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1999-03-18 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十八日(木曜日)     午後五時三十三分開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 土肥 隆一君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       大村 秀章君    小島 敏男君       滝   実君    西川 公也君       平沢 勝栄君    藤井 孝男君       藤本 孝雄君    水野 賢一君       宮腰 光寛君    宮島 大典君       持永 和見君    保岡 興治君       桑原  豊君    小林  守君       葉山  峻君    松崎 公昭君       白保 台一君    富田 茂之君       西村 章三君    穀田 恵二君       春名 直章君   知久馬二三子君  出席国務大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君  出席政府委員         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁生活安全         局長      小林 奉文君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿委員の異動 三月十八日         辞任         補欠選任   中野 正志君     宮腰 光寛君   細川 律夫君     小林  守君 同日         辞任         補欠選任   宮腰 光寛君     大村 秀章君   小林  守君     細川 律夫君 同日         辞任         補欠選任   大村 秀章君     中野 正志君 三月十八日  地方税制改正に関する請願北沢清功紹介)(第一四四八号)  地方公債費負担の軽減に関する請願北沢清功紹介)(第一四四九号)  犯罪被害者救済制度の充実に関する請願北沢清功紹介)(第一四五〇号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)     午後五時三十三分開議      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉山峻君。
  3. 葉山峻

    葉山委員 お疲れのところでありますが、警察法の一部を改正する法律案について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  今回の警察法改正案の背景には、一つには、近年のハイテク犯罪増加というものがあり、二つ目には、一九九八年五月のバーミンガムサミットコミュニケハイテク犯罪に対処するための法制法執行機関体制整備産業界協力がうたわれたことと聞いております。それを受けて、警察庁も一九九八年の六月にハイテク犯罪対策重点推進プログラムを策定し、公表をいたしました。  今回の警察法改正は、この推進プログラムに沿ったものということでありましょうか。簡明にお答え願いたいと思います。
  4. 野田健

    野田(健)政府委員 昨年六月にハイテク犯罪対策重点推進プログラムというものを策定いたしました。その主な内容は、警察として高度な技術力を持ちハイテク犯罪に対処するいわばサイバーポリスともいうべき体制創設、それから、他人のID、パスワードを盗用して他人に成り済ます不正アクセスを規制する法制整備産業界との連携、国際的な捜査協力のためのルールづくり、この四点を政策重点としたところでありまして、今回の警察法改正は、このうちサイバーポリス創設に対応しようというものでございます。
  5. 葉山峻

    葉山委員 改正法案の三十条二項に関しまして、関東管区警察局大宮市への移転は国の行政機関移転推進の一環と言っておりますが、移転に伴って規模管轄事務などに何か変わるものがあるかどうか、その点、お答えいただきたいと思います。
  6. 野田健

    野田(健)政府委員 東京における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中の是正に資するため、多極分散型国土形成促進法等に基づき国の行政機関等移転を推進することとされたところであります。関東管区警察局については、他の行政機関とともに東京都から埼玉県大宮市に移転することとされたものであります。  今回の移転関東管区警察局の位置を変更するのみでありまして、管轄区域、担当する事務に特段の変更はございません。  なお、管区警察局主要業務一つに大規模災害時の警備指揮等がありますが、東京が被災し警察庁庁舎が倒壊するなど指揮機能が失われた場合には、この新たにできました関東管区警察局の新庁舎内の災害対策室警察庁警備本部として運用し、代替機能を果たせるようにする予定でございます。
  7. 葉山峻

    葉山委員 改正法案で、二十五条の警察庁情報通信局掌握事務電子的記録解析その他情報通信技術を利用する犯罪取り締まりのための情報通信技術に関することを追加するのは、具体的には、ハイテク犯罪対策重点推進プログラムの中で重点項目として出されているサイバーポリス電脳警察というんでしょうか、それを創設するということでありますか。お答え願いたいと思います。
  8. 野田健

    野田(健)政府委員 ハイテク犯罪コンピューター技術及び電気通信技術を悪用して敢行されるため、その取り締まりに当たる警察においても情報通信に関する高度な専門知識技術が必要とされるところであります。  このため、ハイテク犯罪対策重点推進プログラムにおいては、電脳警察といいますか、サイバーポリスともいうべき体制創設を目標として掲げたところであります。今回の改正は、このうち、都道府県警察におけるハイテク犯罪捜査技術的に支援するためのナショナルセンター警察庁情報通信局に設置するために行おうとするものであります。
  9. 葉山峻

    葉山委員 ナショナルセンター警察庁に置くといいますが、実際にどこに置くのか、お答えをいただきたいと思います。
  10. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンター警察庁情報通信局に設置し、東京中野区に置くことを予定しております。施設としましては、十分なセキュリティーを考慮しつつ、最先端のハイテク関連資機材を円滑に運用できるものとしたいと考えております。
  11. 葉山峻

    葉山委員 ナショナルセンターのほかにも、各都道府県サイバーテロ対策専門官組織ネットワークとしてつくっているのでありましょうが、その全体像を、警察庁長官、示していただきたいと思います。
  12. 関口祐弘

    関口政府委員 近年、コンピューターインターネットが普及をしているところでございますが、その負の側面といたしまして、コンピューター技術電気通信技術を悪用するハイテク犯罪増加をしておりまして、日本のみならず国際的にも大きな脅威となっているところでございます。この種のハイテク犯罪は全く新しい問題でありまして、新たな対応が求められているところでございます。  ハイテク犯罪に対する警察取り組みということでありますが、いまだ緒についたばかりでございまして、ハイテク犯罪に的確に対処していくためには、高度の技術力を備えたサイバーポリスともいうべき体制整備していくことが必要かと思います。  そこで、警察庁都道府県警察の行うハイテク犯罪捜査技術的に支援をいたしますナショナルセンターを設置いたしますとともに、主要都道府県警察ハッカー対策班サイバーテロ対策班を設置いたしまして、ハイテク犯罪専従捜査体制を確立したいと考えているところであります。国の組織であるナショナルセンターと各都道府県警察ハイテク犯罪捜査班相互連携を図りまして、ハイテク犯罪に効果的に対処してまいる所存であります。
  13. 葉山峻

    葉山委員 私も素人でありますが、その仕事の内容がどのようなものであるかということ、それから、ナショナルセンター人員は何人か、現在二十名程度じゃないかと想像しておるのでありますが、その辺お答えいただきたい。
  14. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンターにおきましては、インターネットに代表されるような高度のコンピューター技術電気通信技術を悪用して敢行されるハイテク犯罪捜査に関する技術的な支援を行うこととしておりますが、具体的には、都道府県警察の要請に応じまして、いわゆるハッカー侵入手口分析であるとか、あるいはフロッピーディスクなどに保存されております暗号化された電磁的記録解析などを行うということで、都道府県警察の行うハイテク犯罪捜査に係る技術的な中核的組織とする予定であります。  人数といたしましては、二十人程度と考えております。
  15. 葉山峻

    葉山委員 人員は二十人程度ということでありますが、それではこれにかかる経費の予算はどう見込んでいるのか、お答えいただきたい。
  16. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンター資機材整備に必要となる予算といたしまして、十一億五千三百万円を措置したところでございます。  資機材といたしましては、暗号化されたフロッピーディスク等解析を行うための高速コンピューター、あるいは犯罪に悪用されたネットワークを模擬的に構築してハッカー侵入手口を解明、検挙するためのコンピューターなどであります。
  17. 葉山峻

    葉山委員 フロッピーディスク等で十一億五千三百万、こういうことでありますが、やはりビルを建てるのでしょう。そういう予算はどうですか。
  18. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンター施設建物自体につきましては、既に措置された建物を使うということでございます。中野にそれがございますので、その中にこのたびの予算では資機材を入れよう、こういうものであります。
  19. 葉山峻

    葉山委員 こういう一つの新しいセンターをつくるということでありますが、このセンターが逆に不正アクセス対象になって被害を受けることはないのか。これは住民登録台帳の問題も大変心配しておるのですけれどもね。アメリカなんかの例でいくと、アメリカの国防総省ですら、大体年間二十五万回攻撃を受けた、そのうち六五%は侵入に成功した、つまり十六万二千五百回、こういう報告もなされていますね。そういう点で、その辺のところはどうですか。
  20. 野田健

    野田(健)政府委員 警察が運用しておりますコンピューターシステムは、原則としてインターネットとはつながっておりませんので、そういう意味では侵入されることはないと考えておりますけれども、このたびナショナルセンターでいろいろなコンピューターを使いまして解析分析する、その場合に、インターネットを通じて行われる行為についての解析をするためには当然インターネットにつなぐということにもなりますので、そうすれば逆にそこに侵入してこようという者も当然あろうかと思います。  いずれにしましても、そういったハッカー手口等分析しまして、そういうことを受けないような体制をどうやってつくるか、一方で、もし破られることがあれば、それをどうして捜査していくかというようなことについて、技術的な支援をやっていきたいと思っております。
  21. 葉山峻

    葉山委員 信用しないわけじゃないのですが、警察官による不祥事も残念ながら最近起こっている。だから、そういう意味で、警察内部からの情報漏れ不正使用のないようにできるのか、お答えをいただきたい。
  22. 野田健

    野田(健)政府委員 警察の持っておりますコンピューターシステムにおいては、だれがいつアクセスしてきたかということがすべて記録されるようになっておりますので、もし不正にそういった情報を収集すべくアクセスした者が出てくるということになれば、当然どこのだれかということがわかるようにしておりまして、またそういうことをすれば、当然処罰されるということになっております。
  23. 葉山峻

    葉山委員 いや、警察内部から漏れる心配はないのか、こういうことを聞いているのです。大丈夫か。
  24. 野田健

    野田(健)政府委員 全職員力を合わせて、そういうことのないように一生懸命やっていきたいと思っております。
  25. 葉山峻

    葉山委員 また、計画では、産業界協力も求める、バーミンガムサミットでもそれは言われているわけです。産業界民間業者技術協力も大いに当てにしているようでありますが、そうすると、その関係者からの情報漏れ不正使用がないとは言えないわけであります。その辺をどう考えているか。
  26. 野田健

    野田(健)政府委員 いろいろなコンピューター犯罪捜査していくという過程で、あるいはその予防をするために、産業界へもいろいろな働きかけをしなきゃいけないというふうに考えておりますけれども、同時に、個人秘密プライバシーに属することであるとかあるいは捜査上の秘密に属すること等を一般的に他の方に告げるというようなことは予定しておりません。
  27. 葉山峻

    葉山委員 警察白書を見ますと、かなり民間のベテランをここに採用して、そして捜査官としてやってもらうんだというようなことが書いてありますよね。大丈夫ですか。
  28. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンターで考えておりますことは、ハッカー侵入手口分析とかそういうことをやろうということであります。そして、警察庁なり警察が運用しているコンピューターは、そのプログラムあるいは運用について、その機種については十分ノウハウはありますけれども、ハッカーがねらって犯罪を犯すというのはあらゆる機種に及ぶわけでありますので、そのあらゆる機種について捜査能力を持っていないといけない。  こういうことで、警察職員の中に適切な捜査能力といいますか、そういった知識のない者もおりますので、その場合には民間のそういった技術を持っておられる方に出向してもらうという、今度新しいそういう手続ができそうでありますので、それができればそういうのも活用する。あるいは、今まで情報通信局の中におりますコンピューターを非常によく知っておる者もおりますので、そういった人たち能力を高めるということで対処してまいりたいと考えております。
  29. 葉山峻

    葉山委員 ともあれ、このセンターができることによって、警察情報というのはかなり集中化してくることは疑いのないところであります。  また、警察規制権限拡大行政警察の無限の拡大集権化が、これも一九五四年、自治体警察の廃止以来、また九四年の改正で四十年ぶりに警察法の大改正があったわけでありますが、広域組織犯罪等に効果的に対処することを理由にして改正が行われた。特に生活安全局の新設、これは非常に新しいものだったわけでありますが、「犯罪事故その他の事案に係る市民生活の安全と平穏に関すること。」が任務の新たな目的に加えられたことは御承知のとおりであります。そして、事案に限りがなく、警察活動にも限りがなくなっていきつつあるわけでありまして、捜査対象は何でもありになりつつあるわけであります。  一九九六年にも警察法改正が行われまして、国家公安委員会権限に属する事務として、広域犯罪等に対処するための警察の態勢に関することを新設し、警察庁長官都道府県警察に必要な指示をするという権限ができたわけであります。  ともあれ戦後、憲法制定を受けまして、一九四七年の旧警察法は、行政警察を解体して司法警察基本とし、自治体警察創設したわけであります。一九五四年、現行警察法制定は、国会会期延長をめぐって議場に警官が導入されたり、私なんかは学生時代だったわけでありますが、乱闘国会の中で行われたということを今も記憶しておりまして、自治体警察は解体し、警察中央集権化が図られたことは御承知のとおりであります。  そこで、伺いたいのでありますが、センターでは技術研究だけでなく、生活安全局が収集したさまざまな情報分析蓄積、そういうものもするのかどうか、この辺を伺いたい。
  30. 野田健

    野田(健)政府委員 ナショナルセンターでは、ハッカー侵入手口分析であるとか、フロッピーディスクなどに保存され、暗号化された電磁的記録解析などというものを行いますけれども、都道府県警察が行う犯罪捜査に係る技術的な支援をするということでありまして、捜査等を通じて警察が収集した情報内容にわたる分析あるいはその蓄積というようなものは行うものではございません。
  31. 葉山峻

    葉山委員 バーミンガムサミットコミュニケでは、次のように言っております。我々は、適切なプライバシー保護を維持しつつ、証拠として電子データを取得し、提示し、保存するための法的な枠組みについて、これらの犯罪証拠を国際的なパートナーと共有することに合意するため、産業界との緊密な協力を呼びかけるとあります。  適切なプライバシー保護を維持しつつというところが私はとても大切だと思いますが、警察情報の収集とその情報の扱いについて、プライバシー保護にどれだけ留意をしているのか。私は若干疑わしく思っておるわけでありますが、これについての長官の御見解を伺いたい。
  32. 関口祐弘

    関口政府委員 警察任務個人権利と自由を保護することでありまして、その活動は、「日本国憲法の保障する個人権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」ということが警察法二条に明記されているところであります。また、捜査活動においては、個人基本的人権を尊重し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならないこととされているところであります。  御指摘の適切なプライバシー保護については、こうした規定の趣旨を十分に踏まえまして、警察活動に対する指導及び政策立案に反映してまいる所存であります。
  33. 葉山峻

    葉山委員 長官から今、権力の乱用をしてはならない、そして、できるだけ抑制的であれという自制のお言葉がありました。私は、警察の目が隅々まで届き犯罪検挙率が上がるのは結構でありますが、肥大化中央集権化していく警察は何といっても巨大な権力であります。この権力が、市民生活を逆に脅かすことがないか、人権を制限することがないか、そのことを心配しているわけであります。  そこで、戦後の中で、自治体警察創設当時いろいろな改革が図られたわけでありますが、これは非常に結構なことだと思いますが、その中で公安委員会制度というようなものも設けられた。それは現在まで続いているわけでありますが、この公安委員会というのは、警察権力を民主的にコントロールしていく、こういう意味からつくられたものでありますが、実際にそれが機能されているかどうかということにはいろいろ議論があるわけであります。警察権力を民主的にコントロールすることが必要でありますが、警察庁長官はどうお考えであるか、その点伺いたいと思います。
  34. 関口祐弘

    関口政府委員 警察運営民主化を保障しつつ、その政治的中立性を確保するためには、国民の良識を代表する者が警察管理を行うことが適切であるとの観点から、警察においては、国及び地方自治体の双方におきまして、国民または地域住民代表者として、国会の両議院または地方議会の同意を得て任命される委員で構成される公安委員会警察管理するという制度がとられていることを、委員よく御案内のところでございます。この公安委員会におきましては、警察行政大綱にかかわる重要事項につきまして協議し、また指導をしていただいているところでありまして、警察民主的管理というものは確保されているというふうに考えております。
  35. 葉山峻

    葉山委員 そういうことで行われるものであれば非常に結構なんでありますが、国家公安委員のあり方についてはいろいろ議論があることは御承知のとおりであります。  先日、日弁連の調査資料を見ましたら、最多職業は大体財界、企業関係者最高年齢者は、お年寄りが多いというのですね、八十五歳、平均が六十七歳。山形県の場合でいいますと、公安委員会というのを毎月二回開いている。二時間程度審議をされている。ところが、その処理件数といったら年間八千件もある。したがって、その時間を八千件で割ってみますと一件が二十一秒、こういうようなことで、これが本当にできているのか、また公安委員会が本当に機能しているか。この点は大分問題であろうと思う。  そういう点で、民主的な統制を、民主化を一層進めるという意味からも、例えば選任公選制にするというようなことも必要だというふうに私は思いますけれども、民間有識者によるシビリアンコントロールで民主的運営を図り、警察に政治的な中立を保たせようという目的で設けられたのが公安委員制度であったというふうに思います。  警察法四条に「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。」と定めたわけであります。したがって、この問題について、警察庁長官にお尋ねしたと同じことを国家公安委員長野田自治大臣にも伺いたい。
  36. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、公安委員会制度は、警察民主的管理政治的中立性の確保を図るために、国には国家公安委員会、そして都道府県には都道府県公安委員会がそれぞれ設置されておるところであります。  国家公安委員会の方は、毎週定例会議を開催し、警察庁から、その一週間における重要な事件、事故などの発生状況、それからこれらに対する警察取り組みなどにつきまして所要の報告を徴しまして、そして、国家公安委員会の定めた大綱方針に即して警察事務運営が行われているか否かをチェックするとともに、委員会としての意思を決定をいたしておるわけであります。  このほか、必要がある場合には臨時会議を開催するなどいたしまして、国家公安委員会意思警察業務運営に反映され、民主的管理は十分に確保されておるものと認識をいたしております。  今後とも、公安委員会制度設置目的に照らしまして、警察運営民主的管理に努めてまいりたいと考えております。
  37. 葉山峻

    葉山委員 今言ったような意味から、この国家公安委員制度というのは民主警察にとっては非常に重要だ、その点でも国家公安委員長としての自治大臣の責務というのは非常に重大だ、頑張ってもらいたいというふうに思っておるわけであります。  ところで、国民生活が広範な分野で情報化されて、警察情報の一元的な管理というものがますます集中をしてきております。こういう中で、殊に、いわゆる盗聴法とか、あるいは、これから審議することになると思いますが、住民基本台帳法議論のときも、プライバシーも含めて、非常に危険な方向を私は感じております。  警察情報蓄積の仕方とか使用の仕方によっては、行き過ぎた国民監視となりまして、行政警察化につながる場合もあるわけであります。旧憲法下警察国家の再現のようなことには決してならないようにしなければいけないし、いずれにせよ、大きな権力である警察庁方向を間違えないようにしてほしいというふうに思うわけであります。  技術の進歩著しい時代警察捜査力の向上はもちろん必要でありますが、国民すべてを保護観察のもとに置くような発想はみずからに厳しく禁じて事に当たってくれるよう、改めて念を押しておきたいと思うわけであります。  私も、以前、湘南地方の藤沢の市長をしておりまして、市民田中二郎先生という行政法先生がおられて、大変お世話になりました。その田中二郎先生が「警察とは何か」という中で述べておられますように、公共の安全と秩序を維持するために、一般統治権に基づき、人民に命令し、強制し、自然の自由を制限する作用である、こういうふうに警察とは何かということを定義されておられました。  ここで述べられているような、目的における公共性と手段における権力性警察にはおのずからあるわけであります。その権力性を抑制するものとして、任務消極性というものが導き出されてくるわけであります。警察というのは本質的に権力性を内包しており、この権力性、非民主性人権抑圧性秘密性政治性恣意性等々が生じるおそれがあるわけでありまして、その点での権力の乱用を戒めるという自覚が絶えずそれぞれの中で行われていなければならないというふうに思うわけであります。  私、先日、東京警視庁の最初の川路大警視の話を読んだわけでありますが、川路大警視が明治五年にパリへ視察に行って、ポリスとは何かということで、パリじゅうを歩き回ったというのですね。  それで、当時のパリは二千人ぐらいのポリスがいたという話でありましたが、フランス語も何もできないのに、ずっと毎日歩き回って、そうしてホテルに帰るには、お巡りさんに、このホテルへ案内してくれ、こういうふうに言って、つぶさにパリの警察制度というものを学んできて、その中から、やはりこういう制度をつくったナポレオンという人は偉いとか、あるいは、それはちょっと見当が違っていたと思いますが、それも警察制度をつくったジョセフ・フーシェという男が偉いとか、そういうふうに思ったそうであります。  ともあれ、パリじゅうを歩き回って、そしてそのポリスが、江戸時代の与力や同心とは違って実に親切にホテルまで案内してくれた。それで、川路大警視はまくら元に、ポリスとは人民の保母なり、こういうふうにメモをしたという話がありました。川路さんという人はフランス語ができなかったから、「おやっとさあ」とか鹿児島弁で言ったというのですね。すると、向こうもそれをおもしろがって、「おやっとさあ」と言ったという話です。  まさしくそういった意味で、ちょっとまねができないような勉強を、フランス語は一語もできないのにちゃんと見てきて、帰ってきて、当時の司法卿の江藤新平とか、すぐ上司だったですから、それから次に内務卿になりました大久保利通にそれをつぶさに報告した。結果的には、大久保の内務省案を川路大警視は進言をしたために、江藤新平は敗れて、少し後に佐賀の乱で斬首の刑に遭うというような歴史もあったわけであります。  日本の警察制度創設当時のそういう、東京警視庁はそのころは三千人というわずかな人間で、そのうち千人ぐらいが薩摩の人だったのですかね。とにかくそういうことで、物事の始まるときというのはいろいろ大変だったというふうに思います。それ以来のいろいろな歴史があるわけでありますけれども、やはり警察というのは、そういう意味では先ほどの長官のお言葉のとおり、権力の乱用を戒めて、個人人権をそれぞれ尊重し、そして本当に運営を民主的にして、これからの新しい警察をつくってほしいというふうに願わずにはいられません。  決して、暗い、あの戦前の警察の復活を許さずに、ひとつ人民の保母として警官も頑張ってほしいし、これからもそういう点で頑張ってほしいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、富田茂之君。
  39. 富田茂之

    ○富田委員 公明党・改革クラブの富田でございます。  警察法の一部を改正する法律案に関しまして、まず何点かお尋ねをしたいと思います。  葉山委員の方から、ナショナルセンターについて詳しく質疑がありましたが、ナショナルセンターをつくる、これはよく理解できます。また、ハイテク犯罪の専従捜査体制をつくっていくということも絶対必要だと思いますが、新聞報道等によりますと、ハッカー対策班、これを警視庁と七都道府県警に、そしてサイバーテロ対策班を警視庁と大阪府警に置くというような報道もされております。ナショナルセンター機能をどうやって充実し、また、それぞれの専従体制をつくるといっても、警視庁と七都道府県警にしかないわけですから、この間の連携を一体どういうふうに考えておられるのか。  先ほど関口長官の方から、警察庁ときちんと連携をとってやっていくんだというようなお話がありましたけれども、やはり都道府県警察は別々の組織ですので、ナショナルセンターがうまく機能しないと、せっかくこういう体制をつくっても、どういうふうになっていくのかというのが見えてこないと思うのですが、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。
  40. 野田健

    野田(健)政府委員 今回の予算では、今委員指摘のとおり、七つの主要都道府県警察ハッカー対策班を設ける、こういうことでありますけれども、そのほかにも、ハイテク犯罪が起これば捜査していくということに、もちろんなるわけであります。  ただ、同じことをそこらじゅうの県で同時にやっても意味がありませんので、調整するとかそういうことも必要ですし、それから、各県でもそれぞれもう既にハイテク犯罪の検挙実績もありまして、捜査しているわけですが、だんだん高度な手口が行われるということで、このたび、情報通信局にこういったナショナルセンターを置いて、技術的な支援を本格的にもっと体制を整えてやってまいりたいということで考えているものでございます。
  41. 富田茂之

    ○富田委員 今のはわかるのですけれども、先ほどのお話ですと、二十人規模でまずセンターをつくる、各都道府県も、対策班といっても一班が捜査員七人ぐらいだということで、まずこの八都道府県でやるということだと思うのですけれども、こんな体制で一体どこまでできるのかな。実際に、警察庁また各都道府県警の警察官の中に、こういう詳しい方がどのぐらいいるのかというのも問題だと思いますし、先ほど官房長は、民間からのそういう協力も得たいというふうに言われていましたけれども、予算措置してこの法案が通ればこういうふうにやっていくのでしょうけれども、実際に、本当に機能するのかというところが一番問題だと思うのですが、そのあたりはどうなんですか。
  42. 野田健

    野田(健)政府委員 最近五年間ぐらいで、いわゆるハイテク犯罪というのは十三倍の検挙になっている、こういうことですけれども、昨年一年間ですと約四百件余であります。それぞれの都道府県警察捜査をしている、こういう状況にありますが、とりあえずというと恐縮ですけれども、今そのぐらいの数で、今後さらにどんどんふえていくということであろうと思います。  そういう意味で、まず機械的な整備、それから技術を開発していくということで取り組み始めたということで、また、この体制で、将来どんなことが起きても、あるいはどんなに件数が多くなっても大丈夫というふうに考えているわけでは決してございませんが、それぞれ必要に応じてまた体制の強化等も図っていかなければならないと思っております。
  43. 富田茂之

    ○富田委員 経済の専門の捜査官は何か各都道府県で採用するようになりましたね、帳簿がきちんと読める人とか。そういう形での、今はいろいろ捜査に当たって、四百件ぐらいあったから対応できるということじゃなくて、かなり専門的な知識がないとできないと思いますので、広く国民に呼びかけて、そういう捜査員も必要なんだから、警察の方にどんどん入ってきてくれというような広報活動も今後必要になるのじゃないかな。やはりコンピューターのことはかなり専門的な人でないと理解できないのじゃないかというふうに思いますので、そのあたりのソフト面もぜひ充実していただいて、この法案が通りましたら、ちゃんと機能するようにぜひ運用していただきたいと思います。  次に、ハイテク犯罪対策重点推進プログラムの中で、不正アクセス対策法制整備が急務だとバーミンガムサミットでも言われていましたので、その点について、昨年から郵政省の方と警察庁の方でずっとやってきたと思うのです。  不正アクセス対策法制基本的考え方に対するパブリックコメントの募集ということで、広く呼びかけて、電子メールあるいはファクスで意見を寄せてくれというふうに警察庁の方でやられて、これは非常によかったと思うんですね。警察が開かれていくという意味からも、法案をつくる前に各界の人たちから自由に意見を寄せてもらうという新しい取り組みだと思いますので、こういったものを高く評価したいと思います。  このパブリックコメントの募集に対していろいろな意見が寄せられたと思うのですが、その成果をどうやって生かして今法制化に進んでいるのか。三月の初めに骨子というのが公にされましたけれども、その中で、保存義務ですか、それは警察庁の方がちょっと譲歩して今回は見送ったというような報道もされています。そこが一つの成果であると思いますけれども、ほかにどのような貴重な意見が寄せられて、今後の法制化に向けて、警察庁が具体的にこう取り組んでいくのだというのがあったら教えていただきたいと思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  44. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 警察庁におきましては、現在、不正アクセス対策法制の検討を行っているわけでございますが、その際に広く国民の皆様からの意見を踏まえた法案の内容とするということが極めて重要だと考えておりまして、昨年十一月から十二月にかけての一カ月間、「不正アクセス対策法制基本的考え方」につきまして警察庁のホームページに掲載いたしまして、パブリックコメントを募集したところであります。その結果、電子メール、ファクスなどによりまして、百九十六件のコメントが寄せられたところでございます。  この内容についてでございますが、不正アクセスの禁止またはその法制化につきましては、肯定的なコメントが多数を占めたところでございます。また、このほか、規制対象となるコンピューターに関しまして、個人コンピューターを含めるなど、その範囲をより広くしたらどうか、こういうふうなコメントが寄せられたところでございます。基本的な考え方におきましては、私どもは事業用に限るということを考えておったわけでございますが、こういったコメントがあったことから、現在、個人コンピューター保護対象とする、こういったことで考えておるわけでございます。  これらのコメントを踏まえまして、法案の内容をより国民に理解されるような内容とすべく、現在鋭意郵政省さんともども検討しているところでございますので、そういった国民の意見が反映されるような法案を我々としてはつくってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  45. 富田茂之

    ○富田委員 肯定的な意見が多くて、また範囲を広げろというような意見だというふうな、今御答弁でした。  日弁連、日本弁護士連合会の方から、衆議院地方行政委員会委員ということで何か送られてきたようですが、日弁連の意見というのを送ってきてくれました。それを読みますと、私も弁護士ですので、この日弁連の意見というのは結構やはりこのとおりの部分があるなというふうに思いまして、法案が出てきたときにきちんとそれは審議すればいいのでしょうけれども、法案をつくるまでに、なかなかポイントをついているなというところがありますので、何点か御紹介させていただきたいと思うのです。  不正アクセスに対していかなる法的対処をするかは、今後のネットワーク社会のあり方に大きな影響を及ぼすものである上、その目的の達成の手段としてはさまざまな選択肢があり、拙速な立法になじまない、これは、だから今警察庁が進めているのは拙速ではないのかという意見だと思うのです。  また、不正アクセスを刑罰をもって禁止する法制を設けようとしても、その必要性、処罰範囲などについては、例えば、不正アクセスを一般的に禁止するのか、あるいは、重大な法益侵害を招来する態様のものに限定して禁止するのかなど、選択の幅があるのであって、この点についても、刑法を初めとする現行法による規制との整合性等を考慮した慎重な検討を要するというふうに意見を寄せられております。  具体的なポイントとして、例えば、システムにあるデータののぞき見、システムの無権限使用などについては、昭和六十二年に刑法が改正され、電子計算機使用詐欺、電子計算機損壊等業務妨害、電磁的記録不正作出、電磁的記録毀棄等一定のコンピューター関連犯罪が規定された際に、議論の俎上に上りながらその犯罪化は見送られた、それをまた何か、刑法の改正という形でやらないで、新しく警察庁権限で法案をつくって処罰の根拠規定にしようとしているのではないかと。  必ずこういう批判は出てくると思うのですが、この日弁連の意見は結構聞くべきところがあるのではないかなと、私はこれを何度か読んだのですが、思いました。  局長の方は、この日弁連の意見に対して、現段階でどういうふうに思われますか。
  46. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 不正アクセス行為の禁止を刑法の改正により行うことは、もとより可能だと思います。  ただ、私どもが現在考えておりますのは、コンピューターネットワークに接続しているコンピューターに電気通信回線を通じて、他人のID、パスワード等の識別符号を入力するような行為を、いわゆるコンピューターネットワークを利用した犯罪の防止とコンピューターネットワークにおける電気通信の安全性等を確保する観点から規制したらどうかということで考えておるものでございまして、六十二年の、先ほど先生の御指摘の、刑法改正の際に議論された視点とは、規制の範囲、趣旨が異なるのではないか、このように考えておるわけでございます。  現在検討しているような法案の形で不正アクセス行為を禁止、処罰することとしても、他の行政法規に罰則が付されている、こういった問題と同じように、刑法との関係ではそういった問題はないのではないか、こういうふうに私ども、現在考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、日弁連さん等の意見がございますので、そういったものを踏まえまして、法案の内容をこれから鋭意つくってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  47. 富田茂之

    ○富田委員 この点は、また法案が出てきましたら詳しくやりたいと思います。  今回のこの改正案についてあと二点ほど、ちょっと確認をしておきたいのですが、産業界との連携というのは先ほども出ていました。ネットワークの特性から見て、警察力の強化だけではとても追跡できないという部分が絶対出てくるわけですよね。そうすると、電気通信事業者等の産業界との連携が本当に必要になってくる、協力してもらわなければ痕跡をたどっていけないというようなことにもなると思います。  そういうことについて警察庁は具体的にどういうふうに考えているのか。こういう不正アクセスの法案ができたりしたら、きちんと自主規制が必要なのではないかという意見も出ています。その自主規制の求め方とか、そういう点も含めて、産業界とどういうふうに具体的に連携されようとしているのか、教えていただければと思います。
  48. 小林奉文

    小林(奉)政府委員 委員指摘のとおり、ハイテク犯罪に適切に対処しまして、高度情報通信社会の実現を図るためには、警察力の強化だけでは困難であると思います。そういった観点で、電気通信事業者等産業界との緊密な連携を確保していくことが極めて重要ではないかと考えております。  そういった考えのもとにおきまして、現在、ハイテク犯罪が相当増加傾向にありますので、そういった実態を踏まえまして、警察庁におきましては、平成九年九月に情報システム安全対策指針を国家公安委員会告示として定めまして、広く産業界国民に対しまして、ハイテク犯罪被害等の防止及び犯罪発生時の警察との連携を確保するための措置を示させていただいたところでございます。こういった連携につきましては今後ともさらに強化していく必要があるのではないかと考えております。  そういった観点から、情報セキュリティーアドバイザー、このアドバイザーを都道府県警察に設置しまして、被害者の相談に応じるとともに、広報啓発活動や関係企業、団体との情報交換を行うこととしておるわけでございます。これにつきましては、不正アクセス対策法制ができた後にもそういったことをやってまいりたいと思います。こういった情報セキュリティーアドバイザーを中心に、産業界と緊密な連携を確保するような、そういった考え方でやってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  49. 富田茂之

    ○富田委員 もう一点、最後にお尋ねしますけれども、国際捜査協力のためのルールづくりが必要だということも言われております。すぐこういうことを言うのですけれども、では具体的に、どうやってやっていくのだ、捜査協力、なかなか国際間の捜査協力は難しいですよね。コンピューターの場合はインターネットで世界じゅう飛び回るわけですから、そこをどうやってやっていくのかというのはかなり難しい問題が残されていると思うのですけれども、具体的に、どういうふうにそれを一つずつ詰めていこうとしているのか。今考えている範囲で結構ですので教えていただければと思います。
  50. 野田健

    野田(健)政府委員 ハイテク犯罪対策ということで、国際的に今協力して対応していかなきゃいけないということで、例えば、リヨン・グループと言っておりますが、G8の国際組織犯罪対策上級専門家会合であるとかICPO、国際刑事警察機構といったものが中心となって国際的な検討が進められているところであります。  特に、一昨年、デンバー・サミットにおいてハイテク犯罪対策の重要性が言及されたということがございます。このときに日本の警察庁長官も出席して、米国で開催されましたG8の国際組織犯罪対策司法・内務閣僚級会合においては、ハイテク犯罪と闘うための原則と行動計画というものが合意された。そして、この合意を首脳会議におきまして評価するという形をとりまして、進めていこうということであります。  内容は、各国がハイテク犯罪捜査、訴追する能力の向上を図る、そして法執行機関体制整備、そして法制の見直し、産業界との協力、それと二十四時間コンタクトポイントの設置ということをすぐにやろうということになったわけでありまして、既に警察庁ではコンピューター犯罪国際協力ユニットを設置いたしまして、外国からの緊急の協力要請があれば二十四時間体制で従事できるという一応の体制はとっております。  ただ、問題は、まだ日本の場合には不正アクセスというものが違法行為ということになっておりませんので、その限りで協力し切れないところがあるということで、今後早急に不正アクセス対策というものも法制化をして、そして諸外国とも協調してハイテク犯罪対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  51. 富田茂之

    ○富田委員 今、日本が法制化されていないんでと言われましたけれども、日弁連の意見書の中にも、各国との協力を理由に本来可罰的でない行為のもっと前段階の行為を可罰化しようとしているんじゃないかというような意見も出ています。そういうところを十分注意していただいて、ぜひ国際協力が本当に進むように頑張っていただきたいと思います。  この法案に関しましてはこれで終わりまして、あと一点、先ほど葉山先生の方からもちょっとお話がありましたけれども、住民台帳ネットワークに関して、現段階における自治省のお考えをちょっと聞きたいと思います。  実は、民主党の皆さんが韓国に住民台帳ネットワークの視察に行かれるということで声をかけていただきまして、私も、一日ずれたのですが、参加させていただきました。民主党は三月二日、三日、私は三日、四日で行かせていただきました。  二日の日あたりに、向こうの国会委員会でICカード化を推進する法律案を廃案にする、カードは、いろいろな情報を全部入れるんじゃなくて、もともとの、今紙であるカードをプラスチック化するだけ、ただ、免許証とはできれば一緒にできるようなことを今警察庁が考えているというような段階のところに、たまたま韓国に行ってまいりました。廃案に追い込んだ議員さん、秋さんという議員さんのお話も伺いましたし、向こうの行政自治部の次官、宋さんという次官にも直接お話を聞くことができました。  韓国では、次官と秋議員との闘いが秋議員の勝利に終わったことでICカード化ができなかったというふうにマスコミ報道でされたようですが、やはり初期投資の価格が大き過ぎる、それが一つと、韓国の国民の皆さんの間に、ICカード化されると個人情報保護がされないんじゃないか、そういう懸念がかなり大きなうねりとなって、市民運動の方が行政の方に勝ってしまったというような、どうも状況のようでした。  ただ、韓国の方は、実は情報ナショナルセンターはもうきちんと設置されていて、コンピューターで全国の住民の情報は全部入っている。それはもう既にされているんですね。今回ICカード化しようというところが国民の反対に遭ってしまった。  住民台帳ネットワークの方は、ナショナルセンターをつくり、かつカード化もという法案を今自治省は考えられているわけですけれども、ちょっと先行していた韓国の方でそういうふうな状況になっているということを考えますと、今のままでいいのかなというふうにも思うんですが、現段階における自治省の住民台帳ネットワークに関する考え方というのはどういうことなんでしょうか、ちょっと教えていただければと思います。
  52. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 住民基本台帳ネットワークシステムとの関連で韓国の動向でございますが、韓国におきましては、お話の、現在紙製の住民登録証をICカードの電子住民カードとするということで、これは偽造、変造を防止し、また情報化社会に対応した多目的な身分証とするということで、実は平成九年の十一月に住民登録法の改正法が成立をいたしたわけでございます。その後、諸般の事情によりまして、電子住民カードの導入に関します関係条文を削除するという改正法案が議員立法により提案されまして、国会に提出されて、現在その取り扱いが検討されている、このように承知をいたしております。  お話のように、韓国の現在の住民登録制度におきましては、全国民に住民登録番号が付番されております。それから、その住民登録番号をもとに国民の多数の情報が住民登録ファイルとして管理されておりまして、その情報行政及び民間においてもさまざまな分野で利用されているということでございます。また、先ほど申しました紙製の住民登録証、これは満十七歳以上のすべての国民は携帯することを義務づけられております。そして、この住民登録証につきましても、本人確認の手段といたしまして行政あるいは民間を通じて利用されている、こういう状況でございます。  それで、住民基本台帳法改正といたしまして国会に提出をいたしております法案におきますこのネットワークシステムでございますが、幾つかの点で異なっていると思います。保有するデータは、住民票コードと氏名、住所、性別、生年月日の四情報及び付随情報のみに限っております。また、民間部門による利用は禁止をいたしております。住民基本台帳のカードは希望者に発行するということで、住民からの御希望によって発行するという点で韓国の住民登録制度あるいは住民カードとは異なるものであると認識をいたしておるところでございまして、ぜひとも改正法案内容を御理解いただきまして御審議をお願いしたいと思う次第でございます。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 富田茂之

    ○富田委員 韓国とは違うというのはよくわかるんですけれども、ただ、韓国の国民の皆さんもやはり、個人情報が漏れてくるんじゃないか、あらゆる情報を全部もうナショナルセンターで持っているにもかかわらずその点を物すごく心配して、廃止法案の方が勢いを増してしまったという事情のようでした。  ソウルのお隣の果川にも、実際そこでモデル事業で一千五百世帯ぐらいICカード化で実験していたところにも行かせてもらいまして、そこで市長さんと一番下の行政組織の洞長さん、また実際にそのカードの担当者にもお話を伺いました。今局長言われたように、民間利用の方を大分一緒にやっていて、クレジットカードと提携できるようにというような実験まで考えていましたというようなお話を聞いて、やはりそこまでいくともう行き過ぎだな、日本の法律では民間利用を禁止しているけれども、実際にカード化になればそこまでいってしまう危険性があるなと、現場の担当者の話を聞いてちょっとびっくりしまして、そういうこともあります。  ただ、自治省にちょっと有利なお話をしますと、モデル事業に参加した市民の反応は大変よかったそうです。六〇%ぐらいが便利だから賛成するということで、そういうお話も聞いてきました。ただ、やはり自分の情報が勝手に出てしまうということに関しては物すごい不安があるというところで、今回韓国のはとまっているようです。  今後この法案はどういうふうに審議されていくのかわかりませんが、民主党の皆さんと現場を見てきましたので、法案の審議のときにぜひきちんとやっていきたいと思います。  以上で終わります。
  54. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、穀田恵二君。
  55. 穀田恵二

    ○穀田委員 警察の不祥事について質問します。  ことしの二月、島根県江津署で署ぐるみの事件が明らかになりました。その概要は、一九九五年五月に、江津市内の男から、この男の知人が起こした速度違反の免許停止処分を取り消すかわりに銃の提供を受けていたというものです。この取引を署長室で相談し、その相談に当時の署長が直接かかわっていたというものです。  また、京都では、九条署交通課事故係巡査長が飲酒ひき逃げ、堀川署地域課の巡査部長が同僚の現金を盗む、太秦署地域課交番勤務の警部補が八十二歳のお年寄りからひったくり、府警銃器対策課次席の警部が短銃不法所持、五条署警備課の警部が宝石販売業者からわいろと不祥事が続いています。  京都新聞は、ことしの一月二十七日、二十八日の二日間、「構造的問題見え隠れ」として特集を組んでいます。それによりますと、府警が体面を気にして身内の不祥事に箝口令をしいていることをうかがわせたとか、昨年、一昨年と職員の汚職事件が続いた京都市の場合、市の幹部は、職員が市の権威を失墜させたとして、後日、不祥事に関する調査結果を公表し、再発防止の方針も明らかにした、府警の場合はどうか、不祥事の謝罪のコメントには必ず綱紀粛正、信頼回復などの言葉が盛り込まれる、しかし、これらの決まり文句がどのように実践されているのか市民には一向見えてこない、こういうふうに指摘をしています。さらにこの新聞は、府警には不祥事の素地があるのではないか、こうまで断を下しているほど問題が多いと思うのです。  やはり構造的な問題にメスを入れる必要をこの新聞は指摘しているのですが、これらの問題について、まず関口長官の方から見解を明らかにしていただきたいと思います。
  56. 関口祐弘

    関口政府委員 二十六万余の警察職員のうち大部分の者は日夜勤務に精励しているところでありますけれども、一部とはいえ、法を厳正に執行し、国民の安全と治安を守るべき警察官による不祥事が起きておりますことはまことに遺憾でございます。  御指摘いただきました収賄事案なりその他の不適正事案でございますけれども、事案内容あるいは発生の原因、背景というものは違うと思いますが、いずれにいたしましても、基本的な職業倫理が欠如しているということが最大の原因であろうと思います。  ただいま委員指摘の構造的な問題というふうなことでございますけれども、私どもは、それぞれ、こうした不祥事を起こした人物の個人の資質にかかわるところが大変大きいというふうに思います。しかし、そうはいいましても、やはり一人の者がそうした不祥事を起こすということになりますと、警察全体の威信にもかかわるということでございますので、私どもとしては、組織としてこの種の事案の防止ということに力を尽くしてまいりたいと思います。
  57. 穀田恵二

    ○穀田委員 この問題を指摘すると、大体、倫理の問題、それからあわせて個人の資質にかかわる問題、こういう答えが通常なのですね。  私は、今度の事件というのは大変な問題を含んでいると思うのですね。本来、警察官にあってはならない犯罪である。といいますのは、交通違反を取り締まる交通課の警官がひき逃げしているんです。銃の不法所持を取り締まる銃器対策課の警官が銃を不法所持しているんですよ。住民の安全を守るべき地域課の警官が八十二歳のお年寄りからひったくりをしているんですよ。ひど過ぎると思いませんか。  京都府警の警務部長は、この問題について記者会見を行った際に、構造的な欠陥があれば教えてほしいとまで言っているのですね。  先ほどの江津の例のように、署長を筆頭に、しかも署内で、署長室でやられている。京都の場合のように、みんなが、どうもこれは構造的な問題だぞと指摘されている。だから、個人の資質というふうに言う前に、やはり警察全体として不祥事を起こさない対策が今こそ求められていると思いますが、その点いかがですか。
  58. 関口祐弘

    関口政府委員 それぞれの事案は、今申し上げたような個人の不祥事ということで出てくるわけでございますが、そうした事案の発生するに当たっての組織としての機能といいますか、チェックといいますか、そうしたものが何よりも大事であろうというふうに私は思います。  そうしたことで、それぞれ事案が違いますけれども、例えば銃の問題ということになりますと、これは警察署で発生した事案でございますけれども、本部の主管課にそうした銃器取り締まりの課がございます。そうしたところで、一つ一つ捜査過程というものについても十分チェックすべきものであろうというふうに思いますし、これからさらにそうした点での指導というものを強めていかなければいかぬ、かように考えているところでございます。
  59. 穀田恵二

    ○穀田委員 不祥事が出るたびに通達を出しているのですね、官房長の名前で。わずか八カ月余りの間に三回も出しています。  先ほどお話があったように、大体こういう場合の指示というのは同じでして、職業倫理教養の徹底、それから生活指導の徹底、監察機能の強化。大体これですよ。あとは、各級幹部による業務管理の強化というふうにして、少し変えているんですけれども、大体その三点に尽きているんです。前の答弁もそうだし、今回の答弁も、いつもそうなんですね。  だけれども、同じことをしゃべっていても結局同じことが相次いでいるということは、やはりそれが効果を持っていないということを意味しているんじゃないですか。  私は、構造的問題にメスを入れるということを何回もさっきから言っているわけですね。私はその際に、前も、点数主義というのが不祥事を生み出す一つの要因でないかということを指摘してきました。  それとの関係で聞きますが、九七年の七月二十四日に「不祥事案の再発防止対策について」という官房長指示が出ています。その中で、「実績評価の在り方の指導強化」という項の中で、「地域警察官の事件検挙については、きめ細かな評価基準を設定するなど、従来以上に質を重視した評価がより徹底されるよう配慮すること。」と指摘しています。  そうすると、きめ細かな評価基準の設定とはどんなものか。そして、従来言われてきたいわゆる点数主義による評価と同じなのか違うのか。違うとすればどう違うのか。この点についてお答えいただきたい。
  60. 野田健

    野田(健)政府委員 地域警察官の場合には、直接の上司という人が一緒に仕事をしていないという特殊事情にありまして、それぞれの警察官が率先して仕事に当たってもらうということが必要になるわけです。そこで、いい仕事をした場合には称揚し、誤った処理の仕方をしているときには処分をしていくというようなことをどうしてもやらざるを得ないということがありまして、いい仕事をしたときの評価というものについて、それぞれの県で、やり方はいろいろありますけれども、それぞれ評価する。  ただ、従来、このときに気がつきましたのは、いわゆるよく見える、犯人を検挙したとか、そういうものについての評価は確かにいろいろ段階を踏んでいるけれども、平素、非常によく周りを警らして、地元の住民の人から、あの警察官は非常によく回ってきてくれて、安心していられるなというような評価というものについては、なかなかこちらでも把握しにくいところがある。把握しにくいがゆえに、なかなか評価できていなかったというようなことがありますので、そういうこともできるだけできるような、そういう意味での積極的な、いわゆる実績みたいな形で出ない、そういう隠れた、しかもきちんとした警察の仕事というものについて評価ができるようにというような意味で、従来と違って、さらにきめ細かな評価というものを考える必要があるという趣旨でこの文書を出したものであります。
  61. 穀田恵二

    ○穀田委員 というと、新しいきめ細かな評価基準というのはあるわけですね、新しいそういう評価基準というのは。
  62. 野田健

    野田(健)政府委員 評価の仕方といいますのは、それぞれ都道府県警察が独自に本来定めるべきものというふうに考えております。したがって、この通達を受けて、各都道府県ではそれぞれ評価の仕方について検討し、以前とはまた異なった評価の仕方をしているということだと思います。
  63. 穀田恵二

    ○穀田委員 以前とは違ったということは、そういう評価基準というものが、以前は別のものがあり、新しく出ているものがあるというふうに理解していいわけですね。
  64. 野田健

    野田(健)政府委員 それぞれの都道府県で規則なりで定めておりますので、新たな改正をしたのか、あるいは一部改正をしたのか等については承知しておりませんが、いずれにしろ、従来の、どちらかというと顕在的な実績だけでなくて、潜在的な実績についてもきちんと評価していくという方向を示したと思っております。
  65. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、以前に神奈川県警の例を出しまして、点数評価の一覧表があったりするということもお示ししましたね。それは長官もよく御存じだと思うのですが。それと同じようなものなのかどうなのかということを私は実は聞きたかったんですよ、どういうものなのかと。そういうものは、これは少なくとも実績評価のあり方の指導強化ということですから、きめ細かな評価基準を設定するなどと言っているわけですから、一定の指導方向を出して、それは一斉にやっているんだというふうに見るのが普通ですね。だからそれを、あるんだったら、それはきちんと言っていただきたいということが一つです。  私は、以前に提起したときに、二つ目の問題として情報公開を、やはり警察についてもその対象とすべきであるということを主張してきました。同じ先ほどの新聞によりますと、京都府警はできる限り情報公開に応じ、オンブズマン組織などが外からチェックできるようにする、また、重い職責を負っている警察官のストレスを解消して、風通しのよい職場にすることも必要だと思う、将来的には職員団体をつくるなどして、組織内部で不正をチェックし合えるようなシステムをつくることが望ましいなどと提言をしています。  他の新聞も、これらの問題についてはよく出していまして、税金で維持、運営される以上、警察といえども、国民、住民からの監視と批判を受けるべき存在である、秘密が不正の温床になりやすいのは警察も例外ではない、外部の目が届く風通しのよい組織であってこそ、市民の信頼が生まれると。  そこで、大臣に聞きたいのです。  昨年の四月、自由党も参加した三会派提出の行政情報の公開に関する法律案では、警察情報の不開示について、次のように述べています。開示すると、犯罪の予防、公訴の提起、維持、刑の執行、警備目的を達成することができないことが明らかである情報、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことが明らかな情報に限定していますが、大臣は、今もこの考えについては、当時政調会長でもあったはずですから、お考えに変わりはございませんね。
  66. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私も、今、当時のあれを完全に全部記憶しているわけではありませんので、チェックしないと何とも言いようがないのですが、ただ、できるだけ我々は、フリー、フェア、オープンな社会をつくっていこうということを自由党というのは基本的な考え方としておるわけで、そういう意味で、透明度の高い社会をつくろうという基本精神は当然であります。したがって、できるだけ情報をオープンにしていくということは大変大事なことだ。  ただ、警察の仕事の内容の性質上、おのずからその制約があることはこれまた御承知のとおりでありますので、今ここで具体的に、どの部分がよくてどの部分がだめでということまで私から言及するのは、ちょっと控えさせてもらいたいと思います。
  67. 穀田恵二

    ○穀田委員 基本的精神は今お述べになったとおりだと理解していますし、当時文書で出ていますから、その中身について、これは三党案として出されている内容をそのまま述べたので、大体その考えだと思います。  そこで、今度は長官に聞きたいと思います。  昨年の十一月十一日の日経新聞によると、警察庁は「職業倫理教育の手引き」という若手を指導する教材をつくったという記事がありますが、内容はどんなものですか。
  68. 野田健

    野田(健)政府委員 手引の内容は、残念ながら過去に起きてしまった事件の状況と、それに対して、今後それを二度と起こさせないようにするためにはどういう手だてが考えられるかというようなことについて、いわゆるゼミナール方式といいますか、一方的に教えるやり方だけでなくて、討論しながらやっていく、そういうやり方についてカード式のような形でつくっているというものであります。
  69. 穀田恵二

    ○穀田委員 形式はわかりました。主な内容を述べてください。
  70. 野田健

    野田(健)政府委員 手元に今持っておりませんけれども、それこそ過去に発生した、例えば飲酒運転をして事故を起こしてひき逃げをしたとか、あるいは酔っぱらって余計なけんかをしてけがをさせたとか、そういうものを含めまして、過去の不祥事案というものについてそれぞれ分析しているという状況です。
  71. 穀田恵二

    ○穀田委員 過去の不祥事案分析したものだと今お話ありました。その当時の新聞によりますと、過去に起きた不祥事をもとに、一、短銃の違法押収、二、部外者との不明朗な交際、三、性犯罪被害者をさらに傷つけてしまう捜査など、想定される不適正事例を示し、それぞれの背景や要因、未然に防止する方策などを考えさせる内容、大体こういう内容ですね。よろしいですね。  そうしますと、これを含めて、せっかく出ているのだから、こういう内容を明らかにしていただく必要があるんじゃないかと私は思うのですね。つまり、相次ぐ不祥事に対して、「職業倫理教育の手引き」を使って、これは、今ありましたように、ゼミナール方式でカードを使って指導されておられる。だから、その内容を、全容を国民の前に明らかにして、それがやはり、今のいろいろな不祥事案が起きていることに対する適正な指導なのかどうか、国民に対して批判を仰ぐ、そして、それ自身が不祥事の再発を防止し、ひいては警察への信頼を回復することにつながるのではないでしょうか。その辺、いかがですか、警察庁長官
  72. 野田健

    野田(健)政府委員 警察活動というのは、報道もされますし、それから議会その他でもチェックされているということでありまして、過去にいろいろ起きた不祥事案、我々は、それを真剣に二度と起きないようにと考えておりますけれども、そういった資料を一般的に示すのが必ずしも適当というふうには考えていないということでございます。
  73. 穀田恵二

    ○穀田委員 今記事でいろいろ知らされているんでしょう。それを含めて全部変えているんでしょう。今までみんなが知っている記事を使っているだけなんだから、別に公表したって構わないじゃないですか。  では、大臣に最後にお聞きしたいんですけれども、情報公開問題の態度について変わりがないのであるならば、今私が公開を求めた「職業倫理教育の手引き」というのは公開すべきじゃないでしょうか。先ほど述べた不開示の項目というのは、開示すると犯罪の予防、公訴の提起などのことが困るからという理屈からすると、これは公開しても別に、それこそそういう教育をやっているんだったら、さらにこんな教育をしたらどうだ、そしてまた、そういう教育については、批判も受けながら、みんなの英知を集めるという点で大事じゃないですか。私はそのことを求めたいと思いますが、いかがですか。
  74. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ちょっと私もその内容についてつまびらかにしておりませんので、恐縮ながら、ここでそれをイエス、ノーということを言うのは早計かという気持ちはいたします。  ただ、基本的な姿として、できるだけ情報をオープンにしていこうということは大変大事なことだ、そのことはそう思いますが、部内のそういった事柄をどこまでやるかということについて、内容等について、もう少し私自身まだ十分つまびらかにしない段階で言うのは遠慮したいと思います。
  75. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、最後に、今私が要求しました資料について、委員長としても検討していただいて、出していただくよう、私としては正式に要望します。御検討ください。理事会に諮っていただけますか。
  76. 坂井隆憲

    坂井委員長 理事会で理事さんからまた提案してください。
  77. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  78. 坂井隆憲

  79. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  私は、共同危険行為に対する対応等についてお伺いいたします。  大みそかの夜から元旦にかけて、毎年山梨県の富士山ろくの河口湖周辺を集団で暴走する初日の出暴走についてお尋ねいたします。  ことしも関東近県から暴走族が集まり、鉄パイプを振り回したり蛇行運転など、無謀な集まり方をして、沿線住民や他の通行者に騒音や通行妨害、渋滞等の迷惑をかけるだけでなく、危険を感じさせる事態が発生しております。  そこで、まず、警視庁と山梨県警がそれぞれどのような対応をとられたか、また検挙状況はどうであったかをお尋ねいたします。
  80. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  各地の暴走族が、初日の出暴走などと称しまして、山梨県の河口湖周辺に多数押しかけておるわけであります。周辺はもとより、中央自動車道あるいは東名高速道路を通行する一般の車両にも著しい迷惑をかけているところであります。このため、地元の山梨県警を初め、関東管区警察局内の各県警、そして警視庁が中心となりまして、大みそかから三が日にかけまして、大量の警察官を動員して取り締まりを実施しているところでございます。  本年の初日の出暴走につきましても、警察官約一万一千人を動員して、参加中止の説得等事前の抑止対策を講じるとともに、主要料金所における検問など取り締まりを実施いたしまして、道交法違反等によりまして、現場で四百六十三人を検挙しているところでございます。また、共同危険行為等の禁止違反につきましては、関係都県警察におきまして現在強力に事後捜査を行っているところでございまして、その一部につきましては既に検挙をしたところでございます。  なお、次の年末年始ということに当然なるわけでございます。これにつきましては、今回の事案を踏まえまして、警察体制をより一層強化いたしまして、県境検問あるいはインターチェンジにおける検問等、取り締まりの徹底を図る所存でございます。
  81. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 三月の九日の新聞報道によりますと、道路交通法第六十八条の共同危険行為等の疑いで、一般車両を危険な目に遭わせたとして十一人の容疑者を逮捕したとありましたが、道路交通法改正の際には、共同危険行為で取り締まれないことはないということを聞きました。法律上は初日の出暴走のような事態はきちんと規制できるのではないでしょうか、お伺いいたします。
  82. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 暴走族の初日の出暴走につきまして、現場で共同危険行為で取り締まるべきではないかというお尋ねと思いますが、暴走族の違法行為の取り締まりにつきましては、可能な限り現場検挙を行うこととしております。先ほど申し上げましたように、現場で道交法違反等で四百六十三人を検挙したところでございます。  ただ、道路交通法第六十八条の共同危険行為等の違反の検挙につきましては、被迷惑者を確保し、また違反者の特定と暴走行為の共同意思の立証ができる場合には現場検挙が可能であるわけでございますけれども、そしてまたそれが望ましいところでもございますが、大量の一般車両が混在して走行している初日の出暴走のような場合、これらのことが極めて困難だということと、もう一つ、かつ危険を伴うということから、写真あるいはビデオ撮影等によりまして証拠収集を徹底いたしまして、各都府県警察におきまして強力な事後捜査を行って、これを検挙するということにどうしてもなるわけでございます。  御指摘の事件検挙は、そのうちの第一件目ということになります。他の県でも現在あの初日の出暴走について捜査中でございますので、今後続々と検挙が続くものと見ております。
  83. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 この事件は本当に毎年接しておりまして、政務次官会議でも取り上げられたと伺っております。人員を増強したり取り締まり開始時刻を早めるなど努力されているようですが、ゲートによっては警察官がいたりいなかったりということもあるのはなぜでしょうか。くれぐれも万全の対策をとられることをお願いしたいと存じます。  国家公安委員長の御決意のほどをお願いいたします。
  84. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 多くの国民に著しい迷惑を及ぼす重大な問題であると認識いたしております。来年に向けては、警察庁と関係の都県の警察が緊密な連携をとりまして、的確な対策を講じていくものと承知をいたしております。
  85. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 この件につきましては、本当に大変なことだろうと思います。これを取り押さえるにしても、危険が出たりとかということもあると思いますけれども、やはりこれらのことについては、一般の住民の方たちの本当に大変な迷惑になっておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、続いてですけれども、犯罪被害者対策についてお伺いいたします。  オウム真理教による地下鉄サリン事件や和歌山県のカレー事件など、毒物を使用した犯罪がふえています。毒物犯罪に巻き込まれた市民にとって、治療や検査、また後遺症などの費用は加害者の責任で補償すべきですが、加害者に支払い能力がないケースが多く、被害者の救済は現実問題として非常に厳しいものになっていると思います。  この給付制度がありますが、この制度は、適用要件が厳しく、施策も不十分で、被害者対策にはほど遠いものがあると思います。そこで、この給付金制度を、要件の緩和や対象の拡充、施策の充実の観点から抜本的に見直し、被害者の社会復帰の支援や遺族の生活の保障を進めていくべきではないかと考えています。  最近、犯罪被害者や遺族に対する支払いを促進するために、犯罪被害基本法づくりに取り組んでいる民間団体も出てきて、警察庁の担当者も参加されたと聞いていますが、警察庁としても積極的に研究を進めていただきたいと思います。  長官の御見解をお伺いするものでございます。よろしくお願いします。
  86. 野田健

    野田(健)政府委員 犯罪被害者給付金制度というのは、昭和五十五年に設立して、昭和五十六年から運用されている制度であります。昭和五十七年、昭和六十二年、平成六年に、それぞれ物価水準等の変動も参酌して給付金の引き上げが行われた。それから、対象につきましても、平成九年に、重複障害の範囲を日常生活が著しく制限を受ける場合にまで広げたということもございますが、御指摘のように、この制度は、得べかりし利益を補償するというものではなくて、見舞金的な性格というふうになっております。  今後、どのようなところまで支給対象とするのか、あるいはそれ以上のいろいろな手だてが必要ではないか、そういうことをどの範囲まで国がやるべきか、あるいは地方公共団体がやるべきか等々、議論すべきことも非常に多いと思いますし、社会全体で議論していくのが必要ではないかということで、警察庁といたしましても、これらの議論に積極的に参加して、民間支援団体との連携も図ってまいりたいと考えているところでございます。
  87. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 この事件は、やはり、ある日突然、何にもしていない一般の市民が本当に迷惑をこうむります。その点で、いい法律というか、その手だてができるように、よろしくお願いしたいと思います。  以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  88. 坂井隆憲

    坂井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  89. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  警察法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 坂井隆憲

    坂井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 坂井隆憲

    坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  92. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。野田国家公安委員会委員長。     —————————————  道路交通法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  93. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に対応して、交通事故の防止その他交通の安全と円滑を図るため、幼児用補助装置の使用の義務づけ及び携帯電話等の走行中の使用の規制のための規定の整備を行い、並びに運転免許取得者教育に関する規定を新設すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、幼児用補助装置の使用の義務づけのための規定の整備についてであります。  これは、自動車の運転者は、幼児を乗車させるときは、幼児用補助装置を使用しなければならないこととするものであります。  第二は、携帯電話等の走行中の使用の規制のための規定の整備についてであります。  これは、自動車等の運転中は、停止しているときを除き、携帯電話、自動車電話その他の無線通話装置を通話のために使用し、またはカーナビゲーション装置等の画像表示用装置に表示された画像を注視してはならないこととするものであります。  第三は、運転免許取得者教育に関する規定の新設についてであります。  これは、運転免許を現に受けている者に対しその運転技能を向上させるとともに道路交通に関する知識を深めさせるための教育を自動車教習所等の施設を用いて行う者は、その課程の区分ごとに、公安委員会に申請して、当該教育が効果的かつ適切に行われるものである旨の認定を受けることができることとするものであります。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行日は、幼児用補助装置の使用の義務づけのための規定の整備及び運転免許取得者教育に関する規定の新設については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  94. 坂井隆憲

    坂井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十六分散会