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1999-05-19 第145回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十九日(水曜日)     午前十時二分開議   出席委員    委員長 井上 一成君    理事 桜井 郁三君 理事 滝   実君    理事 蓮実  進君 理事 桑原  豊君    理事 永井 英慈君 理事 久保 哲司君    理事 吉田 幸弘君       岩永 峯一君    下村 博文君       棚橋 泰文君    西川 公也君       西田  司君    古屋 圭司君       宮本 一三君    渡辺 喜美君       小林  守君    肥田美代子君       西川 知雄君    宮地 正介君       中島 武敏君   知久馬二三子君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君  委員外出席者         参考人         (ジャーナリス         ト)      内仲 英輔君         衆議院調査局国         会等移転に関         する特別調査室         長       白兼 保彦君 委員の異動 五月十九日              辞任         補欠選任   赤松 広隆君     肥田美代子君   冨沢 篤紘君     西川 知雄君   保坂 展人君    知久馬二三子君 同日                 辞任         補欠選任   肥田美代子君     赤松 広隆君   西川 知雄君     冨沢 篤紘君  知久馬二三子君     保坂 展人君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人としてジャーナリスト内仲英輔君に御出席をいただいております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序ですが、まず内仲参考人から二十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、内仲参考人にお願いいたします。
  3. 内仲英輔

    ○内仲参考人 内仲でございます。よろしくお願いいたします。  私は、新聞記者をしておりました関係で書く方はまあまあなんですけれども、しゃべる方は余り得意でございませんので、お聞き苦しい点もあるかと思いますけれども、どうぞ御容赦いただきたいと思います。  それでは、まず最初に申し上げておきたいのは、私は首都機能移転に賛成の立場でございますけれども、実は、今国会等移転審議会やこの委員会で論じられているような一括移転ではなくて、本当は機能方々へ分散する分都という方式がいいのではないかと常々考えているわけです。ただ、実際問題としては、このように一括移転を前提にして事柄が進んでおりますので、一括移転でもうまくいくならばそれで結構だ、それに賛成するにやぶさかではない、こういう立場でございます。それで、分都の方式については後ほどちょっと触れさせていただきたいと思います。  本日のテーマを一応首都機能移転必要性についてということにさせていただいたのはどういうわけかと申しますと、最近の世の中に逆風が吹いておるというか、何となく移転に旗色が悪くなってきたという感じがするわけですね。随分長いことかけていろいろ御苦労されてきたのに、もはやその必要はなくなったんではないかというような議論がだんだん出てまいりまして、極端な話だと、もう首都機能移転の話はやめちゃったんだろうなんということもよく言われますので、私としても大変残念に思っているわけです。そういうことなんで、とりあえずこのテーマにさせていただこうと思っている次第です。  それで、私、遷都という言葉が好きなんで、時々遷都という言葉を使ってしまいますけれども、遷都というのは都を移すことだから、多分これは皇居ごと移さないと遷都ではないのだというような考え方から、首都機能移転とかあるいは国会等移転というような呼び方がなされていると思うんですけれども、今の憲法のもとであると主権在民でありますから、別に皇居が移らなくても、実際に首都機能が移ればそれは遷都である、そういうふうに私は考えております。  それで、皆さんとうに御存じのことを若干言わせていただきますけれども、戦後首都機能移転の問題が盛んになったのは、一九六〇年代の高度成長時代であったわけですね。このころというのは、戦後の混乱期を脱しまして、一方で過疎というような重いツケを残してはいますけれども、大都市への集中が非常に進みました。その結果、とりわけ東京ではインフラの整備が追いつかなくなって、住宅とか交通とか水資源というような問題が、都市問題のあらゆる面からひずみの深刻化が予感されてきたわけです。  それで、こうした問題に対処するためにはもう中途半端な都市改造では間に合わないのではないかというような考え方がだんだん出てまいりまして、学界とかそのほかの各方面からさまざまな遷都論が打ち上げられたわけです。  それで、当時の河野一郎建設大臣がやはりこのことに関心を持たれまして、建設省もかなり真剣に検討した時期がございましたけれども、残念ながらといいますか、ちょうど河野さんも突然急逝されてしまったということもありますし、それと東京都市問題が当時、六四年に、昭和三十九年に東京オリンピックがございまして、東京オリンピックに向けて一丸となって都市整備をやろうということで一生懸命やっていったわけですね。それがちょうどオリンピックのときに一応終わりまして、青山通りもきれいになったし、新幹線もこのときにできました。首都高なんかも最初のものが多分このときできたと思いますけれども。  そういうことで、表面上はきれいな東京ができてしまったものだから、これで東京都市問題は片づいたではないか、そんなムードも若干あったということ。それから、もちろん人口集中は続いていたわけですけれども、やや、いっときほどは激しくなくなった、おさまったような感じがしたというようなことがありまして、それでこのとき、私どもは第一次遷都ブームなんて言っていますけれども、いっときかなり盛んだった遷都動きというのは鳴りをひそめてしまったようなところがございました。  ただ、私がここで申し上げたいのは、こうした一連の遷都運動の背景には、東京過密がとどまることを知らない、もはや小手先の都市改造では追いつかないということが共通の認識であったということなんです。  さて、第一次遷都ブームというのがそういうわけで鎮静してしまった後で、現在再び、今一生懸命こうやって審議されているように、移転の問題が動き出したのは、八七、八年、要するに昭和時代の末期という感じなんですけれども、折からバブル土地価格高騰いたしまして、これは大変だ、何とかしようというようなことになってきたわけです。  その対策として、最初は、一省庁機関移転というキャッチフレーズを覚えていらっしゃる方もあると思いますけれども、首都機能移転というのは大変小規模なもので、各省庁の一部の機関地方へ出せばいいではないかというようなことでやっていたわけです。これは、御承知のように、今大宮とか浦和とか、そういうところに一部分散するのは全部いわゆる支分部局という小さな部門あるいは研究所とかそういうものであって、ほとんど効果は期待できないのではないかと思っております。  それはともかく、このころになって、以前から新首都問題懇談会というのがございまして、これは今新首都推進懇談会という名前に変わりましたようですが、そこによっておられた国会議員方たちが、ちょうど地価高騰のころに、やはりこれは大変だということで再び総会を開いたり活動を開始されまして、いわばその後は、何というか、役所の方は割合消極的だったんですけれども、嫌がる役所を引っ張るように、国会主導というか政主導でもってこの運動が今日まで盛り上がってきたんだと私は見ております。  そこで、遷都のねらいというものですが、これは広い意味での都市問題であると私は考えています。もう都市問題以外の理由は要らないんだ、都市問題であるんだということなんですね。  というのは、六〇年代の初頭に、今申しましたように遷都論最初に起こったわけですけれども、二度目の八七年の十二月に行われました新首都問題懇談会決議、そのときに決議をいたしまして、その中に書いてあるのは、ちょっと読ませていただきますと、この発展の過程において、人口産業の過度の集中により、過密問題、水問題、特に最近の地価高騰問題に見られるような土地問題など多くの問題に直面してきたというふうに述べていますが、こういう形で、地価高騰という形で噴出してきた東京都市問題が今回の動きの発端になったわけです。  これも皆様自身決議されたわけですけれども、国会開設百年という機会に行われた両院の決議でも、人口過密とか地価高騰とか、良好な生活環境の欠如、災害時における都市機能の麻痺などということが書いてあって、こういうことがあるので、「一極集中を排除し、さらに、二十一世紀にふさわしい政治・行政機能を確立するため、国会及び政府機能移転を行うべきである。」というふうに述べられております。  それで、この際ついでに申し上げると、最初の六〇年代の過密というのは、東京だけでなくて大阪とか京都とか、既成の大都市がいずれも人口を集めて大都市集中という状態だったわけです。それに対して今回は、要するに、八七年ごろからの過密問題というのは東京への集中である、東京への一極集中であるということがあるわけで、これは単に東京問題というのではなくて、国土のバランス上からいってもそれだけ深刻な問題だと私は考えるわけです。  東京のというと、とにかく東京だけの問題だと思われては困るわけで、これは東京一極集中というのは、何といっても国土構造の改編、それから、国民の間にしみついた東京志向といいますか、東京に住むのがいいんだ、東京仕事をするのがいいんだ、そういう東京志向意識を改革するという意味でも大変意味がある国土政策じゃないかと思っております。  どうも東京では、今度の知事のことはよくわかりませんけれども、都知事以下都議会も首都機能移転反対だとおっしゃって、いろいろ運動もされておられますけれども、私も東京都民の一人ですけれども、私に言わせれば、首都機能のような余計なものがなくなれば、もう少しすっきりして、東京改造もしやすくなるんじゃないかと思っておりまして、何か東京反対というのはもう一つわかりにくいなという気がしております。  こういうことで、都市問題、とりわけ過密問題から遷都必要性というのが論じられてきたわけですけれども、こうやってこの十年ほど動きが具体化してくるにつれて、新しい理由づけがいろいろ出てきたわけです。  その主なものを挙げますと、行政改革地方分権契機にしようというものとか、景気浮揚にいいのではないかとか、あるいは人心一新であるとか、地震災害対策、そのほかいろいろあるわけですが、これらのうちで第一番は、小さな政府をつくる行政改革ですね。規制緩和とか地方分権というものの契機にしてはどうかという意見かなり根強くありまして、これはいろいろな報告書にも書かれております。  ただ、その時点では、今もはや省庁再編法案とか地方分権法案国会に出てくるほど具体的になったわけですけれども、この議論がまだ緒についたというか、これは戦後もたびたび繰り返されながら余り成果を上げていなかったわけで、そのときにはまだ議論が始まったなというような段階でございました。橋本総理大臣かなり熱心にやられていた。意気込みはよくわかった、だけれども、やはり結局ポシャっちゃうんじゃないのかというのが一般の感覚ではなかったかと思うのです。  ですから、こんな議論だけではだめだ。それで、入れ物からまず移してしまえば、そのときにとにかくこんな大規模な、霞が関全部を引き連れるというわけにいかないわけだから、ここで要らない機能と要る機能をえり分けして、それで要る機能だけ、本当に必要な機能だけを新しい首都へ持っていけばいい、そうすればスリムな政府ができるのではないか、そういう議論だったわけですけれども、考えてみれば本末転倒と言えないこともない議論でした。  それと、行革地方分権の方が今申しましたようにかなり具体化して、最初に予想されたよりは大規模なものになったと思います。  私は、これで十分だとは全然思っておりませんけれども、それでも本当はもっと小さな、小規模なものにとどまるのではないかと思ったら、例えば曲がりなりにも機関委任事務がなくなるとか、一定の成果を上げているわけですから、それで一応スリムな政府をつくるきっかけに首都移転をしようというような議論というのはこの時点説得力を失ってしまったのではないかと思うのです。  それと、いずれにしても、早くても十年先に移るということであれば、それは行革の方が先だということは決まり切ったことなので、考えてみれば初めからちょっとおかしな理由づけではなかったかなという気がいたしております。  その次に、景気浮揚ということが言われました。これは、御承知不況でもって、こういうときに十四兆円なんという巨額な事業費を出すのであれば、波及効果を含めれば相当なものになろうということで、ここのところはいろいろなシンクタンクが計算して、やれ大変な額になるというようなことを言っておりましたわけですけれども、いずれにしても、これは順調に着工されても二年先でありまして、それから十年かかる。十四兆円を一年に使うわけではないわけですね。一年にならしてやれば大した額にはならない。もちろん波及効果というのはばかにならないと思いますけれども、それにしても当面の対策には間に合わないわけです。  それに、国土庁がその後、一昨年でしたか、改めて試算したところによると、総事業費は多くても十二兆三千億円である、小さければ七兆五千億円で済むというような計算でありまして、国会中心とする第一段階ではそのうち四兆円というのですから、四兆円を十年ということになると、これは本当にささやかな、ささやかなと言うと語弊があるかもしらないけれども、景気浮揚とはほど遠い額と言わざるを得ません。  逆に言えば、財政窮迫の折に首都移転みたいな大変な事業をやるのはむだなことだという意見が一方にあるのに対しては、いやいやそんな、十年で四兆円ぐらいのものであれば、このうち公的な支出というのはもっと少ないわけですが、首都機能移転の意義とか効果を考えればとてもむだ遣いというようなものではなくて、この程度の負担なら許容範囲だと言わせていただきたいぐらいのことだと思っております。  第三に、人心一新というのもありました。これは既に九二年の段階で、首都機能移転を考える有識者会議というのが懇談会とは別にできまして、経団連の平岩さんなどが座長になってやっておられましたが、その報告は大変簡単なものですけれども、その中において、二十一世紀における人心一新の好機であると述べられて、その辺も含めて人心一新という言葉かなりはやってきたわけですけれども、それからその後が、不況が大変深刻化してきたとか、あるいはサリン事件のようなものが起こったとか、いろいろ世の中悪いことが続きまして、明るいムードという意味も含めて人心一新と殊さらに言われたと思うんですけれども、これはムードの話であって、大変根拠薄弱な理由じゃないかと思います。  それと、こうした中で、地震災害対策というのがありますが、これはたまたま阪神・淡路の大震災が発生したために強調されるようになりましたけれども、これはもともと遷都論の当初から言われていたことで、その理由づけの中に入っているわけだから、改めて言われた問題ではないと思いますが、いずれにしても、東京のような脆弱な巨大な首都に大災害が発生すれば、その機能が麻痺して全国的に大混乱を招くであろうということは火を見るよりも明らかなわけで、そこへもってきて専門家も、将来直下型地震が発生する可能性は非常に高いと指摘しているわけですから、大変重要な理由づけであると思います。完全に安全な地域というのは、列島上にどこにそんな安全なところがあるかといえば、これは完全に安全なところがあるはずはないんですけれども、より災害可能性の低いところへ置いておく方がいいということは、当然の考え方だろうと思います。  それで、繰り返すことになりますけれども、結局、首都機能移転というのは、東京過密一極集中から発した都市問題であって、それが広い意味では日本の将来にかかわる国土政策になるわけです。そのことこそが首都機能移転必要性の原点ともいうべき唯一最大理由なんであって、それ以上あれこれ理由づけする必要はない、何ら補強しなくてもこれだけで立派な理由だと考えております。  東京人口について申しますと、御承知のように、戦後一貫してふえ続けてきたわけで、その過密ぶりは、既にもう最初遷都論ブームの起こった六〇年代に限度に達していたと言っていいのであって、それ以後は、もうオーバーフローしながら、漏る水を継ぎはぎしながら、なおかつ水漏れは続いておる、とにかくもう満杯を超えた状態が続いていると言っていいと思うんですね。  それで、七〇年代のオイルショックなんかを経まして低成長期に入りますと、いわゆる産業構造の変化もあって若干地方へ工場とか事業所移転するというようなこともあって、地方時代というようなことが言われたり、実際に数字の上でも大都市への集中が若干鎮静化へ向かったと言われた時期もあったわけです。ところが、それもつかの間で、八〇年代に入ると、従来の首都機能に加えて国際経済金融都市というような側面がクローズアップされるようになりまして、東京の独走というような今日の状態に至っているわけです。  ところが、九五年の国勢調査では、東京人口が戦後初めて減少したわけです。移転に批判的な方々は、これで一極集中の山は越えたのではないか、もはや首都機能移転の必要はなくなったのではないかという御主張をされているわけですけれども、実はこの年が人口の上では底であって、その後の調査によりますと、国勢調査はその後行われていないわけですからほかの人口統計ですけれども、翌年から早くも増加に転じておりました。これは、都全体としてもそうですし、都心三区についてもそうですね。それから、少し幅を広げて東京圏、一都三県について見ても、同じように人口が上向いてきています。これまでのようなことはないんですけれども、やや持ち直したというような状態になっております。  それで、こういう不況の中で、なおかつ人口がわずかとはいえふえているということは、大変注目すべきことじゃないかと思うんですね。そこには、東京への集中圧力の根強さというものを感じるわけです。いずれにしても、日本人口自体が、二十一世紀に入ると間もなく、二〇一〇年ごろから下降に転じるということが言われておりますので、東京人口はどんなことがあってもかつてのように急増することはないわけで、長期的に見れば減少に向かうことも間違いないと思うんです。そうはいっても、大災害でもない限り、人口が急減するということは考えられないわけですね。  現在の東京というのは、首都なるがゆえに集まった人とか企業、それから、単純に大都市快適性とか利便性を求めて集まった人とか企業が混然となって集積集積を呼び、それに加えて東京に住むとか東京仕事をする、営業する、店を構えるということが一種のステータス化しているということが、よその国には見られない極めて特徴的な事柄ではないかと思うんです。  詳しいことは、時間もありませんし述べませんけれども、明治以来続いてきた中央集権体制を通じてお上意識というものが大変国民の間に深くしみ込んで、それが東京中心主義となって、その東京中心主義が一朝一夕に消えるということはないんじゃないかと思っております。東京への集中圧力というのは、深く、大変根強く潜在していると思うわけです。  それで、今、都心人口が若干でも回復していると言ったのは、一つは地価鎮静で、都心の方も含めて多少これまでより安い住宅が供給されるようになってきたということがあると思うんですけれども、別の言い方をすれば、それだけ、すきあらば東京に住みたいと考えている人が多いということですね。  それから、同様に企業の方でも、不況のためにいっとき撤退したり規模を縮小したりしたところがかなり多いわけですけれども、景気が少しでも回復へ向かったら戻そうという動きはまだ見られると思いますし、それと、実際に地方の方では今でも、まだ東京へは出ていないけれども、地方で成功したからやはり東京へ支店を出したいとか、東京へ、うまくいけば本店も移そうとか、大変小さな、極端に言えばお菓子屋さんみたいな中小の企業方々でもそういう欲求というのを潜在的に持っておられる。それほど日本人の中にしみついた東京中心主義というのは強いものだろうと思うわけですね。  それで、とりあえず東京とか首都圏への人口増が終息したと考えても、それで東京の問題が解決したということにならない点が大変重大です。というのは、通勤電車ラッシュというのは、皆さんも御経験はあるのかないのかわかりませんけれども、大変な混雑で、今でも二〇〇%の込み方というような路線がたくさんあるのは運輸省の統計からもうかがわれます。  それから、道路の渋滞も大変なもので、これもちょっとやそっとでは直らない。例えば首都高速道路なんかも、見ていますと混雑する場所はある程度決まっておりまして、ここのところへこうバイパスをつければ、こうやって少し交通量をこちらに逃がせばこの交通ラッシュはなくなるというようなところはたくさんあって、そのことは理論上はわかっているけれども、しかし、ひとつそれじゃ新しいルールを設けようというようなことになりますと、これは新たにお金もかかるし、そもそもこれだけ密集したところで、土地お金だけの問題ではなくて、交渉だけでも大変な時間がかかるということで、ほとんど不可能に近い。つまり、改造不能になっているわけですね。  ですから、今の状態では、人口がちょっとやそっと減ったから快適になるということではなくて、とにかくかなり大きな力をもって人口を減らす努力をしなければならないと思っているわけです。  これは数字を言ってもしようがないんですけれども、都市計画道路実施状況なんかも、せっかく都市計画が行われていてもできていない道路というのは、東京都心部は大変多いわけですね。ほかの県と比べても仕方がないので、政令指定都市、特にいわゆる旧六大都市なんかに比べてみると、横浜は東京と並んでいますから、これは別としますと、ほかのところは軒並み東京よりかなりパーセンテージ達成率が高い。ところが、東京の方は、将来そのパーセンテージがよくなるという展望もないように思われます。  そもそも、地価というのは鎮静したと言われていますけれども、これはどういうふうに鎮静したかというと、今度のバブルの発生前の水準まで下がったということで、東京土地自体はもともと高いと言われているんですが、これは諸外国に比べて大変高いわけで、今鎮静したというのは、今回の暴騰以前の数字に戻ったぞというにすぎないのですね。ですから、東京はほかの日本国内都市に比べて高いというだけでなくて、もともと諸外国に比べても、香港とかシンガポールとか若干例外はあるけれども、多くの都市に比べて大変高いということも、やはり気をつけておかなければならない点だと思います。  ここまで大体、首都機能をこのまま東京に置いておいてはいけないというふうなことを重点にしてお話しさせていただきましたけれども、私の最初に申し上げました分都論について、ちょっとオーバーしてしまいましたが、お話しさせていただきたいと思います。  そこで、どこへどのような首都を建設するべきかということが今まさに論じられているわけですけれども、予測を含めて言うならば、恐らく今の国会等移転審議会は、候補地として一本に絞り切らないだろう、複数の候補地を挙げてくるんじゃないかと思うわけですね。そうすると、国会議員皆さんといえども、それぞれ地域の利害を代表しておられるわけですから、複数の候補地を挙げてくるということになると、なかなかこれはまとまらない、一本化するのは容易でないと思うんです。おまけに国会等移転法がこの前改正された時点で、審議会の答申が行われた後で、なおかつ東京との比較考量をした上で検討しなければならないというと、何か候補が少なくとも三つあるというような感じになりまして、ますます大変で、このあたりで暗礁に乗り上げてしまって動きがとれなくなる可能性もあるんじゃないかと思うんです。  そういうことですから、首都移転不要論が台頭して、なおかつ、国民の世論が盛り上がりが余りないというこういう逆風の中で、考えてみますと、どうもうまくいくのかなというのは、どうも私は悲観論に傾かざるを得ないところがあります。  そこで、それならばどうすればいいかということですが、私が以前から考えている分都というのは、分都の概念というのは皆さん承知と思いますけれども、私なりにかみ砕いて言ってしまうと、例えば東京に、今霞が関あたりに集中している中央の官庁を、名古屋とか大阪でもいいんですけれども、もっと小さな規模の、どこでもいいんですけれども、例えば新潟に農林水産省とか、金沢に文部省を置くとか、広島に通商産業省を置くというようなぐあいに分散配置したらどうかと思うわけです。既成の都市でなくてはいかぬということではなくて、むしろもっと小さい都市でもいいわけですから、条件のいいところがあれば大蔵省がどこかもっと片田舎の村に移ったって差し支えないと思うわけです。今は大変メディアの発達している時代ですから、そういうことは余り不便にならないというのが私の考え方であって、場合によって一つぐらい東京に官庁が残ったってそれは構わないと思うんですね。  それで、そうするとどういういいところがあるかといったら、まず第一に、今激しくいろいろな各地の、三つのブロックでそれぞれの県が誘致競争をしておりますけれども、そういうところには一つずつ官庁を配るというのは変ですが、とにかく分散することがあります。今はとにかくいろいろなところで競争をしておりますが、これはオール・オア・ナッシングで、うちへ来なければ何にも来ない、一つの県はもう全部抱えなければいけないというので、考えてみると、一つの地域で全部抱えるというのも大変なことなんですけれども、そういう意味で大変円満にいくのではないかという、現実的にはそういうことが一つあります。  それと、開発に費用がかからないということですね。新首都は今大した額じゃないと言いましたけれども、とにかく一定の十数兆円のお金がかかるということですけれども、既成の都市なりそういうところへ行けば、極端な話をすればビルが一つあればいいわけです。今大蔵省も一つのビルに入っておりますし、建設省なんかは運輸省と一緒に二つの省が一つのビルに入っているわけですから。役所というのは一応一つのビルが要る。それならば、既成の都市を、あるいは村でもいいんですけれども、ビルを一つ建てればいいわけですね。地元の方は歓迎していますから、うまくいけば多分土地なんかは非常に安く提供してくれるし、そういうことがいいかどうかは別として、おれの方でビルを建ててやるから入ってこいというようなことが引く手あまたでありますから、そういうことで多分費用は大変少なくて済む。引っ越し費用だけで済むかもしれません。  それと、もう一つ重要な理由は、地域の活性化に役立つのではないかということです。  つまり、一つの役所が来れば、そこの役所人口だけでも一定のものがあります、家族も含めますから。ところが、それに随伴していろいろな機能が来るわけですね。これはちょっと権限の移譲と矛盾するんですけれども、どんなになっても、どうも今の中央官庁というのは、権限の巨大さはいかに行革が行われてもなかなか失われるものではないので、今は東京にいろいろな企業や団体が集まっている理由の一つは、例えば大蔵省に近いから、通産省に近いからということなんで、もし通産省がどこかの都市に行けば、通産省の外郭団体が多分そこへぞろぞろついていくであろうし、多分大きな会社も、本社は移さないまでも有力な支店をそこに置くとかということになるのではないかと思うんですね。そういうことも含めて、そうすれば地元も潤う、地域の活性化に大いに役立つ。これを、ですから満遍なく日本列島の中で、四国や九州とか北海道とかそういう離れたところも含めて分散していくと、地域の活性化に大変役に立つのではないかと思うわけです。  それで、今お金がかからないと言いました、開発がほとんど要らないと言いましたが、これは、もう一つ言えば自然に優しいということですね。  今、新しい都市についてイメージが描かれると、みんな森林の中の、キャンベラとかブラジリアみたいな形の都市を想定されているようですけれども、それはそれですばらしいことなんですけれども、ただ、それには自然の破壊が伴う。私はある程度やむを得ないとは思うんですけれども、ただ、それはやむを得なくはない、絶対いかぬという御意見もあるわけで、そういう御意見に対しては、これは大変有力であって、ほとんど自然を破壊することはなく新しい首都ができるということです。  それで、一方で東京について言いますと、東京についてはもうすべてのほとんどの官庁が抜けるということですから、これは一括して移転したのと東京としては同じ効果が上がるわけですね。すべての官庁がなくなるという点では、移転先が一カ所であろうと複数の箇所に分かれようと東京についての効果は同じである、そういうことです。  そういう言い方をしますとしばしば反対論に遭遇するんですが、例えば役所のお役人は、いやいや、我々はとにかく国会が開かれている間じゅう張りついていなければいけないのであって、そんなとんでもない、離れちゃったら仕事にならぬというようなことをおっしゃるわけですけれども、これは私に言わせれば、今みたいに、議会が開かれると、関連の役所の方が局長以下課長や伝令役の方が大勢詰めかけて、あるいは前の日に質問をとって大変だ、とにかく国会が開かれている間は本来の仕事にならない以前のことが起こっているわけですけれども、それは本当は正常な姿ではないと思うんですね。  実際を言えば、国会というところは、多分、その省を代表する大臣が答弁をするというのが原則でありまして、よほどのことでなければ補助の職員に答弁させる必要はないわけです。もちろん、そうはいっても、大臣も時々おかわりになるわけだから、すべてを掌握されているわけではないわけですから補佐役というのは必要だと思います。ですから、補佐官というようなもの、あるいは官房長とか、あるいは官房に補佐官のようなものを置いて、そういう人を一人か二人つけておくというようなことで日常的な答弁は済みますし、それでもし足りないというときは、よく私は笑い話で言うんですけれども、こういうところに何かスクリーンを置きまして、それで、要するに大臣も答えられないし、あるいはその補佐の人も答えられないというような問題がありましたら、例えば金沢に文部省があって、文部省の関連の質問があるときには、ボタン一つ押すと金沢にある文部省の担当の課長か何かがそこのスクリーンにあらわれて、実は細かいことはこういうことでございますというような答弁をすれば、何も必ずしもそこにその人が座っていなくてもいいのではないかと。それであれば、役所の方も、国会が開かれているからといって、大半の人は日常どおりの業務ができてスムーズにいくのではないか。ですから、国会と官庁が近くにあるということは必要がないのではないかと思っております。  それと、例えば閣議がありますね。これも毎週二回やっている閣議はどうするんだということになりますけれども、今の交通機関の発達であれば、まず飛行機で来ても日帰りできないというところはほとんどないわけで、それほどへんぴなところへ移転するということも考えられませんから、多分往復できると思いますし、考えようによっては週に二回顔を合わせなくてもいい、顔を合わせるのは一回で、一回はもうテレビ会議で済ませるとか、そういう方法だってあるし、いろいろな方法が考えられるわけですね。とにかく、フェース・ツー・フェースというのはそれなりに大事なことだと思いますけれども、絶えず顔を突き合わせていなければならないということはないわけで、メディアのこれだけ発達した時代ですから、それなりの方法を考えていけば、遠くに離れていても何ら問題はないというふうに思うわけです。  分都論というのは私が常々思っていることで、何かちょっとタイトルとは違うんですけれども、申し上げさせていただきました。  私が申し上げたいところは大体そういうことなんですけれども、大変残念に思っておりますのは、返す返すも残念なのは、世紀を画する年という西暦二〇〇〇年に着工するというはずだったこのスケジュールが四年も延びてしまったということで、何かきっかけがないとどうも日本人は動きにくい。それで、きっかけがあれば、そのかわりそれには間に合わせるということがあって、オリンピックのときに東京都市整備ができたのも、新幹線がちゃんとその日までに開通したのもそういうことですし、札幌のオリンピックにしろ万博にしろ、そのたびにいろいろな目標ができて、そのときにはスケジュールどおりにでき上がって、間に合わなかったというためしはないわけですね。  外国なんかでは、よく、オリンピックはあったけれども、使われないホテルがあった、要するにそれに間に合わない施設があったとかそういう話を聞きますけれども、日本に関していえばそういうことはないわけで、例えば、今度もワールドカップのおかげで曲がりなりにも成田が少し整備されたことがあるんですけれども、そういう意味では、世紀を画する年がなくなってしまったのは大変残念なんですが、新たな目標を設けて、ぜひ何らかの形で一括遷都にしろ分都にしろ推進していただきたい、そういうふうに思っております。  大変お聞き苦しいところがありましたと思いますけれども、御清聴ありがとうございました。
  4. 井上一成

    井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  5. 井上一成

    井上委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。発言は、着席のままで結構でございます。
  6. 滝実

    ○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  本日は、参考人には大変お忙しい中をこうして御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございます。この委員会では、今のような分都論に基づくような御意見を、私は初めて実はお聞かせいただきましたものですから、大変新鮮な印象を受けさせていただいたのでございますけれども、一つ二つ御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  参考人は、まず、災害の問題を大変大きな問題としてお取り上げになっておいでになるわけでございますし、もともと首都移転というのはその辺が大きな理由になってきたと思うのでございます。ただ、具体的な問題になりますと、この国会移転あるいは官庁移転、そういうものが移転すれば当然災害の問題も相当前進するということも考えられるのでございますけれども、問題は、内仲参考人がおっしゃいましたように、東京中心主義、そういうような国民の志向と申しますか、そういうものは一朝一夕には変わらない、こういうような御指摘もあったわけでございますけれども、例えば、国会なりあるいは官庁が移転いたしましても、果たして東京に志向してきたそういう行動様式というものがどの程度変わるのだろうか、こういうようなことも片や出てくるわけでございます。  国会移転、あるいは官庁が地方都市に分散した後、今までの東京志向型の活動というものがどの程度抑えられるのか、そういうものについてどのようなお考えをお持ちなのか、それを一つまずお伺いをしておきたいと思います。  それから二番目に、今までやってきた中では、例えば国会だけ移転した場合には、今内仲参考人がおっしゃったように、行政官庁と国会との距離が出てまいりますから、当然、経過的には今内仲参考人がおっしゃったような分都論と申しますか、それに近い形態がどうしても出てくるわけでございますね。国会は別の地域に移転する、経過的には行政官庁が東京に残る、こういうようなことが、仮に一括移転の場合でも経過的には出てくるということになりますと、内仲参考人のおっしゃるような、分都的な形態というのが出てくる。そういう意味では、それをもう少しパーマネントに、ずっと永久的に続けるというのが、恐らく内仲参考人のおっしゃるような分都論の一つの形態だろうと思うのでございます。  そういう意味では、経過的にそういうものができるならば、おっしゃるように、分都論というのもそれは可能だろうという感じがするわけでございますけれども、その中で、実際問題として、地方都市に分散したときのロスと申しますか、煩わしさと申しますか、そういうものについて少し、参考人として御研究されたことがあれば、それをあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  7. 内仲英輔

    ○内仲参考人 まず、東京志向の問題ですね。東京志向というのは、まさに一朝一夕では変わらないと私も思っております。ただ、長い目で見れば、変わることも間違いないと思うのですね。  東京は、まず第一に、中央官庁が移ってしまうと、残るのは、要するに企業であるとか文化であるとか、そういうものは残るわけです。ただ、東京に集まっているその中には、やはり政府と一緒にいるのが偉いのだという感じを持って集まってきた人がかなりいるわけですね。ですから、そういう人たちは、首都にいるのが偉いのだ、偉いというのは変ですけれども、首都にいることにステータスがあると考えているわけですから、その人たちが、地方に中央官庁が移ってしまうと、その意味ではステータスはなくなるわけです。  一方、東京というのは大変に住みにくいところでありますから、首都が一応移転しても、例えばすぐに混雑が大変緩和されて非常に住みやすくなるというようなことはないわけで、住みにくい東京にいるよりは、それならば新しい首都へ行こうということになるかもしれないけれども、新しい首都に行くということはほとんど実は意味がないわけで、しかも、恐らく新しい首都に何の関係もない民間人が幾らでも入ってこられるというようなことでは、新しい首都が再び巨大都市になってしまうというおそれがありますので、それは排除しなければいけないことですから、そうすると、東京にいることは意味もないし、そうかといって新首都に行く意味もないということになれば、自由な発想から住みやすいところを選ぶことができる。そういうことになりますので、長い目で見れば、だんだん人口が移っていくのではないかと思うのですね。  それで、とにかくそうすると、官庁がなくなると、民間企業の方も、それはいろいろな企業がありますけれども、やはり、ここに通産省がないのに、建設省がないのに無理して東京にいることはないというようなことがあって、企業自体もだんだんより快適な場所を求めて動いていくということも考えられると思うわけですね。今ですら東京から移動する企業というのはあるわけですが、今はただ、千葉とか神奈川とか割合周辺にしか動いていないけれども、もっと自由に東京から離れることができるということで、大きな企業が移れば、それに伴ってそこの従業員も移るようなことになると思われますし、何よりも、お上中心意識というのはだんだん失われていくことは間違いない。ただ、時間はかかるだろうと思うのですね。ですから、官庁がいなくなったからすぐということはないけれども、それは一世代ぐらいかかるかもしれませんけれども、とにかく役所と民間は別なものというようなムードがじわじわと浸透していって、東京中心主義というのはだんだん消えていくのではないかと思うわけです。  一方で、地方の方も、東京でなくてはだめだということがなくなれば、地方を発展させて元気を出せば東京から人が移ってくるのだというようなことにもなりますから、地方自治体の方も元気がついてまいりまして、だんだん国土の中の人間の配置状況が思わしい方向に進んでいくのではないか、こう期待するわけです。  それから、分都論の経過的形態のお話がちょっと出ましたけれども、首都があるところへ移った場合に、まず国会が移るので、多分すべての役所が移るわけではないから時間があるのではないか、その間、分都に似た状態になるだろうとおっしゃるのは、そのとおりですね。  ただ、国会ができたときには、私が今申し上げましたように、多分官房とか、とにかく直接的に関係の深いところが、それから、恐らく一つの役所で各局から何人かの人たちが随伴していって、とりあえず先兵として行くということで、かなり似た形になると思いますけれども、そこのところで、果たして私の言うようにうまくいくかどうかというのは試されることにはなると思います。ただ、私は、それはうまくいくと思うのですね。  ですから、経過的措置で、今、国会等移転の場合の地域の限定として、六十キロ以上三百キロ未満ということになっているけれども、もともと三百キロという限定は要らないのではないか、同じことではないかと思うので、例えば遠く離れて、どの辺でもいいですけれども、広島あたりに行ったとしても、それはそれでやっていけるはずだ。今私が分都論で申し上げたような方法でやるならば、まず国会だけが広島に移ったとしても余り支障はないだろう、そういうふうに思っております。
  8. 滝実

    ○滝委員 どうもありがとうございました。
  9. 中島武敏

    ○中島委員 日本共産党の中島武敏です。  最初にちょっと伺いたいと思うのは、今の質問と、それから答弁で聞かせていただいたんですけれども、その上に立ってなんですが、大阪なり、大阪も地方でありますし、それから先ほど例を挙げておられました名古屋も地方だと思うんですけれども、地方に分散することによってかえって地方における集中が進み、それから過疎が逆に進む、こういうことになるおそれはないでしょうか。そういうことについてはどんなふうにお考えになっているかということです。  それから二つ目は、国会はどこへ持っていくのか、持っていかないのか。各省庁全部分散するということになれば、国会はここへ置いておいてもよい、官邸もここへ置いておくというお考えなのか。大臣は一体いつもどこにいるのか、大阪に移れば大阪に大臣もいるのかな、それとも、東京と言っては語弊があるのかもしれませんけれども官邸のあるところにいるのかなという気もいたしますが、その辺は一体どういうことにお考えになっているものかなと。  それからもう一つは、情報通信が現在も発達し、これからもさらにもっと大きな発達をするということは私もそう思うんですけれども、ところが、閣議なんかは、さっきちょっとお話がありましたけれども、さあ、それでうまくいくかなという感じですね。そうすると、実際に顔を合わせての話というのは余り要らなくなるのかな、そういうふうにお考えになっているのかどうか、その辺のことを含めてお聞かせいただきたい。  結局、私が言いたいのは、分散することによって、別の面では非効率な面がかえって出てきてしまうんじゃないか、あるいは二重投資になるんじゃないかというようなことを感じるので、その辺についてもどうお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 内仲英輔

    ○内仲参考人 では、お答えしますけれども、今、大阪、名古屋と私が言ったのはちょっと不用意でございまして、そういう既に大きな集積のあるところには行かない方がいいと思うんです。大阪や名古屋に行くと、多分間違いなく、おっしゃるように大阪や名古屋に集中が行われると思いますので、もう少し小さいところへ行けばいいのではないかと思うわけです。それで、地域が分散いたしますから、今、ある程度はそれは人間は集まるんですけれども、そこのところをどうやって、どういう手だてを講じて集まるのをとどめるかということになるわけですけれども、一つの官庁ですから、いずれにしても今みたいに二十もの官庁がひしめき合っているわけではないわけですから、そんなに大ごとにはならないのであろうと思っております。  それで、例えば、ある地方都市に一つの官庁が移れば、恐らくそこに向かって人間がどんどん吸い寄せられるということにはならずに、その近辺においては、本来ならば東京へ吸い寄せられて過疎になるようなところが、通勤で行けるとかあるいは毎週毎週帰ってこられるというようなところでもって仕事を得られるわけですから、余り今の過疎過密に拍車をかけるというようなことにはならないんじゃないかと思っております。  それと、国会はどこへ行くのかというようなことなんですけれども、私は、国会がどこがいいというようなことは具体的に案があるわけでもないし、国会は、皆さん議員の方々が、いや我々は東京に残りたいとおっしゃれば、残っても差し支えないと思います、まあ、残らない方がいいと思いますけれども。ただ、一つぐらい、国会なり最高裁判所なり、あるいはどこか一つの役所東京に、そのワン・オブ・ゼムとして、政府機能がある都市として残るのは構わないと思います。ただ、国会は影響力が大きいから、願わくばどこかほかのところに行っていただいた方がいいかなと思います。  それで、しからば大臣はどこにいるのかというようなことになりますけれども、大臣は、やはり基本的には役所にいてその仕事に精通していただかなければならないわけですから、それで閣議をやるときだけ必要があれば来ていただく。  それで、その次に、それに関連してきますけれども、果たして閣議なんかはテレビ電話なんかでうまくいくのかということで、これも実はよくわかりませんけれども、週に二回出てくるのが無理だったらということでございまして、週に二回多分やれると思うんですね。やれないとすれば、週に一回月曜だけに、今は火曜日と金曜日なんですか、いずれにしても、週に一回だけにしてもいいと思うんです。ただ、週二回するのはそれほど無理ではないし、何らかの事情で来られない場合には、その方だけテレビか何かで出席するということだって可能だと思うんですね。花押を押したりする、何かそこでサインをするのにはちょっと困るというようなことはあるんでしょうけれども、それはそれなりに手だてというのが、技術的にはよくわかりませんけれども、解決できない問題ではないと思います。  それでよろしゅうございましょうか。
  11. 永井英慈

    ○永井委員 きょうは御苦労さまでございます。私は、民主党の永井英慈でございます。  内仲参考人の分都というお話を伺いまして、私自身としては非常に参考になったわけでございますが、今お話しの分都を徹底的に進めていくと、ある意味では地方分権地方への分権ということに行き着くのかなという感じがしているわけです。先ほどのお話の中で、遷都国会等移転に関するポイントとして、地方分権とか規制緩和とか行政改革遷都することによってこういうもののきっかけになるというお話がございましたが、今進められている地方分権が進んでいくと、それも説得力が薄くなるかなというようなお話があったと思うんです。  そこで、参考人のお考えになっている地方分権、それと、今日本のこの巨大な中央集権体制地方分権にしていく、国と地方との関係がどういう関係が理想的なのか、イメージを描いていたらひとつお話しをいただきたいと思います。
  12. 内仲英輔

    ○内仲参考人 私が考えたものは、ちょっと極端かもしれませんけれども、地方分権を徹底していけば、やはり国家の仕事というのはほとんどなくなってしまうわけで、よく言われるように、財政とそれから外交とか防衛とか、そういうものに限られてしまうわけですね。そうすれば、例えばもう建設省なんかも要らなくなってしまうのではないか、そのぐらい極端に思うんですけれども、実際はそうはなっていないわけですし、多分この先もそうはならないと思うんです。ただ、本当に地方分権を徹底すればそういう姿になるわけで、そうすれば、分散とかなんとか大げさに言わなくても、残る官庁は三つか四つですから、関東に一つ、近畿に一つ、東北に一つとか、そのくらいにしてやっていけばいいわけで、十幾つもの都市に分散させるという必要はなくなってくるわけだと思います。  ただ、実際は、やはりそうはいかないんですね。残念ながら、やはり今度統合された幾つかの官庁はしばらくの間この形で残るでしょうから、分都は要らないというようなことにはならないのではないかと思います。
  13. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 私は、社会民主党・市民連合の知久馬二三子と申します。きょうは、先生には大変貴重なお話、ありがとうございました。  私自身、本当に田舎におったものですから、この国会等移転に関する法律につきましても、名前だけは聞いておりましたけれども、その当時、本当に、ただ東京だけに官庁とかが一極集中にならなくても、例えば各省庁が各ところに分散して、それぞれに過疎過密のあれを均等にするような形をとればいいなというようなことを、今、この場に来て先生のお話を聞きながらそのことを考えたわけなんですけれども、私は、その辺で本当に、先方おっしゃった、例えば国会はここにあってもいいから、各省庁なんかをとにかく分散して、そこの中でやはりその地域の活性化につながりはしないかなというような思いがあります。その辺で、例えばそうなったときに、メリットというかデメリットみたいなものがどのようになるかなということ、それが一つ。  それから、長年、研究会、審議会で審議されてこられた中で、場所等を選定される基準みたいなものがどのような形でなされたかというようなこともお伺いしたいと思います。  以上、よろしくお願いいたします。
  14. 内仲英輔

    ○内仲参考人 基本的に御賛同いただいたようで、ありがとうございます。  分散のメリット、デメリットということですけれども、デメリットはもちろんないわけじゃないわけで、例えば閣議なんかも、今ちょっと御心配もあったように、フェース・ツー・フェースでなければいかぬのじゃないかとおっしゃる方もいらしたわけですけれども、そうお考えになれば確かに、気軽にひょいと集まれないというのはデメリットかもしれないけれども、そういう時代ではないのであって、メディアを活用してできることだけやっていくということになれば、閣議に限らず、役所の間の連絡なんかでもそうなんですね。  今、霞が関にこれだけの官庁が密集というか並んですべてあるわけですけれども、それならば、役所同士がいろいろな連絡をどうしているか。その都度みんな寄ってやっているのか。  昔はそうでもなかったのでしょうけれども、今はいろいろな法律ができると、多分一つどこかの省がこういうのをやろうということになると、おれもおれもというので三つも四つもの省庁が重なって共同でもって法案をつくるというようなことがよくあるわけです。そういうときも、まあ私も内部にいるわけじゃないからよくわかりませんけれども、一応その中で取りまとめ役というところが決まると、そこで絶えず四つなら四つの省庁の人が集まって会議をするわけじゃなくて、会議はするけれども、帰ってから早速、いやさっき言い忘れたからこうだとか新しい提案に対してこういう意見があるというのは、結構ファクスで来たり電話で来たりしてやっているわけですね。  ですから、一つも顔を合わせずにやるなというようなことではないわけですから、そういうことも克服していけるのではないかと思うのですね。省庁が離れているから絶えずは会えないけれども、今だって隣の役所だから絶えず会っているかといえば、隣ですらファクスあるいは電話でやっているわけですから、そういうことを考えれば余り支障にはならないのではないかと思います。  デメリットという点では、それは考え方であって、とにかく直接話さなければだめだとお考えの方にとってはデメリットでありますけれども、そうでなければ、決してデメリットではないと思いますね。  それから、東京に来ればすべての仕事が片づくのにというのは、よく地方自治体の関係者が東京へ来て、建設省へ陳情して、帰りに運輸省へ寄って、大蔵省にも顔を出すというようなことがあるんだけれども、そもそも陳情政治自体がおかしいのであって、そういうことも考えれば、やはりばらばらであれば、例えばどこかの村長さんが十もある役所に全部行こうなんということは初めから考えないと思いますね。そういう点でかなりすっきりするという点もあるんじゃないかなと思います。  デメリットというのは、私は推進派の方だものですから余り自分では考えていないので、御指摘があればそれに対していろいろ申し上げますけれども、余りデメリットというのはないし、克服できるデメリットだろうと思っております。  メリットの方は、今申し上げた以上に特につけ加えることはありませんけれども、とにかく地方に元気が出てくるということと、東京が少しはすっきりする第一歩になるという両方の意味です。ただ、東京がすっきりするというのは、一括遷都であってもすっきりするのですけれども、地方にとっては大変重大なことであるし、何しろ経費がかからないというのは大きなこと、手っ取り早くやれる。こういう逆風の中で非常にやりやすい現実的な議論だと考えております。  よろしゅうございましょうか。
  15. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 済みません、もう一点だけ。  長年審議会の中でいろいろ検討された中で、場所的なことですね、選定された土地というか場所は、大体どのような条件とかいうようなものであれされたかなということを。
  16. 内仲英輔

    ○内仲参考人 第一点は、今申し上げた距離の問題が一番大きいわけですけれども、ちょっとお待ちください。その後、いろいろ改定されてきたこともあって、ちょっと不正確というか大ざっぱに申し上げますけれども、新しい都市は一応九千ヘクタール程度の、試算によってもう少し少なくてもいいのではないかということになっておりますけれども、土地を得やすいところということになっておりますね。  それで、そこに空港とか、要するに交通ネットワークが十分にできるところということですけれども、これは例えば空港を新しくつくるということではないわけで、一つつくるのは大変なんですけれども、今ある候補地はいずれも既設の空港からある程度の距離にあるから、そういう点ではカバーされていると思いますね。  人口は大体全体で六十万人ぐらい。というのは、国会、官庁の方々のみならず、その御家族とか、それに随伴する人たちを含めて六十万人。これも、もうちょっと少ないという試算になってきたと思うのですけれども、そんなことですね。  それから、非常に気候の悪いところというのは当然あれですけれども、高度も、前は一定の高さ以上の標高のところではだめだとかいうのもあったのですけれども、今はそういうことは数字では示されていませんし、そういう点は克服される問題ではないかと思います。  申しわけありません。今ちょっと私、本を見たのですけれども、これは自分の本ですから、お許しください。
  17. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 どうもありがとうございました。
  18. 宮地正介

    ○宮地委員 公明党・改革クラブの宮地正介でございます。きょうは、参考人の先生、大変にお忙しい中、ありがとうございます。  先生の分都論あるいは展都論、この背景は国土政策からきているのかどうか。  我々、やはり二十一世紀には、明治以来続いてきた中央集権国家を、国づくりを少し変えて、地方分権国家にしていきたいということで、地方分権の問題、中央省庁再編の問題を国会の審議が今始まっているわけでございますが、その背景は、都市問題とか国土政策立場からそういうふうにお考えになって分都論が前に出てきているのか。これから我が国が小回りのきく小さな政府地方分権中心とした地域の再生、こういうところも含んで提言されておられるのか。その辺をぜひ御説明いただければありがたいな、こう思います。
  19. 内仲英輔

    ○内仲参考人 私の分都論が国土政策からきたものか、もっと地方分権ということをにらんだものかという御質問かと思いますけれども、国土政策なんですね。  発端は、私も、東京一極集中によって東京の人が余りにも荒廃というか、負荷が大き過ぎて耐えられないようになっているということでございまして、それに対して、これを改造するということではもう到底間に合わないということが、これは都市改造の面からあります。  その原因というのは東京一極集中なんですけれども、そのために東京のみならず、東京から一都三県、初めは東京、横浜、千葉ぐらいだったところが、今は首都圏と言われる地域まで大変に影響を受けて過密が進んでいる、通勤ラッシュがその代表的なものなんですけれども。そういう状態ですから、人口がこれほど過度に集中しているというのは、恐らく、開発途上国とまでは言いませんけれども、いわゆる先進国には余りないし、正常な姿でないわけですね。一方で、過疎という状況が出てきまして、どこかの山の中の村が過疎というならいいけれども、一つの県ごと過疎県というのが方々にあったりして、大変バランスを欠いているわけですね。  そのために、集中的に東京に投資がなされているわけですけれども、幾ら投資しても東京ではとにかくせっかく税金を納めても地方へ行ってしまうとかといって不満が絶えないし、地方の方はさっぱり整備されないというような、いびつな国土開発がなされているのではないかと思うわけです。  これは、人口が分散されれば、各地域でもってそれぞれに快適な暮らしができるような人口の配分というか、施設の配分、インフラの配分、そういうものを含めて均衡がとれるような国土づくりをするということが大変大切なわけで、日本列島みたいに細長いと特にそういうことになると思うのです。外国のことはもう皆さんとうに御承知のことですから余り申し上げたくないけれども、本当に東京だけに集中してしまって、何か東京に住んでいないのはおくれた人間みたいに、極端に言えばそんなふうにひがんでいる方もいらっしゃるというような状況というのは異常でありまして、地域的にバランスがとれた、それぞれのところでそれぞれに自分のふるさとを味わうような暮らしをしていくことが必要である。  そのためにはやはり、それがひとりでに黙っていても行われるならいいけれども、人口が込んでいて住みにくいぞ、住みにくいぞ、東京は住みにくいと言われながらも、なおかつ人は東京に集まってきた。とにかく、東京に住めないから、ではその端っこでいいや。東京の周辺、例えば多摩とか、多摩でももうあふれ出して、それから近県にということで、かなり遠くの方から通勤して、それでもまだ東京だということになっている。  この状態を何とかするためには、民間の方には余り期待はできないというか、先ほど申し上げたお上中心主義ということもありますから、やはり官庁を動かすのが手っ取り早いのではないか。そういう意味国土政策なんですけれども、それを進めていけば、結局、とにかく地方でも用が足りるようにしなければならないわけですね。とにかく東京へ行って陳情しなければとか、東京の情報は、直接フェース・ツー・フェースで情報を入れなければ地方では何もできないというような状態ではいけないわけですから、そういうことを改めるという意味では、結果的に地方分権というのも進んでいく。  そういう考え方をすれば両々相まってということになりますが、私の考え方の発端は、地方分権というよりは国土政策の方から考えたわけです。
  20. 宮地正介

    ○宮地委員 先生、そうすると、あえて国会移転する必要はない、こういうお立場でございますか。
  21. 内仲英輔

    ○内仲参考人 ちょっと離してというか、移転した方がいいわけです。
  22. 宮地正介

    ○宮地委員 移転はすべし、こういうお考えと理解してよろしいのですか。
  23. 内仲英輔

    ○内仲参考人 移転はした方がいいけれども、しないというならばしなくても、それは分都の場合ですね、分都の場合に一つぐらい残ってもいいという考え方から、国会も一つの省庁と同じに考えては大変失礼ですけれども、とにかく一つぐらい国の機関が残るという意味で、あるいはそれこそ郵政省が残ったって構わないわけですけれども、そのかわりに国会が残るとか、あるいは裁判所が残るとか、一つぐらい残しておくのは構わない。東京を特殊なところにしてはいかぬというわけです。  まあ、国会が残ればどうしてもある程度特殊になりますから、そういう意味では国会は動いていただいた方がいいとは思いますけれども、ワン・オブ・ゼムと考えれば、その中の一つとしてたまたま国会が残ったということについては、それはそれで結構だと思います。
  24. 宮地正介

    ○宮地委員 ありがとうございました。
  25. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林でございます。  先生のお話は、非常に具体的、現実的な課題解決に向かってのわかりやすい分都の考え方だろうというふうに思っております。そういう点で、無理のないというか、そういう視点からさまざまな課題解決につながるというように思うのですが、一方、新たなインパクトのある国づくりというか、そういう視点から見るとどうなのかなというようなことも考えられると思うのですね。  というのは、質問したいところですけれども、一つは、例えばテーマを持ってこういう都市づくりを目指すんだ、例えば筑波研究学園都市構想とか、また研究学園都市とか、それから今度の首都機能移転についても、国際政治都市というようなものを構想するというような形で、二十一世紀に向かって日本の政治、経済、文化のあらゆる日本のメッセージを世界に送るんだというような、一つのテーマを持った、コンセプトを持った形で都市づくりをしていこうというような、私は、非常に夢みたいなものを醸すような町づくりを担わせるような構想がかなり打ち出される部分があると思うのですね。  しかし、先生の視点からは、現実の問題をどう具体的に解決していくかという視点からの発想が非常に強く出ているのではないかなという感じがするのですが、そういう点で、テーマポリスとかテーマパークとか、そういう手法のような町づくり、首都づくりについては、どのように評価するというか見ておられるか、その辺をひとつお聞きしたいということです。  それから、もう一つは、やはり東京志向というのは、九州の方々の場合、そういうことが強いのかどうか。例えば、九州だったら福岡とか、関西だったら大阪とか。東京志向というのは、やはり関東、東北、北海道はどうかちょっとわかりませんが、やはり首都圏には非常に強いと思うのですね。我々も首都圏の者ですから、何といっても、教育にしても、経済にしても、さまざまな文化にしても、東京中心なんですね。そこから発信される、こんな文化圏にあると思うのです。  たまたま掛川市長の榛村さんという方が、私もいろいろ読ませていただいているのですが、なぜ人が都市に集まるかという志向性の中では、やはり通勤、仕事があるということ、それから通学、教育ですね、通勤、通学、あとは通院、これは病院が整備されているということ、それから通商、商売になるということ、それから通信、ですから情報の非常に濃密な交換ができる、それから通婚というのも言っております。この六つの通というのですね、その通があるから都市に人が集まるのだということをよく言っているのです。  そういうことで、東京志向というのは、やはり明治以来そういう形でつくられてきたんだろう、このように思うのですが、やはり地方国土分散というか、国土の均衡ある発展とか、それから、これから自然との共生というものがテーマになっている時代だと思うのですね。そういうことを考えると、価値観の転換が必要になってくると思うのですね。  例えば、榛村さんの場合は、随所主義というような言い方で、ここが世界の中心なんだ、我がところが世界の中心なんだという発想でいくべきじゃないかというようなことを本で書いていられるのですが、先生の場合、東京志向東京中心主義を変えていくための価値観の転換のキーワードみたいなものはどういうふうにつくられて、考えられておられるか、その辺がお聞きできればと思うのです。
  26. 内仲英輔

    ○内仲参考人 今のお話は、テーマを持った都市をつくる、大変夢のあるお話で、そもそも遷都論の発端は、だれも分都なんということは考えていないし、分都とか展都とかいろいろあるわけですが、そんなことではなくて、どこかへ首都を移してしまうという考え方から始まったわけでして、私も初めは遷都というのはそういうものじゃないかと思っていたのですけれども、だんだん考えていくうちに、多少バリエーションがあってもいいのではないかということで分都にたどり着いたわけなんですね。  ただ、うまくいくならば、一つの、おっしゃるような夢のあるテーマ都市をつくるというのは結構なことだと思うのです。  例えば、これで、私はキャンベラなんかは行ったことがないのでよくわかりませんけれども、ワシントンなんかはある意味ではかなりうまくできたテーマ都市であって、あそこでは、政治もあるけれども文化の中心として、御承知のようにかなり、特にギャラリーのようなものが大変発達していて、それから緑もそこそこ、結構広場もあって、大変水もあってというすばらしい首都だと思うのです。  ああいうものを今日本でつくるということになると、つくれればそれで一つの方法であって一概に否定しない、それがうまくいくならばそれでも結構ということなんですけれども、ただ、やはり適地を探すのは大変だし、自然環境をどう守るという問題もあるし、さまざまな問題からいってなかなかやりにくいのではないか。ただ、設計したりつくる方として考えてみれば、とにかくあちこちに分散してどこかのビルを借りて一つの省をつくるなんというのは大変けちな構想であって、そうではなくて、全く新しいところに白いキャンバスに絵をかくようにして思うような都市ができるのであればこんなすばらしいことはない、考えようによってはそういうことになります。  ただ、現実的にはやはり難しいのではないかというのと、ただ一カ所にまとめた場合には東京集中のような二の舞になるというおそれがある。これはいろいろうまくやれば防止する方法はあるとは思うのですけれども、下手をすれば、せっかく移ったら第二の東京ができてしまったというようなことになるおそれもありますので、そういうことも考えると分都の方がましかな、こういうふうな気もするわけです。ですから、夢としてはいいけれども、現実的に考えたときに、やはり分都がいい、そういう順序で私の考え方は進んできて、分都であれば地方の振興にも大変役立つ、そういう考え方です。  それから、東京一極集中主義とか東京志向のお話ですけれども、これは、おっしゃるように、関東の人だけが東京を目指しているのかというと、私は余り地方に住んだことがないのでわかりませんけれども、私が今までで一番遠くに住まわったことがあるのは四国の高知県にいたことがありますが、そのときに高知の人たちが自慢していたのは、ここは大変東京につながっていて東京の銀座のファッションがすぐ来るのよ、とにかく飛行機ですっと大阪の頭を越えていきなり流行がここへ来るのよと言って威張っていたわけです。  ところが、そういうことはその後方々いろいろなところで言っているわけです。みんな私のところは東京から直通で来るのよと言っているのだけれども、それなら高知なりそのほかの都市で満足しているかというと実はそうではなくて、だんだんそう言っているうちに高知も、私が申し上げたのは、まさに高度成長の初期である昭和三十五年に会社に入りまして、最初に行ったのが高知支局なのですけれども、ああそうか、なるほど、東京から直通で来るから何の不自由もないのだなと思っていたら、どんどん人口が減って、高知県は有数の過疎県になってしまいました。  そういうことで、東京に行きたいから行った人と、やむを得ず行った人とあるから、それがみんな東京に全部行ったわけでもないのでしょうけれども、やはり東京に対しては、東京の流行がすぐに来るというのは、ある意味では、東京に行きたいけれどもすぐに行けないということの裏返しであって、東京中心主義がそういう地方までも行き渡っているということになるのではないかと思うわけです。  ただ、私は、高知県の例しかわかりませんで、あとはもう少し近県にしか行ったことがないのでわかりませんけれども、関東とかその周辺だけであって、例えば近畿の人は大阪中心主義であるというのは、そうではないのではないかという気がしております。
  27. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 自由党の吉田幸弘でございます。  きょうは、大変貴重な御意見をお聞かせいただきありがとうございます。ただ、聞けば聞くほど私自身の中にもやはり迷いというものが出てまいります。私自身の考えとして、やはりそうそういろいろなところに分散をしない方がいいのではないか。というのは、確かに、一日で移動ができたり数時間で移動ができる距離に分散するというお考えでしょうけれども、例えば、私の地元は名古屋なんですけれども、以前は東京まで来るのに四時間も五時間もかけて来た。今は新幹線で一時間半。これは人間の体が、例えば十年後の一時間の移動距離というのは人間の体もそういうふうになっているわけで、今の一時間の移動距離と十年後の一時間の移動距離とかなり変わってくる。  ですから、今一時間ぐらいの移動距離のところにいろいろな首都機能を分散するといっても、十年後は、人間のやることですから、人間がやはりそこへ移動したりしなければいけないということが起こり得ますので、やはりそれはしんどいことではないかなという気はしないでもありません。  体のこと云々と言いましたけれども、いずれにしても、ある程度のまとまった地域での分散ということはいいのではないかなというふうには思いますが、例えば北の方と真ん中辺とあとは九州の方とか、そういうような分散になると多少機能的なものが問題になるような気がいたします。  自分の意見を述べていてもいけないのですが、例えば景気浮揚策、これは後からつけたような理由づけのような気がいたします。というのは、では景気がよかったらこれは行わないのかという話になるわけで、参考人の今までのお話の中で、ここ一番これが最たる理由だというものをお聞かせいただいて、このために移転をやらなければいけない、三つ、四つあるとやはり自分自身も迷います、ですから、このために国会等移転しなければいけないという優先順位をつけていただくわけにはいかないでしょうか。
  28. 内仲英輔

    ○内仲参考人 距離の問題を最初におっしゃったわけですけれども、私は毎日毎日名古屋から東京に通えというようなことを言っているわけではないわけですから、毎日毎日通うというようなことは余り想定しなくていいわけです。閣議でも週に二回が限度であって。そういうふうに考えていけば、距離の問題は、たとえ十年後であろうと今であろうと余り関係がないのではないかと思うのです。  確かに、時間は短くなったけれども体が疲れるということはおっしゃるとおりかもしれないですけれども、そういう意味でいえば、名古屋から二時間かかるよりも、多分、例えば福岡からは一時間ちょっとですか、鹿児島あたりで二時間ぐらいかかるのかもしれませんけれども、二時間乗ったのに比べてどうかというようなこともあります。かもしれませんけれども、毎日移動するということではない、それぞれが自分の住んでいるところを中心にして日常的には活動するという前提ですから、分散していて余り差し支えはないのではないかと思っているわけです。  それと、幾つもにばらばらにしてしまうのはどうか、幾つかずつにして、何か一カ所に複数の役所を配置するなりして全国に三つか四つあればいいという御意見だったと思いますけれども、それでも結構です。私は細かい方がいいと思っておりますけれども、一カ所に移すよりは、例えばそうやってブロックに一つ置くとか、東の方に一つ、西の方に一つとかいうような配置の方法はありますけれども、そういういかなる方法でも分散することが大事なのであって、それは私は細かい方がいいけれども、そう細かくするのは困難だというお考えがあるのならば、それはおっしゃるようなやり方でもいいのではないかと思っております。  それから、移転理由についていろいろあってということですけれども、いろいろある理由を私は先ほど並べ立てましたけれども、それは全部理由ではなくて一つだぞということを申し上げたかったわけでありまして、その一つというのは東京一極集中の排除ということでして、一つと言うのはちょっと語弊がありますから、東京一極集中の排除とその裏腹の関係で地方の振興発展に役立つ、地方に元気を出すという意味で、その二つの意味で、その二つをまとめて都市政策あるいは国土政策と言っていいと思うのですけれども、一つに絞るというと一つ、だけれども言い方によっては二つ、その辺が私の基本であります。
  29. 吉田幸弘

    ○吉田(幸)委員 ありがとうございます。
  30. 桑原豊

    ○桑原委員 民主党の桑原でございます。  きょうは、内仲参考人には分都の問題を初め大変示唆に富んだお話を聞かせていただきまして、大変参考になりました。私は石川県で、先ほど金沢市に文部省、金沢の名前が挙がっておりましたけれども、そういうふうな身近な話が加わりますと首都機能移転も我々の方も大変活発な県民の議論を呼ぶことができると思うのですけれども、残念ながら、日本海側一帯と申しますか、それに北海道や中国、九州、四国などを加えても、三ブロックに余り関係のないところは、いろいろ審議会の公聴会などもやられてはおりますけれども、大変議論が低調と申しますよりも、ほとんど知らない人も多い。我々国会議員がちゃんと説明をして議論を起こさなければならぬという責任はあるわけですけれども、残念ながら、全国的な議論を呼ぶようなインパクトがないというのが私は現実ではないかというふうに思います。  確かに、一つ一つ点検をしてまいりますと、災害の問題にしても、あるいは過密の問題にしても、土地の問題にしても、何によらず、もう東京ではこれ以上行き詰まりだ、何とかしなければならぬということは、一つ一つの問題をとって見れば非常にわかるわけですけれども、国民的な議論移転だ、こういうような話につなげていくときは、もう一つやはりそれを呼び起こすようなインパクトというのが大変弱いように思います。  特に、私どもの日本海側にとっては、もう明治以来太平洋側を中心にいろいろなことが先行されて大変格差があるんだ、我々日本海側は何とか二十一世紀は浮上して、日本海側の特色を生かした発展が求められるというようなことでいろいろ議論しておりまして、そういう中にこの問題が日本海側にもというような形で入ってくれば、日本海側に持ってこいという話ではないのですけれども、そこも大きく議論に参加をできるような、そんなやはりインパクトというのが求められていると私は思うのです。そこら辺を先生としてどんなふうにお考えになっているのか、国民的な議論を呼び起こすためのインパクトは何なのかということを一つお聞きしたいということ。  それと、分都論にも、いわゆる国の、文部省やら外務省やら、いろいろなものを各ところに分けるというのもございますし、また国の機能を極めて集中したものにして、本当に外交、安保ですとか国際金融ですとか、そういったものに特化して、あとはもう大半地方でやる。そして、その地方と国の仲介的な役割を果たすような国の機能をブロックごとに分都していくといいますか、そんな意味での私は、そういう前提になれば、連邦制かあるいは道州のようなものを考えるということになるのでしょうけれども、そういう意味での分都も考えられるのではないかな、こんな気もしておるわけです。やはり日本の国の形をどうしていくのかということと相当密接に結びつけてこの問題は提起をしていく必要があるのではないかな、こんなふうに思うのですが、そのことについても、できたらお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 内仲英輔

    ○内仲参考人 大変難しい御質問なので、私も、とにかく首都機能移転はやるべしという立場ですから、何とか国民世論が盛り上がってほしいと思うのですけれども、なかなか盛り上がらないのですね。  一つには、とにかく、今や幾つかの県が手を挙げて一応意欲を示しているわけですけれども、府県としてとにかくいいぞということになってしまうと、そこは全く関心がなくなってしまうわけですね。それで、先ほど申し上げましたように、三百キロという限定がされてしまった途端に三百キロ以遠のところではもう声が出なくなってしまったというようなこともあって、地域的な問題はありますけれども、私も大変もどかしいのですけれども、国民世論というのは何か盛り上がらない。  私も、在社中は一生懸命新聞にも書いたつもりでありますけれども、微力であって、役所方々も一生懸命PRをされてはいるんだけれども、何かみんな夢物語だということになってしまうのは、やはり地方の人は、東京に行って、東京至上主義みたいなものをお持ちの方が先ほど来申し上げているように結構多いので、そういう方にとって至上主義の目標が、東京がなくなってしまうのはどうかななんということで、何となく現実のものとしてお感じにならないのじゃないかと思うのですね。  ですから、本当に盛り上がるというのは、最終的には、いよいよ移転先が二つか三つに絞られて、議論国会へ持ってこられてわあわあ白熱してくるときに初めて国民の方も乗ってくると思うのですけれども、それでもやはり、圏外というか三百キロ以遠の人たちは、遠くのことはもういいわというので盛り上がってこないのではないかという気もして、そういう点では大変悲観的ですけれども、やはりこれは、北海道の人や九州の人は関心がないけれども勝手に決めてしまったぞというのもまずいわけですね。何らかの形で、もうちょっとインパクトのある議論を展開したいと思うわけです。  ちょっと私、金沢と申し上げたのはたまたまでございますけれども、そういうことで身近にお考えになって、議員の皆様も地元ではそういうお話もしていただけると大変ありがたいな、そんな感じなんです。要するに、インパクトの起こる議論を起こすという御質問に対しては、私も残念ながら余り知恵がないわけですね。  それと、もう一つは、国の機能を極めて特化してしまうという方法もあるのではないかというのは、これはもうおっしゃるとおりで、私も先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そういうことであれば国の機能というのはほとんどなくなるわけですから、地方にどんどん任せてしまえ、それは、県に任せるのもちょっとあれだからという、そういう考え方は余りしたくないのですけれども、中央にはそうお考えになっている方も多いので、そういうことに迎合して言うならば、少し大きなブロックごとに、おっしゃるようにまさに道州制みたいなものでもいいけれども、そういうところにも全権を渡すというような形があれば、それなりにいいと思うのですね。  例えば、これも先刻御承知と思いますけれども、ドイツなんかを見ますと、州が大きな力を持っておりまして、もちろん連邦議会というのがあるわけですけれども、私も何度か行きましたけれども、ボンに行くと、まさに大使館みたいなのがあって、大使館というのは変ですけれども、当時というか今も一応首都はボンですけれども、そうすると、各州がそれぞれ独立の建物を持っていて、東京の場合は県事務所というふうにまとまっていますけれども、何か一つの州を訪ねましたら、あれ、これは何かどこかの大使館かなというようなところにアンバサダーみたいな人がいましてというようなことで、聞いてみると、それぞれの州で一応独立した形でやっている。  そういうことも詳しくここで申し述べませんけれども、そういう道州制、道州制というか州にかなりの権限を与えれば小さなガバメントで済むわけで、したがって、ボンみたいな三十万の都市でこれまで五十年間首都として機能してくることができたわけだと思うのですね。ですから、そういうことで、権限をどんどんおろしてしまってスリムにしてしまうということには、全く賛成でございます。
  32. 久保哲司

    ○久保委員 公明・改革クラブの久保哲司でございます。  内仲参考人には、本日はお忙しいところ、ありがとうございます。  私も、この国会移転というか首都移転に関しては何ぼかかかわってきたのですけれども、先ほどおっしゃった分都あるいは遷都、展都、さまざまな、手法としてはそういうことがかつても議論されました。だけれども、そんな中で、先ほど同僚の宮地委員の御質問で、参考人の方は、いわゆる国会等移転首都移転が必要なのは国土政策上からの見地が大きいというふうに先生の御意見としてはおっしゃっておいでだったのですけれども、私は、むしろ分散されるべきは、分散ということをあえて申し上げますと、分散されるべきは、国家の行政機能としての役所が分散されるというよりは、その役所が持っている権限権能、また財源というものこそが地方に分散されるべきだと思うのです。  それが今回、今国会でも審議が始まっているわけですけれども、まだ正直言うと中途半端だと思います。本当の意味で、今もちょっと御紹介あったような連邦政府のような形でもって、州政府ないし日本でいえば府県にもっともっと権限権能というものが移譲されれば、逆に国会ないし国会中心とするいわゆる首都機能というのはもっと縮小するわけで、そうなれば、ある意味では、先ほども参考人の冒頭の陳述の中にあった、陳情にどんどん市町村から、全国から集まってくるとか、言葉は悪いが東京もうでというような形はなくなってくるわけで、一方で、それでも日本国は日本国ですから、国会が当然必要ですし、国の機能というのは当然維持していかぬといかぬわけですから、この部分というのは、やはり分散というよりは固まりであるべきなんだろうなというふうに私は思います。  そういう意味で、権限権能、そういうものさえきっちり分散されるならば、あとはむしろ、その部分になると先生と同じように国土政策的な発想になるのかもわかりませんけれども、純粋に、東京過密をどうするねん、これがほんまに東京にとって邪魔なのかどうなのか、こういうまさに、ある意味で、言葉をかえれば東京問題ということに集中して、東京都市づくりということに集中して物を考えることができるし、一方、仮に、その結果最終的に移転しようやということになったとしても、新しい受け入れ先も、第二の東京というイメージじゃなくて、本当の意味での新しい首都をつくるんだという構想に持っていけるのではないのかな、私はそんなように思っております。  そういう意味では、国民議論が少ないという先ほどのお話もちょっとございましたけれども、僕は、権限権能というところにこそ国民議論というのは集められるべきであって、それさえ整理されれば、あとは、この建物なり役所がどこへ行こうが、極端な話、それは日本国株式会社の本社をどこへ持っていくかという話なわけで、関係者でやればいいことと違うのかな、そんなふうに思っておるのですけれども、御意見、御感想をお聞かせいただければと思います。
  33. 内仲英輔

    ○内仲参考人 私は、今おっしゃった御意見にほとんど賛成なので、どう言っていいかわからないのですけれども、本当にあらゆる、あらゆるというか今国が握っている権限のほとんどが手放されていけば、本当に小さな政府になってしまうわけで、そうすれば、集積理由にも原因にもならないわけだと思います。  今の国会に出ている法案を見ましても、これは当初私どもが予測したよりはかなりいろいろな権限移譲が盛り込まれた。機関委任事務もなくなったし、かなり手放しがたくて残っているのが、まだしかし、そうはいってもたくさんありますけれども、思ったよりはやったなという気はしているのです。  だけれども、純粋に考えればやはり不十分であって、役所の方にしてみれば結構これでうまくいったと思っているのかもしれないし、強大な権限は、一部移譲されたにしても、まだまだ残っているわけです。ですから、おっしゃるように、ほとんど、幾つかの役所は要らなくなるぐらいに徹底して手放してしまえば、それは大変結構な話で、ただ、そううまくいかないだろうから、やはり首都機能移転が必要であり、その手段として分都がよかろう、そういう順序になるわけなんです。  簡単ですけれども、よろしゅうございましょうか。
  34. 下村博文

    ○下村委員 自由民主党の下村博文です。  私は選挙区は東京でございまして、だからといって、最初から首都機能移転反対だということではもちろんないのですけれども、ただ、ちょっと仕切り直しが必要ではないかなという感じはしているのですね。  それというのも、今まで首都機能移転といいますか首都がかわるとき、やはり時の権力者の強力なリーダーシップというか決断で決まった経緯がありますけれども、今のこの時期にそれができるのかどうかということになると、もちろん国会だけでなく国民のコンセンサス、合意というのはやはり必要だと思うのですね。その辺で、今までのお話のように、そういう議論がまだ全然できていない、関心が薄い。  少なくとも、例えば東京だけに限れば、候補地が一カ所に絞られたとしたら、その時点東京とその候補地とどっちがいいか比べるということになっていますけれども、東京東京で、そうなった場合に、例えば都民に対して、こういう議論が出ているけれどもどう思いますかということで例えば東京における、ある意味では住民投票的な、都民の意見を聞くというような手法は、恐らくとられるのではないかなというふうに思うのですね。  そのときに、それは東京だけの問題ではなくて、あるいは全国民の問題として、先ほどから議論が出ているように、やはり、なぜ首都機能移転をするのかという夢というかビジョンといいますか、こういう新しい日本をつくり直すために首都機能移転が必要なんだということがないと、これは国民の納得、理解は得られないのではないかというふうに私は思うのです。  今までの議論というのは、仕切り直しということで申し上げたのですけれども、現実の否定といいますか、例えば東京一極集中の問題点とかマイナス的な部分から来ていますけれども、プラス要因として、こういう国をつくるためにこういう首都機能移転にするんだというところがやはり出てきていないのではないか。  ですから、都民から見ても、発想が、ある意味ではバブルの前の発想のような、そういう感覚でとらえている方もたくさんいらっしゃいます。それが、先ほど参考人が言われた景気浮揚の問題とか人心一新とか、幾つかの問題点は挙げられましたが、積極的な、国民から見て、なるほど、それだったら移転は必要だというところまでのビジョンに描かれていない部分があるのではないかと思うのですね。  それから、今お話ありましたように、東京一極集中の問題というのは、一つは、そういう地方分権とか道州制とかを絡めて解決できる部分もあると私も思いますし、それからあとは、極めて東京の問題でもあるわけで、逆に言えば、東京の問題でいえば、まだまだ都市開発がきちっと行われていないからそういう問題点があるんだ。例えば、山手線の内側が今二・六階ぐらいですけれども、パリのように五階ぐらいにすれば住宅問題も解決できるではないか、もっと東京の町づくりを積極的にすることによって、東京のマイナス点を解決することができるのではないか、こういう議論もあるわけです。  ですから、東京のマイナス点を解決するためにどこかに移そうという議論時代では、情報産業とかを含めまして、もうなくなっているのではないか、ある意味では土木国家建設の時代はもう終わったのではないか、そんなふうに思っているのですが、それについてどうお考えか。特に、参考人がマスコミの方でございますから、マスコミも積極的な、国民的な関心が得られるようなキャンペーンをぜひしていただきたいとも思うのですが、お願いいたします。
  35. 内仲英輔

    ○内仲参考人 国民的合意が必要だとおっしゃるのは、まさにそのとおりなので、今までのところ確かに議論が先行はしていますけれども、先ほどもほかの方からも御指摘がありましたように、国民に浸透していないのですね。それはもう大変残念なことだし、これはどこかでしっかり国民の総意を聞く方法を講じなければいけないと思います。それがどういう方法であるというのは私もよくわかりませんけれども。  今のところは、とにかく、特に地方方々には余り関心がないままに、中央でもって、それこそ東京で話がどんどん進んできたというような感じを持たれても仕方がないわけで、やはりこれこれこういうことであるぞということは、どうやっていいのか、これも方法はわかりませんけれども、国民投票なんという方法もあるいはあるのかもしれませんが、しっかり一応意思を確かめる、国民のコンセンサスを得るということは、ある段階でやらなければいけない。本当はもっと早くやっておかなければいけなかったのだろうとは思うのですけれども、これから本当に決定するのであれば、その前に何らかのステップを踏むべきではないかと思います。  それから、東京についてはマイナス面ばかりだというようなことなんですけれども、それもやはり考え方でありまして、要するに、こういうことを言うと失礼かもしれませんが、やはり大変な行政、立法、司法の組織が東京に存在しているということは、これは考えようによってはちょっと異物があるようなもので、それのためにもともとの都民は大変不自由しているということはあるのじゃないかと思うのですね。  確かに、東京に、ここに、政府のいるところに私はいるんだというので満足しているということもありながら、反面、やはりこんなに混雑しているところで毎日通勤するのは嫌だなとか、とにかく密集して、今にも大変危険な地域、水害、火災、そのほかいろいろ防災的に考えて危ないところもあるわけですけれども、そういうところに、もう少し何とかならないかということを、不満を持っている都民はいっぱいいらっしゃるわけですね。  それに対して、どうしてできないかというのは、非常に金がかかるということと、とにかくコンセンサスを得るのも大変難しいところでありますけれども、これだけ密集してくると、ちょっと手をつけるというのも大変なことですね。  特に、地価が、今鎮静したとはいえども、これも結構高いわけで、今鎮静したというのは要するに、今回の地価暴騰の始まる直前の、八〇年代の半ばぐらいの地価に比べて、そのころの水準に戻したということを言っているわけですけれども、これは確かにその水準には戻ったけれども、もともと東京地価というのは高過ぎる、ちょっと先ほど申し上げましたけれども。そういうようなことで、何かいじるというのにはどうにもならないぐらいびっちりと土地は詰まっているし、値段は高いし、コンセンサスも得にくいというようなことになっているわけですね。  そこで、ここに一応、政府機関という巨大な集積がどこかへ抜けてしまえば、その後の空白というのは大変大きなものがありまして、かなり、例えば区画整理なんかにすれば転換のためにも便利であるかもしれないし、いろいろな利用法があるし、緑地とか避難地帯だって不足しているわけですから、そういう利用法もあるわけだし、都市づくりの意味からいって決してマイナスにならない、多分いい材料になるんじゃないかと思うんですね。  しかし、それによって都市としての勢力が衰えるんじゃないかというような言い方をされる方もありますけれども、うまくやれば、権限の移譲と一緒に動いていけば、現実に東京に集まっている多くの企業はそれにくっついていくということはしないはずだし、またくっついてこないように移転先についても考えなければいけないわけですが、恐らく東京に残って、東京はすっきりした文化経済都市としてそれなりに発展していくわけですから、何か、かなり前向きに考えて、都市づくりのインパクトがあるんじゃないか、町づくりの意味では、無意味ではないというよりもプラス材料ではないかと思っております。
  36. 桜井郁三

    ○桜井(郁)委員 自民党の桜井郁三でございます。  今いろいろお話の中で、御質問もかなり集中しているというんですか、例えば私も今分都の問題を聞きまして、この分都の問題と、それから地方分権、先ほど言うように、地方分権がきちっと成ってくれば、何も分都をしなくても小さな政府でできる。しかし参考人は、そんな簡単に地方分権できないから、とりあえず今の形でやっていくんだよ、こんなようなお話でございましたけれども、私自身は、地方分権一つとっても、ある程度財政的なものまで踏み込んでいければかなりできるなというようなことを思っておるわけでございますから、余り分都しなくてもいいのかなというような考え方を持っております。  私自身は神奈川県出身でございますから、本来であれば東京にいろいろな機能があった方が非常にいいというようなことでございますから、東京集中しているところにわざわざ来なくても、近いところにいろいろなものがあれば、たまに一時間ぐらいあればここへ来れるわけでございますから、そういう中では、また地域によっても随分違うんだろうというふうに思っております。  しかし、参考人のお話の中では、一極集中した東京を分散していく、あるいは三つの候補地を一つに絞っていくのも難しいというようなお話の中でいきますと、私は、三つの候補地それぞれあって、それを一つにして、そこへまた権限を全部移譲するというのも難しいのかなと。  そうなりますと、先ほど参考人が言いましたような、その三つの地域をそれぞれ分都して、例えば東北の方にはこれですよというような形でやっていければその三つの地域が均衡がとれてくるのかな、あるいは、一つのところへやってあと二つはだめですよというわけにもいかないんだろうと思うんです。特に、これからの一極集中というのは、都市を幾つかつくっていく方がいいのかなということになりますと、三つの候補地がそれぞれやはり何か機能していくというような形がまたいいのではないだろうか、そんなことを考えてみると、分都というのも非常に私は新しく感じたわけであります。  今参考人が言われているように、北海道だ九州だとかじゃなくて、この三つに集中した中のそれぞれの役割分担、こういうようなことは非常に有効ではないだろうか、こんなことを思っておりますが、その辺のお考え方があればお聞かせいただいたらありがたいな、こんなことを思います。
  37. 内仲英輔

    ○内仲参考人 御意見ですけれども、私は、とにかく分都が一番よかろうというふうに考えているわけですけれども、おっしゃるように、それぞれの分都が何カ所になるかということはありまして、お話では三カ所ではいかがかというようなことなんですが、それも一つの方法だと思いますね。動かないよりはよほどいいわけですね。  ただ、その場合でも、東京に残るというのはやはりどうしても、それだったらば二つにしてしまった方がすっきりするのではないかと思います。
  38. 西川公也

    西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。  私、栃木県に住んでおりますので、県民の関心は非常に高いんです。二〇一〇年には新首都国会を開催する、こういう約束になっているわけでありまして、なるだろうという期待で盛り上がっています。しかし、こちらへ来まして、国民の関心あるいは国会議論、いろいろ聞いておりますと、今そんな状況にありませんね。しかし県民は、都合の悪いことはなるべく耳に入れたくない、いい方にいい方にとりたいというのが大体県民感情なんです。ですから、二〇一〇年にはやるだろう、こう思っていますが。  今、世界の情勢も日本の状況も、地方分権の話もあるし、経済のこういう低迷の中、あるいは世界全体の落ちつきぐあいによって新首都規模も変わってくるのかな、形も変わってくるのかな、私はこう思っているんです。  そういう意味で、私は、現実論としましては、土地をとにかく決めてもらう、そして新首都の二〇一〇年はどういうふうにお茶を濁されちゃうのかわかりませんが、曲がりなりにも、どういう形でもいいから一度やって、だんだんに、何十年もかけてつくっていくという姿の方がいいのかな、私はこう思っているんです。その辺の考え方、どうお考えになるかが一点。  もう一点は、東京との比較考量の話がありますけれども、いやが応でも、秋に決まればその後比較考量をやるわけですから、そうすれば、反対論も大きくなるから賛成論も大きくなる、こういうことで盛り上がってくると思うんですが、私は、比較考量を早く手をつけてやっていった方がいい、こう思っておるんですが、参考人の御意見等がありましたらお聞かせをいただければと思います。  以上です。
  39. 内仲英輔

    ○内仲参考人 栃木県の方では大変熱心だというお話でしたけれども、確かに、今手を挙げているというか、一応候補地に挙がっているところへ行くと、どこかにポスターを張ってあったり、のぼりが立っているところもあったりして、結構元気がいいわけですけれども、そうでないところとの落差が大き過ぎて、どうも戸惑ってしまうんです。  確かに、場所を早く決めれば、そこでもって大変議論が巻き起こることになりましょう。ただ、スケジュールとしては、とにかくことしじゅうにはとりあえず幾つかに絞られることになっていますから、その点では、そのあたりである程度議論の盛り上がりがあるんじゃないかと期待しております。だから、これは、やはり決まらないから来年に延ばそうとかいうことじゃなくて、審議会としてはスケジュールどおりに決めていただくとありがたいな、こういうふうに思っているわけです。  比較考量の点なんですが、これは大変難物でありまして、三年ほど前、三年前の今ごろだと思いますけれども、国会等移転法が改正されたわけですけれども、国会等移転法というのは、そもそも国会東京以外の地に移すということを目標につくられた法律だと思うのに、あの時点でああいう条項が入ったというのは、どうもまことに解せないことであって、実際に比較考量するということになると、自分のところはどうせ候補地から外れたという人たちは現状維持になる可能性もあるという、そういう意味でいうと、なかなかこれは難物なんですね。やはりこの辺については、私も何と言っていいか、ちょっとお答えのしようもないんですが、お許しください。
  40. 井上一成

    井上委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  内仲参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
  41. 内仲英輔

    ○内仲参考人 どうも長い間お聞き苦しい、まことにこういうところになれませんので、つっかえつっかえでお聞き苦しかった点はどうかお許しいただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  42. 井上一成

    井上委員長 参考人には御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  43. 井上一成

    井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る六月二日水曜日午前十時から、参考人として宮城県知事浅野史郎君、愛知県知事神田真秋君及び三重県知事北川正恭君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る六月二日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会