周知の事実でもございます。ADPシステムという中でやってきている。あるいは、年金等の管理においても、完全に一元的な形ではないにしても、それなりのナンバーをつけて管理をされてきたし、運転免許にしても、それぞれの行政の目的の中でやってきているわけで、今回、少なくともこれだけのネットワーク社会になり、高度情報化社会になって、その中で、地方自治体においても、住民サービスについて、住民の利便性の向上ということも念頭に置く中で、どうやってスピーディーに、しかも利便性を向上し、しかも充実した行政サービスを提供していくか。これは民間企業であっても、当然のことながら、内部におけるそういったことをどうやって徹底していくかということは、企業の競争力そのものの存立にかかわっていくようなレベルにまで今日なってきている。  そういう時代における地方自治体における行政のあり方として、いつまでも前時代的なやり方で依存していていいものかどうか、そういうようなことを考えた場合に、私は、個人的に言うと、遅きに失しているという見方さえあってしかるべきテーマである。  ただ、それぐらいこの点について、今御指摘がありましたような、みずからのプライバシーについて疑念、懸念というものがあって、そのことにどうやってきちんと対応できるか、そういう中から、ようやく、いろいろ研究を重ねて今日に立ち至ったわけでございます。  そういう点で、これが大変なことなんだということに値するのかどうか、私は、今日のネットワーク化された高度情報化社会の中で、そこまで大げさなことになるのかどうかというのは、ちょっと私自身は見方によるのじゃないかという言葉でとどめさせていただきたいというふうに思います。
  123. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いずれにしても、今大臣のお答えの中に、ただいま我が国はほとんどの国民がいろいろな形で付番をされている、それは、行政情報を見る限りにおいても、さまざまな分野で確かに電子計算化といいますか、OA化が進んでいるわけでありますから、番号はいろいろある。それは確かにそのとおりであります。  しかし、本当に赤ちゃんからお年寄りまで、場合によってはすべての行政情報基礎部分として、ある意味では共通番号になり得るわけですから、なり得る道を開くその番号が付されるということは、今までもたくさん番号はあるんだからいいじゃないか、そんなに大きな変化じゃありませんよという認識は、私はちょっと違うと思っております。  したがって、我が党ももちろんまだ結論を出したわけではありません。これは対決法案ではないという話も随分理事会等で出ておりますけれども、端的に言いますと、党内で対決しているような、党内対決法案でありまして、いや、それは党内対決が悪いということじゃなくて、やはりこの問題に関して、どんなグループ、どこでもやはり個人のプライバシーを守るという観点から、全く意見が対立してくる、この法案に対しても意見が対立してくるという、その事実があるということを私はぜひ大臣に御理解をいただきたい、こう思っておるわけであります。そうした認識に立って、我々はしっかり国会審議をしなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。  先ほどもずっと皆さんの、同僚委員議論を聞きながら、横で同僚の委員とも小声で話をしておりましたら、今から私はシステムの拡大という話をするわけでありますが、先のことまでそんなに心配しなさんな、さっき大臣もおっしゃいました、先はまた法律にゆだねられているんだから、国会の責任においてやることなんだからいいじゃないか、それはそのときにしっかり議論すればいいことだ、こうおっしゃったけれども、私は、先ほどからの議論を聞いていますように、まさに我が国の行政の大きなエポックメーキングとなるような出来事だと思っています。  少なくとも、これが総背番号制だとは僕は申し上げませんけれども、少なくとも番号管理社会の入り口の扉を今まさにあけようとしている、今までも番号はたくさんありますよ、あるけれども、共通番号ができるということではまさに扉をあけようとしているわけでありますから、扉があいたその先の世界はどうなるのかということは、私はやはり今入り口部分でしっかり議論をしなきゃならぬ、先で議論すればいいというものじゃないだろうというふうに思っているわけでありまして、そういう意味ではしっかり議論をしたいというふうに思います。  そういう意味では、大臣、それは先のことだから、そのときに国会審議すればいいじゃないかという姿勢ではなくて、やはり今考えられる可能性については、もっとあのときに仕組みをきっちりやっておけばよかったな、まさかこんな時代になろうとはだれも想像しなかったと、コンピューター社会というのはそこまで動くわけでありますから、ただいま、我々の限りを尽くして、人知の限りを尽くしてやはり検討する責任が国会に課せられているんではないか、私はこう思うわけであります。  そういう観点で、ちょっと最初のテーマとして、今回の仕組みは住民基本台帳法法律の枠の中でやられるわけでありますけれども、一つは目的ですね。今回の住民基本台帳改正法案ではこの目的は変えない、こういう話であります。  この点については、本会議でも大臣と議論させていただきましたけれども、大臣は、住民基本台帳基本的な枠組みは維持しつつ本人確認のための仕組みを付加するものであって、法の目的に沿ったものだ、したがって、この第一条の目的は変える必要はない、今回、むしろこの目的に沿った改正をするんですよ、こういうお答えをされました。私はこの部分がまだいまだに疑問に感じております。  それで、さっきから言っているように、まさに我が国の行政の中で大変な出来事だ、大臣はそうでもないとおっしゃるが、私はまさにエポックメーキングだと思っていますから、そういう意味では、大きな出来事のときにやはりこの法律趣旨といいますか目的をもう一回総点検してみる必要がある、さっきも言いましたように。これから下手をすると番号管理社会になるかもしれない可能性をはらんだ世界に一歩踏み込むわけでありますから、法律趣旨、目的というのはきっちりと点検をしておく必要があるだろう、将来法律改正するときでもその目的というのはやはり極めて大事だというふうに私は思います。  新しい仕組みをこの法律改正して、例えば納番にしても年金番号にしてもそうでありますけれども、そういうものを活用しようとしたときに、どういう観点法律改正をしていいのかということはやはりスタートのときにきっちり議論しておかなきゃならぬだろうと私は思うんですね。  そういう意味では、この法律の目的というのは、「この法律は、市町村において、住民居住関係の公証、選挙人名簿登録その他」ずうっとありまして、「住民住所に関する届出等の簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳制度を定め、もつて住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政合理化に資することを目的とする。」この目的は変えない。変えないどころか、今回の改正もこの目的に沿ってやるものだというように大臣確認させていただきたいんですが、それでよろしいですか。
  124. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 まことに御指摘のとおりでございまして、住民基本台帳法は、その第一条「目的」というところで、市町村において住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳制度を定めることにより住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政合理化に資することが目的と、こう規定をいたしておるわけでして、まことにそのとおりであると思います。  それで、特に今回の住民基本台帳ネットワークシステムの構築というのは、全国的に市町村の区域を越えた本人確認ができるような仕組みを付加するものでありますけれども、市町村住民基本台帳制度を運営するというこの制度基本的な枠組みというものは変更はしないということであります。  さらに、国の行政機関が本人確認情報利用した事務処理を可能とすることによりまして、住民の利便を増進するとともに、国の行政合理化にも資するものであるということでございます。  したがって、住民基本台帳ネットワークシステムの構築というのは、あくまでも現行の住民基本台帳法の目的の範囲内においてなされるものであると認識をいたしております。
  125. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今回の改正法案の内容を見ますと、先ほどから議論が出ていますICカード、住民票カードですね、この利用について、もちろん各自治体の条例でもって定めるということになっておりますけれども、その道が開いている。これは、場合によっては限りない、いろいろな住民サービスがあるわけで、そこは、例えば今大臣が御説明されたこの第一条の「目的」、「もつて住民の利便を増進する」というところで読み切られるのかどうなのか。私は、ICカードというのは、高齢者の保健、福祉、医療サービス等に、また後ほどお話ししますけれども、後で議論はちゃんとしますけれども、多分大きな影響を与えるだろうと思っておりますが、そういうことまでこの「住民の利便を増進する」ということで読み切られるのかなと。  あるいはまた、今回の法改正では、新たに県の役割というのが、今までの住民基本台帳の仕組みとは別に県の役割が入ってきますね。都道府県という役割が入ってくる。そうしたことが果たして私はこの「目的」だけで読み切れるんだろうかな。この「もつて住民の利便を増進する」、これで全部読み込むのかどうかちょっと確認を。  私の理解は、この法律をどう読んでみても、住民登録住民住所に関する届け出等の簡素化を図るという観点で、そうした作業の利便を図るというように読むのではないか、そのまさに住民登録住民基本台帳住民票のその処理をめぐって、それに係る利便ではないのかというふうに思うんでありますが、それをちょっと超えているんじゃないか、その超えた部分もこの利便で読めるのかどうか御見解を伺いたいと思います。
  126. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳カードにつきましては、これは、このシステムにおいて、例えば住民票の写しの広域交付あるいは転出転入手続簡素化という場合に大いにその実施のためには役立つ、そういうものでカードというものをネットワークシステムにおいて位置づけておりますので、先ほど申し上げました趣旨そのものということで目的の中に入るものだと考えております。  都道府県の役割は、広域的な地方公共団体という点に着目いたしまして、市町村の区域を越えて、さらに都道府県の区域を越えますけれども、それで、広域的な住民基本台帳ネットワークシステム、広域交付あるいは本人確認情報の提供という場合には、やはり広域的な団体である都道府県の役割ということになりますので、これに都道府県が調整の役割を果たすことも、この中で住民基本台帳制度を定める、その制度をより効果的に運用するということで目的の中に入っていると考えております。
  127. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 では、違う確認をしますと、「もつて住民の利便を増進するとともに、」というこの住民の利便というのは、いわゆる住民票の分野に関して利便を図るということなんですか。それ以外の幅広い行政全体をも指して言っている意味なのか。そこの見解はどうでしょうか。
  128. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 「もつて住民の利便を増進する」というのは、究極の目的として住民の利便につながるということでございまして、住民基本台帳事務及び国の機関等に本人確認情報を提供するということによる利便も入ります。  というのは、ちょっと御説明させていただきますと、住民基本台帳制度ができたときに、届け出がそれぞれ行政手続ごとに別である、台帳も別であるということで、住民の方の不便もあるし行政効率化も阻害されているということ等、それが主な制度の目的でございます。
  129. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ですから、今の局長の御答弁では、この住民の利便を図るということは、やはりここに書いてある住民居住関係の事実確認といいますか、そうした住民票の事務処理するという意味で利便を図るというふうに読むのが正しい読み方なんでしょう。今の説明ではそういうふうに私は読めるんですよ。  何で私はここまでしつこく聞くかというと、先ほど大臣がいらっしゃらないときに、政務次官が胸を張って、今回の改正について鰐淵先生の質問に対して最後にどういう所見を述べられたか、決意を述べられたかというと、高齢者や被災者等の弱者に対する配慮の行き届いた社会づくりを進めていく際の社会を支えるセーフティーネットとなるものであるというように私は確信していますよ、このようにさっき政務次官はおっしゃった。  この表現というのは、もう住民基本台帳の世界からとっくに離れて、今回の住民票コードあるいはICカード等を利用して次なる世界にまさに進もうとしている、少なくとも住民基本台帳法議論をしているときの政務次官の最後の決意としては、何を議論しておるんだろうかということを私は素朴に感じたんです。直観であります、直観。  そこは、大臣どうですか。まあ、大臣はいらっしゃらなかった。もう一回、私間違っているかもしれない、局長、そういうふうにたしかおっしゃったんですよね、政務次官は。
  130. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 新しい住民基本台帳ネットワークシステムが構築され、そして、特にそれぞれの当該市町村自身のネットワークの構築というだけでなくて市町村のみずからの行う行政自身の中でもそれぞれの担当部局の中でこのことが効率的に生かされることによって、そういういわゆる高齢化が進んできたその福祉行政に関する業務に関してもよりスピーディーな対応が可能になるのではないか、そういったことを踏まえての発言である、またそれに対する期待の表明であるというふうに思います。  しかし、広く言えば、そのこと自身が自治体自身の行政事務合理化なり簡素化効率化ということに大いに役立つということは何人も否定し得ないことだ、私はそう思っています。そういう意味で、福祉行政関係する業務がさらに充実されて、そしてスピーディーな対応ができるということは大変結構なことだし、期待がされることだ、私は、そういう思いで政務次官が御答弁を申し上げたのではないかと今話を承りながらそのように感じた次第でございます。
  131. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣、そのときにいらっしゃらなかったからそのように御説明をされるんでしょうが、大変元気いっぱいに胸を張って決意を申されたわけでありまして、今の大臣のその御説明、多分政務次官はこう思ったんじゃないか。確かに、高齢社会、おじいちゃんやおばあちゃんがふえる。当該市町村を越えて他市町村でも広域的に住民票の写しがもらえる、交付してもらえる。あるいは、転出転入のときに今まで二回だったものが一回で済むよ、役所へ行くのは一回で済む。その利便性、その利便が向上するだけで果たしてセーフティーネットという言葉になりますか。もっと違う思いがあるんではないか。  きょうずっと一日の議論を聞いていまして、今回のこの住民票コードそれからICカード等を活用して、まさにセーフティーネットと思われるような分野にまでこの住民基本台帳の世界が踏み込むのではないか。私は踏み込んでもいいと思うんですよ、場合によっては。だから、本当にそこのところはちゃんと、いやいや、そういうことを言うとプライバシーの問題に関するからそれは言えないんだ、それは先の問題でしょう、まずは今回乗り越えておいて、番号さえ導入すれば何でもできる、次は国会でちゃんとやるんだから問題ないじゃないかという、小さく産んで大きく育てるみたいなことではなくて、そうではなくて、私は、やはり入り口を開く今このときに、趣旨、目的までちゃんと明確にした方がいいと。  私は、ある意味では将来の住民基本台帳を、IDカード等さっきから納番とかいろいろ出ています、そうしたものが利用するであろう、だれが考えたって利用しますよ。それを利用するということを想定して目的規定ぐらいまではちゃんと検討するという姿勢があった方がいいのではないかというふうに私は思うんでありますが、いかがでありましょう。
  132. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 まさにこの目的規定に合致しているんではないかというふうに実は感じまして、例えば、介護なんかに関してもかなり広域的な対応をしなければならないというのはもうみんな予想しているわけで、その中でこういったシステムが上手にうまくそれぞれ活用されていくということになれば、ある意味では介護システム、介護制度そのものが幅広い意味での社会のセーフティーネットだという表現が現にあるわけであります。社会保障システムというのはまさに社会のセーフティーネットを構築する要素であるというのは、これは大体一般によく使われていることではないかと思います。そういう意味で政務次官がそういう表現をしたのだろうと思うんです。  そこで、この目的規定のところについて言えば、まさにそういう広域化している中で住民の利便が増進されるということにも役立つわけですし、あわせて自治体の福祉行政等々それに関連する業務のまさに合理化効率化ということにも資するわけでありまして、まさに合目的的といいますか、まさにこの目的規定に合致している今回の改正の中身ではないかと思っております。
  133. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 もうこれ以上の議論はいたしませんが、「もつて住民の利便を増進する」あるいは「国及び地方公共団体の行政合理化に資する」ということは、今の大臣のお答えでありますと、住民基本台帳事務以外にさまざまな行政を全部包含した概念だという御説明ですね。  ですから、それは、この「住民の利便を増進する」あるいは「地方公共団体の行政合理化に資する」という観点では、これから先さまざまな法改正もその趣旨に沿って行われるということでありましょうから、ちょっと私は、これはまた議論をいたしますが、今の大臣の見解、ここの第一条をそうしたことで読むということで果たしていいのか、大きな懸念を現在のところは表明し、また次の議論にさせていただきたいと思います。  それで、やはり我々が一番心配しておりますのは、さっきから話がありますように、確かに現在の私たちの生活、国民の生活というのは行政上のさまざまなデータベースが構築されている、そのことは私も行政におりましたからよく知っております。幾つぐらいあるのか、地方あるいは国を含めましてデータベースが一体どれぐらいあるのか。恐らく、データベースにはそれぞれID番号があるわけでありますから、そのデータベースの数だけ私たちには番号がいろいろなところで付されているというように思うわけでありますが、今回、リンクするものではないにしろ、一つ住民基本台帳という個人のオーソライズされた番号ができるということで大変危惧をするのは、やはりデータのマッチングということですね。  確かに、合理化を図るということで、データベースがそれぞれあって不合理だ、それはどこかで一本に結べばこれほど行政上の観点からいくと見やすい話はないわけでありますが、ただ、データベース同士がマッチングされますと、今回の住民票コードでマッチングされることを私は最大に懸念をするわけであります。そうしましたら、ありとあらゆる情報が、まさに私たちの情報が、行政情報だけでもすさまじい情報があるわけであります。  先日、私、年金の問題でちょっと現場へ行って話を聞きましたけれども、年金サイドが持っている今の年金番号、今二つ、三つあってそれを一本にするというので大変現場は苦労しています。どれぐらいデータが入っているんだと聞きましたら、それはもう年金のデータベースに入っている我々の個人情報だけでもすさまじいものがある。大体、どこで結婚し、どこで離婚をされて、どうやって仕事をしてどのぐらい収入があるかということは、もう一目瞭然でそこでわかるわけでありまして、そうしたデータベースがマッチングされるということは、民間じゃないですよ、行政のデータベースがマッチングされるようなことがあったら、本当に私たちの情報は丸裸になるな、こういう危惧を持っているわけであります。  そういう意味では、ネットワーク研究会で、これは平成八年三月に出された報告書でありますが、「ネットワークシステムからコード等のデータ提供を受けた行政機関は、当該データを基礎として構築するデータベースと他のデータベースとを電子計算機処理により結合してはならない」、こういうようにすべきだという報告が出ているわけでありますが、この部分はこの法案ではどのように整理されているのか、お伺いしたいと思います。
  134. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お話しの研究会において、諸外国の事例なども踏まえ、また、我が国における個人情報保護制度の現状を分析した上で、今お話のありました指摘がなされているところでございます。私どもといたしましても、その後、各界の代表者、有識者による大臣主宰の懇談会、あるいは国会での御議論、各方面の御意見を踏まえまして、システム構築に向けた検討を行ってきたところでございます。  今回の改正法案におきましては、本人確認情報の提供を受けた国の機関等は、法令で定められた目的以外の目的のために本人確認情報利用または提供をしてはならないというふうにいたしているところでございます。この本人確認情報の目的外の利用、提供の禁止ということで、それによりまして、法令で規定された目的を超えましてデータ照合を行ったり、またはデータ照合のためにデータを提供するということは、本人確認情報の目的外利用、提供に該当しますので、これは規制される、できないということでございます。
  135. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そうすると、わかりやすく説明していただきたいのですが、このネットワーク研究会の報告書で出されたデータベースの結合、これは行政情報でもしないようにしようということでありますが、それは貫かれているということでいいんですか、本当に。もう一回ちょっと。
  136. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 本人確認情報の提供を受けた国の機関等でございますが、それにつきましては、研究会の考え方は貫かれておりまして、データマッチングをしてはならないということでございます。
  137. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。ちょっとそれは、もう一回詳しく確認をさせていただきたいのですが、もう一回ここで確認しておきたい。  局長、それはない、データマッチングはない、できないということは、法案条文としてはどこにきちっと書いてあるわけですか。もう一回教えてください。
  138. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 個人情報本人確認情報の提供を受けた国の機関等でございますから、三十条の三十四で、受領者というのは国の機関等ですが、「当該事務処理に関し本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行に必要な範囲内で、受領した本人確認情報利用し、又は提供するものとし、当該事務処理以外の目的のために受領した本人確認情報の全部又は一部を利用し、又は提供してはならない。」このように定めを置いております。
  139. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 だから、データベースの結合はできないということですな。私は、ここは一番大事な部分だろうと思いまして、お役所に対して国民が本当に信頼をしていればいいわけでありますけれども、こういう時代、国民がお役所をどれぐらい信頼をしているかというと、私はなかなか厳しい状況があるだろうと思うわけでありまして、我々の知らないところでさまざまなデータが、データベースができ上がる。  これは、データベースのマッチングというのは本当に見やすい話でありまして、住民票コードが一つできたことによって、考えようによってはありとあらゆる作業ができるわけでありまして、私も役人の端くれをしておりましたからわかるのですが、もうこのデータベースとこのデータベースを絶対ひっつけたい、のどから手が出るほどひっつけたいと思うのですよ。その力というのは間違いなく加わってくる。それは大臣おっしゃったように、役人でありますから、最初から悪いことをしようなんて思っているわけじゃないのです。住民のサービスを向上するためには、この情報はひっつけた方がいい、データベースをつくった方がいいというふうに絶対思うわけでありまして……(発言する者あり)やった本人が、いや、私はそういうことをしておりませんけれども、そういう役人の、現場で仕事をされる皆さん方の力学というのは、本当にそういうふうに働くだろう。したがって、今の話は絶対に法律で禁止されているということでありますから、一応は安心するわけであります。  ちょっと言葉をかえて、違う観点でお聞きしたいと思います。  もう一つは、やはり心配なのは民間ですね。民間の、特に金融機関あたりにこのデータベースが流れると本当に大変なことになるわけでありまして、特に金融機関、ここへ流れれば丸裸になるというふうに思っているわけで、これは民間は利用を禁止されております、住民票コードを利用したデータベースを作成してはならないというふうになっていますね、民間は。  逆に言うと、私は行政機関はできるのじゃないかと思ったのですが、今の御説明では、行政機関もデータベースをつくることはできないと。本当に何度も確認して申しわけないのですが、住民票コードを利用して行政は、どこの部分であろうと、国であろうと都道府県であろうと市町村であろうと、データベースをつくれないということですね。このように理解していいのですか。
  140. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 市町村などが、それぞれの行政主体が法令で定められた事務処理を行うに当たって、本人確認情報のいわば電子計算機処理を行うことが事務処理の効率性の観点から適当でありまして、その前提として、住民票コードを内容とする本人確認情報をデータベース化する必要があります。この場合においても、本人確認情報の目的外利用が禁止されておりますので、法令で定められた事務処理以外の目的のために住民票コードなどの本人確認情報をデータベース化することは認められない、禁止されている、こういうことでございます。
  141. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 繰り返しの質問で申しわけないのですが、これほどの設備投資をして、ある意味では逆に、データベースをぜひつくりたいというふうに思う、さっき申し上げたような気持ちが働くわけで、本当に大丈夫かなと。国、都道府県、市町村を通じてそれはないということであればそれで安心をするわけであります。  私、何でこんな質問をしておるかというと、今の現場での個人情報の流出事件というのはさまざまあるわけでありまして、現実の企業活動において、個人情報収集活動というのはすさまじいものがあるわけですね。我々の想像をはるかに超えた、名簿屋といいますか、さっき名寄せという話もありましたけれども、それはもう大変な勢いでありまして、当然ながら、行政の持っているデータベース、これをいかに手に入れるかということは、これからこの制度が始まれば、恐らくそこがそうした分野の大きな関心事になるんではないか、私はこう思っているわけであります。  今まで、どうでしょうか、市町村の不祥事、住民票がばさっと外へ漏れてしまったというようなこと、事件は幾つか私は新聞情報で聞いているのでありますが、そうした事件というのは今までに何度かありましたでしょうか。
  142. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳関係で、最近において、情報漏えいというんですか、それに関係する不祥事でございますが、平成六年に、ある市におきまして、廃棄すべき旧閲覧用の台帳の管理不徹底のためにコピーが外部へ流出した事件が発生しております。また、平成四年に、ほかの市でございますが、閲覧時の監視体制の不備によりまして、閲覧用のマイクロフィルムが閲覧の最中に外部へ持ち出される事件が発生をいたしております。
  143. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 最近はその二件ぐらいですか。
  144. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 主に大きいのはそのように承知しております。
  145. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 小さいのまで伺いたいところでありますが、外部に漏れてどこへ流れたか、教えていただけますか。平成六年、外部にどのぐらいの量が漏れたのか、どこへ流れたのか、教えていただきたいと思います。
  146. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 平成六年のケースでございますが、マスコミの方が市役所の方に来られて、閲覧用の住民台帳のコピーと思われる紙を数十枚、さらにもう一枚が提示されたということで、調査の結果、外字の特徴から、その市の電子計算機によってデータ処理された住民台帳のコピー、こういうふうに判明したということでございまして、ちょっとデータ量等はわかりません。
  147. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 また後日でも結構です。事件の概要も知りたいと思うんですが、恐らく私は、これは外部の名簿業者あたりに流れたのではないか。やはり流れるのはもともとニーズがあるから流れるわけでありまして、必死になって企業活動ではこうしたものを求めているということがあるわけですね。  大臣は本会議の中で、本当に罰則等も重たくしている、こういう御説明もありましたけれども、この制度が始まれば、住民票コードをいかにして手に入れるかと必死になってねらっている者がいる、ねらわれているんだという認識のもとに私たちは仕事をしなきゃならぬと思うんです。  既に最近でも、結構大きいものでも二件ぐらいの流出事件があるということでありまして、今度はオンラインでみんなつながっているわけでありますから、よその情報を全部とれるかどうかわかりませんけれども、どこかに一つ穴があけば全部流れちゃうんじゃないかという心配もするわけでありまして、それをねらっている人は必ずいる。そのねらっている人たちの技術というのは我々の想像をはるかに超えたものを持っておられるということがあるわけでありまして、大変に私はその辺を危惧します。  それで、もう一つ確認しますが、民間機関において禁止されているのは、あくまでも他へ提供するためのデータベースをつくっちゃいけませんよと、自社内部でデータベースは幾らでもつくってもいいわけですね、手に入ったものは。外へ出ない限り、流れない限り、表に出ない限りわからぬわけでありますから、私は本当に、まさにブラックの世界でどんなことが起きるのか、大変に心配をするわけであります。  もう一つ確認でありますが、今回、各市町村の現場を考えますと、既に九〇%以上電算化をされているという説明は何度も受けているわけでありますが、既に電算化されたシステムが各市町村にあるわけでありますね。それに今回新たな、全国統一といいますか、四情報プラス住民票コードの住民ネットワークシステムがかぶさってくるわけでありまして、これは各市町村の現場では完全に分離をされるということで理解していいですね。  市町村が今まで自分のところで住民票のデータベースをつくっていて、しかもOA化している、電子計算化しているというところについては、今回の仕組みが入ってくると、そこは別に分けてうまくできるんでしょうか。ちょっと具体的な御説明を。概略だけで結構です。
  148. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムは、それぞれの市町村の既存の住民台帳システムと全国ネットワークの間にコミュニケーションサーバーというものを新設いたしまして、それを介して全国的にネットワークするというものでございます。  住民基本台帳システム市町村のものには本人確認情報以外のネットワークで使用しない個人情報も入っておりますので、個人情報保護ということを最大限考えまして、既存の住民基本台帳システムと各市町村のコミュニケーションサーバーと直接接続しないという方向で検討をいたしております。
  149. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 まさにコミュニケーションサーバーというのが極めて大事になってくるだろうと私は思うんですが、住民票コードを新たに導入するわけでありますから、今までそれぞれ市町村がおやりになっていた住民票のシステム、これも当然ながら市町村としては、恐らく今まではID番号はほかのものがあると思いますが、それを変えたいと思うと思うんですよね。そうすると、どこかで接続した方が一番見やすいわけでありますけれども、それはせずに、フロッピーか何か、バッチ処理か、別々にやるということですか、行ったり来たりはうまくいくんですかね。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 技術的なお話になりますが、ファイアウオールをかぶせた上で、技術的に遮断する仕組みをかぶせた上で、基本台帳システムとコミュニケーションサーバーとは、ある時期にそこのデータを、四情報プラスコード付随情報をコミュニケーションサーバーに保有させる、こういう仕組みでございます。
  151. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 だから、それはつなぐということじゃないですか。その時点ではつなぐわけですね。何かのセキュリティーの仕組みはかませるけれども、一時期はつなぐということでしょう。
  152. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 ファイアウオールという遮断の仕組みをかぶせた上で、付加した上で、それでつなぎますが、直接接続という方式ではない、こういうことでございます。
  153. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 時間があったらもうちょっとやりたいんですが、ファイアウオール、僕はちょっとそこまでコンピューターに詳しくないんですが、具体的にはどうするんでしょうか。ラインで結ぶわけじゃないんですね。ここにいらっしゃる人、皆さんわかっておられるのかな。皆さんわかっておられれば結構なんですが、私がわからぬものでありまして……。
  154. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民基本台帳システムとコミュニケーションサーバーとの、流れるときに、いわばダムのようにせきとめる仕組みをつくりまして、それで何重にもそのほかのデータが出ないようにするシステムでコミュニケーションサーバーに本人確認情報を保有させる、こういうことでございます。
  155. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 余り小さいシステムまでここで議論するつもりはないのでありますが、しかしつなぎの部分というのは、大臣、コンピューターで一番怖いのは通信ですから。通信というのはよくわからぬのです。私もわからぬのです。自分でコンピューターを使いながら、インターネットを初め通信となると全くわからなくなるわけであります。  私は、ここにいらっしゃる方々もそうでありますが、ぜひその辺の部分は現場で、しかしこういうものはまだないわけですね。できれば、デモといいますか、こうしたシステムがもし参考に見られるようなところがあれば御紹介いただきたい。我が委員会でも、そうしたものはしっかりこの目で確認しないと、少なくとも我々素人から見てもこのセキュリティーは大丈夫だ、こう思えるようにならぬと、今のその部分が、さっきの話じゃありませんが、ある役場で、役場市町村かわかりませんよ、市町村なのかわかりませんが、ばさっとなくなったと言っておるわけですから。  そういうことがこの移行期に行われたら、大変な情報が漏れるわけでありますので、ぜひそういうところがあれば、委員長お願いしておきたいのですが、その辺もしっかり、我々が理解できるもので一回見た方がいいのではないか、また理事会等でお諮りをいただきたいと思います。よろしいですか、委員長。場合によってはデモぐらいを見るというような活動もされた方がいいのではないか。理事会でまた検討いただけますか。
  156. 坂井隆憲

    坂井委員長 理事会で話題にしてください。
  157. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 さてそれで、時間がなくなってまいりましたので、今度は現場の市町村の立場から今回のこの改正をどういうふうに見るのかという問題でありまして、今回はいろいろな議論がなされていますが、せっかく現場でやっているものを、国でばさっと一つ住民票コードというのを決めて、上から全部押しつけてしまうんじゃないか、こういう印象を受けている感もあるわけであります。  この点については、大阪府の高槻市議会から提出された意見書では、地方からオンライン化を求める要望が上がっていないじゃないかというような指摘もあったようでありますし、地方自治体にも説明がない、これほどの大きな改革に当たって十分な説明がないという声もあるようでありますけれども、こうした実態をどのように把握しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  158. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 地方団体からの要望あるいは意見でございますが、全国市長会からは、平成九年十一月に、ネットワークの整備を推進するため早期に住民基本台帳法改正するという要望をいただいております。また、全国町村会からは、平成九年の十二月に、法改正を早急に行い、制度化を図るとの要望をいただいております。全国知事会からは、平成九年三月に、住民基本台帳ネットワークシステムについては、住民サービスの向上、行政効率化、高度化に資するものとの御意見をいただいているところでございます。  また、地方団体からの意見聴取でございますが、先ほどのネットワークの研究会には、地方団体の実務者、市区町村の担当課長さんにも入ってもらっております。また、懇談会の際には、地方公共団体の長にも御参加いただいて、意見をお聞きいたしております。  また、これまで基本台帳法の一部改正試案というものを平成九年六月に公表、あるいは平成十年の二月に法律案の骨子を公表いたしました。また、三月には、国会に提出した法律案の参考資料など、これらを都道府県を通じて市町村へ配付し、また各市町村の首長さんあるいは議長さんに対しましても、法案の概要を直接送付して紹介をいたしておりまして、制度の概要につきましては各市町村においても十分御理解いただいている、こういうふうに考えております。  また、一部の市町村におきまして、最近、住民票の写し等の広域交付あるいは地域カードシステムについての検討がなされているところでございますが、全国的な広域交付あるいはこのネットワークシステムの稼働時期といったことの関係もありまして、限られた市町村同士での広域交付の実施あるいは地域カードシステムの導入というものをちょっと様子を見ているということで見合わせている団体が出てきておりまして、そういったところでは非常に支障も出ている、こういう状況でございます。
  159. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今も話がありましたけれども、全国市長会あたりからもその要望が出ているということでありますが、今の御説明の中で、住民票の広域交付ということはやろうと思ったけれども見合わせているところがあるという話でありましたけれども、既に今の住民票コードがないこの時点でも、共同で地域で広域交付、広域の住民票の写しの交付というのはもうやられているところがあるということですか。もしその辺の情報がありましたら、詳しく教えていただきたいと思います。
  160. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 非常に限られた市町村同士で、例えば一部事務組合という形をとって、そこで広域的な住民票の写しの交付ということで住民の方の要望にこたえているということはあります。
  161. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今回のシステムの最大の売りは広域で住民票の写しの交付が受けられるということでありますが、既に現在でもやられているところがあるということで、私も認識を新たにしたのでありますが、何もこのシステムがなくても、やろうと思えば、今は一部事務組合、こういう話がありましたけれども、そういう知恵も出せる、やろうと思えばできたんだということであります。もちろん、今回のこの仕組みが動き出している以上、その様子を見ているという状況もあるのでありましょうが、ちょっと認識を新たにいたしました。  それからもう一点、財政的な問題でありますが、市町村にとっては、今回の新しい仕組みが導入されることによって、また導入のときの経費あるいはランニングコストについて市町村の負担があるのではないかということもあるのでありますが、こうしたソフト開発あたりは、先ほどから、介護保険のシステム開発だけでも大変なお金がかかるという話がありましたが、その辺は市町村が一番心配をされます。住民基本台帳事務は現行でも一応地方交付税で措置されるというふうに私は理解をしておりますけれども、設備投資さらにはランニングコスト、それから都道府県、今回は県が新たに入ってきますね。県が入ってきて、県が指定情報処理機関、処理センターに委託をするというような経費が新たに必要になるわけでありますが、ここはこの制度改正された暁には交付税できちっと措置をされるというように理解していいですか。
  162. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お話のように、このシステム関係する事務は都道府県及び市町村事務ということでございまして、それに要する費用は都道府県、市町村の負担となるものでございます。  自治省といたしましては、本法律案が成立した段階におきまして、それぞれの地方団体がこのネットワークシステムの構築に円滑に取り組みができるように適切な財政措置を図っていくということで検討してまいりたいと考えております。
  163. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先ほどから、九〇%以上のところが既に独自のコンピューターシステムを導入しておるわけでありまして、今回国が全国共通の仕組みを入れられる、それで本当に手戻りになったりむだになったりするようなところはないのかなというのは大変私も心配をしておるのですが、そこはつぶさにこれからも検討していきたい、こんなふうに思っております。  さてもう一点、ICカードの問題でありますが、これもしっかり議論をしたいと思っているのですが、私自身もICカードを現場で導入する仕事をしたことがあります。何度かしかけましたけれども、ことごとく、成功したとは言いがたい状況でありました。  それは、さまざまな原因があったわけでありますけれども、ICカードの市町村行政利用状況でありますが、果たして本当にうまくいっているのかどうか。今回、もちろんどういう内容をやるかというのは市町村の条例でということでありますけれども、私は、何といいますか、市町村がICカードを利用するということはなかなかに難しい悩みが出てくるのではないかという気がいたします。  それは、現在のICカードが、民主党の岩國先生、出雲市の話がよく出ますけれども、私は、出雲市は大変にこのICカードで大成功し、住民の利便が大変に向上したという実態になっているのかどうなのかというと、ちょっと首をかしげている一人でありますが、ICカードの市町村行政利用状況、さらには本当に成功しているのかどうか。新しい仕組みを今回仕込まれるわけでありますから、その辺は自治省としてはどういうふうに認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  164. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  ICカードについてでございますけれども、自治省情報政策室というところでコミュニティーネットワーク構想というのを進めておりまして、その柱の一つといたしまして、ICカードを使った地域カードシステムの標準的モデルというのを作成して、市町村に普及するというような事業も行っておりますけれども、平成十年の四月現在で、この地域カードシステムというのを導入された地方団体が十三ございます。それから、その他独自のシステムを開発されました市町村が十四ほどございまして、現在、ICカードが行政に活用されておるというのは二十七団体という状況でございます。  率直に申し上げまして、いまだこのICカードの行政への活用というのは、はしりの段階というふうに申し上げるべきでございまして、華々しい利用状況とは申せませんけれども、私どもの地域カードシステムによって発行されたカードの枚数は現在十六万枚になっておりまして、前年度に比べて二万枚、一昨年に比べて五・三万枚というような形でございまして、導入いたしました市町村では着実に増加が図られておるというふうに考えております。  今出雲市の例をお引きになりました。出雲市の場合は、御承知のとおり、平成五年から児童カードというのが運用開始をいたしまして、約九千四百人にカードが配られております。それからまた、平成九年からは、十八歳以上の方を対象とする市民カードというものが運用されまして、これは五千五百人に今カードが発行されているという状況でございまして、救急情報の照会とか健康情報の管理等に利用可能なほかに、住民票の自動交付、こういったものに利用ができるような状況になっております。これは率直に申し上げまして、成功しているかどうか、私ども申し上げにくいところがありますけれども、市の担当者等にお伺いいたしますと、思いのほか利用者が広がっていかない、そういう状況にあることも事実でございます。  いずれにいたしましても、このシステム、普及定着するに従いまして、窓口事務だけではなくて、保健、医療、福祉、救急とか、そういった利用分野が広がれば広がるだけ値打ちが高まっていくというようなものでございまして、私ども、地方団体の積極的取り組みをこれからも支援していきたいというふうに考えておる状況でございます。
  165. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今のお答えは大体私の認識と同じであります。はしりと言われた部分はちょっと私と認識が違いますね。はしりどころではない。ICカードというのは何年も前から、私がまだ役人をしておる時代でありますから、国会議員になっただけでも五年ですから、その数年前ですから十五年ぐらい前の話であります。十五年前ぐらいからこのICカードは、その辺がはしりですよ。今もう走り終えています。走り終えて、十三、十四で足して二十七で十六万。  私は、ICカードというのは、さっき政務次官の話を揚げ足を取ったようで恐縮なのですが、セーフティーネットというぐらい胸を張って言われるような、多分この部分はこのICカードのことを言われていると思うのです。だが、そんなことではないのではないか。私に言わせると、走り終えているICカードが、今から皆さん方自治省が穴をあけられるわけでありますから、全国三千三百の市町村でやろうと思えばできる穴をこれもあけられるわけでありますから、扉は開かれるわけでありますから、セーフティーネットと言えるぐらい何か見えてきているのかというと、私はなかなか難しい問題があるのではないかと思うのですが、重ねて将来をお聞きしたいと思います。
  166. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  なかなか難しいお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、ICカードというのを使いますと、これは要するに、非常に偽造が難しいとか、情報を読み取りにくいとかいう高度のセキュリティー機能を持っておりますし、また何よりも大きな記憶容量を持っておるわけでありまして、このネットワークを大きく組み立てることによりまして、保健、福祉、医療、さらには通常の日常の行政サービス、あるいは民間サービスとも連携したような形で、幅広い大きな行政サービスの向上あるいは住民の利便の向上というのが図られるという問題だと考えております。  私どもがこのような形で地域のカードシステムをつくる場合、これはあくまで地方公共団体がその気になって、自分たちの扱うサービスのどこまでをこのカードに統合していくかということになるわけでありまして、その自主性をあくまで尊重するわけでありますけれども、私どもとして、そういった地方団体の取り組みに対して少しでも呼び水になりますようにということで研究会等もつくりまして、これは自治省だけではなくて、専門技術者、あるいはこの分野で特に大きな活躍が期待できます厚生省の分野の担当の方々にも参加いただきまして、例えば厚生省が開発したシステムとこういう形を統合できるようなものにできないか、そういった研究もいたしております。  そういう形で、地方団体に対して、ICカードという形の行政サービスの活用といいますか、発展が期待できるように努力していきたいというふうに考えておる状況でございます。
  167. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 午前中の自民党の議員の方の質問の中に、本当に便利でなければ広がらない、便利でなければ使わないよという話もありましたけれども、私もそのとおりでありまして、果たして、これが本当に夢を描くようなセーフティーネットにつながるものなのかどうなのかということは、今までの経緯からするとなかなか難しい問題がある。以上に、国民から見ると、それこそ国内のパスポートを持たされている、こんな印象を与えるわけでありまして、そこに本当に扉を開く価値があるのかどうなのか、これはしっかり議論しなければいかぬと思います。  少なくとも私は、一つの視点としては、これは県をしっかりかまさなければだめですよということは申し上げておきたいと思いますし、なぜここまで広がらないのかということはしっかり、委員長、これは我々、この委員会も、出雲市なら出雲市へ、行く時間がなければ来ていただいてでも、やはりしっかり現状を、なぜ広がらないのかということは把握しておく必要があるだろうということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  168. 坂井隆憲

  169. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。  一番最後になりまして、皆さん大変お疲れのことと思いますが、最後までのおつき合いをよろしくお願いします。  ただいま先輩の先生方の御意見を聞いておりましたら、ますます本当にこの住民基本台帳というのが大変な、本当に重要な法案だなということを身をもって感じておるところなのでございます。この件につきましては、私も本会議の方で質問させていただきましたけれども、この委員会におきましても重ねて質問させていただきたいと思います。  今回の住民基本台帳ネットワークシステムをつくることを内容とする、住民基本台帳法改正を検討するに当たって大事なことは、何といっても、市民にとってどのような社会的公正や市民的な利益が確保されるかという視点だということを考えるわけでございます。  自治省は、ネットワークシステムをつくることによって、住民票の写しの広域交付や転出転入手続簡素化など、国、地方を通じて行政改革、住民の負担軽減、サービス向上を図るためのさまざまな活用ができるとしています。しかし、このような効果は必ずしも住民基本台帳の高度化、ネットワーク化必要性を絶対化するものとは言えないと考えるものでございます。先がたもありましたけれども、初期費用四百億円、年間二百億円が必要とされていますが、この費用及びランニングコストが市民の社会的公正や利益の確保にとって十分コスト的に見合うものということが言えないのではないかと思うのであります。  それで、先がたもありましたけれども、これは将来的にデータの結合など全く考えていないということなのですけれども、そういうことであれば、本当に費用そのものがむだではないかなということを思いますし、それをする必要はないのではないかなと思います。行政のメリット、それから住民の利便性の向上などを計算されておられるようですが、さらに厳密な検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。その辺のことをちょっとお伺いしたいと思います。
  170. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムを導入する場合のコストとメリットということについて、さらに厳密な検討をということでございます。  先ほど申し上げましたように、一定の仮定のもとで数値化可能なものだけを試算した場合に、行政側で毎年約二百四十億円、住民負担の軽減として二百七十億円を見込んでおるところでございまして、コストに見合う効果があるものと考えております。  また、一層厳密に効果を試算することについては、このシステムを導入する効果としては、例えば、恩給とか労災、共済年金の過払いが防止可能となるとか、それから先ほどお話が出ました、市町村等が住民基本台帳カードを活用して独自に福祉とか保健とか医療とかそういった各種行政サービスに活用できるとか、あるいは大災害等が生じた場合に、市町村住民基本台帳コンピューターがダウンした場合に四情報によりましてのバックアップができるとか、そういうものがありますが、なかなかこれらは数値化することが難しいものでございまして、そういった全体の効果というものを厳密に試算することはなかなか難しい面があることを御理解いただきたいと思います。
  171. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ちょっと聞き落としたのですけれども、市町村関係で二百七十億円減額になるということを言われたのですけれども、もう一度その点について、どのようなことであったか教えていただきたいのです。いろいろな窓口業務等のあれで二百四十億円。それから、先がた鰐淵先生への回答の中にそういうことが出てきましたね、二百七十億円。その辺をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  172. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 住民サイドの方のベネフィットというか効果につきまして、例えば、転入手続簡素化されますので住民の方の手続時間が省略されてくる、また、住民票の写しが広域交付ですので近いところの市役所に行けるということで手続時間が省略できる、また、住民票の写しの交付が省略ということでとりに行かなくてもよくなる場合がありますので、そういう時間の省略といったものを平均の人件費等を頭に置きまして一定の仮定で計算をいたしますと、住民サイドの効果として約二百七十億円が見込まれる、こういうことでございます。
  173. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 大体わかったようなわからぬような感じですけれども、本当は住民はやはり出かけなければいけない場合もあるわけなんですね、幾らそういったことにしても。それはいいです、私の勉強不足かもしれませんので。  次に、私自身も小さい自治体の中で経験したわけなんですが、現在の住民基本台帳制度が、個人情報の保護に関していかに無防備かということを本当に感じます。この間もちょっと地元の方に帰って、いろいろこの件について話したのですけれども、住民票がひとり歩きするんじゃないか、何か知らない間に住民票が、いつの間にかどこかに資料に出てしまっていると言って、私のめいだったのですけれども話をして、非常に憤りを感じておりました。  そのようなことで、今後、このような形で改正されて一連の番号ということになれば、本当に大変なことだなということを非常に思っております。  本人確認の四情報は、住所、氏名、生年月日、性別ですね、市町村の固有情報であり、その所有権は市町村に、究極的にはもちろん住民にもあります。したがって、コード化、ネットワーク化によるいかなる不利益も住民に対して及ぼしてはならないということは大前提でございます。  そこで、本人確認情報利用範囲について質問いたします。  一つには、自治省は、利用範囲を法律の別表で定め、民間利用は禁止としています。しかし、市町村や都道府県において、三十条の六、七、八に、条例に定める事務が挙げられております。  私は、条例の制定によって自治体が個人情報利用を拡大していくことについては当然一定の制限があると考えます。とりわけ警察や検察、自衛隊等、権力執行を持った行政機関への利用については制限されてしかるべきだと考えますが、自治大臣に明確な御答弁をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  174. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 このシステムにおきましては、都道府県についてでございますが、都道府県がその事務を行う際に本人確認情報をみずから利用する場合、また、他の都道府県または市町村がその事務を行う際に本人情報を提供するということが想定されるわけですが、各都道府県は、住民基本台帳趣旨を適切に踏まえた上で、住民の代表で構成される都道府県議会において条例が定められた場合に限り、その条例で定める事務処理のために本人確認情報利用したり提供したりすることができる、このようにいたしております。
  175. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 それと、三十七条の二項では、国の行政機関の所掌事務についても資料の提供を認めていますが、これはあくまでも統計資料の作成に限定されていることを確認しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 御指摘の改正法第三十七条第二項におきましては「国の行政機関は、その所掌事務について必要があるときは、都道府県知事に対し、保存期間に係る本人確認情報に関して資料の提供を求めることができる。」と規定されております。  御指摘のとおり、国が統計資料を得ようとする場合を想定しているものである、このように考えております。
  177. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 今お答えがありましたように、その枠は出ないということなんですね。その枠は出ないということですね。  今回の最も重大な問題は、このシステムが、住民票コードを各省庁共通の個人認識番号として使用することにより、将来、すべての行政機関をオンラインで結ぶことによってデータマッチングの危険性が生まれてくることにあると考えております。  今回の改正により、出生と同時に単一の番号がつけられ、その人が全国どこへ移転しても、あるいは姓を変更しても変わらない番号となるということなんです。各行政機関がこの番号に統一化したり併用したりすることは十分考えられます。また、この番号によって他の行政機関が保有する情報にアクセスして、さらに情報を結合することも起こり得ると考えられます。そういう意味で、この住民票コードは情報結合のマスターキーの役割を果たすこととなると思うのであります。  改正案では、行政機関等は受領した本人確認情報法律で定めた当該事務以外の目的には利用してはならないと規定していますが、法律で規定すればデータマッチングも可能となります。違反については罰則もなく、国民に中止請求権を与えるシステムともなっていないと考えますが、御見解をいただきたいと思います。  先がたも言いましたように、本当にデータマッチングしないのかどうなのかを確認しておきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
  178. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 今回の改正法案におきましては、今御指摘されましたように、都道府県それから指定情報処理機関または本人確認情報の提供を受けた国の機関等は、法令で定められた目的以外の目的のために本人確認情報利用または提供をしてはならないということにしてあるわけでございます。  本人確認情報の目的外の利用、提供の禁止という規定によりまして、今後とも、法令で規定された目的を超えたデータマッチングまたはデータマッチングのためのデータ提供自体が本人確認情報の目的外の利用、提供に該当するわけで、これは規制されるということになるわけであります。  今、そうはいっても、新たな立法措置をやればできるようになるのではないかという御指摘がございました。しかし、ここは立法府でございまして、立法府の意思によってどういうことをお決めになるかというのはまさに立法府の判断によることであって、今回の改正法案に基づいてそういうことができるような仕組みにはない、まさに立法府がお決めになる世界であって、これほどの歯どめはないのではないかというふうに私は思っております。
  179. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 大変よくわかりますけれども、先がたも言いましたように、本当に四情報だけでしまわれるものかどうなのかということを私はやはり不安に思ってならないということをいま一度言わせていただきたいと思います。  次に、住民基本台帳カードについてお尋ねします。  カードについては、個人が自己情報をコントロールする権利の観点から、カードの所持の任意性、カードの様式の選択権、すなわちカードの表面記載情報の選択、情報付加についての拒否権などを保障することが必要です。特に、顔写真つきカードは顔写真そのものが重要な個人情報であると思うのでございます。そのプライバシーの保護にも万全を期さなければならないと思うのであります。  自治省は、カードの未発行や不所持、不提示などに対する差別的な取り扱いや不利益が発生することはないと再三にわたって明言されていますが、果たしてそうなのでしょうか。  カードがあれば窓口で読み取り機により直ちに本人確認が可能になり事務手続が円滑に行われることから、カードを持っている人が行政サービスで優先されることは簡単に想像できます。その結果、住民心理としては、持っていない人は不利益を避けるためにカードを申請することになります。このことは、言われるような任意ではなく、事実上の義務づけと同じことではないかと思うのでありますが、その点についてもどうお考えか。  それから、カードの活用でも自治体独自の活用範囲に明確な定めがありません。したがって、条例で定めさえすれば健康診断の記録や血液型、生活保護や介護サービスの受給関係情報など、先がたから出ていますけれども八千字とも言われるICの記憶領域を活用しようとすることになります。これが一自治体から他の自治体へ、そして全国共通様式へ、民間病院の利用もとなると、まさに個人情報の民間利用となり、無制限な利用となっていくのではないでしょうか。この点について大変危惧に思っているところですので、どうお考えかをお伺いしたいものでございます。よろしくお願いします。
  180. 野田毅

    ○野田(毅)国務大臣 住民基本台帳カードは、任意で請求した者にのみ発行されるものであります。発行や携帯を義務づけられないものであります。また、このカードの交付を受けない場合でも従来どおりの行政サービスを受けるというのはこれは当然のことであります。したがいまして、制度上も実際上もこのカードの発行や携帯を義務づけられるということにはならないと考えております。  また、市町村住民基本台帳カードを用いて独自の住民サービスを行おうという場合におきましても、四情報住民票コード以外の市町村独自の情報住民基本台帳カードに記録してそのサービスを受けるかどうか、これはあくまでも住民の任意の判断にゆだねられておるものであります。
  181. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ありがとうございました。  それで、最後ですけれども、本会議でもお尋ねしたわけなのですけれども、個人のプライバシー問題に着目してその保護に努めてきた地方自治体は少なくありません。先がたも質問の中にあって重複すると思いますけれども、個人情報保護条例を設けている自治体はさっきもありました千四百七団体、それから規則や規定などにより個人情報保護対策を講じている自治体を含めると二千二百七十三の団体で、全国の六八・六%にも及んでいます。中央官庁などのオンライン接続の禁止を定めている自治体も、さっきもありましたが五百六十五団体を数えております。それは少し少なくなっているということでございましたけれども、まだこれだけの団体があるということです。  選挙人名簿登録国民健康保険など、多くの行政事務台帳住民基本台帳へと一本化され、コンピューター化も進みましたが、日本の行政の現場では、部落差別や民族差別など、個人のプライバシーをめぐる問題が日常的に起こってまいっております。経済的に見れば非効率と思われるオンライン接続の禁止措置も、結婚や就職など、住民にとって重大な局面で個人情報をめぐるトラブルがもたらした深刻な結果に対して、多くの自治体でこのようなことが努力してつくり上げられたと思うのであります。  政府は、行政情報化の推進の名のもと地方自治体に対してオンライン接続禁止の見直しを求めてきましたが、こうしたプライバシー保護にかかわる全国の自治体の努力に対してどのように評価されておられるのか、その見解を承りたいと思います。また、この法律と条例の関係についても明らかにしていただきたいと思うのでございますが、その点をどうぞよろしくお願いします。
  182. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 個人情報保護の重要性の認識の深まりにつれて、個人情報保護条例の制定団体が毎年度増加している、このように考えております。  それで、条例との関係でございますが、この法律案においては、四情報住民票コードなどの住民票の情報市町村から都道府県などにオンラインで送信する、こういう規定を置いておりますが、条例においてオンライン接続を例外なく禁止している場合には、基本的には条例の規定を整備していただくということが適切であると考えております。  たとえ条例が改正されなかった場合であっても、この住民基本台帳法に基づく規定によりまして、これらの情報の送信に限りましては条例上のオンライン接続禁止は解除される、このように考えております。  そのほかの個人情報の厳格な保護措置というものが条例の規定の中にございますが、そのほかの部分につきましては従来どおり効力を有するものでありまして、条例そのものはなお有効である、このように考えております。
  183. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。     —————————————
  184. 坂井隆憲

    坂井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 坂井隆憲

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十一分散会