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1999-04-21 第145回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月二十一日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 村井  仁君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君       大石 秀政君    河井 克行君       岸本 光造君    栗本慎一郎君       小島 敏男君    河野 太郎君       佐田玄一郎君    桜井  新君       桜田 義孝君    砂田 圭佑君       中野 正志君    中村正三郎君       村上誠一郎君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    石毛えい子君       奥田  建君    末松 義規君       仙谷 由人君    中川 正春君       古川 元久君    山本 孝史君       赤羽 一嘉君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       佐々木洋平君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    横光 克彦君  出席国務大臣         大蔵大臣    宮澤 喜一君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         総務庁行政監察         局長      東田 親司君         北海道開発庁総         務監理官    斎藤 徹郎君         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         大蔵政務次官  谷垣 禎一君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         国税庁課税部長 森田 好則君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第五局長  小川 光吉君         北海道東北開発         公庫総裁    濱本 英輔君         日本開発銀行総         裁       小粥 正巳君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   渡辺 喜美君     小島 敏男君   綿貫 民輔君     佐田玄一郎君   海江田万里君     奥田  建君   玉置 一弥君     石毛えい子君   山本 孝史君     古川 元久君   大口 善徳君     赤羽 一嘉君   鈴木 淑夫君     佐々木洋平君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     岸本 光造君   佐田玄一郎君     綿貫 民輔君   石毛えい子君     玉置 一弥君   奥田  建君     海江田万里君   古川 元久君     山本 孝史君   赤羽 一嘉君     大口 善徳君   佐々木洋平君     鈴木 淑夫君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     渡辺 喜美君 本日の会議に付した案件  日本政策投資銀行法案内閣提出第三三号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 村井仁

    村井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本政策投資銀行法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君
  3. 中野正志

    中野(正)委員 おはようございます。自由民主党中野正志でございます。  宮澤大蔵大臣の御就任以来の御活躍に、まず心から敬意を表したいと存じます。景気対策あるいは金融危機の回避等々、御苦労を多とするものであります。  ところで、本題の前に、ぜひお伺いをしておきたいことがございます。  今、各省庁の夏の人事うわさが、この永田町、霞が関周辺、あるいはマスコミでもかまびすしくなってまいりました。報じられるところによりますと、大蔵省事務次官人事主計局長の昇格が有力になってきたらしい、そういう話がございます。  現在の国家行政組織の中で、大蔵省官庁の中の官庁と言われるところでありますから、そのトップ人事となれば、当然、国民注視の的でもあります。そんな中で、まことしやかに伝えられるうわさのとおりだとすれば、えっと驚くのは私だけではないのではないでしょうか。  私は、一連大蔵省不祥事は大変にけしからぬと憤っております一人であります。金融検査部汚職事件責任をとって、三塚大蔵大臣小村事務次官辞任をされております。しかし、トカゲの頭切りで済むものではありません。不祥事のもともとは、主計局人脈への過剰接待であったことは明らかであります。戦後日本の繁栄に大蔵省が果たしてきた役割は、私は大きく評価いたしておるものではありますけれども、不祥事がもたらした大蔵行政への信頼の失墜、そして大蔵省責任もある今日の日本経済の低迷は、まごう方なく負の遺産であります。  いよいよ中央省庁再編の中で新生財務省として新たな船出をするとき、過去のしがらみ、惰性から解き放たれ、人事政策は一新するのでなければならないと考えます。大蔵省名実ともに変わっていくのだということを国民へのメッセージとして正しく伝えるときには、まず、人事登用のあり方こそ問われるべきだと思います。むしろ、私は、李下に冠を正さずという例えもありますから、一連不祥事に連なった方々は、お役目の上を望むことなく、負の遺産を引きずることなく、もののふらしく、潔くみずから進退を決するべきだと考えておるのであります。  この際、人事権者である宮澤大蔵大臣は、かりそめにも、行政組織トップ事務次官人事について、あるいはその他の人事についても、国民から批判されることのないようお願いをするものでありますけれども、いかがお考えでありましょうか。お伺いをいたしておきたいと存じます。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のございましたように、ここ数年、大蔵省に対する世評は非常に厳しゅうございます。全省反省をしつつ、一日も早く世の中信頼を回復いたしたいと戒め合っておるところでございます。  人事につきましてお話がございましたが、ただいま国会において重要案件を御審議中でございますので、ただいま人事の構想について私は考え始めておりません。いずれにいたしましても、人事をいたしますときには、文字どおり、適材適所の人事をいたしたいと考えてはおりますが、ただいまのところ、まだその時期でないというふうに思っております。
  5. 中野正志

    中野(正)委員 私たちも、人事のことについては、正直、触れたくありませんけれども、我が自由民主党の中でも、若手の有志の方々でこういった議論がありますということを宮澤大臣には率直にお伝えをしておいた方がいいな、そういう気持ちで申し上げたのであります。  それでは、本題に入らせていただきたいと存じます。与党らしくまいりたいと思います。  まず、日本政策投資銀行法案の全体像からお伺いをいたしたいと存じます。  日本経済が戦後の復興期を経て高度成長を遂げる中で、日本産業地域発展に大きな役割を果たした開銀北東公庫が廃止され、他方で、日本政策投資銀行が新たな公的金融の担い手として設立されるということは、日本一つの大きな転換期に来ていることを象徴しているように感じられます。  二十一世紀を間近に、政府系金融機関に対して新たな役割期待される中で、日本政策投資銀行はどのような特徴を持った機関になるのでしょうか。まず、法案の大きなポイントについてお伺いをいたしておきたいと存じます。
  6. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 今回の法案概要でございますが、まず、開発銀行北東公庫を廃止いたしまして設立いたしますのは、平成九年九月二十四日の閣議決定に基づくものでございます。  十月一日に新銀行を設立するということでございますが、政策投資銀行は、三つ活動を大きな柱といたしております。  一つは、経済社会活力向上及び持続的な発展のための融資活動を行う。それから、豊かな国民生活実現のために必要な融資活動を行う。三番目に、地域経済自立的発展に資するための融資活動を行う。ただ、これらはいずれも、一般の民間金融機関の行う金融補完するものでございます。そういう意味で、民間で対応できない部分につきまして、長期の固定の低利の資金供給するものでございます。  業務内容といたしましては、設備資金供給、あるいは政策性のある分野研究開発とか、非設備資金供給も行うわけでございます。それから、現在行っております貸し渋り対策としての長期運転資金融資等につきましては、これは時限でございまして、附則において時限である旨を手当てしているわけでございます。  それから、今回の政府系金融機関整理統合は、やはり国の役割あるいは政策金融機関役割をどう考えるかということが重要なポイントでございまして、まず、中期的な政策運営指針というのを新銀行においてつくります。そこで業務内容チェックをしてまいるわけでございます。そのチェックをするために運営委員会というような仕組みを設けまして、外部の有識者の方々に新銀行活動をよく見てもらうということをいたします。  そういうことを通じまして、世の中動き経済動きに対応して新銀行業務を不断に見直していくというふうにしておるわけでございます。  以上でございます。
  7. 中野正志

    中野(正)委員 ここ数年の動きを見ましても、特殊法人整理合理化要請がある一方で、いわゆる貸し渋り対策政府系金融機関が大きな役割を果たしている現実があります。  新しい政府系金融機関をつくり上げるに当たって重要なことは、政府系金融機関はいかなる役割を果たすべきかという政策金融についての基本的理念を問い直して、それを新しい機関に反映させることだ、そう確信をいたしております。  この日本政策投資銀行法案を作成するに当たっての基本的な理念、それを御説明いただきたいと存じます。
  8. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 基本的には、やはり政府全体の役割をどう考えていくかというところから出ているものでございます。政策金融機関につきましては、民間金融で対応できない部分をどういうふうに効率的にあるいは過剰でなく適正に補完をしていくかということが重要なポイントでございまして、そういうことから、基本的な理念として、政策投資銀行役割は、社会的意義が高く、公的関与が求められる分野のうち、有償資金の活用になじむ分野というのが一つ活動分野でございます。それから、投資回収長期間を要する、さらに収益性が低い、それからリスクの評価が投資長期にわたるために非常に困難である、そういう事情から民間金融機関のみでは対応できない分野業務を行っていくという、二つのことが言えるかと思います。  それから、こういう役割はやはり世の中変化経済変化に応じて変わるものでございますから、それに応じて変える仕組みを、先ほど申し上げましたように運営審議会というような形で織り込んでおるということでございます。
  9. 中野正志

    中野(正)委員 今回の開銀北東公庫統廃合は、もちろん特殊法人整理合理化が直接的な契機となって行われるのでありますけれども、単に政府系金融機関一つになるということだけではなくて、もっと顧客、お客さんにとっての利便性が増すとかあるいは効率的な業務が可能になるのだとか、そういうより積極的なメリットが生じるものと考えておりますけれども、そのメリットとは具体的にどのようなものなのか、お伺いをいたしておきたいと存じます。
  10. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 融資をお受けになる国民方々利便がどういうふうに変わるのか、向上するのかという質問かと思いますが、一つは、開発銀行が長年にわたりまして全国ベースで、産業の情報でございますとかあるいは産業における知識でありますとか、細かく業種ごとノウハウを蓄積しているわけでございます。この開銀の蓄積されたノウハウというのが北海道地域においてもダイレクトに活用できるようになる、使われるようになるということが一つの面でございます。  それから、北東公庫におきましては、北海道東北地域地域に密着したきめ細かい地域開発というのを主としてやってきたわけで、その面でノウハウというのは北東公庫にもたくさんあるわけでございまして、今度は開銀と一緒になることによりまして、そういう北東公庫知識ノウハウというのが北海道東北地域以外にも大いに活用されるということがございます。  それから、具体的に今度は北海道などについて見ますと、従来は開銀北東公庫二つ以上の政府系金融機関から借りていた顧客につきましては、新銀行政策投資銀行という機関から全部借りることができる。今までは二つ金融機関から借りていたのが、そういう利便が生ずるわけでございます。例えば、今まで開銀北東公庫で重複しておりました取引先というのが九十社ぐらいあるわけでございます。それが一本の金融機関と話をし、融資を受けられるというような利便がございます。  それから、北東公庫開銀を合体することによりまして総務、管理部門というのが集約をされます。そういうことで節減できてまいります人員というのを実際の融資活動に活用するということができてまいります。そういうことで、むしろ本部機構を小さくしまして、支店とか事務所人材をふやすというようなことが可能になっております。正確な数字はあれでございますけれども、多分三十人以上はそういう管理事務を離れましてそういう地域融資事務に従事が可能になっていく、これはやはり顧客にとっての利便を増すものではなかろうかと思うわけでございます。
  11. 中野正志

    中野(正)委員 ぜひ民にとって、地域にとって実のあるメリットが果たされますように督励をいただきたいと思います。  次に、特殊法人整理合理化の一環であることに照らして、どのような工夫がなされているかについてお伺いをいたしておきたいと存じます。  まず、今回の統廃合により、きのうもちょっとお話がありましたけれども、機構役員数の点でどのようなスリム化が図られているのか、具体的に御説明をお願いいたします。  そして、このスリム化は、単に機構役員の数を減らすことのみにあるのではなく、業務見直し仕組みが法律に反映をされるということが重要だと思います。このような観点から、平成九年九月の閣議決定により求められている民業補完そして業務の減量、再編成についてはどのように反映されているのか、お伺いをいたしておきたいと存じます。
  12. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 まず、機構面から申しますと、合併以前におきましては、両機関合わせまして三十の部それから六の室があったわけでございますが、新銀行になりますと、これが二十八の部になり、四の室になるわけでございまして、部としては二つの部が減り、室としては二つの室が減るというようなことでございます。先ほど、本部組織合理化をしてむしろ一線の方に人材を回すということがこういうことにより可能になるわけでございます。  それから、北海道におきましては、北海道北東公庫支店と札幌の開銀支店があったわけでございますが、それが一本化するというようなことになっております。  それから、役員の数につきましては、法定役員数は両機関合わせまして今まで二十六名でございましたが、これが十七名に削減をすることになります。このうち常勤役員でございますが、常勤は十七名が十三名に減ることになりまして、約四分の一の削減でございます。  職員につきましては、全体として両機関合わせまして合併前と後におきまして変わっておりません。ただ、これは入りくりがございまして、今度の合併に際しまして、環境事業団それから地域整備振興公団が行っている融資業務を新銀行に統一することになっております。いわば新しい業務がふえるわけでございます。これによる人員の増が七名ございます。他方で、開銀が行っておりました輸銀の業務とやや重複する部分あるいは農林公庫の行っていた業務と重複する部分をそちらに移管しております。それで減る分が三名ございまして、実質は四名ぐらい合併によってふえるわけでございますが、それを実質横ばいということでやっておるわけでございます。  こういうことによりまして合理化を進めておりますし、今後、不断の見直しを続けていくということであろうかと思います。  業務合理化につきましては、より政策的に意義の高い分野重点化を図る観点から、融資対象分野の徹底した見直しを毎年度の予算編成において行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  13. 中野正志

    中野(正)委員 ほかの機関融資を担当するようになるとか、あるいはいわゆる貸し渋り対策などで急激に減らすわけにいかないということでありましょうけれども、やはり、整理合理化という観点からしますと、中長期的にはしっかりとスリム化を図られるべきだ、こう思っておりますので、あえて御注文を申し上げておきたいと存じます。  次に、日本政策投資銀行業務についてお伺いをいたします。  開銀北東公庫は、ちょっと申し上げましたように、戦後の経済復興期日本産業基盤資金供給するという使命を与えられたことから、設備資金供給が主な任務とされてきたようであります。しかし、二十一世紀を迎え、いわゆるハードよりソフトが重視されるようになってきた経済状況にかんがみれば、単に設備資金のみを供給するだけでは時代の変化に応じた機動的な政策支援が困難ではないかと思うのであります。  このような背景の中で、日本政策投資銀行はどのような業務を行うことになるか、その重点概要とでもいいますか、それをお知らせいただきたいと存じます。
  14. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 新銀行業務でございますが、従来、開銀北東公庫融資の大きな目的の柱が産業開発ということに重点が置かれていたわけでございますけれども、新銀行におきましては、平成九年九月の先ほどの閣議決定に基づきまして、経済社会活力向上及び持続的発展、豊かな国民生活実現地域経済自立的発展、その三つ重点分野として融資を行っていくということでございます。  それで、先ほど、そういう業務の中で、単に設備資金だけではなくて設備資金以外の資金についても考えていくべきではないかという御指摘がございましたけれども、その点につきましては、新銀行におきましては、設備資金等供給に加えまして、研究開発資金を初めとする、特に政策性のある分野に向けた事業の遂行に必要な資金供給するということを業務一つの大きな柱といたしております。  例えば、今度、地域振興整備公団から移管を受けます産炭地域振興資金融資でございますとか、あるいは環境事業団から移管を受けます土壌汚染等防止のための融資でございますとか、さらに、ベンチャー企業生産委託の際の前渡金、そういうような設備資金でないものに対する融資でありますとか、あるいは特許権販売権等設備性の権利の取得のための資金についても融資などができるような形になっているわけでございます。
  15. 中野正志

    中野(正)委員 とりわけ、後段にありましたベンチャー企業の育成問題を含めて、ぜひ新しい分野に御検討いただくように、これまた督励をいただきたいと思います。  北海道東北地方経済に大きな影響力を持っていた北東公庫が廃止されるのに伴って、旧北東公庫対象であった分野への金融が不十分になるのではないかという懸念の声も実は私どもの地元でも聞かれるのでありますけれども、問題はありませんかとしっかりと確認をしておきたいと存じます。  ちなみに、我が自由民主党東北ブロック両院議員会の決議として、「東北北海道地域現状は、経済的にも、産業社会発展基盤となる社会資本整備の面においても、いまだ他の地域に比べて大きく立ち後れており、また、近年の相次ぐ金融機関経営破綻等により、経済情勢は一層厳しさを増すなど、北東公庫が果たすべき役割期待はますます高まっている。」云々とありまして、一番目、「新銀行の設立に当たっては、北東公庫が有していた地域整備関連分野を新銀行業務の重要な柱の一つとして明確に位置づけるとともに、同分野に関する資金量を確保すること。」二つ目、「新銀行本部機構における地域整備関連分野の統括や重点対応を行う部門の設置、支店事務所の拡充を図るとともに、本部機構東北北海道地域を担当する部署を設置すること。」三つ目、「新銀行北東公庫地域開発金融機関として有している地域支援機能を円滑に継承させること。」等々、要請、要望いたしておったわけでありますけれども、以上の点はしっかりと担保されているかどうか、確認をいたしたいのであります。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 北東公庫が設立されましたのは昭和三十一年でございますが、当初は北海道だけを対象にして北海道開発公庫で発足いたしまして、間もなく東北がそれに加わりました。  その当時、既に開発銀行地域金融ということをやっておったわけでございますけれども、北海道の将来を考えますと、やはり特別な資金的な国による援助が大切であるという認識が高まりまして、もうそのとき既に苫東ということがかなり議論になっておったと記憶いたしますが、それで北海道開発公庫というものが成立いたしました。  ところが、そのころから、いや、東北にも実はそういう問題があるというお声があって、東北ではそのときに、たしか東北開発会社と言ったと思いますが、砂鉄であるとかあるいはボードであるとか、いろいろなことを苦労しておられたわけですけれども、なかなかはかばかしくありませんで、やはり東北にもいろいろ問題があるということで、間もなく北海道東北開発公庫ということに変わりまして東北をカバーすることになったわけでございます。  その後、北海道は、昨日も申し上げましたが、石油危機等々国際的な環境変化もありまして、そのほかにも、炭鉱であるとかあるいは漁業であるとかローカル線の廃止であるとか、いろいろどうも悪いことが続きまして、ますます苫東というものに北海道人たち期待が集まったのでございます。東北におきましても、やがて、石油危機一つ契機でございましたが、むつ小川原、これは昨日もいろいろお尋ねがございましたが、新全総との関係で注目されるようになりまして、しかし、ここもいろいろな状況変化でなかなか思うように事業が伸びないというところで今日に及んでおります。  そういうことでございますから、北東公庫使命が要らなくなったということではない。もともと開発銀行地域開発ということを心がけておったところでございますから、そこへ行政改革の趣旨もありまして戻すわけですが、しかし、今日の北海道現状あるいは東北におけるむつ小川原等々の将来なども考えますと、北東公庫が持っておった使命が達成されたということではありませんで、むしろ、まだ達成されていないというふうに申し上げるべきものだと考えております。したがいまして、新しい銀行は、その点について、北東公庫が達成しようとしていまだ達成していない使命について十分に重点を置いて考えてもらわなければならない、こういうふうに考えます。
  17. 中野正志

    中野(正)委員 大変心強い御発言でございます。東北のためにもまた北海道のためにも、ぜひ引き続きの御指導と御支援をこの際お願い申し上げたいと存じます。  日本政策投資銀行業務の中には民間金融機関に任せておいてもよいものがある、こう思われますけれども、いかがですか。
  18. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 先ほど申し上げましたが、政府系の金融機関民間補完でございますから、民間でできる部分につきましては、これは控えるという基本方針でやっておるわけでございます。もちろん、個々の融資制度もございますけれども、実際に個別の融資に当たりまして、そこのところをきちっとチェックしたり、政府の方が出過ぎないように一定の仕組みを設けておるわけでございます。  一つは、民間金融機関との協調融資で行うことが非常に多いわけでございますけれども、開銀融資する上限をいろいろな融資制度ごとに定めておりまして、そういう意味で、民間ができる部分についての融資開銀が行えないような一般的な仕組みを設けております。  それからさらに、個別のプロジェクトごとあるいは融資案件ごとに、資金を供与するに当たりまして、日本政策投資銀行資金供給がなければ事業の遂行が困難であるのかどうか、借り手である事業者によく聞くということをやります。  それから、事業者の取引銀行、協調融資の相手となったりする場合が多いわけでございますけれども、事業者の主要な取引金融機関につきまして、そちらの方で手当てすることが可能なのかどうか、あるいはそういう気持ちがあるのかどうかというようなことをチェックすることになっておりまして、そういう形で先生御指摘のような問題については対応することとなっているわけでございます。
  19. 中野正志

    中野(正)委員 もうちょっと御説明をいただきたいと思いますけれども、日本政策投資銀行業務を遂行するに当たって守るべき原則として、お話にありました民業補完原則があると。一般論としては理解できますけれども、具体的にどのようにしてそれを担保していくのか、それもお伺いをいたしておきたいと存じます。
  20. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 御提案いたしております法律の一条に、民業の補完に留意して業務を行いなさいという基本的な考え方がまず書かれております。それから、業務の条件といたしまして、民間金融機関と競争するということを禁止しておるわけでございまして、法律の二十一条によりまして、新銀行資金供給というのは、民間金融機関資金供給のみによっては事業の遂行が困難な事情があるときに限り行われるということがございまして、その基本的な考え方のもとに、先ほど若干触れましたけれども、融資制度ごとに新銀行融資する上限をいろいろ定めるということがございます。それから、個別の融資案件ごとに、民間金融機関だけでは対応できないのかということを話し合いの過程でヒアリングをいろいろいたします。そういうことによりまして民間補完ということを実際に担保していくということでございます。
  21. 中野正志

    中野(正)委員 次に、平成九年九月の閣議決定での苫小牧東部開発及びむつ小川原開発の両プロジェクトの取り扱いについて、新銀行設立までの間に関係者間で結論を得ることとされておりますので、これらに関連した質問をいたしたいと存じます。  これまでの議論で明らかなように、開銀北東公庫の統合は、政策金融に新たな役割を発揮させ、我が国の緊急の課題である金融産業の再生などを実現する手段であると考えます。この点を踏まえると、新銀行の設立は苫東開発むつ小川原開発にかかわる損失処理が目的だとの見方もありますけれども、私はこれは正しくないと考えます。  以上を前提にお伺いをいたしますけれども、苫東債権やむつ債権の償却により北東公庫は債務超過になるとの懸念の声がありますけれども、仮に北東公庫の機能の発揮に支障を来すということであれば、金融機関等の破綻などで厳しい環境にある北東地域にとっては大変憂慮すべき事態になります。  しかしながら、そもそも、政策金融機関における債務超過は、利潤追求を目的とする民間企業と同列に論ずることはできないのではないでしょうか。すなわち、政策金融機関は、設置法に定める政策目的を遂行することを使命とするものであって、財務内容面から業務の遂行が困難となることがないよう、政策遂行のために国が適切な措置を講ずることが前提となっているのではないかと思うのであります。現に、北東公庫を含む公庫グループは、利益が発生した場合には国庫納付が義務づけられている一方で、損失金が発生した場合は国の責任によりこれを補てんされるということになっております。また、北東公庫の資本金の規模から見て、苫東債権、むつ債権の取り扱いによって数字上も債務超過とはならないと見てよいのではないか、私はそう考えるのであります。  以上の点についていかがお考えですか、お伺いをいたしておきたいと存じます。
  22. 濱本英輔

    ○濱本説明員 北東公庫の財務状況を見てみますと、苫東プロジェクトに関しまして、平成九年九月の閣議決定に基づきます処理、今年度の上期におきましてこれに係ります償却損、北東公庫に約六百五十五億円の償却損を生ずると見込まれております。この償却処理などによりまして、上期の公庫の損失額は全体で七百八十六億になると見込まれておりますけれども、上期末におきます資本金の額が千六百六十三億円と見込まれております。この限りにおきまして債務超過を生ずるという事実はないと存じます。  ただ、むつにつきまして、昨日来御議論がございますとおりでございますけれども、今、閣議決定に基づきます関係者間の協議が進められておりますが、これが統合を果たします十月初めまでに協議の結論を得たいと考えているわけでございます。その結果、どういう形にこれがなるのかということを現在見込むことはできないわけでございますけれども、一般的に申し上げまして、債権の全額が回収できない事態というのは考えにくいわけでございまして、むつ債権の取り扱いによって公庫が債務超過になるという論拠もないというふうに考えます。  それから、先生から問題提起をいただきました点につきましてでございますけれども、政府金融機関の場合と民間金融機関の場合とを比べました場合に、それぞれ存立目的が異なるわけでございまして、さまざまな場面におきましてそれぞれの目的に応じた合目的的な判断があってしかるべしとの点につきましては、示唆的な御指摘として承らせていただきました。
  23. 中野正志

    中野(正)委員 お話にありましたように、北東公庫苫東債権は、去る十二月の閣議了解に基づき、新銀行の設立の際に処理を行うこととされております。これを受けて、新銀行法案においては、開銀から新銀行に承継される準備金を用いてこの損失を処理することとなっていますけれども、私は、両機関の統合による新銀行の設立に当たって、こうした処理というのは一つの合理的なやり方のように考えるのであります。  すなわち、二つ機関業務が類似しており、また、いずれの機関も国が一〇〇%出資する法人であります。片や開銀は、大企業を対象として、制度上潤沢な準備金を留保しておりますけれども、北東公庫は中堅、中小企業対象ということで、制度上も準備金は留保できないという現実もあります。  国が政策的な観点から、いわば出資者である政府の持ち分に相当する出資金や準備金を新銀行へ継承する中で、公庫の損失処理について新銀行に継承される準備金をもって行うやり方、あえて外からの新規の資金投入によらず、いわば兄弟間のやりくりで処理をするようなスタイル、それは私は自然であると考えておるのであります。しかも、こういった処理は法律上も明記されておるようでありますから、透明性は確保されておるのではないかと考えておりますけれども、いかにお考えですか、お伺いをいたしておきたいと存じます。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、御指摘のように、損失は既に苫東について現実に生じておるわけでございますから、その損失を新たに国民的な負担にならずにどのように処理するかという問題でございますので、その方式に御同意をいただきましたことはまことに幸せなことでございますが、さらに申しますと、先ほど北東公庫の総裁が言われましたように、むつ小川原について今後どのような処理が行われ、したがってどれだけの損失が生まれるかは、今、目下未知数でございますけれども、新銀行の出資、融資の限度は新銀行の準備金と資本金の合計の十五倍となっておりまして、計算をいたしますと、むつ小川原につきましてある程度の損失金が生じましても、この十五倍という限度は十分にクリアできる、こういうふうに考えますので、したがいまして、新銀行活動に支障を生ずることはないであろうというふうに考えております。
  25. 中野正志

    中野(正)委員 お説のとおりだと思いますので、どうぞ自信を持って頑張っていただきたいと思います。  次に、この苫東、むつ両方とも、大変広大な用地であります。調べましたら、分譲予定面積に対する分譲率は、現在、それぞれ一五%、四〇%弱と、残念ですけれども大変小さいものになっておるようであります。しかし、実際の面積ベースでは、おのおの八百ヘクタール超、そして一千百ヘクタール超と、普通の工業団地からすれば十数カ所分あるいは二十数カ所分の分譲はなし得てきているようであります。  苫東、むつに共通する特色は、用地の権利関係がしっかりと整理されて、所有権が一つに集約されていることだ、それから既に漁業権の補償も終えていることだ、さらに、海があり、山があり、川があり、また湖沼に囲まれた自然空間を保持し得ていることだ、そういうふうに理解をいたしております。  苫東、むつは、七〇年代の第一次オイルショックの際に、すぐさま石油備蓄基地建設の用地を提供されたようでありますし、第二次オイルショックの際には、苫東では石炭火力発電所を建設されました。むつでは既に、日本のエネルギー政策上極めて重要であります原子燃料サイクル施設が稼働を始めておるわけであります。これも苫東、むつといった備えがあったからこそ対応できたのだなと私は確信をいたしております。  一般的に言えば、事業が失敗すれば何も残りません。この両プロジェクトは、緑豊かで、しかもいつでも使うことのできる、まとまりのある広大な用地を残しているのであります。これを二十一世紀、次の世代のためにどのように活用していくかを考えることが今一番求められているのではないでしょうか。  二十一世紀には正直何が起こってくるかわかりません。地域の振興のみならず、国家の危機管理の上でも、まとまりのあるこの二つの用地、これから必ず必要なときが来る、私はそう確信もいたしておるのでありますけれども、今日までの長い歴史を詳しく御存じをいただきます宮澤大臣個人の考え方を、この際、改めてお伺いをいたしておきたいと思います。  ちなみに、御答弁をいただく前に、きのうの議論を聞いて、東北北海道選出議員の立場からは、今日の時点であれもこれもけしからぬと批判するのは容易なことではありますけれども、その当時の判断としては妥当なものであったと私は理解しているのであります。  当時の国内の経済計画を調べますと、池田内閣の所得倍増、完全雇用、佐藤内閣の均衡がとれた経済発展を通じて住みよい日本の建設、そして田中角栄首相の列島改造論と続くのであります。国民みんながというよりは、私たちの先輩の大正生まれ、そして昭和の戦前生まれの皆さんが、アスナロ精神で、日本が、地域が、私たち家族が豊かでありたい、そういうふうに懸命に実は頑張られた時代であります。当然ながら、条件不利地域と言われる東北北海道に対して国が特段の配慮をする、苫東むつ小川原といった、本来開発など及びもつかない、そんな地域に国の政治の光を当てる、まさに私は大きな夢を地域とその住民に与えたナショナルプロジェクトであったのだと思っております。  御承知のような経済激変が苫東、むつの今日の状況を招来せしめたことは大変残念ではあります。確かに、きのうの議論指摘されましたように、各省庁機関の連携でありますとか計画の修正問題あるいは経営などでの不適切な点は、首肯できるところは一部ありますけれども、大きな間違いであったかのごとくの議論は納得できないのであります。富の蓄積もない、自力での発展も難しいという地域に国が特別の配慮をする、これは政治の、また国の重要な役割だと考えております。  何はともあれ、苫東、むつとも今後の土地活用策でいろいろなプロジェクト案が提示されております。重大な反省をしながら、この法案の成立を機に、さらにすべての英知を結集して所期の成果をおさめたい、私どもも精いっぱい協力をさせていただきたい、そう念じておるところでありますけれども、宮澤大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと存じます。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 北東公庫の誕生のいきさつにつきましては先ほど少し申し上げたところでございますが、当時、昭和三十一年、二年、北海道東北地方も特別に国の金融的な配慮を必要とする状況にあった、そういうことが地方からの要望であったことも確かであります。が、同時に、国におきましても、新全総が述べておりますように、やがて四十年代になりまして当時の我が国の国情として、将来を展望してかなり大きな用地あるいは水等々、大きな工業立地、長大な設備設置産業等々の用地が不足をしておる、国の将来を考えるとその確保はどうしても必要であるというのが新全総の認識でございますが、したがって、国としてもこの北海道及び東北の将来に大きな期待をかけて、その中から苫東あるいはむつ小川原というような具体的な計画が生まれ育っていったわけでございます。  その後、石油危機が二度ございまして、やがて我が国は、殊にプラザ合意以来かつての高い成長がとまりまして、今こういう非常に不振の状態にございますけれども、しかし、将来を展望いたしますと、今の日本一つの蹉跌に遭遇しているのであって、これは必ず乗り切ることができるし、そして二十一世紀に向かってもう一遍飛躍をすることができる、これは私は間違いないと考えておりますが、そのときに、再び北海道あるいは東北に、今そうやって、いわばいつでもレディーという大きな用地をやはり日本経済は持たなければならないのではないかというふうに私は考えています。  今、北東公庫が損失金を出しまして、それをこういう形で処理をして、新しく新銀行にその仕事を引き継いでもらおうとしておりますが、願わくば、北海道がそうであったように、むつ小川原につきましても、何かこの後の承継の体制というものを何とかつくっていただきたいと私は念願をいたしております。そのための国の負担、こういう形で北東公庫の損失金となっていくかと思いますけれども、それは日本の将来を考えれば、やはりここのところは多少国が負担をしてでも、この両方の地域の将来にかける期待は大きいと我々は考えております。したがいまして、むつ小川原につきましても、何かの体制が生まれて、ある程度北東公庫が損失金を覚悟しなければなりません。それは、しかし決してむだ金であるとは私は思いません。  今までこれらの問題についての行政の対応というのは百点満点ではなかったかもしれませんし、北東公庫が後ろについておるということで、多少親方日の丸的な部分はあったかもしれませんけれども、大局的に見て、この苫東むつ小川原というものは、私は、この際多少の負担があっても将来に向かって確保していくことが、地域にとってはもちろんでありますけれども、国にとって大切なことだというふうに考えております。
  27. 中野正志

    中野(正)委員 私たちは、二十一世紀東北北海道の時代だと自負をいたしておりますけれども、今宮澤大臣から大変に心強い御発言がございまして、本当にうれしく存じております。これからも、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは、次に、日本政策投資銀行の情報公開への取り組みについてお伺いをいたしておきたいと存じます。  民主的な行政の推進に資するため、行政機関による一層の情報開示が求められている昨今でありますけれども、政府系金融機関も例外ではありません。新銀行はどのような情報公開を行っていくつもりなのか、お伺いをいたします。
  28. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 まず、財務諸表等の関係でございますが、これは特殊法人一般の規定が九年の通常国会におきましてできまして法整備が図られまして、それに基づいて開銀北東公庫、既にやっているところでございますが、これが新銀行にも引き継がれるということになります。  それから、今御提案申し上げている法律案によりまして、役員の給与等の支給基準については、これは十九条でございますけれども、公開を義務づけているというようなことをいたしております。それから、政策投資銀行が作成いたします投融資の指針でありますとか、あるいは業務の遂行状況を検討する機関として運営委員会を設けておりますけれども、その運営委員会の検討結果、こういうものについても公表をするということでございます。  さらに、国民各層に対しまして、新銀行業務状況等をディスクロ誌というような形で公表し、さらにインターネットのようなものも使いまして公表を行ってまいりたい。こういうものにつきましては既に両機関で行っているところでございますけれども、新銀行になりましたらさらに充実をしていくべきものと考えております。  以上でございます。
  29. 中野正志

    中野(正)委員 最後に、これまで開銀北東公庫が行ってきた中堅企業など向けのいわゆる貸し渋り対策、どのように取り組んでおられるか。また、一生懸命頑張っておることは重々承知はいたしておりますけれども、引き続き中堅企業などへのこういった貸し渋り対策、しっかりと実施をしていただくということが大変大事だと考えますけれども、いかがでございますか。
  30. 小粥正巳

    ○小粥説明員 貸し渋り対策についてのお尋ねをいただきましたが、この問題につきましては、実は一昨年の十二月に、私ども、政府経済対策を受けまして、貸し渋りの影響を受けている健全な中堅企業等を支援すべく新しい制度を設けまして、以来積極的な対応を行ってまいりました。しかし、なかなか現象としての貸し渋りがおさまってきておりません。そこで、そのような状況の中で、昨年十一月、御案内のように政府が緊急経済対策を打ち出しまして、その中でこの信用収縮対策が非常に大きな柱として取り上げられました。そのもとで、昨年十二月に日本開発銀行法の一部改正が行われまして、長期運転資金融資あるいは社債償還資金融資の導入等、貸し渋り対策の一段の強化が行われました。  これに基づきまして、私ども、特に昨年の十二月から年度末三月にかけまして、この信用収縮対策に全力を挙げて取り組んできたところでございますが、簡単に数字を申し上げますと、この結果、三月に終了いたしました平成十年度の開銀融資全体の数字で申し上げますと、速報値でございますが、年度当初の計画の一兆七千七百十億に対しまして二兆六千百八十四億、大まかに申し上げまして計画との比較では約一・五倍、こういう実績を上げております。これはもちろん融資全体の数字で申し上げましたが、その七割以上は制度の適用あるいは実質的な貸し渋り対策という内容でございます。北東公庫につきましても、大変この問題には特に精力的に取り組んでおられると伺っておりますが、両者合わせまして貸し渋り支援にそれなりの相当な実績を上げてまいった、こういうふうに考えております。  また、今後とも、昨年の法改正は、これは御案内のとおり十二年度末までの時限立法でございますけれども、貸し渋りの現象が続いております現状、なお私どもといたしましては、中堅企業等に対してこの対策をさらに充実させていきたい、このように考えております。
  31. 中野正志

    中野(正)委員 ますます頑張ってください。終わります。
  32. 村井仁

    村井委員長 次に、中川正春君。
  33. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。通告に従いまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  今回の日本政策投資銀行法案につきましては、私は大きく二つ観点があると思うのです。一つの流れは、特殊法人、これの整理合理化をどうするかということの中で合併という話が出てきた。それについて、政府金融機関役割、あるいは時代背景が変わってきた中で特殊法人としての位置づけ、これを基本的に原点に戻って洗い直していく、その中でこの法案を位置づけていくということ、これが一つ大切なことだと思っております。  それからもう一つは、この中に含まれている、先ほどから議論の出ておりますいわゆる国家プロジェクト、ビッグプロジェクトに対して、これが長期にわたっていろいろな時代背景の中で進められてきた。今回一つの節目を迎えて、見方によっては我々はこれは破綻したというふうに見ておりますが、こういう時代背景の中で、今回の失敗というものをどのように将来に生かしていくかという、その観点が必要だろうというふうに思うのです。  それだけに、ただ合併して、それで開発銀行の準備金の中で償却をして、それで話が終わったということじゃなくて、この際に、本当に何が問題であったのか、どういう構造的な欠陥があったのかということも含めて、私は、慎重に審議をしてそれを明らかにすることによって次の仕組みというのを考えていく、こういう観点がやはり必要なんだろうというふうに思うのです。  それだけに、ぜひ時間をかけて根本的な議論というのをまずやっていただきたい、このことを冒頭、心からお願いをする次第であります。そういう観点に立って、一つ一つ時間の許される中で質問をしていきたいというふうに思っております。  まず第一に、大蔵大臣にお聞きをしたいのですが、先ほどの、いわゆる特殊法人整理合理化していくという行政改革観点の中でこの二つ機関合併していくという結論を得られる、こういうことでありますが、基本的には、この特殊法人見直していくときに、まず廃止ということがあると思うのですね。時代背景の中でもうこの機関は要らないということ、それについてまず議論をする、それで要らなければその部分は廃止をしていくという、これが特に北東公庫の場合にあったのかどうか、そこのところであります。  それからもう一つは、民営化という議論があるわけですが、これは、財投をどうするかということがまず前提に議論としてないと話にならないだろうというふうに思いますので、この部分は別の問題として、この廃止という前提についてはどういう議論をなされたのか、なぜこの二つ金融機関合併という結論に至ってきたのか、そこのところを改めてまず御説明をいただきたいというふうに思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昭和三十一年にまず北海道開発公庫が、続いて東北を含めまして今の公庫になりましたことは先ほど申し上げましたが、当時既に開銀はございまして、開銀自身は地域金融というものを分担いたしておったわけです。しかし、その中で、北海道また東北は特段の処理を必要とするという地域の要望、国の認識から北海道東北開発公庫が誕生をいたしまして四十年になるわけでございます。  昨日も総裁が説明をしておられましたが、今我々は北東公庫といいますとむつ小川原あるいは苫東というのが話題になりますけれども、実は、この四十年間に北東公庫がしてきた仕事は、それ以外にも、むしろそれ以外が本来でございましょう、非常に大きな仕事をして、しかも、その間不良債権になりましたのは〇・一五%と言われましたから、それはもう非常に大きな仕事をしてこられて、それによって北海道及び東北地域の需要にこたえてこられた。このことの方が大事な部分でございます。  そこで、その仕事はこれからは新銀行になっていくわけですけれども、北海道あるいは東北がこの公庫を要望され、また公庫がしてきた仕事から見まして、全国の中でも特段の注意を要する地域であるということは、一般論として私は恐らく変わらないであろう。恐らく、北海道東北もほかと全く一緒になりますと、今度は新銀行ではそうなるわけですけれども、しかし、やはりこの公庫のしてきた仕事に対するこれらの地域のこれからの要望も大きいということは、先ほどの御質問にもございまして、そうであろうと思います。  それで、なかんずくその中で苫東むつ小川原をどうするかということが昨日以来御議論になっておるわけですが、私どもは、これはやはり将来に向かって、多少公庫が損失金を出しましても存続をして、やはり将来に入り用なプロジェクトではないか。苫東につきましてはその形があらわれたわけでございますけれども、むつ小川原についてはまだ具体的になっておりません。したがって、それをこちらから申していいことでもないのですが、恐らくやはり何かの承継が考えられるのではないか。少なくとも、私どもの方というか、北東公庫としては、そういうお話に入っていく用意があるということはもう間違いないことでございます。  そういうことで、したがって、廃止をするとおっしゃいましても、形の上で北東公庫という名前はなくなっていくわけですが、北東公庫がやった仕事及びその承継というものは、今後ともそういうニーズ、そういう仕事の必要というものがあるのであろうというふうに私どもは判断した次第であります。
  35. 中川正春

    中川(正)委員 恐らく北海道それから東北地域状況というのは、今回の経済が非常に行き詰まっている中でも深刻なものだということについては我々も認識をしておりますし、その中で、特に中堅の企業を中心にいろいろな形で役割を果たしてきた、これについては私も否定するわけではないのです。どちらかというと、その処理の仕方ですね。  実は、我々は、民間金融機関対象に、これを産業として再生させるためにどんな仕組みをつくっていくかという議論をこれまでやってきました。そういう場合に、こうした苫東あるいはむつ小川原、先ほどの議論のように、こういうものを抱えて、実質債務超過ではないという答弁が先ほど出ていましたけれども、むつを想定して全体の流れを見たときに、普通であればこれは破綻処理ですよというような形のものが当然民間の基準からすれば出てきても不思議ではないという銀行を抱えたときに、民間であれば、普通は不良債権と健全な債権を分けて、健全な債権の方をこうした受け皿銀行をつくりながら移す、不良債権については、これはまた別個な手法の中で、一つ一つ責任ということもはっきりさせていきながら過去を洗い直す、それによって将来に生かす、そういう一つの方法論というのがあるのですね。  それをやろうと思えば、今回もそういう形のものができるだろう。にもかかわらず、すべてを一緒にして、一番安易な形で新しい組織の準備金ということで償却をしてしまう。その償却をしてしまうということによって過去の本当のこの教訓が生かされない。うがった見方をすれば、これで全部包み隠してしまおうじゃないか、もう過去のことはきれいにしてしまおうじゃないかというような形でもしこれが進むとすれば、全く将来にこの話が生きてこないのじゃないかということであります。  そういう意味で、そうした選択肢もあるにもかかわらず今回のような形にしたのはなぜか、そういう意図で私は先ほどの質問をさせていただきました。そのことについてお答えがあればひとつ答えていただきたいということ。  それから、北海道開発庁の方も共管という形でこの処理の問題についてはかかわっておられるわけであります。その北海道開発庁の方からも、この点について見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  36. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 御指摘のように、発生いたしました損失の処理といたしましてはいろいろな方法があろうかと思います。  ただ、私どもが行政府として御提案申し上げておりますのは、今度新銀行が、先ほど先生御指摘になった行革の流れ、特殊法人整理統合の流れで廃止をいたしまして一つ銀行にするということが実は既に決まっておったわけでございまして、その中で、開発銀行北東公庫の一切の権利義務を新銀行に引き継ぐということがあったわけでございます。したがいまして、北東公庫の発生いたします損失の処理につきましては、新銀行全体として一体に処理することが適当であるというふうに判断をしたということでございます。  それから、新銀行は、開銀からは準備金を引き継ぐわけでございます。さらに、新銀行におきましては、北東公庫の場合と違いまして、一定の経済の変動によります、あるいは取引先状況変化によります、それから発生するような損失については準備金の中で吸収をしていくという仕組み開銀と同じように新銀行の制度の中に設けたわけでございますから、したがいまして、この中で損失の処理をすることが適当であるという判断をいたしまして、そこで新しい法律の一要素として国会に提出いたしまして御審議をいただき、御了解をいただきましてこれを実施したいというのが私どもの考えでございます。
  37. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 北海道開発庁といたしましても、ただいまの大蔵省の見解と全く同様でございます。
  38. 中川正春

    中川(正)委員 一つ別な観点から聞いていきたいのですが、今回の場合、合併というけれども実質開発銀行が吸収するというような形だと思うのですね。例えば、その経営を担当する総裁として、普通こうして合併するなりなんなり引き受けますよという話が出た場合には、それではちょっとそのややこしい部分だけは別途やってもらえませんかと。実際にやらなければならない、いわゆる健全な債権も含めて、あるいは先ほどの北海道東北あるいはその地域ということを念頭に置いたこれからの役割というその部分も含めてこれは考えましょう、こういうような責任ある形といいますか、経営者としての当たり前の議論といいますか、そういうものが出てきていいのだろうと思うのですが、そういう点では、今回のような処理の仕方というものに対して開発銀行の総裁としてどのような御意見をお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
  39. 小粥正巳

    ○小粥説明員 先ほど来御当局から御説明がございました今回の両機関の統合、その際の不良債権に基づく損失の法定準備金による処理、これについて、今のお尋ねは、開銀総裁としてこれをどう考えるか、こういうことであろうと思いますが、私といたしましてもただいまのお尋ねにどうも当惑と申しますか、これをお答え申し上げるのはあるいは新銀行の総裁になるべき方がお答えすべきものだろうと思いますので、私としてなかなかお答えしかねると申し上げざるを得ないのでございます。  しかし、せっかくのお尋ねでございますから、あくまで一般論として申し上げますならば、日本開発銀行北海道東北開発公庫、ともに政策金融機関でございます。すなわち、国が定めました政策金融上の手段によりまして実施していく、これが私ども政策金融機関使命でございますし、私自身、内閣総理大臣から任命をいただいた立場でございます。  したがいまして、ただいま御審議をいただいております北東公庫との統合に伴う損失処理の問題につきまして、既に御説明がありましたように、閣議決定という形で政府の方針が決定され、それに従ってこの法案法案として形づくられ、現に御審議をいただいておる。私どもといたしましては、つまり政策金融機関の当事者といたしましては、この種の問題につきましては、政府のお決めになった方針、これを厳粛に受けとめ、粛々とそれに従って行動していく、それがあるべき道であろう、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、あえてつけ加えさせていただきますと、御審議の上、法案が成立いたしまして新銀行が発足をいたすことになりますと、その新銀行におきましては、先ほど来御議論がありましたように、このようなプロジェクトの経緯、教訓というものを踏まえながら、私どもだけではございません、開銀北東公庫、それぞれにおいて蓄積をしてまいりました審査能力を一層活用いたしまして、プロジェクトの事業性、将来性についての判断、あるいは長期的な資金回収の可能性についての的確な見通し、そういうものを持ち、かつ、リスク管理等に万全を期すことによりまして新銀行の財務の健全性を確保し、適切な政策実施機関としての業務の遂行を行っていくことが一層強く求められていく、そういうふうに考えている次第でございます。
  40. 中川正春

    中川(正)委員 日本開発銀行法三十六条というのがありまして、これでいくと、準備金というのは、みずからの損失、この補てんに充てる場合を除いては取り崩してはならない、こういう条項があるのですね。今回の場合は、超法規的といいますか、そういう意味では、一たん開発銀行を御破算にして、合併して新しい法律でやりましょう、それを政府が決めていくということ、それに従っていくということであります。  本来、それぞれの独立した機関一つの方法論というか規則をつくって、その中で運営をしていく、それが法治国家なんだろうというふうに思うのですね。ですから、開発銀行法の場合はそうした準備金をつくってその中でやっていきましょう、公庫法の場合は国が損失を補てんしていきましょう、こういう建前の中で二つがやってきたということですね。  私、もう一つわからないのは、だとすれば、この建前が本質論としてあるんだとすれば、今回合併する場合も、まずはこの本質論で解決をしておいて、それぞれの責任を明確にした上で合併の話が出てくるというのが順当なやり方だろう、当たり前のやり方だろうというふうに思うのですね。ところが、この法律に限っては、そのことを全部御破算にして、たまたまこっちに準備金があるから、それでほかの銀行の損失までカバーしてしまおう。しかも、むつなんかはこれから確定されるというのが目に見えてきているわけですね。それもはっきりさせないで、一つ一つ責任ということについてもはっきりさせないで、うやむやにしたまま、また引き継いでしまおう、それで開発銀行の準備金で消してしまおう。どうも、その辺の意図というか、なぜちゃんとしないんだということ、これが見えてこないのです。それについてもう少し納得のいくような説明をお願いしたい。  それから、幾ら政府の方針だといっても、やはりこれからは、それぞれの特殊法人の総裁たる者、あるいは経営責任といいますか経営を任されている人たちというのは、一つの気概を持たなきゃいけないと私は思うのですよ。自分の組織なりの意見を持って、それを表明するということによって公に意見を闘わせてそれなりの責任を全うしていくということでないと、北東公庫みたいなことになってしまう。これは悔しいでしょう。お話をしていても、自分に何の権限もないんだ、世の中全部上の方でずっと動かされていて、私たちはその執行機関なんだというようなことを言われたら、では最終的に何のために総裁としてあなた方はいるんですかということを本当に基本的に問いたくなってくる。そんなこともある。  いずれにしても、そこのところ、もとの話に戻って、どうしてまず整理をしてから合併をしないのか、この法律にあるように、整理をしてから合併をしないのかというところ、そこのところを納得のいくように説明をしてください。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  41. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 やや繰り返しになりますが、先ほどの経緯のところをちょっと申し上げまして、それから考え方のところをその次に申し上げます。  経緯のところは、新銀行を設立するという話は、国の行政改革の一環として、特殊法人整理統合をどう行うかということで決まってまいったわけでございます。平成六年の閣議決定に基づきまして行政改革の考え方が打ち出されまして、平成七年に政府系の金融機関整理統合議論が随分なされまして、平成九年の九月に、今御提案申し上げております開発銀行北東公庫を廃止いたしまして新銀行をつくるという決定がなされて、法律を今出しておるということでございます。  それから、苫東の処理の関係でございますが、これは昨日北海道開発庁の方からも説明がございましたが、破綻処理をせざるを得なくなったという判断を昨年の四月ぐらいでございましたか、いたしまして、関係者といろいろ交渉いたしまして、その結果、昨年末に、十二月でございましたけれども、閣議決定が行われまして、一定の処理の方針が政府として決められた。そういう中で、そこから生ずる損失の問題については新銀行の設立のときに処理をするという閣議決定が行われました。  したがいまして、新銀行法案を出す中で、新銀行をこういう形で設立するという内容とともに、損失の処理をこういう形でしますというのを規定として入れた、損失の処理の方はそういうことで附則に入っておるわけでございます。考え方は昨日来申し上げておりますから、権利義務を引き継いでいるという関係のところは申し上げませんが、先生御指摘のように、損失をどういう形で処理するかというのは、いろいろな方法はあり得ると思いますけれども、政府としてはこういう選択をしたということでございます。  それで、国会に御審議をお願いしているということでございますが、その損失の発生したことに伴います今後の反省をどうするかとか、そういうことがないようにどういうようにするかとか、それはそれで私どもとしてきちっとやっていかなきゃいかぬ問題だと思います。ただし、損失の処理というのは、いわば起こった問題について、今後当該政府関係金融機関業務をするに際して支障がないようにするためにどうしたらいいかということを考えてやる必要があるわけでございます。  そこで、なぜそういうことかといいますと、両方とも政府が全額出資した特殊法人でございますから、その特殊法人が廃止されて新銀行になりましても、新銀行として一定の資本を持ちまして、あるいは準備金を持ちまして、業務に支障がないように運営できるということが大事なことであります。そういうことによりまして顧客方々あるいは借り手の方々に支障のないように業務ができるということを考える必要があるわけでございます。  そういう観点から考えますと、新銀行ができる際に、損失も引き継ぎますけれども、開銀の方から準備金も引き継ぐ、それで、さらに新銀行におきましては、一定の経済の変動等に伴うバッファーとしては資本金と準備金を一定額持つ必要があるということをチェックいたしますと、今御提案申し上げているやり方で妥当ではないかというふうに考えたということでございます。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 中川正春

    中川(正)委員 質問の答えにはなっていないようなことでありまして、これは大臣の方からもう一度お答えをいただきたいと思うのです。  なぜもともとある枠組みをまず使って整理をしなかったのかということです。なぜこういう形で超法規的な合併ということで償却をしてしまわなければならないのか。これはもっとじっくりと議論をしていけることだと思うのですね、その処理の仕組みの中で。それがまた将来に対して生きてくる、こういうことだと思うのですが、大臣の方からもう一度お願いをしたいと思います。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 超法規的とおっしゃいますことには、必ずしもそう思っておりませんで、現にこうやって国会で御審議を願っておるわけですから、少しも超法規的なことはございません。  それをまず申し上げておいて、しからばどういう方法をしたらいいとおっしゃるのか、そこのところが十分のみ込めません。御質問の趣旨はどういう趣旨になりましょうか。
  44. 中川正春

    中川(正)委員 普通は、今の国会のルールでいくと、反対を向いて質問をするというのはないそうなんですが、あえて私の方も頭にあることをお答えさせていただきたいというふうに思うのです。  民間であれば、不良債権というのはその部分だけ、今度新しく機構ができましたけれども、整理回収機構へ回す、健全な債権を受け皿銀行に渡す、業務はそれで支障なく続いていく、こういう手法があるわけですね。そういうことを想定していけば、この苫東むつ小川原についても、これは最終的には政府責任を持っていく、そういう問題なんでしょう。これについては異論はないのです。けれども、持っていくにしても、それはこういう形で、開発銀行の準備金というのを取り崩すというのは理屈に合わないといいますか、法体系の中でこれまでやってきたこととは違ったことをやるわけです。法体系というのは、どういうふうに名前を変えてももとは開発銀行の準備金だったわけですね。これは、開発銀行業務の中で損失ということが起きて、そのための準備金なんだということでありますし、公庫は公庫で、それは国に上納しているわけですから、その分は国が責任を持って損失を補てんしていくという法体系があるのですね。  だから、この二つの法体系を全うしていくということ、これがまず大前提になっていって、そういう二つの話、民間の意味での整理回収機構に回すということとこの法体系、この二つの問題を兼ね合わせても、これは不良債権の部分一つ別個にとって、その中で不良債権をどうしていくかということだけを議論する、それで結論を得ていく。その議論をしていく中で、本来国家のビッグプロジェクトというのは何だったのか、これを時代背景の中でどういうふうにこれから位置づけていったらいいのかということも含めて議論をする機会、それで解決をしていく方法論、これが正しいのではないかという意味合いなんです。そういう前提に立って大臣の意見を聞かせていただきたい、こういうことであります。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今言われましたようなことをするといたしますと、北東公庫が仮に債務超過になった場合に、それを国が一般会計から補給金を出して、そして黒字にしておいて、その後合併をさせるべきだとおっしゃる。そうではなくて……(中川(正)委員「そうじゃない。破綻処理をすべきだ」と呼ぶ)破綻処理とおっしゃいますのは、北東公庫が債務超過になったという意味でですか。それは、公庫の総裁が言っておられますとおり、北東公庫は債務超過になっておりません。したがって、破綻処理という問題は起こらない。
  46. 中川正春

    中川(正)委員 特殊法人見直しの中で、一つ役割が終わった、あるいは役割がほかの機関に継承できるような状況が出てきた場合には、その機関そのものを取りつぶしていく、なくしていくという決定もできるわけですね。だから、そういう中で、一たんそれはそれで清算をしていく、責任をはっきりさせていく。けれども、業務そのものは、今回のように開発銀行で、その中の展開で十分に見ていけるわけですから、そうしためり張りのきいた、はっきりとした整理というのが大切なんじゃないか、こういう趣旨なんです。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その部分は少しわかってまいりましたが、これについての御議論はあるかもしれないと思います。  御承知のように、苫東が新会社設立をいたしました経緯がございますが、その苫東が新会社になりますときに、北海道開発庁あるいは北海道公庫等々、旧会社、みんな一緒になりまして新会社の設立をいたしましたが、そのときに北東公庫は、片っ方で損失を引き受けるわけですが、他方で新会社へ出資をいたしております。恐らくおっしゃいますことはそこに関係があるのだと思います。  つまり、北東公庫はこの新会社の処理について出資をいたしておりまして、北東公庫そのものがそこでなくなってしまうわけにはいかない。つまり、北東公庫は損失金を新会社に引き継ぎますが、出資分も新会社の資産になるわけでございますから、おっしゃいますように、北東公庫をなくしてしまうということになりますと、債務超過でございませんからなくすことは本当はないと思いますが、恐らく苫東の新会社の設立というものができなかった、そういう経緯があると存じます。  それはわかった、わかったが、本末転倒の説明ではないかというお顔をなすっていらっしゃいますが、ただ、ここのところは、やはり北東公庫というものは、そういう意味での使命は終わって新しいものになっていいのだが、した仕事、殊に苫東という大きな仕事はなくなっていない、そういう物の考え方がございます。同じことがむつ小川原について起こるかどうかはちょっと定かでございません、これからのことですが。少なくとも苫東について起こっておりますから、したがって、全体の処理としては、北東公庫がその前になくなってしまうというわけにいかなかったということがあると私は思います。  しかしながら、もしこの損失金を持ち込むことによって新銀行が資本金プラス準備金の十五倍という限度を出資、融資が限度超過をするということになりますと問題でございますが、その点はございませんから、そういう意味で、一つ政府全額出資の間でこういう処理をすることは私は別段間違いではないだろう、こうやって法律で国会の御承認を得ることでございますからないであろう。殊に、北東公庫が債務超過になるとは思われませんし、したがって、そこに補給金というようなことも実際は起こらなかったのですけれども、一般会計を別に煩わすことなくこういう処理をいたしたということは、国会で御承認をいただければお認めをいただけることだというふうに考えます。
  48. 中川正春

    中川(正)委員 みずから言われましたけれども、本末転倒のような話になっておりまして、十分に私自身も納得したということではありません。それだけに、後このまま流していくのではなくて、では、そもそも苫東あるいはむつ小川原、これを台座にして、国家のビッグプロジェクトというのはこれからどういう位置づけになっていくのか、そして国家金融というのがどのような形でそういうものにかんでいくのか。責任の所在。先ほどちょっと総裁が答弁をされましたけれども、皆さん、ああいう状況で莫大なお金を動かしていくということは続けられないだろう、もう少しめり張りのきいた責任感覚というか、そういうものが必要なのだろうというふうに思うのですね。そういう議論をさらに将来にわたって続けていく、そのことがはっきりした上でこの法律も考えていくということにぜひしていきたいというふうに思います。  次に、これからのこの投資銀行の位置づけについて少し質問をしていきたいというふうに思います。  これは、北東公庫見直していくべきではないかと言いましたけれども、私は、開発銀行そのものも、今見ていて、本来のいわゆる重厚長大型の産業基盤興し、あるいは財投をそのような形で流していく、そういう役割というのは現実問題として相当変わってきていますよという問題意識を持ちながら、今度新しい流れをつくり出そうという意図は感じられるのです。  しかし、現実、貸出先のリストを出してもらったのですが、これは今のところどんな貸し出し方をしているかというと、例えば、貸付残高上位二十社というのを一覧表で出していただいたのですけれども、一番大口で東京電力を先頭にしまして、各電力会社みんな入っていますね。それとあとは鉄道それから運輸、これは二十社だけで全体の貸付残高の四七%。この中身はどの会社を見ても、わざわざ政府系の金融機関からこうして貸し出しを受けなくても十分に民間のマーケットから調達ができ得る会社ばかりでありますし、そういうマーケットの評価も高い会社ばかりなのですね。そういう会社に対する貸し付けというのが半分近くになっているという状況、こういうことが現実なのですね。  そこのところを具体的に何も言わずに、これから先、いろいろな方策が出ていますけれども、具体的に全体の金の流れのどれぐらいの割合を新しい方向に持っていかれようとするのか。その新しい方向というのは具体的に何なのか。これは、抽象的な話でそれぞれ私たちに報告が出されていますけれども、根本的なところで財投をどんなふうに活用していこうとしているのか、ここの議論を深めていかないと、この新しい投資銀行役割というのが浮かび上がってこない。そこのところも私はもう一つわからないのですね。  これも、いわゆる財投ということを念頭に置きながら、ひとつ大臣の方からお答えをいただきたいのと、総裁の方から、これは新しい総裁でないとだめなのかということかもしれませんが、両方、どちらでもいいですから、将来にわたってどういうふうに持っていくのか、もうちょっと具体的にお話をいただきたいというふうに思います。
  49. 村井仁

    村井委員長 新しい資金をどのように投入していくかという問題意識ですか。
  50. 中川正春

    中川(正)委員 財政投融資の将来の持っていき方という議論ももう一つあるわけですね。この将来も踏まえて、開発銀行、これがどこまで財投に依存をしていくのか。それで、債券も発行するという仕組みが、今度新しく両方のいいところをとって両方できている。これをどれぐらいの割合で活用していくというふうな想定なのか。具体的に言えば、そういうことと同時に、どこへ向いてその資金を流そうとしているのか。これは、実際に流している先と、将来にこうですよという指針が出ている先とがもう全く今違うのですね。それを具体的にどう切りかえていこうとしているのか、切りかえられるのか、そういう観点からお話ししていただきたい。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お尋ねの意味はしっかりわかりました。まず、易しい方からお答えをいたします。  財投の将来でございますが、一応、今のような郵貯その他からの受け入れというものは将来なくなるだろうということを前提に考えておりますが、その際、今財投に送り込んでおります郵貯等々、預託をしております金というものは恐らく自主運用になってまいりますから、その自主運用の対象が何であろうかということは今明確ではございませんが、いろいろ考えますと、国債等々いろいろなものであろう。それが自主であるのでありますけれども、国債等々、恐らく安全、確実な運用をされるであろうと考えます。それはそれで資金供給者として残るわけでございます。  そこで、財投は今度はそういう金は入ってまいりませんから、今のいわゆる財投機関等々に対して資金源をつくらなければなりません。それは恐らく、一般的に申せば財投債といったようなものになるのではないだろうか。それは、簡単に申しまして国債に変わりませんが、そういう財投債という名の国債が資金源になるであろうと思われます。  と同時にまた、今財投から融資を受けておりますいわゆる財投機関の中には、おっしゃいますように自己で財投機関債と申しますかどう申しますか、社債を発行する、債券を発行するところが、全部ではございませんでしょうが幾つか出てまいると思いますので、開発銀行なんかは当然そういう能力が今でもございますからそういうことになっていくのであろう。  そういう意味では、財投債と呼ばれる国債と財投機関と呼ばれる仮に開銀債といったようなものがどういう関係に立つのか、その間、政府保証がつくのかつかないのかというようなことが将来の問題として当然考えられますけれども、今のところ、それは、今申し上げたのは私が何となくデッサン的に申し上げましたので、まだ正式に財投というものがなくなりました後の進め方については何も決まっておりません。これからの問題と思います。  それから、次の問題の方がむしろ本質的に難しい問題だと思いますのは、この新銀行業務分野としては、経済社会活力向上及び持続的発展、豊かな国民生活実現地域経済云々、まあ最後のところは別といたしまして、最初の二つが何を意味するかというのは、実は私はこれからの問題であろうと思います。  今まで開発銀行が戦後ずっとやってまいりましたことは、正直を申して、なかなか民間金融機関ではできないような、一種の国の基幹産業等々に対する貸し付けが多かった。それはいろいろな意味で、非常に長期であるとか、あるいは低利でなければならないとか、必ずしもはっきりした利潤保証がないとか、いろいろなことで民業でやれないところを開銀がやってまいりまして、それが資料の御要求のありました貸付残高、東京電力以下になっておるわけでございます。  これから後、この日本政策投資銀行が、先ほど申しましたような業務分野に基づいてどういう方向に重点を置いていくかということは、率直に申しますと、これからお互いが議論しなければならない問題だろう。  国民生活ということの中には、環境もございましょうし、いろいろな問題が新しく生まれておりますから、これらもどっちかといえば民間銀行融資対象にはしにくいものである。恐らく、インフラの中でそういう種類のものは、やはり日本政策投資銀行等々にやってもらわなければならないのであろう。最近はダイオキシンとかいろいろなことを申しますけれども、なかなか民間金融に乗り切らないものが多い。しかも、かなりの資金を要するといったようなものが新しくこの投資銀行期待される分野であろうというふうに考えます。考えますが、それらは今私がここで例えばということを具体的に申し上げるのには少し熟しておりません。  しかし、明らかに、今までのいわゆる上位五十社への貸付残高、これらは有効な役割をしておりますけれども、少なくともこれに加わる分野というものが二十一世紀に向けては必ず出てくるに違いないというふうに私も思っています。しかし、それが今具体的にどうだということを申し上げるほど、私今はっきりした絵が描けておりませんが、抽象的に申せば、豊かな国民生活実現であるとか、あるいは経済社会活力のためのインフラとか、そういうふうに申し上げることができるであろうと思います。
  52. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいま大臣から御答弁がございましたので、もう尽きているわけでございますけれども、私は、開銀がこれまでやっておりました業務の実態に即して若干補足をさせていただきたいと思います。  先ほど来のお尋ねで、開銀の現在融資残高を上位五十社で見てみると、ある意味で当然のことながらでございますが、大企業ばかりである、電力・ガス等の公益的な事業あるいは陸上交通ないし空港関係、そういうものに集中をしている、こういうことでございます。  一つ申し上げたいのは、私ども、先ほど来お話が出ておりますように、国の経済社会政策に沿ってそれぞれの融資目的が定められ、それに従って開銀は、あるプロジェクトがその政策目的に適合し、これを推進する必要がある、そういう判断をいたしまして出融資を行っているわけでありますから、あえて申し上げれば、企業の大小と申しますか、企業そのものに着目しているのではありませんで、プロジェクトに焦点を当てて出融資の判断をしている。特に社会資本整備、あるいは資源エネルギー開発、さらには新技術の開発等、いずれも現在におきましては巨額の資金を必要とする、採算も短期的には極めてとりにくい大規模なプロジェクトの場合がしばしば多いわけでございまして、そのようなプロジェクトを政策的に推進する必要があると判断をして資金の提供をする。結果として、たまたまそういう大きなプロジェクトにかかわり合いのある大企業が開銀融資残高の上位を占めている、こういう現象が出てきていると思っております。  ただ一方で、御指摘のように、これらの大企業はかなりのものが市場からの資金調達力も一般的に申せば高い企業が多いわけでございますから、私どもの政策資金の配分上も、このことは、文字どおり自力で調達できる部分についてはそちらに任せるということは当然でございます。  特にこの点につきましては、平成七年に、与党の決定事項で「日本開発銀行の簡素・合理化について」という決定がなされておりますが、その趣旨に従いまして、私ども、平成八年度以降は、民間金融補完という立場をより一層明確にする観点から、長期資金の調達力が特に高いと認められる企業に対しまして、適用する融資比率の上限を原則三〇%にまで下げております。  したがって、その結果といたしまして、例えば、先ほど例示としてお取り上げになりました電力業界、確かに現在融資残高の上位を占めているわけでございますけれども、電力各社に対する開銀の最近の年々の融資額、これは五年前の平成五年度と比べましても非常に大きな割合で減少しております。そのことに端的にあらわれていると思っております。  なお、もう一言だけ、先ほど財政投融資の今後のあり方というお話がございました。大臣から御答弁があったとおりでございますけれども、私ども、仮に財投機関債による資金調達、もちろん今後は考えていかなければいけないと思いますけれども、この財投機関債による市場からの資金調達につきましても、やはり、政策コストを賄うに足る有利な資金調達を行いますためには、政府の信用が背景にあるという前提がありませんと極めて難しいことではないか、こういうふうに私は考えております。
  53. 中川正春

    中川(正)委員 用意してきた質問の半分もいかなかったので、また機会を見てぜひ続けさせていただきたいというふうに思うのです。  最後に、民間の貸し出しだけじゃなくて、見ていると、第三セクターに対して出資なり貸し付けなりしている部分、これも一つ一つ精査していくと、いろいろ問題をはらんだプロジェクト、これは経済の激変ということもあるのですが、それ以上に構造的に恐らくあるのでしょう、問題をはらんだものも持っております。  だから、これは北東公庫だけじゃなくて、開発銀行の受け継いでいる性格、それからこれからつくり出そうとしていくもの、すべて共通して、基本的な地域のプロジェクト、国家プロジェクトに対して、どのような装置、どのような仕組みの中で責任を明確にしながら関与をしていくかという、ここの整理がやはり必要なんだろうというふうに思うのですね。  例えば、国家プロジェクトに対して採算性について異論があれば、銀行当局としてそれを拒むということができるのか、ちゃんとそんな装置、仕組みが用意されているのかどうかということですね。あるいは、途中の計画の見直しに基づいて政策投資銀行独自の資金供給見直しができるのか、そういう仕組みになっているのかどうか。あるいは、プロジェクトが破綻したときの整理をしていくスキームと責任の所在について、はっきりとしたルールができているのかどうか。あるいはもう一つは、それぞれの政府系の金融機関に対して、第三者機関による検査、監督の体制、そういうものがちゃんとあって、同時に情報開示が十分になされているのかどうか。そんな観点が問われていかなければならないんだろうというふうに思うのです。  そんなことをもう少し議論したかったのですが、時間がなくなってしまいましたので、きょうのところはこれで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  54. 村井仁

    村井委員長 次に、末松義規君。
  55. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規です。私も、中川委員に引き続きまして、責任問題等を含めた、あとはこの事業見直しのシステム、そういったことについて質問をさせていただきたいと思います。  まず、北海道あるいは東北開発というのは非常に必要であり、また、未来へ大きな希望を抱かせるような開発の余地が残っていると私自身も思います。そういった意味で、この開発は極めて重要だし、また、現下の北海道東北地域に見られる雇用情勢の厳しさとか、その辺を見るにつけ、あるいは経済の低迷を見るにつけ、もっと何とかできないかということは私も非常に考えるところなのです。  今回の北東公庫開銀との合併、この措置なのですが、私、個人的に思いますに、役所レベルとか準役所レベルで考えますと、ウルトラCというのですか、そういう解決案なんだろうなと思うわけですが、一方、国民とか民間金融機関等に対して負担を最終的にかけるんだということからいけば、どうもこれは、国を中心とするこういった国家プロジェクトの傲慢さを示す何物でもないという気がするわけなのです。  以下、これに関して順次質問をさせていただきますが、まず、民間金融機関に対して借金を棒引きさせるというような形で、債権放棄という形で借金を踏み倒したというようなことで、迷惑をかけているのじゃないか。五百億円以上、民間金融機関が債権の放棄に応じたという話が苫東についてはございますし、むつ小川原についてはそれに対して反対しているという話がございますが、この点についてどういうふうに考えているのか、お聞きをしたいと思います。
  56. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社の破綻に伴いまして、千七百八十億円に上る債務の整理という問題が起きてくるわけでございますけれども、これにつきましては、引き続きこの苫東地域を一団の土地として新会社のもとで活用していくという観点から、円滑に処理する必要があるわけでございます。  もとより、北東公庫ばかりでなくて、民間金融機関に対し債権放棄を求めるというのは、大変申しわけなく、心苦しい限りでございますけれども、何とか、新会社設立のスキームのもとで債権の一部弁済を図りながら債権を償却していただくことにより、引き続きこの新会社を中心とした苫東の計画を遂行してまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
  57. 末松義規

    ○末松委員 では、心苦しいということは、迷惑をかけたという気持ちがあるということをもう一回確認します。
  58. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東開発につきまして北海道開発庁は計画責任を負っているわけでありまして、いろいろ予想しがたい経済事情の変動があったとはいえ、結果といたしまして苫東会社の破綻を来した、北東公庫を含め債権者の方々に大変な御迷惑をかけたということでありまして、その限りにおきまして、結果論でありますけれども、計画責任を必ずしも十全に全うできなかったのではないかというふうに思っているところでございますし、債務処理をきちっとやった上で新会社が円滑に事業ができますように、そういった形での責任を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  59. 末松義規

    ○末松委員 例えば、民間金融機関がこれから株主訴訟をやられた、そして大変苦境に陥るということ、むつ小川原なんかそこを心配してなかなか債権放棄に応じないという話も伝えられておりますが、もしこういった株主訴訟をやられて民間金融機関が大変な苦境に陥るということになった場合、北海道開発庁の方はどう対応される御予定ですか。
  60. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 新会社設立と一体としての苫東会社にかかわる債務処理のスキームでございますけれども、これにつきましては、北東公庫の新会社への出資を平成十一年度予算に計上し、全体のスキームを明らかにする形で提起をしているところでございます。  その上で、このスキームについて、全債権者あるいは関係者との間で、具体的には債務の弁済あるいは場合によって債権の放棄についての合意というものができますならば、仮に株主代表訴訟という問題が起きたといたしましても十分に対応可能であるというふうに考えているところでございます。
  61. 末松義規

    ○末松委員 そうすると、合意ができれば、国あるいは北海道開発庁がこのプロジェクトについて、民間金融機関のことについて支援をするということになるわけですか。
  62. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 現在、民間金融機関あるいは北東公庫苫東会社に対して持っております債権の弁済の仕組みでございますけれども、これにつきましては、新会社を設立し、これに対して北東公庫北海道あるいは民間の出資を募り、この出資金によりまして現在苫東会社が持っております事業資産を引き継ぐ形になるわけでございます。そうしますと、現在の苫東会社には例えば土地の譲渡代金が入ってまいりますので、そういった形を通じまして債権者の債務の一部弁済に充てていくというスキームになっているわけでございます。
  63. 末松義規

    ○末松委員 それは、新会社ができる前に苫東開発会社に対して債権放棄をするということなのでしょう。債権放棄というのはもうその時点で債権放棄するということでしょう。あなたの言った話は、民間金融機関が出資をしてどうこうという話はあるけれども、その新会社にそういった負担を負わせるということですか。
  64. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 いわゆる任意の償却でございますけれども、それぞれの民間金融機関がどの時点で任意償却をしているのか、あるいはこれからするのかという点については私ども掌握しておりませんけれども、ただ、新会社スキームを成り立たせるためには、全債権者、それと債務者であります現在の苫東会社との間での弁済に関する合意が必要でありまして、その上で、そういった合意にのっとった形でどの時点で民間金融機関が債権放棄をすることになるのか、この点につきましては民間金融機関とも現在協議を行っているところでございます。  御指摘の、新会社について負担を負わせるという点につきましては、ちょっと御質問の趣旨ははかりかねましたけれども、特段債務処理に当たって新会社が負担を負うということにはならないわけでございます。
  65. 末松義規

    ○末松委員 ちょっとわからないのですけれども、今の苫東開発会社に対して、あるいは北東公庫か知りませんけれども、債権放棄をするということはまだ合意がされていなくて、新たに新会社が得た土地、それをまただれかが買って得た利益、ここの中から、債権放棄をする予定の民間金融機関に対してその利益の一部を譲渡してやる、そういったことが合意の中に書き込まれるということが今前提となって話が進んでいるのだということを言っておられるのですか。
  66. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 舌足らずでまことに申しわけありませんけれども、新会社が苫東の土地の上で一体的に事業をやっていくためには、申し上げるまでもなく、事業資産である土地が必要でございます。現在、その土地は現在の苫東会社が所有しているわけでありまして、この苫東会社につきましては清算するという方針でおります。  一方、新会社はその六千六百ヘクタールの土地を必要としているということでございますから、そこで新会社につきまして北東公庫それから北海道、関係公共団体も入りますけれども、あるいは民間が新会社に出資をすることによりまして、清算する予定の現在の苫東会社から土地を引き継ぐということを前提にしているわけでございます。  そういたしますと、現在の苫東会社に例えば六千六百ヘクタールの土地の譲渡代金が入ってまいります。そこで、苫東会社が現在負っております千七百八十億円の借金の弁済の一部にその土地の譲渡代金などを充てようという仕組みになっているわけでございます。
  67. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと何か、私が思うよりもかなり複雑なまた仕組みがあるのかなということだと思います。私の理解では、北東公庫開銀合併する際に開銀の損失準備金を使ってそこで負っている借金はチャラにするということでやっていくのがこのスキームだろうと理解をしているわけなのですが、そうすると、済みません、ちょっと私理解が不十分で恐縮なのですけれども、新会社というのは、資産の土地はあるけれども借金はないという状況になるのではないですか。そこのところをちょっと御説明ください。
  68. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 現在の苫東会社破綻の少なくとも表面的な最大の原因は、借金の累増でございます。新会社を設立するに当たってこの点が私どもの最大の反省点でありますので、新会社が事業を遂行していく上では、有利子負債に頼らない形で会社を経営していこうという考えでございます。したがって、今先生御指摘のように、新会社の資本負債勘定は資本金でありますし、資産勘定は主として土地資産であるということになるわけでございます。
  69. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、借金はもう棒引きしろというふうに民間に言うわけですよ、ほかのところはみんなあきらめなさいと。そうしておいて、それで得た土地は実際にまたこれが金のなる木になるから、それからいろいろなことをやるのだという話がこのスキームの一番おいしいところという話なのでしょうけれども、例えば開銀の損失準備金ですか、これについてどういう性格のものか、開銀の方にお伺いします。
  70. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、両機関が統合いたしましたときに、北東公庫の不良資産である、現在のところは苫東関係でございますが、これを開銀の準備金をもって充てる、その準備金の性格についてのお尋ねということでございます。  法律上は法定準備金と称されておりまして、この準備金につきましては、先ほど来の御論議にもありましたように、開銀法上は、「損失の補てんに充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。」こうなっているわけでございまして、この準備金の源泉と申しますか、準備金は、開銀が行っております業務から得られました利益金、その利益金がこの準備金の原資でございまして、細かいことは省略をいたしますけれども、その利益金の中から一定の方式に従って毎年法定準備金として積み立てられているものでございます。  したがいまして、性格というお話でございますけれども、この方式に従って利益から積み立てられ、開銀の損失補てんに充てるということでありますが、なお申せば、この法定準備金は、念のために申し上げるのでございますけれども、何かファンドとして別途に留保されている、そういうものでは実はございませんで、開銀の財務といたしましては、政府からの資本金と同様に貸し付けの原資として実際に運用されている、こういうものでございます。  それでは何のためにこういうものを政府関係機関である開銀に設けているかということになりますと、当然御理解をいただけるところと存じますが、端的に申せば、開銀業務に付随して起こり得るリスク、これが実現したときに対するバッファーでございます。損失が起これば、その場合に限って取り崩しができる。  ただ、それだけではございませんで、先ほど申し上げましたように、資本金と同様に貸し付けの原資として現に運用されているというわけでありますから、いわば無コストの資金として、開銀の本来の業務であります長期、低利の資金供給のいわば経済的な基盤をなしているということであります。  それから、開銀が現在財投資金以外に依存しております資金調達は、これは海外の市場で発行いたします外債でございますが、その外債発行には当然市場からの格付が伴いますけれども、この場合のいわば国際的信用の基礎になる内部留保、こういうことでございます。したがいまして、開銀にとりましては、民間金融機関はいろいろな自己資本充実のための手段を持っておりますけれども、これは唯一の自己資本充実手段として必要なものでございます。  なお、もう一つつけ加えますと、利益金から法定準備金として一定の方式に従って積み立てました金額以外の残額は国庫納付をしております。  そのような仕組みあるいは性格ということで御理解をいただきたいと思います。
  71. 末松義規

    ○末松委員 もう少し申し上げればよかったのですが、基本的には財投資金を中心にしていますね。だから、ある意味では国民の税金ということからきているわけですよ。税金というか、郵貯とかその辺の国民の金なんですが、これが、何回も議論が繰り返されていますけれども、ここで勝手に北東公庫の損失の補てんに充てられたという位置づけであれば、我々国民としてもこれは納得のいく説明が必要だろうと思うのですね。  ですから、民間金融機関に対して新会社がお金をバックするというようなスキームが今図られているというところは、私は実は知りませんでしたけれども、基本的に、国民とかあるいは民間金融機関に対して、その犠牲のもとに、新会社はノー借金です、そして財産はこんなにたくさん残りました、これを自由に使えます、この意味ではプロジェクトベースではそれは確かにいい話なんですが、ツケを回される、ある意味では淵源としての国民それから民間金融機関からいけば、冗談言わないでくれ、最後にツケは国民にくるという形にせざるを得ないのじゃないか。それを国家プロジェクトと称して国が率先してやっているということは、非常に国民にとってもモラルハザードを招く、そんな感じが私はするわけであります。その辺について大蔵大臣の御所見を、突然で恐縮ですけれども、そういうことをまず国がやっていいのかという感じがするのですが、いかがですか。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 苫東の新会社が設立される経緯についてのお尋ねだというふうに伺います。  昨日も申し上げましたが、この苫東というプロジェクトは、ある意味で北海道の希望の星であったわけでございますから、そういう意味では、民間金融機関もあるいは北海道財界も挙げてこの支援をしてまいったわけで、それがこういう状況になって、ここでもう全部これを打ち切って引き下がるか、あるいは新会社をつくるかという御相談が、むろん北海道開発庁もその中心にはなられたでありましょうけれども、役所だけでできることではございませんから、財界なりなんなり皆さんがいろいろに動かれて、そして旧会社についての旧債というものをある程度金融機関も負担をされる、その上で、しかしまた新会社を支援していこう。それは負担になる話でありますから、花火を上げて喜んでやるというような種類のことじゃございません。ございませんが、かなり公的な、道民の期待を担ったプロジェクトであったし、これからもそうでありたいということで、金融機関がおのおのの判断をされたということだと拝見をしております。  それは、おっしゃいますように、金融機関としては犠牲でございますから、その限りで犠牲であるには違いないが、しかし、地域金融機関としての地域に対する貢献とでも申しますか、そういう意識のもとになされたものであろうというふうに私はお見かけをしておるわけですが、そういうふうに解釈をしております。
  73. 末松義規

    ○末松委員 金融機関がそういう徳のある行為をされるということならば、それはそれでいいのでしょうけれども、それだけじゃない金融機関の方もおられるということを政府としてもきちんと把握しておかなければいけないでしょう。  私は、こういったことを国家プロジェクトということで、考えてみたら、新会社はノーリスクです。最初から資産だけある、そしてあとはリターンだけがあるんだ。リターンは新会社に、そしてリスクは国民へという位置づけ、これはちょっと納得しかねるところがございます。  ちなみに、新会社というのは、第二次損失があるような状況は考えられないのでしょうか。
  74. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 いわゆる新会社のもとにおきます二次ロスの問題でございますけれども、仮に、新会社に出資をし、その結果投資元本が目減りするようなことになりはしないかというお尋ねかと存じます。  この点につきましては、まず、新会社は年間五億円ほどの収入を生む資産を現在の苫東会社から譲り受けるという前提で考えておりますので、この年間五億円の固定的な収入の範囲内で人件費を含め一般管理費を賄っていこうということでございますから、この面で損失を生ずる余地というのはほとんど全く考えられないわけでございます。  その上で、不動産の造成、分譲あるいは賃貸といった事業をやっていく上での損失の可能性でございますけれども、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、新会社は借金に依存しない形での会社の経営を考えておりますので、まず適正な利益を確保していけるのではないか、また、そうした事業計画を立てて会社が経営されていくことを期待しているわけでございます。
  75. 末松義規

    ○末松委員 民間から新会社に対して出資もあるということを言われておられましたけれども、これは何か、例えば民間金融機関、その辺から出資ということで、担保ということではないかもしれませんが、そういうふうな新しく得た土地とか、そういうところは民間金融機関にとっては担保と同じような感じで考えているんでしょうか。
  76. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 新会社も、北東公庫北海道それから民間から成る三セクでありますので、どうしても民間金融機関を含め民間からの出資を仰いでいくということが必要不可欠でございますけれども、現在、民間金融機関との間では、現在の苫東会社に対する債権の一部弁済、裏腹の関係での債権償却、それから新会社に対する出資の問題について協議をしているところでありまして、最終的に、現段階では民間金融機関との協議は整っていない状況でございます。
  77. 末松義規

    ○末松委員 では、ちょっと見方を変えまして、責任の所在についていろいろとお聞きしていきたいと思いますが、先ほど、国民に、あるいは民間金融機関に損失をかけた、御迷惑をおかけしたという話がございました。ただ、これで千八百億円ぐらいの損失が出たということなのですが、先ほど、この計画責任というのは北海道開発庁が負っておられるという話を御自分でされておられましたが、北海道開発庁の方でこの責任はどういうふうにおとりになっておられるのでしょうか。少なくとも、プロジェクトの損失を出した、国民に迷惑をかけたという意味でどういった責任をとっておられるのでしょうか。  私、このレポートもちょっと読みましたけれども、北海道開発庁は、実は調整能力に限界があってちょっとだめだったとか、あと官民の協力体制が十分でなかったとか、そういう客観的な見解は示していますけれども、責任をとったという話は聞いていないのですが、いかがですか。
  78. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 北海道開発庁は、苫東開発を含めて計画を立案、策定、推進することを使命とする官庁でございますけれども、苫東開発につきましては、当然これについても計画責任を負っておりますし、結果から見れば、苫東会社の破綻という事態を招いたわけですから、そういった意味での計画責任はあるであろう。  一方、この苫東の土地の一体的な活用、開発というのは、これも私どもの重大な使命でありますので、そこで、現在の苫東会社の破綻に伴う債務をきちっとした仕組みのもとで、具体的には新会社の設立を中心とした仕組みでございますけれども、こういった形できちっと整理をし、引き続き一体の土地のもとでの事業展開を図っていくというのが私どもの責任の果たし方であるというふうに考えているところでございます。
  79. 末松義規

    ○末松委員 私、民間で考えてみますと、責任のとり方というのは、だれか責任者がやめるとか、あるいは何かリストラをするとか、今一般に行われていますけれども、そういうことが、自分の身を切ることが責任につながるのではないかと思うのですが、どうも何かこのスキームを見ていると、結局国民にしわ寄せだけさせて、それのうまいフレーム、枠づくりだけをやっていたとしか思えないのですよ。  何か北海道開発庁で長官がやめたとか、そういうことはあるのですか。あるいは、何か事業でこのプロジェクトの経営責任を持っていた人がやめたとか、あるいは給与カットとか、あるいは、開発庁からよく天下っておられるこの苫東開発会社、あるいは北東公庫役員、こういった方々が給料カットしたとか、あるいはリストラをしましたとか退職金を返上しましたとか、そういうことを一人でもやられたことがあるのですか。
  80. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 債権者、民間金融機関あるいは北東公庫との関係で責任を負っているのは、当然現在の苫東会社でございます。苫東会社破綻に至るということであり、同時に、苫東会社を清算するという判断は、苫東会社自身の判断であると同時に私ども行政サイドの判断であります。いかなる意味合いにおきましても苫東会社はその会社の経営上の責任を負っているわけでありまして、関係者の方針どおりに会社を清算し、当然、しかるべき機会に役員には退任をいただくということになるわけでございます。
  81. 末松義規

    ○末松委員 それは、立ち行かなくなってどうしようもなくなったから役員をやめるという話、会社がなくなるからやめるという話なんですね。実際に、この計画というのは別にきのうきょう始まった話ではなくて、もう数十年かけてやっているわけですね。そのときに、これだけ借金が膨らみました、そういったときに、その節目節目、例えば平成七年ですか、計画の基本的な変更があった、そういうふうな節目節目でプロジェクト経営を行ってきた責任があると思うのですよ。それを一切そういった意味でとっていない。そういっただれもが自分の腹を痛めることなくやってきている、こういうプロジェクトのあり方そのものが借金を大きくさせて、そしてそれを最終的に国民のツケで、うまい仕組みをつくってつけさせるということをずっとやられてきたんじゃないですか。  まあ、北海道開発庁だけじゃないかもしれませんね。北東公庫さんの方はどういうふうに責任問題を感じておられるのか、北東公庫さんに御説明をお願いしたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  82. 濱本英輔

    ○濱本説明員 私どもの立場といたしましても、この執行の任に当たっております立場におきまして、何が私どもとして足りなかったのかということにつきましては、繰り返し繰り返し点検をしてみなければならないともちろん思っております。  いずれにしましても、これだけ御心配をおかけいたしておりますこと、昨日来重ねて賜っております事の重さというものを心を正して受けとめさせていただかなければいかぬと思っております。
  83. 末松義規

    ○末松委員 非常にそういった遺憾に思う気持ちがあるということであれば、そこはやはりきちんとして、自分の腹を痛めるという責任のとり方ですね。ただ、総裁が今の立場で、昔からやってきたことを今すべてどうこう、責任という話ではないのかもしれません。ですが、そういった節目節目で経営判断をして、その経営判断に対して責任をとるという、この仕組みがないことがこのプロジェクトの一番大きな我々の教訓じゃないかということを本当に感じるわけであります。  国土庁の方もいろいろと全国の総合計画を立てておりますけれども、国土庁についてはどういうふうに責任を感じておられるのか、そこについてお伺いします。国土庁の方、お願いします。
  84. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発につきましては、青森県が基本計画を作成しまして、政府におきましてはこの基本計画を参酌しながら所要の措置を講じるという閣議口頭了解を行ってきてはおりますし、実際の用地の買収、造成、分譲は北東公庫、青森県、経団連主導の民間が出資いたしました第三セクターであるむつ小川原開発株式会社が行っている、こういう仕組みでこのプロジェクトが推進されております。  しかしながら、その状況につきましては、一昨年九月の特殊法人等の整理合理化についての閣議決定で定められておりますように、新銀行設立までの間に、関係省庁、地方団体、民間団体等、その取り扱いについて協議の上結論を得るとされておりまして、現在その協議を進めているところでございます。  結果的にむつ小川原開発が当初の青森県の計画のとおり推進がなかなか困難になっている状況にございまして、その意味におきまして、この計画について将来を見通した十分なものであったかどうかについては、我々としてもその計画の将来性について考えているところでございます。  いずれにしましても、この処理のあり方が出されます時点までに、いろいろな面においてその処理の仕方について考えてまいりたいと思っております。
  85. 末松義規

    ○末松委員 それはむつ小川原だけの話で、苫東について御説明をいただいておりませんけれども、正直言って、私、わからないのは、これは全体の責任者というのはどなたになるんですか。そこをちょっとどなたか言っていただけませんか。苫東に対して、この責任者というのはだれなんですか。
  86. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東開発の場合に、会社経営上の責任ということであれば、当然これは苫東会社ということになりますし、それから計画の立案、遂行という点になりますと、私ども開発庁の責任であるというふうに考えているところでございます。
  87. 末松義規

    ○末松委員 そうすると、計画立案、これが間違っていたという認識はそちらにあるんですか、ないんですか。
  88. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 計画策定時におきまして、その計画そのものが無理があり、合理性を欠くといったふうには考えておりません。ただ、計画が前提としておりました諸条件、経済情勢の変動を含めましてこれが大きく変わってきた。振り返ってみますと、適時適切に計画の見直しが意外に長時間を要しできなかったという点で、特に苫東計画につきましては、最終的に現在の苫東会社を清算せざるを得ないという事態でありますので、この面から見ましても、結果としては計画責任が十全に果たせていなかったというふうな認識を持っているところでございます。
  89. 末松義規

    ○末松委員 そうしたら、その見直しに時間がかかった、それに不適切であったという責任は、それは新会社をつくったことによってあとはもう消えました、そういう位置づけですか。  それともう一つ、その見直しに長時間を要したということで、では今度は見直しに時間がかからないように、対策というものは内部で検討して結果を得たんですか。
  90. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社破綻に伴う責任のとり方といたしまして、これは末松先生ばかりではなくて、昨日来上田先生、石井先生にも引用いただいておりますけれども、私どもとしましては昨年秋に「苫東開発をふりかえって」ということで、これまでの苫東開発の問題点を洗い出し、そうした反省の上に立って新会社の仕組みを関係者と協議の上検討いたしまして、新会社が円滑に事業を推進していけるような体制を検討していくのが責任のとり方であろうということを申し上げているのでありまして、引き続き、私どもとしては重い責任を負っていかなければならないというふうに考えております。
  91. 末松義規

    ○末松委員 あと、見直し仕組みは。
  92. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 引き続き、開発の推進体制といたしましては、開発庁を中心に、関係各省との連絡体制あるいは地元公共団体を含む関係者との連絡体制をとってまいりたいと思いますけれども、その上で今検討しておりますのは、新会社の中に経営推進会議のようなものを設け、これは日本政策投資銀行における中期計画を検討する運営評議員会と同様の仕組みでありますけれども、新しい苫東会社の中におきましても同様の仕組みを設け、この経営推進会議に私ども開発庁の人間も加わる形でもって直接的にこの会社経営についてのアドバイスをするような仕組みとならないかどうか、検討しているところでございます。
  93. 末松義規

    ○末松委員 ちょっと聞いていて、結局責任をとったのは、この国会の席上で法律を通しますと、それで国民にツケが行くから、国民責任をとったんですよ。そのアレンジをあなたがしただけじゃないですか。だから、だれかきちっと責任をとってけじめをつけてもらわないと、そんなことをしないから、この日本というのがいつもだれも責任をとらないという位置づけになって、わけがわからない。外国から見たら、何だ、あの国はという位置づけになるんですよ。  では、ちょっとチェック体制についてお聞きしたいんですけれども、行政監察というのは、ここは何回か行われたんですか、総務庁。
  94. 東田親司

    ○東田政府委員 苫小牧東部及びむつ小川原開発プロジェクトにつきまして、行政監察のテーマとしてこれまで取り上げてきてはおりません。
  95. 末松義規

    ○末松委員 行政監察するに値しなかった、そういう認識ですね。
  96. 東田親司

    ○東田政府委員 私ども、年間二十件ほどテーマを決めまして全国的な調査をして勧告案を取りまとめるという仕事をしておりますが、そういう中で、この問題につきましてなぜ取り上げなかったかという点につきまして、必ずしも公式に整理しているものはございませんけれども、現在時点で振り返ってみますと、やはりこの問題は、その計画策定をした後に諸条件が変化いたしまして、いわば事業をめぐる環境条件が大きく変動していったというところが大きな問題なのだろうと思います。  その際に、行政運営上の課題を指摘して改善方策を勧告するということが私どもの使命なわけでございますが、その有効な改善方策がなかなか見出しがたかったということがこのテーマを取り上げなかった原因ではないかなというふうに現在考えているところでございます。
  97. 末松義規

    ○末松委員 それは、総務庁の方でこの問題についてかなり研究した上でのお言葉ですか、それともあなたの印象ですか。もし印象論で言うのだったら、無責任な発言はやめていただきたい。本当に研究しているのだったら、そこの研究をきちんと言っていただきたいと思うのですね。  要するに、諸条件が変わるのは当たり前の話なんですよ、こんな生きた世界ですから。そこに適宜対応するという仕組みがきちんとあるべきものが重要なのであって、そこの知恵がなかった。それは、みんな知恵が出せなかった人が悪いわけであって、それを何らかの形で知恵を出していかないといけないという位置づけなんでしょう。それが制度として、システムとしてなかったことが今回の一番大きな教訓じゃないのですか。そこについて、総務庁が一回も実はこういう行政監察の対象にしていませんということそのものが私はおかしいと思うのですよ。  余り時間がありませんから総務庁に対してだけは言いません、会計検査院の方にお伺いしたいのですが、きのうちょっと資料をいただきまして、ずっと、毎年毎年事務的なチェックはしておった。去年十二月ですか、会計検査院の検査報告も読みましたけれども、会計検査院も、この千八百億円に上るそういう損失、そういったものに対して、結論は、関係者の協議を推進すべきだというのが結論だったかと思いますけれども、それ以上何か適切なアドバイスというのはできなかったのですか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 先生、昨年の検査報告の内容をお読みいただいた上での御発言であると思いますけれども、大型プロジェクトでございますので、長期間かかる大きな事業でございます。したがいまして、多少の時間的な経緯も我々は見る必要がございました。それから、やはり二度の石油ショックあるいはプラザ合意後の円高、こういう問題もこの基地の用地の分譲に影響を及ぼしている、そういうこともございましたので、昨年という形になったわけでございますけれども、その中におきまして、会計検査院といたしましては、用地分譲がなかなか進まなかったがゆえに利子が増嵩した、それが悪影響を及ぼした、あるいは担保の問題、こういう問題について内容を記述しておりまして、これからのこの種の事業の運営、そういうものに役立てていただければというふうな思いで中身をああいう形で記述させていただいているところでございます。
  99. 末松義規

    ○末松委員 チェックのやり方も、もうちょっと仕組みをきちんと考え直さなきゃいけないなと思います。  会計検査院については、かなり権能も限られているところもありますし、そういった意味で政策議論がそれほど大きくできない。我々は、民主党で行政監視院構想というのもございましたけれども、その辺も踏まえてちょっと考えていかなきゃいけないなという気がいたします。  時間がなくなりましたので、最後に宮澤大臣にお伺いしたいのでございますけれども、昨日、大臣が議事録云々の話をされて、第二次世界大戦、お役人さんの下の方で見ていて、なぜあれをやめられなかったかというと、やめるという言葉が言い出せなくて、いずれよくなるんだろうというようなことだったという正直な御感想を言われました。  そういった意味で、日本という国は確かにそういう傾向が非常に強い国だとは私も思っているのです。どちらかというと、みんながみんな一億総火の玉とか一億総玉砕とか言い始めると、なかなかその辺に対抗するようなことが言えなくなるということなんですが、新参者の私が大先輩に対して言うのは大変心苦しく、恐縮なんですけれども、宮澤大臣がそういうことを若いときに本当にお感じになられていたならば、では、そういうふうなことをきちんとした形で仕組みとして阻止する、あるいは対案を考え出そうと努力されるのが、私は政治家の本筋だろうと思っているのです。生意気なことを申すようですけれども、ただそういうふうな傾向があるという認識だけでは評論家的な立場になってしまいますから、政治家がまずこれをやらなければいけないという話をやっていかなければいけないのだろう。  そういった意味で、まず国が、今回のこともそうなんですけれども、最終的に全部国民に負わせるような形、それもはっきりとした謝罪というものもない、具体的な謝罪というものもない、そういった中でこれをやっていくと何が起こるかというと、今度は、国民全体にモラルハザードが起こってくると思うのですね。それが金融状況だってみんなあると思うのです。あそこは借金棒引きをしていった、政府が主導してやったんだ、あんなことを国がやるのにおれたちがやっていけないわけないじゃないかとみんなまねをし出す。そういうふうなことをやっていけばいくほど、この国が本当にモラルハザードでいいかげんな国になってしまうというふうになってきたわけですよ。それで、ツケが回って、結局国民があえいでいるという位置づけになるのですね。  だから、本当にリーダーとしての立場にある方は、そこを、そんなことをやってはいけないんだというふうにまずもって身を挺して言っていかなきゃいけないし、やっていかなきゃいけないと思うのですね。そうしないとこの国がもっとだめになると思うのです。生意気なことを言うようですけれども、宮澤大臣の真意を私もお伺いさせていただきたいと思います。
  100. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 外交官として長年お働きになられたことからそういうお尋ねがあると思いますが、私もそんな生意気なことは到底申し上げられないので、またそういう場でもないような気もいたしますが、振り返ってみますと、我々、明治以降、いわば国民のコンセンサスで日清戦争を勝ち、日露戦争を勝ち、国民のコンセンサスで第二次大戦に敗れたという感じがいたしますので、反省としては、やはり早くコンセンサスというようなもので人を巻き込むということにきっと問題があるのだろう。そのことは、一人一人がもっと自分の意見を持って、多少変わり者と言われてもそれを言い通すというような、これは教育にも関係がございましょうし、民族としての伝統にも関係があると思いますが、そういうことがやはり大事なのだろうというのが第二次大戦の敗戦の反省ではないかというふうに考えています。  それは、私は、一つは国定教科書というようなものに問題があったろうと思っていまして、それが戦後なくなりましたのはプラスになったかと思いましたが、今度は大変に大規模なマスコミュニケーションが登場しておりますので、これにまた国民が巻き込まれやすいという問題がありまして、それはそれで心配なことだ。そういうマスコミュニケーションが大きゅうございますので、日本国民は情報には非常に明るいし、すぐにまた情報をキャッチするわけですが、みんな同じような情報をキャッチしますので、そこで自分の判断というものが大変に出にくいような風潮は、これはやはり国民として、いい面があるわけですが、マイナス面があるのじゃないかということは、大変生意気なようですが、感じております。
  101. 末松義規

    ○末松委員 率直な御意見ありがとうございました。またこの問題についていろいろと御議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
  102. 村井仁

    村井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  103. 村井仁

    村井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田清司君。
  104. 上田清司

    ○上田(清)委員 連日御苦労さまです。  早速ですが、昨日は、過去の経緯の中での責任のあり方を中心にお願いをいたしましたが、きょうは、新しい法案のスキームを中心に質疑をさせていただきたいと思っております。  まず、その前に、きのうもすっきりしなかったし、きょうも末松議員からもお話がありましたが、やはり北海道開発庁としても、きちんとけじめをつけて何らかの責任をとった方がいいんじゃないですか。例えば、ラインの方々が全員職務停止をたとえ三日でもやるとか、そういう何らかの内部処分をすることで、民間金融機関の債権放棄だとかさまざまなお願いをすることについてのきちんとした対応につながると私は思うんですが、こういうことについて、どうでしょう、監理官、きちっとやったらどうですか。やりませんか。イエスかノーかだけお願いします。
  105. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 お答えいたします。  開発庁としての責任のとり方の御指摘でございますけれども、繰り返し申し上げておりますように、開発庁としましては、苫東開発についての計画上の責任を持っているということでございます。苫東会社が経営破綻に至った問題点、これにつきましては、昨日、上田先生それから石井先生、御引用いただきましたような苫東問題を検証する会の報告書という形でもって過去の問題点を検証させていただいておるところでございます。  こういった問題認識、反省の上に立ちまして新会社を設立し、そしてその過程でもって過去苫東会社に累増いたしました債務をきちっとした形で処理していく、その上で新会社のもとで苫東計画を着実に推進していくというのが、私ども開発庁に課せられた使命であり、また責任のとり方であるというふうに考えているところでございます。
  106. 上田清司

    ○上田(清)委員 今斎藤監理官が言われたことは、国民に対する背信行為であり、そして何よりも、これからの人たちに対する歴史に対してもあなたは背信行為になりますよ、きちんとけじめをつけないということは。いろいろ問題を起こして、これからまじめにやっていきます、それが責任のとり方だというのは、大変なことですよ、そういう言い方は。言葉こそ優しく言っていますけれども、そういうことなんですよ、言っていることは。傲岸無礼にしかすぎない。それだけははっきり申し上げておきます。必ず処分してください。  それから、国土庁についても私は同じようなことが言えると思います。内部で必ずこれは検討していただきたいと思います。御返事をいただきたいと思います。
  107. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発につきましては、先ほど来申し上げておりますように、基本計画は青森県が作成して、政府はこの基本計画を参酌しながら所要の措置を講ずるという閣議口頭了解をする、こういう仕組みのもとで行われております。  ただ、現状におきましては、用地の分譲が順調に進んでいないということで、この処理をどのようにするのか、早急に検討いたしまして結論を得るように努めたいと思っておりますので、ただいま先生の言われましたことも含めまして今後検討してまいりたいと思います。
  108. 上田清司

    ○上田(清)委員 会計検査院にお尋ねします。  昨日の速記録も確認いたしましたけれども、北東公庫の苫小牧東部開発及びむつ小川原開発に関する出資、融資について、本院としても従来から、主として融資が適正に行われているか、出資、融資の効果が上がっているかどうかの観点から検査を実施している、そういうことでございますねと確認したら、小川会計検査院説明員の方から、そのとおりでございますという御返事がありました。  会計検査院の検査の中で、北東公庫のそれぞれのプロジェクトに対する融資について、きちっとした適正な融資であったのかどうかということについての結論をいろいろ記述しております。御指摘もあります。最終的にどのように判断されたのかということについての結語が、関係機関がいろいろ御相談しながらやってくださいと、どうも途中の指摘と最後の結語が文脈が分かれてしまっているというような感じがいたしますが、最終的にどういう判断をされたのか、本プロジェクトに関して北東公庫融資は適正であったのか適正でなかったのか、あるいはどういう評価をされたのか、ここについてお伺いしたいと思います。
  109. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 検査報告の内容、最後の部分につきましては、関係される役所あるいは地方公共団体、あるいはむつ、苫東事業主体、そういうところでの協議を促進されるという結論になっているわけでございます。中身の方では、それぞれこういう事態に至ったメカニズムと申しますか、そういうものについて記述してございますし、読んでいただければ今後の事業に役立つというふうな記述をとっているつもりでございます。  全体的に最後の部分が貧弱ではないかということだろうと思いますけれども、至って政策的な要素が多いということがございます。したがって、あるいは原因の中で売れないということにつきましては、産業構造の変革でございますとか経済情勢でございますとか、そういうことも起因しているわけでございますから、改善策をどういうふうな形でできるかということにつきまして、なかなか結論を得るのが難しいということがございますし、至って高度な政策的な判断に迫られているというようなこともございますので、検査院としましては、事実を開陳すると申しますか、検査報告に掲記すると申しますか、そういう考えでああいう結論に達しているわけでございます。
  110. 上田清司

    ○上田(清)委員 もう一度確認ですが、北東公庫の二大プロジェクトに対する融資のあり方について問題点を指摘されたわけでございます。事実上の金利が金利を呼ぶような融資の仕方について問題がある、こういう御指摘だったというふうに私は理解しておりますが、こういうことはやるなという意味ですか、それともこういうことを続けてもいいという意味でしょうか。どっちか一つでお答えください。
  111. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 金利がつくお金を原資としますプロジェクトにつきましては、これが長期間にわたりまして、その結果売り上げに立たないという状況になってまいりますと、やはり今回のような問題が発生することがあろうかと思います。したがって、長期間での大規模プロジェクトについては、やはり金利をどういうふうに抑制していくか、あるいはできるだけ早く売り上げを立てると申しますか、今回は工業用地の売却でございますけれども、そういうことができるかのシステムがやはり求められているのではないか、そういうふうに考えているところでございます。
  112. 上田清司

    ○上田(清)委員 濱本総裁、昨日も御指摘させていただきましたが、直近の五年間のいわゆる不動産価格、土地分譲価格の金利上乗せ部分がそれぞれ八〇%前後になっているという事実、これについて今、会計検査院が指摘したようなことでございますので、決していいことではないというふうな判断を今当然されたわけですね。また、指摘の中でもそういう問題点を指摘されています。  北東公庫として、この問題について、やはりきちっと、こういう融資はよくなかった、ずるずると引きずられてしまったというような総括がなされないと、これはやはりこれからのプロジェクトのあり方についても大変大きな影響を与えていきますので、きちっとした総括をこの席で述べていただいて、歴史の中に刻みを入れていただきたいというふうに思います。
  113. 濱本英輔

    ○濱本説明員 昨日来御指摘いただいておりますただいまの問題につきまして、私、昨日申し述べましたところに申し述べ切れませんでしたものを一、二申し上げ、かつ、ただいまの先生の御指摘に対する私どもの考えをつけ加えさせていただきたいと存じます。  私も、先生がお抱きになっていらっしゃる問題意識、これと同じような意識というものを持っておりましたし、私どもの職員もみんな持っておりました。つまり、このまま金利が上乗せになっていった場合に一体いかなる事態になるのだろうかということにつきまして問題意識を持っておりました。つまり、無限にこんなことを続けておって限りなく金利負担が乗っかるというような事態が許されるわけがないというふうに考えておったわけでございます。  それじゃ、一体どのあたりで見切りをつけるのかという問題が当然出てまいります。我々は、その問題に近づいているという感じを持っておりました。ただ、そのときの議論としまして、近隣の地価、近隣の売買実例あるいはそこから類推されるもの、そういうものと比較しました場合に、金利を上乗せして計算されております苫東の時価、これは部分部分によって時価は違ってこようかと思いますけれども、その時価との間になお多少隔たりがあり、現に、この期に及びましてというか、こういう状況の中でもこの土地を求める人がおる、そしてそこに形成されます時価が現にあるということがございましたものですから、これはやはりそういう動きというものもよく見きわめた上で決断すべき問題であろうというふうに思っておりました。  そこへちょうど日本開発銀行との統合問題というのも出てまいりまして、これに向かって苫東の問題あるいはむつの問題も整理をしなければならない事態が生じましたわけで、この際、やはりこの基本問題というものを一気に解消したいという気持ちを心の中で抱きました。  会計検査院から述べられました点につきましても、私どものいろいろ物を考える上におきましては示唆的でございましたし、そういうお話も私どもの気持ちをまた高めるものがございましたが、いずれにいたしましても、上田先生が御指摘くださっておるのは、異常ではないか、つまり、金利負担が全体の八割に達するというような事態が異常ではないか、そういう事態がまた将来生ずることがあってはならないんじゃないかという御指摘かと思います。その御指摘は、私ども、この貴重な機会に大事にちょうだいしたい、かように思います。  そして、大変難しい問題、つまり、土地の造成作業というのは、私は玄人ではございませんけれども、非常に長い時間をかけましていろいろなリスクを乗り越えて初めてできる仕事であり、リスクを乗り越えなければできない仕事だと言う人もおります。つまり、ある局面では大変厳しい状況に置かれますけれども、それを乗り越えて何かができたときに、過去に起こった大変困難であった事態というものを克服したことにポイントがつくということはあり得るかもしれません。  しかし、今回のこの御議論というのはそのことに対します警鐘であって、やはり国家が関与してこういう事業に臨みます場合には、みんなが納得できるあるレベルというものを常に問題意識として共有すべきだということを御指摘になっていらっしゃるんだという気がいたしますし、これから同じような問題に向かいますときには、常にこのことを思い出す。それから、我々としても、大変難しい問題ではございますけれども、この議論を含めてどうするかということを常に考えるという癖をつけたい、かように存じます。
  114. 上田清司

    ○上田(清)委員 前段の部分だけ正直言ってやや認識が違うな。少し動いておった、確かにこの五年間ぐらい一年に一社ずつ進出している、あるいは分譲地を買っている、こういう時代があったことは事実ですが、しかし、それは計画からすればはるかに小さな話でありまして、そういう正式な計画書を読んでおられれば、なかなか融資についてももっと慎重になされるべきものであったというふうに思います。これだけは反論をしておきます。  それから、いよいよ新しい会社をつくるための統合法案のスキームですが、まず、北海道開発庁に確認をしておきます。これからは大体大臣を中心にお願いしたいと思っておりますが。  清算時における民間融資団の債権放棄並びに出資について合意ができているのかどうか、それから北海道庁の予算はもう既に計上されているのか、なおかつ議会で承認されているのか、この点について確認をしたいと思います。
  115. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 第一点目は、民間協調融資団との間で、債権償却ないしは債務の弁済、それから新会社への出資について合意ができているかどうかというお尋ねでございますけれども、この点につきましては、昨年の夏以来、関係民間金融機関と協議を重ねてまいりました。本格的には平成十一年度予算の成立を待って再度協議を重ねている真っ最中でございます。最終的な合意には至っていないということでございますけれども、私ども最大限努力いたしまして、新会社設立に向けて関係民間金融機関との間の合意を達成いたしたいというふうに考えているところでございます。  それから、北海道の新会社への出資でございますけれども、北海道御当局との間では、北海道におかれましても応分の出資負担をいただけるということで御了解をいただいておりますが、これが予算化につきましては、六月に開催される道議会に予算の形で提出されるというふうに承っているところでございます。
  116. 上田清司

    ○上田(清)委員 大蔵大臣、今聞かれましたように、このスキームの大事なポイントになっております、新会社設立当時、それぞれの関係者が負担をして六百二十二億、それから清算時において民間金融機関も出資するというこのスキームでございますが、そもそもそれぞれの関係の民間の企業、これが合意をしないままに、あるいはまだ道庁の予算もつかないままに国の方で予算を計上しております。もちろん、執行ができるかどうかというのは別問題ですから、予算をつくること自体は問題がないという意見もありますが、一方では、国の財政行為というのは法律に近い形式、効果を持つという解釈、意見もございます。民間の合意を欠く私人間の一種の契約関係に行政がいたずらに枠をはめるような、こういうスキームが本当にいいのかどうかということを、私は率直に大臣にお伺いをしたい。  これは中川議員が言っておりましたけれども、むしろ、附則で開銀法の原則やあるいは公庫法の原則を吹っ飛ばすよりは、当たり前の処理をした方がいいんじゃないかという午前中の中川議員の意見と私も少しつながる部分がありますけれども、この点について大臣からもまずお伺いしたいと思います。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回のこの新金融機関の設立、これは特殊法人の整理に関する方針から出たものでありますけれども、これはきのうきょう決まったことではなくて、かなり前から特殊法人の整理をしなければいけないという問題はございました。他方で、先ほど北東公庫の総裁が言われましたように、苫東の問題は、こういう状況になって、いつまでもこういう状況は続けられないということは考えておったというふうに総裁が言っておられますが、そのとおりであろうと思います。  したがって、両方の問題が同時に起こってまいりましたときに、しかも地元としては苫東というものを何とかして将来に残していきたいという意識が強い、つまり、新会社をつくるという気持ちが強い。恐らく北東公庫の総裁としても、それはできることならそうしてやりたいという気持ちを持たれたであろうと思います。私も実はそう思っておりましたから、持たれたであろうと思います。  そのときに、何といってもこの苫東というものは北東公庫を抜きにしては考えられない経緯を持っておりますから、したがって、開発庁、北海道あるいは旧会社、財界、そして北東公庫、一緒になって、北東公庫としては決して自分は知らないよという立場ではあり得ない、一緒になって処理をしなければならないと考えられたのは、私はもっともなことだと思っております。  処理の答えは結局、本当に地元がそういう熱意を持っておられるのならば、公庫としてひとつ、損失が生ずるということは覚悟しなければならないが、出資については北海道民間、おのおの均等にしなければ、自分としてもそういう話にはなかなか乗れない。また、均等に出資を行う、これを基本にしろという閣議了解もございますから、そういうふうに北東公庫としては考えられたものと思います。私はそれは妥当だと思いますし、したがって北東公庫がこの出資をすることができるものと考えておりますが、それはもとより、みんな平等にやろうという立場からの合意ができましたからこそ、こういうふうな予定を北東公庫としておるわけであります。したがいまして、民間の合意ができる、このために関係者が最大のこれからの努力をしてもらわなければならないというふうに思っております。  けさほどのお話一つのお考えだと私は考えておりましたけれども、新会社を何とかしてつくってやろう、そのために北東公庫苫東とは切り離せない、長い間の存在として、それだけのいわば取りまとめ、北海道開発庁もそうであったでしょうが、そういうことに協力しようとしたことは誤っていないのではないかと私は思っております。
  118. 上田清司

    ○上田(清)委員 先ほど北海道開発庁の斎藤監理官に確認しましたように、今まだ民間の方の合意はできておりません。六月の北海道の議会で可決され、承認されるかどうかもまだ確認がとれておりません。しかし法案は、もし順調にいけば、そう遠くない時期に衆議院からまた参議院に回り、決まっていく。先にスキームが決まって、それを民間や道が追っかけていくというような仕組みに結果的になっております。そのことを余りよくないなというふうに私はまず申し上げます。  それから、むつ小川原の処理も決まっておりません。どういうふうにするのかということが決まっておりません。これも損失が出ることだけは明らかになっております。  それから、もっと悪いことに、これからいろいろ申し上げますが、新会社の事業計画に関連するさまざまな枠組みがよく決まっておりません。そういうことを考えると、非常に雑なスキームではなかろうかというふうに思います。新会社の取り組みに前会社、今の会社でありますが、今の会社の反省が十分生きていないように私には思えます。  なぜなら、新会社のスキームはペラ二枚でございます。予算だとか事業計画だとかないのか、私ももっと詳しい資料はないのかと申し上げましたけれども、具体的な形ではないと。この二枚の紙に二百二十億の大蔵省からの査定が出ている。官房長、随分優しいですね、このぐらいの二枚の計画で。  いろいろ書いてあります。臨空開発ゾーン、戦略的プロジェクトゾーン、臨海開発ゾーン、重点地域、公的プロジェクトを核に一般分譲を推進、こういう一万七百ヘクタールの考え方を改めて出してきております。  それから、今後十年程度、十年から二十年程度、さらに二十年以降にどういう施設を誘致するか、あるいは分譲していくかということについての企画が一応は出ております、八事業ぐらいに分かれて。しかし、この中の目玉のITERなんかも御承知のとおり凍結であります。あるいは鉄道車両工場の移転についても、勝手に絵を描いているだけでJRが検討したこともない。  そういう具体的な実現性のないことが書いてあって、どうして二百二十億の予算が出たんですか、官房長。
  119. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 苫東開発プロジェクトにつきましては、昨年十二月の閣議了解に基づきまして、現在の苫東会社を清算いたしまして、借金に依存しない形での土地の一体的確保、造成、分譲を行う新会社を設立するという抜本的処理策が示されまして、政府としてもそういう方針で臨むということが閣議で了解されたわけでございます。さらに具体的な事業の計画につきましては、関係者間で現在検討が進められているわけでございます。  こういう中で予算の計上が行われ、予算に盛り込まれまして御承認をいただいたわけでございますけれども、実際に二百二十二億の出資が行われるかということにつきましては、今、北海道開発庁の方から説明がございましたが、最終的に新会社設立についての処理策が皆さんの合意を得て成立するということが条件でございますから、その合意に向けまして関係者が一層努力をしていくべきというふうに考えている次第でございます。
  120. 上田清司

    ○上田(清)委員 とりあえず国として約三分の一程度を出資しましょう、そういう考え方に立っているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  121. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 今、関係者の合意形成に向けて精力的な努力を続けておられますし、それから、新会社の事業の円滑な推進が図られるよう、事業計画の策定についても関係者間で精力的な検討が進められておるわけでございますから、大蔵省といたしましては、昨年十二月の政府の決定と申しますか、閣議了解を踏まえまして適切に対応していくべきというふうに考える次第でございます。
  122. 上田清司

    ○上田(清)委員 注意をしていただきたいと思います、ちゃんと質問に答えるように。何十時間も、視察もやって調べ抜いて質疑をしているんですから、いいかげんな答弁をするな。冗談じゃないよ。ふざけるなと言いたいよ。  いいですか、「苫小牧東部地域における各種プロジェクトについて」というこの二枚の案が新しい会社の事業計画なんですよ。ほかにないんですよ、出してくれと言っても。管理会社としての機能はありますよ。五億収入があります。うち二百五十は税金です。残った二百五十で回します。そのうち六〇%が人件費です。これもひどいですね。地方自治体でも最高で四〇%ぐらいですよ、人件費というのは。低いところは二〇から二五ぐらいであります。前の会社もそうでした、それは後でまた言いますが。  そういう管理会社の機能としての事業計画は事業計画であります。しかし、それは単に管理会社としての機能です。そうじゃなくて、あの山手線の一・五倍もある広大な地域の有効利用をどうするかということについて、いろいろなゾーンをつくり、十年、二十年、二十年以上という短期、中期、長期の計画書が出ているんですよ。しかしその中には、相手側の了解も何もない、絵にかいたもちがたくさん出ているということを私は申し上げているんですよ。  国土庁もこれを見てよしとしたのか。本当に北海道開発庁はこれでよしとしているんですか。あれだけ失敗してきているじゃないですか。これまでの売り上げを見てくださいよ。全体で面積にすると一五%、当初計画の何分の一ですか。  とにかく、この計画でいくと、一九九九年から二〇〇三年の間に四百八十三ヘクタールで百三十億、二〇〇四年から二〇〇八年で六百九十四ヘクタールで三百八十億、二〇〇九年から二〇一八年の間で八百九十ヘクタールの五百八十億。しかし、一九九九年のこの二十年間の合計で二千六十七ヘクタールで、売上額を一千百四十七億出している。しかし、過去五年間だけでもたった三・七しかできていないんですよ、五億しか。五年間で五億しかできなかったのが、前段の五年で五億しか売れなかったものが、なぜこれからの五年で急に百三十億売れるんですか。分譲し始めてから合計で八百二十しか売ってないんですよ、一九七八年から二十年かけて。なぜ十年でそれ以上のものが売れるんですか、二十年かけて売れなかったものが。こういう計画になぜ二百二十億という予算がつくんですか。それが私には不思議でならない。  もう少しきちっとしたものが出ていれば、この統合を機会に借金体質の旧会社を清算して新しい会社のもとで何とか可能性を探りたい。北海道東北の夢ですから、苫小牧もむつ小川原も。これに対する思いは、私は県の選出議員ではありませんが、多分によくわかります、私も田舎が九州ですので。しかし、こういうでたらめなものを私は認めるわけにはいかないですよ。  宮澤大蔵大臣、こういう二枚しかないんですよ、新会社の事実上の事業計画というのは。こんなもので本当にいいんでしょうか。予算書もない。もちろん、管理会社としての予算書はあります。とても私には信じがたい。国土庁がこれを認められたのかどうか、これも確認したい。二点です。
  123. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、この書類は、最後にも書いてございますように、「北海道開発庁の案を取りまとめたものであり、関係省庁の了解を得たものではない。」と書いてございますから、そういう性格のものであると承知をいたします。ですから、これは一種の目論見書とでも申すべきものであろうと思います。  事は、結局もとに返りますが、ある程度上田委員も理解ができる部分はあるとおっしゃるように、この苫東というものをこの際もう永遠に抹殺してしまうかどうかというところに話は最後のところはかかってきて、そして、地元としてもそれは耐えられない、何とか残していきたい。それなら、将来すぐどうなるのか、わかっているのか、きょうまでうまくいかなかったのに急にいくかいと言われても、はっきりいくという自信のある人もいないけれども、しかし何とかして将来に望みを嘱するとすれば、やはりどういうことが可能性があるかということを考えていくしかないだろうというのが、私はこの紙の基本的な性格であろうと思います。ですから、このとおりいくかいといえば、だれもそれだけはっきりした自信を持っている者はない。ただ、開発庁としてはこういうことを案として考えたということと思います。  それで、こういうものを置きまして、それでみんなそれじゃ金を出すかということになって、北東公庫としては、今までこういうことでもあるし、やはりこれは将来に向かって何とか助けてやりたいという気持ちがございますから、皆さん方がお出しになるんなら公庫としても出資はつき合います、こう申したであろうと思います。  そして、そういう背景がございますが、他方で、おっしゃいますように、この御審議いただいております法律案は、何と申したらいいでしょうか、いかにも半分だけしかできていない。つまり、特殊法人の処理をいたしたいのでこの二つ金融機関は一遍おしまいにして新しいものを一つつくりたい、政府がそういうことを申し上げておるわけでございますけれども、その中に、北東公庫の持っております今のあり姿というものが、まず皆さん一緒に金を出しましょうと言った人が本当に出すことになったかというとまだ出していないわけですから、その部分は条件として熟しておりません。他方でまた、むつ小川原の方は全くそういう案すらないということですから、今御審議をいただいておる北東公庫の現在のあり姿というものは実は甚だ不安定なものだ、こう御指摘になっているのは私はそのとおりと思います。ただ、この片っ方の方で特殊法人の整理という問題があるものですから、これはこれで御審議をお願いしたいということで、こちら側が半分ちゃんとした姿になっていないという御指摘は私はそのとおりと思います。  そこで、次のお尋ねは、もし関係者が出資をしなかった、苫東のことです、出資をしなかったということになるとどうなるのかという、そこまでおっしゃいませんでしたが、明らかにその意味のお尋ねがあって、私は思いますのに、そのときは、それは我々が今想定している事態と違う、あるいは想定している条件が満たされないという状況になると考えざるを得ませんから、そのときには、北東公庫がどうすべきかということも、やはり私はそういう事態として考えるしかないだろうと率直に言って思います。  はっきりどうすると申し上げられないのですが、大事な条件が整わない、我々としては、地元に長い要望があって、それを大事に考えてこれだけのことをしようとしているのですから、地元がそういう要望を約束にしてあらわしてくれなければ、もう一遍そこへ行って話し直すといいますか、考え直すということにならざるを得ないのではないか、私はそう思います。  それから、むつ小川原については、これはもともと何もないわけですから、何も出てこなかったときにどうするか。それはそういう事態として考えざるを得ない。  つまり、それらの点で、この法律案は不確定なことを想定した北東公庫というものを対象にしておるという御批判はそのとおりであって、私はそれはそれとして甘受せざるを得ないと思いますが、万一そうなったときにどうするかということであれば、やはりそれはそのときに立ち返って北東公庫の姿、あり方というものは考え直すことになるのではないかというふうに思っております。  ただ、そのことは、いずれにしても、そのような北東公庫が、どのような姿であれ、この法律の成立とともに消滅をして、そして開発銀行と一緒に新しい金融機関をつくる、こういう政府の意図には相違がございませんので、その点を御審議いただきたい、こうお願い申し上げていることになろうと思います。
  124. 上田清司

    ○上田(清)委員 非常に大臣の率直な御見解を聞いたわけですが、統合そのものは行革の視点から非常に筋のいい結婚だと私は思っております。いたずらに東北北海道のみの開発ではなくて、日本全国、全体に行き渡るようなそういう融資のあり方、その視点から統合されてしかるべきだというふうに私も思ってはおります。  ただ、北海道の拓銀破綻以来の目下の経済情勢等もありますので、その部分については勘案しなければならないというふうに理解しておりますが、余りにも不確定要素があるがままにこういう法案を本当に通していいんだろうかという悩ましい思いを実は持っております。  先ほどちょっと、中川さんにもお伺いしたのですが、これは「関係省庁の了解を得たものではない。」という、確かに、北海道開発庁の独自に出したものだというふうに理解できるような欄外の記述があります。しかし、逆に、本当にそれでいいのか。何て書いてあったか、この「苫東開発をふりかえって」と。この教訓が何にも生きてないじゃないか。勝手にまた同じことをやっているじゃないか。各関係省庁と関係者とすり合わせをしていい案を考える、あるいはまだ考え切れなければ保留しながらでも結構じゃないですか、あれだけ立派な造成ができているわけですから。場合によっては二年でも三年でも凍結しても構わないと思うのですよ、いたずらに慌てないで。そのくらいあれは貴重な資源だと私は思います。日本の財産だと思います。それをいたずらに、何かわからない、絵にかいたもちを持ち出して、これで民間融資団にお願いしますと言って乗るかなと私は思いますよ。  ある新聞報道にもちょっと出ておりました。昨年の八月二十六日に開発庁は苫東の説明会を民間金融団になされましたね。どういう評判でしたか。なるほどと言って賛成されましたか。斎藤監理官、どうですか。
  125. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 昨年の八月、これは概算要求の前でございますけれども、八月の初旬を皮切りといたしまして、幾たびか民間金融機関と協議を続けているところでございます。まだ去年の夏の段階、予算要求にも至っていない段階でありますので、私どもとしては、要求の方針、あるいは苫東会社の細部の処理の方向について、あるいは新会社の設立について説明をし、理解を求めたということでございます。  当然でございますけれども、民間金融機関にとっては、債権を放棄するというのはまことに重い負担の問題でありますし、それからまた、新会社ということでありますと、当然にどういう事業内容を持っているのかということが聞かれるわけでございます。  私どもとしましては、引き続き新会社の事業計画の最終的な確定に向けて努力をし、そのことを通じて民間金融機関の理解と最終的な合意を得てまいりたいというふうに考えているところでございます。
  126. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のも正確に答えていないでしょう。昨日理事会で、あなたの答弁に関して苦情が出たんですよ、理事のほぼ全員から。ちゃんと答えるようにと、委員長からも御叱責があったはずでしょう。  私は、どういう反応をされたんですかということで聞いたんですよ。事業計画案の一部を発表されたでしょう。それについての反応はどうだったんですかと。なるほどという反応があったんですかと。逆でしょう。全く逆の反応があったわけでしょう、絵にかいたもちじゃないかと。私が思うんだったら、現地の人はもっと思いますよ。それを言っているんですよ。ちゃんと答えてくれないとだめですよ。本当に、委員をばかにしてはいけませんよ。大変失礼です。言わなくてもいいことを一生懸命言っていらっしゃる。時間だけがたっていくんですよ。  それで、大蔵大臣、去年の閣議の了解の中でこういうことが書いてあるんです。読み上げますが、「新会社については、北海道民間各々と均等に出資を行うとの考え方を基本とするとともに、北海道民間各々の諸事情を勘案し、」ここからが大事なんですが、「新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提に、産業投資特別会計からの出資を受けて、北海道東北開発公庫が出資を行う。」こういう閣議了解の2の1があるんです。「新会社の事業の円滑な推進」という言葉について解釈をここでするつもりはありませんが、素直にとれば、やはりきちっとした新会社のビジョンなり計画なりが明らかにされ、なおかつどのような形で運営されていくのか。  運営されていくのかについては比較的すっきりしたものが出ております。「新会社の固定的収支見通し」というペーパーで、大体五億の収入がありますよ。固定資産税等で二百五十かかります。残った二百五十の中で百五十が人件費、これは六〇%は多いと私は申し上げました。こういう企業はありません、人件費だけが六〇%というのは。これは多分にいい会社じゃないと思います。ともあれ、こういう管理会社的な色彩を持つ収支のバランスはあります。  しかし、先ほど申し上げましたように、広大なきちっとした基盤を持った分譲団地をどのようにして処理していくかということについては、いろいろな工夫が要ります。金利が上積みされていますので、非常に高い分譲価格にもなっております。この辺の問題とかもきちっと出さなくちゃいけない、価格体系をどうするのかとか。そういうことを前提にお金を出しますよと私はとらえているつもりなんです。  こういう不確定のままに国の予算がいたずらに出資されるというのは、先ほど、この問題はちょっと悩ましいと大臣も言われました。本来の統合の部分に不確定要素を持ったものがくっついてきている。したがって、非常に私と同じような御認識と悩みを持っておられると思いますが、余りにもこの新会社のスキームというのがずさんではないかというのが私の考え方でありますので、この閣議の趣旨からしても、非常にこれは問題があると私は申し上げます。  この点について、大臣はどのような御見解かをお伺いしたいと思います。
  127. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまお話しの文言は、昨年の十二月二十五日の閣議の了解にございまして、私もこのことは承知をいたしております。  上田委員の言われますように、この会社は、スケルトンとしてはやっていける。埠頭収入があって、そしてそれだけの人員で、確かに人件費六〇%なんというのは、これは本当に将来隆盛になる事業会社の姿ではありませんから、そんなことを長々やっていてはいけないんでしょうが、とにかくスケルトンとしては生きていける。問題は、生きるために生きるんではないので、これだけの事業ができるかどうかということであります。  それで、「新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提に、」というのは、言ってみますと、そういう将来があるということを、どういう言葉がよろしいんでしょうか、かなりの確率をもって推定できる限りとでも申すんでしょうか、そういう見込みがなければ会社をつくる意味がありませんので、それで開発庁が、例えばこういうことがある、これはおっしゃるように一種の目論見書であって、今まで何十年もできなかったことがどうして急にできることになるのかねということはだれでも思うことでございますけれども、しかし、それでもやはり、そういう将来に望みを嘱してこの会社を新しくさせていきたいという関係者の御同意が本当にあるならば、やりにくいことだが北東公庫としてもおつき合いをいたしましょう、こういうことを申しておるのだと思います。  したがいまして、今上田委員の言われましたように、この二枚紙でもって本当にこれは事業になりますかねと思って民間が出資をしないということになりましたら、これは先ほど申しますように、私どもが想定していた事態ではないわけでございますので、そのときにどうするかということは、もう一遍そこで立ち返って考えなければならない。皆さんが、地元が一生懸命やりたいとおっしゃる、その情にほだされたとは申しません、そういうことがわかっていて、ではひとつ一生懸命支援しましょうと言っているんですから、そのもとがなくなってしまったときには、それはそのときにまた立ち返って考えるしかないんではないか、私はやはりそう思います。
  128. 上田清司

    ○上田(清)委員 私も理解力が余りいい方じゃありませんので、速記録を読み返しながら、また改めて確認させていただきます。私も非常に不安を持っておりますが、大臣の答弁の中で、同じような認識だなというふうに思います。  それから、六百二十二億のこの資産についても、私はまた申し上げなきゃならないと思います。この資産の鑑定をされたわけでございます。しかし、その資産鑑定が五百二十億ということであったみたいでありますが、これもいろいろ何か数字が明らかにならない部分もありますが、最終的に、旧会社の資産を五百六十八億と見て、五十四億の取得税等の税金を払った足し算が六百二十二億という計算になるかと私は聞いております。間違っていたら正していただきたいと思いますが。  ともあれ、この会社の資産を約五百六十八億なりあるいは五百億なりと見るという鑑定をどのような形でなされたのか。新聞報道によりますと、「苫東会社の資産鑑定依頼先 開発局OBの会社」、こういうのが北海道新聞のことしの一月八日の記事にございます。そして、ほかの民間の見方の中では、二百億、三百億という話もある、こういう報道が出ておりまして、これも非常に危惧をされる。なぜならば、会計検査院の御指摘もあったように、高い金利のもとに土地の分譲価格がどんどんつくられていって、それを担保にしてまた貸し付けるという事態があったことも事実であります。  そういうことをいろいろ考えると、この五百億を超える資産というものは鑑定が正しいのかどうか、これはちょっと気になるところだなと私はやはり思わざるを得ないのですが、この鑑定の正しさということについての証明ができるのかどうか、それからなぜ開発局のOBなんかに頼んだのか。そういうことをするから癒着だと言われるんだというふうに私は申し上げたい。なぜそういうふうな頼み方をしたのか、絶対こういう疑いを持たれないようなところになぜ頼まなかったのか、そういうことを斎藤監理官、お答えしてください。
  129. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 新会社設立に当たりまして資本金額をどうするか、そういったことを考える上で、実際の事業用資産であります六千六百ヘクタールの土地の鑑定評価というのは極めて重要な課題でございます。そこで、北海道開発庁といたしましては、昨年の十一月でありますけれども、鑑定評価会社に委託をいたしまして鑑定をしてもらったところでございます。  いろいろ不動産鑑定協会等々に伺いますと、六千六百ヘクタールもの土地の鑑定というのは、なかなかそういった鑑定会社というのは見つけるのが困難であろうということで、つまるところ、北海道の地元の会社に委託するよりないんではないかというアドバイスをいただきました。その結果といたしまして、実際の鑑定は株式会社の北海道公共補償研究センターというところに委託をし、鑑定をしてもらったわけでございます。  鑑定結果については、先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。
  130. 上田清司

    ○上田(清)委員 どこからアドバイスをいただいたんですか。開発局のOBの方がいいという判断を、どこからアドバイスをいただいたんですか。あなた方の考え方というのは、そういうことについて鈍感なんですか。当然、よくないという判断をしなくちゃいけないでしょう。公の金が入る、道庁からも入る、そして国民のお金である税金からも入る、そういう新しい会社が一点の曇りもないように考えなくちゃならないのに、なぜOBの会社に依頼をするのか。何でそういうアドバイスを受けたんですか。だれから受けたのか、そしてなぜそういう判断をしたのか、もう一回答えてください。
  131. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 私ども、鑑定評価といった専門分野の話については知識が不確かでございましたので、そこで、これは非公式でありますけれども、日本不動産協会の方に、六千六百ヘクタールもの土地の評価については一体どういったところに依頼したらいいであろうかという御意見を求めたところ、なかなか北海道でないとそういう受託先は見つからないであろう。決して不動産協会の方から、固有名詞を挙げてここにせよというアドバイスをいただいたわけではございません。
  132. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、自分たちで判断したというならなお悪いじゃないですか。開発局のOBに頼むなんというのは、私に言わせると、言葉は汚いけれども、あなた方、やっていることが狂っていますよ。常識じゃないですか、そのくらいのことは。何百億という国民のお金が入る、そして千何百億というお金が損失にかかわっている、そういうことについて鈍感過ぎますよ。まだまだ尋ねたいことが山ほどあります。いよいよこの問題は奥が深いですよ、あなた方の対応というのは。  時間があと一、二分ございますが、本当におかしいですよ。どういう判断でされたのか。ほかにないわけじゃないんですから、なぜオープンに、公開でも何でもしなかったんですか。それが普通の常識じゃないですか。全国津々浦々、いっぱいありますよ、そういうところは。これは大変なお客じゃないですか、そういうコンサルタント会社から見れば。広大な部分を鑑定するということですから、当然それに見合った報酬も予定されるでしょうし。何か非公式に相談して、その固有名詞を挙げられたわけじゃないということは、あなた方が判断したということでしょう。なお悪いじゃないですか、責任の押しつけはできませんから、今度は。  改めてまたお伺いしますけれども、今度はしっかり答えてください。とにかく自分の判断で、したということですね、北海道開発庁の。それだけ確認しておきます。
  133. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 決して、北海道開発庁なり北海道開発局のOBが行っている会社だということで委託をしたのでないことは申し上げるまでもないことでございます。専門知識を持った不動産鑑定士がおり、その上で六千六百ヘクタールの土地について鑑定をしていただける会社というのが見当たらなかったということでございます。
  134. 上田清司

    ○上田(清)委員 見当たらなかったというのは不見識な話ですよ。これは削除された方がいいのじゃないかと思いますよ、武士の情けで言いますと。  以上です。終わります。
  135. 村井仁

    村井委員長 次に、若松謙維君
  136. 若松謙維

    ○若松委員 公明党・改革クラブを代表して質問をさせていただきます。  初めに、せっかくの大蔵委員会ですから、今まで税法関係でちょっと質問したかったんですけれども時間不足で、きょうは三度目の通告ということで、まずこれを先にちょっと片づけさせていただきたいと思っております。  まず、厚生省関係なんです。医療法人の出資の評価方法についてなんですけれども、現在、医療法人の相続税評価は、事業継承、御存じのように医療法人というのは、一度財団という形で個人の財産を入れますと配当もしませんし、おのずと含み益がたまる。そのたまった含み益をそのまま相続税という形で、新しい後継者に移る場合に相続税がかかってくるわけです。御存じのように、医療経営というのは、やはり一般営利企業とは異なって公共サービス性がかなり尊重されるべきでありますので、もっと事業継承をしやすいような相続税評価制度を導入すべきではないかと考えますけれども、厚生省並びに主税局のお考えを聞きます。
  137. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 医療法人と申しますのは、昭和二十五年に制度化をされて以来、民間医療機関の主たる開設主体として日本の医療提供体制の中で重要な役割を果たしてまいりました。  先生の御指摘は、出資持ち分の定めのある社団医療法人の社員が退職をされた場合に、その税負担により法人の財産を維持することができなくなるということと理解をいたします。  この点につきましては、厚生省といたしましても、医療法人が医療提供体制の中で果たす役割にかんがみまして、医業の継続性を確保することが大変重要であると考えておりまして、平成五年から六年にかけまして医療法人制度検討委員会において検討を行うとともに、医療審議会からも平成十年三月に、医療法における公益性の高い医療法人の位置づけや、医療法人の種別にかかわる組織変更の規定等について、関係者、税務当局の理解を得ながら検討を進めることとの意見をいただいているところでございます。  この御意見で指摘をされました医療法人の種別にかかわる組織変更に関しましては、税制上の措置とも関連する問題であり、厚生省としても、医療法人の税務の専門家とも意見交換を行っているところでございますが、委員の御指摘も踏まえましてさらに検討してまいりたい、このように思っておるところでございます。  ただ、評価方法につきましては、昭和五十九年に実は少し変更をさせていただいておりまして、医業経営の継続性の観点から、類似業種の比準方式という制度を新たに導入をいたしまして少し改善を図ったということは今までやってきたところでございます。
  138. 森田好則

    ○森田(好)政府委員 国税庁からお答えさせていただきます。  医療法人のうち、社団法人であります先生御指摘の出資持ち分の定めのあるものにつきましては配当が禁止されておりますが、こういう場合の評価の仕方につきましての考え方を申し上げます。  その出資の評価に当たりましては、一つは医療事業やその経営の内容実質的には一般の開業医と異なるものではないといったこととか、あるいは中途脱退により出資持ち分に応ずる資産価値の払い戻しを受けるといったこと、いろいろなことがございますし、出資の譲渡も可能であるといったことから、従前は資産から負債を控除した正味の財産価額によって評価する純資産価額方式によって評価してきたところであります。  ただ、先ほど厚生省からも答弁ございましたように、やはり収益性ということも加味して評価をすべきじゃないかということから、昭和五十九年に、それまでの純資産価額方式だけで評価するというのを改めまして、一般の中小企業の株式の評価方法に準じた評価法により評価するという形に改めたところであります。  以上が現状でございます。
  139. 若松謙維

    ○若松委員 何か厚生省も主税局も、医療法人は通常のいわゆる商事会社というんですか、全くの営利会社と同じ感覚でいらっしゃるわけですよ。  そうじゃなくて、あくまで医療行為というのは、かなりの規制があって、何をやってはいけない、これをやってはいけないという規制があった上で、それで税率は基本的には、特定医療法人ですか、それを除けば通常の法人税率という形で、その医療法人が、では相続をする。これはいわゆる商事会社というんですか、通常の営利会社を引き継ぐという観点じゃなくて、あくまでも医療の事業継承をスムーズにさせるためには、先ほどの相続税評価、医療法人については、類似比準方式とか純資産とかそういうレベルじゃなくて、やはり一つの軽減措置なりすべきではないか。私は、それを言いたいんです。ですから、説明されているのが、全くわかっていないんですね。  日本の医療法人は、いわゆる所有と経営の分離という面ではまだまだ問題があると思います。その問題は、また別の観点から切り離して解決してもらいたいのはあるわけですけれども、やはり医療法人の継続というのをもっとしやすいようにするために相続税の評価を、例えば先ほど言った商事会社じゃないんだから、少なくとも三割減とか五割減とか評価減を、そういった形を本来すべきじゃないかと思うんですね。これは主税局、どうですか。
  140. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 ただいまのお尋ねは、医療法人はほかの法人と違うのではないかというふうな観点からの御質問であったかと思います。  相続税の考え方でございますが、相続税では、どのような業種、業態であろうかということではなしに、まさにその財産的価値が時価でどのようになっているかということで評価して課税しているわけでございます。したがいまして、医療法人、確かにまさに公益的な側面、そのような事業をしていることは承知しておりますけれども、税の公平というところから眺めさせていただきますと、やはり時価により評価というのが相続税の建前であろうというふうに考えております。  なお、相続税全般について申し上げますと、所得税の補完税というような性格のものでもございますので、今後の抜本的改正の中で相続税のあり方についても検討していきたい、こういうふうに思っております。
  141. 若松謙維

    ○若松委員 ダイヤモンドよりもかたい主税局でありますから、なかなか簡単に考え方を変えようとしないでしょう。しかし、少なくとも、医療法人というものにいろいろと規制を与えるならば、本当は公益法人と同じ税率体系にしてもいいと思っているのですよ。そうじゃなければ、少なくとも、公益法人と通常の事業会社というのですか、やはりその中間ぐらいのものはつくってもいいと思うのですね。ぜひそれは検討してください。主税局、どうですか、検討してください。
  142. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 今、公益法人のお話も出ました。ただ、公益法人の場合は、解散する場合には財産は国または地方公共団体に帰属するというような形で、出資の払い戻しとか、そういう財産的価値がまさにないわけでございまして、今の医療法人の場合、その辺をどう考えるかという問題があるように思います。
  143. 若松謙維

    ○若松委員 出資法人も、きちんと出資してその見返りを求めない、出資したらしっ放しですからね。そういった認識というのも事実あるわけなんで、これはまたおいおいやっていきますけれども、本当にぜひ検討を続けていただきたいと要望して、次の税法、これも現場で非常に要望が多いわけですけれども、同族会社の留保金課税、これにつきまして、諸外国の制度なんですけれども、私の経験では余り聞いておりません。特にアメリカの場合には、やはり留保金課税という制度があるわけです。いわゆる不労所得、利子とかロイヤルティー、そういったものをプールした会社に対する留保金課税はあるのですけれども、日本みたく、資本金とかいわゆる同族会社とか、そういう認定だけで事業所得に留保金課税という形でしているのは、これは日本だけなんですね。ここで留保金課税をやって、配当したときにまた課税する、これは完全に二重課税です。  これは、事業所得については、この日本の留保金課税を外すとか、少なくともアメリカ並みの不労所得ぐらいに留保金課税するとか、やはり軽減措置をしていただかないと、今の貸し渋り状況で、中小企業だって何とか利益を留保して資金繰りをよくしようと努力しているわけですから、そこから税金をふんだくろう、かつ配当でまた取ろうという二重課税は、これはやり過ぎだと思うのですね、諸外国の例から比べても。どうですか。
  144. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 今、同族会社の留保金課税制度について御質問がございました。  我が国の法人の特徴といたしまして、同族会社がほとんどでございます。普通法人二百四十七万社のうち二百四十一万社というふうに承知しておるわけでございます。  それで、このような同族会社の場合でございますが、まさに少数の株主が意思決定権を有するわけでございまして、そうなってまいりますと、配当を仮にたくさんするということになりますと、そこでまた個人のところで所得課税がかかってくる。そうしますと、必要以上にどうしても会社に所得を留保した方が税負担上いいということが考えられるわけでございます。これに対応するため、税負担の公平確保の観点からこの制度が設けられているわけでございます。  また、もう一つは、この課税を行うことによりまして、間接的に配当支出の誘因とでもいいましょうか、そういう機能を果たすことによりまして、法人形態と個人形態の税負担のバランス、よく言われますが、その負担差を調整しようということもあるわけでございます。現行の法人税と個人所得税の基本的仕組みを考えますと、やはりこの制度は必要ではないかというふうに、今先生から御指摘いただきましたが、私どもそういうふうに考えているところでございます。
  145. 若松謙維

    ○若松委員 同族会社でも、二、三%が留保金課税を支払っているのですね。この二、三%というのは、何も法人を使って税金逃れしているというわけじゃない。純粋の事業上の理由もあると思うのですね。ですから、そういったところをもっと配慮して、少なくとも事業所得だけは留保金課税をやめてほしいのですね。  先ほど言いましたように、ダイヤモンドよりもかたい主税局ですから、聞きませんけれども、これを強く主張しておきます。これは何度でもやりますから。余りにもみっともない古い税制をいつまでも後生大事にとっておくと、そのうち、何だ、日本大蔵省はダイヤモンドよりかたい、地球外物体で、隕石か何かじゃないか、そう言われますよ。  続きまして、いよいよ、これは自公で合意をいたしました、総合課税を検討する、たしかそうですよね。ということで、やっとお金持ち優遇税制にメスを入れるその糸口が見えてきたわけです。それに際して、株式配当金の源泉課税、今二〇%やっておりますけれども、あと配当控除制度、これは非常に日本の制度は複雑なんですね。これに、かつ金利控除、利子の控除とも含めて、もう我々専門家でも本当に複雑の中の複雑な分野でありまして、例えば、これからそういう総合課税にもなっていくわけですし、四〇一K等の導入もいよいよ議論がかなり活発化している時期だけに、例えば、この株式配当金の源泉課税ですけれども、イギリスのインピュテーション制度、ACTというものですね、または、アメリカの場合の源泉課税をやらない、こういう形にそろそろ改めるべきではないかと考えるのですけれども、それについていかがですか。
  146. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 今先生から、配当について、法人税と所得税の間のいわゆる二重課税の調整方式をどうすべきかというお尋ねがあったと思います。  我が国では、先生から今お話ございましたように、個人の株主段階で税額控除を行う配当税額控除というのを採用することにしてございます。この話は、昔から法人擬制説だとか実在説だとかいろいろな議論がございましたけれども、我が国では、少なくとも法人所得が株主の所得の一部であることは間違いないわけでございますので、部分的に調整してございます。  ただ、これは、世界的な状況を眺めてみますと、実はアメリカは、古典方式というふうに言っておりますが、一切調整しない仕組みをとっているわけでございます。ヨーロッパ圏は、今先生からお話ございましたように、インピュテーション方式をとっている国が多うございます。しかも、その調整割合は、例えばイギリスは部分的にとどまっておる。まさに、法人税と所得税の議論は、なかなか世界的にも定まっていないところだろうと思います。  そういう中で、私ども、部分的な調整は必要だということで配当税額控除をとっているわけでございまして、先生はインピュテーション方式をとったらいかがかというお話でございました。我々もその世界的な流れというのはよく見ていかなきゃならぬと思っております。  現在、各国の税制ともに、所得税も下がる、法人税も下がる、そうなると結果的に二重課税の量が減ってくるものですから、この調整をどうするかという議論が最近は少ないように思います。  いずれにいたしましても、この法人課税は世界的な潮流を眺めていくことが大切でございますので、これからもそのような見地から勉強を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  147. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひ、世界の流れにしっかり呼応していただきたいと思います。  あわせて、四〇一K、これが導入ということを検討しておりますけれども、これは想定問答にならざるを得ないのですけれども、もしされるということであれば、導入前に、配当課税の二〇%源泉税ですか、並びに投資信託、今ありますよね、ファンドの価値増加分への二〇%課税、これも廃止すべきではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  148. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 配当に対しての課税でございますが、我が国の現状仕組みからどうやって適正な課税を確保するかといいますと、今の配当についてのいわゆる源泉徴収制度をやめるわけにはいかないなというふうに実は考えているわけでございます。  それで、先生の今の投信についてのお尋ねがございましたが、これは、追加型株式投信の取り扱いについてのお尋ねではなかったかと思います。  これまでは、情報処理技術がなかなか進歩していないということで簡便な方法をとらざるを得ないということでの課税の仕組みを今やっているわけでございますけれども、最近、こういう処理技術が非常に進んでまいりまして、きちっとした計算ができるような話も聞いております。したがいまして、適正、公平な課税が担保されるというのであれば、より望ましい計算方法に向けた見直しを行っていく必要がある、こういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、どのような実態、どのような技術進歩になっているのか、よく勉強させていただきたいと思っております。
  149. 若松謙維

    ○若松委員 大分やわらかくなってきましたね。ひとつ、引き続き検討をお願いします。  厚生省そして主税局の関係の方はこれで結構ですので、どうぞお引き取りください。  それで、今回のこの問題、新しい投資銀行ですか、当然貸し渋り対策も行うわけですけれども、金融監督庁にお聞きしたいんです。  これは、私どもの支持者、地元で何度も聞く話なのでこの際再度確認したいんですけれども、いわゆる今の日本金融機関、お金を銀行から借りるわけですけれども、その前に定期預金をしっかり組んでくれということで、例えば一千万円定期預金をやって、それを担保に一千万借りる。ところが、返済していくわけですから、だんだん借入金の方が少なくなるんですね。それで、こういう状況ですから、定期預金は解約して、例えば七割借入金返済すれば七百万円自己資金ができる。これで資金繰りは何とか対応できるということで、定期つきの借入金ですか、定期を解約したいと言うんですけれども、そうすると金融機関はどう言うかというと、今でも、まず定期解約はやめてくれと。当然あちらの運用資産が少なくなるわけですね、受け入れ資産が。かつ、担保はだめだけれども、では、今信用保証協会の枠があるから、担保はそのままで、借入金もそのままで、必要なお金は信用保証で使ってくれと。要は、金融機関、七兆数千億のお金をあれだけ投入しても、相も変わらず、みずから金融機関がリスクテークをしないで、安易に信用保証の、実質制度ローンですね、これを使おうとしている。実際、拘束性預金は違法ですよね。こういう状況で、定期預金は解約ができません、応じられません、こういうことで、借り手が何とかそれをやってくれと言うと、では、ほかの今後の新規の借り入れには応じられませんとか、今度はおどしですよ。これは、実質、拘束性預金の規制に違反していると思うんですね。  こういう今の現状、現場のあり方についてどういう認識をお持ちなのかとどう対応されるかについて、ちょっと御説明いただけますか。
  150. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘になりました、いろいろお聞きになった事例ということでございます。個別の事案を念頭に置いての御質問でございますけれども、お話になりましたこと以外にいろいろな前提というものがあるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、金融機関とその借り手企業との取引の問題につきまして話が個別にわたってまいりますと、これは私法契約上の問題ということになりますし、それから事実認定という問題がございますので、最終的にはこれは司法の場で判断することになるわけでありますので、私ども行政庁がそれにコメントすることは差し控えたいと思うわけでございます。  したがって、答弁は一般論ということにならざるを得ないわけでありますけれども、今のお話の場合に、定期預金契約、それから金融機関から金を借りる消費貸借契約、これは双方とも、一般論で申しまして、銀行それから企業の方、双方にいわゆる期限の利益というものがあるわけでございまして、そうしたこととの関係、あるいは満期の適状がどのようになっているかということにも依存するわけでございます。したがいまして、私ども、個々の点につきましてはお答えを差し控えたいと思うわけでございますけれども、金融機関も、他の企業や個人と同様に、法令や規約に基づきまして適正な商取引を行うことが当然求められているわけでございますので、仮に法令違反というふうな事実が把握されました場合には、適切に対処してまいりたいと思っております。  それから、最後におっしゃいました信用保証協会の保証つき融資につきましては、これは、私どもも金融機関がこの制度の趣旨にのっとって適正に対処するように求めているところでございまして、金融監督庁といたしましても必要な監督を行っているところでございますし、もしもそれに反するようなことがございましたならば、必要な措置を講じてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  151. 若松謙維

    ○若松委員 では、先ほど私が言った、個別の事例というお話ですけれども、一般的にまだこういう事実があるという認識はお持ちですか、持っていないんですか。少なくとも、恐らく先生方、かなりこういった同じ現場の声というものをこの委員会で伝えているはずなんですよ。ですから私は、個別というつもりじゃなくて、大勢の現場で困っている方の代弁をしているだけなんですね。どういうふうに認識していますか。それに対しては何かアクションをとっていますか、金融監督庁として。  七兆数千億円も政府からお金が入ったんだから、もっと金融機関はちゃんとリスクをとってしっかり企業を応援して、育てて育てて、そういう安易な相変わらずの担保貸し付けはやめろ、そういう何らかの指導をしていますか。
  152. 乾文男

    ○乾政府委員 金融機関の企業に対します融資、とりわけ中小企業に対する融資につきましては、国会で成立いたしました早期健全化法、この前の七兆四千五百億の公的資金の増強の際にも、非常に重要な柱の一つとして金融再生委員会において審査をされたところでありまして、そのことは、注入を受けました各行の経営健全化計画の中にいわばコミットする形で書いておるところでございます。  それで、私ども金融監督庁といたしましても、金融機関が企業に対しまして、とりわけ中小企業に対しまして必要なリスクをとりながら与信を行っていくということは、これは金融機関の重要な機能の一つであるというふうに考えておりまして、いわゆる健全な借り手の方に対する融資が不当に萎縮することのないように、先ほど申しました早期健全化法の運用あるいは特別保証制度その他等を通じまして金融機関に指導をしているところでございます。  ただ、個々の取引の中でその担保との関係でどうこうということになりますと、これは金融機関と企業との間の契約の問題になりますことから、その問題については一々立ち入ってはおりませんけれども、全般的には、今申しましたような態度で信用の円滑化ということについて機会をとらえて指導しているところでございます。
  153. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、例えば、ある個々のいわゆる金融機関と借り手との関係で、どう考えても借り手から見て納得がいかない、それで、私どもも国会議員の立場から見ておかしい、ここで、委員会でやると個別の話だ、応じられないということなので、少なくとも金融監督庁には、そういうどう考えてもおかしいということに対しての窓口相談というか苦情受け付けというか、そういうのはありますよね。あるべきだと思うんですけれども、どうですか。
  154. 乾文男

    ○乾政府委員 程度と申しますか、内容二つに分けて考えることが必要だろうと思いますけれども、私ども、金融機関の行動に法令違反と言われるようなことがあります場合には、銀行法の体系にのっとりまして適切な措置を講じていくことが必要だというふうに思っておりますけれども、いわゆる金融機関と預金者、あるいは金融機関と借り手の方々との問題につきまして、私ども個々の取引に対する権限というものは持っておりませんので、私どもが直接にその個別案件につきまして御相談を承ってということは、権限のないことについての問題をどう考えるかということがありますことから、これは従来からお答えしておりますように、私どもは、金融機関のいろいろな団体に対しましていわゆる苦情相談所のようなものをつくることを指導しております。これは、銀行で申しますと各県レベルに銀行協会の相談所を設けておりまして、そういうところに対する相談の体制を広報しておりますし、私どもにお話がありましたときにもそういうところを御紹介申し上げる。また、私どもも、そうしたところでの相談件数等を把握することによりまして、金融機関にいわば間接的に、そうした苦情に対する処理が円滑にいき、ひいては預金者、借り手の方との信頼を得るように、そういう指導を行っているところでございます。
  155. 若松謙維

    ○若松委員 乾さん、やはり借り手は立場は弱いわけですよ。ですから、貸し手側の、例えば県の銀行協会なりの窓口じゃだめなんですよ。やはり、借り手が直接金融監督庁と一つの情報交換の場があって初めて民主主義じゃないですか、公平じゃないですか。そういう観点から、私は監督庁にそういう受け付けを設けるべきだと思うんです。そうでしょう。どうですか。
  156. 乾文男

    ○乾政府委員 まず、最初にお尋ねになりました、借り手の方が弱い立場ということで相談所に行ってもということでございますけれども、各県に設けられております相談所はいわば公益的な立場でありまして、個々の金融機関から離れて相談に応じるということになっておりますし、現に相談に行っていらっしゃる方々も非常に多数いらっしゃいまして、その相談件数、内容等も我々統計的に把握をしているところでございます。  それで、金融監督庁にということでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、これが法令違反ということでありますと私どもも対処したいと思いますが、そうでない個々の問題につきまして、いわば私どもが権限を持っていないことにつきまして直接相談を受けるということは、借り手あるいは預金者の方に金融監督庁がそうしたことについて法令上の権限を持っているというふうに、誤解されると言ってはあれですけれども、そうしたこともありますことから、現在のような体制の中でできる限り金融機関と預金者あるいは借り手の方々の間の信頼関係が維持されるように努めてまいるのがいい方法であるというふうに考えておるわけでございます。
  157. 若松謙維

    ○若松委員 先ほどの各都道府県なりが相談の受け付けですか、どういった人たちがやっているんですか、実際に相談の受け付けというのは。銀行側の代表者ですか、それとも皆さん方ですか。これは、偏った相談員が幾らやったってだめだと思いますよ。
  158. 乾文男

    ○乾政府委員 各県に、銀行の場合には県レベルの銀行協会というのが公益法人として存在しているわけでございまして、そこの公益法人のプロパーの職員が相談に応じているというふうに承知をしております。公益法人であります各県の銀行協会の職員ですね、民法三十四条の法人の。そこのプロパー職員が相談に応じているというふうに承知しております。
  159. 若松謙維

    ○若松委員 そのプロパーの職員というのは公平な立場で、金融機関から来ているわけじゃないんですね。それは間違いないですか。
  160. 乾文男

    ○乾政府委員 もともと採用されたのが金融機関かどうかというところまで、私ども申しわけございませんが把握しておりませんが、少なくともその職務の遂行に当たりましては、その公益法人の職員としてやっているというふうに承知をしております。
  161. 若松謙維

    ○若松委員 実際、こういう金融機関と借り手が険悪になると私がアドバイスするのは、一番金融機関にとって怖いのは、定期預金解約じゃなくて自己倒産されるのが怖いんだ、第二分類だとか第三分類の方がまだいいんだ、一挙に第四分類になるのが怖いから、それははっきり言いなさい、そこまでおどかさないと金融機関はわからない、そういうアドバイスなんですよ。私はこれが一番適切なアドバイスだと思うんです。そうですよね。  ですから、そこまでぎすぎすしないように、少なくとも金融機関というのは公的管理ですから、数兆円ものお金が入っているわけですから、借り手、納税者、直接金融監督庁に物を言ったっていいじゃないですか。金融監督庁はそれなりの、直接借り手からの話を聞く窓口をちゃんと設けるべきじゃないですか。そう思いませんか。
  162. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほどからお答えしておりますように、その七兆四千五百億円の資金のときの健全化計画とかいろいろな機会に、私ども、この融資の円滑化ということを言っておるわけでございますけれども、ぎりぎりとした話になってまいりますと、これは、監督庁にいわば個別の問題について権限のない事柄につきまして相談を承る、それが法令違反ということでありますと別でございますけれども、個々の民間の私法の取引に関する分野につきまして監督庁が話を聞き、双方のいわば仲裁に当たる、これは司法の機能そのものでございまして、私どもとしては、ぎりぎりと問われますと、そこは現在ある制度の中でその円滑な関係というものが構築されるように図っていくことが適当だろうというふうに考えておるわけでございます。
  163. 若松謙維

    ○若松委員 そういうことを言っているんじゃないんですよ。要は、日本金融機関ですか、ちゃんと担保をとって、それで貸し付けして、こういう作業というのは、欧米の感覚だとリテールの現場のスタッフがやることなんですよ。彼らの給料というのはせいぜい二、三万ドルですよ。五万ドル超えないですよ。ところが、今日本金融機関は最低六、七百万でしょう。課長クラスになるとすぐ一千万。それで公的資金投入する。相変わらず現場では、先ほど言うように、すぐ信用保証のこのスキームを使おうとする。それに対して何か問題意識を感じないんですか。そんな問題意識を感じている答弁とは思えないですね。もっと痛みを感じてくださいよ、現場の。  かつ、監督庁も、この金融システムを守るためにもう十兆、累計すればもっとですよ。それ以上のお金がもう既に、国民のある意味では将来ツケに回るお金が入っているということですよ。それをぜひ自覚していただいて、それで、直接借り手のいろいろな意見をちゃんと聞くような場を持つように努力していただきたいと思います。これは要望して終わります。余り金融機関の経営の内容が変わらなければ、またきっちりやりますからね。  では、時間がこういう形でいつもなくなるんですけれども、日本政策投資銀行法案について、これも信用保証と同じような話なんですけれども、いわゆる前臨時国会ですか、緊急経済対策で五兆円以内の運転資金融資ということでこれが認められたわけです。特に開銀の場合には支店網が少ないから、結局、民間企業の運転資金融資の審査のノウハウ、それがないということで、民間金融機関に代理貸し制度を委託しているわけですね。それで、そういう設備資金とか運転資金融資の事前審査段階から民間金融機関に要はお任せです、けれどもお金は出す、こういういわゆる代理貸しですね。代理貸しをどんどんやっちゃうと、結局また民間金融機関は、これは新手の信用保証、融資と同じですよね。そういう感覚にはならないか。言いかえれば、民間金融機関のモラルハザードを引き起こす。私はこの五兆円について非常に憂えるわけですけれども、それについていかがですか。
  164. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいま、昨年の十一月の政府の緊急経済対策の大きな柱の一つでありますいわゆる貸し渋り対策、その関連で、私どもが昨年の十二月から導入をいたしました代理貸付制度の運用あるいはその評価、それについてのお尋ねをちょうだいしたわけでございます。  実は、私ども日本開発銀行は、法律制度上は代理貸付制度を導入できる、そういう仕組みになっておりましたけれども、これまで、御案内のように、開発銀行は設備投資を中心とする融資を主として行ってまいりました。そして、これにつきましては、その一件一件の融資の前提であります審査業務が、これは大変工数のかかる作業でございまして、これを民間金融機関にすべてゆだねる、そういう代理貸し制度にはなかなか開銀の本来の業務はなじみにくいということがございまして、これまでやっておりませんでした。  ただし、お尋ねのように、昨年十二月の臨時の法改正によりまして、これまで開銀の行ってきておりませんでした設備投資と直接関係のない長期運転資金を、いわゆる信用収縮対策のために新たに開銀業務としてやれることになりました。それも御案内のとおりでございます。  さて、その際に、開銀はこれまで全国に支店ないし事務所、そのネットワークが、業務の性格もございまして大変少のうございます。例えば支店につきましては全国で七カ所、事務所が六カ所、こういう状況でございますから、いわゆる貸し渋り対策を効率的に行いますのに、開銀へのアクセスと申しますか、開銀の拠点が非常に少ないために大変利用者に不便を来す。そういうことから、これまで活用しておりませんでした代理貸し制度を昨年の十二月の臨時法改正の際に導入をすることにいたしまして、民間金融機関融資の申し込みの受け付けからその実行開始に至るまでのすべての融資業務を委託する、これによりまして今申し上げました融資窓口の拡充あるいは融資実行の迅速化を図る、こういうことにいたしました。対象長期の運転資金ということでございます。  さてそこで、お尋ねの点でございますけれども、いわば、民間金融機関とすると、開銀資金が利用できるということでありますから、モラルハザードという御指摘がございましたけれども、確かに、仕組み方によりましてはモラルハザードの問題、懸念というものがあろうかと思います。たまたま昨年の臨時の法改正のときには、実は本院それから参議院におきまして、ともに附帯決議をいただいておりますけれども、その中に、開銀により融資される資金民間金融機関資金回収に充てられる事態を回避すること、これが明記をされております。  そこで私ども、代理貸し付けの対象とする資金につきまして、ただいまお尋ねのような、いやしくも民間金融機関がみずからの融資資金を回収する目的、いわゆる肩がわり資金については、これを明確に対象外にしております。そういう運用を行っております。  これに加えまして、代理貸し付けを行う民間金融機関の保証責任割合、つまり、開銀資金の代理貸しが行われた場合に、それが不良債権化したときの保証責任割合を、民間金融機関側、つまり代理店側に八割、開銀二割、こういう割合で民間金融機関にも一定のリスクを負担していただく、そういう仕組みにしているところでございます。  したがいまして、御指摘の御懸念の問題は、制度の仕組み方によってはあり得るということを私ども考えまして、ただいま御説明しましたような仕組みにし、かつ運用を図っている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  165. 若松謙維

    ○若松委員 今おっしゃった代理貸しの場合のリスク負担ですか、これはいい制度だと思います。  それでは、質問がちょっと飛んでしまうのですけれども、今度は、モラルハザード、代理貸しというところですけれども、あわせて、民業との競争の禁止ということでいろいろ他の委員からも恐らく出たと思いますけれども、今後も、この日本政策投資銀行業務融資ですか、これについてやはりガイドラインを明確に作成すべきじゃないかと思うのですね。例えば、対象事業別ですか、たしか電気事業は三割とか言っていましたけれども、融資率の上限を設けるとか、事業別に何%、何%と、あとは、さらにそれを公表するとか、やはりそういうガイドライン等を、ちゃんと透明性を確保して、どこでどういう手続をとってつくってそれを公表する、これをしっかりとすべきではないかと思いますけれども、それについていかがですか。
  166. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 新銀行民業補完の原則をどう担保するかという問題につきましては、融資の種類ごとに上限を定めるというのが一つ。それから、実際の個別の融資に当たりまして、借り入れをいたします事業者でありますとか事業者の主取引先に、その資金がなければ事業が成り立っていかないのかというような点を個別に聞くということで担保いたします。  それから、融資比率の上限につきましては、新銀行におきまして投融資指針というものをつくります。その中でそういうものは明示しまして、もちろん公表いたしまして、借り手の方々も事前にわかるような仕組みにする予定でございます。
  167. 若松謙維

    ○若松委員 わかりました。では、一応公表するということでいいわけですね。  それでは、この日本政策投資銀行ですけれども、今、これを貸し渋り対策平成十三年三月三十一日までの時限措置としておりますけれども、それでは、平成十三年四月一日以降は貸し渋り対策としていた融資をどうするのか、これは今どういう方針でいらっしゃいますか。民間に債権を譲渡するということですか。それとも、十三年四月一日以降は単なる回収業務のみ、そういう理解でいいわけですか。
  168. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 御指摘のように、貸し渋り対策時限でございますが、その際に、融資している残高は残るわけでございますが、御指摘のように、現在の法律の提案している仕組み上、民間金融機関に譲渡するということは道はございます。ございますが、それをどうするかということにつきましては、新しい銀行業務をどのように考えるか、あるいはどういうニーズが民間においてあるかとか、その時点で慎重に検討した上で適切な対応をすべきものだと考えます。
  169. 若松謙維

    ○若松委員 わかりました。では、何も検討していないということですね。これはちゃんとしっかりやってくださいね。そうしないと、またずるずる貸し渋りの時限延長とかという形にもなりかねないし、しっかり今のうちに対策をとっていただきたいと思います。  それでは、先ほど、この統合後の不良債権につきまして、ディスクロージャーですか、これについては何人かの委員から質問があったと思います。  それでは、引当金ですね、自社の引き当て、これも今回の金融再生委員会の基準もしくはそれに準ずるような形で都銀並みにしっかり積むべきではないか、そう思うんですけれども、それについてはいかがですか。
  170. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 この問題は、まず不良債権のディスクロージャーをどうするかという問題と、それから把握した不良債権に対して引き当てをどうするかという二つの問題があると思います。  最初の問題につきましては、昨日石井議員への説明の際にも申し上げたわけでございますが、早ければ新銀行発足の初年度であります十二年三月期に、現在使われております民間銀行における金融再生法の基準と同様の基準で評価をしていくことを検討中でございます。その方針で準備をしているところでございます。  そこで、引き当ての方でございますが、引き当ての問題につきましては、やはり政府銀行民間銀行ではやや異なる点があると思うんです。  民間銀行につきましては、不良資産がふえた場合にどう対応するかということについては、いろいろ方法があるわけですけれども、例えば市場から株式を発行して資本を増強するとか、そういうことがいろいろございますし、そういう際の資金調達上、引き当てをたくさんしておいて信用を確保するというような必要もあるわけでございます。  政府系の銀行の場合におきましては、まず政府の全額出資によりまして一定の政策目的に融資を行うという任務を政府から与えられるという面がございます。それから、各業務の運営は毎年度の予算で行います。それから、融資の量をどうするかというのは、まさに政策的な判断としてどの程度政府がそういう融資を続けるべきか、あるいはそのために資本のベースをどう拡充すべきかというのは、これは予算で出資金というような形で手当てをするわけでございますから、そういう面で民間金融機関と違う点があるわけでございます。  そういう点を含めましてさらに検討をする必要があろうかと思いまして、現時点でどういうめどを持っているかということは申し上げられる状況にないわけでございますが、引き続き御指摘の点なども踏まえ検討していくべき問題だと考えております。
  171. 若松謙維

    ○若松委員 今までの政府基準ですと、一挙に現金主義みたいな形で、発生主義的な要素がなかなか取り入れられない。結果として、さっき上田議員も言っていましたけれども、数百億とか一千億、二千億、巨額のお金をいとも簡単に損失負担という形で政府会計に求める、そういう形はやめてほしいということなんですね。それはしっかりお願いしますよ。  大蔵大臣にも一問ぐらい質問しないと失礼なんでちょっとしたいんですけれども、その前に、会計検査院の検査もやっております。特に北東公庫については、昭和五十四年ですか、当時の船舶資金の貸し付けで指摘されました。それ以降も苫東等にしたようなしてないような感じですけれども、ディスクロージャーかつそのチェックということであれば、会計検査院も人数が限られていますし、やはり外部監査ですか、公認会計士監査というものをしっかり制度化すべきではないかと思うんですね、この新しい銀行の発足に当たって。それについてはいかがですか。
  172. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 新銀行の財務の適正性につきましては、基本的には三つのチャネルと申しますか、ルートを通じて確保を図るということになっております。一つは、新銀行における監事がおるわけでございますから、監事の監査がございます。それから、実際に行った業務に対しまして、事後的に会計検査院の検査がございます。それから、その上に主務大臣の一般的な監督権があるわけでございます。  それで見ているということでございますが、特殊法人でございます新銀行におきましても、可能な限り民間企業に適用されている会計基準に基づく会計処理を行うことが望まれるということもございますし、財務の内容の透明性を一層向上させるということも必要でございますから、新銀行におきましては、外部の専門的な監査法人の活用についても検討していくべきものだというふうに考えておりまして、新銀行発足後、そういうことについても検討してまいりたいということでございます。
  173. 若松謙維

    ○若松委員 監査法人の責任の問題もあって、正直言って未決着ですけれども、ぜひこれは前向きに検討していただきたいと思っております。  それでは、質問しながら、お二人の総裁が今並んでいるわけなんですけれども、大蔵大臣にお聞きしたいんです。  新銀行の総裁はお二人のうちの一人がなられるのか、公募ということも考えていいのじゃないかと思うんですけれども、大蔵大臣はどんなお考えですか。
  174. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まだ法律をこうやって御審議中でもございますし、時間もございますので、具体的に考えてはおりませんけれども、適材適所ということで考えさせていただきたいと思っております。
  175. 若松謙維

    ○若松委員 非常に何か禅問答的で、適材適所ですね。  そうすると、公募ということも、公募が決していいとは思わないし悪いとも思わないし、かつ経験豊富なお二人のうち一人ということも、いろいろあるでしょうけれども、何か既定路線の人がただ二つ一つにするに当たってその頭につく、総裁につくというのはかなり時代おくれという認識は私は持ってしかるべきだと思うんですけれども、大蔵大臣はどういうお考えですか。
  176. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大切な仕事でございますから、やはりそこはそれにふさわしい方になってもらわないといけません。もちろん、野にもいろいろなすぐれた方がいらっしゃると思いますから、閉ざすという意味ではございませんけれども、どちらかといえば在来の実績で信頼のできる方をというふうに思いますが、しかし、それはそうでなければならないということを申しているわけでもなくて、いい方もいらっしゃるかもしれない。  いずれにしても、特に先入観を持たずに適材を選びたいと思っております。
  177. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひ、いい方を見つけてください。  それで、新銀行ができましてから、また時代もそのときは変わっているでしょうし、合併後、やはり一度しっかり時間を決めて見直すべきだと思うんですね。遅くとも合併後三年後には、例えば定員とか役員数とか部局数とか、支店とか事業所数とか給与レベル、こういったものをしっかり見直して、できるものだったら民営化、そういったところも含めてやるべきではないか、私はそう思うんですけれども、それについてはいかがですか。これは新総裁ですか、それとも大蔵大臣ですか。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この銀行は性格上民営にはできないと私は思いますが、銀行の運営につきましては、当然理事者によく考えていただいて、大蔵省も監督者の一人でございますから、そういう点もよく御相談しながらやってまいりたいと思っております。
  179. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、例えば財投資金ですけれども、これも二兆円とか、巨額の財投資金が毎年開銀に入っているわけです。累計はもっと多いわけですけれども。  そういうことで、財投資金なりを安易にふやすというものではなくて、今の時代の動向を見ればやはり減少すべきではないか。そういう減少目標なりをしっかりと立てるべきではないかと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
  180. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来の財投の制度が続きますならば何もこれで不都合はないと思っておりますのですけれども、財投の制度そのものが早晩どうも見直さなければならないということになってまいると思います。そういたしますと、従来のことをどういうふうにするのか、財投会計自身が財投債というような国債類似のものを出すことになるのか、あるいは個別の財投機関が御自分でそういうことをされるのか、まだどういう形態になるかわかりませんので、考えを申し上げるのにもちょっと早うございます。しかし、財投は、やはり変わっていかなければならないような様子でございますから、先のことも考えておかなければならないとは思っておりますが、今直ちに申し上げる準備がございません。
  181. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたから終わりますけれども、財投資金については、御存じのように、郵貯のかなりの巨額な返済がここ一、二年で行われるということもありますし、開銀の新しい銀行事業債なり社債なりといった形で直接資本市場から取り入れるとかそういったこともやはり当然考えなければいけないのかな、そういう面でしっかりとそこら辺の調達面の事業計画等も詰めていただきたいと思っております。  一応それを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
  182. 村井仁

    村井委員長 次に、谷口隆義君。
  183. 谷口隆義

    ○谷口委員 本法案審議も、昨日、本日と二日になったわけでございます。同僚議員からの質問を聞いておりましても、ほぼ論点が集約してきたのかなというように思うわけでございますが、本日私がお聞きすることはもう既に同僚議員の方から質問をしておる場合もございますが、その折にはもう一歩踏み込んだ形での御答弁をいただければ大変ありがたいというように、まず冒頭お願いを申し上げます。  我が国の戦後の経済、大量生産、大量消費型経済であるとかキャッチアップ経済であるとか、このように言われておるわけでございます。そのようなことで高度経済成長を戦後続けてまいりまして、それが、現在問題になっております北東公庫苫東またむつ小川原二つのプロジェクト、苫東で申し上げますと、昭和四十七年七月に苫小牧東部開発株式会社が設立された、また、むつ小川原開発株式会社が昭和四十六年三月の設立のようでございますが、ちょうどこの直後ぐらいから日本経済高度成長の陰りを見せてきたのではないか。オイルショック等々がございまして、今までの戦後経済高度成長から若干成長率が鈍ってまいりまして、安定経済成長に移ってきたあたりではないかというように思うわけでございます。そういう観点で申し上げますと、この二つのいわば国家的プロジェクトと申しますか、このプロジェクトは、高度経済成長のちょうど終わりのあたりで行われたプロジェクトではないか、このように思うわけでございます。  こういう観点で、まず初めに北東公庫融資の関係についてお聞きをいたしたいわけでございます。極めて具体的なところから入って申しわけございませんが、北東公庫のアニュアルレポートを見させていただきますと、平成九年度末現在でむつ小川原開発株式会社に九百五十九億三千六百万円、苫小牧東部開発株式会社に九百六十一億一千八百万円、注記がなされておりまして、このうち苫東については三カ月延滞ということでリスク管理債権として計上されておるわけであります。ディスクロ誌でございますね。一方で、むつ小川原開発については、いわゆる不良債権として認識をされておらないわけでございますが、このあたりの違いについてまずお聞きをいたしたいというふうに思います。
  184. 濱本英輔

    ○濱本説明員 御指摘賜りました計数は平成十年三月末現在の債権の状況につきましてまとめましたものでございまして、実はこの平成十年三月末の時点におきましては、むつは利払いを続けておりました。つまり正常債権でございましたので、ここでは苫東とは違った書き方になっておるわけでございます。
  185. 谷口隆義

    ○谷口委員 今総裁がおっしゃった御答弁は、多分これは追い貸しがなされておるのではないかというように私は思うわけでございます。  平成九年度の会計検査院の検査結果報告書を昨日拝見いたしました。そうしますと、その当時、九年度末現在でございますが、総融資額が一千三百六十億、それに対して償還済みが三百九十九億、これは苫東でございますが、融資残が九百六十一億、このようになっておりまして、この九百六十一億のうち期日到来分が八百四十一億円ある。また、むつ開発の方は、総融資額一千四百三十億、償還済みが四百七十億円、融資残高が九百五十九億円、この九百五十九億円のうち期日到来分が七百九十七億円あるというような形の検査結果報告書が出ておるわけでございます。  一つは、貸し出しのときの約定を変更されたというようなこと等記載がございましたので、そういうようなことなのか。また、私先ほども申し上げました、いわば北東公庫のみならず民間金融機関において不良債権を計上しない一つの方法として、不良債権先に融資をしましてこれで返済をする形にして正常債権として置いておくというようなやり方があるわけでございます。だから、それが極めて問題であるわけでございますが、そのようなことにはなっておらないのかどうかお伺いをいたしたいというように思います。
  186. 濱本英輔

    ○濱本説明員 このディスクロージャー誌に掲載いたしますに当たりましては、その債権が現実に利払いを停止したかどうかというその一事をもって判断の基準にいたしておりまして、その債権のさらに内容につきましての情報というものを、それは一つ一つの債権ごとにさまざまな情報を抱えておりますけれども、整理いたします基準といたしまして、これまで、民間金融機関の場合におきましてもそうでございますけれども、利払いという事実、その事実に着目するところでつかまえる、こういう手法によってまいっております。
  187. 谷口隆義

    ○谷口委員 会計上の処理ではなくて、これが本来不良債権なのかどうかという観点で見た場合に、平成九年度末現在においてはこれはもう既に、これは先ほど私申し上げましたように昭和四十六年三月からむつ小川原開発株式会社が設立されておるわけでございまして、この計画面積五千二百八十ヘクタール、そのうち分譲済みが一千百一ヘクタールというような状況の中でかなり行き詰まっておったということは事実としてあったわけでございます。  そういう状況の中でこのディスクロ誌が苫東のみで、むつについては計上されておらないというのは、私はちょっと理解ができないわけでございますが、もう一度御答弁をお願いいたします。
  188. 濱本英輔

    ○濱本説明員 実は、今のお尋ねに対しまして、二つほどお聞きいただきたいことがございます。  一つは、リスク債権というものをいかなる基準で整理するのがいいのかというのは、私どもも大変難しい問題と考えておりまして、やはり先行しております民間の基準というものを念頭に置いて整理してみる。これも、我が方のディスクロ誌の三十八ページ、先生がごらんになっていただいている表だと存じますけれども、この計数も参考情報として思い切って掲載させていただいたものでございます。  特に、貸し出し条件の緩和債権というグループをここにつかまえておりますけれども、貸し出し条件の緩和というのはさまざまなものがございます。特に、これはお尋ねの趣旨から外れることになりますといけませんので、なるべく手短に申し上げますけれども、私ども、非常に長期の貸し出しをいたしますので、長い期間いろいろなことがございますので、それに即応した多少の条件変更というのがございます。これは、別段、さほど深い意味があるのではなくて、適合でございます。そういったものをどう扱うかという問題が一つございます。  それから、そういうことから考えました場合に、むつをどう処理するかということがあるわけでございます。実際問題として、昨日来いろいろ御指摘がございますように、むつ債権にも問題がございます。そのむつ債権がここで一人前なリスク債権として計上されていないということにつきまして、御指摘の趣旨もわかりますが、いずれ、このむつ債権は運命に従いまして十年十二月から利払いを停滞させることになりますので、この十一年三月末、つまりもう過ぎ去った時点でございますけれども、今計数を整理中でございまして、この十一年三月末の時点での新しい整理の中では、リスク管理債権の中に開示される予定でございます。
  189. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう一回お聞きしますと、新しいディスクロ誌にはリスク管理債権として上がっているということなんですね、今おっしゃったのは。平成十年度末の、まだ出ておりませんが。
  190. 濱本英輔

    ○濱本説明員 今私が手元に持っておりますのが平成十年三月末の計数でございますけれども、今つくっておりますのは十一年三月末の数字でございます。十一年三月末が十年度の計数ということになります。この計数はまだ世間にお示しできる用意ができておりません、全体の債権の整理がついておりませんので。  しかし、近々これは公表の時期を迎えまして、その中にはむつの債権はリスク債権として掲載される予定だ、このようにお考えいただいて結構でございます。
  191. 谷口隆義

    ○谷口委員 それと、先ほども出ておりましたが、これは大蔵大臣、先ほども北東公庫については債務超過ではないというような御答弁がございました。  先ほど私が申し上げましたように、苫東で九百六十一億、むつ小川原で九百五十九億、また、その他貸し出し緩和債権が報道によりますと一千億ほどあるというようなことで、これを合わせますと約三千億程度になるわけでございます。  また、別途、この報道を見ておりますと、破綻債権と六カ月以上の延滞債権で三百四十億、貸し出し緩和債権で千二百億、二期連続債務超過の債権で五百億、それとむつ小川原苫東、石狩開発で二千二百億、四千二百四十億という報道もございます。  このあたりの状況が私は明確にわからないわけでありますが、もしこの程度あるとすると、実質的にはこれは処理しておらないわけでございまして、債務超過になっておるのではないかというような考えがあるわけでございますが、これに対して御答弁をお願いいたします。
  192. 濱本英輔

    ○濱本説明員 二点、お答え申し上げます。  最初の点は、債務超過であるかどうかという点につきましてのけさほど来の御議論に関しましてでございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、苫東につきましては、ここで償却をいたします関係で、これが六百五十五億円の償却額になりますが、これを含めましたところの平成十一年度上期末におきますバランスを考えますと、当期の損失額が七百八十六億、これに対しまして資本金のレベルが千六百六十三億と見込まれますので、この限りにおきましては資本が勝っておるということが一つでございます。  ただそこで、むつがどうなるのかという問題がございます。このむつにつきましては、今協議中でございますので、姿が見えないということを申し上げました。ただ、その際、むつの先ほど来御指摘ございます九百何がしというオーダーの貸し金でございますけれども、これは一般的に申し上げまして、債権丸々回収できない事態というのは予想しにくいという感じを申し上げました。少なくとも、この時点で、むつ債権の取り扱いによって北東公庫が債務超過になるという論拠はないだろうというふうに申し上げた次第でございます。それが一つ。  それから、今谷口先生から御指摘がございました恐ろしい数字、これは恐らく去年八月ごろの読売新聞に掲載されました記事に関連しましての数字かと存じます。  この記事は、問題債権が北東公庫に多くて、全部で四千二百五十億も問題債権があるぞという指摘でございました。その指摘の数字の中には、ちょっと今御紹介がございましたように、破綻先債権とか六カ月以上の延滞債権で幾ら、貸し出し条件の緩和債権で幾らというふうに書いてございます。  私どもも、この記事が出ましたときには飛び上がりまして、この破綻先、六カ月以上の債権というのは割かし簡単に調べられますので、調べてみましたけれども、この読売新聞に掲載されております数字と私どもの方の手元の数字とは合致しません。それを新聞社の方にも問い合わせましたけれども、どういう根拠でこの数字が計算されたかの説明を得ておりません。  一番大きな固まりとしましては、貸し出し条件緩和債権の額でございます。これが膨大な額が掲載されておるわけでございます。これはあるいは何かの情報から加工された数字かなという気がいたしますが、ここにつきましては大事な点がございまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、普通の市中金融機関の場合ですと、一年とか五年とか、そういった短い期間で貸し出しを行います。したがって、その間、経済状況が変わりますと、最初五%で貸していたところに今度は三%で貸すとなりますと、条件を変えるわけでございますけれども、五%の債権は五%の債権として期間を全うし、その期間が全うされました後、三%に変わりますときには、いずれも正常債権でございます。  ところが、私どもの方は十年とか二十年のオーダーで貸しまして、しかも協調融資でございますから、民間金融機関がそうして金利を動かしたときに国の関係機関が全く動かさないということは実態にそぐわない。そこで金利をまけることができれば一番いいわけですけれども、我々は財投から金を借りております、長い期間の金を借りておりますから、そこで金利をまけました場合、財投に返す金がございません。  そこで、どういうことを考えておるかと申しますと、私どもも金利を何とかして下げたい、ところが、ネット下げるわけにはまいりませんので、そこで、下げた分は景気がよくなりまして元気になって返してもらう、一種の繰り延べをするというようなことをいたします。それも小刻みにいろいろな種類でいたします。それによって企業は、長期の貸し出しと運命をともにしながら、しくじることなく事業を全うできる、こういうことをずっと続けてまいりました。  そういうことをやったために破綻するとか、おかしなことになるとか、返ってこなくなるという例は極めて少のうございます。そこは長い信頼関係が確立されてございます。そういう意味で、貸し出し条件の緩和債権というのは、私どもとしては、むしろ実態を生かすための切り札だというふうに思っておりましたところ、これは問題債権であるというふうに言われますことは、まことにつらかったわけでございます。  あるいは、さっきもお触れになりましたけれども、二期とか連続で債務超過になっているもの、これはおかしいじゃないかという見方、これはある意味ではそういう場合もあり得るかと思いますけれども、企業を小さいところから起こしましてこれから育てていくというときには、最初はやはり固定投資が多くなりますから、どうしても赤字が続きます。二期連続債務超過の中には、将来性のある企業がいっぱいございます。こういう貸し出しを問題債権として封殺するならば、新しい企業を育てることはできないだろう。そうこう考えますと、こういう債権のとらえ方につきましては、聞いていただきたいことはいっぱいございます。  いずれにしましても、むつ、苫東という難事を抱えておりまして、これがゆえに北東公庫のバランスシートは極めて苦しい状況になっていることは事実でございますけれども、その他の部分につきましての情報もこのむつ、苫東の情報とごちゃごちゃにして、いずれも問題債権なりといって片づけられることに対しましては、私どもとして耐えきれないということだけは聞いておいていただきたかったわけでございます。
  193. 谷口隆義

    ○谷口委員 今おっしゃった二期連続債務超過というのは、これはかなりやはり悪いのですよ。二期連続赤字じゃないんですよ。債務超過といえば、一期であろうとも、大体これは正常なものじゃないんです。これが二期連続しておるといえば、総裁そういうふうにおっしゃいますが、これは不良債権として認定してもいいぐらいなんですよ。だから、そんな立派なものじゃないんです。だから、これは要するに、民間金融機関の不良債権の認定の仕方と若干違うからそんなことをおっしゃるんだろうと思いますが、そのあたりの厳しい債権管理といいますか、それをやっていかないとだめなんです。  話は戻りますが、さっき申し上げたわけでありますが、債務超過かどうかということでございます。これについて、今のお話によりますと、これは実質的に債務超過になっておらないというようなお話でございました。しかし、これはディスクロ誌等々のこの状況を見ますと、どうも判然とわからないような状態になっておりまして、私は、判断が大変難しいところではございますが、極めて蓋然性が高いのではないかというように考えるわけでございます。  それと、もう一つちょっとお伺いしたいことがあるわけでございますが、昨年の十二月に、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように、苫東の関係で閣議了解されたこの処理スキームがございます。  この処理スキームについて、先ほど私、この事業計画について、新会社の問題でどういうような事業計画等々があるのかなというように思っておったわけでありますが、先ほど上田議員の方から資料をいただいて、これを見せていただいておるわけでございますが、普通、このようなプロジェクトとしていわば大変失敗しておる状況の中で、新しい会社をつくって今後もこれを運営していくというような場合には、それはそれなりにきちっとした事業計画があり、その事業のビジョンがなければいかぬわけでございます。  これを見せていただく限りで申し上げますと、全くそういうビジョンがないというようなことで、とにかく今の現状を先送りをしようじゃないかというようなことでしかこれは考えられないというように私は思っておるわけでございます。先ほど大蔵大臣おっしゃったように、この閣議了解したスキームが関係者間で納得して行われるかどうかは未定であるというようなお話でございましたが、このような事業のビジョンがないような新会社が果たしてこれからやっていけるのか。また、従来と同じように出血しながら今後も継続をしていくのではないか、資金が眠ったままでずっとこれからいくのじゃないか、このように思っておるところでございますが、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  194. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の十二月二十五日の閣議了解についてお触れになりました。ここに至りますまでの間に、当時の北海道開発庁担当の井上大臣といろいろ長いこと話をいたしておりまして、井上大臣としても、何とかしてこの苫東というものは将来のために残してやりたい、ただし、そのためには、やはり地元の関係者がそれだけの誠意と熱意を示すことが前提であるというお考えを持たれまして、私もその点は基本的に同意をいたしておったわけでございます。それがこの二十五日の予算編成の際の閣議了解になりました。  したがいまして、ここに書いてございます「新会社の事業の円滑な推進が図られることを前提に、」というのは、従来、何十年の経緯というものが当然その背景になっておりまして、ただ、さりとて、この新しい仕事がうまくいかないで、すぐつぶれてしまうようなことがあってはもちろんならないわけでありますから、経常費的には会社は存続できるというだけの収入は持っておる、そういう形にはしてございます。ですが、そうかといって、一向に仕事がないようでは何ともならぬのでございますから、それで開発庁が、先ほど上田委員のおっしゃっていらっしゃいましたような、見積もりのようなものを基礎に試算をしておられるわけです。  それは大変厳密に申せば、かなり長いこと持っている資産の処分はできない、しかも、経済状況が急にここで好転したかといえば、そう考える理由も特にはないわけでございますから、そういう意味で、この「新会社の事業の円滑な推進が図られる」ということは、そういう状況を踏まえた上で、しかし、やはり多少時間をかしてこの苫東というものは何とか実を結ばせてやりたい、そういう気持ちがこの中に出ておりますことは事実と思います。それは認めざるを得ないのだと私は思っております。  ただ、それは地元がそういうだけの熱意を持ち、一生懸命、自分の危険は承知の上で一緒にそれをやってみようというふうに思っておられるということが前提でございますから、その前提が万一崩れるということになりますと、私どもがいろいろ地元のことも考えながらやってきたことの前提が異なってまいりますので、それは、もしそういうことがございますときは、そのときにいかにするかということを新たに決めていかなければならないだろう、こう思っておるわけでございます。
  195. 谷口隆義

    ○谷口委員 この苫東の分譲の状況を見ますと、平成九年度に一ヘクタールですか、平成八年度は二ヘクタールなんですが、五十一ヘクタールのところは戻ってきているわけですね。それで、平成七年度は四ヘクタール、平成六年度は六ヘクタールということで、合計、分譲が八百二十ヘクタールでありますが、ここ三、四年は全く分譲されておらないというような状況が続いておる中で、新会社に移り、今後どういう事業計画のもとでこれがうまくいくのかなというように思うわけでございます。  後ほどまた私触れたいと思うわけでありますが、この国家プロジェクト、昨日の審議を聞いておりましても、平成七年度に至って重厚長大プロジェクトが転換されたということで処理を変えたんだというようなお話がございましたが、要するに、この大きな経済環境変化をよくよく認識した上で大胆な対応をやっていく必要があるのではないかというように思うわけでございます。大蔵大臣、おっしゃるように、これは北海道の希望の星であるかもわかりませんが、大局的な観点で見ていかないと、それこそ不良債権がたまり、国民負担がふえてしまうというようなことになりかねないわけでございますので、このあたりは、私は、今の分譲の状況等々勘案しますと、よくよく考えていかなきゃいかぬのじゃないかというように思うわけでございます。  あと、むつ小川原開発についてお伺いいたしたいわけでありますが、報道によりますと、国土庁が検討しておる処理案がどうもあるようでございまして、これは、北東公庫の抱える九百六十九億円の債権のうち五百八十八億円を債権放棄し、二百九十七億円を出資に振りかえ、八十四億円を貸し付けとして残しておくというようなものであるという報道がございます。民間金融機関は、千三百三十億円の債権のうち八百五億円を債権放棄、四百九億円を出資に振りかえ、このように求めたというようなことでございますが、金融機関側でいいますと、代表訴訟にたえられないというようなことであるとか、数行の金融機関は金利減免についても応じておらないというようなことで、今ちょうどその検討に入っているといいますか、話をしておるというような状況のようでございます。  このような国土庁の検討されている案があるのかないのか、お聞きいたしたいというように思います。
  196. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発は青森県あるいは北東公庫、経団連あるいはむつ会社など関係者が非常に多い事業で進められてまいりました。それぞれの関係者との間で現在、むつ小川原開発の処理策、協議中でございますが、具体的に数字を盛り込んだ成案を得る段階までには至っていない状況にございます。
  197. 谷口隆義

    ○谷口委員 いや、何かその案があるのかということです。
  198. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 その協議の過程において、この処理をどうするかということでいろいろな考え方をぶつけ合ってはおりますけれども、具体的に国土庁の案というものは現在のところございません。
  199. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは、昨日からの審議の中でこの質問もあったわけでありますが、仮に十月一日の統合までにまとまらないということになりますと、不良債権として新銀行に引き継がれるというようになるわけでございますが、この可能性があるかどうかについてお伺いいたしたいと思います。
  200. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発の処理策につきましては、平成九年九月の閣議決定におきまして、新銀行設立までの間に、その取り扱いについて協議の上結論を得るということで定められておりますので、この閣議決定にのっとって現在鋭意その協議を進めているところでございます。
  201. 谷口隆義

    ○谷口委員 だから、仮にこれがまとまらないということになりますと、それがそのまま新銀行に引き継がれるということになるわけでございます。  この不良債権をそのまま引き継ぐということは、この新銀行日本政策投資銀行でございますか、新銀行の財政状態が発足当初から大変厳しくなってくるというように考えるわけでございますが、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  202. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 先ほど国土庁から答弁がございましたが、むつ小川原開発に対する北東公庫の債権の取り扱いについては今後の関係者の協議の中で決まっていくものでございまして、現時点で新銀行の財務にどのような影響が生ずるかを見込むことは困難でございます。  しかし、仮定の計算として申し上げますと、仮にそのむつ小川原会社の債権が、仮にの話ですが、例えば全額ロスになるというような場合に、新銀行の自己資本、資本金プラス準備金でございますが、どうなるかということを計算してみますと、約一・七兆円でございます。大臣が昨日来申し上げておりますけれども、新銀行の出融資の限度枠は自己資本の十五倍でございます。一・七兆円の十五倍は二十五・五兆円でございまして、現在の段階で予想されます新銀行の出融資残高は約二十二・七兆円でございますから、新銀行業務に影響を生ずるというようなことは非常に極端なケースの場合でもないものと考えられるわけでございます。
  203. 谷口隆義

    ○谷口委員 そんなことは聞いていないんだよ。要するに、発足当初の銀行が不良債権を抱いたままいくことについては問題がありますよと言っているわけだよ。  だから、これは先ほどの同僚議員の質問にもあったように、今まで政府系金融機関と申しますか、政策金融分野においては極めてそういう不透明な部分があった。今回、この国家プロジェクトがいわば破綻したわけでありますから、この破綻したものをきれいに整理した上で新しい銀行に持っていくべきじゃないか、このうみを持ったまま統合するということについては問題がありますよ、こういうふうに言っているわけです。  だから、融資の枠だから問題ないなんて、こんなのは関係ないんだよ。そこを私は言っているわけです。だから、これは、例えば問題が解決がつかないというような場合であれば、その対応についても具体的に、これが成立すればこの十月一日から発足するわけでありますから、そういう状況であるわけでございますので、その処理については別途明確な対応の方向を考えるなりやらないと、当初からこういう不良債権を抱いたような統合というのはおかしいと言わざるを得ないと言っているわけであります。そのあたりをよく聞いて答弁をしてくれと冒頭私は申し上げておるわけでございますから、同じようなことを繰り返して答弁をするのはよくないんだ。  それと、ちょっと話が変わりますが、会計検査院の方にきょうは来ていただいておると思いますが、先ほども私が申し上げました平成九年度の検査結果報告書で「抵当権の設定状況及び担保価値」というところがございまして、苫東の関係でいきますと、分譲単価ベースで造成費を控除して大体平米当たり単価を出して、分譲地の面積をこれに乗じて出した評価が苫東開発では二千六百十八億円、被担保債権が千七百七十八億円だから、これは上回っている、こういうようなことが記載されております。むつ開発においては、今申し上げたやり方と同様に担保価値が二千七百二億円、これに対して被担保債権が二千二百九十億円だから、これも上回っているから、問題ないとは言いませんが、上回っておるというようにこの報告書で書かれた後で、この開発については、途中で例えば事業を中止または終了をさせるような場合には改めて評価をする必要がある。これはもう当然の話ですね、この担保価値が急激に下がるわけでございますから。  それで、私も一つ申し上げたいのは、先ほど会計検査院の方の御答弁を聞いておりましたら、会計検査院の報告を役立てていただきたいというような御答弁がございました。  私は、そうであるならば、むしろ、一歩踏み込んで、この計画がうまくいかない、また例えば途中で中止になるとか仮に終了せざるを得ないというような場合の担保価値はどの程度になるかというところまで踏み込んだ対応が必要ではなかったのかというように思うわけでございますが、御答弁をお願いいたしたいというふうに思います。
  204. 小川光吉

    ○小川会計検査院説明員 会計検査院が地価の算定、不動産鑑定士、そういう方にお願いしてやるということも考えられないわけではないわけでございますけれども、我々の認識としましては、基本的に、分譲されない状態で長く続けていきますと利息が膨らむ、先ほどから御説明申し上げましたように、利息が膨らむということは、被担保債権の部分がだんだん大きくなっていくわけでございますから、今は枠内にあったにいたしましても、今後こういうことについては重要なことになるというような認識で、我々はここの部分を検査報告の中で記述してきているということでございます。
  205. 谷口隆義

    ○谷口委員 今の状況の中ではそこまで踏み込んだ報告はできないのかわかりませんが、これは行政評価というか、プロジェクトの評価のところまでひとつ踏み込んで、これは会計検査院がやるべきなのか、また別の機関がやるべきなのか、ちょっと私は今のところわかりませんが、できればそのあたりまで言及していただくということがよかったのではないか、必要であったのではないかというように申し上げたいと思います。  それで、先ほどちょっと私申し上げましたが、今回のこの苫東にいたしましても、むつ小川原にいたしましても、かなり規模の大きな問題で、大蔵大臣もおっしゃっていらっしゃいますように、これは大きな国家プロジェクトで、今後北海道において苫東は希望の星というように考えられるぐらいに極めて可能性を秘めたプロジェクトであったわけでありますが、このプロジェクトが周りの状況の急激な変化についていけないことであるとか、その他多々理由があって、今回これが破綻したわけであります。このプロジェクトの見直しをやっていかなければいけないのではないかというように私は考えておるわけでございます。  この苫東開発は、いわば戦後の行財政、金融が抱えてきた縮図のような様相を呈している。一九七一年に、苫小牧東部開発基本計画が策定されスタートしたわけでございますが、大変大きなプロジェクトで、開発を具体的に推進する機関として、第三セクター方式の苫小牧東部開発公社が設立されたわけでございます。それが、先ほども私申し上げましたように、当初計画の一万七百ヘクタールの予定に対しまして、現在の売却済みと申しましょうか、分譲済みが八百二十ヘクタールにすぎない、資金調達にも大変困っておるというような状況で、このような状況の中で幹事会社の北海道拓殖銀行が経営破綻し、一挙に経営が悪化したというような状況のようでございます。  そこで、一つお聞きいたしたいのは、この官民出資の第三セクター方式というのは、国もそうでございますし、地方においてもよく行われておるわけでございます。昨日の議論、また本日の議論を聞いておりましても、果たしてどこに責任があるのか、だれが責任をとるのか、このあたりが極めて不明確でございます。  この第三セクター方式、これ自体がこのような不明確さを生んでおるのではないか、このように考えるわけでございます。これが周りの状況に敏感に反応できなかったのではないかというように考えるわけでございますが、まずこの点について御答弁をお願いいたしたいというふうに思います。
  206. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 昨日も石井先生の方から御引用いただきました苫東問題の検証の会による苫東問題の問題点ということで、一番最後の方に結論として、一つは、苫東開発自身が有利子借入金による債務累積構造を抱えてきたという点と、もう一つ、関係機関が官と民の多岐にわたる既存の縦割りシステムのもとで連携の不足と責任の不明確さが生ずるという問題点を指摘しているところでございます。  この連携の不十分さの点と第三セクター方式の関係でございますけれども、関係機関が非常に多岐にわたることは事実であり、であるがゆえに、これまでやや連携の不足あるいは責任の不明確さということが生じていたことは認めざるを得ませんが、さはさりながら、やはりこの苫東のような広大な土地を開発していく上で、いろいろ問題はあったといたしましても、第三セクター方式、北東公庫、地元の北海道それから民間にも出資をしていただいて、国、北海道それから地元を含む民間経済界の協力と支援の体制を明らかにしていく、そういった意味で第三セクター方式のメリットを生かしていくことが必要であろう、こんなふうに考えているところでございます。
  207. 谷口隆義

    ○谷口委員 冒頭お話をいたしましたように、今まさに、我が国の経済が従来のように右肩上がりで今後も推移するとは考えられない状態でございます。だから、高度経済成長、また安定成長の折にはいろいろそのような発想もあったのでありましょうが、今のような経済状態の中で、従来と同じように第三セクター方式で、いわば無責任体制でやっていくことに問題はないのか。  本来なら、例えば三セクであっても、これは資金が続かなければ続かないのですね。ところが、資金が続くことに一つは問題があったのじゃないかというように私は思っております。これは、国の財政投融資資金北東公庫を通じてこのプロジェクトに回っておったというようなことが大きな一つの原因ではないのか。そうしますと、先ほども申し上げましたが、三セク方式のみならず、財投そのものの見直しも行わなければならないのではないか、いわゆる政策金融分野における従来の方式の見直しをやっていかなければいけないのではないか、このように思うわけでございます。  それで、今回の、私、昨日の審議状況を聞いておりましたが、北海道開発庁の方が出られて、開発には我々は関係があるが、経営には関係がない、経営は苫東でやっているんだと、いわば責任のなすりつけ合いみたいな状況があるわけで、このような、いわば企業であれば経営責任は経営者がとるわけでございますが、その経営者がおるようでおらない。だれが指示をしているのか、北東公庫の総裁は、国の意向というようなお話もございましたが、国の意向はどこで決まっておるのかという同僚議員の質問にも回答が明確に出ておらない、このような状況は大変問題じゃないか。  私は、現実の問題として、現在の仕組みの中で北東公庫であるとか苫東開発がどれだけの自主性を持って、かつ意思決定の選択性を持ち得たかという観点で見たときに、これはそれなりの制約条件があったのではないか。そうすると、それはもともと財投計画に基づく資金配分の結果、それがこのプロジェクトに最終的に行っておったのじゃないか。そういうところに行きますと、本日の午前中にも何か審議があったようでありますが、例えば北東公庫がプロパーで資金調達をするとか、今度の新銀行がプロパーでみずから資金調達をする、例えば財投機関債を出したらどうかとかというようなことになれば、これはそれなりに経営感覚が出てくるわけでありますが、財投の一環としてこれがなされた場合には、そのあたりの経営責任が明確になってこないのではないかというように考える次第でございます。これについて御答弁をお願いいたしたいというように思います。
  208. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変多岐にわたることをおっしゃったわけですが、第三セクター方式というのは、本来民のいいところと官のいいところを合わせるつもりのものが、しばしば両方の悪いところだけ合わせることになることがございます。これがそういうケースであったと申すのではございませんけれども、ただ、経済全体がまさに右上がりのときには、多少のエラーもうまく経済成長に包まれまして何とかうまくいってしまうということもしばしばございました。  それから金のことも、おっしゃったことは確かにうそではなくて、本当に民だったらこれは金が切れてもうこれでやめだということに早くなったろうという意味のことをおっしゃって、そういうことは事実あることですけれども、この苫東のような場合にはもともとそういう短い月日の間で勝負ができる仕事ではございませんでしたから、長い金が出るということは私はやむを得なかったんだろう。確かに早く切れればおしまいになったとおっしゃることはうそとも言えませんけれども、どっちみちこれは長い金が必要であったということは私は申し上げられるんだろう。つまり、結局は大きな経済の変動というものを、二十年あるいは三十年先の見通しを、とにかく、事情はともかく誤ったということが致命的ではなかったかと思っております。  そこから申しまして、先ほどおっしゃったことの一つは、「新会社の事業の円滑な推進が図られること」という政府の閣議了解は、新しい金融機関ができたときに、いわゆる苫東のプロジェクトをその時点で、どの時点かはともかく、考え直すあるいは見直す必要があるのではないかという意味のこともおっしゃいました。私はそれも状況進展いかんでは、むしろそのイニシアチブをとるべき新会社が、むつ小川原の新会社ですが、とるべきだと思いますけれども、この政策金融銀行もやはりそういうことに場合によって相談に乗っていくということもあり得るかもしれない、そういうことも考えておかなければならないかもしれないとおっしゃる点は、私もそういうこともありそうなことだってあるかもしれないというふうに思って伺いました。
  209. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の三セクにいたしましても、国も地方も民間金融機関また政府系金融機関も全部当事者なんですね。当事者はその渦中にあるわけでございますので、プロジェクトそのものの進行の状況に応じてこれを手じまいをし、その決断をするのは極めて難しいことではないかと私は思っております。  一番大事なのは、一つ政府のガバナンス、当事者がやるのではなくて、そのプロジェクトの破綻について第三者機関なりそういう政府のガバナンスがしっかりしておれば、このプロジェクトは将来的に見て収益を生まない、国民に対して便益を生じさせないというようなことになるということであればそういう中止の判断ができたのではないか。  実は、きょうの午前中に決算行政委員会で参考人に来ていただいて、ちょうど行政評価の問題をやっておりました。行政評価、例えばGAOなんというのがありますが、そういうような第三者機関、先ほど会計検査院にそこまで踏み込んだ報告があればというようなお話をいたしましたが、そういうようなガバナンスがしっかりしておれば、このようなにっちもさっちもいかないような事態までいかなかったのではないかというように思うわけでございまして、そのようなことについて、済みません、もう一度大蔵大臣の御所見でもございましたらお述べいただきたいと思います。
  210. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 普通の事業でございましたらやはり判断は私はマーケットの判断が一番正確だというふうに考えまして、政府というようなものは余り信用をいたしません。ただ、これは普通のプロジェクトでございませんので、マーケットの判断というものでもまいらないところがございますので、それで第三セクターということになったのであろうと思っております。  これだけの長いプロジェクトがこういう非常に変化の大きかった過去の何十年の中でうまくいかなかったのは、基本的にはそういう変化を読み切れなかったということになるのだと思いますので、強いて申せば、そういう変化期待できないよということをだれかが早く言うべきであったとおっしゃる点では私もそう思いますけれども、何分にも苫東の場合には、北海道としては本当にだんだん一つずつ希望が消えていくような状況の中でございましたから、どうもそれはやはり言いにくかったし、どっちかといえばややウイッシュフルシンキングの方にみんなが傾いていったというのが現実ではなかったかと思っております。
  211. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回のプロジェクトのような大規模プロジェクトに日本開発銀行融資政策金融という立場で行っておられるわけでございます。それで、今回のプロジェクトは、先ほどからやりとりをいたしておりますが、むつ小川原についても不良債権として上がっておらないこと自体私どもは大変不思議に感じておるわけでありますが、個別に吟味をしてまいりますと、それぞれのプロジェクトがあるわけでありまして、政策金融という立場からいたしますと、当面の利益がなくても国という観点でこれはやっていかなきゃいかぬプロジェクトだということで行われる場合が多々あるわけでございます。  しかし一方で、今の急激な状況変化経済変化、また我が国を取り巻く周辺諸国の変化であるとか、急激に変化をいたしておるわけでありますが、そういう状況の中で、十年、十五年、二十年と極めて長期間のプロジェクトがどうも当初の目的から変質をしてくるような場合がある。このような場合にこのようなプロジェクトを果敢に勇気を持って中止をすることが果たしてできるのかどうかというようなことも必要なわけでございます。  開発銀行の、これもディスクロ誌を見ておりましても、余り不良債権として上がっておらないわけでございますが、これは私、その内容を吟味いたしておりませんから、状況案件別に見たわけではございませんので一概に言えるわけではございませんが、やはり中には、貸し付け条件の変更、緩和等々により、これは政策金融でございますから、そういうようなことも行っている場合も当然あるんではないか。  そうしますと、あの出されております決算書そのものの信憑性というか、これが私はどうも信頼性に欠けるんじゃないか。これは、見ておりませんから、私が断定して言うわけにはまいりません。きのう、きょうあたりの今回のこのプロジェクトに関するやりとりを見ておりましたらそういうように感じるわけでございますが、開発銀行の総裁から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  212. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、一般論として、いわゆる第三セクターの行う事業、プロジェクトに対して、これは北東公庫とある意味で同じように、私ども日本開発銀行も出資ないし融資という形で関与している場合がいろいろございます。ただいまのお話は、その中で、必ずしもプロジェクトが当初の見込みどおりにうまく進行していない、そういうものも開銀の手がけているものの中にもありはしないか、こういうお尋ねであろうかと思います。  ただいま御質問にもございましたように、いわゆる三セクの行う事業は、公共性、公益性が高いために収益性が低い、事業採算に乗るのに非常に長期間を要するというものが当然多いわけでございます。その中で、これも御指摘のように、最近の経済環境の急激な変化等によりまして想定された目標を達成していない企業も中には存在をしております。  私どもも日々の業務の中でそういうものがあることも承知をしておりますが、そのような第三セクターに対しまして、開銀といたしまして、関係の地方公共団体を初めとする民間をもちろん含む出資者、そして関係金融機関と協調いたしまして、事業の継続によって本来の政策効果が維持されるようにいろいろな手段で対応をしております。  それから、私どものディスクロージャーを発表しておりますいわゆるディスクロ誌等の表示がそういうものを含んでいるのかというお尋ねであったかと思いますけれども、これは私ども、一定のルールに従って開示をしておりまして、その点については三セクも例外ではございません。
  213. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、今回の法案の最大の目的は、特殊法人整理合理化及び経済社会情勢の変化に応じた業務の効率化の観点が一番重要なポイントでございます。そういう観点からいたしますと、私、開銀の総裁にお聞きいたしましたが、開銀融資が今回、先ほどの議論にも出ておりましたが、時限的でございますが、運転資金まで拡大されたり、また先ほどのやりとりのとおり、処理に対する不明瞭さというのが厳然としてあるわけでございます。  そういう問題であるとか、先ほど三セクの問題等々に出ておりました政策金融自体を、従来と同様な考え方、見方で見るんではなくて、今、見直していかなければいけない時期に差しかかっておるんではないか、このように申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  214. 村井仁

    村井委員長 次に、佐々木洋平君。
  215. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 御質問をいたします。  ただいままでいろいろと、むつあるいは苫東についての御質疑があったわけでございますけれども、私からは、北東公庫がこれまで果たしてきた役割、そしてまた新銀行における地域開発金融のあり方を中心に質問をさせていただきたいと思います。  今、日本各地で民間金融機関が次々と破綻をしておる状況にございます。最近でも、国民銀行、これはまさに地域に根差した金融機関が破綻をしたわけでございますけれども、地方における景気に大変大きな影響を与えていると同時に、地域開発金融の重要性というものを改めて痛感をいたしているわけでございます。  今般、北東公庫開発銀行が統合されて日本政策投資銀行となるわけでございますが、呼び名も違う、一方は公庫、一方は銀行という中で、まず両者の違い、特徴をちょっとお伺いしたいと思うんです。例えば、融資対象とする企業や規模、あるいはまた融資制度も違っておると思いますが、まずその点からお伺いしておきたいと思います。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  216. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、北海道東北開発公庫と私ども日本開発銀行の両者の違いというものを説明するように、こういうお尋ねであろうかと思いますが、なるべく簡単に申し上げたいと思います。  私は、開発銀行はなるほど銀行という呼称でありますし、北東公庫は公庫でございますから、銀行と公庫の性格的な違い、これは確かにあろうかと思っております。この点は必要に応じてまた後に申し上げますが、ただ、両者とも、ともに総合政策金融機関であるという点においては基本的に同種の性格を持っている、私はこういうふうに考えます。  しかし、開銀は、昭和二十六年に発足をいたしまして、その時々の時代の経済社会要請に応じ、政策的な目的を追求してまいりましたから、申し上げましたように、社会経済状況変化に応じて変わってくる政策目標を追求し、政策実施機関としてそれに対応してきたということでありますが、単に全国的なレベルでの政策課題だけではなく、お尋ねの地域開発につきましても、いろいろとあります重要な政策課題のうちの大事な一つとして、かなり早期からこれを意識して対応してきた。具体的に申しますと、既に昭和三十年代前半に、地方開発融資制度というものを創設いたしまして、地場産業の高度化、雇用開発等を支援し、地域振興のための効果の高いいろいろなプロジェクトに融資を行ってきておりました。  一方、御案内のように、北海道東北開発公庫は、私どもがスタートいたしましてから五年後の昭和三十一年にスタートされたわけであります。私どもが、今申し上げました地方開発融資制度をつくりましてそれに取り組んでまいりましたが、北東公庫がおできになりましたので、北東公庫はちょうど私どもの地方開発に相当する業務北海道東北、この二地方に限って行ってこられた。私どもは、その他の、九州、四国、中国、北陸の四地方等で地方開発を行ってきました。  そういう意味で、地方開発融資業務につきましては、いわば全国レベルを二つに分割をいたしまして、それぞれがその限りでは同種の業務を行ってきた、こういうことでございます。しかし、北海道東北地域におきましても、例えばエネルギーセキュリティーという政策目標を追求するためには、これは全国レベルの政策課題でもあるということでありまして、私どもが担当するというケースが実質的に大きかったと思っております。  したがいまして、今申し上げましたような差異もございます。それから、現実に地域でいわば分担している、そういう関係でもございます。しかし、冒頭申し上げましたように、ともに総合的な政策金融機関としてお互いに共存をして業務を行ってまいった、こういうふうに考えております。  したがいまして、今回御審議をいただいております本法律案が成立をいたしますとこの両者が統合される、こういうことになるわけでありますから、これまでそれぞれが培ってきました種々の業務上のノウハウ、経験を活用いたしまして、特に御指摘の全国各地域での地域振興につきまして、地域開発効果の高いプロジェクトを、今度は文字どおり一つの統一的な全国を対象とする総合政策金融機関として、地方開発につきましても、閣議決定にもございます最も重要な分野一つとしてこれまで以上に積極的に推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  217. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今いろいろ御答弁があったわけですが、私は東北の人間でございますので、現実に北東公庫支援したいろいろなプロジェクトも承知をいたしております。特に、地域開発金融機関としての公庫がこれまで、北海道東北における企業に対するいろいろな支援あるいはまた第三セクターに対する対応を見てまいりました。  ただ、全国的に第三セクターに対する問題については失敗例も多々あるわけですけれども、この際、その辺の実例といいますか、成功したといいますか、そういう例を、今までどういうことをやってきたのかという例を、簡単で結構ですから、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  218. 濱本英輔

    ○濱本説明員 第三セクターに対しまして北東公庫が出資ないし融資を行った先は、平成十年三月末で百七十八社に上っております。これを第三セクターの開業時期を基準にいたしまして古いものから並べてみまして思いますことは、当初いろいろ苦労はいたしましたけれども、五十年よりも前に開業したもの、あるいは五十年から六十年までに開業したもの、それから六十年より後に開業したものというようなグループに分けてみますと、五十年より前に開業しましたものの約八割は今黒字でございます。それから、五十年から六十一年ぐらいまでに開業しましたものも七五%は黒字、そのうち六〇%ないし二〇%のものは配当を行っております。ただ、六十二年以降に開業いたしましたものは、黒字に転じておりますものがまだ半分に満ちておりません。配当を行っているものもごくわずかでございます。  これはやはり、私どもが手がけております第三セクターを見ますと、固定的な投資が最初に先行いたしますので、この償却を終えますまでに大分時間がかかりますし、非常に低収益な、つまり公共性、公益性の高い先でございますので収益率は非常に低いわけでございますが、非常に長い時間をかけまして一人前になっていくという感じがうかがわれるわけでございます。  例を幾つか挙げることは、私ども、ぜひ聞いていただきたいところでございますけれども、最も典型的な形としましてどういうことを申し上げればいいかなと思って、今ここで考えているわけでございますけれども、公的な部門が関与いたしまして初めて動くいろいろなプロジェクトがよくございます。市民のホールでございますとか、それぞれ各地にございます、いろいろな種類のものが入居しておられます建築物などもたくさんございます。  そういったものの中で、私どもの感じとしまして、東北北海道に長く住みつきまして、いわば生活者となって公庫の職員がその町を見詰め、町で出てきますいろいろな案を聞き取り、それは引き継ぎをいたしますけれども、十年、十五年という長い期間をかけましてついに成功させるというようなプロジェクトが非常に印象に残ります。  あるいは、そういった大きなものから非常に小さな、これは本当に小さなものでございますけれども、地元の信用金庫と組みまして、地方銀行ではなくて信用金庫と組みました協調融資体制のもとに、いろいろな施設をつくったりショッピングセンターをつくったり、そういうような例がございまして、要するに、地域密着の中で一つずつ作品をつくっていくような感じで仕事をしてきたような感じがいたします。
  219. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今いろいろ例を挙げて説明をいただきましたけれども、いずれも民間金融機関では対応し切れないところ、その辺を補完をしているというようなことだろうと思うんです。  私は、ちょっと地元のことで恐縮なんですが、今ふと思い出しました。先般、ある小さな町でショッピングセンターが開店をいたしました。その町はわずか一万五千人ぐらいの小さな町でございますが、やはり大型店やらあるいはまた郊外店が出てまいりまして、商店街はまさに火が消えたような状況でございました。  商店街の人たちは、本当に命をかけて、生活をかけて、何とかみんなでショッピングセンターをつくろうということで計画を立てました。しかし、なかなか民間金融機関はそれをわかっていただけなかったということで、約十五年かかったわけでございますけれども、そのうち北東公庫さんがいろいろな指導をしていただいて、そして、今まさに言ったとおり、信用金庫さんと一緒にショッピングセンターを開設したわけでございます。  そのセンターの落成に行ったんですが、地元のローカル、あるいはまた中央のテナントも入っておりますけれども、まさに買い物を楽しめるようなすばらしいショッピングセンターができたわけでございまして、そのようなところに北東公庫が、小さいところにも目を向けていろいろ御指導いただく、私はそういう意味では非常に感銘を受けたわけでございます。  こういう事態になっておりますので、そういう政策金融に対するニーズというものは大変期待が大きいといいますか、いずれ高まってくるだろう、こういうふうに思っております。そういう意味で、地域金融におけるいろいろな小規模のプロジェクト、これは大変なコストがかかると思いますけれども、この際、開銀と統合するわけですから、全国的なあるいは国際的な視野からさまざまなノウハウを持っている開銀の力を大いに活用して、そしてまたまさに政策金融の核となり得るような、そういうことを私は願うものでございますが、この辺の夢をひとつ、総裁から御意見をいただければありがたいと思います。
  220. 小粥正巳

    ○小粥説明員 ただいまのお尋ねは、私ども開銀が持っております、全国レベルでのいろいろなプロジェクトに関係をしてまいりました、そこで得た経験、ノウハウを、これからは北東公庫と統合いたしまして、今度は一つ日本政策投資銀行として、全国レベルのプロジェクトにも、そしてまた一方では、今お話のございましたような、ある意味では規模は非常に小さいけれどもそれぞれの地域で大変有用な、その地域方々から大変評価をされる、そういう小規模な地域開発のプロジェクトにも、両方の事業を大いに推進してほしい、こういうことと承りました。  先ほど北東公庫の総裁のお話で、具体的な地域開発プロジェクトの例もお話がございました。全国レベルで私どもが取り組んでおります第三セクターによる大きなプロジェクトの具体的な例を一つ二つ例示として申し上げますと、例えば関西国際空港という、これはいわば空港整備そして社会的なインフラといたしましても、それからまた国際的な広がりを持つ交通の大きな拠点という意味でも大変大きなプロジェクトでございます。  現在、まだ事業は進行中でございますけれども、私どもはこれに対してはかなりの額の融資をさせていただいておりまして、今お尋ねのございました国際性のあるプロジェクトへの取り組みから我々の得たノウハウ融資というものも、これから新しい日本政策投資銀行のために、そしてまたきめ細かい経験、ノウハウをお持ちの北東公庫とこれから一緒にやっていくためにも、こういう私どもの経験も大変有効に活用できよう、例えばそんなことを考えているわけでございます。
  221. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 これからの資金調達の件でございますけれども、大手企業は社債等直接市場からの調達というのがウエートが高まってくるのではないか、こういうふうに思います。一方、中堅、中小企業は依然として間接金融のニーズが高い、このように思われます。したがって、公庫がこれまで培ってきた地域開発金融機能をひとつ統合とともに全国に広めていくべきというふうに思っております。  そこで、今まで北東公庫業務対象としておったのは、もちろん北海道東北地域でございます。この地域経済基盤が非常に弱いということで、特に先般、徳陽シティ銀行や拓殖銀行など金融機関の破綻の影響を受けまして、大変経済に混乱を招いているという状況でございます。  このような状況の中で、北東公庫のこの地域開発金融の機能が合併で消滅するようなことは間違ってもあってはならないことだと思うし、北海道東北地方地域開発機能を新銀行に移行するんだというところを両総裁からきっちりとひとつ御答弁をいただければありがたいと思います。
  222. 小粥正巳

    ○小粥説明員 御案内のように、両機関の統合につきましての一昨年九月の閣議決定の中にも、地域整備関連分野は、新しい銀行業務分野三つの大きな業務分野が示されておりますけれども、そのうちの一つの大きな柱として明確に位置づけされているところでございます。  ただいまお尋ねをいただきましたように、金融機関の疲弊による影響、あるいは昨今の景気低迷による地域経済への影響は、実は北海道東北地域だけではもちろんございませんで、現在、全国各地域においても、程度の差こそあれ懸念されている問題と私どもは認識をしております。  したがいまして、新銀行におきましては、従来の北海道東北地域における拠点につきましては引き続き確保してまいりますし、またお取引先利便性についても十分に配慮をしてまいります。そして、ただいまも御説明申し上げました、これまで両機関におきましてそれぞれ蓄積をしてまいりました経験、ノウハウ等を十分に活用いたしまして、法律を御審議の上、成立をさせていただきますれば、新たに発足をする新銀行が、全国各地域のさまざまな課題に対しまして、文字どおり全国的、国際的な視野に立ちまして、しかも時には規模にかかわらず大変きめ細かい地域開発への取り組みがこれまで以上にできますように、私どもも力を合わせて懸命に事業を推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  223. 濱本英輔

    ○濱本説明員 日本開発銀行は、職員数で申しますと北東公庫の三倍強、資金量で申しますと十倍強の大きな銀行でございます。それ相応の大きな力を身につけておられる銀行でございます。こうした力をかりることにつきまして、北東地域の人々は大きな期待をかけております。それは当然のことだと思います。  これは私が思うことでございますけれども、たまたま東北北海道地域におきまして、開発銀行という存在と北東公庫という存在、同じ総合金融機関が同じ政府金融機関として並走いたしました。先ほど小粥総裁から御説明ございましたように、自然にそのすみ分けは成り立っているわけでございますけれども、お互いにやはりお互いを見ているところがございましたと存じます。北東公庫人たちも、自分たちは自分たちの成果を目指そうという気持ちがずっと長く流れてまいったと思います。  そのことが東北北海道地域におきまして北東公庫を中堅、中小企業の方に特化するといいますか、そちらの方で成果を上げることに集中していった一つのいいきっかけになったのではないか。先ほど来、先生がお話しくださいましたように、地域金融につきましていささか北東公庫ノウハウをかち得た一つの背景がそこにあったのではないかと思います。現に、融資先の八〇%は中堅、中小企業でございます。そういうふうにして蓄積しましたノウハウを今後全国展開させていただくということは、北東公庫の職員にとっても喜びでございます。  先ほど来のお話でございますけれども、東北北海道地域は今まさに問題を抱えている地域でございます。なお、経済情勢産業集積の度合いを見ましても脆弱なものがございますし、金融環境は御承知のとおりでございます。むつ、苫東という問題もございます。  ここに改革の手を差し伸べ、支援が求められる状況でございますけれども、私ども、先ほど小粥総裁から御説明ございましたように、新しい法案を中心として整理されようとしております統合に向けましての考え方として、公庫が今まで果たしてまいりました地域金融の機能というのは一つの大きな柱として明確にされておりますし、地元の方々もこれを見て安心されるところがございます。これにさらに開発銀行の新しい機能が付加されるという形で、よりよいサービスが提供できるようになればというふうに考えております。
  224. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 よろしくお願いしたいと思います。  次に、大蔵大臣と国土庁、北海道開発庁にお伺いしたいのです。  北東公庫が今日まで地域開発金融として生きてきたわけでございますが、地域の第三セクターに対する支援も積極的に行って、そのノウハウも培ってきたと今総裁からもお話がございました。  確かに、その成果は認めるわけです。評価もします。ただ、肝心かなめのむつ、苫東という国家プロジェクトにその今まで持っていたノウハウを生かすことができなかった、これは非常に残念に思っております。つまり、国家プロジェクトに対しては、今までの北東公庫地域プロジェクトといいますか、そういうノウハウはそのまま活用することは限界があったのではないのかなというふうにも思われます。言いかえれば、北東公庫を超えた問題であって、大変重い荷物を持たせられたんだなという感じもしないでもないわけです。言いかえれば、こういう国家プロジェクトは、やはり国家の責任できっちりと取り組まなければならない問題でもあろうし、これは先ほど来大臣からもお話があったとおり、やはり政治の決断ということが一番求められることでもあろうと思います。  この件について、私の考えはこういう考えですけれども、大蔵大臣あるいはそれぞれ各省庁の御意見を最後にお伺いしたいと思います。
  225. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新銀行ができるについて、私は、今度の特殊法人の処理につきましては、一番いい形の統合だ、性の合ったといいますか、そう思っております。  強いて気になることを申し上げれば、やはり両方とも、片っ方はもう四十七年になりますか、片っ方ももう四十何年ですから、おのおのの銀行、公庫の中におのおののカルチャーができているのだろうと思うのでございます。そのカルチャーの違いというのは、やはり一つ金融機関になれば、いつまでもそういうことがあってはいけないという問題があります。  と同時に、北海道東北に対して北東公庫がやっておった、むつ小川原の話はちょっと別にしまして、今までの地域についてのあり方、それから開銀がその他の地域にやっておられたアプローチが、おのずから地域が違いますのでかなり違うのではないかというふうに現実に思いますので、そこはきっと、北海道東北の方は変わってしまうのではないかという不安を持っておられるのではないかと私は思っておりまして、そういう意味では、新銀行に望ましいことは、北東公庫が今まで北海道東北となじんでいたようなああいうあり方というものはやはり大事にしてもらいたいなという気持ちがするわけでございます。  それともう一つの問題は、むつ小川原あるいは苫東ですが、苫東の方は仮に今のままいけば何かができることがわかっておりますけれども、むつ小川原もできるとしまして、これは私は、やはり長い間国が考えてきた大きなプロジェクトでございますので、新しい銀行においてもそういうものとして扱っていただきたい。それはそのまま全部と必ずしも私は申しませんけれども、これはゆえあってこういう二つのものを新しい銀行が承継していかれるのだということは、ぜひ新銀行の首脳部はよく胸に置いていただきたいというふうに思います。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発は、御案内のとおり、青森県のほか、北東公庫、経団連、あるいは三十六社に上ります金融機関などなど、多くの皆様の協力と連携のもとに進められてきた事業でございまして、北東公庫のみがこのプロジェクトを背負ってきたというわけではもちろんございません。しかし、その事業の推進に当たりまして、北東公庫が培ってきました地域開発金融ノウハウについては、土地造成事業の運営、企業の誘致等に随所で生かされてきたものと考えております。現実にも分譲予定用地の四〇%が分譲が済んでいるということも、このようなノウハウが生かされた結果ではなかろうかと考えているところでございます。  もちろん、今後の推進について、債務の処理等、多くの課題がございますので、この点については、北東公庫のお知恵もかりながら、今後とも関係者の間で協議を進めて結論を得るように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  227. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 基本的に大蔵大臣が答弁されたとおりでございますけれども、苫東プロジェクトにつきましても、北東公庫が持っております土地造成事業に対する出融資ノウハウ、あるいは長期固定金利による資金供給といった点で、北東公庫役割はこれまでの苫東開発にとって必要不可欠なものであったという認識を持っておりますし、新会社のもとにおきましても、長期固定金利による資金供給こそ必要ありませんけれども、引き続き、北東公庫の持っております地域金融に対するノウハウというものが必要不可欠であるというふうに考えているところでございます。
  228. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  229. 村井仁

    村井委員長 次に、佐々木憲昭君。
  230. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  法案の質疑を続ける前に、金融再生委員会の柳沢大臣に御出席をいただきまして、短時間、銀行の債権回収のあり方について、緊急の問題もありますので、御見解を伺いたいと思います。  先月二十四日、千代田区議会が「銀行金融商品による被害者救済に関する意見書」、こういうものを採択をしました。自民、公明、共産など、全会一致で採択をされております。これは、地方自治法第九十九条二項に基づいて政府に提出されたものでございます。  その内容を見ますと、深刻化する不良債権が社会的な問題となっている中、銀行ではバブル期に担保が確実な個人や零細企業等に対して行った融資の回収が行われています。この融資銀行がバブル期にさまざまな名目で、土地や自宅等の資産がある人を対象に、借金の必要がないにもかかわらず、億単位の金を借りさせて、不透明な商品への投資や物件の買い入れをさせたものです。ところが、バブルがはじけると多額の借金返済のため、預金の差し押さえや土地建物の競売等で、被害者にとっては、住むところを奪われる悲惨な状態となっています。千代田区に住み続けようとしている区民の生活に重大な影響を及ぼしている銀行のやり方は、利益のみを追求するかのような姿勢であり、借り手保護の実態とかけ離れていると言わざるを得ません。このように述べているわけです。  自治体からこのような意見書が提出されるのは恐らく初めてだと思いますが、柳沢大臣は、区議会からこうした意見書が出されるほど銀行の過剰融資による競売が社会問題化しているという事態をどのように受けとめておられるか、御見解を伺いたいと思います。
  231. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 バブル期に銀行融資をした、それが特に不動産絡みで融資をしたものを中心として、その後に起こったバブル崩壊による不動産価格の下落、このことによって大変巨額の不良資産が銀行のバランスシートの上での大きな宿痾になっておるという状況であることは、これまでもたびたび当委員会あるいは予算委員会等で議論対象になったところでございます。  私どもは、この事態がひいては日本金融機関に対する信認の動揺にもつながるということで、先般、公的な資金をこれに注入をして資本の増強を図り信認の回復に努める、こういう措置をとったところでございます。  そういう中におきまして、銀行がこうした債権をどういうふうに処理するかということが非常に大きな問題になっておるわけでございまして、私どももそこのところを非常に大事な問題だというように考えて、この不良な債権の流動化というものを促進しなければならないということで対処をしておるところ、これはもう佐々木委員も御承知のところでございます。  個々具体的なケースにつきましては、これは私的な世界の問題でありまして、それぞれに一番その事態の特性に応じた対処をしていただくということを原則的に考えておるわけでございます。
  232. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 個々適正な処置がとられているかどうかというのが問題になっているわけでございます。  この意見書は、富士銀行から自宅を競売にかけられている人たちが区議会に行った請願を受けて採択をされたものでございます。この四月に入って、金融監督庁に富士銀行にかかわる二つの申し立て書が提出されております。  事実関係は具体的なので、少し細かくなりますが、紹介をいたします。  一つは、兵藤ツヤさん、八十一歳のものでございます。申し立て書によりますと、富士銀行九段坂上支店が、娘さんの前の夫に、大和証券で株取引をしないか、資金融資するからと勧誘し、融資を実行する際の担保として、自宅の建物の持ち分権者であるツヤさん本人に無断で、八九年四月、自宅に四千万円の根抵当権を設定した。根抵当権設定に使われた登記委任状の署名は本人の筆跡ではないことが明らかとなっております。  ところが、富士銀行は、この担保権設定に基づいて、九六年五月に一方的に競売を申し立ててきたというものでございます。  もう一つは、石川かほるさんで、現在八十四歳になる年金暮らしのお年寄りでございます。申し立て書によりますと、この方はそれまで富士銀行と何の取引もなかった方でございまして、原宿支店が新しくできるというので開設準備委員会の銀行員が頻繁にこの方を訪問するようになりまして、次のように言った。このままでは地価高騰で相続税が払えなくなりますよ、建物を建ててテナントに貸せば、家賃で金利を払えばいいし、借金があれば相続税も免除になる、建設会社もテナントもすべて当行がお世話します、こう言いまして執拗に勧誘をしたということでございます。  そして、九〇年に、富士銀行の勧めるままに、Fライン当座貸し越し契約を結んでおります。極度額二億三千万円であった。ところが、契約を結んだものの、ビルの建設にもテナントの紹介にも、富士銀行は全く相談に乗ってくれなかった。石川さんは、苦労してビルは建てたものの、テナントの入居がうまくいかず、富士銀行への元利返済月百五十万円には到底足りない、そのため返済方法の見直しを求めて富士銀行と話し合いをしてきたということであります。  ところが、その話し合いの最中の九五年六月、富士銀行が突然自宅に競売を申し立て、さらに賃料収入を差し押さえてきたというものであります。  柳沢大臣にお聞きしたいのですけれども、融資をめぐりまして、銀行とそれから借り手、当事者間の主張に見解の相違があるということであるならば、これは銀行と債務者がよく話し合うということが何よりも大切だと思うのですね。それをしないで、話し合いの途中で一方的に、住んでいる住宅の競売を申し立て、銀行の主張を受け入れろとおどして、最終的には住んでいる自宅を取り上げるということになりますと、これは重大でありまして、身ぐるみはぐようなこうしたやり方というのは私は好ましいことではないと思いますけれども、柳沢大臣、どのようにお考えでしょうか。
  233. 乾文男

    ○乾政府委員 監督庁の方からお答えいたしますけれども、先ほどお話しになりました申し立て書の内容というものは、私どもも読ませていただきまして承知をしております。  御指摘の事例は、これは民間の当事者間の私法契約上、すなわち民法でございますとか商法でございますとか、そうした私法契約上の問題でございまして、今先生が御指摘になりましたそうした事実認定の問題も含めまして、これは裁判所の司法の場で解決を図るべきものというふうに考えておりまして、金融監督庁といたしましては、これはコメントすることを差し控えさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  234. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 答弁になっていないわけです。  大臣の見解をお聞きしたいのですが、こういう当事者間で矛盾がある場合は、当然話し合いを進めていくというのが基本になければならぬと思うのです。一方的にこういう形で競売を強行するというのは、これは生存権にかかわる問題ですから、その点についてどのようにお考えかという点をお答え願いたいと思います。大臣の御見解をお聞きをしているわけでございます。
  235. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 金融機関とその貸出先の問題、紛争が生じたということでございますけれども、これは、今も監督庁の方からも答弁をいたしましたように、私的な自治の範囲の中での問題というふうに存じておるわけでございます。  私ども、今先生からいろいろ事実関係についての当事者の片方の意見の申し立てというものについて御披露をいただきましたけれども、今こういう公の席で私どもが事実がいかなるものであったかということを正確に認識するだけのものを到底持ち合わせておりませんで、やはりこうした問題については両当事者が同じ立場で、紛争という言葉はちょっとふさわしくないかもしれませんが、法的にいいますとそういう言葉を使うのが通例でございますので使わせていただきますが、そういう私人間の紛争についての裁断というのは日本の制度の上では司法にゆだねられることとして定められておりまして、そこでの裁断というものを仰いで、これに従っていただくというのがそのあり方だというふうに考えております。
  236. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、司法の前の、銀行の姿勢に非常に大きな問題があると思っております。  兵藤さんは、ことし二月に開札があり、執行抗告中であります。石川さんは、昨日が開札でありました。そして、執行抗告をすれば一カ月程度先延ばしは可能だけれども、それまでに銀行が取り下げなければ自宅をとられてしまうという状況でございます。  兵藤さんはパーキンソン病でありまして、石川さんは、高齢の上に、同居者に障害を持たれた方がいまして、車いすの生活になっている方がいるそうであります。今回の競売は、そういう人たちの生活権を根本から奪うものだというふうに私は思うわけです。  銀行には社会的な役割、公共的な役割というのが要請されていると思うのです。法律に違反しなければ何をやってもよいということにはならないと思うのです。仮にも、千代田区議会の意見書にあるように、社会的な批判を浴びるような行為は行うべきではないと思いますが、銀行の行動について、柳沢大臣、どのようにお考えでしょうか。
  237. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 何度も同じ答えを申し上げるようで恐縮でございますけれども、まず、金融機関の貸し出しにおきまして、いろいろな御提案を金融機関の側からするということもこれは一般論としては十分あり得るし、私ども、今貸し出しの増加をして民間経済活力をもう一度喚起し直そうというような場合も、金融機関に対して、あなた方は情報産業一つでもあるし、また知的な産業一つでもあるんだから、貸出先の方々と一緒になって考えて、どういう事業をしたらいいかというようなことを提案をしながら、こういう貸し出しの増加、それを通じた経済の活性化に努めなさいというようなことを申し上げておること、これは先生既に御案内のとおりでございます。  そうして、その場合に、そういう銀行サイドの働きかけに応じてこれをどういう評価をされるか、これはもう全く貸出先になるべき人の自由な判断ということが前提になっておりまして、そういう判断のもとに、その提案をそのままなりあるいは修正したなり受け入れて、そこに融資が実行される、そしてその実行された融資資金とした事業が行われるということ、これらはすべて通常行われていることであると私どもは評価をいたしております。  そういう場合に、その事業が非常に不幸にして困難に行き当たったといったようなときに、一体これをどうするかということでございますが、私どもといたしましては、それはやはり、お互い自主性というか主体性を持った私人間の契約ということで、そこに生じたいろいろな紛争は、司法の場でお互いの言い分を十分聞いた上で御裁断をいただく、こういうことがルールである、このように認識をいたしております。  本件についても、詳細な事実、かかわったいろいろな事実というものは私ども知るよしもありませんし、また、その評価等においては、一層これを行うことは我々の立場としても不可能でございまして、それはやはり持ち場持ち場でやっていただく、つかさつかさで処理をしていただく、こういうほかないのではないか、このように考えております。
  238. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 問題は、銀行の側が借り手の返済能力を超えて莫大な融資をしているという問題があるわけです。貸し手に極めて重大な問題点があった。石川さんも兵藤さんも、お金を借りる必要があって借りたわけではなくて、提案をされた。株を買いませんか、あるいは相続税対策にビルを建てませんか、こういうことで、いわば借金の押し売りのようなものですね。こういうことをやって、しかしその結果として、銀行責任は何もとらない、責任は個人に押しつけて、競売にかけて住んでいる住宅を一方的に取り上げる、こういうやり方が極めて不公平であり、一方的であるというふうに私は思うわけです。  富士銀行の被害者は、私が聞いております中にはほかにもたくさんいます。兵藤さんや井上さんは、その人たちと富士銀行被害者の会というのをつくりまして、競売の取り下げと話し合いを求め、本店、支店に出向いて交渉してまいりました。しかし、銀行の対応は、競売取り下げは行わない、任意売却であれば応じる、こういうことでありました。これでは、自宅がなくなるということに変わりはないわけであります。井上さんたちは、やむにやまれず望みを託して、山本頭取のところに直訴しようと自宅を訪ねてみました。しかし、頭取とは会えず、奥さんに取り次ぎを頼んで手紙を置いてきたということだそうであります。  ところが、富士銀行は、こういう方々に対して、先週末十六日、脅迫罪だとか不当な競売妨害だといって、やめなければ刑事上、民事上の対応をとるとする警告書を内容証明郵便で送りつけてきたということなのです。まさにこれはおどしであります。ことし三月に一兆円にも上る公的資金の注入を受けた大銀行が弱者に対してこういう態度をとっていいのかと、本当に私は驚いてしまうわけであります。  富士銀行は、企業行動原理というものを五項目、経営理念を発表しております。そこでは何が書かれているかというと、  2.お客さま第一主義の実践  お客さまに誠心誠意・親切の心をもって接し、真摯な姿勢でご要望に耳を傾けるとともに、正確・迅速そして質の高い最良の金融サービスを提供する。  3.誠実・公正な行動  法令およびその精神を遵守し、社会的規範に悖ることのないよう行動は常に誠実かつ公正を旨とする。 こういうふうに行動原理に書いているわけですね。ところが、実際に富士銀行がやっていることは、この行動原理に反することだと思うのですね。  大臣にお聞きしますけれども、みずから決めた行動規範、これに基づく行動がやはり銀行には求められているのじゃないかと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。大臣にお聞きします。
  239. 乾文男

    ○乾政府委員 一般論でお答えいたしますと、金融機関は、その公共的な性格から、法令にのっとりまして、適正な活動あるいは取引の相手方との契約を誠実に実施する等のことが求められていることは当然のことでございます。  ただ、先ほどから御指摘になっておりますいろいろな事柄につきまして、その事実の認定、そしてまたそれに対する評価をどうするかということにつきましては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、これはやはり司法の場で御判断をいただくのがルールだろうというふうに考えておるわけでございます。
  240. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、銀行の行動原理といいますか、みずから決めた規範にも違反しているということを問題にしているわけです。銀行の経営方針に非常に問題があるのではないか。  資本注入を受けた際に富士銀行が提出した経営健全化計画を見ますと、不良債権の回収のために不動産担保処分の推進という項目を掲げまして、各期ごとに任意売却を求めるか競売申請することの方針を立てて、その方針どおり進んでいるかどうかを毎月チェックする、こういうやり方が書かれております。  こういうふうになりますと、融資内容を問わず、回収対象とした債権を何が何でも競売の申し立てをするということになってしまうのじゃないか。そうなると、これからもこういう事件がどんどん広がっていくのじゃないかということを私は心配するわけでございます。  そこで、大臣にお聞きしますけれども、銀行資金回収をする際に、二つ内容を区別すべきだと私は思うわけです。一つは、先ほどおっしゃったように、土地投機あるいは暴力団絡みの債権のような悪質なものについては徹底的に取り立てるのは当然だと思います。しかし、銀行の貸し手責任が問われるような個人向け債権については区別して扱うべきではないだろうか。整理回収銀行の中坊社長は、血も涙もない回収はしないんだ、こう述べまして、悪質な借り手と一般の借り手を区別して臨んでおられるようであります。  銀行というのは公共性を持っているわけで、このような姿勢が強く求められるというふうに私は思うのです。回収の対象を、悪質なものと善良なものとの区別といいますか、この点は大変重要なことだと思うのですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。大臣の見解をぜひお聞きしたい。
  241. 村井仁

    村井委員長 金融監督庁乾監督部長。(佐々木(憲)委員「私は大臣の見解を聞いているんです」と呼ぶ)  とりあえず乾部長から答えさせます。
  242. 乾文男

    ○乾政府委員 同じ答弁は繰り返さないようにしたいと思いますけれども、したがいまして、今御指摘になりました不良債権の回収の問題につきましては、一般論で申しますと、各金融機関におきまして、その債務者の状況でございますとか担保の状況等を勘案して金融機関の判断において行われるべきものだと考えております。ただ、そこの段階におきまして争いがあります場合には、これは司法の場でということになると思います。  ただ、一般論として申し上げますと、担保権者が担保権を実行することは法律上認められた権限の行使でございまして、司法当局でない私どもがそれをやめろとか待てとかということはできないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
  243. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 佐々木先生、今、いろいろな個別の事情を挙げながらそれを一般化されておるわけでございますが、ここで私が一般論についてお答えするのもいかがかなという感じがいたします。議論の展開として個別の事案を挙げながらのお尋ねでございますので、そういうところで一般論ですら申し述べると、それをまたすぐ、誤解も起きやすいというふうに存じております。私どもとしては、私的な自治の世界の中での契約から派生したいろいろな問題、こういうふうにとらえさせていただいておりまして、先ほど来申し上げておりますように、そのことはやはり日本の国政のもとでは司法での解決ということを求められるということが我々の国の制度である、こういうふうに認識しているということを重ねて申し上げたいと思います。
  244. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御答弁は、悪質な借り手と善良な借り手を全然区別しない考えですよ。区別しないで扱うということですね。  結局、これは銀行のやり方を弁護するものであります。本当にそこに今住んでいて、障害者を抱えていて、あるいは八十歳代の高齢の方、その住宅を一方的に取り上げる、路頭に迷わせる、こういうことを事実上当然のことである、そういう立場を大臣は表明したものとして私は絶対に容認できません。  金融再生委員会というのは、例えば富士銀行の経営健全化計画を承認し、その履行を求めているわけで、そうしますと、区別しないでどんどん回収しろということになるわけで、いわばこういう競売を後押しして、自宅をどんどん取り上げる、そういうことをやっていることを当然あおっていると言われても仕方がないと思うのです。私は、その姿勢を真摯に再検討していただきたい。  私が聞いているだけでも、富士銀行をめぐる事態は一般の銀行とまたちょっとニュアンスが違う状況があると感じております。特定の支店にこういう事件が集中しております。その手口は非常に共通しております。この問題については引き続き当委員会で具体的な事例を明らかにしながら今後追及をしていきたいと私は思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  この件については以上で終わります。柳沢大臣、お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございました。  法案の質疑に入りますが、これまでの質問とのダブりを避けましてお聞きをしていきたいと思います。  天下り、退職金問題についてお聞きをします。  北東公庫苫東開発会社もあるいはむつ小川原開発会社も中央官庁の天下り先になってきた。これがなれ合いの構造、もたれ合いの構造の中核を構成してきたのではないかというふうに私は思っております。  北東公庫の総裁、副総裁は、代々大蔵省開発庁からの天下りの指定席であります。現在の濱本総裁も、大蔵省主税局長、国税庁長官を歴任されていますね。副総裁は、大蔵省関東財務局長北海道開発庁総務監理官開発事務次官を歴任しておられます。苫東開発の中田社長も、大蔵官僚から北海道開発事務次官、北東公庫副総裁を経て、九五年六月から社長に就任しておられます。前任の吉岡氏も、開発庁から北東公庫総裁を経て天下っております。その前の方も、北海道開発事務次官が天下っていました。  昨年四月七日の参議院国土・環境委員会で、鈴木北海道開発庁長官は次のように言っていました。「いわゆる苫小牧東部の経営者にも、あるいは私どもの北海道開発庁にも、歴代天下りの人が行ったということもよかったかどうか、これは私は批判は免れないと思っているんです。危機感が足りなかったと私は思っているんです。」このように述べています。  天下りによるもたれ合いの体制というのがやはり現状をより深刻にしたと私は思いますが、そういう点で、天下りに問題があったという前長官の発言は正しい指摘だと私は思っております。  苫東開発むつ小川原開発の現在の役員は何人いるでしょうか。そのうち、北東公庫北海道開発庁など中央官庁からの天下りは何人いるか、数字を出していただきたいと思います。
  245. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 現在の苫東会社の常勤役員五名のうち前職が中央官庁、これは北東公庫を含んでおりますけれども、前職が中央官庁であった者は三名でございます。
  246. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 むつはいかがですか。
  247. 中川浩明

    中川(浩)政府委員 むつ小川原開発株式会社には、現在、代表取締役社長以下常勤四名、非常勤十五名の計十九名の役員となっておりますが、中央官庁及び北海道東北開発公庫からのいわゆる天下りの役員はいないと聞いております。
  248. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 むつの場合は経団連が中心になっていると聞きますが。  では、苫東開発株式会社についてお伺いしますけれども、発足時の社長は大体民間出身でありました。ところが、昭和六十年、一九八五年からはすべて北海道開発庁と北東公庫からの天下りであります。まさに指定席になっている。  では、これまで退職した役員には退職金は支払っていますか。
  249. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社におきましては、役員の経歴のいかんを問わず在職年数等に応じまして退職金を支給してまいりましたけれども、平成九年七月以降に退職した役員に対しては退職金を支給しておりません。
  250. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 平成九年七月以降は支給していないが、平成九年六月にやめた役員がいるのではありませんか。
  251. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 御指摘のとおりでございます。
  252. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 九七年七月以降に天下り役員の退職者はいません。ですから、これまで退職したすべての役員は退職金を受け取っているということになるわけです。破綻の原因をつくったこれまでの役員は何の責任もとらない、そして退職金だけは懐に入れる。会社は、利子も払えない状態に陥った。一昨年からは返済不能の破綻状態であります。それなのに、天下りした社長、副社長などの役員は膨大な退職金を手にしております。全く常識外れだと私は思います。  苫東の退職常勤役員は、民間を除いて、国関係が十二名、北海道関係で三名に上っておりますが、これまで退職した役員民間も含めても結構ですけれども、幾らの退職金を手にしたのか、すべて個別に明らかにしていただきたい。資料を提出していただきたい。
  253. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 ちょっと補足させていただきますけれども、平成九年七月以降退職した役員に対して退職金を支給しておりませんのは、会社の経営状況にかんがみてそういった措置をとっているわけでございまして、当然のことながら、苫東会社清算に至るまで退職者が出てくるわけでありますけれども、退職金は支給されないことになるわけでございます。  その上で、今の御質問でございますけれども、退任した役員個々の退職金支給額について公表することは、個人のプライバシーの問題もありますので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、常勤役員の役職別の退職金支給状況について申し上げますと、これまで苫東会社発足以来、社長、副社長が五名いました。平均的な勤続年数が七年四カ月でございます。退職金の平均支給額が二千八百五十一万円となっております。  それから、退職した専務、常務が十三名でございます。平均勤続年数が九年二カ月でございます。退職金の平均支給額が二千五百六十五万円となっております。  退職した取締役が累計で七名ございました。平均勤続年数が四年七カ月でございます。平均支給額は一千三十九万円でございます。  常勤監査役三名が退職しております。平均勤続年数が八年八カ月でございます。平均支給額が二千二百二十六万円でございます。  以上、合計いたしますと二十八名の役員が退職しておりまして、平均勤続年数が七年九カ月、退職金の平均支給額が二千百九十八万円、支払い総退職金の金額が六億一千五百六十万円となっております。
  254. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 合計で二十八名で六億一千五百六十万円、莫大な退職金であります。社長、副社長五人で、合わせて一億四千二百六十万円、専務、常務が十三人で三億三千三百五十万円、取締役が七名で七千二百七十万円、常勤監査役は三名で六千六百八十万円、合計六億一千五百六十万円、こういうことになりますね、先ほどの数字で計算しますと。  長銀の場合は、バブルの時代に莫大な投機に走って破綻の原因をつくった取締役二十三名、総額三十億円の退職金の返還を求めておりますが、開発庁は、苫東を破綻させ、国民負担の重大な原因をつくった幹部に対しては何も求めませんか。何もしないのですか。
  255. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東処理の方針といたしまして、行政の判断として苫東会社を清算するということでありますから、当然しかるべき機会に役員には退任を願う、先ほど申し上げたとおり、退職金は当然のことながら支給し得る状況にありませんし、支給しないということでございます。  その上で、御質問の点は、長銀の例を出されましたので、過去に支払われた退職金の返還を求めるかどうかという点であろうかと思いますけれども、苫東会社は商法上の法人でありまして、退職金の返還を求めるかどうかの判断はやはり株主ないしは会社経営者が判断する事項だというふうに考えているところでございます。
  256. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く無方針、全く無責任であります。  次に、新会社をつくるというけれども、果たして展望があるかどうかという問題について、これまでも議論がありましたが、資本金の基礎になるのが資産の価格であります。その中心は土地価格、どのようにその土地を評価するかです。  上田議員も質問しましたけれども、北海道開発庁が資産鑑定を依頼した業者、これは札幌にある会社で、社長が北海道開発局のOB、社員は十人余りで、半数は北海道開発局のOBであります。鑑定をしたのは同社の専務と取締役で、二人は開発局在職中に用地課などに所属し、用地事務に携わっていた者であります。これは全く身内の鑑定と言わなければなりません。  ここに委託料は幾ら支払いましたか。
  257. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 契約金額といたしまして、一千九百九十五万円となっております。
  258. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 約二千万円。  五百二十億円という鑑定が出ておりますね。それは高過ぎるのじゃないかという声が広がっております。  ことし一月八日付北海道新聞では、大手不動産会社の見方として、「評価額は二百億円程度」というのが紹介されております。また、一月九日付の朝日新聞では、「道庁内では「競売にかければ、苫東用地は数十億円にとどまるだろう」と、額の客観性に疑問の声を投げかける幹部もいる」と紹介しております。この朝日新聞によると、鑑定をしたOBの一人は、依頼者でない人が額について高いとか低いとかとやかく言うのであれば、独自で調査、鑑定をすべきだと開き直っているそうであります。  そこで、この評価が正確かどうかについて疑問が生じている以上、客観性を担保できる別な鑑定業者のもとで新会社設立前に鑑定をもう一度やり直すべきだと思いますけれども、その点はきちっとやる決意はありますか。
  259. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 この去年の十一月に鑑定をしてもらった結果は、これは鑑定評価ということではなくて、鑑定意見のレベルでございます。私どもとしましては、専門家の不動産鑑定士による鑑定意見でございますので、これについては信頼をしているところでございます。  次に、新会社設立のためには、現在苫東会社が持っております資産の引き継ぎが必要でございます。この場合に、新会社の重要な資産については、今度は鑑定意見ではなくて鑑定評価が必要でございます。  したがいまして、いずれにいたしましても、現在の苫東会社が持っております不動産の鑑定評価を委託する必要があるわけでございます。
  260. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 再度鑑定をやり変えて、評価が大幅にこれと違って下がった、あるいは上がったという場合もあるかもしれない。その場合には新会社の資本金の規模は当然変わるわけですね。
  261. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社が私ども開発庁が委託した会社とは異なる会社に委託するといたしましても、ひとしく専門的な立場での同じ不動産についての鑑定でありますので、おのずから結果は同一のものになるであろうというふうに考えているところでございます。
  262. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全然答えていないじゃないですか。もう一度やり直すわけでしょう。鑑定意見、五百二十億。正確にもう一度鑑定をやり直す。  では、鑑定業者も、同じところにもう一回やるのですか、それとも別な業者に委託するのですか。
  263. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 苫東会社が現在鑑定について委託しておりますのは、開発庁が去年の十一月に委託した会社とは別の会社でございます。
  264. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、評価も変わるはずですね。変わる可能性がある。私が聞いたのは、変わった場合、資本金が変化するのかどうかを聞いているんです。
  265. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 当然、専門家による鑑定評価でありますので、可能性としては去年の十一月の鑑定意見とは異なる結果になる、可能性としてはあるわけでございますけれども、私どもが期待しておりますのは、大きな食い違いというものは生じないであろう。それで、仮に鑑定評価における食い違い、その度合いによりますけれども、仮に食い違った場合に、どの程度の食い違いかということを見ました上で資本金の金額については判断をいたしたいと思います。
  266. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これはおかしいですね。この資本金というのは、資産の価格によって決めるというふうになっているんじゃないですか。資産の価格、土地の評価が変われば資本金だって変わるんじゃないですか。これは当たり前じゃないですか。
  267. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 仮定の上でのお答えということになりますけれども、現在の予定しております新会社の資本金額の基礎になりますのは、御指摘のように、最も重要な資産である土地であり、その評価額ということになります。  したがいまして、仮定の問題でありますけれども、仮に鑑定評価の結果が大きく変わるのであれば、これは資本の金額についても考え直さざるを得ないということになるわけでございます。
  268. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 最初からそういうふうに答えればいいんですよ。  次に、この事業計画ですね。これが果たして展望があるかどうかということが問題でありまして、昨年七月の「苫東問題処理の方向」によると、事業採算性のあるプロジェクトについて早急に検討する必要があるとされております。幾つかのプランがあるようですけれども、実現性があるのかどうか、これは大変私は疑問に思うわけです。  それで、例えば、国際ハブ空港の建設ということが言われておりますけれども、これは可能性としてこういうことも検討されているんですか。
  269. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 私どもが中心になって取りまとめました、今後、新会社のもとで苫東地域において推進すべき公的プロジェクトの中には、ハブ空港というのは対象にしておりません。
  270. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それは入っていないと。そうしますと、昨年三月国土庁が発表しておりますけれども、全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」に書いてある苫東の利用方法、すなわち、国際的な交流需要に対応した空港機能への活用策など開発方策等の検討、こういうふうになっているわけですが、このグランドデザインは否定されたというふうに考えてよろしいのですね。
  271. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 今先生挙げられたのは、いわゆるグランドデザインのベースの問題でございます。それから、ただいま具体的なプロジェクトということで申し上げましたのは、新会社の事業計画の核になるべき公的プロジェクトということでありまして、この新会社の事業計画の核になるべき公的プロジェクトの中にはハブ空港については対象としていないということでございまして、決してグランドデザインの中に織り込まれている空港機能の活用について否定したわけではございません。
  272. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 何かよくわからぬ、要領を得ない答弁ですけれども、極めてあいまいな、将来展望があるのかないのかよくわからない答弁だったと思います。  それから次に、この大型実証実験施設、国際熱核融合実験炉、ITERですね、これも大きな柱の一つとして検討されているのであります。視察に参りましたときにも、これは大変目玉だ、こういうふうに強調されておりました。しかし、これは財革法の際に凍結されていたんじゃないかと思いますが、これは解除するということなんでしょうか。
  273. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 財革法提案の際に大型プロジェクトは凍結するということで、二〇〇〇年の十二月までということであったと思いますけれども、この中に大型熱核融合の実証実験施設も含まれているというふうに考えております。したがいまして、仮にこれが実現という運びになります場合には、その後に具体化をしていくということになろうかと思います。
  274. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 現在凍結中と。  それで、この計画は既に昨年設計が終わっておりますが、余りに高価過ぎるというので、さらに設計の計画を三年延長し、二〇〇一年まで設計を続けることになっているそうであります。建設に向けての交渉もことしの五月から始まるということで、建設するということさえ決まっていない。しかも、これは国際的な計画ですから、この計画に参加しているアメリカは、ことし七月に計画から撤退するということを決めております。それ以外のロシア、欧州も、余りに高額な負担に二の足を踏んでいるという状況だそうであります。そもそも、誘致するとかなんとかいう以前の問題ではないのでしょうか、この問題は。
  275. 斎藤徹郎

    ○斎藤政府委員 ITERをめぐる諸事情につきましては、ただいま先生御指摘のとおりというふうに考えております。  ただ、従来から苫東地域にいわゆるITERを誘致するという地元関係者の熱意があり、私どもとしても、具体的にその機会があれば、すなわち、我が国への誘致があり、かつ苫東地域にITERの誘致が認められるのであれば、そのときに備えて今から積極的に検討しておく必要があろうというふうに考えているところでございます。
  276. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全く展望のないものを、雲をつかむような話をこの計画の目玉にしている。  それ以外にも、JR工場の移転の問題でも、JRに移転は検討段階にもないという声があるとか、それから、廃自動車、廃家電、廃プラスチックについて、業界の協力は具体化しているのかどうかという問題も全く明らかではありません。  ですから、将来のこの事業計画そのものが本当に展望があるのかどうか。閣議決定では採算性ということが言われている。そのことについても根本的な疑問を覚えるわけであります。  昨年八月二十六日に開発庁と苫東会社が民間融資団に対して行った新事業計画についての説明会、ここでは、民間融資団は、今の苫東会社にはとても考えられない事業の数々がなぜ新会社になれば突然可能となるのか、その根拠がわからない、こういう声が寄せられていたのではありませんか。  民間金融機関が出した新会社設立スキームに対する意見、それによりますと、「新会社スキームは受け入れられないので、結果として法的手続に移行してもやむを得ない。」と述べております。要するに、収益性に見通しがない、再建は不可能、こういうふうに見ているわけであります。  宮澤大蔵大臣にお伺いしますけれども、きょうの質疑の御答弁で、民間が出資をしないとなりましたら、そのときにどうするかはもう一遍立ち返って考えなくてはいけない、あるいはその事態に当たって北東公庫をどうするか、その時点で考え直さなくてはいけない、上田清司議員に対してこのように御答弁されていますね。  これはどういう意味でしょうか。開銀北東公庫の統合を見直すということであるのか。それでないとすれば、苫東の清算あるいはむつ小川原の清算、それに伴って北東公庫の債権をきちんと整理してきれいにする、これは最低限行うべきと思いますけれども、その上で北東公庫の処置を考えていく、こういうことを意味しているというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  277. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたのは、この法律案において北東公庫開発銀行がおのおの消滅いたしまして政策投資銀行をつくりたい、こういうことをお願いしているわけでございますが、このことを改めるという意味ではございません。  私の申し上げましたのは、北東公庫も産投から金を出資を受けて出資をする、そのときの了解は関係者がみんな同じように負担をするということであったわけでございます。そして、その中には北海道の地元が含まれておるわけでございますから、その方々がその当時の了解を、合意をそのまま守っていただくということが前提になっておりまして、それは当然だと思います。  この苫東というのは地元の方々が将来に向かって望みを嘱してやろうとしておられるのでございますから、それで北東公庫もできるだけのおつき合いをしようと考えておるのでありますから、またそれが閣議了解の趣旨でございますから、もとのところで地元の方がそういう熱意を失われたということになりますと、基本的な合意が崩れます。崩れるといたしますと、そこでいかにすべきかということはそのときにもう一遍考えなければならない、こういう意味で申し上げております。
  278. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 となりますと、熱意を失うとか、あるいはその苫東の協調融資団のうちの現在四社がノーと言っている、むつの場合も全くこれは合意ができていない、このような状況がずっと続いていきますと、今大臣がおっしゃったような事態になるわけですね。  大体、提案者の側がそういうことを言わざるを得ないという法案を、これはこのまま通していいのかどうかというのが根本的に問われるわけでございます。民間金融機関あるいは北海道の地元の意見あるいは熱意といいますか、そういうものをきちんと聴取するということがないと、展望そのものも開けてこないのではないか、見えないのではないかというふうに私は思うわけです。ともかく法律をつくった、しかし十月一日前にもう一回これを見直しをするということになる、こうなっていきますと、これは国会としては無責任なことになってしまいますので、その点の地元の御意向といいますか、あるいは銀行側の意向といいますか、その点の意見をぜひお聞きをする必要があると私は思います。  これは委員長にお願いしたいんですけれども、ぜひこの点、関係の金融機関、それから北海道、地元の方々の意見を聞く場を設けていただきたい、検討していただきたいと思います。
  279. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、私が先ほどお答えいたしましたのは、この法律案は開発銀行北東公庫とをおのおのを消滅させて一緒にするという、いわば特殊法人合理化に関するものでございます。その二つは、いわば相性がいいと申しますか、この案はその点では非常にいい案だというふうに考えまして、ひとつ御賛成をお願いしたいと申し上げる傍ら、そこで登場いたします北東公庫というものが厳密にどういう形で十月一日に新しい銀行になるかということは、ただいまおっしゃいましたような理由で、必ずしもただいま分明ではございません。  むつ小川原のことは、これはわかっておりますから申し上げるまでもない、今まさに何も決まっていない状況でございますが、苫東については、決まっておるごとくであって、今御指摘のように、地元はまだその出資を現実にはいたしておらない。恐らくは、先ほどからお話しのように、これだけの見積もりでもって、本当に現実にこの会社が将来実のある仕事ができるのであろうかということについてのいろいろ議論があるのだろうと思いますけれども、理由はともかく、まだそういう出資というものが行われておりませんので、したがいまして、先ほど申し上げましたように、もしそれが行われないときには、我々が予定しております二百二十二億というその出資も、これも実はもう一遍考え直さなければならない。  そういう状況としての、いわば最終的には不確定な姿でございますけれども、しかしながら、どのような姿であれ、北東公庫開発銀行というものが一つの新しい投資銀行をつくる、そういう法案の中身には変わりがございません、このように申し上げておるので、御理解をいただきたいと思っております。
  280. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。
  281. 村井仁

    村井委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会