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1999-07-28 第145回国会 衆議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年七月二十八日(水曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       奥山 茂彦君    小林 多門君       阪上 善秀君    滝   実君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       宮腰 光寛君    目片  信君      吉田左エ門君    渡辺 博道君       田中 慶秋君    畑 英次郎君       平野 博文君    山本 譲司君       長内 順一君    斉藤 鉄夫君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣         国務大臣         (国土庁長官) 関谷 勝嗣君  出席政府委員         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         国土庁長官官房         長       木下 博夫君         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 板倉 英則君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         国土庁防災局長 生田 長人君         運輸省鉄道局長 安富 正文君         建設大臣官房長 小川 忠男君         建設大臣官房総         務審議官    林  桂一君         建設省建設経済         局長      風岡 典之君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 竹村公太郎君         建設省道路局長 大石 久和君         建設省住宅局長 那珂  正君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         農林水産省構造         改善局建設部長 佐藤  準君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  荒田  建君         参考人         (日本道路公団         理事)     辻  靖三君         参考人         (首都高速道路         公団理事)   古木 守靖君         参考人         (阪神高速道路         公団理事)   江頭 泰生君         建設委員会専門         員       福田 秀文君 委員の異動 七月二十二日         辞任         補欠選任   小杉  隆君     田中 和徳君 同月二十八日         辞任         補欠選任   田中 和徳君    吉田左エ門君   目片  信君     奥山 茂彦君   長内 順一君     斉藤 鉄夫君 同日         辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     目片  信君  吉田左エ門君     渡辺 博道君   斉藤 鉄夫君     長内 順一君 同日         辞任         補欠選任   渡辺 博道君     滝   実君 同日         辞任         補欠選任   滝   実君     田中 和徳君 七月九日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願石垣一夫紹介)(第六六七七号)  同(中川智子紹介)(第六六九二号) 同月二十三日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願横路孝弘紹介)(第六七六四号) は本委員会に付託された。 七月十四日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願(第六一〇二号)及び同(第六二六二号)は「山花貞夫紹介」を「伊藤忠治紹介」にそれぞれ訂正された。 七月二十二日  高規格幹線道路網等整備促進に関する陳情書(第二九三号)  中部縦貫自動車道整備促進に関する陳情書(第二九四号)  四国縦貫横断自動車道及び地域高規格道路整備促進に関する陳情書(第二九五号)  公営住宅整備事業における事務費に関する陳情書(第二九六号)  過疎地域活性化のための新立法措置に関する陳情書(第二九七号)  同外五件(第三九〇号)  四国における高規格幹線道路等整備促進等に関する陳情書(第三三四号)  北関東自動車道等整備促進に関する陳情書(第三三五号)  九州地域高速自動車国道等整備促進に関する陳情書外二件(第三三六号)  一般国道三二二号の改修に関する陳情書(第三三七号)  東九州自動車道とアクセスする宇佐国見高規格道路早期実現に関する陳情書(第三三八号)  太平洋新国土軸構想及び地域連携軸構想推進に関する陳情書外一件(第三三九号)  中九州連携軸構想推進に関する陳情書外一件(第三四〇号)  西九州自動車道等整備促進に関する陳情書(第三八五号)  南九州西回り自動車道等整備促進に関する陳情書外四件(第三八六号)  四国地方への公共事業重点配分地方負担に対する財政措置に関する陳情書外一件(第三八七号)  河川等整備促進に関する陳情書(第三八八号)  水資源対策の充実・強化に関する陳情書外一件(第三八九号)  東九州軸構想推進に関する陳情書外二件(第三九一号)  九州西岸軸構想及び島原・天草・長島架橋構想推進に関する陳情書外二件(第三九二号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件     午前十時開議      ――――◇―――――
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、建設委員会を代表して一言申し上げます。  このたびの平成十一年六月二十三日からの大雨による被害でお亡くなりになられました方々に対し、哀悼の意を表し、衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。また、現在行方不明となっている方が一刻も早く救出されますようお祈り申し上げます。  これより、お亡くなりになられました方々に対し、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 平田米男

    平田委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ――――◇―――――
  4. 平田米男

    平田委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、平成十一年六月二十三日からの大雨による被害状況について、政府から報告を聴取いたします。国務大臣関谷勝嗣君
  5. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 初めに、このたびの豪雨災害によりまして各地で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災されました方々に対しましても心からお見舞いを申し上げます。  平成十一年六月二十三日から七月三日までの梅雨前線豪雨により、西日本中心各地で大きな被害発生をいたしております。  被害状況といたしましては、人的被害は、死者三十九名、行方不明者一名、重傷者十名、軽傷者五十九名のほか、住家被害としては、全壊百七十三棟、半壊百二十二棟、一部損壊四百三十五棟、床上浸水三千八百四十四棟、床下浸水一万四千七百四十一棟等となっております。これは七月二十六日十二時現在の消防庁調べでございます。  また、七月十日から十六日にかけまして、梅雨前線豪雨により東日本中心被害発生しており、死者一名、重傷者一名、軽傷者二名のほか、住家被害として、全壊一棟、半壊十四棟、一部損壊三十六棟、床上浸水二百六十一棟、床下浸水千八百八十棟等となっております。これは七月二十六日十八時現在の消防庁調べでございます。  その後も、七月二十一日に東京都などで豪雨により死者三名等、また七月二十三日には長崎県でも豪雨により死者一名等の被害が生じております。  六月二十三日から七月三日までの梅雨前線豪雨による災害につきましては、六月三十日に私も最も人的な被害の大きい広島県に参り、被災状況調査するとともに、建設政務次官福岡市に派遣し、七月一日にはその甚大な被害について内閣総理大臣報告をいたしました。また、六月三十日、関係十二省庁から成る調査団を、さらに七月三日に国土政務次官広島県に派遣をいたしたところでございます。  これらの被害に対しまして、災害救助法広島市、呉市、福岡市への適用、自衛隊の災害派遣や警察、消防の出動等、総力を挙げた対応が行われました。  また、被災者の自立した生活再建支援するため、初めて被災者生活再建支援法広島県全域において適用いたしまして、昨日二十七日でございますが、既に申請のありました九世帯に支援金の支給を行ったところでございます。  災害復旧に関しましては、関係省庁による現地調査等を踏まえ、公共土木施設農地等被害状況早期把握を行っているところでございます。このような悲惨な災害を繰り返さないよう、洪水はんらん土砂災害の危険についての情報提供を一層進めるとともに、河川道路砂防都市施設等被災箇所土砂災害発生箇所については、再度の災害防止地域安全確保のため、現在の制度を最大限活用した災害復旧と本格的な防災対策の実施について万全を期すよう指示いたしているところでございます。  なお、激甚災害指定につきましては、被害状況被害を受けた自治体の財政状況被災地農業所得状況等に照らし最終的に判断することとなるため、現在被害調査を鋭意行っているところでございますが、その結果を踏まえ、指定基準に該当するものについては速やかに対処をしてまいる所存でございます。  さて、今回の災害の特徴は、広島県などで土石流がけ崩れが多発したこと、また福岡市では地下街やビルの地下室が浸水するなどの都市型災害発生したことでございます。  特に、土砂災害に関しましては、私自身、被災地を上空から視察いたしまして、危険な地域に人家が密集しているさまを目の当たりにいたしまして、このような危険な箇所への対応を行うとともに、抜本的には危険な地域に家が建つことを事前防止する必要があると感じ、その旨内閣総理大臣にも御報告をいたしました。  総理からは有効な対策検討の指示がありましたので、これを受けて、七月六日、建設省に総合的な土砂災害対策に関するプロジェクトチームを設置いたしました。当プロジェクトチームでは、まず一つ土砂災害のおそれのある地域における住宅等立地抑制方策、二番目に土砂災害のおそれのある地域における防災性向上方策、三番目に避難及び住民への情報提供あり方について集中的な検討をすることとしており、七月十九日には第一回の会議を開催したところでございます。  今後、当面の対策を三カ月程度を目途にいたしまして、また総合的な土砂災害対策基本的方針を年末までに取りまとめる予定でございます。  さらに、関係省庁局長レベルから成ります中央防災会議局員会議を七月十六日に開催いたしまして、避難勧告が確実に住民に伝達されるための情報収集伝達体制強化ハザードマップ明示等、効果的な事前周知方法等について総合的な観点から検討を行うことを申し合わせたところでございます。  地下空間洪水対策につきましては、昨年十一月に設置をいたしました地下空間洪水対策研究会などにおきまして、関係省庁洪水時の地下施設管理者への早期情報伝達避難誘導体制あり方などについての具体的な方策検討を進めているところでございます。  今後とも、関係省庁が緊密に連携し、体制に万全を期すとともに、今後の復旧を速やかに進める必要があり、政府が一丸となって対応することといたしております。  また、安全で安心できる国土管理を目指して、河川砂防道路等事業について重点的に取り組んでまいります。  関係各位の御協力と御支援をお願い申し上げまして、御報告とさせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 平田米男

    平田委員長 以上で報告は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 平田米男

    平田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件の両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事荒田建君、日本道路公団理事辻靖三君、首都高速道路公団理事古木守靖君及び阪神高速道路公団理事江頭泰生君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  9. 平田米男

    平田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
  10. 佐田玄一郎

    佐田委員 質問をさせていただきます。  質問に先立ちまして、先ほど大臣の方からもありましたけれども、さきの梅雨前線豪雨土砂災害におきまして、不幸にもお亡くなりになりました方々に心から哀悼の意を表すると同時に、被災された方々に対しまして、そしておけがをされた方々に対しましても、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。     〔委員長退席宮本委員長代理着席〕  先般の災害を顧みますると、土石流、地すべり、がけ崩れ、こういうふうな災害が非常に集中をしておる。そして、合計いたしますと、この資料によりますと、発生箇所が七百五十六カ所でありますけれども、広島においては三百二十五カ所、こういうふうになっております。  地図等につきましても私は拝見をさせていただきましたけれども、必ずしも大きな河川だけではなくて、山に入り込むような非常に細い渓谷であるとか、そういうところの被害も見受けられるわけであります。むしろ逆に、そういうところに水が浸透していって地盤が緩んでくる。  先ほど大臣の方からもありましたように、危険区域への住宅立地等事前抑制、これは要するに危険なところには住宅はつくるべきではないという話でありますけれども、当初はそれほど危険ではないように見えるのであろうと思います。そういう中において、例えば小さな河川も、河川改修をしていったり、そういうところでだんだん地盤が緩んでくる、こういうことになってくるのであろうと思っております。  そういうことを考えますと、しっかりとした防災をやっていくということが一番大事なんじゃないかと思っております。  きょうは大臣がおられますので、ぜひ、これは質問通告しておりませんから要望としてお願い申し上げたいのでありますけれども、ずっと地方分権推進委員会で、一次勧告、二次勧告、三次勧告、四次勧告と、四次勧告にのっとってあらゆる法案がつくられました。そして今度、去年の、平成十年の暮れに第五次勧告がなされました。その中には、要するに、直轄地方に移管するものについての区分というものを早く決めなさい、こういうふうなことを指示されておるわけであります。  しかしながら、今申し上げましたとおり、要するに地方分権、これは地方分権を決して否定するものではありませんけれども、やはり人命にかかわること、これは特に我々は、災害が起こったらやる、そういうことではなくて、災害が起こる前に防止をしていく、こういうことが一番重要なんじゃないか。  そういうことを考えますと、例えばこの地方分権は、はっきり申し上げまして、当初は例の財政構造改革の前から始まっていて、時代がだんだん変わってきておるわけであります。そういう中においてもずっと来て、第五次勧告、そして地方へ移管する。  今の現状を見ると、うちの方にも利根川という川がありますけれども、やはり災害が起きやすいというのは、それからもっと支流に、奥に入ったところの山合いのところで土石流や鉄砲水が発生するという可能性が非常に高いわけでありますから、決してそこを、直轄とここは直轄じゃありませんという区別はまずできません、はっきり言って。こういうことを考えますと、安易にこの勧告閣議決定されますと、そのままずっといってしまいますから、その辺につきましては大臣も、心優しい、そして地域に優しい大臣でありますから、この辺のところをよく御理解いただきたい。  それで、かつこの中には、第五次勧告の中には道路があるわけですけれども、道路河川というのは、日本の地形の中では区別できないのです。なぜかというと、要するに中山間地域日本の場合は多いわけですね、山が非常に多いわけですから。外国人から言わせると、例えばうちの利根川も、あれは川じゃなくて滝だ、こういうふうに言うぐらい急なわけでありまして、そういうことを考えますと、川の横には必ず道路があるのです。  ですから、河川がおかしくなってくると道路もやはり傷んでくるわけでありますから、この辺のことも含めてしっかりと、人命にかかわることはそう安易に、勧告されたから、ではすぐ閣議決定しましょうというのではなくて、まず人命考え防災考えていく、これをまず基本考えていただきたい、かように思うわけであります。  と同時に、最近、私の方は山の地域でありますけれども、本当に砂防堰堤であるとか、防災のための、また治水のための、そういう施設を大変つくっていただいております。特にこれは、私も昔技術者でありましたけれども、ただ水が流れるというのは大したことないのです、はっきり言って。水だけではなくて、水の中に流木が含まれたり、そして泥水になったり、土砂が入ったりすると、数倍の力になるのですね。  こういうことに対して建設省は、例えば今回の場合は流木の話を聞いておるのでありますけれども、この辺の対応についてどういうふうな対応をとられているか、ちょっとお聞きしたいのですけれども。
  11. 竹村公太郎

    竹村政府委員 今回の広島災害におきましても、非常に特徴的なことは、土石流とともに大量の流木が下流に押し寄せてきまして、民家等に大変大きなダメージ、被害を与えたと認識しております。  流木対策につきましては、流れ出した流木砂防ダムなどで捕捉できるよう流木め施設をこれから設置していきたい、これからの流木による被害を最小限に抑えるための最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  12. 佐田玄一郎

    佐田委員 これはお聞きしておるのですけれども、今もお話がありましたように、結局、山からどんどん水が下ってくるときに、土砂を含んだり、そしていろいろな岩を含んだり、そしてもちろん今言った流木を含んだりして物すごい力になってくる、速度も物すごい逃げられないような速度になってくるわけであります。  そういうことを考えたときに、やはり最も我々が考えなくちゃいけない、前にも私は質問をさせていただきましたけれども、そのときに逃げられない方々がいらっしゃる、それはどういう方々かというと、やはり福祉施設におられる方であるとか、そして重度の障害をお持ちの方であるとか、そういう施設日本全国に一万九千カ所ある。これを前に私も質問させていただきましたけれども、こういうところをまず優先的にしっかりと防災対策を練っていく、そして実行していく、私は、こういうことが大事じゃないかと思っております。  特に、これは大臣にちょっとお聞きしたいのでありますけれども、平成十二年度概算要求が始まりますけれども、その中におきまして、こういう防災につきまして、わけてもやはり災害弱者と言われるそういう施設の、とにかく防災についての予算についてどういうお考えをお持ちか、心優しい大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  13. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 その御答弁の前に、先ほど御指摘がございましたように、地方分権でいろいろな、いわゆる小さな河川にしても、そういうようなことを安易に地方に任すというようなことは、これは防災の上からも、あるいは人災を防ぐためにも、そういうことはじっくり考えたこの第五次勧告閣議決定をすべきであるという御意見がございましたが、全く私もそれを意識しているところでございます。  一つのケースといたしまして、例えば一級河川がございまして、それがきちっと整備をされたときには、それは地方分権ということで地方に移譲するということもこれはいいことだろうと思いますが、先生指摘のことは十分に意識して、今後、地方分権というものの中でのスタンスを維持していきたいと思っております。  それから、例の福島のからまつ荘などの災害がございまして、いわゆる弱者施設の周辺の危険度の認識はもっと厳しくやるということで、昨年の水害から特に重きをなしておるわけでございまして、これからの公共事業は、広島の視察に行きましたときも言いましたのですが、建設省予算においても、防災対策予算が一位であるとかあるいは高位に位置づけられるような予算編成をやっていかなければならないということを私は述べさせていただいたわけでございますが、そういう考え概算要求もまた求めていきたいと考えております。
  14. 佐田玄一郎

    佐田委員 大臣の大変心温まる答弁をいただきまして、ありがとうございました。  今お話にもありましたように、地方分権、決して私も否定するものではありません。これからの時代の中において地方に移管できるものはどんどんやるべきだと思います。しかしながら、先ほどの繰り返しになりますけれども、私個人的に思っていることでありますけれども、やはり人命にかかわること、これはもう当然のことだと思います。これは普遍的なことだと思います。それと、これは私の考えなのですけれども、教育的なこと、こういうことはやはり中央でしっかりとやっていかないと、責任を持ってやっていく、猫の目のように変わるということでは困ることでありまして、ぜひともその辺のことをお願いすると同時に、建設省方々には、私もよく山歩きもするのでありますけれども、その中で一番感じるのは、やはり砂防堰堤であるとか、長野県の蒲原沢の事件のときも砂防ダムであるとかああいう施設が大変に有効にある程度働いておった、あれがなければこれはもっと大変なことになっておったわけでありますから、これからもそういう意味におきましてはしっかりとやっていただきたい、かように思っております。  続きまして、道路の件なのでありますけれども、地域高規格道路、手前みそで恐縮なのでありますけれども、私の県の方でもこれは走っておるわけでありますけれども、これは道路公団高速道路とはちょっと、規模的にはちょっと小さくなると思うのでありますけれども、例えば都市都市との間をつないであったり、例えば空港と主要な施設を結んでおったり、そういう意味においては連携機能交流機能、そして連結機能、こういう機能を兼ね備えた、地域にとって非常に有効であり、また、多極分散ということが叫ばれておりまして、東京であるとか大阪であるとか札幌であるとか、一極集中を防ぐためには、何としてでも地域高規格道路を進めることによって多極分散を図って、地域中心の発展を図っていかなくてはいけない、大原則を守るためにどうしても必要な道路であろう、こういうふうに私は思っておるわけであります。  前にお聞きしたところによりますと、これは大体六千キロから八千キロの予定整備を進めておるという話を聞いておるのでありますけれども、進捗状況並びにそういうことによっての経済効果等につきましてお聞きしたいのでありますけれども、建設省、よろしくお願いいたします。
  15. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  今先生から御指摘ございました地域高規格道路は、高規格幹線道路一万四千キロと一体的なネットワークを形成し、国土の根幹、枢要部分をネットワークする重要な路線でございます。  今考えてございます延長は、御指摘のとおり、六千キロないし八千キロで構成するネットワークを考えたいと思っておりますが、国道ネットワークを補完し、国土の重要な管理、保全及び経済的な発展に寄与するべく現在調査を進めているものでございます。
  16. 佐田玄一郎

    佐田委員 この高規格道路地域方々が都心に出ていく、都心の方々地域に出てくることによって、地域が活性化をしていく、こういう交流が今非常に行われております。  これはまた私の手前みそで恐縮なのでありますけれども、私の住んでいるところは前橋市と言いまして、群馬県の県庁所在地であります。ところが、県庁所在地なのですけれども、隣の高崎の方が非常に、高崎市というのは人口が大体前橋市と同じぐらいでありまして、隣の高崎市は新幹線が通っておったり高速道が通っておったり、もうすごいのでありますけれども、県都前橋がほとんど通っておらなかった。そして、両毛線というローカル線が通っておりまして、今度北関東横断道というのが参りますけれども、全部、国道五十号もすべて高崎を通って前橋に参ります。  そうすると、私は子供のときから、高崎を通らないと東京には行けないのではないか、こう思っておりました。ところが、実際はそうではないのです。もっと非常に近いのですね、うちの前橋市は。必ず高崎を通っていく、百年間ずっと前橋の人はそう思っておった。ところが、今度上武道路というのが高規格道路で来まして、これは東京に非常に近いのですね。そういうことを考えますと、本当に意識的にも変わってきますし、そういう意味におきましてはぜひこういう高規格道路を進めていただきたいと思います。  わけても、うちの前橋に来る上武道路というのは、ぐるっと前橋を迂回して通るものですから、そういう意味におきましては非常に交通の渋滞に対する緩和にもなりますし大変助かっておるわけであります。多少時間はかかっておりますけれども、ぜひこういうことは全国的にしっかりと進めていただいて、原点に戻って、やはりこれから地域中心として日本全体の景気をよくしていく、こういうことで進んでいただきたい、かように思っておりますけれども、今後の高規格道路の要するに進捗、方針をちょっとお聞きしたいのですけれども、よろしくお願いします。
  17. 大石久和

    大石政府委員 御指摘の上武道路についてまず御説明申し上げたいと思いますが、熊谷市の西別府から前橋市田口町に至る四十・五キロの大幹線バイパスでございます。  御承知のとおり、現在までに国道五十号以南の二十七・四キロメートルにつきましては暫定二車線で供用したところでございます。また、平成十年六月には地域高規格道路の計画路線に指定され、平成十年十二月には現在事業中の区間につきまして地域高規格道路整備区間に指定されたところでございます。  これらの区間につきましては、平成十年代後半の供用を目途に整備を進めておるところでございまして、残りの、未着手の八・二キロメートルにつきましては、今五カ年計画内の事業着手を予定しているところでございます。  なお、五十号以南の暫定二車線で供用しておる区間につきましても、北関東自動車道の伊勢崎インターチェンジと関連して、五・二キロ区間の四車線化の整備と、三百五十四号等を立体交差する尾島境高架橋の整備を進めておりまして、いずれも平成十一年度内に供用する予定といたしております。この道路につきましては、今後、地域の皆様方の御理解と御協力を得て、事業の進捗に努めてまいる考え方でございます。  全国の地域高規格道路につきましても、同様の考え方で、供用効果の著しいところ、交通混雑の緩和の効果の発揮しやすいところから、順次、鋭意整備を進めておることといたしておりまして、先ほど申し上げましたように、高速道路と一体的なネットワークを早く形成するよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
  18. 佐田玄一郎

    佐田委員 とにかくよろしくお願いを申し上げる次第であります。  次に、もう時間がなくなってまいりましたので、先般、住都公団から都市基盤整備公団に衣がえをする、住都公団がそういうふうな形で衣がえをするという法律が通りました。そういう中において、去年来から土地税制、譲渡益課税を中心といたします土地税制、そして住宅減税によりまして、これが一月一日から施行されております。随分とこれによって土地の流動化が進んでおるというふうに聞いておるのでありますけれども、何といっても去年来から、去年の金融国会におきましては、いろいろな帳簿上の問題やらいろいろな議論がありました。銀行の債権に対するいろいろな考え方が出てきたわけでありますけれども、私は一番感じるのは、いろいろな帳簿上の問題やらこれを変えてみても、やはり基本の、本当の不良債権が償却されない限り景気につながってこないのじゃないか。そういうことを考えたときに、やはりこの不良債権、担保不動産が中心であろうと思いますけれどもこの不良債権、今後の見通しですけれども、この辺をどういうふうにお考えなのか、金融監督庁、いいですか。
  19. 乾文男

    ○乾政府委員 お答えいたします。  今先生指摘になりましたように、この不良債権の問題というのは、金融の問題のみならず、金融が経済の動脈であることを考えますと、日本経済の活性化あるいは再生のために非常に重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、そうした観点から、御指摘になりました昨年の金融国会におきまして、非常に連日の熱心な御審議が行われたわけでございます。  現状でございますけれども、全国銀行の不良債権の状況を見ますと、そうした国会での議論、それから、昨年の六月に私ども金融監督庁が発足いたしましてから、全国の金融機関に対しましていわゆる集中検査というものを行いまして、そうした中で、不良債権処理の緊要性というものを指摘し、また、いろいろな考え方というものを指摘してきたわけでございます。  そのことと、昨年の臨時国会で制定されましたいわゆる金融機関の早期健全化法ということでもって、再生委員会において公的資金の注入を決定することができるようになったわけでございますが、この二月、三月に行われました再生委員会の公的資本増強の審査に当たりましても、いわゆる償却引き当て基準というものを設けまして、積極的な不良債権処理を求めていったということでございます。  そうした中で、この三月末に全国の銀行が行いました不良債権の処理額、これは直接、間接合わせてでございますけれども、約十三・六兆円ということでございまして、過去最大の処理額となったということでございます。各金融機関におきましても、この不良債権処理の緊要性というものを十分に認識しております。本年九月期におきましても、今後、いわゆる検査マニュアル等を踏まえまして、監査法人との協議の中で適切な引き当てを行っていくものというふうに私ども理解をしているところでございます。
  20. 佐田玄一郎

    佐田委員 今お話を聞きましたところによりますと、かなりの償却が行われておる、十三兆六千億ですか、償却が行われているという話でありますけれども、要するに、帳簿上の処理の問題と、それと実質的に、例えば担保不動産を処理したとか、そういうものについての額というのは大体わかりますか。
  21. 乾文男

    ○乾政府委員 今申しました全国の銀行が処理しました不良債権処理額十三兆六千億円のうち、いわゆる貸倒引当金の繰り入れ等によります間接償却でございますね、それが約六割、約八兆円でございましょうか、六割ということでございます。それから、バランスシートから落とす方の直接償却につきましては、約四割の約五兆円ということになっているわけでございます。  これは、主要行について見ますと、平成四年度から十年度までの累計の数字が主要行についてはわかるわけでございますが、全体で不良債権の処理が四十九兆三千億円やっているわけでございますが、そのうち直接償却が約四五%ということでございまして、傾向的に見ますと、昨年からのいろいろなトータルプランでございますとか、国会での御議論等の御指摘を踏まえまして、各金融機関とも、直接償却をする、バランスシートから落とすものにつけての努力が出てきているのかなというふうに考えておるところでございます。
  22. 佐田玄一郎

    佐田委員 直接、間接で償却をしていただく、これは当然のことでありますけれども、やはり今、日債銀の問題、そしてまた長銀の問題、いろいろ問題になっております。国有化になるに従って、やはりその中で関連会社は非常に大変な状態になって、むしろ不良債権が増しているという部分もありますので、それはしっかりと根本からまず直していかなかったらばこれはよくならない、私はそういうふうに思っております。その根本の一つの要因としては、やはり担保不動産が非常に大きいわけでありますから、そのためにはやはり、私は、はっきり言って、これは金融の問題じゃなくて建設も相当に関与してくる、こういうふうに思っているわけであります。  例えば、今度の国会におきまして民都機構の方の法案も通りました。そして、総合経済対策で五千億の業務拡大が行われたわけでありますけれども、こういう中において、この五千億において不良債権の担保不動産の有効利用を進めていると思いますけれども、この辺の進捗状況をちょっとお聞きしたいのであります。
  23. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  民間都市開発推進機構の土地取得業務でございますけれども、ことしの三月に法律を改正していただきまして、三年間の延長をお認めいただきました。良好な町づくりに向けた民間都市開発事業推進を目的としたものでございまして、平成六年からやっておるわけでございますが、平成十一年三月末までで、件数で百六十二件、総面積で二百七十四・二ヘクタール、総額七千百八十億円の土地取得をしたところでございます。御案内のとおり、政府保証枠一兆五千億お認めいただいておりますので、今後順次、着実に積極的に取得を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  24. 佐田玄一郎

    佐田委員 もう時間がなくなってまいりましたので、これは質問というよりも要望で出させていただきたいのでありますけれども、今回の民都機構のそういう法案、そしてまた先ほど一番最初に申し上げましたとおり、住都公団の機構改革によって都市基盤整備公団が新たにできるわけであります。この都市基盤整備公団は、中身は住都公団でありますから、要するに、今までの分譲はやめまして、賃貸はまだこれからフォローしていくわけでありますけれども、そういう中において、もっと大事なことというのは、やはりこれからの、要するに区画整理であるとか再開発であるとか、こういうことをしっかりやっていかなくちゃいけないと思っているのです。  というのは、都市部においては、今、民都機構の質問をさせていただきましたけれども、例えば中堅の都市であるとかそういうところにつきましては、先般の国会においては中心市街地の活性化法が通りました。そして、今回はPFIの法案も通りました。こういうことを有効利用してやれるというのは、私は昔の、昔というか今もそうでありますけれども、住都公団のノウハウ、技術、こういうことをしっかりと使ってやっていただきたい。  逆に言うと、私は、不良債権の償却のために非常にこれは大事になってこようかと思うのです。私は、そのためにこのPFIも、附則の方に、例えば再開発をするときには、基本的に、例えば道路特会の方からある程度の資金が出せたり、あらゆるいろいろな手法を考えておるわけであります。それを決してむだにすることなく、やはりその中で、規制緩和を行ったり、そういうことによって、今の現状に置いた場合はまず土地は動かないわけですから、はっきり言って、今の現状においては。動かないんじゃない、動かせない状況なわけであります。これはある程度のはずみをつけてやらなくてはいけない。そのためには、その手法を使うのは私は住都公団にやってもらわなくちゃいけない、これしかない、こういうふうに思っております。住都公団は、そういう意味においては今までの倍ぐらい働いてもらって、しっかりとそういう位置づけをこれからやっていっていただきたい。  そのためのこのPFIでもありますし、そしてまた民都機構の法案でもありますし、そして、この住都公団の今度新たな衣がえの法案でもあったわけでありますから、そういうことを踏まえて、大きな役目としての不良債権の償却、こういうことも踏まえて、不良債権の償却ということは、基本的には、ひいては要するに景気の回復にもつながってくるわけでありますから、その辺の責任の重大さ、これはきょうは住宅公団はいらっしゃいますか、来ていない。ぜひ住宅公団の方には、建設省の方からも言っていただきたいのですけれども、住宅公団のこれからの責任の重大さをよく考えていただいて、よろしくその辺を頑張っていただきたい、これを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 宮本一三

    宮本委員長代理 谷畑孝君。
  26. 谷畑孝

    ○谷畑委員 おはようございます。ただいまより質問を始めたいと思います。  関谷大臣におかれましては、常日ごろ、本当に誠実で前向きな力強い答弁をいつもいただいておりまして、建設委員会といたしましても心強く思っておるところでございます。  さて、建設大臣にまず冒頭に質問をしたいと思っているわけでございます。  小渕内閣が橋本前総理から引き継ぎまして、とりわけ景気回復を一両年の間に達成するのだ、こういうことが小渕内閣の最大の柱である、このように思うわけでございます。そういう中で、この平成十一年度の予算が、財政構造改革公共事業七%カットからスタートいたしたわけでありますけれども、財政構造改革を凍結いたしまして景気回復へという道筋に入ったわけであります。  そういうことで、この一年間、小渕総理を初めとするすべての閣僚の努力と、またそれぞれの皆さんの働きによりまして、このところ景気指標の多くが好転をしておる。実質国内総生産のGDPが六期ぶりに前期比プラスに転じて、年率換算で七・九%の経済成長を達成した、このように報じられました。非常に心強く思っているわけでございます。また、株価も一万八千円を超えるというような状況にもなってきたわけであります。  そこで、景気を回復基調に乗せている大きな材料といいましょうか、下支えというのは、やはり建設省の働きであると私は思うわけでありますけれども、とりわけ公共事業における働き、また、住宅戸数をさらに確保するための、特別な二年間に限るところの住宅のいわゆる政策減税、これも大きな働きをしてきた、このように思うわけでございます。  そこで、大臣にお聞きをするわけでございますけれども、平成十二年度のこれからの予算編成、またこの秋の臨時国会の補正予算等を含めて、ぜひひとつ、景気のさらなる回復のために、公共事業そして住宅の着工数がさらに下げどまりのないようにされていくこと、そういうことについての基本認識についてお伺いをいたします。
  27. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生、ありがたい御指摘をいただきましたが、昨年そしてことしにかけて、いろいろな委員会公共事業に対しますある意味での批判的なこともあったわけでございますが、やはり今日の景気が上向きになってまいりましたその大きな要因は、この建設省関係先生が御指摘いただきました、住宅関係の、いわゆる住宅金融公庫の金利を下げるとか、あるいはまた取得促進税制等々、そういうものが景気の下支えになってきたものではないかなというふうに私は喜んで自負をいたしているところでございます。  そういうようなことで、今後の十二年度予算概算要求、あるいはまた上半期に公共事業の前倒し執行を行っているところでございまして、前年度上半期の実績の一〇%増の執行をするようにというような閣議決定がありまして、過去最高の契約目標額となっておりますその九兆八千百七十九億円というものを決定したところであるわけでございます。  そういうようなことをいたしますと、今後後半の対策をどうするかということでございますが、これはやはり四月から六月のQEをまた見まして判断すべきことではあろうと思っておりますが、私、個人的な考え方なんですけれども、ここまであらゆる建設関係公共事業の努力をして景気を持ち上げてきたわけでございますから、ことしの後半に当たりましても、それはどういう形になるか、いわゆるまた第二次の補正予算になるかどうかもわかりませんけれども、そういうあらゆる角度からの最終的な支える対策というものは打ち出していくべきではないかなと私は思っております。
  28. 谷畑孝

    ○谷畑委員 やはり、財政構造改革公共事業が七%カットということで、これも、将来的には財政構造改革をきちっと仕上げて健全な財政にしていくということは非常に大事なことであります。しかし、日本の経済情勢がデフレに入ってしまうと、これはなかなか、幾ら財政出動してみたって景気回復というのは非常に難しい。  そういう意味では、一たび我々が判断をして、景気を回復さすんだ、こういう方向をとったわけでありますから、多少の犠牲を払っても、私はやはり、とりあえず日本の景気をまず回復基調に乗せる、そういうことにしないと、中途半端にしてしまったのではさらに元も子もなくなる、私はこういうように思っておるわけでございます。  今後とも、ぜひひとつ、補正予算そして平成十二年度の予算、大きく建設省の役割が大事でありますから、大臣を先頭にして頑張っていただきたい、このように思っておるわけでございます。  さて、官房長にちょっとお聞きをするのですけれども、公共事業も、景気回復をしていくために相当前倒しをどんどんやってきたということであります。公共事業の下期の息切れということが各方面からも言われまして、この息切れがまた景気回復に少し影響をしていくのではないか、このように言われておるわけでございます。建設省の今年度の公共事業費が十二兆九千五百億円、このうち約九兆八千億円が上期契約分、下期は約三兆円程度しか事業費が残っていない。こういうことから見ますと、相当見劣りを下期においてはしていくのではないか。  そういう意味では、ぜひ途切れのない形をとっていこうとすれば、今言いましたように補正それから平成十二年度というように思うわけでありますけれども、そのあたりの状況はどうなっておるかを少し説明していただきたいと思います。
  29. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣からも御答弁ございましたように、今年度の上半期の契約目標額、三月の閣議決定によりますと、私どもで九兆八千百七十九億円、こういうふうなことになっております。  これが目標どおり完全に達成されたとした場合の今年度の下半期に残されております契約可能額、これは計算上三兆一千三百二十一億円になります。その場合に、昨年度の同様の下半期の契約可能額は幾らであったかと申し上げますと、昨年度の三次補正というふうなこともございまして、昨年度の下半期は五兆八千三百八十一億円の契約可能額が残されていたというふうなことでございます。したがいまして、単純に比較いたしますと、昨年度の同期に比べまして二兆七千億円ばかり三角といいますか、穴があくというのが数字上の現実でございます。  したがいまして、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、今後の経済動向いかんというふうな側面もございますが、私どもとしては、やはりあらゆる角度から、経済を失速させてはならないということを念頭に置きながら、経済動向を注意深く見守り、しかるべきときに適宜適切な対応が可能になるような方策というふうなものはぜひとも必要であると考えております。
  30. 谷畑孝

    ○谷畑委員 官房長、今答弁していただきましたように、やはり景気回復が至上命題であるということの中で、公共事業の果たす役割が非常に大事である、そういうことでありますので、この下期においても上期に負けないように、やはり途切れのないように、予算編成の中で正しい方向でぜひひとつ対処をしていただくことを強く要望いたしておきます。  次に、もう一つの大きな柱、景気を支えてきた柱は、やはり住宅の政策減税、これは本当に、私ども座談会をいたしましても地元に帰って歩いておりましても、そういう相談もございますし、住宅に対する関心が非常に高うございました。住宅局長、これもまた少し陰りがあるのではないかと言われておるんです、住宅の着工戸数も。多分数字的にはそういうことじゃないと思いますけれども、二年間に限ってあるということ、それと、当時、つくられたときは金利が二%であったものが、今二・六%、住宅金融公庫の金利が上がっておるということもありますけれども、せっかく減税もしておりますし、その効果が抹殺されない程度に、もちろん金利というのは市場経済の動向によって、無理やりに下げるということも難しいだろうとも思いますけれども、住宅戸数が、さらに着工戸数が増加をするように、ぜひ抜かりなくやっていただきたいと思うし、また、将来さらなる、状況を見て、ひとつ二年をさらに延長するということも含めて前向きな施策を打っていただけることを強く求めるものでございます。  そのことにつきまして、現状と、課題がありましたら御報告をお願い申し上げます。
  31. 那珂正

    ○那珂政府委員 お答えいたします。  住宅の着工動向でございますが、ただいま先生指摘のように、住宅の着工は、昨年末の経済対策、なかんずく住宅ローン控除制度という大幅な住宅減税と住宅金融公庫の大変抑制的な金利設定によって、ことし一月ぐらいからマーケットでの取引が非常に上向いてきたということでございます。  現実の着工にあらわれますところを見ますと、これは、三月ぐらいから少し上向きの傾向は出てまいりましたが、やはり毎月少しずつ、上がったり、場合によってはそれほど上がらなかったりというような傾向は続いておりますが、総じて申し上げますと、この四月から、本年度に入りまして四、五、六という状況を見ますと、年率換算の瞬間風速値にいたしまして百二十万戸台後半の数値を平均的には示しているものと理解しております。もちろん住宅の中にも、分譲住宅、持ち家それから貸し家といろいろ種類によって多少のでこぼこはございますけれども、総じて申し上げますと、今言ったようなことで、昨年の悪いときに比べると、年率換算で十万戸程度の増の勢いが今は堅持されていると思います。  しかし、先生今御指摘のように、住宅減税も二年間の措置ということでございまして、来年またいろいろ御議論いただかなければいけないわけでございますが、そういう将来のこと、あるいは住宅金融公庫の金利につきましても、おっしゃっていただきましたように、基本的には市場の金利動向に連動させていきながらも、しかし政策的な意味合いも持たさなければいけない。これまでも大変抑制的に推移させてきたつもりでございまして、今回の金利改定におきましても、本来の金利に比べまして、より抑制した、二・六という金利を設定しております。これが、今回の募集期間、九月十七日まででございますが、この間は金利、変わらないわけでございますので、そういうことを通じて、今後とも経済の動向、住宅着工の推移等を注意深く見ながら運営していきたいと思います。
  32. 谷畑孝

    ○谷畑委員 住宅局長の今の答弁のように、住宅の着工というのか、これはやはり内需を拡大していくすそ野も広いということもありますし、やはり景気回復の一つの大きな柱になっていくと思いますので、ここはひとつ抜かりのないように、その都度都度、タイミングよく政策を提示しながら、さらに住宅着工戸数が力強く伸びていくようにひとつ頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。  時間の関係がありますので、次の問題に移っていきたいと思います。これはぜひひとつ大臣の方に答えていただきたいと思います。  今、バリアフリーの町づくりということが非常に大きなテーマになってまいりました。私も、十年前参議院議員を務めておったわけですけれども、一年間に一回、触れ合いサマーキャンプということで、約四百名の皆さんとキャンプをしてまいりました。障害者と健常者が初めて出会う場をつくろうということで、そういうことをつくったわけであります。  そして、健常者が障害者の車いすを持って初めてそこへ迎えに行って、そのキャンプに参加をする。初めて行きましたのが琵琶湖へ行ったわけですけれども、JRに乗っていったわけです。一番困ったのは、JRのその琵琶湖におりる駅が、車いすが通らないということがありまして、急遽工事をするということになりました。  私、そういう経験を通じて十年前に感じたことは、やはり障害者がなかなか町へ出ていこうとしない、昔は、おくれた考えもあり、家の中でずっとおらすという状況ではありましたけれども、そういう駅のエレベーターだとかその町自身がバリアフリーというのか、そういうことの中で初めて健常者と障害者の触れ合いができるんじゃないか、こういうふうに経験をしたわけでございます。  それで大臣にお聞きするわけですけれども、バリアフリーの町づくりというのは、ただ単に障害者のための幅広歩道であったりエレベーターであったり、そういうものではないと私は思うんですね。やはりこれからの町というのは、障害者も健常者もともに、そういうバリアフリーの町は共通してやはり大事な認識である、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、その点について、基本的なことですので、大臣の方から一言御見解、見識をお聞きしておきます。
  33. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ちょうど今建設省の中に、大石さんが努力をしました二十一世紀の住宅あるいは生活環境等々についてどうあるべきかというような、それぞれの権威者あるいはいろいろな経験者の懇談会というのがあるんです。その中で、先般新聞等でもよく出ていましたけれども、竹中ミチさんでしたか、今までは、障害者の方々というのは、ましてやいわゆる知的障害者の方々、そういう方々はどうしても家の中にいる、そして労働するというような考え方がなかったんですけれども、その方が、御本人のお嬢さんが重度の障害者であって、しかしそういう方々もやはり働く意欲というのは、そういう指導をすれば生まれてくるものだというようなこと、その方もその懇談会に入っているんですけれども、そういう方々とも私たちも勉強もしておるわけでございます。  先生指摘のように、本当に私は、これからは、高齢者あるいは障害者の方々といわゆる健常者の方々が、全く障害者のためにどうこうするというんではなくして、それはもう一括、同じ、イコールフッティングというような感覚で、そういう幅の広い歩道をやっていくとか、また、いわゆる電線類の地中化などによりましてバリアフリー化をやっていくというようなことをやっていく、そういう時代になってきたと私は思うのです。そして、世間一般でも、そういう考え方といいましょうか思想というものが出てきたものだろうと思うわけでございまして、私は本当に、先生すばらしい御指摘をいただいたと思っておるんです。  そういう角度で今後とも努力をしていって、バリアフリー化をして、すべての立場の方々が楽しい日々を過ごすことができるように、そしてまた、それをもって美しい景観の創出ということにもつながってくると思うわけでございます。豊かな空間の形成、これは小渕総理生活空間倍増計画というのをつくられまして、あるいはまた、国土庁では地域戦略プランということもやったりしておりますが、そういう角度から鋭意進めていきたいと考えております。
  34. 谷畑孝

    ○谷畑委員 私も、その触れ合いサマーキャンプのとき以来、二つのことに気がついたのですけれども、一つは、障害者問題とかバリアフリーとかという課題というのは非常に幅が広いものですから、非常にわかりやすく何かテーマがないだろうかと思いまして、大阪には環状線という一番動脈の鉄道があるわけですけれども、そこにエレベーターをつくろうというスローガンを十年前ですけれどもつくりまして、そういうことで町ウオッチングをやったわけです。とりわけ、健常者には車いすに乗っていただいて、町をテーマを決めて歩いたわけです。  これが割と大きな反響を呼びまして、そのころはエレベーターというのはほとんどございませんでした。最近は、大体公共の建物には障害者用のエレベーターができるようになりましたし、また専用のトイレもたくさん普及しました。この十年間で私は非常に大きく変わってきたなというように実は思っているわけでございます。  それでも、町ウオッチングの中で、天王寺でレジャービルというのがあるのですけれども、そういうところへ上へ上がりましても、障害者がそこで一杯飲むというようなことはなかなかできるような雰囲気でもございません。そしてまた、駅でも、エスカレーターという話がありますけれども、エスカレーターをとめて、駅の要員の皆さんに抱えてもらって上へ上がるというのは、よっぽど心臓に毛が生えない限りはなかなかできるものじゃない。そういう意味では、エレベーターというのは非常に大事だなと思うのですね。そういうふうにも感じています。  そこで、きょうは住宅都市整備公団も来ておられますので、少し質問をいたします。  例えば、私が住んでいる選挙区のところでも、八尾団地だとか山本団地だとか藤井寺団地だとか春日丘団地という四つの団地がございまして、約千六百世帯が住んでおられます。昭和三十一年から昭和三十五年に建築されたわけでありまして、一DKや二Kが中心で、非常に老朽化しておるわけでございます。  御存じのように、四月一日から介護保険がスタートをいたします。しますと、自分の家で少し在宅介護をしようということで、バリアフリー化とかを含めて支援が始まってまいります。  そういうことでありますので、住宅整備公団の場合にも、割と昭和三十五、六年に建てた老朽化したものがたくさんあると思います。昔はそこで家族が住んでおったと思いますけれども、今はもうほとんど独居老人というのかそういう状況が多いと思うのですけれども、住宅都市整備公団については、今後そういう賃貸住宅の中で、どのような認識と、またどういうふうに介護保険のスタートの中でされていこうとしているのか、そこらの基本的認識をお聞きしたいと思います。  それと、時間の関係がありますので、引き続いて住宅局長には、このバリアフリーの町という問題については、どうしても点があり、そして面をどうするかということがあろうかと思うのです。そして、点というのは、公共の建物にエレベーターをつくったりバリアフリー化する、あるいは住宅もそうです、民間もそうです。  ところが、公営住宅というのは、なかなか五階建てのところにはエレベーターがついていない。私は結婚したころ一年に三回引っ越しをしまして、公営住宅であったと思うのですけれども、いつも五階でしたので、引っ越しの手伝いに来た人などはもう三日間ほど足腰が痛くてどうにもならぬ。エレベーターがないわけですから、当時は皆担いで上へ上がりましたので。私は一年間で三回そんな経験をして、これから、どんどん高齢化しておりますから、そこらの点も含めて、どうしてエレベーターをしていくのかという点。  それと、大事なことは、集合住宅の場合、自分の自宅だけをバリアフリーにしてみても、共有部分がバリアフリー化しないと、エレベーターがついているとかスロープがついているとか、そういうことがないとやはり難しいと思います。  そういうことで、住宅整備公団とそして住宅局長に、時間がもうありませんので、少しそういう考えをお伺いしておきたいと思います。
  35. 荒田建

    荒田参考人 先生の大阪の四団地のバリアフリー化のお尋ねでございますけれども、一応私ども、全体の方針としまして、三十年代の団地が約十七万戸全国でございますが、逐次建てかえをやってきておりまして、建てかえをするときには、既に長寿社会対応の仕様という形で、段差の解消あるいは手すりの設置、それからいろいろな非常通報装置等々、あるいは浴室の段差解消等々のバリアフリー化を、建てかえ団地を建てかえた後の新築するものについてはここ数年前からすべての中高層住宅について措置をしてきております。  古い団地で、なおかつまだ建てかえが進まないというところでも、個別の事情によって、余り大きな工事はもちろんすぐ建てかえということですからできませんけれども、手すりですとかあるいはチャイムインターホンとか、要するに少しでも高齢者が先生お話しのようなことで不自由にならないような対応は要望に応じてやっているつもりでございまして、私ども、今先生指摘の点はこれから公団の全ストック賃貸住宅について大変大事なテーマだと思っておりますから、少しでもスピードを上げて高齢化仕様になるような住宅をつくっていくという基本的な方針でやっていきたいと思っております。
  36. 那珂正

    ○那珂政府委員 御指摘の公営住宅におけるエレベーターの設置のことでございますけれども、確かにおっしゃるように、現行では普通の五階建てぐらいの公営住宅についてはほとんどエレベーターが設置されていない状況でございます。  最近、五階建てあるいは三階建て、四階建てにつきましても、一定の、例えば高齢者の方が多いというような状況を個別に見て補助対象にできるようにされておりますけれども、それでもなお不十分ということで、昨年の平成十年度の第三次補正から、すべての新規の公営住宅、あるいは改善する場合にも、三階建てあるいは四階建てでもエレベーターが設置できるよう補助対象枠を拡大してその推進に努めているところでございます。     〔宮本委員長代理退席、原田(義)委員長代理着席〕
  37. 谷畑孝

    ○谷畑委員 時間がもう二分しかないということになってまいりました。もう一度このバリアフリーの問題について最後に大臣の決意を聞いて、終わっていきたいと思います。  先ほど言いましたように、障害者の町づくり、バリアフリーの町づくりというのは、点から面、それからやはり障害者がどう移動できるか、それと同時に、健常者もその町づくりをしますと、私はこの間世田谷に、自由民主党のバリアフリーの町づくりの事務局長として委員の皆さんと一緒に町を見てまいりました。やはり幅広い歩道というのは、非常に空間もいいですし、電柱も埋められますし、またその道を歩いておりましたら、コーナーコーナーには子供たちがつくった作品がありましたり、ちょっとした心を和ませていただけるような状況でありました。  だから、ぜひひとつ、これから二〇〇一年には運輸省と一緒になるわけですから、駅はエレベーター、それから町もバリアフリーの町、こういうふうにしていただきたい。それには、地域戦略プランの中には、聞きますと一つもそれが入っていないということでありますので、改めてバリアフリーの町づくりの戦略プランというのか、五年、十年計画の中でどうしていくのかという大きな目標を立てて、いわゆる内閣の目玉戦略としてぶち上げていただきたい。その先頭にひとつ関谷大臣が立っていただいたらありがたい、私はこのように思うわけです。
  38. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先ほどの名前、竹中ナミさんという方でございます。本も出していますから、お読みになっていただいたらいいと思いますが、重度の御自身の障害者のお嬢さんを持たれて、その中でやられていらっしゃいますけれども、本当にすばらしい人だと思います。  それから、バリアフリーでございますが、御指摘のとおり、個別の施設ごとの整備というものにとどまらず、町全体から見たバリアフリーという観点から私も今後進めていきたいと思っておりますので、またひとつ御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
  39. 谷畑孝

    ○谷畑委員 終わります。どうもありがとうございました。
  40. 原田義昭

    ○原田(義)委員長代理 吉田公一君。
  41. 吉田公一

    吉田(公)委員 今谷畑理事からもお話がありましたように、公共工事の観点からいたしましても大事な要点だと思っておりまして、今まで、公共事業あり方について非常に論議のあるところでございます。今まで日本は、少し景気が悪くなると公共工事費をふやして金利を下げるというのが今までの景気対策の常套手段でございますが、しかし、百兆円というお金を公共事業に使っていまだに景気がよくならないということは、どこかに欠陥があるんじゃないか、だれもがそう思い始めているわけであります。  景気対策のためにどんなに借金をしてもいいんだという考え方がまかり通っているようでございますが、しかし、財政ということから考えれば、景気対策も大事だけれども、借金の累積をどう食いとめていくかということが政治の知恵でありまして、だれでも借金をすれば何をしてもいいんだということになれば、それはだれでもできる話であります。政治の知恵なんというのはどこにもない。景気対策をやるんだから建設国債をどんどん発行しても構わないんだというような考え方は、六百兆円を超える赤字財政体質の我が国にとってはもうそろそろ考え直していかないと、これから景気対策をするために予算を組むたびに借金がふえていく。  こういう公共事業ということじゃなくて、国の財政という、世界的にも注目をされて、日本が借金大国だと烙印を押されたら最後、これはもう日本国経済にとって大変なマイナスなことでありますから、大臣も閣僚のお一人でございまして、六百兆円を超えるような借金体質からどうこれから脱却をしていくかということも、これからぜひひとつ御検討いただきたいと思っているわけでございます。  したがいまして、大臣としてのこれについてのお考えがあれば、御答弁いただければ大変ありがたいな、そんなふうに思っております。
  42. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 その考え方は、以前から先生と私は同じ波長であるということをお話ししておったのですが、私も本当にそう思うのです。  確かに、借金をふやして物事を何もかも進めていくのであれば、どこの国だって、どなただって、そんなこと、いとやすくできるものですけれども、そんなことをしましたら、先生おっしゃいますように、もう後世、我々の次の世代の面々は本当に真水の予算を組むことはできませんでしょうし、国際社会の中での日本の、もちろん円の力など落ちてまいりましょうし、株価も上がりませんでしょうし、またジャパン・プレミアムなんというものがそれこそ五%とかそれ以上になってしまうんじゃないかな、そういう危険性があると思います。  ですから、私も公共事業の効率性というものはしっかりと考えていかなければならないと思うわけでございまして、いわゆる費用対効果分析というものを建設省でもいろいろな事業に入れておるわけでございます。例えば道路事業などにおきましては、走行時間の短縮あるいは走行経費の減少また交通事故の減少等の効果の合計の額が、費用、いわゆる建設費及び維持管理費も含めてでございますが、それの一・五倍以上であることを事業採択の前提条件としているところでございます。  さらに、平成十一年の三月には、この費用対効果分析の客観性とか透明性を一層向上させるというために、社会資本整備に係る費用対効果分析に関する統一的運用の指針というものを策定いたしまして、それを発表しているところでございます。  おっしゃいますように、景気はよくしていかなければならない、さりとてむやみやたらと赤字公債六百兆円以上のものにしたのではだめだということ、それは私は本当に頭に入れて、その中でどうやっていくか。  ですから、先ほど谷畑先生から御指摘がございましたように、ここまで、一月―三月期でございますが、一・九というようなものが出てきた。ですから、最後までその波に乗せるためにどうやるべきか。ちょっとジレンマ的なところが正直あるのも事実でございますが、先生のお考え方も頭に入れて、概算要求にもまた向かっていきたいな、そう思っております。
  43. 吉田公一

    吉田(公)委員 大臣基本的にそういう御認識をいただいているということは私どもにとっても大変心強い限りでございまして、どうぞ、その費用対効果ということも含めまして、何をするにも借金をしてもいいんだというようなことがどうも蔓延をしているようでございまして、我が国国家百年の大計を考えれば、目の先の景気対策も大事ですけれども、つまり、これからの日本の将来を考えていく上で、国民一人当たり五百万円の借金を抱えているなんということは異常事態でございまして、そのためには、行財政改革を断行しなければ借金を繰り返すだけになってしまう、私は、実はそう思っているわけであります。  その行財政改革というのは、これは地方でもどこでも、選挙というとスローガンに行財政改革と書いてあるのですよ。だけれども、選挙が終わってしまうと、行財政改革なんてだれも言わない。行財政改革を断行するのには相当な勇気が要るわけであります。一にかかって勇気と決断でございまして、その勇気と決断がない限りは、行財政改革を断行なんと言ったって、これはただ単にスローガンに終わってしまう。  地方公共団体は、むしろ、国からお金をもらう側でありますから、非常に行財政改革に熱心に取り組んでいるわけですね。お金をもらう方だから、取り組まない限りは、自主財源が少ないわけですから、どうしたって借金がふえてしまう。自治省の監督もあって、つまり、県債なり市債の発行は一五%から二〇%程度が限界だ、こう言われているものですから、それ以上転落をしてしまうとそろそろ自治省の管轄団体になってしまって、地方行政が基本的に揺るがされることになりますから、地方自治体は最大の努力をしている。  だけれども、どうも国は、行財政改革には機関が大き過ぎて、そしてなかなか進捗をしていないというのが実態だ、私はこう思うのですね。  したがって、国民に負担をお願いする上は、政府としてはこれだけ努力をいたしました、したがって足りない分については国民にお願いをしたいというのが私は政治の基本だと思っているわけですね。それを、行財政改革もしないで、ただ借金が積み重なりました、景気対策です、したがって六百兆円もやむを得ない、というようなことであってはならない、そういうふうにまず思っているわけでございます。  したがって、これからの公共事業は、どうも東京なんかから、大阪もそうでありますが、地方へ行くと、まず目につくのが道路ですよ。非常によくなってしまっている。東京へ戻ってきた途端に、排気ガスと渋滞と熱風でもって、一体どうなっているんだというようなことになるわけです。  そういう意味では、きょう農林省の方も私は呼んでございますが、農林省の方が道路をつくっている率が多いんじゃないか。建設省道路をつくるかと思ったら、地方へ行ったらみんな農道ばかりで、そして、広域農道なんていって、看板なんか出さなければわかりもしないのに看板が出してあるわけだ、広域農道だと。しまいには観光道路になってしまって、バスがどんどん行ってしまって、それで信号はないし、トラクターは午前中に二回ぐらい通るぐらいなもので、これは本当にむだ遣いではないか。農林省が道路をつくって、建設省道路をつくって、スーパー農道だとか広域農道とかなんとかいって、一体人が通っているのかな。  田舎の人だって、何もそんな広域農道なんかなくたっていいのだよ。そんなもの、バスが往復して渋滞するわけではないのだから。そうでしょう。農道だというのだから、農業開発のために、農業の基盤をつくるためにつくるのが農道でしょうよ。何でそんなのが観光道路になってしまうのだ。だから、道路行政というのは一体化しなければいけないと思っているのですよ。  農林省の方に伺うのですが、農道建設というのはどういう仕掛けになってつくっているのですか。
  44. 佐藤準

    ○佐藤説明員 農業農村整備事業として取り組んでおります農道整備事業の仕組みというようなお話でございますが、地域の方の、農業者の生産性の向上とか、それによります農産物の流通コストの低減、そういうような効果をにらみまして、農家の方々の申請を受けた上で事業として着工していくというような形の手続を踏んでおります。
  45. 吉田公一

    吉田(公)委員 農道の建設については昔からいろいろな仕組みがあるようでありまして、今私はそれを申し上げませんけれども。  つまり、農道というのは、あくまで農業の作業をするために農道をつくるわけですよ。そして、農業の生産性を上げるという目的で農道をつくるわけだ。林道でもそうですよ。ところが、そのほかの目的の方が多いということになれば、これはもう農道とは言えないのです。生産性を上げるために農道をつくった、今まではリヤカーしか入らなかった、だけれども今度はでかいトラクターが入るようになった、そして耕地整理もトラクターで、機械でやるから畑の作業も楽になってきた。そのためにこんな畦畔では、とてもではないけれども農業の効率性は上がらないということだから農道をつくるのでしょう。そうでしょう。だって、観光道路をつくっているわけではないでしょう。  だから、農道のあり方についても、それはいろいろな地方に行けば道路をつくれとかなんとかという話も強いけれども、しかし税金の公正な分配ということからいけば、そんな農道に、しかも国道が通ったり県道が通っているそばを今度は農道をつくってみたり、どこが違うのだといったら側溝がないだけだというのだ。だれも人が通らないのに信号をくっつけてみたり。そういうあり方についてはこれから考えていかないと、従来どおりの、要するに慣習に基づいたり、あるいは予算を獲得して、そして本当に効率のいい道路なのかどうかということも考えない、農業のための農道だ、これも考えない。  農用地整備公団というのが北海道でやっているけれども、年間八十億だか九十億だか、どのぐらいお金を使っているのかわからないけれども、要するに、北海道の農道整備のために農用地整備公団というのがあってつくっているわけだよ。それでジャガイモの生産が倍になったかというのだ。トウモロコシの生産が倍に上がったのか。それで初めて農道の整備になるわけだから。ジャガイモの生産量が倍になったとも聞かないし、ニンジンの生産量が倍になったとも聞いたこともない。機械化するためにやっているわけでしょう。だったら、おかしいではないですか。生産量が上がらなければおかしいでしょう、農道整備して。  農道整備というのはどういうことかというと、つまり、大型機械が入るように、農作業が効率よく、生産性を高めるためにやるのでしょう。だから、観光道路になってみたり、農業改善事業といって何だかわからないような建物をつくってみたりするということはおかしい。もうそういう時代になったのですよ。昔のように、慣習に基づいて予算をとってやればいいのだなんという時代ではない。六百兆円の借金を抱えている。我々だって、東京都民なんか一番税金を払っているのだから。そうでしょう。  だから、農用地整備公団も含めてそうだけれども、農道の整備ということについては、例えば今年度幾ら予算をとったのですか。建設省は、もちろん当該局だから、省庁だから、道路をつくるのは当たり前の話ですよ。私は建設委員だから言うわけではないけれども、もっと一元化したらどうですか、本当の農道を残して。
  46. 佐藤準

    ○佐藤説明員 今手元に、農業農村整備事業としての農道、いろいろ種類がございますけれども、それの予算額ということで申し上げますと、一千八十九億五千九百万というのが平成十一年度の予算でございます。  それからまた、先ほどからいわゆる農作業の効率、生産性向上ということで、そういう農道としての目的、それはメーンにございます。その結果、現在の畑作地帯においてのいわゆる生産コストの低減というようなものも非常に大きいものがございます。ただ、道路でございますので、いわゆる農業用作業車だけが通るというようなことではございませんで、そういう意味では地域の中で非常に有効に活用されて喜ばれている事業であろうというふうに思っております。
  47. 吉田公一

    吉田(公)委員 私は、農業振興のために農道をつくってはいけないと言っているのではないのですよ。当然、農業だって機械化されて効率化されてきているわけだから、したがって、必要な農道はつくるべきだと思っていますよ。そんな畦畔なんかで効率的農業なんかできっこないんだから。  そうじゃないでしょうよ。物すごい広い道路、国道よりか広い道路をつくって、私だって実際乗って走っているんだから。どのぐらいの車が通るか、全然通らない。そういうようなスーパー農道なんという、では、農家が何軒ある、農家が。農道をつくっているそばから農業がだめになっていく。だんだん農業が衰退していって、減反政策をやって、そういう状況では困る。私は、東京の感覚だけで言っているのではないのだよ。全体的なことを言っている。農業のために必要な農道はやった方がいい。だから、やはり効率ということをこれから考えていかないと、限られた財源の中で物事をつくっていくわけだから、今までの、従来どおり、何でもいいや、そういう発想では困るということなのですよ。  そういう意味では、ぜひひとつ、これから農道整備あり方について、本当に農業振興ならいいですよ。だけれども、同じ農林省がやっていて、米はつくり過ぎちゃって減反政策。東北新幹線に乗ってみなさいよ。田んぼの真ん中があいているよ、道路から一番遠いところが。水がたまって雑草が生えている。片方ではそういう政策をやりながら、農道事業だけは広域農道だのスーパー農道をやっているところに、整合性が全くないのではないかということを言っているわけですよ。  そういうことを言っているわけですよ。ぜひこれから、農道整備については十二分に配慮して、本当にこれは農業振興のために必要なのだということであれば、それはだれも反対する人はいませんよ。そういうことをこれからきちっと、限られた予算の中でやるのだから、ぜひやってもらいたい。  農業基本法だって、これはまあ建設委員会は農業基本法には触れないけれども、さんざんぱら選択的拡大生産なんと言っていながら、全然選択的拡大生産になんかなってやしない。私は農学部出身だからわかっているんだよ、さんざん農業基本法に振り回されちゃって。今衆議院議員になっちゃっているけれども、本当は酪農をやろうと思っていたんだよ。     〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕  次に、トンネル事故でありますが、建設省でもトンネル事故というのはたくさんありますよね。だけれども、トンネルの欠落なんということは余り道路では聞いたことがないのだけれども、これは山陽新幹線だけにやたらに多い。一体、どこか欠陥があるのではないかということは、既に我が党でも建設・運輸部会を開いて、各建設、運輸省の方にもおいでいただいて、もうそのときに、こんな新聞報道に出る前に既に指摘をしたわけだ、これは欠陥事故じゃないのと。  そういうことなんですが、これからあんな二百キロも出すようなスピードの中で、いつコンクリートの壁がおっこちてくるかわからないトンネルを新幹線が飛んでいくなんということは、危なくて乗っていられない。もう車掌室にでも乗せてもらうしか手はない。あそこはおっこちてから一番最後に通過するのだから、けがを起こすことはないだろう。  その点、運輸省の人、きょう来ておられますか。どういうことなんですか。
  48. 安富正文

    ○安富政府委員 山陽新幹線のトンネルの剥落事故について、皆様方にいろいろな御心配をかけまして申しわけなく思っております。  現在、JR西日本も含めまして、運輸省は対策をいろいろ検討しているところでございまして、対策をいろいろやるにしましても、その前に原因究明というものを明確にしていかなきゃいけないということで、現在鉄道総研の中で、落ちましたコンクリート剥落片のコアとりをしまして、これの材料分析等も行いながら、どういう形でこの事故が起きたのか、一応現在のところ推定されている原因としましては、コールドジョイントというものがありまして、その下部のところに何らかの原因で不連続面ができて、そこから剥離をしてきたということが言われております。  ただ、何らかの原因で、どういう形でその不連続面ができてきたのかということを、現在、鋭意原因を究明しているところでございます。  これを受けまして、我々としては、コンクリート問題及びトンネル問題について、運輸省それから鉄道総研を中心としまして検討会を設けまして、当面の応急措置は講じておりますが、今後さらに抜本的な点検、補修のあり方、これについて検討していきたいというふうに考えております。
  49. 吉田公一

    吉田(公)委員 建設省のトンネルの数の方が何倍も多いとは思うのですけれども、そっちは欠落事故なんというのは余り聞いたことがない。新幹線はトンネル工法の仕様か何かが違うのですか。  建設省のトンネル工事のあり方について、検査体制その他きちっと行ってやっているのだろうと思うのですが、その点は建設省側はいかがですか。
  50. 大石久和

    大石政府委員 お答えを申し上げます。  建設省のトンネルの技術基準と、例えば新幹線、JRのトンネルの技術基準と違うところがあるのかという御指摘でございますが、基本的に、トンネル構造物の技術基準の考え方に違いはないと考えてございます。  ただ、道路のトンネルの場合は、下の幅員をかなり広く確保しなければならない関係から、トンネルにアーチアクションという力を期待する場合に、どうしても断面空間が大きくなるという特徴がございます。  そういったことから、新幹線のような高速で通る場合に、トンネルに与えている影響とかなり違う点があるのかなという感じはいたしますが、いずれにいたしましても、今運輸省の方が御説明されましたように、原因究明についてはこれからでございますので、私たちも建設省の所管するトンネルにおいてこのような事故が発生しないよう緊急に点検を実施しているところでございます。
  51. 吉田公一

    吉田(公)委員 原因究明は大事だと思うのです。ただ、原因が欠陥工事だということになったら、トンネルそのものを一体、あのスピードのある列車が交互に通るわけですから、事故は非常に起きやすい。  この工事に従事した人が、これは毎日新聞に、そんなのは欠陥工事だということを言っているわけで、しかもその工期に迫られて、要するに下請、孫請、ひ孫請、そういうような作業員の人たちがいわゆる証言をしている、新聞にですよ。  そういうことですから、工事の最初からちゃんと責任を負っていかないと、これはもう欠落いたしましたというだけでは原因究明にならないわけですが、その点はまず最初からきちっとやるべきだと思うのです。人命にかかわることですよ。
  52. 安富正文

    ○安富政府委員 委員がおっしゃいますように、本当に人命にかかわることでございますし、まさに新幹線等高速で走ってくる、それに万が一にもコンクリート片が当たるということ、今回は起こったわけですけれども、そういうことが二度とあってはならないということで、先ほど来申しておりますように、鉄道総研の方で原因究明をやっております。  この原因究明の中身としましては、先ほどの材料の分析のほかに、材料を分析することによりまして、当時の施工状況がどういうことであったのかということも含めて検討したいと思います。  そういう意味で、当時の施工工法、そういうものも含めました全体としての原因究明を直ちに行っていきたいというふうに考えております。
  53. 吉田公一

    吉田(公)委員 ぜひこれは、利用客が相当いるわけだから、早急にきちっとやってもらわないと、いずれ人命にかかわる。  これは作業員の人がもう証言しているんだ。ボルトの締めつけ作業の邪魔になった鉄筋を切断したとか、雨ざらしで鉄筋がさびているのにそのままコンクリートを流し込んだ、コンクリートの打ち込みが半日や一日中断することは普通だ、こう言っているわけですよ。  したがって、欠陥工事の傾向が強くなってきているわけですから、そういう点で、発注者の責任、それから検査体制ができているのかいないのかということについてでありますが、そういう最高度の安全を保たなければならないこういうトンネルに手抜き工事がまかり通っていたなんということがあれば、これはもう検査体制そのものに問題があると思うのですが、検査はどうやっていたのですか。
  54. 安富正文

    ○安富政府委員 山陽新幹線は国鉄時代につくられたものでございまして、その当時の国鉄時代から、当然のことながら、工務担当者のところで日常的に行われる施工管理はもちろんのこと、工事完了時に竣工検査という形で適切な検査をしているというふうに聞いております。
  55. 吉田公一

    吉田(公)委員 だけれども、JR西日本の鉄道本部長という人が、コンクリート構造物に対する安全への認識が不十分だと反省しているというようなことを言っていますが、そうすると、JR西日本が発注者じゃない、こういうことですね。あくまで国鉄ですね。
  56. 安富正文

    ○安富政府委員 発注者としては、当時、当然国鉄の時代でございますので国鉄でございますが、その施設を引き継いで保有しておりますのは現在JR西日本でございますので、その施設の保守管理の責任はJR西日本が持っております。
  57. 吉田公一

    吉田(公)委員 現行はJR西日本ですから、ぜひひとつきちっと対応してもらいたいと思います。  それから、先般の委員会でも住都公団の家賃の値下げについて私は質問をいたしましたが、議会の質問というのは、私は都議会も経験があるけれども、一回だけじゃ絶対だめなんだよ。一回だけだと、それだけ答弁してそれでおしまい。継続反復して質問しないとなかなか言うことを聞いてくれないというのが役所側の体質ですから、しつこいと思われてもやらなければ、あと三回ぐらいやらなくちゃいけないので、ぜひ早く結論を出してもらいたい、そう思っております。  問題は、昭和四十年、五十年、六十年、七十年にそれぞれ年度別に建てた建築物がありますね。したがって、傾斜家賃を始めたときには平成不況の初めのころだ。だんだん景気が悪くなってきてもまだ傾斜家賃は続いている。この間やっと傾斜家賃を終わりにしたけれども、その終わりにしたときは景気が一番悪いときで、一番高い傾斜家賃でとまっているんだ。それはおかしいじゃないかと私は言っているわけだ。  そうでしょう。景気がよくなったときに傾斜家賃を高くしてやめたというのなら理屈が合っているけれども、景気がどん底になっているけれども傾斜家賃は上がっている、こういう落差があるわけだ。だから、家賃を安くしないというのはおかしいんじゃないかと。物価指数に合わせたってそうだし、経済成長率は今マイナスですよ。それに合わせたって、家賃だけ上げていくというのはおかしな話なんだ。  そういう意味で家賃はやはり下げるべきだと。しかも、その市場家賃というのがよくわからないんだ、市場家賃というのが。消費税のときもそうなんだけれども、たった三%ですよ、フランスやドイツへ行ってごらんなさい、一八%も消費税とられますよなんて都合のいいところは例にとっちゃって。二重課税だってそうだよ、あのガソリン税だって二重課税になっているんだよ。ガソリン税の上に消費税五%かけられているんだから、それはおかしいじゃないか、こう言ったら、大蔵の局長が、それはタックス・オン・タックスです、こう言うんだよ。日本語に訳してくれよと言ったら二重課税なんだよ。そういう珍問答みたいなことをやっている場合じゃないんだよ、本当は。そうでしょう。  今ハイオクで九十三円ぐらいするのかな、そのぐらい。五十何円がガソリン税だよ。半分ガソリン税払っていて、その上に消費税五%かけられている。だけれども、ドイツではタックス・オン・タックスと言ってそれはよく行われておりますとかなんとか言って、だってここは日本の国会じゃないかと言ったんだよ。二重課税じゃないか、こう言ったんだけれども、タックス・オン・タックスなんと言って、わけのわからないことを言ってそれでごまかしてしまう。これまだ一回しか質問していないから、あと二回ぐらいやらなくちゃいけない。したがって、市場家賃というのは一体何のことを言っているのか。
  58. 那珂正

    ○那珂政府委員 先般成立いたしました都市基盤整備公団法三十三条におきまして、新しい公団の家賃の決定方式が明記されております。その中で、新規の入居者の家賃については近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないように設定するという言い方でございます。近傍同種の住宅の家賃というのは、一つの根拠になっております。その額と均衡を失しないようにという表現でございます。  また、同二項におきまして、家賃を変更する場合、すなわち、継続居住者の方の家賃については少し複雑でありまして、近傍同種の住宅の家賃とこれまでの家賃と、さらに経済事情の変動等を、その三者を総合的に勘案して、結果として近傍同種の住宅の家賃を上回らないようにという表現で規定されてございます。  具体的には、新規の場合は、先生お尋ねの市場家賃というのは、近傍同種の住宅の家賃、こういうふうに置きかえているわけでございますが、その具体の決め方については、新規のものについてはそういう近傍同種の住宅の家賃だ、近傍同種の住宅というのは何だというのは後ほどもう一回御説明させていただきますが、新規はそういうことです。  問題は継続の場合でありまして、今申し上げましたように、いろいろ勘案しなければいけないことが書いてありますが、具体的には、近傍同種の家賃と現契約家賃が仮に差がある場合、これはその差額の半分を基本として、さらに、長期的に安定している家賃の変動率と言っておりますけれども、家賃の変動率というのは、平均の、日本全国の家賃の変動率を加味して、急激な家賃変動を回避する仕組みもさらに内在することとしております。  それから、近傍同種の住宅の家賃というのはどうやって決めるんだ、こういうことでございますが、これは当該公団住宅と類似した近在にある住宅の事例を幾つか集めまして、それで公団住宅と比較の上、規模の違いとか建築年代の違いとか、あるいは駅への近接性の違いとか等々の必要な補正を行った上でその近傍同種の家賃を決定いたします。これをさらに、具体的に個々の団地、個々の住宅にどのように当てはめていくかというのは、現在公団の中において鋭意検討中でございます。
  59. 吉田公一

    吉田(公)委員 鋭意検討ばかりじゃなくて、早く結論を出していただきたいと思っております。  それから、昔、都市整備公団に団地サービスという会社がございまして、これはそっくり住都公団の会社ですが、せっかく団地サービスなんていい名前があるのに、何だかやたらに難しい名前に変えたようでございますが、団地サービスなんて言っていると、サービス会社なんだからちゃんとよくサービスしろと言われるものだから、団地サービスなんてうまくない、これはひとつ難しい名前に変えて、団地の住民が一回じゃ思い出せないようにして、しまいには忘れさせちゃって、しようがないから近所の水道屋さんに頼むかなんて話にするんじゃないかというような疑いも持たれているけれども、何でそんな難しい名前にしちゃったのかね。何か根拠があるのかね、それは。団地サービスなんか一番いい名前だ、こっちの方がいい。
  60. 荒田建

    荒田参考人 たしか先生も先般も同じような御質問をされたかと思うのですが、数年ほど前、それまでは団地サービスという名前で私どもの、いろいろな居住者の諸修理とか身の回りとか団地内の清掃等々やっていただいたのですが、数年前に、公団住宅に居住する方々生活水準の向上ですとかあるいはコミュニティーの問題ですとか、単に何か従前のサービスの提供の仕方では、やはりこれからの団地生活の居住水準の向上とか考え方の変化、価値観の変化に対応できない。さらば、もうちょっと高度なサービスをすべきではないかということで、日本総合住生活株式会社という名前に変えたというふうに聞いておりますが、先生御承知だと思いますが、略称JSと申しておりまして、このJSという名前は、団地サービスという名前もかなり定着していたと思いますが、会社の方からのヒアリングによりますと、JSという名前は、これは相当居住者の間に定着してきているのでというようなお話もございました。  いずれにしましても、名前が変わったからといってサービスが悪くなるとかなんとかというようなことは一切ないように指導していきたいと思っております。
  61. 吉田公一

    吉田(公)委員 何だかわからないような答弁でした。例えば、団地サービスならDSでいいんじゃないか。団地サービスだからDSで。一番わかりやすいじゃない、団地サービス。  それで、これから高度な管理をしなければいけないって、年じゅう屋上へ上っているんじゃないんだから、カラスが巣をつくっているんじゃないんだから、何もそんな一番高いところばかり修理しているわけじゃないので、名前を変えれば高度なサービスができるというのは、本当は、時間があればどこをサービスを変えたか聞きたいんだけれども、この次にするよ。忘れないで、絶対また質問しなければいけない。もうあと二分ぐらいしかない。  これから建設省に十幾つ質問があるのですけれども、時間が二分しかありませんから、次にさせていただきまして、これでやめさせていただきますが、定期借家権という法律が、今法務委員会で話し合っているようですが、法務委員会は今忙しいから、内容は民法改正だから、それは法務でいいんだけれども、実態はこれは建設省でやらなくちゃいけないので、しかも住宅局なんというのがあるわけだから、これは佐田筆頭理事が国対の副委員長ですから、早くこの建設委員会に回してもらって、早く審議をしたい。佐田筆頭理事にお願いをして終わりにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  62. 平田米男

  63. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、民主党の立場から質問をさせていただきます。  まず冒頭に、先般の梅雨前線で被災を受けた皆さんや、とうとい生命を失われた皆さん方に、お悔やみ並びにお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。  そこで、質問の本論に入りたいと存じます。先ほど来、新幹線のトンネル等のコンクリートの落下の問題が議論されたわけでありますが、最初に、運輸省はおみえになっていますか。  今回のコンクリート落下について、特に原因調査はどうなっているのかと実はきのう質問を通告しましたら、私は塩害やあるいは全体的なさびの問題等々を含めてという趣旨で申し上げようと思ったらば、質問をされたくないのかどうかわかりませんけれども、いや、トンネルは今鉄筋を使っていないから、その質問になじまないのじゃないかと言う。そんなことは勝手に言うものではなくて、私は、そのトンネルの落下物を、塩害を含めてあるんだからという意味で申し上げて通告をしていたんですから、勝手にそんなことを自分の判断でやられては困るので、そのことを含めて最初に申し上げておきます。  まず、検査状態がどうなっているのか。
  64. 安富正文

    ○安富政府委員 先生の御質問に対して、塩害の関係でいろいろ御指摘があるということを聞きまして、現在、先ほど申しましたように、鉄道総研の方で原因究明について材料の分析も含めて検討しております。その中には、当然塩分の問題等も含めて材料を科学的に分析してやりたい。一つは、いろいろな強度の試験であるとか、それからどういう骨材ででき上がっているかとか、どういう施工工法であったかとか、幾つかのコンクリートの破片を集めまして、それを現在分析しているところでございますので、その原因究明を早急にやりたいというふうに考えております。
  65. 田中慶秋

    田中(慶)委員 早急にということですけれども、この事故が起きてからどのぐらいの日にちがたっていますか。
  66. 安富正文

    ○安富政府委員 事故が六月二十七日に起きておりますので約一月かかっておりますが、その原因究明につきましては、当該トンネル部分の事故が起きたところ、さらにはその周辺の部材、そういうものにつきましても幾つかコアをとっておりまして、約十数カ所のコアをとりまして、これは今鉄道総研の方に持ち込んで、それぞれ分析しております。  そういう意味で、多少時間がかかっておりますことは非常に申しわけなく思っておりますが、我々としては、できれば八月上旬ぐらいには何らかの調査結果が得られるのではないかというふうに考えております。
  67. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、新幹線の中でトンネルは幾つありますか。
  68. 安富正文

    ○安富政府委員 ちょっと今手元の資料を捜しておりますので、見つけ次第またお答えしたいと思いますので、その間、ちょっとお許しいただきたいと思います。
  69. 田中慶秋

    田中(慶)委員 少なくとも、あなたは施設管理をされて、トンネルの管理をされているんでしょう。トンネルの管理をしている人間がトンネルの数ぐらい知らないでどうするんですか。まして、今から、これから八月を目途にと言う。何万人の人が今毎日そのトンネルを利用されて、新幹線が走っているんですか。今でも事故は起きようとするんですよ。その原因を、八月末なんてとんでもない、そんな時間をかけて。ですから私は、塩分を含めて含有率はどのぐらいになっているんですかと。破砕したコンクリートからその成分の分析なんというのは一週間もあればできるんですよ、コンクリートの種類、品質というものがどのようになっているかというのは、分析法は全部決まっているんですから。それがなぜ八月までかかるんですか。
  70. 安富正文

    ○安富政府委員 大変失礼いたしました。  とりあえず、その前にトンネルの数を、私のところの手元の資料が見つかりましたので、ちょっと御説明したいと思います。  鉄道トンネルの箇所数、新幹線トンネルだけ申しますと、全国で三百七十カ所ございます。それから、在来線も含めましたトータルで四千八百カ所が鉄道のトンネルになっております。大変失礼いたしました。  それから、原因究明に確かに時間がかかっているというのは我々としても十分認識をしております。これについてはやはりいろいろな角度からやっていかなければいけないと思っておりますし、塩分の問題も含めて材料の問題、それから施工方法の問題、それから実際の骨材がどういうふうに、いわゆる不連続面といいますか、コールドジョイントの不連続面を生じてきたかという問題、そういうことを多角的にやっておりますので、もうしばらくお時間をいただければと考えております。
  71. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そんなことをしていたら次の事故が起きるということも想定できるんですよ。まして、幾つかの種類に分けて分析の方法はあるでしょう、成分の分析もあるでしょうし、あるいは工事方法の問題もあるでしょうし。そういうことを分析しながら、早急にしなければいけないこと、あるいはまた早急に対策を含めて追加工事をしなければいけない、対策工事をしなければいけないことがあるわけです。それなのに、全部一緒に、何も八月まで待つ必要はないじゃないですか。
  72. 安富正文

    ○安富政府委員 説明が不十分で恐縮でございますが、もちろん現在推定される原因として、コールドジョイント部、それからその下のいわゆる不連続面ができたということで、ある程度そういうものが起因しているということはわかっておりますので、現在、JR西は当然のことながら、各新幹線それから在来線も含めまして点検を行いまして、現在、JR東、西、東海を含めまして、それぞれコールドジョイント部がどういうふうになっているのかということを点検しております。  その点検の結果、見つかったコールドジョイントをさらに打音検査ということで実際に金づちで打って、どういう状況になっているかということを調べまして、何らかの問題があるところについてはL字形の鋼材をはめまして、ボルトで締めて、そこで応急的な措置をとっております。  その応急的な措置はあくまでも応急的な措置で、これによって大丈夫だと我々は思っておりますが、さらに点検とかあるいは補修の方法、そういうものについて、現在運輸省内で検討会を設けていろいろやろうとしておりますが、この検討会さらには鉄道総研での検討会を踏まえて、今後、抜本的な点検、補修の方法を検討していきたいというふうに考えております。
  73. 田中慶秋

    田中(慶)委員 実は、なぜこういうことを申し上げたかというと、塩分、アルカリ分の規制というのは、生コンには最近になって規制といいますか成分の含有量の問題が言われるようになったんです。今までその規制はなかったんです。現在は立米当たり〇・三%以下という形になっておりますけれども。  例えば、あの生コンを打つときに海砂を使っていなかったかどうか。海砂も、本来ならば、少なくとも洗浄して使えば問題はないわけですけれども、突貫工事その他で洗浄されないでそのまま使ったとすると、こういう問題が起きてくるんです。非常に劣化が早いんです。強度がないんです。そういう心配はありませんでしたか。
  74. 安富正文

    ○安富政府委員 先ほども申しましたように、今回の事故のコンクリートに海砂を使っていたかどうかということは、正直申して今現在わかりません。ただ、塩分の含有量等については現在調査中でございます。  ただ、問題は、今回の事故現場に使われたコンクリートの骨材、本トンネルの構造物は無筋コンクリートでございますので、通常海砂について言われていること、これは専門家ではございませんので正確かどうかちょっとわかりませんが、鉄材が海砂で腐食して、その鉄材が……(田中(慶)委員「そんなことを聞いているのじゃないんですよ」と呼ぶ)ということを我々としては考えておりましたものですから、現在その塩分の混入による鉄筋の腐食という問題は、従来余り考えていなかったということはあるかと思います。
  75. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これ以上詰めてもしようがないですけれども、いずれにしても、成分検査をして早く対応してやっていかないと、二次災害がまた出るおそれがある。大体四百五十ぐらいの新幹線のトンネルが、全国ネットで、今つくっているものを含めて約四百五十と言われている、在来は五千と言われているわけです。そのぐらいのトンネルを持っているわけですから、当然そのことを検討していかなければいけないわけですから、そのことを含めてやってほしい、これは要望しておきます。  そこで、今度は建設省道路公団関係で、同じような形で、例えばコンクリートに、先ほどは無筋ですが、今度は鉄筋コンクリート、アルカリ、塩分等を含んでまいりますと、ここには少なくても微粒物のような穴がたくさんあいて、そして酸化状態が起きる。大気の酸化状態が起きる。そのことによって鉄筋の被膜がさびが出てき、そしてさびによって膨張された鉄筋がコンクリートの破壊につながる、こういうことであります。  今、道路公団及び建設省が鉄筋コンクリートを使っておられる部分について、このような問題についての心配は、今の鉄道のトンネルの中で起きたような心配とあわせて、今の道路に関するトンネルあるいはまた高い橋、橋架のピアの問題等々を含めて心配をされるわけでありますが、その辺については検討されておるかどうか、まずお伺いします。
  76. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  コンクリートにつきましては、先生指摘のように塩化物イオンによるコンクリート中の鋼材腐食に端を発する塩害という問題が指摘されているところでございますので、建設省が特に、例えば海底トンネルにコンクリートを用いるような場合には、緻密なコンクリートを用いますとか、これは例えば高炉セメントを用いるだとかといったようなことでありますとか、あるいは、かぶりと申しまして、鉄筋とコンクリートの一番端部との距離でございますが、こういったものを通常の陸上の構造物よりも多くとるといったような配慮をいたしておりまして、特に海底下のトンネルにつきまして、コンクリート構造物につきまして塩害が進捗しないように考慮しているところでございます。  現に、道路公団も含めまして、建設省の所管しておりますトンネルにつきましては、現在、新幹線で起こったようなコンクリートの剥離事故と類似の事故は報告されておりません。  いずれにいたしましても、コンクリートクライシスと言われた時代もございました。塩害の問題につきましては、コンクリートの致命的な問題として維持管理、点検、補修に万全を期していきたいというように考えてございます。
  77. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、海底トンネルも抱えておることですし、あるいはまたコンクリートピアを抱えた大きな橋もあるわけであります。特に、この鉄筋コンクリートのさびというものは、全体的に、体積でいいますと倍に膨張するわけでありますから、そんなことを含めて、古いものから総点検をして、阪神・淡路大震災のときに一部総点検をして、エックス線で総点検をされて、そこにはいろいろな問題が、私はここでは明確に申し上げませんけれども、手抜き工事もありました。当初の設計の鉄筋の太さが、均一ではない。やせたのかどうか知りませんけれども、相当細い。そんなことも部分的に発見をされているわけでありますから、この問題は、恐らく建設省あるいは道路公団はそのことを報告されていないんじゃないかと思いますので、これらについては特に今後調べて事故のないようにする必要があるだろう、こんなふうに思いますので、今のコンクリートの塩害問題にあわせて、そのことを指摘しておきたいと思います。  そこで、実は、いろいろな問題の中で、検査体制あるいはまたそれぞれの企業の体質も初めとする全体的な工事の質の向上のために、昨今ではISO9000というものを導入されて、建設省は、ISOについては品質、環境、労働安全衛生等に対して国際的な公共工事の適用ということを含めて委員会を設けられていると思いますが、それらについて現在どのようになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の件につきましては、平成六年でございますが、省内に調査委員会を設けまして、勉強を開始いたしました。また、平成八年からは、パイロット事業を通じて実地にいろいろ点検とか勉強を続けてまいりました。  その結果といたしまして、公共工事についてのISO9000の導入というのは、品質管理という面で非常に有効であるというふうな結論を得ております。また、あわせまして、やはり品質確保のプロセスと申しますか、責任の所在でございますとか手順、記録の保持とか、副次的な効果というものも非常に大きいというふうな報告を得ております。  したがいまして、こういうことを踏まえながら、平成十二年度、来年度でございますが、逐次導入について実施に移していきたいというふうな考えでおります。
  79. 田中慶秋

    田中(慶)委員 品質管理や工程管理等々を含めて、私は、このISO9000というものは非常に有効的であろう、こんなふうに思って、ISOについて何回となく私も講習会や勉強会に出させていただいております。  しかし、業界団体にそのことを周知徹底しないと、そのことによってハンディを生じてはいけないであろう。例えば、今経営診断の中で、経診の中で、例えば経理状態の問題について、経理の資格制度の問題、そして、そこの資格を持っている者と持っていない者で経診にプラスアルファをつける、つけない、こういう問題があるわけであります。ISOも、同じようにISOの資格を持っておられる業界団体、企業団体等について、みずから周知徹底をさせないでおいて逆にハンディをつけてはいけないのであろうと思いますから、そのことに対して周知徹底をさせていく。その辺はどういうふうに考えられているか。
  80. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりだろうと思います。やはり発注側である公共サイドがこういうふうな問題についてきちっとした体制を準備する一方で、やはり受けて立つ業界団体がしっかりとした認識をお持ちいただいて、双方で体制が構築されるということだろうと思います。  ただ、おかげさまで平成六年、業界団体にも入っていただいておりましたので、やはり早晩公共工事についてもISO9000というふうなものの導入は行われるであろうということが、かなり前宣伝が効いたと言うと語弊がございますが、現状で見ますと、詳細なデータを持ち合わせておりませんが、やはり企業においても、既にISO9000の認証を取得している企業が相当程度あらわれているというふうな状況でございます。  いずれにいたしましても、一層普及徹底に努めてまいりたいと思います。
  81. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この認定を持つことによって、例えば作業手順であるとか品質マニュアルとかいうものは、私は、認定を持つ企業には要求する必要はないと思うし、そういうことも合理化できるわけであります。  ただ、認定を取るために約一年ぐらいかかるんですよ。それで来年から導入するんでしょう、平成十二年。そうすると、今からスタートしていないと現実にはその対象にならぬということで、ハンディを背負うことになりゃせぬか、こんな心配がありますので、私もISOの勉強をずっとさせていただいてそんなふうに思っておりますので、工場認証をされるまでには約一年近くかかると思いますよ。そんなことを含めて、その辺はどのようにお考えになっているか。
  82. 小川忠男

    ○小川政府委員 やはりそれなりに企業が受けて立つ体制を確立するには時間もかかると思いますし、それからもう一つは、私ども内部の、これはまことに恐縮な話なんですが、公共サイドがそれなりの体制をとるにもそれなりの時間がかかるわけでございまして、来年度と申し上げましたが、現実的にはやはり部分的な導入でございまして、やはりこちら側の準備とそれから先生指摘になりました企業側の準備とが両方粛々と進むような形で進めてまいりたいと思います。
  83. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで大臣にお伺いします。よろしいですか。  中央省庁の再編で、少なくても建設省を含む大くくりな省庁ができるわけであります。そこで、これからの役所の合理化をするためには、体質改善をするために、ISOを含めて事務の合理化、企業の合理化あるいはそれぞれのシステムの合理化等々含めて取り組むマネジメントシステムといいますか、そんなことを含めて、役所にもそのことを導入する必要があるんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、大臣いかがですか。
  84. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ちょっと的確な答弁ができませんが、そういうISO方式を入れるということも一つ考え方、御意見としてまた検討もしてみたいと思います。
  85. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、建設省等々は現場を持つわけでありますし、そんなことを含めながら、私は、新しいようでありますけれども、本来はこのシステムというのは日本方々にすれば古いんですよ。QC活動であり、かつてはその前からJISの問題等々含めて。しかし、それが近代的になってきたということでありますから、当然このことはこれから検討するだけではなくして、そういう時代、従来まで、大臣、我々の時代はパソコンであろうとそんなことは余り使わなかった時代でありますけれども、今はもう情報化社会でパソコンなんというのは当たり前。今までの情報は面であったものがもう立体的に空から全部情報が入って、一瞬のうちに世界じゅうに伝わるわけでありますから、それと同じような体質というものが要求されてくる、それが私はこれからのISOの時代ではないか、こんなふうに思っておりますので、そんなふうに心がけていただきたいと思っております。  そこで、先ほど大臣の方でこれからの公共工事のあり方等について力説されていたのは、一つは、災害中心とする公共工事ということを言われておりました。私は、災害中心とすることも大切であろうと思いますが、公共工事そのものの発想の転換をしていかなければいけない。人に優しいということ、バリアフリー、先ほど話が出ました。バリアフリーというのは何も障害者だけじゃなく、健常者、子供たちやお年寄りを含めて、こういうことだと思うんです。例えば歩道一つつくるにしても、同じ費用をかけるにしても、従来は車社会を中心として歩道をつくっていた、こういうことだと思います。ところが、障害者や人間を中心とすることであるならば、歩道の整備の仕方等々、発想が変わってくるわけでありますから、そういう形を含めてあらゆるところに公共工事のあり方、単なる箱物だけではなくして、そういうところに気遣い等々含めてやる必要があるだろう、こんなふうに思っておりますけれども、その辺については先ほど触れられましたが、あわせてお伺いしたいと思います。
  86. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のとおりでございまして、このバリアフリーという言葉が使われて、また世間で理解されましたのは、やはり高齢者の方であるとか障害を持っていらっしゃる方々であるとか、そういう弱者方々が障害にならないような施設整備ということだったと思いますが、田中先生指摘のように、今や確かにいわゆる健常者の方々も益を得るといいましょうか利便性を得るというか、安全あるいは快適性というものを得る、そういう意味でのバリアフリーという感覚で進めていく時代になってきておるのではないか、そのように思います。
  87. 田中慶秋

    田中(慶)委員 続きまして、住宅公団いらっしゃいますか。帰られましたか。ちょっと指摘を、通告が。  ただ、これは建設省おられると思いますので、今の住宅公団の家賃の問題、先ほど触れられましたので、家賃というものは、家賃と共益費とそんな形を含めてでありますけれども、実は家賃に消費税がかかるわけですね。共益費にも消費税がかかる。ところが、初めに入るときに家賃とプラス敷金、敷金というのは返ってくるわけでしょう。その敷金に消費税がかかるんですね。かかっているんです。普通は民間だと敷金に消費税はかかっていないんですけれども、公営住宅住宅公団おりませんので、その考え方をちょっとお聞きしたいと思っていたんですが、もう帰られてしまったんですけれども、建設省おわかりになりますか。
  88. 小川忠男

    ○小川政府委員 まことに恐縮ですが、正確な話はまた後刻御報告させていただきたいと思いますが、恐らく家賃そのものには消費税はかからない制度じゃないかと思います。ただ敷金については、権利金は公団は徴収いたしていないと思いますが、いわゆる敷金というふうなものについてかかっているかどうかについては、改めてちょっと確認した上で御報告させていただきたいと思います。
  89. 田中慶秋

    田中(慶)委員 突然の質問ですからそれは了として、いずれにしても、民間はかかっていない。それで、今度新しく公団が募集されて、いろいろな手続をとって、そして敷金に消費税がかかっているのでびっくりして、私が聞かれたものですから、それで今申し上げたわけでありますので、大変失礼いたしました。  続きまして、今大変厳しい経済情勢で、公共事業を初め建設省に対する期待というものが非常に大きいと思います。そういう中で、公共事業あり方、発注制度のあり方等々含めて、昭和四十八年、たまたま私は神奈川で県会議員をさせていただいたときにオイルショックだった。オイルショックのときに初めてできたのがジョイントベンチャー方式、共同企業体、Aランク、Bランク、Cランク、こういうものを一緒にして、ひとしく公共事業あるいは仕事等に恩恵を得よう、こういうシステムだった。さらに突っ込んで、分離発注ということもしました。例えば土台をつくるところとか、そういう形の分離発注もされて、公共工事にひとしく取り組んでおられたわけでありますが、バブルが崩壊して、建設省が行っている公共工事のあり方についてどのようにされているのか、お伺いします。
  90. 風岡典之

    ○風岡政府委員 お答え申し上げます。  まずジョイントベンチャーの制度でございますけれども、ちょっと私ども、いろいろ調べてみましたら、建設省自身は二十年代の後半からジョイントベンチャー制度というのを導入して現在に至っております。  それから、バブルの崩壊以降の公共事業の問題でございますが、ちょっと私、所管を越えるところはありますけれども、発注行政におきましては、それ以前からでございますけれども、やはり建設業界全体につきましては、これは大手から中小までいるということでありまして、発注標準というものの遵守とか、分離発注とか、あるいは中小向けの契約目標を定めるというような形で、発注政策としては、いろいろな方に参加機会を与えるという形で進んでいると思います。
  91. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣、実は建設事務次官通達というのがあるんですね。確かに平成五年に建設省中心としていろいろな不祥事件が起きて、そしてそのときに、共同企業体の運用基準についての改定ということで、今までも地方自治体は、ABCDぐらいの共同企業体、四社、五社あるいは九社ぐらいのこんな形でひとしく、それぞれのランクに応じて仕事を発注されておりました。建設省も、平成五年までは大体五社ぐらいの形でひとしく、ABCあるいはABCD、こういう発注方法をとられておりました。  ところが、その不祥事件以来、単独なり、あるいは二ないし三社という形での特定共同企業体というこんな形になっているわけであります。例えば、私は神奈川ですけれども、神奈川だけじゃなくいろいろな地方自治体含めて、建設省でやる工事、恐らく、地元で幾らAランクであっても、そこに参入はできないシステムに今なっているんですよ。ABCDぐらいまでのシステムであれば、建設省のCランク、Dランクであるならばそこに参入することができる、こういうことですね。  そして、その地元の人たちは、では、工事に対する迷惑であるとか、風水害が来たときにどうするんだ、いち早く災害のときには現場に駆けつけて、その対策をするんです。後始末だけですよ。大手のゼネコンの人たちは、そこに風水害が来たときに、緊急にそこに集まってその対策災害対策をするんじゃない。これが現実なんです。  私は、不祥事があったことはあったこととして対策を打てばいい。ところが、今のような企業体の、これだけ厳しい経済状態で、そして地方自治体あるいは地方におられる業者の人たちは指をくわえながらその仕事を見て、いざ事故があればそこに対策として駆り出される、これではちょっと不公平ではないかな、こんなふうに思うんです。  そこで大臣に、これらを含めて、やはり今経済情勢や時代が変わっているんですから、技術アップもしているんですから、そういうことを含めて見解をお伺いしたいと思います。
  92. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この点につきましては、田中慶秋先生、以前の委員会でも御質疑がございました。  それで、その後も、中小建設業者の受注機会の確保ということ、これは本当に建設省挙げて努力をいたしております。いろいろな通達等も通しまして努力をいたしております。  そういう中にありまして、御承知のように、今までの経過といたしますと、先生指摘のように、受注機会の配分との誤解を招くようなものがかなり存在すること、あるいは構成員が多過ぎる、あるいは構成員間の技術力等の格差が大き過ぎる等により効果的な共同施工の確保が困難であり、施工の効率性を阻害している場合があるというような感覚でもって、平成六年の三月に、中央建設業審議会の建議を経まして、特定ジョイントベンチャーの構成員数を二ないし三社と決めたわけでございます。  そういう今までの経過はもう先生十分御存じのことでございますが、そういう中にありまして、中小建設業者の受注機会の確保ということには、まず一つが、毎年度でございますが、中小企業者に関する国等の契約の方針というものを定めまして、中小企業者向けの契約目標の設定を毎年度行っております。したがって、改定もしているということでございます。  それから、ランク別発注の実施及び発注標準の適切な設定ということで、これは先生御承知のとおり、今までABCDEとあったわけでございますが、五段階でありましたのを四段階にするというようなことも行いまして、下位のランクの業者の上位ランク工事への参入ができるように努力をしております。  それから、四番目としますと、経常のジョイントベンチャー制度の活用等々をやっておるわけでございまして、そういうことで努力をしておるんですが、先生先ほど御指摘のありました、地元業者がなかなか、そういうようなことを言うけれども入っていないことがあるということでございますので、なおこれ以上の地元の方々の参入ができるべく、またなお一層知恵を出すといいましょうか、努力をしていかなければならないと考えております。
  93. 田中慶秋

    田中(慶)委員 確かに、中央建設業審議会の建議を得て出されたということだと思いますが、もう五年もたっているんですよ。時代は、五年たつと物すごく変わっているわけでありますし、そればかりではなくして、大臣もよく知っていると思いますよ、政治家ですから。大体大手のゼネコンさんは、仕事を受けて、下請、孫請、全部そういう形で、それぞれの地域の人、あるいはまたそのゼネコンさんについて東京から行ったり、こうするわけですよ。現実には仕事は下の方でやっているわけですから、そういうことを考えたときに、やはり見直しをして、そしてその人たちが公平な意味で、ABCだとか先ほど言った四段階に分けたCならC、DならDのところで枠組みをできるようにすることが、私は、今の時代に合っていると思う。正々堂々と仕事ができるわけですから。  ところが、今、日参しながら、一生懸命ゼネコンさんを回って、どんな仕事でもいいですからということで、五百人、一千人抱えているところの人たち、あるいはまたそれ以下でも、今までは匹敵するような仕事をしていても、そういう形で、仕事がない状態で努力をされている、そんな姿を聞いたり見たりして、いろいろなところで、これは全国的に起きていることですよ。  ですから、私は、そのことの制度の見直し、もう五年たってそんなことをいつまでも守ってといいますか、そのことが弊害になっていれば、あるいはまたバブルがこれだけ崩壊して、今景気対策で、国を挙げていろいろな対策を打っているわけですから、そういうことも含めて、一方において中小企業の振興やいろいろな制度制度の取り組みを行っているわけですから、そのことをしっかりとしていただきたいということを最後に申し上げておきます。  大臣の決意を聞いて、質問を終わります。
  94. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かにそういうことを、私も各地へ参りましてそういう団体の方々から御意見を伺いますと、今先生が御指摘の問題を何とかもっと進めてほしい、解決をしてほしい、いわゆる受注の機会の拡大をやってほしいというのがもう九割の要望であるということは事実でございますから、なお努力をしたいと思います。
  95. 田中慶秋

    田中(慶)委員 以上で終わります。
  96. 平田米男

    平田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  97. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。午前中に引き続きまして、一般質疑という形で質問をさせていただきます。  まず最初に、先ほど大臣から御報告ありました本年の六月以降の大雨による災害について質問をいたしたいと思います。  昨年も大変な被害が出て、八月末の東北・福島等の災害から始まりまして、昨年は、調べますと、四十六都道府県で千六百二十九件の土砂災害箇所があったというふうに報告を受けておるんですけれども、本年も、先ほど話がありました梅雨前線の豪雨災害等で、土砂災害あるいは土石流がけ崩れということで大変な被害を出しておるわけでありまして、その都度大臣も、災害箇所に対する適切な対応という形で国土庁長官としても御苦労いただいておるところでございます。  私も、地元が北海道の南部でありますから、南西沖地震で奥尻の関係、あるいは豊浜トンネル、第二白糸トンネルというトンネルの崩落事故、どうも南西沖地震以降、雨も多かったせいもありますけれども、地震によって相当地盤が緩くなったせいか、その都度大雨土石流が出るという形で、災害の恐ろしさというか、そういうことを経験しておるわけであります。  そこで、大臣のリーダーシップで、今回、各省庁を集めまして、これらの土砂災害の総合的な対策を講じていこうという形で検討プロジェクトチームをつくったというふうにお聞きをしておるところでありまして、大臣も御案内のとおり、第四次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を見ましても、要整備対策箇所というのは七万二千七百二十九カ所、七万二千カ所余あるという形であります。それに対して、第四次で目標整備は二万三千六百四十、これまでも入れてですけれども、二万三千カ所ほど整備を終えようという形で、しかし、差し引き五万件以上がまだ危険箇所として日本全国にある。この五カ年間で五千八百カ所程度整備をしていこう、整備率としては現在二五%を八%増の三三%にしていこう、これはもう大臣御案内のとおりでございます。  私は、一番問題があるのは、この五万カ所が全く未整備のまま、そういう危険箇所ということは承知をしておるんですけれども、手を加えることができない。後でまたお話をさせていただきますけれども、予算上のこともあるわけであります。  ただ、問題は、この五万カ所が、その地域住民の皆さんが危険箇所としてきちんと情報が徹底して、ここは危険だという認識を持っているかということであります。役所の方に聞きますと、危険地域というふうに指定をするのは、急傾斜地崩落地域指定をするのは、まさに工事をやろうというところをするわけでありまして、この五万カ所については、そういう危険地域ということは認識しておりますけれども、地域指定ということはしておらないというふうに聞いたわけであります。むしろ、そういう指定をされることによって資産としての価値が下がるとか、そういうものもあるということであります。  しかし、やはり検討会でも、三つ目にありますように、避難及び住民への情報提供あり方検討ということを打ち出しておりますけれども、やはりこういうところも含めて、きちんと住民の皆さんに情報開示、ここは危険なんだよということの徹底が私は必要でないかなというふうに思うわけであります。  先ほど大臣もおっしゃられました、そのほかに、土砂災害のおそれのある地域における住宅等の立地の抑制について検討していくということでありまして、八月中にも短期の三カ月、来年度の予算に反映させる対策、そして恒久的な対策を年末までということでありますけれども、現在、この住宅等の立地の抑制ということについて、どういった点が課題、問題点としてあるのか、概略でよろしいんですけれども、こんな問題意識であるというような点について大臣の方から御説明をいただければと思います。
  99. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生のずっと今までの流れでございますが、全くそのとおりでございまして、そういう危険箇所があるんでございますが、それはどういいましょうか、もっとその情報を公開して、その地域にいらっしゃる方、あるいはまた隣接していらっしゃる方に十分認識をしていただいておくということをやらなければ、その危険箇所はわかっておるわけでございますが、それはもちろん財政の許す範囲において早急に対策をしていくわけでございますが、それは何万カ所とあるわけですから、そう短期間ででき上がるものではございません。  しかし、そういう危険な状態をそのままほうっておくというわけにはまいりませんから、それを防ぐ唯一の方法は、その地域方々にそういうことを報告するということ以外にはないわけでございますから、資産価値というものが確かに低下はするんでしょうけれども、そういう資産と生命をてんびんにかければ、当然生命が大事なんですから、それは、そういう情報を徹底して公開をして知らしめるということをやっていかなければならないと思っております。  それから、次の点でございますが、プロジェクトチームをつくりまして、三カ月をめどで決める、そして全体的なことは年末までに決定するということになっておるわけでございまして、このプロジェクトチームは、過般第一回目を開会いたしました。ですから、私権、私有権といいましょうか、これはそういうものを制限するようなことになるわけでございます。その問題が大きな問題になってくると思いますが、まだそこまで踏み込んでいないというところが現状でございます。  しかし、ああいうプロジェクトチームをつくりまして、その第一項目に、これからの住宅土地整備は、そういうようなことでいささか制限をさせていただくというようなことを言いますと、もう既にこの時点において、多くの方々から、そういう私有地を制限するということは果たしてどうかというようなことを言われておるわけでございまして、そのあたりをどのように乗り越えていくかということ。  ですから、これは財政上あるいは税制上あるいは法律上、どのようにそれを縛りをかけていくかということだろうと思うわけでございますが、そのことはしかし、さりとて、だから今までのままでいくというわけにはいきませんから、私はやはり、いささかそういう権利を抑制することになるかもしれませんけれども、生命を守るためにはやむを得ないんではないかなという考え方でおります。
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私も函館市なんかを見てみますと、新興住宅造成、無指定地域のようなところ、いろいろありますけれども、やはりこれから団地造成をするというようなところは、先ほど言いました五万カ所については、急傾斜地の危険指定地域指定はされておらないんですけれども危険だということは、集計して七万件出てきているわけですから、そういうところは建築基準法の確認の申請といいますか、そうあったときには、やはり横の連携を密にして、そういう地域だというところのものをやはり知らせる必要があるのではないかと私は思います。  いろいろ私有権との関係はあろうと思いますけれども、やはりそこは建設省が主体となって、もう災害が起きるのが明々白々のようなところにこれから建てるということでは、先ほどの七万件というのは第四次ですけれども、前回よりもその危険な地域がどんどんふえているんですね。これはやはり幾ら直しても、改修しても、どんどんふえておるということであってはならないと私は思うのであります。  それから二番目の、土砂災害のおそれのある地域における防災性の向上方策、これについても検討するということであります。  私も、南西沖地震で経験をしたんですけれども、奥尻では青苗地域というところが、被災をした後に防災集団移転事業という国土庁の事業で高台の方に移転しました。それから、北海道側の大成町で太田地区というところは、低みに住宅があったということで、そこを盛り土をして、引き家対策、今まで建っている家を活用して、地盤をかさ上げして集団的に行うという事業を目の当たりに見ました。  やはり日本人は、最近は、国に何か用地買収して、土地も家屋も売ればそれで建てかえる、随分高いことをやっておるわけでありまして、もっとこれからは、確かに文化も高くなりました、水準もいろいろ高くなりました。しかし、やはり危険地域を安全なものに変えていくという視点で、そういった集団的に危険地域から避難をさせるような住宅地にしていく。若干の遊び地があれば安全なところというのは随分あるわけでありますから、幾らがけを直しても、やはり人力、人の直し方というのは限界があると思うんですね。そういう意味で、むしろその方がまた金もかからない場合もあるのではないか。  私の地元でも、海岸線にへばりつくように、本当に、普通のところに住んでいる人にはこんなところに住めるのかなと思うところに住んでおります。住めば都ですから、なかなか移転ということについては難しい点もあろうと思いますけれども、今ある防災といいますか、災害が起きてからの移転事業ではなくて、むしろ予防的な意味でそういう移転を行う。実際は小さいものがあるというふうに役所からは聞いていますけれども、ほとんど利用されない状況だということでありますから、その点も大臣としてリーダーシップをとって検討をしていただきたい。このことについての御答弁ございましたら。
  101. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 広島の視察をいたしましたときにも、御一緒しました広島知事自身も述べていましたけれども、山の上に大きな石が五つ六つある。現在はそれが転げ落ちていないわけですけれども、その下に住宅地がある。知事さんが、こういう危ないところがあるんですからという話をされまして、私も見て、本当にこういうところによくぞ宅地造成を許可したなという気がしたわけでございます。  そういうようなことで、やはり思い切ってそういうところは移動をしていただくというような考え方でやっていかなければならないと思います。そういうことでやっても、先ほど言いましたようにいわゆる私有権であるとかそういうようなことでまた大変な苦労があると思いますが、そういうようなことを乗り越えていきたいと思っております。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 続きまして、災害弱者関連施設の問題でありますけれども、この問題は、昨年も大きな問題、西郷村のああいう大変な悲惨な事故につながったわけでありますし、今回も広島で障害児通園施設被害を受けたというようなこともございます。  全国の調査でも、十三万九千施設、こういう弱者の関連施設があるうちで一四%の一万九千施設ほどが災害に弱い施設だという形で、建設省等も、あるいは厚生省、文部省も何とかしなければならないということで対策を講じておると思うんですけれども、なかなかそれが、こういう被害がまた出てくる。やはりこれは緊急の課題だというふうに思いますね。通所式じゃなくて、二十四時間入所して、なかなか自力では避難できない危険なところというのがうち二千二百カ所。これを順次改善していくということでありますけれども、これについても大臣としてどのように考えておるのか。なお一層、予算づけの問題もあるでしょう、概算要求の時期も始まりますけれども、どういう対策を講じていくのか。  それから、先ほど言いました、第四次の急傾斜地の崩壊対策事業五カ年計画、これが平成十年から十四年までということでやっておりますけれども、予算が一兆一千九百億。どういうわけかわかりませんけれども、これが、全部使うんではなくて、急傾斜地崩壊対策事業に五千九百億、約半分ぐらいですね。あとは調整費等で残しておく、あるいは単独事業という形で、都道府県の単独事業でしょう、そういう予算額として打ち出しておるんですけれども、やはりこういういろいろな状況が出てきておりますから、むしろさっきの予防的な意味合いも含めて、新たな視点でこの一兆一千九百億を満度に活用する、そして対策を講じていくということについて大臣の御所見をお伺いいたしたい。また、決意をお伺いしたい。
  103. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 昨年のからまつ荘のこともございまして、その後、厚生省と建設省でそういう施設の点検を行ったわけでございまして、今までよりも点検の質を高くしまして、そういう弱者方々、また福祉施設等々においてはそういうことを公表しておるところでございます。  ですから、予算がつけばそういうことを是正していくことができるのですけれども、十分でないわけですから、その前にはやはりその施設に、あなたのところは豪雨に対して大変弱い状態にありますよというようなことをまず理解していただく。そして、少しでも雨が多いと考えたときには、避難勧告が出る前にその施設方々が、いろいろの予防対策を、移動することから始まって、やっていくというようなことを啓蒙していくということもやっていかなければならないのではないかな、そのように思っておるわけです。  ですから、今、平成十一年度の公共事業の予備費が五千億円あるわけでございまして、あの五千億円なんというのはそういう意味で私は使うべきじゃないか。予算委員会でも、何に使うかも決めなくて五千億円なんというのはどういうことだということで問題になりましたけれども、あれがあるわけですから、私はこういうときにこそ、あの五千億円はそういう災害防災対策にことしも使うべきではないか、そのように考えております。
  104. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 まさにそのとおりでありまして、後でまた時間があれば質問いたします。  トンネルの崩落危険箇所の工事も五カ年計画でやってはおりますけれども、豊浜、第二白糸、両トンネルに続いて、また北海道でトンネルの事故があれば、これはもう大変な事態になりますので、そういう意味では緊急を要する。先ほどの新幹線あるいはこの道路のトンネルと同様、大臣としては政治力を発揮していただきたいと思います。  そこで、道路整備関係で若干質問いたします。  私の選挙区の北海道には、高速道路、北海道縦貫自動車道というのが今、一部供用開始をされております。この整備の今の水準について、道路公団の方から御答弁願いたいと思います。
  105. 辻靖三

    ○辻参考人 北海道縦貫自動車道は、函館市を起点に、室蘭市、札幌市、旭川市等を経由して稚内市に至る、総延長六百八十一キロの路線でございます。道南、道央、道北地域の連携強化を図り、沿線地域の産業、経済、文化、観光等の発展、振興に資する重要な路線と認識しております。  日本道路公団といたしましては、道内の高速道路ネットワークの早期整備を目途として、施行命令の出されました七飯―名寄間四百七十七キロのうち、現在までに長万部インターから旭川鷹栖インター間の、路線全体の約五割に当たる三百十九キロメートルの供用を開始しておりまして、引き続き残りの区間についても整備を進めているところであります。  このうち、旭川鷹栖から和寒間三十キロ、八雲から長万部間三十三キロメートルにつきましては、平成十四年度までの新道路整備五カ年計画内の開通を目指して用地取得を進め、順次工事の全面展開を図っているところであります。  さらに、その他の区間につきましても、現地の各種調査検討を初め、測量、設計を推進し、順次工事に着手する予定であり、地元の御理解と御協力を得て、今後も道内の高速道路ネットワーク整備早期開通に向けて整備推進してまいりたいと考えております。
  106. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今お話あったとおり、全長六百八十一キロのうち約五割の三百十九キロの完成、供用開始ということになっておりまして、甚だおくれていると言わざるを得ません。  もう今から四年ほど前ですか、野坂建設大臣の当時ですけれども、道路公団が、鹿児島付近の高速道路が完成をして、これで長い日本列島の背骨の部分が全部完成したという、都内の新聞広告を出しまして、前の建設大臣、その当時の五十嵐広三官房長官から私のところに電話が来て、こんなことでいいのかというふうに官房長官から内々のお話がありまして、当時の建設大臣に談判をしてきたことがありました。まさに北海道の頭の部分の方が完成をしておらないわけであります。  札幌から順次工事はやっておりますけれども、今お話あったとおり、南の方は札幌―長万部というところまでが供用開始をされております。特に私の地元の長万部から函館、七飯町ですから七飯というふうに言っておるのですけれども、この間は北海道でも渡島半島という、しっぽの部分といいますか、地形的には海岸と急峻な山という形で平野部が大変少ないということで、今も国道五号線が唯一と言っていいほどの幹線一般国道なんです。皆さん御案内のとおり、毎年のように通行どめ、数年前は野田追橋というところが陥没をして数カ月通行どめというようなことで、大変この高速道路の完成が待たれておるところであります。そういう形で、順次整備はしておるのですけれども、住民の皆さんからいけば、なかなか進捗しておらないというのが実感なわけであります。  そこで、七飯―長万部間八十八・五キロのうち、八雲―長万部間三十三キロについて、現状の工事の状況、それから今後の工事計画、あるいは供用開始予定についてお答えを願いたいと思います。
  107. 辻靖三

    ○辻参考人 七飯―長万部間八十九キロメートルにつきましては、平成五年の十一月に施行命令をいただきまして、事業に取りかかっております。  そのうちの長万部―八雲間三十三キロメートルにつきましては、現在、用地取得及び工事の推進をしているところでございます。これまで十一年六月末現在の用地取得では約八四%、それから工事の着手では九二%に着手をしているところでございます。今年度より橋梁上部工工事にも着手する予定でございます。  この区間につきましては、平成十四年度までの新道路整備五カ年計画内の供用を目指して、用地取得及び工事を引き続き推進していきたいと考えております。
  108. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、新しい道路事業計画の中で平成十四年までということでありますけれども、まだ用地買収は全部終わっていないということも今御説明がありました。用地買収が終わっていない段階で四年後に供用開始ができるのかどうか、私は甚だ疑問だと思うのですけれども、本当に供用開始する決意で臨んでいくのか、その辺もう一度答えていただきたいと思います。
  109. 辻靖三

    ○辻参考人 用地買収につきましては、幾つかの物件について現在まで交渉を継続しているところもございます。これらの交渉については鋭意また促進を図って、早期に解決を図って工事の開始ができるようにして、この目標に間に合わせたいと考えてございます。
  110. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ぜひそのように十四年に供用開始できるように、もう待ったなしでありますから、この委員会お話をしたわけでありますから、完全にこれをやっていただきたいと思います。  それから、その次の、南の大沼―八雲間四十五キロ、これについても、今の事業の現状、それから来年度以降の計画はどのようになっておるのか。  また、この区間に埋蔵文化財が、北海道の高速道路の今の文化財の十年分のものが眠っておる、そのように言われておりますから、その調査のスムーズな実施についてどのように考えておるのか、お伺いいたします。
  111. 辻靖三

    ○辻参考人 八雲―大沼間の四十五キロメートルにつきましては、現在、地元協議、用地取得を推進しているところでございます。八雲寄りの方から用地取得を開始して、一部工事にも着手し始めたところでございます。  十一年度も引き続き用地取得の促進と、それから、先生申された埋蔵文化財の調査に取りかかっていきたいと思っています。  この区間については、非常に広範囲に文化財が埋蔵している地域でございまして、用地取得を関係機関と調整を行いながら、埋蔵文化財調査も促進して、全体の事業推進を図っていきたいと考えてございます。
  112. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 その南の部分、七飯―大沼間十一キロの部分ですけれども、この十一キロは、そのうち六・七キロの長大トンネルを建設するという計画で、平成八年の五月の末に地元に事業説明をして、その後、そのトンネルの地質調査等の実施をしておるというふうに聞いております。  現在のその調査の状況、あるいはその後どのような計画に実施をしていくのか、そこのところを御説明願いたいと思います。
  113. 辻靖三

    ○辻参考人 七飯―大沼間の十一キロにつきましては、その間に、マグマによる熱水変質作用を受けた極めて脆弱な地山において、北海道内では最長のトンネルとなりますが、延長六・七キロメートルの長大トンネルを施工する必要があることから、平成十年度まで、国定公園等の周辺状況も踏まえまして、トンネル工法について検討していたところであります。  平成十一年度は、これまでの検討結果を踏まえて工事の計画を定めまして、地元の御協力も得て、さらに測量、調査を実施して、トンネルの基本設計を実施する予定でございます。  今後とも、地元の御理解、御協力を得て、早期工事着手に向けて努力していきたいと考えてございます。
  114. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大変地質が軟弱とか、あるいは残土にいろいろな重金属等が入っておるとか、その周辺の国道のトンネルも計画よりも大変長くかかったという国定公園大沼の水脈の問題もあるということで、大変、六・七キロという長いトンネルにあってさらに難しい工事だというふうに予測をされておるわけでありまして、今お話ありましたように、それぞれ調査を実施しておるということで、そのトンネルの基本設計の実施等を行って、できるだけ早く着手をしていただきたい。  この地域は極めて高速道路がおくれておるということで、この七飯―大沼間は大変人口が多い函館市に連動する地域でありますから、以前から地元の皆さんは、この大沼―七飯間から工事に着手するように大変な御要請があったわけでありますし、今回もう既に長万部―七飯間という事業着手がされておるわけでありますから、さまざまな準備作業をして、できるだけ早く工事に着手していただきたい。あるいは大沼―七飯間が、先ほど言いましたように、今既に工事をやっておる、用地買収をしておる工事と同時並行的に行うことについても、道路公団として最善を尽くしていただきたいというふうに思います。  お答え願いたいと思います。
  115. 辻靖三

    ○辻参考人 この区間につきましては、先ほど来先生からもお話がありますが、非常にトンネル地質の問題がございまして、技術的に非常に困難が予想されると考えておりまして、技術的な検討を非常に慎重にやってございます。  これらを固めまして、路線を確定して、地元の方々の御協力をいただきながら、測量それから設計協議、その後用地幅を確定いたしまして用地取得をしていくことになるかと思います。  これらのことで地元の御協力、御理解をぜひ得て、早期に工事にかかれるように今後とも努力を重ねていきたいと思っております。
  116. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、地元の御協力ということを盛んに言いましたけれども、地元は協力体制は一〇〇%以上でありまして、皆さんの方の工事のかかりが遅いということが大きな原因でありますから、逆転しないでほしいというふうに思います。  そこで、もう一つ、それに連なる地域高規格道路、先ほど佐田先生からもお話があった地域高規格道路がございます。現在、全国的に百八十七路線、六千九百五十キロが計画路線になっておるということで、そのうち整備区間二千六百十一キロというふうに聞いておるわけであります。  私の地元の函館新外環状道路というものもこの地域高規格道路に計画路線として指定をされておるわけでありますけれども、この函館新外環状線は、函館空港あるいは幹線道路に連携する、あるいは函館港湾にも連携をする広域幹線道路として整備を必要としておるわけでありまして、都市相互間または都市と農山村の連結をする地域集積圏を形成する道路ということで、極めて重要な道路でございます。  また、この近辺の幹線道路は、冬期間も含めて常時渋滞を繰り返しておるわけでありまして、そういう意味では最重点で整備をする路線だというふうに私は思っておるわけでありますけれども、建設省のこの点に関する御認識、位置づけをお伺いいたしたいと思います。
  117. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  地域高規格道路函館新外環状道路の位置づけないしこの整備の緊急性の認識についてのお尋ねでございます。  先生指摘のとおり、函館新外環状道路は、国道五号、函館新道と国道二百七十八号を結び、高規格幹線道路函館江差自動車道と一体となって函館の都市圏の高速ネットワークを形成するというものでございます。函館空港へのアクセス道路という性格も持っておるものでございまして、平成十年六月に地域高規格道路の計画路線に指定したところでございます。  地域高規格道路は、それぞれ地域同士を連携し、あるいは交流を促進し、連携を図るという機能を持っておるわけでございますが、特にこの函館新外環状道路は、今申し上げましたように函館江差自動車道と一体となって環状を形成するという機能を持っておる、また、放射道路や函館空港を連絡する路線として、函館中心部あるいは函館空港への交通の分散導入を図るという重要な機能を持っておると認識してございまして、都心部の交通混雑の緩和や空港へのアクセス機能強化を図る重要な道路であるというように考えてございます。
  118. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、先ほども言いましたように、昨年の十二月に、この十五キロ全体の十キロ部分が調査区間になったわけでありますけれども、所要の手続、整備区間等を経て工事にかからなければならないわけでありますけれども、現在のこの道路の課題について、環境アセスメントやあるいはまた都市計画の変更手続、あるいは整備実施主体の問題等について建設省としてどのように考えているのか、お答え願いたいと思います。
  119. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  函館新外環状道路は、先ほど申しましたように、平成六年十二月に、候補路線として、地域高規格道路としての整備を進めていくということにいたしたわけでございますが、平成十年六月に計画路線に指定したところでございますが、平成十年十二月には、全体延長十五キロのうち十キロメートルにつきまして、環境アセスメント、都市計画等の調査を進める調査区間に指定したところでございます。  調査区間になりましてから進めるべき調査項目は多岐にわたってございますが、御指摘いただきましたように、環境アセスメント、都市計画の変更、整備実施主体の決定、整備区間の指定あるいは工事着手時期の策定といったようなことが課題になるわけでございます。  まず、調査区間に指定されております函館市桔梗町から函館市上湯川町の間十キロメートルにつきましては、現在、環境アセスメント実施に向けた環境影響評価方法書の作成のための基礎調査を実施しておりますし、都市計画変更に向けてのルート、構造等の路線調査を行っております。  また、関連アクセス道路網の計画策定及びこれを含めた事業実施主体の決定に向けての関係機関、これは北海道庁あるいは函館市ということになるわけでございますが、そういったところと調整を進めているところでございます。  今後は、整備区間の指定早期着工に向けて、ルート、構造等の路線調査、環境基礎調査事業手法等の調査を進めるとともに、アクセス道路となる関連道路網の整備等について関係機関と調整を鋭意進めていく考えでございます。
  120. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにしても、課題はありますけれども、次の整備区間の指定、これは全国的に一定の期間、一定のときに全国的な規模で指定をするわけでありますけれども、この函館新外環状道路の緊急性、必要性ということからかんがみて、次の区間指定のときにこの路線について指定をできるように、道路局長としてぜひ特段の御配慮を願いたい。御答弁を願いたいと思います。
  121. 大石久和

    大石政府委員 この道路につきましては、先ほど申しましたように、昨年十二月に調査区間に指定したばかりで、現在なお調査すべき項目が多々残されているところでございますが、地域の熱情に応じまして、いずれにいたしましても早期整備が図れるよう調査を進めて、事業の促進を図りたいと考えてございます。
  122. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がなくなりましたけれども、最後に大臣にお伺いいたします。  過疎地域の活性化ということで、大臣の愛媛県もそうでありますけれども、北海道も過疎地域指定町村は極めて多いところでございます。  こういう時代ですから、人口が少ないというだけで財政状況を勘案すれば、いろいろな問題はありますけれども、ある面では、都市と農山村の共生ということも二十一世紀は相当頭に入れていく必要があるだろうし、あるいは、過疎地域は高齢化率が二五%から三〇%、都市の、あるいは全国の二十年先を行っておるというようなことがしばしば言われておるわけでありまして、この間三度の法律をもって対策を講じてきましたし、そのことは過疎地域においては大変大きな財政的な支援にもなりましたし、また、そのことが都市と農山村の住民の皆さんの交流という視点でもさまざまな意味で大きな意味合いがあるというふうに私ども思っております。  来年三月が今の過疎法の期限切れでありますから、この法律自体が従来から議員立法という形でなされてきておる経過はありますけれども、大臣の方から、来年に向けてどのような基本的な考え方をしておるのか、御答弁を願って終了させていただきたいと思います。
  123. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 結論から申し上げますれば、新しい法律を議員立法として検討が進められておるというふうに伺っておるわけでございます。  それと、この過疎の対策というのは、私も関係して、いろいろ議論もし合うわけでございますが、なかなか難しいものでございまして、その地域に雇用の場があればいとも簡単にいろいろな問題が解決できるんですけれども、なかなかそこが難しい。  ですから、そうなりますと、過疎といえばどうしても自然豊かな地域でもございましょうから、そういう美しい自然環境というものをどのように利用していくかという方策から進めていかなければならないと思うわけでございまして、国土庁におきましても、過疎問題懇談会の有識者の皆さんから、本年六月に、次のような議論を取りまとめていただいたわけでございます。  ナショナルミニマムとして、まず、安全、安心な暮らしの確保という考え方に加えて、多様で美しく風格ある国づくりへの寄与、それから、国民が新しい生活様式を実現できる場としての役割、及び長寿高齢化社会の先駆けとしての役割など、二十一世紀における全国的視野に立った過疎地域の新しい価値、意義を認め、過疎地域がそれぞれの個性を発揮して自立することができるよう支援することが重要と言われておるのでございますが、これは十年前から伺っておるような内容であることも事実でございます。  ですから、その中で具現化、実現化できていくものから少しでも解決をしていくということでないといけないと思いますが、いずれにいたしましても、議員立法として再延長をするというつもりで私も対処をしております。
  124. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終わります。ありがとうございました。
  125. 平田米男

    平田委員長 井上義久君。
  126. 井上義久

    ○井上(義)委員 私は、まず、道路設備にかかわる最近の事故についてお尋ねしたいと思います。  平成十一年四月二十日に、首都高速七号線の上り線で、いわゆる集水升ぶた、これがはね上がって反対車線走行車を直撃して、死者が一名出た。それから七月六日には、今度は首都高速三号線の下り線で、案内標識柱が落下をして、二四六を走っていた乗用車のボンネットに当たって大破をして、運転手が三週間のけがをした。それからさらに七月十一日には、これは阪神高速三号線、神戸線ですけれども、遮音壁が落下をして、電線二本が切断をして、交差する道路を歩いていた歩行者がそれをよけるために腰を痛める、こういう事故がございました。  とうとい人命が失われた事故もありますし、それから、後の二つについても、これは状況によっては大惨事につながりかねない事故だったわけでございまして、これらの一連の道路設備にかかわる事故について、まず管理もしくは指導監督の立場にある大臣の所見を承っておきたいと思います。
  127. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 まず最初に、四月二十日に発生しました首都高速道路七号線での集水升ぶた事故におきまして亡くなられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々にお悔やみを申し上げ、おわびをいたしたいと思います。  また、先生指摘のございました、その他の二つの事故でございますが、建設省また両公団におきましても、事故発生後直ちに点検を行い、類似の施設を撤去するなど、安全対策を講じているところでございますが、この落下した標識柱と遮音壁はともに設置されたばかりのものでございまして、古くなっていたからそういうようなことが、事故が起こったということではないというところに、どういいましょうか、大変心配する点が多いわけでございます。ですから、その原因追求、究明といいましょうか、それを徹底して行いまして、今後このような事故が再び発生しないように、公団を強力に指導してまいりたいと思っております。
  128. 井上義久

    ○井上(義)委員 私も、この首都高速三号線、いつも使っている、その下をいつも走っているわけでございまして、先般もその場所を見てきたんですけれども、本当に上から落ちてきたらこれは大惨事だなと。いつも渋滞箇所でもございますし。  そういう意味で、こういう事故が二度とあってはならないわけでございますけれども、この問題は、私は二点あるんじゃないか。一つは、いわゆる道路設備の品質検査あるいは性能検査というもののシステムが本当に大丈夫だったのかどうかという問題と、それからもう一点は、日常的な点検の体制と事故防止のための処置、こういう二つの観点からこの問題をきちっと見ていかなければいけないんじゃないか、こう思うわけでございます。  まず最初の品質検査、性能検査のシステムの問題ですけれども、標識柱ですね、今大臣からも指摘ありましたけれども、決して古いものじゃない。この標識柱についても、鋼管納入採用時に型式検査が行われたのみで、中途の品質検査は全く行われていなかったという問題があるわけです。また、遮音壁についていいますと、この遮音壁も新しく導入されたもので、いわゆるリベットでとめてあるわけですけれども、この耐久性等を十分検証されないまま、どうも設置されたんじゃないかという疑いがあるわけでございます。  そういう観点からいいますと、まずこの道路設備の品質検査そのものと、それから、実際に据えつけたときの耐久性等性能検証、このシステムを抜本的に見直さない限り、今の体制では今後とも事故が起きてしまうんじゃないか。こういうシステムの改善ということについて、まず関係当局、どういうふうにこれを改善しようとされているのか、まず伺いたいと思います。
  129. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  道路設備の品質検査のシステムについて問題があるのではないかという御指摘でございます。  阪神高速の場合、先生も御指摘のように、新しい遮音壁のタイプで設置したものでございます。この遮音壁は、高さを抑えながら遮音性能を高めるために新たに開発された技術を活用したものでございまして、一般的な言い方で申し上げますと、建設省といたしましては、民間等で開発された技術を積極的に導入していくというのは非常に重要なことだと考えておりまして、環境保全、建設コストの縮減等、建設分野を取り巻く諸課題の解決に民間技術を大いに役立てていきたいということで、民間で開発されました新技術を積極的に活用していくということでございます。  ただ、その場合に、適用前に十分な検討を行って、安全性でありますとかあるいは対環境性の問題について研究を進める必要があるわけでございますが、今回の事故にかんがみ、新技術、新製品の耐久性等について、設置後もある程度の時間をかけて調査検証ができていく仕組みをつくり上げる必要があると考えておりまして、このための手法について検討してまいりたいと考えてございます。  また、首都高速道路公団が実施しました標識柱につきましては、いわゆる型式認定という方式でその性能を認定していたところでございます。同じ型式で多量に必要となる材料につきましては、品質の確保と検査の効率化を図るため、こういった型式認定という仕組みを持っておったわけでございますが、当初認定後の検証や製品の受け入れ時の検査が十分であったかどうかという問題があるわけでございまして、発注者、受注者、製品製造者の責任分担を明確にして、品質確保がなされるよう、改善を求めていきたいと考えてございます。
  130. 井上義久

    ○井上(義)委員 当該公団からも来ていただいておると思うんですけれども、第一義的には、これはどちらの方に責任があって、それと建設省のかかわりはどういうふうになっているんでしょうか。それをちょっともう一回説明してもらいたいんです。
  131. 大石久和

    大石政府委員 首都公団にいたしましても阪神公団にいたしましても、設置、発注者はそれぞれの公団でございまして、それぞれの公団がみずから技術開発をしながら新しいシステムを導入していくという中で起こった残念な事故であったというように考えてございます。  いずれにいたしましても、こういった新製品を入れた際に、単に壊れた原因究明だけではなくて、一つはなぜ壊れたのかという原因究明もそうでございますが、壊れるメカニズムを持っていたものをなぜ発見できなかったのか。発見できなかったことに加えて、これは不幸にも下に落ちるということに至ってしまったわけですが、壊れた場合にでも、下に落ちて第三者に被害を与えることがないような、例えばフェールセーフといったような仕組みが入れられなかったのかといったような、大いに反省すべき問題がいろいろございます。  これは、それぞれ首都公団、阪神公団の問題というよりも、道路全体を所管しております道路局の問題であるとも考えてございまして、これらの公団等と、今言ったような問題につきまして、大きな事故が生じないように研究をしたいというように考えてございます。
  132. 井上義久

    ○井上(義)委員 次に、点検体制とか事故防止のための処置の問題ですけれども、聞くところによると、両公団とも、道路施設点検だとか日常パトロール等の日常的な点検、さらには設備一つ一つをチェックする定期点検も行っている、こういうふうに伺っているわけです。例えば鉄ぶたの事故、これはパンク等の物損事故が五年間で三件報告されていたということなんですけれども、報道によると、いわゆる補償等が必要なものだけは中央報告されるけれども、それ以外は報告されていないというようなことで、実際には、ふたが路面や縁石などを傷つけたケースを含めますと二十件程度、はね上がった事故があったというんですね。これは事実かどうかということは、報道ですからわかりませんけれども。  そういうことを考えますと、当然こういうことは予想されたわけでございまして、これも報道ですけれども、要するに、特に今回の事故、それから、過去、中央環状だとか六号線ではね上がりの事故が起きているんですけれども、すべて公団の東東京管理第三維持事務所管内の事故であるということで、当然これは予想されている。したがって、司法当局も、トラブルが頻発していたのに道路管理者の首都高速道路公団が適正な対策をとらなかったために死亡事故が起きた疑いが強いと見て、業務上過失致死容疑で公団幹部から事情聴取するなど刑事責任追及に向けて本格的捜査に乗り出したというようなことが報道されているわけでございます。  なぜ、日ごろ点検をしていながら、当然そういう事故の予兆がありながら、それが事故防止策につながっていなかったのか、危機管理というものに対する緩みが基本的にあるんじゃないか、こういうことで本当に大丈夫なのかという国民の心配が非常にあるわけでございますし、それから、果たして点検手法というものも、目視点検が基本だということなんですけれども、危険を十分に予知できるだけの体制がとれていなかったんではないか。この施設設備の点検のあり方、今後どう改善していくのか、それぞれの公団、また建設省の方針をぜひ伺っておきたいと思います。
  133. 古木守靖

    古木参考人 お答え申し上げます。  点検あるいは目視点検の体制が不十分で事故につながったのではないか、あるいは予知が不十分であったのではないかという御指摘でございます。  私ども、過去の数値につきましては、御指摘のとおり五カ年間で同様な、他の車がふたをはねて起きた事故が三件ございました。さらに、その後、そのほかの事故について、例えばふたを踏んで車を傷つけたような事故まで含めますと、二十件になっております。  これらの事故の後、私どもも、事故を減らすべく、パトロールの強化、あるいは対策を議論するための会議を招集いたしまして、安全性に努め、さらに、物理的にはふたの改良等を進めて、それなりの改善結果も出ておると思っております。  しかしながら、このたびこのような重大な事故に至りましたこと、大変に申しわけなく、また、その責任は重く受けとめているところでございます。  今回の事故を教訓といたしまして、私どもとしては、過去の事故とか点検結果が的確に施設整備施設あるいは設備の保全、点検に反映していくように、あるいは点検のあり方の改善とかマニュアルのしっかりした整備、さらに点検のための機械の開発等を現在行っております。また、あわせて、保守点検体制と組織内の連絡体制の見直し等を行いまして、これらによりまして、現在二百六十三キロございます首都高速道路の安全性の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  134. 江頭泰生

    江頭参考人 阪神公団につきましては、道路構造物に対して、日常点検、定期点検あるいは臨時点検という形で点検を実施してまいっておりまして、構造物の損傷に伴います危険防止に努めてきたところでございますが、今回の事故事象にかんがみ、各種点検を一層徹底して、事故の未然防止を図る所存でございます。  今後は、点検員の教育研修をより一層徹底するとともに、点検結果が事故防止につながりますよう、事故の予兆と思われる事象が見られれば、速やかにフィードバックできる体制強化を図りたいというふうに考えております。  また、附属構造物の点検のあり方については、現在、遮音壁事故の技術調査委員会というものを開いておりますので、この委員会調査結果を踏まえまして、その手法の見直し等を図っていく所存でございます。
  135. 大石久和

    大石政府委員 今、両公団から点検体制あり方等の見直しの報告がございましたが、建設省といたしましては、両公団に対しまして、日常点検等を通じて得られた施設の変状を的確にとらえ、事故防止につながるよう点検体制と組織内の連絡体制の見直しを求めていくことといたしておりまして、そのように指示をいたしておるところでございます。  また、点検や観測のための機器の開発に努めるとともに、先ほど申し上げましたフェールセーフの考え方に立って、設計の段階から十分な検討がなされる必要があると考えてございまして、こういった観点からの見直しも進めてまいりたいと思っております。  なお、建設省におきましては、両公団の落下事故発生後、七月十二日に、すべての道路管理者に対しまして、道路附属物の点検の強化について留意するよう通達し、注意喚起を行ったところでございます。
  136. 井上義久

    ○井上(義)委員 刑事責任を追及するというようなことまで報道されているわけでございまして、万全の体制をこれを機会にぜひつくっていただきたい、こう思います。  ちょっとこれに関連して、六月二十七日に、山陽新幹線福岡トンネルで内壁が崩落する大惨事につながりかねない事故があったわけでございます。これを契機として、山陽新幹線で緊急点検の結果、全百四十二のトンネルで、コールドジョイントと言われる施工不良個所が二千四十九カ所見つかったというような報告がされておるわけでございまして、これを受けて、建設省も、いわゆる一九七〇年代に施工した約千九百のトンネルについて緊急点検を実施するよう指示した、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、この点検がどうなっているのか、本当に大丈夫なのか。  これに関連して、いわゆる一九七〇年代に施工された、これはトンネルだけじゃなくてさまざまな構造物があるわけでございまして、このコンクリートの安全性ということについて、実は、これをきっかけにして、国民の間に非常に心配をしている向きが多いわけでございます。従来二百年の耐久性があるとされる日本のコンクリート構造物が、二〇〇五年から二〇一〇年の間に一斉に崩壊するんじゃないかというようなことを指摘している学者もいらっしゃるわけでございまして、そうなりますと、都市というのは極めて危険きわまりないところになってしまうわけでございます。  このトンネルの内壁崩落事故にあわせて、コンクリート構造物ということについて、今、建設省としてどういう問題意識を持っていらっしゃるのか、このことをちょっと、きょう時間がないのでこれはやりませんけれども、確認だけしておきたいと思います。
  137. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  山陽新幹線のトンネルの崩落事故を踏まえまして、建設省におきましても、直ちに、高速道路道路公団、首都高、阪高、本四のトンネル並びに直轄国道について点検の強化を指示したところでございます。  日本道路公団におきましては、二日後の六月二十九日より、供用中のすべてのトンネルを対象として目視点検を実施いたしました。七月末を完了に実施を進めておるところでございまして、現在、九二%の進捗率ということでございます。  また、事故の発生メカニズムにつきましては、現在のところ、おおよそ一九七〇年代前半に圧搾空気による工法で打設されたトンネルで、いわゆるコールドジョイントが生じたことが事故原因と推定されるということでございますが、建設省といたしましても、これを踏まえまして、同年代に施工されましたトンネルのうち、今回の事故トンネルと同様の工法によって建設されたトンネルに対し、コールドジョイントを対象とした緊急点検を七月八日付で指示したところでございます。  この期間に設置されましたトンネルは、トンネル全体の約四分の一に当たる一千九百カ所でございます。これを早期に点検いたしまして、この結果に基づきまして、調査委員会を設置し安全対策検討していくということにいたしたいと考えてございます。  コンクリート構造物全般についての信頼性、安全性に対する信頼が揺らいでいるのではないかという御指摘でございます。現在、そのような書物も刊行されているようでございます。  コンクリート構造物は、いわゆる土木構造物の中でも最も根幹的な部分でございまして、最も荷重を担っていただかなければならない部分でございます。このコンクリートの品質確保という問題は、土木構造物全体の信頼性に関する大きな問題であるというように考えてございます。土木学会におきましても、このための検討会が設置されるように聞いてございますが、既存のコンクリート構造物につきましては、日常的な点検、保守を通じて適切な保全対策を行えば十分力を発揮するという考え方でございますので、コンクリート構造物の安全性に問題が発生することのないよう、点検のあり方、補強の方法等について、建設省におきましても研究を進めてまいりたいと考えております。
  138. 井上義久

    ○井上(義)委員 次に、住宅政策におけるセーフティーネットについて、きょう時間がないのでまとめて聞きますので、簡潔にお答えいただければと思います。  都市部における公営住宅の応募倍率、東京都の都営住宅ですと平均十二・五三倍、それから政令指定都市の公営住宅では平均八・一八倍ということで、重複の応募があることを勘案しても、かなりの高倍率になっている。東京都下では、何十回も申し込みしたけれどもまだ入居できない、こういう実態があるわけでございます。  それから、高齢者とか身体障害者の皆さんのための、いわゆる住宅に特に困っている皆さんのための優先入居制度、これも入居までに一年以上要しているわけで、例えば東京都はポイント募集というのをやっているんですけれども、先般も私の事務所で相談を受けた、障害者の方と健常者の姉妹の世帯があったんですけれども、結局ポイント募集で入るのにやはり一年二カ月かかっているということで、住宅困窮者に対しては、公営住宅は的確にまだ供給されていないのが現状じゃないかというふうに思うわけでございます。  この公営住宅の供給ということについて、これは新規供給だけじゃなくて、既設の公営住宅の建てかえだとか住戸改善あるいは借り上げ公営住宅推進等、さまざまな手法があると思うんですけれども、現状をどのように分析して、それから今後の具体的数値目標をどう設定して公共住宅の供給を図ろうとされているのかということが第一点。  それから第二点目は、優先入居制度、これも先ほどちょっと申し上げましたように、必ずしも希望者のニーズに的確にこたえられるような仕組みになっていない。ぜひ、この優先入居制度というものも制度、運用の改善をまず図っていかなければいけないんじゃないかというのが第二点。  それから第三点目は、これから特に高齢化社会というものを考えると、高齢者向けの公共住宅の供給がぜひ必要なのですけれども、いわゆるケアつき公共賃貸住宅でありますとか、あるいは高齢者向けの優良賃貸住宅供給促進事業ですとか、あるいは既設公営住宅の高齢者向けの住戸改善ですとか、あるいはコレクティブハウジングとか、こういったさまざまな手法を使って高齢者向けの公共住宅整備をどんどんやっていかなければいけない。これについての政府の計画、整備目標というものもぜひ伺っておきたい。  それから最後に、住宅情報ですけれども、我が党の地方議員の皆さん、いろいろ相談に乗るのですけれども、いわゆる公共賃貸住宅について、それぞれあって情報が一元化していない。それから、相談体制も充実を図る必要があるのではないか、こういう情報提供、相談の体制ということについて。  以上、時間がないので、四点まとめて簡潔にお答えください。
  139. 那珂正

    ○那珂政府委員 まず第一点の整備目標でございますけれども、御案内のとおり、政府といたしましては、毎五カ年ごとに五カ年計画を定めて、それに応じていろいろな公的施策の目標を定めております。その中で、お尋ねの公営住宅につきましては、現五カ年計画では平成八年から十二年までの五カ年で十八万六千戸の整備計画を立てているところでございます。  また、いろいろ先生指摘になりました、高齢社会に対応して、いろいろな手法で高齢者向けの公共賃貸住宅についてもっと強力に進めていくべきだというお尋ねでございますが、これにつきましては、シルバーハウジングのほかに、平成十一年度においては、民間の賃貸住宅を活用して高齢者向けに低廉な家賃で提供する高齢者向け優良賃貸住宅制度を本格実施することといたしまして、予算戸数も一万戸を確保しているところでございます。  これらを合わせまして、先ほどの公営住宅に加えて、合計で約二十二万戸の供給をこの五カ年間で行うこととしておるわけでございます。  それから、入居等についてのことで、優先入居のことでございますけれども、これも御指摘のとおり、新規の供給だけではなくてストックの有効活用を図り的確に供給していくという観点から、こういう優先入居制度というものをもう少しきめ細かく実施していくべきではないか、私どももそう思っております。  ただ、御指摘になりました東京都の場合においては、大変管理戸数も膨大なものでございまして、もっときめ細かくと言ったとしても、なかなか実態がついてこないというのが実情だろうと思います。が、ほかの公共団体の例なども参考にしてもらいながら、それぞれの地域に合った方法をとりながら、よりきめ細かくスピーディーにそういう優先入居制度が活用されるように指導してまいりたいと思います。  それから、最後にお尋ねでございました入居者の方々に対するいろいろな情報提供の一体的運用とか、それから相談体制というのは全くそのとおりでございまして、今なお、例えば首都圏で申し上げますと、ある県の窓口に行っても決して全部がわかるわけではなくて、当該市の公営住宅のことはわかっても県の公営住宅はわからないし、ましてや公団住宅のことはわからないというのが実態でございます。  これにつきましても、御指摘の点は全くそのとおりであると思いますので、私どもも、そういう体制整備に少し時間をいただきますけれども、若干事務費等も含めまして具体的にその整備を図ってまいりたいと思います。
  140. 井上義久

    ○井上(義)委員 また機会を改めて一つ一つ詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  最後に、ちょっと社会基盤整備の問題で二つだけ、これもまとめてお伺いしますのでよろしくお願いします。  私の住んでおります宮城県、二〇〇一年に国民体育大会、二〇〇二年にワールドサッカーが開催されるわけですけれども、いわゆるメーン会場となるのが県内の利府町にある総合運動場なのですけれども、そこへのアクセスの問題で、東北自動車道及び仙台空港からのアクセス道路として非常に重要なのが、現在工事が行われております仙台東部道路と仙台北部道路なのですね。  それで、建設省、一生懸命やっていただいていると思うのですけれども、地元の県民の皆さんは、当然、国民体育大会に間に合うものだということでこれまでずっと認識をしてきて、我々もそういうふうに認識してきたわけでございまして、これがないと大渋滞になってしまうのではないか。もちろん、国体があるから、ワールドサッカーがあるから基盤整備をやるんだという、そのためにやるわけではありませんから、もう少し長期的な計画できちっとやるわけですけれども、どうせつくるのですから、やはりそれに間に合わせるということは極めて大事ではないか、私はこう思うわけでございまして、この二つの道路について現在どういう状況になっているのかということをひとつお聞きしたい。  それからもう一つは、仙台湾南部の海岸侵食対策ということで、仙台市から南側の山元町までのおよそ九十キロ余りの海岸というのは単調で弓形をした砂浜の海岸なんですけれども、後背地には仙台市とか名取市とか岩沼とか東北経済の中心地が控えていて非常に重要なところなんですね。  ところが、この仙台湾南部海岸というのは年々海岸侵食が進んでいて、堤防が直接に波に洗われ災害の危険性が非常に高い。宮城県でも侵食対策をやっているのですけれども、財政的な制約もあって、海岸侵食の規模とスピードに追いつくような十分な対策がとられていない。予測だと、このままでいってしまうと年に十メートル以上も後退してしまうようなところが現実に出てくるわけです。  地元からは何とか国の直轄でやってもらえないかという話が出ているわけですけれども、先般海岸法を改正して、地方分権ということで、そういう流れもあるのですけれども、なかなか財政力の乏しい地方公共団体の現状を考えますと、やはり国土保全という観点から国による十分な措置が必要だというふうに思うわけでございまして、こういう侵食の激しい区域に限っては例えば直轄化等も十分検討してもらいたい、こういうふうに思うわけですけれども、この二点についてお伺いしておきたいと思います。
  141. 大石久和

    大石政府委員 お答え申し上げます。  まず仙台東部道路でございますが、本道路は、平成十三年開催予定の宮城国体において輸送道路の一部として位置づけられております。現在、岩沼インターチェンジから仙台東インターチェンジの間十七・四キロメートルについては供用中でございますが、残る亘理インターチェンジから岩沼インターチェンジの間二・二キロメートル、仙台東インターチェンジから仙台港北インターチェンジの間の五・一キロメートルにつきましては引き続き鋭意事業の促進を図っておるところでございまして、国体までに全線供用する予定でございます。  仙台北部道路でございますが、この道路につきましては、まず国体との関係で申しますと、本道路と並行する主要地方道が輸送ルートに計画として位置づけられております。塩釜吉岡線が輸送ルート計画に位置づけられております。  平成十四年開催予定のワールドカップの会場となる宮城県総合運動公園近くのしらかし台インターチェンジと利府ジャンクションまでの間について現在工事を進めているところでございます。  この区間の供用を図りますためには、東北本線及び新幹線車両基地をまたぐ橋梁、約二百六十メートルの橋梁が必要でございますが、この整備が必要であり、施工に約四年を要することから、供用が平成十四年度となる見込みでございます。  ワールドカップまでの間の供用につきましては、引き続き工期短縮が可能かどうかを検討してまいりたいと考えてございます。
  142. 竹村公太郎

    竹村政府委員 仙台湾南部海岸についてお答えいたします。  この海岸は、過去三十年間、五十メーターから百メーター砂浜がなくなっておりまして、そしてなおかつ、先生指摘のように、背後地には仙台市等重要な都市、そしてJR常磐線、仙台空港、国道六号、重要な、国土保全上大切な海岸と認識しております。  そのため平成四年度から、私ども宮城県と連携しまして、専門家を交えた仙台湾沿岸技術検討会を開催いたしまして、海岸侵食の将来予測、侵食対策検討してまいりました。この仙台湾南部海岸の事業の進め方につきましては、関係機関と今後精力的に検討してまいりたいと考えております。
  143. 井上義久

    ○井上(義)委員 では、よろしくお願いします。  以上で終わります。
  144. 平田米男

  145. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。  関谷大臣、六月末の広島の梅雨前線による豪雨災害、すぐに広島市また呉市を御視察いただきまして、また、すぐ素早い手を打っていただきまして、本当にありがとうございました。私は広島市に住んでおりますけれども、被災者また関係者、大変感謝をいたしております。  そこで、まず最初に、この六月末の梅雨前線豪雨によります広島市の八幡川、岡の下川、これは安佐南区、安佐北区というところでございますが、また、呉市の堺川、砂防河川である吾妻川、大谷川の災害復旧はどのようになっているのか、お伺いをします。  また、この復旧に際しましては、地元のいろいろな要望をぜひ聞いていただきたいということをお願いする次第でございます。私も地域からさまざまな要望を聞いております。きょうはその個別具体的な要望を取り上げることはいたしませんけれども、しゃくし定規に法律を適用するとなかなか円滑な災害復旧が進まないというふうなこともございますので、その点をぜひよろしくお願いいたします。
  146. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えいたします。  広島市の八幡川の災害、現時点では七カ所一千四百万、岡の下川一カ所九百万、八カ所で二千三百万、そして呉市でも、堺川、吾妻川、大谷川等合わせて四十カ所で八千九百万ということで、私ども、災害復旧については全力を尽くして対応してまいりたいと考えております。  なお、再度の災害防止のための、安全確保のために被災箇所復旧をやるわけでございますが、さらに緊急な箇所については応急工事を実施していく予定でございます。そして、事業の実施に当たっては、災害箇所の実情を踏まえ、事業をきめ細かく進めるよう指導してまいりたいと考えております。     〔委員長退席佐田委員長代理着席〕
  147. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その点、細かい配慮をよろしくお願いいたします。  それから、けさも広島県の県知事さん等いらっしゃって要望があったんですけれども、円滑な復旧、そして生活再建のために、ぜひ激甚災害指定をお願いしたいということが改めて要望がございました。この点については、国土庁、いかがでございましょうか。
  148. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 激甚の指定でございますが、これはもう先生御存じのように、結局、実際に被害に遭ったその金額と、その地域の財政の力といいましょうか、それの尺度に合いましたものにおいては認める、もちろん認めるわけなのでございますが、この激甚災害、本災の指定になりましたのは、ここ最近でいえば阪神・淡路の地区だけなんです。それ以外は、農業の分野におきましては指定をされているところは大体毎年あるのでございますが、この激甚の指定が最近ないというのは、その基準からいきますと、地方の財政力というものが大変大きなものになっておりますから、その尺度に合わないというものがあるものでございまして、私はこれではだめだと思っておるんです。ですから、これをもっと規制を緩和するといいましょうか、その範疇を広げる方向でちょっと考えておるんです。  ですから、正直申し上げまして、今のままでいくとさてどうかなと、私正直なところは思っておるのでございますが、そういうようなことでは本当にだめなわけですから、私はこの機会に激甚災害の規定の水準を下げて、これは本当に命にかかわる問題でございますから、そして災害のあったところですから、そういうところは早急にその対策を講ずることができる尺度にしたいと思っております。ですから、今回の場合もそういう考え方で、私は前向きで対処したいと思っておるんです。
  149. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 大臣みずから大変前向きな御答弁をいただきまして、被災者の人もみんな希望にあふれてこれから復旧に取り組むものと思います。ありがとうございました。  さて私、きょうは地下の問題をちょっと取り上げたいと思います。  新しいフロンティア、ニューフロンティアということで、宇宙、海、そして地下と言われるわけでございます。私は、科学技術委員会理事をさせていただいておりまして、この三つのニューフロンティアのうちの宇宙と海、海洋については科学技術委員会でしょっちゅう議論をしておるわけでございますが、地下についてはこの委員会で議論をするしかないわけでございまして、きょうお時間をいただいてこの問題について質問をさせていただきます。  平成七年十一月に臨時大深度地下利用調査会が発足をいたしまして、平成十年の五月、二年半かかっているわけですけれども、総理へ答申がございました。この基本的な考え方は、非常に深い地下、地上の権益が及ばないであろうと思われるような非常に深い地下については公共の空間としてそれを社会資本整備に大いに役立てていこう、こういう趣旨でございまして、答申書も、速やかな法制化が構築されることを期待する、こういうふうに結んでいるわけでございます。しかし、答申後一年以上たってもまだその法制化の声は聞こえてきません。現在の状況と今後の法制化の時期についてお伺いします。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 板倉英則

    ○板倉政府委員 大深度地下利用に関しましては、先生指摘のとおり、昨年の五月に、内閣総理大臣の諮問機関でございます臨時大深度地下利用調査会におきまして御答申を取りまとめいただいたところでございます。  答申では、大深度利用の定義を初めとしまして、技術、安全、環境上の課題を解決するための基本的な事項とか、あるいは使用権の設定、補償の問題を初めとする法制度のあり方について御提言をいただいているところでございます。  政府といたしましては、調査会の答申を尊重し、引き続き関係省庁の調整を図りつつ、大深度地下利用に関する法制化に向けまして鋭意検討を進めてまいりたい、かように存じている次第でございます。
  151. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 答申が出てからもう一年以上たっているわけで、私はちょっと遅いんじゃないかなというふうな気がいたしておりますが、おくれている一つの原因に、法制面での検討と、それから技術面、安全面での検討の二つに大きく分かれると思いますが、その技術面で、詳細な技術指針、詳細過ぎる技術指針をつくり過ぎているんじゃないか、こういう指摘もございます。  地上の建物ですと、これはいろいろな方がタッチするわけで、細かい技術指針をつくることがその構造物の安全性につながるわけですが、非常に大深度地下、深い深い地下でございます。そんな細かい技術指針をつくらなくても、ケースケースで十分な技術的な安全審査、検討は行われるわけでございますから、そんな初めから細かい技術指針をつくらないで、まずスタートすることが大事ではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  152. 板倉英則

    ○板倉政府委員 この技術指針の検討についてでございますが、大深度地下利用の範囲というのが、先生御案内のとおり、支持層というものとの関連で決まってくるわけでございます。この支持層というのは、建築物の基礎として利用可能なかたく締まった地層とされておりまして、その位置等につきまして、実際にその制度を構築し、運用していく際にそれが非常に基本的な事項になります。  そこで、現在私ども、平成十年度より、これは委員長東京都立大学の今田徹教授でございますが、大深度地下利用技術検討委員会を設置いたしまして、いろいろ検討しているわけでございます。その際に検討のポイントとなりますのは、支持層の特定方法等について技術的に明確にするということでございまして、例えば支持層の地盤のかたさとかあるいは厚さ、それから離隔距離のとり方というような、種々の安全面、あるいは、ここではちょっと細かく申しませんが、環境面等からの横断的に必要とされる事項につきまして現在鋭意検討を進めているところでございまして、平成十一年度内を目途に技術指針案を取りまとめるべく、現在検討していただいているところでございます。
  153. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 いたずらに細かいところに入ることなく、大局を見て進めていただきたいと思います。  先ほどのお話にもありましたけれども、大深度というのは場所場所によって、支持層との関係で大深度と定義される深さが違うということでございましたが、もし地域ごとに、地域ごとといいましても、大都市圏だけですから東京とか大阪ということになるかと思いますけれども、地域ごとに、この点についてはこの地域では大深度地下というのはこの深さなんだとか、そういうわかりやすいものがあれば、今後、事業の展開、具体的な事業の立案にあって非常に参考になると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  154. 板倉英則

    ○板倉政府委員 先生指摘のとおりでございまして、大深度地下の範囲というのは支持層の位置によって決まってくる。例えば東京でいいますと、東京れき層という大変安定した地盤がございますが、そういった分布域がどうなっているか、あるいは地表面からどのくらいの深さにあるかというようなことを詳細に調べまして、例えば三大都市圏につきまして、おおよその範囲を地図上に表示するような大深度地下マップというようなものができないかということで、十一年度にこれについて予算化しまして、現在作業中でございます。その際、予算の制約もございますけれども、できるだけ使い勝手のよいものにしたいということで作業してまいりたいと思います。
  155. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ぜひ、景気回復の一助にするためにも、いろいろな方が大深度地下を使っていろいろな新しい社会資本を整備していこう、こういう意欲がわくような、そういうわかりやすいものをつくっていただきたいと思います。  私もこの答申を読ませていただきました。読ませていただいて、私が最初に感じましたのは、これは間違った感想かもしれませんけれども、大深度地下という新しい概念をつくった、その考え方は、十分に深い地下というのは公共のものだ、私的所有権、これは存在するんだけれども、基本的に公共のものだという考え方で、公共の利益につながる構造物をつくっていこう、こういうことで新しい概念をつくったわけです。これは、私は非常に合理的だと思います。ところが、この答申を読みますと、やれ補償だとか、それから利害関係人との調整でありますとか、特に日本では地上で公共の利益に供する構造物の建設がなかなか進まない、その最も日本のいけない部分がそのまま地下におりているような、そのまま引きずっているような感想を持ちました、正直言って。  ですから、せっかく新しい概念をつくり出して新しい法体系をつくろうとしているわけですから、合理性ある新しい概念の考え方をもっと徹底させるべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  156. 板倉英則

    ○板倉政府委員 この調査会答申では、御案内のとおりでございますが、大深度地下というのは「土地所有者等による通常の利用が行われない地下」と定義されておりまして、大深度の地下に使用権が設定されたとしましても土地所有者等の通常の地下利用には支障はないという前提でこの答申が書かれております。したがいまして、通常は実質的な損失というのは生じないわけでございますので、補償は不要である、これは推定でございますが、推定できるというのが答申の考え方でございます。万が一、例外的に補償すべき損失が発生した場合でも、事後的な請求を待って対応すればいいんではないかというようなことで、通常の土地収用とは異なります特例的な考え方に立ってこの答申は書かれているわけでございます。  いずれにいたしましても、この大深度地下利用の特殊性というものに十分着目いたしまして、一方で権利調整を円滑に進めるという側面も当然必要かと思いますけれども、また一方で、できる限り簡素で使い勝手のよい制度になりますよう、私どももさらに検討を進めてまいりたいと思っております。
  157. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 関谷大臣、最近地価が下がってまいりまして、地価というのは土地の値段の地価ですね、土地の値段が下がってまいりまして、いわゆる大深度地下を有効利用しようという雰囲気はかつてほどなくなってきたわけではございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、三つのニューフロンティア、宇宙と海洋については今ほかの省庁で大変力を入れて進んでおります。そういう意味で、この新しいフロンティアである地下についても、そういう海や宇宙に負けない決意で取り組んでいくべきだと思いますが、今の議論をお聞きになりましての御決意、感想を一言よろしくお願いいたします。
  158. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今局長答弁しておりましたが、大深度地下マップなども作成すべく今作業も行っております。先生指摘のように、我が党で、この大深度地下の利用につきまして、もう十年前ぐらいでしょうか、そういう何か調査会あるいは部会みたいなものもあったんですけれども、最近ちょっと立ち消えたような格好になっておりましたが、私も、確かにこういうようなことも進めていくべきことであろうと思います。
  159. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 答申が出て一年以上たっております。ぜひ法制化について前向きに御検討いただきたいと思います。  それでは、またちょっとテーマを変えまして、五月十四日にこの委員会質問させていただきまして、住宅都市整備公団改め都市基盤整備公団法、そのときに質問させていただきました千葉ニュータウンの鉄道問題について最後に質問をさせていただきます。  そのときの議論をもう一度ここで繰り返す気はございませんけれども、簡単に骨子をもう一度申し述べさせていただきますと、首都圏には三つのニュータウンがある、多摩ニュータウン、港北ニュータウン、千葉ニュータウン、そして、学術的な研究の結果からも、千葉ニュータウンだけが明らかに評価が低い、住民の評価、学術的な評価、評価が低い、その評価が低い最大の原因は、千葉ニュータウンへのアクセス、鉄道問題である、その鉄道問題、せんじ詰めれば余りの異常な運賃の高さにある、こういう点を学術論文を引きながら申し上げさせていただきました。  広島に住んで、中国比例区選出の国会議員がなぜ千葉ニュータウンの問題を取り上げるんだという疑問点もあるかと思いますけれども、実はこの千葉ニュータウン、もう一兆数千億円の国費が投入されております。しかし、今このまま放置しておけば、前回も申し上げましたけれども、千葉ニュータウン事業そのものが崩壊をする、このように私は現実に感じておりますし、地域の方もそのようにおっしゃっております。  昨年九月、あの日本一高い運賃、それをなおさら一〇%上げるという運賃値上げをしましてから、いわゆる千葉ニュータウンをもう見捨てる、そうしないと自分自身の生活が破壊される、中には千葉ニュータウンに住んでいるというだけでリストラをされる、そういう人たちも現実にいるわけです。同じように国の言葉を信じて多摩ニュータウンに入った人は幸せな生活を送っているけれども、千葉ニュータウンに来た人は高い運賃を払わされ、それを理由に差別をされてリストラをされる。こんな状態が続けば、もう千葉ニュータウンにこれ以上住むことはできない、現に今そういう状況になっております。これが今のまま放置すればゴーストタウンになる、このように言われているわけで、そうなれば、これまで投入した一兆数千億の国費というのはまさに国民の負担になってきまして、広島市に住んでいる私が負担をする。なぜ千葉ニュータウンの崩壊を私たち日本国民全体が負担しなければならないのかという、私は、国策上の大変大きな問題点、また、今その岐路にある、こういう観点から質問をさせていただきました。  その質問に対しまして、大臣、お答えをいただきまして、これは大臣の御答弁でございますが、「今、ずっと千葉ニュータウンからの問題につきましてお伺いしておったわけでございますが、今小幡さん、鉄道局長も少し触れていましたが、何か私は方法があると思います。」「千葉ニュータウンをゴーストタウンにするというばかげたことはするものではありませんから。小幡さんと私は国鉄の再建もずっとやってきた仲でございますから、まあ何とか方法が出てくると思います。考えてみます。」このように御答弁をいただいて、実は、千葉ニュータウンではそれが大きく新聞に載りまして、ニュータウンの人たちも、何とか将来に希望が出てくるのではないかというところに今あるわけでございます。  まだあれから二カ月ちょっとしかたっておりませんので、なかなか具体的な方法というのはまだ出てこないかとは思いますけれども、どのようにお考えか、大臣、ぜひ前向きに御検討をお願いいたしたいと思います。
  160. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 その例の小幡君は今や官房長に出世をいたしまして、きょう出てきておるのは――あなた、来ているね。  それで、千葉ニュータウンの鉄道利便性の向上についてでございますが、先般の本委員会での御討議を踏まえまして、建設省と運輸省との間で、両者が協力して事態を改善する方向で打ち合わせをそのときから開始したところでございまして、具体的には、鉄道サイドの速達性の向上、利便性の向上の検討と連帯しながら、都市整備サイドとしても、鉄道利用の促進を図ることを基本に、例えば多様な販売方法による人口定着の促進であるとか、あるいは自家用車等から鉄道への乗り継ぎの容易性の向上等の検討を進めているところでございます。  こういうような御答弁をしますと、余りしっかりした答弁になっていないわけでございますが、今お声もございましたように、これは二度目の御指示でございますから、きょう帰りましてから小幡君ともなお連絡をとり合って、彼も、出世したからもうこれは次の者に渡すということじゃなくして、責任を持って対処しろということで、私自身も、冗談はさておきまして、しっかりと、なお知恵を絞ってまいりたいと思います。
  161. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 鉄道局長さんからも、ぜひ前向きな答弁をいただきたいと思います。
  162. 安富正文

    ○安富政府委員 大臣の方から今御指摘がございましたように、現在、建設省それから運輸省、さらには都市サイドといろいろまた検討してまいりたいと思います。  前鉄道局長の小幡がいろいろここで、急行化の問題、運賃の問題、いろいろ理由を述べたと思いますが、この際その理由は、弁解じみたことは発言いたしませんが、今後、都市サイドと我々の方もいろいろ協力しながら、何かいい手がないかというのを考えていきたいと思っております。
  163. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 多摩ニュータウンが成功したのは、京王電鉄が物すごいお金をかけて、都からの援助もございますけれども、物すごい建設費をかけて多摩ニュータウンへのアクセスをつくった。しかし、運賃を安く抑えたのです。京王は私企業ですから、不動産部門との会社の中でのやりとりというふうなこともあったかもしれませんが、少なくとも、ニュータウンを成功させるためには、アクセス、その運賃を安くしなければ成功しないという根本的な哲学があって、安く抑えたからあそこまで多摩ニュータウンは発展し、逆に国の負担は非常に軽くなった。それで、あそこまで成功している。千葉ニュータウンの場合は、とにかく千二百億円かけてつくりました。それで、その千二百億円の利子五・五%、もうその利子負担にあえいでいる。三倍高いと言われています。三倍高い。その三倍高い運賃を払っているというのが現状でございます。  前回も、これは財投の根本に触れる問題かもしれませんけれども、例えばその五・五%を市中金利の二・数%に借りかえるだけで、もう千葉ニュータウンの問題は解決する。今、計画は四〇%、まだ道半ばに達していない。それで人口が伸び悩んでいるどころか、もう減少を始めているところもございます。もう千葉ニュータウンは住んでいる人が捨て始めている。二人の子供を持って通学定期が年間に五十万円というようなところに住めるわけがない。そういう今本当に岐路に立っている、一兆数千億がむだになるかどうかの岐路に立っているという危機感を私は非常に強く持っておりますので、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。  多摩ニュータウンの場合は、京王が、客が少ない、運賃が上がる、客が来ない、その悪循環を鉄道側が断ち切って、まず安い運賃を設定する、それで人を呼ぶ、客がふえる、運賃をそのままに抑えておける、その鉄道側の決断があったからこそ成功したわけでございますので、ぜひこの点を御考慮いただいて、建設省と運輸省で御検討いただきたいと思います。最後に大臣、ぜひもう一言。
  164. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 次にお目にかかるときは答弁する立場にはいないと思いますけれども、私の先生との議員の約束として、私も責任を持って対処をしたいと思います。
  165. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 どうかよろしくお願いいたします。  終わります。
  166. 平田米男

    平田委員長 西野陽君。
  167. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  今、我が国でも、あるいは政治にも課せられている課題はようようありますけれども、景気浮揚とあわせて不況打開ということが小渕内閣にとっても重要な課題でもあるわけであります。つきましては、限られた時間でありますけれども、公共事業が景気に対してどのような影響、効果をもたらしておるのだろうかというところの視点で、何点かお尋ねをしていきたいというふうに思っております。  その前に、実は私の選挙区で恐縮でございますが、東大阪市というところは、実に全国でも中小企業の密集した地域でございまして、法人数でいいますと一万一千法人、一東大阪市という町であります。恐らく、全国でも東京の大田区に匹敵する数があるというふうに思っております。その中小企業の皆さんが、実は、昨年の話でありますけれども、本当に新年を迎えられるのかという大変な危惧というか心配、そういうような状況でありました。その折に、昨年の十月、自民党と自由党が提案をいたしまして、中小企業のための保証枠として実は二十兆、特別枠として設定をいたしたわけであります。  これは平成十二年度末でありますから、平成十三年の三月末までの期間で二十兆ということでありますが、現実に先々月の、五月末の利用高を見ますと、二十兆のうちで何と十五兆円、一年もたっておりません、わずか半年そこそこでもう十五兆枠を、中小零細業者がその保証制度を活用させていただいている。東大阪で一万一千と申し上げましたが、何とその法人数は九千社がこの制度を活用させていただいて、何とか新年を迎えることができた、生き延びることができた。いわゆる不況に対する中小零細業者のカンフル剤としての大きな効果があったように私は思っておるところであります。これらはいわゆるカンフル的なものでありまして、要は、景況感をよくするためには経済的な構造的な改革並びに経済再生へのいろいろな施策に現在取り組んでおられるところであります。  ちなみに、小渕内閣が今日まで行ってまいりました景気対策を総合的に申し上げますと、経済対策だけで二十七兆円、その他公共事業あるいは減税、緊急雇用対策等々を含めますと二十三兆円、合わせて約五十兆の巨費を経済復興のために小渕内閣は、国が今全力で取り組んでおられるところであります。  そのかいがあったと私は思うのでありますけれども、先月、六月に日銀が金融経済月報なるものを発表いたしました。それによりますと、足元の景気は下げどまっているが、回復へのはっきりとした動きはまだ見られない、そういう発表であります。このように、景気が一定下げどまっておるというのは、そういう見方は、公共事業の中で、あるいは民間の住宅も含めていわゆる住宅投資がこのところ他の投資にぬきんじて行われておる、このことが一つの持ち直しておる大きな要素ではなかろうかなというふうに思っております。  もう一つは、公共投資の発注増が、建設業者大手五十社の五月の受注で見てみますと、民間では、前年、昨年の同月と比較をいたしますと、何と一九・七%も減っているんです。二〇%近く減っているんです。ところが、官公庁の前年同月と比較をしますと今度は逆に四・一%、これは増加をしている。これらの公共投資が文字どおり景気の下支えの役目を果たしている、こう見るべきではないかなというふうに思っております。現実に、今月の五日、日銀の短観の発表によりますと、大企業製造業の業況判断指数は約一〇ポイント改善をされ、景気が一定の底を打った、こういうふうに発表されておるわけでありますけれども、さて、関谷建設大臣におかれては、公共事業が景気にどのような効果を与えておるか、どう見られておるか、これをお示しいただきたいと思います。
  168. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘いただいております七月発表の月例経済報告、これも私たちも見せていただいたわけでございますが、その中で、いわゆる「住宅建設は、持ち直してきている。」それから「公共投資は、堅調に推移している。」というようなことが言われておるわけでございまして、「公共投資は、補正予算などの効果が本格化し、堅調な動きとなっている。」というのが、またこれは六月のことであったわけでございます。  いずれにいたしましても、やはり個人消費、経済に与えます効果の大きいのは何といいましても個人消費でございまして、これが約六〇%あるわけでございますが、その個人消費がちょっとまだ強さ、力強さが見られないというような状態。そしてまた、設備投資は、基調としては大幅な減少が続いているなど、民間需要の回復力が非常に弱い状況にある。  この中で、先ほどのQEで、一月―三月が一・九というものが出てきておるわけでございまして、私は、公共投資が景気の下支えをする大きな役割を結果として果たしてきておるのではないかな。私自身あるいは建設省などの考え方も、これで景気を回復することができるということで、住宅金融公庫の金利を極力抑えることであるとかあるいは住宅の促進税制であるとかあるいは建設省全体の予算枠の拡大というようなことを行っておるわけでございますし、ましてや予備費五千億円というのはまだ今そのままあるわけでございますから、今後、後半、おかしなことがあればまたそういうようなことも使っていくことができるのではないかなというふうに思うわけでございます。  私は、今や、割合でいきますと、個人消費の影響は六〇%、それから政府関係の中で、ソフトの面が一〇%、それから公共事業の固定資産の方が一〇%と言われておるわけでございますが、数値でいいますとそういう割合ではありますけれども、実質、私はやはりこの公共事業というものが景気を支えてきた、回復のインパクトを与えてきたと思っております。
  169. 西野陽

    ○西野委員 さらに、今月、七月四日、堺屋長官が「日曜討論」、テレビ討論に出られたわけであります。ここで発言をされておりますのでは、十五カ月予算で、ことしの十二月ごろまでは公共工事もそれなりにあるだろう、ところが年を越しますと、来年の一月から三月ぐらいには大変な穴があくのではないか、そんなような発言をされておるわけであります。  現実に、この数値を見ますと、先ほども小川官房長もお答えになっておられるわけですけれども、平成十一年度の公共事業予算が締めて十二兆九千五百億円、それに対して、五月で契約をされましたのが約半分、六兆四千七十一億、このまま推移いたしますと、上半期で九兆八千億余りが見込まれておる、こういう発表も先ほどされたところであります。そうしますと、十二兆何がしから残りは三兆円そこそこ、こういうことに相なるわけですね。そうしますと、これからの下半期、ことしの十月から来年の三月末にはわずか、わずかといいますか、対前年から比べてみても残っておる規模は非常に少ないわけであります。  そこで、きょうからいいまして二日前ですが、七月の二十六日でありますけれども、日経新聞、日経産業経済研究所で発表いたしておりますが、公共工事の着工は、対前年同月と比較をいたしますと、東京、東北、沖縄、北海道等は大幅に今増加をしておる、ところが北陸は三〇%近く逆に対前年同月より減っている、私どものおります大阪も一二%ほど減っておる、こういうことであります。  そこで、さらに堺屋長官のことばかり言って申しわけないんですけれども、七月の十八日、民放で、公共事業が二〇〇〇年前半には落ち込む、このことを表明されておるわけです。確かに、このままでまいりますと、秋以降は間違いなくどうも公共事業に一服感が出てしまうのではないか、こう思われるわけであります。つきましては、ことしの公共事業について、過去最大の前倒し執行を図られてきておるわけでありますから、当然このままでは下半期は息切れをするように思うのでございますが、関谷大臣はその辺についてどのように御認識をされておりますか。
  170. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のとおりでございまして、前倒しを対前年度比一〇%増で行ったわけでございますから、先生が今述べていらっしゃいましたように、もう後半に残る部分は大変少なくなっておるわけでございます。まして、今ございましたように、平成十年度の補正後に比べれば落ち込むというのは数値で明らかに出ておるわけでございますから、景気に対してそれがどのように働くのであるかどうかというようなことの心配があることは事実でございます。  そういうようなことで、この四月―六月期のQEが九月中旬には公表される予定なのでございますが、そういうようなことを見つつ、最終的なバックアップといいましょうか支援というものをやっていかなければならないのではないかなと思っておるわけでございます。  ですから、仮に第二次補正予算というものを組むのであれば、それはそのままで予算を組むのか、あるいは、先ほども言いましたように、これは私は災害復旧に使うべきだと思いますけれども、公共事業の五千億円の予備費というのはこのときに使ったらいいのではないか。ですから、その五千億円プラス第二次補正というものができるのかどうか、これはまた大蔵大臣あるいは経企庁長官あるいは総理等々のまた決断が要る話ですけれども、私は、平成十一年度の予算においては、もうあらゆること、例えば財革法を凍結してやっておるわけですから、最終的な確実な結果、景気がよくなるという結果を得てから、その先のことは考えていけばいいのではないかなと思っておるわけでございます。ですから、その第二次補正というようなことも、また私も、どういいましょうか、前向きで考えておるところでございます。
  171. 西野陽

    ○西野委員 今大臣から公共事業等の予備費のことも触れられて、それを精いっぱい本年度は使って次の段階と、こういうことをおっしゃっておるわけであります。  この公共事業等の予備費の問題は、我が党の塩田議員が本会議で七月の十三日に質問をいたしておりまして、それに対して大蔵大臣が、経済社会情勢の推移を判断して、適切、有効に使用すべきと考えております、今日の景気の下支えにも公共事業の役割を考えますと、おっしゃったように、大蔵大臣も、切れ目なく公共投資を行うことが肝要と思う、こういう答弁をなさっておるわけです。建設大臣としても、今その辺のことも含めてお話しになったわけであります。  そこで、もう一歩、恐縮ですが、私、この委員会の休憩中にちょっと部屋の方に帰りますと、インターネットでいろいろ情報が入ってきておるわけであります。  政府・与党は、三十日といいますからあさってですか、閣議を開催されて、二〇〇〇年度予算概算要求基準の中で、この景気対策中心とした本年度の第二次補正予算を編成することを表明される方針を固めた、こういう情報がもうインターネットで流れてきておるわけなのですね。これは、三十日に閣議のあることは、もちろんもう大臣、日程的には御存じなのですね。
  172. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 閣議は火曜日と金曜日ですから、三十日にあることはありますが、そのときに第二次補正がどうであるとかというようなことは、詳しくは聞いておりません。
  173. 西野陽

    ○西野委員 恐らくそうではないかと思うのですが、実はきょう、今もう四時前でございますから、あと二時間半ほどいたしましたら政府・与党会議が開催をされるわけです。自民党は五役、それから自由党側は四役が出席をされます。そのときに、恐らくこの二次補正の考え方というものは、党間で当然これが議論の中心になると思うのです。そうしますと、二日後の閣議に向けて、大臣も含めてどうするかということが直ちに話としてはおりてくると思うのでございます。もうタイミング的にそんなに一週間も先のことではありませんで、もう今夜、二時間後に開催をされる政府・与党会議で当然この話が出てくると思います。  建設大臣として、十分それを含んで、今の心境、考え方をお持ちになっていると思いますが、許される範囲で結構でございますが、この補正予算に取り組む姿勢、準備は万般できておる、こういうことなのか、ちょっとお示しをいただきたいと思います。
  174. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私が大蔵大臣だったらばきちっと答えるところでございますが、ちょっと私の権限外でもございますが、常識的に考えればそういう方向に行くんだろうと想像はしております。
  175. 西野陽

    ○西野委員 当然、切れ目なくということでございますので、その時点になって建設省としてぜひ後ろ向きにならないように、大臣も、先ほど来の答弁あるいは認識からすれば、相当の思い切った公共事業中心とする補正を組まれること、そう期待をいたしております。  ところで、少し細かい話になりますが、第二次地方分権推進計画というのが政府の分権推進委員会勧告に従って計画をされております。そこに統合補助金というのが出てくるわけです。この統合補助金は、来年、平成十二年から創設されるというふうに聞いておるのですが、そこを見ますと、いわゆる二つのタイプがありまして、縦型と横型がある。縦型には、例えば二級河川、公営住宅、公共下水道、それから都市公園、こういうものが含まれるというふうに聞いておるのでございますが、それで間違いございませんか。
  176. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  統合的補助金の細部につきましては、来年度の予算編成の過程を通じて精査し、制度設計を行うというふうなことでございますが、現段階で私ども多少イメージしておりますのは、今先生指摘になったような事業の一部が統合的補助金として組まれるというふうなことを念頭に置いております。  といいますのは、ちょっとくどくて恐縮でございますが、やはり基幹的なものについては従来どおりの補助金というふうな形を維持するということを前提にした上で、公営住宅なり下水道なり公園の補助金のうちの一部について、非常に細かいものがあればそれを束ねて統合的補助金として公共団体にもう少し自由度を与えるような形で組みかえようというふうな考えで現在整理をいたしております。
  177. 西野陽

    ○西野委員 官房長の話ですと、非常に細かいのは束ねる、こういうことですが、これは、今私が申し上げた四点の中で、さらに街路事業なんかもそこに含まれるのではないかなというふうに思うのですが、それはイメージとしては含もうとされていますか。イメージとして入りますか。
  178. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先ほど官房長からも御答弁を申し上げましたが、第二次地方分権推進計画におきましては、個別補助金にするものと統合補助金にするものを分けて、市町村が創意工夫に基づいて町づくりを進めることができるように、新たな統合補助金制度を創設することとされたということでございまして、現在検討中でございますが、街路事業につきましても、市町村が施行する地域に密接した事業につきましては、町づくりに係る新たな統合補助金の対象とすることについて検討しているところでございます。(西野委員「街路は入るのですか」と呼ぶ)はい。入るように検討しておるところでございます。
  179. 西野陽

    ○西野委員 このことは十二年度に創設されるということで検討されているのですが、御案内かもしれませんが、我が党がかねてから主張しておりますものに、補助金制度というのはもうこの際廃止をして、そういうものは地方公共団体に一括して交付すべきだ、交付金としてやるべきだ。補助金に見合うものを一括交付すべきだ。そして、空港、港湾、複数県にまたがる鉄道あるいは高規格幹線道路、こういった国家的なプロジェクトは国でやる。それ以外のものは、できるだけ地方公共団体に、補助金ではなくて一括交付するべきだ。そういう地方分権の主張をいたしておるところでございまして、今出ました統合補助制度そのものが、いわば、一括まではいきませんが、一括交付制度的なものの精神に一歩前進しているのではないか、こういうふうに私どもは見て、評価をしたいのでございますが、そういうふうに私ども理解して、逆にいいでしょうか、どうでしょうか。
  180. 小川忠男

    ○小川政府委員 統合的補助金の細部を詰める場合には、いわゆる縦型の場合に、道路河川にとかあるいは公園予算住宅にというほど弾力性はないとは思いますが、やはり公園の枠内であるならば、相当程度使い勝手がいい、AからBにかなり自由に転用がきくとかという意味では、物の考え方として、できる限り、先生が御指摘になったような、完全な交付金とはもちろんいきませんが、補助金ではございますが、地元にとって使い勝手のいいようなものにつくりたいというふうに考えております。
  181. 西野陽

    ○西野委員 今後、この統合補助制度をさらに拡大していかれますように、そして、地方地方、国は国としての持ち分、役割分担をしっかり持っていく、そういう方向づけをぜひ期待しておきたいというふうに思っております。  最後に、地元のことで大変恐縮でございますが、去る七月の十九日に、経済団体連合会、経団連ですが、「物流効率化の推進に関する提言」というものを出しました。これを見ますと、我が国の経済の再生のために、いろいろありますけれども、高コスト構造の是正が必要だ。この高コスト要因の一つに、物流、物の流れの効率をよくすること、効率化が最重要課題である。とりわけ、首都圏あるいは大阪圏、名古屋圏といった大都市圏の環状道路整備とあわせまして、渋滞緩和、渋滞地点の解消ということが大事だ、そのためには、立体交差化事業に着目していくべきだ、こういう提言、当然のことのように私は思います。  そこで、具体の例で恐縮でございますが、大阪で今七カ所ほどの連続立体交差事業推進中であります。その中で、大阪外環鉄道というのが、約二十年かかってやっと日の目を見て、先般着工をされたところであります。それはそれで非常にありがたいのです。実は、この大阪外環鉄道というのは、大阪を南北におおむね縦断するような格好で計画をされておるのです。その大阪外環鉄道には、実は数多くの横断する街路、道路があるわけです。それを高架にすることによって渋滞緩和をするということなんです。  それはそれで意義があるのですが、実は、大阪外環鉄道にほぼ並行して、私鉄近鉄大阪線というのがあります。特に、この近鉄大阪線の俊徳という駅から八尾の間は、平面で走っているわけですね。せっかく大阪外環鉄道がやっとのことで連立で高架になっても、それとほぼ並行して東側に走っておる近鉄大阪線が同じく高架にならないことには、何ら渋滞の緩和策にはならない。つきましては、この機会に、ぜひこの近鉄大阪線の俊徳―八尾間の高架化の実現に取り組むべきだというふうに思っております。  ちなみに、用地関係はほとんどでき上がっておりまして、八〇%以上そういう条件整備が整っておるということを申し上げながら、この辺について、取り組み等についてお示しをいただきたいと思います。
  182. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生指摘のとおり、大阪外環状鉄道の連続立体交差事業につきましては、本年三月に都市計画決定がなされたところでございまして、今後本格的に事業が進められるというふうに聞いております。  ただ、この地域では、近鉄の奈良線についても連続立体交差事業に取り組んでおるということもございます。先生今御指摘の、近鉄大阪線の鉄道高架事業の構想があるというふうに聞いておりまして、この近鉄大阪線を含めました全体構想の促進のためにも、引き続きまして、現在事業中の二カ所の連続立体交差事業の促進をすることが重要であるというふうに考えているところでございます。  大阪府全体として、調査中も含めまして七カ所ございます。このため、私ども建設省といたしましては、既に事業に着手しております二カ所から、その推進に向けて、今後とも積極的な支援をしてまいる所存でございます。  都市圏の交通の円滑化やあるいはまた都市の一体的な整備のためには、連続立体交差事業というのは大変効果のあるものというふうに認識をしておるところでございまして、今後とも進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  183. 西野陽

    ○西野委員 そういうことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  184. 平田米男

    平田委員長 中島武敏君。
  185. 中島武敏

    ○中島委員 私は、六月末の豪雨災害で犠牲になった方々の御冥福をお祈りいたします。また、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。  さて、この豪雨災害については、別の委員会におきまして、同僚議員からさまざまな角度から質問されておりますので、私は、きょうは基本点だけ、一点質問させてもらいます。  福岡東京集中的に被害が出た地下街やビルの地下での水害は、典型的な都市災害と言われ、都市の地下利用のあり方に問題を投げかけました。また、広島中心とする土砂災害も、宅地開発に伴うものが多かったわけであります。  この二つの現象に共通していることは、この間、開発優先で、建築や都市開発の規制を緩和してきたからではないでしょうか。十分な防災対策もとらずに開発を進める、このことを今深く反省し、実はこの委員会の冒頭で大臣報告を伺いましたが、立地抑制というところにも踏み込むようでありますが、後追いの防災対策ではなくて、開発のあり方そのものを見直すということが今必要なんじゃないでしょうか。建設大臣また国土庁長官としての見解を明らかにしていただきたいと思います。
  186. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 土地開発に関しましては、安全性の確保に関連するような規制緩和は土地開発では行われていないわけでございまして、建築につきましては、住宅地下室について、平成六年の建築基準法改正において一定の床面積の容積率への不算入措置を講じましたが、これにより建築物の安全性が損なわれるというものではないと考えております。  この一定床面積といいますのは、地上にある建物の三分の一の広さのものを地下につくることができるということになっておるわけでございまして、それは安全性が損なわれるというものではないと思っておるわけでございます。  しかし、地下空間の浸水被害に対しましては、洪水時の早期情報伝達とか避難誘導対策あり方が重要と考えておるところでございまして、昨年十一月から、関係省庁により設置いたしました地下空間洪水対策研究会において、これらの充実方策について検討を急いでいるところでございます。  そういうようなことでございまして、ただ、水害の御報告でも述べさせていただきましたように、確かに、今までの宅地造成のやり方というものが、山のすそ野までも許可にして、すそ野にも山肌にしがみつくような格好で家が建っているというようなところもたくさんあるわけでございますから、やはりそういうようなことは今後規制をしていくということをやっていかなければならないと思っておるわけでございまして、今までのような宅地造成が、すべてがすべて私はよかったとは思っておりません。ですから、私たちも反省すべきところは反省して、今後防災になお力を入れていきたい、そのように思っております。
  187. 中島武敏

    ○中島委員 今の答弁を伺って、建築規制あるいはまた都市計画などについても、もっとやはり踏み込む必要があるんじゃないんですか。いや、規制緩和やっておりません、安全性を損なうようなことはやっていませんという、その部分は私は甚だいただけないんです。あの福岡においても、都市の中での一番の低地、そこに水が集中したわけなんですから、そういうことを含めて、さらに深い検討を求めたいと思います。  それから、その次、ウォータープラン21の問題について伺いたいんですけれども、これは、新しい全国総合水資源計画、ウォータープラン21が策定されたんですけれども、この計画に基づいて、全国のダム計画などの水資源開発基本計画を策定するんでしょうか。国土庁に伺いたいと思います。私、たくさんきょうは質問したいものですから、のっけからこう言っちゃなんですけれども、できるだけひとつ簡潔に御答弁いただきたい。
  188. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  ダムの計画そのものをどうするかというのは、それぞれ所管する省庁もございますので、私の方で統括的にお答えするのはいささか分を過ぎると思いますが、お話ございましたように、ウォータープラン21はことしの六月に策定いたしました。過去、このいわゆるウォータープランというのは、御案内かと思いますが、三回決めておりまして、それぞれが全国総合開発計画の改定時期に沿った形で修正といいましょうか策定しておりまして、今後の水資源の開発、保全、利用に関する基本的方向ということでございますから、その中では、当然これからの水の需要供給問題と絡めて、ダムの建設計画も関連してくることはお話のあったとおりでございます。
  189. 中島武敏

    ○中島委員 水需要の予測問題について伺いますが、今回の計画では、都市用水の需要予測が大幅に下方修正されたわけですね。水需要の実績がほとんど伸びていないのであるから当然のことだと思うんですけれども、実績と乖離した水需要予測が行われた理由は何なのか、明らかにしていただきたいと思います。
  190. 木下博夫

    ○木下政府委員 いろいろ理由があると思います。ちょっと時間を急がれておられますので私のお答えも簡単にさせていただきたいと思いますが、都市用水の場合は、まず生活用水と工業用水と大きく二つに分かれると思いますが、そもそも、国民的にも我が国は大変、瑞穂の国と言われておるように、水に対して豊富な国でございますが、一方で、やはり一人一人の水の使用量というのが、節水型社会という発想も大分浸透してまいりましたし、それから、人口の伸びそのものが大分落ちついてきたといいましょうか、そういうことでございますから、そういう母集団がそもそも変わってきていることが大きな理由だと思います。  工業用水についても同じようなことが言えまして、産業構造も変わりましたし、それから、一方でやはり、環境問題も含めてでございますが、例えば地盤沈下の問題とか排水規制あるいは水の単価等も関連いたしまして、それぞれの企業が努力している、こういうことがありまして、大幅に変わったこと自体が、私はむしろ国民的な意識の高まりとか努力も一方ではあろうかと思います。  従来型の右肩上がりでなくなってきた、そういう展望の中でこれから水の需要供給問題を考えなきゃいけないという点では、私は、おっしゃるとおりではなかろうかと思います。
  191. 中島武敏

    ○中島委員 水需要が非常に伸びなくなったことは事実ですよね。これは確認できることですね。
  192. 木下博夫

    ○木下政府委員 ことしの水資源白書をごらんいただきますと、副題に、たしか、いつまでもいわばみずみずしい、そういう国土利用と書いてありますので、それぞれが水を大切にするという心がけの中で水需要が落ちる面は今申し上げたようでございますが、やはりこれからは、二十一世紀においては環境、とりわけ水というものは大変重要でありましょうし、その際に、自分たちの身の回りあるいは国土全体が水が豊富であるという努力も一方ではしていかなきゃいけません。そういうものを含めての水需要であれば、私はまだまだ需要はあろうかと思いますが、従来型のいわば原単位発想からいきますとかなり、そういう意味では従来のような伸びでないということは否定できないと思います。
  193. 中島武敏

    ○中島委員 今回の計画の需要予測に基づいて、各水系の水資源開発計画の都市用水の需要予測は修正されるんでしょうか、この点も伺います。
  194. 木下博夫

    ○木下政府委員 国土庁が担当しております水系は七つございますが、今おっしゃられましたように、各地域によって異なると思いますし、それぞれの関係する省庁あるいは公共団体の御意向もありますので、私どもは、けさほど他の委員会でもお答えいたしましたが、常にこういう水需給について点検をすることについては怠りなくやってまいりたいと思っております。  その中では、おっしゃられたように、やはり、従来は水資源というものを限りなく活用しようという姿勢であったこともそのとおりでございますが、一方では、やはり資源の有限性という意味では、これから私どもは、その水資源を大切にしていくという心構えは当然するわけでありますから、その中で、これからの水開発といいますか、水資源開発はどうあるべきかということについて点検をすることは、私どもは積極的にやってまいりたいと思っております。
  195. 中島武敏

    ○中島委員 都市用水の需要予測を下方修正すれば、需要予測の面からいえば、多くのダム建設計画というのは不要なものになると思うんですけれども、そのように考えてよろしいでしょうか。これは建設省に伺います。
  196. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えします。  ただいま国土庁の方からお答えがございましたように、ウォータープラン21というのは、全国十四の広域的なブロックのマクロ的な水需給計画バランスを評価したものでございまして、実際の水需要は、水系ごと、川ごとに、あるいは市町村ごとに異なる状況にございます。ですから、具体的なダム計画を検討する際には水系別のきめ細かい検討が必要でございまして、私ども建設省は、そのような姿勢で適切なダム計画を立案している現在でございます。
  197. 中島武敏

    ○中島委員 今回の計画では、通常の年ではさほど不足はしないが、水不足の年ではある程度不足をする、戦後最大クラスの渇水の年の供給量を確保するには、さらに今後も水源開発をしなければならないという理屈になっているんですね。だから、この計画を前提にすれば、今後どの程度のダム建設等の水資源開発が必要になるということなんでしょうか、そこも伺いたい。
  198. 竹村公太郎

    竹村政府委員 一部繰り返しになりますが、これまで水系ごとに、渇水の状況、水利用の状況、そして利水者のこれからの水需要の計画、それでさらに、ダム計画におきまして重要なことは、水資源開発だけではなくて治水上の必要性等を個別に検討して計画し、実施しております。  私ども、直轄、公団合わせて現在全国で九十二の事業を実施しておりますが、それらの事業につきましては、公共事業再評価システムの適用によりまして、その事業が適正であるか、そして、これからも事業をどのような形で進めるかということを、この評価システムを適用することによって、今後とも、各ダムの治水、利水の両面にわたる必要性、緊急性等について適切に判断していきたいと考えております。
  199. 中島武敏

    ○中島委員 適切に判断、こういうお答えなんですね。私は、今度のウォータープラン21を見ますと、そしてまた今の答弁も伺っておりますと、水需要が今後も伸びるということはそんなにないということを前提とされているんです。ところが、水資源開発計画を具体的に中止したりあるいは縮小したりをやらない。そうすると、適正にという言葉で建設省の方は答えているんですけれども、では、渇水対策という新たな理屈をつけると、現在の計画を推進しようということになってしまうんじゃないかということを私は思います。答弁の要求じゃないんです。  ちょっと時間の関係もあるものですから、具体的には九州の川辺川の問題について質問をしたいと私は思っております。  まず最初に、利水計画。農水省は来ていらっしゃいますね。川辺川ダム建設のにしきの御旗の一つとされておりますのは、かんがい用水の確保ですね。  川辺川の会というのがありますが、ここの一九九七年七月一日調べによりますと、四千二十人の受益者のうち、初めは大半の人が国営川辺川土地改良事業に同意していましたけれども、後にだまされていたなどとくらがえる人が続出をしたわけです。国営川辺川土地改良事業異議を唱える裁判の原告は八百六十六人、補助参加者は千百五十八人、合わせて二千二十四人、五〇・三%と、受益者の過半数に及んでいるんですね。  つまり、これは何かというと、国営川辺川土地改良事業というのは、既に事業が成り立つ条件である受益者の三分の二を割り込んでいることはもちろん、この数字でいえば受益者の過半数さえも割り込んでいる、こういうことになります。これでは国営事業として成り立つ条件を失っているというふうに思いますけれども、答弁をいただきたいと思うんです。
  200. 佐藤準

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  本事業の計画変更を平成六年から実施しておりまして、平成八年に確定しておりますけれども、その計画変更時点にはいわゆる受益者から同意をとるという行為を行っております。いわゆる資格者総数に対しまして法定要件の三分の二以上の同意を取得しております。したがいまして、事業主体の国といたしましては、有効に成立しているものというふうに判断をしております。  また、この同意者の中に二十名の死亡者がおったというようなことが判明いたしまして、その二十名を差し引いたといたしましても、これにつきましては訴訟の中で修正をさせていただきましたが、同意率は八三・三%ということで、資格要件は十分にあるというふうに考えております。また、その後さらに十四名の死亡者というようなものも判明しておりますけれども、これを差し引いたといたしましても、法定要件の三分の二という同意率は維持されているというふうに判断をしております。
  201. 中島武敏

    ○中島委員 私が伺いましたのは、計画変更をやったときに三分の二以上を満たしておれば、その後三分の二を割るということがあっても問題ないのかということを聞いたんですけれども、その点はどうですか。
  202. 佐藤準

    ○佐藤説明員 国として、いわゆるそれぞれの受益者に署名それから捺印というような行為を行いまして、同意というようなものを判断しております。その行為は計画変更時点の同意徴集以外ないということでございますので、その点につきましては、その時点の同意率というようなものを基準に判断をさせていただいておるということでございます。
  203. 中島武敏

    ○中島委員 三分の二は割っていないというさっきの答弁なんですけれども、それでは、同意者は現在は何人ですか。
  204. 佐藤準

    ○佐藤説明員 現在の同意者につきましては、いわゆる資格者も若干動いておりますけれども、三千九百十三人中、これも三千二百六十一人、これが農業用用排水でございますので、地区全体の同意者数というふうに把握をしております。
  205. 中島武敏

    ○中島委員 いろいろ言われるんですけれども、私は、裁判の問題に踏み込もうという気持ちはまるきりありません。そうなんですけれども、今の答弁を聞いておりますと、川辺川の会が発表している数字とかなり大きな開きを何か私は感じます。  それで、しかし、私ははっきり言って、どんどん同意者が減って裁判の原告とか補助参加者になるというのは、実に異常なことじゃないかというふうに思っています。何かよっぽどあくどいやり方がやられたんじゃないかと思うんですね。新聞紙上でももう既に明らかにされておりますけれども、白紙の同意書を使って署名捺印集めが行われたとか、あるいは死んでしまった人、死者も三十五名も署名捺印しているとか、そういうことがいろいろ言われているわけですね。  そうすると、計画を立てたときあるいは計画変更をしたとき条件を満たしておれば、その後条件を仮に満たさなくなったとしても、満たしていると言われるんですけれども、こっちの裁判の方をやっている人の数字を見ますと、はるかに条件を満たしていないんです。いなくても、さっきの答弁にあったように、計画変更なりのときに一回満たせばそれでもう法的には別に問題はないんだ、こういうお考えのようなんですね。私はこれは強弁だと思うんですよ。実態というのがどうなっているかということが非常に大事なんじゃないか。この点では、既に国営土地改良事業としての条件が、争われていることだから私は踏み込みませんけれども、失われているんじゃないかと思いますね。  この計画がスタートしたのは一九八三年ですよ。それで、その後もう十六年たっているんです。ところが、この間の農業情勢の変化というのは物すごく著しいものがあるんじゃありませんか。その点では、受益者である農民の間から、もう水は要らない、そういう声が沸き起こっている。人吉、球磨地方も御多分に漏れず、農家の後継者不足は深刻です。そしてその上、減反、減反の政府の減反政策で、四割も減反をしているんですよ。そういう情勢なんですね。さらに、田畑に水が来るのは一体いつなのかということを考えてみれば、ダムが完成をすると予定されております平成二十年、二〇〇八年以後になることは間違いないんですよ。それで、そのころ若い農業従事者は果たしてどれぐらいいるんだろうかということですね。  だから、私はここではっきり申し上げたいと思うのは、状況がどれほど変わっても一たん決めた公共事業は絶対変えない、こういう姿勢では、甚だしい税金のむだ遣いが起きるんじゃないかということを申し上げたい。あくどい署名集めなんかについても深刻な反省を行って、国営川辺川土地改良事業はもう中止したらどうかというふうに思うんですね。裁判なんかで争っているなんというようなことをやるんじゃなくて、実態をよく見て中止をするという決断をすべきときに来ているんじゃないかと思うのです。しかとした答弁をいただきたいと思います。
  206. 佐藤準

    ○佐藤説明員 現在の裁判の中で、いわゆる土地改良法上の手続の問題、それから同意取得の方法というようなものが原告の方から争い事として提訴されておるというような状況でございますので、そこら辺につきましては、また裁判の中で当方の主張をさせていただきたいというふうに思っております。  それから、今先生指摘のいわゆる農業そのものが時代とともに非常に変わってきているというようなことも事実でございます。それから、高齢化の問題ですとか過疎化の問題、これも非常に農林省としても深刻な問題として受けとめております。  ただ、いわゆる人吉のあたりのああいう地域というようなもの、非常に農業用水として不安定な地域でございまして、いわゆる近代的な農業を展開するためには、やはり安定した用水の確保というのも一方で非常に大切なことで、それがまた過疎なり人が出ていく、若者が定住していくための条件になろうかというふうに思っております。  確かに、原告団、多数の方がおられるというふうにも聞いておりますけれども、また一方で、多数の方が非常に首を長くしてそういうような用水を待っているというような事実もございます。したがいまして、大きな変化というようなものが起こりました場合には、また新たな計画変更という正式な手続をとらない限り、我が方としても事業の変革はできないわけでございますので、そういう場合には計画変更というようなことも考えられますが、今のところ、平成八年に確定いたしました計画変更後の計画に基づいて事業推進してまいりたいというふうに思っております。
  207. 中島武敏

    ○中島委員 水を本当に必要とする人たちが水が不足していると言うんだったら、その手当てはすればいいと思うのですね。しかし、もう実態は、私は、肝心なことは、実態をよく見て余り意地を張らない、そういうことをすっきりとやることによって行政に対する信頼というものが出てくるんだということを申し上げて、今度は治水問題について伺いたいと思います。  治水問題について伺いたいのですが、私は、一九九七年、現地調査を行いました。それで、人吉市民の住民感情を政府の方は御存じでしょうか。一言で言えば、ダムに対する恐怖と不信、これなんですよ。  私は、昭和四十年、一九六五年、そのときの水害体験者から何度も生々しい体験を聞いております。市房ダムの放流がもとで、かつて経験したことのない急激な水かさの増大で大きな被害を受けたということ、そのことから、ダムは災害から住民を守るんじゃなくて、場合によってはダムが住民災害をもたらす凶器ともなる、こういうことを身にしみて感じたという話をこもごも伺いました。  さらに、昭和四十六年八月、一九七一年八月水害では、再び市房ダムの放流で大被害を受けたことから、ダムに対する不信が増幅されたわけですね。その上、市街部の特殊堤完成後は、大雨が降っても大丈夫だ、ダムは要らないという気持ちが強いのですね。  昭和五十七年、一九八二年ですけれども、七月水害、人吉でピーク流量五千四百立米・パー・セコンド、これは昭和四十年の、あの一九六五年の大水害のときのピーク流量五千、これを超えているのですよ。だけれども、それにもかかわらず、九日町それから紺屋町の商店街は、堤防が完成している、それで建設省の内水排除ポンプの作動によって悠々だ、さらに、建設省のおかげで安心しておれますとここの商店主たちが話していたと当時の人吉新聞は報道しております。その後、特殊堤が完成してから、ダムは要らないという声は一層広がっております。  そこで、伺いたいのですけれども、現地調査のときの工事事務所長の話では、非常用排水門、いわゆる俗に言う非常吐けですね、これの最大放流可能量は五千百六十立米・パー・セコンドという話がありましたけれども、これは間違いありませんね。
  208. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、球磨川の歴史は、その流域の方々が水害に遭われ、洪水との闘いと一言で言ってよろしいかと思います。  今四十年、五十七年の水害の話が出ましたので、私の観点からお話しさせていただきますと、四十年七月に、死者六名、床上浸水二千七百五十一戸と大変な被害が出ました。  その後、建設省は懸命にやれる範囲の河川改修を進め、先ほど申しましたように、ポンプもつけました。そして、先生がいみじくも言いましたが、特殊堤といいまして、堤防の上にパラペット、コンクリートの壁をつくりまして、それは本来なら堤防を広く安全につくらなきゃいけないのですが、用地がとれずにやむを得ず堤防の上にコンクリートの壁をつくっている、私どもはいわゆるパラペットと呼んでいますけれども、そのような暫定的な改修も行いました。  そのおかげで、昭和五十七年、また大きな洪水が来たわけですが、どうにかこうにかそのパラペットを使ってもったわけでございますけれども、それでも死者四名、床上浸水千百十一戸と大変な被害が出ております。  そのようなことで、この球磨川では、上流部ではダムで、下流部では河川改修地域を守ろうという趣旨でございます。  さて、御質問の川辺川ダムにおける非常用洪水吐きの能力でございますが、川辺川ダムの計画は、八十年に一回の大洪水が川辺川ダムに入ってくる、そのときの流量は三千五百二十トンでございます。毎秒三千五百二十トンが入ってきます。そのうち、ダムでは九五%をカットします。九五%をため込んで、残り五%をダムから下流に放流します。それが毎秒約二百トンでございます。  このために必要な洪水を安全に下流に流すためのいわゆる常用洪水吐きを設置しているものでございますが、そのほかに非常用洪水吐けというのを設けております。これは、実はすべてのダムに法律で定められております。これは、河川法第十三条第二項の規定に基づく河川管理施設等構造令第二条第一項第三号に定めまして、ある予測を上回る大きな洪水がもし来たとしても、ダムの構造を守るために設定される洪水の流量、ダムの構造上安全にするための設定される設計洪水流量、これは川辺川ダムでは五千百六十トンと設定されております。
  209. 中島武敏

    ○中島委員 今お話がありましたけれども、川辺川ダム計画というのは、今言われたとおり、八十年に一回の降雨量に耐えられるようにつくられることになっているのですね。ところが、私は次に聞きたいのは何かというと、その八十年に一回を超える大雨が降った、したがってそれが川辺川ダムに流入をしてくる、こういう場合に一体どうなるのかということなんですね。  考えていただきたいのは、人吉地点の河道の流下能力というのは四千立米に設定されているわけですよ。だから、八十年に一回の間は計算上はいいとしまして、八十年に一回じゃなくてもっとすごい雨が降っちゃった、さあそうなったらどうするか。これは流入するもの以上にはカットしないということは何度も繰り返し皆さんの方がおっしゃっていることなんだけれども、さあとてもじゃないけれども間に合わない。そういう雨が降ってきたというときには、これは下の堤防はカットを十分に予定して四千立米というふうにしか考えていないわけですから、大変な事態が生まれるんじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  210. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えいたします。  球磨川では、人吉地点におきまして、八十年に一回起こるであろう洪水に対して、安全に四千トンを流そうという計画になっております。この四千トンは、もともとの自然の流量ではなくて、本来ですと七千トンになります。八十年に一回の大洪水は七千トンになります。それを三千トンを上流のダムでため込み、そして河道の下流の堤防は四千トン受け持とうという上流と下流のバランスを考えております。  八十年に一回の洪水を超える洪水が来たらどうかという御質問でございますが、これは百年に一回の洪水、または百五十年に一回の洪水で私ども河川改修考えておりますが、それを超える、上回る洪水が来たらどうかというのは実は大変重要な問題でございます。  自然を相手にしている私どもが計画を上回る自然の脅威が来たとき、それを安全に私どもがどうやってコントロールできるのかという一つの施策のやり方が、現在スーパー堤防というような形で、もしあふれても安全にあふれさせようというような一つの施策でやっているのを御紹介して、私のお答えとさせていただきます。
  211. 中島武敏

    ○中島委員 スーパー堤防でこの川辺川をやろうというのですか。人吉のところは、さっきお話のあったように、もう人家が込み合っておってうまくいかないのだというお話だったのではないのですか。一般論は結構ですけれども、私はそれはどういうふうに言っても、四千トンしかもたないという堤防をつくっているのですから、はるかに大水が出た、八十年に一回どころではないものが出たら、これは必ずあふれるに決まっているのですよ。これははっきり申し上げて、ちょっと今のは無責任な答弁ではないかなというふうに思います。  それで、何かちょっと時間が迫ってしまっているみたいなのですけれども、もう一つ聞きたいと思うのはこれなのです。洪水時にダムの水位が満水位近くまで上がっている場合に、山地の地下水脈が上昇することや、激しい降雨によって貯水池の周囲で地すべりや山腹崩壊が発生しやすくなっている。大量の土砂が急激に流入して、ダム湖の水位が急上昇する。それから、かつ大きな波が発生するので、ダムの上部から大量の水があふれ出て、ダム下流に大洪水を引き起こす危険性が非常に大きいのではないでしょうか。  特に計画を超えるような、さっきから問題にしているそういう洪水発生して、ダムの水位が満水位状態になっているときに地すべりが来た、あるいは山腹崩壊が起きたということになったら、これは大問題ではありませんか。そのことについて伺いたい。
  212. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えします。  建設省におきましては、ダムの貯水池周辺の地すべりの可能性について綿密な調査を行っておりまして、すべてのダムにおきまして、ダムの完成間近にダムの試験湛水を開始いたします。その試験湛水の中で、周辺の地甘の安全性、挙動を十分調査をすることになっております。川辺川ダムにおきましても、学識経験者の助言を得ながら、今後地すべり等の調査を行い、かつ試験湛水におきまして、十分な最終的な安全性を確かめながらダムの運用に入っていきたい。  なお、ダムの運用に入った後も、私ども建設省の職員がダム管理所に常駐いたしまして、そのダムの安全性、周辺の貯水池の安全性について日々ウオッチをしているという体制をとってございます。
  213. 中島武敏

    ○中島委員 抽象的で、今の話は本当は時間があったらもっとやりたい、やりたいのですけれども、時間も迫っておりますのでなんですけれども、崩落をあらかじめ調査して、どうされるのですかね。私の方から言います。除去するというわけでしょう。それから、除去したところをどうするかといったら、コンクリートで固めるのでしょう。そういうことを作業としてやるというのですよ、私はいろいろ聞いているのですけれども。  これは考えてもらいたいのは、なぜかといったら、一昨年の河川法の改正がされました。このときに、環境保全が利水や治水と同じレベルに引き上げられたのです。もし、今言ったようなことが調査の上で実行されるということになったならば、それこそ巨大な自然破壊をもたらすということになるのですね。  ダムはもともと非常に濁った水を出します。だから、あの球磨川あるいは川辺川でもそうですけれども、日本一大きなアユが釣れるというので大変有名なところなのですけれども、これもだめになるでしょう。下流も環境がだめになる。それから、ダム湖の周辺もだめになるということなのですね。私は、こんなことになるというのは、あくまでやはりダムをつくろうとしているからではないか。だから、いろいろな調査もやります、対策も打ちます、こういう話になって出てくるのです。  そこで、時間がありませんから、質問を幾つか飛ばします。それで、大臣に伺いたいのです。  先ほどから明らかになっておりますように、農民は、水は要らない、こういうふうに随分多くの方が言っているわけですよ。それから、生命財産を水害から守ってあげましょうと言われている住民はどうかといったら、凶器と化す危険性を持っているダム、これについては要らない、やはり同じような発言をしているわけですね。そこで、八十年に一回を超えるダムへの流入などがあったら、それこそ本当に重大な事態が起きることは間違いないのです。そのときに、本当に被災者方々に対して、一体どう責任をとったらいいのでしょうか。  私は、そういうことを考えますと、この議論というのは、八十年に一回のダム、これを百年に一回、百五十年に一回のダムにすればよろしい、そんな議論をやろうという気持ちはまるきりないのです。それは、むしろ間違っているのです。ダムだけに頼るというこの考え方を今や転換をしなければならぬのではないかと思うわけであります。それで、発想の転換ですよ。  私は、水害対策として、ダムだけに頼る政策はやはり見直しをして、川辺川ダム計画を中止して、霞堤など、先人の知恵に学んで、遊水地計画などを考えたらどうか。実は、私は断っておきますけれども、遊水地計画というと、農地を全面買収して、掘り下げてコンクリートで固める、こんなものではないのです。日常的には農地として使用されている。そして、一定規模以上の洪水時に、洪水がはんらんし、減水とともに農業用排水路などを通じて自然排水するようになる、そういう地形を活用するというもの、そういう遊水地なのです。  実は私は、最近こういう施設がいまだ球磨川の流域に幾つも幾つもあるということをこの目で見てまいりました。結局、施設として必要なのは何かといったら越流堤とか霞堤とか、これだけなのですね。私はそういうところを視察して、先人の知恵、これに大変胸を打たれる思いがいたしました。洪水発生時の農民への十分な補償措置、それから農民の納得が大前提であることは言うまでもありません。こうした遊水地と河道断面の拡大、森林保水力の増大等々、総合的な治水対策への発想の転換ということが今必要なのではないでしょうか。大臣のしかとした答弁を求めたいと思います。
  214. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 例とされておりますのは川辺川ダムでございますが、このダムにつきましては、いわゆる学識経験者等によりますダム審議委員会が設置をされまして、住民の声を聞く公聴会も行っておりますし、審議委員によります現地視察、また九回の審議委員会を開いて、平成八年の八月に、継続して実施することが妥当との答申をいただいているところでございまして、私といたしましては、この答申を尊重してまいりたいと考えております。
  215. 中島武敏

    ○中島委員 私は、ダム審のその中身については承知いたしております。そして、こんな内部的なダム審では、本当の科学的な調査はできません。どうか私が申し上げましたことをもう一度考えてくださるように訴えまして、きょうの質問を終わります。
  216. 平田米男

    平田委員長 中西績介君。
  217. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、時間が極めて限られておりますので、六月二十三日から七月三日までの梅雨前線豪雨災害の中で福岡市を中心とする災害と、六月二十七日の山陽新幹線トンネルあるいは高架橋事故などについて質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、福岡市御笠川溢水による福岡地下空間洪水被害、四省庁合同調査を七月七日に実施されたと聞いています。調査結果は七月末にまとまると聞いておりますけれども、現状いかになっておるかをお聞きしたいと思います。  特に、博多駅周辺の被害は想像を超えるものがあるが、なぜこのような結果になったのか。死者、地下における水死、あるいは都市機能の麻痺等いろいろあったわけでありますから、この点についてお聞かせください。
  218. 竹村公太郎

    竹村政府委員 お答えいたします。  関係省庁国土庁、運輸省、建設省、自治省の合同調査によりまして、現地に調査に入りました。まだ正式な報告書はできておりませんが、現在私が聞いておりますのは、気象状況の把握、これは非常に記録的な豪雨だった、百年に一回に相当するような豪雨だったということだとか、博多湾の満潮時と重なっていたというようなことで、御笠川が内水はんらん、または外水からはんらんした、至るところで浸水被害が起きたというところを聞いております。  さらに、地元関係者からのヒアリング等をしまして、また、現地の各地下街を調査した結果、現在、現地の実態について取りまとめを行っているところと聞いております。これらの取りまとめを行った後に、今後の地下空間洪水対策に反映していきたいと考えております。
  219. 中西績介

    ○中西(績)委員 報道関係等を通じましても、いろいろ出ておるわけでありますけれども、これらを通して、ただ、実態がどうであったかということだけでいろいろな判断をするということが、どの程度の調査をしたかというのが私は一番の問題だろうと思うのですね。簡単に上っ面だけなでるような調査の仕方では、今言われたような事柄で済んでしまう。  したがって、今答えがありましたように、六月二十九日の九時までの一時間九十六ミリという集中豪雨、これに対しまして、市当局を初め防災体制は九九年度福岡地域防災計画に沿って機能したかどうか、ここいらは聞くことができたと私は思うのです。さらにまた、警戒本部は設置されたけれども、私は、危機意識がやはり欠如しておったのではないかと思います。  例えば、防災担当局の情報収集もほとんど不十分であったと指摘をされるような状況があるわけでありますから、こうした問題等についてももう少し詳細にわかっておると思いますが、この点、どうですか。
  220. 竹村公太郎

    竹村政府委員 県内の水文の情報伝達、さらにさまざまな水防に関する伝達でございますが、県内の河川の水防に関しましては、水防法によりまして市町村が水防管理団体と定められております。福岡県が水防計画を定め、水防管理団体である市町村が行う水防が十分に行われるよう指導するというスキームになっております。  今回、福岡県は、各種水文情報を福岡市へ情報伝達をして、適切に行われたと私ども報告を受けております。  このようなことで、これが十分だったかどうか、または災害を防ぐためのネットとして、密度としてよかったのかどうかという評価はもう少し時間をいただきまして、現状はこのようなことの体制でやっておったということでございます。
  221. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、体制は、連絡等十分なされたという認識のようでありますけれども、例えば、一つ例を申し上げますならば、博多区に比恵橋という橋がございますが、ここが水位の観測地点になっています。ところが、観測員は立ち退きで不在になったまま放置されておった。したがって、堤防を越える、博多区における溢水状況というものは、だれがどのようにして把握し報告をするか。そのもとがないのに、今言われたような状況が本当に構成されておったかどうかということを私は大変不審に思います。ここいらはどうなんですか。
  222. 竹村公太郎

    竹村政府委員 先生の御質問にある比恵橋に関しまして、福岡県から報告を受けました。事実関係をはっきりさせなければいけないと思います。  福岡県の水防計画で位置づけられている水位観測所は、河口から七キロにあります板付橋水位観測所でございます。この板付橋水位観測所には観測人が配置されておりまして、いわゆる人間が張りついておりまして、水位情報等は県の水防本部に逐次報告されていたと報告を受けています。  なお、御質問の比恵橋の水位観測所は、河口から三キロにあるところでございまして、水位データを観測収集することだけを目的とした観測所でありまして、もともと観測員を配置しておらないというような状況だということの報告を受けております。  このようなことで、福岡県は、福岡県の防災計画に基づいた板付橋水位観測所の水位情報またはこれらのさまざまな情報に基づいて、県は水防警報を発令し、水防団の出動を要請した。しかし、先ほども申しましたように、大変な、百年に一度起きるような、匹敵するような豪雨により水位が上昇し、やむなく浸水被害等が発生したものと考えております。
  223. 中西績介

    ○中西(績)委員 福岡県からそのような報告があったということであれば、また調査し直してやりたいと思います。  そこで、十時三十分に、博多駅東ビル地下浸水によって女性が一人水死。むしろ逆に、被害者から市あたりに対する通報がなされたという報道がされていますね。こうした問題等、いろいろ情報の集中、こうした問題が依然として乱れておったということが言えるんじゃないかと思います。  そう言うと必ず、百年に一回の水だからいたし方ないということになると、ではどういうふうにすればこうした防災計画なり、これが貫徹できるかということになってくるわけであります。  さらにまた、十一時四十一分に、地下鉄の博多駅構内に浸水しまして、ここは入り口が五カ所あって、二カ所は五十センチ近く高くなっておるので浸水しなかったけれども、他の三カ所から浸水ということになっています。そのために軌道短絡が発生いたしまして、レール面まで浸水をした。したがって、十二時過ぎから四時近くまで運行見合わせをしたという状況が出ています。  こういうように地下鉄に浸水をするということは、いまだかつてなかったように私は思っていますけれども、いずれにしましても、その後、東京におきましては、七月の二十一日の集中豪雨、地下で水死者をやはり出しておるわけであります。  こういう状況の中で、観測点がどうだこうだということもありますけれども、もとになる低地域における、今度、浸水箇所は数値が全部出ていますからもうここでは申し上げませんけれども、見れば、大体そういうところが低地域になるわけですね。さらにまた、地下開発の進行などによりまして、日本都市構造の弱点というものがここにあらわになってきたのではないか。  ということになってまいりますと、これとあわせて、先ほど答弁ございましたけれども、建築基準法のあり方がまた問われておるのではないかと思います。特に都市の場合には、道路の高低等をなくすためにバリアフリーがこれからどんどん採用されてきますと、そうした状況等がいろいろ問題視されるようになってくるわけですね。ですから、こうした点についての認識はどのようになされておるのか。
  224. 那珂正

    ○那珂政府委員 まず、建築基準法についてお答え申し上げます。  建築基準法では、衛生上等の観点から、建築物あるいは敷地内の通常の雨水や汚水について、公共の下水路への排出措置を講ずることとされておりますが、今回の御笠川のケースのように、道路が川のようになってしまうというようなことで、そもそも公共の下水路の排水能力をはるかに超えてしまうような浸水に対して、建築物のサイドで別途短時間にそういう多量の水を処理する、排水措置を講ずるというようなことは、かなり困難ではないかというふうに考えております。
  225. 中西績介

    ○中西(績)委員 きょうの討論をずっと聞いておりましても、例えば広島あたりにおける災害発生の状況、こういうものを見ましても、いろいろ問題視され、危険箇所としてたくさんの地域があるという見方の中、そして今回の溢水、浸水状況からいたしましても、やはり同じようにそういう地域はわかるわけでありますから、その地域におけるビルの建設等を含みましてどのようにこれから対応するかということを考えない限り、何かみんな、百ミリ以上の雨が一度に降れば、百年に一回です、百五十年に一回です、だから仕方がなかったということになってしまうわけです。  そうでなしに、むしろ積極的に人命を、あるいは都市機能が麻痺をするという状況が出てくるといたしますと、こうした問題を今後どのように防止し、そして国民の安全を考えるかということになるわけでありますから、こうした点についてもう少し、都市構造の欠陥なり、あるいは建築基準のあり方なりをもう一度やはり見直す必要があるのではないかと思うわけなのですね。この点だけについて。
  226. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生指摘のとおり、町づくりを進めるに当たって、何よりも災害に対する安全性を高めることがまず第一でございます。災害に強い町づくり、安全、安心な町づくりということを目標にいたしまして、私ども、区画整理事業等の市街地の面的な整備事業でありますとか、下水道とか河川事業のような事業でありますとか、さらには先生今おっしゃいましたような土地利用の規制とか誘導とかいったようなものを一体的、総合的に実施してきたところでございますが、特に洪水対策、内水排除ということで、河川事業、下水道事業基本だというふうに私どもは思っております。こういう事業についても、さらに一層推進していきたいというふうに考えておるところでございます。  大臣からも先ほど御答弁をさせていただきましたように、去年、地下空間洪水対策研究会というところで、洪水時の早期情報伝達とか避難誘導対策等が重要であるということで、そういう点の充実方策についての検討も早急にやるということでございますし、また、私どもといたしましても、下水道事業等や規制、誘導手法を一体的、総合的にさらに一層充実、実施してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  227. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、いろいろお答えいただきましたけれども、実際に実になるような施策というものをお考えいただかなくてはならぬと思います。  時間が迫りますので、一、二飛ばしまして、河川の構造問題について、特に今度明らかになりましたのは、先ほどお答えありましたように、満潮時に重なったということで、どうだこうだという。ですから、確率からするとそうした問題等があると思いますけれども、そうした最悪の事態というものを考えて、これからはやはり設計上の問題からすべての問題を考えていかなくてはならぬということは当然なのですから、こうした点について考慮さるべきだと思います。  さらにもう一つ河川改修工事のあり方でありますけれども、今一番都市で困っておるのは、この御笠川を一つ例にとってみますと、流水能力というものが極めて低い河川だと従来から指摘をされてきたところですね。それで、長期にわたって改修を行ってきましたけれども、今なお四〇%しか達していない。治水事業は水が集まる下流域の拡幅が優先すべきでありますけれども、下流域の都市化の進行で移転交渉等がまとまらない、こうした難問題があるわけですね。したがって、なかなかうまくいかないということで、中流域先行の工事というような格好になって今度の場合あらわれてきていますね。したがって、今度はそういう中流域における溢水がこれまた出てくるわけですね。  何カ所もそういう事態が出てくるわけでありますから、こうした問題を根本的に今後、都市考える場合にどうするかを考えていく必要があると思いますけれども、これらについて何かお考えのところがございますか。
  228. 竹村公太郎

    竹村政府委員 福岡だけではなくて、全国の主要都市が戦後、焼け野原から一気に高度な都市に発展しまして、そこで一番いじめられたというか、マイナスな面を受けたのが実は河川だったという考えを私は持っております。今、このような高度な都市社会になって、そのツケがいよいよ顕在化してきたというような思いがしております。  この中で、下流域、中流域、上流域、それぞれのバランスをとりながら改修をしなければいけないと認識しておりますが、下流域では非常に高度な文明、つまり民家、住居がありますので、なかなか難しいということも事実でございます。そういう難しさを踏まえて、ハードな対策と同時に、流域内の学校の校庭また公園の空間を使った流域内対策というものも含めて、これから総合的にソフトな面も含めて考えていきたいと考えております。
  229. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、水をどのように平面的に広く、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、この地域では非常に困難だけれども、やはりこうした問題等を含めて考えていく必要があろうと思っています。  次に、六月二十七日九時二十四分の山陽新幹線福岡トンネル内におけるコンクリート剥落事故と国道関連トンネル、さらに山陽新幹線高架橋コンクリート片落下事故と高速道路における現状についてお伺いをしたいと思います。  時間が迫りましたので細かいことは言えないのですけれども、私は、七月八日に現地トンネルの中に入りまして、真夜中でありましたけれども、調査をしてきた一人です。私は、ここで一番感じますのは、新幹線の安全神話が今回の事故と関門トンネル事故によって相当壊されてきた、こういう認識を多くの人々が持っておるのではないかと思っています。  関門トンネルの事故と今度の剥落事故、これの根本的な違いは何ですか。
  230. 安富正文

    ○安富政府委員 新関門トンネルの漏水事故、これは、漏水によって実はトンネルの天井部分のコンクリートの一部が剥離しまして、水圧によって剥離したと思われますが、それによって水が漏水して、それが饋電線に触れまして、結果として、ショートして停電するという形でとまったものでございます。  それからもう一つ、今回の山陽新幹線の福岡トンネルのコンクリート剥落事故につきましては、いわゆるコンクリート部分にコールドジョイント部というのがございまして、このコールドジョイント部の下部にまた新たな不連続面が生じまして、そこの部分が何らかの原因で剥落して今回の事故に至った、こういうことでございまして、若干その発生過程において違いがございます。
  231. 中西績介

    ○中西(績)委員 道路関係については崩落事故というのは極めて少ないそうですし、またコールドジョイントなどの原因による崩落等はないと言われておりますけれども、トンネル事故についてはどうなっていますか。
  232. 大石久和

    大石政府委員 今回の新幹線事故型の崩落事故でない、道路トンネルにおける崩落事故がどのような状況かということでございますが、余り多くの例はございません。  近年における道路トンネル本体の大規模崩落事故は、平成二年二月の千葉県の国道百二十七号の小山野トンネルの崩落事故及び平成五年二月の能登半島沖地震による石川県の主要地方道木の浦トンネルの崩落事故でございますが、この二件の事故が発生しているという状況でございます。
  233. 中西績介

    ○中西(績)委員 トンネルそのものの崩落というのは非常に少ないということがこれによってもおわかりだと思いますけれども、問題は、今度の場合、入ってみても、コールドジョイント部分が変色をしておるのですね。はがれて落ちたところ。そして、いまだに、二メーター近く、二百キロのものが崩落しておるのですけれども、くっついておったところはまだ灰色でセメントの色をしておりますけれども、その他のところはやはりベージュ色と申しますか赤い色になっておったのです。  これの細かい点はもう時間がありませんから言いませんけれども、全く無警戒であったと私は聞いてきたのですけれども、学問上、鉄道におきましてもあるいは道路におきましても、こうした問題等については今までどのように認識をしておったかについてお聞かせください。
  234. 安富正文

    ○安富政府委員 先生今おっしゃいましたように、トンネルの専門家等の話を聞きますと、コールドジョイントそのものに起因した事故というものについて、これまで発生がなく、ある意味ではコールドジョイントの存在そのものが事故に結びつくということがあり得るという認識はなかったのではないか、そういう意味でJR西の方でも点検に際してもコールドジョイントがあるということでそれをもって点検の対象にはしていなかったということでございます。
  235. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなってまいりますと、これから後、打音検査だとかあるいは目視検査だとかいろいろな措置をしておるようでありますけれども、建設省の方もコールドジョイントについては全く無関係であると考えておられたかどうか。
  236. 大石久和

    大石政府委員 建設省が所管しておりますトンネルにつきましても、コールドジョイントに起因する崩落事故等については、実例もございませんし、その対策についても講じてきていなかったところでございます。
  237. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうであれば、今度の場合、いろいろ検査をした結果が、西日本における二千四十九カ所になっています。周辺を打音検査しまして、きょうの新聞によりますと、三百七十七カ所において音が異なるという状況まで出ています。特に、西日本の方は、山陽新幹線の方は、九十三本のトンネルの中で六十二本でこういうものが見受けられたということになっています。  したがって、こうしたことを考えてまいりますと、今度は実際に相当の事故が出たわけでありますから、これらについてどのように対応しようとしておるのか、この点をお答えください。
  238. 安富正文

    ○安富政府委員 先生の方からお話がありましたように、コールドジョイントの部分につきまして、打音検査を実施しまして濁音等が見られるものについて三百数カ所ございます。これにつきましては、外観上コールドジョイント近辺にひび割れや浮き上がりなどが見られないかどうかということでいろいろ点検をいたしまして、ある程度問題があるというようなところにつきましては、いわゆるL字形の鋼をはめましてパッチ当てみたいな形にして予防的な措置を当面講じております。  ただ、問題は、これからどういう形で恒久的な措置を講じていくかということでございますので、今回、運輸省におきましても、こういうコンクリートのトンネルにかかわる問題につきまして学識経験者等を含めた検討会を開きまして、将来的に点検、補修のあり方、恒久的な措置のあり方、こういうことについて検討していきたいというふうに考えております。
  239. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、高架橋からのいろいろな落下の問題でございますけれども、阪神大震災時に多くの建築上問題が発生し、その反省の上に立っていろいろ措置をされておるのですけれども、残念ながら、改善されたと思っておったのだけれども、そのための補強工事をごまかしたり、あるいは今度のような表示鉄柱、わずかの期間しかたっていないのに折損落下事故、常識では考えられないわけですよ。  こういう状況にあるときに、こうした問題にどう対応するかをお答えください。これは両省。
  240. 大石久和

    大石政府委員 道路局から御説明申し上げます。  トンネル、高架橋梁等につきまして、その構造上の問題だけではなくて、施工時における監督、施工後の検査等について十分な注意を払うことが必要だという認識のもとで、特に工事完成後では目に見ることのできない鉄筋の加工、あるいは組み立ての部分や品質確保上で特に重要な段階等につきましては、監督職員の立ち会い、立会を規定するなど、適切な施工管理に努めているところでございます。また、工事完了後の引き渡し時におきましても、検査職員の任命を行いまして検査を行っておるところでございまして、施工時における監督、施工後の検査等の徹底を図ってまいりたいというように考えてございます。  先ほど御指摘がございました、首都高速道路の橋脚耐震補強工事等につきまして溶接不良が判明いたしましたことにつきましては、直ちに公団内部に、橋梁の現場溶接に関する検討委員会、あるいは標識につきましては標識柱事故調査技術委員会等を設けまして、その原因究明に当たっているところでございます。  これらの事故が発生した理由あるいは検査において発見できなかった理由、あるいはフェールセーフ的な措置が講じられなかった理由等につきまして、一々究明いたしまして、具体の適切な対応を講じてまいりたいと考えてございます。
  241. 安富正文

    ○安富政府委員 山陽新幹線の高架橋におけるコンクリートの剥離問題でございますが、現在までのところ、山陽新幹線、JR西日本において点検を行いまして、剥落の可能性がある箇所すべてを入念にハンマーでたたき落とすという作業をしまして、防錆処理を施しているという状況でございます。  今後、この抜本的な対策ということで、従来から、コンクリートの劣化問題につきましてはJR西日本でも一応問題視しておりまして、コンクリート委員会というのを設けてやっておりましたが、今回さらに鉄道総研に新たに委員会を設けまして、このコンクリートの劣化問題を中心として、今後の点検、補修、それから今後の抜本的な対策ということについて検討会を開いていくということにしております。
  242. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わりますが、最後に要請だけお願いしたいと思います。  これから後、運輸省並びに建設省対応の仕方というのは、やはり乗り物がスピード化すればするほど事故が起こったときには大変な状況になるというのは、そういうことを十分考えた上でやらなければなりませんけれども、特に今回の場合、いろいろな人が発言をしておるのですが、例えば、JR西日本に八八年に設置されました調査委員会委員である安川さんという人が、一言で言うと、西日本は悪い遺産を引き継いだというような発言をしています。その理由は、欠陥生コンの使用だとか突貫工事、工事技術の未熟などなど、たくさんの問題があった、こういう状況を想定して言っておられるようであります。  それから、東大の小林教授あたりが指摘をしておりますのは、従前、国鉄当時におきましては、サンプルの抜き取り強度調査等が盛んに行われておったけれども、現在は全くこれがない、こういう状況等指摘をされています。  したがって、営団地下鉄で、近ごろ、点検するための赤外線カメラによる剥離検査装置、こういうものが導入されておるようでありますけれども、いずれにしましても、調査、点検、補修体制を抜本的にやはり見直していく必要があろうと思いますので、この点ぜひ、建設、運輸、関係省庁におきましてはこれを追求していただくようにお願いを申し上げて、終わります。
  243. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会