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1999-05-14 第145回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十四日(金曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       倉成 正和君    小林 多門君       阪上 善秀君    田中 和徳君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       宮腰 光寛君    目片  信君       山本 有二君    石井 紘基君       今田 保典君    島   聡君       田中 慶秋君    平野 博文君       山本 譲司君    上田  勇君       大野由利子君    長内 順一君       斉藤 鉄夫君    富田 茂之君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         総務庁行政監察         局長      東田 親司君         国税庁課税部長 森田 好則君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         議員      石井 紘基君         参考人         (住宅都市整         備公団総裁)  牧野  徹君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  今泉 浩紀君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  平岡 哲也君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  島崎  勉君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  荒田  建君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  下田 公一君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  三宮 満雄君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 五月十四日         辞任         補欠選任   西川 公也君     倉成 正和君   田中 慶秋君     島   聡君   畑 英次郎君     石井 紘基君   長内 順一君     富田 茂之君 同日         辞任         補欠選任   倉成 正和君     西川 公也君   石井 紘基君     畑 英次郎君   島   聡君     今田 保典君   富田 茂之君     上田  勇君 同日         辞任         補欠選任   今田 保典君     田中 慶秋君   上田  勇君     斉藤 鉄夫君 同日         辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     大野由利子君 同日         辞任         補欠選任   大野由利子君     長内 順一君 五月十四日  大規模公共事業中止に関する請願(春名直章君紹介)(第三二九二号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市基盤整備公団法案内閣提出第三一号)  住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案鉢呂吉雄君外一名提出衆法第一七号)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市基盤整備公団法案及び鉢呂吉雄君外一名提出住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁牧野徹君、同理事今泉浩紀君、同理事平岡哲也君、同理事島崎勉君、同理事荒田建君、同理事下田公一君及び同理事三宮満雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 平田米男

    平田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田公一君。
  5. 吉田公一

    吉田(公)委員 住宅公団ができて相当になるわけでありますが、たしか昭和三十年に設立をされたと伺っております。当時、昭和三十年といえば戦後十年しかたっていないわけで、とにかく民間企業活力はない、民間資金はない、要するに、民間が今日のようにあらゆる分野に活動する舞台というものがありませんでしたから、当然食住についてはいわば国家管理して、統制経済の中で住むところをまず探す、特に大都市に人口が集中して、何としても住宅だけは確保しなきゃならぬということで、国策一つであったわけでありますし、食料についても、国が管理をして平等に食料を配布しなきゃならぬ、そういう戦後のまだ厳しい状況が残っていた経済状況の中で、いわば住宅公団国策一つとして設立をされたんだ、こう思っております。  しかし、今日のように民間に力が出てくる、しかもPFIなんという民間活力導入によって公共工事民間でやる、こういう時代にもなっておりまして、いずれまた当委員会でもPFIなんという問題が議論をされなきゃならない、もうそんな時代になりましたね。  したがって、公共事業まで民間資金を主導的に導入して、民間主体で道路や橋や海岸や、そして公共建築物まで民間がやるというような時代背景から考えてみますと、当然、まずは住居を国によって確保するということが第一の条件でありましたから、住宅公団としてはそれなりに、長い間の住宅という問題について使命を果たしてきたわけでございます。したがって、七十二万戸という大建築物がそれぞれ住宅という点では役割を果たしてきたわけでありますが、しかし、時代とともに当然住宅公団のあり方も変わってくるわけで、その一環として、今度新しい公団をつくるということで法律改正が行われるわけでございます。  ただ、問題は、一貫して国策としてやってきたこの住宅問題も、経営という問題を取り入れてくる。したがって、いつまでも財投借金を抱えながらやっているというようなことにはやはりならないので、そうした特殊法人全般に言えることなんですけれども採算性とか経営性だとかそういうものについてどうしてもおろそかになる、足りなければ金を追加すればいいじゃないかというようなことで、本来なら、民間企業ならとっくに銀行管理になったりあるいはまた経営者が乗り込んできたりして経営実態を変えていく、手法を変えていく、民間企業はそういう手法にならざるを得ないわけです。ところが、特殊法人については、これはもう住宅公団だけではなくて、赤字が続いていても別にそれほど責任を追及されることもないというようなことですね。  したがって、事業資産を保有している、したがって債務超過にはなっていないという説明をかねてからしてきているわけでありますが、その債務超過になっていないという住宅公団側の言い分というのは果たして世間に通用するのかどうかという点についてまず質問をしたい、こう思っています。
  6. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  平成年度末におきます住都公団財務状況で申し上げますが、資産負債状況でございます。貸借対照表によりますと、総資産額十六兆三千四百五億円、そのうち九六%は事業資産でございます。また、負債総額は十六兆一千七十五億円、そのうち長期借入金等は十四兆一千七百九億円、また、この長期借入金等のうち財投にかかわる借入金は十三兆九千四百十二億円となっているところでございます。  また、損益状況は、損益計算書によりますと、収益で一兆五千三百七十四億円、費用は一兆五千四百十九億円であり、この年度四十四億円の損失を計上したところでございます。  借入金につきましては、これに見合う資産を保有しておりますし、また損益状況につきましても、全体としてほぼ収支が均衡しているというふうに思っております。
  7. 吉田公一

    吉田(公)委員 つまり、事業資産というのをどういう意味でとらえていいかということが実は問題でございまして、事業資産というのは、例えば民間でいえば工場だとかあるいは社屋だとかあるいはまた事業用用地であるとか、そういうものを含めて事業資産がある。したがって、その事業資産があることによって、金融機関は要するにそれを担保物件としてお金を貸すわけですね。したがって、公団事業資産というのは、建物とそれに伴う用地、そういうことを言っているわけでございますか。
  8. 平岡哲也

    平岡参考人 事業用資産でございますが、九年度末で十五兆七千億円ございます。  その内訳を申し上げますと、賃貸住宅建物、概数で申し上げますが、四兆二千億円、賃貸住宅土地二兆円、分譲済み資産割賦債権二兆二千億円、仕掛かり中のもの、建設仮勘定六兆九千億円、その他二千億円ということになっております。  この借入金返済、十四兆一千億円あるわけでございますが、返済及び利払いにつきましては、それぞれの資産について事業を着実に遂行することによりまして、賃貸資産にあっては家賃収入等により、また分譲資産にありましては譲渡代金等事業収入により確実に回収することとしておりまして、全体として収支相償う事業運営をしてまいっているところでございます。
  9. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこが、事業資産そのものは、要するに損をしたときに、民間企業なら例えば売ってその損失を埋める、だから事業資産というものが認められて、融資の対象になっているわけですね。  だから、いつまでも国策で、特殊法人として、経営というものについては余り考えないで、この長期借入金の十四兆一千七百九億円、これも、では本来なら、だれが返しているのかと言えば、家賃の中から返しているんじゃないんでしょうか。
  10. 平岡哲也

    平岡参考人 これらの借入金返済でございますが、賃貸住宅につきましては家賃収入等によりまして、あるいは分譲資産につきましては分譲譲渡代金収入によりまして、それぞれの資産について事業を着実に遂行することによりまして回収することといたしております。
  11. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、この長期借入金返済に、家賃収入の中に充てているということを考えますと、なぜこういう長期借入金ができたのか。したがって、住んでいる人たちに、家賃の中に長期借入金返済について、家賃価格設定のときに本来なら説明しなきゃいけない。だけれども家賃を払っている人たちに対しては、何でこういう家賃設定されたのかということがよくわからない。  例えば、役所土地を買うときにどうしているかというと、不動産鑑定士に頼んで、そしてそれぞれの取引事例を幾つかとって、それの平均点をとって、そして財産価格審議会というのはどこにでもありますから、財産価格審議会に諮って、そして用地取得については、これならば妥当であるというものを第三者に判断させなきゃいけないのですね。したがって、家賃設定のときに、この長期借入金というのが本当に長期借入金になっているのか、それとも全く経営改善もしないでそのとおり長期借入金負債がふえてきて、自動的にふえてきているのかということは、家賃を払う人にとってみれば重大なことだ、こう思っているのですね。  したがって、この長期借入金の要するに根拠について明快に答弁ができなければ、家賃設定も、どういう方法家賃設定しているのか、私はそういう疑問があるわけですが、その点はいかがですか。
  12. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の、長期借入金ということでございますが、私ども企業会計におきましては、大きくいわゆる投資的経費経常的経費というふうに分けますと、長期借入金は、新しく賃貸住宅をつくる等の投資的経費に充てるために財投から毎年お金をお借りしているわけでございまして、家賃におきます長期借入金は、家賃の中に利払い分というのが一つ原価として講じられておりまして、私ども家賃をいただきまして、その中から、長期返済分につきまして、利子分として利子償還金を計上させていただいておる、このようになっております。
  13. 吉田公一

    吉田(公)委員 今の説明だと漠然としていてよくわかりませんが、つまり、投資的経費のための長期借入金だ。つまり、用地を買ったり建物を建てたりするということについてはわかりますけれども経営的経費ということになると、ではどういう経営をしておられるのか、採算に合うような努力をしてこられたのか、そういう点が実は問題になってくるわけでして、そういう意味では、できるだけ家賃を下げるためには、どういう努力をすれば家賃を下げることができるかという検討をしていかなければいけませんね。それは民間企業なんかでも当たり前の話であって、要するに、鉄道運賃を下げるためにはどういう経営的な努力をしなければいけないか、水道料金を下げる、下水道料金を下げるときにも、企業体がどういう努力をすることによって下水道料金を抑えることができるか、それはもう当然の話であります。  したがって、今まで住宅公団が、昭和三十年以来、設立されて、経営的努力によって家賃を下げることができたというような実績はあるんでしょうか。
  14. 荒田建

    荒田参考人 家賃引き下げのための経営努力いかんということでございます。  先生承知のように、家賃改定を累次にわたって行ってきておりますけれども、私どもとしては、原価を再評価して家賃を決めるようにという方針もございますし、他の公団近傍家賃との比較において、適正な家賃ということでやっておりますけれども家賃引き下げのための努力といえば、例えば修繕費につきまして、いろいろ執行の方法ですとか、やり方に工夫を加えながらコスト削減を図るというような形で、上がらないような努力はしてきているつもりでございます。
  15. 吉田公一

    吉田(公)委員 上がらない努力をしてくるというのは当たり前の話でして、むしろ、経営努力によって家賃を下げるということがこれから大事なことでありますね。  特に、バブルが崩壊して、しかも傾斜家賃という制度を設けて、そして建物が古かろうが何だろうがとにかく一定、バブルによって土地も上がる、したがって公租公課も上がる、だから傾斜家賃にしていくんだというようなことで傾斜家賃設定しましたね。  しかし、今度は個別に、建物ごとに築年度を考えながら、個別ごとにちゃんとした家賃設定していかなければいけないと私は思っていますが、傾斜家賃を廃止するというお話がございますけれども傾斜家賃をいつ正式に中止をして、そして新しい家賃制度をいつ発足させるのか、そのことについて再度お聞きをしたい、そう思っております。
  16. 荒田建

    荒田参考人 今度の法案におきまして、公団家賃原価基準とする設定の仕方から近傍同種家賃基準とする体系に改められるということになりますけれども、この傾斜家賃の問題でございます。  傾斜家賃は、先生今いみじくも御指摘のように、やはりコストが、原価を勘案しながらやっているものですから、今でいえば八年に二・五%という傾斜で上げさせていただいているわけでございますけれども、今回の法律改正に伴いまして、今後は、新規はもちろん傾斜家賃はやめたいと思っております。  また、既存の賃貸住宅傾斜家賃でございますけれども、今家賃改定ルール検討を事務的にやっておりますけれども法案が通った後、新公団設立後、家賃改定時というタイミングを迎えるわけですけれども、それを契機といたしまして、現行傾斜家賃近傍同種家賃と比較しまして下回っているような場合には、傾斜市場にすりついていませんから暫定的に残しますけれども傾斜が上回るようなケースが想定されますから、そういうものは直ちにその段階で廃止するという形でやっていきたいと思っております。(吉田(公)委員「いつやるんですか」と呼ぶ)法案が通って、それから公団設立した以降にやるということになっておりまして、時期はまだ未定でございます。
  17. 吉田公一

    吉田(公)委員 何かよくわかりませんが、十月一日施行の予定、こういうふうに伺っております。そうすると、十月一日以降この傾斜家賃については当然見直しが行われる、しかも、その傾斜家賃というのは一番高いところでとめちゃったんだから、これ以上高くなるということは話がおかしいんで、一番高いところで傾斜家賃をとめて、御承知のとおり経済不況失業者も出てくる、少子高齢化時代も迎える、だから、一番高いところでやめたんだから、その高いところで維持していくなんという話はおかしいんで、それ以上必ず安くしなきゃおかしいと、そう思っていますが、その点いかがですか。
  18. 荒田建

    荒田参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、市場家賃といいますか、近傍同種に比べて傾斜で今お願いしている家賃が高ければ、その改定時に当然下げます。
  19. 吉田公一

    吉田(公)委員 平成不況と言われて八年たつわけですね。トンネルの先に明かりが見えたとか、足踏み状態でなお慎重に観察を要するなんて、何だか昆虫の採集みたいなことを言っていた長官もおられましたが、いまだに不況を克服できないでいるわけであります。したがって、これから家賃を支払うということは、確かに家を買うよりか一時期にお金が必要ないから当然家賃で住もうという人もいれば、一戸建て住宅を買って、少し遠いけれども、一時間半もかかるけれどもという人もおられるし、それはさまざまです。しかし、考えてみますと、やはり住宅公団国策事業ということを脱皮して、つまり住宅を提供するサービス会社だ、そういう認識に立たないと、私は、これからは時代の要請に合っていかない。  第一、郵便局が変わっちゃってびっくりしちゃった、郵政省が。窓口へ行って、あんな不親切なところが、もう課長さんが来てくれるんだから、年賀はがき、ことしはどうでしょうかなんと言って。そういうふうに、一番サービスの悪い郵便局が変わっている、郵政省が。ましてや、これから住宅公団なんかは、住宅サービス会社だというつもりで経営をしていくことが、住んでいる人たちにとっても喜ばしいことだ、私はそう思っているわけですね。  これから地方自治体なんかもそうですよ、つまりお役所じゃなくて、要するに区民サービス市民サービスをモットーにしてやっていくんだ、そういう時代になってきているわけですから、ぜひそういう点もこれからは基本姿勢にしてやっていただきたい、そう思っています。  だから、どういう経営努力をすれば家賃を値下げすることができるかというのが、これから住宅公団の一番の大きな使命だ、私はそう思っておりますが、そういうことについて、いかがですか。
  20. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申します。  先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども公団も、日ごろそういった観点からの意識でやっているつもりでございますが、今先生の御指摘のような点があるやに私どもも思うわけでございまして、この新公団設立がもしお許しいただけますれば、それを機に、一同一丸となって意識改革をしてまいりたいというふうに考えております。  私ども、その一つの方策としまして、いわゆるCIという手法を使いまして、役職員一丸になって、どういう観点から新しい公団使命が果たせるかということにつきまして、職員一同と一緒に考えております。CIのいわば理念といったもの、あるいは行動規範といった中で、基本的な原点でございますが、住む方に、また暮らす方にとってどういう町がいいかという原点に立った町づくり、暮らす人にとってどういう町がいいかという原点に立った住宅づくりをしてまいりたいというふうに思っております。よろしく御指導をお願いいたします。
  21. 吉田公一

    吉田(公)委員 東京が一番団地が多い、実は七十四団地東京にあるわけですね。その中の、建築年度からいきますと昭和三十年代、それから昭和四十年代に建てたやつが一番多い。したがって、家賃を下げていくということは当たり前の話であって、民間だってそうでしょう、三十年も四十年もたったマンションなんというのは、これは当然新築マンションよりかも六掛けだったり七掛けだったりするわけで、昭和三十年代や四十年代、昭和五十年代に建ったやつだってもう相当古いわけだから、つまり全部、ほとんどと言っていいぐらい、家賃を下げなきゃならない建築年数建物であるわけですね。だから、ぜひひとつ家賃については下げるのが当たり前だ、私はそう思っているわけです。  それから、長期借り入れについて、十四兆ある。国鉄清算事業団国鉄債務に次いで二番目に長期借入金が多い。金利だけで大変な金利を払っている。金利元金返済もすべて家賃収入からやるわけだから、当然、家賃収入の中の何%か必ず含まれているわけですね。したがって、長期借入金金利を払うということは、その分家賃にはね返っていくわけだから、経営主体である公団は、できるだけそういうものを家賃にかぶせないようにしていくという努力をすることが当然の責任だと私は思っている。  しかも、財投というのは、年金郵便貯金の中の国民の預かり金だから、しかも国民生活に最も密接に関係のある貴重な財源なんだから、それを運用していくということは、政府もちゃんと考えなきゃいけないと思っている。それはほかの予算と違うんですね。税金で上がってくる予算と違って、財政投融資というのは第二の国家予算と言われているわけだ。  ところが、どうも財投の扱いが実に緩やかというか、大まかなんだ、それは厳しい国会の審査がないということもあるかもしれないけれども。運用していかなきゃならないから、当然、貸し出しをしなきゃいけない。だけれども国民の預かり金なんだし、郵便貯金そして厚生年金積立金財投というのはでき上がっているんだから、当然大事に使わなきゃいけないわけだ。だから、どんどん金を貸して、しかも返還が七十年。そして、国なんかは、建設国債なんか六十年ですよ。ここにまず無責任な要因がある。七十年なんて皆さん、法事だって五十年たてばもうおしまいですよ、やらなくていいんだから。七十年なんといったら、ここにいる人はほとんどもう三十三回忌か五十回忌を迎えてしまう。そのこと自体が無責任だと思っている。  しかも、借りかえができる。都合が悪ければどんどん借りかえていってしまえばいいんだから。今の建設国債なんかはみんなそうですよ、六十年返還だ。しかも、全部借りかえができるというんだから。だから無責任借金国家になってしまうわけだ。これが、十年間で返さなきゃいかぬ、二十年で返済をしなきゃならぬといったら、事業資産なんというのは、もし二十年で返還できなければ、公団建物を四棟とか五棟とか売って整理しなきゃいけないでしょう。だけれども、そんなことをする必要がないものだから、どんどん借金がふえていって、しかも七十年返還ですよ。借りた人なんかとっくにいもしないのに、また次の、七十年後の人はだれが責任持つんだか知らないけれども。  私は大蔵委員会でも言ったんだ、六十年償還なんというやり方があるかと。しかも、借りかえがどんどんどんどんできて、いつ返すんだか、だれが返すんだか、四代先の人が返すんだか五代先の人が返すんだか、全然責任がないんだ。  だから、今、きょう理事長さん以下理事がお並びだけれども、七十年償還なんという話を、責任持てるんですかね。
  22. 荒田建

    荒田参考人 七十年償還の件でございますが、先生もよく御存じだと思いますけれども公団賃貸住宅の供給というのは一般の賃貸住宅の供給と違いまして、土地を取得して、そして上物をつくって供給するという仕組みでございます。しかも、借入金でやるというような体系になってございます。  一般の民間賃貸住宅は、大部分が、昔ながらの地主さんが、正直言いますと余り地代という負担をお考えにならなくて賃貸住宅経営するというようなことであるわけでございますが、私どもは、中堅所得者に、ファミリー層に、戦後、絶対不足した時代に大量に供給しなければならない、そのときに、土地を買って供給するということで当然地代負担というのが高くなりまして、借入金償還期間をできるだけ長くいたしませんと家賃が高くなってどうしようもないというようなことを踏まえまして、家賃の回収期間、これを賃貸住宅の一応の存続期間と考えられる七十年ぐらいを目途に借入期間を設定していただいて、それをもとに毎年毎年の返還額を計算して、その上で、皆さんに高いと批判を受けるかもしれませんが、御負担できるような家賃にしてようやく供給できているというようなことが実態でございます。これを仮に三十年とか何か短くいたしますと、途端に家賃がかなり上がってまいりまして、それでもって供給しろというとこれはなかなか難しいというような実情でございます。
  23. 吉田公一

    吉田(公)委員 三十年償還だと家賃にはね返って家賃が高くなる、そんな単純な話じゃない。例えば、ディベロッパーにしてもマンション業者にしても、土地を買って、そして賃貸や分譲をやっているわけですね。農家の人たち土地はただじゃないか、こう言うんだけれども、ただだから収支がとんとんなんだと。しかし、それだからといってまるで天文学的な、返済七十年間なんていうのを設定したから今の家賃で済むんだというのは、私は理由にならないと思うんですね。  もしそうだとすれば、住宅公団そのものの存在にかかわってくるわけだ。七十年もかからなきゃ金返せないんだから。では、そんなことだったら金利を払ったり、そして元金を払っていくと、これは十四兆一千じゃきかなくなってしまう。私の想像ですと、今十四兆円で抑えているけれども、第一、事業資産ととんとんだといつも説明するんだけれども、その事業資産というのは売れるんですかというんだ。売って借金とツーペイにするのなら事業資産ということがあるけれども、そうじゃなくて絶対売れないんだから。売れないのを、事業資産がこれだけありますから、用地建物を換算すると事業資産としてこれだけありますから、したがって十四兆の借り入れがあっても収支はとんとんですなんて話は一方的な話であって。  では、借金があるのなら、例えば十四兆円のうち三十年償還のものがある、二十年償還のものもある、それじゃ、今度は五棟売って償還の一部に充てようと。あるいは今あるマンションを、例えば分譲で売り出してしまう。賃貸で貸しているマンションを分譲で売り出して、その収入で返さなきゃならないときは返さなきゃいけないわけでしょう、どうしても返せというのなら。民間企業はそれでやっているわけだから。  では、その返済をしていかなきゃならないのに、今の賃貸のマンションを分譲にして、一時そういう話があった、田中角栄総理のときに、要するに、景気対策のために東京都の都営住宅を売ったらどうだ、こういう話になった。当時、知事は美濃部さんだ。そうすれば皆さん喜んで都営住宅を買ってくれるんじゃないかという話があったわけだ。何十万戸という都営住宅を、要するに賃貸じゃなくて売る、そういう発想が田中総理から出たことがある。しかし、当時そこまで踏ん切れないで、分譲することについてはなくなりましたけれども。だから、そういう発想だって実はあるわけなんで、それは住民、住んでいる人たちが、自分が今家賃を払っているところを分譲にしてくれるんなら買ってもいいですよという人がいるかもしれない。  だから、七十年間償還という長期間にわたって、そしてどんどんどんどん借り入れがふえていく。例えば、今の理事長さんがお見えになったときに十四兆一千七百九億円だと、長期借り入れが。次の理事長がお見えになったときには、本来なら十三兆円に減ったと。つまり、民間企業の場合は、例えばもう経営主体がにっちもさっちもいかないときには銀行管理になっちゃう。あるいは、全く違うところから経営重役を呼んで、社外重役を呼んで経営の立て直しというのをやるわけです。本当は、新理事長になったり新理事になったときにその人たちの役目は何かといえば、長期の借入金返済していくこと、それがきょうそこにお並びの皆さん、経営陣の最大の責任だと私は思う。だけれども、どんどん理事長がかわるんだけれども、この借金体制についてはだれも責任をとらない。これは特殊法人全般に言えることだよ。  だから、国鉄の長期債務だってそうだ。清算事業団理事長が二年ごとにかわっていくんだ。だけれども、毎年一兆円の金利を払っていて、どんどんどんどん借金が膨れ上がっても在職をして、今度は、次の人がまた来る。その人は、一年間に一兆円の金利を払っているなんということは全然お構いなしだよ。それで二年間いて、またかわっていっちゃう。  だから、そういう無責任体質というかな、そういうものが累積赤字になったり経営感覚を失わせていく一つ方法だと私は思っているわけで、どうぞ経営陣におられる皆様方は、最大の努力をされて最大の効果を上げる、そのことによって家賃を下げることができるわけだから。そういうことが私は一番大事だ、こう思いますが、牧野理事長さん、いかがでございますか。
  24. 牧野徹

    牧野参考人 御指摘のように、事業用に充てる長期の借入金が毎年ふえておることは事実でございます。ただ、これにつきましては、先ほどから担当理事が御説明しておりますように、事業用に充てる意味借金がふえているということもぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、財投資金についての御議論が行われていることも承知しておりますが、先ほど先生おっしゃいましたように、郵便貯金なり年金なりで積み上げてきたお金を長期安定的に運用するという面があって、私どもには三十年という、もちろん例外二十五年等ありますが、ほとんどは三十年ということで金利を固定してお貸しいただいている。我々は、それをベースにして、お話のあったような耐火構造の良好な住宅を七十年という観点で供給している。  ですから、非常に端的に申し上げますと、こういう金利状態のときに、例えば分譲住宅で繰り上げ償還が私のところでもどっとございました。しかし、これを財投にお返しするということは、ひいてはその財投でそういう金利を期待しておられる国民の方の期待にそぐわないという面もあって、そういう繰り上げ償還は一般的にはほとんどまだ認められない。そういう事情があることも御理解いただきたいと思います。  しかし、そういうことをお話し申し上げた上で、おまえは十四兆もの借金といいますか借り入れでそれで仕事をしておる、今後の事業運営の方針として、間違ってもその持っておる事業資産借入金が返せないなんていう事態は起きないように誠心誠意努力せよというおしかりと受けとめて、私どももそのように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  25. 吉田公一

    吉田(公)委員 牧野理事長さんから決意とも言える御答弁がございました。ぜひそういう方向でこれから御努力を願いたい、こう思っているわけでございます。  いずれにしても、金利がかかっているわけでございますし、財投ですから、当然郵貯なんか使えば郵便貯金者に金利を払っているわけですから、当然その金利分も含めて財政投融資という中から融資は受けているわけです。  そこで、金利というのは一体年間幾ら金利だけで払っているんでしょうか。
  26. 平岡哲也

    平岡参考人 平成年度金利の支払い額は約七千五百億円でございます。
  27. 吉田公一

    吉田(公)委員 経営状況上、長期借り入れは万やむを得ないこともあるというお話であります。  仮に一歩譲って、国策も考えてやっているわけですから、採算ベースだけでは運営できないことは当然私も承知をいたしております。しかし、七千五百億円の金利というのは、これは家賃収入の中から当然払っていっているわけです。この元金がゼロならいいですよ。今みたいに金利ゼロというような、銀行間同士、日本銀行から銀行に金を貸すときに金利ゼロ、その金利ゼロなら構わない。だけれども、必ず赤字がふえてくれば、幾らサイトを延ばしたって金利も一緒にサイトが延びていくわけですから、当然金利を払っていかなきゃならない。七千五百億円といえば間もなく一兆円になるわけですけれども、そのこと自体が家賃にはね返ってくるということになれば、万やむを得ないだけでは済まされない。やはり七千五百億円という金利家賃収入の中に、家賃の中に含まれているとそう思っておりますが、それはそうでしょうか。
  28. 荒田建

    荒田参考人 ただいま平岡理事から御答弁申し上げましたのは、公団借入金十四兆全体に対する利息支払い額を申し上げました。  それで、賃貸住宅だけで申しますと、借入金が約六兆三千億でございまして、それに対する支払い利息額は九年度で約二千五百億程度ということになっております。
  29. 吉田公一

    吉田(公)委員 これから、国も地方自治体もまさにそうなんですけれども、つまり費用対効果ということを当然考えていかなきゃなりませんね。  ただ、問題は、一つはやはり住宅という国民生活に最も密接な関係のあります住宅公団ですから、その使命たるや重大だと。ほかの特殊法人の存在よりかも、つまり国民の住ということについて運営されているわけですから、もう特殊法人なんかなくたっていい特殊法人はいっぱいありますよ、そういう特殊法人と全然違うんだ、だから責任はまことに重大だとこう思っているわけで、そういう意味では、常に費用対効果、効率、そういうものを念頭に置いて考えていかないと、いつまでたっても親方日の丸で、幾ら借金してもこれはしようがねえんだ、金利払ったってやむを得ないんだというような状態では困るわけでありまして、住宅公団公団なんて言っていないで、ぜひ経営感覚を取り入れた住宅公団にしてもらいたい、そう思っているわけですね。  さて、公団は今度は分譲をやめるということなんですが、今まで抱えている土地というものがあると思いますね。その土地というのは一体どのぐらいあって、そして、ここ四、五年の間にどういう計画でその空地を利用していくのかということについて、計画があれば教えていただきたいと思うんです。
  30. 島崎勉

    島崎参考人 現在、分譲住宅の業務からは撤退するということになってございますが、この対象としております分譲住宅用地につきましては、平成年度末で二百五十四ヘクタールございます。  それらの具体的な対応の仕方でございますが、経過措置といたしまして、既に一部が完成した分譲住宅団地がございまして、これと一体的に管理組合を形成する、そういうことで残りの分も分譲をつくるというふうに約束しているような団地もございまして、そういうようなものにつきましては、経過措置として継続して分譲住宅をつくらせていただきたいというふうに思っております。  なお、これ以外の分譲住宅用地につきましては、一つは、政策賃貸として使えるものにつきましては賃貸住宅用地として切りかえてまいりたい、それからもう一つは、民間住宅事業の関係の方々に卸売をいたしましたり、共同で分譲する、上物は民間でつくっていただいて土地公団が直接供給する、そういうような方式とか、さらには、個人の方々の個人住宅として一応造成をし直しまして処分をする、そういうようなことを考えております。  処分の時期につきましては、いろいろ用地を購入する際に公共団体との約束等もございましていろいろな調整がございますので、その調整後、現下のいろいろな住宅需要に合わせましてスケジュールを考えてまいりたいと思っておりますが、分譲住宅の経過措置の期間といたしましてはおおむね五年から十年ぐらいを考えているところでございます。
  31. 吉田公一

    吉田(公)委員 ぜひ、せっかく買った用地がむだにならないように、早速計画を立てて実行に移していただきたい、そういうふうに思っております。  それで、どこでも職員の定数ということが言われておりまして、地方公共団体も含めて、国もそうでありますが、定数管理ということが大事になってまいりました。したがって、定数管理については今後どういう方針でいかれるのか、基本線をお聞かせいただきたい、そう思います。
  32. 今泉浩紀

    今泉参考人 定員管理でございますが、先般のこの委員会で大臣からも御答弁がございましたが、大幅な定員の削減をもくろんでおりまして、一〇%を上回る、五百人規模の純減をいたすという方向でただいま作業を進めているところでございます。
  33. 吉田公一

    吉田(公)委員 理事の削減を初めとして、定数については十年間で一〇%ずつ定数を削減していくというような方針でございまして、どうぞその点についても、それも経営改善の一番大事なところでありますから、費用対効果ということを考えてぜひ実施をしていただきたいと思います。  それから、住宅都市整公団のそれぞれ未着工の用地等が相当数あるわけでございまして、ぜひひとつこれを再利用していただきたい、こう思います。ただ、問題は、未利用地がたくさんあるんだけれども、それは例えばバブルのときに買い入れた、そういうことになると、今資産価値が三分の一ですから、当然、資産価値が下がった中で、そのかわり建築費は安いわけです。そういう意味では、これは景気回復にもつながってくるわけですから、ぜひその土地を遊ばせておかないで、そして建物を建てて、あるいはまた地方公共団体に売却する、そういうことも含めてぜひ御検討をいただきたい、こう思っております。  それから、御多分に漏れずどこの特殊法人でも、道路公団なんか最たるものだけれども、子会社をいっぱい、子会社というか関連企業というのをいっぱい持っていますね。本体は赤字なんだけれども、子会社の方は利益がある。それで、住宅公団については昔団地サービスという大会社がありました。団地サービスという名前が一番わかりやすくていいと思っていたんだ。そうしたら、今は何だか難しい名前に変えたらしいんだけれども、何でそんな難しい名前に変えて、団地サービスといえばすぐわかるじゃないですか。ああ、住宅公団サービス会社だ。サービスなんて名前をくっつけるとややこしくなるものだから、サービスなんという字は外しちゃって、何だか相当難しい名前に変えたようでございますが、難しい名前に変えた根拠というのはあるんですか。なるべくわかりやすくしようと言っているときに。
  34. 荒田建

    荒田参考人 設立当初は、先生おっしゃるとおり団地サービスという名前で、私も時期はちょっと今不確かなんですが、ここ何年か前に社名を変えまして日本総合住生活という名前にしたと思いますが、そのゆえんは、やはり団地の中の生活する人の居住形態といいますかあるいは住生活の習慣の変化とか、そういったものを考えまして、団地サービスでも私もいいと思いますけれども、そこは総合的に、団地内に住んでいる人たちの生活についていろいろなサービスを奉仕しようということで変えたのではないかと推察しております。
  35. 吉田公一

    吉田(公)委員 日本総合住生活株式会社、これは、住んでいる人にとっても覚えるのが容易じゃないので、団地サービスというと、サービスだからサービスするのは当たり前じゃないか、こう住んでいる人に言われるものだから、そうはいかない、今度は日本総合住生活株式会社ですから、そんなサービスばかりやっていられませんよというので、サービスというのを取っちゃったんじゃないかと思うのだけれども、できればこれは団地サービスに戻してもらいたいね。なるべく易しい文字に変えていくのに、日本総合住生活なんて、何を言っているんだかちっともわからない。日本総合住生活株式会社、まさかサービスをやる会社なんかだと思っていませんよ。何か建築研究所みたいな名前をつけて、耐震構造の研究をしていますなんて。団地サービスに戻してもらいたいな、本当に。  それから、公団関係株式会社三十二社というんだけれども平成十四年度までに三分の一程度を削減する、こう言っております。何でこんな三十二社なんてあるんですかね。団地サービスという会社一社でいいじゃないか。
  36. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  公団のいわゆる関連会社と言われるものでございますが、これは現在の法律の三十一条で、建設大臣の認可をいただきまして出資をさせていただいているものでございまして、その業務の内容なんでございますが、例えば住宅管理公団の業務の代行とか補完的な業務、あるいは生活利便施設の建設、運営、管理等の業務、あるいは再開発施設の運営、管理等の業務、それから鉄道等の業務につきまして出資をさせていただいているわけでございまして、そういった出資に係る会社と、それから、出資をした会社がまた出資をしている企業がございます。そういったものにつきまして、現在一定の基準でもちまして三十二社をいわゆる情報開示をしておりまして、その情報開示をしている会社が三十二ということでございます。
  37. 吉田公一

    吉田(公)委員 建設大臣の認可をいただいてなんて、建設大臣に無理矢理認可させてしまっているんじゃないの。  それで、三十二社というけれども、そのほかにいっぱいあるけれども、ほとんどもうかっているのだな、これは。親の方は十四兆も借金して、金利だけで七千五百億円も払っているのに、何でこういう子会社がもうかっているのか、そこが不思議でしようがないんだ。どうして借金している親会社が発注する子会社がもうかっているのか。借金を返すために徴収したらいいじゃないか、そんなもうけさせることないし。徴収させて、七千五百億円の金利に充てればいいのだ。そうしたら家賃も安くなるのだから。そういう循環型返済方式団体とかなんとかないのかね。もう少し知恵を使ったらいいよ。
  38. 今泉浩紀

    今泉参考人 公団の出資につきましては、冒頭、住宅局長からも説明があったとおりでございまして、現在、バブルの影響ということであのような形になっておりますが、本来、収支相償う事業体であるべきだというふうに考えております。  また、出資をしました株式会社でございますが、先般の委員会でも御意見があったわけでございますが、ある程度の利益を上げるということがやはりその会社自体にとっての存在意義でございますし、それから、先ほど関連会社の設立目的で申し上げましたけれども、基本的には住民サービス、それから住む人の利便につながるものをやらせていただいているわけでございまして、そういったことで会社の存続意義があると同時に、それが結果的には住民サービスにつながっていくというふうに考えております。
  39. 吉田公一

    吉田(公)委員 そんなことは絶対ないのだよ。それは、本体が十四兆円も長期負債を抱えて、七十年間の返済金利だけで七千五百億円も払って、家賃にはね返ってきているのでしょう。ところが、その住宅公団が出す仕事によって利益を生んでいるのだから当然利益というのは、要するに住宅公団そのものはつぶれないのだから、したがって、利益をどんどん子会社がためる必要はないわけだよ。要するに、収支がとんとんであればいいわけでしょう。何でこんなにもうけなければいけないの、これは。もうかってどうしようというの、これ。住宅公団の子会社なんだから、もうかる必要ないじゃないか。
  40. 今泉浩紀

    今泉参考人 一つの例で申し上げたいと思うわけでございますが、先ほど先生が質問に出されました昔の団地サービス、今、日本総合住生活、略称JSと称しているわけでございますが、この企業につきましては、数年前でございますが、非常に多くの利益を上げたということでいろいろと御批判を受けたところでございまして、このJSにつきましては、契約内容の見直しをいたしまして、大幅なそういった利益の減少をさせたところでございます。先生お手持ちのいろいろとデータがあるのではないかと思うわけでございますが、株式会社それぞれ、ある程度の利益を上げさせていただいておりますが、JSのかつてのような形にはなっていないというふうに思っております。
  41. 吉田公一

    吉田(公)委員 つまり、団地サービスと昔は簡単に言ったのだけれども、何で団地サービスを置いたかというと、つまり借りている人たちに対するサービスをしていくということなんですから、つまり建て主が家賃を払っている人に対するサービスをしていく、当たり前の話ですよ。だから、そういうことを考えれば、何もそんなに利益を生む必要はないわけで、本来なら、サービスをすることによって損をする必要はないけれども、何ももうける必要はないわけだよ。要するに、コバンザメとサメみたいなところなんだから、サメにぴったりくっついていれば、すっとどこへでも行ってしまうのだから。だからそういう意味では、もっと家賃を下げる方に、還元させなければおかしいでしょう。そういう経営感覚というのは大事だ、そう思うのですよ。
  42. 荒田建

    荒田参考人 今、益の縮減について今泉理事から答弁を申し上げました。私どもも、まさに先生おっしゃるとおりで、もうけ過ぎというのはあってはならないことだと思います。  団地サービスという名前で、先ほど私、会社の名前のお話を申し上げましたが、今略称JSという名前で言っておりまして、これはやはり住民の、居住者の方にJSという名前で定着しつつあるように私は判断しております。  いずれにしましても、JSには私どもいろいろな仕事をお願いしていますけれども、例えば駐車場なんかは非常に要望の強い分野でございまして、これの新しい設備投資なんかもJSにお願いするというようなこともありますと、やはりある程度益を出して、それを投資資金に回すだとか、あるいは、JSは子会社でございますから、例えば身障者用のリフト、これなんかは私どもはJSに言って寄附させています。これが、件数はそんなに多くはございませんけれども、非常に居住者団体、居住者の方に喜ばれているというようなこともございます。  いずれにしましても、御指摘の趣旨を踏まえまして、決してもうけ過ぎにならないように、かつまたそういった居住者へのサービスもますます充実させるように、しっかり指導してまいりたいと思います。
  43. 吉田公一

    吉田(公)委員 最後に、さっき申し上げましたように、昭和三十年代、四十年代、五十年代の建物が一番多いわけですね。二百二十三団地の中で、つまり昭和五十年代までに建てたやつが百九十団地もあるわけだ。したがって、どんどんどんどん家賃を下げていく、そういう状況にあるわけだから、ぜひ見直しの時期には全体的に家賃を下げるのが当たり前だと思っている。  その点、大臣、三十年も四十年もたった団地家賃が上がるなんということはおかしいので、傾斜家賃というのは一番高いところでとまっちゃったわけですから、大臣に最後に、家賃は下げるべきだ、そういうことについて大臣の政治的な御判断を。
  44. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 当初から、三十年にできました公団から今日までのずっと流れ、それの側面の社会的な変化、その中で今後新しくつくられる公団がどうあるべきか、本当にすべて総括されて、私はすばらしい、決してお世辞ではございません、すばらしい質問であったと拝聴いたしておりました。  本当に公団というもの、特殊法人というものの持っております立場、あるいはまた財投というもの、そのもの自体が今見直されようとしておるわけでございますが、そういうようなところで安易にお金を借りてくることができる、そういうもとだから、どうしても経営体質が緩慢になってしまう、私はそれは事実だろうと思うわけでございます。  そういうようなことをいろいろ経営努力もし、特殊法人のいわゆる総裁とか役員の方々はそういう立場だから経営責任をとらされないというのが今日でしたけれども、私は、今後は刑事的にも罰される、そういう社会情勢になってくるんじゃないかと思います。ですから、そういう中であって、経営努力を大いにして、そしてまたいろいろな子会社がもうけるということであるならば、その分は家賃を下げるという方向に使われる、そういうまたシステム、考え方というものに持っていきたいと思っておるわけでございます。  そういう家賃という、何といいましても住民の方々の一番関心事は家賃を安くしてほしいということであろうと思いますから、その感覚に沿って指導をしていきたいと思っております。
  45. 吉田公一

    吉田(公)委員 終わります。
  46. 平田米男

  47. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういうことであれば、政府提出法案の修正かなというような感じがするわけでありますが。  最初に、以前の本委員会で、多分これは三月十日だったと思うのですが、京都で行われております特定再開発事業、私は、この再開発事業、今回公団が目指しておる、こうした新たな分野における事業というものは、これまで公団にとって大変大きな財政的なマイナス要因になってきた、しかもこれが非常に不透明であるという点から、この再開発、地上げ事業というようなものをまず取り上げたいと思うのです。  その三月十日の委員会において、私は、公団はこの特定再開発事業の中で、一部の、具体的に言いますと、京都の丹波口の事業でありますから、大阪ガスと日本たばこ産業に対して特別の有利な計らいをしたのではないか、そういう中で一般の住民、その区画整理事業の中に入っている一般の住民あるいは中小零細企業、こうしたものに対して非常に冷ややかな冷たい扱いをしたということを述べたわけであります。  その中で、一部住民をスナックなどに接待をした事実があるということを申し上げたのです。それで、このことを再度私は聞きますよというふうに申し上げておいたのですが、その後調査をされたんでしょうか、どうですか。
  48. 島崎勉

    島崎参考人 調査をしてございます。(石井(紘)委員「それで、結果はどうだったんですか」と呼ぶ)調査の結果でございますけれども、この丹波口の事業におきましてマンションの部分が一部対象になってございまして、そこのマンションの住民の方々と補償交渉をしておったわけでございます。その補償交渉がおおむね成立いたしまして、その結果、いろいろ最終的な打ち合わせをするというようなことで、公団の職員とマンションの住民の方々とで打ち合わせを、京都市の施設で打ち合わせをしたということでございます。
  49. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは、京都市内のある場所で、まず和室ですき焼きをごちそうした。その後、木屋町のバーにみんなを連れていった。それで、その飲食代等々は公団が持った。そういうことでよろしいですか。
  50. 島崎勉

    島崎参考人 この区画整理事業に伴う必要な経費といたしまして、公団の方で負担したところでございます。
  51. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういう接待というのは必要な経費なんですか、大臣。  大臣はそのときの委員会の私に対する御答弁で、こういうことがあるとすれば、これは「いけないことでございます。だめなことでございます。」それで、それに対して私は再度確認をいたしましたところ。これは公費でございますからね、そういうもので、しかもそういうこそくな、すき焼きを食べさせたりスナックで飲ませたり、そういうようなことでもって住民を懐柔するということはこれはいけないことだ。それでわかるようなものでありますけれども、またそういうことが事実であったら厳正に対処をするということをもう一言答弁いただいておしまいにしたいというやりとりがあったわけでございますが、大臣はこういうふうに、これはいけないことだと明確に言われているわけです。  では、どういう始末をされたのですか。いや、大臣に聞いている、大臣に。
  52. 山本正堯

    山本(正)政府委員 ただいま御指摘がございました点につきましては、今理事から御答弁を申し上げましたとおり、組合の役員の方と公団の職員の方が、移転補償の円滑な実施のために、相互にその必要性を理解した上で実施したものというふうに聞いております。その手続、費用の手続等についても所定の手続を行っている、こういうふうに聞いております。  こうした会合につきまして、こういう趣旨を逸脱した過度なものになることは厳に慎まなければいかぬということは当然でございまして、こうした点についても、公団もみずから自律自戒をしていく必要がある、私どももそういうふうに考えております。
  53. 石井紘基

    石井(紘)委員 必要なことだと言ってあなたたちはやったんでしょう、言っているんでしょう。大臣は、これはいけないことだ、そういうことがあったらいけないことだということは、これはきちっとけじめをつけなきゃいかぬということを言っているわけですよ。今のような答弁じゃだめです。これはもう、そういう答弁では通らない。  大臣、何かありませんか。なかったら、これ以上これは質問できません。そういう答弁では納得できません。大臣の言うこととあなたたちが言うことは全然違う。
  54. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 そのようなことは常識的に考えても許されることではないということで、私はそういう答弁をいたしました。ですから、先生の御指摘のケースで、公団の面々も十分に反省をし、今後そういうようなことは起こらない、起こさないということが、私としての立場では、いわゆる、どういいましょうか、罰則を与えたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  55. 石井紘基

    石井(紘)委員 多分大臣はこのことについて追及をされていないんじゃないかというふうに思いますが、今後、これからはもういたしませんというのは赤ん坊でも言うことですよ。それじゃ通らない。これじゃ審議できません。
  56. 平田米男

    平田委員長 だれか説明できますか。島崎参考人
  57. 石井紘基

    石井(紘)委員 だめだよ、そんなんじゃ。そんなこと言ったってだめ、何回言ったってだめ……
  58. 平田米男

  59. 石井紘基

    石井(紘)委員 質問していないのに何で答弁するんだ。
  60. 島崎勉

    島崎参考人 この打ち合わせは、平成十年十二月八日に行ったものでございますが、接待という性格のものではございませんで、当地区の区画整理事業を実施する上で必要となるマンションがございまして、ゴールドタウンハイツ五条山一ビルと申しますが、そこの再建組合の方々、二十人以上いらっしゃいますけれども、組合の方々と当公団の職員とが、移転補償の円滑な実施のために、相互の必要性を理解した上で実施したものでございます。  その費用につきましては、当然、公団の正式な手続を踏んで公団が負担をしているところでございまして……(石井(紘)委員「大臣はそれはだめだと言っているんだよ。そんな、だめだよ、聞いてもいないことを、同じことを繰り返して」と呼ぶ)京都市の施設の中でやったわけでございます。(石井(紘)委員「同じことを繰り返すんじゃないよ」と呼ぶ)そういうような意味で、事業の円滑な推進を行うというためにやったわけでございまして、通常、社会通念上……(石井(紘)委員「社会通念上間違っているんだよ、そういうことは」と呼ぶ)認められる範囲ではないかというふうに考えているところでございます。
  61. 石井紘基

    石井(紘)委員 大臣が、それは悪いことだと言っているんだよ。だめだ、そういう答弁は。しかも、あなたは、移転補償の問題が片づいたから打ち上げみたいな形でやったと言っているじゃない。ところが違うんだよ、それは。いいですか、この事件があったのは平成十年十二月八日だよ。いまだにまだ、きのうも私確認しましたよ、まだ全然移転の問題は片づいていないって。うそを言うんじゃないよ、うそを。だめだよ、それじゃ。委員長、こんなんじゃ。言っていることが違うじゃないか、全然。
  62. 平田米男

  63. 石井紘基

    石井(紘)委員 質問できないと言っているんだから、委員長、これは。
  64. 島崎勉

    島崎参考人 移転補償につきまして、完全に契約が終わったわけではございませんが、おおむねの方々の御了解をとれたという段階で、これにつきまして必要な打ち合わせを行ったものでございます。
  65. 平田米男

    平田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  66. 平田米男

    平田委員長 速記を起こしてください。  石井紘基君。
  67. 石井紘基

    石井(紘)委員 この事件については、建設大臣は、これはいけないことであるということを繰り返し述べられておる。しかし、公団の方の答弁は、これは業務上必要なことであったということでありますから、これは全く正反対の見解であります。大臣がやはり建設省所管の長でありますね。ですから、大臣がおっしゃることと違うことをあなた方はやってきた。しかも、答弁もまるっきり違うということは、こういうことでありますと、これは、大臣にそういう方々を処分していただかなきゃならぬかもしれない、こういう問題になるわけでありますので、ここは公団の方でもう一度、最高責任者である総裁がこの点についてはっきりとした見解を述べてもらう、そういうことにしましょうか。
  68. 牧野徹

    牧野参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私どもが、区画整理事業等の多くの関係者といろいろ協議しながら仕事を進める上で、全く何も御一緒に食べられない、場所等はちょっと後から申し上げます、ということではなくて、恐らく、私は理解するに、許される範囲内のそういう経費もあるのだろうとは思います。  一方、大臣がおっしゃるのは、そういう、何というか、不正、不当な接待であるとかもてなしであるとか、そういうことをすることは断じて許さないという御指示であろうと思います。  そこで、私は考えますに、担当理事が言いましたように、許されている範囲内の経費の支出だと彼は、私のところに報告がございましたが、今のような経緯でございますので、それが大臣もおっしゃっているような断固許されない範囲のものであるのかどうかは再度しっかり調べて、対処してまいりたいと思います。
  69. 石井紘基

    石井(紘)委員 大臣は許されないと言っているんですよ。私は、この質問をしたのは三月ですよ。これから調べるんですか。さっき、そういう事実はありましたということを認めているんですよ、あなた方は。調べた結果、事実でしたともう認めているんですよ。もう一回言ってください。
  70. 牧野徹

    牧野参考人 調査しまして、そういう事実があったということは私も聞いておりますし、先ほど御答弁いたしました。  問題は、石井先生は、大臣の前回の御発言と矛盾するではないか、こういうおただしだと思います。そこで、大臣の御発言と当公団理事のことで、私は、先ほど言いましたように全く何も許されないとは思いませんので、そこの点で、許される範囲内の支出であったのかどうか、そこのところはもう一度念には念を入れて調査をしてみたい、こういうことでございます。
  71. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは、百十一億円の国の補助金が、国だけじゃないけれども、もちろん回っていって市町村の分もあるけれども、出ているんですよ、この事業は。いいですか。それを、あなた方は飲み食いをさせて接待に使っているんですよ。税金の使い方としてそういうことが許されるかどうかは、そんなあなた、調べなきゃわからないようなことなんですか。税金の使い方ですよ。
  72. 島崎勉

    島崎参考人 丹波口の区画整理事業につきまして、事業計画をつくっておりますけれども、その事業計画の中での事業雑費という科目の中で、許される範囲内での正規の手続を経ました支出でございます。
  73. 石井紘基

    石井(紘)委員 あなたはだれでしたか、島崎さん、あなたはまだ、いまだに許される範囲だと言っているの。総裁、まだそんなことを言っているんだよ。どうなの。これはきっちり追及をさせていただきます。  委員長におかれましても、これは重大な問題ですから、大臣と役所それから公団が全然違う、こういうあり方でよろしいのかどうかということは、これはひとつ委員長、保留しておきますので、お心得いただきたいと思います。  そこで、今の丹波口の特定再開発事業においては、さきの委員会でも言いましたから繰り返しませんが、日本たばこ産業株式会社というものの敷地が相当あったわけですね。これがどこへ行ったんですか、換地で。
  74. 島崎勉

    島崎参考人 丹波口の特定再開発の区画整理事業でございますが、日本たばこ産業株式会社の従前土地が二万四千六百八十二平米ございました。そして、現在、これの仮換地指定中でございますが、仮換地の面積は一万八千九百二十一平米でございます。これは、いわゆる減歩ということを行うわけでございますが、その減歩が二三%ということでございまして、この仮換地の位置につきましては、国道九号の北側、現に日本たばこ産業がある部分が一部ございます。それからもう一つは、国道九号の南側のブロックの一部に仮換地をしたところでございます。
  75. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと委員長、私の質問時間はきょう一時間もらっているんですよ。これは正当な国会議員の権利ですよ。いいですか、決まった一時間ですよ。それをあなた、今の中断の時間が二分間だというのはどういうことですか。五分にしたの。十分中断していたのだ。そのあたりは、やはりきちんとやっていただきたい。  続けます。あなた方が言っているたばこ産業の換地、これは換地したと言っているところの上に大阪ガスが既にビルを建てて、大阪ガスが使っています。駐車場あるいはビル用地その他に大阪ガスが使っているわけです。あなた方は、この計画の当初からの経緯を見てみても、明らかに大阪ガス、日本たばこ産業、この方々とこの計画を基本的につくって、そしてその後に大勢の住民をどうしようかということでやっておって、いまだに住民の皆さんとは決着がつかない。既に、重立った企業とは全部もう事実上換地手続を済ませておる。だからこそビルも建てられるということになっておるわけです。あなた方がやっていることは、これは一部の企業との癒着じゃないですか。
  76. 島崎勉

    島崎参考人 ただいま御説明しました日本たばこ産業の換地でございますが、従前の土地の部分に、本来、基本的にはその近くに換地をするということでございますけれども、そこには京都市の公園が計画されておりまして、その従前の近くの中ではおさまらないということがございました。そのようなことで、その日本たばこ産業の敷地の一部、約三千平米でございますが、その三千平米についてはいわゆる飛び換地ということで仮換地の指定をさせてもらっているところでございます。  なお、全体の減歩率につきましては約一九・七%でございますが、いわゆる大規模の土地を持っている方々につきましては、今の日本たばこ産業につきましては二三%でございますが、いわゆる権利が少ない地権者の方々の平均をいたしますと九・三%というような減歩率でございまして、そのような意味では、必ずしも権利が小さい方々について減歩が高いというような状況ではございません。
  77. 石井紘基

    石井(紘)委員 聞かないことまで答えられたのだけれども、それは墓穴を掘るような答弁ですね。(地図を示す)こういうふうに、ここの道路を拡幅するためにやったのですよ、この区画整理事業は。こっちの方は全然関係ないのですよ。ここを整理しよう、整地しよう。ところが、ここに日本たばこ産業の用地相当の広いものがあった。この関係のない日本たばこ産業の土地を、もうあそこは工場が要らなくなっていますから、現に工場はなくなりましたが、それをこの計画の中に入れて、そして公園用地ということで京都市に買い取らせて、だから、日本たばこ産業の用地というのは相当広かった。それが今の答弁のように、減歩率が一番高い、こういうわけですよ。確かにそう、二三%。というのは、日本たばこ産業のために土地を買ってあげて、そして大阪ガスの真っただ中に入れて、これを大阪ガスが使っている。これはどういうことですか。  それで、この保留地というのはこの辺にとってある。ところが、今までに補償費として、補償費の予算枠は大体百億ですね、使われたのは、六十四億以上もう使われておる。そうすると、その他の今ある地元のもともとの企業やあるいは大勢の住民の皆さんにこれからまだ補償をしなきゃいかぬ、ビルも建てなきゃいかぬ、道路も拡幅の工事もしなきゃいかぬ、こういうので、この保留地を処分しても六十四億しか出ない、こういうことですね。そうすると、明らかにこの予算は足りなくなってくる。現地の公団関係の方々は、そうなったらまた新たに国から金が出るだろうというようなことを言っておる。  そういうようなことで、公団がやる特定再開発というのはこれだけじゃありません。あるいは、先日出た新宿のアイランドタワーのような再開発ビルなんかも、二千数十億円の予算を投じて一千億にしかならない。一千億が入ってこない、赤字だということですね。そういうように、公団がやる再開発事業というのは、これは至るところ不透明な問題と、それから財政上採算が合わないというようなものが大部分であります。そういうことを指摘しておきたい。  それからまた、愛知県の三好町というところがあります。ここで、これは委託事業ということで公団が病院建設について三好町から委託を受けた。公団がどうして今までやったこともないような病院建設というようなものの委託を受けるのか。しかも、これは委託を受けてすぐ、設計業務についてこれを丸投げしておる。しかも、どこへ丸投げしたかというと、公団のファミリー会社に丸投げをしている。こういう事実はありますか。
  78. 島崎勉

    島崎参考人 三好町からの公団が受託をした件でございますが、まずその経緯でございますけれども、この三好町というところでは、公団相当大規模な三好ヶ丘地区という区画整理事業をやってございます。その区画整理事業につきましては、計画人口が二万一千百人ということでございまして、三好町のいわゆる計画人口五万一千百人の、公団区画整理の中でお住まいになる方々が約四一%を占める、このような状況の町でございます。  そういうような中で、公団といたしましては、町から具体的な病院建設についての委託を受けた。これは、当然公団法によりまして、附帯する業務ということで受託を受けられることは公団法で認められておりまして、そういう経緯で公団としては病院の関係の受託をしたということでございます。  それで、その受託の中身でございますが、現在公団は調査設計の受託を受けております。その調査設計の受託につきましては、ただいま公団のいろいろな関連の会社ということはどうかというふうなお話もございましたが、公団の具体的ないわゆる関連会社というものに対して、公団が受託した部分の一部につきまして契約委託したことはございませんで、具体的に申しますと、設計業務委託、これにつきましては三千五百三十八万五千四百八十四円でございまして、中部都市整備センター、シマダ技術コンサルタント、それから株式会社宅地開発研究所、ここに委託しております。  それから、土木実施設計業務委託、これでございますが、これにつきましては……(石井(紘)委員「ちょっと、いいかげんにしてよ。時間が大分とられちゃっているんだから」と呼ぶ)それでは、そのようなことを含めまして、全部で設計業務が四件でございますが、合わせまして……(石井(紘)委員「そんなことまで聞いていないでしょう」と呼ぶ)二億二千五百万で、そのような公団の特別な関連会社に委託している経緯はございません。
  79. 石井紘基

    石井(紘)委員 あなた方が丸投げした株式会社中部都市整備センター、この会社はあなた方の会社ですよ。これは、あなた方のファミリー会社が多数出資をしてつくっている会社です。こういう、あなた方が、自分たちでできもしない事業を地方自治体から受けて、これだけではないですよ。学校建設なんというのはごまんとあるじゃないですか。体育館の建設とかというのはたくさんあるじゃないですか。そういう自治体からの事業を、本来だったら民間に行くべきものを、あなた方は何もそういう、何もとは言わないけれども、具体的な仕事にかかわらないで、そして受けて、しかも高い値段で、この病院のあれだって私は数字を持っていますけれども、一般から見れば随分高いですよ。そういうものを受けて丸投げをする。自分の子会社だ、関連会社だ。  大臣、そういうことは許されるのですか。公団は、そういうことをやっていていいのですか。あなたはちょっと答弁が長いからやめてください。答弁は三十秒以内ね。
  80. 島崎勉

    島崎参考人 ただいま中部都市センターという会社の名前が出ましたけれども、この会社はいわゆる子会社でも孫会社でもございません。確かに、一般的な取引関係ではありますけれども、そのような意味ではいわゆる子会社でも孫会社でもないということでございます。
  81. 石井紘基

    石井(紘)委員 あなたは、ますます自分で墓穴を掘るような答弁ばかりさっきからやっておる。この会社は、公団の幾つかの関連会社が出資をしてつくっている会社ですよ。ちょっと今資料があるのだけれども、出てこないから後で言います。  大臣、公団というのは、具体的な設計にしても施工にしても、そういうものをやらない。何か委託契約を受けてきて、それを子会社なりあるいは関連会社なり、あるいは民間の会社にまた丸投げで下請けする。委託事業の場合はほとんどがこういうケースです、その他もそうですけれども。そういうあり方というものについてどう思いますか。
  82. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生のいろいろな御指摘された内容を私は今初めて伺うところでございまして、内部のことは存じませんが、どういいましょうか、いいか悪いかといえば、決していいということではないと思います。
  83. 石井紘基

    石井(紘)委員 いいですか。あなたのさっきの答弁、ここの(株)中部都市センターへの出資会社は住宅共栄、住宅共栄というのはあなた方のファミリー会社です。それから、関西西部都市整備センター、これもそうです。同様です。都市整備プランニング、こうした会社はその他銀行とともに出資をしてつくっておる会社です。これにあなた方は、あのJSと同じように入札という形をとった。そうして、こういうところに、いいですか、この建設業務委託契約だけではなくて、建物実施設計その他業務委託契約というようなものをしておるということでありますので、このことは答弁を求めても、また答弁にならぬようなことしか言わないのでしょうから、時間がないから、これはまた別な機会に回します。  次に、公団の分譲住宅で、かつて公団が、分譲住宅が全然売れなくてもうたくさん塩漬けをつくって、そして建設途上で工事をストップしたりしていたころ、大体数千戸、売れ残り住宅というものが今から三、四年前に残っておったわけですね。一万近い戸数が残っておった。そういう中で、それを、いや、もう値下げはしませんというようなことを言って、そして買ってもらった、そういう分譲住宅の購入者がたくさんいるわけです。そういう人たちが今公団を訴えておりますね。  つまり、その後公団はやみ値引きというものをやりました。これは後で申し上げますが、やった。五百万から一千万というような金額でもって、これはモデルルームでありますと言って、モデルルームでも何でもない、例えばあそこのマリナイースト21の潮音の街なんかは一棟全部が売れていない。十二階建てぐらいあるのですか、これ全部をモデルルームというようなことでもってやみ値引きをやったり、あるいは家具つきでやみ値引きをやったり、いろいろなことをやってきたわけですね。そういう苦しんでいるときに、その前に買ってくれた人たち、高い値段で買ってくれた方々、こういう二千名ぐらいの方々が公団を訴えておられるわけですね。  こういうものに対して、公団はどういう訴訟に臨む態度といいますか、どういうふうに考えておられるのか。それから今度、これは新公団になるというような場合に、こうしたものへの対応というものはどういうふうに変わってくるのか。あるいは、全面的に責任を持って対応していくのか。そのあたりをちょっと、三十秒。
  84. 島崎勉

    島崎参考人 現在、公団が分譲住宅の値下げをしたことに伴いまして、一部既購入者の方々から公団に対して、損害賠償等の求めに関する訴訟が提起されております。現在、三件の訴訟が係争中でございまして、これらに対しましては、公団といたしましては、この分譲住宅につきましては市場におきまして、契約者の意思に基づいて自由な契約として購入していただいたというようなことでございますので、そのようなことを踏まえまして、係争中でございますので、最終的には司法の判断を仰ぎたいというふうに思っております。  また、裁判につきまして、新公団に移った場合でございますが、これらに関しましては、新公団が現公団の一切の権利義務を継承するというふうになってございますので、したがいまして、現在係争中の訴訟の当事者たる地位につきましても一括継承するというふうに考えておるところでございます。
  85. 石井紘基

    石井(紘)委員 それで、公団は、賃貸住宅に入居しておられる方々に対しても相当の訴訟をかけておりますね。立ち退き訴訟ですか。こういうものは全部で何件ぐらいあるのですか。
  86. 那珂正

    那珂政府委員 公団賃貸住宅関係で原告となっている訴訟案件でございますが、九百七十四件で、対象になっている方の人数は一千六人でございます。
  87. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、全部で千件ぐらいの訴訟事件を抱えておる。こういうようなものに対しては、国がやっている事業なんですから、買ってもらっている人たちとか住んでもらっている人たちと訴訟でもって争うというようなことは、やはり早急にやめなきゃいかぬ。なるべくやめなきゃいかぬですね。  しかも、賃貸住宅の皆さんに対しては、大体建物というのは、鉄筋コンクリートなんかの場合は七十年ぐらいが耐用年数と言われているわけですね。ところが、公団の平均の建てかえというのは大体三十七年ぐらいじゃないですか。そうすると、まだ十分住めるのにもう壊してしまって、そして高い家賃をもらいたいために建てかえを行う。そのためには追い出さなきゃいかぬというようなことで立ち退きを迫る。私、実際住んでいる人たちに大勢聞いているわけですから。実態、そういう部分は大いにあるわけですよ。そういう点についても、公団の態度というものは非常に誠意に欠けておると思います。  そこで、もう答弁を求めている時間がないから進みますが、さっきの分譲住宅の件にもう一回戻ります。  まだまだ数千件という分譲住宅が、今塩漬けの部分あるいは建設中の部分がありますから、これからも当分まだ分譲住宅の販売というものをやっていかなきゃならないのだろうと思いますが、そういう中で、いろいろ法律的な問題もありますね。  例えば、お金の問題で言えば、これまで取ってきて、蓄積してきた分譲価格調整準備金というようなものが約三千億ぐらいあるんじゃないでしょうか。あるいは財務会計上の引当金。引当金というのも、これは買った人から毎月、ローンの場合は、割賦の場合は受け取っているわけですね。こういうようなお金というものはどこへ行くのですか。
  88. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど公団理事から御答弁申し上げましたように、現公団の一切の権利義務は、設立時において新公団に一切承継されることとなりますので、ただいまお尋ねの分譲価格調整準備金という引当金等につきましても、新公団に引き継がれることとなります。
  89. 石井紘基

    石井(紘)委員 それはどこに定めてあるのですか。
  90. 那珂正

    那珂政府委員 現公団法の財会省令三条三項によりまして、分譲価格調整準備金を勘定科目として設けられることが規定されておりますが、新公団法附則第六条一項によりまして、先ほど申し上げました「一切の権利及び義務は、その時において公団が承継する。」ということでございまして、そのことを申し上げました。
  91. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと違うんじゃないですか。では、省令というのは改正しないで、修正しないでそのまま適用させるのですか。
  92. 那珂正

    那珂政府委員 基本的には、財会省令の基本骨格はそのまま新公団に対してつくることとなります。
  93. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、そのまま省令は移行させる、そういう答弁だったと思いますね。基本骨格といって、ちょっとあいまいな言い方でしたが。  そうすると、財務とか会計に関する省令とか、その他の政令、省令というようなもの、分譲価格の決定方法だとか賃貸住宅家賃の決定方法だとかというものはこの中に入っているわけでしょう。こういうものはどうするのですか。
  94. 那珂正

    那珂政府委員 分譲住宅の価格、賃貸住宅の賃料等を決める省令は、ただいま申し上げましたいわゆる財会省令とは別のものでございます。
  95. 石井紘基

    石井(紘)委員 あいまいな答弁をしないでくださいよ。別のものということはないということでしょうが。だから、それをどうするのかと。  そうすると、家賃の決定等についてのみ省令を、内容を変えるということで、その他のものはそのまま引き継ぐということなんですか。
  96. 那珂正

    那珂政府委員 基本的に権利義務は一切引き継ぐという趣旨でございますので、財産も当然何らかの形で引き継がれるわけでございます。  先ほど申し上げました財会省令という形式については、これは住宅都市整公団の財務及び会計に関する省令と言っておりますので、その形式は、新公団法の名称を使うとか新しい形にするとか、そういう形式的なやりかえは当然行うべきことだと思いますが、先生が御指摘の準備金の形は、これは先ほど申し上げましたように、新しい財会省令においてもこういう形の準備金として措置するつもりでございます。
  97. 石井紘基

    石井(紘)委員 だから、そういうつもりだというふうに言えばいいのですよ、まだできていないのだから。  そこで、きょうは国税庁にも来ていただいておりますので、分譲住宅のやみ値引きをしたときに、公団は、例えばその分譲価格というものが六千万なら六千万というものがあった。そうしますと、それに対して一時金が、頭金に相当するものですね、これが七百万とかいう金額であった。そうすると、その一時金の分をまけてあげますよという形をとったわけですね。ところが、分譲価格は変わっていないわけです。本来であれば、六千万の分譲価格であったら、七百万まけたら五千三百万にしなきゃいけないわけですね。ところが、六千万の分譲価格はそのままに置いて、そしてやみ値引きですから、やみで引いたという形をとったために、ここで税金の問題が出てきたわけですね。  消費税については、当初の価格、値引きをする前の価格でカウントをしておったわけですね。ところが、値引きをしたものですから、そうすると、この値引き分についてこれも消費税を何らかの形で組み込まないと、やはりこれは脱税とかいろいろな法律上の問題になってくるということで、この値引きをした分についても、消費税はここから取るという形をとって調整をしたのかなというふうに思われるわけです。  ちょっと国税庁に伺いたいのですが、大体六千万のものであったら、それをおまけしてしまって五千三百万円にしたら、その五千三百万円に対して消費税をカウントするのが普通の、一般的な当たり前のやり方じゃないかと思いますが、その点だけ、時間がありませんので、そうなのかどうかということをお答えいただきたい。
  98. 森田好則

    ○森田(好)政府委員 個別具体的なことではないということでお答えさせていただきます。  一般論で申し上げまして、消費税というのは建物の譲渡価格に課税されて、建物の譲渡の時点で値引きをすることが確定している場合には、その値引き後の金額に消費税が課されるということになります。このときの値引きの判断というのは、やはり取引の実態等から判断して、その実質が値引きと認められるものも含まれるという考え方であります。  それから、建物の譲渡が行われた後に値引きが行われた場合には、売り上げに係る対価の返還等の金額といたしまして、その値引きに係る消費税額を課税売り上げに係る消費税から控除するという形になると思います。  以上でございます。
  99. 石井紘基

    石井(紘)委員 値引きですから、最初、その後値引きをされたとかなんとかではなくて、ちょっと今の答弁もおかしいのではないかと思うのだけれども。  最初六千万で売ったものを後で七百万おまけしますから返してくださいとやっているわけではないのですよ。最初から引いているのですよ。はっきりお答えください。
  100. 森田好則

    ○森田(好)政府委員 私の説明が悪かったのかわかりませんが、私、先ほど一般論で二つに分けてお答えいたしました。  当初から値引きが確定していると認められる場合には、値引き後の金額に消費税が課される。その値引きの判断というのは、取引の実態等から判断して実質が値引きかどうかということがまず第一の類型だと思います。その後にあった場合に、また返還の金額に見合った消費税を控除する。二つに分けて答えたつもりでありますけれども。  以上です。
  101. 石井紘基

    石井(紘)委員 一般論ということでございますから、多分、公団の場合は最初から値引きしていたのですから、値引きした金額に対して消費税がついていなければおかしいということを言われているというふうに理解をいたします。  ここの問題は大変不可解な問題でございますので、ひとつ国税当局におかれましても、やはり税金の使途という意味できちっとお調べをいただくようにお願いをしたいと思います。  それからまた、総務庁は、住都公団のこうした価格設定について問題を提起いたしました。何年か前に行政監察を行って事務費の問題等について指摘をされておるわけですが、今やりとりを聞いていただいておりますとおり、公団は、例えば接待をしたり、あるいは具体的な数字を出さなかったりということでありますので、総務庁においてもぜひ今後も引き続き公団に対するそうした監察を行っていくつもりがあるかどうか、伺いたいと思います。
  102. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、私どもの行政監察におきましても、公的住宅の供給の問題、あるいは市街地再開発事業のあり方の問題等につきまして、行政監察の対象として重要な分野であるという認識のもとにこれまでも監察テーマとして取り上げてきておりまして、今後もこの方針は変えないつもりでございます。  具体的に、当面すぐどうかというふうにお尋ねになりますと、今回住都公団が廃止されまして新しい法人に移行されますので、新しい法人の実績がある程度出て、評価の対象としてできるという時点で具体的に考えていきたいと思っております。
  103. 石井紘基

    石井(紘)委員 新しい公団ではないと公団は言っているわけですから、今までと同じなんだ、名前を変えるだけだというようなことですので、新しい公団云々ということは余り念頭に置かないでやってもらいたい。  そこで、まだたくさんあるのだけれども、さっきの分譲住宅の問題と関連して、千葉県のマリナイースト21の潮音の街、夢海の街、これについての土地価格は幾らであったのか、それからまた建設費は幾らであったのか、それから建設事務費あるいは建設利子、そういったものはそれぞれ幾らであったのか、それに基づく価格設定について御説明をいただきたいと思います。
  104. 那珂正

    那珂政府委員 その前に、先ほどの御質問で、正確に、私、賃貸住宅の件数と申し上げましたけれども、訴訟の件数ですが、分譲住宅も含めた全体の訴訟案件でございましたので、訂正させていただきます。  ただいまお尋ねがありました、個別の、マリナイースト21等の団地原価建設費等を明らかにせよというお尋ねでございますけれども公団の供給する住宅につきましては、民間を中心とする市場で取引されているものでございます。個別住宅原価の公表は分譲住宅業務の遂行に支障を及ぼすと考えております。また、仮に事業終了後でありましても、例えば特殊な基礎を要する地盤条件等いろいろ場所によって違いがございまして、価格が原価を上回ることも下回ることもあることから、個別の原価を公表するということは無用な混乱を招きかねないということでございまして、公表は差し控えさせていただきたいと存じます。
  105. 石井紘基

    石井(紘)委員 公団は国の税金を幾ら使っているの。平成年度は五千億近く公団に行っているのですよ。そういう中で、その税金を使って土地を買ったのが幾らであったか言えない。それでもって、建設建物を建てた、それが幾らだったか言えない。その借り入れの利息が幾らだったか言えない。しかも、事務費というようなものは、これはさっきあなたが言われた省令に書いてあるのですよ。分譲住宅の価格の設定基準として書いてあることですよ。これが言えない。いや、同じような答弁を繰り返すのだったらいい。  これは、大臣、やはり税金の使途の問題ですから、今やっているものを言えというのではないのですよ、これから買収する土地の価格を幾らで買いたいかというのを言えというのではないのですよ。もう十年も前の、もうとっくにみんな済んでいる、そういうものの価格をお出しなさいと言っているのに出せないと言うわけですよ。こういうやり方でいいのですか、大臣。
  106. 平田米男

    平田委員長 石井君に申し上げます。  質問時間は終わっていますので、ひとつ。
  107. 石井紘基

    石井(紘)委員 時間がなくなるから、次にもう一つ、最後に言っておきます。  きょう新聞にも出ていたけれども政府の方針は、行政改革について、定数削減は二五%、小渕内閣は、小渕総理はやると言っているわけですよ。公団は十年かかって五百人。全然違うではないですか。政府の方針と違う。  それから、子会社、孫会社、これは四十ある。税金でつくっている、そういうアルバイト会社を。この退職金は莫大なものになるわけです。こういうものを公団は相変わらず整理もしないで、廃止だなんてまやかしをやっておる。廃止ということの趣旨は、これまでの議論の経過からすれば、公団のこうしたさまざまな問題が多いので、見直すべきだ、廃止をすべきだという議論の中から来たのじゃないですか。それを、さらに輪をかけて公団事業をふやしていくというようなことが許されるのですか。  子会社、孫会社というものは莫大な利益を上げているじゃないですか。資産も一千億を超えておる。こういうものを整理しておけば、家賃だってそんなにばかばか上げなくたって済むんじゃないですか。こういうものの借金と子会社の負担が家賃あるいは価格に大きく影響してきているのでしょう。  私なんかが言っているのは、こういうものを整理すれば、これは大幅に借金が減らせるから、だから家賃への負担等々も減らすことができるんだ。何といったって、これは行政改革という趣旨に沿って、公団は根本的にやはり考え直して、公団は考える立場にないのでしょう、だからこれは建設省が考えなきゃいかぬ問題ですよ、建設省が。
  108. 平田米男

    平田委員長 石井君に申し上げます。  質疑時間は経過をしておりますので、質疑をやめていただけますでしょうか。
  109. 石井紘基

    石井(紘)委員 まだ終わっていないのですが、そうおっしゃいますのでそろそろやめます。今のような、政府の方針とも違う、大臣の言うこととも違う、数字も出さない、税金の使い方を明らかにしない、そういうようなことでは、これは国民に絶対納得されないということを最後に申し上げまして、また、こんな公団法の新たな、新公団なんというような法律では、いずれ必ず、さらに行き詰まって動きがとれなくなるだろうということを申し上げまして、終わります。
  110. 平田米男

    平田委員長 この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  111. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。富田茂之君。
  112. 富田茂之

    富田委員 公明党・改革クラブの富田茂之でございます。  都市基盤整備公団法案につきまして質疑をさせていただきます。建設委員ではありませんので、特に委員長並びに各党理事の御配慮に感謝いたします。どうもありがとうございます。  これまでのこの委員会の質疑を伺っておりまして、いろいろ考えられた上での法案だな、いろいろな工夫が随所に出ているという意味で、その点については評価いたしたいと思うんですが、ただ、家賃決定の部分また賃貸住宅の建てかえの部分について、まだちょっとこれまでの質疑で若干わからないところがございますので、ぜひその点をお尋ねしたいと思います。  新規入居者また継続家賃について、新しいルールを設定するんだということで種々御説明がございましたが、これまでの家賃設定の問題点として、原価を基礎に算定する方式にいろいろ問題があるんだという御説明をずっとされておりました。家賃が直接金利、地価等の変動を受けるために新旧住宅間の不公平が生じるんだとか、周辺の民間家賃と乖離しやすい、空き家が大量にふえたり、また物すごい募集、応募をしてくるというような状況があるという御説明がございました。  一番の問題は、入居者にとって家賃改定の根拠がわからない、ここが公団にお住まいの皆さんの一番の不満でもあるし、今後どうなっていくんだろうという、そこを考えますと、これまでの公団の方の説明を聞いておりまして、近傍同種住宅、この家賃をもとにまず参考にしてやるんだというふうにすぐ出てくるんですが、例えば、昭和三十年代、四十年代に建った公団住宅の周りに、参考になる本当に同じような住宅があるのだろうか。  私の地元の八千代市に米本団地というのがありますが、その近くには同じような五階建ての賃貸住宅とかはほとんどありませんし、何をもとに近傍同種住宅の価格だというふうに算定するのか、そこがよくわかりません、これまでの御説明を聞いていても。  公団の方で、基本問題懇談会の家賃部会で、住民の代表の皆さんも入れてきちんとそういうルールを決めるんだというふうな御説明ですけれども近傍同種住宅というのをどういうふうに探してきて、またその家賃をどういうふうに決めていくのか。立地条件、建設時期、広さというのが大きな三要素になるんだという説明もこの委員会でありましたけれども、今公団にお住まいの皆さんが、本当に自分の近くにそういう対象になるようなものがあるんだろうか、そういうことに疑念を持たないように新しいルールがきちんと設定できるのかどうか、その点について、どういうふうにこれからされようとしているのか、まずお尋ねしたいと思います。
  113. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  お尋ねの近傍同種住宅家賃の算定方法でございますが、当該公団住宅と類似した賃貸住宅の賃貸事例の収集、いろいろな例を選択、収集を行いまして、その住宅と当該住宅との比較の上で必要に応じて、例えば構造の違い、規模の大小、建設年代の差、あるいは駅からの距離などの立地条件、あるいはまた共益費などの賃貸条件といいましょうか、そういうものの違いなどを適切な補正を行った上で定めることを検討中でございます。  なお、さらに実際の算定に当たっては、客観性を確保するためにも専門の鑑定機関の活用が必要だと、あわせて今それも含めて検討中でございます。
  114. 富田茂之

    富田委員 今専門の機関の鑑定も検討中ということですけれども、例えば不動産鑑定士さんにお願いして、近傍同種、仮にすぐ近くになくても、これまでの例をいろいろ集積してきている専門家ですから、そういう方たちにきちんと入ってもらう。そこが担保されないとやはり客観的なルールというふうに言えないと思いますので、住民の皆さんが不安に思わないように、今局長言われたとおり、専門機関に入ってもらうようなルールの設定をぜひお願いしたいと思います。
  115. 那珂正

    那珂政府委員 先生指摘のように、そういう点も、専門家の鑑定士の方々にも入っていただきますし、また、先ほど申し上げましたルールを決めることに際しても、実際、今公団の中で、基本問題懇談会等におきまして、住民の皆さんの代表の方にも入っていただいて、種々ルールについても検討させていただいております。
  116. 富田茂之

    富田委員 ぜひお願いしたいと思います。  次に、家賃対策補助の点について確認をしておきたいのですが、この法案の三十三条の四項に、「居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者で」というふうな規定がございます。例として高齢者、身体障害者が挙げられているのですが、居住の安定を図る者というのを、どのような方を考えているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  117. 那珂正

    那珂政府委員 家賃改定に際して、特別の減額措置の対象として考えておりますのは、公営住宅収入基準収入分位で申し上げまして二五%以下でございますが、収入基準に該当する世帯で、今先生指摘になりました主たる生計維持者が六十五歳以上の高齢者世帯と心身障害者世帯のほか、母子世帯、生活保護世帯を考えております。
  118. 富田茂之

    富田委員 法文上は直接出てきませんけれども、今局長が答弁されたように、母子世帯とか生活保護世帯もここに当然含まれるというふうに理解してよろしいですね。  そうしますと、この家賃補助という対策、これまで公団の方でいろいろ配慮されて、実際にやってこられたというふうに聞いています。今回はきちんと国が整備するんだということで、前回のこの委員会でも我が党の大口委員が、具体的にどのくらいの金額になるんだという細かな質問をして、局長の方からも答弁をいただいておりますので、その点は結構ですが、かなりいろいろな面で、この法案に従って拡充されるというふうに聞いております。  これまで公団独自でやってきた制度を国の制度にすることによって、どんな点に変更があったのか、この機会にぜひ教えていただきたいと思います。
  119. 那珂正

    那珂政府委員 大きな違いは、せんだってもお答えさせていただきましたけれども、減額幅といいますか、実際に入居者の方々が御負担になる家賃がさらに減額されるということ等のほか、対象者として、これまでは、これまでの住都公団改定の際の特別の措置の対象者が、粗収入ベースで三百五十万円以下の方を対象としていたものに対し、今回は、先ほど申し上げましたように、公営住宅収入基準以下ということでございますので、例えば高齢者二人世帯の場合で申し上げますと五百四十万円以下まで拡充することになりますので、推計でございますが、例えば平成七年の前回改定時で、従前の減額特別措置の対象になった方が一千世帯強であったことに比べますと、現在の推計でございますが、五万世帯にもなる見込みでございます。
  120. 富田茂之

    富田委員 これまで公団が行っていた対策として、一千世帯をちょっと超えるぐらいだというお話でしたが、この法案で、きちんと成立して、今後国の制度として確立していけば、約五万世帯がこの恩恵を受けるようになるということですね。  ぜひこのあたりも、法案が成立したらもう少しアピールしたらいいと思うのですね、なかなかこういうのは知られていませんので。大口さんも言われていましたけれども、そういうPRについても、建設省も公団も熱心に取り組まれたらいかがかと思います。  また、家賃の補助の制度について、建てかえ時に同じような補助制度ができないのかというふうに考えておりましたら、昨年の秋ですか、建設省また公団の方で、建てかえ時にも家賃補助をするんだというような制度を取り入れて、公団の方からパンフレットをいただきましたが、戻り入居の際にも家賃の支払いが大変にならないように、いろいろ公団建設省の方できちんと配慮してきた、そういう御説明をいただきました。  この資料をいただいて、戻り入居の際に高齢者の皆さんに同じように減額措置を考えますというようなことが書いてありまして、例えば、二DK、五十平米相当の建てかえて新しくできた公団に再入居するというような場合に、家賃が仮に十万だとすると、ずっと五万円、半分の五万円を払えば入居している限り大丈夫ですというような、こういう資料をいただきました。  これは、今後、まだ実際はなっていないと思うのですが、これから建てかえができて、四年後、五年後、再入居される際に、再入居の際の家賃補助もきちんと保障される、予算補助ですか、というふうにされると聞いているのですが、実際これはどういうふうに行われているのですか。
  121. 荒田建

    荒田参考人 建てかえますときに、そこに長くお住まいの方が戻られる、そういうときに、どうしても高齢で低所得になったときの不安が非常に大きいわけでございまして、先生今ほどお示しのような助成措置、まさに二DK十万の例で、六十五歳になればその半分、五十平米まででございますけれども、そういうような形で助成措置をいただきまして、十年度の着手団地から説明に入っております。  それまでは、いわゆる激変緩和といいまして、段階的に上がって、七年なり十年たつと、本来家賃といいまして一般の方々が入居する家賃まですりつくという案だとか、あるいは十年間、一定額減額した額をずっとお払いいただくとか、そういうような形で経過措置的に激変緩和措置をやっていたものが、年齢的に六十五歳になれば、そういう形ではっきり国の助成がいただける。また、今までは法律上の根拠規定がございませんでしたけれども、建てかえの家賃助成について、きっちりした法文上の明確な規定ができたものですから、私ども公団としては大変ありがたい制度だと思っていますし、また、建てかえ団地にお住まいの方々からも、それなりに御評価をいただいていると我々は確信しております。  ぜひ、先生もおっしゃるように、この制度をうんとPRしまして、建てかえ後の戻り入居者に少しでも安心していただけるような形で頑張ってやっていきたいと思っております。
  122. 富田茂之

    富田委員 今の御説明で、制度自体はよくわかるんですけれども、例えば家賃十万円のが五万円ぐらいになるとこのパンフレットにも書いてあります。  実際、私の地元の団地の二DKの平均家賃をちょっと教えてもらいましたら、例えば八千代市の米本団地で、二DKで二万五千円から三万二千八百円、これがほぼ平均だ。千葉市の花見川区にあります花見川団地でも、二DKで二万八千九百円から三万五千三百円。この団地にお住まいの皆さんは大体五十代を超えて、七割ぐらいがもう五十歳以上、今後十年後、建てかえを迎えるときにはもう六十、六十五歳、そこが中心の方になります。  こういう方たち、今二万五千円から三万円、三万五千円ぐらいの家賃を払っている方が、戻り入居で戻ってきたときに五万円になるという、十万円を五万円に補助しているんだからいいだろうというふうに一つ考えられますけれども、実際に、今三万五千円ぐらいが限度で払っている方が、戻り入居で五万円また負担するというのは本当に大変だと思うんですね。  そういう場合に、今後、新しい制度がこれから実施されていくわけですけれども、その差額、一万円か一万五千円になると思いますけれども、その差額も何とか埋められるような新しい制度も、ぜひ今後、これから検討していただきたいと思うんですが、そこはどうでしょうか。
  123. 荒田建

    荒田参考人 米本団地と花見川団地の例を先生おっしゃいました。確かに、今現在お住まいの方々がお支払いいただいている家賃は、今先生おっしゃったような水準でございます。あの地域は、実は、たしか昭和四十年代につくられているかと思いますけれども家賃水準がさほど高くないところで、しかし大量に賃貸住宅をつくりまして私どもお貸ししているわけです。  あの団地の建てかえについては、昭和四十年代以降ですから、今まだ三十年代の団地十七万戸について、約三分の一ぐらいの着手というような段階でございますので、実はまだまだ三十年代で古いのが残っておりますから、そちらの方が着手時期としては早いわけでございまして、なかなかそちらの方まではまだいかないと思いますけれども、仮にああいうところでやりますと、仮に建てかえようということになりましても、家賃がどこまで設定できるかということは、まだまだこれからの状況の変化次第だと思いますので、あそこで極端に上がって、市場家賃になって上がってというようなことは、今の段階では想像できない、少なくともまだ建てかえを議論する段階じゃないと思いますので、お含みおきいただきたいと思います。
  124. 富田茂之

    富田委員 私が挙げた団地のことで考えろということじゃなくて、十万円を五万円に家賃補助してやる制度は実にいい制度だと思いますので、ただ、実際に三万とか四万払っている方が再入居して、五万円まけたんだからいいだろうということにはならないと思うんですね。ぜひ、そこも今後の課題として検討していただきたいと思います。局長、もし答弁があれば。
  125. 那珂正

    那珂政府委員 今、公団理事から御答弁申し上げましたように、具体の団地で建てかえをどういうふうに進めるかというのは、いろいろなケースが想定されるわけでございますが、さらに、先ほど御説明申し上げました減額措置というのも、個々の立地条件、事業状況によって個別に多少差が出てくると思います。  でも、それでなおかつまだ高い、こういうような実態も生じる可能性ももちろんあるわけでございますが、それに対して新公団法においてどういうふうに措置をしたかといいますと、直接当該建てかえ戻り入居住宅家賃の減額制度ではございませんけれども、例えば、建てかえに合わせて公営住宅を併設するというようなことについて、新たな規定をしっかり設けさせていただいたわけでございます。公営住宅を併設できれば、さらに一層安い家賃で、戻り入居される方の収入に応じてでございますけれども、一層の減額措置がとれる仕組みにはなってございます。
  126. 富田茂之

    富田委員 今局長から公営住宅の併設のお話がありましたので、ちょっと関連して伺いますけれども、公営住宅入居希望者に対して、入居を容易にする特別の配慮をするというふうに条文上なっています。この入居を容易にする特別の配慮というのは、具体的にはどういうことを建設省としては考えているんですか。
  127. 那珂正

    那珂政府委員 具体的には、例えば建てかえ対象団地の居住者で、公営住宅への入居要件にもちろん該当した上で、併設される公営住宅へ入居を希望したときには、その円滑な入居について公団から地方公共団体へ要請をしてもらう、公営住宅事業主体である地方公共団体も公団に協力するというようなことを考えておりまして、具体的には、御案内のとおり、公営住宅にも公募の条件というのがありまして、ひとしく入居者の期待にこたえなければいけないということもありますので、そういう意味では、当該建てかえに伴う公団住宅からの戻り入居者の人数をよく勘案してもらって、もう少し多目の公営住宅を建ててもらうというようなことを具体に考えております。
  128. 富田茂之

    富田委員 条文上は努力義務みたいになっていますので、努力義務だけで終わらせないで、公団の方も一生懸命公営の方に具体的にお願いするように、ぜひ実際の運用面でそういうふうにやれるように、建設省の方からも指導していただきたいと思います。  あと五分を切りましたので、最後に、少子化対策への取り組みという観点から、公団と大臣の方にちょっとお尋ねをしたいと思います。  私ども公明党・改革クラブで、自民党、自由党と少子化対策の検討会をつくりまして、ずっと検討を行ってきました。その中で、四月七日に、緊急少子化対策の基本方針というのを提言させていただきました。私もメンバーに入れていただいてずっとやってきたんですが、その中で、市町村少子化対策特例交付事業として、駅前保育ステーションあるいは駅前保育所の設置を推進しよう、そういうことを市町村でいろいろアイデアを出してもらいたい、また保育所の運営について、認可保育所へ民間参入がしやすくなるように、あるいは保育所の施設自己所有規制、今までは社会福祉法人が土地建物を持っていないとなかなか保育所ができなかったんですが、賃貸方式での保育所の経営も可能にするように規制緩和しようということを、自民党、自由党さんと合意させていただいて、提言させていただきました。  こういうことがこれから可能になってくると、新しい公団、駅前に大きなものを持っている公団が、保育所の参入に対していろいろ配慮できるようになると思うんですね。実際、埼玉の方では、駅に近い公団のビルの中に、夜間保育ができるような保育所に来てもらって、今動き出しているというふうにも聞いています。  そういうことを考えますと、これから新しい公団になって果たすべき役割というものもまた随分出てくると思うんですが、その点について、少子化対策という意味から公団がどういうふうに取り組まれようとしているのか、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
  129. 島崎勉

    島崎参考人 これからにおきまして、少子化対策というのは非常に重要なことだというふうに思っております。特に、女性の方々が社会活動を活発に行うということが最大の条件でございまして、このためには、できる限りやはり通勤時間が短いということが必要だと思います。それからもう一つは、やはり子供さんを安心して預ける場所が近くにあるということが重要なことだと思っております。  そういうようなことで、新公団におきましても、都心居住ですとか子育てファミリー世帯を含めたさまざまな世帯が居住できるような職住近接のバランスのとれた市街地住宅を供給してまいりたいと思っておりますが、例えば東京都が行いました若い世代の東京の居住に関する意識調査によりましても、三〇%以上に上る方々が保育所が未補充である、充実していないということが少子化に影響を与えているというふうに答えております。そういうようなことで、公団といたしましては、そのような要望も受けまして、具体的な施設を住宅に併設するということを考えております。  例えば、その施設でございますが、保育所ですとか医療施設、それから各種の店舗等、生活支援施設を充実していく。具体的に申しますと、これは具体例でございますが、松原団地駅西口地区というのがございますが、ここでは二十四時間お預かりいただけるという形で定員四十名の保育所が既に開設されておりまして、私どもとしても、非常に好評を得ているというふうに思っております。  したがいまして、特に都心部等の大規模開発におきましては、近くに保育所等がない場合におきましては、公団の施設として設置してまいるよう、今後とも事業執行に当たりましてそのような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 富田茂之

    富田委員 最後に大臣に、これから少子化対策推進関係閣僚会議が開催されるというふうに報道されておりまして、厚生省の方からも御説明をいただいたんですが、大臣もその中心メンバーとして入られる。今、公団も少子化対策に一生懸命取り組んでいくというふうに言われていましたが、この閣僚会議で少子化対策の基本的な方針を策定して、国民会議も何か設置しようというふうに考えられていると聞いています。総理も入ったかなり重要な会議になると思いますので、大臣も、建設省を代表して、また国民のために、ぜひこの少子化対策に向けて建設大臣として積極的な取り組みをしていただきたいと思うんですが、御決意のほどを最後にお聞かせ願いたいと思います。
  131. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 内閣の中にも少子化対策のそういう関係閣僚会議を設置いたしたわけでございますが、これは本当にまだ、今回設置したのが多少遅かったんじゃないかと思うぐらい、私は今後、日本の少子化、出生率が一・三九とかいうようなことが続きますと、これはもう大変なことになってしまうわけでございますから、住宅政策におきまして、本当にお母さん方がともに子供を育てやすい、また少しでも多くの子供さんをつくることができるような、そういうゆとり感のある、そして家賃もモデレートなものであるというような対策をやっていきたいと思っております。  先ほどの報告の中にもあったかもしれませんが、どこの駅でしたか駅の中に保育所があって、お母さんが勤務するときそこへ子供を預けて、帰るときに駅で子供と一緒に帰ってくる、本当に私はすばらしいアイデアのものだったと思いますが、そういうようなこともぜひ考えていきたいと思っております。
  132. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。終わります。
  133. 平田米男

    平田委員長 上田勇君。
  134. 上田勇

    上田(勇)委員 引き続き御質問をさせていただきますが、公明党・改革クラブの上田でございます。  今回の法案によりまして、これまでありました住宅都市整公団が廃止されまして、新たに都市基盤整備公団が設けられるということでありますけれども、まず最初に、名称も業務内容も、従来住宅に重きを置いていたものから、基盤整備ということですからインフラに重点を置いたものに変更しているということであるかと思います。その新しい公団におきましては、法案の二十八条の各項で業務の内容が規定されておりますが、賃貸住宅の供給や管理というのも引き続き重要な業務として位置づけられているところでございます。  そこで、国としても非常に重要な住宅政策ということでありますし、新公団におきましても重要な業務として引き続き実施されるこの住宅というのを新しい公団の名称の中からなぜ外したのか。その辺も含めまして、公団の名称を変更される理由をお聞きしたいというふうに思います。
  135. 那珂正

    那珂政府委員 新公団の業務は、御案内のとおり、市街地の整備改善と政策的に特に必要な賃貸住宅の供給管理ということが二本柱となっております。これらは、共通して都市生活あるいは都市活動の基盤整備ともいうべき事項でございまして、また同時に、こういう公共施設の整備とか土地の統合とかいういわゆる基盤的なことは民間事業者ではなかなか困難である、そういう困難なものを新公団は担っていくんだという姿勢を表現するために、短い言葉として都市基盤というものを用いたわけでございます。  住宅という、あるいは住という文字が名前からなくなって、住宅政策を軽視しているんじゃないかというような御懸念もこれまでもございましたけれども、若干言いわけめきますが、賃貸住宅というのは、特に大都市では大変その比率が高くなってきておりますし、例えば公団賃貸住宅に限って見ましても、大都市のある市ではそこの全住宅の二割ぐらいを占めている。そういうようなところすらあるくらい、大都市における公団賃貸住宅というのは、言ってみればまさに都市生活の基盤だ、こういう考え方で公団賃貸住宅もしっかりこの中に含めて解することができる、こういうふうに思っているわけでございます。  もう一点、より積極的な私どもの思いを申し述べさせていただきますと、特に職住近接を図って大都市において居住環境のよい住宅の立地を促進しようということは、基本的には、戦後これまで五十年かかっていろいろ建てかえ等を進めてまいりましたけれども、なおいわゆる公共施設の整備がおくれている、あるいは土地の有効高度利用がおくれているという、既成市街地の中の整備が何といっても住宅立地の大前提でございまして、そういうことをまずやらないと、いい住宅市街地というものができない。  そういうようなこともありまして、私ども住宅局は住宅政策を担当しておりますが、そういう点からも、あえてこの都市基盤という名称で新しい、生まれ変わる公団の方向づけを表現したいと思ったわけでございます。
  136. 上田勇

    上田(勇)委員 今の答弁で、住宅政策、住宅部門についても引き続き重要な業務の柱として続けていくという御答弁でありましたけれども、ただ、基盤整備といいますと、従来、通常の用語の使い方でいいますと、やはりインフラというところが主体であって、住宅、それから上物というのは対象にならないというような用語の使い方が多かったものですから、その辺、今後のお考えについて確認をさせていただいたわけであります。  今お話があったように、賃貸住宅も非常に公団の業務として重要な役割、重要な部門でございます。公団賃貸住宅にお住まいの方々からも、私は、新公団の名称には住宅や居住というような言葉を入れてほしいというような御要望、これは多分、大臣初め建設省の方々のところにも何回か強く寄せられたのではないかというふうに思いますが、今のお話で、やはり住宅というのが今後とも重要な柱であるということでございますので、できればそうした関係者の皆様の声にももう少し耳を傾けていただければよかったかなというふうに思う次第でございます。  次に、法案の中身でありますが、第一条の目的のところについてお伺いをしたいというふうに思います。  もちろん、新公団の目的が、住都公団のものが業務の内容に沿っていろいろと変更が加えられておりますし、この旧公団昭和三十年に設立されて以降、当然のことながら、経済社会も大きく変わっておりますし、国民の生活意識や価値観といったものも変わってきているわけでございますので、それに沿った見直しを行うのは当然のことなんですが、その目的規定の中で一点だけお伺いしたい点がございます。  住都公団の方の目的の規定のところでは、最後の部分のところで「国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」というふうになっております。それが今度の新公団におきましては、「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」ということになっております。ただ、今度、この改正の業務の変更の内容を見てみますと、これまでよりも高齢者の方々への対策は強化されている、家賃補助制度ども随分と拡充されている、そうした中で、むしろその目的規定が逆なのではないのかなというような感じがするのです。  そこで、この目的規定を変更されまして、国民生活の福祉の増進という旧公団法にありましたその表現を変更されたことを含めまして、この目的規定を変更いたしました理由についてお伺いしたいというふうに思います。
  137. 那珂正

    那珂政府委員 新公団の目的規定の変更でございますが、そもそも論から申し述べさせていただきますと、我が国大都市地域においては、十分な都市の基盤が整備されることなく人口や産業が集中してまいりました。その結果、今日では、住宅のことで申し上げますと、都心居住とか職住近接の促進、あるいは防災性の向上、あるいは拠点市街地の形成、さらには土地利用の整序というような大きな課題が残っているわけでございます。  一方、行政改革ということで、特殊法人全般に抜本的な見直しの必要性が言われておりまして、住都公団におきましても、今申し上げましたような政策課題に対応しつつ、やはり抜本的な改革もあわせて行わなければいけないということで、新公団は、先ほども申し上げましたけれども、複雑で長期を要する市街地の整備改善、あるいはファミリー向けの都心居住の賃貸住宅の供給というような新規業務に重点化を図ることとして、あわせて既存の賃貸住宅についても適切に管理していくことをその使命としているところでございまして、それにふさわしい目的としたものでございます。  御指摘の福祉の増進という表現でございますけれども先生今まさに御指摘のとおり、本法案の中でも、高齢者のための家賃の減免とか、あるいは建てかえに際しての公営住宅や福祉施設の併設の規定を設けることを、福祉の増進の観点、大いに盛り込んだつもりでございます。新公団の直接の目的規定で見ますと、そのほかの新しいいろいろな、例えば少子化とかいうようないろいろな社会経済の変化、要請等にこたえて、国民生活の安定向上を目的に掲げております。  従来の住都公団には国民生活の安定ということでしかありませんでしたけれども、新公団の目的におきましては安定向上ということを明記いたしまして、その中には福祉の増進ということも当然に含まれると解して、これによって健康で文化的な都市生活が営めるようにという本来の目的に沿おうとしているものでございます。
  138. 上田勇

    上田(勇)委員 表記からはなくなったけれども、業務の内容としてはむしろ拡充されており、その精神は変わっていないというふうな御答弁だと理解をいたします。  次に、ちょっと法案の中身について御質問させていただきますが、建てかえのところでございます。  法案第四章第四節、賃貸住宅の建てかえの規定が定められております。これまでも住都公団においても賃貸住宅の建てかえは進められてきたわけでありますが、今回、あえて法文上でそのような規定を設けた理由は何なのか御質問いたします。
  139. 那珂正

    那珂政府委員 先生今御指摘のように、これまでも住都公団といたしましては、管理いたしております住宅の建てかえにつきまして、主として居住者の居住水準の向上というような観点から、相当古いものから進めてまいっているわけでございます。その際にも、現にお住まいの方々の居住の安定に十分配慮して、また、その事業の進め方についても、居住者の皆様の理解を得ながら進めてきていると理解しているところでございます。  今回、そのような建てかえ規定をあえて法定化したという、あえてというよりも、従前、十分な規定がなかったということから、今回、法律に規定いたしまして、例えば、建てかえ要件や手続を明確化するとか、あるいは仮住居の提供、建てかえ後の住宅への優先的入居、家賃の減額などについてしっかりと定めて、居住者の方々の居住の安定のための措置を具体的に明らかにしようとするものでございます。  さらに、地元公共団体との調整にもよりますけれども、公営住宅や社会福祉施設の併設の促進という規定も入れさせていただきまして、そのような意味のある建てかえがスムーズに進むようなことを考えて条文化したものでございます。
  140. 上田勇

    上田(勇)委員 第四十三条一項の一号、二号で、今度新公団が実施する建てかえの対象が定められております。この一号は耐用年数ということでわかりやすいのですけれども、二号は、これを読んだだけでは何を言っているのかよくわからない面もあるのです。  そこで、現在、住都公団賃貸住宅というのは、いろいろな立地条件のところにいろいろなものが、規模も大小さまざまございます。今後、この新公団が建てかえの対象とするのは具体的にどういうような範囲なのか、第二号の具体的な解釈を伺いたいというふうに思います。
  141. 那珂正

    那珂政府委員 建てかえができる要件を二号で定めておりますが、この意味は、建てかえによって都心居住等に資する賃貸住宅や地域の賃貸住宅の需給動向を踏まえて、新しい公団の供給する賃貸住宅の新しい役割と、それから、現実にそこでお住まいになっている方々の居住水準の向上というようなことを両方勘案しながら建てかえ対象を決めていくということとしているところでございます。  具体的には、これまでも、三十年代に供給してきました低中層住宅、これが約十六万戸ございます。それで、これの建てかえが七万戸ほどしか手についておりませんけれども公団住宅七十三万戸のうちのこの十六万戸というのは、やはり設備の面でも規模の面でも、今日の居住水準から見ますととても十分とは言えない、敷地の利用も適正に図られているとは言えないというような問題がありますので、当面、この三十年代に供給した住宅を対象に、また、先ほど申し上げましたような観点から、公共賃貸住宅の需給のこと等を含めて総合的に勘案しながらその対象団地を絞っていくこととなると思います。
  142. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん年数がたったものというのはよくわかるんですが、そうすると、今の答弁でいいますと、この建てかえの対象となる住宅というのは、特に今回の法律のあれでいきますと、二十八条一項六号の賃貸住宅が対象になるわけではなくて、その地域としてはもっと広い範囲を想定されているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  143. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりでございます。
  144. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、この建てかえの規定で、公団賃貸住宅はそれぞれ借地借家法が適用されておるわけでございますけれども、今回の法案の四十四条、四十五条などというのは、そういったそこで保障されている権利にかかわるような記述もあるんですが、こうした点については、公団賃貸住宅については借地借家法の対象から外れるというか、借地借家法の規定よりも今回の新公団法の規定によるように変えるんだということなんでしょうか。それとも、従来を尊重するということなんでしょうか。
  145. 那珂正

    那珂政府委員 従来と同様に借地借家法の適用がございます。
  146. 上田勇

    上田(勇)委員 ありがとうございました。  それで、先ほど御答弁がありましたように、昭和三十年代等の建設のもので老朽化しているものも多く、安全面や防災面からも建てかえが必要であるということはそのとおりでございますが、建てかえ後に実は家賃がかなり高くなり、先ほどの質問にもありましたが、実質的になかなか継続して入居することが困難になっているというケースも私はよく御相談等を受けるわけでございます。  これまでも住都公団としては、先ほど来の質疑の中で、家賃の減免措置など種々講じてきているということでございますけれども、今回、そうした規定をこの法案の中に明文化した規定を設けました。ということは、こうした家賃の特別減免措置などの措置を今後は一層拡充して、さらに恒久的な措置として措置したんだという趣旨だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  147. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりでございます。
  148. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、今回、賃貸住宅について、高齢者向けの住宅の改造を前提とした供給や各種の家賃補助制度が導入をされました。これは、もちろん公的な法人であります公団において行う制度として私は支持するものではありますが、そうすると、従来、公団と公営住宅との役割分担というのが一定のものがございました。高齢者向けあるいは所得の低い方々向けのそういう制度を拡充していくということによって、今後、新公団賃貸住宅とそれから公営住宅との役割については、どういうような仕切りといいましょうか、分担を考えられているのか、それのお考えを伺いたいというふうに思います。
  149. 那珂正

    那珂政府委員 新公団賃貸住宅につきましては、先ほども申し上げましたけれども、特に大都市地域におきまして職住の遠隔化やあるいはオープンスペースなどが十分にないような住宅立地が相当広がっているというような状況にかんがみまして、都市の基盤として、都心居住と申しますか職住近接の賃貸住宅が必要だ、こういう趣旨でございます。  改めて申し上げますと、良好な居住環境を有する住宅市街地等の形成のために必要な賃貸住宅を新公団は基本的に供給するということが第一でございまして、御指摘になりました公営住宅というのは、御案内のとおり、公営住宅法の目的にも書いてございますように、低額所得者向けの供給ということでございますので、そういう意味ではおのずから公営住宅とは役割が分担されていると思います。  ただ、新公団賃貸住宅につきまして、今申し上げましたファミリー向けの都心居住住宅とは言いながら、現に七十三万戸のストックの中にお住まいになっている方々の居住の安定という観点からはいろいろな施策を講じていかなければいけないということで、その一環として、先ほど来御質疑がありますいろいろな家賃対策制度等を講じていこうとするものでございます。
  150. 上田勇

    上田(勇)委員 もう少し予定していた質問があったんですが、質疑時間が終了いたしましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  151. 平田米男

  152. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。  私はニュータウン事業について質問をさせていただきます。  大都市圏において良質な住宅を大量に供給するという公団使命に基づいて、首都圏におきましては多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、そして港北ニュータウン、この三つのニュータウン事業が現在進行中でございます。これらはまだいずれも計画途上でございまして、多摩ニュータウンですと、計画人口二十九万八千九百人に対して現在十八万四千七百人、進捗率は六二%。港北ニュータウンが、二十二万七百人に対して現在九万七千人、四四%。千葉ニュータウンが一番低くて、計画人口十九万四千人に対して現在七万六千人、進捗率四〇%。この千葉ニュータウンについては、当初三十六万人という計画でしたから、それから考えればもっと進捗率は低いんですけれども、大幅におくれているということが言えると思いますが、これは都市基盤整備公団となっても、引き続き、計画完了まで責任を持つ、こういうふうに理解をしておりますけれども、この理解でよろしいでしょうか。
  153. 下田公一

    下田参考人 お答えいたします。  新公団になりましても、引き続き、事業が完了するまで実施してまいるというふうに考えております。
  154. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ニュータウンの住民の方に、新しい公団になると一切公団が手を引くのではないかというふうな素朴な疑問を持っている方もいらっしゃいまして、その方々に対して、そうではないんだ、計画が完了まで公団責任を持つという御答弁で、それを確認させていただきました。  これらの三つの大きなニュータウン事業で、いろいろな社会からの評価、事業が始まってもう四十年たっております。四十年たって、いろいろな評価が社会からされているわけですが、きょうは、その社会的評価を参照しながら、特に進捗率の低い、また問題が多いと言われている千葉ニュータウンの問題について質問をいたします。  さて、ニュータウンの現状について学問的に研究というのは余りないのですけれども、大妻女子大学社会情報学部の福原正弘教授が一貫してニュータウンの研究を続けてこられております。「ニュータウンは今 四十年目の夢と現実」、こういうふうな本も出されているわけですけれども、この福原教授が昨年「首都圏ニュータウンの現状調査」という研究報告書を出されております。首都圏ニュータウンの現状調査、多摩ニュータウン、港北ニュータウン、千葉ニュータウン、この三つのニュータウンの現状調査ということでございます。調査は、人文地理学ゼミの学生さんたちが、ニュータウンの住民それぞれ千世帯に調査票を送り、それを回収した。有効な回収数は、千葉ニュータウンが一番高くて三百五十七、三五・七%、多摩が三百三十三、港北が三百二だったそうでございます。ほぼ同じような回収率で、そして十分有意な数だと思います。  その中に、公団がこれまで行ってきたニュータウン事業については住民の方々は非常に高い評価を下されておりまして、その要約のところにも四つの結論が書かれているのですが、その四つ目に、住都公団の支持は高いということがその住民アンケート結果からわかりました。その点については評価をされていいのではないかと思います。  しかし、この中身をよく見てみますと、総じて評価が高いのですが、千葉ニュータウンだけ極端に評価が低いという結果が出ております。住みよいかどうかというアンケート調査に対して、多摩ニュータウン、港北ニュータウンともに五五%、過半数の人が住みよいという評価をしているのですけれども、千葉ニュータウンについてはその半分、三分の一にも満たない二九%でございます。それから、ずっと住み続けたいという永住希望については、多摩ニュータウンが三三%、港北ニュータウンが三八%、それに対して千葉ニュータウンは二二%。これもがくっと評価が千葉ニュータウンだけ低い。永住希望が少ない。それから、もう嫌だ、できれば転出したい、こういうアンケートに対しては、多摩ニュータウンが三・三%、港北ニュータウンが四・三%、ほぼ二十人に一人程度のものですけれども、千葉ニュータウンに至ってはその三倍、九・五%もある。  ほかにもいっぱいあるのですけれども、こういう結果が出ておりまして、この調査研究書、先ほど要約のところで四つ結論があると言いましたけれども、その四つの結論の第一に、真っ先に挙げられているのが、居住性では千葉ニュータウンの満足度が低い、こういうふうな研究成果といいましょうか、出ております。これは、同じように進めてきた港北ニュータウン、多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、そのニュータウン事業、多額の国費も使われております。その中で千葉ニュータウンだけがここまで住民の評価が低いということについて、公団はどのようにこのことを考えていらっしゃいますでしょうか。
  155. 下田公一

    下田参考人 今、千葉ニュータウンについてのお尋ねでございますが、私ども、今御指摘になりました大妻女子大学の研究につきましては勉強させていただいております。  それから、また別個に、私ども公団としても独自に、平成年度にニュータウンの居住者を主に対象にいたしまして、居住者の意識調査というのを実施しております。その結果、ほぼ同様の結果になっておりますが、千葉ニュータウンにつきましてその結果を報告いたしますと、千葉ニュータウンは緑豊かな町という意味のプラスの評価はいただいておりますが、今御指摘の中身になると思いますが、商業施設等の生活利便施設が充実していないとか、それから大学、高校等の教育施設が不足しておるとか、それから都心部への交通利便性等が十分でないというふうなことが、今おっしゃいました住みよさということに対しての不十分だというふうな住民からの意見ではないかというふうに受け取っております。  私どもといたしましては、それらの解消についてこれまでも努力してきたわけでございますけれども、特に今後につきましては、その一つの生活利便施設につきましては、千葉ニュータウン中央駅、印西牧の原駅、両駅前におきまして、新たな大規模商業施設の立地について現在事業者とも協議をしておりまして、なるべく早い立地が実現できるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、教育施設につきましては、公団が独自というわけにはまいりませんが、今現在、二つの大学が立地しております、御承知だと思いますが。その他の大学の立地に向けて、関係者等、県、市町村とも協力しながら要請をしてまいりたいと思っております。  それから、都心部への交通利便性の向上ということにつきましては、一つは、幹線道路の整備促進ということをこれまでもやってまいったわけですが、いま一つ不十分だ、これの整備促進を努力したい。それからもう一つは、鉄道利便性の向上ということにつきましても、関係者と協議して、力を合わせてその改善に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  156. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 千葉ニュータウンの評価が低いことに対して、いろいろ要因を挙げられて、それに対して対策、努力をしていくということだったのですけれども、お聞きしていて、私はまだ危機感が足りないのではないか、このように思います。  今、計画人口に対してちょうど四〇%、ですから、まあ道半ば。一番人口がふえていなければいけない時期でございますけれども、昨年の三月末の人口に対して、ことし三月末の人口、ニュータウン内の人口は全く横ばいでございます。減っている地域もございます。募集しても集まらない、売れない。既に住んでいる人も、先ほど言いましたように転出希望が高い。こういうことで、私は、もっと公団は危機感を持って対処すべきだ、このように思います。  要因をいろいろ挙げられたんですけれども、大妻女子大学福原先生の報告書を丹念に読みますと、その要因は一つ鉄道問題に限られると私は思います。日本一高い電車賃、それから都心まで各駅停車しかない、のろのろ運転ののろい電車、つまり遠い千葉ニュータウンというイメージ、この二つに千葉ニュータウンの魅力がないことの原因が尽きると私は思います。  この福原先生の本の中にも、そのことを端的にあらわす、調査結果に書かれた声が載せられておりますけれども、例えば、二十代のサービス業のOLは、「住みやすいところだとは思うが、電車賃が高すぎるので子どもが電車通学するとなるとかなりの負担となる。私が子どもを持つことになったら、ここには住みたくない」。また、ある女子大生は、「北総公団線の運賃が高く、本当の意味での急行、特急がないため、都心に出るには一時間ほど混んだ中を立っていなければならないので朝夕のラッシュアワーはつらいです」。また「交通費があまりにも高すぎる。就職などにも大きく影響するし、ものすごくネックだと思う。ちょっと出かけたくても交通費を考えるとなかなか出かけられない。これが安くなれば千葉ニュータウンはもっと発展すると思う」。それから、四十代でパートをしている主婦は、「都心に直通はいいが、なんといっても交通費が高すぎる。わが家の場合、早稲田大学と柏の高校に通う二人の子どもの交通費が月に五万円もかかる。住宅ローンの返済に加えてこの交通費用はズシリと重い」。月に五万円、年間六十万円の子供の通学費でございます。  このように、千葉ニュータウンが他の港北ニュータウンや多摩ニュータウンと比べて評価が極端に低い、また住民の転出希望も高い、募集しても集まらない、人口がふえない、この原因はまさにそこにあると思います。  この福原先生、昨年は「若者の見たニュータウン」という研究報告書を出されておりまして、若者の声がずらっと並んでいるんですけれども、千葉ニュータウンの声は、すべての人が、電車賃が高い、こういうふうな声でございます。港北ニュータウンや多摩ニュータウンには、そういう声は一つもございません。  こういう状況をまさに、いろいろ先ほど要因は挙げられましたけれども、ポイントはどこなんだ、このポイントを改善すればニュータウン事業がよくなる、そのポイントを押さえた危機感を持つべきだと思いますが、公団はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  157. 三宮満雄

    三宮参考人 今、先生から、ニュータウンの鉄道のサービスが、価格が高い、遅いということがニュータウンの住みにくさをつくっている一番の大きい原因ではないかという御指摘でございます。  私どもも、鉄道の利用者とモニター会議という形で開いておりまして、具体的な利用者の声、あるいは毎年の利用実態調査を行いまして、いろいろな実際の声を聞いております。その中で一番、運賃が高いという声、批判がございまして、そのことについては痛切に感じております。しかし、全体の経営のことから考えますと、現在の運賃水準はやむを得ないものというふうに考えておるわけでございますが、そのかわりに、いろいろなサービスの向上に努めなくちゃいかぬというふうに考えております。  運賃でございますけれども、千葉ニュータウン中央から日本橋まで行きますと、現在、普通運賃で千百十円かかります。それから、定期代でいいますと一月四万五千円強、四万五千八十円というようなことでございますので、相当高い水準であることはさようでございます。それから、先ほどございましたように通学定期、これについてはできるだけ据え置いてきておるわけでございますけれども、それでも日本橋まで行きますと一月二万三千九百三十円かかります。  そういうことで、非常に負担が重いということについて常々から声を聞いて、それはサービスで返そうではないかということで取り組んでおります。  サービスの中心は、一つは安全のことでございますが、これは五十八年度発足以来無事故で運行してございますし、それからスピードの点でございますが、平成三年にニュータウン中央から都心部まで直通運転を開始いたしましたけれども、その当時、急行はございませんで五十七分かかってございましたが、平成五年に急行を走らせまして、これは北総鉄道さんと協力いたしまして走らせたわけでございますが、五分短縮いたしました。さらに、各区間のスピードアップを図りまして、それで四分縮めまして、当時五十七分かかっていましたものが現在は四十八分で、五十分台を切りまして都心部へ到達するというようなことになっております。なおいろいろな改善について余地がございますので、北総鉄道さんとも協議いたしまして、さらなるスピードアップを図りたいというふうに考えております。  それからさらに、北総線を越えまして京成線あるいは都営線に乗り入れているわけでございますが、そこの区間が遅いではないかという声も聞いております。それについて、さらに改善を図らなくちゃいけない。これは我が方だけでできることではございませんので、京成さんあるいは都営さんといろいろ協議をいたしまして、できるだけサービスの向上に努めてまいりたいというふうに考えて、いろいろな取り組みを進めているところでございます。  今後も、ニュータウンの足としまして、より魅力ある鉄道として利用者の方々から親しまれる鉄道になるために、関係事業者とも協力いたしまして、できるだけのことをしてサービスに努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  158. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 運賃についてはしようがないというふうなことでしたけれども、全く危機感がないと私は思いますし、今、千葉ニュータウンが成功するかどうかの岐路に立っている、私はこのような認識です。私は中国地方の選出の衆議院議員でございまして、首都圏のニュータウンには何の関連性もございませんが、しかし、そのニュータウン事業が成功するかどうかというのは国にとっても非常に大きなことでございますので、こういう質問をさせていただいております。  先ほど、高いのは仕方がないとおっしゃいましたけれども、その高さが異常なんですね。千葉ニュータウン中央から日本橋まで三十六キロ。この三十六キロと比較してみました。千葉ニュータウンの場合は、先ほどありましたけれども、普通運賃で千百十円、定期が六カ月で二十四万三千四百五十円、一年で何と五十万円です。同じ区間三十六キロ、これはJRですと五百四十円、定期代が七万七千円。三分の一ですね、定期代については。それから、例えば小田急ですと四百円、定期は七万一千円。いずれも三分の一のレベルでございます。これは単純に比較するのは公平ではない。といいますのは、千葉ニュータウンの場合は、北総が走り、京成に入り、その京成が都営浅草線に入って、三線をまたがっているわけですから、当然それは割高になるわけですけれども、それにしても高い。  同じような構造を持つ、例えば多摩ニュータウン。これも京王が相模原線をニュータウンのために建設し、それが京王に入り、その京王が都営新宿線に直通する。その乗り入れの三十六キロを比較してみますと、多摩センターから出ますと、三十六キロ行きますと都営新宿線の中に入って小川町まで行きます。運賃五百四十円、通勤定期は六カ月で十一万一千七百円、二・二分の一です。  それから港北ニュータウン。これは横浜市営地下鉄が、横浜市が物すごい力を入れて地下鉄をつくって、今安い運賃ですけれども、都心へ入るということで比較してみますと、三十六キロで長津田から渋谷、そして水天宮まで行きます。同じような構造です。田園都市線があった、これに新玉川線を建設して、そして半蔵門線に乗り入れるという同じような構造ですけれども、これでも四百九十円、通勤は十万円でございます。  このように、もう明確に高い、三倍から二・二倍高い。ですから、千葉ニュータウンではこう言われているそうです、財布を落としても定期券を落とすな。こういう状況が続いている。  私も、先日ちょっと千葉ニュータウンの人に聞きに行きましたら、先日私はリストラされた、そのリストラの理由が定期券が高いからだそうでございます。これは明らかな差別です。多摩ニュータウンに住んでいる人と千葉ニュータウンに住んでいる人と、同じように国のそのパンフレットを見て希望を持って入った、しかし、千葉ニュータウンに住んでいる人は、千葉ニュータウンに住んでいるというその理由だけでリストラされる、こんなことがあっていいんでしょうか。こういうことが千葉ニュータウンの人口伸び悩みの最大の要因だと思います。  高運賃の要因は二つある。一つは、利用者が伸びない、先ほども言いました、今一番人口が伸びていていい時期に全く伸びないこの現実、それから、建設時、特に二期線の鉄建公団債務の利払いが過重である、この二つの要因があると思います。  一については、利用者が伸びない、それは高いから伸びないわけです。伸びないから高くなる。昨年九月も一〇%、この高いのにまた一〇%も値上げをしました。こんなことをしたら、昨年九月の一〇%の値上げのときには、千葉ニュータウンの人は、今後こういう値上げがまたあるんだったら、もう千葉ニュータウンを捨てよう、そこまで思い詰めている人がたくさんいます。もう生活が続かない。ですから、どちらかがその悪循環を切らなきゃいけないわけです。  多摩ニュータウンのときは、京王電鉄が、その初期投資、非常に高いものをみずからのお金建設をし、いろいろ都も出しましたけれども、京王線として建設しました。高い初期投資に悩んだわけですけれども、今はあのように、鉄道の側からその悪循環を切ったがために、多摩ニュータウンは非常に順調な伸びを持っている。しかし、千葉ニュータウンにはその悪循環を断ち切る人がいない、公団こそが断ち切る、また、国が断ち切らなければいけないと思うんですけれども。そういうことを感じております。  それから、何といいましても建設時の債務負担、これが多過ぎる。平成三年から平成九年までの七年間で、売り上げ総利益は三百八億円でございますけれども、支払い利息が四百五十七億もあって、軽く大赤字。その差を埋めているのは実は公団や県が負担しているわけで、公団が何もしていない、建設省が何もしていないとは言いません、かなりの努力をされて支えていらっしゃるとは思うんですけれども、しかし、このままいけば、その高運賃、人口伸び悩み、そしてさらに運賃を高くしなくてはいけない、今その悪循環が続きます。その悪循環を断ち切らなければいけない。  私は素人ですからわかりませんけれども、いろいろな方法があると思うんです。例えば、鉄建公団債務千二百億、五%の固定金利です。今住宅ローンを持っている人は、昔の高い金利のときに借りた住宅ローンを低利に借りかえるということは一般にされておりますけれども、例えばそういうことができないのか。これは財投の根本問題に入ってくるような問題でして、そうそう簡単にできないことはわかっておりますが、例えば、今市中金利の二・一%程度に借りかえができたら、年間の利子負担額は三十五億減ります。この三十五億減ったら、黒字になる。また、少なくとも今後値上げはしませんという宣言ができるどころか、昨年九月一〇%値上げしたのはもとへ戻しますということさえ言えると思います。借りかえさえできたら、この千葉ニュータウンに住んでいる人が希望を持って、よし、これは大丈夫だぞ、今は少し高いけれども、我慢してこの千葉ニュータウンをいい町にしていこう、こういって頑張る希望が与えられる。しかし、その手が全く打たれなければ、多分また上がるだろう、上がったら、子供二人を都心の高校に出したらもう年間五十万円の通学定期、そんな町にとっても我慢できないと、みんな町を捨て始めます。  今、そういう悪循環を断ち切るために、例えば借りかえというふうなことを考えてもいいんじゃないか。いろいろな方法があるかと思いますけれども、このことについて運輸省鉄道局はどのようにお考えでしょうか。
  159. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生お話しのように、千葉ニュータウンの入居戸数の伸び悩みというようなことの中で、北総開発鉄道、非常に苦しい経営状況にございます。  そういうことの中で、平成七年から十一年にかけまして、実は相当の支援をいただいております。親会社でございます京成電鉄、あるいは千葉県を初めとする地元の関係者、それから住都公団等々の方々から支援をいただいて、実はその支援の結果、平成年度において、初めてでございますが、単年度で償却前の経常損益がほぼ均衡する、ここまでこぎつけたわけでございます。  そういう状況でございまして、これをさらに手厚いものにということにつきましては、正直やっとここまで持ってきたという感じでございまして、最近の財政、経済状況をかんがみますとなかなか難しい環境かと思いますが、引き続きまして地元の方々等と相談いたしまして、適切な方策を考えてみたいと思っております。  なお、鉄建公団の債務の話でございますけれども先生お触れになりましたように、実は、鉄建公団が調達していますものは、ほとんどが財政投融資でございます。この財政投融資の繰り上げ償還が可能でございますと、先生おっしゃられるように相当程度の実が、効果があることは事実でございます。  それで、御案内のように財政投融資というものは、長期の固定金利でお貸しするということの中で、実は利ざやを設けておりません。そういうことで、繰り上げ償還による金利のツケが資金運用部に回った場合には、これを賄うだけの制度ができておりません。  そういうことで、実は資金運用部の資金の繰り上げ償還については例がなかったわけでありますけれども、一件だけ、昨年、国鉄長期債務の関係で、ここにおいでの建設大臣、関谷先生のお力もいただきながら、実は初めてやらせていただいたわけでございますが、それは清算事業団の債務を一般会計が引き受けていただける、この移しかえに伴う措置でございまして、そういう特異、異例な形でのとき実は初めて認められたわけでございまして、我々も、こういう鉄道建設に伴います資金運用部資金の繰り上げ償還、願いではございますけれども、先ほど先生もおっしゃられましたように、資金運用部制度の、財投制度の根幹にかかわる問題であるということで、非常に困難がございます。  そういう中でございまして、せっかくのお話でございますけれども、我々も考えてはみましたけれども、非常に困難なものというふうに認識しております。
  160. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 十二月二十日、随分前ですが、日経新聞に、財政難の地方自治体については財投資金であっても繰り上げ償還を認める、そういう措置を考える、こういう記事が載っておりました。千葉ニュータウンがこのままゴーストタウンになってしまうのか、それとも、再び人口がふえ始めて国が最初に計画したような生き生きとした町になるのか、その岐路にあるわけですから、今までの法律がこうですからだめですというようなことではなくて、ぜひ知恵を絞っていただきたいと思います。  それから、先ほど、運賃は高いけれどもそのほかのサービスをしておりますというふうな答弁がございましたけれども、それは大うそでございます。鉄道にとっての最大のサービスは速達性だと思っております、もちろん混雑緩和とかあると思いますけれども。例えば、千葉ニュータウンから日本橋まで各駅停車しかない。朝ちょっと北総公団線の中を通過する急行をつくってはみましたけれども、わずか数本でございます。あとは全部各駅停車、二十四ある、一つ一つとまっていく。  多摩ニュータウンですと、快速、特急が出ております。都営新宿線に乗り入れる新宿線直通、同じような構造。ニュータウン線、京王の在来線、そして都営新宿線、総三十六キロを四十六分で走ります。千葉ニュータウンより十分も速い。それから、港北ニュータウンについても、田園都市線、新玉川線そして半蔵門線、三十六キロを四十九分で走ります。  また、そのほかのいろいろな鉄道も、遠くから来る電車については、都心に近くなったら快速運転をして利便性を図るというのが常識でございまして、すべてそうなっておりますが、この千葉ニュータウンから来る電車はずっと各駅。京成本線に入る。京成本線は電車の本数も多いわけ。ですけれども、ほかの京成線はすべて快速、急行、特急運転をさせますけれども、この北総から来ている、千葉ニュータウンから来ている電車はすべて各駅停車。いじめているとしか見えないようなサービス内容でございます。この速達性が全くないということが、実は人口がふえないし、また企業誘致にも大きく影響しております。  企業誘致したある企業に話を聞きました。ある研究所が千葉ニュータウン中央に行ったのです。それまでは都心にあった研究所を千葉ニュータウン中央に、公団さんと話をして行った。ところが、電車が遅いので五十五分もかかる。結局、研究者というのはいろいろな人に会う、大学教師と夜一杯飲む、いろいろ会って話をする、そういうことも非常に重要な情報源であって、研究に大事な要素だ。ところが、千葉ニュータウンに行ったがために、電車のことをよく知らなかった、五十五分もかかる、二十四もとまって日本橋につく。だれも出なくなった、もしくは主任研究員や首席研究員というような高級研究員はみんな東京にいるようになった、こういう話も聞いたことがございます。企業誘致もこれでは阻害されます。  速達性も、日本一高い運賃の電車に乗せられて、日本一遅い各駅停車に乗っているというのが現状でございます。サービスなんか全くよくありません。そういう現状について、これは千葉ニュータウンを成功させるためにも速達性を上げなければならないと思いますが、このことについてどのようにお考えになっているのかが一つ。  もう時間が参りましたので、大臣、今の議論をお聞きになりまして、まさに千葉ニュータウン、私は今本当に岐路だと思います。このままいけばゴーストタウンになりかねない、その岐路にあって、今、建設省が率先して手を打っていただきたい、そのように要望する次第ですけれども、それに対する感想をお聞きしたいと思います。  済みません、鉄道局長の方が先です。
  161. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  御指摘公団線から列車を京成線内において急行運転できるかどうかということでございますけれども、会社から報告を求めましたところ、京成線内青砥—押上間、朝のラッシュ等の時間帯には十分単位での運行を行っておりますが、その十分間に三本、現在運行可能という容量でございます。そのうち一本は、お話のように京成本線の急行、特急が走っております。あとの二本が実は鈍行でございますが、一本がお話の公団線からのもの、それともう一つは京成の青砥始発の鈍行列車、この三本でございます。  この混雑状況等を見ますと、その鈍行の二本のうちの一本を急行にするということになりますと、その各駅停車の混雑率が実は二〇〇%程度というものになってしまう、そういう状況でございます。そういうことでございますので、現行の十分当たり三本という制約の中では実はなかなか難しい問題がある、こういう状況でございます。  そういう観点から、実は、平成年度から京成におきましては八広駅に追い抜き設備を整備中でございまして、これが平成十三年度をめどにでき上がる予定になっております。これが完成いたしますと、先ほどの十分当たり三本という容量をふやすことができる。そのときにはそういう増発ができますので、今回の要請等についても検討させていただきたい、こういう状況でございます。
  162. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今、ずっと千葉ニュータウンからの問題につきましてお伺いしておったわけでございますが、今小幡さん、鉄道局長も少し触れていましたが、何か私は方法があると思います。所要時間のために大もとの千葉ニュータウンをゴーストタウンにするというばかげたことはするものではありませんから。  小幡さんと私は国鉄の再建もずっとやってきた仲でございますから、まあ何とか方法が出てくると思います。考えてみます。
  163. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よろしくお願いいたします。終わります。
  164. 平田米男

  165. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公明党・改革クラブの大野由利子でございます。  私の住んでいますところ、選挙区にもたくさんの公団がございます。きょうは、それらの皆さんからお伺いいたしました要望も含めて質問をさせていただきたい、このように思うわけですが、初めに一般論から質問させていただきたいと思います。  まず、日本の住宅政策について伺いたいと思いますが、日本の住宅政策は、住宅都市整備公団法、公営住宅法また住宅金融公庫法等が大きな三本柱になって支えてきた、このように言われているわけですが、公団と公営住宅はどういう役割分担を担っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  166. 那珂正

    那珂政府委員 公団賃貸住宅につきましては、大都市地域における職住近接とかあるいはオープンスペースの豊かな住宅市街地を整備するというような課題に対応するため、まさに都市の基盤として良好な居住環境を有する住宅市街地形成のために必要な賃貸住宅を供給するという位置づけでございます。  一方、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者のために供給される住宅というような、大きく言えばそういう役割分担でこれまでも位置づけられてきましたし、また、新公団におきましても、特に今申し上げたような趣旨から、そのような位置づけをしているところでございます。
  167. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公団住宅の施策対象階層が中堅所得層を対象にしている、このように言われてまいりました。中堅所得層、世帯収入が第三分位、年収六百四十万から八百一万未満、そう言われる世帯が、ことしの一月の全国公団自治協のアンケートによりますと、この世帯が一二・〇%、中堅世帯が一割強、こういう実態が出ております。  一方、公営住宅の入居対象世帯、第一分位、第二分位の一部ですが、この分位が公団住宅の中で半数を大きく上回っている、こういう実態が明らかになったわけでございますが、公営住宅の一種と二種は今まで分けられておりました。それが、一種と二種の建て分けがなくなりました。  ところで、公団と公営は今後もずっと建て分けていくのか。私は、建て分けるのが難しい時代になってきているんじゃないか、こう思うわけですが、今後も、住宅に関して、もちろん新公団になって基盤整備とかいろいろな広がる面はあると思いますが、住宅に関して言いますと、公団と公営住宅は役割分担が難しいのではないか、このように思うわけですが、御見解を伺いたいと思います。
  168. 那珂正

    那珂政府委員 一般的に、新規の住宅供給という観点から申し上げますと、先ほど申し上げましたような位置づけで行われるべきだと思います。  しかし、先ほど来いろいろお答えさせていただいておりますが、現に七十三万戸という住宅公団、住都公団のストックの中にお住まいの方々の居住の実態を見ますと、確かに、先生今おっしゃるように、住宅公団あるいは住都公団、当初予定していたようないわゆる中堅層という方だけではなくて、加齢等によってお年を召されて年金生活に入られた方も多数いらっしゃいますし、そういう意味で、所得の分布という観点でいえば、相当数いわゆる公営住宅階層の方々がいらっしゃるということも実態としてよくわかります。  したがいまして、今回の新しい公団設立する際に、これを機会に、家賃等の改定におきまして、そういう公営住宅収入基準を満たすといいますか、収入基準に入る範囲の方々に対しては、新たに国費補助をもって相当幅の家賃の減額措置をとらせていただくこととしたわけでございます。また、その一環として、建てかえの際にもやはり同様に、戻り入居される方々に相当の国費を投入して家賃を補助、減額していく。この考え方は、平成八年に抜本的に改正されました公営住宅法の考え方でもございます。  そういう意味では、繰り返しになりますけれども、基本は、低額所得者の方々に集中的に公共賃貸住宅を供給するというのはやはり公営住宅制度であると思います。その公営住宅制度の考え方を、現七十三万戸のストックの活用という点において一部取り入れたやり方をするということでありまして、くどいようでございますが、物の基本はやはり別々の役割分担を考えるべきだと思います。
  169. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公営住宅では市場家賃を上限とする応能応益負担制度を導入する、このようになったわけですが、公団も、原則は市場家賃を上限としながらも、高齢者とか低所得者に対しては応能応益方式に切りかえるべきじゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  170. 那珂正

    那珂政府委員 ただいまのお尋ねの点、二点ございまして、公団住宅市場家賃を上限にしろ、こういうことでございますが、御承知のとおり、公団住宅の継続家賃改定につきましては、近傍同種住宅家賃を上回らないことという要件を法文上明記させていただいております。そういう意味でいえば、市場家賃を上限としているということははっきりしているわけでございます。  もう一点御指摘になりました、応能制を公団にも導入したらどうかということでございますけれども、応能制というのは、御案内のとおり、それぞれ入居者の方々の所得の多寡によりまして、それに見合う家賃まで減額して賃貸住宅にお住まいいただくという制度でございますが、これは公営住宅法で、所得分位で申し上げますとおおむね二五%の方々を上限といいますか、入居基準といたしまして、その以下の方々を対象にいたしているわけでございます。  やはり限られた財政資源を集中的に効率的に使わせてもらうという観点からしますと、現公営住宅制度のような制度にのせて、いわゆる低所得者の居住の安定ということに絞っていくことは適切かと存じます。
  171. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大臣に伺いたいんですが、収入分位二五%以下の人たちを公営住宅の対象にする、しかし、これらの人たちが公営住宅でどこまで救済されているのか、その辺の御認識はどのようにお持ちでございましょうか。
  172. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 私も、地元で公営住宅に入っていらっしゃる方等々もよく存じ上げておりまして、いろいろお話をしているわけでございますが、私は、一応それなりの効果はあったと思っております。  ただ、先ほど先生指摘のように、公営住宅公団とのいろいろな違い、そういうものがかつてほどの大きな差はなくなってきつつあるんではないかな、そのように思っております。
  173. 大野由利子

    ○大野(由)委員 公営住宅ですが、特に大都市圏ですが、三大都市圏、ちょっと資料をいただきました。大変競争率が高いです。  東京圏で七・一一倍、大阪圏で七・三三倍。特に東京都は十・五倍、大阪で十一・四一倍。このように、二五%以下の収入分位であっても公営住宅に入れないという人がこんなにたくさんいらっしゃるわけですね。今公団に入っていらっしゃる方がこのまま新しい公団法で住み続けられるようにということで御努力をいただくようになると思うんですが、どちらでも救済されない人というのが現実にとてもたくさんいらっしゃるわけです。  そういう意味で、民間賃貸住宅に居住していらっしゃる低所得者、高齢者対策を大臣はどのように今後していけばいい、その辺を考えていらっしゃるか、伺いたいと思うのです。
  174. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 公団制度におきましては、高齢者に対しますいろいろな補助があるわけでございますが、公営の場合、私ちょっと今詳しく存じておりませんが、当然高齢者に対しましてはそれなりの対策を講じていかなければならないと思っておりますが、その内容はちょっと局長から答弁させますから、聞いてください。
  175. 那珂正

    那珂政府委員 高齢者の方々の居住の安定を図るために、公営住宅公団住宅等公共賃貸住宅の適切な供給が重要だと思います。  特に、公営住宅の供給には、先ほど先生、三大都市圏では公営住宅が不足しているではないかというようなお尋ねであったと思いますが、確かにおっしゃるように、現在の状況を見てみますと応募倍率も十倍、そういうことになりますし、決して十分な供給が行われているとは申し上げることはできないわけですけれども、そのため、現在決められております住宅建設五カ年計画等におきまして、例えば三大都市圏で五カ年間で九万戸の公営住宅建設するということになっておりまして、これは、言ってみれば、その期間における三大都市圏の公営住宅の需要といいますか、供給すべき量をそのくらいに五カ年計画で見込んでいるわけでございます。  それにあわせて、ただいまお尋ねの民間の場合なんか、民間賃貸住宅にお住まいの方はどうするかということだと思いますけれども平成年度から始まりました高齢者向け優良賃貸住宅制度という制度がございまして、平成十一年度、すなわち本年度から約一万戸として本格的に実施しようというものでございますが、これは、民間のそういう地主さんがお建てになるバリアフリー化された高齢者向けの住宅を公共団体がお借りして、それを高齢者の方々に安く提供していくという制度でございまして、これを当面力を入れていきたいと思います。
  176. 大野由利子

    ○大野(由)委員 時間がないので、答弁を簡潔にお願いしたいと思います。  公団は、ファミリー向け、中堅所得層向けのこういう良質な賃貸住宅が不足している、そういうものにこたえていかなければいけない、こういうニーズがある、これは確かに現実だと思います。民間では、確かに賃貸住宅、うっかり貸すと返ってこない心配があるということで、回転率の高い単身世帯とか新婚世帯には貸すことはあっても、なかなかファミリー向けの賃貸住宅が少ない、こういう現状もあって、今、借地借家法を変更して定期借家権制度を導入しよう、こういう動きがございます。  確かに、この制度が導入されれば、もっと回転がスムーズにいっていい面もあるわけですが、現実に今、大変住宅に困っていらっしゃる高齢者の方々が追い出されるというような不安があるわけですね。実際に追い出されることはない、既に入居している人にはこれは対象にならないんだ、こう言われているわけですけれども、二年ごとの契約更新のときに契約の中身がすりかわっていたりとか、現実的に追い出される心配もあるとなると、定期借家権制度、私たちは、もうとてもじゃないけれども心配で前向きに進めようという気にならないわけです。  ですから、私は、先に、本当に住宅困窮者、住宅弱者の人たちが、憲法の二十五条で保障されていますように安心して住み続けることができる、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活ができる、住宅はその基本的人権の一つなんだ、そういう国の住宅施策という総合的なものをきちっと出す、それが最優先で求められていることではないか、こう思うわけですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  177. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先ほどの先生の御質問で、今局長からも答えましたが、公営住宅の特別な制度というふうに私理解しておったわけでございますが、それではなくして、この平成十一年度から高齢者向け優良賃貸住宅建設戸数を、例えば平成年度だったら四千戸であったのを一万戸にしておりますから、そういう意味において、高齢者の方々にも安心して住めますそういう住宅建設というのは力を入れておりますので、その点は御安心をいただきたいと思います。  それと、定期借家権の問題ですが、あるいは法務委員会で御承知のように検討されておるようでございますが、私も関心がございましていろいろ伺っておるわけでございますが、定期借家とすると追い出されるのではないかという不安を抱かれるというようなことがあるということも私も耳にしておりまして、その点はどうかというと、そういうようなことがあるであろうとは想像しない、そんなことはないのではないかというような、あれは議員立法で今進めておりますが、その方々ではそういう答弁を私は伺っておりまして、そういうようなことは払拭できるのではないかなと個人的には認識をいたしております。
  178. 大野由利子

    ○大野(由)委員 そういう懸念があることは事実でございますし、政治はそれに対してきちっと、本当に確信を持ってこたえられる制度を準備しなければいけない、これは政治の責任であろう、こう思います。  それで、時間がないので次に行きたいのですが、今回も、新公団法の審議に当たって、私も地元の皆さんの御意見を伺いました。一番皆さんが心配していらっしゃるのは、やはり住み続けられる公団であってほしい、特に高齢になっても住み続けることができる公団にしてほしい、一番皆さんの要望は、そういう要望ではなかろうか、こう思います。  私も平成二年に初めて当選をして、もう十年前ですが、この住宅公団、建てかえのときに家賃が三倍、四倍になる、とてもじゃないけれども住み続けられないという心配に対して質問主意書を出しました。そしてその後、その質問主意書で、リロケーション住宅をつくっていただいてそこに住み続けることができるとか、家賃の補助制度をぜひ導入してほしいということを訴えまして、それが今日までの間にほぼ実現されております。また、今回の新公団法の中にこの制度が導入されているということで一定の評価をするわけでございますが、ただ、公団が本当に日本全体よりもはるかに高齢化が大変な勢いで進んでいる、この高齢化に対して適応できるという意味において、まだまだ不十分なんじゃないかなという、私は大変そういう懸念を持っているわけでございます。  それで、いっぱい伺いたいので簡単にお答えしていただきたいのですが、一つは、新公団法三十三条の二項で近傍同種家賃と出ていますね。この近傍同種家賃というのはブロックごと、東京を幾つかのブロックに分けて決められるのか、沿線で、例えば新宿から二十キロ圏、三十キロ圏というふうに決められるのか、それとも沿線の中で最寄りの駅から徒歩十分圏、二十分圏というふうに決められるのか。近傍同種の決め方にもさまざまあろうかと思います。これについて伺いたい。
  179. 那珂正

    那珂政府委員 今先生三つに分けてお話しいただいた区分で申し上げますと、どちらかというと、一番最後の各駅の駅勢圏、その二つぐらいかもしれませんし、そういうような単位で決められるべきとして今検討中でございます。
  180. 大野由利子

    ○大野(由)委員 継続して住まわれる方はこの近傍同種家賃では継続して住めないということで、今回、家賃設定に当たってはいろいろ配慮が行われているということで、その具体的な中身について、計算方法について伺いたい、こう思います。
  181. 那珂正

    那珂政府委員 継続家賃につきましては、法案上、法文上は、近傍同種家賃を上回らないようとしておりますが、さらにそれにつきまして、近傍同種家賃と、それから従前、今までの家賃と、それから経済事情の変動等を総合的に勘案するということにいたしております。  総合的に勘案するというのはどういうことかというと、基本的には、近傍同種家賃と現在家賃の中間、二分の一のところが一つ目、さらに、いわゆるスライド法と言われておりますけれども、今申し上げました経済事情の変動率というのがありまして、これは個々の団地、あるいは個々の地区ごとの家賃の上下よりもずっと穏やかな計数、指数になるわけですが、これを加えますことによって、さらにより穏やかな改定率になることと思います。
  182. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、全体的に日本の地価動向は下がってきている、こういう傾向にございます。まだまだ日本の地価は高いですから、もっと下がるべきだろう、こう思っているわけですが、当然それは家賃に影響して、家賃も下がってくることが想定されるわけですが、家賃が下がったときにも速やかに即応できる、こういうふうになっていますでしょうか。
  183. 那珂正

    那珂政府委員 地価が下がって、あるいはその他の要因によっていわゆる周辺の市場家賃が下がりますれば、家賃改定の見直し時期にもよりますけれども、一定期間の間には、かなり自動的にと言うと語弊がありますけれども家賃が下がるという改定も含めて、改定がスムーズに行われると思います。
  184. 大野由利子

    ○大野(由)委員 家賃改定に伴います家賃の対策補助について伺いますが、家賃の対策補助が、主たる生計維持者が六十五歳以上の高齢者世帯と、新公団の移行時に五十五歳以上の世帯については、六十五歳以上になって初めて適用される。あと、母子家庭とか心身障害者世帯とか生活保護世帯が対象、このように伺っているわけですが、移行時で五十五歳以上と限定された理由はなぜか。これは私は、五十五歳というのは削除すべきじゃないか、こう思うわけです。五十四歳の人であっても、もう少し若い人であっても、六十五歳になったら適用される、こうすべきだ、こう思うわけですが。
  185. 那珂正

    那珂政府委員 考え方といたしましては、建てかえ着手時に、既に、現に六十五歳以上の方という考え方が一つあろうかと思いますが、それでは建てかえ期間中の事業期間の間に六十五歳になってしまう人ははじかれてしまうとかいろいろなことから、建てかえ着手時の、言ってみれば特別の減額対象となる権利を持てる継続居住者の判定を、どこまで年齢を下げたらいいかという問題になるわけでございますけれども、十年というふうに切りましたのは、つまり現在五十五歳以上の方についてはなかなか生活スタイルも変えにくいというようなこともありまして、一定の限度として十年、すなわち五十五歳以上の方ということにさせていただいたわけでございます。  なお、五十四歳以下の方々は、じゃどうするのかということでございますけれども、今回もあわせて、公団の既存ストックの改造によりまして高齢者の方々に安い家賃で提供していくという、先ほどちょっと申し上げました高齢者向け優良賃貸住宅制度、これを公団にも適用させていただくわけですが、そういう制度を活用すれば、公団入居者としては、現に五十四歳未満の方で、六十五歳以上になったときの対応としては、そういうことも考えられるのではないかと思っております。
  186. 大野由利子

    ○大野(由)委員 耐用年数がまだまだあって、建てかえを想定しないで入ってこられた方もいらっしゃって、まだ建てかえの時点で五十五歳になっていない人もいらっしゃるわけでございますので、その辺については、今後さらにぜひ検討をしていただきたい、このように思います。  それから、現行制度で現実に困っていらっしゃることがあるんですが、五階とかに住んでいる方、高齢になった、一階なり二階に空き部屋ができた、六十、七十になって五階まで階段を上がるのは本当に大変だ、本来なら移りたい、移りたい気持ちはやまやまだけれども、移った段階で新規家賃制度、新たに入居した人の家賃制度が導入される、要するに、近傍同種家賃が適用されてしまうわけですね。本来なら、もう十年も二十年も住んでいるから、ずっと継続家賃になるはずなんですが。だから移りたくても移れない、こういう声を聞きます。  私は、下で、一階とか二階があいたら、それは新規入居じゃなくて継続入居扱いにすべきだ、こう思うんです。五階に住んでいる高齢者の人は一階、二階に移してあげる。かわりに五階があきます、あいた五階に空き家住宅で三十代、四十代の若い人に上に行っていただく、そういうふうにすべき、こう思うんです。  また逆に、一階で心身障害者の方が家族にいて、車いすで出入りできるスロープのついた住宅に入っている、不幸にしてその家族の方が亡くなった、あとは若い家族ばかりなのでもう四階とか五階に移ったって構わないんだけれども、かわるとまた新規家賃制度でゼロからのスタート、そういう扱いになる。ですから、もう車いすを必要とするお年寄りがいないにもかかわらず、一階で我慢していなきゃいけない、こういう非常な矛盾があるわけです。  私は、社会全体がライフスタイルに合わせてもっと移転ができるようにすべきだと思いますし、公団の中でも、こういう硬直した状況じゃなくてもっと、若い間は上の方でもいい、高齢になったら下へ下がれる、またスムーズにこの辺ができるように、これはぜひ検討すべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  187. 荒田建

    荒田参考人 今先生、高齢者の、あるいは体の不自由な方の同一団地内の引っ越しの話でありますけれども、私どもも、できるだけそういう方々が一階へ移りたいというときに、住宅変更制度というような形でやっております。  先ほどは、公営住宅の倍率のお話がございましたけれども公団住宅も、古い団地ほど立地のいいところにあるものですから、倍率が非常に高くて、入居したいという方がたくさんおられるわけです。(大野(由)委員「ちょっと簡潔にお願いします、時間がないので」と呼ぶ)  はい。それで、端的に申し上げますが、そういうふうなことで、なかなか空き家家賃で新しく認めるというようなことが難しいケースが、他とのバランスもあって難しゅうございますけれども、本当にどうしても困難だというような方については、個別に御相談に応じていけるような形で工夫していきたいと思っております。
  188. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ということは、相談に応じる、不可能ではない、新規家賃制度じゃなくて、継続家賃で扱うことが、空き部屋さえあればということですね。はい。では、そういう方向で検討をしていただく、こういう答弁があった、このように思っております。  それから、四十三条二項におきまして、公団は、賃貸の建てかえに関して、地方公共団体から申し出があった場合は、公営住宅とか社会福祉施設の整備を促進するために、土地の譲渡その他の必要な措置を講じなければならないというのが四十三条の二項になっております。これなんですが、申し出があった場合というのじゃどうしようもないので、これは積極的にぜひやっていただきたい、こう思います。  今まで、どこまで進んでいるか、ちょっと資料をいただきました。そうしたら、六十一年から建てかえに着手しているんですが、建てかえ着手団地百五十二団地のうち、公営住宅を既に設置する方向で進んでいるのはたった二十七団地しかないんですよ、大臣。百五十二の中で二十七。高齢者福祉施設の設置を計画して、そして進んでいるところが二十四団地しかないんですよ。百五十二団地の中の二十四ですよ。これじゃ余りにも悪過ぎる。保育所等の子育て支援施設を計画しているのはたった六団地しかない。これは余りにも少な過ぎる。私は、そういう意味ではもっともっと、地方自治体が申し出なんていったって今は財政難だし、もうとてもじゃないけれどもなかなか積極的に動かないんですよ。公団の方が私はこれは積極的に進めるべきだ、こう思うんです。  「今後の賃貸住宅政策の方向について」という中間報告、平成十年の八月に審議会の中でこの中間報告を出しております。この中にこういう文章があるんです。大臣に最後に、この感想と御決意を伺いたいと思うんですが、「既存の公営、公団住宅団地については、長寿社会を支える地域福祉の拠点として」、拠点ですよ、「地域福祉の拠点として機能するよう、その再整備を進めることが適当であり、その際、既に居住する低所得高齢者等の居住の安定に配慮する必要がある。」こういう文章があるんです。でも、今回の新公団法の中には、その辺の大変な長寿社会を支える地域福祉の拠点にするというような意気込みがこの新公団法からは全く読み取ることができないんですよ。  そういう意味で、私はぜひ、これからの大変な高齢社会の公団が拠点にするほどの、そういう積極的な対応が必要だ、このように思うわけですが、大臣の御決意、御感想、御所見を伺いたいと思います。
  189. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 そういう方向に努力をしたいと思っております。  いわゆる老人福祉施設とか、あるいは保育所等の社会福祉施設の整備が必要な場合には、地方公共団体との連携を図って、賃貸住宅の供給とあわせてこれらの施設の併設を促進していくということを強力に指導をしていきたいと思います。  ただ、今先生例示を挙げられましたが、大変数が少ない現状でございますから、そういうようなことも念頭に置きながら強力に指導をしてまいります。
  190. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ぜひこの点につきましては強力に進めていただきたい、このように思います。  では、時間が来ました。よろしくお願いします。
  191. 平田米男

    平田委員長 中島武敏君。
  192. 中島武敏

    ○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。一昨日も、我が党の同僚議員が法案について質問を行いました。私も引き続き都市基盤整備公団法案について質問をしたいと思います。  日本共産党は、この法案が、既に指摘されておりますように、大都市を中心にした国民の住生活に重大な影響を与えるものであり、政府住宅政策の大きな後退であると考えております。建設大臣管理下にある住宅都市整公団は、国民の住生活に対する要求にこたえず、国民が求める低家賃で良好な住宅建設を怠ってきました。さらに、関連子会社の仕事の独占とか、あるいはまたそこへの公団役員の天下りなどによって、国民の信頼を失ってきたと考えております。また、バブル崩壊後、大量の賃貸住宅の空き家が発生をする、そして分譲住宅はどうかといえば、タイミング外れの一方的な値下げなどで非常に、決定的に信頼を失ったというふうに思うわけであります。  ところで、それを改革することなく、行革に名をかりて国民の求める賃貸住宅建設、提供からは大きく後退をし、後で明らかにしますように、大企業の下働きの機関に変質しようとしている、私は、これがこの法案の本質的な問題点だと考えております。以下、こういう立場から率直な質問を行いたいと思っております。  まず伺いたいのは、法案では、住宅宅地の大量直接供給から手を引いて、都市基盤の整備中心に事業目的を変えたわけですね。それで、大臣にまず伺いたいと思うのですけれども国民居住の実態とその住宅事情を見るならば、大都市を中心にして依然として、良質、低廉な家賃賃貸住宅建設をする、そして提供する、こういう要望が非常に強いのではないかと思うのです。特にバブル崩壊でローン破綻などの社会問題が起きて、そして賃貸住宅需要が逆に今非常に増加をしているのではないか。国民住宅事情あるいはその需要、要望、こういう問題についての大臣の認識をまず伺いたいと思います。     〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕
  193. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 新公団は、いわゆる分譲住宅からは撤退をいたしますが、まだまだいわゆる大都市におきます、先生指摘のようにいわゆる優良賃貸住宅ということは必要でございますから、逆に言いますれば、民間の方々がなかなか行い得ない、十分に供給ができない、そういう都心居住住宅ということは今後とも積極的に進めてまいりますので、行革に名をかりて責任放棄ではないかというのは当たらないのではないかなと思っておるわけでございまして、今後とも中堅所得層のファミリー向け賃貸住宅の需要等にも的確に対処をしていきたいと考えております。
  194. 中島武敏

    ○中島委員 それじゃ、局長に伺います。  新公団は、賃貸住宅、これを一体どれくらい、どんなところに建設しようとしておられるんでしょうか。
  195. 那珂正

    那珂政府委員 公団住宅を含めまして公的住宅につきましては、第七期住宅建設計画に基づいてそれぞれ計画的に供給するということとしているわけでございますが、公団賃貸住宅ということにつきましては、同じ公共賃貸住宅としては、例えば公営住宅、特定優良賃貸住宅とも並んで大変重要な柱であると思っております。平成十一年度予算におきましても、現住宅都市整公団及び新公団合わせて一万二千五百戸の供給を予定しているところでございます。
  196. 中島武敏

    ○中島委員 一万二千五百戸、これは年々歳々、実際は減ってきているんじゃありませんか。その五カ年計画、まあ七カ年計画というか——ちょっと、私、まだ発言中なんです。  そういう点で、計画は立てたけれども、しかし実際の数を見ますと、これは計画でいえば五年で割れば二万余をつくるということになっていますよね、公団は。ところが、年々歳々減ってきて、昨年は二万戸、それからことしは一万八千戸じゃないですか、公団は。もっと少ないんですか。一万二千五百戸ですか。というふうに、さらに減ってきている。  これから新公団に移る、ではどうするのか、新公団としての計画というものはお持ちになっておられるのかどうか。その五カ年計画、七カ年計画との関係も含めてお聞きしたいと思うのです。
  197. 那珂正

    那珂政府委員 現公団賃貸住宅予算上の実績でございますが、これは、平成七年一万三千戸、平成八年一万三千戸、平成十年一万二千五百戸、平成十一年一万二千五百戸とほぼ同水準で推移していると思います。  お尋ねの、新公団としてどのぐらいの供給を考えているかということでございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、既に現在、国の公的賃貸住宅あるいは公庫の住宅、網羅した全体の計画、住宅建設五カ年計画が平成年度を初年度として来年度いっぱいまで五カ年で進んでおりまして、その現五カ年計画が終わった後、平成十三年度以降、どういうふうに考えるかということを住宅宅地審議会等を通じて今鋭意勉強中でございます。
  198. 中島武敏

    ○中島委員 それじゃだめなんですよ。今ここで新しく公団をつくるわけですよね、新公団をつくるのです。この新公団はどういうふうにやっていくのかということをみんな心配しているのじゃありませんか。  先ほども申し上げましたけれども、優良な賃貸住宅に対する要望というのは逆に今非常に強まってきているのですね。持ち家政策の破綻、もっと言えば、かえって逆に賃貸住宅が大いに要求されるというのに対して、今度は公団が新しくなる、新しくなるんだけれども、しかし、実際に仕事をやるのは都市基盤整備を重点にやろうとしている、さあどうなるんだろう、これは国民の心配じゃありませんか、これにしっかりこたえるような答弁をやってください。
  199. 那珂正

    那珂政府委員 先ほどもお答えしたつもりでありましたけれども、現五カ年計画によりまして、住都公団並びに新公団につきまして、五カ年計画に定められた公的住宅戸数を公営や公庫、こういうものと分担してきちっと供給していくという姿勢にいささかも変更はございません。
  200. 中島武敏

    ○中島委員 どんなところにつくるのですか。あなたの答弁を認めたわけじゃないのですよ、ちょっと違う問題を聞くのです。
  201. 那珂正

    那珂政府委員 新公団賃貸住宅につきましては、先ほど来るるその目的を説明申し上げているところでございますが、都心居住等、要するに、非常に居住環境のすぐれた住宅市街地の形成に資するような賃貸住宅、こういう考え方でありますので、職住近接とかそういうことに役立つわけでございますが、いわゆる都心居住住宅というと、いわゆる都心の一等商業地のような誤解を与えているかもしれませんけれども、そういうところではなくて、どちらかというと、もう一皮外の、しかし大変交通の利便性のいい、例えば工場跡地等の低未利用地を大々的に活用して新しい住宅市街地を形成していく。その際、公団として供給すべき必要な賃貸住宅公団が建て、また、例えば分譲住宅民間にどんどんお願いしていくというのが今回の新しい公団の姿勢でございます。
  202. 中島武敏

    ○中島委員 家賃の方はどうなりましょうか。
  203. 那珂正

    那珂政府委員 家賃につきましても、再々申し上げておりますように、市場家賃基準とするということでございます。その心は、市場で受け入れられる家賃だ、かたくなに、ここはコストは幾らかかったからとか、金利は幾らだとか、こういうことではなくて、それぞれの地域の需要に応じた合理的な供給ができるということにつながるわけでございます。  したがいまして、実は市場というのは、そういう意味では最初の立地の選定が、新しい公団にとっては、もちろん本来の業務と位置づけるためにも、また家賃が本当に中堅層向けになるためにも、最初の立地選定は非常に難しいと思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、いわゆる一等商業地のようなところで、あいているからといってぱかぱか建てていくというようなことは決して許されないわけであります。その一皮周辺のところを選んでいかなければならない。  しかし、なおかつ、こういうところで公団土地を取得して供給するということを考えなければいけないわけでありまして、これにつきましては、たとえ家賃がモデレート、市場家賃化になったといたしましても、実際の公団経営は、土地を買収して、それを家賃で回収するという仕組みになっておりますので、非常にきついわけでございます。したがって、私どもとしては、その土地用地費に出資金という形等によりまして財政的な支援をしていこう、こう思っているわけでございます。
  204. 中島武敏

    ○中島委員 局長のお話を聞いておっても、今ニーズとしては非常に高まっている優良、低廉な賃貸住宅、これの要求に対して本当にこたえられるのかと私は率直に思います。大量建設、大規模建設ということを、提供ということを今まで言ってきておったのをわざわざ今度の法律で変えたわけですね。そして、今、どういうところにどういうふうにつくるのかというお話も伺ったのですけれども、やはり都心居住、一言で言えば都心居住、政府の政策的な住居ということだと思うのですけれども、しかし、年々歳々下がってきている。  さあ、ここで、これに対してどうこたえるのかということにおいてはいろいろな今局長は限定詞をつけられました。やはり、今までとは変わるということは非常にはっきりしていると思うのです。みんなが心配しているのは何かというと、やはり下がっていく傾向がどんどん続いていってしまう、都心居住だ、今のお話だと、都心というのは何も都心だけをいうのじゃないようですけれども、工場跡地や何かも含める、しかし、いい町づくりのため、その一環としてつくるというふうになってくると、ああ、再開発なのかなとか、あるいは区画整理なのかな、これと一体なのか、いろいろなふうに考えますと、随分限定されていってしまう。工場跡地だって大きな工場跡地を全部住宅をつくりましょう、こういう話じゃないのですから、やはり町づくりをやる、その中に、ちょっと言葉は悪いかもしれぬけれども、つくりましょう、こういう話だ。だから、総合的に局長の話していることを聞きますと、やはりずっと減っていくなというのが国民の本当の印象になるのじゃないですか。  それで、さらにもう一回重ねて言いますけれども、私は、これから五カ年計画でどうなるという話じゃなくて、新公団ができたんだから、これでどうなると言ったら、それは審議会で検討してもらって、こういうお話なんです。私は、今新しい公団になるんだから、この新しい公団は住民の要求、国民の要求にこたえる賃貸住宅をつくろうというのであれば、やはりそれらしいものをきちっとイメージとして示す必要があるのじゃないか。これを実際に示すことができないでいるというのが私は今の現実だと思いますよ。率直に申します。ということは、つまり非常に限定されたものしかつくることはできないということを指摘して、私はちょっと先へ進みたいと思うのです。  それで、今度は都市整備の問題なんですけれども、この問題ですが、都市整備と言いながら結局今やっていることというのは何か、また、本法案による新公団がやろうとしていることは何なのかということになりますと、これは大臣に伺いたいんですけれどもバブルの時期に金融機関やゼネコンが抱えた不良債権、これはもう塩漬けになった土地がたくさんありますが、これを買い上げるとか工場跡地を買い上げる、こういうことをやっているのではありませんか。また、これからもやろうとしているんじゃありませんか。それは、大企業や金融機関に対しては四十兆円という国民の血税による公的資金が出されておりますが、ところが、みずから生み出した不良債権の処理をもみずから解決するんじゃなくて、逆に新公団にやらせる、肩がわりをさせる、こういうことですね。  私は、これは大企業に対する救済策じゃないかと思うんですね。これは非常に余りにも無責任じゃないか。何でそんなことまで新公団、今までの住都公団もそうですが、新公団も引き受けなきゃならないのか、こういう点について伺いたいと思うんです。
  205. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 これは、新公団が、いわゆる総合経済対策、これは平成十年の四月二十四日に経済対策閣僚会議で決まったわけでございますが、低未利用地の整形とかあるいは集約化を進める、これらを活用して都市の整備を促進するというわけでございまして、民間の方ではこういう低未利用地の整形であるとか集約化というようなことはやりませんから、それで公団でこの分野を担っていただくということでございます。  それで、都市部の低未利用地を再整備し土地の有効利用を図るということが、今度は土地の流動化というこの総合経済対策で決めました目的にかなっておるわけでございまして、地域のコミュニティーの再生など地域の町づくり観点からも、私はこれは素直にぜひ御理解をいただきたいと考えております。
  206. 中島武敏

    ○中島委員 塩漬けの土地とかそれからやはり不良債権というのはみずから処理するという、これが私は必要だと思うんですね。そういう点でいうと、素直に理解してくれと言うんだけれども、考えがちょっと私はそこまで行きませんね。やはりみずから処理するという立場でいかなきゃならないんじゃないかということを申し上げて、具体的なことをお聞きしたいと思うんです。  それは、土地有効利用事業本部では何をやっているんでしょうか。これは公団に伺いたいんです。それで、土地の取得をしていると言いますが、どんな土地をどれぐらい取得したのかということについて、詳細でなくていいです、概略で結構ですけれども
  207. 今泉浩紀

    今泉参考人 ただいま大臣から御答弁がございましたが、総合経済対策の中で土地有効利用事業の実施を担う機関として当公団がその任を受けたわけでございます。昨年の六月、総裁を本部長といたしまして土地有効利用推進本部をつくり、また、実際に現地で土地を購入し、それを有効利用に育てていく現場の組織としまして土地有効利用事業本部を設けました。以来、ちょうど十カ月ほどたったわけでございますが、四月の三十日現在で、六十地区七十五件、二十一・七ヘクタール、一千百三十一億円の契約ができたわけでございます。  これは、土地有効利用事業は、土地を買うだけではございませんで、その土地を、例えば細分化土地等の場合ですと、周辺にまた小さな土地等がございますが、それを合わせて取得し、あるいは、その方たちと共同事業をしまして土地を有効利用に育てていくというのが最終的な事業でございまして、そういった面では、今土地を取得したという段階でございますが、実績的にはそういう内容になっております。(中島委員「金額は幾らになっておりますか」と呼ぶ)一千百三十一億円でございます。
  208. 中島武敏

    ○中島委員 それで、申し入れがたくさんあることは承知しておりますが、それのどの土地を買うかというときに厳しくちゃんと選定しているんでしょうか。取得しても使い物にならないものを買っちゃったなんというようなことはありませんか。
  209. 今泉浩紀

    今泉参考人 先生御心配の点でございますが、実は、この土地を取得するに当たりまして土地情報というのを受け付けをしております。それもこの四月三十日現在でございますが、四千二百七十七件、千五百ヘクタールを超える情報が寄せられました。  その中から、実は、土地の所在、あるいは土地の所有者あるいは債権者の意向、売ってもいいというような意向の確認、あるいは周辺の地権者の共同化や再開発、町づくりへの協力と理解の見通しや、あるいは借地権その他の関係権利者がどのような状況になっているか、具体的に整理がつくかどうかというような見通し、あるいは、土地有効利用の観点からこの土地が有効利用として適当かどうかという判断、それから最も大事なのは、地元の公共団体がこの有効利用事業について町づくりとして協力していただけるか、こういう視点から内部的にチェックをいたしました。  実際には、この申し込み案件の大体十分の一ぐらいが具体的な交渉案件に入って交渉し、先ほど申し上げました件数になったわけでございまして、ちなみに現在交渉中のものでございますけれども、百九十三地区、五十三ヘクタール、約三千五百億円余の土地につきまして交渉をいたし、先ほど申し上げました取得に至ったということでございます。  先生御心配のようなそういうことはございません。どうぞ御理解いただければというふうに思います。
  210. 中島武敏

    ○中島委員 ちょっとくどいようだけれども、三千億円のうち一千幾らしか使っていない、それで、今三千億を超えるものを対象に交渉に入っているというお話ですね。  さて、実績をもっと上げないかぬ、三千億も予算があるのに一千億余しか使っていないということから、今度は抵当権が何重にもついたようなもの、そういうものもやはり買わなきゃならないとか、あるいは、そんなことをやっていると不良債権が公団の方へ移ってしまうということにもなりかねないわけですね。そういう点で、くどいようだけれども、もう一回。
  211. 今泉浩紀

    今泉参考人 この土地状況は、今先生が言われましたような問題も抱えていることもまた事実でございますし、この有効利用事業自体がある程度のリスクを持っていることを私ども十分に承知をしております。一方では、土地の流動化という観点からの土地を動かすという私どもの責務がございますし、また、それを有効事業として育てていかなければならぬという、いわばどっちかといえば相反するようなこともやっております。  そういったことで、私ども予算を三千億円いただいておりますが、もちろん、その消化というのは非常に大事なんでございますが、先生今御心配のようなことがないように、私ども十分に細心の注意を払ったり、なおかつ大胆に事業を推進しておるわけでございます。
  212. 中島武敏

    ○中島委員 不良債権を取得する土地有効利用事業本部、ここには銀行、ゼネコン、不動産会社などの社員が出向しておりますが、その実態と、それから、何のためにこういうところから出向しているのかということについてお答えいただきたいと思います。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕
  213. 今泉浩紀

    今泉参考人 土地有効利用事業につきまして先ほどちょっと説明が落ちていたと思いますが、この土地有効利用事業は、公団土地を取得し周辺の土地等の整形、整地をいたし、また、一定の基盤を整備した上で民間の方にお譲りをし、民間の方、民間の業者の方の創意と工夫でその土地の有効な利用をしていただくというスキームになっております。  この土地有効利用につきましては、官民共同で取り組んだらどうかという経済対策等の中身がございまして、そういった観点から、現在、地方公共団体あるいは金融機関建設業界、不動産業界、公益事業、コンサルタント等から人材を受け入れまして、もちろん公団の職員もおるわけでございますが、共同して事業をしておるわけでございます。  どのような事業を、仕事をやっているかということでございますが、例えば土地の権利関係の調査とか、市場の調査とか、有効利用の可能性があるかどうかとか、また具体的な土地の取得交渉などの業務に従事しているわけでございまして、現在、公共団体から六人、それから民間から百十八人の方が公団に来ていただきまして、仕事をしていただいております。
  214. 中島武敏

    ○中島委員 そういう中には、土地の持ち込み会社の社員も出向しているんじゃないですか。
  215. 今泉浩紀

    今泉参考人 持ち込んだ会社の方も公団の方に来ている場合がございます。
  216. 中島武敏

    ○中島委員 今認められたように、土地を整理してほしい、買い上げてほしいというところの会社の社員も出向している。それから、銀行の方も来ている。不動産会社はもちろんですけれども。そういうことになってくると、その事態が全部それぞれの出向しているもとのところに筒抜けになってしまうんじゃないかというおそれは当たり前のこと、当たり前というか、みんなが考えて心配することなんですね。私は、そういう点で、そういうことになってくれば、やはりかねてからいろいろな問題になっておりますけれども、大変癒着問題というのが起きてくるんじゃないかということを恐れます。その点についてはどうでしょう。
  217. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答えいたします。  先生御心配のとおり、私どもも、民間の方と一緒に仕事をするに当たって非常に心配したところでございまして、実際、公団の方に来ていただく方々につきましては、公団の職員と同じ就業規則、服務規律に服していただいて仕事をしていただくようにしております。具体的には、先ほど言いましたような就業規則を適用させていただきますし、また、当然、公団職員の場合ですと、業務上知り得た秘密は保持する義務がございます。当然それも守っていただくことになります。  それから、公団の場合ですと、みなし公務員と申しまして、刑法上の罪に問われる部分がございますが、やはり同じような形で、この方々もみなし公務員としての扱いということで仕事をしていただいております。  また、実際に仕事をする場合に、仮に出身企業のところの土地が入った場合には、そういう土地のプロジェクトにはそうした方を入れないという形で、厳正にその辺は、そういう癒着がないように十分な留意をしておるところでございます。
  218. 中島武敏

    ○中島委員 そうはいっても、会社に帰ればやはり上司もいるわけですね。そうなってくると、上司から聞かれたら、いや、私はみなし公務員ですからとてもそれは言えません、守秘義務を課せられておりますからと言うことはなかなか難しいでしょう。皆さんお笑いになるとおりなんです、これは。総裁は首を横に振っておりますけれども、しかし、これは常識的に言ってそうなんですね。私は、そういうところからやはり癒着が非常に深まっていく、こういうことになるんじゃないかということを指摘したいと思うのですね。  それから、これは年限が決められていて、出向が解かれたら、今度はみなし公務員でもなければ守秘義務もなくなってしまうということになりはしませんか。そうなってくると、ますますこれは有名無実ということになるんじゃないかと思うのですね。  もう一つお尋ねします。これは局長にお尋ねすればいいか、あるいは大臣にお尋ねする問題か。  産業競争力の強化という財界の要求にこたえて、工場跡地の開発を行うために住都公団や民都機構に先行取得をさせる。そして、経団連がもう既に提言しているわけですけれども、経団連からの提言と要望に基づいて、都市計画法に基づいて用途規制なんかの緩和を行うということをもう既に検討しているんじゃないかと思うのですけれども、これはどうでございますか。
  219. 山本正堯

    山本(正)政府委員 用途地域規制などの都市計画法の改正を検討しているのではないか、こういう御指摘でございます。  先生御案内のとおり、都市計画法が施行されまして約三十年を経過いたしまして、制度を取り巻く経済情勢、都市への急激な人口集中が非常に鎮静化してくるとか、モータリゼーションが非常に発達してくるとか、非常に状況が一変してきております。そういうふうに、いわゆる都市型社会への大転換が大きく変化してきておる中で、私どもとしまして、都市計画制度の全般にわたって、線引きの見直しでありますとか、そういうものについて早急に全般にわたって見直しを行う必要があるというふうに認識をしておるところでございます。  このため、今私ども、ことしの三月三日に都市計画中央審議会を開催いたしまして、その中に新たに小委員会を設けまして、現行都市計画制度の全般にわたりまして見直しを行うということで、見直しに当たっての検討事項の洗い出しを含めて幅広く御審議をいただいておるところでございます。現在までに五回の小委員会が開催されたところでございまして、本年中をめどに成案を得るべく検討をお願いしておるところでございます。
  220. 中島武敏

    ○中島委員 もう既に相当深く検討しているという今の答弁ですね。  どうもお話を聞いていると、さっきの土地有効利用事業本部についてもそうだし、それから、今度の産業競争力の強化という点についてもそうなんですけれども、やはり規制緩和を行ったりして非常に土地は買い上げるわ、それからまた使いやすくしてあげるために規制緩和も大いにやるというようなことをやって、いわば本当は国民が一番求めている賃貸住宅、ファミリー向け、特に賃貸住宅民間でも引き受け手がないのですから、こういうのをやはり国民のニーズに基づいてつくっていくということを私はやるべきだと思うのだが、そういうことはそっちのけにして、大企業のいわば下働きだとか、あるいはもうけ口だとかをつくってやるような、私ははっきり言うけれども、やはりそういうことはおやめになった方がいい。そういうことはおやめになって、そして本来の国民が要求していることに力を注ぐべきではないかということを申し上げたいと思うのですね。  次に伺いたいのは、住宅管理問題、特に家賃問題なのですけれども公団自治協の調査結果でも、六十歳以上の居住者が全体の約四割を占めております。また、自治協の同じくこの調査によりますと、第一分位が五三・四%、第二分位が一八・七%、合わせれば七二・一%ですね。もう第一分位だけで五三・四%、五〇%を超えてしまっている、こういう調査結果が出されております。  建設大臣に伺いたいのは、居住者の生活実態についてどんな認識をお持ちになっていらっしゃるか、これを伺いたいと思います。
  221. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 新規入居者の家賃につきましては、御承知のように、いわゆる近傍同種家賃と均衡を失しないように設定することとしておりまして、その住宅の立地や質等にふさわしい、現実に市場で受け入れられている家賃設定するものでございまして、需要に対応した、重要なことでございますが、適切な水準としていきたいと思っております。  また、継続の居住者の方々の家賃改定については、その居住の安定ということが重要でございますから、配慮するため、先ほど言いましたいわゆる近傍同種家賃に加えまして変更前の家賃等も総合的に勘案して定め、特に低所得そして御指摘の高齢者等に対しては、国の財政支援を行いつつ、一般の方々よりさらに居住の安定に特別の配慮をすることといたしております。  また、入居者の収入に応じた家賃設定するのは、基本的にはいわゆる公営住宅の役割と認識しておるわけでございますが、さきに述べたように公団賃貸住宅においても、入居者の高齢化等の実態を踏まえて、できる限りの措置を講ずるというあらゆる対策は努力をいたしております。
  222. 中島武敏

    ○中島委員 私は認識の方を聞いたんだけれども、対策の方をもうすっかりお話しくださったようで。  ちょっと具体的に伺います。住宅局長に伺いたいと思うんですが、近傍同種家賃というのは一体何なんですか。私が聞いたところを単純に言えば、住宅局長はたしか近くの民間賃貸住宅家賃基準にして算出するんだというふうに言われたようにも思うんですけれども、これは算出方法はどんなふうにして決めるんでしょうか。
  223. 那珂正

    那珂政府委員 当該公団住宅と類似した周辺地域にあります賃貸住宅のいろいろな事例を集めまして比較するわけでございますが、その比較の仕方、比較の基準、物差しといいましょうか、例えば構造の違い、規模の大小、それから建設年代の差、あるいはそれぞれ駅からの利便性とか、そういうような立地条件の差、共益費など賃貸条件の差、そういうことを全部補正いたしまして、近傍同種住宅家賃というふうな算定をすることとしております。  いずれにしても、これにつきましては、法案をお認めいただきましたならば、施行までの間に省令で定めることといたしておりますけれども、現在、実際には公団の基本問題懇談会等におきまして、いろいろな識者の方々、あるいは居住者の代表の方々にもお入りいただいて、いろいろ御意見を伺いながら検討を進めているところでございます。
  224. 中島武敏

    ○中島委員 それは、俗に言われております新規賃貸事例という方法でしょうか。
  225. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりでございます。
  226. 中島武敏

    ○中島委員 局長にまた伺いたいんですけれども、現居住者の継続家賃市場家賃を上限にしてそれを上回らないように決めると言われておりますけれども家賃のこの問題についての決め方、これについて、先ほどから議論があったようですけれども、もう一度伺いたいと思います。  このことは一番、現在の居住者の人たちが非常に心配しているんですね。ですから、どういう決め方をするのかなということに物すごく関心があると思うんです。こうやってたくさんの居住者が傍聴されるというのも、そこが一番のところだと思いますので、御説明をいただきたい。
  227. 那珂正

    那珂政府委員 新しい家賃の考え方につきましては、先ほどは近傍同種家賃の考え方をお話しいたしましたけれども、新規の住宅の場合にはおおむねその基準近傍同種家賃とする、こういうことでございますが、継続居住者の方につきましては、近傍同種家賃と今までの家賃、それから経済事情の変動等を総合的に勘案した上、結果としてはその近傍同種家賃を上回らないという上限を設けているわけです。そういうのが法律の骨子でございます。  具体的には、これもまた現在検討しているわけでございますが、現在の考え方といたしましては、近傍同種住宅家賃と現契約家賃の差額の中間、差額の中間というか両家賃の中間、これを第一の基本といたします。さらに、長期的に安定しております家賃の変動率、これは物価等から判断しまして、個々の住宅の変動というよりは、その都市あるいは日本全体での変動率というような数字を使う予定でございますけれども、そういう家賃の変動率、これは非常に緩い動きを示すものと思いますけれども、具体的にはこういうもののウエートづけをして、これの要素を非常に入れていくというやり方になるわけですが、結果として急激な家賃変動を回避できるものと思います。  こういうことによって、市場家賃に連動しながら柔軟な家賃設定ができますし、ある意味では大変公平で、またわかりやすい家賃改定というようなことにもつながるのではないかと思いますし、さらには、例えば旧来の改定ルールで申し上げますと、前の改定から三年なら三年たって固定資産税評価額などが急に高くなったというようなことになりますと、それが家賃改定額に大幅に、そのままストレートに響いてしまうというようなことになるわけですけれども市場家賃基準にする今回のような考え方をとれば、大きくはね上がることは回避されるというような利点があると思います。
  228. 中島武敏

    ○中島委員 しかし、前の質疑のときでしたか、三年ごとの値上げだというふうにお答えがあったかと思いますが、何回か値上げを繰り返していけば、限りなく近傍同種家賃市場家賃に接近していくということになるんじゃないでしょうか。
  229. 荒田建

    荒田参考人 家賃改定の周期でございますが、この間も答弁しました、継続の方の家賃についてはこれまで三年に一度という形でやってまいりまして、今回は前回の改定からもう四年過ぎましたけれども、新しいルールができるまで待つというような形でございます。  そこで、今先生おっしゃった、三年に一遍ずつ繰り返していけばいずれ市場にすりつくのではないかということなんですが、それはルールの決め方次第でございますから、例えば、先ほど局長が申し上げ、また今私どもが内々検討しているルールですと、市場家賃と現在お払いいただいている家賃の二分の一というのが、厳然として差額配分法として適用する、それと家賃指数を使って、居住の安定に配慮して、できるだけ穏やかなといいますかマイルドなといいますか、上がらないように、そういうような指標を使っていくということになりますれば、何回か繰り返すうちに市場にすりつくというようなことはなかろうかと思います。  市場というのは、御承知のとおり上がったり下がったりするわけでございますし、その厳しい賃貸住宅市場の中でいろいろ評価が行われて出てくる数字でございます。そんなことで、私どもとしては、何回かやるうちに天井に達してしまうというようなことはあり得ないと思っております。
  230. 中島武敏

    ○中島委員 そのスライドのとり方とかによっては、やはり二分の一ですから、市場家賃に限りなく近づいていくというのは理論的にはそのとおりじゃないですか。  それからもう一つ。今は経済がうんと値上げになるとかという時代ではありませんけれども、これがやはり皆さんがよく言う土地の流動化、流動化なんて、流動化していくうちに上がっていくというようなことになる。そうなりますと、今はいいかもしれないけれども経済の変動というものについてはどうなるんですか。結局上がらざるを得ないということになるわけではありませんか。経済の変動だけれども、スライドのカーブを立てるのかどうするのか。そういうことばかりはできないのじゃないですか。
  231. 荒田建

    荒田参考人 確かに無限に近づくことはないということで、そういう形で何回かやっていけば、多少は近づいていく部分は、厳密にそのルールを決めてからじゃないとはっきりしたことは申し上げられないと思いますが、そういうことは場合によってはあるかもしれませんが、先ほど来申し上げているようなスライド制を加味するとか、あるいは低所得者、高齢者に対する家賃助成というものを建設省の方でおつくりいただいたものですから、私どもとしてはそれを活用して、とにかく継続居住者の居住の安定にはやれるだけの配慮はやっていこうというふうに思っております。  それからスライド率、経済の変動に応じてということで、極端なインフレとかなんとかというようなことも私は近い将来考えられないと思いますが、家賃指数というのをごらんいただきますと、これまで非常に安定的に、地価だとか勤労者の所得だとか、あるいは消費者物価だとか、いろいろな経済指標のとり方というのはあると思いますけれども家賃指数というのは非常に穏やかなといいますか、今ちょっと手元に数字は持っていないんですけれども、穏やかな動きを、低い動きで変わっていくというような指標でございまして、やはり賃貸住宅を、どういう形で経済変動を見たらいいかというときに、一番居住者にもあるいは国民にも納得のいく指標じゃないかというふうに今のところは考えておりますが、いずれにしましても、先ほど来の家賃部会、基本懇の中に家賃部会がありますから、その辺で十分御意見をいただきながら、慎重に決定していきたいというふうに考えております。
  232. 中島武敏

    ○中島委員 今荒田さんが言われたのでもなかなかちょっと納得しにくい、理論的には納得しにくいものをたくさん含んでいますね。  そして、もう一つ私が言いたいと思うのは、これから家賃部会を開いて、これからといっても、もう検討の最中ですか、検討の最中でこれから決まるんだということです。ところが、法律はきょうにも通ってしまうかもしれない、衆議院はまだ通らないと思いますけれども、そういう方向ですよ。  そうすると、結局私なんかは思うのは、そういうことを全部明らかにして、こういう方式でこういうふうにきちっといきますということをきちんと家賃部会なりなんなりで決めて、それで国会に出してくるのだったら国会としてもわかります。だけれども、国会が決めてから省令が決められる、こういうことになるんですね。本当はその省令に非常に意味があるんです。その最も大事なところは後回しで、国会は関与しない。これは審議のやり方としてもおかしいんです。本当だったら、もう全部ちゃんときちっとしたものを出して、それに基づいて国会が審議するというようにするのが本当ではないかというように思うんですね。  現在の居住者の方々だって、そこは心配しているんですよ。これはもう国会を通っちゃったから後は野となれ山となれでやられた日には、そうではないかもしれないけれども、だけれども本当にやられた日にはたまらぬよと。理論的に考えれば、無限に接近していくという方向については疑いないんです。カーブが緩い、カーブが緩ければなおさらのことじゃありませんか。現実に市場家賃に近づいていくんですよ。  だから、そういう点では、いつ、どんなふうにしてということまで聞いたって意味がないので、この法律が施行されるときまでに、家賃部会も結論を出すし、それから省令もつくられるということだと思うんですけれども、私はそれは反対なんだということをきちっと指摘をしておきたいと思います。  その上で、減免家賃についても伺いたいと思います。これは一体どういうものなのか。現行家賃よりも下がるのかどうか。たくさんの人は、減免家賃といいますから、現在住んでいるよりも今度は下がるのじゃないか、こういうふうに思っている人がたくさんいるんですよ。それに対してお答えをいただきたいと思います。
  233. 那珂正

    那珂政府委員 家賃改定される際に、公営住宅入居資格者であります高齢者の方々等につきまして一定の補助、国費を入れまして減額措置をとるということは今回の措置の柱の一つでございますが、そのルールは、先ほど来御説明申し上げておりますけれども近傍同種家賃と公営、その地点での公営並み家賃の中間水準まで減額する、ただしその中間水準が現行の家賃よりも低かったら、その現行家賃まで減額する。ですから、結果として現行家賃がさらに下がることはないということでございます。本来の近傍同種家賃から減額するという意味で今減額という言葉を使わせていただきましたけれども、下がるということはないと考えております。
  234. 中島武敏

    ○中島委員 はっきり、下がることはないということについてお答えをいただきました。  誤解というのじゃないんだけれども、減免、減免と言うから、ああ、今度は現在入っているときよりも減免されるんだという理解の方々が随分いらっしゃいますので、その点を明らかにしていただいたことは結構だと思います。  同時に、減免の免の方はどんな場合でしょうか。
  235. 那珂正

    那珂政府委員 災害が発生した場合等で一時的に家賃を支払う余裕が全くないような状態が起こり得るわけでございますし、そういう場合について免の方で対応するつもりでございます。
  236. 中島武敏

    ○中島委員 高島平の団地東京にありますかなり大きな団地ですけれども、ここを、あるフロアを全部調べた方がいらっしゃるんですね。そうしますと、生活保護は受けているわけではありませんけれども、生活保護を申請すれば受かる水準の方々がワンフロア全部だというのですね。そういう方々にとっては、千円上がってもこれは本当にきつい問題になっちゃうのです。  ですから、そういう点では、私は、随分恩恵を与えたような言い方、そういう言い方はしていないですかな、それだとみんな非常にがっかりするのじゃないかという気がいたします。私は、やはり収入に見合った、そして住み続けることのできる家賃にぜひしてくださることを要求して、次の問題に入ります。  建てかえ問題なんです。これは、従来任意事業でありましたが、今回法律で規定されました。任意事業としての現在の建てかえと、それから今度新しくなる法律で規定されたこれとの間には違いはあるのでしょうか。
  237. 那珂正

    那珂政府委員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、基本的には、今まで住都公団が建てかえ事業で進めてきたときにいろいろと手続をとり、いろいろな配慮をしてきていることについて、きちっと明文化して、条文化したものでございまして、基本的には実態としては変わるものではございません。  ただ、例えば公共団体との連携等につきましては、やはり新公団に対しても、また公共団体に対しても、両者の協力義務というものは、新たに、これも今までもないわけじゃなかったのですが、明確に位置づけられたということで、両者のそれぞれ積極的な協力体制がさらに進むものと期待しております。
  238. 中島武敏

    ○中島委員 この法律化されたということによってみんなが心配しているのは何かといったら、今までの建てかえについてはいろいろな経験を居住者の方々、皆さん持っていらっしゃいます。そういうところから、これで、法律を背にして建てかえを迫ってくるのじゃないか、強権的にやられるのじゃないか、そういう心配を持っているのですけれども、しかし、これについてはそんなことは絶対ありませんというのだったら、そういうふうにお答えいただきたいと思うのです。
  239. 那珂正

    那珂政府委員 今回法定化したその意義は、実態的に先ほど何ら変わりはないと申し上げたのですけれども、そういう意味で、むしろ公団が法定化されたそれぞれの手続や要件をきちっと守って、その中には、ちゃんと説明会をやりなさい、あるいはいついつまでの期日までに戻り入居の方々にきちっと説明しなさいとか、仮住居の提供をしなさいとか、どちらかというと公団に対する義務規定でございまして、おっしゃるような、法定化されたことをバックに強権的に公団が建てかえを進めるというようなことはあり得ないと思います。
  240. 中島武敏

    ○中島委員 現在は三十年代団地が対象になっておりますけれども、これは新公団に移りましても変わりませんか。
  241. 荒田建

    荒田参考人 お答えいたします。  先生御存じのように、今三十年代団地、全体で十七万戸住宅がございまして、これまで約七万戸を着手しているわけでございます。大体年間五、六千戸ぐらいのペースで十数年、新しく始めてからやっていますけれども、そういうようなこと等を考えますと、四十年代というのは、新公団になったからすぐやるなんというようなことは到底考えられません。
  242. 中島武敏

    ○中島委員 同じく建てかえ問題について伺いたいのですけれども、先ごろ公団の方では、東京葛飾区の金町団地、ここで建てかえについての協定を結んで、そして、現団地に住み続けたいと望む居住者の要求を一定程度取り入れるということをやられました。  それは、これからの建てかえに当たっても、そういう要求、現在のところに住み続けたいというふうに思われる方々、そういう方々の要求はやはり入れていこうというふうにお考えか。もっと端的に言えば、金町団地のようなやり方を今後も大いに生かしていこう、そういうお考えかどうか、伺いたいと思います。
  243. 荒田建

    荒田参考人 実は、建てかえ団地、最初のころは全面的に、一千戸あれば一千戸全部というような形でしばらくやってまいりましたが、最近になりまして、大規模団地ほど期間もかかるというようなこともありまして、実は一部残しと我々言っております、戻り居住者がそういう従前のまま住み続けたいという要望が居住者の方々から非常にたくさん出るようになってまいりましたから、そういうような形でやっておりますが、幾つかの団地で、もう既にそういう一部残しの提案をして、居住者に御納得をいただいてスタートしているというのもあります。  たまたま金町団地でございますけれども、そういった二、三の例もこれあり、また訴訟中だということで、しかも、説明会着手といいますか、着手してからかなり年限もたつものですから、もう先生十分お詳しいかと思いますけれども、いつまでも紛争を続けるよりはということで、一部残し、たしか八十戸ぐらいだったかと思いますが、そういうことで、居住者との間で話し合いが成り立ったというようなことでございます。  これがやり方でございますけれども、これからも、先ほど来新しい法律ができたら強権的にやるんじゃないかという御懸念なんですが、局長からもお話ありましたように、全くそんなことは考えておりませんし、その団地の一部を残すやり方というのは、これからも居住者の要望があればそういう方法も取り入れるよう柔軟にやっていきたいというふうに考えております。
  244. 中島武敏

    ○中島委員 もう一つ伺います。  それは、今後の建てかえに当たっては、全部建てかえるというのじゃなくて、今のように、希望があればそのことは考えたい、こういうお話ですね、一部残すということについて。同時に、建てかえじゃなくて住戸の改善でやってほしい、そういう希望のところもあるのですよ。そういう方々もいらっしゃるのです。  私は、そういう住戸改善、全部建てかえじゃなくて、やはり住戸改善を要求している人たちには住戸改善でいきましょうというような、居住者の多様な要求に応じた建てかえ問題の扱いということは必要じゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  245. 荒田建

    荒田参考人 建てかえの戻り入居者に対しては、今までもるる御説明申し上げましたように、いろいろなことを、できるだけ居住者の御納得をいただくような措置を講じてまいったところでございますし、これからもそうしていきたいと思います。  ただ、三十年代の団地は、もう先生御案内のように、非常に古くて狭い、陳腐化していて、居住水準上非常に問題が多い。そういうところでも、しかしずっと住み続けたいというお気持ちはよくわかるのでありますが、一棟残しみたいな、あるいは一部残しみたいなことはこれからも十分検討していきたいと思いますが、住戸改善がどこまで可能かは今後の検討課題という形にしていただきたいと思います。
  246. 中島武敏

    ○中島委員 今後の検討課題。だけれども、しかし、三十年代といいましても広うございまして、四十年の近くまでいきますと、かなりしっかりしたものが、いいものが建っているところも団地によってはありますよ。そういうところでは、建てかえじゃなくてやはり住戸改善、東京ではスーパーリフォーム、こういう格好でやるということなんかもやはり考えに入れた方がよいんじゃないでしょうか。そのことを申し上げておきたいと思います。  次に、管理の外部化の問題に移りたいと思うんです。  管理の外部化問題について、これは外部化を検討しておられるのかどうか、もしこれをやれば居住者のサービスが低下するおそれはないのか、この点について伺います。
  247. 荒田建

    荒田参考人 管理業務の外部化の問題でございますが、現在検討中でございます。  居住者サービスの低下を招かないかということでございますが、この点につきましては、今般の行政改革、大きな流れの中で、公団が新しい公団になってもいささかも居住者サービスを低下させないということをきつく言われておりますし、私どももそれを肝に銘じてこの外部化をやっていくということで考えております。
  248. 中島武敏

    ○中島委員 サービス低下にならないように、どんなことをおやりになろうというお気持ちでしょうか。
  249. 荒田建

    荒田参考人 団地管理といいますか、何といっても現場における営業所、団地ごとではございませんけれども団地の近い場所にあるわけですが、全国でたしか二十五カ所だと思います。そういったところで今やっておりますけれども、外部化ということで、実はかねてから、財団法人で住宅管理協会というのがございまして、こちらの方に現在も、日常の定型的な業務とか、あるいは画一的な業務というようなものを受託して仕事をしていただいております。  居住者側からの不安は、何か全部そういうところにやらせると、公団責任を持って判断せずに逃げちゃうんじゃないかとか、あるいはスピードが遅くなって大変困るとかいうようなお話も承っております。  したがいまして、私どもとしては、営業所におきまして公団職員がきっちりした責任、判断を行えるような体制はきっちりとる。あわせて、委託先の協会につきましても、現在もやっておりますけれども、居住者の方々のサービスが低下しないように、人材の養成、能力の開発、そういった点に今後、いわば研修の拡充でございますけれども、マンパワーとして、居住者の要望に的確に間違いなく対応できるようなエキスパートというものの育成を目指しまして、そういう体制も強化するというような形でやっていきたいと思っておりますから、我々としては、いささかも居住者サービスの水準の低下につながることはない、ならないようにやっていきたいというふうに考えております。
  250. 中島武敏

    ○中島委員 大きな団地は職員が常駐しておられるからいいんですけれども、余り大きくない団地だと、職員の方は常駐していないんじゃないですか。つまり、曜日を決めて週に一回とか二回とか回ってくるということになっておりませんか。そうなると、非常に不自由だ。それがもし外部化されるということになってくると、ますますもって、みんなが言いたいことも言えない、それから、要求があっても言えない、そういうことになってくるんじゃないか。現実の問題として、これは非常に重要な問題なんですね。そういう点で、そこをどういうふうに解決していこうとしているのか。  それからもう一つは、外部というのは住宅管理協会のことを指しておられるのかなと思いますけれども、そうなのかなと。体制は本当にあるのか、その人たち、そこの協会は。  それから、毎日常駐は全団地にはできないはずなんですよね。そうすると、非常に難しい問題が起きてくるんです、これは今申し上げたように。そういうことを含めてやってもらわないと、言葉だけのことになってしまうということがあります。  時間がだんだん迫っておりますので、簡潔にひとつ答えてください。
  251. 荒田建

    荒田参考人 いろいろ居住者団体からも御要望を承っていきたいと思っておりますし、先生のおっしゃる現地管理、私どもも、私も一番大事なセクションだと思っていますから、現地のサービスセンターということで大きな団地とか置いてありますが、おっしゃるように小さい団地はないとか、巡回の関係でいろいろ問題があるというのは私ども承知しております。  したがいまして、先生の今のお話を十分踏まえまして、今後、万遺漏のないように検討してまいりたいと思っています。
  252. 中島武敏

    ○中島委員 私は、それはしっかりやってもらいたいんですけれども、できるだけ外部化を避ける。やはり一番信頼されているのは、職員の人が信頼されているんですよ。そういう点では、必要な職員の人たちを充てるという考え方をぜひひとつ入れていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それで、もう最後の方の問題なんですけれども公団の係争事案について、これはうんと簡潔にお答えください。公団の係争事案というのはどれぐらいありますか。被告の立場あるいは原告の立場別に簡潔にお願いします。
  253. 那珂正

    那珂政府委員 原告の立場のものが九百七十四件、被告の立場のものが五件でございます。
  254. 中島武敏

    ○中島委員 その中でも、建てかえ団地の居住者追い出し裁判、これは一体どうするのか。今度は住都公団がとにかく解消になるんですよね。それで、新しい公団に移るわけです。だから、普通だったらそういうものをきちっとして移るというのが非常に適切だと思うんですけれども、どうされるのか。もっと早く解決をしたい、そしてできるだけ解決をして新公団に業務を引き継ぎたい、こういうふうにお考えなのか、そうでないのか、そこをはっきりしてください。
  255. 荒田建

    荒田参考人 今建てかえの方の関係で、明け渡し訴訟、金町その他、和解が済んでいるところもありますが、今四件係属しております。これは先ほど来説明申し上げておりますように、新公団設立に伴って、一切旧公団の業務が承継されるということになっておりますので、係属中の訴訟の当事者たる地位、これもまた一切承継するということで考えておりますので、移行するからといって直ちにどうこうするというようなことは考えておりません。
  256. 中島武敏

    ○中島委員 普通の会社だったら、全部すっきりさせて、それで新しいところへ引き継ぐというのが当たり前なんですよね。その点は私は、そういうふうに努力をするべきじゃないかということを申し上げておきたいと思うんです。  最後に、公団分譲住宅の値下げに対する損害賠償の裁判です。これについてはどうするのかということを伺いたい。  実は、ある団地で、建てかえ団地です、建てかえて分譲と賃貸と両方つくったんですね。それで分譲団地に移った人がいるんです。ところが、百戸ほどあったものが三十戸ぐらいしか埋まらない、七十戸はあいちゃっている。どうすることになるのかと思っておりましたら、これを、一斉に値下げをした時期がありますね、あのときに値下げしたんです。千数百万円値下げした。それで、公募しましたら、何のことはない、賃貸の方に移った人がそこに一部入ってくるということになって、かつて大いに協力したけれどもそっちへは行けないという人もいるわけでして、非常に複雑な事態が起きてきております。  私は、時間もないから言うんですけれども、こういう問題については、新公団に引き継ぐんですというんじゃなくて、できるだけやはり解決をして、そしてきれいにして新公団に引き継ぐという努力を、これから十月に新公団が発足するんだったら、それまでの間に努力をするべきじゃないかということを思うんですけれども、いかがでしょうか。
  257. 荒田建

    荒田参考人 建てかえの戻り分譲の方の話でございますが、確かに、そういう前に買った人と後で買った人が不公平だといろいろな問題が出ていて、その他建てかえ以外の団地のところで訴訟が起きているわけですが、建てかえの件だけで申し上げますと、私どもとしては、確かに、建てかえに御努力いただいた方々には非常に感謝するわけでございます。ただ、分譲マンションの購入ということになりますと、価格その他のその時々の条件で公団と契約して譲渡されているというような形になりまして、契約上の地位も一般の分譲と同様のことかと思いますので、特別に何かを講ずるというようなことは、戻り居住者で買われた方に感謝はいたしますが、特別のことを何かするというようなことは考えておりません。
  258. 中島武敏

    ○中島委員 終わりますが、私どもは、冒頭にも申しましたかどうか、新公団設立してこちらに移行するということを認めるものではもちろんありません。  先ほど来、私がいろいろ申し上げたとおり、今こそ、本当はファミリー向けの賃貸住宅の大量建設へ向かって進まなければならないときではないかというふうに思うんですね。ところが、そっちの方は撤退して、今度は大企業のために、下働きと言ったら言葉は悪いかもしれませんが、そういうことに一生懸命努力をする公団になるというのは、全く私どもとしては反対であります。  同時に、しかし、現在居住しておられる方々はどうなのか、裁判になっている問題はどうなのかということになれば、これはやはりきちんと解決をする、あるいは現在おられる方々はいつまでもやはり住み続けることのできるそういう団地にしていかなければならないんじゃないか。それこそが現在いらっしゃる方々の望んでおられるところだということを、ぜひひとつさらに検討し、その方向に向かって進まれることを願って、私の質問を終わります。
  259. 平田米男

    平田委員長 中西績介君。
  260. 中西績介

    ○中西(績)委員 十二時間を超える論議を経ての質問でございますから、問題はほとんど出尽くしたのではないかと思いますけれども、重複をする点もあるかと思いますけれども、わずか六十分でありますから、まとめて質問をしていきたいと思います。  日本住宅公団発足以来四十四年を経まして、百四十万戸を超える住宅、そして一万二千ヘクタールを超える宅地供給、百二十カ所を超える都市再開発事業を達成した現状でございますけれども公団を取り巻く情勢の変化は大変なものがございまして、今その改革が迫られておるわけであります。  これにこたえて都市基盤整備公団法案の提案になったと思われますけれども、そのためには、この間における四十数年間の総括と反省があってのことと思いますけれども、これらの問題について整理されておられるかどうか、大臣並びに総裁にお聞きしたいと思います。
  261. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今日までの経過でございますが、公団は、先生承知のように昭和三十年の日本住宅公団設立以来、都市への急速な人口集中に伴う住宅不足の解消という観点から、大都市地域において住宅宅地の大量直接供給を目的として業務を展開してきたところでございまして、国民生活の安定向上に大きな役割を果たしてきた。このことは私はきちっとやってきたと思うわけでございます。  しかし、例えば、分譲住宅などについては民間により十分供給がなされるなど住宅市場が成熟した中で、公団住宅については売れ残りであるとか空き家の問題を抱えるなど、経済情勢や官民分担のあり方の観点から見直しが必要とされるところとなってきたのが最近の情勢だと私は思っております。  そして一方、我が国の大都市地域等におきましては、居住環境の向上及び都市機能の増進を図る上で、職住、いわゆる職場と住宅の近接の促進あるいは防災性の向上、土地利用の整序等の課題が山積をしておりまして、こういう分野におきましてはなかなか民間の企業では対処がしづらいということでございまして、公共施設整備とかあるいは敷地の整序等によります市街地の整備改善を今後は力強くやっていきたい。そして、都心居住等に資する賃貸住宅の、いわゆるいささかゆとり感も増したそういう新規の供給の推進というものが急務になってきたわけでございまして、新しい公団は、これらの新たなニーズに対応することを使命として今回法案提出してきたわけでございます。  ですから、他の議員の質問にもございましたが、そういうようなことで、公団あるいは住宅といったらいいでしょうか、そういうものを取り巻く環境もいろいろ大きく変わってきた。そして、公団の運営がいわゆる財投というものでスタートをしてきた、それに安易に頼り過ぎて、公団といえどもいささか営利といいましょうかそういうことで、営利があるならばその分を家賃を低下する分野に回すようなことにするとか、そういうような家賃を下げる努力をあらゆるリストラという立場でやはりやっていかなければならないというようなことの御指示もございました。  ですから、旧公団から新公団に移りましたときに、公団の職員の皆さんがやはり大きく意識改革というものをしなければならないと私は思っておるわけでございまして、そういうようなことはこの委員会の論議で大いに論議されましたから、理事の面々も改めて認識をしていただいたものと思っておりますが、そういうもとで、国民のニーズに合いますようにこれが運営をされることを私も願っております。
  262. 牧野徹

    牧野参考人 ただいま大臣から御答弁のあったとおりだと私も思いますが、せっかくの御指名でございますし、具体の事業をお預かりしている立場から、ほぼ同様になりますが、一言申し上げさせていただきたいと思います。  まず最初に、先生が今私どもの四十年以上にわたる活動の結果について、住宅戸数等の御紹介がございました。  私は、これらのことについては、やはりある意味でいえば公団の成果として胸を張ってもいいのかなと。ただし、これまたお話にございましたように、昭和三十年以降、四十四年たって物すごい変化が社会経済に訪れた。例えば、住宅数は世帯数を上回ったし、あるいは民族の大移動みたいなものは終わったし、それから人口のピークアウトは目に見えてきたし、あるいは少子高齢化等々、事業をお預かりする立場から見て、そのような大激変を目の前にして、現実にどうしたらいいのかなと。  一番それが端的にあらわれたのは、例えば、つくっても売れない分譲住宅でありましたとか、あるいは賃貸住宅に夜になっても灯がともらないとか、そういうことで大変いろいろな御批判もいただきました。それを事業を預かる身としては大変痛切に感じたわけでございます。そういうことの反省の上に立って、また建設省の御指導もあって、特殊法人改革の一環として御審議が進んで現在のようなことになった、このように考えております。
  263. 中西績介

    ○中西(績)委員 もともと、我が国の住宅政策なり都市政策を考えてまいりますと、都市計画の欠落、ここいらがやはり今まで私を含めて徹底追及されて、もう少し早く手がけていかなきゃならなかったのではないかということを痛感いたしています。  同時にまた、一昨日でしたか、総裁が言われておりましたように、今までのあり方というのが経済効率を中心にして考えていったことを反省しておるというようなことを言われておりましたけれども、人間中心社会をどう構成していくかという、こうした問題等がやはり十分措置されておらなかったというところに今改めてこれが重なって出てきておる、こういうことを考えなくちゃならぬと思いますけれども、これは意見だけにしておきます。  そこで、今度の都市基盤整備公団法というこの法律名から見ますと、従来の公団名称の中にありました住宅というものが欠落をしたわけでありますけれども、先ほどの論議を聞いておりますと、都市基盤整備がおくれておるとか、あるいは市街地の基礎づくりをすることが住宅整備をするためにも必要なんだとか、いろいろな理屈をつけておりましたけれども、私はやはり二本の柱でいく以上、単純にだれが見てもわかるような法案名にした方がよかったのではないかと思うのですけれども、この点についての御意見はありますか。
  264. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、新しい公団の業務の二本柱であります市街地の整備改善と、政策的に特に必要な都心居住等の賃貸住宅の供給、この二つを簡潔に一言であらわす言葉として考えますと、共通の意味である都市生活の基盤、都市活動の基盤、こういうような考え方で、簡潔にあらわそうとすればやはり都市基盤整備という表現が適当だろうと思ったわけでございます。  正直申し上げまして、それは住宅という言葉あるいは居住環境というような表現が盛り込まれることも検討はしてみましたけれども、やはりなかなか、長くなったりというようなこともありまして、要にして簡潔な表現ということでこの言葉を選ばせていただいた次第でございます。
  265. 中西績介

    ○中西(績)委員 長くなることは何もありゃせぬですよ。それが理由にはならぬです。ですから、これらについては、やはり皆さんが法律案を見て、中身を見なければその内容がわからないなどということよりも、むしろ単純に考えた方がより効果的であろうと私は思っています。  こうした点について、私はこれから後も、日本の法律だって何だってそうなんですけれども、大衆、我々を含めて素人がなかなかわかりにくい表現というものが非常に多過ぎるのですよ。そして、今大体法律案というのは、これは割合短いけれども、大部分が、我々の記憶にとどめるのに大変だという長い法律案がたくさんあるじゃないですか。だから、中身を出そうとするとそうなるということで、そのときに私が追及すると、言うだろうと思うのですよ。ところが今、これでもって住宅ということを入れたからといって長くなるなどということはてんでないわけですから、こうした点をやはり私はむしろはっきりした方がいいと思っています。  次に移ります。  新公団の第一条、目的を見ますと、ここには今までは「福祉の増進に寄与する」というものが入っておりました。しかし、今度の法律案から、新公団第一条のこの目的の中からは、旧公団の目的の中にありました、今言う「福祉の増進に寄与する」というものが抜け落ちておるわけであります。  この点について、以前もちょっと論議されておりましたけれども、私はやはり十分注意をする必要があろうと思いますのは、先ほどの論議とまた重なるわけでありますけれども、これらの問題については、現状、今度の皆さんの反省の上に立ってこうした新しい法律を出すということになれば、今までのあり方からするとなお追求し続けなくてはならない点がむしろ今度はまた欠落をしていく可能性だってあるわけでありますから、その「福祉の増進に寄与する」というこのことの意味を、もう一度私は考え直してみたいと思います。  先ほど指摘をしましたように、総裁の一昨日の発言の中にもありましたように、経済効率中心の構造というものが目指されてきた従来からのあり方を考えてみますと、今むしろ私たちは、高齢化少子化社会における、あるいは障害者を初めとする弱者を対象にして、市街地にいたしましても住宅にいたしましても、これからどう創出をしていくかということが大変重要であります。そうなりますと、福祉抜きにして考えられないわけでありますから、こうした点について、なぜこれを落としたのか、お答えいただきたいと思います。
  266. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘のとおり、福祉の増進ということは大変重要な課題であると存じます。事実、本法案においても、先生もいみじくも御指摘いただきましたように、新たに高齢者等のための家賃の減免とか、建てかえに際して公営住宅とか福祉施設の合築を進めるなどの規定を設け、大いに福祉増進にも意を用いているところでございます。  新公団におきましては、少子高齢化等、経済社会の変化を踏まえて、福祉も含めまして、さらに安全、安心、快適な居住環境といったより広い概念を都市生活、都市居住という場に移して考えてみたわけでございまして、そういう意味で今回、「国民生活の安定向上」という目的を新たに、前公団の際には単に「国民生活の安定」にとどまっておりましたものを「向上」ということをあえてつけ加えた上で、そういう福祉の増進も含めて解しまして、より広い概念で健康で文化的な都市生活が営めるようにしようということを目指したものでございます。
  267. 中西績介

    ○中西(績)委員 したがって、これらの問題について、私は、例えば災害の後の神戸あたりの、直接的には関係なかったかと思いますけれども、駅の構造なんかを考えてみたときに、当然、新しくつくるときにどれだけの財源が必要か、そこの構造全体からするともうわずかのことですから、そのときに当然私は設けられておるだろうと思ったエレベーターがそこにはなかったのですね。ですから私は、そうした点がやはりこの法律の基本的なものとして、目的の中に明定された上で、それをどう今度は具現化するかということで、業務なりいろいろなところにこれが入れられていかなくてはならぬと思うのですね。  今、一々釈明をしなくてはならぬようなやり方で私はやるべきでない。目的の中にやはり明定することの方がより重要だということを指摘したいのです。そうしないと、もう聞けば聞くほど今度は全部弁明の形になってくるのですよ。補足的なものになってくる。これでは私は、法律というもののあり方、しかも基本的な問題が、最重要課題でありますから、この点はやはり明定すべきだと思っております。この点について、今言うような状況でありますから、もう一度こうした問題等について、今後お考えいただかなくてはならぬと思っています。  次に、時間がありませんので指摘だけにとどめておきますが、分譲住宅について、再開発に伴う必要なものを除きまして撤退をするということになっています。着手中のものについては当分続けるようでありますけれども、これらについては再評価して見直しをする必要があると思うのですけれども、この経過措置等を含めて、今後どうするのか、この点少し具体的に聞かせてください。
  268. 島崎勉

    島崎参考人 分譲住宅業務からは撤退するわけでございますが、いろいろそれまでの経緯等もございまして、経過措置といたしまして実施する分譲住宅というものがございます。  これは一つは、既に一部が完成しました公団住宅と一体的に建設されている分譲住宅でございまして、同一の管理組合に属する、こういうような場合に、既に入居者の方がおられますので、その建設を約束しているというような場合。それとか、建築基準法で一団地の認定という制度がございますが、既事業分と一体的に建設する必要があるような場合。さらには、地方公共団体と開発、計画ですとか、いろいろな経緯から公団事業をするということをいろいろな意味でお約束している、こういうようなケースがございまして、こういうものにつきましては、経過措置として分譲住宅事業を行いたいと思っております。  具体的には六十四ヘクタール、約五千六百戸を最大限といたしまして計画をしておりまして、実施期間はおおむね五年から十年というふうに考えております。
  269. 中西績介

    ○中西(績)委員 これらの問題については、また後のこととの関連もございますので、指摘はもうここではいたしません。いずれにしましても、これらの問題について、今までのあり方の反省をやはり明確に皆さんに納得いただけるように出していただいて、この措置をしていく必要があるだろうと思っています。  それから、賃貸住宅につきましてお聞きしたいと思いますが、住宅の量的充足については達成されたと言いますけれども、大都市地域の借家世帯数、住宅の比率から見て、それから所得の実態、家賃負担能力がどのようにあるか、さらにまた住居水準が依然として低水準にある、こうした立ちおくれを考えていきますと、民間住宅市場だけでは賃貸住宅供給は現状困難になってきておる。これは先ほどからいろいろ言われているように、公営住宅希望者が非常に多い、こういうこと等からいたしましても、非常にこの点が困難になっておる。こうなってまいりますと、公営賃貸住宅の不足とその対策がこれからは明らかにされておかないと、政策的にどうだと聞かれたときに私は答えにならぬと思うのですね。この点どうですか。
  270. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘のとおり、大都市においては、例えば居住世帯でいいますと、四五%の世帯が借家に居住していて、その借家の戸当たり床面積は大都市では四十一平米、大変水準の低い状況を呈しており、全国でも借家の水準は四十五平米で非常に低いわけですが、大都市ではさらにまた低い。最低居住水準未満世帯、国の計画の一つのメルクマールでございますが、これも全国一本では一六%程度であるのに対して、大都市では一九%が最低居住水準未満であるというような状況でございます。  したがって、いわゆる大都市での借家需要が大きく、これに公的供給としてある程度こたえていかなければいけないということでございまして、現在、第七期住宅建設五カ年計画、平成年度から十二年度までの五カ年でございますが、この中でも公営住宅及び特定優良賃貸住宅、それに加えて公団住宅というのが公共賃貸住宅として位置づけられているわけでございますが、新公団におきましても、これら公営住宅、特定優良賃貸住宅等と相まって、公共賃貸住宅の一翼を担う形でその役割を果たせるように臨みたいと思います。
  271. 中西績介

    ○中西(績)委員 その中でもうちょっと、これから後、新公団がどういう面でどのようにこういう分野において役割を果たそうとするのか、その点を明らかにしてください。
  272. 那珂正

    那珂政府委員 大都市においては特に、一戸当たりの居住面積が少ないとか、あるいは職住が遠隔化しているとか、オープンスペースなどの良好な居住環境が少ないというような住宅政策上の課題に対応して、民間では十分な供給が困難な、そのような都心居住住宅、既成市街地の中の一定の居住水準のすぐれたそういう賃貸住宅、しかもそれは中堅層向け、そういうものを供給していくのが新しい公団使命だと思います。  さらに、立地の点で若干補足させていただきますと、それは決して、都心居住といっても、商業地域の一等地のような立派なところだけに立地するというよりは、もう一皮周辺で、しかし通勤の利便性はいいようなところで、そこに公共施設やらオープンスペースやらそういうものの整備と一体となって供給される、そういうような賃貸住宅の供給を新しい公団使命の柱の第一として進めていくべきだ、こういうふうに思っているわけでございます。
  273. 中西績介

    ○中西(績)委員 新公団のそうしたあれを今お聞きしましたけれども、新公団の場合には、大都市地域におきまして居住水準の向上が必要な世帯等のために良質な公共賃貸住宅を計画的に供給するようにしておるという言い方を従来からしてきました。新公団は、市街地開発に伴って必要な都心居住住宅の供給を限定すると言われておるではありませんか。ということになってきますと、新公団が公共賃貸住宅の供給を限定、縮小するということになってくると私は思います。  そうなると、広範な公共賃貸住宅需要について対応できるかどうかということになってまいりますと、私は不可能に近くなってくるんじゃないかと思うのですね。したがって、さっきのことと、私が政策的にということを申し上げたのもそこなんですね。どうなのかということを明らかにしてください。
  274. 那珂正

    那珂政府委員 新しい公団が供給すべき賃貸住宅というのは、都心居住住宅という表現で代表させておりますけれども、それは先ほど申し上げましたような、市街地の中で一定の利便性を備え、一定の公共施設の整備、オープンスペースの整備、こういうものを備えた、あるいはその市街地の形成に役立つような供給をされる賃貸住宅なんだ、こういうことを申し上げているわけでございます。  それは、例えば、では今までとどう違うのかというのを多少象徴的に申し上げますと、都心から四十キロも五十キロも離れたようなところで、それぞれの地域には住宅需要、賃貸需要はあるわけですけれども、都市圏の大きな構造を変えるほどの需要ではないというような需要に対応してきた、そういう賃貸住宅供給はやめるということでありまして、もう少し本当に都心に近いところで、真の意味で利便性、国民生活の豊かさを助長する、そういうような立地の供給を進めるということで、それは新しい、先生がおっしゃるようないわゆる中堅層に対する住宅供給の必要性というのは全くおっしゃるとおりですけれども、そういうものが必要なのは、まさに私が今申し上げたような、つまり新公団が対象地域として立地を考えているそういう地域こそが、これからの時代にふさわしい住宅供給の地域だと思いますので、仕事の仕方を変えようとは思っておりますけれども、減るということではないというふうに思っております。
  275. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは具体的にもう少し詰めてみたいと思いますけれども、時間がありませんので、きょうはやめにします。  次に、家賃のあり方につきましてお聞きをしたいと思うのですけれども、先ほども論議されておりましたが、近傍同種住宅家賃、つまり市場家賃基準にすると言っておりますけれども、公共が根拠にできる合理的な市場家賃というのは具体的に示すことができますか。
  276. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど来御説明しておりますが、算定根拠は建設省令においてきちっと定めることとしておりますけれども、具体的な検討俎上にある考え方を申し上げますと、当該公団住宅に類似した賃貸住宅の事例を幾つか集めまして、それと当該公団住宅との比較をするわけですが、その比較の幾つかの物差しがございまして、例えば、構造、規模の大小、建設年代の差、駅への近接性などの立地条件の差、あるいは共益費の有無などの賃貸条件の違いなどを補正いたしまして、近傍同種住宅家賃として算定することを考えておりますが、具体的には、なおいろいろな立場の方々にも御意見を伺いながら検討していきたいと思います。
  277. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうであれば、各団地ごとに調査して、そして居住者に納得のいくようなデータの公開をすべきではないかと思うのですけれども、この点についてはどうですか。
  278. 那珂正

    那珂政府委員 近傍同種家賃というのは、当然個別の団地ごとによって違うわけでございますけれども、今回の法案におきましては、従前家賃の決め方に、原価主義から市場家賃主義に変えるということを、近傍同種家賃基準として云々と表現しておりますけれども、そのさらに具体的なルールについて省令できちっと決めさせていただきたい、明確に決めさせていただきたい。個別にその団地ごとにどういうふうに決めるかというのはまた公団の決めることだと思いますけれども、ルールは少なくとも明確にしていきたいと思います。
  279. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、公団に聞きますけれども、こうした団地ごとに、居住者の納得のいくようなデータ、そういうものが示されますか。
  280. 荒田建

    荒田参考人 近傍同種家賃のデータを集める。今の新規家賃あるいは継続家賃について、ルールについてまだ検討中でありますけれども、情報公開の問題、あるいは居住者、入居者にとってわかりやすく簡明なやり方でやるということを今回私ども大変大切なことだと思っております。  そういう意味で、情報公開、具体的なやり方、いろいろまだこれから検討をしようかと思っておりますけれども、少なくとも近傍同種、この団地の値づけをするのにどこの賃貸住宅の事例をとって比準してやってきたか、個々の市場の事例ですから、いろいろな個人のプライバシーにまたがるデータも入っている部分もございますので、そういったことは恐らく公表できないのだろうとは思いますけれども、要するに、入居者から見て、ああ、僕の団地、この団地家賃は、公団はこういうところから選んで比準してやってきたんだなということがわかるようなやり方で公開をしていきたいと思っております。  具体的なやり方はこれから検討してまいると思いますが、改定時期までにはまとめたい、このように考えております。
  281. 中西績介

    ○中西(績)委員 これは、行政もそうなのですけれども、これからのあり方というのは、むしろ、情報公開してその地域の人とどうつくり上げていくかということを、特にまた分権が進んでまいりますと、そうした点を考慮して対応していかないとこれからは行政が成り立たないと私は思うのです、特に財政が厳しい中におきましては。ですから、共有する責任を持つという体制をどうつくるかということがこれからのあり方だろうと思うのです。  そうした意味で、今言われておりましたプライバシー問題等もあるといえば何かあるような気がしますけれども、これは果たしてそうかというと、そうでもないと私は思うのです。ですから、そうした点を、これから後のあり方というのは、公団法の見直し等につきましても、これから本当にそうした面でどのようにしていくかということを考えないと、私は、行政そのものが成り立たない。  それはなぜかというと、そこに住んでおる人たちを中心にしたものでなければならぬわけですから、こうした点はやはり十分考えて、今までの考え方を改める、皆さんがこうしたお気持ちを持つことが今一番重要ではないかということを指摘しておきたいと思います。  それから次に、継続家賃の変更に当たりまして、法案は、居住の安定に配慮すると言っておりますけれども、居住者の負担能力の実態は算定要因としていないけれども、居住の安定に努めるためにはこうした点についても考慮する必要があると思いますけれども、この点、どうでしょうか。
  282. 那珂正

    那珂政府委員 継続家賃改定の際に、従前居住者の方のうち公営住宅の入居基準に該当される方という意味で、家賃負担能力というものを極めて大ざっぱというか大枠ではありますけれども、そういう一定の範囲を決めさせていただいて、その方々に対して、先ほど来御説明申し上げておりますが、国費を充当いたしまして、一定の範囲内で家賃対策を行うこととしているわけでございます。
  283. 中西績介

    ○中西(績)委員 したがって、そこまで考えようとしておるわけでありますから、これらの問題についても、算定をするときのいろいろな留意すべき点を細部にわたってさらに御検討いただきたいと思います。  次に、低所得高齢者あるいは身体障害者など弱者に対する一定の特定措置を設けたことについては評価できますけれども、公営住宅供給の絶対的不足を公団住宅が補っている現状に照らしまして、行政公平性からいっても、高齢者に限らずに、公営住宅入居資格に相当する居住者には広く公営住宅法に準ずる適用をすべきではないかと思います。  と申しますのは、ここずっと論議してまいりました経過を見ましても、公団住宅の住居者調査をした結果から見ますと、だんだん六十歳以上が多くなりまして、三年間で七%も多くなり、三九%を超えた。このことを今ここで論議するときは、やはり十年先ぐらいは考えておく必要があると考えます。  そうなってくると、これは数値はありませんから私は申し上げることはできませんけれども、はるかに四〇あるいは五〇に近づくという状況だって出てきます。それはなぜかというと、皆さんがそこに長く居住したいという気持ちを持っておられるからです。そうなってくると、どんどん年齢は高まっていくわけでありますから、こうしたこととあわせ考え、所得面を考えてまいりましても、六百四十万円以下が七二・一%となっています。ですから、中所得というよりも低所得に近い人を含めてもう考えなければならぬ時代になっている、ここに住んでいる人たちの場合。  こうなってまいりますと、内容的に、年金者の増大と同時に、現在は年金で生活しておる人が三九%と言われておるわけですから、こうしたことを考えてまいりますと、この中身はもう区別することが非常に困難になってくるという内容的なものになっておる。  ということになってまいりますと、ここいらについても機械的にするということは果たしてどうかということを考えあわせてまいりますと、これらの問題につきましても十分お考えの上で決定をするということで、私は公営住宅法に準ずる適用も考えなければならぬということになると思いますけれども、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  284. 那珂正

    那珂政府委員 継続居住者の方々の公営住宅の入居基準に該当する方でかつ高齢の方々については、改定の際に特段の家賃の減額措置、家賃対策を行うこととしておりますけれども、その方々については、実際問題、本来の近傍同種家賃とその地点での公営並み家賃の中間まで減額する、こういう考え方でございます。  その措置については、確かに一定の年齢、六十五歳以上の方、こういうふうに限定させていただいておりますけれども、それ以外の方々についても、将来の高齢化というようなことを考えますと、さらに幅広い対策が必要だということはおっしゃるとおりでございます。  今回も、既存のストックを活用してバリアフリー化して、そういう低所得高齢者の方々にも使っていただくというような制度公団にもやってもらうことになっておりますので、当然、公団の入居者の方にもそれが適用されるわけでございますので、そういうものの拡充等も含めて将来の課題としてまた検討していきたいと思います。
  285. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほども指摘しましたように、まさにそこの居住者の年齢構成なり所得構成なりいろいろなものをずっと考え合わせてまいることが一つ。それから、公団がもしそういうことが行われれば、公営住宅希望者が地域で相当まだ、五倍も十倍もいらっしゃるということも考え合わせていきますと、こうした点について将来的には考えなければならぬということはもう当然なのです。ですから、この点は一つの問題提起として、ぜひ、住宅政策としてこれからどうあるかということを考えたときに、大臣、やはり十分考えていく必要があると思いますので、これらの問題は一つの問題提起としてきょうはおきますけれども、将来的にその回答をいただきたいと思っております。  それから次に、公団におきましては、従前居住者の新たに入居する住宅家賃が従前の住宅最終家賃を超えることになって、当該入居者の居住の安定を図るために必要と認めるときには、家賃を減額することができることになっておりますけれども、きょうの話の中でも随分これが出ました。  このようなケースにつきましては、同種の賃貸住宅について、入居者によって異なる家賃設定されることになって、適切な対応をしないと入居者の間における不公平感が起こってくると思います。したがって、公平かつ透明な家賃設定ルールづくりが必要ではないかと思っておりますけれども、これらについても明らかにしていただきたいと思います。
  286. 荒田建

    荒田参考人 おっしゃるとおりでございまして、古い団地になればなるほど、それぞれお入りになった時期によって家賃が違ってまいります。したがいまして、同じ階でも、入った時期によってその入るときの値段が違ってまいりますし、また、継続家賃についても改定のあれが違ってまいりますから、おっしゃるように、何か隣の人は早く入ったから私より安いとかあるいは高いとか、そういった議論は当然あるわけでございます。  しかし、私どもとしては、確かに一見そうやって不公平というような感じがあろうかとは思いますけれども、それぞれ入居時点だとか、入居の事情だとか、そういったことを考えますと、その部分は、お互い居住者同士ですから納得をいただけるのじゃないかと思っておりますけれども、不公平だ、何だというようなことにはならないように、こちら側も、家賃の決定の仕組みだとか、家賃改定のルールだとか、そういったものを今後とも入居者にできるだけPRするように努めてまいりたいと考えております。
  287. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、こうした情報等についてはもうあらゆるものを、全部投げ出すくらいに皆さんにお知らせして、皆さんの共感を得るような体制づくりがこれからのあり方の最重点になるのではないかと思いますので、この点を指摘したいと思います。  それから、運営委員会の問題でございますけれども、総裁は、管理委員会の運営上の位置づけ等を十分御理解、そして今まで運営をなさっておられますけれども、新法におきましては、総裁の諮問に応じて公団の業務の運営に関する重要事項を調査審議するとともに、公団の業務運営について総裁に意見を述べることができるようになったわけでありますが、今までこういうことはなかったのですけれども、これによってどのような効果を期待できますか。
  288. 牧野徹

    牧野参考人 今までの管理委員会につきましても、私どもは大変お世話になっておりますが、端的に言って、今までの管理委員会の所掌事務は、単年度予算、決算、事業計画というものについて議決をしていただく、お認めいただくという権能になっておりました。  今回は、ただいま先生がお述べになりましたような、業務運営についての重要事項の調査審議等が加わります。その結果、具体的に言うと、単年度だけではなくて、中長期的な観点からのいろいろ御意見を賜ることができるのではないかなと。  実は、公団発足以来私どもに基本問題懇談会、先ほどから出ている家賃部会もその中にございますが、私的な諮問機関の基本問題懇談会でも大変有益な御意見をいただいていますが、今度は法律に基づいて、中長期的な業務運営に関する重要事項を各界の有識者に御審議いただけるわけですから、私は公団運営にとって大変役に立つことになると思っております。
  289. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われましたように、中長期的な運営等についていろいろな意見が出てくるだろうということを期待しておるのでありますけれども、そうなってまいりますと、委員会に、総裁と委員七人ですから八人で構成ですが、構成メンバーに総裁がなぜ入らなくてはならないのか、ここが私はわからないわけです。この点、なぜ総裁を加えておるのか、お答えいただきたいと思います。
  290. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど総裁から新しい運営委員会の役割について説明がありましたけれども、そういう業務運営上の重要な方針を種々議論していただく、示していただくというところでございますけれども、やはり一方で、その場に執行機関の長たる総裁が責任ある立場で参加しているということも、そういう新しい運営委員会の機能をきちっと働かせるためにもそちらの形の方がよろしいのじゃないかと思って、従来もそうでありましたけれども、構成員としたわけでございます。
  291. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、総裁が同じこの構成の中に入るということと、それから参考人的に、そうした点についての資料提供だとかいろいろなことは総裁でなくてもできるわけですよね。ですから、それはまた別な位置づけをしておけばいいわけでありますから、これらについてももう少し、運営委員会、メンバーの選定もまた問題になるわけでありますけれども、ここいらをやはり、本当に国民的立場に立ってやっておられるかどうかということが一番大事なんですから、こうした点について一考を要するのではないかと思っています。  したがって、きょう修正はできないと思いますけれども、これらの問題についてもぜひ、これからの運営のあり方について、どう民主的にやるかということを考えたときの状況からいたしますと、むしろ総裁は外すべきだということの意見を申し上げておきます。  そのことよりもまたさらに、公団運営の透明度が問題なんですから、先ほどからたびたび出ておりますように、業務及び財務、会計に関する情報公開の保障をすることの方がまた大事だろうと私は思っております。したがって、これらについても一緒に考えていただければと思います。  次に、公団の役員、理事の数が十四人から四人削減されるということになっています。行政改革の趣旨を踏まえて、公団組織・定員のあり方を含めて、計画的にいかに合理化していくかということを言っておるようでありますけれども、ただ、この際に、行革、合理化、リストラといえば首切りは当然だというように考えられておる向きがあります。  現状の中で、いろいろ今企業の中におきましても合理化が進めば進むほど、今の失業率をどうするかということを考えていかなくてはならぬように、今までの、無責任と言えるかどうかわかりませんけれども、無責任に近い経営をしておいて、それを全部ひっかぶるのは、そこに来るわけでありますから、こうした点について、その際、労使間における協定違反があってはならないし、この点はこれから後大変重要になってまいりますから、この点についてのあり方をどのように考えておられるか、お答えください。
  292. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  労使の協定の問題でございましたが、一昨日の大臣の御答弁がありましたように、公団といたしましても適切に対処してまいりたいと存じております。
  293. 中西績介

    ○中西(績)委員 その適切というものは、私は信頼してよろしいですか。
  294. 今泉浩紀

    今泉参考人 ぜひ信用していただきたいと存じます。
  295. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後になりますけれども、大きさはいろいろありますけれども団地の運営の仕方だとか、これから後のあり方だとか、先ほどから申し上げる、持っているノウハウを含めて、いかに皆さんに御理解をいただくかということで、そういう団地の代表の皆さんなりなんなりが自主的につくられていると思いますから、そういうところと今までは割合にお話ができておったと思いますけれども、新しい公団法になりますと、いろいろな面がまた新たになってまいります。そのときに、本当に民主的にそこの代表の皆さんあるいは団地の皆さんの意向を酌むことができるような体制をとれるかどうか。それは信頼にかかわるわけでありますけれども、信頼の保てるような体制をつくることを私は期待するわけでありますけれども、この点についてお答えをいただければと思います。
  296. 荒田建

    荒田参考人 私どもは、居住者といいますか、七十二万戸に二百万人の方々がお住まいで、そういった方々、全戸とは限りませんが、団地ごとに自主的な活動、自治団体、自治会というものをつくって活動しておりまして、そういった方々と支社あるいは営業所あるいは本社、そういったレベルで定期的に懇談会を設けてきておりまして、私も毎回出席しておりますけれども、非常に貴重な御意見、いろいろな要望を聞かせていただいております。もとより限られた予算の枠内ですから、皆様方の要望を右から左にすぐできれば、それはそれにこしたことはありません。しかし、できないことも多いわけですけれども、そういうことにつきましても御理解をいただきながら、今後とも良好な関係を維持していきたいというふうに考えております。
  297. 中西績介

    ○中西(績)委員 その点はやはり、今まで何回も申し上げましたけれども、情報公開をすることによって皆さんの信頼の度合いというのはうんと私はふえると思います。ですから、ただ単に言いわけがましいことでなしに、むしろ、これから皆さんがお考えになっていることを、住民の皆さんにそれが理解できるようにどう対応していくかということの方が大事だろうと思います。それで、運営費だとかそういうものに限られておると思いますけれども、これらの問題については、ぜひ心して取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。  最後に、大臣、先ほど申し上げました住宅政策等についてのあり方を、ひとつ行政としてもどのようにこれから基本的な問題として追求していこうと思っているのか、その点一口だけで結構ですから。
  298. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生指摘のように、公営住宅等々はまだまだ競争率も高い、もっとやるべきではないかというようなお話もございましたが、今回新しい公団をつくりますけれども、また、この新しい組織運営、そして先ほど言いましたように、公団の職員も新たなる意識でもって努力をしてまいりましょう。そういう中で、住宅問題がどのように解決をされてくるか、それを見ながら、また修正すべき点があれば修正をしていくということで、その点柔軟性は持って運営をしていきたいと考えております。
  299. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が参りましたので、終わります。
  300. 平田米男

    平田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  301. 平田米男

    平田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉田公一君。
  302. 吉田公一

    吉田(公)委員 私は、民主党を代表して、政府提出都市基盤整備公団法案に反対、民主党の住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。  特殊法人改革は、行政改革を進める上での重要な課題の一つであります。今回の政府法案もそうした趣旨に添って提案されたものでありますが、その内容を見るならば、およそ改革とは名ばかりの法案と言わざるを得ません。  政府提出法案では、分譲住宅分野から撤退を打ち出す一方で、事業の重点を都市基盤整備へ移すこととしております。都市再開発事業など民間ディベロッパーが主体的に行えるでしょうし、現状では民間で取り組みにくい部分があるとしても、それは民間による事業を可能にする制度、または自治体が担えるような措置を講ずればよいのであって、何も特殊法人が出張ってくる必要は全くありません。  また、賃貸住宅業務についても、政府案では家賃などの面で現在の居住者に対する居住の不安定を加速させる一方、新たな住宅建設を認めるなど、その内容は公団業務の拡充かつ半永久化を促進させるものであり、容認できるものではありません。賃貸住宅家賃について、政府案では市場家賃近傍同種などの原則により省令で設定することとしておりますが、従来以上にその基準が不明確になることは明らかであります。このような情報公開と行政改革の流れに逆行する制度改悪は認めるわけにはまいりません。  また、公団はこの間、一方で莫大な借金を重ね、その穴埋めを税金で補いながら、他方では子会社、孫会社との間で随意契約を行い、膨大な利益を上げさせるなど、その不透明な組織運営を批判され続けてきました。それにもかかわらず、政府案では、このような公団の構造的問題についてほとんど切り込んでおりません。民主党案では、子会社に対する出資の見直しを行い、その削減に努めるとしておりますが、このような姿勢がない限り、公団の抜本的な改革が図れないのは明白であります。同様に、公団の抱える膨大な債務の処理についても、政府案では何ら指針を示しておらず、危機感がまるで感じられておりません。これでは、公団経営はこれまで以上に行き詰まることは必至であります。  総じて今回の政府法案は、特殊法人改革に名をかりた官僚の天下り確保法案ともいうべきものであります。特殊法人改革を断行するのであれば、民主党案が言うように、公団の業務を賃貸住宅事業のみに縮小することによって、借金負担を減らし、国民と居住者の負担軽減を図り、民間経済の活性化を目指すべきであります。  以上、申し上げました理由により、政府提出都市基盤整備公団法案には反対、民主党提出法案には賛成の立場を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  303. 平田米男

    平田委員長 辻第一君。
  304. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出都市基盤整備公団法案及び民主党提出住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  まず初めに、政府案について反対の理由を申し上げます。  政府案に反対する第一の理由は、政府案が、これまで種々の問題点を持ちつつも、我が国の公的住宅、とりわけ勤労者に賃貸住宅を提供する上で重要な役割を果たしてきた住宅都市整公団を廃止し、住宅の大量供給から市街地整備等を中心的な業務とする都市基盤整備公団設立するという、我が国の公共住宅政策の大きな後退を図る重大な改悪だからであります。このことは、公団居住者の問題にとどまらず、広く国民の住生活にとって重大な問題であります。こうした法案に到底賛成できるものではありません。  この間の本院での法案審議の際、毎回、公団居住者の皆さんが傍聴席を埋められたことを一つとっても、公団居住者の皆さんが今回の改正に重大な関心を持ち、家賃を初め今後の管理に大きな不安を抱く、こうした改悪を許さないとの意思の表明であったとも思います。私たち政治に携わる者は、こうした公団居住者の声に真摯に耳を傾けることが極めて重要であります。  第二は、公団が、住宅や宅地の大量供給から撤退する一方で、大企業などの不良債権処理機関、公的地上げ機関となってしまうことであります。  新公団が購入、取得した不良債権を利用して行う市街地開発事業は、税金投入による大企業救済策にほかなりません。また、公団が不良債権を抱え込み、それが将来の新たな国民負担となるおそれがあるのであります。  第三は、特に公団居住者にとって関心が高く、また最大の問題である家賃の値上げについてであります。  今回の改正で市場家賃制度が導入されることにより、新規入居家賃市場並みの家賃となり、継続入居家賃についても三年ごとの見直しが行われ、現在の家賃より高くなることが明らかであります。一定の減免制度も設けられますが、それは家賃を引き上げた上で若干の緩和を行うにすぎません。  第四は、建てかえ事業の法制化であります。  この間、進められてきた建てかえについては、公団居住者の皆さんは、合意のない一方的な建てかえであると強く批判しております。建てかえによってもたらされるものは、既存の居住者が負担にたえないほどの建てかえ後住宅の高家賃であり、事実上の追い出しと言っても過言ではありません。とりわけ高齢者世帯の増加の中で、長く住みなれた団地、コミュニティーを捨てざるを得なくなるような施策は許されません。公団の任意事業から法制化される結果、強権的な居住者追い出しが一層推進されるおそれがあります。  以上の点から政府案に反対するものであります。  民主党案については、公団の公共賃貸住宅供給からの撤退が盛り込まれており、反対であります。  以上が、両案に対する反対の理由であります。  両案の提出者は、今改めて、全国の公団居住者の要求に真摯に耳を傾け、良質な住宅を求める国民の声を聞くべきであります。そして、何よりも欧米諸国の住宅に比較して著しく見劣りする我が国の住宅の水準を引き上げ、良質で廉価な家賃住宅、とりわけ公共住宅の供給を進めることを求めて反対討論といたします。
  305. 平田米男

    平田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  306. 平田米男

    平田委員長 これより採決に入ります。  まず、鉢呂吉雄君外一名提出住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  307. 平田米男

    平田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出都市基盤整備公団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  308. 平田米男

    平田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  309. 平田米男

    平田委員長 ただいま議決いたしました内閣提出都市基盤整備公団法案に対し、佐田玄一郎君外四名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井上義久君。
  310. 井上義久

    ○井上(義)委員 ただいま議題となりました内閣提出都市基盤整備公団法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     都市基盤整備公団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。  一 政府は、国民生活の安定向上のためには、住宅政策を通じた福祉の増進が不可欠であることに鑑み、公共賃貸住宅相互間の役割分担と連携に配慮して、大都市地域等において居住水準の向上が必要な世帯等のために、良質な公共賃貸住宅を計画的に供給するよう努めること。  二 都市基盤整備公団(以下「新公団」という。)は、既存の賃貸住宅団地について、居住者との信頼関係を尊重し、十分な意思の疎通のもとに住宅や利便施設等の適切な維持管理を行い、快適な生活環境の確保に努めること。また、老朽化した賃貸住宅の建替えや住戸改善に当たっては、居住者の居住の安定に努めること。  三 新公団は、賃貸住宅家賃設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう十分な配慮に努めること。特に、低所得の高齢者等に対する家賃の減免や建替えに伴う急激な家賃の上昇の抑制については、十分に配慮すること。  四 新公団は、地方公共団体の推進する街づくりを支援する業務に積極的に取り組むとともに、賃貸住宅の建替えに併せた公営住宅や福祉施設等の整備への協力に努めること。  五 新公団は、市街地の整備改善に関する業務の実施に当たっては、地方公共団体、民間都市開発推進機構、民間事業者等との協力及び役割分担を図るとともに、関係権利者の意思を十分反映するよう努めること。  六 新公団は、行政改革の趣旨を踏まえ、業務運営の重点化と効率化に努めるとともに、計画的な組織・定員の合理化に努めること。  七 新公団は、用地の取得等既に事業に着手している分譲住宅団地について、事業の見通しや採算性について再評価を行い、必要な計画の見直しを行うよう努めること。併せて、住宅建設工事未着工用地管理を徹底し、有効活用に努めること。  八 新公団は、公団関連業務に従事する関係法人について、新公団発足後三年以内を目途に出資の見直しや整理合理化の推進に努めること。また、公団関連業務の業務契約について、関係法人との随意契約の適用を厳格に行い、競争入札を原則とすることにより、民間事業者の業務機会の拡大に努めること。  九 新公団は、関係法人を含め、財務内容等の情報公開を進めることにより、公平、透明な業務運営を行うよう努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  311. 平田米男

    平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  312. 平田米男

    平田委員長 起立多数。よって、佐田玄一郎君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣関谷勝嗣君
  313. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 都市基盤整備公団法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました良質な公共賃貸住宅の計画的供給、公団賃貸住宅の居住者、特に低所得高齢者等の居住の安定、家賃設定及び変更を含め、公団賃貸住宅の適切な管理、地方公共団体、民間事業者等との協力及び役割分担、関係法人の見直し、公平、透明な業務運営等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  314. 平田米男

    平田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  316. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会