○佐藤(茂)
委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
木曜日に続きまして
質問をさせていただきますが、きょうは
地方分権一括
法案を中心に
質問しなさいというお話をいただいておりますので、
地方分権一括
法案について主に
質問をさせていただきながら、後半、時間が余りましたら、中央
省庁等につきまして
総務庁長官の所見も賜りたいと思います。
地方分権の中でも一、二問
総務庁長官にもお伺いするかと思いますので、よろしくお願いします。
それで、今回のこの
地方分権一括
法案、前回も申し述べたんですけれども、明治以来の
機関委任事務というものが廃止をされて、国と地方の関係が上下さらには主従関係から対等協力関係に変わるということは、私ども、画期的なことである、この点については大いに歓迎したいな、そのように思うわけでございます。
この
地方分権一括
法案、もう既にいろいろと言われておりますけれども、
地方分権推進委員会の第一次勧告から第四次勧告に基づいてつくられた
地方分権推進計画をきちっと
法案化したというのが中心であろうというように思うわけですが、第一次勧告から
地方分権推進計画、そして一括
法案に至る流れの中で、個別法に関する問題は別として、大きな考え方の中で、微妙にいろいろ表現が変わっている
部分が私は大きく二つのテーマであると思っているのです。その
一つが法定受託事務の
定義等でございますし、もう
一つは、国と地方が紛争したとき、その紛争処理の
仕組みをどうするのかという
部分について勧告から少し変わっているな、そのあたりについて、きょう中心にお伺いをしたいわけでございます。
それで、
機関委任事務を廃止して、基本的に、地方公共団体の事務というのは法定受託事務と自治事務しかないんだ、そういう形になるわけですね。ところが、今回の一括
法案の地方自治法の改正案でも書いてあるんですが、そうしたら自治事務の
定義というのはどうなっているのかというと、「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。」と。法定受託事務以外のものが自治事務だというので、法定受託事務の
定義がどういうようにきっちりしているのかということが実はポイントになるわけですね。
それで、これから何点かお聞きしたいわけですが、お手元に法定受託事務の
定義、私なりに、第一次勧告から今回の地方自治法の改正案に至るまで、どのように変わってきたのかということを四段階書かせていただきました。
これだけ細かく全部読んでいると時間がございませんので読みませんけれども、第一次勧告、これは平成八年の十二月二十日の段階でございます。それから、自治省内で
機関委任事務廃止大綱というのをまとめられたんですけれども、これは平成九年の十二月。そして、昨年の五月二十九日に
地方分権推進計画。こういう形で大きく変遷をしてきているわけです。そこから今回の改正案に至るわけでございます。
第一次勧告から
地方分権推進計画への流れというのは、微妙に表現が変わっているんですけれども、一言で言わせてもらうと、勧告のときには、国の義務で直接執行すべきであるが、国民の利便性などから、法令により自治体が受託する事務となっていたものを、
地方分権推進計画の段階では、法令により地方自治体が処理する事務のうち、国の責務に係る事務である、そういう表現になっていまして、この三段階を経て、ほとんど表現は変わらないのですけれども、どちらかというと、重きは、国よりも地方自治体の
仕事である、事務であるということに、少しずつですけれども、比重を置いた表現にこの分権
推進計画まではなっておったわけです。
ところが、今回の改正案では、今まで使われておった「国民の利便性又は事務処理の
効率性の観点から」、そういう
文言が消えまして、かわって、「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして」、そういう表現が置かれたわけですね。
私は、ここは二つ、やはりきちっと確認しておかなければいけない問題があるんだろうと。
一つは、それまでの三段階、計画までに丁寧に説明されておった、なぜこの事務が自治体が処理するものなのかという説明、つまり、国民の利便性または事務処理の
効率性の観点から見てこれを地方の事務とするんですということが
一つですね。これが欠如してしまったということ。
もう
一つは、「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして」ということだけが加えられたことによって、新
定義によって、国が逆に自由に定められるような、そういう印象、特に積極的に関与する領域を広げていくのではないのか、そういうイメージを与えるような
定義にわざわざ地方自治法の改正はなっているわけですね。
私はやはり、勧告の精神を生かすならば、本来国の責務にかかわるものだけれども、国民の利便性または事務処理の
効率性の観点から地方に任せる事務が法定受託事務なんだ、それを法や政令によってきちっと
定義したものが法定受託事務なんだ、そういう考え方が明確に表現されている計画の段階の表現というのが、やはり今回の地方自治法の
法案の中でも、きちっとそういう
定義をもう一回明確に、計画の段階に戻って明記しておくということが大事なんではないのか。
その全体の流れを見てきた人は、こういういきさつで、例えば第一次勧告から、また、先ほどの
機関委任事務廃止大綱からこうなって、計画までこうなって、その上に立って今度の
法案ができているんだというのがわかりますけれども、でき上がった地方自治法のこの
法案の中身の
定義だけを見れば、法定受託事務というものが定められてきた精神というか、考え方がもう一歩わかりにくくなっているのではないか。
そういう
意味では、改正というのは非常に難しいかもわかりませんが、やはりこの計画の段階の表現の方が、勧告に携わられた
委員の
方々の考え方も反映するし、ふさわしいのではないのか、そのように考えるのですが、まず
自治大臣の所見を伺いたいと思います。