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1999-06-30 第145回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月三十日(水曜日)     午前十時三分開議   出席委員    委員長 井上 一成君    理事 佐藤  勉君 理事 桜井 郁三君    理事 滝   実君 理事 蓮実  進君    理事 桑原  豊君 理事 永井 英慈君    理事 久保 哲司君 理事 吉田 幸弘君       岩永 峯一君    下村 博文君       棚橋 泰文君    西川 公也君       西田  司君    古屋 圭司君       宮本 一三君    渡辺 喜美君       赤松 広隆君    小林  守君       木村 太郎君    宮地 正介君       中島 武敏君   知久馬二三子君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君  委員外出席者         参考人         (栃木県知事) 渡辺 文雄君         参考人         (静岡県知事) 石川 嘉延君         参考人         (滋賀県知事) 國松 善次委員の異動 六月三十日              辞任         補欠選任   冨沢 篤紘君     木村 太郎君   保坂 展人君    知久馬二三子君 同日                 辞任         補欠選任   木村 太郎君     冨沢 篤紘君  知久馬二三子君     保坂 展人君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件     午前十時三分開議      ————◇—————
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として栃木県知事渡辺文雄君、静岡県知事石川嘉延君及び滋賀県知事國松善次君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお、議事の順序ですが、まず各参考人から十五分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず渡辺参考人お願いいたします。
  3. 渡辺文雄

    渡辺参考人 栃木県知事渡辺でございます。  私は、三点について意見を申し述べたいと存じます。第一点は、国会等移転に対する私ども栃木県の基本的な考え方でございます。第二点は、移転先地につきましての考え方でございます。そして第三点は、栃木那須地域特色でございます。  まず、国会等移転に対する栃木県の基本的な考え方について申し上げたいと存じますが、国会等移転は、申すまでもなく、二十一世紀の安心で豊かな国づくりのために極めて大きな意義を有するものでありまして、特に、国の災害対応力強化というものは緊要な課題であると思います。このことは、国会等移転法前文にも明記をされているとおりであります。栃木県といたしましては、このような国家的意義を持つ取り組みに対しまして、地方から貢献するということを基本に、国会等移転の促進にこれまで取り組んでまいりました。  私は、ここで、栃木県が特に強調したい国会等移転意義について申し上げたいと思います。  国会等移転につきましては、大規模災害に対する脆弱性の克服だとか、規制緩和あるいは地方分権等国政全般の改革の契機になるとか、東京一極集中の弊害の是正であるとか、あるいはまた人心一新の好機である等、いろいろな方がいろいろに申されております。これらの移転の理由のうち、私は、法律前文にもございますように、東京圏地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するということが最も重要かつ緊急を要するものであるというふうに思っております。  御案内のとおり、多くの地震学者が、南関東で大規模地震直下型地震が発生する可能性の高いことを指摘しております。仮に大規模地震が発生をし、政治行政中枢が麻痺をした場合には、我が国のみならず、全世界的に大きな影響を与えるものだと思います。  私は、平成七年一月の阪神淡路大震災の直後に神戸市を訪れまして、貝原兵庫県知事をお見舞いし、救援活動を行っております栃木県の医療チームを激励いたしましたが、改めてその際、我が国のいわゆる近代都市地震に対して非常に脆弱であるということを嫌というほど感じたわけであります。  私ごとで恐縮でございますが、私は、昭和十八年、当時中学の二年のときに昔の陸軍の学校に入りまして、今の新宿、当時は牛込区と言っておりましたが、そこに住んで以来、終戦後の数年間栃木県に帰っていたほかは、知事になるまでずっと東京に住んでおりましたので、東京というものの持つ性格、いい点、悪い点はよく知り尽くしているつもりでございます。  官庁等の近代的な建物が無事であったといたしましても、交通機関やそこで働く人々の住まいが被害を受ければ、東京の持つ都市機能、ひいては首都機能は麻痺する可能性が極めて高いと言わざるを得ません。  一方、阪神淡路大震災の復興があれほど速やかに行い得ましたのは、政治行政中枢である東京があのとき無事であったからでありまして、当時、国会が二カ月間で十六本の法律を公布、施行して災害対策に当たられたことは、このことを如実に示していると私は思います。また、東京が本格的な地震対策を行うのにも、国会等移転後の跡地は大きな貢献を果たすものだと思っております。  次に、移転先地につきましての基本的な考え方について申し上げます。  昨年三月に決定されました全国総合開発計画におきましては、二十一世紀の文明にふさわしい国土づくりを進めるために、国土構造形成の流れを、太平洋ベルト地帯への一軸集中東京一極集中から多軸型の国土形成に明確に転換する必要があるというふうに述べられております。我が国の均衡ある発展を考えるとすれば、これまで十分に人口産業等の集積が進んだ西日本国土軸よりも、フロンティアに富んだ北東国土軸上に移転すべきであるというふうに思うのであります。  私は、この問題に取り組んで以来、移転先地は利根川の北ならば本県那須地域にはこだわらないと述べてまいりました。昨年四月の国会等移転審議会のヒアリングの際には、私以外の北東地域の各県知事も、期せずして同様の発言をいたしているところであります。  次に、東京と新都市との連携について申し上げたいと思いますが、移転に際して大切なことは、経済首都としての東京と新しい都市との連携であります。  現在示されております国会等移転スケジュールによりますと、移転先地決定をし、建設が開始されてから約十年で新都市での国会が開催されるとなっておりますが、その後新都市づくりが進みまして、最終的に新都市政府機能が全部移転するまでには二十年あるいは三十年かかるとされております。  このことは、二十年から三十年間の間は新都市東京双方首都機能が存するという、いわゆる重都と呼ばれるような状況になることが考えられるわけでありまして、といたしますれば、この間の円滑な国政を確保するためには、新都市東京が緊密に連携し合える関係にあることがぜひとも必要であります。  こうした状況を想定いたしますと、新都市位置は、東京との連携が密接にとれる距離関係にあることが基本的に大事ではないかと思います。  さらに、東京からの交通が遮断される可能性が低く、かつ、仮に災害等によりまして一つルートが遮断をされましても、代替のルート複数確保できる地域が望ましいと思います。  御案内のように、北東地域は、高速道路でいえば東北縦貫道常磐自動車道がございます。また、基幹国道といたしまして国道四号、国道六号線が、鉄道では東北新幹線、東北本線、常磐線等複数交通軸が既に確保されておりまして、このような交通軸が全部遮断される可能性はまずないと思います。  さらに、現在のこうした交通網圏域内複数空港では、容量にまだ余裕があるわけであります。したがって、既存の交通施設を基礎といたしまして、新たに大規模公共投資を進めることなく交通基盤の確保が図れる、そのように思います。  次に、那須地域特色について申し上げます。  栃木県は、面積六千四百平方キロ、人口二百万人余でございまして、関東地方では一番面積が広うございますが、人口は現在のところ一番少ない県でございます。しかし、全国的に見ますと、四十七県中面積人口ともに二十番目でありまして、そういう意味では大変バランスのとれた県であると思っております。  また、本県南北に縦貫する東北自動車道には、栃木県内にはトンネルが一つもございません。そういうことでもおわかりのように、広大で平たんな土地が続いております。  栃木県が国会等移転先地として提案しております那須地域は、二千二百平方キロとほぼ東京都と同じ面積でございます。しかし、そこに住む人口は三十九万人でありまして、東京都の三十分の一であります。また、その中心部は、那須野ケ原と呼ばれる、那珂川と箒川に挟まれました約四万ヘクタールに及ぶ広大かつ平たんな扇状地であります。那珂川以北もなだらかな地形でございまして、福島県境まで含めますと約七万ヘクタールの平たんな土地が続いております。  お手元に御配付してございます「那須地域の展望」というパンフレットがございますが、これを開いてごらんいただくとおわかりのように、これは野鳥観察のためにつくりましたタワーから見た風景でございますが、東西南北すべてこのように広々とした土地栃木県の北には今でも残っているわけであります。  この那須野ケ原の中、東北自動車道西那須野塩原インターチェンジ隣接をいたしまして四百ヘクタールの国営それから県営の牧場などが一団の、そういう意味での国公有地が存在をしておるわけでありまして、現在の霞が関の面積が約百ヘクタールであることを考えますと、十分にゆとりのある配置ができると考えております。しかも、土地取得には何の問題もございません。その上、この国公有地隣接をしております民間企業一社で所有しております牧場土地を加えますと千二百ヘクタールとなりまして、千代田区の面積千百六十ヘクタールを超える一団の平たんな土地となっております。  このほか、那須野ケ原の中には今後利用可能な土地が多く残っておりまして、自然環境と共生した都市づくりが可能であると思います。  ここで那須野ケ原歴史について特に申し上げたいと思います。  東京から百五十キロ圏内にどうして北海道にも似たこのような広大で平たんな土地が残っているかというと、この地域開発の手が入ってから、言いかえますと、人間がこの地に住み始めましてからまだわずか百年ちょっとしかたっていないということであります。  江戸時代以前の那須野ケ原は、地形扇状地でありますために、水が地下に浸透してしまいまして、極めて表流水の乏しい土地でございました。江戸時代に一部用水の開発が行われましたが、本格的な開発明治に入ってからの明治天皇の意を受けました明治元勲たちの大農場方式による入植開拓でございます。  その元勲たちとは、御承知のように、大山巌元帥西郷隆盛の弟の西郷従道品川弥二郎松方正義山縣有朋佐野常民青木周蔵、戸田氏共、毛利元敏等々、それぞれが数百ヘクタールから千数百ヘクタールの土地を国から借り受けまして、開拓民を募りまして入植をいたしました。  こうした開拓を支えたのが那須疎水の開削であります。那須疎水は、明治十八年に当時の明治政府土木局の予算の十分の一に当たる約十万円の経費を投入して、国の直轄事業として行われました。十六・三キロメートルの幹線が約五カ月間、一日当たりで約百メートルという驚異的なスピードで開削された疎水であります。福島県の安積疎水、京都府の琵琶湖疎水とともに、日本の三大疎水と言われております。この疎水も、百年を経過した現在は、周囲の風景に溶け込んで自然に戻った。そういう意味では、現在の町づくりの生きた教本のようにも感じられます。お手元に配りました先ほどの資料の裏ページに載っております写真が、那須疎水の一部の写真であります。  このように那須地域には日本近代国家として生まれ変わった明治の初期における新しい国づくりの意欲に燃えた当時の為政者たち国づくりのロマンが今なお息づいている、そういうところでございます。  二十一世紀に向かいまして、新時代を開こうとする国会等移転先地には、こういった歴史を持つ那須こそがふさわしいというふうに私は思っております。  最後に、県としてお願いをしたい事項について申し上げます。  お願いをしたい第一点は、国会等移転に関する国民的な合意がまだ十分ではないと言われておりますので、国会におきましてもこのための一層の取り組みお願い申し上げたいと思います。  次に、自然環境との調和や理想的な町づくりを進めてまいりますためには、適切な土地利用を図ることが重要でありますが、現行の法体系の中ではなかなかそれができません。開発行為知事が許可することとなってはおりますが、法律では一定の要件が整えば許可をしなければならないというふうに明文されて記載されておるわけであります。そういうことからいたしまして、新しい法律制度をつくりませんと理想的な町づくりはとてもできないと思います。この点につきましての御検討をぜひお願いいたしたいと思います。  さらに、移転候補地答申されますと、土地投機的取引が行われる等々懸念されることがございます。国会等移転に関する法律等に基づきまして、土地投機防止対策の迅速かつ的確な実施をお願い申し上げます。  最後に、審議会答申後、移転先地決定の間に時間がかかりますと住民の生活に多大の影響を与えることが考えられますので、答申国会における決定との間に時間を余り置かないようにお願いをいたしたいと存じます。そして、以上の諸点はすべての候補地共通の問題だというふうに思います。  以上で私の参考人としての意見陳述を終わりたいと存じます。(拍手)
  4. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、石川参考人お願いいたします。
  5. 石川嘉延

    石川参考人 静岡県知事石川嘉延でございます。本日は、このような機会を設けていただき、感謝をいたしております。  首都機能移転につきましては、これまでさまざまな視点から論議されてまいりました。当特別委員会でも、平成三年八月の設置以来、熱心に御討議をいただいておりますこと、心から敬意を表する次第でございます。  初めに首都機能移転に対する基本的な考え方について申し述べ、その後で静岡県の状況並びに取り組みについて申し上げたいと存じます。  まず基本的な考え方でございますが、首都機能移転は、東京一極集中是正のみならず、地方分権規制緩和、さらには国家災害対応能力強化など、我が国が直面するさまざまな課題を解決する大きな契機になるものであり、将来の日本あり方を左右する国家的なテーマであると受けとめております。  一方、目を国際社会に転じてみました場合に、現在、経済文化、スポーツなどあらゆる面での国際間の交流連携の広がりが見られますほか、環境問題などの地球規模での取り組みも喫緊の課題となるなど、地球全体がさまざまな意味において一つ圏域運命共同体とも言える本格的な国際化時代を迎えておるわけでございます。  このような国内外状況を見ますと、我が国首都をどこに移転するかという議論の前提として、今後地方分権が進むという条件を考えますと国内的視点も重要でございますが、それ以上に、二十一世紀国際社会の中で、我が国がどのような国家として、どのような責任役割を果たしていくのか、その際の新首都あり方機能についての議論を積み重ねた上で首都機能移転を進めていくことが最も肝要ではないかと考えるものでございます。  そういう観点に立ちますと、新首都条件やいかんということになるわけでございますが、二十一世紀我が国は、豊かな自然や世界に誇り得る歴史文化などをもとに、我が国の持つ科学技術や人材、経済力などを生かして、アジア太平洋を初めとする全世界に向かって開かれた国家を目指していくことが求められると存じます。  このように、新首都は、小ぶりではあっても機能的には国内外人々の活発な交流が展開され、かつ、新しい時代世界をリードし、また日本を代表する先導的な都市となるべきであると考えます。そのためには、国土上の位置交通アクセス等にすぐれていることも大切でありますが、何よりも新しい全国総合開発計画「二十一世紀国土グランドデザイン」に掲げられましたガーデンアイランド、庭園の島の象徴ともなり得る、全国民が誇りにできる美しい景観を有するとともに、世界に向かって日本をアピールできる開放性象徴性をあわせ持つことが可能な地域がふさわしいと考えられるわけでございます。  そのようなイメージもとに具体的に考えてまいりますと、どういうことになるかといいますと、これまでも首都機能移転について国民的な関心を高め大いに議論をする必要があると感じて、県民に対しまして、できる限り情報を提供し、この課題に対する理解を深めてまいりたいと考えておるところでありますが、移転される、新しくできる首都機能の全体像が必ずしも十分につかみ切れない嫌いがございまして、県民に対して具体的な説明がし切れない状況知事としてややもどかしさを感じているところでございます。  現在、国会等移転審議会において新都市像検討が行われておりますが、新首都の具体的なイメージ整備される施設内容等を早急に提示していただきたいと考えております。  また、今後、移転先決定し、新都市建設がなされる段階で土地投機を初め、土地取得土地利用などに混乱が生じることが、これまでのさまざまな大規模開発を反省いたしますと懸念されるところでございます。理想的な新都市づくりを進める上で、平成七年度の国会等移転調査会の報告でも指摘されておりますような、土地投機防止と円滑な土地取得を可能とする新たな制度や新首都建設に一元的な責任を有する特別な国家機関の設立など、国における諸制度整備が不可欠と存ずる次第でございます。  これらの作業は、移転先選定作業に先んずるか、百歩譲っても同時進行整備をしていくことが首都移転の成否のかぎを握っていると言っても過言ではないと存じます。  本県といたしましては、以上のような基本的な考え方に立ちまして、以下のような取り組みをいたしているところでございます。  まず、関係する県内の三十の市町村に対しまして、適宜情報提供を行いながら、調査への協力を要請し、全県的な協力体制を整えてきたところでございます。また、候補地のリストアップにつきましても、県内移転適地調査を行い、その結果を的確に情報提供してきたところでありまして、今後とも引き続き積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。  本県におきましては、本県西部地域が一応対象地域と想定されますので、お手元にございます緑色のパンフレット首都機能移転に関する静岡西部地域の概況」、これに従って本県状況を御説明いたしたいと思います。  一ページをお開きください。  首都機能移転につきましては、昭和三十年代からさまざまな議論がされておりまして、本県ではその都度、富士山ろくとか浜名湖周辺が話題として上ってまいりましたけれども、昨年一月に国会等移転審議会におきまして本県西部地域調査対象地域とされ、今日に至っておるわけでございます。  これらの地域は、新しい全国総合開発計画によりますと、西日本国土軸の一角を形成しておることはもちろんでありますし、太平洋国土軸北東国土軸等結節点として位置づけられておりまして、その重要性はますます高まっていく地域と存じます。  それから二ページには、自然条件気温状況等も掲げてございますが、年間平均気温が十五・七度と温暖で、積雪もほとんどないという非常に生活しやすい地域でございます。また、北側、北西部には、三千メートル級の山々を連ねた南アルプス国立公園等景勝の地が広がっているわけでございます。  三ページをお開きいただきたいと思いますが、交通インフラにつきましては、東西を横断いたします東名高速道路東海道新幹線に加えまして、現在、第二東名自動車道や三遠南信自動車道、さらには、この地域の東の外れになりますが、静岡空港建設が進められておりまして、全国からのアクセス利便性が飛躍的に向上すると見込まれるわけでございます。  それから、ちょっと飛んで十五ページをごらんいただきたいと思いますが、この地域は今後、二〇〇四年までの間にかけまして、そこの十五、十六ページに掲げてありますようなさまざまな国内外情報発信をする数多くのイベントを開催する予定でございます。このことによりまして、この地域イメージアップあるいは発信力、これを高めてまいる予定でございます。  また、五ページに戻って恐縮でございますが、五ページをお開きいただきますと、現首都東京との位置関係でございますが、五ページの地図にありますように、東京と大阪、二大都市のほぼ中央にございます。東京からは、距離が約二百キロ、新幹線で九十分、東名高速道路では二時間半の位置関係にございます。  それから、隣の六ページに空港計画を掲載してございますが、この浜松西部地域の一番東外れになりますが、牧之原という台地の上に二千五百メートルの滑走路を有する静岡空港建設しておりまして、二〇〇六年開港予定でございます。この直下には東海道新幹線が通っておりまして、新幹線新駅も開設すべく、現在いろいろ調査し、JR東海にも働きかけているところでございます。  それから、本県対象地域である西部地域土地取得可能性の問題でございますが、全域で千二百ヘクタールの国公有地が、国有地公有地がございますし、比較的取得が容易と考えられる山林も二万ヘクタールに及んでおります。  それから、当地域東海大地震が懸念される地域でございますが、七ページをお開きいただきますと、東海大地震影響が心配される地域としては一番西外れ地域にございまして、これまでの歴史的な経緯から考えまして、東海地震被害程度は、本県内では相対的に小さかった地域でございます。  それから、十七ページに飛んで恐縮ですが、ここには本県におきます防災体制整備状況を記載してございますが、東海地震への対応を二十年以上にわたり続けてまいりましたので、地震に強い県土、社会体制を築きつつあると自負するわけでございますし、今日では、阪神淡路大震災の震災の教訓をもとに、二十四時間三百六十五日の休みない地震観測体制、それから速やかな初動体制の確立のための組織を稼働させているところでございます。  このような地域に、もし首都建設するとすれば、世界に対して、いかに防災に強い安全な都市ができるかという、そういう意味でもモデル的な役割を果たせるものと存ずるわけでございます。  また、八ページをごらんいただきますと、水資源については新都市の需要に十分こたえられ得るような天竜川、大井川水系のダムがございます。新設もされるべく工事も進んでおりますので、水資源は十分に存在すると存ずるわけでございます。  それから、母都市になるべき浜松市でございますが、人口五十七万を擁して、東証一部上場企業六社が本社を構えるなど経済力を背景にいたしまして、コンベンション機能文化機能を有する、地方としてはかなりの都市機能が集積した都市と存ずるわけでございます。  それから、県内の主な取り組みでありますが、県議会におきましては、首都機能移転対策特別委員会を設置いたして、この問題に積極的に対応いたしておりますし、民間におきましても、経済界を中心に、隣接の愛知県の経済団体と県境を越えて連携した活動が展開されております。  また、東海四県におきましても、連携をして、中央地域とこの東海地域合わせた移転先誘致に向けて、誘致といいますか、移転先決定した場合に、両地域協力して対応しようということで体制を整えておるところでございます。  以上、基本的な考え方並びに本県の取り組んでおります状況をかいつまんで御報告した次第でございます。(拍手)
  6. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  次に、國松参考人お願いいたします。
  7. 國松善次

    國松参考人 御紹介いただきました滋賀県知事國松でございます。  首都移転の問題で発言の機会をいただきまして、大変光栄に存じます。  首都移転の問題につきましては、さまざまな議論がされておりますし、今ほどもお話がございましたので、いささか重複する部分がございますが、あえて幾つかの点で申し上げさせていただきたいと思います。  まず最初に、首都機能移転という問題を考えるときに、まず首都というものをどう考えるのかということについて申し上げさせていただきたいと思います。  現在の東京という日本首都は、私は見事なまでに首都機能を果たしてきたと思います。日本が、特に江戸そして東京首都を持つようになって、世界を見渡したときに、何としても近代化をしなければいけない、あるいは欧米に追いつかなければいけないということで考えたときに、さまざまな機能東京に持たせ、そして東京を中心に日本全体を考えてきたという中で、東京の果たしてきた役割というのは実に大きいと思います。それは、まさに機関車の役割を見事に果たされた、果たしているということではないかと思います。そしてまた、それは欧米モデルへのキャッチアップという点で、見事に、効率的に機能したということだと思います。  その結果、日本の人、物、情報東京に一極集中するということになったわけでありますが、それは今までは成功したということになると思いますけれども、では、これからどうなのかということを考えますと、ちょっとやはりここで私どもは真剣に首都について考え直さなければいけない時期にあるのではないかと思います。  もっとも、今東京が果たしている役割あるいは現実から、首都移転すべきでないという意見、あるいはまた今日のような財政状況その他から、とんでもない話だという意見もあると思いますが、やはりこれからの首都、しかも日本世界における役割等も含めて考えますと、今はっきり言えることは、東京の果たしてきた役割、あるいはまた日本の社会、経済、さまざまな分野での仕組みそのものがやはり限界に来ているという認識に立たざるを得ないと思います。  そういう意味で、東京から首都移転すべきでないという意見があると思いますが、私どもは、東京知事さんには申しわけありませんが、やはりノーと言わざるを得ないと思います。やはり震災の問題を一つとりましても、首都機能をこれからも東京に置いておくということについては、急いで日本の将来を考える中で、首都というものを考え直し、その中でこの問題を考えていく必要があるのではないかとまず基本的にそう思います。  とりわけ今の時代日本が、あるいは世界がと言ってもいいんでしょうけれども、新しい世紀を目前にいたしまして、私たちの暮らしや社会を支えてきました産業あるいは政治経済行政文化も含めて、間違いなしに今変革の時期にあると思います。そして、この変革の時期を日本がどうこれから生きていくのかということを考える中で首都という問題が考えられるべきだ、まずそう思うわけであります。  そういうことを考えますと、やはりさまざまな手法でこの変革の時期を乗り切っていかなければいけないと思いますが、首都を考え直す、とりわけ位置を考えるということは、機能そのものも含めて、今やらなければいけないのではないか。そして、それは着実に、世界を視野に入れながら、もちろん日本の中での位置その他もありますが、きちっとした思想を持ってあるいはまた一つの文明観というものを持って、日本グランドデザインの手段としてこの問題を位置づけて考える必要があるのではないか、こう思うわけであります。  特に、さまざまな日本の構造改革を進める中で、首都を新しく考えるということがさまざまな要素を大きくリードするというプロジェクトであることについては間違いがないし、今までもそういうさまざまな経験を日本自身がしてきているように思います。そんな中で、日本の将来を考えますと、世界全体がまさにグローバルな時代に入り、しかも、その中で幾つか問題を抱えたまま新しい時代に入るということが明確になっているように思いますし、その中で、日本に期待される役割というのも一定読める部分があるように思います。そういうことを前提に首都というものを考えていく必要があるのではないかと思います。  特に、世界的なことを知事がとやかく言うのもいささか生意気でありますが、やはり日本人として、あるいはこれからの日本を考えますときに、地球全体を考えますときに、やはりアメリカを中心とする一つの大きな力あるいはまた文化というのが当然あるでしょう。そしてまた、EUを中心とするヨーロッパの歴史あるいは文化が持っている力、あるいはまた考え方という部分があるでしょう。そして、その中で、アフリカやアジアあるいはまた南アメリカやその他の地域も含めて、それぞれが、余りにもそれぞれの発達段階を異にしながら同じ地球で生活をしなきゃいけない、しかも、それが、さまざまなメディアの発達等を通して、時代を超えて同時に共生をしなければいけないということを考えますときに、日本の果たすべき役割というのがいよいよ大きいように思います。  それは、南北の問題であったり、東西の問題であったりするわけですが、その中で、日本の持っている地理的位置歴史位置文化位置から、日本役割というのが大変大きく求められていると思いますし、そこのところを特に日本としては意識してこれからの時代をさまざまな面で考える必要があるし、その中で首都という問題も考える必要があるのではないか、こう思うわけであります。  したがって、日本首都役割をどう考えるのか、その中で位置をどう考えるものかということでなければいけないのではないかと思います。そういう意味で、日本首都を決めるということは、日本首都位置を決めるということと同時に、日本のこれからの姿をどうデザインするか、あるいは世界での役割をどうデザインするかということになるのではないかと思ったりします。  きょうは、私ども、二つのパンフレットを準備させていただきました。一つは、「畿央高原に新都を」という三重、滋賀、京都、奈良がつくったパンフレットと、滋賀県がつくりました「新しい日本の幕開けです」というパンフレットを準備させていただきましたが、滋賀県がつくりましたパンフレットをちょっと使わせていただきます。  このパンフレット、二枚目を開いていただきますと、地図がございます。これは、私どもが申し上げているのは畿央高原というところでございますが、今の東京そのものも、日本列島の地理的あるいは人口面での重心からいえば、既に東の位置にあると思います。中部圏地域が多分真ん中になるのだろうと思いますが、今そういう位置にあるわけですけれども、畿央高原というのは、その次のページをめくっていただきますと、下の方に「畿央高原の発見」という作家の高城修三さんが書いた文章がございますが、畿央高原というのは、先ほどの地図でありますように、ちょうど日本列島のほぼ真ん中で、大阪経済圏と名古屋経済圏に挟まれた位置にあるわけです。  畿央高原というのは、地図を見ていただいてもございません。これは、地図にある名前ではなくて、ちょうど近畿の中央の位置に、高原と呼んでおりますが、五百メートル程度の高さの高原地帯でございまして、なおまたそこが盆地を幾つかつくっており、谷合いとともに幾つかの山で分断されているような格好になっている高原でございまして、そこに七四三年に聖武天皇によって紫香楽宮というのが造営されたという歴史を持つ地域でございます。その後、日本首都はいろいろなところに動いていくわけですけれども、ともあれ、昔都が置かれたというか、そういう歴史を持った地域でもあります。  その位置に我々はと思うのですが、この今申し上げた文章の中にも高城さんが書いておられますけれども、やはり日本歴史というのは、首都を何度か移転させてきて今日の日本をつくってまいりました。それが、奈良や京都、そして鎌倉や、その後京都に戻り、また江戸、東京というように、東西を移動しながら、その中で日本のエネルギーをバランスをとってきたというような感じがいたします。そういう中で、これからの首都をどう、どの位置に考えたらいいのかということになるのではないかと思います。  したがいまして、繰り返しになりますが、首都を考えるというときに、特に位置を考えるというときに、日本グランドデザインを地理的に日本の中でどう考えるかということと、そしてまた歴史的に、今までの日本、しかもこれからの日本というときに、新しい文化、文明を創造するんだ、しかも、それも世界的な視野で新しい文明を創造するんだということでいく必要があると思いますが、そのときに、日本の持っていた歴史文化というものを巧みに生かしながら、その中で、新しい首都の中で新しい文化、文明を創造していくという基地として首都を考える必要があると思いますし、世界的には、先ほど来申し上げますように、日本役割というものを、東西文明なりあるいはまた南北の問題なりを考えますと、少なくともまずアジア、アジアの首都ということも含めて日本首都というものを考えていくことが、日本首都を考える一つ考え方にすべきなのではないかと思います。  そうした中で考えますときに、一つには、畿央高原を前提に考えさせていただきますと、世界に向かって日本がこれから首都と言おうとしますと、やはりそこに日本文化の薫りのようなものがきちっと感じられるということがまず一つ大事になってこようかと思います。  言うまでもありませんが、日本歴史を振り返りますと、やはりどうしても、京都、奈良あるいは滋賀、伊勢のような地域、この関西の文化の部分を、歴史の部分を抜きに語れないと思いますし、これはやはり、口幅ったいようですが、日本文化のオリジナルな部分がどうしてもこの地域にあると言わざるを得ないと思います。そして、その土壌をうまく生かして新しい文化を創造するという一つの絵をかくことが、アジアに向かってあるいは世界に向かって顔としての首都の性格づけをできるのではないかと思ったりします。  それからいま一つ、これからの首都という場合に、やはりそれが都市としてのモデルになることが求められると思うのですが、これにはやはり、日本あるいは人類共通して今突きつけられている課題は、首都と人間がどう共生するのかということの問いを、二十世紀は問題だけ突きつけられて二十一世紀に入っていくということになると思いますので、環境の世紀と二十一世紀が言われるのはその辺だと思いますが、そういうことも含めて、あるいは発展途上国のことも考えますと、やはり新しい首都というのは、環境共生都市のモデルとしてしっかりとした考え方あるいはそのための手法というものを具体化できる首都でなければいけないと思うのです。  そういうことを考えようとしますと、一方で人間というのは水を見て心が和み、かつ人類の歴史を見ますと水のそばに都をつくってきたという知恵を持っておるわけでありますが、畿央高原は、高原の中にはそんなにというほどではありませんが、山のそばに琵琶湖という日本一の湖を持っておりまして、今滋賀県が全国で最も人口急増県になっておりますし、今後も急増県になると言われていますが、多分それは湖と山を持っている、あるいはそこに歴史があるということも含めての一つの評価ではないかと思ったりしておりますが、そういうことを生かしていただくことが可能であるというように思います。  そういう意味で、これからの首都というのはどうしても環境共生都市のモデルということをきちっとデザインできないといけないのではないか。そういうように考えますと、畿央高原というのは他の地域にまさる条件を整えているのではないかという気がいたします。  それから位置の点で、先ほども東、西に揺れ動くようにして日本が発展してきたと申しましたが、今の東京が既に日本の中心から東にあるわけですから、さらに東へ持っていくよりも、この際やはり西かなと。しかも、これからはアジアということを考えなければいけないと思いますと、アジアの足場という意味でも関西のこの畿央というのは十分検討に値するのではないかと思ったりいたします。  それに、新しい都市をつくるといいましても、今の東京のようなものを前提につくる必要はありませんが、同時に今の東京に匹敵する機能を持つということを求められると思いますし、また同時に、そこで住み、働く人たちの生活というものがきちっと前提条件に組み込まれないと、その都市そのものは頭だけで考えたことになってしまって、なかなかいい機能を果たさないし、薫りも潤いも発揮できないというようなことがあると思います。  そういう意味では、新しい首都というのは極めてコンパクトな都市の中にさまざまな機能を持たせるわけですが、同時に、持たせることのできないというか、もっと役割分担をしていくという必要があると思いますので、それでは既存の都市とうまく連携していくという意味で、既存の都市をいかにうまく母都市として活用できるかということが大事になってこようかと思います。  そういう意味では、畿央高原の場合、周りにちょうど、時間距離にしますと三十分から一時間までのところに名立たる都市があるわけでありまして、それは経済的にもあるいは文化的にもですし、同時に、教育という環境がそこに住む人たちにとって極めて大事であるというのが、筑波の例などの経験も踏まえて非常に大事になってくると思いますが、そういう意味では、この畿央高原というのは周りにちょうど母都市が、しかも名のある母都市がネックレスのように周りに存在しており、教育環境としても大変恵まれたような状況にあるのではないかと思ったりいたします。  そんな条件を整えておりますのに加えまして、交通アクセスでいえば、先ほどのパンフレットにもありますように、道路でいえば既に名神高速道路、今第二名神が整備されようとしておりますし、また鉄道でいえば新幹線、そしてリニアの中央新幹線予定もございます。空でいえば関西空港あるいは名古屋の中部空港がございますし、びわこ空港も今建設をしたいということで頑張っております。  そんな要素がございますのと、何はともあれ日本列島の中の中央部にあると同時に、日本国土軸の、いわゆる太平洋国土軸日本国土軸、そしてそれを南北につなぐ、距離的にも位置的にも非常に手ごろなところにございます。その上この地域はほとんどが山でございまして、用地取得その他の点では非常に容易ではないかと思いますし、また水の供給の点では琵琶湖、淀川水系の一環でもございまして、その辺は安心していただけるのではないかと思ったりいたします。  以上のようなことを私どもの感じで申し上げさせていただきましたが、県としてこれまでこの問題につきましては、平成四年に県議会で首都機能移転意見書を採択し、平成五年以来、フォーラムの開催やあるいは広報誌等で首都機能移転について県民にも啓発をしてまいりました。そして昨年三月に県民を対象にアンケートをいたしましたところ、これはきょうのパンフレット最後のところに調査結果をグラフで示しておりますが、首都機能移転に対して七割を超える方が関心を持ち、首都機能移転を望んでおるのが六割近い数字でございました。そして先月の三十日に地元でシンポジウムを開きましたら、思った以上に物すごく大勢の方が来ていただいて、大変関心の高いことを改めて痛切に感じた次第でございます。  最後になりますが、首都機能移転という問題については、これからの時代の、しかも世界的な視点でのグランドデザインとして、一つの思想あるいは文明観を持ってぜひお考えいただきたいと思いますし、ぜひ一度この畿央地域へ、井上委員長初め委員各位で御視察をいただければ大変ありがたいと思います。  以上のことを申し上げさせていただきまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  8. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 井上一成

    井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。蓮実進君。
  10. 蓮実進

    ○蓮実委員 自由民主党の蓮実進でございます。  ただいまは、栃木静岡、滋賀三県の知事さんから首都機能移転について大変真剣に御検討をされておられるお話をお聞きいたしまして、大変心強く思っております。  つきましては、幾つかの質問をしたいと思いますが、まず、国会移転は段階的に、これから決まれば何十年か相当長い間かかると思っております。したがって、東京と新しく新首都に決まった両方で首都機能を互いに担う期間、つまり重都の期間が相当続くことが想定されると思います。  そこで、移転先の新首都東京都と両方の位置関係について、それぞれ三県の知事さんはどうお考えになっておるか、お聞かせをいただければありがたいと思います。
  11. 渡辺文雄

    渡辺参考人 お答えを申し上げたいと存じますが、お説のように二十年ないし三十年かけて行われるということでございますので、その間のいわゆる重都の期間におきましては、東京と新しい都市との間が連携がとりやすい関係にあるということは大変大事なことだと思っております。那須を含みます北東地域はその意味では、東京から、よく言われますように、近からず遠からず、ほどよい距離にあるわけでございまして、また、途中に険しい障害物もない土地柄でございます。災害対応力強化という観点からも、東京と同時に被災することもございませんし、しかも東京との連携の図りやすい位置関係があるわけであります。  那須というところは、繰り返しになりますが、新幹線があります。新たなインフラ整備がそういう意味では不要であります。東京駅から那須塩原駅まで、現在でも一番速い列車ですと六十二分で参ります。途中、通過駅をもう少しふやせば五十分ぐらいで那須まで行ってしまうわけでありまして、東京都内の中央線の快速の東京—立川間とほぼ同じ時間距離、それが那須であります。また、移転完了後は情報ネットワーク社会が実現しているだろうと思いますし、情報ネットワーク社会が実現していたとしましても、やはりフェース・ツー・フェースのコミュニケーションが大切だと思います。  こうしたことから、移転先、新都市東京との適度な位置関係にあるということがぜひ大事だろう、そのように思います。
  12. 石川嘉延

    石川参考人 当県で対象地域になっております県西部地域母都市を基準に考えますと、東京との距離は、新幹線で約一時間半、現東名高速道路で約二時間半、今後整備がされます第二東名自動車道になりますと二時間以内というような時間距離地域でございます。したがいまして、両方のいろいろな交流はさしたる障害はないと存じますし、ある程度逆に距離があった方が、いろいろな機能の分散という意味でも意味が出てくるのではないかと存じておるところでございます。
  13. 國松善次

    國松参考人 重都の期間がという話でありますが、それは、現在ある交通情報インフラが一定もう既に整備されておりますし、またいろいろ計画もございますので、その辺の利便性で十分確保できるのではないかと思います。  また、その期間が一定あると思いますが、そのことでこの位置を判断するというよりも、やはり先ほど来申し上げておりますような、新しい時代に新しい価値を創出するということに意味を置いて判断する方がいいのかなと思います。なお、そういう意味では、東京からは三百キロほど離れておりますが、逆に災害時のリダンダンシーを確保するという点ではすぐれているという言い方もできるのではないかと思います。
  14. 蓮実進

    ○蓮実委員 ありがとうございました。  国会移転調査会の最終報告では、新首都イメージを、国会都市を中心に人口約三万から十万ぐらいの小都市自然環境に恵まれた圏域に配置されている姿、つまり緑豊かなクラスター状の都市を分散配置するということが想定されております。この理想どおりの都市をつくるためにどのような方法をとったらいいか、御意見があればお聞かせいただきたいと思っております。
  15. 渡辺文雄

    渡辺参考人 御案内のように、現在の法律では、要件を満たせば開発を認めざるを得ないような仕組みになっております。例えば、都市計画法あるいは森林法によります開発許可も、法律上は、許可をしなければならないというふうに書いてあるわけでありまして、したがって、ゴルフ場の開発、超高層のリゾートマンションなど、私どもは裁判覚悟の行政指導でこれまで県内のいわゆる乱開発を防いできたわけであります。  私は、移転先地としての那須の豊かな自然をぜひとも守りたい、守りながら、二十一世紀にふさわしい、自然と共生した町づくりをしなければならないと思っております。そのためには、ぜひ、計画なければ開発なしという理念のもとに新たな土地利用制度が必要でございます。県独自の条例案も検討はしておりますが、条例制定権の範囲など難しい課題があるわけであります。ぜひ、そのための新しい立法措置をお願いいたしたいと思います。
  16. 石川嘉延

    石川参考人 首都機能移転に当たりましては、まず、候補地の選定に先立って、仮称でありますけれども、首都機能移転整備に関する特別措置法というようなものを制定して、現在の土地収用制度、すなわち土地収用法及び公共用地の取得に関する特別措置法やその他の地域開発規制の諸法の欠陥とか、運用に当たっての非常に難点、これらをすべて一括解消するような制度をまず先に用意すべきではないかと私は考えております。それがないと、恐らく、仮にクラスター状の都市整備を行うにしても、かなり広域にわたってそのような開発が行われるわけでありますので、非常に難航をきわめ、うまくいかない可能性が大であるというふうに私は危惧を感ずるものでございます。
  17. 國松善次

    國松参考人 そもそも三重・畿央地域は、琵琶湖国定公園なり鈴鹿国定公園などという自然公園に恵まれた地域でありますが、先ほども説明しましたように、高原という中で幾つか谷を持っております。そういう地形を考えますと、クラスターで都市を考えるにぴったりの地形になっておると思いまして、なお近郊にあります関西中部圏の既存都市を活用すれば、非常にコンパクトなクラスターのかける都市になるのではないか、こう思います。
  18. 蓮実進

    ○蓮実委員 国会等移転調査会移転先地の選定基準が九項目あるわけですね。それ以外に、候補地に名乗りを上げるにはそれぞれの地区の特性があるんだろうと私は思っております。その特性があるとすればどういう特性があるのか、それぞれ知事さんにお伺いができればありがたいと思っております。
  19. 渡辺文雄

    渡辺参考人 お答えを申し上げます。  先ほど来申しております那須地域でございますが、東京との距離、平たんで広大な土地があるということだけではなく、二十一世紀の新しい日本をつくるにふさわしい歴史を持っている土地柄だと思っております。  那須野ケ原は、江戸時代までは原野でございました。明治維新の直後、新しい国づくりに燃える時の為政者たちが、福島県の郡山に猪苗代湖の水を引くために安積疎水をつくり、続いて栃木県の那須野ケ原に水を引くために那須疎水をつくった、殖産興業政策の一環として、そして大農法を展開してきた、そういう歴史がございます。  そして今の豊かな自然も、そのときに那須疎水が通水したことによりまして、約百年かけてでき上がってきたものでございます。そういう品格のある自然でもございます。明治の先達たちの新しい国づくりのロマンが那須には今でも息づいているというふうに私は思います。したがって、二十一世紀の新しい日本をつくっていくのにふさわしい歴史性を有する土地柄であると私は信じております。  また、現在皇室が毎年御利用になっておられます、広大な敷地を持つ那須の御用邸があるということにつきましても申し添えたいと存じます。
  20. 石川嘉延

    石川参考人 静岡西部地域につきましては、四点特性があると思います。  第一は、温暖な気候でございます。平均気温十五・七度という温暖な気候、それから我が国有数の日照時間を誇っておる地域でございます。  二番目は、豊かな自然環境。後背地には三千メートル級の山々を連ねました南アルプス国立公園、それから諏訪湖から太平洋に注ぐ天竜川に沿った天竜奥三河国定公園がございます。また、今回の候補地になりました中では唯一湖がございます。浜名湖というウオーターフロントを抱えております。それから、太平洋に面しましては、大規模な砂丘が広がります広大な遠州灘、その砂丘並びに里山の広がる小笠山などがございます。  三番目は、すぐれた交通インフラを挙げられるわけでございます。  四番目は、エネルギッシュな気風。東海道の宿場町として東西交流の中で発展してきた歴史を背景にいたしまして、やらまいか精神と言われるエネルギッシュな気風に満ちあふれた地域でありまして、新しいことに果敢に挑戦するエネルギーと、またセンスのあふれた地域でございます。  以上、温暖な気候、豊かな自然環境、すぐれた交通インフラ、エネルギッシュな気風、この四点を挙げられると思います。
  21. 國松善次

    國松参考人 やはり先ほど来申し上げましたような日本歴史という、あるいはそういう意味での文化というオリジナルな部分がありますと同時に、そういうものの背景の中に関西独特のアジア臭い文化を持っておるように思いますが、その辺が既に、流域では琵琶湖、淀川の開発なり保全なり、あるいはまた都市づくりに生かされておりますが、そうした関西の持っているバイタリティーのようなものが無形の形で役立つような気がいたします。  それから、このことを背景に、先般関西広域連携協議会というのが設立されて、新都建設に当たってもいろいろな活動を開始しようとしておりますけれども、ともあれ、文明、文化というものをきちっと位置づけるという点では、そしてまたアジアを視野に置くという点では、他にないすぐれたものを持っていると思っております。
  22. 蓮実進

    ○蓮実委員 もう時間がありませんので、もう一点簡単にお聞かせいただければありがたいと思います。  この秋、十一月には移転先答申が出ることになっております。幸いに自分たちの地区が決まればそれは満点だと思いますが、自分たち以外の地区に決定になった場合に、反対だとかあるいは賛成だとか、そういうお考えがあればお聞かせをいただきたい。三県の人にお願いいたします。
  23. 渡辺文雄

    渡辺参考人 もちろん、先ほど来申しておりますように、私どもが今現在やっております運動が成功することをこいねがっているわけでありますが、審議会が冷静かつ公平に審査をした結果別の場所になれば、その事実は事実としてきちんと受けとめてまいりたいと思っております。
  24. 石川嘉延

    石川参考人 かねてから、移転先決定は誘致に基づいて行うのではなくて、国がいかなる見地から首都を定めるか、ある理念、哲学に基づいて国において決定すべきものであるということを申し上げております以上、決まったことについて異論は申し上げません。  ただ、前提条件として、先ほどから申し上げますように、移転をした都市建設についての手だてを用意しないまま場所だけ決めるということは、いかにも手順がおかしいのではないかというふうに私は思うわけでございます。実際、これはいろいろなプロジェクトをやっておりまして痛感するところでございますので、その点は希望として申し添えたいと存じます。
  25. 國松善次

    國松参考人 国会の方で決定されれば、もちろん尊重させていただきます。  もっとも、日本のことを考えて真剣に御議論いただければ、先ほど来言っておりますようなことから畿央を決めていただくことになるのではないか、こう思っております。
  26. 蓮実進

    ○蓮実委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  27. 井上一成

    井上委員長 小林守君。
  28. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林守です。  三人の参考人には、大変お忙しいところ、我々の委員会に御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。  それぞれの調査対象地域の核となる知事さんということで、それぞれの地域の期待を担ってきょうは御出席されているものと思いますけれども、今蓮実委員の方からもいろいろな御質問がございました。私自身も聞きたかったようなことが既にほとんど触れられておるというような状況でございます。  そこで、まず、順序も若干変更させていただいて、蓮実委員の質問に対する答えを前提にしながら、またそれぞれの知事さんのお話を前提にしながら進めさせていただきたいということで、お許しをいただきたいと思います。  まず、東京都の石原知事が就任以来、国会等移転について、不規則的な発言と言っていいかどうかわかりませんが、かなりはっきりと発言をされております。そういう点で、今後の、国会等移転審議会答申がこの秋に出されて、そして東京との比較というようなことがスケジュール的には予定されているわけですけれども、そうなりますると、今日まで進めてきた、また論議を重ね手順を踏んできたものについて相当軌道修正的な発言になっているんだろうというふうに思いますので大変困難な状況も予想されるというふうに思うんですけれども、今日の東京知事国会移転についての反対の意見表明についてそれぞれどのように受けとめられているか、お聞きしたいと思います。
  29. 渡辺文雄

    渡辺参考人 東京都の前の知事さんの青島さんも決して賛成ではございませんでした。石原知事さんも何かきのうの所信表明でそういうことをおっしゃったそうでありますが、お気持ちは痛いほどわかります。  私どもは、平成四年にこの法律が制定されたのを受けまして、国会等移転の持つ国家的な意義地方から貢献をしたいというふうに考えまして取り組みを始めてきたわけでありまして、六、七年前に国会がみずからおつくりになりました法律に基づいて検討が進められているということを私どもは重く受けとめておるわけであります。そういう意味で、私は法律を信じたいと思います。  また、国会等移転しましても、東京経済文化、芸術等を中心にしました都市でありまして、世界に誇るべき最も重要な日本の顔であり続けるというふうに思います。  また、関東地方南部への地震発生の可能性が高いということは専門家からも言われておるわけでありまして、首都機能のあるところの都市災害対応力強化するということは、日本全体のために、そしてまた東京都のためにもぜひとも早期に対処すべきことではないかというふうに思っております。
  30. 石川嘉延

    石川参考人 東京都の石原知事のお考えといいますか反対の意思表明につきましては、東京都の知事という立場でそのようなことを表明するということについて理解はできますけれども、現在の首都東京の抱えております災害時におけるいろいろな対応力が十分かどうかということを想像いたしますと、現状では非常に問題があるのではないかというふうにも思うわけでございます。  また加えて、首都機能移転によりまして、過密、集中が緩和をされて、かえって現在よりはゆとりのある生活空間あるいは生活体系が確立できるかもしれない、そういうことも期待できるのでありますので、今後、国におかれて十分さまざまな議論を重ねてコンセンサスを形成していただくことを期待しておるわけでございます。
  31. 國松善次

    國松参考人 今、日本が社会経済全体のシステムの中で限界が来ているということ等、首都としても東京としても限界に来ているということなり、あるいは大きな災害のことを考えれば、東京都の皆さんの気持ちは一定理解できますが、やはり全体としては日本の構造改革ということで、第一歩としてきちっと考えなければいけないと思います。  また、首都機能が仮に移転したとしても、アメリカのニューヨークの例に見られますように、ワシントンとニューヨークという関係があるように、やはり東京東京としてきちっとこれからも一定の役割をしていただくということははっきりしているだろうと思います。
  32. 小林守

    ○小林(守)委員 ありがとうございました。  それで、もう一つ別の視点からお聞きをしたいと思います。  それぞれの知事さんが、この移転については、一つ国土軸という視点から御説明がありました。  それから、もう一つは、現在審議会の方で、調査検討中というか、各地域のそれぞれの項目について評価をするという作業を行っているわけなんですが、現在、災害対応力というか、災害対策的な視点からの評価をなされていると聞いておるところであります。  先ほど来、知事さん方のお話の中にもそれぞれ、特に地震などを中心とする災害対応力についての考え方が示されてまいりましたけれども、国土軸ということと、災害対応力というような、地震という問題を考えていった場合、もうちょっと基盤的な、プレートの問題を基盤に置いた考え方が必要ではないかなというふうに私は思うのですね。  幸いというか、静岡県の方で用意していただいた資料の十八ページに、日本を分断しているユーラシアプレートと北米プレートの壁があります。これは中央地溝帯と言うのでしょうが、フォッサマグナですね。これが縦線に、東西日本を一応地層的には、プレート的には分断しているというふうに言えると思うのです。そのユーラシアと北米プレートの間に三角の形でフィリピン海プレートが入り込んできているというようなことになっております。これは静岡県の方でおつくりになったことで、こういうプレート上の構造が東海地域に対してどうしても地震などの巣をつくっているというふうに言われていて、静岡県では大変な震災対策の推進地であるというふうな御説明だったと思うのですね。  そういう視点を踏まえて、言うならば、例えば三重・畿央地域の場合はユーラシアプレートの部分に包括される、そしてちょうど東海地域の場合はその結節点に当たるということになるんではないかと思うのですね。北東地域については、北米プレートの中にすっぽりと入っているというようなことでありまして、現在の東京もこの北米プレートとフィリピン海プレートの大体結節点にあるということになるんだろうと思うのですね。  そういう観点に立って災害対策国土軸ということを考えていった場合に、私の印象で大変恐縮なんですが、滋賀県知事さんのおっしゃられた、アジアの首都であり、文明、文化という視点からの新しい日本グランドデザインという視点で考える必要があるのではないかということなんですが、少なくとも日本は、弥生文化以来その地域が主導して発展してきた、この二千年来の歴史を考えると、そういう点で文明、文化を考えるならば、そこに新しい日本首都を考えていくということは、伝統と文化を重んじるという視点ではそのとおりなんですが、私はむしろ先祖返りじゃないのかな、このように思えてなりません。  それから、東海については、もちろんガーデンアイランド構想というようなお話がございまして、そのとおりで結構なことだと思うのですけれども、ただ、現在検討されている地震対策等については、進んでいるのは確かなんですが、それはやはりそれだけの構造的な地域だということだと思うのですね。  そんなことで、災害対応力という点で考えた場合、それから、これからの国土軸、文明、文化という視点を考えた場合、新しい日本のフロンティアとしての地域、多軸型の国土軸を五全総では、新しい全国総合開発計画では打ち上げているわけでありまして、そういう点で、新しい国土のフロンティアという視点からするならば、北米プレート上にあって安定した構造の北東地域というのは注目していいところではないのかなというふうに私は思います。  先ほど来、知事さんが、有史以来、いわゆる首都というか何々京というようなところは三重・畿央地域からずっと、京都から、それから江戸時代になってようやく、鎌倉幕府はありましたけれども、東京まで、江戸まで来て、ずっと今日まで至っているわけですけれども、少なくとも、北米プレート上の日本首都なり都が来たことはないんですね。ところが、古代文化時代を考えるならば、私は大変な文化を持った地域だったということも言えると思うのです。青森県の三内丸山遺跡などの縄文文化ということを、今物すごい再評価のときを迎えているのではないかと思うのです。  ですから、国土軸的に考えるならば、弥生文化開発歴史と、それから縄文文化時代歴史というものが今度の国会移転の問題ではぶつかってくるような、文明、文化という視点に立つならば、そこまでさかのぼって考えることが必要なのではないか、私はこのように思えてならないのです。  一定の弥生文化の今日までの成果と、それから北東地域、または沖縄にもそういう文化が残っていると言われておりますし、北海道にももちろんその文化の跡があるわけですけれども、そのような縄文文化、文明、そしてフォッサマグナという中央地溝帯、そして弥生文化と縄文文化という古代の地理的、自然的な背景のもとに生まれてきた日本文化、文明、こういうものを再評価する視点からこの首都機能移転という問題を考えてはどうかな、このように思ったんですが、それぞれの参考人の御意見等をいただいて、私の質問を終わります。
  33. 渡辺文雄

    渡辺参考人 地震の問題でございますが、大正十二年に関東大震災がありましてからもう七十数年たっております。関東大震災の前の六十八年前には、御案内のように安政の大江戸大地震というのがございました。ずっと、数十年間に大きな地震が南関東を襲っているわけでありますが、その間、北関東地域はほとんど被害がなくて、今日まで来たわけでありまして、プレート型の地震の発生の可能性というのは、今後否定はどうしてもできないんだろうと思います。そういう意味では、北関東あるいは北東地域は、それなりの意味のある地域ではないかと思います。  それから、文化、文明論につきまして、大変興味に満ちた御説を伺ったわけでありますが、そのように私も思うわけでありますが、先ほど来申しておりますように、那須というのは昔から余り人が住んでいなかったものですから、おっしゃるような意味での史跡、跡はないわけでありますが、逆に、明治以降たくさんの人が入植をいたしました、明治の元勲に連れられて。そういう意味では、非常にオープンな土地柄でございますので、もし仮に那須の方へ新しい都市ができるとすれば、そこに緑に包まれた新しい文化が創造できるということは、非常に夢のある、希望の持てることではないかというふうに思っております。
  34. 石川嘉延

    石川参考人 地震の問題でございますが、確かに本県東海大地震の発生が懸念される地域でございますが、この本県西部地域、対象になっております地域は、東海地震が発生いたしましたとしても、地盤のしっかりした台地とか丘陵地に存在しているわけでございますし、地震影響は最小限に食いとめられると存じます。  それからまた、最近のさまざまな災害の経験をもとに、最新の建築技術、土木工学等を駆使すれば、むしろ災害に強い、災害の危険性のあるところでも非常に災害に強い都市建設し、これが世界に対して一つのモデルとして提示し得るような、そういう都市建設も可能な場所ではないかというふうに思うわけでございます。  そのほか、小林先生の方から、文化とか歴史哲学に基づいたいろいろ御所見がございましたが、私どもも、現在国が提示をしております新しい全国総合開発計画の中の理念に大変共感を覚えまして、こういう観点から新首都建設してもらうと大変これは二十一世紀に向かって、世界にもいろいろな情報の発信になる、すばらしい新首都になるのではないかという観点から御意見を申し上げた次第でございます。  そういう観点でいくと、本県西部地域、大変適格性を備えていると自負しているところでございます。
  35. 國松善次

    國松参考人 地震のことですが、先ほどのお話にありました地図でいえば、私どもはユーラシアプレートということになるわけですけれども、そういう意味でも、関東と振り分けることでリダンダンシーが高まるということがはっきりするんではないかと思いますのと、そしてまた、先ほど来歴史と言っています中で、今までの日本の発展が、東と西をうまく都を移動させることによって発展のエネルギーなりバランスにしてきたという感じがいたしましたのと、それからやはり、古いものを持ちながら、その中で新しいものをつくっていくときに、古いものが一つの鏡の役割をしたり、発酵する一つの母体になるという意味で使えるのではないかということを思った次第です。
  36. 小林守

    ○小林(守)委員 終わります。
  37. 井上一成

    井上委員長 宮地正介君。
  38. 宮地正介

    ○宮地委員 公明党・改革クラブの宮地正介でございます。きょうは、参考人の皆さん、御多忙の中、また大変な雨の中を国会にお越しいただきまして、心から敬意を表したいと思います。  まさにこの首都機能移転は遷都の問題でございまして、政治の都をどこに移すか、こういう大変重要な課題でございまして、この遷都の問題を契機として我が国の、日本の新しい国づくり、これを目指すことが私は最大のポイントであろう。その新しい国づくりに当たって大事なことは、明治以来今日まで続いてきた中央集権国家地方分権国家にまずきちっと切りかえていく、そしてもう一つは、東京、大阪を中心としたいわゆる一極集中のこの大都市圏をもう一度多極分散型の国土に切りかえていく、こういう一つの大きなきっかけにこの首都機能移転というものが生かされれば、私は国民の理解と合意が得られるのではなかろうか、こう考えているわけでございますが、きょう三人の参考人の皆さんのお話を伺っていますと、大変皆さんの地域はすばらしい文化、文明、そして自然との共生、大変にすばらしい地域であることは理解をいたしました。  さて、今申し上げたような、そうした基本的な今後の二十一世紀日本の新しい国づくりに照らし合わせたときに果たしてどうなんであろうか、この辺をもう少し個性豊かにPRをしていただくとありがたいなと。  ちょうど来年は、ドイツにおきましてはボンからベルリンに首都移転をされます。そして恐らくフランクフルトが経済の都。ヨーロッパ、EU諸国の恐らくこれから中心的な存在にドイツのベルリンとフランクフルトがなるんではなかろうか。ワシントン、ニューヨーク、この関係もありますが、東京そして新都市、これが二十一世紀世界のこうした国々と同じような評価の得られるような新しい遷都をやるべきではなかろうか、こう考えているわけでございます。  特に渡辺知事におかれましては那須野ヶ原、この地域がそうした面からどのように対応できるような地域なのか、あるいは畿央高原などはどうなんだろう、静岡西部地域は果たしてどうなんだろう、もう少し皆さんの方の個性豊かなPRをしていただければありがたいと思います。お一人ずつよろしくお願いしたいと思います。
  39. 渡辺文雄

    渡辺参考人 お答えを申し上げたいと思いますが、基本的には、日本のどこに、どの地域移転をいたしましても、地方分権の起爆剤といたしまして有効な手段であると存じます。しかし、東京を頂点とする中央集権体制から、各地方がそれぞれの地域の特性に合わせた地方自治を展開するというためには、いろいろな面での集積がある太平洋ベルト地帯一軸集中ではなく、新たな集中を招くことのない、いわばフロンティア国土軸であります利根川以北の北東地域がそういう意味ではよりふさわしいのではないかというふうに思っております。  北東地域への移転によりまして、バランスのとれた国土が形成をされる、それから、移転の過程や移転後におきましても重要となります経済文化中枢であります東京都と適度な緊張が図れる、そしてまたフェース・ツー・フェースの関係も保てる、そういう位置にある北東地域というものは、いろいろな意味ですぐれているのではないかというふうに思っている次第であります。  特に、繰り返しになりますが、那須地域につきましては、明治の初めに、新しい国づくりの意欲に燃えた明治元勲たちが、国づくりのロマンに満ちた、そういう土地を目指して作業に入ったわけでありまして、二十一世紀の新しい日本国づくりの出発点としましては、那須というのはそれなりの歴史性に富んだ地域ではないかというふうに思っております。
  40. 石川嘉延

    石川参考人 新首都建設に当たっての日本の今後の国のあるべき姿について、宮地先生のお説、全く同感でございます。それであればこそ、新しい首都はどういうイメージでやるべきかということについて、私は、国会あるいは首都移転等の調査会において国民的な議論をもうちょっと巻き起こしていただくべきだというふうに存ずるわけでございます。  それから、そういうことを前提にしながら、静岡県といいますか、私自身としてどのようにこの新首都イメージをとらえるべきかと考えますと、先ほどもちょっと御報告いたしましたが、新しい全国総合開発計画、この中に、二十一世紀我が国のあるべき姿としてガーデンアイランド、庭園の島構想というものが述べられておるわけでありまして、これに大変私は共鳴を覚えるわけでございます。そういう観点から考えますと、新しくでき上がる首都は、そのガーデンアイランド、日本全体がガーデンアイランド化する、その象徴にふさわしい、美しい景観、自然環境を持つと同時に、世界日本をアピールできる開放性とか象徴性をあわせ持つことが必要ではないか。  それらを考えますと、本県西部地域のすぐれた自然景観や気象条件、それからまた地方都市であっても、本田、ヤマハ、河合というような大変世界にも名の知れた、進取の気性に富んだ企業を輩出し、今日ではまた、物理学の世界で大変話題を呼んでおりますニュートリノの観測装置を開発しております浜松ホトニクスというような大変ユニークな先端企業が数多く輩出している。そういう地域というのは、これまた開放性とかを象徴するような進取の気性に富んだ風土だと思うわけでございます。  そういうことを背景に、新首都を定めるのであれば、我々の地域は最適な地域ではないかということを申し上げておるところでございます。
  41. 國松善次

    國松参考人 中央集権国家から地方分権国家へという考え方の中で、今まで東京一極集中であっただけに、これからは東京一極集中を多極分散型にしなきゃいけないと思いますし、同時に、考え方の、価値観の問題として、今まではやはり東京中心に日本全体が生産中心であったのを生活中心に切りかえていくということも求められるだろうと思います。  そうした中で、畿央の場合は環太平洋と環日本海の一番狭隘な地域、狭い地域で、九十キロで結ばれるという地域でございます。そういう中で、国土軸東西に、あるいは南北に、そしてその結節点位置するという意味で、むしろ多重的構造をつくっていくのにはいい場所ではないかと思います。そしてまた、そのことによって、東京東京で、あるいは大阪は大阪で、名古屋は名古屋で、あるいはその他の大きな都市も、それぞれが生きていくということが明確になるんではないかと思います。  と同時に一方で、それとは逆な話ですが、新しい首都はやはり東京に匹敵する中身を何かきちっと持っているということも一方で問われると思いますので、そうしたときに、やはり関西の持っている日本のオリジナルな部分をうまく生かして新しいものをつくっていく、あるいは環境の問題を考えていくということが大事だろう、そういう意味では畿央は大きな条件を備えているんじゃないか、こう思うわけです。
  42. 宮地正介

    ○宮地委員 ありがとうございました。  さらに、やはりこの首都機能移転契機に、今低迷している日本経済を再生していく一つのインパクトにしていくことも大変私は大事なポイントの一つではなかろうか、こう考えているわけであります。  首都機能移転が決まりますと、政府としては、十二兆円の投資をして六十万都市をつくっていこう、こういう一つの構想を持っているわけであります。このいわゆる十二兆円の投資を三百兆円の経済効果が上げるようにできるんだ、こういうようにお話をする専門家もいるぐらいでございまして。今お話ありましたように、ただただ経済至上主義ではなくして、これからは生活大国、そうした日本をつくっていかなくてはならぬ、これは私も同感でございます。  そういう意味合いにおいて、お三方の地域はまさに経済的な再生効果に対してもインパクトが非常にあるのではないか、こう私は考えているわけでございます。時間も限られておりますが、端的にその点について御説明いただければありがたいと思います。一言ずつ、三人の参考人の皆さん、よろしくお願いしたいと思います。
  43. 渡辺文雄

    渡辺参考人 お説のとおりでございますが、日本経済停滞、現在世界じゅうからも注目されておるところでございまして、そういう中で、国会等移転というものは、世界に対しまして日本への信頼回復につながる大きなメッセージになるはずであります。国会等移転によりまして政経分離が図られまして、従来型の経済システムではない、世界標準に沿った新しい経済システムを構築していくことが日本経済のこれからの発展にとっては必要不可欠だと私も思います。  新しい都市は、自然環境と共生をしまして、情報化の面でも二十一世紀にふさわしいモデル都市を目指すものでなくてはなりません。国会等移転都市づくりに当たりましては、あらゆる面での新技術、手法を導入して実験することとなりますために、そういう意味では世界をリードするような産業分野を育成し、ひいては現在政府において考えられております産業再生、新産業の創出の機会、そういうものも提供することになるんではないかと思っております。地域経済におきましても、新たなビジネスチャンスが生まれまして、そういう意味での新しい雇用効果もあろうかと思っております。
  44. 石川嘉延

    石川参考人 新首都建設につきましては、どれぐらいの期間にわたってこれが建設されるのか、その年数によって、投下される最終規模は大きくても、毎年毎年の経済に与える影響日本経済全体の規模から考えるとそれほど大きいものがあるのかなとも思えるわけでありますが、一方で、新首都建設することによりまして、ここにおいて我々の未来の特に都市における生活の新しいスタイル、これを提示することになる、これが国内外にそういう発信をする。これによる経済的な、心理面も含めて大変大きな効果が出てくると私は思いますし、また、これとあわせて進みます地方分権規制緩和、これによる経済効果も大変大きいのではないかと思うわけでございます。ぜひ地方分権規制緩和とセットでこれが進むことをまた期待しているところでございます。
  45. 國松善次

    國松参考人 今の日本経済の再生は、単なる一過性の話ではなくて、構造的な問題だとまず考えます。そういう意味で、この首都機能移転という話は、経済効果はもちろんあるわけでありますが、それが新しい産業をつくるとか、生活様式、生活文化を、あるいは新しい価値を生み出すそのきっかけになる、あるいはそれをリードする一つのプロジェクトだという意味があると思いますので、経済効果はもう当然でありますが、それ以外に効果がさまざま出てくる。特にこれからの新しい時代をつくっていくというリードをこれがしていくことができるだろうと思います。  それとあわせて、やはりそのときにアジアというものを非常に意識しなければいけないと思いますので、世界を意識するとき、アジアを意識するとき、私どもの地域というのは足場がいいんではないか、こう思うわけであります。
  46. 宮地正介

    ○宮地委員 大変にきょうは短時間でございましたが、参考人の皆さん、貴重な御意見をありがとうございました。終わります。
  47. 井上一成

    井上委員長 吉田幸弘君。
  48. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  本日は、三知事の皆様には、お忙しい中参考人として非常に重要な意見をお聞かせいただきまして、感謝を申し上げます。  早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。  まず一問目。お三方に質問になりますが、二十一世紀我が国というのは、ますます国際化が進展いたします。その中にあって我が国はいかがあるべきなのか。これは、今まで経済大国と評されたり、また、あらゆる分野で世界をリードするというような位置づけにあったと思います。では、この先どうなのか。この先、我が国というのはいかがあるべきなのかということをお話しいただきたいと思います。
  49. 渡辺文雄

    渡辺参考人 二十一世紀は、申すまでもなく、情報化の加速的な進展とか環境保全のグローバル化、あるいはさまざまな分野でのボーダーレス化等々、国際社会が種々の課題に直面する世紀になるわけであります。当然のことながら、我が国国際社会の一員といたしましてこれらの課題の解決に努力していくことになるわけでありますが、このような国際貢献への取り組みを通しまして、二十一世紀における我が国国際的な地位を確固たるものにいたしまして、信頼される日本を築いていけるものというふうに思っております。  また、新世紀におきます我が国は、政治的、経済的に世界を牽引していく気概を持つと同時に、文化、社会面におきましても国際社会に対しまして積極的に貢献していくべきであるというふうに思っております。そのために、現在我が国が直面しております課題、すなわち国政全般の改革、東京一極集中の弊害の是正災害対応力強化といいました課題を解決していく必要がございまして、国会等移転を実現することこそがこれらの課題解決のために求められていることだと思います。  従来のように経済大国であり続けるべきかというようなお尋ねもございましたが、私は、日本という国は昔から資源のない国でございまして、現在の生活水準を日本が続けるとすれば、経済大国と言うかは別にいたしまして、やはり経済中国ぐらいの状態は続けざるを得ないと思います。  よく六億トン、九千万トンと言われますが、石油、石炭、鉄鉱石、ボーキサイト等々六億トンの原料を輸入して、自動車、電気製品等九千万トンの製品をつくって輸出をする。そのサイクルの中で加えられました付加価値で我々は豊かな生活を送っているわけでありますが、その姿はこれからもどうしても必要になると思います。それが大国として非難されるような形、弊害を伴うような形にならないように注意をしながら、やはり経済を大事にした国家の将来を考えていくべきではないかというふうに思います。
  50. 石川嘉延

    石川参考人 今後、我が国は、我が国の持つ大変高い、すぐれたレベルの学術、技術、これを一層磨きをかけまして、この面で人類の進歩発展に寄与すべきだと思いますし、さらに加えて、我々の日本の持つ文化の力、これをもう少し正しく自覚をして、その面で世界に貢献すべきだと思います。  いろいろな側面から日本文化を評価し得ると思いますが、静岡県におきまして文化的な側面で取り組んでおる経験からいいますと、日本の持つ固有の文化は、その固有性と同時に、世界的な普遍性を持つものだと存じます。特に、その特色は、闘争よりも融和というところに特色があると私は思いますし、この面で大きな貢献を今後世界になし得ると思います。学術、技術、文化、こういう面で大いに貢献を果たすように開かれた社会を構築する、そういう目標で進むべきだと存じております。
  51. 國松善次

    國松参考人 日本は豊かな国になりたいということでは大変な努力をしましたし、一定の成功をしたと思いますが、同時に、たくさん失敗もしましたし、反省すべき点も学んだと思います。  そういう意味で、この経験をどう生かすかということが非常に大事になってくると思いますし、また、こんなに成功しましたのも、日本が幾つかモデルにした手本があったと思うのですが、今度は私たち自身がモデルをつくっていかなきゃいけない立場にあるのだろうと思います。具体的に言えば、環境の問題あるいは福祉の問題で、世界にモデルとして、我々はあるときは実験台になりながらも提供するということを求められていくのではないかと思います。  そしてまた、先進国の場合、欧米という一つ地域あるいは文化等がありますし、私どもは開発途上国と先進国を極めて短期間に、しかも、アジアという東洋の文化の中で経験してきましたので、この経験は大いにこれからの世界に、さまざまな文化の差異をむしろ調整できる、そういう力を持っていると思いますし、そこのところを大事にする必要があるのではないかと思っています。
  52. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 今、渡辺知事さんは、大国であることはない、中国ということをおっしゃったのですが、このように、どこを目指すのか、例えば世界の中で我が国はどうあるのか、またアジアの中でどうあるべきなのか、私自身は、まずこういうことを目標というか設定をして、その中で我が国首都が国内そして国外に対してどのような役割を担っていくかを考えるべきだと思います。  例えば、文化の面において、それぞれの地域の識者の方々はいろいろな意見をお持ちです。例えば、何々地域、何々県というのはこういう文化があります、こういう特質があります、特色があります。ただ、これは、首都となった場合に、その地域文化だけでは済まない部分があるのです。要は、日本文化としてそれは位置づけられていく必要もあるのではないか。そうすると、その地域文化が薄れてまいります。  私の地元というのは名古屋でありまして、極めて特色のある言葉があります。名古屋弁というものがあります。ただ、ではそういった場合に、首都となるに当たって名古屋弁が消えていくのじゃないかというような名古屋の人の意見も少なくはありません。  ですから、かなり極端な言い方になりますが、その地域文化というものがいささか消失する、見えてこなくなっちゃうというようなことも懸念されるわけでありますが、その文化面というものを含めて新しい首都というのは内外に対してどのような役割を担っていくか。ですから、一問目の質問と二問目の質問、これを連動させて私自身は考えてはいるのですけれども、特に渡辺知事さん、中国という言葉をお使いになったものですから、そのためにはどうあるべきなのか、その辺をお答えいただきたい。この質問は、お三方にあわせてお願いしたいと思います。
  53. 渡辺文雄

    渡辺参考人 私があえて経済中国と申しましたのは、日本の持つ資源上の制約からいたしまして、どうしても大量の原料を輸入し、国内で物にかえてこれを輸出するという経済のサイクルからは抜け出せないわけでありますし、そのサイクルの中でしか我々は豊かな生活を享受することはできないというふうに思っているから、しかし、大国とまでなりますといろいろな弊害を伴いますので、あえて中国と申し上げた次第であります。  また、先生が今おっしゃいました文化、文明等に関するお考えにつきましても私はよく理解できると思います。これからの国際社会の中で、世界に開かれた首都であることが必要でありまして、そのためには、世界世界をつなぐ国際交流拠点としての役割を新しい首都は持っておく必要があるのだろうと思います。あと、世界日本各地とをつなぐ玄関としての役割も必要でありますし、また、これから必要になってまいります地球環境保全という観点から、環境共生の範を垂れる、そういう新しい都市でなくてはならないと思います。  文化について一言だけつけ加えさせていただきますと、名古屋につきましてのお説がございましたが、那須地域は、先ほど申しましたように、人間が住み出しましてからまだ百年ちょっとしかたっていないところでありまして、北陸地方、山陰地方からもたくさんの方が入植された地域でございまして、そういう意味では非常にオープンな土地柄であります。新しい時代の新しい文化を創出するためには非常に適した土地ではないかというふうに思っております。
  54. 石川嘉延

    石川参考人 首都日本全体の文化象徴する、あるいは代表する、あるいは先導するような、そういう役割を果たすべきだと思います。その限りで、本来その地域が持っていた狭い意味での地域文化といいますか、地域性、これはだんだん後ろへ下がっていく、これはやむを得ないことではないかと思うわけでございます。その地域そのものが日本全体の文化を代表していないと思いますので、これはやむを得ないことだと存じます。  それから、経済大国、中国のお話でございますが、私は、大国になるか中国になるかは別にいたしまして、いかにこれまでのような繁栄を今後も持続できるか、保持できるか、こういう観点でいろいろ我が国はこれからも渾身の努力をすべきだと思うのであります。規制緩和とか地方分権もそういう一環ではないかと存じておる次第でございます。それを達成すれば、私は、大国であるかどうかは別にして、繁栄は保持できる、可能性は非常に大きいと存じておるところでございます。
  55. 國松善次

    國松参考人 今、滋賀県では四つの実験ということを呼びかけているわけですが、それは、私たち人間が自然とどう共生するかということを求められている環境の実験、そしてまた、世界一長生きをする国を日本はつくったわけですが、老後に寝たきりになるとかぼけるとかいう不安を持っています。その辺を、生涯を通してだれもが安心できる福祉の実験、そしてまた、それがいずれも成功するためには経済がしっかりしていないといけない、そういう意味で、特に経済でいえば、エコロジーとエコノミーを一つにするという実験を挑むことではないかと思うのですが、それがこれからの日本経済の面だと思います。  それらをあわせて文化にできないのかという、私どもは四つの実験を言っているのですが、世界に向かって日本はやはり同じようなことを考えるときにあるのではないかと思います。
  56. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 またお三方に、これは簡潔にお願いしたいのですが、ではそのためにインフラ整備の中でこれは必要だ、欠かせない、一点に絞って、例えばSSTのような旅客機がおりるためにはどうなのかとか、時間もありませんので一言だけ、これは絶対欠かせない、要は、内外に対して首都はこれだけは必要だというようなものが何かあったらおっしゃっていただきたいと思います。
  57. 渡辺文雄

    渡辺参考人 現在、栃木県には空港がございません。那須地域を利用していただいたらどうですかというお勧めをする前提としまして、いわゆる福島空港を前提にしております。福島空港といいましても栃木県との県境にございまして、現在でも四十数分で私どもが考えております首都、新しい町に着くわけでありますが、空港から高速道路までのアクセスをこれはぜひともつくっていただきませんと、それが完成すれば恐らく三十分ぐらいで来るようになりますので、それだけはぜひお願いをしたいというふうに思っております。
  58. 石川嘉延

    石川参考人 これだけは必要だというものは何かというお話でございますが、少なくとも陸空の最新鋭のインフラ整備は必要だと思いますが、それより何よりも、それらを整備するについても、現行のさまざまな土地利用関係の規制とか開発関係の諸法制、これは、このような大構想のもとでプロジェクトを推進する上では非常に欠陥が多いものであります。特に国家的観点からやる場合に、その運営の主たる責任を都道府県知事とか都市の市長とか自治体に全部ゆだねるような現在の法制ではうまくいかないのではないかというふうに思うわけでございます。  したがって、首都機能移転整備に関する特別措置法みたいなものを特別立法して、特殊な、特別な開発のための手だてをまず用意すべきだというふうに存ずるわけでございます。
  59. 國松善次

    國松参考人 いろいろやらなきゃいけないことはあると思いますが、この問題はやはり広い視点できちっと選ぶということが一番大事であって、あとはそれぞれ知恵を出せばいいことではないか、そんな感じすらします。
  60. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 これにて終了いたします。どうもありがとうございました。
  61. 井上一成

    井上委員長 中島武敏君。
  62. 中島武敏

    ○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。  先ほどから、首都機能意義について、また、それぞれの県のすばらしさについてお話を伺いました。ちょっと角度を変えてなんですけれども、県の発展を願わない知事さんというのはいないと思うんですね。それで、この首都機能移転するということに大変熱心な本当のねらいと申しましょうか理由と申しましょうか、県の発展との関係でどんなふうにお考えになっているのか、これを順次伺いたいと思います。
  63. 渡辺文雄

    渡辺参考人 災害に強い国土づくりを初めといたします国会等移転の持つ国家的な意義に対しまして、適地を持つそれぞれの地方といたしまして貢献をしなければならないという基本的な考え方からこの問題に私どもは取り組んでいるところであります。  栃木県といたしましては、そういう意味では、いわゆる工場誘致とか大学誘致というような、どうも誘致という言葉は私は余り好きでございませんでして、そういうような考えでは取り組んでいるわけではないということははっきりと申し上げたいと存じます。  それから、選考の方法につきましては、現在、国会等移転審議会におきまして検討会を設置しましていろいろと御検討が続いているわけでありますが、ぜひ公平公明な手続でいい結論を出していただきますようにお願いをしたいと思っております。  いずれにいたしましても、国会等移転の持つ重要性にかんがみまして、国民が納得できるような形での結論が得られますようにこいねがっているわけであります。
  64. 石川嘉延

    石川参考人 何のメリットを感じて首都を我が地にと言うのかというお尋ねでございますが、これは、日本を代表する首都が立地をすることに伴います本県地域における経済的あるいは文化的、精神的、もろもろのプラスの影響を考えてのことでございます。
  65. 國松善次

    國松参考人 私ども琵琶湖を持っているわけでありますが、琵琶湖は未来からの預かり物だと考えております。そしてまた、それだけに、この琵琶湖を持っている地域というのはさまざまな人がやはりそれを利用するということになるんだろうと思います。信長が安土に城を決めて天下を統一しようとしたように、位置的にも、あるいはさまざまな条件がそういう役割を宿命的に背負わされているのではないかと思いまして、単に滋賀県のというよりも、日本全体を考えれば、畿央の高原というのは非常に重要な位置にあるということを申し上げておるわけであります。
  66. 中島武敏

    ○中島委員 皆さんなかなか大変国家的な見地での御答弁なんですが、もうちょっと率直な御意見が聞けるかなと実は期待したんですけれども、それでは、もう一つ次に伺いたいと思います。  それは、御存じのとおり、国会等移転法移転先地が決まった場合にどうするかという場合ですけれども、国民合意の形成状況、それから社会経済状況、それからさらに、三つ目には東京との比較考量、こういう三つの条件が書かれております。きょうは、東京との比較考量はちょっとおいておきまして、あとの二つについて伺いたいと思っているんですが、まず、社会経済状況を考慮するというこの面なんですけれども、御存じのとおり、日本の財政の長期債務は国、地方合わせて六百兆であります。GDPは五百兆。もう長期債務がGDPの一二〇%という状況です。これもまた知事の皆さんはよく御存じだと思うんですけれども、EUの加盟条件は長期債務が六〇%以下であるということになっております。だから、もし日本がEUに加盟するということであれば、もうはなから門前払い、これぐらい深刻な状況にあるんです。  そういう点を考慮すると、今すぐこの首都機能移転はやはり無理じゃないか、こんなふうにお考えなのか、いや、それであってもなおかつ首都機能を大いに自分のところに誘致したいとこんなふうにお考えになるのか、その辺について三人の知事の皆さんに率直な見解を伺いたいと思います。
  67. 渡辺文雄

    渡辺参考人 最終的に決定がなされます前に幾つかのことにつきまして比較考量するというような意味での、考慮するというような意味での条件がついていることは私どももよく承知しております。その中で、社会経済状況を考慮するということの関連で、今の国家財政の状況一つの大きな問題になろうかと私も思っております。  しかし、先生もよく御存じのように、投資される金額は民間と財政投資合わせまして十二兆数千億というふうに言われておるわけでありまして、その中で、いわゆる国費は四兆たしか三千億か六千億か、四兆数千億というふうになっております。これを二十年ないし三十年で投下するということでありまして、ほかは全部民間投資であります。  仮に二十年間で投資されるとしますと、四兆円の二十分の一ですから、年間の投資額は仮に二千億ぐらいになるわけでありまして、今の国家財政、十兆円の公共事業の中から振り向けるとすれば二%を振り向けるだけということにもなるわけでありまして、それほど大きな財政に対する困難性をつけ加えるものではないというふうに私は思っておりますし、逆に八兆円の民間の資金は、不景気というのはもちろん物が動かないわけでありますから、民間の投資が八兆円新しく投資されるということが予想されるということは、日本経済の活性化のためにはかなり大きな意味合いを持つ数字ではないかと思っております。
  68. 石川嘉延

    石川参考人 私もただいまの渡辺知事と同じように、新首都建設についての投資規模は、現在の政府の公共投資の毎年の総額あるいは民間の設備投資額と比較いたしまして、十分のみ込める数字ではないかと存じます。選択の問題であるというふうに思います。
  69. 國松善次

    國松参考人 今日の社会経済情勢を考えますときに、首都機能移転の問題は、やはりミクロの問題とマクロの問題を区別して考えるということがまず大前提として大変重要だろうと思っています。  財政規模からいえばそんなに大きな金額にならないと思いますし、またそれも、長期的に計画的に進めるということとコンパクトにやるという手法で十分クリアできるのではないかと思っています。むしろ、今ここで新しい時代に向かっての流れをつくるというスタートを切ることがより大事ではないか、こう思います。
  70. 中島武敏

    ○中島委員 お答えは私の見解とは相当開きがございますが、それは一年に直せばわずかなものじゃないかというお考え方のようですけれども、だけれども、公共事業関係は、もう皆さんそういうような考え方でやられますと、結局やはり今の非常に苦しい状況を克服できないということになるんじゃないかというふうに思うんですけれども。  次の問題なんですけれども、さっき申し上げたように国民合意の形成状況、これはちょっと国民合意というので全体については無理でございますけれども、それぞれの県内における状況はどんなふうになっているかということについて、簡単で結構ですけれども、お答えいただきたい。特に滋賀の県知事さんは、今度の畿央高原というと四県にまたがっているわけですね。ですから、滋賀県内状況も伺いたいと思うんですが、同時に、その他の三つの県内状況もおわかりであればお答えをいただきたいと思います。
  71. 渡辺文雄

    渡辺参考人 県内の合意の形成状況でございますが、率直に申しまして、過去数年間取り組んでおりますが、やっと最近になりましてかなり浸透してきたかなという実感を得ておるところでございます。  もちろん、豊かな自然が傷つけられるということについての心配が、心配の人たちの主たる問題点でありますが、これにつきましては、よく時間をかけて御説明をし、随分理解が深まってきているというふうに思っている次第でございます。
  72. 石川嘉延

    石川参考人 静岡県内におきましては、県議会においてもいち早く首都機能移転問題についての特別委員会が設けられまして、圧倒的多数の方々が、もし移転先に決まった場合には静岡県は受け入れようという立場から、いろいろ議論が展開されております。  また、県民世論についてのいわゆる世論調査みたいなものでありますけれども、これは県自身は独自に実施をしておりません。報道機関等が行ったものを集約いたしますと、約六割ぐらいが賛成、三割ぐらいがよくわからない、一割ぐらいが反対、大ざっぱに言いますと大体そんな印象でございます。
  73. 國松善次

    國松参考人 私ども滋賀県では、先ほども申し上げましたように、県議会でも意見書が採択されたり、あるいはまた県民意識調査もやっておりますし、シンポジウムもやったりして、議会でも絶えず議論をしていただいております。  他の府県ですが、畿央高原のエリアからいいますと、滋賀と三重が大きくて、あと京都と奈良が加わっているという感じですが、三重県さんも絶えずこの辺は大きな議論をされ、かつ熱心に取り組んでおられるようでありますし、また、京都、奈良とも、この問題は絶えず知事会あるいはまた経済界でも議論をし、連携をしながら、やはり選択いただくのならここではないかということを申し上げておるところでございます。
  74. 中島武敏

    ○中島委員 時間が迫っておりますので、これで終わります。
  75. 井上一成

  76. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  本日は、お忙しい中、三県の知事さんには貴重な御意見をお伺いして、本当にありがとうございました。三県の知事さんの御意見を聞いておれば、立地条件等、それと自然環境等を通じて、本当に首都をどこに持っていってもいいじゃないかなというぐらいに、ちょっとお伺いしたわけなんでございます。  まず最初に、私は、首都機能移転には、その規模によりますけれども、地域社会や住民にとって大きな変化が予想されると思うわけなんでございますが、各県とも、先方もあったかもしれませんが、当該地区の住民への説明会とか合意形成などのようなことを努力されておりますのか、各県の知事さんにお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  77. 渡辺文雄

    渡辺参考人 栃木県の場合ですと、平成八年に、県民の合意形成と機運醸成を目的としまして、県内の主要団体で組織します栃木国会等移転促進県民会議を設立いたしまして、パンフレットやビデオ、CD—ROMの作成、配布、あるいは新聞等を使っての意見広告の掲載、ラジオ、テレビによる広報等、いろいろな機会をとらえて広報活動を行ってまいりましたし、現在も行っている最中であります。  こういった活動におきます本県の特徴的な取り組み一つといたしまして、県民国会等移転に対しましての意見や要望について広く聞いていくことを目的といたしまして、さまざまな職業や分野、反対や慎重な御意見の方々にも大勢参加をしてもらいまして、県内の広域単位を中心に、十数回、この問題についての県民フォーラムを開催してまいりました。そこで出されました意見や要望にこたえるために国会等移転で想定される課題に対する対応方向というものを作成しまして、県民にお示しをしているところでございます。
  78. 石川嘉延

    石川参考人 県といたしましては、住民に直接情報提供するという活動は今のところしておりませんが、それぞれの地域経済団体や関心のある方々が団体を組織しておりまして、そことは私ども頻繁に連絡をとり合って、さまざまな情報を提供し、意見交換もしているところでございます。
  79. 國松善次

    國松参考人 先ほどもお答えしましたが、県議会で議論が絶えずされておるし、決議がされておりますのと、県自身といたしましては、広報誌やこういうパンフレットをつくって啓発をいたしておりますのと、昨年に意識調査というのをやらせていただいて、そのデータは先ほど御説明申し上げたとおりでございます。  なおまた、意識啓発なり合意形成の意味でシンポジウムを先月開いたわけですが、これは県がやったというよりも関係の市町村なり財界なり地域住民で主催されて催された、こういう状況にございます。
  80. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ありがとうございました。  やはり盛り上がりというのが大切だろうと思うんです。県民とか地域の人たち、住民のその辺のことが大切になって、この首都移転ということがやはり話題になってくると思います。  それはさておいて、次は、私ずっと思うのですけれども、日本国じゅうがこのごろ開発等で荒らされてきているか、開発されて、非常に緑のきれいなところの土がとられたとかというようなことを見たりしますけれども、そうした中で、この首都機能移転というのは大きな公共事業の一つだろうと思うわけなんでございます。それが長期にわたって環境の破壊を伴う建設ラッシュというか、そういうようなものができてくりゃせぬかなと思いまして、生態系等についても悪影響を及ぼさないかということについてどのようにお考えになるかということです。大きな環境破壊ですね。そのことについてどのようにお考えになるかということをお聞きしたいです。先方も環境と共生した都市づくりということを言われておりますけれども、この点について、三県の知事さんにお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  81. 渡辺文雄

    渡辺参考人 お答えを申し上げます。  国会等移転調査会の報告によりますと、国会等移転に伴い整備されます都市は環境共生型の都市づくりの先導的プロジェクトというふうに位置づけられておるようであります。私も、栃木県の場合ですと、那須の豊かな自然は後世に引き継ぐべき大変大事な、貴重な財産であるというふうに思っております。  この豊かな自然を守りながら新しい都市整備してまいりますためには、計画段階から環境影響評価というものを実施いたしまして、生態系に与える負荷を最小限にしていく努力はもちろん必要だと思います。また、都市の構造につきましても、できるだけコンパクトな都市を広大な圏域の中に分散して配置をすることによりまして、資源循環型の都市としていく必要もあろうかと思います。さらに、乱開発防止するという観点からは、計画なければ開発なしという理念に基づきまして総合的な土地利用を図る必要があるわけでありまして、先ほども申し上げましたような、そして静岡県の知事さんからもお話がございましたような新たな立法措置がぜひ必要ではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、那須の豊かな自然と人間が共生できる都市あり方につきまして、県民の合意を取りつけながら今後も勉強を続けていきたいと思っております。
  82. 石川嘉延

    石川参考人 本県の場合は、新しい首都に必要となると思われるような、例えば陸上の高速交通体系につきましては、現在既に第二東名自動車道建設が始まっております。これは当然のことながらアセスメントを経て着手しているわけでございますので、環境への影響は最小限に食いとめ、なおかつ逆に、失われた環境力を何らかの形で補強するような、そういうコンセプトのもとに進められております。また空港も既に着手をしておりますが、これも同様な考え方で取り組んでおるわけでございます。さらに、クラスター状の機能配置ということになった場合には、五十七万の母都市としての浜松市自身に各種の文化、コンベンション、学術機能もあるわけでございますし、まだまだ市街地としての包容力もございます。そういう各種の角度から考えますと、当地域、大規模な自然破壊が進行するというふうにも思えないわけであります。  しかし、手放しで安心できませんので、新首都建設に当たりましては、そういう自然に対するさまざまな配慮をする点も含めた新たな特別な措置法、土地利用規制、アセスメント、その他各種の規制や条件整備を行う規制の手だて、あるいはそれを運営する機関の設立なども含めた特別措置法の制定をすべきであるというふうに考えておるところでございます。
  83. 國松善次

    國松参考人 御意見のとおりだと思いますので、具体的には、今度の首都というのは、環境共生都市としての世界のモデルをつくるんだというコンセプトをまず明確にすべきだと思います。そしてまた、そのために具体的な手法としては、周りの既存都市母都市としてコンパクトにまとめる、連携をするということ、そしてまたさらに、その首都も、畿央でいえば、幾つか山あり谷ありの地形を生かして、クラスターとして分散させてコンパクトにするということが大事だろうと思っています。  なおまた、滋賀県の場合、琵琶湖の富栄養化防止条例をつくったり、ヨシの保全なんかで条例をつくってさまざまな取り組みをしてまいりましたが、その中で学んだことは、自然あるいは景観をいかに保全するかということと同時に、いかにビオトープの創造という新しい生態系の復元も含めて都市づくりの中に生かすべきだ、こう考えます。
  84. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 最後になりますけれども、この都市機能移転についてはかなりの長期的なプロジェクトになると思います。そうした中で、もし各三県の知事さんの中に移転決定した場合、さっきもあったかもしれませんけれども、長期的に見まして、日本国家的発展にとってどのようなメリットがあるかということを最後にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  85. 渡辺文雄

    渡辺参考人 先ほど来申し上げているところでもございますが、国会等移転が実現をいたしますれば、どの地域ではございましても、地方分権の促進を初めとしまして新しい社会構造の構築など、日本にとりまして非常にメリットがあると考えております。また、新しい全総において示されておりますとおり、現在の一軸集中型の国土構造から多軸型の国土構造を目指すことが必要とされているわけでありますが、本県であるいは北東地域でございますれば、発展可能性の高い北東国土軸上にあることからいたしましても、バランスのとれました国土構造の実現に大きく寄与できるものではないかというふうに思っております。
  86. 石川嘉延

    石川参考人 新首都建設によって我が国がどういうふうに変貌するか、発展するかというお尋ねでございますが、どうなるかというよりもどうしようということで首都移転を考える方が大事ではないかというふうに思うわけでございます。  私たちの希望とすれば、規制緩和地方分権の実施と相まって、一極集中是正と多極分散型国土構造の構築、それから、国際的には日本の持つ学術、技術、文化、この力をもって国際社会に貢献をする、人類の進歩に寄与する、そういうことを象徴するような都市、そういうことを象徴するような機能を備えた都市首都として定めていけば、これは私は意義があることではないかというふうに存ずる次第でございます。
  87. 國松善次

    國松参考人 新首都の話が経済の効果があるというふうによく語られますが、もちろんそれもあると思いますが、それ以上に、新しい時代をつくる、新しい日本をつくる、そして新しい日本役割を明確にする、そこのスタートが切れるということに意味があると思います。
  88. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  89. 井上一成

    井上委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  渡辺参考人石川参考人及び國松参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  参考人には御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  90. 井上一成

    井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る七月十四日水曜日午前十時から、参考人として社団法人日本青年会議所関東地区茨城ブロック協議会会長横山和裕君、社団法人名古屋青年会議理事長社本光永君及び社団法人日本青年会議所近畿地区協議会会長棚橋勝道君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る七月十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会