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1999-06-15 第145回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十五日(火曜日)     午前九時五十分開議   出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       大石 秀政君    岡部 英男君       奥田 幹生君    奥谷  通君       木村 隆秀君    新藤 義孝君       菅  義偉君    竹本 直一君       武部  勤君    中谷  元君       中山 太郎君    林  義郎君       牧野 隆守君    水野 賢一君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    山本 幸三君       奥田  建君    島津 尚純君       樽床 伸二君    中山 義活君       松崎 公昭君    渡辺  周君       遠藤 乙彦君    中野  清君       福留 泰蔵君    青山  丘君       小池百合子君    佐々木洋平君       吉田 幸弘君    金子 満広君       吉井 英勝君    前島 秀行君  出席国務大臣         国務大臣         (内閣官房長官         )       野中 広務君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       平林 英勝君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君  委員外出席者         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 六月十五日         辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     大石 秀政君   河本 三郎君     中谷  元君   中尾 栄一君     水野 賢一君   山口 泰明君     菅  義偉君   樽床 伸二君     松崎 公昭君   青山  丘君     吉田 幸弘君   二階 俊博君     佐々木洋平君 同日         辞任         補欠選任   大石 秀政君     遠藤 武彦君   菅  義偉君     山口 泰明君   中谷  元君     河本 三郎君   水野 賢一君     中尾 栄一君   松崎 公昭君     樽床 伸二君   佐々木洋平君     二階 俊博君   吉田 幸弘君     青山  丘君 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案内閣提出第三九号)(参議院送付)     午前九時五十分開議      ————◇—————
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  3. 竹本直一

    竹本委員 時間が極めて限られておりますので、公取委員長に対し、この法案に関する基本的な姿勢と今後の不況対策についての委員長のお考えをお聞きしたい、そういう点に絞って御質問いたしたいと思います。  御承知のとおり、現在我が国は長期にわたる不況の真っただ中にありますけれども、二十一世紀に向けて我が国経済再生が重要な課題ということになっておるわけでございます。こういう状況の中で、普通であれば、不況カルテル等適用除外カルテルの実施、つまり、不況カルテルを実施しまして不況対策の一助とするというのも選択肢の一つかというふうに考えられるわけでございます。  しかしながら、世の中がぐっと変わってまいりまして、我が国経済グローバル化がどんどん進展しておりますし、国内においてのみカルテルを実施いたしましても、競争力のある輸入商品や効率的な外国企業との競争圧力により、実効性確保ということが非常に困難で、不況克服の役に立たなくなっておる、こういう現状があるわけでございます。  実際見ましても、役所の方に聞きましたら、不況カルテル平成元年以降ほとんど実施されていない、こういうことであります。申し上げましたように、国際的に見ても、不況への対処方策としてカルテルが役立つということはほとんどなくなってきた、こういうことであります。  そこで、我が国経済の抜本的な構造改革を図り、自己責任原則市場原理に立った自由な経済社会を実現していくことが非常に重要な課題ということになるわけでございますが、特に、各事業者創意工夫を発揮することによって、市場という一つの、ボクシングでいえばラウンドですね、市場のニーズに適合するように積極的に対応していく、そういうことによって不況の波を振り払っていく、こういうことが重要なのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味におきまして、本法案に盛り込まれております適用除外制度見直しのうち、不況カルテル制度廃止はまさにこのような考え方から盛り込まれたものと考えるわけでございますけれども独禁法適用除外制度見直しは二十一世紀に向けた経済再生という課題にどのような役割を果たすと考えておられるのか、公取委員長の御見解をまずお聞きいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  4. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御指摘のように、最近は、経済社会の抜本的な構造改革を図る、それから、国際的に開かれ、自己責任原則市場原則に立つ自由な経済社会を実現していくということが最大の目標とされておりまして、そのためには、規制緩和推進とともに、公正かつ自由な経済社会を一層促進することによって、我が国市場競争的なものにしていくということが基本的原理とされているところでございます。  そういうふうな基本的原理に立ちまして、競争力をつけていく、あるいは、この不況状況を打開していくということが大方の御認識であろうかと思うものでございます。独占禁止法法理念というのは、その基本的認識と合致するものでございまして、そういう意味で、独占禁止法を適切に運用していくということがそういう経済社会構造改革に資することになる、一番近い道だというふうに私ども考えているわけでございます。  今回の適用除外制度というのも、これまでの規制経済といいますか、保護行政といいますか、そういうことを払拭するために適用除外制度廃止等の措置を今国会にお願いしたのでございまして、この廃止あるいは範囲限定等によりまして、さらにただいま御認識のような経済社会が進展していき、ひいては不況対策あるいは企業競争力強化ということが実現されていくのではないかというふうに思っております。
  5. 竹本直一

    竹本委員 お考えの趣旨は非常によくわかるわけでございますが、およそ経済活動における事業というものをどういう組織、どういうゲームのルールの中で展開していくのが一番いいかということを考えますと、一番考えられるのは、かつてありましたように、今でも一部残っておりますけれども、諸外国に見られます国有事業、例えば、日本でも電電公社、NTTの前身とかいろいろございましたけれども、こういった国有企業が実際にはなかなかうまくいかない。そこで、サッチャー政権のもとで民営化がどんどん図られていった。  ところが、実は最近読んだ本で、ダニエル・ヤーギンという人と、もう一人、スタニスローという人、二人で書いた「市場対国家」という本を見ますと、その中におもしろい言葉がありました。  フランスの元大統領でありましたジスカールデスタンの言葉なんですけれども、ちょっと言いますと、国有企業には理解できない点がある、経営者エリート中のエリートと言えるほど優秀だ、しかし効率的経営ができていない。変化に抵抗し、現実から遊離している。どうしてこういうことが起こるのか、実に奇妙なことだ。こう書いておる一文を見つけたわけでございます。このように、極めて優秀な人に経営をさせてもなかなか変化対応できないというような問題が出る。  そこで、民営化をどんどん進めました。民営化のもとで自由競争をやらすわけでございますが、自由競争の中では強者の論理ということがどうしても出てきます。そこで、弱者を守るために、あるいは強いもの同士が結託をして、カルテルを結ぶことによって自分たちの利益を守ろう、こうしてきたわけでございますが、およそそういったことを必要としない、あるいは、そういうことをやっては困るというようなグローバル時代を今迎えてきたわけでございます。  そういう中で、この日本経済、たまたまここ十年近くにわたる不況を抱えておるわけでございますが、何としてでも、自由競争の中で、グローバル経済の中で、日本経済再生を図らなければいけない。そういう大きい課題に我々政治家としても対処しなければいけない、そういう責任を強く感じておるわけでございます。  そういう意味で、今回我が自由民主党は、六月八日付で、政務調査会臨時経済再生産業競争力強化検討チーム、こういうチームをつくりまして、そこにおきまして「経済再生に向けた緊急雇用創出対策及び産業競争力強化対策について」という一文をまとめまして、総理に提出したところでございます。これに対しまして、政府におかれましても、我が党の提言を取り入れまして、六月十一日、産業構造転換雇用対策本部におきまして「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について」という一文を策定されたところでございます。  そこで、公取におかれましては、我が国産業競争力強化課題競争政策立場からどのように考え対応していくお考えなのか。もう一度、委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま前段でお触れになりました弱肉強食というところでございますけれども、これは独占禁止法をごらんになればわかりますように、独占禁止法の中でも、大きくなることについてのチェック、あるいはそういう中小企業者保護、ひいては下請事業者保護という規定もございますから、そういう点を適切に運営することだと思っております。先ほど申し上げましたように、やはり競争力をつけていくという基本は、ただいまの時流といいますか流れのように、公正な自由競争ということでございますから、公正な自由競争確保していくということが、競争力をつけていく、あるいは不況対策になるということでございます。  ただ、個々企業からいいますと、例えば合併の問題とか、最近言われておりますように債権の株式化の問題とか、細かい問題になりますと独占禁止法と若干バッティングするところがございますけれども、そういう点は私どもも適切に対応していきたいというふうに思っております。
  7. 竹本直一

    竹本委員 ぜひ債務株式化をきっちりと推進していただきまして、過重な債務に悩む企業を何とか経済全体で救うということにぜひ一定の御理解をお願いいたしたいと思う次第でございます。  時間が余りございませんので、最後は御要望という形で一言申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  我が国経済構造改革を図る上で、政府規制が非常に緩和されてきているわけでございますけれども民間部門におきましても、例えば社会公共的な必要性範囲を超えた過剰な自主規制などの制限的な慣行が残存しておる場合があるわけでございますが、こういう場合におきましては、政府規制競争制限的な効果民間慣行に取ってかわられているだけであって、規制があることには全然変わらない、こういうことになるわけでございます。こういった民民規制をきっちりと排除し、みんなが同じルールに基づいて平等な競争ができるような、そういう経済条理をつくっておくことが必要なのではないかなというふうに思うわけでございます。  役所の方で聞きましたところによりますと、十一年には、医師会による広告制限中部地方でそういったことがあったようでございますし、また先般公取委員長の方に我々が申し上げました、ガソリンスタンドの過当競争の防止ということでの要望の中にも、同じようなことがあり得るのではないかなというような気持ちも持っておるわけでございます。  どうか、経済社会全体を見渡して、公正な取引がきちんと確保される中で、努力すれば報われるという一つルールのもとに、経済人が自由奔放に、そして一定の調和のもとに経済の成果を上げていく、そういう社会の到来を期すのが我々の責務だと考えるわけでございます。  最後に私の所信を申し上げさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  8. 古賀正浩

  9. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民主党渡辺周でございます。  今般の独禁法改正案につきましては、私も前回の法改正の際に質問をさせていただきました。また、今回、こうした法律に当たりまして、六十分という時間をいただきましたので、民主党を代表して、質問をさせていただきます。  まず、今ここで冒頭申し上げるまでもございませんけれども、昭和二十二年の法制定以来、我が国経済のまさに急成長の中、独占禁止法あるいは公正取引委員会が大変重要な使命を担って、今日までその法の運用を行ってまいりました。  その間、公正取引委員会が、いろいろな分野におきまして今日の日本経済の発展の礎をつくったということは、これは率直にだれしも認めるところではございますけれども、こうした公正かつ市場経済の秩序、これをつくって、築いてきた上で、今まさにこの一九九九年、今世紀の終わりに来まして、競争政策、あるいはそこにおける公正取引委員会役割というものが大変にクローズアップをされてきたわけでございます。  国内のみならず、グローバル化ボーダーレス化と言われる中で、今まさに産業再編という大きなうねりの中で、今後ますます公正取引委員会役割というものが、後ほどの質問でも触れたいと思いますが、OECDあたりからも大変な期待というよりかはかなり強い要望といいましょうか、要求を受けてきているというところでございます。  そんな中で、最初に質問をさせていただきますけれども、先週の十一日に政府が決定しました緊急雇用対策及び産業競争力強化対策の中で、このように触れられております。独占禁止法についての部分でございますけれども、「事業再構築のための環境整備」という中で、独占禁止法の適切な運用合併審査において国際的な市場における競争環境を考慮するなど、市場実態を十分踏まえて独占禁止法の迅速、透明で適切な運用を図る。こういった旨の文言が挿入をされているわけであります。  今後、こうした大きな変革の中、まさに我が国の未曾有の経済危機うねりの中で、どのように公正取引委員会としては対応していかれるのか。まずその点につきまして、冒頭、質問をさせていただきたいと思います。
  10. 根來泰周

    根來政府委員 御指摘のような提言がございました。これは提言を待つまでもなく、私ども公正取引委員会の運営をどのように国民にわかっていただくか、あるいはどのような透明性のある行政をやっていくかということをいろいろ考えているわけでございます。  それで、一つの問題といたしましては、法律が極めて抽象的でございますので、一般の方が読んでもよくわからないという点があることは否定できないと思うのでございますが、これまで、私どもの先輩もそうでございますが、いろいろガイドラインというものを公表いたしまして、いろいろ意見を聴取して、その上で確定して、それで運用しているというところもございますし、あるいはいろいろな相談事についてはすべて公表して、個々の具体的な事案について、どういう考え方でやっているかということも明らかにしているわけであります。  また、国際的な問題も、アメリカを初め各国と二国間協議ということでいろいろな意見交換をして、そういうグローバル化ということに乗りおくれないようにしているわけでございます。  この上ともさらに工夫を重ねまして、国民の方々の御要望に適切に対応していきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。
  11. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今触れられました、例えば本年一月の合併ガイドラインの新たな運用ということも、産業界を中心にしまして、随分いろいろな形で、産業界にとりましても公正委員会にとりましても、効率的な審査が行われる効果というものが生み出されてくる。そういうことはよく存じておるわけでありますけれども産業界からはなおまだ要望というものが重ねて要請をされているわけです。例を挙げますと、国際競争力時代対応した弾力運用という名目で、合併規制緩和といったようなことも今現在強い要望を受けている。  これは新聞記事でありますけれども改正独禁法の施行後の話の中で、例えば日本鉄鋼連盟からは、合併するとシェア五〇%を超す場合が幾らでも出る、独禁法を弾力的に運用してほしい、これまでの合併承認判断基準というものに対してさらなる弾力的運用を求める声があります。また、経済同友会からは牛尾代表幹事が、公正取引委員会シェア審査がまだ厳し過ぎるのではないかといったようなことで、産業界からのさまざまな要望というものも聞こえてくるわけでございます。  そうした中で、先ほども触れましたOECDからのさらなる要請。これは、OECDの先般の四月の報告書の中でも、まだまだ不十分ではないだろうかといったようなことが書かれているわけでございます。構造改革はもはや先送りされるべきではないといったようなことから、日本不況の要因について言及しまして、ますます時代おくれとなりつつある規制制度の枠組みに起因する構造的硬直性であるといったような指摘もあるわけでございます。この点については後の質問で触れさせていただきたいわけでありますけれども。  その点について、今回の対策にこういう形で明記をされました。さらに今後、踏み込んだ対応というものを、内外からのそうした声にこたえるべく検討していかなければならないというふうに考えるわけではございますけれども現状から今後いかなる対応というものが必要になってくるか、その点についての御見解お尋ねしたいと思います。     〔委員長退席岸田委員長代理着席
  12. 根來泰周

    根來政府委員 今の時代は、競争力強化あるいは不況対策ということが主題になっておるわけでございます。私どもも、そういう主題ということについては、何らそれを否定するつもりはございませんけれども、今の経済社会というのは、競争力をつけるというのは、先ほども申しましたけれども、やはり独占禁止法理念を実行していくということに尽きるのではないか、こういうふうに思っているわけであります。そういうことで、独占禁止法を、さらに国際的に開かれたもの、あるいは透明性のあるもの、そういう運用を図っていきたいと思うのでございます。  ただ、合併問題等個々の御指摘がございましたけれども、この合併の問題につきましても、これは法律に、一定取引分野における競争を実質的に制限することになる場合は合併は許してはいけないということになっているのでございまして、これを甘くするということは我々行政機関としては職務を放棄することでございますから、この規定をどのような工夫をして解釈していくかということは当然許されることだと思いますけれども、甘くするとかあるいは緩和するということは、やはり今の独占禁止法使命を放棄することになりますので、それはまずいのではないか、こういうふうに思っております。  ただ、今までの運用を見ておりますと、そのようないろいろ提起をされているような問題はないわけでございまして、ほとんど合併についてはそのまま承認といいますか、認めているわけでございますし、また国際的な競争力あるいは輸入圧力というようなことも十分念頭に置いてやっているわけでございまして、ただシェアだけで判断していることではないということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  13. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今お答えをされたことにつきましては、つい先日の朝日新聞でしょうか、再編時代公正取引委員会のあり方についての委員長へのインタビュー記事の中でもそのように触れられております。いわく、二五%ルールということが言われているが、もうそんな基準はない。重点審査する目安ということだけで、すべてだめだということにはなっていないはずだ。いろいろな参入、輸入圧力の観点や、国民の嗜好まで幅広く勘案する方向になっている。こういうふうにインタビュー記事にも触れられているわけであります。若干はしょりましたけれども。  そういう中で、今度は通産省お尋ねをしたいと思うわけでございます。  この今の経済状況をかんがみますと、米国などでも、競争政策というものは好況時にきつい、そして不況時には緩く運用をされてきた。今まさにこの経済情勢の中で独禁法の厳格な運用も困難ではないかという指摘もありました。公正取引委員会自体、難しいかじ取りを現在迫られているのかなというような認識を、私自身は持っているところであります。  そこで、ちょっと通産省お尋ねをするわけでありますけれども先ほど来申し上げました公正取引委員会活動に関しては、産業界からはさまざまな要望があります。当然それは御承知されていることでありますけれども、特に今お話ありました合併審査について、その透明性、あるいはスピードアップということについても、再三にわたりまして要望があるということでございます。  そうした中で、通産省という立場公正取引委員会対応期待をする部分、あるいはこれは、こういう席でございますからなかなか率直といっても言いづらい部分もあるかとは存じますけれども、その対応期待する点につきまして、ありましたら御所見をお尋ねしたいと存じます。
  14. 江崎格

    江崎政府委員 今御指摘独禁法合併審査の問題でございますけれども先生指摘のように、これまでも産業界から独禁法運用につきまして、その弾力化ですとか透明性の向上、迅速化などを求める声が出ております。これに対しまして、公正取引委員会におかれましては、例えば昨年十二月にガイドラインを公表されまして、産業界からのこうした要望にこたえるべく大変御努力をされているというふうに認識をしております。  ただ、一方で依然として産業界の方ではこういう声が出ておりまして、例えば産業競争力会議におきましても、経済団体連合会から合併審査の一層の運用弾力化について提案が出されておりまして、要望は引き続き出ております。先ほど先生指摘になりましたように、今月十一日の政府で取りまとめました対策におきましても、合併審査において国際的な市場における競争環境を考慮するなど、市場実態を十分踏まえて独占禁止法の迅速、透明で適切な運用を図るべきだとされているわけでございます。  通産省としてはどうかということでございますけれども、私どもとしましては、公正取引委員会独禁法の一層の迅速性あるいは透明性を持って法を運用していただくということを期待しております。具体的には、事前相談につきましての期間の問題ですとか、あるいはその事前相談の結果についての公表の問題について、より一層の迅速性あるいは透明性を持って運用していただけることを御期待申し上げるところでございます。
  15. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今お答えを通産省からはいただきました。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども、今の質問にちょっと触れていただきましたように、独占禁止法四十四条には、独禁法の施行状況に関して国会に報告する義務を負う、あるいは意見を言う権利を持つことがあるわけでございます。それを本当にどのような形で活用されてきているかという点について、若干OECDあたりからもそうした指摘があるわけでございます。  OECD報告書の点についてちょっとお尋ねをしたいわけでございますけれども、この「日本規制改革」というふうに題したOECDの発表された報告書には、ここまで触れてくるかなというふうな率直な思いを持つほど、かなり強く日本公正取引委員会に対していろいろな意見が申されております。  その中でございますのは、例えばでありますけれども公正取引委員会対応強化ということに触れてきているわけであります。例えば、公正取引委員会は、よりダイナミックな市場経済への移行において不可欠な役割を演ずべき位置に立っている、こういうふうな形で前文の中に触れられました。例えば、公正取引委員会の政策立案への参加を公にアピールし、その影響力を拡大せよといったようなことに触れられているわけであります。  そうした点について、今回のOECD報告書には省庁の政策立案にもより積極的に関与すべきではないかといったような公取への指摘がされているわけですけれども、この点についてどのような御見解をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 根來泰周

    根來政府委員 OECDからそういうような指摘のあることは承知しております。  現状を申しますと、法律的には国会への意見提出というのもございますけれども、各省庁間でどういうことをしているかということでございますが、各省庁において法律案の作成等の場合には、私どもも適宜意見を申し述べて参考にしていただいていることは事実でございます。それよりも、各審査事件を通じて、例えば役所が若干関与している事件が少なくなくあるわけでございます。そういうときには、役所あるいは公団等に対して、公正取引委員会としては強い要請要望を行っているところでございます。  そういうふうに、各法律案の作成のみならず、経済の運営上役所が関係しているところについては、私どもも強い意見を申し上げているところでございます。なお一層、こういういろいろの機会に私ども意見を申し上げて、国政に反映させていただきたい、こういうふうに思っております。     〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今、強い要請要望を行ってきておるというふうにあるわけでありますけれども、そうした権限を有するということは承知をしているわけでありますけれども、実際問題として、これが結果として活用されてきたかどうかということについてOECDがこのようなことを行ってきたということは、裏返してみますと、実は実際に活用されてこなかったんではないだろうか、それだけにOECDがこのような指摘を行っているのではないかというふうにも思うわけであります。  その点につきまして再度、御意見といいましょうか、あるいは思いというものがございましたら、ぜひともお答えいただきたいと存じます。
  18. 根來泰周

    根來政府委員 今回御審議をいただいている法律案もそうでございますが、これは各省庁が所管している法律について、適用除外制度廃止あるいは範囲の限定ということをお願いしているわけでございます。また、先年お願いした法律案、これはもう法律は成立しておりますけれども、その場合も各省にいろいろ御要望して、そして適用除外制度廃止ということを実行してきたわけでございます。  そういうことで、各省庁とも私ども意見に対して十分耳を傾けて実行していただいておると私どもは確信しているところでございます。
  19. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今お答えをいただいたことにも関連をしてくるわけでありますけれども、もう一点、OECDから報告書指摘された点について、実はあわせて伺いたいと思うことがございます。  これは私自身非常に興味深いなと思っている点でございますけれども、実は今般の省庁再編の中でOECDがこのように触れております。公正取引委員会が附属することとなる総務省の構想は、公正取引委員会役割をより目立たせ、中心的なものとするのに役立つかもしれないが、巨大な総務省の中で、競合する権限との間で公正取引委員会の任務が曲げられぬよう注意が必要である。こういうようなことも実は指摘されております。  これは私自身先ほど申し上げましたように、まさに国際機関たるOECD日本の省庁再編にこだわり、公正取引委員会が総務省の外局になることに明示的に懸念を表明しているととっても過言ではないと思います。それだけ、競争政策における公正取引委員会役割というもの、あるいは日本産業政策が世界の中でまさに注目をされているというようなことを象徴的にあらわすことかとも言えるわけでありますけれども、こうした指摘についてはどのようなお考えをお持ちなのか、そこについてお尋ねをしたいと思います。
  20. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねの点は大変お答えしにくいところでございますが、例の省庁再編成の法案作成の過程におきまして、私どもの方は、従来の経過から見まして内閣府に所属するものと考えておりましたところ、総務省ということに相なったわけでございます。  総務省に所属するとしました場合に、それでは職務権限はどういうふうになるかということについて説明を聞きましたところ、従来どおり独立性は確保され、また私を含め委員の任命権も内閣総理大臣にあるということを承りましたので、これは平たい言葉で言うと看板がつけかえられても内容は変わらないということで、私どもも納得したわけでございます。  ただ、職員の中には若干そういう点に違和感を持っている者があることは事実でございますし、そういう泣き言は今もう法案として提出されて御審議になっているときには申しませんが、私どもの頭の中では、これまで以上に独立性を持った適正な行政を心がけるということがまず第一だろうというふうに頭の中を割り切っているのでございます。  そういう御指摘があることは重々知っておりますし、ある意味ではその意味もわからないことはないのでありますが、繰り返すようでありますが、これまで以上に公正取引委員会の職務を法律にのっとって忠実にやっていきたい、こういうふうに思っております。
  21. 渡辺周

    渡辺(周)委員 この点については、後ほど野中官房長官がお見えになった際にも、政府としての見解を、今度は政治家としての立場お尋ねをしようとは思っておるわけでありますけれども、この具体的な問題点というのは、例えば郵便行政、電波通信行政責任大臣と競争政策責任大臣が同一の大臣となる問題点もある、そういう点でございます。  こうしたOECDからの指摘を受けて、こういう言い方が適切かどうかわかりませんが、当該の行政分野において市場に不確実性をもたらす可能性を生じる、今後、今の委員長の意気込みということは繰り返し御答弁をいただきましてわかったわけでありますけれども、こうしたことを回避するためにどのような手だてを講じていきたいとお考えになっていらっしゃるのか、その点についてあわせて再度、もし御答弁をいただければと思っております。
  22. 根來泰周

    根來政府委員 国際的にそういう点の指摘がございますから、私どもも事あるごとに、私どもの独立機関性といいますか、従来のスタンスあるいは組織上の問題、運営上の問題、それは変わらないということは十分御説明申し上げて、理解を得ているつもりでおります。  先ほどの繰り返しになりますが、やはり若干の御疑念があるとすれば、これまで以上にきっちりとした公正取引委員会としての行政を行っていくということが何よりのあかしになるものと考えております。
  23. 渡辺周

    渡辺(周)委員 OECDからの指摘につきましては、また最後にお時間をいただきましたので、野中長官がお見えになった際にも触れたいと思います。  ここで、先ほど竹本委員からも質問の中に触れられました債務株式化について、一点お尋ねをしたいと思います。  現在、産業再生の一手法として大分話題になっております債務株式化は、政府対策にも取り上げられまして、産業界からも強い要請があるということを承知しているわけであります。この際問題になってきますのが、銀行が債務と株式の交換を行った際に、銀行の株式保有を制限する独禁法のいわゆる五%ルールに抵触する可能性があるのではないかといったような懸念があるわけでありまして、現在のこうした産業再生という中における政策的な要請債務株式化という位置づけと五%ルールのバランスを、公正取引委員会としてどのように考えていらっしゃるのか。  その点について、先ほど質問にもございましたけれども、お答えをいただきたいなと思っております。
  24. 根來泰周

    根來政府委員 債務株式化ということについては、抽象的に一つの目標として、環境整備ということで掲げられているわけでございますが、その株式化を認める条件とか、どういう場合に認めるかということについてはまだ明らかになっていないわけでございます。  これが明らかになった段階で物を申し上げるのが至当かと思いますけれども、達観的に申し上げました場合に、債務株式化というのは非常に調子の悪い会社の債務を株式に振りかえるのだというふうな理解をいたしますと、独禁法十一条の事業支配の過度の集中、銀行が株式を持ってその会社の支配力を得るというようなことは考えにくいんではないか。破綻会社と言うといろいろ差しさわりがあるかもわかりませんけれども、破綻に近い会社の債務を株式に振りかえて持つ場合には、十一条の例外規定ということで公正取引委員会が認可すれば、これはもちろん金融監督庁との協議の上でございますが、認可すれば差し支えないのではないか、こういうふうに思っているわけであります。  しかしながら、基本線に戻りまして、十一条の立法趣旨というのは、あくまでも金融機関による企業支配の過度の集中を防ぐというところでございますから、それに背馳するようなものはだめと言わざるを得ないというふうに理解しております。
  25. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今、独禁法第十一条に触れられました。金融機関の株式保有制限自体と、そうした場合のいわゆる不良債権株式化、デット・エクイティー・スワップ、これとは矛盾しないものである、そういう意味では過度の集中には当たらないというふうに御判断をされていらっしゃるということでございますが、ここで確認しておきたいわけでございますけれども、そうしますと、法改正ということは必要はないというふうなお答えをいただいたということで理解してよろしいんでしょうか。
  26. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま申しましたように、法改正というお手数を煩わすことなく、運用で十分賄えるものと考えております。
  27. 渡辺周

    渡辺(周)委員 そうしますと、政策的要請と五%ルールのバランスというものは運用でやっていくということがあります。これまでも、この第十一条の二項、幾つかの例外があるというようなことを当然触れられていたわけでありますけれども、まあ、こうした五%ルールは絶対でなく運用次第である。これまでにどのような形で、数として、件数としてあったのかどうかという点について、もしお答えをいただければと思います。
  28. 山田昭雄

    ○山田政府委員 十一条の一項のただし書きの運用状況はどうかという御質問でございますが、平成九年度のただし書きの運用状況で申しますと、この規定に基づきまして金融会社の株式保有を認可したものが七十二件ございまして、一項のただし書きに基づくものは六十七件——失礼しました。二項は五件でございまして、合わせまして七十二件でございます。
  29. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今七十二件という数をお答えいただきました。これまで認めてこられたということでございます。そうしますと、法運用において明確化を行うべきではないのかなと思うわけでありますけれども、その点について、今後この問題についてどのようにお考えになっているか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  30. 根來泰周

    根來政府委員 これは、十一条の認可の考え方というガイドラインをもう既に出しておりますから、これによって行うこととなるのでございますけれども、さらに、先ほど申しましたように債権の株式化ということになりますと、どういうふうな条件で認めるかということに相なるわけでございますが、そういうもろもろを見まして、さらにガイドラインということを改めるといいますか、いろいろのそういう事態を踏まえて改める必要もあろうかと思います。これはまだでき上がっていないのでわかりませんけれども、そういう感じがいたします。
  31. 渡辺周

    渡辺(周)委員 数々質問したいわけでありますけれども質問の予定時間の半分まで来ましたので、次にちょっと進めさせていただきたいと思います。  次は、アメリカとの競争分野における二国間協定の部分についてお尋ねをしたいと思います。  先般の日米首脳会談においての合意というものがあったわけでございますけれども、この合意の中に、従来からの懸案事項であったアメリカの独占禁止法、米国独禁法、この域外適用というものについては回避されていくのかどうか。経済活動におけるまさにボーダーレス化、国際化、こうした中で、市場が一体化する中、どういう形で今後は二国間協定を進めていくのかという点と、そしてまた、その中で米国独禁法の適用というものがどのようになるのかという点についてのお尋ねをここでしたいと思います。
  32. 山田昭雄

    ○山田政府委員 先生指摘のとおり、五月の日米首脳会議に際しまして、日米両国間で、競争分野における協力に関する協定につきまして、交渉当事者間で実質的な合意に達しているわけでございます。今後、所要の手続を経まして、行政取り決めとして締結する予定でございます。  御質問は、域外適用が避けられるのかということでございます。  国家管轄権の行使ということにつきまして、やはりそれぞれの国がそれぞれの考え方を持っておるわけでございまして、協定が締結されましても、日米両国間の競争法の管轄権の考え方を変更するというものでないわけでございます。外国企業あるいは国外行為に対しまして、それぞれの国の法適用の考え方には変更はないわけでございます。  しかし、協定が締結されますならば、一定の場合に相手国に通報する、あるいは法運用につきまして相手国の重要な利益を考慮するということ、これが消極的礼譲ということを言われておりますし、また、相手国に違反行為があればそれは相手国に任せるという積極的礼譲、こういうことがございます。いわば管轄権、それぞれの国家管轄権の考え方を持っておる、その摩擦をいかに少なくするかということがこの協定締結の非常に重要な点でございまして、締結されることになれば二国間の摩擦というのは軽減していくのではないか、こういうことが期待されるわけでございます。
  33. 渡辺周

    渡辺(周)委員 二国間の協定の大変興味深い、ジョージ・ワシントン大学の客員教授のウィリアム・コバーシックさん、アメリカ政府やアジア諸国のアドバイザーを務めたアメリカ独禁法の権威という方のインタビュー、アメリカ政府の戦略というものが日本経済新聞に載っているわけであります。この中で、概念ということ、ポジティブコミティーという考えが盛り込まれるんだ、まさに今おっしゃられたことと存じますけれども、哲学的な部分で相違点を埋めていくということが効果がある。  これはぜひちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども委員長でも結構でございます。日米における哲学的な考え方の相違という点について、何か御見識、お考えを持っていたら、若干イレギュラーな質問になったかもしれませんけれども、お考えを持っていれば、ぜひお答えいただきたいと思います。
  34. 根來泰周

    根來政府委員 私もそう深く物事を考えるたちではありませんのでよくわかりませんけれども経済が国際化する、そのルールというのは各国が持っているわけでございますが、主権の問題がございましてそのルールはなかなか一般的にならない。経済は一般的になるけれどもルールは一般的にならないということだろうと思います。  だから、その一般的にならないルールをどうしたらいいかということについては、やはり多国間で協定を結んで、全世界的なルールをつくるということが一番いいのでしょうけれども、それはなかなか実行しがたい話でございますから、二国間で協定を結んで、その網の目を広げていくということが近道であろうかと思うのでございます。  そういう見解に立って、今回アメリカと協定を結ぶ方向で進んでいるのでございますが、御承知のように、アメリカはもう何カ国とも協定を結んでおります。日本は初めてでございます。そうすると、私どもは初めての体験でございますし、アメリカはもう何回も体験があるわけでございまして、目標が違うのでございます。アメリカはさらに高いところを目標に置いてやっていくし、日本はまず一回やってみようかという、まあ目標としては低い。その差があると思うわけであります。  それで、事務担当者がいろいろ米国政府と交渉いたしまして、まだやっておりますけれども、その辺で大変苦労があるところであろうかと思います。  それからもう一つは、これは刑事事件もそうでございますが、主権の考え方というのは、米国と日本では相当の違いがあろうかと思います。この主権の考え方をどのように埋めていくかということも次の問題だろうと思うのでございます。  これは相手のあることでございますから、いろいろ個人的には考え方がございますが、余り公式な場面で申し上げるといろいろ差し支えがございますので、当たりさわりのないというとおかしいのですが、そういうところでひとつ御勘弁願いたいと思います。
  35. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今委員長からお答えいただいた、日本にとって初めての体験であると。相手国とは、哲学であり、その目標とするところであり、あるいは交渉のまさにノウハウの蓄積も違うわけであります。そうした中で、相手国の競争政策というものを他国に押しつけてくる運用というものについても、我々としてはいろいろな意見があるわけでございます。今お答えになられなかったいろいろな個人的な部分というものはそれぞれ当然あるわけかなと思いますが、お立場でなかなか物言えぬということもよく承知をしております。  その中で、これから我が国競争政策というものの国際環境の整備を推進していくべきである、そして当然もうそういう渦中に来ておるというふうに考えるわけでありますけれども、今後WTOの中においてこの議論も進めていかなければならない。こうした競争政策という点について、来年にもスタートする新ラウンドではテーマとなってくるのかどうか。そしてまた、我が国として競争政策をテーマとして訴えていく必要があるというふうに考えるわけでありますけれども、その点についてはいかがお考えでございましょう。
  36. 根來泰周

    根來政府委員 私はある意味で民族派でございますので、国際的なことは余りよくわかりませんけれども公正取引委員会に参りまして、非常に国際的な仕事が多いということを実感しているのでございます。ただいまの二国間協定もそうでございますが、毎年、米国、韓国あるいはEUと意見交換会を持っているわけでございますし、毎日のようにとは言いませんけれども、まだ独占禁止法が未発達の国からは、研修ということで、JICAの応援のもとに相当やってきておるわけでございます。  そういうことで、ある意味では、日本が教えるというとおこがましいのでありますけれども、そういう未発達の国に対しては、独占禁止法競争政策を教え込んでいるということも、率直に申しましてそういう状況にありますし、また、そういう発達した国とは意見交換をして、意見のそごがないように、あるいは相互理解に資するようにやっているわけでございます。そういうことで、これからもさらに国際的な問題を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  37. 渡辺周

    渡辺(周)委員 競争政策における国際協定、これがおくれているのではないかというような感想を持つのは私だけではないと思うわけでありますけれども、ここ数年の急激な国境を越えた大型合併、こうした事例を次々に私どもは目の当たりにしてきたところであります。  公正取引委員会にも、これは以前私も質問の中で申し上げたとは思いますけれども、国際協定に関する取り組みを積極的に遂行していただきたいというようなことを言ってまいりました。今後、米国とのもう一方の極であるEUと、こういった協議をどのようなタイミングで開始していくのか。そしてまた、我が国経済と密接な関係を有しているアジア諸国との関係ということについては、今後どのようなタイミングで競争政策の国際協定というものに取り組んでいくのか。その点についても、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  38. 根來泰周

    根來政府委員 差し当たり、米国と協定を結ぶ準備をしているわけでございますが、これが一段落いたしますと、私の独断で申し上げますけれども、EUの方と協定を結ぶという段取りになるのではないか、こういうふうに考えております。私どもの人数も限られておりますので、各個撃破といいますか、そういうことで、まずアメリカ、次はEU、その次はアジアというふうにいくしかないんじゃないか、こういうふうに思っております。
  39. 渡辺周

    渡辺(周)委員 実はちょっと時間が迫ってまいりまして、少し質問をはしょりながら進めていくわけでありますけれども通産省お尋ねをいたしたいわけでありますが、こうした競争政策において、途上国の競争政策強化ということについても若干触れたいと思います。  独占禁止法が制定をされていないという国もございます。そうした中において、日本独占禁止法は、先ほど申し上げたアメリカの権威ある大学教授のコメントにもありましたけれども、ある意味ではアジアのお手本になってきた。そうした中で、発展途上国の中のまだ独禁法の制定がされていないところについては、これは促していこうということを通産省としてはお考えのようでありますが、こうしたお考えのもととなった背景あるいは今後の見通しというものについて、何か御意見をお持ちでしたらお尋ねをしたいと思います。
  40. 江崎格

    江崎政府委員 先生指摘のように、競争力の問題は国際的にも大変大きな課題として取り上げられておりまして、WTOにおける平成九年からの貿易と競争政策の相互作用に関する作業部会が設置されておりまして、現在まで九回にわたってここで議論されております。私どもとしては、こうした議論を通じまして、水際段階における貿易障壁の削減が進みつつあるわけでございますけれども、貿易の自由化によるメリットを無効化しないために、競争政策をますますこういうところで議論をしていただきたいというふうに思っております。  次期ラウンドでこの問題を取り上げるかどうかというのはまだ現在検討中であるというふうに承知しておりますけれども、将来の競争政策に関する枠組みを策定することは非常に重要だというスタンスで、この問題に臨んでいきたいというふうに思っております。
  41. 山田昭雄

    ○山田政府委員 開発途上国、特にアジア等の開発途上国に対する、競争法を普及させていくとか、技術的な支援を行っていくという点でございますので、公取としても一言御説明させていただきたいと思います。  先ほどちょっと委員長からお話ございましたように、私どももそれは大変重要な問題であるというふうに考えておりまして、JICAの御協力も得まして、大阪のJICAのセンターで研修を行っております。九八年度ですと、アジアを中心に十四カ国。アジア、東欧、中南米、そのほかにロシア、あるいは中国はこれとは別途に研修を行っております。  そのほかに、アジア・大洋州会議というものを主宰しておりまして、日本がその事務局になり、データベースとなると同時に、いろいろなものの関係資料を送るというようなことを通じまして、できるだけ技術支援を行いまして、アジアを中心とする開発途上国の独禁法をつくるという際に我が国の法制あるいはその運用状況を参考にしてもらおう、このように努めているところでございます。
  42. 渡辺周

    渡辺(周)委員 公正取引委員会役割というのは、世界的な競争政策を進める中で、我が国のみならず、今公取の方からお話がありましたようなアジアであるとか東欧であるとかあるいは中南米ですか、こうした国に対しても大変リード役を果たしてきている。まさに、我が国競争政策のみならず、今申し上げましたような観点からも考えますと、この公正取引委員会役割というものを議論してまいりますと常に行き着くところは、公正取引委員会の存在、さらには機能の拡充という、かねてより指摘されてきた古くて新しい課題でございます。  先ほど来申し上げましたように、国内のみならず、OECDからは、強い要請といいましょうか、要望がございます。まさに、公正取引委員会の独立、そしてまた政策形成における中心的な役割、その影響力の拡大という点については、先ほど来申し上げてきたとおりでございます。  この問題についての基本的な対応というものは、後にもう一度官房長官に質問をするときにお尋ねしたいわけでありますけれども、今までるる申し上げてきたことから、海外の競争政策当局と比較しますと今後どの部分強化していくべきか、まさに機能の拡充ということを図っていくのかということについて、時間の関係もございますので総括的に、委員長にお答えをいただければと思います。
  43. 根來泰周

    根來政府委員 やはり、国際的に開かれた社会ということで、国際的な問題も看過できないことでございますが、差し当たり私どもは、事後チェックといいますか、不当な取引制限あるいは不公正な取引方法というようなことに目を向けて、その起こった話をきちっと処理していくということが一番肝要なことであろうかと思います。  消費者行政もございますし、下請保護行政もございまして、いろいろ仕事がございますが、やはり満遍なく仕事をしていこうと思えば人手も不足しておるわけでございますが、この人手を今ふやしてくれといったところで、なかなか難しい時代であります。だから、やはり民間の方々のお力添えを得て、その能力、力を得て、公正取引委員会行政を的確なものにしていくということが一番大事なことであろうかと思っております。
  44. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに、国の市場の指導、あるいは産業政策の手綱、そしてまた国際的な競争政策の当事者として非常な役割を担われているわけであります。  最後一つだけお尋ねをしますと、これはお答えだけで結構ですが、現在こうした中で、これだけ大きな幾つもの経済政策について公正取引委員会が関与していく、これだけでは無理があるのではないのか。この補完的な措置として、私訴制度の点につきましてはかねてより指摘がされてきているわけでありますけれども最後に、この私訴制度の検討の状況についてどのようになっているのか、その点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  45. 根來泰周

    根來政府委員 これは、研究会を設けていろいろ研究をしております。既に通産省の方では懇談会で一定の結論を得られておるわけでございまして、私どもの方も多分同じような結論を得られるのではないかと思っております。  ただ、独禁法の中にございます損害賠償の規定との関係など、まだ検討すべき問題は大分残っているわけでございます。そういう積み残した問題について、さらに研究会から御意見をちょうだいして私ども考え方をまとめたい、こういうふうに考えております。  私どもは、私訴ということに対して、消極的というふうな立場をとっておりません。やはり積極的に行うべき問題だろうと思うのでございますが、いろいろ問題がございますので、この問題をさらに解決いたしまして、時が来ると国会で御審議賜りたい。そのときはひとつよろしくお願いいたします。
  46. 渡辺周

    渡辺(周)委員 一たん終わります。
  47. 古賀正浩

    古賀委員長 中野清君。
  48. 中野清

    ○中野(清)委員 公明党・改革クラブの中野清であります。  私は、独禁法適用除外制度の整理に関する法律案と、関連する今日の独禁法上の問題点についてお伺いをしたいと思います。  公取は、独禁法上適用除外となっている不況カルテルや合理化カルテル廃止し、市場原理をさらに徹底しようとしております。しかし、価格協定、入札談合、数量協定、市場分割協定を中核にするカルテル禁止は、独禁法上、最重要課題であります。私は、競争者間すべての協定が禁止されているわけでなく、また、中小企業存続のためには残すべきテーマがあると考えております。  そこでお伺いいたしますが、例えば独禁法本体において定められた合理化カルテル制度が今回廃止されますが、今後は、社会的公共的目的の企業の共同行為は独禁法上直ちに違反ということになるのでしょうか。環境問題に対応した業界自主基準の確立と、利用者利便に合致した規格の標準化等は、社会公共的に有用と思われますが、これらの正当性は新しい独禁法の体系の中でどのように位置づけられているのか、お伺いをしたいと思います。  あわせて、第一に、公取は、平成七年の十月の事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針で、社会公共的な目的に基づく企業の共同行為は一定の場合には違法とはならないとしていますが、そうしたガイドラインの一層の明確化と、第二に、これに関係した個別事案について事前相談内容の積極的な開示が必要と考えますが、公取認識というものをこの二点についてお伺いしたいと思います。
  49. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねの案件につきましては、一般抽象的に申しますと、独占禁止法違反に当たらないのではないかという感覚を持っております。  さらに、そのガイドラインについてさらに明確化を図れという御要請でありますけれども、この問題については私どもも常に問題意識を持っておりまして、さらに明確化を図るように努力をいたしたい、こういうふうに思っております。  つけ加えて申しますと、個々相談事例については、その都度あるいは各年度に公表しておりますので、それで御理解いただけるものと考えておる次第であります。
  50. 中野清

    ○中野(清)委員 不況カルテルは半年ぶりといいますか、もう本当にこれでなくなるということについては、やはりある程度必要ではないかという意見もあるわけですね。それから、今の個別案件についての相談内容について、個々にやるのだ、確かにそのとおりですよね。ですけれども、もう少し具体的に話ができませんか。
  51. 山田昭雄

    ○山田政府委員 事業者団体の相談事例をできるだけ開示していったらどうかという、その具体的な方策という御質問かと思います。  委員長から申し上げましたとおり、主要な相談事例は毎年取りまとめてこれを公表しているわけでございますが、例えばコンピューターの二〇〇〇年問題、こういうことについて事業者間がいろいろ相談してやることはどうだというような御相談が大変来ました。それをまとめまして、これは非常にいろいろ役に立つということもございまして、まとめたものを公表する。こういう相談でこういうふうに答えた、問題ないと答えた、このように適時にやっていくことも必要ではないかと思っております。  さらに、これは先生からもよく御指摘いただくわけでございますが、事業者団体から、相談事例、毎年公表するものにつきまして、いろいろ説明会を開いてほしいということもございます。これについては、全国に私どもの地方事務所がございますが、そこに大変多くの要請もございまして、できる限りこれに対応していくということで、いわば相談事例を説明会なり公表することによりまして、そしてそれを説明することによりまして、事業者が次の対応をできやすくするということに一層心がけてまいりたいと思っております。
  52. 中野清

    ○中野(清)委員 自然独占という言葉がございますけれども独禁法の中に、固有な行為について適用除外というのがあります。この独禁法の二十一条の規定におきましては、鉄道とか電気・ガス事業事業者の独占的地位及び生産、販売に関する行為であって固有のものについては、独禁法の構成要件に当たらないと確認されておりますね。  その中で、電気、ガスにつきましては、例えば小売分野においては部分自由化等の制度改革によって、いわゆる競争原理が導入しようとされていることは御承知のとおりであります。こうした検討を踏まえるならば、独禁法二十一条の規定というのは廃止されるべきだと私は考えております。  本年三月に制定されました規制緩和三カ年計画では、独禁法二十一条の規定については平成十一年末までに存続の結論を得るものとされていますが、今回の法案策定の過程では、この二十一条の削除は論議されたといいながらも、結果的には見送られたと聞いておりますけれども、この具体的な経過について簡単に説明願いたいと思います。
  53. 山田昭雄

    ○山田政府委員 御説明いたします。  独占禁止法二十一条の規定は、先生指摘のとおり、鉄道、電気、ガスその他その性質上当然に独占となる事業を営む者の行う生産、販売または供給に関する行為であって、その事業に固有のものについては、これを適用しないという規定になっております。今回提出させていただきました法案の作成に当たりましても、いろいろ見直しの議論を行ってきたところでございます。  しかし、先生指摘のとおり、今、電気事業におきましては小売分野部分自由化という制度改革が行われているわけでございまして、今後、新しい競争が導入された分野において、適正な電力取引のあり方に関するルールが整理されることになるわけでございます。したがいまして、この二十一条の見直しに当たりましては、こういった電気事業における制度改革によってどういったルール取引が行われるようになるのかということをもう少し見きわめた上で結論を出すことが適当であるというように考えているわけでございます。  私どもといたしましては、こういった事業におきましては、先ほど先生から御指摘のありますように、法律によりますいろいろの規制がなくなり、部分自由化ということが行われてきておるわけでございますから、その性質上当然独占となる事業であるかどうかということが問われるわけでございますので、そういった観点からも関係省庁とも十分協議をして見直しを進めてまいりたい、このように考えております。
  54. 中野清

    ○中野(清)委員 ぜひ進めていただきたいと思います。  私は、流通業界におきまして今いろいろな問題がございますが、その中で、イトーヨーカ堂の七%還元セールの問題と、これに関連していわゆる流通業界における二重価格の問題について、特にお伺いをしたいと思っています。  いわゆるイトーヨーカ堂の還元セール、不況突破企画として、昨年の十一月十一日から十五日までは五%の還元セールで、これは前年対比で六割増。それからまた、十二月八日から十三日までは七%の還元セールで五割増と、売り上げ増になりました。  しかし、消費者団体であるところの消費者問題研究所の行った価格調査によりますと、このヨーカ堂の例えば紳士カシミヤセーターというのは、七%還元前のザ・セールというときには一万八百円で売っていた。ところが還元セールのときには、もとの相場が一万二千八百円という、前々からあった相場だと言っておりますけれども、値戻しされまして、そしてそれの結果、七%引きで一万一千九百四円。これはその前の五%のときも同じようなことがあったと伺っております。つまり、還元セールのときに買うよりも、前の週に買った方が安かったということなんです。  私この際申し上げておきますけれども、流通業界としまして、イトーヨーカ堂というのは一番経営姿勢がまじめな企業だと言われておりまして、はっきり申し上げまして私どももそう思っております。決してヨーカ堂のことをどうこうということではなくて、ヨーカ堂でさえもこういうことが起きている。ですから、二重価格についての問題はもっと悪質な事例がいっぱいあるんだ、そういう前提で議論していただかないと、何かヨーカ堂たたきと言われては、誤解は心外でございますからあえて申し上げますけれども、そういう意味で幾つか質問をさせていただこうと思っているのです。  小売業におきましては、初めに値づけをした後、売れ行きを見ながら随時に、値上げということはほとんどありませんけれども、値下げをしたり、いろいろそういうことをやることについては、これは通常あることでありますから、そのこと自身は問題はないと私は思っているのです。  しかし、消費者問題研究所がいろいろ問題にしたのは、イトーヨーカ堂の通常価格、また還元セールにおいての価格の変動のあり方というものが異常ではないかということで、昨年十一月から四回にわたって公取に調査要望書を出しているはずだと思います。この要望書の内容について、また、これに基づいた公取の調査の状況をまずお伺いしたい。  それで、ヨーカ堂だけではありませんで、実は、食肉二重価格で警告というので、公取がことしの三月十五日に、肉の二重価格の表示について、ダイエー等スーパー大手七社に警告を発しているはずなんです。この問題も、やはり同じように二重価格の悪い例として、公取はどういうふうにつかんでいらっしゃるか。  まず、この二つを、具体的な事例としてひとつ御説明を願いたいと思います。
  55. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  御指摘のイトーヨーカ堂の衣料品等の二重価格表示につきましては、先生指摘のとおりの情報提供がございまして、不当表示ではないかという指摘がありましたので、現在調査を進めているところでございます。したがいまして、調査中ということで、その具体的内容に係る答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  それからもう一点、御指摘のありましたダイエー等のスーパーの牛肉等の食肉に関する二重価格表示についてでございますが、これは私どもの方で、大手のスーパーマーケットのうち、チラシ等を見まして、牛肉等の食肉につきまして二重価格表示が行われているということが確認できた七社のスーパーにつきまして実態を調査いたしました。つまり、二カ月間の価格の表示状況を調査いたしました。  その結果、二重価格表示という形で行われていたわけでございますけれども、その比較対照となっている価格が実はその調査期間中には販売した実績が全くない、あるいはほとんど見られないということでございました。したがいまして、このような行為は景品表示法に違反するということで警告を行った次第でございます。
  56. 中野清

    ○中野(清)委員 それでは、ヨーカ堂の問題については今調査中だというお話でございますから、私はこれも二重価格としての、いわゆる公取の景品表示法ですか、その違反になるんじゃないかと思っておりますが、それについては調査中ということで結構でございます。  肉の二重価格の表示については、現実にこれは警告をした。しかも、警告も、何か匿名での警告と、企業名を入れた公表というのですか、があると聞いておりますけれども、どうも後の、いわゆる罰則的な意味を含めた、社会的な制裁というのですか、を含めたものだったと理解しておりますけれども、その点は御説明を願いたいと思います。  それと一緒に関連して、今言ったように、特に肉の話が出ておりましたけれども、割引価格でないにもかかわらず、比較対照価格を示すことによりまして割引をしているように誤認させる表示もあり得るわけですね。今言われたように、全然ゼロのときもあった、ほとんど実態がなかった。標準価格といいますか、もとの、上の価格が。  それで、価格が二重表示をされる場合に、比較対照価格のあり方については一定規制があると思うのですけれども、現行の規制の内容についてお伺いをしたいと思うのです。  それとあわせまして、この二重価格の問題について、公取運用基準についてお伺いしたいと思うのです。  いわゆる市価やメーカーの希望価格でなくて、自分のお店の旧価格を通常価格として価格を比べる場合には、往々にして、小売業者が、その価格では実際に売れない、そういう高い値段を実質的に数日間でもつけまして、それを旧価格だといって値引きの幅を大きく見せよう。そういう欺瞞的な販売方法を防ぐためには、景品表示法では、その価格で相当期間にわたって販売している実績が必要だと言っておりますけれども、この相当期間に係る公取の一般的な解釈。これもなかなか世間はわかっていないわけでございますから、この際明らかにしていただきたいと思います。
  57. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  最初のダイエー等に対する警告についてでございますけれども、私ども、警告というのは、御案内のとおり、行政指導によりまして問題となる行為の是正を図っていただくということでございますけれども、当該事案を調査いたしました証拠等に、それから法律違反に対する程度、そういうものを考慮いたしまして、世の中に対しましてかかる事例があったということを公表する必要があると判断して公表したものでございます。  そこで、二重価格表示についてのお尋ねでございますが、私どもは、二重価格表示につきましては、その比較の対照となっている価格が事実に基づいておりまして正確に表示されているという場合には、消費者に対する情報の提供として有益ではないか、つまり、消費者としては、そういった価格から幾ら安くなっておるかがわかるという意味で有益ではないかと考えておるわけでございますが、先生が御指摘のとおり、根拠のない価格を比較対照価格といたしますと、当然安いという誤認を生ずるものでございますので、このようなものは景品表示法に違反するということでございます。  このような価格表示というのは、いろいろなところで多岐にわたる事業者によって行われる問題でございますので、私どもとしては運用基準を定めておりまして、どのような場合に違反になるかという考え方を明らかにしているわけでございます。特に御指摘の、自分の店の価格、自店通常価格といいますけれども、そういった価格との二重価格表示ということでありますと、事実に基づいているというのはどういう意味かといいますと、その事業者が相当期間にわたって販売していた実績があるということではないかというふうに思われますので、そういった考え方を明らかにしているわけでございます。  もちろんこの判断というのは画一的に行われるべきではございませんで、個々の商品の特性とか販売の実態に応じて判断すべきものであるわけでございますけれども、やはり多数の事業者によってこういった販売方法が行われますので、一般的な基準のようなものも私どもは示しているわけでございます。  一般的には、季節性の強い商品の場合であれば、一カ月程度の販売実績があればそれを比較対照価格とすることは問題なかろうということを言っているわけでございますけれども、これは、その期間よりも短いから違反だということを申し上げているわけではありませんで、法律上の判断基準といたしましては、あくまでも、事実に基づいて正確な表示が行われ、それに対して一般消費者が誤認することがない、こういうものであれば、短い期間でありましても問題ないものとして運用しているわけでございます。
  58. 中野清

    ○中野(清)委員 今おっしゃるとおり、景品表示法等の相当期間ということについては、商品の性質によって長短というものがあるとか、季節性の強い商品だとかというので、衣料品等は一カ月で、その他は三カ月だと言っておりますけれども、この物差しがなかなかわかりにくいわけですね、率直な話が。その点をこれから実は特に公取の皆さんにお伺いしたいと思っております。  それと関連して、ヨーカ堂のような七%とか五%という還元セールのときには、特定の商品を割り引くのではなくて、全店すべての商品を通常価格の何%引きとやるものですから、一定率の割引というわけでございますね。そうすると、商品の性質とか通常価格が妥当とかなんかなしにして、何でも一括全部掛けてやってしまう。ですから、さっきの事例のような問題が出てくるわけでございます。  ですから、いわゆる価格の違法な二重表示が存在するのではないかということについてお伺いをしたいと思います。そういう点での、一括の中での販売についての公取の解釈を、これは簡単で結構です、後の質問もありますから。
  59. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  特定の商品ではありませんで、全店で取り扱う商品につきまして一律に割引するというような場合があるわけでございますが、仮に、そういったセールの実施に当たりまして、あらかじめ比較対照価格といいますか割引の基礎となるような価格を引き上げているということになりますと、これは不当表示として問題となるわけでございます。  ただ、そのような実態がございませんで、その店に行った消費者が、割引はどこから幾ら、何%安くなっているかということがわかる、すなわち誤認のおそれがないということでありますと、全体としての店の割引の率を示すということについては、特に景品表示法上問題となるものではないと考えております。
  60. 中野清

    ○中野(清)委員 イトーヨーカ堂の社長が、還元セールは大きな効果があった、不当表示なんかしていないんだ、公取委員会の規定実態とずれているという記事がありまして、私もびっくりしたのですけれども、これについて、特に現在は季節による商品の回転が速くて、衣料品を通常価格で売るのは一、二週間ということもあるんだ、だから一カ月という公取基準実態に合っていないという反論がありますね。  もしヨーカ堂の社長が言うとおりだったら、衣料品については通常価格なんかもともとないんじゃないか、そういうふうに考えるべきでありまして、それだったらむしろ二重価格はやめてもらって、実売価格のみの表示にして、お客さんが自分の責任でやってもらったらいいんじゃないかと私は言いたいのですよ。  しかも、食肉の二重価格表示についての大手スーパー七社に対する警告の中にはヨーカ堂も入っているわけですよね。そうしますと、はっきり申し上げて、日本でも代表的な経営者であります鈴木社長のこの見解に対して、公取としてこういう公の席でもってはっきりしてもらいたい。その点についてお伺いしたいと思います。
  61. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  私どもは、ただいま御指摘のイトーヨーカ堂の社長の御見解というものがどのような趣旨で行われたものか、詳細を承知しておりませんので、それについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども先ほども申し上げましたとおり、私どもは機械的な基準で判断しているわけではございませんで、比較対照とする根拠があるかどうか、すなわち、実際の販売期間で見るならば相当の期間にわたって販売されていた実績があるのかどうかということで見るわけでございますので、例えば食肉の場合、あるいは衣料品の場合、いろいろ個々状況が違うということで、個別具体的に判断しなければならないと考えていることは申し上げたとおりでございます。  私ども基本的に、事実に基づいているか、正確な表示であるかということで判断しておりますので、おおよそ伝えられるような、我々の判断基準に問題があるというようなことは考えておりません。
  62. 中野清

    ○中野(清)委員 根來さんにお伺いしたいのですけれども先ほど来、ヨーカ堂の件については調査中だということで、私もそれでやめました。しかし、今言った強気の弁というのは翌日出ているのですよ、何カ月も前に。それでもって、しかも今の御答弁じゃ納得できませんな。では、委員長はその点についてどうお考えか。
  63. 根來泰周

    根來政府委員 率直に申しまして、私ども運用基準というのも昭和四十四年のものでございまして、相当古いのでございます。  私の個人的な話をこういうところでするのはどうかと思いますけれども、商売のやり方というのはいろいろ変わっているわけでございますし、羊頭狗肉がだめだということはよくわかるのですけれども、やはり商店主としてはなるべく多く売りたい、消費者としてはなるべく安く買ったという満足感を味わいたいというところがあるわけでございまして、その辺をどのように考えるのかという点を自分で考えてもよくわからない問題がございます。  だから、これは私、独断で申し上げるわけでございますが、少しいろいろな方々の意見を聞いて、ただ二重価格をやめてしまうというのも、何だか、この時代にそういう二重価格をやめてしまえというのも、これこそ政府規制みたいな話でございますから、二重価格をどうしたら上手に運用できるかということを基本的に考え直さなければいかぬと思うのでございます。  イトーヨーカ堂の社長がどういうことを言われたかということは、新聞で知る限りでございますので何とも申し上げかねますが、おっしゃることも、ある意味では、私が先ほど申し上げた意味では納得できることでございます。だから、私どものそういう考え方も、いろいろもう一度反すうして考えなければいけない問題であると考えております。
  64. 中野清

    ○中野(清)委員 今委員長のお話がございましたけれども、そういう点ではもう少しはっきりしてもらいたいと私は思うのですよ。と申しますのも、衣料品だけじゃなくて、食肉の販売についての警告というのでしょうか、これは、ただこの状況だけじゃないんだということを私何回も言いました。つまり、流通業界に共通した問題だ。スーパーの常識は消費者の非常識というのじゃ困るわけですね。つまり、消費者のためといいながら自分の会社のためにやっているということについては、いろいろな問題があるはずなのです。  それで、例えば、今いろいろなこともわかるとおっしゃいましたけれども、業界でも、サミットの荒井社長の姿勢なんかは、商売というのは地域に情報が漏れるんだから、正直にやらなければ結果的に失敗するんだと言っているのです。しかし現実は、やはり大安売りをやった人がどんどん大きくなるというのも事実なんですね。  そういう中で、もう一回私は特に委員長にお伺いしたいのですけれども実態過当競争といいますか、そういうものだと思うのですよ。しかも、販売チャネルの多様化によって、価格破壊によりまして、いわゆる市価というのが一層あいまいになっている。  御承知のように、今までは定価があった。それがいわゆるメーカー希望価格になって、通常価格と言われていますね。それが一層あいまいになって、今はオープン価格。そういうものが一般化されまして、その後、メーカーの希望価格さえも動揺しているのです。つまり、景品表示法によるところの価格表示規制というのは、新しい局面に立たされていると思うのですよ。  今の委員長の御答弁では、はっきり言って私は不満ですね。しかも、それだったら今後、公取として景品表示法については一層厳格な運用を求めなければいけないのだろう。それをうっかりやったら何か規制規制だとおっしゃっていますけれども、後ほどいろいろ業界の話も言いますけれども、そういう意味では今言ったことはよくないのですよ、つまり、お客のためによくないということは全体的にもよくないのですよ。  今の委員長の御発言については、もう少し公取として筋を通すべきだろう、きちっとやるべきだろうと思いますが、お伺いしたいと思います。
  65. 根來泰周

    根來政府委員 私は、景品表示法を軽く扱えという意味で申し上げたのではないのでありますが、いろいろ価格については紛議があるわけでございます。  だから、価格表示について、これからどういうふうにすれば正確な表示ができるか、あるいは消費者もよくわかる価格表示であるかどうかということを、どうしたらいいかということをもう少し考えないと、言うなれば小手先だけで仕事をしてしまう傾向になるのじゃないかということを恐れるわけでございますので、当面する問題は厳正にやるとしまして、遠い将来の問題としては、やはり、価格のあり方あるいは表示のあり方ということを十分考えないといかぬのではないかという感じを持っているわけであります。
  66. 中野清

    ○中野(清)委員 今の委員長のお話のとおりでして、実際にこれから公取として、この二重価格のあるべき姿、そういうものについてもっと研究する時期が来ているんじゃないのでしょうか。基準についても、昔の古いやつだと今おっしゃったし、物差しがはっきりしていないというのも本当に事実ですね、おっしゃるとおりですよ。だったら、研究機関とかそういうものをつくる必要がある。  私も実は三十年前に商売に入ったとき、当時、いわゆる正札運動というのがはやりました。これは商売の原点に戻れという話だったのですよ。今は何も正札運動といったって、いろいろな割引がありますから決して言いませんけれども、結果的には、流通の原点、スーパーだってスーパーの原点があったはずなんです、理想があったはずなんですよ。  そうすると、二重表示が現実だということは事実です。それからまた、実際問題としていろいろとそのことのいい面もあるし、悪い面もある、それも事実なんですね。だったらば、もっときちっとコンセンサスができないかということについては、やはり消費者の信頼を取り戻すということが、この不況期において幾ら消費マインドの回復といったって、信頼がなければ、あの五%還元セールというのはまじめなイトーヨーカ堂がやったから相当皆さんが支持してくれたわけです。しかしそれでも実際にはこういう問題点があったということは、本当に遺憾なんですよ。公取の姿勢がどうだということを、もう一回答弁していただきたい。  あわせまして、通産省にも伺いたいと思うのです。  この問題は、公取委員長だけに法的にやれという話ではないと私は思うのです。つまり、ふだんは流通業界の問題については通産省はうんと口を出しているのじゃないですか。それだったらなぜ流通業界全体の問題として考える気はないのか、運動を進める気はないのか。少なくとも、この消費の停滞という中で消費者がこういう価格についての信頼をなくすということは大変なことなんだということについて、例えば審議会をつくるとか研究会をつくるとか、通産省だって考える必要があるのじゃないでしょうか。この点、通産省もお答えください。
  67. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  私ども、景品表示法に違反する事例というのは、先ほど食肉の不当な二重価格表示についてお話しいたしましたけれども、多々ございまして、販売の実績がないような二重価格表示を景品表示法違反ということで警告する等の処分を多々行っております。  このように、実際、つまり本当に根拠のない価格を比較対照価格とすることについては、これまでも厳正に対応しておりますので、その点は明らかにしておきたいと思いますが、確かに、運用基準、昭和四十四年ということで古くなっておりますので、現在、一般的な二重価格に関する考え方なり消費者の意識というものについても我々調査をいたしておりまして、そのようなものを見ながら、見直しを行っていくことも検討したいと考えております。
  68. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  今回、大手スーパー七社が警告を受けたということでございます。各社とも、警告を受けました内容につきましては、二重価格を廃止する、単一の表示にするというような対応をする旨、公正取引委員会に対してお答えをしているというふうに承知をいたしておりますが、一般的に価格表示の問題につきましては、景表法という法律もございますので、基本的には公正取引委員会による関係法令の適正な適用ということが基本だろうというふうに考えますが、本件の処分を機に各社が適正な表示と再発の防止に努める、あるいは公正な競争確保に努めるということは極めて重要なことでございます。  私どもとしても、この点についてはこれまでもいろいろと申し上げてきたところでございますが、引き続き注意喚起をしていきたいと考えております。
  69. 中野清

    ○中野(清)委員 公取通産省にこれは要望させていただきますので、ぜひ、もう今の基準ではだめだということだけはよく認識をしていただきたいと思います。  これと関連して、よく、還元セールとかいろいろなセールがありますと、結局そういうことを名目にして納入業者に圧力をかけるというようなケースが多々あるということは、もう御承知のとおりだと思うのですよ。  物流をめぐるところの商慣習、特に、この間の日経の卸売業調査によりますと、多頻度の小口の配送を要請されたのが全体の六三・一%で最も多い。しかもこれは今、セブンイレブンなんかは弁当なんか一日何回も、それから日用雑貨も週二回から三回へと、だんだんみんなどこもふえているのです。品切れとか売れ残りを防ぐために、当然そういうことをやっております。  それから、受発注システムとか物流センターの使用料の負担要請が五二%、協賛金の負担要請が四六・二%、リベート要請が四三・一%で、過去一年間みんなそれぞれふえている。しかも、仕入れ先からの押しつけ販売とか、返品とか買いたたきとか、従業員の派遣要請等々、依然として商慣習として残っている。  それについて、公取通産省はどう考えているのか。特に通産省に言いたいのですけれども、去年ですか、いろいろと調査をしたという話がありますけれども、本当に調査をして、そのままでもって後のことがなかなか出ていないのじゃないかと率直に思うので、その点がどうか。把握をしただけというのでは困ると思いますから、はっきりしてもらいたいと思います。  時間がありませんからあわせてお伺いしますけれども、今の法規制でもってそういう優越的地位の乱用というのは対応できるかどうか。例えば下請遅延防止法とか、不公正取引の一般指定の十四項とか、ガイドラインとか、いろいろあります。あと何分かしかございませんから、その点についても簡単にお答え願いたいと思います。
  70. 上杉秋則

    ○上杉説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、私どもその点につきましてはガイドラインを設けておりまして、具体的にどういうことか明らかにしているわけでございますが、御指摘のとおり、この大規模小売店等による優越的地位の乱用の問題というのは、その性格上、なかなか私どものところに情報提供が期待しにくいということがございます。したがいまして、従来から、私どもの方から積極的に、大規模小売業者と納入している方々にアンケート調査というような形で実態把握を行っておりまして、そういったものの中から具体的な事実を把握いたしまして、是正を求めるという活動を行ってきているところでございます。  現在もそのような実態調査を続けているところでございまして、そういうことが明らかになった場合には厳正に対応したいと考えております。
  71. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のような、大手小売業者から中小卸売業者に対する一種の優越的地位を背景といたしまして、流通センターフィーの支払い要求、オンライン費用負担要請等が増加しているという点については、我々も認識をしているところでございます。  御質問の中で例示をいただきました実態調査につきましては、ことしの三月にその結果が出ております。事実関係から申し上げますと、昨年の十月下旬から十一月上旬に、卸売業では二千三百五十社、その相手先である大手小売業あるいは地方の中堅小売業、これにつきましては七百三十社程度、あわせて調査をいたしております。  その結果を見ますと、当然といえば当然なんですが、そういった要請を受けておるという名目で多いのは、センターフィーの要請が八三・九%、納入価格引き下げ要請が七三・八%というのがございます。中で、納得ができないと回答をいただいているのが、センターフィー支払い要請とか押しつけ販売がございます。  今後とも私ども、この調査結果をさらに精査をいたしまして、分析を進めてまいります。事実関係において必要があれば、また公正取引委員会と連携をして進めていきたいと思っております。
  72. 中野清

    ○中野(清)委員 中小企業庁に言いますけれども、九六年にも同じ調査が行われておりますけれども、具体的にきちっとお願いしたいということをまず要望しておきます。  最後に、根來委員長、私は前から、上杉部長が今おっしゃっていましたけれども実態がなかなか報告されないというのは当たり前なんですよ、それはもう市場がいっぱいで今までの取引先を簡単に失うわけにはいかないのですから。ではどうしたらいいかということで、何回か、特に商工会議所とか商工会との連携というのを申し上げました。きょう私はその点で具体的に四点ばかり御提案したいと思いますので、これはぜひ検討してもらいたいと思いますから、お願いしたいと思います。  それは、私も実は商工会議所の顧問なんかをやっていますと、商工会議所の中の、例えばことしの行動計画というのでしょうか、そういう中に独禁法のドの字もないのですよ。ですから、やはりこれは、少なくとも優越的地位の乱用を防ぐ、中小企業を守る姿勢というものは、商工会議所や商工会にぜひ公取として相談をしてもらって、活動してもらうような位置づけをしなきゃいけないんじゃないか。それをまず第一に申し上げたいと思うんですよ。  そういう意味では、二番目として、この間も何回も申し上げたんですけれども、実際に取引先が個々に言うわけにいかないんだ、だから各地区の商工会議所や商工会に独禁法の相談所を設けてくださいということを何回もお願いいたしました。実際は、例えば貸し渋りにしても、またいろいろな問題についても相談するところがないんだ。しかも、全国七カ所や八カ所の公取では受け皿がないんだから、ぜひお願いしたい。  それから三つ目は、商工会や商工会議所に一定の事務費が経費として出せないか。そして、たとえ年二回でも三回でも四回でも結構ですけれども公取として、各地区の独禁法での問題点、実例というものを、報告と言っては語弊があるかもしれないけれども、連絡かしりませんけれども、やってもらえないか。それが皆さんの情報として一番大事なはずだ。  四つ目としては、何か独禁法政策協力委員会の制度ができると聞いておりますけれども、それも含めて、消費者団体とか中小企業団体と公取がもっと連絡をできるような、そういう連絡機関というものを設けるべきだ。  もう時間がありませんから質問はこれでやめますけれども、答弁について、なるべく私ども要望を含めたこの質問についてお答え願いたいと思います。
  73. 根來泰周

    根來政府委員 先年来、先生からいろいろそういう点の御示唆がございました。私も、それはごもっともなお話だということで、いろいろ考えておるわけでございます。  一つは、やはり公正取引委員会の職員の数が極めて少ない。それで、早い話が、新潟や前橋の話は全然私どもの目の届かないところでやっているわけでございます。先ほどの二重価格の問題もそうでございますけれども。そういうことからいうと、やはり職員の数をふやすということは今の時代は非常に難しい。そうなると、やはり民間の方々のお力添えを得ないとどうしようもないという考え方から、先ほど申された商工会議所等の連携のネットワーク、あるいはことし予算化されました独占禁止法協力委員、それから既にあります消費者モニター、あるいは下請協力委員という、いろいろの方々の御協力を得て、できるだけ御納得を得るような行政をしたい、こういうふうに考えているわけであります。  ただいま御指摘のあったことはまことにごもっともなことでございますが、ローマは一日にして成らずと言うとおかしいんですけれども、そういう点がございまして、なかなかそうすぐというわけにはまいりませんので、私どももできるだけ努力しまして、この独占禁止法の精神を国民の方々あるいは事業者に植えつけまして、そして、その返答を待って適切な行政をやっていきたい、こういうふうに考えております。
  74. 中野清

    ○中野(清)委員 終わります。
  75. 古賀正浩

  76. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。十一時五十七分まで質疑をさせていただきたいと思います。  まず、独禁法については、御案内のとおり、昭和二十二年に施行されて五十年以上たつわけでございますけれども、この間、独禁法自体も数次にわたって見直しが行われてまいりましたし、また、ある時期には社会的背景によって規制強化されたり、また昨今のように緩和に大きく歩み出したり、そんなことが繰り返しこの独禁法についてはあったというふうに思うわけであります。このたび問題になっております除外制度につきましても、いろいろ変遷がありました。  独禁法の除外制度というのは、戦後の我が国経済復興が、いわゆる復興期というときには朝鮮特需もあったり、またその後の三十年代の高度成長があって、また外貨の天井も低くて、どちらかというと産業保護ということを意識せざるを得ない状況であったというのも否めない事実だろうというふうに思うわけでありまして、制度として成立した当時には有効であった。それが、当然のことながら時間の経過とともに産業経済の背景、社会が変わってまいりまして、その必要性というものが薄れてきた、失われた。こういうふうに私などは思っておりまして、そのゆえに、今回のように二回にわたって適用除外制度というものを見直そうじゃないか、こういう話になったんだろうというふうに思うわけであります。  しかし、理由があって導入し、我が国経済の育成に役立ったこの制度、過去のそういう効能といいますか、機能を果たした部分を無視してこの法案の審議にはかかれない、こう考えます。まずその辺をお尋ねをしたいんですが、この適用除外制度が果たしてきた役割公取委員長としてはどのように評価をされているのか、これを初めにお伺いしたいと思います。
  77. 根來泰周

    根來政府委員 申すまでもありませんが、昭和二十二年という、日本も焦土といいますか、焼け野原のところ、あるいは衣食住が何も足りないところ、統制経済が横行しているところというときに独占禁止法というのが成立して、今日に至っているわけでございますけれども、その間、やはり産業保護政策ということが優先したことはもう間違いない事実でございますし、産業保護によって日本経済が立ち直ったということも、これ、だれも否定できることではないと思います。  したがいまして、そういう産業保護行政あるいは政府による規制行政という一つの半面といたしましてこの適用除外制度というのがあったわけでございまして、そういう意味で、最近の規制緩和という時流を受けまして、この制度が既に必要性を失っている、あるいは政策的目的がなくなっているということで今回の法案をお願いしているわけでございます。
  78. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 独占禁止法というと、正直言ってそのネーミングから一般国民には何となく近づきがたいような、大概、独占禁止法がニュースになるときには、不当廉売であったり、また景品をめぐる問題であったり、そんなことに必ず連結しますから、検察官のような何か怖い感じがしますけれども、今回この適用除外ということをなぜやるのかということは、案外国民に知られていないですね。一括法とか個別法とか規制緩和三カ年計画とか、こういう、永田町にいる人や産業界の方々はわかっても。私あえてこれをここでお尋ねする理由は一番最後にちょっと言いたいことがあるから、言いたいというのは変な意味じゃなくて、頑張ってもらいたいというエールを送りたいから言うんですけれども。  もっと国民に、あなたたちの公正な消費者としての権利を守っている役所であって、そして、今回の法律も、消費者主権というものを擁護し、または育てる、そういう行為なんだ、こういうことを私は思うんですけれども、数次にわたって御苦労されてきた、これまで取り組んでこられた独禁法適用除外制度、それを見直すに当たっては、根來委員長はどんなお気持ちで、基本的なお考えをどこに置いて対処されたのかということを国民にわかりやすく御答弁をいただきたい、こう思います。
  79. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申しましたように、私どももそうでございますが、戦争後の直後に中学生であった者が当時を振り返りますと、この独占禁止法という精神は、全く夢のような話であったわけでございます。それが、やはり規制あるいは保護によって日本産業は隆々と今日に至ったということは、みんなが認めるところであろうと思うのでございます。  しかしながら、最近の国際情勢を見ましても、我が国の一般的な考え方を見ましても、やはりもう規制を解いた方がいい、あるいはもう自由競争でそれぞれ力を発揮した方がいいという考え方が、びまんといいますか、一つ考え方になっているようでございます。その足かせというのはやはりこの適用除外制度のようなところに置かれているわけでございますから、こういう適用除外制度というのをやはり振り払って、本当の、独占禁止法が求めておる自由競争あるいは公正な競争というところに持っていこうとするのが私どもの務めであり、このお願いしている法案の趣旨であろうと思うのでございます。  ただ、おっしゃるように、独占禁止法というのは、これは略称でございますが、いかにもいかつい名前でございますし、またこの内容というのは、私自身、公正取引委員会に来て三年になりますけれども、なかなか理解できないところがたくさんあるわけで、ましてや法律を見たことのない方に理解しろと言ってもなかなか難しいところがあると思うんですけれども先ほども他の委員からお尋ねありましたように、この内容をできるだけ易しく、みんなに理解していただくようにこれからも努力していきたい、こういうふうに思っている次第であります。
  80. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 今、委員長が、国際化といいますか、国際的な観点についても触れられましたけれども、和製英語でグローバルスタンダードというのがありますけれども、さらにそれをアングロサクソンスタンダードと言うのだそうでありますが、これはみんな英語にはない言葉だそうですけれども、そんな基準我が国適用除外制度に物差しとして当てはめたら、例えばアメリカの反トラスト法であるとかEUの競争法であるとか、こういうところは一体どんなふうになっているのかなと思いますし、このサイドから今度の法案を見たらどんな評価が国際的にされるのかなと。  これを、もう時間があと四分ぐらいしかありませんから簡単で結構でございますので、どなたでも、政府委員の方でも結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  81. 山田昭雄

    ○山田政府委員 お答えいたします。  米国、EUの競争法から見て今回の改正はどうかという御質問かと思いますが、アメリカにおきましては、共同行為は原則禁止ということで大変厳しい規制になっております。ただ、特定の分野、運輸、保険等、かなり限定された範囲におきまして反トラスト法が適用除外されております。我が国も同様に考えております。  EUにおきましては、実質上、ローマ条約で事業者間のすべての協定あるいは団体の決定等が禁止されておりまして、事業者間の共同行為につきましては、我が国独占禁止法に比べまして、違法とされる行為の範囲が広くなっております。そこで、八十一条の三項、適用除外規定というのが置かれておりまして、例えば排他的な流通協定、これは縦の関係でメーカーと流通業者がある一定の排他条件つき取引を結べば八十一条の一項に当たってしまうということで、それを適用除外するということでございます。あるいは特許ノウハウライセンス契約、共同研究開発等、一定範囲で適用除外としているものでございます。しかし、いずれも、実質的に競争を制限するようなものについては適用除外を認めないということになっております。  したがいまして、米国及びEUにおきまして、適用除外は極めて限定された範囲で認められているわけでございまして、現在検討しております、適用除外を必要最小限とする観点から今回の見直しを行っているわけでありまして、国際的にできるだけ制度の仕組みを平準化するという観点からも整合性のとれたものになっている、このように認識しております。
  82. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 もう時間ですから最後に一言申し上げますが、私は、経済規制は完全撤廃をして、社会規制は必要に応じて残す。市場原理とイノベーションが確保される、また、はつらつとした産業人を育てる。そしてしかし、フリーでフェアでオープンな社会をつくる。実はこの間行政改革特別委員会で私は公述人に質問しまして、こういうことのためには公取型官僚組織というのを進めるべきだ。もう通産省も要らない、大蔵省も要らない、外務省はしようがない残すけれども国内政治は全部公正取引委員会型。  つまり、自由にやらせておいて、何かまずいことをしたときには乗り込んでこれにパニッシュメントを加える、こういうことが本当の我が国の成長のためにいいのではないか、こんなふうに思っております。  これは質問ではなくて、そういうふうに公正取引委員会に大きく期待している議員がほとんどだということをひとつ十分認識されて、大いに正義の鉄槌を下し、またはいろいろと強制もし、大いに社会産業経済、いろいろなところのガイドラインとして明確な独禁法をお示しいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それを申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  83. 古賀正浩

    古賀委員長 前島秀行君。
  84. 前島秀行

    ○前島委員 十分余のわずかな時間でありますので、二、三基本的なことを伺いたいと思います。  いわゆる内外の経済状況変化の中で、日本経済活動の活力を取り戻すために構造改革のさまざまな作業を行っている、努力をしている、その一環として規制緩和を行うというこの基本的な流れについて、私も十分理解をするものであります。  しかし、何でもかんでも規制緩和をして済むものだろうか、そうしていいだろうかということについては、やはり私は基本的に考えるべき、留意すべき重要な点ではないだろうかということを、かねがね、一連のこの規制緩和だとかの点で申しているわけであります。  今回の公取の適用除外の廃止の問題についても、基本的には私は理解をいたします、異を唱えるものではありません。ただ、特にこれから重要な環境対策につながるものだとか、あるいは安全性だとか保安というふうな社会的な課題の問題については、私は、一律的に適用除外を廃止していくという、一括的に扱うべきではない。やはり、その辺のところは十分に個別的対応ということもあり得るわけでありますから、基本的に柔軟に対応すべきではないだろうかということを常々考えているわけであります。  そういう面で、今回のさまざまな適用除外の中で、とりわけ合理化カルテル問題等々について、私は、環境あるいは安全性とかいう社会課題に連動する問題については、やはり、一括的適用除外を廃止するという形ではない慎重な対応をすべきではないか。そういう環境につながるような問題については、やはり、個別の協定としてこれが法律的にどうのこうのという形で、運営上十分配慮すべきではないだろうか、そんな配慮が公取のこれからの具体的な作業の過程の中で必要だろう、こういうことを思うわけでありますけれども、その辺の基本的な認識について委員長に伺いたい、こういうふうに思います。
  85. 根來泰周

    根來政府委員 私どもが所管している、あるいは私どもが目的としているのは経済規制でありまして、先ほどもちょっとお話があったかと思いますけれども、これはいろいろ具体的な問題は具体的に考えなければいかぬのでありますけれども、一般的に申しまして、社会公共的な目的があって、それらに合理性がある、そういうことは独占禁止法のらち外というふうに考えているわけであります。  今回お願いしているうちの例えば不況カルテルあるいは合理化カルテルというのは、事業者が共同してやる行為を排除しているわけでございまして、これはあくまでも経済的な問題についての話でございますから、社会公共的な立場、目的でやられることについては、これは抵触しない、関係のないことだろうと思っております。
  86. 前島秀行

    ○前島委員 そういうことになりますと、いわゆる団体といいましょうか業界が、専門的な共同研究とかあるいはいろいろな、環境につながるようなあるいは安全性につながるような問題について、個々企業ではなくして一定の業界が、あるいは一定の組合等がそういうものを協定として進めていく。こういうことも、いわゆるカルテル行為といいましょうか、独禁法に違反しない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  87. 山田昭雄

    ○山田政府委員 御指摘のとおり、合理化カルテル廃止されるといいましても、今先生お話のございますような環境対策等を行えなくなるというものではございません。大変恐縮でございますが、そもそも、合理化カルテル、今の制度で環境対策等の行為が二十四条の四の規定に基づいて行い得るかどうかという、この点も一つあるわけでございます。  それで、御指摘の環境対策あるいは安全確保のように、社会公共的な目的のために合理的に必要とされる自主的な基準の設定等は、多くの場合は独禁法に違反しないものと考えておりまして、このような考え方は、私ども事業者団体ガイドラインというものを平成七年に出しているわけでございますが、そこで明らかにしております。  また、いろいろ御相談がございまして、それに対しましてお答えする、そして個別の事例で、こういうことで御相談があったけれども問題ないことであるということを明らかにいたしまして、これを公表してまた説明等をさせていただいておるところでございます。
  88. 前島秀行

    ○前島委員 私が言うのは、いわゆる業界といいましょうか団体が、社会的問題に連なる経済行為なんですよ、社会課題と連動する経済行為。例えば標準化のための行為だとか、あるいは専門的に技術的に研究するという行為等々を、個人、一企業ではなくして業界とか組合等々が協定として研究開発を進めるということは、平成七年の指針といいましょうかガイドラインのところに該当するので、今度の適用除外を廃止するということとは関係ないよ、こういうふうに理解できるかと、こういうふうに言っているのであります。
  89. 山田昭雄

    ○山田政府委員 大変失礼いたしました。  先生の御質問一つ、共同研究開発というような、いろいろ技術開発をしていく上に、個々事業者ではなくして共同してそれを行うという問題、これはどうかという点が一つかと思います。  これにつきましては、一定の共同研究開発を行う場合に、どういう場合に独占禁止法上問題になるかという考え方も、これまた私ども示しております。  これは、EU、諸外国におきましても同様でございまして、例えば新しい技術の開発を一切行わない、防ぐというような場合には、これは当然競争を制限する結果になります。非常に昔の例で恐縮でございますが、アメリカにおきましては、電球の寿命がいつ来るかということで、なるべく短い方が売れるわけですから、そういう寿命を技術的に制限するようなことを行うというような例もあったわけでございますが、どういう場合に共同研究開発が問題になるかということを示しております。  そして、私が先ほど申し上げましたのは、環境対策あるいは安全対策というようなことで団体あるいは複数の事業者が行うような場合につきまして、先ほど申しました事業者団体のガイドラインで示しておりまして、多くの場合は問題ないということでございます。
  90. 前島秀行

    ○前島委員 ぜひその辺のところを、これから中小企業等々が技術の開発とともに新しい産業分野をやっていく上で、やはり個別企業では対応できない、限界がある部分を、団体として、いろいろな業界として取り組んでいく。しかも、それが環境問題、安全問題等々に該当する、社会課題に連なる経済行動というのは積極的にやっていく、容認をしていく。要するに、EUで言う個別課題別協定的なものだろうと思いますので、その辺のところは個別的課題で処理になるだろうと思いますけれども、弾力的な運用をぜひお願いをしたい、こういうふうに私は思います。  それから、その問題と関連しまして、今よく議論になっております設備廃棄の問題での共同行動といいましょうか、共同の対応ということでありますが、基本的にこれが問題になるということは私も十分理解して、当然だろうと思っているわけでありますが、問題は、中小企業、中小の団体、中小の協同組合との関係ということになってくるとどうなのかなということなんであります。  いわゆる二十四条で、中小企業企業組合等々には今度の一括的な適用除外は廃止しない、要するに中小企業対応しないよ、連動しないよというのが今度の政策の中では明確にされているだろうというふうに思うわけであります。  そういう意味で、中小企業団体、中小企業に対して個別の廃止を適用しない、こういうことになってくると、この企業設備の共同廃止の行動を中小企業団体、中小組合等々が共同して対処する。全体的に言うと八十兆円余と言われる過剰設備の中で、個別の企業、ましてや中小企業が一連の活動の中で個別に対応するということは正直言って無理なのでありまして、そのことは、ある意味で中小企業から見れば倒産ということを意味する形になるわけであります。  その八十兆円余の設備過剰を中小企業の側から対応していくという場合は、この二十四条の中で中小企業は今度は適用しないよという形の理解と重ね合わせて物事を考えた場合に、中小企業並びに中小企業団体がこの設備廃棄の問題について対応する場合は、いわゆるカルテル行為として認められないというようなことはない、認められる、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
  91. 山田昭雄

    ○山田政府委員 中小企業団体が、いわば不況カルテルあるいは設備廃棄等をどのように行えばいいのかということかと思いますが、今回の法律の整理の対象にはなっておりませんが、中小企業団体の組織に関する法律がございます。この組織に関する法律の中には、不況対応する措置といたしまして共同行為、幾つかの要件がございますが、それで認められておるわけでございまして、そういった要件に合うということであれば、設備廃棄等の共同した行為が行い得るということになろうかと思います。
  92. 前島秀行

    ○前島委員 時間が来ました。これ以上質問はできませんけれども、やはり現実の厳しい経済状況の中で、新しい産業を興していくとか、あるいは設備過剰の中でどう対応していくかという、中小企業対応している局面というのは非常に厳しい側面があることは事実だろうと思いますね。それを個別の企業対応せよといったってなかなか限界があるわけでありますから、その辺のところも十分現実に対応できるように、中小企業の倒産に連動しないような形の対応をぜひお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  93. 古賀正浩

    古賀委員長 吉井英勝君。
  94. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  まず、大企業の圧倒的な支配力のもとで、中小企業が協同組合等をつくって、共同して公正な取引自由競争の基礎的条件を実現している独禁法適用除外の部分は維持されることになりますので、この法案については賛成するという立場を最初に明らかにしておきたいと思います。  その上に立って、独禁法の厳格な運用が必要な問題について見ていきたいと思います。  今、子供たちに人気の高いゲーム機、そしてソフトの販売をめぐって、市場占有率が五〇%をはるかに超えているSCE、ソニー・コンピュータエンタテインメントのPSと言われているプレイステーションや、バンダイのワンダースワンについて、この両方を代理店として取り扱っているバンダイの子会社であるハピネットは、トイザらスや大手資本系列のコンビニにだけはこの売れ筋商品を納品するんですが、中小の玩具小売店、町のおもちゃ屋さんに対しては、一億円以上の売り上げを取引条件とすることで、これを約束しないと納品しないと、つまり、事実上障壁を設けて納品を拒否、取引拒絶をしています。  実際、お聞きすると、ハピネットの言い分は、バンダイとソニーが納品だめと言うからおたくには納められないんです、こういうふうに言っているわけです。  まず最初に、公取はこういう事実について承知していらっしゃるか、そのことから確認をしておきたいと思います。
  95. 平林英勝

    ○平林政府委員 お答えいたします。  先生からそのような御指摘があるのは承知しているところでございます。  独占禁止法との関係で申し上げれば、公正取引委員会におきまして、ただいまソニー・コンピュータエンタテインメントに対しまして審判を行っているところでございます。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 SCEについては今、茨城、東京、千葉、埼玉、愛知など各地で問題を起こしている。希望小売価格を維持させる条件をつけてこの売れ筋ソフトのPSソフトを供給する、そのためにPS製品を販売する小売業者の数を限定する販売政策をとっているとして、これは「再販売価格の拘束」、公取告示、不公正な取引方法の第十二項に該当する、また、取引先小売業者の事業活動を不当に拘束する条件をつけるのは十三項に該当するとして、独禁法第十九条違反だとして、公取は、九八年二月からSCEの方については審判手続を進めているのではありませんか。
  97. 平林英勝

    ○平林政府委員 先生指摘のとおり、公正取引委員会は、昨年の一月にソニー・コンピュータエンタテインメントに対しまして勧告をし、ソニー・コンピュータエンタテインメントが勧告に応諾しませんでしたので、昨年二月に審判開始決定をいたしまして、現在までのところ八回、審判を開始しているところでございます。  違反の被疑事実につきましては、先生指摘のとおり、プレイステーションという家庭用テレビゲーム機のソフトウエアとハードウエアに関しまして、販売価格の拘束、中古品の取り扱い制限等々の違反の疑いで審判をしているところでございます。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 既にSCEの方は審判に入っておりますが、実はバンダイと、バンダイが株式の二八%を所有している子会社のハピネットは、先ほども申し上げましたように、町の中小小売玩具商、要するに町のおもちゃ屋さんですね、そこにはゲームソフトで一億円の売り上げなどはなから不可能なことを知りながら、これを条件にして、一億円の売り上げの約束ができない小売には、この売れ筋の、SCEの方のプレイステーションもそうですが、バンダイのワンダースワンの供給を拒否しています。  それで、これは公取告示、不公正な取引方法の二項に言う「その他の取引拒絶」に当たると私は思うんですが、独禁法違反となる不公正取引方法に該当するのではないかということについてよく検討、研究する必要があるのじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  99. 平林英勝

    ○平林政府委員 個別の事実関係につきましての意見は差し控えさせていただければと思いますが、一般論として申し上げますと取引拒絶の問題というのはなかなか難しゅうございまして、と申しますのは、一方では、事業者というのは取引先選択の自由といいますか、あるいは契約の自由といいますか、そういうものがあるわけでございまして、ただ、ある事業者一定の条件を満たさないから取引をしないということ自体をもって、独占禁止法に言う取引拒絶、不公正な取引方法に当たるというのはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。  ただ、それでは全然問題にならないのかというと、それはやはり個別の状況によるわけでございまして、例えば、取引拒絶の背景に再販売価格維持行為があって、そういうメーカーが指定する希望小売価格を遵守しないものとは取引しないというようなことになりますと、これは取引拒絶ということに該当してくるということが考えられるわけでございますけれども、一般的には、最初に申し上げましたように、取引しないことだけをもって不公正な取引方法というのはなかなか難しいのではないかというふうに見ております。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 例えば、実方謙二氏の「独占禁止法」でも示されておりますが、既に審判に入っているSCEのように、違法行為、これは再販売価格維持の問題と排他条件つき取引が成立する場合に、十二項、十三項の場合に、当該行為が違法とされるだけでなく、当該行為の実効性担保手段となった取引拒絶、この二項も不当な取引拒絶として違法となるという考え方を示しております。  ハピネットは、SCEのプレイステーションの方も、バンダイのワンダースワンの方も代理店として扱っていて、そして、バンダイとソニーが、SCEが納品だめと言うからおたくには納められないんだと、あくまでも納めないいわば条件づくりといいますか、そういう形で一億円の売り上げという条件を提示して、町の小売屋さんで、はなからそんなの無理なんですよ。  しかし、この売れ筋商品は、例えば私が御相談などいただいているおもちゃ屋さんなどの近くにあるトイザらスに行きますと、数十億円規模で、売れ筋商品だけで大体売り上げの二〇%を超える非常に大きな割合を占めているんですよ。そこでは、なるほどそういうところしか卸しませんから、いわば独占的販売ができますから、だから再販売価格を維持することもできるし、非常に高い価格でもって子供たちに売りつけていくということもできている、こういう問題があるわけです。  だから、実方さんの考え方からいっても、なるほどSCEについては十二項、十三項でやっていらっしゃるんだけれども、あわせて二項にもこれは当たるんだという考え方も示されているわけですから、改めてお聞きしておきたいんですが、この点では、さっきおっしゃったお考え一つにはあるんですよね、しかし、不公正な取引方法に該当するんじゃないかという点についてはよく検討し、よく研究する、そういうことが必要だと私は思うんですが、もう一度伺っておきたいと思います。
  101. 平林英勝

    ○平林政府委員 先生指摘のように、先生が引用された実方先生も述べているように、排他的取引条件あるいは拘束条件つき取引との関連において取引拒絶がなされているということならば、取引拒絶ということの適用も考えられるかと思いますけれども、一般論として申し上げれば、メーカーのそういう拘束条件つき取引あるいは排他条件つき取引と、それからその次の卸売業者の行った取引をしないこととの関連がどうなっているのか、そこの関連が問題になろうかと思います。  もちろん、先生指摘のように、我々は、独占禁止法の解釈、運用につきましては、絶えず研究は続けているところでございます。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 研究は続けているということですから、この点についてもよく、私はSCEのことも含めて今お話ししましたので、SCEに関して言うならば、十二項、十三項にあわせて二項の適用という問題もあり得ることですから、今おっしゃったようによく研究をしていただきたい、これは検討をしてもらいたいと思います。  いずれにしても、違法な不公正取引をやめさせるということと、流通支配についてもメスを入れるということが、今この問題では非常に大事になっているということを指摘しておきたいと思います。  ここで公取委員長に伺っておきたいんですが、家庭用テレビゲーム等については、独占的状態の指標に照らして考えると、これは上位二社で九百五十億円以上、上位二社で七〇%以上の市場占有率ということですが、この指標に照らして考えると家庭用テレビゲーム等については別表に入れる要件に当たると私は思いますが、別表に入れるということを検討するべきではありませんか。
  103. 根來泰周

    根來政府委員 現行の別表は平成九年六月に改定したものでございまして、これは大体二年に一度改定するようになっているようでございます。これはどういうものを基本にして改定するかというと、集中度調査というのをやっておりまして、それに基づいて独占かどうかという判断をして、別表に入れるかどうかということを決めるようであります。  それは近々そういう手続に入りますので、そのときには篤と研究して入れるか入れないかを決定したい、こういうふうに思っております。
  104. 吉井英勝

    ○吉井委員 二年に一回、この別表の見直しの話もされて、ちょうどその時期ということでもありますが、この別表に入れて、独禁法二条の監視対象にして、よく厳しく監視もし、対処していただきたいと私は思うんです。  日経が出している「市場占有率99」によりますと、九七年度の家庭用テレビゲーム機とゲームソフトの分野では、SCE、ソニーのプレステのひとり勝ちと紹介されております。SCEが六八・三%、任天堂が一八・一%ですから、この二つだけでも八六%を超えるわけで、圧倒的に市場支配力を持っています。その上に、先ほど御紹介したように、一億円以上の取引とか、これはいろいろな口実は設けているんだけれども、実際には町の小売には商品を卸さない、供給しない、トイザらスとか大手のところしか卸さない、まさに強力な流通支配力も持っております。  私は、こういう点では、もう一度公取委員長に伺っておきたいんですが、やはり今、独禁法の厳格な運用が必要なのじゃないかと思いますが、この点ついての公取委員長のお考えを伺っておきたいと思います。
  105. 根來泰周

    根來政府委員 別表の問題は先ほども申し上げたとおりでございますし、ただいま、厳正な運用をということはおっしゃるとおりでございます。  ただ、大変恐縮でございますが、具体的な案件につきましては、独占禁止法の三十八条というのがございまして、委員長委員あるいは公正取引委員会の職員は、事件の事実の有無あるいは法律の適用について外部に公表してはならないという規定がございますので、お話は拝聴しただけということでお許しいただきたいと思います。
  106. 吉井英勝

    ○吉井委員 個別案件についてはということはあるにしても、いずれにしても、この案件も含めて厳格な運用をやっていただきたい。  そこで、野中官房長官に来ていただきまして、これまでの話をいろいろお聞きいただいたんですが、これまで、大規模小売店舗法の相次ぐ規制緩和と昨年の大店法廃止などで、トイザらスを初め大型店がどんどん進出してきたのは大臣もよく御存じのとおりです。  そして実際、町の中小商店が、これはおもちゃ屋さんだけじゃなくて、どんどんつぶれていく、商店街の消滅という事態が今全国に広がっております。私も、ついこの間、大臣の地元の園部とかお近くの福知山市などへも別な機会がありまして行ってまいりましたが、駅前や中心商店街の疲弊が大変な状況で、これは本当に全国共通の現象だなと。そういう深刻な事態というものに私も心を痛めているものなんです。  その一方で、売れ筋の商品であるソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーションとかバンダイのワンダースワンなどは、トイザらスなど大型店やコンビニにしか商品が供給されない。こうして大型店がどんどん進出して、随分たくさんつぶれたんですけれども、しかし何とか頑張って生き延びてきたといいますか、生き残ってきた中小商店は、今度は売れ筋商品からも締め出されてしまって、一層経営困難に追い込まれている。  私は、これはゲームソフトの問題だけじゃなくて、こんなやり方が他の商品分野まで拡大されてしまったら、玩具の中小小売店だけの問題にとどまらない。大型店の進出と売れ筋商品の供給停止というダブルパンチで、商店街というのはこれまで以上に衰退し、地域社会の崩壊がひどくなる。これは、二十一世紀にどんな日本の地域社会をつくっていくのかということにもかかわっていく問題じゃないかということで、私はそのことに非常に心を痛めているものです。  一方、テレビのコマーシャルで、ゲームソフトなど本当に子供たちの意欲をそそるような猛烈なコマーシャルが展開され、ですから子供たちは買いに行くんですが、隣近所のおもちゃ屋さんにはありませんから、トイザらスなどへ走らせることになります。そこでは、先ほど公取でも問題にしていらっしゃる再販売価格の維持、そういう政策目的に沿って、この店は供給するがこの店はだめだということをやっているものですから、独占価格で非常に高過ぎるんです。高い価格で子供の夢が破られていく。新聞報道では、これも幾つか集めてみたんですが、ゲームソフトをねらった少年犯罪もしばしば起こっていて、母親の悩みにもなっています。  そこで大臣に伺いたいんですが、独禁政策の面からも、独禁法の目的にありますが「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」、これはもともと独禁法の目的であるわけですが、こういう状況を見たときに、政府として、独禁政策の面からもそうだし、中小企業政策の面からも社会政策的観点からも、やはりきちんとした対応というものを考えていかなきゃいかぬところへ来ているんじゃないかと思うんです。この点についての大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。
  107. 野中広務

    ○野中国務大臣 委員指摘のような懸案につきましては、仮に独占禁止法に違反する行為があるとするならば、公正取引委員会において厳正に対処すると考えております。  なお、既設の商店街の深刻な状況につきましてただいまお話がございました。私もまた、その状況をよく承知しておる一人でございます。そのような状況下におきまして、お話のございましたように、中小企業庁を初め関係省庁においてどのようにこれに対処していくかを、十分御指摘を踏まえ、今後の取り組みをしてまいりたいと考えております。
  108. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう時間が参りましたので、終わりたいと思います。  それで、今大臣にもお話しいただきましたように、独禁法に明確に触れるものは法に基づいて対処する。同時に、いわばすれすれの状態で、公取もいろいろ御研究、御検討のところについて、そういうものを含めて、今事態が深刻ですから、これは独禁政策として、また社会政策として、あるいは中小企業政策として、きちっとした対応をぜひ強力に進めていただきたい。  このことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 古賀正浩

  110. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民主党渡辺でございます。変則的な形で、官房長官の御出席をいただきまして、質問をさせていただきたいと存じます。  先ほど公正取引委員会根來委員長にもお尋ねをしてまいりました。まず一点目、お尋ねをしたい点につきましては、かつて公正取引委員会がほえない番犬だと言われました。先ほど来申し上げてきていますように、社会経済状況の大きな変化の中で、公正取引委員会の重要性というものが浮き彫りになってまいりました。先ほど質問の中でも申し上げましたけれどもOECDからも幾多の指摘がございました。  そうした中で、まずは官房長官に御見解を伺いたいのは、今論議されている省庁のあり方、公正取引委員会の体制強化について。国内ではまさに競争原理を遂行しながらも、先ほど指摘のあります不当廉売を中心とする、弱者あるいは消費者への保護という観点と、国際競争力を持つ日本として、国際競争政策に対して、まさに今この経済状況下でかじ取りを担われている。幾つかの重要な役割を今持っているわけでありますけれども公正取引委員会の今後の体制の強化という点につきまして、官房長官の御見解お尋ねしたいと存じます。
  111. 野中広務

    ○野中国務大臣 公正取引委員会の体制につきましては、今般の中央省庁改革法案の衆議院での附帯決議におきましても、公正取引委員会の体制強化が言及をされておるところでございまして、今後、独占禁止法の厳正な運用確保することの重要性にかんがみまして、その審査体制等の充実を図るという基本法の趣旨等を十分踏まえまして、今般の改革の中に引き続き検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  112. 渡辺周

    渡辺(周)委員 OECD指摘の中にも、先ほどの繰り返しになりますので時間の関係でもその指摘部分については省かせていただきますけれども、私ども民主党としては、省庁再編法案の審議に当たって、公正取引委員会が総務省の外局になるということについての弊害をこれまでの各委員会等で指摘をしてまいりました。  まさにおっしゃられたような公正取引委員会の職務の重要性から、これは総務大臣のもとに置かれるべきものではなくて、総理が直接に委員会と市場政策について協議をできるよう、あるいは国会において審議を行う際には最低でも現行どおりに官房長官が責任者として答弁できるようにすべきだというような観点から、我々としては幾つかの問題点を指摘してまいりました。  これはまたOECDの例を出して恐縮でありますけれども、今回の省庁再編に当たりまして具体的な問題として挙げるならば、郵便行政あるいは電波通信行政責任大臣と競争政策責任大臣が同一の大臣となるといったような点についても、指摘がされ、懸念が表明されてきたところであります。  今後、国際競争環境を整備していく上で、特に海外から強い指摘のあるこの点につきまして、政府としてどのような競争政策を進めていくお考えか。また、つけ加えて言うならば、今参議院では審議中でありますけれども、この点につきまして官房長官として何らかのお考えを変えるような余地が残されているのかどうか、あわせて御質問をしたいと思います。
  113. 野中広務

    ○野中国務大臣 省庁再編につきましては、ただいま参議院において鋭意御検討を、御審議を賜っておるところでございますけれども公正取引委員会の位置づけにつきましては、今御指摘ございましたように、行政改革会議の結論を受けまして、今参議院で御審議をいただいております基本法において総務省の外局とすることとしたところでございます。  公正取引委員会の職務の行使等につきましては、もう申し上げるまでもなく、中立性、独立性を確保いたし、委員長及び委員の職務行使の独立性や身分保障が独占禁止法で明定をされておりますほか、委員長及び委員の任命につきましては、引き続き両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを行うことといたしておるところでございます。  公正取引委員会は、今後ともその特性にふさわしく機能を発揮して、厳正に対処をしていくことと確信をいたしております。
  114. 渡辺周

    渡辺(周)委員 まさに厳正な対処をしていただきたいと思いますけれども、その反面で、世界各国あるいは通商政策の相手国であります競争政策当局から、今日までも幾多の指摘が来ているわけでありまして、また、そうしたかじ取りをしながら、日本としても国内的なあるいは国際的な政策を両立させながら担っていかなければならない、大変に重要な使命を担っているわけであります。今後、公正取引委員会のあり方につきましては、とにかく政府のみならず、私どもも含めて、日本の国の競争政策、このかなめという点につきまして、ますます議論を続けてまいりたいと思います。  時間がございません。もっとこの問題に踏み込みたいところですが、幾つかの質問に移らせていただきます。  これは官房長官に、ぜひとも政治家として、あるいは政府を代表するというお立場お尋ねをしたいと思っているわけでありますけれども我が国経済の基盤を支えているのは、言うまでもなく中小企業でございます。企業数としましても、雇用者数としても圧倒的に中小企業の方が多い、これはもう御存じのとおりでございます。  また、日本国内では、言うなれば余り名の通っていない企業でありましても、中小企業であっても、中堅企業であっても、技術的には世界的にかなり高いレベルで評価をされている。中には、よその国の大臣の一行がお忍びで来て、この工場と技術を丸ごとうちの国へ持っていきたいといったような、世界に通用するような企業がたくさんあることも、御存じのとおり事実であります。  しかし、この数多い中小零細企業の中には、なかなか競争力というものを高めることができないということも事実でありまして、今般のこの委員会の質疑公取の所管が市場の番人であって産業育成ではないということは承知をしているわけでありますけれども、あえてここでお尋ねしたいのは、今のこの産業社会日本の発展を築いてきた産業の中で、基礎の部分、下支えの部分をしてきた中小零細企業、大変厳しい状況にございます。この方々が、後継ぎの問題にしても、誇りを持って自分たちの技術をあるいは企業を本当に孫子に継承していいのかどうかといったようなことについても、今、大変深刻な思いをこの不況下で強いられているわけであります。  こうした中小あるいは零細企業競争力、こういうものについても、保護をするのではなくて逆に競争力をつけるという政策をこれから模索すべきではないかと考えますが、この点につきまして、政府を代表して、あるいは政治家として、官房長官のお考えを聞かせていただければと思います。
  115. 野中広務

    ○野中国務大臣 委員指摘のように、我が国の今日までの繁栄は、まさしく物づくり、人づくり、そういう中から繁栄をもたらすことができたと思うわけでございます。しかし、時代の変遷とともにそれぞれ物づくり社会が変革をしてまいりました。今日的状況の中で大変な塗炭の苦しみをやっておるのは御指摘のとおりでございます。  私ども、そういう中において、例えば家内工業で徹底して困難な中やってきた物づくりの人たちが、どのようにしてこれを新しい技術として転換をしていくことが可能であるかどうか、そういうところに視点を当てて、そして、今後大胆な改革をやっていく陰の中にこういう人が押しつぶされていくのじゃなしに、糟糠の妻として大切にし、そしてそういう大きな変革の中に何らかの技術転換をやることによって、この人たちに新しい道が開けていく道を模索しなければならないということで、ただいま通産省を中心にいたしまして、そういう問題について鋭意検討をさせておるところでございます。  そして、それについての財政的、行政的バックアップをしていきたいと考えておるところでございます。
  116. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今、御見解を聞きまして、まさに認識は一緒かなと大変心強く感じた次第であります。  まさに日本型の企業のあり方という形で、系列会社化、あるいは下請、孫請と言われるように、大手企業の、まさにその企業の信頼を得て中小企業が一緒に発展をしてきた。そこに、大手というところの仕事をして一つの信用度を高めてきたということもまた事実であります。  ただ、先ほど質疑の中でもございました、大型の合併産業再生という中で生まれてくる、そのもとにある、そこを支えてきた中小零細企業というものが、合理化という波の中で、いずれにしても、今度はその中小企業競争力をつける、あるいは別の分野に進出をしなければならない、そんなことが出てきて、今まさにその模索をしているところであります。これは政治がどうしても解決をしなければならない問題である、まさにその認識でございます。  もう時間が、本会議の都合であと数分で終わらざるを得ませんけれども最後一つお尋ねをしたいと思います。  昨日の記者会見で、官房長官は、政府がさきに決定しました雇用、産業競争力強化対策法律案の策定は八月の上旬までかかると御発言をされました。この法律案に盛り込まれるのはどのような内容であるのか。中小企業範囲見直しや税制ということについては、いつの時点でそれを発表し、行うのか。そしてまた、この対策の中にございますけれども、次期の通常国会で対応するといったような会社分割制度の早期導入を図るという点につきましては、どのような時期にやっていくのか。  まさに一刻も猶予が許されない状況ではございますけれども、その点についての官房長官の御見解お尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  117. 野中広務

    ○野中国務大臣 先週発表いたしました産業再生並びに雇用対策に対する方針につきまして、それぞれ与党・政府一体となってこれに取り組んでまいりたいと存じて、この法案を予算化してお願いを申し上げ、またその要綱の中に、次国会において御審議をいただきたいと考えた方針の中で、可能な限り前倒しをして法案として用意できるものがあるとするならば、これをぜひこの国会において御審議できる準備を進めたい、そういうことでお願いをいたしておりましたところでございます。  補正予算を編成することはこの国会を延長していただいて可能でございますけれども法案準備というのは、私ども通産省を中心に照会をいたしましたところ、最低八月上旬になる、こういう話でございました。  そういうことになりますれば、法案審議は八月下旬から九月の初めにずれ込んでいくのではなかろうかということでございまして、このことは、本日も民主党の国会対策委員長から会期延長の反対の申し入れがあったようでございますけれども、私ども民主党からは、羽田幹事長を中心にいたしまして、産業再生並びに深刻な雇用の対策のために今国会において十分政府は処理するようにということを先週申し入れを受けたところでございますので、ぜひ民主党におかれましても、会期の延長をして、そして深刻なこの雇用状態を一刻も早く解消できるように、一層の御理解を賜りたいと念じておるところでございます。
  118. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今お答えできることではございませんが、私も国会対策の一員でございます。そのようなお答えをいただきました。  もう時間がございませんので、残念ながら、もうちょっと続けたいところではございましたけれども質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  119. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  120. 古賀正浩

    古賀委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 古賀正浩

    古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  123. 古賀正浩

    古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会