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1999-03-10 第145回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年三月十日(水曜日)     午前九時四分開議   出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君       遠藤 武彦君    小野寺五典君       岡部 英男君    奥田 幹生君       奥谷  通君    木村 隆秀君       倉成 正和君    河本 三郎君       佐藤 静雄君    新藤 義孝君       竹本 直一君    武部  勤君       萩山 教嚴君    林  義郎君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       矢上 雅義君    山口 泰明君       山本 幸三君    枝野 幸男君       奥田  建君    島津 尚純君       田中  甲君    中川 正春君       前田 武志君    渡辺  周君       遠藤 乙彦君    冨沢 篤紘君       中野  清君    福留 泰蔵君       青山  丘君    小池百合子君       二階 俊博君    金子 満広君       吉井 英勝君    畠山健治郎君       前島 秀行君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局経済取         引局長     山田 昭雄君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省貿易         局長      佐野 忠克君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         通商産業省生活         産業局長    近藤 隆彦君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         中小企業庁次長 殿岡 茂樹君  委員外出席者         国民金融公庫理         事       加藤 靖昌君         商工委員会専門         員       野田浩一郎委員の異動 三月十日         辞任         補欠選任   奥田 幹生君     小野寺五典君   武部  勤君     倉成 正和君   中尾 栄一君     萩山 教嚴君   中山 太郎君     矢上 雅義君   牧野 隆守君     佐藤 静雄君   樽床 伸二君     枝野 幸男君   中野  清君     冨沢 篤紘君   前島 秀行君     畠山健治郎君 同日         辞任         補欠選任   小野寺五典君     奥田 幹生君   倉成 正和君     武部  勤君   佐藤 静雄君     牧野 隆守君   萩山 教嚴君     中尾 栄一君   矢上 雅義君     中山 太郎君   枝野 幸男君     中川 正春君   冨沢 篤紘君     中野  清君   畠山健治郎君     前島 秀行君 同日         辞任         補欠選任   中川 正春君     田中  甲君 同日         辞任         補欠選任   田中  甲君     樽床 伸二君 三月十日  ものづくり基盤技術振興基本法案参議院提出参法第一二号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  中小企業経営革新支援法案内閣提出第二八号)  中小企業総合事業団法案内閣提出第二九号)  不正競争防止法の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)  訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号)     午前九時四分開議      ————◇—————
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業経営革新支援法案及び中小企業総合事業団法案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
  3. 奥田建

    奥田(建)委員 奥田建でございます。  余談から入りますけれども、きのうは本当に、お疲れのところ、本会議での御答弁ありがとうございました。私自身もこちらに来て半年たちまして、国会あるいは霞が関で勤務している方が本当にハードな毎日を過ごして、タフな方々だなということを実感しております。  二法ありますけれども、私の方は、中小企業経営革新支援法案中心質問させていただきたいと思います。  中小企業関連法案というものは、大体昭和三十五年から四十年くらいに現在の法の多くが制定されたと聞いております。近代化促進法昭和三十八年、新分野進出等円滑化法の方は昭和五十一年からということであります。そういった時代に、企業近代化あるいは企業組織化組合化といったものを中心の目的としてつくられた法ではあるかと思いますけれども、まずは中小企業庁長官の方に、今、廃止といいますか統括されるこの二法、現在までの二法の果たした役割といったもの、そしてまた現在の中小企業中心とした経済環境が、現在の法が制定されたときからどのように変わってきていると認識しているかといった点について、お答えいただきたいと思います。
  4. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  ただいま先生指摘のように、中小企業近代化促進法は、昭和三十八年に制定をされた、中小企業業種別振興策の核となる法体系だと認識をしております。  これも御承知のように、昭和三十八年当時の経済情勢と申しますと、高度経済成長を背景に、当時、大企業中小企業の間でいわゆる生産性格差等顕在化をいたしまして、その格差是正、二重構造是正を目指しまして、本法に基づきまして、業種別に、かつ製造業をある程度頭に置きながら、設備近代化スケールメリットの追求というものをやっていく法体系になってございます。  その後、この法律成果、効果という点で申し上げますと、制定後三十数年間たっておるわけでございますが、法律上、指定業種として百八十七業種指定をされておりまして、その中でも特に構造改善を進める必要性が高いものとして指定をされます特定業種につきましては、七十七業種指定をされ、当該構造改善計画に参加している中小企業の数は、例えば平成十年度におきましては約三十八万社という多数に及んでおるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げた中小企業近代化促進という観点からは、一定役割を果たしてきたものだという理解をいたしてきております。  第二の御質問にございました、中小企業をめぐる環境変化、その後どういうことがあったのかという点でございますが、経済グローバル化が当然進んできております。高度情報化の進展もございます。各般の技術レベルの上昇といった変化も見られまして、中小企業者にとりましては、こういった経営環境変化に即応していく必要を今感じているわけでございます。  そういった意味では、製造業中心生産規模拡大を目指した、生産設備ハード面整備中心とした近促法は、一定役割を果たしましたけれども、現下の中小企業の抱えております、直面しております経営課題については、大きな隔たりが生じてきているというのが我々の認識でございます。  他方、新分野進出等円滑化法でございます。これは先生も御指摘のように、昭和五十年代に事業転換法という形で制定をされました法律が、その後、時々の経済環境に応じまして発展改正をされ、あるいは新法化されたものでございます。  これにつきましても、平成五年に円高不況の中で制定されたわけですが、計画承認実績、実際にこの法律が使われておる件数で申しますと、十年末現在で二千九百八十九件に上ってございます。困難な状態にありまして新分野に進出する、あるいは海外に事業展開を求める、そういった中小企業者のためには一定役割を果たしてきたもの、そのように認識をさせていただいております。
  5. 奥田建

    奥田(建)委員 今のお答えと重複する部分があるかもしれませんけれども、新しい法に、拡大的な法に移行するという中で、やはり三十数年たった法の中には、当然、制度疲労を起こしている部分、あるいは条文としてはあるけれども全く利用されていない、そういった部分があるかと思います。あるいは、中小企業の持っている今日的課題自体が変わってきているというお話が今ございましたけれども、では、どういった課題が今の中小企業の共通的な課題といいますか、大きな課題であるかという点。あるいは、産業自体が、サービス業分野なんかは新しい業種がたくさんあるかと思いますけれども、今の法によってそういったものをカバーできないんじゃないかというような問題点もあるかと思います。  これまでの制度を変えるに当たって、今までの制度に対する反省点といったものをお聞かせいただければと思います。長官の御答弁をお願いします。
  6. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 反省点という御指摘でございますが、中小企業政策、もう五十年近くやってきておりますが、時々刻々の経済環境変化に応じて、その時点での中小企業者のいろいろな経営上の課題に即応していくという観点から、絶えず新しい政策展開をさせてきていただいております。  先ほども一部申し上げたわけでございますが、今回対象となっております例えば近代化促進法について申し上げますと、先ほど申し上げたような、製造業中心スケールメリットを追求する、ハード面生産設備等についての近代化に主眼が置かれた制度になっておりますし、また、そのアプローチといたしましては、全国レベルでの業種別底上げというか対応策という手法がとられてきているわけでございます。  先生も御承知のように、今日的な経営課題といたしましては、中小企業者にとりましても、経済ソフト化サービス化という環境もございます。そういった中で、個別の中小企業者意欲創意工夫に基づいて、ある意味では元気にぴちぴちと高付加価値化等を進めていただくという必要性が出てきておりますので、一つ手法の面で、業種ぐるみ対応するという点については、今回の経営革新支援促進法におきましては、個別企業でもいい、あるいは任意のグループの集まりでもいい、もちろん従来と同様に組合という形で共同化をする形で力を蓄えていくという手法もいいということで、そこら辺に、アプローチについて柔軟性を持たせるという点が、反省といいますか、改善点一つとして考えております。  また、助成策につきましても、従来のハード整備中心としたものに対しまして、今日的な課題でございます研究開発技術力の向上に必要なわけですが、あるいは人材の養成、あるいは需要開拓販路開拓、そういったソフト事業についても助成策を十分に手当てをするという点が、近促法関係で申し上げますと改善点理解をしております。  もう一点、リストラ法と申します中小企業新分野進出等円滑化法でございます。  これは、御承知のように、平成十二年に失効することになっておる時限法でございます。ところが、最近、景気低迷が大変長引いてきておりまして、このリストラ法対象資格要件でございます生産とか売り上げの落ち込みというのは、ある意味ではもう絞り込み要件としては機能しなくなってきている。前年度に比して落ち込む、これ以上落ち込む状況にはないような状況にございますから。  そういった点と、具体的に申し上げますと、対象業種製造業あるいはソフトウエア、情報処理業、四業種に限定をされております。今回の、中小企業者が新たな事業分野に進出されたり新たな展開を図る上では、サービス化等前提に考えますと、業種については全業種対象にしようではないかという点で、サービス経済化への対応という点も我々は改善点として考えたわけでございます。  こういった両法の経緯、成果あるいは制約というものを前提に、今回、両法を発展的に統合させていただきまして、中小企業経営革新支援法という形で、中小企業経営革新支援する総合的な法体系をつくらせていただこうということでございます。
  7. 奥田建

    奥田(建)委員 昨年、創造法の方もできまして、創業支援といった形の法もできてきたことなんですけれども、新しい分野としてSOHO設備投資を奨励するという観点からは違ったものかもしれませんけれども、小さなリスクで自分たちでできるといったものが脚光を浴びておりますし、少しの可能性を秘めた分野かなと思います。ただし、そういったSOHO分野ですと、簡単に創業できるかわりに簡単に店じまいもできる、あるいは多くの雇用を本当に生み出すのかといった点では少し疑問の部分があって、今の経済再生というものに転換するほどの力強さまではちょっと見通せないといったものはあるかと思います。  そういった創業支援も当然ですけれども中小企業、あるいは特に中規模、小規模の商店などにおいては、創業とは別にまた、引き継ぐといった継承部分でもやはり大きな問題を抱えながら事業をしておるということがあります。  創業のほかにも、継承というときには相続とかそういったものがついて回って、通産行政だけではない施策が必要になるかと思いますけれども継承の点。こういったものは今の中心市街地空洞化の中でもやはり一つの要因であり、親の代からの、こつこつと地道ではありますけれどもやってきた家業を引き継ぐときに、どうしても相続対策として手放さなきゃいけない、あるいはもっと採算のいい業種に対して貸し店舗として、自分たちは一歩引かなきゃいけないとかいったことなどがあるかと思います。そういった問題。  あるいは、これほどの倒産が出てきますと、いろいろな取引業者間でトラブルといったものが当然起きてきます。今は多分、事業をやっている方は、いろいろな業種で、倒産とか生産といった中での他社のトラブルに巻き込まれていない企業はないと言っていいくらい大きな問題があるかと思います。そういったトラブルといいますか、生産を速やかに行うための方策、創業以外にも、継承あるいは廃業といった部分に何らかの施策あるいは指導といったものが必要な時代ではないかなと思います。  こちらの方は、税やそういったものが絡みますと、ちょっと私の方も勉強不足ですので質問等はいたしませんけれども、やはり指導省庁としてもそういった御認識を持っていただきたいとお願いする次第でございます。  中小企業全体、大きな考え方としてですけれども大臣質問いたします。  こういった中小企業対策あるいは産業対策というものは、大きく分ければ、振興策、新しい分野、新しい創業に対しての政策といったものと、落ち込んでいる部分での保護政策、突然基盤を失うといったことのないようにといった保護政策があるかと思います。信用保証枠拡大などは一つ保護政策の中で大変成功している例かと思いますけれども振興策保護政策通産省言葉底上げ策とおっしゃるそうですけれども、そういった考え方について大まかに、これからはどういった方向に行くのだろうかといったことをお答えいただきたい。  私としては、やはり政府全体が、言葉は悪いかもしれませんけれども、財政の逼迫した状況でもございますし、また、産業保護政策というものがある意味では競争力を減退させたという大きな流れもあります。そういった中で、保護政策を否定したりはしませんけれども特定保護政策というものは、時限を切ってみたり、短期的に集中的に行うという考え方があってもいいのじゃないかなと思いますけれども大臣の方はどういったお考えでしょうか。
  8. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 日本の経済社会が、ここ五年から十年、市場原理を尊重しようという気持ちが出てきましたことと、また、企業自己責任ということをより重視しよう、そういうことになってきた、そういう考え方に移行しようとしているわけでございます。したがいまして、中小企業政策についても同様の考え方が求められているのではないかと私ども考えております。  現在、中小企業施策の体系のあり方として、多様で活力ある独立した中小企業の育成、発展を図るという観点から、まずは、中小企業の資金、技術情報円滑化を図る競争条件整備。第二には、創業などを行おうとする意欲のある中小企業者自助努力というものがございます、そういう自助努力をどう支援していくのかということでございます。第三点は、セーフティーネット整備でございます。この三点を推進することについて、私どもとしては検討しているところでございます。  この中で、振興策については、中小企業が多様な経営課題対応し、経営革新革新的技術利用等の新たな活動を行う自助努力を尊重しまして、それを支援する方向で行ってまいりたいと考えております。他方中小企業経営基盤が脆弱でございますから、急激な環境変化によって経営が困難となる場合があるため、緊急避難としての対策は必要でございまして、例えば、今般の貸し渋り対策のような対策を必要に応じて講ずるということが必要だ、そのように考えております。
  9. 奥田建

    奥田(建)委員 質問の内容が少し細かい方向になりますけれども、今回の支援法制定とともに、国会場自体が法あるいは予算を中心に審議するといったこともありまして、では、それ以外のサービス分野といいますか、中小企業庁自身が、中小企業に対して、利用者に対して、お金以外の面でのどういったサービスが提供できるのか。  企業自身が、日々業務改善あるいは業務革新といったものを経営努力としてやっておるわけでございます。例えばこういった書類一つでも、書類が厚いことが意義があるわけじゃなくて、二ページ、三ページの、さっと役員の方が目を通せるような書類にいかにするかといったプレゼンテーションの能力なんかを一生懸命磨いたりといったことも、企業の中では、お金には結びつかないけれども一つ業務効率といった面で一生懸命努力している範囲でございます。  今、中小企業庁の方からも、いろいろな融資制度の御案内なんかが、各地方の協力団体といいますか、そういったところを通して企業に伝わるわけでございますけれども、どうしても個別ごと助成策の御案内といった形になったりいたします。  中小企業庁だけでも多くの施策があり、あるいは通産省の中でもいろいろな施策があります。あるいは、企業を相手にしたものでも、例えば食品関係になれば、農林水産の方からも同じような企業支援というものがあるかと思います。あるいは医療福祉分野になれば厚生省だといった、どちらかというと縦割りの弊害といったものがマスコミなどにも報じられますけれども、利用する企業の方の視点からすると、どうしてもやはり、そういった情報というものはできるだけまとまって、自分たち自分たち業務に対する、あるいは企業の特質に対する一番適した支援といったものが受けられるのが理想かと思います。  そういった書類上での支援策の御案内、あるいは窓口窓口にしましても、融資の申請一つするにしましても、都道府県の窓口へ行き、一度申請書類等の方法についての説明を受ける。そこで一応形にして、また東京の方に来て、東京窓口へもう一回同じような作業をする。また、その書類も私どもから見れば膨大と言わざるを得ない量になるかと思います。  そういった、お金の面とは違う、サービスと言うのはおかしいかもしれませんけれどもサービス提供といった考え方に対して、書類業務あるいは窓口業務、さらには情報提供といった点で、大くくりと申しますか、利用する側からの視点での施策というものができないか。できれば、中小企業庁というだけの枠にとらわれないで、通産省を通して政府自体に提案してそういったものができないかと思うのですけれども、まずは第一歩目といえば自分たち中小企業庁の中だけでもそういったことができないか。  あるいは今もしかしたらそういうサービスがあるのかもしれませんので、中小企業庁長官の方に、そういったサービスについての利用者側から見た視点での施策というものができないか、お尋ねしたいと思います。
  10. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 ただいま先生指摘の点は、中小企業施策を預かる立場からしますと、昔からある大変クラシカルな、かつ最も重要な問題であると我々は認識をしております。  中小企業施策は、数え方によっては何千もあるというほどに多岐多様をきわめておるわけですが、それぞれの制度自身は、その時点その時点、あるいはその制度の持った意味からして、中小企業者の方にぜひとも御活用をいただいて、その存在を意義あらしめる必要があると考えております。  御指摘の点では、一つにはその施策情報広報PRという点もございますし、二つ目には、中小企業の方がそれを使うに当たってソフトの面でのどういった支援をしているのかという点もございますし、また、施策メニューそのものをできるだけわかりやすく簡素化、大ぐくり化するという点の御指摘もあったように思います。あと、手続面申請書類簡素化という点もございます。  我々、やれることから一歩一歩やっていこうということでいろいろ手当てをしてございますが、一つは、情報提供関係で申し上げますと、中小企業関係団体政府関係金融機関あるいは地方自治体の商工担当部局等々を通じまして、新しい施策あるいは既存施策の全体像については広報をさせていただいております。  ただ、この広報自身手法時代に合ったものかどうかという点については日々反省をいたしているところでございまして、一例で申し上げますと、一つにはもうパソコンが大分普及してきております。したがいまして、中小企業施策につきましても近年ホームページを開きまして、新しい施策あるいは既存の各種の施策、例えば金融関係組織化関係指導関係、そういったものにつきましても、そういったパソコンになじんでおられる方については非常にわかりやすくアクセスができるように対応をしてございます。  また、近年、二〇〇〇年問題というのが大変重要な問題になってきておりますが、これにつきましても、中小企業事業団中心広報PRをしております。局、中小企業庁本庁でもいろいろな相談窓口をつくらせていただいておりますが、非常に卑近な例で申し上げますと、例えばフリーダイヤル化をして、中小企業の方がいろいろな問い合わせをする場合、全国各地から事業団に電話一本、これはただでかけていろいろ情報がとれるとか、そういったきめ細やかな改善策もとってきております。  施策そのものについての簡素化、大ぐくり化でございますが、今回の経営革新支援法制定に前後いたしまして、中小企業事業団のやっています高度化事業につきまして、これはもう大変なメニューがあるわけですが、そのメニューによって、実際の融資比率が六五であったり八〇%であったり、金利が二・七であったり、今回二・一まで下げますが、あるいは無利子であったり、そういったメニューをできるだけわかりやすく、大ぐくり化をもう既に実施をしております。  これは一例、高度化で申し上げましたが、その他の例えば小規模事業指導費補助金、これは商工会や商工会議所事業費等々についての補助金でありますが、これにつきましてもメニューを大幅に削減化をいたしまして、大ぐくり化をしております。今までやってきたことに加えまして、今後ともその点については鋭意前進をさせていただきたいと思っております。  それから、実際のソフトの面でのいろいろな支援といいますか、かゆいところに手の届くような指導等につきましては、例えばいろいろな分野ごとに違うんですが、小売商業の関係ですと、各県にリテール・サポート・センター的なものを置いていただくとか、情報促進センターを置いていただくとか、各自治体の中にもいろいろなそういう制度をつくっていただいております。また、中小企業事業団といたしましては、先生御高承のように、各種の研修制度中小企業者向けに整備をいたしております。全国九ブロック、九カ所に展開をしておりますので、こういった中できめ細やかな対応を図っていけたらと考えております。  いずれにしましても、御指摘の点につきましては、大変重要でかつ継続的に改善をしていかなきゃならぬ、そういった分野であると認識をしております。
  11. 奥田建

    奥田(建)委員 次に、同じような類似施策の大くくりということについて大臣にお伺いしたいんですけれども、大変乱暴な話にはなるかもしれませんけれどもハード面事業といいますか、いろいろな、商業あるいは工業といった団地造成などにおいて、やはり実施機関が幾つかある。中小企業事業団があり、あるいは各省庁から共同施策といいますか、そういった形での地域振興整備公団あるいは環境事業団、農政の方にもそういった団体はあるかと思います。そういった団体も、地域振興ということでいえばやはり、町に住んでいる人たちや企業の側から見れば同じような施策として見えるわけでございます。  各省庁の目的というものはありますけれども、またあるいは閣僚としての言葉では答弁できないことかもしれませんけれども、そういった大きな金額を投じるプロジェクトなんかに関しても、やはり政府としてはそういったくくり方が可能なのではないか。あるいは、そういったことを将来的にはしていくということが、政府の、小さな政府というか業務の重複化を避ける方向ではないかと思うのですけれども大臣としてでも私的な見解としてでも結構ですので、お答えいただけますでしょうか。
  12. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生おっしゃるように、多過ぎてわかりづらいということもございますし、またここ数年間は行政改革ということで、政府としては、いろいろな特殊法人等の統合とかそういうことを努力してまいりました。  中小企業政策につきましては、きめ細かい支援策環境変化に応じてやっていく必要がございます。その際、制度の統合、細分化した支援メニューの大ぐくり化、手続の簡素化等を図りまして、施策を利用する方々にわかりやすいような支援策にする。あっちの窓口こっちの窓口ということでは多分中小企業としては大変使い勝手が悪いんだろうということは、私どもわかっているつもりでございます。  今般の中小企業経営革新支援法案につきましても、中小企業近代化促進法中小企業新分野進出等円滑化法を統合しまして、中小企業経営革新を総合的に支援する支援法としたわけでございます。また、現在、中小企業を取り巻く経済環境変化を踏まえた中小企業政策全般の見直しを行っているところでございますが、この中においても、利用者による施策の評価も踏まえつつ、わかりやすい施策づくりを進めていきたい、そのように考えております。
  13. 奥田建

    奥田(建)委員 昨日の本会議の方でも、中小企業関連の法の根本自体が老朽化しているんじゃないかという御質問中野先生の方からございましたけれども、私の方からも、こうやって中小企業対策中心に据えられる法が新しくなるといった中で、大もとであります基本法に対して根本から見直す動きというものは現在どのような状況にあるのかといったことを、少し中小企業庁長官の方にお尋ねしたいと思います。
  14. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 中小企業基本法を中心としました中小企業基本施策体系につきまして、現在各種の見直しといいますか議論を進めさせていただいているところでございます。  大臣答弁にも今まで何度か出ておりますが、中小企業というものの位置づけというのが、昭和三十八年の基本法制定時とで、現下における役割あるいは位置づけの明確化というのが必要ではなかろうかということで、今、昨年の七月からいろいろ各種の勉強を進めているところでございます。  私どもの当座の理解といたしましては、二十一世紀に向けまして、将来の発展基盤整備のためには経済構造改革を進めておるわけでございますが、中小企業におきましても、経済のダイナミズムの源泉であるという位置づけ、または雇用の維持拡大の担い手としての位置づけ、そのウエートが非常に重要性が高まってきているという基本的な認識がございます。  消費者ニーズがいろいろ変化をしてきておりますし、あるいは大企業、親企業、下請企業、あるいは横の企業関係、こういったものの変化等々、中小企業を取り巻く環境変化というのがたくさん大きな変化になってきております。こういった中で、意欲のある中小企業者が多様な経営革新をする取り組み、そういったものに支援を行っていくことが必要ではなかろうかということで、先ほども申し上げました、多様で活力ある独立した中小企業の育成、発展を図る、そういった施策体系が必要であろうという考えになっております。  こういった観点で、今後議論を深めてまいりまして、いずれある程度の成案が得られた段階で、中小企業政策審議会等のしかるべき場でさらなる議論を進めていきたい、そういうスケジュールで考えております。
  15. 奥田建

    奥田(建)委員 今、常にそういった見直しというか検討というものはされておるというお答えでございました。また、そのうちに審議会という御答弁がありましたけれども、審議会に上がる前のたたき台の段階だということであれば、近々にそういった議案が上がってくるというタイムスケジュール的なものまでは現在のところはないということでしょうか。中小企業庁長官にお願いします。
  16. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先ほど申し上げましたように、私の私的研究会ということで勉強を進めさせていただいていております。ただ、先生承知のように、中小企業施策体系というのは大変広範にわたっておりまして、何十年の歴史を経たそういった施策体系になっておりますので、これは相当な勉強が必要であろうということで、昨年の夏から鋭意検討を進めてきているところでございます。  この中身につきまして、でき得れば成案をこの春のうちにも得て、その後審議会等で御議論をいただいて、それでコンセンサスがつくり上げられれば、二十一世紀というものを踏まえた節目の段階、省庁再編成ということも節目の一つとしてございます、できるだけそういった段階でまとめ上げられればなという希望なり期待は持っておりますが、今後の作業スケジュールについては、まだ確たるものは確立しておりません。
  17. 奥田建

    奥田(建)委員 ちょっと御確認の意味での質問になりますけれども大臣の方も今の中小企業庁長官の御答弁でよろしいでしょうか。すぐに大臣の方へ上げろといったことは、ことしとかそういうことではないですか。
  18. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 中小企業庁長官答弁のとおりで結構でございます。
  19. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、経営革新支援法の中身自身の問題についてです。  この中には、今までと違った部分として、経営革新支援するといったこと、あるいは経営基盤の強化を支援するといった項目が大きな項目として入っております。しかしながら、これから省令で定めていく指針あるいは業種指定といったものが、この法が通ったとすれば当然次の業務としてあるのでございましょうけれども、一体どういったことを経営革新として見るのか。あるいは、経営基盤の強化、業種指定を行うと書いてはありますけれども、そういったものは政令指定だ、省令指定だということで、法ができる前から心配する必要はないのかもしれませんけれども、実際にだれに対して適用されるのかといったことはまだ空白のままでございます。  こういったことで、例えば経営基盤の強化計画の業種指定というものはどういった業種が今協議の中で検討されているのか、あるいは経営革新といったものがどういった考え方のもとに定義されるのかといったことを、途中段階でも検討段階のことでお話しいただければと思います。長官かあるいは政府委員の方に御答弁を求めます。
  20. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 中小企業経営革新支援法の体系でございますが、この法案国会で御審議をいただいて成立をさせていただきますと、経営革新の基本指針というのを通産大臣が定めることになります。  今先生質問の、経営革新は何を基準にするのか、あるいは経営基盤強化計画等々につきましても今後こういった指針の中身を詰めていく段階で明らかになっていくわけですが、当然のことながら現時点で我々として考えておりますのは、まず第一に経営革新の基準でございますが、法律にも書いてございますけれども、新商品の開発や生産、商品の新たな生産の方式の導入等々の新たな事業活動でありまして、経営の相当程度の向上が見込まれるものを経営革新と定義をして支援対象にしようと考えております。  この段階で幾つか議論が呼ばれると思いますのは、例えば中小企業者にとって本当に本邦初演のような新商品、新技術でなければこの経営革新計画というのはつくれないのかといういろいろな議論も既にございます。こういった事業の新規性につきましては、できるだけ幅の広い中小企業者経営革新努力というのを拾いたい、対象にしたいということで、既に他社において導入されている技術につきましても、同業他社に相当普及されている、もう当たり前の技術というもの以外であれば、この経営革新個別企業あるいはグループごとの今後の努力なりその目標の設定によっては対象にできるようにしようというようなことも考えております。  いずれにしましても、この新規性の基準等については、今後きちっとこの基本方針の中で定めるという形にしたいと思っております。  もう一方の、経営基盤強化計画でございます。  これは政令で業種指定をいたしますが、とりあえず今の段階で我々として申し上げられますのは、特定業種の要件といたしましては、当然のことながら中小企業性の高い業種であること、これが第一点でございます。第二点としては、競争条件あるいは貿易構造、あるいは原材料の供給取得事情の激変等のさまざまな外的な経済環境の影響を受けている、その結果業況が悪化している、そういった業種について業種指定をしたいと思っておりますし、以上の三点に合致する業種であれば、幅広く業種指定を行うという方向で考えてございます。  この点につきましては、法律上も中小企業政策審議会の意見を聞いて政令指定をするということになっておりますので、その審議会の場等で、個別の業種の事情というのは十分に踏まえて指定についての議論がされるということを期待しております。
  21. 奥田建

    奥田(建)委員 もうそろそろ時間ですので、一言言って終わりとさせていただきたいと思います。  経営革新が何かといった定義は大変難しい部分もあるかと思いますけれども長官のおっしゃるように、新製品開発、それが中小企業の立場では、確かに試作品、サンプル製品をつくるまでというのは大変なリスクとともに負担のあるところかと思います。お客様のニーズを把握しているんだけれども製造業でいいますと金型の作製からそういった製品の第一号をつくるまでというのは、やはり中小企業にとっては大変重い負担の分野でもございます。そういったところを、製品によりますでしょうけれども支援していただけるということであれば、確かに有意義な法律となるかと思う次第でございます。  ただ、そういった製品が未来性のあるものあるいは市場のニーズのあるものだといった審査をするということは、地方においてもあるいは中央においても、現状といったものを知っておらなければ正しい審査のしようがないといったことで、産業全般についての大変広範な知識を必要とする業務かとも思います。そういった点で、ぜひともそういった法が正しく適用されますように、中小企業庁のまた審査業務においても努力を願いたいとお願いする次第でございます。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  22. 古賀正浩

    古賀委員長 大畠章宏君。
  23. 大畠章宏

    ○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  私は、中小企業総合事業団法案に的を絞って御質問をさせていただきたいと思います。  私も、民主党の特殊法人の改革に関する基本的な考え方を最初に申し上げさせていただきます。今、行政改革というものがいろいろ全体的に行われているわけでありますが、一つとして、事業の廃止の場合、これが十分になされているのかという視点。あるいは二番目には、統合の場合、その効果が十分に上がる仕組みになっているのかという視点。三点目には、改革によって人員、予算がどの程度減少するのかという視点。四点目には、改革という名に隠れて権限、機能、人員等の拡大になる内容を含んでいないか。こういう四点の視点中心として、審議をといいますか、精査するようにということが私ども政策調査会の方からの一つの方針でございます。  こんなことを踏まえながら、以下、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、今回の中小企業総合事業団法ということでありますが、現在の中小企業の置かれている立場あるいは環境については通産大臣もよくよく御存じのとおりだと思いますが、昨年から大変資金的な経営難にあえぎながら、そしてまた日本の経済の大変な不況の中で、企業の総数の九九%を占める中小企業が大変な状況にあることは大臣も御存じのとおりであります。  昨年、商工委員会におきまして、中小企業金融安定化特別保証制度というものを創設いたしました。この二十兆円の保証枠というのが大変効果を上げているときょうの朝のNHKの報道にも出ておりましたけれども中小企業経営者の中で、いわゆる貸し渋りですとか、資金繰りが非常に、融資してほしいのだけれどもなかなか貸してもらえないというような、そういう件数が非常に減ってきたという報道もございました。  現に、政府系金融機関における相談状況という資料を見せていただきますと、平成十年の一月には、相談件数が二千六百二十二件、前年比で一七三%という状況で、去年の十月、十一月までは二千件を突破しておりました、それが十二月になりましてから千九百五十五件、前年比六七%、そして一月には千四百六十件ということで、前年比で五〇%ぐらいまで減ってきているというのが実態でありますので、この中小企業金融安定化特別保証制度というのが大変功を奏していると私自身も思います。しかし、まだまだ不十分な状況も続いておりますので、中小企業総合事業団に対する期待というものも大変多いものと考えております。  そこで、この中小企業総合事業団法案に対する背景といいますものを改めてお伺いしたいのですが、大臣の当初の事業団法の趣旨説明の内容をお伺いしますと、「本案は、特殊法人等の整理合理化を推進し、あわせて中小企業施策の総合的かつ効率的な実施を図るため、中小企業信用保険公庫及び中小企業事業団を解散して中小企業総合事業団(以下「事業団」という。)を設立するとともに、繊維産業構造改善事業協会を解散して必要な業務事業団に移管しようとするものであり、その主な内容は次のとおり」というような形で述べておられます。  中小企業の今あえいでいる中で、一方では行政改革も進めていかなければならないという状況が重なっているわけでありますが、改めて通産大臣から、この中小企業総合事業団法の提案について、背景をお伺いしたいと思います。
  24. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この法案は、新事業団融資、信用保険、指導、研修、共済等の事業を一体的に行わせることによりまして、特殊法人等の整理合理化を推進し、あわせて、これまで各法人が持っていた知見の相互活用を図ることによりまして、中小企業施策の総合的かつ効率的な実施を図る、これが背景でございます。また、目的でございます。  また、今回の統合を機に、高度化融資事業の抜本的な見直しを行うとともに、中小企業、また中小ベンチャー企業による新事業開拓の支援を強化してまいりたい、そのように考えております。
  25. 大畠章宏

    ○大畠委員 そういう背景だと思います。  次に、統合に当たって、業務と事務の改革が十分行われるのか。先ほど、私どもの特殊法人の改革に関する基本的な考え方を、政調の方からの方針が出されておりますが、統合するというのでありますけれどもそれによってどんな業務と事務の改革が行われるのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  26. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えいたします。  統合に当たりまして、業務、事務の改革の内容いかんということだと思いますが、今回の統合に際しましては、管理部門、特殊法人ですと総務部あるいは調査部、経理部といったものもございますが、そういったものを統合いたす一方、業務部門につきましては、新事業創出関係業務の需要増大に応じてそういった充実も図りながら、全法人を集めまして二十四部から二十二部へ二部縮減、削減をするなど、内部組織につきまして必要な見直しを行いまして、スリム化に最大限の努力をいたしたところでございます。  また、業務の点につきましては、高度化融資事業の事業種類について先ほども御説明申し上げましたが、大ぐくり化とか要件の緩和、改善という抜本的な改革もさせていただいておりますし、繊維関係業務についての見直しとか、あるいは中小企業、中小ベンチャー事業の振興等による新事業開拓の支援強化につきましても、そういった対策を講じておる次第でございます。
  27. 大畠章宏

    ○大畠委員 今、御答弁を賜りましたが、単にこの三つの事業団というものを統合するだけではなくて、先ほど奥田議員からも質問がございましたが、中小企業経営革新支援法というもので裏打ちをしながらやっていくという、まあ言ってみれば両輪のような形だと思いますが、ぜひ、この統合というものは既存の組織体からすれば大変な痛みが伴うことでもありますので、単に見かけだけ統合したということではなくて、その中で働いている方々にとっても理解されるような、十分納得できるような形で業務と事務の改革が行われるように、これは要望をしておきたいと思います。  そういう問題についても後ほど改めてお伺いをしたいと思いますが、さらに、統合の効果が上がるようにどんな工夫をしているのか。単に、特殊法人の数を減らせ減らせと言われて、では三つを一つにしましょうという形だけではいけないと思うのですね。統合することによって、どういう工夫をして効率が上がるように努力をされてきたのか。この件について改めてお伺いしたいと思います。
  28. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えいたします。  統合自身は、本法案を成立させていただいた後に、七月一日発足ということで考えているわけですが、現時点でできることについては最大限のことをやる必要があるだろうということでございまして、統合準備に当たりましては、関係法人、この三法人の間で意見交換を既にさせていただくとか、あるいは、相互の業務あるいは人事体制等についての情報共有に努めさせていただいております。  先生も御指摘のように、信用保険公庫は昭和三十三年にできた大変古い法人でございますし、中小企業事業団につきましても、そのもとをたどりますと、中小企業振興事業団というのは昭和四十二年にできた組織でございます。例として二法人について申し上げましたが、それぞれに独自の業務分野を持って、それぞれに役職員の方がこれまで営々と働いてこられているという状況でございますので、事業団の設立後につきましては、こういった歴史のある両法人、あるいは人を含めましたその体制の融和というのが大変重要になってくると思います。  したがいまして、今後の方針ではございますが、人事交流、これをぜひ促進させていただくとか、あるいは、組織体制を整備させていただくということによりまして、業務の総合的かつ効率的な実施を図れるように、統合の成果が上がるように、そういった指導監督は今後とも続けてまいりたいと思います。
  29. 大畠章宏

    ○大畠委員 今、人事交流というお話がありましたが、今回の三法人というものは公庫と事業団と協会ということでありますが、言ってみれば、それぞれ分野が違うところが一つの新事業団になるわけです。確かにそういう人事交流等も大変重要であろうと思いますが、七月一日という話が今ございましたけれども、ぜひそれまでの間、四月、五月、六月、三カ月あるわけですから、さらに十分な準備態勢をしいていただきますようお願いを申し上げたいと思います。  それから次に、予算面についてはどんな効果があらわれるのか。この三事業団を統合する形によって、どんな効果があるのか。これも民主党としてはきちっと把握しておくことが必要だろうという一つでありますが、この件についてもお伺いしたいと思います。
  30. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 中小企業総合事業団につきましては、信用保険公庫、中小企業事業団を統合いたしますし、また、繊維産業構造改善事業協会からの業務移管をいたします。  この際、役員につきましては、総数二十一人を十三人まで八人削減するというように、役職員給与が削減されるということも一つございますし、あるいは、繊維関係業務については見直しをした上で中小企業事業団で引き取るということでございますので、繊維関係事業費の削減がされる見込みがございます。特に役員給与の点で具体的に申し上げますと、三法人で役員数を八名削減することによりまして、約一億三千万円の削減を見込んでおります。  さらに、経費削減に加えまして、内部組織の合理化を図ることにいたしております。これまで三機関が保有をしております知識とか情報の総合活用によりまして、中小企業施策の総合的かつ効率的な推進に努めてまいりたいと考えております。
  31. 大畠章宏

    ○大畠委員 役員の方を二十一人から十三人に減らすということでございますが、そういうことも一つでありましょう。今、日本の国の財政が非常に逼迫もしておりますので、できるだけむだのないようにさらに精査しておくことも一方では国民から求められておりますので、そういう観点からの準備態勢も整えるように要望をしたいと思います。  それから、逆の話でありますが、ともすると統合という名前のもとに権限が強化されたりといいますか、権限が改めて拡大してしまったり、あるいは、必要な権限は必要な権限として手当てをしなければなりませんが、組織の肥大化を招いたり、従来、バブル時代から始まって、ずっと各省庁の組織がどんどん広がってしまったという経緯もございますけれども、こういうことはないのだろうかという懸念も一方にございます。この件についてどういう考えを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  32. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 権限の拡大とか組織の肥大化につながらないようにせよという御質問だと思いますが、今回の統合に際しましては、先ほど来申し上げましたが、組織につきましては二十四部から二十二部ということで、二部削減をさせていただきます。役職員数についても、役員については約六割まで減らして、八人減というのを考えております。予算及び業務につきましても必要な見直しを行いまして、スリム化に努力をいたしているところでございます。したがって、御指摘のような権限の拡大とか組織の肥大化にはとりあえずはつながっていないと自負をいたしております。  ただ、今後とも中小企業対策、大変重要な性格を持っておりますので、中小企業者に対するサービスの低下を来さないように十分に配意する必要もございますが、同時に、業務や組織につきましては、そういった行政ニーズの拡大にもかかわらず、できるだけ効率的な組織形態にするように不断の見直しを図っていきたい、そういう方針で臨みたいと思います。
  33. 大畠章宏

    ○大畠委員 今御答弁もございましたが、この統合に当たってサービスの低下を来さないようにということは、やはり国民の求めている大きな視点だと思いますので、そういう点に重点を置きながら今後運営をしていただきたいということも申し上げておきたいと思います。  次に、この三つの事業団で働いている方々もおられますので、そういう立場から何点か御質問をさせていただきたいと思うのです。  きょう審議されておりますこの法律案が新聞でも報道されていますし、そういう意味では、当該する事業団で働いている方にとっては、これからどうなっちゃうんだろうかと非常に不安感も増しているのではないかと感じております。  いずれにしても、事業団というもの、法律で幾つか、これとこれを一緒にしようとかいう話もありますが、私も企業で働いた人間でありますが、企業は人なり、人の心がすさんでしまったのではいい仕事はできないわけであります。そういう意味では、当該する事業団等の中で働く方々とも十分な情報交換というものをしながらいかないと、器だけが一つになっても、心が一つにならないとかあるいは不安感を持っているということでは、新しい事業団の中でいい仕事ができないんだと思うのですね。  そこで、これまでどういう情報交換をしてきたのか、そういうことについて、この法律案をここまで策定するに当たっての過程の中での話、あるいは現状についてお伺いしたいと思います。
  34. 殿岡茂樹

    ○殿岡政府委員 今御指摘の点でございますけれども法案作成などの統合準備に当たりまして、関係法人、三つの法人との間で十分な意見交換を行ってまいりましたし、この過程におきまして、それぞれの法人の中において職員の方々に対しまして情報の共有を図るような情報提供を行ってきているところでございます。  先生指摘のように職員の不安があってはうまい枠組み内での業務というのも難しいわけでございますから、職員の方々の不安がないように、引き続き必要な情報提供というものに努めていくよう措置していきたいというふうに思っております。
  35. 大畠章宏

    ○大畠委員 意見交換あるいは情報交換というのは難しいのです。片一方の方では十分やっていると思っても、受け手側の方では十分じゃないと認識する場合もあるんですね。ですから、これはどこまでやったらいいかというのはなかなか難しい話でありますが、事業団でありますから中小企業庁が直接に話はできないかもしれませんけれども、やはりできるだけ事業団の方によく話をしながら、こういう形になっているということで。  逆に言いますと、そこで働いている方々と一緒に新しい事業団をつくっていくぐらいの気持ちでやらないと、新しい事業団というものが生まれた、法律でできたけれども、心はまだばらばらだったということになっては困りますから、今後とも、当該する事業団に対して中小企業庁の方から、そういう意識のずれとか考え方のずれとかがないように、十分そういう意見交換をしながら進めるようにということを改めて指示してほしいと思うのですが、その件についても再度答弁を求めたいと思います。
  36. 殿岡茂樹

    ○殿岡政府委員 先生指摘のように、この事業団が新しく統合されまして円滑に業務を推進していくためには、それぞれこれまでどんなことをやってきたのかということを含めまして、情報の共有というのは極めて重要であると考えております。そうした観点から、これまでも、それぞれの機関におきまして設立準備室というのを設けまして、情報の交換に努めてきております。そうした情報について、職員にそれぞれの事情を周知するようなこともしてきていると聞いております。  今後とも、新事業団の円滑な業務の遂行ということに極めて重要でございますので、そういう方向での努力というのを、私どもとしましても指導してまいりたいというふうに考えております。
  37. 大畠章宏

    ○大畠委員 ぜひそこら辺、発想はいいんだけれども実行するときに混乱するというような話にならないように、十分気をつけてやっていただきたいと思います。  それから、今、これまでのことと現状についてお伺いしましたが、いずれにしても七月一日から新事業団に移行する。従来の三つの事業団については廃止するといいますか解散するということになっておりますが、その間どういうステップで、どういう形で七月一日を迎えるのかという、その流れがなかなか見えない、あるいはどういうふうになるのか伝わってこない。もちろん、法律案が成立していないんだからという理由があるでしょうけれども。  きょうこの商工委員会質疑をしておるわけでありますけれども、ここで成立した場合、どういう形で七月一日までの間の行動をしていくのか。そこら辺について、大まかで結構ですから、もしも今計画等がありましたらお答えいただきたいと思います。
  38. 殿岡茂樹

    ○殿岡政府委員 この事業団法が公布されますと、その後、設立準備委員会というものが開催されまして、設立準備の作業に移ります。これと同時に、新事業団法施行に必要な関係政省令の制定という作業が加わってまいります。この過程におきまして、先生先ほど御指摘のように、どんな格好で新事業団が具体化するのかという具体化の作業に入るわけでございますので、この点につきまして、職員の方々にも適切な情報提供に努めてまいるよう、そういうふうに考えて作業を進めるつもりでございます。
  39. 大畠章宏

    ○大畠委員 今お話がありましたが、ぜひ、この法律案の成立後速やかに、そういう形で職員の方々とも十分な意見交換をしながら、七月一日からの実行に当たっての計画を煮詰めていくということをお願いしたいと思います。  その次に、ちょっと大臣にお伺いしたいと思いますが、実は、特殊法人の整理合理化方針を政府として決定するという過程の中で、与党協議ということでありますが、政府関係金融機関等の整理合理化を行うに際してはいささかも雇用不安を招来することのないよう雇用問題に万全を期するというように、与党協議の中でも確認をしているという話でございます。  これは与謝野大臣、今ずっとお話をしてきましたけれども、いずれにしても、ある企業体あるいはある事業団の中で、人数を何人にするかということも重要かもしれませんけれども、その人たちがどのくらいやる気になるか。不安を感じたり、あるいは将来どうなってしまうのかなというような感じで仕事をするということじゃなくて、三つの事業団一つになるというときに、いかにその人たちが不安を感ずることがないような形にしていくかというのが重要だと思うのです。  そこで、働く方々、職員の方々の雇用条件についてどういうふうに考えているかということをお伺いしたいと思いますが、とにかく、統合に伴う職員の処遇について、労働条件なども含めて不利益を生ずることのないよう、つまり現在と将来に不安を感ずることのないよう十分配慮しながら対処していくことが肝要だと私は考えておるのですが、大臣としてのこの面についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  40. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 今回の統合に伴いましての職員の処遇面の御質問だと思いますが、当然のこととして、職員の処遇面で不利益が生じることのないよう十分な配慮をしてまいりたいと考えております。また、統合準備を進めるに当たりまして、関係法人との間で十分な意見交換を行いまして、職員の方を含め円滑な情報共有に努めてきております。新事業団法の設立過程において職員の方が雇用面で不安に思われることがないよう、引き続き情報提供に努めたい、そのように考えております。
  41. 大畠章宏

    ○大畠委員 今大臣からも御答弁いただきましたが、ぜひそういうふうな観点から今後とも対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ大臣にお伺いしますが、先ほど担当局の方からも御答弁がありましたが、今回の統合で国民あるいは利用者へのサービスの低下があってはならない。これは、いわゆる事業団というものの性格もあるでしょうし、国あるいは行政体というものがまさに国民に対するサービス機関であるということ、さらには、先ほど冒頭に申し上げましたが、中小企業の現在の環境というのが非常に悪い中でございます。そういう中でこの三つの事業団の統合ということでありますが、いささかもサービスの低下があってはならないと感ずるところでございます。  この事業運営に当たって、いわゆるサービスの向上に向けて主体性を持った、機動的あるいは弾力的あるいはまた効率的な事業展開ができるようにさらに取り組みを強化すべきだと思いますが、この件について与謝野通産大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  42. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 御指摘のように、現下の中小企業をめぐる厳しい経済環境にかんがみまして、統合に伴いサービスの低下がないよう十分配慮しつつ、むしろサービスの改善に向けて、主体性を持った、そして機動的、弾力的な事業展開がなされるよう指導監督に努めてまいりたいと考えておりますし、また、事業展開には予算が必要でございますから、その予算確保のためにも努力をしてまいりたいと考えております。
  43. 大畠章宏

    ○大畠委員 今二点大臣にお伺いしましたが、そういう通産省としての基本的な視点に立って今後とも運営していただきたいということも申し上げておきたいと思います。  その次に、繊維関係、いわゆる繊維産業構造改善事業協会というものが平成十一年六月末をもって廃止されるわけでありますが、中小企業総合事業団法に伴ってこれが中小企業総合事業団に、業務が整理されながら移管されるところでございます。  この点について何点かお伺いしたいと思いますが、全般的にそうかもしれませんけれども事業団の仕事のうち、繊維産業関連だけではないんですけれども、民間に移管してもいいものもあるんじゃないかという指摘が党内にございます。そういう観点については今どのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  44. 殿岡茂樹

    ○殿岡政府委員 事業団事業のうち民間に任せてもよいものがあるのではないかという御指摘でございますけれども中小企業事業団、現在大きく分けますと、高度化融資事業あるいは指導研修事業、小規模共済事業、それから中小企業倒産防止共済事業等々を実施しているわけでございます。  このうち高度化融資事業につきましては、政策支援必要性の高い中小企業の団地づくりといった事業に対し低利あるいは無利子での融資を行っておりまして、民間ではなかなか実施は難しいのではないかと考えておりますし、また、指導研修事業につきましても、中小企業の実情に熟知した方々によって良質またできるだけ安価でのサービスを提供するということから、民間での事業にはなじみづらいのではないかと考えております。  また、小規模共済事業でございますけれども、これは小規模企業経営者の退職後の生活安定のための支援ということでございまして、実は運営事務を国庫補助金によって行うことによりまして現在の水準を維持しているというような事情にもございます。  また、倒産防止共済につきましては、取引先が倒産した場合、加入者に対しまして掛金の十倍まで無担保無保証で貸し出しを行うということでございまして、非常にリスクが高いというような事情がございます。  したがいまして、こういった事業につきまして民間によって運営を図るということには非常に難しい事情があるということを、ぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。  いずれにしましても、新事業団のもとで、こうしたなかなか民間で提供できないサービスというのを、この事業団が鋭意事業の推進に当たっていくということを私どもとしては期待している次第でございます。
  45. 大畠章宏

    ○大畠委員 ぜひ、常に事業団独特の、事業団ならではの仕事を行うという視点から、先ほど大臣からもお話ありましたが、従来の枠にとらわれずに、一つにはサービスを受ける中小企業あるいは国民のニーズに応じて積極的に事業展開をしていただきたいということと、それからもう一つは、時代が変わってきますから、ある面においては、こういうふうなものは民間に委託してもいいのかなと思うものは整理していく、業務自体をずっと見直していくという視点も国民からも求められていますので、そういうことも含めて今後とも運営に当たってはお願いしたいと思います。  それからもう一つ、繊維の産地活性基金構想というものが一部出されておるわけですが、これはどんな性格なのか、あるいはどのくらいの規模を考えているのか。そして、今後運営というものがどういうふうにされるんだろうかという意見もございますので、この件について、現在考えられる範囲をお答えいただきたいと思います。
  46. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、繊維の産地は今大変厳しい状況にございまして、後継者不足という問題もございますけれども、特に最近、長引いた不況で大変厳しくなってきております。特に、繊維産地は産地の中である程度分業体制ができておりまして、全体としてはうまくいっていたような状況があったわけでございますが、これが崩壊しつつあるという部分もございます。  他方、このような状況の中で意欲を持って、新しい製品とか、自分たちでもっともっと市場の方に近づいて頑張っていこうという産地もございます。こういった意味で、意欲のある産地をさらに活性化していこうということから、都道府県と協力しまして、国がこのような格好でそういった産地を応援しようという趣旨でございます。  具体的には、都道府県の規模によりまして、都道府県の関係の公益法人に都道府県が半分、国が半分という格好で出資をして基金を造成しまして、それを利用しまして、先ほど言いましたような産地の構造改善事業というものを助成したいと思っております。  具体的な事業としましては、単に産地の中ばかりではなくて特に産地間の連携でありますとか、あるいは産地が直接市場と結びつくといった関係、そういったものでありますとか、場合によっては、産地の組合の統廃合というものもあるものでございますから、そういったものに対する応援ということを考えております。  ただ、こういった事業の性格上、現在のところは五年間の事業としまして、できるだけ新年度中に基金をつくっていただきまして、それを踏まえて五年ぐらいの事業ということで考えております。  また、全体の規模は、国としましては中小企業事業団高度化融資を、全県トータルの数字でございますけれども二百億円ぐらいを準備しまして、都道府県でこれに見合う基金の造成を一応考えておるという状況でございます。
  47. 大畠章宏

    ○大畠委員 繊維産業も、一時期日本の経済を支えた大変大きな産業でもありました。時代の流れとともに繊維産業というのが非常に今窮地に立っているという話も聞いております。そういうところで一生懸命これまでの、言ってみれば今日の日本を支えてきた人がその地域でやっているわけでありますから、いろいろな考え方の方もおられるでしょう。しかし、そういう方々にできるだけの対策をしてあげるというのも私は政治の仕事かなと思っておりますので、今いろいろとお話がございましたが、ぜひそういう地元の方の話を聞きながら対処していただきたいということもあわせてお願いをしていきたいと思います。  それから、中小企業総合事業団法の審議に当たって、総合してみますと、従来、中小企業信用保険公庫が大体職員数が四百十人、中小企業事業団が五百一人、それから繊維産業構造改善事業協会が三十五人という職員の方がおられます。国民の皆さんからは、合理化をしてとにかく人を減らしなさいという要求も一方であるわけでありますが、私自身、いろいろな声がございますけれども、やはり日本の経済がどんなに立ち直っても、町の中に失業者がたくさんふえてしまったということは決していい社会状況ではないと思うのですね。  フランスでもドイツでもそうですが、政治家の間で我々も話をしますと、日本の失業率は何%なんだというのが第一番目に出るぐらい、政治にとっても、失業率といいますか、失業者をいかに減らすかというのが一つの政治的な大きな柱だろうと思っております。  そういうことで、雇用問題といいますか、あるいは雇用不安といいますか、そういうものを与えないような形でいかにして事業の合理化を図っていくかというのが、非常に難しい条件かもしれませんけれども、ここがやはり私は法人の統合とかあるいは事業の改革をやっていく上では大変重要だと思っておりますが、ここら辺の問題についてトータル的にどう今考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  48. 殿岡茂樹

    ○殿岡政府委員 中小企業総合事業団では、高度化融資でございますとか新事業開拓支援、さらには信用保険、指導、研修、小規模共済、中小企業倒産防止共済、極めて広範な事業を実施することになっております。  こうした事業の実施に当たりましては、中小企業者の方々のニーズに合わせてサービスの質の改善向上ということを図っていく必要があるわけでございまして、このために事業の見直しというのは絶えず行っていく必要があるものと考えております。  一方で、こうした事業の改善あるいは見直しによりまして職員の方々が雇用不安を抱くということ、これも事業の円滑な実施ということでは必ずしも好ましくないということでございまして、雇用不安を抱かれることのないよう十分な配慮をしながら、こうした事業の合理化、見直しというのを進めていく必要があるというふうに考えております。
  49. 大畠章宏

    ○大畠委員 ぜひ大臣にも申し上げたいと思うのですが、事業団の統合ですとかあるいは行革をやるときに、一番もめるのは雇用問題なんですね。  国鉄の問題も、今でもまだ、きょうも国会の前に座り込みをやっている方がおられます。千四十七人の方を改めて採用してもらいたいという話がもう十二年も続いておりまして、雇用問題がやはりいろいろな事業の合理化を図ったり統合したときには一番問題になりがちでありますから、大臣からも、十分そういう問題について配慮して今後運営を図っていただきたいということを申し上げながら、そしてもう一つ、実は、事業団が三つが一つになって直接具体的な数字としてあらわれているのが、二十一人の理事さんが十三人になる、八名減るということでありますが、いろいろ聞きますと、やはり通産省から理事になっている方もおられまして、決して天下りが私はいけないとは言いません。言いませんが、しかし余りにもそれが常態化してしまうところに問題があるのですね。  なぜそういうことが発生するかといいますと、通産省ではなかなか定年までずっと勤め終えることができないという仕組み、ここに私はどうもその根本的な問題があると思うのですよ。なぜ六十歳まで、通産省の職員の人が、希望する人が定年まで勤められないのか。  途中で退官するのが何となく慣例みたいになっているような感じもしまして、これは大臣に御質問するのがいいのかどうか迷うところでありますが、いずれにしても、一般的に天下りと称されていますが、通産省の中でも優秀な人がたくさんいます。その人たちが、何か知らぬけれども、途中から退官しなければならないというような雰囲気に追い込まれること自体、慣習というのが災いしていると私は思うのです。  そして、結果的には、いい仕事もされている方がたくさんおられると思うのですが、週刊誌とかなんかに、何人が通産省からこういう事業団に天下りしているというので一覧表がよく出ますけれども、非常にその当人にとっても不本意なことでもあると思います。そろそろ私は、事業団の整理統合というものと同時に、これは通産省だけじゃありませんが、各省庁とも、優秀な方は六十ぐらいまで意欲があれば、技官とかそういう形かわかりませんが、とにかくそういう仕組みを、システムを、合理化と同時に省内の人事的な改革もしていくことが重要じゃないかと思うのです。  もしも大臣からそういう問題に対する御所感がありましたら、お伺いしたいと思います。
  50. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 国家公務員の定年前退職につきましては、新陳代謝を通じて組織の活性化を図るという観点や、人件費増加への対応、あるいは公務能率の維持向上の観点から、一定の意義はある、そのように私は考えております。  一方、高齢化社会を迎えまして、年金の支給開始年齢の引き上げ等にも対応する観点から、なるべく長期にわたり公務員として働き続けることが可能となるような環境整備も必要であると考えております。同時に、情報化や環境問題への対応など、政策課題が多様化し、一国の経済政策が他国の経済等に複雑な影響を与えるという時代を迎え、我が国の国家公務員は、これまで以上に高度な、流れの早い時代対応した政策立案能力が求められているわけでございます。  御指摘の点については、このような国家公務員をめぐる環境変化を踏まえながら、公務員のライフサイクル全般にわたる問題として、人事管理制度全般の見直しの中で検討すべき問題と認識をしております。
  51. 大畠章宏

    ○大畠委員 時間が来ましたのでこれで質問を終わらせていただきますが、いずれにしても、三事業団一つ事業団にするという新事業団発足に当たっては、何度も申し上げてまいりましたけれども、職員の方々との情報交換、意見交換、そして将来をこんな形にしていこうということを、十分意見交換をしながらともにつくっていくという意味で、力強い新事業団が発足しますようにさらに御努力をいただきますよう要望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  52. 古賀正浩

    古賀委員長 遠藤乙彦君。
  53. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 公明・改革の遠藤乙彦でございます。一年ぶりに商工委員会に舞い戻ってまいりまして、質問をさせていただきます。  議題となっております中小企業二法に関連して質問をさせていただきます。まず、その前提として、景気の見通し、景気対策の問題につきまして、これは経企庁にお願いをしたいと思います。  日本経済は、過去連続二年マイナス成長という大変厳しい事態になっておりまして、また卸売物価等の長期的な低下傾向を見ますと、私個人はこれはもうデフレスパイラルの真っただ中という認識を持っております。  そういった中にありまして、政府が大変景気回復には力を入れておることはよく認識をしておりまして、小渕総理自体、〇・五%目標を言われておりますし、またG7等でも〇・五%をほぼ国際公約として発表されたというふうに受けとめておりまして、政府におかれても大変重大な景気回復に向けての政治責任を負ったもの、覚悟されているものというふうに理解をいたしております。  ただ、〇・五%という数字の根拠ということは必ずしも私は明確ではないと思っておりますし、民間のシンクタンク等は、多くが、大型の予算があったとしても、なお本年後半は厳しいマイナス成長になるのではないかといった見通しをしているところもございます。その論拠は、現在の景気状況を見ても、消費は相変わらず低迷している。輸出も低迷ないし減退している。唯一公共事業が予算によって大幅に伸びているわけでございますけれども、ただそれを上回って設備投資が減少するであろうというのが大きな論拠でございまして、私もその点は同じ認識を持っているわけでございます。  そうしますと、当面は一息つけるとしても、本年後半から、景気が息切れをして再び大きく落ち込む可能性が出てくるという感じがあるわけでありまして、その場合に中小企業が受ける悪影響ははかり知れないものがあると考えております。  そういった意味で、この〇・五%を確保するためには、さらなる十一年度中の景気対策が、追加的な対策が必要であると考えるわけでございますけれども、そういった意味で、経済企画庁の見解をまずお伺いしたいと思います。
  54. 河出英治

    ○河出政府委員 まず、経済の現状につきまして御説明をさせていただきます。  今先生おっしゃいましたように、日本経済は、設備投資の大幅なマイナスが続くなど、非常に低調でございます。景気は低迷状態が長引いて非常に厳しい状況にあるということには変わりはないわけでございますが、こういった中で、一方で少しずつ明るい兆しも出てきております。  例えば個人消費を見てみますと、この一月の家計調査はプラスとなっておりまして、下げどまりの兆しが見られるのではないかとか、あるいは、中小企業の信用保証の拡充によりまして、倒産が非常に昨年末から減っております。また、住宅投資につきましても、ことしになってからは非常に好調な動きが出てきております。それから、在庫につきましても、前年を下回るような水準にまで低下をしてきている。それから、公共事業は、先生おっしゃいましたように、非常に順調に進んでいるわけでございます。  こういった実態の中で、政府といたしましては、昨年末に緊急経済対策を取りまとめ、三次補正を行ったところでございますし、また、今審議をお願いしております十一年度予算におきましても、公共事業につきまして非常に高い大幅な伸びを確保しておりますし、また、雇用対策あるいは起業支援につきましても、十分な予算を講じているところでございます。それから、減税につきましても、恒久的な減税を初めといたしまして、国、地方合わせまして、平年度ベースで九兆円を超えるような大きな減税をお願いしているところでございます。  また、昨年秋に決定されました金融システム関連法の整備によりまして、我が国経済の実態を阻害してきた要因も取り除かれつつあるわけでございまして、こういった施策の実施によって、公的需要が十分下支えをして民間需要が緩やかに回復をしていくということで、私ども十一年度〇・五%の成長を見込んでいるところでございます。  なお、設備投資につきましては非常に悪いわけでございまして、私どもも、これは民間のシンクタンクと同じように、十一年度につきましても名目で六・九%のマイナス、実質で五・二%のマイナスと、同じように厳しく認識をして、この見通しはつくっているところでございます。
  55. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 いろいろ御説明をいただきましたが、個々の現象的な動きはいろいろあるんですけれども、私が一番気にしているのは、国民あるいは企業の中長期の期待、日本経済の将来への期待感というものが非常に悲観的になってしまっている。  当然、消費、投資、いずれも将来期待というものが一番大きな影響を与えるものでございまして、個人の家計にあっても、雇用の問題あるいは社会保障不安、そういった問題がありますし、また、企業にあっても、そもそも日本経済の将来展望が大変悲観的なものにとらわれてしまっていることによって、非常にこれが、表面的な一時的な数字の動きだけでは感応しないだろうといったことがありまして、抜本的に、中長期の日本経済の展望自体を楽観的なものとして定着させないと回復は難しいと思っております。  特に、設備投資の大胆な回復ということがないと、経済は、景気は回復しないんじゃないかというふうに私は感じておりまして、ぜひともこの点について今後とも注目をしていく必要があるし、さらなる対策が必要であるかと思っております。  ただ、この辺は見解の相違でもありますので、これ以上踏み込むことはいたしませんけれども、ぜひとも与謝野大臣以下、さらなる景気拡大に向けてアクセルを思い切り踏んでいただきたいということをお願いしておきたいと思っております。  特に、昨今再び財政再建路線といったことが出てきておりますけれども、中長期というのは当然の話なんですが、今の段階ではやはり、なおかつアクセルを思い切り踏んで景気そのものを軌道に乗せないことには財政再建もできないということでございまして、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなことは決してないように、その点はぜひお願いをしたいと思っておりまして、そこら辺の経済政策のあり方につきましてはぜひ真剣な検討をお願いしたいと思っております。  これは前提の議論として申し上げたわけでございます。  続いてもう一つ法案そのものに入る前に、中小企業融資枠の拡大の問題につきまして、御質問したいと思っております。  昨年十月に大幅な中小企業融資枠、信用保証枠の拡大が行われました。率直に言って、大変これは現場では感謝をされ、通産省もよくやってくれたという評価があるわけでございまして、これは改めて大臣にも申し上げたいと思っております。ぜひとも、この信用保証枠の拡充を今後ともお願いしたいと思っております。  ただ、これはどこまでいっても対症療法であって、時間稼ぎにすぎないと思っております。確かに、今回の措置で大量の中小零細企業倒産という事態は免れましたけれども、景気回復そのものがなければ、これは再び大変な債務累積になるわけでございます。もっと実は厳しい危機がやってくるだろうということでございまして、この信用保証枠の拡大に続いて力強い景気回復のフォローがなければ、結局これもむだに終わってしまうという感じがいたしますので、ぜひとも、今後とも、中小企業の信用保証枠の拡充につきましては特段の御努力をお願いしたいと思っております。  また、その関連で、せっかく信用保証枠拡大をしたのに、これに反するような、趣旨に反するような一般の金融機関の行動があった。特に、旧債の振りかえの問題でございます。これはもう大変けしからぬ話でございまして、景気回復のために、中小企業救済のために行ったそういった措置に対して、この効果を減殺するようなことでございまして、許せないと思っております。ぜひとも断固たる処置をとって、今後ともこういった政策に反するような行為がないように、通産省としても努力をしてもらいたいと思っております。  この点につきまして通産大臣に、どのように認識をし、今後どのように対処をされていくのか、改めて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  56. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 貸し渋り対策で特別枠をつくった趣旨については、もちろん先生今御指摘のように、中小企業に対して円滑な資金供給をする、こういう観点からとられた政策でございまして、これが旧債振りかえという形で金融機関の救済、体質改善にいわば悪用されるということは、断じて阻止すべき許しがたい行為であると私どもは考えております。  旧債振りかえの実態調査については、全国信用保証協会連合会を通じまして、引き続き実態調査を行っております。本年一月には、政府系金融機関、中小企業団体等を通じまして、中小企業に対してサンプル調査も実施をいたしました。旧債振りかえについて不満を表明するところもこの調査でございました。これらについては、現在、具体的な内容についてさらなる調査を行っているところでございます。  以上のような調査、またその他のいろいろな情報を総合いたしまして、通産省としては、まず第一には、金融機関のみが旧債振りかえを含む保証案件を信用保証協会に持ち込む場合には、協会が中小企業に対して本人の意思を確認する、これを指示したわけでございますが、その旨を信用保証協会に周知徹底するためのマニュアルも作成したわけでございます。第二には、政府広報によりまして全国の新聞、テレビ等で広報いたしまして、パンフレットを、中小企業団体、政府系金融機関を通じて中小企業者に配布もいたしました。また、金融監督庁が業務改善命令を出した金融機関に対して、地方通産局を通じまして、制度の趣旨に沿った運用を徹底するように申し渡したところでございます。  今後とも、金融監督庁と連携をとりながら、引き続き実態調査を行うとともに、悪質な旧債振りかえについては断固たる対応をとるとの強い決意で本制度の運用に万全を期したい、そのように決意をしております。  以上です。
  57. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の大臣のお言葉、大変心強く思っておるわけでございますが、悪質な金融機関に対しては断固たる処置をとるという決意を言われましたけれども、具体的にはどういうことを考えておられるのか。その点につきまして、さらに御説明をいただければと思います。
  58. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 信用保証協会が保証したものが金融機関に対して債務不履行になった場合には、信用保証協会は、当然、通常の場合ですと代位弁済を行うというのがこの仕組みでございますが、旧債振りかえ制度を悪用したものに対しては代位弁済を行わない、こういうことでございます。
  59. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 それに加えて、例えば、悪質な金融機関等は、調査の結果、公表をしていくといったことも一案かと思いますが、この点などはいかがでございましょうか。
  60. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 これは金融監督庁の所掌することでもございますが、金融監督庁ともよく相談をしながら、事態に的確に対応した措置をとっていく、こういうことであろうと思っております。
  61. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひとも、大臣の決意に沿って、断固たる処置をお願いしたいと思っております。  続いて本題に入ってまいりたいと思いますが、中小企業経営革新法案等、今、中小企業政策の大幅な見直しにあると承知をいたしております。中小企業の場合、日本の勤労者の八割近くを占めるわけでございますし、中小企業の活性化なくしては日本経済の再生はないと考えているわけでございますが、ぜひとも、中小企業政策、重大な問題でございますので、二十一世紀を切り開く新たな理念を確立して、多くの中小企業に対する信用をぜひ提示していただきたいと思っております。  特に、日本の経済は今、大転換の時代にあると私も認識をいたしておりまして、従来の追いつき型の発展のシステムから創造革新型に変えていく、これは大変大胆な変更になるかと思っております。その中で、中小企業政策、あるいはその理念も見直しを行っていかなければならないわけであって、通産省としまして、どのように中小企業政策を見直そうとされているのか、その大きな方向につきまして御説明をいただきたいと思います。通産大臣にお願いします。
  62. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 景気低迷が大変長引いておりまして、しかし、二十一世紀に向けた将来の発展基盤整備のための経済構造改革、これが進められているところでございます。  中小企業をどう考えるかということですが、これは、やはり日本の経済のダイナミズムの源泉であるというふうにも考えておりますし、広く雇用の場を、また雇用の機会を提供しております。また、実際には雇用の大宗をここが担っているわけでございます。こういう傾向はますます高まっていくと私どもは考えております。  このため、消費者ニーズの変化企業関係変化等、中小企業を取り巻く環境変化を踏まえまして、多様で活力ある中小企業の育成、発展、これを図ることが必要と考えておりまして、こういう観点から、一つは、中小企業の資金、技術情報円滑化を図る競争条件整備、第二は、創業等を行おうとする意欲ある中小企業者自助努力支援などについて、関係省方面の意見を十分伺いながら、今、鋭意検討しているところでございます。  具体的には、昨年七月より、中小企業庁では、新たな中小企業政策方向性について検討を深めているところでございまして、今後、その結果を踏まえまして、中小企業政策審議会で議論を行い、必要な所要の対応を行ってまいりたいと考えております。
  63. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今、中小企業政策、見直しの最中であるということでございますが、この決定版といいますか、中小企業政策を見直した上での決定版、二十一世紀の中小企業ビジョン、政策といったものは、いつごろをめどに取りまとめられる予定なのか、お聞かせいただければと思います。
  64. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 二十一世紀を見据えた中小企業政策理念の決定版のスケジュールという御指摘でございますが、今、大臣の方からも御説明申し上げましたように、現在、昨年の七月から私のところで、中小企業政策というのは大変な歴史と大変多岐にわたるレンジの広い政策体系でございますから、勉強を鋭意進めております。  私の手元といたしましては、この春夏にかけて、ぜひともそういった勉強の成果というのを取りまとめたいというスケジューリングで考えてございますが、その後、中小企業政策審議会での御議論、これは、いろいろな関係者の方、法律家の方から関係中小企業の方、そういった方も全部入っていただいて議論することになりますが、それについて確たるスケジュールというものは、今、私のもとにはございません。  ただ、私の考え方といたしましては、二十一世紀という一つの節目にも当たりますし、政府全体で中央省庁再編の動きもございますし、そういった節目に合うような形にはできるだけ間に合わせて議論をしていただければなという期待はいたしております。     〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕
  65. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 それでは、中小企業総合事業団につきましてお聞きしたいと思います。  特殊法人の整理を大胆に進めていくというのは行革の基本方針でございます。もちろん、今度統合される信用保険公庫と中小企業事業団の実施している業務が大変重要であることは、私もよく認識をいたしております。しかしながら、一般原則としては、特殊法人というのはサンセット方式で見直していくという当然の前提があると思うわけでございます。そうした意味で、見直しをぜひ進めていく必要があるかと思っております。  そういった意味では、例えば総合事業団につきましても三年後に見直しを行うということが大切だと思いますけれども、この点につきましてどのようにお考えなのか。また、今後の整理合理化の努力は当然ですけれども、一般論ではなくして、具体的な目標設定、特に数値目標として設定していくことが大変重要ではないかと考えておりますけれども、今の二点につきまして御回答をいただければと思います。
  66. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私も、自分の党の中で、特殊法人の整理統合等々、仕事に携わったことがございますが、これは、やってみますと大変いろいろな難関にぶつかります。したがいまして、私は、将来の問題としては、先生がおっしゃったようなサンセット方式ということで、自然に退場して、また必要であれば登場してくるという、どこかでけじめをつけるということを、仕組みとしてやはり考える必要があるというふうに個人的には思っております。先生の御意見には私は賛成でございます。  そこで、新事業団は、統合に先立って、中小企業の団地づくり等を支援する高度化融資事業メニューの統合、要件緩和などの抜本的な見直しを行う一方で、中小企業が新事業を開拓するための助成金や出資の業務を行うこととするなど、中小企業の今日のニーズに対応するために必要な業務の見直しを行っております。  御指摘のとおり、中小企業対策の実施における新事業団役割は重要でございまして、中小企業の実情及びニーズに即して、不断に業務の点検、見直しを行うことが不可欠である、そのように考えております。
  67. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私の具体的な提言は、三年後に見直しを行うということでございますが、これについてはいかがでございましょうか。
  68. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 新法人につきまして、その見直しについて不断にやっていく必要があるという点につきましては、大臣が申し上げたとおりでございます。  三年後という具体的な数字でございますが、三年がいいのか、四年がいいのか、二年がいいのか、なかなか私も即答するわけにまいりませんけれども、ある時期を踏まえながら、それを頭に置きながら見直しをしていくというのも一つ考え方であろうと思います。
  69. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 いずれにしましても、ぜひ定期的な時点で見直しをする。必要なものは当然残すべきでしょうけれども、ぜひサンセット方式の精神で特殊法人の改革を進めていただきたいことを強く要望しておきたいと思っております。  そこで、中小企業経営革新法の問題につきまして入っていきたいと思っておりますが、中小企業をめぐる環境が大変激変をしている中にありまして、中小企業政策も転換期を迎えていることは先ほども御説明のあったとおりであると思っておりますが、既存の法制を見直して、中小企業の今日的な経営課題対応するよう中小企業経営革新法案制定したいという考え方は、これは評価できるかと思っております。  ただ、こういった、いわば発展性のある新しい創造、革新性のある中小企業を育てるというのは大変重要な方向であるし、今後の日本経済再生の一番の中核的なテーマであることは間違いないと思いますけれども、ただ、多くの中小零細企業が残るわけでございまして、そういった革新性も十分ない、ダイナミズムもないような、多くの中小零細企業をどうするかという問題も残るわけでございます。  昨日の我が会派の中野議員の代表質問の中でも、中小零細企業を見落とすことがないようにということで質問があり、大臣も、一般論としては、努力をするというふうに述べたものと理解をしておりますけれども、さらに、具体的にどのように配慮をしていくのか、この点につきましてお聞きしたいと思っております。
  70. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 中小企業経営革新支援法の運用につきましては、先生も御承知のように、法律制定されました後、基本指針というものを通産大臣が定めることになっております。その中で、具体的に、経営革新とは、あるいは、経営の相当程度の向上とはというような基準を定めていくことになると思います。  先ほど来申し上げていますように、従来ございました近促法あるいは新分野進出円滑化法と本法との際立った違いといいますのは、あらゆる業種にわたりまして、個人、グループ、組合を問わず、あらゆる形態で経営革新に臨むことができる、そういった法体系整備するものでございます。  したがいまして、できるだけ多くの中小企業の方が新たな経営課題に応じて経営革新に努力をいただけるような、そういった体制にしたいと思っておるところでございます。  二点ございますが、第一点といたしましては、まず、従来から組合という制度が、組織化を通じまして、零細中小企業共同化等でいろいろな効果を上げてきております。今回の経営革新法の利用に当たりましても、組合が中小零細企業である組合員の経営向上を図るということも支援対象になってございます。我々としては、組合の活躍というのも期待したいと思っております。  また、第二点といたしましては、支援対象の基準でございますが、これにつきましては、事業活動の新規性の基準、つまり、新たなサービス、新たな商品の開発あるいは提供ということをうたっておりますが、これにつきましても、余り厳格に考えることなく、個々の中小企業者あるいはグループにとって経営革新に資するものであれば、ある程度、例えば既に開発された技術であっても、ここで言う新技術として認定をするような運営にしたいと思ってございますし、また、経営革新の程度、経営の相当程度の向上というのもこれから基準をつくってまいらぬといかぬわけですが、これにつきましても、事業者の経営状況に応じた一定程度の要件の緩和なり、そのバリエーションというものは認める方向で配慮をしていきたいと思っております。  繰り返しになりますが、およそ中小企業の方々、今後二十一世紀に向けて経営革新を進めるに当たって、入り口のところでなるべくひっかからないような、そういった制度運営をしたいと思っております。
  71. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひとも、今の方針で柔軟なまた幅広い運用をしていただきまして、中小零細企業をエンカレッジしていくように運用をお願いしたいと思っております。  この経営革新法、私も拝見しまして、非常にアイデアはいいと思っております。ただ、いかんせん、予算を見ると、がっかりするといいますか、余りにも予算の額が少な過ぎるのではないかというのが私の印象でございまして、せっかくアイデアはよくとも、予算の裏づけがなければ絵にかいたもちになってしまうということで、通産省の場合、いつも非常にアイデアはいいんですけれども、予算の裏づけがないというのが問題であると私は感じております。  特に、予算の数字が一けた二けた少ないんじゃないかと時々思うこともあるわけなんですが、このアイデアを生かすためには、裏づけとしての十分な予算額の確保に総力を挙げて取り組む必要があるかと思っておりますけれども、ぜひとも大臣のリーダーシップのもとに強力な予算拡充の努力をしていただければと思っております。特にこの予算額の確保という点につきまして、お答えをいただければと思います。
  72. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 この中小企業経営革新支援法の体系の中で、支援措置が幾つかございます。  今先生が御指摘になられたのは、具体的に補助金という形での予算額でございまして、これは十一年度予算で十八億円ということで、先生の御評価では大変少ないということでございますが、これまでございました中小企業近代化促進法の場合ですと補助金制度はございませんので、そういった意味では、この十八億円もできるだけ有効に活用をさせていただきたいと思っています。あるいは、今後ともこの補助金については増額について努力をしていきたいと考えております。  ただ、念のためでございますが、経営革新計画に限って申し上げましても、既に御承知だと思いますが、政府関係金融機関から超低利融資制度もございます。  例えば今、通利というか基準金利が二・九%のところで、一・八%の設備資金融資ができるとか、そういった中公の融資もございますし、あるいは、高度化融資制度について、累次申し上げていますように、無利子融資、あるいは融資比率も八割までといった高度化事業融資が、従来の原則組合に限っておりましたものが、任意のグループ、四社以上のものにも使えるということで、これはいろいろ金額計算をいたしますと大変大きな助成措置でございます。他に信用保険、税制上の特例等もございまして、支援措置一般についてはかなり思い切った支援策を講じたと一応考えておりますので、念のため申し添えます。
  73. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 いずれにしても、今後大いに予算拡充の努力はお願いをしたいと思っております。  そこで、経営の革新あるいは新規事業の立ち上げということにつきましても、いろいろネックはあるわけですけれども、一番大きなネックといいますか、特に絞っていくと、やはり人材の問題と融資の問題ではないかと私は思っております。  いずれにしましても、新たな経営革新、新事業の立ち上げということは何よりも中心になる起業家の資質によるものでありまして、この人材が豊富になければ創造、革新的な事業は進められないわけであります。これは、突き詰めていけば日本の教育システムそのものといった問題になるわけでありまして、非常に大きなテーマになりますので、きょうは踏み込むことはしません。  もう一つは、やはり融資の問題だと思います。せっかくのいいアイデア、またいい経営的な能力があったとしても、融資がネックになっているということは一つの大きな課題であると思っております。特に、日本の場合に、どうしても土地担保主義が強いものですから、担保がないとなかなか金を貸してもらえない。せっかくいい能力やアイデアを持っているのに資金がついてこないということが、今、新規産業あるいは経営革新のネックになっているものと私は認識をいたしております。  そういった意味で、今後できる限り、土地担保ではなくて事業内容とかキャッシュフローを評価する形で、その判断のもとに融資が行われるというシステムが望ましいと思いますし、また、できる限り直接融資が発達することが望ましいと考えておりますけれども、まだなかなかそこまでは、日本の金融風土ではすぐには追いつかないと思っております。そういった意味では、ぜひとも、制度融資も含めて、そういう形での新しい発想に立った融資対応ということが必要であると考えております。  そこで、経営革新に取り組む中小企業に対する融資制度にはどういった工夫を今後していくのか、その点につきまして、通産省の見解を伺います。
  74. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 融資制度につきましては、先ほど支援策の厚みの程度ということで若干申し上げてしまいましたが、それに加えて申し上げますと、中小公庫等から経営革新計画に関する低利融資制度というのをつくってございます。  金利の点では先ほど申し上げましたが、それ以外にも例えば、従来ハード中心設備資金融資中心であったわけですが、今回の経営革新法の考え方に従いまして、大変重要な研究開発、あるいは人材の育成、あるいは需要の開拓、そういったソフト経営資源に対する資金需要として、長期運転資金融資制度も、これは低利で新たに設けることにしてございます。  それから、今御指摘のあった担保徴求、物的担保中心になっているではないかという点につきましては、一つ対応といたしまして、一定額まで物的担保徴求をこの融資制度では免除することにいたしておりますし、既に中小公庫の場合には、知的所有権とかそういったソフトな資産についてもある程度担保価値として評価するような仕組みを導入いたしておりますので、本制度でもそういった考え方で運営をしたいと思っております。  それから融資では、先ほど高度化融資について申し上げましたように、原則組合要件というのを四社以上のグループ、緩やかな企業連合体でも活用ができるといった意味でも、これは中小企業者にとっては大変大きな利用価値のある制度になるのではないかと思います。
  75. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 さて、ベンチャー企業融資への対応につきましてさらにお伺いしたいんですが、今の制度融資ではやはり資金額として十分ではないというふうに感じております。いろいろ私もそういったベンチャー志向の方々と話をしておりますと、億単位、場合によっては十億ぐらいの枠が必要なケースを多々聞いておりまして、これは相当大胆なあれになりますけれども、やはり抜本的な限度枠の拡大をしていくことがこれから新規産業の育成あるいはベンチャー企業の育成ということの重要なテーマではないかと思っております。  すぐ簡単にはいかないかと思いますけれども、限度枠の拡大といった問題につきましてどういったお考えを持っているか、お聞きしたいと思っております。
  76. 江崎格

    ○江崎政府委員 ベンチャー企業育成のための支援策の問題でございますけれども通産省としましては、大規模な研究開発を行うなど非常に資金需要の旺盛なベンチャー企業の育成のために、資金面それから人材面、技術面、各面から総合的な施策を講じておりますけれども、今御指摘のような、資金調達を円滑にするということが非常に重要な問題だというふうに私ども認識しております。  具体的に今やっておりますことは、政府系金融機関によります低利融資制度ですとか、それから新規事業法とか中小創造法に基づきます債務保証制度、こういったようなことを講じております。それから、昨年の秋からは、新規開業向けのマル経融資の拡充ですとか、さきの臨時国会で新事業創出促進法というのを成立させていただきましたけれども、この法律に基づきまして、新規開業者に対する債務保証制度の創設など各種の施策を講じております。こうした制度の中には、今御指摘の十億円を超えるような資金需要にも対応できるものも含まれております。  いずれにしましても、私どもとしましては、これからベンチャー企業の資金需要に応じまして、さらなる制度の充実を図ってまいりたい、このように考えております。     〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、今度はネットワークの問題につきましてお聞きしたいと思っています。  シリコンバレーのようなケースを見ても、得意分野を核にして、自分の弱点はみずから補うのではなくて、いわゆる他社との連携によって補完するという、いわば戦略的連携といったことが縦横無尽に行われておりまして、これがまたアメリカ系の中小企業の活力、力の源泉ではないかというふうに考えております。日本の中小企業におきましても、ネットワークの力が今まで以上に重要になってきておりまして、中小企業の主体的な発展、取り組みというものにこれは大変重要な要素ではないかと思っております。  例えば、中小企業が開発に取り組む場合に異業種交流が一定役割を果たすと言われておりますけれども、各地で熱心な異業種交流活動が行われてきておりまして、この新法の場合、こういった異業種交流活動に対してどういった支援をされるのか、その点を伺いたいと思います。
  78. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先生指摘のように、中小企業者にとりまして、現下の経済環境の中で活路を求めていく一つの道はネットワーク化ということだと思います。中小企業者にとりましては、経営に関する各種資源をすべて一社で具備するというのは大変難しい話でございますので、それはできれば横の関係で、独立の関係で、かつプロジェクトごとに柔軟な関係でそういったネットワークができれば大変効果的であると我々認識をしております。  今までにも、平成十年度から、コーディネーションネットワークを支援しようということで予算措置もとってございます。具体的に申し上げますと、新規成長産業の連携の支援事業、我々コーディネート活動支援事業という言い方をしておりますが、一件当たり一千万円ぐらい事業団の方から委託費を出しまして、いろいろな各種のコーディネーター、そういった中小業者のネットワークをうまく円滑化して結びつけてくれる、そういった方について委託という形で助成をさせていただいて、結果的に中小企業のネットワークが進むようにということで進めているところでございます。  法律の方に戻らせていただきますと、本法案中小企業近代化審議会で議論をいただきました。その最終答申におきましては、今まさに先生指摘のように、多様な組織形態で経営革新を進めていくことは有益である、そういったものを支援対象にしろというような議論をいただいております。  したがいまして、本法律に基づきます経営革新計画の作成主体としては、個別の中小企業者に加えまして、複数の中小企業者の任意グループ、そういったものも対象にすることにしております。具体的には、異業種間の中小企業における戦略的な連携グループ、これは何千という数で今既にございますけれども、そういったものについて、経営の相当程度の向上が見込まれるような新たな取り組みをしていただければ、本法の対象といたしまして各種の支援ができるようにしたいと思っております。
  79. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 また、いわゆる高度情報化の流れに乗りまして、パソコンを活用したり、あるいはインターネットを活用して、販売や生産の管理をしたり、製販連携など流通面の合理化に取り組む中小企業も見られるわけでございますけれども、この新法におきましてはこうした取り組みも支援対象となるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  80. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 経営革新支援法におきましては、新商品の開発や生産、商品の新たな生産や販売の方式の導入等、新たな事業活動ということで、経営革新という定義をさせていただいております。  今具体的に御指摘をいただいた、パソコンなどの情報機器を活用しました販売、生産の管理あるいは製販の連携などの流通面の合理化などの取り組みにつきましては、商品の新たな生産や販売の方式の導入等の新たな事業活動という点で理解、解釈できると思っておりますので、あとは経営の相当程度の向上が見込まれるものであれば、経営革新として本法の支援対象になると思います。
  81. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 それでは、このネットワークのまた別の側面として、地域の産業集積という問題につきましてお聞きをしたいと思います。  我が国の基幹産業である製造業を支えてきた部品、金型、試作品等を製造するいわゆる基盤技術産業の活性化を図って製造業全体の空洞化を防止するという目的で平成九年六月に施行された、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法というものがございますけれども、この地域の指定並びに補助事業の申請状況はどうなっているか、また、自治体への支援事業者に対する支援の実施状況はどうなっているのか。地域のネットワークという視点からお聞きしたいと思っております。
  82. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 今、遠藤先生から御質問がございました、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法でございますが、おととし、平成九年の六月に施行されました。その後、九年八月二十九日に七地域からの申請を承認いたしまして、それ以降、これまで六回に分けて、全国で二十五の地域の基盤技術産業集積活性化計画を承認しているところでございます。  これらの地域における集積活性化計画に基づく産業のインフラ整備、これは、インキュベーターとかあるいは貸し工場等々の産業のインフラ整備については、地域産業集積活性化対策補助金等により、事業を実施する関係自治体に助成することとしておりまして、これまでに六十二件、三十五億円以上の補助金を交付しているところでございます。  また、地域の中小企業に対する研究開発等の支援につきまして、地域産業創造技術研究開発補助金により、これまで二十六件、一億五千万円の補助金を、また、第三セクター等に対して産業インフラ整備支援として、これまでに十二件、十九億円。合計三十八件、二十億円を交付しているところでございます。
  83. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 この臨時措置法における支援対象としては大都市圏における基盤技術産業集積が含まれるわけですけれども、補助事業としてはどういった申請が具体的に上がってきているのか、お聞きしたいと思います。
  84. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 この法律対象として、当然大都市圏等の集積も含まれるわけでございます。幾つかございますが、代表例を申し上げれば、広域の京浜地域、これは東京都、神奈川県にまたがるわけでございますが、例えば大田区の賃貸工場アパートの整備事業、あるいは横浜市の産学連携支援施設整備事業等々の産業インフラ整備に対する支援の申請が行われているところでございます。また、西の方に参りますと、大阪府の中央地域ということを指定させていただいておりますが、大阪市とか堺市の賃貸工場の整備事業、あるいは八尾市の人材育成施設整備事業、東大阪市の試験検査機器整備事業等の産業インフラ整備に対する支援の申請を受け取っているところでございます。
  85. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 研究開発施設とか貸し工場などが今御説明のように対象になると思いますけれども、大都市の場合、こうした大規模な施設の建設はやはり数年かかるのが通例でございまして、やはり単年度主義の予算との関係でなかなか、現場では実際の運用をどうしたらいいかといった声が上がっておりまして、これについての柔軟な対応というものをいつも求められるわけでございますけれども、こういった場合の支援をどのように実施していくのか、通産省考え方をお聞きしたいと思います。
  86. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、産業インフラとして、貸し工場とかあるいはインキュベーション施設とか研究施設、産学交流施設等が挙げられますが、これらの建設期間は原則一年で実施されております。ただ、確かにやや工期が延びるというようなことはあり得ないことではないわけでございまして、あるいは土地の取得がなかなか思ったようにははかどらないというようなやむを得ない事由により、なかなか当該年度では建設完了ができないもの等特殊な場合には、繰り越し制度の適用により二年度にまたがって事業を行うことも許されておるところでございます。  いずれにしても、今遠藤先生言われましたように、地元の自治体あるいは事業者に迷惑がかからないように、極力その運用について配慮していきたいというふうに考えているところでございます。
  87. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の説明で大体理解できました。  いずれにしましても、中小企業の法制というものは、地域にとっていかに使いやすい制度かというのが大変重要であると思います。そういった意味で、地域の実情を十分勘案した制度運用に特に配慮していただきたいと思っているわけでございまして、せっかくいろいろな法律が次々と出てくるわけでございますから、それらで成功例をぜひつくっていくということが今後の中小企業政策の運用に大変重要ではないかと思っております。  そういった意味で、私は、特に予算面の拡充という問題と、それから運用面における柔軟な対応、特に地域の実情に応じた使い勝手のよい運用というものにぜひ心がけていただきたい。そうすることによって成功例をつくり上げ、さらなる次の中小企業政策展開に結びつけていけるものと考えております。  この点につきまして、改めて通産省の見解、決意をお聞きしたいと思っております。
  88. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 集積活性化法に限らず、私ども環境立地局で所管させていただいておりますさまざまな地域振興立法がございます。もちろん中小企業庁の方でもございます。一体となって運用しているわけでございますが、地域の実情に応じて運用していくというのは当然でございます。また、予算等、厳しい御評価もございましたけれども、それぞれ、極力地域のニーズ等を踏まえて拡充していく方向で頑張っていきたいと思っておりますので、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。
  89. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 通産省から大変力強い決意があったものと受けとめまして、我々も一生懸命支援をしていきたいと思っておりますので、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  90. 古賀正浩

    古賀委員長 竹本直一君。
  91. 竹本直一

    ○竹本委員 それでは質問させていただきます。  与えられた時間が二十分と極めて短いので、現下の中小企業の現状を見ながら、これに対してどう対応をしていくのか、特に今回提案になっております中小企業経営革新支援法、これとの関係で御質問をさせていただきたい、そのように思うわけでございます。  ところで、私の選挙区は大阪なんですけれども、ガソリンスタンドがどんどんつぶれていっております。そして、街角にあったでかいガソリンスタンドがなくなりまして、後、手入れもされずにゴーストタウン化している。夜なんか非常に物騒なんですよね。こういうことがあちこちで見られるのは一体どうしてかということをちょっと考えてみたいなと思うわけであります。  先般、中小のオーナーの、ガソリンスタンドの代表者二十数名から直接お話を聞いたんですけれども、どうも、大手が参入してきまして、そして彼らに言わせれば不当に安い価格でガソリンを売る。我々が九十二、三円で売っているとき、相手が七十九円とか八十円で売る、これじゃ競争にならない、そういう価格を設定できるわけがない、こう言うわけであります。  そこで、そういう状況の中で、では、こういった中小企業がぎりぎりで経営しているスタンドをどのように維持していくのか。もしも消費者主権ということを考えれば、安い値段でもそれで供給されればいいではないかという考え方からしますと、中小企業のスタンドが消えていくのもやむを得ない、このようなことになるわけであります。  ところで、市場主義とか今回の規制緩和がどんどん進む中で、あのジョージ・ソロスでさえ、市場主義あるいはグローバリズムの行き過ぎというのは必ず社会的問題を起こす、したがって適当な国際監視機関が必要だということをあちこちの本ないし講演の中で言っておりますけれども、そういう意味で、自由競争、規制緩和の中で中小企業をどのように守っていくのか、その点について私はまず聞いてみたいと思うわけであります。  そこで、公正取引委員会にちょっとお聞きしたいんですけれども、調べましたところ、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる公取法で、不公正な取引方法ということを定義しておりますが、その中で、不当な対価をもって取引することが不公正な取引方法だ、このように書いておりまして、昭和五十七年の公取の告示第十五号で、その具体的な例示として「不当廉売」を挙げております。「正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。」これを不当廉売として禁止しておるわけでございます。  今、冒頭申し上げました大阪のガソリンスタンドの現状を見ますと、どうも彼らの言い分からいたしますと、利益がないのにそういう値段を設定して売っている。利益を無視して、むしろ損をするのかもしれない、そういう価格で販売をし、そして結果として中小企業がどんどんつぶれていく。こういうものは不公正な取引に当たるのではないか、そのように思うのですが、いかがでしょうか。公取にお聞きします。
  92. 山田昭雄

    ○山田政府委員 お答えいたします。  独占禁止法の十九条という規定で不公正な取引方法は禁止されておるわけでございまして、不当廉売もその不公正な取引方法の一態様でございます。  先生が今、一般指定の六項を挙げていただきましたけれども、不当廉売はそのように定義されているわけでございまして、企業が、創意工夫による効率性によって達成した低価格で商品を提供するのではなくして、採算を度外視した著しく低い価格で商品を販売することによりまして顧客を獲得するような行為は、正常な競争手段として評価できず、不当廉売として独占禁止法に基づく規制の対象となるわけでございまして、私どもも、今お話しのように、規制緩和という中で公正な競争をいかに確保していくかということが非常に重要であるというように考えておるわけでございます。  そういうことで、石油製品を初め、酒でありますとか家電製品等いろいろ問題提起されておりまして、特に石油製品の問題につきましても本年度で既に百件弱の注意ということを行っておりまして、これはできる限り迅速に対処する必要があるということで、迅速に処理していくという方針で私どもとしても取り組んでいるところでございます。
  93. 竹本直一

    ○竹本委員 それでは、もう一問だけ聞きます。利益ゼロで販売するのは不当廉売に当たるのかどうか、お聞きしたい。
  94. 山田昭雄

    ○山田政府委員 お答えいたします。  先ほど先生からお話ございましたように、不当廉売の法律上の要件というのは三つあるわけでございまして、正当な理由がないということと、供給に要する費用を著しく下回る対価で販売するということ、それと、影響要件と言っておりますけれども、他の事業者の事業活動を困難にするおそれということの三つがございまして、今お話しの価格の要件につきましては、総販売原価を著しく下回る価格がこれに当たるという趣旨から、小売業につきましては、実務上、仕入れ価格を下回るかどうかということを一つの基準にしているわけでございます。  そういうことで判断して、要は、この問題はできる限り迅速に処理していくということが非常に重要であるかと思っております。
  95. 竹本直一

    ○竹本委員 ちょっとよくわからないのですが、収益ゼロの場合でも不当廉売に当たるのかどうかということを聞いているのです。もう一度お願いします。
  96. 山田昭雄

    ○山田政府委員 企業の適切な利益を入れるかどうかということは、いろいろ意見がございまして、供給に要する費用を著しく下回る価格で供給しているからといって、直ちに不当廉売として違法となるわけでございませんで、やはり損をして得をとれという商売のやり方もあるわけでございまして、要は、価格の要件につきましては、先ほど申しましたように、供給に要する費用を著しく下回っているかどうかということで一つの基準を持ちまして、判断しているところでございます。
  97. 竹本直一

    ○竹本委員 ちょっと堂々めぐりではっきりわからないところがございますけれども、いずれにいたしましても、昨年一年間で千九百のガソリンスタンドが全国で閉鎖されております。どんどん減っていくわけでございます。そうなりますと、中小企業がどんどんなくなっていくというわけでございまして、市場から中小企業を追い出したというその結果が、果たして通産行政の立場から見て放置できる問題かどうかということを考えますと、何がしか、公取の姿勢あるいは産業、中小企業育成の姿勢から何らかの救済策あるいは仕分け論が出てもいいのではないか、そのように思うわけであります。  規制緩和は大賛成でございますけれども、どうしてもこういった、結果として中小企業がなくなるあるいは倒産するといった事態は、通産行政上放置し得ないのではないか、そのように思うわけでございます。  そこで、今回、中小企業経営革新支援法という法律が提案されておるわけでございますが、従来、近促法の体系の中で、近代化のおくれた企業近代化し、そして経営効率をよくしようということで今までやってきておりまして、それはそれなりの効果はあったと思うのですけれども、どうも、先ほど来質問にも出ておりましたけれども、この新しい制度の中ですくい上げられないものがあるのではないか。例えば建設業のようなものは、そんな感じがするわけでございます。  近促法でいろいろな事業協同組合等をつくり、いろいろな税制等の特典を活用しようとし出したのは、そう遠い昔の話ではない。ましてや、今現在におきましても非常に非効率、非近代的な経営慣行が残っておる。こういったものをそばに置きながら、アイデアとかあるいは経営革新といった新しい分野でこういった中小企業の救済を図ろうというこの法律が、一体、今まで非常におくれた業種をどのように取り込むのか取り込めないのか。その点について、通産省にお聞きしたいと思います。
  98. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 この法律をもってしてもなかなか乗りにくい業界なり中小企業者についてはどう扱うのかという御質問だと思いますが、法律の体系といたしましては、非常に先進性があり革新性をお持ちの個別の中小企業者あるいは任意のグループの中小企業者につきましては、経営革新計画という形で個別の支援ができるような体系になってございます。先生が具体例に挙げられましたガソリンスタンドあるいは建設業につきましても、単に生産に限っておりませんので、新しいサービスの仕方とかそういったものについていろいろ知恵を出していただければ、この経営革新計画という体系で拾い申し上げることができると思います。  それからもう一つ業種全般として、石油製品小売といいますか販売業、ガソリンスタンドが今大変厳しい状況にあるという点は、中小企業庁としても認識をいたしております。先ほど公取の方から御説明がございましたが、不公正な取引方法をもって中小企業者が大変厳しい状況にあるのであればということで、私どもも昨年の夏には、中小企業庁設置法に基づきまして公取委員会の方に、実情について調査、適切な措置をおとりいただきたいということを公式に申し入れたケースもございます。  具体的には、そういった大変いろいろな外的経済環境、これはいろいろな種類、法律上は限定しておりませんが、そういったものの激変で影響を受けるような特定業種につきましては、中小企業政策審議会で審議をいただいて業種指定をさせていただいて、業種全体として全国組合中心になって各種の対応が図れるような、そういった経営基盤強化計画制度というのも別途用意してございますので、できるだけそういったものが業界まとまって利用できるような、そういった指導なりはさせていただきたいと思っております。
  99. 竹本直一

    ○竹本委員 公取にそういう実態調査あるいは対策を講ずることを申し入れたということでございますが、それに対する回答は来ているのでしょうか。
  100. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 申し入れをいたしまして、それについて個別のケースも例示をいたしたわけですが、注意処分等をしていただいたという報告が参っております。
  101. 竹本直一

    ○竹本委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、今回の法律に基づきます支援措置として、設備投資よりもむしろ技術、人材、販路開拓等に係る運転資金が一番問題でありまして、それを円滑に供給することが非常に具体の話としては重要ではないか。  それからもう一つ、私も、フランスとかアメリカのいわゆる先進的な大企業の中で働いていた人たちがやがて独立してベンチャーをやり、それが成功しているという具体例を幾つも見てまいりました。そういうことを思いますと、やはり大企業とのいい関係においてこういう中小企業の育成ということが図られるよう配慮すべきではないかなというふうに思います。つまり、中小企業を大企業との対置、対岸に置くのではなくて、物によってはそれとのいい関係の中で、中小企業の独立、そして創意工夫、そしてベンチャーの育成ということが図られるべきではないか、そのように思うわけであります。  そういう意味で、先ほど申し上げました一番ない資金の供給、それと技術支援といいますか、大企業との関係において技術的あるいはその他もろもろの支援を確保しながら、この経営支援法の精神を生かすような措置をもっと重要視して考える対策をとった方がいいのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  102. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先生に二点御指摘をいただいたと思いますが、第一点の運転資金の円滑な供給につきましては、中小企業金融公庫等を通じまして、超低利の融資であり、かつ担保徴求なんかについても非常に弾力化された融資制度を長期運転資金という形で用意をしたいと思っております。  また、実際にその経営革新を進めるに当たって、大企業との関係という点でございますが、私どもいろいろ実態を把握させていただきますと、中小企業者だけでまとまってやっているグループもあれば、大企業との、いろいろな技術力とか人材とか情報とか、そういった支援を外から受けながらうまく成功している例等もございますので、本経営革新計画の中ではそういった大企業と一緒になってやるものについても当然のことながら対象にできるように、そういった運用にしていくつもりでございます。
  103. 竹本直一

    ○竹本委員 いずれにいたしましても、幅広い視野で、あらゆることについて柔軟に対応しなければ、この経営革新支援法の精神は生きてこないというふうに思うわけであります。  日本は中小企業が非常に多いわけでございますが、どうも私が率直に感じますところ、政府として、あるいは通産省としてと言った方がいいかもしれませんけれども、いろいろ具体的な、かつ詳細にわたった中小企業の救済策を講じているわけでございまして、それは非常にすばらしいことなんですけれども、それが本当に国民の末端にまで行き渡っているかというと、どうもそうじゃない。それは、我々が選挙区を歩き、あるいは全国各地の自治体等に行きまして聞きましても、やはりどうも、全く知らないということが非常に多いわけであります。  例えば一例を挙げますと、昨年の十月から始まりました五千万円までの特別融資、これにつきましても、この間まで、そんなのあるんですかと私は地元で聞かれるわけなんです。それほど、皆さん方は本省で企画し立派なものをつくりながら、それを自治体に回しますが、自治体から末端の市町村に行きましたときは三分の一ぐらいの情報になっているのではないか、ましてやその傘下にある中小企業の社長さん連中のところに行くとゼロかあるいは一つ二つになっているのではないか、それがどうも現実なような感じがします。  こういう現実を見まして、私は、国の方でも今こういった中小企業対策をやっているんだ、何だったら私が行って説明しようじゃないか、こう言いましても、なかなか商工会とかそういったところはそれを受け付けない。結果としては情報が少ないまま日々が過ぎ去っている、こういうのが現状のような気がするわけであります。  そういうことで、せっかく霞が関でやったいいことが、あるいは永田町で発言して実施されたいいことが、地方の自治体に、そして商工会等の構成メンバーである中小企業にきっちりと行くような方策、それに対する対策ということをもう一度真剣にやはり考えていただく必要があるのではないか。  もちろん、背景としては、先ほどどなたかの委員の中で出ておりましたように、中小企業支援策というのは非常に複雑である、しかもよく変わる。役人用語でいいますと、ネーミング新規という言葉があるようでございますが、名前だけ変えて、その担当官の来たときにできた新しい制度だ、その担当官の業績であるというようなことを言う例があるようでございますが、それは国民の目を見ないとんでもない態度だと思います。  国民のために尽くすことこそ行政の最終目標なのでございますから、そういう意味で、余りにもよく変わるのは問題ではありますけれども必要性があって変わるのであればこれは仕方ない。その複雑なものを末端の中小企業の方に本当に理解してもらい、困ったときにはこの制度が利用できるんだということを周知徹底してこそ初めて皆さん方の努力が生きるのではないか。そういう意味で、商工会議所あるいは商工会その他もろもろの既にある既存組織を使うと同時に、広報についてどのような努力をすればいいかということを真剣に考えていただきたい。  そういう意味で、これは通産大臣にお聞きしたいわけでございますが、ぜひともそういうことについての、今までとは違う新しい周知徹底方策を御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。
  104. 古賀正浩

    古賀委員長 中小企業庁長官答弁でよろしゅうございますか。
  105. 竹本直一

    ○竹本委員 いいです。
  106. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 政府委員で大変恐縮でございますが、中小企業政策、本当に実際に制度を企画する立場から申し上げますと、制度をつくっても使っていただけなければ意味がない、使っていただくためには周知徹底をしなければいけない。PRの重要性は先生の御指摘されたとおりだと思います。  従来から、都道府県の商工関係部局、通産省、通産局あるいは中小企業団体あるいは政府系金融機関、あらゆる制度なり手段を使いましてPRをしておるわけですが、先生指摘のように、一昨年秋以来やっております貸し渋り対策の各種融資制度等につきましても、必ずしも十分にしみ渡っている状況にないということは、昨年夏、私着任したときも大変強く認識したところでございます。  具体的にどうしたらいいかということで、なかなか知恵が難しいわけですが、一つやっておりますのは、受け身でパンフレットをつくってみてもなかなか手にとっていただけないということで、昨年のたしか七月の初めにやりましたのは、それまでの貸し渋り融資制度につきまして簡単なパンフレットをつくりまして、これを、全国におります約一万人の経営指導員を通じて具体的に相手のところへお持ちするというような形で、大作、これは約百万枚刷ってやった経緯もございます。  それから、その後の貸し渋り保証制度等につきましては、政府等の方にも非常に御理解いただけたものですから、やはり効果があるのはマスメディアといいますかテレビのいろいろなCMに入れる、かつ頻度を高めるというのが大変効果的だと思っておりまして、この点につきましては、例えば貸し渋り保証制度で数億円の政府広報予算を使わせていただきましたが、例えば二〇〇〇年問題につきましてもやはり数億円の予算が獲得できまして、現在テレビでいろいろCMを入れさせていただいております。  広報につきましては、どういった方策がコスト面も含めて効率的なのか、今後も知恵を絞っていきたいと考えております。
  107. 竹本直一

    ○竹本委員 時間が来たようなのでこれで終わりますけれども、ぜひ通産大臣に私の意のあるところをきちっと伝えて、新しい抜本的なやり方でこの周知徹底方を図っていただきたい。そうしませんと、せっかくの我々の努力が報われていない、そのように思うわけでございます。ひとつよろしくお願いいたします。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  108. 古賀正浩

    古賀委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  109. 古賀正浩

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井英勝君。
  110. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  最初に、中小企業総合事業団法案中小企業金融にかかわる貸し渋り問題から質問をしていきたいと思います。  皆さんのお手元の方に資料を配付させていただいております。  これを見ましても、昨年の十月以降、これは本当は一月、二月も入れたかったのですが、銀行の方の貸出残高実績が十二月まで、一番新しいデータになりますので、一応そこで切らせていただいております。そうすると、明らかに、都銀に係る特別保証承諾はこの三カ月間で二兆四千七百十四億円、信金の方については三兆五千五百八十七億円、それだけこの特別保証は非常に大きな役割を果たしていたというふうに思うわけです。全体で十一兆三千三百億円ですから、二十兆の全体の枠からいたしますと五五%が十二月までに既に役割を果たしたということで、こういう点では貸し渋りに苦しむ中小企業に効果があった、役割を果たしたというふうに私は思っているわけです。  一方、上の線と下の線。上の線というのは信金の貸出残高の増減を示したものです。九月に比べて十二月にどうなったか。特別保証の効果もあって、信金の方はこの三カ月間で二兆八千三百八十七億円ふえている。ですから、特に町の中小業者の皆さんに非常に喜んでいただけるような、そういう効果を果たしたということがこれから読み取ることができると思うのです。一方、都銀の方ですが、これは逆に、五千五百九十九億円、つまり大体五千六百億円貸出残高が減っているのです。都銀の方も特別保証承諾の枠での融資はこれだけずっと進んでいるのに、逆に貸出残高が減っている。このことがこの表からはっきり読み取ることができると思います。  それで、信用金庫の方は、金額的に見ましても七十二兆八千四百五十六億円で、対前年比二・〇四%増というのが十二月の段階での実績で、特別保証開始前の九八年九月に比べても、今申し上げました二兆八千三百八十七億円ふえているのですが、都銀の方は、十二月、全体の貸出残高は百五十一兆九千六百五十四億円で、対前年比で見ても三・七九%落ち込んでいる。だから明確に、貸し渋り、あるいは資金回収、あるいはつけかえと目されるものが進んでいたということを読み取ることができると思うわけです。  まず中小企業庁の方に、皆さん方からいただいた資料でつくらせていただいたものですが、間違っていてはいけませんので、こういう実態にあるということだけ、そしてこういう状況をつかんでいらっしゃるということだけ、まず確認をしておきたいというふうに思います。
  111. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  金融安定化特別保証の実績につきまして、今先生が言われた、信金、都銀別の増分ですか、この数字については、私ども資料を差し上げているところでございます。  それから、貸し出しの増減がこの下の表にございますが、これについては私どものオリジナルな情報ではございませんが、先生が確認された資料だと思います。  それから、口頭でおっしゃられた、都銀の融資残が昨年十二月末で百五十一兆九千六百五十四億円という点についても我々は承知をしております。
  112. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、私、この表をつくっていて本当にこれは問題だなと思ったわけですが、都銀の方では特別保証枠を使った保証承諾の実績がうんとふえているのです。一方、中小企業向けの貸付残高は大きく減っているわけです。これは本来伸びないとおかしいわけなんです。  特別保証による貸付分を差し引くと、都銀では、さきの五千六百億円のマイナスと合わせて、差し引きすれば三兆円の貸付残高の減少ということになってくるわけです。これは、都道府県の信用保証協会の保証つき融資を活用して銀行の資金回収に利用した、こういうことになるのではないかと思うのですが、金融監督庁の方、これはどういうことなのでしょうか。
  113. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  今の特別保証の数字につきましてはそういうことであると承知しておりますけれども、金融機関全体の融資動向につきましては、これは御案内のように、最近のいろいろな状況を反映いたしまして、対前年同期比マイナスの要因が続いておるわけでございます。日本銀行の発表しましたものでも対前年同期比マイナス四%台というのが続いているわけでございますが、その中には不良債権の償却であるとか貸出債権の流動化であるとかそういう要因がございまして、そうした要因を除けば、昨日、日本銀行の発表でもマイナス一・四%前後で推移していたかと思います。  いずれにいたしましても、おっしゃいますようにマイナスという数字は事実ということでございまして、ただ、そうした中で、とりわけ中小企業に対する融資の問題につきまして、金融機関の融資態度が必要以上に萎縮をしまして健全な事業者の方々に対する融資が滞ることのないよう、私どもこれまであらゆる機会を通じて注意を喚起してきたところでございますし、年末には、小渕総理大臣自身が総理官邸に各金融機関のトップの方々を集められまして、そうした要請も行われたところでございます。  私ども、今後ともいろいろな機会を通じまして、今申し上げました趣旨が徹底されるように、必要な監視を行ってまいりたいというふうに考えております。
  114. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、中小企業向け貸出残高の推移を、都銀それから信託、地銀、第二地銀などすべてについても調べてみると、昨年の九月に比べて、十二月末というのは信託も地銀も第二地銀も全部伸びているのです。保証承諾ももちろん伸びて、効果が出ているのですよ。ところが、都銀だけは逆なのです。非常に大きな保証承諾を受けながら、しかし実際には貸出残高がうんと減っている。  ですから、ただ五千六百億ほどのマイナスだけの意味ではなくて、実は保証承諾をした分があるのですから、せめて信金並みで行けば、この線は信金に近い線を行って当たり前なんですよ、信金より若干低くても。それが落ち込んでいるわけですから、差し引きすれば大体三兆円逆に資金回収をしたと目されるわけです。  それで金融監督庁に伺っておきたいのですが、では、いろいろ調べられて、どの分がつけかえであったのか、どれは正常なものであったのか、きちっと調べられましたか。
  115. 乾文男

    ○乾政府委員 最初に申し上げて御理解を得たいと思いますのは、各金融機関の個々の取引につきましては私ども金融監督庁はその内容を指導とかという立場にはございませんけれども、先ほどから御議論になっております信用保証協会の特別保証制度につきましては、政府を挙げて取り組んでおります重要な政策課題でありますことから、民間金融機関のこの問題について、今おっしゃいましたように、いわゆるつけかえあるいは旧債振りかえということをおっしゃっているのだろうと思いますけれども、この旧債振りかえの問題につきまして、何度も御答弁申し上げておりますけれども、これは原則としては認められておらないものである。  ただ、金利等借り入れ条件のよいものへの切りかえが行われるとか、返済期間が延長になる場合など、中小企業者にとって経営上有利になる場合に限って認められるものでありますよということを、先ほども申し上げましたような機会を通じまして厳格に指導、監視を行っているところでございまして、そうした観点からの指導を今後とも行ってまいりたいというふうに考えております。
  116. 吉井英勝

    ○吉井委員 低利への借りかえの場合であれば、これは正常なものということでしてきたわけです。旧債の振りかえ、いわゆるつけかえについては、これは違反だ、違法なものだということで指導してこられたはずなんですね。  実はそのことを非常に私も懸念しておりまして、それは通産大臣も非常に懸念しておられたことで、昨年九月の商工委員会会議録にも出ておりますが、私がそのことを質問しますと、これに対して与謝野通産大臣は、今回の保証枠の拡大は新規の融資枠なんだ、銀行が自分のリスクを保証協会につけかえるというのはこの制度の趣旨に反するという答弁もされました。これは大臣も私もよく覚えているところであります。  十月にこの委員会に出席した金融監督庁の乾部長は、中小企業向けの融資の増加に効果あるものと期待を語っておられました。しかし現実には、二兆四千七百十四億円の特別枠を使って、五千六百億円も貸し出しを減らしている、実質的には三兆円の貸出残高の減少、こういうことになっておりますから、信金その他と比べてみて、この乖離は余りにもひど過ぎると私は思うのです。  それで、金融監督庁として、この銀行の特別保証を利用したつけかえについて調査をされたはずなんです。どの銀行がどんなことをやっていたのか、その調査された内容をここでお聞かせいただきたいというふうに思います。
  117. 乾文男

    ○乾政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、個々の金融機関についての問題はお答えを差し控えたいと思いますけれども、旧債振りかえ、中小企業者に有利な場合に限って認められるということでございますけれども、その旧債振りかえの事例について、これまで三度にわたりまして、主要行、地銀、第二地銀及び信用金庫に対しまして、私どもの持っております権限でございます銀行法第二十四条に基づきまして実態を調査し、報告をするよう求めたところでございます。  これによりますと、昨年十—十二月、ちょうど制度が始まりましてからの三カ月間で、今申しました四業態合わせまして、合計三千九百三十五億円の旧債振りかえの事例があったとの報告を受けております。ただ、先ほど申しましたように、この旧債振りかえというのは、有利になる場合であって、保証協会の承諾を得た場合には認められているものでございまして、この数字が直ちに問題とするものではないというふうに考えております。  そこで、この三千九百三十五億円の中に信用保証協会の承諾なしに行われたものはどれぐらいあったのかということを同時に調査いたしまして、その中に事前の承諾がなかったものが五十二億円余り含まれているわけでございますけれども、その内容を個々に聞いてみましたところ、そのほとんどは債務者の要請に基づいて旧債の返済に充てたと。すなわち、事前の承諾は得られておらないのですけれども、保証協会の保証を得て融資を受けた、それで実際に例えば設備投資でございますとかそういうものをしようと思っていたところ、その設備投資の資金需要が出る前に、既に借りていた金融機関の方の融資のデューといいますか、満期が一カ月後かなんかに到来したということで、そちらの方の返済に充てたということでございます。  金融機関の方は、国会の御議論、これは十二月ごろから非常にいろいろ御指摘をいただいておりますし、私どもも先ほど申しましたように厳しい指導を行っておりますので、それは結果的に、事後的に返済を受けた、すなわち振りかえを受けたということになるから困りますということを申し上げるのですけれども、ただ、中小企業者の方から、これはやはり返さないと困るということを言われれば受け取らざるを得ない、そういう事情があるものでございますとか、あるいは返済口座に……(吉井委員「余り事細かにはいいです」と呼ぶ)そうですか。  そういうふうなことをいろいろ私ども調べてみまして、結果的に五十二億円ありましたけれども、そのほとんどは中小企業者のいわば要請に基づくものであった、事後的な要請に基づくものであったということが調査した結果でございます。
  118. 吉井英勝

    ○吉井委員 三千九百億余りとか、あるいは今おっしゃった五十二億とか、その細かい話よりも、一番大事なところは、さっき御紹介いたしましたように五千六百億円実際にマイナスになっている、しかし実は保証承諾は二兆四千七百十四億円なんですね。そんな三千九百億だなんだというふうな小さい話じゃないのです。信金なんかはどんどん伸びているわけですから。明らかにこれは、資金回収なりあるいは振りかえなりに充てていたということは、もう十分目されるものなんですよ。  私はそれに対して、今何か名前を挙げるのをためらっていらっしゃるようだけれども、例えば地銀の方でいったら、横浜銀行なんか処分したんでしょう。それから、我が党の佐々木憲昭議員がこれはせんだって取り上げておりますが、さくら銀行とか第一勧業銀行などについての内部文書。これはもう千載一遇のチャンスだ、しっかりつけかえをやるように、そういうことを内部文書で出していたこともちゃんと示しているわけですから。  これだけひどい乖離があるのですから、もっと徹底して調査をして、本来二十兆の枠を考えたときと全然違う方向へ走っていることについては、金融監督庁はもっと厳しく調査もし、実態を公表もし、指導もしなきゃならぬと私は思うのですよ。この点では最後に、さくら銀行、第一勧銀などの内部文書を既にお示ししてありますが、その調査をされた内容について報告を、簡潔で結構ですから、聞いておきたいと思います。
  119. 乾文男

    ○乾政府委員 まず、前段でおっしゃいましたこの特別保証と融資との関係につきましては、先ほども申し上げましたけれども融資の中には、債権の流動化であるとかそういうものでもって、貸出額は減ってはいないけれども銀行のバランスシートから落ちているもの等がございますので、そこは一概には言えないのではないか、ただ、最初に申しましたように、銀行全体としてマイナスで推移していることは否定できないというふうにお答えしたところでございます。  今、後段でお尋ねになりました、先般の衆議院予算委員会で佐々木議員から御指摘のありました三つの金融機関につきまして、これは御指摘の以前から、先ほど来お答えしておりますように、旧債振りかえ等の、あるいは特別保証の趣旨等について間違った認識を持ってやっているような場合については、私どもも実態調査を行って、必要な処分を行うこともあるということをお答えしているわけでございます。  今御指摘がありました三行について見ますと、第一勧業銀行につきましては、信用保証協会の保証つきの融資に関しまして、それから東海銀行につきましては、債権の保全、回収に関しまして、それぞれ不適切な表現を含む文書を支店に通知していた事実が確認されましたために、両行に対しまして、銀行法第二十六条第一項に基づきます業務改善命令を発出しているところでございます。  それからさくら銀行につきましては、信用保証協会融資について不適切な表現であるのではないかとの観点から精査をいたしましたけれども、当該さくら銀行の文書については、行政処分の対象として改善を求めるべきものであるとの判断には至らなかったところでございます。
  120. 吉井英勝

    ○吉井委員 さくら銀行のその扱いについては、私は非常に、まだ調査不十分である、その処置というのは決して適切なものではないというふうに思います。  いずれにしても、大臣、やはりお聞きいただきましたように、せっかく二十兆の枠を設けて貸し渋り対策をやろうというときに、大臣も言っておられた方向と残念ながら随分乖離した実態が出ているのが現実の姿です。こういう点については、やはり内閣として、こういうつけかえなどを進めてきている銀行に対して徹底して調査もし、そして問題のあるところについては名前も実態も公表して、あるいは資本注入などについてそれを中止するということなども含めて、こういうあり方については本当に断固とした態度で臨む、こういうことをやらせない厳しい態度で臨むということが今私は政府の方としても求められていると思うのです。  この点については、大臣の見解というものを伺っておきたいと思います。
  121. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 特別枠は、制度の趣旨どおり、中小企業に対する資金を供給するという本来の目的があったわけでございますから、関係者がその本来の趣旨に沿って制度を運用していくということは当然のことだろうと思っております。  そこで、都市銀行、信金、信組の例を挙げられましたが、実際は、もともと中小企業の金融というのは、特に零細企業に関しましては信金、信組が担っていたわけでございますが、バブルの時代、過剰流動性が発しましたときに、むしろ都銀の方が信金、信組の分野にどんどん進出をしていったと申しますか、分野に侵略をしていったと言った方が正しいんでしょう。  私の経験からいえば、中小企業、零細企業に対する審査能力というのは、都市銀行よりも、地元とか地域社会をよく知っている信金、信組の方がはるかに審査能力が高いという実情がありまして、実は信金、信組が伸びているというのは、先生観点から見ますとけしからぬことでございますけれども、本来の信金、信組と中小企業関係からすれば、あの時代のことを乗り越えて、やはり審査能力のある、また地域社会に対して本当に骨身を惜しまない信金、信組の立場が強くなってきているというのは好ましいという側面もあるのだろうと私は思っております。  それからもう一つは、保証枠の悪用に対して断固たる態度をとれと、これは仰せのとおりでございますが、これは金融監督庁がやっております業務改善命令もそうでございますし、私どもは、専ら旧債の振りかえのために保証枠を利用したというような場合には代位弁済はしないということも言っております。  ただ、どんなに厳しく物事を言っても、ふらちなことが起きるというのは残念なことでございますが、そういう少ないケースも起こらないように、私どもの地方通産局も保証協会も十分物事をウオッチして今後ともまいりたいと思いますし、また金融監督庁もこの件に関しては真剣にやってくださっておりますので、制度全体を今後も円滑に運用してまいりたいと思っております。  それから、懲罰的にいろいろなことをしたらどうかということでございますが、これは銀行法を初めとしていろいろな関連法規に照らして、それ相当のことをするということが正しいことではないかと思っております。
  122. 吉井英勝

    ○吉井委員 信金、信組の経営基盤をバブルの時代に脅かしたという点、それは大臣と私、認識は同じです。ですから、地域金融機関として役割を果たすことは大事ですから、そこをけしからぬなんというようなことを思っているわけじゃないんです。そこは当然のことなんです。しかし、都銀の方のやり方がこれは余りにもひどい、そのことを言っているわけです。  さて、特別保証の二十兆と政府系金融機関の融資拡大で、合わせて四十兆の枠を準備してやってきたわけですが、国民金融公庫の貸付実績の方は、普通貸し付けで、十月から十二月で一兆二千百四十一億円、対前年比で見れば大体一一〇%ぐらいというところで、特別保証の実績に比べてうんと低い。対前年比で見ても、一月では八五・一%、二月は七八・九%と貸付金額は大幅に減っているわけです。  まず最初に、こういう事実を確認しておきたいのと、国金がなぜこういうふうに低くなっているのか、これを伺っておきたいと思います。
  123. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 それでは、先生の今の御質問お答えさせていただきます。  私ども平成九年の秋からいわゆる貸し渋りの経済対策をやってまいりまして、当初、対前年で二五%、それから平成十年度も、この二月まで通算しますと約一〇%増の貸し付けの実績になっておるわけでございますけれども、昨年の秋、十月から金融安定化特別保証制度が発足しましてから、私ども窓口におけるお客さんの相談状況がさま変わりしてきたというような状況にございます。  そういった点で、今御指摘になりました特にこの一月、二月の実績については先生のおっしゃるとおりでございますけれども、その数字は、昨年、平成十年の一月、二月が対前年の三五%増という大変高い水準であったということでございまして、この一月、二月の実績も、平成八年度、七年度と比べれば約一〇%増、こんな資金需要の実態になっておるわけでございます。
  124. 吉井英勝

    ○吉井委員 実はそれは昨年の一月の予算委員会で私はやりまして、ずっと経済対策で大きな枠取りはしておっても、実態としては伸びていなかった。全体として伸びていないんですよ。その議論は既に昨年もしているわけです。ですから、昨年、何か十二月ごろになって突然膨らんだとか、そういうことだけで今の理由は成り立つものじゃありません。  それで、私はなぜこうなっているのかというのをいろいろ検討してみたんですが、これは国金の方ではお手元にもお持ちだろうし、よく御存じのところなので、もしなければここにありますから、委員長の了解を得て見ていただいても結構なんですが、年末資金需要にこたえるとして「貸付に関する支店長権限の特例について」という文書を出しておりましたが、担保に関する権限の特例という中で、借り入れ申し込み企業が次のすべてに該当する場合には二千万円を超えない範囲内において貸し付けを決定できるとした上で、ア、決算における税引き前当期純利益が最近二期連続して黒字、イ、最近の決算時における自己資本の額が黒字、ウ、不動産等の余力がある、これは非常に厳しいポジティブリストの三条件を課しているんですね。  特別保証がネガティブリストにして迅速で借りやすくしたのに対して、国金は逆にハードルを高くして実質的に特別保証つきの民間金融へシフトさせていく、これで貸付実績を悪くしてしまっていたというのが実態じゃありませんか。  もしその文書を全然記憶にないとおっしゃるのだったら、委員長の御了解を得て見ていただいても結構なんですが、それはよく頭に入っていらっしゃる文書だからいいと思うんですが、どうなんですか。
  125. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 お答えいたします。  先生の今お読みになった文書については、承知をいたしております。  経済対策が実施されまして、中小企業の方々の資金需要に迅速にこたえるということで、そういった従来の本店での決定というような事項につきまして、支店で独自に支店長の権限でやってもらうということにいたしたわけでございますけれども、現下の中小企業の実情をよく見てみますと、やはりこれは本店である程度同じような判断基準でもって決定をしていきたい、こういったことでございまして、お客さんの迅速な処理という点についてそういった特別な措置をとったということで、御理解をいただきたいと思います。
  126. 吉井英勝

    ○吉井委員 もともとの趣旨は、貸し渋り対策も進めれば、今本当に融資に苦しんでいる中小企業の皆さん方をどんどん救済していこうということで話が始まっている。全体として四十兆の枠も考えた。しかし、今のお話で既に認められたように、結局、非常に厳しいポジティブリストを三条件つけて、特別保証の方はネガティブリストで迅速、借りやすくということをしているのですよ。まるであべこべの方へやっているのです。これではうまくいかないのは当たり前だというふうに思うのです。  私は、こういうポジティブリストというのを外して、そして本当に中小業者の皆さんの期待にこたえる方向というものを目指すべきだと思うのですが、これを一点、一言で結構ですから、ポジティブリストからネガティブリストの方向へというのは、転換を図っていかれますね。
  127. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 お答えさせていただきます。  私ども融資につきましては、もう私がここで申し上げるまでもなく、いわゆる国の財投資金を公庫でもって借り受けいたしまして、それで資金の必要な中小企業の方々に御融資しているわけでございます。  私の立場から言うのもおかしゅうございますけれども、昨年秋からの安定化特別保証制度につきましては、裏づけの財政措置といいますか、そういったものもやや違ってございますし、私どもとしては、できるだけ支店が迅速に判断しやすいというようなことを考えて、そういった一定の線を示して、それで迅速な処理を進めておるわけでございます。御理解をよろしくお願いいたします。
  128. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、今のお話というのは、向かっている方向が全然違うと思いますね。だからこそ今、実績は落ちてきているのですよ。国民金融公庫法第一条の目的どおりに進めていくというのがやはり大原則だと思います。私は、そういう方向へ転換するべきだ、そのことを強く申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。  監督庁の方と国金の方はもう結構です。  今度は、繊維法を廃止して、繊維法に基づく構造改善事業経営革新事業経営基盤強化事業に引き継ぐとしているわけですが、しかし、繊維産業の分野はそれだけでいいのかという根源的、抜本的対策が今必要だと思います。  全国の産地の転廃業等企業数というのを中小企業庁「全国の産地」という九八年四月に出されたので見ますと、繊維が七〇・五%、衣服等が八・一%を占めておりまして、全国の産地の転廃業の八割を占めているのが繊維にかかわる分野だ。だから、本当に深刻だということは、中小企業庁のデータなどでもはっきり示されているわけです。  私は、せんだっても合繊の産地の石川県をお訪ねいたしました。コンピューターを導入して、ロボット化し、新鋭機械を入れて、極めて高い生産性を誇る設備を備えて、織機にかける前工程を処理している工場も見てきました。しかし、ウオータージェット織機は約百七十台のうち半分以上が停止したままで、従業員の多くの人に草むしりをしておいてもらわないと仕事がないと言っている現状でした。  エアジェット織機を入れると品質のよいものができるのですが、動力費、電気代が、あそこは目の前に志賀原発があるのですが、大都会と一緒ですから高過ぎる、そのために投資もできない、投資しても今の不況では売り上げも伸びないから大変なんだということもお聞きしました。  それから、繊維の産地では、合繊であれ絹であれ、西陣であれ大島つむぎであれ、一昨年四月の消費税五%増税以来、深刻な消費不況と、もう一つは海外の輸入の急増によって、二重の困難に直面している。これが現実なんだということを、どの地域へ行っても、これは石川だけじゃありません、京都へ行っても鹿児島へ行ってもお聞きしました。  また、石川の鹿島町の零細業者の方にも集まってもらって伺ったのですが、最高時には三十八軒あった機屋さんが、輸入の急増以来今では五軒だけになった、よほど財産があるか特殊な技能を持った者だけしか残れない。石川県織物工業協同組合の専務にお会いすると、会員企業は、ピーク時の約千七百社が今では約百社に激減しているんだと嘆いておられました。  石川県の繊維協会、石川県織物構造改善工業組合などの専務や事務局長と会って伺うと、繊維産地活性化基金も活用して、自助努力自己責任で頑張るんだが、新製品開発などに取り組んでいる間にも倒産となるようではいけないから、輸入規制、セーフガードを発動してほしいという期待もお聞きしました。  WTO協定の後、アメリカでは二十七件の発動という状況になっていますが、日本の政府は、繊維に関してセーフガードは発動しない、そういう立場に立っていらっしゃるのですか。
  129. 佐野忠克

    ○佐野政府委員 お答え申し上げます。  繊維のセーフガードにつきましては、WTOにおけるセーフガード協定に基づきまして、国内規則についての整備を進めてまいりました。若干歴史的ではございますが、平成六年五月の繊維産業審議会の通商問題小委員会の報告を踏まえ、全体のガイドラインなどを整備いたしました。そういうようなことをいたしまして、セーフガードにつきましては、これらの国内規則に基づきまして、平成七年の四月、それから平成八年の八月の二回、中国等からの綿織物についてでございますが、調査開始をした実績を有しております。  また、昨年これら国内規則につきまして輸出入取引審議会から、今申し上げました二回の調査経験等にかんがみまして、改善のための所要の措置を講ずることが適当だという御答申をいただきまして、本年一月十八日付で、調査期間の短縮、それから業界の調査負担の適正化等を内容といたしまして、関連国内規則の改正を行ったところでございます。  このように、繊維セーフガードの発動要請があった場合には、引き続き、この新たに改正をした国内規則に従いまして判断をしてまいりたいと思っているところでございます。  なおもう一点、申しわけございません。繊維製品全体の輸入量につきましては、平成十年の数字を見るところによりますと、数量ベースで対前年比約一割減少しているところでございまして、今は平成六年度とほぼ同等の水準にあるかと存じ上げております。
  130. 吉井英勝

    ○吉井委員 それは、全体が消費不況ですから、今の数字だけを言ったって余り意味がないと思うのです。  私は、時間が大分迫ってまいりましたので最後に、例えば大島つむぎの会館で専務らと懇談したときに、生産額は九五年には九〇年比で二四%に落ち込んだ、消費不況でそこから激減なんだ、せめて観光客の集まるところに、工程を見てもらったり製品を展示したり即売もする常設の展示館なり伝統工芸館などが欲しいというお話もありましたが、それは何も大島つむぎだけじゃなくて、各地の繊維産業のところでそういうことを聞いております。  一方、自動車の貿易摩擦解消のためには、政府は、フォードなど外車の常設展示場を九五年以来総額三百七十八億円かけて、東京、名古屋、大阪の三カ所で、一カ所平均百二十六億円もかけてつくってやりました。内需拡大を言うならば、アメリカの自動車企業のためじゃなくて、西陣や友禅や大島つむぎや、あるいはスカーフであるとか、そういう伝統産業や地場産業の振興のために実演展示即売場を常設で開く、そういう取り組みを政府として行うなり、地方自治体の取り組みを積極的に支援する。私は、今回の取り組みの中で政府にそういう熱意が、これだけ厳しい状況に置かれておりますから、セーフガードの発動と、常設展示など具体的な対応を進めるということが今非常に求められていると思うのです。  私は、この点で最後に与謝野通産大臣の、こういう繊維産業を初めとする中小企業が本当に今元気に生き抜いていけるように、あるいは新しい製品開発を進められるように、販路を開くことができるように取り組んでいく決意というものを伺っておきたいと思うんです。
  131. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生指摘のように、繊維産業というのは我々が考えているよりもはるかに雇用も吸収して、雇用の場を提供しておりますから、また伝統的な側面もございますから、繊維産業を大切にしていくというのは当然通産省政策の大事な柱の一つでございます。  そこで、今ございました、経営革新に取り組む中小企業にとって販路の開拓というのは大変重要であるというふうに考えております。このため、この支援法においても、展示場へ出品するための試作品開発等の販路開拓支援をする、こういう内容となっております。国内産品の常設展示場の整備については、地場産業振興センターを初めとした地場産業のための中核施設の整備の一環として、国の補助事業及び中小企業事業団高度化無利子融資により支援を行ってきており、今後ともこのような施設整備支援を続けていくこととしております。  これらの展示場が中小企業販路開拓経営革新に寄与するということを期待しながら、政策を進めてまいりたいと考えております。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  133. 古賀正浩

  134. 前島秀行

    前島委員 二十分ですので、端的に質問をさせていただきたいと思います。  今回の経営革新支援法、いわゆるやる気のある積極的な中小企業の皆さんには思い切った対応をという趣旨での新法の成立について、私たちは基本的に賛成するものでありますけれども、ただ、今回の革新支援法の出てきた背景というのは、戦後やってきた中小企業への基本的な支援策の大きな方向転換といいましょうか、基本的な改革といっていいんでしょうか、大転換というものが背景にあるんだろう、こういうふうに思っています。  といいますのは、私は、戦後からずっと続けてきた、とりわけ三十年代以降の中小企業対策の柱というのは、いわゆる共同化、協業化というものが大きな柱であっただろう、こういうふうに思います。今回は、個別の中小企業、積極的にやろうとするところは積極的に対応しようではないか、そのことはいいのでありますが、今まで協業化で進めてきた全体の組合とか組織との兼ね合いは一体どうなるんだろうか、あるいは、片っ方で中小企業を積極的に市場指向という形の中で支援していくのはいいんですけれども、必ずそこには大きな課題というものが出てくることは間違いないだろう、こういうことも片方で心配をするわけであります。  そういう面で、今まで進めてきた協同組合あるいは協業組合というのは、今度の新法とこれからの中小企業対策の中でどう位置づけていこうとするのかというところを、ひとつ大臣に基本的に伺ってみたい。  いわゆる、今までやってきた中小企業対策の柱である協同組合の協業理念といいましょうか、協業思想というものは基本的に今後も貫いていくんだ、そういう認識前提にして今回の革新支援法も組み立てられているんだ、こういうふうに認識をしていいだろうか。この点について、基本的な考え方を、位置づけをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  135. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 中小企業経営革新支援法経営革新計画においては、個別の中小企業企業グループのみならず、組合組合員とともに計画作成の主体となり、組合員とともに経営革新のための事業に取り組んでいくという重要な役割を担うことが期待されます。  また、経営基盤強化計画において、競争条件の激変等といった経済環境変化により業況が悪化している業種に係る商工組合など、全国規模の団体が計画作成主体となっており、商工組合等が中心的な役割を果たしつつ事業を実施していくことが期待されております。
  136. 前島秀行

    前島委員 私はやはり、片っ方で近促法近代化促進法の廃止という問題があるわけでありまして、今ある四十七の指定業種、四十五の特定業種、そして今まで、今日も三十六万余の中小企業がこの近代化促進法対象になってきた。それが一つの組織として、組合として対応してきた。その中から、今度は個別企業政府が認定をして、悪く言えばある意味で引っ張り出して成長させていく、あるいは支援していくということ。  この方法と、協同組合、協業化という形で大企業その他といろいろな形でもって対応してきた今までの中小企業対策の柱というものは、やはり基本的に大きく変わるだろうな、こういうことだろうと思いますね。そこに混乱がないのか、あるいは認定されなかったとかそういう形の中でおくれていく企業の、言葉は悪いですけれども落ちこぼれという表現をしていいかどうかわかりませんけれども、という問題が出てくるのではないだろうか。  片っ方で中小企業の現実を見ると、やはり協同組合、協業化の必要というのも私はあるのではないだろうかというふうに思います。その一つの例が、この近代化促進法の中で一番その対応をしてきた生コンの業界の中に見ることができるような気がしてならないわけです。  いわゆる生コンなんかは、建設業、土建業と直結をする。建設、土建業界の状況に左右される側面と、同時にまた、この生コンという仕事の中身がいわゆる機械だとか何かの目に見えない部分というものがありますので、この業界に値崩れだとか過当競争が起こってきますと、いわゆる欠陥商品だとか粗悪品という形でもって社会的な問題が起こってくる。だから、そこに一つの協同組合、協業化を組織することによって、価格カルテルというようなものを容認する中で成長させてきたり安定させてきたり、あるいは社会的な任務を持ってきた、こういうことがあると思うんですね。  その工業化、協業化、そして生コンの中における価格カルテルの存在というものと、これからのこの支援法に基づく個別企業対象にしていくというものとの間にどういう現象が今後起こってくるだろうかということを、私は、心配すべき、あるいは大いにこれから考えていかなくちゃいかぬ、配慮すべき事態ではないだろうか、こういうふうに思っているわけです。  そこで、今までやってきたこの生コン業界なんかに代表されるいわゆる価格カルテル的なものの必要性というものは、この新法の存在があっても引き続き認めていく、位置づけていく、こういうふうに認識をしていいだろうか、こういう点でございますが、その辺はどうでございましょうか。
  137. 近藤隆彦

    ○近藤(隆)政府委員 生コンの例でございますので、生コンに関しまして今後の経営革新方向等も踏まえてお答えしたいわけでございますけれども先生指摘のとおり、生コンにつきましては、三百もある協同組合のほとんどで共同販売事業という格好で、要するに一括しまして契約を結んで、それを傘下の組合員に対しまして分けて、そして、販売はまた一括して販売するという格好でやっておるわけでございます。  生コンという大変差別化が少ない商品であるとか、相手が強いということもあって、大変これが重要だったわけでございますけれども、今後とも生コンの場合はこのような協同組合中心とした共同事業といったものが経営革新を考える場合に中心的なものというふうに考えておりますので、経営革新法で振興する場合にも、生コンの場合につきますとこういった方式が大変重要であるというふうに考えております。
  138. 前島秀行

    前島委員 そうすると、生コンのような業界における個別企業支援ということと、協同組合の組織形態の維持というものとが、微妙になってくることが心配されるわけなんですね。  そのときに、協同組合の存在、あるいは、生コンの業界の中にもさまざまな企業としての強弱というのもありますし、率直に言ってセメント業界との系列の問題もあるわけでありまして、その支援法はいいのであります、個別に積極的な企業支援することはいいのでありますが、そのことが業界全体の仕組みという形の中で崩れていって、それが過当競争を生んでさまざまな問題を起こしてくるということも心配になる。  その片一方で、個別の企業を成長させていくということはいいのですけれども、その他の生コン業界のような組合を、なおかつその組織あるいは経営を有効あらしめる、あるいはその意義を維持していくためには、言葉はあれですけれども、価格協定的なものを前提としてやっていく一定の仕組みというものが引き続き存在しないと、先ほど言ったような、値崩れから始まって過当競争に走ってという問題が起こってくるわけですね。  したがって、片一方でそういう価格協定的なものの存在は引き続き認めていく、容認していく、そういうことに通ずる協同組合というものは存在をさせていくというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  139. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  今回の中小企業経営革新支援法案につきましては、既に先生も御理解をいただいていますように、従来の組合中心にした全国的、業種別振興策に対して、こういった現下の経済環境あるいは中小企業に対する経営課題からしまして、個別事業とか個別事業者とか、あるいは任意のグループのような非常に柔軟な対応課題対応していく道も開いていこうという考え方に基づいて、法律制定させていただいておるわけでございます。  先ほど大臣の方からも、個別事業者、任意グループとは別に、経営革新計画あるいは経営基盤強化計画において、組合組織化策のまさに有益に活用される分野があるのであるという御説明を申し上げたところでありまして、私、具体的に生コン業界自身について業種を所管しておりませんので、この経営革新計画の使用の仕方、経営基盤強化策、強化計画の実際の適用の仕方については定見は持っておりませんけれども、生コン業界に仮に観念論が許されるとしますと、単に価格の問題だけではなくて、生コンの提供についての新しいサービスの方式というものは考えられるのか、あるいは新製品的なものが考えられるのか。そういった場合には、そういった個別の中小企業者なりあるいはグループの中小企業者創意工夫、活力というのも、それは日本経済全体の位置づけからしますと有益なものになるのではないかという気がいたします。  いずれにしても、生コン業界の業界実態に即した答弁につきましては、あえて差し控えさせていただきたいと思います。
  140. 前島秀行

    前島委員 個別の業界はいわば私が一つの例として生コンを挙げたのでありますけれども、そうすると、これからの中小企業、この近代化促進法というものも廃案になっているけれども、今度の革新支援法のもとで、いわゆる共同化あるいは協業化の促進とか、その組合の育成というものは従来どおり中小企業対策の柱として存続をさせるんだ、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  141. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 日本に六百五十万の事業所、これは、零細のものから中堅のものまで含めまして多種多様な中小企業の方がおられます。先生が言われるような共同化、協業化という考え方というのは、中小企業対策として重要な方策の一つであると我々考えております。  ただ、それ一つだけで律していくことではなくて、いろいろな能力、創意工夫が発揮できるような、そういった形態の対策というのも用意をしていくべきであろうということで、本法案を提案させていただいております。
  142. 前島秀行

    前島委員 私は、この革新支援法の出てきた前提の審議会の答申、従来からの中小企業組合中心とした組織的な今までの対策指導を根本的に見直すんだというところから出発をしてこの革新支援法が出てきたという点、そして近代化促進法が廃止になっているという点から、やはり大きな転換であることは間違いないだろうし、また引き続きこの共同化、協業化ということは中小企業対策として必要だ、こういうふうに思っているところでありまして、ぜひ引き続き大きな中小企業対策の柱としてこの共同化、協業化の促進あるいは育成、こういう方針は重要な対策としてやっていただきたい。この点は強くお願いをしておきたいと思います。  それから、今度の経営支援法の具体的な運営を考えたときに、やはり午前中からの議論で出ていましたように、私は、今置かれている金融の引き締め、貸し渋りという状況の中でこの法案が有効に対応していくためには、やはりその辺の柔軟な対応ということがすごく求められてくるだろうなというふうに思います。  そういう面で、一つは、運営に当たって、この金融貸し渋りに直接いろいろな形で苦慮をしておる中小企業が、この支援法に基づいて積極的に対応していっても、その辺のところが大きくぶつかる壁ではないだろうかなとこういうふうに思っていますので、そういう面の対応と、それからやはり迅速な対応ということをぜひ求めたいと思います。  同時にまた、認定するわけですね。政府あるいは県の方で行政の方が中小企業を認定するわけでありまして、やはりその辺のところの協同組合内におけるさまざまな反応ということもありますし、あるいは、認定される業、企業というものがどういうふうな条件でされるかということもまたいろいろ問題になりますので、そういう面から見ると、柔軟な幅のある対応を求めなくちゃいかぬなということが一つあります。  同時に私は、この大きな基本的な転換、現下の中小企業を取り巻く状況から見ると、相当な問題点が運営していく中で出てくるんではないだろうかな。そうすると、新しい方向で、この支援法でいくと、必ず何か問題点をフォローアップしてもらいたいなというのがあるわけであります。大きな方針転換であることは間違いないと思いますので、この法案、新しい革新支援法に基づいてやっていく場合、さまざまな問題が出てくるだろうと思いますので、それをモニタリング制度なんかをやってフォローアップしていくということが絶対に必要ではないだろうかというふうに思います。  そして、必要があるのなら、一定の期間いったら見直してみるぐらいの積極的な対応がないと、今までやってきた協同組合、協業化中心中小企業対策から、今度の革新支援法に基づく個別企業中心にした対策というところに必ず問題点があるような気がしますので、その辺の運営の迅速な対応と、余裕のあるといいましょうか幅広い対応ということと、それからモニタリングを中心としたようなフォローアップと、また一定の期間が来たら見直すぐらいの積極的な対応をやっていくことが今後の状況に必要ではないか。  こういうふうに私は思いますので、その辺の注文をお願いし、それに対するお答えを聞いて私の質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  143. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えいたします。  御指摘をいただきました制度の迅速な運用あるいは弾力的な運用という点につきましては、私どもとして意を用いていきたいと思っております。また、モニタリングを経て、ある一定時期にはきちんとしたフォローアップレビューをすべきであるという議論につきましても、私ども、その必要に応じ、不断にそういった見直しについては考えていきたいと思っております。  一例で申し上げますと、この法案近代化審議会で御審議をいただきまして、その審議の過程、中間段階ではパブリックコメントというような制度も、本邦初とは言えませんが、本邦二番手ぐらいで実際にやらせていただいております。そういった趣旨というか心がけで今後もやっていきたいと思っております。
  144. 前島秀行

    前島委員 終わります。
  145. 古賀正浩

  146. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 自由党の西川です。与党として質問いたすわけでありますから、議事進行に意を配しつつ、運営を円滑ならしめるように御協力を申し上げながら質問をいたします。  私どもがかつて若いころ、中小企業論というものを勉強したころには、いわゆる二重構造をどうするかということがすべての問題であったと言っても言い過ぎでなかったわけであります。中小企業は景気の悪いときに大企業の減収をショックアブソーバー的に吸収する、そういう機能を持っているなどということが言われた時代がありました。しかし、私は今でもそのことは変わっていないと率直に思っておりまして、だからこそ中小企業問題を各方面から改善していく、そういう政策が必要なんだと思っております。今回提出されたこの法案もその観点から、個別企業が力をつけていく以外にも、また業界の団体等についても援助をしていこう、こういう法律案であることを高く評価したいと思うわけであります。  もう一つつけ加えなければならない視点は、いわゆる生活の多様化、それに対応する産業の多様化によって、中小企業でも新しい分野でいわゆる創造的な事業を起こし、それが中堅、大企業に育っていく、そういう道筋がかなり開けてきた。また同時に、それを大いに育てていかなきゃならない、これが日本の新しい時代経済再生のかなめにならなきゃいけないということはお互い承知をしている上で、この法律案を審議しているんだろうというふうに思います。  そこで、最初は率直に言って孤立無援でありましたけれども、私どもが提案をしたいわゆる信用保証協会や保険公庫の仕組みを使っての融資制度については、通産大臣が非常にこれを御理解いただき、ほぼ同時にこのことについての研究に着手し、そして本委員会委員長提案の形をとって、全党でこれを決定いたしました。けさ、NHKの藤田キャスターの報ずるニュース、先ほど民主党の大畠理事の御質問の際にも引用されましたが、このたびの一連の政府の景気回復策の中で白眉筆頭の施策がこれである、こういうふうに天下に称賛をされたわけでありまして、多くの経営者が実際これで助かったといって、我々もよく礼を言われます。  卑近なことで恐縮でございますが、私の選挙区の二つの区では、合わせて一千七百億円の融資が実施されたわけでございまして、大体千件ぐらいの会社がこれで裨益を受けたという報告があります。そして、倒産との因果関係を整理いたしますと、大体十二月に、ピークであった倒産が、全国で一千百のオーダーでありました。一番ひどい状態のときで千七百件ほどあるものが千百件だった。我が地元においては十二月の倒産が、私の地元区である荒川区ではゼロでありました。墨田区ではたったの四件でありました。こういうことを考えますと、私は、よい政策を実施し、それを決定する商工委員会に籍を置かせていただいたことは大変名誉なことだと思っております。  しかし、同時に、これは何度も通産大臣にも直訴しておりますが、返す段階になってまたいろいろな問題が出てくる。これについてはさきの商工委員会でお尋ねをし、分科会でもお尋ねをしましたから、きょうは時間の関係でそのときと同じ気持ちであるということだけを大臣にひとつ申し上げて、早速質問に入りたいと思います。  まず、二重構造を変えていこう、中小企業経営体質を変えていこうとする場合の一番の問題は、日本の中小企業の資金調達能力のうち直接金融の能力が著しく低いことではないかと私は思うんです。これを強化せずしてびほう策をとったとしても、本質的な中小企業を育てるという政策目的にはかなわないんじゃないかと思っているわけですが、この点について大臣の御所見を伺います。
  147. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 いわゆる金融ビッグバンの進展によりまして、これまでの間接金融主体の金融構造は今後大きく変わるというふうに考えられます。資金調達の大宗を間接金融に依存している中小企業にとりまして、社債の発行等直接金融による資金調達手段を検討していくことは大変重要なテーマであると認識をしております。  このために、政府としても、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に基づきまして、中小、ベンチャー企業が発行する社債をベンチャーキャピタルが引き受ける際、指定支援機関、いわゆるベンチャー財団による債務保証を通じた支援制度を設けているところであります。  さらに、中小、ベンチャー企業に対する担保不要のリスクマネーの供給を円滑にするため、投資家の有限責任と正確な情報入手の権利を法的に担保する中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律を昨年十一月より施行したところであります。これまでに既に六組合が登記されております。  また、前臨時国会において成立しました新事業創出促進法により、中小企業事業団業務として投資事業有限責任組合に対する出資業務を追加したところであり、この事業については中小企業総合事業団法において重要な業務として位置づけております。  通産省としては、今後とも中小企業の資金調達の円滑化が図られるようさらに努めてまいりたいと考えております。
  148. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ぜひ関連法案をどんどんこれからも整備して、例えば、これは通産省の範疇でないかもしれませんが、上場に至る、また店頭公開に至るまでの時日を短くするなど、そういう方途もぜひ講じていただきたい。同時に、中小企業側にも、いつまでも前垂れ商法のことであったり、それからいわゆる同族経営であったり、所有と経営の分離が行われないまま公的な分野に向かっていくということもこれは許されないことですから、体質の革新を願わなきゃいけない。そういう意味では、今回の経営革新の範疇の中にそういうようなものも将来的に検討を加えていただきたいということを注文しておきたいと思います。  ところで、今回の中小企業経営革新支援法の企画立案に当たってはパブリックコメントが行われた。このことは、いわゆる国民の行政や政治に参加する、または直接国民の声が立法過程に届く、企画立案過程、行政のそうしたポイントに届くという意味では評価をするのですが、実際にこの法案にはどういうふうに反映されたのか、お尋ねをいたします。
  149. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 中小企業経営革新支援法の企画立案に当たりましては、パブリックコメント制度の活用をさせていただいたわけでございます。具体的には、中小企業近代化審議会におきまして中間答申の内容が得られた段階で、通産省のホームページ、いわゆるインターネットを通じましてパブリックコメントを求めましたし、また、通産省の公報にも公開をしたわけでございます。  これに対しまして意見の募集を積極的に行った結果、数にいたしまして五十七件の意見が寄せられてまいりました。その内容について大別をさせていただきますと、一つは、業界ぐるみの近代化政策から個別の中小企業自助努力による経営革新支援という基本的な方向性について、賛同する内容のものがかなり多く寄せられました。また、技術や人材のソフト経営資源に対する支援が重要であるという御意見や、零細性の高い業種については引き続き組合による取り組みも支援すべきといった意見も寄せられてきております。  これらの意見を十分踏まえながら、本法案におきましては、組合による経営革新に対する取り組みも支援対象とするとともに、ソフト経営資源に対する支援措置も充実させる、そういう結果になっております。
  150. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 特に、新事業創出というのは突然水平思考のようにあらわれてくるものじゃなくて、従前の事業展開の中から生まれる場合が多いわけですから、いわゆる既存産業を大事にしながら、新産業との発展、連携、そういうものをぜひ確保するように努力してほしいということを申し上げておきたいと思います。  中小企業総合事業団法について一点だけ、これは意見を申し上げておきたいと思います。質問ではありません、意見を申し上げておきたいと思いますが、とかく、こういう合併のときには、単に箱を積み重ねるだけで事を終わらせようとする傾向があります。今度のことでも、理事の数を若干減らしたとかどうこうという説明がありましたけれども、ほとんど職員数は減っていない。ほかの分野でもそうです。ここだけじゃない、この委員会にかかわる問題だけじゃなくて。  そうすると、行政改革といいながら実際にはそれは残しておく理由は何かというと、新たな仕事を引き受ける都合があるなどというわけのわからないことを言っていますけれども、今民間は、一人でやれるところを、それこそ一人以下でやらなきゃぐらいの気持ちでやっているんですね。だからそういう意味ではぜひ、合併した以上、もっと強力な力を発揮して大いに目的を達成していただきたいというふうに私は思います。  最後の質問でありますけれども、実は、中小企業を取り巻くところの経営環境が厳しいことは、お互いさまよく承知をしています。そして、いろいろとその近代化のために通産省中心になって一連の法律案を提出して、着々とと言いたいけれども、まあいいでしょう、着々とと言っても、要するに改革に臨んでいる。  しかし、忘れてならないことがあります。それは、中小企業がなぜ日本でこういう形で、九九・七%も業界の数としては定着し、そして働く人も七七%もいるという実態。このことにメスを入れずして、ただ中小企業という存在があるからそれでいいんだというわけに私はいかないと思う。だから、株の上場の仕組みにしても、それから持ち株会社の問題にしても、また技術の革新にしても、二〇〇〇年問題にしても、どれ一つをとっても中小企業が自力では今の段階でなかなか解決できない問題があります。これに手をかしてこそ中小企業政策だ、こう思うわけであります。  そういう意味では、最後に通産大臣に、中小企業は大事だ、経済のかなめであるという共通の認識の上で、ではこれからどういうふうに中小企業のはっきり言えば面倒を見ていくのか、中小企業政策をどうしていくのか、この決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  151. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 全体としては日本の経済市場原理で動こうという方向に動いておりますし、また、自己責任原則も、一つの原則として企業経営の中で取り入れていくということは当然の方向であろうと思っております。  しかしよく考えてみますれば、そうだとしても、中小企業経営規模が小さいゆえに、みずからではなし得ないことがいろいろあるわけでございます。その部分については、やはり国の施策としてそれをバックアップするというのは私は大事なことだろうと思いますし、そういう側面的なバックアップによって中小企業が、技術的にもあるいは活力の面でも、今後とも日本の経済を支えていく一番大きな柱となる。そのことを期待して中小企業政策をやっているというのが、私どもの気持ちでございます。
  152. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 終わります。
  153. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  154. 古賀正浩

    古賀委員長 これより討論に入ります。  両案中、中小企業総合事業団法案に対し、討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。
  155. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業総合事業団法案に対する反対討論を行います。  戦後最大の不況に加え、外国繊維製品の輸入急増、大企業の海外製品の逆輸入などによって、中小繊維事業者や全国各地の繊維産地は壊滅的打撃を受けています。  繊維産業構造改善臨時措置法は、たとえ限定的であっても中小繊維事業者にとって活用できる対策を定めたものであり、これを廃止して中小企業向け一般施策に解消することは、深刻な中小繊維事業者への対策を弱めることとなり、認められるものではありません。  中小企業信用保険公庫及び中小企業事業団の統合は、政府の特殊法人の整理合理化方針を受けた数合わせであり、統合すべき政策的、合理的理由はありません。中小企業信用保険公庫は、厳しい不況下で信用力の乏しい中小企業に対する信用補完制度として重要な役割を果たしており、統合ではなく、むしろ独立した機関として存続させ、地域の信用保証協会と協力した業務拡大充実させることこそ必要であります。  以上で私の討論を終わります。
  156. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  157. 古賀正浩

    古賀委員長 これより採決に入ります。  まず、中小企業経営革新支援法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 古賀正浩

    古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  159. 古賀正浩

    古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。松本龍君。
  160. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業経営革新支援法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 経営革新支援に係る法の運用に当たっては、「新たな事業活動」や「相当程度の経営の向上」の基準について、幅広い中小企業経営革新計画に基づく支援措置を受けられるように配慮すること。  二 経営革新計画における記載事項については、特に「経営の向上の程度を示す指標」について、中小企業者にとって分かりやすいものとするよう努めること。  三 本法の運用に当たっては、計画申請の様式や方法を簡便化するなど、利用者の利便性に配慮したものとすること。    また、中小企業者等がこれらの各種支援策を十分活用できるよう、その周知徹底を図るとともに、必要に応じて施策の充実に努めること。  四 経営基盤強化計画の特定業種指定については、経済環境の著しい変化が見られ業種指定を行うべき事態が生じた場合には、迅速な対応を図るとともに計画承認等手続きについても機動的に対応すること。  五 中小企業における信用保証の重要性にかんがみ、今後とも信用保険制度の充実に努めることとし、特に、中小企業の資金繰り難の解消に大きな効果をあげている金融安定化特別保証制度については、保証状況の推移を注視しつつ機動的かつ適切に対応すること。 以上であります。  内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  161. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 古賀正浩

    古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  163. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、中小企業総合事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 古賀正浩

    古賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  165. 古賀正浩

    古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。大口善徳君。
  166. 大口善徳

    ○大口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業総合事業団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 新事業団の設立にあたっては、統合によるメリットを十分発揮できるよう、業務の整理合理化を着実に推進するとともに、機動的、効率的な事業運営が確保されるよう配慮すること。  二 統合に伴う職員の処遇については、不利益が生ずることのないよう特段に配慮すること。  三 新事業団の設立後、三年を経過した時期に、運営状況を勘案し、事業団業務について検討を加え、その結果に基づいて措置を講ずること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  167. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 古賀正浩

    古賀委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、与謝野通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。与謝野通商産業大臣
  169. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、両法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  以上です。     —————————————
  170. 古賀正浩

    古賀委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  172. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、内閣提出不正競争防止法の一部を改正する法律案並びに訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。与謝野通商産業大臣。     —————————————  不正競争防止法の一部を改正する法律案  訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  173. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、音楽、映像、ゲームソフト等をデジタル化し、インターネットやDVDなどを用いてさまざまな形態で販売する事業、いわゆるコンテンツ提供事業が著しく発展しております。このようなコンテンツ提供事業は、消費者の多様なニーズに対応するものであり、将来の成長産業としても極めて有望であります。  通常、コンテンツの提供に当たっては、無断視聴や無断コピーを制限するための技術的制限手段が施されております。この技術的制限手段を妨害する装置やプログラムが広く販売されることとなりますと、正当な事業収益を得られないなど、事業としての存立基盤が危うくなる懸念があります。現在、技術的制限手段を妨害する装置やプログラムの販売行為が半ば公然と行われている状況対応し、コンテンツ提供事業における公正な競争を確保するため、こうした装置やプログラムの譲渡などの行為を不正競争とし、差しとめ請求などの対象とすることが必要であります。  このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、コンテンツ提供事業における公正な競争を確保するため、料金徴収などのため営業上用いられる技術的制限手段により制限されている影像や音の視聴あるいは記録を可能としてしまう装置あるいはプログラムの譲渡などの行為を、本法における不正競争行為と位置づけ、差しとめ請求などの対象といたします。  第二に、技術的制限手段に関する研究開発を抑制しないため、技術的制限手段の試験または研究のために用いられる影像や音の視聴あるいは記録を可能としてしまう装置あるいはプログラムの譲渡などの行為については、本法の規定を適用しないこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  消費者取引をめぐるトラブルにつきましては、近年、エステティックサロンや外国語会話教室を初めとするいわゆる継続的役務に係るトラブルが急増しており、これらの契約の解除等に関する苦情相談が多数寄せられている状況にあります。  また、訪問販売等に係る取引により購入者等に被害が多数発生している等、取引の適正化が十分図られていない状況にあります。  政府といたしましては、こうした現状にかんがみ、これらの取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案することとした次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、訪問販売等に関する法律の一部改正であります。この一部改正におきましては、特定継続的役務提供について、契約締結時における書面交付の役務提供事業者等に対する義務づけ、役務の提供を受ける者等による契約の解除、契約解除時の損害賠償等の額の制限等の措置を講ずるとともに、同法の対象取引全般について、罰金額の引き上げ等の措置を講ずることとしております。  第二に、割賦販売法の一部改正であります。この一部改正におきましては、特定継続的役務を中心に割賦販売等の利用が増加していること等から、役務等について同法の対象に追加し、契約解除時の損害賠償等の額の制限、割賦購入あっせんに係る抗弁権の接続の措置等を講ずることとしております。  以上が、本法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  174. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十一分散会