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1999-05-12 第145回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年五月十二日(水曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小林 多門君    阪上 善秀君       田中 和徳君    玉沢徳一郎君       西川 公也君    蓮実  進君       松本 和那君    宮腰 光寛君       宮島 大典君    目片  信君       山本 有二君    川内 博史君       田中 慶秋君    畑 英次郎君       平野 博文君    山本 譲司君       吉田  治君    大口 善徳君       太田 昭宏君    長内 順一君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         議員      石井 紘基君         参考人         (住宅都市整         備公団総裁)  牧野  徹君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  今泉 浩紀君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  平岡 哲也君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  島崎  勉君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  荒田  建君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  増山 雍二君         参考人         (住宅都市整         備公団理事)  福田 秀文君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 五月十二日         辞任         補欠選任   岩永 峯一君     宮島 大典君   畑 英次郎君     川内 博史君   平野 博文君     吉田  治君   長内 順一君     大口 善徳君 同日         辞任         補欠選任   宮島 大典君     岩永 峯一君   川内 博史君     畑 英次郎君   吉田  治君     平野 博文君   大口 善徳君     太田 昭宏君 同日         辞任         補欠選任   太田 昭宏君     長内 順一君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市基盤整備公団法案内閣提出第三一号)  住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案鉢呂吉雄君外一名提出衆法第一七号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市基盤整備公団法案及び鉢呂吉雄君外一名提出住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁牧野徹君、同理事今泉浩紀君、同理事平岡哲也君、同理事島崎勉君、同理事荒田建君、同理事増山雍二君及び同理事福田秀文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 平田米男

    平田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
  5. 阪上善秀

    阪上委員 おはようございます。自由民主党の阪上善秀であります。  まず初めに、私は、阪神淡路大震災を体験した者の一人として質問をいたしてまいります。  六千人以上もの死者を出すことと相なりましたこの都市型の大震災は、いかに我が国都市の現状が脆弱であるかということをまざまざと見せつけられたものとして、我々に多大な教訓をもたらしたと思っております。老朽化した木造住宅や狭隘な道路の存在、避難地としての公園の必要性など、さまざまな課題が浮き彫りにされたと私は認識いたしておるのであります。  さて、復旧復興に当たっては、地元公共団体住民が一丸となって取り組んできたところではございますが、当該地域復興に際しては、住宅都市整備公団が果たした役割は極めて大なるものがあったと痛感をいたしておるのであります。  具体的には、一、震災の発生直後における被災者に対する公団住宅提供であります。これは大変感謝をされました。二番目に、神戸市に二百五十人体制震災復興支援本部の設置など、復興支援体制の極めて早期措置でありました。三点目は、住宅建設市街地開発事業土地区画整理事業等復興事業に対する多大な支援であります。  これらの実績は、これまで蓄積された住宅都市整備公団の有する優秀な事業実施能力のたまものであり、この有為なる公団の活用は、国の機関としては極めて重要であると考えております。  そこで、まず、この未曾有の大震災に際し住宅都市整備公団が果たした役割に対する大臣評価についてお伺いをいたします。  また、これらの震災復興事業等継続中の重要事業について、一、新公団への継承は具体的にどのようになるのか、二、関係地元公共団体とはどのような連携を図るのか、いささかも事業継続に後退がないように措置すべきだと考えますが、大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  6. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 阪上先生現地でございまして、この阪神淡路大震災、本当に六千人以上の方が亡くなられたわけでございまして、改めてその方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思っております。  かつまた、その他、住居あるいは商業の場をなくされて、それをまた営々として再構築されていらっしゃる被災者皆様方のその御努力に対し敬意を表しますと同時に、国は、先生指摘のように、なお一層強力なる援助をしていきたいと思っております。  それと、あのときに私たちも経験したわけでございますが、ボランティアの方々の本当に日夜を分かたぬ御支援に対しましても、私は、本当にすばらしいな、日本人の、どういいましょうか、本当に心温かい国民であるということを改めて認識したわけでございますが、そういう方々にも改めてお礼を述べさせていただきたいと思います。  それから、御答弁の前に、そういうようなことで私も一月の十四日でございますか、国土庁も兼務いたしたわけでございますが、来週の月曜日に御当地を訪問させていただいて、その後のことを視察させていただきたいと思っておりますので、また御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。  それで、この大震災復興に際しましては、住宅都市整備公団は、一万八千戸以上の住宅建設、それから二十三地区市街地の再開発事業、そして土地区画整理事業等の面の整備事業等推進いたしたところでございます。これらには、今までの公団が持っております技術力であるとかノウハウを十分に活用してそれだけの支援ができたものと自負をいたしておるところでございます。  今後、この新公団になりましても、阪上先生指摘のように、地元地方公共団体連携を密にいたしまして、先生の御心配のようなことが起こらないように、徹底して今後とも行っていきたい、事業を積極的に進めていきたいと思っておりますので、細かなこと、現地先生でございますから、またいろいろと御指導をいただきますようにお願いいたしたいと思います。
  7. 阪上善秀

    阪上委員 兵庫県知事各市町長も、今までの住宅都市整備公団に感謝し、また、新公団に大いなる期待をされておりますことを付言しておきたいと思います。  次に、もし再び我が国であのような都市型災害が発生したときには、迅速かつ適切な対応が求められることとなると思いますが、新公団ではこれらの課題に対してどのように対応するつもりなのか、本法案においてどのような措置を講じているのか、お伺いをいたします。
  8. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  お尋ねの、再びあのような大規模都市型災害が発生したときでございますけれども、やはり何といっても、早期被災者方々生活再建都市復興ということが必要になると思います。そのため、公団は、持てるノウハウそして能力最大限に活用して、積極的に貢献していかなければならない、こういうふうに思っております。  本法案におきましても、新公団に関する、国の利害に重大な関係があって、かつ災害等によって緊急に実施をする必要があるような事業につきまして建設大臣が指示できることになっておりまして、建設大臣の指示によりまして公団にその復興業務等実施させる仕組みを法律上明記して、明確にしたところでございます。
  9. 阪上善秀

    阪上委員 次に、公団ノウハウ技術力は今後とも活用していくことが重要だと思われますが、行政改革の趣旨を踏まえると、新公団についても例外なく行革を遂行していく必要があると思います。  行政改革の一環として、平成九年三月の自民党による特殊法人整理合理化平成九年六月の特殊法人等整理合理化閣議決定において、民間でできるものは民間にゆだねるとの行政改革原則が示されているものと考えますが、本法案にはこうした決定内容がどのように反映されているのか、お伺いをいたします。
  10. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘のように、平成九年の六月六日の閣議決定がございまして、それにのっとって進めているところでございますが、この新公団業務は、現在の重要な課題となっております都市開発を、国の施策上特に必要な賃貸住宅供給に重点化いたしまして、地方公共団体民間事業者等との協力、そして役割分担ということをはっきりいたしまして、そのもとに行うということでございまして、分譲住宅業務につきましては民間にゆだねることといたしまして、再開発等に伴うものを除き、原則的に分譲住宅からは撤退をするということにいたしたところでございます。  したがいまして、御指摘のように、民間でできるものは民間にゆだねるという行政改革原則に沿って、平成九年の閣議決定内容を実現してまいりたいと思っております。
  11. 阪上善秀

    阪上委員 次に、さき災害が起こってからの対応について質問したところでございますが、日本都市を眺めますと、老朽化した木造住宅密集地帯がいまだ多く存在しているなど、必ずしも災害に強く安心できる町とは言えない状況にございます。都市脆弱化は、さき阪神淡路大震災で露呈したとおりであり、特に大都市圏においては、木造密集住宅解消等により早急に災害に強い町づくりを進めていく必要があると思います。  地元兵庫県下においては、住宅都市整備公団によって、四市町において千二百ヘクタールを超える土地区画整理事業、四市町において十一ヘクタールを超える市街地開発事業を完了または実施中であります。これらの事業は県下の重要な地域での事業展開であり、いずれの事業も県または地元市町との密接な連携の中で実施され、その成果が県民福祉向上に大いに貢献しているところであります。  兵庫県では、本年四月にまちづくり基本条例を制定し、人間サイズ町づくりに取り組むことにしておりますが、新公団が予定している業務内容は時宜にかなっていると評価をいたしております。  そこで、新公団においてもこうした分野において大きな役割期待されておりますが、どのような方針で臨まれようとしているのか、お伺いをいたします。
  12. 那珂正

    那珂政府委員 防災上特に危険でございます木造密集地域市街地整備についてのお尋ねでございます。  この件につきましては、先生指摘のように、当該地方公共団体が中心的な主体となって取り組むべき課題ではあると思いますけれども、実際、阪神実績を見てもわかりますように、公団ノウハウ能力というものをこの際生かすということは、こういう市街地整備を進める上で大変有効だ、こういうふうに思っております。  そこで、新公団設立という機会にこういう考え方、つまり地方公共団体との連携を強化して、災害に強い町づくり公団業務を志向するということについて一層積極的に取り組んでいきたいと思っておりまして、具体的には、まず公共団体からのいろいろな基礎的な調査技術提供等について委託を受けて進める、あるいは細分化された土地統合とか敷地整備、あるいは公共施設整備、御指摘の再開発事業区画整理事業実施、さらには地権者等が個別に行う賃貸住宅建設支援というようなこと、全般にわたって積極的に取り組んでいくべきことだと存じます。
  13. 阪上善秀

    阪上委員 次に、町づくりは基本的には地域住民に密着する地方公共団体主体となって行ってきており、また、具体建築物整備の大部分は民間事業者によってなされております。一方で、我が国重要課題である市街地整備改善について、公団に対する期待は大なるものがあるのであります。  町づくりを進めるに当たって、地元公共団体協力民間事業者との連携なしではなかなか困難であると思われますが、今後、これらの市街地整備改善事業推進していく上で、地方公共団体民間事業者とはどのように役割分担をし、相互の連携を図っていくつもりなのか、お伺いをいたします。
  14. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘市街地整備改善というのは、確かに民間事業者だけではなかなか進めにくい、また公共団体だけでも進めにくいし、もちろん住都公団あるいは新公団だけでもできるものではありません。基本的には三者あるいは関係機関等ともいろいろな意味で連携協力を進めていかなければいけないことだろうと思います。  そこで、新公団といたしましては、とりわけ難しい市街地整備改善のうち、敷地統合とか公共施設整備、そういう基盤整備などに重点を置いて、基盤整備後の土地に上物を整備していくというようなことは民間事業者に基本的にゆだねていくということで、相協力して進めていきたい、こういうふうに思っているわけです。  また、公共団体との関係でございますが、まず、都市整備に関するいろいろな、都市整備構想とかあるいは面的整備事業を進めていく上で、公団は必要に応じて、調査あるいは技術提供というようなことから、公共団体との連携によりまして、具体事業実施まで含めて幅広く支援していこう、こういうふうに考えております。
  15. 阪上善秀

    阪上委員 次に、都市経済活動の大宗が営まれる場でもあり、都市防災性向上を図るとともに、経済活性化に寄与することも新公団の使命であると考えます。我が国の直面する経済をいかに立ち直らせるかが、現在我が国の最大の課題一つとなっております。  具体的には、現在、大都市都心部虫食い土地有効利用が図られていない土地が多数存在しておりますが、このような土地を整形、集約化してその有効利用を図り、土地流動化を促進することが喫緊の課題であると思います。  このため、平成十年四月に、自民党土地債権流動化トータルプランを策定し、公団を活用した土地有効利用事業を提案したところでございます。これまでの本事業実績についてお伺いをいたします。
  16. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  先生、ただいまトータルプランの話から土地有効利用につきまして御質問ございました。私ども、そのトータルプラン、またそれに続きます政府総合経済対策、またそれを受けました平成十年度の第一次補正予算の中で、公団におきまして土地有効事業を行うことが位置づけられたわけでございます。  それを受けまして、昨年の六月二十二日でございますが、総裁本部長といたします土地有効利用事業推進本部、それから、実際にその業務を行います、現地につくったわけでございますが、土地有効利用事業本部を設けまして、具体的な事業の発足をしたわけでございます。  昨年の七月から具体的な土地情報の仮受け付けを行いまして、以来十カ月たったわけでございますが、この四月三十日現在では、四千二百七十七件、千五百ヘクタールを超える情報が寄せられております。その中でいろいろな内部的な審査をいたしまして、土地有効利用にふさわしいものといたしまして、現在のところ百九十三地区、約五十三ヘクタール、金額で申し上げますと三千五百億円を超えるものにつきまして具体的な取得の交渉に入っているわけでございます。その中で、この四月三十日現在でございますが、六十地区七十五件、面積的には二十一・七ヘクタール、金額でいえば一千百三十一億円につきまして具体的に用地取得の契約ができたということでございます。  ただいま先生がおっしゃられました土地有効利用というのは、土地取得しただけでは終わるわけではございません。例えば、先生がおっしゃられました虫食い土地細分化土地とも言うわけでございますが、この周辺にあります敷地取得するといたしまして、敷地全体を整序、集約いたしますし、そこに一定基盤整備をした上で、基本的には民間の方に民間の創意の工夫でそこに土地有効利用していただくということが最終的な目標でございまして、私どもこの全体の有効事業役割を果たすべく、最大限努力をいたしているところでございます。  どうぞよろしく御協力のほどお願いをいたします。
  17. 阪上善秀

    阪上委員 本事業については、経済界からの期待も大きく、工場跡地の活用問題など今後とも土地有効利用事業の積極的な推進が重要であると考えられますが、新公団ではどのように展開していく方針なのか、お伺いをいたします。
  18. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の新公団と以前の公団との違い、大きなものは、以前の公団におきましても、先生指摘のいわゆる虫食い状態土地整序してそれをまた民間に払い下げるということをやっておったわけですが、文章にはきちっとは載っていなかったわけです。それで、今回の新公団におきましては、そういうことを新公団業務におきまして明確に位置づけるとともに、引き続き用地取得、そして取得した土地について周辺との一体化、共同化による基盤整備等を行う、そしてそれをまた民間等に処分するというようなことで、土地有効利用というものを進めていきたいと考えております。
  19. 阪上善秀

    阪上委員 次に、公団は約七十三万戸の賃貸住宅を管理しておりますが、これらの住宅の中には、市街地の重要な地域建設されているものも多いことに加え、建設年代の古いものなど、規模性能設備等が近年の居住水準対応していないものなどが見られます。  昭和三十年代に建設された賃貸住宅はどのくらいあるのか、また、それらの規模設備はどうなっているのか、お伺いをいたします。
  20. 荒田建

    荒田参考人 荒田でございます。お答えいたします。  ただいま先生の御質問の、公団が三十年代に建て住宅規模性能設備等の現況についてのお尋ねでございます。  公団は、現在トータルで七十三万三千戸という管理戸数を持っておりますけれども、このうち三十年代に建設された賃貸住宅は十七万二千戸になります。ちなみに、この十七万二千戸のうち、現在三十年代の建てかえを進めておりますので、残っておりますのは十二万四千戸ということでございます。  この三十年代に供給された賃貸住宅というのは、先生御承知のように、ちょうど我が国が戦後の住宅が極めて不足した時代に、公団大量供給という形で非常なスピードをもって供給した時代であったわけでございます。  床面積も、平均的には三十年代の賃貸住宅は三十八・七平米でございまして、この三十八・七平米という数字は、実は建設省の方でつくっております、ファミリーで四人世帯最低居住水準が五十平米でございますけれども、それを大幅に下回るような、非常に狭いものでございます。  また、設備などにつきましても、例えば、三十年代に供給した賃貸住宅は、いわゆる水回り関係、特に洗濯機を置く場所がないですとか、あるいは給湯器ももちろん備わっていない。  あるいは床の薄さですね。騒音がいろいろ上下階で問題になりますけれども、床というものが、現在の新築された賃貸住宅に比べると極めて厚さが足りないというようなことでございまして、今日から見ますと相当に古くて狭いというような状況でございまして、著しく劣っている状況であると認識しております。
  21. 阪上善秀

    阪上委員 次に、新公団においては賃貸住宅について市場家賃化をしていくとなっておりますが、高齢者が安心して住める町づくり住まいづくりを進めていくためには、建てかえ時における対策だけではなく、家賃の改定に際しての居住の安定について一層の配慮を図るべきだと考えます。高齢者世帯を初め母子世帯心身障害者世帯生活保護世帯についてはどのような対策を講じられるのか、お伺いをいたします。
  22. 那珂正

    那珂政府委員 新公団法の三十三条第四項におきまして、居住者高齢者あるいは身障者その他特に居住の安定を図る必要がある者で家賃を支払うことが困難であると認められる場合等においては、その家賃を減免することができるというふうにされております。  具体的には、家賃の見直しによりまして、公営住宅階層の低所得高齢者世帯あるいは母子世帯心身障害者世帯生活保護世帯家賃が上昇する場合には、現行家賃を下限としてでございますが、近傍同種住宅家賃公営住宅並み家賃のちょうど半分の水準まで減額するという措置を講じているところでございます。  なお、お尋ねございました建てかえの際にもやはり一定減額措置を、特に再入居される方には一定減額措置を講じようとしているところでございます。
  23. 阪上善秀

    阪上委員 次に、新公団では、民間供給が可能な分譲住宅からは撤退し、国の施策上特に供給が必要な賃貸住宅供給することとしておりますが、今後の住空間を考えていくには、本格的な少子高齢化社会への対応は避けて通ることができない大きな課題であります。少子高齢化に対する政策は、ことし一月の内閣総理大臣施政方針にもあるとおり、国民的な広がりのある取り組みを進めていく必要がありますが、中でも生活空間に対するものが重要であると考えられます。  新公団においては、この少子高齢化対応した施策についてどのように貢献できるのか、お伺いをいたします。
  24. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 平成六年六月に、建設省におきましても生活福祉空間づくり大綱というのを作成いたしまして、住宅町づくり分野などでいろいろな施策を講じておるところでございます。  先生指摘のように、これからの政策をつくり上げますときには高齢化対策、これは長きにわたって行われておりますし、今後も当然進めていくわけでございますが、もう一つ大きなのは私は少子化対策だと思っております。これをしっかりしなければ、安心して子供を産み育てることのできる家庭であるとか社会という環境づくりをしないと、日本の発展がないのではないかと私は危惧しておるわけでございます。そういうようなことにおきまして、少子高齢化対策というのは特段に注意をして行いたいと思っておるわけでございます。  少し列挙させていただきますが、新公団におきましては、高齢者向けのバリアフリーを標準化仕様とした新規の住宅供給、それから高齢者向け優良賃貸住宅供給、あるいはまた賃貸住宅建てかえ等における社会福祉施設の合築あるいはまた併設の推進。ですから、新しくできますそういう施設建てかえの場合に、福祉施設もまたつくっていくというようなこと。  それから、高齢者世帯あるいは多家族、大勢の人数のいらっしゃる家族、また三世代というようなこともありましょうが、その賃貸住宅へ入居される方の優遇対策。  それから、子育て支援施設を併設した都心居住住宅供給。そういう新しく提供する住宅に、その近いところに保育園であるとかあるいはまた幼稚園であるとかいうようなことも意図してつくっていくというようなことで、少子高齢化に的確に対処していきたいと考えております。
  25. 阪上善秀

    阪上委員 最後に、我々一人一人が豊かで快適な生活を送るためには、安全で安心できる町づくりを行っていくことが重要であると思っております。  二十一世紀を迎えるに当たって、快適で安心な町を後世の子孫に残していくことが我々の責務であると考えますが、最後に、これを実現するための政策への積極的な取り組みについて、大臣の決意のほどをお伺いいたします。
  26. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 人間の、どういいましょうか、唯一の憩いの場所でございます家庭、それのハードでございます家屋、それが豊かになれば本当に日々の生活が、給与が上がるということも豊かになることの一つではございましょうが、それよりも、例えば職場と自分の家が近いということになりますれば、通勤に一時間、二時間かかるなんてこういう悲劇的なことも払拭できましょうし、本当に人間らしい生活ができるんではないかと思うわけでございます。  ですから、安全で質の高い市街地の形成、それから職住の近接した都市住居の実現など、思い切って、この新公団になるときに、やはり新しい公団にしてよかったという声が聞かれますように最大の努力をしていきたい、そのように決意を持っております。
  27. 阪上善秀

    阪上委員 大臣初め関係者の真摯な誠意ある答弁に感謝をし、自民党阪上善秀質問を終わります。  ありがとうございました。
  28. 平田米男

  29. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、今回の都市基盤整備公団法について、民主党の立場から質問をさせていただきたいと思います。  まず、この都市基盤法の整備そのものは、建設省の外郭団体、すなわち特殊法人に位置づけられるわけでありますから、今回の政府が打ち出しております一府十二省あるいは特殊法人の見直しの基本的な考え方について、まず大臣にお伺いをしたいと思います。  特殊法人については、私どもは、戦後の日本から今日に至るまでの経緯、それぞれの目的に沿った取り組み等については評価をしております。しかし、今、二十一世紀を迎える日本の現状を考えたときに、少子高齢化がますます進んでいる、これが現実であります。結果として勤労人口が少なくなる、すなわち納税者が少なくなるということになっていくわけであります。そのことは、私どもがこれからの日本の進路を考えたときに、日本の現状、生活の維持やいろいろなことを考えたときに、現行を維持するためには増税か行革か、そんなことを選択肢として求められているわけであります。  小渕総理も、先般来、御承知のように、今年度から法人税の減税や所得税の減税を約束され実現に至っているわけであります。このことは、もう既に日本の税制そのものがこれ以上の増税は求められない、こういう環境だと思います。結果として、私たちが今求められているのは行革ではないか、こんなふうに考えられますが、そのことについて、大臣の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  30. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今、戦後五十四年目になったわけでございまして、先生るる御指摘がございましたが、高齢化あるいは少子化、それから税負担、これは五〇%を超えるようなことにはしたくないといういろいろな審議会からの答申も出たりしておるわけでございますが、そういうような中、規制緩和あるいは地方分権、あるいはまた年金制度が御承知のように今の保険料だけでは果たして維持できるかどうか、あるいは終身雇用制度が崩壊されつつあるがこれがどのように今後進んでいくんであろうか、あるいは保険制度、そういうようなこと、いろいろ先生指摘のように大きく変わってきておると思うわけでございます。  その中にあって、やはり行政改革というものがなされなければならないということで、先ほどの阪上委員質問の中にもございました。ですから、今度の新しい公団をつくりますのも、なお一層、いわゆる国での仕事の範疇、そして地方公共団体の仕事の範囲、そして民間方々の仕事の範囲というようなものを明確にしていく、そして今回は、住宅の角度から見ますれば、とにかく管理の方に重きを置いていく、そして小さな政府あるいは国の権限の縮小、地方分権というような流れになってきておるんではないかな、そのように思うわけでございまして、そういう角度から今回の都市整備公団というものをなしていく、そして運営をしていく、そしてまた、いずれ十年たちますと、いわゆるサンセット方式で見直していくというようなことになっておりますので、私は、この行政改革の一環、行政改革という立場から厳しくこの問題をここで論議をし合ってまとめていくべきではないか、そのように考えております。
  31. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私ども民主党は、特殊法人についての基本的な考え方についてこのように考えているわけであります。  まず一つは、もう時代の変化あるいはまた役割等々について終わったもの、すなわち民間と重複を避けるという意味でもこういうものについては廃止すべきではないかという、こんな基本的な考え方。二つ目は、民間でできるものは民間で行うべきである。三つ目は、民営化あるいは民間になじまないものは、将来とも本当に必要なものは改めて組織の見直しをして、独立行政法人等々を含めながらこのサンセット方式を打ち出しているわけであります。そこで、私どもが、このサンセット方式は基本的には官から民へ、あるいは中央から地方へ、そしてより小さな政府を求めることを大前提としているわけであります。  大臣も、今このことについては大枠認められているように答弁をされているわけでありますけれども、今回の、住宅都市整備公団が改組され都市基盤整備公団という名称変更を行うに当たり、このサンセット方式をどのように考えられて今回の提案にされているのかどうか、まず大臣並びに公団総裁にお伺いをしたいと思います。
  32. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生提出をされております住宅都市整備公団法の一部を改正する法律案要綱、これは何度も読ませていただいて、大変立派なものであると認識をいたしておるところでございます。  私は、先ほどの答弁で、サンセット方式で一定の年限を決めてという考えがあるわけでございますが、私のところの法案ではまだその期限等は決めて提出はしてないところであるわけでございますが、私は、先生指摘のように、この行政改革の指針に沿って、中央の権限というのは極力小さなものにしていくという方向で進めていきたいと考えておるわけでございます。  その他につきましては、総裁、どうぞ。
  33. 牧野徹

    牧野参考人 ただいまの御質問でございますが、私が現在の住都公団に参りましたのは、ちょうど阪神淡路大震災が発生した直後といいますか、一月でございましたが、私は六月九日に就任いたしました。その際には、若干答弁が長くなって恐縮でございますが、当公団に対するいろいろな御批判が大変盛んに行われておりました。  ただいま先生もおっしゃいましたように、日本世帯数に対し圧倒的に住宅が不足していた三十年に前身である日本住宅公団として発足して、以降、大量の良好な住宅宅地を国民に提供してきたという成果は、私は胸を張ってもいいと思います。ただ、以降四十年以上をけみして、現時点においてそれでは何も変えなくていいのか、そういう意味の御批判もあったと思います。  具体的に言うならば、バブルの後の崩壊の影響を受けまして、バブル絶頂期には結果として、私どもの提供する分譲住宅なり賃貸住宅の在庫といいますか、売れ残り等はゼロになっておりました。しかし、バブル崩壊の後、日本全体と同様でございますが、その影響を受けて、私どもの例えば分譲住宅についても、売れ残ったり、賃貸住宅についても、夜になっても明かりがつかないじゃないかというふうなことも言われまして、その他もろもろ、いろいろな御批判がありました。  そこで、私が考えましたのは、もちろんこれは役職員一体でございますけれども、この住都公団というのは何を期待されて世の中に存在しているのかな。もちろん、我々は自然人ではありません、法律によって生命を与えられている特殊法人でございますから、国家国民から期待されるものがあって、それにこたえることができてこそ存在を許される。  したがって、今この時点で我々に国の政策として求められるものは何か、ということを徹底的に検討いたしました。その結果到達したのが分譲住宅からの、例外はございますが、撤退でございますとか、あるいは賃貸住宅についても政策的に重要なものに限定するとか、あるいはニュータウンも今後は単なる宅地供給のものは撤退するとか、あるいは鉄道も千葉ニュータウンのものに限定するとか、いろいろ徹底的に、いわゆるゼロベースでの公団内部でのもちろん検討でございますが、やりました。その結果、いろいろ建設省の御指導も得て、現在の新公団法として提案されているように私ども受けとめております。  したがって、今後とも私どもは、我々新公団も含めてですが、それが国民から期待されない、もう役割期待されないということになれば消えていくといいますか、ちょっと私言葉が激しいので恐縮ですが、それはしようがない、しようがないというか、当たり前だ。  しかし、念のために申し上げますが、私も就任以来百日間ぐらいであらゆる現場を駆けずり回り、あのときの阪神淡路大震災に対する、復旧復興工事に対する私どもの貢献は、先ほどの御質疑にもございました。あるいは、昨今の経済情勢を踏まえての土地有効本部の活動についても先ほど御報告いたしましたが、そういうもろもろのことを踏まえ、かつ私に対する個別の、知事なり市長さんなりの本当の要望というものも極めて強いものがございますので、私は、相当の期間にわたって今度与えられる使命を達成していく責務があるのではないかな、かように考えております。
  34. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれの立場で見解を述べられておりますけれども、しかし、私は、少なくとも今の住宅公団の現状を見たときに、真剣にそのことをやっていない、例えばサンセット方式なり特殊法人のあり方、いいですか、今回の機構改革を含めて、新しい公団として発足するに当たっても、役員をたった三人、四人削ったぐらいで、本当にそれでできるんだろうか。今公団の職員は四千八百人、系列を含めると約七千人、こういうことになっております。  それぞれ現状から見たときに、地方と中央との役割分担、地方には同じような形の中で、住宅供給公社も県にもあるいは市にもあります。そうでしょう。あるいは民間でもこのような同じような仕事をしているわけであります。公団でなければできないという、その理由を明確にしていただきたいと思います。
  35. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ですから、先ほど私も答弁させていただきましたが、公団でなければ、いわゆる国の立場でなければできない分野をこの新公団でやる、田中先生は、それに対しては、人減らしも少ないというようなことであろうと思うのでございますが。  例えば、広域性のものにつきましては、やはり国の指導も必要だろうと思いまして、公共施設整備敷地整序等による市街地整備改善、あるいは都心居住等に資する賃貸住宅の新規の供給、また反面、民間は複雑で長期の事業に対しましてはなかなか慎重でございますから、そういうようなところは国がやっていかなければならない、あるいはまた関係者間の複雑な権利調整を伴い長期にわたる事業などがございますから、そういうものはやはり国なり、あるいはまたできるところは地方公共団体でも結構だと思いますが、そういう公の機関でやっていかなければならないと思っておりますから、私は、そういうようなことで、ぎりぎりの縮減といいましょうか、スリム化ということは、この新公団でやるようには私は意識は持っております。  そういうようなことで、先生指摘のように、サンセット方式をやるべきだということでございましょうが、このことに関しましては、賃貸住宅の管理について、居住者に不安を与えることのないようにやるべきであるという意味から、今回はその法案自体には盛り込まれていないわけでございます。  それともう一つは、先ほど言いましたように、市街地整備改善には関係者間の複雑な権利の調整を伴って長期にわたるものがあるものですから、そういうようなことを入れていないということでございます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  36. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それは、提出者側でありますから、大臣の答弁はそういう形になろうと思いますが、現実にこの公団役割そのものを考えてみてください。例えば、今七十三万戸余を管理されております。では、それに対する人員はどれだけ必要なのか、どれだけの経費が必要なのか、そういうことも含めて、明確にしながらやっていかないといけないと思いますね。  今、外郭団体を含めて、関連を含めて約七千人の人たちがおられるわけであります。こういう問題も現実に、七千人の人たちが食うための公団ではないと思う。例えば役職者を見てください。現在の役職者、ほとんどが天下りじゃないでしょうか。この公団は天下りを救済するための公団じゃないと思う。ところが、現実にはこのように今十六名ですか……(関谷国務大臣「十四」と呼ぶ)十四のうちの九名がそれぞれの省庁の、建設省を初めとする省庁からの天下りですよ。こんなことを考えても、現実には公団役割そのものが、大変失礼な言い方かもわかりませんが、この人たちの再就職や、七千人の人たちが食べるために、一つの今度の新公団ができたんではないか、こんなふうに、曲がった考え方を言えばそうとれると思うんです。そのことに何も着手していないから。  例えば、民間企業を見てください。いろいろなリストラをしながらスリム化を図って、そして税金を納めているわけであります。金融機関を見てください。公的資金を導入して新しく再編をするときには、金融監督庁が、どのようなスリム化をしているのか全部チェックをしながら公的資金を導入しているでしょう。今回、大変失礼ながら、そこを見受けられない、はっきり申し上げて。  ですから、そのことを含めて、まず大臣の見解と、さらに、先ほど申し上げた七十三万戸に対する必要な人員なり必要な経費なり、そういうことを明確にしてください。
  37. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 少し長くなるかもしれませんが、自分の考え方を述べさせていただきたいと思います。  田中先生指摘の、私、本当に的確な、ポイントをつかれたことだと思うわけでございまして、この新公団は、理事は御承知のように十四名以内を今度は十名以内に下げます。その他従業員の数につきましては、これは実際に新公団ができてから、そのスリム化対策は今後強力に進めてまいります。ですから、できる前に今の定員を幾ら減らすということは、正直私は聞いておりませんが、いずれ減らす方向で努力はするということをやっていきたいと思っております。  それから、いわゆる官僚の天下りが多いではないかと。それはまた事実でございまして、それは私は、やはり豊富な経験あるいは役人が持っております資質あるいは技術、能力、それらは私は確かに必要であって採用されている方もいらっしゃるとは思います。それからもう一つは、官僚機構の御承知のように若年の退職といいましょうか、そういう制度があるものですから、官僚も六十歳まできちっと採用をされるということであるならばこういうようなことも起こってこないんでございましょうが、やはりもう早い方は四十幾つから出されるというようなことがあって、そういうようなことが今までの流れです。それは私はいいこととは思いませんけれども、今まではやむを得なかった部分もあると思いまして、私は、そういうところは個人的ではございますが、認めておるわけでございます。  ですから、そういうようなことを徹底してなくするためには、公務員もきちっと定年六十歳までは勤務ができるということに私はしなければならないのではないかな、そんなことを思っております。先生指摘のリストラ、確かに民間企業というのは本当に身を削り骨を削る努力をしておるわけですから、これは一度きちっとでき上がりましたら、その方向に向かっての私はまた指導もしていきたいと考えております。
  38. 今泉浩紀

    今泉参考人 先生から賃貸住宅七十三万戸についてどのぐらいの人が必要かという御質問がございました。その点につきましてちょっと御説明させていただきます。  非常に難しい御質問でございまして、管理体制をどうするか、管理水準をどうするか、それによって数字が変わってまいります。例えば、非常に密度の高い管理をする場合、また、非常にそうじゃない場合がございますし、また管理体制におきましても、直接部門を非常に多く持ちましてやる部分と、マネジメントで具体的なそういうものを外注する場合がございますが、そういったことによりまして、具体的にどのぐらい、一人が何戸ぐらい管理をしたらいいかということがなかなかつかみ切れませんでした。  先生の御質問に十分にお答えできないかもしれませんが、私どもの公団の定員ということから御説明申し上げますと、住宅管理部門としましては、平成十一年度の定員としましては千二百三十二人があるわけでございますが、管理につきましては、御案内のように建てかえ等も含めて管理をいたすということになりますと、そういったものを含めますと大体千八百五十人ぐらいになるのではないかというふうに考えております。  ちなみに、現在七十三万戸を千二百三十二人で管理しているわけでございますが、これを単純に割らせていただきますと、一人約六百戸を管理いたすということでございまして、公団の一人当たりの管理戸数の時系列を見ますと、毎年毎年その管理戸数がふえておりまして、そういった意味合いでは、先生かねてから御主張のいわゆる効率化につきまして十分に私どもも努力をしているというふうに考えております。  なお、管理の具体的な原単位と申しましょうか、どういったものがいいか、実際我々はいろいろな形で模索をしたわけでございます。民間の場合あるいは公営住宅の場合、いろいろと調べたわけでございますが、私どもの一人当たりの管理戸数というのは、十分にそういった効率性の面では御説明いくんではないかというふうに考えております。
  39. 田中慶秋

    田中(慶)委員 最終的には人件費を含めて家賃やそういうところまでかかってくるわけでありますから、やはりこういう問題を一つのマニュアルをちゃんと明確にする必要がある、こんなふうに思います。  ましてや、私は先ほど大臣とのやりとりの中で、民間でなければできないという理由が全然どこにも出てこない、民間でなければできないという理由がどこにも感じられない。政策としてやられるのなら、それはそれでも結構でしょう。しかし、時代が今変わってきている。あなたが言うように、中央から地方へ、官から民へ、小さな政府。どこにもこれは該当しませんよ、今回のあれには。  まして、私は、管理職といいますか役職者が天下り、天下りの問題を一つとっても、確かに今の国家公務員の人事のあり方そのものが、ピラミッド型の人事そのものがこういう形で外郭団体に行くようになっていると思います。それは、基本のピラミッド型の人事を円筒型に直す、六十歳なり六十五歳に持っていく、そのことの努力も必要でしょう。しかし、その努力とは裏腹に、だから特殊法人はこの天下りでいいという理屈にはならぬと思います、はっきり申し上げて。一方においては、これから行革を含めて、その努力は必要でしょう。その経過措置としてこういう形になるんであればともかくも、ずっとそれぞれの役職者は天下りですよ、はっきり申し上げて。  それならば、この人たちの平均在任期間はどのぐらいですか。
  40. 牧野徹

    牧野参考人 田中先生の御質問は全役員ということかもしれませんが、私、たまたま今総裁を仰せつかっておりますので、自分のことで申し上げますと、私どもの公団は、先ほど申し上げましたように昭和三十年発足ですから、四十四年たちます。私は、住宅公団、住都公団を通じての総裁としてはたしか第十代でございます。ですから、十で割れば四年半ぐらいでしょうか。私は、たまたまことしの六月で丸四年になる、そんなことでございます。
  41. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれこの天下りの人たち、表現はよくないかもわかりませんが、今総裁が言われるように大体四年、じゃ次はまた、次々とそういう形で現在の特殊法人や認可法人の受け皿ができているわけでありますから、やはりこういうことも含めながら、今回の新しい公団のあり方については大いに議論をしていかなければいけないんだろうと私は思っているわけであります。  そこで、まずこの人事の問題も、先ほど管理については約千二、三百人、こういう形でありますけれども、現実にそれだけではなくして、そのほかに住宅公団の外郭としてこの管理に当たっている人はどのぐらいおりますか。
  42. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  先ほど公団の定員を申し上げましたが、これのほかに、いわば公団のそういった管理業務を補完的あるいは代行的にやるものといたしまして、日本総合住生活というものとそれから管理協会というのがございます。ここにおきましても、正規の社員とそれからそうじゃない方もおるわけでございますが、正規の社員で申し上げますと、大体JSが二千人、それから管理協会が二百五十人といったところでございます。
  43. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ですから、隠れている部分といいますか、表面に出てこない部分が、今お答えがあったように、千二百人プラスそれだけの人がいるわけであります。こういうことを含めて、実際、先ほど一人当たり六百戸と言っておりますけれども、現実には六百戸じゃないわけです。私はそういうふうに思っておりますよ。  ですから、やはりこの管理に当たって、しっかりとした管理マニュアルというものをつくっていない、結果としてそれが毎年家賃の値上げやあるいはそれぞれの管理費の値上げにつながっていくわけでありますから、そういうことをきちっとしておく必要があるだろう、こんなふうに思いますけれども、いかがですか。
  44. 荒田建

    荒田参考人 お答えいたします。  管理の方のマニュアルということと、それからきっちりした経費管理というようなことで、実は私ども今、先ほど先生質問いただきましたけれども、七十三万戸管理しておりますが、それにかかる維持管理経費というのがございまして、これが一応今年度予算で約三千二百億を予定してございます。このうち修繕費が約一千七百億、それから固定資産税、賃貸住宅に係るいわゆる公租公課ですが、これが五百数十億。それから、共益費ということで、団地内の清掃ですとか団地の周りのいろいろな電気その他の関係の経費で三百十五億等々を予定してございます。  おっしゃるように、私ども、家賃との関係で入居者の方々からいろいろ要望をいただきながら、限られた財源でできるだけ効率的に予算を執行しているつもりでございますが、新公団になってからも、そういった経費の合理化、節減については一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  45. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、公団にお伺いしますけれども、現在の公団全体としての予算は幾らですか。
  46. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  平成十一年度の予算でございますが、支出の予算の総額が三兆円余でございまして、正確には三兆二百六十九億円ということになっております。  この内訳でございますが、主なものといたしましては、住宅建設費で五千九百九十九億円、宅地造成費としまして二千七百十四億円などが含まれております。そういったことで、三兆二百六十九億円ということに相なっております。
  47. 田中慶秋

    田中(慶)委員 予算が三兆円、まあ三兆円にしましょうね。いいですか。そのうちの利子の返済が幾らですか。あるいはまた元本の返済は幾らですか。
  48. 今泉浩紀

    今泉参考人 お答え申し上げます。  公団の場合に……(田中(慶)委員「ちゃんと短くて、余計なことじゃなくて答えてください」と呼ぶ)はい、失礼いたしました。端的に申し上げますと、利子が大体七千億円、それから元本が五千億円というところでございます。
  49. 田中慶秋

    田中(慶)委員 人件費は。
  50. 今泉浩紀

    今泉参考人 人件費は約五百七十億円というところでございます。
  51. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いいですか。まず、三兆円のうちに金利が七千億、元本五千億。もう半分これで飛んでしまうわけですね。通常の企業体として、金利返済が実質金利四%以上あるいは五%金利負担があれば、その企業は危ないと言われているわけです。  大臣、今、公団が金利負担七千億というのは、三兆円のうちの七千億ですよ。この現状をどう見ておりますか。
  52. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 大変難しい質問でございまして、しかし、今までの公団の構造、成り立ちがそういうようなもので進んできておるわけでございますから、私の今の立場とするならば、それはそれなりに見る以外にはないんじゃないかなと思います。
  53. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今まではいいですよ。新しい公団になるんでしょう、これは。違いますか。そして、今、金利を含めて、元本を含めて、半分ですよ、事業費予算の。こうなっていくと、この公団が少なくても将来とも厳しい経営にならざるを得ない。  にもかかわらずですよ、今七十三万戸のうちの、空き家がどのぐらいありますか。約二万三千あるでしょう、二万三千。いいですか。それは建てかえ用だとは言っておりますけれども、現実には、先ほども述べられておりますけれども、今の建築基準あるいは建築の耐用年数を考えてみてください。どのように考えられているのか。少なくても三十年以上、五十年、七十年というのが今の建築耐用じゃないですか。だからといって、三十年たったから、二万三千戸、平均の今の家賃を計算すると年間百億以上収入減になるんですよ。  あなたたちは原価意識が全然、そういうことを含めて考えてなく、三十年たったから次々とこれは建てかえ対象だとか、そうじゃないでしょう。収入に応じて、それだったら古くたって貸したっていいじゃないですか。民間だったらそのぐらいの発想を持って経営に当たると私は思うんです。総裁、どう思いますか。総裁に聞いているんだ、おれは。
  54. 牧野徹

    牧野参考人 細かい数字の点は担当の理事にお許しいただきたいと思いますが、今、田中先生のおっしゃった御質問、先ほどの大臣への御質問にも共通しておることについて、私の考えをまず申し述べさせていただきたいと思います。  大臣もおっしゃいましたように、そういう仕組みというふうにたしか御答弁されたと思いますが、私どもの公団は、もう先生も御承知のように、基本的に財投を中心に、それから、最近ではもちろん民間資金も入れておりますが、財投でありますれば、圧倒的には三十年償還の長期安定の資金をまずベースにして、それを事業資金にして事業を行っています。  しかも、その事業のほとんどは完成するのに非常に時間がかかる。例えば、多摩ニュータウン等のニュータウン開発をお考えいただければ、もう釈迦に説法ですから申し上げませんが、平均的に言うと三十年ぐらい、全部終結するのにかかります。かけたコストを比較的早く回収できるのはやはり住宅の部門で、例えば分譲住宅でございますとか、あるいは賃貸住宅も、そんなに長い期間でなしに分譲代金とか賃貸収入が入りますけれども、それ以外の再開発でございますとか、あるいはニュータウン開発等、非常に長くかかります。つまり借入金をして、それで長い期間かからないと収入が入ってこない事業、かつ先生もおっしゃいましたように、住宅性能に着目して、賃貸住宅について言えば七十年償還というシステムをとっております。  しかも、これはたしか昭和六十年か六十一年に総務庁の御指摘があって、減価償却に当たりまして、ちょっとこれは間違ったら後であれですが、基金法といいますか、収支、元利を一緒にする、したがって元金は余り返らない、利息がいっぱい返ってくる、トータルを同じレベルでいく、あの償却法を採用しておるものですから、先ほど言いました長くかかる事業、長くかかって回収する、そして事業資金のもとは借金である。これは大ざっぱに言っていますよ、いろいろな財政支援が入ります。  ということで、ただいまの時点において、先ほど御指摘のあったような元金の返済、あるいは利子が一兆数千億になる。ただ、これももし必要であれば後ほど担当から説明させますが、私どもは収入をもってそのようないわば管理的経費は賄っておる、新たな借り入れについては、これを建設経費の方に充てておるというふうに考えております。
  55. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、先ほど質問しているのは、財投三十年でしょう、元本が、要するに少なくとも償却として六十年見ていると思うんです。ところが、三十年たった時点から建てかえは始まっているんですよ。償却を行っていないでしょう。三十年たった時点から建てかえは始まっている。  そして、今言ったように二万三千戸の空き家がある。年間百億。これはざっと約百億円の収入減です。こういうことを含めて、本当の意味での経営そのものがずさんである。結果的にそれが家賃の値上げにつながっていくじゃないですか。  こういうことを含めて、今回の新公団について、そのことにどういうポリシーがあるのか、お伺いをしたいんです。
  56. 荒田建

    荒田参考人 先生指摘の空き家の問題、ちょっとお答えさせていただきたいと思いますが、確かに先生指摘のとおり、建てかえで補充停止して空き家になっている、あるいは建てかえをやっている団地であいている住宅も含めますと二万三千ですが、いわゆる募集しても入らないという空き家は、数年前までは相当ありましたけれども、現在では千三百戸余になっています。  建てかえの空き家の問題でございますけれども、先生指摘のようなことは確かにございます。ただ、私どもとしては、建てかえ事業を円滑に進めるためには、建てかえ事業というのは古い住宅から新しい住宅にするわけですから、我々、いわゆる戻り入居者と言っていますけれども、そういった方々の仮住居というものを用意しなければいけない。そのためにはある程度団地の中で空き家を確保しておかないと、仮住居にその団地の中で一たん仮に移転して、また新しいところに移るという人たちの希望にこたえられないという部分と、それではわかりました、空き家が出ているからもったいない、確かにそのとおりなんです。そのとおりなんですけれども、それでは入れましょうかというので、建てかえ対象団地で空き家募集して入っていただくと仮にいたしますと、またすぐ建てかえで出ていただかなきゃいかぬというようなことになりますと、かえって入居者にも迷惑がかかるというようなこともございます。  そういう意味で、確かに戸数の二万三千というのは多過ぎやせぬかということを御指摘ですから、それはできるだけ少なくなるような形にしたいと思いますけれども、そういう点があることをお含みおきいただきたいと思います。
  57. 田中慶秋

    田中(慶)委員 まず、荒田さん、あなたの答弁は建てかえありきなんですよ。もう最初に建てかえありきで物事を全部、建てかえありきでやったらそういう答弁でいいでしょう。そうじゃないと思うんです。はっきり申し上げて、この団地を建てかえするにはどのぐらい平均してかかるんだ、こういう前提。今の建てかえのやり方はみんな虫食いですよ、悪いけれども。あなたのところがやっているのはみんな虫食いですよ。食い散らかして何年もかかる、こんなやり方で、建てかえありきが前提なんですよ。  例えば、それだったら、この空き家についてもここはあと五年ぐらいは何とか、では五年条件で募集してやってごらんなさいよ。いろいろな工夫があるでしょう。あなたたちはデスクワーク、あるいはまたそのことの経営感覚がないからそんな形で、年間百億ですよ。そんなことを含めて、現実に今のやり方そのものは建てかえありきでやっているから、今のような答弁になってくると思いますよ。  そうじゃない。三十年たったら建てかえしよう。国が出している減価償却は六十年なんですよ。財投は三十年かもわかりません。しかし、時代が流れて確かに、改装すればいいじゃないですか、何も建てかえしなくたって。それぞれのニーズにこたえて、家賃にこたえて公団住宅提供すればいいじゃないですか。そういう工夫が全然どこにも見られない。だから申し上げているんです。そのことについてどう思いますか。
  58. 荒田建

    荒田参考人 確かに、建てかえありきではないか、まずそれを前提に頭から決めてかかるからそういうことになるんだという御批判は、そのとおりの部分もあろうかと思います。  ただ、建てかえ事業そのものは、二分の一というのはたまたま一つのメルクマールでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたように、三十年代団地の狭さとか古さとか、これを、これだけ居住水準向上している中で、本当に国民共通の優良なストックとして、国民共通の資産としてこれからも国民に提供し続けていいのかという観点から見ますと、私どもとしては、三十年代等の団地はいかにも、確かに環境は立派なものが多うございますけれども、家として見た場合には、とても自信を持ってどうぞ、ぜひというような形のものでは、残念ながらなくなってきているというのが実態だと思うんですね。ですから、二分の一というのは一つのメルクマールでございますけれども、そういった形でやっておる。  そういう中で、先生のお話なんですけれども、確かに建てかえの空き家を補充停止してからしばらく期間があるのもあるじゃないか、もうちょっと五年なら五年という形で定期的にやって、一銭でも収入を図るべきだということはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、実情から申し上げますと、私も、そこのところはそういう部分があるかな、これから努力、検討もしてみたいなとは思いますけれども、現実にはなかなか戻り入居用の戸数だとか、あるいは入れてすぐ建てかえて出ていってくれということについて、居住者に対して、新しく建てかえ団地の空き家に入ってくる方に対していかにもおざなりじゃないかというようなこともございますので、その辺は非常に苦慮するところでございますが、先生の御指摘を踏まえまして、今後ともそこのところは一生懸命努力してまいりたいと思います。
  59. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ただ、少子高齢化というのが現実の社会なんですよ。子供が少ないでしょう。ですから、狭くたっていいじゃないですか。そんなことを含めて、いろいろなことを含めて考えていけば、狭いから耐用年数が過ぎなくても建てかえをするんだ。むだ遣いですよ、そんな発想は。  だから、結果として、それは公団家賃の値上げにつながっていくんですから。そういうことを含めて、今の厳しい財政のときには、むしろそういうことは全体的な見直しをする必要があるだろう、こんなふうに思いますよ。  それじゃ、いいですか。例えば新しい団地ができて、現実に空き家になっていて、あなたのところがそれを充足する努力をしていなかったじゃないですか。借りたいという人がいても貸さなかったでしょう。言っていることと現況は違っているわけですから。  例えば、横浜に幾つかの新しい団地をつくっている。そのときに、その新しい団地に、前そこに住んでいたからそこを買いたい、そこに住みたいということを公団にお願いしても、それは現実に採用しなかったじゃないですか。しなかったですよ、現実に。私、ちゃんと知っていますから。  そして、再度、今ごろになってからこうして新聞広告をしている。この新聞広告だって宅建法に違反しているんじゃないですか。今の宅建法というのは、大臣、少なくともこの法律は、物件説明書というのを明確にしていなきゃいけない、家賃も含めて。この新聞に家賃は出ていませんよ。公共の紙面を使ってこういう募集をして、そして家賃も出ていない。こんな募集の仕方がありますか。不親切でしょう。事務所に来れば家賃がわかるかもわかりません、余りにも自分勝手なやり方じゃないんでしょうか。答えてください。
  60. 島崎勉

    島崎参考人 ただいまの公団住宅募集の件でございますが、公団住宅の新規募集に関しまして、できるだけ多くの方々に知っていただくという形のために、いろいろな広告媒体、例えばチラシ広告ですとかそういうことでやっておりますが、その際に、何段階かに分けてやっている例がございます。二段階に分けるのがまあ非常に多いわけでございますが。その際に、いわゆる事前の広告ということをしてございます。そして、ある一定の時期がたちましたら本広告を打ちまして、具体的な家賃とかそういうものを含めまして、募集の際に応募される皆様方に周知する、こういう形でやっております。  ただいま御指摘いただきました点につきましては、いわゆる事前に一般的な団地の様子を知っていただく、そういうためにやっている広告ということでございます。
  61. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣、これは民間でこのような募集広告をしたら違反になるんですよ。例えば民間業者が家賃も明細に書いていないで、物件説明書という、細かく書いていなきゃいけないんです。公団だからといってそういうことを容認すること自体おかしいと思いますよ。まして家賃ぐらい全部積算して、この建物はどのぐらいの家賃です、どのぐらいの共益費です、大体わかるでしょう、もう既にほぼ建ち上がっているんですから。  それはミスならミスとして認めればいいものを、今のような形で答弁されるということは、私は納得いきません。
  62. 那珂正

    那珂政府委員 まず、先生指摘の宅建業法の観点からどうかということでございますけれども、みずから建物を賃貸することを業とする場合には、御承知のとおり、厳密に言えば宅建業法の該当外でございます。したがって、公団賃貸住宅の募集広告そのものについては、宅建業法の規制対象とはなってございません。  またさらに、宅建業法上は広告についても定めがありますけれども、それにつきましても、誇大広告の禁止とか、建築確認を受ける前の広告の禁止とか、そういうようなことについての記載すべき事項についてはしてありますけれども、そのほかについては、特に記載すべき事項についてはしておりません。  いずれにしても、ただ、先生ただいま御指摘の、晴れ晴れしく一般の新聞に一面広告でせっかく新規の住宅の広告を打つというときに、入居者にとっては一番関心があるのはその場所と広さと家賃なわけでございますから、その家賃というものが記載されないでというのはいかにも不親切だということは、全くそのとおりだと思います。公団の広告の仕方、予告広告という説明がありましたけれども、予告広告の仕方についてももう少し親切な広告の仕方を考えるべきだとは存じます。
  63. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間も余りありませんけれども、いずれにしても、こういうこと自体、民間でそれを業としているときに、物件説明書といいますか、こういうところに金額の入っていない住宅の募集をされますか。そんなことは絶対しないと思いますよ。ある面では、これは幾らの家賃になるかがさっぱりわからないものを募集しているんですから、知らせているんですから。家賃の表が現実にあるんですから、あったらそれはちゃんと明確に記載すべきだと思いますよ。そんなことは不親切だ。だから、はっきり申し上げて、こういうことが公団の体質なんですよ。  そこで、最後になりますけれども、今回の質問の中で私は、せめても百歩譲っても、公団が公的な、あるいはまた七十三万戸二百万人の人たちの良好な住宅維持をするためには、新しい公団はむしろ住宅の管理業務に専念した方がよろしいんではないかな、こんなふうに思います。  そこで、この住宅管理、今度の住宅公団整備法の一部を改正する法律案について、衆法提出者であります石井さんから、その辺についての基本的な提案の考え方について、残された時間でありますけれども、お伺いしたいと思います。
  64. 石井紘基

    ○石井(紘)議員 田中慶秋先生は、特殊法人全般、なかんずくこの住都公団の問題につきましても大変以前から研究を重ねておられまして、専門家としても非常に含蓄の深い御質疑をされているわけでございますが、その先生の御指導もいろいろといただきまして、今回、この民主党の対案というものを提出させていただいているわけでございます。  そこで、私どもこの対案を提出いたしました理由はさまざまございますけれども、一つ二つだけ申し上げさせていただきたいと思いますのは、一つは、今さまざま御議論がございましたこと、それからまた家賃の設定の仕方、改築のやり方等々におきましても、いろいろなこれまで施行規則やら住都公団の関連法令というものがございまして、そういう中で進められてきた。それからまた、今御指摘の財政的な問題も、莫大な借金と経営実態というものが非常に、通常では、民間では考えられないような事態になっている。  そこで、公団を廃止するという場合には、法律に従って行うのであれば、これは清算業務をきちっとやらなきゃならぬということになっているわけです。ですから、一体今までの借金が幾らなのか、財政実態がどうなっているのか、そういうものをすべて清算をして、そして新たにつくるならつくるということが筋でございますのに、しかるに、一切の法令等を、あるいは家賃の決め方等も、そういう非常にごまかし、まやかし的な手法によっていつの間にか家賃も値上げをしていくことが合理的であるかのごとく進められてきておるという点は、非常に大きな不信感を国民に与えるのではないか。  何のために法律をつくっているのか。法律をつくっているのに、その法律に従いませんよという法律案を新たに出しているということは、これは相撲をとって、とり終わった後にルールを決めましょうというのと同じことでありまして、まさに国家の行う大きな不正義であるというふうに言わざるを得ないと思います。  その他いろいろ申し上げたいことがございますけれども、もしこういう形で政府案が通るということがあるならば、少なくとも、きょうも大勢の皆さん、賃貸住宅にお住まいの皆さん方が、本当に先行き不安をお持ちになりながら、心配をしながら、この部屋にも入り切れないものですから、順次交互に交代で大勢の方がこうして注視をされておられるわけでございまして、そういう現在の公団を信用してそして入っておられる住宅方々、あるいは信用して買われた分譲住宅にお住まいの方々、そういう人たちに対する責任というものはまた一方どうなっているのかというようなことについても、やはり国はそう無責任なことを続けちゃいけないというふうにつくづく感じた次第でございます。
  65. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  66. 平田米男

  67. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  早速、質問に入らせていただきたいと思います。  今回の都市基盤整備公団法案、これは一連の特殊法人改革の一環として提出をされたものと思われるわけでありますが、特にこの住宅都市整備公団に対しては、今提出者の石井委員からもお話のありましたように、関係住民居住者の方の、この間の家賃設定の不透明さでありますとかそういった公団のディスクロージャーのなさに対する不満でありますとか、あるいは非効率な経営、さらには子会社、孫会社、そういった公団ファミリー企業とのこれまた不透明な関係、そういったものに対して、国民の多く、またマスコミでも、さらにはこの国会の中でも、たびたび公団の体質改善を指摘する声がございました。  そこで、今回の政府が提案をされた都市基盤整備公団法案、これを見てみましても、あるいは先ほど来の質疑を聞いておりましても、この政府案でどれほど成果が上がるのか全く不明確であるという感想をぬぐい去れません。  そこで、順次、もっともっと公団も、この委員会の質疑におきましてもしっかりと情報提供する、そんな姿勢を持っていただく中で、今後どちらの法案が成立するかわかりませんが、ぜひしっかりと、国会だけではなくて居住者の皆さんにもあるいはその他マスコミに対してもしっかりと情報公開をできるような体質へと変わっていくよう望みたいと思います。  先日も、情報公開法案が成立をいたしました。私ども民主党としては、特殊法人も含めた情報公開というものを強く求めたわけでございますが、残念ながら検討事項で先送りということになりました。この審議によって、情報公開法に対する今後の特殊法人の取り扱い方、これも大きく左右をしてくると思いますので、その辺もぜひ肝に銘じて質問に応じていただきたいと考えております。  まず最初の質問でございますが、今回、原則分譲住宅業務から撤退をし、そしてもう一方で、残された賃貸に関しては継続をして事業を行う、そしてもう一方、都市基盤整備公団法案という名前のとおり、都市基盤整備部門に対して重点を移していくというように受け取られるわけでありますが、まず、七十三万戸以上の賃貸住宅をこれから管理していく、この管理だけでも大変な、これは多分世界一の管理をするところになると思うんですが、住宅という文字を外した理由というのは、これは大臣、どういうことでしょうか。
  68. 那珂正

    那珂政府委員 住宅という文字を、表現を用いなかったことは、今後新公団が新しい業務を展開する上で、法律に明らかにしておりますように、市街地整備改善、あるいは公共施設整備、あるいは虫食い土地の集約というような内容でございますが、それと並列して、どうしても政策的に必要な賃貸住宅供給管理を行うわけでございます。その二つは、今日の大都市において本当に健康で文化的な都市生活を送る上での言ってみれば基盤だ、共通の基盤だというような認識から、そういう両方の事業、主要な柱としての二本の事業を総称する形で都市基盤ということを用いたのが一点でございます。  もう一点の観点は、同時に、地方公共団体あるいは民間事業者との役割分担協力のもとにということも大きな柱でございますので、こういう民間あるいは公共団体のみでは実施困難な基盤の部分を担っていくんだという気持ちをまた表現しようということで都市基盤という表現を用いさせていただきました。
  69. 山本譲司

    山本(譲)委員 よくわからないんですけれども、何でこれは住宅を取らなきゃならないのか。どうもその名前だけがひとり歩きをして、最後につけ加えられたように、都市基盤整備の部分だけがかなり重点的に行われていって、どうも住宅の管理部門に関しては、非常に、今後求められている方策とは逆行し、緻密な政策、先ほども申し上げましたような住民とのきちんとした意見交換等、そういったところがどうもおろそかになってしまうんではないかというような危惧をするわけでございます。どうか、こういったネーミングに関しても、考慮の余地がありましたら、ぜひ積極的に私の意見を取り上げていただきますよう御要望させていただきたいと思います。  そこで、都市基盤整備公団という名称になりまして、虫食い地の整備でありますとか、そういった都市基盤整備が中心となってくる。なぜこの公団が自治体もできるような、あるいは民間もできるような都市基盤の整備部門に重点的にシフトをしていくのか、その辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 那珂正

    那珂政府委員 確かに、新しい公団が標榜しております市街地整備改善という業務のある部分につきましては、地方公共団体やあるいは民間事業者がそれぞれ担い、あるいは活動していくことは十分可能だと思います。しかも、これまでそういうふうにしてきたのが今日の実態だと思います。  しかし、今日の実態を、改めて現状を見ますと、相変わらず防災性に関しては危惧はありますし、土地有効利用は余り行われているとは思いませんし、職住も、一時間とか二時間とか離れて非常に不便をかこっているというようなことを総体として見て、こういういわゆる大都市住宅関係の、あるいは都市の機能関係状況は十分とは言えない。これは、昭和三十年代から大都市圏にいわゆる人口あるいは産業が集中いたしまして、それに伴って都市の基盤が十分整備されてこなかったまま、今日を迎えているということが言えると思うんです。  そこで、改めて国といたしましても、そういう問題にしっかりと取り組んでいかなければいけない、こういう認識を新たにして、その上で、もちろん先生おっしゃるように行革等の、あるいは規制緩和等の方針もございますので、民間でできるものは当然民間でやっていただく、地方公共団体がやっていただけるものは当然公共団体にやっていただく。なおかつ残るであろう、例えば先ほど来若干御説明しておりますけれども、大規模で、公共施設整備を伴うような市街地整備改善事業とか、あるいは土地流動化に資する虫食い土地の集合、統合というようなこととか、密集市街地整備改善というような事業というのは、大変複雑で、事業量、事業費も膨大となるものでありまして、一公共団体の圏域、能力をはるかに超えるものでありますし、また、民間についても、非常に事業が長期を要するというようなことから、民間だけではやはりどうしても残ってしまう。  それこそ、新しい公団が足りないところを後押しして、公共団体も本来の、もちろんその地域の計画は自分のこととしてしっかりやっていただかなければいけないんですが、そういうことができるように公共団体を後押しする、また、民間も、こういう経済情勢でありますので、なおさら積極的な経済活動期待されるわけですが、そういうものを後押しするというような姿勢から、新しいこの公団事業内容を法定化してきたところでございます。
  71. 山本譲司

    山本(譲)委員 この委員会でも何度も指摘をしておりますが、都市計画、都市開発でありますとか区画整理、そういったさまざまな分野での地方分権、これは、人あるいはお金、財政も含めた分権というのをこれからどんどんしていかなくてはならない。そんな中で、地方自治体の能力とか可能性というものをもっと信用していただいて、どうも防災性がちょっとないとか、有効利用がされていないというような指摘もございましたが、地方自治体も、当然自治体によって格差はあると思いますが、能力もこの間、かなり培ってきたと思うんです。地方自治体がこの間やってきた。  例えば、ちょっと数字の確認をしたいんですが、今国会中の市街地開発事業の融資制度の改正問題がありましたね。これはそこで出された資料なんですが、市街地開発事業でいいますと、昭和四十四年以降、地方公共団体が行った事業数、これは都市計画決定分までですね、その地区数と面積、そして組合施行の地区数とその面積、そして住宅都市整備公団が行ってきた地区数とその面積、これはすぐ出ますでしょうか。
  72. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  これまでの実績合計が四百二十二地区でございまして六百十一ヘクタール、そのうち公共団体が施行者であるものが九十一地区、面積にして三百二十二でございます。組合が二百六地区、面積にして二百三ヘクタール、住宅供給公社が六地区で面積で七ヘクタール、最後の住都公団でございますが、十八地区、三十三ヘクタールでございます。
  73. 山本譲司

    山本(譲)委員 この数字を見てみますと、さっき大規模土地、大規模施設、こういったものはやはり住都公団だというようなお話でしたが、これは単純にそれぞれ総面積を地区数で割ると、大体一地区当たりの平均の面積が出るわけなんですが、公団より地方公共団体の方が圧倒的に大規模土地を、この間再開発をやってきたんじゃないですか。民間がやれない部分は地方公共団体がやる、地方公共団体ができない理由は何ですか。
  74. 那珂正

    那珂政府委員 市街地開発事業につきましては、地方公共団体ができないということを申し上げているわけではなくて、のみでは足りない、こういうことを申し上げているわけです。これまでも、地方公共団体が施行してきた、先ほど申し上げましたけれども、九十一、三百二十二ヘクタールすべてとは申しませんけれども、それの相当部分について住都公団は、いろいろな調査でお手伝いしたり、あるいは技術の提供をしたり、あるいはそこで参加組合員となり、事業に一緒に参加したり、それから賃貸住宅なり分譲住宅なり、保留床の処分を受けるという形でいろいろな協力をさせてきていただいているつもりでございます。  したがって、もう一度結論を申し上げますけれども、決して、地方公共団体市街地開発事業をできないということを申し上げているつもりは全くありません。
  75. 山本譲司

    山本(譲)委員 公団がやった方がよりいいということですか。そうであれば、その理由。
  76. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、大都市における市街地整備改善というのは、今御指摘のいわゆる法定市街地開発事業だけではないわけでございまして、いろいろな形で、もちろん公団もそうですけれども、各事業者が、あるいはその計画者が取り組んでいかなければいけないということでございます。  したがって、公団市街地整備改善ということを進めるために、その一つの手法は確かに市街地開発事業でございますが、特に、その市街地開発事業というのは、御案内のとおり都市計画事業でございますので、都市計画を決定するということを考えますと、先ほども申し上げましたけれども、大もとは地方公共団体の計画として決まっていくものでございまして、公団は、今までもそうでございましたけれども、今後もやはりそういう公共団体の計画、構想を支援していくという形をとるものと理解しております。
  77. 山本譲司

    山本(譲)委員 若干この間の、通常国会でも審議をされました再開発事業の改正などでも、地方分権という流れは当然あったと思います。ぜひ自治体にきちっとした財政的な手当ても含めた地方分権をすることによって、地方公共団体ができないということは全くない、さらに事業も拡大できると思います。わざわざここに、さらに都市基盤整備の部分を拡大し、公団が参入するという理由が今の説明ではわからない。全く納得がいかないというのが私の率直な感想でございます。  こういう再開発事業に関して、これはもう一方の民間でいきますと、かなり採算ベースというのを考えていかなくてはなりませんし、非常なリスクを負ってやるわけですから、当然それなりの法律的な計画というものを立てると思うんですが、どうももう一方で、この間公団が行ってきた、何度もマスコミなんかでも取り上げておられます例えば西新宿のアイランドタワーでありますとか、こういった再開発を見てみますと、とりあえず事業をやるためにやるだけで、その後の採算は度外視だ、こんな感じが非常にするんです。今、アイランドタワーどうなっていますか、その採算は。平成七年の二月に完成した後はどうなっていますか。
  78. 島崎勉

    島崎参考人 ただいまのアイランドタワーの件でございますが、市街地開発事業、この事業につきましては約二千五十億円という事業でやってございますが、その後、完成した後につきまして、具体的には保留床の処分をするということでございましたが、いろいろバブルの崩壊等もございまして全部は処分をできないという状況もございまして、一部賃貸として管理をしてございます。その意味では、現在公団が所有いたしまして賃貸をしている部分があるということでございます。
  79. 山本譲司

    山本(譲)委員 全く質問に答えていないじゃないですか。また今、一部賃貸になんて。日本語で言いますと、一部というのは全体のうち少ない方が一部ですよ。これ権利床五万五千平米ですよね。このうち処分したのは一万六千平米、残りは賃貸。この一万六千平米だって、そのうち六千は結局子会社じゃないですか。都市開発じゃないですか。あとの賃貸にしても、どういう家賃設定で、当初の見込みとどう狂ってきたのか、どれぐらいの赤字になったのか。答えてください。
  80. 島崎勉

    島崎参考人 専用面積で、当初処分をする予定でありましたものが、床面積で五万五千平米でございまして、具体的に賃貸している面積が三万九千平米でございます。  現在におきましては、その家賃収入といろいろな経費との差額、そういうものが結果といたしまして損失ということになっておりまして、平成九年度の決算におきまして、西新宿等も含めましたいわゆる特定再開発事業の損益について四十四億円という損失になっているところでございます。
  81. 山本譲司

    山本(譲)委員 当初、これは分譲する予定ですよね。分譲する予定の場合はどうだったんですか。
  82. 島崎勉

    島崎参考人 当初の事業計画でございますが、総額で二千三十億円。先ほど二千五十億円と申しましたが、いろいろ補助金の関係等で二千三十億円でございました。失礼いたしました。そのうち、保留床の処分で賄う予定のものが約千九百七十九億円というような計画でございました。
  83. 山本譲司

    山本(譲)委員 結局、これがほとんど賃貸に回って、その賃貸部分に関しても、かなりの部分はJSでありますとかあるいは公団自身が借りてしまっている。バブルが崩壊したからというような理由ですが、経済状況というのはいつどう変わるかわからないわけですから。これはもっと、一千億以上の損失だと思っておりますよ。こういう再開発を平気で行う、目先のきかない、ずさんな事業をリスクもなしにやれるこの公団が、果たして民間よりも、あるいは地方公共団体よりもすばらしい都市基盤整備というのができる、なかなか納得できないわけでございます。  そこで、衆法によりますと、こうした土地整備についてという部門はもう切り離すということでありますが、この辺はどう考えていらっしゃるかお聞きします。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)議員 お答えを申し上げます。  私も実は、以前にアイランドタワーというのへ行って見てまいりましたけれども、まさにおっしゃるとおりでありまして、あれは四十何階建てという大高層ビルが建っております。その中はどういう会社が入っているかなと思って見てみますと、軒並み住都公団の子会社、孫会社、ファミリー企業。しかも、それらはそれぞれ別のところに本社がある。だから結局は、相当長いことあそこはがらがらで、テナントがなくて、入っておりませんでした。余りそれで追及されるものだから、そういうところを無理やり入れたんだろうというような感じがいたしました。いずれにしても、莫大な損失であります。  あるいはまた、私は、特定再開発事業で京都の丹波口の開発事業を見てまいりましたけれども、区画整理やなんかも含めてやっておりましたが、これも一体どういう換地が行われたのかということについては、もうないしょにして、一切明らかにしない。こういう体質でありますから、税金が幾ら、どういうところに、何のために使われたのかということがわからない、税金の使われ方がわからない、こういう実態になっております。  そこで、私どもが法律案提出させていただきましたのは、こうした税金のむだ遣い、しかも、民間ではできない、あるいは公団でなければできないんだというような理屈というのは、先ほどからの御議論を聞いておりましてもはっきりしないわけですね。これは、ただ唯一言えるとすれば、今の答弁にもありましたように、公団は幾らでも金が使えますよ、ざぶざぶですよ、それは財投の資金が借りられるのです、国からも補助金が入ってまいります、こういうことなんですね。  その結果、どういうことになっているかというと、先ほど田中慶秋先生のお話の中にもありましたように、財投からの借金が年々歳々、倍々ゲームに近いような形で一兆円単位でどんどん積み重なっていく。ですから、これは、いずれ何十年かたてば、あるいは何百年かたてば返済されるなんてものじゃ決してないのです。ますます積み重なっていって、にっちもさっちもいかなくなる、こういうものなんだ。やはりこの大きな事業的な要素が、原因が、今おっしゃられた都市開発というところにあるというふうに思います。  そこで、この都市開発というものは、お金が使える、調達できるというのは、たまたま法律建設省が住都公団にそれが持ってこられるんですよということにしてあるからそうなんであって、そうではなくて、今山本議員がおっしゃいますように、では地方自治体に借りられるようにしたらどうか、あるいは民間にも。行政でありますから、行政が直接売った買ったやるのじゃなしに。こういうのは行政がやることじゃないのですね。ですから、行政はそれなりの政策上、制度上の手だてをする、こういうことでやっていけば大きな国民に対する、利息だけで毎日何十億円ですよ、利息だけで毎日何十億円というようなものを公団のために国民が払わされるというようなことはなくなるだろう、こういうふうに考えております。
  85. 山本譲司

    山本(譲)委員 今の石井議員の説明に同感でございまして、ぜひ、こういった都市基盤整備部門、これもやはりもう一度考え直していただいて、どうも先ほどから議論を聞いてみますと、今指摘のありましたように、赤字がどんどん雪だるま式に積もりに積もっていく、それは資産があるから、これまでの経営もそうだったから大丈夫なんだ、こういうことでは、何のための改革なのか、名前を変えただけじゃないか、やりたいことをもっとやれるようになるだけじゃないか、そういう結果になってしまうのじゃないかと強い危惧を持ちます。どうですか、大臣
  86. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は、先ほど田中慶秋先生の御質問にお答え申しましたように、いわゆる戦後もう半世紀たって、あらゆるものが変わってきておる。そういう中での、住宅都市整備公団を廃止して都市基盤整備公団にするという、それは私は一つのいい方向への変革であろうと思っておりますし、また、いい結果を得るように、今後、新公団努力をしていかなければならないと思っておるわけでございます。  それで、例えば地方公共団体あるいは民間でもって権利の問題でいろいろ長期にわたりもいたしましょう、そういうようなことで、また民間になりますと営利を目的とするものでございますから、虫食い状態のような土地整序して、そしてまた住宅建てるというようなことなどはどうしてもできませんから、地方公共団体民間だけでできるというものだけであるならば、私はこの新しい公団というものが、今先生が御指摘のようなことも甘受するような部分もあるかもしれませんけれども、まだやはりこういう組織で、いわゆる財投の金も借りて、ましてや地方公共団体も、先生指摘のように、地方分権するときには財政的なものもきちっと援助してやりなさいよ、そういうところは今ないわけでございますから、私は、そういうところはやはりまだ国の公団で責任を持って対処をしていくということだろうと思うわけです。  ですから、いつまでも新しくできた公団を、そういう必要がなくなったときに、それをその後も続けていくというような感覚はもちろん私たちは持っていないわけでございます。  それから、いろいろリストラ、いわゆる職員の定数等々、これもいわゆる余分な方というものはもちろん削減していくわけでございますが、やはり私は、必要な職員の方々、そういう優秀な経験知識を持った方々はちゃんと雇っていく、そしてまた一般の職員の人も雇っていくということは、やはり雇用の場というものも創出していかなければならないわけでございますから、そういう角度からも私は見ていかなければならないと思うわけでございまして、いろいろ物事を論議するのは、右からだけ見た話では私はなし得ないと思っております。  右から見て質疑もしましょうし、左から見て質疑もやりましょうし、あるいは上から見たり、下から見たり、やはり大きな森としていろいろ論議をしなければ、一点だけスポットライトを当てて質疑をしましたら、それは、そういう片方に意見が集約されてしまうのじゃないでしょうか。やはり一人でも多くの方が就職もしなければならないということもある、その過程においては公務員の定年制ということだってある、そういうふうないろいろなことを考えて、私は、進めていかなければならない。  ですから、そういう時点においてはこの公団を、先生の御指示を十分に頭に入れて、きちっと今後運営をしていく、きょうはいわゆる都市整備公団の役員の面々も来ておりますから、そういうようなことを十分に肝に銘じて行うものと思っております。
  87. 山本譲司

    山本(譲)委員 特殊法人の改革というと、当然、その大きな柱としては、経営の効率化でありますとか合理化、こういうものも当然含まれてくると思うのですが、先ほどからのお話ですとそういったところが全然見えないのですね。  分譲からの撤退といっても、多分、だらだら五年、十年と続けていかれるんでしょうし、一体何が変わるのか、本当に危機感があるのか。負債の元本と利払いで大体一年間の収入以上のそういう借金返済をしていかなくてはならない、それ自体大変異常な事態であります。そういったものを解消するための何か方策というのがこの改革によって出てくるのかどうなのか、これが全く見えないのです。  確かに、雇用対策の部分、よくわかりますよ。それだったら、段階的に、これがこう減るから、そしてその分は民間でありますとかあるいは地方公共団体にそういう権限をお渡しする、したがってこれだけ職員も減らすことが結果的にできるんだ、そういった今の段階での具体的な方針というのも先ほど来の答弁では全く見えてこない。  職員の定数、大臣は、今のところ、これはこの法案が成立した後ということなんですが、公団の方では考えていらっしゃらないですか。今後、公団職員の定数をどうしていくのか。当然、分譲からの撤退などで仕事は減っていくわけですから、その辺は何年以内にどれぐらいとか、そういう方針はそれなりに公団として腹づもりはおありだと思います。ぜひ、その辺の公団方針をお聞かせいただきたいと思います。
  88. 牧野徹

    牧野参考人 ただいまの御質問にずばっとお答えする前に、先ほどの御質疑を聞いておって、私どもも事業実施部隊でございますから若干感想がありますので、簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  先ほどの田中先生の御質問にもお答え申しましたが、私は、この公団を改革するに当たって、ゼロベースで見直した。要するに、公団があるから仕事を持ってくるという発想は全くとっておりません。要するに、現在何が国家国民から求められ、そして我々は何ができるかということを原点にしてやりました。当然、そのセオリーの中の最重要の一つは、民間で完全にできるというものはもうお任せする、そういうのが例えば一つは分譲撤退ということにあらわれていっております。  その分譲撤退が、今の御質問でいいますとこれからというお話ですが、まず私は、このことが議論になりましたのは、たしか平成八年十月の総選挙は行革総選挙とネーミングされたと思いますが、あのころ既に私たちは真剣な討議をしておりますので、こういうふうに大体なっていくだろうという推定のもとに、私は七年度に着任いたしましたが、以降、かなりの改革を実は先取りでやっております。  その数値を例えば分譲で申し上げますと、私が着任したときの分譲専門の、ちょっと正確でない、人数はたしか二百二十名弱ぐらいだったと思いますが、平成十年度末では六十名まで減らしております。私が着任したときには年間たしか五千五百戸ぐらいの発注をしておりますけれども、これは思い切ってどんどん減らしました。平成十一年度では分譲はたしか五百まで激減していると思います。私は、就任の直後には五千五百を千八百戸弱まで減らしましたから、これは自信を持って言えますが、そういうことでございます。  それから、組織につきましても、出先機関統合して二つ減らしておりますし、もろもろの改革を行っております。例えば事業費予算でいいますと、四年間かけて四分の一、二五%はカットをしてきております。  そういうことでございますので、今後、大臣初め建設省の御指導を得ながら、当然今御質問にあったように、当公団事業量と見合わせて適正な規模の職員数となるように削減に努力をしていきたい、このように考えております。
  89. 山本譲司

    山本(譲)委員 具体的に、この公団法の改正ということで出てきているんですよ。一方、これはいつ審議をされるかわかりませんが、これからなんでしょうけれども、中央省庁の改革ですね。これは四月の二十七日に中央省庁の改革推進本部、これが決定をしているわけなんですが、公務員の定員削減というのは、早期に実現をするために前倒しして平成十二年度採用分から毎年新規採用を減らし、公務員を十年間で二五%削減をする、こういう具体的な数字が出ているんです。  こういう具体的な数値目標というのは、いつまでにつくられる予定なんですか。
  90. 那珂正

    那珂政府委員 定員につきましては、先ほども公団の方から説明がありましたけれども、分譲撤退等による一層のスリム化とともに、業務内容が一層複雑困難となるような市街地整備改善分野での一定の増員が必要だということも加味した上で、しかし、全体としては総定員が計画的に純減していく方向で考えていくべきものと思っております。  具体的には、向こう十年間で全体定員の一〇%を超える五百人程度を計画的に削減していく考えでございます。
  91. 山本譲司

    山本(譲)委員 十年間で一割ということですが、先ほど中央省庁の問題で関連してお話をさせていただいたら、公務員数は十年間で二五%削減、これに基づいて当然中央省庁の再編でありますとか地方分権をやられるんでしょう。どうも公団というのは、一体どこに幾らお金が使われていて、どれだけの人がかかわっているのか、それが本当に、当然行政以上に不透明なところがあります。  先ほど来の質問の中で、じゃ、その定数削減はどうなるのか、この公団法が通ったら考えます、着手しますというような話でしたけれども、今具体的な数字が出てきたわけですね。初めからそれを言われればいいんじゃないですか。その答弁の仕方自体が、どうも公団の、またその公団を所管する建設省の体質をあらわしているというような感じを強く持ちます。  そこで、先ほど定数と並んで理事の数を減らすとか天下りの問題の指摘がありました。大臣からは、今の公務員の退職時期だとかそういうのも勘案しなきゃならない、そういうお話がありましたけれども、要は、そのために公団で、裏を返せば、公団にそういうポストはとっておかなきゃならないんだというぐあいに聞こえちゃうわけですよ。受け皿がなかったら、それは公務員だって真剣に考えなきゃならないんですよ。これは当然、公団に関しては建設省出身の天下りの方が圧倒的に多いわけですから、ぜひその辺の、世間から批判を浴びないような、そんな天下りの防止といいましょうか、まずその前段階として数字的な規制でありますとかそういう考え、大臣としておありなのか、ぜひお聞きしたいと思います。
  92. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 そういう数値的なものも一刻も早く決めていきまして、このようなことが続かないように、それはその方向に持っていくように努力をしていきたいと思います。
  93. 山本譲司

    山本(譲)委員 大変時間がなくなってまいりまして、先ほど田中委員が最後の部分で触れられました建てかえ団地の問題、この件について最後に若干触れさせていただきたいと思います。  これまで住都公団の団地の家賃設定というのは、私も何度も聞きましたけれども、それは公団の施行令か何かに書いてありましたね、七十年償却ですとかなんとか。それにさらに、今回市場価格になるわけですが、近傍近隣の家賃を加味して家賃を設定する。しかし、以前も、原価主義といいながら、若干そういうものも加味をされていたんじゃないか。そこの部分が全くどういう計算になるか、そのルールがわからない。  そこで、これから家賃の設定の仕方というのは、これからというか、今もう既に考えられているのかもしれませんが、これまで家賃値上げなんかにおいては、多分、これは大臣の承認が必要でしたね。今後はどうするのか。引き続き大臣の承認を求めるような施行令というのを出されるのかどうなのか。それもあわせまして、簡潔にちょっとお答えをいただきたいと思います。
  94. 那珂正

    那珂政府委員 家賃につきましては、新公団法におきましてはいわゆる市場家賃化によることとしておりまして、その決め方につきましては政省令で別途きちっと定めることにしておりまして、従前のように、先生指摘のように、いわゆる原価主義で当初決めた家賃を改定するに際して建設大臣の承認に係らしめていたということは、今回はそういう方式をとっておりません。
  95. 山本譲司

    山本(譲)委員 特に、これから建てかえ団地は、古い住都公団の団地といいますと、非常に駅に近いところなんかもありますね。多いと言った方がいいんですかね。周辺の近傍家賃なんといったら、かなりはね上がるんじゃないですか。それ、果たしてルールというのはどうつくるのか。またわけのわからない家賃設定になってしまうんじゃないかという不安があるのですが、いかがでしょうか。
  96. 那珂正

    那珂政府委員 恐縮でございます、少し長く説明させていただきますが、新規の賃貸住宅については近傍同種家賃と均衡を失しないように定める、また改定の際に、いわゆる継続家賃につきましては近傍同種住宅家賃を超えない範囲内でという、近傍同種家賃というのが一つのメルクマールになっているわけでございます。  その近傍同種家賃をどう決めるかが確かに問題でございまして、それを政令で定めることにしておるわけでございます。実際には、近傍同種といっても、確かに立地によって当然違います。それから、建物が建った時期によって違いがございます。また、広さによっても当然違いがございます。おおむねこの三つの要素を計数化して、それぞれ実態として現にある近傍の住宅家賃から、当該、新たに供給されます、あるいは改定するなら改定する住宅家賃を比準する方式をとるわけでございます。それが近傍同種家賃の考え方でございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、改定する場合につきましては、いわゆる差額配分法ということの考え方をとりまして、本来の近傍同種家賃から推計した、本来といいますかその家賃と、近傍同種家賃とこれまでの家賃について、全額そこですり合わせるというようなことはしない考え方でございます。
  97. 山本譲司

    山本(譲)委員 なかなかよくわからないというのが感想でございまして、その前に、これはどういう手続で、どこで決めるのですか。これまでは、多分、総裁の私的諮問機関、基本問題懇談会なんかの家賃部会とかそういうのがあって、そこでそれなりの調査をし、また、値上げなんかに関してもそれなりの有識者及び居住者も含めた議論をする場が多少あったように思うのですが……(関谷国務大臣「いや、計算方式は向こうへ聞いてください」と呼ぶ)では、まあいいです。その計算方式は後でいいですから、時間がないので。そういう手続の進め方ですね。それと、どこで決めるのか。
  98. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたけれども、基準となる近傍同種家賃の決め方については、先ほど政令でと申し上げましたが、省令で、建設省で決めさせていただきます。  また、その近傍同種家賃から実際の家賃にすり合わせる、改定の場合と新規の場合といろいろあるわけですけれども、実際の家賃を決める方式については、今、形の上では新公団総裁が決めることになると思いますが、実際どういうふうなルールで、方式で決めるかについては、現公団の中にあります基本問題懇談会の中の家賃部会というところで鋭意検討中と聞いております。
  99. 山本譲司

    山本(譲)委員 今回の法案で、これまでの管理委員会が運営委員会になるわけですね。これはどこが違うのですか、どう変わっていくのですか。簡単に。
  100. 那珂正

    那珂政府委員 従来の管理委員会は、予算、事業計画、資金計画及び決算の議決でございましたけれども、新しい運営委員会は、それらに加えまして、公団業務運営に関する重要事項等全般につきましての調査審議を行う機能がございます。
  101. 山本譲司

    山本(譲)委員 ここは、全般についていろいろ調査とか審議とかやるようになると。こういう家賃の問題も、ここでも審議をされるのですか。
  102. 那珂正

    那珂政府委員 今申し上げましたように、公団業務の運営全般に関する重要事項を調査審議してもらうわけでございますから、個々の家賃というものはともかくとして、家賃の考え方等については審議されることになると思います。
  103. 山本譲司

    山本(譲)委員 ちょっとここで、衆法なんですが、この運営委員に、住民が審議方に参加をするというようなことが盛り込まれておりますが、これはどういうねらいでしょうか。
  104. 石井紘基

    ○石井(紘)議員 山本委員おっしゃるように、家賃の設定基準というようなものも非常にあいまいであります。しかも、今の答弁のように、今後は省令で決めるんだ、法律じゃなくて今度は役所でもっていわば勝手に自由に決めますよと。近傍同種であり、また民間家賃だという中で、結局は勝手に決めますよという意味なんですね。こういうことで、今までの法律をがらっと無視しているわけですね。  これは一体どういうことかということでちょっと今考えたんですけれども、恐らく今までは行政としての一定のモラルを、やはりそうはいっても持ちながらやってきた。ですから、いろいろ法律で決めざるを得なくてというか、やはり決めるのが当たり前だから決めてやってきた。しかし、やっていくうちに、やはりビジネスですから、商売ですから、しかも行政のビジネスですから、うまくいくわけがないんです。ですから、これがどんどんと矛盾がたまってきちゃって、身動きがとれなくなってきちゃった、もうお手上げだということになっちゃったわけですね。  ですから、これからは、そういう行政としてのモラルを一切なりふり構わず振り払っちゃいますよ、これからは勝手にやらせていただきます、私たちは自由にやりますというのがこの法律だ、私はそういうふうに理解をするわけであります。とんでもない法律だなと思います。  私どもの案は、公営住宅としての位置づけという中でもって行う事業であるわけですから、そうだとすれば、公営住宅としての政策上の家賃設定ということをやはり考えなければいかぬわけですね。そこのところを明確にしなくちゃいかぬ。  さらに、政策ですから、高齢者だとかあるいは体の不自由な方だとか、そういう方々に対するまた別の、特別の家賃体系というものをきちっと定める。そして、建設費が幾らでございますよ、あるいは公租公課が幾らですよ、事務費が幾らですよ、したがってこういうコストがかかっておりますので、これに対して政策を加味した上で家賃は幾ら幾ら、何万何千何百何十何円でございますということをきちっと明らかにする。だれが、どの国民が見ても、なるほどそうかというふうに理屈が通るようにする。そうして、しかも税金の使い方でありますから、一銭たりともあいまいなことがないように、そういうふうになる。また、居住者の権利、生活上のさまざまな事情というものも十分に配慮される。  我々の案でありますと、こういうものになる予定でございます。
  105. 山本譲司

    山本(譲)委員 最後に、これは要望にとどめますが、一年半前にこの委員会で荒田理事にも私の方から要望したように、何も三十年代の住都公団住宅建てかえに関しては機械的に一律にすべてやるのではなくて、リフォーム等も、また住民との対話をもっと密にというような提案もさせていただき、前向きに検討するというようなお答えもいただきました。  また、最近、訴訟が起きていた団地の一つは和解したというようなお話も聞いております。しかし、その内容を見てみますと、一時期だけ、十年ぐらいはちょっと何棟かはそのまま据え置いておこうかと。どうもモラトリアム期間をつくって、要は問題の先送りをしてしまっているんじゃないか。  そういった、今後の住都公団住宅の戸数が一体どれぐらいになるのか、これは公営住宅と、あと民間も含めたトータルの総合的な住宅政策をしっかりと建設省の方でつくっていただいて、今、日本住宅数は世帯数を上回ってあるわけです。狭隘化だとかそういう問題はありますが、一体どの辺を目標にやられているのかということをしっかりと見据えて、ぜひ取り組んでいただきたいという要望をし、大臣に一言いただき、終わります。
  106. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生の御指摘のこと、十分に対処していきたいと思います。  それと、先ほど石井紘基先生はちょっと言い過ぎた感じがございましたが、そんなことは決してないわけでございまして、今でも家賃の計算方法は基本的なものはきちっとあるわけでございます。したがいまして、再入居される方に対しましては減額をするとか、あるいは高齢者の方、それから家族数の多い方々に対しては家賃を減額するとか、いろいろやっております。  それはそれといたしまして、先生指摘のように、もっと家賃の設定には細かい要素も入れて、納得のいかれるもの、これこそ情報を開示すべきであると私は思っておるわけでございまして、こういう計算をして、こうやって、こういうことでございます、特別な方にはこういうことです、そのことはきちっと新しい公団でするように指導してまいりますので、よろしくお願いいたします。
  107. 山本譲司

    山本(譲)委員 終わります。
  108. 平田米男

    平田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  109. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田治君。
  110. 吉田治

    吉田(治)委員 民主党の吉田でございます。  今回の都市基盤整備公団法の改正につきましては、特殊法人等整理合理化平成九年六月のこの閣議決定において、行政改革の一環として、よくずっと言われておりますように、民間でできるものは民間にゆだねる、そういう行政改革原則が示されておりますが、もう何度も質問に答えられているとは思いますけれども、本法案においてこうした決定内容はどのように反映され、また、業務内容の見直しに伴う組織の整理合理化は、この法案ができて、さあ始めようということは決してないと思うのですね。これからどういうふうにしていくかというのは、あらあらできているはずなんです。  それをお答えいただくと同時に、特に今回のこの法案、私ども民主党は対案を出させていただいておりますが、理事の定数が十四から十に減る、何か四人減ったからいいじゃないかということかもしれませんけれども、しかしながら、本来であるならば、こういう整理合理化ということになると、半分以上というのが本旨ではないかと思うのですけれども、この数については、十人に決めたらずっと十人なのか、一層の合理化というものが必要ではないか。  そして、特に副総裁、今度二名という形で明記されておりますけれども、この所轄業務、これでいきますと、総裁さんは建設省から来て、副総裁に関しては一人はまた建設省から、もう一人は内部から、何かそういうふうな図式がどうも感じられて仕方がないのですけれども、この辺の行革関係ということをどういうふうに今後より一層、これができて終わりということはないと私はかたく信じておりますが、進めていくのか、まず御見解をいただきたいと思います。
  111. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の新しい都市基盤整備公団法ができるわけでございますが、先生おっしゃいますように、平成九年の六月の行革の一環としてこういう体制に入ってきておるわけでございます。それで、いろいろな行革、一に行革だけではなくしてあらゆることが、終戦後半世紀たったわけでして、変わってきておるわけでございます。  ですから、いろいろ役員の数の削減等々を行いますが、おっしゃいますように、十四名であったのが十名以内になる。それでは、それですべて終わりかといえば、私はそういうものではないと思うわけでございまして、職員の数にいたしましても、例えば十年間で約五百名減らす予定である、それの中でも前半の五年間に大部分である四百名を減らすというようなことも考えておるわけでございまして、ですから、新しい公団ができましても、その後も行政改革というものの趣旨は十分に頭に置いて、その後も進めていくということでございます。  それで、副総裁は二人にする必要性ということでございますが、これは、どういいましょうか、確かに二人よりも一人にした方が行政改革ではあるんだろうとは思います、思いますが、新たにこういうようなことをいたしまして、非常に市街地整備改善業務実施というようなことを行いますので、専門性であるとかあるいは困難性が高まること、それから、引き続きまして市街地整備改善賃貸住宅供給管理、それから公園事業なども行うということでございまして、そういうようなこと多岐にわたっておりますので、二名を置きたいというふうに考えておるわけでございます。これをいざ進めてまいりまして、そういう必要性がないということになるならば、またこの委員会等々でも御指摘をいただき、それはまた一人削減するということだって何年か先には出てくるのではないかな。  そんなことで、とにもかくにも行革の趣旨に沿った中での新しい公団の運営、進め方ということを徹底していきたいと考えております。
  112. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣の答弁、本当に苦しい答弁だな。前段では整理合理化というお話をなさりながら、後段においては、副総裁二名に関しては、事業内容が多岐にわたると。  本来、行革という形で整理合理化するということは、多岐にわたらないようにするというのが私は本旨ではないか。特に、平成九年六月のこの閣議決定というものも、そういう意味であるはずではないか。それであるならば、副総裁二名がなさることというのは、本来、例えば政府案のとおり通るのであれば、理事十名が分担してやるべきことではないかな。それをある意味で先送りにされるというのは、ちょっと答弁として私は、大臣苦しいのではないかとは思うのですけれども、例えばそのめどを、よくありますように五年先にもう一遍見直すとか、十年先に見直す。任期におきましては、理事及び監事の任期四年、私どもは二年と申し上げておりますけれども、その見直す時期のめどというのはいかがなものですか。
  113. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生、私が大変苦しい答弁をというふうにおっしゃられましたが、先生もやがて私の立場になるでしょうが、そのときに、大変きついことを言ったと反省をされるときが来るだろうと思いますが、確かに苦しい、二よりは一の方が行政改革に近いことは事実でございます。  それで、いわゆる期限を切って見直しをするということ、このことは今回の法律案には入れていないわけでございますが、午前中の先生方の御質問の中にもそういう御質問がございました。  ですから、逆に言いますれば、きょう、それから金曜日の質疑がございますから、その間の質疑でお互い本当に忌憚のない論議をし合って、そういう方向にまとまりますれば、当然そういうようなことで、いわゆるサンセット方式ですか、そういうようなこともあってもいいとは私は思っております。
  114. 吉田治

    吉田(治)委員 その辺は柔軟に対応をしていただきたいと強く思っております。  続いて、多分今まで何度も質問されたでしょうし、これからも質問が続いていくかと思いますけれども、今回、特に賃貸住宅においては、原価主義から俗に言う市場主義、市場家賃化にと、この話が当時の建設省から出たときには、団地の住民皆様方は、急に上がるんではないかと。今回の法律の中においては、政府案の中においては、高齢者というふうな部分においてさまざまな優遇策、細かな減免措置というふうなものを入れられるというふうに聞いております。  私は、公団の議論に入る前に、大臣一つだけお願いというか、そういう発想を、多分公団のこういう法案のつくられる過程において議論があったと思うんですけれども、これは単に団地に住まわれている方だけじゃなくて、高齢者家賃補助、つまり助成策というふうなものをどうなさるのか。  それから、高齢者向け住宅というんですか、やはりお年を召されて、私は大阪の出身ですけれども、多分阪神間の先生方の御質問にもあったかもしれませんが、阪神大震災の後、もう一度マンション等が建ち上がったときに、いや、高齢者はねと。やはり火を使うから、危ないからというふうな、また、テレビ番組において、高齢者だけを入れるところがかえって特別番組になったりするような状況においては、高齢者向け住宅建設に対する補助であるとか、また、もしも万が一のことを考えた場合に、そういう特別住宅に向けての保険の整備というふうなもの、そういうふうなものをしていく必要が私は大いにあるんではないか。  これは、公団に住まわれている高齢者だからこそやるというだけじゃなくて、高齢者という全体の概念、福祉的な概念からも、そういう施策建設省として必要だと思うんですけれども、この辺、担当局長、いかがなものでしょうか。
  115. 那珂正

    那珂政府委員 現在の我が国住宅事情等から判断して、先生の御指摘のように、高齢者住宅対策をより強化すべきだ、充実すべきだという御指摘は、全くそのとおりだと思います。私どもも、そういう観点から、これまでも公営住宅を初めとする公共賃貸住宅について、いろいろな観点からの高齢者対策を進めてきているつもりでございます。  一つは、公共賃貸住宅につきまして、これは公営住宅も公社の賃貸住宅も、また公団住宅についてもそうですが、いわゆるバリアフリー化をすべての新築住宅に適用して、平成三年度からやってきているわけでございます。相当数の新しい新築住宅におけるストックができてきていると思いますし、また、住宅金融公庫の一般民間住宅に対する、個人住宅に対する融資につきましても、バリアフリー化等の割り増し融資というようなことも実施しております。  また、観点を変えまして、そもそも高齢者向け住宅をたくさん供給すべきではないかというような考え方から、公営住宅高齢者向けにはとりわけ入居を優遇しておりますし、とりわけシルバーハウジングプロジェクトといいまして、個々の住宅についていわゆるバリアフリー設計をするほか、生活援助員という方に常駐してもらって日常の安否等についても気遣ってもらうとか、そういうような制度がございます。これも公共団体主体でございますが、鋭意努力してきております。  また、本年度予算につきましては、民間賃貸住宅を、一定高齢者仕様という基準がございますけれども、こういう基準に合格したものについては民間賃貸住宅を借り上げて、これを高齢者向け公共団体からお貸しするというような新しい制度を、失礼しました、平成十年度からでございますが、本年度特に拡充いたしました。  それにつきましても、住都公団の空き家といいますか、比較的古い住宅のストックを活用するという方策もあわせて、この高齢者向け借り上げ賃貸住宅優良賃貸住宅制度で、そういう施策の充実を図っているところでございます。
  116. 吉田治

    吉田(治)委員 局長のお話は全部一緒くたにされたお話であって、では具体的に、ちょっとこれはこの整備法からずれるかもしれませんけれども、やはり高齢者の問題、特に高齢者の皆さんの家賃の問題と建てかえの問題というのは、これは微妙にかかわってくる話ですので。  建てかえの場合において、ちょっとずれるかもしれませんけれども、ある意味で、公団がやられていることは評価すべきこともあると私は思うんです。何かというと、所得がだんだん減ってきたからここへ住むことは困難になるということにおいては、引っ越し費用とか公営住宅のあっせんとかをなさっているということ、これはある意味で、民間住宅においてはできないことをされているということにおいては、私は評価すべきことだと思います。これは大いに胸を張って言うべきことでもある。  しかし、さはさりながら、片一方で、ずっと子供をそこで産み育ててきた人たちが、もう所得が少ないから建てかえであんたたち出ていってよとか、所得が足らないから、払えないからそこに住み切れない、ですからという、この住み続けるという部分のこの二つの調整というのは、私は非常に重要だと思います。  これは、公団総裁においでいただいておりますので、その辺どうお考えになるのか、後ほど聞かせていただきたいと思いますけれども、今の局長のお話に戻りますと、高齢者というお話からしますと、生活援助員もいますよ、何もいますよといっぱいのことをしているように見えますけれども、では具体的に聞きます。生活援助員というのは、どこがどういうふうに使って、どういうふうにされているんですか。
  117. 那珂正

    那珂政府委員 使ってという御趣旨ですが、制度として詳しく御説明しますと、厚生省の予算で、各公共団体の民生部門から、生活援助員という形でその人件費が助成されます。それで、公営住宅側では、その方の入居を、比較的安い家賃提供する。結果的には、ある団地で高齢者世帯が生活援助員お一人に対して二十世帯から五十世帯ぐらい、団地によってちょっとばらつきがあると思いますけれども、そういう方を見ている、こういう制度でございます。  ただ、先生指摘になりましたように、そういうふうにすべての事業主体でどこもかしこもやられているというわけではございませんで、今申し上げましたように、生活援助員として公営住宅に常駐してもらえる方が、実際のところ、そんなに多くいらっしゃいません。それは厚生省ともずっと協議を続けているわけですが、なるべくその手当等につきましても割り増ししてもらうように折衝しておりますが、また、事業主体ごとにもいろいろな事情があって、そうそうその人員が確保されているという状況では確かにございません。
  118. 吉田治

    吉田(治)委員 施策としての御説明と現実の問題点というのをいろいろ説明していただきました。  総裁、各理事の皆さん、来ていただいてありがとうございます。実は、総裁だけで結構と申し上げたのですけれども、公団の方から、ぜひとも担当理事出席させてほしいということですので、あえてお願いを申し上げたところでございます。  実は私、まあ御存じかと思いますけれども、私も公団に住んでいる一員なんですね。しかも、公団の関西支社のおひざ元の大阪の森之宮団地というところに住んでおりまして、しかしながら、一度も今まで関西支社長というのはお目にかかったこともない状況でございまして、営業所の所長さんも見たこともない。まあ皆さんお忙しくて、地元におられることもないのだろう、そういうふうに思うのですけれども。  そこへ住んでおりまして、地元の町会の方々と、いろいろこういうことで質問させてもらうのでどうだというお話を聞きますと、一点だけ、今局長が答弁なさったことの一つ大きなことなんですけれども、公団に応募をなさって、抽せんで当たって高齢者の方が今度入ってこられる。これは年齢制限、たしかなかったと思います、公団については。所得の証明と、応募をして抽せんで当たったら入れるということだったと思います、倍率の高いところにつきましては。  そうしますと、例えば、私どもの団地で聞くのは、七十歳ぐらいになって、ひとりで入居をしてきた、今は元気でいいけれども、十年二十年とずっとそこへ住まわれた場合に、もし重い病気になったときにどうするのかと。今局長は、しようとはいいながら余り大きくはできていないけれども、生活援助員というのを各公共団体、つまり公営住宅にはお願いをしていると。  では、公団として具体的に何をしているのか。非常に強い要望としては、公団というのは家を貸すだけなのか、後、その中で何が起こってもどうぞ御勝手にというふうなのかという現状で、もしも重い病気になったり、そういうふうになったときには、大阪は民生委員発祥の地でございますので、各民生委員さんが病院を手配などいろいろされておられます。しかしながら、いざというときにその民生委員さんはいられない。地域の方は、七十歳で入ってこられて、それから団地の中で新しい人間関係をつくれというのも、これは酷な話です。  ですから、先ほど言いましたように、住み続けられるということも非常に大事だというふうなことは申し上げたのですけれども、そういう公団の俗に言う高齢化対策、何も家賃だけではない。建物の施策としては私は聞いております。ケア施設等を建てかえのときとかに入れていく。そうではなくて、俗に言うハード、建物だけではなくて、高齢者の方がそこへ住んで、では果たして、いざというときにだれが助けてくれるのと。それは地域の人かもしれません。しかし、公団として、家主として、昔は大家とたな子と、落語のあれにもなったようなものですから、どうするのかということをいかがお考えなのでしょうか。
  119. 荒田建

    荒田参考人 先生、まず、私どもの公団住宅に御入居いただいておりまして、大変ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。  今のお話でございますけれども、確かにそういう方々が入居してというケースはございますし、七十二万戸ある団地でございますから、独居老人の方が最近非常にふえてまいっているというような実情でもございます。  私どももそういった実情は十分承知しておりますけれども、基本的に、単身高齢者が病気になったときにどうするのかというようなことを考えますときに、確かに先生おっしゃるように、おまえらは箱だけつくってハードだけやっているのかという部分が確かにあるわけでございますが、これは基本的に、だれがどういう形でそういう面倒を見ていったらいいのかということになってまいります。  少なくとも、そういったいろいろな、病気の方もおられるしいろいろな方がおられる中で、私どもとしてやるべきことというのは、大家として可能な限りそういった方々に目配りをするといいますか、そういったことはやっておるつもりでございまして、例えば、営業所の職員が巡回をしたりとか、あるいは団地内の居住者の中で連絡員をお願いして、そういった方々にいろいろ情報提供してもらう、通報してもらうというような形で、もしそういう急病人になられた場合には、親族への連絡だとか病院へ連れていってやるというようなことも、できる限りの範囲でやっておるつもりでございます。  最近は、私どもの居住者団体の方々ももちろんそうでございますけれども、高齢者に対するボランティア活動が比較的盛んになってきているという事例もふえてまいりましたから、私どもも大家として、でき得る限りそういった方々連携を密にしながら、できる限りのそういった方々への対応はこれからも続けていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  120. 吉田治

    吉田(治)委員 では、その場合に、今局長のお話の中で出てきました生活援助員というふうな、そういうシステムの導入というのが公団としては、これは厚生省それから地方公共団体のスキームの中にあるということで、できづらいのかもしれませんけれども、そういうふうな発想というのは今、公団としておありなのですか。それとも住宅局としてそういうふうな発想をこれから公団にも取り入れていくという発想なのですか。いかがですか。
  121. 那珂正

    那珂政府委員 先ほども申し上げましたけれども、高齢者住宅対策として、生活援助員のような方に常駐してもらう、ソフトまでを含めた住宅供給というのは住宅政策の中では非常に重要な視点を持っていると思うのですけれども、実際のところ、公営住宅はそこそこ進んできたと思いますが、公社住宅あるいは公団住宅についてはまだ実験的な段階の域を出ていないというのが実態でございます。  これまでの公団住宅につきましても、シルバーハウジングというシステムで一千戸弱の実績があったかと思いますが、その程度のまだ実績しか加えておりません。しかし、新しい公団ということになりまして、新たに公団としても、ストックを活用して高齢者向け優良賃貸住宅制度、この国の制度に本格的に乗って、一部もちろん財政支援も受けた上で進めていくわけですから、これからさらに公共団体との連携を深めることによって、そういうソフトまで含んだ住宅供給というのも必要に応じてできるように、またやっていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  122. 吉田治

    吉田(治)委員 公団の方はいかがですか。
  123. 荒田建

    荒田参考人 高齢者対策が重要だということはもう十分認識しておるつもりでございますから、建設省の御指導をいただきながら、今後、できるだけ前向きに対応、前向きと言うと——対応してまいりたいと思います。
  124. 吉田治

    吉田(治)委員 その中で、先ほど何度も議論も出てきていると思いますけれども、市場家賃化における高齢者等々の問題、また建てかえ後の高齢者の皆さん方の家賃の問題、さまざまな減免措置等をこれから細かく考えられるということですけれども、先ほど申し上げましたように、住み続けるという発想とやはり経済的な問題ということ、これはどこかで調整というものをしなければならない。私どもの団地においても、住み続けたいけれどもちょっと厳しいからという形で公営住宅にと。  今さらそういうところにというふうなのも非常に厳しいように聞いておりますけれども、この辺の調整というのは、これから議論もなされていくかと思いますけれども、基本的には今どうお考えで、今後どうするつもりでいられるのですか。
  125. 那珂正

    那珂政府委員 新しい公団になって、家賃等あるいは建てかえ等の理由によって、住み続けることがなかなか難しい、そういう事態が出てこられる方も、それはあると思います。しかし、それに関しましては、先生指摘の、基本的に建設省としてどう考えるのだということでお答え申し上げるとすれば、基本的には低所得者、低額所得の方に関しては公営住宅対応するというのが今の住宅政策の基本でございます。  それを基本としつつも、具体に、七十三万戸の住宅が現にあって、その住宅の管理を現に一の機関である公団がやっているということから考えますと、家賃改定、建てかえ等のときに、現に公団住宅に入居しておられる方で高齢者で低額所得になってしまわれている方について、一定の公営住宅並みあるいはそれに近いような配慮をしていくのは当然だ、こう思いますので、今回、昨年度に引き続き予算措置を拡充いたしまして、建てかえのときにもまた家賃の改定等のときにも相当程度減額できるように、少なくとも家賃が理由で住み続けられないことがないように措置をしていくつもりでございます。
  126. 吉田治

    吉田(治)委員 それだけお聞かせいただいたら、あとは具体的な中でそれを現実の問題にして、泣く泣く出るようなことがないようにぜひとも努めてもらいたいと私は思います。  今、高齢者のお話を申し上げましたが、先ほど大臣もちらっとお話ししたのですけれども、これは少子化という形で、来週、政府の中で少子化対策閣僚会議というのが発足する。まさに住む面積というふうなものが非常に重要になってきて、公団ができた当時にはあんないいところに住めればというのが、今、現実になってきますと、例えば私どもの住んでおります森之宮団地、地元に森之宮小学校というのがございます。  団地ができた当時には、一学年四クラスもございました。しかしながら、今、一学年一クラスにするのがやっとこだ。何でかというと、森之宮という地は、私が言うまでもなく都心に非常に近くて交通の便がよく、三十分でドア・ツー・ドアで職場まで行けるというところにありますと、大体、若い世代はずっと住み続けたい。しかしながら、子供がふえてまいりますと、なかなかここへ住み続けられない。  私も何度か公団の皆さん方には、建てかえであるとか、また小さな部屋二つを一つにしたニコイチにもっと進めるようにというふうなお話もしておりますけれども、いや、なかなか古い順番でと。順番がおありだというのはわかるのですけれども、やはりその場その場の団地に合った賃貸住宅のあり方というのが必要ではないか。  私ども民主党の案では、公団については、今後、賃貸、今ある七十二万戸だけを管理するというふうなことを言っておりますけれども、その中においても、やはり建てかえの問題ということになってきますと、標準世帯向け住宅供給が必要になってくる。しかしながら、では新公団、都心に政策的な賃貸住宅に限定してというふうなことになりますと、利便のよい都心となると、今度はまた値段が相当高くなるのではないか。そうしますと、よく言われておりますように、中堅勤労者世帯にとってはなかなか入るところがない。所得的に低いと言ったら語弊がありますけれども、低所得の場合は公営、高いところは億ションを初めとすると、中間どころがなかなかなくて、頼りとする公団は、新公団になったら高くなるのかねと。  まさにこの問題は、居住水準向上と同時に、大臣が今度参加されます少子化対策にだって私は非常に重要だと思います。よく言われておりますように、公団は四十五平米が中心、欧米は八十平米が中心だ。それはそうですよ、今時分になってきますと、子供が二人いたとしても、お父さん、お母さんの部屋に子供の部屋が一つ一つにダイニングキッチンというので、最低四部屋。しかしながら、公団サイズというのは、部屋が二つにLDKかDKが一つというふうなのが標準だ。  その辺というのも含めて、私、大臣のリーダーシップというふうなものが公団の今後の住宅供給、特に標準世帯向け賃貸住宅供給というのに重要だと思いますけれども、まず大臣、少子化ということに向けて、この点についてどういうふうにお考えか。  あと事務当局、また公団の方から、俗に言われております標準世帯向け住宅供給の今後のあり方について御答弁をいただきたいと思います。
  127. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 少子化対策は、これを政府を挙げてといいましょうか、国を挙げて皆様方と論議をし合うわけでございまして、閣議におきましては私の担当は住宅問題で、子供を産み、育てやすい状況を構築するということでございまして、先生指摘のように、やはりそうなりますと、今言われておるのは、生活空間倍増計画に乗って、一言で言えば倍加するくらいの対策をやっていかなければならない。ですから、新公団ができましたときにも、そういうことこそ民間では担当のできない分野でございましょうし、あるいは地方公共団体でもまだ担うことができない分野でしょうから、公団においてやっていくということが必要ではないかと思います。そういうようなこと。  ですから、余分な答弁になるかもしれませんが、急ぎ、この法律が成立いたしましたら、新しい家賃はどのように設定をするか、そしてそのときにはそういう少子化対策高齢化対策、そういうようなものは、どういう方がどういう基準でそこに入ることができるかということを私ははっきりと出さないといけないと思うのです。  午前中の公団そしてまた政府の答弁も、余りはっきりしないというおしかりが先ほど理事会であったようでございますが、全くそれはそのとおりなのです。そのとおりですから。私が聞いておってもそう思うのですから。ですから、そういうことがないように、法律が通りましたら、きちっとそういうことをやりまして、また当委員会で報告をいたしたいと思っております。
  128. 荒田建

    荒田参考人 ただいま先生から、高齢化、高齢者方々が非常にふえてきているというふうなことと同時に、少子化で子育てにふさわしい公団賃貸住宅があるのか、家賃も含めてというような御指摘だったかと思います。  ちなみに、家賃の分布で、ちょっと数字の話になりますから細かくなりますが申し上げますと、我が公団、大体全国で七十二万戸を管理させていただいておりますけれども、そのうち現在の家賃、五万円未満の家賃が約五割でございます。それから、十万円未満の家賃で三八・六%、約三九%で、大体十万円以下の家賃で九〇%の状況でございます。これが中堅所得者にとって入れない家賃か入れる家賃かという観点から申し上げますと、私ども、中堅所得者の収入の大体二〇%が家賃でお払いいただけるものとして計算しますと、月々十二万円に相なろうかと思います、第三分位の中位の所得で見ますと。それから見ますと、私どもの公団住宅家賃は、大体九割方は十万未満でございますので、十分に中堅所得者が居住可能な水準ではないかというのが一つでございます。  それから、箱の大きさといいますか、部屋の大きさでございますが、先ほど来、建てかえでは、三十年代は非常に狭い、三十八平米である、これは国の基準でありますファミリー向け世帯最低居住水準、これは四人で五十平米でございますが、それよりもはるかに下のレベルでございます。公団として、三十年代の大量供給時代時代の要請もあってそういったものをたくさんつくってまいりましたけれども、四十年代、五十年代、六十年代となるに従いまして、できるだけ大きいものをつくっていこうということでやってきております。  ちなみに、数字を申し上げますと、四十年代では大体四十五平米平均に、五十年代では五十六平米平均に、それから六十年代以降では七十平米平均という形で、いろいろな制約の中で、できるだけ広い住宅を目指してつくってきておりますので、今日のストックから見ますと、まだまだ狭くて古いものも多うございますけれども、最近建ててきたものは十分にファミリータイプという形で入居いただけるようなものがふえてきているということを申し上げたいと思います。
  129. 吉田治

    吉田(治)委員 るる理事からの御説明、よくわかるんですけれども、私は、何も今の家賃が高い、中堅所得層が入れないよということなど決して申し上げていない。それは御理解いただきたい。  市場家賃制度が導入された場合に、これからの新公団は、政府提案によると都心居住等の政策的な賃貸住宅に限定して供給する。そうなってくると、中堅所得の方々、今理事が言われた二割というものに入らない範疇の者がたくさん出てくるんじゃないか。そうであるならば、大きさというふうなものも含めて、小さなものを二つ足すであるとか建てかえるという発想もあるでしょうけれども、リフォームという発想も私はあってしかるべきではないかということも申し上げさせていただいたわけで、何も私が、中堅所得者層にとって今はだめだと言っていませんけれども、今後の新公団においてそれはどこまで堅持をされ、どういうふうに守られるのか。それは理事にお答えしていただくと同時に、総裁、これからも責任を持たれるんですから、そのことについてはしっかり堅持すると理事のお答えの後に答弁をいただきたいと思います。
  130. 荒田建

    荒田参考人 ただいまはストックの七十二万戸の状況について申し上げました。  これから新規の供給をする賃貸住宅でございますが、都心居住とか政策的に重要というような、法律で書かれておりますけれども、私どもとしては、公的な機関賃貸住宅供給するという意味では、今大都会を中心に絶対的に不足している賃貸住宅、そして民間事業者では供給ができないような賃貸住宅をこれからも供給し続けるという意味で、私は、主として中堅所得者、全部が全部とはなかなかいかないとは思いますけれども、大宗は中堅所得者向けの、できるだけ広い、環境のいい賃貸住宅を今後とも公団供給していくということで考えております。
  131. 吉田治

    吉田(治)委員 総裁にお聞きしたいのは、では、その場合に、今理事が言われた第三分類の中間層の所得層、それの二割を上限のめどとする、そういうふうにこれから公団については政策的な都心部における賃貸住宅供給をする、そういうふうに理解していいんですね、総裁
  132. 牧野徹

    牧野参考人 先生のおっしゃるとおり、私どもが新しい公団になっても、施策の、賃貸住宅供給する対象としての中心はやはりおっしゃるとおりの第三分位中位といいますか、そういう方々が中心だろうと思います。もちろん、ライフスタイルの変化でいろいろなことはあります。その際に、負担可能なもので提供するように最大限努力していきたいと思います。
  133. 吉田治

    吉田(治)委員 私どもの民主党案の中には含まれてはいないんですけれども、政府案の中に入っておりますので、あと二点お聞かせいただきたいなと思うのは、土地有効利用業務市街地開発事業という形。  これは、いろいろな方にお話を聞きますと、現時点においても土地流動化策三千億というふうな中で随分現公団土地を購入されている。現在までに公団取得した用地実績はどうなっているのか。また、取得した用地の利用目途というのはどういうふうに立っているのか。  そしてもう一点は、それを購入するときの、たしか参考人の伊藤先生の議事録を読んでおりますと、審査会において随分厳しく審議をして購入していると胸を張られているやの議事録になっておりますけれども、その辺はどうなのか。そして、主に、その土地供給元というんですか、購入先というのは現状どこになっているのかということをお答えください。
  134. 島崎勉

    島崎参考人 土地有効利用事業事業状況でございますけれども、四月末現在で六十地区、七十五件、面積で二十一・七ヘクタール、金額で千百三十一億円という形で用地の契約をしてございます。これらの土地につきましては、先生お話がございました審査会で具体的な土地の買収の価格等につきましては総括的に審査をいただいておるところでございます。  なお、これをどのように今後処分するかということにつきましてはまだ、不整形地等の土地を買ってございますので、これを整形いたしまして、民間の特に建築活動等に対してこれから譲渡するということでございまして、現在のところ具体的に譲渡の方向は決まっているものはございません。
  135. 吉田治

    吉田(治)委員 一応、土地流動化策は三千億ですね、大臣。これが今一千百三十一億。公団としては、この三千億というのはある意味でノルマと考えているのか。それとも、いやいや三千億と提示はされているけれども、いいものでないと買わないと伊藤先生が胸を張られているやの議事録しか見ていないのでわからないんですけれども、そういうふうに発想を持っているのか。その辺はどっち側なんですか。
  136. 島崎勉

    島崎参考人 四月末現在で、具体的に土地の買い取りの情報でございますが、これは約四千三百件ございまして、約千五百ヘクタールございます。  私どもといたしましては、この中には相当小さな土地ですとか、いろいろ将来的にも使えないような土地もございますし、具体的に市街地整備、形成に役立つという土地に限定をいたしまして、相当選別いたしまして買収に応じているというところでございます。
  137. 吉田治

    吉田(治)委員 大分最後の言葉が濁っておりましたけれども。  では、その三千億をどうするか。それはノルマと考えているんですか、そうじゃないんですか。ちょっともう一遍その辺答弁お願いします。
  138. 平田米男

    平田委員長 答弁は、先ほどの理事会でも、きちっと答えるようにという、こういう意見になっておりますので、質問に対しては明確に、的確に答えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  139. 島崎勉

    島崎参考人 失礼いたしました。  三千億につきましては、できるだけ達成していきたいというふうに考えておりまして、現在三千億を超える土地の買収交渉に入っているところでございます。
  140. 吉田治

    吉田(治)委員 私、新公団になった場合に、政府案が出たときに一番怖いなと思ったのはそこのところなんですね。  今、理事は、三千億をできるだけ達成したいという言い方をなさった。ということは、これから毎年毎年、金額が決められると、それを達成するために、そこの乖離というのが出てくるんですね。金額は抑えなければいけない、しかしながら、何度も言いますように、伊藤先生参考人の中で言われたように、審査会は厳しくなってくる、達成できないかもしれません。その辺の調整というか、その辺は最終的にどう決断するんですか、総裁総裁はどういうふうにお考えになられますか、その件については。
  141. 牧野徹

    牧野参考人 先生がおっしゃいますように、一義的にずばっと申し上げるのはなかなか難しいと思いますが、やはり、あの三千億は補正予算でたしか認められたわけでございますが、あの需要を考えれば、我々は、理事から申し上げたように、これをいいものを集めて早く達成していく。  ただ、ノルマと先生がおっしゃっているのは、もしかして、悪いものでもしゃにむに買っちゃって後でばばを引いたようなことにならぬかというもし御懸念であれば、伊藤先生もおっしゃいましたように、私どもはそういうものは厳しく排除しております。
  142. 吉田治

    吉田(治)委員 ぜひともその辺は、ある意味で慎重にお願いしたいのは、資料等見てみますと、私が言うまでもなく、もう十年、二十年、三十年も、俗に言う、買ってそのまま開発もされずに置いている土地というのがあるんですよね。これがまた十年、二十年たって、この国会の議論の中で、その三十年前のものが六十年前になっているわ、今回の三千億のものはやはり三十年前になっているわというんじゃ、この新公団、何のためにつくったのか。マスコミ報道的に言うと、公団による公的地上げ屋かというふうな、ああいう言い方、書き方がいいかどうかは別にしても、そういうふうにしか歴史的評価がなされない。  私は、総裁におかれては、そういうことのないようにぜひとも慎重にし、それがノルマにならないようにぜひともなっていただきたい、そういうふうに思うわけです。  あと、質問等いろいろ申し上げる中において、民間の俗に言う建設関係土地関係の方から、これは政府提案、私ども民主党案の中ではそういうふうな発想は全然ないんですけれども、民間の発想としてはやはり、木造住宅密集地域市街地の再整備、これはもう防災対策上、重要かつ対策が急がれる課題である、こういうことであるとか、また民間公団地方公共団体住宅供給公社の分譲集合住宅、要するにマンションの老朽化等の建てかえ等々、この辺について、俗に言う公的セクター、つまり新しい公団というもののコーディネーター役というふうな部分、官民のリスク分担というふうな部分で、ある意味で私は期待がなされていると思います。  その部分において、新公団において、先ほど最初の大臣の答弁の中で、副総裁は二人、これはノウハウ等々がいっぱいあるからねというふうな話をなさいました。このことについての、市街地開発事業等々を含めて、これから新公団はどういうふうに臨むのか、また、このノウハウというものは、具体的にどのような理由で、なおかつ平成九年の六月の整理合理化の中における民間事業者よりもまさっているというふうに言えるのか。この辺まとめていかがなんでしょうか。
  143. 那珂正

    那珂政府委員 幾つかの点を御指摘いただいたんですが、まず、新しい公団が新しい業務として取り込まなければいけない点で、第一に、市街地整備改善ということを言っております。その主たる対象は、今先生、先ほどの御質疑指摘されました大都市部での虫食い地の集約事業でございます。  もう一つは、今先生が御指摘になりました密集市街地整備改善について、公共団体と本当の意味の連携協力をして、これを本当に、二十一世紀初頭のうちに何とかめどをつけなければいけないというようなことだと思います。  そういう意味で、その二つのことは、繰り返しで恐縮ですけれども、民間企業だけではどうしたってうまくいかない、また公共団体だけでもやはり応援が必要だ、財政的な支援も含めまして。そういう意味で、こういう新しい業務をそちらに重点化して進めていくというふうなこととしているわけでございます。
  144. 吉田治

    吉田(治)委員 私、事前にそういう質問をするというふうにペーパーを出しているじゃない。ここにちゃんと書いているじゃない、マンションの老朽化と建てかえ、土地流動化策、ノウハウと。  先ほど質問申し上げたように、平成九年の六月の閣議決定民間にゆだねるというものを、民間にゆだねずに新公団としてやりたいというわけでしょう。私ども民主党案はそうじゃないよと。では、新公団として、そのノウハウって何なの、民間より自分のところがまさっているものはこれだよと。先ほど大臣の答弁の中にも、副総裁をなぜ二人置くのと言ったら、いや、多岐にわたってノウハウがいろいろあってこうだからと。では、それは何なんですかと聞いているんです。それを答えられないってどういうことなんですか、これは。委員会審議というものを、公団はそういうふうにしか対応しないということなんですか。  委員長、こんなものだったら、私は質問これ以上できないですよ。
  145. 平田米男

    平田委員長 島崎参考人。(吉田(治)委員「しかも、うちの秘書が細かいのまで書いて送っているんだ、建設省に」と呼ぶ)委員長の許可を得て発言してください。
  146. 島崎勉

    島崎参考人 ただいま、具体的な分譲住宅建てかえの件でございますが、民間の老朽した分譲住宅、非常にたくさんございます。一説には三千三百万戸一千万人が住んでいるというふうに言われておりまして、これらの老朽した分譲住宅というのは今後建てかえについては相当重要な問題になってくるというふうに考えております。  これにつきましては、基本的には、入居されている方々がやはりどうされるかということが非常に基本になっていると思います。しかしながら、相当多数の方が住んでいらっしゃいますので、それらの権利関係の調整というものは非常に重要になってきていると思います。その権利関係の調整というのを、いろいろな意味で民間方々も含めて、現在古い分譲住宅建てかえというのは実績があるわけでございますが、公団といたしましては、管理組合の所有者の方々、こういう方々から建てかえに関するいろいろな御相談とか要請があった場合にどのような建てかえを進めていくべきかの検討についてお手伝いをする、こういう立場にあるというふうに思います。  その意味で、我々といたしましては、今までいろいろな具体的な建てかえの経験もございますので、いろいろなコーディネーターなり御相談に乗っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  147. 吉田治

    吉田(治)委員 だから、そういう答弁をなさるから、権利関係の調整だとか管理組合が云々と言われるから、公的地上げ屋じゃないかとマスコミに書かれるんじゃないですか、このことについては。  私は、そういうふうな答弁というのはちょっと信じられないし、これについては改めて私、後ほどで結構です、ちゃんとした御答弁をいただきたい、あとちょっと質問したいこともありますので。それで委員長よろしゅうございますね。
  148. 平田米男

    平田委員長 どうぞ、先に進めてください。
  149. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうことでございます。  最後になりましたけれども、ぜひとも私は、子会社、関連会社等の件について、もうこれは何度も言い古されて、まさに住都公団また道路公団、そしてきょうはいよいよ郵政省の、ガソリン代まで上前をはねるようなのを官僚のOBの会社がやっているというふうな新聞報道、しかも、余談になるかもしれませんけれども、郵政省のその会社は、一九九一年、行革の議論がなされている真っただ中にそういうふうな会社をつくって一割もガソリン代をはねた。これと本日の議論と同一視することはできませんが、しかしながら、私が実際団地に住んでおって、これは公団の担当の方に私は今から数カ月前問い合わせをして結果をいただいて、その後の話を申し上げた。それについて、総裁初め皆さん方はどうお考えで、子会社というのをどういうふうにするのか。  私どもの団地の中、駐車場は日本総合住宅ですか、JSが管理をされております。私どもの団地でこういううわさがあります。駐車場、団地から出ていった人がそのまま借り切りになっている。又貸しというものが行われている。それはなぜかというと、駐車場はJSがやり、公団はそれに一切関知していないから、横の連絡がない。私は、それを公団の担当者に聞きました、どうなんだと。そういうことは決してありませんと見えを切って言われた。今から二カ月前、私の家の家内にある方が、吉田さん、実は私、今度公団を出ることになったんや、私の借りている駐車場は昔住んではった人がそのまま借りている駐車場やけど、あんたのところ借りひんと私に言ってまいりました。  子会社がこれだけ利益を生んでいる。しかし、住都公団は十四兆の借入残高をそのまま新公団に持っていくんでしょう。そういうふうなところが、子会社が利益を生んでいる。これから随意はやめて競争にしますよといった中において、そういうことが問い合わせてもないと。しかしながら、現実にある。これが子会社の現実じゃないですか。公団は出資だけして、まあ勝手にしなさいと。どういうふうになっているんですか、これは。子会社の管理、特に駐車場の管理。  私はもう一つ質問しました。これはここに書いていますよね、都心にこれから居住者のための賃貸住宅をつくっていくと。都心だからと駐車場をふやさないというんですね、つくれないと。では、私たち住民からすると、その一画に大々的にJSが自分のところの駐車場を借りて、それはいろいろな契約はあるんでしょう、なおかつ立体駐車場までして使っている。いろいろ資料を見てみますと、賃貸料は三千円から四千何ぼにしたと。近郷近在の民間の駐車場が何万円もする中で、JSだけはそういうふうな形で何台も占有をし、住民の駐車場に対するさらなる要望を無視して、いや失礼、無視じゃないな、正当な行為かもしれない、そういうふうになさっているのが子会社じゃないですか。一事が万事そうじゃないですか。  そういうふうな子会社のあり方を新公団になってもそのまま続けていくんですか。総裁、どうなんですか。こういうふうなことを聞いて、総裁、はっきり言って、私先ほど関西支社長を見たことがない、大阪営業所長を見たことがないと言いました。別に見る必要はないです。では、支社長なり営業所長なり、また総裁みずからそういうふうなところに、おつきを連れるんじゃなくて、どうなんだと行かれたことがあるのか、住民の話をひざを交えて聞いたことがあるのか、これからそのつもりがあるのか。どうなんですか、総裁
  150. 牧野徹

    牧野参考人 先生の今御指摘なさいました具体的な事実については、残念ながら私は存じ上げませんが、いずれにしても、基本原則として、私どもの出資した子会社なり関連会社で、不正、不当なことは許さないつもりでございます。よろしくお願いいたします。
  151. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、許さないつもりだということは、これから許さないようにしてもらいたい。  きょう、団地の方がたくさんおいでだと思いますけれども、一住民からしても、おかしいこと、山ほどあるのですね。例えば、先ほどの高齢化のところで私は申し上げたかった。ペットはだめだと公団は決まっていますね。私は、高齢化社会になってきたら、お年寄りの中には、子供がいなくて寂しかったら、やはりペットも飼っていいよということもしなければいけない。  先ほど、なぜ総裁に現場を回ったことがあるかと聞いたら、私どもの団地に、ペット飼育禁止、住宅都市整備公団関西支社とぺたっと張った途端、その日の晩全部破られて、ないのですよ。住民感情からしたら、ふざけるなと。みんな野放しで飼っているじゃないかと。私は、禁止しろとは決して言いません。一人一人やれとは言いません。しかしながら、それであるならば、ではペットを飼ってもいい、そのかわりにこれとこれとを守ってくださいよ、高齢化社会だからと。  そういうふうな柔軟な頭というのは住都公団に必要だし、新公団になったらますますそういう発想を持たない限りは、何度この建設委員会で、国会で、新しい公団になりました、新しい公団になりました——私は、すぐ横の町で生まれ育ちました。森之宮団地、第一団地ができたときに、ああ、すごいなと。団地族という言葉がありました。あんなところへ住んでみたいなというふうに思う、やはりそういうふうな公団、新しい新公団というものにしなければならないと私は思いますけれども、総裁もう一遍、その辺どうなんですか。
  152. 牧野徹

    牧野参考人 確かに、七十三万戸になんなんとする住宅で、ペットがほとんどのところで、しかるべき理由があって禁止になっておるというふうに私も理解しております。ただ、先生おっしゃいますように、私ももう間もなく六十五でございますから、私はペットを飼っておりませんが、周りを見ますと、私も賃貸住宅ですから、いろいろ仲よく暮らしておられる例もあります。  そこで、今先生のおっしゃっているのは、そういうことも今後はとり得るような柔軟な発想で管理に当たれという御教示と受けとめて、検討をさせていただきたいと思います。
  153. 吉田治

    吉田(治)委員 時間ですので、あと一問だけ。  その辺を、柔軟な、管理するという発想だけじゃなくて、やはり柔軟性というふうなものもぜひとも持っていただきたいです。  最後に一問。では、新公団になって、この十四兆円の借入金というのは、これはどういうふうな形で返していくのですか。  特殊法人、先ほど申し上げました、郵政の話も申し上げました、道路公団の話もちらっと言いかけましたけれども、何か役所は一府十二省庁になるけれども、どうも特殊法人だけは借入金で借金だけが残って、その下の子会社、関連会社というのは黒字でわははというふうになるのではないかという気もしておるのですけれども、この借入金というものをどういうふうにふやすのか、減らすのか。また、どういう形で、出資金ということもあるでしょうけれども、かえていくのか。新公団に臨む姿勢というのはいかがなんですか。
  154. 平岡哲也

    平岡参考人 公団は、長期の借入金によりまして長期にわたる事業を行うという仕組みになっておりまして、借入金及び支払い利息は、事業の進展とともに増加をする性格を持っております。  この借入金につきましては、これに見合う住宅などの資産を保有しております。四十四年の年月を公団は経ておるわけでございますが、その間、借り入れたり返済をしたりというようなことを繰り返しております。その結果、九年度末の借入金残高は十四兆一千億円、これに対しまして、事業資産は十五兆七千億円ということになっております。貸借対照表で明らかになっておるわけでございます。このような借入金の返済及び利払いにつきましては、家賃、分譲代金などの事業収入によりまして確実に行う仕組みができておるということで、収支相償う事業運営をしてまいっております。  新公団におきましても、住都公団の資産を引き継ぎまして、同様に収支相償う経営を行うこととしておりまして、健全な経営が確保できるものと考えておるわけでございます。与えられた使命を誠実に遂行してまいりたいと考えております。
  155. 吉田治

    吉田(治)委員 時間ですので、一言だけ。ちょっと、とまっておいて。  では、市場家賃主義になっても、それは堅持できるということなんですね、理事。  それから大臣、やはりこういうふうないろいろな問題、大臣がリーダーシップをとらなければいけないと思うので、一言だけ、最後、決意のほどをお願い申し上げておきます。
  156. 平岡哲也

    平岡参考人 そのとおりでございます。
  157. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今報告がありましたように、バランスシートもあるわけですから、そして、今後その市場家賃に近いもので行うということですから、それでも、どういうことができるということは、きちっと数値的に今後出させていきますから、なかなか、きょうは田中慶秋先生初め皆さんにきついことを言われるものですから、ちょっとびびっておりますけれども、きちっとやらせますので、よろしく。
  158. 吉田治

    吉田(治)委員 問題点については、私、予算委員ですので、予算委員会でまたじっくりと対応させていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  159. 平田米男

  160. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。  きょうは、いつもダンディーな建設大臣質問をさせていただけるということで、大変に光栄に思っております。委員長もダンディーですけれども。  今回の、住都公団の解散をいたしまして、新たに都市基盤整備公団を設立するという政府提出のこの法案でございますが、行政改革の一環であります特殊法人整理合理化という方針に基づいたものなのでありましょう。  これは、前回平成八年の総選挙、当時橋本総理が、火の玉になってやるというふうに公約をされていらっしゃった行政改革の中の特殊法人整理合理化というのは、大きな目玉の一つであるというふうに思うわけでございます。  政府が一丸となってお取り組みになられて、国民の皆様方に、よくやったとおっしゃっていただけるような成果を上げていかなければならないというふうに思うわけでございますが、この政府提出都市基盤整備公団法について、大臣、これは本当によくできた法案だと胸を張って言えるか、評価をまずお聞かせをいただきたい。
  161. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の新公団の設立でございますが、先生指摘のように、一言で言いますれば、とにもかくにも民間でできるものは民間にゆだねていくということが基本にあるわけでございまして、今後、いわゆる住宅の管理を主体にしていく、あるいは未整地のところを整理をやっていく等々行うわけでございます。そういうようなことでございまして、都市基盤整備公団業務の重点化と執行体制の効率化、合理化というものも打ち出しておるわけでございまして、新公団になって、すべてがすべて時代の流れを的確に把握したものであるとは言いがたいかもしれませんけれども、私は、現在の社会の変革に対応した一つ公団の流れであるとは考えておるわけでございまして、九項目ばかりありますけれども、例えば先ほど出ておりましたが、理事定数の十四人以内から十人以内への削減を行うとか、あるいは分譲住宅業務については、これは基本でございますが、再開発等に係るものを除き撤退をして民間の方にお願いをするというようなこともございます。  あるいは、職員定数につきましては平成十一年度末の定員を二十名削減し、その後も、平成九年十二月の特殊法人全般の整理合理化に関する閣議決定で、十年間に一〇%の計画的な定員削減を行うとか、あるいは部課を、課でございますが、一部七課を減ずる予定にしているとか、そういうようなことで、リストラの観点からも進んでおると思うわけでございます。  ですから、私は、そういうような基本的な状態のもとで、るる午前中そしてまた先ほどの午後の先生方からの御指摘の問題をしっかりと対処していく。いわゆる近住の家賃にならして家賃を設定するというようなことになりますれば、それはそのまま言葉を聞けば、当然これは値上がりだろうというふうに、感覚になるわけです。ですが、そこはやはりいろいろと高齢者対策であるとか、あるいは身体障害者の方であるとか、あるいは子育ての年次の方であるとか、あるいはまた多家族方々に対するいわゆる補助あるいは減額等々も行うというようなことをこの委員会で、ですから本当に真剣に、この委員会の委員先生方の御意見は一生懸命私は聞いておるつもりでございます。ですから、この委員会で論議されたものが、法律の文言が変えることができないというのであるならば、もうはっきりと附帯決議にそれをしていただいて、それを対処をしていきたい。  サンセット方式云々というのが出ておりますが、これは、ですから、先ほども言いましたように、金曜日の審議も通して皆様の御意見がそれでいいと、私はただ、住民方々がそういう今の条件、いい条件もたくさんありますから、そのいい条件がまた見直されるというと不安な状態になるのではないかというようなこともあって、今その法律の中には入れておりませんけれども、そういうようなことを凌駕してサンセット方式でいいということになれば、私は、附帯決議にきちっと入れていただいて、その方向で進めていくということもいいことだろうと思います。  それを、例えば十年にするのか何年にするのかということもまたこの委員会で論議をし合うということが私は重要だろうと思っておりますので、どうぞ、各般にわたります御意見をいただきたいと思っております。
  162. 川内博史

    川内委員 今大臣から御答弁をいただいたわけでありますが、消費者、消費者というか住民皆様方が一番御興味がおありになる家賃が今後どうなっていくのかということに関して、大臣の答弁が後段での御説明にあったわけですね。  前段では、民間がやれるものは民間がやれるようにしますとか、あるいは理事とか職員の数も減らしますとか、組織もスリムにしますということが来たわけですが、住民方々にとって、あるいは消費者の方々にとって、あるいは国民の方々にとって、特殊法人がやる事業であろうが一般の事業会社でやる事業であろうが、どっちでもいいと思うんですよ。実は、一般の消費者の方々にとって、あるいは住民方々にとって、国民の方々にとって一番大事なのは、住宅でいえば、良質な住宅を安く借りられることをやってくれるところが、いい会社なりいい公団なりいい法人だという判断になると思うんですね。  したがって、今の大臣の御答弁は事務当局の方々が一生懸命にお考えになられて、そこに大臣のお考えもお加えになられて御答弁をされたと思うんですけれども、私は、最も先に来るべきは、私たちは良質の住宅を安い家賃提供するためにこういう改革をするんです、そちらの方が先に答弁として来るのが正確な、正確なというか本当に国民の皆様方にとっての答弁ではないかなというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょうか、私の考えについて。
  163. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 したがいまして、地方公共団体であるとか民間事業者によってそういうようなことが実施できるものでありますれば、何ら新公団が行う必要はありません。
  164. 川内博史

    川内委員 若干ちょっと、私が申し上げたことと視点が違うのかなという気もするんですが、私が申し上げたのは、私たちが最も考えていかなければならないことというのは、公団の組織をスリム化しましたとか、あるいは職員を何人減らしましたということをまず言うのではなくて、国民の皆様方に対して、住民皆様方に対してあらゆる工夫を凝らして良質な賃貸住宅を安く提供をいたします、そのための工夫としてこういう工夫がございます、そのために新公団をつくりますという考え方の組み立て方をしていくべきではないのかな。  なぜこういうことを申し上げるかというと、行政改革時代の流れ、流行みたいになっているから、とりあえず住都公団都市基盤整備公団というふうに名前を変えて行政改革の流れに沿うようにしましょうと。そのために、とりあえず理事を、定年する人もいるから、総裁も六十五歳だし、そろそろ定年だし、総裁も一人減るから、補充しなければいいわけですから、減っていくわけですから、自然退職もいるし、十年で五百人ぐらいは減るでしょうと。とりあえず形だけはつくからあとは大目に見てよというような感じでは、私は本当に住民皆様方に喜んでいただける新公団にはとてもなり得ないだろうと。  最も大事なのは、やはり根本にある、公団で働いていらっしゃる皆様方の気持ちというか哲学だと思うんですね。とりあえず行政改革の流れに沿ったことをやりましょうと考えるのか、それとも、本当に良質ないい住宅を、日本住宅産業を、賃貸住宅とかあるいはマンションをリードしてきたのは紛れもなく公団だと思うんですよ。住宅都市整備公団が、ダイニングキッチンとかリビングとかそういう片仮名の言葉を流行させたわけですからね。そういう、もう一度トレンドリーダーになれるような公団にしていくんだというような強い決意が本当におありになるのかどうか。  私は、大臣の答弁を聞いていると、とりあえず行政改革が流行だからそれに合わせて改革をしましたというような感じにしか聞こえないんですけれども、総裁、その辺いかがですか。
  165. 牧野徹

    牧野参考人 私どもは現業を預からせていただいておりますが、私どもの職員数は現在四千八百七十六人おります。このほとんど恐らく全員が、ただいま先生の御指摘のように、新しい公団に生まれ変わってぜひ仕事をやっていこう、その仕事は、第一条の目的の中に全く対等に、都市基盤整備としてという中に二つあって、一つ市街地整備改善と、もう一つ賃貸住宅供給管理、従来の公団法にはなかった賃貸住宅供給管理というものも明瞭に書かれたわけでございますから、この二つをしっかりやっていこうと覚悟を決めておる次第でございます。
  166. 川内博史

    川内委員 ぜひ、その辺の意識というものが仕事を進めていく上では最も大事なことになろうかと思いますので、総裁みずからが頑張っていただいて、職員の皆様方にそういう意識を隅々まで浸透させていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。  ただ、この新公団法を私ども民主党が提出させていただいた法案と見比べてみると、今まで私が申し上げたことの観点から見ても、住都公団賃貸住宅の維持管理というものに特化して住民皆様方に喜ばれる公団になっていくということの方が、本当の意味でその行政改革の精神を具体化したものにつながるのではないかなというふうに考えているわけです。  そこで、民主党の法案について提案者の石井紘基議員にもお尋ねをいたしたいわけでございます。  一つ、今まで建設大臣やあるいは総裁が御答弁をされた内容でいうと、都市公園の建設とか設計、工事の監督管理まで公団業務に入っているわけですけれども、民間でやれるものは民間でやれるようにしましたという大臣の御答弁があったわけですけれども、しかし、公園の設計とか監督管理まで新公団業務としてなぜ行わなければならないのかな、民間ではできないのかなということを思うんですけれども、いかがでしょうか。
  167. 山本正堯

    山本(正)政府委員 今先生お尋ねの、公団業務に公園に関する業務が入っておる、従来も、今やっておるわけでございます。国営公園における有料施設の設置、管理、それと地方公共団体の委託に基づきます大規模な根幹的な都市公園の建設、設計、工事の管理監督というようなものを公団が今現在やっておる、この業務について新公団も引き続きやっていきたい、こういうことでございます。  この二つ、例えば国営公園の有料施設の設置、管理の業務につきましては、国みずからが行う国営公園でございます。この国営公園事業の一環として行う効率的な事業推進、国の事業の一環としてやるということ、あるいは有料公園施設については、やはり大きな公園であり大きな施設でございますので、一定の技術とかノウハウ等々を有することが必要であるというようなことがあろうかと思います。また、都市公園の中でも根幹的な都市公園について公共団体の委託を受けてやる、こういうことでございます。  こういうことにつきましては、地方公共団体によりましては大小、大変いろいろ、さまざまな地方公共団体がございます。根幹的な都市公園でございますので、大変大きな公園について一定の高度な技術が必要であり、また、一時的には技術者を確保しておかなきゃいかぬ、小さい地方公共団体ではその執行体制整備がなかなか難しいといったような点もございます。  こういうような点から、引き続き新公団におきましても、公園の事業の中で、国営公園の中の有料事業、有料施設、あるいは公共団体が行っております中でも根幹的な公園についての受託という格好で、新公団に引き続き公園事業をやらせていきたいというふうに考えておるところでございます。
  168. 川内博史

    川内委員 なぜ民間にそういう仕事をやらせないのかなと、今の御説明ではちょっとわからないんですが。  そうすると、要するに新公団分譲住宅の販売以外は、大体おおむねすべての業務を引き続き継続してやるというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  169. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりでございます。
  170. 川内博史

    川内委員 今、分譲住宅の販売以外はおおむねすべての事業を引き継いでやるということですけれども、これでは、民間ができるものは民間に任せますという当初の大臣の答弁と全く大きく矛盾をするのではないかなというふうに思うのです。  では、逆な言い方をすれば、逆もまた真なりかどうかわかりませんよ、だけれども、では民間は、民間の不動産会社とかあるいは民間のディベロッパーとかあるいは民間の会社というのは、分譲住宅の販売しかできないというふうに考えていらっしゃるのか。
  171. 那珂正

    那珂政府委員 舌足らずでございました。失礼しました。  まず今のお尋ねでございますが、民間事業者がいわゆる都市開発住宅建設等について、分譲住宅しかできないのか、こういうお尋ねでございますけれども、そんなふうに考えているわけでは全くございません。  それは、これまでもそうでありましたけれども、また先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、いろいろな敷地民間の創意工夫を生かして都市活動としていろいろなものが建築されるというのはまさに民間の活動でございますので、公団に関しては、分譲住宅以外は引き続きやると申し上げたのは舌足らずでございましたけれども、業務の種類としてはおおむねそういうふうに引き続きやるものもありますけれども、その業務の進め方、ねらいとしては、例えば、今まではどちらかというと民間民間公団公団公共団体は、まあ公共団体とは比較的よく連絡してきました、比較的一線を画してあるいは競争してやってきたんですけれども、今後は民間でできることは、つまりさっき申し上げましたけれども、一定敷地にちゃんと住宅なりいろいろな施設なりを建てて、あるいは貸したりそういういわゆる不動産業と言われる分野民間の得意な分野でありますので、そういうことは民間になるべくやってもらえるように後押しをするというのが新しい公団の主たるねらいだと。  賃貸住宅につきましても、民間でできない分野、現実に民間賃貸住宅というのはあります、ありますが、これは先ほど来議論されておりますように、非常に規模の小さいいわゆるワンルーム賃貸マンションと総称されるものか、あるいはもう非常に高い、一等地に建っているような物すごい高い賃貸マンションか、そういうふうに分化しておりまして、規模的に言えば真ん中の部分が足りない。そういうものこそ公団がやらなければいけない賃貸住宅だと。  賃貸住宅を今後も引き続き供給いたしますけれども、そのねらいは、今までと違って、従来民間だけあるいは公共団体だけではやはり対応し切れなかった部分に重点を置いてやるんだという姿勢、ねらいというのを御理解いただきたいと思います。
  172. 川内博史

    川内委員 その姿勢は、長々と御答弁をいただきましたが、理解をお願いしますと言われても、理解したくないというか理解できないというか、大臣は当初、私の最初の質問に対して、民間ができるものは民間ができるようにしましたというふうにこの法律について答弁をされたわけですね。ところが、今局長さんは、分譲住宅の販売以外は今までの公団業務をすべてやりますというふうにおっしゃられた。では、民間ができることというのは分譲住宅の販売以外にはないというのは、これは理論的にはそうなるんじゃないんですか。  それは違いますと。では、それは違うんだったらば、民間がやれる部分というのはどこなのか、民間がやれると考えていらっしゃる分野はどういう分野なのか。その業務の切り分けというのをはっきりしていただかないと、ちょっと納得いかないですね。
  173. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 逆の方から答弁させていただきますれば、いわゆる広域性、専門性から、地方公共団体であるとかあるいは民間対応するには大変難しい問題、あるいはまた民間事業者にとって複雑で、長期の事業対応が困難なものもこの新しい公団がやるということであって、何も住宅以外はだめというふうには私は理解いたしておりません。  それから、先ほど先生の御質問で、これは行革の方向に重きを置いて、そういうふうに動いているじゃないか。  確かに、これはその関連から出てきた、一つの新しい公団をつくるという流れではあるわけでございますが、ただ、どう言いましょうか、近住の家賃設定をして行うということで、また、これからは生活空間倍増戦略の考え方にのっとりましていい住宅をつくっていくということにも、もちろんのことこれは努力をするわけでございますから、それはぜひ御理解をいただきたいと思います。  行革は行革でやる、それからいいことはいいことで、先生、何もかも一度にできるものではないのですから、どちらかに比重を置いた動きでやっていく。それからまた徐々に、どう言いましょうか、住民皆様方の要望に応じて対処をしていくということでなければ、最初から、法律をつくったときにすべてがすべて一〇〇%のものというのは、なかなかしづらいのではないでしょうか。  ですから、民間の方がそういうことをやっていけることになりますその一つの流れとして、この委員会でもいずれ議員提案で出てまいりますが、PFIというのがございましょう。公共事業にも民間業者も入ってくる。それにも関連しますから、そういうことと両々相まって、ですから、何も住宅だけということではございません。民間方々が対処することができるのは、どうぞやっていただいていいと思っております。
  174. 川内博史

    川内委員 今、大臣から直接に御答弁をいただいたわけですけれども、大臣は今、図らずも、一〇〇%の法案というのはなかなか難しいんじゃないでしょうかということをおっしゃられました。民間ができるものはどんどんやっていただいて構わないということもおっしゃられました。私も、全くそのとおりだと思います。  したがって、私は、新公団が、いろいろな業務があります、こういういろいろな業務を新公団としてやらせていただきたいので網羅しましたというのが正直な言い方で、民間にやらせられる部分は民間に任せるようにしましたとか、そういう欺瞞というか、いかにも行政改革の趣旨に沿った改革をしましたよということは、私は、これは国民を欺く言葉ではないかというふうに思うのですよ。  だから、この法律で盛んに、説明のいろいろな資料にも、民間でできる部分は民間に任せという文言が出てきますけれども、これは削除していただいた方がいいと思うのです、正しくないですから。どうですか。
  175. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど来大臣からも答弁させていただいておりますように、今回の新公団業務方針といいますか、骨格のまさに基本は、今先生が削除しろとおっしゃった、民間にゆだねられるべきものはゆだねていくという基本姿勢があったればこそ、今回の新公団法業務の骨格となった。繰り返しで恐縮でございますけれども、申し上げさせていただきますと、例えば分譲住宅の撤退というのは、その端的なあらわれでございます。  そういうことでありまして、そういう趣旨から、経緯から申しましても、削除ということは御勘弁いただきたいと思います。
  176. 川内博史

    川内委員 いや、すごく御答弁が矛盾していらっしゃると思うのですよ。  民間でできるものを民間でしていただけるようにするのが精神、この新公団をつくるに当たっての柱であるとおっしゃる。では、民間ができる部分というのは分譲住宅の販売だけなんですかとお聞きすると、いや、そうではないとおっしゃる。いろいろなことを民間の方にもやっていただきたいんだとおっしゃる。しかし、新公団が旧公団から引き継ぐ業務の中で、削除されているのは分譲住宅の販売だけですよね。分譲住宅の販売以外はすべてやるとおっしゃったのですから。  そうすると、民間ができるものは民間にお任せするようにしましたというのは、分譲住宅の販売だけですね。(発言する者あり)遊びじゃないですよ。言葉は一番大事じゃないですか。政治家が言葉をばかにしたなら、何をするのですか。  しっかりお答えいただきたいのです。しっかりお答えいただきたい。この言葉について、民間ができるものは民間でできるようにしましたという言葉は、それは正確ではないですね。いかがですか。
  177. 那珂正

    那珂政府委員 再三お答え申し上げておりますように、民間の活動についてどんどん、従来から民間がやっていることをこれからももっと広げて、民間活動をむしろ積極的に誘導するぐらいの、そういうことが今必要な時期だと思っているわけです。  住都公団については、確かに先ほども申し上げましたように、業務の種類としては引き継ぐことになりますが、同じような種類の業務はしますけれども、具体内容で、同じ賃貸住宅といっても、同じ敷地整備といっても、そのやり方を、民間事業をむしろ誘導する、支援するというような方向のやり方に転換するというのが今回の骨格だ、こう申し上げているところでございます。  しつこいようですけれども、民間分譲住宅以外のものをやらないということを前提にしているなんということは、全くございません。
  178. 川内博史

    川内委員 それだったら、なぜ、法律の中に民間ができるものもやりますというふうに書き込むのか、それがちょっとよくわからないのですけれども。  その辺がやはり、最初に申し上げている哲学の部分ですね、行政改革時代の流れだから、とりあえずそれに沿ったことをしましょうと考えるのか、本当に国民の皆様方のためにとって必要な公団に生まれ変わろうとするのか、その哲学の差だと思いますよ。
  179. 那珂正

    那珂政府委員 新公団法の第一条「目的」のところに、新しい公団は「地方公共団体民間事業者等との協力及び役割分担の下に、」ということをきちっと明記しておりまして、この目的を達成するためにいろいろな業務の規定がございますが、その中でも、例えば二十九条で公団業務を執行する際の基本方針建設大臣が定めることになっておりまして、この基本方針の中でもそのようなことをきちっと明記していきたいと思います。
  180. 川内博史

    川内委員 ぜひ、民間の皆さん方に元気を出していただけるような公団であっていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。  ちょっと時間がないものですから次に行かないと、いっぱい質問が、まだ二十個ぐらい残っているものですから、済みません。  次に、石井民主党の案の提出者にお尋ねをしたいと思います。  今回の民主党案では、賃貸住宅に関しても建てかえを除けば一切つくらない、つまり、賃貸住宅供給民間でできるから民間に任せるという原則が明確に打ち出されているわけでございまして、しかしながら、政府案では、新しい公団分譲住宅からは撤退するけれども、賃貸住宅に関しては引き続き建設を続けていくということです。  これは、良質な賃貸住宅、特にファミリー世帯向けの広いアパートが我が国に非常に不足しているから国による供給が必要だという理由だと思うんですけれども、確かに、これまでの公団による良質な賃貸住宅供給という成果は評価されるべきであると思いますけれども、最近では都心部でも徐々にファミリー向けのアパートの供給はふえつつあるわけですし、また消費者が望めばそれを提供するというのが資本主義の原理というか、大体そのようなふうになっていくわけでしょうから、私は、政治がやることというのは、そのようなアパート建設に対する住宅金融を充実させることとか、あるいは税制面での優遇措置、これはいろいろ措置されていますけれども、そういう民間をサポートするいろいろな方法を政治が考えていくということが大事なことで、そのアパート建設そのものを、住宅建設そのものをわざわざもうやる必要はないのではないかというふうに考えるんですが、まず建設大臣に、なぜそのアパート、賃貸住宅はつくり続けるのかということをお尋ねをし、その後に、石井議員に、民主党案ではその建てかえのみに限ったという理由についてお尋ねをしたいと思います。
  181. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今の質問は前段の質問にもいささか関係する問題であろうと思うわけでございますが、新公団大都市地域における市街地整備改善とか賃貸住宅供給管理など長期的な事業主体として行うわけでございまして、特に、新公団がそういうようなことでやっていきますという理由づけは資金面が大きなものだろうと思うわけでございまして、事業資金について長期的そして安定的に大量の低利の資金の調達が公団としてできるというメリットがあると私は思うんです。  民間事業者も、もちろん大企業であればそれだけのものは借りられるわけでございましょうが、公団ほどの大量の低利の資金の調達ということは難しい。ましてや、またいろいろな角度からの予算的な援助あるいは制度的な援助もできるわけでございますから、そういうようなことで、資金の調達の一般企業に比べてのその力強さといいましょうか、そういうことでひとつ御理解をいただきたいと私は思っております。
  182. 石井紘基

    ○石井(紘)議員 川内委員の御説は大変ごもっともでございまして、といいますのは、公団というものが民間事業を次々に奪っているという状況、ただ一住都公団だけのことを見てみますと、それは、住宅というのはある意味で公的に必要な部分も大いにある、そういう意味で、ここに、この一つの問題だけにずっと集中して考えてみれば、この公団のやっていることもすべてがすべて悪いというものではないということになるわけですが、もう少し私は巨視的に、日本の国全体という視点から、まさに川内議員が言われた哲学といいますか、そうしたものをこの際振り返って、そうした視点からやはり考えてみる必要があるんじゃないかと思っております。  例えば、住都公団事業規模というものは、住宅あるいは宅地の建設販売事業日本トータルの中の、大体比較してみますと、民間大手十社分ぐらいの事業をやっちゃっているわけですね。しかし、行政がそういうビジネスをやるということは、行政ですから、これはいわゆる価値の再生産といいますか、経済の波及効果というものは出てこないわけですね。  ちなみに、住宅金融公庫なんかもこれは膨大な事業規模をやっております。国が銀行事業をやっている量は、日本じゅうのすべての民間銀行を、都市銀行から地方銀行から信用金庫から、すべてを合わせた規模の金融融資事業を国がやっているわけでありまして、これで民間の銀行が成り立つわけはないわけですね。  事ほどさように、年金福祉においても、ことごとくそうした特殊法人については共通してそういうことが言えるわけです。ましてや、その子会社、孫会社、ファミリー企業をだっと持って、そういうところに、先ほどの吉田議員のお話にもありましたように、その仕事を全部丸投げ的に流していくわけですから、これは価値の再生産、新たな価値というものが生まれるわけはないわけですね。  ですから、そういう中で、私は、先ほどから答弁の方を聞いておりますと、何かどうも資本主義国、自由主義国の国会なのか、あるいは、私は昔ちょっと社会主義国にいたことがございますが、社会主義国の答弁、やりとりだという気がしてならないわけです。  住宅建設なんかにしても、戦後の、これからさあ経済復興だ、そして高度成長をなし遂げなきゃいかぬ、ヨーロッパに追いつけ追い越せという時代には、ある程度一気に集中的に都市に人口が必要だった、労働力が必要だった。そういう中で、一つ、粗製乱造かどうか知らないけれども、まあとにかく住宅が必要だということでやってきた。そういう場合は、これはマレーシアでもインドネシアでも発展途上国では、あるいは社会主義国も発展途上の国が多かったですから、資本主義の未成熟の国が多かったですから、やはりそういう形で国家がやったわけですね。ところが、一定経済水準になった、達成した場合には、これは国がやっていますと、ソ連のように崩壊に向かっていくわけですよ。だから、そうではなくて、基本的にはやはりこれは民間にやらせなきゃいけない。  おっしゃるように、国のやることは制度や政策面でもって民間が独自でできる。今、公団がやろうとしていることは、抱えてやって、その部分、部分を民間に分けてあげますよというやり方なんです。抱えてあげるんじゃなくて、民間が自分でおやりなさいと。そのかわり、都市計画やあるいはさまざまな立法上の措置が必要であればそういうことは国がやりますよ、こういうことでやっていかないと切りがない。切りなく社会主義に近づいて、社会主義がいい悪いは別でございますが、いいという方もいらっしゃると思うんですが、それは別でございますが、やっていく。  ですから、公団が今やっていることは、民間ができることは民間にやらせると言っているのは違うじゃないかと、今、川内委員はおっしゃった。そのとおりでありまして、例えば、愛知県あたりでも、まあ愛知県だけじゃありませんが、学校を公団が受けてつくる、それを丸投げする、あるいはその今の公園事業に関連して、さまざまな体育館だとかそういう施設を受けて丸投げする、しかも、その丸投げ先は自分のところの子会社ですね。そういうようなことをやっていて、裁判で今訴えられているケースも愛知県ではあります。  あるいは病院をつくっている。病院なんかも、何で公団が病院を建てられるんだろうというふうに普通は思われるんですが、これは公園事業の一環とか、何かいろいろ請負することができるというような規定か何かがどこかにございまして、何でも受けられるということになっておりまして、まさに公団というものは民間経済活動を根絶やしにしているうちの一つの存在であるというふうに考えております。
  183. 川内博史

    川内委員 今、石井民主党案の提出者の方からいろいろと御説明がございました。いろいろな問題を抱えているんだということだと思うんですけれども、そこで、私、次に公団の財務内容に関してお伺いをしたいと思うんです。  先ほど、国民の皆様方にとって新公団が喜ばれるような公団にすべきだ、そのためのあらゆる工夫をしていくべきだということを申し上げたわけですけれども、この住都公団、新しくなる都市基盤整備公団、資金調達の手段がほとんど財投になっているわけですね。大体毎年一兆円から一兆円を若干超えるぐらいの金額を財投から借り入れをして資金を調達していらっしゃるようでございますが、私自身は、この財投で思い出すのは、国鉄の清算事業団がやはり財投で借金漬けにされて、金利が金利を呼ぶというような形で雪だるま式にふえていったということをどうしても思い出さざるを得ませんで、公団の資金調達手段の多様化、もちろん民間からも若干は借り入れをしているようでございますが、今現在、金融は大変なシステム化、グローバル化しておりますから、少しでも低利の資金を導入するようにすれば、資金運用の工夫をすれば、たとえ一%の金利差であっても年間百億ぐらいは節約されるわけですね。  この新公団法の五十一条に、資金計画は建設大臣の認可が必要というふうに書いてございますが、こういった資金調達手段の多様化について、大臣はお認めになられるお気持ちがおありになるか、またその工夫を大いにやるべしと思っていらっしゃるかどうかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  184. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私は国鉄の再建の委員長も務めたりいたしまして、いかにああいう利子に対する返済というのは本当にしっかりとした長期計画を持っていなければ大変だということを経験もいたしておりますが、それはそれといたしまして、確かにおっしゃいますように、この新公団も、いわゆる収支バランスというものは、午前中の質問の中にもございましたが、しっかりとしたものをつくっておかなければならない。まして、これからはやはり財投、財投という時代でもありません。ですから、逆に言えば、それだけこの新公団も運用は大変難しいと思います。民間の金融機関等々から、もちろんこれも借りなければなりませんから、そういう意味におきまして、私は、そういうバランスシートというものは徹底して当初から研究をさせていきたいと思っております。  したがいまして、借入先をどうするかというようなこともまた真剣に考えていかなければならないと思っております。
  185. 川内博史

    川内委員 公団の方にお尋ねをいたしますけれども、今大臣の方からいろいろ検討をすべきだという御答弁があったわけですが、実際に事業をお進めになっていらっしゃる公団として、今後資金調達手段というものを多様化していく、あるいは多様化させなければならない、少しでも低利の資金で調達ができるように、国民の皆さんから喜ばれるような法人にするためにもそういう工夫をしていくという御決意を聞かせていただきたいんですけれども。
  186. 平岡哲也

    平岡参考人 公団は、住宅宅地の大量供給から、より採算性の厳しい都市開発都市基盤整備事業にシフトをするということであります。したがいまして、資金調達の条件はより厳しいものになるだろうというふうに思います。  今先生指摘のように、私ども、付託をされました事業の円滑な実施に資するような資金調達をしていかなければならないというのが基本であろうと思います。そういう観点から申しますと、柱は財政投融資、長期の資金を安定的に、最近でございますと二%、あるいは昨年の秋には一・一%というような財投借り入れの時期もあったわけでございますが、柱とすることが中心であろうと考えておるわけでございます。  それと同時に、ただいま大臣の方からお話ございましたように、資金調達の多様化を進めることがやはり重要であろうと思っております。今はこういう低金利の時代でございますけれども、金融市場の動向あるいは資金ニーズの状況などを踏まえながら多様化の努力をしてまいりたいと考えております。
  187. 川内博史

    川内委員 ぜひ、少しでも低利の資金を導入して、財投も国民の皆様方からお預かりをしたお金ですから、それはなるべく使わずともしっかりと事業が運営できるような特殊法人になっていただきたいというふうに思っています。  ただ、長期安定的な資金が財投しかないという言い方は、私はそれは絶対間違いで、今これだけ金融の市場が発達しておりますから、長期安定的に資金を入れる方法なんていうのは幾らでもあるわけで、それが財投しかないなんていう言い方は全くもっておかしな話です。  もう一つおかしい点を指摘すれば、昨年の秋の補正で、塩漬けになっている土地を活性化させるために三千億措置されましたけれども、そのうち二千億が政府出資金で一千億が財投だというふうに聞いていますけれども、一千億財投を入れるということは、財投はそれこそまさしく三十年返済ですね、三十年後に返すお金ですから。そうすると、塩漬けになっている土地を買うのは、ここ四、五年ぐらいで何とか土地を整えて転売をするというのが目的ですから、そうしますと資金運用上もミスマッチですね。三十年の長さの資金調達をして五年でそれを転売するというのは、資金調達の考え方からしても全くおかしな話になりますから、だからこれについては答弁していただかなくていいですけれども、ぜひ、長期安定的な資金が財投しかないみたいな言い方をすることはもうやめていただきたいし、今、金融がこれだけ発達している状況の中で、よりさらに工夫を、これは言葉でなく本当にすべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。  それから最後に、子会社のことについて、先ほど吉田議員からもいろいろ出ておりましたが、私は、やはりこれも思うんですけれども、住都公団法の三十一条に、出資できるという、出資することもあるという条文があって、それに基づいて住都公団が出資をして株主になって、その子会社が利益を上げるというのは、株式会社というのは利益を上げるのが目的ですから、当然のことだと思うんですよ、逆に言えば。  しかし、当然のことを指摘されて、それはちょっとまずかったですねということで、わざわざきのう説明で、一枚紙の「JSの改革について」というペーパーを係の方が持っていらっしゃって、昔、利益が一番出たときは百十億ぐらい利益が出ましたけれども、最近は利益は二億しか出ておりませんと、利益が減ったことを自慢するわけですね。こんなおかしな会社は世の中にどこもないですよ。全くもっておかしなことを自慢する人たちだなということを感じました。  それで、結局、私がこの質問の冒頭で申し上げたとおり、利益が出ることをおかしいと指摘されたらば、では、しようがないから利益を減らしましょうと。この新公団に移るのも、いろいろ問題が指摘されたので、では、とりあえず衣がえするかという、本当の意味で国民の皆様方に喜ばれる仕事をしていこうという哲学が、私はどう見ても欠落しているように思うんですよ。  だって、この子会社の問題にしても、子会社に仕事を発注して、別に子会社に仕事を発注することは私は悪いと思いませんよ。世の中では、親会社が子会社に仕事を発注するなんというのは日常茶飯ですよ。よくあることです。それで、子会社が利益を上げてもうかったらば、それを親会社は吸い上げる。当然のことじゃないですか。  そういう資本主義の一般的な原理原則から外れてわけのわからないことをするから、もしかしたら痛くない腹を探られているのかもしれないというふうに思うんです。もしかしたら痛い腹かもしれないですけれども。  それで、私は思いますが、住都公団法の三十一条で、出資をすることもある、出資しますというふうに書いてあった。それで、新公団法の三十五条でまた懲りずに、特別の事由があるときは出資することもある、特別の事由があるときはまた子会社をつくるかもしれませんというふうに新公団法で出ているわけですが、私は、もうそろそろ年貢を納めて、もうこれ以上子会社はつくりません、関連会社はつくりませんというふうにおっしゃったらどうかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  188. 那珂正

    那珂政府委員 まず、初めの点でございますけれども、JSの利益の減少について、やっていることが逆さまじゃないかというような趣旨のお尋ねでございました。  株式会社でありますから、確かにおっしゃるように利益が出ることも当然なんですけれども、その利益の出し方の根拠は、正直言って、御批判いただいたことを見れば、やはり直すべき点はあった。例えば、駐車場等の敷地の、用地の貸し出し単価等について、やはり正すべきところが幾つかあったということで、そういうふうに措置させていただきました。  新公団におきます出資規定でございますけれども、これは平成九年の六月の閣議決定に基づきまして、やはりそういう新たな関連会社、子会社に対する出資、融資は、厳にこれを原則としてやめる、こういうことは書いてあります。そういうふうになっております。ただ、原則としてでありまして、どうしても必要な場合は所管大臣の承認を得て実施できる旨が閣議決定されているわけでございます。  そういうことを背景といたしまして、私どもも、この新公団について、直ちにまた出資して関連会社をふやそうなんということは思ってもいませんけれども、ただ、やはり新しい事業をやっていく際に、どうしても公団業務遂行上、出資規定が全くないというのもどうかということで、一応そういう規定を置いたところでございます。
  189. 川内博史

    川内委員 だから、そこがまさしく、民間ができるものは民間に任せるようにしますと言っているわけですから。株式会社というのは民間事業会社ということですよ。だから、新公団がわざわざ出資して株式会社をつくる必要はないんですよ。民間ができることは勝手にやってもらえばいいんです。わざわざする必要はない。  だから、最後に、この件に関して、大臣と民主党案の石井議員にそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。大臣、もう絶対つくらない、つくらせないというふうに。
  190. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生の御質問の前もってのレクで、私も川内先生が感じられたように、平成五年が百十四億円であって、平成九年は二億円にした、そんなことを報告に来まして、正直なところ、全くあなたと同じ感じを受けました。  それはそれとして、ですから、それも特別なる事情あるときということですから、新しい子会社をつくるということではないと私は理解をいたしております。  ただ、法律的にいいますれば、新公団を、どういう状態かもまだ先のことでわかりませんけれども、何かあってどうしても必要なときというのは、私はやはり必要ではあろうと思いますが、そういうようなことはごくわずかなことでしょうから、まず今後はそういうことはないと御理解をしていいんではないでしょうか。
  191. 石井紘基

    ○石井(紘)議員 今、住都公団は財団を含めて三十社でしたか、に出資をしておりますが、財団の場合は出資とは言わないで出捐というんですか、その子会社でもって関連事業をやっておる。  つまり、どういうことかといいますと、公団というのは一応行政の機関ですから、しかも補助金が出ておって、税金で基本的に成り立っておる。そういうものが、株式会社というのは私企業ですね、この私企業である株式会社をつくる、出資をするということは、公的なお金を私的なところへ回していくという話なわけです。  これは私は、憲法上も何法上も、日本法律では許されないことだと思うんですが、こういうものを公団法や何かでは、出資することができるなんということがちょこちょこっと書いてあるわけですね。そういうところからそういう不正が、国家的不正が蔓延していくという形が、公団だけじゃありません、ほかの特殊法人も公益法人もそうです、そういうふうになっているところが非常に大きな深刻な問題であろうと思うんですね。  そこで、私どもの案でもってこれをやっていただきますと、そうすると、まず我々は、先ほど十四兆一千億だか今は借金残高があると言いましたけれども、平成十一年度になると、これは十四兆五千億を超えて十五兆に近くなります。それで、バランスシートというお話がありましたが、総資産十五兆一千億とさっき言われたのも、これは計算の仕方がちょっとはっきりしないんだろうと私は思うんですが、間もなくそのバランスシートを超えてしまいます。  そういう状況でもありますし、私は、賃貸住宅だけに絞るというのは、一つは今までの資産を、買い置きのいろいろな土地だとか、さっきのアイランドタワーを初めとした都市ビルがたくさんあるわけですから。そういうようなものはテナントがないんです。そういうものは処分してしまう。そうすると、今の仮置きになっている、仮勘定になっているそうした資産を処分すると、安く処分をしても大体五兆円か六兆円、六兆円ぐらいは軽く出てくるんだと思うんですね。それでもって、財投というのは繰り上げ返済させないことになっているけれども、それはさせるようにしなければいけませんね。そういうものを処分する。それからまた、今の子会社を、子会社も一千億以上の資産を持っています、こういうものも処分する。それは働いているといったって大した、これは五、六人でもって丸投げやったりなんかしているところですから、これは不正なものですから、処分する。そうすると、かなりの返済ができます。  そうしますと、賃貸住宅やなんかに対しても、そうした借金負担というものが非常に重く押しかぶさってきているものですから、値上げ値上げ、そして建てかえ、それでたくさん訴訟を起こしちゃって、出ていけ出ていけという訴訟を公団は起こしているわけですね。そういうことをやって、建てかえを無理やりやるわけですね。それで、三倍、四倍の家賃にしてしまう。こういうこともなくなってしまう。  ですから、私たちの案でいきますと、賃貸住宅家賃は今後上げなくて済みますし、十数年たてば好転していきますので、借金もなくなり、そしてむしろ国へ、場合によったらそれは国庫に入ってくるかもしれない。そういうようなことになってまいりますので、これはもう民主党案しかこの際ないのではないか、こういうふうに考えております。
  192. 川内博史

    川内委員 ありがとうございました。済みません、長くなりました。
  193. 平田米男

  194. 大口善徳

    大口委員 公明党の大口でございます。  公明・改革クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきます。  まず、平成九年に「特殊法人等整理合理化について」という閣議決定がありまして、それを受けて、今回、都市基盤整備公団法案提出されたわけであります。先ほどから、行革の中の特殊法人整理合理化というのは非常に大事だということがずっと指摘されてきているわけでございます。そしてまた、大臣からもPFIというようなお話もございましたけれども、そういう点で、どう民間の力というものを活用していくかというような時代でもございます。そういう点で、今回、役員については理事十四名から十名、四名削減ということでございますけれども、組織とかあるいは定員のあり方について抜本的な、大胆な整理合理化に取り組んでいただきたい。そのことを、今答弁を聞いておりまして、大臣もかなりそういう点においては踏み込んだ答弁をされておりますので、ここで大胆な御決意をいただきたいと思います。
  195. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この件につきましては、平成十一年度以降におきまして、極力抑制をしていくということでございます。  定員でいいますれば、合理化案といたしまして、十年間で全体定員の一〇%を超える五百人の削減、これは純減でございまして、よく行いますやり方として、削減してまた増員するということでございますが、いわゆる純粋な減でございます。ですから、平成十年度の定員が四千八百七十六人ということでございますが、五百人削減をする。また、その削減の大半の約四百人は、平成十五年度までの五年間で前倒しをして削減することとしたいと考えております。また、組織につきましてはそういうようなことで、再編のときを大きな機会といたしまして、執行の機動力というのはもちろん強化しなければなりませんが、反対に組織はスリム化を図っていくということでやっていきたい。  いずれにしましても、民間に任せられるものはもう民間に任せていこうということでございまして、分譲住宅からの撤退というようなことを行いましてなお一層合理化を行いまして、九年六月の行革の目的を達成するに最大の努力をしたい、そのように思っております。
  196. 大口善徳

    大口委員 また、昨年、中心市街地の活性化法案というのも成立したわけでございますけれども、特に地方都市の中心市街地の活性化ということも、これは都市基盤整備ということでは非常に重要であるわけです。  そこで、地域振興整備公団と新しい公団との役割分担、それからまたその業務範囲、そのあたりについて御答弁願いたいと思います。
  197. 山本正堯

    山本(正)政府委員 先生お尋ねのこの都市基盤整備公団は、御案内のとおり、人口とか経済、文化等に関する機能が集中するような、そういうふうな大都市地域、その他の都市地域、例えば三大都市圏の既成市街地でありますとか、そういうようなところにつきまして、居住環境の向上でありますとか都市機能の増進を図るために市街地整備改善を行うことを目的としておる、これは御案内のとおりでございます。  一方、地域振興整備公団につきまして、その中の地方都市開発整備業務がございますが、その業務は、都市圏の人口十万以上の中心都市等、地方都市等において、大都市からの人口、産業の地方への分散と地域開発整備を図るために、地域社会の中心となる都市開発整備を行うことを目的としておる、こういうことでございます。  したがいまして、三大都市圏の既成市街地等については都市基盤整備公団分担をする、あるいは地域振興整備公団につきましては、地方都市等を対象にしておる。中身につきましても、今申し上げましたように、市街地整備改善を図ること、あるいは地域振興整備公団につきましては、大都市からの人口、産業の地方分散あるいは地域振興ということを目的として事業を行っておる、こういうことでございます。
  198. 大口善徳

    大口委員 将来、この二つの公団について、どうあるべきかというようなことも検討されているようでございます。  そこで、この新公団というのは、主として大都市を対象とする公団となっているということでありますが、新規の賃貸住宅、これは都心居住に資する住宅ということであるようです。しかしながら、二十八条の二項に規定されている現公団から引き継ぐ賃貸住宅、これは必ずしも大都市だけでなく全国にあるわけです。私どもの静岡市におきましても、丸子南、松富、下川原と三団地ございまして、この地域居住環境に重要な役割を果たしておるわけでございます。今回も、法案の審議があるということで、私、この三公団をすべて回ってまいりまして、役員の方から地元の要望等もお伺いしてきたわけです。それは後ほど説明をしたいと思います。  そういう中で、七期住宅建設五カ年計画、こういうことがあって、そして居住水準、これの向上のために計画的に建てておるわけであります。そういう中において、この借家の居住水準向上に対する役割、これを新公団でどう果たしていくか。そしてまた少子化対策、その中でやはり住居ということが非常に問題でして、お子さんが多いところでは、本当に安普請ですと音を気にして子供を余り育てられない、こういうことが現実であるわけです。そういう点で、良質なファミリー向け賃貸住宅供給、こういうことも新公団でどう考えているのか。お伺いしたいと思います。
  199. 那珂正

    那珂政府委員 我が国住宅事情、とりわけ大都市圏の借家状況を見ますと、平成五年の住宅統計調査等におきましても、借家は平均で四十五平米というようなことで、最低居住水準未満世帯の内訳も全体の八割が借家世帯だというようなことで、御案内のとおりでございますけれども、借家の居住水準は悪い、こういう状況でございます。実際また、市場において供給されている賃貸住宅を見ましても、いわゆるワンルームマンションなど面積の非常に小さいものが多いというようなことで、ファミリー向けの賃貸住宅供給が少ない状況でございます。  したがいまして、新しい公団につきましても、そういう良質なファミリー向け賃貸住宅など、政策的に必要なものを供給するということを柱の一つに掲げているわけでございます。対象地域も、おおむね通勤圏人口五十万人ぐらいの都市を対象として、先ほど先生も御指摘になりましたような一定政策的、絞っていきますけれども、そういうことで進めていきたいと思います。
  200. 大口善徳

    大口委員 そこで、私どもも地元の公団を回ってみまして、一番関心のあるのはやはり家賃です。やはり住んでいる方にとってみれば、本当に家賃が少しでも上がるということは、この不況の厳しい中で非常に敏感であられるわけです。  そういう点で、今回、業務の中で最も重要な柱の一つである賃貸住宅について、新公団において、原価主義から市場家賃をベースにしたものに家賃の考え方が変わる、こう聞いておるわけです。なぜ変わるのか、そしてその根拠、それをお伺いしたいと思います。
  201. 那珂正

    那珂政府委員 御案内のとおり、昭和三十年に旧日本住宅公団が設立されたころには、マーケットで鉄筋コンクリートづくりの共同住宅賃貸住宅というのはほとんど供給されておりません。市場がいわゆる未形成であったということで、公団家賃設定についても、建設に要する費用、つまり原価を基準とする家賃設定というのを、ごく自然にそういうふうにしてまいりました。  しかし、実際民間でも、そういう非木造といいますか、鉄筋コンクリート造の共同住宅の形式の賃貸マンションが供給が少しずつ出てきまして、いわゆる市場が形成されてきた。そういうことに伴って、家賃水準公団のいわゆる原価に基づくものと市場で形成されるものと乖離するようになってきた。これは、つまり公団の方が安ければ極端に高い応募倍率という結果になったり、あるいは逆に公団の方が高ければ空き家が一時的に大量に発生するというようなことで、供給として見ますといかにも不合理な形であったわけです。  実際そういうようなこともありまして、この十数年間は、公団としても、原価を基準とするという制約の中ではありますけれども、なるべく市場家賃とのバランスをとるようにしてきたところでございます。また、物の考え方として、平成十年の住宅宅地審議会の答申におきましても、他の公共賃貸住宅、公営住宅等でございますが、市場家賃を基準とする方式をとっておりますので、公団住宅についてもそういう市場家賃を基準とする方式に改めるべきだというような提言もございました。  そのような提言とか状況を踏まえて、今回、いわゆる市場家賃、正確に申し上げれば近傍同種住宅家賃をもとに家賃を算定するという方式に移行することとしたものでございます。
  202. 大口善徳

    大口委員 もう少し簡潔に答弁していただけますか。時間がないものですから、済みません。  今、家賃の改定の考え方をお伺いしました。従来ルールというのは確かに限界もあります。いわゆる引き上げ限度額というようなことを、従来のルールに従って算定して、さらに引き上げ限度額で抑える、こういうこともやっておりまして、そういう点で、従来のルールというのは限界があるようにも思います。  本来からいえば、昨年家賃の改定ということが予定されていたわけですが、公団の改革ということで、家賃というよりも総合的に見直しをしようということで、今回そういうように考え方を変えていく。これは公営住宅における改正なんかとも一つの同じような方向性じゃないかな、こう思うわけです。しかしながら、入居者に、まだ住んでおられる方にとって、では、今回の家賃の改定のルールが変わるということはどんなメリットがあるのかということが一番知りたいことだと私は思うのですね。  そういう点で、具体的にこの算定方法についてお伺いしたい。今回、三十三条の一項の新規入居者の家賃算定方法について、まず新しい方式と従来の方式で家賃の改定はどのように異なるのか、それから、三十三条の二項で継続入居者について、新方式と従来方式とで家賃の改定はどのように異なるのか、これを明確に答えていただきたい。
  203. 那珂正

    那珂政府委員 少し細かくなるかもしれませんが、なるべく明確にお答えしたいと思います。  まず、新規の家賃決定でございますけれども、従来は原価をもとに算出するということでございました。これは、建物の償却費とか地代相当額、修繕費等、原価を積み上げて算定する方式でございますけれども、この方式では、御案内のとおり金利とか地代ですから地価の動向というものを直接受けるわけでございます。  新方式は、近傍同種住宅家賃と均衡を失しないように設定するということと法律上しておりまして、具体的には、当該公団住宅周辺の同種の民間賃貸住宅等の家賃を参考として決定する方向で今検討しているところでございます。  継続家賃決定でございますが、これは、従来は、先ほどちょっとこちらの方もついでに説明してしまいましたが、原価をもとにそのときの時価に再評価した額と現行の家賃との差額の半分を引き上げるというようなこととして、それを基本とする改定方式でございました。  新しい方式では、近傍同種住宅家賃それから現在の従前の家賃、さらに経済事情の変動等を総合的に勘案して、結果として近傍同種住宅家賃を上回らないよう改定するという決め方をしております。近傍同種住宅家賃というのは、先ほども申し上げましたように近くの民間賃貸住宅家賃でございますが、それと現契約家賃の差額の半分を、半分といいますか二分の一を基本として、かつ長期的に安定しております家賃の変動率、市場全体の家賃の変動率を、これは安定しておりますので、加味して、急激な家賃改定にならないような方向で、これも現在、さらに具体的なことは検討中でございます。  特にお尋ねの入居者の利点という観点から申し上げますと、従前のルールでは、例えば固定資産税の評価がえ等に伴って、原価とはいいながら家賃改定幅が大幅になるというようなこともありますが、今回、市場における家賃を基本とするという方式に変更することによりまして、より穏やかな家賃改定となるというふうに思います。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  204. 大口善徳

    大口委員 また、バブル期だとかそれ以降建設した公団賃貸住宅でも高家賃のものがあるわけですね。そういう点で、現在の経済環境に照らしますと、むしろ家賃を下げるべきものがあるというふうに考えるんですが、いかがですか。
  205. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるとおりでございます。個別団地によっては、上がるものもあるかもしれませんし、下がるところもあると思います。
  206. 大口善徳

    大口委員 次に、それでもまだイメージはよくわからないわけですね。これは、地元の皆さんに説明してもわからないと思うんですね、ただ穏やかな改定になると言われても。  そこで、わかりやすく、新規のものとそれから継続入居者の家賃の改定額がどのように変わるのか、モデルの算定を例を挙げて説明していただきたいと思うのです。その場合、まず改定家賃について全体のイメージがわかるように、大づかみに、大体平均どれぐらい引き上がっていくのか、その率はどれぐらいなのかということ、それから具体的な都市ごとについて、例えば東京都、大阪府あるいは静岡県のモデル算定例、これを挙げていただきたいと思うのです。  そして、私が知りたいところは、従来の家賃改定ルールプラス引き上げ限度額を組み合わせた方式と新ルールによって算定された家賃とを比べたときに、新ルールで算定した改定家賃の方が従来型の改定家賃よりも低いかどうかということをお伺いしたいと思います。
  207. 荒田建

    荒田参考人 旧ルールといいますか、旧方式と新方式の違いについては先ほど局長から御答弁申し上げたところですが、それが具体の適用、今後家賃改定ルールをどうするかということにかかってまいりまして、私ども公団としては家賃部会というものを設けておりまして、当然居住者代表の方々にもお入りいただいて今議論をしているところでございます。  したがいまして、ルールとしては、もちろんまだ最終的に確定したわけではございませんけれども、今のお話のように、具体的な数字でちょっとイメージをつかんでいただくために、あくまで試算ということで、それからまだこれから議論が続くという前提でちょっとお話を申し上げたいと思います。  まず、空き家家賃といいますか募集、新規の方、既存の賃貸住宅で空き家が出たときの空き家家賃なんですけれども、これは実は前回の改定が平成三年の十一月だったかと思いますが、七年半を経過してかなり状況に合わなくなってきているというのがございますが、まず募集家賃のルールは、先ほど申し上げましたような賃貸事例比較法で比準して出すというやり方で試算いたしますと、全体で引き上げ額はおおむね四千円から五千円ぐらい、率にして七、八%ぐらいになるということでございます。  その平均を具体都市の団地でちょっと御披露申し上げますと、東京都の四十年代のこれは日野市の例でございますが、四万六千二百円という家賃がついておりますけれども、これは従来ルールでいきますと、これが八万三千円となりまして、三万六千八百円上がります。それで、新ルール、市場準拠でいきますと、これが改定後は五万一千円ですから、四千八百円上がるということになります。  それから、先生おっしゃった大阪市のこれも四十年代の団地で、四万八千六百円の団地があるのですけれども、これは従来ルールでまいりますと、改定後が六万三千五百円になりまして、引き上げ額が一万四千九百円。それから、新ルール案でいきますと、改定後が五万三千二百円で、引き上げ額が四千六百円、こういうふうになります。  それから、静岡の例でございますが、同じように四十年代、静岡のはたしか四十年代の団地だったと思いますが、今三万四千円であるものについて、改定後は、従来ルールで四万二千八百円、引き上げ額は八千八百円。それから新ルールでいきますと三万六千円、二千円のアップ、こういうようなことに相なります。  それから、継続家賃、今現在入居者がお住まいになっている家賃家賃改定、これの算定でございますが、これも先ほど局長がちょっと申し上げましたように、一定のルールを仮定して計算してみました。これは市場家賃と現在お払いいただいている家賃の差額の二分の一を大家と入居者に割り振りまして、それを差額配分法の一方に置きまして、それから居住の安定を図るためにスライド法というものを、家賃の変動指数でございますが、それを加味してやった場合の前提でございますが、全体として、平均的に二千円から三千円程度の値上げになるのじゃないか。ただし、これは前回から、先ほど先生もお触れになりましたけれども、四年経過してございます。  そこで、もうちょっとお時間をいただいて、最後に数字でございますが、継続家賃の方の、契約家賃の方の、今同じような団地の例で申し上げますと、東京の日野市、四万五千六百円という継続家賃、これが従来ルールでいきますと六万四千三百円になり、引き上げ額は一万八千七百円。ただし、引き上げ限度額が七千円でききますから、一万八千七百円は七千円でとまります。ところが、新ルールでやりますと、先ほどのようなルールで仮定してやりますと、改定後は四万七千七百円で、引き上げ額は二千百円になります。  それから、大阪市の例でいきますと、四十年代の団地でございますが、四万八千百円の継続家賃、これが従来ルールでいきますと五万五千八百円、引き上げ額が七千七百円ですが、限度額七千円で頭が打たれる、七千円でございます。それから、新ルールでまいりますと五万百円となりまして、引き上げ額は二千円。  それから、静岡市の四十年代の場合、三万三千円の継続家賃の場合でございますけれども、従来ルールでまいりますと、改定後が三万七千九百円で、引き上げ額は四千九百円。これは限度額以下ですから、そのまま上がります。それから、新ルール案でまいりますと三万四千二百円で、千二百円の引き上げ、こういうことになります。  ただ、いずれにしましても、モデルを想定して、しかもルールもある程度そういう前提の上で、あくまで仮定計算でやっております。  ちなみに、旧ルールでやる場合の引き上げ額が非常に大きいのは、この間における固定資産税の評価額が莫大に上がった、そのために地代分が非常に原価を再評価すると上がったために、要するに原価主義でやるとそういう非常に不合理な部分が出てきているということでございます。  以上でございます。
  208. 大口善徳

    大口委員 そこで、もう一つ答弁が抜けていますけれども、継続家賃の改定において、従来ルールとそれから新ルールと比べた場合、今モデルケースだけだとみんな下がっているのですよ。新ルールの方が低いわけです。だけれども、今、モデルケースだけじゃなく、全体ですよ、すべてについてどうなのか。新ルールと従来ルールでどちらが安いのか。新ルールの方が安いのか、そこをはっきり答えてください。
  209. 荒田建

    荒田参考人 失礼いたしました。  従来ルールによる全体の計算でございますが、実は数も多うございまして、そこはちょっとやっていないのですけれども、個別の団地で今試算したものを申し上げたわけでございますが、結果的には、先ほどの全体の平均の新規の空き家とそれから継続のよりも相当高くなるんじゃないかと思います。ただ、まだ今試算しておりませんので……(大口委員「相当何が高くなるのか、主語をちゃんと言わなきゃいかぬ」と呼ぶ)従来ルールの方が、これから新しく法律で規定されるルールによる改定額よりもかなり高く出てくるというふうに想定されます。
  210. 大口善徳

    大口委員 ということは、新ルールの方が逆に言えば安くなる、こういうことなんですね。  次に、もう一つ皆さんが御心配なことは、この市場家賃化することによって家賃の改定が頻繁になるんじゃないかということだと思うのです。  継続家賃の改定については、五十三年、五十八年、六十三年、平成三年、七年と、最近は三年くらいの頻度で改定しているわけですね。それについて、今回継続家賃の改定についてこの頻度がさらに頻繁になるのかどうか。それから、空き部屋の家賃改定についても、昭和四十一年、五十一年、五十六年、六十年、六十三年、平成三年、こうなっているわけですが、こちらはどうなのか、お伺いしたいと思います。
  211. 荒田建

    荒田参考人 これまでの家賃改定の周期は、先生お話しなさったとおりでございます。これからの新公団移行後の改定周期の話でございますが、まず空き家家賃、空き部屋とおっしゃいましたが、募集家賃の方は、普通、一般の賃貸住宅市場というのは、空き室が出るたびにその都度家賃を見直して値づけをしてやっているというような形になりますから、一般的な、常識的な考え方は空き部屋が出た都度だと思うのですけれども、ただ、私どもはやはり大量に抱えておりますから、事務的にはなかなか煩雑で、空き部屋の出る都度見直すというわけにもまいりませんから、これは一年程度の期間がよろしいかなというふうに今事務的に考えております。  それから、継続家賃、現在入居されている方々の契約家賃の改定周期でございますが、これは、今先生もおっしゃいましたように、大体これまで三年に一遍という周期でルール化してやってきておりますけれども、これが普通、民間賃貸住宅ですと、大体二年に一遍というような形でやっているのが多いようでございますけれども、私どもとしては、やはり入居者の居住の安定ということを十分に配慮する立場から、これまでどおり、契約家賃市場家賃化したからといってしょっちゅう変えるというようなことはなく、三年に一遍というような形で、ただ今回はちょっと、平成七年の四月ですから期間がちょっと長くなってしまいましたけれども、そういう形でやるのが理解が得られるのかなと思っております。  いずれにしましても、この点につきましては、法案の審議も踏まえまして、これから居住者代表もお入りになっている家賃部会で十分に御審議をして決めていきたいと思っております。
  212. 大口善徳

    大口委員 また、特に新規の場合、市場家賃ということになるわけですけれども、これから都心居住ということで、かなり好立地ということになってきます。そういうことから、特に中堅勤労者にとって過大な家賃負担になるのではないかということを私は危惧しておるわけです。そういう点で、中堅勤労者にとって、特に立地のいいところについて、これは過大な負担にならないようにすべきであると思いますが、いかがですか。
  213. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるように、新公団供給する賃貸住宅については、家賃等の観点からも、まさに立地の選定が非常に重要であると思います。それで、都心居住と再三申し上げておりますので、どちらかというと若干誤解される向きもあると思いますが、都心の商業系のいわゆる一等地というよりはむしろ工場跡地など、都心部周辺で通勤の便がよろしい地域、そういう地域住宅市街地と一体として整備していく。そういう中で賃貸住宅供給を予定しているということでございまして、結果として、中堅所得者層にとっても過大な負担とならないような形の供給が行われるもの、こう思っております。  もちろん、そういう地域地区であったとしても、土地取得して賃貸住宅供給、経営するということは資金的には大変難しいことも多いわけでございますので、土地の手当てのための出資金、補助金等の活用、あるいは土地の有効高度利用、建築コストの低減とか、そういう工夫を大いに行っていかなければならないと思います。
  214. 大口善徳

    大口委員 次に、傾斜家賃という制度があります。今度は、平成九年に傾斜期間八年、傾斜上昇率二・五%というような形でやっているわけでございますが、これも原価主義から市場家賃化になってまいりますと、この制度を存続するのかということが問題になると私は思います。右肩上がりで入居者の所得も上昇するという従来型のそういう傾斜家賃制度については、これは居住者に不利益な場合は除いて廃止すべきではないか、こう考えますが、いかがですか。
  215. 荒田建

    荒田参考人 傾斜家賃でございますけれども、おっしゃるような形で今までやってまいりました。これから公団家賃市場家賃化するという体系に改められるに伴いまして、新規に供給する賃貸住宅の傾斜家賃は、新公団が発足した場合でございますが、新公団設立以降供給するものから廃止をしたいと思っております。また、既存の賃貸住宅の傾斜家賃、現に傾斜家賃住宅にお住まいの方々がかなりおられますけれども、これは家賃改定時期に原則として廃止する予定で今考えております。  ただ、おっしゃるように、現在、傾斜家賃を適用中の入居者がおられますけれども、廃止によって不利益になる、つまり家賃が上がってしまうというようなことになると、それはそれで問題でございますから、これはその限りにおいて経過措置として傾斜制度を存置するという方向で検討していきたいと思っております。
  216. 大口善徳

    大口委員 次に、もう一つ心配なのは、その中でも、今回三十三条の四項で家賃の減免という規定が設けられました。特に低所得者、高齢者方々にとっては、家賃の改定方式を今回新しいルールにのっとってやるわけでございますけれども、それでも負担がふえるということに対して、特に低所得者の、高齢者世帯方々にとってはきついわけであります。そういう点、こういう低所得者、高齢者世帯方々については特別家賃対策補助制度というのを公団においては今回創設をしたということでございますけれども、今までとどう拡充したのか、どう配慮したのかについてお伺いしたいと思うのです。
  217. 那珂正

    那珂政府委員 三十三条四項で家賃を減免できる規定についてのお尋ねでございますが、具体的に申し上げますと、公営住宅階層であります低所得高齢者世帯、あるいは母子世帯心身障害者世帯生活保護世帯方々の場合において、今回の家賃改定によりまして家賃が上昇する場合には、近傍同種住宅家賃公営住宅並み家賃の中間、二分の一の水準まで減額する、ただし現行家賃を下限とするということでございまして、一部財政資金を投じますけれども、こういうことによりまして、既存の入居者、とりわけ高齢者等の世帯居住の安定に配慮していこうというものでございます。  実際いろいろ、これも試算段階でございますけれども、個別にはともかく、ほとんどの地域地区、団地で減額するところが現行家賃を下回りますので、結果として現行家賃を改定しないで済むのではないか。これはすべての団地とは申し上げませんが、試算している団地ではほとんどそういう例が出てきておりますので、おおむね引き上げなくて済むのではないかというふうに考えております。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  218. 大口善徳

    大口委員 要するに、低所得者そして高齢者世帯の方については、今、家賃を引き上げなくても済む、こういうお話でありました。では、具体的に、先ほど東京とか大阪とか静岡で算定されましたその例にのっとって、この家賃対策補助制度が適用されるとどうなりますか。
  219. 荒田建

    荒田参考人 大変恐縮でございます。その辺の試算はまだやっておりません。
  220. 大口善徳

    大口委員 それはだめですよ。だって今、家賃は上がらないと言っているでしょう。これは重要なことだよ。低所得者とか高齢者方々というのが今一番関心があるところなんだから。
  221. 荒田建

    荒田参考人 大変失礼いたしました。今、私手元にその数字を持っていないものですからあれなんですけれども、全体のあれと個別のモデル団地の試算は、たまたま従来ルールとこれまでのルールでどう上げ幅が違うのかという趣旨で急いで試算した結果を申し上げたつもりでございますので、至急試算して、先生に御報告したいと思います。
  222. 大口善徳

    大口委員 通告しているんだよ、もう。通告しているんだ。だめだよ、そんなんじゃ。納得できない。だめだ、納得できない。通告しているんだから。
  223. 那珂正

    那珂政府委員 私の方でも同様の試算をしている資料が手元にありますので、私の方からお答えさせていただきます。  東京の例で、四十五年度に建てた例で、規模が四十五平米でございまして、この変更前の家賃が五万四千円でございます。引き上げ後、一般ルールで申し上げますと五万八千九百円になるというような試算ができるわけですが、先ほど申し上げました減額措置によって五万四千円になる、引き上げないで済むという試算ができます。  また、静岡市の四十五年に建ちました四十平米規模住宅の例で申し上げますと、変更前の現行家賃が三万三千円でございます。これが、近傍同種家賃は三万六千円でございますので、試算されます変更後家賃は三万四千二百円となりますけれども、これも減額措置によって三万三千円、据え置きということでございます。  また、大阪の例で、六十年に建てられました六十平米の現行家賃七万四千円の住宅でございますが、近傍同種家賃を試算しますと七万八千円で、改定後家賃は七万五千八百円でございますが、これも減額措置によって七万四千円の据え置きという試算をさせていただいております。
  224. 大口善徳

    大口委員 そういうことで、家賃のことは本当に居住者の皆さんにとってみれば非常に今最大の関心事でありますし、また、特に高齢者方々にとっては、今回の新しい家賃改定ルールというものをわかりやすい説明をしていかなければいけません。  そういう点で、平成八年の公営住宅改正法のときには、パンフレットを二百万部刷って皆さんに配付したということでございます。今回の新しい家賃ルールの改定に当たって、本当に高齢者の方にもわかるように、わかりやすくそういう広報活動をすべきである、こう考えますが、いかがですか。
  225. 荒田建

    荒田参考人 先ほどは大変失礼いたしました。局長が御答弁申し上げたとおりでございます。  それで、今のPRのお話でございます。先生指摘のとおりでございます。前回も私ども、個々の居住者方々に理解が得られるように、一生懸命PRの資料をつくったり等々して、戸別配付というようなこともやりましたけれども、今回、今後家賃改定する場合には、先生の御指摘を踏まえまして、前回にも増してさらにPRに努めていきたい、こういうふうに思っております。
  226. 大口善徳

    大口委員 今回の継続家賃の改定に当たっては、これは、適用世帯は新公団移行時に五十五歳以上の人が対象になっているが、五十四歳以下の方については将来高齢者になってもこの家賃補助について適用にならない、こういうことなんですね。ですから、これについてどう考えるのか。  そして、これから公団高齢者向けにやはり優良な住宅制度というものを創設する、こういうことであるわけですけれども、新公団においてこれについてどういう位置づけをするか。公共的な賃貸住宅ということになりますと、公営があり、そして特優賃があり、公団がある、こういうことでございますけれども、ここら辺の、公団における賃貸住宅の公共賃貸住宅の中における位置づけも含めてお伺いしたいと思います。
  227. 那珂正

    那珂政府委員 まず最初にお尋ねの五十五歳未満の方のことでございますが、これらの方々につきましては、このたび拡充されました高齢者向け優良賃貸住宅、とりわけ既存の公団ストックを活用するという制度でございますが、この既存公団ストック活用型の高齢者向け優良賃貸住宅、当然、公団方々でございますので、この方々一定の枠、例えば三分の二とかそういう枠内ではございますが、優先枠を設けること等によりまして、将来この制度の活用をしていくことになると思います。  それから、そもそも、高齢者向け優良賃貸住宅制度と公営住宅等の位置づけのお尋ねでございますけれども、これは、本来、先ほども申し上げましたけれども、住宅政策として高齢者対策、いろいろなことをしなければいけませんけれども、とりわけ具体住宅供給という観点で申し上げますと、やはり公営住宅がその中心的存在になるべきものだと思います。公団住宅あるいは特優賃は従たる位置づけではないか、マクロ的に言えばそういうことだと思います。  ただ、住都公団に、七十二万戸の中に相当数の高齢者方々が現にお住まいになっているということを考えますと、公団の既存ストック活用型の優良賃貸住宅という制度も大いに充実して、この活用は図っていくべきものだと考えます。
  228. 大口善徳

    大口委員 時間もだんだんなくなってきましたので、答えをできるだけエキスだけをお願いしたいと思います。  四十三条、賃貸住宅建てかえの規定ができました。私は、かなり前進だと思います。四十四条、四十五条、四十八条、四十六条、四十九条、一々挙げませんが、そういうことで前進したと思います。  そういう中で、居住者にとって一番関心のあることは、建てかえの時期がどうなのかということが、非常にこれは賃借条件が変わってきますので関心がある。これについての考え方がどうなのかについてまず一つ伺いしたいということと、その場合、その建てかえの方法として、一部を建てかえ、一部ストックはリフォーム等を行う。中には、スーパーリフォームというような新技術なんというのも出てきますと、そういうことも考えられる。そういうことで団地の特性に合わせて柔軟な対応が必要であると思いますが、この点についてお伺いしたいということ。  それから二番目に、建てかえの手続等で、今条文を挙げましたけれども、この点については評価したいと思いますが、家賃について、建てかえられた賃貸住宅に再入居する方の居住の安定性を図る意味からこの措置を講じているわけですね。それについて簡単に御説明願いたいということ。  それから、四十六条で、公団賃貸住宅建てかえの場合は、公営住宅を併設した場合、特別の配慮をする、こう言っています。ですから、今度、建てかえのときは、その同じ敷地の公営住宅に入りたいという方も結構たくさんいると私は思うのですね、現場の感覚からしまして。四十三条二項で、地方公共団体から申し出があった場合においては公営住宅の併設、合築ということを規定してあるわけですが、私は、そういう現場の皆さんの要望、所得が、公団に入居したときと年金生活とはえらい違うわけですから、また公営住宅の併設、そしてまたそれはソーシャルミックスといいますか、所得層がある程度ミックスされた形の居住環境というのは本当に大事であるということで、私は、この公営住宅の併設、合築については積極的に取り組むべきである、そう考えておりますが、いかがでございますか。
  229. 荒田建

    荒田参考人 第一点の建てかえの時期でございますけれども、現在公団としては三十年代の団地の建てかえに取り組んでおりますけれども、現在までに約十六万戸中七万四千戸に着手済みでございます。ただ、この着手の時期につきましては、具体的に、公共団体との調整だとか都市計画上の調整というような形で、時期をいつからということで申し上げられるのが望ましいとは思いますけれども、何せ相手が、公共団体都市計画との関係等々が出てまいりますから、できるだけ前広に居住者方々に連絡したいと思いますけれども、なかなか許さない事情もあるということをまず御理解いただきたいと思います。  それから、第二番目の一部リフォーム、あるいは団地の特性を生かした柔軟な対応という御質問でございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、私どもこれまでに建てかえをやってまいりましたけれども、これまで高齢者等から建てかえ後の生活不安というような形で、一部の住棟を残したいというような、継続居住の要望があるケースも出てまいりまして、こういったものについては、一部住棟について一定期間建てかえを繰り延べるという形で、できる範囲で居住の安定に配慮していきたいというふうに考えております。先般、葛飾区の金町団地でも、そういうようなことで団地居住者との間で和解が成立したというようなことでございます。  それから、三番目の戻り家賃の助成制度でございますけれども、これは先ほどお話がありましたけれども、家賃につきまして、本来家賃と、大体原則として、対象の戻り居住者のうちの低所得高齢者などの弱者世帯に対しまして、国の助成、補助金を得まして公営住宅並みの家賃、こういうことで減額を図ろうということで、抜本的に戻り入居者に対する居住の安定に配慮したところでございますので、こういった補助制度を活用いたしまして建てかえ事業の円滑な推進を図っていきたい。  最後の公営住宅の併設、合築、これまでに建てかえの団地で幾つかケースがございます、公共団体協力を得まして。法律上も、今後の建てかえに当たっては公共団体との連携を重視すべしという規定になっておりますので、その法律を受けまして、今後、私どもとしては、先生指摘のソーシャルミックスという観念も大事にいたしまして、公営住宅の併設につきまして関係地方公共団体との協議をあるいは連携を一層努めてまいるという所存でございます。
  230. 大口善徳

    大口委員 今回、私は土日にかけて地元を回りまして、地元の団地の自治会の役員の方に直接お話をお伺いしました。そこで今住んでおられる方々のどういう御意見があるのかということを、新公団に移行するに当たって、私はやはり聞くべきだ、そこから出発すべきだ、こう思うわけです。  そういう点で、賃貸住宅の管理に際して全国的なアンケート調査実施するなど、居住者の実態とかニーズを私は把握すべきだと思います。これは八条、運営委員会が今回の公団の運営に関与するわけでありますが、居住者の意見をやはり反映させなければいけない、そういうことも含めまして、私は全国調査をきちっとやるべきだというふうに思います。これは総裁、お答え願えますか。
  231. 牧野徹

    牧野参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。  私どもは、今までも意見交換なりもろもろの調査をやってきておりますが、ただいまお話のありましたように、新公団発足でございますから、これを機会に公団住宅に求められる管理の方向について居住者に新たにアンケート調査実施しまして事業に反映させてまいりたい、かように考えております。
  232. 大口善徳

    大口委員 そこで、地元の丸子南、松富、下川原団地の自治会の役員の方と懇談をしました。そして、自治会の方々からさまざまな要望だとか不安の声もお伺いしました。例えば耐震性の問題。あるいは共益費が五千百円、三千八百円、千八百円、こういうふうに違っているというようなこと。それから入居募集のあり方について。それから独居老人、緊急対策に自治会役員としてどうしようかという問題。それから団地内の公園の管理等について等、いろいろとお話をいただきました。  そこで、一つは耐震性ですが、阪神大震災の教訓もございますので住民の関心は極めて高いわけでございます。この耐震性のチェックは公団できちっと実施しているのか。これは全国、そしてまた東海大地震の話もございます静岡県の団地についてはどうなのか。  それから、募集については、一つは多様な家族形態があります。子供が成長して独立する、親子近接の居住もしたい。あるいは多子世帯、これはファミリー向けということも先ほど答弁がございましたけれども、そういうことで家族形態に対応した募集。そしてまた募集の時期につきましても、毎年五月と十一月、空き部屋について定期募集というのはありますが、随時募集をやっているところもある、随時募集をもっと広げていくべきではないかというようなことについてはどうなのか。  そしてまた、共益費につきましては、共益費の算出の合理性、そしてそれをきちっと居住者方々にわかりやすく情報開示していくということが必要である、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。  それと、あともう一つ公団役割として、私、実は二月四日の予算委員会で大臣にもお願いをしました、マンションそれから高齢者向け施設や介護保険施設、そしてまた保育所の整備に当たって、併設とか合築とかということを。マンションについては大臣から非常に前向きの答弁もございました。むしろ公団について、こういう社会福祉、高齢者向け施設あるいは介護保険施設、そしてまた保育所等の子育て施設について、これは合築、そしてまた不動産を、土地公団は持っておるわけですから、こういう土地社会福祉施設における用地の確保についても公団協力すべきではないか。そしてまた、文化の発信ということで、図書館とか文化小劇場というような併設ということも考えるべきではないか。  まとめて質問させていただきたいと思います。
  233. 荒田建

    荒田参考人 お答えいたします。  まず、耐震性の問題でございます。公団は、阪神淡路大震災の教訓もございまして、全団地について耐震診断、それから一部について耐震改修を行っております。静岡県内の公団住宅団地は七団地ございまして約二千戸ほど、静岡市内には三団地千百八十八戸ございますが、これは壁式構造でつくられておるものでございまして、既に診断を終わっておりまして、いずれも耐震改修の必要はないというような結果を得ております。  それから、全国の耐震は、中高層賃貸住宅、五十六年以前の建築について一万三千四百棟、五十七万二千戸についてやっております。そのうち、一万二千五百棟については改修の必要は認められておりません。問題の、改修の必要があるというものは、いわゆるげた履きといいますか、下がピロティーになっているようなものでございまして、それにつきまして診断を終えたものから順次改修を始めているということで、十四年度末までには耐震改修が完了するのではないかというふうに考えております。  それから、二番目の地元の声、要望でございます。私どもはできるだけ多家族世帯とか高齢者方々にもお住まいいただけるように、高齢者の割り増し優遇ですとか、あるいは近居制度といいまして高齢者家族が近場で住めるような募集の優遇だとか、そういうふうな形をやっております。  また、いろいろな要望につきまして、共益費の話なんかもありますけれども、いろいろな要望につきまして、静岡の場合ですと公社さんに委託をお願いしておりますが、どうぞ窓口にいつでもお申し出いただければ、私ども的確に対応するように常日ごろ指導しておりますけれども、個別の問題があれば、いつでもお申し出いただければまた我々の方から県の公社の方にも指導したいというふうに思っております。  今先生おっしゃった静岡市内の三団地につきましては、入居希望が比較的多いところなものですから、五月と十一月という定期募集になっていますけれども、応募状況を見ながら随時先着順受付、いつでも入れるような形へと検討していきたいというふうに考えます。  それから、最後の社会福祉施設用地の話でございます。これはまさに今回の建てかえの法案にもはっきり明記されましたけれども、まことにおっしゃるとおりだと思います。  私どもは、これから、三十年代の建てかえ団地を含めまして、建てかえ団地はまさに地域のいろいろな意味での拠点となって再生していくべきだというふうに思っておりますので、福祉施設、文化施設、いろいろなニーズがありますから、公共団体の方ともよく調整して、できるだけ要望に対応させながら、建てかえ団地を地域の核としてつくっていくような方向でやっていきたいと思っております。
  234. 大口善徳

    大口委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  235. 平田米男

  236. 太田昭宏

    太田(昭)委員 公明党・改革クラブの太田昭宏です。  最初に、私は、新公団町づくりの哲学についてお話を聞きたいというふうに思ったのですが、ちょっと時間が二十五分ということで限られておりますから、まず聞かなくてはいけないことから聞きます。  今回、非常に特徴的というか、一番心配をしているのは、大勢の方が後ろにもいらっしゃるけれども、住み続けられる新公団なのかというこの一点ですよ。この一点です。そこのところをはっきり、住み続けられるようにいたしますとか、かくかくしかじかでこういたしますということを、どれだけここで全国の国民に向かって表現できるかということが私は一番大事だと思います。  しかも、判断の基準で非常に大事なのは、例えば公団自治協が三月一日に出したアンケートの調査によると、高齢化が物すごく進んでいる。高齢化が進んでいる、収入がなくなる、年金で生活している、そして新しい市場家賃化が導入される、さあ住み続けられるかどうか。そこにしっかり、安心して住み続けられるように我々は努力しますよ、そういうことが明言できるかどうかということが一番の星ですよ。総裁、これは明言できますか。
  237. 牧野徹

    牧野参考人 先ほどからの各先生の御質問に対する、大臣初め建設省あるいは我々からの答弁から御理解いただきたいと思いますが、我々はそういうふうになるように全力を挙げて努力をしていくつもりでございます。
  238. 太田昭宏

    太田(昭)委員 全力を挙げて努力をしていくということは、そういうふうに全力をまさに挙げるということですから、大臣、それは同じ気持ちですか。とにかく制度をつくるときには、そのときの制度をつくる背景にある心情というものが私は一番大事だと思います。氷山の一角の言葉ではなくて、制度をつくっていくときの精神というものが一体どこにあるか。  長い間住んでいただいた、住まわしてやったのではなくて、住んでいただいた。そして、日本住宅が大変であった、中堅所得層にどういうふうに住宅供給するか。住んでいただいていた、そこに高齢化してきた、年金生活者になった、さあどうかと。そのときに最大限努力をするという仕組みをつくったという今の話がありましたけれども、大臣、同じですか。
  239. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 簡単にそうですと言うのは簡単なんですけれども、これは近傍同種住宅家賃等々がございます。そして、先ほど大口委員質疑でもるる出ておりましたが、ですから、その減額対策も講じて、また一つのシミュレーションを見ましても、大体現在の家賃で行うことができるというふうに出ておりますので、私は、そういう意味において、確信を持ってお約束できるのではないかなと思います。  しかし、一〇〇%であるかどうかということは、正直、私は自分の言葉には責任を持ちたいものですから、九〇%ぐらいというのであれば私は言えると思うのですが、何かの状態でそういうようなことが起こるかもしれませんが、しかし、そういうようなことも極力ないように、極力一〇〇%に近い、ですから、多少値上げがどうしてもというのがあるのかもしれませんが、大宗においてはお約束できると思います。
  240. 太田昭宏

    太田(昭)委員 近傍同種というけれども、近傍という概念は一体何か。同種というのは一体何か。周辺事態なんということが言われているが、周辺とは何か、事態とは何か、周辺とは周辺であるというような、この間私もガイドラインの審議をしたが。  近傍という概念は、例えば数学的概念ですよ。ユークリッド空間の中でPという地点がある、そこに集合Aというのがあって、集合論ですよ、もともとのところは。集合Aの中に新集合としてのBという地点があって、それはまさに、近傍という概念は数学的概念ですよ。この近傍という概念、だれかわからないけれども、言ってください。近傍とは何ですか。
  241. 那珂正

    那珂政府委員 本法案に用いました近傍同種の近傍の意味についてお答え申し上げますが、これは鑑定実務上、原則として近隣地域、例えば同一町内とか都市計画で言う同一用途区分内とか、あるいは同一駅勢圏とよく言いますが、同じ駅の需給圏が同じものだとかそういうような、あるいは隣の駅に、近い駅で似たような需給状況を示している地域とか、そういった地域の近接性というのでしょうか、そういうことを今回具体的に考えてこういう表現を使ったところでございます。  また、同種というのは、構造的にあるいは規模というようなものを同種というふうに考えております。
  242. 太田昭宏

    太田(昭)委員 数学における近傍という概念は、これはPという地点があって、例えば高島平二丁目というところがあった、その近傍は高島平団地自体が近傍です。  なぜそういうことを私が申し上げているかといいますと、一つ一つ判定の基準になる近傍同種という言葉の中にも、大変不安になっている方がいらっしゃって、何を基準にして物を考えているかということが非常に問題にされて、悩んでいる方が大勢いらっしゃるわけです。  あるいはまた、そこで、上回らないという言葉が三十三条に書いてある。この三十三条二項の上回らないという言葉を、上回らないではなくて下回るという言葉にかえてもらいたい。上回らないということは、下回るという言葉と同じですか、違いますか。  いや、これは非常に大事なことなんです。そういうことを一つ一つ、住んでいる方が非常に心配になっているということをよくわかって法律の審議をしてもらわないと困るということなんですよ。私は難癖をつけているんじゃないんだ。本当にそういうことを、上回らないということは下回るということと同じ話かと。上回らないということは、まさに二分の一の地点に全部並んでしまうのじゃないかということを非常に心配をしているということについて、上回らないということは下回るという言葉にかえても同義なのかということを聞きたい。
  243. 那珂正

    那珂政府委員 厳密に申し上げますと、先生おっしゃるように、上回らないということと下回るということとは違うと思います。上回らないということは超えることがないという意味でありまして、同一の場合を含むと思います。
  244. 太田昭宏

    太田(昭)委員 まさに、そういうようなこと自体の中で、全部二分の一のそこのところまで張りついてしまって漸近線のようにそこに行ってしまうというのではなくて、下回るという形にこれはぜひともしていくという意思を持っていただかなくては不安というものがなかなか解消できないんだと私は思います。その辺、総裁、いかがですか。
  245. 牧野徹

    牧野参考人 私の方はどうも事業実施する側でございまして、与えられた条文は、政府の方から与えられるわけでございますから、書かれている文言の解釈は、今局長が申し上げたとおりだと私も思いますから。
  246. 太田昭宏

    太田(昭)委員 それでは、政府側の大臣はいかがですか。そういう意思を持つということはどうですか。下回るという方向に向けて努力するという意思をぜひとも私は持っていただきたいというふうに思います。
  247. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ですから、続いて値上げすることなく、住まわれることができるように最大の努力をするということは、上がらないということですから、上がらないわけですから、その心配はないと思います。
  248. 太田昭宏

    太田(昭)委員 論戦の中で、私は、そういうことについて一つ一つあえてこういうことを申し上げているのは、そういう悩みの中で、こうなるんじゃないかな、ああなるんじゃないかなということについて、私はクリアにしていくということが非常に大事だというふうに思っているから、そういうことを申し上げております。  特に、高齢者が非常に心配をしていて、特に高齢者が心配しているというよりは、みんな高齢者になってしまう、そういう状況公団は今あります。ですから、今の時点でどうなのかというのと、五年後、十年後という公団を考えると、もっとこれが高齢化します。さあ、そこで一体どうするかという観点に立って、新公団の発足がなくてはならぬというふうに私は思っておりますが、住み続けられるというようにしなくてはならないいろいろな策があると思いますが、例えば、年金生活者が住み続けられるようにしてほしい、私の念願はその一点です。  それで、公営から公団というルートはあるけれども、公団から公営という道筋がなかなかつけにくいという状況があると思いますが、これは、公営から公団公団から公営という道筋がしっかり確立できるように、ぜひともお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  249. 那珂正

    那珂政府委員 公営住宅の入居に当たりましては、御案内のとおりだと思いますが、入居資格を有するすべての者に公平を期するという観点から、原則として公募ということを行っております。これが公営住宅法にきちっと決められております。  ただ、事業主体の判断によりまして、例えば、公団住宅を公営住宅として借り上げることもできないことはないわけですが、その場合でも、いわゆる入居者がそこに居住されたまま当該住戸をそのまま公営住宅として借り上げるというようなことは、今の公募の規定からいってそれは措置できないというふうに考えます。一般的に公団住宅から公営住宅に、いわゆる優先的に同一団地内、併設されるとか、近くの団地間に移られるというような場合における優先規定というのはございますけれども、その住戸でそのまま公営住宅に変わるというような制度は今のところは考えておりません。
  250. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今の話の延長線ですが、それはよくわかりますが、高齢者世帯の住居を地方自治体によって拠出借り上げをさせて公営住宅とするという方向性については、局長はどういうふうにお考えでしょうか。
  251. 那珂正

    那珂政府委員 公営住宅にもいろいろな管理主体がありまして、その管理主体の物の考え方、つまり効率性に対する考え方だと思いますけれども、ひところよりは、総じて申し上げると、相当柔軟に、効率的ではありますけれども柔軟に考えるようになってきたということから、具体的に申し上げれば、公団住宅の公営住宅借り上げ型の活用の道として、例えば、どこか一戸あいたらそれを借りるというようなやり方も多少、例えば兵庫県等、震災等の状況があったからかもしれませんけれども、そういうところでも例として出てくるようになりましたが、依然として全体としては、既存の、民間にせよ公団にせよ、借り上げ型の公営住宅の適用に当たっては、住棟一棟丸ごと借りるというようなやり方が今主流であると思います。  私どもも、そういう一般的に、これも公共団体の考え方でございますので、なかなかこちらの考え方を押しつけるというわけにはいかないわけですが、今回、公団のストックを活用して高齢者方々に優先的に活用していただく、それはもちろん、公団に現に入居されている方もそうですが、ほかからも入られてもいいわけですけれども、そういう措置をとることにいたしましたのは、どこが管理主体であろうとも、結果として既存の公団、公営等の公共賃貸住宅を少しでもふやしていきたいという思いからでございます。
  252. 太田昭宏

    太田(昭)委員 わかりますが、それはそうすると、その延長線上で申し上げますと、一DKの棟ごとの借り上げ、東京でいいますとシルバーピア化という、私はこれを相当進めていく必要があろうかと思いますし、緊急の場合などのワーデンの配置とか、そういうことは非常に大事なことではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  253. 那珂正

    那珂政府委員 私どもの呼び名ではシルバーハウジング、こう言っておりますけれども、先生お尋ねの東京都で実施されているシルバーピア、すなわち、公営住宅一定高齢者福祉サービス施設の併設団地の整備供給でございますけれども、そういうことについては、おっしゃるとおり、相当強力に進めていきたいと私どもも思っておりますし、事実、これはやはり相手のある、相手といいますか、事業主体の考え方によることもありますので、東京都ないし、東京都でも特定の区等において非常に熱心に取り組まれているということでありまして、すべての公共団体で熱心に取り組まれているかというと、まだ若干、正直疑問なところがあります。しかし、大事なことだと思いますので、これから力を入れていきたいと思います。
  254. 太田昭宏

    太田(昭)委員 高齢者等の家賃減免、三十三条の四項、ここに、低所得とかあるいは子育て世帯とか、さまざまなそういう場面というのが私はあろうかと思いますが、その辺の拡大といいますか、そういう配慮、措置というものについてぜひとも私は研究してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  255. 那珂正

    那珂政府委員 現状、先生おっしゃるように、高齢者、身障者の方々について、一定の優先入居できる枠は確保されております。その対象者については、基本的には事業主体の判断で相当なことができるようになっているわけでございます。公団住宅につきましては新公団において、公営住宅につきましては、また各事業主体にそういう拡大する方向でいろいろと研究を働きかけてみたいと思います。
  256. 太田昭宏

    太田(昭)委員 昭和五十八年三月の建設委員会で、当時の公団理事が、家賃値上げの増収分の七割は既存住宅の修繕費に、三割を新規住宅家賃抑制に充てるという答弁がありましたが、これは考え方としては同じなのかどうか。同時に、私は、家賃がもし上がるというならば、こういう流れに沿って、現場に行きますと、高齢者のために階段やエレベーターをつけてもらいたいとか、道路の問題であるとか環境の問題であるとか、なるほどこれは値上げ分がこういう形で還元されたな、そういう目に見える形で展開されるということは非常に大事なことだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  257. 荒田建

    荒田参考人 これまでの家賃改定に伴う増収、これは先生おっしゃるとおり、七割を維持修繕費、それから三割を賃貸住宅家賃抑制という形で使ってまいりました。  今後におきましては、やはり基本的に従前のルールというものを守っていくことになると思いますけれども、ルール自体が、家賃部会、入居者団体の代表の方々も入っている家賃部会で議論するというような形で考えておりますので、基本は変わらないということで、できるだけ修繕費の方に充当して、今先生おっしゃったような階段とかエレベーターとか、我々も日々入居者からそういう要望がございまして肌に感じておりますから、できるだけそういう方面の充実に充てていけるようにできればと思っております。
  258. 太田昭宏

    太田(昭)委員 一番最初に私が聞きたかった町づくりの概念ということについて、私は再三再四こういうことをずっと言ってきたんですが、去年のちょうど今ごろ、町づくり三法というのがあって、都市計画法の改正であるとか、中心市街地活性化法あるいは大店立地法、そうした審議がありました。そして、今指針づくりということに展開をされている。秋口になりましたら、生活空間倍増という概念が出、あるいは地域戦略プランということが言われたり、さまざまな措置がこの国に出ている。  しかし私は、日本人は今まで町を自分でつくったことがないんだと思います。新しい都市整備ということにシフトをするということであるならば、これは国がそのことをやるということではなくて、私は、新しい公団というものは一体何をするかという展開の中で、全体的な、我が国は一体どういう町づくりであるべきかというような、概念規定とかイメージというものがなくてはならないんではないかというふうに思っています。  ですから、何でもかんでも、政府がとか何々が悪いとかいいとか私は言っているわけじゃなくて、そろそろこのあたりで、町は自分たちでつくるんだというふうに日本全体の国民が意識を変革するということが大事だし、その先駆的な役割を新公団というのは担わなくてはいけない。町づくりとかあるいは都市基盤整備ということにシフトをするならば、やはり東京なら、東京を初めとする大都市圏はこういう都市にしたい、あるいはまた地方都市なら、地方都市はこういう都市にしたいというようなイメージがしっかりあって、そしてそのイメージのもとに戦略というものがあって展開されるということが非常に大事だというふうに私は思います。  そのときに、私は、政府はもっと構想力と哲学性とか生活環境概念ということが大事だというふうに思っておりますし、そうした生活環境概念ということは、あるいはまた、この都市は一体どういう都市であるべきか、そういうものがあってしかるべきであろうというふうに思っております。例えば、東京であって、新宿の富久あたりに公団が出ていく、町づくりというもののお助けをするというようなことでも、一体そこは本当は住宅建てればいいのかどうかというようなこと自体というもののイメージ、これは新しい公団が何でもかんでもそういうことで自分の主張が通せるとは私は申し上げておりません。しかし、一番最初のスタートですから、どういう町づくりをしていくかという哲学とか概念というものを明確にするという必要があろうと思います。  建設大臣は、そういう中で今回の基盤整備ということについて基本方針を定めるという。その基本方針の中に哲学性があらわれていかなくてはいけないというふうに思っておりますし、あるいは今度は、新公団総裁あるいは新公団という方向からいくならば、その町を一体どうつくるのかという哲学というようなもののあるイメージが必要であろうというふうに私は思っておりますが、その辺、もう時間がありませんので簡単で結構なんですけれども、大臣総裁に一言ずつお願いします。
  259. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに、いろいろな都市開発あるいは地域づくりの関連の法案が出てまいりました。ただ、最近出てまいりました法案は、景気対策といいましょうか、景気回復を主題としたようなもの、あるいはまた行政改革というのも。裏腹な関係での、町づくりというものは、いろいろ出てきておるんだろうと思いますが。  おっしゃるように、やはりその地域づくり、そしてまた自分の唯一の憩いの場所の家屋をどういう形で持つか。その中には、当然、先生指摘のように家賃というものが一番重要なものではあろうと思いますが、そういうようなものも含めて、私が思いますのは、何といってもそういう無理な財政負担で維持する住居ではないということが第一。  それと、やはり私は、空間がゆとりがあるもの、そしてその地域に住んで本当に安心し喜びを感ずる、そういう大きな公団といいましょうか、グループといいましょうか、地域といいましょうか、そういうものをつくっていかなければならないのではないかな。  それと、若い方々にするならば、やはり仕事の場所と自分の家が極力短時間で移動ができるというようなこと。そういうようなことを考えておるわけでございまして、どうもしっかりとした哲学がないように思うわけでございますが、私は、そういうようなことで、終戦当時のあの哀れな状態がずっと一生背中について回っておる年次の者でございますから、そういうところがもう本当に私は世の中のモデレートな状態ではないかな、そんなことを思っております。
  260. 牧野徹

    牧野参考人 大臣の御答弁のとおりだと思いますが、あえて、おまえも一員としてその町づくりに参加するんだから、抱負経綸というか考え方を述べよという、そういう御質問と解して一言だけ申し上げます。  私は、建設省におりましたときも都市計画に若干長くタッチしています。今、反省も込めて考えますと、戦後の町づくりは、言ってみると効率性を非常に重視した町づくりではなかったかな。今後は、日本の人口がピークアウトすること、それにいろいろ御議論のあった少子高齢化も踏まえると、効率化ももちろん大事なんですけれども、それと並んで、むしろ安全、これは移動の安全も含めて、安全、安心できる、そしてやはり何といっても世界に誇れる美しい町を日本はつくったなと言えるようなことに公団として少しでも寄与したい、そのように決心を固めております。
  261. 太田昭宏

    太田(昭)委員 ありがとうございました。
  262. 平田米男

    平田委員長 西野陽君。
  263. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  我が党の立場もございますので、与えられました時間はわずか十五分でございます。この間に、今回までいろいろ議論をされてまいりました本新公団に対するいろいろな問題がございますが、とりわけ私は、新公団はかくあるべき、こうあるべき、都市再生のためにはこれしかないんだ、こういう思いもございますし、また、そういう切り札的な、町づくりのためにはそういう新公団であってほしい。そういう意味で、新公団が単なる賃貸業務だけで終わってはならない、こういう考え方のもとに、限られた時間で具体例を挙げさせていただいて、こういうものはむしろ新公団として取り組むべきだ、これはいかがなことかという点を一、二、お許しのいただける範囲で指摘をしていきたいというふうに思っております。  ちょっと委員長のお許しをいただいて、写真を大きくしたものですが、これは新宿区西富久町の、いわゆる公団土地有効利用事業として取得をされたところであります。  私は、この新公団業務というのは、まず一つには、今申し上げた未利用地を有効に利用するということが一つでもありますし、さらにまた、都市開発事業の中でも、先ほど来から話が出ておりますとおり、いわゆる公共施設が必要とするような再開発もあると思います。そういう事業には当然新公団が参画すべき、こういう考え方であります。もう一つは、話が出ております中堅所得者用の賃貸住宅についての建てかえ事業、これも当然あわせて行うべきだ、大体この三つぐらいの柱になるのかなというふうに思っておるのです。  この今お示しをしております新宿区西富久町でございますが、私、この場所へ行ってまいりました。実に空き家が多くございまして、空き家が多いために、既にホームレスの方がしっかりと青いテントを張ってお住まいになっております。ややこしい暴力団絡みのような方も、どうもにおいがしてしようがありません。そうかと思えば、近くで聞きましたら、既に不審火がもう三回も起こっている、火事ですね。そういう状況ですから、これは早くこの空き家を取り壊す必要があるなというふうに思っております。  あいている土地がありまして、ここですが、ここは既に駐車場みたいになっているのですけれども、公団が駐車場を本来の業務としているわけじゃないのでしょうが、あいているからしばらくの間これを使っているのだと思います。この土地は、実はかの有名な日債銀でございまして、現在、整理回収機構から不良債権を買い取ったとして、空き家も債権債務が非常に入りまじっているのですね。複雑な権利関係にあると思います。  また、御高齢の方も住んでおられて、これも話が出ておったと思いますけれども、もう今この年になって今さらここから出ていきたくない、ここに住みたい、こういう方もおられますから、そういう方々が大学の専門の先生も入れて街づくり組合というのをやっておられるのですね。  要は、こういう場所のように、直ちに町の再開発が、きょう言ってあしたできるわけではありませんけれども、債権債務の権利関係が非常に錯綜している、こういうところはやはりこれからは公が入ってやらぬと、民間ではなかなかできないと思いますね。それから、現在住んでいる人たちは、公団が来るというだけで、公的機関が来るというだけで安心している、安堵感がある、これはもう事実です。資金の調達も、比較的そういう意味では見通しもあります。しかも、私、ちょっとややこしい人がおるとか言いましたけれども、どうもそんな雰囲気なんですが、仮に暴力団等が占拠をしておるとするならば、周辺の人たちは大変な心配でありますから、公が入ってくるんだということでいわゆる安堵感がある、こういう効果があるというふうに実は思うわけであります。今言ったのは、絶対これは新公団にやってもらうべきです、しっかりやってもらわなきゃいかぬ。  二番目ですが、足立区小台一丁目、約一万平米、平成十年十二月購入、なかなかまとまった土地なんですね。ところが、これを見ますと、両方に川があるのですが、おしょうゆ屋さんのしょうゆのプラント、工場がありまして、これはどう見たって工業地帯なんですけれども、これを公団さんが取得したというのですが、後ほどこれは聞きたいと思うのでございますが、何でこんなところを買ったのかな。よく聞いてみると、どうもここに将来、インフラで新しい交通のモノレールか何かが入ってくるのですね。さらには隅田川を緑地にしてやっていくとか、要するに用途地域を変更して、将来は恐らく良好な住宅地にしよう、こういうことだと思うのです、それが間違っておったら御指摘をいただきたいのですが。  以上、二点申し上げましたとおり、今直ちに町の再開発、再生にはならない、こう思いますが、いろいろな複雑な条件のある中でこそ、新公団が今日までのノウハウをしっかり活用していただいて、新しい町づくりのために活動していただきたいと思います。この二点の例を挙げたのでございますが、いかがでございますか、総裁、お答えください。
  264. 島崎勉

    島崎参考人 ただいま西富久町とそれから足立区の小台、舎人の用地についてのお話がございましたが、いずれも土地有効利用事業で買収をした土地でございます。  西富久につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたように、そのうちの一部につきまして既に〇・六ヘクタールということで買収を進めております。  また、足立区の小台につきましては、確かに零細の土地の集合ではございませんが、土地有効利用事業の目的といたしまして、大規模土地利用の転換を行って有効利用を行うということも一つの大きな目的でございます。そのような意味で、むしろこの用地につきましては工業専用地域でありますけれども、ただいまお話がございましたように、新交通の日暮里—舎人新線等のものも入ってまいりますし、またスーパー堤防の事業も同時に行われるということがございます。さらには、再開発地区計画等におきまして、この土地利用の高度利用が図られる、このようなことが合わさって行われる土地でございますので、このようなことを総合的に判断いたしまして土地有効利用事業として取得したものでございます。
  265. 西野陽

    ○西野委員 それは時間がかかると思いますけれども、ひとつしっかり頑張ってやっていただきたいと思うのです。  次なんですが、そういうことはいいのですけれども、これは渋谷区神宮前、実はここなんですが、これは某アパレル会社、一部上場会社の本社なんです。これを公団がお買いになったのですね。本社はまだ営業をやっているのですけれども、どういうわけですか。
  266. 島崎勉

    島崎参考人 これにつきましても、公団土地有効利用事業で買収したものでございますが、同じように、現在、相当土地有効利用が十分に行われていないというようなことがございます。それから、土地有効利用といたしまして、北側の隣接地との一体的な整備、これによりまして日影規制というのがクリアできるような条件がございまして、これらを同時にやりますと相当な有効利用ができる。さらには、土地の西側に環状五号の一号線の拡幅予定がございまして、これらの整備にも寄与するということがございまして、土地有効利用事業として買収を決定したものでございます。
  267. 西野陽

    ○西野委員 それだけ聞いたらごもっともだと思うのですけれども、おっしゃっていること、事実と大分違う。だから写真を持っているのです。  あなた、今、この場所が有効利用は図られていないと言うのですが、有効利用といったって、今会社の本社が使っているのですよ。本社が営業をやっているところが有効もくそもないじゃないですか。営業をやっているじゃないですか。周辺と一体的って、何が一体ですか、現在建築中じゃないですか。これは何の一体ですか、今建築しているのをまたつぶさせるのですか、やめるのですか。これは一体性じゃないですよ。これは問題あり、そう御指摘をしたいんですが。
  268. 島崎勉

    島崎参考人 当用地につきましては、公団といたしましては、建物を除却して、そういう除却したという条件で買収をするということになっておりまして、これはいずれ会社側で除却をしてもらうように考えております。  また、北側につきましては、確かに建物が建っておりますけれども、将来的に、追加方式だけではなくて、ある程度共同事業ということも視野に入れまして有効利用の成果を上げてまいりたいというふうに考えております。
  269. 西野陽

    ○西野委員 理事さん、そうおっしゃっていますので、北側とも共同利用、しっかりそう言ってください。私の方は調べてあります。北側は、そんな共同は考えていないですよ。ちゃんと調べてありますよ、全部行って。ですから、そういうところもある。これはちょっとまずいな、こう指摘だけしておきます。  もう一点、ちょっとうまくないやつ。申しわけありません。  これは江東区北砂と越中島でございますが、約一万平米。昭和四十四年購入をされまして、約十年後、小学校が建っているんです。もう一つは、今言いましたように越中島ですが、これは同じく昭和五十年に購入しているんです。既にもう二十数年たっているわけですね。先ほどのものは三十年たっているわけです。それぞれその十年後、学校が建っているんですね。  公団、これは何をするんですか。学校を建てることが公団の仕事ですか。
  270. 島崎勉

    島崎参考人 これは、住宅都市整備公団が昭和四十四年とそれから昭和五十年に、当時江東区に団地を造成した際に学校用地として造成した部分でございまして、その用地につきましては、現在江東区に賃貸しているものでございます。(西野委員「江東区に」と呼ぶ)江東区の小学校でございまして、その用地を江東区にお貸ししているというものでございます。
  271. 西野陽

    ○西野委員 貸しているのは事実なんですけれども、公団事業として町の再開発をしようということでありますから、公の団体ですから、公の団体の小学校に貸すために公団取得しているということはないと思うんです。ですから、これは、それであるなら速やかに譲渡をしなさいよ。その譲渡が終わってない。それはお認めになって、私は、先ほど来申し上げた新宿区の西富久町とか非常に難しいところも立派におやりになっている、だから、そういうものは時間をかけてしっかりと再開発を進めていくべきだ、こう言うんですが、しかし何件かの中には、本来の公団さんの機能、目的とはかなり逸脱をした結果になっているなというものがありました。そういうものは、しっかりと管理をしていただいて見直していただきたい、新公団に移る場合には。そういうことを具体の例を申し上げて、御指摘だけをしておきたいと思います。  時間がありませんので、最後の一件だけお願いをしたいんですが、実は私は大阪府なんですけれども、大阪府では、平成二年にまちづくり推進機構というものをつくったんですね。いち早くつくりまして、密集の市街地の木造賃貸住宅、これの整備を進めることでその機構ができました。  ところが、お恥ずかしいことでありますけれども、その中で、私がおりますのは東大阪というところなんですが、住宅数でいきますと十八万二千戸あるんです。その十八万二千戸の中で木賃は何ぼあるかといいますと三万四千戸、約二〇%弱は木造賃貸住宅なんです。大阪府下で同じような程度の二〇%前後の木賃の住宅の密集地域は、すべてこの大阪府のまちづくり推進機構に既に入って、そして計画をして町の再生化に今歩みを進めているわけですね。東大阪はこれに入っておらぬのです。  ついては、もちろん東大阪市の地方公共団体の問題もありますが、特に、木賃で共同便所、共同炊事、そして平均の広さは三十四平米、先ほど来の話からずっと低いんです。まことにもって劣悪な環境なんです。こういうところにこそ公団の長年の英知とノウハウをぜひ活用していただいて、取り組んでいただく気持ちはないかどうか、最後にお尋ねをして終わりたいと思います。
  272. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるとおり、防災上危険な密集市街地整備が重要でございますが、こういうところは本来地方公共団体が中心になって進めるべき課題であるとは思いますけれども、公団も新公団設立を機に、先生おっしゃるように、こういうところをこそ主要な業務の柱として大いにやらなければいけないと思います。  具体的には、ただ公団だけ走っていっても、実際問題なかなかできるわけではありませんので、地方公共団体、例えば東大阪の場合だったら東大阪市あるいはまちづくり推進機構とか、そういうところと今まで以上に密接な連絡をとりながら、具体的には、本当はやはり地に足がついた調査とか、そういうところからきちっと始めていかなければいけないと思います。必要ならば、公共施設についても直接公団整備できることになりますし、先ほど来お話しさせていただいておりますが、密集市街地への整備事業とかあるいは再開発事業とか、こういうことに直接公団がその一帯、地域の中の役割分担をして進めていってもいいわけでございます。あるいはまた、地権者が賃貸住宅建てかえたい、こうおっしゃるなら、そういう建てかえ事業公団支援してかわりに行ってやるというようなやり方もありましょうし、いろいろなやり方はあると思いますので、先生ただいま御指摘のように、まさに公団こそがこういう地域に、本来持っている能力ノウハウを最も生かせる地域だと思いますので、そのように進めていきたいと思います。
  273. 西野陽

    ○西野委員 終わります。
  274. 平田米男

    平田委員長 辻第一君。
  275. 辻第一

    ○辻(第)委員 長時間御苦労さまです。私がきょうは最後で、四十分間お世話になります。  住まいは人権だ、また住宅は福祉だと言われておりますが、そのとおりだと思います。しかし、我が国は世界第二の経済大国と言われながら、我が国住宅事情、殊に都市部の住宅事情は極めて貧困だと思います。中でも賃貸住宅の平均は、平成五年で四十五平米ということでございました。もう六年もたっているんですが、最近はどうなっているのかお伺いをしたいと思います。  そして、我が国の公共住宅は、全住宅の八%と言われています。ヨーロッパ諸国では、少ないところで一五%、多いところでは三〇%と言われております。公共住宅も大変貧困だ。我が国の公共住宅政策の実態を示しているんだというふうにも思うわけであります。  そこで、建設省にお伺いをいたしますが、現在の我が国住宅状況、殊に都市部、そして賃貸住宅状況についての認識を伺いたいと思います。
  276. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  我が国住宅事情、とりわけ都市部の賃貸住宅の事情ということでございますが、現在、平成五年のデータが一番最新でございます。もうちょっとたつと昨年十月の住宅統計調査の結果が出ると思いますが、今の段階では、先生今御指摘されました平成五年のデータで、恐縮でございますが、それをまた使わせていただきたいと思います。  その平成五年の調査によりますと、我が国賃貸住宅住宅ストックの四割ございます。戸数にしておよそ一千六百万戸ございますが、総じて平均しますと、規模は大変小さい。四十五平米でありますし、特に大都市部のそれは三十八とか、四十平米を切るような平均数値を示して、大変悪い。  また、住宅居住水準を示す指標として最低居住水準というのがございまして、最低居住水準につきましても、最低居住水準未満、達成できない居住者の八割が賃貸住宅居住されているというようなことでございます。  それから、最近の大都市における賃貸住宅規模別の分布を見てみますと、先進諸国では賃貸住宅、これは公民合わせてですけれども、大部分が少なくとも六十平米以上はあるという状況に対して、我が国では、先ほどの平均値が四十五平米と示しておりますが、その分布も半数以上が四十平米未満である、六十平米以上は二割にも満たないというようなことで、いわゆるファミリー向けの、家族向けの、ある程度の規模が必要な賃貸住宅が極端に少ないという状況がございます。
  277. 辻第一

    ○辻(第)委員 今局長の認識でも、極めて深刻な実態ではないのか、このように思うわけでございます。このような賃貸住宅状況、公共賃貸住宅役割がいよいよ重要な時期ではないのか。この時期に政府公団賃貸住宅建設供給から撤退をするということは、私は許せない問題だと思うわけであります。  今、バブルが崩壊をし、深刻な不況、失業や倒産が本当に激増している。こういう状況の中で、住宅の自己所有にこだわらない、借家、賃貸住宅ニーズが高まっております。戦後、日本住宅政策の重要な一つの柱として、住宅に困窮する勤労者に良質な住宅供給を目的とした住宅公団が設立をされ、そして住都公団ということになってきたわけですけれども、いろいろな問題がたくさんあります。しかし、この公団の果たしてきた役割というのは、私、非常に大きいものがある、このようにも思うわけでございます。  この住都公団を廃止し、賃貸住宅建設都心部の再開発と一体となったごく一部の地域に限定をし、都市基盤整備に重点を移すというのが今度の法案の中心の内容だと思います。殊に、住まいを人権として保障しなければならない政府の重大な責任、これを放棄するものではないのかということでございます。  また、そういう中で、中堅所得者に良好な住宅供給、殊にいわゆるファミリー層への賃貸住宅供給の問題でございます。これは、市場や民間にゆだねては十分な供給が難しいということは明らかであります。先般の参考人質疑でも、三井不動産の社長でございます岩沙参考人が、現段階で賃貸住宅という事業分野に限って言いますと、民間ではそういったファミリー層の中堅所得層向けの良質な住宅がなかなか供給しづらい状況にあります、このように答えられておることでも明らかであります。また、伊藤参考人は、二十一世紀のやるべきことの第一番目は都会の住宅をよくすることだと思っている、このようにも申されているわけであります。  こういう住宅問題、賃貸住宅の問題、殊に中堅層といいましょうかファミリー向けの住宅の重要性、これに政府はどのように対応されるのか。これは大臣お尋ねしたいのですが、政府はどのように対応されるのか。こんなときこそ都市整備公団は中堅所得層に、居住水準のいい、環境のいい、そして適正な家賃賃貸住宅供給すべきではないか、このように考えるのですが、建設大臣の答弁を求めます。
  278. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 最後の辻先生の御質問で、公団方々もやっと笑顔が出てきたんじゃないかと思いますが、大変ありがたい御指摘をしていただいております。  したがいまして、いわゆる分譲住宅からは撤退はいたしますが、それ以外のことは進めていくわけでございまして、ましてや、先生指摘のように、大都市地域におきます賃貸住宅居住水準向上というのは重要な課題でございます。このため、新しい公団におきましては、民間による十分な供給が困難な都心の住居、住宅等、国の施策上特に供給が必要な賃貸住宅供給は今までどおりに積極的に行うこととしておりまして、その実施に当たりましては、いわゆる中堅所得層のファミリー向けの賃貸住宅の需要等にも十分配慮していく所存でございます。
  279. 辻第一

    ○辻(第)委員 それはちょっと納得できませんな。ごく一部分でしょう、それは。基本的には撤退ですよ。私は、政府の責任は重大だと厳しく指摘をして、次に移りたいと思います。  公団賃貸住宅には、七十三万戸二百万人の方がお住まいになっております。今後、新公団が行っていく公団住宅の管理業務は大変重要だということは大臣にも御異議がないと思います。しかし、公団の名称から住宅を外されたのはなぜでしょうか。いささかも賃貸住宅の管理が後退することはないということをはっきりおっしゃっていただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  280. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 確かに、今後の住宅の管理が手薄になるというようなことは絶対ないわけでございまして、都市基盤という、どう言いましょうか、新しい名称の中に住宅ということも含めておるというふうに私は解釈をしておるわけでございまして、賃貸住宅を適正に管理することは、いわゆる良好な居住水準の維持向上を図るという意味でもありますし、入居者の居住の安定のため重要と考えておりまして、この法案におきましても、賃貸住宅供給に加えて、その管理を新公団の目的としてはっきり明記をしたところでございます。
  281. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ、安心して住み続けられる公団住宅ということで御努力をいただきたいと思います。  次に、公団の職員の皆さんの処遇の問題でございます。  今回の公団の改組に伴って、住宅都市整備公団の職員の皆さんの処遇の問題、これについては、労使間で十分に話し合っていただくこと、そして、公団の現職員の方が不利を生じないように、慎重かつ十分な対応をされるように大臣から指導していただきたいとお願いをいたします。いかがですか。
  282. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 新公団法でございますが、附則の第六条で、全くこれは現在の状態を、雇用契約等々新公団に継承されるということでございまして、労働協約につきましても同様でございます。  そういうようなことで、各職員の皆さんの勤労条件等につきましては、個々の職員が不当に不利益をこうむることのないよう、このことは公団をしっかりと指導してまいりたいと思っております。
  283. 辻第一

    ○辻(第)委員 私も時々公団住宅へ参りまして居住者の皆さんにお会いするんですが、高齢化されました。少子高齢化という状況にどんどん入りましたね。それから、年金生活者が多いわけですね。それから、所得が非常に減少している方が多いというのが実態ですね。  公団の自治協の皆さんが行った調査結果を見ますと、関西の公団住宅では、世帯主の年齢が六十歳以上が四一・九%、全国では三九・一%です。また、このうち七十歳以上が一四・九%になっております。年金生活者あるいは年金受給者世帯が三五・九%で、年金中心の世帯が二四%にもなっております。  公団居住者公団住宅に対して願っておられることは、繰り返し申しますが、安心して住み続けられる公団住宅をということでございます。居住者や自治会の皆さん、もちろん公団の皆さんの協力もあって、この道筋をということで頑張ってこられたわけでありますが、そういう中で、アンケートの中に、公団住宅に長く住み続けたいという方が七六・六%おられるんですね。二年前の調査より二%アップしています。つまり、公団住宅公団居住者から支持をされ、良好なコミュニティーを形成しているということをあらわしていると思うんですね。このことは建設省公団にとって、また私ども少しかかわっている者にとって喜びであり誇りにすべきことである、こういうふうにも思うわけであります。  そこで、この居住者が一番心配されていることは、先ほど来繰り返されましたが、やはり家賃の問題ですね。家賃値上げや高家賃に不安を抱いている人が九〇・三%にもなっています。また、建てかえのことを心配されている方が四八%もおられます。まさに家賃がどうなるのかということが本当に大きな不安の種になっているわけであります。  そういう中で、いわゆる市場家賃を基本にするというふうに言われておるわけでありますが、先ほども申しました高齢化、所得が低下をするという状況の中で、安心して住み続けられる、そのような家賃ですね。もちろん減免でありますとか、あるいは家賃補助というようなことも含めて十分な御対応をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  284. 荒田建

    荒田参考人 先ほど来の御質疑にありますように、新公団移行後におきましては、現在入居者の方々がお払いいただいている家賃継続家賃、契約家賃でございますが、近傍同種家賃と、それから今払っているお家賃、それから経済事情の変動等を考慮して、かつ上回らないようにというような形で明文化されているわけでございますが、入居者の居住の安定に配慮するということは大変大事なことだと思いますし、その方針で今後家賃改定のルール化をやっていきたいというふうに考えてございます。  現在、家賃部会に入居者の代表の方々もお入りいただいておりますけれども、そのルールにつきまして議論をしていただいておるところでございまして、確たることはまたそのルールが定まってから後というような形になろうかと思います。  また、先ほど、特に長く住み続けたいという方々が七六%ということで、私どもも自治協の方からお話を承っておりますし、特に長く住み続けたいという方々高齢者が多うございます。今般の予算で、家賃改定に伴う家賃対策補助制度、これは繰り返しになりますが、改定時に五十五歳以上の年齢の方々に対して、六十五歳以上になった段階で、現在でいく家賃と公営で払う限度の中間水準までいくというような形の助成制度をおつくりいただいた。あるいは同様に、公団の既存賃貸住宅を活用して、一階部分について高齢者の住みやすいようにいろいろバリアフリー等々の仕様を施した住宅高齢者優良賃貸住宅制度というものでございますが、これも公団に適用されることに相なりました。それも同じような考え方で、家賃を通常の市場並み家賃から減額するというような形でございます。  いずれにしましても、そういうような措置を、私どもとしては、せっかく国がこの公団発足を機にお認めいただいた制度を十分活用いたしまして、公団の制度では限界がもちろんあるわけでございますけれども、可能な限り現入居者が住み続けられるように、いろいろな手だてを講じてまいりたいと思っております。
  285. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、修繕の問題でお尋ねをいたします。  これまで公団家賃の値上げ、三年ごとの値上げというのがありましたね。それがずっと続いてきたのかなんなんですが、当初、維持管理費の増大ということを挙げておられました。そして、先ほどもお話があったんですが、増収分の約七割を修繕に充当するということを言われた時期がありましたね。あの時期は非常に公団居住者から、このごろはうまく修繕していただきますと言って喜んでいただいた時期があったと思うんですが、最近居住者の方にお会いをいたしますと、いろいろクレームや、修繕の要望に対する対応にかなり御不満がございます。  これは、こんなことを言うといかぬのですが、難しいものですな。私も議員宿舎に住まわせていただいておりますけれども、あれは院に責任があるのか建設省に責任があるのか、まあ中はお粗末ですわ。あんじょう直してくれしません。私はもう何も言わぬとこのごろ辛抱していますけれども、あれはひどいですな。  それから、公団居住者が修繕なんかについていろいろ御不満があるのは当然だと思うんですけれども、一つ対応が遅いということですね。前は早かったかということですけれども、対応が遅い。そして、声を大きくして言わぬとあかん、一回や二回ではあかん、三回も五回も大きな声で言うと、というようなお話も聞きました。  最近、この修繕の問題で公団は、いわゆる財政の問題もあるんでしょうけれども、どのような状況対応されているのか、お尋ねをいたします。
  286. 荒田建

    荒田参考人 修繕等の実施でございますが、いわゆる修繕といいましても大体大きく分けて二つございまして、一つは、日常生活の居住者の安全の問題、あるいは、ほっておくといろいろな危険が出るというような、例えば外壁の剥離ですとかガス管、給水関係の故障、汚水管の破損、日常的にいろいろどんな住宅でも発生するわけですけれども、そういった小修理につきましては、先生、今対応が遅いというお話がございましたが、その都度迅速かつ確実に実施しているつもりでございます。  それから、もう一方、計画修繕と申しまして、外壁修繕ですとかあるいは屋上の防水化ですとか、そういった躯体を間違いなく良好な資産として維持していく工事、建物の耐久性のために行う工事、こういったものは、修繕周期だとかあるいはその損耗状況、こういったものを見ながら、総合的に勘案して緊要度の高いものから実施しているというようなことでございまして、今後とも迅速かつ的確な対応をしてまいりたいと思いますが、今般の新公団の発足に当たりまして、居住者に迷惑をかけないといいますか、居住者サービスの低下しないようにというような形で御指示もございますので、私どもとしては、この際、居住者サービスをさらに向上するべく努力をしてまいるつもりでございます。  修繕について、遅いという先生の御指摘がございましたけれども、どうぞ窓口の方に言っていただければ、とにかくできるだけ速やかな、スピーディーな対応に心がけるように指導しておるつもりでございますので、どうぞ窓口の方に御相談いただければと思います。
  287. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ迅速、適切に対応していただきたいとお願いをいたします。  次に、これは私もびっくりしたんですけれども、いまだに木製の枠があるんですか。ちょっと公団お尋ねをいたします。
  288. 荒田建

    荒田参考人 三十年代に建てられた住宅、木製の窓枠、ございます。六万三千戸あったわけでございますが、現在一万八千戸をアルミ化いたしまして、まだ四万五千戸残っておりますけれども、これは建てかえ対象団地ということで、いずれ近々に建てかえるときに一緒にやっていこうかということで考えている点でございます。
  289. 辻第一

    ○辻(第)委員 実は、私は、浜甲子園団地の皆さんから聞いたんです。びっくりしました。  私は、十七、八年前、地元の奈良で木造の窓枠の話を聞きまして、実際見せていただきました。それは、雨風になりますともう雨がどんどん入ってきて、そうすると壁はもう腐るようになる、畳は腐ります。お年寄りで畳をよう干せぬ人やったら、それはもう腐って当然ですよ。すぐ私は、住民の方と御一緒に要請をして直していただいたような覚えがあるんです。これはもう十六、七年前だと思いますね。  今ごろ木製の窓枠というのは、大体雨風だと雨が入ってくるんです。こういうものが残っておるというのは、私はちょっと理解に苦しむんですね。しかも、十年前から取りかえをやって、まだ三分の一というんです。これはどういうことですか。本当に、そういう建てかえの問題もあるようですけれども、それにしてもこれはひどい話ではないのか。  どのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
  290. 荒田建

    荒田参考人 今、全体の木製の窓枠六万三千戸中一万八千戸をアルミ化したと申し上げましたが、実は、そのほかにといいますか考え方といたしましては、なぜそういう木製の建具を三十年代団地でアルミ化するか。今先生指摘のように、海岸部とかあるいは高台とか、そういったところに立地する団地、こういったものは、強風時における窓枠からの雨水浸水というようなこともございますので、かくてはならじということで、六十一年ごろからアルミ化を実施してきておりまして、結局、建てかえ団地ですから、建てかえの進度との調整で見合わせているものもございまして、それが四万五千戸残っている。  確かに、今どき何だということはございますので、私どもとしては、確かに建てかえ団地内であっても、生活上どうしても支障が出てくる、雨水の浸水等々で激しくて大変だというようなものは、やはり個別的にお話を承った上で実施するということは考えております。ということで、御理解をいただければと思います。
  291. 辻第一

    ○辻(第)委員 僕の認識では、ああいう木製の窓枠というのは雨水が入ってくるものだ、こういうふうに思うておるわけで、ほとんどの人が実態として大変な被害を受けておられるのではないかと思いますので、申し出云々じゃなしに、こちらから見に行って実態を把握して対応していただきたい、重ねて要望いたします。  次に、業務管理の問題でございます。  先ほど大臣は、いささかも現在より悪化することのないようにというようなお言葉をいただいたように思うんですが、私も、去年当委員会で、営業所の問題でお尋ねをしたことがあるんですが、今でも外部委託の方がふえているようですね。  例えば、営業所によっていろいろあるんですが、十人ほどおられる営業所の職員の中で六人は外部からの委託だ、こういうところもあるように聞きました。いろいろあると思うんですが、最近、やはりかなりふえてくる、今後一層外部の委託化がふえるということを心配されておるんですね。現実、外部の委託職員の人と正規の職員の人と比べると、やはり対応が違うんですね。委託の人は、もう一遍正規の人に相談をして対応するとか、そういうことがやはりかなりあるようなんですね。  そういうことで、やはり公団が責任を持ったそういう職員が業務を行って、そして管理主体として判断、執行していたのが、外部委託によって、外部委託先だけでは判断ができず、公団との調整等に時間がかかったりしているということがあるようです。委託先の職員が管理に関する知識が不足しておる人もやはりあるのではないか、そういう中で時間がかかるのではないか、そういうことでございますので、私どもは、本当に公団の職員の人がきちっと対応していただくことを前回も求めたわけでありますけれども、ぜひ今後も、そういう委託者をどんどんふやして住民サービスが低下をするということのないように御努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  292. 荒田建

    荒田参考人 営業所におきます現地管理業務、営業所というのは全国で今たしか二十五あったかと思いますが、現地管理業務、現在も一部、いわば定型的に行われるもの、あるいは日常的に行われるものについても一部外部化しておりますけれども、管理の基本方針にかかわるようなこと、今先生、正規職員と委託職員が相談しながらというお話がございましたが、そういう管理の基本方針に係る重要な判断事項については公団職員が責任を持って判断できる体制は、今後ともきっちり維持していきたいと思っております。  その他の日常的、定型的な業務につきましては、公団賃貸住宅管理の豊富な経験、ノウハウを持つ住宅管理協会というのがございまして、そちらに委託を予定しているところでございます。おっしゃるように、委託職員の知識不足による、あるいは研修不足による処理のおくれということが言われないように、今後、管理協会における研修、人材養成あるいは能力開発、こういったものを抜本的に強化いたしまして、できるだけ居住者サービスに的確に対応できる人材を養成するということも一方で考えております。  そういう形で、公団現地の判断業務、責任者はもちろん置きますけれども、一方で嘱託の方々にも能力開発を十分にしていただいて、万間違いないような居住者サービスを心がけてまいるようにしたいと思っております。
  293. 辻第一

    ○辻(第)委員 居住者のサービスが低下をしないように、公団が責任を持った体制でやっていただきたい、重ねて要望をしておきます。  次に、共益費の問題でお尋ねをいたします。  共益費は、共用部分の維持管理に要する経費として家賃とは別に徴収をされている。これはどのように管理され、使用されているのか。また、共益費は、それぞれの団地により金額が違うと思いますが、これはもう時間がありませんので、あるいは金額はどのように決められるのか、後日教えていただきたいと思います。  ある事例として、大阪府で二百八十戸の団地で八百万を超える残金があるというようなお話も聞きます。そういうことに代表されるように、いろいろ情報の開示とかそういうものについても十分でないところがある、こういうふうにも聞きましたので、この点についてはひとつ十分に対応いただきたいと思います。  次に、高齢化社会を迎えておるわけであります。私ももう七十三になりました。いやもう、あかんですな、七十三いうたら高齢者が身にしみますわ、ほんまに。それで、公団住宅設備の問題などで、高齢者対応ということをいろいろ御努力いただいております。段差の問題や施設の改善、設備の改良が行われております。しかし、公団住宅全体についてはさらに対策を進めていく必要があると思うんですね。  エレベーターのある住宅では、上の方もお年寄りが十分お住みになることができるんですが、地震などが起こりますとエレベーターが使用できない。避難をしなくちゃならないというときに、手すりが片一方しかないそうです。やはりお聞きをすると、右きき、左ききの人とかいろいろな状況があるので両方に欲しいという、これは切々とお話を聞かせていただいたんですが、もちろん階段の幅なんかの問題もあるようですが、そういうことも含めて、もしできれば御努力していただけないか。  あるいは、浴室、トイレの手すり、浴室のドアのアルミ製折り戸化、あるいは台所や浴室の水道コックのレバー化、こういういろいろな要求をお聞きしたわけでありますが、全体としての対応を広げて、できる限り十分な対応をしていただきたいと思いますが、御答弁を求めます。
  294. 荒田建

    荒田参考人 高齢化に対応いたしまして、既存賃貸住宅をいかに高齢者仕様に改善していくか、大変重い重要なテーマでございます。  私どもとしては、高齢者向けに指定した百二十六団地につきまして、住戸内や団地の外回りの居住環境整備を総合的に実施しておりまして、今先生御例示に挙げました階段手すり、それから住戸内の改善、特にコンロ台の高さの調整ですとかあるいは浴室、トイレの手すり設置、そういったことですとか、あるいは屋外の改善、特に通路等の段差というのが高齢化してまいりますと大変でございまして、そういった段差の解消等々、できるだけ居住者のニーズに合わせて改良をしてきているわけでございます。  階段手すりの設置は、確かに両側があるにこしたことはございませんけれども、既存の賃貸住宅の未設置戸数が六十六万戸ございまして、三年度から計画的に設置を進めてきておりますが、片側の設置だけでようやく十年末で二十一万戸というような状況でございますので、とりあえず片側すらない未設置の団地が優先されるのかな。両側というのは言うべくして、階段幅の問題もございますけれども、なかなか難しいということでございます。
  295. 辻第一

    ○辻(第)委員 ありがとうございました。建てかえの問題は昔から——もう時間ですか。時間が参りましたので、終わります。  ありがとうございました。
  296. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会