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小林(守)
委員 民主党の
小林です。
中山委員に引き続きまして、
政府案とそして
民主党案、対峙されておるわけでありまして、この
PRTR制度についての
国民的な関心を盛り上げていくためにも、できるだけ、
法案の性格や骨子、それが浮かび出るような観点に絞って
質問させていただきたい、このように考えておるところであります。
九二年の地球サミット、リヨンにおけるサミットにおきまして、アジェンダ21が採択をされました。この第十九章にある、
化学物質に対する
情報提供の
システムを、
データベースをつくるべきだ、そして広く
国民の共有のものとして定着をさせていくことが、
化学物質の有害性を、
環境負荷を低減していく最大の有効な方式である、こんな提言がなされたわけであります。これを受けまして、九六年の
OECDの
勧告があったわけであります。
OECDの十四原則とか
ガイダンスマニュアルな
ども示されておるわけでありますけれ
ども、これらの原則やマニュアルに沿って、もちろん、当然のことながら
日本の事情も踏まえながら
法案がつくられてきたものというふうに思います。
全体的にこの
政府の
法案を見ていきますると、どうも、省エネルギー法のときに見せた
通産省のトップランナー方式、これを私は大変すばらしい発想だと思いますし、また、その方式で科学技術立国として厳しい
環境基準というか、
公害規制も含めたそういう厳しい規制をクリアしていく、技術革新を求めていく、これこそ
日本が二十一世紀に向かって技術立国として生きていく道ではないのか、そのように省エネルギー法の考え方には賛成をしておったわけなんですけれ
ども、このトップランナー方式という視点を、やはり
環境基準についても当然当てはめていくべき問題ではないのかな、私はこのように考えているわけであります。
そういう観点から見るならば、いわゆる
対象物質とか
対象事業者とか、さらには公開の
システム、これらについても、先進の
アメリカやEUその他の国の
制度と比べて非常におくれをとっているのではないか、甘んじているのではないか、こんなふうに思えてならないわけであります。
特に、
OECDの十四原則、
理事会
勧告などを見ても、地域の
市民の知る権利ということをしっかりと踏まえた
データベースをつくるんだ、その利用の
システムを考えるんだということも言われておるのですけれ
ども、例えば、知る権利という観点に立って見るならば、
政府の
法案は、個別企業の
データについては基本的には請求開示方式をとっているということですね。しかし、
アメリカなどでは、もう個別企業は全部
データベース、インターネットで即時に見られるというような
システムになっております。
それから、この
OECDの原則の中にも、
データの正確性を確保することが最大の命だと言われておりますけれ
ども、そして、そのことが
環境リスクの削減につながるんだということなんですけれ
ども、そのためには、住民に身近な、地域社会に身近なところにある自治体の
役割が極めて重要だ、こんなことも
勧告されておるわけであります。今日の
政府法案ではそれがちょっと、その趣旨には沿っていないのではないか、こんなことも強く感じます。
それから、
対象物質の範囲についても、柔軟な
制度の枠組みがないのではないか。かつての規制法、個別的な有害
化学物質に対する規制法の限界を超えていかなければならないのがこの
PRTR制度なんだと思います。ところが、どうも
政府法案については、化審法の考え方に沿って、いわゆる科学的に有害性が立証されたものしか規制できないという限界を超えていないのではないか、影響が残ってしまっている、こんなことで、
OECDの
勧告はしっかり受けとめていないのではないか、このようにも思えてなりません。
それから、企業の秘密についても、もちろん企業秘密については厳正にチェックをする必要があります、守る秘密はあるのですけれ
ども、統一的な
基準を、そして不服審査の
システムを担保していく、こういうことがないと、やはり省庁間、縦割りの弊害が出てしまうのではないか、こんなこともこの
法案では見受けられます。
私は、さっきも言ったように、
対象物質や
対象事業者や、さらにはその公開の
システムについてはトップランナーでやるべきだ。そういう観点に立つならば、
OECDの
勧告を
政府案はしっかりと受けとめていないのではないか、このように言わざるを得ないわけであります。そういう点で、
政府案と対案である
民主党案、それぞれについて総体的な評価、考え方を示していただきたいと思います。