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1999-03-11 第145回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十一日(木曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 高木 義明君    理事 金田 英行君 理事 佐藤 静雄君    理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君    理事 池端 清一君 理事 島津 尚純君    理事 冨沢 篤紘君 理事 鰐淵 俊之君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       木村 隆秀君    北村 直人君       熊谷 市雄君    中谷  元君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       小平 忠正君    古賀 一成君       東  順治君    丸谷 佳織君       西村 章三君    児玉 健次君       中西 績介君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君  委員外出席者         参考人         (財団法人石炭         エネルギーセン         ター理事長)  安藤 勝良君         参考人         (電気事業連合         会副会長)   外門 一直君         参考人         (九州大学工学         部資源工学科教         授)      内野 健一君         参考人         (武蔵野女子大         学現代社会学部         教授)     高村 寿一君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として財団法人石炭エネルギーセンター理事長安藤勝良君、電気事業連合会会長外門一直君、九州大学工学部資源工学科教授内野健一君、武蔵野女子大学現代社会学部教授高村寿一君、以上四名の方々の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 高木義明

    高木委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、各参考人からそれぞれ十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑できないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、まず安藤参考人お願いをいたします。
  5. 安藤勝良

    安藤参考人 おはようございます。石炭エネルギーセンター安藤でございます。  本日は、こういう陳述の機会を与えていただきまして、光栄に存じ、かつ、感謝申し上げます。  それでは、私の石炭に関する所感の一端を述べさせていただきたいと思います。  石炭エネルギーに関しましては、まず、世界エネルギー情勢、そういった問題からも十分吟味すべき問題だ、こう思います。御案内のように、世界エネルギー事情大変動揺期にあると私は思います。いずれにいたしましても、経済成長、人口の増加に伴ってエネルギー増加していっていることは間違いなく、IEA予測におきましても、さらに毎年二%強の増加をするであろう、こう言われています。そのうち、化石燃料に占めるウエートは大変高うございまして、現在約九〇%、将来はそれをまた超えるのじゃないか、こう言われております。そのうち石炭ウエートは約三割、ずっとここのところ三割で来ておる状況にあります。  一方、アジアの方に目を転じますと、これはまた、最近の経済危機による経済成長の低下はあるものの、年率四%強の増加が見込まれております。ただ、この域内の需給ギャップが懸念されておりまして、現在、このエネルギー輸入の量が倍増するのじゃないか、一方、生産の方の増強がそれほどいかないのじゃないかということで、そのギャップが予想されております。  また、このセキュリティーの面から見ましても、備蓄等対策が不十分であるとか、大消費国中国あるいはインド、こういったところが今後どういうふうになっていくのか、委員案内のように、もう中国石油輸入国に転じておりますので、大変大きな懸念点があるわけでございます。  石炭事情について申し上げますと、現在、約三十八億トンが生産されておりますが、そのうち、中国アメリカインド、ここで約七割が使われているわけでございます。  石炭というのは、かつてこれは生産国消費国が一致しておりまして、余り国際に流通していなかったわけでございますが、オイルショック後、一般炭が特に国際市場を形成するようになりまして、徐々に貿易量が拡大している、今約五億トンでございます。かつては生産量の一〇%と言われておりますが、今は一三%になっています。それは、石炭が、埋蔵量が豊富であるということ、また、賦存量が極めて広い範囲にあって、日本にとって大変幸いなことには、環太平洋に多く存在している、こういったことがある。  もう一つは、やはり経済的意義。ほかのエネルギーに比べまして安いということだと思います。LNGに対して〇・五、石油に対して〇・六ぐらい、また価格信頼性がある、こういったことが一つの大きな有利な点じゃないか、こう思います。  一方において、石炭はダーティー、こうよく言われます。最近、温室効果ガス問題で取り上げられておりますが、今度はメタンガス対象になっておりますので、そういったものも含めますと、石炭に対する評価が問題になっておりますが、一般的に天然ガス比で一・八倍ぐらいCO2の排出が多いんじゃないか、こう言われておりますが、ライフサイクルベースで見ますと、それほどの大きな差はないんじゃないか、一・四倍ぐらいじゃないかなと私は思います。また、石炭は、まだまだその効率を上げる技術開発余地を持っていますので、そういったものが開発されていきますと、もっともっとその差は縮まるであろうというのが私の考えでございます。  では、石炭がこれほどもてはやされ、需要が伸びると言われていますが、果たして供給面で不安がないのか、こういうことでございます。  主要産炭国、特にアジアを形成している中国インドネシア豪州、これらの石炭産業を見ますと、それぞれ大きな問題を抱えております。今、御案内のように、大変供給過剰という状態の中で、価格が下がっております。その中で、各産炭国も必死の合理化努力をして、供給の安定に努めようとしておりますが、再投資がうまく回らないとか、あるいはインフラの整備が進まないとか、そういった面で将来に不安を残しているというのが実態でございます。  石炭をめぐる新たな問題といたしましては、先ほど石炭マイナス面も申し上げましたが、やはり供給の安定をいかに図っていくかということが一つ大きな問題でありますし、最近、いろいろな権益との調整問題が起きております。  地上権との関係あるいは地球環境問題、これは、COP3を受けて特にこの問題が大きくなっておるわけでございますが、これにメタンガスが追加されたということも大きな問題ですし、あるいは、自然破壊の問題も随分課題になっています。さらに、炭種を拡大して低品位炭の量をいかにふやしていくかというようなものも新たな課題として挙げられておる、こう思うわけでございます。  我が国の方に目を転じてみますと、今度需給計画が新たに出されまして、石炭の二〇一〇年における供給量が一億二千四百万トン、こう出されたわけでございますが、現在、既に一億四千万トン近く使われております。それは前計画によると、既に二〇〇五年の目標値であったと言っていいわけでございます。二〇〇五年の目標値が達成されているということかと思います。  今後、こういう需要が果たして一億二千四百万程度で済むのかということでございますが、この過程におきましては、電力さんが発表されていますローリングプランによりますと、電力用一般炭はふえることは必至というふうに見られておるわけでございます。そういった点を踏まえて、今後いかに石炭安定確保を図るかということが一つの大きな課題じゃないかと思います。  エネルギーというのは、常に需給の不確実性不安定性といったものを持っているのが特質でございまして、石炭も私は決して例外ではないと思いますし、的確に供給力の判断をしていくことが大事じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。ややもすると、この産炭国増産計画を出されるわけでございますが、それをうのみにするというのは大変危険であると思いますし、現在、この自由市場が形成されつつあるわけでございますが、自由競争というこの市場原理だけでは万能ではない、こう思うわけでございます。  日本企業開発案件海外で多くやっておりますが、権益を持ったものは少のうございますので、決して日本需給構造が安定的なものであるということは言えないのじゃないか、こう思うわけでございます。今後とも、エネルギーセキュリティー確保の面では、資金とリスクの負担をするという観点から、バランスのとれた調達方法が大事じゃないかと思います。  日本にとってみますと、やはり大きな市場を抱えておるわけでございますが、その市場有利性、また資金技術力、こういった点を大いに生かして、供給源多様化、こういった面に努力すべきじゃないかと思います。もちろん、長期計画による安定確保、あるいは開発による権益確保、これとあわせまして、やはり最大の輸入国、そういった面からも、技術協力を含めた国際貢献が大事じゃないかと思います。  国内の方に目を転じてみますと、今、第九次策のもとに、石炭政策は粛々と実行されておるわけでございます。今、二炭鉱を残すのみとなりましたが、生産規模約四百万トン、労働者数約三千人、能率が二百トン超という数字を示しておりまして、これは、能率におきましては、十年前を見ますと二倍ということになっておるわけでございますが、大変な石炭産業努力のもとに、今日、ここまで来たと思います。  もちろん、この間、政府支援、また、電力を初めとしますユーザー引き取り協力があってここまで来たと思いますが、社会面あるいは雇用面においても、大局的に見て、他国に例を見ないほど模範的な結果を得たものだと私は評価しております。  今後の問題でございますが、今ポスト八次策の中では、国内炭位置づけについて、セキュリティーの面においては、量的な面では小さくなったとはいえ、まだ評価すべきものは残されていると言われておりますように、質的な面、特に国内炭技術国際的展開、俗に言う国際貢献、この面では大いに発揮すべきだ、これもある意味では安定供給につながるのじゃないか、こういうことが言われております。  現在、この面においては、日本努力がますます増大しているわけでございまして、量的に、この二炭鉱にはなったとはいえ、多くの国との間で協力関係を保たれております。  国際協力事業関係で見ますと、これは人材養成でございますが、二十八カ国を対象に毎年約二百人の人材を受け入れ、かつ、派遣が同様の数字、約二百人ぐらいを派遣して、各国で技術協力をしておるわけでございます。また、トルコだとか中国にはセンターを、これはJICAのセンターでございます。ここにも専門家を派遣して、人材養成に努めておるわけでございます。さらに、最近では、インドネシアあるいはベトナムからもこういう要請が来ておりますし、また、ロシアあるいはタイの方からも技術協力要請が参っております。  これとあわせまして、主要産炭国とは技術協力共同研究を積極的に進めております。豪州あるいは中国インドネシア先進国途上国ともども、資源の探査あるいはガス管理、こういった面で、日本の培われた技術が発揮されているということが言えようかと存じます。  また、最近では、世界石炭会議においても、日本を含めて、一緒にガス管理等の問題について共同研究をやろうじゃないかという提案がなされておりまして、ここでも、日本が中核的な役割を果たすということが期待されております。  このように、国内炭につきましては、安定供給の面で、特に技術の面で大変多くの貢献をしておるわけでございます。  一方、合理化途上におきまして、今提案しておりますのは、十四年度以降一万二千円程度という数字を提案しておるわけでございます。これは、電力の使用に期待しておるわけでございますが、答申で言われております経済的国民負担均衡点という面から見たときに、どの程度数字になるかということでございます。  これは一試算によりますと、一万二千円程度コールセンター経由で炉前に提供されたとすれば、一キロワットアワー当たり国民料金負担は十円単位になるのじゃないかということが試算上出ております、年間百数十円。これがまた一万二千円を割るということになれば十円程度になるのじゃないかということでございまして、この政策の中で言われている国民経済的負担均衡という点から見た場合に、それをどう評価するかということが大きな観点課題じゃないか、私はこう思います。  今後、国内炭鉱のさらなる努力政府支援、そして地元の協力、さらには、ユーザーである電力さんの理解、こういうことが得られるとすれば、この炭鉱は存続し、さらに世界への協力、ひいては日本安定供給に資することを確信するものでございます。  以上をもちまして私の意見陳述を終わります。(拍手)
  6. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、外門参考人お願いをいたします。
  7. 外門一直

    外門参考人 電気事業連合会外門でございます。  国内炭鉱についての電気事業考え方を御説明申し上げます。  お手元にレジュメと資料をお配り申し上げているかと思いますが、御参考にごらんいただきながら、お聞き取りいただきたいと存じます。  まず、国内炭鉱の御説明に入ります前に、私ども電気事業を取り巻きます最近の状況について、簡単に触れさせていただきたいと存じます。  私ども電気事業は、資料一にございますように、すべてのお客様に、責任を持って、低廉で安定した電気を公平に供給することを目指しております。まず、安定供給面からは、原子力中心に、石油石炭LNG水力等バランスよく組み合わせて開発する、いわゆる電源ベストミックスを追求いたしております。  資料二でおわかりのとおり、特に一九七三年、昭和四十八年に始まります第一次石油危機以降、原子力中心LNG石炭火力開発を進めまして、石油への依存度を一九七五年度の六二・一%から、一九九七年度一二・六%へと大幅に低下させて、電源多様化を通じまして電力安定供給確保に努めてまいったところでございます。  また、効率面におきましては、電力業界といたしましては、設備投資を初め、経営全般効率化とあらゆる部門コスト削減に努めてきたところでございますが、現在、経済構造改革におきましても、二〇〇一年までに国際的に遜色のないコスト水準を目指して、電力コストを中長期的に低減させる基盤の確立を図るべく、全力を傾注しているところでございます。  こうした中で、本年一月二十一日には、電気事業審議会において、電力小売市場の一部自由化発電市場活性化料金制度規制緩和等中心といたします答申がまとめられました。  また、この一月二十九日には、経済構造改革第二回フォローアップにおきまして、電力会社経営効率化が加速され、将来国際的に遜色のない水準を目指す基盤が形成されることを踏まえまして、平成十二年に、二〇〇〇年、来年でございますが、再度料金改定申請を行うことを期待するとの内容で閣議決定がなされたところでございます。  私ども電気事業者といたしましては、こうした期待に沿うべく全力を傾注してまいる所存でございます。  このように、電気事業者といたしましては、エネルギーセキュリティー環境保全等安定供給上の課題経済性バランスよく解決いたしまして、お客様のニーズに対応できるよう鋭意努力しております。  こうした状況を踏まえまして、電力会社国内炭鉱についての考え方は、以下、御説明するとおりでございます。  まず、電力における国内炭引き取りへの協力状況でございます。  ポスト八次策によります引き取り協力についてでございますが、電力会社は、一九六三年、昭和三十八年度の第一次石炭政策以来今日まで、三十六年間にわたりまして、国内炭引き取り協力してまいったところでございます。この間、鉄鋼業界が、一九九〇年、平成二年に国内炭引き取りへの協力を終了して以来、唯一電力会社引き取り協力を行ってまいっております。  一九九二年度、平成四年から実施されております現行の新しい石炭政策は、ポスト八次策と言われますように、九〇年代を構造調整最終段階位置づけております。こうした状況を踏まえまして、私ども電力会社といたしましても、最後石炭政策として国内炭引き取り協力しているところでございます。  次に、国内炭引き取り量と電力負担増についてでありますが、資料三をごらんいただきたいと存じます。  電力会社が池島、太平洋の両炭鉱から昨年度、九七年度に引き取りを行いました国内炭は、三百二十五万トンでございます。これは、電力の使用している石炭の約七%、また、発電電力量全体の一%程度になっております。資料三、資料四をごらんいただきたいと存じます。こうした数値が示しますように、国内炭は、もはやエネルギーセキュリティー上不可欠のウエートとは言いがたい状況にございます。  また、これを費用面から見ますと、ポスト八次策の線に沿いまして、構造調整最終段階という位置づけのもとに、電力といたしましては、国内炭引き取りに最大限の協力を続けてまいりましたが、資料五をごらんいただくとおわかりのとおり、海外炭と比較いたしました場合の電力負担増は、一九九二年から九六年度までのポスト八次策十年間のうちの前半の五カ年だけでも、その額は約三千三百億円にも達しているところでございます。  次に、国内炭電力をめぐります内外の環境について御説明申し上げます。  まず一番目は、電力のさらなるコスト削減必要性でございます。  若干くどくなって申しわけございませんが、冒頭申し上げましたとおり、電力業界といたしましては、設備投資面を初め経営全般にわたる合理化努力が不可欠でございまして、これは、燃料調達部門においても例外ではございません。したがって、海外炭と三倍以上の格差がある中で、国内炭引き取りを継続することは、もはや許されない状況にございます。  二点目といたしまして、世界的な石炭市場から安定的かつ経済的な石炭調達が可能であるということであります。  石炭は、中東に埋蔵量が偏っている石油とは異なりまして、埋蔵量世界じゅうに偏在することなく賦存しております。しかも、政治的に安定しているアメリカ豪州欧州などに幅広く埋蔵量が存在していることが特徴かと存じます。石炭取引については、世界的にフリーかつオープンなマーケットが成立いたしておりまして、こうした市場メカニズムを通じて、石炭の安定的かつ経済的な調達が可能というふうに考えております。  三点目は、電力といたしましても、石炭をめぐりますセキュリティーに関して十分な対策を講じている点でございます。  電力としても、市場に依存するだけではなく、セキュリティーのため、以下の方策を実施いたしております。  一つは、石炭売買長期契約の締結でございまして、二年以上二十年の間の長期契約ウエートが約七〇%でございます。  それから、若干カロリーは落ちますが、亜歴青炭を使用できるような発電所設備形成を行いまして、使用可能な炭種増加させてきているところでございます。  また、必要に応じまして、電力出資の子会社を通じまして、電力みずから投資を行うことも可能という体制をとっております。  第四点目は、国内炭産業保護見直しは、世界的な流れということでございます。  国際的に見ましても、国内炭産業保護見直し流れの中にございます。欧州主要国を見ますと、ドイツでは、コールペニヒ、これは石炭産業保護のための電気料金への課金でございますが、これは一九九四年に、連邦憲法裁判所におきまして違憲との判決が出されておりまして、一般炭への補助金連邦政府の予算により交付されている現状でございます。また、イギリスでは、一九九三年から九五年にかけてブリティッシュコールを民営化し、炭鉱数が減少しているというのが現状でございます。  次に、国内炭取引についての電力考え方を申し上げます。  以上のように、電力供給についてのセキュリティーを、電源ベストミックスの追求によりまして確保してまいりますとともに、石炭調達面についても、海外炭による安定調達が十分可能でございます。  他方、経済性については、電力としては、二〇〇一年に向けて、国際的に遜色のない料金レベルを目指して厳しいコスト削減を行っているところでございまして、私企業原材料一つでございます火力燃料石炭について、海外炭国内炭との価格差負担できる状況にはないわけでございます。  さらには、以下の点にも御留意いただきたいと思います。  一つは、二〇〇一年度、ポスト八次策が終了いたしますので、電力協力もこれをもって終了すべきであること。  それから二点目といたしまして、先ほどもちょっと触れましたが、私企業の資材、原材料の購入について制約があってはならないということが大原則かと存じます。  また、三点目でございますが、現在残っておりますのは二炭鉱でございますが、個別の企業支援を他の業界が行うということは、電力としては、これは不可能でございます。  これらを踏まえた今後の石炭取引のあり方について、電力考え方は以下のとおりでございます。  まず第一は、二〇〇二年度以降の取引ポスト八次策が終了いたします二〇〇二年度以降につきましては、電力として従来のような取引協力は行える状況にございません。自由取引とすることが必要不可欠というふうに考えております。また、国内炭鉱二社の経営合理化努力については高く評価いたしておりますが、電力業界としては、二〇〇二年度以降依然として海外炭との格差が相当ある価格レベル、これは、さきに御説明申し上げました電力を取り巻く諸情勢を考えますと、到底受け入れられるものではございません。  また、二点目といたしまして、一九九八年度、平成十年度から、二〇〇一年度、平成十三年度の価格の問題でございますが、上記の二〇〇二年度以降の考え方を踏まえますと、二〇〇二年度において国内炭価格海外炭並みであることが大前提となっております。現在の国内炭海外炭価格差を、二〇〇一年度に向けて段階的に海外炭水準に近づけることが必要であるというふうに考えております。  最後に、以上、電力考え方を御説明させていただきましたが、国内炭の問題というのは、地域の経済雇用の問題という面が強く、一業界協力によるのではなく、やはり国の政策として、国が主体的に取り組んでいただく問題ではないかというふうに考えます。  国内炭問題については、さきに御説明いたしましたとおり、一九六三年の第一次石炭政策以来今日まで三十六年の長きにわたり、日本の産業界の中で最も協力してまいりましたのが私ども電力業界と自負いたしておりまして、ポスト八次策として構造調整最終段階にある今日においても、御協力申し上げているのは唯一電力のみでございます。  しかし、冒頭に触れましたように、今や、電気事業におきましても、国際化、自由化流れの中にあって、将来国際的に遜色のないコスト水準を目標とすべく厳しいコスト削減全力を傾注し、電力の消費者、お客様に御理解をいただける企業経営を進めることが不可欠でございます。  こうした中で、国内炭については、安定供給上の課題経済性バランスを総合的に考えますと、一つは、二〇〇二年度以降自由取引とすることを前提といたしまして、これに至るまでのソフトランディングの期間については、電力は最大限の協力を行うことといたしまして、段階的に価格の引き下げを行っていただくことが電力お客様の御理解を得る上で不可欠であるというふうに考えております。  こうした電力をめぐります状況を御賢察の上、電力国内炭に対する考え方についてぜひとも御理解を賜りたいと存じます。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
  8. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、内野参考人お願いいたします。
  9. 内野健一

    内野参考人 内野でございます。本委員会におきまして意見を述べる機会を与えていただきまして、まことに光栄に存じます。  国内炭鉱の存在意義とその技術の評価について申し述べたいと思いますが、その前に、その背景として、エネルギー問題の現状と将来について少し触れてみたいと思います。  前回お招きいただきました平成九年六月の本委員会よりほぼ一年九カ月が経過いたしました。この間、アジア中心といたしました世界経済の大きな変化が生じまして、その影響で石油価格が大幅な下落をしております。  英国の雑誌ザ・エコノミストの最近号でございますが、「ドラウニング・イン・オイル」、石油におぼれてという大見出しを表紙に掲げて論説を展開しておりますけれども、これは、石油があり余って心配は要らないという主張ではございませんで、この状況石油ショックの前にも似ている、注意が必要である、備えをせよ、そういう主張をしておる記事でございます。さらに、エネ研、エネルギー経済研究所の最近号の「エネルギー経済」の中に、石炭については経済安定性にすぐれ、安価で豊富な石炭というキャッチフレーズが正しくないのではないかという警鐘を鳴らす研究報告がなされております。  さらに、我が国のエネルギー消費も御存じのとおり増加を続けておりまして、その供給の脆弱性ということについては、本質的には何ら変わらぬままでございます。  途上国におきましては、経済の問題から一時的にはエネルギー需要が落ち込んでいるとはいえ、長期的には再びまた以前に見られた高い経済成長率に伴うエネルギー需要が回復するであろうということは、多くの識者が指摘するところでございまして、中国あるいはインドエネルギー市場の将来における需要性は不変のままでございます。  さらに長期的に見ますと、石油供給能力の極大値は、この三十年あるいは四十年以内に到来するであろう、それ以降は減少の一途をたどるであろうという見方も不変のままでございます。  このような将来を考えますと、その次に来るのは石炭原子力しかあるまいというのが、これもまた大方の意見でございますけれども、これについても大きな変化はございません。  要するに、我が国の石炭対策はこのような背景の中で考えるべきものであろうと私は考えております。  こういうことから、日本炭鉱の存在意義ということを考えてみたいと思いますが、第一は、言うまでもなく価格差あるいは量の少なさということでございますが、やはり国内の数少ない貴重な資源であり、最も安定性の高い燃料、あるいは地域の経済貢献しているということを再確認すべきではなかろうかと思います。  第二には、技術基盤の維持あるいは人的資源の育成という点における貢献でございます。つまり、海外石炭開発、貿易業務、政府を含む諸機関、関係団体における専門的な知識を有しました技術者が不可欠でございますが、そういう専門家供給のベースとなっておるということを忘れてはならないと思うのでございます。  石炭というものが、その探査、開発生産、輸送、利用あるいは環境へのインパクトという非常に大きな広い問題とかかわり合いを持つ分野であるゆえに、こういう専門家の存在というのは極めて大事なものでございますが、そういう人的資源の育成、維持に役割を果たしておるということでございます。国内にそういう場がありませんと、そういう専門家の育成、人的資源の枯渇にもつながるということを十分想起すべきであろうと思います。  この問題に関連して生じております具体的な問題を一つ申し上げます。  それは、我が国の大学で、公私国立を問わず、石炭地質を講じる大学の教官がこの三月をもちましてただ一人になってしまいます。ということは、石炭についての地質、あるいは利用いたしますときの石炭の性質、石炭組織学等にかかわります専門家を育てる場がほぼゼロになりつつあるということでございます。グローバリゼーションが進行する中、こういう専門家という意味での数と質の低下ということは十分に気をつけておくべき問題ではなかろうかと常々考えておるところでございます。  第三は、国際協力における役割でございます。  一つの具体的な例を挙げます。私もその一端に参加させていただきましたが、トルコの例でございます。  トルコは、数回にわたる多くの犠牲者を出したガス爆発を経験いたしましたが、その様子、それからくる国家的な、国の関係としての要請もございまして、それにこたえて、ただいま研究者と現場技術者から成るチームがセンターを設けまして、常駐いたしましていろいろな基礎的な研究、調査あるいは技術指導をやっておりますが、その成果は多方面から非常に高い評価を得ているところでございます。  さらに、中国に対する協力もございます。中国は、現在、百万トン当たりの死亡者の数は全国平均で四・六人とされております。しかし、その生産の四〇%を占めます郷鎮炭鉱、個人炭鉱と呼ばれるところは八・一と高うございまして、これは昭和三十年代の日本炭鉱の値となります。現在、この値は日本では〇・二でございます。そういう私どもの経験と技術をもちまして、中国の年間六千名にも達する、あるいはそれ以上であろうかとも言う人もございますけれども、とうとい人命の損失を防ぐため、これを協力によって貢献するということは、ヒューマニズムの立場からも高い評価を得るはずでございます。  それから、生産という技術におきましてもいろいろな協力が行われております。釧路鉱業所と池島炭鉱両所におきまして、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、途上国の方を招きまして、生産あるいは安全という技術を、座学だけではなくてジョブ、それ自身に接触を持ちながらこれを教育訓練するということでございますが、これも高く評価されているところでございます。  第四には、新しい技術開発の場ということでございます。  いろいろな人が指摘をいたしておりますように、日本炭鉱というのは、非常に複雑な条件の中で高い生産性と安全性を確保するレベルに達しておるということでございますが、そういう高いレベルの技術基盤といたしまして、さらにこれを発展させ、海外炭鉱にもこれをもって寄与するという可能性は非常に高いと私は考えている次第でございます。  要するに、我が国の炭鉱技術というのは、地質が非常に若いということ、地殻変動を受けておるということ、あるいはまた、火山活動の影響を受けているということから、他国に見られない極めて複雑な様相を呈しておるわけでございますが、その中で、繰り返しになりますが、高い生産性と高い安全レベルを確保するという技術をかち得ているわけでございまして、この意味から、我が国の炭鉱技術の特殊性があるというふうに評価することができると考えられます。  石炭の問題を考えていきますときに、保安と生産というのはいつも言及されます二つの側面でございますが、生産性につきましても、コストダウンを図るため、いろいろな技術の導入、開発がなされておりまして、世界に知られております技術を二つ申しますと、釧路鉱業所におきますロングウオールの採炭技術、あるいはまた、池島鉱業所におきます世界で最も早い坑内の人車、時速五十キロという速度に達するわけでございますが、そういったものは、最新の技術の展開を示すものとして紹介しておきたいと存じます。  石炭の問題を考えますときにいつも頭に出てまいりますのは、長期的と短期的、直接的な効果あるいは間接的な効果、ミクロに見るかマクロに見るか、狭い分野を深く考察するか、あるいは多角的にこれを見るか、そういう相反する二つの考え方のコンビネーションでございます。どちらをとるかによってその見方が変わるわけでございますが、もちろん一番大事なことは、この両者の角度から物を見ることであろうと思います。総合的な角度からこれを考えると、国内炭鉱の存在意義は依然として存在いたしますし、我が国の炭鉱技術も高いレベルにあり、これを最大限に利用する必要があるというのが私の意見でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  10. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  次に、高村参考人お願いいたします。
  11. 高村寿一

    高村参考人 高村でございます。  私は、女子大学の教師でありまして、二十一世紀に活躍する現代の女性を教育しております。といいましても、まだ経験が浅うございまして、なぜ女子大の先生がここで参考人として述べるかということですが、一年前まで、私は経済関係の新聞社におりました。そして、経済論説を論じておりましたけれども、そのような経験から、お三人の参考人の方々とは一歩、この問題を見る距離がありまして、言ってみれば、素人が外から見たらどういう感じを持つのかというようなことを申し上げられればというふうに思います。  現在、ポスト八次策という政策のもとにありますけれども、平成四年から八次ということですが、九〇年代はこの業界構造調整最終段階であるという位置づけがされておりまして、その中の議論でありまして、関係業界においては非常に時間の問題、せっぱ詰まった問題と言うことができるかと思います。私は、数年石鉱審の仕事をさせていただいておりますが、やはり数年前と今日とを比較しますと、情勢といいましょうか、業界をめぐる環境というのは、数年前より大変厳しくなっているのではないかというふうに感じられるわけであります。  五つぐらいの要因があるのではないかと思うのですが、まず第一に、環境問題が時とともに非常に大きくクローズアップされておりまして、この業界が解決すべき問題が以前に増して大きくなっているのではないかと思います。  二番目には、経済の低迷を、あるいは日本経済の構造を変える、ライフスタイルを変えるという意味で経済の規制緩和が進んできておるわけでありますが、この業界でも、石炭の大口の買い手であります電力業界電気料金が、マーケットではかなり自由化の動きが出てきているということであります。これも石炭業界から見ると、以前とは違う、マーケットメカニズムが間接的に影響を受けるということになるわけであります。  三番目には、先ほどの御発言にもありましたけれども、主力であります日本の一次エネルギーの油が比較的市況が安いということで、石炭との価格差がまだ依然として問題になるということがあると思います。  四番目は、海外状況を見ますと、これは、こちらの衆議院の特別チームも昨年欧州情勢を視察されて報告されておりますけれども、例えば、フランスは二〇〇五年までに石炭をやめる、特にコスト、採算の問題だろうと思うのですが、そういうことを九四年に合意を持っているというようなことであります。したがって、段階的な縮小というのは、日本だけでなくて世界的な動きであって、フランスはその一つの目に見える例ではないか、そういう世界情勢であります。  最後に、五番目には、雇用の問題なんですが、石炭業界は、ずっと合理化をして、リストラをずっとやってきて、存続問題にもなっていますけれども、再雇用という問題を考えますと、現在の労働情勢では非常に環境が厳しくなっているというようなことだろうと思います。  このように、情勢をチェックしますと、環境問題、規制緩和の問題、価格差の問題、海外の全体の動きの流れ、トレンドでございますね、それから雇用の難しさ、再雇用の難しさというようなことを総合しますと、石炭鉱業にとっては以前にも増してつらい状況に進みつつあるのではないかと今日現在考えられるわけであります。  しかし、私は、こういうような厳しい状況ではありますけれども、先ほど内野参考人もおっしゃいましたように、いろいろな総合的な角度からさらに検討を加える必要があるのではないかと思うものであります。  それは、やはりエネルギー問題というのをどのぐらいの時間のレンジで見ていくかということであります。もし、現在残っている二炭鉱が全廃した場合、ゼロにした場合どうなるかというようなことも改めて考えるところまでもう来たのではないかと思うわけであります。  かつて、一世紀前には、石炭日本の主力産業であり、輸出産業であったわけですが、時間とともに、現在のように日本輸入の大国になっているということも、時間をかけて非常に変わってきているわけでありまして、この四、五年、非常にきついところへ追い込まれているわけでありますけれども、さらに二十一世紀、三十年、四十年見た場合に、ここで押し切ってゼロにしてしまっていいものかどうか、ここのところは多角的に考えなければならないと思っているわけであります。  お手元に三枚ほどペーパーを用意させていただきましたが、これは現状認識ということで見ていただきたいのです。  一番は、環境変化と現状認識ということでありまして、現在のエネルギー資源環境は、やはりさっき申しました地球環境ですね、クリーンであるということが非常に重要なことでありますし、コンスタントに供給していくということもセキュリティーの問題で非常に大事であります。それから、やはりコストの問題は、経済取引でありますのでこれはどうしても問題になるということで、クリーン、コンスタント供給コストの三Cを解決していかなければならないということだろうと思います。  そこで、二番目の国家と市場という、最近のキーワードかもしれませんけれども、政策市場原理均衡点をどこに見出すかというような問題がクローズアップされるのではないかと思います。そこには、現在の規制緩和の流れ、あるいはアジアのマーケットの変化ということが非常に認識されるかと思います。  それから、三番目のエネルギー構造については、既に参考人の方から述べられておりますので省略しますけれども、現在は、石炭依存度日本は一六%ぐらい、しかし、国内炭につきましては、二のところで書きましたように三%、あるいはそれを少し切っているかと思いますけれども、そういう依存度でございます。  二番は国内炭の現実について書いてありますが、やはり三番目の内外価格差、この問題が、これは為替の状況にも非常に左右されますけれども、現在二・九倍とか二・七倍という格差がありまして、経済取引においてどうこれを見るかということがあるかと思います。  段階的縮小というトレンドの中で存続問題をどう考えるかということは、この三にあるように、総合的に検討すべきだというのが私の主張であります。情勢はかなり厳しい、困難性が増しているところでありますけれども、繰り返しますが、ここで一遍にこれはだめだと言えるのかどうか、あるいは経済負担、国民的負担とこの存続問題というのをどうバランスさせるかということを、いよいよ、余り長い時間はないのでありますけれども、そこに絞って総合的に検討するというのが現在の段階ではないかと思います。  以上をもって報告させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  12. 高木義明

    高木委員長 ありがとうございました。  これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 高木義明

    高木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  14. 北村直人

    ○北村(直)委員 自由民主党の北村直人でございます。  きょうは、四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。そして、貴重な御意見、経験に基づく御意見等々を今お述べいただきました。大変参考になりました。そしてまた、将来に向かっての方向性を一つ出していただいたような気もいたしますし、また、大変厳しい御意見もあったようにも思います。  私は、そういう観点で、私の持ち時間が十時十分まででございますので、若干はしょるような形になりますが、時間の中で端的にお答えをいただきたいな、このように思うところでございます。  私も今、自由民主党の中にありまして石炭対策特別委員長という職をいたしております。そういう意味では、自由民主党も、特に国内で二つの炭鉱になりました二炭鉱を将来どうするんだという問題に一番注目をしております。そして、もう一方では産炭地の振興あるいは公害対策、こういうこともどうするかというような議論を今しているところでございます。  きょうは時間がございませんので、この産炭地振興と公害対策のことはさておいて、今まさしく北海道と九州に残りました二つの炭鉱を将来どうするかということについて、四人の参考人の方々の御意見を聞かせていただきたいと思います。  まず最初に、内野参考人にお尋ねをいたしますが、先ほどの基調報告の中で内野参考人の方から、日本技術のことについて、特に採炭技術あるいは保安技術について非常にすばらしいものがあるというお答えがございました。日本は、構造的にもこれは坑内掘りが主体でありますから、そして非常に劣勢条件の中で石炭を掘ってきたという意味では、最終的にこの二つの炭鉱というのは世界的に非常に優秀な技術を持った炭鉱である、こう私は思います。  それでは、内野参考人、もう一度でございますが、我が国の石炭技術はどのような点において世界的にすぐれていると言えるのか、あるいは、こうした我が国の採掘、採炭技術というのが安定的な石炭政策にどの程度貢献し得るものなのか、この点について、まず採炭技術についてひとつお答えをいただきたいな、このように思います。
  15. 内野健一

    内野参考人 お答えいたします。  まず、日本の採炭技術というのがより具体的に言ってどういう点において世界的にすぐれているかという御質問に対してお答えいたします。  世界に高い採炭技術を誇っておる国はほかにもございます。ドイツがそうでございますし、イギリスもそうでございます。アメリカもそうでございまして、豪州も誇るべき技術はたくさんございます。常々関係者とも議論をするのですけれども、結局のところ、日本の採炭技術はあらゆる条件に対応できる技術であるというのが、一つ選ぶとすれば、表現ではなかろうかということでございます。  それは、先ほど申し上げましたように、日本は非常に条件が厳しい、断層が多い、褶曲が多い、水が出る、ガスが出る、または、海底炭鉱でございまして、坑口から採炭の場所に至る距離が非常に長い。それからくるいろいろな不確定要素を、海でございますので、地上の場合と比べまして、立て坑をおろせば到達できるということはございませんものですから、非常にアンノーンファクターの多い中で最適な方法をとっていかざるを得ない等々のことから、そういうところにいろいろな対応を迫られた経験がある、そこで培われた技術であるというのが一つの結論的な言い方ではなかろうかと思います。  具体的な例を挙げます。ロングウオール、長壁式というのが採炭技術の坑内掘りの今一番の方法でございますが、これがかなり早く日本開発されまして、釧路の技術豪州に輸出されまして、そこですばらしい成績を上げたということがございます。  次の例を挙げます。それは、水力採炭ということでございまして、これはソ連で発明されましたが、日本輸入されて、日本で完成されました。それがカナダのバルマー炭鉱というところに輸出をされまして、そこで実証されたという経験がございます。  また、最近、ニュージーランドから、向こうの炭層条件がどうも水力採炭に合うようだ、日本でフィージビリティースタディーをやってほしいという要請がありまして、その報告が出ております。  そういう意味で、我が国の炭鉱技術は高いと言うことができると思います。  それから、技術というときにもう一つ、先ほども申し上げましたが、保安という面がございます。保安の技術でございますが、これは、ほかの国もガスは出ます、水もあります、それから熱の問題もあります。では、日本だけではないじゃないかということになりますが、日本が違うのは、そういう多くの問題が並行して同時に生じてくる、そこに対応しなきゃいけないというのが日本の特徴でございます。ガスだけではなくて水も一緒に出てまいります。自然発火に対応もしなきゃいけないというようなことでございまして、そういった意味での複雑さがある。そこで培われ、発展してきた技術であると言うことができます。  これも具体的な数字を挙げます。昭和二十年代の後半と今と比べますと、事故の頻度あるいは死者の数は、生産量当たり百分の一になっております。  こういうデータを海外におきます会議で発表いたしますと、非常に驚く人が多うございまして、そこには、ハード面の進歩と同時にソフトと申しますか、いわば、外部には知られておりませんが、炭鉱の中で、法に決められたもののほかに法定外の教育等、もうびっくりするほどの時間が割かれて教育訓練が行われておるということでございまして、これもまた、ハードと相並んでソフトの技術と申しますか、そういった点で海外に役立てる必要があるのではないかと考えておる次第でございます。  ごく最近の例をもう一つ挙げてお答えを終わりたいと思いますが、監視ロボットというのがございます。当然のことながら、合理化で人員が減ってきております。その人員、人間の減少を補うべく、日本の高度なエレクトロニクスを利用いたしましたロボットをつくりまして、異常を検知するための監視ロボットというものがつくられまして、実際にそれが活動しているという例がございます。  お答えいたしました。
  16. 北村直人

    ○北村(直)委員 大変ありがとうございます。  非常に、日本炭鉱における採炭技術あるいは保安技術が総合的な、何が起きるかわからない、それに的確に対応し得る技術であるという内野参考人の御指摘をいただきまして、私は、国内の二つの炭鉱は、今までの苦労というのがある面では世界に非常に貢献している、このように強く自負をさせていただきました。  そういった技術が、特に日本の場合は、アジア近隣諸国に対する、世界に対する貢献というのが、我が国の経済あるいは日本が将来にわたって生きていく上で、重要なことになってまいります。  そうなりますと、やはり石炭を、今中国がもうそろそろ坑内掘りが九割以上になる、あるいは、ベトナムでも二〇一〇年には五割以上がもう坑内掘りになっていくという状況を考えたときに、そういった技術をどこが提供できるかとなると、今内野参考人がおっしゃった、総合的な技術を持っている、いろいろな状況に対応し得る技術を持っている太平洋であり、あるいは松島である、私はこのように思っておるところでございまして、ぜひこれらを、日本輸入してくる海外炭の安定的な供給のためにも、どうしてもこれは使っていかなければならないのではないか、このように思うところでございます。  そこで、安藤参考人にお答えをいただきたい、またお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、そういった技術を持っている日本国内炭鉱が仮になくなってしまう、そうしたときには、我が国のエネルギーの安全保障上どのような悪影響が出てくるのか。あるいはまた、今述べたような、総合的に勘案して、それでは、国内のこの二つの残った炭鉱の役割を安藤参考人からするとどのように評価できるか。この二点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 安藤勝良

    安藤参考人 お答えいたしたいと思います。  私は、炭鉱技術というのは、何となく、掘る技術、採掘する技術、特に坑内の採掘技術というふうにとらえられがちでございますが、もっと広く概念を定義づけるべきだと思いますし、最近の地球環境問題、これはCO2に始まりまして、今やメタンガスも入っております。  そういう面から見ますと、石炭技術というのは、もともと、石炭それ自体をクリーンにすること、また、燃やした後のガスなりをクリーンにすること、あるいは、石炭を改質してより使いやすいようにする、また効率よく使う、そういうことが今求められていると思います。したがって、従来の石炭技術の範囲をもっと広げて、まさしく探査から始まって、生産、保安、そして利用、この中で石炭技術が今日の環境問題なりあるいは安定供給にどう寄与するか、こういう見方をすべきだと私は思います。  そういう見方をした場合に、今の炭鉱の存在価値はどこにあるのかということだと思います。  今、内野先生からも申されましたように、生産、保安、これは当然、日本技術は大変長い間蓄積された技術で、この二炭鉱に凝縮されていると言っても過言ではございませんし、いろいろな条件に対応できるだけのものを持っております。これは先進国のみならず、途上国のいろいろな技術の援助にもできておりますので、豪州との間でもいろいろな共同研究もやられていますし、また、中国インドネシア等の途上国との間にもできております。さらに、最近は炭鉱の疲弊したロシアからも、日本技術をぜひ、こう言ってきております。  我々は、探査から含めまして技術協力しておるわけでございますので、探査は技術の単なる提供だけではなく、資源の評価に大変役立っています。我々は、こういう協力を通じて、産炭国資源状況を多くつかんでおります。これは、今後の開発、あるいは石炭輸入する場合の炭質問題とか、いろいろなことの情報を我々は得ているということで、開発国においても当然のことながら、資源の量を把握するということは大変大事なことでございますので、これは豪州インドネシア中国、最近はベトナムともやるようになっていますし、またロシアの方からも、ぜひそういうことを協力してくれ、こう言っています。  したがって、単に技術を供与するということだけではなく、それだけの評価ではなくて、やはりその資源の評価、そして開発する評価、かつ、それがまた日本輸入されるという場合の大変貴重な情報になっているということを理解してほしいと思います。  また、今日の温室効果ガス問題、これはもう既に我々は、メタンガスの回収業務を中国でAPECの共同事業としてやっております。それから選炭、これはクリーンにすればするほど効率よくなるわけですから、これも温室効果ガスに大変な効果がある。仮に灰をゼロにすると、多分CO2の排出量は二割近く減るとまで言われております。そういった技術も我々は蓄積し、大いに途上国に移転していこうと。もう中国には既に三件プロジェクトが展開されています。  そういう目で見た場合に、この炭鉱の存在価値というのは大変大きいし、また、現場がないと実地教育できません。彼らが望んでいるのは座学じゃございませんので、現場で教育してくれ、あるいは実際の技術者が来て現場で教えてくれということですから、そういう意味において、やはりこの二炭鉱の存在というのは大変大きいと私は思います。
  18. 北村直人

    ○北村(直)委員 大変意義が大きいということは、私と同じ意見だと思っております。  それで、高村参考人に御指導をいただきたいのでありますが、企画小委員会の報告では、やはり日本の持っている採炭技術海外炭鉱に移して、海外炭安定供給確保を図っていくということが重要である、こう指摘をされておりまして、そうなれば、こういった役割が認められるのであれば、私は、エネルギー政策観点からも、国がその役割に見合った十分な炭鉱への支援を行う、役割を全うし得るように環境整備すべきである、こういった面で国民の御負担をいただくということは大変重要ではないのかな、私はこう思いますが、高村参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 高村寿一

    高村参考人 お答えいたします。  北村委員の御指摘のとおりでありまして、日本石炭供給の九七%は海外からの輸入であります。九年度だと一億三千六百万トンに頼っているのであります。そして、最近、中国では非常に経済活動が活発になっておりまして、むしろ輸入していこうというくらいのところまで構造変化が起こっているようでありまして、日本豪州が一番ウエートが高いと思いますけれども、供給構造についてもいろいろ変化がこれから起こってくるのだろうと思います。アジア経済は今ちょっと停滞しておりますけれども、中長期で考えますと、一次エネルギーとしての石炭というものをもう一度重要なエネルギー源として見るという視点が大事だろうと思います。  それと、このようなエネルギーの視点に加えまして、やはり日本技術貢献できるならば、それは国際的な協力関係にプラスになるはずでありまして、現在のところどれくらいの貢献があるかということは私もよくわかりませんが、そのスタートは切られていると思います。  先ほど、内野参考人からも御指摘がありましたが、私のお示ししました三枚目の一番最後の表をごらんになりますと、その最後の表のEというところでありますが、各国の炭鉱の災害状況というのがあります。一番下に日本がありまして、日本の保安技術は大変すぐれておりますから、今やこのような災害はゼロに近いと思います。死亡人数などを見ますと、九三年、中国では五千人の犠牲者が出ているわけでありまして、百万トン当たり四・三七六の死亡がある。ベトナムも一・七三である。先進国は〇・以下ですが、日本はその中でも一番すぐれているということであります。  私は専門家ではありませんけれども、炭鉱技術というのはやはり総合的なものだと思うのです。調査から採炭、それから運搬をして、選炭をして仕上げていくということですね。こういう総合管理のところ、特に保安のところで寄与はできるのではないかと思っております。  こういうようなことを通じて国際貢献をするという意味も含めて、私は、海外炭安定供給ということは、日本炭鉱業界にとっては、将来を考える上で活路を見出す一つの非常に大きなテーマであるというふうに考えております。  以上でございます。
  20. 北村直人

    ○北村(直)委員 時間がなくなってまいりましたので、三人の参考人の皆さん方のお話を総合しますと、やはり非常にすぐれた技術を持って、そして、それを、海外炭の安定した日本への供給のためにもそれぞれの国に貢献をしていく、その上で国民の負担もある面ではお願いしていくことが重要である、私は、そのように総合的にまとめさせていただいたところでございます。  しかし、そうはいっても、石炭を使っていただく電力業界の皆さん方の御理解がなければここもまた大変厳しいものがあろうな、このように思います。先ほど、外門参考人からは、電力業界としての考え方をお聞かせいただきました。  しかし、先ほどの安藤さん、内野さん、高村さんからのお話のとおり、こういった貴重な国内炭鉱というのはすぐれた生産能力を有しておりますので、需要家に引き取ってもらえなければこれは経営が成り立っていかないわけでありますが、この電力業界全体で燃料費の総額が、平成九年度で、二兆円までは行きませんが、一兆九千七百億円くらいだ。これに占める国内炭の内外価格差負担分というのは約三百六十億くらいで、非常にわずかでございます。  このような実態を踏まえれば、私は、大口の需要家の責任として、ある面では海外炭安定供給に向けて国内炭を引き取っていくということは十分理由が成り立つのではないか、このように思っております。  しかし、これを理由づけするに当たっては、やはり政府石炭政策エネルギー政策というものが、財源の裏打ちがあって初めてできるものでございますので、今後、この委員会を通じて、あるいは政府もそのことに十分な対策をとるという事態は来る、私はこのように思っております。そのときには、ぜひ電力業界の方々の深い御理解をいただいて、日本で二つになってしまいました太平洋、池島、この二鉱が地域の重要な産業としてしっかりと位置づけができるような御協力を本当に心からお願いを申し上げ、私からは御要請を申し上げて、私の質問を終わらせていただきたい、このように思います。  ありがとうございます。
  21. 高木義明

    高木委員長 島津尚純君。
  22. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。  きょうは、参考人の皆様方にはお忙しい中御出席を賜り、ただいまは大変貴重なお話を聞かせていただきまして、心から感謝を申し上げる次第であります。感謝の気持ちを持ちながらソフトに質問をさせていただきますので、ひとつ、日ごろのお考えを忌憚なく、率直にお述べいただければありがたい、このように存ずるところであります。  質問も、二番バッターになりますと、一番バッターの北村委員に主要な課題を大体総なめされまして、何となくメーンディッシュを全部食べていただいたというような気持ちでありますが、多少重複いたしますところは御勘弁いただいて、多少深めてお答えいただけたらありがたい、このように存ずるところであります。  では、順を追って質問をさせていただくわけでありますが、まず、安藤参考人の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。  私も、日本石炭技術というものは海外に対して大変な貢献をさせていただくことになるだろう、このように考えておりますし、そういう意味から、日本の残されております二鉱の国内炭鉱については、やはり是が非とも今後とも存続をするという努力を私たちはしていかなければならないのではないか、このように存じますし、そういう立場で御質問をさせていただきたいと思うのですが、そういう考えがあると同時に、石鉱審のいろいろな議事録等々を読ませていただいておりますと、それと丸反対のといいますか、対立するようなお考えを持った皆さん方もいらっしゃるということですね。  日本石炭技術海外協力するということが安定供給に支障を来すのか来さないのかということで、日本は現在、世界最大の石炭輸入国なわけですが、この日本石炭技術世界協力したり援助したり指導したりということがなくなった場合、安定供給というものは本当に支障を来すのかどうか。この辺がまず第一点として聞かせていただきたいということが一つですね。  それと同時に、日本国内炭鉱存続という問題とは切り離して、もし日本石炭技術がすばらしいならば、コマーシャルベースで、石炭技術技術として、そういうことでやればいいじゃないか、国内炭鉱を残すということをその前提にする必要はないじゃないかというような御意見を持った方々も石鉱審の中にはいらっしゃるというふうに存じ上げておるのですが、この二点について具体的にどのようにお考えになられるか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  23. 安藤勝良

    安藤参考人 お答えいたします。  日本技術安定供給の問題、これは、私はこういうふうに考えております。  日本は最大の輸入国であり、かつ資源を持たず、ある意味では技術でカバーしてきた国だったと思いますし、過去においても、日本は約三十億トン生産してきたわけでございますが、単に掘るだけではなくて、国内石炭産業というのは、石炭の利用拡大という観点から利用技術も随分開発してきたわけでございます。  例えば、今の複合発電の先鞭をつけたガス化、これは夕張でやっていたわけでございます。あるいは、脱硫、脱硝、いろいろな問題を国内炭鉱がつくった石炭技研というところでやっていたわけです。  だから、広くそういう意味では、日本石炭産業というのは技術を蓄積してきたということが言えると思うのです。それを今海外にも生かしていこう、こういうことだと思います。  一番大事なことは、豪州に例をとってみますと、最大の生産国であり輸出国である。日本はその最大の輸入国。ここと今大変な友好関係ができ上がっております、あるいは信頼関係ですね。坑道掘進の共同研究だとかあるいはガスの管理の問題だとか、最近は情報通信関係日本の方は坑内の管理が大変行き届いていますので、こういう面でも協力してほしいと。豪州とは定期的に技術交流の場をつくっておりまして、毎年両方の技術者が集まりまして、情報交流もやっています。  この関係というのは大変重要なことだ、私はこう思います。そこからいろいろな情報が得られています。これは、実際開発する場合にも生かされておるでしょうし、商売の場でも生かされておるだろうし、政府間あるいは民間のレベルにおいても、こういった我々の協力が双方の信頼関係という意味で大きな役割を果たしておる、私はこう思います。  それから、そんなに日本技術があるのなら、コマーシャルしてもうけたらどうか、こういう御意見かと思いますが、今、環境問題あるいは保安問題というのは、これは金で云々するようなものじゃないのではないか。日本は一番得意なところですが。大いに物を売って環境ビジネスをやる、それはいいかもしれませんけれども、そのノウハウ、これはやはり人と人で接して教えなくちゃいかぬ問題ですよね。それを金でくれと言うのかなと、これは私は強く抵抗を感じます。  これはまさしく協力して、安全に生産性の上がる炭鉱になってもらえば、それは日本にはね返ってくる利益の方が大きい、こう私は思います。
  24. 島津尚純

    ○島津委員 大変ありがとうございました。  次に、内野参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。  石鉱審の企画小委員会の報告によりますと、今安藤参考人がお述べいただきましたように、今後一定の期間、やはり日本石炭技術等で国際的に協力をしていくということは必要なことであるというような見解が明示をされているということであります。  そこで問題になってきますのは、では、この日本の残された二炭鉱、どうやって形として存続させるのか、あるいは、その産出される国内炭をどのように扱っていくのかという具体的なことにつきましてお尋ねをさせてもらいたいのです。  例えば、現在のような状況で、電気料金という形で間接的な国民負担でやっていくのか。あるいは、海外炭との価格差を言うならば、価格差補給金というような、石鉱審の中でも議論があったと思いますが、そういう形。あるいは生産補助金ですね、電力とかそういうものを経由しないで、必要ならば直接国が補助するというような生産補助金といいましょうか、そういう形でやるべきなのか。あるいは、これも石鉱審の中でいろいろな提言といいましょうか、提案がなされておると思うのですが、例えば、日本技術を必要としておるような産炭国の皆さんとで、ある意味での国際的な技術協力の機構をつくって、そこの中から価格差を補てんしていくというような考えもあると思うのです。  こういう仕方がいろいろあると思うのですけれども、内野参考人としては、例えばどのような形で残していくのがよろしいのか、お伺いをさせてもらいたいと思います。
  25. 内野健一

    内野参考人 何か学生になったような気分でございまして、厳しい先生から一番聞かれたくないことを聞かれたような、正直な感想でございますが、私、無責任な返答をすべきではないと思いますので、正直に申し上げます。  私も、専門はこういう資源の採掘及びそれに伴う安全の問題を担当する教授でございまして、経済ということについては、残念ながら、余り詳しい知識を持ち合わせておりません。  ただ、ただいまの御質問に、私の範囲で誠実にお答えできるとすれば、それに一〇〇%お答えするにはいろいろな数字を用いてお答えすべきかと存じますけれども、それができません。それは、私は率直に申し上げまして、この問題は価格差とかそういう数字であらわせるものだけでは解決できない、よい解答を得ることはできないのではないかということでございます。  それで、どういう形で補助をしていくか、それを述べよ、意見を言えということでございましたが、それは第二の均衡点と申しますか、やはり総合的な意味からそれを考える。その総合的なものの中には、純粋にディジットであらわされます価格差でありますとか、あるいはその出すところ、どこから何%、どこから何%出すということが一番具体的なことでございましょうけれども、そこまでの返答は持ち合わせておりません。  ただ、大事なことは、総合的に考えることであろうと私は思います。しかし、どちらかといえば、やはり国策として、これを広い意味の国策として考えていただく以外にはないのではないか、最終的にはそのように考えております。  それから、順序が逆でございますが、比較的お答えしやすいことが前半にございました。  その技術を用いて海外云々でございますが、実際、この二炭鉱におきましても、海外に対する展開を図っておられます。国内技術をベースにして海外に展開するという方向で鋭意努力をされておりまして、成果も出ておるということでございます。国内炭鉱を重んじながらも、そういう国内だけではなくて、実際海外に展開しているということもございますので、そういう範疇でこの問題は考えていくべきであろう。  そうすると、今島津先生御指摘のように、いろいろな国との、共同でやっていくというインターナショナルなそういう協力でもって、もう一歩高いレベルの協力関係を構築していくことも非常に大事なことであろう。それは、先ほどから数名の方が御指摘になりましたような、国際協力のより発展した形としてそういったことも十分考え得ることであろうと思います。  最初に申し上げましたように、的確に御質問にお答えできないのは残念でございますが、そのように考えております。
  26. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  次に、外門参考人にお尋ねをさせていただきたいと存じます。  今日まで電力業界の皆様方が割高な国内炭を引き取っていただくというようなことで日本国内炭鉱が存続し得たということに対しましては、私たちは敬意を表させていただきたい、このように存ずるところであります。  平成八年度を見てみますと、国内炭引き取り量は五百二十五万トン、そして、そのときの電力業界負担した額が五百五十五億円、それを電灯・電力単価に換算いたしますと、一キロワットアワー当たり七・一六銭であります。これは、四人家族の標準家族でいきますと、年間当たり二百四十一円というような額になってくるわけでありますが、石炭政策が終了するという十三年のその後でございますけれども、平成十四年度以降現在の国内炭二鉱は、この日本のトン当たりの単価を一万二千円を下回るぐらいの値段まで何とかコスト削減をしていきたいんだというようなことも表明をしておられるわけであります。  そうしますと、例えばこの一万二千円ぐらいであった場合、今私が申し上げましたような平成八年度のこの数字電力負担額であるとか一キロワットアワー当たりの価格であるとか、あるいは標準家庭がどのくらい負担をしなければならないかというようなことを、数字がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  27. 外門一直

    外門参考人 お答え申し上げます。  今の御質問で、国内炭の単価、トン当たり一万二千円以下ということでございます。これはいろいろな前提を置いて計算をさせていただかないといけないかと思いますが、まず、将来、引き取り量が三百二十五万トン、両炭鉱とも、これが一つの前提。それからもう一つは、国内炭価格が御指定の一万二千円というふうに置かせていただきますと、今の外炭、九七年度並みで申しますと、これはトン当たり五千四百十円でございます。この価格差が六千五百九十円ということに相なります。これをこの三百二十五万トンというトン数で掛けますと、総額では負担額が二百十四億円ということに相なろうかと思います。  これを、先ほど先生御指定の標準家庭、月二百八十キロワットアワーというのが標準でございます。これが月でございます。これの十二倍、三千三百六十キロワットアワーということに相なりますが、これでの負担額が年間で八十二円強ということに相なろうかと思います。  これが今の御質問に対するお答えでございますが、若干つけ加えさせていただきますと、確かに先生おっしゃるように、一家庭当たりでは八十円そこそこということで、少ないじゃないかという御指摘、ごもっともでございます。  ただ、我々の経験を通しますと、かつて円高のときに、わずかでもいいからすぐ下げろという御要望が大変強うございました。あるところからはコーヒー一杯で何だというふうな御批判も実はちょうだいいたしましたけれども、やはりこれは、電気をお使いのお客様にダイレクトにお返ししていくというのが私どもの使命かと存じておりまして、今、その辺のところをできるだけスムーズに還元できるようなシステムをつくって、運用していくところでございます。  それからもう一つ。これは、実は近い将来でございますが、今、私どもの電気事業法の一部改正をこれから御審議賜るところでございますが、御案内のとおり、大口のお客様の一部自由化という内容が盛られてございます。これはどれまでのマーケットになるかわかりませんが、電気事業審議会で出ております案の特別高圧という対象をとらえますと、私どもの総販売電力量の約二八%、三割に近いところがそのマーケットの対象になるわけでございます。  ニューカマーが我々と小売の競争市場をつくっていくわけでございますが、このときに、わずかではございますけれども、では、そういうニューカマーの電気料金にこれが入るだろうかと。これは、ニューカマーは恐らく国内炭をお使いにならないと思います。石油ないしは外炭というもので我々と競争市場を形成していくということに相なろうかと思います。したがいまして、これは公平の原則から見て大変難しい問題が生じてくる。  それからもう一つ。では、私どもが供給義務を負ってお送りする、いわゆる家庭用を含めた小口のお客様にみんな転嫁して負担していただけばいいじゃないかというお説もあろうかと思いますが、これはやはり非常に不公平な、しかも、小規模のお客様に御負担をいただくということでございまして、この一部自由化のときの議論においても、本来、自由化市場のマーケットのお客様コストを、他の、いわゆる私どもが義務を負っている小規模のお客様に転嫁してはならぬということが強く盛られておりまして、そのためにも区分経理をきちっとしろというふうな御指摘もございますので、大変難しい状況に相なっておるということをお答えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  28. 島津尚純

    ○島津委員 外門参考人にもう一問。あと五分しか時間がございませんので、簡単に。そして、その後、高村参考人にも一点お聞きしたいと思っております。  安定供給の問題なんですが、石炭火力が今後は日本では増大していくというふうに私ども考えております。そうしますと、必然的に石炭輸入量は増大していく、そのときに安定的に供給できるかという問題ですが、電事連の皆様方のいろいろな発言を見ておりますと、日本国内炭鉱がなくなって海外技術協力をできなくても、この安定供給については何ら支障がないんだというような発言をかいま見るのですが、一言、実際そうなんだろうかという疑問を私は持っております。お答えをいただきたいと思います。
  29. 外門一直

    外門参考人 お答え申し上げます。  実は、先ほどから技術の問題も出ています。私ども、日本炭鉱技術は非常に高いレベルにあるということ、私、太平洋炭鉱も拝見させていただきました。よく承知しております。  ただ、これがどれだけ今フリーなマーケットの中で影響を与えるかということは、なかなか定量的には難しいと思っておりまして、私どもとしては、やはり電気供給責任を全うするために、安定調達につきましては、私ども自体、最大限の努力をして外炭の確保に力を尽くしているところでございまして、先ほども冒頭に申し上げましたが、一つは、まず石炭そのものが非常に安定的な国の、世界じゅう広いところに賦存している、これが条件かと思います。  それで、この取引につきましては、業界といたしまして、できるだけ長期の契約期間ということで、二年から二十年という中で契約を結んでおりまして、これも先ほど申し上げましたが、その長期契約、約七割というふうなウエート安定調達に努めているところでございます。  それからもう一つは、石炭のソースを多様化しようということで、先ほど亜歴青炭と申し上げましたが、これは若干カロリーが落ちます。普通はトン当たり六千キロカロリー以上でございますが、大体四千とか五千とか、若干質が落ちまして、そのためにボイラーが大きくなりますけれども、これも有効に活用していこうと。外国ではもう既に使っております。こういうものを入れまして、安定供給の一助にと。ソースを多様化していこうというふうに相努めているところでございます。  それからもう一つは、これは、私どもの関係会社を通じまして、豪州のブレアソール等について出資いたしておりまして、そういう関係からも安定調達に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  30. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  最後に、余り時間がなくて申しわけありません。高村参考人にお伺いをさせてもらいたいと思います。  今までは、エネルギー政策観点から三参考人にはお尋ねをさせていただいておったのですが、別の観点で、この国内炭鉱を維持することは、雇用対策あるいは地域振興対策観点からも考えなければならないというふうに思います。  私は、二年前に閉山をしました三池炭鉱が地元の人間でありますけれども、いまだ、二年たった現在でも、やはり離職した皆様方で再就職できないという方が四割以上いらっしゃるというような状況であります。池島それから太平洋を含めますと、直轄、下請、そして家族、関連会社を入れますと、一万人以上の皆さん方が影響を受けるということになると思うのですが、雇用あるいは地域経済等々の面から、先生はどのようにお考えになられるか、最後に御質問させてもらいます。
  31. 高村寿一

    高村参考人 御指摘のように、地域との関連というのは、総合的検討の中でも一つの柱になるのではないかと思います。海外の先進例を見ましても、やはり職業訓練というものに相当力を入れている国が多いわけであります。  それと、産炭地というと、一カ所でどう転換する、どう多角化するということなんですが、これは産炭地の振興の別のテーマになりますけれども、もう少し範囲を広げて、受け皿を大きくとれるような仕組みを考えないと、私もこの前池島を視察しましたけれども、どうも、町だけではとても転換というのは難しいのだろうと思います。そういう意味で、転換の方向、訓練と、もう少し受け皿の方を、両方考えていくことだと思います。  しかし、今度の構造調整最終段階というところでは、やはり一つ企業の経営多角化。新事業、新分野をどうやって開拓していくかということは非常に大事だということを指摘していますから、再雇用できないから残すんだというようなことよりも、やはり企業自体も新しい分野に転換していくという努力はぜひ必要であり、企業と地域の両方の真剣な努力が必要ではないかと考えます。
  32. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  参考人の皆様方には貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。これにて私の質問を終わらせていただきます。
  33. 高木義明

    高木委員長 丸谷佳織君。
  34. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。北海道選出の丸谷佳織と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日は、四名の参考人の方々、大変示唆に富んだお話をしてくださいまして大変勉強になったわけなんですけれども、昨年六月の石鉱審の答申を受け、また、本日の参考人の方々のお話をそれぞれお伺いしまして、現在、国内にたった二鉱残されています太平洋炭鉱そして池島炭鉱を考えるときに、ポイントは三つに絞られてくるのかなという理解をさせていただいております。  まず一つに、海外炭との価格差をどのように対処していくのか、また、経営の徹底的な合理化をどう図っていくのかが二点目、三点目としまして、石炭以外の事業を今後どのように展開をしていくことができるのか、これはどのように英知を絞っていくのかということにもつながってくると思うのですけれども、これにのっとってきょうはちょっとお伺いをさせていただきたいのですが、まず、外門会長にお話をお伺いさせていただきます。  きょう、副会長のお話の中で、エネルギー安定供給とそして経営バランスということが柱のお話だったと思うのですけれども、きょう出していただきました資料二にも、電力構成比の推移というものがございますけれども、副会長がおっしゃいました供給ベストミックスというのは、今後どのような形を展望されておっしゃっているのか。  資料二を見ますと、一九七五年から九七年にかけまして、石油は六二・一%から一二・六に減少しております。逆に、石炭は、三・九から一五・〇と上昇傾向にあるわけなんですけれども、今後、これは、石炭に関してふえていくのが予想されるのか、また、そういった石炭の比がふえていくことをベストミックスという形でとらえていいのかどうか、お伺いします。
  35. 外門一直

    外門参考人 お答え申し上げます。  実は、大変難しい御質問でございまして、ぴしゃっと定量的にお答えするのは難しいのでございますが、考え方といたしまして、まず、御案内のとおり、電力というのは、これは大変、貯蔵のできない変わった商品でございます。お客様がお使いになるときに発電していく、同時に、瞬時に発電していくという商品でございまして、それを安定的に品質のいいものをお送りしていく、私ども、そういうふうに努めているわけでございます。  今御質問のベストミックスと申しますのは、簡単に申しますと、一つは、これは瞬時に供給してまいりますので、運転特性というのがございます。お客様がふえたときに、それに瞬時に対応できるかどうかという問題、運転特性がございます。それからもう一つは、きょうの一つ問題でございます経済特性というのがございます。  電源をつくってまいりますには、確かに、地域の皆様方の御理解を賜ってどういうふうに持っていくかということでございますが、コスト特性あるいは運転特性から申しまして、ベースには自流式の水力、これは昔からある電源でございます。自流式の水力を入れてまいります。  その上に、原子力というのは、設備の建設費は高うございますが、ランニングコストが非常に安うございます。自流式の水力にはかないませんけれども、化石燃料と比べますと大変ランニングコストが安うございますので、これは一番稼働時間の長い、二十四時間といいましょうか、八千七百六十時間といいましょうか、ベースに原子力を入れてまいります。  その上に、LNGあるいは石油それから石炭石炭は非常に埋蔵量が豊富でございますから、これもベースに近いミドル、中間の構成に持っていくというふうなこと。  その上に、実は水力の揚水式というのを持ってまいります。揚水式というのは、これは電気を起こすのではなくて、夜間の設備の、余剰という言い方はなんですが、需要とのギャップを夜間に水の位置のエネルギーとして蓄えまして、ピークのときにそれを落としていく、こういうような組み合わせで、総合的に、最も経済的な電力をつくってお送りする。  実は、具体的な数字、なかなかぴしゃっとこれが理想ですとは申し上げられませんが、今計画で、先生御指摘の九七年までの構成がここにございます。これはキロワットではなくてキロワットアワーの構成でございます。大体こんな構成で、その後もそう大きくは構成は変わりませんが、原子力と、その後やはり石炭が若干ウエートがふえてまいるか。原子力はベースに入ります。それから、石炭はまたその上に、ミドルと申しましょうか、ミドルとベースの間に入っていく。  そんなふうな形で、とにかく目的は、安定して質のよい電気を最も経済的にお送りする電源構成をどうやってつくっていくか、それを私のベストミックスというふうに考えております。  ロードカーブによってもそれは変わってまいります。専門用語を使って申しわけございません。要するにお客様電気の使い方、この形をロードカーブと申しております。それによっても変わってくるわけでございます。  以上でございます。
  36. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 きょうの本委員会の中でも先ほど来お話がありますように、国策で始めた石炭である。国策といいますと国全体のことなんですけれども、現在、北海道そして九州、二鉱しか残っていない炭鉱を考えるときに、どうしても地域の問題ではないかというふうに受け取られてしまう傾向が若干あるのではないかと非常に懸念をするわけなんです。しかし、炭鉱存続、あるいは国の負担で賄っていくということは、つまり国民負担にもつながっていくわけですから、これを考えるときに、やはり国が負担をする説得力がなければもちろんいけないものだというふうに思います。  そのために、炭鉱がどのぐらい貢献度が高いのかというところを訴えていかなければいけないのですけれども、内野先生にお伺いしたいのですが、きょうの先生のお話の中で炭鉱貢献度についてお話をされたのですけれども、海外からはどのような評価を受けているのか、まず一点お伺いしたいと思います。  また、今後知恵を絞って新規事業も考えていかなければいけない時期にあると思うのですけれども、現在しています海外への技術移転ですとか研修生の受け入れのほかに、新エネルギー研究所的な位置づけをして、例えば科学技術予算をそこに投入するような方向性は検討に値するかどうか。  また、ODAの一環としまして、アジア・太平洋地域、非常に石炭の使用量がふえているということを考えて、石炭開発センターの設置を新たにするのではなくて、現在ある北海道、九州でそういった研修事業を展開していくということについていかがお考えになるか、お伺いします。
  37. 内野健一

    内野参考人 お答えいたします。  第一点は、海外からの評価はどうかということでございます。  その点についてでございますが、先ほども少し触れましたけれども、私が直接聞き、経験したことのみを申し上げますと、私も国際会議で何度か我が国の生産及び保安の技術についての発表をしたことがございます。  例えば、プラハで五、六年前、国連のシンポジウムがございました。そのときに、日本のそういう安全の統計データ、事故の統計データ、その変遷を話しましたところ、この講演の後に、ベルギー人でございましたが、その筋の専門家が私のところにすぐさまやってまいりまして、生産は上がるのに事故率がそれだけ急速に下がる、それは信じられないけれども、それはどうして実現したのかという、非常に直接的な質問をしに来た者がございます。  そのほかにも、例えば三池の技術あるいは池島の技術等を発表したことがございますが、これにつきましても、一般質問ではなくて、その後におきましても、直接もっと詳しい話が聞きたいといって私のところに来た者がおります。  昨年も、池島の水の処理の問題の発表があるところでございました。ワークショップ、東京で行いましたけれども、アメリカのプロフェッサーが即座に飛んでまいりまして、もっと詳しいデータが欲しいというようなことでございまして、私個人の体験のみを報告しましても、このように非常に関心を持ち、評価が高いということでございます。  私の狭い意味での専門のことも申し上げたいところでございますが、時間がございませんので省略いたします。  それから、新規事業に関連をして、また国際的な関係での御質問で、そういうふうに展開すべきではないかとの先生の御意見、大変ありがたい御指摘だと思います。  ちょっと順序が逆かもしれませんが、私常々考えておりますのに、韓国も含めてでございますが、途上国を歩きまして感じますことは、大学、研究所を通じまして、基本的な装置、実験装置ですね、安全あるいは生産基盤をなします、教育あるいは研究に必要な基盤となる装置、基本的な装置が欠如しているというのが一番私不安に感じる点でございます。  さらに具体的に申し上げますと、炭鉱におきましては、新鮮な地上の空気がどれだけの量、必要な量流れてきているかどうかということを調べるのが非常に大事なことでございますが、それをはかります測風器の検定をする、そういう基本になる風洞と申しますが、そういうものがない国がありまして、びっくりいたしました。  そういうところに着目いたしますと、その基本的な技術研究を支援する必要があるのではないか。でき得れば、日本が指導いたしまして、アジア途上国のために、国際的なそういう炭鉱関連の技術の、共通して使える研究機構と申しますか、そういうものをつくってもよろしいのではないかというのが私の以前からの一つ考え方でございます。  それは、すぐに我が国の安定供給ですとかということには直接的には結びつきませんけれども、間接的には、もちろんそれぞれの国の安全、そして人命尊重に対しては直接的に貢献するわけですが、私どもの国に対する安定供給ということにも間接的な意味で貢献をするのではないかというふうに思います。  先生の御指摘のように、我が国が貢献できるというのは、そういう国際的な、アジアに限ってでも結構だと思いますが、そういう国での中心的な核として連携を深めて、国際的な、共通して臨んでおるいろいろな問題の解決に寄与するというのは非常に大事なことではないか。それは、今の二山、二つの会社の将来の発展の形態の一つというふうにも位置づけられるのではないかと思いまして、先生のお考えに全く賛成するものでございます。
  38. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 では、安藤理事長にお伺いしたいと思います。  今、内野先生からお話がありましたけれども、ちょっと参考にさせていただいています資料が、昨年六月の本委員会での内野先生の御発言なんですけれども、今後、開発途上国エネルギー需要は急発展をしていく、二〇二〇年には世界の全エネルギー需要の約六〇%を途上国が占める、特に中国を初めとする東アジア石炭需要も急増し、石炭大国の中国でさえ、二〇〇〇年には年間四千から五千万トンの石炭輸入するというふうに予測をされているわけなんですね。  そこで、一つどうしても気になってくるのが、やはり環境問題であると思います。私も、ことしの一月にペルーの方に行きまして、アジア・太平洋会議というのに出席をしました。その中で一番の議論となりましたのが、地球環境をどういう枠組みで守っていくかということなんですね。  非常にマスコミ等、あるいは一般市民にも環境問題は物すごく今注目をされておりまして、CO2削減をどのようにしていくかというのが大切になってくるわけなんですけれども、私も何冊か環境問題の本を読んでいまして、石炭エネルギーという項目を読んでみますと、非常に単純に、結局はCO2を排出削減するためには石油石炭の使用を削減するしかないんだというような結論づけになっております。しかし、現実はアジア・太平洋あるいは世界はどういった傾向にあるのかという背景が若干抜けているのではないかというふうにも認識しているのです。  今までの話を受けまして、二十一世紀の遠くない将来に石炭需要がふえる、しかし環境問題も一生懸命取り組まなければいけない。そのときに、日本ができる環境面での国際貢献というのは非常に大きな力を持つと思うのですが、現在それができる状況なのか、あるいは今後の展望をお聞かせください。
  39. 安藤勝良

    安藤参考人 お答えいたします。  この環境問題でございますが、特に石炭は、何かにつけ排出が多いとかという見方がされるわけでございますが、CO2に関して見れば、フルサイクル、要するに採掘から利用まで考えますと、天然ガスも採掘現場では相当メタンガスを出しますので、今評価は少し変わってきております。  まあ、それは言っても仕方ない話でございまして、化石燃料というのは今後とも一次エネルギーの主力であることは間違いない。先ほど申しましたように、今、世界で約九割、むしろこれはふえるんじゃないか、九四%ぐらいになるんじゃないか。そうしますと、CO2問題あるいはメタンガスの問題なんというのは、これはもう化石燃料共通の宿命と言って過言じゃない、こう思うのです。  それで、化石燃料で考えますと、石炭について見ましても、ガス化も液化もできる技術がほぼでき上がっているという意味では、化石燃料同士の補完ができるような時代にもう来ているわけです。したがって、トータルでこのエネルギー問題、化石燃の中でのエネルギー問題を考えなくちゃいかぬ時期に来ておると思うのです。一説によると、二〇一〇年あるいは二〇年には化石燃料もいよいよピークが来るんじゃないかと。そうしますと、がらっと供給構造も変わってくるだろうし、見方も変わると思うのです。それまでにこの環境問題はぜひ克服すべきだと思いますし、まずはやはり省資源、節約するということが大事だと思うのです。  それで、これはある意味では使い過ぎじゃないかと。中国の例をとってみますと、中国エネルギー効率日本の半分ぐらいですから、むだに使っているということなんですね。したがって、これは、いかに効率よく使うかということになると思うのです。  そのためには、やはり石炭それ自体をまずクリーンにしなくちゃいかぬと思うんですね。原炭をほとんど使っておるわけですが、インドも全く同じ、灰分が五〇%もあるのですが、どんなにいいボイラーを持っていても、これはたまったものじゃないですよ。したがって、石炭それ自体をまずクリーンにして、そして、効率よく使うということだと思うのです。そうしますと、石炭の使用量も減りますが、トータルの排出量も減ると思います。これは、石炭に限らず化石燃料最大の問題だと思います。  それで、日本はその技術はどうなのかというと、これはもう断トツに進んでおる。副会長がおられますので、石炭火力が特によく進んでいると思います。もう日本石炭は見えないと。発電所へ行ったって、水蒸気だって出ていませんからね。それほどきれいに使っています。  それで、日本技術をもって今協力を盛んにしておるわけでございますが、これは、脱硫、脱硝に限らず、先ほど申しました、石炭それ自体をクリーンにする選炭技術、燃焼前、燃焼中、燃焼後、すべての技術を今、日本はグリーンエードプランを中心に提供しております。これだけじゃなくて、やはり円借等も使って、もっと石炭コンビナートみたいなところをきちんと効率よく使えるように、まさしく、ゼロエミッションという言葉がございますが、そういう点で使えるようにすべきじゃないかということで、広く技術協力を展開しよう、こういうことで盛んにやっておるところでございまして、まず、そういった面で大いに貢献すべきことが大事じゃないか、こう思います。
  40. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 もう時間がございませんので、高村先生にお話をお伺いできなくて申しわけなかったのですけれども、今参考人のお話がありましたように、今後、二十一世紀、地球温暖化にどう取り組んでいくかという非常に地球規模的な環境問題を考えるに当たりまして、このクリーンコールテクノロジーの研究は非常に大きな国際貢献をしていくであろう。また、そのことを考えましたときに、現在残っています太平洋炭鉱そして池島炭鉱の使命は、二十一世紀ますます大きくなると主張させていただいて、きょうの質問を終わらせていただきます。  本当にどうもありがとうございました。
  41. 高木義明

    高木委員長 鰐淵俊之君。
  42. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵でございます。  きょうは、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  私は、太平洋炭鉱を持っております釧路市に生まれ育ち、そして、釧路の首長として五期十九年、産炭地振興、あるいは、市長としていろいろな点で今日までやってまいりました。  きょう、四人の皆さんのお話を聞きまして、石炭をめぐる諸情勢観点はもう出尽くしているのではないか、これからいろいろ議論しても、また新しい議論などというのは出ないと思います。ですから、私は、石鉱審が昨年一年間延期になった、これはどういうような形かわかりませんが、既に、時期として、ポスト八次を考えるならば、やはり石炭をどうするかという問題の結論を早急に出すべき時期であろうと思います。  そしてまた、今四人の各参考人の皆様方の御意見、それぞれの立場でそれぞれの正論であろうというぐあいに私は思います。  私は、冒頭、センチメンタリズムな話になりますが、物心覚えたときから、石炭のぬくもりで暖をとり、家族ではそれで食事もつくり、言ってみると、石炭の中で生活してきた。また、戦後は、非常に石炭の増産の時代でございましたから、石炭車からこぼれる石炭を拾いながらかますに入れて、それで家族で暖をとる、こんなことをずっと体験してきました。  あの昭和二十年代の、まさに日本が五千万トンぐらい出した、最高に出した時期、三十万人の炭鉱労働者がいた。言ってみれば、都会にいると大変おなかがすいているのですが、炭鉱に行くと、特配、特配で非常によかったという時期を私も体験しているわけであります。  そんなことを顧みまして、今現在、たった二つの炭鉱しか残らなくなりました。これまでは何百かあった炭鉱が、何年間かにだんだん閉山して、最後、この二つになったわけであります。  ですから、私は、石鉱審においても、あるいは通産省においても、この二つの炭鉱を残していくのか、全くなくしていくのか、こういう岐路に立たされた判断を余儀なくされるのではないか。であれば、今までのようないろいろな形でまだ炭鉱の残っていく時代はいいですけれども、本当に残るか残らないかというせっぱ詰まった形での結論を出さなきゃいけませんので、それぞれの利害関係にあられる方は、赤裸々な気持ちを吐露しながら、どうしてこの問題を考えていくのか。これは、私は、政府の方にもあると思います。  今、外門参考人からも言われたことでございますが、やはり石炭というのは国が政策として主体的に決めていくべきではないか、私もそのように思います。  したがって、国が主体的に決めていくということは、石炭を利用するユーザー、これは電気事業者もありますでしょうし、それから製鉄、窯業その他含めて、日本世界一の石炭輸入大国でございますから、これからも余り変わりはないと私は思います。石炭需要は、増しこそすれ余ることはない。  しかもまた、IPPという新しい電気をつくった各企業からも、これは購入することもできる。その方々の電力は何でつくるかというと、私は、大宗は石炭というのが非常に多いのではないか、このように思います。そうすると、これから輸入量もまた相当上がってくるであろう。石炭需要は非常に旺盛である。しかし、国内炭は、いわゆる価格競争では太刀打ちできない。純経済的ベースでこの石炭という問題を片づけて、そして要らないというのか。  先ほど内野参考人からも言われましたとおり、今日まで石炭事業あるいは炭鉱が蓄積してきた有形無形のノウハウ、それから、世界に冠たる探査技術ですとか坑道掘進技術あるいはまたガス検知能力とか山はね対応とか、複雑な地層の中であれだけの坑道を海底に張りめぐらせて石炭を採炭していく。しかも、その採炭の技術も、先ほど、能力も倍になったというお話でありますから、採炭の能力も相当高能率になっておる。しかも、コストも、労使一体になって、血のにじむような努力コストを非常に下げておる。  そういうことを考えますときに、一万二千円というコストをさらに下げていくということになると、これは保安の保証がなくなってきますね、深部化で採炭するということになりますと。私は、価格的にはもう一定の限度があると思います。  そうすると、現在の自由取引価格の差が生まれてきますから、この価格の差をどうするか。だれが、どこで、どういうように埋めていくのか。あるいは補てんし、政策として、今の二つの炭鉱を存続させるか否か。これをやはり審議会では早急に詰めていただきたい、私どもとしてはこのように思うのです。  炭鉱の社会は、御案内のとおりであります。多くの労働者、家族がおりまして、長い間のノウハウの中で一つの社会を形成しております。ある日突然クローズとなったときには、地域ではもちろん混乱を起こし、失業者もたくさん生まれ、今のような失業率の状況ですと、恐らく大変なことになるであろう。これは、地域の問題はさておきまして、そのような状況の中に今あるのではないかと思います。  そこで、御質問の一点でございますが、実際、石炭を使われる、自由取引になる。それは、価格はもちろん、買う方は自由取引で買う。政策は国から出される。それによって、ある程度のプライスは生産者側として確保できる。しかし、自由取引のところでしか購入できないのか。それとも、今までのいろいろな有形無形のことを考え、そして、日本炭鉱の各種技術世界に冠たるものだ、こういった意味の、直接はユーザー関係はしませんが、間接的には、私は、大きく関係していると思うのであります。  したがって、そういった理解に立っていただいて、今のユーザーの方々にそう大きな経済的ダメージを及ぼさないという中で政府政策も出し、それからユーザー、それからまた産炭地の自治体はもちろんあると思いますし、また会社の努力もある、こういった中でお互いに協調でき得るのかどうか、全く自由取引以外は余地がありませんというのかどうか、その点について、外門参考人にお伺いしたいと思うのですが。
  43. 外門一直

    外門参考人 お答え申し上げます。  私どもの主張、先生おっしゃるように、ポスト八次策以降につきましては自由取引にさせていただきたいということを主張しております。ただ、これは、私ども物理的に引き取らないとかそういうことではございませんで、外炭との差額負担はもう私どもの業界にとっても許されない状況にございますと、これは冒頭にも御説明申し上げました。  それから、先ほどの御質問に対しても、先生、今IPPとおっしゃいました、IPPの関連、自由市場が形成されていく関係からいっても、私どもみずから負担するというのは大変難しい状況でございます。ほぼ不可能に近いというふうに申し上げております。  これにつきましては、詳しくは申し上げませんでしたが、ドイツが、実はコールペニヒ、従来、私どもと同じように電気料金に乗せまして、最終消費者、電気の消費者に転嫁してきているという歴史がございますが、これは一九九四年でございますか、憲法違反だということで、これは国が直接負担する、炭鉱会社に助成するということでございます。これの理由は、コールペニヒは石炭産業の維持という一般的な経済課題負担電気使用者という国民特定の層に負わせており、容認はできない、ただし、石炭産業への補助自体は問題としないのだということでございます。  これは、国を初め何らかの助成措置によりまして、価格において外炭と拮抗する、匹敵するものであれば、私どもは、国内炭でございますから、むしろアドバンテージを与えて、優先的に引き取らせていただきたいというふうに思っているわけでございます。しかし、今のような三倍という内外価格差については、私どもなかなか、内外の諸情勢を考えまして、とてもこれからは受け入れが難しい。その辺のところをぜひひとつ御勘案願いたいと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。
  44. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  私は、今言った電気事業者だけに負担お願いするということではなくて、先ほど申し上げましたとおり、日本は、一億数千万トン輸入する石炭輸入大国である。その石炭を使う方々、もちろんIPPもそうですし、今言ったセメント会社もそうですし、製鉄も原料炭を使っておりますし、それから電力用炭もそうだ。そういうすべてのユーザーの中での考えが一つ。私個人は、何とか会社の許容の範囲内でやってもらえれば、この炭鉱というものは将来に明るさがあるのではないか。もちろん、これは、国の政策を前提としての話を私はしているわけであります。  それから、内野参考人にお伺いしますが、日本は火山立国でありますから、地層の中は非常に安定しない。今言ったように、もう断層あり、褶曲あり、水漏れはもちろん出てくる。それから、坑内条件が難しい中で、そういったことを克服して、炭鉱の皆様方は、技術人は対応してきて、今日のようなああいうすばらしい採炭技術、それから保安技術、坑内の坑道維持管理技術、人車を初めとする運搬等の技術がある。  私も大体五、六回入っておりますので十分わかっておりますが、唯一、国内エネルギーのもととして石炭がある。あの海底の中に行きますと、もう上も下も横も全部石炭ですね。価格は別にして、感激するんですね。そして、ドラムカッターから落ちてくる石炭が川のように流れて、ベルトに乗っかって上まで行く。あの光景を私は初めて見たとき、ただもう本当に感激したものです。よくぞこの小さな日本列島の中で、あの海底を見て、こんなに固有の資源があるのか、こう感激いたしました。  そういう中で、万が一、炭鉱がほとんどゼロになってしまったら、日本の中にはフィールドがなくなります。そういったときに、今言ったもろもろのそういう技術というものが果たして世界に対して、日本輸入をする、輸入の交渉力もあるでしょうし、それぞれの使う方々がまたそれぞれ外国に出資しながらその安定供給を図ろうとすることもあると思いますけれども、特にこの技術といった面を総合的に考えて、この炭鉱二つあることとないことによる、極端な、極端と言ったらおかしいですけれども、説明ですね、やはりこの二つの炭鉱はあった方がいいんだという内野先生のお考えがあれば、ぜひひとつお聞かせいただきたいと思います。
  45. 内野健一

    内野参考人 全くそのとおりでございまして、私も、石鉱審の委員に任命されまして、あるいはその前から、この問題については、もちろん考えざるを得ない立場にございました。  先生もおっしゃいましたように、正直に申し上げますけれども、私も、二山がなくなったらどうなるのかという、そこが私の、自分なりの考えていくベースでございまして、その意味から冒頭の参考人陳述のときに申し述べたことが出てきたわけでございまして、二山がなくなるというのは、国から石炭生産の場がなくなってゼロになるということは、単に出炭量が一千万トンから五百万トンになるということと全然質の違う問題が出てくるのではないかというのが私の主張の原点でございます。  そこで、申し上げましたように、そうなると、結局、いわゆる頭がなくなると申しますか、お金があれば石炭は買えるかもしれませんけれども、極端に申せばですけれども、それをどこからどういうふうにして買ったら一番安定的な調達ができるかということもきちんと科学的に、冷静に、合理的に考える人材がいなくなるのではないかというような意味で人的資源という言葉を使ったわけでございまして、そのほかにも、いわゆる海外協力というのはいろいろな広い意味がございますが、そういったことも間接的には日本安定供給に寄与しているわけですが、そういうこともできなくなるということでございます。  それから、もう一つつけ加えることを許されますならば、こういう考え方というのは、今は、きょうは石炭だけでございますけれども、実はほかにも、石油、水力、地熱、原子力、いろいろございますが、そういったことにもひとしく適用しなければならない考え方でございます。石炭だけが特別扱いされなければならないというふうにとられがちでございますが、そうではなくて、結局、我が国のエネルギーというかけがえなく重要なものを安定的に供給するという意味においては、どの資源でもひとしく重要性を持っておるわけでございますから、そういった中での石炭であるということを忘れてはいかぬと私も申したいわけでございます。  まさしく先生がおっしゃいましたように、繰り返しになりますけれども、ゼロになるということは果たしてどうなのか。ドイツも減炭しておる、それこそ、フランスも少なくなっておる、イギリスも少なくなっておる、スペインも少なくなっておるということがございますが、フランス以外はゼロになるという話ではございません。  そういった意味で、我が国の現在のこの状態が、非常に例の少ない、初めて先進国が経験する、あるいは日本が経験することになりかねない。そうすると、そのときにどうなるかということを真剣に考えておきませんと、国家の百年の計と申しますか、そういう長期的な観点からするとかなり注意を要することである、そういう切迫感にも似た気持ちになるものですから、先ほどの陳述のようなことを申し述べた次第でございます。
  46. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 そろそろ時間でございまして、最後になりますが、私は、今内野参考人から申されましたとおり、炭鉱が全くゼロになる、そして大学でもその技術者がほとんどいなくなる、あるいはまたそれを志望する学生もいない、研究者もいない。そういう人材が枯渇してしまうわけです。するとすれば海外へ行って勉強しなくてはいかぬ、こういうことになりまして、非常に肌寒いものを感じます。  ですから、エネルギーというのは、何か一本に絞っていくというのは私は危険だと思います、日本としては。資源のない日本は、エネルギー大国でありますけれども、やはりエネルギー多様化という形で、どの部門もある程度配慮をしながら維持していく必要がある。これ一つ経済的にいいからこれ一本に絞っていくんだ、これでは、例えば中東にあのような戦争とか変化が起きるともう石油が入ってこないとか、あるいは原子力だったらまた原子力で、大変な事故が起きればこれまた大変だとかいうことで、いろいろな点を考慮すれば、私は、将来ともエネルギー多様化は避けられない。  そういう中で石炭の持つ意味は、確かに今、経済性の中では厳しい情勢でございます。しかしながら、今、有形無形の石炭が持つこれまでの蓄積されたもの、また今後研究されていくものを踏まえますと、やはり国内に稼働する炭鉱を持つべきである。これはもう、政府は十分その政策として考えていくべきである。私は、こういう観点に立ち、今後もぜひ、そういうことで政府の方に対しましてもいろいろと提言をしていこう、こう思っております。  きょうは、本当に参考人の皆さんの大切な、また重要なお話を伺いまして、大変参考になりました。ありがとうございます。
  47. 高木義明

    高木委員長 児玉健次君。
  48. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  四先生の御意見を、私、昨年の五月二十八日に発表されました石炭鉱業審議会合同部会企画小委員会報告書、これを手元に置きながら聞かせていただきました。  今私たちが議論している問題について、私自身の感想をちょっと申しますけれども、石鉱審であるテーマについて議論をなさり、同一のテーマで国会の中で並行的に議論をしている。そういう中で、議論の発展は当然あるわけですが、昨年五月のこの文章では、結局、二〇〇二年度以降の石炭鉱業のあり方についての検討、そこにそれまでの皆さんの御議論が集約されていって、そこでは二つの議論が紹介されている。  ポスト八次策は終了するので、それ以降、二〇〇二年以降において電力業界国内炭に係るコスト負担協力を求める理由がないという御意見。そしてそこで、一つ業界を他の業界が支えるという状況が継続することは不適切である。先ほど外門先生がこのとおりおっしゃいましたが、それが一つ流れである。  もう一つは、国産エネルギーであり、技術面で国際的な石炭安定供給及び我が国への海外炭安定供給確保に一定の貢献をしている国内炭鉱の存続を図るため、電力業界による国内炭引き取り協力も含め、国民全体で負担を共有すべき、そういう主張が紹介されて、今後に向けての意見の集約の第三点目で、国民経済的負担としてエネルギー政策観点からの国の支援の是非について検討すること、そういうふうになっておりました。  この五月の御議論をいただいて、六月の本委員会で私は、国民経済的負担、今内野先生がそれは石炭だけのことではないとおっしゃいましたが、私もそのように思いましたので、原油の備蓄、一九七六年から九七年にかけて、国家備蓄関係だけで四兆一千九百三十二億円、そしてそれに要するランニングコスト平成九年度二千八百六十三億円、まさしく国民経済的負担として私たちはそれを負担している。  一方、炭鉱はどうか。去年の五月、通産省からいただいた資料ですが、稼働炭鉱に対する補助金の交付額は、太平洋が三十一億七千万、そして池島は十八億三千万、合わせて五十億弱ですね。六十分の一ですよ。ここのところがやはり一つの着目点だ、そう私は思っております。  そこで、先ほどお伺いして、外門先生には最後にお伺いしたいのですが、安藤理事長のお話を伺っていて、最後安藤先生が、政府支援と地元の協力電力業界の理解というふうにおっしゃった。正確でないかもしれません。私の聞き取りでございます。  それから、内野先生には平成九年六月十二日のこの委員会で貴重な御意見をいただき、きょうまたおいでいただいたわけですが、内野先生の最後の御指摘は、長期的、短期的な視点、双方の角度からこの問題を見ることの重要性、マクロかミクロかともおっしゃって、そして、そういう観点から誤りなき判断が必要だということを先生は強調なさったと思うのです。  そして高村先生は、エネルギー問題をどのくらいの時間を単位に考えるかというふうに問題をお立てになって、そして国民的負担経済負担に絞って検討する段階に来ている、こうおっしゃったと私はお聞きしました。  今の三先生のそれぞれ結論的な部分について、もう少し御展開していただければと思いますので、安藤先生、内野先生、高村先生の順にお願いします。
  49. 安藤勝良

    安藤参考人 お答えいたします。  今先生がお話ししたとおり、前回の石鉱審の企画小委員会、最終的な結論のところに四つの点が指摘されていたわけですね。電力の今後の引き取り協力の問題、さらなる炭鉱の合理化、政府支援の是非、最後は地元の協力というこの四つが、要するに論点が整理されて次の石鉱審の政策部会に検討がゆだねられた、こういうことだと思います。  私の感じを申しますと、炭鉱のさらなる努力、これにつきましては、労使ともども必死の努力のもとに合理化を徹底しましょうということで、先日の政策部会でも発表された。これはもうこれ以上のあれは無理だろう、これは限界だろうというのが大方の意見でございました。したがいまして、炭鉱努力はもう認めてもらったと私は思うわけでございます。  国民的負担均衡点、そこが一番問題点なんですね。先ほど外門会長からも数字が出ましたが、仮に一万二千円、あるいは政策支援等が期待されたときに、どこまで電力さんの引き取り協力によって炉前に提供できるかということにもよりますが、いろいろな試算によりますと、先ほど外門会長からも言われましたように、かなり引き下がることも事実である。それが果たして国民の負担均衡点と見られるのかどうか、こういうことかと思います。  ただ、ほかにもいろいろなエネルギーが使われておるわけですから、ほかのエネルギーとの比較、例えばC重油、これは今二万円強だと思いますが、カロリー換算しますと一万四千円ぐらいだろうと思います。そうしますと、仮に石炭が一万二千円程度で提供できるということになると、これとの比較においては、決して高いわけではないということが言えるかと思います。  貴重な国際国内資源であり、かつ、これがいろいろな意味での国際貢献をして有形、無形の安定供給につながっている、ここはぜひ評価していただきたいと僕は思いますし、今、せっかく揺るぎない友好信頼関係を築いておるわけですから、これは必ず生きてくると僕は思うのです。日本が今ここで手を切るようなことになるとかえって大変なことになる、こう思います。  これはほかの新エネルギーも同じように、大変貴重な国際資源として、国内資源として、いろいろな意味で政策支援もしながら育成しておるわけですから、そういう面ともよく比較して結論を出すべきではないか。こういうエネルギーも同じ問題を抱えているのです。みんな、太陽なんか、これは簡単に安くただで入るなんて思っているらしいのですけれども、とんでもなくて、石炭以上に価格差がございまして、これもいろいろの場で議論がございます。  それは、生産者が負担するのか、供給者が負担するというのか、ユーザー負担するか、この議論はまだできていないと僕は思うのですね。今はまだ開発途上ですから、開発資金をどんどん出して価格差を埋めておりますが、同様の問題を抱えているのも新エネルギーだと思います。そういうものとも比較して、国民的負担均衡点、これは国際協力貢献の度合いとその兼ね合いも含めて検討すべき課題だ、こう思います。
  50. 内野健一

    内野参考人 お答えいたします。  長期、短期、ミクロ、マクロ、あるいは直接、間接という表現を使いましたが、それをもう少し詳しくということでございました。  長期と短期ということで一番最初に頭に浮かびますのは、やはりエネルギーの長期的な予測あるいは現状ということだと思います。  先ほども触れましたが、現在、石油が一バレル当たりおよそ十ドルということでございますが、専門誌によれば、この価格はさらに下がるであろう、五ドルになってもおかしくない、そして、その低調なレベルはなかなかもとに戻らないだろうという予測があるのだそうでございます。引用で恐縮ですが、その論文の最後に私の意見と同じことが書いてありましたので、申し上げますと、平穏なときは長くは続かぬ、長期にこれが続くと思うのは愚かであるという言葉でその論説が結ばれております。  そういうふうに、識者と申しますか、専門家も、やはり長期的に見た場合のエネルギーの不安定さ、不安要因があるということを認識せよということでございまして、短期的に見ますならば、こんな安い石油がたくさんあるのに何で高いものを買うかということになりますが、もちろん、すぐそれに走らないのは、多くの人がその不安定さを認識しているからであると思います。  それから、ミクロかマクロかということでございますが、狭く見れば、炭鉱は二つしかございませんし、その地域も、北海道は釧路に限られ、九州は池島に限られるわけでございますが、マクロに見ますと、先ほど申し上げましたような人的資源の維持、育成ということのほかにも、いろいろ地域に対する貢献等々のことがあるということでございます。  人的資源のことについては、具体的な例が幾つかございます。前回も申し上げましたが、今、貿易会社においても、この先十年すると、自分たちが、肝心なときに、商取引のときに相談できる石炭専門家がいなくなるのではないかと不安であるという担当部長の言葉がございましたということが一つの例として挙げられると思います。  それから、間接的、直接的ということでございますが、先ほども触れましたとおり、この問題を考えますと、やはり数字にあらわし得る問題、価格差ですとかあるいは価格の変動とかいう、数字であらわせる、言いかえると計量可能なファクターがもちろんございます。それでしか動きようがない部分が社会にあるわけでございますが、同時にまた、計量が非常に困難な問題がございます。それは、先ほどの人的資源の問題がその典型的な例であろうと思います。  関連して、先ほど失念いたしましたことを申し上げますと、日本では電力料金が上がりましたために、アルミの製錬所がゼロになっております。素材の専門家に聞きますと、それをもちまして、日本のアルミ製錬技術が消えたと言う人がいるそうでございます。そういうことを考えますと、その直接の、生産の現場がそこにあるということは、間接的にも非常に大きな意味を持っているということを我々は忘れてはならないと思うのでございます。  したがって、結論としては、この長期、短期、相反する二つの考え方のコンビネーションがたくさんございますが、総合的にこれを十分に考えないと、誤った大きな結論を引き出すことになるのではないかということで申し上げた次第でございます。
  51. 高村寿一

    高村参考人 私への御質問は、長期というのはどのくらいの時間を考えているのか、国民的経済負担というのはどういうイメージなのかという御質問であろうかと思います。  エネルギーの問題を考えるときは、冒頭申しましたように、やはり今の世代だけで考えることは非常に危険ではないかというふうに私は思うわけであります。最近、いろいろ格差の問題ということが社会的にも議論されますけれども、次世代との格差というようなことも展望に入れなければいけないと思います。  どうも我々日本人は、戦後、自分の世代というものの充実、あるいは欧米文化に対するキャッチアップというようなことで、現在のことを主に考えてきた、そういう思考パターンがあると思いますが、そのために、今構造変化が起こって、非常にシステムがうまくワークしなくなっているということがあちこちで見られるわけであります。多分そういうことも、エネルギーの将来を考える場合に、もうちょっと想像力というのか、中期、我々の可視範囲でいえば三十年とか五十年のところは責任を持って視野に入れるべきではないかと思います。  冒頭申しましたように、今、石炭は受難時代だと思います。それは、非常ににわかに環境問題というものが世界的にクローズアップされていますし、我が国の経済でいえば、財政問題もあります。それから市場に対する考え方が幾つか混乱も見えております。その中に石炭業界というものもあるわけですが、非常に今は厳しいということを申しましたけれども、それでは全くこれを否定していいのかどうかということは、やはり次世代感覚で考えなければいけないのではないかと思います。  例えば、新しい原子力の問題にいたしましても、これを供給力化するのには二十年とか三十年かかるわけですね、構想から。そういうようなセンスで将来を見る必要があるのではないかと思います。  私の時間的把握というのはそういうようなことでございまして、現在、埋蔵量はまだあるわけですし、お配りしたデータを後ほどごらんになっていただくと、内外価格差の問題でも、五十八年、五十九年は、輸入炭に対して一・三とか一・四という時代もあったわけですね。これは為替レートが非常に影響したと思いますが、オイルショックのときも逆転現象が起こったように、いろいろな局面がかかったようなことがございますね。  したがって、現在だけの、受難時代に合わせて議論することは、やはり我々は、まだ未確定の要素がたくさんあるのだということを考慮に入れて議論すべきだと思います。  それから、国民的負担との均衡というふうに問題が絞られてくるわけでありますが、この二鉱山が残った意味というものをもう一度私は考えてみたいわけです。  往時には八百五十も鉱業所があったそうですが、今は二つだけ。なぜなのか。これは生態的にいえば非常に奇跡的な生存だと思うのですが、私もよく分析しませんが、両海底炭鉱は、地形的に非常に傾斜が緩やかで恵まれているのだという報告もありますし、それから、非常に労使が協調してうまくいって、モラールも高いということですね。それから海外志向も非常に強いということであれば、これは存続の意義は、もちろん資格はあるのではないか思います。  では、それはどのような格好で残すかということですね。その負担をどうするか。後継に対する、赤字体質であるものをどう埋めるかですね。  これは今後、私どもも参加しております石鉱審でも大詰めに来るわけですけれども、私は、技術協力という視点から、あるいは地域の問題という視点から、やはりある適正のモデルが想定されるのではないかと思うんですね。それは現在よりは縮小するかもしれないけれども、このモデルを早く見出して、そして、それに対して、負担をどうするかという国民的な理解を得るということが道筋ではないかと思います。  それには幾つか政策的な判断があると思いますけれども、私は、市場か国家かというようなことではなくて、市場も国家も両方ここで一生懸命考えるべきではないかと思いますし、この負担の方法については、一つだけではなくて、電力業界電気業界意見もわかりますし、多様な選択の中から適正規模を維持する負担というものを割り出していけばよろしいのではないかと思います。  以上でございます。
  52. 児玉健次

    ○児玉委員 最後になって恐縮ですが、外門参考人に、先ほどのお話の中で、私も昨年ヨーロッパに参りまして、コールペニヒについて、あれでもう補助がなくなったという誤った報道が一時吹き回ったことがありますけれども、正確に連邦政府の補助が存在している。私たちが行ったところでは、州の政府の補助も重ねて出ておりました。  時間もありませんので、国民経済的な負担、その問題と今後の電力業界の展望、その点についてお答えいただきたいと思います。
  53. 外門一直

    外門参考人 お答えいたします。  それでは、最初のコールペニヒの話でございます。全く先生のおっしゃるとおりでございまして、縮小はしてきておりますけれども、政府の補てんということで今も残っているところでございます。  それから、では将来、電力、スタンスどうなんだという御下問かと思いますが、大変青臭い、学生のような主張を申し上げているようで恐縮でございますけれども、まず一つは、私どもプライベートカンパニーでございますので、やはり私企業の資機材、原材料調達というのは、冒頭にも申し上げましたようにフリーであるべきであろうというふうに考えているところでございます。  しかし、そういう状況の中でもなおかつ、実は長年にわたりまして、第一次の石炭政策から今まで、ポスト八次策まで協力申し上げているのは私ども電力のみというふうに申し上げて過言ではないかと思っております。  ただ、大変心情的には私も石炭産業を理解できるところでございますが、ぜひひとつ私どもの最近の置かれております状況を御理解賜りたいと思っております。なかなか、大きな格差を私どもが負担してまいるということはもう許されない状況かというふうに思っている、これは冒頭にも申し上げましたのでくどくど申し上げません。  それで、公益性の高い企業なんだから負担していいじゃないかという御議論もこれはおありかと思います。  ただ、私ども今課せられております公益性というのは、こうした特別の業界に対する支援ということではなくて、むしろユニバーサルサービスをどうしていくのか。あるいは、供給信頼度を、ほかの自由化したところでは若干下がっているとかいろいろな事故が起きておりますが、こういうことがないように信頼度をどうやって保っていくのか。あるいは、エネルギーセキュリティーの問題をどうやって責任を持って確保していくのか。それから、丸谷先生のときにちょっとお答えし損ないましたけれども、ベストミックスには環境の特性も十分我々考えていく。  それから、先生今おっしゃいました経済性、これは、電気の使用者に対する我々の義務であるというふうに考えておりまして、その辺のところを総合的に勘案しながらこれから対応していく必要があろうかと思っております。  それから、一点、先ほど安藤参考人のおっしゃいました、C重油相当ならば引き取ってしかるべきじゃないかというお話がございましたが、これは誤解を招くといけませんので若干御説明申し上げます。  C重油というのは、御案内のとおり、これは石油火力でございます。実は、C重油とカロリー等価では石炭火力経済性は成り立ちません。  と申しますのは、これは通産省の資料をごらんになっていらっしゃると思いますが、建設費が、C重油が大体キロワット当たり約十九万円、石炭火力が約三十万円ということでございまして、そうした設備にかかわります固定費を込みにした総合的な単価で比較しなければ、これは経済性の比較になりません。それでまいりますと、C重油カロリー等価では石炭火力経済性は成り立ちませんので、誤解のないように御理解を賜りたいと思います。  以上でございます。
  54. 児玉健次

    ○児玉委員 ありがとうございました。  この後も真剣な議論を続けていきたい、こう思います。
  55. 高木義明

    高木委員長 中西績介君。
  56. 中西績介

    ○中西(績)委員 朝からずっと論議が続けられまして、四名の方、長時間にわたっての回答をいただくこと、本当に感謝申し上げたいと思います。  先ほどからの論議をずっと聞いておりますと、大体出尽くしたような感じがしてなりませんけれども、私は、極めて単純にお聞きをしようと思っています。  それは、何と申しましても内外炭の価格差からくる問題として論議が中心的になされています。本来なら、私は、この問題は、短期あるいは長期的に石炭政策をどのようにやるべきかということが徹底して論議されて、国の施策なりあるいは私的企業の中でやられるべきかどうかについても本格的な論議がされなくてはなりませんけれども、その都度その都度、炭価だとかこういうところで大体とまったような論議がなされておるということが非常に残念です。したがって、これらを追求していく上で一番問題になっておりますのが需要面、価格の問題でございますから、一応ここを先にお聞きしておきたいと思います。  需要面で、アジア・太平洋地域の需要が増大をするであろうとか、あるいは、その後の世界経済状況によってオーストラリアの供給面がどのようになっていくかという問題等を含みましていろいろな問題がございますが、供給面が、産炭国インフラ整備が進まないなどということを理由にいたしまして需給不足が起こるというような御意見が皆さんの中であったということも聞いています。しかし、その反面、資源量が豊富なために需給は十分可能だ、こうした問題等が論議されておるようでございます。  今御出席いただいておる参考人の皆さんは、この点についてどのような見解をお持ちなのか、将来的に。これは短期的ということになりますと極めてまた問題があるわけでありますから、一定の将来展望をどうお考えになっておられるのか、この点についてお聞きしたいと思うのです。
  57. 安藤勝良

    安藤参考人 お答えいたします。  私、基本的にはエネルギーというのは全く不透明、不確実性、そういう特質を持っているものだと思います。石炭もそういう面では全く同じじゃないか、こう思うのです。今日、極めて需給が緩んでおるものですから、ややもすると、石炭は何ぼでも良質炭を買えるのじゃないかという感じがあるわけですが、私は、これは一時的なものじゃないか、こう思います。  その原因は、あくまでも、アジア経済危機により、もっとIPPもふえて需要がふえるじゃないかということだったのが、ぱたりと停滞しておる。それを目安に、豪州あるいはインドネシア、こういったところが増産体制に入っている。そこでいわゆる需給のミスマッチが起きたというふうに理解してよろしいのじゃないか、こう思います。  今のこの低迷した価格で再投資して将来の供給に不安がないようになり得るかというところが、次のポイントになると思うのです。豪州にしましても、今、再投資、新規投資は見合わせております。あるいは、新たなエリアに行くインフラも見合わせているというような状況でございます。また、インドネシアにおきましても、急激に増産体制に入りましたけれども、第二次世代、第三次世代の鉱区の開発については、まだそこまで手が届かないという状況にございまして、今後とも良質炭が安定的に供給され得るかどうかということについては、私は大いに不安がある。  したがって、いろいろな面で努力しておかないといけませんよというのが先ほどの私の持論でございまして、ロシアも、ガスに切りかえる、こう言われていながら、なかなかガスが来ないというので、極東はもう炭鉱が疲弊してしまって、地域のエネルギーも不足してしまった。今、七割ぐらいじゃないかと思うのです、自給率が。  ああいう面を見ますと、まだまだエネルギーについては不安定だ。環境問題も今度絡んでいますから、そういう意味では、やはり長期的な視点から見て、日本がとるべきことをきちんとやって安定供給に尽くすということが大事だ、こう思います。
  58. 外門一直

    外門参考人 お答え申し上げます。  冒頭のところでも申し上げましたように、石炭というのは、御案内のとおり、埋蔵量二百三十数年と言われるぐらい燃料の中では一番大量に埋蔵している資源でございますし、それから、これも御説明申し上げましたが、アメリカ、オーストラリア等、非常に政治的にも安定したところに産出するというようなことで、大変安定した、長期的にも安定したエネルギーソースというふうに私どもも評価いたしております。  また、私どももみずからこれの長期安定調達というものに努力しておりまして、これも御説明しましたとおり、長期契約を初め、あるいは亜歴青炭炭種を広げていくとか、いろいろな手段を講じまして、将来の安定調達に努めているところでございます。私は、化石燃料の中では一番埋蔵量も多うございますし、なお多うございますし、一番安定した燃料ではないか、断言はできませんけれども、相対的には安定したエネルギーソースというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  59. 内野健一

    内野参考人 お答えいたします。  先ほど申し述べましたように、やはり石炭石炭だけで論じられない面があるということでございまして、石油について申し上げますと、石油にこういったお話がございます。随分昔からあと三十年、三十年と言ってきたではないか、また三十年かということでございますが、ここに客観的なデータがございまして、最近はふえておりません。ということもありまして、現在のところ、先ほど申し上げましたように、およそ三十年ないし四十年先には石油供給量の極大値が来て、それから低下するであろうということでございます。  これに反して、今も御指摘ございましたが、石炭については、大ざっぱに申し上げますと、数百年の、命が長いということでございます。ですから、石油については、先ほど申し上げましたようなこともあり、かなり資源量的にも問題が近い、近いと申しましても三、四十年先でしょうけれどもあるということと、現在の、短期的にも非常に不安定要素がある。今は低迷しておりますが、それが長く続くという保証は何もないということで、それによってエネルギー市場がまた大きく揺れるということをまず認識しておくべきではなかろうかと思います。  それから、石炭についてでございますが、安定性というと、すぐ何かイコール、オイルショックという、非常に大きなショックというものが反対に見えてくるようでございますが、そうではなくて、オイルショックのような大きな波でなくても、そこに山と谷があって、それを健全に調達するというときには、オイルショックでないにしても、相対的には小さいけれども、それを安定的に獲得するということが必要なのではないかということでございます。  それで、石炭については、冒頭、参考人陳述のときにも申し上げましたが、現在はいろいろな評価がありますが、石炭資源量というのは、例えば千五百メーターの深度まで採掘が可能として計算したものが多うございます。しかし、実際は、物理的には可能でございますが、コスト的に考えて、千五百メーターを資源量の深さの限界とするのは無理ではないか。もう少し浅いレベルをとるべきではないかという意見があることも事実でございます。先ほど触れましたエネルギー経済研究所の最近号の雑誌にもございますが、緻密に調べていくと、石炭資源量ということについても注意深く見積もる必要があるということもございます。  それから、採炭技術が機械化の一途をたどるであろうことはほぼ確実でございますが、機械化が進行いたしますと、特に坑内掘りにおいては、自然条件に大きく左右される、自然条件の変化によって、機械化による採炭がしにくくなる、非常に弱いということも事実でございまして、そういうことになりますと、かなり複雑な条件が出てきて、それに伴って実際に採取できる炭量が、例えばある特定の炭鉱を考えました場合に、それが実際上減ってくる可能性もあるということで、要するに、石炭についても十分な注意が必要であるということでございます。  そういうことで、長期的についての石油の陰りと申しますか、短期的に見た問題、それから石炭についても十分注意しておく必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。
  60. 高村寿一

    高村参考人 埋蔵量については、内野参考人が御専門でございますから、もうそれでよろしいと思います。私の方の勉強でも、確認埋蔵量という言葉があるそうですが、石油は四十年ぐらい、石炭は百年以上、今二百年というお話ですけれども、これでなくなるというのではなくて、その辺がピークで、新しい技術があればまだ可能性はあるということだろうと思います。  私は、それに関連して、産業界全体を見回しますと、最近、やはり相当経営が難しくて、どの企業コスト、クオリティー、それからデリバリーですね、CQDという言葉を非常に意識してやっておるのですが、ある世界的な、有力の日本の精密メーカーが、最近、モットーのCQDの前にEというのをつけたのです。これはやはり環境なんですね。このぐらい日本企業というのは環境問題を意識してきたわけです。そうでないと戦えないということですね。  そうしますと、さっきの埋蔵量からいいますと、やはり石炭というものは、資源としては有利ですけれども、結局どういうような格好で勝負するか。コストもそうですけれども、やはりコールテクノロジーの開発、それから総合的なマイニングの技術、これを売り物にする、CCTの方はそれを武器にするという方向で、この豊富な埋蔵量を持つ石炭というものの将来が決まってくるのではないかと思います。  私は、これはもうぜひ技術突破をやっていただきたいと思います。オイルショックのときは相当議論が出たわけですが、それと同じような情熱を持ってやれば、豊富な埋蔵量日本も有利に生かせるのではないかというふうに思います。  以上です。
  61. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、供給面については、先ほどから言われておる埋蔵量だけで判断するというのも、いろいろあらゆる環境的なものから問題があるわけでありますから、そこらも含めてこれからどう判断をしていくかということが大変重要だろうと思っています。  さらにまた、時間がもうなくなってきましたので、価格の面についてもお聞きしようと思ったのですけれども、価格面におきましても意見が分かれておられるようであります。  いずれにしても、こうした問題についてさらに論議を深めていただくということは当然でございますけれども、先ほどから申されておりますように、炭鉱技術の問題、特にまた資源評価をするに当たっての技術、あるいは採炭集中制御の技術等を含みましていろいろ多くの問題がありますけれども、大変な進歩を来しておる。さらにまた、保安等についても、あるいは高能率の問題等につきましても全部、やはり炭鉱があって、その中でやられたというところに日本のこうした進歩があったということを私たちは見落としてはならぬと思っています。  そうしたことで、特に私、皆さんにお願いを申し上げたいと思いますのは、協調体制を国際的にこれからどうとっていくかということがなければ、日本安定供給価格の安定もあり得ないのではないかと思います。  したがって、そういうことになってくると、日本技術、こうしたものがどのように世界的に国際的に活用され、先ほどからお話を聞いておりますと、相当数、二百人を超える皆さんが交流なさっておられるし、また、日本で研修なさっておられるというようなことも含めて進んでおるようでありますが、もう一つ重要なことは、石炭がもう既にガス化あるいは油化の問題等を含みまして相当進歩しておるということからしますと、石油との差、そうしたものがだんだんなくなってくるという、当初私たちがこれらの問題を論議するときに随分指摘をし、そして論議してきたところなんですけれども、こうしたところがある程度解消されていく。  こういうことになってくると、ここで大変重要なことは、こうした状況の中で、この二炭鉱が置かれる位置づけというのをどのようにしていくかということが今論議されておると思いますけれども、この点が物すごく大事だと思いますね。そうしたときに、私はやはり、この二炭鉱を維持する、それが今度は、先ほどから外門参考人から申されておりますように、特定の企業にその負担をかけることがどうだという、こうした問題に発展せざるを得ないのじゃないかというような気がしてなりません。  したがって、国の政策としてこれから後、日本経済的な面の発展をこうしたエネルギー面でどう支えていくかということになってきたときに、この二炭鉱が、今までの経過からいたしましてもこれからも必要なんだということを、ちゃんとここで皆さんが論議を集中していただいてまとめていただけるなら、そのためにはどうするかということを、やはり国なり政策をどうするかということがこれから追求されていかなくてはならぬだろうと思っています。  そうした意味で、今までの論議は、私、長い間続けてまいりましたけれども、これは本来ならばもう少し前に出されておるべきではなかったかと思うのですけれども、今ようやくそこまで来ているようですから、この点はやはり徹底して御論議いただければと思っています。  そうすることによって、日本のこれから後の経済面における発展も、さらに国際的な貢献信頼性の中でまたこれらのものがつくり上げられていくということになるでしょうから、ぜひこの二炭鉱位置づけをその中でどのようにしていくかということを、国民の皆さんにわかりやすくしていただくことが一番大事じゃないかということを、皆さんの御意見を聞いておりまして感じました。そうした点をこれからもさらに追求していただかんことをお願い申し上げて、終わりたいと思います。
  62. 高木義明

    高木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会