運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-07-21 第145回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十一日(水曜日)     午後一時七分開議   出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       岡部 英男君    奥田 幹生君       奥谷  通君    木村 隆秀君       河本 三郎君    菅  義偉君       園田 修光君    竹本 直一君       中山 太郎君    林  義郎君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    山本 幸三君       奥田  建君    島津 尚純君       樽床 伸二君    中山 義活君       渡辺  周君    遠藤 乙彦君       中野  清君    福留 泰蔵君       青山  丘君    小池百合子君       達増 拓也君    金子 満広君       吉井 英勝君    前島 秀行君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         国務大臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       平林 英勝君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁調査         局長      小峰 隆夫君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         国税庁課税部長 河上 信彦君         厚生省健康政策         局長      小林 秀資君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         労働省職業能力         開発局長    日比  徹君         建設省都市局長 山本 正堯君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         警察庁生活安全         局地域課長   原田 宗宏君         商工委員会専門         員       酒井 喜隆君 委員の異動 七月十四日         辞任         補欠選任   吉井 英勝君     中路 雅弘君 同日         辞任         補欠選任   中路 雅弘君     吉井 英勝君 同月二十一日         辞任         補欠選任   新藤 義孝君     菅  義偉君   山口 泰明君     園田 修光君   小池百合子君     達増 拓也君 同日         辞任         補欠選任   菅  義偉君     新藤 義孝君   園田 修光君     山口 泰明君   達増 拓也君     小池百合子君 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件     午後一時七分開議      ————◇—————
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。
  3. 山本幸三

    山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。  きょうは、公正な取引という問題について、一つ具体的なケースを取り上げて御質問したいと思っております。  先般、テレビや新聞報道を見ておりましたら、通産大臣は、日米財界人会議で、これはビデオで出られたということでありますけれども、要するに、日本産業構造の転換あるいは規制緩和というのをしっかりと進めているんだ、この点は今後ともちゃんとやっていきますよという趣旨の発言をされたとお伺いしておりますし、私もそのことを大変高く評価しているわけであります。  私個人も、アメリカ議員さん方あるいは財界方々と話をしたり、あるいはヨーロッパの方々と話をしたりするいろいろな機会があります。特にアメリカ議員さん方とは、日米国会議員会議というのがありまして、これは超党派でやっているんですけれども、五月の連休のときには日本側から十四、五人行って、十一月にはアメリカ側からやってきて、毎年二回ずつ意見交換をしている、そういう機会があります。  そういう際に、いろいろアメリカ側から日本市場は閉鎖的だというようなことばかり言われるんですけれども、いやそんなことはない、ちゃんと規制緩和なり市場開放についてはしっかりとやっているんだという反論をし、むしろアメリカの方が、鉄鋼問題等、安易に市場閉鎖的な措置を講じることが多いんじゃないかという反論をいろいろやってきたわけであります。そういう意味で、私は、日本市場開放なり規制緩和というのは着々と進んでいるという期待なり信念なりを持っていたわけでありますが、最近、そうした信念を打ち破るようなケースが出てまいりました。  これは新聞報道で初めて知ることになったわけでありますが、六月十日の日本経済新聞の夕刊に大きく出たんですが、大阪府の大東市に、薬のアンプルをつくる会社ナイガイというアンプルメーカーがあります。実際には、ナイガイが仕入れて、そのグループの別の会社でつくって、製薬会社に販売している。このナイガイに対して材料を卸しているニッショーという会社があります。  薬のアンプルというのは、やはり薬の品質を長期間維持しなきゃいけない、そういう必要性があるものですから、その原料となるガラスというのは硼珪酸ガラスという特殊なガラスでありまして、日本でその原材料をつくっているメーカーというのはたった一つしかない。NECの子会社日本電気硝子という会社が、唯一、アンプル用特殊ガラス原材料として製造して、そして代理店を通じて各アンプルメーカーに卸しているわけです。  日本電気硝子契約している代理店東日本西日本に分けて二つありまして、西日本の方をこのニッショーという代理店が受け持ってやっている。日本ではそういう特殊ガラスを製造するのはただ一つですから、この日本電気硝子は、ニッショーと、東日本を担当する代理店に、それぞれ独占的な代理店契約を結んで、そして、西日本ではニッショーを通じて西日本アンプルメーカー原材料を提供している。そういう構図になっているわけですね。  薬のアンプルというのは市場規模は大体七十億円ぐらいということでありますが、ナイガイという会社はその最大手でありまして、大体三分の一ぐらいを占めているらしいんですけれども、このナイガイが、九三年ごろから、その原材料仕入れ先多様化する必要がある、そう考えまして、海外からその原材料輸入しようといたしました。実際に、韓国そしてドイツの会社アメリカ会社、それぞれ試験的に輸入して、これはそう簡単に全部輸入でかわるというわけにはいきません。  というのは、製薬会社は、やはり薬の品質保持ということもありまして、伝統的に製薬会社の方から原料ガラス日本電気硝子のものを使わなきゃだめですよというような逆指定があって、そういう仕組みになっているんですね。それをかえるというのはなかなか簡単にいかない。実際にかえるとなると、コストもかかるし、手続もかかるということで、いかない。  ところが、ナイガイの方は、将来的に、薬価等の問題もあるし、品質をちゃんと均一化して、そして高品質なものを国内でも海外からでも調達できるようにしておかないと、例えば、阪神大震災が起こったときに一時的に薬のアンプルというのは供給が少しとまったことがあります。これは短期間で済んだんですけれども、そういうことを考えると多様化する必要があるということで、海外業者と話をして試験的に輸入して、その品質検査等をやってきたわけですね。  そしたら、ニッショー代表者、あるいは日本電気硝子の役員さん方は、海外からそういう輸入をし出したということを察知しまして、九四年ぐらいから強烈にその輸入をとめようとする行動に出ました。日本電気硝子ニッショー代表者たちが、ナイガイに対して圧力をかけた。  ニッショー代表者は、ナイガイ代表者に対して、ナイガイは村のおきてを破った、信義にもとる、信義とは日本電気硝子生地管を使うことだ、日本電気硝子は怒っている、そう言って、海外、特に韓国からの輸入をとにかくやめろと言ってきた。自分日本電気硝子から代理店の役目を果たしていないと責められている、ともかく韓国から入れるのをやめさせろ、何とかナイガイ圧力をかけろと言われているんだ、そういう発言をして、とにかくやめろという圧力をかけてきました。  具体的に圧力をかけてきて、九五年の四月からナイガイに対してだけ一方的に原料値上げを通告して、高い値段、そして、現金決済じゃないとだめですよというようなことで、具体的な行動に移ってきた。ナイガイの方は、その値上げに納得しないで、従来の価格で支払いを続けてきたんですけれども、九七年の八月から一部の原料供給が停止して、ことしの四月下旬から完全に供給がとまっている、そういう状況になっています。  ナイガイの方は、大変困った状況になりまして、そこで、裁判所に対して、一方的な値上げの分は納得できない、その部分は債務不存在であるという訴訟を起こしている。そして、これまで発注していた九百トンの生地管供給するように裁判所に仮執行の申請をして、いずれも裁判で勝つんです。  裁判で勝つんですが、ニッショーの方は、裁判でそんな結果が出ようがどうしようが関係ないとばかりに、出荷を全面ストップ。そして、裁判所執行でとりに行くと、当初は工場の電気を消してどこにあるかよくわからないというような行動にも出たり、そして、何とかそれも裁判所の協力でとれる分だけとるということでありましたけれども、九百トンのうち約百トンしかとれない。残り八百トンは、いやとにかくないんだ、それは日本電気硝子自分のところが発注していないから、来ていないんだからないんだといって、結局、この訴えた裁判命令自体が効果を上げない状況になって、大変困っている。  だから今、ナイガイさんの方は海外から、そういう事態を見て海外業者はできるだけ協力しようということで、航空便緊急輸入をやったりして何とかやっていますが、こうした状況が続くと、先ほど申し上げたように、製薬会社日本電気硝子ガラスじゃないとだめですよという逆指定をしているものですから、全部をかえるというわけにはいかなくて、危機に瀕しているという状況にある。これが続けば、結局のところナイガイは倒産せざるを得ない。  そして、倒産すると何が起こるかというと、まさにニッショー代表者が言っているように、村のおきてである、海外輸入は一切認めない、日本自分のところを通じてしか日本電気硝子特殊ガラスは買えませんよという体制が確立して、そして、輸入によって原材料多様化危機管理ということを念頭に置いた対応もとれなくなる、そういうことになるおそれがあります。  そういう問題が起こりまして、新聞報道によりますと、さすがに公正取引委員会は、これは問題だということで、ニッショーそして日本電気硝子に対して立入検査に入ったということでありますけれども、このケースについてどのように公取としては取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  4. 平林英勝

    平林政府委員 お答えいたします。  先生が御指摘になりましたアンプル用生地管の件につきましては、先生からも御紹介がありましたように新聞報道されているところでございますが、本年六月に私どもで、アンプル用生地管販売代理店等々に対しまして立入検査を行ったところでございます。そしてその後、関係者から事情聴取をするなど、鋭意審査を進めているところでございます。
  5. 山本幸三

    山本(幸)委員 その審査は大いに進めてもらわなきゃいけませんけれども、ちょっとお伺いしますけれども、こういうふうに値段を一方的にその会社についてだけつり上げる、輸入している限り懲罰的な価格にするというようなやり方、あるいは、日本電気硝子ニッショーとの間では独占的な代理店契約があるわけでありますけれども、そういうふうに、独占的に代理店契約をして、輸入をしようとする場合にはこれをストップさせよう、そういう行為は、もうそれだけで明らかに独禁法違反じゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  6. 平林英勝

    平林政府委員 お答えいたします。  特定業者に対しましてだけ値上げをするということ、そのことではなかなか独禁法上問題となるのは難しいかと思いますけれども、なぜ特定業者だけをねらい撃ちして値上げをするか。  本件審査中でございますので、個別の事件につきましてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申し上げて、例えば、その値上げの背景に競争品を取り扱わせないというようなことがございまして、その実効を確保するために制裁手段としてそういう特定業者にだけ値上げをするということになれば、競争品取り扱い制限ということで、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当するということが考えられようかと思います。  それから、独占的代理店契約でございますけれども独占的代理店契約、私ども一手販売契約というふうにも言っておりますけれども、それは、例えば総代理店としてそういう契約がとられるわけですけれども、それ自体はなかなか問題にするということは難しいかと思いますけれども、やはり、市場における有力な事業者輸入品を含めまして競争品取り扱いを制限するというふうなことがあれば、先ほど申し上げたような不公正な取引方法の問題が生じてくるかと思います。
  7. 山本幸三

    山本(幸)委員 この辺は、私は公取存在意義が問われている話だと思うのですね。常識的に考えれば、もう明らかに不公正な取引ですよ、これは。それを公取としてはしっかりと証拠固め等をしていかなければいけないということだろうと思いますから、大いに頑張ってもらいたいと思います。  こんなことがまかり通っていたら、我々はアメリカ議員に対して何にも言えなくなる。板ガラスの問題を言われて、私は、そんな心配ないんだ、日本では公取もちゃんとやっているし、競争制限的なことはない、結論が出ているよという返事をこの前の五月のときにやってきたばかりですからね。だけれども板ガラスなんとか言っているけれども、これは特殊ガラスだけれども、こんなことをやっているじゃないか、どうせほかのところでもやっているに違いないという話になってしまうのですね。そうすると、本当に我々は言う言葉を失うのです。  ここは、公取としては、そういうことがないようにしっかりやってもらいたいと思います。私は、これは今後ともずっとフォローしていきたいと思っています。  公取にお願いしたいのですけれども、ただ、こういう問題は、公取の使命としてしっかりと証拠固めをする必要があるというのはよくわかりますが、ある意味でいうと、時間との勝負なんですね。つまり、ニッショーなり日本電気硝子がねらっていることは、とにかくこういう問題が起こって、役所がああ言おうこう言おうというのを少しその場しのぎをしておいて、そしてナイガイがつぶれてしまえば、結局のところ目的は完遂したことになる。その結果、将来とも輸入をしようというような危険を冒す企業は一切なくなって、村のおきてが貫徹する。それをねらっているわけですね。  このナイガイをほうっておけば、どのぐらいもつかわかりません。一、二カ月もつのかですけれども、そういうことをやろうとする企業は、その時間を考えながらやっているのであって、公取がのろのろしていれば、例えばがんの手術をして、がんは治ったけれども人間は死んでいたということになってしまったら、何の意味もないわけですね。そこのところは、時間の勝負という観点を持って、迅速かつ効果的に結論が出るようにしてもらいたいと思いますけれども公取の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  8. 平林英勝

    平林政府委員 私ども輸入品を妨害するとかあるいは市場アクセスを制限するような行為につきましては重点的に取り締まるという方針でいるわけでございますが、事件審査につきましては、これはもうそれぞれの事件ごとケース・バイ・ケースで、通常ですと半年から一年かかるという状況でございまして、本件につきましても、できるだけ速やかに審査を終えて結論を出したいというふうには考えているところでございます。
  9. 山本幸三

    山本(幸)委員 まさにその辺をねらってやっているので、迅速にやっていただきたい、そのことをぜひお願いしたいと思います。  ところで、この日本電気硝子は、ニッショーを通じて韓国に対して輸出しているのですが、品種によってちょっと違うのですが、国内でその特殊ガラスを卸すときは、平均してキログラム当たり大体七百円で卸しているのですね。ところが、韓国に対しては、これをキログラム当たり約二百円弱で売っているのです。韓国でそういう行動があるということで、韓国競争相手をつぶしてやろうというふうにねらっている、そういう発言も行われていたと聞いておりますけれども、これはある意味でいうと明らかにダンピング、あるいは日本国内製品が異常に高いか、どっちかですね。  ダンピングというのは、普通私どもの常識からいうと、海外から入ってくる商品が余りに安過ぎて、それが国内企業に対して致命的な悪影響を与えるというときに大体観念する概念であります。この場合は逆ですけれども、明らかに輸出するときにダンピング行為をやっていると思える、そういう場合には、WTOの規定なりあるいは国内法なりで、どういうところで取り締まることができるのか、その辺について通産省にお伺いしたい。
  10. 近藤隆彦

    近藤(隆)政府委員 お答えいたします。  御指摘韓国に対する輸出の件でございますけれども、私どもが調べた範囲内では、ニッショーそのもの医薬品容器ガラス原料、いわゆるアンプルガラス管でございますが、これを直接輸出しているのではないようでございまして、ニッショー取引相手の中にアンプル用ガラス管韓国に輸出しているような企業があるようでございますけれども価格等につきましてはちょっと状況を十分つかめておりません。  いずれにしましても、もしそのような問題でダンピングといった問題があれば、一義的には相手国側の方の要請といいましょうか、向こうの方の判断ということを中心に処置をとりますので、私どもとしましても十分注意をしてこれから見たいというふうに思っております。
  11. 山本幸三

    山本(幸)委員 韓国の方は、これはダンピングであるという提訴を準備しているというふうに聞いています。本来はそれが始まってからの問題だろうと思いますけれども、ぜひ通産省の方も、しかも公取の方も、逆に考えれば日本で不当に高くやっているということですから、その辺の問題意識を持ってこれから検討してもらいたいなと思います。  もう一つ、これは薬のアンプルということですから、厚生省さんにちょっとお伺いしたいんですけれども、まさに人命関係する話なものですから、単に不公正取引ということだけの問題ではない。  この薬のアンプルというのは、簡単に変更できるかというと実はそうでもない。もちろん製薬会社によってはアンプルが代替的にできるところがあって、ナイガイがつぶれてもほかのところに移せるというものもありますけれどもナイガイ製薬会社で一緒に共同開発しているようなもの、あるいはお医者さんに聞いても、今まで患者さんに一番最適と思って渡していたアンプルで入れた薬が突然なくなってしまうというのは、だからといってすぐ簡単によその会社のものに変えるというわけにはいかない。  そういう意味では、そういう薬、人命に関するものとして、供給多様化を図ろうとするナイガイのそうした行動、あるいはそう簡単には変えられないというお医者さんのそういう意見等を考えると、やはり製薬会社に対しても、そういう問題を認識して、多様化なり、今後は日本電気硝子製品じゃないとだめですよというような考え方は少しずつ改めるように指導するとか、そういう問題意識厚生省としては持っていないんでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  12. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今先生がおただしのように、医薬品というのは安定供給というのが非常に大切なことであります。そういう意味では、大変重要なことだと思っております。  ただ、厚生省立場から申し上げますと、医薬品安定供給に支障がない限り、厚生省としてコメントをするというのは難しい、こういうふうでございます。御理解をいただきたいと思います。
  13. 山本幸三

    山本(幸)委員 そこのところは、私は、厚生省として何も言えないというような立場じゃないんじゃないかなと思うんですね。これは命にかかわる話になる。あるいは、実はナイガイとある製薬会社と共同で開発しているものは、海外に出されている製品で非常に有力なものがある。つまり、それがストップしたら、国際的に使われている薬が突然ストップしてしまう、これは他にかえられない。そういう状況になるので、厚生省、何も知らぬで済むというような話じゃないと私は思いますので、そこのところはもう少ししっかりやってもらいたいと思います。  最後に通産大臣にまとめとしてお伺いしたいんですけれども、まさに大臣一生懸命頑張っていただいて、経済構造改革あるいは規制緩和、本当にさま変わりなように変わってきていると思うんです。そして、四極通商会議でもいろいろ批判されたのをはねのけて、しっかりと日本はやっているんだということを強調してこられたと思うんですが、こういうケースが起こって、そして国際的にも注目されて、結局、日本は口では言っているけれども実際はこんなことばかりが行われているんだろう、村のおきてなりがあって、それに外れるものは全部つぶされてしまうというようなことが起こってくると、せっかくの大臣発言が正当に評価されない。  私どもも、先ほど申し上げたようにアメリカに行って堂々と自信を持って、日本はちゃんと市場開放していますよ、規制緩和していますよということが言えなくなる。そういう気がするんですけれども大臣御所感をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  14. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 実は今、全体の話を伺っていて、余り、ナイガイという会社に直ちに同情したくなるようなストーリーにはなっていないのではないかというふうに私は聞きました。  なぜそういうふうに私が感じたかと申しますと、今のガラス製品というのは汎用のガラス製品ではなくて、医学的な安全性の極めて高い製品をつくるという分野の製品でございまして、恐らくその原料供給するところも、そういうことを長年研究し、相当苦労しながら原料供給体制というのをつくってきたんだろうと思います。一方では、そこだけでは満足できなくて、海外をいろいろ探したけれども、なかなかレベルの高いものが見つからない、こういう判断に至ったんだろうと思います。  いずれにしても、直ちにどっちが悪いかいいかということは言えないと思いますが、ストーリーとしては、余りどっちかに同情的な気持ちにはなれないというのが、先生のお話を伺っていた正直な気持ちでございます。  ただ、法律の問題としてどう考えるかということはございまして、現在、公取独禁法に照らしていろいろ物を考えているようでございますから、独禁法の精神に照らしてどう裁くか、判断をするかという問題はありますが、今の関係会社の折り合いをよくするというのは、経営判断とは別に、やはり人間関係とか長い間の取引の積み重ねとか、そういうもので日本の社会は成り立っているわけでございまして、外国のようなドライな取引慣行というのは多分、理論の世界としては成立しても、実際日本の社会にはそういうものは定着しないだろうと私は思っております。  いずれにしても、現在、公正取引委員会が厳正に物を考えておりますので、その結論を待ちたいと思っております。
  15. 山本幸三

    山本(幸)委員 以上で終わります。
  16. 古賀正浩

    古賀委員長 松本龍君。
  17. 松本龍

    ○松本(龍)委員 民主党の松本龍であります。  昨年のちょうど今ごろ、夏に、大阪を中心に関西で看過すべからぬ事件が発生をいたしましたので、その問題について大臣にお尋ねをしたいと思っております。  まず、事件の概要から御説明を申し上げます。  大阪の中心地、梅田から難波までを南北につなぐ御堂筋、一流企業の本社ビルが建ち並び、大阪経済のメーンストリートとも言えるこの通りに面したビルに、長引く不況の中、業界で業績を伸ばし続けていた調査会社、アイビー社並びにリック社がありました。一九九八年、昨年の七月二日、大阪府は、この調査会社二社に立入検査を行いました。部落差別につながる調査禁止した、部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例に違反している疑いによるものです。大阪府の調査に対して、二社は差別調査を行っていた事実を認めて、規制条例に基づく行政指導を受け、そのうち一社は、届け出違反で大阪府警南署に告発をされました。こういう事件の概要であります。  具体的に言いますと、今から二十四年前に部落地名総鑑というのがありました。部落の出身であるかの調査が行われ、履歴書等々に、もしそうであれば巧妙なやり方で、例えば米印をつけてそうであるという旨を報告するやり方。あるいは、ABCDの評価をつけながら、部落出身であるかはもとより、例えば在日朝鮮人あるいは韓国人であるかどうか、あるいは、宗教の問題ですけれども、創価学会に入信し聖教新聞をとっている、あるいは、父親がある労働組合の専従であるというようなことも調査をされているのがつぶさになりました。この不景気の中、就職の問題でさまざまな困難がある状況の中で、その困難を抱えた求職者が排除されていくシステムがここに露呈をされてきたわけであります。  御聡明な大臣ですからもう言うまでもありませんけれども、憲法十四条の第一項には、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とあります。また、十九条では、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」第二十条では、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」そして、第九十七条には、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」というふうに書かれております。  部落地名総鑑から二十五年たった今、いまだにこういうことが行われている。そして、就職の問題でありますから労働省の管轄でありましょうけれども、産業全体に広がっているということで、まず冒頭、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  18. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 企業の採用選考に関して御指摘の身元調査事件が発生したことは、極めて遺憾であると認識をしております。  人権は人間の尊厳に基づく権利であって、尊重されるべきものであります。不当な差別のような一方的な人権侵害は、決して許されるものではございません。企業の活動においても、人権尊重の精神にもとるような行為は絶対に許されません。  通産省としても、かねてから、企業の社会的責任の自覚を促し、企業における人権啓発に鋭意取り組んできたところでございますが、本事件についても、経済団体に対して既に注意喚起を行っております。今後、一層強力に啓発に取り組むとともに、経済団体や企業に対して全力で指導に当たってまいります。
  19. 松本龍

    ○松本(龍)委員 お話をお伺いしましたけれども政府委員の方で結構ですが、通産省、今までに具体的にはどういう教育啓発活動を行われているのか、お伺いをしたいと思います。
  20. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  通産省といたしましては、企業トップへのセミナーを行ったり、あるいは各地における産業振興懇談会の開催などを通じまして、産業界に対する啓発事業を実施いたしております。それとともに、所管の法人あるいは関係団体並びに地方自治体の商工部門などへの、研修等を通じました関係方面への啓発も行っているところでございます。また、通産本省及び通産局の職員に対する研修も行ってきております。  今後とも、産業界に対する人権啓発活動に一層精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
  21. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ことしの春でしたか、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案が成立をいたしました。私も質問に立ったわけで、その中で、特定四業種というのがありました。エステティックサロン、学習塾、外国語会話教室、家庭教師派遣という四業種があって、私はその次に苦情が多いのは何かと尋ねましたら、結婚情報サービスで、年間千二百件と言われたことを今思い出しております。  かつて、もう五、六年前でしたか、結婚相談所においても、先ほど申し述べましたように、身元調査で差別事件が発生をしました。御承知のとおりだというふうに思います。詳細はここでは省きますけれども、そういった中で、九五年の三月に、通産省では「結婚紹介業者の入会受付等に当たっての対応について」という行動指針を発表されたと思うんですけれども、それが今どのように徹底をされているか、周知をされているか、御質問したいと思います。
  22. 近藤隆彦

    近藤(隆)政府委員 今先生指摘のガイドラインと申しますか、これは平成七年の三月に、通産省から関係自治体とか結婚相談に関します団体に対しまして、通達として出したものでございます。  この中では、基本的人権を侵害することのないように万全の配慮をすること、さらに、具体的に結婚相談に関連しまして、独身証明を求める際には、申込者の意思とか心情に十分配慮して、市町村等におきまして独身証明を行っている場合にはそういったものを使うこと、さらには、個人情報を目的外に使用しないこと等々、具体的に幾つかの点を指摘しております。  その後、この通達が徹底されますように、地域の通産局あるいは関係自治体から成ります連絡会議をつくっておりまして、現在、地域地域によって若干差はございますけれども、この会合が行われておりまして、その趣旨の徹底ということを図っております。また、業界の方におきましても、自主規制をきちっと改善しまして、業界における事業者の教育といったものにつきましても徹底するように取り組んでいるというふうに承知をしております。  その後、平成七年以来でございますけれども、現在までのところ、一定程度のこういった趣旨の徹底、浸透は進んでいるのではないかというふうに理解しておりますけれども、もちろんおっしゃいますとおり、特に結婚に関する差別といいますのは、人生におきます大変重要な問題でございますので、大変深刻な問題というふうに理解しております。今後とも、結婚相談業におきましてこういったことがないように、引き続き適切な指導、対応をしたいというふうに考えております。
  23. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、一定程度というふうに言われました。そして、最後の方には、人生における大きな問題であるというふうに言われました。それはそれとして承りますけれども、このガイドラインの中で、ちょっと読ませてもらいますけれども、「一、事業者は、入会・参加申込み者からの個人情報の収集等に当たっては、基本的人権を侵害することのないよう万全の配慮をすること。また、入会・参加申込み者への対応に当たっては、」ここからがちょっと問題なんですけれども、「この点について十分に配慮・注意し、誤解等が生じる様な対応を行わないこと。」とありますけれども、この誤解が生じるような対応は行わないことというのは、どういうことなんですか。
  24. 近藤隆彦

    近藤(隆)政府委員 お答え申し上げます。  この点は、結局、結婚相談サービスという事業の性質上、どうしても独身であるということのいわば公的な証明が必要だということでございます。しかしながら、そのために本来必要でない部分が結果的に情報として開示されてしまうということで、いわば結婚相談サービスとして必要な情報をとるときに、あたかも違う格好の情報までとる、そういった変な誤解といいましょうか、必要のないことが行われないようにということで、できれば必要最小限の情報収集、情報の把握でとどめるように、こういったような趣旨でございます。  いわば、結婚情報サービスに最小限必要な情報で事業の遂行を図るべし、そういうことでございます。
  25. 松本龍

    ○松本(龍)委員 独身証明の話はそれでいいんです。ただ、「誤解等が生じる様な対応を行わないこと。」ということについて、先ほど言われましたように、最小限のことに、人権に配慮してやるんだということをもう少し言えばいいわけじゃないですか。そうでしょう。  先ほど言われましたように、これは人生における大きな節目であると同時に、その人の人生に、自殺まで追い込むような状況があるわけですよ。皆さん方通産省としては、担当をしているからということではなくて、まさに、その当事者にとっては、一生のことがこのことによって行われている。ですから、この文言も含めて精査をしていただいて、結婚も、憲法でいいますと、二十四条に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」というふうにあります。  ちょっとひどい話をこの間聞いたんです。これは相談所ではありません、興信所の話ですけれども、例えば、身元調査をして報告書を出して、最後に、このお二人の仲を裂きたければそういう部門も私どもにありますので御一考くださいというふうな文言が入った報告書があるそうです。これはまた聞くにたえない状況であります。  興信所あるいは結婚相談所でそれが行われているかどうかはわかりませんけれども、まさにそういう大きな状況があるということを御認識いただいて、このガイドラインも精査をしていただき、先ほど、各通産局を通じて全市町村の商工担当課に送付した、また、大手十社でつくる結婚情報サービス協議会にも直接通知をされたと言われました。このガイドラインの精査をされること、また、不十分でありますけれども、周知徹底をされることを、もう一度お尋ねしたいと思います。
  26. 近藤隆彦

    近藤(隆)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生おっしゃいましたとおり、訪問販売法等の改正で、今回実はさらに詳しく業界の実態をよく調べようと思っておりまして、本年度等々、予算もとっておりますので、実態を十分調べたいと思っております。  それを踏まえまして、こういったことが行われないように、今後どのようなことをしたらいいか、十分通産省としても真剣に考えたいと思っております。
  27. 松本龍

    ○松本(龍)委員 最後に、大臣にもう一度お尋ねをしたいと思います。  今申し上げましたとおり、就職、まさに最初の人生の節目だと思います。結婚もまさに節目だと思います。特に就職については、これからの三十年、四十年の人生を決める状況の中で、そういった就職差別が行われてくる。紙切れ一枚で三十年、四十年の人生を棒に振ることになる、非常に大きな問題だと思います。この大切なものに関してこういう事件が後を絶たない、憤りを覚えるわけであります。  調査会社が許せないことは言うまでもありません。しかし、こういうビジネスが存在するということは、依頼をする企業があるから存在するわけで、そういう意味では、昨年の七月のこの事件では、千四百社とも言われる企業が依頼をしていたと言われています。大阪では、在阪の経済五団体がコメントを出しております。  大臣におかれましては、これは就職ということで労働省の管轄になろうかと思いますけれども、事産業界あるいは企業経済団体に対して、これからまた強力な指導をすべき立場にあられると思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  28. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 本件は、人権に関する極めて重大な問題であり、経済団体初め産業界に対し、こうした就職差別につながるおそれがあるような行為を絶対に行うことがないよう強力に指導する決意であります。
  29. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、前向きな姿勢で御発言があったというふうに思います。先ほど言いましたように、これは人生の大きな節目、その人の一生にかかわる問題です。ですから、一定程度減った、一定程度なくなったということではなくて、やはり一つも許さないという状況の中で、これから通産省あるいは大臣も頑張っていただきたい。  そのことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  30. 古賀正浩

    古賀委員長 大畠章宏君。
  31. 大畠章宏

    ○大畠委員 松本龍委員に引き続いて、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、ことしの七月十二日に、敦賀原子力発電所二号機において、原子炉格納容器内で大量の一次冷却水が漏えいする事故が発生いたしました。私ども民主党としても、十九日に調査団を派遣して調査をしたところでございます。まだ調査のさなかでありますが、この件について最初に質問をさせていただきたいと思います。  五十一トンもの炉水が、一次冷却水が漏えいしたわけでありますが、格納容器外には一滴も出なかったということについては、関係者の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。さらには、情報公開についても、地元の話を聞きますと一生懸命情報公開もやっていただいたということでありまして、この件についても評価をしたいと思います。しかし、原子力発電所に対する県民の信頼を損なう結果になったということについては、大変残念な事故でございます。  今回、現地に行きまして、栗田知事の方からは、原因究明と抜本的対策を徹底してもらいたいという要請。いわゆる再発防止を図ってもらいたいということと、情報公開と広報の強化を図ってもらいたい。あるいは、福井県のイメージというものが非常に損なわれてしまうので、このイメージアップをどう図るかということについても検討してもらいたい。さらには、安全性の確保、いわゆる定期点検、定期検査をさらに充実強化するとともに、事業者に対し安全管理の徹底を厳しく指導してもらいたい。そしてまた、異常時の対応として、事業者に対し、原子力発電所の異常時における地方自治体への迅速かつ的確な通報体制の確立と、それを厳しく指導してもらいたい、こういうふうな要請も受けました。  敦賀の河瀬市長からは、同様に四点要望を受けたわけです。国は早急に原因究明を行うとともに、抜本的な安全対策を講ずること。二つとして、原子力発電所の事故発生時において、安全管理の責任者である国が前面に出て、地元での初期対応など必要な措置について総括的指揮をとること。三点目には、原子力発電所の定期点検を充実強化すること。なお、定期検査を短縮する方向にあるが、事故故障や労災事故等の増加を招いているとも考えられるので、これを改めること。四点目には、原発の事故故障に起因する風評被害について、早急にその発生を防止するための広報対策を講ずること。また、正確な情報を適時適切に行い、市民、国民の不安解消に努めること。以上のような要望を受けました。  私自身も格納容器内に入りまして、その事故の現場も見てまいったところでありますが、現在、その部分については切り出して、事故の原因究明に努めているということでありますから、何が原因だということをお聞きすることは後日にさせていただきますが、いずれにしても、早急の原因究明と対策を明らかにして、地元住民の不安解消に全力で取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  そこで、この問題について現在通産省としてどのように取り組んでおられるのか、状況について御報告をいただきたいと思います。
  32. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 通産省といたしましては、トラブルが発生しました七月十二日以降、資源エネルギー庁審議官を中心といたしまして、原子力安全規制担当課が一体となって、事業者から逐次報告を受けておりますし、また現地に職員を派遣して状況把握に努めてまいっております。今後、徹底した原因究明及びそれを踏まえた再発防止策の策定に向けて、検討を行っているところでございます。  この再発防止策の検討に当たりまして、あるいは原因究明に当たりましては、材料、システム安全、品質管理などの分野の専門家、当省が持っております原子力発電技術顧問の御意見も伺いながら進めているところでありまして、また、検討内容、途中過程につきましては、適宜、原子力安全委員会に報告をしていくこととしております。  また、当面の安全対策という観点から、二つの指示を電気事業者に対して行いました。一つは、運転中のプラントについては、当面の間、各種パラメーターの監視、パトロールによる点検等に細心の注意を払うこと。二つ目には、定期検査中の同型プラントについては、類似の再生熱交換器の配管の健全性を超音波検査等により確認し、結果を報告することの二点でございます。  既にすべてのプラントについて異常がなかった旨の報告を受けているところであります。なお念のため、同型のプラントにつきましては、今後とも、通常より高い頻度で格納容器内の当該熱交換器の点検を実施し、安全確保に万全を期するように、改めて指示をいたしました。  御指摘のございました地元の県、市の御要望、我々も仄聞しているところでございまして、今後さらに対応に万全を期したいと思っております。
  33. 大畠章宏

    ○大畠委員 今、御答弁を賜りましたが、いずれにしても、原子力発電につきましてはさまざまなこれまでの歴史がありました。そういう中で、関係者の皆さんが一生懸命努力をしながら取り組んでいるところでありますが、前回の「もんじゅ」の事故対応については、国民の皆さんから大変不信感を持たれました。この敦賀二号機の事故におきましては、そういう教訓を十分に踏まえて、通産省としても、原因解明と、今お話がありましたように十分な情報公開等々をしながら、地元の皆さんの不信を払拭するように、全力で取り組んでいただきたいことを申し上げておきたいと思います。  詳細な原因等が明らかになった時点において、またいろいろと御質問をさせていただきたいと思います。  二点目には、過日のサミットがございましたけれども、そのサミットの前の訪米時に、総理の、失業増加は構造改革の努力の結果であり、日本経済が再生するための痛みだという発言が新聞に載りました。  この問題は、そういう見方もあるかもしれませんが、失業というのは個人の尊厳を奪い、また家族の人生計画等も大きく狂わせ、そして社会的にも大変不安が増すわけでありまして、総理がおっしゃるように、これは単に日本経済の再生のための痛みだというわけにはいかないと私は思います。大胆な雇用創造対策を打ち出していく、そういうことで、いかにして失業者を減らしていくかというのが政治家としての基本的な姿勢だと思いますが、通産大臣として雇用問題についてどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  34. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 確かに、バブルの時代を通じまして、日本企業全体が、過剰設備、過剰債務、そしてその結果として過剰雇用という三つの問題に直面していることは確かなことでございます。そのときに、物事をどう考えていくのか。経済理論としてどう考えるかということもありましょうし、また政治家として実際にどう対処していくのかという二つに分けて考えると、割に事態がはっきりすると私は思うわけでございます。  やはり経済の力を再びつけていくというためには、過去の我々の持っているいろいろな問題を清算しなければならないわけでございます。そのときに、諸外国で行われているように働いている方々をすぐレイオフして物事を解決しようとすることが正しいのか、あるいは、働いている方々立場に十二分な配慮をしながら物事を進めていくのかということであれば、雇用の問題についてはやはり日本の社会は日本の社会らしく、ソフトランディングでいくのが正しいのだろうと私は思います。  しかし、それはスムーズな労働力の移動ということであって、もうからない会社で一生働くというわけにはいきませんので、その辺は、一つ会社がいろいろ分社化をしたり、あるいは他の分野に進出したりということで、ベストの方法は、やはり同じ会社、同じグループの中で、他分野で雇用を吸収していくということが私はベストであろうと思っております。  しかし、万やむを得ない場合でも、やはり我々は十分な社会的なセーフティーネットを用意して、雇用がスムーズに他の分野に移動していくということは、政治の問題としてはそう選択をすることが正しいのだろう。経済の理論とは多分違うことを政治というのはやらなければいけないのだろうと私は思っております。
  35. 大畠章宏

    ○大畠委員 この問題については事前には通告しておりませんが、堺屋大臣に。  大臣経済白書というものが出されまして、この日本の社会には三つの過剰がある、設備の過剰と雇用の過剰、そして債務の過剰であるというような表現をされました。今回の経済白書は従来の経済白書とは違って非常に読みごたえがあるという評判もありますが、果たして設備と債務と雇用というものを同列に並べていいのだろうかという批判も一部ではございます。  今、与謝野大臣からも雇用問題についてお話をいただきましたけれども堺屋大臣として、雇用の問題についてどのような御認識をお持ちか。ちょっとこれは事前に通告はしておりませんが、将来の国会では事前通告制はやめて大いに政治家同士が議論しようということでありますから、できれば堺屋大臣に議論に加わっていただきたいと思います。
  36. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 このたび発表いたしました年次経済報告、いわゆる白書におきましては、第一章で短期問題、第二章で構造改革、そして第三章でリスクの問題を取り上げまして、特に第二章におきましては、過剰な施設、債務そして雇用の問題を取り上げております。  昨年から小渕内閣がずっと雇用問題の対策をやってまいりまして、緊急経済対策でもかなり雇用の問題には重点を置いたのでございますが、従来の雇用対策から少し変わってきておりますのは、従来はなるべく現在の職場で雇用を維持する、雇用維持ということが中心でございましたけれども、これからは新しい職場に雇用を新しくつくり出す、そして、より効率的でより成長性があり、そしてまた人々にとってもやりがいのあるところに移動できる可能性をつくっていく、そのことによって日本経済全体の活力を上げていかなきゃいけない、こういう、発想を今二本立てにしております。  従来からの雇用維持というのを急にやめるわけではございませんが、一方においては、新しい雇用口を創造していく。つくり出していって、そして、コンピューターの能力でありますとかそういうものもつけていただいて、移動性、流動性のある新しい市場をつくりたい、こういうのが基本になってまいりました。  もちろん、そうなりますと、移動される各勤労者の方々には、非常に不安といいますか、困難な問題もあるわけでございますけれども、私たちの経験でいいましても、石炭の問題のときもそうでございましたし、国鉄のときもそうでございましたが、やはり、成長性の乏しいところで雇用を維持しているだけでは日本経済が発展しないのみならず、結局は、その勤労者の方々、あるいは地域、企業にとっても、幸せにならなかったという反省が深くございます。  特に、今日のように成長性が衰えてまいりまして、産業が大きゅう変わる、経済社会の全体が大きゅう変わるときには、ある程度の雇用の移動ということをつけていかなきゃいけない。そのために、新しい訓練の仕組みであるとか紹介の仕組みであるとか、あるいは新規雇用をなさるところに対する助成のものであるとか、そういったことをつけながら、今過剰雇用になっているところをできるだけ傷が少ない形で移転、移動できるようにしていくべきだ、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  37. 大畠章宏

    ○大畠委員 この雇用の問題については、きょう閣議決定されるというようなうわさも聞いております。産業再生法案というものについて後日委員会等でも質疑があると思いますが、いずれにしても、雇用というのは大変重い課題でありまして、いわゆる設備とか債務とはまた別な重みがある課題であります。  現在のところ、なかなか雇用の受け皿というものが準備されない中で、設備等々をどう削減していくかという話が進みますと、雇用が、どんどん、働く希望者があるんだけれども仕事がないといいますか、失業率が非常に高まるわけでありまして、そういう意味では、政府としても、あるいは私ども政治家としても、大変重要な課題だと思います。  この問題につきましても、後日、産業再生法案の質疑の中で同僚議員からも質問があると思いますが、両大臣におかれましても、十分、この雇用問題についてさらに重く受けとめていただきたいということを、ここでは要望しておきたいと思います。  さて次に、少し一般質問の、地元の問題についても質問させていただきます。  最初に、特定産業集積活性化法というのが平成九年の四月に制定をされました。現在、花巻それから北上、三条、日立市等々に適用されまして、それぞれ法案に基づいた施策が行われ始めているわけですが、この活性化法がどのように現実化し始めたのか。  特に日立市の事例を申しますと、産業支援センターというのが完成をしました。地元のいわゆる中小企業者が、産業のベースの技能を生かしながら、次の世代に生きる産業を興していこうという、それを支援するためのものであります。  そこで、地元の方からも、新しくできたんだけれども、これから十年、二十年、三十年、この支援センターが十分に地元の企業にとって有効なセンターとして活動するためには、今は非常に最新鋭の装置が導入されておるわけですが、これからどうなんだろうか。いわゆるコンピューターでもあるいは機器でも、半年、一年でどんどん技術の進歩が激しくなるわけでありまして、ほっておきますと、ひょっとしたら産業支援のための装置の博物館みたいな形にもなりかねませんので、その内容の更新ですとか、社会的な技術の上昇に従って改革していくのか、ここら辺について、ぜひ国としての考え方を明らかにしてもらいたいという話も聞こえています。  例えば、導入機器のリース方式なんかも考えるべきじゃないかというようなお話も出ているわけでありますが、この問題についてどのように考えておられるのか、通産省の担当局からお伺いしたいと思うのです。
  38. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 お答えいたします。  大畠先生言われましたように、平成九年の三月に特定産業集積の活性化に関する臨時措置法が制定されまして、以後二年たちまして、全国で二十五地域で基盤的技術産業集積活性化計画を承認させていただいたところでございます。  これらの地域では、それぞれの県が策定しました計画に基づきまして、研究施設の整備あるいは共同研究、人材育成等の積極的な取り組みがなされております。いわゆる基盤的技術産業集積、空洞化等で非常に脆弱化している集積をもう一度立て直そうということで、これらの取り組みによって製品の高付加価値化等が期待されているところでございます。  ちょっとお触れになられました日立でございますが、茨城県の県北の臨海地域、日立市を中心とするこの地域も、平成九年の八月に活性化計画が承認されておりまして、税、財投の優遇措置のほかに、これもお触れになられました日立地区産業支援センターの設置、それに必要な機器の整備、それから、お隣のひたちなかにテクノセンターがございますが、そこの機器の整備、これを私どもお手伝いをさせていただいたところでございます。こういう施設及び機器を活用していただくことによって、自律的な発展のための活動がさらに活発化されることを期待しているところでございます。  さらに、御御質問の中で、日進月歩の技術進歩で機器等が陳腐化するんじゃないかということでございますが、私ども、この計画は五カ年計画でつくっていただいております。当然、九年とか十年につくっていただいた計画の中では、機器を導入するときに最新の設備を入れていただいている。例えば日立の場合ですと、CAD、CAMのいろいろなシステムとかマシニングセンター等々、それこそ最新の機器を入れていただいておるわけでございますが、五カ年ということでございますので、その間で陳腐化することはなかなか考えにくいわけでございます。  別途、一般的にそういう機器についてリースということを言われましたが、リースの場合ですと、リース料を負担するということ自身が経常経費の補助ということになりまして、それが続きますと、ずっと恒常的に続きかねないということで、補助金の制度の中ではなかなか認めにくいという性格があることを御了解いただきたいと思います。  いずれにしても、そういう支援センターが機能するためにやはり新しい機器が必要であることは間違いないわけで、そういう面でいろいろ検討はさせていただきたいと思っておりますが、いろいろ問題点があるということも御理解いただきたいと思っております。
  39. 大畠章宏

    ○大畠委員 リースになりますとずっと続きますから、なかなか制度的に難しいという話は理解するところでありますが、いずれにしても、せっかく物をつくったんだけれどもだんだん活用されなくなったということになっては困りますので、導入機器の更新ですとか、あるいは追加設備等々が必要になった場合にどういう対応をするのかということについても、これは一応心構えはしておかなければならないと思うんですよ。  そこら辺はどういうふうにお考えですか。もう一度答弁してください。
  40. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 集積活性化法では、今申しましたように五年ということで、なかなか、そこの間に追加的に新しい機器を入れたいという御要望があれば、それは予算の範囲内でできる限り協力していきたいと思っております。  それからまた、活性化法以外に、例えば地域コンソーシアム事業ということで、産学官の連携で、これは工業技術院が中心にお手伝いをしている仕組みがございます。その中で例えば機器を購入していただくとか、そういうことも工夫によってはできるかと思います。  リース等については、先ほど申しましたような問題点を十分頭の中に入れながら、引き続き検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  41. 大畠章宏

    ○大畠委員 国の財政も大変なんですが、県あるいは市町村の財政も、窮屈というよりも本当に悲鳴を上げているような状況でありまして、そういう意味では、そういう状況を脱するためにも地域での産業集積活性化法というものが生きるように、一回やってしまったから後はまあ何とかこの範囲の予算でやってくれという話ではなくて、そういう投資したものが生きるように、今御答弁いただきましたけれども通産省としても引き続いて検討を重ね、そして地元のそういう要望をしっかりと踏まえながら対策していただきたいということも申し上げておきたいと思います。  それから次に、工業団地の課題について御質問をさせていただきたいと思います。  従来、地域では、工業団地というものを造成して、そこに企業に来ていただいて雇用の場をふやそう、そしてまた法人税等で地域の財政を拡充しようということでやってきたんですが、最近、こういう経済の中では工業団地というのはなかなか売れないのですね。それで、つくってみたんだけれども困ってしまったというところがあるわけです。  そこで、この工業団地について調べてみますと、地域振興整備公団等が造成分譲している工業団地に対しては、最近、賃貸方式、幾ら幾らで貸しますよという賃貸方式の導入を始めたということを聞いているわけです。そこで、産炭地域振興策により整備した工業団地、これは茨城県の高萩市というところでありますけれども、この工業団地については賃貸方式が適用されていない。なかなか地元も工業団地を買ってくれる企業を探すのに苦労しているわけでありまして、地域振興整備公団が造成したところは賃貸方式OKと言っているのですが、産炭地域振興策により整備した工業団地についてはまだだめというのが、どうも私はわからないのですね。  それで、産炭地域振興策により整備した工業団地についてはどういうふうにされようとするのか、その件についてお伺いしたいと思います。
  42. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 平成十三年十一月に産炭地域振興臨時措置法が失効いたしますが、これに向けまして、その円滑な完了に向けて現在審議を行っております。  この審議の過程で、御指摘のありました地域振興整備公団が産炭地域振興を図るために造成をした工業団地につきましても、賃貸方式を含めて企業のニーズに対応した多様な供給方式を採用すべきではないか、それによって企業誘致を推進すべきではないかという指摘がなされておりまして、議論の流れもそちらの方向でまとまりつつあると聞いております。  したがいまして、近く得ます答申を踏まえて、今後の対応をとりたいと考えております。
  43. 大畠章宏

    ○大畠委員 従来はよく、スタートしたときのパターンが一本でないというような政策が多かったのですが、工業団地でもそうですし、いろいろな、地域の方でそういうことをやったらどうかという話の法律案が幾つかこれまでも出てまいりました。しかし、実際やったんだけれども、その土地が売れなくて負債を抱えて、債務がどんどん膨れ上がっているというようなところもございます。そういう意味では、賃貸方式というのも大変有効な手段でありますから、エネ庁長官からもお話ございましたけれども、地域のニーズを十分踏まえて柔軟に対応するような方向で結論を出していただきたいということを強く申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つ、同じような課題でありますが、地方都市において公有地の拡大に関する法律に基づいて設立されている、土地開発公社等が造成分譲している工業団地についても、長期間の賃貸方式を導入すべきじゃないかという提言を地域の方からも受けておるのですが、この件について自治省の方ではどういう考えで臨んでいるのか、お伺いしたいと思います。
  44. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問にもございましたように、土地開発公社の業務範囲は公有地拡大推進法の十七条というところに規定がありまして、そこでは、住宅団地、工業団地等の造成事業というものを掲げられております。  この規定は、公社が土地を取得し造成した上で民間あるいは公共団体に処分する、その一連の事業を指すものでありますけれども、ただいま御質問にもありましたように、状況の変化等によりまして土地処分が思うに任せなくなったような場合におきましては、暫定的に処分予定地を賃貸等の形で活用すること、これは一向に差し支えないものと考えております。  地方団体に対しましては、そのような形で、保有する土地の有効活用を図るとか、さらに場合によっては他の目的に転用して処分することを検討するなど、状況の変化に適切、弾力的に対処するよう指導いたしておるところでございます。  なお、最初から賃貸を目的とした土地を造成するということにつきましては、現行法上、読むのはちょっと難しいと思いますが、これは、先ほど資源エネルギー庁長官等の御答弁にもありましたような問題意識を踏まえまして、今後私ども検討してみたいというふうに考えておるところでございます。
  45. 大畠章宏

    ○大畠委員 最初から賃貸方式の工業団地というのは非常に考えにくいと思うのですが、よく、理屈は死んでいる、世間は生きているという話がありますね。皆さんが一生懸命、これはよかれと思ってやっていることが、実際問題、適用してみると非常に地域に合わないということもあるんですね。  したがって、今御答弁いただきましたけれども、地域が困っているのであれば、中間的な措置として、今御答弁がありましたように、賃貸方式を導入していただいても結構だという話がございましたが、ぜひ地域の実態に即して柔軟に対応してもらいたい。エネ庁長官からも、検討しますという話でありますが、地域振興整備公団の工業団地も、あるいは公有地の拡大に関する法律に基づいて設立された土地開発公社の工業団地についても、賃貸方式をもう導入するという方向が出ているわけですから、先ほどの御答弁をさらに一歩進めて、今後早急にそのような方向性が出るように努力していただきたいということを申し上げたいと思います。  長官、もう一度この問題について、地域からも非常に強い要望がありますから、再度、整理をして御答弁いただきたいと思います。
  46. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 既に審議会の中の議論もそちらの方向でまとまりつつあるようでございますので、それを踏まえまして、具体的には地域振興整備公団の業務方法書等の改正で対応することになりますが、財政当局とも相談の上、対応したいと考えております。
  47. 大畠章宏

    ○大畠委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。  これは公正取引委員会にお伺いするわけでありますが、公正取引委員会は、根來委員長が、公正な市場のルールを厳格に守らせるという意味で、非常に一生懸命取り組んでいただいていることに対しては敬意を表したいと思います。  今、規制緩和というもので、この規制がどんどん撤廃されますと、まさにほっておきますといわゆる弱肉強食という話になってきますので、規制緩和と同時にルールは徹底的に守らせる、逸脱させないというのが自由市場経済の礎だと私は思います。そういう意味においては公正取引委員会の活動というのは大変重要でありまして、人員等についても、三百人体制から現在五百六十人か七十人体制になってきたと思います。まだ諸外国に比べますと人員は足りないかと思いますが、さらに公取委員長としても体制の強化に努めていただきたいと思うんです。  ここに一枚の申告書がございます。これは、平成十年十二月十日に、全国家庭電気製品公正取引協議会の小売業部会の部会長の福田さんという方から公正取引委員会の事務総局にあてたものでありますが、何かといいますと、年末商戦の中で、ヤマダ電機が、平成十年十二月六日に、テックランド博多本店ほかの広告の記載において、これは公正取引、要するに不当景品類及び不当表示防止法に抵触するんじゃないかということで申告がされたんです。  内容は、当該事業者が配布した広告に掲載している製品の販売価格表示に「五%還元してこの価格 九千八百八十円」というのがあるんですが、これは、当該事業者が一カ月前に配布したチラシ広告では九千五百円で表示されている。したがって、五%還元とする九千八百八十円は事実に反する疑いがある。また、対象店舗は異なりますが、十一月二十七日から十二月三日のチラシでは、九千八百八十円、五%還元してこの価格というものと全く同じものが一カ月ほど前に表示されていたということでありますが、この問題について不当表示ではないかという申告がなされました。  この問題について、公正取引委員会として、この申告を受けた後、どのような対応をされたのか、事実関係をお伺いしたいと思います。
  48. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  ただいま申告事実につきまして御指摘ございましたが、そのような情報提供がございましたので、私どもの方で事実関係調査を行いました。調査の結果、チラシ全体におきましては「消費税相当五%還元致します」と題したものでございまして、その中で一部の家庭用電気製品価格につきまして、今御指摘のとおり「五%還元してこの価格」というふうに記載して販売していたわけでございます。  したがいまして、この価格というものは、御指摘のように従前売っていた価格と同じ価格でございますので、「五%還元致します」と題したチラシにおいてそのような表示を行うということは景品表示法第四条第二号の規定に違反するおそれがあるということで、ことしの六月に同社に対して警告を行いまして、今後同様な表示を行わないよう指導したところでございます。
  49. 大畠章宏

    ○大畠委員 事実関係は承知いたしましたが、しかし、十二月の年末商戦のさなかに申告をしたんですが、それについての警告がことしの六月ということでは、年末商戦が終わって、正月の初売りも終わって、四月のころの大売り出しも終わって、今度は夏に突入する商戦のさなかにそういうふうな話があったのでは正直言って非常にスピードが遅い。こういう事例は、やはりそういうことがあったらすぐ対策をとるというのが、いわゆる類似の、言ってみれば犯罪だと思いますが、類似犯罪を防ぐことにもなると私は思うんです。なぜ半年もかかってしまったのか、非常に私は残念ですね。  実は、私自身、特許問題についてもいろいろ勉強させていただいていますが、最近では、日本の特許制度に関するいわゆる特許裁判を、日本裁判所に訴えるのかアメリカ裁判所に訴えるのかといいますと、アメリカ裁判所に訴えるケースがふえ始めているんです。というのは、日本裁判所に訴えてもなかなか結論が出ない、その間に大変な被害をこうむってしまうんですね。したがって、もちろん英語でやらなければなりませんが、特許についてはアメリカの特許裁判所に訴えようというような風潮が出始めているんですね。その原因は何かといったら、結論が遅いというところに問題点があると思うんです。  この問題についても、別のときに通産大臣ともまたいろいろと論議をさせていただきたいと思うんですが、公正取引委員会委員長にお伺いしたいと思うんです。  申告が出されたら的確に、例えばこういうチラシにあるわけです。お巡りさんの前で駐車違反したり、あるいはヘルメットをかぶって走りなさいというのにかぶらないで走っている者があったら、すぐ警告を出すのが秩序ある社会をつくることになるんですが、いわゆるやり得、やってしまえば、売ってしまえばいいというような風潮をつくったんでは私はいけないと思うんですね。  小さな問題かもしれませんが、一罰百戒という形のものをきちっとしなきゃいかぬと私は思うのですが、この種のといいますか、今後こういう競争が激化する社会の中には、売り抜けてしまう、あるいは法律に反するかもしれないけれども公正取引委員会は動かないだろうからやってしまえというような風潮があるとすれば、これは大問題なんです。したがって、公正取引委員会委員長として、小さな問題かもしれませんが、こういう問題等々についてどのような姿勢で今後取り組まれようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  50. 根來泰周

    根來政府委員 御指摘の点はいずれもごもっともでございまして、不当廉売等につきましては、迅速に対処すべきことは当然と考えているわけでございます。  ただ、ここでこういう愚痴話をしても仕方がないんですけれども、なかなか不当廉売というのは要件が難しい点がございまして、ヘルメットを脱いで走っているのと少し状況が違う点がございます。そういうことで、職員の方は、その点十分調査をして、排除命令を、できればそういう形に持っていきたいということでやるんでありますけれども調査にやはり時間がかかる、それを何とか早くやりたいというのが私ども立場でございます。  そこで、おっしゃるように、排除命令までいかなくてもとりあえず警告する、これは行政指導でございますけれども、警告するあるいは注意するということで何とかその状況を抑えられないかということを工夫しているわけでございますが、なかなか、これはまた相手方の商売ということもございますので、余り無鉄砲にやれないというところがございます。  そういういろいろな悩みがございますけれども、おっしゃることは全くもっともでございますので、その点を体しまして、これまで以上に迅速に、かつ的確に対処していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  51. 大畠章宏

    ○大畠委員 確かに、ヘルメットをかぶっているのかいないのかというのは一目瞭然ですから、それについては取り締まりがしやすいという話がありましたが、私の手元にあります資料を見ますと、十一月二十七日から十二月三日までの売り出し期間の広告、これも三つの製品については、九千九百八十円ですとか九千八百八十円、十三万三千八百円というのがあるんですね。それで、この十一月のチラシの後に、この五%還元セールというチラシには「五%還元してこの価格」というものがついていまして、九千九百八十円、九千八百八十円、十三万三千八百円、全く同じ価格が表示されているのですね。  これは、言ってみますと、ヘルメットをかぶっている、かぶっていない、もう明確な問題なんです。したがって、これはだれが見たって、十一月のころに売り出した価格と「五%還元してこの価格」という表示が同じであれば、当然、ヘルメットをかぶっている、かぶっていないと同等の明確な違反なんだと思うのですね。  これを六カ月かけて警告したということについては、根來委員長から今、この種の問題についてはなかなか明確にすることが難しいんだということでありますが、やはり六カ月もかかってしまうと、公正取引委員会に訴えてももう難しいのか、どこを頼りにしたらいいのだろうかという声にもなりかねないのですね。確かに当該の企業のことも考えなければなりませんが、ぜひ、いろいろな困難があると思いますが、この規制緩和が拡大する中で、やはり頼りにしているのは公正取引委員会なんですね。  ぜひ、今委員長からもお話がございましたが、この規制緩和が拡大する自由市場経済の中で、まさに市場の番人として、姿勢を正して今後とも努力していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  52. 古賀正浩

    古賀委員長 中野清君。
  53. 中野清

    ○中野(清)委員 公明党・改革クラブの中野清であります。  私は、中小企業の現在の問題点並びに中小企業の今後の方向性を中心にお伺いをしたいと思います。  まず第一に、七月十六日に年次経済白書が発表されましたが、この白書の中には、中小企業について独立した節といいますか、それが見当たりません。五百十万と言われ、三千万と言われる従業員を持つ中小企業について、マクロ的な日本経済の報告といいましょうか見通しでございますから、その中で中小企業という節をぜひとも設けてもらって、中小企業の今後の見通しとか対策とかメッセージというものを示していただきたい。そして、これはただ単に中小企業白書があるからいいんだという問題じゃないと思いますので、これはまず要望したいと思いますが、もし御見解があればいただきたいと思います。  さて、経済白書の三章において、前向きな新しい挑戦が積極的になされるような経済を構築する必要性が特に強調されておりますが、経済企画庁長官として中小企業の景気の動向をどう判断されているか、お伺いをしたいと思うのです。また、副題となっております経済再生への挑戦の中で、リスクテーキング社会への転換と言われておりますけれども、中小企業が、そのリスクテーキング社会への転換という中で、どういう役割を果たすべきと考えているのでしょうか。また、多分あす提出されようとしています産業活力再生法案の中で、特に中小企業の役割、それから対策についてはどのように位置づけをされているか。この点についてはまず長官にお伺いしたい。  あわせて、これは総論でございますから、いわゆる過剰三兄弟ですか、そういう状況のもとで、デフレスパイラルとよく言われておりますけれども、どう考えていらっしゃるか、このデフレスパイラルの中におきます中小企業への段階的な支援はどうなっているか、御見解を承りたいと思うわけであります。  これは総論でございますから、過剰設備の問題、これはただ単に大企業だけの問題じゃないはずなんですね。そうすると、中小企業に光を与えるといいましょうか、そういう意味での中小企業に対するいろいろなガイドラインとか方針というものを策定する必要があると考えておりますけれども、この点について、よろしくお願いしたいと思います。
  54. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 中小企業について、大変広範な御質問をいただきました。  この間発表いたしました経済白書、年次経済報告でございますが、その第三章には、これからの経済においては前向きに挑戦していかなきゃいけない、現状を維持するというだけでは、この深い不況から立ち直って、日本を新しい知恵の時代の国に導くことはできないということを書いております。  その中で、中小企業に新しい挑戦をしていただきたい、新しい挑戦をするのは、もちろん大企業が新しい事業を起こしたり、分社化をしたりするようなこともございますが、圧倒的にやはり中小企業あるいは個人企業からの発生が必要でございます。その点で、特にこの白書で指摘しておりますのは、日本の創業率、起業率が低いことでございます。  まず開業率というのを見ますと、イギリスは大体開業率が一一%、廃業率が一〇%、毎年零細中小企業が一%ずつふえるという形でございます。アメリカに至りましてはこれがさらに、一三・七%、毎年新しい事業ができる。お店が百軒ございましたら、十三軒、十四軒新しいところができる、そしておやめになる方が一二・六。だから、一・一ずつ、百軒について一店以上ふえるという形でございます。これに対しまして、日本は八〇年代からだんだんとこれが下がってまいりまして、現在、開業率がわずかに三・七%、そして廃業率が三・八%、千軒に一軒ずつ減っているわけです。  日本では、大企業がどんどん発展いたしますと中小企業が衰退して、大きなお店ができると小売店が減る、あるいは大きな工場ができると下請工場が減るというようなのが当たり前のように語られておりますが、実は世界の動向は違いまして、そういう中小零細企業がどんどんできておる、これが第一の条件でございます。  さらに、御質問のございました現在の中小企業の景況感でございますけれども、この経済白書によりますと、現在かなりの過剰施設がある、これはもちろん大企業も中小企業もございますけれども。また、二百三十万人近い、二百二十八万人ぐらいの過剰雇用がいるということも指摘しておりますが、現在ただいまのところ、この中小企業の持っております景気の感じがどうかというのは、日本銀行の企業短観で見ますと、中小企業の景気判断は、いわゆるDIでございますが、これは、景気がいいと言っているところから悪いと言っているところを引いた数字でございますけれども、それは二四半期連続で改善しております。大企業よりも厳しい水準にあるものの、やや改善の状況がある。  また、大蔵省法人企業統計季報というのによりますと、平成十一年の一月から三月まで、中小企業の設備投資額は減少幅がかなり大きいわけでございますけれども、平成十年の十月ないし十二月には前期に比べて三八・一%も減ったのが、七・四%の減少になってきている。そういう意味でいいますと、中小企業のマインドあるいは設備投資観というようなものは、やや悪くなり方が減っているといいますか、改善に向かっている、そういうような状況でございます。  我々といたしましては、中小企業がさらに健全な経営を続けていただくと同時に、新しい産業にどんどんと挑戦していただくような起業家があらわれることを強く希望している状況でございます。
  55. 中野清

    ○中野(清)委員 今御答弁いただきまして、その点については長官の意見と同感でございます。  そうしますと、今の開廃業率が英米両国の三分の一だ、しかも廃業率が開業率を上回っているということは、御承知と思いますけれども、例えば、昭和六十二年に開業した事業所から十一年後の統計を見てみますと、この十一年前に開業した企業事業者が四〇%も占めている。それから、従業員でも二五%、付加価値も二〇%になってきますと、今おっしゃったこの開業率の問題というのは、アメリカやイギリスの例もおっしゃいましたけれども、実は一番大事なわけですね。そうすると、それについて具体的な対策というのが今ほとんど私どもに見えていないということがあるわけです。  特に今、景気の動向はよくなったとおっしゃっていますけれども、産業再生法案については多分法案が出てから議論がありますからあえて言いませんけれども一つは要望として、こういう法案の中で、さっきの経済白書もそうなんですけれども、いわゆる量の問題、規模の問題というものについての特殊性といいましょうか、中小企業というものに対する対策というものについては、金融とかいろいろな部門がありますけれども、やはり中小企業という見方でもってメッセージを送っていただかないと困る、ぜひお願いしたいということをもう一度お願いをしたいと思います。  その中で、先ほど大臣にお伺いしたんですけれども、特に確認させてもらいたいんですけれども、過剰設備の問題はやはり中小企業もあるんじゃないだろうか、その点についてはどうだろうかというのが一点。  それともう一点、通産大臣に、いわゆるベンチャーを中心とした創業支援とかそういうものが政策課題になっておりますけれども、この問題については体系的に位置づけられているだろうか。そして、今おっしゃるとおり、言葉としてはよくわかるけれども、本当に政策として、新規開業を含めた政策が見えないんじゃないか。ですから、政府が、ベンチャーを中心として、新しい中小企業の成長の見込みとか雇用創出とかそういうものについてどのように考えていて、それはいつごろまでにやるんだ、そういうことについて、わかりましたらばお話し願いたいと思います。
  56. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 現在、先ほどの白書でございますが、これが設備投資の過剰を二種類出しております。  一つは、従来と同じぐらいの、景気のよかったときと同じような創業率、あるいは資本効率、労働効率を続けたとしたら、今一体どれぐらいの生産があるはずか、それに比べて現在の需要はどれぐらいか。この差から出したものが、三十五兆円ぐらい設備が過剰だ。それから、各企業がどれぐらい設備過剰感を持っているかという、そういう意識からもって出したものが四十一兆円ぐらい過剰だ。大体四十兆前後の過剰施設があるんじゃないかということを出しております。  残念ながらこれは、中小企業と大企業と、企業別、規模別には分けておりません。したがって、中小企業がどうかということはわかりませんが、推察いたしますのに、中小企業の中には、非常に過剰施設を持って苦しんでおられる方と、むしろ成長傾向にありまして、これからも今も元気に設備投資をしよう、人を雇おうというような状況にあるところとございます。それで、中小企業というのを一種類にとらえることは困難でございまして、この中小企業の中にこそ、大企業以上に発展性を持ってやっていただいている企業もあります。  ただ、現在の日本一つの問題として、創業者、中小企業、零細企業を起こされる方々の年齢層が比較的高くなってまいりまして、本当に、学校を出てすぐ青年で業を起こそうという人が割と少ないんですね。したがって、成功なさるときに既にかなりの年輩になっているというような例が多くなっておりますので、社会全般に、中小企業を起こす人々を育てる、それを支援する金融、あるいは成功した人に対する社会的な称賛というようなものをもっと高めていくべきではないかという感じがしております。
  57. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生の御質問は、ベンチャー企業の支援を一体どういうタイミングで、本当にできるのかどうか、そういう御質問だったと思いますが、日本経済活力を維持いたしますと同時に良質な雇用機会を確保するためには、やはりベンチャー企業の育成を図ることが重要である、そういう観点に立ちまして、通産省としては、資金、人材及び技術の各面から、総合的なベンチャー支援策を積極的に講じてきたところでございます。  また、こうした取り組みを一層強化するため、本年二月より新事業創出促進法が施行されました。個人等による開業に対する支援や、SBIR制度等を実施しているところでございます。加えまして、六月十一日に産業構造転換・雇用対策本部において決定された緊急雇用対策及び産業競争力対策において、中小ベンチャー企業振興策として、資金、人材、技術の各面から、その立ち上がり、成長段階まで総合的に支援する施策をまとめ、これを強力に推進することとしております。  通産省としては、今後とも、こうした総合的な取り組みを通じて、早期に数多くのベンチャー企業が輩出され、雇用機会の創出につながることを期待しております。  ただ、私はこれだけでは十分であるとは思っておりませんで、国や民間が、ベンチャーが生まれる一番大きな基盤でございます技術とか基礎的な科学分野とか、そういうものに多くの日本の資源を投入していくということによってベンチャー企業もまた生まれてくるわけでございまして、ただベンチャー、ベンチャーと言っていればベンチャーが生まれるものではないというふうには思っております。
  58. 中野清

    ○中野(清)委員 今の大臣の御見解は私も同感です。  例えば、埼玉と東京、神奈川に、TAMA産業活性化協議会というのができておりますね。これは大学とか行政とか企業とか経済団体がやっているんですけれども、あくまでも協議会ですから、非常にまだ、指針というのか、そういう方向づけしかできない。実際には、この首都圏の中の埼玉、神奈川、東京という地域の中で産業を活性化するという意味での具体的な支援というのは、これから政府がしなきゃいけないと思っているんですよ。ぜひそういう意味で、せっかくこういうのを通産省の指導でつくっているわけですから、これからもしっかりやってもらいたい。これは要望だけしておきます。  その中で、今私はベンチャーについてのお話を申し上げましたけれども、ただ、このシェアはアメリカでも六・五%で、九三・五%というのは、いわゆる伝統的といいましょうか、既存の中小企業だというのも、今大臣の御認識の中にもありましたけれども、それが実際あると思うんです。  それで、どうも話が、ベンチャー、ベンチャーと言っているけれどもそうじゃないと今おっしゃったとおり、私も同じ認識なんですけれども、そういう意味で、このベンチャーについて情報産業等も含めてやってもらうのはぜひお願いしたいと思いますけれども、既存の産業に対する施策についてはどうなんだろうかということについては、もう一回見直す必要があるだろう。そういう点で大臣の御見解をいただきたい。  それから、堺屋大臣に申し上げますけれども、さっきおっしゃいました意味で、中小企業のお話がございましたけれども、特に創業者が高齢化ということについては、日本の国の場合に、例えば金融一つとっても、保証は全部、いわゆるオーナーといいますか、それがさせられている。それは個人保証。そういう社会なんです。  しかも、今度いろいろな意味で敗者復活というものを考えたいとやっておりますけれども、現実には敗者復活を許さない仕組みそのものに問題がありますので、どうかその点については、いわゆるリーダーとしての長官に、仕組みをもう少し変えていかなきゃだめだという点について、私はそう思っていますけれども、その点でもし御意見があったら伺いたい。
  59. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 仰せのとおりでございまして、ベンチャービジネスといいますか、新しい創業が起こるためには、勇気のある創業者と理解のある金融資本家、そして新しいものにすぐ飛びついてくれる需要者、この三種類がそろっていないとできないというんですね。  一方で、日本は、教育制度もありましたし、また過去の例もございまして、大企業、大組織、あるいは官庁のようなところへ勤めればかたくていい、必ず終身雇用に守られて、ある程度まで出世するし安全だというような思想がありました。そして、学校の方でも、できるだけ個性を発揮しないでまじめにまじめにというような、協調性と辛抱強さと共通の知識を教えるようなやり方をして、できるだけ平凡な、平凡といいますか平均的な成功をねらうようにするのがいいことだ、こういうふうに教えたこともあります。  それから、昔はまだ新しいものに飛びついてくれたお客さんがおりまして、そういう方々のおかげでプレハブ住宅も引っ越しセンターも成功したのでございますけれども、今は商品に傷があってはいかぬというので、できるだけ安全第一のところへ出すというような傾向もあります。  だけれども、一番の問題は、先生指摘のとおり、やはり金融なんですね。古い人に聞いてみますと、今を時めくような大企業でも、創業のときは、持ってこられたら、担保もないし、その人も途中でスピンアウトした人、そして同僚が数人というようなところで、本当に貸して大丈夫だろうかと思ったけれども、銀行は勇気を持ってお貸しをした。大して担保もなかったけれどもやったんだ、それが今を時めく国際企業になっているという例が多いんです。もちろん、アメリカでもそうでございます。  ところが今、日本では、バブルの間に銀行がそういう事業審査能力を失いまして、担保評価能力ばかり出てきている。この土地は何ぼで評価できるから何ぼ貸してやろう、この国債なら何ぼ貸してやろうという担保評価能力だけになっちゃったんですね。これが日本の金融の非常に悪いところで、これはハイリスク・ハイリターンを認めなかった日本の金融行政にも大きな問題があると思いますが、銀行自身、本当に反省してもらわなきゃいけないのはここなんです。  ようやく政府の方でも、公的にいろいろと新産業にお金をつける、あるいは保証するようなことも考えておりますが、同時に、特別目的会社、SPCなどを利用いたしまして、そういったいわゆるジャンクボンドの束を売り出して、そういうところに直接金融をつける道も開こうというような法整備もだんだんと整ってまいりました。  また、そういうものが、NASDAQも出るという話もございますが、新しい証券市場などで取引されますと、それが一社二社なら危ないですけれども、一千社のジャンクボンドを集めて、それを特定目的会社が全部買い取りまして、特定目的会社が社債を発行する、それを優先債、普通債、劣後債ぐらいに分けてやるというような仕掛けが今既に検討されている会社もあるようでございますけれども、そういったものができてくれば、この中小企業、零細企業が立ち上がる、新しい業を起こすのに非常にいい条件ができるんじゃないか。  私たちは、なるべくそういうような社会環境をつくり出すように、法的整備あるいは税制上の問題等を考えていかねばならないと思っております。
  60. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 御指摘のとおり、地場産業、地域産業における中小企業は、地域経済と雇用の中核でございまして、これを振興し活性化していくことは非常に重要な政策課題だと私は認識をしております。  このため、地場の産品の技術開発支援、販路拡大支援、人材育成といった施策を展開しておりますけれども、これに加えまして、産業空洞化の影響を受けてきた産地などの中小企業集積の活性化のため、平成九年六月に施行いたしました地域産業集積活性化法に基づきまして、中小企業集積の維持発展のための施策を積極的に講じてきたところでございます。  このような支援策はこれまでも成果を上げているとは考えておりますけれども、今後とも、厳しい財政状況のもとであるものの、地場産業、地域産業の活性化のために、地域の中小企業に対し重点的かつ効果的な支援に努めてまいりたいと考えております。
  61. 中野清

    ○中野(清)委員 今、堺屋長官から伺いましたけれども、その問題、実は私これから具体的に少し聞こうと思ったことをおっしゃっていただきましたので、それをもう少しこれから質問させていただきます。自己資本比率と借入金の観点、そういう意味で特に税制についてお伺いしたいと思うんです。  日本の大企業の自己資本比率が平均二五%、中小企業の自己資本比率が平均一三%。アメリカについては三六%で、イギリスが三七%だ。しかも、企業の資金調達に占める借入金残高の割合については、日本企業の平均値が五八・八%に対して、イギリスは一二・三であり、アメリカは一二・九だ。いわゆる日本企業の借入金の依存度が非常に高い。これはいろいろ問題があるわけですね。  特に今、大企業もそうでございましょうが、中小企業も当然ながらキャッシュフロー経営へと体質転換をしないといけない、これは当然言われているわけです。そのチャンスなんですね。しかし、この借入金依存体質を変えるにはどうしたらいいか。これには、やはり税制上、金融上の対策が必要なんですよ。それが一つ。  その中で、例えば今度出ておりますけれども法人税なんかについては、実効税率が十年度で三・六二下げて四六・三六になった。十一年度は五・四九下げて四〇・八七だ。そういう法人税に対する問題とか所得税に対する問題については評価いたしておりますけれども、今言った事業承継の税制についても見直さないと、自己資本比率というのはなかなか中小企業は高まらない。その点について、これは私、一問、二問と二つ用意しておりましたけれども、この二つをあわせてお答え願いたいと思います。  それとあわせまして、きょうは中小企業庁長官とか大蔵省も見えておりますからお伺いいたしますけれども、事業承継の税制についていいますと、我が国の相続税が特に一般資産課税と事業承継の税金というのを意識的に混同しているんじゃないか、そういう気持ちにさえなるような税率じゃないかと私は思うんですよ。  そして、例えば最高税率を見ましても、アメリカが五五、イギリスが四〇、ドイツが三〇で、我が国は七〇だ。しかも、累進の表なんかを見れば、これはもう物すごく高いというのは御承知のとおりです。特にイギリスでは、事業用については最高一〇〇%という軽減も行われておりますけれども、そういう意味で、例えば今言った事業用資産と一般の資産との分離の検討とか、株式の評価の方法とか、それからいわゆる相続税最高税率についても、所得税も変わっているんですから、そういう点で検討すべきだと思うんですよ。  私は、これは、一つは中小企業を守ろうとしている長官の御意見もいただきたいと思いますし、もう一つは大蔵省の見解もいただきたい。  それからもう一つは、自己資本の内部留保。これについても考えてみればおかしいということを、私、何回も、予算委員会でも言ってきましたけれども、実際の話として、自己資本を高めろ高めろといいながら、その高めたものに税金を取っているという、そんなばかな税法があるかというのは、どうでしょうか、これも御見解をいただきたいと思うのです。もしお聞きだったら大臣にもぜひ、これは御見解ですから、いただきたいと思うのですよ。  そしてもう一つ、法人事業税の外形標準課税導入についても、これははっきり申し上げて、特に人に対して、賃金に対しての課税というのは、中小企業はいわゆる資本装備率が低いのですから、中小企業が当然ねらい撃ちされるに決まっている。ですから、外形標準課税については非常に反発が多い。これについても、これはぜひ長官から御答弁願いたい。  時間が余りありませんので、ほかにも、今申し上げた金融の問題とかいろいろ問題がありますので、なるべく簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  62. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 いろいろと中小企業の税法関係について御質問がございました。  確かに現在、中小企業に対する税金にはいろいろ問題がございまして、事業承継税制というのをどう考えるかというのは重要な問題でございます。御指摘のように、最高税率は日本だけが七〇%と非常に高い。それに加えまして、もう一つの問題は、日本は土地の評価が高いものですから、すぐ最高税率にひっかかっちゃうんですね。諸外国の場合は、例えばアメリカは五五%といいますけれども、土地が安いものですから、償却資産の方だけがかかるような格好でございまして、相続税になるとえらい大変な差があります。  それからもう一つは、事業につきまして、外国の場合は親子売買が非常に盛んでございまして、中小企業で経営者が六十歳になりますと、息子に株を売る、そしてそれを年賦でもらうというような形にして税金を分散するというようなこともやられております。  こういうこと全般について、日本もそろそろ検討しなきゃいけない。今まで中小企業に対する税制は個人資産税制と全く同じ税法をとられておりましたし、また、中小企業の経営者は比較的恵まれているんだというような認識もありましたが、これからどんどんベンチャーを起こしていくためには、やはり中小企業を起こして成功した人に報いなきゃいけないということ、ハイリスクをとるんだからハイリターンがやはりなきゃいけないということでございますので、今回の税制調査会でもこの点は議題になっているようでございます。  ぜひ先生の御指摘の方向でこれは改めていくべきことだと思います。そういたしますと、自己資本比率の問題も、相続税等を変えていきますとかなり改善されるんじゃないかという感じがします。  だから、一方では中小企業の直接金融の道を開く、銀行の審査能力等も高める、あるいはそのためのコンサルタント、評価、格付の機関もつくるということをし、他方ではそういった相続税関係の問題も考える、そういうことを両々相まって、これからリスクを冒して業を起こす人たちを勇気づけるような世の中をつくりたい。これは経済白書でも強く指摘しているところでございますし、また、長期計画のあるべき姿においても非常に強調しているところでございます。
  63. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、今、事業承継の円滑化を図るための税負担の軽減措置として、相続税の税率構造の緩和を初め軽減措置が講じられてきたところでございますが、今後とも私どもは中小企業立場に立って、事業承継の円滑化ということを主張してまいりたいと思っております。特に、個人事業主は事業用宅地の相続に伴う相続税負担とか、中小法人のオーナーは取引相場のない株式の相続に伴う相続税負担というのが大変大きいもので、これが東京の私の選挙区でも事業承継を大変難しくしております。  それから、中小企業の自己資本の充実のお話がございましたが、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の制定、中小法人に対する軽減税率の適用等の措置を講じているところでございます。  それから第三番目に、外形標準課税のお話がございましたが、先般、地方税をいろいろ審議されている先生方の中で、外形標準について今後考えようということでございましたが、何を外形とするかということは大変難しい問題を含んでおりますし、またヨーロッパでは特に外形標準をやめようという方向に動いておりますので、私どもとしては、中小企業ということであればそういうことには慎重にならざるを得ないと思っております。
  64. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 今もう既に大臣の方から、外形標準課税あるいは事業承継税制、自己資本の充実についてお話がありました。  私の方は、留保金課税制度につきまして私の立場をお話ししておきますと、先生も御承知のように、留保金課税制度、昭和三十八年にできまして、間接的に配当支出を誘引するとともに、法人形態による税負担と個人形態による税負担の差を調整する、税負担の公平を図る観点から設けられている措置だと考えております。このあり方については、当然のことながら、中小企業の自己資本の充実という観点をも踏まえた検討が行われるべきものと考えております。
  65. 福田進

    ○福田(進)政府委員 いろいろ御指摘がございましたので、簡潔にお答えさせていただきます。  まず、相続税でございますが、御案内のように相続税につきましては、昭和六十三年の抜本改革以降、平成四年度改正、六年度改正と累次にわたって大幅な減税が行われてきたところでございます。と同時に、御案内のように、近年の地価下落とも相まちまして、従来指摘されていた相続税の負担感は相当程度緩和されているところでございます。  事業承継に対する配慮といたしましては、事業用の小規模宅地等の課税の特例がございます。この特例につきましては、これも累次にわたって拡充が行われ、現在、相続税の課税に当たりまして、小規模宅地等の課税価格、つまりいわば時価の八割でございますが、さらにその課税価格の八割を減額するという措置を講じているところでございます。また、この十一年度税制改正におきましても、特例の適用対象となる小規模宅地の面積につきまして、特定の事業用宅地等につきましては対象面積を二百平米から三百三十平米、百坪に拡大するなど、最大限の配慮を行ってきているところでございます。  それから二つ目に、相続税の最高税率、非常に高いんじゃないかということでございます。相続税は所得税の補完税でございますので、そういう性格も有しておりますことから、所得税の最高税率の引き下げに合わせて相続税の最高税率を引き下げるべきとの考え方があることは承知しております。  ただ、相続税につきましては、税制調査会の平成十一年度の税制改正に関する答申でも指摘されておりますように、先ほどお話しいたしましたような近年の三度の減税と地価の下落によって税負担が相当程度緩和されていること、景気対策とは直接関係がないこと等を考え合わせれば、直ちに税率の見直しを行う必要はないというふうに考えております。  それから、七〇%の最高税率が高いということでございますが、私も最高税率は高いと思いますが、この相続税の最高税率が適用される相続事案は、年間十数件しかございません。ということで、これだけを変更することについては問題があるということで、今回見送らせていただいたところでございます。  それから、留保金課税でございますが、これも先ほど中小企業庁長官から御答弁がございましたので詳しくは述べませんが、間接的に配当支出の誘因としての機能を果たしつつ、法人形態による税負担と個人形態によるそれとの負担差を調整しようというものでございまして、現在、法人税あるいは個人所得税の基本的な仕組みを前提にする以上、当然に必要とされる制度であると私どもは考えております。  以上でございます。
  66. 中野清

    ○中野(清)委員 大蔵省の福田審議官からお話がございましたけれども堺屋大臣通産大臣が今おっしゃったとおりだと私は思うんですよ。  特に留保金課税については、いわゆる法人成りと個人の税金の差があったというのは、今ほとんどないぐらいになっているわけですよ。しかも、自己資本の充実という一番基本的な問題に対して、はっきり言って大蔵省は少し不勉強だ、それに対して問題意識がないんじゃないかということだけは私は言っておきますよ。  それから、最高税率についても、イギリスやフランスやドイツの累進の率を検討したことがありますか。当然あると思うんですけれども、そういうことを言わない、それはおかしいということだけは言っておきます。もういいです、時間がありませんから。  それと一緒に、実は金融についても幾つかお話をしたいと思うんです。まず最初に、貸し渋り対策についてお伺いをしたいと思うんです。  昨年の秋からスタートした二十兆円の信用保証協会の特別保証制度は、金融機関の貸し渋りに対して、中小企業の倒産を防ぐという意味で大きな効果があった、私は少なくともそう思っております。しかし、この特別保証の融資の返済が大体ことしの十月ごろから本格的になるだろうというときに、例えば保証枠の拡大とか融資期間の延長等を考慮しなければ、せっかくの特別保証制度も単なる一時のカンフル剤になってしまうんじゃないか、その点についてお伺いをしたい。  それから、もし時間がありましたらば、この特別保証制度が開始されまして半年たったわけでございますけれども、その中で制度本来の趣旨以外に使われているという御批判もあります。私はこれは少ないと思うんですよ、はっきり申し上げて。ですけれども、そういう弊害もあったということになってきますと、私はこの保証制度そのものをこれからも育ててもらいたい。しかも、はっきり言って政府のやった近来にないすばらしい不況対策だという中小企業の感謝の言葉というのは、過日も商工委員会で委員長以下一緒に中小企業の現場を見させていただいたときも、そういう話がありました。  そうしますと、私は、これをもっともっと、そういういろいろな御批判があるのに対して、充実といいましょうか、改善といいましょうか、そういうものをやる時期じゃないだろうかと思っておりますけれども、例えば新しい事業に取り組もうとしている人に対するものについても、先ほどベンチャーの話がございましたけれども、こういうような本当にある意味では大胆な保証をしている、その中での姿として検討したらいいんじゃないか。そういうことを含めまして、制度の改善についてお伺いをしたいと思います。
  67. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 たくさんの質問が含まれておりましたので、一つ一つ簡潔に答えたいと思います。  まず、二十兆の枠、現在までのところ十六兆の保証をしておりまして、四兆円の枠が残っている、これで今後対応できるかどうかという問題があります。これは、六月の実績は四千億強でございますので、仮にこの実績が続くとすれば十カ月はまだ今の枠でもつわけですが、一方、総理は、二十兆の枠プラス必要かつ十分な枠の追加を行うということを記者会見で表明されておりますし、先般の予算委員会での答弁で宮澤大蔵大臣は、通産省の言うことは何でも聞くとこの件についてはおっしゃってくださいましたので、枠の心配はないということです。  それから、この特別枠の性格をどうするかという問題がございます。性格をどうするかというのは、今までのようなネガティブリストだけでいいのかどうかという問題がありまして、やはりこういう分野を積極的に花開かせたいという分野があるとすれば、創業支援を初め、新しい分野の保証ということも私はやってもいいんだろうと思っていますし、現在考えているところでございます。  それから、この制度についてはもう八十七万社の方に利用をしていただいたので、それなりの成功はしたとは思いますけれども、それでは具体的に紋切り型に物事を進めていいのか。例えば困窮に陥った中小企業があった場合に、個別具体的な問題として、各県にあります保証協会がそこに対してどういう対応をするのか。これはやはり、親身、親切な対応をするということが必要なんだろうと思っております。  ただ、一部で、この特別枠を使ってお金を借りて、返さなくてもいいんだというような風潮が生まれているんだという御批判もありますので、保証した以上、当初の条件に従って、貸したお金をお返しいただくということは当たり前のことでございますので、それについては温かい中にも厳正な態度が必要なんだろうと思っております。
  68. 中野清

    ○中野(清)委員 今の大臣のお話のとおりでございまして、私も、聞くところによりますと、債権の回収については何か共同機関を検討するとかというような話がございましたから、制度を育てる意味では、おっしゃるとおり、不心得といいましょうか、返さなくてもいいというような風潮は断じていけないわけでございますから、それはぜひやっていただきたいと思うんですよ。それはそれでぜひお願いしたい。  しかし、私の周りで実は、例えば五千万円を五年間で返すというシステムそのものについて、当然これは運転資金だから五年間だという感覚だったんですけれども、おっしゃるとおり、この保証制度は、景気回復までの、中小企業を何とか持ちこたえよう、そういう緊急的な措置だと思っておりましたから、とりあえず貸してもらいたいということは私も同感だったんです。また、今八十何万とおっしゃいましたけれども、それで多くの中小企業が助かって倒産なんかなかった、いわゆる社会不安もなくなった、そういう意味では評価していいんですね。  しかし、ではこの制度をどうやってソフトランディングさせるかという問題は、私は、今大臣がおっしゃった個別対応だけでいいんだろうかと、ちょっと疑問だったんですよ。それで実はお伺いしたかったんです。  なぜかといいますと、個別でも結構ですけれども、私がきょうお話ししているのはシステムとしてこのことを話しているので、個々にはもちろん個別の話で結構なんです、しかし、システムとして、五年間と契約したけれども、例えばこの五年間があと三年ぐらい延ばしてもらって八年ぐらいなら返せるだとか、それから、少なくとも、一年据え置きで四年間で五千万返すといいますと、百万以上なんですよ。そうすると、その企業というのは、率直な話、今の全国で借りられた中小企業の中でそうざらにはなかったはずなんです、はっきり申し上げて。  しかし、さっき言った、これは緊急の措置だから私は認めたと思いましたけれども、ソフトランディングに対するシステムといいましょうか、そういうものに対しては、大臣がおっしゃった個々については、それだけでは済まないのじゃないか。  ですから、それは対応としては個々で結構でございます。対応としては個々の企業の実態に合わせてやっていくので結構でございますし、中には、不心得者については考えてもらうのは結構ですけれども、国の政策として、ではこの新しい特別保証制度というものをどうやってソフトランディングさせるか、この点についてだけ御見解を願いたい。
  69. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 御指摘の例えば返済期間の延長については、中小企業者の経営環境が、融資実行時点以降、業種とか地域とかによってさまざまな事情変更も生じ得るということは十分考えられるわけでございまして、個々の中小企業者の事情に応じた返済条件の弾力的対応等を信用保証協会に対して指示しております。ですから、一律何年延長していいよということではありませんけれども、保証協会に指示をしているということは、システムとして対応していると私どもは思っております。  この特別保証は、未曾有の貸し渋りに対する臨時異例の措置でございまして、高い事故率を許容する制度設計のもとで保証要件の緩和等を行っておりまして、来年の三月末が期限となっているわけでございます。  債権回収については、本制度における求償権回収の実効を上げるため、サービサー法に基づくサービサー会社設立の可能性も含めた回収の実務的な検討を行うべく、社団法人全国信用保証協会連合会に法律の専門家や各信用保証協会の実務担当者を交えた研究会を設置し、現在、鋭意検討を行っております。  したがいまして、先生の御質問で、原則は五年は五年でございますが、各県の信用保証協会に対しては弾力的な対応を指示しているということは、御理解をいただきたいと思っております。
  70. 中野清

    ○中野(清)委員 先ほどは通産大臣堺屋長官のお話ございましたけれども、私は、これから設備投資を伸ばさなきゃいけないと思うんですけれども、特に中小企業については、そのためには金融の制度のあり方そのものが問題だと思うんですよ。  マクロ的な話を申し上げますと、例えば都市銀行の融資の中の大ざっぱに三分の一が中小企業の融資だ。また、その中でシェアが恐らく八%か八・三ぐらいだろう。これが政府系金融機関の現状なんです。そういう意味でいいますと、私は、この政府系金融機関の中で設備投資に対する新しい制度融資というのを、大臣、考えた方がいいと思うんです。  実際の話は、現在もいろいろな制度を中小企業庁もつくっておりまして、例えば七月の十五日からは何か経営革新支援貸し付けというのが始まるそうでございますし、それから、今まで評判がいいのは、いわゆる中小企業展開支援特別貸し付けだ。これは、やはり長期間だということ、それから超低利、いわゆる財投の金利そのまま特別利息でやってくださっている。そして条件も、今のものは三人雇用という枠がありましたけれども、今度始まるものはそういうのじゃない。  そうすると、これは、一つは、何としてでもそういう意味で、先ほど言った特別保証と同じように、中小企業がわかるような、そして、よし、これだったら投資をしたいというような制度をどかんとつくらなければ、大臣、中小企業の投資なんというのは今の景気状況の中ではなかなかやる気にならない。しかし、私も中小企業の一員ですから申し上げますけれども、例えば二年据え置きの二十年でもって、しかも超低利のものだったらば、それはやはり、景気が永久に悪くなることはないんですから、これをやろうなんという気になるのは、さっき長官がおっしゃったけれども、中小企業にも二つある、元気がある人もいるんだとおっしゃいましたけれども、そういう人たちはできるんだ。  そういう意味では、今の長期の設備融資に対する考え方、これはどうするかということが一つ。  それからもう一点は、今私が申し上げましたけれども、政府系金融機関に対するシェアというものを、今まではどちらかというと民間金融の補完だと言ってきたわけです。しかし、貸し渋りでもって、民間金融がいかにだめだったかということはもう国民の前に明らかになっておるわけですよ。私どもは、さっき設備投資の話をしましたけれども、中小企業は少なくとも政府系金融機関が、設備融資については相当数の政府系の融資を使ったということの方がいいんではないだろうか。  それは、公定歩合とか何かが年じゅう変わって、そのときに、率直な話、上がったときはすぐ上げてくれとくるんですよ。しかし、下がったときはなかなか下げてくれないというのが、私の今までの経験からいってもそうなんです。ですから、その点のお考えはどうか、お伺いしたいと思います。
  71. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 政府系金融機関のウエートをどれぐらいに持っていくか、これは市場経済という観点と兼ね合いがございまして、必ずしも一概に言えないと思いますが、現状におきましては、こういう金融情勢でございますから、政府系金融機関の活躍の場といいますか、特に中小企業金融公庫、国民金融公庫等かなり重要なポジションを占めていると思います。  幸いにいたしまして、全産業の固定資産増減率を見ますと、ことしに入りましてから大企業よりも中小企業の方が下げどまり傾向が見られております。今委員のおっしゃるように、政府系金融機関の融資を拡大することも必要ですし、行く行くは、やはり一般の民間金融機関が中小企業あるいは創業者に対して理解をするような方法をさまざまな点でとっていくということが大切になろうかと思います。  中小企業の設備投資はまだ低下傾向にございますので、決して油断なく、先生のおっしゃることを実現できるように考えていきたいと思っております。
  72. 中野清

    ○中野(清)委員 それと、もう一点だけ大臣にお伺いしたいんですけれども審査機関、これをやはり、私は、一つの議論として、保証枠の拡大というのが一つありました。これは政府がやってくだすった。もう一つは、審査機関については、私は必要性があると思うんですよ。  それからもう一つは、それに対して急にできるといったって無理ですから、例えば保証協会の審査機構の強化もありますけれども、しかし、それと一緒に、やはり中小企業に対しての審査機能というものを、先ほど堺屋長官は担保主義からの決別とおっしゃいましたけれども、まさにそういう意味での機関をこれから政府は真剣になってつくるべきだという点が一点であります。  それから、もう時間がありませんので、実は大店立地法についていろいろ話を聞いて、その中で建設省にも話を聞こうというので都市局長さんに来てもらっておりますので、申しわけありませんけれども労働省の方は間に合いませんから、最後に都市局長に。  この大店立地法の問題を契機として、都市の土地利用のあり方がいろいろと問われる時代になったというのは御承知と思いますけれども、そういう中で、どっちかというと、この大店立地法の中で、大型店がいわゆる出店コストを嫌って、郊外立地に、例えば市街化調整区域とか都市計画区域の立地を動かして、なかなか中心市街地の活性化というのが両立しない。その中で、都市計画制度の見直しについていろいろ言っておりますけれども、この点についてはどうするかということ。  それから、市町村マスタープランの策定というのは、これはぜひとも必要なわけですよね。そうしなければ中心市街地の活性化はできないと思いますので、その点についての建設省の対応を最後にいただきたいと思います。  よろしくお願いします。
  73. 山本正堯

    山本(正)政府委員 現在の都市計画法が施行されまして、三十年を経過いたしております。制度を取り巻く経済社会情勢、都市への急激な人口集中、あるいは市街地の無秩序な拡大が鎮静化する一方で、一人当たりの所得水準でありますとか、あるいはモータリゼーションを背景として都市的な土地利用が国土全体に拡大するなど、大変大きな変化をしてきておるところでございまして、私どもといたしましても、都市型社会へ大変変化をしてきていることに対応して、いろいろな施策をとっていかなきゃいかぬ、こういう状況であろうかというふうに思っております。  このため、私ども、本年三月に都市計画中央審議会に計画制度の小委員会が設置されまして、現行制度を抜本的に見直すための検討が進められているところでございます。小委員会がこれまで九回ほど開催されまして、学識経験者や地方公共団体等の皆さん方からのヒアリング等に基づきまして、制度見直しに当たっての検討項目の洗い出しでありますとか、あるいは新たな都市計画制度の方向の取りまとめに向けまして、先生の御指摘の点なども含めて幅広く今鋭意御審議をいただいているところでございます。今後、そういう地域の実情に合った形で、有効かつ適切な土地利用の規制、誘導が図られるような方向で見直しが進むものと考えております。  特に、今先生指摘がございました市町村マスタープランの策定につきましても、現在、市町村マスタープランが策定をされておりますのが約四百数十市町村でございます。今後とも、こういう都市の望ましい都市像を明確にするということが大変必要でございますので、こういう点につきましても、全体の検討の中で前向きに検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  74. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは、時間もありますから、先ほど私は大臣審査機関についての御質問をしましたけれども、これは要望にさせていただきますから、ぜひ、やはり両方だと思うんですよ。保証枠を拡大するのと一緒に、やはり審査もやって信頼をつけることも中小企業にとって大事だということが一つ。  それからもう一つは、これも実は時間がなかったものですから。立地法の中で、私が言いたかったのは、この指針については国会でもって我々も一生懸命、国会の附帯決議を初めとしていろいろと議論をさせていただいたわけでございますけれども、特に、町づくりとの調和とか大規模店舗の自覚と責任という記述が盛り込まれたというのは、私は高く評価しております。この国会の意思というものに対して、町づくりへの配慮を踏まえたものでございますけれども、今後どうやってやっていくかということがあるんです。  実はきょう、いろいろ申し上げたかったんですけれども、伊予の松山でもって、いわゆる伊予鉄そごうの中の話があります。第一号で出ておりますけれども、これから非常に大店立地法の運用が難しい。私は率直に言いますと、一生懸命環境整備して、それで一生懸命駐車場をつくった。そうしたら、町の中の道路や何か、町づくりが不整備ですから、今度は町が交通渋滞になっちゃう。私の町でもそういうのがあります。実際に駐車場をいっぱい町の中につくっちゃった、それで困っちゃったというので反対だというのがありますけれども、それはやはり調和をしなきゃいけない。  そういう意味で、これは本来質問をすべきですけれども、時間がございませんから、大店立地法についての中小企業立場、それについてはぜひ考えてやっていただきたい、また、そのために長官また大臣がぜひ頑張っていただきたい。心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  75. 古賀正浩

  76. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  まず第一に、産業活力再生特別措置法案について質問をいたします。  この法案、今国会はこの法案の成立のために延長されたと言っても過言ではない、非常に重要な法案であります。経済立て直し、日本経済の再生を目指す自由党といたしましても非常に重視している法案でありますけれども、いよいよきょう、法案が閣議決定されて、国会に提出されたというふうに聞いております。  この中身の問題でありますけれども、自由党は、以下三点について特に重要と考えておりました。第一に、この産業活力再生特別措置法、いやしくも企業の経営失敗のツケを国の支援の対象としないよう、自己責任の原則を貫いたものとすること。第二、我が国の制度をグローバルスタンダードに合わせるべきこと。さらに、これらに加え、第三、中小零細企業の事情に十分の上にも十分配慮し、中小零細企業が我が国の経済活力の源泉として、また我が国経済の主役として、その活力をフルに引き出され得る法案とすべきこと。以上三点について、特に重要と考えてまいりました。  とりわけ、第三の中小零細企業に配慮すべきこと、この重要性については、与党、自自両党間の協議の過程においても我が党が特に強調してきた点でありますけれども、法案はこのような我が党の主張をどのように反映したものとなっているのか、質問いたします。
  77. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 本日、産業活力再生特別措置法案は閣議決定をされまして、国会に提出をされたわけでございます。  この法案の中で、第一には、事業者が生産性の高い分野へ経営資源の移動を迅速、円滑に行い得るものとすること、第二に、創業、中小企業、零細企業方々による新事業開拓を促進すること、第三に、新たな経営資源を生み出す研究活動の活性化を図ることなどを目的としております。  こうした目的の確定、また目的実現のためにいかなる手だて、いかなる要件を法案に盛り込むかを検討するに当たりましては、御指摘のような自由党のお考えを十分に踏まえたところでございます。とりわけ、中小零細企業方々への施策の適用については、御指摘の点を踏まえ、施策の総合的かつ効果的な推進を法案上明示して御提案することとしております。  ぜひよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  78. 達増拓也

    達増委員 今の答弁にありました中小零細企業への配慮の点も含め、一日も早く、半日でも早く、その中身を国民の皆さんの前に明らかにしながら、法案の成立を図っていかなければならないと思います。その具体的な点については、この法案の審議の中でやっていくことになると思いますけれども、強い期待を申し上げたいと思います。  さて次に、中心市街地活性化の問題について質問をしたいと思います。  先ほど中野委員も質問されていたことでありますけれども、中心市街地活性化法が成立してもう一年以上になるわけであります。各市町村において基本計画を決定し、そしてTMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーションあるいは町づくり機関、そうしたものをつくって町づくりを強力に進めていく、そういう制度はできたわけでありますけれども、この間の進捗状況を政府に伺いたいと思います。
  79. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 昨年七月二十四日の中心市街地活性化法の施行以降、法に基づく市町村の基本計画は、平成十年度末までに八十三市町、今年度も七月十六日までに六十四市町の計百四十七市町、百四十八件が策定、提出済みでございます。また、いわゆるTMO構想、中小小売商業高度化事業構想については、七月十六日までに十九市町が認定済みでございます。  平成十一年度においては、平成十年度を上回る市町村において基本計画の策定が確実な状況でございまして、これに伴い、TMO構想についても今後多くの市町村において策定される見込みでございます。
  80. 達増拓也

    達増委員 私も地元の方でいろいろ話を聞いておりますと、なかなかこの一年では、基本計画、TMO等、まだ準備段階という感じだったわけでありますけれども、今後一年くらいの間に、各市町村の方でもかなり基本計画の制定が進み、TMOの設立にもつながっていくということでありました。  ますますこの制度について期待が高まっていくわけでありますけれども、他方、こうした制度、まずは基本計画の制定とTMOの設立は地元が頑張らなければならない話なんでありますが、それにはやはり時間がちょっとかかってしまう。その間にも、インフラ面の整備などは本当に一日も早くやってほしいということが並行してありまして、これは立ち入った質問はいたしませんが、建設省等、道路の問題、また地域地域の拠点になるコミュニティーセンター等の問題、そうしたインフラ面については、やはり並行して鋭意進めていただきたいというふうに思います。  さて、第三のテーマとして、きょうはコンピューター二〇〇〇年問題について取り上げたいと思います。  コンピューターが年号の計算を下二けただけでやることによりまして、〇〇年というものを一九〇〇年か二〇〇〇年か区別できなくて、さまざまなふぐあいが生じるであろうと言われている問題であります。  これについては、自自両党、与党で自自の二〇〇〇年問題検討プロジェクトチームを二月に立ち上げ、約二週間に一回のペースでヒアリング、視察等を行いながら現状把握に努め、そして随時、政府あるいは各業界等にさまざまな進言、そのうちのかなりは取り入れられているのでありますけれども、そういう作業をしてきたところであります。こちらの岸田理事もメンバーになっているわけでありますけれども、不肖私もメンバーにさせていただいております。  半年くらい取り組んでまいったわけでありますけれども、二〇〇〇年問題について基本的なところで非常に不確実性が残っている、それがいわゆる埋め込みチップ問題であります。  二〇〇〇年問題は、大きく分けてソフトウエア上のプログラムの問題と、チップの中に入っているプログラムの問題があって、ソフトウエア上の問題は一行一行チェックできるわけであります。これも大変な問題ではありますが、とりあえずチェックはできる。一方、埋め込みチップについては、チェックできないようなところに入っていたり、あるいは、そもそもどれをチェックすればいいのかわからないという問題があるわけであります。  これについては、今、世界に埋め込みチップは何億個あって、そのうち何%にはカレンダー機能が入っていて、そのうちこのくらいのケースはトラブルが発生するんじゃないかというような、非常に大ざっぱな、不確実性に不確実性を重ねたような議論が行われておりまして、この点をうまく詰めていかないと、いよいよ締め切りが迫っているわけですから、関係者はどう対応していいかわからないということなんだと思います。  これについては、政府としても技術的な問題究明に取り組むべきではないかと考えるわけであります。カレンダー機能を有するチップ、特にいわゆる汎用チップという、カレンダー機能を使わない、ほかの目的に使うんだけれども一応カレンダー機能が入っているなどというようなチップについて、それがどのような場合に機能のトラブルを引き起こすのか、そういう技術的な研究が行われるべきだと思うのですね。これは本当に、コンピューターをやっている学者さん、機械をやっている学者さん、その他いろいろ専門家はいらっしゃるはずなんですけれども、寡聞にしてそういう実験、研究があったということを聞いたことがございません。  通産省は、工業技術院の研究所、国立の研究所をたくさん持っているわけでありまして、そういうところを利用して集中してやれば、そんなに時間はかからないんじゃないかと思うのです。かなりの短時間にかなりのことがわかるのではないかと素人的には予想するのでありますけれども、この点、政府、いかがでしょうか。
  81. 広瀬勝貞

    ○広瀬(勝)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、マイクロコンピューター搭載機器は、世の中に今、幅広くかつまた大変大量に使われているわけでございます。したがいまして、二〇〇〇年問題対応の中でも非常に大きな問題の一つだというふうに考えております。  御指摘のように、大規模な技術開発によって対応できるということであれば大変助かるなということで、いろいろ技術的な議論もしたことはあるのですけれども、やはり一つ一つ、今現に使われている機器に当たって対応をしていくよりしようがないということになりまして、私どもは今、このマイクロチップを使っている業者、あるいは使って物を生産した製造業者、あるいはマイクロチップを製造した製造業者に対しまして、お客さんに二〇〇〇年問題があるということを告知し、またそれに対してこういう対応をしたらどうだということをお願いするというようなことで、シラミつぶしにやってくれというお話をしております。  ことしの一月でございますけれども、販売業者あるいはメーカー百十二団体に対しましてそういう要請を行いまして、現にそういう告知が行われているかどうかについてフォローアップもさせていただいております。まだ完璧とは言えませんが、六月末時点で、ユーザーがわかっている業者に対しましては七五%から一〇〇%ぐらい告知をしたという者が、業者の中で八七%ぐらいに上っておりまして、まだ幾つか残っておりますけれども、そういうところを引き続きしりをたたきながら、対応を万全にしていきたいというふうに考えている次第でございます。  先生御承知のとおりだと思いますが、マイクロチップといいましても、二〇〇〇年問題が発生する可能性があるのは、年月日を管理しているリアルタイムクロック機能というのを持ったものでございまして、また、この機能を持ったマイクロチップが使われている機器というのは、ある程度限られていますから、そういうところにとにかくシラミつぶしに当たっていくということしか今のところないのかなということで対応をしております。
  82. 達増拓也

    達増委員 チップ問題についてでありますけれども、チップ一般的にこういう使われ方をしている限りは問題はないとか、少しずつでもそういう事実がわかってくると、世間一般に非常に都合がいいと思うのですね。縦割りの業種や使い道ごとのそういう徹底した調査は、それはそれで大事なんですけれども、できるだけ横断的な調査研究がなされることを期待しますし、あるいは、それぞればらばらに行われている徹底したシラミつぶしの調査、その情報をうまく一つの場に総合することによって、チェックリスト的なものをつくって、それは、チップに取り囲まれて暮らしている人々あるいは会社に最終的なチェック段階でかなり有用な資料となると思うので、さらなる工夫もお願いしたいと思います。  以下、二〇〇〇年問題対策の進捗状況について、特に商工分野関連を中心に伺ってまいりたいと思いますけれども、一番重要なのではないかとも言われております電力分野の対策進捗状況について、どうなっているでしょうか。
  83. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 電力分野につきましては、各社に総点検結果の四半期ごとの報告を求めているところでございますが、その進捗状況は、本年六月末時点で、制御系重要システムで九八・八%、事務処理系重要システムで九八・二%でございます。残るシステムについても、十一月までにはすべて対応が完了するとの報告を受けております。この残余の部分は主として定期検査が秋口になるためでございますが、類似の機種で対応等を講じ、模擬テストも行っているものでございます。  なお、こうした進捗状況につきましては、第三者専門委員会を設けまして、事業者の取り組み手法が妥当であるか否かについて確認を行い、また、すべての電力会社が同様の手法を用いて対策を実施していることを確認してございます。  また、原子力につきましては、特段に、昨年十二月、外部の専門家から成ります委員会を起こしまして、六回の会合、二回の現地調査を通じまして、五十一基の原子力発電所すべてについて、その調査改修状況について検討を行っております。六月二十一日に内容を原子力安全委員会にも御報告を申し上げたところでございます。
  84. 達増拓也

    達増委員 原子力発電所については、自自のプロジェクトチームでも実際に柏崎の発電所に行きまして、模擬テストをするところを視察いたしまして、あわせて、基板一枚一枚までチェックしている体制を見てまいりまして、大変徹底した作業が行われているということについては承知しております。  これは、ほかの産業、一般、自治体等々も、電力については非常にそこを頼りにしているわけでありますから、さらに最後まで頑張っていただきたいと思います。  次は、ガス分野の進捗状況について伺います。
  85. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 ガス事業分野につきましても、総点検結果の四半期ごとの報告を求め、また第三者委員会においてその手法の妥当性確認等を行っているところでございますが、六月末時点で、大手都市ガス会社四社でございますけれども、制御系システムで九八・九%、事務処理系重要システムで一〇〇%の完了率でございます。残るシステムにつきましても、十月末までにすべて対応が完了するという報告を受けてございます。  ガス会社の、四社以外のいわゆる中小ガス二百四十社がございますが、この中で、ガスの製造、供給を制御するシステムにコンピューターを使用しているものは八十社ございます。先ほどの四社で総供給量の七八%、総需要家数の六九%でございますが、残る中小企業の分野の八十社がコンピューターを用いてございます。  この八十社につきましても、四半期ごとに調査の報告を求めてございまして、進捗率は、制御系重要システムで八五・九%、事務処理系で八一・九%でございまして、残る部分については、制御系重要システムについては十月まで、事務処理系重要システムについては年内対応完了ということで報告を受けております。  進捗率、大手に比べて少しおくれてございますが、内容は順調に進んでいるという第三者専門委員会の確認もいただいております。
  86. 達増拓也

    達増委員 エネルギー関連では、外から入ってくるもの、例えば石油について、産油国の方のトラブルによって石油の輸入が滞る可能性があるのではないかという心配が指摘されております。  この点について、政府としてはどう考え、どう取り組んでいるでしょうか。
  87. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 特に石油につきましては、外交ルートあるいは国際会議の場などを通じまして、原油供給元でございます産油国の国営石油会社あるいはメジャーなどの対応体制、対応完了予定時期、あるいは危機管理計画の策定などの対応状況について把握をしてきてございます。その結果、おおむね日本輸入をしております総輸入量の九六・二%のところまで相手方が対応をしているという確認を行ってございます。  なかんずく中東産油国の多くは財政の大半を原油からの収入が占めておりますので、原油生産事業の継続は死活問題ということで、各国とも二〇〇〇年問題に積極的に取り組んでいる状況でございます。  なお、一たん何事かが起きたときという御趣旨でございますが、内需量の百六十四日分に相当いたします石油備蓄量がございますので、緊急時においては、この円滑な放出という手段を用いまして、万一の場合にも対応が可能というふうに考えてございます。
  88. 達増拓也

    達増委員 非常に相互依存が世界的に、一般的にも高まっているわけでありますが、我が国は特にエネルギー、食糧等外国に依存している部分が高いので、二〇〇〇年問題については、国内はもちろんですけれども、常に海外にも目を配りながら対策を進めていただきたいと思います。  石油の問題と同じ構造なんですけれども、工業原料などに使われているいわゆるレアメタル、希少金属、ロシアのあるところでしかほとんどとれないとか、世界の中でもある国でしか産出していないというようなものについて、やはり同様にその産出国にトラブルが発生した場合に輸入が滞るのではないかという心配が指摘されているんですけれども、この点について、政府はどう考え、どう取り組んでいるでしょうか。
  89. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 レアメタルの部分につきましては、国際会議などでの情報交換の場が少ないために必ずしも情報は多くないわけでございますが、我が国の鉱山生産の経験から見ましても、鉱山の中には日付を入れた精密なコンピューター管理というのは必ずしもやっていないということでございますので、主な問題は輸送上の問題であろうかというのが認識でございます。  ただ、一たん事があったときという御趣旨でございますけれども、現在、このレアメタルにつきましては、通常の民間在庫量が年間消費量の約一—三カ月分存在をいたします。こうしたものの性格上、民間在庫も、相手国の従来からのストでありますとか天災とかいうことに備えた多目の在庫を持っております。また、加えて、国家備蓄といたしまして、七鉱種につきまして四十七日分を備蓄いたしてございます。したがいまして、一たん何事かが生じたときに、この備蓄物資を放出するということによって対応を図りたいと考えてございます。
  90. 達増拓也

    達増委員 次に、中小企業の二〇〇〇年問題対策について伺いたいと思います。  各分野の対策が進んでまいりまして、進捗している分野もかなりあるわけですけれども、事中小企業についてはなかなか、そもそも二〇〇〇年問題というのがあるという認識、認知の問題から始まりまして、何をどうしていいのかわからないという現場の感覚もあって、最終的に、中小企業における二〇〇〇年問題対策というのが、産業界全体の二〇〇〇年問題の一つの重要なポイントになるのではないかという指摘もされております。  中小企業の二〇〇〇年問題対策に関する現状と、政府の取り組みについて伺います。
  91. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 西暦二〇〇〇年問題につきましては、政府としては、コンピューター西暦二〇〇〇年問題に関する政府行動計画の決定及びそのフォローアップ等を行っているほか、中小企業に対して可能な限りの支援を講じていくこととしており、まず第一には、危機管理計画の策定を含めた本件問題への取り組みの重要性に関する普及啓発、第二には、情報通信機器の即時償却等の税制上の優遇措置、第三には、政府系金融機関の低利融資制度、第四には、相談体制の充実などを実施しているところでございます。  このような中小企業への支援、民間部門における努力等によりまして、中小企業の対応状況は着実に進捗しつつありますが、六月調査段階でも、未検討の中小企業が一割程度存在しております。  したがいまして、今後とも、このような支援策の実施や普及啓発を通じて、西暦二〇〇〇年問題への中小企業の取り組みを一層促進してまいりたいと考えております。
  92. 達増拓也

    達増委員 中小企業支援は、全国隅々まで二〇〇〇年問題対策のネットワークを張りめぐらすことになりますので、これを徹底してやることによって、いざというとき非常にいい国としての支援体制ができ上がっていくと思います。  また、中小企業そのものに対しましても、特にこれから本番直前に差しかかるにつれまして、さらなるニーズの増大、予想しなかった改修等の必要性、それがどんどん出る可能性もありますので、政府としてもそこは機動的な対応をお願いしたいと思います。  以上で質問は終わりますけれども、この二〇〇〇年問題対策、我が国の取り組みを見ていて感じますのは、それぞれの分野別、業種別、そうした対策というものは政府としてかなりきちっとやっていて、確かに中小企業向けのいろいろなコマーシャルについても、私も新聞、雑誌等々であちこちで目にしております。ただ、諸外国に比べると、国民一人一人への政府からの言葉というものが足りないのではないかというふうに思います。  したがって、ボランティアで、二〇〇〇年問題について勉強し、個人としてあるいは家庭としてどう備えればいいのかというのを一緒に取り組もうという人たちが、ホームページを立ち上げたり、各地域地域にそういうNPOのようなものが立ち上がってきたりしておりますけれども、例えばアメリカでは、大統領のホワイトハウスのところで、フリーダイヤルで電話をかければだれでも二〇〇〇年問題についての基本的なことを知ることができるサービスとかをやっております。  これは、通産省だけでやれという問題ではなく、政府全体として取り組まなければならない問題だと思いますけれども、そういうところがこれから重要になってくるのではないかということで、それは政府もですけれども、国会、政治家の方もますますそういう対国民の責任が重くなっていくのではないかというふうに考えておりますということを述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  93. 古賀正浩

    古賀委員長 金子満広君。
  94. 金子満広

    ○金子(満)委員 日本共産党の金子です。  限定された時間ですから、端的に、率直に質問をいたします。答弁の方もわかりやすく、短くやっていただきたいと思うのです。  まず、景気の動向についていろいろの表現があります。確かに、長引く深刻な不況が国民生活に重大な打撃を与えていることを否定する人はもちろんおりません。しかし、では今の動向はどうかということになりますと、その時々によって、また担当省庁によっていろいろの表現があるわけですね。  過去のことは申し上げませんけれども、例えばこの七月の月例経済報告の中で経企庁の方は、やや改善ということを公にしました。しかし、その後新聞を見ますと、きょう堺屋さんも出ておりますけれども、直ちに本格的な景気回復につながるかどうかは明白でない、こういうように言っておるわけですね。だから、今後どうなるかははっきりしていないということを言っているわけです。  ところが今度は、この十六日に厚生省が公表した一九九八年の国民生活基礎調査ではどうなっているか。これでは、マスコミも大きく報道しておりますけれども、生活が苦しいという答えをしたのが全体の世帯の中で五〇%を超えている。これは、第二次オイルショック直後の八〇年調査以来、この二十年間で一番ひどい状態になっていると思うのですね。新聞でも、過半数世帯が生活苦しい、二十八万世帯、昨年の調査、この二十年間で最悪。生活が苦しいと答えた世帯数の割合が五二・一%だ、このように言っているわけですね。  ですから、例えば、やや改善ということを聞いたときには、あれ、どこを見て、何をやっているのかなと私も思いました。中小業者の方に会うと、全然違うよ、何を見ているのかなというのが確かにありましたが、堺屋長官の新聞のあれをみると、やはりこういうような見方もあるのかなと。  厚生省、経企庁、いろいろありますけれども、そこで、今の景気の現状について通産大臣としてはどんなぐあいに思っているのか、率直に伺いたいと思います。
  95. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私どもは、昨年からのことを考えてみますと、所得税の減税、法人税の減税、住宅促進税制という税制上の需要対策をやってまいりましたし、また昨年の補正予算、また平成十一年度の当初予算においても相当の財政支出をすることとなっております。現在の景気はこういう政策的な下支えによって持ちこたえているわけでございまして、まだまだ個人消費は回復しておりませんし、また企業の設備投資も回復をしていないと私は思っております。  しかしながら、株価等の先行指標を見ましても、一般的には景況感に関しては明るさが広がってきていると思っております。したがいまして、マインドの問題としては改善されつつありますし、また、通産省に集まってきております個別の指標、例えばこの分野の売り上げはどうかとか、この分野の出荷はどうかというものは、改善されつつあるものもあることも事実です。また、一—三月の数字については、いい数字が出たということも事実です。  ただ、政策運営の態度としては、やはり経済というのは依然として厳しいという状況認識のもとで政策運営をやる必要があるというのが通産省立場でございます。
  96. 金子満広

    ○金子(満)委員 結論的に厳しいと言えば、それはそのとおりだと思うのですね。  それで、どこを見て、何の資料で言うか、指数で言うか。今もちょっと出ましたけれども、例えば証券界の問題に行きますと、証券大手三社はバブル後最高利益だ、こういう中で、これは十九日までに出そろったものですけれども、上場証券二十二社みんな黒字だ。ここを見ると、ああいいなとなるんです。しかし、厚生省調査を見たら、全然よくない。ですから、総合的に、全体を見て判断しないと、甘い考え方を持ったら大変だと思うのです。しかし、厳しいことばかり言ってもだめだ。だから、どこをどうするのかというのがいつも空回りするという、そこのところを考えていくことが私は大事だと思うのですね。  それで、いろいろの指数というものがありますけれども、やや改善だが厳しいとかいろいろあるけれども、既にこれは国会でも審議されていることですが、五月の完全失業率というのは四・六で、完全失業者が三百三十四万だ。いやこれは四月よりは減りました、〇・二%、八万人減りました、よくなったんだと。中を今度は資料で見ると、八万人減ったというのはパートが圧倒的なんですね、それで女性が圧倒的なんですよ。そこへもってきて史上最高になっているのが、男性の失業者は二百七万なんですね。さらに世帯主の失業者、九十七万。統計上の世帯主というのは一人世帯じゃないんです。二人以上の世帯の世帯主の失業者が九十七万。これも過去最高。  これに加えて、中小企業の倒産件数も、いろいろ議論されておりますけれども、去年十月のあの特別保証制度が導入された後、十一月から十二月、一月、二月と、倒産の件数はぐうっと減ってきたと思うのです。ところが、三月になったらまた千二百台になってしまう。これが現実の状況だと思うのですね。こういう事態がある。  もう一つは、これはもうマスコミでも連続書かれている、昨年一年間の自殺者ですよ。これが初めて三万人台を超えた。マスコミでも、不況の反映の自殺が七〇%増とも言われているのですね。これは単なる数字ではないと思う。数字で見たら人情なしになってしまうんですよ。いつでも数字屋で、パーセント屋さんだなと。経済はパーセントじゃなくて、人間の命と生活にかかわる問題だ。  そういう点で見ていきますと、これは、数字ではなくて、国民生活、中小企業の実態、国民の命というものがどういう形で反映されているか、こういうことが言えると思うのですね。この点について、通産大臣の、これは感想でいいですから、お聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕
  97. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私は、失業の問題というのは、我々政治家が直面する最大の問題だろうと思っておりますし、雇用不安を起こすということは、私どもが全力を挙げて避けなければならないことの一つだと思っております。  中でも、先生が挙げられた数字の中で、非自発的な失業者の方、この方々は、先生の数字のとおり、多くの方々は扶養家族を抱えて、自分の労働によって唯一の収入を得ているという方々でございますので、こういう方々のことを考えながら政策を進めなければならないと思っております。  ただ、一つだけ気がつかなければならないのは、日本経済は悲劇の真っただ中にいるというふうに考えるべきなのか、あるいは他のいろいろな国々に比べてやはりこれだけ大きな経済を持っているということの現実をきちんと見るのかということで、私は随分話は変わってくるんだろうと思います。ただ、多くの人々がまだバブルの時代の幻想を抱いておりまして、景気がよくなるということはあの時代に戻るというような錯覚に陥っているとしたら、それは私は永久に戻らないというふうに言わざるを得ないと思っています。
  98. 金子満広

    ○金子(満)委員 我々は、悪い面ばかり見ていったら、もう全部壁に当たって出口がなくなるんですね。そうではない。例えば、自殺の問題についても失業の問題についても、本人に努力しろといったって、これはできない面がうんとあるわけだ。これを変えるのが政治だと思うんですね。  そういう点から見ていかなきゃなりませんが、警察庁の方は来ていますね、お伺いします。  昨年の自殺者の数というのは三万二千八百六十三人、これは交通事故の三・五倍に当たるわけですね。したがって、週刊誌なども、例えばリストラ自殺とか金融自殺とか、こういう見出しで書いているんです。私は、こういう中で、経済、生活を理由とする自殺が急増している、これはよく指摘されているとおりなんですが、その中で、年代別に見ますと働き盛りの四十代から五十代、中小企業者や失業者などの自殺が多いわけですが、これが近年どういうような、例えば去年と比べて、これはあらかじめお願いをしてありますから、答えていただきたいと思うんです。
  99. 原田宗宏

    ○原田説明員 警察におきまして経済、生活問題に係るものとして推定した自殺者の数は、平成十年中は六千五十八人で、前年に比べ七〇・四%増となっております。このうち最も多いのが負債に係る自殺で、二千九百七十七人、構成比で四九・一%、前年に比べ五八・五%増。次いで事業不振に係るものが千百六十五人、構成比一九・二%で、前年に比べ七五・五%増となっております。また、年齢的に最も多いのが五十歳代で、二千二百六十四人、構成比で三七・四%、前年に比べ八三・八%増。次いで四十歳代が千五百一人、構成比で二四・八%、前年に比べ五四・六%増となっております。
  100. 金子満広

    ○金子(満)委員 それが実数だと思うんですね。この解釈は多少、人によって、考え方によっていろいろ違うかしらぬけれども、動かない数字の中から政治の動向も見ていき、直すべきところはここだなという点をはっきりさせていかなければならぬと私は思いますね。  さっき与謝野さんも言いましたけれども、失業というのも確かに深刻だと思うんですね。そういう中で自殺もふえている。また、生活苦の自殺というのも、確かに平成九年と十年とを比べてみると二倍以上になっているんですね。こういう点を考えて、私たちはこれをどうしても直すために、景気回復のためには、いずれにしても消費を拡大しなけりゃならぬ、中小企業に活力を、そういう点では設備投資もという、これは従来言われているとおりなんですから、そこのところに力を入れることが本当に大事だと思うんですね。  さて、そういう中で中小企業が低迷が続いている、厳しくなっているというのは、これもまた七月八日に全国信用金庫連合会の総合研究所が発表した統計上の数字にもありますが、低迷していると厳しくなるを合わせますと、全体で七割を超えているというのが現実なんですね。  こういう点で、私は通産大臣にもお聞きしたいのですが、この三月に、これももう議論になってきておりますけれども、総理の裁断でつくられた産業競争力会議があります。産業競争力会議というのは、競争力の強化を目指すというのが目的の中に入っています。会議の運営というのは、首相が主宰し、通産大臣が議事進行を行う、こういうようになっておりますね。会議の構成ですけれども会議の構成というのは、あの文書でいいますと、関係大臣と産業界代表となっている。  そこで、実際にはどうかという点で見ると、総理以下ほとんどの閣僚が入っています。ちょっと見て、ああこの人がいないなというのは、防衛庁長官が入っていないと思うんですね。ほかは全部入っている。そして、産業界の代表ということで出ているのが、あのメンバーを見るとわかりますけれども、大企業財界の代表だけだ。そういう点でいきますと、産業界といえば、中小企業の代表がここに入っていない。それから、国民生活に重大な影響を持っている労働者の代表、労働界代表が、これもない。学識経験者、これもいない。  そうしますと、総理を中心にしてほとんどの閣僚と、業界といっても産業界の代表は大企業経済界。この二者だけでつくる○○会議というのが今、日本の制度の中に幾つもほかにないと私は思うんです。こういうものをあえてつくった中で、意地が悪いわけじゃないんですけれども、中小企業の代表、労働界の代表、そして有識者の代表、これは入れなかったのではなくて除いたんだということまで考えざるを得ない。そういう指摘がかなり出ているわけですね。なぜ入れなかったのか。  このままいったら、大企業の進めている方向を政府も一緒になって促進する、そこにお墨つきを与えるような結果にならないか、こういう懸念もあるわけですが、中小企業、労働界、そして学識経験者を入れなかった理由は何ですか。
  101. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 産業競争力会議は、マクロ経済を議論するところでございまして、特定企業あるいは業種のための対策を論じるところではございません。それから、大中小という企業の区別によって議論を進めているわけでも別にございません。会議の内容はすべて詳細に公開をしておりますし、また、先生が中小企業に着目されているということであれば、既に中小企業方々の意見も伺っておりますし、現に、競争力会議の結果として出てまいります今般の産業再生法案の中には、中小企業の分野が十分取り扱われていると私は考えております。  学識経験者というのは一体だれを指すのかよくわかりませんが、既に堺屋先生の御提唱で、経済戦略会議というところで総理は十分学識経験者の意見も聞かれたと思いますので、そういう意味では、政府全体の政策としてはそういう学識経験者の意見も当然入ってきていると私は考えております。  労働者の代表というのは一体だれなのかというのは大変難しいところでございまして、連合といっても、連合はたかだか組織八百万人でございまして、全国の働く方々というのは五千五百万から六千万人もおられるわけですから、連合が果たして日本の労働界を有効に代表しているのかどうかというのは、いつも議論があるところは先生もよく御承知だと思います。
  102. 金子満広

    ○金子(満)委員 私は細かいあれこれを言っているのじゃなくて、例えば産業といったら何のことをいうのですか、産業とは。これは広辞苑を見るまでもないのですよ。生活のものを生産し、そしてこれをいろいろ改良し、そしてまた広く言えば、農業も漁業も、そして流通関係末端まで全体を含めて産業というのに、この場合は、産業が競争力を強めるために、これが代表だと。  ほかにも、例えば今労働界の問題が出ましたけれども、どれを選ぶか。では、政府が提唱しているものに労働界の代表はいないのですか、中央労働委員会はどうですか。それでは、学識経験者が入っているいろいろの諮問委員会とか機関がありますよ、あれはだれを選ぶのですか。これは皆あるのです。ただ、ここだけがないのです。だから、こういうのはほかに例がないだろうと。それを細かくきょうここでごたごた言っても仕方がありませんから、私は細かいことを言わないわけですけれども、問題は、そういう形で発足しちゃったわけですよ。  それで、総理の裁断なんですよ、そして通産大臣が進行係をやるわけですよ。中小企業、こっちの意見を聞きました、労働界もいろいろわかります、あれこれ選べないのですといっても、答えだけが出るのです。  私は、そういう中で、非常に大事な問題が実はこの競争力会議会議ということでやられていますけれども、言葉は産業の再生とか競争力とか活性化とかいろいろ言われています。では、そういう中で、実際にはどんなことになっているのか。  これを構成している産業界の代表という中で、最初から入っている十六の上場企業、ここではこの六年間に人員の削減を十五万八千人以上やっています。これは後で私ども調査による表もお届けしますけれども、そういう中で、あれほど雇用を拡大すると政府も随分言ってきました。去年の秋も百万人と言ったけれども、どうだった、経過を見れば五十万人も減って、また七十万人出すわけですね。しかし、そういう中で、こうした大企業が積極的に意欲的に新しい求人をやっておるか、していないのじゃないですか。これも数字が出ているわけですね。  しかも、そういう中で大事なことは、この会議に参加している経団連の今井会長は、五月二十日のこの会議で公式に発言して、これは出ているわけですね。その中では、企業内に必要以上の労働力を抱えたまま事業転換を図るというこれまでどおりの対応では世界的な競争に打ちかてないと、人減らしを公式に言っているわけです。これは会議で出ているわけですね、ないしょで言ったとかひとり言ではないわけです。  そして、日時の経過をたどってみると、これはもうよく国会の発言でも出されましたけれども、今井会長の発言が、実は同じこの五月一日、小渕さんがシカゴでやった有名な演説、これは新聞にも随分出ました。その中で、日本の失業率の増加は避けて通ることはできない、失業者の増加もやむを得ないんだということを公式に発言しているわけですね。  そういう中で、この産業競争力会議が、過剰人員を口実とした大企業の大量の人減らし、しかもその減らし方が、皆さん御存じだと思いますけれども、見て、どこの企業の労働組合が人減らし反対ということに立ち上がっただろうかというのも一つの疑問として出されるわけなんですね。つまり、人減らしというのはいろいろの勧誘のやり方がある。人減らし誘導、勧誘、今ならこうだと。そして、企業によっては就職先から履歴書の書き方から面接のときの注意までやるのですね。私は、そういうことを考えたときに、こういう大量の人減らしというのは人権無視の退職勧誘、あるいは退職の強要、こういうことがやられている、これが実態だと思うのですね。  こういう中で注目すべき発言は、去年の十二月、与謝野さんが通産大臣として参議院で行った答弁なんです。これはなかなかいろいろの意味で含蓄があると思うのですね。昨年十二月十日、参議院の経済・産業委員会で、私どもの党の山下議員の質問に対して次のように答弁しているのですね。リストラというのはその一つ企業にとってはバランスシートをきれいにするという意味では大変いいわけですが、全部の会社がリストラをやるということは全部の会社で不況運動をやっているのとほとんど同じだ。私はそうだと思うのです。  ところが、不況運動を全部やっている人がこの会議の産業代表の構成メンバーになっているわけです。私は、こういうことを考えたときに、これは大変なことだ。ですから、雇用をふやすというのだったら、失業者を出さないということも同時に考えなきゃならない。いろいろ転換の問題がありますけれども、失業者を出さないということを考えなきゃならない。  さあ、そういう中で、今やるべきことというのは、人権侵害とか不当な解雇を許さない、解雇規制というのを通産省はやるべきだ。同時にやはり、私どもは、世間でも言われるけれども、大企業、ゼネコン奉仕の大型公共事業を何でもかんでも、これを景気回復だというのじゃなくて、国民生活に密着した、医療や福祉やそして教育に関係する公共事業を積極的に起こしていくことが、これは失業者を出さない、雇用を維持し拡大していく、そして収入もふやし、購買力を高め、消費を拡大していくという意味でも大事だ。  こういうことを今やるべきだと私は思いますが、大臣、どうですか。
  103. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生の御質問は幾つかの部分に分かれていると思うのです。  まず、産業競争力会議の十六人の方々のそのままの名前の会社の雇用者を集計しますと先生の数字になるかもしれませんが、あれらの会社はそれぞれいろいろグループも大きく、そういう中で雇用を移動させておりますので、恐らく、グループとして雇用者数を全体把握しますと一割ぐらいむしろふえているのではないかという話もございます。その点はもう一度考えていただきたいと思うわけでございます。  それから、小渕総理のアメリカでの発言というのは、お医者様がちくっと痛むかもしれませんよということを言っておられるわけで、経済構造改革をどんどんやっていくと失業者がどんどんふえていく、それを放置しても構わないのだという意味でおっしゃったわけでは決してない。経済構造改革をやれば、当然、若干の痛みは伴う、政府としてはその痛みをできるだけ極小にする、そういうことを小渕総理はおっしゃりたかったのではないかと私は思っております。  もとより、この政府の方針というのは、競争力会議だけではございません。政労使の会議もやっておりますし、経済戦略会議もやっております。そういう中で、昨年からやっておりました金融システム対策あるいは需要面での対策に、プラス、二十一世紀の日本経済を本当に強いものにして、その中で雇用機会というものをふやしていくという、自分で言うのも恐縮ですが、そういうダイナミックな考え方に基づいてやっておりまして、非常にスタティックな、静的な考え方で、ある断面だけを切って物事を論じるというのではなくて、やはり、マクロ経済的に日本という国が立ち行くようにするためには一体どうするのか、そういうこともぜひ共産党にもお考えをいただきたいと考えております。
  104. 金子満広

    ○金子(満)委員 与謝野さん、それぞれの企業がグループの方でやるとふえていると言うけれども、調べてみた方がいいです。これは通産省に言えばすぐ出ることですから。私どもも調べました。ふえていないんです。減っているんです。そういう点は数字でも明らかになっているわけですから。新日鉄、トヨタ自動車、日立製作所のグループ企業も含めた従業員の数の推移というのがあります。これを見ても、これは私ども調査ですけれども、みんな減っているんですよ。ですから、そういうことをしっかり見ないとならない、これが一つ。  それから、小渕総理の発言について大分やわらかく緩和して言っているんですけれども、先ほど私が申し上げた五月二十日の第三回の競争力会議のときの今井さんの発言に続いて、奥田さん、トヨタ自動車会長の発言はもっとはっきり言っているんですね。「失業率が五%を超えるのはまず必須だと考えなければならない。政府はどう対応するといったメッセージを国民に示すべきではないか。」開き直っているんです。これが実際、記録に残っている内容なんです。ですから、そういうものをはっきりさせないとならない、このことだけは申し上げておきたいと思うんです。  時間がなくなってまいりますから最後に、これはもう先ほど質問にも出ておりますけれども、去年の十月実施した中小企業金融安定化特別措置制度の問題についてです。  もう詳しくは申し上げませんが、いろいろの点、いろいろの団体から要求が出ていることは御存じだと思うんですね。それで、この制度が中小企業に対してこれまでにない大きな援助を与えたということは、超党派でだれもが認めることだと思うんです。どの地域でも、この制度はよかったと。悪いと言う人はいないと思うんです。それだけに、効果的であり適切であった。しかしそこで、今出てきているいろいろの、政府に対し、各党に対する要請というのはどうか。  一つは、特別保証制度の融資期間の延長、それから元金据置期間の延長、そして二十兆円の枠の拡大、集約するとこの三つが、中小企業関係者、それから金融関係の方も大体同じ要請が出てきているわけですね。全国中小企業団体中央会が五月に出した要望では、二十兆円の特別保証枠を広げてくれ。また、六月の日本商工会議所は、この件では中小企業金融安定化特別保証制度の取り扱い期間の延長。そしてさらに、七月には、中小企業家同友会全国協議会が緊急の要望として出したのは、特別保証制度の融資期間を二年間延長し七年とすること、また元金据置期間も一年延長してくれということ。これが出ているわけですね。  私は、こういう中で、ことしの七月の初めに、中小企業が密集している埼玉県の川口の中小企業団体、そして鋳物業者、地方金融機関の方、数名から現状を聞き、話を伺いました。それで、埼玉県下で特別保証制度を利用している中小企業者は四万三百六十社、金額にして六千八百九十七億円。そのうち川口は四千二百四十三業者、全体の一一%がこの制度を利用しているわけですね。どこに会ってみても、この延長、枠の拡大は切実な問題、反対ゼロでしたよ。これは、延長しても損する人はだれもいないんじゃないですかと。私は何党支持ですという、うちでない人もみんな含めてみんな一致しているんだから、ぜひやってくれ。そのうち、そのうちで秋になったら返済期間が始まるので、大変なことになるから早く目鼻をつけてくれと。  そこで、先ほど通産大臣の答弁の中でいろいろありました。時間がありませんから確認のため申し上げたいんですが、特別枠の保証二十兆円を拡大するということは、総理もそういう方向を示している。大蔵大臣も、通産省から言われれば考えるという意味のことを申されましたけれども、私は本当にそうだと思いますが、通産大臣としてこの枠拡大をやるということを言ったんだときょう確認してもいいかどうか、これが一つ。  それから、特別保証制度の融資期間の延長と元金据置期間の延長の問題では、融資期間についてはケース・バイ・ケースという意味のことをおっしゃったと思うんです。これまでも答弁で出ていますよね。弾力的という言葉を使ったときもあります。弾力的ということは、延長を含めて対応する、その対応の仕方は地方の信用保証協会でやってもらう、そういうように指示している、こういうように、延長を認めるということと解釈していいかどうか、この点を伺っておきたいと思います。     〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 二点お答えいたします。  もう重ねて申し上げるのも恐縮ですが、特別枠は二十兆の中であと四兆円が残っております。それで、これをいつ使い切るかという問題がございまして、そのタイミングとの関係で、今すぐ枠の拡大をするということを言う必要があるのかどうかという問題はありますが、仮にそういう枠がだんだんなくなってきたという段階では、総理も、必要かつ十分な保証の枠を確保するということを記者会見でおっしゃっておりますし、それを引用して私が答弁をいたしまして、ただ、大蔵大臣にはまだ御相談をしておらないんですということを申し上げましたら、大蔵大臣は直ちに答弁に立って、通産省がそういうことを言ってくればすぐ了承すると言っておりますので、必要になった場合には、それが直ちにできるような環境はできております。  それから、据置期間それから返済期間、この問題については、個々の借り入れ企業ごとにいろいろな事情もおありだろうと思います。したがいまして、そういう個々の企業の経営者の方が信用保証協会等と御相談になって、個別の事情に対応していただきたいと思います。もとより通産省は、各保証協会に対して、そういうケースについては弾力的に対応してほしいということを申し上げております。これは、原則は原則、それから、実情に応じた対応は対応、こういうことに分かれるんだろうと思っております。
  106. 金子満広

    ○金子(満)委員 終わります。
  107. 古賀正浩

    古賀委員長 前島秀行君。
  108. 前島秀行

    ○前島委員 時間もたってきましたので、中小企業の問題を中心に二、三お聞きをしたいと思います。  最初に、この十月の十八日に期限が来ると思いますが、政府系金融機関の五%以上の利率についての減免措置。これはたしか三年間特別措置をやって、この十月十八日に期限が来るわけでありますけれども、五%を超える利率に対して特別措置として五%にするというこの減免措置は、今後も継続するのかどうなのか、最初にお聞きをしたい、こういうふうに思います。
  109. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 金利減免措置については、景気低迷の長期化や過去に例を見ない超低金利局面といった異例の状況を踏まえて、一年間の特例措置として平成七年十月から実施したものでありますが、中小企業を取り巻く経営環境が依然として厳しいものであったことにかんがみ、過去三度の延長を行ったところであります。  先生おっしゃいますように、本年十月十八日に措置の期限が到来するところでありますが、それ以降の措置延長については、今後の景気動向、金利動向等々もろもろの情勢を見きわめる必要がございまして、こうしたことを踏まえまして、これからの判断でございます。
  110. 前島秀行

    ○前島委員 きょうの今の大臣の答弁ですと何か逆に不安になっちゃって、この点について関係のところにいろいろ意見を聞いたら、概算要求との兼ね合いだとか、大蔵等々との協議等々もまだ十分に詰まっていないのでと、こういう前提はありながらも、大体延長の方向でいく方向性というものは私は感じていて、改めて、では間違いないですねということを確認するつもりで今お聞きをしたんですが、ちょっと今の答弁ですと、まだ否定的なというか不安材料を感ずるんですが、そんなに心配する必要はないわけですね。  手続的に、まだこれから概算要求、予算措置だとか大蔵との協議だとかという点があるということは私十分承知ですが、何せ十月十八日という、迫っていることもあるし、いろいろな対応ということも、中小企業、とりわけこれは本当に零細企業等々の関係もありますので、その方向性をちょっと、もう少し具体性といいましょうかをお聞きしたいな、こう思っているのであります。
  111. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 金利減免には、まず第一に予算措置の話がありまして、中小企業予算全体の中で金利減免にどの程度ウエートを置くかという判断も当然ございます。それから、市場の借り入れの実勢金利と政府の貸出金利に大きな差がございましたので、そういう意味では、やはり金利減免措置というのは社会的要請があってやった措置であったわけでございます。  ですから、今答弁申し上げたのは、予算措置が必要であるということ、それから、市場金利が相変わらず底に張りついている場合は、金利差が大きくて、一体何だこの金利はという話になりますので、その金利の問題もありますし、また、景気がどうなるのかということも一般論としては考えなきゃいけない、そういう要素がございますけれども、中小企業庁は、多分、これは続けるべきだということを省内でも主張するはずでございます。
  112. 前島秀行

    ○前島委員 金利が動くということもそう考えられないし、一挙に景気の問題が具体的にということにもならぬと思いますので、そんな客観的状況を見ると、今の大臣の答弁を前提とするならば、私たちは、少なくともまた延長されるもの、そういう方向で動いていくんだろうという認識を持っていたい、こういうふうに思いますので、ぜひその辺のところは予算措置との関係の中で御努力をお願いしたい、こういうふうに思います。  それで、地方の都市、中堅都市以下と言っていいと思いますけれども、私、春先の所信の中で、ことしの統一自治体選挙で事務所探しに苦労しない、こういう話をしたんでありますけれども、依然としてやはり、地方の都市の商店街の状況というのはひどいですね。これに対して、地方の自治体を含めて、必死になって今さまざまな対策をしている。私の静岡県でも、国の事業を受け、県の独自の事業だとかあるいは市町村がそれを受けた形で、今必死になって商店街の立て直しをやっているわけであります。  そこで、政府系金融機関が、先ほども質問しましたように、五%以上になっている。この種の商店街の整備には、やはり二十年余の長期かかる。こういうことがあって、この話というのは今に始まった話じゃなくして、もう二十年、三十年前から起こってきて、それが徐々にやってきている。ここのところ数年は、こういう景気状況の中で非常に集中的に国、市町村がその対策を練っているので、かなり具体的に進んでいるという状況にあって、そこで、十年前、十五年前にその種の対応をしたところの金利と、このさまざまな手当てを受け、なおかつ安い金利との中に、同じ商店街の中で相当ギャップがあって、さまざまな議論になってきちゃっている。こういう状況が今現実に地方に起こっているわけであります。  特に、御案内のように昨年、中心市街地活性化法ができて、かなり大々的にその種のことも進められているという形の中で、その矛盾に出くわしちゃっているわけであります。そういう面で、政府系金融機関の金利というものと現実の今の低金利という中でもって差が生じて、やはり、数千万の借金をしていろいろな建てかえをしたり、都市計画に基づいてセットバックをした商店街の中で、相当な問題になっちゃって、政府系金融機関の借りかえといいましょうか、利子の問題が議論になっているわけですね。  私は最初に、せめて五%以上のものは延長になるでしょうねということを質問した上で、政府系金融機関がさまざまな利用をされているときに、現実に低金利で同じ事業を起こして矛盾が出てきちゃっているものですから、そこで、書きかえをしてくれないか、こういう意見が現実にあるわけです。  そこで、一つ具体的に聞きたいのは、政府系金融機関の借りかえ等々の条件、具体的な例は何なのかということと、そういう矛盾が出たときにはある程度特例措置として積極的に借りかえということをやっていって、同じ町内、同じ行為をやっている中に矛盾がないようにしないと、なかなか、問題が起こっちゃうということがあるものですから、そういう点で、一つは、政府系金融機関が特例措置として借りかえをする例、条件は一体どうなのか、現実にどういうものが今考えられているのか。この点について、一つお聞きをしておきたいと思います。
  113. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この問題を個別に議論するときに、やはり、政府系金融機関のお金が一体どこから来ているのか、原資はどこなのかという問題と、原資の金利というのは本当に上下に変動するのかどうかという深刻な問題にぶつかるわけでございます。その上で、鴇田長官の答弁を聞いていただきたいと思います。
  114. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 ただいま大臣の方から基本的な枠組みのお話がございましたので、先生の方も十分に御理解を賜っていると思いますが、財投借り入れを原資にして、例えば五年間、中小三機関につきましても、原資コストというのは中小企業者と同じように高い金利で借り入れをして、それで貸し付けに回しているという事情がございます。  したがいまして、そういった事情の中で、実を言いますと、平成八年の時点に、過去の借り入れの金利が余りに高過ぎる、現下の超低金利状況に比べてギャップがあり過ぎるということで、政策的にかなり議論をいたしました。それで、中公、国金、商工中金、幾つか扱いがあるわけですが、具体的に申し上げますと、中小公庫につきましては、一定のスキームをもってまず繰り上げ償還というのをやっていただく、つまり、既往の高金利での借り入れを一気に弁済をしていただく、その上でまた新しい金融について条件が合えば融資を差し上げる、そういうシステムができております。  ただ、非常に簡単に一般論で申し上げますと、従来、例えば一般の貸付金利で借りておられた方が、その後、例えば中心市街地制度に即応した特別貸付制度ができた、金利の安い制度ができたというときに、それに乗りかえられるかといいますと、その新たな特別貸付制度についての要件を具備していただく必要は当然のことながらございます。それで、既往の貸し付けについての借りかえに伴う一種の繰り上げ償還につきましては、その金融機関サイドのコストの面につきましても一定の算式で御負担を願う、そういうシステムになってございます。
  115. 前島秀行

    ○前島委員 その繰り上げ償還とか、あるいは公的機関に借りたものを民間を利用して返してしまって、新たな今の民間の一定金利に適用する、そういうさまざまな手だてにも、やはり相当の新たな担保設定等々でいろいろな問題が生じてくるわけでして、そういうことの余裕さえないというのが、今、中小の商店街の現実なんですね。  したがって、今ある、利用しているその政府系金融機関の中で、低利に、今に合った金利の書きかえ、借りかえというものができないのか。そこに固定金利かどうかというのは判断があるのですよ、その判断は、それぞれどっちにするかというところはその人の判断に任せればいいのでありまして、問題は、そういうときに借りかえ的にできるという制度枠をつくっていく、あるいは柔軟にそこのところを対応するかどうかということだろう、こう思うのです。  例えば一つの例を言いますと、Aさんというのは、実は都市計画に基づいて十年前に街路樹の幅を延ばしてセットバックしているわけですね、これは都市計画に基づいている。そこで新築をしている。そのときに、政府系金融機関に二十年返済で四千万借りた。十年、今日返してきた。今、同じ商店街が今のこういうさまざまな実態で、国の支援、県の支援、市町村の支援等々でさまざまな支援措置があって、同じ行為をしているのですね。同じ行為をしている。国の支援がある、県の支援がある、市町村の支援がある、その上に金利が大体三%以下、二%前後という、二・六か二・七%というのが現実なんですね。  だから、おまえさんの判断で十年前にやったんだからと言っちゃえばそれまでのものですけれども、それは都市計画に基づいてそうせざるを得なかったから、改築に当たってセットバックをした。同じことをしていながら、十年たった今、同じ都市計画に基づいてやっているのに、国の支援があって、県の支援があって、市町村の支援がある、その上に金利の問題等々があるので、せめて政府系金融機関の金利の問題については、固定金利と変動金利の選択はあるのですよ、だからどっちをとることがいいかということは先の問題としてありますけれども、選択できるよという配慮は最低あってもいいのではないだろうか。そこに弾力的な対応をぜひしてほしいというのは、これは切実な問題なんですよ。  ほかの民間の金利に清算してやっても、やはり数十万の担保設定等々がかかりますから、本当に町の中でもって中小の零細な商店街にとってみれば、数十万、百万前後の必要経費というのは大きな痛手になる、こういうこともありますし、民間のあるいは同じ政府系機関の安い金利にいずれなったとしても、当面、今の現状を何とか一、二年の間を繰り抜けたいという形になってきますと、将来の先もさることながら、そういう弾力的な対応ということはどうしても求めざるを得ない。  こういうふうに思うのですが、その辺の、個別ケースとして、あるいは政府系金融機関の出先で相談をして柔軟な対応はできる、こういうふうな認識はよろしゅうございますか、長官。
  116. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 ただいま先生も御指摘になりましたように、例えば中小公庫ですと二十年間長期固定金利をエンジョイできます。つまり、低金利のときに借りられた方は、その後高金利下に入っても超低金利で、固定金利制度を活用できるわけですが、それが、一たん周辺の金利状況が低金利下になった場合にすぐにそれを借りかえられるということになってしまいますと、この長期固定金利制度、中小公庫の金融制度自身がなかなか成り行かない状況になると思います。  したがいまして、先ほど私が申し上げたように、そういった場合にあっても、繰り上げ償還という形で一度きれいにしていただいてから、また現下の金利条件で、特別貸付制度の条件を満たせばそれで新たにまた借り入れをしていただく道は平成八年につくり上げたという実情を申し上げたわけでございます。
  117. 前島秀行

    ○前島委員 個別に対応するとなかなかそう出先では簡単にいかないというのは現実でありますし、また借りかえをやっていくことによってさまざまな問題というのは出てくるわけですから、ぜひその辺のところの対応は幅を持ってやっていただきたいということだけ、つけ加えてお願いをしておきたいと思います。  それから次に、貸し渋り対策と保証制度の問題ですが、地域でいろいろな状況の中で、私は、現実にまだまだ中小零細企業には貸し渋りというのは起こっているなということを、よくいろいろな形で相談を受ける中で、実感としています。そういう面で、やはり貸し渋りに対する、金融機関に対する対処をしてほしいということが一つ。  それから、昨年十月来の特別保証制度が中小企業にとって非常に恵みの雨であったということは、私たちもさまざまな地域でもって実感をしています。同時にまた最近、企業倒産の中で、この制度を活用した人も結構出てきているなというところも私は非常に耳にするところです。静岡県を例にとってみますと、この年明けから二、三件ずつ毎月その制度を利用した事業者が倒産になってきている。こういう状況で、ここ五月、六月の状況ですと、それが六件にふえているという状況にあるわけでございますね。  したがいまして、私は、貸し渋りに対する対処を厳密に、厳格にやってくれということが一つと、この保証制度の運営についても、やはり慎重であるべき部分というものが出てきているなということ。この制度そのものの拡充、先ほど議論がありましたけれども、さらに延長なり充実をしてくれということもまた現実にあるだろうと思いますから、そういう面で、その辺の、制度利用の倒産件数が徐々にふえているという実態をどのように把握しているのか、この問題についてどういう対処を今後しようとしているのか、その点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  118. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 二点御質問がございましたが、通産省が行っております実態調査によれば、いわゆる貸し渋りを受けている中小企業の割合は昨年十一月以降減少してきております。しかしながら、その割合は依然として三割弱ございまして、中小企業への貸し渋りはなお存続との認識については、御指摘のとおりでございます。  通産省としては、昨年八月に決定された中小企業等貸し渋り対策大綱に基づき、同年十月の貸し渋り対応特別保証制度の創設や、政府系金融機関の融資制度の拡充等を実施しているところでございますが、今後とも、金融機関の融資姿勢について引き続き注視し、信用保証制度や政府系金融機関の融資制度の的確な運営に努めていくとともに、金融監督庁などと協力をしながら適切な対応を引き続き働きかけてまいります。  特別枠を設定いたしましたのは、銀行を助けるつもりもございませんし、別に悪質な業者を助けるつもりがあってつくったわけではございません。その内容については政府委員から答弁をいたさせます。
  119. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 当該特別貸し渋り保証制度と倒産の関連の御指摘がございました。  私どもも各協会を調べまして、代位弁済件数、昨年十月からこの六月まで全国でとっております。その件数を申し上げますと、民間の調査によります件数とほぼ同様でございますが、約千件になってございます。  ただ、これは本制度自身、当初から、保証承諾基準というものをできるだけ緩和されたものにしようということで、ある程度の想定した高いリスクを前提にしておりました。その観点から申し上げますと、約八十七万件のうちの千件ということで、パーセンテージでいいますと〇・一二%程度でございます。この数字が必ずしも低いとは申し上げませんが、過去の無担保の保証承諾、ここ何十年と保証をやっておりますので、その実績の中では、過去により高い〇・一三という一般保証制度の実績もございますので、本保証制度の特別性という観点から考えると、今のところはまだそう大きなリスクになってきてはいないんだと思います。  ただ、いずれにしましても、大臣から申し上げましたように、貸し渋り状況というのはかなりまだ高水準にございますので、結果として事故ができるだけ起きないように我々ネガティブリストを厳正に運用はいたしておりますけれども、この制度自身の保証承諾の条件緩和という点についてはやはり意を用いていく必要があろうかと思っております。
  120. 前島秀行

    ○前島委員 この保証制度が非常に有効に働いたということは事実であるし、それは実感するけれども、やはり運営を間違うと、いろいろな社会的な現象になっていることもまた心配の側面でありますから、ぜひその辺のところを配慮していただいて、なおかつ、この保証制度の充実という点をぜひお願いしたい、こういうふうに思います。  それから、最後に経企庁長官に、景気の見通しとして、非常に前向き的な明るさという表現がこのところ出てきていると思うんですけれども、私は、それと同時に、雇用との兼ね合いの中でそこがどうなっていくのかなというところが非常に心配になるわけでありまして、これからまた産業再生法の議論がありますので、その点が一つの大きな論点になろうかと思います。  景気の回復とこの雇用という問題が当然ある程度の時間差があることはわかり切っていることなんでありますけれども、何かそこのところが、政策的にも結果としても置き去りにされてきやせぬのか、そこが一つの忘れられていく側面になりはせぬのかなというところが心配でならないので、景気の今後の動向、見通しとそれに伴う雇用との兼ね合いの問題で、どういう認識と対応を考えているのか、そこを聞いて終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  121. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のとおり、景気の状況につきまして、私たちは決して楽観しておりません。必ず月例報告でも、景気は厳しい状況にあるということを書きまして、その中で幾らか改善の兆しも見られるという程度にしか表現しておりません。先ほど金子先生からも御質問がございましたけれども、三万二千八百六十三人の自殺者が出た、去年は大変暗い年でございました。それに比べて、やや改善しているかなという程度でございます。  それで、将来の予測になりますと、まだ消費の回復もそれほど十分でございませんし、住宅建設の動向もやや今心配なところがございます。さらに、雇用につきましては、五月に少し改善したとはいえ、この程度の改善で安心できるものでは全くございません。それで今、緊急雇用対策の補正予算もお願いしております。さらに、これから後半にかけまして、いろいろな面でよほど注意していかなければならない点がたくさん出てくると思っております。  景気の状況は決してそんなに楽観できるものではございませんで、ここで政府が手を抜くようなことがありますれば、今先生の御指摘のありました、中小企業対策とともに、この雇用対策というのは十分に注意していかなければならない部分であろうと思っております。数だけではなしに、確かに雇用の内容も、男性の失業がふえて、女性の方はましだけれども、その内容はパートであったりいたしまして、明らかにいい方向で進んでいるとは言い切れない状況でございます。その点、我々も十分認識して、一日一日用心深く経済運営をしていきたいと考えております。
  122. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  123. 古賀正浩

    古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十六分散会