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1999-06-09 第145回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月九日(水曜日)     午前九時三十一分開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       奥山 茂彦君    小杉  隆君       小林 多門君    阪上 善秀君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       宮腰 光寛君    山本 有二君       岩國 哲人君    大畠 章宏君       鍵田 節哉君    畑 英次郎君       山本 譲司君    大口 善徳君       長内 順一君    福島  豊君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         環境庁水質保全         局長      遠藤 保雄君         林野庁長官   山本  徹君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 六月九日         辞任         補欠選任   目片  信君     奥山 茂彦君   田中 慶秋君     大畠 章宏君   平野 博文君     岩國 哲人君   長内 順一君     大口 善徳君 同日         辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     目片  信君   岩國 哲人君     平野 博文君   大畠 章宏君     鍵田 節哉君   大口 善徳君     福島  豊君 同日         辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     田中 慶秋君   福島  豊君     長内 順一君 六月七日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願玄葉光一郎紹介)(第四二〇五号)  同(佐藤敬夫紹介)(第四二〇六号)  同(畑英次郎紹介)(第四二〇七号)  同(畠山健治郎紹介)(第四二〇八号)  同(古川元久紹介)(第四二〇九号)  同(吉田公一紹介)(第四二一〇号)  同(佐々木秀典紹介)(第四三六一号)  同(島聡紹介)(第四三六二号)  同(辻元清美君紹介)(第四三六三号)  同(畑英次郎紹介)(第四三六四号)  同(畠山健治郎紹介)(第四三六五号)  同(藤村修紹介)(第四三六六号)  公営住宅に関する請願中西績介紹介)(第四三六〇号) 同月八日  日本道路公団等関係機関による精神障害者への割引制度適用に関する請願稲垣実男紹介)(第四六四四号)  同(岩下栄一紹介)(第四六四五号)  同(臼井日出男紹介)(第四六四六号)  同(江渡聡徳紹介)(第四六四七号)  同(小川元紹介)(第四六四八号)  同(大原一三紹介)(第四六四九号)  同(奥山茂彦紹介)(第四六五〇号)  同(金田英行紹介)(第四六五一号)  同(亀井静香紹介)(第四六五二号)  同(河村建夫紹介)(第四六五三号)  同(久間章生紹介)(第四六五四号)  同(栗原裕康紹介)(第四六五五号)  同(栗本慎一郎紹介)(第四六五六号)  同(佐田玄一郎紹介)(第四六五七号)  同(佐藤静雄紹介)(第四六五八号)  同(阪上善秀紹介)(第四六五九号)  同(桜井新紹介)(第四六六〇号)  同(鈴木俊一紹介)(第四六六一号)  同(園田修光紹介)(第四六六二号)  同(高鳥修紹介)(第四六六三号)  同(武村正義紹介)(第四六六四号)  同(谷垣禎一紹介)(第四六六五号)  同(谷川和穗紹介)(第四六六六号)  同(戸井田徹紹介)(第四六六七号)  同(中川秀直紹介)(第四六六八号)  同(中谷元紹介)(第四六六九号)  同(中野正志君紹介)(第四六七〇号)  同(中山正暉紹介)(第四六七一号)  同(長勢甚遠君紹介)(第四六七二号)  同(桧田仁君紹介)(第四六七三号)  同(平沼赳夫紹介)(第四六七四号)  同(藤井孝男紹介)(第四六七五号)  同(藤本孝雄紹介)(第四六七六号)  同(保利耕輔君紹介)(第四六七七号)  同(細田博之紹介)(第四六七八号)  同(堀内光雄紹介)(第四六七九号)  同(松岡利勝紹介)(第四六八〇号)  同(松本純紹介)(第四六八一号)  同(三塚博紹介)(第四六八二号)  同(武藤嘉文紹介)(第四六八三号)  同(村山達雄紹介)(第四六八四号)  同(目片信紹介)(第四六八五号)  同(森田一紹介)(第四六八六号)  同(森山眞弓紹介)(第四六八七号)  同(八代英太紹介)(第四六八八号)  同(谷津義男紹介)(第四六八九号)  同(山元勉紹介)(第四六九〇号)  同(渡辺具能紹介)(第四六九一号)  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願井上一成紹介)(第四六九二号)  同(生方幸夫紹介)(第四六九三号)  同(北村哲男紹介)(第四六九四号)  同(冨沢篤紘紹介)(第四六九五号)  同(永井英慈君紹介)(第四六九六号)  同(並木正芳紹介)(第四六九七号)  同(畠山健治郎紹介)(第四六九八号)  同(松本龍紹介)(第四六九九号)  同(横光克彦紹介)(第四七〇〇号) 同月九日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願家西悟紹介)(第四八二三号)  同(川内博史紹介)(第四八二四号)  同(北沢清功紹介)(第四八二五号)  同(島津尚純紹介)(第四八二六号)  同(知久馬二三子紹介)(第四八二七号)  同(畠山健治郎紹介)(第四八二八号)  同(石井郁子紹介)(第五〇三八号)  同(石橋大吉紹介)(第五〇三九号)  同(大森猛紹介)(第五〇四〇号)  同(金子満広紹介)(第五〇四一号)  同(木島日出夫紹介)(第五〇四二号)  同(児玉健次紹介)(第五〇四三号)  同(穀田恵二紹介)(第五〇四四号)  同(近藤昭一紹介)(第五〇四五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五〇四六号)  同(佐々木陸海紹介)(第五〇四七号)  同(志位和夫紹介)(第五〇四八号)  同(瀬古由起子紹介)(第五〇四九号)  同(辻第一君紹介)(第五〇五〇号)  同(寺前巖紹介)(第五〇五一号)  同(土井たか子紹介)(第五〇五二号)  同(中川智子紹介)(第五〇五三号)  同(中路雅弘紹介)(第五〇五四号)  同(中島武敏紹介)(第五〇五五号)  同(中西績介紹介)(第五〇五六号)  同(中林よし子紹介)(第五〇五七号)  同(中村鋭一紹介)(第五〇五八号)  同(西川知雄紹介)(第五〇五九号)  同(畑英次郎紹介)(第五〇六〇号)  同(畠山健治郎紹介)(第五〇六一号)  同(原口一博紹介)(第五〇六二号)  同(春名直章紹介)(第五〇六三号)  同(東中光雄紹介)(第五〇六四号)  同(平賀高成紹介)(第五〇六五号)  同(不破哲三紹介)(第五〇六六号)  同(藤木洋子紹介)(第五〇六七号)  同(藤田スミ紹介)(第五〇六八号)  同(藤村修紹介)(第五〇六九号)  同(古堅実吉紹介)(第五〇七〇号)  同(細川律夫紹介)(第五〇七一号)  同(松本善明紹介)(第五〇七二号)  同(矢島恒夫紹介)(第五〇七三号)  同(山原健二郎紹介)(第五〇七四号)  同(吉井英勝紹介)(第五〇七五号)  公営住宅に関する請願(辻第一君紹介)(第四八二九号)  同(中島武敏紹介)(第四八三〇号)  同(辻第一君紹介)(第五〇七六号)  同(中島武敏紹介)(第五〇七七号)  日本道路公団等関係機関による精神障害者への割引制度適用に関する請願逢沢一郎紹介)(第四八三一号)  同(伊藤公介紹介)(第四八三二号)  同(今村雅弘紹介)(第四八三三号)  同(衛藤晟一紹介)(第四八三四号)  同(古賀誠紹介)(第四八三五号)  同(河野洋平紹介)(第四八三六号)  同(田村憲久紹介)(第四八三七号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第四八三八号)  同(西博義紹介)(第四八三九号)  同(持永和見紹介)(第四八四〇号)  同(保岡興治紹介)(第四八四一号)  同(伊吹文明紹介)(第五〇七八号)  同(岩永峯一紹介)(第五〇七九号)  同(川端達夫紹介)(第五〇八〇号)  同(熊代昭彦紹介)(第五〇八一号)  同(佐藤剛男紹介)(第五〇八二号)  同(中尾栄一紹介)(第五〇八三号)  同(丹羽雄哉紹介)(第五〇八四号)  同(林義郎紹介)(第五〇八五号)  同(茂木敏充紹介)(第五〇八六号)  同(山下徳夫紹介)(第五〇八七号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  住宅品質確保促進等に関する法律案内閣提出第六三号)(参議院送付)     午前九時三十一分開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付住宅品質確保促進等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。
  3. 西川公也

    西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。関谷大臣には、連日行政改革委員会で大変お疲れかと思いますけれども、冒頭、敬意を表させていただきたいと思います。  そこで、質問に入りますけれども、昨日、政府月例報告発表になりました。興味を持って見させていただきましたけれども、結果的に景気状況は「おおむね横ばい」、横ばいを言うのにおおむねがついた、こういう状況でありまして、景気回復するかどうか非常に微妙な局面に来ているんだろう、そういうことで表現も苦慮されたのかな、こう受けとめています。  そんな中で、大企業景況感はどうかというと、四月—六月も前期に続いて改善をされておる、こういう見方ができているようでございます。マイナス幅が八%縮小された、中堅企業中小企業も同じような状況で、改善に向かっている、こういう状況発表かと思います。  そんな中で、住宅建設でありますけれども、「持ち直してきている。」、こういう表現でありました。新規住宅着工件数、四月は百二十五万戸のペースだ、こういうことで発表されておった。昨年の同期と比べて一・一%増、こういう発表かと思います。その中身を見ますと、持ち家は非常に伸びて前年比一二・五%増、本当かなと思うぐらい伸びています。そして、貸し家分譲住宅は減という形になっていますけれども、貸し家の方は四・六%減、そして分譲の方は六・八%減だ、こういうことでありますが、結果として着工床面積が五・五%ふえた、こういうことでありますから、住宅着工件数が伸びてきた、こう見るべきなのかな、こういう感を持っておるところでございます。  景気回復、今、政府の最大の課題でありますけれども、日本の国内総生産、GDPは五百兆円、この五百兆円のうち住宅の占める割合というのはきっと二十兆円前後だと思うんです。それから、設備投資設備投資と騒ぎますけれども、これも七十兆円前後、一番大きいのは何といっても個人消費が三百兆円、こういうことでありますから、個人消費がふえれば景気回復につながってくる、こう見ていいんだろうと思いますけれども、住宅はその中で、五百兆円のうちの二十兆円ということでありますから、四%を占める、非常に頑張っておる、こういうところだと思います。  今度の法律の改正によって住宅を建てる人に安心感を与えて、住宅着工件数が伸びるんだ、こういう方向に行ってほしいと私は願っています。ただ、規制緩和の流れの中でまた規制を強めたような感も否めないところもあるわけでありまして、それらによって住宅が割高にならないか、こういう心配もしているんです。ですから、これから家を建てる人、建て主に対しましてできる限り国庫で応援をしてやって、負担がかからないようにしてほしい、こう願っております。  そこで、まず初めの問題でありますけれども、昨年の八月、日本じゅうが大騒ぎしましたけれども、千葉県の山武町の問題であります。  秋田県の第三セクター秋田木造住宅と、その子会社の秋住の話でありますけれども、一九八二年に設立をしまして、途中は大変いい成績で、県に寄附をしたり株主の配当も二割出したとか、そういうことをいろいろやっておったようでありますけれども、経済の先行きの見通しを誤ったんだと思いますけれども、バブルの崩壊、こういうことによりまして、結局九八年、昨年の二月に破産になってしまった、こういう状況かと思います。  そして、そのときにうたい文句は、秋田杉で非常にいい家をつくるんだというような話、さらには、第三セクターということでありますから建てる方も相当安心をしてお願いしたんだと思いますが、結果的には破産するような会社でありますから、相当欠陥住宅、こういうことに直結をしておった、こういうふうに見てもよろしいんではないかと思います。  そして、その建て売り住宅を購入した千葉県内住民皆さん、特に建て売り住宅を買った人は十六戸、注文住宅を買った人が一戸でありますけれども、この二十四人の方々が、地盤沈下あるいは施工不良の欠陥住宅を買わされた、こういうことで秋田県を相手取り、あるいはさきに申し上げました秋住秋田木造住宅の両社の役員を十五人、あるいは出資した地元銀行二社、結局損害賠償訴訟秋田地裁に起こした、こういう話があったわけであります。これは結局、秋田県が絡んでおる第三セクターですから、期待は大きかった、期待も大きかったけれども、結果的には裏切られた、こういうことで騒ぎも大きくなったんだと思いますが、私はこのような問題は各地にあると思うんです。  私も質問に先立ちまして、どうだ、栃木県でどのぐらい住宅苦情処理件数はあるんだということを聞きましたら、県でも大体年間三百件あるというんですね。土地絡みの話もありますけれども、住宅に対する苦情が大体三百件ある、こういうことで処理に追われている、こういう実情にあるんだという話を聞きました。そして日弁連の話も、今回の資料の中でも示されましたけれども、欠陥住宅一一〇番、毎年実施をしてきたけれども、ここへ来てふえている、こういう話も聞いています。  また、卑近な例を申し上げますと、私の町は栃木県の氏家町というところなんでありますが、河川わき国有地がありまして、それが二万二千平米ぐらいあったんです。町は、住民皆さんに安い住宅地を提供しようということで、二万二千平米を造成しました。そして住宅は建てたんですけれども、建てた後、地盤が悪いということでだんだん不等沈下が起きてきて亀裂が入ってきた、こういうことなんです。結果的にはその二万二千平米の中にいる七戸の皆さん補償対象になりまして、六軒だけは移転させたんです。  原因は何かといいますと、もともと河川わき土地でありますので、低いところでありましたので、ごみを捨てておった、こういう状況なんです。しかし、その上に立派な骨材を埋めましたので、ほぼ沈下が済んで住宅に適地だろう、こういうことを判断した上で安く住民にそれを売り出した、こういう状況です。これで家は建てましたが、結果的には住めないような状態だという判断を下しまして、町は町の責任でこれらを補償して、取り壊しをして別なところへ建ててもらった、こういう結果でございます。  今回の法律は、住宅の問題については大変詳しく、いい法律ができていると私は思うんですけれども、土地の問題に詳しくは触れていません。判断のときに土地判断していきませんと、この法律を実効あらしめるのはなかなか難しい問題だろう、こう思うんです。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、先ほどの千葉県の問題あるいは私の地元の問題も含めまして、土地売り主責任、これはどう考えるべきなんだろうか、こういうことをまず一点お尋ねしたい、そう思います。と同時に、本法案との関連土地の問題をどう考えていくんだ、ここら辺をお聞かせいただければと思います。
  4. 那珂正

    那珂政府委員 まず原則論から申し上げさせていただきますが、民法上は、売買目的物瑕疵がある場合は、瑕疵を知ったときから一年以内であれば損害賠償責任を追及できる、したがって相手方は責任を負うことになるわけでございます。  お尋ねケースについて、特に栃木県の氏家町のケースで申し上げますと、土地売り主である町が瑕疵担保責任を認めて買い主に対して損害賠償金を支払ったというふうに考えられるわけでございます。  そういう事態と本法案との関係でございますけれども、本法案におきましては、新築住宅につきまして十年間の瑕疵担保責任を義務づける、一定の主要な構造部分に限りますけれども。そういう点では、形式的には土地あるいは地盤自体は、直接、この法律に言う瑕疵担保責任対象となっておりません。したがって、御指摘ケースのうち、氏家町のケースのように土地だけの売買としての契約については、この法案が成立いたしたとしても特段の取り扱いの変更はないと思います。  ただ、もう一つ御指摘になりました千葉山武町の秋住ケースは、これは建て売りとして分譲されたものだ、こういうふうに理解しておりますけれども、その場合は、住宅主要構造部分瑕疵、つまり基礎瑕疵として、当然基礎というのは地盤と一体のものでありますので、事実上、地盤瑕疵についても引き渡した当事者としての瑕疵担保責任の問題は出てくると思います。  ただ、地盤瑕疵すべてというわけではなくて、いろいろな場合が考えられると思いますけれども、この法案におきましても、そういう点ではその辺を注意深く、なるべく問題を拾えるような形で、地盤の問題についても基礎の問題として拾っていくというような姿勢で法律を組み立て、また運用を考えていきたいと思います。
  5. 西川公也

    西川(公)委員 今、私の町のケースはわかりました。これは町が瑕疵があると認めたということになりましたので問題は起きませんでしたが、これが民間の業者ですと、その分安く売ったんだ、その分工事をよくすればいいじゃないか、こういう話にも変わってくるわけですね。それから、千葉県の場合は、建て売りだから、土地部分を考えて住宅構造の方をつくらなかった方が悪いんだ、こういう解釈にもなるわけです。  それでは、売買の形態が、土地で売ったのかあるいは建て売りだったのかということによって法律考え方が変わるという話になってしまいます。その辺はひとつ注意深くやっていただきたいと思います。要は、買った人を救える、こういう形ができればいいわけでありますので、その辺、御配慮をいただきたいと思います。  次に、横浜でも問題がことし起きたわけですけれども、二月の十七日に、横浜市南区中村町、七階建てのマンションに、裏のがけが、高さ約五十メートル、幅五十メートルにわたって土砂が崩れてきて、同マンションの三階部分まで埋めた、こういう話があったわけですね。  土地を所有している人あるいはがけを所有している人は民間の所有であって、今借りているのが防衛施設庁であり横浜防衛施設局だ、こういうことだと思います。そして、米軍が今管理をしておる。結論から言うと、横浜防衛施設局石井次長は、今後は米軍と協議しながら誠意を持って対応したい、こういう答えをまず最初にやったようでありますけれども、住民からしてみれば、住宅自体欠陥じゃなくて、よそのところの土地のために不安を持つということでありますから、結果的に住環境という意味からすると欠陥だ、こういうことになるんだろうと思うんです。私は、これはどこに責任があるんだろうか、こういうことをまずお聞かせいただければと思います。
  6. 那珂正

    那珂政府委員 端的に申し上げまして、大変難しい御質問だと思います。  一般的に申し上げますと、がけ崩れ等によって第三者に損害を与えた場合の法的責任もいろいろなケースが考えられると思いますけれども、がけに特定の工作物があってその工作物等瑕疵があるような場合、あるいは管理に過失があるような場合とか、あるいは工作物なんか全くなくて単なる自然のがけ状態であったような場合、いろいろなケースによって民法上の責任考え方は少しずつ変わってくると思います。いずれにいたしましても、そのがけないし工作物管理している者の一定責任というものはそれとして現実に厳然とあると思います。  お尋ねのようなケースで、今度、建築行政という立場から建築行政責任という観点で考えてみますと、建築基準法におきましては、先生おっしゃるように住宅単体安全性確保という観点のみならず、地盤とか敷地自体安全性についても一定注意義務といいますか、考え方で安全確保する考え方はとっております。  具体的に申し上げますと、例えばがけの付近に建築を建てる場合については、建築基準法の三十九条に基づく災害危険区域の指定、あるいは第四十条に基づいて、通称がけ条例と言っておりますけれども、各公共団体において、その地域の実情等を勘案して、条例において一定安全性確保のための措置、具体的には、例えばがけの高さを平面に置き直して、どのぐらい離れた方がいい、離れなければだめだ、離れられない場合には相当の鉄筋コンクリート構造にするとか、そういう一定の厳しい規制条例で行っているわけでございます。  その責任論に戻りますけれども、そういう場合、民法上の責任としては、やはり損害を受けた方に対する管理上の責任、簡単に言えば、がけとか工作物管理上の責任が第一だと思います。しかし、あわせて、建築行政に対する責任を仮に当事者から追及された場合、建築基準法等による、がけ、危険な箇所に立地させたと認めたということについて一定責任追及があることはよく想定されることだと思います。
  7. 西川公也

    西川(公)委員 今の横浜ケースですけれども、今建築基準法の話が出ましたから、建築基準法に後で触れたいと思いますけれども、今回の法案に基づく一定の手続を全部やっておって、検査も途中を全部やって、引き渡しもやって、そして保険制度に入っておって、それで結果的に、建物には何の問題もなかったけれども、土地が崩れてきた、家がやられちゃったと。このときには補償はするんですか、こういうケースは。
  8. 那珂正

    那珂政府委員 今先生がお示しになりましたようなケースの場合には、この制度においては特段対応できないと思います。
  9. 西川公也

    西川(公)委員 次に、建築基準法との関連に移りたいと思いますが、本法案の八十七条で「瑕疵(かし)担保責任の特例」ということで、「建設工事請負契約においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」云々が民法と同じような解釈だ、こういうことになっていますね。  それで、結局、先ほどの建築自体の話は責任持ちますけれども、周りの影響で損害を受けたときにはこの法律では対応できませんということになりますと、それでは、建築基準法をしっかり守ってもらって、建物自体設計そのものがおかしいことなんかめったにないんですから、施工で木造住宅等はなかなか設計どおりにやられない部分もあるかもしれませんが、建築基準法でしっかり見てもらえれば、この辺問題ないんじゃないんですか。その辺、どう考えますか。
  10. 那珂正

    那珂政府委員 建築基準法というのは、先生既に御案内だと思いますけれども、国民の生命や財産の保護という強い公共目的を達成するという観点から、建築物の最低の基準を示した上で、それをすべての建築物、新築建築物に強制する、こういう見地でぎりぎりの安全性確保を図っているという考え方でございます。  昨年、建築基準法を大改正させていただきました。その中で、例えば建築物の中間検査制度を新たに導入させていただきましたし、あるいは全体として建築の確認とか検査体制の充実を図ったところでございます。  充実を図りましたけれども、こういう強制法規たる建築基準法において、事前に建築物をチェックする、そういう事前担保措置をどんどん強化して、その強化だけでいわゆる欠陥住宅をゼロというふうにするためには、例えば検査も今一回かなんか、それを毎週あるいは毎日でも行かなければいけないというような事態も、理論的には、理屈の上では想定されるわけでありまして、検査費用というのもそれは膨大なものになるというようなことで、なかなかこれだけでというわけには、実際問題難しい、こういうふうに思うわけでございます。  むしろ、消費者と住宅生産者との契約関係における瑕疵担保の制度の充実とかあるいは性能表示制度とか、若干我田引水ですが、こういうものを充実させることによって、住宅生産者みずから、そういう瑕疵のない、欠陥とならないような住宅の生産というものに、その意識を高めてつくっていく、そういうことに取り組むよう促すこともあわせて重要じゃないか。いわば公法による、強制的な規制による、建築基準法による安全性の確認とこういう民民の契約関係の規律を高めていくというのは、やはり車の両輪として、両々相まって欠陥住宅をなくしていくことにつながるのではないか、こういうふうに思っております。
  11. 西川公也

    西川(公)委員 任意の加入でありますけれども、ぜひ加入率を高めてそっちでカバーしてもらうように努力をしていただきたい、こう思います。  そこで、瑕疵保証円滑化基金の創設でありますけれども、今回の法案が成立した後、瑕疵担保保証期間が十年間ということになるわけでありますから、中小住宅生産者、これらの対応等も考えていかなきゃならない、こういうことで基金を造成する、こういうことで非常に結構だと私は思います。造成が、ことし十一年度に三十億円、うち国庫が十五億円だ、こういうことになっていますけれども、残りの部分どうするのか、あるいは、今後十年間こうやっていきますと平成二十二年にピークになるわけでありますけれども、どの程度の造成計画を考えておるのか、まず聞かせていただければと思います。時間が大分迫っていますので、簡潔にひとつお願いします。
  12. 那珂正

    那珂政府委員 十一年度の予算について、今先生御指摘になったとおりですが、十二年度以降についても、全体のこの普及率も勘案しながら、少しずつなるべく早い時期に積み増していきたい、こう思っております。
  13. 西川公也

    西川(公)委員 これから積み増しをやっていくということですから、ひとつ努力をしていただきたいと思います。  そこで、事故発生時の金の払い方でありますけれども、この法案によりますと、結局お金は住宅取得者には行かないんですね。保険金の支払いも、損保保険会社を通して住宅生産者等、つまり登録業者の方に行く。あるいは、財団法人の住宅保証機構からのお金も、保証金支払いという形では住宅生産者の方に行っちゃうんですね。  そうしますと、住宅生産者の方に行って、住宅生産者がしっかり守ってくれればいい、あるいは経営がうまくいっていればいいわけでありますけれども、これで本当に住宅を買った消費者を守れるかどうか、その辺はどう考えたのか、お聞かせをいただければと思います。
  14. 那珂正

    那珂政府委員 瑕疵担保責任期間が十年に延長されることに伴って特に中小の住宅生産者の瑕疵担保保証責任は強化される、そのことによって経営が危うくなってはいけないということで、今先生御指摘住宅性能保証制度を拡充する、その拡充する際に瑕疵保証円滑化基金を造成してこれに充てる、こういう仕組みであるわけでございます。  今、具体的な問題が起きた場合のお金の流れ、こうお尋ねでございますが、問題が起きた場合には、まず第一義的には、当該生産者、供給者がそういう瑕疵を修補する義務が生じますので、その修補の費用というものに保険制度のお金が充てられる、こういうことでございます。したがって、最終生産者には現金の形では行きませんけれども、きちっと直してもらう。  問題は、生産者が途中で倒産してしまったとか、いなくなっちゃった場合、どうするか。こういう問題につきましては、別途、通常のルールとは別に、その場合はこの制度運営をしている機構から直接当該消費者に、住宅を買った方、つくった方に対して金額を支払われるケースとなると思います。
  15. 西川公也

    西川(公)委員 時間が来ましたので一点だけに絞りますが、この法案を読んでおりまして、十八条とか六十二条に「適確」という字を、わざわざ適当の適を書いて確実の確と書いているのですね。日本語的には、テキカクというのは的が確かと普通は書くわけですね。この字が間違いとは言いませんが、普通はそう書くわけでありますけれども、なぜこの適確というのをこの字を使うのか。何か意味があるのですか。ここだけ聞かせてください。
  16. 那珂正

    那珂政府委員 私どもとしては、従来からこういう表現を使っているということもありますけれども、強いて意味合いを申し上げると、適切かつ確実、こういうことで、用語例としてもあるという認識でございます。
  17. 西川公也

    西川(公)委員 質問を終わります。
  18. 平田米男

  19. 岩國哲人

    岩國委員 民主党を代表して、質問させていただきます。  まず最初に、こうしたマンション、一戸建て住宅等におけるいろいろな業者とのトラブルというのは近年非常に目立っておるわけでありまして、また、そうしたものを背景として、個人の皆さんの大切な資産であります住宅というものの質を確保していこうという観点からこうした法案が用意されたという背景を私も十分認識しておりますし、またそういう認識の上に立って質問させていただきたいと思います。  最初に、建設省が十一年三月につくられた住宅品質確保促進等に関する法律案骨子という説明メモがあります。この一番最初に、国民生活センターへの住宅関係の相談件数、これはマンションは入っているのですか、入っていないのですか。
  20. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  御説明に使わせていただきました法律案骨子には、マンションは入っておりません。戸建て住宅工事関係の例として御説明に使わせていただきました。
  21. 岩國哲人

    岩國委員 最近、一戸建て住宅のトラブルが多いということも新聞で報道されておりますけれども、最近供給される新しい住宅というのは、マンションの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。特に、バブル崩壊後はこうした件数はふえている。そして、住宅の新しい供給戸数というものもマンション、そういったものが比率的に非常に多くなっている。なぜここからマンションが除かれておるのか。統計が入手できないのか、あるいは入手されても全く別のところなのか。  さらに加えて聞きますけれども、これはなぜ平成八年度までしか統計が出てこないのですか。平成九年は終わり、平成十年は終わり、今は平成十一年です。最近二年間、同じ傾向で続いているのか。また、建設省は、こういう法案を出そうというときに、三年、四年古い数字を使って国民や国会議員に説明するということは私は不親切じゃないかと思うのです。
  22. 那珂正

    那珂政府委員 まず、戸建ての表示、戸建て住宅に関するデータだけお示ししたということについてでございますが、これはもちろんマンションも相当数、多いわけですけれども、なお我が国全体で見ますと戸建て住宅のウエートというのは相当高いものですから、問題も非常に起きているところから、端的にこの数字を代表としてお示しさせていただいたわけでございます。  また、年次が古いということでございますけれども、国民生活センターのデータのうち、例えば安全とか品質とかそういうことに関して、項目別の内訳のデータがこの時点で平成八年度までしか出ていなかった、トータルは出ておりますけれども、細かい具体的な数字が平成八年度までしか出ていなかったというようなことから、もちろん古いということでは恐縮でございますけれども、この数字を使わせていただいたわけでございます。
  23. 岩國哲人

    岩國委員 内訳は出ていないけれども、総件数は出ているとおっしゃいました。では、総件数を出してください。
  24. 那珂正

    那珂政府委員 平成九年度は、二万二千五百六十件でございます。(岩國委員「平成十年」と呼ぶ)平成十年度は、まだ出ておりません。平成十年度は三月に終わったわけでございまして、国民生活センターの方でまだ集計はし終わっていないと思います。
  25. 岩國哲人

    岩國委員 私は、やはりこういう統計のとり方も、国民生活をそれほど重視するというのが建設省の方針、姿勢であるならば、もっともっと推定でも仮の数字でも出すべきじゃありませんか。それから、この内訳も、二年前の内訳さえもまだできないような国民生活センターは役に立つセンターなのかどうか、それももう一回考え直さなきゃいかぬじゃないですか。こういういいかげんな、しかもマンションが入っておらないという、一部の数字、古い数字を使って我々にこうした法案の必要性というものを理解させようということは、私は熱心さが足りないと思います。  それから、マンションよりも一戸建ての方がはるかに多いというのが日本の現状である、数字で、概数で結構ですから、どれくらいの比率になるのか教えていただけますか。
  26. 那珂正

    那珂政府委員 マンション、共同住宅として考えますと、戸建て住宅と共同住宅、約半々でございます。
  27. 岩國哲人

    岩國委員 はるかに多いとか圧倒的に多いとかいう表現とはかなり違うじゃないですか、半々というのは。半々というのは、半分しか数字を見せていないということでしょう。  マンション関係のトラブルはこの間かなりのピッチで激増しているんじゃないかと素人考えで思うわけですけれども、そういった点も十分に把握した上で我々に認識させてもらいたいし、また最近、アカウンタビリティー、国民に対する説明責任と言われます。こういうわかりにくい、しかし本当は大切な法案だからこそ、数字をきちっとしたもので、推計数字でも仮数字でも出すべきだということを最初に申し上げて、この条文の質問に入らせていただきます。  まず、条文ですけれども、この法案の四ページ、第一章総則の次の第二条、この第二条において、「「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)」これはわかりやすく言えば、例えばガレージとか農機具とかを入れるような部分、これも含むということですか、含まないということなんですか。  それから二番目に、その隣の二項、新築住宅というのは「一年を経過したものを除く。」こういう表現がありますね。新築住宅で、売れないで手つかずで、世の中にそんなのはいっぱいありますよ。それに、一年たったブランドニューのものでもこの対象から外すということかどうか。
  28. 那珂正

    那珂政府委員 最初にお尋ね住宅部分というところは、先生御指摘の物置とかガレージとか、住宅に一体としてついているものは含みます。そのほかに、例えばお店とか事務所と共同の部分で、当該住宅用途以外のところは外れますけれども、廊下とかこういう共用部分住宅のその他の部分に含まれます。  それから、新築住宅につきまして、一年以内ということを決めておりますけれども、それはそのとおりでございます。
  29. 岩國哲人

    岩國委員 要するに、できて新築のにおいがぷんぷんするような新しいものも一年たっていたらこの対象から外すということですね。ということであれば、これは随分売れ残りマンションを抱えている業者はいっぱいあるわけですよ。毎日、新聞で報道されている。かなり大きな新規供給、マーケットに対しては、一年たったものも新規の供給ですよ。だから、建って一年たったものと、建って十一カ月しか建っていないものとそこで区別するというのはちょっとおかしいのではないかと思います。買う側から見れば、全然人が入っていない、そして汚れてもいない、手あかも指あかもついていないというものは、全く新品同様としての対象にしなければいかぬのではないでしょうか。私の理解は間違っていますか。どうぞ。
  30. 那珂正

    那珂政府委員 この法律によって、御指摘のところは定義のところでございますが、住宅につきまして、例えば瑕疵担保責任期間の延長等の相当の措置をするわけでございますが、その際、新築住宅対象とする。そうすると、その新築住宅というのはやはりどこかで線を引かなければいけない。  なぜ新築住宅かといいますと、それは例えば瑕疵担保責任の期間の延長のことで申し上げますと、人が居住していないという状態でずっと放置されている状態というのは、やはりその住宅の性能等について一定の劣化していく要因になる。では、それが一年なのか、二年なのか、三年なのかという問題だと思います。そこで、例えば通常の広告等の扱いについても、新築住宅につきましては、これは公正取引法ですけれども、新築住宅の扱いについては一年というようなこと等も勘案いたしまして、一年というところで線引きさせていただいたわけでございます。
  31. 岩國哲人

    岩國委員 私の住んでいる世田谷でも売れ残りのマンションがしょっちゅうありますし、一年たっても二年たっても同じようなビラが投げ込みされたりなんかするわけですね。そういうのは公取の方の基準の一年でいいものなのか。本当に住宅の品質をきちっとコントロールしていこうというのであれば、新築でこの基準に合わないつくり方をしたマンションを、わざとというとおかしいのですけれども、一年だけ寝かせておけば、これは堂々とこの法律を免れて、どこにも基準にもひっかからないということはできるでしょう。  それから、次のところに移ります。  第三条の第三項です。建設大臣は、性能表示基準または評価方法基準の案について、必要があると認めるときは公聴会を開いて意見を聞くことができる。私は、これは緩いと思います。公聴会を開かねばならないとすべきではないのですか。建設大臣が必要と認めなかったら公聴会も開かなくてもいい、こういうことでしょう。こういう解釈でいいのですか。確認してください。
  32. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘の点につきましては、確かに、三項の条文は、必要であると認めるときは聞くことができる規定になっております。しかし実際、運用上については、こういうことにつきまして、こういう日本住宅性能表示基準あるいは評価方法基準の案をつくるときについても、なるべく多くの利害関係人の意見を聞けるようなこととし、公聴会を開くように努めていきたいと思います。
  33. 岩國哲人

    岩國委員 そういった答弁の趣旨のことはこの法律のどこにも書いていないのです。それが本当の建設省の気持ちなら、はっきり書いたらどうです。  また、建設大臣の恣意的な判断に任されるということは、私は非常に不安定なことだと思うのです。これは公聴会をきちっと開くべきです。それは関谷大臣だったら、非常に良心的で、住民の声に非常に耳を傾けられる、住民投票によっては、こういう発言もされる、そういう大臣ならいいですけれども、そうでない大臣の場合には、これは全然公聴会を開かないで勝手に基準を決められてしまうということになりはしませんか。私は、その点は公聴会を開かねばならないというふうに条文を訂正すべきだと思います。  その次に、今度は、建設大臣については権限が多くて義務が少な過ぎると思うのです。この公聴会を開く、これも義務づけるべきだと思いますし、その次に「政令で定める審議会の」、この審議会の構成については、どういう構成を考えておられますか。
  34. 那珂正

    那珂政府委員 政令で定めるべく現在検討中でございますが、現在想定されておりますのは、建築審議会を想定しております。しかし、今回、中央省庁全体の行政改革の一環として、各省に設けられます審議会を相当削減いたしまして、基本的に一本にしていくという考え方がとられておりますので、そういう新しい審議会に実際にはなっていくと思います。  それから、先ほどのお尋ねでございますけれども、三項について、建設大臣は意見を聞くことができるというのは緩い、こういう御指摘でございますが、この日本住宅性能表示基準というものを建設大臣が適正に定めるためには、例えば二項でこういう利害関係人の意向を適切に反映するようないろいろな義務規定がございますし、あるいは四項でも、今御指摘の審議会の議決も経るという形をとっております。念のため、さらに三項で必要があると認めるときは公聴会を開く、そういう念のためという意味でこういう規定を置かさせていただいた次第でございます。
  35. 岩國哲人

    岩國委員 二項には確かにそういうことが書いてあります。しかし、これは適切に反映しております、どういう方法で反映させたか、どういう方法でそういう意見をとったかということを公開する必要はないわけですから、適切に反映すると自分が判断してしまえば三項の公聴会は開かなくてもいい、裏返しの読み方はそういうことになるわけです。  それから、四項のその審議会、今答弁されましたように、今スリム化、行革の対象として審議会はできるだけ小さく、数を少なくという方向の中で、その審議会に大事な議決を経なければならないという役割をさせようというのは、これから小さくなってあるいはなくなるかもしれない、大きな審議会の中の一環として審議をしてもらう程度の審議で本当に大丈夫だろうかという懸念が依然として残ります。  六項目「第二項から前項までの規定は、」云々というこの項目は不要ではありませんか。ずっと第二項から前項までの規定、これは「変更について準用する。」ということが書いてありますけれども、この項目は必要なのですか。
  36. 那珂正

    那珂政府委員 第三条一項に規定します日本住宅性能表示基準というのは、その時々の我が国の技術水準、住宅に関する技術水準あるいはいろいろな社会のニーズ等に合わせて不断の見直しをしていくべきものだと思いますので、この基準が変更されることも予想されますので、六項の規定を置いて、今の二項から五項までの手続規定について準用する規定を設けさせていただいたところでございます。
  37. 岩國哲人

    岩國委員 次に、第八条に移ります。  指定を受けることのできない者として未成年者、禁治産者、こう挙げてあります。外国人はどうですか。外国人は指定を受けることはできると理解してよろしいわけですか。外国の自然人及び法人を含めて。
  38. 那珂正

    那珂政府委員 外国人はこの欠格条項には該当しないと思います。第七条に言う指定の対象になり得ると思います。
  39. 岩國哲人

    岩國委員 それでは、韓国籍の人であっても、またアメリカ人であっても、この指定を受けることはできるということですね。  それから、今度は、秘密保持義務について第十三条がありますけれども、「法令により公務に従事する職員とみなす。」ということは、公務員とみなすということですか。確認してください。
  40. 那珂正

    那珂政府委員 第七条の指定について、第八条によって外国人も排除されていない、こう申し上げましたけれども、基本的には法人を想定しております。その法人の代表者がどういう方であっても、第九条の指定の基準に該当する限りは……(岩國委員「外国籍の法人も認められるということですね」と呼ぶ)第九条の指定の基準に合う限りは認められます。  それから、第十三条の秘密保持義務に関して、性能評価機関の職員についてのあれですけれども、これは刑法の罰則適用に関して公務員と同等の罰則がかかる、こういう規定でございます。
  41. 岩國哲人

    岩國委員 例えば、選挙運動なんかはどうですか。この指定住宅性能評価機関の職員は、地方選挙だとかなんだとかいうときによく走り回る人がいますけれども、そういう選挙運動、特定の議員、特定の首長のために選挙運動はできるかどうか。確認してください。
  42. 那珂正

    那珂政府委員 刑罰の適用について公務員と同等とみなすということでございますので、その行為が公務員として違法な行為ならば、罰則の対象となると思います。
  43. 岩國哲人

    岩國委員 違法かどうか、要するに刑法についてだけであって、それ以外の、今のような選挙活動については自由だということですね。
  44. 那珂正

    那珂政府委員 第十三条二項「刑法その他の罰則の適用について」でございますので、公務員法に反するような行為に該当するというような場合には、罰則の適用はあると思います。
  45. 岩國哲人

    岩國委員 要するに、政治活動、選挙活動においては、公務員と同じような規制を受けるというふうに理解してよろしいですね。  次に移ります。  第三十七条「外国型式住宅部分等製造者の認証」、これは先ほど外国法人も指定を受けると。そして、この点についても日本に輸入するそうした、向こうからいえば輸出になりますけれども、そうした業者については、外国法人も前提にし、想定しながらこの条文はつくっておられるということですね。  そして、ここで、取り消さなければならないというのが第三十八条にあります。三十八条、取り消しの要件、この二つだけで十分ですか。その国が消滅した場合はどうなんですか。最近は、時々国がなくなりそうなところも出てきたりしておりますけれども。確認してください、国が消滅しても指定とかそれは取り消されない。
  46. 那珂正

    那珂政府委員 正直そういうケースを想定しておりませんでしたけれども、国が消滅するというその形式によると思いますけれども、その国が仮に生まれ変わって、その地域でのこういう産品を製造する実体的経済活動が継続していくというような場合においては、それは当然、何らかの手続が必要かもしれませんけれども、継承されていくべきものだと思います。
  47. 岩國哲人

    岩國委員 この問題は余りこだわりたくありませんけれども、仮にの話、韓国が北朝鮮によって占領され北朝鮮の一部になった、そのとき韓国籍の外国法人はどうなるのかといったことは、決して可能性は全くゼロの話でもないだろうと思います。  次に、第六十二条についても、弁護士会または民法の規定によって設立された法人ということがありますけれども、これも外国人というのは対象の中に入っていますか。確認してください。
  48. 那珂正

    那珂政府委員 これも六十二条一項の文案どおり、民法三十四条の規定により設立された法人ならば、外国人でも対象になります。
  49. 岩國哲人

    岩國委員 外国人でも、自然人の外国人も含むわけですね。
  50. 那珂正

    那珂政府委員 法人です。
  51. 岩國哲人

    岩國委員 法人だけ。自然人は含まれない。
  52. 那珂正

    那珂政府委員 はい。法人です。  それから、先ほどの秘密保持義務等に関して、第十三条二項の罰則の適用について「公務に従事する職員とみなす。」ということについての解釈でございますが、若干訂正させていただきたいと思います。  この二項の「指定住宅性能評価機関及びその職員で評価の業務に従事する者」こういうふうに規定しておりますので、その後段の読み方については、その評価の業務に関しそういうことがあった場合には、法令により公務に従事する職員とみなされ同様の罰則がかかる、こういうふうに理解しております。
  53. 岩國哲人

    岩國委員 そうすると、評価の業務に従事する者以外は公務に従事する職員とはみなされないという解釈でよろしいのですね。したがって、政治活動も選挙活動も自由である。
  54. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりでございます。
  55. 岩國哲人

    岩國委員 次に、第七十八条「住宅紛争処理支援センター」、これを見ますと、財団法人で、全国に一つだけつくるということですか。それが一つ確認したいということと、そして、この支援センターにはどれぐらいの職員を想定しておられるのか。どんどんふえておるこういう係争関係マンションもある、そういうものについての支援センターの規模としては、職員の規模、事業費の大体の想定、それから、それはすべて民間人だけでできるという前提でしておられるのか。また、しっかりとそこには天下りポストというのが用意されておるのか。それから、役員についてはどれだけの給与水準を想定しておられるのか。  以上、四点お願いします。
  56. 那珂正

    那珂政府委員 お尋ねの第七十八条に規定します住宅紛争処理支援センターといいますのは、今後、この制度適用、運用に際して全国に設けられます紛争処理機関をいろいろ支援するということから、全国で一つだけ指定させていただくつもりでございます。  そこの職員、組織の体制でございますけれども、全体としてこの制度がどういう普及状況を示していくかによって変わっていくと思いますけれども、規模については、まだ何人ぐらいとお答えできる状態ではございません。ただ、考え方としては、新たにこういう法人の設立をまって指定するということではなくて、既存の公益法人の中で最も適した法人を指定していくつもりとしております。  役員の給与水準についても、先生今御指摘になりましたような御批判も多々あるということは私どもも十分承知しておりますので、この指定によって新たにいわゆる天下りがふえるということがないようなつもりで考えているところでございます。
  57. 岩國哲人

    岩國委員 一説には、百万円を超える給料が想定されておるという話もありますけれども、百万円を超える役員は一切置かないということの確認。  それから、私は行革特の方でもいろいろ質問させていただきましたけれども、こうした新しい法律ができると、常に新しい機関が、今度も二つか三つぽんぽんとできている。この支援センターというのは、チャートで書けば一番真ん中で、中心的な役割をしておるじゃありませんか。全国にたった一つしかない、それから費用を助成することもできる、またいろいろな負担金を徴収することもできる。この支援センターは、まさに官庁と全く同じことをやるのですよ。  そんなことだったら、こういうものをつくらないで建設省が直接おやりになったらどうですか。建設省自身がおやりになれば、天下りも天上がりも何もないわけですから。それをわざわざ支援センターという住民に身近な存在であるかのように見せかけて、しかも、負担金を徴収する権限も全国で一つしかない、費用を助成する権限もこれ一つしかない。独占機関じゃありませんか。これは、官庁とどこが違うのですか。  私は、建設省そのものがおやりになった方がもっとすっきりするのじゃないかと。建設省自身がやりたくない理由、やれない理由はありますか。御説明ください。
  58. 那珂正

    那珂政府委員 この支援センター設立の趣旨の大きな柱は、先ほど御説明申し上げましたけれども、この新しい性能表示制度を運用していく上でどうしても残ってしまう個別の住宅に関する紛争を処理するために、全国に、弁護士会を想定しておりますけれども、個別の紛争処理機関というものを指定いたしまして、そこに弁護士初め建築の技術のわかっている者その他の人々が寄って、個別の事案について、いろいろあっせん、調停、仲裁ということをしていく。いわば裁判外紛争処理機関を各地につくるわけでございます。  何でそういう住宅専門の裁判外紛争処理機関ができるかと申しますと、これは弁護士会とも相当長期にわたって相談させていただいてきたことですが、一定の技術的支援それから一定の費用について、どういう負担をしたらいいかということが非常に問題になりました。  そのことにつきまして申し上げますと、住宅の表示評価制度でございますが、評価する際に、評価制度にのるすべての住宅について一定の負担をしてもらう。その一定の負担をしてもらったものをプールして、個別の紛争処理に要する費用に充てる。そうすることによって、何か問題が生じたときには、本格的な訴訟とか本格的に弁護士さんにお願いするというのに比べると、格段に安くお願いできるということから、なるべく住宅専門の紛争処理機関というものを円滑に実施していきたい。  そういうことで、どうしても、経費の点からも、それから技術的なノウハウ等の情報提供という観点からも、こういう機関が全国に一つ必要だということで、これはこの問題の性質からいって、建設省で経理するというわけにもまいりませんので、こういう指定法人という形式をとらせていただいたわけでございます。
  59. 岩國哲人

    岩國委員 趣旨はよくわかりますけれども、これがややもすると親方日の丸の示談屋みたいな、要するに、そこに建設省から、官庁から出向している、あるいは天下っておるということになりますと、結局、役所の手先だと。しかも、競争相手がいない、権限は全部そこに集中しているということになれば、これはまさに親方日の丸の示談屋みたいなことになりかねないわけです。  最近、各地でNPOの活動が非常に盛んになってきております。そして、NPOの中には、こういう財産に関するトラブル、住宅に関するトラブル、いろいろなことで走り回っている団体もありますけれども、このNPOを活用しようという考えは全くなかったのですか。簡潔にそこの点だけお答えください。
  60. 那珂正

    那珂政府委員 先生御指摘のようないろいろな団体が活躍されていることは承知しております。そういうことを、この紛争処理の機関の一つとして、検討の対象にもいたしました。  しかし、実際問題として、裁判にかわる制度として、裁判外紛争処理機関として、公正、中立なあっせん、調停、仲裁というようなことをしっかりとお願いできるところがあったかといいますと、なかったわけでございまして、そういうことで、検討はいたしましたけれども、こういうスキームにさせていただいたわけでございます。  ただ、全体的に、あっせん、調停、仲裁という仕組みとは別に、一般的にそこまで至らない住宅に対するいろいろな苦情とかそういう問題については、私どもは、消費者行政全体の観点から、この中でもいろいろな形で取り入れさせていただいておりますので、その一環として、今先生御指摘のような観点も大変重要だと思いますので、この法案には規定してございませんけれども、そういう観点もその運用に際してはぜひ取り入れさせていただきたいと思います。
  61. 岩國哲人

    岩國委員 行革特委がきょうも開かれています。そして、政府の案に対するいろいろな批判も出ています。  中央から地方へ、官から民へという二つの大きな流れでやらなければいけないときに、時々それに逆行している例も見られるわけです。この支援センターなんかも、民間でもできそうなものを官庁でやる。官から民へではなくて、民から官へですよ。そして、地方でやれそうなものを中央に一極集中する。中央から地方へじゃなくて、地方から中央へですよ。小渕総理大臣がおっしゃっている大きな流れと全く逆行することを絵にかいたような法案、構想がここに出ているわけです。  私は、そういうのは、民間の力、民間の活動というものをもっと信頼し利用する、そういうスリムな行政を目指すべきではないかということを申し上げて、この条文に関する質問を終わります。  次に、品質確保の問題ですけれども、個別の、壁がどうだ床がどうだという品質のグレードアップを図ることも大切ですけれども、どういう建材を使うかということが家の価値を随分変えてくると思います。家の価値の中には、健康にいいか悪いかということも含めて。  例えば、今から十何年前、私は日本の新聞で見ましたけれども、コンクリートでつくった犬小屋と木でつくった犬小屋と、同じ犬のきょうだいを別々に育ててみる。結果は、木でつくった犬小屋で育った犬の方がはるかにいい性格に育った。ある動物学者の実験です。犬でさえというと、犬に対して大変失礼ですけれども。  それでは今度、最近、静岡大学の教授が研究されたマウス、今度はネズミです。ネズミについてもおもしろい結果が出ております。これは林野庁の方にもその資料が出ておりますけれども、例えば、木でつくった小屋に入れるか、コンクリートか、鉄か、三種類にネズミを入れて育ててみた。気温が二十五度ぐらいのところで実験は行われていますけれども、これは初夏の季節です。木の箱だと九〇%は生き残った、金属の箱だと生存率は半分の四五%、コンクリートの箱では四%か五%しか残らなかったんです。生存率がこれぐらい違う。それから、体重の増加も違う。生き残ってはいるけれども、そういう生き残ったコンクリートや鉄の箱はやせておったということです。それから、男性の精子の数、雌の子宮。これも、精子は少なく、子宮はやせておる。  今、環境ホルモンの問題、少子化のことがよく言われていますけれども、私は、内閣の大きな方針として、木づくりの家にこれから若い人は住まなきゃならぬと。私は学者じゃありませんから、木づくりの家に住んだら精子が途端にふえて子供がたくさん生まれるとまでは言いません。しかし、こういう犬やネズミの実験でさえもこのように顕著な結果が出ているときに、今ここの国会の中で品質の確保程度の議論でいいんでしょうか。もっともっと木づくりの家を推進しろという方向こそ、私は大切じゃないかと思うんです。内臓の発達も違っておった。ですから、木づくりの小屋とか箱とかあるいは家というのは、健康にも、そういった生存率も高い。ああいう最近マンションに使われているコンクリートとか鉄の箱、それは地球にも悪いし子宮にも悪い、こういう結果が出ておるわけです。  それから、そのマウスの実験ですけれども、箱の中に入れてネズミたちがどこで休憩するか。コンクリートの上か、金属の上か、杉の木の板の上か。木の上で休んでいるというんです。これもやはり、動物の本能というものをどれが一番優しく受けとめているか。人間はもう本能を忘れつつありますけれども、犬、ネズミ、こういう動物は敏感にどれが体にいいのかを知っておるんじゃないでしょうか。そういう点も私は、こういう品質確保関連して、あるいは並行して、そのような木造住宅推進というものをもっともっとやらなければ、日本人の健康の問題にも地球環境の問題にも影響してくると思います。  例えば、保育所。ゼロ歳児から預かっておる保育所でも、ヒノキの床にして床暖房をしている。子供たちは喜んで床の上へ座っておる、そういう結果が出ております。そのように小さな子供、それから犬、ネズミ、そういう本能に一番敏感なところが木づくりの材質を一番喜んでいる。これも本当は、日本住宅に、住宅問題に取り組んでいるのは建設省であるならば、コンクリートが安いから、金属は安いから、長もちするから、安けりゃいい、長もちすればいい、早くできればいい、そういう観点からだけこの品質の問題を議論するのはおかしいんではないかと思います。  一九九一年、平成三年ですけれども、松江市で日本木材学会が開かれました。私は基調講演をさせていただいて、いろいろな大学の教授がいろいろな研究発表、その中でおもしろい研究発表が行われたんです。あなたの住んでいる家とあなたの寿命の関係について。関係あるんだそうです。高いところに住む人と低いところに住む人ではどっちが長生きできるか。低いところに住む人は長生きできる。コンクリートと木の建物ではどちらが長生きできるか。木の建物に住んでいる人の方が長生きすると。三番目、最後ですけれども、女性と男性ではどちらにその影響がより大きくあらわれるか。女性の方にその影響はより大きくあらわれるというんです。  三つの結論を一つにまとめたらどういうことになりますか。一階建ての木づくりの家に住んでいるおばあさんが一番長生きするということなんです。大体イメージ的にも皆さんおわかりでしょう。コンクリートのマンションの一番上に住んでいる男は一番早く亡くなるということなんであります。これから親孝行したい人は、おじいさん、おばあさんは木づくりの一階建ての家に住まわせてあげること、これから親不孝をしたい人があれば、まあそんなことを口にする人はありませんけれども、心ひそかにそういう計画をされる人があるとすれば、おじいさん、おばあさんはコンクリートのマンションの一番上に住まわせてあげる、それがこれからの親不孝のやり方だ、そういう結論が出ております。  人生五十年と言ったころは、影響が出る前に人生の方が先に終わっておったんです。今はそうじゃないでしょう。人生七十五年、八十年、八十五年、九十年、元気で長生きしなきゃいかぬ。もう一回木づくりの建物のよさというものを見直す、そういうことを政府は主体的に住宅建設の上でもはっきりと打ち出すべきじゃありませんか。  これからの親孝行も環境孝行も、木を使うことに私はあると思います。  そういった鉄、コンクリートに比べて、後の廃棄物となったときの環境に対する負荷も違うんじゃありませんか。そういう家を建てるときのコストの計算だけしないで、家を建て終わって二十年たって壊したときに廃棄物として処分するときのライフサイクルコストあるいは地域社会の自治体が負担しなければならない処理コスト、そういうトータルなコストというものを計算に入れて、住宅の専門の課としてはどういう判断をしてますか。今私が申し上げたような鉄、コンクリート、依然としてそれは丈夫で健康にもよくて、それでも全然大丈夫なんだという判断でこの仕事をやっておられるのか。そういう木の建物に対する認識は十分持っておられるのか。その点、簡潔に、持っておられるか持っておられないかだけでも結構です。
  62. 那珂正

    那珂政府委員 ただいま先生るる御説明いただきましたような住宅の資材としての木材利用の意味について、私どもも一定の理解をこれまでもしてきたつもりでございます。  特に、実際問題、個別の住宅については、木材のやわらかさとかよさとか、例えば調湿性とか断熱性とか、そういういろいろな素材としてのよさもこれまでも随分強調されておりますし、私どももそういう点を強調してきたつもりでございます。また、最近の新たな問題として環境問題といいますか、特に木材が循環型資源であるということについて、そういう高まりが世論としても高まっておりますけれども、私どももこの数年、そういう理解を非常に強くして、その循環型資源というものとして木材をもっと住宅建築の中に取り入れていけるような方策がないものか、種々検討しているところでございます。
  63. 岩國哲人

    岩國委員 そういったコストのシミュレーションをしっかりとやっていただいて、これからの住宅建設推進の上で、金属、コンクリートを使っているものについては廃棄物処分コスト税というものをかけるとか、あるいは逆に、木づくりのものについてはそういった後の迷惑賃が少ないから逆に当初の建設段階から助成金を払うとか、そういうことをやるべきではないかと私は思います。  次に、林野庁にもおいでいただいていますからお伺いしたいと思いますけれども、間伐材の利用という観点からいろいろな取り組みがなされておりますけれども、間伐材を住宅建材に利用するためのいろいろな工夫がなされている。そして、いろいろな小さなベンチャーほどきめ細かい工夫をしておられるんですけれども、林野庁として、そういう間伐材の利用促進あるいは研究開発、技術開発について特別な助成金を出しておられるか、あるいはこれから出す考えはおありかどうか、その点だけお答えください。
  64. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のとおり、今、日本の森林を健全に育てていくためには、きちんと間伐をし、間伐材を有効に利用するというのは大変重要な課題でございます。  私ども、この間伐材を有効に利用していただくために、間伐という行為自体に対する補助金、これを年々充実強化いたしておりまして、平成十一年度も間伐の予算が三百三十二億で、前年比四・二%増でございます。この中で、今までは伐採を補助対象にいたしましたが、山元のストックポイント、林道等の作業のポイントまでの搬出経費も新たに補助対象とする等の充実強化を図っておりますが……(岩國委員「それは業者に対する助成」と呼ぶ)業者に対する助成は、私ども、最近、試験研究に対する助成の制度を持っておりますが、かつ、ベンチャーもいろいろな工夫をしておられます。私ども、そういう制度を持っておりますけれども、実際にそれを御活用いただく業者の方はまだまだ少ないのが現状でございまして、この制度を十分情報提供いたしまして、御活用いただきたいと思います。
  65. 岩國哲人

    岩國委員 ありがとうございました。  もう一つ、農水省及び林野庁、これは両方への質問といいますかお願いですけれども、最近は、子供の教科書に木とか植物に対する記述が非常に少なくなってきている。我々が小さいころは、小学校一年生の教科書、大臣も覚えていらっしゃるでしょうけれども、「サイタ サイタ サクラガサイタ」と、いきなり桜が飛び出したのです。今は、桜も竹も出てきませんよ。何が出てくるか。犬、猫、ラクダ、豚、自動車、トラック、環境に負荷の高いものばかり出てくるのです。昔は、温暖化防止に役に立つものの方が国語の教科書に書かれておったのです。  こういう点を、環境庁も林野庁も農水省も、もっと木と親しませる、自然との共生、環境との共生と言うのだったら、まさに木づくり住宅こそ自然との共生じゃないですか、二十四時間、毎日毎日やっているわけですから。そういう環境の観点からも、温暖化防止の観点からも、私は、日本の子供たちにもっと木を身近に感じさせる、木の名前を覚える、覚えるから木と友達になる、そのようなことをやるべきだと思います。  出雲市の例を言って恐縮ですけれども、出雲市は木のお医者さんもつくりました。樹医制度。林野庁はそれに倣って全国に樹木医、今五百人つくっていらっしゃいます。木にも命がある、子供たちにそれを知らせる一番わかりやすい方法だと思います。  同時に、国語の教科書にももっともっと、自動車や犬や猫ばかりじゃなくて、桜とか、松竹梅というのですからせいぜい松と竹と梅ぐらいは一年生の教科書に出てくるようにしていただきたいということをお願いしておきます。  時間がなくなってまいりましたけれども、最後に環境庁の方に。  住宅は、害のない住宅、健康な住宅をつくろうということですけれども、住宅を建てたところの立地条件、環境がどうかということもこれは人間にとって大変大切なことなんです。いい家を建てたけれども、その後、何か騒音が激しくなった、においがする、あるいはほこりが舞い込んでくる。日照権なんというのはもう既に一つの例ですけれども、それ以外の見えざる公害、目立たない公害は、保証期間の十年の間に随分変わってくる。つまり、最初はいいと認定したものが、保証期間の十年の間に周りの環境はすっかり変わってしまうということもあります。そういう環境アセスということを環境庁は最近非常に強調しておられるわけですけれども、この環境アセスの中に、山がどうなった川がどうなったといったような環境アセスだけではなくて、住環境のアセスということも皆さんの調査の対象に入っているのか、あるいはこれから入れようとしておられるのか、時間がありませんから、簡潔にそこの点だけお答えください。
  66. 遠藤保雄

    ○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。  大規模な事業開発が住宅地の周辺で行われる場合におきましては、そういう事業者に対して環境アセスというのを義務づけております。そういう場合に、先生御指摘の騒音とか悪臭なんかも当然対象に入ります。  ただ、今先生御指摘の事例ですと、いろいろ道路事情が変わってくるとか、あるいは小規模な開発がいろいろな形で出てきて騒音とか悪臭の問題が出てくるということの場合には、これは悪臭防止法とか騒音防止法とかそういう個別の規制法で、いろいろ基準をクリアするようにというような形での対応をしているところでございます。
  67. 岩國哲人

    岩國委員 先ほども申し上げましたけれども、特に兵庫県あたりは森のゼロエミッションという形でもって、そういう環境に害を与えない、むしろ環境に貢献する森のあり方、あるいは地域のあり方、非常に熱心に取り組んでいる県の一つでもあります。そういう循環型社会ということを目指さなければならないときに、また、住宅の質のあり方、あるいはどういう建材を使うかということは、私は、これからの循環型社会の上で非常に大きなウエートを占めると思うのです。  まず、これから育っていく子供たちにどういう木との親しみを与えるかどうか、これは一生涯を支配するものであります。木と親しみを覚えない子供たちに、やれ地球環境だ、自然環境だ、温暖化だ、そんなことを四十歳、五十歳になってから言ったって話は始まらないと思います。小さいときから木となじませる、それは国語の本に木をたくさん入れる、もう一つは、二十四時間自分の住む家が、家そのものが木づくりだ、自然と共生しながら生活できるような、決して全員がそれをできるわけじゃありません、東京の場合には難しい問題もいろいろあります。  しかし、可能な限りその木造住宅の比率というのをこれ以上落とさないような施策というものが、私はこの品質確保という観点の中に欠落しているのじゃないかと思うのです。何を使うかは自由に選びなさい、選んだものが品質がいいかどうかだけを判定しましょうという次元だけの問題ではないと思います。この新しい法律を機会に、私は、これからの日本における住宅思想のあり方そのものをもう一度みずから問い直す、それが必要ではないかと思います。  住宅と環境を共生させる、例えば、鳥が喜んで来るようなそういう共生、それは一つの共生の象徴でもあると思います。そういう住宅と人間との共生、住宅と環境との共生というテーマに直ちに取り組んでいただいて、単に品質がいいか悪いか、工法がしっかりしておるかどうかというふうな次元だけの問題でこれからの住宅建設が進められることのないように私は強調させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  68. 平田米男

  69. 大口善徳

    大口委員 公明・改革クラブを代表いたしまして質問させていただきます。大口善徳です。  欠陥住宅の問題につきましては一刻も早い対策が必要であります。私自身も、阪神・淡路大震災以来、再三にわたって指摘をさせていただきましたし、昨年の五月の建築基準法改正の建設委員会での審議におきましても、いろいろと質問をさせていただきました。今回の住宅品質確保法案は、一年前の私の質問に対する建設省からの回答であると考えております。それで、そのことに対して、私としては評価をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。  まず、前通常国会、一年前に指摘した事項と、また、今回提出されたこの法案の内容について確認をさせていただきたい、こう思います。  まず、昨年五月の建築基準法改正法案の審議において、私の質疑とこれに対する答弁とを比較して、今回の法案がどのような内容になっているか確認いたしたいと思います。  私は、その際に、欠陥住宅の予防と救済対策として二つの面からの対策を主張いたしました。  一つは、まさしく住宅性能表示制度、これについて創設をすべきではないかとこういうふうに言ったわけでございます。すなわち、欠陥住宅問題の事前予防として、性能を消費者にわかりやすく伝えるということが重要である。これは、わかりやすいということとともに、十分な情報を提供する、このわかりやすく、しかもなおかつ十分な情報を提供する、こういうことが重要である。そういうことで、フランスの性能表示制度でありますキャリテル制度というようなものも例に挙げて、住宅性能表示制度の創設、整備拡充が必要だ、こういうふうに言いました。今回の法案によっても、住宅性能表示制度が実施されるようになって、第三条の第一項で、具体的な内容は、これは建設大臣が告示で日本住宅性能表示基準を定める、こういうことになっているわけです。  そういうことで、消費者にわかりやすいということと、それから十分な情報を提供する、こういうことのために、現在、日本住宅性能表示基準において、これはこれから検討されていくわけでありますけれども、その性能表示基準の中身についてどういう検討がなされているか、どういう方向性で検討をしていくのか、ここについてまずお伺いしたいと思います。
  70. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、まさに消費者に対する、住宅建設に関する、住宅に関する十分な情報の提供が必要だというような趣旨から、この法案の第一の柱であります住宅性能表示制度、評価制度を今組み立てている段階でございます。  そこで、お尋ねでございますが、その内容をどういうふうに考えているかということでございますけれども、まず、住宅性能表示すべき項目につきましてでございますけれども、これは構造耐力とか防耐火性能、あるいは遮音性能、省エネルギー性能、耐久性能など、その他の事項について今鋭意検討をしております。法案が成立いたしまして施行するまでの間、さらに詰めていきたいと思います。  そこで、問題は、それをどういうふうに消費者にわかりやすく表示するかということでございますが、これもまた私どもも非常に知恵を絞っているところでございまして、住宅の性能というのは大変複雑で、スケールとしては人間から見た場合非常に大きいものですから、なかなか定量的にあるいは客観的に入居者、消費者としては理解しにくいといううらみがございます。  そこで、一つは、なるべく性能というものを定量的に表現できるかというのが第一だと思います。それで、定量的に表現できないまでも、次はランクとして表現できないだろうか。それもできないものもあるかもしれません。しかし、絶対表示した方がいいという項目については、何らかのその性能に関する重要な措置がとられているかどうかという措置の有無だけでも表示した方がいいかもしれない、こういうようなことを全般考えまして、鋭意検討中でございます。  もちろん、この検討に際しては、建築やそういう専門家の方々の意見も聞きますし、あわせて、消費者にお示しする情報でございますので、消費者の団体の方々とも十分意見交換をして、わかりやすい的確な表示、表現方法を考えていきたいと思います。
  71. 大口善徳

    大口委員 そして、この性能表示制度をつくったわけでありますから、私は、宅建業法の重要事項、説明事項として確実に取引の場においてこれが消費者に伝わるような仕組みをつくることが大事だ、こういうことも昨年指摘をさせていただきました。  そういうことで、この宅建業法の重要事項説明書に記載する等々についてどう考えておるか、お伺いします。
  72. 木下博夫

    ○木下政府委員 改めて申し上げるまでもないんですが、やはり今回の法案のねらいとしては、住宅の購入者あるいはその連合体である例えばマンション管理組合というサイドと、それからそれを提供させていただく建設業者なりあるいは不動産業者、こういうところのいわばコンビネーションといいましょうか、つき合いの中で起こってくる問題を解決する一つの方策であろうかと思っています。したがいまして、私どもとしては、先生がお話しのございました宅建業法三十五条の中のいわば重要事項説明というのは、この手だての中では大変有力な場面ではなかろうかと認識しております。  まだ具体的にどういうものをということは、先ほど来住宅局長がお答えしましたいわば基準の設定そのものの内容もこれから詰めていかなきゃいけないと思いますが、性能表示につきましても、購入者にとっては重要な情報であるという認識は持っておりますので、したがいまして、宅建業者が説明するいわば重要事項としての位置づけ、これはもう恐らく省令レベルになろうかと思いますが、そういう取り扱いで前向きに検討させていただきたい、こう思っております。
  73. 大口善徳

    大口委員 今、前向きな答弁がございました。重要事項説明書、重要事項を説明するということ、有利、不利にもかかわらずとにかく情報をきちっと提示していく、開示していくということがこれはもうこれから大事になってくるんじゃないか、そういうことで今前向きな御答弁ありましたので、省令等で検討していただきたい、こういうふうに思います。  次に、瑕疵担保責任について、昨年の審議において、旧四会約款で瑕疵担保期間は二年となっているが、瑕疵担保期間はある程度適正な年数を確保すべきではないか、こういうふうに私が質問させていただきました。それに対して当時の住宅局長が、短くても十年単位の責任期間がある制度が欲しい、こういう答弁があったわけであります。今回、法案を見てみますと八十七条、八十八条にこのことが出ておるわけでございますが、この点について説明をお伺いしたいと思います。
  74. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘になりましたように、瑕疵担保期間というのは民法上短縮可能であるため、実態上、新築住宅の請負や売買契約においては通常二年程度に限定されているケースが非常に多いわけでございます。しかし、二年目以降十年以内に瑕疵が顕在化するというケースも多いわけでございまして、瑕疵担保期間が二年に短縮されているために裁判でもそういう責任が認められなかったという消費者、取得者側の不利な状況も多々見られます。  こうしたことから、今回、住宅の新築の場合について、住宅の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分のうち、一定部分について十年間は瑕疵担保責任を負わなければならないこととしたわけでございます。あわせて、民法上明文化されておりません売買契約における修補請求についても、一定の規定を置いて明文化することとしたところでございます。
  75. 大口善徳

    大口委員 そして、これはもうこの委員会でも西川委員が挙げておられましたが、あの秋田県の第三セクターであります秋田木造住宅株式会社、それからその子会社であります株式会社秋住、これが東京地裁から昨年の二月、破産宣告を受けたわけであります。これは、法文上瑕疵担保責任の期間も十年にしたということで、そういう点では、その被害者の方に対して補償を厚くするということは理解できるわけでありますが、しかしながら、瑕疵担保責任を負担する業者が倒産をしてしまったら、これはもう損害賠償請求権があってもまさしく絵にかいたもちであって、被害を救済することができないわけであります。  そういう点で、業者が倒産したときの問題に対応するために保険制度の一種である住宅性能保証制度、これがあるわけでして、私は昨年もこの委員会で、こうした制度をもっと充実させることが非常に大事だ、そのため登録料をできるだけ下げて利用しやすいようにすべきではないか、こういう提案をさせていただきました。それに対して予算等いろいろと措置をとられておるようでございますが、その私の提案に対する改善、いかに改善したいのか、このことについて質問をさせていただきます。
  76. 那珂正

    那珂政府委員 今法案によりまして瑕疵担保責任期間が延びたことに伴って、万が一、中小の建設業者が修補等の責任を全うするために負担がふえて経営が脅かされたりしては本来の趣旨からいっておかしいということで、住宅性能保証制度というものを裏打ちする形でこういう対応をしたらどうか、こういうふうに考えているわけです。  この住宅性能保証制度、現行の保証制度でございますが、これにつきましては、今申し上げましたように、いざというときに経営がちゃんとしている、それは同時に、本当に万々が一倒産した場合にでも非常に有効であるというふうに考えております。  先生お尋ねの、本制度をどういうふうに利用しやすくしたのかということでございますけれども、国費を活用いたしまして本年度措置いたしましたが、瑕疵保証円滑化基金というものを創設いたしまして、これによって中小住宅生産者がこの住宅保証制度を活用する場合に業者登録料及び住宅登録料を、段階的にあれですが、最終的に二割程度安くするというような措置をとることといたしました。
  77. 大口善徳

    大口委員 これについては、やはりこういうソフトの面においても予算をしっかり使っていくということが私は非常に大事だろう、こういうふうに思います。  実は、欠陥住宅の問題で、私、静岡県なものですから、静岡県の沼津のある御婦人と、それから東京のある御婦人でございますが、わざわざ私の静岡市の事務所に欠陥住宅の問題で相談に来られました。私、沼津の方が相談に来られるということだと思っていたものですから静岡市で聞いたわけですが、実は、そういうことを聞いてくれる衆議院議員がいるんであればということで、その東京の方も一緒に来られたようです。  実は、その東京の御婦人は、東京から静岡市まで何と、普通は新幹線で来ますよね、ところが、ずっと普通の電車で、東海道線で乗り継いできた、朝五時ぐらいに出てきた。なぜかというと、欠陥住宅を七千万台のお金で購入した。ところが、欠陥住宅地盤の問題があって、そしてこういう先の経済状態もございますので、本当に生活を切り詰めて、そしてこの欠陥住宅の問題も抱えながらやっている。その実態を聞きまして、私は非常にショックを受けたわけでございます。  そういうことで、昨年、私は、この住宅専門の裁判外の紛争処理機関の設置、こういうことを提案させていただいたわけでございます。住宅紛争というのは非常に経済的にも負担がかかりますし、時間もかかります。また、専門知識が要ります。そういう点で、裁判外の迅速な紛争処理というものが非常に必要である、こう考えたわけでございます。  これについても、今法案においてこれは実現をしているわけでございますけれども、その中身、そしてまた住宅紛争処理支援センターというものもできたわけでございますけれども、これについて、もっと広く、評価住宅以外の住宅を含めた法的な紛争に、法的な紛争となると裁判所あるいはその紛争機関になりますけれども、そういうクレーム、苦情処理についてもその窓口ともなっていくべきじゃないか、こう考えておりますが、いかがでございますか。
  78. 那珂正

    那珂政府委員 本法案では、建設大臣が弁護士会等を住宅専門の裁判外紛争処理機関、法文上は指定住宅紛争処理機関という呼び方でございますが、として指定することとしてございます。指定住宅紛争処理機関は、性能評価書が交付された住宅建設工事請負契約または売買契約に関する紛争についてあっせん、調停、仲裁ということを行うこととしております。  また、あわせて、先生もお触れになりましたけれども、建設大臣建設関係の既存の公益法人を住宅紛争処理支援センターとして全国に一つ指定することとしておりまして、ここがこの裁判外紛争処理機関として各地に指定されます紛争処理機関に対する情報提供あるいは紛争処理委員の研修等のバックアップを行いますが、そのほかにも、ただいま先生御指摘になりましたように、評価住宅以外のもろもろの法的紛争までは至らないクレーム、苦情などの相談などを受け付け、対応することとしております。
  79. 大口善徳

    大口委員 そういうことで、私が昨年指摘させていただいたことについて、一年後ではありますけれども、制度として性能表示制度、こういう形でできましたし、また基金も設置されて、より住宅性能保証制度の拡充ということをされたわけでありますけれども、次に、この法律がより効果的にやはり機能していただかなきゃいけない、また、今後の課題について質問をさせていただきたい、こう思います。  最初に、先ほども取り上げられておりましたが、地盤との関係について、もう参議院でも議論をされたようであります。地盤が原因となった瑕疵は不同沈下などの重大な欠陥を発生させるものである。これと、建築基準法との関係を再確認したいと思うわけです。  建築基準法上の義務について、今回の法案の内容である瑕疵担保責任の強化や住宅性能表示制度も重要でありますが、やはり、そうした制度が効果を発揮するために、最低の基準ですべての建築物が遵守すべき建築基準法が遵守されていること、これが重要であるわけです。  そして、先ほども、千葉県において供給した多くの住宅欠陥住宅であったというあの秋田木造住宅株式会社及びその子会社である株式会社秋住、こういう問題が判明しているわけでございますけれども、これらの欠陥住宅について建築基準法上の建築確認、それから完了検査が、この秋住の場合あるいは県木住について実施されていたかどうかということを一つ確認したいわけです。  そして、もし建築確認が、あるいは完了検査が実施されていた、にもかかわらず重大な欠陥ばかり発生したということになりますと、そもそもそういう建築確認、完了検査という制度そのものに大きな疑問がわいてくるわけですね。そこら辺についてまず確認をしたいと思います。
  80. 那珂正

    那珂政府委員 お尋ね千葉山武町で起きました、秋住の供給した木造住宅のいわゆる欠陥住宅問題でございますが、これにつきましては、総戸数二百七十七戸建設されたわけでございますが、千葉県におきまして建築基準法に基づく建築確認が行われ、その二百七十七戸のうち一戸はちょっと例外として、二百七十六戸については完了検査が行われ、検査済証が発行されております。そういう点では、先生の御指摘のとおり、事実でございます。  建築基準法上の完了検査が実施されていたにもかかわらず、何でそういう問題が起きてしまったかということでございますけれども、基本的には地盤の問題であるわけで、建築確認、完了検査という手続の中で十分見られたかどうかという問題は別途ありますけれども、このケースについて言いますと、さらに問題は複雑でございまして、建築基準法においては、今回対象となっておりますような小規模な木造戸建て住宅につきましては、建築士が設計をし工事監理をしている、そういうものについては、構造に関する規定については審査が省略されます。  したがって、現場での完了検査も行きましたけれども、都市計画との関係等の、いわゆる建築基準法上の集団規定に関するチェックはいたしましたけれども、構造上のチェックは、建築主事のチェックは受けていないということでございます。  一般論として申し上げますと、昨年改正させていただきました建築基準法でございますけれども、こういうことを未然に防ぐためにも、設計、工事監理に関する詳細な報告書の提出とか、あるいは完了検査時に今のような特例を受ける場合には、基礎の配筋工事状況などに関する写真の提出を義務づけるとか、あるいは改正法そのものでございますが、特定行政庁が指定する一定建築物については中間検査も行うというような措置を講じて、今のような、言ってみれば抜けがないように改正建築基準法の運用をしていきたいと思います。
  81. 大口善徳

    大口委員 そういうことで、構造的なチェックをなされていなかったということでございますが、やはり建築基準法の検査、これは十分に機能しているということが大事でありまして、そこで、建築基準法において、地盤についての規制がどうなっているのか、それから、地盤について調査義務についての規制があるとしたならば、特定行政庁等によって具体的にどのようにチェックされているのか、お伺いしたいと思います。
  82. 那珂正

    那珂政府委員 建築基準法におきましては、まず第二十条及びこれに基づく政令三十八条において、建築物の基礎というのは、地盤沈下または変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならないという基本原則が決まっているわけでございます。さらに、本法十九条二項におきまして、湿潤な土地等に建築物を建築する場合においては、地盤改良等の安全上必要な措置を講ずるべきものとされているわけでございます。  具体に、それではどういう敷地の安全性を確認するのか、その方法はどうかということになりますと、これは建築物の規模、階数に応じてそれぞれ異なっております。  例えば、三階以上の建物、規模の大きいものにつきましては、施行令の九十三条において、地盤の種類に応じて定められた耐力、あらかじめ大臣が定めた地耐力を採用するか、あるいは大臣が定めた調査方法によって地盤調査をした上で、基礎の構造安全性を計算によって出しなさい、こういうふうになっているわけでございます。  問題は、それ以外の小規模な木造住宅等でございますが、これについては、構造計算による安全性確認の義務は課しておりません。  しかし、先ほど申し上げましたように、基準法十九条二項あるいはこれに基づく政令の三十八条等におきまして、安全な敷地に基礎というものは設けるんだという一般的な義務がありますので、小規模な木造住宅といえども、やはり水田を盛り土したような敷地等、明らかな状況については、しっかりと地盤状況を配慮した設計にしなければならないとされているところでございます。  また、二つ目のお尋ねでございますが、地盤についての調査義務でございますけれども、今申し上げましたように、比較的規模の大きいものについては、構造計算をする際に、あらかじめ大臣が定めた数値、または自分で一定地盤調査をするようにという定め方をしております。
  83. 大口善徳

    大口委員 建築基準法上のいろいろな調査ということがあるわけでございますが、それを今度、建築基準法をくぐり抜けて万が一地盤による欠陥住宅が発生した場合に、この瑕疵担保責任によって救済されるかということが確認されなきゃいけないと思います。これも先ほど同僚議員の質問があって、地盤の問題も基礎の問題として広く拾い上げていく、こういうことでございました。ということで、そこら辺のこと。  そして、売買契約の場合は、通常土地も含まれています。だから、瑕疵担保責任対象になるということが言えると思います。問題は請負契約の場合であって、これにつきまして、施工の前提として地盤の調査義務がある、その調査義務に違反した場合に、基礎などの住宅瑕疵として、本法律案瑕疵担保責任を踏まえる、こういうことが同僚議員の質問で答えがありました。  それで、一般的な法理論として、そのとおりだと思うんですね。ただ、実際、訴訟などにおいて調査義務違反を具体的に証明する必要が出てくる。そして、この調査義務とは、どのような、どの程度の内容なのかということがそういう点で重要になってくるわけであります。ここで、地盤調査義務の内容、具体的にどの程度の調査義務を指すのか、そういうこと。  それから、最低限の調査義務として、やはり建築基準法上の調査義務があると考えていいのか、ここら辺についてお伺いしたいと思います。
  84. 那珂正

    那珂政府委員 私法契約上の義務は契約ごとに異なりますので、地盤の調査義務の程度についても最終的には個々の契約内容によるかと思います。  ただ、先ほど来御指摘もありましたように、私どもも御説明申し上げていますように、建築基準法上の義務というのはすべての建築物が遵守すべき内容でありますので、少なくとも建築基準法上求められている地盤の調査義務はその契約内容となるというふうに通常解されると思います。
  85. 大口善徳

    大口委員 これによって、実際、地盤調査義務違反ということで裁判でもって瑕疵担保責任が追及されるわけでありますけれども、やはり裁判になるようではいけないわけですね。私も今説明しましたように、大変な負担が一般の方々にかかるわけです。ですからこそ、十分な事前チェックというものをしなきゃいけない。建築基準法上の地盤調査義務の内容というのをはっきりさせて、特定行政庁等によって十分な事前チェックをすべきである。そういうことで、昨年、建築基準法の改正で、中間検査を導入して、そしてまた民間も確認あるいは検査ができるようになったはずでございます。  現時点において、こういう中間検査を導入する予定の公共団体の数、それはどういうところか、それから、民間確認検査機関の申し込みの見込み件数、これがどうなっているのかについてお伺いをしたいと思います。
  86. 那珂正

    那珂政府委員 改正建築基準法に基づきまして中間検査を実施を予定しているところでございますが、現在のところ、指定の公示を十六の特定行政庁で行っているところでございます。その他につきましても、相当数準備をしているというふうに認識しております。  また、指定確認検査機関でございますけれども、建設大臣がこれまで、五月一日からでございますけれども、この一カ月余りの間に指定したものは二機関でございまして、都道府県知事の指定に係るものは、東京都と宮城県において各一機関現在までのところ指定されている状況でございます。
  87. 大口善徳

    大口委員 今、まだ時間も間もないということでそういうことであったわけでございますけれども、今後、体制の充実を図って、地盤についての建築基準法上のチェックを強化を可能にする、そういうことが必要不可欠だ、こう思っております。  そしてまた、建築基準法上の地盤検査の強化については、これは小規模な木造住宅等が、これはある意味ではその部分が非常に問題になっておるわけでございますが、大臣、積極的にこれにつきましては検討していただきたい、こう思っておりますが、いかがでございますか。
  88. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 地盤の問題でございますが、これは私的なことで恐縮でございますが、私も昔東京で古い中古の住宅を借りまして、それに新婚当初住んでおったわけでございますが、入りましたときに、ごくわずか廊下が傾いておるものですから、いや、こんなこと平気だろうと思って住んでおりましたが、とんでもない話でございまして、もう一週間もしないうちに三半規管がおかしくなって、異常な経験をしたことがございます。  確かに、これは本当に、今回の法案は新築された家自体に絞っておるわけでございますが、やはり建築物の安全性確保する、その中で地盤の検査の強化というのは私は重要なものだろうと思っております。それで、小規模な木造住宅等基礎の基準について、地盤状況に応じて、より一層の安全性確保するための措置を今後とも検討していきたいと思っております。  こうした建築基準法上の措置とあわせて、適切な地盤調査の必要性とか、あるいは比較的低コストで実施できるでありましょう地盤調査の方法等については、住宅の提供者でございます供給者に対しまして、普及啓発といいましょうか、いわゆるそういう指導を進めていきたいと思っております。
  89. 大口善徳

    大口委員 次に、裁判外の処理機関について、弁護士会がこれから重要な役割を示すわけであります。そこで、指定住宅紛争処理機関についてお伺いしたいと思うんですが、これは特に弁護士自治との関係で重要な問題がございます。  一つは、紛争処理機関は個別具体的な法的紛争を扱うわけでありまして、その紛争処理にかかわる紛争処理委員あるいは事務職員に対して秘密保持義務、これを課している、これに対して罰則が科されているということで、これは当然だと思うんですね。  ただ、気になるのは、紛争処理機関の役員または職員がこの秘密保持義務に違反した場合に、違反者のみならず紛争処理機関自体に対しても罰金が科されるという両罰規定が九十七条に規定されている。例えば弁護士会が紛争処理機関となった場合に、その紛争処理に関する役職員が秘密漏えいを犯した場合、弁護士会自体に罰金という刑罰が科されることになるわけでございます。弁護士会自体が刑罰というものを科される、こういう両罰規定の必要性はどうなのか。  二番目に、指定紛争処理機関となった場合、建設大臣の報告徴収あるいは業務改善命令に従う義務、これが課されるわけであります。こうした場合、建設大臣の紛争処理機関に対する指導監督の内容というのはいかなる範囲を想定しているのか。例えば、個別の紛争処理の妥当性に介入したり、あるいは弁護士の本来の業務に介入するということが万が一でもあるのか、それをお伺いしたい。  三番目に、弁護士会というのは弁護士自治というものは最重要視いたします。そういう点で、今回の法律が通りましたら、その運営に当たって建設省が十分に説明しないと、私は協力が得られない。弁護士会が入るか入らないかというのは今回の制度に非常に大事になってきます。そういう点で、紛争処理の運営方法全般について十分に弁護士会と協議を進めるべきである、こう考えますが、以上三点、お答え願いたいと思います。簡潔に答えてください。
  90. 那珂正

    那珂政府委員 大変重要かつ微妙な問題でございますので、ちょっと丁寧に答えさせていただきたいと思います。  御指摘の、紛争処理関係する住宅紛争処理機関の役職員による当該紛争に関する情報の漏えいというのは、関係者にとってプライバシーの侵害など多大な不利益をもたらすものでございます。雇用契約等に基づく監督権限等を有する紛争処理機関の適切な指導監督により、役職員による秘密保持義務違反の防止を図っていただく必要があるわけです。  そこで、これらの指導監督を適正に担保するため、役職員が秘密保持義務違反を行った場合には、雇用契約等に基づく監督権限等を有する指定住宅紛争処理機関に対して罰金を科してその防止を図ることとしたものでございます。  ただし、役職員以外の紛争処理委員に対しては、指定住宅紛争処理機関は具体的な監督権限を有するものではありませんので、紛争処理委員による秘密保持義務違反行為については、これは両罰規定の対象とはなりません。  また、もう一つの御指摘でございますが、紛争処理機関が住宅性能評価機関等に対して資料提出要求等の権限を持っております。一方で、その評価機関やその評価員に対しては秘密保持義務あるいは両罰規定などを課しておりまして、秘密漏えいを防止しようとしていることの均衡を図る観点からもこの両罰規定は必要ではないか、こういうふうに思っております。  またさらに、三つ目におっしゃった、こういう問題について弁護士会あるいは日弁連等ともよく話し合うようにという御趣旨でございますが、その点については、全く私どももそのつもりでおります。
  91. 大口善徳

    大口委員 今回、九十一条に「国及び地方公共団体は、住宅品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、必要な情報及び資料の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」こういうふうに書いていまして、これは新築住宅だけじゃなくて住宅全般について改善を目指している、こう思うわけです。  そういう点で、まず第一に、中古住宅の流通拡大、質の向上のために、中古住宅、新築後十年であれば、転売を受けた取得者も残った期間は瑕疵担保責任を追及できるようにすべきだ、私はこう思います。いわゆる転売条項が必要である、こういうふうに考えるわけですが、これについて見送った理由はどうか。そして、私は、このことについては実現に向けて建設大臣に決意を述べていただきたい、これがまず一つ。  二番目に、より高品質の中古住宅が市場に提供される仕組みが重要である、こう考えます。今回の法案はその大きな前進と考えるわけですが、これにつきましても大臣に、この中古住宅についてどうなのかお伺いしたい。  三番目に、住宅性能表示について、新築とは限定されていない、中古住宅住宅性能表示の実施、これを念頭に置いていると考えてよいのか、その実施時期はいつなのか。  四番目に、現時点において性能表示の対象は新築に限定されていることでありますが、中古の性能表示ができない状態でも、住宅性能評価書がきちっと流通していくことが大事だと思う。せめて、宅建業者による媒介がなされた場合に、重要書類として買い主への交付義務や重要事項説明義務の対象とすべきではないか、これが四番目。  五番目に、中古住宅がより質のよいものとして流通していくために、中古住宅を購入しようとする人が、住宅性能評価書も含めて、修繕履歴等の履歴情報を確実に手に入れることが必要である、こう考えます。これについて具体的にどうなのか。  それで、私が、本年の二月の四日、予算委員会でもマンション問題をさせていただきました。大臣から大変前向きな答弁がなされ、次から次へと私の提案について具体的な形で出していただきました。そこで、中古マンションについて性能表示制度の導入、そして、履歴情報の登録制度の創設、修繕履歴の重要事項説明書への記載、この三点について、本年二月四日、提案させていただきました。これについてどう対応されるのか、お伺いしたいと思います。
  92. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 一番最初の、転売の条項が実現できなかった理由等々につきましては後ほど局長からお話をしていただきたいと思うのでございますが、この中古住宅の市場を拡大したいというのは、私も、今の立場になりましてから最初から考えておったというか、先生方にも意見交換させていただいたわけでございます。  やはり人生八十年のサイクルで動くとするならば、それは最初は二人であって、それから子供さんがたくさんできればそれだけ大きなものになってくる、そして老後は二人でまたもとに戻るわけですが、そういうときは、中古のきちっとした履歴のものを買うことができるような、そういうシステムがあればいいなと思っておったわけでございまして、今やその方向に、先生の御指導等々いただきながら動いておると思うわけでございます。  ただ、今回、転売を受けた取得者も残った期間内は瑕疵担保責任を追及できることとする措置は、これはそういうことがあればよかったんですが、今、現時点におきましては、法案の検討過程におきましていろいろな問題点が残ったようでございまして、今回は見送るということになったようでございます。今後、住宅の履歴情報の整備などの解決すべき課題について真剣に対処しまして、それが解決できましたらそういうような条項も入れていくようにしていきたいと思っております。  ですから、これからは住宅性能表示制度の整備というようなことが重要になってくると思うわけでございまして、そういうことを通して中古住宅の流通の促進にも努力をしていきたい。そして、リフォームなどをしたときの履歴情報の蓄積といいましょうか、そういうものもしっかりとした形でやっていきたいと思っております。  あと、事務的に局長よりひとつ。
  93. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど重要なことでちょっと答弁漏れがありましたので、簡単につけ加えさせていただきます。  建設大臣の指導監督内容でございますけれども、建設大臣による紛争処理機関に対する業務改善命令については、その処理機関があっせんとか調停とか仲裁を、そもそもその当事者間の合意でやっているわけでありますから、大臣が個別の紛争処理自体の妥当性の判断に介入するということは全くなじまないもの、全く考えておりません。  それから、転売条項についてなぜ外したかということでございますが、今大臣からもちょっと触れさせていただきましたけれども、要するに、当初の住宅供給者から一人目の購入者、消費者に渡った時点ではよろしいんですけれども、それが次のAさんまたはBさんと渡る間に、当初の供給者というものは、現行登記関係においては、登記上はあらわれませんので、Bさん、Cさんから見ますと全くわからなくなってしまう、登記上のそういう問題もありまして、これもいろいろ相談したんですけれども、やはり現行制度ではなかなか大変だと。むしろ、私どもとしては、今大臣が申し上げましたように、登記とは別の何か修繕等の履歴情報を積み上げていく、蓄積していく制度はどうか、必要だな、こういうことから、これは取り除いた次第でございます。  それから、中古の住宅性能表示につきましても、今新築に限定しておりますけれども、これは、一定の技術的知見がどうしても中古の場合には得られないということでございまして、その技術的知見を得られるよう、なお努力してまいりたいと思います。  また、マンションの履歴情報につきましては、特に修繕等の履歴情報についてお尋ねでございますが、先ほどの、一般的な新築後の住宅改善、修繕あるいはその所有権等々の履歴が何らかの形で客観的に蓄積される制度を模索するとともに、とりあえずマンションについては、実態的に正しい履歴情報が実際的にもし公開されるならば、それは何らかの形で公示されるような方法はないものだろうか、少し分けて考えていきたいと思っております。
  94. 木下博夫

    ○木下政府委員 前提は今住宅局長からお答えしたとおりでございますが、先ほど先生の御質問の中に、宅建業者に対する、媒介の場合の重要書類としての義務づけ等について御質問がありましたのでちょっと補足をさせていただきますが、改めて申し上げることはないんですが、住宅性能評価書は、現時点では新築に対しての情報ということでございますので、私たちとしては、今後、中古につきまして、順次、転換していく新築住宅については当然情報が積み重なっていくと思いますが、既に中古になっているものについてどうかということでございます。  流れとしては、私たちは、この住宅に対する履歴は大いに蓄積すべきであろうと思っておりますので、そういう視点の中から、言うならば信頼性とか有効性とか、それから、何分にも宅建業法につきましてのいわば重要事項は行政処分対象になる義務づけでございますから、そのあたりも加味、あわせて考えさせていただきたいと思っております。
  95. 那珂正

    那珂政府委員 中古マンションの性能表示制度の導入、履歴情報等についてでございますが、修繕の過去の実施状況あるいは修繕積立金の積み立て状況、こういう履歴について、その情報をどうして客観的に蓄積していくかということについて、登録制度という考え方もありますけれども、ほかの方法も含めて検討していきたい、こう思っております。  重要事項にするという点からも、こういう履歴情報をきちっとした登録制度にするのが望ましいわけですけれども、実際に説明可能な場合には、これが何らかの記録という形で蓄積されていく、公的登録制度とは違って何らかの形で記録され、蓄積されていくという方法はないものだろうかということを今模索している段階でございます。
  96. 大口善徳

    大口委員 以上で終わります。
  97. 平田米男

    平田委員長 福島豊君。
  98. 福島豊

    福島委員 私は、政治家になるまでは医者をいたしておりまして、政治家になりましてからも、健康の問題につきまして大変興味を持って仕事をしてまいりました。近年言われておりますことは、住環境が健康に与える影響というのが非常に大きいということでございます。現代病と言われるようなアレルギー性疾患にしましても、気密性の高い現代の居住環境というものが、ダニの発生等を媒介としましてその原因となっているというようなことが指摘をされております。また、高齢者の健康の問題でも、日本住宅は段差が多く、また狭いというようなことがありまして、転倒の大きな原因になっているわけでございます。  そういう意味で、この法律住宅の性能を表示することによってその品質を確保しよう、この方向性というのは極めて大切なことであるというふうに思いますが、その中にあって、住宅の性能の一つには、いかにそこに居住する人の健康を守るのか、健康の安全を守るのか、そういう視点を持つということが極めて大切ではないかというふうに私は思っております。本日の質疑におきましては、健康と住宅関係の中でも最近注目を浴びておりますシックハウスの問題を中心に取り上げさせていただきたいというふうに思っております。  このシックハウスの問題は、建設委員長平田先生が国会においては初めて取り上げられたテーマでございます。実は私自身も、平成五年、今から六年前に新築の住宅に入居したことがございまして、そのときにはまだシックハウスという言葉がそれほど広がっておりませんでした。ただ、夏の暑い日に家に入ると、目がちかちかする、涙が出てくる、そしてまた、私はもともとアレルギー性疾患を持っておりませんでしたけれども、花粉症が始まる、そしてまたじんま疹も出てくる、そういうようなことを経験いたしました。そのときには、一体なぜそういうことが起こっているのかということがわからなかったんですけれども、しばらくしまして、シックハウスということがある、そしてまた、室内の空気がホルムアルデヒドによって汚染されている場合にはそういう症状が起こってくるということが指摘され始めまして、振り返ってみると、まさに私自身がシックハウスということを経験したんだなという思いがいたしました。  この問題については、先日もテレビで報道がなされました。実は、私の地元に歯科医の上原裕之先生という方が住んでおられまして、この人はシックハウスを考える会というのをつくられまして、インターネット上でホームページを開いて、今までこのシックハウスの問題に精力的に取り組んできたわけでございます。  先日、この先生がテレビに出演された後に、この先生のもとにたくさんの手紙が寄せられました。その一端を御紹介いたしますと、こういう手紙がありました。  初めまして、昨日「ワイドABCDE〜す」を見ていたところ、シックハウスとの話を聞き思い当たるので、ファクスさせていただきました。我が家は昨年の七月新築を建て、居住しています。先日より義母が、頭が重い、吐き気がするとのことで、脳神経外科を受診しCTを撮ったところ、異常はありませんでした。しかし、症状がおさまらないので何かわからずにいたところ、テレビを見、これではないかなと思いました。我が家は、とりあえず、といっても引っ越しもできませんので、これから対策を考えていかなきゃいけないと思います。というような内容のファクスがありました。  これはごく一例でございまして、非常にたくさんの相談が寄せられたわけでございます。という意味で、このシックハウスの問題というのは大きな広がりを持った現代的な課題として重要であるというふうに私は思いますし、精力的に取り組んでいく必要がある、そしてまた、今回のこの法案の審議に当たっても、そういった視点に対しての配慮をぜひともしていただきたいと私は思うわけでございます。  このシックハウスの問題というのは、室内の空気が化学物質によって汚染される、とりわけホルムアルデヒド、これは現在の建材から揮発してくるようなものでございます、それにまた、それ以外のさまざまなVOC、揮発性の有機物質と言われるようなもの、そういったたくさんの化学物質で健康被害、アレルギー性疾患の発生ですとか、先ほども言いましたように、頭痛ですとか目まいですとか吐き気とか、そういうような症状が起こるものを総称しているわけでございます。  まず初めにお尋ねしたいことは、この室内の化学物質汚染による健康被害の状況、そしてまた、現在までに建設省も精力的にこの問題には取り組んでまいられましたので、その取り組みの経過といったものにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  99. 那珂正

    那珂政府委員 先生御指摘のように、近年、住宅に使用される建材等から発生する化学物質による健康への影響が、いわゆるシックハウス問題として種々指摘されるようになっているところでございます。こうした健康への影響については、実際は、私どもの理解としては、因果関係、まだ特定されにくいというような点から、私どもとしても、統計的あるいは定量的な全体の把握というのは十分でないことは認めざるを得ないと思います。  しかし、その問題の重要性等から考えまして、私どもといたしましても、できることからやらなければいけないということで、平成八年の七月に、関係の厚生省あるいは林野庁、通産省などと共同して、健康住宅研究会というものを設置いたしまして、住宅室内の化学物質による人の健康への影響の調査、あるいはそれを低減するための方策等について検討してまいりました。平成十年四月にその成果を住宅生産者向けの設計・施工ガイドライン及び消費者向けのユーザーズマニュアルとして取りまとめて、これを関係公共団体あるいは生産者団体、消費者団体等にその周知に努めている段階でございます。  また、あわせて、今申し上げましたように、本当の因果関係をより科学的にきわめていくために、平成九年度から官民連帯共同研究プロジェクトとして、健康的な居住環境形成技術の開発ということで、私どもの附属機関であります建築研究所と民間企業にも参加してもらって、こういう基礎的、実際的な研究にさらに努めているところでございます。  そのほか、できることはやろうということから、公共住宅につきましては、内装材とか接着剤の選定について一定の留意事項を当該工事共通様式等について追加したところでございますし、また、住宅金融公庫融資におきましても、室内空気質汚染を防止するために、計画換気設備が設置される場合について二百万円の割り増し優遇措置をとっているところでございますし、また、地方公共団体住宅関係の公益法人等において、ホルムアルデヒドの濃度測定器の購入や貸し出しに対する補助等も実施しているところでございます。
  100. 福島豊

    福島委員 ただいまさまざまな取り組みをしておられるという報告がございました。そういった報告一つ一つ大切なことだと思いますが、そういう取り組みを踏まえつつ、なおかつ今回のこの法律の中で、こういった室内化学物質汚染の問題についても的確に対応できるような体制をさらに進めていただきたいと私は思っております。  まず法律につきましてでございますが、目的に関しましてこのように書かれております。「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」生活の安定向上、そしてまた経済、こういう視点が盛り込まれているわけでございますが、さらに進んで、居住者の快適かつ安全な生活、特に健康に対しての安全の確保という視点をぜひともこの目的の中に盛り込むべきではないか、そのように私は思うわけでございますが、この点につきましての建設省の御見解をお聞きしたいと思います。
  101. 那珂正

    那珂政府委員 今先生御指摘になりました居住者の快適かつ安全な生活、とりわけ健康に対しての安全の確保という観点、趣旨でございますけれども、これは、先ほど先生がお触れになりました本法案の「目的」中、「住宅購入者等の利益の保護」並びに「国民生活の安定向上」という表現の中に含まれているものと理解しているところでございます。  なお、本法案と同様に消費者保護の推進を図るという観点から、先年いわゆるPL法が措置されましたけれども、このPL法におきましても同様に「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」というふうに定められているということでございます。  いずれにいたしましても、御指摘の趣旨というのはこの法案の「目的」の表現にも含まれておりますし、私どももその法律に基づく実施、運用について今いろいろ検討中でございますけれども、当然、そういう視点をしっかり据えて検討しているところでございます。
  102. 福島豊

    福島委員 次に、具体的な話になりますが、住宅の性能表示ということで、幾つかの項目が例示をされております。例えば耐久性、そしてまた構造安全性等の項目が提示されているわけでございます。これは建設大臣の告示として定めることになるわけでございますけれども、この中に、健康に対しての影響という項目、これをぜひとも入れるべきではないか、その検討を進めるべきではないかと私は思いますが、この点につきましての御見解をお聞かせください。
  103. 那珂正

    那珂政府委員 私どもも、一般にそういうものをこの法案の表示の対象にするというニーズが非常に高いということを、十分認識しているつもりでございます。  その上で、先ほど申し上げましたように、実際問題として、建材の使われ方と健康との被害の特定、あるいはその因果関係について、なお技術的、客観的にまだ詰め切れないところがあるというその状況で、仮にお認めいただければ一年後ぐらいにこの法律をスタートさせていただくと思うのですけれども、一年ぐらいの間に、直接どういう表示方法が可能かどうか、あらゆる手段を想定して研究を続けてまいりたいと思います。
  104. 福島豊

    福島委員 一年後の施行を目指して、検討をぜひとも精力的に進めていただきたいと私も思いますが、その中でとりわけ、先ほど申し上げましたように、シックハウスの原因と言われておりますホルムアルデヒド、またボラティル・オーガニック・コンパウンド、VOC等の濃度につきまして、これは換気の影響もありますし、そしてまた住宅内のさまざまな家具の問題もございます。  ですから、一概になかなかとらえにくいところはあるというふうに思いますけれども、しかし、これも健康に直接関係する、そしてまた居住者の関心も非常に深いということもありますので、この濃度につきましてもぜひとも検討を進めていただきたいと思いますが、建設省の御見解をお聞かせください。
  105. 那珂正

    那珂政府委員 健康に対するいろいろな影響のある化学物質の中でも、とりわけ、先生今お触れになりましたホルムアルデヒド等については、一番問題がある、こう指摘されているわけでございます。  これらについて、私どもも何とか性能表示制度にのせたい、こう思っておりますが、今先生も御指摘いただきましたように、いろいろな換気の条件とか、立地条件とか、あるいは建材のホルムアルデヒドがもともと建材にどういう形で入ってくるかというようなその状態とか、その放散のメカニズムとか、正直言ってまだ詰めなければいけないところが山積しておりますので、先ほどと同じお答えになりますけれども、いろいろなケースを想定しながら精力的に進めていきたいと思います。
  106. 福島豊

    福島委員 先日、こういう報道がございました。優良住宅部品認定制度というものがございます。ベターリビング制度ということでございますが、このベターリビング制度で、この化学物質の放散ということ、ホルムアルデヒドの放出量というものに関して、さまざまな建材に対してJIS、JASの制度でそれぞれ評価する制度がございますが、その中で、化学物質の放散が少ないものに対してベターリビングマークの証紙を張るという新たな取り組みをするというふうに伺いました。これは非常に大切なことでありますし、前進だというふうに思います。  こういった個々の建材の問題につきましては、比較的評価のしやすい側面もございます。一つの住宅の中でどういう建材が使われているのか、化学物質をたくさん出すものなのか、そうでないものなのか、こういった点は比較的取りつきやすいという意味からも、この表示制度の中でぜひ示していただきたい、そのように私は思いますけれども、建設省の御見解をお聞かせください。
  107. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘のように、現在、合板とか繊維板とかパーティクルボード等、住宅でよく使われる建材について、それぞれJISとかJASの規格の中で、ホルムアルデヒドの放散量が少ない等級ランクがつけられております。  ただ、これがどういう形で住宅に取り入れられて、住宅を施工中、入居される方に引き渡すまでの間にどういう養生をしていくかということだけとっても、実際にその室内での汚染物質、ホルムアルデヒドの放散のあるいは濃度の状況がなかなかよくメカニズムがわからないという状況でございます。  この御提案している制度は、住宅トータルとしての性能というものをなるべく表現したい、こういう考え方を持っておりますので、確かに御指摘のようなこういうJIS、JASで等級が決められている建材をどの程度使っているかとか使っていないかとか、そういうことは、やろうと思えばやりやすいかもしれませんけれども、それでは住宅の性能というのにはちょっと遠いかなということもありまして、先ほど申し上げましたように、今みたいな、代替手段と言うと語弊がありますが、そういうことも含めて、いろいろな方法を含めて検討中でございます。
  108. 福島豊

    福島委員 そしてまた、時間も限られておりますので、幾つか質問を省略いたしますが、このシックハウスの問題で私が感じますのは、相談する窓口というのが極めて限られている、そして、いろいろな悩みを持っていても、どこに行ったらいいかわからないという人がたくさんいるということだろうというふうに思います。  先日の快適で健康的な住宅に関する検討会議の報告書、この中にもバックアップシステムというもの、相談をする仕組みというものをきちっとつくっていくことが必要であるということが述べられておりまして、まことに私もそのとおりだというふうに思います。  今回のこの法律案の中では、住宅紛争処理支援センターというものを設置するわけでございますが、その支援センターの業務ということでございます。  この法律の中では、第七十九条でございますけれども、六項「評価住宅建設工事請負契約又は売買契約に関する相談、助言及び苦情処理を行うこと。」そしてまた、七項「評価住宅以外の住宅建設工事請負契約又は売買契約に関する相談、助言及び苦情処理を行うこと。」というふうに定められているわけでございますが、この相談業務ということにつきましては、より契約に直接かかわるということではなくて、幅広くさまざまな問題というものを取り上げていただく、そういう相談があったときには応じていただく、そういうことが要請されているのではないかというふうに私は思いますが、この点についての建設省の御見解をお聞かせください。     〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕
  109. 那珂正

    那珂政府委員 今先生が御指摘になった点でございますが、新たに指定することとなります住宅紛争処理支援センターの業務として、当該評価住宅以外に関する苦情、相談を受け付けて対応するということになっている点についてでございますが、これは、直接その文面で、法文上の文面に読み取れます契約、直接、契約のことだけというわけではなくて、先生御指摘になったように、幅広くそういう対象とするようにしております。でありますので、御指摘のシックハウス問題等についても、当然、その相談、苦情対象となる、こういうふうに思っております。
  110. 福島豊

    福島委員 そしてまた、この支援センターがそうした相談業務を行っていただくと同時に、各地域でこういった相談を受け付ける。例えば、シックハウスかなと思ったときに、ホルムアルデヒドの濃度をはかってください、そういうような要望を持つ居住者の方もふえております。現在でも、さまざまな形で自治体のそういった相談業務、調査の業務というようなものを支援するような仕組みがあろうと思いますけれども、さらにこれを一層推進していく必要がある。それは自治体だけに限らず、こういった住宅の問題に取り組んでおりますNPO等も含めて支援をしていく必要があるというふうに私は思いますが、この点につきましての建設省の御見解をお聞かせください。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど先生がお触れになりましたベターリビングにおきましても、PLセンターを置きまして、昨年からは専門性の高い相談事項についても助言を求める体制を整備いたしたり、あるいは先ほどもちょっとお話ししましたけれども、地方公共団体や公益法人がそのホルムアルデヒドの濃度測定を円滑に行えるように、国の方からも、そういう測定機器の購入等に対する助成制度も設けているところでございますし、また住宅生産者団体の連合体であります住宅生産団体連合会におきましては、先生御指摘のNPOなどが、いろいろ研究したり実施しております環境対策全般でございますが、環境対策に寄与する活動に対して、一定の助成をするというような活動も行っているところでございます。  そういう意味で、私どもも直接、国はもちろんですが、国だけではなくていろいろな団体、体制とよく協力し合いながら、こういう問題に取り組んでいきたい、こう思います。
  112. 福島豊

    福島委員 そしてまた、このシックハウスの問題につきましては、製造、メーカー側の取り組みというのも極めて大切であるというふうに私は思います。厚生省の指針値、〇・一ミリグラムでございますけれども、こういったものを本当に実現するための企業の主体的な取り組みというものを建設省としては促していく必要がある。この点につきましての見解をお聞かせください。
  113. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるとおりだと思います。  先ほども申し上げましたけれども、昨年の四月に取りまとめました健康住宅研究会の成果につきましては、そういう住宅生産者の団体でございますいろいろな諸団体に対して周知を図ってきているところでございます。  それらを受けて、先ほど申し上げました、たまたま例を申し上げますと、住宅生産団体連合会では、本年三月に、住宅内の化学物質による室内空気質に関する指針というものを取りまとめまして、会員各社にまた周知して、その中では、遅くとも本年十月以降新たに供給する住宅については、先ほども話題になりましたけれども、例えばホルムアルデヒドの放散量の最も少ないF1等級のような建材を使おうじゃないかというような、言ってみれば自主規制と申しますか、そういう指針を設けて実行しようとしているところでございます。  また、住宅金融公庫におきましても、そういう民間の技術的な対応等にこたえるためにも、例えば室内空気質汚染防止のための計画換気設備など、若干設備費が上がるようなものについても、その割り増し融資等の措置を講じることによって、そういう企業の取り組みを何とか促進しよう、こういうふうに思っておるところでございます。
  114. 福島豊

    福島委員 以上で質疑の時間が終わりましたので、質疑は終わりにさせていただきますが、なかなか現時点で局長も答弁しにくいところが多々あろうかというふうに私も思いましたし、本日の質疑で不十分といいますか、不明確でありました点につきましては、さらに御努力をしていただきたいというふうに要望いたします。そしてまた、私も建設省の取り組みというものをしっかりとまたフォローさせていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  115. 平田米男

    平田委員長 青木宏之君。
  116. 青木宏之

    ○青木委員 自由党の青木宏之であります。  まず、今回の立法でございますが、昨年、建築基準法の改正がございまして、中間検査等が取り入れられまして、そのときにも、一歩か二歩かわかりませんが前進だな、こういう思いを持っておりました。そこへ今回加えてといいますか、若干ニュアンスは異なりますけれども、住宅の性能アップというかグレードアップ、あるいは消費者保護あるいは紛争迅速処理というような目的を掲げた今回のこの立法につきましては、これまた昨年の建築基準法の改正に引き続いて、一歩、二歩前進するものかな、そういうことで大変評価させていただいております。それから、やはりその目的の中でも消費者保護という点が大変重要かなというふうに思います。  いずれにいたしましても、これは大変高価な買い物をするわけでありまして、一生を通じて多分平均的には一回、あるいは二世代にわたって一回と言ってもいいような、そういった人の人生にとって大変重要な問題である消費でありますから、そういう点から、同時に、今までいろいろ論じられてまいりましたように、それぞれ重大な社会問題を生ずるわけでありますが、そういう消費者保護という面に特に力点を置きまして、以下、ひとつお尋ねをさせていただきたいと思うわけであります。  そこで、本法自体がいわゆる迅速な紛争処理制度をみずから定めておりますことを見ますと、当然、本法自体がそういう紛争を予想して規定しているわけでありますが、先ほど言いました昨年の中間検査、それによってかなりそういった紛争の起こるケースというものがまずは減ってくるのではないか、それに加えて、さらに今回の立法によって、期待するわけでありますけれども、紛争というものが、トラブルというものが相当減ってほしいと思うわけであります。  しかし、それでも本法自体がなお、従来の裁判だけに依存するものに加えて、迅速な紛争処理制度を定めておるということでありますが、素人的な立場で思いますと、そのように二重、三重、四重というようなことをやってまいりましても、なおそういうトラブルが相当に起こり得るということでございますが、どうしてそんなにそういうトラブルというもの、要するに住宅の性能の瑕疵といいますか、そういったものが防止し得ないのかなと素人は思うわけであります。  要するに、故意、わざとする故意犯というものは、浜の真砂は尽きぬというような言葉がありますように、これはもう、どんなふうにしても故意犯を防ぎ切るということは難しいかもしれませんけれども、大体、今までのトラブルケースを見てみましても、故意犯よりもむしろ過失によるものが大半である、そんなふうにお聞きをしておるわけでございます。  どうしてそんなに過失が起き得るのかな、防止できないのかなということをなかなかよく理解できないというか、のみ込めないわけでありますので、ちょっと専門家の立場からその辺を具体的に、どんなケースで、どういう過失でそういうことが頻繁に起こるのかな、二重、三重、四重とやっていっても、減るのでしょうが、減ることを期待するわけですけれども、なおまだ防ぎ切れないのかなという点について、まず、できればちょっと例を挙げて御説明いただけるとありがたいと思います。
  117. 那珂正

    那珂政府委員 大変本質的なお尋ねだと存じます。  基本的には、先生もお触れになりましたけれども、建築基準法に、昨年改正させていただきましたけれども、例えば中間検査制度も導入されたことでもありますし、その的確な運用によって、相当程度、こういうトラブルの原因となる不良工事というものは減っていくのだろうと思います。  また、この法案によって、特に民民の、私的契約関係の規律をきちっとするというようなことから、そういう趣旨から、この法案が通ってこういう制度が実行されていけば、またそういう点からも、生産者側もやはり今まで以上に品質の安定ということに意を用いていくわけでございますので、やはり、いわゆる不良工事というようなことは大分減っていくと思います。  また、この法案には直接対象にならない場合ですけれども、そもそも契約、例えば請負契約のようなことを考えますと、実際問題、自分の経験から見ても、大工さんや工務店にこういう一千万を超える住宅をお願いするというようなときに、どうしても、契約行為をきちっとやっているか、自分が当事者として考えてみても、何か反省すべき点は多かった。何を申し上げたいかといいますと、やはり我が国がこういう契約社会になり切っているかどうか。そもそもその契約も、あるいは契約上、書面も十分な状況にはない、いいかげんとは申しませんけれども、若干問題のある契約の仕方というものがなお多いのではないか。こういった契約にまつわるいろいろな問題も、後ほどトラブルとして問題になることもあると思います。  それから、一点申し添えさせていただきますと、具体の技術的、物理的な不良の問題ですけれども、確かに、生産者側も誠意を持ってきちっとしたものを設計し、施工し、それを引き渡したといたしましても、引き渡し後十年の間に、年がたつにつれ、やはり機能は劣化いたします。どこかでふぐあいが生じたとすれば、それが自然の劣化なのか、もともとあった瑕疵なのか、途中で人為的に、使用者による不注意によってつけられた瑕疵というか傷なのか、そういうような判定等については、やはりこの制度が完璧に動いたとしても、理論的にはそういうトラブルが将来発生することも起こり得ると思います。  ちょっとぐだぐだ申し上げましたけれども、この建築基準法の改正を的確に運用しても、またこの制度をきちっと運用しても、一〇〇%トラブルがなくなるかと言われれば、若干自信がないところは正直なところでございます。
  118. 青木宏之

    ○青木委員 時間がありませんので、ひとつ絞ってお尋ねをしたいと思います。  六条の四項だったと思いますが、性能評価書を契約書に通常添付をするわけですが、しかしその場合に、その請負契約売買契約書にいわゆる反対の意思表示をした場合は要するに本法の適用外という規定なんですが、何となく変な感じがするのですけれども、普通これは、よくわからない消費者が大半だと思うのですね。専門的なことをおわかりにならない方が大半だと思うのですが、そういう方がこういう行為をされた場合に、性能評価書が契約書に添付されておれば、まず一義的に、そういう性能評価をされたものだな、したがって、いわゆるマル優というか、これなら安心して心配ないな、こういうふうにまず印象を強く受けるのが通常じゃないかと思うのですね。  しかし、そこに契約書に、これは書き方も何も規定がない、運用上どうされるのかわかりませんが、反対の意思表示だけがちょっとあれば適用外だということになりますと、私は大変心配するのですが、これがまた逆に、この規定があるためにトラブルを発生する原因になるのじゃないかな、杞憂かもしれませんが、そんな思いがいたしますので、そのあたりをちょっと確認をしたいのです。  私が単純に思うには、反対の意思表示をするぐらいなら、むしろこの評価書をつけてはならないというようにした方が、すっきりしてトラブルが起こらないと思うのですけれども、今言いました、つけることによって逆にトラブルを助長するようなことになりはしないかという心配があるわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  119. 那珂正

    那珂政府委員 今先生、最後に御指摘になった趣旨で、私どもはあえてこのみなし規定を入れさせていただいたわけです。  と申しますのは、基本的に、こういう性能評価書が契約書面に添付されれば、その添付された性能評価書は契約内容だというのが原則できちっとしているわけでございます。ところが、この評価というのは、御案内のとおり、先生よく御存じだと思うのですけれども、いろいろな技術的なレベルのものがありまして、正直言って、本邦初公開でございますし、その評価に当たっていろいろコストのかかるものもございます。  例えば、遮音性のごとくは、その測定等について、あるいは一定の遮音性能を実施することについて、建設コストという面においても、測定という意味においても、本当に大変コストがかかるというようなことから、これは業者側が仮に自信がないということもあり得るわけでございます。そういう点からすると、業者側は、参考としてはこういう性能評価を目指すけれども、まだ完璧な自信がないというようなことがあって、それに対して消費者側も、一定の資金あるいはコスト、請負契約の場合はその資金の手当てのことも含めて、そういうことならば参考意見だけでもそういう情報を教えてくれ、こういうふうに考える人もいるかもしれません。  したがって、そういう場合には、今の、反対の意思表示をした場合に限ってという表現で、つまりこれは、反対の意思表示を契約書面上で意思表示をするということは、当事者双方が合意するという意味でありますので、したがって、そういう場合に限っては、そういう無理なところまではねらわなくてもいいだろうというふうに、みなし規定を除外するというふうにしたわけでございます。  もう一回繰り返して申し上げますと、当事者合意によってこのみなし規定を除外するわけでございますので、その点については、先生が御指摘になるような、後々のトラブルがこのことによってふえるということにはならないと思います。
  120. 青木宏之

    ○青木委員 何でも、立法でも行政上でもそうなんですが、要するに、理屈の上ではそのとおりなんですね。一足す一は二という答えが出るんですけれども、現実問題となりますとなかなかそうはいかないので、トラブルが生ずるわけなんです。だから、契約というその書面だけからすれば、確かに双方合意で契約を交わしたということになるわけですが、実際、わけのわからない訪問販売の契約でいろいろトラブルがありますように、先ほどたまたまおっしゃったように、契約観念というのは特に日本人の場合は非常に希薄であるというか、そういったところにも原因してトラブルが発生するというさっきの御説明もあったように、これが私はやはり、原則をやられていくとトラブルがこの点で起こってくるのではないかなと心配するわけです。  そこで、これはいいとして、私の杞憂かもしれませんが、心配とするところを少しでも防ぐ手だてとして、運用上どこかで、反対の意思表示というものは、例えば他の文字よりも小さく書いてあっても、この法律だけではそういうことが書いてないですから、小さく書いてあっても別に問題はない。だから逆に、トラブルを防ぐ意味では、ほかの文字よりは大きくする。どの程度大きくするかわかりませんが、とにかく目立つようにそれを記入するとか、あるいは黒や青で契約書を書くなら、赤、朱書きにするとか、とにかくその部分が目立つ、契約をする消費者の方の目に映って関心を引くというような方法、工夫、そういったものが加わる。あるいは別途契約契約書を別紙にするとか、さらには一番肝心なことは、そういうことなんですよという業者の説明がきちっと口頭でもあるということがやはり大事なのではないか。  例えば、不動産の場合でも、これはいろいろたくさん、説明義務を課したようなものは項目はだんだんふえていっておりますが、現実問題、見ますと、私どもの陳情等でもよくあるんですけれども、聞いてなかった、説明がなかったというのが実際にあるんですね。だから、一重、二重、三重、四重、トラブルが少しでも出ないように、発生しないように、消費者が泣かないようにという考えられる手だては、やはり尽くしておいた方がいいのではないかと思いますので、ぜひそのような何らかの工夫を今後行政上でされることを期待しますが、そのあたりのお考えをちょっとお聞かせいただければと思います。
  121. 那珂正

    那珂政府委員 先生が今具体的にいろいろお述べになりました方策を含め、万々が一、二重、三重にも四重にも、いろいろな誤解を生まないように、トラブルを未然に防ぐような手だての一環として、例えば、反対の意思表示を示す場合の標準的な表現方法はこういうものだというようなことをきちっと業界に示す等の措置をきちっととっていきたいと思います。
  122. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、最後になりますが、要は、私が申し上げたいのは、最初から言っておりますように消費者保護、しかもその消費者というのは非常に専門知識を欠くということでございます。  そして、最初に申し上げたように、これは本当に一生に一度の消費、買い物になるわけでありますから、先ほど来の御質問にもありますように、被害が発生しますと、本当にもうその人生すべてを失ってしまうようなことになることにかんがみまして、まず事が起こってからのことをいろいろ今までも御議論はあるんですけれども、やはり一番大事なのは、災害と同じで未然防止、今の話とも共通しますが、できるだけトラブルが起こらないようにしなければならない。  そういうことで、一生に一度の買い物をしよう、住宅を取得しようと思われた人が、まずどういう点に気をつけて、留意して買い物をしたらいいか、契約をしたらいいかというような、わかりやすい一つのマニュアル書といいますかパンフレット等、そういったものを、民間に任せるのではなくして、できれば建設省が一番ふさわしいと思いますけれども、それは地方公共団体も含めてでもいいし、あるいは公的な機関というふうにしてもいいのですけれども、いずれにしても、まず消費者が見る、注意を喚起する、そういうマニュアル書をぜひどこかがつくっていただきたい。  そして同時に、できましたら、支援センターか今回の新しくできる機関でもいいですけれども、どこかの機関で、消費者が見えたら懇切丁寧に説明していただける、指導していただける。あるいは契約寸前に契約書を持ち込んで、これでいいですかと、一々弁護士さんとかそこまで行かない段階でまず気楽に飛び込んで相談ができる。先ほども少しありましたけれども、トラブルが発生してからの相談ではなくして事前のそういう相談ができる場、こういったものがあると、なおいいと思うわけでありますが、その相談する場とそれからマニュアル書の点につきまして、ひとつ御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  123. 那珂正

    那珂政府委員 消費者の方々になるべくわかりやすくいろいろな情報を的確に提供していくというのは消費者行政の基本だろうと思うわけでございますが、とりわけ本法が目指しております住宅品質確保という観点からも、今先生るる御指摘いただきましたように、やはり事前に消費者が的確に理解をするということは非常に大事なことだと思います。  したがいまして、私どもといたしましても、この制度の運用も含めて、チェックマニュアル等の情報あるいは情報の提供の仕方も含めて充実していくことを具体的に考えていきたいと思いますし、また、事前に相談し、あるいはいろいろな情報を消費者が手に入れることができる、そういう窓口の体制についても、私ども初め関係団体あるいは地方公共団体とも連携をとりながら、その充実にぜひとも力を入れていきたいと思います。
  124. 青木宏之

    ○青木委員 最後にさせていただきますけれども、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  お伺いというよりも、今の御答弁でよしとしたいわけでありますが、いずれにしても、今回の立法がありましても、それは限られた部分でして、要するに、どうやっても全部を、例えば建設業者を全部強制加入をさせるわけでもないし、あらゆる契約住宅すべてに適用させるものでもない。その辺の議論はちょっと時間がありませんのでおくとしまして、いずれにしても、例えて言うなら、埋めよう埋めようとしても最後は埋め尽くせない部分があって、しかもその部分が非常にトラブル発生の率が私は高いのではないかと。  だから、本当はそのあたりを、いろいろな立法、行政的なもので、今後あらゆる角度からフォローしていければいいわけですけれども、とりあえず、そういう穴があいているわけですから、一応今の局長の御答弁にもありましたように、行政のできる範囲で、とにかく消費者に対していろいろ情報提供し、トラブルの未然防止、本当にそういう泣きを見ないような手だてを、本当に国、地方、あらゆる関係団体が総力を挙げて取り組んでいただきたいと思うわけですが、その頂点におられる大臣に、ひとつその御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  125. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 あらゆる角度から先生るる御指摘をいただいたわけでございますが、確かにいわゆる建築基準法というものも、先生御承知のように、先般改正もされたりもいたしましたし、ですから、中間検査というのも行っておるわけでございます。  今回は、そういうようなことで、瑕疵担保の責任の強化ということで、御指摘のように、いわゆる一生に一度の思いを入れた買い物でもございましょうし、あるいは二代にわたって住宅金融公庫からお金を借りて購入するというようなそういう大切なものでもございますから、これはいわゆる一般法からも購入者、消費者が保護されますように、そして、今回住宅の品質保証を内容としたこの法律ができましたこの時点に、建設省としても、そういう住宅生産者に対してもやはり誠心誠意住宅を提供していただく、少しでも瑕疵のないようにお願いをするというようなこともまた私は、ある方面から見れば重要なことではないかなと思うわけでございます。  先ほど先生方の御質疑の中にもございましたように、いわゆる地盤の問題もございましょう、あるいはシックハウスのこういうような問題もございましょうから、この法律ができますことをまた一つの転機として、あらゆる角度からそういう争い、紛争が起こらないように、事前の体制ということもまた頭に入れて対処をしていきたいと思っております。
  126. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。
  127. 平田米男

    平田委員長 次回は、来る十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会