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1999-03-30 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月三十日(火曜日)     午後二時四十八分開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 桝屋 敬悟君    理事 鰐淵 俊之君       大野 松茂君    小島 敏男君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    平沢 勝栄君       藤井 孝男君    藤本 孝雄君       水野 賢一君    宮島 大典君       持永 和見君    保岡 興治君       北村 哲男君    桑原  豊君       葉山  峻君    細川 律夫君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君      知久馬二三子君  出席国務大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君  出席政府委員         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         警察庁刑事局長 林  則清君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         警察庁警備局長 金重 凱之君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君  委員外出席者         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       篠原 弘志君         文部大臣官房審         議官      伊勢呂裕史君         運輸省自動車交         通局技術安全部         技術企画課長  宮嵜 拓郎君         運輸省自動車交         通局技術安全部         審査課長    中山 寛治君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     尾添  博君         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿委員の異動 三月三十日        辞任         補欠選任   中野 正志君     大野 松茂君   細川 律夫君     北村 哲男君 同日        辞任         補欠選任   大野 松茂君     中野 正志君   北村 哲男君     細川 律夫君 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)     午後二時四十八分開議      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。
  3. 平沢勝栄

    平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。  初めに、道交法の一部改正法案についてお聞きしたいと思います。  国民を悲惨な交通事故から守るということは、これは政治の上でも大事な課題でございまして、世界各国どこでもこの問題に政治が真剣に取り組んでいるところでございます。そういう中で、シートベルト着用義務化ということが世界じゅうで行われているわけでございまして、幼児シートベルト着用義務化についても、世界の多くの国でもう既に行われているところでございます。  私は、二年前のこの地方行政委員会で、幼児シートベルト着用義務化が行われていないのはおかしいではないかということを質問させていただいたわけでございます。それはなぜかといいますと、幼児というのは自分自分の身を守る判断能力というかすべがないわけでございまして、シートベルト着用義務化を行うのであればまず幼児から行うべきではないかということで、質問させていただいたわけでございます。それから二年たちまして、このたび道交法の一部改正法案が提出されまして、幼児につきましても着用義務化に動き出したということは、欧米の常識に一歩近づいたということが言えるわけでございまして、おくればせながらでありますけれども、大変に喜ばしいと考えているところでございます。  そこで、警察庁にお聞きしたいと思いますけれども、今まで警察庁は、幼児シートベルト着用義務化につきましてはやや慎重でございまして、その理由につきまして、法制化について世論がまだ高まっていないとか、あるいは幼児シートベルト普及率着用率が高まっていない、あるいは義務化について国民世論理解が得られない、こういったことを言ってこられたわけでございます。一言で言えば、着用義務づけについて、その環境が整っていないということを言われてきたわけでございますけれども、今回こうして義務化に踏み切ったわけでございます。これは、やっと日本もその環境が整った、こういうふうに理解していいのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  4. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  平成十年中の自動車乗車中の交通事故による六歳未満幼児死傷者数が、平成六年と比較しまして実に五二%の増加ということで、極めて急激に増加しておるということがございます。その意味で、自動車に乗車する幼児交通事故から守るということがまさに喫緊の課題となっているということが一つ申せます。  また、昨年国際交通安全学会が行いました調査研究の結果、国民の間でもチャイルドシート必要性についての理解が深まりつつあるということ、そして、着用率はまだまだであるけれども予想外に実際には保有しておられるというようなことが判明いたしました。そうしたことから、使用義務法制化について素地が固まりつつあるということを感じたわけでございます。  このような状況にかんがみまして、今委員申されましたように、自分では自分を守ることができない幼児の安全を確保するためには、法制化によってチャイルドシート使用義務づけることが環境的にも整ってきたのではないかというふうに思ったところでございます。
  5. 平沢勝栄

    平沢委員 今回の改正法案では、着用対象者は六歳未満幼児ということになっておりまして、運転者使用義務が課せられているわけでございます。しかし、六歳未満としましても、子供によっては体格とかあるいは体重などが異なるわけでございまして、六歳以上の子供でも、通常車両シートベルトではなくて、チャイルドシートが必要だと考えられるケースもあるだろうと思います。これについては外国でも、年齢についていろいろな基準が定められているわけでございますけれども、今回の改正法案着用対象者を六歳未満とした理由は何なのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  6. 玉造敏夫

    玉造政府委員 今回の改正案におきまして、チャイルドシート使用させるべき対象を六歳未満幼児とすることといたしましたのは、六歳未満幼児自動車乗車中の交通事故による死傷者数が最近五カ年間で急増していること、さらに我が国では、就学の前後というのが子供の成長にとっての一つの区切りとして定着化しておって、六歳を境とするのが国民にとってもわかりやすく、また受け入れやすいのではないかというふうに考えたこと、さらに警察庁が昨年夏、国際交通安全学会に委託しまして行いましたアンケート調査の結果からいたしましても、チャイルドシート義務化をするならば、その対象年齢として、六歳までとするのが適当であるという回答が最も多かったこと等々によるものでございます。
  7. 平沢勝栄

    平沢委員 この問題は外国の例も参考にしながら、今後、弾力的に考えていく必要があるだろうと思います。  そこで、次の質問をさせていただきたいと思いますけれどもチャイルドシートは先ほど申し上げましたとおり、ほとんどの国で既に義務づけが行われているわけでございまして、外国では罰金で担保されている国が多いわけでございます。今回、日本では違反者に対しまして、反則金はなくて違反点数のみが科せられるということになっているわけでございまして、諸外国に比べて義務づけがやや弱いという感じがしないでもございませんけれども、今回、違反点数のみを科するという形にしたのはどういう理由か、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  8. 玉造敏夫

    玉造政府委員 一般論といたしまして、法律上の義務担保手段というのは、その履行を確保する上での必要最小限のものであるべきであるというふうに考えておりますが、過去の教訓といたしまして、シートベルト装着義務違反に対しまして違反点数を付加した際に、それまで低かったシートベルト装着率が一気に一〇〇%近くまで上昇したという例も踏まえまして、チャイルドシート使用義務につきましても点数付加で十分ではないかというふうに考えた次第でございます。
  9. 平沢勝栄

    平沢委員 今回の改正法案では、疾病のため座席ベルト装着することが適当でない場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合は義務規定から除外されるわけでございます。そういったことから、バスとかタクシーあるいはハイヤー等旅客車両についてもチャイルドシート義務づけが除外されているわけでございます。例えば、バスの中には幼児送迎用バスというのがありますけれども、こうしたものについてはむしろ義務づけを行った方がいいのじゃないかというふうに考えますけれども、これについてはどう考えるのか。  また、それ以外のものにつきましても、諸外国の例を見てみますと、法で義務づけを課している例が多いわけでございますけれども、今回は除く予定のようでございます。将来的にはこれらについてどういうふうに考えているのか、警察庁見解を聞かせていただきたいと思います。
  10. 玉造敏夫

    玉造政府委員 幾つかの除外規定政令で設けようというふうに考えておりますが、お尋ね幼児送迎用バスにつきましては、現在、実際問題としまして、幼児送迎バスとして幼稚園等で用いているものにつきましてはいわゆる幼児専用車が用いられておりまして、このタイプ自動車にはシートベルトが設けられていないわけでございまして、チャイルドシートを固定できない構造車自体がなっているというのが現状でございます。したがいまして、そういう角度から除外がなされることになると思います。  しかし、それは将来、取りつけ金具等がついた車が出てまいる、あるいはそれが普及するということになりますれば、それはまた話は別でございます。  それから、タクシー等々いろいろとあるわけでございますが、現時点では、タクシーあるいはバス、このようなものにつきましては除外対象といたしたいと考えておりますが、将来的に、事業者の間でチャイルドシートが組み込まれたタクシー等普及といいましょうか、一般的になってくるとか、もろもろの情勢が変わってまいりますれば、その時点でまた判断をいたしたいというふうに考えております。
  11. 平沢勝栄

    平沢委員 今の答弁で、幼児送迎用バスについては、車の構造着用義務化が適当でないということでございましたけれども、きょうは運輸省見えていると思いますけれども運輸省幼児送迎用バスについて、要するに、車の構造着用義務化が適当でないということであれば、車の構造を変えたらどうかというふうに考えますけれども、いかがですか。
  12. 中山寛治

    中山説明員 お尋ねの件でございますけれども、確かに現在、幼児専用車につきましては、シートベルトの装備の義務づけをしておりません。これはやはり幼児といいます特性、あるいは座席の幅がなかなか狭くてうまいものがつかないというような事情がございまして、現在義務づけをしておりません。
  13. 平沢勝栄

    平沢委員 いや、将来これは検討されたらどうですかということなんです。
  14. 中山寛治

    中山説明員 今回のように、チャイルドシート着用義務化というような情勢でございますので、検討課題というふうに考えております。
  15. 平沢勝栄

    平沢委員 運輸省、もう一つお聞きしたいと思うのですけれども自動車乗車定員についてカウントする場合に、十二歳未満子供三人で大人二人ということで計算するわけでございます。したがって、定員内で幼児が多数乗る場合には、幼児全員チャイルドシート使用しなければならないということになりますと、乗車定員分の人数は乗車できないということになるわけでございまして、特に子供が多い家庭の場合には、マイカーを乗車定員の多い自動車に買いかえなければならないといったことも場合によってはあり得るのじゃないかなという感じがします。これについては運輸省さん、どういうふうに考えられるのか。  あわせてもう一つお聞きしたいと思いますのは、現行の法規では、リア席子供を四人まで乗せられるということになっているわけですけれどもチャイルドシート着用すると三人までしか乗せられないということになるわけでございまして、運輸省としては、道路運送車両保安基準、これの改正を検討する予定があるのかどうか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  16. 中山寛治

    中山説明員 先生御指摘の、乗車定員が十分に乗れない場合にどうするのかというお話でございますけれども安全対策幼児をきちんと拘束をしなくちゃいけない、そして安全を保たなくちゃいけないということがございますので、これはある意味でいいますとやむを得ないというふうに考えております。  以上でございます。
  17. 平沢勝栄

    平沢委員 ちょっと意味がよくわからないのですけれども、もう一回答えてください。
  18. 中山寛治

    中山説明員 乗車定員チャイルドシート着用しますと、例えば幼児を後席に通常は四人乗るところが三人しか乗れない、それはチャイルドシートを三つしか取りつけられないために乗れないということになるわけでございますが、それはある意味でいいますと、安全上貴重な命を守るという意味でいたし方ないのではないかというふうに考えております。
  19. 平沢勝栄

    平沢委員 そうすると、現行基準はそのまま残したままでいく、こういうことで理解してよろしいですね。わかりました。  では、次の質問をさせていただきたいと思いますけれどもチャイルドシートといってもいろいろなものが現に出回っているようでございまして、その中には輸入品もあるようでございます。  これは通産省さんの方がいいのかもしれませんけれども、現在出回っているチャイルドシートというのは、安全性観点から、輸入品も含めて全く問題ないのかどうか。今後義務づけが行われるということで、いろいろなチャイルドシートが市場に出回ることが予想されるわけでございますけれども、こうしたチャイルドシートについて、ユーザーの立場からしてどのシートベルトを選択すれば一番安全というか、一番問題がない、そういう基準というか目安をつくる予定があるのかどうか、これについてお聞かせいただきたいと思います。これは運輸省ですか。
  20. 中山寛治

    中山説明員 輸入品を含めたものに対する基準がどういうことかということでございますけれども、現在、運輸省では、チャイルドシートに係ります安全構造上の技術的な基準というのを定めております。これは、道路運送車両法という法律に基づきまして保安基準というのが定められております。そして、国産、輸入品ともこの基準に適合しなければならないというふうになっております。輸入品につきましては、現在三型式が指定を受けておりまして、九千四百台輸入されておりますが、これはすべて基準に適合しております。  それから、保安基準に適合するかどうかというような審査運輸省が行っておりまして、その審査に適合した場合に運輸大臣認証を行うということになっておりまして、その場合に認証を受けたチャイルドシートマークが表示されます。そうしますと、ユーザーはそのマークを見て基準に合っている、認証を受けたものであるというふうなことがわかるわけでございます。  それに加えまして、運輸省としましては、今後、ユーザーに対するPRというのが非常に重要でございますので、認証を受けて販売されているもの、こういうものにつきまして、どういうものが認証を受けているのかというような一覧表を公表する。そして、認証を受けた場合には、マークが表示されていますよというようなことをユーザー周知徹底してまいりたいというふうに考えております。そして、安全基準に適合しましたチャイルドシートユーザーの皆さんに選択していただけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 平沢勝栄

    平沢委員 チャイルドシートを今回義務化することになるわけでございますけれども一つの大きな問題はユーザーの経済的な負担でございまして、従来義務化になかなか踏み切れなかった一つ理由がこの経済的な負担にあったのだろうと思います。  そこで、ちょっとお聞きしたいと思いますけれども、ゼロ歳から六歳までの間にチャイルドシートというのは何種類要るのか。これは、やはりだんだん体が大きくなるわけですから、一種類とは限らないと思いますけれども、何種類要るのか。そして、その価格は大体どういうものなのか。  そして、これはどこに聞いたらいいのかわかりませんけれどもユーザーの経済的な負担をできるだけ軽減するためにどういったことを考えているのか。例えば、レンタル制度とか、あるいは行政による補助、あるいは税制による優遇措置等々、いろいろ考えられると思いますけれどもユーザー経済的負担を少しでも軽減するため、どうしたことを考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
  22. 玉造敏夫

    玉造政府委員 一つは、チャイルドシートにはどのようなタイプがあるのかというお尋ねでございましたけれども、基本的には、いわゆるゼロ歳児、乳児用のベッド、それから一歳から四歳ぐらいまでのいわゆる幼児用チャイルドシート、さらにそれを超えて、十歳ぐらいまででしょうか、学童用シートスリータイプが現実に日本では発売されておりますが、組み合わせといたしまして、第二タイプと第三タイプをスルーで使えるようなもの等々もあるようでございます。  値段でございますが、基本的に、今まではプレゼントしてもらうというふうなことも多々あったようでございまして、いろいろと、いわゆる安全性以外の、着心地といいましょうか、座り心地といいましょうか、そのよさなども含めた、かなりデラックスなものが実際に多く販売されておるという実態があったようでございます。  値段的に言いますと、二万から、上はそれこそ十万というふうなものまであったようでございます。ただ実際に、私ども調査いたしてみますと、中には、自動車部品量販店等々では、一万円を切っているものもあるというふうなことでばらつきがございます。ただ実際に、売れ筋といいましょうか、それでは二万円を超しているようなものが主であったということでございます。  今後法制化ということになりますれば、おのずから価格競争といったものも出てまいるでございましょうし、現に、私ども改正試案を発表した後、いろいろとセールなども行われてきておるというような実態もございます。  さらに、レンタルあるいはリサイクルといったことにつきましても、交通安全に関しましていろいろと活躍しておられる団体等々あるいは地方自治体等におきましてそういう取り組みが始まっておる、これも、いわゆる負担の軽減という意味では役に立つであろうというふうに考えております。
  23. 平沢勝栄

    平沢委員 チャイルドシートはかなりサイズが大きいわけでございまして、各家庭でも保管に困ることが予想されるわけでございまして、またその廃棄の際にも、要するにごみの問題という形でいろいろな問題が生じてくるわけでございます。  きょうは厚生省来ておられませんけれども通産省見えておられますので、ごみというよりむしろリサイクルが非常に重要になってくると思われるわけでございますけれども、これについての通産省見解をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 日本自動車部品工業会というのがございますが、そこの調査によりますと、平成十年のチャイルドシートの出荷が八十八万台ぐらいになっております。したがいまして、委員指摘のように、これから法制化ということになりますと、これが大変な量になってくるんだろうと思います。リサイクルという問題が当然出てくると思っております。  私どもいろいろ実態も調べておりますけれども一つは、先ほどから委員お話がありましたように、家庭で利用するんだけれども、これは一定の年齢になりますと要らなくなるわけでございますから、これを御近所にお配りするというようなことで再利用してもらうことも大事でしょうし、それから、リース会社レンタルという形でやっているというようなことがございまして、こういうものを活用していきますと、廃棄物として出てくる量をできるだけ減量化できるということが一つあるわけでございます。  それから、やむを得ず廃棄物として出てくる場合にも、安全性というのは非常に大事なことでございますけれども、そのほかに、リサイクルしやすい材料を使っておくとかリサイクルしやすい構造にしておくということを心がけますと、それを再活用できるというようなことになるわけでございまして、そういう家庭や民間でのいろいろな取り組みというものを我々推奨しながら、また、国あるいは地方公共団体でこういった形でのリサイクルを推奨していくということも考えていきたい。  いずれにしましても、将来大きな課題となると思いますので、広い意味でのリサイクルを考えてまいりたいというふうに考えております。
  25. 平沢勝栄

    平沢委員 ぜひリサイクルには真剣に取り組んでいただきたいと思います。  次に、警察庁に聞きたいと思います。  チャイルドシートはその正しい装着というのが最も大切であるわけでございまして、アメリカでは、改善されてもまだ七〇%の人が誤って使用しているということも言われているわけでございまして、正しい使用方法普及宣伝、これについて警察庁としてはどう考えておられるのか。  あわせてお聞かせいただきたいと思いますけれどもチャイルドシート普及そして正しい使用方法周知徹底という観点から、ユーザーとメーカー、関係行政機関との間でチャイルドシート連絡協議会というのが設立されようとしているということも聞いております。大変結構なことと思いますけれども、これについても警察庁の所見を聞かせていただきたいと思います。
  26. 玉造敏夫

    玉造政府委員 既にチャイルドシート義務化が早い段階から行われております欧米におきまして、今問題となっているのは、委員が御指摘になりました正しい着用の問題ということのようでございます。私どもはおくればせながら義務化ということを考えるわけでございますので、これは用意ドンで一緒にやるということになるわけでございます。  警察といたしましても、交通安全運動はもちろんでございますけれども幼児保護者に対する交通安全教室等々、そして関係機関あるいは団体等の御協力を得ながら、まさに正しい使用普及ということに努めてまいりたいと思っております。  次に、業界内に連絡協議会をつくる動きがあるというお話でございますけれども、各方面でチャイルドシート普及促進のためにさまざまな努力がなされることは好ましいことであるというふうに考えております。
  27. 平沢勝栄

    平沢委員 チャイルドシートじゃなくてシートベルト一般で見てみますと、欧米各国は、チャイルドシートシートベルト一般についても、前席も後部座席義務化されているわけでございますけれども日本では、シートベルトそのものについては、後部座席努力義務規定が置かれているだけでございます。  今回、チャイルドシートにつきましては、後部座席につきましても点数で担保された義務づけが行われたわけでございますけれども一般シートベルトについて、後部座席については、欧米と違ってなぜ日本努力義務規定だけしか置かれていないのか、もし、幼児について点数で担保された義務づけがなされるのであれば、欧米と同じように、一般シートベルトについても、後部座席について何らかの担保が必要じゃないかなという感じがしますけれども、これはなぜなのか。それについて警察庁の所見を聞かせていただきたいと思います。
  28. 玉造敏夫

    玉造政府委員 シートベルト義務づけました際に、運転者そして助手席と後部座席とで義務の差をつけたわけでございます。シートベルトの制度を導入するという段階でのそういう差を設けたということは、国民の受け入れやすさというのも一つございましたでしょうし、また、実際の座席、乗車位置によります事故の際の、しかもシートベルト装着の際のけがの割合といったものに有意な差があったということもあったものというふうに考えております。  現状でいかがかということでございますけれどもシートベルト装着の場合における自動車内の乗車位置別の致死率を見ますと、依然として後部座席は、運転席、助手席と比べて格段にやはり低うございます。また、後部座席におけるシートベルト装着の死者数も近年年々減少傾向にあるということもございます。  したがいまして、後部座席におけるシートベルト装着義務の問題につきましては、今後の交通事故の発生状況等々を見きわめつつ、検討の課題とさせていただきたいというふうに考えております。
  29. 平沢勝栄

    平沢委員 検討課題でもいいんですけれども欧米ではもう既に義務化に走っているわけですから、自動車王国と言われる日本欧米の後塵を拝するのじゃなくて、もっともっと前向きに取り組んでいただくようお願いしたいと思います。  そこで、道交法改正関係で、最後にもう一問聞きたいと思うのです。  今回、改正案では、自動車等の走行中に携帯電話等を使用したりすること等に禁止規定が置かれたわけでございますけれども、これらについては罰則規定がなくて、もちろん点数も付加されていないわけでございます。単なる努力規定では規定する意味が余りあるとは思えないのですけれども、これについて警察庁の所見を聞かせていただけませんでしょうか。
  30. 玉造敏夫

    玉造政府委員 自動車等の走行中に携帯電話を使用する行為の危険性につきましては、国民各層から強く指摘されているところでございます。また、平成九年の道路交通法改正の際に、地方行政委員会の附帯決議において、「運転中の携帯電話の使用規制等の諸課題について、交通安全確保の観点に立って、引き続き検討・協議し、早急に結論を得るよう努めること。」とされていたところでございます。  こうした中で、携帯電話あるいはカーナビ等の普及を背景としまして、走行中のこれらの使用に係る事故も急増しているところであります。こうしたことに対処いたしまして、交通事故防止を図るためにこういう規定を設けまして、運転者の守るべきルールを法律上明確化するということとしたものでございます。  改正ということになりますれば、この規定に基づきまして、警察官が違反行為の是正を指導することとなり、また企業等の安全運転管理者等も運転者に対する教育を徹底する一つの根拠となる、また利用者もルールの遵守を励行することが期待されるということで、この規定に違反するだけでは直ちには罰則の対象とせず、また点数も付加しないこととしたものでございます。
  31. 平沢勝栄

    平沢委員 道交法改正関係はこれで終わります。  次に、錠前業についてお聞きしたいと思いますけれども、錠前業というのは要するにかぎのことでございまして、かぎは安全をつかさどる業界と言うことができますけれども、その一方で、最も犯罪に近いところに位置するものとも言えるわけでございます。  この錠前業につきましては、日本では全く規制がないわけでございまして、開業も全く自由でございます。そして、スペアキーをつくる業者につきましても同じでございまして、例えばかぎを持っていけば、依頼する人がだれかという身分が聞かれるわけではありません。そのかぎの所有者かどうか、そのかぎが何に使われるか、こういったことも全く聞かれないで、自由に、金さえ払えばその場ですぐつくってくれるということでございます。  そして、町には錠前をかぎ以外の道具であけることを有料で教えている者もいるわけでございまして、その道具を販売している者もいるわけでございますけれども、これも全く野放しにされているわけでございます。  現在、錠前業者というのは全国で約二千社あると言われておりまして、また、スペアキーをつくる業者が約一万店ほどあると言われておるわけでございますけれども、こうした業者、全く法の規制外にあるわけでございますけれども、果たしてこのままでいいのかどうか。  ちなみに、外国では、法によりましてこうした錠前業者を厳しく規制しているところが多いわけでございます。例えばニューヨークでは、条例で、錠前業者、そしてスペアキーをつくっている業者につきましては免許制としておりまして、スペアキーをつくる場合には、その依頼者の身元等をきちんと確認しなければつくれないということになっているわけでございます。そこからいきますと、日本は防犯運動等いろいろやるにもかかわらず、こういったところはかなり自由だなという感じがしないでもございません。  そこで、警察庁にお聞きしたいと思いますけれども、こうした錠前の制度が野放しにされているわけでございますけれども、こうした錠前の制度が不備なために起こったと思われるような犯罪というのはどの程度あるのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  32. 林則清

    ○林(則)政府委員 合いかぎを使用した犯罪ということでございましょうけれども、そういう形で統計はとっておりませんので、全体の数としては把握はいたしておりませんけれども、例えば委員が御指摘あったような形で犯罪に至ったというものでは、静岡県で、建設会社に勤務する男性が、その会社が管理するマンションの合いかぎを職場から持ち出して複製し、そして平成二年の四月三十日未明、ひとり住まいの女性の部屋にその合いかぎを使用して侵入して就寝中の被害者を、二十四歳でありますが、これを殺害した事件でありますとか、あるいは平成十年一月の大阪で発生した放火殺人事件、あるいはまた同じ平成十年七月、兵庫県で発生した女性殺人事件、こういったようなもので合いかぎが使われて犯行が行われておりますので、統計はとっておりませんけれども、とれば相当の数は見られるのではないかというふうに考えております。
  33. 平沢勝栄

    平沢委員 恐らく、いろいろな形で犯罪が行われているだろうと思います。  そこで、警察庁では、諸外国に見られるように、錠前業者といいますか、あるいはスペアキーをつくる業者といいますか、こうした業者につきましてはある程度法の網をかぶせる予定はあるのかどうか、これについて聞かせていただきたいと思います。
  34. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 議員御指摘のように、合いかぎや解錠技術が犯罪行為に悪用されているわけでございまして、そういった観点では防犯上大変問題である、このように私ども考えております。  そういった状況の中で、警察といたしましては、犯罪の発生状況や日本ロックセキュリティ協同組合による業界の自主規制、こういった動向を見きわめつつ、さらに諸外国における立法例も参考といたしながら、今後法制について検討してまいりたい、このように考えております。
  35. 平沢勝栄

    平沢委員 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。  次に、調査業についてお聞きしたいと思います。  俗に探偵とも興信所とも言われている業界でございますけれども、この業界も百年以上の歴史を持っている業界でございまして、社会の裏方的職業と言われていますけれども、私たちの生活に密接に関係している業界の一つでございます。しかしながら、資格の要らない職業でございまして、もちろん、まじめにやっている方も大勢おられるわけでございますけれども、その一方で悪徳業者もはびこっているということが前々から言われているわけでございます。  ちなみに、業界団体の推定では、その悪徳業者による被害額の年間の推定額は百億を超えているということが言われているわけでございまして、ほかの業界であれば、被害額が百億を超えていれば当然のことながら大きな社会的な問題になるわけでございますけれども、この業界の場合は、依頼者が、その依頼したということを表になかなか出したくないというような、そういう心理も働いて、被害がなかなか表に出てこないという問題もあるわけでございまして、こういう調査業の業者に依頼したけれども満足な調査もしてもらえなかったというような例が随分あるように聞いているわけでございます。  ちなみに、この調査業、外国ではきちんとした規制がなされているようでございまして、例えばアメリカでは、こうした調査業界については試験もあり、それから免許制がとられている。しかしながら、日本は全くこの面では野放しであるわけでございます。  まず、警察にお聞きしたいのですけれども、被害の実態についてはどのように把握しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  36. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 調査業の営業に基づく被害の状況についてでございますが、まず検挙事例について御説明させていただきたいと思いますが、昨年、業務に関係して行った犯罪が二件ございます。交通事故の当事者と共謀いたしまして、休眠法人の休業損害証明書を偽造しまして保険金をだまし取るという事例。あるいは、調査対象者の居宅に盗聴用発信器を設置して盗聴したという事例、こういったものがあるわけでございます。  ただ、具体的にどのぐらいの被害額になったかというトータルについては、ちょっと私どもとしては推定できませんので、それについては御容赦願いたいと思います。  また、このほか、民事裁判におきましても、債務不履行ということで訴えられて、損害賠償を容認されたケースが多々ございます。そういった状況にあるというふうに私ども認識しております。
  37. 平沢勝栄

    平沢委員 今、被害の一部の話がありましたけれども、これはまさに氷山の一角でございまして、恐らく相当の被害が出ているけれどもユーザーの方々は泣き寝入りしているというのが現実だろうと思います。  今、規制緩和の時代でございますけれども、何でも規制緩和すればいいわけではなくて、国民の立場から必要なものについては規制を場合によっては強化することも必要だろうと思います。例えば安全とか衛生とか環境とか、国民の立場からぜひやった方がいいと思われるものについては規制を強化することも考えていかなければならないわけでございまして、先ほどのかぎの業界もそうですけれども、この調査業の業界についても全く野放しというのはおかしいと思うわけでございまして、何らかの法的な規制、例えば業者については機密保持の義務規定を置くとか、そういったことも考えていった方がいいのではないかと思いますけれども、これについて警察庁見解を聞かせていただきたいと思います。
  38. 小林奉文

    ○小林(奉)政府委員 調査業につきましては、先ほど御説明させていただきましたように、不適切な営業活動等による問題が少なからず発生しております。その業務の適正化を図る必要があるというふうに考えております。この面については、委員指摘のとおり社会的規制の側面がある、このように理解しております。  私どもといたしましては、営業活動に係る犯罪に対して厳正な取り締まりを行うとともに、不適正事案の発生状況、調査業界の自主的な営業適正化に向けた取り組み状況、こういったものを踏まえつつ、また諸外国の立法例も参考にしまして、具体的な対応方策について検討してまいりたいと考えております。
  39. 平沢勝栄

    平沢委員 では、残りの時間、君が代・日の丸をめぐる最近の問題について質問させていただきたいと思います。  卒業式がほとんどの学校で終わったわけでございますけれども、卒業式の現場において君が代・日の丸をめぐるトラブルが発生しているわけでございまして、例えば広島県では、そういうトラブルの中で世羅高校の校長先生が自殺されるという大変に痛ましい事件が起こったわけでございます。いろいろ聞いてみますと、広島では、世羅高校の校長先生以前にも自殺者が過去に何人も出ているということでございまして、また、現場のこうしたトラブルに嫌気が差して多くの先生が定年前に辞職している、こういう異常な状態が見られたようでございます。  こういう中で、先日、広島県の高等学校長協会の会長であられる岸元先生が参議院の予算委員会で参考人として証言されておられるわけでございますけれども、その中で岸元先生が言っておられるのは、学校現場での君が代の斉唱等をめぐりまして、校長先生たちが、広島県の部落解放同盟、これはほかの県の部落解放同盟とはちょっと違うようでございますけれども、広島県の部落解放同盟あるいは教職員組合の人々から大衆団交を受ける、そしてその過程でおどしも受けているといったことを証言しておられるわけでございます。  そして、その参議院の予算委員会で宮澤元総理も意見を聞かれまして、このように発言されておられるわけでございます。部落解放同盟のこの問題は四十年ほどの歴史がありまして、たくさんの人がいわばリンチに遭い、職を失い、あるいは失望して公職をやめる、それは無限にある、そして、この部落に関係した問題については、報道機関も報道することが差別発言になるということを恐れて報道できない、こういった趣旨のことを宮澤元総理も言われているわけでございます。  岸元先生、それから昨年は佐藤先生という広島の方が参議院のこれも予算委員会で証言されておられますけれども、まさに命がけで証言されたということも聞いております。  そして、つい先日、私どもの党に広島県のある先生が来られて、広島県の教育の実態について発言されておられるわけでございますけれども、党に来ていろいろと発言するということをだれにも相談しないで来たと。それはなぜかというと、相談したら、今度は相談された先生が、もしわかってしまうと、おまえはなぜとめなかったということで糾弾されてしまう。したがって、だれにも相談しないで来たということを言っておられたわけでございます。  そこで、文部省にまず聞きたいと思いますけれども、大衆団交だとかリンチだということが参議院の予算委員会で証言されているわけでございます。この問題については、実は先週の金曜の深夜、「朝まで生テレビ」というテレビ朝日の番組でこの問題が取り上げられまして、私もそこに出ましていろいろと発言させていただいたのですけれども、その場に部落解放同盟の関係者の方がおられて、宮澤さんの言っておられることはでたらめだというような趣旨のことを言っておられたわけでございますけれども、いやしくも一国の元総理が参議院の予算委員会でそうした発言をされたわけでございます。  そこで、文部省にお聞きしたいと思いますけれども、こうした広島県の教育の現場の実態について、文部省は教育委員会を通じてどのような指導をし、そして事実関係についてはどのように把握し、そして、明らかにこれは法に触れるような事態があると思われるのですけれども、警察との連携はどうなっているのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  40. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂説明員 お答えいたします。  文部省では、広島県の教育問題につきまして、昨年四月に現地調査を行いました。その結果、学校の管理運営及び教育活動の両面にわたりまして多くの問題が判明いたしました。文部省では、この結果に基づきまして、広島県教育委員会に対しましてその是正を指導するとともに、さらなる実態把握を求めたわけでございます。これを受けまして広島県教育委員会では、卒業式、入学式における国旗・国歌の取り扱いを初めといたしまして、文部省が指摘した問題点のすべての是正に向けて、現在、全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。  学校の管理運営というのは、校長の権限と責任のもとに、法令に基づいて適切に行われる必要がございます。また教育を行うに当たりましては、政治運動や社会運動との関係を明確に区分いたしまして、教育の中立性が確保されなければならないわけでございます。このため、校長や学校の設置者であります教育委員会におきましては、教育の中立性が阻害されたり、あるいは職員会議や教職員団体の学校分会との交渉が地方公務員法などの法令に違反して長時間にわたるなど学校運営の秩序を乱すような事態が生じるような場合には、警察などの関係機関との情報交換を行うなど適切な連携を図り、学校運営の適正化を図る必要があると考えております。
  41. 平沢勝栄

    平沢委員 今の文部省の答弁は一般論としてはそのとおりなんですけれども、具体的に現場でしっかりやってもらいたいということで言っているわけですから、もうちょっと具体的に答えていただきたいと思います。  時間がないから、次にまた文部省に聞きたいと思いますけれども、報道によりますと、国立市の学校では、卒業式の式会場での国旗の掲揚、国歌斉唱等に対して反対する団体、グループが校舎内に押しかけまして、学校側の退去してほしいという要請に一切耳を傾けない、そして、もし国旗を掲揚するようであれば妨害行為をするといったような発言を繰り返した、したがって、学校側では混乱を避けるという立場から式会場での国旗の掲揚等を断念した、こういうことが報道されているわけでございます。  一部の連中の不法な圧力に学校側が屈したという形になっているわけでございますけれども、これについては文部省はどういうふうに事実関係を把握しているのか、今後の対応をどう考えているのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  42. 伊勢呂裕史

    ○伊勢呂説明員 お答えいたします。  東京都の教育委員会からの報告によりますと、国立市におきまして、ことしの春の卒業式の実施に関して、子供が主体となる学校行事を求める会という市民団体が、国立市教育委員会や学校全部に対しまして、卒業式、入学式において日の丸掲揚、君が代斉唱、演奏等一切行わないでくださいというようなことを内容といたします要望書を提出したほか、この団体のメンバーが卒業式当日学校に押しかけて、四校で、校長室の中に掲揚されておりました国旗を外したり、屋上に国旗を掲揚しようとする校長の行く手を阻むといったような行動をとったとのことでございます。  この結果、国立市内の公立小中学校の十一校のうち、卒業式において国旗掲揚を実施したのは三校、国歌斉唱を実施した学校はなかったとのことでございました。  東京都教育委員会からの報告によりますと、国立市教育委員会としては、市民団体に対しまして、確認された妨害行為について厳重に抗議はしたものの、告発等の措置はとっていないと聞いております。  学校運営は、校長の権限と責任のもとに、法令に基づいて適正に行われる必要があるものでございまして、正常な教育活動が阻害されることが予想されるような状況におきましては、警察等の関係機関と情報交換を行うなど、連携を図りまして、学校運営の適正化に努める必要があると考えております。
  43. 平沢勝栄

    平沢委員 今もまた文部省の答弁はきれいごとなんですけれども、学校の現場で現実に法令違反が行われているわけですから、学校というのは治外法権じゃないわけですよ。一部の人たちの意見で国旗の掲揚、国歌の斉唱がやめさせられる、こういう実態。しかも、その過程で法違反が行われているということが明らかなわけで、その場合に、学校の現場だからということで特別な対応をするからまたこういうことが繰り返されるのじゃないですか。  では、警察に聞きましょう。先ほどの広島の例。広島は、先ほど申し上げましたように大衆団交が行われている、そこでおどしもある、あるいは宮澤さんの発言にはリンチも行われているということがはっきりと証言されている。あるいは国立の場合は、一部の勢力が押しかけて、学校側が出ていってくれと言っても出ていかない、もし国旗を掲揚したら妨害しますよというおどしもかけている。これは不退去罪にもなるじゃないですか。こういったことをもし警察庁も認知したのならば、断固とした、学校側がこれだけ、ちょっと余りにもひ弱な態度しかとれないのであれば、あとは警察がしっかりしなきゃならないと思うんですけれども、警察はこういったことについてどういうふうに考えているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  44. 金重凱之

    ○金重政府委員 先生御指摘の点につきましては報道等で承知しておるわけでありますが、警察といたしましては、住民の平穏な生活を守り、公共の安全を確保するという立場から、これまでも違法行為につきましては、これを看過することなく厳正に対処してきたところであります。  先生御指摘の件に関する被害の通報というのは現在までのところ出てはいないという報告を受けておりますけれども、違法行為につながる事案があるということでありますならば、警察に御相談していただくようにお願いしておるところでありまして、被害届等がありますならば、警察としては、法令にのっとって厳正に対処いたす所存でございます。
  45. 平沢勝栄

    平沢委員 もう時間が来ましたから、最後に大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今の文部省の答弁を聞いていても、文部省もしっかりしてもらいたいなという感じがしないでもありませんし、警察ももっとしっかりしてもらいたいなという感じがしないでもございません。  国旗・国歌についてはいろいろな世論調査が出ていますけれども、ほとんどの世論調査で七、八割の人がもう既に認めているという結果が出て、国民の間に定着しているということが言えるだろうと思います。そして、入学式、卒業式等の学校行事で国旗を掲揚し国歌を斉唱するということは、学習指導要領にも書かれているわけでございまして、この学習指導要領は法的な効果を持つということが既に最高裁の判例でも出ているわけでございます。  大臣は、昨年の二月十九日の衆議院の本会議で、教育とは何かということを当時の橋本総理に聞かれていますけれども、その中で、教育というのは、人間としての基本、日本人としての基本、国際社会の一員としての基本を教えることがその出発点であるということを言われているわけでございまして、私もまさにそのとおりだと思いますけれども、今の学校教育、この日本人としてのあり方、国際社会の一員としてのあり方というのを忘れ過ぎているんじゃないかなという感じがしないでもございません。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、教育の現場で、今申し上げましたように、もちろんそれは、君が代反対の人、日の丸反対の人、それはそれで個人の自由だろうと思います。しかしながら、自分政治的主義主張を教育の現場に持ち込んで混乱を起こす、これは私は、当然のことながら許されるべきことではないんじゃないかなという感じがしております。  広島では、先ほど申し上げましたように、大衆団交だ、リンチだということは国会でちゃんと証言されているわけでございますし、国立では一部の人たちが、今申し上げましたように、学校の中に入り込んで、実力で自分たちの主義主張を通そうとしているわけでございます。簡単に言えば、自分たちの主義主張を暴力で通そうとしているわけでございまして、それについて文部省も、先ほどの答弁がありましたように、何となく頼りにならない。国民から見たら、何だ文部省はという感じがしないでもございません。もうちょっと警察も、学校、教育委員会との連携を密にして、たとえ学校の中であれ、法違反があれば、しっかりした対応をするのが当然のことじゃないかなという感じがするわけでございますけれども、これについて大臣の御所見を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 二点申し上げます。  前段、いわゆる国旗・国歌、日本人としてのあり方という議論の中で、みずからの国旗、みずからの国の国歌を尊重しそれをとうとぶと同時に、国際人としても他国の国旗・国歌の尊厳を大切にするということは当然のことであって、私は、このことは教育現場の中においてもしっかりと学習指導要領に基づいて教育をされるべきことである、これは真の意味での日本人であり、真の意味での国際人を育てる原点でもあるという思いを持っております。  それから、現場において、この国旗・国歌問題をめぐって、今日まで率直にいろいろな方々がいろいろな角度から疑念を呈し、問題を惹起してきたことも承知をいたしております。ただ、これが学校の現場の中だけで解決することは大変難しくて、結果として悲しい事件が起きることにつながってきたという経緯もあったように思います。  そういう点で、今御指摘のとおり、法治国家として、違法なる事実が、違法なる行為があれば、これは厳正に対処していくべきことであるということはそのとおりでございまして、これはもちろん、学校関係者あるいは警察当局のみならず、社会全体としてそういうことをみんなでお互い戒めながら、法治国家としての形をしっかりと堅持してまいりたいというふうに思います。
  47. 平沢勝栄

    平沢委員 文部省も警察庁も、今大臣の御所見を聞かせていただきましたけれども、ぜひ頑張っていただくようお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  48. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、古賀一成君。
  49. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 道交法改正を機に、きょう、警察行政全般についても、せっかくの機会でございますので質問をさせていただきたいと思います。  まず最初でございますけれども道交法改正の目玉とも言えるチャイルドシートについてお聞きしたいわけでございますが、今平沢委員より、るるシートベルトあるいはチャイルドシートの問題点をお聞きになりました。  私は、交通警察行政は経験があるんです。出向で二年半、交通警察官をかつて若かりしころさせていただきまして、今から思えば非常に痛快な、楽しい、しかもやりがいのある仕事だったと思うんですが、そういう思い出も胸にしながら思うとき、一つの矛盾があると思うんですね。  一般市民の立場からいうと、交通警察が頑張れば頑張るほど、何か交通警察のために安全運動がやられているという感じ国民は正直言って持っていると思うんです。ところが、私も警察官をやりましたので、現場の警察官の本当に昼夜を分かたずのあの苦労、とりわけ死亡事故が多い、去年より増加しておるところの警察署の交通課長さんなんというのはノイローゼにならんばかりの真剣さでございまして、本当に御苦労を思うわけでございます。ところが、一方、国民の立場からいうと、交通安全を言えば言うほど、何か自分のことではない、これは警察がえらい張り切っている、おかげさまでこの前、交通安全運動の初日に捕まった、運が悪かった、そういう構図になっている面も私はあると思うんです。  そこで、今回、チャイルドシートという制度が導入されて、点数が付加される、こうなったわけでございますが、やはりこの際、そういう交通安全運動国民の見方、これをやはり抜本的に変えていく、やはりキャンペーンというかあるいはそれを提示するための理念というか、そういうものをはっきりさせないと、何で嫌がる子供チャイルドシートをさせなきゃならぬのだ、三つも買わなきゃならぬ、子供は嫌がっている、こういう問題にまで波及するのであります。  私なりの思いはあるわけでございますが、シートベルト、とりわけ今回のチャイルドシートは、どういうキャンペーンで、あるいは理念を提示してこれを普及させようとしておられるのか。基本的な交通安全の理念といいますか、そういうところを私はぜひこの際、警察当局にお聞きしたいと思いますので、局長、ひとつ御披露をお願い申し上げたいと思います。
  50. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  一つは、幼児交通事故実態でございます。  平成十年中の自動車乗車中の交通事故による六歳未満幼児死傷者数が、平成六年と比較しまして実に五二%の増加になっておるという現状がございます。自動車に乗車する幼児交通事故による被害から守ることがまさに喫緊の課題となっているということがございます。  もう一つは、幼児自分自分を守れないということが根本的にございます。それと、私どもが委託した調査によりましても、チャイルドシートというものに対する認識が、着用率はいまだでございますがそれなりに高まりつつある、実際に保有状況もそれなりの数字が出てきておるということから、今回法制化の時期に達したのではないかというふうに判断したところでございます。  いずれにいたしましても、この問題はそもそも交通警察全般の問題でもあるわけでございますが、運転者みずからが、幼児を乗せる際にチャイルドシートを用いない場合の危険性を十分に認識していただいて、また、このチャイルドシートの有効性というものについても十分認識していただいて、そして積極的に自分からこういうものを着用させるように努めるということが本来の姿でございます。あくまでも、法制化というのはそれを担保するための措置であります。  したがいまして、一番重要なことは、今委員がおっしゃられましたように、このチャイルドシート必要性あるいは有効性というものについて、警察といたしましても十分な理解を求めるための活動、これを展開しなければいけない。それによって、実際に本当の意味理解していただいて、そして積極的に自主的にこれをつけていただく、そのような方向を第一として進めたいと思っております。
  51. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 シートベルトチャイルドシートの効果あるいは事故の推移、これはぜひ徹底してキャンペーンしてもらいたいのですが、もう一つ、本当の交通安全というのは、警察のためじゃない、人のためでもない、やはり自分たちの家族、そしてとりわけ自分自身のためだ、あなたのためです交通安全といいますか、こういう自主自立の精神をやはりもっと強く訴えたキャンペーンというのが必要だろうと私は思うのです。私は、何か警察が警察のためにやっているような印象というのは極めてよろしくないし、そういうキャンペーンを張ってもらいたいなということが言いたかったわけであります。  実は、ちょうどこのシートベルト義務化されたとき、私は静岡県警におりまして、このシートベルトのキャンペーンをやったことがあるのですね。シートベルトというのは他人に危害を加えるものでも何でもないのですよね。シートベルトをしていなかったから相手を殺すわけでもないし、結局、自分自身のために何で点数つけるんだと。  私はあのときにいろいろ勉強させてもらいましたけれどもシートベルト義務化してきた国というのは全部福祉国家なんですよね。一番最初にやったのがオーストラリアのビクトリア州、一九七〇年、二番目がニュージーランド、一九七二年、フランスが一九七三年、そしてスウェーデンが一九七五年に義務化をしておりまして、あの当時極めて話題になったポスターをスウェーデン政府はつくったのです。女性の裸が写っていまして、そこにシートベルトのあざがばんとついているものをスウェーデン政府がつくった。それを警察庁が実はまねしまして、かたせ梨乃ですか、何かあれも評判になりましたけれども。  基本は、そういう福祉国家でこれが導入されてきたというのはある面ではおもしろい話でありまして、要するに、他人には危害を加えないけれども自分自身が事故に遭ってシートベルトをしていないために半身不随になった、結局それは国家がいろいろな福祉政策で金を出してサポートする、だからこそやはり勝手に自分自身を傷つけてはならないんだと、私はそこら辺に原点があるという話を当時聞いたことがありまして、今回のチャイルドシートについても、私はそういう視点というものをぜひキャンペーンの一環に使ってもらいたいというふうに思います。これは私の所見ですので、もう一回精査していただいて、ひとつ参考にしていただければと思います。  二点目でありますけれどもチャイルドシートについて。これは、シートベルトとかこれまでのいろいろな交通違反に対する点数制度の改正とはやはり全然違う二つの要素があると思うのですね。これはぜひ警察庁には十分配意してもらいたいという二点を申し上げたいと思うのです。  一点は、違反現場に必ず子供がいるのですね。そして運転しているのは、自分が尊敬しているというか、お父さんでありお母さん。そこに警察官が検問なり何かをして、とまりなさい、チャイルドシートしていないんじゃないですか、そういう現場になるのですね。私は、お父さんがシートベルトをしていない、警察官から、おまえ何やっているんだと言われるさまは、子供が見ていない場合は構わぬけれども子供が必ずいる前で、その保護者である者が汗かきながら切符を切られるとか、そういうことになるのです。  そうした場合に、警察官の現場での接遇というか、いわゆる現場での態度というものが教育上極めて、あんなに尊敬していたお父さんがあれだけあたふたとしていたということも見せることになるわけで、これは現場警察官としては非常に今までにはない配慮というか教養というか、やはりそういうものが絶対要る分野だと思うのですね。  したがいまして、私は、これまでの警察官に対する教養というか教育というか、取り締まり方針の伝達というかマニュアルというか、そういうものについてはこれまで以上に非常に配慮してもらわないと困ると思うのですね。この点、どういうふうに今まで以上に配慮しようとしているのか。そういう面が一問でございます。  もう一つは、大体今まで警察庁は、運転者、ドライバー、そういうものを頭に置いてキャンペーンとか指導をかけておられたと思うのですけれども、この問題は、今度はお父さん、お母さんはこの法律改正によってチャイルドシートを買いましょうと。そうしたら子供が嫌がると思うのですよね。お父さんがつけてくれたけれども、暑苦しいときにこんな機械というか道具に締めつけられたくないと、私は子供がだだをこねると思うのですよね。そうした場合に一番の問題は、この普及は、大人だけじゃなくて子供にわかるような広報というかキャンペーンを警察がしなければならぬという、今までにはない努力をしてもらわなければならぬと思うのです。  ここら辺について、私は、ぜひ留意してもらいたい、こう言うのですが、何かこれに対して、もう既にこういうことを配慮しています、あるいはこういう計画がありますというのがございましたら、ぜひお聞かせ願いたいし、私の視点をぜひ今後とも心にとめていただきたいと思います。
  52. 玉造敏夫

    玉造政府委員 第一点の、チャイルドシートの場合には常に子供という存在がすぐわきにあるということでございます。まことにそのとおりでございまして、実際の現場におきまして子供の気持ちを傷つけても始まらないわけでございまして、その点は現場の警察官に対しましても、実際に親が自分からまさに自発的に、やはり使わなければいかぬという気持ちになるような、そういう指導、取り締まりでなければいかぬという立場で、現場に対しても指導をしてまいりたいというふうに思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕  次に、子供が嫌がるという話があるわけでございまして、これは当初からチャイルドシートに乗せればそういう問題は比較的少ないというような声もございますけれども、実際にそういう問題はございます。それに対しましては、やはり対処法というのが幾つか既に言われているようなこともございます。欧米でもそのような関係でのビデオもございますし、日本でも、JAF等がチャイルドシートを嫌がる子供への対処法というようなパンフレットなどもつくっております。  そういう面で、基本的には親御さんに対して、どのようにそのような子供に対応したらよろしいのか、対処したらよろしいのかということについて、そういう面での知恵といいましょうか、それの普及、そして啓発にも努めてまいりたいというふうに思っております。
  53. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 きょうは総務庁にもお越しいただいております。交通安全の総元締めといいますか、とりわけ交通安全のキャンペーン等については総務庁も責任の一端があると思うのです。交通安全対策室長お見えだと思いますが、今私が申し上げましたような、これまでにはない分野の広報活動というか、新しいやり方が必要だという指摘に対して、やはり総務庁も、今までにはない、予算をつけてでもこれは周知徹底すべきだと思いますけれども交通安全対策室として、この点にどういう対応をしようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  54. 篠原弘志

    ○篠原説明員 お答えさせていただきます。  総務庁といたしましては、現在のチャイルドシート普及活動の中心は、関係省庁並びに関係民間団体から構成いたしますシートベルト着用推進協議会、これを中心として取り組んでいるところでございます。  昨年は、産婦人科あるいは保育園などの乳幼児関係の施設六万二千カ所にポスター、パンフレットなどを配布いたしまして、その必要性についてPRをしたり、また安全シンポジウムや、また正しいチャイルドシート装着等につきますテレビCMのスポットについて、希望県に配付するなどの活動を行っておりました。  特に、本年、チャイルドシートにつきましての法制化の動きを踏まえておりますので、今回の春の全国交通安全運動につきましては、全国重点目標に初めてチャイルドシート着用促進を加えて、積極的な普及啓発を図ろうというふうに考えております。  なお、普及啓発の実施に当たりましては、やはり基本といたしまして、国民の方々にその必要性、効果を十分認識、理解をしていただくということを重点に置いて、その具体的な方策につきまして、これから研究しながら進めていきたいというふうに考えております。
  55. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 アメリカの方でも、子供が嫌がるという事例が非常に多いそうでございまして、つけた場合でも、また九割が誤った装着法だという議論もあるし、アメリカでは何か、プレシャスカーゴ、貴重なる荷物というふうなキャンペーンビデオまでつくってやっているそうでございますけれども、ここはぜひ、今までの発想にはない工夫をするチャンスでございますので、両庁ひとつ頑張っていただきたいと思います。  そこで、せっかくの機会でございますので、警察行政全般について、ぜひほかにも及んで聞きたいわけでございます。  私は、かねがね、警察行政をめぐる環境というのはいろいろな意味で相当変わってきていると思うのですね。とりわけ一番怖いのがというか一番関係があるのが、私は国際化という波と情報化ということだろうと思うのですね。私は、もちろん各警備局あるいは外事警察あるいはいろいろな分野で、こういう国際化、情報化に個別にいろいろ対応しておると思うのですが、余りにも変化が激しいし、その様相が多岐にわたるというようなことで、とりわけ警察行政については、国際化、情報化という視点から、警察行政の全体、つまり組織とかシステムであるとかマンパワーであるとか、そういうものをやはり総合的に一回じっくりレビューしてみるという作業が必要な気がしてならないのですね。  個別の案件についてはまた後ほど申し上げますけれども、こういう個別各局の、各課の対応というのじゃなくて、警察行政全体について、国際化、情報化というものがどう今まで及んでいるのか、今後どういう問題が起こり得るか、それに対応するためにどういうふうな対応を組織、マンパワー、システムでしたらいいのか。僕はそういうレビューをすべきだと思うのでありますけれども、ひとつ国家公安委員長、大臣、こういう私の意見に対して、その御所見、対応いかんということでお答えをいただきたいと思います。
  56. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、社会情勢、時代の推移とともに、組織というものを常にレビューして対応力を発揮していかなければならないということは当然のことでございまして、その点は、いかなる組織といえども、硬直化してしまったのでは対応できなくなる。そういう中で、特に警察の組織としても、この点はなお一層大切なことだろうと思っております。  そういう点で、今日までのことを見ますと、平成六年、今御指摘のような社会の国際化や情報化の進展に対応して、まさに国際部それから情報通信局というのを設置して、総合調整機能の強化や警察行政の効率化を推進してきておるわけでございます。また、先日当委員会においても御審議をお願いし、衆議院を通過させていただいた警察法の改正という点におきましても、ハイテク犯罪対策の技術的な中核をなすナショナルセンターを警察庁の情報通信局に設置するということをも内容といたしておるわけでございます。また、来日外国人による組織犯罪や情報化の進展に伴うハイテク犯罪など、従来の警察組織の枠組みを超えて発生する犯罪に的確に対処するために、変化に即応し得るしなやかな組織というものの構築に努力をしておるというところでございます。  今後とも、国際化、情報化の進展に伴いまして、その進展に対応した組織のあり方について、引き続き対応できるように検討してまいりたいと思います。
  57. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の関連になりますけれども警察庁長官に、事務方のトップということで、よく似た質問でありますけれども質問をしたいのですが、とりわけ今の国際化、ボーダーレス化という中で、これは当然、警察だけではなくていろいろな関係があろうと思うのですね。法務省、外務省、あるいは県警同士、あるいは県警と警察本庁、あるいは外勤警察官と警備の連携とか、そういういろいろな課題が、私は、とりわけ国際化に絡んで、もう一回レビューするというか見直してみる、強化していくということが必要だと思うのですが、事務方のトップとして、こういった国際化、ボーダーレス化に関して、もうちょっと具体的に、こういうことをやる、こういうのを今進めているというようなところをひとつ、ございましたら御披瀝をいただきたいと思います。
  58. 関口祐弘

    ○関口政府委員 委員指摘のとおり、近年、グローバル化ということが顕著でございまして、そうした中で、人、物、金、情報というものが自由に国境を越えて往来をするという世の中でございます。その中で、犯罪の国際化あるいはグローバル化というものが顕著に見られるところでございます。  そうしたものに適切に対処していくためには、私ども警察のみならず、国内外の関係機関とも緊密な連携をとるということが不可欠でございます。現に、国内におきまして、法務省の入国管理局なり、あるいは運輸省の海上保安庁なり、また税関等の関係行政機関と、合同摘発、犯罪の通報等、個別の事案の内容に応じまして所要の連携をとっているところでございます。特に入国管理局とは、昨年一月及び六月に、合同で不法滞在者の集中取り締まりを行っているところでありまして、今後とも継続してまいりたいと考えております。  また、翻って、私どもの警察内部の問題でございますけれども、御指摘のように、刑事部門あるいは生安部門、警備部門というふうなことでそれぞれの仕事を進めているわけでございますけれども、そうした、いわば縦割りということではなくて、一つのプロジェクトをつくるような形で各件ともいろいろな工夫をしているというのが現状でございます。  一方におきまして、国境を越えて敢行される国際組織犯罪問題というのは全世界的に深刻な問題になっているところでございまして、現在、国際連合やG8サミットなど国際会議の場や二国間における治安協力の場におきまして、その対策について議論をされているところでありますが、警察庁では、外務省あるいは法務省等とも連携をしまして、これらの対策に積極的に取り組んでいるところであります。また、国際刑事警察機構、ICPOというものがございますけれども、それとの連携につきましては、増加する国際組織犯罪に対処するために世界各国が協力して、その構成員の動向に係る情報を収集し、交換しているということでございます。
  59. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 そういうボーダーレス化、国際化については、国益にも絡んでくる話、かなり凶悪な犯罪が背後に控えておる話でもございますし、まさに、省庁を超えて、あるいは局を超えての新しいそういうネットワークといいますか、連携関係をぜひ今後ともお願いしたいんです。  これに絡みまして、実はフィリピンでの不正免許取得の問題について次にお聞きしたいんですが、かねてから、フィリピンに行って偽造免許を取ってくるやからがいるらしいとか不法取得をしているという話がありましたところ、先月、二月二十二日、日本テレビでありますけれども、実はこれの特集がございまして、私も見ました。  そこで言われておるのは、フィリピンの偽造免許が現地で一万円で手に入る、それで本物も不正に短時間のうちに入手できる、これは三万から五万で入手できるそうであります。日本でもそれが流通して、フィリピンに行かずとも、偽造が三万から十万とか、本物が三十万ぐらいで入るとか、こういう話がある。ここに実はにせものと本物の現物があるんですが、本当、こういうふうに張っておかないとどっちが本物かわからなくなるぐらい、よく見てみた場合でも区別がつかないんですね。  これが相当横行しているという話があって、本物は、これを発行しておるのがフィリピン自動車協会。それで、にせものを日本側から警察が照会しておる、それが去年一年で九十人分の照会がフィリピンにあった、そのうち八割が偽造であったというのがわかっている。こういう国際的な免許の偽造あるいは不正入手というのがフィリピン、日本の間であるという事実が報道されたわけであります。  この点、警察庁、この国際的な免許の偽造、不正入手をどこまで把握しておられるか、ひとつ教えていただければと思います。
  60. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  偽造国際運転免許証及び不正に取得された国際運転免許証に関しまして、平成六年から昨年までの五年間で六百七十一件、三百四十四人を検挙しております。そのうち、フィリピン関係が五百五十二件、二百三十九人ということで大半を占めております。本年一月から二月にかけましても京都府警におきまして、フィリピンで偽造された国際運転免許証に絡みます大がかりな事件を捜査いたしまして、同免許証をあっせんしていた者を含みます暴力団員等十九人を逮捕したところでございます。  取り締まり現場におきましては、一見して偽造された国際運転免許証とわかる場合はもちろんでございますけれども、そうでない場合におきましても、国際運転免許証発給国への渡航歴であるとかあるいは当該運転免許証の取得経過等を聴取することによりまして、不審点の発見に努めまして、免許証の真偽そして渡航歴等を外国政府機関、先ほど御紹介ございましたけれども、これに照会するなどいたしまして、事実を解明して事件の検挙に努めているところでございます。  いずれにしましても、近年、御指摘のようにこの種事案が増加傾向にあることは事実でございます。今後とも、国際運転免許証の偽造等に関します背後責任の追及まで徹底して行ってまいりたいというふうに考えております。
  61. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 普通、日本の取り締まりで、あるいは事故とか違反に絡んで免許証を提示したときに、日本人でありながら日本の免許証を出さずに、こういう見たこともない国際運転免許証を出すということ、そのものが普通はおかしいんですが、一方で、金を出して、あるいは場合によってはフィリピンに行ってまでこういうのを取る人たちがこれだけいるということは、一説に言われている、国際免許証を出せば、現場の警察官が、これは何だと、これは国際免許証だということで、逆に違反でも見逃されるとか、こっちの方が効果が高いとか、そういう指摘もあるんですね。  だから、通常であれば、日本人が日本人の名前が書いてあって国際免許証を持っているということであれば、通常、現場の警察官がちゃんと対応すれば、むしろそういう違反等々が怪しまれるんじゃないかと思うはずなんですけれども、これが横行しているというのは、私は、現場の警察官の対応に問題があるんじゃないか、こういう気がするんです。そこら辺の教育とか、いやそんなことはないと、むしろこういう国際運転免許証については通常よりも厳しく疑念を持ってやるべきだと私は思うんですけれども、それをやっているのかどうか、もう少し詳しく教えてください。
  62. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  この種の事案に対する警察官の取り組み姿勢あるいはそれに対する教養という問題になるわけでございますけれども、偽造国際運転免許証の取り締まりにつきましては、現場の警察官に対しては、今お持ちでございました真正な運転免許証と、そして偽造された運転免許証の実物を示すなどしまして、こういう実態があるんだよ、これはこういうふうな角度から看破しなければいけないという意味での具体的な指導、教養をまず行っております。また、取り締まりにつきましては、先ほども申しましたような角度から、やはり不審点を看破するというためのヒント、そういったものについても教育を行っているところではございます。  警察官でございますから、そういう免許でございまして、しかも日本人がそれを持っているわけでございますから、言葉の問題がまず基本的にないわけでございますから、むしろそういう角度からすれば怪しまれるというのが通常であろうと思いますし、警察官としても、そこに日本語でいろいろと問いかけをすればよろしい話でございますから、ちゅうちょする気持ちというものは基本的にないであろうというふうには考えております。  いずれにいたしましても、この種事案が今ふえておるという実態を十分に認識させまして、事案の摘発に積極的に取り組むように指導してまいりたいと思っております。
  63. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 話を聞いたところによりますと、免許証が本物であるかどうか、偽造であるかどうかという国際的な照会をすると二、三カ月かかるというような話もこれあって、先ほど言いました情報化、国際化と二つ絡んでいるわけですが、これなどがもっと機敏にぱっと照会できるというシステムさえつくれば、こんなばかな、もともと持っているだけで怪しまれるような免許証になるわけですから、持つ人はいなくなると思うんですけれども、その点、本当にそういう情報化、国際化という対応をより強めていただきたいと私は思います。  この点、照会については敏速にやれるんですか。二、三カ月かかるというような指摘もありますけれども、その点ちょっと教えてください。
  64. 玉造敏夫

    玉造政府委員 捜査機関同士の照会業務でございますから、相手方のあることもございまして、こちらの方で要する日数以外に、相手方の方がどれだけ早く回答してくれるかという問題になるわけでございますが、これはやはり平素の捜査に関連しての協力といいましょうか、そういうものがどれだけ深まっておるかによってそういう時間の短縮というものは一つ図られます。  それともう一つは、今おっしゃられましたような情報化ということを踏まえれば、さらに、技術レベルでの改善ということによる時間の短縮ということもございます。  そういう点につきましても十分検討してまいりたい、前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  65. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 次に移りたいと思います。  このいわゆる不正取得国際免許が一つの例なんですが、犯罪の類型が極めて国際化している、多様化している、あるいは情報機器とかも駆使したものになっている。もう本当に犯罪捜査の現場からいえば、年々、かつてでは考えられなかったような困難な捜査状況というのが私は起きつつあると思うんですね。そこで、今までみたいに刑事の勘であるとかというものだけでは対応できない変化がずっと起こっていると思うんですね。  それで、私は、実は去年の委員長招待のときに、関口長官とお酒を飲みながら、ここで御存じの方はたくさんおられますけれども、私はモバイルというものをこの数年やっていまして、本当にコンピューターというのは全然不得手だったんですね。ところが、これをやってみたときに、これは本当に現場の警察官が使ったら恐ろしい効果がある、初動捜査においてこれほど威力を発するものはないだろうと私は本当に思ったんです。  それで、長官、覚えていられるかどうかわかりませんが、当時も、前長官の狙撃とか、随分いろいろ変な話がありましたよね。やはり捜査というものは、今の不正免許にしてもそうなんですが、現場においてぱっと対応したときに、犯罪者も、あるいは違反者にも一番きくわけであります。  捜査の側からいうと、最初に捜査現場で集めたいろいろな情報というものが、迅速に多様な情報で、つまり画像とかボイスとかで集められて、それが一種のコンピューターによる検索でやられた場合、具体的に言うと、例えば殺人事件が起こった、刃渡り何センチだった、被害者はこういうあれだったと。その現場の写真を、例えば、ちょっとこれは見せていいのかどうかわからぬけれども、これはカメラがついているんですけれども、このカメラで撮る。それを携帯電話で本庁に送る。それで、キーワードを幾つか添えて、数人の警察官から寄せられたものを本庁、警察庁なり、あるいはコンピューターにアクセスして検索をする。そうすると、この県では、その所轄署では最近こんな事件は初めて見たというのでも、コンピューターで検索すれば、新聞には載っていないけれども、二週間前に隣の県で大体よく似た事件が起こっているとかいうのがもう瞬時にわかるんですね。  僕は、そういうのを想像力たくましく、長官に、これはおもしろいですよ、捜査能力の飛躍的向上になるということで申し上げたところ、実は、警察が県警レベルでこれをやっているんですね。  こういうモバイルを持った大阪府警の捜査官が、これは使えるということでやった。現場で写真を撮った。つまり、覚せい剤をロッカールームに入れた。その瞬間を警察官が撮った。それを本庁に送った、こういう証拠で現行犯逮捕できるかと。そうしたら、これだけあればすぐできるといってやったというんですね。それで、いわゆる証拠能力というか、こういうモバイルが持つ便利性というので、今、大阪府警はかなり大々的にやろうという話があると聞いています。  岡山県警では、こういう小さいモバイル、小さい手持ちコンピューターに毎朝警察官が、コンピューターの前にちょっとした機械がありまして、置くだけで、きのう現在での盗難車両、盗難自転車の番号が全部入るようになっているんですね。そうすると、外勤警察官が行っていて、この自動車は一週間ここに放置してあると、そうしたら、これをぱっと検索できるんですよ。そうしたら、これは何月何日にどこそこでとられた車両というのが直ちにわかるんですね。  今の犯罪の広域性、迅速性ということから見たときに、国民が心配していることは、最近検挙率が非常に下がっているんじゃないかという話があるんですね。だから、私は、こういった情報化、国際化、広域化、犯罪の多様化というものを踏まえた現場警察官の情報能力の強化というものをやはり真剣に考えていいんじゃないかと思うんですが、ここら辺で何か先ほどちらっとお聞きしましたら、各県警はいろいろ工夫しながらやっておると。いかがですか。こういう私の提案について、警察庁としての方針をお聞きしたいと思います。
  66. 野田健

    野田(健)政府委員 委員は、モバイルその他の携帯型のコンピューターに大変詳しくて、教えられるところが非常に多いわけであります。  警察といたしましては、まさにおっしゃるようなそういうものもぜひどんどん導入していきたいなと考えておりますが、一方で、警察の中のコンピューターネットワークについても、本体の方はかなり整備されてきておりますが、端末としてはまだ全国で七千台ぐらいというような状況にありまして、二十六万警察官ですから、何人かに一台しかまだない。  それで、今、それを整備し終わると、もう少しできますと、おっしゃるように、今度はその端末からさらに個々の警察官に必要な情報が入ってくるということで、他の社会と切れた状態で情報が確実に伝えられるという時代が間違いなく来るのではないかと思っております。そういう意味で、現在は、P—WANと称しておりますが、警察のネットワークの完成を急いでいるというような状況にございます。  一方で、全体といたしますと、ハイテク犯罪対策であるとか、あるいは科学技術の導入ということで、全国的な整備も図ってまいりたいというように考えております。  どうぞよろしくお願いいたします。
  67. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これからの警察行政のそういう困難な状況を考えたときに、私は、こういうコンピュータライゼーションというか、とにかくやはり現場警察官の端末ですよね、これは本当に真剣に検討し、これを駆使すれば相当今の警察の隘路の部分に光が見えてくると思いますし、私も、プロではありませんけれども、御参考になることがあれば、よく若い人たちには教えておるのですけれども、協力を惜しまないつもりでございます。  次に、もう一点お聞きしたいのです。  今みたいないろいろな警察行政環境変化の中で、警察官の職種というかあるいは管区警察局の機能が、時代に合わせてもっと多様化というか変わってもいいんじゃないかという気が私は強くしております。大体、法学、法律職あるいは行政職ということで入った方が多いと思うんですが、語学の面もそうですし、やはりもっと国際的な経験のある人、あるいは情報関係に強い人、そういう警察の人材の多様化、それをうまく結びつけていくということをそろそろ検討してもいいのではないか、かように私は思うわけでありますけれども、この点について、現状と、対応といいますか、警察庁当局のお考えをお聞かせいただければと思います。
  68. 野田健

    野田(健)政府委員 警察では、古賀委員指摘のとおり、従来は、まず行政職というような形で警察官を採用しまして、その中から、比較的帳簿能力にたけている者を研修させるとか、あるいは語学が好きだという者に語学を勉強させるとか、そういうような努力をしてまいりました。  ところが、世の中が大変複雑化、多様化してくる中で、警察官になった後でそういった技術を勉強してもらうよりは、むしろそういった分野に秀でている人に警察官になってもらうということが必要ではないかということで、例えば、情報処理技術を持っている者、あるいは財務・金融等の専門的知識を持っている者、会計士等の資格を持っている、そういう方とか、あるいは外国語に卓越した能力を持つ者を採用して、いわゆるハイテク犯罪捜査官であるとか財務捜査官あるいは国際捜査官というようなことで中途採用というようなことで採用している状況にございます。  ただ、これらの人は非常にすぐれた能力を持っておりまして、どこかの県だけで仕事をしてもらうということではもったいのうございますので、そういう人たちを全国的に登録しておきまして、他の県でその能力を発揮してもらいたいような事案が出てきた場合には、それぞれ応援要請をして応援してもらうというような体制をとっておるところでございます。
  69. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 そうしますと、そういう得意な専門知識を持った人が県警に入るということじゃないんだと思うのですね。そうしますと、管区警察局、例えばこういう管区レベルで広域的にひとつ警察行政を遂行しようという場合に、管区機動隊というのが編成されたりしておるわけですが、それはそれでいいとして、やはり情報関係は、庶務課というのはあるのですけれども、こういう管区警察局にむしろ情報企画課というか、あるいは管区国際犯罪機動捜査隊、そういった管区の機能をこういう新しい分野を頭に置いて強化していく、こういうことがあってもいいのじゃないかと思うのですが、何かお考えがありますでしょうか。
  70. 野田健

    野田(健)政府委員 先ほど御説明いたしました犯罪捜査官であるとかあるいは財務捜査官という人たちは、都道府県警察の職員でありまして、お互いに派遣し派遣されるという関係で捜査に当たっているわけですけれども、情報処理の関係になりますと、実は、全国の都道府県警察よりは、むしろ警察庁あるいは管区警察局に情報処理の専門家というのがたくさんおります。そこで、今回、警察庁の情報通信局にナショナルセンターを置いて技術的な支援をしようということを考えたわけであります。  もちろん、同じような能力を持っている人は管区警察局にもおりますので、管区局の中で応援要請があるという場合には、そういった人たちが出ていくという場面も多くあろうかと思っております。
  71. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 あと、通告しておった質問もございますが、ちょっと時間をお互い短縮しようということですので、きょうはこのくらいで終わります。
  72. 山本公一

    ○山本(公)委員長代理 次に、細川律夫君。
  73. 細川律夫

    細川委員 民主党の細川でございます。  私は、道路交通法改正案そのものについて何点か御質問をさせていただきたいと思います。これまでの質問と多少はダブるところがあるかと思いますけれども、お許しをいただいて、御質問をいたします。  チャイルドシートの問題についてまずお聞きをいたしますけれどもチャイルドシート使用普及させるということは、これはもう大いに賛成でございまして、ほとんどの自動車先進国がこれについては普及をさせるということで法制化をしているところでございまして、我が国の対応は遅過ぎたんではないかというふうに思うくらいでございます。  しかし、急に義務づけるということに疑問がないわけではございません。この改正案でいきますと、六歳未満後部座席を含めてチャイルドシート義務づけということになるわけなんですけれどもシートベルト後部座席では義務づけがされておりません。つまり、五歳までは法的にきちんと保護されますけれども、六歳になりますと規定がなくなります。小学生の児童というのは、落ちつきもなくて、車の中でも跳びはねたりしましていろいろ危険なわけでありますけれども、児童にとっては後部座席シートベルト使用する義務がない、しかし六歳未満、五歳以下はきちっと法的に保護される、その落差というのが大変激しいのではないかというふうに思います。この点をどういうふうにお考えになっているか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  74. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  チャイルドシートは、座席ベルトを適切に装着させることができない子供の安全を確保する上で極めて高い効果を発揮するものでございます。他方で、この使用運転者義務づけるということになりますと、やはり国民負担を課するということでもあるわけでございます。  そこで、今回の法案におきましては、子供の安全確保の必要性、そして各年齢別の事故の発生率、さらに国民にかかる負担等の兼ね合い等々を考慮いたしまして、義務づけといたしましては六歳未満幼児対象としたところでございます。  そうなりますと、では六歳以上の児童はどうかということになるわけでございますが、法案では使用義務づけの対象としておりませんが、六歳以上の児童であっても、座席ベルトを適切に装着させることができるようになるまではチャイルドシート使用するということが基本的に望ましいわけでございます。警察庁といたしましても、これら六歳以上の児童についてもチャイルドシートを引き続いて使用させるよう、広報啓発活動を続けてまいりたいと思っております。  なお、ちなみに日本で生産しております自動車シートベルトでございますが、これは各メーカー、大体百四十センチぐらいの子供といいましょうか、百四十センチぐらいになるとシートベルトでいいというようなことで考えておるようでございますので、それまでの間は、六歳に達しても、やはりチャイルドシートの学童タイプでございましょうか、これをつけるということがまことに望ましいわけでございますので、そういう角度からの広報啓発活動も十分やってまいりたいと思っております。
  75. 細川律夫

    細川委員 チャイルドシートは、年齢に応じて三種類用意をしなければいけない、こういうことでありまして、保護者の経済的な負担、これも少なくないわけでございます。チャイルドシートの現在の普及率というのも全体で八・三%でございますか、そういう意味では普及も余りされていない。  そういう中で、法律の施行期日というのは、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令に定める日から施行する、こういうことになっておりまして、これが施行されますと、負担やあるいは義務づけによります取り締まりが強くなる。そうしますと、いわゆる公布までの期間、これが非常に短いと大変国民にとっては負担になるんではないかというように思いますので、そういう意味では、取り締まりとチャイルドシート普及というのを十分分けて、取り締まりというよりもむしろ普及の方に重点を置いてひとつ進めていかなければいけないんじゃないかというふうにも思います。  そういう点は、いつから施行されるのか、そして具体的にはどういうようにチャイルドシート普及を促進していくのか、そこのあたりはどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  76. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  チャイルドシート義務づけということで、法律の施行までに一年間の周知期間をとったわけでございます。この間に今まで以上にチャイルドシート必要性、有効性というものに対する普及促進のための広報啓発活動、これを展開していくこととしております。本年春の全国交通安全運動一つのテーマにもしていただいておるところでございます。  また、一部の都道府県警察におきまして、交通安全協会等関係団体と連携するなどいたしまして、さらには市町村との協力等々も行いまして、いわゆるレンタルであるとかリサイクル、さらに無償体験制度といったものを実施して、これを呼び水とすべく努力しておるところでございます。こうした努力法制化とあわせまして展開していかなきゃいかぬというふうに思っています。  なお、法の施行までの一年間の期間を越えて法施行の暁にもという御指摘でございました。  これは、例えばシートベルトの際にも若干のいわゆる指導期間というものを設けました。法は動き出しておるけれども、実際の取り締まりに先行して、その間警察官が指導を行うという期間を設けたというふうなこともございます。そういうことも念頭に置きながら、いわゆる指導期間といったものも考えておるところでございます。  その間といいましょうか、さらにそれを越えてもでございますけれども必要性、有効性という広報啓発活動は、通してこれを展開していかなきゃいかぬ。これによって、先ほども申し上げましたけれども、自発的につけていただくということが何よりの眼目でございますので、そのような点を第一としてやってまいりたいというふうに思っております。
  77. 細川律夫

    細川委員 取り締まりということよりも普及促進という点について重点的にお願いをしたいというふうに思います。  次に、携帯電話についてお伺いをいたします。  携帯電話によります事故が多発をいたしておりますけれども、これは統計上出てきておりまして、これに何らかの規制を加えるということは必要だというふうに思います。しかしながら、ハンズフリー装置を適用除外する、こういうことについては私は疑問を感じているところでございます。  車を運転中に携帯電話が鳴りまして、そして電話をとって事故が起きる。この場合に、片手がふさがって片手運転になることによって事故が起こるのか、それとも会話の方に気持ちをとられまして運転の方に集中できなくなって事故が起こるのか。どっちかというふうに考えますと、私は、運転に集中できなくなる、会話の方に気をとられて集中できなくなる、それによって事故が起こるんだ、こういうふうに考えます。そうしますと、ハンズフリー装置も携帯電話と同じように規制の対象にすべきではないかというふうに考えるわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  78. 玉造敏夫

    玉造政府委員 委員指摘のように、ハンズフリー装置を併用したとはいえ、やはり会話の内容に入ってしまうというようなことがあるわけでございます。したがいまして、ハンズフリー装置を併用するか否かにかかわらず、基本的に走行中には携帯電話を使用しないことが望ましいというふうには考えております。  ハンズフリー装置を併用して携帯電話を使用する場合、しない場合と比べてどうかということなんでございますけれども、やはり操作の際に視線を前方等から外すことなく、また電話機を手に持って通話することもないということから、危険性が相対的には少ないという差異は一応はあろうかというふうに考えております。  また、平成十年中の携帯電話等の走行中の使用に係ります人身事故の発生件数、これは二千六百四十八件でございますけれども、そのうちハンズフリー装置を併用していた事故、これが四件でございます。死亡事故は一件も発生していないという実態がありまして、事故実態からしましても、これはもちろんハンズフリーの普及状況とも絡むわけではございますけれども、それにしても事故が非常に少ないということ、さらに、携帯電話等の走行中の使用を規制しております諸外国の例を見ましても、ハンズフリー装置を併用しておる場合にはいずれも規制の対象外としておるというふうなこともございます。  したがいまして、ハンズフリー装置を併用して携帯電話等を使用することまで法的に規制する状況には至っていないものというふうに現時点では考えております。
  79. 細川律夫

    細川委員 ハンズフリー装置を併用している場合、私、そもそも数が少ないということで事故の件数も少ないんではないかと思いますけれども、それは統計上何か出ておりますか、どういうふうにハンズフリー装置を使っているか。
  80. 玉造敏夫

    玉造政府委員 ハンズフリー装置自体の普及状況について十分把握しておりませんので想像で申し上げますれば、トータルとして、携帯電話の爆発的な普及状況と比べた場合には圧倒的に少ないであろう、それが事故件数にも反映しておるであろうとは思いますが、それにしても事故件数として四件というのが非常に少ないということ自体は間違いのないところでございまして、その意味で、現時点においては、諸外国法制等々も勘案しながら考えますと、ハンズフリーは、どんどん使えということではもちろんないわけでございまして、使わないにこしたことはない、そういう意味での啓発は行いたいと思いますが、法規制の対象としては除きたいというふうに考えておるところでございます。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 細川律夫

    細川委員 ハンズフリー装置の方は規制の対象にならないということでございますから、携帯電話そのものが規制になりますと、これから爆発的にハンズフリー装置の方がふえまして、そしてやはり事故だって多くなるということも当然統計的には出てくるのではないかというふうに思いますので、それは将来のこととして、ハンズフリー装置のものがふえてきて、それによってまた事故が多いようなときにはまた検討をし直していただくということでお願いをいたしたいというふうに思います。  次に、私がこの法案の中で延々、理解ができなかった言葉の意味でございますけれども、いわゆるカーナビの方の規定でございます。  改正案の七十一条五の五にはこういうふうになっております。「画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。」こういうことになっております。画像表示用装置、これはカーナビですね、カーナビに表示された画像を注視しないこと。  注視ということは一体どういうことかということをお聞きするわけなんですけれども、辞書で「注視」ということを調べてみますと、広辞苑では「視力を集中して見つめること。注目。」また日本語大辞典には「見つめること。注目。」というふうに書いてありまして、いずれも見るということと区別が明確でないわけなんですね。だから、カーナビに表示された画像を注視しないこと、この注視というのは一体どういうことなのか、お聞きをしたいと思います。
  82. 玉造敏夫

    玉造政府委員 本法案では、自動車等の運転者は、カーナビゲーション装置等の画像表示装置に表示された画像を注視してはならないというふうにしたわけでございますが、この注視というのは、画像表示装置に表示された画像を見続ける行為というふうに考えております。  カーナビゲーション装置の場合ですと、渋滞情報あるいは経路情報等交通情報を表示する、言うなれば運転支援システムでございます。通常、表示された画像を見る際には、一べつすることによって情報がわかるように工夫がなされております、自工会基準等々で。したがいまして、カーナビを通常の使い方をする限り、これを超えて画像を見続けるというふうには考えないということでございます。  したがって、カーナビを通常の用法で一べつをし、また道路環境を見、また一べつをするという状況のものは、ここで言う注視には当たらないというふうに考えております。
  83. 細川律夫

    細川委員 よくわからないのですが、何か一べつをするということもおっしゃっていましたけれども、注視ということは見続けるということ、カーナビは、ちらっと一べつだけでいいわけですね。一べつならばいいけれども見続けたらだめと。しかし、カーナビは、ぱっと、ちらっと見ただけではわからないんじゃないですか。
  84. 玉造敏夫

    玉造政府委員 各種の研究報告を見ますと、自動車の計器類であるとかあるいはカーナビ装置の視認に要する時間は、一秒から二秒弱というようなことのようでございます。ただしそれは、一つの画面から情報をとるわけでございますが、その情報をとるというのは、全部の情報を一回でとるということでは必ずしもないわけでございまして、道路環境を十分確認の上カーナビを見る、一べつするわけでございます。それでさらに、やはりずっと見続ければ不安を感ずるわけでございますから、また道路環境を把握の上で見るということを二、三回繰り返すというのが、通常のカーナビの画面からの情報の入手ということのようでございます。  したがいまして、各種の研究等々を見ましても、実際に二秒以上見ると運転者が危険を感ずるというようなことではどうも一致しておるというあたりが、私ども一つの参考になるということはございます。しかしながら、規定としましてはそういうことで、注視という文言によって見続けるということを意味するということでございます。
  85. 細川律夫

    細川委員 どうも、細かく聞いていきますとよくわからなくなりますが、注視をするというこのこと自体をしてはいけないということでありまして、これに違反をした場合に罰則があるとかあるいは点数があるとかいうようなことについては、これはないわけですね。しかし、その注視をすることによって危険が生じた場合には安全運転義務違反になるわけですね。それで処罰をされる。  こういうことになりますと、これは刑法で言う構成要件的なものになりますから、そこはしっかり明確なものにしておかなければ、運転をしている人が、注視とは一体どういうことかというのがわからずに規制をされるということでは、国民の皆さんも納得できない、あるいは、そういうことでは安心して運転もできないということでございましょうから、逆に、そういうこともせずにカーナビを見ることによってむしろ危険が生じたならば、これは七十条の安全運転義務違反と、ずばりそっちの方で規制をすることによって事は足りるというふうにも思うのですけれども、いかがでしょうか。
  86. 玉造敏夫

    玉造政府委員 御指摘のとおり、従来、この種の装置を注視していたことによって、実際に道路交通に具体的な危険を生じさせまして問題が起きたという場合には、道路交通法七十条の安全運転義務違反に当たることとなっておったわけでございます。  本法案では、携帯電話あるいはカーナビの爆発的な普及、そしてそれに伴う事故の増加ということを踏まえまして、こういう使用形態につきまして切り出しをしまして、それを根拠といたしまして、警察官が違反に対する指導を行い、あるいは企業におきましても安全運転管理者等々が教育を徹底する、さらには利用者等もルールの重視をすることになるのではなかろうかということで切り出しをしたということでございます。  したがいまして、この法案の考え方としましては、今まで七十条違反に該当する具体的な危険性が生じた場合、これからは、切り出しをしました七十一条の五号の五の規制に違反して具体的な危険を生じせしめたということで、七十条違反ではなくて、七十一条五号の五を受ける形での違反というふうにとらえるように仕組んだところでございます。
  87. 細川律夫

    細川委員 ちょっと納得のいかないところですけれども。  それで、もうちょっと聞きますけれども、カーテレビというのがございます。カーテレビについても注視をしてはいけない、こういうことになるわけですね。テレビは一べつでは内容が全然わからないんじゃないですか。これはどういうふうに考えるんですか。
  88. 玉造敏夫

    玉造政府委員 カーテレビとカーナビにつきましては、いずれも画像を見続ける行為の危険性という意味では共通しておるところから、今回の改正案におきましては、画像表示装置一般を規制の対象としたわけでございます。  ただ、カーテレビの映像は、まことに御指摘のとおり、本質的に一べつで済むようなものじゃございません。したがいまして、走行中にカーテレビを使用するということは、通常、画像表示用装置に表示された画像を注視する行為、要するに見続けるからカーテレビというのは意味がある、カーテレビに意味があるという言い方は非常に誤解を招きますけれども、ある意味で本来の用法でございますから、そのようなものはそもそも違法でございます。
  89. 細川律夫

    細川委員 カーナビの方は運転と関係のある装置であろうと思いますけれども、カーテレビの方は運転とは直接関係ないものでございますから、そもそも運転をしているときにカーテレビを見るということ自体、これはもう全部しちゃいけないことですね。  そうしますと、カーテレビを注視してはならない、こんなふうに規定をしなくて、後部座席にあったら別ですよ、むしろ運転席のところにカーテレビを、装置を置くこと自体を禁止したらどうですか。
  90. 玉造敏夫

    玉造政府委員 カーテレビの映像につきましては、本質的に一べつするものじゃないわけでございますから、走行中にカーテレビを使用する、利用する行為自体がまさに、カーテレビの用法といいましょうか、テレビの用法からすればそれ自体が注視行為に当たって、要するにそれ自体が違法行為となるというふうに考えております。  ただ、規定の仕方としまして、画像を見続けるという意味において、カーテレビの場合とカーナビの場合と、あるいはほかのいろいろな画像表示装置があると思いますが、見続けるという意味においては共通している危険性があるということで、一くくりで画像表示装置ということでくくったものでございますから、注視ということになるわけでございますが、基本的にカーテレビを見ようとすればちらっと見るだけで済ませる人はいないわけでございますから、必ず注視してはならないという規定の違反になるということになります。
  91. 細川律夫

    細川委員 私は、だからむしろ運転中はカーテレビは禁止とはっきり規定をすればいいことであって、注視をしちゃいけないというのはいかにも何かおかしいというふうに思いますけれども。それだけ答えていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 玉造敏夫

    玉造政府委員 カーテレビを画像表示装置というくくりから外して規定するという考え方ももちろんあるわけでございますが、実際のその危険性というのは、道路情報から一時的に目がそれる、あるいは継続的に目がそれるという要素等からのものでございますので、カーテレビの場合もカーナビの場合も、目がそれる、それ過ぎてはいけないという意味では共通だということで一くくりにするという切り方を私どもこのたびしてみたということでございます。別の切り方ももちろん考え方としてはあったろうと思いますが、そういう共通点に着目いたしまして、一つのものとして規制をしてみたわけでございます。
  93. 細川律夫

    細川委員 終わります。
  94. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、白保台一君。
  95. 白保台一

    ○白保委員 公明党・改革クラブの白保台一であります。  この改正案の本題に入る前に、交通事故等の問題について若干お聞きしたいと思いますが、交通事故の死者数が三年連続で一万人を下回りまして、いわゆる第二次交通戦争と言われた数年前に比べますと大きく減少してまいりました。これはまさに事実であります。  ただ、交通事故死者数という数字のとり方というのは二十四時間以内に死亡した人の数であることから、二十四時間以内に死亡した人の数以外に、二十四時間を経過したその後に死亡した方の数ということは一体どういうことになっているのかな、こういう関心を持つわけです。  というのは、救急救命活動というのが大変充実、発展をしているような状況でございますから、そういったところに対しては非常に関心を持つわけでございますが、同時に、事故の発生件数というのは、見ていますと増加しています。したがって死傷者数も増加している。こういうことから、これは今二十四時間以内に亡くなった方の数は少なくなったといっても、交通事故の事故者数がふえておるというこの実態を考えたときに、これはまた極めて注意をしていかなきゃならない数字である、こういうふうに受けとめています。  したがって、事故数が増加している、そういったことに対する主たる原因というものは一体どうなっているのか、警察庁でどのように分析をしておられるのか、そのことをまず聞きたいと思います。
  96. 玉造敏夫

    玉造政府委員 交通事故の発生状況についてでございますが、平成十年中の交通事故発生状況は、発生件数で八十万件余、死傷者数で約百万、うち、発生後二十四時間以内の死者は九千二百十一でございます。御指摘のように、死者はこのところ三年連続で減っております。一方で、発生件数は六年連続して過去最悪を更新中、死傷者合計でいきましても、昭和四十五年のいわゆる交通戦争ピーク時の数字を二十八年ぶりに更新しまして、過去最悪となっております。  そうしますと、死者が減っているのに事故がふえている、あるいは事故がふえているのに死者が減っているのはなぜかということになるわけですが、まず、事故が増加している理由でございますが、主に最近ふえておりますのは車両同士の事故、それもいわゆる軽傷といいましょうか、一カ月未満の事故がふえております。特に追突事故あるいは出会い頭事故が大幅に増加しているという状況がございます。これは、やはり基本的には自動車の保有台数あるいは運転免許保有者数が激増し続けておるわけでございまして、その中で交通量も一貫して増加しているところから、確率的にも事故がふえるということであろうと思います。  他方で、事故が増加する中で、死者あるいは、実はこれは重傷者も減少傾向にございます。これはどうしてかということになるわけでございますが、一つには、やはり死亡あるいは重傷事故になりやすい人対車両の事故が今減少しています。さらに、事故を起こす際の速度が低下する傾向にございます。そういうことから事故被害が減少するということ、そしてもう一つは、シートベルト着用率が着実に伸びております。このようなことによって、やはりこれも被害が軽減されるというような要素があろうかと思います。
  97. 白保台一

    ○白保委員 よくわかりましたが、小さな事故がふえておる、出会い頭の事故だとかそういった事故がふえておるんだというんですが、問題は、交通マナーの問題です。こういったささいな問題でそのままずっと数がふえていくということは、大事につながるおそれがあるわけでございますから、この数字というのは極めてきちっと重視をして、そういった一つ一つ運転者の教育というものがきちっとなされていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味で、私はまず最初にそのことをお聞きしたわけであります。  ぜひ、警察庁においても、この辺の問題ということは、ささいな事故だ、こういうような受けとめ方じゃなくして、交通事故というのは小事が大事につながるおそれがあるわけですから、そうした問題についてはきちっと引き締めてやっていただきたい、こういうふうに申し上げて、次の問題に移ります。  本改正案チャイルドシート着用必要性について、その理由一つに、平成六年から十年までの累計で、チャイルドシート着用していた人、そしてまた非着用の人、そういった人の数字をとっていますね。死者数で比較しますと、着用した場合の死者数が二人、非着用で六十三人。そしてまた重傷者が二十九人、非着用で五百二十人。軽傷者で、着用四千二百九十人、非着用が二万九千九百八十七人。こういったことで、着用することによって大変安全が守られているという数字が示されています。それはそれで大事な数字であろうと思うんです。  命の重さを考えたときに、そのための安全性といったことも考えたときに、何はともあれ着用すべしということで警察庁が大いに宣伝されるのはともかくとして、どうも先ほどからお話を聞いていますと、他国がこうであるとか外国ではこうであるとかそんな話をされるものですから、そうしたら、先ほどのお話の中でも、一体基本的な認識はどうなっているんだ、こういうお話がございました。したがって、まず基本的な認識から、この辺のことをお伺いしていきたいと思います。
  98. 玉造敏夫

    玉造政府委員 まず一つは、自動車乗車中の幼児の事故実態でございます。平成十年中の自動車乗車中の交通事故による六歳未満幼児をとりますと、その死傷者数が九千五百四十八人に及んでおる。これは、平成六年と比較して、実に五二%の増加になっておる。まさに急増ということでございます。この間の自動車乗車中の交通事故による死傷者の総数の増加率は一九%でございますから、それと比較しましても、極めて激増しておるという言い方ができるのであろうと思います。そういう意味で、自動車に乗車する幼児交通事故による被害から守ることが喫緊の課題であるというふうに考えているわけでございます。  それと、もう一点は、幼児は大人と違ってみずからを守ることができないということでございまして、このような幼児につきまして、自動車乗車中の安全を確保することが親としてあるいは運転者として大変大事なことであり、これを法律によって義務づけることがやはり必要であるというふうに考えているということでございます。
  99. 白保台一

    ○白保委員 それでは、具体的にお伺いしますが、年齢の問題なんですね。何で六歳なんだという話があるわけですけれども、私もその辺のことについては非常に疑問を持っておりまして、重さとか身長だとか、そういった話ならわかるんです。なぜかというと、年齢を運ぶわけじゃありませんで、人を運ぶ、体を運ぶわけでありまして、そういう面からいうと、何で年齢なんだ、こういうふうに思うんです。切り方として、とらえ方として違うんじゃないか。年齢を運ぶわけじゃありませんが、いかがですか。
  100. 玉造敏夫

    玉造政府委員 チャイルドシート使用させるべき対象をどう切るかという問題でございますけれども子供の安全確保の必要性というものと、もう一つは、国民に課せられる負担の程度というものの兼ね合いを考慮して決めるということになるわけでございますが、その場合に、我が国におきましては就学の前後というのが、要するに小学校に入学するかしないかという切り方が子供の成長の一つの区切りであろうということで、それが定着しておるというふうに考えまして、六歳を境とすることが国民にとってもわかりやすい、受け入れやすいというふうに考えたものでございます。
  101. 白保台一

    ○白保委員 この話の中に、「幼児の発育の程度に応じた形状」と書いてあるんです。形状というのは年齢ですか。そうじゃないでしょう。「発育の程度に応じた形状」と書いてあるんです。それは年齢じゃないんです。発育の程度とは年齢のみじゃないでしょう。違うんじゃないですか。
  102. 玉造敏夫

    玉造政府委員 先ほど申し上げましたように、要するに、交通事故による六歳未満幼児死傷者数、これが増加している、そして、子供自分のことを守ることができない。それで切り方をどうするかということでございまして、それを六歳未満というところで切ったということでございます。  その切った理由は、先ほども申し上げましたように、就学の前後ということが区切りとしてよろしいということでございます。
  103. 白保台一

    ○白保委員 ちょっと答えになっていないんじゃないかと思うんです。ここで余り時間がない中でこういう問答をしていたら時間がたってしようがないんだけれども、これは論理の一貫性がない。明確です、これは。  発育の程度に応じた形状というのは、年齢だけでは切れません。それで、続けますが、チャイルドシートを本改正案幼児用補助装置と言う一方で、運輸省基準では年少者用補助装置というふうに言っているわけですね。道交法上、幼児は六歳未満となっていますが、運輸省基準において、年少者というのは、新生児、乳児、幼児または学童のうち体重が三十六キログラム以下のもの、こうなっています。六歳未満幼児と三十六キログラム以下の年少者の関連性というのはどういうふうになるんですか、整合性の問題。
  104. 玉造敏夫

    玉造政府委員 発育の程度に応じた形状の話というのは、まさにその問題でございまして、要するに、チャイルドシートに幾つかのタイプがあるということで、その発育の程度に応じた形状のチャイルドシートを用いればよろしいということでございます。  三十六キログラムという話でございますが、これは、いわゆる保安基準の中で、いろいろなタイプチャイルドシート乳児用からあるわけでございますが、そのうちの一番高い年齢層あるいは一番重たい年齢層といいましょうか、要するに、学童で一番重たいものが三十六キロということでございますから、通常考えますと、六歳未満でそこまで達するということはないであろうと思います。  六歳未満というのは、要するに小学校にまだ入っていない子供たちでございますから、それは、チャイルドシートというのは、シートベルトに至るまでの間をすべて埋めるいろいろなタイプがあるわけでございます。それで道交法上は、そのうちで六歳未満までについて義務づけるということでございまして、六歳を超えた者がチャイルドシートをすることは、それはそれでまた望ましいということでございますから、その三十六キロの問題とは見方が違うということでございます。
  105. 白保台一

    ○白保委員 何か、話を聞いていると、だんだんおかしくなってきて意味がわからなくなってくるんですよね。それはいいです。  そこで、もう時間があれですから次を続けますが、警察庁にお聞きしたいんです。  基準安全性について伺いたいんですが、素朴な疑問として、要するに、保安基準に適合していればいいんだ、これは運輸省の型式認定でも、それから通産省のJIS規格でもどっちでもいい、こういう考え方ですか。
  106. 玉造敏夫

    玉造政府委員 道路交通法上といいましょうか今回の改正案で、幼児用補助装置たる要件として求めましたのは、道路運送車両保安基準に適合しておることでございます。  なお、型式指定を受けているチャイルドシート、これはこの基準に適合しているというふうに……(白保委員道路運送車両法ですね」と呼ぶ)はい。道路運送車両法を受けました車両保安基準に適合していることが条件でございます。
  107. 白保台一

    ○白保委員 運輸省、来られていますね。  それで伺いますけれども保安基準というのは運輸省が認定する型式認定であり、平成十年十一月から運用されています道路運送車両法の規制だと思います。  そこでまず、まずというか、まとめて聞きますが、一つは、チャイルドシートについて、安全性を確保する立場から、保安基準に定められた体重の範囲と年齢との整合性について運輸省はどのように考えているのかということが一点。それから二つ目は、チャイルドシート保安基準に適合していれば十分安全であるというふうに運輸省は考えているのかどうか。これはJIS規格もありますからね。それで三つ目は、運輸大臣が認定しないJIS規格は保安基準に一〇〇%適合しているというのかどうか。  この三つ、まとめて。
  108. 宮嵜拓郎

    宮嵜説明員 お答え申し上げます。  まず、保安基準で定めておる体重の範囲と年齢との関係でございます。現在、一般普及しておりますチャイルドシート、これは乳児用幼児用学童用の三種類に大別できます。使用する子供の体重に応じまして、安全性の試験に使用するダミーの重量やベルトの引っ張り強さを定めております。子供の体の成長には個人差がございますので、年齢と体重の関係は一概に決められないと私ども考えておりますから、体重を目安としてチャイルドシートを選択していただくということが適切だと思っております。  目安としては、年齢が十二カ月ぐらいまでは体重が約十キロ未満のための乳児用、それから、六カ月から三、四歳ぐらいまでは約七キロから十八キログラムのための幼児用、また十歳ぐらいまでは約三十キログラムまでの学童用、これをそれぞれ選択して使用することが適当であると考えております。  次に、保安基準に適合していれば安全か否かという点でございますが、チャイルドシートが満たすべき最小限の安全上の性能、これにつきましては保安基準に定めております。保安基準に適合しておればチャイルドシートの基本的な安全性は確保されている、こういうふうに認識しております。  三点目に、JISとの関係でございますが、JISを取得しているチャイルドシートでございましても運輸大臣の型式指定を取得していないチャイルドシートにつきましては、保安基準に適合しているかどうか、これは運輸省として確認しておりませんので、基準に適合しているか否か、これは明確でないというふうに考えております。  したがいまして、運輸省としては、保安基準に適合したものとして運輸大臣の型式指定を取得したチャイルドシート使用していただくことが望ましいというふうに考えております。
  109. 白保台一

    ○白保委員 警察庁に聞きますが、今の答弁がありました。したがって、認定の問題とJISのところ、この二つでは紛らわしいから、今言っているように、運輸大臣道路運送車両法基準に基づいてきちっと一本化するのが私は当然だと思います。いかがですか。
  110. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  道路交通法上、チャイルドシートについて規定しておるものは、それは道路運送車両法を引いておるわけでございます。したがいまして、それに適合するかどうかということでございます。
  111. 白保台一

    ○白保委員 要するに、運輸大臣がきちっと認定した、そのものを使用する、これが一番適合しておるということですから、そのことをきちっと考えてください。  時間がありませんから次に進みますが、そこで、これを施行する場合においても、私どもの方は運送手段が車しかない社会でございまして、そうしますと、これを施行して、使用しなきゃならない立場の人というのは、若いお父さん、お母さんというのがほとんどですし、所得面においても大変です。車しかない社会というのは、車を所有しているというのは思わぬ出費が重なるものです。そういった面で、地元の新聞の社説等にも掲げられているぐらい、この問題は大きな問題として取り上げられています。  したがって、この問題について申し上げれば、安全で安いシートの開発、あるいは組み込みの問題、そしてまたレンタルの問題、そういったこと等も含めて、今後自動車工業会等にも協力を求めてそういう形にしていっていただかないと、車社会ではとても対応できない、こういう声も強いわけでございまして、ぜひこの辺はやっていただきたい。いかがでしょうか。
  112. 玉造敏夫

    玉造政府委員 チャイルドシート義務化ということは、国民、特にそういう年代の幼児を乗せる国民に対して義務を課する、しかも経済的な負担を与えることになることでございます。その意味で、その負担の軽減を図るべく、さまざまな措置をとりたい。  例えばということで、チャイルドシートレンタルである、あるいはリサイクルであるということにつきまして、関係団体等とも連携を図ってそれを推進してまいりたいと思いますし、また、法改正の結果としまして、チャイルドシートの需要が当然拡大しまして低価格化が進むということもございましょうし、あるいはメーカーの努力として、組み込み型のものを販売促進するというようなこともあろうと思います。  いずれにしましても、それぞれの方面の部分について、警察庁としても、あるいは警察としても全面的にバックアップをし、あるいはみずからも努力してまいりたいと思っております。
  113. 白保台一

    ○白保委員 次に、ペーパードライバーの再教育について、時間がありませんからまとめて聞きますが、一つは、改正によってどのぐらいの指定業者の数と再教育を受ける人数を想定できるかという問題。二つ目は、既存の指定教習所と届け出教習所の扱いはどうなるのかという問題。三つ目は、公安委員会が認定するその課程の区分ごとにとしているけれども、具体的にどういう形になるのか。この三つを、まとめて短く答えてください。
  114. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  まず第一点でございますが、どのぐらいの数の者が、者がといいましょうか、その教育が認定の対象となるのか、あるいはどのぐらいの数の者が受講することになるのかということでございますが、明確に何人ということはもちろん申し上げられませんけれども一つ推測の手がかりとなりますのは、現在、実際にこういう問題に取り組んでおるところ、これが全国の自動車教習所、これは指定、非指定、一緒でございますけれども、その八割の千三百七十七カ所で約十万人に対して行っておる。また、自動車会社系列の運転教育センター等々五十六カ所においても約四千人に対して実施しておるという現状がございますので、この結果として、さらにそれが伸びていけばというふうに考えております。  したがいまして、この認定の際には、教習所の例をとりますと、指定教習所であるか非指定教習所であるかということではございませんで、認定の対象となりますその教育が認定の基準を満たしているかどうかという観点から判断されることになります。  それから、公安委員会が認定するその課程の区分ごとというのはどういうことかということでございますが、例えば、ペーパードライバー教育であるとか、高齢運転者教育であるとか、若者に対する二輪車教育などなど、免許を受けた者の運転の頻度あるいは年齢等々の別に応じた課程の区分を考えております。
  115. 白保台一

    ○白保委員 最後にお聞きしますが、実は交通安全の問題で、信号機の問題なんです。  太陽の角度や日の強さ、それによって信号機の色の識別がなかなか難しいという箇所が幾つもあります。全国的にも何カ所かあるだろうと思います。こういった一律に同じような信号機だと、場所によっては信号が識別判断できなくて、運転者が注意を払って、右を見たり左を見たり、ほかの信号を見てやっておるという箇所もあります。そういった辺の改良をきちっとしていきませんと、交通安全の非常に基本の問題でございますので、ぜひこのことをやっていただきたい。そのことを最後に申し上げます。いかがでしょうか。
  116. 玉造敏夫

    玉造政府委員 いわゆる日差しと信号機の関係でございますが、これは各都道府県警察におきまして、それぞれ日照時間あるいは日差しの強度あるいは積雪の問題等々、自然環境に応じまして、それぞれの県が独自に調整を行っているところでございます。  例えば、沖縄県警察の場合でございますけれども通常ですと、ひさしを長くすることで太陽光を遮るということが通常なのでございますが、沖縄の場合には風が強いというようなまた事情もございます。そうしますと、ひさしを長くしますと信号機が不安定になるというような要素もございまして、例えば、太陽光をできる限り遮るような構造の信号機を整備するとか、あるいは、さらには太陽光でも確認しやすい発光ダイオードを用いた信号機を試験的に導入するなど、それぞれのところでそれぞれの努力をしているところでございます。
  117. 白保台一

    ○白保委員 終わります。
  118. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、富田茂之君。
  119. 富田茂之

    ○富田委員 公明党・改革クラブの富田茂之でございます。  ずっと法案の審議を聞いておりましたが、幾ら聞いてもよくわかりません。弁護士の私がわからないのですから、一般の人が聞いてもやはり理解できない部分が相当あるんじゃないかなと思うのです。  まず、改正案提出の背景について二点ほどお伺いしたいのですが、先ほど来、局長は、平成十年十月に、財団法人国際交通安全学会、ここが警察庁に委託を受けたと思うのですが、チャイルドシート着用実態に関する調査研究をした、その結果から見てもというような御答弁をされておりました。この調査結果ですと、子供の安全のために義務化すべきだとする者が約三五%。ただ、法律義務化するのは行き過ぎだが、広く着用を推奨すべきだとの回答が約五七%。法律での義務化よりも、義務化は行き過ぎだと言っている回答の方が多い。  この点について、警察庁は一体どういうふうに考えているのでしょうか。
  120. 玉造敏夫

    玉造政府委員 御指摘の、これは昨年夏の調査結果でございますけれども、これにつきましては、確かに、法制化を積極的に支持する意見は三五%でございました。ただ、一方で、チャイルドシート使用そのものにつきましては、使用させるべきという者が八〇%を上回っておったということも事実でございまして、必要がないという者は一〇%ほどであったということでございます。  これは、私どもとしまして、ある意味で何ら条件をつけずといいましょうか、現在の幼児の事故実態がこうであるとか、チャイルドシート使用した場合と使用していない場合のいわゆる致死率の問題であるとかいう与件を全く与えないでやったわけでございます。  そうしますと、総論としては賛成、具体的に各論では、そこで負担があるとか、もろもろのことから、それは法制化には至らなくてもいいのではないかというような数字が多数を占めたということは理解できるところでございます。
  121. 富田茂之

    ○富田委員 ちょっとよくわからないのです。法制化に反対という意見がやはり強かったのだと思うのですよ。  また、このアンケート調査は、調査室からいただいた資料によりますと、無作為抽出した六千人を対象に郵送によるアンケート。回答率二八・一%。アンケート調査として全然信用性のない調査、アンケートの体をなしていない。普通は、アンケート調査をすれば六五%から七〇%以上ないと、全体の意見が平均的にどういうところにあるのかというのはわからないと言われている。こういうアンケートを何か立法の背景にするのはいかがかなと一点思います。  もう一つ道路交通法改正試案に関するパブリックコメント、これを警察庁の方でやられたようですが、その結果を見ても、法制化に好意的な意見が千二百四十七件、法制化に否定的な意見が九百四件、結構これも拮抗しているわけですよ。  好意的な意見の中にも、「チャイルドシート価格が高い点について何とかしてほしい。」とか、また、「レンタル制度リサイクル制度等、行政による補助、現物支給、税制上の優遇、使いやすいものにするチャイルドシート製造メーカーの努力等が必要」これが八百十一件もあった。また、「他人の子供を乗せる場合等についての配慮が必要である。」五百九十二件。かなり条件つき賛成ですね。条件つき賛成で、この程度。否定的な意見がまた九百四件もある。  こういうパブリックコメントの結果を見ても、今、本当に法制化が必要なのかなという、立法の背景、背景事実があるのかという点について私はちょっと疑問に思うのですが、その点はどうですか。
  122. 玉造敏夫

    玉造政府委員 現実の幼児の事故実態、事故の激増ぶりからしますれば、まさに喫緊の課題であろうというふうに考えております。  なお、パブリックコメントにつきまして申し上げますと、昨年夏とことしの一月から二月でございますが、やはりその間で随分変わったなという印象をむしろ私ども持っております。  それと、賛成あるいは反対、それぞれいろいろな御意見がついておりますが、寄せられた御意見、御指摘のような御意見は、法制化に即反対というよりは、むしろ改善要望というようなものが多いのではないかというふうにも考えております。  これらの結果も踏まえまして、やはり踏み切る時期であろうというふうに判断したものでございます。
  123. 富田茂之

    ○富田委員 何か、踏み切る時期の根拠がよくわからないのですが、チャイルドシート幼児用補助装置に関して、では、ちょっと具体的にお伺いしたいと思うのです。  先ほど白保委員の方からも、道交法上、この改正案に載っている幼児用補助装置と、道路運送車両法に基づく年少者用補助乗車装置、これが同じ概念なのか、道路運送車両法に基づく運輸省の通達だと、体重が載っかってきているではないかというような質問があって、それは一緒だ、大きな中の一部分だという回答でしたよね、局長の回答だと。そういうふうに理解したのですが、それだと、同じような概念の中の一部分を取り出して、そこの部分について道路交通法上は義務規定を置いたというふうに理解できるのですけれども、それだとすると、なぜ六歳なのかという、またここに戻ってきてしまうと思うのですよ。  六歳未満の者にチャイルドシート義務づける根拠が一体何なのか、もう一回、ちょっとそこを教えていただきたいと思います。
  124. 玉造敏夫

    玉造政府委員 道路交通法観点からの幼児用補助装置と、道路運送車両法に基づく保安基準における年少者用補助乗車装置とがどうかということでございます。  これは基本的に一緒でございますが、ただ、保安基準というのは、あくまでも、それぞれのチャイルドシート自体の、幾つかのタイプのそれぞれについて保安基準、まさに安全基準を決めたものでございます。したがいまして、道路交通法上の切り口とはおのずから、その意味では別のものになる。  私が先ほど申し上げましたのは、いずれにいたしましても、保安基準で想定しております一番大きなもの、三十六キロというものは、基本的に十歳ぐらいの年齢までのものであって、六歳未満という義務づけをする場合の、年齢による義務づけをするということの障害にはならないということでございます。  なお、繰り返して申し上げますけれども、六歳未満幼児対象といたしましたのは、その年代における乗車中の交通事故による死傷者数が最近激増していること、そして、就学の前後というのがやはり一つの区切りとして我が国では定着しているのではないかということ、そうしたことから、六歳未満という切り方が受け入れやすいのではないかということによるものでございます。
  125. 富田茂之

    ○富田委員 ちょっと反論しますけれども警察庁の資料だと、六歳未満幼児自動車乗車中の死者数及び死傷者数の推移ということで、グラフと表をいただいていますけれども、これは六歳未満と書いてあるのですけれども、各年齢の死者数とか死傷者数というのは数字が出ているのですか。それでいって、本当に六歳未満チャイルドシートをきちんとつければ大丈夫だというような、何か裏づけになるデータはあるのですか。
  126. 玉造敏夫

    玉造政府委員 各年齢ごとにとっております。そして、それを積み重ねております。そうしますと、年齢がやはり下がれば下がるほど死傷者数の増加率は高い、一つ年齢が繰り上がるごとにその率は下がっていくということでございます。それは小学校の最上級生に至るまで、個別に見ましても、着実にそういうグラフになる。そこで、どこで切るかということになりまして、六歳未満というところで切るのが、経済的負担等々もすべて勘案しますと、その辺が線ではないかというふうに考えたところでございます。
  127. 富田茂之

    ○富田委員 今、低年齢の方から数が多いという御答弁でしたけれどもチャイルドシートの種類というこのカラーのペーパーを警察庁からいただきました。  先ほど、運輸省の方の説明ですと、これに基づいて説明していたと思うのですけれども乳児用ベッド、幼児用シート学童用シート、こういうふうになっているのですね。乳児用ベッドは新生児から十カ月ごろまで、先ほどの方は六カ月とか十二カ月と言われていましたけれども、体重十キロぐらいまで。幼児用シートは十カ月あるいは半年ぐらいから四歳ごろまでで、体重でいうと七キロから十八キロぐらいだと。学童用シートは四歳ごろから十歳ごろまでで、三十キロぐらいまで。  これでいうと、四歳のところで切った方が、子供たちもここまでは入るのですよ。私、子供が三人いて、三人ともチャイルドシートを使いましたけれども、四歳になるともうほとんど入らない。この二番目の型、幼児用シート、ここまでなら、三歳から四歳になりかけぐらいまでなら我慢して、お母さんから怒られれば何とか入っている。ところが、この上になんか絶対乗らないですよ。これもちょうど、運輸省はよくわかっているなと思うのですよ、乳児用ベッド、幼児用シート、それで学童用シートになっている。ここの基準に従って四歳ぐらいで切る方が本来適切なんじゃないかな。  もう一つ、これも警察庁からいただいた資料ですけれどもチャイルドシート使用義務づけの対象となる子供年齢についてのアンケート結果。去年の八月実施のものですか、これで見ると、六歳までという方が約三四%で一番多いのですけれども、二歳までと四歳までを足すと三四・八%、それより多いのです。普通のお父さんやお母さんはやはり四歳ぐらいというのを自分たちの基準として置いているのじゃないかなというふうに思うのですけれども、どうですか。
  128. 玉造敏夫

    玉造政府委員 まず、チャイルドシートタイプでどうだということでございますけれども、基本的に、チャイルドシートというのは、シートベルトをつける年齢になるまでの間は、通しでつけることが子供の安全という観点からしたらやはり望ましいわけでございます。したがって、本来チャイルドシートタイプがどうであるからという問題ではない問題だと思います。  ただ、それを具体的に制度設計をする場合にどこで切るかということになるわけでございますが、繰り返してまことに恐縮でございますけれども、先ほど申し上げたような理由から六歳未満ということで切ったということでございます。  なお、アンケートにつきましては、まことに率直ないろいろな御意見があるわけでございまして、例えば昨年夏の国際交通安全学会調査におきましても、子供を乗せる機会のある方々だけに絞ったアンケートで、あなたは平素乗せるときにチャイルドシートを使っていますかということですと、実際は親御さんの方がその率が低くて、親御さん以外の方で乗せる機会のある方の方が実際に使って乗せるというようなことがありました。それともう一つは、法律による義務づけに賛成か反対かということでやった場合には、実は親御さんの方が反対が高いということもございました。  そういうのはある意味でまことに率直な反応であろうとは思いますけれども子供の安全ということを考えた場合には、六歳未満の線までは最低限義務づけという形で担保いたしたい。さらに言えば、それを超えた年代でも、それまでの癖づけによってシートベルトにつないでいくというのが望ましい姿であろうというふうに考えております。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  129. 富田茂之

    ○富田委員 局長の気持ちはよくわかるのですけれども、実際これは義務違反ということになる。交通取り締まりの現場で、六歳未満子供チャイルドシートをつけさせていなかったじゃないかと警察官の方が運転していたお父さんなりお母さんに言う、どうやって六歳未満というのを判断するのですか。
  130. 玉造敏夫

    玉造政府委員 まず、六歳未満というのは、御本人の申し立てであるとか、あるいは着ているものが例えば幼稚園の制服を着ているとか小学校の制服を着ているとかいうことになるわけでございましょうが、そこはおのずから申し立て等々からトータルに考えればわかるというふうに考えております。  その際にうそをつくのじゃなかろうかとかいうようなお話もあろうかと思いますが、子供の前で運転者もそこは常識的な対応をするであろうということで制度設計をしております。それはやはり他の違反等々とはちょっと違うのではないかというふうに考えております。
  131. 富田茂之

    ○富田委員 やはり年齢で切るというのに問題があるんだと思うのですよ。身長とか体重でやれば、その場ではかればいい話ですからね。身長なんか、すぐメジャーでやれるわけです。ディズニーランドなんかは、乗り物に乗れる制限を身長でしているものとかありますね。そこまで頭が達しなかったらお嬢ちゃんだめよというふうに言われて、それであきらめるわけですよ。そういう意味でも、六歳という年齢で切るというところにこの法の執行の段階でかなり無理が出てくるのじゃないかなというふうに私は思うのですね。  取り締まりが目的じゃないのですから、シートベルトをつけてもらう、そのためにも、実際、取り締まりの場合、広報を重視したそういう運用をぜひしていただきたいなというふうに要望しておきます。  あと、政令義務免除を検討しているというふうに聞いていますが、乗り合いバスとかタクシー、あるいは先ほど幼稚園の送迎バスですか、そういうものが出ておりましたけれども、今のようなことを義務免除として考えているというふうに理解していいのですか。
  132. 玉造敏夫

    玉造政府委員 基本的にそういうことになろうかと思います。座席ベルトあるいは取りつけ装置を備えていないためにチャイルドシートをその座席に固定することができないような自動車という意味で、例えば幼児用のものなどはそうでございます。また、乗り合いバスあるいはタクシーにつきましては、これも除外といたしたいというふうに考えております。
  133. 富田茂之

    ○富田委員 それですと、では、こういう場合どうなるのですか。先ほど平沢委員は逆の立場から質問されていましたけれども、五人乗りの乗用車をお母さんが運転して幼児六人を乗せた、これは乗せていること自体は違反じゃないですね。全員にチャイルドシートは絶対装着させられません、これはもう事実上不可能。この場合どうなるのですか、この義務違反になるのですか。
  134. 玉造敏夫

    玉造政府委員 いわゆる多人数を乗車させた場合ということになりますが、私どもの考え方といたしましては、乗車定員の範囲内でチャイルドシート使用させることができる最大限の幼児チャイルドシート使用させておればよろしいという方向で政令を定めることといたしたいというふうに考えております。
  135. 富田茂之

    ○富田委員 今、チャイルドシート装着できる最大の数というのは幾つなんですか。後部座席に二つはできると思うのですが、助手席にチャイルドシートをつけるのはよくないというふうに言われていますので、そうなると、今警察庁が考えている具体的な数というのは幾つなんですか。
  136. 玉造敏夫

    玉造政府委員 それは具体的な車とチャイルドシートとの組み合わせの問題でございますので、一概に幾つということは申し上げられません。
  137. 富田茂之

    ○富田委員 では、五人乗りの乗用車ではどうですか。
  138. 玉造敏夫

    玉造政府委員 要するに、そこの車に一定の人数が乗る、それが乗車定員の範囲内であるということでございますけれども、その場合に、チャイルドシートをつけたがゆえにだれかが乗れなくなる、例えば一つの家族が全員で乗れなくなるというようなことは、その場合にはどういうことになるかというと、法の論理を貫徹させようとすれば、それは車を買いかえろという世界になってしまうわけでございます。しかし、そこまでするというのは酷であろうということからすれば、その車両に必要と思われる人数を乗せて、その場合にチャイルドシートが幾つ最大限乗せられるかということで考えたいというふうに思っております。
  139. 富田茂之

    ○富田委員 道路運送車両法上の定員はきちんと今までどおり乗れますよと。その上で、全員乗れた状態でチャイルドシートを幾つつけられるか、そういうふうに現場では運用するというふうにお伺いしていいですね。わかりました。  これはきょう質問の前に我が党の桝屋理事に伺ったのですが、産婦人科の先生たちとこのチャイルドシート業界がもういろいろ連携をとり始めている。なぜかというと、もうこれは義務化されるわけですから、お子さんが生まれる、一週間ぐらいして退院してくる、退院してきたときにもうついてなきゃだめなわけです。そういう意味で、またここで国民負担がふえるんですね。子供さんが生まれたときにもう既に準備してなきゃならない。  そういうことを考えると、先ほど白保委員の方からも質問がありましたけれども、また、パブリックコメントの中にも具体的に出ていましたけれどもチャイルドシートに関する公的助成あるいはリサイクルレンタル制度というのを関連省庁挙げて取り組む必要があると思うんですが、警察庁としていろいろなところでやっている話とか、どういうのがあるのか。  また、大臣、ぜひ国家公安委員長としてここは他省庁にも働きかけていただきたい。家計に余分な負担にならないように、本当に、つけてもらうのが一番いいわけですから、そうなるように警察庁としてもぜひ強力な働きかけをしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  140. 玉造敏夫

    玉造政府委員 チャイルドシートにつきましては、経済的な負担を確かに伴うものでございます。そういう観点からも、その負担の軽減措置としてさまざまな手段が考えられるわけでございまして、警察としてまず直接に取り組むものとしましては、交通安全の関連諸団体と連携しまして、そこでレンタルあるいはリサイクルといったものを進めていただくということがございます。  また、関係省庁、機関等々とよく連絡をとりまして、車両自体に装置を組み込むような方向が推進されるということは非常に結構なことでございますし、またチャイルドシートにしましても、今通常タイプでございますけれども外国の例などを見ますと、幼児用とか子供用が一つのもので済むとか、乳児の場合には普通ちょっと特殊でございましょうか、そういうふうにタイプが少なくて済むようないろいろな工夫が外国の場合には既に先進的になされておるわけでございます。  そういうことも踏まえての、今度は製造する方の努力、そういうものを推進させるように私どもとしてもよく見守ってまいりたいし、援助してまいりたいというふうに考えております。
  141. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 いろいろな角度から御論議をいただいて、御指摘もいただいて、ありがとうございました。  確かに、先ほど来いろいろやりとりを聞いておりまして、ただ、何とかして幼児の死に至る事故を最小限に食いとめていかなければならぬ、本当にそのためにはどういうふうにしたらいいのかということで、私はまだ百点満点の結論は出切ってはいないと思うんです、その点は。したがって、罰則そのものについても、そういう点で余り厳格な形でのやり方は難しいんじゃないかという形の内容になっていると私は思います。  どういう基準で切るのがいいのか、いろいろな角度からの御議論があろうかと思います。しかし、これはある程度今回のこの法制化を通して、さらにその上でいろいろなことを積み重ねていく中で改善を加えていくべき世界もあるんではないかというふうにも考えております。  この義務化が進めば、当然のことながら生産量も飛躍的にふえるでしょうし、そういったことがまた生産コストを低下させるということになり、経済的な負担もまたダウンしていくんではないか。そのほか、リサイクルの問題、さまざまな問題についていろいろな角度からさらに勉強していきたいと考えております。
  142. 富田茂之

    ○富田委員 今罰則等についてもいろいろ考えていきたいという大臣のお話でしたが、最後、一点、違反者に対して行政処分等の基準となる基礎点数を付加するということがどうも予定されて、一点付加だというふうに言われているようですが、これは一点減点する必要が本当にあるのか。  基本的には、チャイルドシート安全性をよくわかってもらって、できる限り装置してもらうのが一番だと思いますので、いきなり一点つける必要が本当にあるのか。まず義務化しましたよということで周知徹底して、ほとんどの方がチャイルドシートをつけるようになればそれが一番いいことですから、いきなり一点減点だ、取り締まりの現場で減点だ減点だとやるよりは、そういう方向で、周知徹底する方向をまず優先する方がよろしいんではないかと私は思うんですが、その点、お答えいただけますか。
  143. 玉造敏夫

    玉造政府委員 チャイルドシート使用義務違反につきましては、法の施行とあわせて政令において一点を付加することを考えておるところでございます。  これは、やはり幼児の安全の確保、しかも幼児の事故が激増しておるという中での幼児の安全の確保につきまして、法律チャイルドシート使用義務づけるだけで果たしてそれが実現できるかどうかということを考えますと、座席ベルト装着義務違反のときに点数を付加した結果としまして、それまでなかなか、付加するまでは低かった座席ベルト装着率が一挙に一〇〇%近くまでいったわけでございます。  そういう意味で、履行の確保手段としてはやはり有効であるということがあるわけでございます。それと、ヘルメットあるいはシートベルト等々、いずれも同様に義務づけておるということとのバランス等から考えまして、点数で対応いたしたいというふうに考えております。  ただ、取り締まりに当たりまして、先ほどから大臣からも申し上げており、また先生方からもございますような、要するにチャイルドシートという問題の特殊性からくる、まさに自発的にやっていただくのが一番ということが本来のこの問題の核心であるということもこれまた事実でございますので、その辺を踏まえながら運用に当たりたいというふうに思っております。
  144. 富田茂之

    ○富田委員 ぜひ的確な運用をしていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  145. 山本公一

    ○山本(公)委員長代理 次に、春名直章君。
  146. 春名直章

    ○春名委員 大分論点が出尽くしておりますけれども、ダブるところが少しあるかもしれませんが、議論していきたいと思います。  チャイルドシート義務化については、私どもの党も何度か国会で取り上げてきまして、乳幼児の生命を守るために必要な措置だと思っています。と同時に、昨年警察庁が委託をした国際交通安全学会による意識調査では、子供の安全のために義務化すべきが三五%に対して、義務化は行き過ぎだが広く推奨すべきが五七%、それから、先ほども出ました改正試案に対するパブリックコメントでは、好意的が千二百四十七件、必要性は認めるが法制化には否定的が九百四件。ですから、義務化について否定的な意見も少なくない。局長は大分情勢が変わってきたとおっしゃっていましたけれども、しかし、そういう事態が依然としてある。  そこで、まず基本的なことですが、こうした意見がなぜ多いのか、その原因をどのように認識されているのかをまずお聞かせいただきたい。
  147. 玉造敏夫

    玉造政府委員 お答えいたします。  まず、反対意見というものはどうしてもあるであろうということは私ども予測しておるわけでございますが、それは一つには、幼児の事故の発生状況がこれほど著しいものになっているということに対する認識、あるいは、自分が運転しているときは大丈夫だという過信、さらに、チャイルドシートというものは自動車に少なくとも現在においては備えつけられておるというものではない、したがってこれを購入しなければいけないという負担に対する意識、そういったものが重なって、要するに、それは総論では結構なことだけれども、具体的な義務づけということになりますとやはり抵抗感があるということかと思います。
  148. 春名直章

    ○春名委員 そこで、義務化する以上は、今おっしゃられた負担の問題、不安についてやはりどう解消するかが同時並行で進まなければならないというのは先ほどからの議論で進んでいるとおりです。そういう角度から少し聞きます。  今、六歳未満子供さんが約七百二十万人、そして、JAFの調査では八・三%の装着率という結果もある。相当な規模で普及を進めていかないと、一年間では義務化に追いつかないのではないかという心配も私はしておりますし、今から施行日までに新たに普及しなければならない世帯が一体どれぐらいあると推測されているのか、また、その世帯に普及できる見通し、生産能力等についてどういう認識を持たれているのか、この点をまずお聞かせください。
  149. 玉造敏夫

    玉造政府委員 チャイルドシートがどのぐらいの世帯に必要になるか、総数でどのぐらい必要かということを正確に推計することは困難なわけでございますが、おっしゃられましたように、幼児の数は七百二十万でございます。そのうちのかなりの部分が、現在の車社会を前提といたしますれば車に乗るということがあり得ると思います。  なお一方で、国際交通安全学会調査によりましても、小学生以下の子供がおる家庭、実際に運転される家庭でございますけれども、五七%がチャイルドシートを一台以上既に持っておる。ただ、持っておるというのと実際にそれを使用しておるというのは別でございます。実際に使用している数字はもっと低くなるわけでございますけれども。そういうことからしますと、着用率こそ高くないものの、実際の普及自体は相当進んでいるのではないかというふうに考えております。  それと、チャイルドシートの現実の生産台数でございますが、平成九年中ですと七十三万台でございます、平成十年はさらに伸びていると思いますが。それが今まで積み重なってきておるということでございます。  さらに、道路交通法改正の試案、あるいはそれ以前の段階で報道発表等がなされました。その後の報道などを見ますと、チャイルドシートのメーカーといいましょうか、そういうところは、本当にこれが法令として、改正法として成立するのであれば、それはそれに見合った増産体制を組むということのようでございまして、現実に、新聞の事例なものですから具体的に裏をとっていなくて恐縮でございますけれども、既に三倍の増産体制で臨むというようなメーカーもあるやに聞いております。  いずれにしましても、それは経済原則が働きます。生産が間に合わないということはないであろう、その過程で値段も当然下がるであろうというふうに考えております。
  150. 春名直章

    ○春名委員 それで、不安の一番の要因は、先ほどの議論もありましたが、やはり価格が高いことなんですよね。それで、パブリックコメントでも、法制化に否定的な意見の約五割の方が経済的負担を挙げているんですね。日本では、乳児用では一万円から七万円、幼児用で二万から十万、学童用で五千円程度。ところがアメリカでは、大体三十ドルから六十ドルで約三千六百円から七千三百円程度。ヨーロッパでは、乳児用で五千円から一万二千円、幼児用では八千円から三万円、学童用が五千円から一万円、こういうふうになっているわけですよね。高いんですよ、日本シートが。  なぜこのようにシートの値段が欧米と比べてかなり高いのか、その辺の原因とかそれをどういうふうにしていくのかということをこれから相当真剣に検討しなきゃいけないわけだけれども、その点をどう把握されておられますか。
  151. 玉造敏夫

    玉造政府委員 現在日本で発売されているチャイルドシートのうちの主な価格水準といいましょうか、一番多い価格水準は御指摘のとおりでございます。もちろん安いものとしましては、特に最近目立つわけでございますけれども、一万円を切るもの、特に学童シートあたりですと四千円を切るようなものも出てきておりますが、基本的に、例えばデパートに行けば非常に豪華なチャイルドシート、しかも値段的には、おっしゃられましたような極めて高額なものが出回っておるわけでございます。  といいますのは、購入する側がどちらかというとこれはプレゼントとして、あるいはおじいちゃんからのプレゼント、そういうケースとか、あるいは一人っ子であっていいものをといいましょうか、いいものは安全だという意識があるのかもしれませんが、着心地といいましょうかつけ心地であるとかさまざまな要素を付加した結果値段が高くなっているわけでございますが、それの方が実は売れる、安いものよりも高いものが売れるというのが現状としてあるということを私は聞いております。  諸外国の場合には、これは既にすべて義務化がなされており、つけなければいけないわけでございます。そういう中で、当然、まさに機能本意のチャイルドシートがあるわけでございまして、諸外国チャイルドシートが、日本のような、いろいろとある意味で便利といいましょうか、ある意味で非常に上等のものが極めて廉価で売られているということではなくて、むしろ極めて機能的なものが適切な価格で売られておるというのが実態でございます。そこで日本チャイルドシートとの価格差というのが現実にあるということでございます。  それで、法改正ということになるわけでございますけれども、そうしますと、需要が拡大する結果として競争が働くであろう、当然のことながら廉価なものも出回っていくであろうということが一つ。さらに、自動車メーカー自体も組み込み式のタイプをふやしていくというような動きもあるやに聞いております。さらに、自動車メーカーとチャイルドシートメーカーがタイアップして、ある意味でのリサイクルのシステムをつくっていくというようなこともあるやに聞いております。そういう意味で、商業ベース自体としてもさまざまな形で廉価なものが普及していくということがあると思います。  また、レンタルリサイクルにつきましても、これまた商業ベースでも、既にレンタルショップ等々では取り扱っておるわけでございますけれども、法による義務づけということになりますれば、そういうものもさらに盛んになっていくであろう。さらに、現在、各安全協会であるとか市町村であるとか県等々さまざまな団体において行っておりますレンタルあるいはリサイクルのシステム、これにつきましても、警察庁としても引き続いてバックアップをしてまいりたい、これによって若干なりとも経済的負担の軽減に寄与してまいりたいというふうに思っております。
  152. 春名直章

    ○春名委員 私も都内の販売店で見てきまして、亀戸にあるおもちゃのトイザらス、あの量販店で一番安いのが一万三千円でした。それから、伊勢丹にたくさん売っているんですけれども、これはパンフレットで、全部見てきたんですけれども、一番安いのが三万円でした。五万円クラスがずらりと並んで十二万円まで、一万円台は皆無でした。これはやはり大変だなと思いました。  だから、そういう印象があって、義務化されるとこれを全部買わないかぬ、そういう不安といいますか、今不況の中で大変ですからね、そういう面が非常にあるわけなんです。  ですから、今おっしゃられた幾つかの対策もとっていただきたいと思うんですけれども運輸省に聞いておきたいんですけれども価格を低価格にするためのメーカーへの要請といいますか、その点でどのようなことを考えられていますか。
  153. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど玉造通局長が申されましたように、部品メーカーあるいはメーカーがチャイルドシート義務づけを控えていろいろなことを考えておられます。それはむしろ積極的な姿勢のように思います。義務づけされるとともに安全への関心が深まっておりますので、特に使用されないといけないということでございますので、関心を深めるとともに販売台数がふえるわけでございます。さらに、自動車を販売されるときに少々うたい文句になる、購入される方が、幼児を持っておられる方にはそのようなチャイルドシートの組み込み式であるとか、チャイルドシートを無料で差し上げるとかというような販売政策にもされるというように聞いております。  価格の点でございますが、そのような姿勢を反映して、量産されれば相当安くなるという感覚でございますが、そのように受けとめております。
  154. 春名直章

    ○春名委員 その価格の問題で、メーカーの責任といいますか、この点についても引き続き運輸省に伺っておきたいんですけれども、今、シートベルトはもちろんエアバッグも大体標準装備になってきているんですが、運輸省車両保安基準がありますけれども、そこで、シートベルトと同じように組み込み式のチャイルドシート保安基準に加えたらどうかという意見が広範にある。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕  同時に、教えていただいた数字ですけれども、組み込みシートを標準装備している車は一車種、オプションで可能というのを加えても五車種、総車種中二・六%。標準装備は一車種、オプションがそれ以外に四つ、二・六%、車種の中で。だから、私は、少なくともこのオプション可能という車種を高級車だけじゃなくて価格の比較的低い車種に広げるということが当然必要だと思いますし、その点についての運輸省の今後の対応、それからメーカー自身が一定期間の無料貸出制度を実施する、そういう対策も当然強力に支援をしていただきたいといいますか、推進してほしいんです。  ここにゼネラル・モーターズの子会社のサターンジャパンの資料を持ってきたんですけれども、これは買っていただいた人に全員無料でシートを貸し出すという制度をやっておられます。この一社だけだと思うんですけれども、こういうのをトヨタなんかがやってくれると非常に助かるんだと思うんですよ。そういう無料貸出制度の実施などのメーカーへの協力要請、この点についての御認識、今後の対応、ちょっと聞かせてください。
  155. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  三点の御質問かと思いますが、まず第一点は、保安基準においてすべての車種にチャイルドシートの装置の義務づけができないかという点につきましては、チャイルドシートを必要としない自動車ユーザーもおられますので、すべての自動車義務づけるということは各国でも行われておりませんので適当でないと考えております。  一方、組み込み式チャイルドシートのオプションをもっとふやせないか。今委員指摘のとおり、日本で組み込み式があるのは一車種でございますが、外国車につきましてはもう少しございます。これは十四車種ございます。外国車は、やはりチャイルドシート使用するという考え方が普及しておりますので、そのようなオプションが発達しているものと思います。  それに対する国産車への指導でございますが、委員指摘のように、今後、義務づけとともにオプション車の拡大を自動車メーカーに積極的に指導してまいりたいと考えております。特に、若い家族の購入に際しては、組み込み式チャイルドシート、割安だとも聞いておりますので、非常に有効な指導になり得ることを願っております。  三点目は、メーカーが組み込み式でなくてもいろいろな車種の選択の中で無料貸し出しをするということも、販売政策の一環でございますが、メーカーも考えておられると仄聞しております。  運輸省といたしましても、無料貸し出しあるいはリサイクルというようなことがシステムとして普及すれば大変好ましい形になると考えておりますので、そのような観点からメーカーを積極的に指導していきたいと考えております。
  156. 春名直章

    ○春名委員 いずれにしましても義務化ということになりますので、そういう不安や負担にこたえていただくさまざまな手だてを、今の範囲も含めましてとっていただくように改めて要望しておきたいと思います。  次に、携帯電話の使用禁止の問題について聞きたいと思います。  運輸省と労働省に来ていただいておりますので、まず二つにお聞きしますが、トラックやバスタクシーを初めとして、業務上自動車を運転する事業者では、労働者が自動車運転中の業務連絡に携帯電話を使用するケースが非常にふえていると思われます。それぞれ実態調査どもされていると思いますので、運輸省、労働省からそれぞれ簡潔にその状況をお伝えいただきたい。
  157. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  平成八年八月になりますが、トラック、バスタクシー事業者に対しましてサンプリングのアンケート調査をいたしました。  結果でございますが、約半数の事業者が携帯電話を運送業務に使用しているということが判明いたしました。とりわけトラックにつきましては、六七・八%と比較的多数の事業者の方が携帯電話を装備されているという結果が出ております。
  158. 尾添博

    ○尾添説明員 労働省では、交通労働災害防止の観点から、平成八年の十月に、自動車運転中の携帯電話の使用実態につきまして、全国の都道府県労働基準局を通じまして、業務用自動車を十台以上所有している事業場、二百七十五事業場を対象調査を行いました。  その結果でございますけれども自動車運転中の連絡方法といたしまして、約八割の事業場で携帯電話を使用している。そのうちおよそ九割近くの事業場におきまして、携帯電話を使用することによりまして注意力が散漫になる等の安全上の問題を感じている状況であるというような実態が判明をしたということでございます。
  159. 春名直章

    ○春名委員 今、トラック業界では七割近くとか、それから八割ぐらいが使用しているとか、かなり大きな数字が改めて明らかになったと思いますけれども、それに基づいて携帯電話の使用への指導ですね、どういった団体にどういう指導をされていて、そしてその効果といいますか、それぞれどういうふうに把握をされているのか、その点をお聞かせください。
  160. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  運送事業者使用の形態が反映いたしますと思いますが、携帯電話の使用が直に交通事故に結びつくという現在までの調査は比較的少ないように思います。皆無ではございませんが、少ないように思います。  いずれにしても、走行中の携帯電話の使用というのは危険でございますので、平成八年八月の調査、先ほど申しました調査の結果を踏まえまして、同年九月に自動車運送事業者団体それぞれに対しまして三点の指示をいたしました。一つは、走行中に携帯電話を発信しないこと。二つ目は、着信があった場合には、安全な場所に車両を停止してから使用すること。それから、留守番機能を有する携帯電話があったら、極力その機能を使用することという、とりあえず三点の指導をいたしました。  その後、事故の実態調査の把握をするとともに、もし携帯電話の使用に起因する事故があった場合には、その状況等の調査を進めるというふうに行政としては考えております。
  161. 尾添博

    ○尾添説明員 労働省では、先ほどの携帯電話使用実態調査結果を踏まえまして、自動車運転中に携帯電話を使用する場合における安全を確保するという観点から、数点につきまして指導等を行ってきたということでございます。  まず、運転者と事業場との連絡につきましては、原則として事業場から行うのではなく、運転者から行わせるようにしていただきたい。さらに、運転者には、運転中は携帯電話の発信を行わせずに、安全な場所に停車をしてから発信を行わせるようにしてほしい。さらに、運転中は携帯電話の電源を切るなどいたしまして、運転中の運転者に受信させないようにすること。こういったこと等につきまして、都道府県労働基準局を通じまして関係事業者に対して指導するとともに、関係団体に対しても要請を行ってきたというところでございまして、その後も引き続きましていろいろな機会を通じまして、こういった面の徹底につきまして指導を進めているという状況でございます。
  162. 春名直章

    ○春名委員 今おっしゃった二つの通達等は、運輸省平成八年の九月十七日だと思います。それから、労働省が平成九年の一月だと思います。  それで、実はそれを出された後の平成九年の九月に、全日本運輸一般労働組合静岡地方本部という労働組合が、トラック運転手の方四百十三名に直接に面接で、ターミナルなんかにおられる労働者に行ったアンケートの結果があります。四百十三名分ですので、それなりの信憑性があると思います。  このアンケートの結果を見て、私は非常に愕然といたしました。どういうアンケートが出ているかといいますと、まず、あなたは運転中に携帯電話を使用しているかという問いに対して、九割以上が使用しているというお答えがある。同時に、会社から使用方法について注意をされているかという問いを立てているんですね、注意されているかと。そうすると、注意は特別受けていませんというふうに答えているトラック運転手が四百十三名中八〇%、何も聞いていないと。平成八年、九年に運輸省や労働省からそういう重要な通達や指示文書が出ているわけですけれども、現場の労働者にはほとんど何も伝わっていない。これは一つの資料ですから、これがすべてとは言いませんけれども。  だから、これを見て、運転中に使用するのはまあ当たり前、むしろ規制の対象外、異常に多いんですよ、そういう答えが。だから、私は、通知に満足しないで、今徹底をしている最中だと思うんですけれども、実際に労働者のところにまでそういう指導が徹底されるかどうかが大事なのです。現場で事故に遭うのは労働者ですので。例えば、労働者は運転中に携帯がかかってきて、出ないと仕事をサボっていると怒られる、こういう訴えも私は聞いています。  今回の法改正で、安全運転義務違反と同様の罰則や点数となるわけですから、使わざるを得ない、余儀なくされるという原因を取り除いていくという手だてがやはり改めてこの法改正を機に私は必要になっているように感じるわけであります。  その点で、運輸省と、それから交通局長にもお聞きしておきたいと思うのですが、この改正に当たって、そういう労働者が余儀なくされるようなことがないように、改めて事業者に対して指導をしていくことが必要ではないかというように感じますので、その点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  163. 玉造敏夫

    玉造政府委員 法改正ということになりますれば、これからはそういう御指摘のような行為はまさに違法になるわけでございます。違法になるということでございますから、私どもが直接そういう違反行為に対して指導をするのみならず、企業の安全運転管理者、あるいは運輸省さんの方の関係でありますれば、運行管理者等が運転者に対する教育をしなければいけない、ある意味でその手がかりになるわけでございます。  そういう意味で、私どもといたしましても、企業に対しましてもそういう教育を十分にするように要請もし、また指導もしてまいりたいというふうに思っております。
  164. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 運輸省といたしましても、警察庁と協力して、同様の姿勢で努力したいと思っております。
  165. 春名直章

    ○春名委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  166. 坂井隆憲

  167. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。四時間近くもなりますので大変お疲れのことと思いますが、最後十五分ほどですので、最後までよろしくお願いしたいと思います。  まず最初に、一般的なことでございますが、今回の道路交通法の一部改正につきまして、運輸省お尋ねいたします。  日本世界に先駆けて車両安全基準を定めたものはこれまでにあるでしょうか、その点についてお伺いいたします。
  168. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 自動車安全基準は、今世界でできるだけ統一された基準をつくろうという動きが盛んでございます。日本世界有数、二割の生産国でございますので、その基準づくりには積極的に貢献する姿勢で努力しております。  今までの、先駆けて日本安全基準をつくった、あるいは貢献したという例でございますが、ごく簡単に申し上げますと、我が国では歩行者事故や大型トラックの事故が多いということでございますので、その分野で貢献が少々ございます。  特に大型トラックの左折事故、少々昔、昭和五十四年のことでございますが、左折事故が多く発生したことがございまして、道路運送車両保安基準について、左折巻き込み、大きなトラックのタイヤの間に人が入られて負傷されるということを防止するために、サイドのガード、横にガードをつけるとか、方向指示器をさらにつけるとか、左後方の運転者の運転視界をよくするとかというような基準改正いたしまして、そのうち、巻き込み防止装置、ガードを張るというような基準は欧州の基準として取り入れられたというような例がございます。  それから、最近では、乗用車の高速ブレーキ基準につきましては、平成六年に日本がまず基準を取り入れまして、その後、米国、欧州に普及したというような例がございます。
  169. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 先ほどから議論にありましたように、チャイルドシートの適切な使用によって乗車中の子供交通事故の被害軽減に大きな効果があるということはよくわかりました。  運輸省が監修し、自動車事故対策センターが発行している「自動車安全情報」、これですけれども自動車アセスメントというものでございますけれども、今回の道路交通法改正にかかわるチャイルドシートについて、先がたも質問がありましたが、内蔵式のチャイルドシートを備えた車というのはまだまだ本当にわずかです。さっきもありましたけれども、例えば、標準装備では、ボルボ社のボルボS80、V70とか、トヨタのカムリグラシアぐらいで、オプションとして装備可能なものもごくわずかになっているということでございます。  私は、この内蔵式のチャイルドシート普及が大事だと思っております。内蔵式が多くの車に装備されるようになれば、コストダウンも図られるのではないでしょうか。現状では、今回の道路交通法改正によるチャイルドシート義務化により、外部式のチャイルドシートが大幅に普及するとしか考えられません。  そこで、運輸省お尋ねしますが、この内蔵型のチャイルドシートについて、これを車両安全基準に入れることを世界に先駆けてでも検討されるお気持ちはございませんか、お伺いいたします。
  170. 荒井正吾

    ○荒井政府委員 残念ながら、自動車保安基準は、すべての車両が最低限守らなきゃいけないという観点基準としております。  その観点からは、チャイルドシートの必要なドライバーの方というのはごく限られているということでございますので、世界の各国とも、チャイルドシートそのものの義務づけということは行われていないものになっております。  先ほど御質問もありましたように、ただ、チャイルドシートをつけると致死率が非常に低下するという、安全上の向上が著しいという実態がございますので、オプションで安く買えるようにということをメーカーに積極的に指導していきたいというふうに考えております。
  171. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 私は、やはりぜひともこのことについては検討をいただきたいと思います。  次に、警察庁に対してお伺いしたいのですけれども、今回の改正で、運転者の遵守事項に関する規定の整備については二点、チャイルドシート義務化と携帯電話等の走行中の使用にかかわるものでございます。  違反については、チャイルドシートが罰則なし、政令点数一点となっているのに対して、携帯電話、カーナビでは罰則、点数なしとなっています。走行中の携帯電話の使用はわき見運転の扱いと聞いていますが、それにしても、罰則について均衡を欠いているのではないでしょうか。携帯電話等の使用の方は、道路における交通の危険を生じさせる者、つまり、事故や違反をしたときには罰則、点数があるようですが、それは当たり前のことです。一般的に、走行中の携帯電話の使用の方がはるかに危険率が高いと考えられますが、いかがでしょうか。これは、先ほどからたびたびあることなんですけれども、復習みたいな形で、よろしくお願いします。
  172. 玉造敏夫

    玉造政府委員 携帯電話等につきましては、最近のまさに爆発的な普及状況、そしてそれに伴います事故の発生状況から、このたび、走行中の使用等に関して、運転者の遵守事項に関する規定を設けようとするものでございます。  これによりまして、まず、運転者の守るべきルールを法律上明確化することとしたものでございます。これによって、警察官の現場における指導の根拠を与え、また企業の安全運転管理者等々の運転者に対する教育を行う際の手がかりを与える、また、運転者自体のある意味でのマナーの向上といいましょうか、そういうことにも役立てるということで規定をしたわけでございますが、そういうことをとりあえず期待いたしたいということで、規定に違反するだけでは直接は点数を付加しない、あるいは罰則を科さないということにしております。委員指摘ございましたように、具体的な危険性がそれによって生じたということになりますれば、これは点数もつきますし、罰則の対象にもなるということでございます。  それで、チャイルドシートとの比較をすると変ではないかということは、これはたまたま二つしかないものですから、どうしても比べてしまわれるのはまことにごもっともでございますが、チャイルドシートの場合には、やはりシートベルトであり、あるいはヘルメットでありというみずからの身を守るための規定との均衡といったものもあるわけでございまして、そこで点数一点というものをつけたということでございまして、それぞれ大事なことではございますけれども、それなりの均衡、あるいは実態との兼ね合いで何を要求するかということとの兼ね合いもございまして、そのような差が出たところでございます。
  173. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 わかるようなわからぬようなことなんです。  本当は携帯電話の方が道路交通法上はやはり厳しくするべきだと思うんです。先がたもありましたように、チャイルドシートの場合だったら自分の身を守るだけのことですから、この携帯電話の使用というのはやはり厳重にすべきでないかということを、私自身田舎の方でよくそのことを、まあ都会の方では、車がどんどん走っている中では余りそういうことは見かけないんですけれども、非常にこれは危ないというか、本当に命につながることだと思います。その点、答えの方はいいです、もう一緒になっていますから。  次に国家公安委員長に対してお伺いしたいのですけれども、本法案では、「警察庁長官への権限の委任」ということで第百十三条に新しく第四項が加わるわけです。そこで「この法律又はこの法律に基づく命令の規定により国家公安委員会の権限に属する事務(第百十条第一項の規定による指定に係るものを除く。)は、政令で定めるところにより、警察庁長官に委任することができる。」とあります。公安委員会の発行する運転免許証の登録情報の伝達などがあると聞いていますが、そのほかには具体的に何の権限を委任することになるのでしょうか。その辺をまずお伺いしたいと思います。  また、権限の委任をいろいろと政令で定めていけば、公安委員会の仕事としては一体どのようなものが残るのでしょうか。そのことについてお伺いしておきます。
  174. 玉造敏夫

    玉造政府委員 恐縮でございます。  百十三条の四で警察庁長官への権限の委任を規定しておるわけでございますが、具体的に現段階で政令で委任すべきものとしては、御指摘ございました、都道府県公安委員会が運転免許を与えた場合に、関係事項を国家公安委員会に報告し、国家公安委員会が各都道府県公安委員会にその内容をまた通報することになっていたわけでございますが、その報告受理と通報に関する事務が一つ。  それともう一つは、国際運転免許に関しまして同様のことでございますが、外国人に対する行政処分を行った場合に、その国際運転免許で運転している外国人に関する行政処分の関係事項について国家公安委員会に今報告することになっておりますが、その報告受理に関する事務を予定しております。  現在その二つのみでございます。基本的に、そういう割合と事務的なといいましょうか、そういうものだけを想定してやっておるところでございます。  なお、この同様の規定が、警察関係法令でいきますと風俗営業の規制及び業務の適正化に関する法律あるいは暴対法にもこれは既に置かれておるところでございまして、同様にそういう事務的なものについてゆだねられておる、極めて限定的なものでございます。
  175. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ありがとうございました。  それで、ちょっと最後になります。これも重なると思いますけれども、今回のチャイルドシート義務化によって、定価が一万円から三万円、十五万円まであるということなんですけれども一般家庭にとって大変高額な負担になると思いますので、これをやはりリースによるとか、先がたもありましたように、そのような形、それからリサイクルですか、そういうことをやはり進めてほしいと思うのでございます。それらのことをどのように軽減というか、そういうことで計画というものがありましたら、最後に教えてほしいと思います。
  176. 玉造敏夫

    玉造政府委員 今後法制化に伴って、そもそも需要が拡大することによる低価格化が進むとは思いますが、それとともに、自動車の中に内蔵されたチャイルドシートというものも恐らく要請、要望がそもそも運転者の側からありますでしょうから、当然そういうものも進んでまいると思います。そういうもの、さらにレンタルであるとかリサイクルにつきましても、そもそも商業ベースのもの自体もどんどん普及してくるであろうというふうに思います。  警察庁といたしましても、国民チャイルドシート使用するに際して少しでも負担が少なくなるように、関係行政機関あるいは団体等とも連携しましてさまざまな方面でそういう活動を推進してまいりたい、また支援してまいりたいと思っております。
  177. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  178. 坂井隆憲

    坂井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  179. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 坂井隆憲

    坂井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  181. 坂井隆憲

    坂井委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、山本公一君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。山本公一君。
  182. 山本公一

    ○山本(公)委員 私は、この際、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、交通安全対策の一層の充実を図るため、次の諸点についてその実現に努めるべきである。  一 幼児自動車乗車中の交通事故による死傷者数が急増する中、チャイルドシートの適切な使用方法、効果についての広報啓発活動の一層の推進を図るとともに、現場警察官による親しみある指導に努めること。  二 チャイルドシート使用経済的負担の軽減を図るため、リサイクルレンタル活動の普及・支援、価格の低廉化について関係機関団体等への協力を求めること。また、安全性と使い易さの観点から、チャイルドシートの機能性の向上が図られるよう努めること。  三 チャイルドシート使用義務については、本法の施行までに周知徹底に努めるとともに、本法の施行後においても、指導期間を設けるなど国民理解と納得が得られるよう配慮すること。  四 自動車等の走行中の携帯電話等の使用及びカーナビゲーション装置等の注視の危険性について、広報啓発活動を推進するとともに、交通安全教育においても運転者のマナーの向上等に一層努めること。  五 本法の施行後、自動車等の走行中の携帯電話等の使用に係る交通事故の発生状況等からみて必要が生じた場合には、当該行為の規制に関する規定の違反に対する措置の在り方について検討すること。  六 本法の施行に当たっては、本法の内容が国民の日常生活に密接に関連するものであることにかんがみ、その趣旨の周知徹底を図るとともに、本法に係る政令等の制定及び本法の運用に際しては、本委員会における論議を尊重すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  183. 坂井隆憲

    坂井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 坂井隆憲

    坂井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。野田国家公安委員会委員長
  185. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、大変御熱心な御審議をいただき、速やかに御可決いただきましたことを厚く御礼申し上げます。  政府といたしましては、審議経過における御意見並びにただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全対策の推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  186. 坂井隆憲

    坂井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 坂井隆憲

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  188. 坂井隆憲

    坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十分散会