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1999-02-16 第145回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年二月十六日(火曜日)     午後五時三十分開議   出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 土肥 隆一君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       安倍 晋三君    今村 雅弘君       奥山 茂彦君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       藤井 孝男君    宮島 大典君       持永 和見君    保岡 興治君       吉川 貴盛君    桑原  豊君       葉山  峻君    細川 律夫君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君      知久馬二三子君  出席国務大臣         自治大臣    野田  毅君  出席政府委員         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿委員の異動 二月十六日         辞任         補欠選任   石橋 一弥君     安倍 晋三君   小島 敏男君     田中 和徳君   西川 公也君     今村 雅弘君   藤本 孝雄君     砂田 圭佑君 同日         辞任         補欠選任   安倍 晋三君     石橋 一弥君   今村 雅弘君     吉川 貴盛君   砂田 圭佑君     藤本 孝雄君   田中 和徳君     奥山 茂彦君 同日         辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     桧田  仁君   吉川 貴盛君     西川 公也君 同日         辞任         補欠選任   桧田  仁君     小島 敏男君 二月十六日  地域振興券交付事業の実施に関する陳情書(第六号)  地方財政対策の拡充・強化地方単独事業財源確保に関する陳情書(第五○号)  都市財政充実強化に関する陳情書(第五一号)  政府資金地方債の借りかえに関する陳情書(第五二号)  犯罪被害者救済制度充実に関する陳情書外二十一件(第五三号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)  地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案内閣提出第一五号)     午後五時三十分開議      ――――◇―――――
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法の一部を改正する法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方特例交付金等地方財政特別措置に関する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉山峻君。
  3. 葉山峻

    葉山委員 予算委員会大臣も大変お疲れのことと思いますが、もうしばらくの間御辛抱をお願いいたします。  まず最初に、地方税法改正地方交付税法改正地方特例交付金特別措置法案に関連する地方財政の問題について、幾つか質問をしたいと思います。  私は、昨年三月十日の当委員会で、御承知のとおり、地方財政はまさに危機的な状況にあると指摘させていただいたわけであります。私は神奈川県に住んでおりまして、去年のときも指摘したわけでありますけれども、地方債というまさに借金借金を返している、地方財政現状はまさにサラ金地獄のような運営である、こういうふうに指摘させていただいたわけでありまして、神奈川とか私の住んでおる町とその県、あるいは隣の横浜とか川崎の例を引かせていただいたわけであります。  ことし、その関係での当初予算を、平成十年のことを試みに神奈川県の場合で指摘させていただきますと、千八百六十五億円が地方債発行でありまして、公債費が千二百八十八億円、比率A分のB、つまり地方債公債費を割りますと六九・一%、七割近く。つまり、借金を国からしても、すぐその場で七割は国に返す、そういう仕組みになっていることは御承知のとおりでありまして、予算規模が一兆七千三百四十四億でありますが、地方債残高は一兆九千九百二十七億円、もう借金の方が多くなっている。神奈川県という今まで富裕県と言われていた県でもこのとおりであります。  数年前までは、不交付団体府県別でいいますと、神奈川愛知大阪とともに、あるいは東京とともに四つの不交付団体一つになっておりましたけれども、今や交付団体に転落といいますか、交付団体に推移をしているということは御承知のとおりであります。  同様に隣の横浜市で見ますと、地方債発行は千五百三十億円、それが公債費が千五百七十四億円でありまして、比率でいくと一〇二・九%。まさに、同額をすぐ国から借金して同時に返してしまう、そして返すところの方が多くなってしまっている。予算規模が、県と同じように一兆三千四百二十八億円で地方債残高は一兆九千六百九億円、比率から申しますと一四六%であります。  同じく川崎市は、四百九十五億円の地方債発行で、それよりもっと上回ります五百五十六億円を公債費として返している。つまり、パーセンテージでいくと一一二・三%。予算規模は五千百四億円でありますが、地方債残高は五千七百九十億円、一一三・四%。こんなふうに、ここも千葉と並んで政令都市で不交付団体でありましたけれども、ここも横浜同様交付団体に移行しております。  私が市長をしておりました湘南の藤沢市をちょっと挙げさせていただきますと、ここは、六十七億円の地方債発行に対して公債費はもっとふえまして百二億円、一五二・二%。予算規模は千百七十一億円、地方債残高は八百八十五億円、七五・六%、こういうことでありまして、まさに、起債という、地方債という借金借金を返しているという自転車操業が全く今の自治体の姿であるわけであります。あとの県とか横浜川崎市は交付団体になったわけでありますが、私が市長をしておりました藤沢市だけがいまだに辛うじて不交付団体であるというけれども、もう危ないものであるという状況があるというのが実態であるわけであります。  そういう点から、神奈川の例にまつまでもなく平成十一年度地方財政状況は、地方債残高総額百二十七兆円、交付税特会借入金が二十二兆円、企業債普通会計負担分残高が二十七兆円ということで、平成年度の百六十六兆円を十兆円オーバーする巨額なものとなっている。なかんずく、特会借入金はいずれ返済せねばならないわけでありますから、いわば交付税先食いでありまして、将来の交付税を減少させるわけであります。  平成十一年度地方交付税のうち法定税分は十二兆三千二百七十一億円、総額は二十兆八千六百四十二億円となっておりまして、その乖離は非常に甚だしい。毎年度法定税分では総額は足りない状況が続いておりまして、その不足を補うため、交付税特会借り入れ法定加算でしのぐという状況にある。こうしたその場しのぎの応急的な措置ではなくして、安定的な地方税財源充実確保のためにも、借入金残高の将来の動向等中長期的見通しを示して、抜本的な制度改革、特に地方分権財源論につなげていく必要があると思います。  先ほど予算委員会でちょっと傍聴をしておりましたら、大臣がよく言われることでありますが、地方分権というのは、言うなれば、行政分権、それから財源、それから人材といいますか人間、この三つが重なって三ゲンという形で表現されるけれども、なかんずく、財源がなければ絵にかいたもちだというふうに思います。そういう意味から、抜本的な制度改革、特に地方分権財源論につなげていく必要があると思うわけであります。  自由党地方分権を重要な柱としておりますから、地方分権に非常に御熱心であられます自治大臣がこの財源論についてどういうふうにお考えになっておるか、率直に御意見を伺っておきたい。
  4. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ただいま、神奈川県内都市の数字を実証的に例示をされながら、非常に厳しい地方財政現状をお話しいただきました。まことに、今地方都市を問わず、地方財政は非常に厳しい状況にあるということは御指摘のとおりであります。  特に、このところ急速にその事態が進展をいたしておることもまた事実でありますし、その大きな原因が、何といいましても経済の低迷ということが背景になって、あるいは国税、それをもととする交付税、そしてまた地方独自財源であります地方税収入、とりわけその中で景気低迷を色濃く反映する法人税系統、こういったものの減収が非常に大きいということが歳入減の大きな要素でもあります。  他方で、何とかこの落ち込みを、自分たち地域の中でいささかなりとも活力を取り戻したい、あわせて、立ちおくれている公共投資といいますか社会資本整備もやりたい、そういったこともあって、景気対策という角度もあって、いろいろな公共事業、それをほとんどが言うなら借金で賄わざるを得ない、そういったこと等両々相まって、大変厳しい状況に加速度的に進んできたということは御指摘のとおりであります。  したがって、まず考えなければならぬことは、異常に落ち込んでいるこの日本全体の景気をやはり立て直していくという、そのことによって税収を安定的な姿に回復していくということが当面の最大のターゲットでなければならぬと思います。そして、それと同時に、あわせて歳出面なりあるいは行政改革なりの健全化合理化努力を一方でしていくということは、これはこれで当然のことであろうかとは思います。  しかし、それだけではなかなかうまくいかない。本年度は、御指摘もあったかと思いますが、当面の措置としての交付税率について、法人税地方交付税率引き上げであったり、たばこ税についての国から地方への移譲、あるいは地方特例交付金というものを地方税の恒久的な減税に伴う減収を埋める措置として対応をしたわけであります。  そういったことを中心としながら、本年度は当面そういう形ができたわけであります。しかし、抜本的にこれから先を展望したときに、果たしてそれだけで十分なのかという御懸念は全くそのとおりでありまして、やはり景気回復ということと同時に私たちが進めていかなければならない地方の、言うなら主権といいますか、分権というものをあわせて推進していく、言うなら権限移譲ということ、地方自治をさらに充実させていくということ、それに伴う自主財源裏づけをどうやってつくっていくかということは、避けて通れない最優先の課題になってくるというふうに考えております。  恐らく、これから後、きょうの御議論の中で具体的にその方策についての御質疑なりがあろうかと思いますから、これから先の議論はこれからの質疑の中でまた申し上げてまいりたいと思いますが、基本として権限移譲、国と地方役割分担をはっきりさせる、そしてその中での原則は、住民に身近な仕事はやはり住民に身近な自治体が責任を持って提供していく、そういう形での役割分担の見直しということを今現に行っておるわけで、それを今度は分権一括法の中でぜひ御論議を願いたい、御審議を願いたいと考えておるわけであります。そして、同時に、それの裏づけである自主財源強化していくということについてもあわせて努力をしてまいりたいと思います。
  5. 葉山峻

    葉山委員 まず何といってもこの不況を乗り切らなきゃならないというお答えでございましたが、そういう厳しい状況の中で、何といってもこういう不況の中では、やはり財源不足の問題があると思います。  九九年度地方財政計画のもう一つの大きな特徴は、十三兆円に上る巨額の財源不足であります。恒久的な減税影響は、地方税が一兆七百億円、地方交付税減少額が一兆五千億円、これを補てんする措置として、たばこ税の一部移譲とか法人税交付税率引き上げとか地方特例交付金創設など、制度改正が図られております。従来の減収補てん措置と比べて財源地方移転という点でやや改善が見られたというふうに評価をいたしますが、わずかなものでありまして、十兆三千七百億円にもなる通常収支不足については今までの手法によるつじつま合わせに終わっておるわけであります。通常収支不足は既に六年間続いておりまして、その額も昨年の二倍以上、交付税総額の五割という今まで聞いたこともない数値となっているわけであります。  私が引用するまでもなく、地方交付税法第六条の三第二項は、三年以上連続して交付税総額の一割以上の財源不足が生じた場合、地方行財政制度改正かあるいは交付税率引き上げを行うことと解されておりますけれども、今回の措置もまた明らかにこの規定に違反した改革なき惰性であり、後世へのツケ回しの延長ということになるわけであります。この法律違反の状態をいつまで続けるのか、自治大臣の明快な御説明をお願いしたいと思います。
  6. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方財源不足を補てんし地方交付税総額をどのように確保するかということにつきましては、今日までもその時々の国と地方役割分担財政状況などを踏まえて対処をしてきたところであります。  来年度地方財政対策におきましても、今御指摘ございましたが、恒久的な減税に伴う減収に対しては、たばこ税一定割合地方への移譲法人税地方交付税率引き上げ、それから地方特例交付金創設などの制度改正で対処したところでありますが、それ以外の単年度財源不足については、平成年度に定めた平成十二年度までの三カ年の制度改正、すなわち地方交付税対応分については国と地方が折半してそれぞれ補てん措置を講ずるということを基本として対策を講じることとしたところでございます。  今、地方交付税法第六条の三第二項に言及がございましたが、今申し上げました措置によって、第六条の三第二項、この趣旨を踏まえつつ地方財政運営に支障が生じないように何とか対処できたのではないかというふうに考えております。
  7. 葉山峻

    葉山委員 申すまでもなく、今まで富裕と言われていた大阪とか愛知とか神奈川、それから東京、こういうところが、交付団体はもちろん、ことしあたりは再建整備団体という、いわば民間の会社でいえば破産会社に近い状況になっているということは大臣も御承知のとおりだと思います。そして、相次ぐ減税対策公共事業への動員で、今や地方財政は破綻の危機にあり、比較的富裕自治体財政危機宣言を出すまでに至っておるわけであります。  交付税の不交付団体を含めて、地方税減収を補うために地方特例交付金六千四百億円を交付することにしておりますが、東京に交付される額は一千億円と言われている。つまり、いわゆる占領下シャウプ勧告以降の中で、平衡交付金制度というものをアメリカが日本に持ってきた。そして、東京県民所得と鹿児島の県民所得では非常に大きな差がある、その中でナショナルミニマムを達成するためには、やはり平衡交付金というようなものを使ってならさなければいかぬ、こういうことで導入されてきて、それが交付税という形になってきたわけであります。  言うなれば、率直に言えば、私は、今や時代の変化の中で、この交付税方式というのも、右肩上がり高度成長を前提としてのものではなかったかという考えを非常に強くしておるわけであります。  したがって、この問題については、やはりもっと新しい一つ考え方を持ってこの問題を考えていかなければいかぬのじゃないかというふうに思っておりますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  8. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方交付税、当初国税三税で交付税財源、こういうことになったわけですが、その中で、所得税法人税だけでなくて酒税も入っているということは、やはりある意味では、その弾性値の高いものだけではない、そういった税収安定性なり、あるいは国税の大宗をその三税が占めていたといういろいろな理由があったかと思います。その後、今は交付税は五税という形になっておりますが、そういう意味で、交付税の場合はその交付税規模安定性と両面が必要であろう。多分その御趣旨もあっての御質問かと思います。それはそのとおりだと思います。  それからもう一つ、大都市までみんな交付団体に転落していくという現状の中でどうなのかという御質問でありますが、これは少なくとも、税源の偏在というなかなか乗り越えることの非常に難しい課題を抱えておりますので、そういう点で、本来なら交付税という財政調整的なやり方ではなくて、自主財源そのもので調達できるようなものができれば一番いいわけですが、やはり交付税というか、そういうものとあわせてやらざるを得ないということは御理解をいただけると思います。  いずれにせよ、自主財源を、何とかこの部分をしっかりと確保していくということが地方自治の原点であるという認識で、これからも臨んでまいりたいと思います。
  9. 葉山峻

    葉山委員 私が神奈川県などへ行きますと、やはり、外形標準課税をそろそろやってもらわないと困りますという話がよく県庁の役人からは出てくるわけであります。  外形標準課税地方に適した税体系一つでありまして、導入を急ぐべきであるとの意見が多くの自治体から出されておりました。都道府県の税収安定化を通じての地方分権の推進に資するものであるということ、応益課税としての税の性格の明確化につながること、税負担公正化に資すること等の観点から、早急にその方向性を示すべく、引き続き検討を進める必要があると思いますと、これは本会議土肥理事が述べられたとおりだというふうに思っております。  この問題についてどういうふうにお考えか。特に自由党は、野田大臣公共事業補助金地方一括交付金化や、所得税住民税の半減を掲げておられますが、この地方税財源確保についてどのような取り組みをされるか、これを聞かせていただきたいと思います。
  10. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 事業税外形標準課税化ということについて、この考え方というものは非常に大事な考え方でありまして、ぜひ御理解を願いたいと思っております。  それは、御指摘の中にもありましたが、少なくとも、地方行政サービスというものは住民により身近なサービスということでありますから、そういう意味で、応益課税的な側面が非常に強いということ、それから何といっても、所得課税標準にするというよりも外形標準の方が税収の安定が確保できる、このことにぜひ思いを致したいと思うわけでもございます。  そういったこともありますが、いま一つ同時に、今自由党のいろいろな主張に言及がありましたが、時間の関係もありますから、きょうは余りそのことに詳しく触れるのはいかがかと思いますが、少なくとも、税体系そのもの考える場合に、やはりこれからの高齢社会におけるそういうサービスというものと不可分なものがあるのではないか。そういう中で、社会保険料というものも、実は、言うならばサラリーから強制的に天引きするわけですから、そういう意味では直接税とほとんど変わりのない形になっている。そういったことをも含めて税を考えていくということが必要なのではないか。  そういう中で、地方財源として、普遍性、そういったものを考えた場合に、あるいは応益的な発想ということを考えた場合に、単に事業税外形標準化ということだけでない、そういうことも含めたアプローチの仕方があっていいのではないかというふうにも考えております。
  11. 葉山峻

    葉山委員 地方公共団体財政事情について、非常に硬直化が懸念されておりまして、公債費負担比率が一五%以上の団体数、そういう形が非常にふえてきている。私も二十四年間市長をしておりました。一四%を超えたか超えないかということは非常に気になっている問題でありまして、これは自治省も非常にやかましかった、そういう記憶があるわけでありますが、御承知のとおり、平成年度には千百一団体、三三・六%でありましたが、平成年度には千四百七十六団体、四五%、そして平成年度は千六百五十団体、五〇・三%と、まさに五〇%を超える団体数、過半数になっているわけですね。こういう状況が現在あるわけであります。  そういう意味から、ことしの地方財政の大きな特徴として、地方税税収が前年に比べて八・三%も減少しておりまして、このことは地方交付税制度始まって以来、最大落ち込みであります。  そこで、一般財源確保するために交付税で手当てをしているわけでありますが、その結果、自主財源比率がますます低下して、財政のゆがみは限界に達している。地方税減収は、不況と、それから、私は国会議員になってから思ったのでありますが、減税ということ、国も地方も含めて減税をしちゃう、それの負担が、特に私のやっておりました市なんかは、細川内閣時代ですけれども、毎年毎年減税をされますと、三十億、四十億ぐらいずつどんどん膨れ上がって、あっという間に百億を超えちゃう。不況というよりは減税なんですよ。  そういうことで、減税影響地方財政には遮断するということが非常に大切であるということを身にしみて感じておりました。国会議員になるとそういうことを考えなくなっちゃうことだけはやめようということで、いつも反省をしておるわけでありますけれども、ともあれ地方分権にふさわしい財政構造にするには自主財源をふやすことが不可欠でありまして、地方税減税はこれに逆行するわけであります。  そういった意味で、今回、低公害車への優遇措置など環境に配慮した施策が盛り込まれていることは評価できるわけでありますが、個人住民税最高税率引き下げを初めとした減税策は、地方財政の悪化に拍車をかけるもので、認めるわけにはいかないわけであります。  こういった事柄についてどのようにお考えであるか、御答弁をお願いしたいと思います。
  12. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに、景気対策として所得課税減税するという中で今回四兆円の規模減税が行われ、そのうち、住民税においても応分減税をしたということは御指摘のとおりです。  この点について、では住民税は一切無関係だ、国税だけでやればいいじゃないかという議論も確かになくはないと思うんです。しかし一方で、今日まで住民税もかなり減税もしてきたんですけれども、住民税についても減税を求める声もなくはない。負担感というのはそれなりにある部分もあるということも確かであったでしょうし、それと、何よりも既に国も十分に財政は大変である。そういう中で、国、地方を通じてこの景気を回復するということが大事だというようなこともあって、応分の、国、地方の相談の中で減税の四兆円の負担配分というものが決まったというふうに私は理解をいたしております。  しかし一方で、そういうような経緯もあったがゆえに、今回の措置として、減税による地方税恒久的減収分について、いわゆるたばこ税の国から地方への一部移譲をする、あるいは法人税のいわゆる交付税率引き上げる、そういったきちっとした措置もあわせて行われたんだということで御理解をいただきたいと思います。
  13. 葉山峻

    葉山委員 まだまだ地方財政の諸問題について御質問したいことも多々あるわけでありますが、時間が限られておりますので、そろそろ他の問題に移っていきたいと思います。  ただ、抜本的な税源対策というものを、この間のときも桑原議員等質問に対して、あるいはきょうのときにも、やはり景気をよくすることが先決である、それによって税収をふやした上で考えようじゃないか、こういう御答弁が多かったと思うんですが、やはり中長期の見通しというものを立てなければいかぬ、それに基づいた一つ財源論をしていかなければいかぬと思うし、かなりこれは思い切ったやり方をしないと、もう地方財政はこのままではいかなくなる。言うなれば、地方分権推進委員会でもいろいろ学者先生方が議論をされているようでありまして、私も一次から五次までの勧告を読ませていただきましたけれども、やはりいろいろな用意をしなきゃいかぬ。  ですから、一つは、何といっても安定的な税源確保するという意味で、例えば所得税の一〇%は必ず地方財政に充てるとか、あるいは消費税の、今一%ですか、これを二%なり三%なり、これはいろいろ議論もあるところでしょうけれども、そういう安定的な財源は思い切って地方にあれして、よく言われているように、仕事は、国の仕事よりは地方自治体の方が実際には最終的にやっているわけでありますから、財源もそれに伴って一対一にしていくというふうに組みかえていくことが必要だというふうに思っておりまして、こういった所得税の一〇%の問題とか、あるいは消費税の何%かを充てるとか、かなり思い切ったことをしないといかぬだろう。  あるいは、私の住んでおります藤沢の場合だと、広いお屋敷がどんどん相続で細分化されちゃうんですよね。ここは昔の別荘だとか、ここはだれさんの邸宅だとかいって、ここは公園にしていったらいいなと周りの人たちも思い、私たちもそう思うけれども、見るも無残な形で競売をされて不動産屋に売られて、そして小分割されて、極端に言うとスラムになっていくような、そういう形がよくある。  だから、やはり本当の意味では、ああいう相続税なんかも、三代あれしたらもう財産がなくなると言われている税でありますけれども、こういったことは都市計画的な観点から、相続税なんかも自治体に全部財源を移す、こういうようなことを思い切ってすべきではないかというふうに私は常々思っていたわけであります。  特に、このごろは物納がふえておりまして、そこで税務署に待ってもらいまして、市も財政がないですから、半分は買わせていただいて、あとの半分は税務署から借りる、そして公園にしまして、現在松の緑が残されたわけであります。そういうことがあって、そこのお嬢さんがなぜ緑は残ったかという本を一冊書かれたというような、東京大学のギリシャ史の大先生でありますが、そこのお宅なんかやはりそういうことがありました。美しい町をつくっていくためにも、都市計画的な観点からここは残していこうということでやる、そういうことを思い切ってやらないとうまくいかぬのじゃないか。  前回もたしか、おととしぐらいだったですかね、そういうことを、きょうは大蔵省の方は見えておられませんけれども、お見えになって私への答弁に答えていただきましたけれども、やはり自治体の職員にはちょっと任せられない、相続なんというのは外国の資産から何から全部把握しないとだめなんだ、そういうのは地方自治体の職員にはできないという御答弁があったことを今でも記憶しておりまして、そんな大蔵省だけが全部できると思ったら大間違いだ、思い上がるなと言って私は怒ったことがございます。  そういった抜本的な財源論を中長期的な見通しに立ってやっていくことがやはりどうしても必要だというふうに思っておりますが、分権推進委員会の勧告等も踏まえて、そういった点について、地方分権に大変御熱心な大臣の、私見でも結構でありますから、ここでお話をいただきたいというふうに思います。
  14. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方分権の推進に応じて、自治体がその自主性、自立性を高めて仕事がしていけるようにするには、その財政基盤を強固にするということは当然の方向性であると思いますし、さらなる努力を重ねたいと思います。  その中で、今幾つか御提言がありました。所得税について、一〇%部分ですか、これを地方に配分するというのも、これは一つ考え方だと思います。そういう意味で、広くそういった形を、国と地方の、そこは一つ所得税住民税を通ずる見直し議論に発展していくと思いますが、その場合、住民税所得税の統合みたいな形をお考えになっているのかどうか、まだそこまで定かではありませんが、それはそれで一つの発想、アメリカでもそういうようなことは現にあるわけですから、そういったこともひとつ、タブーをつくらないで、地方自主財源強化という角度から勉強するということは大変大事なことだと思います。  あるいは、先ほど事業税外形標準課税化のお話のところでも申し上げましたが、応益性に着目した、また普遍性ということをも頭に置いた、そういう外形標準的なものを大事にした税の仕組みというものを地方財政の根幹に据えていくということも大事な発想だと思います。そういったことをも含めて、大いに勉強し、推進をしていきたいと思うんです。  ただ、先ほどお話がありました相続税に関しては、若干、やはり問題がいろいろあるのかなというところはあると思います。
  15. 葉山峻

    葉山委員 地方財政の問題はこのくらいにいたしまして、次に、最近、今国会の焦点になっております周辺事態法に関連しての諸問題について伺いたいというふうに思います。  ガイドラインについてどうするか。これについての神奈川自治体の評判というのは余りよくないんですね。特に、先日政府が協力の十項目というようなことでいろいろ挙げられましたけれども、そういう事柄について、非常に説明に具体例を欠いている。こういうことで、米軍への協力内容を、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会、これは会長は岡崎神奈川県知事がされておられますが、それを通して例示した内容について、神奈川は沖縄に次ぐ基地県でありますから、横須賀あり、それに付随する、私の北側にあります大和市の厚木の飛行場、ここでは近く、あしたくらいからかな、また離発着訓練で周辺の住民を悩ます、そういう事態がありますし、座間、相模原を含めまして、沖縄に次いで基地が多い県でありますし、大変心配をしておるんですね。  そういった点で、自治体意見聴取とか意向の尊重を重ねて申し入れてきた経緯もございますけれども、少し具体的にこの問題を説明してほしいというふうに思っております。  そういう点から、十項目ありましたけれども、いわゆる自治体に対する協力として、まず病院、それから港湾、そういった問題がございますし、あるいは飛行場といった問題もございます。そういうことを具体的にどういうふうに考えたらいいのか。先日、港の場合は、結局、協力といってもこれは義務ではないというお答えもあったわけでありますけれども、実際には、自治体がもう義務としてとらざるを得ないような面も出てくると思うんですね。この間のときは、艦船がいっぱいい過ぎた場合は、これは正当な理由として断れるんじゃないかというようなお答えもあったように記憶いたしますけれども、この周辺事態の問題について、ひとつ具体的な御説明をお願いしたい。  私の藤沢の場合は、港といっても、江ノ島は県知事が管理しておりますし、深さからいってここにはそう軍艦が着けるような港はない。空港ももちろんない。そうしますと、病院かな、こういうふうに思います。  だから、こういう事柄について、それではどういうふうに考えるかというと、私がしておりました当時に、五百ベッドの病院がある、これが満床なんですね、評判がよ過ぎたということもありますが。そうしますと、しかもここに協力してくれといっても、協力のしようがない。ましてや、出ていってくれと言うわけにはいかない。しかも待機の市民がいっぱいいる。こういうことの中で、こういうガイドラインに関する協力ということが、これはかなり市民とか国民の人権とか権利、それを大きく制約してくるおそれが非常にあるわけで、こういった点についていろいろ考えるわけであります。  周辺事態とは何か、いろいろ注意をしておられますが、地理的概念ではないとか、いろいろ論議がありまして、何だかさっぱりわからぬ。これは本来、防衛庁長官とか外務大臣に聞くべきことでありましょうけれども、まずそういう意味で、周辺とは何かというようなことを自治大臣はどのようにお考えになって、具体的にどこを想定されているのか、これをはっきり率直に言っていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  16. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 正確さを欠くと困るんですけれども、ただ、私自身の認識は、今度のガイドライン、法案になる前、ガイドラインそのもの、それは、いわゆる事態について二つのケースを想定している。一つは、日本自身がまさに武力攻撃を受けたケース、この場合に、どういう協力をしてどういうような排除のための行動をとるか、排撃のための行動をとるか、これが一つの事態であります。いま一つは、それ以外の事態であって、日本は直撃は受けないが日本の平和と安全に極めて重要な影響を及ぼすような事態というのが、二つ目のジャンルである。  ただ、第二のケースでそういう言い方をすると、地球の果てまで行ってしまうではないかというようなことがあるので、あえて、日本周辺における事態であって、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態という表現をとった、こういうことであります。  そういう意味で、その周辺というところの中にどういう地域や国が入るかということをいろいろあげつらって言うということは、それほど実践的意味はないのではないか、それよりも、むしろ事態という中身の方により意味があるのです。  それで、今御指摘がありましたが、自治体の協力の態様ということもいろいろお話がありますが、どういう事態があるかによってどういう協力をするかということが全然変わっていく、内容は違ってくるわけでありますから、あらかじめその特定のケースだけを前提に置いてどうするこうするということは、率直に言うと過剰なことにもなりかねない。それこそ、今の病院の話でありますと、日本じゅうの市民病院が全部協力しなければならぬようなことになると、一体どれだけのけが人を運んでくるつもりなのかということにもなり得るわけです。  そういう意味で、具体的にどういう協力態勢に入るのかということは、まずどういうようなことが基本計画として盛り込まれるのか。それに基づいて、さらにより現実に事柄が進捗していった場合に、実施計画ということが当然つくられるわけであって、その中でどういう協力の仕方をするのか。あるいは港湾なり、あるいは病院なり、あるいは空港、空域なり、いろいろな事柄があり得るわけで、そういう点で、余り最初から、日本列島全体を含めた中で地方団体についてどういう協力の類型がありますよということを前広にやり過ぎるのは、かえって話を混乱させるのではないか、私はそういうふうに率直に感じております。  したがって、もう少し現実に即した形で、そのときに具体的な協力の内容というのは出てくる、私はそれで十分じゃないか、そう思っております。
  17. 葉山峻

    葉山委員 率直に言わせていただいて、これは本当は防衛庁長官とか外務大臣からしっかりした御答弁をいただかなければいけないとは思いますけれども。  私が今考える範囲では、周辺というからには、インド洋とかマラッカ海峡からアフリカの方まで広げて考えられることはない。具体的にどこが日本周辺かということで、何が起こるかということまで含めて考えますと、やはり台湾の独立という問題があって、これについて中国が、これは中国は不可分、中国は一つという形で、これで紛争が起こる、こういうときに一体何が起きるかということが一つ。  それからもう一つは、やはり具体的には朝鮮だと思うのですね。第二の朝鮮戦争が起きる、これがやはり周辺事態ではないか。こうした場合は大変恐ろしい話になりますが、今のこの平和な時代に、ちょっと想像するまでもなく深刻な問題になってきました。しかし、この問題をやはりここでしっかりと私たち考えていかないと大変なことになるというふうに感じているわけであります。  言うなれば、日本が米軍に基地を提供しているわけでありますが、これがあるとき突然に、北朝鮮の核施設に猛爆を加えるという先制攻撃を、イラクで行ったと同じようなことを始めたらどうなるか、これをやはり考えていかなければならない。そうしたときに、やはり朝鮮側がこれに対して、日本を飛び越すほどのミサイルを持っているわけでありますから、猛爆の中で撃ち返すことがあり得るだろう。そうした場合に、日本には五十基の原発もあるんだし、これは大変な話になってくるんだということがあります。そこに、東京とか横須賀あるいは厚木とかいうところへもしそういうミサイルを撃ち返した場合には、厚木の周辺だけでも百万の人口がある。こういったことが一番考えられる事態ではないか、そういうことが想像されるわけであります。  したがって、朝鮮の戦争、日本の全国の公立病院と申されますけれども、そういったことをやはり具体的に考えて、さきの朝鮮戦争の場合で申しますと、そんな少ない数じゃないのですよ。国連軍の側としては、陸上軍隊だけでも、韓国軍が五十九万、米軍が三十万二千人、その他国連軍三万九千人の、九十三万人が動員されました。兵員の死傷者は、韓国軍九十五万、米軍十三万七千、その他の国連軍一万五千人、北朝鮮軍五十二万人、中国軍九十万人に及んで、民間人二百万人以上が死亡して、一千万人以上が家族罹災した、こういうことが昭和二十五年に始まった、あの朝鮮戦争であったことはもちろんであります。  そして、あのときはまだ、その費用は、後方支援なんというのはなかったわけでありますから、日本が出す必要はなかった。かえって、これについては特需景気というような形であれしましたけれども、今度のガイドラインの場合は、全部日本が支援するということになりますから、これは幾らになるのか想像もつかない。  こういう問題がありまして、やはり神奈川自治体は、少なくとも、具体的にそういう問題を政府はもっと親切に説明してほしいという要望が強いということを申し上げておきたいと思います。  最後に、時間がありませんので、大臣の熊本談話について御質問をしたいというふうに思います。  去る十三日でしたか、入港する外国艦船に非核証明書の提出を求める非核神戸方式の条例化を高知県が検討しているということに関連しまして、野田自治大臣が、去る二月の十三日に熊本市内で記者会見をされました。外国の艦船や航空機は自治に関連する話ではなくして国の外交に関する話であって、自治体による港湾管理の権限行使とは違う、こういうふうに言明をされたそうでありますが、これは事実でありますか。そして、まだ今でもそうだと思っておられるのか、お考えを伺いたいと思います。
  18. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 周辺事態ということで、どういう事態を想定するか、個人的ないろいろなお話がございました。ただ、私は、そういう今お話しになったような事態を想定しておるということではないということだけは申し上げておきたい。それよりも、やはりこの問題は、日本が、あるいは米軍がというよりも、北朝鮮自身が核開発をしなきゃいいのですよ、核兵器の開発を。そのところの原点を忘れると話がおかしくなるのではないか、私はそう思います。そして、この事態はあくまで日本の平和と安全に影響がある事態ということでやっていることでありますから、そこだけは重ねて申し上げておきたいと思います。  それから、高知県の条例化の話であります。  これはたびたびきょうの予算委員会でも申し上げたんですが、少なくとも外国の、特に軍艦の日本への寄港ということは、これは一にかかって外交関係の処理に関連する世界の話であって、外交権といいますか外交の処理は国の事務そのものであります。いわゆる自治体の、地方自治の世界になじむものではないということだと思います。  そういう点で、地方自治法なり港湾法で規定されている知事の権限というのは、あくまで港湾施設を管理運営する、そういう角度からの権限、責任なのであって、この問題で、条例なり要綱なりということで、事実上、そういう証明書を要求したりすることによって、国の外交に関する権限の遂行に制約を加えるということは、これは権限を逸脱しているのではないかという考えは、私は今もそのとおりでありますし、これは政府の見解としても変わらないということであります。
  19. 葉山峻

    葉山委員 もう一つ、別の角度から質問いたします。  核をつくらず、持たず、持ち込ませずという非核三原則を大臣は国是と思っておられるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  20. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 かつて国是論争があったことは承知いたしております。
  21. 葉山峻

    葉山委員 そういう意味で、最後に意見を申しますが、私はやはり国が、外務省等がちゃんと、国民はみんな非核三原則が本当に守られているかどうかということに不安を持っているわけですね、だからその疑問にこたえるように努力すべきだというふうに思います。そういう意味では、自治体の首長が、何も全部守られているなら証明書を、自治体がやる必要はないわけですよ。それが一番の問題だというふうに思います。  したがって、日本自治体というのは、非核都市宣言をしているのが非常に現在あふれていて、二千三百という自治体、つまり三千三百という自治体のうち七割が非核宣言をしているわけですよ。その意向というものをしっかりと自治大臣は受けとめて、そのための、非核のための努力をするようにするのが自治大臣の仕事だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  22. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、中野正志君。
  23. 中野正志

    ○中野(正)委員 自由民主党の中野正志でございます。  野田大臣には初めての質問ということになります。個人的には、自自連立発足に伴って、野田大臣、どうせ大臣職をお務めいただくのなら経済閣僚がいいなと私は率直にそう思っておりました。やはり日本経済再生の大魔神になっていただきたいと、そこほどまでの実は私なりの期待はあったのでありますけれども、自治大臣ということで、地方主権、地方分権、私どもともども頑張っていかなければならない今日でありますけれども、これまたぜひ大奮闘をいただきたいものだと、心からこれからの活躍に期待もいたします。  また、きょうの質疑でありますけれども、一部の野党の理不尽な審議拒否その他がありまして、こういう時間の質疑になったということは大変遺憾だと思っております。ぜひ、こういうことのないようによろしく御配慮いただきたい、私は率直にそう思います。どうせやるのなら覚悟を決めて本気になってやれと、中途半端な妥協でやるなと、あえてそのことまで含めて言っておきます。  近々のテーマで三、四点ほど大臣にお伺いをいたしておきたいと思います。  今も一番最後にお話がありましたけれども、高知県などが寄港艦船に核兵器不搭載の証明書の提出を求める条例制定の検討をいたしておる。ガイドライン関連法案が、お話にありましたように、周辺事態の際、米軍への港湾提供などで地方自治体の協力を想定していること、そのことの動きの一環であろうと思うのであります。今大臣から少しくだけお話がございました。  記者会見では、外国の艦船なり航空機なりは、自治に関連するものではなく、国の外交権に関するもので、港湾管理者の権限行使とは違っているとの見方がある、政治的側面、対外関係に関する部分にそういう判断を持ち込むことに疑義があることは十分に理解できる、こういうコメントであったようであります。  ただ、私ども、やはり知事が外国軍艦の寄港に関するいい悪い、諾否を判断することであれば、これはやはり外交関係の処理に当たる国の事務に関与または制約するということになり、国の権限への明白な侵害であり、地方公共団体にそのような権限は許されない、党もそのように考えておるわけでありまして、ぜひ野田大臣に、改めて、おかしい、間違っている、そういう明白な御見解を賜りますように、ひとつお願いを申し上げたいと思います。  確かに、日本全国、いろいろ歩きますと、私たちの町は外国米輸入は認めませんとか非核都市の宣言の看板は見られるわけでありますけれども、宣言ならいざ知らず、核兵器を積載してはいないという証明書の提出を求める条例制定はやはりおかしい、私はこう思いますし、基本的に地方公共団体の権能を逸脱する条例制定、それも当然ながらおかしい、そう思っております。  実はきのう小渕総理も同じような、私どもの政党と、自民党と同じような見解を予算委員会で申し上げられたということでありますから安心はいたしておるのでありますけれども、改めて、野田自治大臣の見解を求めたいと思います。
  24. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 改めて、正確に申し上げたいと思いますが、国と地方公共団体とは相互に異なる次元においてそれぞれの事務を処理しており、国として責任を有する外交関係の処理が地方公共団体によって妨げられるようなことがあってはならないということが一つであります。  そして、外国軍艦の本邦寄港は、外交関係の処理につき責任を有する立場から国がその是非を判断するべきものである。地方自治法及び港湾法に基づき地方公共団体に認められている係留場所の指定等の港湾施設の使用に関する規制は、あくまでも港湾の適正な管理及び運営を図る観点からの港湾管理者としての地位に着目してのものにとどまる。  高知県は、港湾施設管理条例の改正に当たり、政府に対し外国艦船が核兵器を積載していないことを証する文書の提出を求め、その結果に基づき、港湾施設の使用に関し決定を行うことを検討していたわけであります。これは、外交関係の処理に当たる国の決定に地方公共団体が関与しまたはこれを制約するものであり、港湾管理者の権能を逸脱するものであって、地方公共団体権限の行使としては許されないものである。これが政府としての見解であり、私も、この見解に先立って、熊本でこの趣旨のことを申し上げたということであります。
  25. 中野正志

    ○中野(正)委員 まさにそのとおりの御見解で、心強い限りでございます。  非核三原則を堅持するというのは国の責務だ、これは国民の皆さんひとしく感じておるところでありますし、外国からの核兵器の持ち込みは一切ない、これも確保されていることでありますから、私どもは、何をか言わんやだ、こう承知をいたしておるところであります。  次に、定住外国人の地方参政権について、この機会に大臣の御所見をお伺いいたしておきたいと思います。  昨年、金大中大韓民国大統領御来日の折、小渕内閣総理大臣との会談あるいは国会演説でも、地方参政権の立法化を求められております。なおかつ、去年十月、西田自治大臣が、在日本大韓民国民団中央本部の辛団長と会談をされましたときに、辛団長から地方参政権の法制化を求める要請をいただいております。その折、西田自治大臣は、真剣に検討したい、前向きに進めていくつもりだ、こういう答弁であります。  ちなみに、小渕総理大臣ですが、幅広く検討していく、こう申されております。普通、役所言葉でいけば、検討していくということだとやらないということだと思うのでありますけれども、総理大臣の検討していくということは、行政官の言葉ではなくして政治家の言葉でありますから、やる、こう私は理解をいたしておるのであります。  私自身、宮城県の県議会議時代、永住外国人の地方自治体参政権付与の立法化意見書採択に実は奔走した一人であります。全会一致でありました。今、都道府県レベルあるいは市レベルでは七十数%意見書が採択をされて、当然ながら国にお送りをいただいておるわけであります。なおかつ、九五年二月、最高裁は、憲法は、国内永住者など自治体と密接な関係を持つ外国人に、法律で選挙権を与えることを禁じているのではない、こういう判決でありました。  私どもも、ただ単に大韓民国あるいは朝鮮半島の方々のみならず、いずれにしても、不幸な過去の歴史を清算して、未来志向的な日韓関係及び対外関係を構築していくのだということを考えますと、この地方参政権という問題は大きなテーマだな。ちなみに、先日、高村外務大臣が訪韓をした折に、金大中大統領は、日本との過去問題に関しまして、私の訪日で過去は全部清算をされた、こうお話をいただいたということでありますから、いい言葉だとは思うものの、やはり在日の方々からたくさんの御要請をいただいておりますということは重く受けとめるのでなければならない。  私は、そういう意味で、在日の方々が、日本地域住民として戦後五十年以上、どうあれ、もう税金を納めて、地域社会づくり、また日本の発展に正しく寄与してきたのだ、このことは共感度は同じであろうと思うのであります。ぜひひとつ野田大臣に、この定住外国人の地方参政権についての御所見を賜りたいと思うわけでもあります。  なおかつ、二〇〇二年は私ども日本と大韓民国で共催でワールドカップを開催する、こういうことでもありますし、つい先日の新聞には、金大中大統領が、道路標識あるいは公文書を初めとして各種の表記、これをハングルだけからハングルと漢字の両方を併記する、なおかつ学校教育でも漢字教育を推進していく、こう言明されたというお話もお伺いをするわけでありますから、ひとつ、ここは日本国の自治大臣として、非常に前向きな御見解をいただければ幸いだと思います。     〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
  26. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ただいま中野委員から、本当に情熱のこもった、日韓関係の推進のためのいろいろなお話もお伺いをし、そういう一つの分野としての今の定住外国人に対する地方参政権の付与の問題であろうと思います。  この問題は、御指摘のとおり非常に政治的判断を要するテーマだと思います。そういう点で、最高裁も、まさに立法政策の問題である、こういう判断を下しておるわけでもあります。  これは、いわば国民主権あるいは地方自治のあり方、そういういろいろな国と地方団体との事務配分の話あるいは権限の問題等もあると思います。そういうような部分からの検討と同時に、今言いました政治的な判断というのが非常に大事な要素であるというふうに思います。そういう点で、既に議員提案として出ておる部分もございます。  この後、総理の訪韓ということもあるでしょうし、そういうようないろいろなことをも念頭に置きつつ、この点はぜひ、政党レベル、各党真摯に話し合いをして、結論を求めていくべきテーマだな、私はそう思っております。  今ここで、自治大臣として、自治省を所管する大臣としての物の言い方は、私は逆にきょうは差し控えた方がいいのかもしれない。むしろこれは政治レベルの判断だ、今そこまできているのではないか、各党レベルでぜひ真摯な議論をしてもらいたい、そう思っております。
  27. 中野正志

    ○中野(正)委員 まさに政治判断、立法政策の問題であることは、十二分に承知をいたしております。  ただ、西田前大臣は真剣に検討したい、前向きに進めていくつもりだ、こういうコメントなんですが、野田大臣、それを超えられますか、超えられませんか、このとおりでいきますか。
  28. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 真剣に検討したいということは、私も同じであります。
  29. 中野正志

    ○中野(正)委員 ありがとうございました。  私は、やはりぜひ強力に推進をしていきたい。我が党の中にもいろいろな意見があることも当然でありますけれども、私自身は、一生懸命頑張っていきたいものだ、こう思っております。  実は、ついぞ数日前の新聞に、こういう記事がありました。自治省地方自治体の議員定数法定制を廃止、上限数を新設して条例方式を導入する方針と、大きな見出しが九日付であったのであります。これから出てくる地方分権一括法案に盛り込んで、二〇〇三年の一月以降施行の予定とかと書いてありました。  地方自治法で地方議会の議員定数を定めてきたこれまでの制度を廃止して、人口区分別に上限数を新設する、その範囲内で各自治体が条例で定めるように改める、こういうことなのかと思います。確かに、地方議員の定数を減らして各自治体が適正な定数をみずから判断する、これは地方自治体の自主性を強化するのがねらい、こうも考えております。  ちなみに、昨年十月の調査を調べましたら、三千三百二自治体のうち三千二百十自治体が減員条例を制定して、議員定数を約二千二百減数をしておるという結果があります。百九ですか、改正の上限数を超える自治体はもうそれだけになった、こういうことになります。行政改革の流れあるいはまた長引く不況地方財政の深刻化で、リストラを住民が求めるケース、あるいは議会が自主的に減数をしたケース、いろいろさまざまではあります。  ちなみに、十四日付の報道では、今回の地方統一選、前回の地方統一選と比べて定数削減が千百議席を超えるという記事もありました。地方議会どうあるべきか、議員の身分あるいは処遇どうあるべきか、定数は何人がいいか。これは今回の地方統一選挙でそれぞれに大いに議論をされるべきだと思いますけれども、全体的な流れは、地方会議員数定数削減の流れは変わることはない。  そこで、野田大臣にお伺いをいたしたいと思います。この問題の詳細な議論は法案が提出をされてからと思っておりますけれども、二つだけ確認をしておきたいと思います。  一つは、今回の法改正案では、大多数が減員条例を定め定数を削減している現実を単に、失礼ですが追認するだけということにならないか。百九の自治体が改正を迫られるだけというのはどうか、こうも思いますが、いかがでしょうか。  それから二つ目ですが、例えば市区議員の場合でありますけれども、法定定数の目安として今までは十八の人口区分、これを今度は十一区分にする、町村議員は従来どおり五区分だ、こういうことにとりあえずなっております。市町村合併を誘導するという視点、先ほど来も御説明がありました、そのことを考えただけでも、市区議員の人口区分はもっとシンプルにした方がいいんではないでしょうか。  もう一つは、上限数をやはりもっと少ない数にすべきではないか、私はそう考え直される方がより今日の実情に近い、また、より定数削減の流れを促進させるのではないか、そう考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
  30. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 十分実情を御理解の上での今の御指摘でございますが、今回、従前の法定定数制度を条例定数制度に改めようというこの趣旨は、地方議員の定数を法律で定めるというのではなくて、一定の上限数の範囲内でそれぞれの地方公共団体が最小の経費で最大の効果を上げるというような観点から、自主的、自立的に定めるようにしようということでありまして、必ずしも定数の削減を第一義的に目的として、ターゲットとしてやっているというものではないんだということが一つあります。  したがって、法律で上限数を定めるに当たっては、これまでの地方議会の実績をしんしゃくすることも必要でございまして、地方分権推進委員会の第二次勧告において減数条例の制定状況を勘案するようにということにされたのも、こうした考え方に基づくものであります。  そういう点で、確かに今お話しのとおり、定数削減をターゲットに、そこに絞ってやれというのは、これはまたもう一つの実はスタンスということでありまして、これはこれで勉強し検討させてもらいたいとは思いますが、今回は、今申し上げたとおり趣旨というものが多少、あるいは目的が若干、それだけではないということであります。  なお、人口区分をより大くくりにしたらどうなんだというようなお話がございました。これも上限数をどう設定するかということにもよるんですけれども、場合によっては、大くくりをしますと逆に現在の法定定数よりも定数を増加させることが可能な地方公共団体が生じかねないという部分も実はございます。そんなこともあって、御指摘のような姿で考えておるということであります。
  31. 中野正志

    ○中野(正)委員 細かには法案が提出されてからということにさせていただきたいと思います。  もう一つ、NPO関連でちょっとお伺いをいたしたいと思います。  まごう方なく、私ども、少子高齢化社会を迎えております。地域社会における住民の積極的な社会参加、これが活力ある社会の創造の源だ。そういう意味で、NPO法が昨年十二月に施行された。本当にそういう意味では幸いだと思いますし、一層の活発化したNPO法人の活躍を期待したい、私はそう思っております。  そうした中で、このような動きに対する地方団体による積極的な支援が実は見受けられます。私ども宮城県それから仙台市、NPO支援のための条例制定を、実は宮城県は済んでおりますし、仙台市はこの当初議会で条例制定をいたします。  仙台市の場合でいいますと、実は今までボランティアの総合的な活動施設ということで仙台市のボランティアセンターというのがありますけれども、これに対して運営費の助成はいたしております。今度このNPO法施行、そして支援ということで、市民活動サポートセンターを開設する。もう市単独の事業だ。そしてこのサポートセンター、NPOやボランティアなどの市民活動を総合的に支援する拠点施設としてしっかり運営していただこうということで、当然ながら運営費などの助成もされるわけであります。  私ども党内の議論でも、もちろん国会の議論でもいろいろありましたけれども、NPO法人に対する個人や法人、企業の寄附金は、正直、税法上の優遇措置いまだしでありますから、二年以内にということで国会決議もありますけれども、ぜひ導入していただきたい。別な委員会の協議ということになるわけでありますけれども、それは私どもこれからも党内で強く訴えたいと思っておりますけれども、問題は、この地行で、こうした仙台市のような支援体制、また支援のシステムをつくり上げることが、全地方団体にとって大変肝要なことだと思っております。  そういう意味で、自治省としてそういった支援体制の構築方、これをいい形で地方団体に誘導していくことが大事なことではないだろうかと思っておりますけれども、その指導方、どう指導されていくのかお伺いをしたいと思いますし、なおまた、こうした地方団体の動きに対して自治省としてどのように対処されていくのか、それをお伺いいたしておきたいと思います。
  32. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 自治省におきましては、昨年十二月にNPO法が施行されたことを踏まえまして、今いろいろ、御指摘といいますか、仙台市等々、いろいろな具体的な施策について御紹介がありました。そういうNPO等の連携活動あるいはNPO等と住民とをつなぐ情報提供活動などを行う地方団体の施策、それからNPO等の活動の拠点となる場づくりのための施設整備、これらに対して、地方債及び地方交付税による財政措置を講ずることとしておるわけでございます。  今後とも、NPO法の趣旨の周知を図るとともに、地域に密着した自発的活動が活発化するよう支援を行ってまいりたいと思います。
  33. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ、NPO活動の活発化のためにも、すべての自治体で最低限のこういった支援のシステムがつくられるように、自治省にも頑張っていただきたいなと思っております。  それでは、地方財政問題について質問をいたします。  平成十一年度地財計画については、景気対策の面からより積極的な計画であってもよかったな、私は個人的にそう考えておりました。ただ、地方財政状況が昨年度以上に悪化しているという現状に照らせばやむを得なかったのかなと思います。  十一年度地方財源不足は、十二兆九千六百億円を超える、まさに史上空前の額となっております。これらの補てんについては、その大部分を、たばこ税税源移譲、あるいは法人税の三二%から三五・八%という交付税率引き上げ、あるいは地方特例交付金、あるいは交付税特別会計の借り入れ、そんなところなどなど、一般財源により措置されまして、地方債発行規模を抑制された、こういうことは私は率直に評価をいたしておきたいと思います。  十一年度地方交付税地方公共団体の出口ベースで一九・一%と大幅な伸びを見せたこと、また地方債についても、一般公共事業債など一部の地方債の充当率の引き上げ、そしてまた対象事業の拡大などの措置が講じられたこと、そして地方単独事業について、八千億円の景気対策分を設定されまして、この財源として交付税算入率の高い地方債措置されていること等々、地方財政状況に配慮されている、その内容については大変よく工夫されたな、率直にそう感じてもおります。  それにつけても、地方債の残高は御存じのとおり大幅にふえておりまして、将来の地方負担が大変懸念されるところであります。まず、野田自治大臣、たびたびの質問ということにもなりますけれども、地方財政現状についてどう認識され、どうこれから展開されようとされておりますか、決意を含めてお伺いをいたしておきたいと思います。
  34. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、現在の地方財政の厳しい姿というのは、確かに戦後のいろいろな歴史の中でも幾つかの厳しい時期を迎えておるわけですが、そういう意味で、今回、そのいろいろある中でも最も厳しい状況にあるだろうということを率直に受けとめております。  そのよって来るところは一体どういうことなのか。それは、いろいろな物の見方があろうかと思いますが、やはり何といっても、マイナス成長をこれだけ続けるということ自体が戦後初めての経験なんですね。そういった点で、法人税系統を中心とする所得課税が非常に落ち込んでしまっている、これはまず致命的に大きな影響をもたらしている。  さらに加えて、これまでバブル崩壊後、何度か景気対策ということが行われ、それぞれやむを得ざる実情の中で、やはり地方においても、いろいろな意味公共事業などを、それは何もただ単に景気対策におつき合いをしたというだけでなくて、それは地域としても、やはり地元の活性化なりをみんな願わない者はいないわけで、押しつけられたということではないと思います。やはり主体的な判断もあって、自分たち地域がよくなりたいというのは当然のことでありますし、立ちおくれている社会資本整備もこの機会に充実させたいと思うこと、これも当然の発想だったと思います。  しかし、結果において、それらのことが借金をさらにふやしてしまったということも、これまた事実でもあるわけです。そういったいろいろな要素が重なり、一方で義務的経費もふえてきた。そういったことが相まって、本当に今大変厳しい状況にあるということが率直なところだと思います。  しかし、そういった中で、本当はここで抜本的に、国、地方税源の配分なりなんなりということをやれればいい、あるいはやるべきだという議論があることも承知しています。しかし、そこへ行くには、やはりもう少し経済がノーマルな姿になって、その中で、消費課税なり資産課税なり所得課税なりというものが、大体ノーマルな段階でどれぐらいの税収として上がってくるのかということを見る必要もあるだろうし、あるいは、国、地方権限の配分といいますか、地方分権の推進の度合いということも連動するでありましょう。  そういったこともあって、根本的なことは、今、本年直ちにというわけにいかないかもしれない。しかし、いわゆる恒久的減税ということによって落ち込んだ地方税部分については少なくともきちんとした制度的手当てをすべきであるという角度の中から、御指摘のありましたような、たばこ税の国から地方への一部移譲であったり、あるいは法人税地方交付税率引き上げであったり、そういう制度的な側面からも手当てをした。  これで十分というわけにはもちろんまいりません。これから後、先ほどいろいろ申し上げましたが、きちんとした形での地方の自主性、自立性を保障する、そういう自主財源強化充実ということにさらに努力をしてまいりたいと考えております。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 中野正志

    ○中野(正)委員 地方財政の厳しい状況の共通認識を持たせていただいております。今、地方税財源の今後の問題につきましてもお触れをいただきまして、本当にそのとおりで、頑張っていただきたいと改めて思います。  財政運営の硬直性を示す指標として、公債費負担比率とよく言われますけれども、一五%以上が警戒ラインとされております。この一五%以上の団体というのは年々ふえてきていると承知をいたしておりますけれども、現在こうした団体は全体でどの程度になっているんでしょうか。また、今後どのようになると見込まれておりますか。局長、お伺いをいたします。
  36. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公債費負担比率でございますが、平成年度の決算で、一般的に警戒ラインというふうにされておりますのは一五%以上でございますが、この団体数が前年度より二百三団体ふえまして千八百五十三団体ということで、これは都道府県、市町村、全部合わせてでございますが、全団体の五六・五%という割合になっております。  今後でございますが、近年におきます地方債発行状況等から、引き続き公債費が前年に比べてふえるという状況が続くというふうに見込まれますので、この公債費負担比率につきましても、今後とも高い水準で推移するのではないかというふうに見通されるところでございます。
  37. 中野正志

    ○中野(正)委員 大変、本当に厳しいなというのを改めて実感させていただきます。  各地の地方団体予算編成の状況が新聞報道などで見受けられます。なおかつ、さっき申し上げましたように、地方の議会もスタートをいたしておりますけれども、各団体とも、歳出の見直しを初めとして、それこそいろいろな工夫、やりくりをして、財政健全化に向けて本当に血の出るような努力、御苦労をいただいているようであります。個別の地方団体の話ではありますが、国としても、こうした地方団体の取り組みに対して積極的に支援を行う必要があるのではないでしょうか。  そこで、お伺いしますけれども、自治省として、個別団体財政健全化についてどのように取り組んでいくこととしているのか、お聞かせをいただいておきたいと思います。
  38. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 御案内のように、今、法人関係税を中心にした税収の大きな落ち込みがございます一方で、義務的経費の増嵩等がございまして、非常に厳しい状況でございます。  今、私ども、この時期でございますと、十年度の決算をどういうふうに打つかというふうなお話と、それから十一年度予算編成についてのいろいろな取り組みということについて、地方団体からいろいろお話を聞く機会が多いわけでございます。そういう特に厳しくなっております団体では、それぞれの財政状況の悪化の原因を分析されまして、事務事業の見直しでございますとか、あるいは人勧の凍結を行うなどの人件費の合理化といったような、そういう財政健全化の取り組みをされているところがかなり出てきておるわけでございまして、そういう自主的な財政構造の改善に取り組んでいただくということが非常に大切であるというふうに思っております。  私どもといたしましては、来年度予算編成に向けましては、地方財政対策地方税地方交付税一般財源確保に努めておるわけでございますが、また各年度の個々具体の財政運営につきましても、それぞれの状況を伺いながら、財政健全化に取り組んでおります団体に対しまして、将来の財政負担の軽減が見込まれますそういう範囲内におきまして、いわゆる財政健全化債、そういうものを発行するといったようなことについて、私ども、またその相談に乗りながら、地方団体の自主的な取り組みを支援しているところでございます。
  39. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひこれからもよろしく御指導いただきたいと思います。  それでは、地方特例交付金についてお伺いをいたします。  今回の恒久的な減税の実施に伴う地方税減収の補てんということで、地方特例交付金創設することとされておりますけれども、要は、この交付金、余り雑駁でわからないのでありますけれども、どのような性格を持って、どういう基準で配分されるものなのか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  40. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方特例交付金は、今回の恒久的な減税に伴います地方税減収額の一部を補てんするために、いわば地方税の代替的な性格を有する財源として特例的に措置されたものでございます。したがいまして、交付対象は、都道府県、市町村、特別区、それから交付税の交付、不交付を問わず交付されるというものでございます。  この交付の総額でございますが、毎年度算定をいたします恒久的な減税に伴う減収見込み額の四分の三の額から、たばこ税地方への移譲分それから法人税地方交付税率引き上げによる補てん額、これを控除した額というふうに総額をまず定めることにいたしております。  それぞれの団体ごとの配分につきましては、基本的には、それぞれの県、市町村の減税に伴います減収額を基礎にいたしまして、それに応じて、今申しましたようなたばこ税あるいは法人事業税関係交付税による補てん分、そういったものを控除したものを基本として配分をしていくというふうに考えております。
  41. 中野正志

    ○中野(正)委員 野田大臣、この地方特例交付金大臣としてどのように評価していらっしゃいますか、お聞かせをいただきたいと思いますし、今お話を聞きますと、なるほどな、こううなずくのでありますけれども、この先ずっと続ける制度だと私たち理解していいのか、それもあわせお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは、今局長からも御答弁申し上げたのですが、恒久的な減税に伴う地方税減収の一部を補てんするためにということがまずあります。そういう意味では、地方税の代替的な性格を有するものである。したがって単年度限りのものではない、そういう恒久減税措置の、言うなら代替的性格である。しかし、ではこれがずっと続くかというと、そうあってはならない。そういう意味で当分の間の特例的な措置である、こう思います。  基本的には、いつもいつも申し上げておりますが、いわゆる国、地方役割分担権限移譲ということと、それから何よりも財源の再配分、税財政、国、地方の見直し、そういった形の中で、きちんとした形での地方の独自の財源といいますか、地方税の中できちんと置きかえられなければならない性格のものであるというふうに考えております。
  43. 中野正志

    ○中野(正)委員 局長、地方特例交付金ですね、都道府県と市町村に交付されると。その算定方法がちょっと異なっておるようですけれども、それはどのような考え方に基づくものなのか、確認をさせてください。
  44. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回御審議いただいております法案の中で、今の都道府県分と市町村分の特例交付金の算定方法が異なっておりますが、これは、都道府県におきましては、市町村と違いまして、法人事業税減税というのが今回ございます。それに対する減収を補てんするということで交付税の税率アップがされております。  そういう事情がございますので、都道府県の交付団体につきましては、市町村と異なりまして、その減税によります減収額から、たばこの税源移譲の分と、それに加えまして交付税措置された法人事業税減収見込み額、これを控除した額をその交付金の算定の基礎にいたしますので、都道府県と市町村ではそういう事情で違っているわけでございます。
  45. 中野正志

    ○中野(正)委員 先ほど来のとおり、地方財政状況が大変厳しい中で、公債費負担、特に過去に発行した政府資金、これの高い利子の地方債についての公債費負担が重くなってきている。これを受けて地方団体の方から、政府資金にかかわる高金利の地方債について何とか繰り上げ償還ができないものか、大分切実な要望も聞かされました。  今回、自治省そしてまた大蔵省の努力で政府資金の繰り上げ償還ができるようになったということは、大変画期的で本当に大評価を惜しまないものであります。  これまで政府資金が果たしてきた役割あるいは仕組みというものを考えますと、一般的に繰り上げ償還を認めるということは困難であったわけでありますけれども、この繰り上げ償還について、どのような団体に認められるようになるのか、この際お伺いをいたしておきたいと思います。
  46. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回のいわゆる繰り上げ償還の措置は、地方財政状況が非常に厳しい、そういう中で地方団体からの切実な要望がございました。そういうことを踏まえてとった措置でございますが、今の委員のお話にもございましたように、基本的に、政府資金とかあるいは公営企業金融公庫の資金というのは、長期で安定した資金を地方団体に供給するという機能を持っておりますので、一般的にこれを繰り上げ償還するということになりますと、この機能が損なわれることになるわけでございます。今回の措置につきましても、異例の措置として、弾力的な措置団体を限定して行うということにならざるを得ないわけでございます。  そこで、この公債費負担が著しく高い地方団体の範囲をどう決めるかということでございますが、資金運用部資金法で、確実かつ有利な方法で運用するというふうな法律の運用原則が規定されておりまして、それに沿いまして、長期に貸し付けの回収を図りますとともに公債費負担対策の一環としてその団体公債費負担の軽減を図ろうというものでございまして、そういう趣旨から、具体的な対象団体といたしましては、公債費負担の重さを示す指標として起債制限比率を用いまして、基本的に、起債制限比率が一五%以上の団体、それからそれに準ずる団体として、制限比率一四%以上でかつ単年度の起債制限比率が一四%以上で赤字の団体または激甚災害の指定団体といったようなことで、特に公債費負担の軽減を図る必要がある団体ということを対象にすることにいたしております。
  47. 中野正志

    ○中野(正)委員 終わります。ありがとうございます。
  48. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、鰐淵俊之君。
  49. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変遅くなりまして大臣もお疲れのことと思いますが、しばらくここは我慢をお願いいたします。  今、いろいろ質疑されたわけでございますが、地方行政委員会委員は与野党を問わず、現在の地方財政は未曾有の危機にあるのではないか、こういう認識は一致している、私はこのように思うわけでございます。したがいまして、その点につきましては二番目の質問といたしまして、まず第一番目は、地方税法の一部を改正する法律案ということで、中身の点について若干御質問をしたいと思っております。  この改正案には、御案内のとおり、恒久的な減税あるいは土地住宅関係の税制改正など、いろいろ盛り込まれているわけであります。その中でも、特に個人の住民税について二点ほどお伺いしたいと思っているわけでありますが、まず、扶養控除額の加算についてでございます。  今回の恒久的な減税におきましては、個人所得課税について、扶養控除額の加算措置が講じられることになっております。所得税につきましては、いわば少子化対策、子育てあるいは教育への配慮という観点から、十六歳未満の扶養親族について十万円加算。それから、十六歳以上二十三歳未満のいわゆる特定扶養親族については五万円加算されることになっております。いわゆる個人住民税については、十六歳以上二十三歳未満の特定扶養親族について二万円加算されるのみになっているわけでございます。したがいまして、十六歳未満の扶養親族につきましては特段の措置がないことになっております。  このように、個人住民税においては特段の加算措置を講じていないようでございますけれども、それはそれなりにお考えがあって措置されたのではないかと考えるわけでございますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  50. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、今回の改正で、所得税においては、現行の十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除額三十八万円にさらに十万円を加算する、こういう措置が講じられたわけでありますが、これはいろいろな配慮があったとは思うんですが、まずは、子育ての負担に対して政策的に一定の配慮を行う、こういうことで、自民党、自由党の協議の中でもこの点はテーマになった事柄でもあります。  一方で、住民税の方ではこの種の措置を今回していないということについては、一つは、既に地方団体においては子育てについてそれぞれいろいろな方面での支援措置自治体としては現にやっておるということも一つあろうと思います。  しかし同時に、地方税の場合、所得税と違って、課税最低限のあり方について負担分任という角度から、必ずしも所得税と同じように課税最低限が連動しなければならないという発想には立っていない、このこともまた大事な要素でありまして、そういう点で、おのずから課税最低限のレベルは異なっているんだ、そういうことを考えますときに、地方税においてそこまで求めるのはいかがなものか。むしろここは、地方財政ということをしっかり考えるべきであるということが、両党のいろいろ協議した中でもそのことは頭にあったということは申し上げたいと思います。
  51. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 確かに、個人所得課税についての控除ですが、国の所得税に関しては思い切った控除をされておりますので、子育てしている家庭にとりましては大変朗報だろう、このように思います。地方の方におきましては、今、なかった理由を大臣が述べられたわけですが、私もその点は納得いくわけでありますが、いわゆる子育て支援というのは、必ずしもこれは国がすべて責任を負うものではない、やはりむしろ地方自治になじむ政策がたくさんある。  例えば、私ども過去経験がございますが、保育所をつくるとか、あるいは児童センターをつくるとか、あるいは乳幼児の健康医療問題についての特別な手当てを講ずるとか、そういったことに対して、地方自治体は地方自治体なりに、既に住民の子育てに対する支援をそのニーズに合わせて地方地方でやっておる、こういうことで今回の手当てになったのであろう、このように思いますので、どうかひとつこれからは、各自治体がそれぞれそのニーズに合った直接的な行政を踏襲するといったことに関しまして、いろいろひとつ自治省としても、今後積極的に支援をしていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。  次いで、二点目でございますが、今回の税制改正で大きな論議となっております住宅土地税制のうち、居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失の繰越控除制度についてお伺いしたいと思います。  現在、我が国の経済というのは、先ほど来議論がありますとおり、非常に深刻な状況から抜け切れないということになっておるわけでありますが、早くこの状態を抜けるためにはやはりカンフル的効果も必要であるということで、経済波及効果の高い住宅というものがもっと積極的に建てられていくということは、とりもなおさず景気を回復すると同時に、税の方の見返りも当然出てくるわけでございますので、この住宅投資を刺激するということは極めて重要なものだと私どもも認識しております。  このたび、個人住民税におきまして、居住用財産の買いかえの場合の譲渡損失につきまして繰越控除制度を創設するということになっておりますが、この創設する基本的な考え方についてはどのようにお考えになったのでありましょうか、御質問いたします。
  52. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御承知のとおり、個人住民税においては従来住宅取得促進税制を設けていないというように、所得税と異なった対応をしてきているわけです。特に住民税は、そういう意味での政策税制を取り入れるということに対しては極めて抑制的に対応してきている。これはやはり負担分任というか、地方税収の根幹をなす、そういう趣旨から当然の姿である、私はこう思っております。  しかし、現下の極めて厳しい経済状況考えた場合に、ここは住宅の買いかえを促進することによって景気の回復に資するための施策の一環として、ぜひともこれは特に二年間の臨時の、時限的な措置としてではありますけれども、居住用の財産の買いかえの場合の譲渡損失の繰越控除制度というものを住民税の世界においても設けるということにしたわけです。  譲渡損失、これは居住用財産、従来は大体地価がずっと上がってきたわけですが、今度は逆にキャピタルロスが生ずるという場合の話であります。そういう点で従来の政策税制とは多少趣も違うのではないか、そういう角度の中で、しかし、そうは言っても恒久的にこれを入れるわけにいきませんねということで、二年間の時限措置ということで取り入れたということであります。
  53. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ただいまの大臣のお話によってもわかるわけでございますが、個人住民税にとりましては、税の性格等を考えますと、この創設について、いろいろ困難といいましょうか非常に苦労した面がうかがわれるわけであります。しかしながら、臨時的な措置であっても、これらの措置によって住宅建設等の促進が意味づけされまして、市況が大いに活発化していくということが非常に大事ではないか、そのことによって経済の回復のテンポを速めるということになると私は考えますので、ぜひひとつこれを進めていただきたいと思います。  さて、次は、地方財政計画並びに交付税法の一部を改正する法律案ですが、これにつきましては、今まで随分いろいろ議論がございました。私も随分心配していることは、今回の地財計画あるいは地財対策は、自治省としては本当に目いっぱい御苦労されて、地方の実情を考えながら、なるべく地方に大きな負担がかからないということが随所随所に講じられているわけであります。例えば、国の責任で行う減税の問題、それから景気対策、こういった問題につきまして、確かに地方においての景気対策地方にとって大切ですが、国が主導してやる景気対策についてその財源的な措置等も講じておられるということですから、ことしの、平成十一年の地財計画あるいは地財対策というのは、非常に御苦労されて何とかつくり上げたということだろうと思うのであります。  私が大変懸念いたしますのは、この一―三月の法人の決算がどうなるか。私は、恐らくこの法人の決算は余り芳しくないだろうと思うわけであります。そうすると、芳しくないということになりますと、これをベースにして課税することになりますと前年度の課税をさらに下回っていく。せっかくの地方税自主財源というものが、今回の地方のいろいろな予算編成の状況を聞きますと、ほとんどの自治体はまず前年度の税を確保できない、だから基準財政収入額が下がり、基準財政需要額がそれに比較して多くなりますから、そのギャップが大きくなって、あれだけ借金をしても交付税を渡さなきゃいかぬという状態なわけでございます。  したがって、何といっても大臣のおっしゃるように景気を回復しなければ、あるいは経済成長を少しでもしていかなければ、これまでの対策も一年ぽっきりの対策ではなかなか大変な状況になってくるのではないかという認識が私はございます。それだけに、いろいろな今回の政府の予算もできるだけ早く成立をし、そして地方も安心して事業の執行をして、早く日本の隅々から景気を上げていくような、そういう予算の執行をしていくべきだ、こういうぐあいに私は考えているわけでございます。  そこで、まず地方財政対策のことについてでございますが、今回のこの対策を講ずる場合について、先ほど来からいろいろ議論があった点は伺っているわけでございますが、自治省内で最も大きな議論といいましょうか問題点といいましょうか、特にそういう議論になった点について、これはすべてではないのですが、とりわけ大きな議論になったというものは、どんな観点の議論がありましたでしょうか。
  54. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 本当は、昨年の暮れ、税制改正、予算編成で一番前線で事務方として苦労した局長の方から赤裸々な話を聞いてもらいたいと思うのですが、私のところに上がってきております報告というか、それでいきますと、一番苦労した点といいますか、これは恒久的な減税に伴う減収への対応ということ、それからそれ以外の巨額の財源不足への対応、この二つの対策を講じなければならぬということが最大のポイントであったということのようです。  一方で国の方も、また地方と同様に非常に厳しい財政状況下にある、そういう中で、いわゆる十五カ月予算という考え方のもとで、しかも第三次の補正予算と一体的にとらえて当面の景気回復に全力を尽くすという観点から編成するんだ、減税財源については基本的に赤字国債に、国も赤字国債に頼るしかない、そういう状況下で、言うなら国と地方の、お互い貧乏同士の穴埋めのシェア、どうやって穴埋めするか、ざっくばらんに言えばそういうことだったと思います。  そういう中でいろいろ御努力をいただいた結果が、もう既に先ほど来お話がありましたが、いわゆる恒久的減税減収分については、たばこ税の国から地方への移譲、それから法人税交付税率引き上げる、あるいは地方特例交付金創設する、その他の一般的な減収といいますか財源不足については国、地方が折半で措置する、そのような形での仕上がりを見たわけで、本当に大変な折衝を大蔵、自治の中でやってもらったというふうに思っております。
  55. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今の大臣の御答弁によりますと、大蔵との折衝は、自治省にとりましても本当に大変な折衝であったのではないか、このように私もうかがい知ることができるわけでございます。  言ってみますと、地方税は大きく落ち込むということでございますから、これも先ほど来議論があることですが、今後は、何といっても地方自治体が、自主、自立というのですか、あるいは自己責任というか、やはりこういったことによって一層地方分権による権限移譲も進めていく。それから、そういう権限移譲をいただくと、もちろん税財源の配分も、これは確かに今のようないわゆる国の経済では、お互いにないそでは振れない状況では、話をしてもとても実のある話にならないわけでありますから、まず何といっても景気をよくして財源確保していく、そして税財源地方に持っていくという考え方。  それからもう一つ地方でしっかりやっていただきたいのは、やはり地方行政改革だと私は思うんです。いまだに、なかなか人員をそう削減できない、あるいはまた民間に移譲した方がより能率もいいし、お金もかからないし、地方負担になることが余りないというようなことがたくさんあります。だから、これは生首を飛ばすということではなくて、例えば欠員の不補充とかそういったことによって思い切って地方の行革を進めていく。  ひいてはまた、広域的な分野から市町村の合併等も促進していくインセンティブを今まで以上に出していく。こういったことによって総合的に地方財政対策をしていかなければ、地方自治そのものもやがて、このような経済が長引いていけばいくほど、地方行政が立ち行かなくなってくる、このように私は懸念をいたすのでございます。  そこで、その結果、先ほど言いましたように、地方税が少なくなればなるほど交付税に依存する率が大変高くなってくるわけでございますので、そういう意味で、自主財源の確立という観点からは財政局長さんはどういうぐあいに考えられたか、財政局長さんの答弁をいただきたいと思います。
  56. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに、私どもは、地方財政の世界で財源考えます場合には、何といいましてもやはり最優先のものは自主財源としての地方税でございます。しかし、地方税だけでございますと、どうしても偏在があるとか税源に限度があるというふうなこともございまして、財政力の弱いところではどうしても交付税でカバーしなくてはいけないという面もございまして、あわせて一般財源をどう確保するかということは、毎年度いろいろ苦心するわけでございます。  十一年度状況といいますのは、地方税が計画ベースでマイナスの八・三というのは、これは交付税制度が始まって以来のマイナスでございまして、やはり非常に異例の事態だと考えざるを得ないんじゃないかと思います。そのために、結果として交付税が一九・一%増という非常に大きな伸びに借入金も含めてなりましたけれども、これは今のような経済状況を反映した非常に異例の事態というふうに私ども考えておりまして、基本的にはやはり経済が安定した状態になって、できるだけ自主財源でございます地方税で多くの財源確保できるような、そういう形で地方財政というものは考えていかなくちゃいけないというふうな基本的な考え方を持っております。
  57. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今の局長の御答弁によって、何とかひとつ、今回は地財対策、非常に苦労して組み立てたわけでございますから、これを有効に活用して、地方自治体としてはなるべく自分の自主財源確保するように、自治体なりに努力していくということが必要ではないか、こういうぐあいに思うわけであります。  さらにもう一点でございますが、今回、自治省としてはいろいろな財源対策等をるる講じているわけでございますが、地方自治体もそれぞれ今予算編成をし、地方の議会にかかっていると思いますが、今の自治省対策で各自治体が本当に自信を持った予算編成になっておるかどうか、そういった点についての観測といいますか、その点については、局長、どうでしょうか。
  58. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 来年度は統一選挙が行われる年でございますので、地方団体予算計上の動向は、まだ私ども全体をつかめる段階に至っておりませんし、骨格予算でやるというところもかなりあるというふうに思っております。  地方団体関係者は、恒久減税の話が出ておりました段階から、片っ方で税収が月を追って減の幅が大きくなるということがございまして、非常にそういう意味での心配がございまして、恒久減税の決着がつかない段階でございますとか、あるいはそれぞれ団体ごとに翌年度、十一年度財政見通しをいろいろ腹づもりをされる段階で、どうしても相当大きな財源不足になるということから、十一年度予算編成についてもかなり心配している向きがございました。  しかし、最終的に、先ほど来話が出ておりますような形で恒久減税についての財源対策が決着をいたしましたし、それから、十一年度につきましても、財源不足は非常に大きゅうございますが、さっき言いましたようなことで、地方交付税総額を一九・一%増ということで確保いたしましたので、地方団体の方は、少なくともこの一般財源の点におきましては、私ども、聞いておるところでは、一時非常に心配いたしましたけれども、何とか来年度予算編成についてそれぞれいろいろ努力しながら取り組んでいけるような状態になったというふうに私どもとしては把握いたしております。
  59. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 実は、今回の景気のこれだけの悪化によって、富裕団体と言われる、しかも不交付団体、要するに交付税とは余り縁もゆかりもない団体が、特に東京都とか大阪府とか、あるいは大阪府の関連の市ですとか、これはもうほとんどが交付税とは関係なかった市なんですね。それだけに、普通の市よりラスパイレスも多分高いと思います。そういったことがありまして、これからそういう非常に裕福な団体であったところも、今言ったように交付税の対象の団体になってくる。  こういうことで、この交付税制度は非常にありがたい制度でありますし、自治体にとりましては自主財源一つ考えてもいい財源ですから、これは非常に歓迎すべきことなんですが、ただ問題は、自治体の中で、もともと、何とか努力して得ようと思っても収入が入ってこない自治体というのがあるんですね。例えば、おじいちゃん、おばあちゃんばかりいて、高齢化は進む、余り若い人はいない、担い手もいない、こういうような中山間の村ですとか町とか、こういうことになりますと、どうしてもこれは税の収入というのは期待しても期待できないんですね。  そしてなお、期待できないけれども、介護だとか高齢化のためのいろいろなお金がかかる。そうすると、需要額はどんどんふえるけれども、収入額の方はふえない。こうなると、黙っていてもこれは交付税でどんどん充てていかなきゃいかぬ。そうすると、そういう自治体でも、いや、収入なくてもちゃんと税は入ってくる、したがって自治体はやっていける、そういう安易な考えがあるのではないか、私は、幾つかの自治体の町長や村長と会うと、どうもそういうことも聞くわけでございます。  これは、交付税を充てていっても、やはりそこの自治体がみずから工夫をして、なるべく自活していくというようなことに誘導していかなければこの交付税意味が生きていかないと私は思うんですが、この点について大臣、いかがでしょうか、感想を聞かせてください。
  60. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 おっしゃるとおり、大変頭の痛い問題であります。  自主財源基本というのは、やはり何といってもまず地方税というのが第一だというのは当然なんですが、お話しのとおり、税源そのものが大変偏在をしているわけで、そういうようなところでどんなに知恵を出しても、税源がなければ全然税収が単位になって上がってこないというところにどう対応するか。そういう意味で、どうしても交付税というかこういう財政調整の仕組みというのは不可欠な要素である。そういう意味で、地方税それから交付税、両々相まって自主財源として考えていく、この基本は維持していかなければなるまいと思います。  しかし、その中で、特に安易に交付税がそれらのものを何でもかんでも全部カバーし得るという発想に立てば、逆に歳出の面で、みずからの財政規律ということについて、あるいはいろいろな行政改革といいますか、そういう簡素化あるいは効率化の努力ということについても問題を生ずることもあるわけです。  そういったところから、やはり市町村の合併ということも、きちっとしたサービスのレベルを維持する、あるいは充実強化する、これから介護制度だとかいろいろなこともあります、そういったことを含めて、きちんとした行政のニーズを保障するという意味からも、合併という問題は一方で必要でありますが、同時に、こういう最低限の市町村の行政を賄うための必要経費というか、そういう意味での経費をどうするかという角度からの合併、これもあって当然のことだ。私たちはそう考えて、鰐淵先生も一緒にそういう意味で市町村合併の話も大いに言っているという、両面からあると思いますね。  その点で、交付税の算定の中で、安易に交付税があるからいいじゃないかということで、もう少しそこのところはきちんと対応してもらいたいということもあって、補正係数等についていろいろ工夫をする余地はないかということで今検討しておるし、今までもその点については是正をしてきているということは申し上げておきたいと思います。
  61. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 最後の方になりますが、私は、交付税が、どうもやる気を失っていくような、自治体にとってそういうような気持ちになるような交付税であってはならないと思うのです。やはり交付税は最低限の自分たち財政対策であって、何とかそれから活性化していくんだというようなことで、進歩的といいましょうか、活性化的に考えていくべきだと思うのですね。  そこで、これから、例えば介護保険一つとっても小さな村や町では到底これはできません。私も実際にいろいろな仕事をやってみて、そう思います。そうしますと、いや応なしに、私は、広域化といいますか、ですから、町村合併にいかないまでも、一部事務組合立、あるいは広域連合、そういった制度をどんどん使って、一自治体ではできないけれども、幾つかの自治体が集まれば非常に能率よく、しかも効率よくできるということがたくさんあると思うのです。そういったことをどんどんインセンティブを出していくということが非常に大事だ。  そういう意味で、私は、自治省で出されている一兆円、地域活力創出プランというのでしょうか、その一兆円、それから国土庁で、四百地域ですが、全国四百地域空間倍増計画ということで、一地域百億円を投資する。これは、もちろん補助事業を組み合わせ、それから自治省の単独事業を応援し四百地域の活性化を図っていく、それがやはり各地域の、また経済の火つけ役にもなっていくというぐあいに私は思っているわけでございますが、こういった点について、最後にひとつ大臣としてのお考えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  62. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、総額一兆円で自治省としてはハード、ソフト両面から対応しようということで、地域活力創出プランということで、今回交付税の中で措置し、あるいは起債措置を講ずるということにいたしたわけであります。  別途、地域戦略プラン、ちょっと名前が似たようなもので、生活空間倍増計画の一環としてのそちらの方と両々相まって、やはり今のところ、景気が悪いというので、あるいは地域が落ち込んでいるというので、みんなが顔をしかめているだけじゃぐあいが悪いものですから、本当に活力をみずからが生み出していくんだ、地域が主役になってそれを生み出していくんだ、そういう形にこの予算措置なり財政措置が活用されていくということが一番大事なことだ、そう考えております。
  63. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 どうもありがとうございました。  いずれにいたしましても、これから本当に厳しい地方財政、綱渡りが続くわけでございます。私どもは、これからの経済の推移も十分見きわめながら、我が委員会といたしまして、やはり地方が大いに活性化し、日本全体の景気を底上げする力になる、こういった点で早く予算の執行を期待いたしまして、私の質問を終わります。
  64. 坂井隆憲

    坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十六分散会