運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-05-26 第145回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月二十六日(水曜日)     午前九時開議   出席委員    委員長 高鳥  修君    理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君    理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君    理事 山口 俊一君 理事 小林  守君    理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君    理事 中井  洽君       飯島 忠義君    岩下 栄一君       衛藤 晟一君    大野 松茂君       金田 英行君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    河本 三郎君       阪上 善秀君    実川 幸夫君       砂田 圭佑君    谷  洋一君       戸井田 徹君    桧田  仁君       細田 博之君    牧野 隆守君       松本 和那君    松本  純君       水野 賢一君    宮腰 光寛君       宮島 大典君    宮本 一三君       森  英介君    山本 幸三君       伊藤 忠治君    岩國 哲人君       中川 正春君    中桐 伸五君       平野 博文君    藤田 幸久君       山本 譲司君    石垣 一夫君       佐藤 茂樹君    西  博義君       桝屋 敬悟君    山中あき子君       岩浅 嘉仁君    小池百合子君       武山百合子君    西川太一郎君       三沢  淳君    春名 直章君       平賀 高成君    松本 善明君       畠山健治郎君    濱田 健一君       深田  肇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    陣内 孝雄君         外務大臣    高村 正彦君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君         厚生大臣    宮下 創平君         農林水産大臣  中川 昭一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         運輸大臣         国務大臣         (北海道開発庁         長官)     川崎 二郎君         郵政大臣    野田 聖子君         労働大臣    甘利  明君         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君         自治大臣         国務大臣         (国家公安委員         会委員長)   野田  毅君         国務大臣         (内閣官房長官         )         (沖縄開発庁長         官)      野中 広務君         国務大臣         (総務庁長官) 太田 誠一君         国務大臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君         国務大臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国務大臣         (環境庁長官) 真鍋 賢二君         国務大臣         (金融再生委員         会委員長)   柳沢 伯夫君  出席政府委員         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局長      河野  昭君         内閣審議官         兼中央省庁等改         革推進本部事務         局次長     松田 隆利君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         内閣法制局長官 大森 政輔君         人事院総裁   中島 忠能君         地方分権推進委         員会事務局長  保坂 榮次君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         防衛施設庁総務         部長      山中 昭栄君         経済企画庁長官         官房長     林  正和君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 康宏君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         環境庁企画調整         局長      岡田 康彦君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 東郷 和彦君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       坂  篤郎君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    真野  章君         厚生省保健医療         局長      伊藤 雅治君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省老人保健         福祉局長    近藤純五郎君         社会保険庁次長 宮島  彰君         通商産業省貿易         局長      佐野 忠克君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省基礎         産業局長    河野 博文君         郵政大臣官房長         事務代理    鍋倉 真一君         労働大臣官房長 野寺 康幸君         労働省職業安定         局長      渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省住宅局長 那珂  正君         自治省行政局長         兼内閣審議官  鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         衆議院調査局第         三特別調査室長 鈴木 明夫君 委員の異動 五月二十六日             辞任         補欠選任   岩下 栄一君     松本  純君   小野寺五典君     宮腰 光寛君   谷  洋一君     阪上 善秀君   中野 正志君     桧田  仁君   佐藤 茂樹君     西  博義君   並木 正芳君     山中あき子君   小池百合子君     武山百合子君   畠山健治郎君     濱田 健一君 同日                 辞任         補欠選任   阪上 善秀君     谷  洋一君   桧田  仁君     飯島 忠義君   松本  純君     岩下 栄一君   宮腰 光寛君     小野寺五典君   西  博義君     佐藤 茂樹君   山中あき子君     並木 正芳君   武山百合子君     岩浅 嘉仁君   濱田 健一君     畠山健治郎君 同日                 辞任         補欠選任   飯島 忠義君     中野 正志君   岩浅 嘉仁君     小池百合子君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案内閣提出第九一号)  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第九六号)  内閣設置法案内閣提出第九七号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出第九八号)  総務省設置法案内閣提出第九九号)  郵政事業庁設置法案内閣提出第一〇〇号)  法務省設置法案内閣提出第一〇一号)  外務省設置法案内閣提出第一〇二号)  財務省設置法案内閣提出第一〇三号)  文部科学省設置法案内閣提出第一〇四号)  厚生労働省設置法案内閣提出第一〇五号)  農林水産省設置法案内閣提出第一〇六号)  経済産業省設置法案内閣提出第一〇七号)  国土交通省設置法案内閣提出第一〇八号)  環境省設置法案内閣提出第一〇九号)  中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案内閣提出第一一〇号)  独立行政法人通則法案内閣提出第一一一号)  独立行政法人通則法施行に伴う関係法律整備に関する法律案内閣提出第一一二号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 高鳥修

    ○高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案内閣設置法案国家行政組織法の一部を改正する法律案総務省設置法案郵政事業庁設置法案法務省設置法案外務省設置法案財務省設置法案文部科学省設置法案厚生労働省設置法案農林水産省設置法案経済産業省設置法案国土交通省設置法案環境省設置法案中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律案独立行政法人通則法案及び独立行政法人通則法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、各案の審査に関し、地方分権推進等についての集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  3. 山口俊一

    山口(俊)委員 おはようございます。自由民主党の山口俊一でございます。  昨日の我が党の伊吹筆頭理事の後を受けまして、質問をやらせていただきたいと思います。  昨日来、当委員会でも中央省庁等改革関連法案地方分権一括法案という、いわば大変な法律審議が始まっております。そして、地方分権中央省庁改革、これが相まって、初めてこの国の形というか、あり方というのが見えてくるのではないか、また既に成立をしております情報公開法あるいは行政手続法なども絡ませて考えてみますと、いよいよ我が国も二十一世紀に向かって新しい歩みを始めたのではないか、そんなふうに思っております。  もちろん、これで省庁改革というのが完成をするわけでもありませんし、あるいは地方分権というものが完了するものでもない。もう既に種々御議論がありましたように、いわば道半ばというふうなことではありますが、ただ、大きな確かな歩みであるというふうなことも事実であろうと思います。一日も早い成立が期されるゆえんであります。  地方分権にしても、地方方々の準備には、地方議会初め、相当な期間を要する。中央省庁再編にしても、二〇〇一年に着実に実施をするためには、私たちに許される時間というのもおのずと限りがあるのではないか。必要かつ十分な議論はもちろんでありますが、実は、省庁改革にしても、今回の法案というのは、昨年成立をいたしました基本法、これを忠実に設置法などに具体化をしていったものであって、基本的なものは変わっておらない。しかも、基本法につきましては既に九十時間に余って審議を経ているところでありまして、早期成立にかける総理の御決意をお伺いいたしたいと思います。  また、自民党にあって、武藤本部長のもとで、実は私は党の行革本部事務局の一翼も担っております。そこでいろいろな議論をしてきたわけでありますが、高いハードルに出会ったときとか、あるいは議論が錯綜したとき、総理は何を考えておるんだろうか、果たして総理は本当にやる気があるんだろうか、官邸やる気があるんだろうかというふうな不安がしばしば沸き起こりまして、何度か官邸にお邪魔をしたこともあるわけでありますが、やはりこうした大きな仕事をやり切るには、どうしても総理リーダーシップやる気というのが必要不可欠であろうと思いますので、そこら辺も含めて、総理のお考えをまずお伺いをいたしておきます。
  4. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 このたびの改革は、内外の社会経済情勢の変化を踏まえまして、国の役割スリム化重点化及び行政機動性透明性向上等を図り、戦後の我が国社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものでございます。  中央省庁等改革関連法律案は、この基本理念に立ちまして、二十一世紀我が国に最もふさわしいと考えられる中央省庁の姿を示したものであり、この法案に基づく新たな体制への移行を実現することが極めて重要であると考えております。また、本法案成立後も、関係個別法改正法独立行政法人個別法提案、本年八月の平成十二年度概算要求への対応等が必要であり、今国会での早期成立をぜひともお願いいたしたいところでございます。  山口委員指摘のように、今回この膨大な法律案を、また極めて重要な二十一世紀に向けての行政改革法律案を提出させていただくに当たりまして、与党自民党初め、大変な御審議を経て今日に至っておるわけでありますし、御指摘のように、昨年の基本法成立過程におきましても、国会でも大変御議論いただいたことでございます。  ぜひこの法律案を今回通過させていただきまして、二十一世紀、新しいこの機構によりまして日本の行政推進できますように、ぜひ速やかに御審議の上、成立をさせていただきたいと、改めてお願いを申し上げる次第でございます。
  5. 山口俊一

    山口(俊)委員 総理の御決意のほどをお伺いいたしたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、やはり総理の軸がぶれない、絶対やるんだというふうなことを随所にお示しをいただきたいとお願いをいたしておくわけでございます。  そこで、まず中央省庁改革でありますが、これもいろいろお話が出たとおり、まさに歴史的な大事業であろうと思います。しかし、いろいろな議論がありましたように、切り口は果たしてこれでよかったのか、一府十二省庁といういわゆる省庁の数が先にありきではなかったのか、国の仕事中身についてもっと先に議論を深めていくべきではなかったのか等々、私も実は多少の悔いは残っております。そうした心残りはありましても、ただ、今ここに提案をされました法案を見ると、よくぞここまで来たなというふうな感じも実は正直いたしております。  例えば、一府二十二省庁、これは金融監督庁も入れてでありますが、それから一府十二省庁へ半減。これは資料をいただいておりますが、事務事業廃止民営化アルコール専売廃止等でありますが、また独立行政法人化、これも大変危ぶまれておりました。しかし、現在のところ、既に八十九事務事業独法化決定をして、何と七万人にも及ぶ方々独立行政法人に移行するというふうなことであります。  行政組織整理統合合理化ということに関しましても、官房及び局の総数も百二十八から九十六へ、あるいは課とか室の整理も約千二百から千。さらには定員の削減、これも十年間で二五%削減純減で二五%、約十三万七千人にも達するというふうな数字であります。あるいは審議会整理合理化でありますが、これもよく隠れみのとして使われておるのではないか等々の御議論がございました。これも二百十一から九十。しかも人数も減らしていく、あるいは官僚OBも減らしていく。議員も減らそうというふうなことであるようでありますが、こうしたことを見てみますと、確かによくぞここまで来たなというふうな感じが実はいたしておりまして、総務庁長官初め、皆様方の御努力には敬意を表したいというふうに思います。  ところが、一面におきましては、こうしたことに関しても、巨大官庁云々というふうな批判が一方にはあるのも事実であります。  そこで、そのいわば代表選手みたいに言われております国土交通省、これについてまずお伺いをいたしたいと思います。今回の大くくりの中で、国土庁北海道開発庁運輸省、建設省の四省庁母体とする国土交通省というのができるわけでありますが、これは、どのような理念に基づいて、どうした役割を担うものとして設置をされるのかというふうなことであります。  先ほど申し上げましたように、巨大官庁というふうな御批判もあるようでありますが、ただ、公共事業がそこに集まった、多いからといって、決して巨大とは限らないのじゃないか。要は中身であろうと思います。一方には、そうしたことによって縦割り弊害を除去できるのではないか、あるいは公共事業効率化統合化も期待ができるのではないか。しかも、昨日たしか長官の御答弁にもありましたが、大くくりにしておくということで、スリム化へのインセンティブも実は働くのだ。そうしませんと、批判が集中しますから。  そうしたこと等もあるわけでありますが、そこで、組織についてもお伺いをいたしておきますが、現行で北海道開発庁を除いても三官房、十七局ある本省組織を初めとして、どのような組織体制で臨むというふうなことを想定いたしておられるのか。以上についてお伺いいたします。
  6. 太田誠一

    太田国務大臣 今回の大くくり編成の中で、四省庁母体とする国土交通省についてのさまざまな、昨日も御議論がございました。  まず、きのうも申し上げたことですけれども、巨大官庁というときに、二十の官房・局であった四つの省庁、しかもその中には、北海道開発庁は局がありませんのでカウントされていないわけですね。ですから、北海道開発庁プラス二十の官房・局があって、それを十四局・官房に、三分の一以上と言っていいぐらいの削減になったわけでございます。各省庁がこれを犠牲考えるならば、最も大きな犠牲を払ったのがこの四省庁なわけであります。  それともう一つは、巨大利権官庁というふうなことを言われることがあるわけでございますが、利権ということは、私はこれは発注ということではないかと思っておりますが、発注でいえば、既に公共事業についての発注の大体八〇%は補助事業になっておりまして、直轄発注されているものは二〇%ぐらいだというのが真実のところでございます。だから、何かこの省庁が直接にその発注権限を巨大なものを持っているということではないわけでございます。  それで、地方支分部局につきましても、これはもう既に、既定の路線で、地方建設局港湾建設局が統合されるということになっております。また、地方分権推進委員会の第五次勧告、またそれを受けて地方分権推進計画でありますけれども、その中で統合補助金という制度が導入をされ、あるいは直轄事業の目に見えた地方への移譲ということも、既に計画としては盛られているわけでございます。これからの予算編成過程でそのことも明らかになってくると思いますけれども、そのような批判は当たらないというふうに思っております。
  7. 山口俊一

    山口(俊)委員 私も実はそのように考えておるわけでありますが、ただ、やはり確かに他の省庁と比べて大きいなというふうな感もあるわけでありまして、試験研究機関とか研究施設等独法化、あるいは規制緩和、あるいはさまざまな権限移譲等々でさらなる御努力を是が非ともお願いを申し上げたい。  同時に、今地方支分部局の話が出ましたので、これもお伺いをいたしておきたいわけでありますが、実は基本法には、地方支分部局公共事業を主体的に処理云々というふうな項目があるわけでありまして、これに沿って、運輸農林も含めまして公共事業の見直しというのが必要である。地方の意見も聞きながら、これも御批判のある二重行政にならないような工夫が必要であろうと思っておりますが、これについてのお考え。  さらには、建設省にしても、これまで地建がいわゆる所掌しておらなかった地方計画調整とか都市行政あるいは住宅行政などなど、大幅に地方事務所にこれは委任をされることになるわけでありまして、実は隠れた今回の目玉ではないかと私は考えております。ただ、これが十分機能を果たさせるためにも、地方整備局組織体制について十分な手当てが必要ではなかろうかと思うわけでありますが、この点についてお答えお願いいたします。
  8. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私の答弁になると思うのですが、答弁をしたかったようでございます。建設大臣として答弁をさせていただきます。  先生御指摘のように、地方支分部局中央省庁の両方の二重行政にならないようにということは、確かに私はそのことに十分に注意をしていかなければならないと思っておるわけでございまして、御指摘のように今までは行っていなかったわけでございますが、地方建設局では、今後は都市行政であるとか住宅行政であるとか土地の収用あるいは行政、あるいは補助金等に関する事務もあわせて行うことといたしておるわけでございます。それは、今までは御承知のように本省が行っておったというわけでございまして、地方へそれを渡していくということになります。それから、このような考え方のもとで、ブロック別地方整備局事業実施について主体的かつ一体的に決定、執行し得る体制整備することとしておりまして、本省との二重行政との弊害は生じないように対処をしてまいりたいと思っております。  それともう一点でございますが、この地方整備局組織体制についての十分な手当てを行うべきであるという御指示でございますが、全くそのとおりでございまして、この中央省庁等改革関連法案と同時に決定いたしました中央省庁等改革推進に関する方針にも、「地方整備局設置に向けて、国土整備及び管理に関する事務を主体的かつ一体的に処理できる組織及び体制整備を行う」というふうに明記をされておるわけでございまして、十分な手当てをするようには細心の注意を払っていきたいと考えております。
  9. 山口俊一

    山口(俊)委員 ぜひとも十分なる諸手当てお願い申し上げておきます。  続きまして、これもまさに省庁再編目玉中の目玉といいますか、官から政治へというふうな流れを大きくしていく象徴的な内閣府、内閣機能強化の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  この内閣機能強化というのが、まさに重要な、ひょっとしたら一番大きな柱ではないかと思っておりますが、内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制強化のための内閣府が果たすべき役割というのはどのようなものになるのかというふうなことであります。同時に、中央省庁等改革基本法明記をしております経済財政政策総合科学技術政策等分野につきましては、これを内閣重要政策というふうな位置づけをして積極的な取り組みを行うということが特に求められておるわけでありますが、このような分野に関して総理リーダーシップを支えるための機関である経済財政諮問会議等重要政策に関する会議、これの役割は果たしてどのようなものになっていくのか、これをお伺いいたしたいと思います。従来の審議会方式等とはどういうふうに違うのかということも含めて、お答えをいただきたいと思います。
  10. 太田誠一

    太田国務大臣 今山口委員おっしゃいますとおり、内閣府の設置あるいは内閣官房機能強化というのが大変大きな柱になっております。  そこで、内閣府の性格でありますけれども、内閣行政各部に対する総合調整機能を助ける、この総合調整という言葉大変思い入れを持って使っている言葉でありまして、一段高い位置づけを与えられるということでございます。他の省庁から一段高い位置づけを与えられるということであります。事後的な調整にとどまらず、事前に方針を示し、機動的に意思決定を行うという内閣の総合戦略機能の一端を担うことにより、現行総理府とは違う強力な調整機能を発揮することが期待されるわけであります。  内閣府には、経済財政政策に関し、内閣総理大臣の指導、リーダーシップを十分に発揮するとともに、有識者の意見を十分反映させることを目的として経済財政諮問会議が置かれるわけでありますけれども、その役割は、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針等経済財政政策に関する重要な事項、経済全般の見地から政策の一貫性及び整合性を確保するために全国総合開発計画そのほかの経済財政政策に関連する重要な事項について調査審議することでございます。  そこで、リーダーシップということでございますが、各省庁はそれぞれみずからの任務というものを持っているわけでございますけれども、内閣府の代表的な任務は総合調整が代表的な任務になるわけでございます。そうして、内閣府の主任の大臣は内閣総理大臣でありますから、内閣総理大臣のもとに直接それを支える内閣府と他の省庁との関係というのは、総理大臣と閣僚間の関係にもなろうかと思いますけれども、ひいては、閣議においても内閣総理大臣リーダーシップを握るということにつながっていこうかと思います。  そうして、そのように、総理大臣のリーダーシップについて法的なあるいは制度的な支え、バックアップをここではっきりすることによって、政治の指導力というのが発揮できるのではないかというふうに考えております。
  11. 山口俊一

    山口(俊)委員 先ほど申し上げました例の経済財政諮問会議等、これも、ぜひとも予算の編成権も含めて十分な活用をしていただくように、これを期待いたしておきたいと思います。  今長官の方からお話をいただきましたように、まさに一段上の総合調整機関というふうなことでありますが、内閣機能強化して、内閣及び内閣総理大臣行政各部を強力にリードする体制整備する。  と同時に、実は各省においても、政治のリーダーシップを確立するための体制整備というのが是が非とも必要であろうと思います。このためには、副大臣、政務官というふうな話が実はあるわけでありまして、これも自自合意というふうな中から出てきたやに聞いておりますが、私はもろ手を挙げてこれに賛成で、大いに期待をしております。というのも、御承知のとおり、これは同時に政府委員廃止しようという話であって、まさに大臣みずから答弁して、政治家同士のディベートが実はこの国会で起ころうとしておるわけであります。  反面、政治家自身の自覚というか勉強というか、これが強く求められてくるわけであります。きょうお並びの諸大臣は絶対大丈夫と思うわけでありますが、こうした今後のことを考えた場合には、大臣あるいは副大臣あるいは政務官、この任免についても、自由民主党の総裁としても、やはり適材適所というか能力主義というか、きちっとした人材配置をしていきませんと、それこそ答弁で詰まって真っ青になるというふうなことになりますと、我が党の支持率もがた落ちになるというふうなことでもありますので、そこら辺も十分配慮をして今後やっていただきたい。  これがうまく機能しますと、本当の議論というのが国民の皆様方の前に見えてくる、政治が本当に身近な、まさにダイナミックなものに見えてくるというふうなことでもありまして、きょうもテレビ中継が行われておりますが、残念ながらきょうの視聴率というのは余りよくないのではないか。やはりディベートということになりますと、本当に国民を巻き込んでの政治ということになってくるのではないか、そこら辺で大変期待をいたしております。  ですから、そうしたお考え方と、総理には、今後の任免等々も含めてお考え方、お伺いをできたらと思います。
  12. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘のように、今回の中央省庁改革のポイントの第一に内閣総理大臣並びに内閣リーダーシップ強化ということがございまして、先ほど太田長官から御答弁いたしましたように、内閣府としての強化、そういう意味で内閣総理大臣の発議権の明確化など行われているわけでございますが、いま一方、政と官といいますか、こういう形の中で、副大臣、政務官の導入ということが大きなポイントになっております。  副大臣は、大臣の命を受けて政策及び企画をつかさどり、政務官は、大臣を助け、特定の政策及び企画に参画するものであり、いずれも大臣の政治的な政策判断を助ける役割を担うものでございます。このような副大臣の設置によりまして、大くくり編成される各省におきましても政治主導の政策判断が迅速に行われるものと考えております。  山口委員指摘のように、今日は、各省庁一人の大臣と、省によっては複数の政務次官という形で各省庁の中で政務をつかさどっておるわけでございますが、これが、副大臣あるいは政務官という形でかなりの多くの方々が役所に入っていただくということになりますから、そういう意味では、非常に政治優位といいますか、政治の志向するものが行政各部において大いに力を発揮できるものというふうに確信をいたしております。  そのことは、同時に、そうした各省庁間の考え方につきまして議会におきましてもいろいろと議論の場というものが増加してくるのではないかというふうに考えておりまして、新しいシステムが導入された場合につきましては、長年の政府と議会との関係も含めまして、新しい状況が生まれてくるということでございます。今山口委員指摘のように、いわゆる副大臣あるいは政務官等も恐らく国会において発言の機会というものをいただけるものと思っておりますので、そうなりますと、本当に、議員と、政治家たる副大臣、政務官との、もちろん大臣はもとよりでございますけれども、ちょうちょうはっしの議論というものが活発に行われるという期待もそこにあるのではないかと思っております。そういった意味で、政治に対する国民の関心というものもより深くなるのではないかと考えております。  そういった意味で、内閣強化というだけにとどまらずに、政治の仕組みそのものも大きく変化し、また変化していかなければならない、その端緒になるのではないかという感じがいたしております。
  13. 山口俊一

    山口(俊)委員 まさに総理のおっしゃるとおりでありまして、いろいろと形が整いつつあるわけでありますが、実はこうしたことが行革を進める本当のエンジンになる可能性もあるわけでありますので、十二分な御対応をお願いいたしておきたいと思います。  時間も余りなくなりましたので簡潔に申し上げますが、次に、これも巨大官庁、あるいはいろいろな性格が違うものを一緒にしてしまったじゃないか、ごった煮のような役所になったぞというふうなことを言われておりますのが、実は総務省であります。  これは御承知のとおり、総務庁、郵政省そして自治省が統合して総務省というふうなことになるわけでありますが、この総務省という役所にはどのような機能が期待をされておるのかというふうなことであります。  特に郵政事業につきましては、今回の中央省庁等の改革で、総務省本省と郵政事業庁、これに組織再編をされることになっておりますが、総務省本省と郵政事業庁との事務の分担がどうなっておるのかというふうなこともお伺いをいたしたいと思います。  というのも、ばらばらの、それこそ全然性格が違う役所が一緒になってどうするんだというふうな御批判がありますが、実は私は別の考えを持っております。逆に、今までになかったような行政サービスを提供できるような新たな展開をしていくのではないか。考え方によりますと、それこそ大化けをしていくのではないかというふうなことを考えております。  御承知のとおり、郵政省にしても、ワンストップサービス、これまで全国に展開をしております各郵便局を行政の窓口として位置づけをしたらどうかというふうなことも考えております。これが実は、自治省と一緒になっていろいろやっていきますと、まさに国民サービスの窓口になるというふうな可能性もある。あるいは、まだまだ情報化がおくれております地方自治体に関しても、これが大きく進んでいく期待もできる等々、いろいろな思いを実は私は込めておりますので、そうしたことに関して御答弁をいただきたいと思います。
  14. 太田誠一

    太田国務大臣 個々の省庁の今後の仕事につきまして私が答弁するのはどうかということもあろうかと思いますけれども、中央省庁改革のこの関連法案は所管でございますので、まず私から答えさせていただいて、その内容について十分御理解をいただいている各省の大臣、また御了解いただいている方々お答えをされると思います。  それで、郵政事業庁と総務省の関係は、総務省本省は、郵政事業にかかわる制度の企画及び立案、郵政事業の経営の基本的事項を担当する、郵政事業庁は、郵政事業の営業方針の策定、郵貯資金及び簡保積立金の運用等を所掌するということになっております。  いずれにいたしましても、山口委員おっしゃいますように、せっかくこういうふうに三省庁が一緒になるわけでありますし、さまざまな統一的な役割をそこで果たすことができるのではないかというふうな可能性はさまざまにあると存じております。
  15. 野田聖子

    野田(聖)国務大臣 今太田長官がおっしゃったとおりでございますが、あえて補足申し上げるならば、内局では、重ねますけれども、企画立案、そして経営の基本的なことをやります。そして、事業庁では、日々の郵政事業の実務を担っていただく。  大切なことは、やはり内局と郵政事業庁がより深い連携を持って取り組んでいくことと、さらに、今まさに皆様方の御支援でなし得ているこの郵便局の仕事自体、国民の皆様方の立場に立って、あまねく公平にそういう提供ができるような一層の努力をしてまいりたいと思います。  さらに、総務省と一緒になるということで、実は山口先生のもとで、私も行革さらには省庁再編等々をおそばで学ばせていただいておりまして、同じような考えを持っております。特に、自治省と御一緒になるということで、郵政省がかねてから進めておる郵便局でのワンストップ行政サービスは加速されるのではないかという期待をしているところでございます。よろしくお願いします。
  16. 山口俊一

    山口(俊)委員 聞けばもっともっといろいろなことが出てくると思う分野なんですが、残念ながら時間もありませんので、以上でおきます。  ただ、郵政事業庁への移行というのは大変な大事業になるわけでありまして、是が非ともサービスの低下につながらないように十分配慮してやっていただきたい。同時に、実は郵政事業に関しては、これで一応組織再編が完結ということではないわけでありまして、御承知のとおり、平成十五年中に行われる場合、郵政公社の設立があって、それ以降、またさらなる形をつくっていくわけでありますので、そうした段階で初めて本格的なスタートなんだというふうな認識を私は持っておりますので、そういったことでもお願いをいたしたいと思います。  また、環境省とかいろいろ用意しておりましたが、実は地方分権に関しても考えておったわけでありますが、もう時間も参りましたので、一つだけ自治大臣にお伺いいたしたいと思います。  地方分権の諸法案、これによって大きく地方分権が前進をするということは間違いないわけでありまして、各自治体の長の皆様方も大変評価をなさっておられます。  ただ、地方分権というのは、考えてみますと、単に地方自治体に権限を移譲して終わるものでもない、あるいはさらに、県から市町村に権限を移譲して終わるものでもない。やはり、基本というのは、住民の皆さん方の自覚とか自律、そして住民自治みたいなところに私は基本があるんだろうと思うのです。  そういった意味で一点お伺いをいたしたいのは、実は住民投票についてであります。  これも、昨日も若干お話が出ましたが、もう全国的に、あらゆるところであらゆる課題に対して住民投票が行われておる。結果、いつの間にか、本来協調してやらなければいけないはずの地方の議会の皆さん方と住民とが対立をしてしまう。まさに地方自治に反するような動きも実は出てきております。  私の地元でもそうしたことが大きな問題になってきておりますが、いつも考えておりますのが、やはり今の制度というのは住民の皆さん方の意向を十分酌み取る形になっておらないのではないか、あるいは、もう少し交通整理を国の方できちっとしませんといろいろな対立がもっと深まってしまうのではないかというふうな危惧を抱いております。例えば、限りなく国の施策といいますか、いわゆる原子力政策にかかわる話だとか、あるいは迷惑施設、ごみの処理場等々については、私は余り住民投票になじまないのではないかというふうに考えております。  翻って、例えば、橋を開閉橋にするのか固定橋にするのか、あるいはこのルートがいいのか、どのルートがいいのか等々については、もう少し住民の皆さん方の御意向が反映するような形をとってもいいのではないか等々のことを実は今回深く考えておるわけでありまして、やはりそろそろ自治省としても、そこら辺のルールづくりをきちっとしていく必要があるのではないか。  せっかくの地方分権も本当にうまく機能しないのではないかというふうな気持ちもいたしておりますので、最後にお伺いをいたしたいと思います。
  17. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、現在、法律上の制度としてのそういう住民投票というものを禁止したり、制定したりはいたしておりません。しかし、昨今、大変、地域によって、非常に関心の高いものについて、それぞれの自治体の条例を制定されて、それに基づいて住民投票を任意に実施をするというケースがふえてきております。  ただ、この問題は、現在、代表民主制という形をとっておるわけで、そういう点で、議会の権能あるいは首長の機能と責任、こういった事柄との関係をどう考えるのか。それから、住民投票に何でもかんでも付していいのか、意思決定をそういう形で全部行っていいのか。それに適する事項、適さない事項というものもあります。あるいは、国自身が決定しなければならない事務事業というものもあれば、地方自治という範疇の中で全面的にその自己責任において決定していただくべき事項、さまざまな事柄があります。  そういう点で、既に地方分権推進委員会でもいろいろ御議論いただいて、その勧告におきまして、「住民投票制度については、住民参加の機会拡大のために有効と考えられる一方で、現行の代表民主制との関係に十分留意する必要があり、また、適用対象とすべき事項、その法的効果等についての検討も必要なことから、国は、その制度化については、今後とも、慎重に検討を進める必要がある。」というふうにされておるところであります。  これを受けて、昨年政府として決めました地方分権推進計画においても、同様の趣旨から、「引き続き慎重に検討を進める。」とされておるわけですが、今御指摘のとおり、余り時間をかけ過ぎていても、どんどんそういった事態が進展しているというようなことを考えますと、もう少し今後論点を絞り込んでいけるように、さらに精力的に勉強していきたいというふうに考えております。  特に、住民投票になじむ事項、なじまない事項等についての交通整理ということをより重点的にしてまいりたいというふうに考えております。
  18. 山口俊一

    山口(俊)委員 このままでは、逆に住民間の対立をあおるというふうなこともありますので、早急に対処方をお願い申し上げたいと思います。  よく言われるのが、パソコンもソフトがなければただの箱。行政改革中身も大事でありますので、形は順次整ってきておるように思いますが、どうかそこら辺も含めて、すばらしい国の形が出てまいりますように、これからの格段の御努力も御期待をして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  19. 高鳥修

    ○高鳥委員長 この際、細田博之君から関連質疑の申し出があります。山口君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。細田博之君。
  20. 細田博之

    ○細田委員 きょうは、こうして質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  私は、実は水野清先生が本部長時代以来、また佐藤孝行先生、今の武藤先生、歴代本部長にお仕えしながら、縁の下で、力もないわけでございますが、一生懸命この行革に尽くそうとして、長きにわたってこれまでやってきたわけでございます。  そこで、私がまず最初に申し上げたいことは、この行革というのは自由民主党の本当に熱心な取り組みによって今日あるということでございます。  国民の皆様はそういう点を御存じない方も多いわけでございますので申し上げますと、最初には、佐藤孝行本部長のもとに、四人組などと言われて各官庁からは大変恐れられたわけでございますけれども、大原一三先生、そして柳沢現大臣、牧野隆守先生、この人はもう四人組、役所から大変嫌われたと申しますか、敬遠されつつ非常に強い指導を行われました。  また、規制緩和におきましては、堀内、町村、原田昇左右、林先生の御活躍、そして高鳥先生、逢沢先生、財政改革中川秀直先生、そして地方は谷先生というふうに、本当に長い間苦労してその結果ができたということで、小里、太田長官の御努力もまたすばらしいものだと感服しております。  そこで、私は、その中で、さまざまな問題がありながら、諸先輩が御苦労され、橋本総理のもとでやってきたこの改革、残念ながら、第一の財政改革、これは一とんざしたというか、今日の経済状態でさまざまな紆余曲折は経ているわけでございます。  そこで、この大前提であります財政構造改革大蔵大臣に一つだけ伺いたいのでございますが、これはもう大臣には釈迦に説法でございますが、今日の財政は、所得税減税の結果、所得税が十五兆円の収入しかございません。そうして、法人税も大減税を行いまして十兆円、消費税も四%換算で国税十兆円、相続税二兆、印紙税一・五兆、酒税二兆、たばこ税一兆、関税一兆、道路関係の揮発油税二兆、足しても四十七兆円しかないのです。その他の収入を入れても四十九兆、これで八十一兆の予算を組んでやるということ、そうして国も地方も合わせれば六百兆円の長期債務残高でやるということは、私は、財政構造改革、今は一応景気対策をやっておりますけれども、何とかしなければいけない、そうして世界一所得税が安くなってしまったということも、国民の皆様方に知っておいていただきたいわけです。  それは、例えば、八百万円の所得の方々で、子供が二人ある、片働きといたしますと、国税の支払いが約三十万、地方税の支払いは二十五万、合計五十五万でありまして、所得に対して六・九%の所得関係税でございます。これは世界一安うございまして、世界一と言うと語弊がありますけれども、アメリカが一三%、ドイツが一四%、イギリスが二〇%取っております。フランスは、消費税等が高いということもあって、七%でございますから日本とほぼ同じでございますが、こういう世界の中で、大変財政支出が、たくさん福祉その他ある中で、安い。  しかし、この間の消費税増額とか医療費の改革とかいろいろなものに取り組んだあげく、参議院選挙で、ほかの要因もあったかもしれませんけれども敗北し、総理が、残念ながら橋本前総理、あれだけ行革、財政改革に取り組まれて、御交代になった。もちろん、小渕総理がそれに引き続きましてやっていただいているわけでございますが、このような財政状況、そして、二十一世紀を迎えて今のような税体系、そのもとで何とか財政を改革しようということはもう間違いないと思います。  そして、その前提として、野党各党からも言われております、与党からも言っておりますが、支出をもっと下げていかなきゃいけない。国も経費を下げる、そうして地方の経費も下げていく、そのためにはスリム化しかないじゃないか、そして公務員の制度も変えなきゃいけないということがあって、この法律が出てきている、そういう全体系の中でこの法案が位置づけられていると思うのですね。  ですから、今一応中断しております基本的な我が国の財政の再建について、この御審議は御審議として、ぜひとも大蔵大臣から、こういう心構えでやっているんだ、その気持ちは変わっていないぞということを御決意表明をお願いしたいわけでございます。
  21. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 非常な不況の中で、また、こういう行政改革を御議論される立場から、決して財政の現状というものを忘れてはならないという御指摘は、大蔵大臣としても大変有意義な御指摘だと思って承っております。  先ほど、平成十一年度の税収、国税収入、見積もりで四十七兆円と言われました。そのとおりでございますが、平成二年には税収が六十兆あったわけでございます。したがいまして、十年逆戻りをしておる。それは、減税はあるとは申しましても、経済が正常に成長しておりましたら、こういうことはあり得ないことであったと思います。  そこで、こういう財政状況というのは当然いつまでも続けていくわけにはいかないと申しますのは、今年度の国の予算の国債依存率が三七・九%という、実は当初でそういう驚くべき依存率でございますので、そういうことをいろいろ考えますと、この経済が正常な成長軌道に乗りましたときには、必ずこの財政改革、それは財政だけではなくて、恐らく税制、あるいは中央と地方の関係等も含むものになると思いますが、をいたしまして、二十一世紀に向かって出発の基礎を築かなければならないのだと思います。  そのためには、何と申しましても今のような税収の現状、一番の原因は四半期ごとの成長率がマイナスを続けて既に五期でございますので、これを改めなければ、名目成長率がゼロあるいはそれ以下であっては、弾性値を掛けまして税収がプラスになる理由はないわけでございます。ですから、それをまず実現しなければならないと思います。そして、我が国の成長率がまず正常に戻ったというところで、できるだけ早くこれに着手いたさなければなりません。  と同時に、細田委員がおっしゃいましたように、確かに、減税をして、それは有用なことである、意味のあることですが、法人税はともかくといたしまして、個人の所得税の課税最低限というのは三百八十何万円になっておりますが、せんだってうち、定額減税をいたしましたときの課税最低限は四百九十一万円という、各国とは比較にならない隔絶した高い数字になりまして、その結果、七百万人以上の納税者を失いました。  今度の税制でその人たちに帰ってきてもらうという問題が当然あるわけですけれども、税制の基本的な改革をいたしますときには、この問題であるとか、あるいは直間比率の問題であるとか、いろいろ考えなければならない問題がありまして、それは必ずやっていかなければ、我が国が二十一世紀に国家として安定した存立ができないという種類の問題だというふうに心得ております。
  22. 細田博之

    ○細田委員 ありがとうございました。大先輩の大蔵大臣からしっかりした明確な御方針をおっしゃっていただきまして、私はまさにそのとおりだと思います。  昨今は、二十八兆まで膨れ上がった医療費、せっかくいろいろ改革しましたけれども、介護保険まで拡大して何とか合理化していこうということについて、これをもっと先に延ばしたらどうかというような意見さえあるように聞いておりますけれども、私は、全体のことを考えて、やはり国民の方に我慢していただきながらも、しかも豊かな二十一世紀の日本をつくっていかなければならないと思いますので、その点申し添えさせていただきます。  まず、スリム化の問題でございます。  これはきのうからいろいろな意見が出ておりますけれども、国家公務員が今八十五万人おりまして、その中で郵政公社化が三十万だ、そして独立行政法人化は一応六、七万人分ございますが、それを除くとして、その他四十九万人に対して合理化削減をしていくということで、二五%の削減をしていくということでございます。これは主管の大臣、太田総務庁長官だと思いますけれども、この点は、しかと実現できる見通し、そして必ずやり遂げるんだという御決意を表明していただきたいと思います。  そういった対象には、病院とか学校とか、税務署とか海上保安官とか、そういうものも含んだ上での削減で合計二五%でございますので、その点も含めて御答弁願います。
  23. 太田誠一

    太田国務大臣 大変困難な目標であります。今おっしゃいますように、全体を一律に減らせるものではないわけでありまして、当然、逆に増員を図らなければいけない部分もあるわけでございますから、その部分を、定員を削減するところの削減を深くしなければいけないということになりますから、そういう部分では二五%を超える切り込みになるわけでございます。  しかしながら、これは公党間の約束でございますので、ぜひ果たさなければならないという覚悟でございます。
  24. 細田博之

    ○細田委員 そこで、独立行政法人の問題をお聞きしたいと思います。  独立行政法人というのは、当時、行政改革本部におられました柳沢現大臣が、諸外国を調査されまして、これで行革をしなければならない、これは非常にいい制度でもあるし我が国に適用しようということで、御帰国後、我々大変指導を受けたわけでございますが、柳沢先生、ひとつ政治家として、基本的な所期の構想、あるいは現在の法案における今の問題等について御説明いただけたらと思います。
  25. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 少し時間がたちまして、必ずしも記憶が明確というわけではありませんけれども、先生からの御質問ということで、少し思い出しながらお話をさせていただきます。  今回、行政改革におきまして、私はかなり早い段階からタッチをする、事務局長を務めるということをさせていただいてまいりました。どういう切り口でやるかというときに、いろいろなスローガンがありまして、やはり官から民へということが非常に大きなテーマである、こういうように考えたわけでございます。  日本の国、東洋の国が主としてそうかと思いますけれども、やはり天子様の官僚組織というか、官に行けば、とにかく森羅万象、何でも相談に乗って問題を解決してくれる、こういうことで店が広がっている、これが中央官庁組織と言ってよかろうかと思います。これを本当に、民の活躍の場、官から離れて民が自由奔放にその力を発揮するような場にするというには一体どうしたらいいだろうかということを考えたときに出てきたのが、ルール化ということでございます。  えてして、日本の官僚組織がやってきた今までの行政というのは、設置法による行政までも認めてしまう、そういうやり方でございました。これは断固、近代の法治国家のもとでは本当はもう認められてはならないものでございますけれども、長い伝統のもとでそういうことが認められてきたという惰性が続いておったというふうに思います。  そこで、私どもは、作用法がないところには行政はないんだ、こういうようにしなければいけない。国民に働きかけるんだったら、作用法をちゃんと国会で制定してもらって、それに基づいてやるんだ、こういうことでなければいけない。もやもやした設置法で物すごい裁量を行うというような行政のスタイルは断固ここで断ち切らなければいけない、このように考えました。  それには、今のように企画立案と執行とが同居をしていたのでは、全くこれは言うべくしてでき得ない。このように思いまして、私どもは、企画立案の部門と執行の部分というものを截然と分かって、執行の部分、つまり国民に直接働きかける、国民との間に接触を持つ行政機関というものはすべからく行政法を背負った行政機関でなければならない、こういうことを考えて、そういうものを独立の組織としよう、これが考えた第一のテーマでございました。これによって透明性を確保しようという考え方でございます。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  それからもう一つ、何といっても、企画立案と執行が一緒になっていれば、これは仕事をつくる人と仕事をやる人が一緒になっているということであります。私仕事つくる人、私仕事やる人ということになりますと、勢い、仕事をつくる人は仕事をふやしてしまう。ここで行政の肥大化が戦後どんどん膨れていった。  私は、自分の先輩の天下りのための就職先をつくったなどとは申しませんけれども、そういう面もひょっとしてなきにしもあらずではなかったか、こういう思いもありました。こういうことをやらせないためにも、仕事をつくる人というものは仕事をやる人と截然と分かたなければならない、このように考え独立行政法人というものを考えました。  最後に、もう一つは、批判とか評価とかというものに行政がたえるものでなければならない。これも、企画と立案が一緒になっていたら、評価も批判もできないわけです。無限定の仕事を持っているものに対して、どういう評価ができ、どういう批判ができるでしょうか。これは不可能でございます。  私どもは、目的をはっきりして、目標がはっきりした行政をしている、そういうものでなければ批判も目標設定もできない、このように考えまして、世上、カンパニー制なんというような、きのう田中慶秋先生がおっしゃっていましたけれども、あそこは何をしているかということをわかりやすくする、こういうことを私どもは志向したわけであります。  今日どうかということですが、今回は通則法の制定のみだそうでございまして、実は、細田先生、私が今エージェンシーの長をやっているんです。三条委員会委員会制のもとではありますが、私は今、二つの作用法を背負って行政をしている。みんなから見られて、やることはすべて国民監視のもとで行われている。こういう行政組織をつくりたいというのが我々の当初の議論でございまして、先ほど山口先生が言ったように、いろいろ悔いはありますけれども、よくここまで来た、これをさらに大きなものにしていくことによって、日本の官から民へというものが本当の意味で実現するのではないかと期待をしております。
  26. 細田博之

    ○細田委員 まさに独立行政法人を提起され、今日まで至った原動力となられました大臣からの御説明でございますので、皆様もよく御理解いただいたと思いますけれども、この一つ一つを選ぶに当たっては実は大変でございました。  それは、国家公務員の身分を剥奪されるんじゃないか、あるいは身分から離れた場合にはすぐ首になるんじゃないか、そんなことはないのでございますけれども、とにかく今のまま定年まで何とか勤めたいんで、身分にとっていささかも揺らぎのあるようなことはしたくないということで、随分いろいろな動き、抵抗もあったわけでございます。  そういった中で、私は、通産省のアルコール事業民営化とか、貿易保険特会の法人化とかあるいは独立行政法人化、そして文部省、文部大臣も元東大総長であられますけれども、この国立大学もそれでは独立行政法人化しようということで、大変御決断をいただいたと思います。また、造幣、印刷という問題も、これは当然国家の基幹にかかわることでございますので、もう絶対国だ、国家公務員じゃなきゃできないという、まあ国家公務員型ではございますけれども、国の組織でなければだめだというところを何とかできるだけエージェンシー化を図っていこうということで、いろいろ御決断もいただいたわけでございます。  実は、お一人お一人関係大臣にその意気込みをお伺いしようとしたんですが、ちょっと時間が押してまいりましたので、まさにそのことを私は高く評価申し上げ、望むらくは、検討過程でたくさん出てまいりました独立行政法人化の動きをもっともっと加速していただいて、官だけが大きくて民への移行がなかなかできないような体質を変えていかなければ、今の二五%カットというのもなかなか大変だ。高齢化による転換だけではそう簡単ではございません。これは、民間がこれだけ努力しております環境の中で、官だけが今のままでいいというわけではございませんので、この点を改めて申し上げさせていただきたいと思います。  また、きのうは、堺屋長官、小池委員の御質問にもお答えになられましたけれども、もともと持論がございまして、官というものは確かに非常に優秀だ、しかし、余り優秀過ぎるものだから自分の権限に固執して、それがまた、新しい法律考えたり新しい行政考えたりしてどんどん大きくなっていく、これを何とかしていかなきゃいけない。書かれた本によりますと、やはり官の力をある程度弱めなきゃいけないんじゃないか。きのうもちょっと同趣旨の御発言もありましたけれども、その点はやや深く御教唆いただければと思いますので、よろしくお願いします。
  27. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 ただいま委員から、旧約聖書のようにこの行政改革に出てくる過去の功労者をずらりと並べていただきました。私は、官でも政でもない立場でこれを見ていたんでございますけれども、とてもこれがこう早く出てくる、できると思いませんでした。日本で行政機構の数が減ったというのは、終戦直後を除きますと初めてでございますし、大宝律令の右大臣、左大臣が明治維新まで残った国でございますから、なかなか変えられないんだろうと思っていたのでございますけれども、皆様方、いろいろな方々の御尽力で今日まで来たことを大変偉大な改革だと思っております。  この行政改革の根本は、日本が欧米先進国に追いつくために、欧米先進国の先例をよく知っている官僚が一番いい規格をつくって、それをみんなで追いつけ追い越せでつくるんだ、こういう規格大量生産の発展に向いたようにできてきた。これを、この日本が先進国になったときに、自由主義、消費者主権の社会に変えていかなきゃならない、そういう根本的な発想がございました。自由な参加、自由主義、消費者主権の国に変えていこう、こういう前提がございました。このために、我が国において、これまで百年間、大きくて強い政府がございましたが、これを小さくてしなやかな政府に転換することが肝要であります。  また、これとあわせて、政府の組織をトップダウンにしていかなきゃいけない。これが総理大臣の主導性の強化ということでございまして、総理大臣及びそれを補佐する内閣府というものを各省の一段高いところに置いた。こういう機構的な意味でその趣旨を突き通しているということも大変評価できるところだと思います。例えば、昨日も議論のございました経済財政諮問会議でございますが、この総理大臣が主導で開かれる諮問会議が、単なる審議会ではなしに、行政機構の真ん中にございまして、そこで基本方針が事前に提唱され、これを閣議で検討して、それをまた事務当局が細部をつくっていく。これまでの事務当局積み上げ式と大きく変わるものと思います。  また、地方分権の進展によって、各地方が自主判断のできる範囲が広がりました。住民の選んだ首長と議会が個性ある地域づくりに邁進できることになろうかと思います。  そういう意味で、今回のことは、大変皆様方の御尽力で、よくぞここまできわめてきたという感じはしております。
  28. 細田博之

    ○細田委員 お褒めをいただいてありがたいわけでございますが、もっと本当は堺屋長官が書かれていることはきついんですね。やはり役所の中の人事評価を、合理化した、つまり仕事を減らした、そのことが昇進の評価につながるようじゃなきゃいけない、私もそう思うんですよ。今は違いますからね。仕事がふえた、新しい法律ができた、新しい規制ができた、それによって、おまえはよくやった、世の中の変化に対して素早く行動したな、各省との関係でもまた我が省の権限もふえたな、こういう発想が非常に大きいわけでございます。  したがって、橋本総理が最初に我々若手議員に何か意見はないかというときに、私は、一番効果のあるのは、実は人事、採用、研修の交流等ですね、これを幅広く一元化するなり交流を深めることによって、我が省の御ためというんじゃなくて、日本国家の御ためというふうに変えることだということを申し上げました。  しかし、公務員制度の検討はいろいろ行われましたが、まずいろいろ今日出てきているようなことで結果は出ておるわけでございますが、公務員制度についても大分進展があったようでございますから、その観点から総務庁長官からお答え願います。
  29. 太田誠一

    太田国務大臣 公務員制度に関しましては、今、細田委員がかつて自由民主党の中で提起されました視野が随分議論をされたわけでございますけれども、結局、全体を一括採用ということまでには踏み切れなかった。しかしながら、それに準ずる形でもって、総合的、戦略的な、機動的な行政を実現し、縦割り行政弊害を排除するという観点から、中央省庁改革とあわせて、国家公務員の制度やその運用についても改革を進めていく、そういう認識であります。  国家公務員制度改革として盛り込んだものは、新たな府省間における人事交流の積極的な推進、人事交流を積極的に推進するということは、つまり、どこの省にいたかということが特に内閣府のようなところではわからなくなってしまって、どの人がどういう仕事をしたかということになっていこうかと思います。  それから、官民人事交流の適切な促進、それから政府全体としての適材適所の人材を進めるための幹部職員等の人材情報の総合的管理、人材情報を総合的に管理して、どこにどういう人がいて、どういうときにこの人を機動的に登用できるようにするということなどでございます。  公務員制度改革については、まさに中央省庁改革と並行して、着実に、大胆に進めてまいりたいと思っております。
  30. 細田博之

    ○細田委員 また、きょうは人事院総裁にもお越しいただいて、ちょっと時間の関係がありまして、私はお願いでございますが、人事院ももっと大変自信を持っていただいて、これは、我が人事院としては、給与の問題とか、いろいろ御責任の問題はありますけれども、民との交流の問題、あるいは研修をもっと充実させる、そうしてできるだけ縦割りの意識を減らす、そうして行革に取り組んだことが人事評価になるような体系をつくっていただきたいと思いますので、その点をよろしくお願い申し上げます。  それから、私は、時間の関係もございますので、地方分権に関連して、都知事選挙のときに提起された、都市と地方の諸問題で非常に重大な問題がありますので、ちょっと申し上げたいと思います。  それは、新聞、テレビで、東京都民は百九十万円も税金を納めているのに六十万円しか返ってこないとか、百万円も納めているのに九万円しか返ってこない、新聞やテレビによって違いますけれども、そういうことを言っているんですね。全く都市の人たちに誤解を与えるような情報でございます。  実際の情報はどうかと申しますと、都の予算は六兆六千五百億円、膨大なものでございます。ごみとか福祉とか交通とか教育とか、さまざまございます。千百六十万人、職員十七万人、職員一人当たり人件費一千八十二万円。島根県は九百四十八万円ですから大分給料も高いようでございますが、こういった膨大な経費をかけております。これまでも行政投資は圧倒的に多い。そして東京都が最後になって赤字に転落した。これはバブルの崩壊のせいでございますが。  では、国税をたくさん払っているじゃないかという指摘でございますが、これは後で自治大臣に質問させていただきますので、ちょっとお聞きください。後で急に言いますと、わしへの質問かと言われると困りますので。  人口が九・四%の東京都が、国税収入は三一・一%でございます。しかし、これはなぜかというと、日本じゅうで企業が活動して、上がった利益から法人税を本社で、たまたま東京都で納めるから、実に三一%も納めているわけでございまして、大体、人口比で割ればいいわけでございます。  それから、源泉所得税は、人口九・四%に対して三一・八%も入ってきておるわけです。これも同じです。地方の大企業の支店とかそういうところで働いている人から税金を取るわけでございますが、それが東京で仮に国に納められている。  そして、法人税につきましても同じでございます。法人税が四一%も入っている。  そして、消費税に至っては三五・三%なんですが、これは商社だとか小売業の大手だとか、本社で一括コンピューター計算しますから、地方で消費された分も全部東京で上がっているのですね。したがって東京都において税収が非常に多いという形をなしておる。それを地方交付税等のやり方によって地方にまた還元するという仕組みでございます。  これはもう自治大臣への釈迦に説法になってしまいますが、私は国民の皆さんにもそういうことがあるということで申し上げたわけでございますが、そういうことで間違いございませんですね。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  31. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 そういう議論がかねてから、都市対地方という中で、時々なされることがあります。  しかし、今御指摘ございましたように、基本的に、法人が納付する法人税などの国税というのは、企業本社所在地での一括納付が認められているからそういう数字になっておるわけです。  今御指摘のありましたように、例えば法人税について、四一%が東京で納付されておりますが、実際東京都の全国シェア、これは都内総生産のシェアで見ますと一七・一%程度である。しかし、法人税収はそういう形で東京に集中する。  あるいは給与の支払い、源泉所得税は約三二ですが、都道府県民税ということでいきますと、東京は全国の一五%程度である。  あるいは消費について、今、消費税は本社所在というようなことで三五%程度でございますが、小売業の年間販売額のシェアでいきますと全国の一二・一%程度。大体そういう数字。  したがって、結果的には、東京には経済や人口の活動規模以上に国税の納付額が集中する。その結果、全国の三、四割程度が東京で納付されるものですから、ただ、それをもって東京都民が活動した成果を国税として納めているというふうに見るのは、いささか問題が多いのではないか。  ちなみに、地方税それから地方交付税、国庫支出金、こういったものの都民一人当たりの額が約六十万三千円ですが、全国平均が約五十四万八千円であります。そういう点で、全国を一〇〇とすれば東京都は一一〇という数字になっております。
  32. 細田博之

    ○細田委員 私は地方選出の議員でございますが、そして一番お金をもらっているんじゃないかという島根県の議員でございますので、あえて申し上げます。  ただ、問題は、私は都会の人がいろいろおっしゃらないでいただきたいのは、事実に基づかないような論調が今出てきました、この間の選挙でも。したがって、本当のことは何か。確かに東京の方が不利な面もあるかもしれない。そして地方が非常に不利な面もあります。上下水道も地下鉄も公共施設も福祉施設も河川もみんなおくれておるわけですからね。地方の思いというのがある。そのときに、日本の都市住民と地方住民がお互いに敵対関係にあるような、そしてお金を奪い合って、おまえが悪い、おまえが悪いというようなことでは不幸であります。  私はこれは何のために聞いておるかというと、地方分権の根幹というのは、乏しき財源を、今どの地方も困難でありますし、東京都だって今までのように楽じゃなくなっているわけですから東京都のことも考えなければいけない、石原知事のもとで考え直さなければいけないわけでございますが、それを適正配分していく。そのためには、今のような税の仕組みですから、地方と国との間が親密に連携関係をとって、ではこれで正しい平等な結果ですね、こういうふうにしていかなければならないという意味で、この法案に関連するということで申し上げたわけでございます。  今後、過疎法あるいは合併の促進ということでさまざまな地方に対する問題が出てまいりますが、この地方分権法の実施に伴いまして、地方対策そして過疎対策、あるいは農山村振興とか離島振興もございます、そういった面での施策をおろそかにされないようにお願い申し上げます。  東京と地方ということを考えた場合に、例えば東京都の国会議員は不当に数が少なくて半分しかいないんじゃないかと言うような人がありますので、念のために申しますと、東京都の人口は九・四%おられます。そして衆議院議員は、小選挙区二十五、比例代表十九人で、四十四人おりますが、八・八%、若干低い。これは法律のあれがあるのですがね。ただ、二倍とか二・五倍とかいうんじゃなくて、東京都内にどういうことが起こっているかというと、三十六万八千人で一つの選挙区である青梅とか西多摩とか、一方、五十四万人あります府中とか調布とか狛江の選挙区というふうに、全国の選挙区はいろいろ分かれております。  私は、東京あるいは大阪、神奈川等都会の方の認識についても申し上げたいのでございますが、政治的に非常に自分たちの意見が反映されにくくなっているんじゃないかとか、お金を余計取られて、もらえていないんじゃないかという認識がだんだん広がっていて、政党もそれを利用するかのような議論もあります。しかし、これは日本国にとって不幸でございます。むしろ、都会あるいは地方、それぞれに尊重していかなければなりませんので、そしてそれぞれ自立していかなければなりませんので、内閣挙げて適正な議論をしていただきたい。そのことは心からなるお願いですし、東京都の与謝野大臣もおられますし、また群馬の総理もおられます。  総理大臣、最後にぜひ、そういった中央、地方のいろいろな問題について、そして行革全般について、よくわかったのでやりますということだけお願い申し上げます。
  33. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 都会も地方もあわせて日本でございますから、日本全体が公平に発展のできますように、ただいまの細田委員の御意見、十分拝聴して対処いたしていきたいと思っております。
  34. 細田博之

    ○細田委員 ありがとうございました。  たくさんの質問通告をしましたけれども、お答えいただかなかった大臣に、失礼の段、おわび申し上げます。ありがとうございました。
  35. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、西川太一郎君の質疑に入ります。
  36. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 早く議員同士のディベートができる仕組みにしてほしいと思います。  と申しますのは、不肖私、国会に出させていただいてまだ六年ほどでございますが、その前十六年間、東京都議会議員でございまして、ただいまの細田先生の御質疑には若干、というより大いに異論のあるところであります。  例えば、東京は一日に三百万人以上の方が他府県から流入してこられます。その方々がもし東京で事故にでも遭われれば、警察が出動し、救急車が出て、その経費は都民の税金でかなりの部分補っているわけでございまして、そういうような経費も含んでいるということも御承知をいただきたいし、税収は確かに上がるけれども、全国でたった一つ交付税の不交付団体になって、富裕団体論というのが長く長く議論になっている、こういうお勉強もひとつしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  さて、それはいずれ細田先生と親しくお話をすることとして、私はまず、いわゆる地方分権一括法についてお尋ねをしたいと思います。  ジェームズ・ブライスという、十九世紀から二十世紀にかけてオックスフォード大学で活躍をした思想家であり、英国の駐米大使もお務めになった碩学がおられますが、この方が、民主主義の学校は地方自治である、または地方自治は民主主義の学校であるということを、一番地方分権制が進んでいる英国の代表としてアメリカでお話しになったことがあります。  私は、この質問に入る前にいろいろと調べてまいりましたけれども、今度の地方分権の一括法というものが明治維新や戦後の諸改革に匹敵するものである、こういうことを総理も御答弁で昨日お述べになりましたし、質疑者からもそういう指摘があったわけであります。  明治維新も戦後の諸改革も、いわゆる国際社会の一方的な要請を受け入れて新体制をつくるという意味では似ておりますけれども、改革の大きさではなくて質を取り上げたときに、今回の改革は、一見地味ではありますけれども、国際社会の中で、経済も社会制度も文化も含めていわゆる大改革をやらなければ日本がもたないんだ、国際社会の中で値打ちのある、ほかから師表として仰がれるそういう国になるためにはここで思い切ってやらなくちゃいけないんだ、こういうことではないかと私は思っておりますが、総理の御見解をまず冒頭承りたいと存じます。
  37. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 全く御説のとおりと認識をいたしておりまして、やはり、明治維新そして戦後の改革に引き比べましても、まさに二十一世紀を前にいたしましてのこの改革というものを成功させなくば来世紀はないというくらいの大きなテーマであろうと考えております。  そういった意味で、前内閣も、いわゆる六大改革をいたし、そのまず第一に行政改革をうたいましたが、それぞれ改革には皆つながりがあることでありますけれども、まず三権の中で特に行政にかかわってきちんとした対応を考えていかなきゃならないと思いますし、あわせて、この地方自治の点につきましては、今委員の御説のとおり、英国の碩学が申し上げるまでもなく、私は、日本にとりましても、中央集権的な旧来の体制から、まさに中央と地方とが横の関係としてきちんと相協力しながら国をつくり上げていくという形での極めて大きな改革であると認識をいたしております。  ぜひこれが成功し、そして将来にわたって日本がより一層発展のできるような基礎をつくり上げていきたい、この念をもって対処いたしていきたいと思っております。
  38. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 要するに、ブライスが言う民主主義は地方自治によって教育を受ける、育つ、こういうふうに考えるならば、やはり身近な問題を身近なところで決裁をし、そして実行に移し、よってもって住民、国民の重要な負託に地方政庁もこたえていかなければならない、こういうことだと思います。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、第一点は、このたびの機関委任事務廃止によっていわゆる自治事務と法定受託事務というのに分かれるわけでございます。特に自治事務は、今までいわゆる国の許可を、または国の主導権といいますか主管権といいますか、そういうものがかぶせられたものがかなりの部分地方自治体の独自性に任される。私は、これだけでも大きな第一歩だ、こう思うわけでありますが、問題は、さらにお願いをしたいことは、いわゆる法定受託事務地方の議会が条例化をしたいというときに、これはいわゆる法令の明示的委任という難しい言葉がありますが、要するに法律で、それはおたくでやっていいよ、こういうことが許されたものにだけ認められるというふうに聞いておりますが、いかがでございましょう、自治大臣の御見解を。
  39. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今回の法案におきまして従来ございました機関委任事務制度が廃止されることになる、そして地方団体で処理する事務は、この結果、いわゆる自治事務と法定受託事務と二つに分類をされるというのは、そのとおりです。  そこで、今回の改正案の結果、地方自治法第十四条第一項の規定で、法令に違反しない限りにおいて、自治事務であると法定受託事務であるとを問わず、条例制定権の対象になるということなんですね。この場合、条例制定の制約となるのは、その条例が規定する内容に関係する個別の法律の規定及びその解釈ということによるわけですが、いずれにせよ、したがって、法定受託事務につきましても、法令の明示的な委任を要さないで条例を制定ができるようになったということであります。  ただ、実際には、法定受託事務については、法律や政令などでその処理の基準が定められている場合が多いわけでありまして、結果的に、条例を制定しなければならない余地というのは少なくなるであろうということは想像されます。
  40. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 その点について後ほど再度お尋ねをいたしますが、次に、関与の見直しについてお尋ねをしたいと思うのです。  今まさに関与のあり方というのは、予算面の関与もあれば、許可、認可の関与もあれば、いろいろ今まであったわけですけれども、そうした中にはどうも不必要な関与と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、もう十分自治体でできるという関与が見直しの対象にならなかったのか、なっているのかをお尋ねするわけです。  これはまず関谷建設大臣にお尋ねを申し上げたいのでございますが、例えば、大都市における都市計画事業の認可というのは、これは相変わらず、困難または不適切な場合という条件、ただし書きがついておりますが、全く一〇〇%地方自治体に任されているわけではないという事実がございます。それから、河川行政などでいわゆる承認が必要だ、こういうのでありますが、しかし、どこの川がいつもどの辺で決壊するとか水量はこうだというのは、やはりふるさとの自治体の人たちが一番よく承知をしておられると思うのですね。こういうものを建設省が抱えている時代ではないというふうに私は思うのですが、その辺をお尋ねしたいと思うわけであります。  包括的な指揮監督権というものを国がいつまでも持つのではなくて、大切なもの、きのうもいろいろ御議論ありましたけれども、国家として国民の安全と平和と繁栄を守るために必要なものは国家が優先するのは、これは自明の理でありまして、私は、そういう意味では、国を壊す自由というのは自治体には認められていないし、国民にも認められていない、我が国憲法はそのことを絶対に許していないと思っております。健全な批判と絵のないところに絵をすげる議論とは違うということをはっきり申し上げておきたいのです。  そこで、このような具体的なものについて、これを地方に移すということはとってもよいことではないか、こう思うわけでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  41. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず最初の問題でございますが、まだ国の認可を必要とするものが多いということでございますが、ただ、そういう中におきましては、都市計画事業におきましては、どういたしましてもその施行者に対しまして土地収用法上の収用権限が付与されるということがあるわけでございまして、土地の関係権利者に対し非常に大きな影響を及ぼすということがございます。  ですから、そういう観点から、強制力の発動等に当たっての公平性あるいは中立性というものを確保するため、第三者による審査が必要という、そういう土地収用法と同様の考え方に基づいて、都道府県が施行する都市計画事業については引き続き建設大臣の認可が必要という今認識にございます。  これはやはり日本独自の考え方だろうと思いますが、やはり土地というものは大きな財産という考え方が私は国民にはあると思うわけでございまして、まだ公共性というものが優先されている感覚は、正直私はないのではないかと思うのです。ですから、そういう考え方になってきたときには、こういうことを外すということも自然的になってくるのではないかなと、これは私の私的な考えでございますが、そんなことを思ったりいたしております。  それから、河川の問題でございますが、これもそういうようなことで、今河川審議会というものをずっと行っておりまして、この十一年の五月二十四日にも第六十六回の管理部会などを開催いたしております。  それで、河川審議会におきましても、河川管理に関する国と地方役割分担についての中間報告を行う予定になっておるわけでございまして、それを踏まえまして策定いたしました直轄管理区間の指定基準に沿って、平成十一年度に点検を行った上で、平成十二年度を目途に関係地方公共団体との調整を河川につきましては現に進めていきたいと考えております。  ですから、この都市計画事業におきましては、私はまだ国の縛りを保持すべき時点ではないかなと思っております。
  42. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 あえて大臣に反論して恐縮でございますが、私は、不要であり、廃止をすべき時期に来ていると信じております。  それから、自治大臣にお尋ねをいたすわけでございますが、この法案の精神にのっとって、先ほど御答弁賜りました、法、政令によって法定主義的に条例権の制約といいますか、そういうことになるべくつながらないような立法を確保していただきたいと思いますし、そのための対策もぜひ講じていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておきますが、御答弁いただければ。
  43. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今、国から地方公共団体に対する関与の一つの事例として、二級河川についての御議論がございました。この点は、今回の法改正案の中で非常に大事なポイントの一つでありまして、これまで機関委任事務については、いわゆる包括的指揮監督権というのがありまして、これに基づいて、個別の法律や政令の根拠なしに、さまざまな形で地方団体に関与がなされてきたわけであります。今回の改正によって、この包括的指揮監督権が廃止をされた。  そこで、関与については、地方自治法において法定主義の原則というのを今回定めたわけであって、したがって、今後、関与は、法律または法律の委任を受けた政令において規定しなければならないということになったわけでありまして、そういう点で、国会においてその適否を十分に御審議していただいた上で関与というものの内容も決まっていくことになるであろう、そういう点で大きな前進である。  いま一つは、国が関与を行う場合には書面主義などの手続ルールが適用されるということになりまして、公正、透明性が非常に飛躍的に高まっていくというふうに期待をいたしております。  それから、関与に関して、国からの関与があった場合に、それにいろいろ問題意識を持って、不満があるというような場合には、この関与にかかわる係争処理制度を今回新たに設けるということにいたしたわけでありまして、そういう点で、国の関与を慎重に行わせる効果も期待できますし、関与の適正ということを制度的に保障するということもできた、こういうことであります。  そういう点で、いろいろな、今、関与についての従来からの不明朗と言われるような点だとか問題を指摘されていた部分については、大幅に前進をすることになるというふうに考えております。
  44. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 結局、人間の一般的性向として、決定に参加をすればそのことに責任を持つという大原則があると思うのです。議会とか自治体、国家の行政組織も、そういう責任を求めて規律を決めたり、いろいろあるんだと思いますね。そういう中で、やはり地方自治を促進し、分権を一括して促進するという第一歩を踏み出すわけでありますから、これはもうぜひひとつそういうことを考えていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、次は、国の直接執行事務についてお尋ねをしたいと思います。  これは、今回の法律改正では、いわゆる地方事務官を廃止して、そして駐留軍、こういう方々のための労務者、また職業安定関係事務、こういう労働行政が国の直轄的なといいますか、直接執行事務といいますか、これになるわけであります。しかし、例えば、東京の例を引いて恐縮でございますが、高年齢者就業センターの人材開発事業とか、高年齢者の就業相談所の事業でありますとか、専門学校の修了生、特に技術系専門学校の修了生の職業紹介事業、こういうようなものは、雇用情報は地域の特性を持ったものが不可欠であります。  そういう意味では、国の直接執行事業になるとしても、地方自治体との情報交換や緊密な連携を持ってこの地方分権の指針をしっかりやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、甘利労働大臣にこれはお尋ねをいたします。
  45. 甘利明

    ○甘利国務大臣 職業紹介を中心とする雇用政策に関しましては、現在の体制、御指摘のとおり、労働省本省がありまして、それから都道府県に雇用安定主務課というのがある。それから現場に職業安定所があるわけでありまして、その真ん中の部分の雇用安定の課というのが、身分は国家公務員で、知事の指揮下に置かれるという地方事務官であります。これを、国と地方の業務をしっかり分けて、責任体制をはっきりするという意味で、国に名実ともに一本化するということでありますが、その際に、先生御指摘のとおり、都道府県、地方自治体がやっています雇用安定の業務と国の業務というのはやはり連携を、現状もしているわけでありますが、それが今後ともちゃんとできるかという話だと思います。  そこで、私ども、今回の地方分権推進一括法の中に雇用対策法の追加項目を入れております、一部改正をしておりまして。そこでは二つのことを規定しております。  一つは、国の施策とあわせて地方も雇用対策の施策を協力してやっていってほしいということと、それから、今先生が御指摘の、国と地方の連携を密にしてもらいたい。御指摘のように、国には求人情報であるとかあるいは労働市場情報がありますし、都道府県にはその現場の企業情報であるとかあるいは生活関連情報があるわけでありますから、それが両々相まってうまくいく体制を今後ともしっかりやっていく、むしろ、さらに強化をしていくということで対処をさせていただいているところであります。  御指摘の点をよく踏まえまして、遺漏なきように取り組んでいきたいというふうに思っております。
  46. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 雇用問題が極めて深刻な時期だけに、どうぞしっかりお願いをしたいと存じます。  次に、このたびの地方自治法の方の改正で、いわゆる特例市制度というのが導入をされることになりました。これは、人口二十万人以上の市を対象とした特例市というものをつくり、いわゆる中核都市に育てていこう、そして将来はいわゆる都市間の、町村の合併などももっと進めていこう、こういう意図があることはよく承知をいたしております。  具体的に伺うのでございますが、東京二十三区は、仄聞するところ、特例市にはしない、こういうことのようでありますが、その根拠は何かということ。昨年の自治法の改正で、東京二十三区は普通の市並みの行政をこれから将来にわたって行える、こういう改革をして、私もその際に質問に立ってお尋ねをしましたが、例えば、二十三区とこう分けておりますけれども、人口が百万人を超えるような地域というのがこれからだって出てくるわけでございまして、少なくとも二十万人を超えているという区はたくさんあるわけでございます。百万を超えている区はないですね、まだ。それで、東京二十三区は、御案内のとおり、市街地が連檐して一体になっているわけですから、二十万あろうがあるまいが、中核都市としての機能は十分に発揮できるわけでございます。  まず、そこで整理をすれば、二十三区を特例市と認めるのかどうかということが一つと、それから、認めるならば、人口の要件は、東京だけじゃありません、地域によって若干の、二十万かっきりじゃなくても、それに類するような地域は加えていこうとか、そういうことにはならないのか、野田自治大臣にお尋ねをしたいと思います。
  47. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 結論から申し上げますと、今回の特例市制度創設に当たって、東京都の特別区を対象にするということは考えておりません。  それは、もともと東京都の特別区という制度は、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性、統一性の確保、こういうような特別な必要性から特に設けられた制度であるわけですが、そういう中で、特別区におきましては、今回特例市に移譲される事務のうち、開発行為の許可などの事務を既に行っている。指定都市が行うこととされている事務の一部や保健所設置市の事務を既に行っているというような特殊な、それこそ特別な形になっております。そういう点で、今回、特例市制度に基づいて、いわゆる事務移譲法律根拠は十五法律ということですが、特別区にあっては、既に四十二の法律に基づく事務移譲されているという現実もある。そういうようなこともあって、特別区については、特別区の存する区域における行政の一体性、統一性の確保の観点から、今までも指定都市制度や中核市制度の対象とはされてこなかったわけでもあったわけですが、今回の特例市制度についても同様の仕切りを、整理をさせていただいたということなんです。  ただ、今御指摘ありましたように、特別区へのさらなる権限移譲の問題については、昨年の国会で関連法案成立した都区制度の改革の趣旨をも踏まえて、住民に身近な行政はできる限り身近な団体に担ってもらうということを基本として、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。  また、都におきまして、特別区の行財政能力などに着目をして、必要に応じ、今回新たに創設される条例による事務処理の特例という制度を活用していただいて、都から特別区に対する権限の移譲ということについてもいろいろ御配慮いただくということであれば、今の西川委員の御趣旨に沿った仕事ができるのではないかというふうに考えております。
  48. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 野田大臣にお願いを申し上げたいのは、ただいま答弁の後段部分、特に最後の部分につきましては、いわゆる法、政令で、法定主義にこだわらず、やはり地方分権を進める、それを負担する能力のあるところには、ひとつ特別の配慮をする。全国一律に、失礼な言い方でございますが、二十万を超える地域もあれば、またこの後この問題に触れますが、二千人くらいのところと同じ物差しで、均一的な網をかぶせるというのではなくて、ひとつ、二十三区といいますか、東京の中核の立場もぜひ御理解いただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。  続いて、第二次地方分権推進計画、これをこの三月に政府が作成をされて審議がこうして進むわけでございますけれども、その中で、公共事業のあり方の見直しを取り上げて、国の役割分担を見直した上で、事務事業をできる限り地方自治体にゆだねようとしております。  この内容自体は、行政改革地方分権推進に大きく資するものであって、着実に歩みを確保していく必要があります。しかし、計画では、具体的内容については関係審議会等で検討するという、私どもからすれば、また審議会がここへ出てくるのかという感じで、なぜもっと政治主導でできないのか、極めて消極的な姿勢だというふうに言わざるを得ません。  今後公共事業を具体的にどうやって見直していくのかということをまずお伺いをしたいし、総理には、あわせてこの第二次計画中央省庁改革に適切に反映させていくということをおっしゃっていますけれども、どのように反映されていくのか。  この問題については、実は本会議内閣総理大臣が御答弁をされましたので、大方の総理のお考えは承知をしているつもりでございますが、この機会に改めて、国民の皆さんに御決意ともども御感想を賜れればというふうに思います。それで、具体的な問題については太田行革担当大臣から言っていただければいいと思っております。
  49. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 第二次地方分権推進計画につきまして、移行の問題について御叱正とも承りましたが、公共事業についての国と地方との適切な役割分担のもとに協調、協力して事務を進めることが必要であるという観点から、これまでも地方への権限移譲補助金等整理合理化などを進めてきておるところでございます。  今後とも、第二次地方分権推進計画に沿って、直轄事業の一層の基準の明確化、範囲の見直しや統合的な補助金の創設等、公共事業の適切な遂行に取り組む考え方でございます。特に、直轄事業及び直轄公物の範囲の見直しにつきましては、基本的方針は計画に明示されておりまして、これを踏まえ、関係審議会等において具体的内容について鋭意検討をいただいておるところであります。  できる限り早い機会にその結論を得て、必要な具体的措置を講じ、縮減を図ることといたしておりますが、重ねてでありますが、御指摘のように、せっかくいただいております五次答申を受けての問題でございますので、政府部内、それぞれ関係省庁たくさんございますけれども、こうした問題については建設大臣を中心にいたしまして御検討を願っております。結論を早く得たいと考えております。
  50. 太田誠一

    太田国務大臣 直轄事業の見直しとそれから補助金、補助事業の見直しにつきましては、今委員からも御指摘がありましたように、第二次地方分権推進計画で具体的に言及をしておるところでございますけれども、これは、早いものでは来年度の予算要求から出てまいると思います。そういうふうに審議会に諮って先延ばしするというようなことではございません。  なお、直轄事業の移行につきましては、相当広い範囲にわたって直轄事業に移行することが、地方の方は損をするのではないか、こういう懸念もあったわけでございますけれども、そこは大胆に進めていこうということでございます。
  51. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 私が承知している第二次地方分権推進計画の中には、ただいま大臣がいわゆる審議会に依存するのじゃない、こういうことでありますが、そのことは明示されているように思うのですけれども、ひとつ私の言わんとするところをお酌み取り願いたいと思っております。  次に、機関委任事務廃止するのですが、数え方によるのですけれども、個別に数えると二千種類を超えるとか、あとは法律に沿って数えるとかいろいろな方法があるようですが、それぞれ、俗な表現で言えばただ働きをさせたり、場合によっては費用を持ったりというのが機関委任事務にはあるそうでございますが、全額持つなんということはない。それは一つの、国と地方役割の問題でしょうから、それは理論的にあるんだと思います。ただ、やはり権限を移譲したら税財源もつけてやってくれ、こういう先ほど来の自由民主党の山口先生、細田先生の御主張、そのほかの皆様の御主張、ごもっともだというふうに思います。私も、このことは同じように、ぜひ地方の独立した経営ができる財源を保障してあげてほしい。  そうしますと、その中の一環として、起債の許可というのがあるわけですね。私が都議に当選した五十二年のころは、いわゆる一件算定方式と言って、自治省が、一つ一つこういうことをやりたいんだということを、箇所づけまで、はっきり言って口を挟むというか、許可を非常に強く持っている。それが、しばらくたって枠方式と言って、枠を、これでこういう関係の事業をやりなさい、こういうふうになった。ところが、今回は、起債を許可するかどうかは自治大臣の許可じゃなくていわゆる協議の対象にしよう、こういうふうに一段進めていただいたわけであります。  ただ、その経過期間が平成十七年というのは少し長過ぎるのじゃないか。こう思うのが一点と、さっきから申し上げましたとおり、財政力の大小や喫緊性や人口の大きさや、いろいろなインフラストラクチャーを整備しなきゃならないそういう財政需要の必要性といいますか、そういう物差しではかったときに、全国一律で平成十七年までというのは少し画一的ではないか、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  52. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 起債の許可制度については長年の懸案でもございました。そういう点で、今回の法改正において、平成十八年度以降は許可制度から協議制度に移行するということにいたしたわけです。その中で、もっと早くそっちへ移行できないかという御趣旨だと思うのです。  これは、率直に申し上げて、そういうことができないかということも真剣に検討もいたしました。しかし、率直に言って、今現在の地方財政の状況というのはかつてない深刻な状況でもありますし急激に悪化している。そういう点で、こういうような状況下で、原則自由な発行ということになります協議制に直ちに移行するということになれば、結果として地方債全体に対する市場の信用というものを損なってしまうのではないか。あるいは、地方団体自身の中にかなりの強弱の差があります、財政あるいはいろいろな意味で地方債を消化をする上で。そういう意味で、現在でも力の弱いところに対して、いろいろな政府資金なり、いろいろな資金を組み合わせて、いわばその消化のお手伝いを許可制度ということを通じてやっているということも現実の姿である。そんなことから、直ちにそういうことに行くのは難しい。  しかし、少なくとも財政構造改革法、これは停止されたわけですが、一応そのときにも平成十七年度までには財政構造改革は達成するのだというような基本的な方向があった。我々もそういったことを、法は停止はされたけれども、それまでに国の経済も立て直し、財政構造改革の道筋もちゃんとつくっていくということを前提にして、平成十八年度からはそういう協議制度に移行しようということにしたわけです。  ただ、その中で個別の団体についてかなりの差があるじゃないか、全部一視同仁に扱うのはいかがなものかというような観点もありますので、そこへ行くまでの移行過程の段階でも、何らかの形で事実上協議制度に近い運用ができる方策を考えてみたいということで、今現在真剣に検討しておる段階であります。おおむね、起債制限比率なり、あるいは経常収支比率だとか、そういったことだとかを参考にしながら、その種のことを私たちはこれから早急に検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  53. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 時間が参りましたので、最後に、私の同僚であり友人である三沢淳議員が、先日、総理大臣にシカゴの始球式のお相手を務めたといいますか、練習をした。その際、総理が硬球をこういうふうに最初からチェンジアップ型で握っていて、それで三沢さんがそれを、指を合わせて、速球型にというか、速球では決してなかったけれども、ストレート型に、こういう、結果的に日米親善に大いに役立ったわけであります。  その三沢君がおっしゃるには、政界というのはチェンジアップも必要だろう、だけれども、やはり真っすぐで速い球を投げてほしい、こういうことを、きょう彼は質疑の立場にないので私がかわってそのことを申し上げますが、その道の専門家の言というのは非常によいものがあります。どうぞひとつ総理におかれましては、日本改革に、スピードが速く真っすぐな、そうした球を投げていただきたいと思いますが、御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  54. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御激励をいただきまして、その気持ちで全力投球をいたしていきたいと思っております。
  55. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 どうもありがとうございました。
  56. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、岩國哲人君の質疑に入ります。
  57. 岩國哲人

    ○岩國委員 民主党を代表いたしまして、質問させていただきます。  小渕総理は、昨日のこの委員会で、明治維新というのは、百三十年前、黒船四隻がやってきて、それからいろいろな改革が行われた、二番目の大きな改革というのは、戦争直後、マッカーサー占領軍によって数々の大きな改革がなされました、それを第二の改革となぞらえるならば、今我々がやらなければならないのは、第一の改革、第二の改革のような外圧ではなくて、みずからの力によってそれをやらなければならない、そういう決意を表明されました。私も全く共感いたします。  確かに、五十年前我々が経験いたしました日本の改革は占領軍によって行われたわけでありますけれども、教育改革、農地改革、あるいは財閥解体、経済の民主化、証券の民主化、数々の改革が行われました。日本人は十二歳だからと言われて、日本の憲法までつくっていただいたのも五十年前であります。こうした数々の改革を経て五十年、今こそ私たちが、痛みを覚えながらも、この改革をやり遂げなきゃならない。ぜひともそのような改革を実行していただきたいという期待を込めながら、しかし、この中央省庁改革あるいは地方分権等については数々の疑問も存在しますので、その点を検証させていただきたいと思います。  海部内閣のときに、鈴木永二会長を会長として、第三次行革審と言われる臨時行革審が行われました。当時私は出雲市長でありましたけれども、鈴木永二会長の御指名をいただいて、私は二年余りその専門委員を務めさせていただきました。国の形と行政サービスの改善のために少しでも貢献したいと、毎週私は上京し、二日間は東京で仕事をさせていただき、大変いい勉強をさせていただいたと思っております。私は、それまでの三十年間の、経済の世界の合理的な感覚、あるいは特にスピード感覚、それに比べまして、地方行政の現場は、まさにしがらみ、非合理性、あるいはスピード感の欠如、全く対照的な二つの世界の経験をさせられたことになります。  そうした経験を踏まえて、私も一メンバーとして数々の提案鈴木行革審で行ってまいりました。残念ながら、そのほとんどは、利権組織を背景とする政党や、あるいは官僚の反対で日の目も見なかったり、車検期間の延長などはその一つの例であります、あるいは、最終報告で盛り込まれたけれどもたなざらしになってしまったものや、骨抜き、たなざらしを免れて、そしてようやく実現したというものは、パスポート期間の延長であるとか、あるいは外務省や環境庁の充実などが挙げられると思います。  こうした日本の行革の取り組みについては、韓国も大いに注目しております。韓国も、数々の行政改革を金泳三大統領以来やってきております。つい最近行われたのは、先週発表された行革であります。韓国の行革を担当している大臣は金杞載さん、この人は野党の国会議員でありましたけれども、現在の内閣行政自治長官を務め、十年来の私の友人でありますけれども、非常に熱心に韓国の行革に取り組んできております。その金杞載長官も、日本の国会における行革の取り組みというのを大いに参考にしたい、参考にするだけではなくて、できれば日本よりも早く実現したい、そういう意欲に燃えております。  韓国の行革と日本の行革とを比べてみますと、大きな違いはスピード感覚です。先週発表した行革案に基づいて、もう新しい内閣を韓国は発表しております。そのようなスピード感覚の欠如というものが日本の行革の一番の欠点ではないかと私は思います。  昨日も、またけさほども、行革委員によってこの行革の評価が行われました。また、大臣席からもいろいろな評価がありました。こんなに早く行革が実現する段階に来るとは思わなかったという堺屋長官の発言も、あるいは我が国の歴史では初めてであるとか、こういった手褒めのコメントも数多くありましたけれども、行革を今やるということは、意外なことでも我が国初めてのことでもなくて、消費税三%を五%に上げるというのも、これは我が国初めてのことでした。  そして、今回の行革は、二年前に行われたその消費税を上げるというときの担保に行革の実行を入れたのではありませんか。三年前の総選挙のときに、総理、覚えていらっしゃいますか、消費税をまず最初に上げてそれから行革を実行するか、それとも行革を実施してからでなければ消費税を上げてはならないという新進党その他の党と、この対立点を中心にあの総選挙は行われたわけであります。  総理、この点、覚えていらっしゃいますか。行革を必ず実行するという前提で消費税をまず上げさせてほしいという自民党の公約、この点について、覚えておられると思いますが、御確認、お願いいたします。
  58. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 前提ということ、今御指摘がありましたが、行革というものに対してきちんとした責任を負っていかなければならない、政府自体もきちんとした対応をするということと同時に、消費税の増徴ということにつきましては、国民的負担を求めることでありますので、双方これを実現していかなきゃならぬという考え方でスタートいたしておると考えております。
  59. 岩國哲人

    ○岩國委員 当時の総選挙においては、行革なくして消費税増なしということが新聞の論調に随分行われておりました。それに対して自民党は、説得に説得を重ねて、行革を必ずやります、そのためにも消費税を上げることは必要です、こういう国民への説明をされたわけです。野党側新進党は、今まで何度も約束しても実行されないから、消費税を上げるならば、まず行革を実施してから、それから消費税を上げるべきだと。この二つの、消費税が先か行革が先か、結果は今や明々白々、消費税を据え置くことこそ正解だったのです。消費税を上げる、景気は下がる、所得税を上げる、株価は下がる、医療費負担を上げる、預金利子は下げる、その結果、上げてふえるはずの税収が逆に減ってしまったではありませんか。そして、行革は今までおくれてきたのです。  こんなに早くという率直な感想は、私は間違っていると思います。もっと早くやるべきだったのです、消費税は二年前にもう既に上がっているのですから。そういった、第一党の自民党としての公約の責任の重さというのを痛感しながらしっかりと行革を実現していただきたい、それが私の願いであります。  その選挙戦の最中、意外なことが起こりました。党の公約に反して、私は行革が実現するまでは消費税を上げることに反対です、そうおっしゃった方がこの部屋の中にもいらっしゃるかもしれません。正論だと私は思います。そういう正論を堂々と披瀝されて、それに対し世間は喝采し、そして支持票を集められました。  当時の世論調査によりますと、消費税を上げるべきでない、行革をまず実施しろというのが圧倒的な世論でしたから、新しい選挙制度、小選挙区制のもとでは、五一%以上の票をいただくためには、その世論を無視するということはできない環境の中だったからです。  行革をまずやるべきだ、それまでは消費税上げません。欲しがりません、勝つまでは。そして、まず行革を先にやるべきだとおっしゃった、正論で当選された方がたくさんおられます。そういう自民党の候補者に対して、党を代表された当時の加藤幹事長は、確かに困られただろうと思います。困りながらも、新聞には、自民党は自由で民主的な党だから、こういう言いわけをされました。  確かに、私は、自由で民主的なところはいいと思います。しかし、大事な選挙公約において党の公約に反して、しかも、その後で開かれた国会の中で、それに反した行動をする。そのような自由とか民主的というものは、国民を侮辱する自由で民主的な態度だと私は思いますが、総理、御所感をお願いいたします。  そういう党の公約に違反して、次々といろいろな方が当選された。私は、そのようなことを加藤幹事長が、自民党のそれがいいところですと、いいところですとまでおっしゃらなかったと思いますが、自由で民主的なところだから、そのように党の公約だからといって一言一句同じことを言う必要はないかのごとく新聞には説明されたのです。これについて、総理の所感をお願いいたします。新聞ではなくて、事実だったのではないですか。
  60. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 総選挙のときに、それぞれ党としての基本的な考え方もございます。また同時に、それぞれ候補者になられた方々が自由な発言をし、そのことを選挙民に問うという場合もあろうかと思っております。  党を預かる立場からいえば、党のきちんとした公約にのっとって、その推進のために、特に税を引き上げるということにつきましては、国民の大きな痛みを伴うことでございますので、選挙における主張としては大変厳しいわけでございますけれども、当時の橋本総理・総裁みずからこの苦痛に耐えて国民の理解を求めてきたわけでございますので、ぜひ、党員としてはその総理・総裁の意思に従って国民を説得し、御理解をいただきたいと思っておるということでいかなければならないと考えております。  先ほど、行革と消費税の引き上げについてお話がありました。これは、当然関連することではございます。しかし、税の引き上げというものはそれなりに多くの必要性があって行うことでございまして、当時の消費税の二%引き上げにつきましては、現下の社会保障制度をさらに拡充強化していくという立場から万やむを得ず国民の理解を求めたことでございまして、この行政改革は、もっと大きな立場でこれは実行していかなければならないことでありまして、関連はもちろんございますけれども、それとこれとを一にするということでは必ずしもないと私は考えております。
  61. 岩國哲人

    ○岩國委員 そういうお言葉をしっかりとあの総選挙のときにおっしゃっていただきたかったと思うのは、私だけではないと思います。  私は今でも思い出します。出雲市長当時、私の選挙区は竹下登元首相でした。消費税に対してごうごうたる反対の世論の中で、最終日、小雨降る街角で、堂々と消費税がなぜ必要かということを訴えておられました。私は、一人の立派な政治家をそこに見た思いがいたしました。  それに比べて、この前の三%を五%に上げるときのあの、いいかげんなと言っては失礼ですけれども、結果的にはいいかげんなことになりました。その方たちは、党に反した行動をとることによって票を集めることができたわけです。有権者は据え置きを強く望んでおったのですから。  そして、各党合わせて合計百四十人の方が、公約したことと違反した記名採決の行動をとられて、新進党の据え置き法案に賛成百五十五票、過半数には足りませんでした。そこに百四十票が加算されておれば二百九十五票で、過半数で、この消費税は据え置きで来ておったのです。経済的な災害ももっと小さかっただろうと思います。  私は、予算委員会で、この部屋で質問に立ちました。人をだましてお金を集めた人、当時オレンジ共済の友部さんのことが問題になっておりました。人をだましてお金を集めた人は詐欺師と呼ばれて刑務所に入る、人をだまして票を集めた人は先生と呼ばれて国会に入る、両方とも立派な詐欺師ではないか、そのように申し上げたところ、私の発言はそこで中止されました。私は、今でもその発言は正しかったと思っております。たった一つの私の間違いは、そのときの予算委員長もその一人だったということを知らなかったということです。  総理内閣を結成されましてから、空間倍増計画を発表されました。この空間倍増計画、私は、政治改革行政改革との連携のもとに、それとリンクさせながら、なおかつ国民の豊かさを求める、そういう総理の姿勢に私は感動しました。国会議員の数を半分に減らして国会の中の空間を倍増する、立派なことです。霞が関の官僚の数を半分に減らして職場のスペースを倍にする、これも立派な空間倍増です。  この空間倍増計画が発表されてから、昨年末、ことしの初め、私の選挙区世田谷区で、私は数々の空間倍増が実現していることを見ました。リストラで社員の数が減って、半分に減って職場のスペースが倍増。二人暮らしのお年寄りが、おじいさんが亡くなっておばあさんの空間が倍増。海外へ旅行するお金がなくて海外旅行もできなくて、飛行機に乗れば座席の数が倍増。数々の空間倍増が実現しておりますけれども、たった一つ、国会の空間倍増も霞が関の空間倍増も、いまだに日の目を見ておりません。まず隗より始めよ、空間倍増計画の最初は霞が関の職場のスペースの倍増から始める。そういう職員の大幅な削減ということに手をつけるべきではないかと思います。  この霞が関の空間倍増について、まず書類と権限を減らす。それは、民間と地方に渡すことです。その次に人を減らす。人を地方に渡す、あるいは民営化を進める。しかる後に、小さくなった二十二の省庁を、それから十三にまとめていく。これが私は手順ではないかと思います。総理のお考えはいかがですか。  書類も減らさない、権限も減らさない、民営化も進めない、そして、役人の数も一人も減らさないままに二十二の省庁を十三にまとめる。これは、小さなふろしきに包まれておったものを大きなふろしきに包みかえる、それだけのことではありませんか。大臣の数が一人でも減りましたか。副大臣の数を加えて、逆にこれからふえていくではありませんか。役人の数が一人でも減りましたか。一人も減っておりません。役所のコストが一銭でも減りましたか。一銭も減っておりません。逆に、役所の使う金がふえていっております。  これでは、何のための行革なのか。小さなふろしきを大きなふろしきに包みかえるだけの大ぶろしき改革ではありませんか。大きなふろしきは風通しが悪い、中が見えにくい、ばい菌がふえる、汚職がふえる。官僚が高笑いして喜んでいるじゃありませんか。総理の御所感をお願いいたします。
  62. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘の、手順についてお話がございました。なるほど、書類を減らし、権限を減らし、しこうして人員も減らしていくというこのプロセスというものは、これは極めて大事なことだろうと思っております。しかし、長年、行政改革をそれなりに見てきた立場からいいますと、なかなかもって、そのような形として実現を見ることは困難な状況もありました。かつては一省庁一局削減という、局を減らすというようなこともございました。  いずれにいたしましても、今般、このようなかなりドラスチックな形で行政官庁を少なくし、そして局の数も課の数も減らすという今回の方法によりまして中央官庁がスリム化していくという中におきまして、必然的に権限も、移譲される分もございますけれども、少なくなり、あわせて結果的には省庁の中でのお仕事がそれなりに整理整とんされてくるということも極めて現実的な、考え方としてはとるべき手法と考えて、今回の措置をいたした次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  63. 岩國哲人

    ○岩國委員 総理、先般、四月末から五月の初めにかけて訪米なさいました。そして、訪米されるその実質的な第一歩にシカゴをお選びになったということは、私は賛成であります。ボールのスピードはちょっと遅かったというコメントもありましたけれども。今までどこの国の首脳が行くときも、まずワシントンとかサンフランシスコとかいうところが多いわけですけれども、本当のアメリカというところに直球を投げ込まれたということは非常にいい着眼点だったと、私は賛成いたします。  そして、私もその一日前にシカゴに入っておりましたけれども、四月二十九日、ボストンで講演をしておりましたときに、その日の朝のニューヨーク・タイムズに総理の寄稿されたその文章が掲載されており、アメリカの社会でも大変話題になっておりました。  これは総理自身がお書きになった文章ですか、英語ではなくて原稿の方でも。その点、ちょっと確認させていただけますか。四月二十九日のニューヨーク・タイムズです。
  64. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 「ジャパンズ クワイエット リフォームズ」ということでニューヨーク・タイムズに投稿させていただきました。  そのプロットといいますか物の考え方は、私が起案して、そして主張いたしておるところでございます。それを、特に日本語から英語にかえるということにつきましては、委員御案内のように極めて微妙な感じがございますので、これはプロフェッショナルな方に見ていただきまして、投稿させていただきました。
  65. 岩國哲人

    ○岩國委員 ボストンの北島総領事も、これは総理みずから手を染めてお書きになった、大変いいことだと非常に喜んでおられましたし、私も率直にうれしく思いました。総理のお名前でアメリカの一流紙に、ロンドンの三流新聞とは違って、今度は一流の新聞に掲載されるという点は、私は非常にいいことだと思いました。シカゴに直行されたこと、そしてアメリカ人がよく読んでいる新聞に投稿されたということ、これもすばらしいことだと思います。  総理がアメリカを離れられた後、もう一つ、似たような記事が掲載されたんです。この後ろにあります。「日本の静かなる改革」というのが総理の題名です。それから十日もたたないうちに、今度は「英国の静かなる革命」と出ております。つまり、総理がここに書いていらっしゃる程度のことが改革ならば、イギリスがやったあの地方分権は、革命という言葉を使わなければバランスがとれないという、これはニューヨーク・タイムズ記者の静かなる皮肉だと私は思います。  全く同じタイトル。違っているのは、日本と英国。違っているのは、改革という言葉がこれであれば、ブレア首相のやった地方分権、スコットランドをまさに分権どころか独立させるような勢いでやっております。この点は御承知だと思いますけれども。  なぜこういう日本の改革が、総理の御努力にもかかわらず評価されないのか。私は、それはいろいろな理由があると思います。  行政改革そのものも、あるいは行政改革に関係したいろいろな最近の政府の例を見てみましても、例えば今度は、国土庁建設省、いろいろなところが一緒になって、地方整備局というものが八局行われる。これは今度の行革案の中に出ておりますけれども、結局、霞が関でやっておった執行権限を地方の八つの拠点に移していこう。地方へ移すんだからこれが地方分権だということかもしれませんけれども、実際にだれがやっているかということを見れば、中央のお役人が向こうへ行って待ち構えているだけなんですから、言ってみたら、タコの八本足と同じように、霞が関でやることを、広島だ、福岡だ、札幌だというところに八カ所に分散していることであって、これは分権とは違うと思うのですね。八局分散というのは、結局、分権に見せかけて、実際には不透明な行政を霞が関から地方に飛ばしをやっている、そういうふうにしか見えないわけです。  もう一つの例を挙げてみます。今度は、政策投資銀行というものが、二つの特殊法人、日本開発銀行と、北海道東北開発公庫、いわゆる北東公庫を統合して行われました。この新しい銀行には、北海道の仕事北海道開発庁がやる、東北の仕事国土庁がやる、それ以外は大蔵省がやりますと、三つの省庁が入り込んで、簡素化、効率化、透明化という行政改革のうたい文句とは全く反対に、簡素化ではなく複雑化、効率化ではなくて非効率化、透明化ではなくて非透明性。何のためのこれは行革なのか。  あるいは、それは行革とはまた別の問題でございますとおっしゃるかもしれません。しかし、同じ内閣の手によってそういうことが行われれば、見ている国民はどう思いますか。今度行われるこの行革とか地方分権も同じようなことになるのじゃなかろうかという思いが非常に強いわけです。  国民のための行政コストを一銭でも下げること、私は、それが行政改革の目的だと思います。断行すれば年間十兆円以上のコスト削減ができる、それを減税という形で国民に行革の配当をする、それが目的であるにもかかわらず、今政府のなさっていることは逆のことばかり。行革の配当を支払うどころか、行政のツケを次から次へと国民に押しつけている。  その幾つかの例を数え上げてみましょう、この二年間だけでも。  銀行救済とゼネコン債権棒引きの仕組みのために六十兆円、これは、総理もニューヨーク・タイムズの投書の中に書いておられます。そのうち十兆円は、既に使われました。低金利政策という名前のもとに、この五年間で預金利子が三十兆円供出させられております。合わせて九十兆円。さらに、この二年間、消費税が上がった、所得税が上がった、医療費負担が上がった、合わせて九兆円。締めて九十九兆円。国民はまさにきゅうきゅうとしております。このような負担の押しつけだけが行われれば、今議論されている行革も地方分権も、結局は、役人の役人による役人のための行革となるおそれがあるということであります。  こういった点に十分留意しながら、もし、今私が申し上げたことについて御反論があるならば、総理の方からお聞きしたいと思います、御反論がなければ先へ進ませていただきますが。——では、総務庁長官
  66. 太田誠一

    太田国務大臣 今の岩國委員のお話は、大半がこの行政改革中央省庁改革基本法とは違う世界の、違う分野の話をして、それを何か今後のこの行政改革の意義をなしとするためにお使いになっておる。まさに、政治プロパガンダを言っておられると思うのです。政治プロパガンダをおっしゃることは結構なんだけれども、きょうはテレビも入っていて、全国で放映されているわけでありますから、そこで、正確に行政改革で今、先ほど、例えば空間倍増の話がありました。空間倍増ということであれば、国家公務員の数を半分に減らすということになるわけでありますが、我々は、先生も御存じのとおり、地方公務員の数は戦後この数十年間ずっとふえ続けている、国家公務員の数はずっと一定であって、下がってきている、それをさらに下げるということをやろうとしている。  よその国に比べて、我が国の国家公務員は、他の、アメリカに比べれば約三分の一でありますし、ヨーロッパに比べても半分ぐらいであります。そういう中でさらに削減をしようというのは、それは相当の覚悟を持ってやっていることでありますから、私は、そういうふうに象徴的な言い方をされて、有権者、国民の方々を間違った方向に導かないでいただきたいと思います。
  67. 岩國哲人

    ○岩國委員 政策投資銀行についても、あるいは八局構想についても、事実を挙げて私は質問しております。決してプロパガンダでも何でもない。また、行革とは全く別とおっしゃいますけれども、同じ内閣の手によって行われることではありませんか。同じ人間がやっていらっしゃることが、これの場合には後ろ向き、こっちの方だけは前向きに考えてくださいというところには無理がありますよということを申し上げているんです。  私も、行政改革は賛成です。ですからこそ、消費税を上げた以上は、早くやるのが国会議員の責務だと思っております。しかしそのスピード感覚、実行においてはスピードが必要です、しかし、審議のスピードだけを急ぐというやり方には反対です、一括審議について。見てください。これだけ大きな書類、たくさん積まれていますけれども、手あかもつかず、指あかもつかないままで、そしてこうして審議が行われ、淡々と進んでいくんです。  次の例を挙げますので、総務庁長官に、地方分権の趣旨が、本当にされているかどうか。  国の地方自治体に対しての関与の問題があります。これは内閣内政審議室の説明資料のコピーでありますけれども、国と地方公共団体との間の紛争処理の仕組み、国が地方公共団体に関与できる、こういう矢印がついておりますね。これは、長官御存じのとおりだと思うんです。この関与が、なぜ、国から地方公共団体への一方通行の矢印にしかなっていないのかということが私の質問であります。  この行革の説明において、地方分権をすることによって国と地方がやっと対等になる、この対等という言葉を何回も聞かされてきました。対等であれば、なぜ、矢印が一方通行、ワンウエーストリートになっているんですか。地方公共団体が国に対して関与する道はありますか。  例えば藤前干潟のような問題。あれは、地方公共団体に対して国が関与し、そして決着した問題です。逆のことを、国が公共事業をやっているときに、地方公共団体が、地元でなくて近隣の公共団体が、迷惑を受けるからこれはやめてほしいといったような場合に、地方公共団体が逆に国の行為に対して関与することはできるのかどうか。できるとおっしゃっていただけるんであれば、対等ということは文字どおり実現するわけです。  長官の御説明をお願いします。
  68. 高鳥修

    ○高鳥委員長 自治大臣
  69. 岩國哲人

    ○岩國委員 いや、総務庁長官お願いします。
  70. 高鳥修

    ○高鳥委員長 担当は自治大臣だと思います。自治大臣、まず答弁してください。野田自治大臣
  71. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 地方自治法上は、地方議会が意見書を国に提出するとか、いろいろな形はあるわけでありますが、自分たちの意見を国の行政機関に反映させるという手続は定められております。ただ、それが関与という言葉になじむかどうか。  実際問題、今のお話は、現実の事業実施主体、事務事業実施主体が地方公共団体であるものですから、そういう意味で、その地方自治体の行う事務事業に対して国がどの程度関与するかという意味で、これを決めておるわけですね。したがって、逆に、では国の意思決定に対して地方がどういう物言いをつけることができるのかということは、今言いましたが、意見書の提出等々いろいろなツールはあると思います。  ただ、それを、国が行う事務なり事業に対する関与という範疇、概念で、同等のレベルで認識するかどうかというのは、私は、別問題、議論のあるところだろうと思います。
  72. 岩國哲人

    ○岩國委員 私がお伺いしたのは、地方公共団体が国の事業に関与できるかどうか。例えば、鳥取県中海、島根県中海の、そうした両県が共同でやっている公共事業について、鳥取県側は、異議がある、あの工事はやめてほしいと、米子市長も米子市議会も米子市民も、境港市長も境港市議会も境港市民も、そしてそこから選出された国会議員も、あの事業には反対ですとおっしゃっているときに、国がその事業を進めようという場合には、まさにこの逆の矢印が必要な場合が出てくるわけです。  農林省の事業に対して、地方自治体が関与して、それをやめさせるということ、こうした事例があり得るかどうか。総務庁長官、あり得ないのか、あり得るのか。
  73. 太田誠一

    太田国務大臣 私がこの法律を所管していればお答えをするわけでございますが、私が所管しているわけじゃありませんので、自治大臣お答えをいただいております。
  74. 岩國哲人

    ○岩國委員 自治大臣お答えも結構ですけれども、これは地方自治体が絡んではおりますけれども、国は、建設省あり農水省あり、総務庁長官は、今まで、地方分権も含めて、省庁再編地方分権も全部説明してこられた、行革推進本部の責任者じゃありませんか。私は、行革の一般論としてこれを伺っているわけです。具体的な例が米子市だから自治相だ、あるいは農水省だから農水大臣とあえてお伺いしないのは、そういう立場からお伺いしているということを御理解いただきたいと思います。  行政改革という、行政負担を軽くしようという趣旨から始まっておりますけれども、国の関与ということについては、もう一つ私は疑念があります。次のパネルをお願いします。  これは、地方分権推進を図るための関係法律整備等に関する法律案要綱、この中に、是正の指示というのがあります。昨日も、これはここで論点になりました。  この是正の指示の中に、a、b、cとあります。aというのは、各大臣が、その所管する法律またはこれに基づいて県庁に対して指示をすることができる、国が県に対して。bは何かというと、県が市町村に対して同じように指示をすることができる。aもbも、私は、今の実態の中で必要だということは、たとえ国と地方が対等といっても、いろいろな点で、aも必要であろうと思いますし、bも必要であるという事情はわかります。問題はcです。  このcというのは、各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理について、都道府県の執行機関に対し、市町村に対して指示しなさいという関与をすることができるということなんです。これは私は行き過ぎだと思うんです。市町村にあれこれ不始末がある、不備なときがあるときは、このbで県知事がちゃんとやることになっておるでしょう。県知事が信用できないから、このcを置くんですか。  地方分権の精神は、たとえ能力的にあしたからは対等になり得なくても、相互信頼に基づくべきものだと私は思うんです。それを、国は知事に指示することができる、bによって知事は市町村長に指示することができる、この二つを組み合わせれば全部処理できるはずじゃありませんか。なぜ、このcが必要なんですか。私は、このcは削除すべきだと思います。これは不必要なんです。  国が市町村のやることにまであれこれ目配りし、それについて、あの市町村に対してこういうことをしなさいということを知事に言わなきゃならぬ。そういう点について、このcはあくまでも必要とお考えになるかどうか。その点について、簡潔に、総務庁長官自治大臣、どちらかお答えいただきたいと思います。簡潔で結構です。
  75. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ごめんなさい。質疑通告が全然なかったことだったものですから、今改めてチェックをいたしておるんですが、従来基本的に国からの機関委任事務というふうに定められておったものを、今回自治事務と法定受託事務と二つに分類をした。今御指摘のあった是正の指示というのは、その中で、自治事務ではなくて法定受託事務についての問題であります。  その法定受託事務の中でさらに、市町村が行う事務について、直接国が指示するというよりも県を通じて指示をするという形式をとった。aの方は、県が行う法定受託事務について国が指示をすると。市町村が行う場合には、県を通じて指示をするということであります。それが、今の第三項ですか、そっちの方になろうかと思います。  したがって、やはりここは、いきなり県を飛び越して国が市町村に直接指示を出すよりも、それを通じた方がはるかに地方自治の精神にのっとったものになるのではないかという角度から設けられたものだと考えております。
  76. 岩國哲人

    ○岩國委員 そういう市町村がやるべき自治事務とか法定受託事務について、一番地元で見ているのは県庁でしょう。霞が関からどうやって青森県の何とか町とか新潟県の何とか市がやることが見えますか。  これは、「各大臣は、」というのは、自治大臣だけではありません、農水大臣も建設大臣も含めて、そういう大臣が、この霞が関におられて、日本じゅうがよく見えて、見えないのは現地にいる県知事だ、したがって、県知事に、何をぼやぼやしているのか、こういうことをちゃんと市町村に指示しなさいと言わんばかりのこのcというのは、地方分権の精神に反するし、また、それぞれの市町村長や議会が一生懸命仕事をやろうという姿勢に対する冒涜ではないかとさえ私は思うわけです。このcの条項は私は削除すべきであるということを要求して、次の問題に移らせていただきます。
  77. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 少なくとも、今までの地方自治法改正前におきましては、包括的な指揮監督権ということに基づいて、実際法令に基づかないいろいろな形での関与が行われてきたわけです。そういう意味で、特に従来機関委任事務とされてきた事柄であっても、やはり一つの基本類型として、法定主義、透明度を高める、ルール化しよう、そういう中でこういう形で整理をしたわけでありまして、私は、従来よりかはるかに前進をしているものだということだけは、もう細かいことは言いませんが、申し上げておきたいと思います。
  78. 岩國哲人

    ○岩國委員 ですから、国と地方自治体は対等だ対等だとおっしゃりながら、実際にはaでbでcで、今まで包括的な、非常にオブラートに包んだあいまいな形で行われてきたものを、これからはこういう法律に基づいて明確に関与していこうと。これは、前進と評価すべきですか、後退と評価すべきなんでしょうか。私は、その点はいろいろな見方があろうかと思います。  次に、官房長官がお帰りになりましたから、昨日の問題について。田中慶秋議員から質問がありました、阪神公団の負債の返済が二百七十一年かかるという問題。これは、総務庁のデータで二百七十一年……(発言する者あり)阪神公団の方で出ております。二百七十一年と総務庁の計算で出ております。建設大臣は五十八年とお答えになりました。どちらが正しいんですか。官房長官は、速やかに精査をして答えさせますと。夜は明けました。答えをいただきたいと思います。
  79. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 昨日の田中慶秋先生の質問は、当初本四公団という言葉があって、その後で二百何十年というのは阪神高速道路公団のことでございまして、その内容が違っておったわけでございます。ですから、私が御答弁いたしましたのは、本四公団の負債の現状と償還の可能性ということについてお答えをしたわけでございまして、それで内容が違っておったということでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  80. 岩國哲人

    ○岩國委員 簡潔にお答えいただいて大変ありがとうございます。  昨日このテレビを見ておられた方は、五十八年と二百七十一年と混乱したままで、また官房長官が速やかに精査をしてとおっしゃったから、どちらかが間違っているのではないかと大いに期待しておった向きも多いんじゃないかと私は思います。結果的には全く違っておらないで、数字違いではなくて名前違いの御答弁をいただいておったということでありますけれども、いずれにしましても、この阪神公団の二百七十一年という数字には驚いた国民が非常に多かっただろうと思います。  二百七十一年先といいますと、今の特殊出生率の計算でいきますと、二百七十一年ごろには大体日本人は五百万人はまだ残っております。三五〇〇年になりますと日本人は一人しか残っていない。一人しか残っていないということは、佐渡のトキセンターへ行っても二人目が生まれないということなんです。二百七十一年もかかって返済する、しかもそのころには日本人の人口は幾らに減っているかということも全く頭にない、そしてこういう債務の先送りをやっている。  行政改革について連日このように議論をしますけれども、行革というのは形の問題ではないと私は思うんですね。仕事のやり方、公務員の精神の問題だと思うんです。こうやって税金は使い放題、数字は役人任せ、責任は先送りで人任せ、このようなことが行われておるから行革をやらなきゃいかぬということになってきておるわけです。  先ほど取り上げました中海の問題もそうです。四十年前に始めた事業が今なお必要かどうか。地元にはいろいろな意見もあります。その証拠に十年間事業は凍結されておる。それをこれから再開すべきかどうか。結果的には、中海の真ん中にある大根島という、これは自然現象としても非常に珍しい、そこの真水がなくなってしまう、事業が完成したときには、使う人もなく、大根島の真水もなくなる、金もなくなる、そのときには知事も亡くなっている、責任はだれがとるのか。こういう問題が日本じゅうに非常に目立ち過ぎる、私はそのように思います。  行政改革というのは、釈迦に説法ですけれども、形ではなくて仕事のやり方と意識を変えること。私は小さな市の市長をしておりましたけれども、職員に常々言ったのは、意識を変える、組織を変える、組織は効率的に変える、しかしその前に意識を変えることだと。土曜日も日曜日もサービスをする。出雲市は十年間、土曜日、日曜日、店を閉めたことはありません。お客さんの出かけているところへ行って仕事をする。小さな役所で大きなサービス、七割の職員で十割の仕事をする、それをみんな誇りにしております。私は、そういう仕事のやり方、意識改革こそ一番大切ではないかと思います。役所は役に立つ所、こう書いてあります。議会と協力して、そのような小さな役所で大きなサービス、それを実現すべきではないかと思います。  今、そうした行革の精神に反するような事例だけを心配の種として私は取り上げましたけれども、正しい例も、非常に賛成する例もあります。鈴木行革審のときに、私たちは、大き過ぎるところは小さくする、これは当然のことです、しかし、小さ過ぎるところは大きくしなければならない。例えば環境庁、外務省、こういうところは大きくすべきだ。その提言はようやく日の目を見ることになりました。そして、環境庁が環境省に昇格する、私は大変いいことだと思っております。  しかし、強化され、そして規模が拡大されても、仕事のやり方、これが、本当に行革の精神にのっとって、住民本位、地方自治体を尊重する、こういうやり方に変わるかどうか、環境庁長官の御所感をお願いいたします。これからの環境行政において、こうした地方分権、行革の精神はどのように、数少ない例外的に強化された省庁の責任者としてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、簡潔にお願いいたします。
  81. 真鍋賢二

    ○真鍋国務大臣 先ほど来の先生のお話の中に、組織もまた体制も変革をしていかなければならないという御意見でございました。  私も、企業も組織もやはり三十年周期ぐらいで大きな変革を求めていかなければ組織の活性化はない、こう思っておるわけであります。それがためにということで、ちょうど時代の要請も受けまして、環境庁は環境省に昇格するわけであります。環境庁も生まれましてからちょうどことしで二十八年、二〇〇一年から実施するならばまさに三十年の年月を迎えたわけでありまして、このときこそ大きな改革をなして国民の要望にこたえていかなきゃならない、こう考えておる次第であります。  そこで、今環境庁としては、まさに地球規模の環境問題から始まりまして、国民一人一人の安全に関する問題等まで取り上げ、そしてこれらの問題に真剣に取り組んでいかなきゃならないわけであります。まさに総合施策でもって環境面の保全を図っていくということが大切なことだ、私はこう思っておるわけでありまして、それがためには今日的な人材ではまさに不足の状態にあるわけでありまして、中央省庁再編成の中において、私は、他の省庁との連携をしながら、必要な人員だけはぜひ確保させていただきたい、そして国民の要望にこたえていきたい、こう思っておる次第であります。
  82. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。  環境省が例外的にこういう厳しい環境の中で昇格そして充実を認められたということを受けて、しっかりとした仕事をこれからやっていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。  もう一つ、外務省もありますけれども、私は、法務省というのももっと強化しなければならない。  最近、人権の問題がいろいろと問題になっております。総理にお伺いします。そういう人権の中で、憲法でうたわれている基本的人権、それから世界人権宣言の中でうたわれている人権、この中に政治的人権というのは含まれていると総理は認識しておられますか、おられませんか。
  83. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 改めてお尋ねがありましたので、正確を期して今お聞きをしたところでございますけれども、当然のことながら、そうした政治的意思を守るという意味で基本的人権並びに世界人権宣言というものの中には含まれておると考えております。
  84. 岩國哲人

    ○岩國委員 総理にも御確認いただきましたけれども、政治的人権というのは基本的人権の中でも非常に大切な人権であると思います。投票する自由、政治に参加する自由、女性も同じように参加できる、そういった政治的人権でありますけれども、けさほど、細田委員からもそれから西川委員からも、東京と地方の問題がありました。  この東京と地方の問題というのは、実は定数格差においても大きな問題があるわけです。税金をどっちがたくさん使っているかという問題と投票用紙をどっちがたくさんよく使っているかという問題。この定数格差が二倍ということは、二分の一の人権しか持っていない人がいるということです。参議院選挙で五倍、六倍ということは、五分の一の価値しかない一票を使わされている人が日本のどこかにいるということです。私の世田谷も、その小さな投票権しかもらっていないのです。税金は十割、権利は五割、白昼堂々とこういう人権差別をやっている先進国はどこにありますか。  アメリカの例を挙げた人があります。アメリカの上院は各州に二人ずつ、確かにこれは定数格差が大きいものがあります。しかし、アメリカの場合には、下院の場合には定数格差がゼロに近い形で選挙をやっております。もう一つは、行政の最高責任者大統領を直接選ぶ一票は完全に平等。そういう形によって十分補正されているから、上院の選挙における定数格差のひずみというものがそれほど大きなひずみにはならない。  日本はどうですか。総理を選ぶときもいろいろな形でひずみがある、それから衆議院選挙、定数格差、参議院選挙、これにも定数格差。民意を反映するこの国会が本当に民意を反映する形になっておらない。鏡で言えば、もうでこぼこだらけの鏡に自分を映しているようなものじゃありませんか。  私は、定数格差を是正する、限りなく定数格差ゼロに近づける、これが人権尊重の我が国の一番大切な問題だと思います。総理は、ニューヨーク・タイムズの投稿の一番最後にヒューマンライツということを書いて、それで締めくくっておられるのです。人権を尊重する国でありたいと。人権を尊重する国でありたいとおっしゃるのであれば、法務省の中にきちっと人権擁護の業務が入っております。その法務省にこうした選挙の投票権の平等性の確保の仕事をやらせるべきではありませんか。この投票権の格差、人権尊重、そして行革の中における法務省の位置づけ、これについて総理の御意見がありましたら、伺わせていただきたいと思います。
  85. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 基本的人権の中に政治的な立場を擁護しなきゃならぬということは、これは言うまでもない基本的な考え方だろうと思っております。  しかし同時に、選挙制度におけるそれぞれの投票権の問題につきましては、これは究極は、国会で御決定をいただき、その判断が是か非かということは、これは憲法裁判所に値する最高裁におきましての判断というものをたっとばなければならないことでございます。  したがいまして、基本的人権の中に政治的な権限としてこれを持つということは、政治的な思想の問題その他につきましてそれを侵すものでないという意味でございますけれども、その選挙権における問題につきましては、これはひとえにやはり国会で御判断いただく選挙制度の中で取り上げていくべきものであるというふうに考えておりまして、ぜひそういった点で、委員のような御意見があるとすれば、それは十分御相談をさせていただき、各党会派でお話を詰めていただき、そして最終的には国民の御判断をいただくということになるのでないかと考えます。
  86. 岩國哲人

    ○岩國委員 次の問題に移らせていただきます。  地方分権で一番大切なことは、分権を受ける、権限、財源、人間の三ゲンセットの受け皿になる地方自治体の強化であります。市町村合併を避けては通れない。市町村合併については野田自治大臣も熱意を込めて語っておられます。三百という数字も総務庁長官からも以前御答弁いただきました。自治省の研究会において、来年中に具体的にいろいろなプランをどんどん進めていこうと。結構なことです。  ただ、地方分権と絡んで、地方議会の議員定数に関する法律がなぜ平成十五年一月一日まで施行を先送りしなければならないのか。私はもっと早くやるべきではないかと思います。地方分権のこういった基本的な法律と同じ、平成十二年四月一日から実施されるのであれば、同日において議会の定数の問題についてもやるべきではありませんか。  それは、統一地方選挙が十五年にやってくるということが頭にあって、そのようなことをされたのだと思いますけれども、しかし、合併をそれまでやってはならないということをおっしゃっているわけではないし、もっと前倒しでやらせなければならない。あるいは、議員にしても、実際どういう法律によって自分たちの身分が保障されるのか、期待できるのかということは、これは最大の関心事であります。そういう自治体の議会にきちっとした法律的な保障を与えるためにも、私は、地方議会の議員定数関係の法律は、十五年一月一日ではなくて、十二年一月一日に繰り上げて施行すべきだと思いますが、いかがですか。
  87. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 この問題は、委員今御指摘のとおり、地方自治体の議会の定数はその自治体の条例において定めるわけですが、法律では上限を言っておるわけであります。そういう点で、この点は関係する自治体が非常に多い。その自治権を侵害するものではないかという議論もございます。そういった中で、上限のところを、そういう形でできるだけ理解を求めながら進めていかなければならないというのも、これは地方自治という角度から考えれば当然のことだと思っています。  そういう点で、今御指摘がありましたが、なお検討はいたしてみたいと思っていますが、できるだけ早くその精神が生かされるようにしていかなければならぬというのは、それはそのとおりだと思っています。
  88. 岩國哲人

    ○岩國委員 時間が終了しましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 高鳥修

    ○高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  90. 高鳥修

    ○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案審査のため、来る二十八日金曜日に、参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 高鳥修

    ○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 高鳥修

    ○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  93. 高鳥修

    ○高鳥委員長 質疑を続行いたします。  この際、伊藤忠治君から関連質疑の申し出があります。岩國君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。伊藤忠治君。
  94. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 民主党の伊藤でございますが、まず初めに、総理に対して、行政改革に対する基本認識、理念の問題を当然含みますが、お伺いをしたい、こう思います。  それで、昨日の議論、きょうの午前中の議論を聞いていまして、省庁再編、分権一括法案提案をされているわけですが、政府の答弁感じますことは、つまるところ、行政改革に対する基本理念あるいは認識、こういうものがどうも私どもと懸隔を感じているわけでございます。  感じを申し上げさせていただきますと、どうしても、その基本認識なり理念が違いますと、その後具体的な行政改革を施策するときに違ってまいります。どうしても不十分な、中途半端な感じがしてならないわけでございます。午前中の議論で、同僚議員の岩國さんが指摘をされておりましたとおり、さまざまな問題点、矛盾を抱えたものにならざるを得ないのじゃないか、私はこんなふうに思うわけでございます。  まず第一に私たちが押さえなければいけない点は、時代が、社会が変化をしてきておりますから、時代の要請にこたえるという、社会が今日こんなに変わってきているんだという認識、それにどう対応すればいいのかというこの基本姿勢が——政治家の皆さんは選挙をくぐられます。いろいろな地域を飛び回るわけですから、いろいろな声を吸収されていると思うんですが、言っちゃ失礼ですが、お役所の皆さんは、その点は決められた箱の中で仕事をされていると思うんですね。まあ失礼な言い方になりますが、民の声、国民の声にはどうしても鈍感になりがちじゃないのかな、こんなふうに私は指摘してもあながち間違っていないと思うんですね。  そこのところを政治が主導しなければいけない、政治家が決断と責任を持ってやらなければ、行政改革というのは、もう強大な組織を抱えた行政組織ですから、これに言うならば改革のメスを入れていくわけですから、その点に一つの大きな要因といいますか、問題点があるのではないか、私はこんなふうに思うわけでございます。  もう一点。歴史を振り返りましても、細川政権のときに、言うならば規制緩和を具体的に進めようというので、事実上行政改革のアクションが起きたのではないのか。次に、村山政権のときに、地方分権推進委員会がきちっと政府の中に設置をされたわけでございます。つまり、時代の変化がある、必要性は避けて通れないということに機敏に反応して、それを政府の責任でやっていこうというので、本腰を入れた取り組みがそのあたりから始まったと私は理解をするわけでございます。  これは私の理解だけではございませんで、昨年の通常国会で行革の基本法議論をいたしましたときに、行革会議事務局長として水野さんに参考人として出席をいただきまして、そのときにお聞きをしましたら、彼もそういう認識で、私は近年の行革を振り返った歴史は特徴点を挙げればそのように理解をしております、こうおっしゃいましたので、彼の発言を私はここに紹介をしてそのように申し上げているわけでございます。  次の点ですが、司馬遼太郎さんも言われましたように、「この国のかたち」をどう描いていけばいいのかという遼太郎さんの哲学にも似た国家像、そういう理念が述べられました。これは、行革会議でも非常に傾聴されまして、そのことが前文に実は採用されたことは、皆さん御承知のとおり。私も、このことは感銘を受けているわけでございます。  ところが、そういう言うならば理念、イメージ、国の形はこうなければいけないということをまず前提で押さえたにもかかわらず、具体的な中身に入ってきますと、これはかなり違ってきているわけです。結局、政府として、我が国の形をどうつくろうとされているのか、その最も根本的なところが私は欠けているのではないんだろうか。お持ちだったら、その点はこのように考えているということを総理の方から、これは基本的な問題ですから、総務庁長官はまた後でお願いしますので、これは総理の方から、おれは言うならばこのような考え方で、日本の国の将来をこういう形でつくり上げていきたいんだ、それが据わっていて、今回の言うならば十二省庁再編もやっているんです、国の役割はこうなんですよということをお聞きをいたしたいと思いますよ。そこのところがすれ違っていたのでは、だんだん具体的な施策になりますと距離が開いてくる、私はこのように思っておりますので、総理、どうお考えでしょうか、お願いをいたします。
  95. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、二十一世紀に向けて日本のあるべき国の姿ということでございますが、これはまことに僣越でありますが、私は常々富国有徳ということを申し上げておるわけでありまして、物と心の調和のある、日本国と日本国民とがともに世界の中で評価をし、尊敬に値する国家と国民でありたいと願いつつ努力をいたしていきたい。実態的には、これから二十一世紀に当たりましての我が国の姿を、先ほど司馬遼太郎先生のお話も出ましたけれども、私なりにまとめさせていただいて、現在、河合さんに座長になっていただいて勉強を始めさせていただいておるわけでございます。  そこで、そうした基本的な考え方に基づいて、行政改革あるいは地方分権につきましては、今般内閣として御提案をさせていただいたものに、その方向に向かっての第一歩ということで提案させていただきまして、申し上げればこれに尽きるということだろうと思います。  先ほど来先生の御意見を聞いておりまして、私は、考え方が相違しておるというお話のように受けとめましたけれども、決してそうでない。今お伺いしておりますと、基本的な考え方においては私は一致しておるというように考えておりまして、時代の要請にこたえてということは、まさに二十一世紀に向けて、ここで戦後も総括し、もっと言えば、明治以来の中央集権的な形、あるいは、行政機構が、非常に時代の要請もあるいはあり、行政需要も多くなってきたんだろうと思いますけれども、その中で、何回か行政改革をし、そしてスリム化努力いたしましたけれども、徹底的な段階に至っておらない。そこで、今日、大改革を行うことによって次世紀を迎えたいというお考えでありまして、この点は私は相違はないのじゃないかと思います。  それから、国民の声を聞くということは、これは言うまでもないことですが、行政官庁というものは、私は、末端におきましても十分住民の意思はお聞きしているとは思いますものの、財政的な面で、戦後、右肩上がりで、その需要にこたえて新たなる機関も設けられましたが、一方、廃止すべき機関もなかなか思うようにできなかったという点がありまして、今回これを整理統合していこうという考え方だろうと思います。  それから、それぞれの内閣においての今日までの努力について先ほどお示しがありましたが、特に自民党としては、長らく与党としての責任を負ってまいりまして、先ほど来も細田議員が御指摘をされましたけれども、単に政権をお預かりしていることで、ビューロクラシーの上にただ乗っておるということではなくて、常々これは改編しなければならないという考え方のもとに、多くの方々が熱心に取り組んでこられましたし、特に前橋本総理は、長らく党の行財政調査会長という立場でこの問題に取り組まれ、そして、内閣をお預かりして以降行政改革を第一の柱として考えてまいったわけでありまして、もろもろそうしたことが現在総結集されて、今日こうした形でお諮りをする場面になったわけであります。  まさにそういう意味で、政治が本当に行政機構を抜本的に改める絶好の機会と心得ておるつもりでございまして、そういった意味で、私は、委員のお考えと我々と、その基本的考え方に差異はない、こういうふうにお聞きをいたしたわけでありまして、私どももその線に沿って頑張っていきたいと思っております。
  96. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ちょうちょうとお答えいただいたわけですが、やはり違うと思いますよね。  つまり、私たちが言いたいのは、国の役割、つまり官の役割と民の役割、これが本当に整理をされたかといいますと、やはりこれは中途半端だ、ゼロベースからやり直すということにはならなかったと思うのです。現実にあるからなかなかできないということで、つまり、走ってしまったということじゃないでしょうか。  だから、その中でも、官の役割はどういうところがあるのかというのだったら、官といいますけれども、それは中央もあれば地方もありますよね。今日の社会状況や経済構造の中で、これまでの反省ももちろん生かさなきゃいけませんが、二十一世紀を展望して、中央の役割、政府の役割というのは、限定的で、しかもなるべく小さな政府にしていこう、そういう基本的なスタンスに立ってやられたのかどうなのかということだって、議論すればあるじゃないですか。時間が限られていますから、私はそこまでは突っ込みませんが、あるじゃないですか。そういう点からいけば、はっきり言って、根本的にメスを入れて整理されたかといいますと、そうはならなかったと私は思っているのです。  ですから、民にこれは委託をしていきましょう。民の役割なんです、今は官にありますが、将来、民に移行するために、向こう十年間、こういうプログラムを組んで、そのようにこれから移譲していこうということだって、出ていないじゃないですか。そのことはみんなきちっと出した方がいいと思うのです。  それから二つ目は、中央から地方移譲するというもの。岩國先生が言われた三ゲン移譲でございますよね、権限と財源と人間。これについてもやられたと言いますが、できるところからそろそろやろうということですよ。ばさっといっていないじゃないですか。こんな調子でやりますと、それはもう世の中の変化の方が早い、産業構造の変化も早い、それから市民の皆さんの意識だってもっと先に行っちゃうじゃないですか。NPOだって、その動きがどんどんと今活発化しているのはそういうことだと思うのですが、そういう時代の変化に対応して、中央から地方にどう分権をしていくかという点についても非常に中途半端であるし、政府原案を見ましたら、分権じゃなくて、ベクトルを逆にしまして、逆行するような施策ですら出てきているわけですから、ここにも問題がございます。  三点目は、同じ省庁内でのアウトソーシングにしましても、この程度か、この程度やって本当に時代の要請に対応できるのかという思いが強くしているわけでございます。  四つ目は、以上、一、二、三の手順できちっと振り分けた上で、中央省庁の総仕事量というのを決めた上で省庁再編をやられたのかといいますと、これはそうなっていないと思いますよ。そんなふうな手順で運ばれたとは私は理解できないわけでございます。  いずれにしても、時間の範囲内ですから急ぎますが、行革会議事務局長をやられました水野さんはそのときにこう言われました。つまり、中央省庁の行革をやる場合には、政策部門は中央で、実施部門は下におろすか横に出せばよろしい、極端な言い方をすれば、中央政府に携わる国家公務員は三万人程度おったらやっていけると私は思っていますと彼は言われましたよ。  聞いた私がびっくりしまして、今八十五万人もいるのに三万人でできるのかなと。しかし、極端に言えば、そういう発想がなければこの行政改革の根本にメスを入れることはできない、そういう数字だと私は理解をいたしました。  彼いわく、だから、首都機能移転、この問題とも絡むのですが、その程度の公務員で政策官庁なんだから、東京から別の都市に持っていけばこれは十分できるものである、そんなにこだわることはないんだ、このように私は考えております、かえって、そうやった方が行革の証明、中央の役割がこうなんだということを明確に国民の前にも形で示すことができる、このように彼は力説をされたわけでございました。私は傾聴したわけでございます。  時間がございませんから、もう答弁は結構でございます。よろしいですか、では総務庁長官、どうぞ。
  97. 太田誠一

    太田国務大臣 御質問の中で、すべてお考えをおっしゃられて、我々が答弁しないと、先生がおっしゃったことが本当のように聞こえるものですから、お答えをさせていただきたい。(伊藤(忠)委員「その言い方はない」と呼ぶ)いや、要するに、同じように、政治家同士ですから、ちゃんと討論をしてください。  今の、政治主導ということを最初におっしゃったことは、選挙で選ばれる政治家が、つまり、国民が生殺与奪を決めることのできる政治家にリーダーシップをゆだねることが、国民主権のこの国にふさわしい政治の統治のあり方だということをおっしゃられたのだと思います。それは、私は全く同じ意見でございます。  行政改革会議の最終報告は、実は私、就任いたしましてしばらくしてから読んでみて、これはまさに我々が今考えていることと同じことだということで、それを何とか内閣法の改正の中に盛り込みたいということで、国民主権の理念に基づいてということで内閣法の一条と二条を、これはまさに政治主導で入れさせていただきました。そこから、国民が主権者であるから、主権者である国民から選ばれる政治家がリーダーシップをとるということで、特に内閣総理大臣リーダーシップのところに、そこを理屈としてきちんと結びつけたかったわけでございます。そして、それが内閣総理大臣リーダーシップになるということで、発議権のことも根拠が出てくるわけでありますし、考え方は同じであるということを申し上げたかったわけであります。
  98. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 答弁は的確にお願いをいたします。  次に、これは総理に一言お答えをいただければ、私は次のテーマに移ってもいい、こう思っておるんですが、つまり、提案説明を見ましても、第一の柱が内閣機能強化になっているわけですよ。  これを私たちは否定していないんです。それは、言うならば政治が責任を持って行政を仕切っていくということですから、そういう仕組みをつくろうということですから、私、その案としてはもう少し緻密な、言うならば首相府、内閣府を二段階でつくりまして機能できるようにやっていくべきだという案を持っておりまして、後刻これは提案をさせてもらいます。そのことを前提で申し上げたいんです。政治が改革の先頭に立つと同時に、政策決定の主導と責任を、内閣は、とりわけ総理大臣は決断と実行をしてもらわないと行革はこれから進んでいかないし、政治の改革もできないわけでございます。  そこで、副大臣制や政務官の新設、改革議論は、与野党協議の場で今やられておりまして、大詰めの段階を迎えているわけです。よりいい結論を私たちも積極的に出したいと思っておりますが、その中で、実は一連の内閣機能強化と政治改革は車の両輪だと思っておるんです。ですから、一方の行政の上に座ります内閣機能強化だけが走っていって、そして政治倫理や選挙制度や国会改革が後からついていくというんじゃ、これは真の意味の改革にならないと私は考えているわけです。  ですから、副大臣や政務官や、数が多くなります。これが行政の上に座ることになります。その分だけ行政の癒着構造が深まったというんじゃどうにもならぬわけですから、これは倫理の問題をきちっと整理しなきゃいけません。  もう一つは、選挙制度がそうなんですよね。もとの中選挙区制度に戻ったら、内閣機能強化なんというのは、全くこれは相反するんじゃないんでしょうか。政策でもってお互いに争って、そして出てきて、言うならば政策について、主導についてもし国民の信頼が得られないということになれば、これは内閣はかわるわけですから、かわってもやっていける体制をつくるというのがリンクされていてこれは成り立つわけですよね。当然、選挙制度のあり方は、政治改革にベクトルがきちっと向いた、そういう改革でなければ機能しないと私は思っております。  三点目、国会改革。今の国会運営は、議論のやり方も大変問題があると思っています。せんだっても院の派遣でイギリスへお邪魔することができまして、現場で、本会議のブレアさんとそれから保守党の党首との一問一答を見てまいりました。私も議会は何度か行っていますけれども、現場を見たのは初めてでした。それは、与党と野党に分かれまして、それで議論をやるわけですね。しかも、関係の大臣はこちらでどんどん立ちますし、野党は野党の方で影の内閣の連中がどんどん立ちますし、問題があったらどんどんやじりますよね。静かな議会じゃないのでびっくりしましたが、やはり伝統を感じました。  あのように、総理、まあ党首でございます。党首と党首が一問一答を、その時々の政治課題についてそれこそ一問一答やり合う、それをテレビで国民の茶の間に入っていくということは、これはいいことでございまして、我が国でもあすからでもこれは実施できると思うんです。  それで、そういう議論をやりまして、これは政治基本問題委員会みたいなものをつくって、小渕総理も出ていただいて、野党でいえば菅代表以下各会派の党首が次々に出られて、テーマをあらかじめ設定するんじゃなくて、原稿をぺらっと読むんじゃなくて、自分の言葉で、自分の考え方でどんどんとディベートする。デベートじゃないですよ、ディベートでございます。それをやろうと。  そういうことについて、大体まあまあやっていこうじゃないかという気合いがあっているんですが、肝心の総理大臣がそれは困るというふうに言われたんじゃいけませんので、この一点、そのように党首の、一問一答の、言うならばテレビ放映でクエスチョンタイムを設けてディベートをやるということについて、総理はイエスでしょうかノーでしょうか、お願いいたします。
  99. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 結論を一言で申し上げれば、これは国民により近づく政治という意味で賛成でございまして、その実行のために現在いろいろ議会の中で御議論されておられると聞いておりますので、その結論を待ちたいと思いますが、ぜひそういう方向で、今回の副大臣制度も含めまして、新しい制度を導入する意味もそこにあると考えております。
  100. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 総理のオーケーをいただきましたので、与野党協議を通じまして御期待のクエスチョンタイムのようなディベートの場ができますように、御協力をお願い申し上げたい。私たちも先頭に立って努力をさせていただきます。  次に移りますが、地方事務官制度廃止の問題でございます。  これは、どう考えても私は理不尽だと思っているわけです。つまり、地方分権をもっともっとやらなければいけないにもかかわらず、中央集権をやろうとしているわけです。全くこれはベクトルが逆で、逆行するものじゃないかということであります。  それで、年金関係の仕事を全国の都道府県で携わってみえます皆さんが、平均しまして三十人から六十人おみえでございます。全国で二千八百六十九人ですか、これは省にお聞きしましたらそういうことでございます。社会保険事務所にももちろん職場がございますが、社会保険事務所の箇所というのは、県で平均して大体五、六カ所だと聞いております。それでも全国足しますと三百十四カ所なんですが、各県では非常に少ない。  それで、この今やっております年金関係の、地方事務官が携わっております仕事というのは、もう五十二年間続いてきたわけなんです。住民サービス、年金に関係します住民サービスは、これも定着をしていまして、住民からするならば、市役所へ行っていろいろなサービスを受けることができるというので、欠くことのできないサービスのネットワークが張られているわけですね。そのことは、市町村が言うならば携わっておりまして、市町村の窓口を中心に携わっていますが、この人たちが全国で一万二千人おります。それで、そういう五十二年間も続けてきましたサービス、携わっていました地方事務官という方のこの仕事を含めまして、全部中央へ吸い上げようというわけです。地方事務官を国家公務員にしまして、これは彼らは、今の地方事務官は、国へ行くんじゃなくて都道府県の職員になりたい、こう言っているわけですが、そういうことなんです。  ということになれば、サービスもダウンをするわ、携わっている皆さん方の言うならば希望にも沿っていないわ。しかも今、社会保険庁のオンラインシステムが、各市町村でコンピューター化されています。ほとんど一〇〇%ですが、コンピューター化されております住基台帳で把握ができる。言うならば、二十、成人になった人を把握するだとか、あるいは移動された場合どうするだとかというような事務の基礎データは、市町村のその提供があって成り立っているのを、これをもうカットすることになってしまうものですから、社会保険庁は、中央のセンターだけじゃ情報管理が非常に不十分なので、その不足部分を、医療保険ですか、そのデータを活用することによってどうにかつじつまを合わせて運転をする、こういうことなんですよね。どう考えても、これは分権思想に逆行する問題だと思います。  そこで、御本人たちが、一万三千六百二十四人ですか、該当者が社会保険の関係だけでもおみえなんですが、この皆さん方が、都道府県の職員になりたいということで皆署名をとって実は私どものところへ届けてくれました。きょう、皆さんにその意向を伝えるために私がここで質問をしますよと言ったら、私たちの決意を伝えたいというので届けてくれました。これは厚生大臣ですか、厚生省社会保険庁お見えなんですが、ちょっとお見せいたしますけれども、我が党に届けてくれました。  ここに自分の印鑑を押して、職員の身分を都道府県の職員とすることを求める署名ということで、きちっと判こを押して名前を書いてくれました。九八・九%の皆さんが届けてくれましたので、ごらんをいただきたいと思うんですが、それでもなお、地方分権促進をやらなければならないのに、中央集権、中央に仕事も身分も移管をして持っていくんでしょうか。方針は変わりませんか。
  101. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今回の地方分権におきましては、国と地方公共団体がそれぞれの役割に応じまして事務分担をするということが責任の所在を明確にするということでございまして、地方分権の本旨に資するものであると我々は考えております。地方分権推進委員会第三次勧告においても、そのようなことが述べられております。  ところで、今委員の御指摘でございますが、この地方事務官というのは一般の方に非常にわかりにくい概念だと思いますので、ちょっと申し上げておきますと、社会保険庁の国の保険事務をやるのは、主として社会保険事務所です。これが一万六千五百人くらいいらっしゃいますが、この方々の身分というのは国家公務員なんですね。それは、地方自治法が二十二年につくられたときに、暫定的に国家公務員とするという規定に基づきまして、現在、国家公務員で地方事務官という名前を冠せられておるわけですね。六つばかり職種がありましたが、今残っておるのは、私どもの厚生年金と職安の関係でございます。  そういうことでございますが、その実態はどうかといいますと、国家公務員として採用されます。国家公務員法の適用があります。懲戒その他も国家公務員法と同じでございます。それからまた、事務所も国有財産でございます。  そういったもろもろの実態はすべて国家公務員でございまして、それでは、なぜ地方事務官かと申しますと、都道府県知事の指揮監督権限だけ残されておりますが、国の業務で保険事務であるという実態からして、ほとんど指揮監督権は有名無実と言うと言い過ぎかもしれませんが、そんな状況でございます。  この職員の数は、国家公務員の総定員法には入っておりませんが、国家公務員として仕分けされておりますから、国家公務員の定数であることは間違いありません。したがって、今地方事務官を廃止いたしまして国家公務員としても、中央集権化を図るというような御指摘はまず当たらないということがございます。  それから、住民サービス等の点でございますが、厚生年金の方は、主として企業が対象でございますから、企業とのやりとりで、社会保険事務所三百十二ありますが、ほとんど完結的にこれは処理できます。  問題は国民年金でございまして、これが地域住民の移動その他によって変動がございますから、住民基本台帳を持っておる市町村にお願いをしておるということでございまして、この事務は、非常に機械的なものと言っては失礼ですが、そういうものに限定させていただいております。今までは保険料の納付を印紙の納付でやっておりましたが、今度は銀行あるいは郵便局で直接本人が納付できますから、そういう手間も全部省かれます。  したがって、これは、住民台帳は全国三千三百にありますから、そこに今度は法定受託事務としてそのことの報告等をお願いするというものにとどまるということでございまして、決して住民サービスがこれによって阻害されるということはございません。  また、従事されている労組の方々がそのような御希望を持っていることも私も重々承知をいたしております。きょう名簿も持ってきていただきましたので、これはもう拝見いたしましたが、しかしながら、これは地方分権推進委員会におきましても議論されまして、この労働組合等の団体の御意向は十分伺う機会を持っております。  なお、第三次の勧告におきまして、その点についても触れておられまして……(伊藤(忠)委員「簡単にしてください」と呼ぶ)はい。地方事務官制度は暫定的な制度だ、とはいえ、過去五十年、今先生のおっしゃるとおりですが、過去五十年にわたって継続してきたことにかんがみて、これを廃止するに当たって、職員の処遇等について十分配慮が必要である旨の付記がされております。  私どもも、ほとんど実態は変わりないと存じますけれども、国家公務員として、今度国の固有事務となれば、それを担う職員でございますから、その処遇等は十分この勧告どおり対応してまいるつもりでございますので、決して今従事されている組合の皆さん方あるいは職員の皆さん方に御迷惑のかかる話ではないのではないかなという判断が、私どもの判断でございます。
  102. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 なるべく簡単にお願いをしたいんですけれどもね。  私は、職員の話を何か一番前面に出して話をしておるんじゃないのですよ。つまり、住民サービスの立場に立ったら、社会保険庁そのものが、厚生省の本体でなくともやれる仕事なんですよ、極端に申し上げれば。これは執行事務ですもの、はっきり言って。政策とか企画の大きな部分には入りませんよ、はっきり言って。だから、保険庁は、決めた政策を実際に実行してくれればいい実行部門ですよ。極端に言うたら、第三セクターでいいんですよ。大きな絵をかけば、そういうものですよ。  であるけれども、その中で、具体的には仕事をされていまして、一人一人の職員の皆さんは身分の関係がございますよね。だから、それをどのように地方分権の流れの一環として解決していくかということならわかる。にもかかわらず、その部分を国の直接事務で、引き抜いてというか、上に集約するわけでしょう。だから、そのことに従って、地方事務官という位置づけの皆さんは厚生省の国家公務員になるわけでしょう。  そのことによって市民の皆さん、住民の皆さんはどうなるかというと、つまり、サービスの中身がカットされるじゃないですか、市でやってきた独自のサービスは要りませんというんですから。事前の、こういう年金制度がございまっせという宣伝、それから適齢者の把握の問題、勧誘の問題だとか免除処理の問題だとか年金相談だとか、いろいろなものがあったと思うんですよ。だから、市役所あるいは役場を窓口にしまして、一万二千人、全国でそういう人たちが携わってきまして、言うならばいろいろなサービスに従事をしていたんですよね。そういうものはもう要りませんというわけですよ。だから、この分だけでもサービスがカットされるじゃないですか。では、年金相談どこへ行くんだといったら、役場へ行ったって、役場はそのことをやってくれませんから、これからは社会保険事務所ですか、そちらまで足を運ばなきゃいかぬじゃないですか。  しかも、これが公務員になることによって、都道府県庁内で仕事をしていた平均して三十人から六十人の地方事務官の皆さんは、庁外へ出ないかぬわけですよ。県庁のビルから外へ出るんですよ。そうしたら、新しい事務所を確保しなきゃいかぬじゃないですか。そのためのお金がかかるじゃないですか。何でそんな余分なことをやるんです。最悪でも現状のままでやっていけるじゃないですか。なぜそれを、今回、行革だということを契機にしまして逆のことをやるのか。このことが一番私は問題だと思っていますので、それは絶対に納得できないと思いますよ、私は。  もう一つ聞いてください。  それから、住基台帳を活用してきました、情報のデータとして。しかし、市町村に今回の切りかえによって協力を求めることができないということでもって、医療保険者情報ですか、これは厚生省の中にあるデータだと思いますが、それを活用するというんです。これは大変問題じゃないですか。そんなことがやられていったら、個人情報保護法というのがあるのを私は知っていますけれども、各省の責任者がこれは必要だなと思ったら、総務庁のコンピューターネットワークを、そのデータを借りるということもできるんですよ。そんなふうにしてやっていったら、大変これは問題だと思うのです。そういうことが全然整理をされていない中で、便宜主義に走ってまで、どうしてそういうことをやってまで中央に集権をしていくのか、このことが大変問題でございます。  だから、私たちとしては、これは取り下げていただきたい。この部分については取り下げていただきたい、このことを要求いたします。簡単に言ってください。
  103. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 簡単にということでございますが、今の御質問はちょっと誤解もあるように思われますので、その点の釈明だけはさせていただきます。  つまり、社会保険事務所で扱っているのは、厚生年金と船員保険とそれから政管健保でございます。国民年金の系統もございます。しかるところ、国民年金のことについて今おっしゃられたように思われますが、多くの厚生年金等は企業とのやりとりでございます。政管健保も企業とのやりとりでございますから、市町村に迷惑をかけることなく、それが極めて効率的に処理されております。  国民年金につきましては、これは企業年金であった人がリタイアして国民年金になる、そういう住民の移動と関係がございますから、これは今度は法定受託事務として、今まで機関委任事務お願いしておりましたが、その報告等だけをお願いするということでございますから、本体の多くの厚生年金の問題等々は社会保険事務所で処理されておりまして、今までもそうですし、今後もその点は変わりございません。  それからもう一つの点は、確かに県庁内に課があります。課がありますが、これは今度の改革によりまして統合いたしまして、いろいろ私どもでいいますと医務局というのもありますし、検疫所等もありますから、それらを合同して、そして合理化をして一つの単位の地方機関にしようということとセットでやっておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。  それから、住民台帳でその移動を報告していただくわけですが、ただ、この国民保険、国保ですね。国保の方は、これは加入率が非常に高いのです。つまり、国保に入っていなければ、医療を受けると自費の請求を受けますから、これは非常に加入率が高いので、そういった情報を基礎にして、国保で加入されておる方々の捕捉率は非常に高いですから、それらに準拠して国民年金の方もお願いするということは、決してプライバシーその他に関係することではないと私どもは考えております。  先生のおっしゃられるように、何で今やっているのに機能を変えるかということですが、全体として、今回のこういう抜本的な改革の際に、今まで暫定的に地方事務官とし、国家公務員とするということは地方自治法上書かれているわけですから、それを明確にするということで、この厚生省の問題と労働省の職安関係の二つだけが残っておりますから、これを今回明確にしたということでございます。
  104. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 答弁は簡単にしてください。  この計画中身は私どもも勉強しているんです、それなりに。言われていることはみんなわかった上で言っているんですよ。ですから、なるべくまとめて問題点を出しているわけです。細かいことを議論するんだったら一時間ぐらいかかりますよ、これだけでも。お願いします。お互いに持ち時間があって、その中でやっているわけですから。  ただ、伺いますが、五十二年間も今日までやってきたじゃないですか。いろいろな問題があったけれども、それは現状がいいだろうということでやってきて、今回の行政改革をやる。これを契機にして分権を促進せないかぬのに、何でそれを中央に召し上げるんですか。そのことがおかしい。まあ、いいです、私たちの主張ですから。  だから、この部分については、最低でも現状維持、このことを強く私は要求をさせていただきます。(発言する者あり)まあ、いいです。次に行きます。  それから次に、情報管理のことで、これは官房長官だと思いますが、いろいろ私どもも勉強させていただきました。それで今、住基法の問題が地方行政委員会議論されていますね。あの問題も、実は、これは省内システムなんですが、住基法は法律で初めてあれをつくるというわけですよ。これまで個別のコンピューターネットワークシステムを法律で決めてきたというのはないのです。それは僕も説明で聞かせてもらっています。法律で決めることを否定しているのじゃないのです。  問題なのは、一〇〇%に近い、三千三百になんなんとする自治体、市町村で住民基本台帳というのはほとんどコンピューター化されているわけです。これを活用しまして、県で集約をし、それで中央では大型の言うならばコンピューターセンターを設けて、ネットワークを形成するというのです。  中に入れていくのは、統一のコード番号を引いて、氏名と生年月日と基礎的なデータの何項目かに絞っておるのですよ。だから、それはいいんだ、心配御無用というようなことを言っているのですが、つまり、一般の方が、我々もそうですが、これは背番号制に通ずる道だし、それからプライバシーの保護からいって問題があるということを強力に主張していますのは、考えれば、これは、それを管理する皆さんにはメリットがあっても、利用する側にはほとんどメリットがないのです。キャッシュカードだとかクレジットカードというのは時々犯罪が起こりますが、しかしあれは利用者にメリットがあるから、皆さんそのことは問題にしつつも、あのサービスは続いているじゃないですか。  今回の場合には、それをやることによって何のメリットがあるのかといったら、そんなこと、ニーズ、要求している人というのはほとんどだれもいない。それは、中央の自治省がこれでメリットがあると思ったからやり出したわけですから、発想はそこなものですから、まず、言うならば情報ネットワークそのものに実は問題がある。  しかも、こういう問題というのはばらばらにやられております。我が政府内の、省庁内のコンピューターネットワークというのは、それぞれが決めまして、執行業務の省力化の一環というのか、情報収集に便利だからというのか、やられておるわけです。  ところが、それを一括しまして、我が国の政府として情報管理をどうするかということの情報基本法もなければ、それから、民間の陰の部分をどのように権利侵害をおさめるのか、情報犯罪を防いでいくのかというようなことも含めました全体の言うならば政策、そういう情報管理システム、そういう組織もないのですね。  だから、この際、そのことをきちっとまずやっていただいて、そして、こういう安直なと言ったら失礼ですが、そのままでほうっておいたって何の不便もない、にもかかわらず何で中央が、言うならば建設費だけでも四百億、ランニングコストで二百億でございます。社保庁のシステムだって、これは大学を持っておるのですよ、研修センターで、OJTの一環として。その広さは、聞きましたら千葉の印旛ですか、小学校ぐらいの大きさのところに、これは宿舎もありますし、先生も置かなければいかぬし、OJTのシステムとしては随分経費がかかるのです。  そんなことを各省がやっていくことが果たして行革に通ずるのかということだってありますから、私が最後に申し上げたいのは、そういうものを自治省じゃなくて、これは官邸内閣府というのですか、そこに組織をきちっとつくっていただいて、そういうものを、国家としての言うならば政策と責任、情報公開含めまして法律もきちっとつくるというようなことが整理されない間は、こういう個別のネットワークでどんどんやるということは要らぬ誤解を受けますので、私は、これはやめた方がよろしい、このことを主張したいと思います。
  105. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ちょっと伊藤委員に申し上げますが、本委員会地方分権法の問題と中央省庁法案を主として御審議をいただくために審議をしていると思ったのですが、今御指摘になった住民基本台帳法の改正の法案は、別途、今国会地方行政委員会で長い時間をかけて真摯な議論が現に行われておる最中でございます。  その点で、住民基本台帳に関するお話が今いろいろありましたが、時間がありませんから詳しくは申し上げることができませんが、少なくとも、これだけの高度情報化社会が進んでいく中で、せめて本人の住所、氏名、そして性別と生年月日、それから住民票のコードナンバー、これくらいはしておかないと、出張先等々、移転先において一々住民票を取り寄せるということを、住民の利便のためにやろうという発想があったから始まった話であって、この議論について、私の方も議論するなら堂々とさせていただきたいと思います。私は、場が違うと思います。  ですから、ここは、委員長さん、本当にここでおやりになるのならそれで結構でございます。一方的な物の言い方は断じて受けるわけにいきません。
  106. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 興奮してしゃべらないでくださいよ。私は冷静に言っているんですから。  つまり、言うならば個別システムごとにやっていったのでは、国の情報管理としてこれは行き届かないことになりますよということなんですよ、私の言っているのは。とりわけ、日本にはそういうものがまだできていないじゃないですか。だから、政府として責任のあるところで、その点をきちっと体制として仕切らなきゃいけませんよということを中心に言っているわけですよ。だから、一省庁の住基台帳のコンピューターネットワークシステムというものだけを先行させると、これは大変つじつまの合わないように必ずなっていきます。  それから、省庁内の個別データシステムも、皆知っていますか、情報公開で当然明らかになるわけですが、どれだけシステムがあるかというのは本当に聞いてみなきゃわかりませんよ。大変なお金がかかっているんですよ。だから、そういうものも一元的にどう整理をするかというのを行革の視点でやっていくべきだと僕は言っておるのに、どうですか、あなた。
  107. 高鳥修

    ○高鳥委員長 今の問題については、別の機会に御議論願います。別の機会に御議論願います。伊藤さん、もうそれで打ち切ってください。  どうぞ。
  108. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 一元的な管理を否定されるんですか。次元をずらさないでくださいよ。
  109. 高鳥修

    ○高鳥委員長 では、簡潔にお願いします。
  110. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 ですから、今御指摘のとおり、各省庁、例えば運転免許であれ、あるいは社会保険の番号であれ、国税庁は国税庁の番号なり、やっているわけでしょう。したがって、この住民基本台帳というものを基本にして、それを直ちに、例えば納税者番号という形に結びつけるというようなことになると、お話のとおり、いろいろな問題もあるでしょう。だから、そういうことにはつながらないが、そういうことで利用しようというなら、改めて特別の法律的な措置をした上でつなぐということにしてあるわけですよ。  そういう意味で、一括管理はさせないが、そういう共通コード番号を活用して、事務を国、地方を通じてより効率化させる一つのステップに使うことはできるじゃないですか、そのことによって行政コストを削減することができるじゃないですか、そのことをぜひこの機会に申し上げておきたいと思います。
  111. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 一言で終わりますが、大臣の言われることを何ぼ聞いても、だから、何ではしょるんですか、こんなに意見が分かれている中でなぜそういうふうに突っ走らなければいけないんですか、前提をもっと整理してからやったって遅くないじゃないのか、このことを私は言っているんですから、大分違いますよ、それは。大分違います。やはり所管大臣ですから相当頭にきていますけれども、それは絶対に違う。  だから、これは官房長官からむしろ聞きたかったんです。責任ある立場で、ここで整理してもらわないと、官房長官は情報問題に詳しいんですよ、だからここできちっと整理してもらわないと、禍根を残すことになります。私はこのことをはっきり申し上げて、終わります。
  112. 高鳥修

    ○高鳥委員長 この際、小林守君から関連質疑の申し出があります。岩國君の持ち時間の範囲内においてこれを許可します。小林守君。
  113. 小林守

    ○小林(守)委員 民主党の小林守です。  行政改革特別委員会の中で、地方分権並びに中央省庁改革の論議がされておりますけれども、私は、地方自治体出身の議員として、また地方議会地方行政委員会、さらには自治省における自治政務次官の経験を踏まえて、地方分権の一括法案について、大変思い入れの深い法案でございます。現在官房長官であられる野中自治大臣のときに、御指導いただきながら、この分権法案を一生懸命実現するために取り組んできたことが、きのうのように思い出されるわけであります。  その時点における地方分権に対する思い、先ほど来それぞれの議員さんの中からも指摘がありましたように、明治維新以来の第三の改革に匹敵する、まさに日本の二十一世紀を切り開いていく大改革である。そして、当然のことながら、中央省庁改革、行財政改革も含めて、私は、基本的に地方分権改革を基軸にして日本の国の姿をつくりかえていく、それがとりもなおさず行政改革の本来の姿であろう、このように考えてまいりました。  中央から地方へ、そして官から民へ、市場へ、まさに縦横軸においての分権、開放の取り組みが、二十一世紀を迎える日本の新しい政治、行政社会のシステムではないか、このように考えてきたわけであります。  しかし、今日提案された分権一括法案については、もちろん膨大な関係法律を取りまとめて出すわけでありますし、地方分権推進法が時限立法であり、残すところ、あと一年とわずかというような状況の中で、今回の法律は、国と地方団体との関係のあり方、いわゆる機関委任事務の問題を中心にした改革であろう。関与の問題も入っておりますし、また、その受け皿となるべき地方団体の行政体制整備の問題も触れられておりますけれども、基本的には私は、機関委任事務廃止が今回の一括法案の基軸であろう、このように考えているところであります。  そういう観点から見るならば、大変わかりにくいというか、地方分権が進んでいくんだということなんですけれども、地方分権の三つの課題、いわゆる権限と財源と人材、そういう観点からするならば、今回の法案では、まさに権限はほんのわずか、そして財源についてはほとんど触れられていない、こういうことになるわけであります。  そういう点で、極めて入り口の、出発点の法案ではないか、このように考えるわけですし、国民全体から見るならば、よくわからない。そして、分権に対する盛り上がりもいま一つ上がってこない。これは、とりもなおさず国と地方公共団体の行政制度の問題の改革であるから、なかなかわかりづらい面があるんだろう、このように思うんです。  地方分権推進計画が昨年の五月に閣議決定されております。それに基づいてプログラムを組んで、スケジュールにのっとって分権はこれから大きく展開をしていくものと期待をするわけでありますけれども、まず最初に、そういう点に立って、今回の分権一括法の意義はどこにあるのか、そして、この分権改革の一括法は分権改革の出発点と位置づけられているのかどうか、このことによってこれから国や地方団体はどう変わっていくのか、そして県庁や我が町の役所や役場はどう変わるのか、さらに、それが住民にとってどういう関係になってくるのか、国民には何が求められ期待されているのか、こういう観点から、国民にとっての地方分権とは何なのかということを、できる限りわかりやすい姿で訴えていかなければならないんだろう、このように考えます。  そこで、まず総理から、この分権改革についての視点、理念等についてお聞きしたいと思います。
  114. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、基本的な点につきまして申し上げ、具体的によくわかりやすいということでありまして、これは担当大臣から御答弁させていただきたいと思います。  言うまでもありませんが、今回の分権一括法は、我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形成してきたと言われております機関委任事務制度の廃止や国の関与のあり方の見直し等、抜本的な改革を行うものでありまして、国、都道府県、市町村という縦の関係を変革いたしまして、対等、協力の横の関係を構築しようというものに尽きると思います。このことによりまして、地方公共団体が地域の実情やニーズに合った個性的で多様な行政を展開できるようになり、住民にとりましても、また自分たちの意向が行政により反映されやすくなるというメリットがあるものと考えております。  同時に、地方分権は、地域における自己決定、自己責任の行政システムを構築するものでありまして、住民自治の観点からも、住民が行政に責任を持って参画することができると期待をされるものと考えております。  その結果どういう姿になるかということにつきましては、関係の大臣から御説明をさせていただければありがたいと思います。
  115. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今総理から基本的に地方分権の意義について御答弁申し上げたとおりです。  そこで、この地方自治、本当に地域のことを地域の自己責任においてやっていただこう、身近なことは地方において行う、国の存立にかかわることは国がやるんだ、そういう意味で、国と地方役割分担に基づいてやっていこう、この基本スタンスを今回、御指摘のとおり、まさに機関委任事務というのは、国が地方を国の下請機関と位置づけてやる行政システムでございました。これを根本的になくするということによって、国と地方の関係を、そういう上下の関係から横の関係、言うならば対等、協力の関係に移しかえていこう、こういうことでありまして、それを実際に担保していくための権限移譲その他の事柄をこの法案に決めておるということでございます。  このことは、単に国と地方の関係のみならず、言うなら住民自治のあり方、意識の変革をも実は要請する面もあるわけでありまして、自己責任、みずからの責任において自主的に決定していく、自律性を持ってやっていこうということによって初めて、本当の意味での地域の主権なり、そういったことが誕生していく。それをやっていくためには、当然のことながら、今回の法案だけですべて完成するものではございませんで、それをバックアップする財政的な側面もこれからも引き続いて対応していかなければならないというふうに考えております。
  116. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、財政的な今後の分権を担保する意味での財政、財源の移譲についてどのような構想を持って進められるのか、この辺、お聞きしたいと思います。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点はけさほども申し上げたところでございますが、今年度の予算を編成いたしましたときに非常に強く感じましたのは、国の財政もそうでございますけれども、地方財政が非常に悪い状況に、しかも今までと違った悪い状況、大きな県、富裕県等々について起こり始めたことであります。御承知のように、大蔵省と自治省というのは、よくいろいろなやりとりをする役所でございますが、今度はそのやりとりを超えまして、これはとてもこのままではどうもならぬという感じがいたしました。  それで、自治省、地方財政につきましてもふだんと違ったことをいろいろお願いを申し上げたわけですが、この状況は、しかし、今の経済状況が変わりませんと、国と同じように地方もそういう道を続けていかなければならないと思いますので、けさも申し上げましたが、日本の経済成長が正常なルートに返りましたできるだけ早い機会に根本的な財政改革を必要としますのは、中央ばかりではありませんで、地方もそうであると思います。  そのときには、中央と地方の間の税源の再配分と申しますか、再検討というものが必ず必要になる、そうならざるを得ないように思いますので、今どうするかということを申し上げませんが、そのときにはどうしても御指摘の問題に取り組まなければならないというふうに今から考えております。
  118. 小林守

    ○小林(守)委員 分権の問題と国、地方を含めた財政危機の問題は、これはレベルの違う問題だというふうに思うんです。そういう点で、これは自治大臣答弁を求めたいと思います。
  119. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 今、大局的に大蔵大臣から御答弁申し上げたわけでございます。  今の国、地方、財政状況はお互いともに下手をすれば共倒れになりかねない状況にございます。そういう中で、基本的に財政を支えるのは税でございます。その税を生み出すのは経済であります。そういう意味で、経済の成長がある程度ノーマルな姿になって、その中で、現在の法人系統なり個人の系統なり、あるいは間接税の系統なり、ノーマルな二%程度の経済成長になったときにどの程度の税収がそれぞれ発生してくるだろうかということをある程度念頭に置いた上で国と地方の税源配分の話に入らなければ、今の本当に落ち込んだ異常な状況の中で配分問題をやっても、これは必ず後になって見直さなければなりません。  それよりか、特にことしの場合は、そういう中でなおかつ、法人税について交付税率を引き上げる、あるいはたばこについての国、地方の財源移譲をしていただいた、そういう中で、地方の一般財源だけは、こういう中ではあっても、昨年に比べて絶対に落とすわけにいかないというだけの手当てはしたというのが本年の状況でございます。  この後、見直しに当たって、国、地方の税源の移譲もさることながら、地方税が一番の根幹になるわけでありますが、その際には、少なくとも税源がある程度普遍性がなきゃ困るし、それから、税収が景気変動に対してある程度安定的なものでなければ困る。それはやはり、地方行政事務が、余り景気とは関係のない、コンスタントな事務を要求するという性質もございます。  そういったことを念頭に置いて地方税を仕組んでも、なおかつ地域間の格差というものが当然伴ってくるわけでありますから、そういう意味で、一般財源を強化する意味での交付税という財源調整の仕組みも、もう一方でどうしてもこれは必要だろう。内容においては、見直すことは当然であります。なおかつまた、国庫補助負担金のあり方についても、できるだけこれを一般財源化していけるような形にこれからも努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  120. 小林守

    ○小林(守)委員 財源、権限、人材も含めて地方へのシフトがえを進めていく、こういうことが分権のかなめになるんだろう、ワンパッケージで本来進めなければならないというふうに思います。また、今回の一括法では、それがないために非常に自治体にとってどう変わるのかというところが見えてこないんではないかな、このように思います。  ただ、大事なことは、機関委任事務廃止になって、国の包括的な指揮監督権が廃止されるということを、これは相当しっかりと受けとめる必要があるんではないかな、このように思います。先ほど総理の御答弁の中で、いわゆる機関委任事務廃止して、従来の上下主従の関係から対等、協力の横の関係をつくっていくんだというようなお話がございました。  これは極めて大事なことだと思いますので確認いたしますが、この分権一括法の基本的な提案理由の説明をいただきました。これは、出された提案理由の説明なんですが、国と地方の新しい関係を築くというふうに書いてあります。それから、午前中の西川議員の質問にも、新しい横の関係を築くんだという言葉でした。今回初めて、しっかりと、対等協力の関係なんだというふうに触れられました。  私は、ちょっと心配していたのは、第一次勧告とか地方分権推進計画が閣議決定した中では、しっかりと、縦と横の軸の中で要は対等、協力の関係をつくっていくことなんだ、機関委任事務廃止することはまさにそういうことをつくることなんだというところを強く出しているんですが、今回の説明の中ではそれが抜けてきております。  きのう来の議論の中で、例えば自治事務に対する是正要求、改善措置義務化の問題、さらには自治事務に対する代執行、これは極力避けろと言っていますけれども、代執行があるんですね。もちろんのことながら法定受託事務については代執行もあるわけですけれども、先ほど岩國議員がパネルで示したとおり、法定事務に対する是正措置の中にもやはりその影が残っているのではないか、ここは削除したらどうだという御指摘があったと思います。私も、現実に影が残っているのではないかなと思えてなりません。  そして、国と地方との関係の中で、国の地方に対する不信感、何をやらかすかわからぬじゃないか、違法な状態だってまかり通っているところがあるじゃないか、本当に任せていいのかというような私は不信感が根強く色濃く残っているのではないか。確かに個別的にそういう事例が全くないとは言えないと思うんですけれども、しかし、分権の時代、何のための分権かといったら、先ほどのお話にあったように、住民の、市民の自己決定、そして自己責任という形になるならば、私は、そういう問題は地方議会の中で、地方政治の中で、市民自治の中で克服していくべき問題なんだろう、このように考えます。  それを待たずに、直接措置請求をするとか代執行してしまうとか、そういう制度を残したことについて、極めて残念ですし、国と地方との対等、協力の関係からするならば、私は、本質的な大改革にはならない、リフォームのための改善措置にすぎない分権改革ではないか、このように思えてなりません。  実は、前回予算委員会で、私は非核証明の問題で議論をさせていただきました。そのときに、野田自治大臣が気になることをおっしゃっておりました。外交権と自治権の問題で、確かに外交権の問題についてはこういう考え方は成り立つと思うんですけれども、例えば、国の施政権の問題で、「地方自治体といえども国の施政権の範囲の中にあることは当然のことでありまして」、そこで言う施政権ですね。地方行政権それから外交権を含む、外交権は国の専管事項だと思うんですが、ここで言っている国の施政権の範囲内という意味での施政権という中には、私は、地方行政権も国の施政権なんだよ、このように考えているというふうに思えてならないんですよ。  きょう突然の指摘なんですが、この施政権の中に、地方行政権に対するものも国の行政権の範囲なんだという考え方、これが整理されずに残っているのではないか、私はこのように思えてなりませんので、そこをお聞きしたいと思います。
  121. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 私が予算委員会で施政権という言葉を使ったのは、あるいは法制局長官から吟味していただかなければならぬかと思いますが、ただ少なくとも、施政権というのは、私の感覚では、政治家としては、統治権と同じような意味に考えてもおりました。それは、沖縄返還のときに施政権返還という言葉が長年使われていたということもございました。  そういう意味で、日本国の統治権というのは日本国憲法に基づいて規定をされるわけでありますが、その中で、地方自治において具体的にそれをどのように達成していくかということは、地方自治の本旨に基づいて、法律に基づいて、それぞれ行われていくわけでありますということを申し上げたのであって、少なくとも、国と地方役割分担というものは法律に基づいて行われていかなければなりませんが、その中で、国の存立にかかわる大事な問題は、明らかに国の一番大事な責任分野の一つであります。そういう意味で、住民自治に帰すべき範囲のものではないのではないか、この点は明らかになっていることだ、私はそう理解をいたしております。  そういう意味で、条例において、港湾管理の権限を有する知事さんがその権限行使においてどういうふうな内容のことをおやりになるか、それは明らかに、国の外交権に制約を及ぼさない範囲の中での港湾管理者としての権限の範囲において行使されるものであるという意味で申し上げたわけで、そういう意味で、非常に大事なことは、国と地方の関係を敵対的にとらえるのではなくて、まさに住民福祉のために、国民福祉のために、国と地方が相協力、共同してどういう役割や分担をしてやっていくのかということが一番大事なことだ、私はそのように考えております。  その意味で、今回、御指摘のとおり、今まで国の機関委任事務ということが規定をされておりました。これは、地方公共団体の機関を国の下部機関として構成をして、そして包括的な指揮監督権というもので、必ずしも法律とかそういう法令に基づかない通達等々の世界の中で関与してきたというものを、今回の法改正によってそういう機関委任事務というものはなくするんです、仮に法定受託事務という中であっても、そのような包括的な指揮権はもうないんです、そして、国が、今御指摘の是正の要求とかいろいろなことがございますが、そういうことをやったとしても、それに対して、これからは新たに国と地方の間のいわゆる係争処理システムを導入して、その中で、客観的な判断の中で適正な処理が行われるようにしていきましょう、そういう意味で、国が地方に関与する場合も、あるいは法律に基づき、ルールに基づいてやっていきましょうということになったわけでございます。  さらにもう一つ、ごめんなさい、長くなって恐縮ですが、地方議会の条例の制定権も、従来は国の機関委任事務には条例制定権は及びませんでした。しかし、その条例制定権も、従来国の機関委任事務とされていた事項に対してまで及ぶんだというふうに今回の法改正でなっているわけでありますから、私は、従来よりもはるかに前進をしているということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  122. 小林守

    ○小林(守)委員 そこで、また施政権の問題にちょっとかかわるんですけれども、実は、平成八年の十二月六日、衆議院予算委員会において、我が党代表の菅直人氏が極めて重大な質問をされ、内閣法制局長官答弁をされております。いわゆる憲法の第五章、内閣のところで、六十五条、極めて単純明快なことなんですが、「行政権は、内閣に属する。」このようになっております。そして、その隣に、同じ憲法の第八章、地方自治の九十四条、地方公共団体の権能とか、法律の範囲内で条例を制定することができる。今大臣のおっしゃられた、法律の範囲内で、自治体は自主性、自立性を持って住民の総合的な福祉向上のための施策を展開してほしい、できるんですよということなんだろうというふうに思うんですが、この「行政権は、内閣に属する。」という問題の中で、地方自治との関係の中で、菅直人代表の質問に対して、大森内閣法制局長官は、このように答弁しております。  日本国憲法は、第八章で地方自治の原則を明文で認めている、そして九十四条の規定で地方公共団体の行政執行権は憲法上保障されている、第六十五条の「行政権は、内閣に属する。」という意味は、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関としては内閣である、それが三権分立の一翼を担うという意味に解されているということで答弁されております。  この質問の流れというのは、いわゆる国会、立法機関、立法府と行政府との関係の中での議論の流れの中で出てきたんですが、地方行政との関係の中でも、行政権について、内閣に属するというんだけれども、これは政府、中央政府と言ってもいいと思うんです、これは、内閣にすべての行政権があるというんじゃなくて、地方行政執行権については除かれているんですよということなんですね。  ここに私は、全く、国の行政権と地方行政権の独立性というか、もちろん国としては一体のものだと思うんですが、しかし、法律の範囲内でできるという条例制定権が認められています。そして、この六十五条の解釈では、地方行政執行権は除かれるのが六十五条の内閣行政権なんだということを踏まえて、それぞれの皆さんが考えなきゃいけないんだろう、このように思えてなりません。  特に、その経過の中で地方分権論を議論するときに、すべての行政、つまりは自治体も含めてすべての行政権を一たん内閣に全部、この考え方に立って、すべての行政権は内閣にあるというふうに皆さん考えてしまって、それを分け与えるような認識、これがまだまだ色濃く残っているのではないか。そうではなくて、憲法ではもう分かれているんですよ。  ところが、なかなかこの分かれているということを認識できない仕組みがあった。その仕組みは何かというと、機関委任事務だったんだと思うんです。そのことを明確に理解させない仕組みが機関委任事務だったんですね。それをきちっとなくしていかなければならないというのが対等、協力の関係をつくっていくということなんですね。それでいいですね。確認します。
  123. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的に、小林委員の今の御説明、私も了解をいたします。本当に、一番大事な本質にかかわる部分だと思っています。  ただ、若干補足して言いますと、国会我が国唯一の立法府であり、国権の最高機関でございます。そういう意味で、先ほど代執行等についての御言及がございました、できるだけというのは。それは、すなわち国会における立法権限というもの、それを、一つの法律で他の法律を規制ができるかどうかという、憲法と法律との関係でなくて、法律法律の関係、そういう中で法律の規定の仕方という、多少そういう側面もあるということがあったということは、この機会に追加して申し上げておきたいと思います。
  124. 小林守

    ○小林(守)委員 今回の地方分権一括法の中で、先ほどの「行政権は、内閣に属する。」の理解をしっかりと踏まえていくならば、しかし、国と地方との行政権の関係で対等、協力の関係であるという立場に立つならば、少なくとも機関委任事務をやめて自治事務と法定受託事務に分けた、直接執行事務に分けた、そういうことであるならば、私は、少なくとも自治事務に対して、是正措置要求とか義務化とか代執行というものが残るようなことがあってはならない、このように思います。  法定受託事務はやむを得ないというふうに思いますけれども、自治事務という形を残したからには、しかも分権の推進委員会の勧告などでは、自治事務は八割、法定受託事務は二割ぐらいだろう、そういうような当初の考え方が、いつの間にか、省庁の厳しい、激しい抵抗によって五五対四五ぐらいの比率になってしまっている。しかし、法定受託事務に残されたものについても、これからよく見直していく過程の中では、これはもう自治事務でもいいじゃないかということが必ず私は出てくると思います。  それらもしっかりと踏まえて考えるならば、自治事務に対する国の関与のあり方、これはもう先ほど来いろいろな方が指摘しておりますけれども、逆行ではないのか、むしろ強化されたのではないか、私はこのように言わざるを得ないのですけれども、いかがですか。
  125. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、本来、地方団体が行うべき自治事務に関して、まず基本的に自主的に決定されるべきことであるし、是正すべきときには、人から言われる前にまず自主的に是正されるべきことは当然のことだと思います。  しかし、そのような形での是正がなされないで、その結果、その自治体の行財政の運営が混乱をしたり停滞をしたり著しい支障が生じているような場合には、これを放置していいんだろうか。そういうわけにいくまい。したがって、何らかの形で国が適正、円滑な行財政運営を維持するための実効性のある措置をぜひお願いをしたい。  その場合に、問題は、この是正の要求という、今回新たに設けられたわけでありますけれども、これはそういう意味で、いわゆる法定受託事務に対する関与ではなくて自治事務に対する関与であるということを考慮して、その是正、改善の具体的な措置内容まで言及することはない。そこは自治体自身の裁量にゆだねるのです。あるいは、そういう意味で必要最小限の関与にとどめよう。問題があると自治体自身がそれについて考えたときには係争処理手続に移行する。この係争処理手続というのは今まではなかった仕組みでございます。  それから、従来、これにかわる措置としてというか、これよりもっと厳しい措置として、先ほど来申し上げておりますが、包括的な指揮監督権というものが別途ございまして、これに基づいて是正措置要求という条項がありました。これは確かに法文上の義務づけの明文化はいたしてはおりませんでしたが、今日まで、その解釈としては、法的な義務が伴っているものだという解釈が実効上なされてきた世界であります。  今回はそれを明文にしたということでありますが、一方で、今まではなかった係争処理手続というものを新たに入れるということ、そして包括的な指揮監督はやりませんよということを自治事務に関して行われたということであります。
  126. 小林守

    ○小林(守)委員 ちょっとその辺が不明確なんですね。  やはり、自治事務で、自治体が責任を持って自己決定でやってくださいというふうに踏み切ったからには、原則、代執行や直接執行、そして是正措置要求の義務化、改善措置の義務化、これについては自治体の責任でやってください。ただし、原則ですから、国は自治事務に対しては原則やらない、関与しない、しかし特別のこういう場合については関与するんだというようなところを、その表示の仕方が、できる限りやるなという話じゃないんだろうというふうに思うんです。  この法文の中でできる限り強権的な国の関与をしてはならぬというふうになっていますよ、それは。できる限りなんというと、これは非常に範囲がわかりづらい。だったらば、原則やらない、そしてこういう場合だけ、具体的な事例だけ、例えば大災害のときに市町村も県も機能ができなくなってしまっている、そのときに国が代執行なり直接執行なりでお手伝いに行くんだ、そういうことであれば、だれもそんなことはやるなとは言いませんよ、それは。特定の場合に限る必要がある。  しかし、住民の利害、考え方の違いが対立しているような問題に対して、違法状態だからといって介入することは地方自治権を侵害するものだ、私はこのように言わざるを得ないし、原則、介入しない、関与しないという立場に立って、これは少なくとも、是正措置の義務化、さらには代執行については削除をすべきである、またはやらないと少なくとも自治事務についてはやるべきだというふうに強く求めたいと思います。
  127. 高鳥修

    ○高鳥委員長 野田自治大臣。時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。
  128. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 率直に言って、自治事務に対する代執行は毛頭考えておりません。(小林(守)委員「本当ですか」と呼ぶ)もちろん考えておりません。その点で、先ほどちょっと申し上げたわけです。  では、なぜできるだけというあいまいな表現が入っているか。それは、代執行というのは地方自治法に基づいて行われるものではなくて、個別の法令に基づいて代執行が行われるということになっているわけです。そうすると、では、地方自治法の改正によって他の法律を規制できるのかという立法技術上の問題もこれあるということにおいてこういう表現になった。代執行というのはあくまで法定受託事務に関する話であって、その法定受託事務に関する代執行であっても、できるだけこれを抑制しなければいけないということでございます。  そういう意味で、今日、自治事務の中で代執行の対象になるような事務はございませんし、今後もないと考えております。
  129. 小林守

    ○小林(守)委員 ありがとうございました。終わります。
  130. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、石垣一夫君の質疑に入ります。
  131. 石垣一夫

    ○石垣委員 公明党・改革クラブの石垣一夫でございます。  私は、まず、本論に入る前に、総理大臣に若干お聞きしたいと思うんです。  今回の中央省庁再編法案並びに地方分権法案は、この国のあり方を問う一つの姿を提案している、このように考えております。それで、総理大臣は、富国有徳の国家を築く、こういう目的を持って、二十一世紀日本の構想ということで、有識者を集められていろいろと勉強なさっておられます。既に三回開催されておると聞いておるんですけれども、我が国の国家像、これを、簡単に言えば、富国有徳という表現をなさっておりますけれども、さらに具体的にその中身について総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  132. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 富国有徳ということはしばしば申し上げておりますように、やはり、物と心のバランスのよい姿というものは、人間におきましても、国家においても、大変大切なことではないかということでございまして、いわば富国というのは、ある意味では経済的基盤というものをしかと持たなければならないと思いますし、一方では、有徳ということは、志といいますか、そういう意味で、精神的なやはり安定というものが望まれるものであります。  いつか話をしたかもしれませんけれども、日本の国の象徴たる富士山、なぜそういう名前がついておるか。富士の富はトミでありまして、と同時に、士というのは志ということで、これはある意味で、日本を代表する山もやはり富国有徳ではないかと実は申し上げておるわけでございます。  そこで、私といたしましても、このことを進めていく上には、やはり二十一世紀の国の形というものもそれなりにお示しをしなければならぬと思っておりましたが、総理大臣に昨年なりまして、改めてこのことを深く認識をいたしまして、でき得べくんば、多くの有識の方にもお考えをお聞きしたいということで、現在、河合隼雄氏を座長といたしまして研究を進めさせていただいております。  ことしの一月の施政方針演説におきまして五つのかけ橋ということを申し上げましたが、これから五つの分科会をつくりまして、それぞれにまた多くの方々の御意見を拝聴しながら、考え方を取りまとめていただきまして、お示しをさせていただければ大変幸甚だ、こう考え努力をいたしておるところでございます。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
  133. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、五つの分科会でそれぞれ有識者が研さんをされている、そういう御意見を承って総理として一つの考え方を示していきたい、こういう御答弁だったわけですね。  私は、我が国のあり方は、国内的には、いわゆる自己責任型社会、こういう方向に進むだろう、このように見ております。また、国際的には、経済市場運営あるいはまた地球環境資源、最近では、会計学まで世界標準の指針を取り入れる、こういうところまで、いわゆる世界標準国家づくりが将来の我が国の目標になるのではないか、このように考えておりますけれども、こうしたグローバルな政策が我が国の国家機構を変えようとしているのではないだろうか、このように私自身は思えてなりません。  そこで、総理としては、今私が申し上げたことに関連して、我が国の将来についてどういう政治哲学を持っておられますか、再度お聞きしたいと思います。
  134. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 自己責任社会ということは当然のことだろうと思いますが、昨今、いわゆるグローバルスタンダードなるものが多く言われておりまして、これをいろいろと突き詰めていきますと、若干、アングロサクソン・スタンダードではないかという評もあります。  したがいまして、もちろん、その中で、自己責任社会というものの上に成り立つ、特に欧米における姿というものは大いに参照をしなければならないことだろうと思いますし、また、あらゆる面におきまして地球が狭くなり、金融を初めといたしまして、経済あるいは文化、各般にわたりましてそうした一つの規範というものを持たないとお仕事もできない、こういう形の上にあることは事実であると思います。  ただ、我が国我が国なりに歴史と伝統があるわけでございますので、我が国なりの生き方あるいはまた進め方というものもおのずとあるだろうと思っておりまして、そういった意味で、今いろいろなお考えが存するとは思いますけれども、日本として、長き伝統に基づくよき点は十分残しつつ、国際社会の中でまた通用するようなものについては、これはできる限り素早く取り入れていくということでなければならぬと思っております。そういう意味で、日本の常識が世界の非常識ということでもいけませんし、世界の常識が日本で非常識ということであってもいけませんので、その間、それぞれの分野におきまして、十分個性ある姿としてやっていかなければならない。  これが第三の道と言われるのか、あるいは日本式というのかわかりませんけれども、世界に学びつつ、日本としてのあるべき姿をつくり上げていく必要があるのではないか、このように考えております。
  135. 石垣一夫

    ○石垣委員 日本のよき伝統を残しつつ、グローバルな意見も取り入れていきたい、こういうあらあらのお考えだと思うんです。わかりました。  では、本日の本論に入りたいと思うんですけれども、私は、独立行政法人の問題と、それから特殊法人の問題についてお聞きしたいと思うんです。  まず最初に、独立行政法人化の個別機関の分析評価についてお伺いしたいと思うんです。  政府は、二〇〇一年四月一日から実施する独立行政法人化の検討対象として八十九機関を挙げておられます。この検討対象から漏れた機関が幾つかあります。  例えば、厚生省における国立医療・病院管理研究所、労働省の産業安全研究所、産業医学総合研究所、大蔵省の会計センター、文部省の学位授与機構、統計数理研究所、建設省の建設大学校、郵政省の郵政大学校、北海道開発庁の建設機械工作所など、約九十機関あります。これらの機関は、どういう理由で対象から外されたのか明らかにされておりません。それが一つ。  次に、二つ目の問題点は、通則法第二条に独立行政法人の選定基準を定義しておりますが、私の質問は、各省庁がリストアップした八十九機関の業務形態の内容、研究成果、業務管理等の分析評価をどのように行ったのか、こういう点が不明であります。この二点。
  136. 太田誠一

    太田国務大臣 どういう基準で選定をしたのかということでございますが、公共上の見地から確実に実施が必要なこと、やること自体は絶対に公共上から見て必要だということと、国がみずから主体となって自分でやる必要、直接実施する必要はないのではないかということ、それから一方、民間にこれをゆだねた場合には実行されない、実施されないおそれがあるということを三つの要件として、独立行政法人化の対象として考えました。  それで、その中で、今挙げられたもののリストはちょっと私も全部覚えておりませんので、あるいは後でそれに対してお答えを、正確を期して答えてもらった方がいいと思うのですけれども、ということで、グレーの部分ももちろんあります。  さまざまな議論を繰り返し、数カ月間、夏から秋にかけて議論をそれぞれ積み重ねた結果として決まったわけです。
  137. 石垣一夫

    ○石垣委員 今大臣が答弁になったことは、この通則法第二条に書かれてあるわけです。これはわかっているのです。これはわかって、私は質問をしておるわけです。  政府の皆さんは、八十九機関を今回選考されたわけでございますけれども、私は、これはいろいろとヒアリングをされて、それなりの選考基準をもって選ばれたと思うのですね。  ところが、国民の立場からいけば、また審議している私自身も全くその内容はわからない。資料が提供されておりません。だから聞いているわけです。  私はここで八十九機関全部説明しろと言っているんじゃないのです、個々に。だから、一昨年来、各省庁がいわゆる個別機関からヒアリングされてまとめたその評価資料があると思うのですよ。これをなぜ公開できないのか。この資料によって私たちは判断し、また国民の皆さんも判断できると思うのですよ。これは何でないんですか。
  138. 太田誠一

    太田国務大臣 どういう議論の経過があったかということですか。  要するに、これは一つ一つについて、例えば、私が全部当たったわけではなくて、各省庁中央省庁等改革推進本部の事務局との交渉で、この基準にのっとって交渉をいたしたわけでございますので、それぞれの事務局の担当者に聞けばすべてがわかりますけれども、その中で、難しいものはやってくださいということでありましたから、私が直接、大臣同士でいたしました。
  139. 石垣一夫

    ○石垣委員 この大事な八十九機関決定に、大臣がすべてタッチしていない、難しいものだけ判断した、こう御答弁になったのですけれども、これは極めて無責任ではありませんか。これは担当大臣としては、今の答弁は私は納得できませんよ。だから、分析されたいろいろなその内容がわからないと、八十九の機関独立行政法人に行くことについて判断できませんよ。  ここに、「中央省庁等改革関連法律案について」という厚い冊子があります。これの二百十一ページから「独立行政法人化される機関の概要」と、概要しか載っていないのですよ、ずっと幾ら見ても。これで判断せよとおっしゃっているわけですよ。これは判断しようがないわけですよ。答弁お願いします。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 太田誠一

    太田国務大臣 その都度、当然報告は受けておりまして、毎日のように、きょうはこちらの機関が了解しました、あしたはこの機関が了解しましたということで聞きながら、そして、一つの説得をするのに、私だって一カ月かかった分もありますし、二週間ぐらいのものもありますし、それはそれぞれありますから、全部を自分でやらないのがおかしいということは、これは難しいことです。要するに、報告を聞いているかどうかという話であります。  だから、今おっしゃっていることは、それを、どの部分についてどうだということになれば、前もって教えていただければ、私は、前もって調べて、それは何だったかと思い出さなくちゃいけませんから、私は、別に知らなかったわけではなくて、知っていますよ、それは。頭の中に入っているけれども、そんなに全部を覚え切れないから、今は、前もって教えていただければ、私はお答えします。
  141. 石垣一夫

    ○石垣委員 いやいや、大臣の頭の中で判断する問題じゃないのですよ。やはり担当事務局が、あなたが判断されるだけの資料をつくっていると思うのですよ。その資料に基づいてあなたは的確な判断をされたわけでしょう、そうじゃないですか。だから、そういう資料をなぜ公開できないのかと言っているわけです。  それは、我々は同等の立場でこれを判断するわけですよ、違うのですか。提案に対して私たちは議決するわけですから、同等の条件にあらなければならないと私は思うのですよ。そのためには資料の公開が必要じゃないかと言っているわけですよ。あなたの頭の中で判断する問題じゃないんですよ、これは。  なぜこういうことを私は言うかといいますと、今回、独立行政法人機関の対象とされたいわゆる八十九機関の職員を含めて、家族の人たちは、なぜ自分たちの職場がこの対象になったのか、大変これは心配しているわけです。だから、私は、この理由を知る権利は、職員はもちろん、家族、国民にもあると思うのです。当然、この国会にもあります。だから、こういういわゆる説明責任は、これはやはり資料の公開になるんじゃないですか。  だから、これは私は、行政が国民に信頼を得る大きな原点だと思うのですよ。やはりここで真摯に資料を公開して、いわゆる対象機関の職員の皆さんにも大変なこれは激変緩和で痛みを伴うわけですから、その痛みを、少なくともできるだけやはり少なくしていく、こういう私は行政配慮が必要だと思うのですよ。  いわゆるディスクロージャー、アカウンタビリティー、これは民主主義の基本ですよ。これを今回怠っているわけですよ。どうなんですか。
  142. 太田誠一

    太田国務大臣 これは協議を重ねてきたわけでありますから、その協議について、一つ一つについて、この件は、なぜここは独立行政法人になったのか、ここはどうしてならなかったのかということについては、一つ一つについてはお答えになれるわけでありますから、ここでお聞きになったらいかがでしょうか。(発言する者あり)資料を、いや、私の頭の中に全部入ればいいけれども、入りっこないですよ、それは。  では、可能な限り資料は出します。資料は出させますから。
  143. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、これはなぜ事前に資料が公表できないのですか。  いやいや、ここで出したらいいのと違うのですよ。事前に審査する、我々にこういう理由で選定いたしましたという資料を、当然公開すべきではありませんか。ここで聞かれれば答えます、それ以前の問題なんですよ。そのことを私は言っているわけです。  だから、何一つそういう分析資料は出ておりませんよ。(発言する者あり)だから、今協議の中で決まっているとおっしゃっていますけれども、それはそれで結構ですよ。結果として、こういう協議があったということは、やはり国会に出すべきだと思うのですよ。  出せないのですか。何か制約があるのですか。大臣のさじかげん一つで決めたのですか。
  144. 太田誠一

    太田国務大臣 だから、今これだけの、法案の数だけでこんなに山のようになっているわけでありますから、私は、この場合に、国会にお出しする資料についても、みずから考えながらやっていかなくちゃいかぬと思いますけれども、今おっしゃっていただければ、それについての、どういう協議の経過であった、議論であったということが、資料にしてお出しできると思います。  だから、不親切だと言われれば、それはおわびをしなければなりませんよ。
  145. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、不親切だとかそういう問題じゃありませんよ。基本的な問題ですよ。いわゆるアカウンタビリティー、ディスクロージャー、これは原則ではありませんか、行政の。これを怠っているから私は言うているわけですよ。不親切とかそういう問題じゃないのですよ。  だから、これはやっておる時間がありませんので、委員長、これは資料の公開を理事会に諮っていただきたいと思うのですけれども。
  146. 高鳥修

    ○高鳥委員長 理事会で協議いたします。  石垣君、質疑を続けてください。
  147. 石垣一夫

    ○石垣委員 次に、具体的な面で聞きたいと思うのですけれども、印刷局、造幣局が今回独立行政法人化の対象になったのですね。私は、三十八ある特別会計をいろいろと勉強させていただいたのですけれども、その中で、印刷局、造幣局は、非常に規模は小さいですけれども、一生懸命頑張っておられる。しかも、会計的にも立派に国庫に納付されておりますね。造幣局の現状を調べますと、造幣局では、一般会計への繰入額として、平成七年度で二千六百十億、八年度で一千百七十三億、九年度で一千七十億、十年度で三百四十三億。同じく回収準備資金現在額として、平成七年度で八千四百二十五億、八年度で七千三百四十五億、九年度で八千四億、十年度で七千七百四十二億、こういう額を国庫に納付をいたしております。また、印刷、造幣局は、いわゆる通貨の安定供給、あるいはまた国家機関国会、官庁業務の特殊性から、深夜業務及び納付期限の緊急性など数値化のできない重要な事業をやっておられます。  こういう懸命にいわゆる国家組織の中で頑張っておられる機関がなぜこの独立行政法人化に組み込まれたのか、非常に私は理解ができないのですね。本当にまじめに働いている、汗して働いている。こういうことでは、いわゆる我が国の国家の公務員行政が、これはやはり疑われますよ。これは行政の最高責任者として、総理大臣はどのように思われますか。
  148. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 仰せのとおり、両局とも長い伝統がございまして、いい仕事をしてもらっておると私も思います。したがいまして、この独立行政法人化につきましては、関係者の懇談会を長いこと設置いたしまして協議をしてまいりました。また、その間に、政党の方からもいろいろ御意見をいただいたり御支援をいただいたりしたこともございまして、感謝をいたしております。  結局のところ、確かにこの両局とも通貨をつくるという意味で、これは国にしかない固有の仕事であるということはよくよく認識をされたことでありましたが、同時にまた、行政組織スリム化するということもそれなりに意味のある大切なことであるということで、最終的には、いろいろ経緯はございましたけれども、そうであれば、やはり国家公務員であることは、これは間違いないことであるが、移行の時期には慎重にその時間を費やすこととして、平成十五年度の前半ということに関係者の合意ができたわけでございます。  何分にも長い伝統のある仕事でございましたし、特殊な仕事であるという関係者の主張も無理からぬところでございました。いろいろな方々の御奔走もありまして、こういうことに決着をいたしたわけでございます。
  149. 太田誠一

    太田国務大臣 今大蔵大臣がおっしゃったとおりでありますが、ただ、今の先生のおっしゃりようを聞いていると、何かまじめにやっているのにとか創意工夫を重ねているのにとかいうふうにおっしゃいますけれども、これは、まじめにやって創意工夫を重ね、立派なお仕事をしておられる方々ばかりでございますので、独立行政法人になることが何か罰のようなことをお考えになると、ちょっとそれは違うということでございます。
  150. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣、そんな言葉じりをとらまえて、本論を外れたらいけませんよ。私は、国家機密に関する、いわゆる国家機関の大事な部分に携わっておる、こういうことを言うておるわけですよ。これは、本当にそういうことなんですよ。その枝葉をつかまえて、大臣、そんな答弁をしたら、それは大臣のかなえの軽重を問われますよ。  次に、独立行政法人の長について、通則法の第二十条に「当該独立行政法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」、こういうふうに、二号には「前号に掲げる者のほか、当該独立行政法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者」、こういうふうに役員の任命が示されておりますけれども、今回はいわゆる公募を主体に考えられると思うのですけれども、これはいかがなんですか。
  151. 太田誠一

    太田国務大臣 独立行政法人の長につきましては、公募も含めて、広く民間も含めて人選をするということでございます。
  152. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、いわゆる特殊法人の例ではありませんけれども、天下りについて一定の歯どめをかける、そういう担保はありませんか。
  153. 太田誠一

    太田国務大臣 そこの人選は、どういう人選をするかということは、大変に、それぞれの省庁の大臣の政治家としての判断になりますので、国民が見ている前のことでありますから、いいかげんな天下り人事をやるということはないと思っております。  ただ、またもう一つ、これは特別職でございまして、独立行政法人の長は特別職でございますので、実績次第では任期途中で交代をさせられるということがございますので、そのことが、従来の他の公の機関とは違って緊張感を強いられる、経営努力を常に強いられるということでございます。
  154. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、私の調査では、いわゆる今度独立行政法人に行く現業の八十九機関ですね、この中に、四機関の中で天下りの実態があります。私の調べたところで、文部省関係で国立科学博物館、これは元文部事務次官。同じく国立特殊教育総合研究所、元日本育英会理事。通産省関係では通商産業研究所所長、元京都大学の教授。環境庁の国立環境研究所所長、東京大学のOB。こういう四人の方が天下っておりますね。これは、財団や財団法人ではありません。本省に天下っているわけでございます。  こういう実態について、どう思われますか。既に本省のポストで天下りをされているわけですよ。文部大臣、この件についてはどうお考えですか。
  155. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 研究所にせよ博物館にせよ、最もいい人材を選ぶということを行っております。そういう意味で、御指摘のように現在の国立科学博物館の館長はかつて次官であった人物でありますが、こういう人はやはり非常に適材な人物であったと我々は判断をいたしております。そういう意味で、常にそういう判断から選んでいるわけであって、天下り、天上がりということはございませんので、その点は御心配なく。  給料は次官よりも低うございます。そういう点で、人材をきちっと選んでいるということを申し上げておきたいと思います。
  156. 石垣一夫

    ○石垣委員 それはそれなりの理由があって選択をされたと思うのです。その人物についてはとやかく言える立場ではございません。しかし、組織の形態としては、一たん退職された方がこういう再就職をされて、本省に天下りされる、これについては好ましくないと私は思うのですね。これ以外にそういう人材はいないのか、そうじゃないと思うのですよ。広い日本です。やはり私は、原則は原則として守っていかなければならない、守ってもらわなければならないと思うのです。これをあえて指摘をいたしておきます。  また、私はなぜこういうことを言うかというと、今挙げましたように、結局、現業職のポストですら天下りの実態があるわけですから、これは、独立行政法人化した場合に、いろいろ理由があって任命されるわけでございますけれども、目に見える形で、私は、やはり原則天下り禁止という担保を何かの形で示していただきたい、こう思うのです。
  157. 太田誠一

    太田国務大臣 原則天下り禁止というか、これはむしろ、その仕事について習熟している人、あるいはこれから経営能力を発揮してくれそうな人の中には、私は、その省庁にいる人たちも含まれるだろうと思うのです。あらかじめそこを排除するよりも、行ってちゃんとその実績が上がらなかった場合にはすぐやめてもらうという方が、公平な、公正な扱いではないかと思う。
  158. 石垣一夫

    ○石垣委員 すぐやめてもらうのだったら、初めから任命しなかったらいいんですよ。そういう粗っぽい答弁は私はちょっとだめだと思うのですよ。したがって、やはり公募を原則とする、さらにまた民間人の登用を主体とする、私はやはりこういう担保をきちっとすべきじゃないか。いかがですか。
  159. 太田誠一

    太田国務大臣 そこは大臣の人事権ということになりますので、ここで余り縛ることはできないということでございます。
  160. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、これもやはり大臣のさじかげん一つですか。そうなりますよ。そういう私の意見も十分ひとつ参考にしていただいて、今後の対応をお願いしたいと思うのです。  次に、独立行政法人の解散事項について、やはりきちっと明記すべきじゃないか、私はこう思うのです。通則法の三十五条には、中期目標期間の終了時の検討ということでいろいろと書かれております。しかし、これでは私は非常に弱いと思うのですね。したがって、いわゆる中期計画終了時において独立行政法人の存廃、それから民営化のいわゆる決定基準、こういうものをきちっと作成する、これが一つです。さらにまた法人の解散規定、こういうものをきちっと明確にしておく、こういうことが必要ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  161. 太田誠一

    太田国務大臣 解散規定などにつきましては、民営化につきましても、それぞれ独立行政法人の個別法をつくらなければなりません。そのときに、そういう点についても詰めてまいりたいと存じます。
  162. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、今私が申し上げたことも十分ひとつしんしゃくしていただいて、個別法のときに対応していただきたい、このように要望しておきます。  時間がございませんので、最後に、いわゆる特殊法人の問題について一点だけ申し上げたいと思うのですけれども、先般来、総務庁の各種公団の財務調査報告書が公表されました。先般来の委員会でもいろいろとその実態が明らかにされ、初めて国民の中に特殊法人のいわゆるずさんな経営実態が大きな怒りを呼んでおる、私はこう言っても過言でないと思うのです。  こういう中で、特殊法人にいわゆる業績評価委員会といいますか、今回のこの独立行政法人化の中でこういう評価委員会というものが設置されております、これに準じた形でいわゆる評価委員会設置する。これは、外部からその委員を公募していわゆる第三者による厳しいチェックを受ける、この中で、特殊法人の存廃、あるいはまた廃止、残すべきもの、こういうものの判断をするそういう機関をひとつ設置すべきではないか、私はこう思うのです。  先般来、こういう報告をいただきましたけれども、国会では、行政監視委員会でいろいろと質疑があったと思うのですけれども、今、国会の中で、これを民営化するとか廃止するとか、そういう決定をする場がありません。ただ報告だけ受けて、今それで済ませているという状態なんですね。これからどういう形で進むか知りませんけれども、これは私はゆゆしき問題だと思うのです。かねがね特殊法人の問題については、国民の中でも非常に不信感があります。こういう点で、総務庁長官としてどうお考えですか。
  163. 太田誠一

    太田国務大臣 石垣委員が、特殊法人の問題あるいは特別会計の問題についても深い御造詣を持っておられて、我々にもたびたび御指導いただいておるわけでございますが、その中で、今おっしゃいました特殊法人と独立法人が違うということで、特に独立法人の場合はディスクロージャーが、外部監査がありませんので、そこが違う、また定期的な評価もないということが違うということでございます。  その点について、ではこれからどうなるんだということでございますが、二年後からは各省庁の政策評価、これは独立行政法人の評価とは別に各省庁の政策評価をいたしますので、その中で、一般的な政策評価の中で特殊法人の評価ということも出てくるわけでございます。しかし、それで十分だというふうに思うかどうかで、判断はございます。  そういたしますと、今たびたび申し上げておりますように、独立行政法人の今度のこの法案の後に、特殊法人について改めてそこで、さっきおっしゃっておられましたように、これを民営化するか、独立法人化するか、あるいはなくすかというふうな選択の厳しい場面というのはその次にめぐってくるんだと考えております。
  164. 石垣一夫

    ○石垣委員 こういう特殊法人の改革については、やはりリーダーシップが必要だと思うのです。総理大臣が腹を決めれば、特殊法人の改革はスピードアップされると思うのですよ、けさほどから改革のスピードというものが出ておりますけれども。例えば東京都の石原知事、いろいろと思想的には私ども異論はありますけれども、彼が知事に就任するや、いわゆるOBの功労金を廃止すると決断しました。見事な決断です。こういうのに類した総理大臣の決断、これが私は特殊法人の改革に必要だと思うのですけれども、いかがですか。
  165. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 特殊法人につきましては、世にいろいろの御批判があることは、十分承知をいたしております。したがいまして、不断に見直しを行うことによりまして、行政改革を進めるに当たりましての重要課題の一つだというふうな認識をいたしております。  政府といたしましては、四月二十七日に閣議決定をいたしました国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画に記述しておりますとおり、累次の閣議決定等を踏まえつつ、徹底して見直し、民営化事業整理縮小、廃止等を進めるとともに、存続が必要なものについて、独立行政法人化等の可否を含め、ふさわしい行政形態及び業務内容となるよう検討してまいっております。  今石垣委員指摘のように、特殊法人の問題につきましては、これは直接的に、今般の法律提案とは異なりますけれども、今御指摘をいただきましたように、この点について国民の十分な理解を得られるように、十分監視し、努力をいたしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  166. 石垣一夫

    ○石垣委員 今回の中央省庁改革推進に関する方針の中で、これはわずか三行しか載っていないんですね。いかに特殊法人に対する認識が弱いかということを、これは如実に示していると思うんですよ。  だから、今総理大臣がおっしゃったように、この特殊法人の改革は、やはりリーダーシップが前提でございます。今後の総理の見事なリーダーシップをひとつ期待いたしまして、質問を終わります。
  167. 高鳥修

    ○高鳥委員長 この際、桝屋敬悟君から関連質疑の申し出があります。石垣君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。桝屋敬悟君。
  168. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  石垣委員に続きまして、関連質問として、私は、地方分権一括法の内容を中心に議論をさせていただきたいと思います。  今回の地方分権一括法、私は現場の、都道府県の出身でありまして、都道府県の現場におきましては、今まさにドラマチックな、さまざまな変化が進んでいる。今回のこの一括法の処理をめぐりましても、国会審議がどうなるのか、大変に関心を持って見ておられますし、場合によっては、十二月の議会あたりでは作業しなきゃいかぬ、大変な状況にあるだろうということを思いつつ、議論をするわけであります。  加えまして、最初に、私は、分権一括法の内容に入る前に、同じく都道府県なり市町村が現時点で最も悩んでおられる介護保険について、これは私は、きょうは自治大臣おられますけれども、実は、厚生委員会じゃなくて地行委員会で、しょっちゅう自治大臣とこの問題は議論をしている。厚生委員会でやればいいんじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、実は、それぐらい、地方自治体にとって極めて今大きな課題でありますから、どうしてもきょうは、本題に入る前に、何点か確認をさせていただきたい。  と申しますのは、先ほど、都道府県なり市町村の現場において、今大変な準備が進められている。来年の四月一日から施行が始まる。ことしの十月からは認定業務も始まる。こんな中で、現場においては、高齢者の実態調査や、あるいは介護保険事業計画をつくらなくてはいかぬ。  加えて、一番悩ましいのは、まさに住民の負担がどれぐらいになるのか、保険料がどうなるのかというようなこと、そして、その保険料に伴う、逆かもしれません、サービスの給付水準と保険料をどうするかということが今最大の課題でありまして、この地方分権一括法と同時に、私は、地方は大変に大きな課題、問題に今直面をしておる、こういう状況だろうと思います。  そうしたときにありまして、どうしてもこの特別委員会で私は確認をしなきゃならぬのは、この前から、厚生委員会の一般質疑等も経まして、さまざまに新聞報道が続いているわけであります。現在準備が進んでいる現場から見ますと、一体、今、何がどう検討されているのか。基本的なことは、法律の中にあることは、既に逐次現場におりているわけでありますけれども、どうも新聞報道等見ますと、この介護保険の制度の根幹にかかわる問題について、厚生大臣初めいろいろな御発言があるような気がいたしますので、最初に確認をさせていただきたいと思います。  最初に保険料の問題でありまして、保険料は、私も厚生委員会で何度も議論しましたけれども、宮下厚生大臣も、先日長野で、長野というのは御地元ですよね、我々も地元へ帰ると、必ずこの問題が出るんです。御自分の地元だけでいいことをおっしゃったんじゃないかと若干心配をするわけで、誤解がないように確認をさせていただきたいと思うんです。  これは新聞報道ですから、事実かどうかを確認させていただきたいんですが、保険料の問題があるので、今後均一の方向にしたい、国と都道府県が出資をして二千億円ぐらいの基金を新設する方向だと述べたと。これは新聞報道でありますけれども、財政調整のための基金などを活用して、新しい仕組みを、今の介護保険の仕組みプラス何か想定されるような記事なものですから、私は、この記事は多分全国の市町村が大変に関心を持って見ただろう、このように思うわけです。  そして、それ以外にも、保険料がある程度を、月三千円ぐらいを超えるようなところについては、何か仕掛けをつくらなきゃいかぬのじゃないかというような、こんな新聞報道等もなされているわけでありまして、ちょっと保険料の検討状況を、これが本題ではありませんから短時間で結構です、簡単に厚生大臣の方から御説明いただきたいと思います。
  169. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 長野での発言は多少誤解を受けて報道されておりますが、私は、地元に帰りますと、なるべく介護保険の実態を御説明したいということで、発言させていただいております。  二千億というのは、法律にも規定しております安定化基金のことでございます。これは、三年間で基金を造成して、そして、介護の決算で赤字になるとかというときには、補助をしたり、あるいは融資をしたりする。各県につくりますが、総体として、オール・ジャパンで二千億程度と今考えていることを申し上げただけでございまして、このことはしばしば国会で申し上げております。  なお、保険料につきまして、三千円を上回る分について特に手当てするかどうかという点の報道は、これは誤報でございます。  私どもは、いろいろ考えてはおりますけれども、そのように平均値を上回るところだけを助成いたしますと、施設介護重点の志向になりまして、在宅介護を中心とした介護保険制度の趣旨に相背馳するし、実質的な不公平を増すと考えておりますから、そのようなことは今検討はいたしておりません。  ただ、実態的に、余り格差があるということは好ましくない。その原因は何かというと、やはり施設介護が多かったり、在宅介護の比率が少なかったり、いろいろいたします。  なお、特殊な事情がございまして、将来あるべき姿がどのくらいがいいかというようなことで市町村によくアンケートをとられたりいたしますが、これはいろいろ念査しませんと、必ずしもあの数字のとおりになるとは限らない。六月に実態調査の結果が明らかに、私の方に報告がございますから、これを見て、よく分析をして、しかるべき対応はしていきたいというように考えております。
  170. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 六月の実態調査を見て、よく分析をして、しかる後に対応を検討、こういうお答えですね。わかりました。  それで、もう一点だけ、家族介護の記事が出ておりました。実は、これも我が党が既に二月に政府に申し入れをしている点でありますけれども、家族介護の取り扱いをどうするか。これも、介護保険の中で組み込まれるような記事が出ておりましたけれども、検討の状況、これも端的で結構でございます。
  171. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 介護サービスは、ホームヘルパー等が行われる場合は計画に基づいてやるわけでございます。  しかるところ、実際上、例えばお父さん、お母さんが寝たきり老人になっていると。その息子さんかお嫁さんがホームヘルパーである場合に、ケアマネジャーの策定した計画の中であれば、その時間だけ家族を優先して充ててもいいのではないかという意見があります。一方、それをやりますと、現金支給に準ずるものになっていく、家庭介護を中心とするこの介護保険が崩壊していくという両意見がございます。  したがって、今審議会議論いただいておりますが、私個人としては、そういった管理されたものの中であれば、親族であってもホームヘルパーの資格があり、そして介護計画の中であれば、そういうことをしてもいいのではないかと考えてはおりますが、審議会の意向にお任せしてございます。
  172. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣のお考えは理解をいたしました。  もう一点、これも新聞報道でありますが、新聞を確認する作業は私は嫌なのですけれども、現場が本当に関心を持って見ておりますから、必要なことだと思って確認をさせていただいております。  介護保険の広域化、これは自治大臣、御関心を持っていただきたいのですが、広域化の場合の補助制度、広域化のインセンティブを図るような補助制度を考えている、こんな記事も出ておりましたけれども、この検討の状況はいかがでしょう。
  173. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 広域化問題は二つの側面がございます。ことし十月から認定が始まりますが、その認定について広域化をやっていく、一部事務組合等でやる。多くの市町村等でこれが実施に移されると存じます。これの事務体制の補助等は今やっております。  なお、今お尋ねの点は、保険者としての広域化のお話でございまして、私どもとしては、やはり保険料と給付の水準が余り乖離することは好ましくありませんので、広域化することによってそれらがある程度調整できれば非常に好ましい面もございますので、広域化のことは進めてまいりたいと思っております。  なお、その助成については、事務体制その他の助成は今もやっておりまして、そういう意味の助成策を講ずるということを私は申し上げたわけでございます。
  174. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。それは現行制度の中での大臣の御答弁だった、現行制度でそれはやるのだ、こういうことで理解をさせていただきます。  いずれにしても、介護保険、今大変なことで準備が始まっているわけでありまして、制度の根幹を変えるようなことを軽々にやることはいかがかという思いがあるものの、制度発足時においては、これは何とかしなくてはいかぬ、やはり激変緩和は何らかの形で検討しなければならぬということを我々は感じておりまして、そういう意味では、保険料問題、家族介護の問題それから広域化の問題、これはぜひとも、導入時期ということに限ってさらに検討をいただきたい、これをお願いしておきたいと私は思います。  それで、自治大臣にお尋ねしたいのですけれども、一度こういう場で自治大臣議論をしてみたいと私は思っておったのです。厚生大臣にもこれからのちょっとの話を聞いていただきたいのでありますが、自治大臣と私は、地方行政委員会で介護保険の議論を随分してまいりました。自治大臣も政治家個人として、この介護保険制度についてはやはり大きな懸念を持っておられる。これは、私も理解をさせていただいております。  それで、きょうはそのことをとやかく言うつもりはありませんが、自治大臣、これから広域行政を進める上でも大事なことでありますが、私の地元の中国では、つい最近、中国新聞が記事を出しましたけれども、介護保険、自治体の準備が本当に間に合わないという切実な声、半分ぐらいは介護保険は来年の四月からは大変だ、こういう率直な声があります。  自治大臣も、私との議論の中では、市町村を単位とした今回の介護保険が本当に大丈夫かどうか、実は大変心配をしておられる話も、政治家個人としておっしゃっていましたけれども、まさに、これから十月あるいは四月ということがありますけれども、自治大臣として、こうした今の実態というものをどのように感じておられるのか、厚生大臣もいらっしゃる前で、また総理もいらっしゃる前で、ぜひ所感を伺いたいと私は思います。
  175. 野田毅

    野田(毅)国務大臣 基本的に公的な介護をどういう形で支援体制を組んでいくか、これは本当に極めて切実な課題でありまして、単に社会福祉とか社会保障とかいう言葉を超えた、ある意味では老後の人間の尊厳にかかわる問題である。したがって、これは、単に一個人のプライベートセクターの中でやっていく世界ではないということから、こういう話になってきている。それだけに、厚生省が全力を挙げてその支援体制を組んでいきたいということでやっておられること、心から敬意を表したいと思っています。  一方で、実際にその事務を現実に担っていく市町村というのがどこまで対応能力があるのか、あるいは施設の整備状況がどうなっているのか、あるいは保険でやった場合に、高齢化割合が市町村によって随分異なっているのではないか。したがって、受けるサービスと払うべき保険料の間で、地域間によって相当のアンバランスが出てくるような懸念はないのかどうか。そういうことになりますと、地方に行けば、各町村長たちは、隣接する周辺のところでその格差を言われたときに本当に大変だと。  もう一つは、先生御指摘の中国地方の新聞にもアンケートの結果が出ておりますが、現在、デイサービスその他のサービスを現に行っている、じゃ、それが今後この制度に移行したとき、みんななくなってしまうのかというような話になったり、なかなかその辺が交通整理が十分できておりませんで、非常な不安感があっちこっちに出ているというようなことで、本当にこれはなかなか容易じゃないなと。  しかも、もう来年四月に迫っているということなものですから、今全力を挙げて、認定制度をまずどうするかということで、大体この点は、広域連合の中で各自治体がお互いに、その辺のすり合わせ、体制はかなり進んでいるというふうに見ておりますけれども、さて、その次の保険料を設定したときに、じゃ、現在でも国民年金や国民健康保険についてなかなか徴収に苦労しておられるところは一体どういうことになるのだろうというような話があったり、率直に言って、私自身非常に心配をし、結果、混乱が起きないようにしてほしいと。  それで、具体的に自治省としては、できるだけ厚生省の努力をバックアップし、お手伝いをしたいということでおりますが、一方で、そういう心配をある程度払拭していけるようなことをしませんと、自治体の市町村長さんたちも、これはもう政治的にもたないのじゃないかという思いが実はございまして、頭を痛めておるのは、率直に言って偽らざるところでもございます。  そういう点で、今、閣僚としてはこの問題についてそれ以上は言及するのはなかなか難しいのですが、自由党の方では、むしろこれは保険という制度ではなくて、消費税という形できちっとやるべきではないかということを、党としてはそのことを問題提起して、党の基本政策の一つとして主張しているということは、恐縮でございますが、この機会にあわせてつけ加えさせていただきたいと思っています。  この問題は、党利党略的な発想ではなくて、先生御指摘のとおり、本当に切実な問題でございまして、一緒になって知恵を出して解決をしていかなければならぬ問題であるというふうに思っております。
  176. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 後段部分は、私はそこまで議論するつもりは今日ただいまないわけでありまして、それは結構でありますが、厚生大臣自治大臣の認識、厚生大臣も、全国共通の介護保険ですから、特に保険料が問題でありまして、この保険料について余り差がつくことはやはり好ましくないというふうに答弁をされておられます。それから自治大臣も、今これだけ環境が違う、それぞれ市町村の状況が違う中で、本当に来年の四月から大丈夫か、できることはしなければならぬというお話があった。僕は大体同じことだと思うのです。私どもも同じ思いであります。  それで、私は、これから四月まで、今六月、七月、それぞれ現場では事業計画もつくる、いろいろなことがはっきりしてくると思うのです。既に二千五百円が三千円ということも言われておりますけれども、現在の介護保険の仕組みだけではちょっと厳しい。導入時においては新たな財源措置も考えて、導入時の対応をしなければならぬという議論もあるかもしれませんし、それは余りにも大きな差があれば検討してもらいたいと私は思いますけれども、それをやり過ぎると制度の根幹を壊してしまう、こういう苦しさも私も理解しております。  したがって、ぜひとも私は、自治大臣厚生大臣も連携していただいて、さっき申し上げた保険料の大きな格差、それから家族介護の問題、これは部分の話ではなくて介護保険全体の中で考えてもらいたい。これは言うことは勇気が要るのでありますが、私ども、あえて申し上げようと思っております。さらには、広域化の問題等、これから大きな課題がありますから、どうぞ連携をとっていただいて、政府全体としてお取り組みをいただきたい。このことをお願いしておきたいと思います。  何か厚生大臣、手が挙がっていたかな、短くしてください。
  177. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 いろいろな懸念のあることは私ども重々承知しておりまして、来年の四月からの円滑な実施のためには何がなされなければならないか、どれだけ理解を深めていくか、大変頭を痛めてやっております。  さっき自治大臣の言われました後半の福祉がいいという点については、我が党としては、これは賛成しかねて介護保険制度を導入したわけでございますから、はっきり申し上げさせていただきたいと思います。  なお、自治大臣の方からは、自治省の方からは、いろいろ交付税措置によって、一万人弱の市町村の人員を要します、したがって、そういう交付税手当てもしていただいておるということもございまして、今後、委員のおっしゃるように、厚生省と、それから地方の交付税その他を扱う自治省と、地方団体を監督する自治省と、本当に表裏一体となってやらなければならないというように私も考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  178. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それでは、本題に入りたいと思うのでありますが、私は、地方分権一括法の中で、きょうは私自身は最初でありますから、与えられた時間も限りがありますから、一点、地方事務官の問題について議論をさせていただきたい。  先ほども激しい議論がこの場でありまして、私は冷静に、制度論から考えてみたい。我が党の中にも議論があるわけでありまして、ここは何が論点なのか、きょうは多くの国民の方もごらんになっているわけでありますから、国民の立場に立ったときにどちらがいいのかということを冷静に議論しなければいかぬ、こんなふうに私は思っているところであります。  さてそれで、今回の地方分権、これは、国と地方役割分担を明らかにする、これが第一でありまして、国と地方役割分担を明確にした上で、国と地方それぞれが責任を持って事務を執行していこう、こういうことを整理するわけでありますけれども、そうした観点から考えますと、厚生年金それから政府管掌健康保険の仕事、まさに厚生省関係の地方事務官がおやりになっている現在の仕事、これは国の仕事なのか地方仕事なのか。言わずもがなの部分もあるかもしれませんが、私は、多くの国民が見ていらっしゃるわけでありますから、そこをまず明らかにしていただきたい、その根拠は何なのかということも簡単に整理していただきたいと思います。
  179. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 国と地方役割分担を明確にするということは、今回の地方分権の大きなねらいでございます。  ところで、厚生年金保険それから政管健保、この社会保険事業は、社会保障の根幹である国民皆保険、国民皆年金ということでございまして、これは国の責任において実施しており、確保していくものでございます。  法律的な根拠を申し上げれば、まず厚生年金法二条あるいは健康保険法二十四条におきまして、政府が管掌する旨を明定してございますから、これは国の事務であることはもう間違いございません。
  180. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そういたしますと、今度は労働省関係の職業安定業務、職業紹介事業あるいは雇用保険の事業は、この仕事は国がやるのか、国の仕事なのか地方仕事なのか、これも大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
  181. 甘利明

    ○甘利国務大臣 憲法二十七条に国民の勤労権というのが規定をされております。これは国民の基本的な権利でございまして、これを履行していくために、国が一元的にこの業務を行っていかなければならない。  一元的にというのは国でしかできないのですが、なぜ一元的にと言いますかというと、例えば雇用保険、失業給付、これは国からの拠出金も当然ありますけれども非常に小さい比率でありまして、基本的には保険料は労使折半で成り立っている。それを集めて給付に回すわけであります。  これがもし地方ごとに単独でやれということになりますと、失業率に従って、給付の金額はうんと差が出ます。失業がたくさん出たところは、逆に給付が低くなるわけでありまして、深刻なものほど、余計深刻な給付しかできないということになります。そして、勤労者が職をかわったり地域をかわったりするときに、これを一元的に、どこに行こうともそこの職安で仕事の紹介ができる、その間は失業給付ができる、これは一体の体制でやらないといろいろな支障が出てくるのだと思います。
  182. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 厚生年金、社会保険の関係の業務、あるいは労働省関係の職業紹介事業あるいは雇用保険の事業、ともにこれは国がやっていかなくてはならない、こういうお話をいただいたわけでありますが、一面私はそれを理解いたします。  私が思いますのは、先ほどいい議論がありましたけれども、今のままが一番いいのだ、現状がいいのだという話がありました、先ほどの議論の中で。現状がいいという議論は何も改革を拒むという声ではなくて、現状がいいというのは大変味のある言葉であります。  私は長い間、地方で、まさに地方の県本庁の中で、この地方事務官という方々と一緒に仕事をしてまいりました。私は、多くの国民の方は、地方事務官というのはどこでどういう仕事をしておられるかというのは、余り御理解がないと思うのですね。しかしながら、身分は国の職員であるけれども、実質業務は、地方の都道府県の団体において指揮監督を受けながら業務をやっている、こういう状況がある。言ってみれば、一人二役という形になるのでしょうか、私はそんな印象を持っておるのでありますが、これはえも言われぬ状況が五十年続いてきて、とってもいい仕組みなのですね。これをつぶさなければいかぬというのが、私は大変残念な、さっきそういう意味で現状が一番いいという議論がありましたが、率直に私もそう思っているのです。  と申しますのは、これからの議論でありますが、今回、機関委任事務廃止するから、ここで腹を決めなければいかぬわけでありますけれども、実際、現場で都道府県の業務をやっていますと、今の厚生年金、政府管掌の健康保険の仕事、これとても、国保なんかとも密接に絡んでいるわけでありまして、あるいは労働省の関係の、現場では職業安定課とかいろいろな名前がついておりますけれども、県本庁にいて二つの役を担っているという状態は、まさに一人二役で、私は大変にうまく来たと思うのです。  これは、さっきから議論を聞いておりましたら、県本庁の外に出るのだからすっきりさわやかで大丈夫です、こういう話がありますけれども、一緒にいた方が一番いいのでありまして、私は業務をやっているときに、それこそ隣の課でありますから、これをどうしようかと、密接に業務がかかわっていることは間違いないわけでありまして、業務そのものは、さっきの御説明で国の仕事かもしれませんけれども、地方事務と密接にかかわっているのは私は肌で感じてきております。  これを今回整理しなければいかぬというのはまことに悩ましい話でありますけれども、もう一点両大臣にお聞きしてみたいのは、今まで五十二年間続いてきた、変えようと思ったけれども続いてきた。それは、続けた方がいいというニーズがあった。少なくとも、この状態でよかった、この状態のメリットがあったと私は思うのです。  それは私だけが感じていることではないのだろうと思うのですが、今の状態でよかった点というのは、今回どちらかにして、政府案でありますと国の直接執行事務になる、国の職員がやるということだけで、果たして整理していいのか。今までのメリットはあったのではないですか、それはどこへ行くのでしょうか、それはいいのですかというふうに私は率直に思うのでありますが、両大臣の御見解を伺いたいと思います。
  183. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは歴史はさかのぼりますけれども、二十二年の地方自治法の問題がございますね。そして暫定的に六業種が、国家公務員である、でも地方事務官にするという中で、小学校、中学校等の事務地方公務員へ移行しました。少年教護院、これも地方の福祉事務に参りました。ところが、北海道開発庁運輸省の陸運事務所の関係は国家公務員にしたわけですね。残されたのは、今御指摘の私どもの年金と職業安定事務です。  これについては、委員ももう重々御承知だと思いますけれども、この地方事務官制度は、行政改革のたびにかなり議論を今までされてきておりますが、いろいろの事由によって、これがなかなか実現をできなかったわけですね。  今回、私どもとしては、この大改革の機会に明確にこれをしていきたいということもございまして、実際は国家公務員であり、これは国家公務員法の適用もあるし、人件費も全部国が見ておりますし、それから事務所も国有財産になっておるしというようなことどもが全部ございます。懲戒その他も社会保険庁がやります。  そういうことでございますれば、あと何が違うかというと、やはり知事の指揮監督権だけがあるのですね。そういう特殊な領域であったと思います。しかしこれも、事実、社会保険は国が統一してやる必要がございますから、統一的なものでやりますから、余り実体的に指揮監督権の実益はなかった。こういう状況でございますので、私どもとしては、この際、国家公務員として、本来の名実ともに国家公務員に、実はほとんどなっているわけですが、それを明確にして組織化をしていきたいということでございます。  委員は非常に地方行政の実務経験もおありでございますから、その辺の、人間関係その他は重々わかります、そういうことは。しかし、私どもは、やはり国家公務員である人たちでございますから、これを地方事務官と称して地方公務員の一翼というように考えるわけにまいらないものですから、これは、国の仕事である年金業務ということを通してやりたい。  ただ、国民年金につきましては、この移動その他は、住民台帳を市町村が持っておりますから、その移動等については、これは今回も法定受託事務としてお願いをしてございます。しかし、ほとんどの厚生年金等々は、政管健保等は、実質的に企業との関係でございますから十分機能が果たされるわけでございまして、そう利便性に欠けるということはないということで今回踏み切らせていただいたわけでありますので、御理解をいただきたいと思います。
  184. 甘利明

    ○甘利国務大臣 職業紹介と失業給付を国が一元的にやるというのは、ILOの八十八号条約も要請しているところでありまして、ほとんどの先進国がそうしているわけであります。  では、なぜそういうことをするかということは、さっきちょっと申し上げましたが、今の状況で不都合な点が出るかどうかということでありますが、これはもう行革で国と地方の責任の範囲を明確にするということの指示を受けておりますから、これは、責任の所在を明らかにするということによって地方分権に資するということになるわけですね。  今のままで都合が悪いかといいますと、もちろん今までも、先生の御経験からもありますように、県が単独で行う雇用対策というのもありますし、あるいは生活関連の補助というのも雇用政策には密接に絡まってきますから、いい点はあるのでありますけれども、その点が失われないように、責任の所在を明らかにするという意味できちっと区分けをするということを進めていく必要があると思います。
  185. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ちょっと議論がぼやけてきたのです。余り聞いても明確にお答えができない、答えたくない内容だろうと思いますので、いたし方ないのでありますが。  私は、今までの制度の中によさもあった、そのよさを今回の改正によって失ってはいけませんよということを申し上げているわけで、そこは、国と地方、どっちになるにしろ、しっかりと連携をとってやっていくんだということに多分御返事としてはなるのだろうと思うのです。  それで、地方職員にするかどうかというのは大変に今議論がありますけれども、仮に社会保険について伺いましょう。  身分に絡めて申し上げるわけでありますけれども、これを地方の職員にするとした場合は、当然ながら法定受託事務ということになるだろうと思うのですね、さっきの議論で。これは国の事務でありますから、国の仕事でありますから、地方の職員にするということになると、それは法定受託事務という整理をせざるを得ない。  法定受託事務というのは、少なければ少ない方がいいわけでありまして、仮にそういう議論をしたときに、私は、法定受託事務というその性格からどういう結論が導き出されるのか。その議論をしたいと思うのですけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。
  186. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 機関委任事務と法定受託事務とは必ずしも完全に一致するとは私は思いませんが、仮に法定受託事務といたしますと、府県の独立性といいますか、そういうものがかなり強くなると思いますね。  そして、私どもは、これから社会保険を実行していく上において、社会保険給付が多くなったり、いろいろいたします。されば、コンピューター処理による合理化を図るとか、事務合理化を図っていかなければなりません。その場合は、首切りはできないにしても、新規抑制を図って人員を削減していきたいというようなことも十分考えられることでございます。  したがって、そういう場合に、府県の協力が得られない県と得られる県が生じたりいたしますと、非常に行政の統一性を害しますから、これからのあり方の問題として、やはり法定受託事務、それはいろいろ助言等ができたり指示ができるように、先ほど議論を聞いておりましてありますけれども、しかし私は、それはやはり公平といいますか、統一性を保って、保険事務を今後、これは国民のためでありますし、保険者のためでありますから、統一的にやる必要があるというように考えておりますので、そのように申し上げさせていただきます。
  187. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いわゆる法定受託事務の定義の問題になると思うのです。これも定義が途中から、推進計画から最後の法文の文章は若干変わっておりまして、それも議論になっておりますけれども、法定受託事務の性格としては、利便性、効率性の観点から判断をするというふうに私は理解をしているわけでありますが、今の大臣の御答弁では、社会保険の業務というのは、そうした観点からやはり法定受託事務には難しいのではないか、こういうお話だったと思うのです。  それでもう一点、職業安定関係について。実はこれは我が党内でも随分今議論をしておるのでありますけれども、職業安定関係でも場合によっては都道府県に移譲すると。我が党内には、職安の業務は、これこそ場合によっては地方事務ではないか、地方の経済の活性化あるいは雇用の創出というふうなことは、考えようによっては地方の業務というふうに考えられるのじゃないか、こういう議論もあるわけでありますけれども、都道府県に移譲することにした場合、現在の執行体制上からの問題もあろうかと思うのですが、大臣、簡単に御説明いただきたいと思います。
  188. 甘利明

    ○甘利国務大臣 執行体制上の問題が生ずるかということでありますが、これは大いに生じます。  今、国に労働省があって、業務の流れは、県に雇用安定課というのがありまして、そして現場に職業安定所というのがあります。当然全部身分は国家公務員でありますが、真ん中の部分だけが県の、地方組織に入っているわけですね。特殊な形になっているわけです。これは、国から知事を通じての命令、指示が来ますから、知事の監督下にある職業安定課長を通じて職安を指揮するという体系になっているのですね。  これが完全に地方公務員になってしまいますと、地方公務員が国家公務員を指揮するということが生じてしまうわけであります。地方分権というのは、国と地方が車の両輪で対等な関係で進んでいく、そういう関係にあるにもかかわらず、地方が国を指揮するという状況が生じてしまうということになると思います。(発言する者あり)
  189. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いろいろ外野の声もありますが、この部分については、我が党もしっかりとこの国会議論をし……(発言する者あり)ちょっと静かにしていただけますか。  私は、時間もありませんからもう一点、私が考えていることを申し上げるわけでありますが、今回、地方事務官をどうするか、こういう議論をするときに、今回の改正に当たって、現行制度の状況のみから判断をしていいのか。確かに、現行制度からいくと、さっきからるる御説明がありましたように、そういう整理はできるだろう。それも一定の理解をするわけでありますけれども、政治でありますから、国会において大きな改正をするときに、私は、少しく先の未来まで考えながら検討しなきゃならぬのじゃないか、こう思っているわけであります。  医療保険制度についても、高齢者医療等については、これは県単位でやった方がいい、こういう声もあるわけですね。厚生大臣、そんな議論がどこにあるのかなという顔をされていますけれども、現にそういう議論もあるわけでありまして、その場合はどうなるのかということもあります。  あるいは、私も地方の出身でありますから、現場でさまざまな声を聞いてみました。そうしますと、現在地方では、例えば福祉事務所と保健所が一体になるというようなことは行われているわけですね。その方が住民サービスとしてはよりいいサービスができる。これは私の経験からいっても間違いない状況でありまして、であれば、介護保険なんかというのは、今度は年金から天引きというようなこともあるわけでありますから、年金の仕組みが介護保険やほかの福祉の制度に影響を与えることは間違いないわけであります。  それは、整理はできるという先ほどからの御説明ではありますけれども、現場においては、住民は、保健、福祉、医療について、やはり一体的に、さまざまな相談や、さっき相談という話もありました、あるいは地域でのサービスを検討する、こういうことを考えますと、私は、今の政府案で本当にいいんだろうか。現行制度からいくと政府案がいい、こういう御説明が先ほどからるるされているわけでありますけれども、少し先の未来を検討すると、そういうことも十分あるわけでありますから、私は、今後のあるべき姿は、少し先の状況も考え議論すべきではないか、こんなふうに思っております。  厚生大臣、何かお手が挙がっておりますから、厚生大臣の御見解を伺い、最後、総理に、ぜひこれは、もうちょっと先のことを考えて、この地方事務官のことも冷静に議論しなきゃならぬのじゃないか、こう思っておりますので、お二人にお聞きしたいと思います。
  190. 高鳥修

    ○高鳥委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  191. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 福祉事務所と保健所の統合の問題は、現に行われておりますし、私は、それぞれ共通した面がございますので、地方行革の一つとしてやはり考えてよろしいのではないかと思います。  なお、介護の関係は、年金の天引きという問題においてかかわり合いはございますが、本質的には業務が違いますので、ちょっと御意見には賛成しかねる点がございます。  なお、老人保健の経営主体、これは今、老人保健制度をどうするか、独立した制度にするか、あるいは健保連等の上乗せ方式にするか、いろいろ社会保険審議会で検討中でございます。これは非常に大きな課題でございまして、我々としては最重点に取り組んでおりますが、なお結論を得るに至っておりませんので、今先生の府県単位ということも、一つの参考意見として承らせていただきます。
  192. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 桝屋委員の御意見、十分お聞きをいたしましたが、大きなこの変革の機会におきまして、若干たすきがけになっておられますようなこういうものを、一つの筋道を戻すということにおいて今回こうした法律案を出させていただいておることだろうと思っておりますので、そうした線で政府としては考えさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  193. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私ども、この問題については、本当に国民のためにはどうあるべきかという観点で今からしっかりと議論していきたい、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  194. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、松本善明君の質疑に入ります。
  195. 松本善明

    松本(善)委員 私は、中央省庁関連法案について質問をいたします。  政府は、この法案行政改革の中心課題と位置づけておりますが、今国民が求めている行政改革は、各種世論調査でも明らかなように、大規模開発型公共事業など、浪費に徹底的にメスを入れてほしい、それから高級官僚の天下り禁止など、政官財の癒着構造にメスを入れてほしいということであります。しかし、本法案には、こうしたことは全くございません。  世論調査を一つ紹介いたします。  総理、覚えておられるかどうかわかりませんが、ことしの一月、経済審議会に「新たなる時代の姿と政策方針」の策定を諮問されました。その方針策定のために、経済企画庁がことし二月下旬にアンケート調査をいたしました。その報告がこういうもので、御存じかもしれません。  この設問の中には、「今後政府が重点を置くべき政策分野は何だと考えられますか。」という設問がございます。この質問に「医療・福祉」と答えた人が五五・八%、群を抜いて第一位でございます。第二位以下は一〇%にもなりません。政府の国民生活に関する世論調査なども、全く同じ傾向が出ております。  しかしながら、今回の中央省庁再編は、こうした国民要求にこたえるものとは全くなっておりません。六十兆円の銀行支援など、銀行やゼネコンについては手厚い措置をとっておりますけれども、国民の福祉や医療は次々と切り縮められてまいりました。今回の法案は、福祉を重視してほしいという国民の要望に沿う方向ではなくて、逆に、国民生活関連部分を切り縮めていこうとしているのではないかと思いますが、総理はどのようにお考えになっておりますか。
  196. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 世論調査は調査として、現下、国民の大きな関心事が医療、福祉にありますことは、これは否定し得ないものだろうと思っております。  ただ、今回のこの改革そのものは、すべて、これからの二十一世紀に向けての日本の行政機構をきちんとしていくということでございまして、究極的に言えば、今国民関心の問題についても、そうした問題解決のためにしっかりとした仕組みをつくり上げようということでございますので、結果的には、国民の心配されておられる諸点につきましても、よき結論を導くための手法だと考えております。
  197. 松本善明

    松本(善)委員 総理は、結果的にはそういう国民の要求に沿うことになるんだというふうに言われたわけでありますけれども、この省庁再編の原点になっているのが、言うまでもなく、行政改革会議の最終報告であります。これは、国民に福祉や医療を行政に要求する考えを改めさせるという観点で行政改革を行おうとしていて、国民の求めているのとは全く逆の方向だと思います。  行政改革会議の最終報告がどういうふうに言っているかということを紹介をいたしますと、再編考え方については、次のように言っております。  今回の行政改革は、行政改革であると同時に、国民が行政に依存しがちであったこの国のあり方自体の改革だ、こういうふうに言っているのであります。しかも、こうしたことを改革の最も基本的な前提として認識しなければならないということも言っております。  総理、このことは、簡単に言えば、国民は医療とか福祉の問題で行政に依存するなということを言っているのじゃないでしょうか。いかがですか。
  198. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 随分、何といいますか、結論を導くためにそのような御指摘をされているかと思いますが、今回のこの行政改革そのものは、先ほど申し上げましたように、国民の大きな要望に相たがう方向でのものであるというようなことは決してないわけでありまして、しっかりとした福祉政策を行うためにも、行政のあり方に対してのきちんとした対応をいたすべきだというのが、私ども今回の提出したゆえんだろうと思っております。
  199. 松本善明

    松本(善)委員 総理はそういうふうに弁解をされますけれども、行政改革会議の最終報告を子細に、注意深く読めばそのようでございます。中央省庁再編問題研究会という学者が集まっている研究会がありますけれども、その研究報告でもそのことを指摘しております。  これはもうだれが見ても、客観的に最終報告があるわけですから、これをちゃんと読めば、だれでも、どこに問題を感じているかということははっきりわかります。総理が答えられたことと私が述べたこととがどっちが正しいかということは、国民がこの最終報告をお読みになれば、これはもうすぐわかることであります。  今回の中央省庁再編は、行革会議最終報告の方向に沿って行われております。私どもは、行政への依存体質というのは、国民ではなくて、財界、大企業だと思っています。この癒着を断ち切ることが本来の行革だというふうに思っております。  こうしたことに手を触れないで、法案は、行政スリム化、減量化が重要な目的となっております。それは、今申し上げましたように、国民の行政への依存体質を変えるという考え方から来ております。したがって、スリム化や減量化というのは国民生活部門に集中をしております。行政スリム化の問題は、行革会議最終報告が言いますように、中央省庁再編の中心問題であります。  国民生活部門のスリム化の典型的なやり方は、国の行政から仕事を切り離す仕組みとして新しく導入する、国民には耳なれない言葉でありますが、独立行政法人という制度でございます。  健康や暮らしを守るという国の公共的な立場から行っている仕事行政から切り離して、採算やコストを重視するやり方で、独立行政法人にやらせるものである。医療や福祉など公共的業務は、そういうコストや採算などでは決してはかれない、そういう性質を持っていると私は思います。  この独立行政法人の対象となっているのは、国立病院・療養所、国立試験研究機関、国立博物館、国立美術館など八十九施設、機関であります。どの機関も国民生活に関係が深く、大事な機関であります。中でも、国立病院・療養所は、さきに紹介した世論調査でも、圧倒的多数の国民が政府に今後重視してほしいと考えている医療、福祉に直接関係している機関であります。  国が医療を直接実施しなくなるということは、この分野を重視するのではなく、明らかに軽視していることで、国民の求めていることに逆行しているということではありませんか。総理、どのようにお考えですか。
  200. 太田誠一

    太田国務大臣 行政改革会議の最終報告は私ども十分参考にいたしておりまして、これは、国民がみずからの責任でやっていこう、そしてまた、みずからの責任でもって国家、国全体についても責任を持とうというのは、大変立派な考え方であろうかと思います。  今おっしゃられました国立病院あるいは療養所の独立行政法人化につきましても、先ほど申し上げましたが、国がみずから直接実施する必要はないけれども、公共的な観点からそれはやらなければいけないというふうなことについて、国立病院はまさにそのような定義に合致したので独立行政法人化していただくわけでございます。そのことと、国立病院が独立行政法人化するから政府が医療、福祉の分野を軽視するなどというのはとんでもない話でありまして、これは牽強付会というふうに言うべきではないかと思います。
  201. 松本善明

    松本(善)委員 言葉の上で牽強付会と言ったからといって、これは事態が変わるわけではないのですね。やはり実態がどうであるかということであります。  これは、みずからの責任でやるということをおっしゃった。それも一つなんですよ、これは。福祉、医療のようなことは自分でやりなさいという方向が明白に書かれています。私は——一つ一つ答えなくてもいいでしょう。そんなに慌てなくていいですよ。  この問題については、決してそういう軽視をしているのではないという答弁の趣旨ですね。しかし、それならば国でやればいいのです。  今お話しになりました独立行政法人の定義、それは基本法の三十六条とか通則法の第二条にございます。それによれば、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、」というのが前提になっていますね。  だから、これは国が公共上の必要から確実に実施されることが必要だ、それが独立行政法人になるわけです。だから私どもは問題にしているわけであります。これを本当に国が責任を持ってやっていくんだ、国民はそんな心配する必要はないんだというのであれば、これは国がやればいいじゃないですか。  これは本来、国立病院等がやっている仕事というのは、憲法二十五条の生存権を保障するという観点からやっているわけです。国がもちろんこういうことはやっていくということにすればいいじゃないですか。それをわざわざ、必ず実施をしなければならないというふうに考えているそういう必要な事業を、なぜ独立行政法人にしなければなりませんか。
  202. 太田誠一

    太田国務大臣 松本委員は、何でも国営が正常な姿というふうにお考えになっているのかもしれませんが、現に我が国は、民間の病院もありますし、また地方公共団体がやっておる病院もありますし、さまざまな経営体があるわけでございます。  すなわち、国が直接やらなくてもよい、みずから実施しなくてもよいものは独立行政法人化してもらおうということでございますから、そして、その上で、ディスクロージャーをして経営内容について公開をして、第三者的に評価をしていくということで、みずからスリム化を図り、効率化を図り、そして、目的に対して忠実な生き方をしていただけるだろうということを期待するわけであります。
  203. 松本善明

    松本(善)委員 公立のそういう病院もあれば民間のそういう施設もあることは、十分承知をしております。  しかしながら、国立病院は、国民の広範な医療について、特に難病など民間では困難な医療を受け持っております。例えば、重度心身障害者、重度心身障害児の入院患者のベッド数について言いますと、約一万五千のベッドのうち、半分以上の約八千が国立病院であります。  こうしたことを国が中心となってやるのは当然のことでありますが、これが独立行政法人になって、効率化やコスト優先で運営されるようになりますと、採算がとれないとして切り捨てられる可能性が心配をされているわけであります。  私は、ある病院長から直接話を聞きました。民間で重度心身障害児の医療病棟を二棟、三棟持っているというような場合にはとても採算が難しいということを、本当に切実に訴えておられました。私も、実際に実情を見ましたけれども、医療関係者、看護婦さんその他が重度心身障害者の世話をするのは本当に大変です。これはもう特別の苦労があって、とても効率化だとかコスト優先で運営できるようなものではないということを、実感として感じました。  医療は心配ないと言いますけれども、独立行政法人通則法の三十五条では、独立行政法人は三年から五年の中期計画終了後にその評価が行われることになっております。その結果によっては、総務省に置かれる審議会は大臣に法人の廃止を勧告できるようになっております。一方で業務を続けると言いながら、これはどうしてもやらなければならぬ仕事だと言いながら、一方では廃止を勧告できるという矛盾した制度になっているんです。  総理にお聞きしますので、ちょっと聞いておってください。  ところが、総理は本会議でこれに対して、これは必要なことだと言っておきながら廃止ができるようになっている、これは私ども、制度の矛盾だと言っています、そうしたら総理は、これは制度の矛盾ではなく制度のねらいだ、こう本会議答弁をされたんです。覚えておられるでしょう、御自身でお話しになったんですから。  この答弁を素直に受け取りますと、廃止をすることが独立行政法人のねらいともとれます。独立行政法人は、先ほども申しましたけれども、「公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務」を行うものと規定をされているわけです。「公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務」を廃止するということは、公共の見地を放棄するということじゃありませんか。この事務が確実に実施される保証はないということではありませんか。  総理は御自身で答弁されたことですから、どういうつもりで答弁をされたのかはっきりお答えいただきたい。総理答弁です。
  204. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私が御答弁申し上げましたのは、独立行政法人の目的を達成するための、第一の目的を達成するために必要なこととしてやらなければならぬことだと申し上げた次第でございます。
  205. 松本善明

    松本(善)委員 総理、私のお聞きしておることは、必要なものはやらにゃいかぬ、確実に実施されなければならぬというのは独立行政法人の一つの要件ですよ。先ほど太田総務庁長官も言いました。私も申しました。法律にも書いてございます。ところが、そういうものが廃止ができるようになっている。公共上の立場から確実に実施をされなければならないものが廃止の対象になるというのはどういうことなんだ、そこは矛盾じゃないかということを言っているんです。  あなたの答弁は何も答えておられない。そのことはどう思って本会議答弁をされたのかをお聞きしているんです。本会議でどう思ったんですか。ただお読みになっただけですか。本会議であなたが答弁をされたことの意味を聞いているんですよ。それはほかの大臣に答えられることじゃないでしょう。(発言する者あり)それじゃしようがない、聞いてみましょう。
  206. 太田誠一

    太田国務大臣 必ず実施しなければいけない使命を担ってスタートをした独立行政法人がその任を果たし得ないということになった場合には、今先生おっしゃるような廃止とかあるいは改編とか、そういうことになるんだと思いますね。  それから、先ほどから気になりますが、効率性だけを言っているわけじゃありません。適正にその任務を果たせるかどうかということを、同じように、効率性と同じウエートを持って評価をされるというのが独立行政法人とその他の民間企業などとの違いであります。そのために渡しきりの交付金を出して、そしてその組織を維持していただこうということでありますから、そこは、何か民営化と同じようにおっしゃることは、これはミスリードであるということであります。
  207. 松本善明

    松本(善)委員 勝手な推測をしないで、一つ一つ確実に議論をしていこうじゃないですか。  私が申し上げておりますのは、総理も聞いていてくださいよ、自分で答弁したんですから。基本法三十六条や通則法二条にあることは、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」ということが条件になっているんです。それは総務庁長官の答えたように、その評価の結果がだめだったらやめるといったら、公共の見地から確実に実施されなければならない必要な事務廃止するということじゃないですか。それは公共的な責任を放棄するということじゃないですか。  そんな専門的なことじゃないと思いますよ。総理、どうですか。あなたは自分の御答弁についてはどうお考えですか。あなた自身のお考えを述べられたんでしょうから、それはちゃんと答弁をしていただきたい。答弁ができないというなら、答弁できないとおっしゃったらいいですよ。それなら、できないから総務庁長官に聞きますよ、しようがない。できないならできないとはっきり言ってください。
  208. 太田誠一

    太田国務大臣 内閣は一体でございますので私が答弁させていただきますが、それは現在の判断というものがあって、今現在はそういう判断をしているけれども、例えば時代が変わり、世の中の価値観も変わってくれば、これはもはや国として責任を持つ必要がないということになり得るかもしれません。しかし、それよりももっと、使命を担ってスタートをしたんだけれどもその組織ではその使命が果たし得ないということになれば、その使命は使命として大事だけれども、それはほかの方法でやって、その組織としてはそこでおしまいということは、これはあり得るんじゃないですか。
  209. 松本善明

    松本(善)委員 内閣一体だということは、総理が自分で答弁したことを答弁しないで済むということではないと私は思いますよ。それは、内閣が一体だということはよく存じております。ですから、総務庁長官答弁も拒否はしませんけれども、私は、総理がやはり自分の答弁については責任を持たなければならぬ、そう思います、それが制度のねらいだと言ったんですから。  総理はもし弁解をすることがあればお答えをいただきたい。もしすることができなければ、私は答弁ができなかったというふうに解する以外にはないと思います。それは後から総理お答えになるなら答えてください。私は、総務庁長官答弁との関係で議論を進めようと思います。  総務庁長官は、これは使命が終われば終わる、ほかの方法でと、しかし、ほかの方法でなんということは一つも書いてないですよ、法案には。何もありません。公共上の見地から確実に実施をしなければならないそういう仕事廃止していって、ではほかの方法をといっても、何もないですよ。廃止をしたら終わりになっていく。やはり切り縮めていくということになるじゃないですか。  私は国立の任務というのは非常に重要だと思います。確かに総務庁長官言われるように、国立の病院もあり公立の病院もあり、非営利の民間の法人もいろいろやっています。だけれども、その中で国立の病院は施策を引き上げていく責任があると私は思います。これは採算がとれなくても、これはもう初めから採算がとれないことは明白ですよ、こんな仕事は。それをやはり引き上げていく、これが憲法二十五条の生存権の保障を具体化してきたものですから。  これをやらないでいけば、これは生存権の保障が空洞化をしていくということになるんだと思います。(発言する者あり)今不規則発言もありましたが、入っている、重度心身障害を抱えている人、この人の生存権の問題なんですよ。それから、そういう人を家族に持っている家族はもう本当に深刻です。私は、医療労働組合の話だなんと言っているのはとんでもない認識不足で、この人たちのことを本気で考えるかどうかという問題なんです。とんでもないです。私はこの問題について弁解があれば総理に聞きたいと思いますけれども、時間の問題もありますから、試験研究機関の問題についてお聞きをしようと思います。  これも独立行政法人化されようとしております。そもそも国立試験研究機関は公共性のある研究をしており、独立行政法人にすることは適していないと私は思います。特にその矛盾は、業績評価を三年から五年で行うという問題であります。  国立の研究で、三年から五年で結論が出て評価ができる、そういう研究というのはほとんどないと言っていいだろうと思います。特に、国立のように公共的立場から研究を行う機関ではなおさらのことであります。  例えば、今環境で世界的に大問題になっているオゾンホール、これは日本の気象研究所が南極の昭和基地上空で観測したと言われております。発見まで約三十年かかったと言われております。今テレビでも盛んにやっております、海水からリチウムを採取する、リチウム電池なんかのリチウムを採取するという画期的な研究も、これは二十年を要して日本の研究所が発見したものであります。農産物の品種改良の研究が長期間を要するものであることは、もう一々申し上げるまでもありません。  科学技術庁長官、有馬さん、あなたにお聞きしたいのですが、このような長期の研究やスポンサーのつかない公共的に重要な研究、基礎研究は、三年ないし五年の研究で評価できるのでしょうか。あなたのお考えをお聞きしたいと思います。
  210. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 お答えは、できます。以上です。  もうちょっと詳しく申し上げましょう。  国立試験研究機関では、おっしゃるように、公共の福祉など、市場原理になじまない研究をやっております。それの開発をやっている。それから、高い危険性で、民間では対応しがたい研究開発をやっております。それから、新たな技術の種を見出す、そういうことを目指した基礎的研究開発をやっております。国際的な標準規格等への対応、こういう極めて重要なことをやっている。そういう意味で、多様な機関が存在しております。こういうような国立試験研究機関は、現行の制度の中で最大限の努力をやって、研究成果を輩出してきております。  今回の国立研究所、機関への独立行政法人制度の導入は……(松本(善)委員「時間の問題もありますから、問いに明確に答えてください」と呼ぶ)はい、短くやります。非常にいいところがあるんですね、一つにおいては。それは、各研究機関の持つ多様性を尊重しながら、研究機関の自律性、柔軟性、競争性を高めることができる。私自身は特殊法人の理化学研究所の理事長をやっておりましたが、かなり独立行政法人に似ております。ここでは極めて公的な研究もやっており、五年ごと、場合によっては七年ごとに、極めて厳しい自己点検並びに外国人を含んだ外部評価をやっています。そして、どういう研究が伸びていくか、それから伸ばすべきか、どれはやめるべきか、こういうことをきちっと評価をしています。こういう点で、私は、独立行政法人という生き方を生かすこと、先ほど申しましたように、各研究機関の持つ多様性を尊重しながら、研究機関の自律性、柔軟性、競争性、特に財政上のさまざまなことにおいて自由度が与えられているということは生かしていくことができると思っています。  そういう意味で、本制度が導入されることによって、そこの研究者が自己の能力をより発揮することができ、基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上が図られるものと認識いたしております。
  211. 松本善明

    松本(善)委員 有馬さん、お答えになりましたが、行政改革会議第五回企画・制度問題及び機構問題合同小委員会で、有馬朗人委員科学技術庁長官が当時は行政改革会議委員でありましたが、このときに、独立行政法人を国立大学に適用することに反対の意見を書面で述べておられます。  その述べておられる理由を少し御紹介いたしますと、独立行政法人は、自発性、長期性、多様性を——今あなたの言われたことと同じ言葉を言いながらですよ。多様性を本質とする大学の教育研究になじまない。二、安定的な研究費、人件費の確保の保障がないことから、独自の資金を有しない我が国の大学の学術研究水準が低下し、科学技術立国を目指す我が国の発展が望めないこと。三、国立以上に国の財政支援がされるとは到底考えられない。  あなたは、閣僚になられたときと閣僚になる前とは意見が違うんですか。私は、今のお話を聞いていますと、すっかり違うんじゃないかと思います。  私は、もうそれほどの時間がございませんので、次に行きたいと思いますが——いや、ほんのわずかなら答えてもらってもいいですよ、あなたの答弁は長いから。では、簡明に答えてください。
  212. 有馬朗人

    ○有馬国務大臣 高等教育に関して日本がもっと国費を出すべきだということは今でも思っております。この点ははっきり申し上げておきます。  しかし、独立行政法人になるかならないかというときに、どういう財政的な補助を国がするかどうかはまだはっきり決まっておりません。これから検討して、必要のあることは国が十分保障していくべきだと私は思っているわけであります。
  213. 松本善明

    松本(善)委員 その保障がないから、研究機関の皆さん方がみんな反対しているんですよ。これは、有馬さんもそういう立場で反対をされたんですよ。  私は、科学技術の進歩は国民生活を向上させる上で重要な役割を果たしている、行政スリム化のもとに国が行政から切り離すことは、研究をおくらせ、取り返しのつかないことになると思います。私は、今までのわずかな質問で、独立行政法人は、国が責任を負うべき国民生活部門から撤退する仕組みであり、民営化の第一歩になる、こういうことはもうきっぱりやめるべきだということを申し上げます。  質問を次に移そうと思います。  政府の省庁再編の方向は国民生活の切り捨てであることは明白でありますけれども、一体、日本の行政はどこが肥大をしているんだろうか、その問題であります。  その最大のものが公共事業であります。OECDの資料によって、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの中央、地方を含めた公共事業、公的固定資本形成と言ってもいいですが、それのGDPに対する比率を見てみますと、日本が六・六、アメリカが一・七、イギリスが〇・八、ドイツが二・二、フランスが三・一であります。日本は、アメリカの約四倍、イギリスの約八倍、ドイツの約三倍、フランスの約二倍であります。公共事業部門の肥大化は明白であります。  こうした開発型公共事業推進する官庁として、公共事業の八割が集中する国土交通省という巨大官庁ができます。これは、運輸、建設、国土北海道開発庁の四つの省を合併したもので、対米公約の六百三十兆円を公共事業に使う基本計画のもとに、破綻した苫小牧東部開発やむつ小川原開発を進め、伊勢湾口、東京湾口などに、巨大な海峡大橋を全国に六つもかける大型プロジェクト中心の五全総を推進することになります。  ところで宮澤大蔵大臣、あなたは、苫小牧東部開発やむつ小川原開発について、国の発想に誤りがあったとその失敗を認める発言を本院大蔵委員会でなされた、覚えておられると思います。しかも、あの前の戦争のときのようにだれもやめろと言い出せないんだ、こういうふうに嘆いておられました。これは議事録に明白に出ております。  私は、そこまで大蔵大臣考えておられるならば、これはもうきっぱりと、苫小牧東だとかむつ小川原などはもう一切やめる、そしてこの公共事業の見直しをして、大型のゼネコン向けの公共事業ではなくて、私どもは生活密着型に変えるべきだと思いますが、この公共事業の方向を根本的に見直すべきではないか。これは、権限は総理大臣にありますから、大蔵大臣総理大臣にお聞きしようと思います。
  214. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 申しました言葉と結論になっている部分が少し違っておるのでして、私が申しておるのは、苫東とかむつ小川原とかいうのはこれは全総の一番早い時期からございまして、殊に苫東などは顕著でしたが、こういう世界の景気の激変によって思ったとおりのことができなかった、それは申し上げました。これはしかし、どうもやむを得ないことであった。そこで、今やめるかどうかといえば、これは私の私見として申し上げたのですが、やはり苫東というのは北海道の人のこれからの夢であるし、将来を考えると、むつ小川原も民間の方々がそういう気持ちになられたら、東北開発公庫を通じて政府もやはり助けていくべきじゃないか、こういうことは確かに申し上げました。  ですから、二つのことを申し上げているので、こういう長いプロジェクトが、いろいろな事情はございましたが実を結んでいないということは、これは確かに見通しとして悪かったといえば悪かった。だけれども、それならここでやめることがいいかといえば、やはりそれは地域のこともあって、やってさしあげたいという意味のことを申しておるわけであります。  公共事業一般についてはこれは建設大臣お答えでしょうが、費用対効果の分析ということをことしから具体的に始められるわけですし、それから今度の予算編成でも、いわゆる時間の経過によって、できるはずだったサイトがなかなか整わないというものは思い切ってやめたらいいんじゃないかという選択を幾つかいたしましたので、批判があることをかなり私ども気がつきながら効率化を図っておるところであります。
  215. 松本善明

    松本(善)委員 私は議事録を持ってきて正確に、大事なことでございますので、大蔵大臣答弁を子細に研究して御質問をしております。  渦中にいてはやめられないのですね。だれもやめるということを言い出せない。私は、これは戦争中のことも知っておられる大蔵大臣のお言葉だと思います。私は、ここで決断をして、やはりやめるべきだ。そして方向転換をする、それこそが行政改革じゃないでしょうか。  総理大臣、大蔵大臣の今の御答弁、苫小牧東とかむつ小川原は失敗だったかもしれぬ、これは戦争のときと同じ、渦中にいたらやめられない。これをやめるという決断をするのは総理大臣なんですよ。あなたはその決断をする気がございませんか。
  216. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 必要なものは必要として、存続していかなければならぬと思っております。
  217. 松本善明

    松本(善)委員 総理大臣、私は具体的にお聞きをしているので、必要なもの等は続けていくというのは、苫小牧東だとかむつ小川原については、必要なものだということでお続けになるのですか。これはやはり決断すべきじゃないかと、私は大蔵大臣とのお話の中で思って言ったわけです。それについてお答えいただきたい。それは続けるのかどうか、はっきりお答えいただきたい。
  218. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは先ほど私が申し上げましたとおり、苫東については新しい会社ができますから、何とか支援してあげたいと思っていますし、むつ小川原はそこまでいきませんが、そういうことになったら、やはり地域のこと、我が国の将来を考えると、何とか助けてあげていくべきではないかというのが私の考え方でございます。それは、望みがないものをいつまでもやっていこうという考え方とは一緒ではございません。
  219. 松本善明

    松本(善)委員 総理は何かございますか、なければいいですが。
  220. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その地域にとりましては死活の問題でございまして、そういった意味で、財政的にも予算的にも協力できるものは協力していかなければならない、こういう趣旨を大蔵大臣は述べられたものと思っております。
  221. 松本善明

    松本(善)委員 これは、やはり戦争中と同じように決断ができないということです。  公共事業部門についても、それから自衛隊も聖域になっています。自衛隊は今でも公務員の四分の一を占めておりますが、今回の省庁再編では手をつけておりません。小渕総理の言う、十年間に文字どおり二五%削減した場合、公務員の中で自衛隊の占める比率が四割という高率になることは、本会議で我が党が指摘したとおりであります。  以上、今の質疑の中で、省庁再編法案が国民生活部門の徹底した切り捨てそのものを目的とし、軍事を聖域として、ゼネコン向けの公共事業を肥大化させるものだということの一端が明らかになったと思います。私は、国民の立場に立った行政改革を実行することを強く要求して、質問を終わります。
  222. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次に、濱田健一君の質疑に入ります。
  223. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党・市民連合の濱田健一でございます。  中央省庁等改革関連法案を中心として、きょうは質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、総理にお伺いしたいわけでございますけれども、この間、行政改革の目的という見地に立って、総理は、このように何度も同じことを繰り返して述べておられると私は存じ上げております。その中身は、国の行政組織並びに事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国社会経済構造の転換を促し、もって自由かつ公正な社会の形成に資するというふうに繰り返し述べておられます。  このことが国民にとってどんなに有意な国家組織行政改革にしようとしているのかということが、なかなか具体的にわかりづらい。役所の作文といいますか、それを丁寧に述べておられるのだろうというふうに思うのですが、ここで、テレビを見ておられる国民の皆さん方に総理の率直な、御自分の言葉でこの行政改革の目的というものをきょうは述べていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  224. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 濱田委員、今お読みいただきましたことが率直な私の考えに尽きるわけでございます。やはり二十一世紀を前にして、戦後だけでなく、内閣制度が発足しました明治十八年以降、我が国が中央集権的に、中央が地方を上下関係でリードしてきたということの限界が来ておる、こういうことでございまして、そういった意味からも中央省庁再編し、再編の機会、再編のあり方についての御議論は、いろいろと御指摘がありました。ありましたが、やはり二十二省から一府十二省に大きく編成がえをするというときに、もろもろの問題について問題点を整理して、そして新しい体制をもって次代に備えたい、これが一番重要な問題だと考えておるわけでございます。
  225. 濱田健一

    濱田(健)委員 今総理は、一府十二省、大きく編成がえをして国民の期待にこたえたいという趣旨の話をしていただきました。  簡潔でスリムな行政と機動的で効率的な政策遂行、それが実現したとしても、行政が国民から遠のいてしまうというようなことがあっては行政改革とは言えないというふうに私は思っております。国民の立場に立った、親切で真心のこもった質の高い行政サービスの実現こそが今回の、中央も地方もという行政改革の目的であろう、私はこのように申し上げておきたいというふうに思います。事務事業の一律削減というような手法、これでは利用者である国民を無視した行革と言わざるを得ない、これも私は申し上げておきたいと思います。  そこで、総理及び総務庁長官にお尋ねしたいんです。  国民生活の向上や社会的な公平公正、弱者の保護、こういう必要なサービス、これについてはこれまで以上に手厚くしていくということ、こういうところでの国民本位のめり張りある行政改革というものを今後とも模索しなければならないというふうに思うんですが、総理及び総務庁長官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  226. 太田誠一

    太田国務大臣 省庁改革の目的は、すなわち国民主権の理念に基づいて政治主導というものができるようにということが一つでありますし、また、国民の目から見て行政の姿を見えやすくするということも目的でありますし、また、これまでの縦割り行政弊害を排して、そしてスリム化あるいは整合性の確保をするということも目的でございます。  そういうふうな側面でやっていくということでございますから、今言われましたいわゆる国民の福祉とかあるいは経済的な生活の向上とか、そういうことの政策目標を達成するためにも、そういう効率的な行政、あるいは政治主導による機動的な政府の運営というのが大切だということになろうかと思います。
  227. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回のことが成就いたしますれば、お話のように国民本位の行政サービスができるものと確信をして、今回の改革お願いいたしておるところでございます。
  228. 濱田健一

    濱田(健)委員 さて、そういう中で、国家公務員の定員削減の問題でございます。  自社さ政権のときには、定員削減計画は十年間で一〇%という方向性だったと私は記憶をしております。小渕総理が就任されたときはそれが二〇%という数字に倍増をし、自民党と自由党の政権合意に当たっては二五%という数字に変わってまいりました。国民から見ると、今回の中央省庁改革法、あたかも公務員の削減を目的としているように受けとめられがちでございます。このことは地方公務員まで削減していくという将来的な方向性があるのではないかという危惧感まで出されているわけでございます。  総理は本会議で、十年間で二〇%削減を目指してきたけれども、この目標を一層厳しくする観点から自民、自由の合意がなされたというふうに答弁をされておられますけれども、一〇%から二〇%、二〇%から二五%というふうに削減計画を変えていかなければならなかったその合理的な理念というものは、私たちには余り明らかになっていないというふうに思わざるを得ないわけでございます。  不祥事が続きまして国民の信頼が揺らいでいるという中での中央省庁の役人の削減というのは、確かにわかりやすい行政改革のお題目であろうというふうに思いますけれども、先ほど申しました社会的な公平公正、そして弱者保護というふうな観点でいうと、一〇から二〇、二〇から二五という大きな公務員の削減という中身が、果たして行政サービスが低下しないということの保証が得られるのかというふうに考えたときに、非常に心配でございます。  国民全体の奉仕者としての国家公務員を十年間で四分の一も減らすというこのことが、目標を一層厳しくするというそのことと一致しながら、本当にサービス低下を招かないのか、私は心配をしておりまして、無定見な定員削減はやはり考え直すべきではないのかというふうに思うのですが、いかがでございましょうか、総理
  229. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、一般の、現下の国民の期待するところを考えますと、やはりみずから、隗より始めよということで、行政の中で定員を削減しつつ、スリムで効率的な行政を打ち出していかなきゃならぬということで目標を立てておるところでございます。  経過につきましては、今御指摘にありましたように、一〇%から二〇%というのは私が総裁選挙のときにお約束したことでございますが、その後、自自の間で二五%という数字が出ました。これは、当然のことながら、いわゆる純減ということではありませんけれども、独立行政法人等の考え方に基づきまして、より効率的な行政の姿にいたしていきたいということでございます。  これを実行するということにつきましては、大変困難の伴うことではございますけれども、やはり現在の日本の国内の状況を考えまして、それぞれの企業体におかれましても、今真剣にその体質強化のためにスリムになり、リストラをしておる今日を考えますと、そうした国民の皆さんの努力に対しまして、まず政府としても最善の努力をしていかなきゃならぬと思っております。御指摘のように、そのことによって行政サービスが停滞をするということはあってはいけないわけでございますので、その点については十分な留意を払いながら努力をいたしていくということだろうと思います。
  230. 濱田健一

    濱田(健)委員 この削減の目的というのは、確かに民間の厳しい状況の中で、それと呼応して政府もスリム化していくというその名目はわかるんですけれども、本当の意味で国民のサービスが担保されるのかどうかということについては、私たちは相当注意しながらやっていかなければならない、また、この論議は続けざるを得ないというふうに思っているところでございます。  そういうふうに定員削減計画というのができ、当然仕事も軽減されていく、地方の方に仕事が移っていくということがきのう、きょう、論議をされてきているわけでございますけれども、一方で、やはり公務員も労働者です。雇用条件、労働条件、これらについてはサービスの向上を含めて一層図っていかなければならないというふうに思っております。定数の削減についてはいささかも雇用の不安が生じないようにしなければならないというふうでございまして、これがおろそかになりますと国家公務員の士気に影響していくということは、もう総理も十分御認識のことというふうに思っているわけでございます。  こういう部分について、先ほどから独立行政法人のあり方、方向性等も論議をされているわけでございますが、国家公務員としての雇用の万全を期す、そういう配慮が十分、これまで以上に必要だと考えておりますけれども、総理総務庁長官の御見解をいただきたいと思います。
  231. 太田誠一

    太田国務大臣 濱田委員初め多くの御党の先生方からこの点についてはたびたび御注意をいただいておりまして、もちろん言うまでもないことでございますけれども、国家公務員の世界は、身分保障があり、また労働基本権の方からくる制約がございますので、その辺は、今総理もおっしゃいましたけれども、他の民間の企業とは違うわけでございます。途中解雇ということは、意に沿わぬ解雇というのはないわけでございますので、その点は今後ともそういう御心配のないように我々は万全を期してまいりたいと思っております。  そしてまた、しかしながら、例えば経営の形態が変わって独立行政法人のような形になったとしても、それはそれで新しい世界をみずからの手で切り開くというふうなお気持ちでもって頑張っていただきたいと思うのであります。
  232. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今太田長官の申し上げましたように、公務員としては、もとよりその士気とモラル、両方あると思いますが、いずれにしても、国家公務員としての責任を果たし得るように、そのために与えられた法律上の権限は、これは守っていかなきゃならないことは政府としては当然のことと考えております。
  233. 濱田健一

    濱田(健)委員 この法案が出てまいりますまでに、国家公務員そのものでいくのか、独法という形にするけれども、その独法の中身が公務員型の独法なのか民間型の独法なのか、また、特殊法人の整理統合で民間に移行する、いろいろな形が論議をされました。  やはりこの中で特に職員の皆さんが心配していたのは、独法についても、国家公務員型であったりそうでなかったり、これからどういうふうになっていくのかという危惧感が当然いまだに、この法案が提出された後にもあるわけでございます。そこについてはしっかりと労使の関係というものが論議をされなければならないということを、特に担当の太田長官にはこれまでの経過を含めて申し上げておきたいというふうに思います。  そういう中で、当然、国家公務員の皆さん方の国民に信頼される仕事のありようというものを今後も確立しなければならないわけでございますけれども、当然、私たち政治家みずからが襟を正してこの行革に取り組んでいかなければならないというふうに考えるわけでございまして、今般提案されております副大臣制の導入というものがございますが、多くの皆さんから御意見を聞くときに、この副大臣制が族議員の量産、そして利権政治の拡大といった方向につながるようなことがあってはならないというふうに言われております。まさにそのとおりでございます。  政官業の癒着の土壌をきっぱりと根絶するということをこの機会にも言明しなければならないというふうに思うんですが、我が党や他党も提案をしております、これまでも何年か論議をしてまいりました国会議員等のあっせん利得行為の処罰の法制化等、改めて政治改革の本旨、こういうものを政治倫理の確立と政治腐敗の防止という意味で実現をしなければならない、その必要があるというふうに思うんですが、総理、御見解はいかがでございましょうか。
  234. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政治倫理は常に心していかなければならない政治家の基本だろうと思っております。そういった意味におきまして、ただいまお話にありました法律その他につきましても、自民党としても検討いたしておるところでございますが、これは各党各会派におきまして十分御検討いただきまして、最終御判断をいただきたいと願っております。
  235. 濱田健一

    濱田(健)委員 独法についてちょっと長官にお尋ねをしたいというふうに思います。  行政法の大家でございます亡き田中二郎元東大教授の著書の中に、最近は独立行政法人の乱立の嫌いがあり、多数の役職員を抱えているだけで、十分な業績を上げることができず、非能率と不経済の典型であるとの批判を免れがたいものもあるのではないかというような趣旨の文章がございました。  私はこれを読んでおりまして、講学上の概念としての独立行政法人は、特殊法人等を含む広い概念というふうに解されているというふうに思うわけでございます。まあ、日本の特殊法人の制度をイギリスが使ってイギリス型の独法をつくった、それをまた日本がリターンしているというような話もございますけれども。  今回の法案における独立行政法人とは、学問上の概念を大きく曲げたものではないのかということも言われているわけでございまして、まず行うべきは既存の制度、これを体系的に抜本的に見直す必要があるのではないかということも言われております。  長官は、さきの本会議で我が党の深田議員の質問に対して、独立行政法人と特殊法人の違いは業績評価と透明性であると答弁をされておられますけれども、これらについては当然特殊法人にも導入されるべきことだ、独法だけが特殊法人と違って業績評価と透明性が確保されているということであってはいけないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  236. 太田誠一

    太田国務大臣 おっしゃることはそのとおりでございます。しかしながら、現にそれは、特殊法人に関して制度として外部監査が義務づけられているわけでもないし、あるいは評価の仕組みができているわけでもありません。それを新たにつくるということが次のテーマになるわけでございます。  すなわち、それは一緒にやればいいじゃないかということでございますが、特殊法人については、その前の平成九年以来三次にわたる統廃合に係る整理合理化の閣議決定ということでずっとやってきておりますので、その努力がある程度切りがいいところまで来たときにそのことに取り組みたいというふうに申し上げているわけでございます。
  237. 濱田健一

    濱田(健)委員 今の答弁は、特殊法人の業績評価と透明性、これはいろいろ言われておりますよね。大きな金を政府がバックアップしながら、実際的に、見えているところももちろんありますけれども、何をやっているんだろうかということ、透明じゃないね、金の使われ方がおかしいねというところがいっぱいございます。  ですから、こういうふうに今回独立行政法人にするところにこういう制度をきちんと入れて国民の批判にこたえられるように、国民の信頼にこたえられるようにするというのであれば、当然、特殊法人にもその手法を取り入れるという前向きな改革の方向性というものを大臣みずからが示していただくということはおかしなことじゃないと思うんです。どうでしょう。
  238. 太田誠一

    太田国務大臣 私は、政治的なエネルギーといいますか、内閣のエネルギーもやはり一定でありますから、あれもこれもやるというふうに広げていくと結局何もできなくなるということが、過去の行革でもそういう苦い思い出はたくさんあったと思うわけでございます。  そのときに、我々が、そのスタートにおいて行政改革基本法で定められたものをまず確実に実行する、そして、その延長線上でさらなることができるならばやるということでスタートをいたしておりますので、すなわち、橋本内閣から小渕内閣に継承したものを間違いなく、竜頭蛇尾に終わらせないで実行するということのために全力を尽くしてきたわけでございまして、問題があることはよく承知をしておりますけれども、そこにエネルギーを費やさなかったということは、それはそういうことだというふうに御理解いただきたいわけでございます。
  239. 濱田健一

    濱田(健)委員 今ある特殊法人に対しての透明性の確保や業績の分析というものが、これからつくられようとする独立行政法人中身に適用されていく、そこを、今あるものの改革というものが、今度の法律じゃないとしても、現実的にその解決の努力をするというお答えが出ないと、何で今あるものにできずに新しいものの中にそれだけを投入するのかという批判を免れないと思います。これは本末転倒していると思います。このことはもっと論議を続けなければなりません。  時間がありませんので、最後に一点。  自社さの三党のときに、独立行政法人については、「職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行い、一方的な適用は行わないこと」とするとの九七年十二月の確認や、それぞれの独立行政法人に行わせる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労使関係に配慮するとの中央省庁等改革基本法四十一条、さらには衆議院特別委員会における附帯決議を十分尊重していくということが大事であるというふうに思いますが、この点を総理総務庁長官にお聞きして、質問を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  240. 太田誠一

    太田国務大臣 今般の独立行政法人化決定に当たりましても、自社さ三党の九七年十二月の確認や基本法第四十一条等の趣旨を踏まえまして、良好な労働関係に配慮するということは最も大切に考えているところでございます。  各省中心に、職員団体等と十分話し合いを行いつつ決定に至ったものだというふうに考えております。十分に今後とも配慮をいたしまして、頭の真ん中に置いて取り組んでまいりたいと存じます。
  241. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 良好な労使関係を維持するということは、これは行政を円滑に推進していく上で極めて重要なことでございますので、必要なものは十分御相談をいたしてまいりたいと思っております。
  242. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  243. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次回は、明二十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会