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1999-06-02 第145回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月二日(水曜日)     午前九時一分開議   出席委員    委員長 高鳥  修君    理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君    理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君    理事 山口 俊一君 理事 小林  守君    理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君    理事 中井  洽君       岩下 栄一君    衛藤 晟一君       小野寺五典君    大野 松茂君       金田 英行君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    河本 三郎君       坂本 剛二君    実川 幸夫君       砂田 圭佑君    田村 憲久君       滝   実君    谷  洋一君       戸井田 徹君    中野 正志君       細田 博之君    牧野 隆守君       松本 和那君    水野 賢一君       宮島 大典君    宮本 一三君       目片  信君    森  英介君       山本 幸三君    岩國 哲人君       桑原  豊君    古賀 一成君       島   聡君    中川 正春君       中桐 伸五君    平野 博文君       藤田 幸久君    松崎 公昭君       山元  勉君    山本 譲司君       石井 啓一君    石垣 一夫君       佐藤 茂樹君    並木 正芳君       桝屋 敬悟君    小池百合子君       佐々木洋平君    西川太一郎君       三沢  淳君    鰐淵 俊之君       春名 直章君    平賀 高成君       松本 善明君    吉井 英勝君       濱田 健一君    深田  肇君  出席国務大臣         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣    有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         通商産業大臣  与謝野 馨君         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         自治大臣    野田  毅君         国務大臣         (内閣官房長官         )       野中 広務君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局長      河野  昭君         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         人事院事務総局         任用局長    森田  衞君         内閣総理大臣官         房審議官    佐藤 正紀君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         国土庁計画・調         整局長     小林 勇造君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         大蔵省主計局次         長       坂  篤郎君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文化庁次長   近藤 信司君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         社会保険庁次長 宮島  彰君         農林水産省構造         改善局長    渡辺 好明君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     片木  淳君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         衆議院調査局第         三特別調査室長 鈴木 明夫君 委員の異動 六月二日               辞任         補欠選任   岩下 栄一君     目片  信君   戸井田 徹君     滝   実君   細田 博之君     坂本 剛二君   岩國 哲人君     桑原  豊君   中桐 伸五君     松崎 公昭君   山本 譲司君     古賀 一成君   桝屋 敬悟君     石井 啓一君   小池百合子君     佐々木洋平君   三沢  淳君     鰐淵 俊之君   松本 善明君     吉井 英勝君   畠山健治郎君     濱田 健一君 同日                 辞任         補欠選任   坂本 剛二君     細田 博之君   滝   実君     田村 憲久君   目片  信君     岩下 栄一君   桑原  豊君     島   聡君   古賀 一成君     山本 譲司君   松崎 公昭君     中桐 伸五君   石井 啓一君     桝屋 敬悟君   佐々木洋平君     小池百合子君   鰐淵 俊之君     三沢  淳君   吉井 英勝君     松本 善明君   濱田 健一君     畠山健治郎君 同日                 辞任         補欠選任   田村 憲久君     戸井田 徹君   島   聡君     岩國 哲人君 本日の会議に付した案件  地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案内閣提出第九一号)  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第九六号)  内閣設置法案内閣提出第九七号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出第九八号)  総務省設置法案内閣提出第九九号)  郵政事業庁設置法案内閣提出第一〇〇号)  法務省設置法案内閣提出第一〇一号)  外務省設置法案内閣提出第一〇二号)  財務省設置法案内閣提出第一〇三号)  文部科学省設置法案内閣提出第一〇四号)  厚生労働省設置法案内閣提出第一〇五号)  農林水産省設置法案内閣提出第一〇六号)  経済産業省設置法案内閣提出第一〇七号)  国土交通省設置法案内閣提出第一〇八号)  環境省設置法案内閣提出第一〇九号)  中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案内閣提出第一一〇号)  独立行政法人通則法案内閣提出第一一一号)  独立行政法人通則法施行に伴う関係法律整備に関する法律案内閣提出第一一二号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 高鳥修

    ○高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連十七法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  3. 古賀一成

    古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。  きょうは、地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法につきまして、私、この数年来、地方行政委員会理事を仰せつかっておりまして、地方分権あるいは地方財政というものを一生懸命考えてきた一人の男として、ぜひきょうは、分権一括法審議が進みつつあるということで、私もこの場に立たせてくれということで参上したわけでございます。地方行政委員会、この後も何人かの委員がこの場に参りまして質疑をしていくことに相なろうかと思いますけれども、トップバッターとして質問を申し上げたいと思います。  この法律は、もう言うまでもありませんけれども、この数十年来、地方の時代とか地方分権あり方とか論議される中で、地方分権推進法、そして五次にわたる委員会勧告、そして分権推進計画がつくられてくる、こういう、いわば鳴り物入りで、長期間をかけて、そのいわば最終的なアウトプットとしてこの法律が出てきたものと私は理解をいたしております。  そして、この法律を、私も法律をつくっておったこともかつてありまして、そういう目でも、あるいは政治家としても、もちろん野党としても見させていただきましたけれども、この法律、これだけの経緯とこれだけの国民期待を担って出てきた法律としては、果たして地方分権推進法と言える法律だろうかということに大変私は疑問を持ちます。  この条文の各論に及びましていろいろな改正点についての質疑が繰り広げられつつありますけれども、私は、むしろ、一カ所一カ所というよりも、この法律全体の性格あるいは取り扱いについて大変大きな疑問を持つわけでありまして、国会議員の一人として質問をきょうはさせていただきたいと思います。  私は、一言で言えば、この法律は、つまり地方分権というこの問題は、政治がいかにかかわるか、あるいはかかわってきたのかというのが問われている最大テーマ一つだったと思うんですね。結論から申し上げますと、この法律は、極めて事務的でございまして、極めて政治においがしない、政治家リーダーシップにおいがしないと言っても過言でない法律だと私は思うのであります。  その中身につきましては後ほどるる質問をさせていただきますが、まず冒頭に官房長官にお聞かせをいただければと思うんですが、総理お願いをしておりましたけれども、きょうは御出席ではございません。  今言いましたような問題を持つ中で本委員会においてこの一括法審議が始まったわけでありますけれども、私は、会期末間近に、いわば次の世紀の国の形を決める本法を、中央省庁再編法と一緒くたにしてといいますか、まぜこぜにしてといいますか、そして、時間的には短時間でやらざるを得ないという状況の中で審議し決めていこうという、これに対して、先ほど言いました政治のかかわり方ということが問われる法律でありまして、私は、こういうやり方はいかがなものかと強い疑問を持つわけであります。私は、本国会会期に拘束されずに、真剣に、もっと長い時間をかけて論議すべき法律であろうと思います。御所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 野中広務

    野中国務大臣 委員が熱心に地方行政にお取り組みいただいておるところを感謝する次第であります。  今私がお伺いをいたしておりますと、中央省庁再編移行とこの地方分権とが一体となって、審議を十分行っていく上に懸念があるというお話でございますけれども、委員は多年、国政なり、あるいは議会に出られてからも地方行政にかかわっておられるわけでございますけれども、中央省庁再編という目標を達成いたしますのは、平成十三年の一月に先立ちまして、いわゆる地方分権推進していかなければならないわけでございまして、したがいまして、この施行期日平成十二年の四月一日といたしたわけでございます。  これは、御承知のように、地方公共団体におきましては、法案成立をいたしました後、それぞれ各府省におきまして政省令改正を行わなくてはなりません、そして、これを受けまして、地方公共団体相当数条例制定改廃等を行う必要があるわけでございます。したがいまして、平成十二年の四月一日にやって、その後、平成十三年の一月に中央省庁再編をやらなくてはその実効を上げることができないということで、この準備作業の必要とする期間を入れさせていただいたわけでございますので、ぜひ今国会においてこの成立お願いをしたゆえんは、そこにあるわけでございます。
  5. 古賀一成

    古賀(一)委員 今のお話でございますと、要するに、平成十二年四月一日、これが先にありきという話でございまして、それは政治的にかつて決められた経緯は知っておりますけれども、問題は、これだけの二本の大法案、しかも、これはもう次の世紀へ向けて国の形を決めていく法案でありまして、施行期日平成十二年の四月一日だ、条例制定等の都合がある、それは本質ではないと私は思うんですね。  総理もサミットに行かれます。クリントンがどうおっしゃるか知らないけれども、要するに、さきの国会、この前終わったばかりの国会で、まあ一月足らずで、日本は国の形を決める、地方分権中央省庁再編をやったんですね、やってきましたと。それで本当に日本は国の形を真剣に論じたのかと言われると私は思うんです。  その平成十二年というのは、私は十三年でも十四年でもいい。むしろ、問われているのは、まさに明治維新以来つくられてきたこの国の形を一部なりとも次の世紀へ向けて変えていこう、これに政治がかかわっていく、そのために必要な時間であるならば、施行期日を延ばせばいい話であって、今の官房長官の御答弁、いわば、もうあと一週間か二週間か知りません、私は議運ではございませんからわかりませんが、いずれにしても、その程度の、あと一、二週間、三週間といった限られた時間で、この二つの大論点政治がかかわっていく、それぐらいの時間しかないということには私は納得できません。  しかもこれは、分権推進法に始まりまして、五次にわたる勧告。ずっと政治は待たされてきた話なんですね。要するに、法案霞が関各省折衝を終わって出された瞬間、さあ一週間、さあ二週間。ほかの法律でございますと、さあ一日で仕上げてくれ、こういうことがもう当たり前のようになってきたのが昨今の霞が関と永田町の関係でございまして、私は、非常にこれは禍根を残すと思います。  私はそれを強く訴えて、これは恐らく水かけ論になるでしょうが、マスコミの方も聞いておられます。わずかこの数週間でこの法律を仕上げるということに関して大変な疑問を持つということを申し上げておきたいと思います。  それで、もう一点でございますが、この審議あり方に関しまして、ただいま官房長官からも御答弁がありましたけれども、中央省庁再編地方分権を一緒にやっていく、現にそういうことで動いておりますが、四百七十五本の法律があると言われております。これも大変なんですが、私はこれを、交互にであれ、いわばごちゃまぜにしてやっていくということは論点がぼけるのではないか。やはり我々野党が申し上げてきたように、まず地方分権あり方というものを、本来であれば、その専門的委員会を、特別委員会でも設置をして十分論議した後、それを踏まえて中央省庁の形を検証するというプロセスが論理的であったと私は思うんですね。  何か料理に例えれば、本当はフランス料理のように、はい、これがオードブルです、これがメーンディッシュです、デザートです、そういうきちんきちんとした論議をすべき重要法案だと私は思うんです。ところがこれは、だしもいわゆるデザートメーンディッシュも全部同じなべに入れて、どれがどこに入っているかわからないような、そういう形で審議されているということに私は大変な疑問を持ちます。もうこれについては質問しませんが。  次の質問に移らせていただきたいと思います。  ところで、これだけ鳴り物入りで我々を待たせてくれた、また国民期待も大きいこの法律でございますが、これは、地方分権理念あるいは目的という規定がないんですね。恐らくこれはまだ新聞にも書かれていません。自治体の関係者、この法案を恐らくまだもらっておりません、見ていないと思うんですが、地方分権理念目的に関する条文が見られない、これは大変奇異なことだと私は思います。  これだけ政治行政あるいは社会にわたってこの論議がされてきた、その法律がついに出た、目的に関する、理念に関する条文がないと私は思うのでありますが、これについて、なぜそうなのか御説明をいただきたいと思います。
  6. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方分権理念というのは、憲法上、地方自治の本旨以下いろいろ、具体的には法律、国権の最高機関である国会が定めたその法律の範囲内において具体的なことを条例制定していくわけでありますが、今回の一連の地方分権推進のための作業の中で、そのスタートになったのが地方分権推進法、これは御案内のとおりでございます。  この中で、目的あるいは地方分権推進に関する基本理念というのが第一条、第二条ということで、いわば今回の大作業スタートに当たってのきちんとした方向性理念をそこに置いて、きちっとうたっておるということ、まずそれがスタートである。その大方針に基づいて地方分権推進委員会作業を始めていただいて、作業の結果、累次にわたる勧告をお出しいただいて、それを、昨年、政府としての第一次の分権計画ということで策定をして、それをもとにして、それを基本として、今回、具体的な各関係法案改正作業に至っている。  したがって、今回の一括法案では、今四百七十五本という数にもお触れになりましたが、そういった関係の具体的な法律そのものについての所要部分を、技術的にこの改正作業をやっていくということでありますから、今回、そういう意味で、目的理念についてあえてこの法案の中には書き込まなかったということでありまして、基本精神はもう、くどいようでありますが、地方分権推進法、この中に目的理念がうたわれている。  それからいま一つは、いわば地方自治に関する基本法とでもいうべき地方自治法の今回の改正後の条項の中で、地方公共団体役割と国の配慮、第一条の二のところで、地方団体が行うべき事務あるいは国が役割を果たしていくべき事務ということについて書き分けをいたしておるということで大体御判断をいただけるのではないかというふうに考えております。
  7. 古賀一成

    古賀(一)委員 私はそうではないと思うんですね。この地方分権推進一括法、これはやはり、理念あるいはその目的というものを書くだけの内容がないからだと私は思うんです。これは極めて事務的な法律でございまして、機関委任事務の廃止に伴う、あるいは機関委任事務の区分のし直しに伴う関係法律整理法というのがこの法律本質なんですね。そしてこの間、いわば政治が空白だったのかリーダーシップがなかったのか、要するに地方分権についてはこういう理念で、こういう方向で骨太にやれという政治の発信がなかったから、霞が関も要するにこういう事務的な法律をつくるしかなかったということがこの法律本質じゃないかと私は思うんですね。私は、こう決めつけて問題がないと思います。  だから私は、それは地方分権推進法に書いてあるとはおっしゃっても、まさに最終の法律として、あれはスタート法律ですから、これはその成果アウトプット法律で、まさに自治法改正の、目的も何もない、その条文から始まる、あとずらずらと四百七十五本の法律事務的改正あるいは手続関連規定、これで、まあ後ろに置いてありますけれども、あれだけの厚さになった。  私はまさに国会議員としてお訴えをしたいのは、やはり政治がこの問題に本当にかかわってこなかった、かかわり得る最大のチャンスは今のこの委員会である、したがって、十分にこれは時間をかけて再度やるべきだと私は主張を繰り返したいと思います。  三問目に入ります。  それでは、条文には書いていない、でも、では政治的に見て、この地方分権一括法理念方向性国民一言説明してほしいと言った場合、内閣としてどういうようにアピールあるいは説明をされるのか。ひとつ、造語でも結構でございますから、国民の皆さんあるいは地方公共団体の首長さんに、地方分権推進法、これは要するにこういう方向の、こういう理念法律ですと説明する場合に、どう説明されるのでありましょうか。
  8. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 もう三問目に入っちゃったんですが、その前にちょっと、決めつけられたので、決めつけられると困るので申し上げておきますが、先ほど申し上げましたとおり、目的理念については、地方分権推進法、この中ではっきり書き込まれております、時間の関係上読みませんけれども。  そういう意味で、法体系の中でそういう、言うなら地方分権推進に関する基本的な目的理念という法律が現にある。その法律に基づいて具体作業をやって、その作業結果の一つ成果として、その全作業を終わった集大成ではありませんが、その途中経過ではあるんですが、その大部分はかなり入ってきた。そういう意味で、整理法に近いと言われればそれはそのとおりでございまして、だから、もう一遍ここで入れろということであるならそれは検討しなきゃならぬと思いますが、ただ、法体系として、基本的な目的理念が現に法律の中にある。その法律の決めたその手続に従って作業をやってきた成果でありますから、そういう分権推進法と今回の一括法との関係ということをぜひ念頭に置いて、トータルとして御判断をいただきたいということを申し上げるわけであります。  それから、一言で言えというのはなかなか難しいんですが、これはかねてから申し上げておりますとおり、明治以降の国つくりの中で、一刻も早く欧米諸列強に侵食されないような国つくりをしていかなければならぬ、そのために早期に日本国を近代化させてキャッチアップしていかなきゃならぬ、そういう中で必死の思いで明治維新がなされ、いろいろな制度改革を、改革というよりも革命だと思いますが、徹底した見直しをやった。その中で、廃藩置県、言うなら旧幕藩体制下におけるあらゆるシステムを徹底的に見直しをして、新たなシステムをつくり上げてきた。  今回、それはそれなりの一つ成果をもたらしてきたのは事実であるけれども、やはりこれから二十一世紀に向けた日本国つくりあり方として、国、地方を通ずる行政システムが果たしてそういうことでいいのかどうか、あるいはそのシステムを動かす人間意識そのものにおいても転換をしていかなければならないのではないか。そういう中で、官と民との関係あるいは国と地方との関係、あるいは自立といいますか、私はよく言うんですが、みずから立つという自立自己規律という自律、そういう意味で、自己責任ということをきちんと踏まえた上で国づくりもしなければいけないし、地域づくりもしなければいけないし、人間としてのビヘービアそのものも、みずからの規律ということをしっかり根に据えて行動していかなければならぬ。そういう意味で、トータルとしての関係を総合的に構築していこうというのが中央における改革テーマであり、あるいは地方における改革テーマであり、あるいは規制緩和というテーマであり、さまざまなものがパッケージになっていると認識をしています。  その中で、地方分権というのは、今日までの中央集権的な、いわば地方を国の下部機関として見ていくという上下、主従と言うと語弊があるかもしれませんが、そういう関係から、対等、協力の関係に切りかえていこうということを大目標とする考え方に立つわけでありまして、その理念地方分権推進法の中に規定をしております。その理念にのっとって作業した結果、今回のこういう一括法という形で御提案を申し上げているということでありますから、先ほどいろいろ御議論がございましたが、全部耳がそろうまで待っておけ、そのときに用意ドンでやればいいんだという発想もあるかもしれませんが、それをやっていますと、いつまでたってもずるずる延びてしまいます。そこでああでもない、こうでもないという議論を、そういうことをやってじんぜん日を過ごしていくよりか、今日のスピードを求められている時代においては、今まとまっているだけでは不十分かもしれないが、少なくともまずまとまったところからしっかりと実行に移していく、足らざるところがあるならばなおさらに追加をして、完成の域に近づけていくということが今求められているのではないか、そのように考えておるわけであります。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 一言でという質問を投げかけましたけれども、大変長い御説明をいただきまして、その中でキーワードと思われるのは、上下から対等へという言葉が一言、キャッチフレーズらしい言葉で返ってきたわけであります。これについては、私は、もちろん気持ちはわかりますけれども、ではこの分権一括法が上下関係から対等になっているかということは後ほどいろいろ申し上げますし、実は今これが一つ分権推進法から派生した第一番目の成果だ、次もある、その次もあるということでございますので、きょう、私は、地方分権について問題になっている極めて大きい問題を幾つか申し上げますので、ぜひ今後の立法に、しかも速やかな立法に配慮をお願いしたいと思います。  さて、今、上下から対等へという話になりましたけれども、私は、今後出てくる法律に関しては大変期待をいたします。しかしながら、今、トップバッターとして出てきましたこの分厚い法律についてもやはり指摘をせざるを得ません。これは、先ほど言いましたけれども、機関委任事務のいわゆる整理法でございまして、もう一つ言葉をかえて言うならば、私は、霞が関のいわば寄せ木細工のような感じがしてなりません。各省庁の手数料関係あるいは機関委任事務関係、もろもろそれに関連する事務関係がずらずらと並べられまして、これだけの厚さになったわけでありますけれども、これは国民から見たらほとんどわからないと思うんですね。機関委任事務という言葉の概念すらわからない、あるいは名前すら聞いたことがない、そんな人がほとんどなんです。分権分権法律には書いてあるけれども、機関委任事務が整理された、何のことであるか、私はこういう感じだと思うんですね。  私は、やはり、今政治が求められてきたのは、地方分権政治がやってくれる、今、国会でやってくれていると、それはやはり国民にわかる、難しい概念はあったって、一言で言えばこうだ、例えば「財源まで踏み込む真の分権」を目指した法律だとか、あるいは「自主と創意の実態分権」を目指す法律であるとか、少なくともそういうキャッチフレーズが本当は必要なんでありますけれども、実はそれまで言える中身になっていない。余り細工が細かいものですから、東照宮の左甚五郎、あれがつくっているときに、何だおまえ下手くそじゃないか、こんな粗っぽい彫刻をしてと言ったけれども、張ってみると、遠くから見た一般の庶民には、あれは猿だ、あれは魚だとわかる、そういう骨太のデザイン、骨太のシナリオというのは私はないと思うんです。  小さな寄せ木細工をこれだけ集めて、タイトルには分権推進と書いてあるわけでありますけれども、その名前に値しない法律でありますから、私は、これは法律の名前を変えたらどうかと思うんですね。機関委任事務の概念のし直しに伴う関係法律整理法及び手数料の整理に関する法律というふうに、ちゃんと名前を変えたらいいと思うんです。分権推進法という名前とこの法律の中身については、大いにそごがある。だから、財源の話あるいは補助金行政の話、いろいろな、後ほど申し上げます計画行政の話、こういうものが全部まとまったときに分権推進集大成法というのを私はつくられればいいと思うんであります。私は、この点、名前とこの法律の実態には大きな差があるということをはっきり申し上げておきたいと思います。  さて、次の質問に移りたいと思います。  今度は、地方分権の財源の問題に移らせていただきたいと思います。  今、地方自治体があるいは地方自治が直面する最大の問題は、財源そのものだと思うんですね、地方財政そのものだと私は思います。これについて、さきにもう質問があったようでありますけれども、全然触れられていない。これは、先ほどの野田大臣のお話によれば、今後出てくる代物である、こういうことだと思うんですが、それにしても、私は、一番地方自治のベースとなる、そして、今地方自治が抱える最大の問題のこの地方財政に関して何ら手当てがないということは、これまた大変なミスマッチの法律ではないかという気がいたします。  この点について、私は、いわばエンジン抜きの自動車のような感じがしてなりません。今求められているのは、日本経済がおかしい、日本の成熟化社会で高齢化という坂もある、だから地方と国をいわば前輪駆動、後輪駆動に置いて、両方の車輪でこの困難な坂を上っていこう、私は、そういうイメージの今置かれた立場だと思うのですね。だから、私は、日本の新しいパラダイムとして地方分権をやる、それが日本の社会を、あるいは今の立ち至っておる経済を何か一歩でもよくしていく、その仕組みじゃないかと、みんな地方の自治体の方は思っていると思うのですね。  ところが、この出てきた自動車というものは、地方を四輪駆動の後輪、前輪にするという話は全くございませんで、車体の色というかそういうものを変えました、後部座席をちょっと広くしましたといった程度の設計ではないか、私はかように思うのです。  私は、そこでまず、地方財政の破綻に対する御認識を、そして今後どうされようとしているのか、自治大臣にこの点、御認識をお伺いいたしたいと思います。
  10. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 たくさんのいろいろ御意見を承ったので、テーマがたくさんあったのですけれども、地方財政をどうするかということに先立って、ちょっと誤解があるといけませんので申し上げるのですが、今回のこの一括法は、先ほど来るる申し上げましたが、全部を網羅して、全部セットされたということではございません。これはもう申し上げたとおりです。  ただ、その中に、例えば地方分権推進していくためのいわば受け皿としての市町村の合併を初め、地方行政体制の整備という部分も入っておりますし、それから、国が地方に関与するときの原則というものをどうすべきかということも入っておりますので、そういう意味で、単に機関委任事務関連することだけを規定したというものでないということは、ぜひ申し上げておかなければならぬと思っています。  それから、いま一つは、地方分権推進委員会においても、第五次勧告で、その中で公共事業あるいは非公共事業あるいは長期計画の見直しの問題について勧告をいただきました。それをもとにして三月に第二次計画を作成して、その中で、必要な法改正を伴うものはまたきちんと整理した上でお願いをしなければいけないと思っておりますが、法改正を必要としないものなどについては、既に実行に移しておることもございますし、特に、来年度の予算編成過程の中で反映されていくべきもの、かなり交通整理をした上で計画を立てておるわけであります。このことはどうぞ御理解をいただきたいと思っております。  そういう中で、地方分権を本当にさらに肉づけをしていくためには、その背景となる財政的な裏づけというものをぜひ必要とするという、この認識は全く同意見でございます。ただ、財政的に、どうやってその自主性、自立性を担保するような財政的な裏づけができるかということについては、なかなかすぐに、きょうあしたという形の結論が出にくいことは御案内のとおりであります。  まず、その中で、今日の地方財政が、国と同様、本当に今塗炭の苦しみの中にあって、危機状況にあることはそのとおりでございます。平成十一年度においては、その中で、いろいろ交付税に関連しての、国から地方の法人税に関する交付税率の引き上げ等々、臨時異例ではございますが、当面の措置として対応し、結果において、個別の地方自治体が今日の財政危機を乗り越えて、できるだけ自主性、自立性を持って財政運営をやっていけるような背景をつくろうという意味で、一般財源の強化を、地方税が落ち込んだ部分を交付税によって賄っていくということによって一般財源の強化措置をとったことは御案内のとおりであります。これを永続的に続けることができるかというと、それは問題なんで、そういう意味で、地方税自身をどうやって強化していくか、独立財源というものをどうやって強化していくかということが最大のまず課題である。  ただ、その点については、かねてから申し上げておりますとおり、法人系統あるいは個人所得課税系統あるいは消費あるいは資産課税、そういったそれぞれの税体系ということも当然頭に置きながら作業しなければなりませんが、その際、一番大事なことは、税収の安定性というものはやはり必要である。地方行政サービスは、必ずしも景気変動にパラレルに行われるような性格のものではありませんで、そういう意味では、税収の安定性ということを、それを実現できるような税制を仕組んでいかなければならないし、それから、受益と負担との関係ということもやはりある程度考えていかなければならぬ。地方行政サービスはかなり基礎的な住民サービスということでありますから、そういう意味で、納税者の仕組み方ということも当然そこはあってしかるべきではないかということ。あるいは地域間の偏在、税の偏在ということもできるだけ少ないものを選んでいかなければなりません。そういったことを基本として、その上で、地域間の財政調整制度としての交付税というものも考えていかなければなりません。  さらに、先ほど来申し上げましたが、補助金等の見直しの問題。これを、どんどん個別の補助金をなくしていこう、地方自治推進していこうということであれば、ただ補助金カットというだけではございませんで、補助金、負担金は整理されていく、しかし事務だけはふえていくということでは困りますから、どうやってそれを一般財源化し、地方自治体への財源として肉づけをしていくかという作業も当然必要でございます。  長くなって恐縮でありましたが、事柄が非常に大事なテーマでありますので、恐縮でございますが、お許しをいただきたいと思います。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、いわば、この法律地方分権推進法という名前のとおりの法律であるだろう、そしてまたあってほしい。しかし、今そうはなっていない、これがまず先行したんだ、その説明はわかります。だから、今後のことのために、いわばこの分権推進法という法律分権推進という名前を入れるならば、あるべきであった措置の第一番目として財源がこれには入っていない、それなら財源を今後しっかり考えるべきだという点を言いたいことと、ほうっておけば、これはまた霞が関任せ、政治は発信をしない、どういう方向で財源をつくるべきかというのを、また私は役所任せになると思うのです。  そのときにまた、介護保険がそうだったのか財政構造改革法がそうだったのかと、いろいろ評価の分かれるところでありますけれども、私は、やはり役所は政治の発信なしに任されるから困っている面もあると思うのですね。やはりそこは、財源についてはぜひとも、これは総理大臣マターだと思うのですが、今後埋めていく、措置をしていくというお話ですから、しっかりとした私は政治の発信、そして国会におけるしっかりとした政治のチェック、こういうものがあるべきだと思います。  この財源については、今ちょっと大臣の方から反論がございました。この分権法については市町村合併も入っておるという、それは確かにそうでございます。  これはでも、私は、説を曲げないという頑固さから言うわけじゃありませんが、基本機関委任事務の整理関係だけであります。国の関与もしかりであります。紛争処理の機関設置機関委任事務の仕分けに伴うものでありまして、私は、市町村合併については、これまで三年にわたりまして地方行政委員会で強く言ってまいりました。それをこの機会に、地方自治法改正もあるからついでに入れたというのが実態でありまして、私は、あくまでこの法律機関委任事務整理法というふうにやはり言うべきだろう、かように思うわけであります。  それで、今の大臣の答弁の中で、漠とした財政危機に関する意見の開陳がございましたけれども、私は、これは容易ならざる状況だろうと思っております。  地方交付税という今お話がございました。地方の一般財源を今後ふやしていく措置も、法律を抜きにやるんだ、この法律関係なくいろいろな手だても講じつつあるんだというお話がございましたけれども、では、交付税の問題一つとっても、これは大臣のおっしゃるようなそう簡単な問題ではないと思うのですね。  つまり、ことしの予算で地方交付税は、あるべき地方交付税額のうち、ざっと二十兆のうち、八兆円が穴があいているわけです。穴があいているのです。その積もり積もった穴を埋めた特会借入金は、二十九兆円の有利子の借入金があるのです。だれが払っていくか、これはあてもない二十九兆円という、いわば国鉄の債務と全く一緒ですよ。そういうのがあるのです。  そして、恐るべきことに、私は地方行政委員をやっておりますから、全委員の皆さんに訴えるつもりもございまして申し上げますが、今までの交付税というものは、東京都あるいは神奈川県、大阪、そういった大都市圏の本社を抱えたところ、人口を抱えたところ、そういうところの法人税あるいは所得税、いわば税収豊かなそういうところの税収の三二%を、国で集めて、それを所得再分配のように貧乏な田舎に、過疎山村に、税収の上がらないところに配分するシステムがまさに地方交付税制度だったんですね。  ことしから東京都が交付金をもらうわけですよ。これは地方交付税ではないけれども、地方特例交付金といういわば交付金を東京都がもらうという状況になっているぐらい、実は今、地方財政及び地方財政を支える国側も大変なんです。この原資は何かといえば、何と孫子に対する借金ですよ。つまり、赤字国債で平成十一年度の東京都の穴埋めをやった。来年からは千二百五十億の実は赤字国債を原資とする補給金が東京都に行くという状況になっているんです。  東京都ですらこうでありますから、ほかの自治体、私の福岡県も、太田大臣と同じ福岡でありますけれども、恐らく経常収支比率はことし、福岡もとうとう一〇〇%だろうと思うんですね。もう大阪、神奈川はとっくに一〇〇%を超えております。経常収支が一〇〇%を超えたということは、わかりやすくいえば人件費の一部が払えないということでありますから、こういう状況に立ち至っておるわけでありまして、私は、地方財政の状況、歳入歳出両面での状況は、これは火の車と言ってもいいと思うんでありまして、今回もこの分権法に入れろと言っても間に合うはずがありません。しかしながら、これは絶対に措置しなきゃならぬ。措置するときに、先ほど言いましたように、まあ霞が関皆さん、ようわからぬけれども頼むよでは、私は絶対これは中央官庁は動けないと思う。やはりそこで総理方向性を出して、おれが責任を持つ、この方向でやれということを私は発信をすべきだと思うんです。  その地方財政に関する第二問に私は入りたいと思います。  私は、地方財政のうちとりわけ地方歳入について、極めて疑問というか、もう立ち行かないだろうという危機意識を持っております。これはまたこの地方分権テーマでもあると思うんですね。私は、地方歳入の基本構造を変えない限り、地方分権は到来しないと思います。  構造を若干申し上げますと、まず地方歳入の一番のものは、当然、地方税であります。これはもう三割自治と言われてきたわけでありまして、その三割自治という比率の低さがまず第一点。ところが、それだけじゃないですね、地方税についての従属構造は。地方税制も全部国が決めているんです。  そして、去年もそういうことがありましたけれども、毎年のように起こります。いわゆる経済の運営を国が行って、それが特別減税がおくれたどうのこうのといったことで景気がうまくいかないと、実は年末ぎりぎりの予算編成の間際に今までの言を翻したように例えば経済対策を打つ、そういうことで自治省に指示が来て、おい、何兆円規模の地方の補正を組めと。今まで起債はまかりならぬと言っておった自治省も一変いたしまして、今度は借金しろ、地方単独もこれだけふやせ、こういったことで、つまり経済政策のしりぬぐいというか末端を担わされておるのも地方なんですね。だから、地方一つとっても、三割自治、地方税制は国が決める、そういった従属構造があるんです。  地方交付税は今申し上げたとおりです。これは私は決して一番すばらしい一般財源とは思いません。緩やかな中央支配の仕組みじゃないかという気すら最近してきております。そして、地方の自主的な創意工夫のマインドが、地方交付税でこの借金は措置してくれるというようなことがずっと重なってきて、地方自治体は起債も借金と思わなくなってきているような、そういう精神構造になりつつある。私はこれも大問題だと思うんです。そして補助金、そして地方債、こうなるわけでありまして、すべてが実はこの歳入について問題だらけであります。  ちなみに、これは地方行政委員会でるる申し上げましたけれども、地方債のふえ方というのは異常でございまして、平成四年、七十兆円でございました。たった七年間で何と百六兆ふえまして、百七十六兆という恐るべきスピードで今地方債はふえております。私は、こういうことを見たときに、なぜこの地方分権法が財源のザという言葉すらないのかということについて、もう大変な心配を持つわけであります。  どうでしょうか、今地方財政の項目を申し上げましたけれども、地方財政のこの基本構造に、今後、地方分権の立場から、いつ、どういう形で切り込んでいこうとされておるのか。先ほど言いました政治の発信といいますか方向づけと、その部分の一端でも今御披露をいただければと思います。自治大臣、よろしくお願いします。
  12. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方財政の厳しい現状についてるる御指摘がありました。私は、その厳しさの認識においては全く同感であります。したがって、これをどうやって立て直していくかということが最大課題であります。  実際にこれを具体的にどういう形でいくか、先ほど地方税の仕組み等に関しては考え方を申し上げました。そこで、手順ということを考えますと、やはり国と地方の間の税源配分を含めたことまでいかなければなりません。その際に、やはり本委員会でも申し上げておるんですが、ノーマルな姿の税収構造ということをまず把握するということが大前提になるのではないか。  つまり、法人税収そのものにしても、今から七、八年前と今日とで大幅に今は税収がダウンしております。したがって、経済の成長率が今日の異常な姿から、何とかそれを経済再建ができてノーマルな形になっていく、せめて基本的に実質成長率が二%程度が維持できる、そういう経済回復のシナリオに入って、ノーマルな税収構造が法人系統でどういう形で入ってくるのか。あるいは消費、あるいは個人課税、いろいろな資産課税もそうでありますけれども、そういう中できちんとしたものをとらえた上で仕組んでいくということがなければ、結局、行き当たりばったりということにならざるを得ない。そういう意味で、今すぐそれをお示しするのはなかなか難しいということを申し上げておるわけであります。  しかし、そうはいっても、今の危機的な個別の地方団体の財政状況の危機を放置するわけにいかないということから、今御指摘ありましたように、交付税、言うなら緊急避難的措置に近いと思っています。当面の措置として交付税でせめて一般財源という形だけは保障しなければいけないという、本年度及び当分の間の措置、こういうことでありますが、そういう措置をとったということであります。  この点は、本当に将来を考えていきますときに、課税自主権の拡大の問題であったり、役割分担の見直し、いわゆる権限移譲ということに伴って、本当の意味で自治体が自主性、自立性というものを最大限に発揮することができるような、そのかわり自己責任ということをも伴うわけでありますけれども、そういう形にどうやって持っていくか、それの財政的な裏づけをどうやっていくか、これはゆるがせにできない残された最大課題の一つであるというふうに考えております。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 さきの質問等でも、景気が回復してというお答えがあったようでありますが、今、ノーマルという話がありましたけれども、私は、今までのやり方から見ればアブノーマルなことをやることが改革だと思うんですよね。経済がノーマルな成長過程に入るまでということであれば、私は、この矛盾というものは、いつまでもいつまでもノーマルが来ずに、いわゆる低迷が続いたまま推移していくのじゃないかと思うのですね。この数年の地方財政の構図は全部そうですよ。いや、景気がよくなれば何とかなると思ったところが、何と今言いましたように、地方債だけでも七年間で百六兆の残高がふえて百七十六兆になった。今、せめてもの救いが、例えば地方交付税で措置したのだとおっしゃるけれども、それとて、今申し上げましたように二十兆のうち八兆円穴があいて、しかも隠し借金まがいの二十九兆の累積債務がある。  私はこれは、新進党当時御一緒に総括補助金みたいな議論を大臣とさせていただきましたけれども、もうそういうふうに、ノーマルな経済成長が達成できたときに試算をするというような状況じゃないと思う。私は、今こそ、今この国会には間に合わないでしょうけれども、次期通常国会法案を出すというぐらいのことがなければ、今の状況は解決できないと思います。  我々民主党は、もちろん巨大なる立法スタッフを抱えておるわけじゃありません、霞が関を抱えておるわけじゃありませんが、財源移譲法案というものを、やはり何かの突破口を見つけようということでその法案の準備をしてきたところでございまして、私は、やはりそれぐらいのやる気でやるべき問題だろうと思います。この点はもうそのぐらいにしますが、財源が要するに本法には手当てがないというのははっきりしました。  二番目でございます。  私はかねてより、国と地方を律するもの、これは機関委任事務だけじゃない、実は、国が地方を何らかの形で動かして、そしてそれが結局、結果として地方自治を阻害しておるという話はいろいろな切り口があると思っておったわけでございますが、その一つに上意下達計画行政というカテゴリーがあると思うのですね。  例えば、わかりやすく言いますと、かつて私はこの場で、この委員会のこの場で阪神大震災の直後に質問をしたわけでありますが、例えば防災計画がございます。これは、中央防災会議というのがございまして、防災基本計画というのを国が決める。その災害対策基本法に基づいて、都道府県計画をつくりなさい、これも全部法律で体系が決まっておる。それで、中央計画、都道府県計画を受けて、地域防災計画をつくりなさいとなっているのですね。  私は、阪神大震災のときにこれを見た。神戸市の地域防災計画を全部読んでみました。それはもう恐るべき抽象的な文章なんです。極端に言えば、火事が起こったら消防車は当然出動するものとする、この程度の実は書きぶりなんです。つまりこれは災害対策基本法中央防災会議中央計画、これが指示したところの都道府県計画、そしてそれに基づいてようやく地域の防災計画をこの枠組みでつくれという、いわば中央からのずっとそういう計画がここに及んでいるわけですよ。こんな話は山ほどあるのですね、世の中。ところが、防災といえほかの行政といえ、現場の生の知恵というか、それが一番求められる分野について、そういう中央の上意下達型の計画行政がまかり通っている。そこに私は、阪神大震災のあの災禍の広がりがあったと思うのですね。  私はそういう面で、今度のこの法律に、いわば地方を縛る、そういう計画行政あり方というものを見直すプロセスがあったのか、そして今後これをどうとらえようとしておられるのか、総務庁長官、ひとつお答えをいただければと思います。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  14. 太田誠一

    太田国務大臣 古賀委員におかれましては、福岡県庁でも、あるいは建設省においても大変よいお仕事をしてこられましたので、大変重みのあるお考えからの御質問と思います。  その中で、この法律について先ほどから、名前がちょっと大き過ぎるのじゃないかという御指摘がございましたが、それは、地方分権一括法ということから人が想像するものが大変こんな大きなものであるということは確かでございまして、しかしながら、私も古賀委員ほど地方自治のことに詳しいわけじゃありませんが、たびたび私も機関委任事務制度やあるいは国の関与について、一方では地方自治の精神をうたいながら、現実の制度がそこで国と地方の分野が重なっておって、ここがのどに刺さった骨のようになっておる。ここをクリアしないと次のステップになかなか進めないというようなものではないのかというふうに思っておりましたので、それを長年の地方行政についての専門家の方々は、ここを何とかクリアしよう、地味ではあるけれども、あるいはまた素人にはよくわからないけれども、ここは自分たちがクリアしなくちゃいかぬということで、情熱を注いで、第一次の計画のときにそれを片づけようとされたのではないかというふうに思っております。それは、いわゆる政治家はロマンを求めるものでありますから、なかなか古賀委員の求めるロマンにこたえるものでは今の段階ではないわけでございますけれども、大事な第一歩をここでクリアしたのだ、第一段階をクリアしたのだ、そういうふうにお受けとめをいただきたいと思うのでございます。  そこで、上意下達型行政というのを、そこをまさに、一方で地方分権といいながら、地方事務の中に国の命令でもって動く部分があるということをどうかしようというので機関委任事務の制度や国の関与などを縮減したということは、まさにそういうふうなことで出てくるわけでございます。  それから、きょうこの二つの法案を一緒に審議をしておることについても御批判がございましたけれども、もともとは、これを進めているエンジンの役割をしております行政改革基本法というのは、去年の六月に通りました。その行政改革基本法の中で、一方では中央省庁改革をやろう、一方では地方分権に、権限を移譲するようなことをやろうということはそこに書いてあって、一つの精神から生まれた二つの法律、そのお互いがどうかということはありますけれども、もともとの考え方は同じエンジンから出てきた、推進されたことでございますので、そこは、国の事務事業を地方公共団体にできるだけゆだねるということが、これは考え方の基本としてあるわけでございます。それは、現にその部分に関する限りは、今おっしゃった財源のこととか、あるいはさまざまほかに問題はありますけれども、多分これは、そういう精神においてはそういうところをちゃんと忠実に反映しているというふうに思うのでございます。
  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 この法律本質を、長年のどに刺さっておった小骨を抜いたという話があるのです。それはよく理解できます。  では、今後、小骨を抜いた後の、本当の体力アップする次の分権があるのだというシナリオを、本当に私は発してもらいたいと思うのですね。そうじゃなければ、恐らく、この国会が終わって、地方分権推進法がついに通りました、これでよくなりますというようなことになるのじゃないかと思うのですよ、ほっておれば。(発言する者あり)いや、それは看板と中身に偽りあり、えてしてこういう格好いい名前の法律が通るとこれですべてがよくなるということで、大体失敗することが多いのですね。財政構造改革法案がまさにそうでございました。この点、私は、小骨が抜けただけだ、そういう理解で次の質問に移ります。  さて、もう一点の問題は、この機関委任事務については縦の上下関係の区分の仕分けになるわけでありますが、これはあくまで建設省なら建設省、農林省なら農林省、これはやはり結局縦割りの中での事務の、どっちが自治事務に近いかというか、こっちが法定か、そういう概念ですね。あくまで縦割りを前提にしているのです。  ところが、一番今問われているのは、これは中央もそうです、地方も特にそうです、問われているのは、縦割り行政そのものなんですね。これがまさに本質ですよ。  市町村長は住民から選ばれた大統領です。では、大統領だから自由闊達に圏内の施設をデザインし、濶達にコンセプトをつくってやっているかというと、やれないんです。結局、これはどこ省の補助金、だから総合施設というのはつくれない。そこに実は、首長ですら大統領でない。むしろ、土木部長は、知事に言う前に建設省に話をつけるのが先。縦割りの縄で縛られたのが今の地方自治体の首長の実態じゃないかと私は思うんですね。これが私は地方分権最大の問題だと思うんです。  ところが、今度の法律、縦割りのパイプの中での中央地方かというやりとりはしました。しかし、縦割りというものについては何の問題意識もないと言っても私はいいのではないかと思うんですが、この点についてはどういう論議をし、これは何を解決したのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  16. 太田誠一

    太田国務大臣 まさに今言われたことが事柄の本質であると。縦割り行政をどうするかということの問題意識からこの中央省庁等改革の話が始まっているわけでございます。  どのようにその答えを出したのかといえば、これは一つは、それこそさっきの首長さんの、つまり住民の代表として選挙で選ばれた首長さんの限界について触れられましたけれども、それは、政治主導ということを言っておるのは、そこは選挙で選ばれた、部分ではなくて全人格的に国の政策にかかわる政治家の主導ということを強調しているのは、まさにその縦割りの部分をどうするかという問題意識から来るわけであります。それは恐らく古賀委員も同じお考えだろうと思うんです。  それで、具体的にどうするのかということでございますが、これは一つは、総合調整機能を担う内閣官房そして内閣府というものをつくるということが一つの重要な、一格上のものをつくってそこがコントロールするんだ、それぞれもう手がつけられない、ばらばらのままということでなくて、上にもう一つつくって、総理大臣直結のものをつくるということが一つのやり方であって、そしてしかも、内閣総理大臣に発議権を与え、その発議権を支えるためにこういう新たな機構をつくるということでございますから、それが一つのアプローチ。  それからもう一つは、この間から大変いろいろな御批判がありますけれども、少なくとも共通の目的というか、あるいは類似の、あるいは競合する関係にある省庁を統合して、大くくり化して、より広い範囲の中から優先順位がつけられるようにするというアプローチが二番目でございます。  それから三番目に、府省の間で、府省間での政策調整をやることにするというようなこと。  その三つぐらいのことが調整を、省庁の壁を取り払って、それを越えた調整を行えるようにするということが、これが行政の中で行われる一つの仕掛けになるわけでございます。  そして、さらに言えば、今言った内閣府と各省庁の関係についてリーダーシップを発揮するのは、総理がもちろんリーダーシップを発揮するわけだけれども、官房長官もそういう枠組みの中でもっと強いリーダーシップを発揮するし、あるいは省庁間の調整であれば、省庁間の権限の行使というのは結局は大臣から来るわけでありますから、主任の大臣がお互いにもっと切磋琢磨をして、お互い相手のやっていることも批判するし、意見を言うということをお互いにやるようにするという仕組みをここでつくっているわけであります。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 今のは中央省庁再編の話でありますけれども、いわゆる地方との絡みで……(発言する者あり)いや、中央省庁をそういうふうに変えていけば地方との関係はよくなってくるという保証は何もないわけで、そこは別の仕掛けが私は要ると思うんです。
  18. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 まさに別の仕掛けが今回の法案の中で、地方自治法改正案の中で入っておるわけでありまして、国が地方自治体に対する関与のあり方についての基本原則、いわゆる関与の法定主義、あるいはこの透明化を図っていくこと、あるいはルール化を図っていくことなどをあわせて規定をいたしておるわけでございます。  やはり、日本は法治国家でありますし、いろいろな行政法律に基づいて行われていく、その法律国会で決められるわけであります。しかし、実際にその仕事を全部中央の官庁の中だけでやっていいかというと、そうではない。そういう中であっても、住民により身近な事柄は地方自治体自身の仕事としてやっていただこうという形になっておるわけであります。  そういう意味で、地方自治体が自分たちの自主性、自立性の中で仕事を処理していただく、その範囲をどんどん広げていくということが大事なんだというのが今回の中身でありまして、中央省庁の問題と同時に、国と地方のかかわり方ということについて、今回、従来もやもやしておった部分も法定主義だ、つまり法律あるいは政令に基づかなければ法定受託事務に関して関与ができないというような形に持っていったわけでもございます。この点はぜひ御理解をいただきたいと思っています。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 官房長官、何か次の御予定もあるのかもしれませんので、この分権法について、いろいろ申し上げておりますけれども、せっかくでございますから、総理にかわってお答えをいただきたい質問一つございます。  それは、もうちょっといろいろ突っ込みたいところもあったんですが、この問題を総括するならば、私は、地方分権一括法案というのは要するに、ダイナミズム、躍動感がない地方分権法じゃないかと思うんです。  毎週私は九州に帰っています。そうしたら、分権法はどうなるんですか、新聞では余り見ませんけれども中身はどうですかと。先週も地方議員二十名ぐらいを集めて勉強会をやりました。るる説明をしました。地方期待というか、これに寄せ続けてきた思いというのはやはり相当なものがあるんですね。狂犬病とか何か、こざこざとしたあんな仕事ばかり押しつけられても我々困ります、財源はどうなっているんですか、縦割りどうなんですかと、もう山ほどあるんですね。そういう面から見ると、そういった本当の意味での問題あるいは本当の悩みというものを受け入れるだけの躍動感、ダイナミズムが私はないと思うんです。  私は、この論議国会で、今国会と言わず会期末と言わず、本当は次期通常国会まで、国の形を決める重要な仕事でありますから、こういった野党の我々の意見なんかも組み入れて、それは大作業ですよ。大作業でありますけれども、私は、新たに政治の指摘というものを受けて、霞が関に、論点はこういうのが見つかった、あと三カ月、半年かけても構わぬと。要するに、法案をもう一回つくり直せぐらいの私はテーマだと思うんですよ。それは、五年、十年、二十年待たされて、二週間で国会で原案どおり、そういうのが許される法律もあると思う。しかし、これはそのプロセスにおいても内容においても政治方向づけがない、とんでもないことだと私は思うんですね。  私はそういう面で、新しく、もっとダイナミックな法律というものを再度この論議を踏まえて出していくという、私は国民から見れば当たり前の発想だと思うんですが、国会から見ればとんでもない発想であるかもしれません、そういうダイナミックな法律を思い切って出すということについて、私は、その御覚悟があるかどうか御質問を……。
  20. 野中広務

    野中国務大臣 もう私からるる申し上げるべくもございませんけれども、先ほど来お話ございましたように、今国会におきます地方分権一括法は、国と地方役割分担を明確にいたしまして、明治以来の縦割り地方自治のありようをダイナミックに変えようとする法案でありますから、私は、そういう意味において、国会において十分御審議を賜りたいと考えるわけでございますし、特に、知事会初め全国地方六団体からは、御承知のように、国会におい地方分権推進の立場から審議を尽くされ、この法案が早期に可決成立をいたしますようにということが強く各党にも要請をされておるところでございます。したがいまして、本法案をぜひ国会において御成立お願いをいたしたいというのが政府の立場でございます。
  21. 古賀一成

    古賀(一)委員 時間も迫ってまいりました。  先ほど来より厚生大臣にもお待たせをいたしておりますので、質問したいと思います。  具体の中身に入っていくわけでありますが、これについては本当にまだ、条例制定中央の関与であるとか、たくさんの視点がございますけれども、私はきょうは、個別の問題としては、厚生大臣にぜひお聞かせを願いたい問題が二つございます。  一点は、いわゆる社会保険行政を法定受託事務とするのが本筋じゃないかと思うのですが、なぜ国の直接執行という形になったのか。これは、今まで五十年以上、都道府県で支障なく事務が遂行、執行されてきたわけでありまして、今度、分権という流れの中でこれが国の直接執行となってきたことに関して、ちょっと奇異な感じを持つわけであります。もちろん、いろいろ役所の方の思惑もあったのでありましょうけれども、なぜこういう経緯になったのか。  とりわけ、昭和三十六年の国民年金制度創設に当たっては、すべて国が事務執行するという厚生省案があったのです。それを退けて、当時、昭和三十六年に市町村への機関委任事務、こう構成をした経緯があるのです。そして、今地方分権をもっと図ろうという流れの中でこの法律ができたときに、逆に国の直接執行に戻す。極めて何かわかりにくい、これだけが時代の流れというか、この法案の流れに沿っていないように思うわけでありますけれども、何ゆえに、こういうふうに逆転させる特段の理由があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この社会保険事務は、本来国の事務でございます。しかるところ、二十二年の地方自治法改正以来、それを担当する地方の職員の身分に関しまして、暫定的に国家公務員とすることでずっと参ってきております。  今は、実態は、これは国の保険事務でございまして、これを執行しているのは国家公務員である地方事務官なのですね。それは国家公務員法の適用もございますし、人件費、給与その他全部国が見ておりますし、社会保険事務所も国有財産でありますし、すべて実態的に国家公務員とほとんど変わりない。  ただ、変わっているのは何かといいますと、これは知事の指揮監督権だけが認められておる。それから組合の加入問題等が、地方事務官という制度にしてありますから、地方の労働組合の一環をなしておる。共済制度も地方共済に入っているというだけでございまして、任免その他はすべて国家公務員。しかも、国家公務員として採用された職員が配置されてこれを実行しているわけでございまして、実態は、国の保険事務である社会保険事務が国家公務員で行われておると言っても言い過ぎではないような関係に立っておるわけですね。また、その人員も一万六千五百人ぐらいおりますが、これは総定員法にこそ入っておりませんが、すべて国家公務員としてカウントされているものでございます。  我々としては、そういった意味と、それから実態がそういう実態であるということでございますので、国と地方との配分、そこをはっきりした方がいい。それから、国の保険事務でございますから、国が一体的に責任を持ってやることが必要であるという観点に立ちまして、今回のこの地方分権におきまして改正をきちっとした方がいいという立場で、実態に合わせてやっただけでございまして、何も、地方の公務員を国家公務員に吸い上げるとか国家公務員の増員を図るとか、そういった代物でないということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  23. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、今それは、国と都道府県との関係の仕分けの仕方あるいは当該職員の身分のあり方ということであろうと思うのですが、ただ、全国一万二千人いる市町村の国民年金担当者、あるいは何か二千人専任徴収員もおられる。こういった方との連携というか、今度は国家公務員だ、厚生事務官だと、国の機関としてはっきり仕分けをする、そういった実際の業務遂行あるいは市民との感じといいますかね、そういった本当の意味での事務遂行、国民を頭に置いた、あるいは住民を頭に置いた事務執行という面からの検証は十分されたのでありましょうか。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど申しましたような実態でございますから、まず府県におきます保険課とか年金課、これは地方事務官でやっておりまして、ほとんど国の事務をやっておるわけですから、これは地方社会保険事務局に統合いたしますから、そこで一元的にやる。それから組織としては、社会保険事務所で扱っているのは厚生年金と船員保険、それから政管健保でございますけれども、この企業との関係における実態は全然変わりございません。そのまま引き継がれてくるわけです。今も実質国家公務員たる地方事務官がやっておりますから、それは引き継がれますから、変わりありません。  それから、国民年金につきましては、これは全国三千三百ありますから、今も機関委任事務として、その移動その他を把握することが必要でございますね。そのために機関委任事務にしておりますが、これだけは法定受託事務といたしまして、市町村にお願いする。ただ、余り事務が市町村に過重になってはいけませんので、納付の方法等は、今までは印紙納付でやりましたが、今度はもう現金納付で、どこの金融機関でも、郵便局でもどこでもできるようにいたしまして簡素化をするというようなことでございまして、むしろ実態は、簡素化して住民の利便に資するものであるというようにも思いますので、住民との関係でいえば、ほとんど阻害されることはないというように存じておりますから、そのように申し上げております。
  25. 古賀一成

    古賀(一)委員 時間も迫っておりますが、松崎議員のお許しを得て、ちょっともう一点、厚生大臣にお聞きをしたいと思います。  廃棄物の問題です。地方自治体のもう長年にわたる最大の悩みは廃棄物だったと思うのです。実は、私のおやじも市長を二十年やっておりまして、もう昭和三十年代から、うちの焼却場のあの煙突がもつだろうか、しかし、それをとめるわけにいかない、事故が起こりはせぬか、そういう悩みがもう山ほどありまして、私の地元でも、大分前の台風で風倒木が生まれた。もう山が荒れました。産業廃棄物の人たちが山ほど来まして、おじいさん、あんた、この風倒木を切って苗を植えても五十年後、商売にならぬよ、これを売れと言って、大分売ったのです。そこに、何と産廃を山ほど投棄をしておる、水源が汚れる、こういうことで、私は、廃棄物問題というのは大変な問題だと思うのです。  それで、一般廃棄物よりも産業廃棄物がもっと大変だと思うのですね、量も多いし。その前は、これは、どちらかというと国が関与してこなかったのですね。これが私はもう大変問題じゃないかと思って、かねてより、厚生省に特定財源までつくってでも国が関与すべきじゃないか、こう思っておったのですが、今般のこの改正によりまして、都道府県知事が行う一般廃棄物処理施設の設置許可を自治事務化、これは自治体でやりなさい、都道府県が行う産業廃棄物処理計画の作成事務も自治体がやりなさい、自治事務化。しかし、この二つについて、ともに厚生大臣の指示、変更請求は認める、こういう構成になっております。そして産業廃棄物処理業の許可は法定受託事務、こういう構成になっておるのですね。  私は、ドイツの例も詳しくは知りませんが、聞くところによると、あれだけ州が強いドイツ連邦においてさえ、いわゆる廃棄物の最終処理の一番困難な仕事は、連邦政府が岩盤に穴掘ってでも直営でやっているという話も聞きます。私の九州ブロックでも、そういう最終の処理の段階をブロックのどこかで引き受けてほしいという議論もあるのですね。  そういう面から見ると、意地悪な言い方をすれば、非常にやばい困難な廃棄物の関係については、国が何か逃げたような感じもする。これについては、むしろ国がもっと自治体を助ける関与というものがあってよかったのじゃないかと思うのですが、これに対して、私は、そういう視点での厚生省の御意見といいますか、どういう問題意識であるのかを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  26. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘は、二つの点に分かれると思います。  地方分権法でどのような処理がなされているか、この点は、今委員が御指摘のように、これは産業廃棄物及び清掃に関する法律というのがございまして、これは大変重要な法律です。特に、産業社会、大量生産、大量消費、大量廃棄の時代ですから。  ただし、一般廃棄物と産業廃棄物とはその扱いを若干異にしておりまして、一般廃棄物は、御案内のように、市町村等の固有事務としてずっとやっておりまして、ただ、処理施設の許可とか改善命令の指揮監督については国の関与をある程度認めて、国全体としてのそういう処理の責任を果たそうという建前になっております。ほとんど原則は固有事務です。  産廃につきましては、今回、処理計画の策定というのは都道府県知事が今まで機関委任事務でやっておりましたが、一応は自治事務に戻しましたが、しかしながら、設置とか緊急時の場合に、やはり廃棄物の処理及び清掃に関する法律による規制が必要でございますから、これは国の関与を認めてございますが、あとは自治事務といたしております。  それから、個別の特定の業者とか施設についての事務が極めて重要なんですね。設備基準に合致しているかどうか、あるいは立地が住民の意向に沿っているかどうかというような点等々ございますが、これはすべて、機関委任事務でございましたが、法定委託事務にいたしておる、こういう整理でございますから、特段、今回、地方にだけ押しつけたということではございません。  そして、第二に申された点は、産業廃棄物処理の行政が実態的にどうかという点でございますが、これは昨年の十月に、私ども、生活環境審議会の方に諮問いたしまして、確かに委員の御指摘のように、産廃について国がどう関与していくかということは大きな課題でございますし、地域住民の反対があってなかなかできない、しかし廃棄だけはされてくるという状況では、これは国としても、地方自治体としても責任を負えませんから、この審議お願いしておりますから、実体法としての改正の問題は、私ども、今後も引き続き精力的にやってまいりたい。区分けとしては、さっき前半に申し上げたとおりにしてある、こういうことでございます。
  27. 古賀一成

    古賀(一)委員 これで終わります。
  28. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、松崎公昭君の質疑に入ります。
  29. 松崎公昭

    松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。  官房長官がお時間がないということなものですから、先に繰り上げて御質問をさせていただきます。  介護保険の件でございますが、本来小渕総理にお聞きしたかったわけでありますけれども、最近、随分いろいろな御意見が出ております。官房長官も、見直し発言を五月二十七日にされております。そしてまた、自治大臣は先送りを主張される。あるいは、盟友であります自由党の小沢党首も、延期ではなくて全面的に見直すべきだ。  これらは、制度そのものの難しさあるいは複雑さ、そういうことがあります。背景にはもちろん膨大な高齢化という波があるわけでありますから、これは政治の側だけの責任じゃないかもしれません。しかし、これだけ決まった制度、そしてまた待っている方々もいる、民間の業者も既にスタンバイしている、十月からは実際に一部始まるわけであります。そういう中で見直し発言等がございます。あるいは、選挙の問題もあって延ばすべきだという、極めて政治的な背景もあるわけであります。  この辺、どのように基本的に考えていらっしゃるか、ひとつお答えをお願いしたいと思います。
  30. 野中広務

    野中国務大臣 介護保険につきましては、介護をめぐる問題が、より高齢化社会を前にいたしまして深刻な問題でございますので、制度に寄せられる国民期待も大きいわけでございまして、それだけにまた、さまざまな不安を抱えておるのが実態でございます。  現在、それぞれ地方公共団体におかれましては、準備作業を進めていただいておるところでございまして、二〇〇〇年四月からの実施を法律で決定しておるわけでございますので、これを目指してせっかくの御努力を賜っておるわけでございます。  ただ、自治体の準備状況を現実に見てみますときに、それぞれの自治体の中における施設介護のあり方、在宅看護のあり方、こういう問題から保険料へと多くの問題点を残しておるわけでございます。その問題点をどのようにして、これから来年四月に実施するまでに調整をやり、自治体が十分できるような体制を整えていくかというのが私どもに課せられた大きな責任であろうと思うわけでございまして、制度の円滑な施行方向に向けてせっかく努力を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 松崎公昭

    松崎委員 そうしますと、やるというふうに私は受けとめておりますが、自治大臣は二十八日に先送りを主張されておりますが、この辺、見解の違いはどのように御説明されますか。
  32. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私は、先送りを主張したことは一度もないのです。公的介護サービスということは極めて大事だ、ですから、これは来年四月からちゃんとしていかなきゃならぬでしょうということは申し上げているんです。  ただ、それを裏づける財源調達のあり方について、今官房長官答弁の中でもお触れになりましたが、かなり自治体間におけるいろいろなばらつきがあったりという形で、本当にできるんでしょうか、どうでしょうかということへの心配をいたしておる。したがって、認定作業等々、公的介護サービスを行っていく上で必要な作業はしっかりやってもらわなければいけないでしょうということは申し上げてきたわけで、そこのところが報道の中で、何かすごく極端な、マルかバツかみたいな、そういう形での比喩で論じられているのかもしれません。そこは、誤解があるとすれば、ぜひ、そうではないということを申し上げておきたいと思うのです。  ただ、自治体の中で混乱が起きないように、特に財源調達のあり方について、今まで自由党の方からいろいろ申し上げてきた経緯があるということを踏まえて、混乱の生じないようなことをぜひやっていかなきゃいかぬということで申し上げているわけです。
  33. 松崎公昭

    松崎委員 ぜひその辺は、確かに期待と同時に不安があるかもしれませんが、これだけの大きな制度でありますので、七月の公明党さんの大会を待つ、あるいは公明党さんも見直し論がいろいろあるそうでありますけれども、しっかりとここは実施をしていただきたいということを私からも強く主張しておく次第であります。  さて、官房長官の御都合に合わせる質問というのもなんなんですけれども、後ほど、私の関係であります分権関係の中で総理に御質問をしたかった問題があります。  第五次の分権推進委員会勧告で、直轄事業の見直しとか統合補助金、こういったものが既に語られているわけでありますが、これは今回の分権推進計画には入っていなかったわけであります。これは橋本総理が、財源移譲あるいは権限移譲に対して少ない、そういうことで、大変な情熱を傾けて第五次勧告をされた。しかし、時間的に今回の推進計画には間に合わなかった。ですから、これを早くやることも重要だろうと私は思いますが、この法案はどの辺でお出しになろうとしていらっしゃるのか。既に閣議決定も済んでいるわけでありますので、その辺をお聞きをさせていただきたいと思います。
  34. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 第五次勧告に基づいて、三月、第二次の地方分権推進計画として決定をしたわけでございます。  その中で、どのように具体的にそれを実施に移していくかということで、一部既に措置したところもございます。そして、平成十二年度の予算編成の中で措置をしていくということもございます。それから、法律をもって措置をしていかなければならないものもございます。そういった意味で、順次これを実施に移していこうということにいたしておるわけであります。
  35. 松崎公昭

    松崎委員 それでは、どうぞ官房長官、結構でございます。この質問をしようと思って待っていただきました。それでは、本論に私も戻しますので。  今回の分権推進法を含めまして、分権そのものがようやく入り口に立った、これは大方の学者さんあるいは分権推進委員会の方々の感想も含めまして、まず定着した考え方だろうと思っております。ただ、私は、戦後あるいは明治以来の日本の統治権あるいは統治の仕方、そういう中で本当に地方分権というのはどこにあったんだろうか、そういうことを常々疑問に思っておりました。  そこで、憲法に書かれております九十二条の、これはいつも私は、私も地方議会が長かったんでありますが、いつまでたってもわからない。「地方自治の本旨に基いて、」のその「本旨」というのは何なんだろうかと。自治大臣、よろしくお願いいたします。
  36. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 なかなか「本旨」の定義というのは難しいとは思うんですが、要は、早く言えば、自分のことは自分でというのが一番基本だと思います。  これは、人間として、個人として当然のことだと思いますし、地域のことは地域がみずからの責任において決定しなさい。つまり、それが民主主義の原点でもあり、そういう意味では、民主主義の原点は地方自治であると言われるゆえんのものもそこにある。そういう意味で、自律性、自主性、自己責任、つまり、みずからの運命についてみずからが責任を負うという、このことが一番の原点、これが自治ということの本質ではないか、そのように考えております。  ただ、御指摘のとおり、日本国憲法において、第八章「地方自治」第九十二条の中で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」ということになっておりまして、これは少なくとも、国会が国権の最高機関であるというこの位置づけ、そういう中で国法のもとに地方自治の具体的な展開が行われるという論理構成になっておるものだと承知をいたしております。
  37. 松崎公昭

    松崎委員 もちろん、憲法のこの九十二条の規定によって地方自治法があるわけでありますが、実態的に、いわゆる欧米で行われております自治、あるいはいわゆる頭の中で考える地方自治というものが、現実の、私は地方にも長くおりましたので、本当にあったかどうか。今問題になっております機関委任事務、こういったものでしっかりと中央の統制の中に、あるいはむしろ庇護の中にあった。  そういう意味で、この九十二条の、地方自治の本旨に基づいて法律では定めたかもしれませんけれども、実態的に地方自治が本当にあったかどうか、これを私はもう一回確認しておきたいということで、自治大臣お願いいたします。
  38. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 法律論でなくて実態的にどうかということなのでなかなか難しいんですが、あったと言えばあったと言えるし、なかったと言えばなかったと言えるような議論なのかもしれません。  ただ、明治以降、日本が近代化をいかに効率的に早く達成するかという中で、廃藩置県から始まって、少なくとも、中央集権的な枠組みをつくって、それがそれなりの成功をおさめてきたということも事実でございます。戦後、新しい憲法が制定をされ、その中で、今御指摘もありました地方自治に関する憲法の条項、それに基づいて地方自治をいかに推進すべきかという努力が積み重ねられてきたということもまた事実であります。そういう中で、着実に前進はしてきたものだと理解をいたしております。  ただ、それが十分なものであったのか、不十分なものであったのかということで見れば、私は、まだまだ不十分であったということが大方の基本認識ではなかろうかと思います。  そういった背景の中で、平成五年に衆参両院におい地方分権推進に関する国会決議がなされ、それを契機にして、地方分権推進法、そして一連の作業の結果、今日に至っておるわけであります。そういう点で、さらに地方自治が充実をしていきますように、今回の地方分権に関するこの法案をぜひ早期に成立をさせていただくということが、さらなる前進に向けて動き出す大きな、大事な転機になると考えております。
  39. 松崎公昭

    松崎委員 もちろん、現在の地方自治体にはかなりの内容で自治が行われているということは私も認めますが、今回問題になっております国と地方関係、そして、特に、毎回問題になっております一番根本の財源問題に光を当てますと、まず地方自治というものがほとんど実態的にはないんではないか。そんな立場に立ったものですから、こういうことをお話しして、そして、私も大変勉強不足なものですから、最近いろいろな本を読んでおりました中に、こんなことがございました。  東大出の警察官僚であります、中曽根内閣の広報室長だった金子仁洋先生が、いわゆる超然主義ということで、明治以来の統治のあり方日本あり方というものを分析されている。これを読みまして、なるほど、中央官僚と、いわゆる中央集権対地方という戦い、あるいは大きく言う政治と官の戦い、こういったことが、明治以来、あるいはもっとさかのぼりますと律令時代からあるということで、いわゆる超然主義というのは、明治以来、天皇の臣下として、国民のためにやるんだけれども天皇のもとに政治をやるんだと。  これは、途中からいわゆる民権政治ができてきて、民間からの政の力に対して、官がしっかりと国民のために、議会、政治から超然として、我々は天皇のためと同時に国民のために仕事をしているんだという、極めて高い倫理かもしれませんけれども、そういう官僚主義というものが明治の時代からできてきた、その戦いがずっと実は戦後も続いていると。  野田さんも宮澤元総理も官僚出身でもございますけれども、戦後は特に政治の世界に官僚の皆さんがしっかり入り込んで、そして官主導の国家体制を維持している。ですから、この超然主義というのは明治以来今日まで続いているんだということで、この金子仁洋先生みずからが、官僚の中にいて、広報室長もされた方が、いろいろな意味を込めて分析をされておる。  これを見まして、なるほど、今の日本あるいは政府あり方も、やはりしっかりと官僚の皆さんが力をあちらこちらに配置されて、そして官主導型のそういう統治が続いている、そんなように私は感じました。  これが、今回の分権推進法あるいは省庁再編にも象徴されるわけでありますけれども、官僚の皆さんが抵抗をした。第五次勧告では特にそれがはっきりあらわれました。相当な勢いで推進委員会は頑張りましたけれども、最後はどんどん押しまくられてしまった。結局、機関委任事務にいたしましても、二〇%ぐらいにしようかという最初の推進委員会の思惑が四五%まで押し切られてしまった。これはすべて、ある意味ではこの超然主義に基づく官僚国家日本、これが背景に脈々とある。皆さん感じていないかもしれませんけれども、やはりこれはあるんだというのがこの金子理論でございまして、私は、大変これはいろいろな意味で分析しやすいなということを感じました。  こういう考え方、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  40. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃいますように、中央集権的な国家の官僚の力が非常に強いということは事実でございましょうし、したがって、地方自治というものがその中でなかなか思うように育ってこない。しかし、それについて、今度の地方分権計画のように、何とかそこを打破しなきゃならないという動きが今激しく起こっていて、先ほど統合補助金のお話がございましたけれども、これなんかも第五次の計画で初めて具体的に展開しようとしておるので、これはぜひ私どももやっていかなければならないと思っております。
  41. 松崎公昭

    松崎委員 ですから、私は、今回のこの分権のまさに入り口、扉をあけたということを否定はしておりません。評価はもちろんしております。しかし、背景に、今言ったような、膨大な、目に見えない、しっかりとした中央集権体制、明治以来のものが超然主義で脈々と流れているんだというところで初めて、なるほど、はっきり言いまして、この法案一つ一つ見ていきますと、ちょこっと入り口だけ、入り口だけと言うとちょっと失礼かもしれませんけれども、ある程度いじっている、しかし、本当のところまでは、特に財源問題ではとうとういかれなかったということがございます。  それから、先ほど言った機関委任事務にしても、あれを一つ一つ見ていきますと、何でこれが法定受託事務なんだというのはいっぱいありますよ、細かく言いませんけれども。一本一本見ていきますと、何でこれが法定受託事務にしなきゃならないのかというのがあるんですよ。だから、推進委員会の方々はきっと、二割は大丈夫だろうと最初の出発のときは思われたと思うのですよ。ところが、官僚の皆さんのいろいろな、まだ自治体はそこまで力がないんじゃないか、あるいはこうだ、そういうことでここまで後退したというのが基本であります。  入り口はよろしいと思いますけれども、これからよほどその辺をしっかり——いい意味で今日まで支えてきた、明治以来の、東大の法学部を中心とした方々の日本の統治機構、これは認めます。認めますけれども、これからの、分権型、あるいは中央にすべてを集めるんじゃない、いわゆる健全な民主主義国家をつくるためには、そこで思い切って、やはりその辺を認識された上で頑張るべきだろう、そんなふうに思っております。  そこで、行革を担当される大臣といたしまして、小さい政府に向けた形をとっております、あえてそう言います、総務庁長官の、地方分権推進に対する担当大臣としての基本的な認識を一度伺わせていただきたい。
  42. 太田誠一

    太田国務大臣 今の私の、中央省庁等改革の担当、いわゆる行革担当大臣としてのかかわりは何かといえば、私は中央省庁改革を担当しているわけでございます。そして、当然、地方分権については、今この法案に関して特にそうでありますけれども、自治大臣が所管をしておるということなんです。  では、この二つがどういう関係になるかというと、当然、中央省庁についての改革というのは、再三御議論がありますように、地方分権をすることが行革の一つの柱だということになっておりますから、そこは頭の中にあるわけですね。だから、こちらが改革すれば当然それは地方に及ぶ、あるいは、地方分権を進める立場からすれば、それを求めれば中央省庁改革しなくちゃいかぬということで、両方とも、どちらかが引っ込めばどちらかが出るというような形ではなくて、連動する関係にあるわけでございます。  その中で、どういう気持ちでおるのかといえば、極力地方公共団体の自主性、自立性を高めたい、そして地域のことは地域でということにいたしたいというその気持ちは、大変強く持っております。  そこで、では今まで何をしていたのかということでございますが、先ほど御指摘のありました地方分権推進委員会について時々私が時ならぬときに答弁に出てきますのは、その当時のことを知っておるのは、実は私が一番よく知っておるという立場でありますので出てくるわけでございます。  地方分権推進委員会のお世話をする、お世話をするというか、審議がちゃんと行われるようにするというのは、事務方は内政審議室がいたします。しかし、所管は大蔵省と自治省と総務庁がやっておりますので、その中で私が主としてそういう役目になっておりましたので、地方分権推進委員会がうまくいって、きちんとした答申が出るように、あるいは勧告が出るようにということに努力をしてまいりました立場であります。  その立場から言うと、今先生がおっしゃったようなことではなくて、いわゆる圧力があって後退したとか。それは、だって、一人の人が言い出したことが全部そのとおりになるならば、それは独裁国家であります。必ず、さまざまな角度からいろいろな意見が出てきて、その中で合意されたものが結論になるわけでございますから、途中の経過でどなたかが強く主張されたはっきりした主張というのが、最後にそういうふうに、言われたことの半分とか三分の二ぐらいになるのは当たり前のことであって、一人の人の言うとおりに全部なってしまうのだったらば、これは民主主義の国とは言えないわけでございます。  私は、そういうふうな観点からいえば、今度の五次勧告あるいは今度の第二次の地方分権推進計画の内容というのは、十分に踏み込んだものだ、ドアをあけただけではなくて、中に入っておる、一歩か二歩か入っておるというふうに思います。それは不十分だということは、おっしゃることはわかるけれども、世の中は、改革というのは一気に一番奥まで行けるものではない。まず二歩、三歩踏み込んで、そこから次のステップがあって、二段階、三段階、四段階、五段階でできるものだと思いますので、どうかそこは、現実のプロセスというのは御理解をいただきたいと思うのであります。
  43. 松崎公昭

    松崎委員 もちろん、分権そのものはそうかもしれません。  しかし、中央省庁基本法の四条の三には「地方分権推進し、」という基本的な考えを書いてありますので、これはやはり総務庁長官も、専門の自治大臣とかそちらだけに任せるのではなくて、これは裏表の関係です、この中央省庁分権は全く裏表の関係で進めるべきだろうと私は思っております。ですから、そういう意味では十分責任を担うお立場だろうと思っております。  同時に、改革の問題でありますけれども、私も、野田大臣と同じ、かつて新進党にいました。日本の今の現状は思い切った改革をしなきゃだめだということで、私が国会へ来るはるか前に、国会の中でえらい騒ぎをして改革論議をされたのですよね。ですから、選挙制度から何から全部変えてきた。  そういう中で、私は今、残念ながら総務庁長官の、それはバックに超然主義がおりますからわかりますよ。しかし、その進め方は、今そんな状態で日本がよろしいのでしょうかというのを特に野田さんにお聞きしたいですね。思い切った改革をしようということでこれだけ日本国じゅうやってきて、こんな形の改革では欧米に笑われますよ。アメリカにしてもイギリスにしてもEUにしたって、欧米が思い切ったあれだけの改革をやっているのですから。これは、そういう意味で入り口だと言っているわけですね。  そこで、野田大臣。総務庁長官がそういうお話でございましたが、こういう改革のスピードで本当によろしいと思っていらっしゃいますか、自由党の野田さんとして。
  44. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに、見ていてテンポがのろいような歯がゆい思いをお感じなのかもしれませんが、意外と今回の法案は非常に大きな意味がある。ちょうどレールのポイントの切りかえみたいなところがありまして、そのポイントが切りかえになりますと、どんどん進行していけば、これはどんどんそっちに行くのですね。非常に地味なようだけれども、基本原則を、戦後に地方自治法制定されてから、これだけの大改正は初めてだと思います。  それから、位置づけそのものが、特に機関委任事務というのは、地方公共団体を国の下部機関として位置づけて、それに包括的な指揮監督権というものを付与する。一方で、国の方の各省設置法も、権限規定を置いて、言うなら、両者相まって、包括的に地方公共団体をみずからの手足として位置づけて、いろいろな指令を、法律に基づかないで、政令に基づかないで、いろいろ通達で動かすことが現に行われてきた。  これを、基本的にそういったことをやめる、いわば上下関係から横の関係に持っていくんです、関与する場合にも法定主義というものでいきましょう、法律に、あるいはその委任を受けた政令に基づかないものはだめですよと。そして、いろいろ事柄がある場合には、いわゆる国と地方の間の係争処理機関というものをつくる。かなりルールをはっきりさせてきたというのは画期的な大きな前進である。  ただ、これによって百点満点全部完成しますかと言われたら、まだまだ不十分なところはございますということはるる申し上げておるところであります。財政的な裏づけの問題もそうでしょうし、あるいは中身においてもまだまだ見直さなければならぬ。  そういう点で、特に補助金あるいは補助負担金等の世界においては、第五次勧告で一応のことはなされ、本年三月の第二次分権計画で閣議決定を行っておりますものの、それでもこれで完結したということではなくて、それに基づいて法律改正をも必要とする部分があるわけですから、そういったことをさらに精力的に進めていかなきゃならぬ。できることならば、予定しておりますことを前倒ししてでも実行するぐらいのはまりを持って、これからも地方分権推進のために臨んでいかなければならぬという思いでおります。
  45. 松崎公昭

    松崎委員 自治大臣というお立場では、その辺が限度だろうと思います。自由党の野田さんとしては、もし違うお立場でお答えになりましたら、もっと強い改革をというふうに私は期待をしております。ポイント切りかえということは、確かに思ったよりも大きな効果を生むのではないか、そういう期待は私も持ち続けたい、そのようには思っております。  それでは、総務庁長官、せっかくでございますので、先ほどからお話しになっておりますが、総務庁長官が管轄の行政改革推進本部の規制改革委員会でしょうか、ここで何年かやっておられますが、しからば権限移譲、いわゆる三ゲンのうちの権限ですね、これは分権推進計画とは若干立場は違うわけでありますが、本当にこれが進んでおりますか。  実績上、一万台のキープはずっと続いているんですよね。ですから、改革を進める、これも長官のお話では徐々にということになればいたし方ないかもしれませんが、この分権推進全体の中でも権限の移譲という問題が非常に重要な位置になっております。残念ながら、今回の分権推進法の中では、国から地方へはたったの十項目、九法律しかできておりません。これは、本当の意味分権を進めるという意味では、財源の問題と同じように、権限の移譲というのをもっとしっかりやらなければいけないはずでありますけれども、残念ながらこんなに少なくなった。  その背景に、もう一方で規制改革委員会をやっております。これが総務庁長官の管轄でありますが、これは今までと同じように、もちろんいろいろ上がったり下がったりしていますが、一万件は下っていないんですけれども、この規制、公から民の方でありますが、権限移譲が実際進んでいると思われますか。
  46. 太田誠一

    太田国務大臣 地方分権の方は今御審議をいただいていることでありますし、また、権限移譲という言葉は正確ではないかもしれませんけれども、いわゆる権限を移譲するということについては、第二次の地方分権推進計画、私はこれは順番がいつも混乱していると思うんですけれども、推進計画そのものは、まず分権推進計画が去年の五月に出て、今度三月でしたか、第二次の分権推進計画が出て、これワンセットで今我々がここまで来ましたということを言えるわけであります。そして、法律は、昨年の五月の分までのことが法律になっているわけであります。  そこで、第一次と第二次の二つの分権推進計画で、ある程度、これはさっき言った、十歩行かなくちゃいけないところで二歩しか行っていないというふうなことはあるかもしれません、あるかもしれぬけれども、二歩は踏み込んだんだということを先ほどから強調しておるわけでございます。それが地方分権についてであります。  規制緩和については、これは数次にわたりまして、規制緩和委員会は何百項目という、ちょっと枚挙にいとまのないような、こんな分厚いものを私も二回ぐらい受け取っておりますので、そして、それは各省庁と各項目について協議をして前に進めるということで、相当、項目の数としては進んできております。そして、その何百項目を何回も規制緩和をしたということになりますので、本当は項目の数からいえば減っていかなくちゃいけないわけでありますけれども、減っていない。  この間もここで御指摘をいただきましたけれども、減っていないのはなぜかというと、それは、認可や許可、免許が届け出に変わったというふうなことも、届け出も件数に数えられるので、免許から届け出に変わったという規制緩和が行われても数は減らないとか、あるいは、段階としては規制は緩和されたんだけれども、項目として数がふえるというふうなことがあるわけでございます。  その部分が相当あるので全体としての数は減っていないけれども、明らかに規制緩和は一年ごとにだんだん減っていくという姿になっております。いろいろな、いわゆるPRというか、外に出す出し方がちょっと悪いんだけれども、現実は進んでいるというふうに考えております。  さらに、規制緩和委員会の活動であれば、非常に狭い意味での規制緩和のことしか扱えない、議論できないということについて、委員会の皆様方が大変御不満をお持ちであって、それを、税制とか補助金とかそういうことまで、もっと周辺の問題に踏み込めるようにしなければ真の緩和はできないということでございましたので、総理がイニシアチブをとって、規制緩和委員会から規制改革委員会へと名前を変えて、新たにもう一格上の強力な存在として今活動を始めていただいているところであります。  そういうふうな改革の努力というのは続けているわけでございます。
  47. 松崎公昭

    松崎委員 まさに、日本改革の中で、分権と同時に規制緩和というのは一つのテーゼになっているわけでありまして、そういう意味で、分権推進計画に盛られた国と地方との関係の中の権限移譲だけではなくて、独自に改革推進本部がやられているわけでありますから、今の御説明ではなかなか納得できないのでありますが、努力をされているということでは了解をいたしました。  さて、分権推進計画がやはりどうしても機関委任事務を中心にやられたという、もちろんその中にも権限移譲というのがいろいろな意味で入っているわけでありますけれども、具体的に数で権限移譲、公から公という形では三十五の法律で、県から政令、中核、特例、すべての市、本当にわずかなんですが、これは権限移譲という言葉を冠して物を見ますと非常に少ないように感じますが、自治大臣、いかがでしょうか。
  48. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 少ないと言われれば何とも言いようがないんですけれども、率直に言って、この中で、昨年の地方分権推進計画においては具体的には記述はされていなかったけれども、今回、積極的な推進という観点から法案に盛り込まれておるという部分も実はございます。それから、今太田長官からも御答弁がありましたが、完全に権限移譲という形ではないにしても、規制の緩和という形の中でかなり、いわゆるレベルダウンというか、そういう形が行われておるものも多くございます。さらにまた、必置規制の見直しということ、こういったことも含めて考えていただければありがたい。  ではこれで満足しておるかと言われれば、まだまだ引き続いて見直さなきゃならぬ、これは当然のことだと思っております。
  49. 松崎公昭

    松崎委員 さて、個別の問題にちょっと入りますが、特に財源問題を私ども一生懸命やっておるわけでありますけれども、今回の分権推進法の中で、地方債の許可制度、これは、本来は許可を協議制にしたという勧告にはなっていたわけでありますけれども、いわゆる財革法があるので平成十七年まで維持するんだ、こういうことになっております。しかし、本体の財革法は停止をされているわけでありますね。なぜ今回の法の中で、地方債の許可制度を協議制へ勧告どおりできなかったか、この辺をお答えいただきたいと思います。
  50. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに勧告では、協議制度への移行時期について財政構造改革法との関連で述べられておりました。しかし、この財革法が凍結ということになったその背景は、極めて厳しい経済情勢にあるということがもともとあって、その上で財革法に対する取り扱いが決まったわけでございます。つまり、それだけ厳しい経済状況ということは、当然のことながら、それを反映して国の財政も地方の財政も極めて危機的な状況になっているということも現実であります。  つまり、そういうような状況下において、原則自由発行となる協議制に直ちに移行しようということであれば、実際に、地方債の引き受け、消化ということに関する市場の対応、その消化ということを考えました場合に、自治体自身、これはなかなか容易ではない、そういったこともあって、許可ということは、単に事柄として許可するかしないかということだけではなくて、少なくとも、その地方債の引き受けを通ずる消化ということも十分頭に置いた上でこの制度の運用をしていかなければならないわけでありますから、そういったことから、十七年、いわゆる財革法の予定しておりました期間ということをそのまま踏襲することにしたわけでございます。  ただ、この制度の趣旨を考えますと、そこに至る前においても、実際、自治体においては、状況によっては事実上協議制に移行したと似たような取り扱いを行うようなケースもあるのではないかということも念頭に置いて、できるだけそういった画一的な取り扱いではなくて、事実上そういう協議制への前倒し的な取り扱いができないかどうか、検討をいたしておるところでございます。
  51. 松崎公昭

    松崎委員 つまり、財源問題が、すべて大きな今回の分権推進法の欠落の部分と同時に、一番ポイントであったなということを感じるから今の御質問をしたわけであります。  財源問題に関しましては、例えば特例市を設ける、しかし、ここは二十二が不交付団体であります。この不交付団体というのは、今までの制度の中では、今回少し手当てをするそうでありますけれども、努力をしている割にはさっぱりよくないということで、特例市に対しましても今回いろいろ権限を与えるということになりますが、果たしてどこまで手を挙げるのか、これも財源問題でございます。  それから、統合補助金にいたしましても、まだまだ、これから法案化されるということで、大事な部分がほとんど抜けている、これが今回の実態でございます。  そして、その原因というのは、もう何度も言いませんが、超然主義じゃありませんが、やはり官僚の皆さんの力で、これはもう自治日報で、去年十月、十一月、しっかり書いていますね。建設省が全国の自治体に圧力をかけた実態、それから補助金をカットするよということで、特に第五次勧告に関しまして地方の意見を聞いたり、あるいは、推進委員会が第五次勧告に向けて公共事業に手をつけた、そうしましたら、中央官僚が全国の自治体に圧力をかけた、そういう事実が自治日報にも書かれております。あるいは、自民党の建設部会など四部会が反対表明をしまして、そして最終的に終わったところで西尾座長まで、やってられないよということでやめたというのが実態ということはもう定着をしております。  もう一つ自治大臣にはお話ししましたが、宮沢弘先生が、もうよく御存じだと思いますけれども、「やはり「官」は強かった」と、産経新聞、去年の十二月十八日に「正論」で書かれております。これは、もう御承知のとおり、広島県の知事を経験し、そして官僚を経験し、参議院議員を経験された、大体のところを歩いた方が、見通しをよく見られる方が、やはり官は強かったなというふうに、宮沢弘先生が書かれております。  これは結局、「後継者小渕さんが分権に熱意を示さず、それが族議員や官僚を勢いづかせたとも言われている。」それから、地方は腰砕けになっておる。官僚の力、さっき言いましたね、建設省が、補助金をカットするぞ、おまえら意見を出すなよ、あるいは、各部会が反対表明をしながら、ひどいところになりますと、文書を出そうとした自治体にまで圧力をかけた、そういう実態を踏まえて宮沢先生は、「地方は腰砕けとなり、政治もまた指導性を発揮しなかった。中央集権的官僚国家は健在であった。」というふうに、これまた超然主義に関係するんですけれども、そう書かれております。  こういう意見に対して、特に財源問題のかなめであります大蔵大臣、どうお考えになりますか、この弟様の御意見は。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御承知のように、この筆者は地方行政を志してまいりましたし、知事の経験もいたしましたから、この文章は、今度の経過を見て嘆くよりは、ひとつみんなしっかりやろうということを言おうとしておるように思われます。それは、最後のところで、「行政改革で公共事業の地方委譲に踏みこんだのは今回が初めてである。」ということを言っておりまして、この議論を発展させていかなければならないという主張をいたしておりますので、そういう趣旨で本人は書いておるものと思います。  同時に、先ほどもお話がございましたが、例えば統合補助金の提言についてこの第五次勧告が初めて具体的にこれを展開いたしました、現実に。そしてまた、それに向かって、私自身、この統合補助金のことは、平成十二年度の予算編成にできる限り実現をしたいと思って各省庁に今呼びかけておるところでございますので、おっしゃいますように十分ではございませんけれども、そういう展開をしようとしておる。  なお、さらに、基本的な行財政の再配分ということになりますと、これは御異論がおありかもしれませんが、私は、今のような経済、中央地方の財政状況というのは極めて異常な事態でございますから、この異常な事態を前提にして再配分をすることは恐らく後に非常な誤りを残すだろうと思いますので、したがいまして、経済状況が正常化するまで待つべきものだろうと思いつつ、そのときにはしかし、徹底的にやはり行財政の再配分にかからなければならない、こう考えておるものでございます。
  53. 松崎公昭

    松崎委員 やはり大変人柄がお出になっていらっしゃる。私も、実は小さい会社も経営しておりますけれども、やはり社員でも何でも人のいいところを見よということで、前向き、プラス発想ということでありますとおっしゃるとおりであります。最後の部分の、これなりに評価をして今後頑張れと。  しかし、やはりこれだけの経験をされた方が、希望を持って、もう少しいけるだろうという分権推進委員会の意気込みを感じた上で、残念だなということが出ているんですね。これは、私が先ほど言いましたように、超然主義を余り振りかざす気はありませんけれども、やはり脈々とした流れがあって、それにどう対応していくかという政治の力が、やはりここで頑張らなきゃならないということではないかな、そんなふうに思っております。  もう一つ言えることは、やはりよく言われている、地方にやる気がないんじゃないか。今回の第五次勧告でも、地方の応援がなかったということを言っております。しかし、今までの明治以来の中央集権体制、本当の自治がなかったんではないかと思われるような状況の中ではいたし方なかった。成長していないんですよね。甘やかした子供はやはり成長しません。ですから、私も地方自治体はもう少し頑張らなきゃいかぬという気持ちはありますけれども、これだけの財源とあれをしっかり握られてほとんど自主的なことができない、そういう中央集権のがっちりとした国家の中で地方自治体が頑張ると言ってもなかなかできない。そして、現実の中で、補助金だとかいろいろな権限を持たれているところから圧力をかけられれば言いたくても言えないというのが実態なので、私は自治体はやる気はあると思います。  ですから、この辺を思い切って解き放していく、地方自治体にもっとやる気を起こさせる、あるいはやってもいいよという、そういう解き放しがこれからどうしても国なり政府の方にも必要ではないか、私はそんなふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたい。  先ほどから財源の問題、今も大蔵大臣お話でございましたが、また自治大臣も先ほど古賀先生の質問にも答えられました。そしてまた過日の、うちの、民主党の平野、小林両議員へ財源移譲のお答えがされていました。お二人とも同じ考えでいらっしゃいます。この財源の不安定な厳しいときにいじくるべきではない、よくなったらいじくるべきだ、そういうお考えのようであります。  私は、官僚でもありませんし、地方政治をやってきた人間でありますから、いわゆる法のもとでどうこうということに全く疎いわけであります。しかしながら、経営者感覚で、多分経営者でありましたら、こういう売り上げが悪くて厳しいときにどうしたらいいかとなったら、やはり構造を改革したり、思い切って経費のむだ遣いを切ったり、基本的なものを思い切ってやるんですね。逆に悪いときこそ思い切った改革なりメスを入れるべきだというのが、私の個人的な経験に基づいた発想なんであります。  ですから、これはお二人の考え方とは全く相入れないかもしれませんけれども、私はそう思っております。今こそ思い切ってメスを入れるべきじゃないか、どうでしょうか。
  54. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 特に歳出面において、これは行政運営の簡素効率化ということと並んで、まさに行財政改革という言葉で表現されるわけですが、歳出構造についても徹底的にメスを入れて見直しをしていくということは、当然のことながら今自治体も努力をしておられますが、さらになお一層の御努力をお願いしておる、これはもう当然のことでございます。  そこで、今御指摘がありました、ある程度経済の情勢がノーマルな姿になるということがあって初めて国と地方の税財源の配分の見直し問題ということに立ち至るということを申し上げたわけですが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、法人税の落ち込みにしましても、例えば最近の時点だけでいいますと、平成十一年度の税収見込みは、国においては平成十年度当初予算に比べて十一・四兆円減、地方におきましては平成十年度の地財計画に比べ三・二兆円減、こうなっておるわけですね。  このうち、平成十一年度の法人関係税の税収見込みは、国の法人税におきましては、ピーク時であります平成元年度の十九兆円に比べて、実に八・六兆円減の十・四兆円ということになっておりますし、地方税の法人事業税も、平成三年度がピークでありまして、このときには六兆五千億あったんですが、残念ながら平成十一年度は二・六兆円減の約四兆円ですね、三・九兆円ということになっておるわけです。  これは、今金融システムの再構築で大変御努力をいただいておるわけですが、膨大な不良債権の処理ということが相当法人税収に影響を与えているということは当然想定される事柄でありまして、これがいつまでも未来永劫ずっと続くということであれば日本経済はどうにもならぬわけで、そういう意味日本経済をまずプラス成長に転じ、そして、二%程度の実質成長を維持できるように、しかもそれは民間主導型の安定した経済成長に持っていこうという大方針のもとで今やっておるわけで、そういう意味で経済の成長がノーマルな姿になって初めて、ノーマルな状況における税収構造というものが確認できるわけでございます。  やはりそこのところをきちんと見た上で、国と地方の間の見直しであったり、あるいは地方税自体としても、所得、消費、資産、そういった税体系としての見直し、そういったことも見ていかなければならぬことだと思っています。  ただ、若干つけ加えますならば、法人事業税に関して、それはそれとして、当面の問題としても、課税ベースを拡大していくということもあって、課税標準の見直しということは今そう先送りができないテーマであると認識をいたしておりまして、現在、政府税調においても鋭意御審議、御検討をお願いしておるところであります。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 中央地方の行財政を再配分しようということになりますと、財源については、当然のことながら、今、中央が幾ら、地方が幾ら、トータルでそれをどういうふうに分けるかという議論になってまいるわけであると思います。  今、野田大臣が地方の税収についてお話しになりました。国の税収につきましてもまことに異常な状況にございまして、平成十一年の税収見積もりは四十七兆円でございますが、かつて十年余り前には税収は六十兆を超えたことがございますので、いかにも今の姿というものは異常でございます。過ぐる平成十年度についても多少の歳入欠陥が出るのではないかというふうに思われますので、まことに異常な状況にございます。  地方財政につきましても、私、今年度の予算編成のときに自治大臣と何度かお話し合いをいたしましたが、これもまことに異常な状況にあって、今野田大臣が言われましたような金融機関あるいは大会社のリストラというものは、自然に、不交付団体、富裕団体の税収に当然のことながら一番響くわけでございますので、そういう異常な状況になっておりまして、今のこの段階で中央地方の税収を見積もって、それを配分するということは、恐らくそんなことではとても日本は将来やっていけない状況を前提にいたしますから、私はそれはやはりよくないだろうと。ともかく、今、国も困っていますが、地方に対しても、今度、やや異例なことを幾つかいたしました。それは全くつぎはぎのようなことでございまして、こんなことは長くやれるわけはない。また、日本が長くこの状況であってはならないと思います。  したがって、日本の経済が正常な成長軌道に乗った段階で、将来を展望しながら、これはやはり松崎委員のおっしゃるように絶対しなければならない仕事でございますが、それは今やれば、必ず一種の異常な状況における再配分をすることになって、将来のためには多分私はいい結果は残さないと思いますので、ここは頑張ってまず経済の回復を図って、その上でこの問題に取り組まなければならないというふうに申し上げておるわけでございます。
  56. 松崎公昭

    松崎委員 私も、税とか財源の問題等はなかなか素人なものですから難しいのですけれども、ただ、今までここまで来たのは、いわゆる二輪論というのがありましたね。国と地方の二輪車論というのですか。ともに経済対策も引き受けよう、引き受けてくれ、そしてその財源はまた補てんするよというようなことで交付金制度をやっていた。そういうことで、私はどうもわからないのですね。  もちろん、民間と違います。民間の場合は、売り上げが悪いからどういう方法で売り上げを伸ばそうということは言える。しかし自治体も、ほかの税金を取るとかいろいろな方法があるわけです。それから、一番大事なのは、七割抱えている国の税収を地方に最初から渡すのだ、そういう財政の構造を変えていく、取り方を変えていく。民間とは若干違いますけれども、取り方を変えていく。そういうことをやればできるのではないかということで、うちの党の方々もずっとそれを主張しているわけであります。  ですから、例えば加藤寛さん、税調の会長さんも、景気対策ばかり目が行って忘れられている構造改革、体質改善を同時に行うことが必要不可欠だ、これは最近おっしゃっていますね。ですから、その中心が中央主導型経済の改革にあることは、今回の地方自治体の財政破綻によって明らかになったと。もちろん、中央改革だけではだめなので、この税収の取り方を変えよう、こういうことを石原さんも言っていらっしゃいますね。こういう識者の方々も、今こそやるべきではないか、そういうことを言っております。  というのは、いいときもあったわけです。いいときのモデルで財源の配分の仕方のモデルをつくれる。それから、今みたいに悪い段階の中でも財源の仕方を変えるモデルはできるのであるとすれば、一つのモデルをしっかりとつくり上げる。いわゆる今国と地方分権の問題で一番問題になっている財源、その取り方、結局、国に行き過ぎた金を交付金制度、補助金制度で上から全部権限を持ちながら支配をしている、その構造を変えるということが本物の改革なのでありまして、ですから、いい悪いに関係なしに、やはり構造改革をやるべきだ、そういう論に立つ方々もかなりいらっしゃるわけであります。  そこで、先ほどうちの古賀さんからも話がありました。かつて小林議員からもありましたように、民主党の財源配分ということで今法案が大体できたのでありますけれども、出す段階がいつかということで、まだ出せるかどうかわかりませんけれども、簡単に言えば、所得税の税率の七%分を下げまして、そして住民税の税率を七%引き上げて乗っけてしまう、そこで大体七兆円が国から地方に税源が移譲される。  それから、交付税制度にかわりまして、やはり所得税の税率のうち三%部分の三兆円、これは国税ですね、それから酒税、法人税、たばこ税の一定の割合で四兆円、これを合わせて七兆円、これを交付金制度と同じように調整財源、調整交付金、こういう形にしまして、約十四兆。荒っぽいのですが、それを人口と面積だけで、基準財政需要額を二つにしてしまう、それで調整をしながらやっていく。  もちろん、弱過ぎる自治体がありますから、これはナショナルミニマムを確保するようにするんだ。それによって二対一であります国と地方の税金の取り方をまず一対一にする、そして後ほどまた一対二という段階に、補助金はもちろんなるべく減らしていくわけでありますけれども、そういう大変荒っぽい考え方でありますけれども、このくらい荒っぽい形でやっていかないと。ある程度自治体が自覚をし、インセンティブを与えて、もちろん弱過ぎるところに対しては手当てをしなければなりませんけれども、こういう形でいけば、今十四兆私どもの方では考えておりますけれども、そういう考えでがらっと改革的に、革命的に税金の取り方を変えてしまう。所得税をまず七%下げてしまいます。それから地方税の住民税を七%乗せていきます。  そういう形で、最初から地方自治体に一対一という感覚で税金を取らせてしまう、そんな荒い考えでありますけれども、こういう考え方はどのようにお考えになりますか、大蔵大臣自治大臣
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 お考えの一端は承っておるわけでございますし、必ずこういうことが議論されなければならないときが来るという意味では、先覚的な試みをなすっておられるということを感じておりますけれども、今これを展開して議論をする時期ではないだろうと先ほど申し上げました。  ただ、そうではございますけれども、お話について一つ二つ、どう思うかとおっしゃいますので申し上げますが、今言われました七%の部分は、つまり、所得税の最初の段階の税率を三%で始めるわけでございます。それは、三百万円に至るまでの課税所得について三%というお考えですから、今の三百八十二万円という大変高い課税最低限、一〇%という、大変ある意味でもっと下へ行ける税率ということからいいますと、三%で低いところからスタートするというのは大変に魅力的な部分があると思います。ただ、どうもこのお考えの中には、いろいろな控除というもの、現在御承知のようにございますが、それはどういうふうにされるのか。恐らく、控除に相当するものを、児童手当とかいろいろなものがございますが、歳出面で措置をしていこうと考えておられるのかもしれない。そうするとそれはどのぐらいになるかというような問題がございます。  ございますが、今三百八十二万円という課税最低限で非常に悩んでおります状況というものは、やはりいずれにしても根本的に考えなければならないという問題でございますので、この御提案にはいずれ議論されなければならないものをいろいろに含んでおるというふうに思っております。それが第一でございます。  それから第二に、一つだけ申し上げておきたいのは、この再配分の対象、基本に所得税を考えるかどうかということでございますが、これは少し理屈になって恐縮ですけれども、やはり所得税というものは、国全体において所得の再配分といったような機能を持っているものと今まで考えてまいりました。したがって、これはやはり基本の税金としてナショナルベースで考えるべきものではないかということを一つ感じております。  それからもう一つは、これを地域ベースでいたしますと、我が国では所得はかなり地域によって偏在をいたしておりますので、その偏在したままであっては恐らくいけないわけでございますから、それをいわゆる税収の大きいところと小さいところとの間でどのようにするかという問題は、やはり所得税についての一つの問題ではないか。また、地方において、地方財政あり方として、受益と負担というものがどこでも一致さるべきであるというふうに考えるのか、あるいはそうでないのか、全国的に一つ行政水準を維持すべきであると考えるのかというような問題もございます。  十分意を尽くしませんが、このお話は、いずれ我が国の経済が正常になりましたときに始まるべき議論に一つの示唆を与えられたものとして拝見をいたしたわけでございます。
  58. 松崎公昭

    松崎委員 もう時間もなくなりましたので、この問題は、私どもがもし近々法案を出すようになりましたら、我々もいずれ答弁をしなきゃならなくなるかもしれませんので、よく研究をしたい、そうは思っております。  ただ、私は、この制度の中には調整交付金制度も置きまして、でこぼこを直すことももちろん考えております。ですから、この辺のことは、財源の見直し、それから最後になりますけれども、法定受託事務が四五になりましたね、こういうようなことも三年ぐらいで。今、経済の問題で回復したらと。それではいつごろ成長ができるのか、本当はお聞きしたかったのでありますけれども、そういうことじゃなくて、もちろん、それも大事かもしれないけれども、この三年ぐらいで財源のことはしっかり見直すんだということ、それから同時に、今、法定受託事務が多過ぎてしまった、まだまだ入り口過ぎるんだ、これをもう一回見直しすべきじゃないか、そういう考え方を私どもは持っておりますので、三年ぐらいで見直すべきだということをお願い申し上げます。  そこで、自治大臣、そういう見直しに関しましては、財源も含めまして、本気にどの辺の時期で見直す見通しがあるか、これは経済の見通しも含まれるかもしれませんけれども、お答えいただきたいと思います。
  59. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 その前に、先ほど大蔵大臣から所得税、住民税の問題についてお触れになりました。交付税の問題についても言及がありましたので、私から一言コメントさせていただきたいと思います。  交付税の配分の基準をできるだけ簡素化しようという発想での御提言だと思います。ただ、人口と面積だけでやってしまえというのはちょっと大胆過ぎて、やはり、いろいろ事業によって、基本的に、全国的にある程度共通したレベルを維持しなければならないような事務がたくさんございます。そういった意味で、それぞれの自治体における必要な財政上の需要がどれだけあるかということを正確にきちんと把握した上でそういう財政調整制度を組み立てていかないとなりません。気持ちはわかりますが、できるだけ簡素化をしていくという努力はしていきたいと思っております。これが一つでございます。  それから、見直しの時期については、先ほど来大蔵大臣からも御答弁がございましたように、経済がある程度安定的な成長路線といいますかノーマルな姿になる、ではその時期はいつかということでございますが、私は、そう遠くないとき、あと何年というターゲットを決めてしまうというのは、ちょっと私から申し上げるのは僣越かとは思います。  ただ、少なくとも、経済戦略会議におい一つのシナリオを提言もしておられますし、そこに向かって今、一生懸命大変な努力を内閣挙げてやっている、経済政策を打っておるわけでございます。私は、それが一つの参考になる時期だろうとは思っておりますが、今から何年何年ということを言うのはいかがかと思います。  ただ、ずるずるそんなに遠く先になったら日本全体がだめになると思いますから、できるだけ当面の経済が安定成長に回復していく、そのために全力を挙げていきたい、その上で今申し上げました税財源の配分という問題に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  60. 松崎公昭

    松崎委員 入り口に入ったばかりの分権でありますので、その認識のもとで、超然主義に負けずに頑張っていただきたい。  終わります。
  61. 高鳥修

    ○高鳥委員長 午後零時三十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午後零時三十三分開議
  62. 高鳥修

    ○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岩國哲人君。
  63. 岩國哲人

    岩國委員 民主党を代表して、質問させていただきます。  私は、この政治の世界、大変新入りでございますけれども、政治というものは、暮らしを守る、仕事を守る、それが政治の原点だという思いで私は有権者の皆さんに訴えてまいりましたし、またこれからもそうしてまいりたいと思います。  その仕事を守る、雇用という点についてでありますけれども、私は、昨年の三月二日、予算委員会において、当時の労働大臣、伊吹労働大臣にも質問させていただいたことがあります。大変厳しい経済環境、景気見通しの中で、既に三・五%という失業率、それについて労働大臣の御答弁は、厳しい環境ということは認識はしておるけれども、しばらく様子を見守りたいということでありました。  私は、結果的に、政府の、この仕事を守るという意欲は大変欠けておったと思います。労働大臣の答弁に象徴されるように、様子を見守っている間に一年間に一・三%も失業率がはね上がる。私は、乏しい知識の中ではありますけれども、一年間で一・三%も失業率が上がっていったという国を見たことはありません。  この点、内閣のかなめであり、官房長官でいらっしゃる野中官房長官は、長い政治家人生の中で、恐らく、私と同じように、暮らしを守り、仕事を守ってこられた一人だと思いますけれども、そういう政治家の長い歴史の中で、一年間で一・三%も失業率がはね上がってしまったということは御記憶にございますかどうか、御答弁お願いします。
  64. 野中広務

    野中国務大臣 委員御指摘のように、非常に厳しい経済情勢と、これに伴う雇用情勢の悪化に伴いまして、最近の雇用情勢は深刻なものがあるわけでございます。  したがいまして、政府といたしましても、雇用問題を政策の最大課題といたしまして、今何とかして雇用の改善のためにさらなる施策の遂行に努力をしようとしておるところでございます。
  65. 岩國哲人

    岩國委員 当然、景気対策の中でも、この雇用というものは恐らく一番大切なことだと私は思いますし、そういう認識を持って政府としては事に当たっていただきたいと思います。  その四・八%、あるいはさらに上がるかもしれないこの失業率の中で、今若い人たちが職を探しております。当然、若い人といえどもより安心な職場を求めるわけでありますけれども、その人たちが今どこへ行列をつくっておるのか。役所であります。どこでも公務員の倍率はどんどんはね上がっていて、民間よりも役所へ役所へと。  ところが、この行革委員会では、役所にもっと厳しい風を吹かせようという議論をここでしているわけです。十年間で二五%、これだけでも大変な数字だろうと思いますけれども、そういうことをここで議論しながら、若い人も世間も、それを一向に信用していないからこそ安心して役所へ願書を出すんだと。私は、政府の決意というものも、雇用を守るという決意も、そして役所にリストラを実行させるという決意も、世間はそれほどに御評価していらっしゃらない、それがこの現状ではないかと思います。  三百万人の失業者の中で、官房長官、役所出身の方は何人ぐらいこの三百万人の中に含まれておりますか。
  66. 野中広務

    野中国務大臣 役所出身の失業者という数字で私ども位置づけておりません。役所はそれぞれ、本人が自主的な退職をする人、あるいは他に職場を求めて転職をする人、あるいは定められた定年を迎えて退職をしていく等さまざまでございますけれども、役所がそれぞれみずから、いわゆる中小企業、あるいは今日のリストラの産業構造の中で起きるような失業というのを把握しておるわけではございません。
  67. 岩國哲人

    岩國委員 私は、その辺が甘いと思っております。  雇用対策に真剣に取り組むならば、この三百万人の内訳がどういう職場からどういう理由で出てきたものかということを認識しなければ有効な手は打てないじゃありませんか。役所の中から、定年退職、いろいろな都合はあるでしょう、しかし、民間企業と同じように、自己都合ではない、自分の意思に反して強制退職、勧奨退職、嫌々ながら職を失った人たち、この三百万という大きな失業者の群れの中に、役所出身の嫌々ながら失業をしておる人が何人ぐらいいると想像されますか。
  68. 野中広務

    野中国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、各官公署の中から失業者と位置づけられるものは存在をしておらないと認識をしておるわけでございますが、委員が御指摘のように、やめざるを得ないという環境に置かれた人がやめていったという数字を把握はいたしておりません。政府委員の方で把握をしておれば、答弁を補足させていただきます。
  69. 岩國哲人

    岩國委員 官房長官は直接そうした労働行政を御担当でないということは私は十分承知しながら、決して意地悪な質問をしたいと思ってお伺いしておるわけではなくて、内閣全体として取り組んでおられるということであれば、労働大臣だけの問題ではなくて、官房長官の頭の中にしっかりとそういう認識がどの程度に入っておられるかなということを知りたかったわけであります。  ぜひとも、官房長官の手で、こうした公務員という大きな職場からどの程度三百万人の群れの中に加わっておるのか、あるいは、強制退職、勧奨退職は一切ゼロで、三百万は全部民間ばかりでございますということなのか、ぜひそういう統計を近いうちに発表していただきたいと思います。  行革についての関連で私はこの質問をさせていただいておりますけれども、そういう、これから役所の方でも厳しいリストラ、人員コントロールが行われるという環境の中で、なお年々公務員を目指す若い人たちがふえているということは、民間企業に比べていかにこの役所というところが、役に立つ所と書いてあるように、若い人の仕事を守る上で役に立つところと見られているわけですよ。ということは、政府の行革の熱意がそこの辺にはよくわかっていないんじゃないかという気もいたします。  これだけ職員組合あるいは自治労等からも悲鳴が上がるほどに強い決意を持って実行されるんであれば、そういう怖い職場であれば、公務員の募集をかけてもかけてもなかなか人が集まらないというぐらいになれば、私は、政府の行革が本当に国民に伝わっていくんじゃないかというふうに思います。実情は全く逆であります。  結局、国民の皆さんも、若い人も知っておるんじゃないかと思います。政府の行革の熱意、特に、十年間でコストを下げます、それから人数を削減いたしますというものが、実行不可能あるいはやる気なし、そういうふうにしか思われていない、俗に言うなめられているから、あれだけの若い人が行列をつくっているんじゃないか、そのように思います。  例えば、私は川柳というものをよく詠みます。その川柳というのは、庶民の心を知る上で非常に参考になるからです。最近発表されましたこの「傑作三〇〇選」サラリーマン川柳のトップ賞は「コストダウンさけぶあんたがコスト高」。つまり、国会霞が関行政のコストダウン、コストダウンと言っているけれども、そういうあんたがコスト高の原因になっておるんじゃないかと。これについて、総務庁長官、御意見がありましたらおっしゃってください。
  70. 太田誠一

    太田国務大臣 まず、公務員の希望者が多いというのは、大体こういうときには一つの形としてあるわけでありまして、世の中が大変不況であるというときには、やはり公務員の希望者がふえるというのは当たり前のことではないかと思います。そしてそれは、今官房長官に対する御質問でございますけれども、本人の意に沿わない形で途中で退職を強いられることはないというのが公務員の身分についての建前でございますから、個別にはあるいはそういうふうに追い込まれたとかいうふうな感じを持つ方もおられるかもしれませんけれども、形の上ではないんではないかと私は思います。そこが、言ってみれば、身分が安定しておるということに対して、若い世代も一つの魅力を感じるのではないかと思います。また、そういう公の仕事というものに対する、それがよいことである、やりがいのある仕事であるという機運もまた趨勢的に高まっていると思うわけでございます。  他方、私どもが今やろうとしております中央省庁改革あるいはそのスリム化というのは、それは大人数でやるものではなくて少数精鋭でやるものだという考え方で取り組んでおりますので、そこを信用するしないというのは、実際にやってみたときに、後でその人たち、国民がどう判断するかの問題でございます。  コストダウンの話で、まずみずからの人数を少なくした方がいいんではないかということは、お互いに同じことであって、それは、そのためにそういう法案が出れば私だって議員の一人として賛成いたしますよ。あるいは、場合によっては私が提案しても構いません。先生も同じことであって、ここにいられる同僚の議員みんな同じでございますから、別に、ひとりそれは政府の方に立場があるからどうのこうのという話ではないと思う、立法府としての問題だと思います。
  71. 岩國哲人

    岩國委員 お忙しい官房長官にもう少し御在席いただきたいと思いますけれども、私は、きょう三つのことについて、行革及び地方分権について関連した質問をさせていただきたいと思います。特に地方分権についてでありますけれども、議員定数、地方の議会のあり方について後ほど議論したいと思いますし、また、首長の多選禁止の問題、これについても議論させていただきたいと思います。  その前に、こうした行政という大きな労働の場、公務員という貴重な職業、それが、一般民間企業から比べると、非常に聖域として、ほとんど失業のおそれもないままに、一般世間の言葉で言うとぬくぬくと守られているという面が非常に強い。したがって、この行革を実行するということは並大抵ならぬ、並々ならぬ大きな決意と実行力を必要とするものだろうと思います。  たびたび私の市を引用して恐縮ですけれども、出雲市の場合には、よそより三割少ない職員が、土曜日も日曜日も仕事を交代でやっております。そういうきついコストコントロールをやれば、一人も失業させないで自然減で実行できるし、また、時間をかければ必ず実行可能だと私は思います。そうした大枠として厳しい環境の中に行政も置かれているし、またそれは、行政改革をやってコストを下げて、その下げたコストを国民に配当として支払う、行革の配当という言葉を私は先週使わせていただきましたけれども、そのためにもこれは実行しなければならない。  ただ、そういう方向の中で女性公務員の立場がこれからどうなっていくのか。男性と女性と、公務員の中には二種類あります。とかく地方分権地方任せになった場合に心配なのは、最近、環境は改善されてきてはおると思いますけれども、今まで以上に、結局、男性主体の職場になってしまうんではないかということが懸念されるわけです。  こうした点について、議員定数についてあれこれ言いたいというお気持ちであれば、男女共同参画の立場から、これは、官房長官あるいは総理府も総務庁も一緒になってこの男女共同参画の計画を推進していらっしゃるわけで、その推進の延長線の上に、地方女性公務員の立場はどのような変化がこれからあらわれてくるのか、あるいは、それはしっかりと守られるということがどこかこの厚い条文の中に書いてあるのか、どのような計画でそれは守られるのか。黙っておけば守られないと私は思います。  強い合理化の風が吹く中で、とかく犠牲になるのは弱い者、女性公務員ではないかと思います。そうした女性職員の管理職登用について、応募、採用、平均在職年数等についてきちっとした調査をしておられるかどうか、これが第一点であります。  そして、女性公務員の在職年限は男性に比べてどれぐらい短いのか。また、女性公務員の登用を妨げる慣習とか規則など、これは労働省にも人事院にも自治省にもレクのときに私は伺いましたけれども、そういうのは存在しておらないと。まあ調べた結果、そう答えていらっしゃるのだろうと思いますけれども、自治大臣の方に、慣習とかそういった内規のような形で依然として男女差別のものが残っておるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。  私はいつもジチ大臣と申し上げておりますけれども、最近時々ジジ大臣と発音される方があって、どちらが正しいのか、ついでながらこれを確認したいと思います。ジチ省、ジチ省と私は言っておりましたけれども、時々ジジ省とおっしゃる方があったりジジ大臣とおっしゃる方があったり。どちらが正しいんですか。ジジ大臣ですか、それともジチ大臣が正しいんでしょうか、ついでながら御答弁をいただきたいと思います。
  72. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方ジジとは言いませんね。やはりジチでしょう。  それから、男女の差別的取り扱いとなるような慣習、規則に関連してのお話ですが、自治省としましては、毎年度、地方公共団体の人事担当者の全国会議や地方ブロック会議など、さまざまな会議を開催いたしておるわけです。こういった機会を通じまして、地方公務員法の平等取り扱いの原則を踏まえながら、女性地方公務員の採用、登用、職域拡大などに積極的に取り組むよう、要請を今日まで既に行ってきておるところでございます。今後とも、そうした機会を活用して、実態も把握しながら、各自治体における従来の制度、運用の見直しを促してまいりたいと考えております。  それから、地方公務員法では、第十三条で平等取り扱いの原則が規定をされておりまして、「すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によつて、又は第十六条第五号に規定する場合を除く外、政治的意見若しくは政治的所属関係によつて差別されてはならない。」ということ、それから、任用の根本基準については、同法の第十五条で「職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。」こう規定をいたしておるわけであります。  特に、先ほど来いろいろお話がございましたが、雇用機会の均等を含めて、男女共同参画の推進というのは地方公共団体における職員の人事管理面においても極めて重要な課題であると認識をいたしております。この点は、もちろん法律的諸制度のみならず、特にそれぞれ実際の運用が大事だろうという思いもございます。その点を含めてこれからも徹底をしていかなければならぬと考えております。そういった意味で、今日、御指摘のあるこの法律の趣旨にそぐわないような制度や運用がもし行われるならば、当然是正をしていきたいというふうに思っております。  なお、去る四月二十七日に、地方公務員制度調査研究会から報告が出されました。これは行政局長の諮問機関でございますが、地方公務員の採用、配置転換、昇任、退職管理など人事管理の各段階において男女の平等取り扱いが徹底されているかどうかについて、地方公共団体においても改めて本来の制度、運用の見直しを行うことが重要であると指摘をされておりまして、自治省としましても、改正男女雇用機会均等法の施行を契機に、引き続き地方団体の取り組みについて助言などを行ってまいりたいと考えております。
  73. 岩國哲人

    岩國委員 自治大臣、大変御丁寧にお答えいただきましたけれども、要するに、自治省として、地方自治においてこのような男女差別の慣習あるいは内規というものがないということは確認しておられますか。その一点だけ、簡潔に答えていただけますか。
  74. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  男女差別の関係でございますが、一部の地方公共団体の人事管理におきまして、お話のように、例えば勧奨退職年齢に男女差を設けるなどの法律の趣旨にそぐわない制度や運営も見られるとの指摘もございますし、現実に訴訟になっているケースもございます。
  75. 岩國哲人

    岩國委員 一部のというのはどれぐらいの市町村の数ですか。具体的に、お調べになったら数字で答えていただきたいと思います。また、何年何月現在の調査で、幾らの市町村でやったのか。
  76. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  全地方団体を対象としたそういう調査は行っておりませんので、承知いたしておりません。
  77. 岩國哲人

    岩國委員 私は、そういう男女共同参画計画というのを大きな柱としてこの内閣は取り組んでおられて、そして今度は総理府から内閣府の方へそれを格上げして、そして室を会議に格上げし、議長も民間の方から官房長官に格上げ、この三つのポイントがこの男女共同参画推進の目玉ですと言うぐらいに力を入れておられるのであれば、こんな基礎的な調査を、隗より始めよ、民間企業にあれこれおっしゃらなきゃいかぬ、しかし、民間企業に言う前に、役所はどうなっているんだということをきれいにすることが最初ではありませんか。自治大臣、再度御答弁お願いします、今の局長答弁で満足しておられるのかどうか。
  78. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的には、その組織、運用、特に人事管理等においては地方自治体がみずからの責任においてその管理者が行うべき世界であると考えております。ただ、そうはいいましても、先ほど言いましたように、男女雇用機会均等法の施行を契機に、従来からも、毎年、さまざまなそういった情報交換あるいは助言等々、会議を通じて、人事管理、運用面においてのアドバイスは申し上げてまいったんですが、さらにそういったことを徹底していかなきゃならぬとは思っております。  しかし、これはいわゆる上下関係で命令をしていく関係ではない、私はここは大事な一線であろうかと思っております。したがって、法律施行されますと、法律を実際に守っていくべきものは、国の組織だけが守っていくべきものではなくて、自治体そのものが、国権の最高機関で定められた法律に従って地方自治を実際に実践をしていってもらうわけですから、実践者自身がみずからの判断に基づいてやっていただくということが一番の基本ではないか、それをどうやってバックアップしていくかというのが私どもの役割ではないかと考えております。
  79. 岩國哲人

    岩國委員 いや、私はまだそれでは不十分だと思います。これは地方自治体の権限なのか国の権限なのか、権限争いや権限の議論をしている場ではなくて、こういう男女の人権を等しくしようというのは、自治体だろうと国だろうと民間企業だろうと、これは全部共通の義務であって、義務を遂行していないんだったら、こういうときこそ国の権限を、そういうところには交付税は渡しませんよとかいうことをしっかりとおっしゃるべきじゃないでしょうか。それを、あんた方、これは義務ですよという精神的な説得だけでは不十分な時期にもう来ておると私は思います。ですから、今までそういった調査が徹底的に行われていない、局長答弁はそのようになっております、徹底的に全国的に調査を行われていないんであれば、一刻も早く、三千三百の自治体に対して、そういう内規は存在しない、廃止しました、あるいはそういう慣例も存在しないという確認書をとってから交付税を渡すべきではないかと私は思います。  昨年、私は、羽咋市の市長に招かれて、講演に行ったことがあります。石川県の羽咋市ですけれども、その近くに鳥屋町という町がありまして、そこでも同じような問題が起きております。石川県は決して男女差別が日本で一番激しいとは申しません。しかし、昔から「能登のとと楽、加賀のかか楽」と言われるぐらいに、あの能登半島は非常に男性の地位が高いところで、その中心地でもありますから、自然に地方自治体にこんな内規が存在しておったかもしれません。男性は女性より十年間長く勤めることができる、女性と男性の勧奨年齢というのは十歳も違う、こんなものがずっと存在しておった。これに対して自治省は何の指導もしなかったでしょう。あるいは、そういうことが存在するということも知らなかったでしょう。石川県では、七割の市町村でいまだにそういうものが存在しておる。ほかの県でも、徹底的にお調べになれば、もっともっと出てくるでしょう。  そういうことこそまず行政情報の公開、国も地方も男女差別はいたしませんということを正々堂々と情報公開されたらどうですか。言われなきゃ調べない、訴訟にならなければ調べてみないという態度は、私はいけないと思います。御意見があればおっしゃってください。
  80. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 鳥屋町の退職勧奨制度実施要綱というのが、今御指摘のとおり、男子が五十八歳、女子が四十八歳ということで、十歳の開きがあるということは承知をいたしております。  そういう点で、先ほども申し上げましたが、従来からもそういうことを言っておりましたが、大変生ぬるいじゃないか、したがって、より積極的に踏み込んでやるべきじゃないかというのはそのとおりだと思っています。この点は、従来以上に、それこそ姿勢を正して取り組んでいかなければならぬ課題だと考えております。  それが、全国三千三百ある自治体が、そういうもの、あるいは退職勧奨制度だけじゃなくて、あらゆる面において現実にどういうことをやっているのかいないのかということを悉皆調査せよということでありますが、そこまで、どういうものを基準にしてやるのか、若干技術的なところもあろうかと思いますが、いずれにしても、実態把握を従来以上に的確に行えるような工夫はしてみたい、これは当然しなきゃならぬことだと思っております。
  81. 岩國哲人

    岩國委員 内閣が、重点施策として、男女共同参画に本気になって取り組んで実績を上げたいと思われるのだったら、まず隗より始めよ、繰り返しますけれども。役所の中の男女差別を徹底的に撤廃する。採用においても、在職年数においても、そして登用の面においても。  管理職登用についてお伺いします。私は、分権推進計画というものを自治体が提出する際に、女性の登用計画もしっかりと出させるべきだと思います。こういった職場環境の整備ということについても。  今度の行革は、中央から地方へ、官から民へという大きな流れがありますけれども、同時に、これは行政の民主化を目指すものでもなければならないと思います。その行政の民主化ということであれば、中央から地方へ、官から民へだけでは不十分であって、男性から女性へという大きな流れも起こさなければならないと思います。  私は、平成元年の四月七日、市長に就任し、そして二週間後に六十人の部長と課長が私を待っていました。私は、その部屋に入ってショックを受けました。オールブラック、男ばかりだったのです。ニューヨークでもロンドンでもパリでも幹部会議に必ず女性の代表はいました。それが、六十人全員男ばかり。ああ、これが出雲だな、これが日本だなとショックを受けました。  出雲市の人口の五二%は女性です。有権者の五三%は女性です、女性が長生きされますから。選挙に行く人の五四%は女性です、女性の方が選挙は好きですから。五二、五三、五四、どれをとってみても、もう出雲市は女性多数派の市になっている。全国六百七十一の八〇%の市が、もう女性多数派の市になっています。にもかかわらず、役所の管理職は全員男ばかり。  今、男だけで仕事をやっているのは暴力団と市役所だけです。私は、その種の団体とは違うんだということをはっきりさせるために、三人、二人、二人、次々と女性の管理職を登用し、そして平成六年には七十三人のうち十三人が女性の管理職でした。限りなく五二%を目指さなければならないという思いです。審議会、委員会、これも大体男ばかりがやっています。教育委員五人全員男でした。今は違います。三〇%以上女性がいなかったら、そういうものは私は判こを押さないことにしてきました。  そのように自治体の努力も必要ですけれども、国による強制的な指導がなければ、これはなかなか時間がかかると私は思います。現に、平成の時代に入ってまだ堂々と男女の十歳の差を設けている。男の方が早く亡くなる、女性が長生きの時代に、職場の中では女性が早くいなくなって、男が十年も長生きしている。これだけ逆転した現象が起きているわけであります。  こういった点について、ぜひとも重大な決意を持って、そういう女性の採用及び管理職登用についてもっともっと指導力を発揮し、そして、これからの地方分権計画あるいは行政の民主化の中に、大きな柱として、役所こそ男女平等に働けるところなんだということを、明確にそういうアナウンスができるように、数字と調査と決意で私はそれを示していただきたいと思います。  官房長官、御退席いただく前に、一言よろしくお願いします。
  82. 野中広務

    野中国務大臣 地方公共団体の職員のあり方につきましては、先ほど自治大臣からお答えがございましたように、国が強制できる性質のものではございませんことは委員が十分御承知のとおりでございますけれども、男女共同参画二〇〇〇年プランにおきまして、女性の公務員の採用の問題、登用の問題、職域拡大及び能力開発の問題が盛られておるところでございます。  私どもといたしましては、この観点から、採用、昇進等の状況を定期的に調査をし、今委員が御指摘ございましたように、これをみずから公表し、改善をしていかなくてはならないと考えておるところでございます。  性別によらない開放的な人事運用の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
  83. 岩國哲人

    岩國委員 ありがとうございました。官房長官、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  次に、財源の問題についてお伺いいたしますけれども、今国会において、この委員会においては、省庁再編とそれから地方分権が一緒にここで審議されてきております、一括して。私は、この点は最初からおかしいと思ってきました。  この省庁再編は、何度も申し上げるようですけれども、小さな官庁をまとめ上げて大きな官庁をつくる。官の力を小さくしようというときに官の力を大きくする、地方分権を言いながら中央集権を実は目指すのがこの省庁再編である、それが私の判断であります。  中央集権法案地方分権法案と、前へ向いているのと後ろを向いているのと、右へ行くのと左へ行くのと、一緒にしてここで議論をするということがそもそもの間違いなんです。左へ行くげたと右へ行くげたと、こんなものを一緒に履いて歩けるわけがない。  省庁再編中央集権を目指すもの。地方分権と言いながら、地方には権限もおすそ分け程度の権限しか渡さない。財源に至ってはきれいさっぱり渡さない。金は出さないで口だけは出しましょうという地方分権。そして、中央集権の方はしっかりと、省庁再編で名実ともに中央集権化を目指していこう。こういう支離滅裂な議論というのは、私はめったにこういう機会には恵まれません。  地方分権と言いながら、実際には中央集権。そして、省庁再編地方分権、そういうことを言いながら、一般世間には、この委員会が終わり、この国会が終われば、中央集権ではなくて地方分権が大きく動き出すんだという錯覚を持っているんじゃありませんか。  例えば、これは全国知事会がつくったパンフレットです。全国知事会はこれ以外にもパンフレットをいろいろつくっております。これは平成八年三月に発行されたもの。それから二年たって、いろいろ地方分権推進に関して答申も出ました。これは去年の三月につくられた全国知事会のその説明資料。漫画的に書かれて、非常に一般の人にもわかりやすい。公務員にもわかりやすい。この中で、どのように全国の知事さんが地方分権をとらえておられるのか、よくわかります。  そして、知事会の名において、権威において、地方分権というのはどういうものであるか。そこには三ゲンセット、「権限 財源 人間 三つのゲンがそろえばゲンゲンゲン気」と書いてあるのです。そして、この猫車のようなものに、権限と財源と人間と、三つを猫車で運んでにこにこしている方がいらっしゃる。これは諸井虔さんがそこに登場していらっしゃるわけですけれども。つまり、地方分権推進委員会委員長としての諸井虔さんを主役にこれは説明資料としてつくられている。諸井さんがこの資料に責任があるわけじゃありません。  しかし、これからの地方自治の中心になろうという全国の知事さんは、こういう理解とこういう期待で、財源も権限と一緒にやってくると思っているんです。どこにこの財源の規定がありますか。影も形も見えない。予算の中で措置しましょうという答弁はけさも私は伺いました。  このように、財源についてもはっきりさせなければ分権は実現しない。財源なくして分権なしだと思います。まず財源を渡して、それから仕事をさせる、それが当然のやり方じゃありませんか。世間の常識は、仕事をさせるときには一般に手付金をまず渡すんですよ。仕事が終わったら完成した工事代金を払うんです。今度の分権は、仕事はさせるけれども手付金のテの字も払わない、工事が終わっても、その代金をいつ幾ら払うかもさっぱり約束はない。こういう仕事のさせ方というのはあるんでしょうか。  長官、何か御意見あったらおっしゃってください。
  84. 太田誠一

    太田国務大臣 まず、この中央省庁改革法案中央集権法案であるというふうなことは全くないわけでございますから、またそういう政治プロパガンダはおやめいただきたいと思うのであります。(岩國委員政治プロパガンダというのは侮辱ですよ、その言葉は。委員長」と呼ぶ)それはどういうことかというと……
  85. 高鳥修

    ○高鳥委員長 今答弁中です。ただいま答弁中です。(岩國委員「その政治プロパガンダというのはこの間もお使いになったけれども、政治家同士の議論でプロパガンダというのはどこにありますか。じゃ、あなたが選挙でやっているときに、その選挙もプロパガンダじゃありませんか」と呼ぶ)
  86. 太田誠一

    太田国務大臣 では、中央集権だって、どうしてそういうことをおっしゃるんですか。どこが中央集権なんです。
  87. 高鳥修

    ○高鳥委員長 ただいま答弁中です。岩國君、ただいま答弁中ですから。委員長が後で整理いたします。(岩國委員政治的プロパガンダって何ですか、これは。民主党の意見を代表して私は言っています」と呼ぶ)  答弁は言葉を選んでしてください。
  88. 太田誠一

    太田国務大臣 そういう政治プロパガンダという言葉は使わないようにいたします。失礼をいたしました。  中央集権的であるということはございません。それは、この中央省庁等改革法案は昨年の六月に成立をいたしました基本法に基づいてつくっておりまして、基本法の中で地方分権を進めるということを書いてあって、そしてそれを受けて、地方分権推進委員会の五次勧告、そしてまた第二次の地方分権推進計画がここに既に示されているわけでありますので、それは明らかに、例えば補助金の統合化ということについても、地方に裁量の余地を大きくしようとすることでありますし、また直轄事業をふやす、シェアをふやすということもそこには書いてあるわけでございますから、中央省庁改革法案そのものではありませんけれども、ワンセットでもってそういうことがなされていることは、やはりそれはお認めいただかなければなりません。  それからまたさらに、大くくり化することを集権というふうにおっしゃるのは、これは正しくないと思うのでございます。省庁を大くくり化するということは、省庁の再編成をだれがどのように考えても、どこかの省庁は省庁再編成ということが必要であるのかないのかということでいえば、私は、かつてこのさまざまな改革が議論されたときには、そのうちの一つの柱として、どなたもが頭の中には省庁の再編成ということは考えておられたような気がするわけでございます。  そうしたらば、そのくくり方がいいか悪いかは別といたしまして、いわゆるその縦割りの、細かく縦割りの、縦割り行政の弊害というものをどうやってブレークスルーをするかということは、やはり我々が中央省庁を考えるときにどうしても欠くことのできないアプローチであろうと今でも考えております。そういう意味では、私は今委員がおっしゃった見方というのは必ずしも正しくないというふうに思うのでございます。  それは前段のことでございますが、御質問の件は——財源のことです。失礼いたしました。税財源のことです。これは私は、今度の、きょう、今御審議をいただいております地方分権一括法案というもの、あるいは中央省庁改革法案でもって、地方分権に至る大きな仕事、やるべき仕事の大半ができているとはとても思わないわけでございまして、そのいわゆる入り口の扉をあけて、あけただけではなくて一歩踏み込んだ、あるいは二歩ぐらい踏み込んだというところだろうと思います。さらに大きな仕事がこの先に待っているという中で、最も重要なものがその税財源の再配分の問題だというふうに考えております。
  89. 岩國哲人

    岩國委員 先ほどの長官の答弁、先週のNHKで中継されておるときにもそれがありました。私はそのときに抗議しようと思いました。しかし、長官にも御家族はあり、後援会の方も見ていらっしゃる。私はあえてそのときは我慢しました。しかし、きょう繰り返すに及んで、私はあのときやはりこれを取り上げるべきだったと反省しております。全国の人に、こういう国会議員同士の議論が、やれプロパガンダと言われるようであったら、私ども、民主党の代表から、国会議員一人一人が、民主党の意見を代表して私はここで質問させていただいているわけです。それを、あの党の言うことはプロパガンダだ、この党の言うことはプロパガンダでない、そういう発言差別を私はしてはならないと思うんです。この点はこれからも御注意いただきたいと思います。  それから、財源の問題についてでありますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、まず金ありきとまでは言いませんけれども、財源の手当てをきちっとさせてから仕事をさせないと、元気も出てきませんし、社会の一般通念にも反すると思うんです。そして、長官も、これからやらなければならない大事な仕事の、一番その中でも大事なのはその財源の手当てだということをおっしゃいましたけれども、それならば、今度の法案で三年以内にきちっと財源について見直しをしますという条項を添えるべきではないでしょうか。この点について自治大臣、御意見ありましたら、自治体の立場からお答えください。
  90. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これは午前中の議論の中でも重ねて私からも御答弁申し上げたところでございます。  率直に申し上げて、全部ワンセットにして、今回、いわゆる仕事の役割分担あるいは財源の裏づけ、それからそれを担っていく自治体の行政体制の整備、全部完結してお出しできればこれは一番理想的でございますが、なかなかそこまで至らないという中で、恐縮でありますが、その中でまず役割分担に絡む部分を、それから行政体制の整備、こういったことを今回の中に主として盛り込んでおるということであります。  そこで、この財源面でどういうふうに手だてを講ずるかということについては大蔵大臣からも御答弁をいただきました。私もるる申し上げておりますので、多くの時間をこの問題で重ねることは避けたいと思っておりますが、岩國先生も経済に対しては非常に幅広い御見識をお持ちでございます。そういう意味で、税収というものが経済活動というものが前提で初めて成り立つものである、どういう課税標準を用いれば、どういう形で、どういうところから税収が上がってくるか、これは大体検討がつくことだと思っています。それには、やはりノーマルな経済活動ということが前提で初めてノーマルな税収というものが分析できるわけであります。今極めてアブノーマルな状況にある。したがって、今のようなアブノーマルな経済情勢が今後も続くんだという前提で、ここで国、地方の間の税財源の配分を組み立てるということは、私は必ずや大失敗のもとになるだろうという思いを持っております。  では、いつになったらそれができるんだ。では、いつになったら経済状況がノーマルになるんですか、ここが一番のポイントだと思います。この点は、私から何年、何年という、いわゆる計画的な形でいければ理想でありますが、民間が主導していく経済にどうやって今移行できるか、しかも、今まさに戦後初めてという未曾有の状況の中にあって、とにかく千二百兆を超える資産価格の下落があって、そういったこともあって大変呻吟しておる今日の状況、不良債権の処理の問題も抱えている、あるいは個別の企業においても徹底したリストラクチャリングに命がけになっている、そういう状況をどうやって早く脱出するかということに今みんなが必死になっている。  経済戦略会議で出されましたあの答申からいきますと、一応一つの経済再生へのシナリオが時系列的に表現はされております。それは、プラス成長をまず確実にすることであり、その次に、二%程度の成長を確実にすることであり、その次は、その安定成長をさらに民間が主役になった形での持続的な形にどう持っていくかということを言っておるわけで、今そういったことを念頭に置いた経済運営がなされていることであると承知いたしておりますので、そういったことを大体一つの頭の中に置いて、国、地方の間の税財源の配分のタイミングというのも出てくるのではないかというふうに考えております。
  91. 岩國哲人

    岩國委員 今がアブノーマルかどうかということについては議論の余地もいろいろあろうかと思います。私は、経済の世界に長くいた人間としては、これは確かに長官のおっしゃるようにノーマルな状態ではないと私も思います。  一日も早くノーマルな状態にする、それが我々国会議員の役目でもあり、また小渕内閣も、ことしは〇・五%のプラス成長、就任されたときは一両年中に景気回復をめどをつけるとおっしゃいました。ことしの十二月三十一日までです。そして、国際的な公約は、ことしはプラス〇・五、来年はプラス一・五ということであれば、来年の終わりまでにはほぼノーマルな状態に近づいてくるのであれば、三年以内に見直しをしましょうと。ことしの十二月までにと申し上げているわけではなくて、三年以内に見直しをしましょうという条項は、地方自治体を安心させ、関係者を納得させるために、決して非常識な要求を、修正要求を民主党はしているわけではないわけです。  地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるような、そういう国と地方公共団体との役割分担に応じた実効性のある地方税財源の充実確保策を検討し、三年以内に法制化を図る旨を明確化することを要求して、次の質問に移りたいと思います。  次の質問も自治体の自立度についてでありますけれども、今、市町村別の国税と地方税の税収内訳というデータは、資料はどこの官庁にありますか、お伺いします。
  92. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今、通告なしの御質問なので私もちょっと戸惑っておりますが、ただ、私が今ここで申し上げるのは確定的に自信を持ってお答えできることではありませんが、私も長年税の関係もやってきた経緯がございますが、そういう感覚からいいますと、市町村ごとの国税の額というのはわからないと言う方が適切であると思っています。
  93. 岩國哲人

    岩國委員 自治大臣のおっしゃるとおり、わからないんだそうです。これは国税庁にも自治省にもないということは前から指摘されておりますね。にもかかわらず、ここの委員会では、自治大臣答弁に代表されるように、自分のことは自分でやれ、そういう表現でおっしゃいました。けさ、午前中。まさにそれこそ地方自治の精神であります。  しかし、自治体の長たる者は、自分のところからどれだけ税金が出ているのかもさっぱりわからないで、つまり経営指標も与えられないで、社長として責任のある仕事をやれと言われているのが今の状態なんです。つまり、情報公開と言うならば、地方自治体の経済状況、地方自治体の経営指標ぐらいはしっかりとそろえてそれぞれの自治体に渡さなかったら、社長も副社長も務まらぬじゃないですか。どうやって活力を上げた、下げたと。国税と地方税の出方、そういう統計というものがなければ、また、あったらちゃんと各市町村ごとにそれを渡さなければ、どうやって経営目標を立てることができるのか、経営成績をみずから判断できるのか、議会は、住民は、あるいは県庁は。  これについて、そういう資料は存在しないということについて、自治大臣はどう思われますか。
  94. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 正確なデータは難しいのかもしれませんが、これはむしろ、自治省がそろえて自治体に提供するという性格よりか、例えば市町村民税はまさに市町村が課税者でございます。その情報は市町村は把握できておるわけであります。そこから大体類推して、所得税全体が入ればどれくらいになるであろうかということは、計算は、おおよその概算は推計はできるかもしれません。あるいは事業税について都道府県は、まさにこれは都道府県税でございます。それから、法人住民税に関する、これも都道府県分と市町村分があるわけであります。そういった意味で、本当にそこまできちんと把握したいということであれば、努力すればかなりの確率で、データは自治体がみずから調達することは不可能ではないというふうに私は思います。  ただ、そうしたところでも、それを、じゃ自分で、自分勝手に課税権を行使できるかということになると、そこにはおのずからやはり法律の範囲内という制約もあるでありましょうし、条例制定権というのはおのずから限界がある。こういうようなことがあるので、あえてそこまでやることのメリット・デメリット論という中であるいは御判断になっているのかどうかよくわかりませんが、基本的には、やろうと思えばかなり近いデータを把握することは可能ではあるだろうというふうには思っています。
  95. 岩國哲人

    岩國委員 これは企業経営についても言えることでありますけれども、正確な経営指標を持たなければ経営者としての責任ある経営戦略も立てられない、そして自分の成績も自己評価することもできないわけです。これから地方の時代、地方自治の時代、地方分権とおっしゃるのであれば、まず基礎的なデータはきっちりと整備してそれを各自治体に渡す、これは国としてやらなければならない最低の義務じゃないでしょうか。財源も渡さない、それから経営指標のきちんと整理したものも渡さない状態で、目隠しをしたままで、ポケットは空っぽで、それでどこかへ向かって走って行けと。それは極端な言い方になりますけれども。  自治大臣、私は、これは自治省として当然、分権の時代と言うのであれば経営指標ぐらいはちゃんとつくって整理する。その経営指標に基づいてそれぞれの経営者感覚でこれからの行政改革をそれぞれの地方自治において実行しなさいと。コストを下げる、そして利益を上げる、活力を上げて税収を上げる。こういう目標がなかったら、全国三千三百の市町村長は何をやっていいかわからない。そして、数字がありません、数字が不正確でありますということを言いわけの材料にされてしまうだけなのです。必ずそれを実行していただきたいということを要望して、次の質問に移らせていただきます。  地方議会の活性化ということが言われております。その地方議会活性化のために議員定数の上限を定める、これは何人もの委員によってこの委員会で取り上げられてきたことであります。私も取り上げました。自治体にいた者として、私はこの条項だけはどうしてもおかしいと思うんです。この五年間にどこかの地方自治体で、合併なしに議員定数をふやした地方議会がありますか。お答えいただけませんか。専門員の方でも結構です。
  96. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  突然のお話でございますので手元に資料を持ち合わせておりませんが、都道府県議会の中で少なくとも一つの県において議員定数をふやした、近年、ここ二、三年の間でふやしたところがあると承知をしております。
  97. 岩國哲人

    岩國委員 それはどの県か私はよく存じ上げませんけれども、地方議会の議員定数というのは、この五年間を見ればもう圧倒的に、大臣も局長も御承知のように、下げる方が圧倒的です。どこの自治体でも定数削減に努力し、三十六を三十に、三十を二十八に、みずからの努力で定数削減はしてきております。  私は、定数削減だけがいいやり方だとは思いません。場合によっては定数を大幅にふやす、大幅に議員がふえるからこそ身近に感じて、地方自治をもっと身近に感じる、こういう時代でもあろうかと思います。したがって、私は、地方自治体というのは、まさに地方自治体の根幹をなす議会の構成そのものぐらいは、住民と地方自治体を一遍思い切って信頼して、野放しにやらせてみたらどうでしょうか。こういうところから私はおもしろさが出てくると思うんです。  場合によっては、アテネやギリシャの時代みたいに、住民全部が議員だ、それぐらいになれば責任感も意識も随分変わってくるでしょう、ああ、地方分権というのはこういうことなんだと。  一番わかりやすいのは、議員の数を場合によっては思い切ってふやしてみる。隣のおじさんも、うちのおじいさんもみんな議員だと。当然それは減らしていきます、コストとかやり方とか効率で。そこで考えさせるのです。それぞれの自治体のやりいいように、思い切って投げ出して、さあ、あんたたちのやりたいように、上限なし、青天井。この市は二百人、隣の市は五十人。それをみんな住民が見ながら、どういうやり方が議会として一番いいのかなというのを考えさせる、それが私は一番いいやり方だと思うのです。  国として金を使わないで、そして大きなブレーンストーミングを全国に巻き起こすためには、議員の定数は自分たちで勝手に決めなさい、国は一切何も言いません、これぐらい明るい、そしてはつらつとしたメッセージはないのじゃないでしょうか。それをまだ、地方分権といいながら、自治体ごとに、やれ人口は幾らだったらこれぐらいで上限にしなさい、ああしなさい。それはもう小さな親切大きなお世話だと私は思うのです。本当の親切がしたかったら、私は、小さな親切より大きな親切、野放し、青天井にすることだと思います。したがって、あの条項は削除すべきだということを要求します。  総務庁長官あるいは自治大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  98. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 住民自身の、あるいは自治体自身の自己規律ということに全幅の信頼を置いて、すべて試しにやってみろというお考えもわからぬのではないのですけれども、しかし、なかなか自治大臣として、試しにやってみろということは、これは言えません。  そこで、分権の先進国と言われる海外は一体どういうやり方をしているのであろうかと思って、いろいろ見てみるのですが、我が国が市制あるいは町村制の制定に当たって参考にしたのはドイツだ、こう言われておるわけですが、このドイツでもそうなのです。それから、ミッテラン政権によって地方分権化が進められたフランス、それから直接民主制の進んでいるスイス、さらにはイタリア、いずれにおいても、我が国同様、国法または州法において人口区分に応じた市町村議会の定数が定められているというのが現実。それから、地方自治の母国と言われるイギリスですが、このイギリスでは、我が国の政令に相当する枢密院令というのがあるようですが、これは地方自治法に基づく枢密院令、これでは、むしろ各自治体ごとの定数を個別団体ごとにこの枢密院令で定めているというようなこともある。一方、アメリカでは、州によってそれぞれ取り扱いが異なっていることはもう御案内のとおり、みずからその辺は体験しておられることだと思います。  なかなか、この点は難しい部分もありまして、そういう点で、今まで、基本的に法定主義、議会の定数を法律で定めておった。ただ、例外的に、みずから減数条例でやりますというところはその減数条例で定数を決めてよろしい、こうなっていた。今回は、それを上限というやり方で、すべての自治体は、みずからの議会の定数を条例で決めてもらわなければならない。今までは、条例で決めなければ法定の定数が現実に行われる、それを条例で決めてもらうということにしたことでも、私は一歩前進、自治権というか自主決定権ということに一歩前進しているのではないかと考えております。
  99. 岩國哲人

    岩國委員 そういうものをこの地方分権推進しようというときにまだ残して、そして、これ以上超えてはならない、これ以下で勝手に決めることはできますよと、いかにも思いやりのように条例をつくるということは、私は、一歩前進二歩後退だと思っております。  そういう地方分権の実を上げようとするのであれば、地方自治は民主主義の学校、一番身近な議員さんの数を見ながら、思い切って数を大きくしてみたり小さくしてみたり、自分たちの町や市に一番ふさわしい議会はどうあったらいいのかな、これが私は一番わかりやすい、目に見える民主主義の勉強だと思うのです。  日本の民主主義は、残念ながら、それは各大臣の答弁にもありました、マッカーサーの時代にできたものだ、なかなか根づかない。しかし、本当の民主主義は、二十一世紀とともに手づくりの民主主義が地方から発進したんだ、あの民主主義はマッカーサーがつくったんじゃなくて野田自治大臣がつくったんだと言われるような、思い切ったことをされたらどうですか。  そして、いろいろな議論があります。お金のかかる議論もある、難しい議論もあります。私は、この条項を外すことだけはぜひ実現してもらいたい。自民党の皆さんにもぜひ協力していただきたいと思います。こういう議論を通じてそういう案を変えることもできるのが国会なのだというふうなわかりやすいメッセージ、これも民主主義の一つでしょう。私は、地方分権の上から、あの条項はぜひ削除していただきたいということを要望して、最後の質問に移らせていただきます。  次に、首長の多選禁止についてであります。  いろいろな意見がここでも交換されましたけれども、そうした知事、市町村長というのは、これからは非常に大きな権限を持たされる。持たされるがゆえに、アメリカの大統領あるいは韓国の大統領、フランスの大統領は、どういう思想で禁止されているのか、それぞれのお国柄、歴史、またその時代というものもあろうかと思います。人権思想のお手本のようなアメリカとかフランスでも、そうした大統領の任期というものは、職業選択の自由とか一般通念とはまた特別な考えで、それがきちっと制限されておる。アメリカの州法で、二十六の州が既に国会議員の任期についても、十二年とか十五年とかいろいろな制限を入れて、二十年も二十五年も三十年も国会議員を同じ人が務めるということができないように、各州で次々と法律ができてきておる。  そのような時代の中で、各市町村長、知事、そういう中に、四期も五期も六期も七期もずっと続けるということでは、これは議会との関係においても、議会がとかく小さな存在になるのです。大臣も長官も全国各地をお歩きになって、多選の知事や市町村長のところでは議会の影響は非常に小さくなっている、これは見てこられたことだと思います。  住民の意見を代表する議会が輝き、存在感を増すためにも、私は、首長という判こを持つ、執行権を持つ人の任期というのは制限すべきだと思います。土地の権利でも、公益の観点からは制限されなければならない。民主的で透明な行政を保障するために、私は、多選制限が必要だと思います。特に、市町村長の場合には、今までも、そしてこれからはもっと強い権限を持つことになります。一人の人がその地位を長期に占めるということは、精神的にもある種の不道徳だと私は思っております。  そして、意欲と能力があっても挑戦できないことは、それらの何人かの、あるいは多くの候補者たちの職業選択の自由を奪っていることに結果としてなっているかもしれない。一般民間企業でも、会長や社長が長期にわたって同じポストを占めていたところには、長期信用銀行だけではありませんけれども、非常に業務が停滞し、癒着、腐敗、いろいろな問題が起きていることは、民間でもございます。  住民の生活や公益に関係のない民間でもそうでありますから、ましてや、最大のサービス産業、人生の最初から最後まですべてに関係し、すべての人にサービスを提供する立場にある首長が、十五年も二十年も二十五年も同じ場所にいるということについては、私は、これからの健全な地方自治、健全な地方の民主主義の発展のためには障害になると思います。したがって、多選禁止条項をこの地方分権推進の中に入れるべきではないかと思います。  平成元年、私は市長に就任して、市長というポストに全く関心のない三十年を過ごしておりました、しかし、なった途端にすぐにわかりました。その地位がどれだけ誘惑の対象になっているかということがすぐにわかりました。私は、酒にも女性にも金にも権力にも、すべての誘惑に弱い男です。私は自分のことはわかっています。だからこそ、こんな地位にいつまでもいたのでは、これは大変なことになると、私は自分で自分を縛ることにしました。そして、私は、二期目も、四年以内にやめるということを議会の了解も得て、二期目は出馬をしまして、そして途中で退職しました。酒の対象にだけは私は毎日負け続けました。しかし、ほかの誘惑にだけは負けることはなく、六年間で私の仕事は終わりました。  私のように誘惑に弱い首長は恐らくほかにもいらっしゃると思います。そういう人が過ちを犯さないためにも、優秀な人は、優秀であるからこそ短い期間にいい仕事ができるはずです。いいものは長もちする、何も自動車や冷蔵庫を買うわけではありませんから。いいものであれば、短い期間にいい仕事をやって、さわやかに交代する、それが私は地方行政の長たる者の通常感覚ではないかと思います。  この多選禁止について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  100. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 多選禁止、現在の法律制度では、御承知のとおり、これは公職選挙法第十条それから第十一条で、衆議院議員、参議院議員それから都道府県議会の議員、都道府県知事、市町村の議会の議員、市町村長についての被選挙権についても規定をいたしておるわけです。これは、年齢要件そのほか、禁治産者等々、刑を云々とか、こういうことを規定しているわけです。そういう意味で、条例においてこれを自由に定めるということはできないという仕組みに今はなっております。  そこで、では公選法を改正して多選禁止を、つまり多選禁止というのは被選挙権の制限ですから、公選法を改正して被選挙権の制限を条例にゆだねることができるのかどうかということについては、これは一つの視点だろうと思います。  これは率直に申し上げてなかなか難しい問題がありまして、独裁政治がいいのかどうかという、これはプラトンの哲人政治が理想だと言う政治学者もある。しかし、人類の長年の知恵の中で、やはり権力は腐敗を生む、そういう中から代表民主制という形が生まれてきたというようなこともあり、多選というものがなぜ論議されるか、それは、各国において多選禁止が行われているのは、まさにそういったことが背景になっているのだろう。  ただ、今日、白地に絵をかくという現実ではございませんで、血の通った人間が現に該当する人もあるという事態の中でこれをどう取り扱うかということでありまして、論理と同時に、実に政治的な世界でもあるわけであります。  そういった点で、この点については、各党それぞれいろいろ問題意識もお持ちでございますから、そういう意味で、政治レベルというとなんですが、各党間でこの問題についてさらに詰めた御議論をいただくなら大変ありがたいというふうに考えております。
  101. 岩國哲人

    岩國委員 前向きの御答弁をいただいて、大変ありがとうございます。  私は、こうした法的な議論の余地もあろうかと思いますけれども、これから、地方分権の時代、権限、財源、人間、組織を全部持った大きな権力者がそれぞれの小さな地域に生まれようとしているときだけに、小さな地域の大きな大統領、そのような存在がこれから生まれた場合に、それが腐敗や癒着や汚職の温床にならないように早目に手を打つ、それが政治家としての知性であり、英知であると私は思います。  したがって、職業選択の自由ということとの抵触もありますけれども、そこは各国のいろいろな例を見ながら、早目早目に手を打っていかないと、十年たったらまた、いろいろな該当する人が多過ぎてとてもこれはできませんと、同じことをいつまでも繰り返すということになるんじゃないですか。権限を渡しましょう、しかし権限を受け取る人はきれいでなければならない、それを明らかにするためには、きちっとしたルールをつくりましょう、桃栗三年、知事八年、市区町村長十二年、柚の大ばか十三年という言葉が昔からありますけれども、柚の大ばかと言われないように、やはり十二年以内に、きちっとそのようにさわやかにルールを決めるということは必要でないかと思いますので、ぜひこれは前向きにかつ早急に検討し、そしていつでも、内閣の提案でも議員の立法でもできるような方向に持っていかなければならないと思います。  また、地方議会についてきょうは多々質問させていただきましたけれども、平成十五年から施行されるという市町村合併に伴っての議会のこれからの身分について、私は、先週も要求いたしましたけれども、あの法律は、平成十五年を待つことなく、来年の四月一日から同じように施行すべきであると思いますけれども、再度この点について、大臣としても、これは検討しなければならないという御答弁をいただいておりますけれども、どういう御意見なのか、来年の四月からこれを同じように施行することはできるのかどうか、答弁お願いいたします。
  102. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 特に地方議会の定数に関連して、すべての自治体で、みずからの条例で定数を定めるということになるわけでございます。そういったこともありまして、次回の統一地方選挙から適用するということを念頭に置いた規定にいたしております。
  103. 岩國哲人

    岩國委員 市町村合併というのは、統一地方選挙に合わせて行われるということには必ずしもならないわけです。ですから、平成十五年ということを待たないで、もっと繰り上げる。大臣も、新進党のときに、総選挙のときには、市町村合併で三百にという具体的な数字を挙げている。行政改革のために早くこれをやらなきゃいかぬ、地方分権のためにも、そうした観点から何か。
  104. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 この法案施行期日は、公布と同時に施行するものもあれば、来年の四月一日施行のものもあれば、今言いましたようなその後における施行を予定しているものもございます。そういった点で、今御指摘の市町村合併に関しましては、それはもちろん平成十五年を待つことなく直ちに準備に取りかからなければならない事柄でございます。
  105. 岩國哲人

    岩國委員 先ほどの答弁の中で、そうした多選禁止を各自治体の条例で決めるということについては、法的に問題があるという御答弁だったと思いますけれども、しかし、統一地方選挙、この四月に行われました。全国のいろいろなところで、多選禁止を掲げて、当選したりあるいは当選できなかった方もありますけれども、自分が市長になったら、区長になったらそういう条例をつくりますと。そしてその中には自民党の推薦もあれば民主党の推薦の候補者もあります。これは自治省として、できもしないことを公約として掲げさせたということについてはどういうふうにお考えになりますか。
  106. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 候補者がどういうことを公約に掲げるか、その内容について一々自治省がこれはいいとか悪いとか言うわけにまいりません。そこは住民自身が、その実現可能性はどうなのか、あるいはそれが自分の権限の範囲でなくて、国の事柄であったとしても、あえてそれを国に働きかけて、自分の公約を実現するような努力をされるのかされないのか、さまざまな後の対応の仕方があろうかと思います。
  107. 岩國哲人

    岩國委員 そのために選挙管理委員会があるんじゃないですか。選挙管理委員会に選挙公報というものをちゃんと出して、そこで内容的にもいろいろ審査されるわけでしょう。これが公序良俗に反するとかいろいろな問題があるとか、できもしないことを掲げて、これは無知な有権者を結局だます結果になるんじゃないかとかいうおそれについては、それをチェックするのが選挙管理委員会の仕事でしょう。  今、大臣のおっしゃったように、できもしないことでも、できるかできないかは有権者が判断されるからそれで結構ですというのは、私は、余りにも有権者の知識レベルを高く評価し過ぎていると思うのです。例えば市役所の助役をした人がそれを掲げていれば、ああ、あの助役さん、三十年も役所の中におって立派な仕事をされた人、そういう人が掲げていらっしゃるんだから当然これはできるものだ、法的には問題がないものだと一般の人は思い込んでしまいますよ。それが一般の知識じゃありませんか。それを選挙管理委員会で、あるいはどこかの、自治省の方からのある程度の警告なり、注意なり、指導なり、できもしない条例をできるかのように各選挙民に訴えることについては問題がありますよぐらいのことは、一言おっしゃったらどうですか。
  108. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 選管がチェックをするとか、地方自治体の首長さんなり議会の議員の方々の具体的な個別の公約に関連して自治省が口を挟むということは、私は逆に、厳に慎むべきことであると考えております。それは、国会議員の選挙における公約において、では、中央選管がくちばしを入れていいかということになるわけでございます。ですから、私は、やはり選挙に関しては、厳に自治省としては、地方自治体自身の、住民の選択にゆだねるべきことが基本であるというふうに考えております。
  109. 高鳥修

    ○高鳥委員長 岩國君、時間が来ておりますので。
  110. 岩國哲人

    岩國委員 新進党の減税ができるかどうか、そういったことについては、経済的な問題であり、政権がどうするかという問題ですけれども、今私が伺っているのは、現存する法律とどう抵触するか、整合性があるかという極めて限定された、しかも判断の容易なことについてお伺いしているのです。それを、判断が難しい政治公約や、あるいは総務庁長官お得意の政治的プロパガンダだとか、そんな領域まで広げてしまうと、これは選挙管理委員会は干渉すべきではないということについては私も同感であります。  質問を終わります。
  111. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、中桐伸五君の質疑に入ります。
  112. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐です。  ちょっと夏風邪を引きまして、医者の不養生じゃありませんが、ちょっとお聞き苦しいところがあるかもしれません。御容赦ください。  前回の質疑で、委員長の資料提供という形で裁定をいただきまして、実は資料を提供していただきました。その資料提供の内容を含めまして、都市計画法第十八条の三項、四項に関する質疑から引き続き行いたいと思います。  委員長の裁定でいただきました建設省の資料を見ましたけれども、どうも前回の質疑が、質問する方も、より明確な答弁を引き出すような形の質問にややなっていないところもございまして、実は答弁される方もやや混乱をされておるところもございます。そういうことで、きょうは、建設省からいただいた文書もまだそこの整理がついておりませんので、その質疑の内容から入りたいと思います。  要するに、前回の私の質疑のポイントは、都市計画に関して国が都道府県あるいは市町村に関与するに当たっての規定、どういう条件で関与をするのかという問題でございました。そのときに、都市計画法の十八条三項というのは、都市計画の中でどんな都市計画、つまり関与の対象となる都市計画は一体どういうものなのか、これを規定しているのが十八条三項であります。そこで、十八条三項で規定をしている都市計画について、国と地方の間でどういう調整を行うかという調整の観点を示したのが十八条の四項であります。前回の質疑の中では、大臣の方からこの問題について建築基準法のところから答弁をいただいたり、要するに大分混乱がありました。  そこで、ここではっきりさせたいのは、まず十八条三項と十八条四項、それぞれ別個に質疑をしたいと思いますが、要するに、都市計画法の十八条三項というのは、都市計画の規定の中で、「国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画」というところが争点になったわけであります。そこで私の方からは、国の利害というのはどうも余りにも規定が大き過ぎるのではないか。分権推進委員会の第二次勧告では、「都道府県の区域を越えた」——ごめんなさい、ここで私がこういう質問をするから混乱をしたわけであります。  都市計画中央審議会というのがございます。これは建設大臣の任命した委員によって構成されている審議会です。これが平成十年一月十三日段階で、第一次答申ということで「今後の都市政策は、いかにあるべきか」ということで出している答申で、都市計画の見直し基本方向として、次のような計画についての具体的な規定がございます。  読み上げますと、「人口及び行政、経済、文化等の中枢的な諸機能が集積し、その影響が都道府県の区域を越えて広域化している地域における広域的・根幹的な計画」並びに「国土政策や国の利害に特に重大な関係がある計画」という形で、実は前回、私が分権推進委員会の第二次勧告として、調整の観点として挙げていた具体的な観点、つまり「都道府県の区域を越えた広域的観点」あるいは「国土政策や国の利害に特に重大な関係がある場合の国家的観点」という、観点の内容を示す文言が、実は計画のところに具体的に示されている。これが、大臣が任命して都市計画の審議をする審議会が平成十年一月十三日に答申を出している内容でございます。  したがいまして、私の主張といたしましては、この「国の利害に重大な関係がある」という文言を、先ほどの審議会でも取り上げているように、具体的に広域的、基幹的、根幹的というかそういう計画、あるいは国土政策や国の利害に特に重大な関係がある計画という表現にした方が、分権推進委員会や、ひいては分権推進計画の示している内容に最も沿ったものだ。  しかも、本会議で、この地方分権推進一括法に対する質疑の中でも小渕総理大臣は、「今回の地方分権一括法は、第一次から第四次までの地方分権推進委員会勧告最大限尊重して作成した地方分権推進計画に基づくものであり、同一の趣旨、目的を有するものであること、」という答弁を明確にされているわけであります。  したがいまして、私は強くこの問題について、一般的に国の利害というふうに表現するのではなくて具体的に表現すべきだと、もう一度主張をしたいわけでありますが、いかがでありましょうか。
  113. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先般いささか混乱がございまして、その後るる検討もいたしまして、一言で申し述べますれば、先生先ほど御指摘のように、国の利害に関するという言葉で表現をしておるが、市町村間の広域の調整という言葉、第二次の地方分権推進委員会から書かれておることをなぜ入れないのかということでございます。  このことにつきましては、都市計画法改正案の今御指摘がございました第十八条第四項の規定ぶりが地方分権推進委員会の第二次勧告に盛り込まれた内容を的確に反映したものとなっていないという御指摘でございます。  今回の地方分権推進に関する論議は、地方公共団体に対する国の後見的な関与をいかに排除するかということから始まったものと理解をいたしております。そして、地方分権推進委員会での論議も、こうした観点から十分に審議が尽くされたと聞いておるところでございまして、そういう状態のもとで勧告を取りまとめていただいたものでありますが、国の後見的関与を排除するためには、関与の視点を明確化することが必要であり、これは国でなければできない視点に限ることが必要であります。そして、それが結局また国の利害に尽きるというものと考えております。  今回の都市計画法改正においても、こうした視点に立って法制的な検討を重ね、文言上の整理を行ったところでございまして、今回の措置により、「国の利害との調整を図る観点」という国の関与の視点を明確化することで勧告の趣旨は全うされておる、あるいはまたその中に含まれておるというふうに理解をしておるわけでございます。  先生御指摘のように、広域的なという言葉が入っていないではないかという御指摘でございますが、確かにその言葉自体は入っておりませんが、この「国の利害との調整を図る観点」という中にそのことが含まれておるということが第二次の勧告論議の中でも論議がされたというふうに伺っておるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  114. 山本正堯

    山本(正)政府委員 御答弁させていただきます。  先日、先生から御指摘をいただきました際に、若干私どもの方も混乱をしたことについて、大変おわび申し上げたいと思います。  ただいま大臣から御答弁をさせていただきました点につきまして、若干補足して説明させていただきます。若干長くなるのは恐縮でございますが。  現在の都市計画制度では、原則として、都市計画は地域に密接した基礎的な自治体である市町村が、県との調整を経て決定するということが基本であります。都道府県は、例外的に、広域にわたる都市計画や根幹的な都市計画に限って定めることというふうになっておるわけでございます。  この都道府県が定める都市計画のうち、国の利害に重大な関係があることから都道府県と調整を図るべき一定の都市計画に限りまして、国との調整が行われるということになっております。例えば高速自動車国道を例にとりますと、都道府県が国との調整を経て決定するということになっております。この際には、国は、全国的な幹線道路網の整合的な整備が実現されるかどうかといったような視点から都道府県との調整を図る、こういうわけでございます。  今回の質疑におきまして論点となりましたのは、先生御指摘のとおり、地方分権の趣旨に照らしまして、都道府県が都市計画を決定するに当たりまして国と都道府県が調整を行う際の視点を、条文上明確にして、後見的な関与を排除すべきである、こういう御趣旨であったかというふうに思っております。その際に、地方分権推進勧告等で広域的な観点というような文言があった、こういうことでございます。  都市計画法の改正案の十八条は、都道府県の定める都市計画に対する国の関与を定めておるわけでございますが、先生先ほどおっしゃいましたように、その第三項で、国土政策上の観点や全国的な視点に立って国として関与すべき必要性が認められるものとして、二つの項目について規定をしております。  すなわち、具体的には、一つは、三大都市圏等国土政策上重要な地域に係る都市計画のうちの一定規模以上等のものが一つでございます。それからもう一つは、全国的な観点で整備される、例えば、先ほど御説明申しました高速自動車国道等の国の利害に重大な関係のある都市計画。この二つに限定をいたしまして、これらの点について国の同意つき協議を求める、こういうことでございます。  これに対しまして、先ほど先生御指摘の第二次勧告は、この制度構成を前提といたしまして、都道府県の区域を超えた広域的観点、国土政策や国の利害に特に重大な関係がある場合の国家的観点、視点という、国の関与の視点を明確にすることを求めたものでございます。確かに、先生御指摘のように、「都道府県の区域を越えた広域的観点」という言葉が入ってございます。  この趣旨は、私ども、単に都道府県の区域を超えた広域的観点からの調整が必要であるということではなくて、国でなければできない、すなわち、国としての政策上の観点から整合性を保って調整していく必要がある、すなわち、国の利害そのものとの調整ということに限ることによって、国から都道府県に対する後見的関与を排除していこうということを、明確に四項で規定しようということであろうというふうに理解をいたしております。  したがって、このような趣旨から、今回の改正法十八条四項では、国の利害を離れて都道府県を超えた広域的観点のみを調整の視点とする関与はあり得ないという趣旨を踏まえまして、「国の利害との調整を図る観点」という文言に整理をいたしまして、国の関与の視点を明確にしたものでございまして、国の関与の視点を追加するといったようなものではなく、関与の視点を明確化したということでございます。  その際、「国の利害との調整を図る観点」との文言が大変抽象的ではないかというような御指摘も前回いただきました。国の利害の内容は、先ほど申し上げましたように、一つの高速自動車国道等を一部の地域で都市計画決定するといったような場合には、全国的な観点からの、高速自動車国道のネットワーク、道路政策、道路ネットワーク政策としての国としての観点からの整理をする、こういうことが必要であるといったような、国の政策との調整を図ることを意味するものであって、網羅的に定めることは大変難しいということであろうかというふうに思っております。  以上でございます。
  115. 中桐伸五

    中桐委員 長々と説明いただいた割には内容がない。  私は、結論を申し上げないと次の重要な質問項目にまた行けないものですから。  今回の法改正では、十八条三項にはそういったところの改正が含まれておりませんね。既に従来の都市計画法の中に「国の利害に重大な関係がある」という文言がありまして、既にそういう文言は入っておるわけですね。問題は、十八条四項が新たにつけ加わったわけですよ。  そこで申し上げたいんですが、十八条三項、既にあった文言でも、「国の利害に重大な関係がある」という「重大な」という文言があるんですよ。ところが、十八条四項は、もっとひどい規定になっておりまして、「国の利害との調整を図る観点から」と。言ってみれば、さらっと国の利害だけになっちゃっているわけです。  だから、私が申し上げたいのは、十八条四項を、分権推進委員会勧告規定し、そしてまた計画でも規定しているように、もっと具体的に、広域的観点と国土政策と、そして国の利害に特に重大なという文言を入れてくれと。修正すべきだ、改めるべきだと言っているんですよ。十八条四項の観点の中を修正すべきだ。  その点について、もう長々とした答弁は結構ですから、はっきりとしたお答えをいただきたい。
  116. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今の時点におきましてそういう文章を改めて書き込むということよりも、よりもと申しますより、先ほど述べさせていただきましたように、その言葉の中に先生が御要望されている意味が含まれておる、法律はそういうことではだめだという御指摘を頭から否定するものではありませんが、そういうものが含まれておると理解をしていただきたいと思います。
  117. 中桐伸五

    中桐委員 私が言っている内容はこの国の利害というところに含まれていると言うのですが、先ほど、前回から含めて私が問題にしているのは、法定主義というか法令主義という観点で新たな国と地方関係規定し直すというのが今回の法律基本的な、一番重要なポイントですから、そういう意味からいって、含まれているということであるならば、そこはやはり、小渕総理も本会議で答えられているように、分権委員会勧告やあるいは推進計画の趣旨に最大限沿ってという方向を、この際英断してやるべきだ、私はそう思います。  そういう点で、十八条四項を、広域的観点及び国土政策並びに特に重大な国の利害という三つのキーワードを具体的に盛り込んだ修正を真剣に考えるべきであるということを申し上げ、これ以上やっておりますとまた堂々めぐりになりかねませんので、次の、直接執行に関する問題、つまり、都市計画法の中の二十四条の問題に移りたいと思います。  今回の都市計画法の改正では、いわゆる直接執行という形の条文が二十四条に盛り込まれているわけであります。具体的には二十四条の第一項と第四項が関連をしてくるわけでありますが、この二十四条の第一項と第四項を中心に、次に質疑をさせていただきたいと思います。  都市計画法の第二十四条というものの第一項は、「建設大臣の指示等」という項目の第一項でございます。「建設大臣は、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、都道府県に対し、又は都道府県知事を通じて市町村に対し、期限を定めて、都市計画区域の指定又は都市計画の決定若しくは変更のため必要な措置をとるべきことを指示することができる。この場合においては、都道府県又は市町村は、正当な理由がない限り、当該指示に従わなければならない。」こういう規定が第一項であります。  そして、第四項は、「建設大臣は、都道府県又は市町村が」、先ほどの指示をしたことに対して、「所定の期限までに正当な理由がなく第一項の規定により指示された措置をとらないときは、正当な理由がないことについて都市計画中央審議会の確認を得た上で、自ら当該措置をとることができるものとする。ただし、市町村がとるべき措置については、建設大臣は、自ら行う必要があると認める場合を除き、都道府県に対し、当該措置をとるよう指示するものとする。」  つまり、この第二十四条の一項と四項は、まず建設大臣が直接指示をする、まあ直接執行するという規定だと思います。この指示を出す前提は、「国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、」これが条件であります。  さて、分権推進計画の一般ルールといいますか基本的な観点として、「国の直接執行」という項目を見てみますと、「自治事務として地方公共団体が処理する事項に関し、その性質上特に必要があるものについて、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、国は、法律の定めるところにより、直接事務を行うことができる。」となっております。つまり、分権推進計画、閣議決定されたものでありますが、この直接執行の条件は、「国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、」となっている。  さて、都市計画法は、「国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、」こうなっております。これは、既に従来あった都市計画法をそのまま生かしている。しかし、これは、分権推進計画、つまり閣議決定をした、小渕総理最大限尊重すると言っているこの計画の文言に変えるべきだと私は思いますが、なぜ国の利害というものをそのまま残したのでしょうか。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  118. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 都市計画法第二十四条は、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときには、建設大臣地方公共団体に対して都市計画の決定等の指示を行い、その指示に従わない場合には、都市計画中央審議会の確認を得て直接執行を行い得ると規定されているところでございます。  これは、国土政策、環境政策など、国が責任を持って実施すべき政策の実現を図る上で必要な都市計画の決定等を地方公共団体が適切に行わない場合も想定され得るところから、これに備えて措置されているものでございまして、本条のこの考え方につきましては、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合に限り法律の定めるところにより直接執行を行い得るという地方分権推進計画の考え方と、違いはないと認識をいたしております。
  119. 中桐伸五

    中桐委員 実質的には分権推進計画の直接執行の考え方なのだという建設大臣のお答えと承ってよろしいですね。  では、表現として「国の利害に重大な関係がある事項」そのものを残された理由を説明していただかないと、わからないのでありますが。
  120. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この二十四条一項の「国の利害に重大な関係がある事項」とは、国が責任を持って実施すべきさまざまな政策でございまして、「必要があると認めるとき」とは、都市計画の決定等が適切に行われなければ国の政策の実現に重大な支障を来すおそれがある場合、例えば、国土の骨格を構成する高速自動車国道等の都市計画決定が一部の県において行われないような場合のことも想像をいたしております。  そして、「国の利害に重大な関係がある事項」は、国土行政を初め環境行政など国の行政分野全般に及ぶものであり、国の利害に重大な関係がある事項とない事項に改めて区分することは大変難しいと思っております。必要がある場合についても、その時々の経済社会情勢のもとで、具体の事案に即して、対象とする都市計画の内容と国の政策の関係を個別に判断していくことが必要でありまして、前もって基準を定めるということは非常に難しいと考えております。
  121. 中桐伸五

    中桐委員 国という表現と国民の利益という表現、国の利害と国民の利害というか、そういう表現とも関係するのかもしれません。そういう表現、緊急の必要がある場合というのは、特に直接執行するほど緊急かつ重要、そういう意味が含まれているんだと思うんです。いわゆる自治事務にしたけれども、国がやはり関与しなきゃいけないことがある、それは、国民の利益に非常に関係が深い、緊急性もある、そういう問題だというんですが、国の利害というのにこだわるのは、国民の利益という形で国の利害が表現できないということですか。そこをちょっと教えてもらいたいんです。
  122. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 国の利害と国民の利益、利害というのは、先生、すべてがすべて合致するものではないと思うわけでございまして、やはり、国民という個々人的な感覚で見ますと、考えたことと国の全体としての利害というのは、いささか違いがあるんではないかな。そういうときに、したがって国の利害に関する場合には国が直接執行をするというふうに私は判断をいたしております。
  123. 中桐伸五

    中桐委員 この問題は非常に重要なところなんですが、この問題、ここで結論という形をすぐとるには時間がややかかると思いますので、次の質問をやりながら、また時間があれば戻りたいと思うんです。  ただ、この直接執行の場合、国土利用計画法十三条一項にも「国の立場から特に必要があると認めるとき」という文言がございますし、それから、土地区画整理法という法律の三条四項にも「国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で」という文言がございますし、それから、先ほどの都市計画法には、もう「国の利害に重大な関係がある事項」という表現があるとおりであります。  つまり、相当広範囲に国の利害というものに関係のある文言が入っておりますので、ここは単なる都市計画法だけの問題ではないということで、先ほど、国の利害というのは国民の利益を保護する緊急の必要がある場合を意味しているんだという解釈の問題は理解いたしましたが、やはり、これは法定主義というか法令主義の問題に返って、ちょっと今後の検討課題にさせておいていただきたいと思います。  さて、この直接執行の前提条件なんですが、先ほど法律の二十四条四項の文言を読みましたが、もう一度ポイントを言いますと、まず、建設大臣が指示を都道府県に出して、そしてその措置をとらないときは、「都市計画中央審議会の確認を得た上で、」こうなっているんですが、さて、この都市計画中央審議会なるものが果たして直接執行してもいいかどうかという確認をとるのにふさわしい機関なのかどうかという問題を次に議論したいと思います。  この中央審議会の委員は、建設大臣が任命をする委員だというふうに理解をしてよろしいですね。したがって、この委員については建設大臣が選ぶわけでありますが、さて、この審議会の委員を選ぶルールはいかなるものでしょうか。
  124. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 御指摘のように、この都市計画中央審議会の人選につきましては、都市計画中央審議会令に規定されるところに従いまして、委員及び臨時委員については学識経験者のうちから、専門委員については学識経験者または関係行政機関の職員のうちから、それぞれ建設大臣が任命しているところでございます。  これは、都市計画制度が高度な専門性と分野横断的な総合性を有するものであることを踏まえ、建設大臣が、法律、経済、建築、交通、環境等のさまざまな分野の学者、地方公共団体の長、各種団体の代表、マスコミ関係者などの幅広い分野の専門家のうちから、相互のバランスを考慮して慎重に人選を行っているものでありまして、決して、恣意的な人選でもなければ、また恣意的に運営しているものではございません。
  125. 中桐伸五

    中桐委員 実は、都道府県にも都市計画審議会というものがあるんですが、これがいいと言っているんじゃないんですが、これは極めて強烈な縛りがかかっているんですよ。つまり、例えば二十人の場合は、学識経験のある者七名にしなさい、関係行政機関の職員、これは国の出先機関の職員なんですが、七名にしなさい、市町村の長を代表する者一名にしなさい、都道府県議会の議員四名がよろしいですよ、市町村議会の議長を代表する者一名です、こういうふうに、例えば都道府県の都市計画審議会はもうがちがちに通達で事実上縛っているわけですね。  さて、今大臣説明いただきました、学識経験者とか各界、だけれども、これは、私はいいとも言っていないんですが、なぜ都道府県とは違った選び方になっているんですか。何にもないじゃない、具体的なものは。
  126. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  都道府県の都市計画審議会に関しましては、手続といたしまして、都市計画審議会の政令、審議会令がございまして、そこで基本的な、大まかな基準を決めてございます。それに基づきまして、都道府県がその範囲、あるいはまた決められていない分野について、その地域の実情に応じて条例で公共団体が決める、こういう格好になっておるところでございます。  したがいまして、中央審議会あるいは都道府県の地方審議会、いずれにつきましても、公平性、公正性の観点から、構成メンバー等について、人数等について適正な人選を行うことが必要である、こういうふうに思っておるところでございます。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  127. 中桐伸五

    中桐委員 内容を一々説明していただく必要はないんです。つまり、中央審議会は、学識経験者とかそういうものを出して、何人かいますが、何も人数とかそういうところを厳密に決めていない。都道府県の審議会では、事細かにこういうふうにしなさいと言っている。どうしてこんなことになるんですか。  私は、中央省庁再編ともこれは密接に関連する問題でありますから、この後総務庁長官にもお聞きしますが、つまり、中央の大臣の任命する委員は、「委員及び臨時委員は学識経験のある者のうちから、専門委員関係行政機関の職員又は学識経験のある者のうちから、それぞれ建設大臣が任命する。」で終わっているんですよ。都道府県に指示した、通達で出した内容がいいと言っているんじゃないですよ、私は。だけれども、都道府県はこれだけ縛っておいて、中央審議会は何でこんなことになるんですか。
  128. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  都市計画の中央審議会は、先生御案内のとおり、都市計画制度あるいは都市政策全般にわたっての諮問をし、検討をし、答申をいただくという性格を持つものでございます。一方、都市計画の地方審議会につきましては、個別具体の案件につきましての承認、認可等々について、個別具体性が非常に大きい都市計画についての審議を行う、こういうことでございます。  したがいまして、都市計画の中央審議会におきましては、学識経験者ということで非常に幅を持った人選が可能であるというような格好になっておるわけでございます。ただ、その場合も、法律、経済あるいは環境、都市政策、いろいろな幅広い観点からバランスを持って選ぶべきだ、こういうことになっておるわけでございます。  一方、都市計画の地方審議会におきましては、先ほど申し上げましたような観点から、個々具体のケースについての審議をするという観点から、個別具体の資格につきまして決めさせていただいている、こういうことでございます。
  129. 中桐伸五

    中桐委員 では、具体的にちょっと。そういうお話なんで、私がこれは建設省からいただいたんですが、この委員でも、例えば都道府県の地方自治関係のある人というのは、前職あるいは現職の市町村の長しかいませんで、都道府県の知事だとかそういう人は一人も入っていませんよ。ですから、中央審議会というのは、これは市町村の問題だけを議論する発想でこういうことになっているのかなと思っちゃうわけですね。ですから、どうも選び方も何かルールがないし、はっきりしたルールのもとに、こういう審議会をつくるんなら何かのルールが要るんじゃないかと思います。  しかし、この都市計画中央審議会という審議会の今言ったような性格もさることながら、私が特に問題にしたいのは、今回の国と地方公共団体との関係における都道府県あるいは市町村がつくった都市計画、その都市計画にいろいろ問題がある、国の観点から、国の立場から見ていろいろ問題があるというときにそれに関与していくわけですよね。そういうことはあるわけです。そのときに、建設大臣が直接執行するんですよ。その建設大臣が任命した審議委員ですよ、審議会ですよ。まあ言ったらトートロジーというか自己矛盾というか、この問題をクリアできるんでしょうか。  つまり、直接執行するよ、するのに当たって意見を聞かせてください、いいですかというときのフィルターが都市計画中央審議会でいいのですかという問題ですよ。審議会そのものにも問題があるんだけれども、そういう審議会でいいんですか。私は、少なくともこれは総務庁の関係の、全体の、国と地方公共団体の係争を取り扱うレベルにいかないと、建設大臣が自分で任命する委員をフィルターにして国と地方公共団体とのトラブルを直接執行するゴーサインを受けるというのは問題ですよ、これは。どう思いますか。
  130. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 私は両面があると思うんでございますが、まず一つは、そういうふうに建設大臣の任命ということは、こういう審議会が専門の分野の審議をするということであるから、どうしてもそこはそういう専門分野の範疇の方々を指名するという形になってくると思うんです。片や、先生の御指摘されていますように、これは総務省で全般を扱うような考え方じゃないといけないじゃないかという、そのことも私も理解できます。ですから、そういう範疇の方々もまた委員に入れるということで指導すれば、私は両々うまくおさまると判断いたします。
  131. 中桐伸五

    中桐委員 いや、私は、やはりこのシステムが自己矛盾を起こしちゃいけないと思います。  そういう点で、今の建設大臣答弁は何かわかったようなわからないような話ですから、総務庁の長官に、この点やはりきちんとお答えいただかないと前に進みようがありませんので、お答えください。
  132. 太田誠一

    太田国務大臣 都市計画中央審議会の通常の審議の内容そのものについては詳しくありませんけれども、一般論として申し上げれば、こういう執行について審議会を設けられるというのは、中立的といいますか、特定の立場に偏らないで第三者的な立場で執行をしていただくということでありますので、そのように考えて、責任を持って所管の大臣が任命をされることが大事であります。  それはどういうことかというと、例えば、内閣総理大臣が最高裁判所の長官も指名を、指名というか任命のまたその推薦をいたしますけれども、最高裁判事についても任命をいたします。裁判官は全員内閣の任命にかかわるわけですけれども、だからといって、そのつもりでもって一定期間の任期を持ったものを責任のある者が選んで、そしてあとはゆだねる、あとは細かに口を挟まないということが大切なのであって、任命をするのが建設大臣であるから、そこで恣意的なものが入るということは言えないと思うのであります。
  133. 中桐伸五

    中桐委員 いや、そんなことを言われるとシステムが成り立たないじゃないですか。自分が任命する委員をフィルターにしてゴーサインかどうかを聞くというのは、そんなことありますか。  例えば、これは国会の承認を得るというプロセスがあるならまた別ですよ。それから、せっかく国と地方の係争処理のシステムをつくるんでしょう。どうしてそこへ持っていかないんですか。つまり、何で建設大臣が任命している委員のところへお伺い立てていくんですか。それは委員の皆さんを不信だとかそんなことを言っているんじゃない。システム上おかしいじゃないかと言っているんです。そのことをおわかりいただけますでしょう。
  134. 太田誠一

    太田国務大臣 最初に申し上げましたように、都市計画中央審議会の日ごろのお仕事について詳しくないものですから、ちょっと私……(中桐委員「いや、そういうことじゃない、システムだ」と呼ぶ)だから、地方と国との間の係争にかかわることにこの都市計画中央審議会はかかわるということですね。(発言する者あり)失礼しました。任命権者の意向によって独立性がいつでも脅かされるという存在であるということを問題にされているんだとすれば、それは、最高裁判所の判事を内閣総理大臣が任命すれば、じゃ、最高裁判事はいつも総理大臣の顔色をうかがって公正な裁判ができないかというと、そうではないわけでありますから、制度の建前というのは、制度がそういう建前になっている以上、任命権者がそれを踏まえて任命するということを期待されるわけですね。
  135. 中桐伸五

    中桐委員 その場合は、国会の承認を経るとか、裁判官、最高裁は審判を受けるとか、いろいろなプロセスがあるでしょう。
  136. 太田誠一

    太田国務大臣 いや、最高裁判所の裁判官は、国会の同意はもちろんないわけであります。憲法によって定まっておるからないわけであります。そして、任命されてから最初の総選挙のとき、これは憲法ですからちょっと私も、間違えていたらいけませんので後で調べたいと思いますけれども、最初の総選挙のときに信任される。
  137. 中桐伸五

    中桐委員 それでは、そのことについてはもう少し検討を私の方もさせてもらいます。今すぐに承諾ということではないということでありますが。  ただ、これは総務庁長官、国と地方の係争処理委員会というのはこの範囲に絶対に入り込まないのですか。
  138. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今御議論いただいておる直接執行に関する部分なんですが、これはいわゆる並行権限の行使ということでの分類になろうかと思います。  これには大きく二つのジャンルがあろうかと思うのです。一つは、並行権限の行使ということが、地方公共団体事務処理とは関係なく国が権限を行使するようなもの。例えば、法律が事業所への立ち入り権限を国と地方公共団体の両方に認めているような場合、こういうような場合は関与ではない。したがって、係争処理の対象とはならないと考えておるわけです。  一方、並行権限の行使の中には、地方公共団体が権限を行使しないうちに国が同一内容の権限を行使したり、地方公共団体が行った行為の効果を覆すような行為を国が行うということによって、結果として、国の意思決定が地方公共団体の意思決定に優越するということになる場合もある。このようなものについては、処分その他公権力の行使に当たる関与に該当して、係争処理手続の対象となる場合もあると考えております。
  139. 中桐伸五

    中桐委員 そうすると、今の都市計画法で、国の利害に重大な関係がある事項で指示を出す、是正しない、是正というか必要な措置をとらないという場合には、これは係争処理委員会の対象にはならないのですか。結論をおっしゃっていただきたいのですが。つまり、都市計画法の指示を出したときに、建設大臣が指示を出したときに、その措置をとらなかった、それで中央審議会というのはどうも、私は、今さっきから言っているように、大臣が任命する審議会でとんといくのは余りよくない、それを係争処理委員会に回す方がいいんじゃないかと思うのですけれども、そういう対象にはならないのですか。
  140. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 対象になり得るというジャンルだと考えております。
  141. 中桐伸五

    中桐委員 自治大臣のお答えでは対象になり得るジャンルだということですから、先ほどの総務庁長官のお答えもございましたが、それについてはちょっと時間がございませんのでまた別の機会に。裁判制度の問題とか、内閣と三権の問題、いろいろ深い問題があるので、それはここで一概に議論すると、時間がちょっと足りませんので。  少なくとも、今自治大臣のお答えがあったように、都市計画中央審議会だけがプロセスではないと。やはり総務庁ベースのものの対象に含めて、私はその方がいいと思いますから、システムという点からも、国と都道府県の対等な関係を保つためにも、そちらの方が、自治大臣のジャンルに入るという見解の方が私は前向きだと思いますので、その点はぜひ今後検討していきたい、またしていただきたい、そういうふうに思います。  さて、その次の問題ですが、この都市計画の中央審議会には、先ほど言ったように非常に大ざっぱな人選のルールしかなかった。ところが、都道府県では大変細かい。先ほど申し上げました。繰り返しませんが、これを大変細かい指導という形で通知が出ている。しかし、この中で、私非常に問題だと思うのは、都道府県が自分たちで決める計画の審議をする審議会に、関係行政機関の職員というのが、例えば二十人の審議会の場合に、学識経験者七人と同数の関係行政機関の職員七人がリストアップされている。この七人というのは、国の地方機関の職員なんですね。つまり、国の職員がこの中に入っておるわけですよ。過半数じゃないけれども、入っておるわけです。  私は、こういう細かい規制をするのが、今までの日本の町づくりを、中央集権的に画一的な町づくりにしてきた大きな要因だと思うのですよ。そういう点で、やはりこれは都道府県の都市計画審議会、それから市町村の場合は、これは参考ということでまたこういうことを書いているわけですよ、細々と。こういったのは、私は、やはりもう二十一世紀日本地方分権が大きく取り入れられなければいけない時代にはふさわしくないと思うのですね。ですから、こういう通達はもう廃棄するんでしょうね。それから、その通達を廃棄したときに一体、またこれと同じものを政令とか告示で出すなんということはないんでしょうね。どうでしょうか。
  142. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今回の改正案におきましては、都市計画決定に係る事務は自治事務と整理をされておるところでございまして、自治事務の性格に照らし、地方公共団体の自主的な事務の執行を確保する観点から、先生御指摘のように、通達という手段によりまして国が関与することは適切であるとは思いません。したがいまして、都市計画の地方審議会の組織等に関し現在発出しております通達につきましては、廃止をいたします。
  143. 中桐伸五

    中桐委員 通達は廃止するというお答えをいただきました。しかし、今通達で出されているその内容が政令や告示で取り入れられるのでしょうか。その点についてのお答えがいただけなかったので、お答えください。
  144. 山本正堯

    山本(正)政府委員 ただいま大臣からお答えをさせていただきましたように、自治事務に変わりますので、通達は廃止させていただきます。  ただ、現在もございますが、都市計画の地方審議会の政令がございます。人数が何人から何人程度であるとか、そういうような具体的な大まかな基準、最低の基準については定めさせていただくということに考えております。
  145. 中桐伸五

    中桐委員 最低の基準というのは、先ほどの岩國議員の議会の定数の話とまたオーバーラップする話なのでしょうけれども、その最低の基準という話はさておきまして、その基準の中身、つまり、どういう人たちで、どういう人数ということでしょうか。
  146. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 都市計画は、何といいましても、国民の財産権に対します強い制約なども伴うものでありまして、その決定手続というのはやはり慎重に行われなければならないと考えております。  そういうようなことで、現在の都市計画地方審議会の組織及び運営に関しまする政令は、審議会の審議の公平性、中立性を確保するために、審議会の組織等について、国として、先ほど答弁いたしましたように、必要最小限の規定を措置しているものでありまして、都道府県都市計画審議会の組織等については、現行政令の規定内容を基本として検討を進めることと考えております。しかし、おのずからその範疇は絞られてくると思うわけでございます。  したがいまして、今後の検討に当たりましては、都市計画地方審議会の組織等に関する都道府県の意向、あるいは運営の実態を十分に把握することが必要でございますので、現在その調査を進めているところでございます。この調査の結果を踏まえまして、改善の必要があれば、ですから先生御指摘のような問題等々につきまして、都道府県都市計画審議会に関する政令の内容に積極的にこのことを反映させていきたいと考えております。
  147. 中桐伸五

    中桐委員 今の通達あるいは参考文書として都道府県や市町村に出されている内容、これは余りにも縛り過ぎと私は思います。こういう観点からこういう人が必要なんではないでしょうかというふうなものを示すにしても、余りにも細かい、何か小学生にこうこうこうしなさいと言って一から十まで指図をするような、そういったものではまた地方分権の時代に逆行してしまうわけで、大変問題だと私は思います。  その中で、特に、例えば都道府県だとかの審議会の中に国の地方機関の人たちが入っていく、これは地方自治からいって大変問題なんじゃないでしょうか。そういう問題がありますし、またもう一つは、逆に最近では、もう既に介護保険制度などでは、計画をつくるときに介護計画の中に住民が参加する、公募された住民だとか形はいろいろあると思いますけれども、そういった仕組みというのが進みつつあるわけですよね、地方分権の中で。  ですから、そういうことを考えますと、これは町づくりですから、極めてそこに住んでいる人たちの意見はやはり取り入れなきゃいけないと思います。それは学識経験者がいるからいいじゃないかと言うけれども、それだけじゃなくて、都道府県や市町村の、特に市町村が原点でしょうけれども、ここでやはり住民の声をどんどん反映させた町づくりがこれから個性のある日本をつくっていくわけですから、個性のある地方をつくっていくわけですから、そういったことを考えると、余り縛ると、例えば住民なんか全然一つも項目がないというと住民なんか入れちゃいけないと思っちゃうから、そういう弊害がいっぱい起こるような、つまり二十一世紀にふさわしくないような内容にしてもらうと大変困る。  そこで、今までに既に一定の調査をされているという、結論は出ていないようですけれども、そういう中に、新しい流れということで、住民の方が審議会の中に入っている、そういう審議会の例というのはもう既にあるんでしょうか、都道府県とか市町村の中に。
  148. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘のように、確かにそういうきつい縛りというものは、これは決して行うことはありません。また、そういうことは地方分権に逆行するわけでございますから、それは意識してしっかりとやっていきたいと思っております。  それで、市町村の審議会が特に市町村の方々の意向が反映される審議会であるわけでございますが、この辺につきましても、市町村の方々の意向を今調査しているところでございまして、住民の方々に何といっても一番近いわけでございますから、その特質にかんがみ、審議会における住民参加の手法をどのようにやっていったらいいか等々、今調査をいたしておりまして、市町村の独自性が損なわれない方向で検討をいたしております。損なわれない方向ということは、そういう方々の御意見を十分に配慮してやっていきたい、そのように思っておるわけでございます。  それから、国の出先機関の職員がたくさん任命されているではないかということでございますが、このことももちろん頭に置いてこれから委員構成をしなければならないと思っておりますが、別に、地方の方々にそれだけの十分な知識がないとか人物がいないとか、そういう意味で言うわけではありませんが、やはりあらゆる、例えば農業であるとか産業立地の問題であるとか、いろいろなこと、また財政運営のこと等々、いわゆる総合行政を十分に熟知している、そういう出先機関の面々も、これが皆無であっていいかというと、私はまたその方々も最低限必要であると認識をしております。  しかし、先生の御指摘の方向で考えていきたいと思っております。
  149. 中桐伸五

    中桐委員 ちょっと一〇〇%満足できる回答ではないんですが、しかし、新しい流れに住民の参加というものをこれから考慮に入れていきたいというふうな前向きの話もございました。それから、中央省庁が関与した都道府県の都市計画審議会、その上にまた輪をかけて直接執行の関与ですから、何か知らないけれども、地方分権しているのやら、とにかく自治事務にした分だけ徹底的に裏から縛りをかけて何かやる、こういう意図がどうも私は見えてしようがない。  これは建設省だけの話じゃないと思いますよ。私は全部検証していないものですから、農林水産省でも多分同じような傾向があるんじゃないかと思って心配なんですが、私は、この地方分権、町づくりというのは中でも非常に重要な法律の分野ですから都市計画法というものを取り上げながらやっているので、建設省だけけしからぬというつもりでやっているつもりじゃございません。  しかし、これはちょっと総務庁長官自治大臣も、ぜひこの辺は——個別法というのはなかなか細かくなっちゃって大変なんですよね。だけれども、重要な町づくりという問題一つ取り上げても、これほどいろいろ問題点があるんですよ。ですから、政省令というのは次の段階ですけれども、これがもし通過する、もし仮にこういう形になったとして、その後の仕事というのは大変重要な仕事が残っていますよね。ですから、そういうことをぜひ考えておいていただきたいと思うんです。
  150. 太田誠一

    太田国務大臣 御指摘の点は重要な点だと思います。そして、審議会に対する考え方というのは、今回の中央省庁改革において初めて変わってきたわけでありまして、それまでは、審議会に行政機関の職員が入っていることは当たり前だとどこの省庁も思っていたし、またOBがいることも当たり前だと思っていたし、また国会議員がいることも当たり前だと国会議員自身が思っていたこともあるわけですね。  ところが、やはり物事を諮問して、その意見を聞くという、諮問をされる側とする側というのはインディペンデントでお互い独立分離していなくちゃいかぬという考え方をきちんとさせたいということが今回の改革の趣旨でありますので、それはやはり時間がかかって初めて浸透していく考え方であろうかと思うのであります。  今後とも、各省庁に対してそのような認識を浸透させるように努力をいたしたいと思います。
  151. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今御指摘のようなところが確かに多少残っているという部分もあるいはないではないのかもしれません。  ただ、もう既にこの法案の当委員会における議論を通じて私も申し上げておりますが、今ここで完全にでき上がったという姿ではなくて、まさにそこに大きく踏み出した第一歩でございまして、これは今後においても引き続いて、特に法律制定するあるいは改正する、その際は必ずこの国権の最高機関たる国会におけるチェック、国会におい成立して初めて法律となるわけでございますから、その際にいろいろな角度からのチェックポイントがあろうかと思いますが、特に御指摘のような角度から地方の自主性、自立性を損なうような方向に行かないか、行っていないかどうかということも、これからも大事なチェックポイントなんだということでぜひ御理解をいただいて、引き続いて地方分権推進のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  152. 中桐伸五

    中桐委員 時間が参りましたのでこの辺で終わりますが、たくさんの問題点を指摘させていただきましたが、これは幾つかの法律、個別法の中に関連したものがございます。したがいまして、私が都市計画法というものを中心にして質疑をした内容というのはいろいろなところの普遍性を持った問題点でもありますので、その点は全体をスーパーバイズする総務庁長官のところと自治大臣のところでぜひ各省庁のチェックをしっかりとしていただくようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  153. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、吉井英勝君の質疑に入ります。
  154. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、きょうは、地方分権一括法の中での条例制定の問題について、今、全国、大都市部であれ地方都市であれ、問題になっております大型店の問題にかかわって見ていきたいというふうに思います。  私も、本当に、商工委員もやらせていただいておりますから、全国各地を見ていて、この間も山形県の酒田、新庄とかに行ったときもそうでしたが、大臣の熊本の八代市、隣の小川町、ああいうところの、いわゆるダイヤモンドシティの進出による商店街の問題とか、各地を見ておりまして、その影響たるや本当に深刻な問題がさまざま広がっております。それは、今日、規模が十万平米、二十万平米、三十万平米というとてつもなく巨大なものになってきておりますし、その一方で中心商店街から勝手に撤退してしまう、それによって、どこへ行っても商店街が本当にシャッター通りに変わったり、シャッターのあるところはまだましで、空き地に変わってしまっておるとか寂れてきている。  問題は、そうなりますと、今は全国どこでも、大都市部でもそうなんですが、高齢化が進んでいるんですね、お年寄りの方が八十、九十になって車を運転してショッピングセンターへ行くというわけにいきませんから、毎日の暮らしを支えるものが消えてしまっている。そういう点では、生活や暮らしの破壊、地域社会の崩壊ということにつながってくるし、これは文化であれ、消防団活動や防災であれ、防犯であれ、お祭りであれ、本当に地域社会の余りにも深刻な疲弊といいますか崩壊に、今どこへ行きましても地方自治体の皆さん方も随分頭を痛めている。この点では、恐らく私はここにいらっしゃる大臣の皆さんと認識は共通しているんじゃないかというふうに思っているわけです。  そういう中で、消費生活の場を保障することを含めた、一方で巨大店舗の規制と町づくりを進める条例制定をどう進めるかということでみんな今研究しているところだろうと思うんですが、大臣は、この条例制定に関しては、自治事務であると法定受託事務であるとを問わず条例制定権の対象になるということで、今度は非常に広い条例制定の可能性といいますか、そこを言っておられるわけであります。  そこで、私、きょうは具体の話にだんだん入ってまいりますが、昨年もこれは議論をしたことがあるんですが、今日の大店法の枠の中でいいますと、開店日、店舗面積、閉店時間、休業日数などについて、地方自治体が独自に設置する大規模小売店舗審議におい審議して、その結果に基づいて知事が変更勧告や変更命令を出す、そういう条例をつくろうと思っても、今は大店法があるわけですよ。しかし、大店法が廃止されて大店立地法に移っていくときには、これは、立地法十三条の規定がなかった場合には、実はこの大店法で言っている開店日や店舗面積などの問題について、これは条例では違法なものではないということになってくると思うんですが、まずこの点から、理論的な可能性の問題から伺っていきたいと思います。
  155. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 法律による規制が行われているような事項につきまして、地方公共団体条例で規制を独自に行うということが可能かどうかということですが、これは、率直に申し上げて、個々具体的にその条例の規制対象、趣旨、それから目的、特に内容などによって判断をされるべきものでありますので、一概に右か左かということを今ここで申し上げるのはいかがかと思っています。  旧大店法が対象としていない店舗について、当該地方の小売業の実態などを踏まえた上で、条例により合理的と考えられる内容を有する規制を行っているものについては、旧大店法に照らして一般的に法令に違反するとは言えないものと考えられます。
  156. 吉井英勝

    吉井委員 同時に、旧大店法といっても来年まで生きておりますから、現在の大店法ですね、現在の大店法の仕組みの中で、大店法の中身を条例化するということは、これは当然できないわけですが、来年、大店法廃止となって立地法に移っていくとき、立地法十三条でそれを規制しておりますから、十三条があるとできないわけですが、理論的可能性として、立地法十三条の規定がなかった場合には、大店法の中身の条例であれば、これは法律に違反しないというもので、条例化は可能ということになりますね。まずそれを伺っておきたいんです。
  157. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  今お話しの十三条は、「地方公共団体は、小売業を行うための店舗の立地に関し、その周辺の地域の生活環境を保持するために必要な施策を講ずる場合においては、地域的な需給状況を勘案することなく、この法律の趣旨を尊重して行うものとする。」という規定が置かれているわけですが、お話しのように……(吉井委員「それがなければね、理論的可能性は」と呼ぶ)なければ、理論的なというところにつきましては、現実に条例においてどのように定めるのか、また、法律の趣旨において個々具体的にやはり検討しないと、違法だ、できる、できないというのはお答えが難しいと思います。
  158. 吉井英勝

    吉井委員 入り口のところで余りひっかかっておったらあれなんですが、要するに、大店法という法律があって、その法律と内容の同じ条例は今はできないんです。大店法がなくなれば、理論的可能性としてはできるんです。ただし、一方では立地法十三条がかかってきますから、そこに矛盾を来すからできないという仕組みになるんです。ですから、十三条がない、この規定がないという場合には理論的可能性としては可能なのでしょうという非常に単純なお話を聞いていますので、余り難しく考えんと、お答えください。
  159. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  大店立地法は、交通、環境問題といった大型店の出店にかかわる生活環境の保持に対する規制でございまして、地方自治体が生活環境の保持の観点から本法以上の負担を設置者に課したり需給状況を勘案するということは、本法の趣旨に反することになりまして、その旨は本法第十三条におい規定をされておるところでございます。
  160. 吉井英勝

    吉井委員 だから、そんなことはわかった上で聞いているんで、十三条の規定があるからできないというお話ですから、理論的可能性としては、十三条の規定がない場合は可能なんでしょう。それを聞いているんです。非常に簡単な話なんです。
  161. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 現に成立した法律におきまして十三条の規定がございますので、ただいま申し上げましたような趣旨の条例制定することは容認されないと考えます。
  162. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、要するに十三条があるからできないということなんですよね、今の話は。  あわせて確認しておきたいんです。昨年、橋本総理大臣の本会議答弁で、今の大店法上の措置は、WTOのサービス貿易一般協定が原則として禁じている市場アクセスや内国民待遇に関する制限などに該当せず、同協定に整合しない措置に当たらないと明言をしておられますが、外務大臣に、この点だけ、これが政府の見解であることを確認しておきたいと思います。
  163. 高村正彦

    ○高村国務大臣 大店法とサービス貿易一般協定との関係でございますが、これまでの国会における答弁のとおり、我が国は、大店法上の措置は同協定に整合しない措置には当たらないとの立場でございます。  なお、平成八年に同協定違反を主張する米国とWTOのもとで二国間協議を行いましたが、相互に満足すべき解決には達せず、現在に至っているということでございます。
  164. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、我が国としては、大店法はWTO協定にもともと違反するものじゃない、これははっきりさせてあるわけです。  ところが、大店法を廃止する、立地法へという議論の中で、通産省の方は、国民の皆さんへの説明は、WTO協定違反だからこれは変えなきゃいけないんだ、そういう説明を随分やってこられました。あわせて、だからゾーン規制でやっていくんだ、こういうお話でありました。  それでは、そのゾーン規制をやっているアメリカの地方自治体について、その条例について伺っておきたいんです。  人口十万人のバークレー市で、ゾーニング規制の一環として小売店等の業種別店舗数制限というのを設けて、業種ごとに過剰店舗や過剰な売り場面積とならないように総量規制を行っておりますが、これは承知しておられますね。
  165. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカの州においてゾーニング規制があるかと具体的な御指摘を含めての御質問でございます。  一般的に申し上げまして、標準州ゾーニング授権法という、これは法律ではなくてモデル法案がございまして、その法案に基づいてゾーニングの権限を州内の各地方自治体に委任するというのがございまして、一部の州がこれに基づいてゾーニングをやっております。  例えば、具体的な例の一つで、ニューヨーク州でございますが、州の法律に基づいて地方自治体、例えば市が、商業施設の建設につきまして一定の基準を設けたりしております。
  166. 吉井英勝

    吉井委員 バークレーなど、その他もそうなんですが、通産省がかかわっている外郭団体の調査レポートで、「米国における都市再開発と商業集積の現状—アメリカにおけるダウンタウン小売業維持政策とわが国への示唆」という九五年三月に出されたレポートを通産省の方から御協力いただいていただいております。ですから、バークレーの実情というのは、ちゃんと通産省は御存じなんでしょう、先ほど言った点は。
  167. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 米国におきましては、各地方自治体ごとに法体系が異なりますので、自治体ごとにいわゆるゾーニング規制というものが広く多様な形で行われていることは承知いたしております。
  168. 吉井英勝

    吉井委員 どうも、自分のところから資料を出しながら、バークレーについてはお答えになられない。  そこで、通産大臣、私伺っておきたいんですが、ちゃんと載っているんですよ、バークレーの話。バークレーでは、さっき言ったように、ゾーニング規制の一環として小売店等の業種別店舗数制限を設けて、業種ごとに過剰店舗や過剰な売り場面積とならないように条例で総量規制をやっているわけですよ。そうすると、アメリカで普通にやっている地方自治体の条例と同様の条例日本国内の自治体がやったとしても、何らアメリカから文句を言われる筋合いのものじゃないと私は思うんですよ。大臣、この点はどうですか。
  169. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 今の大店法の規制というのは、店舗面積を規制しているということでございます。そういう中で国際的にも大店法に対する批判が非常に強くなったということもありますし、消費者のニーズも変わってまいりました。また、大店法自体は全国一律の法律となっておりますので、やはり今度の大店立地法においては、地方がそれぞれある立場から大店舗の出店について物を考えていくというところがございます。これは、いわゆる需給調整的な考え方には基づいておりませんで、むしろ環境とか交通とか都市計画とか、そういう観点から地方自治体が物をお考えいただくという制度でございます。  ただ、これは先ほど先生の御質問にも関連いたしますけれども、やはりそれですとどうしても全国ばらばらのことになってしまいますので、通産省としては一定の指針を設けて、その範囲で物事を御判断いただくということでございますし、また、政府が需給調整的な出店政策をとっていくということは、国際的、全般的な考え方としてはできないというふうに判断をしております。  先生が例示されましたケースというのは多分例外的なものであると思いますが、それはアメリカ政府日本政府に言っている本来のこととは違うというのは、私は先生の御指摘は一面当たっているんだろうと思っております。
  170. 吉井英勝

    吉井委員 まず、現行大店法というのは、外務大臣がお認めになったように、WTO協定違反のものじゃないわけです。そして、今度アメリカの方は、今国際的にというお話があったが、要するに物を言っているのはアメリカだけなんですよ。では、国内ではどうかといえば、別にアメリカ国内ではバークレーの例のようなことは堂々といけているわけなんです。  だから、本来、アメリカが日本に何か言ってくるからということで、そこで泡食って日本の方で規制を緩めて、全国の都市がどうなろうと仕方がない、私はそういう道に行くべきではないというふうに思うのです。  それで、バークレーでは、ゾーニング規制の一環として、さっき言ったようなことをやっているわけなんですが、では日本でそれをやろうとすれば、今大臣おっしゃったように店舗面積等の大店法の仕組みですね、大店法のある間は条例では各地ばらばらにはできないわけです。しかし、大店法が廃止となれば、大店法の中身は別にWTO違反じゃないのだから、その内容の条例をつくったとしても、立地法十三条がなければ可能なわけです。  そのときに、開店日、店舗面積、閉店時間、休業日数について、自治体独自に設置する大規模小売店舗審議におい審議して、その結果に基づいて知事が変更勧告や命令を出すことができるという条例をつくっておけば、実は自治大臣も御心配なさっておられるようなものについて、地方自治体も随分いろいろ取り組みができると思うのですが、これについて昨年も古田官房審議官答弁されたことは、今の岩田さんのお答えと一緒ですが、立地法の立法趣旨に反するからそのような条例はできないと。  そうすると、地方分権を口にするなら、まず立地法十三条を削除するか、あるいは、この条項によって今の趣旨の条例化が妨げられるものではないという政府見解というものをやはり明らかにしておく。そうしないと、これから条例のことに入っていきたいと思うのですが、地方自治体のさまざまな取り組みについて規制をしてしまう。せっかく、法定受託であれ自治事務であれ、条例によっていろいろやれるようにしよう、広げていこうというときに、それをまず大店立地法で規制をしてしまう、私はこういう問題が出てくると思うのですが、この点は大臣から伺っておきたいと思います。
  171. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 先生に申し上げるまでもなく、地方自治体の条例制定権というのは法律の範囲内で行われるわけでございますから、実は先生の御質問というのは多分その話ではなくて、むしろ法十三条の是非を聞かれていると思っております。  大店立地法の考え方というのは、大規模店舗の出店というのは原則自由にしよう、ただし、その出店をするときには、やはり地方地方の固有の環境の問題とか交通とか都市計画の問題とか、そういう全般から御判断をいただく、そういう法の仕組みになっておりまして、十三条を取り払うということは、大店立地法の趣旨からして、それは多分できない相談だろうと思っております。
  172. 吉井英勝

    吉井委員 私は、条例制定権が一方にあり、そして今の十三条がある場合に、条例制定権に対して妨げになるような個別法そのものについても吟味が必要だというふうに思うのです。  その議論は、今、外務大臣の時間的都合がございますので、ちょっと後ほどまた進めるとして、先に外務大臣に伺っておきたいと思うのですが、要するに、本当だったらバークレー市並みのゾーン規制の条例日本でもやれて当たり前だと思うのですよ。何しろ、日本に対していろいろ規制緩和をやれと言ってきているアメリカ自身が国内でやっていることなんですから。  それがどうもそうはいかないというところに、九九年五月三日、先日、日米首脳会談で、日米両首脳は、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアチブ第二回共同現状報告の成果を歓迎したと外務省は発表されました。その報告書のFの2の(2)では、大店立地法の運用に当たり、地方自治体による大店立地法の運用が法の目的を損なうものとならないよう注視するとしていたのではありませんか。  これは外務大臣、どうですか。そういうふうにしているんじゃないですか。
  173. 高村正彦

    ○高村国務大臣 五月三日の日米首脳会談の際、日米両国政府は、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアチブの第二回共同現状報告を公表いたしました。その中で、大規模小売店舗法の廃止及び大規模小売店舗立地法の導入につき触れ、大規模小売店舗立地法の運用に当たり日本政府は一貫性があり透明で予測可能な法の運用を促進するための措置をとるということとしているわけでございます。
  174. 吉井英勝

    吉井委員 ところが、バークレー市の条例はWTO違反でないんでしょう。だからアメリカは国内でも認めているはずなんですよ。経済的需給調整に当たらないとして認めているわけですよね、アメリカは。  バークレー並みの条例日本が可能にしようとしたときに、今の両政府の報告書にあったように、大店立地法の運用が法の目的を損なうものとならないよう注視するということで、非常にきつい規制を加えるといいますか、こうなってくると、日本の各自治体の条例制定が非常に大きなブレーキをかけられてしまう。私はこういう問題が出てくると思うのです。  そこで、重ねて外務大臣に伺っておきますが、昨年四月十六日の本会議で私が質問したことですが、アメリカは、フランス、ドイツ、イギリスなどに対して、大型店の出店許可制の廃止など規制緩和要求をしたことがあるかという質問をいたしました。当時の小渕外務大臣は、米国が御指摘のような規制緩和要求または許可制の撤廃要求をフランス、イギリス、ドイツ等に対して行ったという事実があるとは承知していないと答弁をされました。  そこで、外務大臣、その後アメリカが、日本に対してやっているように規制緩和要求、フランスやイギリスやドイツなどが実際にさまざまな社会的規制、経済的規制を組み合わせてやっておりますが、それに対して、規制緩和をやれ、そういうものは取っ払えと要求したという事実を確認していらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  175. 高村正彦

    ○高村国務大臣 米国が御指摘のような規制緩和要求を仏、英、独等に対して行ったという事実があるとは承知しておりません。この点につきましては、昨年四月十六日の当院本会議において当時の小渕外務大臣答弁申し上げた内容から変更はございません。
  176. 吉井英勝

    吉井委員 本当はもうちょっと聞きたかったのですが、外務大臣は外務委員会へ行かれるということで、これで御退席いただいて結構です。  それで、高齢者の買い物の場を保障するとか、中小小売業と雇用の場を保障する、自動車排気ガス対策から車の利用に対しては抑制的な環境政策をとるとか、文化や伝統がはぐくまれ祭りも維持できるような町を守るとか、あるいは皆さん方よくおっしゃる青少年の健全育成と言われるような、そういう環境整備の観点、あるいは消防団活動や防犯の面からも商店街の機能を重視する。そのさまざまな観点から、ヨーロッパ諸国でも経済的、社会的規制が法律地方条例と組み合わせて行われているのが今の実態だというふうに私は認識をいたしております。  そこで、外務省の方に、少し簡潔に確認的に伺っておきますが、まずフランスの方は、御承知のように、ロワイエ法で事前許可の対象になる売り場面積を九六年にさらに強化して、これまでの千五百平方メートル以上と、人口四万人以下の市町については千平方メートルだったのを、三百平方メートルに引き下げて、大型店出店に当たっては全国ベースの商業施設委員会で公共調査が義務づけられている、こういうことになっていること。  それからイギリスでは、都市・田園計画法の運用に関する環境運輸省通達などで、将来の小売店出店に関して、既存の中心街の活力、機能の維持、活性化につながる計画を策定しなければならないとして、やはり経済的規制や社会的規制を組み合わせてやっているというのがイギリスの実態です。  それからドイツの方も、歴史ある町並み保存、環境など、町づくりを重視して、建築許可制度ということで、ただドイツは、あわせて経済規制の分野も組み合わせていますが、やはり特別の指定地域以外では大型店舗は建てられない、そういう仕組みをつくっていると思うんですが、簡潔で結構ですから、外務省の方から状況を伺いたいと思います。
  177. 大島正太郎

    ○大島(正)政府委員 お答え申し上げます。  御質問のフランス、イギリス、ドイツにおける本件に関係する状況でございますけれども、先生御指摘のとおり、フランスにおいてはロワイエ法という法律が出店の許可制を採用しておりまして、主要な点は先ほど先生が御指摘のとおりでございます。最近、九六年でございますけれども、それまでの面積の面での規制が強化されているところ、それから六千平米以上の大型店の出店に当たっての取り扱い、つまり商業施設委員会での公共調査を義務づけること、そういったところが行われているところでございます。  イギリスにつきましても、御指摘のとおり、都市・田園計画法による規制という形が行われておりますし、ドイツについても、先生の御指摘のように、連邦建設法、建設利用令に基づいて一般建物の建築許可制度が存在しておりますし、一定の規模を超える大型店舗については、原則としては、都市の中心部、または都市計画でショッピングセンター及び大面積の商業経営のための地域に指定された地域のみに立地が許されているというふうに理解しております。
  178. 吉井英勝

    吉井委員 私は、基本的な問題としては、国の大きな法律制度の枠組みからいうと、これは本来十三条を盛り込んだ立地法よりも大店法の改正強化という道こそとるべきであった、今も生きているわけですから、その道こそ大事だと思っておりますが、ただ現実に、皆さんの方は立地法の体系にされた。そうすると、それで都市計画的手法は条例と組み合わせてということですから、今度は条例がちゃんとできるのかというその保障が非常に大事になってくると思うんです。  ロワイエ法の仕組みをもし日本条例化してやろうとしたらできますかということをあらかじめ事前にお聞きすると、立地法十三条を取っ払わないと、ロワイエ法の仕組みを日本条例でやることはできないというお話でした。それはそうだろうと思うんですよ。  そうしたら、今度、今のイギリスのような手法、これを、例えばイギリスでは出店審査というのがあって、三つの基準というのを示しています。第一は中心街の活力や機能への影響、第二に商店へのアクセス、交通の便、三つ目に車の交通量への影響を挙げているわけです。同時に、小売店舗の出店申請に当たっての証拠、情報を添えるということがこれは通達の方でありまして、そこには、中心街や周辺の村や小規模な店舗の集落への経済的影響を報告しなさい、二つ目には店舗へのアクセス、交通の便、三つ目に出店に伴う交通パターンの変化、四つ目に出店に伴う環境への影響。  つまり、非常に、実際に事細かといいますか、それは国の方の通達なんですが、こういうものを条例でやろう、日本でもしそれを条例で実現することによって、つまり、出店審査なりあるいは申請に当たっての証拠、情報を添えるという問題にしても、それを条例でやろうとしたときには、やはりこの面でも大店立地法十三条がなければ可能であることははっきりしているんですが、十三条があってもこれは条例化ができるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  179. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  先生もう十分御存じでございますが、十三条に「需給状況を勘案することなく、」ということが書いてございますので、その意味において、そうした需給調整的な条例制定されるということはこの条文に反しているというふうに理解いたします。
  180. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、ヨーロッパスタンダードといいますか、国際的なスタンダードでは、ドイツやフランスやイギリスやイタリアやベルギーでやっていることは当たり前のことなんです。日本でそれをやろうと思ったときに、一番障害になってくるのは今おっしゃった十三条。だから、この十三条を取り払うか。  ただ、大店立地法には直接執行というのはありませんね。ですから、地方がかなり法と際どいせめぎ合いになるような条例を先につくったとしても、これはその条例条例としてやっていけることになるのかなというふうに思うわけでありますが、ドイツでは指定した地区でのみ大型店出店可能ということなんですが、昨年、木下都市局長は、現行の用途地域指定の色塗りに重ねて、さらに自治体が、独自の審議会の答申を得て指定するゾーンでのみ大規模小売店舗の立地を認めるというドイツのやり方をとる条例は、そういうものは問題ないと答弁をされました。  私は、きょうはそこから一歩進んで、さらに、市街化区域の用途地域にかぶせて、一定面積以下の小売商店のみ認めるという小売商業活性化地区のような特別用途地区条例で、結果としてその市域の中で巨大規模の大型店の出店を規制することはできるのかどうか、これを条例上の可能性として伺っておきたいと思うのです。
  181. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生御案内のとおり、条例制定につきましては、法令の趣旨、目的に反しない範囲内で制定することは可能でございます。  今先生御案内のとおり、市街化区域の中で用途地域が色塗りがされてございますが、その用途地域の中で、その用途に合う範囲の中で特別用途地区を定め、その特別用途地区についての中で、今大規模な立地店舗についての条例をつくることは可能でございます。
  182. 吉井英勝

    吉井委員 可能というお話です。  重ねて伺っておきたいんですが、さっきは十三条の方で需給調整に及ぶものはとおっしゃったんだが、言葉としては需給調整という言葉につながるようなのは一切使わない、しかし、小売商業活性化地区というふうな表現で、一定面積以下の小売商店のみ認める特別用途地区条例、これだったら可能だということですね。重ねて伺っておきます。
  183. 山本正堯

    山本(正)政府委員 御案内のとおり、都市計画は、将来のあるべき町づくりの方向のもとに必要な規制を行っておる、こういうことでございます。特定の、今先生御案内の大規模店舗そのものだけをターゲットにして規制を行うということについては、都市計画法では非常に難しい、性格が異なるんじゃないか、こういうふうに思っておるところでございます。ただ、先生おっしゃいますような、法令の趣旨、目的に反しているかどうかという判断がまずあるんじゃないか、こういうことであろうかと思います。
  184. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、昨年も議論しましたが、三つの法律の体系からして矛盾のない、市街化区域の用途地域の色塗りにかぶせて、一定面積以下の小売商店のみ認める小売商業活性化地区という仮称ですが、そういうものを特別用途地区条例で定めて、結果としてその市域内での巨大規模の店舗の開発はできない、そういう形の条例だったら可能でしょう。
  185. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今先生の御指摘のような、具体的な場所に大規模店舗についての制限が先にあって、それに基づいて云々ということではなくて、都市づくりの、どういう町づくりをするかということを先にやって、それの中で結果として大規模店舗が町づくりの中で認められるか、こういうことであろうかと理解しております。
  186. 吉井英勝

    吉井委員 私、そこでやはり基本になるのは、地方条例制定権の問題になってこようかと思います。  九〇年三月二十二日の衆議院地方行政委員会で、そのことについて私が質問をいたしましたときに、森繁一自治省行政局長は、憲法、地方自治法規定に基づきまして地方団体は、当然のことながら条例制定権というものを持っておる、私どもその条例をつくっちゃならぬとか、こういうことを言う立場にはない、地方団体お願いする場合は、現実問題としてはあり得ようかと思う、地方団体の固有の条例制定権につきまして云々する立場のものではありませんと。同時に、「昭和五十二年に政府の見解を出しておりまして、「当該地方の小売業の特有の実態を踏まえた上、合理的と考えられる内容を有する条例制定して規制を行うことは、ただちに違法であるとは言い難い」、こういう見解を持っておる」これが憲法九十四条に基づく条例制定権についての考え方であります。  そこで、自治大臣、法令に違反しない限りにおいて、この間の、五月二十六日のあなたの答弁ですが、自治事務であると法定受託事務であるとを問わず、条例制定権の対象になるということなんですねというふうにあなたはおっしゃったわけですが、この条例制定権についての考え方は、九〇年のこの考え方と今も同じだということでいいですね。
  187. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 これはまさに御指摘のとおり、法令に違反しない限りにおいて、自治事務であると法定受託事務であるとを問わず、条例制定することができるということであります。したがって、法令によって規制を行っている事項であっても、その法令に違反しない限りにおい地方公共団体条例によって合理的な規制を行うことは可能であって、この点で考え方に変更はありません。
  188. 吉井英勝

    吉井委員 条例制定権について、九十四条の基本というのはそのとおりであるわけなんですが、そのときにまさに、法令に違反しないということで個別法の問題が出てくる場合があるんですね。  今の立地法十三条の場合、要するに、右から見れば、それは需給調整で違反だということになるし、しかし左の方から、見方を変えれば、それは目的は違うんだ、つまり、高齢化していく社会においてお年寄りが買い物のできるような身近な商店をどうして残すことによって消費者利益を守るのかとか、あるいは、郊外へどんどん車が行きますと、特にヨーロッパではその規制は非常に厳しいですが、自動車の排ガスというのは環境対策上非常に問題があり、またエネルギーのむだになる、だから都市の中心部へという発想なんかがあるわけですが、つまり、そういう別な角度からやれば何ら法に違反しないということにもなってくる。そのときに、しかしあいまいなものを残しておくということが、私はやはりこれは問題だと思うんです。ですから、立地法十三条を取り払っておいたら大体こういうややこしいことはないわけなんですよ。  ですから、この点は、立地法十三条を外す、削除するか、あるいは、立地法十三条はそう書いてあるんだが、アメリカのバークレーでやっているようなこともヨーロッパでやっていることもどんどんやってくださって結構です、そういう政府の見解をきちっと示しておくか、やはりどちらかしないと、法の範囲内でというのは非常にややこしい問題を生み出してくるということがあると思うんですが、私は、この点については通産大臣の方から伺っておきたいと思うんです。
  189. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 大店法から大店立地法に変わったところのいわば基本的な物の考え方は、先ほど御説明したとおりでございます。  これは、判断地方自治体に御判断をいただくことになりますが、やはり地方行政も、この種の問題については、個々の地方の事情はあるにしろ、ある一定の基準で物事を判断していただかなければならないわけでございます。  そこで、法律の中に定められておりますように、通産省で指針を作成して、それに基づいて地方行政を行っていただく、そういう仕組みになっております。  条例制定権につきましては、法令の範囲内でということは憲法に書いてございますので、法律の範囲内で条例をつくっていただくことは、それは地方自治体の議会の問題でございますから、それを政府がとやかく言うものではございませんが、あくまで条例というのは法律の範囲内でおつくりいただくというのが、国、地方関係の中で最も基本的な事柄だろうと私は思っております。
  190. 吉井英勝

    吉井委員 今ナショナルスタンダードの話をされたんですが、アメリカで見ても、実際載っていますけれども、バークレー、ボルティモア、ポートランド、シアトルなど、やはりばらばらなんですよ。ばらばらでいかぬということじゃないんですね。要するに、そこにあるのは、基本は、地方の独自性の尊重。地方はそれぞれ置かれている条件が違うわけですから、それは、確かにアメリカは日本に比べたらうんと国土は広いわけですけれども、その地域の実情に合わせて地方が取り組んでいく。  ですから、日本でいきますと、山形の酒田の苦しみも熊本の八代の苦しみも、それは確かに違いはあっても、それぞれの地域に根差した取り組みというものが、これは地方条例ということを考えていくときに今必要だと私は思うんですよ。条例制定権というのは地方自治の中でも非常に大事に扱われるというのは、やはりそういう意味を持っていると思うんです。  そのときに、個別法において、これはナショナルスタンダードだといって、例えば前の大店法であれば、WTO違反でもないものですが、その大店法のときには一応四項目というのがあったんですね。この四項目も、十三条じゃだめだというわけですよ。そういうふうにしてしまって、むしろナショナルスタンダードの名において一層町づくりを困難にしていくという問題がありますから、私は、なるほどアメリカは、自国では規制強化をしておいて、日本に対してはアメリカ並みないしはヨーロッパ並みの正常なルールをつくることさえいろいろがちゃがちゃ物を言ってくる、圧力をかけてくる、こういうダブルスタンダードで来ているわけですが、これに屈して条例制定権を規制していくようなことはもってのほかだ、地方分権といっても、そういう圧力に屈服しておったんじゃ地方自治も守れないと思うんですよ。  これは、憲法九十四条の条例制定権を生かして地方自治が本当に拡充するという、この立場で臨んでいくということ、地方分権一括法条例制定をうんと広く認めるようにするというからには、そこを考えるべきだというふうに私は思うんです。  くどいようですが、通産大臣にもう一度だけ伺っておきます。やはり立地法十三条を削除して、条例制定の妨げになるようなものは外してしまう、そこへやはり踏み込むべきだと私は思いますが、どうですか。
  191. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 繰り返して申し上げることになって申しわけないんですが、大店立地法は交通、環境問題といった大型店の出店にかかわる生活環境の保持という今日的な問題に的確な対応を図るためのナショナルスタンダードとしてのルールを定めるものでございます。したがいまして、地方自治体が生活環境の保持の観点から本法以上の負担を設置者に課したり需給状況を勘案することは本法の趣旨に反することとなり、その旨本法第十三条におい規定しているところでございます。  一方、大店立地法の手続とは別に、自然環境の保護や歴史的遺産の保全等、本法と異なる観点から、現行他法令との整合性を十分確保した上で、地方自治体が条例を定めることは、本法第十三条により規制されるものではないと考えております。  ただ、そうした場合においても、仮に大型店のみを規制の対象とするに当たっては、当該規制事項が大型店のみに特徴的に関係する事項であるなど、合理性を有することが必要であると思っております。  本法第十三条は、本法の肝心かなめのところでございますので、削除はできないんだろうと思っております。
  192. 吉井英勝

    吉井委員 大体、なぜ全国がこれだけひどいことになってきたか。地域の問題。それは、やはりアメリカからの圧力をたびたび受けて、大店法の骨抜き、これは法を変えたりその他の緩和によってこういう事態が生まれてきて、さらに立地法でそれをスタンダードだとして地方の取り組みさえ規制をしてしまう。このやり方は改めないと前車のわだちをまた踏むことになる。  既に駆け込みでとかいろいろなことを言ってどんどん大型店の出店の動きが出てきているし、そしてその規模が本当に今けた違いなんです。かつて二十年余り前ですと、数千平方メートルぐらいの売場面積の大型店でした。今本当に、十万、二十万、三十万平米という時代ですから、そういうときに地方条例でやれる余地を狭めてしまうということでは全国の国民期待にはこたえられないということを私は申し上げておきたいと思います。  次に、自治事務と代執行の問題について伺いますが、地方分権推進計画では、自治事務については国は代執行をすることはできないとしました。五月二十六日の自治大臣答弁でも、自治事務の中で代執行の対象になるような事務はございませんし、今後もないと明言をされました。地方自治の拡充ということからすれば、地方の仕事に国が関与し、代執行まで行うのでは何が分権かということになりますから、大臣の答弁は当然のことだと思っているのですが、もう一度改めて確認しておきたいと思います。
  193. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 この前答弁申し上げたとおりです。
  194. 吉井英勝

    吉井委員 それで、現行制度では、機関委任事務の場合には裁判を経て代執行となるということになっています。法定受託事務になるものは、やはり裁判を経て代執行になる。しかし自治事務の中には、個別法で直接執行、事実上のいわゆる裁判抜き代執行が持ち込まれてくる。そうすると、大臣の方はせっかく自治事務の中で代執行の対象になる事務はないとおっしゃっておられるのだが、個別法の中で事実上のいわゆる裁判抜き代執行、直接執行ですね、これが持ち込まれるということになると、これはやはり一つの矛盾だと思うのですね。大臣、どうですか。
  195. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 具体的な法律が頭にあっての御質問かという気はするのですけれども、御指摘のとおり、御指摘のような場合、自治事務に関しては代執行ではなくて直接執行である、こういう位置づけになっておりまして、もっと言えば、並行権限の行使という形になろうかと思います。そういう点で、この並行権限の行使、直接執行を行う場合にはやはり厳に、これはもう究極の手段であるということですから、当然のことながら極めて限定的な形でしかこれがなされるべきではない。  しかし、逆に言うと、どうしても国民の利益を保護する緊急の必要があるような場合、これはまさに臨時異例の措置としての直接執行の道が開かれているということでございまして、このことは、地方分権推進委員会勧告、それから、それを踏まえてつくられましたが、地方分権推進計画においても、基本的に今申し上げた国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には行うことができるということを述べておるわけであります。くどいようですが、少なくとも、これは極めて限定的な形での運用ということを当然予想してのものでございます。
  196. 吉井英勝

    吉井委員 私は、大臣の、あなたの立場に立って考えたとして、分権で自治事務はふえる、それは代執行の対象にはならない、地方権限の拡大であるはずですね。ところが、今度は個別法で直接執行、裁判抜き代執行が入ってくる。法定受託事務の方ですと、これは裁判を経ての代執行なんですよね。  そういう点でいくと、あなたの論理であれば、直接執行、裁判抜き代執行が入ってくるというより、やはりそういう点では、法定受託事務へ回して、少なくとも裁判つき代執行の方に回す方が筋としては通っているということに大臣のお考えからすればなるのかなと思うのですが、なかなかあなたは筋を重んじられる方だから、そこを伺っておきたいのですが。
  197. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私は、一つ一つ法律に則してチェックしなければならぬかとは思うのですが、緊急な必要ということをあえてさっき申し上げたつもりであります。そのことの意味も加わってのことだと考えております。
  198. 吉井英勝

    吉井委員 直接執行については、さっきもありました第一次勧告分権推進計画などの中では、確かに国民の利益、緊急の必要というお話でした。しかしそれが、国の利害に重大な関係があると変わってしまっているのですね。緊急の話じゃないですね。  基本的に、自治事務では直接執行を本来削除する方向へ進むべきであると私は思いますが、この点で建設大臣の方に、具体的に。  都市計画決定を見ておきますと、建設省の担当者の説明によりますと、例えば、A、B、C、三つの都道府県にまたがる高速道路の都市計画で、A及びB県は都市計画決定したがC県がそれをしない場合に、都市計画法の国の利害に重大な関係がある事項として都市計画法二十四条を発動することを念頭に置いているということですよね。C県においては、しかし、住宅密集地のど真ん中を高速道路が通るという計画であれば、その道路の騒音、振動、高周波振動、排気ガスなどによる健康被害の発生が予測され、計画地沿線住民が反対運動をするのはこれは当然だと思うのです。その結果、被害の防止ということがなされない限り、反対運動が繰り広げられて、C県では都市計画決定がなかなかできないということも予測されるときに、このときに二十四条発動ということになるんじゃありませんか。
  199. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 都市計画法の第二十四条は、先生御指摘のように、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときには、建設大臣地方公共団体に対して都市計画の決定等の指示を行い、その指示に従わない場合には、都市計画中央審議会の確認を得て、いわゆる審議会の確認を得て直接執行を行い得るとの規定でございます。  ですから、今先生一つの例示として挙げられました、A、B、Cの公共団体があって、その一つのところがそのど真ん中を道路が走るということで云々ということがございましたが、それは都市計画中央審議会の確認というようなこともございます。したがいまして、国土政策あるいは今おっしゃられました環境政策など、こういうようなことは、国が責任を持って実施するべき政策の実現を図る上で必要な都市計画の決定などでございますから、これを地方公共団体が適切に行わない場合も想定されるところからそういうふうになっておりますが、ですから、そういう環境面等々につきましては、その審議会でまた一つのハードルが置かれておると私は認識をいたしております。
  200. 吉井英勝

    吉井委員 今の高速道路の例でいいますと、例えば、つくばの学研都市へ行くときに、常磐自動車道を走りますと、流山のところで道路が半分地下へ潜ってしまって、ふたがけされて、公園になったりゲートボール場になっているところがあります。それはやはり住宅密集地なんですね。そういうところで、やはり住民の意思を尊重して、公害のない道路に改善するということがいろいろな取り組みの中でできたわけですよ。だから、自治事務になって、地域の住民に近いところで自治体が本当に地方自治の拡充という立場でいい仕事ができるのに、実際には個別法で直接執行、いわゆる代執行を残している。私はこの都市計画法二十四条は削除をするべきだというふうに思います。  この質問と、時間が迫ってまいりましたので、もう一つ伺っておきたいのは、もともと地方自治というのは住民自治を基本とした上での団体自治によって実現されるものです。ですから、住民投票の結果、例えばここでは原発をつくらないとなったときに、地方自治体は原子力発電所の建築確認申請に対しては確認をおろさないという立場をとるのは、これは住民自治の尊重ということからして、当然のこととなると思うんです。  このときに、建設省は、建築基準法第十七条の、国の利害に重大な関係がある建築物に関し必要があると認める場合においては、当該都道府県知事または市町村長に対し、必要な措置を命ずることを指示することができると新たなものを追加して、国の直接執行、いわゆる代執行を可能にするように変えた。つまり、地方自治の拡充という観点からすれば、代執行ないしはそれに類するもの、直接執行、こういうものはうんと削除、縮減しなきゃいけないときに、都市計画法の方では二十四条を残して削除しない、一方、建築基準法の方では新たな十七条の追加によって一層地方の権限を狭める。このやり方を進めますと、幾ら地方分権だ、拡充だと言いながらも、この直接執行の内容を盛り込んだ個別法をどんどんつくれば、結局地方分権地方自治の拡充という方向とは違うものになるじゃありませんか。  私は、この点で、建設大臣に、都市計画法二十四条については削除、そして建築基準法十七条についてはこの追加をやめるということをやはりあなたは明らかにするべきだ、そういう立場にこそ立つべきだ、地方分権を口にするならば、その道なんだということを言いたいと思いますが、お考えがあれば聞いておきたい。
  201. 高鳥修

    ○高鳥委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に願います。
  202. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この直接執行を行いますのは国の利害に重大な関係があることのみでございまして、そういうことで、その範疇は非常に狭くなってきております。ですから、私はこのままでまいります。
  203. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  204. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、石井啓一君の質疑に入ります。
  205. 石井啓一

    石井(啓)委員 公明党・改革クラブの石井啓一でございます。  これまで本委員会において熱心な御議論が行われてきました。私は、きょうは定員削減問題、また独立行政法人の問題、最後に、若干財政、金融の分離の問題についてお伺いしたいと思いますが、今まで出てまいりました質問と多少重複するところがあるかと存じますが、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  まず、定員削減の計画でございますけれども、四月二十七日付の閣議、閣議といいますか中央省庁等改革推進本部決定の中で、定員削減といたしまして、   国の行政機関の職員の定員について、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画は、平成十二年十二月三十一日の定員をもとに、平成十三年一月一日から平成二十二年度の間に実施するものとし、府省編成前の適切な時期に策定する。   当該計画に沿った定員削減を進めつつ、郵政公社の設立、独立行政法人への移行により、一層の削減を図るものとする。 こういうふうにされておるんですけれども、ちょっと中身が、詳しく確認をしなければなかなか理解しがたいところがございますので、まずこの点について伺いたいと思います。  いわゆる定員削減計画、十年間で一〇%の定員を削減する計画、この削減のベースになる定員というのはどこまでを対象にされているのかということが一つ。それから、今読んだところにも触れられていましたけれども、郵政公社なり、あるいは独立行政法人へ移行した場合、その定員削減計画の取り扱いというのはどういうことになるのか、この点につきまして確認をさせていただきたいと思います。
  206. 太田誠一

    太田国務大臣 御指摘の平成十一年四月二十七日の十年一〇%以上という定員削減計画は、平成十二年末における各省庁の定員すなわち平成十一年度末で約八十四万六千人を対象とするものであります。郵政公社や独立行政法人に移行する事務事業に係る定員についても、移行までの間にあっては、計画に基づく削減の対象となります。郵政公社や独立行政法人に移行した後は、当該事務事業に係る定員については、定員管理の対象から外れるものであり、十年一〇%の計画的削減の対象からも外れることとなります。  以上でございます。
  207. 石井啓一

    石井(啓)委員 そういたしますと、まずスタート平成十二年末の定員、今御説明いただいたとおり約八十四万六千人ぐらいの定員だ。それをベースに一〇%ということになると八万四千六百人、約八万五千人ということになりますが、一方で、郵政公社や独立行政法人へ移行した場合、移行まではその対象になるけれども、移行した後は定員管理の対象にならない。こういうことになると、では、一〇%を、約八万五千人削減しますよというふうに計画を立てておきながら、郵政公社、独立行政法人へ行ったら、その計画はやりませんよということになるんですかね。どういうことになるんでしょうか。
  208. 太田誠一

    太田国務大臣 郵政公社と独立行政法人につきましては定員管理の責任をみずから負うということでございます。特に、郵政公社は独立採算制度に移行するということでございますから、みずから経営の効率性を求めるようになる。しかも、ディスクロージャーもいたしますし、また当然独立採算制でございますから、何といいますか経営の効率性というものを求めざるを得なくなってくるわけでございますので、それはむだな人は雇う余地はないということになろうかと思います。
  209. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、ちょっと頭の整理をしたいと思うんですけれども、ベースは約八十五万人ですと、これは十年間で一〇%ですから、約八万五千人削減しますよと。ただ、そのベースの八十五万人のうち、郵政職員というのは約三十万人ですね。それで、独立行政法人は今のお考えになっている数だと約七万人というふうに聞いておりますけれども、そうすると、八十五万人のうち、三十万人プラス七万人、三十七万人というのは移行した後はこれは管理しないということになりますね。そうすると、八十五万人マイナス三十七万人ということで四十八万人ですね。では、残った四十八万人で八万五千人の削減をするということなんでしょうか。
  210. 太田誠一

    太田国務大臣 そこで、この十年一〇%という話はここまででありまして、これから残り十年間の大半のことを考えて話さなければなりません。そういたしますと、現に今郵政公社に関しては、基本法を定めた段階で、基本法段階で五年後に郵政公社になるということになっておりますので、ここを我々は、その後を、今中央省庁改革法案を作成しているわけでありますから、ここはもう十年間のそこに至るまでのことはきちんとやらなくちゃいけないけれども、それから後については、もう削減対象とか削減計画とかいうことの中、視野から外そうということにいたしておりまして、したがって、今八十何万人というお話がございましたけれども、今しばしばお答えしておるのは、郵政公社のことはもう頭から外してしまおう、そして、これからの独立行政法人化ということから視野に入れてこの定員削減問題を考えようということにいたしておりますので、しばしば言いますように、この数字も、五十四万六千人ですか、それになるわけでございます。
  211. 石井啓一

    石井(啓)委員 だから、郵政公社を外すと五十四万六千人というから別のベースになると思うのですけれども、それでもまだ独立行政法人というのはその中に入っていますね、移行する機関分というのは。それは、移行したらまたそれも外すわけですね。  そうすると、この十年間で一〇%というのは、では、トータルで十年間で八万五千人を削減するという趣旨ではなくて、十年間で一〇%の削減率を毎年やっていく、そういう趣旨で考えればいいのでしょうか。だから、平均すれば一年間で一%ということで各機関とも努力をする、そういう趣旨で考えればいいのでしょうか、この定削の趣旨は。  恐らくこれはまた新たに閣議等できちんと決めますよね、この定員削減計画というのは。ただ、従来の定員削減計画というのは、例えば五年間で何万人削減目標というのがあったはずなんですよ。それに対して実績がどうだという話だったと思うのだけれども、今回は、途中でそれが変わっちゃうのだから、最終的に何万人というのを削減するということではなくて、それは十年間では八万五千人ぐらいのベースで毎年やっていきましょう、そういう趣旨として理解すればよろしいのでしょうか。
  212. 太田誠一

    太田国務大臣 石井委員は厳密に御議論をされようとしておりますので申し上げるわけでありますが、今のその十年間一〇%の削減計画というのは、今はそれこそ十年二五%の削減という計画に置きかえられておりますので、では今年度の定員削減についてどういう努力をしたかということで議論した方がよろしいかと思いますけれども、それは、十年一〇%ということでありますので、そのスタート中央省庁改革の年から、平成十三年の一月一日からだということはよくわかっておりますけれども、もう既に総務庁においてはその削減の努力はスタートをしていると思いましたから、大体一%を目標に、一年間にいたしますと一%を目標に定員削減をいたしたということでございます。
  213. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、今二五%の方の話が出てきましたので引き続きお聞きしたいと思いますけれども、同じ四月二十七日付の決定の中で、「国家公務員は、上記趣旨を踏まえ、早期に実現させるため前倒しし、」上記の趣旨というのは、先ほど読んだ十年間で一〇%の削減ですね、「平成十二年度採用分から毎年新規採用を減らし、公務員数を十年間で二五%削減する。」こういうふうに書いていまして、後でまた聞きますけれども、一〇%の削減計画と二五%の削減計画、二つ今あるわけでございますけれども、私はその間の頭の整理をちゃんとしなきゃいかぬなと思っておるのです。  まず、この十年間で国家公務員数を二五%削減する、これはいつからスタートしていつまでなのかという計画期間が書いていませんので、それを確認させていただきたい。  それから、この十年間で国家公務員数の二五%削減、そのベースになる、対象になる国家公務員というのはどういうことになっているのか。それから、この場合、郵政公社、独立行政法人へ移行した場合はどういうふうに取り扱われるのか、確認をいたしたいと思います。
  214. 太田誠一

    太田国務大臣 計画期間につきましては、府省再編にあわせて十年間において実施することを考えております。これは、今後とも、与党とも密接に連携しながら、この具体化を図っていく必要があるわけでございますけれども、その計画期間については、府省再編にあわせて十年間において実施することを考えております。  十年二五%削減は、郵政現業を除いた各省庁の定員、すなわち平成十一年度末においては五十四万六千人を対象としており、今後独立行政法人化する機関の定員はその母数に含まれている。五十四万六千人の中に、今既にこの法律で提案しております独立行政法人化の分は含まれているということでございます。  仮に、ここに、最初から八十一万人ですか、というようなことにいたしますと、そして、その中に郵政公社に行かれる分も考えますと、目標は達成されていることになってしまうわけでありまして、そういうことはできないということであります。
  215. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。  そうすると、計画期間は、府省再編に合わせて十年間ということですから、平成十三年一月スタートというふうに考えればよろしいですね。それで、まあ十年間だと。  それから、ベースになる国家公務員というのは、郵政職員を除いた、五十四万六千人とおっしゃいましたが、約五十五万人だということで、郵政公社に移行する分はもとから除いていますよと、今そういうお話でございました。  そうしますと、五十五万人がベースになるわけでございますから、その二五%というのは四分の一でございますから約十三万七千人ぐらいになると思いますけれども、では、その削減の分子の方の十三万七千人には独立行政法人へ移行する組織の定員数は入るというふうに私は聞いておりますけれども、その点について。
  216. 太田誠一

    太田国務大臣 これまで定員の管理の対象であった者が定員の管理の対象から外れるわけでございますので、独立行政法人に行かれる方々は、その十三万七千の中に当然入ってくるわけであります。
  217. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。  そうすると、分母は約五十五万人、分子は約十三万七千人で、独立行政法人に移行する分はその分子に入る、削減目標数の中に入る、こういうことで確認をいたしました。  そうすると、十三万七千人が削減目標なんだけれども、独立行政法人へ移行するのが今聞いておる数だと約七万人ということですから、そうすると純粋な、純粋なといいますか実質的な定員削減数は、十三万七千人から独立行政法人へ移行する七万人分を除いた六万七千人分が実質的な定員削減数というふうに考えてよろしいわけですね。確認したいと思います。
  218. 太田誠一

    太田国務大臣 今おっしゃった七万、七万三千人と我々言っておりますけれども、七万三千人の、独立行政法人化される職場の今いる方々の数がそうなのでありまして、それぞれどの時点で独立行政法人に移行するかということがその法人によってまたばらばらでありますので、今すぐに引いていいということではないわけでございます。ちょっと時間が、ある一定の期間の中に次々とやっていくということになるでしょうから。  それともう一つは、独立行政法人化する機関も、今現在の定員の方々が全部行かれるのか、それとも、一部は企画立案のようなことで残るということになるのか、そこのところがまだきちんと詰め切っておりませんので、全員が行くというふうにはまだ我々は判断できないわけであります。
  219. 石井啓一

    石井(啓)委員 そういうような細かいことはあれですけれども、考え方として今整理をさせていただいているわけで、今大臣がおっしゃった七万三千人が、全員行くかどうかわからないけれども、行くとして考えると、そうすると、十三万七千人の削減目標のうち、七万三千人を除いた六万四千人がいわゆる定員削減数だ、こういうふうに確認をさせていただきました。  そういたしますと、独立行政法人へ移行する分が削減目標の中に含まれるということになると、今は確かに七万三千人ということかもしれないけれども、独立行政法人になる組織がこれからふえれば、その分だけ分子はどんどんどんどんふえるわけですよ。  例えば、国立学校が独立行政法人になるかどうかは今不明でございますけれども、例えばなると仮定して考えますと、国立学校というのは十三万五千人もいるのですね。これだけで、国立学校を独立行政法人化しただけで、実は二五%削減計画というのはほとんど達成してしまうんです。  どういうことかというと、この二五%削減計画というのは、実は独立行政法人へどれだけ移行するかによって大幅に削減率が変わってくる、こういう計画でございまして、二五%削減というふうに聞きますと、いや、これは大変な削減をするように見えますけれども、実は中身をよく見てみますと、実質的に定員削減になる数というのは独立行政法人へ移行する数によるということでございますから、実質的な削減数というのは、実は二五%には全然ならない。ある意味で、見かけより中身が随分少ないという意味で、私は上げ底の計画じゃないかと思っているんですけれども、その点はどうでしょう。
  220. 太田誠一

    太田国務大臣 たびたび、国会のさまざまな機会にお答えをしておるんですけれども、それはそのとおりでございます。つまり、独立行政法人化が進めば、それによってこの目標というのは達成されることになるわけであります。  ただ、それは考え方の問題でありまして、独立行政法人化するということと定員削減もかけられるということと、どっちが本当に、現に国家公務員でおられる方々にとってきつい話なのかということを考えれば、それは私は、独立行政法人化する方がはるかに厳しい人生であると思います。なぜならば、定員削減を毎年毎年、前にも申しましたように、二・八%ずつ定員削減をしていけば、それは十年間たてば二五%減るわけであります。二・八%していかないと二五%にならない。  それはどういうことかというと、例えば三人おやめになったときに一人しか補充しないというやり方をすれば、恐らくその目標は達成できるんでしょう。ところが、ではそれでその職場はどうなるかというと、これは機能がどんどん低下していくことははっきりしているわけでありますから、それでも構わないというふうに、やる気がないということになれば、それはそういうことになるんじゃないですか。
  221. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、私は今、一〇%の定削と二五%の国家公務員の削減というのをきちんと整理をしないと、これを読んでもわからないんですよ。  それで、どういうことなのかと少しいろいろ聞いてみると、実は、二五%削減計画というのは一〇%定削に比べてすごく大胆な削減をするように思っていたんだけれども、よくよく中身を検索してみると、いや、そうでもないらしいぞ、これはよくよくまゆにつばをして見ないと、二五%という数字にだまかされやすいなというふうに私は思っているんですよ。  では、もう少し数字を挙げて言いますと、例えば一〇%定削といった場合、五十五万人を対象にすると、これは五万五千人削減しなきゃいけないわけですよ。二五%削減するというと、五十五万人に対しては十三万七千人ぐらいだけれども、さっき言いましたように、独立行政法人への移行数が七万三千人であれば、十三万七千人から七万三千人を引いた六万四千人が実質な定員削減分だから、一〇%削減計画の五万五千人に比べれば、二五%計画の六万四千人というのは厳しい削減になると思いますよ。  ただし、独立行政法人に移行する数がふえれば、十三万七千人から五万五千人引くと八万四千人だ、独立行政法人へ移行する数が八万四千人以上になれば、実質の定員削減数は五万五千人以下でいいということになるわけですよ。どういうことかというと、要するに、二五%削減計画の方が、独立行政法人への移行の数によっては、実質的な定員削減数が一〇%定削より緩くなるケースも出てくるわけです。どうなんでしょうか。
  222. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 先生の今の御質問基本法の解釈の関係が出ていますので、ちょっと御説明させてください。  基本法では、公務員の定削につきまして、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画の策定と、これに基づく削減というのがあります。これを進めつつ、郵政公社の設立及び独立行政法人への移行ということは決まっているわけです。したがって、十年間で少なくとも十分の一以上の削減というのは、これは法律事項でございまして、今回の二五%というのは閣議決定で決めたことでございます。  ですから、先ほどちょっと先生がおっしゃいましたけれども、独立行政法人化がどんどんふえればこの十年に十分の一の削減をしないでもいいのかということではございませんで、この削減自体は、これは法律で別途規定されているということでございます。
  223. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、そういうことを言っているんじゃなくて、定削計画というのは、それは決まっているんだからやるんだろうけれども、二五%計画を立てたからといって、一〇%定削以上に削減することには必ずしもならないんでしょうということを言っているわけです。必ずしもそうならないんでしょう。
  224. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 その関係で、当初一〇%と言っていたのがなぜ二〇%になったかということを御説明したいと思いますが、一〇%というのが法律で決まっておりました、それでプラス郵政公社と独立行政法人というのがありました、この郵政公社化というのは、既に基本法平成十五年内に行くということは決まっておりました。ですから、それを除いて独立行政法人化というものをこの時点では全く、どの程度が法人化されるか未定でございました。したがって、これと先ほどの一〇%と合わせて二〇%という数字が小渕総理から出てきた、そういうことでございます。
  225. 石井啓一

    石井(啓)委員 ちょっと、私全然そんなこと聞いていないんだけれども。特に、二〇%じゃなくて二五%の方を聞いているんだから、何か全然違うことをおっしゃらないでほしいんだけれども。  では、もう一度ちょっと整理したいんですけれども、次の問いに移りますが、この定員一〇%の削減計画と国家公務員二五%削減計画とは、どういう関係になるのか。特に定削計画の方は、きちんと中身を詰めて閣議等でオーソライズしているはずだけれども、この国家公務員二五%削減計画というものも同様に、そういうオーソライズするということがあるのかどうか、確認をしたいと思います。
  226. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  十年二五%の方針は、ただいまも御答弁ありましたように、中央省庁等改革基本法におきまして、計画削減による一〇%の削減の外数とされております独立行政法人化による削減を含めた削減率でございます。そして、この十年二五%削減の方針そのものは、先般閣議決定を行ったところでございます。  そしてさらに、この具体的な中身につきましては、十年間にわたりましていろいろな改革の努力を行うという必要がございますので、その実施方法も含めまして、その具体的な内容につきましては、今後具体的に検討していくということに相なるわけでございます。
  227. 石井啓一

    石井(啓)委員 ちょっと大臣、後半の方の答えを今お答えになっていなかったようだけれども、国家公務員二五%削減計画というのは、定削計画のように閣議等でオーソライズされるんでしょうか。
  228. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 最終的には今後の課題でございますが、今の考え方だけ御説明させていただきます。  先ほどから申し上げていますように、基本法にあります十年一〇%を超える削減というのは、これは従来と同様、いわゆる定員削減計画ということでこれは閣議決定をするべきものかと考えております。ただ、それ以外の、いわゆる独立行政法人化に伴う数といいますのは、今回の方針でほぼ方針は決定しておりますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、今後、大学でありますとか、ほかの機関についても、平成十四年、十五年あるいは十六年にわたって検討していくわけでございます。したがって、最終的に独立行政法人化によってどれだけがいわゆる国家公務員、行政機関の定員管理から外れるかということは、これは中央省庁改革の始まります十三年前には確定しないわけでございます。  したがって、当初の数として二五%というのは確定できませんが、その後、十四、十五、十六と、引き続き国立大学についてはどうするのか、あるいはほかの機関については、引き続き独立行政法人化をどうするのかというものの結果として、積み上げとして、最終的には二五%は確保しなきゃいけない、それに向けて努力するというものでございます。
  229. 石井啓一

    石井(啓)委員 そうすると、最終的に確保しなきゃいけないということは、結果として確保するように努力するけれども、毎年毎年の、いわゆる従来からやっていた総務庁の定員管理では、この二五%の方ではやらないということですね。
  230. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 今申し上げましたように、二五%といいますのは、いわゆる、この基本法に書いてある定員削減プラス独立行政法人化でございます。したがって、独立行政法人化を最終的にどれだけの機関をするということが十三年前には決まらないわけでございますので、そういう意味で、二五%の方は事前には個別には決まらない。  ただ、法律で求められている一〇%削減というものは、これは当然省庁改革が始まる前に定員削減計画として閣議で決定するべきものであると考えている、そのようなことでございます。
  231. 石井啓一

    石井(啓)委員 そうすると、今までの答弁でよくわかったことは、要はこの二五%削減計画というのは、目標ではあるけれども、別にそれを毎年毎年管理するものじゃないと。だから管理方法は定まっていないわけですね。だから、これはもう単なる宣伝目標……(発言する者あり)数字の遊びと今場内から出ましたけれども、そういうことですね。だから、二五%を目標として毎年毎年定員の管理をやっていくという意味での定員管理ではない、そういうことなんですね。
  232. 太田誠一

    太田国務大臣 きのうもお答えしましたが、十年、二五%削減の方針自体は閣議決定をいたしております。まさにその政治責任は小渕内閣について生じているわけであります。
  233. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、閣議決定しているけれども、その内容が非常にあいまい、削減の中身がはっきりしないじゃないですか。普通、一〇%の定員削減計画の方は、例えば従来の手法でいけば、どういう職種で何%減らすか、そういう、細かく決めて、積み上げて削減目標数を出すわけでしょう。そういうことをやらないんじゃないですか、今回二五%の方は。ということは、細かく決めて閣議等でオーソライズしないということは、これは単なる政治目標だということでしょう。
  234. 太田誠一

    太田国務大臣 毎年の定員削減というのは、予算編成と同時に、定員削減計画というか、定員削減を実はそこで決めるわけですね、予算定員ですから。そのときには、確かにどこどこの省が何人ということは数字は確定しますけれども、それまでの間は何も確定しているわけではありません。毎年毎年、来年どうするか、例えば今時点で、従来の定員削減計画の中で何%を来年減らすことにしているか、再来年何%にしているのか、そういう計画はないわけであります。毎年の定員削減の査定の中で作業をやっているわけであります。
  235. 石井啓一

    石井(啓)委員 毎年の査定の中ではやるけれども、従来だったら五年間の定削という総枠があって、それを削減数を目標にして毎年毎年やっているわけですよ。だから、五年間の目標がなければ毎年毎年のものはできないじゃないですか。今回のそれは、ベースになるのは十年間で一〇%削減、目標を毎年毎年やるんであって、十年間で二五%という方ではやらないんですねということを言っているわけですから、だから二五%削減目標の方は政治的な目標なんですねということを言っているわけです。
  236. 太田誠一

    太田国務大臣 法律でなければやらなくてもいいということではないわけであって、内閣が閣議で責任を持って決めたことは必ず実行しなければならないわけであります。つまり、なぜそこがそんなにいいかげんなもののように思われるのか、私、ちょっと理解できない。
  237. 石井啓一

    石井(啓)委員 だから、先ほどから指摘しますように、要するに中身がきちんとはっきりしない、それで二五%という数字だけが先に出てきているからそういうことを言っているわけです。  いずれにしても、何か二五%という、すごく金看板に掲げて一生懸命やっているようだけれども、必ずしもそうじゃないねということをちゃんと指摘しておきたいし、それから、やはり本当にこれを真摯にやるつもりだったら、その削減の中身をきちんと詰めて、閣議等でやはりオーソライズすべきだ、このことは指摘をしておきたいと思います。  実は、たくさん質問を用意していますので、ちょっとほかのところに移らせていただきたいんですが、独立行政法人の方ですけれども、まず個別の方からいきたいと思います。  大蔵大臣、お待たせいたしました。前段階で基本的なところを聞こうと思ったのですけれども、時間が差し迫ってきましたので、ちょっと大臣の方の個別の問題を先にお伺いしたいと思うんです。  特に、独立行政法人云々の中でも、大蔵省の印刷局、造幣局、この経営形態の問題でございますが、私は、二月の五日の大蔵委員会で、大臣に対して、この経営形態の検討に当たっては、これは労働組合との十分な協議が欠かせない、こういうことで大臣に御質問を申し上げました。大臣の方も、「どういう結論になりましても、よくお互いにわかった上でということでなければならない」、こういう御答弁をいただいているわけでございますが、これまで具体的にどういう協議が行われてきておって、また今後はどういうふうにそれに取り組まれるのか、その点について伺いたいと思います。
  238. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 二月五日のお尋ねの際に申し上げましたとおり、既にそれまでに民間の有識者をメンバーとする懇談会が設けられておりまして、その場で各界の意見を聴取しながら検討を進めてまいりました。また他方、印刷及び造幣の労働組合の幹部とは、私も何度か話をいたしましたし、また役所では、官房長をヘッドといたしましてチームを組みまして、大変に密接に協議を続けてまいりました。  その結果といたしまして、三十五条における経営形態を検討した結果として、基本計画に基づいて、独立法人とすることはやむを得ないということで最終的な結論に達したわけであります。そこに至りますまでには、非常な経緯がございましたし、また政党の中には、御好意を持ってこの協議にいろいろ援助してくださった向きもありました。  独立法人化とすることにはなりましたが、ただ、通貨製造をしております経営でございますから、もとより、それに配慮して職員の身分は国家公務員とする、また、安定的な雇用関係に配慮して慎重にこの移行を行うということになりまして、移行は平成十五年度前半ということに閣議決定をいたしました。これは、通貨製造という特殊性を考慮いたしまして、安定的な雇用関係に配慮しながら移行をいたしたいと考えたからであります。  なお、その後も、実はこの両組合と大蔵省の幹部との話し合いは今日に至るまで続いておりまして、それは決定のとおり、文字どおり、移行が安定的にいくように、また、労使と申しますか、組合とも緊密な関係を続けていけるようにという、そういう目的を持ちまして、今日まで懇談を続けておりまして、いろいろ事情はございましたが、最善ではないにしても、ベターの結果になったと関係者に考えてもらえるようにしていきたいと思っております。
  239. 石井啓一

    石井(啓)委員 大臣の御答弁でございますけれども、私の聞いている範囲では、なかなか緊密な、あるいは十分な労使間の協議が行われてこなかった、労使間の不正常な状態があった、こういうふうに聞いておりまして、そのことは大蔵省としても認識をされているんじゃないかと私は思うんです。  聞くところによりますと、五月の三十一日に、大蔵省と全印刷、全造幣の両組合の間で経営形態に関する新しい協議の場が設けられた、こういうふうに聞いております。一応、今閣議では独立行政法人を決めたということをおっしゃっておりますけれども、その独立行政法人化も含めて、経営形態の問題に関しては、その場で、やはりきちんと労使が双方に納得できるような十分な協議が行われてしかるべきだ、こういうふうに私は考えております。大臣、いかがでございましょう。
  240. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 細部を省略いたしましたけれども、この結論につきましては、私どもの党を含めまして、政党の間にもいろいろ実は御意見があります。それはそのとおりでございますけれども、そこはいわゆるスリム化という目的がございますので、本来のこの両方の組合の通貨をつくるという一種の国の仕事と相入れるような形でそれを進めていこう、そういう意識は、最後のところは一応の合意として残ったものというふうに私は考えております。  何分にも長い間の形態が変わるわけでございますから、さしずめ、それについてのいろいろな反論、いろいろな不平というものはあってもやむを得ないと私は思っておりますけれども、終局的にはそういうことで決着をいたしまして、それに至るまでの移行について話し合っておるというふうに認識しております。
  241. 石井啓一

    石井(啓)委員 先ほど大臣がちょっと触れられました有識者の懇談会ですか、大蔵省内に設けられた、造幣・印刷事業の経営形態等に関する懇談会報告書、これも私ざっと目を通させていただきましたけれども、この報告書の中でどういうふうに言われているかというと、経営形態に関しては、「現状の国営企業形態が特段の問題なく機能してきていること、また、質の高い通貨を製造しつつこれまでも合理化・効率化に取り組んできていることを踏まえると、経済的目標達成の上では、国営形態が引き続き望ましいのではないか、という意見が多かった。」これは事実として、そういう懇談会の多くの意見は、現在の国営形態で別に問題ない、こういう指摘がされているということは、私は事実としてちゃんと申し述べておきたいと思います。  なおかつ、仮に独立行政法人化する場合にも、通貨製造業務の特殊性から、いろいろ条件をつけられているんですね。これは五つほど条件がつけられていまして、詳しくここで読むのは差し控えたいと思いますけれども、これらの条件をクリアしてあえて独立行政法人化するくらいなら、問題のない現在の経営形態で何でいけないのかしらという、私は、根本的な疑問が解消されないままでございます。  いずれにいたしましても、今後の労使間の協議に当たっては、大臣も大蔵委員会でもおっしゃっておりましたけれども、労使の信頼関係がきちんと守られるようにぜひ御指導をいただきたいと思いますので、要請をしておきます。
  242. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのように心がけてまいりたいと思います。
  243. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは次に、独立行政法人の役員の任命問題についても幾つか質問がございました。法律上の仕組みとしては、それぞれの独立行政法人の長については主務大臣の任命である、そして、ほかの役員については長の任命というふうに理解をしておりますけれども、そういう建前は建前としまして、基本的な方針として、今、独立行政法人ということにする大きな目的が組織の効率化だとかそういうことにあるとするならば、やはり経営能力というのがその役員には大きく求められていると思いますので、積極的に民間人を登用すべきではないか。  基本的な方針として、それぞれどの法人がどうするかというのは今ここでなかなか議論しにくいですけれども、全般的な方針としては、私は、積極的な民間人の登用というのは図るべきだというように思っておりますが、この点について、いかがでしょうか。
  244. 太田誠一

    太田国務大臣 この独立行政法人は、今までの行政機関とは違って、行政機関の場合には目的は適正性、つまり法律目的に照らしてきちんとやっているかどうか、適正性を判断されるわけであります。それに加えて、同じように効率性というものも、あわせて独立行政法人の長は求められることになるわけでございます。  そういたしますと、効率性だけならば、今おっしゃったようなことがあるいは正しいかもしれませんけれども、適正性ということをあわせて目標として掲げている以上、それだけではいけないわけであります。  私も、独立行政法人の経営者というかトップは民間人がなるという姿は非常に望ましいと思っておりますけれども、例えば博物館とか美術館ということを考えたときに、そのときに、国家公務員であった人を、例えば国立大学の教授も同じでございますけれども、そういう人たちをあらかじめ外すということが公正なことなのかどうかということはわからない。むしろ後から、その人の実績を見て、途中で交代するというふうにしておく方が公正なやり方だろうと思っているわけであります。
  245. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、今この場では、例えば今大臣おっしゃったような博物館とか美術館とか、個々の問題で云々ということは申し上げるつもりはないんだけれども、全体的な方針として、やはりそれはあってしかるべきじゃないかと思うんですよ。というのは、独立行政法人が第二の特殊法人に近いんじゃないか、そうすると、この役員ポストというのはやはり天下り天国になるんじゃないか、やはりそういう心配といいますか懸念といいますかはだれしも持つわけでございます。  官房長官にお尋ねをしたいんですけれども、特殊法人の場合は、全体の役員のたしか半分以上は天下りにしないというような方針を内閣として閣議で決めていたと思うんですが、やはり独立行政法人の場合も同様に、民間人を積極的に登用する、あるいは天下りポストをなるべくつくらないという趣旨から、そういったような方針を内閣として設けるべきじゃないかと思うんですが、その点について、いかがでしょうか。
  246. 野中広務

    野中国務大臣 委員お説のとおり、特殊法人につきましては、その運用につきまして、それぞれ常勤役員を、国家公務員の直接の就任及びこれに準ずる者を半数以内にとどめるということにいたしておるわけでございまして、独立行政法人の役員につきましても、民間人を含めて広く人材を集めて、適材適所の活用が重要であると考えております。民間人につきましては、公募を含めて考えていきたいと考えております。
  247. 石井啓一

    石井(啓)委員 具体的な方針のお話は今の段階ではできないと思いますけれども、いずれ、半数かどうか、数は別にして、そういう内閣全体としてのガイドラインといいますか、指針といいますか、そういうものがあってしかるべきであろう、私はこのことを指摘しておきたいと思います。  それから、独立行政法人の職員の身分保障の問題でございますけれども、中期計画終了時にその組織が民営化するということもあるわけでございますから、その職員の身分も見直せるということになるわけでございますけれども、もともと国家公務員であった方が独立行政法人に移行すると、やはり自分たちの身分はどうなるんだろうかという心配をたくさん持つと思うのですね。  なおかつ、中期計画、三年ないし五年ごとに自分たちの身分がどうなるかわからないということであれば、本当に安定した雇用関係というのが維持できるのだろうか。あるいは、もともとそういうつもりで恐らく国家公務員になられた方を、そういうふうに、独立行政法人に移行するということで、いつ民間になるかわからないよという状態に置くことが果たしてふさわしいのか。私は、若干その点について疑問がございまして、この職員の身分保障ということについて、これは官房長官に御答弁いただければと思います。
  248. 野中広務

    野中国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、独立行政法人制度におきましても、中期計画期間の終了時におきまして、業務を継続していくかどうか、組織形態のあり方について見直しを行います場合は所要の措置を講ずるとされておるものでございまして、この見直しに当たりましては、独立行政法人評価委員会の評価等を踏まえながら、主務大臣が決定をしていくことになるわけでございます。  したがいまして、今御指摘ございましたように、見直しに当たりましては、ゆえなく職員の身分変更や民営化を意味するものではないわけでございまして、客観的に行われるべきものだと承知をいたしておる次第でございます。  いずれにいたしましても、職員の雇用の確保については十分配慮していかなくてはならないことだと存じております。
  249. 石井啓一

    石井(啓)委員 その点についてやはり御心配される向きもたくさんあると思いますので、この職員の身分あるいは待遇等については、それぞれの組織間の労使の十分な協議による、このことをぜひお願いしたいと思います。  それから、同じく独立行政法人の職員の給与について、業績を反映するという方法も盛り込まれておりますけれども、これがどういうふうに行われるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  250. 太田誠一

    太田国務大臣 独立行政法人の職員の給与については、中央省庁等改革基本法第三十八条の六号において「独立行政法人の職員の給与その他の処遇について、当該職員の業績及び当該独立行政法人の業務の実績が反映されるものとすること。」とされておりますことを受けて、独立行政法人の通則法案において、当該職員の勤務成績及び当該独立行政法人の業務の実績を考慮して定めることといたしております。具体的には、労使交渉を経て、独立行政法人が定めて公表することとなっております。  法人の業績については、第三者機関である評価委員会による当該独立行政法人の業務の実績の評価の結果など、また個々の職員の給与についても、その法案の趣旨を踏まえた運営がなされることがそれぞれ期待されるわけであります。
  251. 石井啓一

    石井(啓)委員 業績反映というのが、いわば二種類あると思うのですね、今の御答弁だと。いわば組織、法人としてどれだけ業績を上げたかということと、それぞれ個々人の勤務評定。  私は、基本的に業績が反映されるということはいいと思うのですけれども、ただ、組織、法人としての業績というのは中期目標に対する達成率ということで比較的把握しやすいわけですが、個々人の勤務成績というのは、職種によってそれは違うと思いますけれども、必ずしも、数値化しにくいというのでしょうか、例えば営業をやっていればその営業成績ということでよくわかるけれども、そうでない職種も結構たくさんあって、その個々人の業績の把握というのは、私は難しいんじゃないかと思うのですね、なかなか数値化するというのは。  だから、その一律の適用はやはり避けて、業務の性格に応じて対応するというのが個人の勤務成績、業績評価ということについては必要だと思うのです。その点についてはいかがでしょうか。
  252. 太田誠一

    太田国務大臣 個人の人事考課というのですか業績の評価というのは、それは確かに難しいことではありますが、民間企業ならどこでもそれぞれのセクションの責任者が一生懸命やっていることでもありますし、また国家公務員についても、業績評価型の、成績を考慮した体系を考えようというようなことも、今はまだやっておりませんけれども、公務員制度調査会の答申などではもう既にその改革方向に向かっていこうではないかということが確認されておりますので、いや応なくそれは適正性と効率性と両方から個人が評価される時代に入っていかざるを得ないんだと思います。
  253. 石井啓一

    石井(啓)委員 ある意味でこれは公務員の評価をどうするかという大きなテーマかもしれませんけれども、本当に一生懸命やっている人、あるいは本当にサボって全然だめな人間というのはよくわかると思うのですよ、ある意味で。ただ、その中間というのはなかなか難しいだろうなと思うんですね。私もかつて役所にいた経験からすると、非常によくできる人間と本当にだめな人間というのはよくわかるのだけれども、中間層というのはなかなか難しいだろうなというのが正直な感想でございまして、その辺どうするか、難しいところだと思いますけれども、先ほど言いましたように、一律にばさっとやるというようなことはぜひやらずに、それぞれの職場なり職種の実情に応じてやっていただきたいなと要望をしておきたいと思います。  それから最後に、金融庁と財務省でございますが、金融庁の特命担当大臣については他の大臣が兼務することが可能だと私は伺っておりますが、ちょっとまずその点について確認をしておきたいと思います。金融庁の特命担当大臣を他の大臣が兼務することが可能だ、例えば総務省の大臣、総務大臣が金融庁の特命担当大臣を兼務することが可能だ、こういうふうに私は聞いておるのですが、ちょっとその点について確認したいと思います。
  254. 河野昭

    ○河野(昭)政府委員 内閣設置法でございますが、担当大臣、金融庁に置かれることになっておりますが、兼務について、するとかしないとかという規定はございません。したがって、可能であるということでございます。
  255. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。可能であるということですね。  では、その前提でお伺いしたいのですけれども、済みません、柳沢大臣、大変お待たせいたしまして申しわけございません。  十三年の一月からこれは始まるわけですが、その時期というのはペイオフ解禁直前の時期ということで、恐らく金融不安がまだまだなかなか解消されていない状況だと私は思っております。したがって、金融問題が落ちつくまでは金融庁の担当大臣は、ほかの大臣が兼務することは可能なんだというふうに伺いましたが、私は専任であるべきじゃないか、こういうふうに思っております。これは本来総理大臣の人事権に属することだと思いますけれども、私は考え方として、やはり金融庁の担当大臣というのは専任であるべきだろう、当面金融問題が落ちつくまでは、そういうふうに考えますが、本来は総理大臣にお聞きしたいところでございますけれども、官房長官のお答えをいただきたい。  同時に、柳沢大臣が大変御苦労されて、激務でいらっしゃると思いますので、その経験を踏まえられてお答えをいただきたいと思います。
  256. 野中広務

    野中国務大臣 お説のように、今お願いをいたしております法案におきましては、二〇〇一年一月以降、新しい中央省庁の体制におきまして、内閣府の外局として金融庁が置かれるわけでございます。その所管事項を担当する特命担当大臣を置くことといたしております。それまでの間は国務大臣委員長といたします金融再生委員会が置かれておるわけでございまして、現在の金融の機能の安定とその再生を図るための事務を集中的に処理することとされているわけでございます。  したがいまして、現下の厳しい金融問題の克服は、まず二〇〇一年までの間に金融再生委員長を中心に、政府全体として万全を尽くしていくべきであると考えております。
  257. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 ただいま官房長官のお答えになられたとおりでございまして、まず第一に申し上げたいのは、今石井委員の方から、二〇〇一年四月以降においても金融は同様の状態を脱することができないのではないかというようなことを前提にされてのお話がありましたが、これは私どもとしては、そのお言葉をそのままお認めするというわけにはなかなかまいらない。私の今の任務というのは、やはりそのときまでに、いかなる努力、手段を払っても金融を安定化し、またその再生を実現することである、このように考えておりますことをまず申し上げたいと思います。  それから、第二に申し上げたいのは、新しい内閣設置法におきましては、特命担当大臣が金融庁の担当者として置かれるということになっておりますけれども、この方の専任であるかあるいは兼任であるかということについては、そのときの金融情勢等を見て、任命権者たる内閣総理大臣がお決めになることであるということを申し上げたいと思います。  そして第三に、それだけではおまえに対する質問の答えにはなっておらない、現在の実務経験からいってどのように考えるかということでございますけれども、私は、実は、現在の内閣設置法の規定そのものも、世界各国、今金融行政をどのように行うかということについて、やや暗中模索の状態というか過渡期だというふうに私自身認識しておりますが、我が国も同様でありまして、この規定自体もかなり過渡期的なものとして私は受けとめております。  それはどういうことかといいますと、特命担当大臣ということでございますけれども、これは金融庁に対する人事統括権を持っておりません。事務統括権だけを持つ大臣でありまして、こういうようなものが、金融というような非常に長く続く、そしてそれに対する行政も恒常的に続くというような行政に対する所轄の大臣がこのような立場に置かれるというのは、どう考えても永続的なものの姿とは解されないということであります。  一方、必置的に担当大臣が置かれるものとして沖縄と北方問題がありますけれども、これはまさしく、ある一定期間において解決が図られ、その問題が解消され、その担当が必要なくなるということを前提にした特命でありまして、私は、そのことと金融庁の担当大臣が同列に論じられているということは、やはり過渡的な形態ということで解さざるを得ない、このように思っておりまして、そういうことを踏まえて、内閣総理大臣がどのようにその人事を取り計らっていかれるかという問題だ、このように申し上げたいと思います。
  258. 石井啓一

    石井(啓)委員 大臣、大変丁寧な御答弁をありがとうございました。  もう時間が参りましたので、最後の質問になりますけれども、今、金融特命担当大臣は他の大臣が兼務することができる、可能だということでございますので、場合によっては、財務省の大臣、財務大臣が兼務することも理論的には可能になってくると思うのですね。ただ、財政と金融の分離というその趣旨からすると、私は、当然のことだと思いますけれども、財務大臣が金融庁の特命担当大臣をすることはないのだろうと思うし、またすべきではないと思いますが、その点について、官房長官、それから恐縮でございますが、大蔵大臣、金融担当大臣、それぞれ簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  259. 高鳥修

    ○高鳥委員長 もう時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
  260. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 総理大臣の任命権に属することでございますから、意見を申し上げることは差し控えます。
  261. 野中広務

    野中国務大臣 大蔵大臣答弁のとおり、総理大臣の所管事項でございますので、また、国務大臣の総数にかかわる問題でございますので、私どもから将来にわたって拘束する答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  262. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 宮澤大臣、それから官房長官のお答えになったとおりでございます。
  263. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が参りましたので、終わります。
  264. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、石垣一夫君の質疑に入ります。
  265. 石垣一夫

    ○石垣委員 公明党・改革クラブの石垣一夫でございます。  きょうは地方分権を中心に数点お尋ねしたいと思うのですけれども、自治体は今何を考えているかということで、地方分権、少子高齢化、介護保険、市町村合併、いわゆる二十一世紀日本の町づくりに関連する問題で、共同通信社が全国三千三百二の首長にアンケート調査をやった結果があります。  その中で、自治体は今、最大課題に取り組む上で一番大きな問題は何かということで、第一位に福祉、これが四〇・三%、次が財政、これが二九・五%、それから第三点が過疎対策、二五・五%、こういうふうな数字が上がっております。  さらに、最大課題に取り組む上で何が障害かということでは、財源不足、これが六四・九%、第二位に人材不足、これが六・〇%、こういうデータが出ております。  さらに、本当に地方分権は進むのか、こういう問いに対して、大いに進む、これが四・五%、少しは進む、七九・八%、ほとんど進まない、これは一二%、大半が地方分権については高く評価をしているわけであります。  さらに、分権委員会勧告は課題の解決に役立つか、こういう問いかけに対して、大いに効果がある、これが四・一%、少しは効果がある、三五・一%、ほとんど変わらない、これが四三・四%、こういうデータが出ております。  これは、それぞれの首長でございますけれども、今回の地方分権を進める上において非常に貴重なデータである、私はこのように理解をしております。  そういう中で、言うまでもなく、地方自治体の基本は住民参加であり、今後、行財政運営の民主性を高める上においても住民参加の度合いが決め手である、このように私は思うわけであります。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  そこで、地方自治体が住民の意向を行政に反映させていくことが極めて重要だ、私はこう思うのです。どうすれば住民が行政に積極的に参加できるか、そういう方策を考えることが重要だろう、このように私は思います。  地方分権成果を上げていく上においても、住民の行政への参加の拡大は今後の検討課題として必須条件であろう、私はこう思うのですけれども、自治大臣はどういうようにお考えですか。
  266. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回の法改正によりまして地方公共団体の自主性、自立性が高まるということは、いわゆる団体自治の面において充実強化が図られることはもちろんでありますけれども、同時に、地方公共団体が住民の意向を踏まえて行政を進めることができるようになるということでもありまして、これは、住民自治、つまり団体自治に対して住民自治、この両面において大きな意義を有するものであると考えております。  もとより、地方自治行政を進める上で、住民の行政への参加機会の拡大、行政運営の公正の確保とそれから透明性の向上を図るということは極めて重要なことでございまして、こうした意味における住民自治の充実方策については、地方行政の現場で創意工夫が働く余地が大変大きいと言えるわけであります。  そこで、住民の直接的な地方自治行政への参加という意味における住民自治の充実方策につきましては、地方分権推進計画に基づきまして、情報公開制度の充実や住民意思の適切な把握、反映などに努めるよう、積極的に地方公共団体に対しても要請をしてまいりたいと考えております。なお、制度面におきましても、住民投票制度のあり方や直接請求制度の見直しの検討などに取り組んでまいりたいと考えております。
  267. 石垣一夫

    ○石垣委員 今大臣から、情報公開制度あるいはまた住民投票制度のあり方について、こういう話があったんですけれども、現在、住民の行政への参加については、制度化されているものとしてはいわゆる直接請求制度があります。これは、住民が一定の署名を集めて条例制定を求める、さらにまた、首長や議員等の解職、議会の解散を求める、こういう制度もあります。  そのうち、首長等の主要公務員の解職請求や議会の解散については、有権者の三分の一の署名が必要とされている。地方自治法の七十六条、八十条、八十一条にそれぞれこれが定義づけられておるのですけれども、人口規模の大きい公共団体において、限られた期間内、都道府県では二カ月、市町村では一カ月、その間に有権者の三分の一の署名を集めなきゃいけない、こういう縛りがありますので、こういう点について、住民がこの運動を起こしてもかなり厳しい面があると私は思うのですが、こういう点はいかがお考えですか。
  268. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、直接請求制度は、公選の長そして議会による代表民主制を補完するために住民が直接参政する制度として、大変重要な意義を持っておるわけです。しかし、今御説明ございましたように、現行法体系におきましては、まず第一に、制度が煩雑で住民が活用しにくいのではないか、第二に、特にリコールの直接請求につきまして必要署名数が有権者の三分の一ということになっておりまして、人口の多い地方公共団体においてはなかなか署名が集まりにくいという指摘もあるところであります。  そこで、地方分権推進計画におきましても、「直接請求制度については、必要署名数の緩和等首長や主要公務員の解職請求の要件緩和について検討を行う。」こう書いておるわけでございます。これを受けて、住民参加の拡大という観点から、必要署名数や署名収集手続の簡素化などの見直しについて検討をしてまいりたいと考えております。
  269. 石垣一夫

    ○石垣委員 住民参加の拡大の方策について、特に住民投票制度の導入についていろいろと議論があります。現在も幾つかの地方公共団体におい条例を実施しておりますけれども、この現状は今どうなっていますか。
  270. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 現行法上、一般的な住民投票についての法律規定はございませんが、地方公共団体が、住民の関心が大変高い、そしてまた地域においても影響が極めて大きいというような事案に対して、その意向を問うために、任意に住民投票を行っておるわけで、これは条例制定して行っておるわけでございます。これは、法律上特に禁止はされていないということでございます。かなりの自治体においてこういった条例制定され、行われております。
  271. 石垣一夫

    ○石垣委員 今現在、住民投票条例制定されているものとして、いわゆる原子力発電設置に関するものとして六件、それから産業廃棄物処分場設置に関するものとして五件、それからその他のものとして、これは例の沖縄の名護市の問題も含みますけれども、三件、こういう現状にあります。  今後、こういう住民投票条例については、地方分権推進と相まって、住民参加の大きなポイントだ、私はこう思うのですけれども、いかがですか。
  272. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 法律上の制度についての住民投票の制度化については、今申し上げましたとおり、規定はされておりません。ただ、この点で、制度化したらどうだといろいろな意見がございます。  この点については、地方分権推進委員会も、第二次勧告においては次のように述べているのです。「住民投票制度については、住民参加の機会拡大のために有効と考えられる一方で、現行の代表民主制との関係に十分留意する必要があり、また、適用対象とすべき事項、その法的効果等についての検討も必要なことから、国は、その制度化については、今後とも、慎重に検討を進める必要がある。」とされておるところでございます。昨年決定いたしました地方分権推進計画におきましても、これを最大限尊重して作成されたわけですが、同様の趣旨から、「引き続き慎重に検討を進める。」とされておるわけです。  しかし、他方、時間を余りかけ過ぎてもいけないということもこれあり、これらの点も踏まえて、もう少し論点を絞り込んでいけるように勉強をしてまいりたいと考えております。
  273. 石垣一夫

    ○石垣委員 ちょっと観点は変わりますけれども、地方自治法の七十四条、七十五条ですね、これについては、条例制定、改廃の問題、あるいはまた監査請求、これは住民の五十分の一という署名があればできる、一応こういうことになっております。  ところが、提出された条例案を議会が否決すればそれでもう効力をなくする。加えて、たとえ議会が条例案を可決したとしても、今度は首長がいわゆる再議権を発揮すれば効力を失う。こういうふうに、二重、三重にチェックがあるわけですね。だから、こういう権利が行使されたとしても、今度は、議会の出席議員の三分の二以上の多数によって再議に付された条例案と同じものを再び可決しないと、この効力を発生させることができない、こういう非常に厳しい制限があります。  我が国の場合、こういう住民投票条例の直接請求やあるいはまた首長、議員からの制定提案は、ことごとく議会によって葬り去られてきたという厳しい例がありますね。  こういう実情の中で、法律ということで新しい仕組みをつくって住民の意向を最大限尊重する、こういう今の地方分権の大きな流れと相まって、やはり私は一つのチャンスじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
  274. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 確かに、住民の意向ができるだけ地方行政の中に反映をされていくということは非常に大事なことでございます。そういう点で、こういう住民投票というのは一つの有力なる手段であろうかと思います。  ただ、地方行政への住民意思の反映のやり方というのは、まだまだそのほかにも、情報公開という問題であったり、特に、行政評価などに関連して、それをどういうふうな段階でやっていくのかということもございましょうし、いろいろな工夫が必要じゃないか。そういう中で、できるだけ透明度を高くしていく、そして情報公開をしていく、そういう中でいろいろな手法を駆使してやっていっていいのではないか。一つのパターンだけで住民の意思の反映の度合いをはかることは、なかなか難しいと思います。  特に、法的拘束力をつけるべきかつけるべきでないのかということは、代表民主制との関係においても、ここは十分検討しなければならないポイントの一つであろうかと思います。諸外国の場合でも、法的拘束力がある場合、あるいはない場合ということもございます。そういう点も含めて、ぜひ精力的に検討してまいりたいと考えております。
  275. 石垣一夫

    ○石垣委員 先日のこの委員会において、いわゆる住民投票の問題について、大臣は、住民投票になじむ項目となじまない事項がある、こういうことをおっしゃったんですけれども、その判断基準は非常に難しいと思うんです。しかし、大勢の流れとしてはそういう方向に持っていくべきではないか。  先般の報道によりますと、地方制度調査会がこの問題について鋭意いろいろと意見を述べられておるということで、かなりこの住民投票の制度化の問題については、極めて積極的に検討しておる、こういうふうな報道があったんですけれども、その中身はどうなんですか。
  276. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 事実関係でございますので、恐縮ですが局長から御答弁いたします。
  277. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  住民投票の制度の問題につきましては、さきの二十四次の地方制度調査会においても検討がなされたところでございます。専門小委員会において、中心に議論がなされたわけでございますが、その報告書では、「地方公共団体の計画策定や行政施策への住民参加の機会の拡大のための方策として住民投票制度の導入を検討するべきではないか。」という考え方、また、「議会の活性化を図る観点からも住民投票制度の導入を検討するべきではないかなどの意見がみられた。他方、現行の代表民主制を基本とした地方自治制度の下で議会や長の本来の機能と責任との関係をどう考えるのか。」また、「住民投票が地域社会の合意形成に及ぼす影響などについて慎重に考える必要があるのではないか。」また、「住民投票に適する事項及び適さない事項は何であるかについて慎重に検討する必要があるのではないかなどの意見もみられた。したがって、こうした意見を踏まえ、住民投票制度を含め、地方公共団体行政への住民参加の機会の拡大、政策形成等における住民意思の反映のための方策について、さらに引き続き検討していく必要がある。」こういう小委員会報告が行われたところでございます。  現在、また今次の地方制度調査会において、審議項目におきまして絞り込みの議論をしておりまして、その中に、住民自治の充実といった中で、この問題についても含めまして、今後の審議項目としていくかどうかという議論がなされているところでございます。
  278. 石垣一夫

    ○石垣委員 現在の地方分権を進める流れの中で、これはそう悠長なことは言っていられないと思うんですね。だから、極めて早い機会に一定のガイドラインを出す、こういうことでなければ私は地方分権がやはり車の両輪として進んでいかない、こう思うんですが、いかがですか。
  279. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 できるだけ、ずるずるいつまでもということでなくて、先ほど申し上げましたとおり、論点を絞り込んで整理をしていきたいと考えております。
  280. 石垣一夫

    ○石垣委員 先ほど大臣からしばしば、情報公開についても、これは地方自治体として当然採用しなきゃならぬ、こういうことがあったんですけれども、やはり、自治体の行政のいわゆる透明性、公平性、効率性の向上がいよいよ求められてくる時代に入ってきました。現実今、全国の自治体におけるこの情報公開の実施状況はどうなっていますか。
  281. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ちょっと古くて恐縮なんですが、平成十年四月一日現在、全都道府県それから全指定都市、そして五百二十一の市区町村で情報公開条例、これは要綱をも含みますけれども、情報公開条例制定いたしております。
  282. 石垣一夫

    ○石垣委員 全国三千三百のうち五百幾つですかな。
  283. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 五百二十一の市区町村です。
  284. 石垣一夫

    ○石垣委員 大体六分の一ですね、今済んでおるのは。私の大阪では、これは四十四自治体で二十二。だから、ほとんど五〇%済んでおります。  いろいろ格差はあると思うんですけれども、今後、この情報公開制度の推進について、自治省としてどういうふうなお考えをお持ちですか。
  285. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 先ほども申し上げましたが、今後さらに、この地方分権推進していくということで努力をしてまいりたいと考えております。  そうなりますと、地方公共団体の自己決定権といいますか、自己責任の範囲が拡大をしていくわけであります。したがって、それに対応して地方公共団体行政の公正さの確保あるいは透明性の向上を図って、みずから住民によるチェックということがより大事なことになってくるわけです。そういう意味で、開かれた行政を実現し、住民の行政に対する信頼を確保するためには、情報公開の推進になお一層努めるということが大変重要であると考えておるわけです。  なお、地方分権推進委員会の第二次勧告におきましては、地方公共団体の情報公開条例制定及びその内容の充実について指摘をされておりますし、また、昨年決定いたしました地方分権推進計画において、そのために国は必要な情報の提供、助言などを積極的に行うこととされておるところでございます。  また、先般、今国会におい成立いたしました情報公開法におきましても、地方公共団体は、その「趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」こととされておるわけでございます。  そういう意味で、地方公共団体におきましても、この情報公開にさらに積極的に対応していただきたいと考えておりまして、自治省といたしましては、これまでも情報公開制度に関する各種の情報提供や情報公開制度の制定見直しについての必要な助言などをしてきたわけでございますが、情報公開法の制定地方分権推進計画も踏まえて、地方団体に対する情報提供、助言を引き続き積極的に行ってまいる考えでおります。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  286. 石垣一夫

    ○石垣委員 では自治大臣、どうもありがとうございました。どうぞ。  次に、建設省関係でお聞きしたいと思うのですけれども、先ほども都市計画法十八条の三項、四項について質疑がありました。私も地方自治体にいろいろ意見を聞いておりまして、この問題について非常に関心がある、こう思うわけであります。  あえて御質問申し上げるのですけれども、国の利害との調整を図る観点からこの協議を行う、こういうことになっておるのですけれども、その具体的な関与の内容、程度、こういうことについて、先ほどの論議をいろいろ聞いておりまして、いわゆる国や都道府県の関与の視点を明確にする、こういう答弁があり、そういう中でいろいろと質問者の方からも三点にわたって項目の挿入を提言があったのですけれども、結論を得ずそのまま流れたというふうに私は理解したのですけれども、こういう点について地方自治体は、国の関与が形を変えた形で入ってきていると。  今までの建設大臣の認可が廃止されて協議になったのですけれども、この十八条の三項、四項、「建設大臣に協議し、その同意を得なければならない。」これが三項ですけれども、その次の四項の、「国の利害との調整を図る観点から、」この中にすべてが包含されている、こういう先ほどの答弁があったのですけれども、私は、これは極めて抽象的だと思うのですよ。ここに私は、国の裁量権がある。  この地方分権を進める一番の原点は、私は透明性だと思うのですね、それから効率。こういう中からいけば、極めて解釈がしにくい。いわゆる裁量権があるなというふうに、地方自治体はみんな押しなべて認識しているわけなんですよ。ここのところをどうお考えですか。
  287. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今回の都市計画制度に係る地方分権推進に関します論議におきましては、これが基本的な考え方でございますが、地方公共団体に対する国の後見的関与をいかに排除するかという観点から始まったわけでございます。そして、第二次地方分権推進委員会におきましてもそのことで論議が深められまして、先生御指摘のような文章にまとめたわけでございます。  それで、今回の改正案では、そういう勧告の趣旨を踏まえまして、国の後見的関与を厳しく排除するために、先生、先ほど御指摘いただきましたように、国の関与は、国の利害との調整を図る必要がある場合に限られるという趣旨が第十八条の第四項で明記をされたというわけでございまして、第二次の地方分権推進委員会でのその基本的な考え方のもとで論議を十分にし、この文章にまとめておるわけでございまして、今、形の違った国の関与があるのではないかというようなことでございますが、私は、決してそういうようなことはないし、また、そういうようなことは起こらないようにしっかりとした指導をしていきたいと思っておりますし、また、そういうようなことが行われる、そういう時代の感覚でもないと私は思っております。  そういう意味で、先生、先ほど自治大臣に御質問されておりましたが、住民の意見をどういう形で参画させるか、その一つとして住民投票条例とかいうものが出てきておるのではないかというようなことで、そういうような国全体を取り巻く環境にもありますから、ぜひぜひ、こういうようなことは先生御指摘のあるような意味ではありませんし、また、そういうようなことが起こらないようにしっかりとした指導はしていきたいと思っております。
  288. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは、なぜ私は、再三この委員会でも質問あったにもかかわらず質問を申し上げるかといいますと、十九条、「市町村の都市計画の決定」ということに関連してくるわけなんですね。「市町村は、」今度は大阪府、府の知事に、「都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。」同じパターンが市町村へ下ってくるわけであります。したがって、ここでしっかりと一つのガイドラインというものをある程度把握をしておかないと、同じパターンが、今度は国から府、都道府県から市という形でおりてくるという懸念があるわけです。  今度は対等の立場でということで分権計画が進むのですけれども、ともすれば今までの主従関係といいますか、上下関係といいますか、やはり上位団体は予算を握っていますから、これが無言の圧力になるわけです。ここで、やはり下部団体は、どうしても上部団体に対してなかなか意見が言えない、こういう弱みがあるわけなんです。そういう点で、あえて私はしつこくこの問題についてお尋ねをしたわけなんです。  今大臣から、その点については十分配慮する、こういう答弁がありましたので、一応私としてはこれで了解いたしますけれども、くれぐれも地方自治体が持つ懸念については、十分、ひとつそういう指摘がないようにお願いしたいと思います。  次に、指定都市が行う公共下水道事業に係る認可の取り扱いについてお尋ねしたいと思うのですけれども、現行法では「建設大臣の認可を受けなければならない。」こうなっておったのですけれども、改正案では、政令で定める事業計画に当たっては、都道府県知事の認可を受けねばならない、このように改正をされております。  その中で、これも私の地元の大阪府と大阪市の関係ですけれども、大阪市の場合はいわゆる政令都市でございますけれども、政令都市十二市が、平成九年の三月十一日に地方分権推進委員会の諸井委員長に対して、「「政令指定都市が行う排水処理事業に係る認可の取り扱い」について」、こういう意見書を出しております。  その中で、いわゆる政令都市の行う下水道事業は都道府県が行う流域下水道の事業に匹敵する、それ以上の規模を持っている。何でわざわざ今さら都道府県の認可を得なきゃいけないんだ、こういう素朴な疑念を持っておるわけなんですね。こういう点では都道府県の認可が必要でないのと違うか、こういうふうに言うているんですけれども、いかがですか。
  289. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 下水道は大変大きな事業であるわけでございますし、浸水の防止や公衆衛生の維持向上ということもございますし、あるいは公共用水域の水質の保全に資するものであるというようなことで、その管理のあり方国民生活であるとか広範囲の公共用水域の水質にとって重要な影響を及ぼす施設であるというようなこと。ですから、いわゆる国民の生活そのものに直結をいたしておる。  したがって、その事業計画の策定に当たっては、必要な技術上の基準を満たしているかどうかの確認が必要であるとともに、下水道からの放流水の水質であるとか、あるいはまたその水量や終末処理場の位置などについて広域的な利害関係を調整する必要があり、そのために、計画を策定する市町村とは別の主体による調整が必要であることから、建設大臣かあるいはまた都道府県知事認可が必要であるというふうにしたところでございます。  ですから、これは、下水道という、どう言いましょうか、生活の大きな基盤の問題でございますから、そういう知事認可としたわけでございます。
  290. 石垣一夫

    ○石垣委員 ところが、政令都市は、都道府県以上、いわゆる技術的なものも、また財政的なものも上なんですよ。極端に言ったら、自分より力の劣っている、これは言葉は悪いですけれども、そこから何でそんな認可を受けなきゃいかぬのか、そんなばかなことがあるかと、こういうふうなこと。そういう考えがあるわけなんです。だから、全国の十二の政令都市がこのことを分権委員会にきちっと申し入れをしておるわけなんですね。  現実にも、この問題についてはいまだに、何でこういうことになってきたのかと、こういう率直なやはり疑問があります。
  291. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 そういう前段がございまして御答弁に参るわけでございますが、いわゆる政令指定市の管理いたします公共下水道は、都道府県が管理する広域的な下水道である流域下水道と同程度の処理区域の面積やあるいはまた放流水量を有するとともに、立地条件から、その多くが東京湾であるとか、あるいは先生また私などのところに関係しますが、瀬戸内海などいわゆる広域的な閉鎖性水域の水質に影響を与えるものとなっているところでございまして、都道府県が管理する流域下水道と同様に建設大臣の認可を必要とすることとされておりまして、今後、この改正法に基づく政令においてその旨を定めることとしているところでございます。
  292. 石垣一夫

    ○石垣委員 したがって、政令で定める事業計画に該当しないことを明文化されることを要望しておきます。  明文化しないかどうか確認します。
  293. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 はい、わかりました。
  294. 石垣一夫

    ○石垣委員 ありがとうございました。  次に、厚生省関係お願いしたいと思うんです。  児童扶養手当法、第二百六条関係でございますけれども、今回の改正案で、都道府県の知事から市長、福祉事務所を管理する町村長と権限が移ったわけであります。こういう中で、市町村において、権限を移譲されたことにおいて、事務の増大あるいはまた給付費の一部負担、それから事務執行に必要な体制整備、いろいろ問題が降りかかっている、そういうことで非常に懸念をしております。  こういう点にはどういう配慮をされていますか。
  295. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 御案内のように、母子家庭の児童等に対する児童扶養手当の支給に関する点でございますけれども、現在は、国が四分の三、費用の負担をいたしておりまして、都道府県が四分の一とされておりまして、それから、都道府県負担分や人件費等は地方交付税の基準財政需要額に算入されておるという建前になっております。  今般の分権一括法によりまして、児童扶養手当の受給資格の認定等に関する事務を都道府県から市及び福祉事務所を設置する町村、これは現実には四町村でございますが、これに移譲することといたしております。この場合の費用負担につきましては、市とか福祉事務所の設置町村は、児童扶養手当の受給資格の認定等に関する事務につきまして都道府県と全く同等の権限を持つ主体となるということでございますし、それから、認定事務の適正な執行を担保する観点からも、当該事務を行う主体がそれぞれ費用負担を行うことが適当である等を踏まえまして、国の負担は従来どおり四分の三、それから都道府県、市、福祉事務設置町村が四分の一を負担することといたしております。なお、これは言うまでもなく、機関委任事務から法定受託事務にしているところでございます。  そして、都道府県や市とか福祉事務所の設置町村が負担する費用負担分や人件費につきましては、権限移譲後においても地方交付税の基準財政需要額に算定されることといたしておりますので、基本的には移譲される自治体にとって負担増とならないものと私どもは考えております。  いずれにせよ、これは、都道府県から市への権限移譲が円滑に進むよう、平成十四年の八月一日から施行することといたしておりますが、この流れは、従来の児童行政というのは県中心であったものが、やはりそれを地方の市あるいは福祉事務所を有する町に移譲した方がよろしいという分権法の趣旨に沿った措置であるというように存じております。
  296. 石垣一夫

    ○石垣委員 直接市町村に移行されることは非常に結構なことなんですけれども、一番心配するのは、今地方財政も非常に厳しい中ですから、経費の負担増について非常に懸念をしておるわけです。  今、大臣から地方交付税の算定基準に含まれる、こういう話があったんですけれども、実際に要した金額というのは、全部、この中に超過負担があるのですよ。  例えば大阪市に聞いてみますと、手当額の四分の一の負担を今度大阪市が持たなければいかぬ、それで支給対象者が約二万人、これに要する経費が二十四億かかると。これを今まで大阪府が全部見ておったわけですね。大阪府が今まで負担していたものを全部市町村へばらまくわけです。だから、大阪府は本当言うたらやれやれなんですね。ところが、今度はそれを受ける市町村はいろいろと財政の濃淡があります。ところが、やはり厳しい地方自治体があります。  こういう中で、大臣は地方交付税の算定基準に含まれるとおっしゃっていますけれども、現実に今、大阪府においてもかなりの超過負担があるわけなんです。これがそのまま形として市町村へおりていくわけなんですね。現実に今、大阪府では七万九千五百六十六件を処理しているわけなんです。これに要する費用が六千百三十二万九千百二十三円、こういう状態で、これにかかわっている体制は、職員が嘱託職員、非常勤職員を入れて約二十名。こういう体制で府下全般の児童扶養手当の支給体制をしいているのですけれども、これが形を変えて全部各市町村におりていくわけなんです。  したがって、先ほど申し上げたように、各市町村においていわゆる認定、審査事務、あるいはまた手当の支給事務、それから認定に関する調査事務、それから統計調査に関する取りまとめの事務、こういう事務量が、あるいはまた事務執行に必要な体制整備も大変です、いわゆる障害判定に係る判定医の設置とか、あるいはまた請求書等の保管場所の確保とか、電算システムの開発とか、各種請求用紙の準備とか、いろいろと大変な作業が下へおりていくわけなんです。  そういう点についても、厚生省としては経費の負担増にならないように十分御配慮願いたいと思うのですが、いかがですか。
  297. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 従来の方式から市及び町に移譲するわけでございますが、今委員の御指摘のように、この移譲によって過重な負担がかかるようではいけませんので、よく実態を調査させていただいて、どのような対策が可能であるかどうか。一般論としては先ほど申したとおりでございますから、もし個別の事情がおありでありますれば、調査させて適切な対処をとらせていただくつもりでございます。
  298. 石垣一夫

    ○石垣委員 今申し上げたように、ひとつ厚生省としても十分綿密な調査をしていただいて、今回の事務移譲が実りのあるような形で、地元自治体として、ああ、よかった、こういう成果の上がるような御配慮をお願いしておきます。では、大臣、結構です。  では、文部大臣、どうもありがとうございます。  これは届け出をしていないのですけれども、けさの新聞報道を見ますと、文部省が塾を容認する、こういう言うたら教育界における大きなニュースが入ってきているわけなんです。これについて大臣としていかがお考えなんですか。
  299. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 塾に関しましてはさまざまな見方があると思います。余り大学や高等学校あるいは中学校の入学試験を目的とするような、そればかりやる塾というのはやはり私は大変心配をいたしております。  しかしながら、例えばそろばんを教えるとか、なかなか学校だけでは十分理解できない子を育ててくださるとか、そういうふうな広い面で考え、さらにまた、私は特に理科の教育に興味を持っておりますが、今後理科教育などについても少し考えてくださる、こういうさまざまなことを考えてくださるような塾は必ずしも否定すべきことではないというか、大いに共同して進んでいくことができると考えている次第でございます。  ただ、繰り返し申し上げますけれども、余り入学試験だけを目的とした塾は避けていただきたいということがあります。  それからもう一つは、せっかく二〇〇二年より五日制が導入されますので、せっかく土日を休んで子供たちがゆっくり自分たちが勉強したことを身につける時が与えられますので、そのときにはひとつよく考えていただきたい、土曜日は休むというふうなことを考えていただきたいと思っています。
  300. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは、文部省が今まで敵対視していた塾を教育の多様化という中で味方に引き入れる、こういうことなんですけれども、今おっしゃっているように、その塾の教育方針がいろいろあって、いろいろ中身は違うと思うのですね。今おっしゃっているような受験戦争を助長するような塾の方針は困ると。幅広い、人間形成に役立つ、そういう塾の判断を一体どういう基準でされるのですか。
  301. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 これは、やはりどういうふうな教育を行っていくかということを見た上で判断をすることになるだろうと思います。  これは、言っていることと行うことは違う、いずれにしても違う可能性はありますし、あるいは言うことがぴしっとそのとおりのこともあるでしょう。そういうことは、やはり社会の評価ということを見ていくことが必要かと思っております。
  302. 石垣一夫

    ○石垣委員 重ねて聞きますけれども、まず塾の実態調査を全部やられるわけですね。その上で判定されるわけですか。
  303. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 今のところ、実態調査をするというふうなことまでは考えておりません。  これは公ではなくて個々の私企業がやっていくことでありますので、民間でやっていくことでありますから、一々見て、こうしろああしろというふうに言うことはよくないと私は思っております。そういう意味で、すぐに全部を同じような水準から調査するということは考えておりません。
  304. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、学校教育とどういう面において共存する基準を出すのですか。
  305. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 文部省として考え方が今までと少し変わってきたというような御指摘もありますけれども、一つ大きなことは、今までのように小中高大学で学習が終わってしまう、教育が終わってしまうという考え方から、もっと広く、長く、生涯学習というふうに考えていく。こういうふうに考えますと、何も子供たちだけじゃなくても、今後は国だけではなく、あるいは地方公共団体だけではなく、さまざまな生涯学習ということが民営で行われるようになると思いますね。そういうものの一つとして塾の活躍ということが大いに考えられると思っております。  先ほど申しましたように、そろばん塾というふうな、今までは非常に成功している面がありますので、そういうけいこごとというふうなことも塾の一つ役割であろうと思っております。
  306. 石垣一夫

    ○石垣委員 時間がありませんので、また改めてこの問題についてはやりたいと思うのです。  最後に、文化財保護に関連して御質問申し上げたいと思うのです。  文化財保護法五十七条の二の二項で、現行は「必要な事項を指示することができる。」こうなっておりましたけれども、今回の法改正で「当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施その他の必要な事項を指示することができる。」こういうふうに入っておるのです。  自治体としては今まで、一番大きな問題点は発掘費用に対する当事者との紛争、この問題について非常に頭を痛めているわけなんです。こういう点についての明確な指示がないということと、今回のこの指摘については、文化財を保護する行政じゃなく、いわゆる遺跡の処理をする、こういうふうな方面が強いんじゃないか、こういうふうに受け取れるんですけれども、いかがですか。
  307. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 地方分権推進計画につきましては、発掘調査の費用負担について、原因者、すなわち事業者に負担を求める際に支障を来さないよう、関係法令の改正も含め、幅広く検討することが求められているところでございます。  今回の法改正におきましては、地方分権推進計画を踏まえ、土木工事等の目的で土地を発掘しようとする事業者に対して、埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施を指示できることを法律上明記したところでございます。  なお、埋蔵文化財の発掘調査費用の負担を法律により土地の所有者や開発事業者に義務づけることは、国民に新たな規制、負担を課すことになります。その理解を得ることが困難であるとともに、法制的にも大変難しい問題であると考えております。この問題につきましては、今後、さらに関係各方面の御意見を聞きつつ、慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
  308. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣、もう一つ。  今回の改正で、あくまでも遺跡の処理だ、こういうことが重点に述べられているんですけれども、いわゆる文化財の保護という場面からどのようにお考えですか。これはあくまで遺跡の発掘調査の費用でございますから、それ以前に本当は保護しなきゃいかぬわけですね。こういう点についてはいかがですか。
  309. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 保護も大変大切だと思っております。文化庁では、これまでも、地方公共団体が発掘調査を行う際の国庫補助を行うとともに、地方財政当局に対して、地方公共団体における埋蔵文化財担当職員を含む文化財保護担当職員等に係る地方財政措置の充実を要望してきたところでございます。  文化庁におきましては、非常に厳しい財政状況のもとではございますが、今後とも、埋蔵文化財の保護のため必要な予算の獲得に努めるなど、適切に処理してまいりたいと思っております。
  310. 高鳥修

    ○高鳥委員長 石垣君、時間が来ておりますので、どうぞ御協力願います。
  311. 石垣一夫

    ○石垣委員 日本の歴史を残す大きな財産でございますから、くれぐれも文化財の保護については、文部省としても、厳しい予算の中ではございますけれども、最大限の努力をしていただけるよう要望しておきます。  以上で終わります。
  312. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、濱田健一君の質疑に入ります。
  313. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党・市民連合濱田健一でございます。  きょうは、教育行政地方分権という意味で、有馬文部大臣に一時間時間をいただきまして御質問をさせていただきたい。  まずは、教育課程の大綱化と弾力化と学校の編成という意味で、文部省として教育課程における地方分権をどういうふうに進めていかれるかという観点で、二、三お聞きしたいと思うんです。  今回の学習指導要領の見直しでは、総合的な学習、一つ一つの教科にとらわれない、総合的に教科の運営をしながら、子供たちが総合的な学習の中で豊富な知識と技能と将来に向けての展望をつくっていくというようなことが新設されて盛り込まれております。その中では、地方や学校の裁量の幅を大きくして、大綱化、弾力化という言葉でその方向性というのが示されております。  しかしながら、学校現場では、地域の実態に応じた教育課程というものを編成する上でいまだに地教委等の縛りがまだまだ強い、そういうことでの見直しを指摘されているという実態が散見されるところでございまして、これらは、これまでの法令の中で、強い文部省の縛りというものもあったように私は認識をしているところでございます。  現在の文部省設置法第五条の十七号というところを見てみますと、第五条が文部省の所掌事務というジャンルでございますが、この中で文部省の指導という観点からこのように書かれております。  「次のような方法によつて、学校管理、教育課程、学習指導法、生徒指導その他初等中等教育のあらゆる面について、教育職員その他の関係者に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。」もう一点が、「手引書、指導書その他の専門的出版物を作成し、及び利用に供すること。」もう一点は、「初等中等教育に関係のある教育職員のための研究集会、講習会その他の催しを主催し、又はこれに参加すること。」というふうに書かれております。  これらを見ると、現場の先生たちに、それこそはしの上げ下げまで文部省が面倒見るよ、助言、指導するよというような内容で細かく条文化されているというふうに私は考えておりますし、そのことを根拠にして地教委や学校が対応してきたというふうに思うわけでございます。  今回出されております中央省庁等改革法案の中の文部科学省設置法では、この規定が削除、整理されておりまして、そういう観点から、大綱化、弾力化というこの方向を踏まえた具体的な教育課程等をつくる場合に、文部省としてどういうふうに指導していかれようとするのか、これまでと変わらないのか、大きく変わっていこうとされておられるのか、文部大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  314. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 現行の四十八条は、おっしゃられましたように、「必要な指導、助言又は援助を行うものとする。」と書いてありますが、今後は、これを求めることができるというふうに改正をしていくことになると思います。  それで、学校教育につきましては、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、教育の機会均等を実質的に保障することが要請されております。このため、教育課程について国として大綱的な基準を設けており、これに基づいて各学校において教育課程を編成し、実施している次第であります。  学習指導要領など、学校の教育課程の基準については現行でも大綱的なものとなっておりますが、今後、個性を生かす教育を充実する観点からも、各学校が、地域や学校、子供の実態等に応じて、創意工夫を生かした特色ある教育を展開できるようにすることが重要であると考えております。  このような考え方に立ちまして、新しい学習指導要領においては、各学校が創意工夫を生かし、特色ある教育、特色ある学校づくりを進めることを重視し、改訂を行いました。  具体的には、先ほど御指摘の、総合的な学習の時間を創設すること、中高等学校における選択学習の幅を拡大すること、教育の内容を複数学年にまとめて示したり、一単位時間の運用の弾力化など、時間割を一層工夫できるようにしております。  こういうふうに、各学校が、地域や学校の特色を生かした教育を一層展開できるように配慮しているところでございます。
  315. 濱田健一

    濱田(健)委員 文部大臣が今、地教行法の四十八条に既に触れていただきましたけれども、私が今質問をした中身というのは、現在の文部省設置法の五条の十七項というところに、先ほど読み上げたような、文部省としての指導助言をする中身としてはこういうことですよというのが記されている。そのことが、今回の中央省庁等改革法案の中の文部科学省設置法では、百項目ぐらいある部分の中に削除されているわけでございますね。  そういう意味では、地教行法に行く前の文部省としての姿勢として、こういう指導助言というものについては、もう中央の方からは、いろいろな形でその関与といいますかかかわられるとは思うんですけれども、大きくはもう本当に地方の方でやってくださいという姿勢としてこの新しい設置法の中に織り込まれなかったんだというふうに私は認識しているが、いかがかということをお伺いしているところでございます。
  316. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 どういうことを明確に書いてあるかと申しますと、必要な「専門的、技術的な指導及び助言」ということを行うことを明確に文部科学省の所掌事務として位置づけているところでございまして、はしの上げおろしまで一々指導するという考え方ではございません。
  317. 濱田健一

    濱田(健)委員 もう一回お尋ねしたいんですが、政府委員の方からでも結構でございますけれども、私が読んだ限りでは、現在の文部省設置法の中に書かれている部分については、新しい文部科学省設置法の中からは抜いてあるというふうに認識しているんですよ。そこはどうですか。
  318. 小野元之

    小野(元)政府委員 お答え申し上げます。  省庁再編に伴います文部科学省の設置法におきましては、一般的な指導助言を地方公共団体とかそういったものに対してするという規定は、御指摘のように、新しい規定では省いておるわけでございます。  ただし、文部省といたしまして、大臣も御答弁申し上げましたけれども、教育課程の基準を決めまして、その基本的なことについては各学校できちんと実施をしてほしいという最低限のものについては規定しているわけでございますけれども、こういった中身につきまして「専門的、技術的な指導及び助言を行う」ということをいたしまして、具体的な、大臣も御答弁申し上げておりますけれども、細かいことではなくて、もし何か学校や教育委員会等からお尋ねがございますと、そういった専門的、技術的な立場からの指導助言は行いますけれども、一般的に学校で行うことについていろいろな指導助言を常にやるんだということは、考え方を変えておるわけでございます。
  319. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございます。  そういう点からいいまして、実際的な教育課程をつくっていく場合に、教育課程というのは学習指導要領にのっとって各学校がつくる、教育委員会もいろいろなバックアップをしますよということになっております。まあ手引書とか指導書とかいろいろなものが出回っているということもございまして、また学校間の横並びといいますか、うちの学校だけじゃつくれないから、隣の学校、地域の学校一緒につくりましょうというような実態もございます。  しかし、それが逆に学校そのものを拘束してしまっているという、一つの学校の持っている自由な発想とか、その学校にあるいろいろないいものをどんどんどんどん取り入れてというところを拘束してきている現実的な問題もあるというふうに私は認識しておりますし、また、そういうふうに地教委が指導行政を発揮している実態というのも、全部がそうだとは申しませんけれども、いろいろな県のばらつきや地域のばらつきもございますが、見られるというふうに思います。  そこで、今申し上げた文部省設置法の五条十七項、ここの部分と同じように、文部省の組織令第八条というところにも、先ほど読み上げましたような文言と同じものが書かれているわけでございます。  先ほど政府委員の方から話があったように、専門的、技術的な指導助言等についてはやはり文部省もさせていただきますよ、だけれども、上からかぶせるようなことはしないということでございますので、当然、設置法ができた後については、この現在あります文部省の組織令第八条、同じような規定についても今後改正をされていかれるだろうというふうに思います。  ここは初等中等教育局の事務というエリアでございますけれども、この辺の見直しについては今後どのようにされようとされるのか。
  320. 小野元之

    小野(元)政府委員 文部科学省設置法をお認めいただきました後に、当然、これに伴いますそれぞれの局の仕事の中身でございます所掌事務等につきましても組織令で整備をしていくことといたしております。その際には、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、そういった点を十分踏まえて組織令をつくることを検討しようというふうに考えているところでございます。
  321. 濱田健一

    濱田(健)委員 当然、この法案が、今出されている新しい文部科学省設置法ができ上がったときには、早急にその見直しがなされるというふうに理解をしてよろしいでしょうか、小野さん。
  322. 小野元之

    小野(元)政府委員 文部科学省設置法ができました時点で、これが施行されるまでに組織令を整備する必要があるわけでございますけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、そういった趣旨を踏まえまして組織令を準備することを考えているところでございます。
  323. 濱田健一

    濱田(健)委員 それでは次に、地教行法四十八条の部分でございます。  教育行政機関の指導助言、援助行為について今の地教行法四十八条は書かれているわけでございまして、今、前段を省いて言いますと、結局、指導助言、援助を「行うものとする。」というふうになっている部分が「行うことができる。」というふうに書かれているわけでございまして、これについては、当然「行うものとする。」という文言と「行うことができる。」という文言とでは、相当現場が受ける印象というものは違ってくるというふうに思っておりますが、これらを踏まえた教育課程の行政や指導行政について、運用を含めた改革の方針というものをもう一度、文部大臣、お聞かせいただきたいと思います。
  324. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 この点、先ほど申し上げたことでございますが、もう一度申し上げてみます。  学校教育の円滑な実施は極めて重要な課題であって、指導行政は全国的な教育の機会均等、教育水準の維持向上の視点に立ちつつ、国、都道府県、市町村の連携協力のもとで進めていくことが必要であると考えております。その際、各学校における教育活動が地域の特色を生かした創意工夫あるものとなることが極めて重要であると考えております。このような考え方のもとに、今回、地教行法第四十八条の改正により、指導、助言、援助のあり方見直しを行うことといたしております。  また、この地教行法第四十八条の改正の趣旨や中央教育審議会答申を踏まえまして、指導行政についても、まず第一に、教育課程に関する行政については、基準の設定は引き続き国が行うこととしつつ、その大綱化、弾力化を進めること、第二に、国による指導資料の作成や研究指定校については、国としての取り組みが不可欠なものに限定すること、三番目に、国が行う教職員研修については、各都道府県におけるリーダー的な教員等を対象とするものや喫緊の課題を中心としたものなどに限定するというふうにしております。  今後、文部省といたしましては、各地域における主体的かつ積極的な教育行政の展開を図る観点から指導行政を進めてまいりたいと思っております。
  325. 濱田健一

    濱田(健)委員 現在の第四十八条、先ほど言いましたとおりに、「行うものとする。」を今後「行うことができる。」というふうに文章表現を変えていかれるわけでございますが、新しく三のところに、文部大臣は、都道府県教育委員会に対し、第一項の規定による市町村に対する指導、助言または援助に関し、必要な指示をすることができるという項目が入ります。四項目に、地方自治法第二百四十五条の四第三項の規定によるほか、都道府県知事または都道府県教育委員会文部大臣に対し、市町村長または市町村教育委員会文部大臣または都道府県教育委員会に対し、教育に関する事務の処理につき必要な指導、助言または援助を求めることができるという部分もつけ加えられることが提案をされております。  一項目では「行うものとする。」という現在の規定を緩やかにしていく措置がなされているわけでございますが、逆に第三項で「必要な指示をすることができる。」ということが書かれるということになると、では指示でもって、これは何でも文部省の考えていることが、こういうふうに地方にやれというふうにできるようになるというような解釈といいますか、それを心配するところがあるわけでございますが、先ほど文部大臣がお答えくださいましたように、一定の要件を、こういうふうにして限定をしているんだというふうに理解をすることでよろしいのでございましょうか。
  326. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 法律的な、技術的な整理でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  四十八条の一項は、先生御指摘のとおり、「行うものとする。」という現行の規定を「行うことができる。」という形で改めまして、指導にかかわります現場の意識あるいは私ども行政担当者の意識も含めまして変えていく、そういう一つのきっかけにするということで考えているわけでございますけれども、今回新たに三項、四項を新設いたしましたのは、地方自治法の今回の改正案におきまして、一般的に、各大臣は、都道府県知事その他の執行機関に対し、市町村に対する助言もしくは勧告に関し、必要な指示をすることができるという二百四十五条の四の二項の規定、さらには、地方自治法改正後の二百四十五条の四の三項の規定に合わせまして、自治法全体の体系の中で、指導、助言に関する法制につきましても、自治法との整合性の観点から整理をさせていただいたという技術的な観点でございます。
  327. 濱田健一

    濱田(健)委員 今の御答弁を聞きながら、私は、指導、助言という言葉の現場が持つ、何といいますか、指導、助言じゃなくて、こうしろと言われているというふうにこれまで受け取ってきた状況をやはり変えていくという意味では、四項の「必要な指導、助言又は援助を求める」という、これに従って、その指導や助言や援助に関して、こういうことがよいのではないかというふうな意味あるものにしていかなければならないというふうに思っておりまして、これはやはり、地方が、現場が、そして教育委員会が求めるということをより大事にしていくことが、この地方分権ということも含めて大事になってくるというふうに思うんですが、大臣、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
  328. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 ただいまおっしゃられたとおりだと思っております。
  329. 濱田健一

    濱田(健)委員 中教審の答申を読んでみましても、指示、命令という部分と指導、助言といった部分をきちっと峻別する、そういう運用がこれからは大事だというふうに指摘をしております。  地方自治法の中でも、指導、助言の場合には、書面主義、書面でもってこういうふうにしたらどうですかというふうなものを取り入れておりまして、私も現場にいた人間ですので、これは指導ですよ、助言ですよというふうな形が出てきたとしても、それが文部省としての、または教育委員会としての強制的なものに受け取られてしまったり、これはそうしなければならない、うちの学校の実態というのは違うんだけれどもなと思いながらそれに従うことによって、逆に出てくる成果というものは違ったものになってくるというのを何回も経験をしたわけでございます。文部省としても、こういう姿勢といいますか、必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  330. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 教育行政において、国は全国的な教育の機会均等、教育水準の維持向上を図るために、制度の制定、基準の制定、財政援助などを行ってきたというわけでありますが、地方公共団体は、小中高等学校等の設置管理、教育活動の実施などを行っております。こうした国、地方公共団体役割分担において、国がその責務を果たしていく観点から、都道府県、市町村における教育事務の適切な処理を図るため、指導等は今後とも極めて重要な役割を果たしていくものと認識しております。  しかし、指導等の運用において、中央教育審議会の答申におきまして、昨年の九月の答申でございますが、まず、学校の管理運営の適正を確保する観点などからその運用が強目に行われてきたこと、イとして、関係者においてその趣旨やあり方についての認識が十分でなかったことなどから、あたかも法的拘束力があるような受けとめ方がなされ、ウとして、さらに、指導等に従っていた方が不都合が少ないなどの意識も見受けられることと相まって、指導等がそのまま受け入れられてきた面があるという指摘がなされております。これは、先ほどの先生の御指摘と同じようなことであると思います。  この指摘を踏まえまして、地域の実情に応じた主体的かつ積極的な教育行政推進するためには、まず第一に、都道府県及び市町村の判断を過度に制約することのないようにすること、二番として、国においては情報提供などの支援的な機能を重視すること、三番といたしまして、法令に違反する教育行政の執行や学校の管理運営の是正に重点を置くことなどの観点から、指導等について必要な見直しを行ってまいりたいと考えている次第でございます。また今後、関係者において指導等の意義や法的性格等について研修などを通して適切な理解や認識を深め、指導等に関する意識の変革を図ってまいりたいと思っております。  私も、この中央教育審議会の審議にかなりの間携わっておりましたので、こういう点について十分認識をいたしているつもりでございます。
  331. 濱田健一

    濱田(健)委員 次に、地教行法の第四十九条、都道府県教育委員会は、法令に違反しない限り、市町村教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の組織編制、教育課程、教材の取り扱いその他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、教育委員会規則で、教育の水準の維持向上のため必要な基準を設けることができるという項目が全面的に削除をされるということになりました。これは、これまで論議をしてまいりました指導助言の部分も含めて、この基準というものの運用を含めた学校の現場、ここを非常に大事にしようというあらわれだというふうに私は認識をしているわけでございますけれども、その趣旨は、私が今申し上げましたようなところに置かれているというふうに認識してよろしいでしょうか。
  332. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 廃止されました趣旨について、少し長くなるかもしれませんが、申し上げてみたいと思っています。  現行の地方教育行政法第四十九条は、市町村立学校等の組織編制等の管理運営の基本的事項について、各都道府県教育委員会が教育の水準の維持向上のために必要な基準を設けることにより、都道府県全体としての学校等の適正な管理運営を確保できるようにしたものでございます。  地方分権推進計画においては、国、都道府県、市町村の役割分担を見直す観点から、都道府県の事務再編成し、従来、その事務とされてきた統一的な処理を必要とするものについては廃止することとし、地方分権推進計画において本条の廃止が盛り込まれました。また、これを受けまして、中央教育審議会答申においても同様の提言がなされた次第であります。これらに基づきまして、市町村において地域の実情に応じた主体的かつ積極的な教育行政が展開されるよう、本条を廃止するということにいたした次第でございます。  それでは、学校管理規則見直しの視点はどういうものかということについて申し上げてみたいと思います。  市町村学校管理規則につきましては、現在、地方教育行政法第四十九条に基づきまして、各都道府県教育委員会において市町村立学校管理規則準則が定められているところでございますが、同法第四十九条を廃止した後は、各市町村教育委員会地方教育行政法第三十三条に基づき、みずからの責任において学校管理規則を制定することになると思います。  なお、中央教育審議会答申におきましては、学校管理規則において、今後の社会の変化等に応じて、まず第一に、学校の管理運営について、学校と教育委員会の責任関係を明確にすることを基本とし、第二に、地域や学校の特性等に応じた内容とすること、第三に、学校の裁量権限を拡大するため、教育委員会における許可、承認、届け出、報告等を整理すること、第四に、従来、訓令や通知等により定められていた事項も含め、教育委員会の学校への関与を一覧的に示すことなどの見直しが提言されているところでございます。  さらに、中央教育審議会の答申において、学校運営組織のあり方見直し、学校評議員制度の導入、学校の自己評価の実施などが提言されておりまして、これらの制度の導入に際しましては、新たに学校管理規則を見直すことも必要となるものと考えております。
  333. 濱田健一

    濱田(健)委員 今までこの第四十九条という学校管理規則にかかわる部分、これはどうしても現場では、教育を管理統制というような言葉で使われてきたような気がするんです、学校の側から見たときに。私は、これからこの学校管理規則というものは、学校の教育活動、これを、保護者や地域の住民の意向が文部省の全体的に学校教育というものをどう見るかというところとマッチしながら、地域の住民の皆さん方の、保護者を含めて、その意向が反映されるものにしていく必要があるし、そのためには、教育委員会が管理規則という、言葉はいろいろあると思うんですけれども、支援や援助行政というものに変えていくことが必要だというふうに考える者の一人でございます。  また、実態として、学校と教育委員会関係についても、すべて教育委員会が専決をするのではなくて、学校自体が判断をし、決めるということのできる事務あり方、そういう方向事務の再配分や権限の委譲等々も、先ほど大臣が言われた中にも入っていると思うんですけれども、そういう考えで決めていく必要があるのではないかというふうに思うんですが、その辺の御認識、もう一度、大臣でも結構ですし、事務方の方でも結構です。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  334. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 やはり今後の教育というものは、学校だけでやっていくのではなく、地域社会とも十分協力してやっていかなきゃいけませんし、各家庭、保護者の人たちの協力を大いに受けていかなければならないと思っています。  そういう意味で、各地域ごとに、各学校ごとにいろいろ自主性で動いていくということが必要であると認識いたしております。
  335. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございます。  現在の学校管理規則、これは学校のあり方、学校はこういうふうにして教育をやっていくんですよ、そのための事務所掌はこういうことですよということが細かく書かれておりますけれども、一般の人たちが、ではそれでもって学校というのはどういうふうに動いているんだということがなかなかわかりにくい中身になっていると私は思うんです。  当然、学校には校長さん、教頭さんを含めてさまざまな職員がおられます。これらの教職員が法令等に基づいて、学校の授業、学習、いろいろな指導、経営や管理、環境整備、本当に多くの、子供たちの教育のために仕事をしておられます、担当を分割されておられるわけでございますが、やはり学校管理規則では、これらの教職員の仕事や権限、そして責任というものが具体的にわかるように書いていくべきではないかというふうに思っております。教員は、学校教育法の規定に基づいて教育の専門職としての権限と責任を有しておりますし、教員以外の教職員についても、中教審では専門性を生かして活用していくべきという指摘もしているところでございます。  私が一九九三年の文教委員会で、学校事務職員の職務内容を明確に答えていただきたいというふうに質問をいたしましたときに、本当に細かく答えていただいたのを記憶しているわけでございますけれども、しかしながら、いろいろな県の実態というものを調べてみると、必ずしもそういうふうになっていないところもいっぱいあるというふうに思っておりまして、私は、今この法律が変わっていく中で、教職員全体を含めて、これら教職員の担当している内容などが保護者や地域の住民から見て本当にわかりやすくしていくという措置が必要ではないか。情報公開という意味合いも含めて、わかりやすい学校管理規則にすべきではないのか。  もう少し進めて言うと、学校管理規則という名称を管理から解き放す、本当に学校と地域と、住民の皆さん、保護者の皆さんが一緒になって学校をつくっていくための組織のありようというものはこういうふうにあるべきだというような形で、学校支援運営規則というような言葉等も使っていく必要があるかというふうに思うんですが、大臣、いかがでございましょう。
  336. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 今、どういうふうな名前にするかということを直ちに考えつきませんけれども、学校管理規則というふうなものが、父兄というか保護者はもちろん、地域社会の方々に十分よく理解できるようにしていく必要はあると思っております。そういう点で、先生方、教職員の役割をはっきりする、特に先生御指摘の教員以外の職員の役割を明らかにする、こういうふうなことは今後さらに進めていかなければならないと思っています。  各教育委員会の学校管理規則において定める内容は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十三条において、学校の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取り扱いその他の管理運営の基本的事項と規定されております。これに基づきまして、各教育委員会においては、実際には学校管理規則において、まず第一に、休業日や教育課程編成の手続等の教育課程に関すること、第二に、副教材の承認、届け出等の教材、教具の取り扱いに関すること、第三に、校内運営組織等の学校の組織編制に関すること、第四に、出席停止等の児童生徒に関すること、第五に、施設管理簿・台帳等の管理等の施設、設備に関することなどについて規定しているところでございます。  学校管理規則に規定すべき事項やそのあり方等については、現在、中央教育審議会の答申を踏まえまして、教育委員会関係団体や校長会等においてそれぞれ研究が進められているところでございます。今後、各教育委員会において学校管理規則の見直しを行うに際しましては、これらの研究成果などを参考としつつ、地方教育行政法第三十三条の規定に基づき、それぞれの地域や学校の状況を踏まえまして各教育委員会の責任において適切に判断すべきものであると考えております。  文部省といたしましては、今後、各地域において地域や学校の実情に応じて適切な学校管理規則が制定されるよう、必要な情報提供や助言に努めてまいりたいと考えております。
  337. 濱田健一

    濱田(健)委員 次に、地方分権推進計画の第五次勧告、いろいろな評価がございますけれども、地方分権に際する地方の財源の確保、税制面を含めてどうなっているのかという声が大きく聞こえてまいります。そのことは私たちも、これから分権という形で仕事が地方に行くのに、金はどうなるのかという心配を当然多くの議員もしているというふうに認識をしているわけでございます。  そういう意味で、教育行政も、地方分権の中でいろいろな権限が地方の教育委員会、学校現場におりていきますけれども、その状況の中で当然、地域や各学校が、今まで文部大臣お話しくださいますように、多様で個性的な教育を展開するために財源を充実していく。これは文部省、これまで義務教育費国庫負担制度を含めて努力はしてこられたことは多としつつも、これから、より地方の教育財源の確保という意味で、そういう意味では大いに指導性を発揮していただかなければならないというふうに思っているわけでございます。  しかし、やはり日本の国の教育現場のありようというものが一定程度、今言われております均一性といいますか、財源的にでこぼこがないようにするという意味から、地方分権が進んだとしましても、教育水準の維持向上というものは決してこれから先も忘れることはできないというふうに思っておりまして、国の地方公共団体に対する教育条件整備のための支援というのは非常に重要でございます。  一部に、これからは都道府県だけではなくて市町村にも教職員の給与費を負担すべきではないのか、そういう動きがございます。現行の事務職員や学校栄養職員の給与費、これらを含めた義務教育費国庫負担制度など基本的な制度については、日本の国全体の教育の水準の維持、向上、発展という意味から、これからもしっかりと堅持をしていく必要があるというふうに私は思うんですけれども、この辺、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  338. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 国家百年の計でございますので、教育に対する支援ということは今後もしっかり守っていかなければならないと思っております。特に、義務教育というのは、国民として必要な基礎的資質を養うものでございます。教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上を図ることは、国の重要な責務であると考えております。  このため国は、義務教育費国庫負担制度により、公立義務教育諸学校の教職員の給与費等につきましては、原則としてその二分の一を負担しております。義務教育の妥当な規模と内容を保障しているところでございます。これは非常にすぐれた日本の教育方針だと私は思っているわけであります。  義務教育費国庫負担につきましては、これまで国と地方の機能分担、費用分担のあり方等の観点から検討を行い、見直しを行ってはおりますが、義務教育費国庫負担制度の根幹につきましては今後とも堅持してまいる考えでございます。
  339. 濱田健一

    濱田(健)委員 大臣の強い決意を聞かせていただきまして、安心をしたところでございます。ありがとうございます。  次に、学級編制、教職員定数の関係でございますが、第十六期の中央教育審議会の答申、この中に、地方分権推進のためにより一層進めるべき観点として、この学級編制や教職員定数の部分も具体的に触れられているところでございます。今回の地方分権一括法、そして中央省庁等改革法、これらの中に、この中教審答申で触れられている学級編制及び教職員定数の標準は、国が財政的支援を行う際の基準であることを明確にして、都道府県、市町村の裁量により弾力的な運用ができるよう義務標準法において必要な法的整備を図るというような答申がなされているわけでございますけれども、今回の義務標準法の中では触れられていない、間に合わなかったというふうに理解するべきなのかもわかりませんが、これらの今後の方向性というものはいかがでございましょうか。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  340. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 公立学校の学級編制につきましては、教育の機会均等と教育水準の維持向上に資するため、国が全国的な標準を定めてきたところでございます。現行の第六次教職員配置改善計画におきましては、教科、学年や児童生徒の習熟度等に応じて弾力的な学習集団の編制が可能となるチームティーチングのための教職員配置の改善を図っているところでございます。  文部省といたしましては、先ほど御指摘の中央教育審議会答申を踏まえまして、その具体的な方策を検討するため、昨年十月に専門家から成る協力者会議を発足させたところでございますが、その中で、学級規模のあり方や学級編制の弾力化等についても検討していただいているところでございます。
  341. 濱田健一

    濱田(健)委員 諸外国の学級編制、教職員の数、子供たちの琴線に触れる教育を行っていく、そして、家庭も地域も、さまざまな価値観の多様化の中で、一人一人の子供たちの実態を本当によく知らなければ、十把一からげではどうしようもないという現実の中で、六十人学級から五十人、四十人というふうに学級編制基準も改善されてまいりました。三十人学級、二十五人学級と、アメリカなどは州によってもっとその数が小さくしてあるという実態もあるわけでございまして、これらの点は、義務教育で言う第六次定数改善、若干の期間が延びてしまいました。これは残念なことでございましたけれども。それが終了する以前にはやはりきちっとした見直しをしなければならないというふうに思っておりますし、議員立法としてもこの三十人学級の方向性というものが既に提起をされております。  ぜひ、この方向については、子供たちの数が減っていくから教職員の数も減らすというような方向ではなくて、今、先ほども大臣が言われた国家百年の大計という観点から、子供たちの一学級の数も減らしていくし、逆に先生たちの数は一定程度確保して、きちんとした対応のできる学校の内情、中身というものをつくっていただきたいというふうに思っておりますので、その辺の大臣の決意をいま一度お聞かせいただきたいと思います。
  342. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 この点に関しましては、中央教育審議会の会長でありましたときにも心配をしていたことでございまして、先ほど御指摘のように、中央教育審議会では先進諸国並みの人数にすべしというような答申を書かせていただいた次第であります。しかし、現在のさまざまな財政的な問題もございます。そういう点で、今慎重に検討しているところでございます。  今、大体どのくらい日本の学校で一人の先生当たり生徒数があるかというと、一人の先生当たりの生徒数はかなり減ってきているということが事実でございます。そういう点でいろいろ検討しております。特に、チームティーチングなどというのは大変有効なことであったと考えておりますし、今後もそれをふやしていきたいと思っております。  ただ、現在、先ほど申し上げましたように、今後の教職員配置のあり方、学級規模と学習集団のあり方等について、昨年九月の中央教育審議会の答申を受けまして、学校週五日制時代における新しい教育課程の実施も視野に入れて、専門家の協力も得て検討を行っているところでございます。  なお、御指摘のように、仮に三十人学級を全国的に実施するといたしますと、国、地方を通じて、相当の財政的な負担が必要となるのでありまして、この点についても十分慎重な検討が必要であると考えております。
  343. 濱田健一

    濱田(健)委員 今大臣が触れられましたとおりに、地域によってもう既に十五人とか二十人とかという形の学校もいっぱいあります。ですけれども、現時点で、将来に向けては三十人、二十五人という形をとるべきだと思うし、議員立法でもそういう方向性を私たちは出していかなくちゃならない、現実に出してある政党もございます。そういうところについてはバックアップをしていきたいと思うのですが、一律に、例えば四十一人になったら二十人と二十一人というふうなやり方じゃなくて、都会部で非常に子供たちの多い学校については何らかの形でそれを減らしていくというような、そういう弾力的な運用も現実的な学校現場のさまざま起きている問題点、課題を解決する意味で考えていく必要があると思いますので、その辺はぜひ御検討いただきたいと要望だけ申し上げておきたいと思っております。  次に、あと六、七分ございますから、教科書採択の問題でございますけれども、地方分権という意味で、今教科書の採択をどう進めていくかということでございます。  これは、今教育事務所単位に普通行われている採択というものが、やはり学校や地教委を含めたところからやるべきではないのかという行政改革委員会規制緩和委員会からの改善の方向性というものも指摘をされております。高等学校はもう学校そのものが教科書の採択をしていくという形になっているわけでございますけれども、採択地域を小さくしてもっと、これが欲しいんだというやはり学校の裁量権といいますか、そこを大事にしていくべきだというふうに思っておるのですが、この方向性はいかがお考えでしょうか。
  344. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 教科書は教科の主なる教材として子供たちの教育に極めて大きな役割を果たすものであることを十分留意しております。教科書検定制度や義務教育教科書の無償制度のもとで、よりよい教科書が提供されることを目指して行政を進めてまいりたいと思っております。  また、今御指摘の採択制度の改善に関しましては、平成八年十二月の行政改革委員会意見の趣旨を踏まえまして、現行の採択地区の小規模化や採択の場に多くの関係者を参画させるなど、採択方式の改善が図られるよう積極的に努めてまいりたいと考えております。  御指摘の採択地区につきましては、随時各都道府県における検討状況等の実態調査を行うとともに、各種会議等を通じまして小規模化の実現に向けた都道府県の取り組みを促してきたところであり、各県教育委員会においては、市町村教育委員会の意向を聴取しつつ検討が進められていると承知いたしております。  今後とも、各種会議等を通じてこの趣旨の周知徹底を図り、精力的に都道府県の取り組みを促してまいりたいと考えております。
  345. 濱田健一

    濱田(健)委員 もう一点は、教育は国民にとって最も身近な課題でございまして、二十一世紀の国のあり方、そして命運を左右するものという中身でございますので、当然、国の文教施策に対して国民の意見をより反映させるべきではないかというふうに私は考えます。そのために文部省内の政策評価を充実させる必要があります。幅広い国民の参加を含めた評価制度、これらを検討すべきではないかというふうに考えているんですが、大臣としてはこういう視点はいかがお考えでしょうか。
  346. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 文部行政推進していく上で、特に教育を進めていく上で、御指摘のとおり、広く国民の意見、要望等を伺って施策に反映させていくことは極めて重要であると認識いたしております。  文部省といたしましても努力をしておりまして、従来から、教育改革モニターの実施、ホームページを活用した意見募集など各種の広報、広聴活動の充実に努めてまいりました。また、各種審議会等を通じて、教育関係を初めとする幅広い分野の方の意見を聞くことに努力をしてきたところでございます。  このたびの中央省庁等の改革におきましても、政策の効果について、国民的視野に立ち、かつ、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた客観的な政策評価機能の充実強化が求められております。各省庁は所掌する政策について政策評価を行うこととされております。  文部省といたしましては、したがいまして、今後客観的かつ合理的な評価手法を開発することになると思いますが、その際には、国民の幅広い意見が反映されるよう工夫してまいりたいと考えております。
  347. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございます。  では最後に、当然日々成長している子供たちとかかわりを持つ教職員は、みずからの資質というものを、これも当然日々鍛え上げていかなくちゃならない、当然のことでございまして、研究とか研修というのは非常に職務の遂行上大事な大事なものであることは、もうこれは古今東西変わらない中身でございます。  ただ、これまで研究や研修ということで、勤務する時間というのは一定程度限られております、当然休日も先生方というのは自分の時間を、自分の金も使いながらいろいろな研修をされるわけでございますけれども、現実的に、学校の現場で働かれる中で研究活動、研修活動というものもやっておられるわけでございます。そのことと子供たちとの関係というのが、研修や研究の方が先に走ってしまって、そこで、毎日出会う子供たちとの関係というものがなかなか、太くならないといいますか厚くならない、いい関係ができないということも含めて、文部省の方もこの研修の見直しというものをいろいろと努力をされておられますけれども、中教審もこの研修等の精選を指摘しておられますが、よりその精選に向かってどのような方向性を出して改善していかれるのかという点。  先ほど私が申し上げました、教職員が自分から、今自分が悩んでいる点はこういうことなんだ、こういうことについてもっと研修をしたいんだと、教育センターに行くという制度も当然公的にバックアップされておられますけれども、休暇でもとって、例えば十年に一回とか十五年に一回ぐらい、休暇制度等を取り入れて、一月とか半年とか三カ月とかという形で研修の休暇制度、休業制度というようなものなども必要な時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですが、この辺、大臣いかがお考えでしょうか。
  348. 高鳥修

    ○高鳥委員長 有馬文部大臣。  時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  349. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 まず、研修の精選についてでございますが、御指摘のように、教員の研修等については、昨年九月の中央教育審議会の答申において、各実施主体において可能な限り精選を図ること、特に国が直接行う研修については、「各都道府県等での教育内容・方法等に関する研究や研修において中心的役割を果たすような教員等を対象とする研修や、学校教育に係る喫緊の課題を中心とした内容の研修に限定するなど精選すること。」の提言が盛り込まれております。文部省といたしましては、既に、これらの提言を踏まえまして、国の実施する研修に関し今年度の事業について所要の見直しを行ったところでございます。  研修全体の精選等については、現在、教育職員養成審議においてその具体的な方策について審議を行っているところであり、その結果を踏まえ、さらに必要な措置を講じてまいりたいと思っております。  研修休業につきましては、教員の資質の向上については、職務に直接関連した研修に加え、一定期間大学院等に在学するなどにより、その専門性を深め、さまざまな経験を広げる機会の確保が必要と考えられております。このため、教員が自発的に国内外の大学院や研究機関等で一定期間内研修等の活動を行うことを可能にするような新たな休業制度を設けることが、中央教育審議会の答申及び昨年十月の教育職員養成審議会の答申において提言されております。文部省といたしましては、これらの提言の実現に向けて、現在、研修休業制度の具体的なあり方等について関係省庁と協議を進めているところでございます。
  350. 濱田健一

    濱田(健)委員 大臣、どうもありがとうございました。
  351. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、鰐淵俊之君の質疑に入ります。
  352. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私、自由党の鰐淵俊之と申します。  きょう、大臣もいろいろ御予定がおありと聞いておりましたので、通告の順番が少しアトランダムになりますので、御理解をいただきたいと思います。  三十分でございますから時間もございませんので、私も質問を簡潔にいたしますので、簡潔に御答弁お願いいたします。  まず最初に、本年、総理が施政方針で生活空間倍増戦略プランというものを発表されました。まさに今日時宜を得ているプランだ、私はこのように考えます。そういう意味では、この地域戦略プランがいわば地方分権推進する、こういう立場から、地域主体による地域づくりというものを行うには絶好の機会であろうという意味で私は評価をしたいと思っているわけであります。  きのう新聞を見ますと、一日の閣議後の会見で大臣は発表されておりますが、三千二百十九の市町村から四百六十五の計画が提出された、五年間で四兆三十一億円、こういう予算で行う、こういうことが言われておりました。したがいまして、これらの事業認定も、六月十日、連絡会議で認定を行う、こういうぐあいに報道されておりました。  そこで国土庁長官にお尋ねしたいと思いますが、この地域戦略プランのいわば理念、ただ単に各省庁の補助金を集めてパックにするというのではなくて、やはり戦略と言う以上はそれなりの理念というものをお持ちであろうと思いますので、その理念をひとつお話しいただきたい。と同時に、このようなプランをどのような形で推進していかれようとしておるのか。この二点について御答弁お願いしたいと思います。
  353. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 これは、先生御指摘のように、総理の生活空間倍増戦略の一環といたしまして、国土庁が窓口になりまして地域戦略プランというものを打ち出したわけでございます。複数の市町村等が、広域的な連携のもとにみずからテーマを選びまして、関連施設間の連携が図られた総合的なプランを主体的に策定し、地域に密着した事業を展開することによって、各地域の創意工夫を生かした、個性的で誇りの持てる地域づくりを進めていこうという計画でございます。  それで、五月三十一日までに、四十七都道府県を通じまして四百六十五のプランが提出されたところでございます。提出をされましたプランにおきましては、新たな広域連携の動きとして、県境を越えて連携した圏域でも九つのプランが策定されておるということでございますから、これも、考えてみますと非常に画期的なことでもございます。いわゆる二つの県が一つの事業をなし得ようというわけでございますから、国土庁が考えました目的方向に大変着実に進んでいっておると思っておるわけでございます。  それから、従来の事業を取り込むというだけではなくして、今年度以降、新規に取り組む事業が全体の四割以上あるというようなことでございまして、各地域におきましては、地域戦略プランの趣旨を十分踏まえ、創意工夫を生かした、立派な、夢のあるプランを策定していただいたものと考えております。  今後のその推進でございますが、それぞれの事業を積極的に今後は進めていくことになるわけでございますが、国といたしましても、関係省庁が一体となって、重点的な予算配分等を行うことによりまして、地域戦略プランの積極的な推進を図っていきたい、そのように考えておるわけでございます。  内容は、また細かく先生も後ほど見ていただきたいと思いますが、大変すばらしい内容ができておるわけでございます。交通空間の整備であるとか、地方定住・交流拠点の整備であるとか、あるいはまた遊空間あるいは観光空間の整備、また田園・森林・沿岸域・中山間地域空間整備、あるいはまた都市居住環境整備等、その地域の独自のものがなされておるわけでございまして、大変地域の御協力をいただいて、所期の目的が達成されつつあると思っております。
  354. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ただいま大臣の御答弁によりますと、大変夢のある、期待の持てるプランだ、このように考えます。  そこで、これらのプランを遂行するに当たりましては、県をまたぐ広域行政、あるいはまた市町村がそれぞれ複数で参画するということで、願わくは、こういったプランが今の日本の経済の活性化に役に立つ、あるいはまた雇用が非常に厳しい中で雇用創出にも役に立つ。と同時に、過疎地が今三千余の自治体の中で千ちょっとですから、三分の一は過疎でございます。そういうことを考えますと、過密過疎の解消、そして日本の国全体をやはりバランスの整った空間にしていくというようなことで、この戦略プランが成功できるように、国土庁におかれましては、ぜひひとつ調整あるいは助言、指導をされる中で所期の成果をおさめられますように、ぜひお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  それでは、次に参ります。時間がございませんので、申しわけございません。  まずは、地方分権を総括的にやる前に、地方自治法改正についてお尋ねしたい、このように思います。  地方自治法の第十二章は、御案内のとおり、大都市等に関する特例を記述してあるわけでございます。その中では、従前はいわば指定都市それから中核市というものがございましたが、今回の改正によりまして、二十万以上の都市は特例市ということで、いわば、かなり住民と距離の近いところにいろいろな権限を移譲していく、そういうようなことでこういった制度を設けておると思うわけであります。  その条文の中におきまして、特に中核市の要件におきまして、二百五十二条の二十三を設けておると思いますが、その第一号で人口三十万以上、そして第二号で面積百平方キロメートル以上、こうなっております。ところが、指定都市、特例市ではこの面積の条項はないのでありますが、特に中核市にこの面積の条項を入れたのはどういう御趣旨なのかということが第一点であります。  第二点は、この地方分権推進計画では昼夜間人口比率等、「等」と書いてありますが、この「等」という意味におきましては、私は、これは面積の基準を指しているのではないかと推察するわけであります。法案の作成の過程でこの面積要件がどのような論議の中で入ったのか、いわゆる指定都市、特例市のように人口だけでできなかったのかどうか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  355. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  中核市の要件の関係の御質問でございますが、今お話のございましたように、中核市には、指定都市に準じました事務の移譲が行われるわけでございます。その移譲される事務との関連で、中核市の要件というのもいろいろ議論されて決められてきております。  そこで、面積要件が設けられた趣旨でございますが、三点ほどございまして、一点は、行政需要のまとまりというか、あと行政の効率化といった観点からのものでございまして、例えば屋外広告物法あるいは都市緑地保全法などの美観、風致に関する事務、こういったものはある程度の面積的な広がりの中で処理する方が、行政需要のまとまりあるいは効率性の観点からは望ましいのではないかという点が第一点でございます。  第二点は、面積は、いわば固定資産税あるいは特別土地保有税など、財政的な裏づけということの一面も有するという点がございます。  さらに三点目は、比較的面積が小さな都市が連担している大都市地域、こういった特に周辺部においては、むしろ県が一体的に処理する方が、住民サービスあるいは事務処理の効率性の面から適当であるという事務が多いんじゃないかということで、中核市の要件の一つとして、面積要件百平方キロが加えられたということでございます。  また、面積要件は、人口要件と同様ですが、市町村合併といった面から考えると、一定の推進効果があるというふうにも考えております。  そこで、今回の分権の中での議論で、特に地方分権推進計画の中で「等」ということで議論の対象になっていたのではないかという御指摘でございます。  分権委員会の第二次勧告におきましては、単に中核市となる要件の緩和ということで勧告をいただいたわけでございますが、それを政府として分権推進計画として策定するに当たりましては、いろいろ議論をいたしたところでございます。  平成七年にできまして、それ以後のいわば実績というものを踏まえまして、一つは、現実的な課題としての昼夜間人口比率の見直しということが一番最初に念頭にあったわけですが、片方で、人口二十万以上の市に対する権限移譲といった宿題もございますので、そういった都市特例制度全体をどうするかということとの関連で、中核市の要件の議論もいたしたところでございまして、そういう意味で、「等」という形で計画の段階では整理させていただきました。  さらに、法律の段階でそれをどうするかということで、二十万以上の特例市制度というものを設けよう、それから中核市については昼夜間人口比率を落とそうということで、最終的な結論になったわけでございます。その際には、例えば公害、大気汚染の関係とか、それから、保健所設置市の仕事が中核市に移されますので、やはり面積要件というある程度の面的広がりというものが必要だなということで、今回の改正においては面積要件を維持するということにいたしたわけでございます。  それで、そういったことでいたしましたが、御指摘の面積要件の見直しの問題でございますが、今回行います昼夜間人口比率要件の廃止後、五市ふえますが、その後の中核市制度のいわば定着状況、実績というものを踏まえまして、今後検討することといたしたいと考えております。
  356. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 局長の今の答弁はよくわかりました。  そこで、私、ちょっと調べてみましたが、大体御案内のとおり、指定都市は十二市。それから、今、中核市になっているのが二十五。それから、中核市の要件を満たしている市は、八王子を中心に旭川まで四つある。それから、昼夜間人口の比率が今度緩和された後に中核市の要件を満たす市としては五市。ですから、非常にこれは数少ないのですね。  ですから、こういったところで、実は、人口五十万以上の市で面積が百に満たない、例えば相模原は面積は九十・三九ですから、もう百に対してわずかです。しかし、面積要件があるために、五十七万余も人口があって、中核市にならないのです。しかし、その中核市になるために、こういった五十万以上の都市が三つございます。千葉の船橋、大阪の新大阪、たった三つですよ、市が六百二十何ぼあるのに。  ですから、こういった市は、より権限をいただく、そして身近な住民のための行政をみずからの責任でやりたい、これくらいの力を持っている市なのですね。それが面積わずか十くらいのことで中核市にならないということは、ここの議会の方も、もちろん住民も、中核市になる夢というものを持っておるわけです。私のところにもよく陳情といいますか、要請に来られます。私は、本当になるほどと思うのです。  ですから、こういったものは、ただ法律でばあんと切って、もうだめなんですよと、それは、たくさんあれば私はわかりますよ。たった三つですよね。この市ぐらいは、極端に面積が少ないというのであればわかりますけれども、やや百平方キロメートルに近い、人口も五十七万、六十万になるでしょう。やはりこういったところには権限を付与していかないと、真の地方分権というものはおくれていく、私はそのように思いますので、もう一度この点について御答弁お願いします。
  357. 高鳥修

    ○高鳥委員長 鈴木行政局長答弁は簡潔に願います。
  358. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  今お話ございました、特に大都市地域におきましては、例えば、人口三十万以上で五十万未満の市で、面積が百よりも少ないところが十五市ございます。それから、人口五十万以上ですと、お話しのように三市でございまして、そこのところも十分念頭に置きましていろいろ検討したわけでございますが、先ほどお答えいたしましたように、行政需要のまとまり、行政事務の効率性の観点、また財政的裏づけの観点、また大都市地域においてこういう特質を持っているわけでございますので、そういった観点から検討いたしまして、その趣旨に配慮しまして、今回の改正においては維持するということにさせていただきました。  今後、昼夜間人口比率要件の廃止後の中核市制度の定着の状況などを踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  359. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 三市ですから、しかも五十万以上、こういう市でありますので、独立した市としては権能を持っても十分に足るものだ、そう私は思いますので、ぜひひとつ早急に検討されて、でき得ればそういう面積要件を外すということも必要ではないか、このように思います。  さて、三十分ほどでございますから、もう時間もだんだん迫ってきましたので、最後に、分権問題について御質問させていただきます。  私は、国会議員になりましてから、一貫して地方分権につきまして訴えてまいりました。私は、地方の首長を約二十年やりましたので、市会議員等を含めると、自分の三十年ほどの人生はすべて地方自治へ費やしてきております。それだけに、この地方分権の足取りは、もちろん、衆参の両院で決議されたのが一九九三年ですから、この六年間のいろいろな議論を経て、ここで地方分権一括法案が提出されたわけでございます。私は、ここまで六年間御苦労された地方分権推進委員会委員の先生方や、あるいはまた総理を初め担当大臣や、多くの関係された皆さんに敬意を表したい、このように思います。  しかし、私は、今回の一括法案をいろいろ見ても、まだこれは緒についたばかりだなと実は思います。私にとりましては、まだまだ不満な点が多々あります。  これは、第一から第五まで勧告がありますが、機関委任事務の廃止ということが基本的に一つありました。しかし、法定受託事務というのは、私が当初予定したよりも非常に多くなった。これはやはり、なかなか権限を地方に持っていけないという中央省庁の抵抗もあったのではないかと思いますが、もう少しこういったものについて権限の移譲というものは図るべきではなかったか、こう私は思うわけであります。  それと同時に、先ほど来からも議論がございましたが、今回の分権推進一括法の中で最も課題として大きく抜けておりますのは、地方の税財源。これはよく言われます、権限、人間、財源と。この財源の税財源の措置ですね。もう今、日本というのは戦後五十年たっておりますから、地方自治そのものも抜本的に考えていく必要がある、私はそのように思うのです。したがって、ぜひひとつ、この税財源の再配分につきましては十分今後検討していただきたい。  基本的には地方公共団体ということになっておりますが、ガバメント、ローカルガバメントという考え方、中央政府、いわゆる地方政府、こういうことで、かなり地方政府自立して、そしてみずから責任を持って実行していく、こういう地方政府をつくり上げていくという考え方でなければ、真の分権型社会というものは到来できないわけであります。そういう意味で、今後、所得あるいはまた資産、消費、こういったものに対する税の再配分、国税をどうするか、地方税をどうするか、こういったことも十分検討を賜れれば、このように思います。  そこで、最後に、第六次の勧告が見送りになりました。これはなぜ見送りになったかといいますと、ここで一番私どもが、末端の基礎自治体である市町村が望んでおることは、一つはこの問題なのであります。いわゆる今の地方分権一括法の中における主たる権限移譲は、知事に権限移譲しているのが圧倒的に多いのです。ところが、知事の方から市町村におりてくる権限は非常に少ない。したがって、都道府県から市町村に権限を移譲するというトータル的なプランが抜けておるわけであります。  これは、地方分権推進制度におきまして、今後、時限立法になっておりますが、再度こういった問題についてぜひひとつ議論の場を設けていただくためには、地方分権推進法というようなものが、継続するというのでしょうか、あるいはまた検討する場を設けるというのでしょうか、こういったことで、そういう場をぜひ設けていただきたい、このように私は思いますが、この点についての御答弁お願いいたします。  大臣、私はあと質問ないものですから、もしか御用があったらということで、どうぞ御退席いただいても結構です。
  360. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  都道府県から市町村への特に事務移譲のお話でございます。今回の改正におきましても、先ほどお話が出ましたが、権限移譲を進めるための制度といたしまして、特例市制度、また中核市の要件の緩和も行ったところでございます。また、地域の実情に応じて、都道府県から市町村への権限移譲を進めるため、条例による事務処理の特例制度というものも創設いたしておりまして、それぞれの地域におきまして、さらなる市町村への権限移譲が進むことが期待されているところでございます。今後とも、地方分権の一層の推進に向けまして、地方分権推進計画等を踏まえながら、事務、事業の移譲に取り組んでまいりたいと考えております。  それから、地方分権推進法の期限切れ後の体制につきましてでございますが、この点につきましては、その時点での状況を踏まえまして判断すべきものと考えておりますが、いずれにいたしましても、地方分権推進に関する基本方針の考え方に沿いまして、一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
  361. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私は、具体的な例はたくさん持っておりまして、もう三十分ではとても話ができませんので、これは後日に譲りますけれども、いわば市が自立してやっていけるような仕事でも知事の認可を受けなければならないというのはたくさんございます。これはやはり市なら市自体で市長が決定した方がいいものはたくさんあるのです。例えば農地法でいうと、三条や五条の申請の許可なんというのは、あれはわざわざ知事まで出して許可を得なくてもいいのです。もう地域内のことは地域が一番よく知っている。ですから、そういうようなこともございまして、ぜひひとつそういった点は今後検討していただきたい。  それから、次の質問になりますが、ただ、市町村側から見ても、権限をよこせよこせと言っても、それでは市町村に受け皿としてしっかりとした行政ができるのか、こういう御心配もあろうかと思います。これも当然私どもも理解できるところであります。  したがって、私の考え方は、道州制、最終的には私たちの党は、三百の自治体で、中央政府地方政府で、二層制でやっていくことが理想だ、アクセスも非常にスムーズにいきますし。それは一遍にできることではございませんが、そういった気持ちで分権というものをやはり考えていかなくてはならないのではないか、このように思います。  そこで、市町村は、今三千二百余ありますから、非常にたくさんあるわけですね。ですから、先ほど言ったように、過疎の町村が千以上ある。三分の一が過疎です。そういう形の中で介護保険を実施するとか、あるいは環境問題である産業廃棄物やあるいはまたダイオキシンや、そういったものを解決するといっても、なかなかこれは小さな一自治体で解決できるものではございません。  そういう意味では、私は、前から市町村合併のインセンティブを思い切って国は出すべきである。これは国が指導するとか強制するというのではなくて、やはり基礎自治体が合併することによって非常にお互いに利益になる、そういうことが認識されなければならない。なかなかこれが認識されておらないのが実態であります。  しかし、今回出された例えば合併特例制ですとか、自治省が出しておられることは非常にすばらしい政策が出ておるのです。この政策を首長がじっくりわかれば、やはりこれはお互いにひとつ広域で、合併した方がいいのだという認識に立つと私は思います。  したがって、これらのやはりムードづくり、あるいは情報をしっかり伝達するのは、私は今の都道府県がやるべきではないか、都道府県が……
  362. 高鳥修

    ○高鳥委員長 時間が迫っておりますので、結論を急いでください。
  363. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 指導をやるべきだ、こう思うわけでありますが、最後の質問であります、都道府県に対しましてどういうお考えを持っておられるか、その点について答弁お願いします。
  364. 高鳥修

    ○高鳥委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に願います。  鈴木行政局長
  365. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 お答えいたします。  市町村合併の推進につきましては、特に都道府県の役割が非常に大きいものと考えております。もちろん市町村あるいは地域住民がみずから主体的に取り組むことは基本でございますけれども、そこに果たす都道府県の役割は大きいものと考えております。  都道府県に対しましては、市町村が合併を検討する際の参考や目安となります合併のパターンというものを作成するなど、積極的な役割を果たすことを期待いたしております。そのために、私ども自治省としましても、合併のパターンの作成の際のガイドラインを示すなどして、都道府県の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
  366. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 どうもありがとうございました。
  367. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次回は、明三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十八分散会