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1999-05-13 第145回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十三日(木曜日)     午後三時三十七分開議   出席委員    委員長 高木 義明君    理事 金田 英行君 理事 佐藤 静雄君    理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君    理事 池端 清一君 理事 島津 尚純君    理事 冨沢 篤紘君 理事 鰐淵 俊之君       麻生 太郎君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    木村 隆秀君       北村 直人君    久間 章生君       熊谷 市雄君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    小平 忠正君       古賀 一成君    東  順治君       丸谷 佳織君    西村 章三君       児玉 健次君    中西 績介君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         労働大臣    甘利  明君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君  委員外出席者         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 三月十二日              辞任         補欠選任   御法川英文君     久間 章生君 五月十三日              辞任         補欠選任   中谷  元君     麻生 太郎君 四月二十七日  臨時石炭鉱害復旧法延長に関する陳情書外一件(第一六九号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件     午後三時三十七分開議      ――――◇―――――
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島津尚純君。
  3. 島津尚純

    島津委員 民主党島津尚純でございます。  きょうは、御多用のところ、私たち委員会に両大臣の御出席をいただきまして、まず感謝を申し上げる次第であります。時間が制約されておりますので、数点に絞りまして質問をさせていただきたいと存じます。  まず第一番目でありますが、平成九年の三月三十日に三井三池炭鉱閉山をいたしましてから二年が経過したわけであります。この間、通産省中心に、関係省庁との緊密な連携をおとりいただきまして、広範多岐にわたる閉山対策地域振興対策を全力を挙げて着実に実施いただいてまいったことに対しましては、お礼を申し上げ、感謝申し上げる次第であります。  この閉山からちょうど二年が経過した先々月の三月三十日に、閉山対策フォローアップのための産炭地域振興関係省庁等連絡会開催されたわけでありますが、今日までのこの閉山対策の全般にわたる進捗状況につきまして通産大臣にお伺いをし、そして、雇用問題につきましてはひとつ労働大臣から御報告をいただければ、このように思います。
  4. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 三井池閉山対策につきましては、一昨年四月二十三日に政府閉山対策を取りまとめて以来、これまでも関係省庁連携をとりつつ、閉山対策の着実な実施に向け、精力的かつ計画的に対策を講じるとともに、対策早期実現に向け、地域実情及び対策進捗等につきまして、各省庁連絡会開催政府関係者等による現地視察実施等を行い、その状況の把握、フォローアップに努めてきたところでございます。  ただいま先生質問の中にお触れになりましたように、本年三月三十日に閉山からちょうど二年が経過することから、三井三池炭鉱閉山対策に係る産炭地域振興関係省庁等連絡会開催し、「三井三池炭鉱閉山に伴う関係省庁等対策」のフォローアップ実施したところでございます。環境・新エネルギーリサイクル産業等新規産業の創造を目指したエコタウン事業が承認され、また、地域高規格道路有明海沿岸道路のくい打ち式が本年一月に行われるなど、各般にわたる閉山対策は所要の成果をおさめつつあることを確認したところでございます。  通産省といたしましては、今後とも、関係省庁と緊密な連携をとりながら、閉山対策に遺漏なきよう万全を期してまいりたいと考えております。
  5. 甘利明

    甘利国務大臣 三井三池炭鉱閉山によりまして離職された方の再就職状況につきましては、平成十一年の四月一日現在までに、直轄、下請、関連等を含めまして千五百二名の方が求職申し込みをされまして、そのうち七百七十五名の方が就職をされたところでございます。  労働省といたしましては、これまで炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法に基づきまして、離職をされた方々に対しまして、炭鉱離職者求職手帳の迅速な発給、機動的な職業訓練実施離職者方々の意向を踏まえたきめ細かな就職相談特別求人開拓実施等措置を講じてきたところでございます。  今後とも、離職者方々につきまして、地元の福岡県並びに熊本県と密接な連携をとりつつ、炭鉱離職者を対象とする特別の求人開拓実施しますとともに、合同面談会開催等を通じまして、一人でも多くの方が一日も早く再就職できるように最大限努力してまいりたいと思っております。
  6. 島津尚純

    島津委員 ありがとうございました。  特に、大牟田テクノパークあるいは環境エネリサイクル都市ということは、これから非常に大事な時期を迎えるものですから、どうかフォローアップのほどよろしくお願いを申し上げまして、次に進ませてもらいたいと思います。  現在の石炭政策については、残すところ二年十カ月となり、平成十四年度以降果たしてどうするのかということが今議論をされておりまして、この夏までに答申を出すということで、現在、石鉱審政策部会あるいは鉱害部会、そして産炭審審議が行われているところであります。関係者皆様方は、この夏に向かっての審議の動向につきまして、まさにかたずをのむような思いで見守っておられることと存ずるわけであります。  そこで、とりわけ重要な国内炭鉱松島炭鉱太平洋炭鉱の存続問題につきまして質問をいたしたいと思います。  平成四年からスタートした現行ポスト八次策の「今後の国内石炭政策基本的方向」という中に次のように述べられておるわけであります。エネルギー政策上、国内炭役割は従来よりも縮小してきているとはいえ、それ相応の位置づけをもって評価されなければならない。今後のエネルギー政策としての国内炭政策の課題は、国内炭国民経済的な役割程度に対応する均衡のとれた国民経済的負担あり方を探ることにある。このように述べているのであります。これにつきまして、つまり、これを要約しますと、国内炭役割国民経済的負担均衡点をどこに置くかという問題であると思います。  このポスト八次策がスタートした平成四年には、既に閉山をした三池、空知、赤平、芦別を含めて六炭鉱があったわけでありまして、その生産量は七百万トンぐらいであったわけであります。現在は二炭鉱を残すのみとなり、縮小されているわけでありまして、生産量も三百三十万トンと半分以下という状況に向かっておりまして、ある意味での均衡点に向かって縮小されてきているというふうに考えるわけであります。  また、国内に残っております二炭鉱は、平成十四年度には現在のトン当たり一万六千円台から一万二千円まで価格を下げるということを明らかにされておるわけであります。そうしますと、海外炭との価格差は、コールセンター費用を入れますと四千円から五千円ぐらいと大幅に圧縮をされることになります。これを電気料金に換算しますと、一人当たり一カ月に十円、年間百二十円ということになりまして、この数字ポスト八次策で言うところの均衡点に達した数字と考えても決しておかしくはないのではないかと思うわけであります。  だとするならば、平成十四年度以降も、海外からも高い評価を受ける国内炭役割に対応する一定政策支援があってしかるべきではないか、このように思うわけでありますが、この点につきまして、通産大臣のお考えをお尋ねしたいというふうに思います。
  7. 北畑隆生

    北畑政府委員 現在、二鉱山を残すのみとなりまして、生産量が三百万トン強で、現在の対策が始まって以来、その半分以下になったという御指摘については、委員指摘のとおりでございます。ただし、現状では依然として内外価格差が三倍程度あるということは事実でございまして、現在の内外価格差を前提にすれば、国内炭鉱を維持するためには相当程度国民経済的負担が必要である、こういう状況があるということは事実でございます。これが妥当な水準であるかどうか、だれが負担をするのか、広く国民一般負担とし得るのか否か、こういった点につきまして、十分な検討を要する問題であるかと考えております。  いずれにいたしましても、このような点も含めまして、国内鉱山位置づけにつきまして、現在、石炭鉱業審議会政策部会によって審議をしていただいているところでございます。
  8. 島津尚純

    島津委員 夏に向かって結論を出すということで石鉱審審議が進んでおりますので、すっきりした発言というものはなかなか無理な点もあるかと思いますが、ひとつ御検討お願い申し上げたいと思います。  現在の我が国石炭産業を守るために、電気料金という間接的な負担によって支えているわけでありますが、海外の例を申し上げますと、直接的な生産補助金とかそういうことで支えておるという例もあるわけであります。これはドイツの例でありまして、ドイツでは、それまでは電気料金ということで日本と同じように間接的負担ということでやっておったわけでありますが、これが憲法違反であるということになりまして、現在では、国と州が直接補助金を出すことによって石炭産業を支えておる。この総額が五千億円ということで、トン当たり一万円相当という大変な補助金を出して支えておるわけであります。  我が国を考えますと、恐らくこの半分ぐらいのトン当たり五千円ぐらいで十分二炭鉱が存続できるということであります。ドイツあたりの、日本よりもエネルギー状況は逼迫していない国でも、自国のエネルギー政策のためにこのような政策をとっておるわけでありますが、日本でもこのような考え方をとることはできないのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  9. 北畑隆生

    北畑政府委員 我が国におきましても、石炭鉱業合理化を促進する、あるいは将来の設備投資を促進する、保安確保をするという観点から、一定補助金を出しているということでございます。ドイツのような金額には至っておりませんけれども、トン当たりに換算いたしまして千円強の補助をし続けておるわけでございます。  委員指摘のように、価格差そのものを直接補助をしたらどうかという御指摘の点でございますけれども、内外価格差そのもの補助するという方式は、一層の生産合理化コスト削減を実現する、こういう観点からは必ずしも好ましくない、財政的にもなかなか難しいという点があるのではないかと考えております。
  10. 島津尚純

    島津委員 時間が迫っていますので、次に行かせてもらいますが、ただいままでは負担という面からの質問をさせてもらったんですが、次は、国内炭役割ということについての質問をさせていただきたいと思います。  国内炭鉱役割中心的なものの一つは、海外への技術協力であるというふうに思います。我が国国内炭技術は、世界各国石炭需要増加傾向という中にありまして、海外からも強く求められてきておるわけであります。  国内炭鉱が現在持っております海外研修センターには、この数年で二十数カ国から実に五百名を超す研修生を迎え入れているということがございます。また、逆に、海外への技術者派遣につきましても、百名を超す技術者海外派遣をしている、十数カ国に送り込んでいる、このような状況もあるわけであります。  さらには、我が国世界に誇ります坑内保安技術でありますが、坑内集中監視装置はトルコや中国、このような国に既に導入、実証済み、このようなことでありまして、これらの技術協力は今後の我が国海外炭安定供給確保のため不可欠であるということは、多くの専門家皆様方が認めるところであります。それで、この技術の保存のためにも国内炭鉱はぜひ存続させるべきではないか、このように思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  11. 北畑隆生

    北畑政府委員 アジアの主力エネルギー石炭でございまして、委員指摘のとおり、中国インドネシア等世界各地から我が国炭鉱技術を学ぶために研修生が来日し、二炭鉱研修を受け、また、二炭鉱技術者海外専門家として派遣をされ、技術協力という観点から高い評価を受けているというのは御指摘のとおりでございます。  このような技術協力の母体としての鉱山位置づけ、こういう点も含めまして、現在、石炭鉱業審議会において議論をしていただいておるところでございまして、石炭政策全体の中で議論していただきたいと存じております。
  12. 島津尚純

    島津委員 国内炭鉱の存続はエネルギー政策上国益に合致することは、必ずや国民の多くの皆様方の御理解をいただけるものと確信をいたす次第でありまして、どうか今後積極的に御検討をいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  13. 高木義明

  14. 古賀一成

    古賀(一)委員 民主党古賀でございます。  私も、島津議員と同じく、二年前までは稼行炭鉱でございました大牟田を抱えます地域の出身でございまして、この石特委委員になって十年がたちますけれども、それを振り返りながら、ちょっと本質的な点につきまして、ぜひ大臣に、そして関係官庁皆様にお聞きをしたいと思います。  私は、このエネルギー、特に石炭について際立っておるといいますか、ほかでもこういうのがあるのですが、いわゆる審議会行政というものはちょっと出過ぎではないのだろうか。現に、今石鉱審がずっと審議をやっておる、我々はその結論を待たされておる、こういう感じになるのですが、私は、エネルギー政策が本当に審議会中心に論じられて、国会がそれを待つというような形でいいのかというのをかねがね疑問に思っておりました。  そこで、待っております石鉱審予定よりもスケジュールがおくれておるということだと思うのですが、平成十二年度の予算要求というものが夏に当然ある。そうすると、平成十三年度で切れるとなれば、もうあと二年十カ月というお話がございましたけれども、実質上はあと一年ちょっとで実はこの決着がつくというような感じもするのです。  そこで、エネ庁にお伺いをしたいのですが、石鉱審審議状況、重立った論点、どこが今悩んでおるのか、もめておるのか、そして、今後どういう予定答申を出し、国会及び関係機関とのすり合わせを行うのか、そこら辺のところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  15. 北畑隆生

    北畑政府委員 昨年の六月に通産大臣から石炭鉱業審議会に対して諮問を行い、昨年九月より石炭鉱業審議会政策部会において審議をしていただいております。現在までに五回にわたり審議お願いいたしました。  審議お願いした項目としては、海外炭安定供給確保に向けた取り組みのあり方国内炭鉱役割稼行二鉱山合理化進捗状況と今後の見通し等についてでございます。  これまで五回の審議によりまして、各論について一応議論が終わったという段階でございます。次回は今月二十一日に予定をしておりまして、この後、答申案の作成につながる一歩前の論点整理という御議論お願いしたいと思っております。本年の夏ごろまでには答申を取りまとめていただくようお願いをしておるところでございます。
  16. 古賀一成

    古賀(一)委員 審議会予定はなるほど夏ということですから、概算要求の前なのか後なのか、恐らく前じゃないかと推測しますけれども、そういう予定で出されると。  ここで私は、再度になりますけれども、まず平成三年に石鉱審のいわゆる答申が出て、例の九〇年代を石炭鉱業構造調整の最終の十年だとするという話になりまして、このときもそう思ったんですが、その後の、いわゆる去年出されました通産大臣から新宮会長への諮問文現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方、こういうことでございます。そして、論点として、ずっと今まで論議されてきた点、そして今、島津議員質問に対しての答えもそうなんですが、いわゆる内外価格差をどうするか、あるいは国民負担均衡はどうあるべきか、そういういわゆる売り買いの話というか負担の話というか価格の話、大体そういう論点でずっとエネルギー政策、とりわけこの石炭政策は論じられてきたんですね。でも、こんな国が本当にあるのだろうか。  今本当に振り返って、こういう時代の大転換期に、やはり役所そのものが、あるいは国民に責任を負う形になっております大臣そのものが、こういう方向エネルギー政策を論ずるんだというもっと幅広い視点でやっていかないと、北海道の炭鉱もこの十年で閉山をした、そして、まさかと思っておった大牟田も、そういう内外価格差あるいはコストが高い、電力は嫌がる等々、そういうコスト費用負担の面で消えていったわけでありまして、こんなことをやっておりますと、恐らく、この論理の先には、現稼行炭鉱二鉱、これだって同じ運命をたどるのではないか。そのときに日本エネルギー政策は本当に大丈夫なんだろうかということを私は真剣に考えます。  したがいまして、審議会に任せっ放しという形ではない、やはりエネ庁なり役所が、とりわけ大臣が、総合安全保障というかエネルギー安全保障というか長期的エネルギー確保、あるいは今御質問ございました国際貢献、そういった幅広い視野から石炭政策あるいはエネルギー政策を再構築する、こういう視点がこれからぜひ必要だと私は思うのです。  そういう点について、審議会に任せておればこういうことになるのですが、今や時代は違うと思います。ひとつ、私は、審議会行政の限界というものも踏まえまして、政治のリーダーシップ、この際、そういう総合的な視野からのエネルギー政策というものを、石鉱審でなくても結構なんですけれども、いわゆるエネ庁が発し、審議会審議していただいても結構ですが、やるべき時期だと思います。この点、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 石炭自体は、輸入炭を含めまして、日本の一次エネルギーの一七%を占めるという非常に重要なエネルギー源でございます。また、世界における石炭資源賦存状況も、石油に比べましてはるかに寿命の長いものでございまして、これから我々の社会石炭というものを軽視できない経済社会になっていくだろうと私は思っております。  そこで、今まで日本の非常に由緒ある石炭鉱山閉山に次ぐ閉山をしてまいりました。それにはいわば経済的な理由もあったわけですが、日本石炭政策は、なるべく地域社会に対する影響を少なくしようということもございましたし、また、日本が独自で持っている、自主的に入手可能なエネルギーという観点からも、いろいろ施策をやってまいったわけでございます。  石炭鉱業審議会から答申も出てまいりますけれども、先生方十分論議を交わしながら、日本のあるべき石炭政策というものを見出していきたいというのが私の現在の心境でございます。
  18. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、かつて、ちょうど第二次オイルショックが起こったその当時、役所におりまして、まさにエネ庁皆さん方、当時のエネ庁長官は亡くなられましたけれども、天谷さんでございましたけれども、私はそのとき建設省の方で道路財源ガソリン税を実は担当しておりました。  あのときは、高速道路電気を全部消すべきであるとか、いろいろな省エネ論議、プラス、とりわけ、私は今で思えば本当に感心しておるのですが、いわゆる代替エネルギー財源に二兆円かかる。それで、実はガソリンにかかっている、当時一兆六千億円ぐらいあったわけですが、このガソリン税を何か代替エネルギー開発財源に持ってこようという大戦争がありまして、そのうち大蔵省とは一般財源化代理戦争があって、今でもくすぶっておるのですが。ただ、あのときのエネ庁のいわゆる省エネに向けての努力、とりわけエネルギー分散の意気込み、あるいは代替エネルギー開発への情熱というのは、私はすごいものがあったと今でも思っておるわけです。  ところが、エネルギー状況というのは、今でこそバレルの単価というのは落ちついているというか非常に安くなってきたものの、構造的にはだれが見ても、将来、これだけ世界中がエネルギーを使っているわけでありますから、いつ何どきこれが厳しい状況になるかわからないというのが実情だと私は思うのです。  やはり行政、とりわけ政治というのは、フェールセーフというか、フェールセーフというのは要するに失敗、戦争あるいはエネルギー供給禁止とか、そんな嫌なことは起こってほしくないけれども、万が一起こったときの、その代替措置といいますか、それをいかに構築するかというのが、ある面では政治の一番の要諦だろうと私は思うのです。  それが、今みたいにいわゆる価格論だけでずっと来た感じが、私は強くそう受けとめておりますけれども、これでこれからの延長先にあるエネルギー政策は大丈夫だろうかと本当に危惧するわけでありまして、本当に、こういった諮問の形ではない、新しいエネルギー政策構築の息吹というものを再び、私はエネ庁にぜひお願いしたい。その中で、石炭政策といいますか、現稼行炭鉱二鉱の位置づけというのも出てくると私は思うのです。それは要望でございますが、ぜひ指摘をさせていただきたいと思います。  次に、通産大臣にお聞きをしたいのですが、国民負担あり方が今言ったようにずっと問題になっておりまして、ただいま島津議員の方からは、いわゆる補助金というアプローチでどうだろうかという御指摘がありましたけれども、今度、一方、国からの補助金というスタンスではなくて、電力通産省電力料金認可にかかわっておるわけでありまして、計算しますと、国民皆さんに一日一円負担してもらう、一日一円、こうなりますと、一日一億二千五百万円入るわけですが、それに三百六十五日を掛ければ四百六十億になるのです。  今、介護保険料がどうなるかとか、あるいは金融再生のためにこれだけの公的資金をとか、もうすさまじい数字予算にしても景気対策にしても破綻のスケールにしても飛び交っておるわけでありますけれども、今、この繁栄した、ここまで来た日本経済をもってきて、困った、困ったとはいえ、やはり世界に冠たる経済所得といいますか、その我々の人間が、この時代に、唯一国内資源石炭を今我々の手で閉じるということは、次の子供たちに対してどういう意味を持つのだろうかと私は思うのですよ。  もちろん、国、地方合わせて六百兆の債務は残っております。それはもうここの場では言いませんけれども、エネルギーについて唯一天から授かった石炭がありながら、次々に実はなくなってきた。私は、国民皆様に、要するに電力料金で一日国民一人一円、それで、一緒の一日一円の保険料で、電力料金にそれを乗せてもらうならば、いわゆる技術移転で国際的に貢献もできる。そして、いざとなったとき、わずかとはいえ、いわゆる国内での石炭というものが残っていく。私は、これは国民理解は絶対得られると思うのですよ。  補助金という手法がいいのか、いろいろありますけれども、国民に、そういう審議会の中で国民負担あり方はどうでしょうかという甲論乙論を、いわゆる審議会先生方議論しているだけではなくて、むしろ、国内炭を維持し、国際貢献技術移転にも貢献し、そして、将来の子供たちにもそれだけのシステムを最低のものとして残す、それには、電力料金一日一円ということで、例えば、そういう物の言い方はもうしていい時期じゃないかと私は思うのです。  この国民負担あり方について、そういう電力料金に乗せて国民理解を得るという点につきまして、私は一つの提案をするわけですが、御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 北畑隆生

    北畑政府委員 価格差のある国内炭につきましては、従来は鉄鋼業界、電力業界、両業界に引き取り協力をお願いしてまいりました。平成四年であったと思いますけれども、鉄鋼業につきましては今後は引き取り協力ができないということで、公益事業である電力業界のみに引き取りをお願いしているという状況でございます。  電力業界の方は、公益事業でありますけれども、電力料金を国際水準並みに引き下げるということで、さまざまな経営効率化、合理化努力をしておられるところでございますし、また、規制の緩和も進んでおるわけでございます。このような中で、電力業界という一業界が他の石炭業界を料金の形で負担をするということについては、電力業界の方で異論があることにつきましては、当委員会で先般行われました参考人意見聴取の中で、電気事業連合会の方から表明があったかと思います。料金で負担していることと、料金に一円上乗せするということは経済的には同じことでございまして、同じような電力業界の主張があるのではないかと存じております。  この点につきまして、先ほどの繰り返しになりますが、石炭鉱業審議会での審議と、私どもと電力業界の調整を引き続き進めさせていただきたいと思っております。
  20. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、エネルギーをめぐる情勢というのはやはりダイナミズムだと思うのです。どこで戦争が起こる、そういうダイナミズムなんだけれども、論議の仕方は極めて静態的といいますか、ダイナミズムに欠ける、それが今のエネルギー政策じゃないかと思うのです。だって、電力料金に占める燃料コストというのは一割ぐらいでしょう。しかし、この石炭なり途絶えたときには、あと九割の人件費とかシステム費とかありますけれども、これだって全部パアになるわけですよ。  そういう面で、今言ったようなダイナミックな提言といいますか、国民負担してもらうという、それを電力料金にオンするということも私はやるべきだと思うのですが、そういう論議は石鉱審の中で委員の方からもございますでしょうか。
  21. 北畑隆生

    北畑政府委員 この点につきましては、石炭鉱業審議会政策部会と、その前に行われました企画小委員会、この両委員会で引き続き議論されている事項でございます。
  22. 古賀一成

    古賀(一)委員 時間も迫ってまいりましたからあれですけれども、アメリカは、現段階で十億トン掘っているんです。何と二千四百六十六億トン、賦存がございます。そして、石油も膨大な量を埋蔵しておるんですね。三百億バレル持っている。しかし、年々石油採掘は減らしてきている。やはり明らかに石油を温存してきておるわけですよ。食糧についてもそうなんです。アメリカは食糧については世界最大の輸出国であり、そして一方で食糧輸出禁止法という、いざとなったら大統領令によって、人道的あるいは国防の見地から日本に対する食糧輸出を禁止するという法律も持っておるんですね。まだ廃止してないです。  ことごとく、やはり世界はダイナミズムなりそういうもので動いていく。そういう中に実は日本エネルギーがあり、それを取り仕切るのは通産省なんです。その点、ひとつ長期的な視野で今後政策を、今までのトレンドの論議も必要でありますけれども、その点から私は再構築をお願いしたい。  それで、最後になりますけれども、私は去年の十月二十二日、大勢の皆様方と長崎の池島鉱に潜りました。私は生まれて初めて炭鉱に潜ったんですけれども、もう驚くほど坑内がきれいで、これにも感激しましたし、あの世界に冠たる保安設備というものを現に見させていただきました。そして、労使協調して本当にコスト削減に努力しているあの姿、そして委員会皆さんを港まで迎え、我々が数時間いる間もずっと港で見送るまで待っていた、あの姿に私は非常に感激をいたしたわけであります。  とりわけ、これだけの技術、この前、九大の教授に来ていただいたときも、本当に世界に冠たるものであると。水力採炭であるとか監視ロボット、私も現場で見てきて、これを使わない手はないという思いをしたわけであります。ところが、今、日本には石炭学の先生は一人と。もちろん、これが将来の行く末があやふやであるなら、勉強する人もいなくなるし、先生もいなくなるんだと思うのですけれども、こういうものを、やはり先ほどのような総合的視点から、例えば池島から世界へと石炭技術の発信をする、こういうふうな観点から、ひとつがらりとパラダイムを変えまして、単に存続させる云々じゃなしに、石炭生産あるいは保安技術国際移転モデル鉱というような、国民にわかりやすい位置づけをして、これをサポートすることだっていいんじゃないでしょうか。  この点、こういう一つの位置づけというものはできないものでありましょうか。最後にこの質問をもって終わりたいと思いますので、御答弁をお願い申し上げます。
  23. 北畑隆生

    北畑政府委員 我が国鉱山が、生きた石炭生産の現場として世界で最もすぐれた生産技術を持っておる、それから個別の設備につきましても、最先端のものを開発していく力があるということは、委員指摘のとおりでございまして、これをできる限り海外に移転をいたしまして、世界石炭安定供給につなげていくということは大変意義のあることかと存じます。このような点も含めまして、国内鉱山あり方検討してまいりたいと考えております。
  24. 古賀一成

    古賀(一)委員 これで終わりますが、産炭六法の関連につきましては、ぜひ今後とも、この委員会開催の上、審議をしていただきたいと付言いたしまして終わります。以上です。
  25. 高木義明

    高木委員長 渡辺博道君。
  26. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 自由民主党渡辺博道でございます。  今回、初めて石炭対策特別委員会質問をする機会をいただきました。同僚議員、そして先輩議員に改めて感謝を申し上げる次第でございます。  私は、産炭地にはほど遠い、まさに東京の隣の千葉県でございまして、この石炭とはまずは縁のないところで育ってまいりました。そういった中で、なぜ渡辺石炭対策特別委員会に入っているんだというようなお話がありました。この中で、私は、石炭対策特別委員会に所属して初めて石炭のありようについて勉強させていただきました。その中において、先ほど古賀委員の方から、最後の方の質問の中にありましたけれども、私も昨年十月、初めてこの石炭対策特別委員会において視察をさせていただき、炭鉱に潜らせていただきました。  私は、本当にショックを受けたのは、今までの炭鉱というものはもっと粉じんが多く、また、健康も大変害されるような環境状況にあるのではないかという大変古い印象を持っていたわけでありますが、池島炭鉱に入ってまさにびっくりいたしました。中央コントロールが大変しっかりとしておりまして、空調設備、そしてまた保安設備も大変しっかりしておったことを肌でもって経験をしたわけであります。そういった中で、この炭鉱をどうするのか、二つの炭鉱が残されておりますが、この問題についてやはり真剣に論議していく時期がもう本当に来ているんだなというふうに思いました。  その中で、池島炭鉱に行ったときに、その地域の住民、そして、労使一体となってコスト削減をしているその姿、帰りがけに船に乗ってもずっと手を振っているあの姿を見ますと、炭鉱はぜひとも残さなくてはいけないなという気持ちになりました。でも、これは心情論でありますので、少なくとも、冷静にこの存在については考えていかなければならないというふうに思います。そして、そういった前提におきまして、今回、質問をさせていただくわけであります。  まず最初に、我が国石炭生産、保安技術等についての御所見をお伺いしたいというふうに思います。  我が国炭鉱、これについては、もう既に御案内でありますが、坑内掘りが主体でありまして、そして、採掘現場が深部にある、また海底下にあって、厳しい条件下において安全かつ効率性の高い生産を達成しておるということが現実にあります。しかし、アジア・太平洋の産炭国を見ますと、中国は既に坑内採掘が九割以上を占めております。またベトナムにおいても、二〇一〇年には五割以上が坑内採掘となる見通しとなっている現在、アジア・太平洋地域において坑内採掘がこれから増加していくことは事実だというふうに思います。  そしてまた、我が国は過去、坑内採掘特有の災害でありますガス爆発や坑内火災によって多数の人命を失っておる、そういった悲惨な歴史を持っておりますが、先ほどの状況もありますように、通気やガス抜きボーリングや集中監視システム、こういった技術開発を進めて、関係者の懸命な努力によって、保安技術のレベルが確実に向上しております。こういった国内災害の現実をデータで見るならば、死者十名以上の重大災害は、昭和六十年の南大夕張炭鉱におけるガス爆発事故以降、現在に至るまで十年以上発生していないということであります。また、百万人当たり災害率も、三十年前は九一九あったものが、二十年前には一七四、十年前には四四、そして平成十年には一二となると、順調に減少している現実がございます。  しかし、世界に目を向けますと、現在でもガス爆発によりまして多数の人命が失われている現実があります。特に中国ではガス爆発による災害が頻発しておりまして、データによりますと、数千人が死亡しているというような現実もあります。  こういった状況の中で、我が国が長い歴史の中で培ってきた保安技術をうまく活用すれば、中国やその他のアジアの諸国で起こっております人命損失に至る重大災害はかなりの程度回避できるのではないか、そのように思います。海外における石炭の安定的な生産の確保につながるこの災害の防止、このためにぜひとも、このすぐれた日本保安技術、そしてまた生産技術を有効に活用していくことが必要だというふうに思うわけであります。  このような観点におきまして、現在、国としましては、このすぐれた生産技術保安技術をどのように海外に移転していくのか。そういった進めている方策について、まずお伺いをしたいというふうに思います。
  27. 北畑隆生

    北畑政府委員 我が国は、世界的に見ましても採掘深度が非常に深く、高地圧、軟弱地盤、こういった厳しい条件下で操業を行っているということは、委員指摘のとおりでございます。この過程で、安全かつ効率的に採掘をするということでさまざまな技術開発を行い、人と機械が一体となった総合的なシステム技術を完成させてきたところでございます。露天掘りと比較できないことは当然でございますし、他の各国の坑内掘りが日本の深さにまで達していないということを考えますと、世界最高水準の技術にあるというふうに考えております。  日本が独自の技術を持っている分野としては、軟弱な地盤に対応した掘進技術、高い地圧、ガス湧出対策としての坑道維持技術、通気管理技術、高速輸送システム、防水技術、こういった分野のさまざまな技術を保有しておるところでございます。  この技術の高さは、委員指摘のとおり、保安観点数字から見ても明らかなとおりでございます。主要先進国と比較をいたしますと、石炭生産百万トン当たりのけが人の数で比較をいたしますと、米国が十一・九四人、英国が十五・六八人、ドイツが十六・〇〇人でございます。これに対して我が国は、一段、一けた少ない二・四六人ということでございまして、この大変低い災害発生率が我が国石炭技術の水準の高さを示しているのではないかと考えます。  このような技術につきまして、石炭を主エネルギーとする中国、インドネシア、ベトナム等から保安技術技術協力について多数の要請があることは、委員指摘のとおりでございます。  さまざまな形で二つの稼行鉱山の御協力を得ながら技術協力をやっておるわけでございますが、一例を申し上げますと、技術協力の中でプロジェクト技術協力という制度がございます。この制度に基づきまして、中国石炭保安センターを設置する、これにつきまして、日本が設備と要員の派遣という形で協力を行っております。同じようなものにつきましては、ベトナム、インドネシアからも要請が来ておるところでございまして、こういった技術協力関係予算も含めまして、積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
  28. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございました。  技術に関しては世界的にも有数であるということはもう既に実証済みだと思いますが、現在、国内炭鉱における国際協力事業として、技術者の受け入れの状況を見ますと、太平洋炭鉱においては、中国からですけれども、平成八年が七十一名、九年が八十五名、十年が五十二名。池島炭鉱においては、多いところはインドネシアで、八年に十四名、九年に二十七名、十年に三十四名。ともに東南アジアが多いわけであります。こういった技術者受け入れがやはりこれから本当に必要だと思うのですが、私は、先ほども古賀委員がおっしゃった中で私も共鳴する部分がありまして、ぜひとも、単に存続をするという意味合いよりも、もっと積極的な意味合いを持ってやっていく必要があるのではないかというふうに思うのです。  それは、この産炭地またはこういった二炭鉱において、研修機関としての受け入れを積極的に推進する。現在、先ほど申しましたけれども、太平洋炭鉱では合計で平成十年が百十四名ですね。池島炭鉱では六十名です。これをぜひとも、もっと多くするために積極的な展開を図ってもらいたいなというふうに思うのです。それは、まさにこの技術世界に発信するその拠点づくり、海外交流のまさに拠点づくりとしての位置づけをこの二炭鉱の中でできないものかな、そんなふうに思っております。  こういった一つの国際貢献という中で、私は、やはりこれからの時代は人との交流がすべてではないかと思うわけであります。幾らお金でやっても、お金では海外ではなかなか評価されない部分が最近とみに多いのではないか、そのように思います。そういった中で、中国やインドネシア、そしてベトナムの人たちにどんどんすばらしい日本炭鉱技術を学んでもらって、そして、自国においてその技術を生かす。要するに、こういった交流がお互いの信頼関係のもとになると思うわけでありまして、そういった意味においてはぜひとも積極的な、例えばコール研修センターとかいう、名前は別としましても研修センターを設置して、大々的に国際交流の拠点づくりをしたらどうかなというふうに思っておりますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  29. 北畑隆生

    北畑政府委員 炭鉱技術者の受け入れの現状について御説明を申し上げます。  両炭鉱で受け入れていただきました研修生は、十年度におきまして合計で、国別に申し上げますと、最も多いのが中国、次いでインドネシア、三番目がベトナム、それからフィリピン、トルコといった国でございまして、いずれも、これから経済発展のために石炭エネルギーの開発を必要としている国でございます。人数的にはまだまだ不十分な点があろうかと思います。  現在は、国の石炭関係の公営企業の幹部になる人、あるいは政策を担当する、こういった方が中心でございまして、本当のところを申し上げますと、もっと現場の人たちも多く受け入れていただきたいというのが先方の希望かと思います。人数の面でも質的な面でも充実を図ってまいりたいと考えております。
  30. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 次の質問に移らせていただきますが、石炭という一つの特性は、地域と離れることができない。これは池島炭鉱を視察したときに、地域の人たちのあの熱き思いというものはやはり私も感じた者の一人であります。この石炭がなくなってしまったら、山がなくなってしまったら、自分たちのこの生活もなくなってしまう、町がなくなってしまう、そういった意識が強かったのではないかと思います。  そうしていきますと、既に構造調整の中で多くの炭鉱閉山になりました。閉山した後の状況を見ますと、なかなかうまくいっていない、これが現実ではないかというふうに思います。  特に産炭地域振興対策についてお伺いしたいわけでありますが、産炭地域振興臨時措置法の失効を平成十三年に控えて、北海道の空知地域や九州の大牟田、荒尾地域に見られるように、産炭地域において石炭産業にかわるべき新たな産業を創出することが喫緊の課題だというふうに思うわけでありますが、昨日、産炭地域振興審議会が、産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての進め方についての論点整理が行われたというようにお聞きしておりますが、その中でどのような審議がなされたのか、お伺いしたいと思います。
  31. 北畑隆生

    北畑政府委員 昨日の産炭地域振興審議会におきましては、論点整理ということで全般的な御議論をいただきました。  現在の状況から見て、産炭地域振興の施策を完了することができるのかどうか、おおむねいい水準まで来ているんじゃないかという意見もございましたが、一部の市町村はなかなかそういう状況にないという意見もございました。また、一部の地域についてそういう状況でないという意見については、石炭鉱業の不況によるものであるのか、日本経済一般の景気の不振によるものか、その点は区分する必要がある、こういうふうな意見が出ました。  そのほか、地方財政の問題、てこになる公共事業の問題、それから、委員の御指摘のありました、石炭にかわる新しい産業をどうやって育てていくのか、産炭地域振興法に基づく措置に加えて一般的な産業振興策が必要ではないかとか、それから、企業誘致に加えて、内発的な新しい産業の育成、そのための人材の育成、こんなものが重要だ、こういうふうな意見が多数出されたところでございます。
  32. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 審議会論点整理を行った各内容については今お伺いしました。  でも、実際に地域の中で本当に新産業を創出するというのは並大抵じゃないというふうに思うわけでありますが、その中で、一つ大きな出発点、第一歩というようなことで、大牟田の方ではRDF、ごみ発電についての会社が設立になったということでありますけれども、これとて、最終的に稼働するためにはまだまだ時間が必要ですね。  こういったことを考えますと、平成十三年で失効する産炭地に対する関係諸法、この中の問題として、やはり最悪、最低でも、ソフトランディングさせるための激変緩和措置というものは絶対必要ではないかなというふうに思います。今からそれを承認するわけではありませんけれども、最悪の場合でもそういった措置というものは私は必要だと思っております。したがいまして、ぜひともこの産炭地の状況をつぶさに見ていただいて、この地域がより活性化できる方法を真剣に取り組んでいただきたい、そのように思っております。これは要望とさせていただきます。  それでは、ひとつ答弁をよろしくお願いいたします。
  33. 北畑隆生

    北畑政府委員 新産業を興すという意味で、現在の産炭地域振興法に基づきましてさまざまな施策を展開しております。地方自治体が新産業創出につなげるプロジェクトを推進する場合に、地方自治体に対しまして、産炭地域振興臨時交付金による財政支出、あるいは地域の産炭地域活性化基金の造成とその運用、地域振興整備公団による工業団地の造成と企業誘致、こういった施策を展開しておるわけでございます。  委員指摘大牟田の案件につきましては、石炭にかわる環境リサイクル産業を育てたいというのが地元自治体の要望でございまして、これは産炭施策だけではできない施策でございまして、通産省関係の他の一般産業振興策、さらには厚生省にも、ごみ処理の部分について補助金がいただけないかとか、さまざまな施策を組み合わせて振興をしてまいりたいと思っております。  産炭地域振興法に基づく施策につきましては、期限内にこれをフルに運用いたしまして、できる限りの成果を上げてまいりたいと考えております。
  34. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 続きまして、雇用関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。  平成九年三月三十日、百有余年の歴史を持った三井三池炭鉱閉山となりました。それからもう二年が過ぎました。その間、我が国の経済状況が大変厳しいことはもう御案内のとおりでありますが、その中で特に失業問題、完全失業率が四・八%ということで、現在生活をする人にとっても大変危機感をお持ちではないかというふうに思います。そうした中で、先行き、見通しの立たない大変厳しい経済状況の中でありますけれども、特に産炭地域においては、離職者にとって問題はより一層深刻なものになっているんじゃないかと思います。  そこでお伺いをいたしますが、まずは、三井三池炭鉱閉山に伴い離職された方の現在までの就職状況についてお伺いをしたいと思います。
  35. 甘利明

    甘利国務大臣 御指摘のとおり、現在失業率が四・八%、これは統計をとって以来最悪の数字でありますし、有効求人倍率は〇・四九倍。若干改善はこの三月してきてはいるのでありますが、依然、全国平均でいっても、二人の求職者に一つの仕事も欠けてしまうという状況でありますし、産炭地域においては、その跡地においてはさらに厳しい状況であります。  こうした状況のもとで、三井三池閉山によりまして離職をされた方々の再就職状況でありますが、全体で千五百二名の求職者がある中で、再就職がなされた方が七百七十五名であります。  我が省といたしましては、関係臨時措置法に基づきまして、離職をされた方々に対しては求職手帳を発給し、機動的な職業訓練実施を行い、そして、きめ細やかな就職相談あるいは特別求人開拓実施等措置を講じてきたというところでございます。もちろん労働省本省だけではなくて、地元の福岡県であるとかあるいは熊本県と密接な連携をとりながら、離職者を対象とする特別の求人開拓実施する、そして合同面接会の開催もいたしておりまして、そうした場を通じて、一人でも多くの方が一日でも早く再就職ができますように努力をしているところでありますし、これからもしてまいりたいと思っております。
  36. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございました。ぜひとも地元の人たちに安心を与えていただきたい、そのように思います。  最後の質問になりますが、今回の私の質問中心的な意味合いを持っているのは、この二炭鉱をどうするか、存続問題についての通産大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思いますが、先ほど申しましたとおり、我が国の長い歴史の中で培ってきた炭鉱の生産技術保安技術、こういった技術を維持して、海外産炭国への移転を円滑に進めるためには、まずは私は、炭鉱技術が、炭鉱という現場のフィールドが必要ではないか、こういったフィールドを基盤として技術というものは常に向上していくのではないかというふうに思います。  先ほども申しましたけれども、実際、こういった技術を学ぶために各国から日本炭鉱を訪れている方が大変多くいらっしゃいます。こういった貴重な体験を積んで、そして本国に帰って、その本国の炭鉱技術を磨いている人たちがいるわけであります。その前提はやはり炭鉱が生きているからでありまして、炭鉱がないところに炭鉱技術の発展はないというふうに私は思うわけであります。  さらには、炭鉱そのものは、地域との連携地域との一体性があります。地域の雇用対策や、そしてまた社会経済、地域経済において大きな役割を担っているわけでありまして、こういった社会の安定、経済の安定のためにも大変重要な役割を担っているのではないか、そのように思っております。  こういった観点から考えますと、この二炭鉱が存続をするためにどうしたらいいのかということを、存続の条件を考えていく必要があるというふうに私は思っております。そのための前提は、やはりエネルギー政策を全般に考えていく必要があるのではないかと思います。  私たちの生活をするための基本でありますエネルギーは、まず安定的である、そして安心である、こういったものが必要でありますが、その中で、安定的に供給できる大前提は、やはりその国が安定しているということなんですね。例えば産油国のような状況においては、国の状況も不安定な要因を多分に持っております。その点、産炭国においては、国も意外と安定しております。ただ、炭鉱技術的にも日本にとって大変劣っている点がありますから、この技術をそういった国に移転することによって、安定的に、さらに確実にエネルギー供給ができるというふうに思うわけであります。  したがいまして、この二炭鉱の存在意義というものをまず大臣はどのようにお考えなのか。そしてまた、今、石鉱審でことしの夏ごろには方向性を見出したいということでありますが、石鉱審とは別に、大臣御自身のお考え、もし御披瀝できればしていただきたい、そのように思っております。よろしくお願いいたします。
  37. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今先生が質問されたことは大変重要でございまして、技術というのは、時代から時代に一体どう伝わっていくのかという問題があります。一見、技術というのは、紙の上に書いたものが時代から時代に伝わるというふうに考えがちですが、実は技術の伝わり方というのは、人から人へ伝わるという性質を私は持っていると思っています。  例えば、最近の例でございますと、高速増殖炉「もんじゅ」が事故を起こしました。この「もんじゅ」の開発はやめろと言う方もいらっしゃいますし、続けろということをおっしゃる方もいます。  その場合、技術という観点から考えますと、世界じゅうで実は高速炉の技術をずっと積み重ねてまいりまして、ところが、次々にやめていって、今、高速増殖炉の技術を本当に持っているのは日本だけになってまいりました。これも研究所があるからということではなくて、人がそれに携わっていて、紙の上に書いた知識もあるし、いろいろな物の考え方も持っていて、そこがいわば一つの技術センターとなっております。これも恐らく高速炉に関しては世界技術センターになっていって、二十一世紀、どの時点で高速炉の技術が必要になるか定かではありませんけれども、その技術を温存するためには、あの原子炉が私は今後とも研究の対象として動いていく必要があるのだろうと思っております。  ですから、私の基本的な考え方は、技術は紙の上で伝わるのではなくて、人から人へ伝わるというのが根本であろうと思っております。  そういう観点から見ますと、今までの国内炭鉱に対する考え方というのは、一つは、大変重要なんですが、雇用の問題、地域社会の問題、そして日本エネルギー政策の中での石炭あり方の問題、こういう視点から我々物事を考えてきたわけですが、やはり技術を温存し、時代から時代へ伝えていくということが、一つの視点として非常に重要になってきたのではないかと私は思っております。そういう観点から国会でも御議論をいただきたいと思いますし、石炭鉱業審議会委員方々にも物事を考えていただきたいと思うわけでございます。  現在、世界に冠たる技術、特に露天掘りではない、大変難しい、深いところを掘っている技術、それと、やはりガスや炭じんの爆発を防ぐような技術、少人数で大量の石炭を掘るという掘削技術、いろいろな技術日本は持っているわけでございます。これは世界に伝えることも必要でございますが、国内でこの技術をどう温存していくのか、そしてどうやって次の時代に備えるのかということも、一つの視点として今後石炭政策の中で位置づけられるべきものと私は考えております。
  38. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございました。  私は、この石炭という問題を考えるときには、過去、かつて日本国内炭鉱の数が六百二十二、昭和三十六年当初でありましたが、それが現在二炭鉱残りました。まさに、六百二十二の炭鉱がこの二炭鉱に集約されているのではないか、そのように思っております。  したがいまして、ぜひともこの炭鉱については、人と人との伝承、いわゆるつながりで技術というものはつながっていくというお話でございますので、大筋私は理解されているというふうに思っておりますが、結論は、まだはっきりとしたことは申されておりませんけれども、私自身は、この二炭鉱については日本炭鉱技術の集約としてぜひとも残していただきたいというふうに御要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 高木義明

    高木委員長 東順治君。
  40. 東順治

    ○東(順)委員 公明党の東順治でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は今、胸の中が大変感激をしております。二つのことが今私がここに立つ直前にございました。  一つは、今、渡辺委員がこうおっしゃいました。自分は石炭というものに関係ない地域なんだけれども、やはりそういう視点から日本石炭そして技術、こういうものを考えていかなければいけない、こう言われました。  かつて、本当に石炭というものは、国民的コンセンサスあるいは日本の高度経済成長というものを機関車となってぐんぐん引っ張っていった大エネルギー源だったわけでございます。それが、どんどん炭鉱閉山をしていって、今やこの広い日本にたった二つしかないという現状になった。それに従って国民的関心がどんどん薄れていく、もうローカルマター、こういうふうになってしまっている。そして、例えば石炭コウガイ、こう言ったときに、東さん、コウガイってどんな字を書くの、公の害と違うの、こう来るのです。いや、コウガイというのはかねへんのだ、ああと言う。こういうことが私たち議員の中でももう当たり前のようになってしまっている。  そういう中で、石炭というところに直接関係していない議員の方が積極的にこういう場に出てこられて、そして、我が国石炭政策、今日まで、それからこれからのありよう、こういうものを発言される、私は、非常にこれは大事なことだと思います。まさに平成十三年でいよいよ失効する、そして、我が国石炭政策というものがソフトランディングできるかどうかという非常に大事なところに来ている。飛行機だって離陸よりも着陸のときの方が難しいのですから、この非常に大事な時期と我が国の不況というものがぶつかり合ってしまって、ますますそのランディングが難しくなってきている、こういう状況。当然雇用問題、地域振興、そういうところにかかってくるわけですから、世の中が不況であったらそんなものがうまくすいすいといくわけはないわけで、時期的に非常に不幸なめぐり合わせというか、大変景気的に厳しい状況のときにソフトランディングというものを迎えなければいけない時期を迎えてしまった。  そして、国民的関心というのは、先ほど申し上げたように、もう極めてローカルなものになっている、鉱害という言葉一つももうわからなくなってきている、こういう状況。そういう中で、先ほど渡辺委員が、私は炭鉱関係ないんですけれどもということで、ここでさまざまな問題意識を持たれて発言をなさる。私は、いよいよこの大事な着陸、ランディングの時期だからこそ、広く国会議員の中にも議論を起こして、そして、その地域関係あろうとなかろうと、かつてこの日本を引っ張ってくれた石炭政策の最終の場面というものをみんなして考えて、よりよい答えというものをそこで導き出していくための活発な議論をする、これは非常に大事なことだと思います。  したがいまして、これは質疑通告はしていなかったのですけれども、私のこういう考え方につきまして、もし通産大臣にお答えいただけるならば、私のこんな考え方に対してどのように思われるか、答えていただけませんでしょうか。
  41. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 戦後の日本の経済の中で、黒いダイヤという言葉がございまして、戦後、日本が復興するときには、いわば傾斜生産というものをやりまして、石炭と鉄鋼というものに重点的に日本資源を配分していったわけでございます。石炭は、日本の産業をつい最近まで支えてきたと言っていいほどだと私は思っております。  しかし、石油という大変輸送に便利な流体エネルギーが出てまいりまして、それに取ってかわられたわけでございますが、石炭が果たした日本の経済に対する役割というのは、先生がおっしゃるように、大変大きかったし、また国民的な関心も高かったわけでございます。我々が若いころに三井三池争議というのもございまして、その当時は石炭産業に対する国民の関心も高かった。しかし、相次ぐ閉山の中で、石炭産業というものが、我々日本人全体からしますと、特別な、一定地域の問題だというふうにだんだん矮小化されていったということは、先生の御指摘のとおりでございます。  しかし、石炭自体は、よく考えてみますと、国内炭の地位は低いわけでございますけれども、石炭火力あるいは製鉄業に使う石炭の地位というのはむしろ上がっているわけでございます。そういう意味で、石炭自体ではなくて、恐らく日本国内炭の経済性の問題が問われていた時期がずっと今まで続いてきたわけでございます。  国会皆様方あるいは政府の努力によって、ソフトランディングと先生おっしゃいましたが、地域社会に対する影響も少なく、雇用に対する影響も少なく、なるべくソフトランディングをしよう、そういう状況でずっとやってきまして、いよいよ最後の二つの炭鉱になった段階に、果たしてどういう物事の考え方でこの最後の段階に対処していくのかということは、石炭鉱業審議会皆様方ばかりでなく、地域社会皆様方、あるいは産炭地ばかりでなく、ただいまの質問は千葉県御出身の方でございましたが、やはり国民的な論議の対象となるべき重要な問題だというのが私の率直な感想でございます。
  42. 東順治

    ○東(順)委員 突然の質問にもかかわりませず、大変率直な御感想をお答えいただきまして、ありがとうございました。  今、私の胸の中にあるもう一つの感激でございますが、それは、大臣が先ほどこうおっしゃいました。技術というのは、紙の上では伝わらない、人から人に伝わるのだ、これはけだし大変名言だというふうに思いました。まさにそうだと思います。したがって、炭鉱というものが生きているからこそ、技術国際貢献にもつながっていくのだ、あるいは日本の中にも生かしていくことができるのだ。その炭鉱がもうわずか二つしか残っていない。それは、そういう観点からもやはり絶対に存続させなければ、これまで進んだ日本石炭技術なんだから大変もったいないことになる。紙の上では伝わらない、人から人に伝わるのだ。つまり、生きている炭鉱があるからこそ、我が国世界に冠たる石炭技術というのは、世界貢献にも役立っていくし、日本国内でも大いに役立っていくのだ。これはまさに私もそのとおりだと思います。  したがって、この二炭鉱のさらなる存続ということ、これはまた大変重要な問題としてこれから取り組んでいくべき問題であろう、全力を挙げてここは取り組まねばならない、私はこのように思う次第でございます。  大変感激したものですから、そういうイレギュラーなことを冒頭に申し上げさせていただいたら、もう時間がどんどん過ぎております。以下、ちょっと細かいことを伺わせていただきたいと思います。  私、三月九日に、衆議院議長あてに、石炭政策及び産炭地域振興対策に関する質問主意書を提出させていただきました。それに対して、四月九日に答弁をいただきました。答弁いただいたのですけれども、もう少し詳しく知りたいというようなことで、この質問主意書、そしてそれに対する答弁の絡みの中から、ちょっと細かい話になるかもしれませんけれども、質問をさせていただきたいと思います。  まず、累積鉱害のことでございますけれども、この累積鉱害が解消公示がされた、つまり、もう累積鉱害はなくなりましたよということが公に示された、その十一県につきまして、その後、浅所陥没は依然として発生していますでしょうかどうでしょうかということでございます。
  43. 北畑隆生

    北畑政府委員 累積鉱害が解消された十一県におきましても、浅所陥没等につきましては、発生をしておる県がございます。
  44. 東順治

    ○東(順)委員 発生しているということなので、その状況、データ、そういったものの把握はどういうふうになっておるのでしょうか。わかったら教えてください。
  45. 北畑隆生

    北畑政府委員 浅所陥没は、地域ごとの気象、採掘条件、土地利用状況等に影響されるものでございまして、地域ごとに発生状況が異なります。したがいまして、一概には申し上げられませんが、平均で申し上げまして、一県当たり年間数件の浅所陥没が発生しておるという状況でございます。
  46. 東順治

    ○東(順)委員 年間数件ということでございますけれども、浅所陥没が発生した場合に、これを処理するための公益法人の申請がなされるのでしょうけれども、この申請がなされていないようですね、この十一県につきましては。これはどういうことからでしょうか。
  47. 北畑隆生

    北畑政府委員 累積鉱害が解消している十一県につきまして、指定法人の申請はされておりません。現在は、発生しました浅所陥没につきまして、市町村等が施行者となって陥没の埋め戻し等が行われておる、こういう状況でございます。
  48. 東順治

    ○東(順)委員 いや、だから、なぜ申請されないのかということです。
  49. 北畑隆生

    北畑政府委員 これは、それぞれの地域の判断でございますが、先ほど申し上げましたように、年間数件の局所的な、小規模な陥没であるからだということではないかと存じます。
  50. 東順治

    ○東(順)委員 私の方で、この浅所陥没の件数というものをちょっと何県か聞いてみたんですよ。それで、確かに、長崎県なんというのは公示後一件とか、佐賀県三件とかあるのですけれども、山口県で百二件あるんですね。平成八年は二十八件、平成九年は四十件、平成十年は三十四件。  これは私の方の調査の間違いでしょうか、それとも、そちらの方の調査ミスなんでしょうか。つまり、公示後百二件発生している。これはどうでしょう。
  51. 北畑隆生

    北畑政府委員 委員指摘のとおりでございまして、山口県につきましては、八年度二十八件、九年度三十九件、十年度三十二件という報告を受けております。
  52. 東順治

    ○東(順)委員 では、先ほどの年間数件というのは間違いですね。こういう県もある、こういうことになるわけですね。  それで、こういうところはやはり公益法人の申請という形で処理をしていかなければ、実態的にはなかなか難しいということになるんじゃありませんか。
  53. 北畑隆生

    北畑政府委員 数件と申し上げましたのは平均でございますので、委員指摘のとおり、山口県のようなケースもございます。  こういう件数がふえた場合に指定法人をやった方がいいのかどうかというのは、基本的には地域の判断でございまして、山口県も含めまして関係の都道府県と調整をしております。申請があれば前向きに対応したいと思っております。
  54. 東順治

    ○東(順)委員 それで、公益法人の申請となりますと、臨時石炭鉱害復旧法の第八十条の条件を満たさねばならない。こうなってくると簡単にできるものではないというようなことでなかなか申請がなされないのか。中には、定款等を改正する必要があるんじゃないかという声もあるようですが、この辺はいかがでしょうか。
  55. 北畑隆生

    北畑政府委員 確かに、法律上の制度でございますので、指定を受けるに当たっては基準を満たす必要がございます。  ただ、事務的には、新しく法人をつくらなくても、既存の法人等による対応も可能かと思いますので、この辺につきましては、個別に、具体的に御相談に応じたいと考えております。
  56. 東順治

    ○東(順)委員 そうすると、山口などはどんなふうな、相談というか、これから処理をしようというものが来ておるんでしょうか。
  57. 北畑隆生

    北畑政府委員 私ども、山口県も含めまして関係の都道府県の担当の方に来ていただきまして、相談を受けている最中でございます。指定法人を申請しないということではございません。いろいろな形について、それぞれの都道府県で御検討になっている状況じゃないかと存じます。
  58. 東順治

    ○東(順)委員 丁寧な対応の中で、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、福岡県は、累積鉱害はもう圧倒的に多い県でございますよね。平成十一年三月末で、鉱害の復旧未処理件数というのがまだ三千四百六十五件残っている。ところが、タイム期限はどんどん迫ってきている。これで法期限内で果たして処理が可能なんでしょうか、どうでしょうか。
  59. 北畑隆生

    北畑政府委員 御質問は累積鉱害の方だと思います。  委員指摘のとおり、累積鉱害につきましては、福岡県一県のみを残す状況になっております。平成十一年度初めでの申し出の未処理件数が三千四百六十五件というのは、委員指摘のとおりでございます。大変多い件数でございます。  平成十年度、十一年度と大変多くの予算を投入いたしまして、この処理を急いでいるところでございます。現在では、十一年度の見通しでございますが、年間三千件程度の処理ができるような執行体制になってまいりました。  処理は、今後、未処理案件が順調に解消されるというふうな見込みを持っております。
  60. 東順治

    ○東(順)委員 法期限内に処理をされようとして大変熱心に、一生懸命努力されているということは、私もよく存じ上げておるのです。  ところが、残っているものというのは、結構ややこしいのが残っているんですね、不同意案件。農地に絡んだり、水利権みたいなものに絡んだりして、なかなか即物事が進まない、解決に向かわない、累積鉱害の処理がなかなかできない、そういうややこしいものだけが後送り、後送りでずっと残ってきている。ところが、法期限はもうどんどん迫っている。  だから、これまでスムーズにやれたようなものとはちょっとわけが違うものがごろっと残っているものだから、それで、僕など福岡県にいるから心配するのです、これは本当に大丈夫かねと。現地を歩いてみますと、そんなのがうようよしているんですね。たくさんあるのです。  この辺のところはいかがでしょうか。不同意案件、処理できますか。
  61. 北畑隆生

    北畑政府委員 復旧対象につきまして、関係者の間でさまざまな争いがあり、同意が得られないという形で執行できない部分があることは事実でございますが、ただ、たくさんあるというわけではございませんで、また、個別のものにつきまして話し合いを進めるという努力をしております。  こういう滞っている案件につきましても期限内にできるだけ処理をするように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  62. 東順治

    ○東(順)委員 それで、もう最大の努力をして期限が来た、それでも残っちゃった、こういった場合はどうされるんですか。
  63. 北畑隆生

    北畑政府委員 復旧法の規定によれば、関係者の努力にもかかわらずなお調整不調というものにつきましては、一定の手続を踏みまして、復旧工事にかえて金銭補償をやるという規定もございます。一部の農地については、こういう処理をとった例もございます。  なるべくこういう措置はしないで、話し合いで解決はしたいと思いますけれども、この適用も含めて、今後検討してまいりたいと考えております。
  64. 東順治

    ○東(順)委員 そういうことで福岡県の累積鉱害の解消が公示されたとして、この累積鉱害の解消公示とともに、今度は、今まで鉱害対策に従事していたたくさんの人たちの失業問題というのが、労働大臣、始まってくるんですね。そうすると、筑豊地域だけで二万人以上の影響が出てくるのではないか、こう言われております。世は本当に不況の時代であり、これまた本当に、大臣、頭が痛いだろうと思います。我々も随分心配しています。  一般の雇用も非常に厳しい、そういう中で、なおかつ、今まで仕事をやっていたのが全部切れちゃう、こういう人たちの救済といいますか、手当てというか、どのように大臣はお考えですか。
  65. 甘利明

    甘利国務大臣 確かに、鉱害復旧事業は事業が完了する箇所から予算がどんどん減っていくわけでありまして、平成十年度でいいますと、約五百億がこの事業に支払われている。ということは、大まかに言えば、建設関連事業者の方々が五百億を受注して、その分の雇用を確保しているということになるわけでありますから、これが減っていくに従って失業問題が深刻になっていくということであります。  そこで、労働省といたしましては、もちろん所管を通じて積極的な求人開拓や、あるいは就職相談に乗っているわけでありますし、あるいは、特開金と申しまして、特定求職者雇用開発助成金、いわゆる就職困難者を採用した企業には給与の一部を補てんするという制度でありますが、これを活用する。あるいは、各種関係助成金の活用を進めておりますし、地域雇用開発等促進法に基づきまして、地域指定を行って、極力有利な条件整備をするということ等を行っているわけであります。  ただ、いずれにいたしましても、就職をする際の支援、あるいは採用した企業に対する支援等を行いましても、採用する本体がなければどうにもならないことでありますから、これは産業政策として、新しい産業立地政策等々、通産省も大変努力をいただいているわけでありますから、この政策と両々相まって、スムーズな労働移動に資するようにしたいというふうに考えております。
  66. 東順治

    ○東(順)委員 まさに、通産省とうまく連携をとりながら、スムーズな労働移動とおっしゃいましたけれども、本当にその辺を、ひとつ細やかな手を打っていただきたいなというふうにお願いをしたい次第でございます。  ただでさえ職がない時代に、自分がやっていた仕事が完全になくなっちゃう。その数が、いわば石炭という国策産業だったわけですから、それがすべて終わっちゃう、国の手で閉じられるわけですから。そうしたら仕事がない、さあどうする、こういうことですから、やはり受け皿が必要になる。ここで通産との関係が出てくるということで、この辺の議論、具体的な形がどうなっていくかということは非常に大事なことだと思いますので、しつこいようですが、重ねて、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一点、大臣。NEDOの方々、鉱害復旧に従事してきたNEDOの職員、こういう人たち、これは仕事がなくなる。このNEDOの職員の人たちの雇用問題というか仕事の問題はどのようになるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  67. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 鉱害対策につきましては、NEDOにおいて、累積鉱害復旧の完了に向けた努力が強力かつ着実に進められているところでございます。しかし、累積鉱害の復旧完了目標時期である平成十三年度末において、鉱害本部職員が多数在籍する見込みでございます。  したがって、雇用者としてのNEDOはもちろん、通商産業省としても、平成十三年度末までの間に、NEDO鉱害本部職員の雇用確保対策を適切に実施すべく、誠心誠意対処してまいりたいと考えております。
  68. 東順治

    ○東(順)委員 それでは最後に、浅所陥没についてもう少し伺いたいのですけれども、大臣、この浅所陥没というものはずっと続いて起こってくるのです。要するに、床下が割れたり、家がゆがんだりとかいうようなことで、下をずっと掘っているものですから、絶えず、浅いところが時として、ある日突然陥没するというようなことなんで、しかも、福岡の場合はこの数がすごく多いのです。私も浅所陥没の現場に何度も行ったことがございますけれども、おふろが傾いたり、柱が傾いたり、戸が直接閉まらなくなってしまったり、家そのものがもう使えなくなっちゃったりみたいなことが至るところで起こる可能性をはらんでおるのです。  そうすると、こういう浅所陥没が法の期限が切れた後もまたちょこちょこ出てきたときに、これにどう対処されるのか、どんな形になるのか、ここを確認させていただきたいと思います。
  69. 北畑隆生

    北畑政府委員 委員指摘のとおりでございまして、いわゆる沈下鉱害、累積鉱害と言っているものは、坑道掘削後二、三年で陥没が起こるというものと違いまして、浅所陥没の起こる確率というのは、数十年、四十年ないし五十年続くと言われております。この点につきましても、鉱害部会で専門の先生をお呼びいたしまして検討いたしておるところでございます。  福岡県につきましては、閉山から二十数年たっておりますので、あと二十数年間は起こり得る。ただ、その件数は、経験的には減少をしていくということであろうと思います。  したがいまして、石炭政策の完了との関係についての御質問でございますが、私どもは、今の法律に基づく指定法人というものを設立いたしまして、完了後はその指定法人の事業としてやっていく、そのための必要な支援を国としてしていくということを考えておりまして、現在、福岡県と御相談をしておるところでございます。
  70. 東順治

    ○東(順)委員 指定法人の事業としてやり、そのために必要な助成は国は引き続きやっていく、こういうことですね。わかりました。  ありがとうございました。
  71. 高木義明

    高木委員長 鰐淵俊之君。
  72. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大臣、また皆さん、御苦労さまでございます。私は、自由党の鰐淵と申します。  冒頭、私的なことになりまして恐縮でございますが、私は、稼行炭鉱の一つであります太平洋炭鉱が所在する釧路市で生まれ育ち、現在も住んでおり、さらに、五期にわたりまして釧路市長を務めておりまして、二十数年にわたりまして炭鉱存続のためにずっと運動を続けてきた一人でございます。そんな中で、当委員会におきまして、各委員皆様方あるいは大臣を初め御答弁をする皆様方の非常に理解のある話をお聞きいたしまして、私、大変うれしく思った次第でございます。  したがいまして、まず、冒頭ではございますが、何回か私も質問をさせていただきましたけれども、一つは、石鉱審答申は恐らく間もなく行われるであろう、このように思います。これは八月が国の概算要求の締め切りですから、やはり来年度の予算ということを見ますと、当然審議会答申もそれ以前に出なければなかなか来年度の予算に間に合わないということもあると思います。  それからもう一つは、この石鉱審のいわゆる結審というのが実はもっと前にあったはずなんでありますが、しかしこれが、言ってみますと両論併記という形になりまして、結論が先延びした、そういうこともございまして、以前の通産大臣におかれては、今度の石鉱審答申は両論併記ということではなくてきちっとした結論を出していただく、こういうお話を伺っておったわけであります。  したがって、もう間もない答申だとは思いますが、答申の時期あるいは答申の内容等、特に私は稼行炭鉱だけに限定してよろしいかと思いますが、それらに対しての見通しをちょっと伺いたい、このように思います。
  73. 北畑隆生

    北畑政府委員 石鉱審政策部会におきまして、稼行鉱山の御審議お願いいたしておるわけでございます。  昨年の九月より審議お願いしておりまして、これまで、海外炭安定供給確保に向けた取り組みのあり方国内炭鉱役割、稼行二炭鉱合理化進捗状況と今後の見通し等について精力的な審議お願いしたところでございます。今月の二十一日に論点整理という形で全体の御議論お願いしたいと思っておりまして、その後、答申に向けた意見集約について御審議お願いする、こういうことでございます。  夏ごろに答申を取りまとめていただくよう考えておりますが、これは、委員指摘のとおり、八月の来年度の概算要求に間に合うように、私どもの作業もございますので、その時間を見て、答申をいただくようにということでお願いをしておるところでございますし、両論併記ではなくてきちっとした結論を出していただくようお願いをするつもりでございます。
  74. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 石鉱審のそれぞれ委員皆さんには大変御苦労をおかけすると思いますけれども、石炭の諸法も大体十三年で終わりになるということですから、非常に期間も限られておる、そういう非常にせっぱ詰まったタイミングの状況に来ているのではないか、私はこのように思いますので、ぜひひとつ、そういう状況で結審をしていただければ大変幸いであると思います。  そこで、今委員皆様からいろいろ御質問がございましたが、石炭の問題は、もう既に、改めて私の方からお話しするまでもないわけでございますが、長い間、石炭の歴史もあり、今日的な情勢を迎えておる、こういうぐあいに思うわけであります。  そこで、炭鉱のある町というのは、炭鉱閉山すると経済的にも社会的にも致命的な打撃を受けるということは、私どもも何回も経験してきているわけであります。したがって、残された二鉱も、これはもう廃止ということになりますとまた同じ轍を踏む、こういうことに相なるわけであります。しかし、地域にとっては致命的な打撃でありますが、それのみで存続せよと言っても、これは地域エゴと言われるわけでございますから、それは一つの理由ではあるけれども、国民的な合意を得るに足る理由にはならないと私は思います。したがって、必要かつ十分条件を具備して、何とか稼行炭鉱を残しておくことが必要ではないか、こう思うわけであります。  そこで、私は、有形無形の石炭産業の持っている価値ですね、これは今までも多くの委員の方が申されました。まず、今まで蓄積してきた炭鉱技術は、探査の技術に始まって坑道掘進の技術、それから採炭の技術、あるいはまた、長い坑道を維持管理していく技術、そしてさらには保安技術、こういった多くの技術が総合化されて、日本炭鉱はもう世界一の保安を誇っておるわけであります。これだけすばらしい保安技術を確立しているということは、やはりフィールドがあるから世界に訴えることもできる、私はそのように思うのです。さらにはまた、そういったことで、海外からの研修員の受け入れもやっておりますし、これはJCOALとかNEDOとか、そういった形でやっておる。あるいはまた海外援助もしておる。  こういうことで、やはり石炭産業が持っているそういった価値ですね、これは先ほど通産大臣もおっしゃられましたが、技術というのは人から人へ渡っていくのだと。まさに私、そのとおりだと思うのです。したがって、こういうフィールドがなければ、日本にそういった技術が温存し、育っていく、あるいはその技術がさらに進んでいくということにはならない。  と同時に、これは参考人の中でも言われておりましたけれども、もしも炭鉱が全くないとするならば、いわゆる石炭に関する研究者も教育者も、またそれを学ぼうとする若い学徒も、もうほとんど教育機関、研究機関からいなくなってしまう。石炭輸入大国の日本は、果たしてそれでいいのだろうかと。一億三千万トンほど輸入をしておる輸入大国の日本でございますので、そういう意味では、私は、稼行炭鉱の持っている意味は十分にあるのではないか、そんなことを考えまして、ぜひ、大臣におかれましては、今日的な稼行炭鉱の持っている意義と評価といいましょうか、そういったものについて、先ほども御答弁ありましたが、再度また大臣の御答弁をいただければ、このように思います。
  75. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今残っております二つの炭鉱は、非常な努力をされまして、生産コストをどんどん下げることに成功してまいりました。これはもう、経営陣あるいは現場で働く方々、本当に汗を流してその努力をされてこられたと思います。しかし、今、世界的に、石炭ばかりでなく石油を含めまして、あるいはその他の金属資源についても、商品市況は低迷を続けております。かてて加えまして、円の方はある一定の強さを持っておりますので、なかなか、いわば価格競争力という点においては、現在、努力をしたにもかかわらず、海外石炭と比較しますと劣勢に立っている、それも約二倍の違いがあるということは、否めない事実でございます。  しかしながら、私が先ほど申し上げましたように、一つは雇用の問題、地域社会の問題、また将来の日本エネルギーの問題、そしてやはり日本技術をどう温存していくか、そういう観点から現在動いております二つの炭鉱について物事を考えていく必要がある、私はそのように思っておりますし、石炭鉱業審議会先生方も多分いろいろな観点から物事をお考えくださっていると思っております。
  76. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変ありがとうございます。今、石炭をめぐる情勢は、大臣のおっしゃったような状況であろう、このように思います。  そこで、恐らく、平成十三年の石炭諸法の切れるときまでは、企業としてはトン一万二千円まで下げたい、労使の努力をしてコストダウンしていく、これは大変涙ぐましい努力をしておるわけです。さらにまた、それよりもさらに下げられればというぐらいに、コストダウンへの挑戦といいましょうか、これはもう、労使、血のにじむような努力をされているわけなんでございます。  したがいまして、間違いなく一万二千円あるいは一万円台というところまで下がっていくと私は確信をしておるわけでありますし、今、現実的には大臣のおっしゃったような状況でありますが、長い目で見ますと、また、円の相場というのは固定しているわけではございませんので、必ず円高になったり円安になったりして、相場は動いてくる。あるいはまた、エネルギーのいわゆる値段も、例えば石油などもまた若干動き出しておる、こういうようなこと。  それから、海外炭石炭を掘っているオーストラリアへ私も二回ほど行ってまいりましたが、いつまでも露天掘りはできない。環境問題もありますし、なかなか難しいわけです。NGOなんかも大変騒いでおります。そういうことを考えますと、やはり海外もやがて坑内掘りに移行していくのではないか、私はそういうぐあいに思っております。そうしますと、海外炭も今のように三分の一くらいの値段でやや半永久的に日本に輸入できるかどうか。これは非常に私は難しいと思うのです。  そうなりますと、国内炭相当削減していく、コストを下げていく、それから、今言った為替相場の関係海外炭の採炭条件、こういうものを加味しますと、その差が私は縮まってくる時期が必ず到来すると。必ず到来する。そういう到来したときに、既に稼行炭鉱二つがもうないですといったときに起きる国内的損失といいましょうか、これは私ははかり知れないものがあるのではないか、そう思うわけでございます。  したがって、この日本から全く稼行炭鉱をなくするということについて、将来的な不安といいましょうか、そういったことをお感じになられているのかどうか。これは部長の方から答弁していただきたいと思います。
  77. 北畑隆生

    北畑政府委員 国内炭の占める比率は我が国石炭供給の三%程度、一次エネルギー供給全体で申し上げますと〇・七%、こういうことで、量的なエネルギー資源という点から申し上げますと、その意義は非常に小さくなってきたということは事実であろうと思います。  ただ、先ほどからの御議論のように、小さな規模でありますけれどもすぐれた技術を持っておるということがゼロになるというところは、量的な問題ではなくて質的な問題になるのだろうと思います。まさにその点について審議会で御議論をいただいているところでございます。
  78. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、石炭の量的なものということを考えますと、一億三千万トンも輸入している日本ですから、国内で三百万トンというのは非常にわずかなものだ、こういうぐあいに思います。  したがって、何とかわずかなお互いの負担によって稼行炭鉱を残すことによって、先ほど来言っている有形無形の価値、あるいはまたこういった技術温存、技術海外援助、海外の方の研修受け入れとか、そういったものを存続させていく価値は十分あるのではないか、私はこう思っているわけであります。  その中で、今の石炭政策の中では、稼行炭鉱については多角的経営をさせる、あるいはまた新規分野の開拓、こういうことで非常に通産省も督励をしていると思いますが、これは稼行炭鉱も一生懸命、いろいろチャンスがあればやっておるわけですね。いろいろなことをやっているのです。しかし、やっておりますけれども、とてもとても現炭鉱の持つ価値には到底及ばないといいましょうか、そういう状況であるわけでございます。  というのは、一つの例を言いますと、釧路市の例を見ますと、平成十年度ですが、これは税金です。太平洋炭礦株式会社の納めている税金は、国に対しては四億四千九百万、約四億五千万ほど納税しております。それから、道には一億三千八百万、市には五億。合わせますと十億という税金を納めているわけです。ですから、それ以外の総体的な経済的循環価値、波及効果といいますと、これはまた膨大なものが地域としてはあるわけなんでございます。  したがって、新規の分野ですとか多角経営とかといっても、なかなかスケールは大きくできない、あるいは雇用の吸収もなかなかできない、こういうことで大変苦労されておる、私はこのように思っているわけでございまして、ぜひそういう意味からも、何としても稼行炭鉱を残していくということが、ある意味で、総体的に、トータルに見ても私は得策であるという考え方を実は持っておるわけであります。  そこで、一番問題なのは、今石炭会計で負担しているのは、石油の、そういった関税といいましょうか、そちらの方から石炭特別会計の資金、財源を得ておりますが、それがなかなか難しくなる。それと同時に、海外炭との価格ギャップがやはり問題だと思うのですね。先ほど私は、ある場合によっては少し詰まるだろうということも言いましたけれども、依然として価格ギャップがある。そのギャップをどう負担するのか。これを今までのように電事連を含めた需要側だけに負担を求めても、これはなかなか求めることは不可能であろう。  したがって、稼行炭鉱をぜひ存続するということになりますと、やはり新たな財源といいましょうか、そういったものが求められると私は思うわけであります。なおかつ、その財源国民的な合意を得るということも大切なことだと思います。しかし、きょう各委員先生方質問あるいは意見をお聞きしますと大変勇気づけられるわけでございますが、ぜひ、その新たな財源確保等について政府としては努力をする必要があるのではないかと思うのです。  その努力は何かというと、一つは企業側の自助努力。これは一万二千円まで下げるというけれども、さらにいろいろな意味での努力、企業の自助努力をまずはお願いする。そうすることによって、なおユーザーの方の理解も得やすくなるだろう。このユーザーの理解というのも、やはりこれは政府が力をかしていただかないと、民間同士ではなかなかいけないわけでありまして、そういった協力を得るということ。  それからもう一つは、こういうように税金も各自治体に入っておるわけでございますから、なくなればこの税金はゼロになる、十億がゼロになるわけですから、そういう意味では、稼行炭鉱を持つ自治体、それから道とか県、市町村、こういうところで可能な限りの支援策を打ち出す。釧路市などもことしは打ち出しておるわけでありますが、そんなことで、できるだけ打ち出して、みんながある程度負担を、理解を得て負担していただける、そういうような積極的な新政策を何とか求めたい、こういうぐあいに思うわけでございます。  これは石鉱審答申を得てということになると思いますけれども、新しい政策の展開について、ひとつ大臣、この点について御答弁していただければどうぞお願いします。
  79. 北畑隆生

    北畑政府委員 今まさに石鉱審でその議論をしていただく段階であろうかと存じます。  石鉱審政策部会に先行する企画小委員会におきましても同様の指摘があるわけでございまして、まずは石炭会社のコスト削減努力、それから委員指摘のように、地域の経済、地域の雇用に貢献し、あるいは税の面でも貢献をしておるわけでございますから、地方自治体の御支援を仰ぐというのが一つの可能性かと思います。そういったことを含めまして、どのように負担をしていくのかにつきまして審議会議論を深めていただきたい、このように考えております。
  80. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは、ちょっと補足的なことになりますが、今後そういった稼行炭鉱をぜひ存続させていくということを考えるときに、今それぞれ、通産省が持っておられる外郭団体もあると思います、あるいは出資している団体とか、そういったところで、稼行炭鉱を存続していくためにはどうすればいいかというプロジェクトというのでしょうか、そういったものを策定するというようなことは督励できないものでしょうか。
  81. 北畑隆生

    北畑政府委員 ちょっと御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが、稼行鉱山存続のためには、今言った問題のほかに、現行石炭政策の中では、最初に委員の御指摘がありました親会社、子会社一体となって新分野開拓をやっていく、その中で経営の存続と雇用の確保を図っていく、こういうことで施策を進めております。これにつきましては、融資等で支援をしておるところでございます。  通産省所管の団体ということでございましたけれども、そういう新分野の開拓で支援をできる団体も幾つかあると思いますので、企業の方と御相談をしながら、できる限りの支援をしていきたいと思っております。
  82. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私ども、参考人の質疑の中から自分なりに思い当たるわけでありますが、やはり負担しているユーザー、電事連などは自由取引にしてほしいと、明快にそれを言っているわけですね。しかし、それはあくまでも、電事連なら電事連に全部負担をさせるといいましょうか、負担が来るということをお考えだから、それはもう応じられない、こういうようなニュアンスを持っておられるのではないか、これは私の考えですが。  ですから、それはやはり通産省として、石炭部として一つの政策、国としてこういう政策を打ち出す。したがって、ひとつユーザーも、全体の大きなスケールからいけば一億三千万トン輸入している、そのうち、ユーザーはたくさん、製鉄もあれば窯業もあれば電気もあると思いますが、それはどういう形になるかわかりませんけれども、ユーザーに対して国の政策を打ち出し、そしてまた地元の支援策も打ち出し、だからあとこれだけなんだ、ぜひひとつ理解してほしいと言うと、私は案外そういう理解を求めることができるのではないか、そう思うわけでございますが、そういった点についてはいかがでしょうか。
  83. 北畑隆生

    北畑政府委員 まず第一に企業の合理化努力、それから委員指摘の、地方自治体の何らかの形での支援、それから政策、こういったものを組み合わせながら、どのような方に御負担をいただくのがいいのか、議論を詰めていきたいと思っております。
  84. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 これ以上詰めていってもなかなか、石鉱審答申も出ておりませんし、石鉱審答申がどのような形に出るかわかりませんが、私どもとしては、ぜひ炭鉱を存続すべし、こういう希望のある答申を期待しておりますし、何とか石炭の多面的な価値を国民に認めていただいて、いわゆる石炭のともしびを消さないように、ぜひ私どもとして要請をしたい、このように思います。  以上、質問を終わります。
  85. 高木義明

    高木委員長 児玉健次君。
  86. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  我々が衆議院選挙の後この委員会に集まって議論を始めて大体二年半が経過した、こう思います。それで、事態が非常に重要な局面に近づいてきてもおりますから、私は、これまで何回か繰り返して取り上げてきた問題を、多少重なりますけれども、きょうは集約的にもう一回議論をしてみたい、こういうふうに思っているので、その点はお許しをいただきたい、こう思います。  最初に、既に同僚の議員が何回か取り上げた問題ですが、日本石炭生産技術の国際的な寄与の問題です。  太平洋炭鉱と池島炭鉱が昨年海外から受け入れた炭鉱技術者数は何人でしょうか。そしてその中で、ベトナムやフィリピンその他、随分多岐にわたっての広い範囲ですが、とりわけ中国とインドネシアからの受け入れ数は何人でしょうか。
  87. 北畑隆生

    北畑政府委員 十年度の実績で申し上げますと、太平洋炭鉱の受け入れ数が百十四名、池島炭鉱の受け入れ数が六十名、合わせまして百七十四名でございます。このうち、中国からは五十七名、インドネシアからは三十九名でございます。
  88. 児玉健次

    ○児玉委員 この問題は以前にも議論したことがあるのですけれども、私は、一つこういう視点が必要ではないかと思うわけです。  今、アジアで多くの国々が大変なスピードで経済発展を遂げつつありますね。例えばインドネシア。インドネシアの一九八〇年段階の石炭生産量は三百万トンです。ちょうど今の日本とよく似たレベルですね。それが一九九七年には五千四百五十万トンですから、日本が、一九六〇年を中心としたあの時期、最も石炭の生産が活発であった時期の生産量にインドネシアは今肉薄しつつありますね。それから、中国は、一九八〇年の段階の生産量が六億二千万トン、新しい数字で、九七年が十三億三千四百八十万トン、並大抵な量ではないですね、十三億四千万トンですよ。そして、それぞれ、さっきから部長が御答弁のように、生産量の急増と、坑内掘りが主体になってきている。  そういうとき、それぞれの国にとって、日本から石炭技術をどん欲に吸収するということは、ある意味ではその国の国運がかかっている、こういうふうに見るべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 北畑隆生

    北畑政府委員 委員指摘のとおりでございまして、中国につきましては、一九八〇年の六億トンから九七年には十三億トンということでございまして、この間二・二倍、インドネシアは同期間で十八倍でございます。  中国の十三億トンという生産量は、日本海外炭も含めた消費量の約十倍でございます。また、インドネシアの現在の生産量は、かつての我が国生産量のピーク時の石炭生産量相当するものでございます。我が国の総エネルギーの中に占める石炭の割合は一七%でございますけれども、アジアでは四〇%を超える比率になっております。とりわけ中国におきましては、七割以上が石炭ということでございまして、これは経済発展の過程で石炭を使わざるを得ないという状況にあるのだろうと思います。
  90. 児玉健次

    ○児玉委員 特に、人口も多く、そしてこの後、アジア経済で重要な役割を果たすべきであろう中国では、石油に関して言えば、既に輸入国に転化しつつあるし、そして石炭も、早晩、現在の輸出から輸入に変わっていくだろう。  そこで、私は端的にお聞きしたいのですが、さっき通産省も、中国やインドネシアにとって、日本から石炭技術を吸収することはその国のエネルギー政策を左右するし、ある意味では国運がかかっている、その点はそうだとお認めになった。私もそこを見る必要があると思う。そういう点で言えば、今生きている炭鉱が二つ存在しているのは、ローカルな問題ではありませんね。アジア全体の経済の発展という点で見ればこれはアジア的な規模の問題であって、そこでこれも端的にお聞きしたいのですが、まだ二つ山が残っているということが肝心な点です。もし山が幕を閉じてしまったら、今の、中国やインドネシアから石炭技術者日本に来るだろうか。来ますか、どうです。その点、答えていただきたいと思います。
  91. 北畑隆生

    北畑政府委員 中国我が国石炭技術に期待をしておりますのは、こういった稼行鉱山に対する生産関係技術保安関係技術、それに加えまして石炭の利用面の技術、これは石炭のユーザーが持っておる鉱害防止技術でありますとか、こういった技術でございます。そういう意味で、両方意味があろうかと思います。  委員指摘の、炭鉱の生産関係につきましては、稼行鉱山があるということが中国にとって重要なポイントであると考えていると思います。
  92. 児玉健次

    ○児玉委員 次の問題に入りたいと思うのです。  やはり今の点は、我々の論議の中で、我々全体が大体合意に達している点ですし、山が存在しているから日本石炭技術における国際的な寄与は可能であって、山が幕を閉じたらもうそれは終わりになる、ここのところが一つですね。  二つ目は、日本エネルギー政策の基本となるべき点です。  前回の石炭特別委員会のとき、与謝野通産大臣は私の質問に対して、石炭政策の問題というのは短期的に考えたらだめだ、エネルギー政策の問題というのは、経済の面からだけ物事を論ずるということは、長期的に考えれば物事の判断を誤る可能性があります、これは至言だと私は思います。  ある瞬間の石炭価格とかなんとかで、そこだけを見て、そこだけを拡大して、そしてそこにのみ依拠して判断すると、大臣がおっしゃったように、長期的に見れば国の判断を誤ることがある。そこを重視しなければいけない、そういう点で、日本エネルギー政策を二十一世紀に向けて誤りないようにしなければならない、まさに長期的な視点が必要だ。  それで、火力発電所の所要燃料ですが、石炭とLNGと石油について、平成十年、十五年、二十年、この三つを軸にして、例えば中央電力協議会などが、それぞれの燃料の所要量をどのように見ているか、通産省からお示しいただきたいのです。そして、それが大体どういうカーブになっているか。
  93. 北畑隆生

    北畑政府委員 中央電力協議会作成の資料に基づいてお答えを申し上げます。  燃料の所要量につきましては、石炭につきましては、十年度が四千七百二十八万トン、十五年度が七千百八十三万トン、二十年度が八千二百三十六万トンでございます。LNGにつきましては、十年度が三千五百七十四万トン、十五年度が三千八百五十五万トン、二十年度が三千七百六十七万トンでございます。また石油でございますが、十年度は二千四百六十三万キロリットル、十五年度が二千六百四万キロリットル、二十年度が二千五百四十七万キロリットルでございます。  趨勢についてでございますけれども、十年度と十五年度で倍率で比較をいたしますと、石炭が一・五二倍、LNGが一・〇八倍、石油が一・〇六倍でございます。二十年度で申し上げますと、石炭が一・七四倍、LNGが一・〇五倍、石油が一・〇三倍でございます。
  94. 児玉健次

    ○児玉委員 今の数字からも、日本の経済、今のはたまたま電力分野に限定しての問題ですが、電力日本の経済にとって文字どおり血流であるという点はどなたも異論がないと思うので、その電力の分野で見た場合に、何が今火力発電の燃料として最も求められていくか、この後その増加が多いかといえば、通産省のお答えのとおり石炭である、この点はもう明白ですね。そこで、そういうことを私たちが踏まえた上でこの後どうしていくかという議論が必要です。  そして、石鉱審答申も近く出るでしょうが、私たちはこれまでの議論の中で、例えば平成九年の十二月十一日のここの委員会の論議で、それぞれこもごも当時の堀内国務大臣質問をして、答申政治判断というのはどういう関係になるかという、私も含めて何人かの委員質問、それに対して、政治家としての判断、国会としての判断、行政としての判断、これが審議会の意見に加わるのは当然だろうというふうに答えられていて、それは、先ほどからの与謝野大臣の各委員に対する御答弁を伺っていても基本的なスタンスにおいて違いがない、私はこういうふうに思います。  それで、議論をかなり絞っていかなきゃいけない。私たちはこの議論をしていく際に、やはり現にあるものとして一つ議論の素材になるのが、昨年五月二十八日に石鉱審の企画小委員会が出した報告書で、なかなか率直なものでした。  その中で、今後の石炭政策をどうしていくかということを柱を立てていって、最後のところで、意見がさまざまにあるけれども次の点についてさらなる検討が必要だといって、一、総合エネルギー調査会や電気事業審議会エネルギー需給に係る答申結論を踏まえ、石炭火力の中長期的な稼働状況の見通しと国内炭供給の関係。二、親会社、関係会社一致協力のもとのコスト削減の可能性。三、国民経済的負担としてのエネルギー政策観点から、国の支援の是非について検討すること。四、地域・雇用対策観点から、自治体の支援の可能性について検討すること。  通産省伺いたいのですが、その後の論議も、結局今の四つの検討課題を軸にして論議されているんじゃないかと私は推測するのですが、いかがでしょうか。
  95. 北畑隆生

    北畑政府委員 委員指摘のとおり、四項目につきまして、さらに詳細な検討審議会で行っております。
  96. 児玉健次

    ○児玉委員 今の論点の中の四番目、「地域・雇用対策観点から、自治体の支援の可能性について検討すること」。これはすぐれて自治体の責任に属することですから、私たちは、自治体がそういう政策をとり得るようにどういう支援をするかという観点議論することが中心になるだろうと思いますが、太平洋炭鉱が存在している釧路市が、最近、自治体の支援について具体的な策を提示されたと私はお聞きしておるのですが、もしよろしければ通産省からその内容を御紹介いただきたいと思います。
  97. 北畑隆生

    北畑政府委員 自治体の支援というのが一つの議論だということを先ほど御答弁申し上げました。それの具体的なアクションということで釧路市が独自の支援策を発表されたと聞いております。  その内容につきましては、鉱産税を現行の千分の十一から千分の十に軽減をする。それから、小学校の土地等、市内にある公共的に役立っている土地で太平洋グループが保有する土地、現在は無償で借用しておるということでございますが、これを有償化するという形で間接的に支援をする。それから、パークゴルフとか運動公園、市民に利用されている施設があるわけでございますが、これにつきましても、借り上げをするという形で間接的に支援をする。さらには、太平洋炭鉱に新しい事業を起こすという観点から、市が計画をしております廃棄物中間処理業を同社に委託をする。こんな形での支援策を発表されたと聞いております。
  98. 児玉健次

    ○児玉委員 釧路の市議会で今のことが問題になったとき、私たちは、今の支援策について賛成いたしました。  それで、いよいよこの局面で石炭政策の今後について国会議論をするとき、先ほどの四つの論点の中の三点目、そこに結局絞り込まれてくるだろうと思います。先ほどからの御質問も大体その方向でなされたと私はお聞きしておりました。  三点目、何と言っているか。国民経済的負担としてエネルギー政策観点から国の支援の是非について検討すること。国民経済的負担としてという言葉をあえて使っていらっしゃる。その国民経済的負担、まあ、経済学の細かな概念規定をやれば、これはこれでいろいろと議論はあるだろうと思いますが、しかし、言っている意味はわかるような気がします。  この点で、昨年六月、私は通産省に対して、石油備蓄における国民経済的負担がどうなっているかということを伺ったことがあります。一九七六年、昭和五十一年に石油備蓄法が実施された。このとき、私たち国会で積極的にこの議論に参加して、私たちはこれには同意しませんでした。ともかく、事実上それが出発をした。そして、それから一九九七年、平成九年まで、一九七六年から九七年までですから十一年間の間に石油備蓄に投入された資金、国の予算を含めて四・二兆円であったと昨年の六月、通産省はお答えになった。  平成十年度と十一年度の石油備蓄に係るランニングコストは幾らになったでしょうか、お示しください。
  99. 北畑隆生

    北畑政府委員 石油の国家備蓄に係るランニングコストについてのお尋ねでございますが、平成十年度におきましては二千六百九十七億円、十一年度におきましては二千五百五十八億円でございます。
  100. 児玉健次

    ○児玉委員 それまでは大体三千億をちょっと切るぐらいだったんですが、それがこういうふうに若干金額が下がっている。これはどういう事情からでしょうか。
  101. 北畑隆生

    北畑政府委員 ランニングコストのうち大きな割合を占めておりますのは、国家備蓄の原油及び基地に対する利子補給金でございまして、金利が下がったというのが大きな要因かと存じます。
  102. 児玉健次

    ○児玉委員 現在、原油備蓄は何万キロリットルまで達したか、そして、日本の石油消費からすれば何カ月ぐらいをカバーできる量までいっているでしょうか。
  103. 北畑隆生

    北畑政府委員 五千万キロリットルの水準にございます。民間備蓄分も含めまして五カ月半分に相当するかと思います。
  104. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、この議論は幾らか慎重にしたいと思うのですが、石油エネルギーというのは何しろ量が非常に大きいですから、その面で石炭と単純に比較するつもりは毛頭ありません。  それから、オイルショックを経て、石油備蓄が、さまざまな議論はあったけれども、ともかく現実の問題として今日本にある。大体二千五百億という国民経済的負担がそこに投入されている。  一方、石炭産業ではどうだろうか。もちろん、過去の鉱害に対する負担分というのは、広い意味でこれは国民経済が負うべき課題だと私は思います。それはそれで一応さておいて、二つの稼行している炭鉱に対して、例えば坑内骨格整備、石炭鉱業安定給付金、保安確保事業費への国の補助金、それらは両炭鉱で一番新しい数字でどのくらいになっているでしょうか。
  105. 北畑隆生

    北畑政府委員 両炭鉱合わせまして四十億円程度だったかと思います。
  106. 児玉健次

    ○児玉委員 そこのところを、私たちは、国民経済的負担としてエネルギー政策観点から国の支援の是非について検討することという場合に、やはり、石炭と主要なエネルギーである石油、そしてさっきのLNG、そういったものなども考えていくわけだけれども、電力業界について言えば、この後石炭の伸びが最も激しいという点はもう繰り返す必要もないだろうと思うのです。  そしてもう一つ、石炭エネルギーというときに、今まで私たちがどうしても議論をするとき幾らか腰が引けてきていたのは、いわゆる温室効果、炭酸ガスの問題です。今でもこれは大いに改良の余地があります。  そして、前回も通産大臣と私若干議論をしましたけれども、日本のコールエネルギーに関するクリーンテクノロジーというのはどんどん進んでおりますし、さっき部長が言われたように、ただ石炭を掘り出す技術保安技術だけでなく、火力発電での脱硫、脱硝の技術についての日本のレベルの高さだとか、そして、やがて石炭の熱効率が石油に迫っていく、そういう状況が生まれつつある中で、やはり石炭の問題も考えていく。  そして、もう一つ言わなきゃいけないのは、今世界で大体常識になっているのは、あるエネルギーのクリーン度を考えるとき、炉で燃されているその瞬間のCO2の排出量だけでなく、採掘され、そして精製され、運ばれ、消費され、後始末されるまでの、言ってみればそのエネルギーのライフサイクルで考えるということになると、LNGなどは別の数値が出てきます、LNGを出すと大変なメタンガスその他CO2が大気中に出されていきますから。ウランにしても、最近は、原子力についてきちんとした見識のある人は、原子炉の発電中についてはクリーンであるという留保をつけるようになってきています。  そういう状態の中で日本エネルギーセキュリティーを考えていくとき、さっきの原油の備蓄について、我々は年間約二千五百億を負担している。そういう中で、石炭のセキュリティーというとき、掘り出した石炭を山積みしたらどうなるかというのはもう皆さんよく御存じのとおりで、燃え出して、そんなものは全く論議の対象にならないわけですから。稼行している山があることが石炭の分野でのセキュリティーの最も確かな保証ではないか、そういうふうに私は考えるのですが、この点については通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  107. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 他の国と比べますと、日本石炭資源の賦存量というのは小さいわけでございますけれども、また、掘り出す条件も、露天掘り等と比べますと大変悪いわけでございますが、それでも石炭資源というものを国内に持っているということは大変貴重なことである、私はそのように思っております。
  108. 児玉健次

    ○児玉委員 お許しを得て、今ペーパーを配らせていただいたんですが、これは本来私が配るような性質のものではなくて、平成九年十二月十一日に、この委員会で全会派一致で採択された石炭政策の確立に関する件の決議でございます。提案したのは佐藤静雄議員です。そして、そのとき、今委員長をなさっている高木議員もこの議論に参加され、私も参加いたしました。  ここで述べている点というのは、時期的に言えば確かに一年少々を経過しておりますけれども、我々の議論を集約するものとしてはかなり的確だと思うのです。「国際的にも評価が高い我が国石炭鉱業の高度な生産・保安等の技術力については、バーゲニングパワーの維持、あるいは輸入大国としての技術協力の必要性の観点からも重要であり、今後の石炭エネルギー供給に資する役割への期待は極めて大きい。」  そして、突然で恐縮なんですが、甘利大臣にもちょっとお答えいただきたいんですが、最後のくだりのところです。ちょっと見ていただきたいのです。二つのパラグラフがありまして、「また、いうまでもなく、地域の基幹産業である石炭鉱業の維持・存続は、産炭地域の振興や雇用の確保観点からも切望されているところである。」そして最後に、「政府は、こうした点を踏まえ、大所高所の観点から」、言外に何を含んでいるかということ、結局政治家としての判断、国会としての判断、行政府としての判断、それらも含めて「大所高所の観点から国内石炭鉱業評価し、適正な位置づけについて十分配慮」していこう、これが私たちの合意だったと思うのです。  この決議について、私は最後に両大臣にお考えをお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  109. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 我々行政を行う場合には、国会決議の趣旨を体して行政を行おうとする努力をするということでございまして、それは尊重するという言葉でいつも国会決議に対しては御答弁を申し上げております。それが一〇〇%実行できるかどうかは別にして、それが実現できるように、それを尊重しながら行政を推進するということが国会決議と行政との間の関係であろうと私は思っております。  したがいまして、国会決議を一〇〇%実現できるかどうかということは断言できませんけれども、それを尊重しながら行政を進めるという関係にあるんだろうと思っております。
  110. 甘利明

    甘利国務大臣 日本エネルギー政策のある時期一番の中核をなした産業でありますから、その産業を閉じてしまうかしないかの判断に当たっては、単なるエネルギー効率だけではなくて多方面からいろいろと検討していただく、それは正しいことだと思っております。
  111. 児玉健次

    ○児玉委員 ありがとうございました。終わります。
  112. 高木義明

    高木委員長 中西績介君。
  113. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、両大臣の所信表明がございました、その中にもありましたけれども、石炭鉱業審議会あるいは産炭地域振興審議会、これの結論が八月に答申として出されるという中身になっているようでありますから、産炭地域振興審議会の論議の面を見てみましても、五回にわたって昨年六月から行われておるということを聞いています。  そして、その内容はいろいろございますけれども、これについて余り触れませんが、所期の目的を達成できずに依然として低迷している一部地域があるという、ところが、相当数の自治体におきましてはある程度回復しておる、こうした発言等もあるようでございますが、こうした状況の中でいよいよ確立的なものが答申として出てくるということになると、今申し上げたような、指摘をされておる地域あたりでは依然として問題が残るわけでありますから、こうした問題等は、やはりより具体的に指摘をしながら論議を尽くす必要があるんじゃないかということを考えまして、きょうは、そうした視点で物を申したいと思っています。  特に内陸部への産業立地のおくれ、特に自動車産業あるいは家電産業、衣類産業のように、海外進出がどんどん進みまして、その地域に進出をしようとして契約をしておった企業なり、あるいは既に来ておった企業等が、海外に行くために契約を破棄するなどなどが次々に起こっています。  そして、しかも、この前もちょっと触れたんですけれども、九州トヨタの問題ですね。福岡県にはトヨタと日産の両工場がございまして、一県としては、生産量からすると最も多い県に入ると言われています。ところが、鞍手郡宮田町というところにあるトヨタの場合、千九百人くらい従業員がいるのですけれども、従業員でこの町に住んでおるのは百二十人くらいです。あとは全部、峠を越えて、三号線あるいは鹿児島本線の沿線に住居を持って、そこから自動車で通勤するという形になっている。あるいはまた、これに付随すべき部品工場などがどうなっているかというと、この町にはわずか四社しかありません。あとは全部、これまた九州縦貫道に沿って佐賀県まで展開をしています。  こういう状況があるものですから、外から見ると、こういう大きな工場があるからということでもって、一定の効果なりが上がっておるだろうということを言われておりますけれども、ほとんどと言っていいほど、この町の求人倍率にしましても、――なぜそれを言うかというと、この町から毎年採用される者は二、三名なんですよね。こういう状況でありますから、産炭地に展開をしたというけれども、そのことが実効あるものになっておるかどうか。求人倍率を見ても、あるいはこの町の財政力指数を見ても、ほとんど変わらない状況に置かれておる。  ということになってきますと、今までの産炭地振興法に基づく、筑豊の場合には、東部、中部、西部という三地域圏に分けて振興を図っていこうとしたのですけれども、その実態は依然として、数字を見ても、求人倍率は、全国平均〇・四九、これが筑豊の場合には〇・三、私の住んでおる田川では〇・二五です。そして、失業率を見ますと、これは正確には平成七年、全国平均あるいは国勢調査に沿ってやったものが正式なものになるものですから、これを見ますと、全国平均は四・三ですね。筑豊の場合には七・八、私の住んでおる田川では九・九、これが平成七年です。ですから、今、その当時から比べますと求人倍率がうんと落ち込んでいますから、そうしたことからすると、大体失業率は一〇%をはるかに超えているというのが現状なんです。  こういうようなところが、北海道における十万を超える人口を有しておった夕張あたりが二万を切るというような状況にまで落ち込み、しかも、そこでの求人倍率なり失業率がどうなのかということを調べていったときに、依然として内陸部にあるこのような旧産炭地というのは、ほとんどと言っていいほど回復しない。ということになってまいりますと、いよいよこの審議会答申が夏に出されまして、平成十三年末、石炭関連法の失効になってくる。そうなったときにどのような結果が出てくるかということを考えると、もう私がここで申し上げる必要がないと思います。  それに、もう一つつけ加えさせていただきますと、先ほど、大牟田の場合には、大臣関係省庁集まっていただいて連絡をとり、協議をしていったということになっていますけれども、この地域のアクセス道路などを見ると、依然として内陸部にはバイパスはまだまだ十年以上かかるという状況に置かれています。随分働きかけても、福岡なんかの場合には、どうしたって福岡周辺が停滞するし、だからここに大きな工事、どんどん高価なものがつくられていくわけでありますから、こういうところはほとんど、内容的に見るとおくれたままになっておるという実態があるわけですね。そうすると、どういう体制をとることがこれから必要なのかということが今論議をされ、今までの総括をしておかないと、また誤った判断を最後はしなくてはならぬのじゃないか、私はこういう感じがしてならないわけであります。  したがって、これらの問題について、この時期、総括をどのように中間的なものをやり、そして今後これらの問題、いよいよ八月には答申が出ますけれども、それが果たして正しいかどうか。なぜなら、こういう皆さんに提出をしておる資料というのは、ほとんど行政の側から出されておると思います。しかし、そのような厳しさというものを本当に掌握しているかどうか、また提出されておるかどうかというのを私はここで確認しなくてはなりませんけれども、いずれにしましても、今後どのように措置をされていくのか、その日程的なものを含めてお答えいただければと思います。
  114. 北畑隆生

    北畑政府委員 現在、産炭地域振興対策につきましては、産炭地域振興審議会において御議論をしていただいているところでございます。  審議会では、まず、総括と先生言われましたけれども、最初の段階で、これはマクロの数字で、人口増加率であるとか財政力指数であるとか工業出荷指数、こういうものを見て議論をしていただきました。  この点につきまして、マクロでは所要の成果がもたらされつつある、こういう意見もございましたが、先生御指摘のとおり、個々の市町村ではまだまだその水準に達していない市町村があるので、そういう部分について十分な視座を持つべきだ、こういう有力な御意見もございました。また、市町村につきましては、日本経済の不振という影響もあろうかと思いますけれども、財政状況が非常に厳しくて十分な行政ができないという御意見もございました。  昨日の産炭地域振興審議会で、このような論点について論点整理を行ったところでございます。この作業を続けまして意見の集約を図ってまいりたいと思っておりますけれども、今後は、さらに論点の整理を行い、答申の取りまとめの作業に入っていきたいと思っております。夏ごろまでには御答申をいただくというふうに考えております。
  115. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われましたように、集約をし、そしてまとめていくということになりますけれども、やはりそうした点が見落とされないようにしておかないと、全体的なあれからしますと、人口、財政力等の主要指標を見る限り産炭地域振興対策の目標は十分達成しつつあるというようにまとめられていった日には、これはもう全く疎外されてしまうということになりかねないわけであります。したがって、そうした点について十分お考えいただくように指摘をしておきたいと思います。  同時にまた、法の失効後の各省庁協力をどうしていくかということにつきましても、先ほどの大牟田の例ではありませんけれども、やはり本格的に論議をしていかないと、先ほど申し上げたように、アクセス道路一つをとってみましても、全くこれらが機能していないという状況に置かれておるわけですから、こうした問題等についてもあらゆる角度からの論議が必要だということをぜひ認識していただきたいと思います。  そこで、先ほど大牟田の例が出ましたけれども、大牟田の場合には、筑後・有明産炭地域経済生活圏における産炭地域振興実施計画がちょうどその時期にできておりまして、総合的な地域振興対策が具体的に組まれていった、しかも、橋本総理から労働あるいは通産両大臣に直接これらの問題について指示をし、そしてこれにかかっていったという経緯があるわけですね。  ですから、この二年間でどういう状況になっておるのか、将来的に一定の展望が持てるかどうか、そうした点についてちょっとお答えいただけますか。
  116. 北畑隆生

    北畑政府委員 委員指摘のとおり、三井三池関係につきましては、福岡県と熊本県にまたがる地域であるということでありまして、広域で考えるべきだ、こういう趣旨で、筑後及び有明両産炭地域経済生活圏の中で広域の検討を行うということで検討が行われたわけでございます。  平成七年度から二カ年にわたりまして、筑後有明振興基礎調査委員会地域の振興計画を取りまとめたところでございます。この提言がちょうど平成九年の三月であったということでございますので、委員指摘のとおり、三井三池閉山対策の中でこの考え方が取り入れられたところでございます。  委員会の提言は三つの柱からできておりまして、道路を含む三つの柱に沿って三井三池の振興対策が講じられまして、この点につきましては、三月の関係省庁の連絡会で進捗状況について確認が行われたところでございます。
  117. 中西績介

    ○中西(績)委員 私がお聞きしたかったのは、現状がどう進展していっているかという点が欲しかったんですけれども、時間もございませんから。ここがやはり全体的に総力を挙げてやるという体制になれば、一定の前進なり効果が出るんじゃないかという気がするものですから。  ただ、地域的に違うのは、大牟田というところは市町村の数が少ないわけですね。中核になる大牟田市が大きいわけですから、計画を立てても、実施するに当たっても、割合にやりやすい条件があるんですね。  ところが、今度は峠を越えなきゃいけないというようなところ、筑豊の内陸部というのはそういう状況ですから、ここらになりますと、よほどさっき申し上げたようなアクセス道路を初めとする環境整備をどうするかということがなければできっこないわけでありますから、こうした点あたりをこれから後総合的にお考えいただければと思っています。これはもう答弁は要りません。  あと、今度は石炭鉱害についてお聞きをしたいと思っています。  これは、既にいただいた達成公示の推移等を見てまいりますと、福岡だけが残っておるという状況になっております。そこで、達成したと言われる各県の状況ですね。十一県ありますけれども、ここでは重鉱害なり、あるいは浅所陥没なり、その後出ておらないかどうか確認したいと思うのです。
  118. 北畑隆生

    北畑政府委員 平成四年度の新しい石炭政策の中で、十一の県につきましては累積鉱害の公示が行われたところでございます。沈下鉱害ではございませんが、浅所陥没につきましては、各県平均で数件の浅所陥没が起こっております。
  119. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、直接的に、対応するに当たって困難さがあるということはないようでありますから、これらについてはまた後でお聞きしたいと思います。  そこで、鉱害復旧申し出があって処理をする、その処理状況から見ると、本年度繰り越しが三千四百六十五件になっておりまして、今後の申し出件数の増加等を考えますと、将来展望がどうなるかということを私たちは心配しています。  その中で質問は、そこは抜きにしまして、特に申し出の回数別分類表を見ますと、三回以上申し出案件がだんだん増加しています。申し出すると、調査をし、だめだと判断される、否認されるんですね。そうすると、またやる、納得しない、こういう状況が次々に出ています。  これはなぜかというと、処理方法等で、先般私は調査に行ったんですけれども、十年間にわたって、今まで七メートルも八メートルも井戸が深く、水をくむに当たって苦労しておったものが、鉱害復旧して道路が高くなる。そうすると、その井戸がもう手が届くように水位が上がってくるんですね。その結果はどうなるかというと、住宅全部が今度は、梅雨どきなんか大変なんですけれども、水滴がいっぱいつくわけです。行ってみると、柱の下の方、十センチか十五センチぐらいは真っ白になっていますよ。畳は一遍に腐ってしまうんですね、一夏過ぎると。こういう状況を十年間も放置されたようなところがあるのです。  ですから、こういう不信のあらわれが、こうして回数を重ねなきゃならぬという結果にもなりかねぬわけでありますから、納得のいく解決を図る必要があろうと思いますけれども、その努力をしていただけるかどうか、この点についてお答えください。
  120. 北畑隆生

    北畑政府委員 現地調査の結果、鉱害による効用阻害が認められないという処理をされた案件についての御質問だと思います。  こういうものにつきましては、申し出者の問い合わせ等に対しまして、単なる通知ではなくて、現地調査等の結果をよく説明し、御納得いただくよう指導しているところでございます。
  121. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われるようになっていればいいんだけれども、なっていないから十年間放置されているんですよ。こういうのが依然としてあるということを認識せぬと、鉱害行政、鉱害復旧行政というのは依然としてこの問題が解決しないという状況にあるわけですから、この点、これから私さらにまた回数を追ってお話ししようと思います。  それから、あと、農地あるいは家屋あるいは公共施設、こういうものの、平成十三年度完了ということで今計画が進んでおるわけでありますけれども、もしこの残存鉱害が最終的に出てくる、あるいは浅所陥没などが想定されるわけでありますけれども、これらについては、今までより以上にこちら側の体制がなくなるわけでありますから、対応の仕方が弱くなってくるわけですから、これらについてどのようにしていくのか、お答えいただきたいと思います。
  122. 北畑隆生

    北畑政府委員 累積鉱害につきましては、巨額の予算を積みまして、この十年度、十一年度、集中的に工事をしておるところでございます。十三年度の政策の完了までに累積鉱害については解消できるのではないかと考えております。  また、この間、新たに浅所陥没が発生するわけでございますが、これもできる限り期限内に迅速に処理をするということで臨んでいきたいと思っております。  また、その後、十三年度以降、十四年度以降に発生する浅所陥没の処理体制につきましては、指定法人を設立して対処するということで、現在、福岡県と御相談をしておるところでございます。
  123. 中西績介

    ○中西(績)委員 あと、時間が迫ってまいりましたけれども、これから後の財源問題、この点を大変心配するわけでありますけれども、これらについてどのような見通しを持っておるのか、これが一件。  それから、石炭鉱害事業団とNEDOの統合によりまして、事業団の職員の身分、将来的に大変心配しています。今後のあり方、特に労使間における団交などを繰り返されておるようでありますけれども、双方が十分理解された中でやられておるかどうか。  これらについてちょっとお聞きしたいと思います。
  124. 北畑隆生

    北畑政府委員 鉱害復旧の事業費でございますけれども、十年度につきましては五百十四億円、十一年度につきましては四百十八億円の予算確保いたしております。  それから、NEDOの職員の点につきましては、現在、大臣官房に官房長をヘッドとします石炭対策定員会議を設置いたしました。また、NEDOにおきましても雇用対策室を設置しておりまして、NEDOの中での他部門への配置転換、あるいは他の特殊法人への受け入れ、こういうことを進めてまいりたいと思っております。
  125. 中西績介

    ○中西(績)委員 これらにつきましては、今、行政改革あるいは合理化と言えばこれがまかり通って、そういう労働条件なりなんなりが軽視されることがある。先般も大蔵省で出てまいりました。不当労働行為までやっているんですね。こういう状況がございますので、特にNEDOにおける状況というのは、そうしたことがないということを私たちは確信したいと思いますので、これからも絶えずチェックをしておいていただきたいと思います。  それから、財源問題は、今のあれでなしに、将来的なものがどうなるかということをお聞きしたかったんですけれども、時間がもうございませんので、これは打ち切ります。  次に、先ほど申し上げたとおり、地域的に、完全失業率から見ましても、求人倍率からいたしましても、大変厳しい状況の中に置かれておる地域で就労事業が行われております、産炭地域開発就労事業。これは石炭会計の中で今ようやく生き延びておるというのが実情でありますから、これは、平成十三年度末、残り人員が約千三百人程度になるんじゃないかと思いますけれども、こういう皆さんが、中高年者であるがゆえに、もし就職をするということになってきますと、完全失業者になり、生きていくためには生活保護に転落する以外にはこの地域ではありません。  こうした点について十分御理解いただいて、これから後どのように対応していくのか、検討を進められておるかどうか、この点、お答えいただきたいと思います。
  126. 甘利明

    甘利国務大臣 産炭地域におきますいわゆる公的就労事業につきましては、平成六年十二月の失業対策制度調査研究報告におきまして、石炭対策の「財源の時間的な制約を念頭に置きつつ、事業規模を平成十三年度末に向けて早急に縮小していくことが必要である。」というふうに指摘をされたところでありまして、紹介対象者の年齢要件の引き下げであるとか新規流入数の制限など、事業規模の縮小に向けた措置実施しているところであります。  そして、御指摘のとおり、平成十年でいいますと、対象人員が二千百八十人でありますが、十三年度末には御指摘のとおり千三百人くらいになるであろうと思われます。  そこで、平成十四年度以降の産炭地域開発就労事業を含めた今後の石炭政策につきましては、現在、石炭鉱業審議会の場で検討が進められているところであります。この審議会審議の結果等を踏まえまして、適切に対処してまいりたいというふうに現在考えております。
  127. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういう皆さんが論議をされる過程の中で、そこに参加しておられるある人と話をしてみても、こういう地域の、地方自治体の努力が不足をしておる、それから、みずからが自立するという意欲が不足をしておる等々言われますけれども、実際に見てみますと、例えば田川市の場合などにおきましては、二千万かけて関西でそうしたシンポジウムを開いたり、あるいは野村総研に依頼をして調査したり、いろいろなことをやった結果、やはりだめだったんです。  ですから、こういう地域が、努力が足りない、そして財政力は、例えば水道事業などがもう完全に復旧しているから、他の都市あるいは他の市町村よりも優位に立っているというような言い方をするんです。それは確かにそうなんです。全町水道を通しておかないと、下は全部陥没しているわけですから、井戸なんか使えるわけないわけですから。そしてまた、くみ上げた水だって、これはもう飲める状況じゃないわけですから。  ところが、それは全部どこから引き継いだかというと、閉山した炭鉱から引き継いでいるんですよ。もう何十年も長い間の経過があるわけですから、昔の鉄管がさびつき、そして漏水、すべてが大変なんです。ですから、それを今度全部やりかえるということになると、さっき申し上げませんでしたけれども、財政力指数〇・一から二です。こういう地域では到底これらについてたえ得る状況にはない。  ここいらを話したら、そういう方々は、それは聞いていないということを言うものですから、私は、提供される資料等について、よほど精査したものが出されておらないと結論が大きくゆがめられていくということを感じるものですから、先ほどそうした点について触れたわけです。  以上、終わります。     ―――――――――――――
  128. 高木義明

    高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭対策に関する件について調査のため、来る二十六日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会